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1981-03-03 第94回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月三日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主査 海部 俊樹君       唐沢俊二郎君    関谷 勝嗣君       原田  憲君    細田 吉蔵君       阿部喜男君    小川 国彦君       岡田 利春君    清水  勇君       城地 豊司君    森井 忠良君       山口 鶴男君    北側 義一君       草川 昭三君    鳥居 一雄君       浦井  洋君    小林 政子君       寺前  巖君    兼務 関  晴正君 兼務 林  保夫君    兼務 横手 文雄君 兼務 米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 小島 弘仲君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁長官官房         会計課長    大森 敬介君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  分科員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   仁平 圀雄君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         法務省民事局第         一課長     清水  湛君         大蔵省主計局主         計官      千野 忠男君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         大蔵省主税局税         制第一課長   内海  孚君         国税庁直税部所         得税課長    冨尾 一郎君         農林水産省経済         局保険管理課長 海野 研一君         林野庁指導部研         究普及課長   今村 清光君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      岩城  彬君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港計画室長  上村 正明君         気象庁観測部測         候課長     山崎 道夫君         労働省労働基準         局賃金福祉部福         祉課長     石岡愼太郎君         建設省都市局公         園緑地課長   田辺 昇学君         建設省河川局河         川計画課長   渡辺 重幸君         建設省河川局開         発課長     広瀬 利雄君         自治省財政局財         務調査官    吉田 弘正君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         消防庁震災対策         指導室長    鹿子木 貢君     ————————————— 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   中村 重光君     小川 国彦君   草川 昭三君     鳥居 一雄君   寺前  巖君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     阿部喜男君   鳥居 一雄君     北側 義一君   浦井  洋君     村上  弘君 同日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     森井 忠良君   北側 義一君     薮仲 義彦君   村上  弘君     小林 政子君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     清水  勇君   薮中 義彦君     草川 昭三君   小林 政子君     榊  利夫君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     山口 鶴男君   榊  利夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     城地 豊司君 同日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     中村 重光君 同日  第三分科員林保夫君、第四分科員関晴正君、横  手文雄君及び米沢隆君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計予算  昭和五十六年度特別会計予算  昭和五十六年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 海部俊樹

    海部主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算建設省所管について、前日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  3. 小川国彦

    小川(国)分科員 二月二十日の予算委員会で私は千葉県の浦安町に建設されておりますレジャー施設オリエンタルランド埋め立ての問題、その後の都市計画の問題について建設大臣に質問をいたしました。その際大臣からは、調査をいたします、こういう御回答を得ているわけでございますが、調査の結果を、大臣はどのような報告を受けておられるか、その点をまずお伺いいたします。
  4. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 調査結果を報告するというお約束をいたしましたので調査させましたが、具体的なことは担当局長から報告させていただきます。
  5. 小坂忠

    小坂政府委員 浦安沖C地区埋め立てにつきまして、千葉県から昭和三十八年五月三十日付で免許申請があり、千葉県知事から建設大臣に対し、同年十一月二十日付で認可申請が行われ、さらに昭和四十二年九月十八日付で変更の免許申請、同年十二月二十七日付でその認可申請があり、これらに対して昭和四十二年五月十三日付で認可をいたしております。条件といたしまして、当該地の一部、七十七ヘクタールでございますが、これを公共的住宅用地として確保することを付しまして認可しまして、同日付で免許が行われた。右の免許を得る以前に、申請中の一部の水面約二十二ヘクタールにおいて千葉県企業庁埋め立て工事に着手していることが判明しましたので、建設省千葉県から事情聴取の上、工事の中止を指示千葉県知事建設大臣に対して陳謝と今後このようなことがないように十分留意する旨の文書昭和四十二年十二月二十六日付で提出いたしております。  またそのほかに、千葉県からの報告によりますと、昭和五十五年四月、オリエンタルランド遠山偕成株式会社三井不動産株式会社京成電鉄株式会社の三社と合計二十四・八ヘクタールの土地売買契約昭和四十五年及び昭和四十八年に締結している事実が判明いたしました。昭和五十五年四月二十八日、県企業庁長株式会社オリエンタルランドに対して、三社への土地売買契約は、浦安地区土地造成事業及び分譲に関する協定書並び東京ディズニーランド事業推進に関する覚書に反するので、同土地売買契約解除するよう通知いたしました。昭和五十五年五月七日、オリエンタルランドは三社に対して土地売買契約解除の申し入れをいたしました。株式会社オリエンタルランドは、五十五年五月十九日付で遠山偕成株式会社と、五十五年六月二十七日付で三井不動産株式会社及び京成電鉄株式会社土地売買契約解除契約書を締結いたしました。昭和五十五年七月一日、株式会社オリエンタルランド県企業庁長に対して、三社と土地売買契約解除契約書の締結をした旨の報告をいたしました。前述の四社の行為は遺憾でありましたが、右に述べましたように、千葉県企業庁長指示を受けて売買契約解除がなされております。  さらに先生指摘事前着工の問題でございますが、開発許可権限を有しております千葉県の方から聞きましたところ、本件開発行為許可前に試験盛り土等を行っておるということであったが、工事に行き過ぎが認められる面があり、昭和五十五年十月には工事を中止させ、同年十一月二十八日に本件開発行為認可を行った後も同年十二月には文書をもって都市計画法その他の法令等を遵守するよう指示しておりまして、今後とも開発者株式会社オリエンタルランドを十分指導監督することとしているというふうに報告が来ております。以上でございます。
  6. 小川国彦

    小川(国)分科員 去る二月二十三日、川上千葉県知事が退職に当たって沼田知事千葉県の知事公舎で会談をし、その中では、友納知事時代オリエンタルランド社が県の承認のないまま三井不動産京成電鉄遠山偕成株式会社の三社に土地を売った事件を指摘して、友納氏と沼田知事関係から沼田氏が県政責任者になることは好ましいことではない、こういうことで沼田氏の知事選立候補を抑えた、こういう報道に接しておるわけでありますが、いま報告のありましたオリエンタルランド問題というのは、このように一県の知事と副知事の間で問題があるので、副知事立候補を抑えなければならないというような重大な問題点を含んでいる問題だというふうに理解をされるわけですが、こうした川上知事の発言について、建設大臣としては、この問題はそうした重大な問題であるという理解をされているかどうか、その点……。
  7. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 県政内部の、知事、副知事といえば公人でございますが、そのやりとりについては新聞報道で知る限りの情報しか知っておらないわけで、それについての意見につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
  8. 小川国彦

    小川(国)分科員 いままでの局長からの報告を聞かれて、いわゆる千葉県の埋め立てというもの、そしてその一つの象徴と見られるオリエンタルランド埋め立て土地転がしとも言える土地処分状況、こういう問題を報告を受けられて、大臣としてはどういう感想をお持ちになりましょうか。
  9. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 調査結果はいま局長から御報告いたしたとおりであります。埋め立て都市計画法に基づいての権限、またそれに基づいてのその後の措置についての調査結果については、はなはだ遺憾なことであるというように私は考えて受け取ったわけであります。したがって、県政における地方自治権の問題もございますが、良識ある知事配慮で、せっかくこれだけの、地域住民も渇望しておるであろう事業をりっぱに推進していただくような気持ちを持ったわけであります。具体的には、いま新聞報道のみのような状況でございますので、権限の及ばないことについてまで指導するということはいかがなものであろうかというふうに考えておりますので、具体的なことについて行動を起こしてはおりませんけれども、何とか早い機会にこうした疑惑を晴らして、せっかく計画をされた大きな事業千葉県民地元方々のために何とかいい方向に転換できないものか、このように考えておる次第でございます。
  10. 小川国彦

    小川(国)分科員 遺憾であって、何とかいい方向に、こういうお話なんですが、公有水面埋立法に基づく建設大臣監督責任というものがきわめて不十分ではなかったのか。ということは、このオリエンタルランドC地区の中で、千葉県に無断でオリエンタルランド三井不動産京成電鉄遠山偕成株式会社、この三社に、竣功認可を得ないうちにこの土地売買してしまった。こういう事実を千葉県当局も大変遅まきながら昨年になって発見して、これを解除させる、こういう措置をとったわけでありますが、これは建設省としても、少なくとも竣功認可前のことでございますから、竣功認可前にその土地が海の状態土地登記もされていない、そういう青い海を売ってしまっている、こういう埋め立て竣功認可を預かる建設大臣権限を明らかに無視した形でこういう売買行為が行われてきておる。これは建設省としても重大な責任があるはずですが、この点はいかがお考えですか。
  11. 小坂忠

    小坂政府委員 公有水面埋立法に基づきまして、建設省が県の企業庁が行っております事業認可を与える、そしてその事業に関心を持つというのは当然でございます。ただし、ただいま先生が御指摘違法行為、これを建設省が直接監視し、あるいは取り締まるといったてまえにはなっておりませんで、免許権者である千葉県知事免許状況に従いましてこれを監督するというのがたてまえになっておりますので、一義的には千葉県知事責任において行われるべきもりと思っております。ただし、埋立法精神からいって建設省も全然かかわりなしとするのではございませんので、その法のたてまえ上その精神がうまく生かされるように、私どもとしては行政指導する立場にはあろうかと思っております。     〔主査退席唐沢主査代理着席
  12. 小川国彦

    小川(国)分科員 建設省は非常に責任逃れが続いておるわけですよ。この埋立地土地処分の問題をめぐって私が問題を追及したときに、埋め立て竣功できるまでは建設省責任がある、大臣認可を与えた責任はある。しかし、今度は、埋め立て竣功した後、その以後の土地をどう利用するかはこれは都市計画法の問題で、埋め立て権者大臣権限の及ぶところではない、この間はこう言ってきているのですよ。今度は竣功前にあったこういう違法な事実というものに対して国は直接の責任がない、こういう言い方はまさに責任逃れとしか言いようがないですよ、大臣。この事実について厳粛に反省して監督責任を貫く、こういう姿勢がなければならないと思うのですが、いかがですか。
  13. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 建設省としても、埋立法に基づく権限についての責任はあるということは明確であります。ただ地方自治体知事あるいは県の企業庁というものの存在というものは、一つの法律的というよりも社会通念からいっても、これは正当といいますか、やる事業について疑惑とかいろんなトラブルというようなことはちょっと推測の域以前の問題でございまして、その事業については私たちは信用して認めざるを得ないわけであります。その過程においてのトラブルについての権限の問題になってきますると、一応認可して、それだけの自治体の権限でやっておる問題についての権限の問題になってきますので、結果についての責任云々と言われますと、はなはだその点は明確な問題になっていかないかとも思いますが、やはり地方自治権の問題あるいは県企業庁という公的立場の者の認可の問題を建設省としては当然信用して認可し、その事業の推移についてまで——認可した後、指導的な面についての継続的な責任はあろうかと思いますが、その点なかなかどこからどこまでというとむずかしい問題であろうかと思います。  とにもかくにも起きた事態については一応認可責任はあるわけでございますので、いろいろな面で、法的根拠に基づかないまでも、恐らく先生はそこまでいろいろと指導する権限があるのではなかろうかという意味合いで言っておられると思いますので、この点につきましても、いま局長から報告がありました経過を踏まえて、今後の課題として取り組んでまいりたいと思います。ただ、私といたしましては、あくまで知事権限に任された問題については知事権限、良識に基づいて、こうした疑惑を起こさないためにも、また、そうしたことを起こすような環境にしないためにも、ひとつせっかく努力をしていただきたい、このように考えているものでございます。
  14. 小川国彦

    小川(国)分科員 建設省建設大臣も、公有水面埋立法に基づく主務大臣認可権限というものをお忘れになっていらっしゃるのじゃないですか。これは重大な問題だと思うのですね。公有水面埋立法については第四十七条に「主務大臣認可」ということがあって、竣功については当然主務大臣認可を経なければならないわけです。したがって、その経過の問題については、これは地方自治体の問題ではなくて、明らかに建設省責任を有する問題だと思うのです。  さらに具体的な事実を申し上げますと、いわゆる竣功認可の前に三井京成遠山偕成三社に売ったこの土地の処理は現在まだついてないわけです。特に三井京成については契約解除をして、元金に利息をつけて返還させて問題の解決を見ておりますけれども遠山偕成株式会社に関する一万五千坪の土地譲渡に関する問題については、五十六年三月末までに五億六千二百五十万円を返還しなければならないし、利息もつけなければならないし、場合によっては違約金もつくかもしれないという可能性を持っているわけです。ですから、違法状態は現に続いているという状態にあるわけです。いわゆる公有水面埋立認可を受けない以前に売ってしまった土地契約解除せよと言っているのですが、契約解除するに当たっての金の支払いが済んでない状況ですから、違法行為が現在もある。この事実は認識されますか。
  15. 小坂忠

    小坂政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、三社のうち一社につきましては、いまだそのお金返還されてないという事実は承知いたしておりますが、ただいまお話しのように、三月中にそれが解決されるものというふうに県から報告を受けておりますので、それによりまして解決されることを期待しております。
  16. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣はこれに対して竣功認可を与えているわけでしょう。
  17. 小坂忠

    小坂政府委員 与えております。
  18. 小川国彦

    小川(国)分科員 与えていることの中に違法行為が現存している。しかもまだ三月中に支払われるということを聞いているということで、金の返済が終わっていないということは、依然としてその土地が売られたままになっているということですよ。契約解除と言うのには、お金を返して初めて契約解除になるわけですね。この違法行為が継続している。しかも大臣認可を与えてしまった。これは明らかに建設省の重大な責任ではないですか。
  19. 小坂忠

    小坂政府委員 譲渡契約がなされ、それが不法であったということで、それの返還を命じる措置がなされまして、それのまた返還契約もなされております。また、土地所有権の移転はいまだされておりませんので、違法とは考えられないというふうに考えます。
  20. 小川国彦

    小川(国)分科員 公有水面埋立法というのは、海を埋め立てて、区画整理を終わって、登記を終わるまでは所有権が移らないということは、埋立法の流れを知っている方なら当然わかっていいはずだと思うのです。ですから、登記が行われてないことだから違法ではないという言い方は通らないのですよ。全国の埋め立て千葉県の埋め立て、みんな青い海の切り売りから始まっているわけですから、そこから金を受け取り始めているのですから、そこから契約はもう始まっているわけですから、これは何としてもこの三月末までに金を払うということが履行されるかどうか、その違法行為が解消されるかどうか、これは建設省責任においてなされなければならない問題だと思いますし、そういう違法行為が起こされたまま大臣認可を与えてしまったという、大臣、これは重大な責任があるんですよ。どう処理されますか。
  21. 小坂忠

    小坂政府委員 ただいま申し上げましたように、実質的な売買の事実行為はまだ成立いたしておりませんので、ただいまお話し申し上げました三月時点でそのものが正常に返るように私ども指導し、またそれを期待する次第でございます。
  22. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣においてもその指導監督責任を果たされますか。
  23. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま局長から答弁したとおりの形で指導いたします。
  24. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、埋立地土地利用の中で、さらに最近において行われた大変な土地転がしとも思える売買がございます。これはオリエンタルランド株式会社長谷工を媒介として、長谷工不動産ほか十社に昭和五十五年九月三十日、浦安埋め立てA地区土地四万二千坪を坪単価七十九万円、総額三百三十八億円で売却したという事実がございます。この土地は、千葉県からオリエンタルランドに売られ、オリエンタルランドから長谷工を通じて、スーパーダイエーほか十社に売られております。その会社の名前を見ますと、スーパーダイエーを除きましては、交通公社総合開発株式会社大和土地建物株式会社東新地所株式会社株式会社デベロッパー二億、岩谷産業株式会社川商不動産株式会社伊藤萬株式会社日商岩井株式会社野村不動産株式会社。ほとんどこれは不動産会社がこの土地を買い受けた形になっております。千葉県が坪一万七千円で埋め立て土地が、オリエンタルランド、そしてオリエンタルランドから長谷工長谷工からこの不動産会社に渡っていく。そして国土庁による評価は坪単価七十九万円ということですが、以後の実際の売買は百万になるだろう、あるいはまたそれを大きく上回っていくであろうというふうに言われているわけです。こういうふうに公有水面埋立地が次々と不動産会社に転売されていく、そして坪一万七千円で出発した県有地であり、国有地とも言うべきものが幾つもの不動産会社を経て百万にも及んでいく、こういう実態。しかも土地転がしの過程にいろいろな利権絡みの問題が起こって、中には松葉会という暴力団が介入して、この問題の土地をだれが取り仕切るかということでの争いがあるということも言われておるわけです。こうした問題について、公有水面埋立法によって埋立地監督指導を行うべき建設省としてどういうふうにこの監督指導をなさるお考えがあるか、こういう実態大臣はどういうふうに理解されるか。青い海、これは皆、国民の海であります。それが埋め立てられて土地に変えられた途端に、国民の財産ではなく、いわゆるこれは国有地と同じようなものでありますけれども、それが次々と利権の対象になって不動産業者によって転がされていく、そして百万円にも達する価格になっているという実態、こういうものをもっと是正していかなければならない、どういうお考えはお持ちになりませんでしょうか。
  25. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 善意に基づく特に公有面積、海岸は国民のものでございます。しかもそこにかかわる地元方々のためにということでもちろん埋立法があるわけで、それに基づいて善意埋め立てられたその土地が、いまもし先生の言うような形で推移しているとするならば、私といたしましてははなはだ遺憾なことでございます。何とか地元方々のためにせっかく公有面積を、法律に基づいて埋め立てた地が、正しい行政指導のもとに、正しく地域に還元されて、地元方々がそのことによって社会環境にも、生活にも、人生にも、いろいろな面で潤っていくことを私は期待するものでございます。したがいまして、この事例につきまして、いま起こりつつある問題の問題点につきましてはなお懸念をいたしまして、他に及ぼさないような形で、これからもやはりこうした問題については今後とも十分配慮の上指導しなければならないなというようなことを考えながらいまの心境を申し上げたわけであります。
  26. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣の他に及ぼしたくないというお考え、それから埋め立てのあり方に通ずるお考えは、私も理解できます。ただ、この問題については、一応国土利用計画法によって七十九万円という価格で売られた。しかし、買われた方々がすべて不動産業者でございますから、これがまたさらに百万から百二十万、百五十万と上乗せをしていく。しかも四万二千坪というこれは全部商業用地でございますから、とめどもなく転がっていくおそれもあるわけです。ですから、他に累を及ぼすということを懸念されるだけではなくて、この問題そのものもまだ三分の一の代金が払われただけで、先ほど河川局長の言葉をかりれば、まだ問題は推移の中にあるわけでありますから、この問題についても建設省として当然監督を及ぼし、この土地が不当な土地転がしとしてさらに継続するという事態を食いとめる、こういうお考えを持っていただきたいと思いますが、いかがでございます。
  27. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 なお今後とも推移を見きわめながら、権限のあるなしにかかわらず、こうしたことのないように指導してまいりたいと思います。
  28. 小川国彦

    小川(国)分科員 この問題について先ほども触れましたように、埋立地土地売買というものは、利権絡みの大変な問題となってきております。したがって、この利権のあるところにいろいろな暴力団がそこに吸いついてくる。そういう中で、この利権のやりとりをめぐって暴力団がこの問題に介在している、こういうことを伺っているわけでありますが、警察庁としてこうした問題について、そういう情報をキャッチされているような状況はあるかどうか、またそうした問題があった場合の対処をどういうふうになさるお考えか、この点を伺いたいと思います。
  29. 仁平圀雄

    ○仁平説明員 現在までのところ、千葉県警察本部からは御指摘のような事実、つまり土地転売に絡んで暴力団松葉会が絡んでおるという事実については、報告が入っておりません。後刻そのような事実の有無も確認し、犯罪ありと思量するならば、相手が暴力団でもございますので、強力に捜査を推進する所存でございます。
  30. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、建設省埋め立て行政に対する根本的な姿勢というものを私はこの際ただしておく必要がある、こういうふうに思うわけです。これは前回の予算委員会における一般質問の中でもお尋ねをしたわけでありますが、最初百万坪と言われた遊園地施設オリエンタルランドが、そのうち四十万坪が宅地、六十一万坪が遊園地、その後さらに昨年の一月に千葉県が東京ディズニーランド推進に関する覚書を、オリエンタルランドあるいは三井不動産京成電鉄契約を結んで、土地の担保価値を高めるために遊園地用地と指定されている三十一万四千坪についてこれを宅地化を前提として用途指定の変更をする、こういうような覚書を結んでおるわけであります。この土地については、昭和四十九年五月二十八日付の大臣の変更認可の中では地盤が軟弱で住宅地としては不適当であるということで、C地区に予定されていた公共的住宅用地は他の地区に移転せしめたわけであります。ところが今度の千葉県のオリエンタルランドと結んだ覚書を見ると、このうちの三十一万四千坪を再びまた宅地化しようとしている、こういうことがうかがえるわけでありますが、これに対して建設省としてはどういう指導をされるお考えでいるか、その点を伺いたい。
  31. 升本達夫

    升本政府委員 御質問のC地区にかかる用途地域の変更につきましては、現在までのところ、都市計画決定権者でございます千葉県知事から具体的な相談は何も受けておりません。仮にただいま御指摘がございましたように、土地の担保価値を高めるという理由だけでこの地区にかかる用途地域の変更認可申請が持ってこられるとするならば、将来の問題といたしまして、建設省といたしましてはそのような理由に基づく用途地域の変更を認可することはできないというふうに考えております。また、都市計画上の観点から用途地域の変更認可申請が一般的なお話として千葉県知事から出てまいりますとすれば、建設省といたしましては通常の用途地域の変更にかかる認可と同様に、一般的な都市計画のルールに従って適正な変更であるかどうかを判断いたす所存でございます。
  32. 小川国彦

    小川(国)分科員 これも大変な手おくれになるおそれを持っているわけです。先ほども大臣認可を与えた、ところがそれ以前に行われた違法行為が今日まで継続している、この手おくれが一つある。  ところが、いままたこのC地区において、建設省指導方針も実は一貫していないのです。公有水面埋立地に対する指導が、建設省昭和四十二年五月十三日、当時建設大臣の名前で浦安地区のC地区埋め立て認可したときに、皆さん方の方では七十七万平方メートル、二十三万坪を公共的な住宅用地で利用せよ、こういう条件つきで埋め立て認可を与えたはずなんです。それを与えておきながら、その後においてこの二十三万坪の公共的住宅用地の案はどこへ行ってしまったのか。これはどこへ行ってしまったのですか、なくなってしまっているわけです。こんな膨大な遊園地はできっこない。だからそれは国民の低廉な住宅用地を提供することにすべきだ、この段階で建設省はそう考えたと思うのですね、それで二十三万坪を国が公共的住宅用地と指定しておいた。指定しておきながらそれを実現さ世なかった。そして、その変更理由として「C地区の住宅予定地は、地盤が軟弱であり、不適当であるので、同用地は、II期D地区とし、七十七万平方メートルを総合運動場用地、娯楽施設用地等に変更したい。」こういう変更申請がなされたし、その後千葉県においても、「当該公共的住宅用地の予定区域の地盤調査を実施したところ、当初予想していた以上に地盤が軟弱であり、またC地区内の他の地区についての調査結果も同様に軟弱な地盤であることが判明したので、公共的住宅用地としての利用が著しく難しい状況である。」これが千葉県企業庁から建設大臣に出された埋め立ての利用目的変更の申請書です。国も県も浦安のこのC地区内については公共的住宅用地、いわゆる住宅用地をつくるのには適さない、全体が適さない、こういう判断を示したところです。そこへまた今度は住宅用地に三十一万坪変更したいということを千葉県が去年の一月に態度、方針を決定して、法的手続はこれからと言いながら、実はその担保価値を高めるということで、それを担保に入れて金を借りて、昨年の十二月から事業が今度もう新たに起工して出発しているわけですよ。担保価値を高める行為は有効に成立して事業を開始しているわけです。  そういう状況の中で、建設省は今日においてなおかつ都市計画法に基づく申請がないからということで、そういう事実行為がどんどん進行していくのを黙認しているのですか。建設省埋め立て行政の一貫性というのはどこにあるのかと問いたいわけです。いかがでしょう、大臣
  33. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画の用途地域の変更に関します手続につきまして若干御説明を申し上げますと、ただいまおただしのC地区につきましては、四十五年七月三十一日に住居地域の決定をいたしております。この場合に予定をいたしましたのは中高層の住宅用地ということを予定いたしておったわけでございます。その後、五十四年七月六日付をもちまして用途地域の変更を行っております。この変更は、C地区のうちの住居地域といたしておりましたものを準工業地域に変更をいたしたわけでございますが、そのときの変更理由は、ただいま先生がおっしゃったように、地盤調査、地盤の精査の結果、中高層住宅用地としては不適ということの判断がありましたので、準工業地域に変更いたしたわけでございます。  その場合、同時点、同じ五十四年七月六日の用途地域の変更におきまして、D、E、Fという新たな埋め立てによって造成されました土地について住居地域の決定をいたしております。したがいまして、埋立地全体として当初の住宅用地に一部供するという目的とは、この用途地域の変更はそごしていないというふうに考えておる次第でございます。
  34. 小川国彦

    小川(国)分科員 そのD、E、Fに移したというのは別な問題ですよ。私がただしているのはC地区です。C地区建設省は、七十七万平米を公共的住宅用地にしなさい、二十三万坪を公共的住宅用地にしなさいという大臣命令を出したはずですよ、いつそれを撤回されたんですか。中高層ならだめで、三井不動産が坪四十万で一般の分譲住宅を売るなら適当だ、こういうふうに言われるのですか。一般的な一戸建ての分譲住宅を政府がやってなぜ悪いのですか。私はそこを言いたいんですよ。埋立地土地利用を、遊園地を目的どおりさせるのも埋立法に基づいた建設大臣責任。  それから公共用住宅用地というならば、ちゃんとそれを首尾一貫しておやりになったらいいじゃないですかCそれを地盤が軟弱で中高層ができないからほかへ移した、それを今度は住宅用地に認めて、これをまた民間のデベロッパーが一万七千円の土地を四十万、五十万で売っていく、それならいいとおっしゃるのですか。大臣、いかがですか。埋立地土地利用のあり方として、そういうあり方が許されていいでしょうか。国民の海を埋め立て国有地になったものを、そういう一般の企業のぼろもうけにさしておいて、国民のためには何もなっていない、こういう実態に対する建設省としての反省がなければならないと思いますよ、土地利用のあり方として。いかがですか、その点は。
  35. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生指摘の面で、当初住宅用地が地耐力がないということでほかに移された、また再びそこへ住宅を建てるというような構想があるやの御発言でありますけれども、いま聞きましたら、まだ具体的にその面についてはこちらへの連絡といいますか、情報も受けていないようでございます。したがって、住宅用地としての地耐力脆弱からほかに移されて、それをまた住宅という、どう言ったらいいのでしょうか、目的が目まぐるしく変わりながらまた同じようなところへ来るということについては懸念いたしますので、そういう問題が具体的に起きた時点で十分な配慮をして対処したい。と考えます。
  36. 小川国彦

    小川(国)分科員 最後に言いますが、その懸念が、五千万円事件に紛れて退陣する川上知事においてあったわけですよ。それ以前においてこういう公有水面埋め立てというものが企業の土地転がしに利用されてきた、そういう中で川上さん自身はどういうことを行ってきたかまだ明らかではありませんが、そういうものを少なくとも彼も軌道修正しようとはした。しかしそれが果たせなかった。しかも、今度副知事がなったら、従来の路線がまた繰り返されるおそれがあるという重大な予言をしているわけです。さらに利権絡みの問題がここで発生するということを予言していると私は思うのですよ。そういう事態が発生しない以前に、国民の財産としてこの埋立地のあり方を正していくという根本的な姿勢を建設省なり建設大臣がいまの時点で持っていかないと、川上知事が言ったように、副知事知事になってもこの問題は解決しないほど重大な問題がひそんでいるということになってくるわけです。その点を正す考えが政府にあるかどうか、この点を伺いたいと思うのです。
  37. 小坂忠

    小坂政府委員 ただいま先生指摘のように、公有水面埋め立てられて、その土地がいろいろな利権に利用されるということは好ましくないということは当然でございます。私どもといたしましては、公有水面埋立法精神に基づきまして、これが国民の利益あるいは県民、町民の利益、その地域の利益に沿うような行政指導をするべきものと考えておりますし、本件につきまして、ただいま御指摘のようないろいろな問題があろうかと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、権限内事項、権限外事項、いろいろございますが、行政としてはいま申し上げましたような精神で対処していきたい、行政指導してまいりたいというふうに考えております。
  38. 小川国彦

    小川(国)分科員 なお、この建設省考え方は、私としては、まだこの利用のあり方に対する徹底した考え方がつかまれてないように思います。もう一遍私は機会を見てこの質問をさらにいたしたいと思いますので、大臣みずからもこのオリエンタルランドの問題については重大な関心を持って調査を進められることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。     〔唐沢主査代理退席、関谷主査代理着席〕
  39. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、阿部喜男君。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 建設省では、同和対策特別措置法に基づいて関係住宅資金の貸付業務というのを行っておると思うのですが、いま関係する市町村はどのくらいの数があって、その件数はどのくらいになっておりましょうか。
  41. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま私どもの方で住宅建設資金の貸し付け等を行っております戸数につきましては、住宅新築資金につきましては八千件、住宅改修資金につきましては一万一千件、宅地取得資金につきましては三千五百件を五十六年度予算において予定をしているところでございます。これらの貸し付けにつきましては、関係の公共団体等からの御要望等をいただいた上で補助をしてまいりたいと思っておりますので、関係の公共団体がいま直ちに何公共団体になるかはちょっとわからないかと思います。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 せっかくこういう施策をおとりになっておるのですが、これは従来住宅改修の場合には十五年償還の計画だったようですけれども、最近二十五年償還に変わってまいっておりますが、貸付利率等はなお従前の利率、二%でございますか、ということになっておるようですけれども、この十五年から二十五年に延ばしたために、地方自治体の金利負担が非常に膨大なものになっておるという点について、どう御理解いただいておりますか。
  43. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生指摘のとおり、当初は住宅改修資金の貸し付けでスタートいたしましたこの制度が、その後住宅新築資金あるいは宅地取得資金等にも拡大してまいりまして、住宅改修資金は十五年の償還期限となっておりますが、たとえば住宅新築資金につきましては、当初十八年程度でスタートいたしましたものが現在二十五年になっておるということは先生御案内のとおりでございます。その間におきまして、公共団体が地方債を発行いたしまして国庫補助の裏の分の負担を調達しておるわけでございますが、この地方債の金利の利率が最近かなり変動しておるというような実態がございまして、その変動の中で金利が上がっているというようなことから、貸付期間が長くなったこと、また、金利が上がったこと等によりまして、国の補助金を除いた公共団体の負担が、その貸付期間のトータルにおきまして若干のマイナスが生じておるという実態は私どもも承知いたしております。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 大臣、いまお聞きのように、償還期間は長いにこしたことはないのですけれども、償還期間を長くしたために、金利負担が地方自治体にしわ寄せになるという実態になっております。少し数字を申し上げないとわかりにくいかもわかりませんが、たとえば五百五十万の貸し付けを受ける場合に、五百万に対して国の補助は四分の一ということになります。それから上積みの五十万円に対する県の補助は八分の一ということになるはずですから、合わせて百三十一万二千五百円ですか、結局残り四百十八万七千五百円というのは地方の起債に頼らなければならないわけで、地方自治体はこれを起債で賄って貸し付けを行う。その貸し付けを二十五年間の均等償還で、これは均等償還の額は決まっておりますから、貸付利率が年に二%で計算をしますと、これはいまおっしゃったように金利が公定歩合の変動等に伴って若干の移動がありますからこのとおりになるとは申し上げられないのですけれども、仮に現行、昭和五十四年度の住宅の新築の場合に例をとりますと、簡易保険の方からの貸し付けをいただいたのが三百七十五万、これは年利七・一五%、これは国の保証だと思いますけれども、かなり安い金利で、それから銀行の方が四十三万七千五百円、これは八・三%という利率になっております。しかしこれは必ずしもこのとおりいかない、若干変動が出てくるのは申し上げるまでもありませんけれども、しかしそのために、この計算でいきますと、細かな数字は申し上げませんが、大体二十五年間で償還を終わったときに、貸付返済を受けた総額から実際に簡保あるいは銀行の元利含めての償還額、それを差し引いて出る赤字を、国の補助の百二十五万と県費六万二千五百円をさらに差し引いてみても、なお貸し付け一戸当たり六十万程度の赤字を地方自治体が負担をしなければならないという結果になっております。これは、本来国の施策として行った事業でございますし、特に私が重視するのは、地方自治体がそのために財政を圧迫される、それも全部の地方範身体が同じような負担であるのなら、これはまだある場合にはやむを得ないということもあると思いますし、また交付税等の関係措置がとれると思うのですけれども、この同和事業を持っておる自治体と持っていない自治体との間に、財政に大きな負担の差が出てくる。これを何とかひとつ手当てをしてやらなければ自治体の負担が非常に大きくて、特に小さい町村では賄い切れない状況になっておるわけです。どうお考えでしょうか。
  45. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生指摘のとおり、ただいまのような地方債の金利等に基づきますならば、最終的にある程度の公共団体の負担が生じているという事実は私どもも承知しております。ただ、この金利がそのときどきによって動きますものですから、私どもといたしましても、国の四分の一の補助という制度がようやく定着し、こういうふうに運用されてきておることから、これを急に引き上げるということもなかなか困難である。望むらくは金利がもう少し下がって、当初予定しましたような構想で実施できますならば、何とか収支が相償うのじゃないかというふうな感じが実はしておるところでございます。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 感じだけでは非常に困るので、現実に地方自治体が、昭和五十四年度分についてはいまのところで積算すれば最終的に六十万ぐらいの負担がふえてくる。私は、これは本来国全体の施策ですから、これを建設省だけで、特にいまたとえば四分の一の補助を三分の一の補助にして、それで今度は逆に地方自治体が黒字が出るといいますか、そういうことをやれと申し上げておるのじゃないのです。それは地方自治体もそれなりに、たとえば事業主体としての協力を業務の面においてはしなければならないとか、いろいろな問題があると思いますが、少なくとも各市町村を比較して、事業を持っておる町村だけが大きい負担をしなければならないというのは、これはきわめて不合理な気がします。  そこで、ひとつ国全体の施策として、たとえば二十五年なら二十五年の償還が終わった時点においてどれだけの金利の負担が出たかということについて、決算といいますか清算した上でそれについて何とか考慮する。そうなれば自治体も非常に先行きの見通しが立って仕事ができるという気がするのですが、その点どうですか。
  47. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘の点についてもいろいろと検討してみたいと思いますが、この仕事につきましては、関係の市町村だけでなくて、関係の都道府県の方におかれましてもいろいろと助成をしていらっしゃるという実態もあるようでございますので、そういったような面からの応援等も含めまして、総合的に検討させていただければと私も思っております。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 県の八分の一補助、これについては何か国からの特段の行政の指導はやらないわけですか。
  49. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまのところ、特に国が都道府県に対してそれを補助の条件としているわけではございません。しかしながら、いま先生からお話がありましたように、こういう関係事業を持っていらっしゃる市町村の負担等を考えられまして、都道府県でもそれぞれ各般の施策を実施していらっしゃることは承知しておりますが、そういったような広範な対応というようなことにおいても考えていただける面があるのではなかろうかというふうに思っている次第でございます。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 特に行政指導というものはやっていないのですか。たとえばこの八分の一というような補助は統一的なものなのか、各県が全く自由ばらばらに決定をしておるものなのか、その点はどうですか。
  51. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 その点につきましては、私の方といいますか、国の方からこういうふうにしなければいけないというふうに申してはおりません。したがいまして、各都道府県の方で管下の市町村等の状況を見られまして、独自に実施をしていらっしゃるというふうに聞いております。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 これについて詳しいようですが、八分の一というのは統一的ではないとおっしゃるけれども、それではどういう形が各県によって——補助のやり方について把握されておりますか。
  53. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 現在の段階で詳細は承知しておりませんが、国の方から補助をいたしますようなものにつきまして、各県の方で、さらに上乗せの融資をするとか、そういったようなことを実施していらっしゃる場合に、いま申しましたような助成をしているということでございまして、公共団体によってそれぞれの差があるように聞いております。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 国の場合は、もう明確に四分の一ですから、これは対象事業として全国同じになるわけですけれども、県でばらばらになりますと、また県段階でいろいろ物議を醸すおそれはなしとしないわけですね。これは行政指導ですから、絶対にこうせよというわけにはまいらないまでも、やはり一応の基準というものを考えてやらなければかえって混乱をするおそれがあるのではないでしょうか。その点どうお考えでしょうか。
  55. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 今後私どもがこの貸し付けに対しますところの助成を進めてまいります場合、市町村から県を通じましていろいろと御相談があろうかと思います。その中で、そのときそのときの状況に応じまして、関係の都道府県とも御相談をしながら、どのようにしたらうまく運営ができるかということを考えてまいりたいと思っております。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 都道府県の財政が必ずしも同じ内容ではないのは理解できますけれども、しかし貸し付けを受ける方から考えてみると、Aの都道府県では五分の一の補助があるとか四分の一の補助があるとか、上乗せがある、ところがBの万では八分の一だとか上乗せが非常に少ないとか、それ自体が非常に物議を醸すおそれがあるのではないか。統一的に、たとえば国庫の補助の対象になる額の一〇%とか二〇%が上乗せだ、それに対して幾ばくの補助をするという大方の基準みたいなものはないのでございますか。
  57. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもが承知しておりますところでは、この貸付事業に限りませず、関係事業がかなり広範にわたっておりまして、それらを円滑に実施していくために、都道府県におきましてもそれぞれの分野において、その都道府県の実情に応じましてバラエティーのある事業を実施していらっしゃるというふうに伺っておりますので、この事業だけをとらえてどうかなというふうな感じは若干いたすわけでございますが、これももう少し、総合的ないろいろな事業を実施しております立場から、関係の公共団体からヒヤリング等を通じまして、私どもも勉強させていただきたいと思っております。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 いま大臣お聞きのように、地方自治体によって財政の負担が非常に異なってくるわけなので、申し上げたように、これは建設省だけでどうこうというわけにはまいらないかもわかりません。しかし、そのためにたとえば国としては、自治省の方に特別交付税というような手段も講ぜられておるわけでございますから、ひとつ大臣どうでしょうか、自治省あたりとおはかりになって、同和対策事業の中の特に住宅建設の貸付事業をやっておる市町村等について、特にその負担の大きいところについては、特別交付税等で特段の配慮をするというようなことについてお話し合いが願えないものでしょうか。
  59. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 局長からも答弁ありましたように、この同和環境整備、特に住宅問題については、建設省といたしましても積極的に御協力申し上げているわけでございます。先生懸念の住宅問題について、地方公共団体の負担の面の軽減についての御心配であったろうと思います。長い間の事業の補助としてやってきた問題でありますだけに、一応これはこれでなじんできてそれだけの効果があったと思いますが、これからの問題としての問題を御提起になったと思います。いろいろと諸事情があろうかと思いますが、一応一つの方法というか、案として、先生の御提言について相談といいますか、話してみたいと思います。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 申し上げましたように、これは一つ非常に変動的な金利という問題が絡んでおりますだけに、簡単に解決できるとは私も思っておりません。しかし、現実の問題として、地方自治体は現行の金利体系の中では非常に大きい負担になっておる。その点についていま大臣からも御答弁いただきましたので、政府の関係の皆さんでひとつ御相談をいただいて、特定の市町村がそのために自治体の大きな負担にならないような御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  61. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で阿部喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、森井忠良君。
  62. 森井忠良

