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参考人(
本間琢也君) 私は筑波
大学で
エネルギー変換
関係の
研究をやっております
本間でございます。おととしの十一月三十日まで通産省の電子
技術総合
研究所におりましてやはり
エネルギー変換の
仕事をしてまいったわけでございます。きょうは海洋
エネルギーについて私の
意見を述べる機会を与えていただきましたことに御礼申し上げます。
海洋
エネルギーに関しましてまず
最初に資源のお話を申し上げまして、それから
利用技術について分けてお話し申し上げたいと存じます。
それできょうお手元に資料がお配りしてあるかと存じますが、海洋
エネルギーといいますのは、もともとは
太陽エネルギーの変換された過程でございまして、ちょうど海洋が
地球の表
面積の七一%を占めておりますから、それだけの大きなコレクターになっておる、そういうふうに考えられるかと思うわけでございます。それで、本日
山村先生の方から
太陽エネルギーの陸上での
利用の話がございましたけれども、実は海洋
エネルギーも海洋というものを一種のコレクターと考えて、これは自然のコレクターでございますけれども、そのコレクターと考えてそこにためられた
太陽エネルギーを使う、そういう意味では広い意味での
太陽エネルギーの
利用であろう、そういうふうに解釈できるかと存じます。
それで、まず
地球の大気圏に参ります
太陽エネルギーを量で申し上げますと、資料にございますように百七十三兆キロワットという量になりますけれども、まずその資料の点線がございますが、これはちょうど大気でございまして、大気圏に入る前に約三〇%は短波長で反射をいたします。結局、
地球の中には入ってこないということになるわけでございます。大気圏の中に入ってきました七〇%のうち二つに大体分かれまして、そのうちの
一つが
海水が蒸発をいたしまして雨が降る、そういう水系に蓄えられる
エネルギー、水系の
エネルギーに変換される
エネルギー分が四十兆キロワット、これが全体の二一二%に当たっております。その
利用方法でいきますと、たとえば水力
発電ですとか、
海水濃度差
発電という、この
海水濃度差
発電が海洋
エネルギー利用の
一つになっておるわけです。
それからその次に、風波とか対流といったようなそういう空気の
エネルギー、さらに空気の
エネルギーからその海洋に波が起きますけれども、そういう
エネルギーが三千七百億キロワットという量になっております。これはもちろん
地球規模でのお話でございます。
それから次に潮汐でございますけれども、これは
太陽と
地球と月の
関係で相対比の
関係によりまして、引力の差によって、引力の時間的な変化によって出てくる
エネルギーが潮汐
エネルギーでございますけれども、これは非常に少なくて三十億キロワット。それから非常に大きい部分がわれわれが
地球の表面で
太陽光として感じます、あるいはそれが熱に変換されて感じますのがこれが非常に大きくて八十一兆キロワット、全体の約四七%、つまり五〇%近い値になっております。
それで、その風波とか対流に相当いたします海洋
エネルギーが、いまの東先生の
風力発電はこれは陸上と考えますと、波力
発電それから海流
発電がこれに相当することになるわけでございます。それから潮汐
エネルギーに対応しますのが潮汐
発電、それから熱に対応しますのが海洋の場合ですと海洋温度差
発電というふうな形で海洋
エネルギーとして
利用されておるわけでございます。
あと光合成の
エネルギーでございますけれども、これは後ほど
武田さんからお話があるかと存じますけれども、これはバイオマスということで、バイオマスも海洋の中にも植物は生育いたしますので海洋
エネルギーの一種でもあるわけでございますけれども、きょうは私の特に担当じゃございませんので余り申し上げないことにいたしたいと思います。
それで、このように海洋
エネルギーと一口に申し上げましてもこの
エネルギー形態が非常に多岐にわたっております。たとえば波力
発電それから海流、潮汐、そういったような
発電、あるいはその
エネルギーの
利用ということになりますと、これは主として力学的な
エネルギーでございますし、それから海洋温度差
発電といいますのは熱の
エネルギーでございます。
海水にためられた熱の
エネルギーでございます。
それから
海水濃度差
発電といいますのは、これはちょっと原理的にはわかりにくいかと思いますけれども、
