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1981-03-02 第94回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二日(月曜日)     午前九時三十二分開議  出席分科員    主査 海部 俊樹君       唐沢俊二郎君    関谷 勝嗣君       原田  憲君    藤本 孝雄君       岩垂寿喜男君    岡田 利春君       串原 義直君    堀  昌雄君       水田  稔君    市川 雄一君       長田 武士君    草川 昭三君       寺前  巖君    藤田 スミ君       渡辺  貢君    兼務 上原 康助君 兼務 大原  亨君    兼務 沢田  広君 兼務 土井たか子君    兼務 野坂 浩賢君 兼務 吉浦 忠治君    兼務 青山  丘君 兼務 塩田  晋君    兼務 吉田 之久君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         経済企画庁調整         局財政金融課長 岩崎 文哉君         環境庁長官官房         環境調査官   浅野 楢悦君         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      加藤 三郎君         沖繩開発庁総務         局参事官    佐野  厚君         沖繩開発庁振興         局振興第一課長 山田 哲朗君         国土庁計画・調         整局計画課長  長沢 哲夫君         国土庁水資源局         水源地域対策課         長       藤重 邦夫君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         通商産業省産業         政策局規模小         売店舗調整官  佐伯 嘉彦君         運輸省港湾局計         画課長     藤野 慎吾君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部地         方交通線対策室         長       金子 史生君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     松尾 道彦君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 寺嶋  潔君         労働省労政局労         働経済課長   逆瀬川 潔君         日本国有鉄道施         設局踏切課長  斉田  登君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大城 金夫君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    田中 和夫君          参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山根  孟君     ————————————— 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     渡部 行雄君   中村 重光君     串原 義直君   草川 昭三君     市川 雄一君   寺前  巖君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     岩垂寿喜男君   渡部 行雄君     堀  昌雄君   市川 雄一君     柴田  弘君   藤田 スミ君     四ツ谷光子君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     水田  稔君   堀  昌雄君     岡田 利春君   柴田  弘君     長田 武士君   四ツ谷光子君     渡辺  貢君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     中村 重光君   長田 武士君     有島 重武君   渡辺  貢君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   有島 重武君     草川 昭三君 同日  第一分科員沢田広君、土井たか子君、第三分科  員上原康助君、大原亨君、野坂浩賢君、吉浦忠  治君、青山丘君、塩田晋君及び第四分科員吉田  之久君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計予算  昭和五十六年度特別会計予算  昭和五十六年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ————◇—————
  2. 海部俊樹

    海部主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算建設省所管について説明を聴取いたします。斉藤建設大臣
  3. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 建設省関係昭和五十六年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百六十二億六百余万円、歳出四兆六百三十二億七千五百余万円、国庫債務負担行為五千九百三十三億八千百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆六千二百二十億五百余万円、国庫債務負担行為六千三百三十一億六百余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千六百六億九千七百余万円、国庫債務負担行為一千九百十六億一千四百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆九百六十六億四千四百余万円、国庫債務負担行為二千二百四十億六千五百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百五十五億二千八百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出六十億八千二百余万円、国庫債務負担行為二十五億七千百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる国土建設施策を推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十六年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 海部俊樹

    海部主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 海部俊樹

    海部主査 政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  6. 串原義直

    串原分科員 いま話がありましたように、時間が限られていますから、私も端的に質問を申し上げますし、率直に御答弁をお願い申し上げたいと思います。  そこで、中央自動車道長野線進捗状況はどうなっておりますか。この路線は、昭和四十八年十月施行命令が出ているわけですね。相当な時間が経過をいたしております。未発表ルートというのはできるだけ早く決定すべきだと思う。いつになりますか。
  7. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま先生からお話がありましたとおり、四十八年に施行命令が出ておるわけでございますが、先生も御高承のことと存じますけれども塩尻地区のいろいろな問題がございます。したがいまして、国土開発幹線自動車道建設審議会の中にこの塩尻問題を検討いたします小委員会設置をいたしまして、その結果、五十一年七月二十日の第二十四回国土開発幹線自動車道建設審議会において了承を得たわけでございます。その後、日本道路公団実施計画策定のための調査着手をいたしました。現在、岡谷須坂間のうち、岡谷豊科間三十三キロメートルにつきましては路線発表を終えております。五十三年の十二月に岡谷塩尻北の間、それから塩尻北豊科の間を五十五年六月でございます。地元協議及び一部地区用地買収を進めておるところでございまして、今後協議がまとまった地区から逐次用地買収及び工事着手をしてまいりたいと考えております。まだ豊科須坂の間四十六キロが残っておりますが、これは現在日本道路公団におきましていろいろな調査を進めている段階でございます。
  8. 串原義直

    串原分科員 調査を進めている。それで、調査を進めているんだけれども、このルート発表はいつ予定しているのですか。
  9. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お尋ねの件は、ただいま最後に申し上げました豊科須坂間についてのことと存じます。  この区間につきましては地形が大変急峻でございまして、特に豊科町から更埴市にかけてでございますけれども長大なトンネルが予想されます。それから、予定しております路線付近に湖がございましたり地すべり個所があるというようなことでございまして、そういう意味で、まだ技術的な問題が残されているわけでございます。こういった問題をいま鋭意詰めておる最中でございまして、技術的問題が解決すれば、関係機関調整をいたしまして、なるべく早期路線発表をいたしたいと考えております。
  10. 串原義直

    串原分科員 早期ということは五十七年ころということですか。
  11. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま申し上げました湖と申しますのは、先生御高承の聖湖ということでございますが、いまの予定といたしましては、早くいたしましてもやはり五十七年度になるのではないかと思います。
  12. 串原義直

    串原分科員 早くても五十七年度の決定ということになる。この路線のおよその完成めどはどの辺に置いておられますか。
  13. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 早くても五十七年度と申し上げたわけでございますが、一般的に、発表いたしましてからでもやはり地元協議用地買収通常三年ぐらいかかっております。それから、工事が大体四年ぐらいかかるということでもございますので、すでに路線発表しております豊科までの間につきましては大体六十年代の中ごろまでには、なるべく早期完成する見込みでございますけれども豊科須坂の間につきましてはこれから路線発表でございますので、五十七年ということですが、したがいまして六十年代の半ばを過ぎるのではないか、通常のペースから申しますとそういうことでございます。
  14. 串原義直

    串原分科員 およそのめどということでお答えになったわけでしょうけれども、御承知のように、長野県は南北にとても長い県であり、長野県南部の地域にとってはこの路線が非常に期待されている路線なわけです。いま局長の話のあっためどをもう少し早めてやるべきではないか、急ぐべきではないか、こう私は思うのですが、どうですか。
  15. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 私ども、なるべくそのように努力をいたしたいと思っております。長野県は、この高速道路完成をいたしますと実は大変な県になるわけでございまして、全部高速道路で連結をされる県というのはほかにはございません。伊那地区につきましては、すでに完成しております中央自動車道で、たとえば飯田−長野間の連絡が非常に便利になったというような点もございますし、われわれとしても精いっぱい努力はいたしたいと考えております。
  16. 串原義直

    串原分科員 さて、次に伺いますが、これは基本的な問題ですから大臣にひとつ御答弁を賜りたいのですけれども建設省は一月三十一日、高速道路網整備を促進するために、国土開発幹線自動車道基本計画路線の千五百八十六キロのうち、約三百五十キロと言われているようでありますが、建設着手する整備計画路線に格上げをする方針を決めた、そして秋までにこの具体的な路線を詰めて、十一月ころを予定されている国土開発幹線自動車道建設審議会了承を得て、日本道路公団施行命令を出す段取りと実は聞いているわけです。そういう方針ですか。
  17. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御指摘のような形で進めたいと思っております。
  18. 串原義直

    串原分科員 そこで、大臣に伺いたいわけでありますが、ある有力紙の報ずるところによりますと、ところが、これらの高速自動車道採算性が余りよろしくないと考えられる、そういうことから建設費割り高になるために建設省はその対策検討しており、場合によっては国鉄が新幹線整備五線の建設で要求しているのと同じように、地元負担建設の条件となる新しい事態も予想される、そういうことを建設省はいま検討をなさっていらっしゃるという報道がなされたわけです。そういうことをいま検討されていらっしゃいますか。
  19. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 その報道につきましては私、承知いたしておりませんが、いまのところ——いまのところといいますか、現在そのような心組みはいたしておりません。地元負担というようなことはいま考えておりません。
  20. 串原義直

    串原分科員 大臣、そうすると、いまのところという大臣の表現でございましたが、しかるべき時期にそういうこともあり得るという理解でしょうか。
  21. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いままでそういう事例もなかったわけでありますが、地元要望等を考え合わすと、全くないということも考えられませんですが、いまのところ省としてはそうした心組み道路整備のことについて進めるという基本的な考え方は持っていないということを申し上げたわけでありまして、全くということになりますと、将来のことでございますので、ここではっきりと一切いたしませんと言うわけにはなかなかまいらないかもしれませんけれども、とにもかくにも計画路線整備につきまして前に事例もありませんし、これからもそうした形で進めたいとは思っておりませんが、やはり一つ方法論として、地元要望当局計画という問題との兼ね合いから検討という問題については残るかと思います。
  22. 串原義直

    串原分科員 そうしますと、将来ということになりますと、大臣、さすがに長いことになるでしょうから、それは予見し得ないでしょうけれども、当面、私がさっき指摘したように、今秋を予定して整備路線にする三百五十キロ等々の付近、将来ずっと長いことは別として、ともかく見通し得る数年の間、こういうかっこうでの整備計画の中ではちょっと建設省はそれを考えていない、こういう理解でいいですか。
  23. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま先生から三百五十キロというお話がございましたが、まだ建設省としてはそういうものを決定しておるわけではございませんので、まずその点ちょっとお断りさせていただきたいと存じます。  それから、この次の審議会に出します何らかの整備計画区間につきましては、この本土を横断するいわゆる肋骨の自動車道がふえてくるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、やはり山岳道路を主として通りますので工費もかさむ、それから東名、名神のような交通量は期待できないということで採算性に問題があるのは事実でございます。したがいまして、次回に整備計画を出します前に、昨年の十二月に、これは国土開発審議会でなくて道路審議会でございますが、道路審議会の方に大臣から将来の高速道路採算性についてただいま諮問をいたしております。この諮問の中ではやはり国費投入とかいろいろなことが議論されると思います。そういうことを答申をいただきました後で国土開発幹線自動車道建設審議会を開催いたしたい、かように考えております。
  24. 串原義直

    串原分科員 つまり、そういうことですから、年限を別に切るわけじゃございませんが、当面は地元負担金というようなことは考えてはいないということでございますが、いま局長がちらりと触れましたけれども国費をもう少し投入をしていかなければならぬのではないか、こういうことは積極的に考えているという理解でいいですか。
  25. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 それも一つの方策として検討の項目と考えております。
  26. 串原義直

    串原分科員 時間が参りますから次の問題に移りますが、次に低周波公害の問題について伺いたいわけであります。  いま伺っておりました中央自動車道、この西宮線というのがありまして、御承知のとおりなんですが、中央道西宮線阿知川大橋の低周波公害というのは、昭和五十年八月の供用開始のときから沿線住民を悩ませ続けてまいりました。橋の下に住んでおりましたある主婦が、昭和五十一年の七月自殺するという悲劇もあった。その大きな原因は中央道公害にあると村人は言っておるわけです。そんな犠牲をも含めて、大橋部落は日々これ公害の日と言ってもいいような日々を送って今日に至っておるわけです。  そこで、いままでに実施されてきた対策概要とその経過を伺いたいわけです。
  27. 大城金夫

    大城参考人 お答えいたします。  阿知川橋の低周波音の問題につきましては、当該区間供用開始以前——供用開始昭和五十年の八月でございますけれども、この供用開始以前、まだ本線の工事中でございます四十九年二月ごろかと思いますが、工事用車両の通行によりまして、この橋付近大橋地区の十七軒の住居、この家屋建具等振動するという現象が発生したことに端を発したと聞いております。それ以来公団は、種々調査を行いますとともに、低周波音発生を軽減すると考えられます各種試み実施しております。  三つほどございますが、第一番目に、橋梁伸縮継ぎ手部の前後の舗装平たん性を確保するための補修工事、二番目といたしまして、振動を低減させるための橋げた端部補強工事、三番目としまして、橋げたそのもの振動を少なくするためのダンパーの設置工事実施しました。そのほかに、反射音を吸収するために、家屋前面植栽工事実施しております。  なお、昭和五十四年、五十五年度におきましても、橋梁区間、約三百九十メートルございますが、全区間にわたる舗装工事平たん性を確保するために実施しております。また、受音点の対策といたしましては、家屋建具振動防止のために、パテ及びピンチブロック実施しております。
  28. 串原義直