    森井分科員 私は、部落解放行政、役所流に言えば同和行政でございますが、同和行政のうち、建設省所管の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、内閣委員会におきます附帯決議、三項目ございましたけれども、なかんずく一項目、二項目について、建設省としてどのように今日まで措置をしてこられたか、お伺いをいたします。
  63. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 同和対策事業特別措置法が三年延長になりました際に、衆参両院の内閣委員会においてなされました三項目の附帯決議につきましては、私どももその趣旨を尊重いたしまして、関係の施策の推進に努めておるところでございます。  第一点の、実態の把握につきましては、地域の実情に精通しております関係の府県からいろいろとヒアリングを行うほか、担当官の現地調査等によりまして実態の把握に努めております。  また、地方財政負担の軽減につきましては、私どもとしても関係省庁と打ち合わせしつつ逐次整備してまいったところでございます。  また、啓発活動の強化等につきましては、従来とも関係省庁との連絡のもとに公共団体と御相談しながら、研修であるとか啓蒙のための活動を進めてまいったところでございます。
  64. 森井忠良

    森井分科員 各都道府県から建設省はヒアリングをしているということなんですが、実態把握というのは文字どおりそのとおりでして、都道府県の窓口等から実情を聞くというだけじゃないと思うのですね。たとえば現地の調査についても、私は去年もおととしも申し上げましたけれども建設大臣なり建設省が出向いていって、積極的に実態を見なさいという話をしてきたわけですけれども、その点についてはおやりになっているのか、いないのか。  それから、地方自治体の負担軽減の問題につきましても、私は昨年、一昨年と指摘をしてまいりましたけれども、たとえば住宅局長の話で言えば、補助率の引き上げでありますとか、あるいは住宅の宅地を補助対象にするとか、いろいろ変えていかなければ地方自治体としては困るわけですけれども、そういった具体的な措置について何をおやりになりましたか。
  65. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 従来私どもの方で実施いたしましたのは、たとえば改良住宅につきましての規模の増であるとか、あるいは単価のアップであるとか、あるいはまた貸付資金につきましての限度額の引き上げといったようなことを通じまして私どもの方の国費の増大を図ってきたというような点が主な点でございます。
  66. 森井忠良

    森井分科員 自治省が、地方自治体の実情から見てもう本当に大変だということで、去年の七月二十三日、財政局長通達を出していますね。自治財第三十四号というやつです。これを見ますと、ある程度認識が出ておるわけですけれども、やはりその中の一つに、同和行政を進める上で、国庫負担の事業として採択するようなことが非常に枠が限られておる。そこで、具体的にはこういう文句になっておりますね。「国における同和対策事業に対する予算措置が十分でなく、単価、数量、対象範囲等の国庫補助負担基準が実情に即したものになっていないことなどによるものと思われます。」こういう通達を財政局長名で出しています。これは明らかに、同じ政府でありますけれども、自治省のいま申し上げましたような認識からすればまだまだ改良の余地がある、あるいは去年あるいはおととしと比較をしてみまして、一体どの点がどう改善をされたのか。特に先ほどあなたが言われました附帯決議の第二項目、地方自治体の負担軽減という観点からいけば、どの程度建設省は努力をなさったですか。
  67. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 たとえば、昭和五十六年度におきましては、補助の対象となりますところの改良住宅等の規模につきまして、二平方メートルから一平方メートルまでの増を図りました。それによりまして実態に即し、かつまたこれらの改良住宅がより良好なものとなるように図ったところでございます。また、住宅改修資金につきましては、貸付限度額が二百七十万円でございましたものを三百万円、また、宅地取得資金につきましては、地域によりまして三百万円から四百五十万円までの差があったものを、全国一律の四百五十万円というふうに行ったような点が特記すべき事項であろうかと思います。
  68. 森井忠良

    森井分科員 やらないよりはやった方がいいですけれども、よく努力していただきましたねとはとても申し上げられるような状態ではない。局長は御存じのように、一番の問題は、あなたの所管で言えば、たとえば住宅の補助率は基本的には三分の二でしょう。これは同和対策事業ではなくても、ほかの住宅対策でも同じなんですよ。たとえば基地周辺整備法というのがある。これでは五分の四という補助率があるのですから、なぜそこまでいけないのか。それから、これは大臣にも特にお聞きをいただきたいのですけれども、たとえば公営住宅の場合ですが、建屋は対象事業にいたしましょう、しかし土地については自前でやりなさい。苦労している大阪の知事さんあたりは、これはおかしいじゃないか、建物だけはちゃんと国庫補助事業の対象にしてくれるけれども、肝心の土地、あの辺は高いんですが、これは全然補助対象に入っていない、こういう大きな矛盾があるのです。住宅宅地の取得事業についても同じ、ここのところをなぜ法規で改善をしないのですか。どこにネックがあるのですか。
  69. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 改良住宅等を建設いたします場合の買収除却費あるいはまた敷地整備費等につきましては助成の対象といたしておりますが、いまお話がありましたように、補助率については従来とも三分の二になっております。  ただ、いろいろな助成の項目がありますが、他の事業では二分の一となっているものもございますが、同和関係事業につきましては三分の二というふうに引き上げている点もございます。そういった点、また一面、公共団体の御負担になるべき費用につきましても、地方債を他の事業と別といたしまして一〇〇%充当する等、公共団体の負担が少しでも軽くなるようにということで措置を図ってきているところでございます。
  70. 森井忠良

    森井分科員 自治省にお伺いをいたします。時間がありませんから一言で結構ですけれども、先ほど読み上げましたけれども、わざわざ財政局長通達をお出しになった趣旨は何ですか。
  71. 吉田弘正

    ○吉田説明員 同和対策事業に係る地方団体の財政負担の軽減を図るためにも、基本的には国庫補助制度の拡充を図る必要があるということでございまして、そういう観点から、早くから自治省といたしましては関係省庁に対しまして、補助単価の引き上げとか補助対象範囲の拡大、基準数量等の補助基準の改善というものの要請、それからそれに伴います関係予算の一層の増枠というものを文書をもって要請をしてまいったわけであります。
  72. 森井忠良

    森井分科員 自治省もかなり不満があることは通達を見れば一目瞭然でありますからこれ以上申し上げませんけれども、何らかの改善はできないのかどうなのか。理屈は私の言うことが通っているでしょう。対大蔵の折衝もありますけれども局長、あなた個人としては私の発言に矛盾がありますか。
  73. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生の御指摘のように、これらの事業を実施いたします場合に、公共団体の負担が過重になるということはいかがかということで、私どももいろいろと従来措置してきたところでありまして、その御趣旨につきましては私も十分理解をいたしております。
  74. 森井忠良

    森井分科員 大事なポイントですからもう一言申し上げておきますが、自治省の調査によりますと、これは住宅関係を除きまして、総事業費が五十四年度二千七十四億五千九百万円。これの地方とそれから国との負担割合を見てみますと、いま申し上げました総事業費の中で国が四三・七%、地方が五六・三%。これ財源負担割合です、法律の趣旨にもとるのですよ、この点についてはあなたでは答弁は無理だから求めませんけれども、特に指摘をしておきたいと思います。  そこで、時間がありませんが、簡単に、建設省として残事業量はどのくらいあるのか明らかにしていただきたいと思います。
  75. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、現在関係の公共団体からヒヤリングを実施しておるところでございまして、その最終結果につきましてはまだ取りまとめるまでには至っておりません。今後なお引き続きヒヤリングを続けまして、なるべく早く将来の展望を明らかにしたいというふうに考えております。
  76. 森井忠良

    森井分科員 具体的に御質問を申し上げますが、残事業量についての数字は話していただけませんでしたけれども、未指定地区を指定地区に追加をしてまいりましたね。五十年調査以来たしか百二土地区ぐらい出ていると思うのですが、ヒヤリングの中ではその未指定地区を新たに指定に加えるというようなことも出てまいりますか、出てくるとすればどのくらいですか。
  77. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 昭和五十年に全国の同和地区関係調査が完了しました後に、対象地域として関係の公共団体から総理府の方に申し出がありました地区につきましては、私どもも、建設省所管事業として実施すべきものがあれば、五十年調査報告がありましたものと同様に対処してきているところであります。現在私どもが承知しております追加の地区は約百六十数地区というふうに聞いております。
  78. 森井忠良

    森井分科員 総理府にお伺いいたしますけれども、百六十九といえば少しふえてまいりましたね、これは総理府としてまだどれくらい出るものだろうかという推計をしていらっしゃいますか。
  79. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 いま百六十九とおっしゃいましたが、百六十八地区でございます。いま現在御相談を受けているものも一、二ございますので、今後またふえる可能性はあろうと一考えますが、どれほどふえるかということに対する推計はいたしておりません。
  80. 森井忠良

    森井分科員 そういたしますと、これはどういうことになりますか。斉藤大臣、大変恐縮でございますけれども、法律は五十六年度で終わりという形になる。これからまだ新たな地区が出てくる。後で御指摘を申し上げますけれども事業は全く手つかずのところもずいぶんあります。そういたしますと、同和関係の予算の半分近くを建設省が消化をなさるわけでございますけれども、法律がこれで切れたのでは大変だということになると思うのですが、これはいかがでしょう。これからまだふえてくるところがあるというわけですけれども
  81. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 特別措置法につきまして、すでに十年を三年延長してなお残事業の問題等々これあり、建設省側としては御心配の向きにつきまして鋭意努力して、県のヒヤリング、また担当官の派遣というように実態把握に努めておるわけでありまして、いまここで直ちに五十七年以降について法的措置云々ということにつきましては言及することは差し控えさせていただますが、所定の期限立法でございますので、とにもかくにも努力をする、この問題が早く解決をして同和関係方々に安心していただけるような努力をまず優先させていただきたい、このように考えておるところでございます。
  82. 森井忠良

    森井分科員 総理府にもう一度お伺いするのですが、昭和四十年に同対審の答申が出ましたね。これは、その時点での話を申し上げますと、部落差別が厳然としてあった、そういう認識と反省の上に立って同和対策事業特別措置法が制定をされたのですね。もしそうだとすれば、過去の同和行政に対する反省というのが当然そこになければならない。そういたしますと、積極的にこれから——まだ未報告地区がありまして順次ふえている傾向にある、百二十が百六十八になっているわけですから。まだ一件も上がってきていない府県もあるわけですね。宮崎その値上がってきていますか。上がってきていないでしょう。上がってきたにしてもそれはごくわずかの件数だと思うけれども、いずれにいたしましてもまだこれから次から次へと出てくるということになると、未報告地区の問題あるいはすでに指定をされている地区についてもいま申し上げましたような過去の反省の上に立って事業を進めていくべきである、これが私は内閣の基本方針だと思うのですが、いかがですか。
  83. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 御指摘のとおり戦前から続いていたような同和対策というものの反省の上に立って、法律に基づきまして従前からやってきた地区の改良というような物的上のほかに、就労対策、就学対策あるいは啓発という幅広い施策を行っておるところであります。
  84. 森井忠良

    森井分科員 いずれにいたしましても大変おくれているということを私は御指摘申し上げておきたいと思いますが、先ほど残事業量について明らかにしていただけないので非常に困るわけです。しかも建設省の場合は五十年調査の基礎資料も、焼いたか廃棄処分にしたか、いずれにしてももうないと言い切っておるわけですからこれは非常にけしからぬ話ですけれども、やむを得ないと思う。しかしどう考えてみましても、昨年まで建設省方々から説明を受けた残事業量では納得できない。  具体的な問題についてちょっと指摘をしておきますけれども、名古屋市の西区に平野町というところがあります、これは恐らく千戸ぐらいの大型の地区に入ると思うのですけれども、これは地区指定がなされていますか。仮にいるとすれば、総事業費はどれくらいかかりますか。特に建設省所管分で結構です。
  85. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘の名古屋市の地区につきましては、現在名古屋市におきましてその地区の環境整備を図るための調査を実施中であるというふうに聞いております。したがいまして、具体的にこれらの調査を進めた上で、名古屋市からどのような事業をしたいかといったようなことが私どもの方に御報告があるものと思っておりますが、現段階ではまだそこまでいっていないというふうに聞いております。
  86. 森井忠良

    森井分科員 そうすると、そこの住宅事情とかあるいはたとえば排水の事情であるとか、火事になった場合の消防車が入れる状態といったふうなことも含めてその道路の事情でありますとか、そういったものについてはまだあなたの方では把握をしていらっしゃいませんか。
  87. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもも担当官を派遣いたしまして、現地の状況を見せていただいておりますが、いま申しましたように、名古屋市の方でどのような状況であり、またどのような事業を実施したらいいかといったようなことにつきましては、正式御報告いただいておりませんので、詳細はつまびらかにしておりません。
  88. 森井忠良

    森井分科員 そうすると、いまヒヤリングをしていらっしゃるとおっしゃいましたが、そうしたら、こういったものも入るわけですね。
  89. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 そのようなものもヒヤリングの対象として今後検討させていただきたいと思っております。
  90. 森井忠良

    森井分科員 私どもが調べた範囲では、これは総事業費は三百六十億、だから国費ベースでいきますとこれは二百四十億ぐらいに該当するだろう。ついでに申し上げておきますけれども、まだ明治時代の長屋があるのですね。トイレもまだ共同のところもあるのです。もちろん火事になっても消防も入らない。一雨降ればすぐ浸水をする、水はけが悪い。早くできたのは、国道二十二号線が地区を真っ二つに割っていますけれども、近代的なところはそれだけなんです。あとは何にもないわけですね。したがって、こういった点から見ますとこれはまだ哲学ですから、いまから始めるとすれば、くどいようですけれども、法律が切れたんではこれはどうしようもない。このことだけ明確に指摘をしておきたいと思うのです。できれば大臣大臣の選挙区からそう遠くないわけですが、途中で、どこか西の方へ御旅行なさるときにこういったところは一度見ていただくのに非常にふさわしい、しかも地域の住民も喜ぶところなんですけれども大臣はそういった意味で現地調査をしていただいておりませんけれども、いかがでしょう。
  91. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま先生のお話を具体的に拝聴して、実はまだそういうところがあると驚いたような気持ちで拝聴いたしました。国会中どうな少ますか、なかなか日程的にむずかしかろうと思いますが、でき得れば視察をしたい、このようなことを考えておるところでございます。
  92. 森井忠良

    森井分科員 驚かれても困るわけですけれども、それだけ実情が厳しゅうございます。ぜひひとつ私の気持ちも察していただきたいと思うのです。  もう一つ指摘をしておかなければならないのですが、先ほど言いましたように、補助対象事業の枠が厳しいものですから、地方自治体が非常に悩んでいる。時間の関係でたくさんは申し上げられませんが、一例だけちょっと指摘をしておきたいと思うのですが、大阪府の和泉市でございます。比較的熱心に同和対策事業を進めている市でございますけれども、熱心に進めれば進めるほど地方自治体の負担が大きくて困る。余り同和対策事業に予算を使いますといわゆるねたみ差別というのが出てまいりまして、何で同和地区だけ優先しなければならぬのだということで、むしろ住民の皆さんを分裂をさせるようなことにもなりかねないぎりぎりの状態にきていると私認識をしておるわけです。ここを見ますと、これは年間の予算がせいぜい百五十億から二百億前後だろうと思うのですけれども、その中で全体事業費が四百六億、いままでに百六十八億、四一%余りですけれども、それしか消化しておりませんから、合計をいたしまして二百三十八億まだ残事業量が残っているわけでございます。約六割残っておるというかっこうですね。  いろいろ見てまいりますと、その中で特に問題なのは地方債です。地方債の全体事業計画は百十八億。現在四十五億ほど地方債充当しておりまして、予定どおりやろうとすれば、国庫補助が動かないとすれば、あとまだ七十二億という大きな地方債の発行をしなければ、起債を求めなければできないという形になっているわけでございます。したがって、これはゆゆしい問題だと思うわけです。ですから、先ほど言いましたように国庫補助の枠を広げない限りどうにもならない。起債についても、ある程度同和対策事業については特別な配慮をされているようでありますけれども、早急に私は財政的な配慮をしていかなければ、これは計画はあっても実施ができないという形になるのじゃないかと思うわけです。  自治省お見えですからお伺いするわけですけれども、ここの公債費率は幾らですか。それからいわゆる起債制限比率というのがありますね、これはどのくらいになっていますか。
  93. 吉田弘正

    ○吉田説明員 大阪府の和泉市でございますけれども昭和五十四年度決算で公債費比率は二三・一でございます。それから地方債許可制限比率が一九・九でございます。     〔関谷主査代理退席、主査着席〕
  94. 森井忠良

    森井分科員 制限比率が二〇%になったら、どういう制限がございますか、
  95. 吉田弘正

    ○吉田説明員 起債制限比率が二〇%を超えた場合には、一定の地方債についての発行を許可しないというような運用になっております。
  96. 森井忠良

    森井分科員 もう時間がありませんから指摘はこの程度にとどめておきますが、大変なことですね。他の行政で何とか起債が必要だというときに、いまお聞きのような制限まで出てくる。この起債制限比率というのはやがて二〇%にもなるという形になっています。公債費の比率も高い。そうするとこれは住宅局長、最後は、私が初めに指摘をいたしましたようにもう一回やはり国庫負担比率を見直すしかないと思うのです。腹をきめてやっていただけますか。
  97. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもの方の主たる事業は住宅地区改良事業が中心でございますが、これにつきましては、従来から三分の二の国庫補助率でもって実施させていただいておるところでございまして、御指摘地域につきましては、その事業を含め相当の大規模なものでもありますので大変であろうかと思いますが、私ども関係の省庁とも御相談いたしまして、事業が円滑にできるように運営を図っていきたいというふうに考えております。
  98. 森井忠良

    森井分科員 限られた時間ですから、もっと質問をしたかったのですが、たとえばいままで指摘をしてまいりました大都市における混住部落の解消の問題、改善の問題あるいは小集落地区改良事業、これも基準に問題がございますね。十五戸、五〇%というのは、私どもは五戸というふうにしなさいというふうに具体的な指摘をしております。災害対策につきましてもいろいろ問題がございます。第一、たとえば急傾斜地崩壊事業にいたしましても一般対策としてとらえている。しかもまだ少なくとももう十年ぐらいしなければ部落の急傾斜地を安全なものに改良することができないというふうな問題等々ありますが、時間が参りましたので質問を終わらせていただきますけれども、最後に大臣にもう一度お願いしておきたいのでございますが、私のつたない質問ではございましたけれども、認識を新たにしていただきましたように、いまもってまだヒヤリングが続いている、しかも建設省として残事業量が幾らかということはまだこの席で言えない、それから制度上の欠陥等々を考えますと、申し上げましたように、同和対策予算の半分近くを消化なさる所管の大臣として、この際ぜひひとつ法律の延長と強化に向けて政治家としての御努力をいただきたいと思います。  最後に大臣の所見をお伺いをして終わりたいと思います。
  99. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 森井先生が同和対策につきまして非常に御熱心で、啓蒙をしていただいておりますことに改めて敬意を表する次第であります。  いまお話しの関係につきまして十分承知いたしましたので、この問題につきましてはなお一層実態の把握に努め、ヒヤリングあるいは直接的な状況を求めながら、御懸念の向きにつきましても対応を早急に詰めまして結論を出していきたい、このように考えるものでございます。
  100. 森井忠良

    森井分科員 ありがとうございました。
  101. 海部俊樹

    海部主査 以上で森井忠良君の質疑は終了いたしました。  鳥居一雄君。
  102. 鳥居一雄

    鳥居分科員 地震災害対策につきまして、現在国土庁の方で防災基地防災センターを、モデル地区の指定をいたしまして、それでこのモデル事業をおやりになっていらっしゃいます。一方、建設省の方で都市公園等整備の第三次五カ年計画を五十六年度からおやりになろうとしております。一方、消防庁の方でも震災対策室がやはりその観点から重大な関心を寄せられ、三者協議の形でこれまで進んできているわけでありますが、オープンスペースを利用して、そして防災公園としてその機能を十分に発揮できるようにしていこう、こういう目標であることは間違いないだろうと思うのです。  それで、まず最初に伺いたいのでありますが、国土庁がこれまでモデル事業として進めてまいりました三カ所、五十三年から川崎、それから大阪、名古屋、当初見込んだ計画、まだ進行中だろうと思いますが、見込みどおり、期待どおりの成果が一体見込めるのか。三カ所、さらにまた東京の区部を第四のモデルとして選定されておりますが、今後の御計画をかいつまんでひとつ御説明いただきたいと思います。
  103. 平野侃三

    ○平野説明員 お答えいたします。  防災センターでございますが、昭和五十三年度からモデル事業といたしまして、先生指摘のように、川崎市につきましてはすでに五十四年十二月、また大阪市につきましては昨年の十二月に防災センターが完成いたしております。現在は名古屋市におきまして、五十六年度の完成を目途にいたしまして建築工事を実施いたしているところでございますが、五十六年度には新たに東京区部におきましても事業に着手する予定で、予算を計上させていただいているところでございます。  今後の進め方でございますけれども、現在やっておりますこれらの事業の円滑な実施を図りますとともに、モデル事業でございますので、これらの事業を通じまして防災基地整備のための全体計画、また、事業手法等につきまして調査検討を進めまして、関係省庁及び関係地方公共団体と具体的に協議してまいりたいと考えております。
  104. 鳥居一雄

    鳥居分科員 それでこの防災基地防災センターの建設基準、これを建設場所等について見てみますと、首都圏整備法第二条第三項、これに規定する既成市街地、それから近畿圏整備法第二条第三項、これに規定する既成都市区域またはこれに準ずる人口、産業の密集した市街化の区域、こうあるわけです、それで、東海大地震が心配されております静岡、それから南関東大地震の懸念される千葉県など密集市街地などにこの防災センターが建設できるのかどうか、いかがでしょうか。  たとえば静岡県沼津市の場合には、仮に国の指定が得られないとしても、単独事業として地元で防災基地防災センターをやっていきたい、こういう意向が非常に強いわけです。今後このモデルを一般化するためにどういうふうにしていくのか、お考えを伺いたい。
  105. 平野侃三

    ○平野説明員 モデル事業でございますので、ただいま先生指摘のように、首都圏整備法によります既成市街地、近畿圏整備法によります既成都市区域等、大都市の密集した地域に限定してやっておりますけれども、具体的にこのモデル事業の成果を踏まえまして、関係省庁と協議をしながら、今後の方向につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  106. 鳥居一雄

    鳥居分科員 首都圏整備促進協議会では、五十五年の八月に、大震火災対策等の強化について要望が出ておりますね。その要望によりますと、相模湾あるいは房総沖のいわゆる南関東大地震もあるので、南関東地域の地震予知観測体制の充実を図るとともに、この地域の地震防災対策強化地域の指定を検討してもらいたい、こういう趣旨であります。  それで、千葉、東京、神奈川、実は神奈川の一部は指定されているわけでありますが、これらを防災対策強化地域に指定すべきだと思うのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  107. 平野侃三

    ○平野説明員 所管でございませんので明確なお答えはできませんけれども国土庁の震災対策を担当しております方で鋭意調査検討をいたしておる段階でございます。強化地域につきましては、現在、御指摘のように神奈川の一部まで含めまして指定されておりますが、今後の指定の方向につきましては、私所管でございませんので、明確なお答えはできません。
  108. 鳥居一雄

    鳥居分科員 国土庁の中では協議しているわけでしょう。この防災基地防災センターの前提になるのがこの強化地域の指定なわけですから、全く無関係で、課が違うということはないわけでしょう。連携をとってもらいたいです。
  109. 平野侃三

    ○平野説明員 国土庁の中での協議の問題でございますが、所管のところで当然検討いたしておりますけれども、具体的な調査に関しましては、大都市圏内に関しましては私の方も協力いたしまして、五十六年度を含めまして調査をやっていくつもりでございます。
  110. 鳥居一雄

    鳥居分科員 それで、国土庁の方のモデルは備蓄倉庫それから貯水槽、集会所あるいは無線室、管理事務所、これを集中的に建設をして、そして有機的な働きをさせよう、こういうねらいで従来のモデルが進んできているわけですね。これを実際に具体的に事業として進めていくのは実は建設省になるわけですが、建設省ではこのモデルをどういうふうに生かしておやりになっていくお考えでしょうか。  たとえば都市公園法の方からまいりますと、これは一点集中というのは困る、こういう立場をお持ちのようなんです。それで実は消防庁、建設省国土庁、この三者協議の中にさまざまな問題点がある。そのうちの一つが、モデルケースが生きないのじゃないかという懸念があります。それで集会所は防災教育のための、入れかわり立ちかわり地元の皆さんに普及をさせる、そういうために集会所が必要である。それから貯水槽、これは緊急の場合の飲料水として使う。消防用の貯水槽あるいは消防施設は公園の中には置けない、こういう問題が実はあります。このモデルを建設省としては生かし切れるのかどうか、この点についてはどうでしょう。
  111. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの要点は、都市公園の側で防災性能を持った公園の整備を促進していくべきではないか、その際に、いま国土庁でモデルでやっておりますような仕事の成果を取り込んでいけるものならいくべきではないかというおただしのように承ったわけでございますが、防災公園につきましては、御指摘のとおり現在の都市の状況にかんがみまして、何としても都市の防災構造の強化を図らなければいけないという観点から、第一の重点施策として私ども考えておりまして、第三次五カ年計画の発足を契機といたしまして、積極的に防災公園の整備促進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから防災公園の整備に当たりまして、防災機能を高めるという観点から、備蓄倉庫でございますとかあるいはいまおただしにございました貯水槽等の施設をあわせて設置していくということにつきましては、公園施設の一環といたしまして整備を進めるという方針で進んでおります。  それから、いまおただしがございました防災のための教育あるいは通信等の関係施設というようなことでございますけれども、この点につきましては、私どもやはり防災公園の整備を図りますために何としても留意いたさなければならないのは、住民の方々の避難場所の確保ということを第一の目的に考えなければいけない。そういたしますと、スペースの確保ということが大変重要な要請であろうと思っておりますので、まずその要請が満たされることが先決であろう。十分なスペースを持った防災公園が市街地内に適切な間隔で確保されていること、整備されていることに第一のねらいをつけて努力をいたしてまいりたいと考えておりますので、その辺の要請との兼ね合いを考えながら今後の検討をいたしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  112. 鳥居一雄

    鳥居分科員 オープンスペースが前提になると思いますね。しかし、これまで国土庁で防災基地防災センターのモデルを進めてきたということの本当のねらい、それでそれが一定の成果を上げることになった段階、次の一般化への道というのは建設省が担うことになるだろうと思うのです。その御決意の上に立って、それでモデルが生きなければいけないと思うのです。  いま第三次都市公園等整備五カ年計画の中で、防災公園の緊急整備というのがまず第一の条件として挙げられておりますし、それによりますと、「大震火災時における国民の生命の安全性を確保するため、避難地、避難路として機能する都市公園(防災公園)」、これを緊急に整備する必要がある、こういうふうにあります。ですから、一般化への一つの形として都市公園、その都市公園のいわゆる整備事業の中の第一として防災公園という事業を進めていらっしゃることになると思う。その事業を進めていく建設省がオープンスペースだけを提供すればいいんだという考え方にもし立つとすれば、これは一般化への道ではないと思うわけです。いわゆるそのモデル地区の指定をして、防災基地防災センターとしてのモデルの意味というのは、必要な条件というのは一つは備蓄倉庫です。それからもう一つは貯水槽です。それからコミュニティーセンターです。これは防災教育上必要なコミュニティーセンター。それから無線設備、無線室とも無線設備とも申しておりますけれども、これ。それから管理事務所。これは公園管理と、もう一つは備蓄倉庫等の施設を管理するという目的と、二目的を実は持っているわけです。こういう点について、都市局としてちょっと認識が甘いんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  113. 升本達夫

    升本政府委員 先生おただしの東京近辺の市街地の状況から参りまして、何としても早期に緊急時の避難路あるいは避難場所の確保ということを果たさなければいけないということを至上の命令と考えております。御承知のとおり東京その他大都市の、災害対策基本法に基づきます地域防災計画の中で、防災対策緊急事業計画というものを定めさせることにいたしておりまして、十カ年で緊急に避難地、避難路を確保するということに鋭意国あるいは都道府県を挙げて努力をいたしておる段階でございます。この状況は残念ながら大変厳しい状況でございまして、一刻も早くこの計画の達成を図りたいということを最大の目標として努力をいたしておる段階でございます。  ただいまおただしの国土庁でおやりになっておられます防災センターという構想、私どもこの現実も見させていただいておりますけれども、大変結構なものだと思っております。ああいうものが各地にどんどんできることが望ましいと思いますが、あれと同じようなものを各防災公園の中へ直ちに設けるべきであるかどうかということは、先ほど申し上げましたような防災公園に求められております緊急避難のスペースの確保という要請との兼ね合いで考えていかなければならない問題ではないかと考えておりまして、その趣旨の御答弁を申し上げたつもりでございます。
  114. 鳥居一雄