海水の中には塩が溶けております。大体標準的には一リットルの
海水中に三十五グラムぐらい溶けておりますけれども、そういう
海水と淡水とまぜますともっと
海水の薄い溶液ができるわけでございますけれども、そのできた溶液の
エネルギーというのはもとの
エネルギーを足した
エネルギーよりも小さい、それだけ
エネルギーが外へ取り出せるわけです。それが
海水濃度差
発電の原理でございますけれども、これは一種の物理化学的な
エネルギー。
そういうふうに、海洋
エネルギーといいますと非常に多岐にわたった
エネルギーでございますので、一口に海洋
エネルギーと申しましても体系的に論じるのは非常にむずかしい。そこで、その
一つ一つにつきまして
技術の種類あるいは問題点が全部変わってまいりますので、
一つ一つに分けてお話を申し上げたいと思います。
その
利用技術でございますけれども、まずこの中で一番その見込みがあると思われております
技術といいますのは波力とそれから海洋温度差
発電、その二つでございます。
そういうことで、まず波力から申し上げますけれども、波力
エネルギーの
利用の原理といいますのは、三枚目の図がございますけれども、それの図1あるいは図2にございますように、波によりまして海面が上下に運動いたします。それをパイプの中に取り込みますとそのパイプの中でやはり海面が外の海面に従って上下運動をするわけでございます。それがちょうどピストンのような形になって海面が上がるときにはそのパイプの中の空気を外へ吐き出す、それから逆に海面が下がりますと外から空気を取り入れることになるわけです。そのときに一種の空気の流れができますので、それを弁でうまく整流いたしまして一応交流に直しまして、その直した上で
タービンを回転させる、それが波力
発電の、特に空気
タービン式波力
発電の原理でございます。
これは
日本では非常に進んでおりまして、もう二十年ぐらい前から数十ワットぐらいの小型のものはすでに
実用化されておりまして、大体千五百個ぐらいはもうすでに売れているのじゃないかと思いますけれども、ただ問題は、これを大型化することができるかどうかということが
技術的な問題でございまして、最近、海洋科学
技術センターにおきまして「海明」という波力
発電ブイを試作いたしまして、これを
実験しておるわけでございます。これはたしか昭和五十三年八月から五十四年の四月まで、それから五十四年のやはり八月から五十五年の五月末まで二回
実験をいたしました。初年度は
日本だけで
実験をやりましたけれども、二年度につきましては
IEAの
協力テーマになっておりまして、
アメリカ、イギリス、カナダ、それからアイルランド、そういう国が参加いたしまして、
国際協力で実際の
実験つまり実海域での
実験をやったわけでございます。
それで、まず波力につきまして、一体どういう問題が生じたかと申しますと、これは実際
実験いたしますと、
実験データで最大が、大体七つの
発電機を積んでやった場合でございますけれども、七つの
発電機で、これは
一つの
発電機の定格が百二十五キロワットです。それで最大で七百キロワットが出ております。しかしこれを平均いたしますと、大体六分の一ぐらい、これは平均の時間のとり方によりまして非常に変わってまいりますけれども、数百秒ぐらいの間隔で平均いたしましても非常に変動が大きくて、ピークと平均をとりますと大体六分の一ぐらい、つまり平均値が
最大値の六分の一ぐらいになっている。そういうことで出力の変動が非常に大きいということ、これが
一つの問題かと思います。ですから、今後これを
エネルギーの資源として定常的に
利用しようといたしますと、この変動の問題を何とか平滑化するような工夫が必要であろう。もちろん
電力系統に入れますと、若干の変動は許されるわけでございますけれども、余り激しい変動をいたしますような
電力を送電網に入れますと、やはり
電力会社さんの方でもお困りになる、そういうことがあるかと思いますので、波力
発電の範囲内でなるべく変動を小さくするような工夫が必要かと思います。
それから、あと大
規模化の問題につきましては、これは実際に波力
発電機を船なんかに積んでやった場合に、今度は船の運動が入ってまいりまして、船の運動と波力
発電の特性が相関
関係を持ちますので、この運動が非常に複雑になる。そういうことで、たとえば一基のユニットを十基積んだからといってこれがちょうど十倍になるというふうなことはございませんで、十倍以下にしかならないわけです。そういうことからいきまして、今後大