    串原分科員 いま六つくらいですか、御答弁をいただきました。ということは、この低周波問題が起きて以来、建設省公団は、技術的に可能な対策工事というものを全部やり終えましたと、こういうことでしょうか。
  29. 大城金夫

    大城参考人 低周波音発生につきましてはまだ十分解明されていない点が多いわけでございますが、橋梁舗装改良という技術的に可能な対策につきましては、これまでの知見に基づきまして低周波の軽減に有効であると思われる各種試み、先ほどお答え申し上げましたように、ジョイント部改良橋げた端部補強舗装平たん性改良等実施してきたわけでございます。  なお、今後新たな知見が得られました場合には、その段階でまたより有効な対策検討していきたい、かように考えております。
  30. 串原義直

    串原分科員 今後の問題もちょっと触れられたけれども、いま考えられ得る防止策というのは現時点では全部やりましたと、こういうことなんですか。
  31. 大城金夫

    大城参考人 そうでございます。
  32. 串原義直

    串原分科員 現在考えられている技術的な対策は全部やったということなんですけれども、そうすると、どの程度それで、低周波音公害と表現さしてもらいますが、軽減できたというふうに判断されていらっしゃいますか。
  33. 大城金夫

    大城参考人 現在阿智村に調査委託しておるわけでございまして、本年度の調査委託は、現時点ではまだ正式に報告は受けておりませんけれども、これまでの報告によりますと、低周波音につきましての一般車両の走行時の音圧は、音圧レベルでは二ないし九十ヘルツの周波数の範囲のリニア特性オールパスでの中央値で六十八から七十四デシベルとなっております。また、騒音、振動につきましては基準値以下となっております。したがいまして、公団といたしましては、阿知川橋での対策工につきましては一応の成果が得られたと、かように判断しております。
  34. 串原義直

    串原分科員 環境庁はこの阿知川大橋の低周波問題は承知していると思うけれども、当初公害が出ていた、いま考えられる対策は全部やった、若干の効果があったというような意味お話があったけれども環境庁としてはどんな程度の評価をされているか、ずいぶん減ったということなんですか、どうですか。
  35. 加藤三郎

    加藤説明員 先生御案内のとおり、環境庁といたしましてこの問題につきまして重大な関心を持って見守ってきたわけでございます。たとえば昭和五十一年度におきましては、委託調査でございますけれども、当地域におきまして実態調査も行いましたし、また、昨年の暮れでございましたが、私どもの係官も派遣してつぶさに見ております。私どもといたしましては、低周波空気振動、低周波公害を低減するために可能な限りの対策が講じられることが望ましいという基本的な考え方のもとに、これまでも道路公団に対しまして対策実施を働きかけてきたわけでございますが、今後とも引き続き問題の解決に向けて一層の努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  お尋ねのこの問題につきまして、低周波というのは非常にむずかしい問題でございますが、それなりの効果が上がったというように考えておりますが、もちろんこれで満足すべきものでなくて、一層いろいろな、可能な限り対策を講じていくということが望ましいというふうに考えております。
  36. 串原義直

    串原分科員 環境庁にいま一つ伺っておきますけれども、この低周波につきましての環境基準といったらいいのでしょうかね、この基準というものはいま作成されていない。ところが、やはりこの経験を踏まえて検討した場合に、早くつくらなければいかぬ、こう考えるわけですけれども、いつごろそれはできるのか。いかがです。
  37. 加藤三郎

    加藤説明員 基準等設定に当たりましては、何といいましても、人体生理機能のみならず、生活環境に及ぼす影響等多くの問題を解明しまして、十分な科学的な知見の集積に基づいた検討が必要だというふうに考えたわけでございます。この問題の低周波空気振動人体生理機能等への影響につきましては、環境庁といたしましては、実は昭和五十二年度から調査研究を行っているわけでございますが、いまだその因果関係が解明されていない状況にございます。したがいまして、低周波空気振動対策における基準設定時期等につきましては、残念ながら現時点で予測することは困難でございます。
  38. 串原義直

    串原分科員 そうすると、困難だということは、いつごろできますとかつくりますということは考えられないということですか。
  39. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほど申しましたように、生理学的な研究につきましては昭和五十二年度から、それ以外の問題といたしましては昭和五十一年度から取り組んでおるわけでございますが、大変その低周波レベル人体影響度因果関係といいますか、これの解明がいまのところめどがついておりませんので、残念ながら現時点ではいつ基準設定できるか申し上げる段階になっておりません。
  40. 串原義直

    串原分科員 そういたしますと、環境庁の方ではいつ基準ができるかわからないと言う。公害があることは、現実としては存在をしているということですね。そこで、さっきお話しのように、阿智村に委託をして調査をしているという御答弁がありましたね。そういうことも含めてですけれども、現実あるわけでありますから、環境庁から基準が出ないからというわけにもいかないし、今日もまだ住民村当局も被害のあることを訴えていることは御承知のとおりでございますね。加えて、ことしの三月、ついすぐですけれども、三月には諏訪ルートが開通する。それから、来年度中には東京まで中央道全通をする。昭和六十年度になりますと、恵那山トンネルの第二トンネル全通をする。そうすると、交通規制も解除するということになりますと、今日、交通量はちょっと少ない日は三千五百台、普通のときで一日交通量五千台くらいと言われておりますけれども、これが三倍程度には伸びるであろうと普通言われておりますね。そうなりますと、ますます低周波公害というものは地域住民を悩ますであろう、こういうことになるであろうと思うのですけれども建設省公団としては、いよいよ深刻さを増すであろうこの公害に対して、環境庁基準はなかなか出にくい、出しにくいということではあろうけれども、それまで放置していくわけにはとてもとてもいかないわけです。そういうわけにはいきますまい。  具体的に伺いますけれども阿智村に委託調査をしている調査をさらに継続して、対策を立て得るもろもろの仕事、工事等々実施していくべきではないか。  それからいま一つは、時間がありませんから私の方から詳しく申し上げられませんのは残念ですけれども昭和五十四年三月、この問題を取り上げた長野県の弁護士会が調査をして提言をしているわけです。あるいは御承知のことと思いますけれども、この提言は結局、基本的には全戸移転などを考えなければだめだ、こういうことを提言していますね。地域住民もそれをかつてから要求してきた。それからいま一つは、公害を根本的に取り除くならば、阿知川大橋区間の速度制限を四十キロ程度にしなければ無理なんだ、こんなことも言っていますね。これらについてどう対応なさっていくおつもりなのか、御答弁願いたいと思います。
  41. 大城金夫

    大城参考人 お答えします。  中央道の飯田−中津川間の昭和五十五年二月から五十六年一月までの日平均交通量は約六千五百台となっております。また、西宮線の全線開通予定後の昭和六十年では、一日当たり平均約七千台と現在の資料では推定されております。この程度交通量となりますと、低周波影響は現在と余り変わりはない、かように考えております。なお、公団といたしましては、交通量の推移を見ながら低周波の問題を継続して検討を進めてまいりたい、こう考えております。  それから、全戸移転の補償を行う考えはないかということでございますが、先ほど来申し上げましたような対策によりまして、今後また新たに得られる知見を加えまして、阿知川橋の環境対策は可能であると考えております。全戸の移転については必要ない、こういうぐあいに考えております。  それから、速度規制の点でございますけれども、これは現在七十キロに制限していますけれども、警察庁関連のことでございまして、私どもとしては現在考えておりません。
  42. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま環境庁からも御説明がございましたように、低周波振動並びに低周波空気振動につきましてまだよくわからない点が多いわけでございます。しかしながら、やはり道路があることが一つの原因ということでもございますので、これを極力軽減すべく、私どもといたしましても土木研究所等の調査研究あるいは各方面との連絡、これは将来一生懸命やってまいりたいと思っております。
  43. 串原義直

    串原分科員 それで阿智村に委託して調査している具体的な調査、これはやはりもう少し継続してやるべきではないか、こう思う。この御答弁をちょっと。
  44. 大城金夫

    大城参考人 先ほど御説明しましたとおり、今後の交通量の推移を見ながら、その時点で必要とあれば検討していきたいと思っております。
  45. 串原義直

    串原分科員 時間が参りましたから最後になりますけれども、この公害問題は全国的にも幾つか提起されているようですね。この阿知川大橋の経験と実際に学んで、これからまず低周波公害を除去し得る設計施工、これを考える。二つ目は、万一大橋部落とほぼ同じ条件にならざるを得ない地域、これが地形上出た場合には移転対象とするということを考える。三つ目は、今後の設計協議の際、低周波問題についてよく住民と話し合う等々の、低周波についてきめ細かい対策を立てることが重要なときに来ているんじゃないか、要すれば要綱みたいなものを作成すべきときに来ているんじゃないかと私は思っているわけです。この阿知川大橋の経験に学んで、どうでしょうか。
  46. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先ほども申し上げましたように、たとえば低周波空気振動の測定方法等についてもまだその方法は統一的に定められておりませんし、またそのレベルについても定めがないという状況でございますから、まだ要綱をつくるというところまでは、大変申しわけありませんが、そこまではいっていないと思うのでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、大変大事な問題でございますので、橋梁の設計とかそのほかいろいろな対策、これは今後とも調査を進めまして、何かいい方法を少しずつでも見出してまいりたいと考えております。
  47. 串原義直

    串原分科員 時間が参りましたから、終わります。
  48. 海部俊樹

    海部主査 以上で串原義直君の質疑は終了いたしました。  次に、岩垂寿喜男君。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は、国会の中に設けられております自然保護議員連盟の仕事をさせていただいておりますが、その中で、特に日本の自然や緑を守っていく、取り戻していくということのために精いっぱい努力してきたつもりでございます。申すまでもありませんけれども、日本の美しさというのは、山紫水明という言葉に示されているように、自然や緑、そういうものが世界に誇ることのできる景観ということで特徴づけられてきたと思うのでありまして、その意味でも、建設省がそうした行政の面で十分な配慮を願いたいということを前提にして、以下具体的に——私は多摩川につかれた男などと言われておりますが、多摩川と一生懸命取り組んできたものですから、多摩川の問題を中心にして少し質問をしてみたいと思います。  多摩川を取り戻すということになれば、第一に、下水道ということが問題になろうと思うのです。その意味で、これまでも下水道の予算の確保などについて及ばずながら努力をしてまいりました。そして、建設省当局からも御配慮を願ってきたことについて評価をしておきたいものだと思います。また、ゴルフ場の開放や、私が提案をしたのですが、多摩川流域の環境保全対策連絡会議というものが、建設省環境庁を初め東京都、神奈川県、川崎市と、国、地方自治体のレベルを乗り越えて、地域住民をも含めて結成をされてかなりの時間が経過しているわけでございます。  そういう政策の一環としての下水道という観点から伺いますが、五十六年度から始まる第五次下水道整備五カ年計画の中で、多摩川流域の普及率をどのくらいに見込んでおられるか、あるいはそれらの予算措置や計画について概略御説明いただければ大変ありがたいと思います。
  50. 升本達夫