    鳥居分科員 それで、国土庁の防災基地防災センターの三モデル、これはいずれも公園の中に設置されているものじゃないのですよ。図書館との併設あるいは役所との併設、しかし有機的な機能を果たす必要から一カ所に集中的におやりになってまいりました。それで、いざ緊急というときの避難場所と備蓄倉庫あるいは貯水槽、これはもう一体となって有機的な働きをするというのが非常に望ましいことは当然だと思うのです。そういうところから、国土庁側のお考えとしては防災公園の中に建設できるようにしたい。これを五十三年から建設省の方もお認めになっていらっしゃるはずなんです。ただ建設省の方のお考えとしては、公園の中にそういう施設をつくるということに非常に難色を示していらっしゃいます。消防施設をつくるということはまあそうかもしれませんけれども、震災のための防災施設、しかも防災拠点であるそういうオープンスペースに、仮に貯水槽と備蓄倉庫、これが別々になったとしたとしても、これを進めていくことがモデルを生かしていくということにつながってくるんだろうと思うのですよ。建設省でもそういう考え方に立って助成をされようとされているんじゃないですか。備蓄倉庫それから貯水槽、この国としての助成策はどういうふうに今後されますか。
  115. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、防災公園に設置が予定されております備蓄倉庫、貯水槽等は現在のところ公園施設として整備をいたす方針でございますけれども、これは地方公共団体の単独事業としてやるというたてまえになっております。  そこで、これを国庫補助対象にすべきではないかという御趣旨と承ったわけでございますが、この件につきましては先生御承知のところでございますが、防災公園における施設整備、防災施設の整備推進につきましては、五十四年八月に都市計画中央審議会から御答申をいただいておりまして、「今後の都市公園等の整備と管理のあり方についての答申」でございますけれども、「防災公園に設置する必要がある備蓄倉庫及び貯水槽の整備を推進するため、これらの施設の整備費を国庫補助対象とすべきである。」というふうに御答申をいただいておるわけでございまして、この趣旨を踏まえて昭和五十五年度、五十六年度の予算におきまして、私どもといたしましては国庫補助対象とするように要求をいたしてきたところでございます。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、全体の防災公園としての整備が大変おくれておる現状にかんがみまして、まずは避難地の面積確保ということに最重点を置きたいという観点から、その意味で防災公園のいわゆるベースを整備することを積極的に推進するということを第一の課題といたしまして、このためにただいま申し上げました二点の要求につきましては暫時これを見送らざるを得ないだろうという判断に立ったわけでございます。したがいまして、今後これらの整備につきまして、なろうことなら補助対象の拡大ということをお願いしてまいりたいというふうに考えておるわけでございますけれども、それも先ほど来申し上げております防災公園全体の整備促進という観点の中で考えていくべき性質のものであろうというふうに考える次第でございます。
  116. 鳥居一雄

    鳥居分科員 モデルケースの場合、防災基地防災センターの場合、総額の三分の一補助ということですね。それで川崎の場合、四億五千万という予算の中で三分の一の助成がなされた。それで、公園施設の中に建設をするものであるから、これは所管として建設省が適当で、そして管理事務所あるいは備蓄倉庫、貯水槽までも助成対象にしていこうという一方にお考えがありますね。それから貯水槽に限って言えば、これは消防庁であるという御主張もあるだろうと思うのです。消防庁の方はお考えどうでしょう。
  117. 鹿子木貢

    ○鹿子木説明員 私ども消防庁といたしましては、昭和四十七年から大震火災対策施設等整備費補助金というものを設けまして、耐震性を有する百トン、百立方メートルの貯水槽の推進を図ってまいっております。場所でございますが、公園でございますとか学校でございますとか、そういうところから優先的に着工してまいっておりまして、今後もこの防災公園整備事業との関連を十分見きわめながら、なお貯水糟の増設に努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  118. 鳥居一雄

    鳥居分科員 地元自治体にとりましては、建設省の助成であるかあるいは消防庁の助成であるか、これは三分の一の助成というこの線が確実に確保できればいいわけですね。それで、この防災公園については緊急にこの対策を進めていくというお考えに対しましては関心も非常に深いわけであります。全国市長会では、この国の助成策について、一つの目的だけで突き進むわけにいかないもので、平常時においては管理費が非常にかさむあるいは運営の効率化を図るために、公民館あるいは社会教育施設、体育館、運動場、体育施設、こういうものと一体となった、有機的な一つのものとして、助成策も総合補助という考え方で進めてもらいたい、こういう要望が非常に強いわけです。建設省では、この要望をどういうふうにお考えになりますか。
  119. 升本達夫

    升本政府委員 それぞれの施設はそれぞれの施設に応じて機能を持っていると思うわけでございます。私どもの所管でございます公園について申し上げますと、公園は、防災公園として、防災機能として大事ではございますが、やはり常に公園として開放され、利用されているということが基本的な機能だろうと思います。そういった施設の課されている本来的な機能を満たすことのために必要な整備を行っていく、整備の目標をまずそこに置くべきであろうというふうに考えておるわけでございます。これは私どもの公園について申し上げればそういうことだろうと思いますが、それぞれやはり所管の事項についてそれぞれの独立の機能を持っておられると思いますので、これを総合して適当な助成をするということは、理念としては、理想としては考えられるかもしれませんけれども、なかなかむずかしい問題があるのじゃないかという感じがいたします。私どもの所管に関して申し上げさしていただくとそのような感じがいたします。
  120. 鳥居一雄

    鳥居分科員 ここもやはり公園という立場からいきますとそういう問題を持っているものですから、防災という連係の上に成り立つという問題、非常に問題大ありですね。たとえば夜間体制をどうするのかということになってまいりますと、これはきわめて有機的な対応ができないというのが現状だと思うのです。ですから、防災公園に関しては、従来の都市公園を管理、運営をしていくという考え方をもうちょっと広げていかない限り対応できないのじゃないか、その詰めを大至急やらない限り有機的な運用というのができないのじゃないか、こういう懸念を実は持つわけです。  あわせて、具体的な問題として千葉県の千葉市、県都千葉市は人口が七十四万を超えました。間もなく政令指定都市を迎えようとしております。実は、オープンスペース五十七ヘクタール、農林水産省の所管で畜産試験場がございましたが、これが筑波移転の後、地元の都市公園としていま再出発しようとしているわけです。それで、この公園の防災公園としての機能を考えてみましたときに、さまざまな障害がある。その障害の一つが実は協議が詰まってないのじゃないかと思われる点なんです。この五十七ヘクタールについて、国土庁建設省で現在防災拠点として運用していこうとする上でどういうふうにとらえていらっしゃるのか、まず伺いたいです。
  121. 平野侃三

    ○平野説明員 千葉市にございます畜産試験場の跡地でございますが、五十五年の五月十九日に国有財産中央審議会から答申がございまして、その跡地に関しましては、自然を生かした形の公園を主体にいたしまして、一部小学校校庭の拡張用地と、それから周辺の事業用地、市街地の事業用地にするということが答申されております。具体的に、その自然を生かした形の公園をどういう形で整備するかという点に関しましては、私どもは、防災センターの設置に関しまして千葉県かもの意向あるいは千葉市からの要望というものを聞いておりませんので、現在の段階ではお答えできる段階に参っておりません。
  122. 鳥居一雄

    鳥居分科員 最後に大臣に伺いますが、国土庁のモデルを生かすのは建設省であり、いま緊急に整備しようとする防災公園というのが現に五カ年計画で今年度から始まろうとしておりますが、有機的な防災拠点としてぜひともこれを実現しなければならないと思うのです。五カ年計画を進めていく上におきまして、防災公園をひとつ有効な公園として使用ができますように願っておるわけですけれども大臣の所信を伺いたいと思います。
  123. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御質問が、いわゆる東海沖地震から、南関東、房総関係に幅広く影響を及ぼすであろうということからの御発想の面も多々あるかと思います。実は、私もそれを非常に懸念いたしておるわけであります。第三次都市公園整備等五カ年計画を待つまでもなく、防災公園を含めて都市公園というものの整備はまさに緊急課題であります。学者が言っておられるように、すでに東海沖地震はいつ来てもおかしくないほどの事態だと言う方もいらっしゃるわけです。しかし、それにいたしましても、特に東京あるいは南関東の方々の関心が余りにも薄いところを非常に心配しているのです。先生の御指摘の面、私は、幅広く御認識いただいて、われわれの所管の問題として緊急整備に努めるということの努力もさりながら、何とか緊急事態の問題につきましては速やかなる対応をしなければならないと思います。国土庁所管の面もありますし、建設省所管の問題もありますが、とにかく早くやらなければならぬ、事態は急を告げているという深刻さを私は持っておりますだけに、何とかこの五カ年計画を早く認めていただいて、財政事情の許す限り、先生指摘の面で、地区地区における都市計画の中に防災公園を設置して、緊急の折の特に生命を守るための避難地、避難路の確保のために対応してまいりたいと思います。  なお、貯水槽とかあるいは備蓄倉庫の問題もございますが、それは計画上の問題としてあわせてやるべきことでありますが、通常、直ちにということになりますと学校施設を利用するとかというような問題もあるわけであります。あわせて総合的にこの問題には早急に対処してまいりたい、このような考えのもとに進ませていただきたいと思います。
  124. 鳥居一雄

    鳥居分科員 終わります。
  125. 海部俊樹

    海部主査 以上で鳥居一雄君の質疑は終了いたしました。林保夫君。
  126. 林保夫

    ○林(保)分科員 きょうは、建設大臣に御足労をわずらわしまして、大げさに言うと、二十一世紀への展望を踏まえて、これからの建設行政は大変大事だと思いますが、どのようにお取り組みになられるだろうか。かたがた、私の地元の問題もいろいろございますので、実は率直に言って大変おくれているのではないだろうか、こういうことで御質問申し上げたいと思うのでございます。  何分、今度の国会の特徴は財政再建元年、こういう柱になってまいりまして、公共事業費の獲得も本当に御苦労なさっておられますが、なおこれが伸びがゼロになったこと、その上で、総理も言っておられましたし、大ぜいの方々も、地方の時代、こういうことを言っておりますね。本来地方の時代であるべきが民主的な国のあり方に異論を唱える筋は毛頭ないのでございますけれども、中央の財政が厳しくなった、あるいはパンクした、それで地方に全部おっかぶされるどすれば、現在、いろいろな問題での格差を一体どうしてくれるのだろうかというのが国民の大変大きな心配でもございます。建設省はいろいろと統計をお持ちでございますけれども、それは県の数だけ順位がつくわけでございます。そこらあたりを建設行政の中でこれからどのように取り組んでいかれるか、一言だけ大臣の御所信を伺いまして、恐縮でございますけれども地元の問題に入らせていただきたい、このように思います。
  127. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 建設行政の全般につきまして御指摘をいただきまして、大変ありがたく思っております。  財政再建というような大命題の前で、建設行政につきましては非常に厳しい査定が行われたことは事実でございます。ゼロ査定ということでございますが、社会資本の充実が日本の場合非常におくれているという認識のもとから、何とか事業量の確保だけはいたしたいというようなことで、事業量の確保だけはお認め願ったわけであります。社会資本といいましてもたくさんありますけれども、まず道路の問題、下水道の問題、公園の問題、住宅の問題、中小河川の対策、あるいは防災の面につきましても、いわゆる先進国と言われておる日本では、大変残念ながら欧米に比して著しくおくれているというのが実情でございます。時間の制約もございますので一々具体的なことは申し上げませんが、そうした全般的なことを考えて、やはり人間が社会生活をする上で社会環境、いわゆる社会資本を充実することが、国の政治の上の一番大事なことではなかろうかというような認識のもとに建設行政を進めてまいりたいと思っております。  それにいたしましても、やはり国全体から見ますと、御指摘のような格差のあることも事実であります。地方都市、中央首都圏、あるいはさらに地方の都市化されない地域等との格差につきましても十分配慮の上、均衡ある発展を図りながら社会資本の整備に努めていきたい、このような認識のもとに建設行政をせっかく努力して進めていく所存でございます。
  128. 林保夫

    ○林(保)分科員 道路で、しかも地元の問題で恐縮でございますが、地元の問題が一番よくわかりますので、ひとつ承りたいと思うのです。  実は、私も地元岡山を大変愛しておる一人でございますけれども、恥ずかしい統計があるわけです。警察庁に資料を要求いたしましたところ、過去三年間の交通反則金の実績をちょうだいいたしました。特に昭和五十三年でございますが、五百五十八億の反則金の徴収実績の中で、岡山が実は誇り高くというか大変恥ずかしいと思うのですが、十四億払いまして、中国の県でも群を抜いておりまして、私どもの仲間が大いに議論いたしまして、何が原因だろうか、警察が厳しいからだという声もございます。と同時にまた、それは県民が悪いのだぞ、遵法精神が足りぬのだという反省もございます。と同時に、二十キロ、三十キロ制限の道路では、これは出るのもあたりまえじゃないか、こういうこともございまして、いろいろ原因はありますけれども、なお道路をちゃんとしてやっていただかなければならぬ、ちょっと大げさな話でございますけれども、これも事実でございましたけれども、車に乗っていて日をつぶって兵庫県から岡山県へ入ると、車の揺れから、ああ、岡山県へ入ったなということがわかる。それは兵庫県の方から言われた。こういうことがございまして、道路局長、大変恐縮でございますけれども、岡山の道路を、統計上からでも結構でございますが、どのように御認識しておられるか、その点をちょっとお伺いしたい。
  129. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま先生から、岡山県の道路整備の状況が悪いのではないかという御指摘があったわけでございます。  お話にありましたとおりでございまして、数字で申し上げますと、道路の改良率で見てまいりますと、国道と県道を合わせたもので改良率が五六・七%という状況でございます。全国が六五・一%でございますから、若干、九ポイントほどおくれております。それから市町村道で見ますと、改良率が一二・五%でございます。全国が二五・六%でございますから、これは半分くらいという大変厳しい状況でございます。しかしながら、舗装はどの程度されておるかという点でございますが、御承知のように特四舗装という簡易舗装もやっておりますけれども、これを含めました舗装率では、国道と県道合計で八三二%でございまして、これは全国平均の八一・五を若干上回っております。それから市町村道におきましても三九・一%でございますから、全国平均の三五・七をこれも若干上回る、こういうような状況でございます。  それで、実はどうしてこういうことになったのであろうかということで考えてみたわけでございますが、たとえば人口で言いますと、岡山県は全国の一・六%でございます。それから面積も一・九%、自動車保有台数も一・九%、こういうような状況でございますけれども、実は国道と県道の延長につきましては全国の二・六%ある、それから市町村道も二・九%でありまして、全体を平均いたしましてもそれに近い数字、こういうことになるわけでございます。  考えてみますと、昔からやはり吉備文化が発達した地域でございますから、道路網の密度が他より濃い。そこで、まだ整備が追いついていっていない、こういうのが現状であろうかと思うわけでございます。私ども、今後広域的な交通に対する幹線道路、それから地域の生活基盤を担う地域内の道路、これを調和のとれたものにしたいということで整備を進めてまいる所存でございます。  この地域間の問題も、たとえば道路の未改良延長がどうだというようなことを考えつつ仕事を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  130. 林保夫

    ○林(保)分科員 貴重なお調べ、ありがとうございました。  これをトータルいたしますと、改良率は全国実に四十六位という統計が出ておりまして、舗装率が全国で二十七位、これではやはりいかぬのじゃないだろうかという反省と、これは決して建設省ばかりでなくて、県、市町村、県民の問題でございまして、これから急いで追いつくべく努力していかなければならぬと思いますので、せっかくの御督励をぜひこの機会に建設大臣にお願いいたしておきたいと思います。  そこで、当面いたします道路の問題といたしましては、まず一つは、今度画期的な、本当に私ども岡山生まれの者にとっては、子供のころからの夢である児島−坂出ルートができます。本当に六十二年というのが一つの節になってまいろうかと思います。しかし、それができた時点で果たして背後の交通がうまくさばけるのであろうかという心配を、県民各様にしております。と同時に、県民のみんなといたしましては、たとえば新幹線が倉敷まで来ているときは、局長おっしゃったように、吉備文化をみんな見に来ますね。それが博多へ行ってしまうと、もう岡山におりる人はおらぬようになってしまう。これは施設がない、道路が悪い。と同時に、また受け入れ体制も、しっかりちゃんとバスも入ってお客さまも泊まれるという状態をつくらなかったというようないろいろな問題があろうかと思います。また、瀬戸大橋ができますと、そういうことで素通りしていってしまうのじゃないだろうか。県民の事業とか、たとえば農業に対する熱意、何しろ讃岐うどんに岡山は占領されているような状況になっておりますので、そういう心配も含めて大変心配しているのでございますが、現在懸案となっております山陽自動車道、中国横断自動車道あるいは二号線のバイパス、こういったものをすでに計画され、いろいろと御苦心くださってはおりますけれども、なおそれらの展望をマクロで結構でございますから、どういうことになるだろう、あるいはもう二本ぐらい道路が要るのじゃないだろうか、橋も高梁川にもう二本要るというぐらいに、地元ですので思っておりますが、その点も含めまして、展望をちょっと聞かしていただきたい。
  131. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま瀬戸大橋の完成に伴う山陽自動車道等の高速道路、二号線バイパス等についてのお尋ねがございましたので、御説明を申し上げます。  まず山陽自動車道でございますが、先生御承知のとおり、岡山−福山西間七十二キロメートルでございます。これにつきましては、岡山−倉敷間十六キロメートルが四十八年十月に、倉敷−福山西間五十六キロメートルが四十七年六月に整備計画が決定されまして、道路公団にそれぞれ施行命令を出しておるところでございます。現在、地区単位ごとに地元と協議をいたしまして用地買収を進めているところでございますが、残念ながら一部の地区におきまして、環境問題等からまだ立ち入り測量ができないというところもございまして、私ども、道路公団に、鋭意誠意をもって地元方々にお話をして御協力を得るようにということを言っているわけでございます。瀬戸大橋供用の時期に合わせるべく努力をいたしたいと思っております。  なお、まだ基本計画の段階でございます備前と岡山の間につきましては、中国地方建設局におきまして、次の段階でございます整備計画を出すための調査を鋭意進めているところでございます。  中国横断自動車道でございますが、これは中国縦貫道から北の区間が先に出ておるわけでございまして、岡山−川上間七十九キロメートルにつきまして基本計画が出、さらに落合−川上間の整備計画が決定をしております。落合−川上間につきましては、山陽道と同様、日本道路公団において諸調査を進めております。これはまだ路線発表をいたしておりませんが、調査がまとまり次第路線発表をするという予定にいたしております。  なお、基本計画区間でございます岡山と落合の間につきましては、これは高梁の奥を通りまして、有漢のあたりを通りまして落合に達する路線でございます。備前−岡山間と同じように、中国地方建設局におきまして整備計画を出すための調査を進めているわけでございます。  次に、二号線関係でございますが、岡山バイパスにつきましては、これも先生十分御承知のとおりと思いますが、いわゆるブルーラインからつながります西大寺の君津インターから倉敷市の大西までの二十八・三キロメートルにつきまして、二車線の区間もまだございます、それから四車のできた区間もございますが、取りまぜて供用しておる状況でございます。ところどころ、特に倉敷市内で立体化工事をやっておりまして、今後倉敷市役所の移転もございますので、古城池線との立体交差をまた進めようかというふうにしております。  なお、瀬戸大橋の供用にあわせまして、倉敷−茶屋町線の県道がございます。これから同じく県道早島−吉備線までの間が三・五キロメートルございますが、この区間は六車線にいたしたいというふうに考えております。  二号線のバイパスでもう一つ大きいのは玉島バイパスでございます。総延長九・三キロでございまして、岡山バイパスのつながる区間でございます。     〔主査退席、岡田(利)主査代理着席〕 玉島市内が大変混雑をいたしておりますので、その区間を特に急ぎまして、前後に都市計画道路ないしは県道がございますので、ちょうど玉島の中間部分の二・九キロを優先区間といたしまして早期に開通をしたい。その他の区間につきましては、瀬戸大橋の供用に合わせて、高梁川の橋も含めまして使えるようにいたしたい、そういう予定でございます。
  132. 林保夫

    ○林(保)分科員 時間がございませんので一言だけ。  六十二年の瀬戸大橋の架橋完成までに、このほかに何か一つあるいは二つ、橋とか道路について私なりに注文申し上げますと、生臭い国道昇格の問題とも関連するかもしれませんけれども、たとえば岡山から新見へ至る百八十号線は総社から切れておりまして、これを西へつないで井原へ抜ける、あるいは北側を行くというようなものがないと、とてもじゃないけれどもさばけない。きょうは御要望だけになるかと思いますけれども、そういう点も少し改めて見直しをしていただきたい。このことを御要望したいと思いますが、渡辺局長さん、いかがでございますか。
  133. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま先生のお話のありましたのは、高梁川にかかる橋のことだと思います。  清音にあります新川辺橋から南へ下がりまして新船穂橋までの間、橋がないということもございますので、確かにその辺の交通処理をどう考えていくか、今後の問題であろうと思います。先ほど申し上げました国道二号線の橋のこともございますので、あわせてそのあたりの交通処理計画につきましては今後とも検討いたしたい、と思います。
  134. 林保夫

    ○林(保)分科員 改めて、ぜひひとつお願いいたしておきたいと思うのでございます。  それと関連いたしまして、昨日も御熱心に建設省の皆さん方においでをいただきまして、高梁川の東西に人が動くという橋の問題あるいは周辺道路の問題がございます。県もいま一生懸命取り組んでおるという実情にあるわけですが、水島への通勤対策として、物流対策として、これまた一日もゆるがせにできないような状態になっておりますので、これも含めまして建設省の方で、いまおっしゃいました橋をかける問題とあわせまして、ひとつしっかり対応していただきますよう御要望しておきたいと思います。また建設委員会の方で別にお願い申し上げたいと思います。  続きまして、道路もそういうあれでございますが、河川の問題で、これまた地元で恐縮でございますが、高梁川につきまして……。  ここにも新聞の投書を持ってまいりましたけれども、今年川の中に生えております木を取り除くという作業そのほか格別の御配慮があったと、つい先々週も地元で聞いてまいりましたけれども、なお西から来る小田川の問題で、堤防が古くなっている、あるいはちょっと雨が降ると切れそうだという問題。と同時に、高梁川本体の柳井原井堰の問題もございますけれども、改修計画をどのような観点で現在お考えになっておられますか、お話を承りたいと思います。
  135. 小坂忠

    小坂政府委員 ただいま御指摘の高梁川の改修状況でございますが、高梁川につきましては、直轄河川として下流主要部分は改修事業を進めております。歴史は非常に長く、大正時代からずっと続けてやっておりまして、現在いわゆる本川部分の堤防につきましてはやや概成という形になっておりまして、むしろ問題点はいま御指摘の小田川筋に重点が移っておるかと思います。  御承知のように、昭和五十一年の十七号台風で非常に危ない状況も発生いたしております。また、昔からこの小田川筋につきましては漏水が頻々と起こるというような問題、それから小田川へ入ってくる小河川の内水の問題、これらを含めまして小田川沿線の治水対策が焦眉の急になっております。  したがいまして、建設省といたしましても、直轄事業としてこれには非常に力を入れておりまして、昭和五十四年度は高梁川全体の予算として五億一千万、五十五年度も公共事業の伸びが前年ほぼ同額に近うございましたので同じ五億一千万ということでやっておりますが、今後も引き続き、ただいま申し上げましたようなことを主体にして、一日も早く安全な状態にしたいということで事業の進捗を図るつもりでございます。  それから、高梁川の改修を含めまして、現在この地域全体の河川を中心とした総合開発計画と申しますか、これにつきまして県御当局が非常な熱意を持たれていろいろの検討を進められておるように聞いております。私どもも、国の立場からもその成り行きを非常に関心深く注目いたしておりますので、それとも相まちまして、今後この辺の治水対策の万全を期していきたいというふうに考えております。
  136. 林保夫

    ○林(保)分科員 御指摘のように総合開発計画、上水、下水両方の問題も絡みまして、地元も大変関心を持って備南地区への対応、こういうことに狂っておりますので、ぜひ建設省の方も積極的にひとつ御指導なりあるいは御鞭撻なりをやっていただきまして、受け入れられるところをぜひ受け入れていただきたいと思います。     〔岡田(利)主査代理退席、主査着席〕  もう一つ、足守川でございますが、工事も大変熱心にやられているような状況に今日なっておりますが、なおあそこは、御承知のように、あるいは農林省の関係も一部ございますが、前川の問題、そしてまた砂川の問題、どれ一つ見ましても古代を思わせるような感じにはなっておりますけれども、新しい対応がちょっとできていないと思います。その辺は堤防を走る道路の問題も一つございまして、矢部橋前後の特に北側の問題がございますが、大体いつごろまでにあの辺がきっちりといけるものなのか、どのようなお考えで進めておられるのか、お聞きしたいと思います。
  137. 小坂忠

    小坂政府委員 ただいま御指摘の足守川でございますが、岡山市、それから倉敷市、総社市、三市にまたがりますいわば非常に都市化の激しい地域の河川でございまして、私どもとしても、この早急な改修をいたすべく非常に重点を置いて進めておる地域でございます。  足守川の当面計画いたしております事業といたしましては、全体計画額三十億ということで計画いたしておりますが、五十三年度までに二十三億程度実施いたしておりまして、あと五十四年、五十五年で三億何がし、四億何がしということで、お金的にはもうほぼ終末に近いわけでございますが、ただいま御指摘のように、まだいろいろなむずかしい問題も残っております。お金だけでは解決しないような問題もありますし、全体の計画を完全に達成するにはまだ若干かかるかと思います。明らかな、いつまでにというようなことはちょっと申しかねるわけでございますが、特に重点的にやっておる地域でございますので、地元方々の御了解、御理解もいただきながら、事業の完全達成を一日も早くしたいというふうに私ども努力する所存でございます。
  138. 林保夫

    ○林(保)分科員 前向きな御答弁、ありがとうございました。  ここに持ってきました新聞の投書にも、川の雑木をこういうふうに片づけていただいて本当にありがたいという声もあるわけですが、高梁川も足守川も、わきを通ってみますと土砂が大変堆積しております。雑木も生えておりまして、これで果たして機能するだろうか。先般の台風のときも、ほとんどすれすれのところまで水位が上がってしまっておりましたが、これらの点については、全国との関連もございますけれども、どういう対応を建設省としてはこれからなさっていかれるのか、お伺いしたいと思います。
  139. 小坂忠

    小坂政府委員 川の中の雑木等が生い茂っておりますことは、治水上は支障があることでございます。ただ、全国の雑木を全部たいらげるということになりますと、これは膨大なお金がかかります。したがいまして、ただいま申し上げました改修事業の進捗等待ちながら、また特にひどいところあるいは少しやることによって非常に効果の上がるところ、そういったところには特に留意いたしまして今後も進めてまいりたいというふうに考えます。
  140. 林保夫

    ○林(保)分科員 昔の砂防工事みたいに村じゅう総出で、農林省の直轄でございましたが、やっておったのを見ておりますだけに、何か一つ方法があれば地元の人もこれに協力するにやぶさかではない、こう思うのでございますが、いずれまたその辺を御検討いただきまして、ぜひひとつ政治の要請である治山治水の方でいい国づくりをやっていただきたいと思います。  最後に。大臣お聞きのように、これは岡山ばかりでなくて、よその県も同じように四十七位があれば四十八位もおる、それから四十六位もおることは間違いございませんが、戦後、考えてみまして、教育の面あるいは福祉の面、これにもなお格差がいっぱいあると私は思います。これを解決しない限り、いろいろな財政負担を国民に要求しましても、みんな、うんと言わないと思います。しかし、なお教育と福祉はかなりの水準で平準化がもうなされたと思いますが、道路そのほかは、土地を持っている人、地元の人の協力いかんによっては仕事ができがたいという面もあって、格差がやはり非常についている、このように思われてなりません。建設省としては、そういう道路ばかりでなくて、先ほど大臣がおっしゃいましたような社会資本の充実その他ございますが、率直に言ってお聞きしたいのは、これからの公共投資の建設省予算の規模でございます。これは私は横ばいじゃどうにもならないのじゃないかと思います。やはりもっともっとふやしていただいて、むしろこれからは、伸びているところを抑えるわけにはいかぬでしょうけれども、なおやはりおくれているところを引き上げていただく、こういうことをお願いしたいと思うのでございますが、ひとつそういう非常に財政困難な中での御展望とそれからそれらに対します御決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  141. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の貴重な御意見、御示唆をいただきまして、大変ありがたく思います。  財政再建中で、財源手当てにつきまして大変困難なときではございますが、具体的な例をお示しになりましたとおり、やはり全国的に地域格差が非常に多うございますので、その点に十分な配慮を持って、厳しい財政事情のもとでございますけれども、何か有効適切に実行してまいりたい、このように考えるものでございます。ありがとうございました。
  142. 海部俊樹

    海部主査 以上で林保夫君の質疑は終了いたしました。  浦井洋君。
  143. 浦井洋

    浦井分科員 まず建設大臣にお尋ねをしたいのですけれども、三月で第三期の住宅建設五カ年計画が終わるわけでありますけれども、公営住宅が七三%、公団住宅五五%というようなことで、相変わらず目標達成にはほど遠いということであります。この目標に対する達成状況について、大臣はどうこの結果を見ておられるのか、どう評価しておられるのか、まず総論的に聞いておきたいと思います。
  144. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 三期五計の住宅政策についての評価の御質問でございます。  先生指摘のように、なるほど公営、公団住宅については残念ながら目標を達成いたしておりません。七三%、五五%というような状況でございますが、公庫住宅の方でそれをカバーして、一応達成率は一〇五%になっております。しかし、それをもってよしとしておるわけではございません。公営、公団住宅の達成できなかったということにつきましては、用地の問題もありますし、あるいは関連した公共施設、まあ地方公共団体というのはなかなか調整が困難な問題、あるいは環境問題で周辺地域の住民の方々の御理解をいただけなかったというような問題も間々あるわけでありまして、全体的に評価と言われますと、まあ達成率から言えば結構だというように思いますし、御指摘のような公営、公団から見ますると、非常に残念な結果になっております。これを踏まえて一つの基盤として、今後の指針として進めてまいりたいと思っています。
  145. 浦井洋

    浦井分科員 よく建設省筋では、住宅の戸数はほぼ需給バランスができたのだというような話があるわけなんで、建設省の統計資料を見てみましても、空き家率が七%あるというようなことをよく言われておるわけなんです。ところが、建設省調査でもよく御承知のように、きょうもある全国紙に出ておりますけれども、その空き家の三分の二というのは人の住めないような状態である、私のおります神戸でも、まだそういう戦前戦後のバラックがたくさん残っておるわけで、そこが空き家になっておるのは住環境の整備が悪いためだ。そこに住んでおるのは大体おしなべて生活保護世帯、あるいは母子家庭、あるいは低所得者、老人世帯というような人たち、とても、建設省が進めておられる持ち家政策というのですか、持ち家を持ちなさいというふうに勧めてみたところで持てないような階層が住んでおられる。いまも言われたように、用地難というようなこともあって、公営住宅が建つのは遠いところである。無理をして都心に建てると家賃はもう何万円もかかる、高くて遠いということで公営住宅にも入れない。だから、俗に言われるウサギ小屋ではなしに、こういう人たちが人間らしい住宅に住めるようなことを保障するのがやはり国の住宅政策の基本でなければならぬのではないかというふうに私は思うわけでありますが、今度新しい五カ年計画をつくられる、そこで言われておるのですけれども、最低居住水準以下の住宅をゼロにする、これは本当にやれるのかどうか。そのために、先ほど私が指摘いたしましたような数字、公営住宅七三%しか達成されておらないというようなことではなしに、少なくとも公団も含めた公共住宅をもっと優先して建てなければだめだというように私は思うのでありますけれども、この辺はどうですか。大臣でも結構です。
  146. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画につきましては、現在住宅宅地審議会の御意見を伺うということで御検討いただいておりますが、御意見をいただきました上で年度内には策定をしたいと思っております。  その第四期の住宅建設五カ年計画におきますところの考え方は、先生からもいまお話がありましたように、第三期の計画に引き続きまして、昭和六十年度を目標に、最低居住水準未満の世帯の方々の解消を図ることができるようにするということと、半数以上の世帯の方々に対しまして平均居住水準以上の住宅を確保することができるようにするといったようなことを重点に置いておるわけでございます。中でも、大都市地域におきまして特に借家居住世帯の方々に最低居住水準未満の居住というのが相当多いというところから、私どもといたしましては、公共の賃貸住宅を大都市地域を中心に建設を進めるといったようなことを考えております。  また、すでに公共賃貸住宅につきましては二百数十万戸に上る既存のストックもございますので、これらのストックの改善、改築あるいは建てかえということを行うとともに、このストックを利用した住みかえを進めていただくというようなことで、昭和六十年度を見通しまして、現在私ども考えております全体戸数の七百七十万戸の見通しのもとに、公的資金によります住宅を三百五十万戸建設をするということで目標を達成したいというふうに考えておるところでございます。
  147. 浦井洋

    浦井分科員 その公的というところには公庫が入るわけなので、公庫ということになるとかなり層が上になります。だから、公共住宅、公団、公営をもっと重視しなければならぬと私は思うわけです。ところが、ここ数年、住宅基本法というものがつくられなければならぬという要望がかなりある。ここ一両日の新聞などを見てみますと、どうも政府の方では、今国会も住宅基本法案なるものを出すのを断念したとかどうとかいうような話が出ておるわけですが、この辺についてはどうなんですか。
  148. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅基本法案につきましては、現在私ども、政府部内で検討を進めているところでございます。また一方で自民党におきましても、プロジェクトチームをつくられて検討を進めておられる、また関係の各党におかれましても、それぞれのお立場で御検討を進めていらっしゃるというような事情もございますので、これらの各党の御意見等も参考にしながら、また調整を図りつつ成案を得たいということで努力しているところでございます。
  149. 浦井洋