規模に
発電しようとする場合にどういう問題があるかというようなことが
一つの
技術的な問題点かと思います。
それで、
先ほど資源量につきまして世界の資源量を申し上げましたけれども、わが国の資源量についてちょっと触れさしていただきますと、最近科学
技術庁で詳細な計算をされまして、あと運輸省の港湾
技術研究所とか、あるいは
東京大学の前田先生かんかが計算されまして、最近、多分これが正しいと思われておりますのが、大体一メーター当たり十キロワットでございます。
日本の海岸線の長きが約三万キロメーターございますので、もし一メーター十キロワットで計算いたしますと約三億キロワットの
発電量があるということになるわけでございますけれども、その海岸線をまさか全部波力
発電で埋めるというわけにいきませんので、仮にこの一%が
利用できるとすれば三百万キロワットになりますし、一〇%であれば三千万キロワット、そういうふうな数字になって、今後海岸線がどれぐらい
利用できるかということが
一つの問題点になろうかと思います。
それからその次に、海洋温度差
発電でございますけれども、海洋温度差
発電は、これは二枚目の四ページの図にございますように、この図6に深度に対する水温の分布がございますけれども、これは
海水が
太陽光を受けまして、その
太陽光によって表層の
海水が温められるわけでございます。それで、ちょうど深度百メーターぐらいまでがほぼ一定の非常に高い温度を示す。たとえばこれは熱帯地方でありますと三十度近いような
海水温を示します。しかし、
海水は熱伝達性能が非常に悪いものですから、なかなか熱が伝わりませんで、深度四百メーターぐらいになってまいりますと、非常に温度が下がって、大体六百メーターから千メーターぐらいのところで六度ないし七度ぐらいの温度で非常に安定いたします。ですから、その間に高いところで二十五度の温度差を持つわけです。
その図7の上の方にフラスコの図が書いてございますけれども、右の方のフラスコに温水を入れまして、それから左のフラスコに氷を入れまして、それをつないで真空にいたしますと、その温水からどんどん蒸気が発生いたしまして、それがフラスコ1の方、つまり氷片を入れたフラスコの方に流れてきて凝縮して水になる。そういうことで絶えず左のフラスコから右のフラスコに一種の空気の流れができます。ですから、そこに
タービンを置いておきますと、
タービンは常に回転する、そういうことで
発電できるわけでございますけれども、ちょうどこのフラスコ2の方、つまり温水に海洋の表層水を入れまして、それからフラスコ1の方に、これは氷じゃございませんけれども、大体深度五、六百メーターのところから非常に冷たい水を入れまして、片方蒸発させて、片方凝縮させる、そういう形で
発電するのが海洋温度差
発電の原理でございます。
それで、この図7の下の方にございますのが、これがいまのちょうどフラスコの原理をそのまま陸上に持ってきたタイプでございまして、これはオープンサイクルの海洋温度差
発電というふうに言っておるわけです。つまり、オープンサイクルといいますのは、
海水を入れてそれを直接蒸発さしてその水蒸気で
タービンを回転させる、そういう意味でオープンサイクルになっておるわけです。ところが、実際に海洋温度差
発電をもっと効率のよいものにするためには、どうもクローズサイクルの方がいいらしい。クローズサイクルといいますのは、いまのは水蒸気を直接使ったものでございますけれども、水蒸気じゃなくて、たとえばアンモニアですとかあるいはフロンですとかといったような沸点の非常に小さくて密度の非常に大きい、つまり単位体積当たりの質量の非常に大きい作業流体を使った方がずっと装置が小型化される、したがって非常に
コストも安くなるわけでございます。そういうことでクローズサイクルというものが出てきたわけでございますが、それの原理を図8に示しております。
一番左の方に表層温水というのがございますけれども、これを温水ポンプで引き揚げまして蒸発器というところに入れます。蒸発器の中にはアンモニアが入ってきておりまして、そのアンモニアが蒸発するわけです。それから片方、右の方に凝縮器というのがございますけれども、この凝縮器には深度五、六百メートルの深層の冷たい水を取り入れまして、そこでアンモニアを冷やして、蒸気になったアンモニアを
液化する、そういうことで蒸発器から凝縮器の方にアンモニアの流れができます。その流れを
利用いたしまして