    升本政府委員 現在、多摩川流域に関係いたします下水道整備は、東京都の三多摩地域を対象とした多摩川流域下水道、それから東京都区部を対象といたしました公共下水道、それから川崎市の公共下水道というように、大きく分けてその三つのグループに分けられると思うわけでございます。それぞれのグループについて逐年整備努力をいたしておる段階でございますが、ただいまおただしの第五次の五カ年計画においてどのように予定しておるかということでございましたけれども、御承知のとおり、第五次五カ年計画につきましてはこれから法案の御審議をお願いいたす段階でございまして、いまだ地区別の配分という段階に至っておりませんので、個々の具体の地域につきまして、どのくらいの予定ということを申し上げられる段階にございませんことを御了承いただきたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、多摩川の水質保全あるいは関連生活環境の改善という点で、重点的に整備を図っていかなければならない地域であることは申し上げるまでもないことというふうに考えております。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 大臣にお願いしたいのですが、多摩川というのは人口が一番密集をしている地域を流れている川であるということが一点と、それから首都の情緒空間といいましょうか、そういうものだけでなしに、日本の自然の代表みたいな川になっているわけでございますので、もちろん第五次下水道整備計画の中で全体的な普及率の向上ということをお目指しになることはわかりますけれども、そうした重要河川というか、そういう地域予算を傾斜配分といいましょうか、重点的な配分ということを目指しながら、できるだけ早い環境基準の達成を努力をしていくということが必要だと思うのです。多摩川についてというふうに申し上げるのは大変私も言いにくいことなのですけれども、あえてロンドンのテムズ川に見られるような、国策として浄化に取り組んできたという経験もあるわけでございますから、そういう観点でお取り組みをいただきたいということをお願いをしますが、御答弁をいただきたい。
  52. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生は東京御出身で……(岩垂分科員「私、神奈川なんです」と呼ぶ)神奈川ですか。多摩川について非常に御配慮を賜っておりますことにまずもって敬意を表します。  実は、私も多摩川が余りにも環境が悪くなっているのに驚きました。東京の学生生活の折に多摩川の周辺を散策したことを顧みながら、御指摘のようなことは全く同感であります。整備計画の中にこうした重要河川についての傾斜配分までの余裕があるなしは別として、御指摘のような形で、特に都市に住んでおられる方々の重要河川については十分な配慮を持ってこれからも対策を進めてまいりたい、このように考えるものでございます。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 たしか昭和五十年の公害対策特別委員会で、実は私がいま申し上げた、国だけの力でもいけない、地方自治体もそれを支えなければいけない、同時に住民もモラルを持って川を取り戻していく努力をしなければならぬ、三位一体で多摩川に取り組むという意味で、環境整備をしていくという意味連絡協議会をつくりまして、大変な御努力を願ったわけであります。その中で特に建設省の皆さんの御努力がございまして、水質保全の分科会のレポートが発表になりました。ただ、もう一つ分科会の自然環境保全分科会のレポートがまだまとまっておりません。事務局を環境庁がやっておりますから、建設省に申し上げるのも少し酷かもしれませんけれども、あれからもう五年もたっておりますので、それらの報告を早くまとめて取り組んでいく、こういうことが望ましいと思いますので、建設省の方からも環境庁を督促して、早くまとめるように御努力を願いたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  54. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまの多摩川流域の環境保全の問題につきまして、いま先生お話にございましたように、昭和五十年の先生の御発議をもとにしまして、いろいろな検討がその後進められておるわけでございます。建設省といたしましても、従来特に河川サイドからこの問題は非常に重要視いたしております。それで、一つは多摩川の水質の問題、もう一つは多摩川の持つ首都における位置づけを自然環境の面から見ていくということで、大変関心を持って対応しておるわけでございます。  それで、ただいまの多摩川の環境保全対策連絡会議、これにつきましても、その自然環境保全分科会、これに私ども建設省としての意向を反映させていきたいということで、関東地建内におきましていろいろな検討を進めてまいりました。あるいは御案内と思いますが、多摩川河川環境管理計画というものもすでにまとめております。それをもとにいたしまして、私どもの多摩川に対する考え方を今後なお強力に進めていきたいというふうに考えておりますので、環境庁とも十分協議してやってまいりたいというように考えております。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ここ数年来そういういろいろな努力を通して、建設省、とりわけ京浜工事事務所を中心にいたしまして、関係自治体との間にも連絡を密にいたしまして、多摩川の浄化と自然保護のためにかつてない取り組みをいただいていることに、私は率直にお礼を申し上げなければなりません。特にいま御答弁がございました多摩川河川環境管理計画報告書、これはよくできています。非常にりっぱなレポートです。これは地建の報告じゃなくて、それは言うまでもないことかもしれませんけれども、やはり建設省のものとしてオーソライズをしていただきたい。よろしゅうございますね。
  56. 小坂忠

    ○小坂政府委員 名前は関東地建ということで報告を出しております。実はその報告を出しましたのは、私が関東地建局長の時代でございましたので、関東地建局長から、当時東京都知事、神奈川県知事にもいろいろ御意見をお伺いし、またその結果につきましては本省にも報告し、なおかつ河川審議会にもお諮りいたしております。したがいまして、内容につきましては本省も十分了解を与えておりますし、今度は私も本省の立場でこれの推進をやっていきたいというふうに考えております。
  57. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 それに関連しまして、関東地建におられたのでよくわかると思うのですが、鶴見川、これは日本じゅうのワーストスリーですよ。これは多摩川と違いましてまさに水路になってしまっているのです。ですから、多摩川とちょっと対応が違うかもしれませんけれども、たとえば水質問題に関して、横浜、川崎、町田、それに建設省が入って、現実的には京浜工事事務所になるのかもしれませんが、やはり水質対策連絡会議というようなものをつくって何とかしていかなければ、多摩川だけきれいにしても、鶴見川が物すごく汚れていたのでは東京湾がきれいになりませんので、ぜひ速やかな発足をお願いしたい。自治体からは恐らく建設省に要請をいたしておると思いますので、ここでオーケーを出してほしいのです。ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  58. 小坂忠

    ○小坂政府委員 御指摘のように、鶴見川の水質、これもまた私事で恐縮でございますが、私も京浜工事事務所長をやった経験がございます。昭和三十八年ごろでございますが、事務所のすぐ前の当時の鶴見川の水質は、一口で言えば真っ黒で、物すごいにおいがしておったということで、事務所長としてもこれは何とかせねばいかぬと当時思っておったわけでございます。その後いろいろな立場を経まして、現在河川をいろいろ責任を持って預からせていただいております。当時の私の思っておりましたことはいまだに変わっておりませんので、この問題は十分取り組ませていただきたいというように思っております。  ただ、具体の協議会その他につきましては、現在任意の協議会がすでに発足しておると聞いておりますが、なおそれにつきまして国としても重大な関心を持ってこれがうまくいくように指導してまいりたいというふうに考えます。
  59. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 せっかくそうした経験を、前歴をお述べいただいたのですから、やはりこれは広域行政でなければならぬのです。横浜、川崎というと神奈川県でしょう。それから、町田というと東京都になるのですよ。だから、おたくがイニシアチブをある程度とってもらわないことには、これはなかなか前に進みません。だから、下流だけきれいにするわけにいかぬし、上流からやらなければいけませんから、町田という対象が一つふえるわけですから、その意味で、多摩川のような形まで私は期待をしませんけれども、あれは全国でただ一カ所ですから、それに見合った形で連絡会とあえて言います、連絡会を発足させていただきたい。建設省もオーケーを出してほしい。よろしいですね。
  60. 小坂忠

    ○小坂政府委員 そのような方向で指導してまいりたいと思います。
  61. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これももう釈迦に説法なんで、私、説明は全然しませんが、多摩川の水というのは羽村の取水せきでほとんど取られてしまっているのです。灌漑期に限って毎秒二立米だけちょろちょろと流していく、これでは川はきれいになるはずないですよ、みんな生活雑排水が流れているのですから。多摩川というのはあえて言えばどぶ川なんです。これの改善という措置が必要です。それには水を流すことですよ。それは契約をしているということがございまして、灌漑期の責任放流量というのは決まっている。だから、それ以上流せという議論をすればいろいろ問題があるかもしれませんけれども、灌漑期以外の時期、つまり年間を通して流していくということが大事じゃないか。ところが、それがどうもうまくいっていない。私は責任放流量さえ確保されていないということも私なりに知っています。その点を含めて下流に水をできるだけ流していくという措置が多摩川浄化の第一前提ですから、その点を御答弁いただきたいと思います。
  62. 小坂忠

    ○小坂政府委員 御指摘の羽村ぜきにおける取水の問題でございますが、羽村せきは、昭和十一年七月二十五日付で東京市に対しまして、東京都の上水として毎秒二十二・二トン、年平均では標準で十三・二トンということになっておりますが、許可されております。最近五カ年間における取水量は年間を通じまして平均毎秒十・九九トンということでございますので、この許可の年平均標準十三・二トン以内であるわけでございます。  それから、羽村ぜきにおける最近五カ年の平均流量、これが毎秒十四・三トンとなっておりまして、そのうち十・九九トンを採取しております。これは許可されております水利権量、これが平均毎秒十三・二トンでございますので、その範囲内で取っておるということに相なっておるわけでございます。  それから、羽村ぜきから下流の灌漑用水のための放流でございますが、放流といいますか溢流でございますが、これにつきましては毎秒二トンを溢流させるということが羽村ぜきの取水の条件になっておるわけでございますが、最近五カ年間の灌漑期の平均で見ますと、最大につきましては毎秒六・四八トンということになっておりますが、年間平均を通じてみますと毎秒三・〇三トンということで、この許可の条件を満たしておるわけでございます。  羽村せきは、御承知のように、東京都の重要な上水の取水口でございますので、この許可の範囲内で取っておる限り、これについてなおかつこれを制限するということは非常にむずかしい問題でございます。だが一方、多摩川下流の、先生指摘のような、水質を改善するという意味におきますと、少しでも多く流した方がいいわけでございますので、この実施に当たっては、そういった精神も含みながら私ども指導してまいりたいというふうに考えますが、許可量あるいは条件等でしばるということはできないことになっております。
  63. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 そこはぜひ弾力的な対応というのをお願いしたいというふうにだけ申し上げておきます。  それから、これは御答弁が長くなると時間がなくなってしまうものですから、下流のヘドロの処理の状況ですね、後ほど、いままでの経過とそれからこれからの課題を、御答弁を文書で結構ですが、できるだけ減らさないように、あそこがきれいになるとかなり浄化の役割りが効果的だと思いますので、その点はお願いできますね。
  64. 小坂忠

    ○小坂政府委員 多摩川下流部のヘドロのしゅんせつも、水質を浄化する非常に重要な事業でございます。下水道の普及と、これの直接的にはヘドロの除去という二本の柱でやっていくよりしようがないわけでございますので、私どもとしてもこのヘドロのしゅんせつ、今後まだかなりの残事業量が残っておりますので、進めてまいりたいというふうに考えます。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは大臣もぜひ知っておいてほしいのですがね。京浜工事事務所というのはなかなかりっぱなことをやっていましてね。先輩がそういう歴史を残したのかもしれませんが。私も実は五十年のときに提案をしたのですが、川というのは自浄能力を持っているのです。上流の水が下流に従って本当は汚くなるはずなんだが、きれいになっているのですね。それは川自身が持っている自浄能力、そのことを私は重視すべきだということを申し上げました。たまたま建設省の方もそのことに着目されまして、昭和五十年から昨年までですが、この多摩川の是政橋の処理場の近くでテストをやってきました。この資料を拝見して驚いたのですけれどもね、去年できたのですが。大体二時間ぐらいの滞留時間で、二十メートルぐらいの距離を流せば、BODの除去率が、たとえば八〇%取れちゃう。除去率が八〇%ですから、これは自然になるわけです。こういうことを私は全国的に考えていく必要があるのじゃないか。これはそんなに金がかからないですよ。だって、石ころの間を水を流すだけですから。その間には、ここにも書いてありますけれども、たとえばミズミミズだとかあるいはツリガネムシだとかあるいはワムシだとかいうようなものとかあるいはバクテリアなどが分解をさして、そしてきれいにするというわけですね。だから、こういう手法というのはぜひ生かすべきだというふうに私は言ってきたのですが、幸いにして今度、全国で初めてなんですが、多摩川の野川の下流でその方式を採用した浄化事業に取り組むというのです。礫間接触酸化法、ちょっと名前がむずかし過ぎるのですがね。それはそれとして、つけたのですから仕方がないとしても、この方式というのは、これからの下水道というか、まあ都市局の予算のなわ張りをするつもりはございませんが、やはりそういう努力をして環境基準を目指していく。やはり第五次計画をやったってなかなか大変だと思うのです。それを補完する意味で、ぜひそういうものを進めてほしいと思うのですが、野川の計画を概略ちょっと述べてくれませんか。
  66. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまの先生の御指摘の礫間接触酸化浄化法、これを来年度から多摩川の野川合流点付近実施したいというふうに考えております。これに至りますまでは関東地建におきまして、このかなり上流部でございますが、いろいろな実験をかなりの年月やってまいりました。各種いろいろなことを比較いたしまして、これが一番安くてしかも実用的であるという結論に達して、事業化しようというふうにしたわけでございます。  現在考えておりますのが、野川の合流点付近で、五十四年度の実績ですと、野川本線の水質がBOD二四ppm、低水流量にいたしまして毎秒一・三五トン、日量約十二万トン流れております。これを合流点付近の多摩川の河川敷の下に、下と申しますか河川敷に、ただいま申し上げましたその礫間接触酸化浄化施設というものをつくりまして、面積は約二ヘクタール、処理能力は、低水流量程度であれば処理できる。BOD除去率が約八〇%程度はできるんじゃないかというふうに見込んでおります。  事業費が、これがまだ概算でございますのでちょっとわかりませんが、約三億程度にはなるんじゃないか。工期は、野川改修の方の進捗率とも絡んでまいりますが、大体二、三年、あるいは数年で完成できるんじゃないかというふうに考えております。
  67. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 大臣、これはわりあいに手っ取り早くて、しかも予算は余り食わないで、しかも自然にやれるという点では、私に、いままでもみんなわかっていたんだけれども、そういうことを具体的にプラントとして取り組むということになったことを大変喜ばしく思っています。日本で初めてなんですから、経験も見なきゃなりませんけれども、ほかの多摩川の上流だって、そういう河川敷の面積があるところはたくさんあるわけですから、そういう取り組みをぜひ私はお願いをしたいし、このことを改めて強調しておきたいものだと思います。大臣、よろしゅうございますね。
  68. 小坂忠