    浦井分科員 今国会に出すのか出さないのか、はっきりしないのですけれども、確かにいま局長の言われたように、これからの大都会の住宅というのはやはり都心部に人口を張りつけるという形をとらなければならぬ。高度成長時代の、郊外の遠いところに大規模なニュータウンをつくるというような時代ではなくなったというように思うわけで、きょうある新聞に出ておりますけれども、「モクチンの建て替え政策的に進めよ」というような方向が必要だというふうに私は思うわけです。その場合の既存の手法としてあるのは住宅地区改良事業だろうというふうに思うわけです。  ところが、建設省からいただいた資料を見ますと、住宅地区改良事業の実績というのは、ここ十五年間余り合計いたしますと十万三千四百戸で、目標の二十万五千八百戸に対して五〇%ちょっと出るくらいであるということでありまして、第四期の改良住宅の計画を聞きますと四万戸だということになると、第三期の予定の四万五千戸よりもまだ少ない。だから私は、住宅地区改良事業の手法というものをもっと重視をして、そこに金も物も注ぎ込まなければならぬのではないか、いまこれが必要ではないかというふうに思うわけです。それをやるためには、このきょうの新聞記事には、五十一年に民間木造賃貸住宅実態調査建設省でやられたというふうに書いてあるわけですけれども、少なくとも三大都市圏の中で居住環境の悪化しておるところ、防災上もぜひ緊急に改善事業をやらなければならないところがどれくらいあるのかということをつかまなければならぬというように私は思うわけであります。  私の住んでおります神戸では住環境調査を行って、建設省の皆さん御承知のように、環境カルテというものをつくり上げて都市診断ができるようになっておるわけです。少なくとも三大都市圏であるとか地方主要都市については、こういうような住環境調査が必要ではないかと私は思うわけです。その後に住宅地区改良事業が来るわけですけれども、その前提となるような調査を国が補助金を出してでもぜひ少し綿密に、大規模に実施すべきではないかというふうに私は思うわけでありますが、これは住宅局長ですか。
  150. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしの神戸市等で実施をいたしております環境カルテというような地区の調査、大変結構な措置だと思って私ども歓迎をいたしておるところでございまして、川崎市等においても同様な調査を実施いたしております。今後とも大都市を中心としてこのような調査が進むことを期待をいたしておるわけでございます。  ただいまおただしの、このような調査を推進するために国が補助、助成をすべきではないかという点でございますが、私どもは、このような調査は、本来自治体がみずからの市街地の非常に危険な部分、改良を要する部分を把握し、さらに具体的に整備計画を立てていくということが自治体の本来の仕事だろうと思っておりまして、これはもうぜひとも、何をおいてもまずやっていただかなければならない性質のものではなかろうかというのがわれわれの考え方でございます。都市計画法におきまして、都市計画区域について知事が基礎調査を実施するということになっておりますけれども、この知事が行う基礎調査の結果を、おただしのような地区レベルの詳細な調査にその結果を導入して解析を加えていくというような試みも可能であろうと思いますし、そのような方向で地方公共団体が御努力になることをわれわれとしては期待し、指導をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  あと、具体の市街地内の特定の土地について、たとえば再開発をすぐにも実施しなければならないような地区について、たとえば総合的に再開発事業を促進するための計画というような、直事業につながるような計画については、これは一部国の補助対象として助成していくという考え方でやっておりますけれども、一般的な全市街地を通じた環境カルテというようなたぐいのものについては、これは自治体の本務としてお任せすべきものだと、このように考えておる次第でございます。
  151. 浦井洋

    浦井分科員 斉藤建設大臣にちょっとお尋ねしたいのですけれども、大平内閣以来、地方の時代だというふうに言われておる、やはりいま大都会の中で、一つの大きな社会生活上の問題あるいは防災上の問題として、こういう記事まで出るぐらいの大問題になっているわけなんですよ。だから国は、いま局長の言われたように、本来自治体がやらなければならぬのだから、国は金も出さぬというのではなしに、プロ野球のオーナーではないですけれども、金は出すけれども口は出さぬというぐらいなことでひとつ大臣、やられたらどうですか。その点について。
  152. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生指摘のように、特に過密都市における木賃住宅の問題は、これはもう焦眉の急だろうと思います。一番いいのは、金も出して口も出して早くこの対策をやるべきことであろうかと思いますが、いざとなると諸事情が絡み合ってなかなかむずかしいというような面もございますが、昨今のような災害問題等も起きておりますし、何とか不燃化の問題もあわせて住宅環境の整備をぜひ、住んでおられる方などの御協力も得るのは当然のことながら、都市計画の方面からもあわせて、何とかでき得る限りの助成措置をも勘案しながら、地方に任せるということでなく、国においても積極的な指導で、両々相まって積極的にやる時期ではなかろうかと、かようには考えておるところでございます。
  153. 浦井洋

    浦井分科員 一応前向きのお答えをいただいたというふうに理解をしたいと思います。  これは非常に細かい、具体的な例なんですが、神戸の中央区の旭通三丁目に、そういうかっこうの例があるわけです。二千七百平米のところにバラックが三十八棟あって、四、五十世帯住んでおられる。トイレも共同であるし、戦後のバラックでありますから家賃は千五百円ぐらいです。そこで、何とかしようということで住民の会がつくられて、そして改良住宅、公営住宅のようなものに建てかえてほしいという運動もあるわけなんです。土地の所有もはっきりしないようなところであるわけですけれども、いまのこの住環境状況からいって、緊急に改善しなければならぬと私は見て痛感をしておるわけなんで、神戸市の方も前向きに取り組むと言っておりますので、ひとつ神戸市とも十分協議をしていただいて、国としても事業を進めていただくように、私お願いしたいと思うのですが、一言。
  154. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの地区は、神戸市の三ノ宮駅東土地区画整理事業事業地区内のお話であろうというふうに承っておりますけれども、この地区内におきましても、所要のところにつきましては、区画整理事業にあわせて、たとえば住宅の再開発事業というもので実施をしておられる地区もあるように伺っております。  おただしのような地区につきましても、そのようなお話が地元で進みますならば、私どもとしては大いに結構なお話だと思いますので、よく市当局とも御相談をして、実現に資するように図ってまいりたいと考えております。
  155. 浦井洋

    浦井分科員 そこで、先ほど都市局長の方からお話があった地区計画制度の問題ですが、昨年ミニ開発の規制などを目的にして都計法が改正されて、この制度が四月一日から発足をするのですか。
  156. 升本達夫

    升本政府委員 五月です。
  157. 浦井洋

    浦井分科員 五月一日ですか。——ところが、この全国の三つのモデルの中の一つが神戸にあるわけなんですね。  神戸市長田区真野地区で、ここを見てきたのですけれども、こういう地区計画制度というものを活用しながらやっていく上で、住民が自分たちの町をどうするのかというようなことをかなり自覚を持って運動を進めなければ、とてもやれないというふうに私は痛感をしたわけなんです。真野地区の場合、これは建設大臣にこれを見ておっていただいたらと思うのですけれども、こういうきれいなのができているわけなんですよ。全国三つのうちの一つで、モデル計画づくりをやるということになっておる。三十九ヘクタールですね。人口が八千人、十年前ぐらいは一万三千人であって、現在は住工混合地域であるわけなんです。そこに書いてございますように「真野地区まちづくり検討会議」をつくって、これには自治会長であるとか学識経験者、市の当局が加わってずっと検討をしていて、そして昨年やっと「真野まちづくり構想」がまとまった、この構想が現在住民の中で検討されているわけなんですけれども、かなり戸別訪問的ないろいろな角度からの各層別の運動が錯綜して、それでもなおかつまだまだネックがあって進まないというような状況であるという苦労話をたくさん聞いてきたわけでありますが、こういうようなことを見てみましても、建設省、国が考えておるような計画をつくるだけではなかなか現実性を帯びてこない。だから、現実に何かがなければ意欲も生まれないし、一人一人の住民が詳しい検討もできないということでありますから、そのためにそういう計画をつくるのとあわせて、そういうモデル地区での何らかの事業を組み合わせて、片一方でそういう実績を目で見せながら、そして計画全体を推し進めていく必要があるのではないかというふうに私は思うわけなんですが、これを簡単にひとつ答えてください。
  158. 升本達夫

    升本政府委員 地区計画の策定が、関係の権利者の十分な関心がなければ可能ではないということは、全く御指摘のとおりだと思っております。都市計画法上も、市が地区計画の策定権者でございますが、策定に当たっては権利者の意見をあらかじめ十分聞くという制度になっております。その適確な運用を期待しているところでございます。  それで、この地区計画の実現を図ってまいります場合に、おっしゃるように、これに関連する市街地整備のいろいろな事業がございます。現に補助対象となっている事業が、住宅局関係のものもございますし、都市局関係事業もございます。このような事業をできるならばあわせ行って実現を図っていくことにより、かなりの負担を国が助成することが可能になるということは当然考えられることだと思っております。
  159. 浦井洋

    浦井分科員 これは当然そういう事業が一緒にやられなければ、なかなかうまいこといかぬというように思います。  そこで、そこの地区の問題について二、三要望したいのですけれども、そこの地図で大臣もごらんのように、真ん中辺に十字で点線がずっと入っています。これは現在四メートルの区画街路であるわけなんです。それを六メートルに拡幅することが、その地区の計画を推進していく大きな骨になっておるわけなんですね。ところが、その地域は大体小所有形態になっておりまして、十坪から十二、三坪ぐらいの所有になっておるわけなんです。だから、例の区画整理方式で減歩だということになっても、とても供出するなどということは不可能なわけで、そういう点ではやはり買収方式といいますか、国の補助をつけた買収方式でやらざるを得ないのではないかというふうに私は思うので、これはなかなか簡単には制度に乗らないかもわかりませんが、モデル地区だということで国が目されておるわけでもあるし、ぜひ何らかの形で認めていただきたいということが一つであります。  それからもう一つは、その計画は、北側から住宅地区、それから工場地区と分けて、そして一番北側と一番南側に商業地区を置くというかっこうになっているわけで、いまは混住ですから当然一緒くたになっている。だから住宅地区の工場を工場地区へ移転させなければならぬ、そうなると、その移転先の工場用地の先行取得をやらなければならぬ、そうすると金が要るということで、私の提案でありますが、去年都市開発資金の貸付けに関する法律が改正をされて、都市再開発のための融資は改善されたけれども、いまの真野地区の場合ではこれがそのまま使えないというようなことがあるわけなので、ぜひそういう点で、地域事業が円滑に進むための手当てを国としても考えていただきたい。  この二つであります。
  160. 升本達夫

    升本政府委員 具体の地区について具体の事業をどのように適用していくかということにつきましては、地元の地方公共団体の要請、意向を十分受けて検討させていただきたいと思います。  それから、第二点におっしゃった都市開発資金の適用でございますが、この点につきましては、先ほどおただしの地区計画の施行に伴う政令改正を現在検討を進めております。その政令改正の中の一環といたしまして、地区計画区域内におきまして都市開発資金の活用が図れるように検討いたしております。
  161. 浦井洋

    浦井分科員 いま局長の方から答えがあったわけなんですが、調べてみますと、去年の都計法の改正のときの委員会の附帯決議でも、地区計画実施に対する財政、金融、税制上の助成措置が強く要請されておるわけです。だから、その真野地区を私調べる中で、こういう点が計画を成功させるかどうかのポイントを握っておるのではないかというふうに強く感じるわけなので、ぜひこれは大臣にお願いしておきたいのですが、財政事情が厳しければ厳しいほど、こういうところにこそ重点を入れるべきで、大企業本位の大型プロジェクトみたいなところに湯水のように金を使うようなことは控えるべきだと私は思うわけなんですが、一言、大臣の御意見を伺いたい。
  162. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 大変具体的なものをいただきましてありがとうございました。  実は、私自身もそのような構想でいま進めておるわけでありまして、何とか実現化の方向でいろいろな方途に向かって進めてまいりたいと思います。いろいろと障害があろうかと思いますけれども、せっかく地域方々が前向きでこうした問題について取り組んでおるということについて敬意を表したいと思います。
  163. 浦井洋

    浦井分科員 大型プロジェクトについて大臣お答えにならなかったのですが、関西でいま行われておる大型プロジェクトについて、運輸省の方も来ておられるので、一、二お話をお聞きをしたいと思うのです。  一つは、本四連絡橋の明石海峡大橋についてでありますが、これは昭和四十八年九月に基本計画工事実施計画が策定をされて、四十八年十一月にそれが総需要抑制で凍結をされて、五十年に一ルート三橋ということで実施をされるということになっておるが、去年の暮れから、明石海峡大橋を併用橋ではなしに道路単独橋にしようというような意見が出ておる。これについて、建設省としてはこういう意見をどう受けとめておるのか。さらに具体的には、そういううじゃうじゃした話の中で、建設省として、基本計画であるとか工事実施計画を変更される予定がおありなのかどうかという点が一点であります。これはどうですか。
  164. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 昨年の暮れ以来、そのようなお話が出ておるわけでございますが、先生御承知のとおり、全国的な交通網体系から見まして、ここの区間は道路、鉄道併設ルートということでございまして、併設橋が本決まりになりまして、すでに工事実施計画におきましては、道、鉄併用橋ということで、運輸、建設両大臣認可が出ているわけでございます。  したがいまして、これを単独橋とすることについては、いろんな点で検討しなければならぬ点が多かろうと思います。関係省庁とすでに協議いたしておりますけれども、十分協議の上、どういうことになるか検討をした上で結論を出したいと思っております。
  165. 浦井洋

    浦井分科員 もう一つの問題は、これは関西のもう一つの大型プロジェクトでありますが、関西新空港、これは五十六年度二十四億の調査費がついた、土質調査費だ、きょうの朝日新聞の社説にもこう書かれておるわけです。主としてボーリングであるとか海上観測などをやる。ところが、最近、ここにも書いてありますけれども、ごく一部で神戸沖建設案というようなものが性こりもなく再燃をしてきておるわけでありますが、具体的に運輸省の方で神戸沖を対象にして調査をする予定があるのかないのかという点をちょっとお聞きしたいと思います。
  166. 上村正明

    ○上村説明員 先生指摘の関西国際空港の調査でございますけれども、実は関西国際空港の候補地につきましては航空審議会が、この御指摘の神戸沖の問題も含めまして泉州沖、播磨灘の三候補地につきまして総合的に検討いたしました。それで四十九年八月、泉州沖の海上が最も望ましいと答申しておるところでございます。  運輸省といたしましては、この答申を尊重いたしまして、昭和五十一年度より泉州沖候補地につきまして、五年間にわたりまして総額八十三億円の調査費を投じて調査をしてきているところでございます。  今後とも、私どもといたしましては、航空審議会の答申を尊重してまいりたいと思っておりますし、したがいまして、五十五年度の調査等につきましても泉州沖について行うつもりでございます。
  167. 浦井洋

    浦井分科員 泉州沖の線で調査を進めていかれるというふうに理解してよいわけですね。それが一つ。  それからもう一つ、逆に返りますけれども、明石海峡大橋についてもう一遍尋ねますが、協議した上でということですが、いまのところ基本計画工事実施計画を変えられる予定はないわけですね、その二点だけ最後に……。
  168. 上村正明

    ○上村説明員 先生がおっしゃるとおりでございまして、泉州沖でやらしていただきたいと思います。
  169. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいまのところはまだ具体的に基本計画工事実施計画を変えるというようなところまでの協議には参っておりません。
  170. 浦井洋

    浦井分科員 終わります。
  171. 海部俊樹

    海部主査 以上で浦井洋君の質疑は終了いたしました。  午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  172. 海部俊樹

    海部主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。清水勇君。
  173. 清水勇

    清水分科員 ことし異常な豪雪のために、道路除雪の際に、たとえば路上駐車の車などが支障となって非常な社会問題を起こす、こういうこともあったと思います。私の選挙区にも大変な豪雪地域があるわけですが、こうしたところでは、年々ふえる車だとか、農家の場合には大型農機具が導入される、この格納をどうするかということが一つの大きな悩みになっております。  そこで、住宅を新築をするような場合には、好むと好まざるとにかかわらず基礎を相当高くしなければならぬわけですから、そうだとすれば、その悩みの解消のために、通常でも一・五メートルから二メートルの豪雪地帯、こういったところでは大体基礎を一・五メートルぐらいに上げる、その上に住宅をつくる、こういう仕掛けになっておりますから、そうした基礎を何とか利用することによって車等の格納の悩みというやつを解消したい、こういう希望が非常に強く出ているわけです。  幸いに、去年の七月、私も建設省と折衝したのですけれども、二期分の住公資金から、仮に基礎をワンフロアとみなした場合、三階という住宅の場合には貸付対象にしていなかったわけですが、枠を広げて対象にしよう。これは一歩前進で大変喜んでいるわけです。しかし、そういう前進的な面はあるけれども、実は問題が未解決だというやつが一つある。一つは、防火あるいは準防火地域、この場合には建築基準法で木造三階建ては認めない。これはよく承知しておるのですけれども、申し上げたように、基礎を一・五メートルぐらいにせざるを得ないという豪雪地で、せっかくそれだけ基礎を高くするのですから、たとえば長野県の住宅部などでは、そういう悩みを解消するために、三十センチくらい高くして一・八メートルぐらいまではいわゆる基礎部分として認めていこうじゃないか。当然のこととしてその基礎部分を常時何らかの月内に使うということが前提ではなしに、たとえば一朝有事、豪雪が来るというようなときには車等を緊急避難の場所として格納をさせる、こういうことになりますと、率直に言って、さっき申し上げたように、路上駐車のために除雪の障害になるなんて悩みも解消できるし、道路が道路としての機能を確保することもできる。かてて加えて、車にせよ大型農機具にせよ、雪に埋もれて掘り出さなければならない、こういう点も解決できるわけでありますから、この際基準法上別にそういう規制があるわけじゃないけれども、不動産登記上に一・五メートル以上になると床面積としてみなすなどというような登記準則にかかわる制約等もあるわけでありますから、長野県でこれからとろうとしているような一・八ぐらいまでは純粋な基礎部分として認めていこう、こういう方向について建設当局としてはどういうふうに受けとめられるか、まずお聞きをしたいと思います。
  174. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生指摘のように、建築物の基礎部分を高くいたしましてその上に二階建ての建物を建てるということでありますならば、これはそのままで二階と見ることになりますが、その高くいたしました階を居室であるとか倉庫であるとか、そういったような利用が可能な床としてお使いになるという場合には、建物の階数の算定に当たりましてはやはり三階ということにならざるを得ないという感じがいたします。ただ、もちろんその場合でも、三分の一以上の部分が地盤面下に入っておりますような構造とされました場合には、その部分は地下の階として取り扱われますので、建物としては二階建てなりの制限で済むというふうな点がございます。したがいまして、一般的には三階木造の建物でも建ち得るわけですが、ただいま先生の御指摘のありましたような準防火地域であるとかあるいはまた防火地域につきましては、三階建ての木造につきましては建築基準法上禁止されております。これは御案内のように、防火上、安全上という観点からそのような規制がかかっているのでございますが、現実の問題としまして、具体的に基礎構造部分であるというようなことでお建てになる分については、それはそれとして二階として考えられるのではなかろうかというふうに思います。
  175. 清水勇

    清水分科員 繰り返すようですけれども、この点はたとえば基礎の柱を立てる、そして周囲を外壁で覆うということになれば、時と場合によっては単なる基礎部分ではなしに、そこを常時的に使用する何らかの目的もうかがわれるわけですね。私がいま申し上げているのは、純粋にコンクリートの柱なら柱という基礎だけを、いま一・五ということで登記上の制約がある、これをたとえば一・人とか、二でもいいでしょう、そういうふうにする。そして、ふだんは使わない、こういう場合には、いまの局長の見解で言えば基礎部分としてみなし得る、こういうふうに伺っていいわけですか。
  176. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 これは具体的には建物の構造を確認の段階で見せていただくことになろうかと思いますが、当初から利用を予定していない、あくまでも基礎としてお建てになるということであるならば、それはそれとして階数の算定には入らないだろうと思います。ただいまなかなか微妙な御質問でありまして、当初から居室なり倉庫なりあるいは車庫なりとしてお使いになる予定のものとしてそのような構造、設備を持ったものである場合には、三階として算定しなければいかぬような場合もありますので、具体のケース・バイ・ケースは建築主事の判断になろうと思いますが、あくまで原則は原則として、基礎部分だというような構造の建て方になる場合にはそれとして認定できるのじゃないかと考えております。
  177. 清水勇

    清水分科員 私が伺ったのは、あくまでも基礎部分ということで、ただ高さが一・五という制約がございますが、これがたとえば一・八になる、二になるという場合のことを申し上げたのです。いまの局長の答弁で理解できますから結構です。  そこで次に、いまの関連でちょっと聞いておきたいのですけれども、これは法務省見えていると思いますが、登記準則によると、天井の高さが一・五メートル以上になると床面積というふうにみなしてこれを算入する、こういう取り扱いをされるわけなんですね。しかし、いまの住宅局長とのやりとりで明らかなように、それが純粋に基礎部分である、たとえば外壁をめぐらさないといったような場合には、それを床面積に算入しないということがあっていいのじゃないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょう。
  178. 清水湛

    清水説明員 お答え申し上げます。  お尋ねのとおり、純粋な基礎部分であるということになりますと、周壁がございませんので、その部分は建物の独立の階層を構成する部分とは見ないということになろうかと思います。これは御承知のことだと思いますけれども、建物につきましては法律に定義があるわけではございませんが、大審院以来の判例で、屋根及び周壁またはこれに類するものを有する、土地に定着するということが要件になっているわけでございまして、お尋ねの場合には周壁がございませんので、純粋に基礎部分であるということになりますと、独立の階層にはならない、したがって床面積には算入しないということに相なろうかと思います。
  179. 清水勇

    清水分科員 確認をしておきますが、いわゆる登記準則の百三十六条「建物認定の基準」、こういう規定があるわけでありますが、いわゆる屋根なり周壁またはこれに準ずるようなものがなければ建物とは見ないのだ。したがって、いま言われている純粋な基礎部分、これが一・五メーター以上であっても純粋な基礎部分としてみなすのだ、こういうふうに理解していいですか。
  180. 清水湛

    清水説明員 周壁がないということでございますので、仰せのとおり理解して差し支えないのではないかというふうに思います。
  181. 清水勇

    清水分科員 そこで、要望しておきたいのですけれども、出先一線の登記所なんかへ参りますと、百四十一条の一・五メーターという方が頭に先に入っていて、一・八メーターだとか二メーター近いものということになると、どうもこれは百四十一条にひっかかるのじゃないかといった説を指摘をされる面もあるわけです。さっき住宅局長と私がやりとりしておるように、外周を壁で覆い、何らかの使用目的を持つようなものを床面積に算入するななどということを私は言うつもりはないのですけれども、純粋な基礎部分に限って言えばよろしいということならば、やはり第一線の方にまでこれは周知徹底をしていただきたい。お願いできますか。
  182. 清水湛

    清水説明員 私ども、先ほど申し上げたような考え方は十分に第一線の方にもう周知徹底しているというふうに実は考えているのでございますけれども、なるほど御指摘のように、具体の事案につきましては第一線の登記官がいろいろ判断に迷うこともないとも限らないわけでございます。そういうような意味も含めまして、第一線の方で処理を誤らないように今後も十分に指導してまいりたい、かように考えております。
  183. 清水勇

    清水分科員 お願いをいたします。  そこで、次にもう一回住宅局長にお尋ねをいたします。さっき申し上げたように、公庫資金の貸付対象については一歩前進を見ているわけなんですが、私は融資限度額についてどうしても不合理じゃないか、したがって見直してみる時期に来てはいないかということを申し上げたい。現行では、釈迦に説法ですからくどくど申しませんが、五つのランクがあるわけですけれども、主として豪雪地域等の場合には乙ないし丙というランクに格づけをされているケースが多いわけですね。ところが、現実に豪雪地の場合には、たくさんの積雪に耐え得る、豪雪に耐え得る家屋構造にしなければならぬ。無雪地等と比較すると二割なり三割なりの建築費の割り高という状況になっていることは御承知のとおりだと思うのですね。  そこで、たとえばこれは厚生省関係の資料を見ているのですけれども、例の豪雪対策特借法の二条二項で、社会福祉施設等を建設する場合、単価については北海道適用単価を適用する、こういう規定があるわけですね、ですから、そういう点からも思いあわせて観察をすると、どうもやはり住公資金についても北海道並みの貸付限度額というように見直すべきなんじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  184. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生指摘のとおり、住宅金融公庫の貸付額の限度額につきましては従来から地域ごとの建築単価の実態配慮しながら設定してきておるものでございまして、地域によってそれぞれ差はございますが、私ども、なるべく実態を反映させた形での評価をしていたところでございます。  ただ、全体として建築費が上昇しているという前提に立ちまして、昭和五十五年度におきましては貸付限度額を全国一律に五十万円引き上げるというようなことを行ったわけでございますが、現段階ではある程度の地域差はやむを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。
  185. 清水勇

    清水分科員 五十万円上乗せをされたことは私もよく承知している。だんだんに改善しようとしている努力も評価をすることにやぶさかではないのです。がしかし、現実の問題として、豪雪地なるがゆえに、さっき私が申し上げたように、基礎もそれだけ高くしなければならない。たとえば四寸五分で済む柱を六寸角にせざるを得ない、ときには鉄骨のアングルも使用せざるを得ない。それやこれやを含めて、いずれにしても、最低に見たって建築費が二割以上、常識的に見て三割近くかさむ。これは率直に言って、後で私は自治省にちょっと注文があって聞くのですけれども、固定資産税の固定資産評価の場合にそれがてきめんに出てきているのですよ。  だから、そういうことを考えると、ぼくはやはり地域差というようなものがあっていいのじゃないか、これは一般的には理解をいたします。がしかし、豪雪地等の場合にはそういう家屋構造そのものに特別な手を加えなければならぬ事情があるわけですから、この点について、いますぐここでそうしましょうという御返事はできないにしても、少し前向きに、実情に沿うように検討してみようといった方向が望ましいと思うのですが、いかがでしょう。
  186. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもも、各地域におきますところの建築単価というのはそれぞれの立場からちょうだいをいたしましていままで見てきていたつもりでございますが、先生指摘のようないろいろの地域の実情等、もう少し詳細に実態を勉強していきたいと思っております。
  187. 清水勇

    清水分科員 実態を詳細に点検をされる、実態を把握をされる、これはぜひやってもらわなければならぬことなのですが、実態を把握をされた上で、なるほどこれはいささか手直しが必要だな、こういうように印象づけられる場合にはぜひ貸付限度額の格づけについて再検討をやってもらいたい、これははなはだ恐縮ですが、重ねて希望を申し上げておきます。  さてそこで、次に、時間がないので余り同じところで掘り下げて申し上げるわけにいきませんので、自治省お見えですか。——固定資産税のことについてお尋ねをしたいと思うのです。  実は私、前にも、多分八十七国会の際かと思いましたが、減点補正率の見直しというようなことについて、大臣もおられた分科会でしたからいろいろやりとりをしたことがあるのですけれども、積寒地域についてそれぞれ減点補正率というものが政令で定められているわけですね。  一つの例を申し上げますと、飯山市というのがあるのですけれども、ここの場合は積雪で百分の二十、寒冷で百分の二十八ということになるわけですけれども、頭打ちの措置をこうむるためにトータルをして百分の二十八に抑えられている。したがって、補正という点がきわめて不十分であり、トータルで百分の二十八に抑えること自身、どうも科学的に見て余り合理性がないのじゃないか、こういうふうに感じられてならないわけです。  そこで、せめて合わせて百分の三十五という程度の補正が可能になるような改善を考えるべきじゃないか、こう思うわけでございます。一々詳しいことは申しませんが、さっきから言っているように、何といっても市役所の税務の職員の諸君が、いつも苦情を言われては困って帰るわけですけれども、なぜこんなにうちは固定資産税が高いのか。これは言うまでもなく、さっき申し上げているように、豪雪地の場合、その家屋構造から固定資産の評価というものが高いわけですからそうならざるを得ない。だから、年数の経過に触れてやはりその辺は適正な減点補正があってしかるべきではないのか。雪おろし控除の問題については後で触れますけれども、今国会に法の改正が提案されて一歩を進もうとしているわけですけれども、この面はちっとも改善が見られない。どういう理由なんでしょうか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  188. 渡辺功

    渡辺(功)説明員 お答えいたします。  ただいま積寒地域の固定資産税、家屋につきましての割り増し減価補正についてのお尋ねがございました。これにつきましては四十九年でございましたか、積寒地域における減耗の程度と、そうでない地域における減耗の程度についていろいろ調査をいたしました。その結果は、減耗に若干の差があるということが出てまいりました。しかし、それは多く見積もっても約二〇%程度ではないだろうか、こういうことに相なりました。したがいまして、そこのところで若干の余裕も見まして最高限二五%の割り増し減価を行う、こういうことで現行制度ができたわけでございます。これは政策的にどうこうという問題ではございませんので、そういった減耗の程度の差というものを反映させるという趣旨でございます。  したがいまして、ただいま御指摘になりましたような問題については、積寒地域の地方団体からも問題提起されておりますが、そういう場合には実態的なデータ等が示されれば、私どもは耳を傾けてそれを聞いているところでございまして、そういう態度で今後ともそういうお話があれば検討してまいりたいと考えておりますが、私どもの現在得ております判断では、これを改めて減点補正率を高めるということは必要はないのではないか、現在の制度の中で十分運用できるのではないか、こういうふうに考えております。
  189. 清水勇

    清水分科員 実態に即して具体的なデータが提出されれば検討することはやぶさかでない、こう言われているわけですから、私も関係自治体等に具体的なデータを提示するように求めていきたいと思いますから、その際は少し前向きに検討をするように約束してもらいたい。  率直に言って、いわゆる寒冷地域、つまり比較的雪がなくて寒冷度が高いというところもあるわけですね。寒冷地域だけでも百分の二十八という数字があるわけですね。それにプラスをして、寒冷かつ多雪地で積雪量も多いといったところが、現実には単なる寒冷地と全く同じ損耗なんということはなかなか考えられぬわけですから、その辺はひとつ合理性のあるようにぜひ御検討を願いたい。いいですね。     〔主査退席、関谷主査代理着席〕
  190. 渡辺功

    渡辺(功)説明員 ただいまの御指摘でございますが、寒冷の最高限は百分の十五でございまして、先生、それは積雪との合計でございませんでしょうか。——そういったような状況でございますので、現在私どもが得ている数字では先ほど申したとおりでございますけれども、データが提出された場合は真剣に検討する、こういうふうに考えております。
  191. 清水勇

    清水分科員 ちょっと途中で申し上げた数字がダブって、行き違っちゃっていてあれですが、その点はぜひ具体的なデータを出すようにしますから。  さて最後に、大蔵省見えていると思いますが、先ほども申し上げたように、雑損控除で、所得税法七十二条でしたか、まあ前から主張していたのですけれども、従来の百分の十、十分の一ですかと合わせて、五万円以上の分については見ていこうということになったのは一歩前進だと評価をすることにやぶさかではございません。しかし、率直に申し上げて領収証をつけろとか家計簿をつけろとか言われましても、あらかじめ用意がないというケースもあることは御存じのとおりだと思うのです。かてて加えて、雪おろしを必要とする地域はどういうところであるかということは、第一線の税務署でもう十分把握をしているわけですから、これは申告者の良識を信頼して申告をさせる。証類書類がなければ認めないということは、せっかくの措置が殺されてしまうのではないかという気がするものですから、そういう点をどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせを願いたいと思います。
  192. 冨尾一郎

    ○冨尾説明員 ただいま御質問の雪おろし費用は、雑損控除として税法上は扱われるものでございますが、この雑損控除の趣旨は、家財とか住居とかに損害を受けた場合に、その税負担を個々人の損害に応じて調整をするという趣旨のものでございます。したがいまして、そういう個別事情を税法上調整するといったてまえのものでございますので、雪おろしの場合におきましても一律に地域でやるということではなくて、あくまでも個々人の実際に負担をされた金額に応じて課税上配慮していくというのが法の趣旨だと思いますので、先生のおっしゃるような一律にということは法律の趣旨にちょっと反するのではないかと思います。
  193. 清水勇

    清水分科員 ちょっと誤解されていると思うので、そうじゃないのです。一律になんということは言っていません。個々人がそれぞれの家の雪おろしをやる場合に、雪おろしにかかった費用について、たとえば領収証をつけろとか、領収証がどうしても取れない場合には家計簿を示せ、こういうふうに言われていると思うのです。雪のないところで雪おろしなんということはありっこないんで、第一線の税務署が、大体この地域一つのシーズンで何回ぐらい雪おろしをせざるを得なかったかということは見当がつくわけであります。だからその辺は、一律なんということを私は言っているんじゃなくて、それぞれから申告をするわけですから、領収証等々の証類書類がなければならないというかたくななことを言わなくても、申告者の善意な申告を認めていってはどうか、こういうことを言っているわけです。
  194. 冨尾一郎

    ○冨尾説明員 雑損控除の場合には、基本的には先ほど申し上げましたように、かかった費用に応じてというのが基本でございます。したがいまして、個々のそういう税負担を調整するという制度でございます以上は、現実にお支払いをしていただいた領収証、領収証がなければ家計簿でも結構でございますが、そういう資料をお見せいただいて、ないしは資料の写しを添付していただいて申告をして還付を受けるというのが基本でございますので、その辺でお願いいたしたいと思います。
  195. 清水勇

    清水分科員 ちょっと済みません、一言だけ。  皆さんの、国税庁なんかで対応される方によっては、たとえば家計簿といったってつけてない家庭が少なくない、そういう場合にはメモでもいいとか、自分の手帳にある日幾ら払ったというようなことが記録されていればそれでもいいという話があるのですが、こういうことでもいいですか、
  196. 冨尾一郎

    ○冨尾説明員 ただいま先生のお話のように、領収証がない場合、また家計簿もつけてないという場合でも、たとえば手帳に何月何日、だれに幾らお払いしたということがきちんとメモされてあってその辺の事情がわかるということでございましたら、それでも結構でございます。
  197. 清水勇

    清水分科員 終わります。
  198. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で清水勇君の質疑は終了いたしました。  次に、北側義一君。
  199. 北側義一

    北側分科員 本日は、短い時間でございますが、地元の問題を中心として三問ないし四問お伺いしてまいりたい、こう考えております。  まず、治水事業でございますが、大阪の平野川の河川改修事業、これはもう御承知のことと思いますが、梅雨ときや、また豪雨がありますと、大阪市の南部を中心として民家への浸水事故が頻発しておるわけです。昭和四十七年約八千戸、昭和五十年約一万戸、五十五年約一万五千戸、これが床上、床下浸水、このような被害を繰り返しております。浸水地域になっておりますこの地域は、昔は浸水する個所ではなかったわけであります。ところが、平野川の上流部が宅地化されまして、そうしてたんぼ等にたまっておりました遊水が一挙に平野川へ流れ込む、こういう実態でこのような浸水事故がたびたび起こっておるような実態であります。特に下水から逆流して浸水するというようなそういう事故が、五十四年にしましても、猛烈な勢いで下水から吹き出してくる、そうして浸水する、こういう実態でございます。  そこで、現在、平野川の中小河川改修事業、また平野川分水路は都市小河川改修事業、また第二寝屋川との合流点、ここにはポンプ場を設置して、そしてポンプアップする、このような河川激甚災害対策特別緊急事業で行われておりますが、これらの進捗状況は一体どうなっておるでしょうか。
  200. 小坂忠