タービンを回転させる、これがクローズサイクル、つまりアンモニアのルーフが
一つ閉じておる、そういう意味でクローズサイクルと呼ばれておるものでございます。それが海洋温度差
発電の原理でございます。
それで海洋温度差
発電の問題点といいますのは、これは温度差が非常に小さいために効率が非常に小さいわけでございます。大体四%以上の効率というのは不可能なわけです。もちろんこれは普通の燃料を使います場合にはそんな小さい効率ではとても
実用化いたしませんけれども、たまたま自然の
エネルギーでございますので、効率が低いということは余り問題じゃございませんで、むしろ
コスト的に合えばよろしいわけです。そういう意味で効率が低いということから必然的に
海水の処理量が非常に多くなってまいります。ですから
海水の処理をする量をなるべく小さくしたい、
海水の処理が多いということは大体機器が非常に大きくなりますし、まずポンプ動力が特に深度五百メーターぐらいのところから
海水を引き揚げますと、大体一万キロワットぐらいのポンプ動力が要るわけです、これは出力十万キロワットのブラントを想定いたしました場合でございますけれども、そのときに一万キロワットぐらい要るわけです。ですからいわゆる普通の火力
発電なんかと違いまして所内動力が非常にたくさんかかる。所内動力がかかりますと、その分だけネットの出力は減少いたしますので、それをなるべく小さくと。そういうことで熱交換器を非常に高性能化しまして、なるべく
海水の処理量を減らすということと同時に、熱交換器自身を非常に小さくしたい、そういうことが
一つの大きな問題でございまして、そういうことで熱交換器の
開発ということが
一つのポイントになっております。
それからもう
一つは、海洋温度差の場合は深度が千メーターぐらいの海に浮かべるわけでございます。これはできれば陸地からなるべく近い方がよろしいわけで、たとえば百キロメーター以内というふうな海域を想定いたしまして、一体
日本でどういうところにその海洋温度差
発電の立地があるかということを図に示したのが図の9でございます。これはもともとの図はカラーが入っておりまして非常にわかりやすいのですけれども、これはコピーの
関係で全部黒くなっておりますので陸と設置場所の区別がつきかねますけれども、陸を除きまして、海の中にあります黒く塗った場所がこれが大体海洋温度差
発電の設置可能な場所というふうに考えております。
そういう海域でございますけれども、大体深度千メーターぐらいの海域に五百メーターぐらいの冷水管をぶら下げたものを設置いたしますと、特に
日本の近海におきましては必ず台風が参りますので、その海洋構造物の受ける力というのは非常に大きくなってしまう。大体出力十万キロワットの
プラントを設置いたしますと、最大で千トンぐらいの力が働くわけです。これは波とか海流あるいは風と、そういうふうな力が働くわけでございます。そこでこういうしかも十万キロワットの出力ですと、大体二十万トンぐらいの海洋構造物になりますから、そういう二十万トンぐらいの海洋構造物を深度千メーターの海域に設置するということがまた非常に大きな問題でございます。これが二番目の問題かと存じます。
そういう問題が解決いたしますと、海洋温度差
発電といいますのは、前に申し上げました波力などと違いまして、かなり
スケールメリットがございますので、ユニット当たりの出力が十万とか五十万とか、そういう大きな単位のユニットになりますから、かなりベースロード用の
電力を安定して供給するのには向いているということになるわけです。そういう点が
一つの大きなメリットでございます。波力と違いまして余り変動がございませんので、そういう点では海洋温度差
発電というのはもし
実用化いたしますと、ベース用の
電力供給の機器としては非常に有望なものである、そういうふうに考えられております。
この資源量でございますけれども、この資源量につきましては計算の
方法は省略させていただきますが、前の一ページ目の資料にございますように大体二十億キロワットというふうに、これは比較的少な目な数字でございまして、非常に多い人は六百億キロワットぐらいの量を言っておる人もございますけれども、大体二十億キロワット、これは
電力に換算した場合の二十億キロワットでございますから、これは効率も入った値でございます。これは世界でございますが、
日本の中だけで見ますと、多分三千万キロワットぐらいはそう無理なく可能であろうかと、そういうふうに考えております。
以上が海洋温度差