    ○小坂政府委員 この方法を全国に広げるということでございますが、実は私どももいろんなところにこれを適用してはいかがかという検討を進めたこともございます。  具体的に言いますと、綾瀬川が非常に現在汚いものですから、あれを何とか荒川の高水敷を使ってやってみてはどうかということでやってみましたが、条件が——細かいお話になりますので省略させていただきますが、いろいろな条件によって、成立する場合としない場合がございます。綾瀬川の場合はどうも不可能に近いということで、実はあきらめた経緯もございます。したがって、全国の河川に、できるところでやらしていただきたいというふうに考えます。
  69. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 あわせて、この報告書の中にも書いてありますが、川というのは、やはり自然に親しむという点ではかけがえのない情緒空間でございますから、水に親しむ、親水性を持って護岸というものを考えるべきだ。たとえば、ほとりで釣りができるような、あるいは人が散策できるような、そういうことが多摩川ではおくれていますので、これは言うまでもないことですが、取り組んでいただきたい。せせらぎ広場をつくっていただきまして、皆さんの御協力をいただいて市がやったんですが、大変な好評なんです。水が物すごくきれいだし、そういう意味ではそういうことをやってほしいと思います。  ついでに申し上げておきますが、魚礁ブロックというようなぐあいに、魚が住めるような護岸をやっているような面もあるわけですから、そういうことを多様に生かして対応をしていただきたいということをぜひお願いをしたいと思います。よろしゅうございますね。
  70. 小坂忠

    ○小坂政府委員 環境的な護岸を設置するということは、実は特に都市における河川につきましては非常に重要な要件になろうかと思います。  多摩川におきましては、先生御案内のようにいろいろな工夫をこらしまして、魚巣ブロックあるいは階段護岸というようなことで、人々が水に親しめるような機能も持たせながら護岸をやっておるわけでございますが、ただ、やはり護岸の本来の使命は、河川の治水上の使命がございますので、それを逸脱しない範囲で極力そういったものをしたい。それからもう一つは、やはり予算的な面もございますので、大事な治水事業費を有効に使うために、いろいろ今後も知恵をしぼっていきたいというふうに考えております。
  71. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは都市局にお願いをしたいのですが、多摩川には等々力という大きな公園がございますし、これは川崎寄りですが、東京寄りにもやはり同じような大きな公園がございます。これをブリッジして公園の広域的な利用ということができれば、私は東京都民と川崎市民が交流できると思いますし、防災対策の面でも非常に意味を持つと思いますので、車が通らなくて人が通れるような、そういうロマンのある橋を一発考えてほしいと思うのです。だって、川崎のところはもう高速道路ばかりで、人が通る道路はないんですよ。そういう意味では、そういう自然に親しめるような橋を考えてほしいと思うのですが、その点、来年に向けて検討願いたい。よろしゅうございますか。
  72. 升本達夫

    升本政府委員 一つの御提案だと思いますけれども、いまのお話は今回初めてお伺いすることでございますので、地元の地方公共団体から要請があれば検討いたしたいと考えております。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 最後に一つ。  私がお願いした例の三浦半島の国営大規模公園の調査費、これは新年度も継続していただけるんですね。
  74. 升本達夫

    升本政府委員 五十六年度も引き続き調査を継続する予定でございます。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 時間ですからやめますが、私は、市民運動をこれからも盛り上げて、札幌の豊平川ではございませんけれども、多摩川にもアユを呼び戻したい、そういう気持ちでがんばりたいと思います。そういった意味で、出先の京浜工事事務所も自治体も大変積極的にやってくれていますので、河川局を挙げて、首都の隣にあるこの川の特異性というものをお考えいただいて、積極的な取り組みをお願いをして終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  76. 海部俊樹

    海部主査 以上で岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、大原亨君。
  77. 大原亨

    大原(亨)分科員 二つほど質問いたすのですが、一つは、高齢化社会に対応する住宅政策、きょう新聞等で報道いたしておりますが、住宅基本法、これの中身の一部について質問いたします。それからもう一つは、災害復旧の問題であります。  最初に、高齢化社会に対応する住宅政策ということに関連をいたしまして、懸案の住宅基本法をしばしは、議事録をひもといてみますと、この国会に出すというお話でございましたが、このことはいかが相なっておりますか、大臣からお答えいただきたいと思います。
  78. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅基本法につきましては、先生も御指摘のように、従来からしばしば提案を申し上げる準備をしておるということの御報告を申し上げておるわけでありますけれども住宅政策の中の基本法でございますだけに、非常に各般にわたって御意見もございます。それぞれの政党の方々からも御提案をいただいております。したがって、よりよいものにするための検討をいま進めておるところでございまして、急ぎ成案を得て何とかこの国会には間に合わせて御提案申し上げたいというようなことで鋭意作業を進めておるわけでありまして、まだいまのところ、しかと御提案申し上げるだけの成案はできておらないわけでありますが、関係セクション等々を督励して、また各般の方々の御意見を聞きながら今国会に間に合わせたい、このように考えておるものでございます。
  79. 大原亨

    大原(亨)分科員 この国会にお出しになるわけですね。私は、約束は果たしてもらいたいという、そういう気持ちと一緒に、基本法ということになりますと漠然として内容がないという例をいままでしばしば私は知っておるわけでありますが、そういうことでお茶を濁す、そして出した効果は何もないということがしばしばあったわけです。しかし、住宅基本法については、これはいま日本の景気対策からいいましても、あるいは高齢化対策、生活問題からいいましても、日本では一番重要な問題であります。そして一番欠落している問題であります。むずかしい問題であります。ですから、内容のある、実効のある政策を出していただくということが重要であります。そういう意味において、拙速を求めるわけではないのですが、しかしこんなに長い間の懸案であったわけですから、もう一定の決断があって出してもよろしいのではないか、こういう意味においてこの国会は一つの目標であると思うのです。重ねてお尋ねいたしますが、この国会中に出す。出さない、できないというのは誤りである、そういう報道は誤りである、こういうふうに理解してよろしいですか、どうですか。
  80. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま先生からも御指摘のように、基本法でありますし、いままでの基本法というものが非常に確たるものがなかったという面もあったというような御指摘があったわけで、それであればあるほど、住宅政策は、いつも先生指摘のような重要基本施策にかかる国民の住宅環境の問題でございますので、なお一層、パーフェクトまでいかないにしても、いろいろな批判を受けないような形で成案を得たいというようなことで進んでおるわけであります。すでに審議会からの答申を受け、建設省といたしましても基本施策につきましての成案をつくりつつあるわけでありますが、自民党初め各政党の方々の中の御意見も非常に多いわけで、何とかそれを集約した上で、できた以上は御批判を受けないような形でとにもかくにも万全を期す。拙速という言葉はいかがかと思いますが、とにもかくにも何とか今国会には間に合わせるような方向でいませっかく検討を進めているところでございます。
  81. 大原亨

    大原(亨)分科員 私も高齢化対策に手をつけまして、住宅環境というのが非常に重要であるということ、その当面の問題はともかくといたしまして、五年、十年、二十年、三十年、四十年後の日本の国民の要望に沿う住宅政策ができなければならぬ、こういうふうに思うわけです。その点から言うと非常に問題があるのではないか。  そこでお尋ねするのですが、先般国土庁の定住構想基本問題研究会が出しました「高齢化社会に対応した国土政策について」、この中で重要な点が私は二つあると思うのです。一つは、日本の三大都市圏に高度成長を通じまして民族移動が集中いたしまして、全人口の半分以上、周辺を入れますと六割、コンビナートを加えましたら、そういう都市地域を加えましたら七割、八割というふうに集まっておるわけでありますが、その三大都市圏の人口の移動が停止状況になっておるということを指摘しておりまして、これは客観的な事実ですが、停止状況になったといたしますと、二十一世紀を展望する高齢化対策というふうに鈴木総理も演説をいたしておりますが、二十年後には、過疎地帯を含めます地方の年寄りが残っておったわけでありますが、三大都市圏が地方の高齢化の比率と匹敵するような高齢化社会になる、こういう分析をいたしておる点が非常に重要な点であります。こういう状況で、このままで高齢化が進んでいったら一体生活の基盤である住環境はどうなるかということが一つであります。  それからこの中で第二の問題で指摘いたしております点は「住宅の確保」、これは三十二ページでありますけれども、高齢化社会に対応いたしまして住宅の非常な重要性を指摘いたしておりますが、たとえば高齢化社会になりますと、ここでは三世代の住宅というふうに提案をしています。しかし高齢化社会は三世代ではないのであります。四世代になるわけであります。二十年後には紛れもなくそうなる。たとえばいまでも天皇家のことを言いましたら、八十歳の夫婦、それから皇太子は少し若い。平均よりも四、五歳若いのですが、四十七か八です。その次は浩宮は二十歳前後でしょう。これはお嫁さんがどうのこうのということが新聞に出ています。しばらくいたしますと子供が生まれる。二、三年いたしますと四世代、これが典型になるわけであります。四世代ファミリーが同じ世帯に居住する。平均寿命は八十歳ですから、たとえば十歳、二十歳の人のことを言いましたら八十まで生きるのですから、赤ん坊が余命が七十三と七十八でありますから、平均いたしますともうほとんどが八十まで生きるということになりますね。三世代ではないのです。これは間違いです。四世代が多くなるのです。二十年後には紛れもなくそうなる。当分の間は三世代です。それに対応する住宅を考える、居住の基盤を考える、同居か別居かということを考える。余りむずかしいことは時間がないから言いませんよ、私がちょっと演説をしておくから。同居か別居かという問題がある。それからお年寄りを特別養護老人ホーム、いま利権問題でがたがた問題を起こしているが、あれは寝たきり老人やひとり暮らしの老人をそこに住まわせる計画というものは財政上もできないわけです。実際に人間的に言いましても高齢化社会の原則としてそういうことはできない。そうすると在宅だということになる。高齢者のひとり暮らしとか寝たきり老人が最大の社会問題になりますが、これが在宅だということになります。いまはだんだんと核家族化してきている。家庭へ帰れ、家庭へ帰れといって家庭基盤、ここにある定住圏構想というようなことを自民党や政府は言っておるのですが、そうではないのです。事実はそれに反しておるわけです。ですから、そういうふうに在宅ケアか施設ケアかといった場合に、施設で老後を、最後を全うするのか在宅かと言えば在宅なのです。特別養護老人ホーム等へ入っている人であっても——身寄りのない人は別ですが——であっても家庭に帰るということが目標でなければならぬ。そういたしますと、受け入れ態勢がないからといって病院へ——京都の十全会病院、あれは亡くなった稲川さんも関係あるけれども、十全会病院なんというものは結核病院から始まって精神系統の病気を入れまして、今度はお年寄りを入れて三千もベッドをつくって、エスカレート方式で非人間的なことをやって、大問題になっている。まだ解決しておりませんが、結局は病院に投げ込んでおいて、これで最後ということになりまして、老人医療費はふえるし、こんな社会というものは、これからの高齢化社会というものはあり得ないわけです。ですから、これはせっかく問題点を指摘して、非常に不十分ですが、これからどういうふうに運営するのですか、国土庁。
  82. 長沢哲夫