    小坂政府委員 お答え申し上げます。  平野川は大阪市の平野区、生野区、東成区等の既成市街地を北流しております淀川水系寝屋川の支川でございます。ただいまお話のございましたように、平野川流域、最近はたびたびの水害に悩んでおるわけでございまして、特に五十四年には相次ぐ出水で浸水被害が生じたというようなこともございますので、激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特という事業でございますが、それに採択いたしまして、五十四年度から五カ年の計画で、平野川分水路から第二寝屋川へ毎秒九十立方メートルの排水を行うための排水機場を大阪府が建設中でございます。また、平野川分水路につきましても、都市小河川改修事業として、大阪市が護岸の整備、河床掘削、橋梁補強、かけかえ等を実施中でありまして、護岸工につきましては十一六キロメートルを五十八年度までに概成し、さらに河床掘削、橋梁工等を促進することといたしております。平野川本川につきましては、中小河川改修事業ということで、大阪府が鋭意促進に努めておるところでございますが、護岸工二十・二キロメートルを五十八年度ぐらいまでに概成させ、さらに河床掘削、橋梁工等を促進することといたしておりまして、これらを含め、この地域の治水対策をなお一層推進していきたいというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  201. 北側義一

    北側分科員 次に、五十六年度の新規事業で、平野川の都市河川緊急事業についてお聞きしたいのですが、この事業計画、おおむね五カ年間を目途に、総事業費二百億で地下に貯水池をつくり浸水対策の一環とする、このように聞いておるわけです。大阪市の計画では新年度予算に四億円を要求されておる。平野川分水路の合流点から都市計画街路の下に口径十メートル、全長二キロメートルのトンネルを掘ってそこに貯水するという方法ですが、約十六万トン貯水される、私はこう聞いておるわけです。この地域の人たちは、御承知のとおり、非常に零細企業の方が多くて、そうして浸水するたびに商品がその被害に遭って大きな被害を出しておる、こういうことで、こういうやり方、こういう方法というのは恐らく全国で、ないのじゃないかと思うのですが、これについてはこのめどなり、また浸水被害が果たしてこれで解消されるのか、そういう声が多いわけです。それについてはいかがでしょうか。
  202. 小坂忠

    小坂政府委員 ただいま先生指摘のような、都市河川の問題の中でも、特に排水メカニズムが最近急激に変わって、それによって水害を助長しておるというようなケースが間々見られるわけでございまして、それらに着目いたしまして、私どもといたしましても何か新しい施策を試みる必要があるというようなことでいろいろ検討を重ねておったわけでございますが、五十六年度から新規事業として都市河川緊急整備事業というものを考えまして、財政当局の御理解も得てこれを実施したいということで、それの第一番の候補地としてこの平野川を予定いたしておるわけでございます。  ただいま先生のお話のように、下水道等の整備の進捗度と私どもの河川事業の進捗度との整合を急激に図らなければならぬというような地域につきまして、これらに対処するために五十六年度から、ただいま申し上げました都市河川緊急整備事業というものを発足させまして、この場合、特に内容としましては、主に調節池あるいは分水路等をおおむね五カ年程度を目途といたしまして概成させるようにしたいということで、必要に応じまして国庫債務負担行為の活用等も図りながら計画的に進めてまいりたい。このやり方は、大阪における平野川のほかに、東京都におきます神田川、石神井川、あるいは横浜市の帷子川、これらにおきまして五十六年度から始めたいというふうに考えております。特に平野川につきましては調節池を設けることといたしまして、従来から進めてまいっております中小河川改修あるいは都市小河川改修、それから激甚災害対策特別緊急事業、いずれも先ほど御説明申し上げましたようなこの事業らとあわせまして、この地域の浸水被害を少しでもあるいはまた一日でも早く解消したいということで今後努力を続けてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  203. 北側義一

    北側分科員 この計画は、大阪市の計画ですと、都市計画街路の下ヘトンネルを掘ってやるというやり方でございますので、都市計画街路が用地買収とかいろいろ問題があるわけです。その点もどうかひとつよく話し合っていただいて、ぜひとも強力にこれを進めていただくようにお願い申し上げます。  次に、阪神高速道路公団が行っております大阪−松原線についてお伺いしたいのです。  御承知のとおり、西成の山王を起点に松原市の大堀町まで全長約十一・二キロ、これが昨年の三月に供用されたわけでありますが、供用されましてから、私もちょうどこの高速道路の横におりますのでたびたび利用はしておるわけでありますが、ここは非常に交通量が多いわけです。そこで、地域住民の間からこの大阪−松原線のランプ工事について、現在、松原の三宅、それから瓜破、このランプがあるわけです。しかし、その途中に文の星とか駒川、それから平野、こういうランプができる予定になっておるわけですが、これはいまだできておりませんので、途中からこの高速を利用なさる方が非常に不便をかこっておられる、こういう実情でございまして、当然接続街路の工事関係等、いろいろあるわけでありますが、大体おくれの理由はどのようなものなのでしょうか。
  204. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、大阪−松原線のランプは全部で六カ所ございますが、そのうち喜連瓜破、三宅の二カ所はすでに開設、供用されております。そこで、残る四カ所について簡単に状況を御説明申し上げますと、まず中心部の方から順次まいりますが、文の星ランプと駒川ランプでございますが、御承知のとおり、現在この大阪−松原線に隣接並行いたしております南海電鉄平野線、これが昨年十一月廃線になりまして、その軌道の撤去工事が行われておりますので、その工事の完了を待って、これが側道に変わりますので、その側道に取りつけるというランプ工事に着手する予定でございます。  それから、平野ランプの工事でございますが、これも御承知のとおり、すでに完了しているわけでございますが、これに接続いたします都市計画道路新庄−大和川線、これの一部が土地収用の手続がかかっておりまして、現在手続進行中でございまして未開通でございますので、ランプの供用が行われていない状況でございます。  それから、最後に大堀ランプでございます。これもランプ工事はすでに完了いたしております。が、これに接続いたします都市計画道路堺−松原線の工事が、これは松原インター付近の総合的な環境調査環境対策の面でいろいろ地元住民の方との協議が進行中という段階でございまして中断をいたしておりますために、ランプの供用がおくれている、こういう状況でございます。
  205. 北側義一

    北側分科員 理由は大体わかったのですが、供用は大体いまめどがつきますか、もし、めどがついているようでしたらお教え願いたいと思うのです。
  206. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまの順に逐次申し上げてまいりますと、まず文の星ランプ、駒川ランプでございますが、南海電鉄の軌道撤去工事が完了し次第ランプ工事に着手する予定でございまして、五十七年度末完成を目途といたしております。  それから、平野ランプにつきましては、先ほど申しました都市計画道路の関係土地収用の裁決が、現在五十六年度の中ごろに予定をされておりますので、五十九年度末にこの都市計画道路の工事が完成する見込みでございます。したがいまして、これと同時にランプの供用ができる、こういうふうに考えております。  それから、大堀ランプにつきましては、五十六年一月に環境調査環境対策について地元住民の方々と基本的合意が成立いたしたというふうに伺っておりますので、間もなくこの都市計画道路堺−松原線の工事は、大体ことしの三月に再開という運びになったと聞いております。今後五十七年度中のできるだけ早い時期に工事完成を図り、ランプの供用を行うということにいたしたいと考えております。
  207. 北側義一

    北側分科員 ひとつよろしくお願い申し上げます。  次に、同じく近畿自動車道の建設工事ですが、近畿自動車道天理−吹田線、これが昭和四十五年の大阪万国博覧会開催時の開通を目標として三十六年当時より用地買収がなされておるわけです。松原−吹田間約二十七キロ、これが昭和四十三年に整備計画が策定されまして、昭和四十四年四月に建設大臣より第二次施工命令がおりております。現在吹田−東大阪北間十四・七キロが供用されておるわけでございますが、東大阪北−松原間十二・九キロが現在建設工事中です。これは埋蔵文化財の発掘調査等で工期がおくれておるということは私も承知をいたしておりますが、建設委員会でも昭和四十七年十月に現地を調査いたしております。それからすでに八年数カ月たっておるわけです。余りにもおくれがひどいのではないか。特に朝夕のラッシュ時は、私は中環状を行っておりますが、大変な混雑なのです。  これについて現況と完成目途はどうなっているか、お伺い、したいと思います。
  208. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 大変おくれまして御迷惑をかけておりますが、東大阪北−松原間につきましては、もう用地は全部終わっておりまして、埋蔵文化財の調査をやっておる最中でございますけれども、五十八年度には文化財関係調査が大体終わる予定でございますので、この調査の終わったところから逐次工事を始めるというような方式をとっておりますので、何とか六十年代の初め、予定としましては大体六十一年度ぐらいには何とか開通をさせたいというふうに考えております。
  209. 北側義一

    北側分科員 そうすると、これはまだあと五年ばかりかかるわけですね。この遺跡については当然文化財保護法に基づく協議をなされまして作業を進めておられる、こう思うのですが、発掘調査と建設工事の工程について現在どうなっているのか、また今日まで発掘調査にどれほどの費用がかかったか、もしわかっておるようでしたらお教えください。
  210. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 この十二・九キロメートルの区間につきましては十三カ所、約二十二ヘクタールに及びます埋蔵文化財が確認されているわけでございます。施行命令を出しました後、道路公団が大阪府教育委員会並びに財団法人大阪府文化財センターに委託をしまして、五十一年度より発掘調査を進めているわけでございますが、これに先立ちまして四十六年十月から、この発掘の方法をどうするか、掘り出したものの保管等をどうするか、その費用をどうするか、こういった協議を始めまして、五十一年から実際に発掘を始めた、こういう状況でございます。十三カ所の文化財のうちすでに三カ所が発掘が終わっておりまして、先ほど申し上げましたように、五十八年度には全個所の発掘を終える予定である、こういうことでございます。  なお、この十二カ所の発掘に要した費用のお尋ねがございましたが、ここの地帯がいわゆる重層の遺跡があるというふうなことでございまして大変巨額でございまして、実は全体で八十二億円というふうに予定をいたしております。
  211. 北側義一

    北側分科員 いわゆる埋蔵文化財の問題があるので、ある程度工期がおくれるのはやむを得ないのかもわかりませんが、たとえばこのたびの近畿自動車道の松原−泉南間、これにつきましても、聞くところによりますと二十四カ所の埋蔵文化財が確認されている、このように言われているわけです。御承知のとおり、和歌山−大阪間というのは第二阪和がありますが、これが随所で切れておる、そうしますと、現在使用されておるのが国道二十六号、これが混雑が大変なんです。和歌山県側からも強い要望、早期完成をしてもらいたいという要望が出ておるわけです。ある人なんかは、大阪から名古屋へ行くか、また岡山あたりまで行く方が、大阪−和歌山間よりずっと早く行ける、このような実態。私自身もたまに和歌山方面に行く場合に、これは大変な混雑です。このことはもうよく御承知だと思うのです。  そうしますと、現在二十四カ所の埋蔵文化財が確認されておりまして、これから協議に入られる、こう聞いておるわけですが、このようなことで果たしてこれ一体いつできるんだろうかというような疑問を私自身が持つわけなんですが、これらについてはどのようにお考えでしょうか。
  212. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生御承知のとおり、私もつい先ごろまで近畿地方建設局におりましたので、この大阪−和歌山間の混雑ぶりにつきましては十分承知をいたしております。第二阪和国道があと間もなくて開通はいたしますけれども、これは平面道路でございまして信号も多いというようなことでございますから、この近畿道の和歌山線を何とか早くやりたいわけでありますが、ただいまお話がございましたように、二十四カ所の文化財がある、全体の道路にかかります面積が五十四ヘクタールで、先ほどの東大阪−松原間に比べまして倍以上というような面積になっているわけでございます。したがいまして、これを従来と同じようなやり方をしたのでは、本当にいま御指摘のように、いつになったらできるかということがあろうかと思います。そこで、東大阪北−松原間でもやったわけでございますが、全面的に掘るのではなくて、まず予定しております道路の真ん中を、トレンチと言っておりますが、みぞをずっと掘りまして大体の遺跡の状況を把握をする。その状況によりまして、たとえば高架構造でございますと橋脚を立てるわけでございますが、大体この辺なら立てていいであろうという目安をつくりまして、その周辺だけを重点的に掘る。それからさらに、掘るにつきましても、トレンチを掘った状況から見まして、たとえば上の万五十センチはもう何もないということがわかれば機械を入れまして機械で掘ってしまうというようなことを、だんだんやっておりますうちに知恵がついてきたと申しますか、協議が調いまして、そのようなことで効率化を図った次第でございますが、今後調査に入ります松原−阪南間につきましても、一番大きいのは黒姫山遺跡であるとか深田遺跡であるとかいろいろあるわけでございます。この東大阪北−松原間のような重層構造の文化財は、幸いと申しますか何と申しますか、余りないという話でございますので、教育委員会等とも十分協議をいたしまして、文化財を尊重しながらも工事の工程をなるべく上げるという方向を協議して進めてまいりたいと思っております。
  213. 北側義一

    北側分科員 そういう効率的なやり方でやっていただかなければ、とてもじゃないが、これはめどが全然立たないと思うのです。第二阪和はあのような状況ですし、局長さんも御承知のとおりです。  そこで、私は大臣にお願い申し上げたいのは、こういう文化財の協議に当たりましては、地方の教育委員会と工事の当事者で協議なさっておられるわけですが、私はこの問題につきましては中央レベルでも文化庁と大臣が話し合っていただいて、できるだけ早く工事に着手できるようにやっていただきたいわけなんです。先ほど申し上げましたとおり、いまから八年半ほど前に建設委員会でもお伺いしていろいろ実情調査をしましたが、それから八年半たってもまだいまだにそんな状況でございまして、私ら見ておりまして、果たしてこれでつくってもそれだけの効用があるんだろうかというような疑問を持つわけなんです。やはりこれは中央レベルである程度の、たとえば高架構造の場合ですとその支柱というのですかね、そこは当然早く調べるとか、何らかの方法を講じてやっていただかなければ、非常に莫大な資金を投下してやっておるにもかかわらず、その資金の生きた使い方がなされておらない、そのように思えてならないわけです。特にこの大阪−和歌山線、いわゆる近畿自動車道の和歌山線というのは和歌山県側からも強い要求がありまして何とか早くしてもらいたい、これは大阪府に対しても強い要望が出ておるような次第なんです。  そういう点で二十四カ所、重層のものはないとかいうお話でございますが、何とかこれは文化庁と大臣と折衝していただいて、これは当然自治省あたりも問題が出てくると思うのですが、ぜひとも協議をやっていただいて、もう少し工事がスムーズにいくようにひとつ取り計らってもらいたい、このように思うのです。
  214. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御提案の趣旨はよくわかります。前向きで取り組んでまいりたいと思います。
  215. 北側義一

    北側分科員 では、もう時間ですから、これで終わらせていただきます。
  216. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で北側義一君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  217. 米沢隆

    米沢分科員 私は、住宅金融公庫の貸し付けに所得制限が導入されるという問題に関連いたしまして、若干の質問をさせていただきます。  まず最初に、住宅不況という問題についてでありますが、御承知のとおり、わが国の住宅建設は、昭和五十一年度以降、新設住宅着工戸数で見て、年間約百五十万戸の水準で安定的に推移してまいりましたが、五十四年の秋以降落ち込みが始まりまして、五十五年に入りますと落ち込みは一段と激しくなり、特に昨年の七月からは前年同月比で約二〇%台の減少を見せております。この調子でいきますと、五十五年の住宅着工件数は百三十万台を割ることは必至であろうと言われておりまして、もしそのようなことになりますれば、これは第一次石油ショック後の不況期でありました昭和四十九年の百三十一万戸を下回ることになるわけでございます。特に、全体的には景気は調整局面に入っているというそのさなかでのこの顕著な住宅不振でございますから、大変大きな問題があると思うわけであります。  この問題を形態別に見ますと、貸し家の落ち込みに続きまして、持ち家の需要減退が目立っておると言われております。同時に、この住宅着工件数の減少と符合いたしまして、建設業の倒産件数が激増しておることも御案内のとおりでありまして、手元の資料によりますと、昭和五十三年四千四百二十三件であった倒産件数が、五十四年には四千五百十九件にふえ、五十五年にはいわゆる五千台を突破いたしまして五千百件になっておりまして、住宅投資の不振、公共投資の執行抑制の影響等が如実に反映されておると言われておるわけであります。  そこで、この住宅不況、住宅建設着工が大変鈍化しておるという問題と建設業界の倒産累増傾向、こういうものを建設省としてはどのように受けとめておられるのか、その要因と対策をお示しいただきたいと思うのであります。
  218. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私の方から住宅着工の戸数の動向につきまして御説明申し上げたいと思います。  ただいま先生から御指摘がありましたように、昭和五十五年度の住宅建設につきましては、建築着工統計で見ますと、十二月までの累計で九十六万一千戸と、前年同期に比べまして一八・五%の減少を示しております。この落ち込みは、五十四年の下半期から五十五年の上半期にかけましての地価、建築費の上昇のほか、民間住宅ローンの金利の高水準また所得の伸び悩み等によるものであると考えております。最近の状況におきましては、これらの建設の阻害要因となっております地価、建築費の動きにつきましては、建築費は反落傾向を示しておりますし、地価も上昇率が鈍化してきております。また、民間の住宅ローン金利につきましても、昨年十二月に若干の引き下げがありましたこと等を考えますと、住宅建設をめぐる環境も徐々に好転の兆しが見えてきているのではないかというふうに考えているところでございます。
  219. 宮繁護

    宮繁政府委員 中小建設業の倒産の現況は、ただいまお話しのとおりでございます。この原因につきましては、一つは御指摘ございましたように、住宅を中心といたします民間の設備投資等が伸び悩んでおる、あるいはまた公共事業が上半期におきましては抑制的に行われたこと、そういったような総じて景気のかげりがこれに影響しておると思います。  なおもう一つは、元来この建設業の九九%が中小零細企業でございまして、体質が脆弱である、あるいはまた数が全図で約四十九万業者ございまして、過当競争等も行われておる、こういうようなことが原因になって今日のような状況を招来していると考えております。
  220. 米沢隆

    米沢分科員 いま現状の説明と原因等についてはお聞かせいただきましたが、その原因となっておるものの対策、一体どういうふうなかっこうでいまおっしゃったような要因について解消する方向をとられておるのか、その点が答弁漏れておりますから、その点をお伺いしたいと思いますし、同時にこの住宅不況、先ほど局長の方からは、土地もある程度鈍化し始めておるとか、あるいは高金利もこの前の金利の引き下げである程度下がったとかいう話でありますけれども、先行きが一体どうなるものか、その点も踏まえて御説明いただきたい。
  221. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもの方といたしましては、まず一つには、公的資金によりますところの住宅建設の確保でございますが、五十六年度の予算におきましては、特に公庫の関係でございますが、国民の要望にこたえました持ち家対策を円滑に推進するという立場から、基準金利の維持あるいはまた無抽せんによりますところの貸し付けに必要な戸数の確保といったような制度の根幹を維持いたしますとともに、比較的所得の低い方々に対しますところの持ち家対策として、地域特別分譲住宅制度を創設するなどの措置を講じまして、その促進を図りたいと考えているところでございます。
  222. 宮繁護

    宮繁政府委員 建設業の不況対策といたしましては、当面の対策といたしまして、金融につきまして倒産関連特例保証制度におきまして、昨年九月から建設業が不況業種に指定されておりますけれども、本年四月以降においてもさらに延長指定を行うように努力したい。それから政府系の中小企業金融機関の中小企業倒産対策貸付制度の利用につきまして、今後ともこの周知徹底を図ってまいりたいと考えております。  それから住宅の見通しにつきましては、いまお話がありましたけれども、公共事業の執行に当たりましても、すでに第三・四半期からかなり積極的に執行を行ってまいっておりますし、第四。四半期におきましては、年度内にできるだけ消化に努めるように通牒も発したところでございます。  それで、来年度はどうかというお話でございますけれども建設省におきましては、所管事業の執行方針といたしましては、基本的には経済情勢の推移に即応して機動的に対処してまいりたいと考えております。  なお、現在五十六年度の建設投資の見通しをいま試算をしておりますけれども、御承知のとおり五十五年度は名目では九%程度伸びると見込んでおりますけれども、実質では四%ぐらいマイナスになりそうでございますが、五十六年度におきましては名目で六%程度、実質で三%程度伸びるのではないか。こういうふうに徐々にいい方向に向かっていくことだろうと考えております。
  223. 米沢隆

    米沢分科員 そこで、今度の住宅金融公庫のいろいろな貸付条件等々、いい面もたくさんあったことは承知しておりますけれども、問題は、例の所得制限の導入という問題と、もう一つは五十六年度のいわゆる貸付戸数というのが前年より下回っておる。結果的に貸付戸数を下げて、所得制限を導入するということは、いまおっしゃったように先行きを見ましたときに、やはり私は後退しておるというふうに考えざるを得ないのでございまして、そういう意味で、なぜ前年を下回る水準、もうそういう五十一万戸ぐらいしかできないよと読んだのか、それとも、もう少し強力に誘導策として、なぜ前年の水準ぐらいを維持できなかったのかという問題をひとつお答えいただきたい。  同時に、労働省の方来ていただいておりますが、御案内のとおり業界は大変な状況になる。これからの状況も見なければなりませんけれども、御承知のとおり建設業退職金共済組合の預託融資制度というのがありますね、それはいま折衝中だということでありますが、でき得るならばこういう業界対策に積極的に融資の拡大をしてもらうような方向をとっていただきたいと思うのでありますが、その問題を労働省の方に御答弁いただきたい。
  224. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅金融公庫の融資の戸数につきましては、私ども今後の見通しといたしまして、大都市における社会増がある程度安定したということ、あるいはまた今後の住宅を必要といたします世帯の増加率等も若干低くなっておるといったようなことを考え合わせまして、また公庫の融資の中におきましての弾力性による対応等々を考えまして、昭和五十六年度におきましては総戸数五十一万戸程度をもちまして運用することによって、先ほど申し上げましたような無抽せん方式による貸し付けが確保できるというふうに考えたところでございます。
  225. 石岡愼太郎

    ○石岡説明員 建設業退職金共済組合におきましては、余裕金の運用の方法の一つといたしまして、一定枠の関係金融機関に対する定期預金を設定いたしまして、これにあわせまして当該金融機関より、共済契約者でございます中小企業の建設業者への事業資金の融資が円滑に行われるような措置、いわゆる預託融資制度を昭和五十年十一月から実施いたしております。本年度の場合はこの預託枠は五十億円を計画しておりますが、この制度の拡大につきましては、導入預金との関連の問題あるいはまた資産の効率的な運用の確保の必要性から配慮すべき問題もあるところでございますが、先ほど来先生指摘のような現下の建設業の状況にかんがみまして、労働省といたしましては、事業資金融通の道が拡大できるよう検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  226. 米沢隆

    米沢分科員 次に、第四期の五カ年計画が作成されておりますけれども、その中で持ち家推進対策を数字的にあるいは対策的にどういう位置づけをなされておるのか、その点をお伺いしたいのでございます。  第四期の住宅建設五カ年計画を見ておりますと、公的資金による住宅建設戸数は、トータルとしては第三期計画に比べまして変わりはございませんけれども、その中身が、御承知のとおり公営住宅で十三万五千戸も減っておりますね。あるいは公団住宅で十一万戸も減っておるわけです。説明によるとほぼ実績を借用してということでございますけれども、トータルが約八百五、六十万から七百七十万になったのですから、百万くらい減る中で公営、公団ががくっと減るというのは相対的に相当大きな重みのマイナスであり、同時に公庫住宅が約三十万戸ふえておりますから、そういう意味では、減っている中でふえるのですから、ふえる割合は相対的にぐっと立場を強化しているというか地位が高くなっている、こういうふうに見ざるを得ないわけでございます。そういう意味では、いわゆる国が金を出す部分、この部分がぐっと減って、結局自分たちで金をためて勝手につくれという方がうんとふえておるわけでして、そのかわり八百万の所得制限を入れるという、大変矛盾していると私は思うのでございます。同時に、ローン地獄なんという言葉がよくありますけれども建設省の資料を見ておりましても、大体五十四年度で償還金の延滞件数が三万一千百二十二件、貸し付け件数の〇・八七%、パートとしては大変少ないようでございますけれども一つ一つを見ますと、一家心中事件があったり、母ちゃんが働きに出てとうとうおかしくなったり、個々にはやはりいろいろな問題点が出ておることは事実なんでございまして、そういう中にあっていろいろな制度が改変される、そのかわり次の五カ年計画では持ち家推進という数そのものは相当のウエートを示される、どうもやることとなすことが矛盾しておるような気がしてならぬわけでございまして、そういう意味で、第四期の住宅建設五カ年計画の中で、持ち家推進というものがどういう位置を占めて、そのためにどういう対策をなされようとするのか。現状の対策といいますか、現在の政策そのものをただ追認するかっこうで、毎年毎年大蔵省との折衝の中で予算が取れた分だけやるのだ、こんな議論をされておったのではどうもわれわれは納得できない、そう思うのでございまして、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  227. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画につきましては、現在政府部内でその策定のための準備を進めているところでございますが、この計画案におきましては、昭和六十年度までに総戸数七百七十万戸の建設を見込み、そのうち公的資金によりますところの住宅建設を三百五十万戸というふうに考えております。トータルは八百六十万戸の第三期五カ年計画に比べまして若干戸数は少なくなりますが、公的資金によりますところの住宅の建設戸数は三期五カ年計画と同水準を確保していること、また、この計画期間中におきましては、戦後のベビーブーム世代の方々の世代の成長、それから人口構造の中高年齢化というようなことに伴いまして持ち家需要が堅調に推移するということが予想されますので、これに対応いたしまして、私どもといたしましては、住宅金融公庫融資を初めとする公的資金によりますところの住宅建設の安定的な確保、また住宅公団等によりますところの分譲住宅の建設、あるいはまた諸般の税制上の措置、そういったようなものを総合的に推進していきたいと考えております。その中で特に比較的所得の低い階層を対象といたしました地域特別分譲住宅制度というものを五十六年度に創設することとしておりますが、これらの措置等をあわせ総合的に実施することによりまして、持ち家需要に対する適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  228. 米沢隆

    米沢分科員 三百五十万戸というのがこの前の第三期と同じように確保されておる、結構なことだと思いますが、逆にそういう意味では相対的には持ち家というものの比重が高くなっておるわけでありますから、持ち家が推進できるような対策を今後も強力にがんばっていただきたい、そう思うのでございます。  しかしながら、いわゆる住金をめぐる環境というものは決していい方向には走ってないですね。この前大蔵委員会でもちょっと質問をさせてもらいましたが、問題は例の住宅金融公庫が赤字転落をするという問題でございます。もう言うまでもなく、五十六年度の予算編成におきまして、大蔵省は、財源難を理由にいたしまして、公庫が必要とする補給金二千七百八十七億のうち、一般会計から二千百二十六億円の支出しか認めずに、残る六百六十一億円は財投資金からの借入金で処理する措置をとったため、公庫発足以来初めて赤字団体へ転落する、こういう新聞報道がなされております。話を聞かせてもらいますと、赤字計上をしました六百六十一億円については、五年がかりで約五分の一ずつ年を追って一般会計で措置するという話ではありますけれども、こういう措置がなされることが持つ意味というのは、私は大変大きな問題があると思うのです。いまでさえ住宅建設は冷え込みかげんです。同時に、住宅不況の最大の要因は、やっぱり勤労者の実質賃金等が減ってきて先行きがどうも見えないという心理的なファクターが大変多いと思うのです。そうした中で今度は歴史始まって以来補給金を分割でやりましょうという話が出てきて、それを唯々諾々と——そういう表現がいいかはわかりませんが、受けとめられて、結果的には大蔵省に押し切られておる、これは、われわれ国民立場から見ますと、とうとう住宅金融公庫も大変なことになるぞ、ひょっとしたら条件の改悪がこれからあたりまえのごとくに毎年予算折衝のときには出てくるのではなかろうかという気持ちを抱かざるを得ないと私は思うのでございます。大体収益事業を持たない公庫に赤字六百六十一億円を持て、それも財投から借りろ、こんなことをなぜ受け入れられるのか、どういう理由によってこういう措置建設省の方は受け入れられたのか、その点を経過と真意を聞かしてもらいたいと思うのです。
  229. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅金融公庫の五十六年度の予算の中身につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたような数字になっているわけでございますが、公庫につきましては、御案内のとおり、資金運用部からの借入金と公庫の貸付金との金利差及び貸し付けに必要な手数料とか事務費等の経費を、損益上の損失補償として従来一般会計から補てんされてきておったところでございます。ただ、この補給金の額が最近においては年々増大しておるということと、五十六年度におきましては国の財政状況がきわめて厳しい状況にあるというようなところから、私どもといたしましては、公庫の基準金利あるいはまた無抽せん方式によりますところの必要な戸数の確保といったような公庫の根幹を維持するというような立場に立ちまして、一時的に国が公庫の補給金につきまして五カ年間で措置するといったようなこととしたのでございまして、この五カ年間に措置する間につきましては、いわゆる財投からの借り入れをしていただく。しかしながら、その借り入れをしていただきましても、公庫につきましてはその借入金に係る利子補給につきましても計上しているところでありますので、そうしてみますと、公庫そのものの仕事をしていく上には差し支えない。ただ、後年度に国が補給をすべき額が若干ふえるということはございますが、そのことは、国の方で基本的に補給するという方針には変わりはございませんので、やむを得ない措置として考えたところでございます。
  230. 米沢隆

    米沢分科員 一時的に今年限りというようなニュアンスで御答弁いただいておりますが、財政状況が来年はまた一段と明るくなる可能性もそうありませんね、そういう意味では、一時的にというこの措置が、来年もまた似たようなかっこうでことしの制度に上乗せされてずっと累増していく、どうもそういう傾向になるんじゃなかろうかという気がするのでございまして、来年のことを言うと鬼が笑いますが、少なくとも来年においてこの一時的な措置が恒常的な措置にならないようにぜひ御努力をいただく、その決意を示してもらいたい。  それからもう一つは、大蔵省はそういうことで大変なんだと。確かに補給金がぐっと伸びていますから、大変なことはよくわかります。しかしながら、その大変さを理由にしましてこういうようなかっこうで赤字を公庫に計上させるとか、そのかわりそういう厳しい情勢をそういうことによって大蔵省が皆さんに強制されることによって、これから先また住金の貸し出しのいろいろな制限が入ってくるんじゃなかろうかという心配もあるわけです。今回は八百万円というわけのわからぬ数字で所得制限が行われようとしておりますが、これから先、また建築面積の制限だとか所得制限の強化だとか、あるいはまた金利をいじるとか、あるいは段階的な金利を入れようとか戸数の枠を減らしてしまおうとか、いまから家をつくろうという連中にとっては、明るい方向にこの住金の貸し出しが動いておるというよりも、マイナスの方向に動きつつあるという感じがしてならぬのでありまして、その点をぴしっと受けとめて、公庫の融資を確保し、貸出条件を有利なものに維持していただく、その役目としては皆さんしかいないわけでございまして、そういう意味で来年の、いまから始まるそういう予算折衝等々、ぜひ改悪はさせないという決意もあわせて述べていただきたいと思います。
  231. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘のとおり、住宅金融公庫の低利融資は、国民の持ち家取得を円滑に進めていくという立場、あるいはまた居住水準の向上を図るというような観点から非常に大きな役割りを担っているところでございまして、私どもも、先ほど申し述べましたような公庫の制度の根幹を維持できるように努めてまいりたいと思いますし、また、今後とも関係方面に御理解をいただくようにしてまいりたいと思っております。
  232. 米沢隆

    米沢分科員 次は、今回から措置されます所得制限の問題でありますが、これもこの前大蔵省にいろいろ質問しましたが、重ねて今度は建設省側の見解を聞かせてもらいたいと思うのでございます。  一つは、この八百万円という金額ですね、なぜ八百万円になったのかという理論的な根拠はないそうでございまして、一千万がいいとか六百万がいいとか、足して割ったら八百万じゃないかということで、経緯については余り理論的なものは私も強いてわかろうとする気持ちはありません。しかし、一たん走り出したらこの八百万というのは大変大きな意味を持つわけでございまして、もし八百万円が今後ずっと維持されたならば、所得税の累進課税と一緒に、大蔵省がにこにこ笑うだけの話ですね。  そういう意味で、この八百万円というものは、今年度は八百万円だけれども、今後所得の上昇とか物価の動向等をにらみ合わせた場合には、当然これはスライドさしていくたちのものであり、できればスライドプラス、ぽんと加算して一千万か一千五百万ぐらいに上になるものであると、ぼくはこう思うのでありますが、その点やはり心配なのは、これがずっと据え置きされるか、それともスライド制の方向がはっきり打ち出されるかどうかにかかっておるのです。その点局長の答弁をもらいたいと思うのです。
  233. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅金融公庫の五十六年度の貸し付けにつきましては、国民の平均所得を大幅に上回る方々に対する貸付金利をいわゆる財投金利並みとするというようなことといたしまして、厳しい財政事情のもとでの公庫融資の効率化を図ろうとするものでございまして、来年度におきましては年収八百万を超える方々に対しましてそのような措置考えておるところでございます。今後、この収入基準の見直しにつきましては、国民の所得、建築費、土地費の動向等を踏まえまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  234. 米沢隆