発電でございます。
それからもう
一つ海洋温度差
発電につきましては、昨年の八月に、
アメリカのミニオテックという小さな
実験装置がございますけれども、これがハワイ沖で
実験をいたしました結果五十・二キロワットの出力を出しました。もちろん所内動力、つまり冷水をくみ上げたりあるいは温水をくみ上げたりあるいはサイクルに必要な
電力が約四十キロワットですので、正味は十キロワットないし十五キロワットという小さいものでございますけれども、こういう小さい五十キロワットぐらいの
スケールですと、どうしてもそういうポンプ動力は相対的に大きくならざるを得ない、そういうことで一応
実験といたしましては成功であろうというふうに考えております。ですから、将来いま申し上げました海洋構造物の設置の問題等が片づきましたら、たぶんその海洋温度差
発電は
実用化するという見込みは非常に高いというふうに一般には
評価しております。
あとは海流、潮汐でございますけれども、海流の場合は、
日本の場合は黒潮という非常に大きな海流の
エネルギーがございます。大体海流の定義といいますのは、ある
程度の幅と長さ、厚みを持って、ある
程度以上の速さでほぼ同じ方向に動いている
海水の流れというのを海流と定義いたしますけれども、ほぼ安定して同じ方向に流れておる、そういうことでよく海洋中の河川にたとえられます。海流の中でも黒潮というのは
アメリカの東海岸のガルフストリームと並んで非常に
規模が大きいものでございまして、世界最大の河川はアマゾン川ですけれども、そのアマゾン川の三百倍ないし五百倍ぐらいの流量を持っておる、つまり一秒間に三千万ないし五千万トンぐらいの
海水が流れておるわけでございます。それの平均流速をとりまして
エネルギーを計算いたしますと、約千五百万キロワットという数字が出てまいります。もちろん千五百万キロワット全部を
利用するというのは不可能でございますけれども、それぐらいの資源の潜在量がある、そういうふうに考えられまして、現在科学
技術庁を
中心といたしまして海流の
利用技術について
調査が始まっておりますけれども、まだ具体的な
プロジェクトを設定するというところまではまいっておりません。
それからその次に、潮汐
エネルギーでございますが、この潮汐
エネルギーの場合は、実はフランスのランスの潮汐
発電所がすでに
実用化されておりまして、これが二十四万キロワットというふうになっておりますけれども、
日本は潮の干満差が非常に少なくて、九州の西海岸で非常に高いところがございますけれども、これも最大が五・五メーターという小さいものでございます。ランスの場合は十メーターを超しますけれども、そういう小さいものでございますのでちょっと経済的にペイするような条件にはならない。
それから、
海水の濃度差
発電でございますが、これは図の13あるいは図の14に示しておりますように、これは浸透圧、浸透圧といいますのは、図の13で申し上げますと、淡水の中に
海水を入れた容器を入れまして、その容器の底に半透膜をつけておきます。この半透膜というのは
海水の淡水化に使われるような半透膜でして、水の分子だけは通すけれども塩の分子は通さない、そういう半透膜をつけておきますと淡水がだんだん中に入ってまいりまして、Hというふうに示してございますけれども、これが約二百五十メーターぐらいまで上がってそこでとまるわけです。ですから、それだけの水筒ができますので、途中に穴をあけて水を噴出させて水車を回転させればそこで回転力が得られる、そういう原理が使われます。
あるいはその図の14にありますように、これは濃淡電池と言っておりますけれども、
海水と淡水とを別々な
試験管に入れまして、その間をイオン交換膜で隔てる。そうしますと、その間に起
電力が発生いたしまして電流が流れる、そういう形で図15のような形で電池が働くわけでございます。これの問題点はこの膜が非常にいま高いものですから、膜の
面積を大きくしませんとなかなかその出力が得られないということがございまして、その膜が非常に高いということでちょっとそう簡単には
実用化できるというふうには考えられておりません。ですけれども、勉強はあちこちでされております。
以上が生物を除きました海洋
エネルギーの全般でございますが、もう時間が参りましたので、また後ほど御質問があればお話ししたいかと存じますけれども、一応私のお話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。