    ○長沢説明員 先生指摘の定住構想基本問題研究会高齢化問題グループの報告でございますが、これは三全総の柱になっております定住構想を進めていく場合に、非常に問題になりそうな基本問題を取り上げまして、一年有余にわたって国土庁計調局で先生方を委嘱いたしまして検討を重ねてきた結果を先般発表した次第でございます。これから進む高齢化社会に対して地域政策としてどう対処していくかということにつきまして、住宅問題も含めまして貴重な提言をいただいておりますので、国土庁はもとより、今後政府の施策を立案していくに当たって重要な参考資料として活用してまいりたい、こういうふうに考えております。
  83. 大原亨

    大原(亨)分科員 時間もないのですが、建設大臣、いま政府は見えざる革命と言われる高齢化社会に対応するということで、演説を鈴木さんもしておるのです。各省でばらばらにちょいちょいいいことは言っておるのです。しかし、分析はあっても政策なしと言われておるように、具体的に、総合的に何が重要なのかということを頭に置きながら政策を進めるということがないんです。中曽根さんのところの行財政改革にいたしましてもそのことが必要なんです。部分的にはこれはいいものができておるのですが、このメンバーを見てみましたら、建設省住宅関係の人、住宅環境のプロというような人は学識経験者を含めてあんまりいないのです。問題点は指摘しておりますが、いないんです。これは建設省の政策に反映したりあるいは厚生省に反映したりするような——厚生省関係の人は若干います、一般の評論家等が。国土庁は、国土庁は要る要らぬ、建設省に合併するという問題があるんだが、これは土地問題その他を中心にいたしまして、人口の地域的な分布について推計を立てて、国土計画を立てるというためにやったんだと思うのですよ、大臣。恐らくそうだと思うのです。これはなかなかいいのができている。しかし、重要な点が指摘されておるのですが、たとえば同居か別居かということについてはこれから住宅基本法ではどういう考え方でいきますか。私がいま話をいたしましたことを含めまして、基本法ではどういうふうにやっていきますか。
  84. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  私どもが現在検討しております住宅基本法案におきましては、住宅政策の基本的な目標あるいはこれに伴います基本的な施策といったようなものを規定するのが適当であろうかというふうに考えておりますが、ただいま御指摘の今後の高齢化社会に対応いたしまして、住宅のサイドといたしましては、国民の大多数の方々が同居を望んでおり、また現に七五%以上の老齢者の方々が同居しているという実情にかんがみまして、老人同居のための住宅というものを、たとえば公営住宅あるいは公団住宅あるいは公庫住宅等におきまして、それぞれ特例の措置を設けまして実施しているところでございます。しかしながらまた一面、別居といいますか、老人世帯や単独でお住みになっていることもかなりあるわけでございますので、たとえば子供さん方と近くに住むいわゆるペア住宅あるいはまた老人世帯だけの特定の目的のための住宅、あるいは老人単独で、お一人でお住まいになっておる方々にも、最近は公営住宅等でも道を開くというようなことで対応をしてきている実情でございます。
  85. 大原亨

    大原(亨)分科員 だから地域の、東京都なら東京都の、三大都市圏でしたら三大都市圏の、申し上げたようにそういう人口傾向がここでわかっているわけですから、そのニーズに対応するということですが、みんな人情といたしましては同居を望んでいるのです。大臣、調べてみますとそうなんです。望んでいるのですが、四世代が一緒になりますと、他人が入ってまいるわけですからこれは大変なことになります。そうすると、お互いのことを考えてみましても、周辺や経過を見てみた場合にはそんなに簡単にいかぬわけです。そこで、住宅が狭いものですから、住宅政策がないものですから、核家族化の傾向が一方ではどんどんふえているわけです。その中で寝たきり老人もあるわけなんです。この寝たきり老人は最大の社会問題ですが、いま五十万と言われておりますが、施設に収容されているのは十万余りであります。寝たきり老人ということを考えますと、これは在宅がいいということになる。それ以外にはないということになってくるのです。そうすると、同居か別居が。別居にいたしますと、スープの冷めないところにどう別居するかということになりますと、結局安い家賃の住宅と最低の年金がないと高齢化社会というものに対応できない。ばらばらの社会になって弱肉強食の社会になってくるということであります。ですから、そういうことを考えた住宅基本法であるべきである、そういうことをポイントとして実効のある総合政策の基本となるような住宅基本法でなくてはならぬ、こう思いますが、大臣いかがですか。
  86. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 まさしく先生の御指摘のとおりでございまして、なればこそ、なかなか住宅基本法の成案の時期的なずれが出てまいるわけであります。いままでの基本法にはまだ四世代までのことについては考えが露骨に盛り込まれていないような面もございますし、ますますもって基本法については慎重を期さなければならないかと思います。先生の御卓見を拝聴しながら、日本の住宅環境というもののむずかしさをつくづく考えるわけで、ヨーロッパはほとんどが別居でありますが、日本は家族志向型で、同居の方々が七五%。これからも同居の方々が多いわけで、特に御指摘のように、二十一世紀に向かって一億の方々がほとんど都市化したところに住まわれる、また地方は地方で高齢化は同じように進んでいくというところで住宅政策はいかにあるべきかということ、国土庁のつくられた提言をもとにして御質問あったわけでありますが、あれこれ考えあわせますと非常にむずかしい問題でございますけれども、ともあれ、現在おられる方々が別居か同居かという問題をも含めて、基本法とあわせて住宅政策は進めていかなければならない、このように考えますし、また先生先生で、将来性を考えながら現実の問題を御指摘くださっておられることと思います。勘案いたしまして、基本法の問題、それから同居か別居かという問題について、ともに実効ある形で何とか対策を講じてまいりたい、このように考えるものでございます。
  87. 大原亨

    大原(亨)分科員 最近出生率が低下をしておるのは、高齢化社会になって三世代、四世代で上の方の重圧、高齢化の重圧が出生率の低下になっておるという面があるのです。それはどういうことになるかというと、結局は夫婦単位がだんだんふえてくるということになる。それから離婚が非常にふえできます。それから子供が一人か二人になってしまうわけですから、そうするとそれが十年、二十年の後には両方の両親を支えていかなければならなくなるわけです。そうすると夫婦の共かせぎは当然化してくるわけです。住宅ローン一つを考えてみましても、そうしないと支えていけないわけですから。だから宅地政策、土地問題を含めて、本当に百八十度転換するぐらいのつもりで住宅政策をやらないと日本の社会というものは、幾ら家庭へ帰れ、家族政策をやれ、あるいは婦人は働くな、家へ帰れというふうなことを言いましても、こういうことは事実上できない。逆の方向へ行くわけですから。そういう点についてはしっかり考えてもらいたい。  時間も切れてまいりましたから最後に、第二問は、私はちょうど昭和四十八年当時衆議院の災害対策特別委員会委員長をやっておりまして、そのときに四十七年災害、これは大災害で、鹿児島県あるいは岡山県あるいは広島県を中心に、西部ではダム災害とかいろいろなことで大災害が起きたのであります。そのときの建設大臣は木村武雄将軍、あの人が国会でも議論になったときに言いましたことはどういうことかといいますと、これは原状復旧ではない、すべて改良復旧を目指してやるんだ、こういうことでありました。私の関係深いところの二点を挙げて大まかなお答えをいただきたいのですが、それは、太田川水系については、ものすごいダム災害で人が死んだりいたしました。大きな崩壊、家屋の流失等がありました。それはダムがもとでこれがあったということ、ダムの管理がうまくなかったということで、ダム操作規程はその当時変えていただきました。これは鹿児島にもありましたし岡山にもありました。いまだ余波を残しております。裁判等もあります。私が質問いたしたいのは、太田川と江川も一級河川で上流は広島県内にありますが、それらの復旧状況、原状復旧、改良復旧の大まかな状況、これは簡単にお答えいただきたい。
  88. 小坂忠

    ○小坂政府委員 先生の御指摘昭和四十七年の災害でございますが、非常に大きな災害でございました。特に広島県内は建設省所管の公共土木施設の災害だけでも三百億に達し、全国第一でありました。この災害に対しまして、建設省はどう対応したかということでございますが、まず非常に激甚なところにつきましては、もちろん通常の災害復旧だけでは間に合いませんので、改良復旧を行うという方針で対処いたしました。太田川、江川等全体で八十一の河川について改良復旧を行っております。このほか、木造橋の永久構造化というようなことも行った次第でございます。現在におきましては、もう御案内のように、災害復旧、それから災害関連事業につきましては、昭和四十九年度で完成いたしておりますし、災害復旧助成事業につきましても、五十年度で完成いたしております。
  89. 大原亨

    大原(亨)分科員 改良復旧について状況はどうですか、終わっていますか、どうですか。
  90. 小坂忠

    ○小坂政府委員 いわゆる災害復旧事業としての改良復旧は完了いたしておりますが、これのほかに、通常のいわゆる改良事業ということで引き継ぎましてやっておるわけでございます。特に太田川上流につきましては、昭和五十年から五十一年にかけまして直轄区間の延長を図りまして、その区間の無堤部の解消等を進めてまいるということにいたしておりますし、また江川上流につきましても、これは国の補助事業といたしまして、広島県において小規模河川事業をやっておったわけでございますが、昭和五十二年からは中小河川改修事業として、千代田町のほかに大朝町の区域も含めまして、築堤、護岸等の改修の促進を現在しておるということでございます。
  91. 大原亨

    大原(亨)分科員 そこで私も当時は鹿児島県、岡山県、広島県等ずっと見たのですが、調査いたしておったのですが、私の身近なところで指摘をしておくと、たとえば太田川の河川で、これは一級河川をずっと延ばしてもらったわけです。それで全体的な改修がなされている。これはいい。建設大臣、これは公共事業の中で土地のために費用がかかるところへ公共投資を景気対策としてやりましても、土地代が七割、八割を占めましたら土地インフレになってしまいますよ。景気に対する寄与よりもインフレを助長する。いまそこで私は経済企画庁長官とインフレ論争をやってきたのですが、公共投資をやるということで。  しかし、河川の防災改良事業というのは、土地代その他食わぬわけですから、これは影響率が高いわけですね。これは日に見えないところであっても徹底的にやるべきだ、国土の保全からやるべきだと私は思うのです。  そこで問題は、太田川の下流の広島市の範囲に属するところで昔の安佐郡というところがあったのです。安佐町といま言いますが、そこに宇津というところがあります。宇津というのはどういうことかというと、字は宇津ですが、いつも洪水で渦巻くからうづという名前がついておるのです。ぐっと曲がっているところに、横から逆の川が根元にくっついているわけですね。そこへうわっと洪水が出てまいりましたら、こっちからも出てまいりますから、ここで全部災害が起きるということで、それについてどうすべきかということは地域でも自治体でも議論になったのですが、まだ放置状況にある。それならどういうことをするかという一つの案を当時の中国地建の河川部長が示しておりましたが、それは小さい河川が入っておるところの堤防のところへ川上の方から堤防を築いてまいりまして、本流の流れも変えていくし、それから横の方からの流れも変えていくという方法しかないのではないか。こういう考え方一つあったのですが、依然としてこれが改良されておりませんから、これがもし大洪水になりますと、この部落はまた流されるということになります。それは改良ではないではないかという点が一つ。  それから江川の上流で山県郡の千代田町に志路原川という一級河川がございます。それがはんらんをいたしまして江川と一緒になりまして、地域の学校等の一部が流れたということがございます。それはずっと継続してかなり努力をされているわけですけれども、これもこのままで大災害に見舞われますと、せっかくいま工事を進めているところが台なしになるということであります。これはかなり進んでおるわけであります。そういう改良等は当時から重点として言われたわけですが、河川の改修ですから道路ほどはかばかしくなくて、その点私はおくれていると思うのです。たとえば二つの点を例示いたしましたが、当時、私は現地を見ておりまして問題になっておりましたので、かなりの御努力はいただいておるのですが、なお実効ある措置を期待をしたい、こういう要望が強いわけですが、二つの点についていかがですか。
  92. 小坂忠