    米沢分科員 それからもう一つは、これも問題にしましたが、貸し付け後年収が急に下がった場合ですね、いま八百万という所得制限の一定の線を引きますと、現在は八百万円をちょっと超しておる年収であったとしても、金を借りたとたんに、今度は退職になったりあるいはまた変更があって急に六百万とか三百万とか二百万ぐらいに年収が下がってくる、そういう人が長期間にわたってやはり八%の金利を強いられるというのは、ちょっと五・五と八が余り差があるものですから、どうも問題だという気がするのです。一方では八百万を超える年収の人が八%で借りて急に年収がなくなっていく。今度は七百万ぐらいの人が五・五を借りて来年は賃上げで上がって八百万を超してしまってぐっと年収がよくなる。差し引きしますと、大体一人当たり、二十五年借りたら二百五、六十万の金利差の補給だそうですから、合わせますと五、六百万の差ですな。こういう意味で、金利そのものはそのときどきの変化に応じていつも上げたり下げたりするというのは不可能だと思いますけれども、少なくとも五年ぐらいの刻みをつくって、その間にもしそういう事情ができたときにはやはり救済していくという、そういう制度をぜひこの際つくるべきだと思うのですが、一工夫あってしかるべきだと思うのだが、どうなんでしょうか。
  235. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 公庫の融資につきましては、相当長期間にわたりましてお貸しするというようなことから、最初に貸し付けをいたしました時点での金利というもので従来とも固定をしておるというのが実態でございます。また一面、先ほど申し上げましたが、国民の平均所得を大幅に上回るという方々に対する金利の差というふうに考えておりますものですから、この点につきましては、途中で余り変更というのはいかがかというふうに考えておるところでございます。ただ、公庫では、従来とも災害その他特殊の事由によりまして元利金の支払いが著しく困難になるといったような特異な事例ではございますが、そういったような場合には、もちろん貸し付けの条件を変更するということは例外的にできることにはなっておりますが、いま先生指摘のような意味での、たとえば五年ごとに細かく刻んで見直すといったようなことは、この制度の趣旨から非常に困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
  236. 米沢隆

    米沢分科員 いままで所得制限がなかったからこんな問題はなかったわけですよ。ところが今度は入ったわけだから、そうして先ほど言いましたような事情が大変多発することは事実だと私は思いますね。したがって、五年ごとに見直しをしろというんじゃなくて、借りてから五年の範囲内で、急激に年収が下がったような場合には何か配慮しろ、災害と同じような特例措置をぜひ考えてもらいたい。この前大蔵大臣は何か前向きの話をしていましたよ。ぜひその点を問題にしてもらいたいと思うのでございます。  それから、もう時間になりましたが、もう一つ、たとえばこの八百万という所得制限でも、われわれがおる宮崎県あたりで八百万もらうのは大変なものです。ところが、東京あたりでは八百万では鼻くそみたいなところがあるのですね。そういう意味で、一律に八百万というものをやられますと、大都会のサラリーマン族、まあ八百万というのはまだいい方ですけれども地域的にはこの八百万の持つ重さが全然違うわけですね。同時に、地方と都会では住宅価格が全然違いますね。そういう意味では、八百万というものに地域間格差というのかな、そういう感覚を導入するとか、それとも貸付枠等に何か配慮をするとか、何かそんなことを考えないと、何もかも一緒に一、二の三というのが役所のやる一番悪いことですね。何とか工夫はないものでしょうか。
  237. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほど申しましたように、この八百万円というのは、現段階におきましては平均的な収入を大幅に超えるというようなところから、具体的に私ども来年度の想定をいたしてみましたが、公庫の融資を受けていらっしゃる方々の約三%程度の比率になろうかというふうに考えておりますので、そういったようなことを考えまして、特に現段階では地域差は配慮をしないというようなことでまいりたいと思っております。もちろん住宅の取得価格につきましては、大都市地域とその他の地域とにある程度の格差があることは承知いたしておりますが、いま申しましたように、かなりの平均所得との差を考えまして、一応当面はこういったようなことで全国一律で措置したらどうだろうかというふうに考えているところでございます。
  238. 米沢隆

    米沢分科員 年収が下がった場合の措置地域の差、これは納得できませんので、今後検討してもらいたいと思います。  終わります。
  239. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、小林政子君。
  240. 小林政子

    小林(政)分科員 私は、江戸川区の西瑞江駅周辺の土地区画整理問題について、相当問題を持っているというふうに思われますので、これらの点について具体的に大臣の、あるいはまた関係者の御意見をはっきりとさせていただきたい、こういう立場からきょう質問をいたすわけでございます。  御承知のとおり、西瑞江駅付近の土地区画整理事業は、これはもう御存じだと存じますけれども土地区画整理法に基づいて東京都が現在施行をいたしているところでございます。都は、この土地区画整理事業で、地下鉄十号線に伴う西瑞江駅広場を初め、都市計画道路などを造成を図ろうとするものでございますけれども、この地域は全体で二十九ヘクタールの区域で、現在その地域内には二千百人の人たちが生活をしている、こういうところでございます。  御承知のとおり、江戸川区というところは、交通問題がいままでも大変問題でございまして、今回地下鉄十号線が延伸されるということで、地域挙げて住民はその一日も早い実現を望んで、大変期待をしているところでございました。たまたまこの区画整理問題というのは、結局その関連で出てまいりまして、住民は、地下鉄十号線を早くつくってもらいたい、しかしこの区画整理には賛成できない、こういう立場で現在臨んでいるわけであります。  御承知のとおり、所定の手続に従いまして、五十五年十一月の段階で法定縦覧が事業計画について行われております。そしてこの縦覧について五十五年の十二月、これも手続に従って意見書が提出されているわけでございますけれども、その意見書は六百二十六件提出をされております。そのうちの六百十五が事業計画に対しては賛成できない、反対である、こういう中身が貫かれた意見書でございまして、この中におります七百人からのいわゆる権利者、その人たちの中からも、反対の意思を意見書という形で表明した人だけでも三百人に達する、さらにまた五百名の人が、いま土地区画整理法五十五条の規定に基づき、また行政不服審査法第二十五条に基づく口頭陳述を求めるというように、本当に町を挙げて、今回のこの区画整理はいろいろと問題点がある、こういうことで強い意向が出されているわけでございます。大臣、私はその意見書をここへ持ってまいりました。こんなに分厚い意見書です。これは全部住民が自分で書いて提出をした意見書でございまして、これは一枚が一軒で出しているというような意見書でございますので、この厚さを見ても、どれほどこれがいま深刻な問題になっているか、こういうことを私はまず頭に置いていただきたい。  しかも、自治体施行の区画整理事業で、法定縦覧の段階で、こんなにも多くの意見書が出されたというようなことはかつて聞いたことがないのですけれども大臣、こうした事実がいままでもあったのでしょうか。東京都でも初めてのことだと言っております。本来であれば協力をしなければならない立場の権利者の人も含めて、こんなに地域の人たちの反対の意見書が出ているということ、こうした事態を大臣自身が一体どういうふうにお受けとめになりますか。中身の点については後ほど申し上げたいと思いますけれども、まず大臣に、どのようにこの事態をごらんになっているか、お伺いをいたしたいと思います。
  241. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 西瑞江地区の方々の反対意見書、いま先生お示しくださいましたその膨大なものを拝見いたしたわけであります。区画整理事業というものは、地域住民方々が不利益をこうむるような区画整理事業はあり得ないわけで、何とか現在、将来を見越して、都市化する中で、地域住民方々がよりよい住環境を得ながら、将来に向かって安定した平和な生活ができるというところに基づいて始まっているところでございまして、その反対意見書につきましては、なお具体的に後ほど御質問があるそうでございますので、担当から御返事を申し上げますが、地下鉄十号線の関係等についての実現への地元の要望というものでしょうか、喜んで迎え入れていくというような中で起きた問題として、大変私としても心痛いたす問題でございますので、何とか地域方々の御理解を得ながら、いい結果に結びついて、地域方々が平和で幸せで安定した住環境が求め得られるように進めていきたい、このように考えるところでございます。
  242. 小林政子

    小林(政)分科員 大臣から、このように地域方々からたくさんの意見書が出たというようなことについて、本当に何とか地域住民の協力を得て円滑にやっていかなければならないという意味の御発言でございましたので、私はこの中身をちょっと御紹介しますと、ここにたくさんの方が書いているのですけれどもみんな違うのですよ、書いてある内容が。それで見せてもらいまして、その中から一、二をちょっと紹介しますと、たとえばある方の意見書は、簡潔に言いますと、私は五十四年十月二十日に谷河内に引っ越してまいりました。建て売り住宅であり、契約は五十四年十月一日であります。ところが、この契約書には区画整理あるいは都市計画道路というようなことは、自分の建っている家は道路の上なんですけれども一つもわからなかったし、契約書の中にもそういうことは明記していない。建て売り業者の人からも聞いてなかったという意味のことがここにはきちっと書かれております。  もう一つの、この中から抜き出しました中身は、これは工場を経営している方なんです。この人は、私たちの会社土地は大幅な減歩などということになればこれはもう仕事が実際には目に見えて困難になる、そして現在でも、機械の位置などについても、狭い場所にいかに合理的に置くかということで仕事を続けているんだ、こういう狭い中でやりくりして生産を高めるのに必死の活動を日夜しているんだけれども、それを減歩というようなことで削られてしまうということになれば、実際には生活ができなくなってしまうんじゃないか、こういうようなことがいろいろ違いますけれども書かれております。  私はこの問題についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、まずその手続のとり方などについても、これは大変問題があったのではないか、このように思います。  まず第一に、五十四年の八月十日、最初の区画整理の説明会が地元で行われましたけれども、このときの説明会は、住民が期待をしておりました地下鉄十号線についての説明会である、こう言って地域の人たちをまず集めているわけです。そしてその場で、区画整理がここでは行われるんだということで、区画整理事業計画を住民に説明をするというようなことがやられて、住民の方は全くびっくりした、この地域区画整理をやるなんというようなことは初めてそこで聞いたわけですからびっくりしたということを言っておりましたし、また、都の方が区画整理地域に、家人に無断で私有地に八十一本もくいを打ったというんですよ。これは大臣、当時の東京都第一区画整理事務所長が昭和五十五年一月二十六日に、南篠崎三丁目を中心とする区画整理事業に伴う現況測量等に当たって、所定の手続を踏まないでやったことはまことに申しわけないという文書地元に出しておりますけれども、しかし、まず手続規定の中でこういったようなことがやられているという点で、住民は、中身はともかくとしても、こういうことだけでも納得できないということで、大変強い反発をいたしておりますけれども、この点についてまずお答えいただきたいと思います。
  243. 升本達夫

    升本政府委員 西瑞江地区の区画整理事業事業の進行の概要については、大体おただしのとおりの経過であったかと思うわけでございますが、私どもがこの事業につきまして理解をいたしております限りにおきまして、大体現在まで行われてきた経過の主なところを御説明申し上げて、御理解をいただきたいと思うわけでございます。  まず、この地区につきましては、昔の特別都市計画法による緑地地域を廃止する時点、昭和四十四年五月の時点で土地区画整理の施行区域として都市計画決定がなされておるわけでございます。その後、ただいまのおただしにございました地下鉄十号線のこの地域への延伸、これが昭和四十七年三月の都市交通審議会で決まったわけでございます。  したがいまして、これを契機といたしまして、この地下鉄の延伸とあわせて地下鉄駅周辺の一体的整備を図る必要が生じたわけでございまして、これが答申の内容にもなっておるわけでございます。  そこで、この答申を踏まえまして、東京都におきましてこの地区に緊急に土地区画整理を実施する必要を感じその手続に入った、こういうふうに理解をいたしております。  そこで、この昭和五十四年の八月から地元の説明会に入りまして、説明会の開催、それから相談所の開設等を行いました後、昭和五十五年、昨年の十一月四日から二週間、これは法律の規定に基づきまして二週間の事業計画の縦覧を実施いたしましたところ、先生おただしのように相当多数の意見書が提出された、こういう経緯と理解をいたしております。  そこで、提出されております意見書につきましては、これも土地区画整理法の規定に基づきまして、東京都の都市計画地方審議会において十分審議をしていただく予定でございます。現在都市計画地方審議会がすでに本年の一月三十日に一回開催をされておりまして、そこにおきまして、意見書を出された方の中から、かなり多数の口頭陳述の御要望があったように聞いております。そこで、この口頭陳述をどういうふうに取り扱っていかせていただくかということについて、とりあえず口頭陳述を聞かせていただこうという決定をいたしたように聞いております。  したがいまして、今後その決定に従って具体に御意見の内容を伺ってまいるというのが都市計画地方審議会における作業になろうかというふうに考えておる状況でございます。  大体いままでのところの状況はそのようなことに理解しております。
  244. 小林政子

    小林(政)分科員 いま私がお聞きしたのは、そういう経過をじゅんじゅんと述べてくれということをお聞きしたわけではないのです。具体的に手続規定の中でこういう住民を混乱させるような行為が行われていたということについて、どういうことなんだということをお聞きしたので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  245. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまの経過で、途中省略をいたしましたが、この途中、説明の過程におきまして、地元区画整理対策協議会あるいは区画整理考える会というような、地元の権利者方の会合にたびたび都の側から出席をし説明をいたしております。両方合わせて三十回近くの説明の機会を持ったというふうに私ども報告を受けております。     〔関谷主査代理退席、岡田(利)主査代理着席〕  したがいまして、こういう機会を通じ、さらに事業計画の素案の第一次、第二次の提示というような過程を経てこの段階に至っておるというふうに理解をいたしておりますので、都といたしましては、その都度法律上の必要な手続はもちろんのこと、それ以上に詳しい御説明をする機会を持たせていただいてやっていただいているというふうに理解をしておるわけでございまして、それに対する反対その他の御意見が出ること、これはある程度やむを得ないことでございますので、これは先ほど申し上げましたように、地方審議会の御意見を待って適切な対応、処理をすべきものというふうに考えている次第でございます。
  246. 小林政子

    小林(政)分科員 大変短い時間なので簡潔にお答え願いたいのですけれども、家人に無断でくいを打つなんということは、これは本来許されないことでしょう。そういう点はっきり答えていただきたいと思います。
  247. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま先生おただしのくい打ちというお話は、私どもは事実として全然聞いておりませんので、具体のお話としてお答えをちょっとしかねる状況にございます。
  248. 小林政子

    小林(政)分科員 委員長、ちょっとお許しをいただいて……。
  249. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 速記をとめておいてください。     〔速記中止〕
  250. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 速記を起こして。
  251. 小林政子

    小林(政)分科員 こういう問題は、わび状が出ているからといってそれは帳消しになるものではないだろう、私はこういうふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  252. 升本達夫

    升本政府委員 測量等によりまして権利者の土地に立ち入るという場合は往々にしてあるわけでございますが、その場合には区画整理法の規定に基づき所定の手続をとって立ち入らせていただく、あるいは事前に権利者等の了解を得て立ち入らさせていただくのは当然でございまして、もしそのような手続をとらないであるいは了解も得ないで入ったということがあるといたしましたならば、それは適切を欠くものというふうに考える次第でございます。
  253. 小林政子

    小林(政)分科員 いまわび状が出ているのですよ。それで、この地域大臣こういう地域なんです。ここが駅前の広場、地下鉄十号線の駅前の広場になるところで、しかもここに補助百四十三号線というのが入りまして、それでこれが谷河内の方からずっと一本抜けるところでございますけれども、こういう幹線道路が二本大きいのがこの区画整理でやられるわけです。しかもその面積は、先ほど申し上げましたように非常に狭いといいますか、二十九ヘクタールぐらいですから。そういうところに駅前広場はできる、それから幹線道路は二本も入るというようなことで、地域の人たちの中から、これだけの面積の中からそういう公共負担を減歩でもってつくるということは無理ではないか、こういう要望が非常に強いんです。ですからこの問題についても、私は、減歩だけでこれを負担するということは話を聞いてみますと相当無理なんじゃないだろうか、こういうふうに思いますし、しかも、この駅前広場と二百八十八号線と百四十二号線という二つの都市計画道路、これの減歩卒と公共負担の中身をちょっと見てみますと、東京都の計画でも、実際には、整理前には六千四百三平米であったこの公共負担分、ところが整理後には二万七千百二十六平米になるというのです。そうしますと、整理後のふえる面積、これが二万七百二十二平米。差し引き減歩地積を見てみますと、四万七百六十一平米の大体減歩で出します五〇・九%がこの三つの公共施設のために使われてしまう。これが本当に公平と言えるんだろうか、こういうことを強く要望いたしております。  それからまたもう一つは、時間がございませんのではしょりますけれども、駅を利用する人たち大体どんな状況になっているのかということで私どももちょっと調べてみました。そうしますと、西瑞江駅の利用客は、東京都の交通局の調べですと、駅を中心に半径一・五キロメートルから二キロメートルの地域の人たちが駅を利用して、開通時は一日一万人ぐらいの人が利用するのではないかと言っておりますし、非常に大きな駅前広場の施設をこれだけの地域の人たちだけでもって負担をするということはいかがなものかということが第一点です。  そしてまた第二点は、区画整理の場合には組合施行というのもございますけれども、その場合にはこれは十八条で権利者の三分の二の同意がなければ事業計画できないのに、それはまあ確かに都市計画の中でも組合施行と自治体施行ではいろいろやり方は違いますけれども、しかし権利者の権利というものを一体どう思っているんだろうか、もっと尊重してしかるべきではないか、こういう意見が非常に強いわけです。これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
  254. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの第一点でございますが、地下鉄の開通に伴う駅前広場の整備、余り大きなものは要らないのではないかという御趣旨に承ったわけでございますが……。(小林(政)分科員「そんなことは別に言っていませんよ」と呼ぶ)そういう趣旨ではございませんか。それでは私、御質問の趣旨を私が理解をしたなりにお答えをさせていただきますと、ただいまお話がございました駅前広場、それから都市計画街路補助線二本等の公共施設が大変大きいために、その減歩卒が高いというふうに伺ったわけでございますが、とれにつきましては、駅前広場三千三百十平米、それから補助街路二本人百数十メーター並びに五百数十メーター、これは確かに御指摘のようにかなり大きな施設でございますが、これらの施設の整備費につきましては、これは区画整理事業の補助対象として取り上げ、これの築造費相当のものは当然区画整理事業費に投入されるということでございますので、これの御負担を権利者にお任せしておるというわけではございませんということを御説明させていただきたいと思います。  それから第二点の、組合施行というケースになれば権利者が主体であるので、その形をとるのに比べると、公共団体主体のものは権利者の保護に欠けているのではないかという御趣旨のように承りました。この点につきましては、区画整理法上、公共団体施行というケースは当然考えられるわけでございまして、おただしのように、この地区は地下鉄の開設に伴い当然に整備を要する地区という理解のもとに、公共団体が施行を企画いたしておるわけでございますので、その趣旨にのっとった適切な区画整理事業が執行されるようにわれわれとしても都を十分指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。もちろん、事業の進行に当たって権利者の保護については、御指摘のように十分留意をいたしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  255. 小林政子

    小林(政)分科員 大臣、ともかくこれだけの反対がございまして、これは事業を実際におやりになろうとしても、現実の問題としてこういう場合にはできないんじゃないですか。むしろ住民側がきちっとした筋を立てて自分たちの考えも述べ、そしてその事業計画についても、これを一時何らかの形で計画を見直すなり冷却期間を置くなり、こういう期間を設けてほしいということを強く要望しておりますので、この点については区画整理事業の実施というものに対して根本的な再検討をやる必要があるのではないかと思いますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  256. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いろいろとプロセスの中で手違いもあったようであります。先ほど指摘された、黙ってくいを打つなんということは、これは非常に遺憾なことであります。  したがって、地域住民方々との話し合いの場がいままで少しなかったように思います。区画整理事業は、当初私が申し上げましたように、決して地域住民方々に悪いということでやるのではなく、地域住民方々がいかに平和で安定して安心して住めるかということのためにやる事業でありまして、目的をたがえてはいけないので、やはり地域住民方々の御理解を得るという努力をしながら、せっかく地元方々が待望しておる駅もできるということでございますので、何とか御理解をいただきながら整理事業が円満に遂行できるようにしたい、また私の方からもいろいろと都の方ともアドバイスして地域の住民の方々の御理解の上にともにりっぱな成果を上げられるようにいたしたい、このように考えるものでございます。
  257. 小林政子

    小林(政)分科員 大臣せっかくそのような御答弁でございますので、本当にその問題を実らせるために、この問題は計画そのものを一時たな上げといいますか見直すというのですか、そういう措置を至急とられる方がかえってスムーズにいくのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょう。
  258. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 具体的にそういうお話でございますが、冷却期間を設けるというのも一つの方法でございましょう。いろいろと御提言もございましたので、検討させていただきたいと思います。
  259. 小林政子

    小林(政)分科員 それでは最後に、私、一言で申し上げますと、大臣よく御承知だと思いますけれども、東京の荒川以東、足立、葛飾、江戸川の下水道の普及率は、東京全体では七四%の普及率ですけれども、この三区では二四%、こういう低い状況でございます。この点については大臣も、こんな低いところが東京にあったのかとこの前もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、この点についてひとつ今回の第五次五カ年計画の中で、その地域の、普及率の低いところは大いに引き上げていく、こういうような普及率を高める決意を伺って、私は質問を終わりたいと思います。
  260. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 特に東京の中における下水道のアンバランスにつきましてはよく承知いたしております。先生御提案のような向きで、五カ年計画もあることでございますので、何とか下水道事業につきましてはこれまた格差のないように取り組んでまいりたい、このように思います。
  261. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 以上で小林政子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算建設省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  262. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 次に、昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算国土庁所管について、説明を聴取いたします。原国土庁長官
  263. 原健三郎

    ○原国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十六年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。  国土庁の一般会計歳出予算は、二千三百八十八億五百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ二十六億二千百余万円の増加となっております。  その主要な内容は、第一に、第三次全国総合開発計画の定住構想の促進を図るための国土計画の推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用の促進等の総合的土地対策の推進。第三に、水資源の開発、水源地域対策の充実、水資源有効利用の促進等の総合的な水資源対策の推進。第四に、良好、安全な都市環境の整備を図るための大都市圏整備の推進。第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進。第六に、地方都市の開発整備、工業の再配置及び産炭地域の振興を図るための地域振興整備公団の事業の推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策の推進であります。  国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配布してあります昭和五十六年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  264. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 以上をもちまして国土庁所管についての説明は終わりました。     —————————————
  265. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君、
  266. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ダム問題について一、二お尋ねをいたしたいと思います。  昭和五十六年度の特別会計予算を拝見いたしますと、八ツ場ダム建設費八億五千万円計上いたしております。五十五年度予算におきましては八億三千万円だったようですが、今回二千万月ほどふえておるようです。  そもそもこの八ツ場ダムの予算については、調査費が計上されましたのが昭和四十二年度予算、特別会計の建設費が計上されましたのが四十五年度予算から、したがいまして、この建設費が計上されましてからすでに十年以上の月日がたっているわけです。この間、建設省は現地に八ツ場ダム工事事務所を設置いたしましていろいろ仕事をやってこられたようですが、今日までこの八ツ場ダム関係調査費、建設費、さらに八ツ場ダム工事事務所ができてから今日までどのような仕事をして、一体幾らの予算をお使いになりましたか。人件費が主ではないかと思いますが、人件費幾ら、事業費幾ら、食糧費、交際費等幾ら、今日まで一体幾らの予算を現実にお使いになりましたか。それをまず建設省ですか、お尋ねをいたしましょう。
  267. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 お答えいたします。  八ツ場ダムは昭和四十二年から実施計画調査に着手いたしまして、四十五年から建設事業に着手したわけでございます。昭和四十二年度から昭和五十四年度まで十三カ年になりますが、その支出は約二十六億円でございます。
  268. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その内訳はどうですか。人件費とか、建物もつくったのでしょうから設備費に一体幾らかかったとか、それからまた、いろいろな方を温泉なんかに同伴いたしましていろいろ工作などやっておるようですが、そういった経費、人件費、事業費、食糧費、交際費等分けましてそれぞれ一体何は使ったか、それを聞いているわけです。
  269. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 予算総額はただいま申し上げましたように約二十六億でございますが、その内訳は、建設費といたしまして約十三億、工事諸費といたしまして、その内訳は人件費等でございますが、約十二億でございます。
  270. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その工事諸費の内訳を聞いておるわけです。
  271. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 工事諸費の内訳につきましては、ただいま資料が手元にございませんので、後ほど先生の方に御連絡いたしたいと思っております。
  272. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 いまの御答弁はいただけませんね。私がそういうことを聞くということを言わぬでおいてぽっと聞いたのなら、いまのようなお答えはやむを得ないと思いますよ。しかし私は、建設省の方が来ましたから親切に、人件費幾ら、食糧費だとか交際費とかそういうようなものは一体幾ら使ったのかということを聞くから用意しておきなさいということをちゃんと言っておいたのですよ。一体そういうことを聞かなかったのですか。それとも私が聞いたってそんなことは構わぬ、しらばっくれていればいいだろうというつもりで本日おいでになったのですか。どっちです、一体。
  273. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 私ども聞きましたのは、八ツ場ダムの支出状況についてということでございましたので、通常、予算の総枠と建設費、工事諸費等につきまして御説明をいたしておりますので、今回も建設費、工事諸費等につきまして四十二年から。五十四年度までについて調査してまいったわけでございます。
  274. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ふざけるのもいいかげんにしなさいよ。私はその内容を、こういうことを聞きますよということを言っておいたのですから。国会でそんなことを聞かれても構わぬ、こういうつもりなんですか、建設省は。どうなんです、一体。怠慢なら怠慢で、申しわけなかったと謝ったらどうです。
  275. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 先ほど申し上げましたように、私のそのような理解が大変不十分でございまして、大変申しわけないことをいたしました。
  276. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは予算の審議中に、私の聞いたことをきちっと資料で出してください。いいですね。  それではお尋ねしますが、二十六億の国費をお使いになった。一体どのような成果が上がったのですか、具体的に答えてください。
  277. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 調査費の具体的な成果ということでございますけれども、八ツ場ダムの建設に当たりましては、私ども地元関係者の生活再建でありますとか地域関連整備を図ることが大変重要だと理解しておりますので、主として生活再建対策の基礎調査であるとか関連地域開発計画調査等を実施いたしますとともに、あるいはその方法等につきまして関係機関と協議しながら地元方々の御協力を得るように努めてまいりまして、この辺に大方の精力を使ったわけでございます。  その他の調査といたしましては、測量としましては平面測量、水準測量、横断測量等がございますし、地質調査といたしましては、地質概査、弾性波調査、ボーリング等がございます。それから水理水文調査といたしましては、水流量調査、水質調査それから利水治水経済計画あるいは堤体の概略設計等をその他調査として実施いたしました。  また、工事といたしましては、貯水池の末端部になりますけれども、護岸工事を一部実施いたしました。
  278. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 いろいろな調査をおやりになったそうですが、先ほどの方も無断でくい打ちをしたのはけしからぬというようなお尋ねをしておりましたけれども、実は建設省は、平面測量ですか何の測量でしたか私も具体的には覚えておりませんけれども、測量をするためにくい打ちをやった、しかも、時もあろうにお盆のときにこのくい打ちをおやりになった、地方の人たちにとっては、お盆といえば祖先を弔い、祖先に対して心から弔意を表する重要な日ですね。そういうときに、祖先伝来の土地を守ろうと思っているときに、時もあろうにお盆のときにくい打ちなどしましたから、建設省方々は、工事事務所をせっかくおつくりになっているけれども、生活再建案をどうしようかというような相談で地元に行っても全く受け付けられないというのが現実じゃありませんか。だから、生活再建案をつくるための基礎調査云々と言われましたが、現実には、地方自治体である群馬県が生活再建を一体どうするかということで苦労して案をつくって、そして地元の議会の皆さんに説明する。地元住民はその案に対して決して理解を示していないようですけれども、それはともかくとしまして、県がそういうことをやっている。だから、結局二十六億のお金をお使いになっても、生活再建案自体、率直に言って、建設省の方ではおつくりになれぬというのが現状じゃありませんか。いかがです。
  279. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 先ほど申し上げましたように、私ども、ダム建設の上におきまして地元方々の御理解を得ることが非常に大切なことだと思っております。それで、建設省で案をつくる方法、県の方におつくりをいただく方法、それから学識経験者におつくりいただく方法等々、いろいろあろうかと思います。  八ツ場ダムにつきましては、私たちの方でも内部的にはいろいろ検討はいたしておりますけれども、県の方で聞きますと、県独自の生活再建案をおつくりになって地元の町議会並びに地元方々に御説明をしているということを聞いておりまして、私どもはその推移を見ながら対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  280. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣、私がいま申し上げた、また建設省からお答えのあったことで、ある程度の御理解はいただいたと思うのですが、水源地域対策特別措置法に生活再建の条項がございます。生活再建に努力しなければならぬ、こういうことになっておるわけですが、昭和四十二年以来二十六億の国費をお使いになって、先ほど申し上げたようにお盆の最中にくい打ちなどをするというような、われわれ国民から見ると全く非常識なことをやって、結局、工事事務所をおつくりになっても建設省の役人の方と地元住民との間には全く対話がない、こういう状況なんですよ。したがって、いま建設省自体としては、生活再建案をつくろうと思っても現実にはできぬというのが実情ではないかと私は思うのです。建設省がつくる場合もある、学者に依頼してつくる場合もある、また自治体にお願いすることもある、こういうことなんですが、今回の場合は群馬県という自治体にお願いしたのか、県の方が見るに見かねて乗り出したのか、その辺は議論のあるところだろうと思いますが、ともあれ、そういう形で生活再建案というものをつくろうという努力がされている。問題は、国が国費を使って事務所をつくりながら、そういった再建案すら地元住民との対話がないためにつくることができないという事情にあるというところに、この問題のきわめて大きな問題がある、かように思っております。  水特法の二条では政令指定ができることになっておりますが、群馬県の知事国土庁の方にもいろいろお話に来ていると思います。そういう中で、国土庁としては現在この水特法二条による指定というのは一体どういうお考え方でおりますか。
  281. 北野章

    ○北野政府委員 先生御承知のように、水特法の制定の目的といいますのは、ダムの建設に伴いまして周辺地域の生活環境、産業基盤の整備がされまして、関係地域住民の生活の安定と地域の発展が図られることにございますので、水特法に基づくダム指定、それからそれに続きます地域の指定等の手続につきましては、ダムの起業者の意見を聞くのみならず、特にダム予定地に所在する都道府県知事の了解を得た上で行うことにしております。したがいまして、八ツ場ダムにつきましても、これまで群馬県知事の意向を十分尊重いたしまして、特にダム指定につきましては慎重に対処してまいったところでございます。
  282. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 お答えになりましたように、二条の指定をしましても三条が動かなければどうにもならない。三条の指定の場合は、関係都道府県の知事関係市町村長の意見を聞いて、そしてその上で内閣総理大臣地域計画を決める、こういうことになっておるわけですから、問題は、あの地域地元住民の方々が約八割絶対反対だと言っておられるわけです。そうして現在の長野原町という町ですが、そこの町長さんはかつて反対同盟の会長をされた方が町長に当選をし、現在二期目で町政を担当しておられるわけです。そういうわけですから、この市町村長の意見を聞けば、結構ですというような返事があるはずがない。そういうような中で、二条の指定を仮にやってみても三条の指定はどうにもならない、これが実情だと思いますので、その点はひとつ、知事の意見もありましょうが、この二条の指定につきましては、やはり慎重に対処いただきたい。あわてて指定をするなどということは絶対にないように、このことだけはきちっと申し上げておきたいのですが、いかがですか。
  283. 北野章

    ○北野政府委員 ただいま先生のおっしゃるように、特にダム指定につきましては、長年の群馬県の八ツ場ダムの経緯にかんがみまして、知事の意見を聞きまして慎重に対処してまいりたいと考えております。
  284. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そこで大臣にお尋ねしたいのですけれども、私、分科会に出まして歴代のその当時の建設大臣あるいは国土庁長官に、ダムというのは強制してもだめですよ、地域住民理解と協力がなければダムの実現は不可能なんだ、そのことをきちっと踏まえていただきたいということをお願いしてきました。幸いに歴代の建設大臣国土庁長官、いずれもダム建設は地元住民の理解と協力がなければ不可能である、そのことはよくわかっておりますというお答えがございました。この際、大臣の所信を承っておきたいと思います。
  285. 原健三郎

    ○原国務大臣 いま山口先生の御意見をるるお聞きいたしました。それで、この八ツ場ダムの建設でも大分前から言っておるのですが、その必要なことは一応わかっておりますが、なかなか難航いたしておることは御承知のとおりであります。それで、最終的にはやはり地元の住民の理解と協力を必要とすることは私も十分承知いたしております。さらに、群馬県の知事さんが生活再建案を策定して地元関係者と折衝中であるとも聞いておりますので、等々を考え合わせてぜひ皆さん方に御協力を願いたい、こういうことでございます。
  286. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 地元住民の理解と協力が前提であるというお考えのようでありますから、その点は子といたします。  問題は、いま知事が再建案を地元の住民に提示をしようとしているのですが、議会の方々には説明をしたが、現地住民の方々はなかなかそういったものを聞こうとされていない。それはなぜかといえば、先ほど来申し上げたように、建設省方々地元住民との間に非常に大きな断絶がある、不信感があるということが一番の原因だと私は思うのですね。また、県に対しましても地元住民の人たちが十分信用しておるかというと必ずしもそうではないということで、せっかく県が努力してもこれが地元住民の人たちにすんなり受け入れられていないということだと思うのです。そういった原因は一体どこにあるのかといいますと、結局いままで水特法がない時代に、ダムをつくるときには、用地買収のときには建設省の方や水資源公団の方が現地へ行って、いや、こういうこともしますと、たとえば草木ダムというのがありますが、あそこに足尾線という鉄道が通っている、この駅の問題についてはこうしますとか、あるいは地域の産業についてはどうするとかという公約を盛んにされたのですね。ところが、現実にダムができると、その当時の公約をさっぱり守ろうとしない、ほごにする。群馬県にはたくさんダムがございますから、そういうことがたくさん積み重なっているわけです。そういうことを現地の住民の方は見ておりますから、うっかり話には乗れないぞというお気持ちになるのは当然だと私は思うのですね。  だから、そこで大臣、私は考えるのですが、生活再建に努力をしなければならぬということになっているのですが、これはしなければならぬという規定ではないわけなんですね。せいぜい努力しましょう、こういう規定なんです。ところが、他の公共施設なんかについては、ちゃんとこういうことでやります、補助金のかさ上げもやります、基金をつくって地元負担分についてはさらに基金の中からめんどうを見ましょうという形になっている。ところが、一番肝心の、犠牲を受けて水没する住民に対する手だてというのが、現行法ではまだ非常に不十分だ、これをやはり直さなければ地元住民の理解と協力はなかなか得られぬ、私はこう思っているわけなんです。いま財政再建、そういう中で財政上厳しい事態だとは思いますけれども、本当に首都圏のためにこのダムが必要であると政府がお考えになるならば、当然法律を直してしかるべきではないのか、私はかように思います。水特法改正について、特に生活再建の条項について、もっと地元住民の理解と協力が得られるような法律改正をやるというお気持ちがございますのかどうか、承っておきましょう。
  287. 北野章

    ○北野政府委員 水特法は昭和四十九年施行以来、ただいま全国で指定ダム等は四十七、そのうち地域指定整備計画を決定したダム等は三十一に及んでおります。この間、関係者のいろいろな要望にこたえまして水特法の運用の改善強化を図りまして、ダム等の建設促進に大いに寄与しておることは御案内のとおりでございます。  しかし、先生指摘のように、水特法の第八条の生活再建措置に関しては、努力規定である、十分でないという御意見も出てきております。そもそも、この水没関係者の生活再建措置の内容でございますが、農地、宅地、建物の取得、職業の紹介、指導、訓練、また生活環境の整理等非常に多岐にわたっております。それからそれに関係する機関も非常に多い。また、かつての補償基準要綱の関係からこのような規定になったものと理解しております。  しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、ダムといいますのは他の公共事業と違いまして、特に生活再建については十分にやらなければならないということでございますので、水特法の精神にのっとりまして、私どもは具体的なケースに即応して、国と起業者と地方公共団体がそれぞれ責任を分担して、補償、水特法の運用の改善強化、それから基金等の積極的な活用によりまして、いままで万全の措置を講じてまいったところでございます。特に八ツ場ダムにつきましては、先ほど来出ておりましたように、県独自の生活再建案をおつくりになっておるということでございますので、その概要についてはまだ詳しくは聞いておりませんが、この概要を見る限りにおきましては、ダム起業者による補償、それから水特法に基づく整備事業、それから現在一都五県でつくっております利根川・荒川水源地域対策基金による生活措置、この三位一体の対応で十分措置できるのではないかと私どもは現在考えております。しかし、今後どのような展開になりますか目下のところわかりませんので、国土庁としては水没関係者の動向を見守りながら、特に知事の意向を尊重して前向きに対処してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  288. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 何よりも一番犠牲を受けるのは水没者なんですね。それに対する手だてをきちっとしておくのが、法律をつくるならば一番重要ではないか、ところが、公共施設の整備についてはきちっと法律は整備されているが、肝心の水没者の方は、ややざる法といいますか、しり抜けになっている。まあ基金その他の運用でと言っておられますが、法律自体は確かに不十分だと私は思うのです。そういうところに問題がある。そういうことではこの八ツ場ダムの問題は進みませんよということを御警告申し上げておきましょう。  ついでに建設省に聞いておきますが、アロケーションの問題です。  昭和二十四年の当時の状況でこのいまのアロケーションをつくりましたから、その後大都会は公共施設がずいぶんできる、いろいろな資本の蓄積がある、そういう中で当時の昭和二十四年の状況とは大いに変わっているわけですね。かつてはそうでなかったから、比較的水源地域の方が地元分担が多いわけなんですよね。これは全く間違っているのじゃないかと私は思うのです。鋭意この検討を進めているというようなことは聞きましたけれども、一体いつまでにこのアロケーション、再計算をするのですか、地元負担分を改めるのですか。その時期をひとつお示しをいただきたいと思うのです。
  289. 渡辺重幸

    渡辺(重)説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、これまでの利根川の本川あるいは江戸川の直轄河川改修の費用分担、これにつきましては昭和三十二年の三月、それから洪水調節に係りますダムの費用負担につきましては昭和三十六年七月、関係都県の意見を聞きまして決定されてまいったものでございます。昨年の暮れに、利根川の工事実施基本計画というものが河川審議会の意見を聞きまして改定されました、したがいまして、これを受けまして、新しい時点での河川事業費あるいははんらん区域内の資産あるいは洪水調節による下流各地点の効果、こういうものを詳細に検討をいたしまして、昭和五十六年の一月二十二日付で関係大都県に対しまして河川法六十二条第二項によります意見の照会を申し上げました。これに対しまして各都県からは異議のない旨の御回答が参りましたので、昨日でございますが、これを決定いたしまして、関係都県に御通知申し上げたところでございます。
  290. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その資料は、後で下さい。
  291. 渡辺重幸

    渡辺(重)説明員 はい、わかりました。
  292. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間もありませんから、最後に大臣に申し上げておきますけれども、実は群馬県内、こういったダムの仕事もありますし、それから上越新幹線あるいは関越自動車道という工事をいたしております。そうしますと、公団が地元の公共団体に対して、たとえば北藤岡に駅をつくるように努力をしましょうという約束をするわけですね。それからまた、上越新幹線で一番難工事が中山隧道の高山という工区なんですが、このために水がたくさん出る。そうしますと田植えもできなくなるということで、渇水対策、それにこのような仕事をやりましょう、それでその仕事は今後とも続くわけです。電力料金その他、たくさん経費も必要なわけですが、今後ともそういった経費は見てください、できるだけ努力しましょうというようなことを言うのですが、なかなか現実にはお約束をきちっきちっと履行していかない、少なくとも公団と地元との間で、自治体との間で約束をした問題というものを公団がほごにするというようなことをやっておれば、これは今後用地買収も進まないし、公共事業も進まないと思うのですね。私は、少なくとも国の機関、公社、公団、地方自治体と約束をしたものはきちっと守るということを——きょうは別に公団の諸君を呼ぼうとはしませんで、具体的な議論はしようとは思いませんが、少なくともそういう趣旨を国土庁長官、また首都圏整備委員会の特別委員会でも開かれたらまた議論をしようと思いますが、少なくとも各省庁に、約束はきちっと守りなさい、できないような約束をするな、やったら必ず守れということを徹底していただくように私はお願いしたいと思うのです。大臣の御所信だけ承っておきましょう。
  293. 原健三郎

    ○原国務大臣 御趣旨の点はよく了承いたしまして、善処いたしたいと思います。
  294. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 以上で山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。
  295. 関谷勝嗣

    ○関分科員 国土庁長官にお尋ねをいたします。  昭和五十二年にむつ小川原開発というものを閣議は了解されました。了解されまして、青森県におけるむつ小川原というものが四年間経でどれだけ進んだのかということになりますと、進むどころか変質してしまっておる、こう思います。わが国の今後の石油の輸入量、またその石油の輸入量に対する今後の工業開発計画、そういうものを見ますと、その輸入量というものの計画はだんだんに下回ってきている、こう思います。昨年度よりも来年度の方はさらにまた減っていくことになりましょう。省エネのわが国の方針からいっても、その道は正しい道だと私は思います。そういうことを考えますと、むつ小川原開発というような当初の石油コンビナート計画というようなものは破産したものであると見るより仕方がないのではないだろうか、こう思います。これに対して、そうではない、これはこの程度の時期に至るとやがてりっぱなものになる、そういうお考えがあるとするならば、そのことをひとつ出していただきたい。  また、このことに関連いたしまして、むつ小川原開発株式会社というのがありますが、この会社の姿というものはまさに会社の定款にもとるようなことばかりに終始していると言ってもいいのではないだろうか。ここに示されたものは一つも前進しておりません。十年たった暁にはこれこれになる、こういう計画ですけれども、十年たった今日、それは何ら前進しておりません、この会社は今日赤字を抱えたままであります。赤字がどれだけあるのかと問うても返事もしてくれません。県が出資をし、国が出資をしておるところのむつ小川原開発株式会社というものは、国会議員が尋ねても答えようとしない、こういう会社であります。こういうようなことについて、国はどの程度把握し、どの程度監督し、どのような指導をなされておるのかも聞きたいところでありますので、この際、全般的なこの開発計画に対する長官としての方針と、この会社に対するあり方についての指導あるいは批判、そしてまたこの実態等について、あらまし御報告いただきたいと思います。
  296. 原健三郎

    ○原国務大臣 お答えいたします。  私もむつ小川原の開発について事務当局からいろいろ説明を聞きましたが、なかなか難航いたしておるということを承知いたしております。そして非常に厳しい実情であることも承知いたしております。しかしながら、石油備蓄の増強を図らねばならないという国家的要請もあることも先生御承知のとおりであります。でありますが、こういう見地から見て、何とかひとつこの目的達成に努めたい、こう考えておりまして、国土庁としては今後とも五十二年の閣議の口頭了解の趣旨に沿って、事業の総合的、計画的な措置に着実に努力いたしてまいりたい。努力はいたしていくつもりですが、必ずしも成果が上がっていないので、これを何とかしたい。また、むつ小川原開発株式会社についても、全体のこのような見地から、慎重に指導助言いたしていきたいというのが本音でございます。
  297. 関谷勝嗣

    ○関分科員 答弁が残っているから……。
  298. 四柳修

    ○四柳政府委員 お尋ねの点、借入金の点が一つ残っていると思いますけれども、御答弁申し上げます。  むつ小川会社の営業年度は、御案内のように暦年と同じでございます。したがいまして、四十六年から始まりまして五十五年、十期目で終わりでございます。そこで、五十五年の十期日はまだ株主総会に報告されておりませんものですから、私ども詳細は伺っておりません。その前の数字で恐縮でございますけれども申し上げます。五十四年度末で八百二十七億円の借入金残高でございます。このうち北海道東北開発公庫から二百九十七億円でございます。五十五年度には御案内のように国家の石油備蓄基地の建設のための幾つかの仕事をしております。このために買却代金の入るのがおくれましたものですから、どうしても工事のための借入金がふえまして約五十億円ぐらいはふえるのではないだろうか、したがいまして、この十二月末の決算見込みでは恐らく八百七、八十億円ぐらいになるのではなかろうか、こういうふうに伺っております。これが借入金の残高でございます。
  299. 関谷勝嗣

    ○関分科員 私は、言うならば国策会社に近いようなこの会社が、国会議員がその内容について聞いても答えようとしないというこの態度が妥当なものであるのかどうかということを、ひとつ長官に聞いておきたいと思います。
  300. 原健三郎

    ○原国務大臣 御期待に沿うようにむつ小川原開発株式会社の方へも伝えておきたいと思います。
  301. 関谷勝嗣

    ○関分科員 三百億近い金を国から借金している会社です。国会議員がそれを問いただすのに、答える必要がないなんてうそぶいているのです。文字どおりうそぶくというのはこういうことを言うのでしょうね。  そこで私はなお続けてお聞きしたいのですが、このむつ小川原開発会社というものは石油コンビナートを目的とする会社であり、またこの開発計画はそれを成就させる計画であったと思います。したがいまして、石油の輸入量は将来どのくらいになるかといいますと、あの当時七億キロリットルから八億キロリットルまでいくであろう、こういう想定のもとに、実はこの計画は取り組まれたのですが、しかし、いまのわが国の経済情勢、また今後の成長していく状態を見ましても、その半分の四億キロリットルということまででも容易ではないのではないだろうか、こう思います。そうしますと、石油コンビナートをつくりますとかいうように言ってきたことと進めていく姿というものは、もう限界に来ておると私は思うのであります。志布志の開発にしても、さきの選挙のときに、今度は志布志だと渋々言っておるようだけれども、この志布志だって容易ではありません。苫東というのがあります。これだって文字どおり戸惑っておるのではないですか。苫東は戸惑う、志布志は渋々、そうしてむつ小川原、むつという名のつくものにろくなものはない、むつ製鉄は先にやられ、原子力船「むつ」はいま無理やりに青森の港に押しつけられようとしておりますが、これだって受けるわけにはいかないし、拒否することになる、私はこう思うのです。おぼれる者はわらをもつかむということがあるのですが、数々の国政の誤りのしわ寄せを受けて、青森県は辟易しているのです。そうして出かせぎをなくする、農業開発から工業開発だという言葉に乗って、夢に乗ってここへ飛び込んだ。しかしこのことも十年たった今日、何ですか、何らの前進がない。国の政策によって地方を誤らせるようなことは私はすべきではないと思うのです。長官、何年たったらこの計画は成就されますか。
  302. 四柳修

    ○四柳政府委員 御案内のように、この地域方々は、いま例に挙げましたような幾つかの問題で確かにいろいろいままで御苦労なさっております。それだけにやはりこの問題についての御見識なりあるいはある意味では悲願なり、いろいろなことを県もお持ちだと思います。そういういままでの経緯から考えまして、非常にむずかしい点はわかりますけれども、時期も言いかねますけれども、やはりいままでのところをもう少し状況を慎重に反省しながら、できるだけ地域方々の御期待を裏切らないように、といってこれ以上の混乱も起こさないように、なるべく努力してまいりたいと思います。
  303. 関谷勝嗣

    ○関分科員 私はいま計画というものと構想というものとの認識が混乱状態にあるのではないだろうかと思う。いつになるかわからない。しかしこれを計画したときの昭和四十四年、新全総のときはもっときちんとしておりましたよ。それからもう十二年たっております。破産したと言っていいでしょう。破産したときには破産したとして計画の練り直し、変更、それをすべきじゃないですか。いつまでも、こんなあすも知らないものに青森県政が莫大な金をかけているのです。それもにしきの御旗、閣議了解という名のもとに、閣議はうそを言うまいと思って頼っているのです。見ているとかわいそうです。それに頼ってもいかぬから、むしろいっそのこと盛岡どまりの新幹線を早くやってあげようなんて言ってあげた方がよほど親切なんです。今日そういうことも言えないままでしょう。幾らでも青森県を引き上げてくれるという方法はあるのです。ヘビの生殺しとか、あるいはなまぬるいお湯につからせておけばいいというかっこうの姿じゃないですか。そうして、いま備蓄の基地によって何とか生き延びようかというのでしょう。備蓄の基地というものと工業開発の計画というものとは同じものじゃないでしょう、工業開発というのは工場をつくることです。備蓄というのは小屋をつくることでしょう、いい言葉で言えばタンクだけれども。小屋をつくるのと工場をつくるのとは天地の違いです。それを小屋ができれば工場もまたできるだろうという言葉に甘えておるのですよ。また、それで引っ張っているでしょう。それに頼ってすがっているような姿です。そういうことを思いますと、私はむつ小川原開発というようなものはきっぱりとあきらめて新しい開発の道をとるべきではないだろうか、こう思います。  私は、意見として一応申し上げておきますが、この小川原開発計画の先行きがきわめて不安定であるのにもかかわらず、それでも小川原湖の水の淡水化計画はやろう、こう言っています。小川原湖の淡水化計画で淡水化された水は工業用水に大方使おうと言っています。ここにも矛盾があるのじゃありませんか。工業開発の計画というものは先が真っ暗なのに、それにもかかわらず、工業用水道の事業というものを促進すべくここにとにかく道を求めております。工業用水、そうしてもう一つは住民の飲料用水。飲料用水と工業用水というもの二つをくっつけて今度新しい水の利用計画だ、こう言っているのです。あの地域住民の人たちは今日、小川原湖の濁った水、汚れた水、上北鉱山から流れてくるところの鉱毒の激しい水、カドミウムの多い水、汽水湖から淡水湖に変わっていくというと酸素がまた燃え上がってきてこの金属の汚水というものの影響で鉱害はますます盛り上がってくるだろう、こう思います。そういう水を高い金を出して飲ませるなんてもってのほかだと言っています。工業用水に使おうといっても、工業の導きの道が閉ざされているのにそんな方向に進めようといっても、これも私は無理だと思うのです。そういう意味において、小川原湖の総合開発事業というものにおいて工業用水と飲料用水にいま何とか進もう、こう言っているのですが、このことについては地元においても相当の批判があります。  まず漁業補償をどうするかということです。この漁業補償の道が開かれることなくしてここに進むこともまたできないでしょう。これについてはいつごろ見通しがつけられて、そうして事が運ばれますか、知っているところで答えてください。
  304. 岩城彬

    ○岩城説明員 通産省は小川原湖の開発につきましては水源費補助金の対象に取り上げておるものでございますが、この水源費の補助制度と申しますのは、工業用水が治水でありますとか上水道と共同で水源施設を先行的に建設する場合に補助対象にしているものでございます。したがいまして、われわれ一般に工業用水道事業費補助を別途持っておりますけれども、それよりも非常に超長期に先行的なものになるというのが通例になっておるものでございます。この水源施設の建設につきましては、本件は治水を中心にして事業が進められておるものでございまして、それに青森県が負担金を負っておる、その部分について私どもが補助金を出しましょう、こういうものでございます。
  305. 関谷勝嗣

    ○関分科員 何を聞いてみたってわからないで、ただやっておればいいだろうと言ってやっているような状態です。私の聞いているのは、漁業補償の道はどうなりますか、見通しはどうかと聞いているのです。それに対していまのお答えなんて、こんなのに時間を上げるわけにいきませんよ、委員長。漁業補償の問題はどうですかと聞いているのに、どうですか。
  306. 四柳修

    ○四柳政府委員 直接の担当は建設省でございますけれども建設省来ておりませんから、かわって御説明申し上げます。  御案内のとおり、小川原湖の漁業補償につきましては、建設省地元青森県の協力を得まして、五十六年末を目途に何とかしてしてやりたいという話を進めております。それ以上の要求につきまして聞いておりませんけれども、入り口の話だけは私どもそういうふうに伺っております。
  307. 関谷勝嗣

    ○関分科員 とにかく閣議口頭了解というにしきの御旗のもとに、むつ小川原と言えば何の吟味もなく進んでいかなければならないというような無気力な行政の姿勢だと私は思っている。局長は、私が昨年当選の暁に一番先にお尋ねしたときには、いいお答えをあなたしておりましたよ。しかし、私も一年半たったら国会というものがわかってきました。いいかげんな答弁が多いところだなということを知りました。もっと住民に足のついた行政を国は行わないと地方は困るのです。  そういう意味で補償の見通しもなかなか容易じゃない、先ほど申し上げたように、この水を淡水化すると言うけれども、淡水化に至る道程もこれまた容易じゃない、しかもこの水の質というものが先ほど申し上げたような水の質です。汚れた水、腐った水、危険な水、それに金を出してどうして飲料水なんかにできようかと言って地元では反対しております。知らないうちはむつ小川原だから協力しましょうと言っておるけれども、ちっともむつ小川原というものは容易じゃない。名前のとおりむつかしいものです。きわめて困難なものです。そういうことでの御理解を明確にしておいて今後も当たっていただきたいと思います。  この問題については、いずれしかるべき常任委員会の際にこの続きをまた申し上げたいと思います。国土庁長官、その意味でよろしく覚悟をして御勉強をしていただきたいと思います。  港湾局の方がおいでになっておればお尋ねしたいと思います。  私はかねがね福井港の公有水面埋め立ての問題について、昨年の三月七日に取り上げました。あの港湾の計画変更の際にも、いいかげんな測量に基づく魚礁の位置、しかも一点係留ブイバースのあの周辺における魚礁の位置というものは全然違っておる。魚礁の位置が違っておるのにこの計画変更を審議の対象にすることだけでもおかしいじゃないか、こう申し上げておきました。  そこでその際に、港湾審議会においては漁協や漁民の言うなれば間柄によくお話をして調整を図った上でこの仕事を進めることをよしとするとの御決定があったわけであります。今日、この公有水面埋め立てに当たって、昭和五十五年五月十二日付であの現地の方々公有水面埋立免許願書に関する意見書というものを出しております。この意見書というものを港湾当局としてはごらんになったかどうか、これをどのように吟味し、分析されたかということから、また当面のこの問題についていまどういう状況にあるかということをあわせてお答えいただきたいと思います。
  308. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の意見書をいただいております。現在私ども承っておりますのは、福井県におきましてそういった方々とのお話し合いを進めておられるというふうに聞いております。
  309. 関谷勝嗣

    ○関分科員 どうも吉村眞事局長はまことに簡単な御答弁で困るわけでありますが、私は、調整を図った上でしろというこの条件、非常に大事な条件なんだ。ところが何らの調整もなされないまま、何らの話も進まないまま、埋め立て工事についての事業のために必要とするケーソンの発注を、十億以上の発注工事をすでにしてしまっているのです。黙っていても、いま許可が来るであろう、こういうことがかっこうとして示されているようなものである。私は少なくとも、この埋め立て許可をするに当たっては調整を図るべし、調整が成り立たないうちには許可を出すべきではない、こう思っておりますが、その点についてはいかにお考えになりますか。
  310. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 埋め立て認可につきましては、現在福井県から認可申請が出ております。そして運輸省におきましては、これの埋立法上の審査を進めまして、現在の段階では、環境庁の方の御意見を伺っておる段階でございます。現在そういうことで環境庁の方の御意見を伺っておる段階でございますが、いつ免許がおりるというような点まではわかりませんけれども埋立法上の審査が終了いたしまして、埋立法上の問題点がないということになりますれば免許をいたしたいというふうに考えております。
  311. 関谷勝嗣

    ○関分科員 私は法的に、とにかく行政的に進めるという一般的な進め方と違いまして、ここには港湾審議会においてつけられた調整をすることなしに許可はすべきではない、こう思っておるのです。許可はする、調整は出先でしなさい、こういうことであっては審議会の意見というものが軽視された形になる、こう思います。そういう点については、あなたのところで調整を図ることについてぜひひとつ積極的に踏み込んでみる、そういう気概がありませんか。
  312. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 港湾審議会の条件といたしまして、実施に当たっては関係の漁業者初め関係者に対して十分説明と調整を行われたいという付帯条件がついておりまして、運輸省からもその付帯条件を受けまして、港湾管理者に対してはその旨を申し上げております。運輸大臣から福井県知事に対しましても、実施に当たっては関係漁業者初め関係者に対して十分な説明と調整を行われたいということをお願いしておりまして、また、私ども現在聞いておりますところでは、福井県におきましてその方向で鋭意調整と説明をしておられるというふうに承っておるわけでございます。
  313. 関谷勝嗣

    ○関分科員 私は、調整が図られて、調整がうまく進むならば、本当に心配いたしません。しかし、調整の仕方の一つの中に、言うなれば三国港の漁業協同組合というのがあります。あの漁業協同組合を賛成に持っていくために、底びき網の禁止ラインの中にエビこぎ網を許可するからという、できないことをえじきにして、われわれの言葉で言えばエビでタイをつるというのがあります。これなんかは飯粒でタイをつる方になっているかもしれません。そういうようなできもしない条件をつけて、こういう三国港の漁業協同組合を賛成に回しております。これらの諸君は、この間私が水産庁長官に申し上げて、それはやはり適当ではない、そういう許可はできない、そういう認可もまたできない、こういう指導方針をきちんとなされました。今度は三国港の漁業協同組合の皆さんも、当てにできなくなったというので、まただまされたと思っておられるでしょう。しかし、彼らは五千万円という補償金ももらって賛成したのですから、いまさらまた反対に回ることも苦しい状態に置かれているかと思います。三国漁業協同組合や福井の漁業協同組合は断固として反対。なぜ反対か。それは、一点係留ブイバースというものができるというと、自分たちの漁業の基本が損ねられる。初め埋め立てに賛成をしたのは、そんなものはない、そういうことにはならないというので、海の方の影響はさほどでもないと思って了承した。今度の計画変更では、一点係留ブイ方式なものですから、大変だ、あの近くにある魚礁、その魚礁を頼りにして漁業が成り立ってきたのに、今度はそこに行けなくなるというので、大騒ぎです。  そこで、一体一点係留ブイバースの周りにどれだけの魚礁があるのか。この魚礁の位置について、昨年、漁業協同組合の皆さんのおっしゃっておる位置と距離と、県が言っておる距離が余りにも違いがある。そこで私は、むつ小川原開発で経験者です。あの許可を持っていくときに、風速、風の速度というものを保安林の中ではかって、大した風の速さじゃないから許可をしてくれとやって、とうとう許可をとったのです。いまは海の底にある魚礁の位置が一点係留ブイバースからこんなに離れて妨げのないところにありますよ、こう言って、今度は空ならぬ、天ならぬ、海の中をだまして許可をとろうと、こうしている。こういうやり方で事を進めようということは、私は正しいやり方ではない。そこで、現地の県と現地の漁協とは幾ら話をしたってらちがあかぬのだから、きちんと測量することの確認をしなさい。そのためには、運輸省も出かけていって立ち会いしなさい、こう申し上げておきました。なぜ運輸省はそれに立ち会いをしようと言って出かけていかないのです。調整のために役立つことならば進んでやったらいいじゃないですか。何がそんなに引っ込み思案にするのです。わかった、出かけていこう、こうしていいんじゃないですか。県から依頼がないから行くわけにいかない、運輸省にも出先もおるから、出先でがまんされないか、そういうような消極的な姿勢では、私はうまく進まないと思う。運輸省も許可をする以上、あるいはしない、そういう立場の判断の必要上もすべき仕事というのは積極的にお手伝いをしたらいいでしょう。何で運輸省出かけることができないのだ。わかった、わかった、もう出かけていく、こういうふうにお考えになったら、私はそれでこの質問を終わりますが、ひとつ局長、まことのお話をしてください、
  314. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 先生指摘のように、測量の結果が出ておりまして、その結果が違っておるのではないかという御意見があるということは承知いたしております。  実は、測量の結果が違っておるというその御意見を含めて三つございまして、県の方でおやりになったものと、市の方でおやりになったものと、それから漁協でおやりになったものというふうに聞いておりますが、福井県の方でおやりになったものと市でおやりになったものは、ほぼその結果が一致しております。そしてこの二つの調査につきましては、調査のやり方、つまり測点の確認と申しますか、場所を確認する方法等の技術的なやり方がほぼわかっておりまして、私ども測量の技術という面から言えば、妥当な方法でなされておるように考えております。そういうことで、その測量結果は間違いないというふうに考えて港湾審議会の時点では考えておりましたわけでございますけれども先生指摘のように、その後非常に強くその位置が違っているという御意見もございますので、県の方では、それではもう一回改めて測量をし直してみよう、こういうふうに言っておるように伺っております。そして漁協の方でその測量に対して非常に御不審のようであるならば、そのときに一緒に立ち合って船にお乗りになってはどうかというふうに、県の方から漁協にお話しかけがあったというふうに聞いております。それで、私どもも、この測量というのは非常に技術的な問題でありますから、技術的に正しい方法で正しくはかられれば正しい結果が出る、こういう性格のものだと考えております。したがいまして、そういうふうにもう一回入念に技術的な方法等について十分に検討した上で、正しい方法でおはかりになれば正しい結果が出るだろうと思っておりまして、その限りにおいては私どもがお邪魔する必要もないのではないかと実は考えておったわけでございます。しかし、その過程で漁協の方から運輸省の立ち会いをお願いしたいということが書いてあったというふうにこれまた私ども仄聞をいたしておるわけでございまして、基本的な趣旨はいま私が申し上げたとおりでございますけれども、漁協の方が立ち会いをされるのに漁協の方々はそういう技術的な知識がおありでない、したがってそばで見ていてもそれがちゃんとやられているかどうかわからない、そういう意味で、技術的によくわかる人に一緒にそばにいてほしい、こういう趣旨でおっしゃっておるのかなと実は想像をいたしておりまして、そういった御趣旨であれば、本当は漁協の方でしかるべき大学の先生でありますとか、そういうよくわかる方に立ち会ってもらわれればいいのでしょうけれども、なお非常に強い御要望があるということであれば、また検討をさせていただくことはいたしたい、こういうふうに考えております。
  315. 関谷勝嗣

    ○関分科員 何も普通のことであれば科学的なことはだれが見たって同じなんです。だがしかし、ここには対立している感情があります。もうあなたの顔は見たくないと言っているのです。片方もおまえは見たくないと言っている。そこで中に人をはさんでいただいて進められないかという単純な話です。それを官僚的な立場に立って、運輸省はそう簡単に出かけていくものではない、こういばってみたところで前進にはなりません。調整を図ることという前提条件があるのですから、調整を図ることに役立つことならばどこへでも飛んで行ったらいいでしょう。向こうの人は金も時間もないのに金も出し時間も出して新幹線に乗ってあなた方のそこへ何度陳情されましたか。そのときにあなた方の中で一人でも行きましたか。あなた方が行くと言えば国費で行けますよ。零細な彼らは金を集めてそしてこのことについて命がけで取り組んでおる。ひとつ要請にこたえてそのくらいのことはしてあげるべし。また、ケーソンなんか買っていまにも許可がくればやるのだという構えを見せるなんということについても、しかるべき注意、指導を私はしてほしい。信を回復しなければ調整なんというものは成り立たないであろう。そうするとこれまた行政上うまくいかないことになりましょうから、その点についてはひとつ担当の局長としても全力をもって、誠意と善意をもって当たっていただきますことを希望して、私の質問を終わります。
  316. 岡田利春

    ○岡田(利)主査代理 以上で関晴正君の質疑は終了いたしました。  次に、城地豊司君。
  317. 城地豊司

    城地分科員 私は茨城県の水戸対地射爆撃場跡地利用の関係について関係方面の方々に質問をいたします。  昭和四十八年の三月に米軍が使っておりましたこの対地射爆撃場が返還され、その後昭和五十二年三月に首都圏の整備計画がつくられ、さらにそれに基づいて五十三年十月には茨城県として跡地利用構想をつくり、そしてこの千百五十ヘクタールという非常に広大な跡地の利用を具体的にする段階に入ってきたわけでございます。  そして今月、昭和五十六年の三月三日現在どういう状況になっているかと申しますと、あの跡地の利用構想が発表されたときから、いろいろな関係でこの跡地に対する要望があったり、さらに跡地の利用について新たなこういうものを設置したらどうだというようなことが提起されたりしてきているのが現状でございます。しかも、あの跡地に建設省関係での国営海浜公園はすでに決定をされて具体的な現地事務所も設置されてやられておりますし、運輸省関係の流通港湾の関係はまだ具体的には着手をしておりませんが、それらの関係、さらには流域下水道の関係でのあの地元の県会での決定がなされている。そしてそれらの問題が他の交通安全センターの問題とか石炭火力発電所建設の問題とかそれらとの関連で工事そのものも行えないような状況になっているわけでございます。  これらの状況の中で、昨年の十月には茨城県の県会の中で各党派から代表十四名を出しまして射爆場跡地利用促進特別委員会というようなものを設けて、そしてこれらの人たちが中心になって、何度がこの利用大綱といいますか、跡地の利用計画策定ということについて国土庁へも陳情、要請に参ったところだというふうに聞き及んでいます。国土庁の答弁の関係は後ほどお答えいただくとして、そういう状況の中で、各省庁のいろんな思惑、それから地元市町村の願望、要望というようなものとの交錯によって非常にこの利用計画ができにくくなっている現状にあるというように聞いております。  そういう点から国土庁にお伺いをいたしますが、跡地利用構想策定の基本的な考え方、さらにはそれに基づく利用計画策定の現在の状況と見通しについて概括的に御説明をいただきたいと思います。
  318. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 水戸射爆撃場跡地の経緯、それから跡地利用の検討の経緯、さらに県の方であるいは県議会の方で、先ほどおっしゃいましたように跡地利用促進委員会等を設けてこれの促進方に当たっておられる状況等につきましては、ただいま先生指摘のような状況のとおりでございます。また、その跡地利用の大綱がまだなかなかできにくい事情についても御指摘の中でお察しのとおりの状況ではございますが、一応改めてお答え申し上げたいと思います。  跡地利用計画につきましては、本来は最終的には大蔵省の国有財産中央審議会の議を経まして大綱が決まりまして、それに基づいて関東地方審議会で処分計画が決まるということになるわけでございます。私どもは、いま国土庁としては首都圏整備の観点から、大蔵省としては財産管理の観点から、地方公共団体、関係機関の要望を聞きながら、どういう利用計画を決めたらいいかということを聞きながら利用計画をまとめたいと思っておるわけでございますが、その中で私どもがこの跡地利用計画を決める基本的な考え方といたしましては、これも先生指摘のとおりでございまして、昭和五十二年三月に決定されました首都圏整備計画におきまして、この「水戸射爆撃場跡地及びその周辺の地域においては、北関東総合開発の一環として、総合的な新市街地の形成を図る。」こととして、その一部を新流通港湾及び関連流通加工業用地並びに公園緑地として整備を図ることとするという基本的な方向が出ておりますので、この基本的な方向に基づきまして、現在までに地方公共団体及び関係の各行政機関から出されました要望につきまして検討をし、かつ、この跡地に立地が必要だと思われる施設につきまして、それぞれ相互にその御意向を承っておる。しかしながら、その一部につきましてまだ基本的に見解の一致を見ていないものがあるために、国有財産中央審議会に出す案が固まっていないというような状況でございます。
  319. 城地豊司

    城地分科員 具体的なことについて申し上げます前に、一応建設省関係で、国営海浜公園の関係の点について、すでに現地の事務所も設置しておりますから、これらについて考え方があれば概括お聞かせをいただきたい。  それから、まだ着手はしておりませんが、運輸省として流通港湾についての考え方があれば、運輸省の担当の方から伺いたいと思います。
  320. 田辺昇学

    ○田辺説明員 国営常陸海浜公園は、昭和五十四年度に事業採択をされたものでございます。昭和五十五年度に国営常陸海浜公園調査事務所を設置しておりまして、その公園に係ります基礎的な調査を現在実施しているところでございます。今後は、ただいまお話しの跡地利用計画が決定され次第工事事務所に変更いたしたいと考えているところでございまして、過年度、昭和五十四年度三千万、昭和五十五年度八千万の調査費などを執行してきたところでございます。  以上でございます。
  321. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 茨城新港の問題でございますが、この茨城新港は、御承知のとおり昭和四十年代から地元の茨城県において検討が進められてまいりまして、首都圏基本計画あるいは三次の全国総合開発計画等にも、広域的見地からその整備を図るということにされておるものでございます。現在この港湾計画の策定等の具体化のための検討が地元の県において進められておる段階でございます。今後、私ども運輸省といたしましては、港湾整備五カ年計画の策定あるいは港湾計画をつくるといったような過程で、地元の茨城県あるいは国の関係省庁とも相談をしながら進めてまいりたいと考えております。
  322. 城地豊司