    ○小坂政府委員 まず第一の太田川の宇津地点の問題でございますが、ここに鈴張川という左支川が合流いたしまして、その合流の形状が上流に向いて非常にぐあいが悪いということでございます。先生指摘のような問題がございますので、これにつきましては計画を早急に決めなければいかぬということでやっておりますが、一つ困難な問題として国鉄がその場所にございまして、これの処理をめぐって金額的にもあるいは地域の土地の提供につきましてもいろいろな影響がありますので、それにつきまして現在調査を進めておるところであるというふうに聞いております。  それから第二点の江川上流の志路原川でございます。これにつきましても先ほど来お話のございましたように、再度災害を食ってはいかぬということで改良事業を現在鋭意進めておるところでございまして、今後も鋭意この改修を促進してまいりたいというふうに考えております。
  93. 大原亨

    大原(亨)分科員 以上です。
  94. 海部俊樹

    海部主査 以上で大原亨君の質疑は終了いたしました。  市川雄一君。
  95. 市川雄一

    市川分科員 最初に、神奈川県の逗子・葉山地区の国営大規模公園についてお伺いしたいのですが、この国営大規模公園の建設についてはいろいろいきさつがございまして、五十二年の十二月二十二日、当時の櫻内建設大臣にも申し入れをし、あるいは五十三年二月の予算委員会分科会の席でも確認をいたしました。五十二年、五十四年、五十五年の三カ年調査を行い、五十五年度に基本計画を策定する、こういうことでございましたが、現在までの調査の経緯及び進捗状況について最初にお伺いをしたいと思います。
  96. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、逗子・葉山地区につきましては、大規模公園の立地の一つの候補地ということで、昭和五十三年度から調査実施いたしております。五十三年度は主として広域的観点からの自然条件、社会条件など現況把握を主とした基礎調査を行ったわけでございまして、五十四年度は前年度調査結果に基づきまして、公園適地を具体的にどういう範囲で選定するかということの作業並びに公園整備の基本方針を策定する調査をいたしました。本年度、五十五年度におきましては、公園適地として挙げられました先生承知の四カ所につきましてそれぞれの位置づけを明確にいたしまして、基本構想を策定することといたしております。現在その基本構想の策定作業の実施中という段階でございます。
  97. 市川雄一

    市川分科員 予定どおり五十五年度に、調査は三年で終わるわけですか。それで次の作業が五十五年度にできるわけですか。
  98. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま申し上げましたように、五十五年度の調査の作業といたしましては、基本構想の策定という段階にとどまっておりますので、引き続き来年度、五十六年度におきましてさらに基本計画、施設計画も含めました基本計画の策定というところまで調査を行いたいというふうに考えておる次第でございます。
  99. 市川雄一

    市川分科員 当初は三カ年で調査は終了する、こういうふうに伺っていたのですが、調査が一年延びるということですか。調査期間がもう一年延びて基本計画を策定する、こういうことですか。
  100. 升本達夫

    升本政府委員 現在のところそのように考えております。
  101. 市川雄一

    市川分科員 建設大臣に確認をしたいのですけれども、いわゆる国営公園、いわゆる普通の公園法でいう大規模公園と、記念公園とございますが、昭和記念公国との絡みでこの話は持ち上がってきたのですけれども、前大臣渡辺建設大臣もどういう記念事業にするかなどを含めて五十五年度中に詰めたい。逗子・葉山地区については、原生林がまだ残っているような非常に立地条件のいいところですから、当時の建設大臣も記念公園の最有力候補地の一つとはっきり申し上げて差し支えない、昭和記念公園に匹敵するような公園にしたい、こういう御発言が昨年の四月二十一日あったのですが、斉藤大臣は前の大臣のこういうお考え、方針を継承されておられるわけですね。その点いかがですか。
  102. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  前大臣と全く同じ考え方だというように御承知くださって結構でございます。
  103. 市川雄一

    市川分科員 そこで、先ほどの五十六年度におやりになる基本計画の策定が、五十六年度中に終わるのかどうかということです。終わりますと、次の作業はどういう作業になるのですか。
  104. 升本達夫

    升本政府委員 作業は、現在のところ五十六年度も引き続き基本計画の策定を目指して調査を行いたいという段階でございまして、その調査の進行ぐあいによりまして、五十六年度中に完結を見ることができるか、さらに補完的な調査が必要となるかはいましばらく時間をいただいて検討さしていただくことになろうかと思います。
  105. 市川雄一

    市川分科員 次に、多摩川沿線地域の水道の浄化対策についてお伺いしたいのですが、要するに河川法の河川区域それから河川保全区域、この河川保全区域は河川区域から五十メートル、多摩川の場合はたしか二十五メートルになっておるのですが、ここに配水管を布設できない。そのために、各家庭でおんどまりになっている。ですから、環流体制ができてない、したがって、水道の水が非常に濁る。川崎市で定期的に管末の消火栓から汚水を抜くいわゆるどらはけですか、こういう原始的な作業をして水の浄化に努めているのですが、これは沿線の住宅がずっと、多摩川沿いに住宅が御承知のように非常に密集しておりまして、水道の水が濁るということで、とにかく住民から相当苦情が出ている。苦情というか、非常に困っている。これは何とかしなければならないのですが、河川保全区域内でも配水管の布設をある程度許可する、こういうお考えはありませんかどうですか。
  106. 小坂忠

    ○小坂政府委員 河川保全区域と申しますと、河川管理施設の保全をするために必要な区域を指定しておるわけでございますが、多摩川におきましては、その旧法時代から、場所によって異なりますが、約二十メートル前後から四十メートル前後までのところがございますが指定されてございます。直接河川管理施設、具体的に言いますと多摩川の場合は堤防になろうかと思いますが、堤防に影響のないところでございますと許可できるものじゃないかというふうに考えます。
  107. 市川雄一

    市川分科員 まず、いまお伺いしたのは、全部で七千九百九十メートルあるのです。河川区域が六千三百三十メートル、保全区域が千六百六十メートルです。いまお伺いしたのは、いわゆる堤体でない河川保全区域です。これは市の方から正式な届け出というか要請があれば、建設省としては許可する、こういうふうに理解してよろしいですか。
  108. 小坂忠

    ○小坂政府委員 保全区域でございますと、ただいまのように直接の影響のない場所でございましたら許可できることになると思います。
  109. 市川雄一

    市川分科員 それからやはり一番影響が深いのは河川区域内なんです。河川区域内も、河川区域ぎりぎり、境界線まで住居が建設されているわけですね。堤体の中というのはこれは無理だろうと思うのですけれども、堤体内でない河川区域、御承知かと思いますが、たとえば堤防があって、道路も堤防の一部なんでしょうけれども、堤防があって、その堤防の横に道路がある。その道路に盛り土して、そしてそこへいわゆる配水管を布設する、これをさせていただくと、かなり環流体制が整って、水道の浄化の問題が解決する、こういうことなんですが、どうでしょうか、河川区域内であっても、堤体内ではない。しかも盛り土する。逆に言うと、堤防そのものもかえってある程度強化されるのじゃないか、というところについても、そういう特殊事情を考慮して何とか、オール・オア・ナッシングで全部だめというのじゃなくて、状況によっては許可する、こういうお考えはございませんかどうですか。
  110. 小坂忠

    ○小坂政府委員 まず一般論で恐縮でございますが、堤防というものは、私ども河川を管理していく場合に最も重要な河川管理施設であるというふうに考えております。これはもう釈迦に説法になるかもしれませんが、堤防にもし万一のことがございましたならば取り返しのつかないことが起こるということで、堤防の管理については私ども特に意を注いでおるわけでございます。  それで、ただいま堤防の中ではなくても、その外にでも水道管を縦断的にはわせるような占用を認めてはどうかというお話でございますが、そういうような私どもの堤防に対する観念から申しますと、まず堤防にものを布設するという場合は、もうやむを得ない場合のほかは極力排除するという原則がございます。たとえば道路が川を横切るというような場合あるいは水道管が横切るというような場合は、川を横切らなければならぬためにどうしても堤防の占用という問題が出てくるかと思います。ただ、縦断占用の場合には他にかわる方法がないかといいますと、それに並行した道路もございましょうし、他にかわる方法もあるわけでございますので、その場合はやはり堤防の第一義的な安全という観点から私どもは極力避けるようにしたい。特に水道管の場合には、もし万一の場合にその水が出た場合に堤防に被害を及ぼすとか、あるいは出水時に、そういった縦断的に管が堤防等の上にありますということは、堤防にもしも漏水のような事故が起きた場合に水防活動をするというような場合にも非常な支障になります。そういったいろいろなことを考えます場合、堤体内、堤防の断面の中でなくても、堤防に接着して水道管を布設するということは許可しにくい事柄であろうかと思います。
  111. 市川雄一

    市川分科員 許可しにくいということはよくわかるのですけれども、これはそのままですと結局水道の浄化対策が全くできないということで、多摩川沿いの住民、何万世帯という人が非常に困っているわけですね。土木技術も相当進歩してきたわけですから、堤体そのものに水道管を入れろということじゃないのですから、堤体内でない河川区域について、もし水道管が配水管が破裂したとか、そういうことも含めて、いまの土木技術で細心の注意を払って何か条件をつけてやらせるという方向を何とか御検討いただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  112. 小坂忠

    ○小坂政府委員 認めがたいというような表現を使いましたが、私どもとしては許可できないことであるというふうに考えておりますので、この問題につきましてはひとつほかの方法で対処していただくようにお願いしたいと思います。
  113. 市川雄一

    市川分科員 次の問題ですが、横浜から横須賀にかけて国道十六号線、これは非常に渋滞して、県下でも有数の渋滞地区なんですが、一つは、この渋滞を解消したい。基本的には、湾岸道路ができませんと渋滞が解消できないわけですけれども、市の方としては基本的解消でなくても一番渋滞のひどいところにバイパスをつくりたい。  もう一つは、工場移転用地を拡大して住宅と工場の混在地域を解消したい、あるいは漁業用地を確保したい、下水処理施設を設置しろ、こんな目的で横須賀市が五十六年度から六十年度までの五カ年計画、これは国の第六次港湾整備事業に対応する計画として考えておるわけでありますけれども、たしかこの計画で今年度国の方から二千五百五十万の調査費がついたと思うのですが、この港湾の整備計画も、もちろん港湾の整備計画調査費がついたと思うのですが、この計画をいま国でお考えになっていらっしゃる第六次港湾整備事業の中に組み入れてほしいという要望を強く持っておるわけですが、これについては、これは運輸省だと思いますが、どうですか。
  114. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 いま先生お話にございましたように、横浜市においてそういった計画検討がなされているということについて私たちも承知をいたしておりまして、また五十五年度におきましては調査費補助という形で一定の補助金を交付してございます。  お話しのように、五十六年度から六十年度までの新しい五カ年計画を策定したいというふうに考えておりまして、その具体的な内容につきましては、できるだけ早い時期に閣議の決定をいただきたいというふうに思っておるところでございますが、いまお話しの横須賀港の計画につきましては、今後そういった地元港湾管理者の要望ども徴しながら、具体的な詰めなり検討なりをさしていただきたい、かように考えているところでございます。
  115. 市川雄一

    市川分科員 それで五十五年度の調査で国から二千五百五十万、全体で四千万の予算をかけて調査するわけですけれども、これは完全に調査が終わらないで、なおさらに千四百十万近い予算を追加で必要になっているわけですが、これについて運輸省としてさらに二千五百五十万に上増しして調査を助ける、そういう補助をするお考えはありますか、どうですか。
  116. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 いずれにいたしましてもその調査が継続中であるようでございますし、それからなお五十六年度の予算の個所づけの問題につきましては、現在私たちも作業中の段階でございますので、この本港にかかわります調査費の補助という問題につきましてもその中で考えて今後検討してまいりたい、かように考えておるところでございますので、御了承いただきたいと思います。
  117. 市川雄一

    市川分科員 建設大臣、いま空きかんの問題が話題になっているわけですけれども、特に観光地で空きかん公害ということが非常に言われておる。私の地元の三浦半島でも海岸が二十八ありまして、建設省で所管していらっしゃると思うのですが、特にすごい空きかんが出るわけですね。鎌倉なんか観光都市ですから、海岸だけではなくて史跡とかすごい空きかん公害で苦しんでいるわけです。鎌倉市だけでも年間約七千万近い清掃費を負担して、そういう海岸、史跡の清掃に当たっているわけですが、海岸の清掃責任というのがいまの国の法律でどうもはっきりしてないのじゃないか。これは前にも一回内閣委員会で伺ったことがあるんですけれども、話を特定しませんとこういう話は一般論になりますので、まず三浦半島の海岸約二十八の海岸は、神奈川県の地図によりますとほとんど全部建設省が所管ということになっておりますが、清掃法で言ういわゆる占有者、あるいは占有者がない場合は管理者、これに建設省は該当するわけですね。どうですか。建設省のお考えをお伺いしたいんです。
  118. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ちょっといま質問の御趣旨を聞き漏らしたんでございますが……。
  119. 市川雄一