    城地分科員 具体的なことで質問いたしますが、ついせんだって、茨城県会の特別委員会のメンバーが国土庁に要請に参っております。それらの要請の中でいま一番問題になっておりますのは、個々の問題は別にしても、警察庁所管の交通安全センターの建設というようなことが表面に出ておりまして、地元としては、どうも交通安全センターは、国全体の計画としては必要性はわかるけれども、水戸射爆場跡地へ設置することについては余り芳しくないという考え方を持っているようで、そういう点での国土庁への陳情、要請だったと思いますが、そういう地元の意向についてどういうように国土庁として把握をしておられるか、伺いたいと思います。
  323. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 先ほど先生指摘のありました、県議会の御了承を得て出されました県からの跡地利用構想の中に、当然このような国の機関の施設は予定されてなかったこともございまして、いま改めて私どもの方で、地方公共団体と国の各行政機関から要望のありました施設をこの際また再編成いたしまして、こういう形で仮にこの自動車安全運転センターの中央研修所といったようなものを提案をするに至りましては、地元の方で若干異和感を覚えることは確かだろうと思います。また、これが新流通港湾あるいは公園といったようなものと必ずしも直接一体性を有するような施設でない点はもちろんあるわけでございますが、私どもといたしましては、この自動車安全運転センターの中央研修所を、警察庁の特殊法人でございますけれども、高度な運転技術、知識の修得に関する教育訓練、その他青少年の運転者の資質の向上を図るための研修、安全運転に関する技術研究、こういったものの全国的な視野からの必要性という点については、もちろんいま先生も御指摘のとおり御理解をいただいておるわけでございます。また、その施設につきまして、私ども、これは警察、大蔵省もそうでございますが、全国的にいろいろな場所、あるいは立地の要件、そういったものを検討の上、やはりこの水戸射爆場跡地が一番適地であるとの判断もいたしておるわけでございまして、その辺につきましてはなお今後県、市町村と地元の御理解を十分得ながら取りまとめをいたしていきたいというふうに考えております。
  324. 城地豊司

    城地分科員 水戸対地射爆撃場というのが正確な名前でありますが、余り長いものでありますから、省略して水戸射爆場と、今後はそういうことでお互いに発言をした方がいいと思いますので、水戸射爆場で了解をいただきたいと思いますが、水戸射爆場は千百五十ヘクタールの広さを持っているわけですが、これは茨城県の勝田市、那珂湊市、そして東海村という二市一村にまたがっています。そして、まだ利用大綱が決定されていないのは事実でありますが、それにしても概略、国営海浜公園はやはり海に面してこういうところがいいだろう、何はここがいいだろうというようなことでの計画が頭の中で、というよりは、計画としてはっきり図式にはあらわれないがわかっているというふうに承知をしております。そういう意味で、いま地元で一番問題になっているのは、特にこの安全センターをどこにつくるかということははっきり決まっていないというのも事実でありますし、また全然余分な土地がなくてそういう計画を立てているということでもありませんから、一概にそうは言えませんが、主としてこれは那珂湊市の地域に安全センターの立地が予定されているのではないかということがほぼわかるような感じ方でございます。     〔岡田(利)主査代理退席、関谷主査代理着席〕 地元の、特にこの那珂湊市は、漁港で発達をした町でありまして、非常に漁業関係そのものもさびれてくる、しかも当時、戦時中でありますが、個人個人が持っていた土地を陸軍省に売却をしてあそこに飛行場をつくった。そして終戦後米軍がそれを使うようになった。そして長い間の返還運動で今度返還されたという歴史的なそういうものを持っているのが、この水戸射爆場であるわけであります。  したがって、那珂湊の人たちが一番心配しているのは、那珂湊市という小さい範囲でありますけれども、漁業もすたれてくるとすれば、唯一の頼みにするのはこの水戸射爆場の跡地の利用である。そういうような利用される跡地から、町がいろいろな意味で有利になるようなものができれば、それで町の財政が潤うということをイの一番に考えるのは当然のことでございます。そういう意味で、私は先ほど交通安全センターの件で申し上げましたが、交通安全センターそのものも悪いものでなくて、国としてそういう施設が必要であるということは認めるにしても、それをそこへ設置することによって広大な地域が、言うなれば自動車学校をさらに何十倍にしたような非常に大きなところでありますし、そこへ交通安全センターができますと、ある意味で、地元の雇用というような点でも充足されるようなことにはならない、さらにはその他の財政の関係でも、年間数万人の人がそこで教育を受けるにしても、地元が財政的に潤うというようなことはない等々を考えますと、そういう意味では残された最後の土地であるから、地元が財政的に潤う、そういうような経済性を追求するのは当然だと思うわけです。そういう点が、地元がこれに対して賛成しないという非常に大きな地元の意思ではないかというふうに私どもは承知をしておるわけであります。  そういうようなことで、地元で反対をしている、賛成をしないという状況の中で、なおかつ、ただ単に地元で納得しろという説得だけではいかないと思うのですが、それらについて、たとえばいつごろまでに説得できそうだとか、見通しをお持ちであれば見通しについて伺いたいと思います。
  325. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 御指摘のような地元、特に那珂湊市の御意向について、私ども十分理解できるつもりでおります。そういうこともございまして、単に私どもの方が、水戸射爆場跡地の利用の計画を国が一方的に絵をかいて、これでどうだといったような形の提案はいたしませんで、国の各行政機関あるいは地元からの要望に基づく各施設につきまして、こういうものの立地が検討されておるが意向はどうだろうかというような形で、いまのところは非常に漢とした形で意見を照会をいたしております。その意味では、たとえばいま言われた自動車安全運転センターの中央研修所の位置等は必ずしも正確に明示はいたしておりません。そういうこともございまして、この中央研修所の立地の今後に与える影響といったような点について、あるいは御懸念も確かにあろうかという気はするわけでございますが、私どもはそういうことも考えまして、すでに県を通しまして、警察庁あるいは自動車交通安全センター等からじかに地元の方にも説明する機会を与えていただくようお願いもしておるし、若干非公式にそういうこともあったようです。また実際問題として、先ほど言われました県議会の跡地利用促進のための特別の委員会が警察庁及びセンター等に行きまして、相当突っ込んだ意見の照会をしておるかと思うわけでございます。  私ども、この点につきましては、いませっかく地元の方でそういった特別な委員会までつくりまして、関係各省を訪問したり、あるいは地元の市当局等と密接な会合等を重ねまして御検討いただいておるところでございますので、一応その御検討の結果等も私どもいただきながら、また御意見を交換させていただきたい。ただ、県の方にいたしましても私どもにいたしましても、これはできるだけ早く利用大綱案というものをつくりたいという気持ちは一致しておるというふうに考えております。
  326. 城地豊司

    城地分科員 いま安全センターその他の関係で伺いましたが、東京電力とか電発が地元に石炭火力を設置したいという意向があるような話も聞いておりますし、さらに東海村にある動力炉・核燃料事業団、動燃が隣接する土地を利用したいというような申し入れがあったというようなニュースも聞いておるのですが、それらについてはどのように把握をしておられますか。
  327. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 この跡地の利用につきましては、もうすでに御承知かと思いますけれども建設省から国営常陸海浜公園、自動車安全運転センターから自動車安全運転中央研修所、動力炉・核燃料開発事業団から東海事業所の拡張用地、東京電力株式会社、電源開発株式会社から火力発電所、さらに地元茨城県から流通港湾、国営公園、下水処理場、加工業用地、公共公益施設用地等々が要求がございました。さらにその以前からは、科学技術庁の放射線医学総合研究所とか、日本原子力発電株式会社の原子力発電所等の要望もあったわけでございまして、これらすべてにつきまして、私ども関係各省にその立地方、あるいは関係地元についてその立地についての御意向を照会をしておるという段階でございます。
  328. 城地豊司

    城地分科員 ちょっと話を変えまして、あの跡地の中で、ごく一部分でありますけれども地元勝田市が要請をいたしまして、跡地の一部に暫定利用としてグラウンドを六面設置をしている。一年ごとの協定で暫定的に、跡地があるのであるからそこにグラウンドをつくって、そのグラウンドの活用を図っているということでありますが、われわれの聞いたところでは、そのグラウンドの活用は非常に盛況でありまして、ほとんど休みなく使われる、休日なんかはかなり早くから申し込まなければそのグラウンドが使えないというような状況であるというように聞いております。これは国土庁の所管ではないかもしれませんが、それらの状況を把握していれば、その点について概括で結構ですからお聞かせいただきたいと思います。
  329. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 御指摘の点は、事実として私どもも承知をいたしております。暫定利用の点も御指摘のとおりでございます。また、その勝田市等におきましては、やはりこの地域で若干そういった公共施設の不足もあるわけでございまして、県の方でまとめられました跡地利用構想の中にも、相当積極的にそういった公共公益施設の計画はあるようでございまして、私どもとしては可能な限り積極的に取り込んでいきたいというふうに考えております。
  330. 城地豊司

    城地分科員 時間がありませんから細かくいろいろ指摘できませんが、いまのグラウンドの暫定利用の問題に見られるように、あれだけ広大な土地をいつまでも遊ばせておくということは非常にもったいないことだというふうに私ども考えています。  そういう点で、国土庁の場合には、積極的に跡地利用大綱をつくっていきたいという考え方で努力しておられることはわかるのですが、きょうはこちらへおいではいただいておりませんが、聞くところによると、大蔵省がこの国の財産を管理している。その管理している地主が、全部決まらなければだめだ、分割してやることは反対だという意向のように聞いております。これらの問題についてはまた別な機会に指摘をしたいと思いますが、そういう考え方があるということをわれわれは聞いているわけでありますが、このグラウンドの暫定利用の例にも見られるように、何か施設をつくれば非常に大きく活用されるというふうに私ども考えているわけであります。しかも、地元のいろいろな合意が得られない場合にはこの計画は延びていくということでありますから、そういう点からしますと、国営の海浜公園の問題は現地にそういう調査事務所を設けてもう始まっているということでありますし、さらには流域下水道の問題も早くやりたいという地元の意向もあるということでありますから、全部が決まらなくても、決まったものは本格的に着工して進めていく、そのためにある程度余裕を持って線引きをしていくということも必要かもしれませんが、そういうふうに考えているわけであります。といいますのは、たとえば流通港湾の問題にしても、たとえば先ほどの石炭火力の問題が出されるにしても、たとえば国営の海浜公園がどういう形でどういうふうにやられるにしても、それぞれの各事業の完成というものを考えますと、恐らく日程的に、あるものは五年、あるものは七年、あるものは三年というふうに、それぞれ違ってくるのは事実だと思います。そういう意味で考えますと、必ずしもスタートだけを一緒にする、それはスタートを一緒にしなければ地主としてはだめなんだ、そういう大蔵省の意向では私はならないような気がするわけであります。いま決まっているようなことは早期に着工させる、そして進めていく、その過程地元との話し合いで、たとえば安全センターの問題にしてもその他の課題にしても詰めていく、そして地元がどうしても反対だというときであっても他の施設はどんどん進行するという形が望ましいのじゃないかというふうに私は考えるわけでありますが、そういう、言うなれば分離論といいますか、一括してやるのじゃなくて、分離してでも国営公園はどんどんつくっていく。国営公園だって四百五十ヘクタールの日本有数の国営海浜公園になるわけでありますから、そう簡単にできるものじゃないし、そういうものは早急に着手すべきではないかというように考えておるわけであって、それらの関係については大臣からもぜひ考え方としてお答えをいただきたいと思います。
  331. 原健三郎

    ○原国務大臣 いまおっしゃいましたいわゆる分離利用ということにつきましては、これはいろいろ議論がございまして、そういう点も考えられますが、便利のいいところ、都合のいいところだけ食い逃げみたいな感じで先取りされて、あとどうも利用ができない、これもちょっとぐあいが悪い等々考えますが、とにかく地元の意向を十分配慮しながらいろいろ皆さん方の御意見も聞いて、慎重に、しかしそんな慎重ばかり言っておってらちがあかぬようでは因るから、慎重であるがただし早く、急速に、急いでやるように等々、積極的に推進していきたい、こう思っております。
  332. 城地豊司

    城地分科員 大臣の答弁を聞いて大分安心しましたが、食い逃げといいますか、地元で、とにかく土地は逃げないわけでありますから、千百五十ヘクタールという土地はそのままある、その土地をどう活用するかということで、早く決まったものは早く着手をする、そして決まらないものは一年おくれてでも、後で工事を一生懸命やればある意味で追いつくということもありますし、さらに流通港湾の問題なんかにしても、私は、ただ単なるあの地域だけでなくて北関東全体の関係での流通港湾であるわけであって、そういう意味でも、これはある意味で早く決まるものは決めていく、決まらないものはやはり後に回したって土地は絶対に逃げないわけでありますから、いま大臣の御答弁のありましたように、積極的に前向きで決まったものは早く着手させる、決まらないものは何とか地元とのコンセンサスを得てそれから決めていくという形でいくように努力を願いたいということを要望しておきたいと思いますが、何か答弁がありましたら……。
  333. 伊藤晴朗

    伊藤(晴)政府委員 若干事務的に補足させていただきます。  御指摘のとおり、大蔵省といたしまして、国有財産中央審議会において全体の利用計画についての答申を得た上で個々の要望施設の処分を行いたいという希望を持っておることは確かでございます。  私ども国土庁といたしましても、少なくとも跡地利用大綱といったような大まかなプランにつきましては、どうしても全体的に整合のとれた有効利用を図るための総合的な判断が必要じゃなかろうか。実際問題として非常に広大な土地ではございますけれども、要望に係る面積はその倍以上ございますし、また非常に異質な利用希望でございますので、その間の境界の決め方等いろいろむずかしい問題がございますので、できますればいわゆる利用大綱というマスタープラン的なものは全体的に決めたい、その上で個々に国有財産中央審議会の段階で払い下げの処分計画を決める段階では、御指摘のように決まったものからやっていくというような段取りは当然考えてしかるべきだというふうに考えております。
  334. 城地豊司

    城地分科員 いま答弁があったので、最後でなくて、もう一度最後の要望を申し上げたいのですが、やはり千百五十ヘクタールあるのですから、気持ちとしてはだれだって全部すっきり決まって、それやれということはすっきりすることだと思います。私もそのことは否定いたしません。しかし、千百五十ヘクタールのうち、たとえば三百ヘクタール決まらないとして、あとの八百五十ヘクタール決まったとすれば、私は、そのときに全部決まらないからまた一年延ばすとか二年延ばすとかいうことよりは、むしろ決まったものを——それは大部分でなくて小部分だけ決まったのではつまみ食いになりますが、大部分決まれば、そのことでスタートしていいのじゃないか、そしてあとの部分については次の機会、第二次ということでやっても差し支えないのじゃないか、それがある意味では政治というものではないかというふうに思うわけです。それは言うなれば決断の問題だけだと思いますので、大臣にぜひとも、先ほどお答えをいただきましたが、それらを含めて今後とも善処をお願いしたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  335. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で城地豊司君の質疑は終了いたしました。  次に、横手文雄君。
  336. 横手文雄

    ○横手分科員 私は豪雪対策について御質問を申し上げたいと存じます。  昨年の暮れから、北陸を中心にいたしまして大変な豪雪でございました。したがいまして、国の方でも国土庁長官を本部長とする対策本部を設置していただき、いち早く私ども福井県を初め被災地を視察いただいたことに対しまして、心から御礼を申し上げる次第であります。雪も峠を越えまして、一般の生活の中にもまた活気が戻ってきた今日でございますけれども、しかし解けていけばいくほど、その被害の状況というものは私たちの目の前にあらわれてくるわけであります。これから先、本格的なこの雪害に対する救済活動が発動されることでございましょうし、福井県の皆さん方、そして各被災地の皆さん方もそれを熱望しておられます。そういった観点から、今日までお決めいただきました具体的な豪雪対策の重立ったものについてひとつお示しをいただきたいと思います。
  337. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 豪雪対策につきましては、去る二月四日に政府の豪雪対策本部で取り決めたものを中心にして進めているのでございます。  その第一といたしましては、道路交通の確保のための除排雪及びそのうちの市町村道の除排雪の費用について特別の財政措置をするということでございます。この問題につきましては、昭和五十一年度の特例措置に準じた措置を講ずるということで目下作業中でございます。  第二の問題は、森林関係の被害が非常に多うございます。これにつきましては、被害の的確な実態把握に努めながら、激甚災害復旧造林の指定等の措置を検討するということにしておりますが、そればかりでは十分ではないというような点が出てきておりますので、いろいろの対策を目下農林省を中心に検討中でございます。  第三に金融関係でございまして、その一つは中小企業者に対する金融の問題でございます。これにつきましては、激甚災害の例に準じまして政府系金融機関によりまして六・〇五%、特別に被害の大きかった方につきましては三%という低利の特別緊急融資措置を講ずることを二月六日に決定をいたしまして、対象市町村数等を中小企業庁において二月十日に決定をした次第でございます。  また、被害農林漁業者に対する金融措置でございますが、これにつきましては天災融資法を発動することを方針として決めまして、それまでの間のつなぎ融資という措置を講じております。  また、住宅被害を受けた被害者に対する金融措置でございますが、これにつきましては、御案内のように災害復興住宅貸し付けというのがございますが、これにつきましても限度額の引き上げについてほぼまとまりつつある現況でございます。  また、公共施設に対する除排雪の費用の特別の助成でございますが、いわゆる公共施設除雪法という法律がございます。今回の豪雪に際してこの除雪法を適用する豪雪指定政令を公布する方針をすでに固めておりまして、関係地方団体に対して準備を要請していることでございます。  この公共施設除雪法によりますところの特別の助成と、それから先ほど申し上げました幹線市町村道の除排雪に対する特別の助成とで応援をしながら、特別交付税におきまして、市町村の除排雪費用につきまして、これをできるだけカバーをするというふうにしているところでございます。  また、いろいろな方に対します、たとえば生活保護世帯その他に対しますところの雪おろしの問題あるいは災害救助法の適用地域における雪おろしの問題についてできるだけの措置を講じますとともに、一般家庭の雪おろし費用につきましては、年五万円を超える分を雑損控除として所得控除することができるようにする内容の所得税法改正案を提出して、目下御審議をいただいているところでございます。  なお、そのほかの問題といたしまして、亡くなった方がすでに百十人おるわけでございますが、これらにつきまして災害弔慰金の対象にする措置も講じているような次第でございます。  以上でございます。
  338. 横手文雄

    ○横手分科員 今日まで、そういった国の施策の中で多くのことがすでに行われ、あるいは行われんとしておるようでございます。先ほども申し上げましたように、雪が解けるにしたがって、そのつめ跡の痛々しさ、そういったものが目に見えてまいります。どうか地域住民の皆さん方の心に触れた、そういった処置を今後ともに強力に推し進めていただきますように、心からお願いを申し上げる次第であります。  特に、いま述べられた中で、農林関係の問題については、折損木の問題が大変な被害であります。聞き及びますと、具体的に折損木に対して正面から取り組んだ救済措置、こういったものについて法律的に不備であるというようなことが指摘をされておりますし、たまたま私も災害対策の特別委員会に籍を置いております。その席上で、これらの法改正を含めて今後検討されるようでございます。私もそのために力を尽くしたいと思いますし、また対策本部としても、特に福井県のあの折損木について、わざわざ次官が出かけていかれた、こういった経緯もあるわけでございますので、それらについても御理解をいただきたいと思う次第であります。  私はああいった状態を目の当たりにいたしまして、これからの問題として、いわゆる雪に強い木を開発をしていく、こういうことが大変大事なごとだなということを痛感をいたしました。しかし、農作物であれば大体一年たつと結果が出るということでございますが、ああいった林木については、二十年、三十年たってみて、これが雪に強いか弱いかと、こういう大変気の長い研究になろうと思いますけれども、しかし永久に続くわがこの国土を守っていく、そのためにはそういうじみな時間をかけた研究も大変大事なことなんだ、そして私たちの子孫に対して財産の一つとして残してあげることもわれわれの使命だというぐあいに考えておるわけであります。  そういった意味で、農林省におかれても、いろいろの研究の施設はあろうと思いますけれども、特に今回三十年木等がまことに無残な姿をさらしてしまったあの福井県の重雪地帯に対する試験場等をつくって、これからの国土を守る林木の、そして雪に強い林木の開発、こういったものを行うべきだという気がしますけれども、農林省のお考えはいかがでございますか。
  339. 今村清光

    ○今村説明員 森林雪害に関する研究につきましては、国立林業試験場の本場、それから東北の支場におきまして総合的に研究の推進を図っているところでございます。  また、本研究につきましては特に現地試験が重要であるということでございますので、新潟県の十日町市に十日町試験地、山形県の真室川町に山形試験地を設けるなどいたしまして、研究体制の整備を図っているところでございますけれども、さらに今後国立の林業試験場、それから都道府県立の林業試験場の連携を一層強化いたしまして、効果的、効率的な研究の推進を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、都道府県立の林業試験研究機関の行う雪害に関する研究に対しましても積極的に助成を行いまして、研究体制の強化に努めているところでございます。
  340. 横手文雄

    ○横手分科員 述べられましたように、全国的にそういった施設があるということは承知をいたしておりますけれども、しかし今回特に折損木の被害が著しく際立って起こった、福井、福島というぐあいに聞いておりますが、こういった福井県にそういった国立の試験場等をぜひ設置すべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  341. 今村清光

    ○今村説明員 科学技術庁の方に防災科学技術のセンターがございまして、それにも雪害の研究所がございます。それとも連携をとりながら研究してまいりたいと思っております。  それと現在、ただいま申しました国立の試験場でございますけれども、たとえば東北支場でございますと多雪地帯の林業研究室ということでそれ専門にやっている研究室がございますし、特に山形試験地では森林雪害防止に関する研究ということで、七人全員がそれにかかっております。本場にもそういう施設がございますので、新たに施設を設けてということまでは考えておりませんけれども、そういった研究につきましてもなお一層力を入れてまいりたいということで考えております。
  342. 横手文雄

    ○横手分科員 繰り返して申し上げるようでございますけれども、特に際立った被害を出した地域にこそそういったものが、これはもう実地にやってみなければわからないことでございますので、ぜひ必要だと思います。今後さらに検討を進めていただきたいというぐあいに考える次第であります。  次に、同じく農水省の関係になりますが、園芸施設の共済の関係についてお伺いを申し上げます。  今回の豪雪によりまして園芸施設が大変な被害を受けました。これには共済制度があるわけでございますが、この共済制度は、五〇第以上は国が手を差し伸べてあげるような制度があるわけですけれども、それまでは県の連合会とそれから単位組合が持ちなさい、こういうようなことになっておるようでございます。ところが、これが始まって間もない、そしてここに大きな被害が来たということで、この連合会で保険の支払い、そういったものについてお手上げの状態だということで陳情をいただいておるわけでございますけれども、これらに対して救済をしてあげる道というものはないものでしょうか。
  343. 海野研一

    ○海野説明員 お答えいたします。  園芸施設共済は、先生よく御承知のように農業共済の中では比較的保険設計に乗りやすいものでございまして、わりに安定的に保険事業ができるというようなことで、ただいま先生がおっしゃったような五〇%という仕切りで、それ以上のものだけを国に付保すれば大体安定的な運営ができるというふうに考えて出発したわけでございますけれども、ただ、その中でも特に非常に広範にわたって大きな被害を出すような災害がある県を襲えば、その県の連合会は容易に回復しがたいような大きな打撃を受けるであろうというようなことはもちろん考えられます。  実は、私ども園芸施設共済を五十四年に始めたわけでございます。その前に四十九年から五十二年まで五カ年間試験実施をしたときの経験にかんがみまして、そういう全県的に大きな被害を出すようなものといたしまして、風害を中心にいたしまして、風と雪の組み合わせというようなかっこうでの風雪害というようなものを幾つか取り上げまして、これについては被害のいかんを問わず全額国が持つというふうな制度があるわけでございます。ただ、もちろんそういう意味でただの豪雪というものは対象になっておりません。今回起きました豪雪そのものにつきましては、そういう保険設計で仕組まれておりまして、その保険設計に基づいて、農家からの掛金も農業共済団体と国とで分けて収入しているというようなことがございますので、今回の豪雪をさかのぼって指定するというわけにはもちろんまいりませんけれども、ただ何といいましても、先ほど申しましたように五十四年に始まったばかりの制度でございまして、試験実施の結果はあるといっても、あくまでも試験でございます。そうすると、やはり五十四年から本格実施をしましていろいろな面が出てまいります。たとえば、五十三年十月に大きな台風が参りました。その結果、相当数の連合会に大きな赤字が出たというようなこともございまして、やはり園芸施設共済についての農業共済団体と政府との再保険関係について検討し直すべきだというような議論がございまして、確かに私どもも、これは始まったばかりでございますので、やはりその実績に応じていろいろ検討していく必要があるものというふうに考えております。今回の豪雪につきましても、いま申しましたようにさかのぼってというわけにはまいりませんけれども、今回の豪雪の各共済団体に及ぼすいろいろな影響を踏まえまして、今後加入してくるものに関します責任分担のあり方についての検討には、その辺も十分加味して検討してまいりたいというふうに考えております。
  344. 横手文雄

    ○横手分科員 私が申し上げたのはそういうことではなくして、すでにおたくの方にもこういった陳情が行っておると思います。大変な赤字を出してしまいました、補償はできません、保険料は幾らも入ってきていないわけですから。そういうことでございますので、とりあえずこの人たちを救済してあげるような道はありませんかということが一つ。  ついでに申し上げます。いまおっしゃったことと関連いたしますが、やってみてこういう結果が出てきたわけでございます。この共済連の方からの要望の一つとして、単共というのですか、単位組合が持つ分とその残りの五〇、五〇というのを、連合会が三〇、それから国の再保険が七〇、こういうぐあいに変えてもらいたいという要望も出ておるわけでございますけれども、その二つについて……。
  345. 海野研一

    ○海野説明員 いま御指摘がございました中で、連合会のふところに金がないという問題につきましては、これは実は金のなさのかげんがいろいろございまして、農業共済基金という連合会が赤字になった場合に融資をする制度がございます。連合会が全体として赤字に転落しました場合には、これは農業共済基金はもちろんそのための基金でございますので、何をおいても融資をするということでございます。ただ、黒字の場合でも、全体として相当苦しいというような場合に融資する道はございまして、それについて全体の収支との関係で基準を設けて融資を行っておるわけでございます。現在のところ、まだ今回の豪雪に関してそういう基準に該当したということでもって連合会から融資の申し入れがあった例はないわけでございまして、確かに福井県の連合会の場合、園芸施設共済の保険料だけではとうてい払い切れないということになります。したがって、その場合には農作物共済とかそういうものでのいままでの積立金、もちろんそれは取り崩すわけにはまいりませんけれども、それを一時回して払うというようなことで対処していただくほかはないと思います。  ただ、二番目の御指摘がございました政府の持ち分を大きくするということにつきましては、もちろん先ほどの異常事故のような話になりますと、これは全体の被害の統計の調査や何か大変でございますから、そう簡単にすっといきませんけれども、政府の割合の話につきましては、これはまさに運用の問題でできるわけでございます。五十四年度の引き受けにかかるものからそういうふうにしてまいりたいというふうに考えております。
  346. 横手文雄

    ○横手分科員 さらに、この共済制度の中に共済掛金標準率乙というのがあるわけでございますね。この乙を発動させるということになりますと、そのための前提条件がたくさんございます。これはどう見ても台風を前提にしておられるようなことに見えるわけでございますが、今回いわゆる降雪、積雪によって壊滅的な打撃を受けたわけでございます。ところがこの乙を発動してもらおうということになってくると、風が吹いたかという条件になります。風は吹いておりません、むしろ今回の福井県の場合には、折損木もそうですけれども、風が吹いてくれたらああいう被害はなかったのであります。風が吹かなかった。そしてどっしりと積もっていた。そこにあの被害があったわけでございます。したがいまして、この共済掛金標準率乙の発動の対象として風を入れる、風が吹かなければ、雪だけではだめだということは、まことに今回この規定は矛盾をさらけ出したというぐあいに考えております。したがって、この改正の必要があると思いますが、どうですか、
  347. 海野研一

    ○海野説明員 私ども現在まで見てまいりまして、現在までわかっておる限りにおきましては、確かに雪の被害は大きな被害ではございますけれども、ただ農業共済の保険事業の運営というような点から申しますと、やはり風の害に比べますと、もちろんつぶれた農家は大変でございます。その保険金を支払った後の団体に及ぼす影響というのは小さいように思いますけれども、ただ、まだ全部の報告が来ておるわけではございません。各県の支払い状況、それによります農業共済連合会の保険収支の状況などを見まして、その辺私どもそもそも風が一緒でなければ絶対にいけないものなのだと考えているわけでは決してございません。その辺の基準についても十分今度の被害の状況考えてみたいと思っております。
  348. 横手文雄

    ○横手分科員 私は雪国におります一人として、いまの答弁、揚げ足を取るわけではございませんが、大変残念に思うのです。もし、いま大臣もごらんいただきましたあの福井県の美山町の山に台風によってあれだけの被害が出るということになると、大変な台風であります。私も何遍も台風を経験いたしました。いわゆる伊勢湾台風のときに私は知多半島におりました。これは大変な被害でございました。しかし三十年木が物のみごとにちぎられていったという被害は出ておりません。私はさらに、この園芸等についても当時は余りこういった園芸ハウスがございませんでしたけれども、今度雪が解けてみるとその無残な姿を出すことでございましょうけれども、あれだけ壊そうと思って台風が来たら、大変な台風に違いないというぐあいに思うわけです。それだけ雪の被害というものが軽く見られておるような気がしてならないわけでございますが、大臣いかがですか。
  349. 原健三郎

    ○原国務大臣 横手先生も大いに心を痛められて、豪雪対策に奔走しておられることは私もよく承知いたしまして、深く敬意を表するところでございます。いまおっしゃった折損木が福井県で被害の非常に甚大であるということも私も見ましたし、また方々からそういう資料も入っておりまして、まことにいままで余りなかったことですから、急に来られて——これは法律改正等の検討中だそうでございます。とにかくもうちょっと積極的に対策を考えてやりたい、普通のことではなかなかどうも十分対策もできないであろう、こういう考えでいま検討しておる最中でございます。各党においてもそれを検討しておるそうでございますから……。
  350. 横手文雄

    ○横手分科員 大臣、それは私が先ほど申し上げたとおりでございまして、たまたま私も委員に入れさせてもらっておりますのでこれから勉強させてもらいたいと思いますが、考え方なんですよ。大変な被害であったということでこの乙項を発動してくださいと言ったら、風が吹いたか、こういうようなことに連動することになっているのですね。ところが、風が吹かなかったから壊れ方が少なかった、その発想が大変残念だということなんですよ。あれだけの山があれだけいかれる。あの伊勢湾台風が来てもあんな被害出ません。そういうことで、降雪に対する、いわゆる雪害に対する考え方の背さというものがここに出ておるのではないかという気がします。  だから、雪で大変な被実、もう台風では及ばないくらいの被害を雪がつくったという事実があるわけでございますので、そうなると、この乙項の発動の条件として風を入れるというのは——雪だけでいいじゃありませんか、こういう気がするわけですが、そのことについて大臣いかがですか。
  351. 柴田啓次

    ○柴田(啓)政府委員 これは保険の運用の問題と申しましょうか、農林御当局の方が適切な御答弁ができるんじゃないかというふうに考えます。
  352. 海野研一

    ○海野説明員 先生のおっしゃったお話十分肝に銘じまして、もちろん私ども検討するに当たっては数字を見ながら検討しなければなりませんけれども先生の御発言十分肝に銘じて、それを頭に置いて検討させていただきたいと思います。
  353. 横手文雄

    ○横手分科員 ぜひお願いをいたします。  そこで、そういう観点に立ちまして、私は雪の質というものが被害を大変左右するということを今度まざまざと見せつけられたような気がするわけであります。私も特に大臣についても回りましたし、衆議院の調査団にも入れさせてもらいました。それで、深さも福井県とは全然比較にならないような深さのところにも行ってまいりました。屋根雪も見てまいりました。福井県ではあれだけ雪があったら家がつぶれる、しかし耐えておるということは、多少家のつくりも違うかもわかりませんけれども、雪の質だ、つまり比重、こういうことが雪害に対しても切っても切れない関係におるということを、今度まざまざと見せつけられたような気がしたわけであります。  そこで気象庁、全国的に各雪質がどんなものであるか。年によって多少変わると思いますよ、多少変わると思いますけれども、北海道の雪と福井の雪の質が逆転するようなことはないと思いますので、おおむねこのくらいの雪質のものだという全国的な分布はありますか。
  354. 山崎道夫

    ○山崎説明員 現在、気象庁では全国の気象官署におきまして、降った雪の量をはかる方法といたしまして、一つは降水量と申しまして、これは雪を解かして雨と同じようなはかり方をいたします。それからもう一つは積もった雪自体の深さを観測しておるということでございまして、前の方は降水量、それから後者の方は降雪量というふうに申しております。  毎回の雪の比重、これはあるいは密度と言った方がいいかもしれませんが、現在これを直接観測することは業務としてはやっておらないわけでありますけれども、降った雪の降水量、先ほど申しました降水量と降雪量との比率をとりますと、降雪の深さとの比率をとりますと、いわば比重に関する参考値というものが得られるということでございます。
  355. 横手文雄

    ○横手分科員 もう時間がございませんのでぼつぼつ締めますけれども、気象庁にお願い申し上げたのは、そういう、どういう試験をしておるかということを聞いておるのではないのです。わが国の降雪地帯における雪質はいかがであろうか、こういう分布図がありますか、ぜひそういうものをつくってもらいたい、そしてそれは災害救助と連動するような形で生かしていただきたいということを申し上げたいわけであります。先ほども申し上げましたように、この園芸ハウスの問題にしても、これを深さだけ高さだけで決められたのでは、同じ園芸ハウスでもつぶれるところとつぶれないところがある。それは何かというと重さであります。そうしますと、重さがどうかということが共済の掛金の基礎データにもならなければならないだろうし、あるいはまた補償の対象にもならなければならないだろう。したがって全国的な降雪時の比重、そういった分布をぜひつくってもらって、そしてそれを各省庁で連動させてもらって今後の豪雪の救済なりあるいは雪害対策等に十分生かしていただきたい、このことを申し上げたかったわけでございます。  なお、私は、雪は一面では資源だと思っております。スキー場では雪がなければどうにもなりません。そういった意味では観光資源であります。あるいは電気にとっては、電力会社の人に言わせれば雪が山に降るということは白い石油がただで降ってくれた、こういうことでわれわれにとって大変大きな資源であります。  しかし、これが一たん町に降ってくると私たちの生活を脅かす、生命すら脅かす、こういったものでございます。そういった雪に負けないような町づくり、こういったこともぜひ必要ではなかろうか。きょうも時間があれば国土庁の皆さん方とそのビジョンについて語りたかったわけでございますけれども、時間が参りましたので次の機会に譲らせてもらいたいと思います。ありがとうございました。
  356. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で、横手文雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算国土庁所管についての質疑は終了いたしました。  これをもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができましたことをここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時十八分散会