    市川分科員 まず建設省で所管している三浦半島の二十八の海岸があるんですよ。建設省所管の海岸というのは建設省が管理者になっていらっしゃるわけでしょう。ぼくが聞いているのはいわゆる保全管理じゃありませんよ、保全管理というのは県知事になるわけですから。清掃法で清掃を義務づけられているのは、占有者もしくは管理者なんですね。その管理者、占有者に該当していると考えていらっしゃるのか考えてないのか、どちらですか。
  120. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいま先生お話にもございましたような海岸法による管理は、国土保全的な観点から管理しておるわけでございますので、いま御指摘のような海岸の占用者という意味での管理ではございません。お話しのような占用者というのは、いわゆる国有財産としての国の土地という意味での、土地の所有者である国という立場はあろうかと思いますが、清掃法に言う占有者に当たるかどうか、ちょっと私ははっきり申し上げかねるわけでございます。
  121. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 国有財産の問題でございますから私からお答え申しますが、建設省の所管いたしております海岸につきましては、国有財産法の規定に基づきまして、知事にその事務を委任しておるわけでございます。したがいまして、一義的には知事が管理されることになると思いますけれども、本来であれば、たとえば国公物管理法等をつくりまして管理をすべき問題でございますが、その点につきましてはまだ結論を得ていない、こういう状況にあるわけでございまして、いまの空きかんのような問題につきましては、むしろ県で条例等をつくっていただいて取り締まっていただくのが適切ではないかと考えておるわけでございます。
  122. 市川雄一

    市川分科員 県で条例でもってと簡単におっしゃるのですけれども、それが簡単にできればいいのですが、そうじゃないのです。要するに清掃責任というのは占有者、管理者。自宅の庭は、私なら私が占有していれば、私に清掃責任があるわけでしょう。海岸は国有財産ですね。そうなれば、本当は大蔵省ですよ。だけど大蔵省に聞くと、海岸によって任せてある省が全部違うというわけでしょう。調べたら、三浦半島は建設省が所管している、建設省大蔵省にかわって管理しておるわけですね。ですから、これは建設省に清掃義務があるのではないかということが私の質問です。どうですか。
  123. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 ただいまもお答え申しましたように、建設省の所管海岸でございますが、これは国有財産法の規定に基づきまして知事にその管理を委任しているわけでございますから、知事が管理していただくべきものだと考えております。
  124. 市川雄一

    市川分科員 国有財産法によって知事に委託しているというのですが、それは海岸法じゃないのですか、保全管理じゃないのですか。神奈川県の方は清掃責任までは委託されていないと言うのですよ。いいですか。委託されたのは保全管理、いわゆる高潮が来るとか大きい波が来るとか、そういうことに対して海岸をどう保全するかというその保全管理を委託されたのであって、ごみの清掃まで国から委託された覚えはありません、これは、どこの県に開いてもそういう答えが出てくると思いますけれども、それはどうですか。     〔主査退席、関谷主査代理着席〕
  125. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま先生がおっしゃいますのは、海岸法に基づきまして海岸保全区域に指定されたところにつきましては、海岸法の規定で維持管理、これは主として災害防止その他の管理をしているわけでございますが、私が御答弁申し上げておりますのは、建設省所管海岸全般につきまして、国有財産法の規定で知事にいわゆる財産管理をお願いしているわけでございます。したがいまして、その財産管理の中に空きかんの清掃まで入るかどうかという問題につきましては、どう申し上げていいかよくわかりませんが、私といたしましては、そこまでは本来であれば入らないと思います。したがって、そういう場合には条例等で取り締まるなり何なりしていただくのが適切ではないかと考えているわけでございます。
  126. 市川雄一

    市川分科員 ですから、清掃まで入っていないわけでしょう。清掃まで入っていない。しかし持ち主は国、それを管理しているのは建設省。ですからやはり全く責任がないとは言えないと思うのですよ。県の方もそういうことで逃げ腰になる。結局市へ全部負担がきているのが現状です。ですからそういうことを踏まえて、建設省環境庁と御協議の上、そういう協力をしっかりやってもらいたいというふうに思うのですね。  環境庁の方にお伺いしたいのですが、時間がもう来ておりますので……。  この間も環境庁長官にお尋ねしましたけれども、空きかん問題は決め手がない。決め手がないのはわかるのですよ。だけれども、決め手がない、決め手がないと言っていたのではいつまでたっても解決しないわけです。いま京都でも条例をつくろうとしておりますが、要するに効くもの、恐らくこれを打ったらある程度効果があるのじゃないか、根本的解決にはならないけれども何がしかの効果があると思われているもの、たとえば販売業者に回収の義務をはっきり負わせるとか、あるいはデポジット制度ですね、かんを持ってきたら現金で買う、そういう回収の仕方であるとか、何かそういう具体策、これをやったらある程度効果がある、問題は多少あるでしょうけれども、そういうものをもっと国なりに、国としての方針をある程度決めて、それで関係省庁に働きかけるということでないと一向にらちが明かないのじゃないかと思うのですが、それはどうですか。     〔関谷主査代理退席、主査着席〕
  127. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 空きかん問題につきましては、いま先生から御地元の海水浴場その他の問題の御指摘がございましたけれども、観光地のみならず、市街地その他でも散乱の状況等が大変目立ってまいっておりまして、環境庁といたしましても、市町村その他地方公共団体で個別の対応が積極的になされておるところでございますが、国全体としても何らかの改善に寄与するような方策を考えていかなければならない時期に来ておるということで、先般、環境庁外十一省庁に御参加いただきまして「空カン問題連絡協議会」という組織をつくったところでございます。  先生お話の中にございましたように、空きかん問題というのは、個別の、ある特定の方策だけで効き目があるものというのは大変見出しがたい状況にございます。したがいまして、各省庁それぞれ従来もいろいろ対策が講じられてまいっておりますけれども、やはり多角的に検討いたしまして、それぞれ一歩でも前進し得るものがあれば積極的にそれを取り上げていこうという観点から、先般来連絡協議会の場を通じまして、今後の対策についてお互いに連携をとりながら検討し合っていこうじゃないかという方向に踏み出したわけでございます。  いま先生、具体的にこういう対策をとればというものがないかというような御趣旨もございましたけれども、今後おいおい各省と御相談申し上げながらその対策等について煮詰めていきたいと考えておるところでございます。
  128. 市川雄一

    市川分科員 先ほど官房長ですか、何か気になることをおっしゃっていました。国有財産法ですか、によって知事に任せてある、任せてあるけれどもそれは清掃までは入ってないと思うとはっきりおっしゃっていました。清掃まで入っていないから条例をつくってやればいいじゃないかということなんです。任せてあるけれども清掃まで入ってないということは、やはり建設省の責任も残っているということですな。そうでしょう。その分は任せてないのだから、国の責任もあるということでしょう。違いますか。ですから国の責任が残っているのですよ。それをまたすぐ地方で条例でもつくってやればいいなんて、こういう発想じゃ困ると思うのですね。国の責任もある。建設省も所管している。ですから建設省として、全国の海岸というと大変なことになりますけれども、何かそういう痛みを感じていただいて、環境庁がいまやろうとしていることに対する協力をするなり何なり、海岸の清掃あるいは保全とかかわり合いがあるのですから、もうちょっと本腰を入れたお気持ちになっていただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
  129. 海部俊樹

    海部主査 以上で市川雄一君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  130. 塩田晋

    塩田分科員 兵庫県東播地方、選挙区で言いますと兵庫三区の地域でございますが、この地域の道路、鉄道交通、地域開発、生活環境整備等につきまして、斉藤滋与史建設大臣並びに建設省、運輸省、国鉄各関係責任者に対しまして御質問いたしますので、簡潔、親切、かつ、責任ある答弁を期待いたします。  この地域は、御承知のとおり播磨工業整備特別地域といたしまして指定を受けております。そして、過去歴史ある産業地域として発展をし、また現在も一体的に発展をしておるところでございます。この地域の東西にわたる交通網につきましては、先輩議員また関係者の大変な御努力によりまして、おかげさまで非常に進展をしてまいりました。これは非常にありがたいことでございますが、かつては南北に加古川という水路、この河川によりまして交通網が開けておったわけでございますが、この南北道路がいま非常に整備がおくれておる。東西の交通網が非常に発達をしたということによりまして、いまでは、言うならば大きな東西にわたる河川ともいうべき陸上の交通網、北から言いますと、中国縦貫道路、国道二号線、浜国道あるいは第二神明加古川バイパス、そして明姫幹線、これも貫通を見たところでございます。また、その上になお山陽自動車道建設計画されておる。こういったことで、言うならば東西に輪切りにこの地域はなっておる、南北の河川にかわる東西の現代の河川に当たる交通網が非常に発達したために輪切りになっておるというのがこの地域の実態でございまして、ぜひとも南北道路を整備をしていただきたいという立場から御質問をしたいと思います。  第一は、国道百七十五号線の整備促進についてでございますが、特に当面問題になっております西脇、社、小野地区状況はどうなっておるかということ、そして、特に西脇周辺でかなりバイパス反対等の立て看板も見るところでございますけれども、どのような状況で進展してきているか、今後の取り組み方について御質問いたします。
  131. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 百七十五号線につきましてお答え申し上げます。  先生承知のとおり、三木は先年すでにバイパスが開通をいたしたわけでございますが、ただいまそのほかに小野、社、滝野インターチェンジ関連、それから西脇というような五カ所につきまして整備を図っておるわけでございます。滝野インターの一部の関連の地域と三木が終わっておる。社につきましては、用地買収、それから工事実施しておりまして、昭和五十六年度末に全線の暫定供用を図るという予定にいたしております。残ります大きなものが小野と西脇の両バイパスでございますけれども、現在それぞれ用地買収を進めている段階でございますが、地元の御協力を得まして引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。が、まだ全線の買収の予定等が立っておりませんので、開通の見込み等はまだはっきり申し上げられないという段階でございます。
  132. 塩田晋

    塩田分科員 これはぜひとも早急に整備を促進していただきたいと思います。  次に、加古川市を通る南北の主要地方道の拡充整備についてでございますが、高砂−北条線とかあるいは尾上−小野線あるいは土山−市場線とかいろいろございますが、いずれも非常に狭い二車線のものでございます。歩道もない、自転車が非常に難儀しておるというような状況で、非常に危険でもございます。こういった整備状況、今後の見通しについて御説明願います。  また、国鉄宝殿駅東の跨線橋、これも用地買収がかなり進んでいると思われますがそのままになっております。これもどのような計画でございますか。  それから、新聞によりますと最近県が調査を始めたと言われております滝野から南へおりてくる防衛道路、これにつなげて尾上あるいは土山線をどうつなげるか、その辺の接点の調査を始めておるようでございますが、こういった問題についてわかる範囲で御説明願います。
  133. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 加古川を通ります主要な県道等についてのお尋ねでございますが、先生指摘の高砂−北条線が一番重要な路線でございまして、そのほかに加古川−小野線であるとか泉−高砂線とか八幡−別府線等がございます。これらの道路の整備状況は、改良率で申し上げますと大体平均で九五%、舗装率で平均九二%というような状況でございまして、路線によって若干の違いがございますが、ほとんどそろっておる次第でございます。何分にもこの地域も非常に歴史の古い地域でございまして昔からのものがいろいろ残っておりまして、私どももその辺を考えながら進めている次第でございます。  国鉄の立体交差につきましては都市局長の方から。
  134. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの高砂−北条線の山陽本線、国道をまたぐ跨線橋の立体交差工事につきましては、都市計画街路事業をもって実施をいたしておりますけれども、おおむね現在のところ用地買収を終了いたしまして、五十六年度以降に工事を本格化するという予定でございます。
  135. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 それから防衛道路のお話がございましたが、これにつきましては、私どもまだ正確に承知をいたしておりませんので、ちょっとお答えを差し控えさせていただきます。
  136. 塩田晋

    塩田分科員 南北道路の整備ということで県がこの問題にも非常に関心を持って調査を始めたという段階でございますので、よろしく御指導、御支援のほどをお願いします。  それから、この問題に関連しまして、先ほど申し上げました自転車が非常に危険な状態の中で走っておる。歩道もないのです。狭いのです。そこで、自転車は通学通勤にかなり利用されておりますが、加古川に向かう南北自転車道を、県道なりに並行してか、あるいは別のところを通ってでも行くような自転車専用道路といったものも考えられないかどうか、その点についてお伺いいたします。
  137. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、自転車の問題は大変重要な問題と私どもも思っております。直接自転車ではございませんが、歩道の設置率を見てみましても、高砂−北条線その他の県道につきましてはまだかなり低いようでもございますし、また幅が狭いものですから、その道幅の中で歩道なり自転車道をつくることが困難な延長もかなりの規模に上るようでございます。そういった場合、特に人家連檐地区等で困難な区間につきましては、現地の実情等を十分調査いたしまして、心要に応じましてはそれは裏へ回すとか、そういったことも考えなければいけないと思いますが、県と十分調整をしながら今後の安全対策を進めてまいりたいと思います。
  138. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。そういった方向で強力に推進をしていただきたいと思います。  問題は南北を通ずる、特に加古川からの南北の道路ですが、これはほとんど全部が二車線ということでございまして、いま言われましたように歩道の率も非常に少ないわけです。ほとんどないと言っていいわけでございますが、私は、もっと抜本的に解決する道として、加古川を通ずる南北の幹線道路、側道も含めて、車線は四車線ないし六車線のものをここに一つ大きく通すということを、これはぜひとも長期の展望に立って御検討をいただきたいということを御要望いたします。御承知のとおり、加古川、高砂地域には阪神地域から大きい工場が進出をしまして臨海工業地帯を形成しておりますし、北部の農村あるいは小都市からは通勤者が非常に多い、通学者も多いという中で、非常に混雑しております。やはり東西の幹線道路に匹敵するようなものを一本でもここに通すということを、ぜひとも御検討をいただきたい。これは産業界、労働界挙げての要望でございます。住民の強い要望でございますので、この点御検討をお願いします。この東西線は、浜側でかなり地価の高いところを、明姫幹線が最近できましたけれども、これも相当高い地価のところを、やる気になってやっていただいたらできたわけです。これも四車線できておるわけです。南北ですともっと容易です。用地単価も安い。山もある。中を通していくことは可能だと思いますし、せっかく加古川というかつての水路、交通網があったわけです。この加古川の堤防をもっと活用したら道路はできるんじゃないか。用地買収も容易に進むんじゃないか。そんなに事業費はかからないで進むんじゃないか。加古川の堤防は、左岸にしましても右岸にしましても、利用は一部なされておりますけれども、ほとんど利用されていないと見ていいと思います。そういった点も考慮されまして、四車線あるいは六車線の大きな幹線道路を、播磨の臨海工業地帯から日本海に向けて進めていただきたいと思います。これは強く要請をいたします。  次に、中町−和田山線の国道への昇格でございますが、これについて、ぜひとも昇格を早期に図っていただきたいと思います。
  139. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 国道昇格につきましては、これまでおおむね五年目ごとにやってまいっております。四十四年、四十九年とやってまいっておりますが、近代的な幹線道路網体系の確立ということで、社会情勢の変化に応じましてまたそろそろ次の段階が来たということで、いま全国から御要望を伺っていまして、国道昇格の検討を進めているところでございます。ただいま御指摘の中町−和田山線につきましても、県を通じまして御要望は伺っております。ただ、全国から御承知のとおり一万二千キロに及ぶ御要望がございまして、これをある程度はやはりしぼらなければいけないわけでございますが、非常に甲乙つけがたいもの等も多々ございまして、いま鋭意作業を進めているところでございます。
  140. 塩田晋

    塩田分科員 次に、この中国縦貫道の加西インターの新設でございますが、昨年も本分科会お尋ねし、これが設置の明るい見通しについて御答弁いただいておりますが、これからの手続、その見通しですね、どのようになっておりますか。
  141. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 インターチェンジを追加することにつきましては、高速道路のいわゆる整備計画の変更になるわけでございます。したがいまして、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経る必要がございます。そこで、次回のこの国土開発幹線自動車道建設審議会でございますが、前回は五十三年にやっておりまして、その後新たな社会情勢の変化に伴いまして、新たな整備計画区間の追加というふうなことも場所によっては必要になってまいっておりますので、ただいまのところ、何とか五十六年度内に次回の審議会を開催をいたしたいと考えておるわけでございます。  そこで、加西におけるインターチェンジの追加でございますが、地元の強い御要望は私どもも十分承知をいたしております。インターを追加するにつきましては、利用交通量がどのくらいになるとか、そのほかそういったもろもろの条件を勘案しなければいけませんので、ただいま鋭意検討を進めているところでございます。
  142. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひともこの新設については早い機会に手続を進めて実現をしていただきたいと思います。  次に、これは要望でございますが、第二神明加古川バイパスの防音壁の住民要望が非常に強いわけでございます。私も現地へ行って見てまいりましたが、確かに住宅に非常に接近して、一部防音壁もつくっていただいておりますが、まだまだなかなか防音が十分でないという感じがいたしました。こういった地域住民要望が強いものにつきまして、具体的には土山のインターの付近でございますけれども、また最終的な個所について御相談申し上げたいと思います。この点については、基準等があろうかと思いますが、測定方法についてもいろいろ問題があろうと思いますので、具体的には後ほど関係局、課の方で御相談をいただきたいと思っております。これは要望です。  次は鉄道の問題でございます。  南北道路の開発整備とあわせまして、東西を通っておる鉄道の高架化、これによりまして南北の交通が円滑になるようにということで取り上げていきたいわけでございますが、まず第一は、山陽電鉄の連続立体高架の問題です。明石駅付近、大蔵谷から林崎に至る事業がいま進んでおるわけでございますが、昨年は昭和六十年度完成見込みというふうに伺っておりますが、いまの状況で、若干おくれているのじゃないかと思いますが、どのような状況でございますか。
  143. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの山陽電鉄連続立体交差事業につきましては、昭和五十二年に都市計画決定をいたしまして引き続き詳細設計を行っておる段階でございます。なお、当面、側道の用地買収に手をつけておりまして、先生承知のように、一部区画整理との関係で決定が保留されておりました部分につきましても計画決定という段階に至っておりますので、一応準備は整った段階まで参っておるわけでございます。昭和五十五年度本年度末までの累計事業費で約十九億円用地買収等に使用いたしております。用地買収分の用地取得率は、現在までのところ、国鉄所有分を除きまして、約三〇%という達成率に至っておるわけでございます。  そこで、いま先生のおただしの六十年に完了見込みということを昨年度お答え申し上げておったかと思うわけでございますが、ただいま申し上げたような事業の進捗状況でございますので、事業計画どおりの進行はむずかしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  144. 塩田晋

    塩田分科員 大体どれくらいのめどですか。
  145. 升本達夫

    升本政府委員 いまのところ用地買収に懸命に精を出している段階でございまして、具体的に何年度目標というところまで申し上げかねる段階ではないかというふうに考えております。できるだけ早いうちに見通しを立てて御報告申し上げたいと思います。
  146. 塩田晋

    塩田分科員 六十年度よりもおくれるということで、そのめどは立たないというようなことでありますが、それでは困ると思います。一定のめどを持って、そのめどで達成をすることに最大の努力をしていただきたいと思います。  次に、国鉄明石駅と山陽電車の明石駅との合体問題でございますが、この事業の進捗状況、今後の計画、見通しを言ってください。——いまの問題は山陽電鉄の明石駅の問題です。高架化の問題とあわせまして、国鉄はすでに高架になっております。前は広場で、その先に並行して山陽電鉄が走っておるわけです。その駅を合体するという問題ですね、これは計画ができておるはずですが……。
  147. 升本達夫

    升本政府委員 山陽電鉄の高架化事業との関連におきまして合体するような計画は確定いたしておるわけでございますが、具体の計画の進行につきましては、私ども現時点でつまびらかに把握いたしておりません。鉄道高架事業にあわせて実現が図られるように進捗を図らなければならないというふうに私ども考えております。
  148. 塩田晋

    塩田分科員 もう少し具体的に御答弁がいただきたいわけです。それぐらいの答弁ならしなくてもいいようなことです。もう少し具体的に、親切に答弁をいただきたいと思います。  時間の関係で次に移りますが、いまのこの山陽電鉄の高架化につきましては、近い将来の問題として計画区間をもう少し西の方に延ばしてもらいたい、これも昨年分科会要望したのです。交通の大きな事故がございました。こういったことを踏まえて、少なくとも藤江駅周辺まで延長してもらいたいということを要望しておきます。  それから、国鉄加古川駅の連続立体交差化の問題について御質問いたします。どのような状況になっておりますか。
  149. 升本達夫

    升本政府委員 加古川駅の連続立体交差化の計画状況でございますが、昭和五十五年度本年度におきまして、国庫補助調査として採択をいたしまして、現在交通解析、費用便益の検討等を行っておりまして、基本設計の作成に着手をいたしたところでございます。来年度昭和五十六年度におきましては、引き続いて国庫補助対象の調査を進めまして、高架下の利用それから環境調査等を行う予定でございます。  なお、この計画による効果を一層高めるために、地元の県、市共同いたしまして、駅周辺の将来の土地利用のあり方について別途調査を行っているわけでございまして、今後は早急にこれらの事情を考慮した適切な計画の策定に努めてまいりたいと考えております。
  150. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひともこれは強力に県なり市を指導いたしまして、また援助をしていただいて推進を図っていただきたい。駅前の開発、整理、そして駅前ビル等も進んでおりますから、これは早急に具体化が図れる問題でございます。よろしく御支援のほどをお願いします。  それから国鉄関係でございますが、ローカル線の廃止につきまして、対象路線がこの三区では鍛冶屋、三木、北条線等四線になっております。私たちは、この地域からこのローカル線を廃止することについては強く反対をしておるところでございまして、たびたび運輸大臣あるいは国鉄当局あるいは自治省にも直接会見をし、要望いたしました。また、住民代表とか市、町長とかあるいは地元県からも陳情がありました。超党派でこの問題に取り組んでおるところでございます。  私もさきに運輸委員会でも取り上げて、運輸大臣、国鉄総裁に対しましてただしたところでございます。いよいよ大詰めになったという新聞報道でございます。あす三日の閣議決定ということで、廃止基準が政令ででき上がるという状況のようでございますが、この作成につきまして、輸送密度二千人未満という場合、過去の実績だけを云云するんじゃなくして、これからの近い将来の地域の発展、あるいは住宅建設あるいは人口増加、それから学校の配置、そういった将来の動態を見て、そういう要素を入れてもらいたい。事務手続的には省令の段階で二千人というのはどういうふうに算定するんだということが決まっていくと思いますが、その段階でもぜひとも将来の要素というものを取り入れてもらうように定めていただきたいが、どのように考えられますか。そうなれば必ずこの地域は対象外になると思うのです。  それから、時間がございませんので引き続いて申し上げますが、国鉄のローカル線の廃止は、われわれこの地域について見ます場合には、乗客が利用できないようなダイヤの編成をしたり、本数も少ないとか、いろいろな問題があります。こういった点をもっと工夫すればまだまだ乗客もふえる、住民の利益が図れると思います。そして、このローカル線の廃止は赤字の抜本対策でないとわれわれは考えております。もっともっとやるべきものがある。一兆円以上も大幅な増税をやりながら、七千三百億円も来年度国鉄だけにつき込むということは国民感情から許せない。もっともっとやるべき経営の合理化、生産性の向上、この努力の余地が大であると考えております。こういった点につきまして強く要望をいたします。いまの算定基準の問題につきまして答えてください。
  151. 金子史生

    ○金子説明員 御説明申し上げます。  御指摘の政令に関しましては、本日午前中に開催されました地方交通線等の選定基準に関する関係閣僚会議におきまして、選定基準の骨子に関しまして関係大臣間で合意を見たところでございます。この決定に即しまして、あすの閣議におきまして政令案が諮られることになると存じます。この政令案におきましては、特定地方交通線の基準は輸送密度を基本として定めることになっておりますけれども住宅団地、学校、こういったものが近い将来完成することによりまして、確実に輸送需要の増加が見込まれるといったような場合には、輸送密度の算定に当たりまして、過去の輸送密度の実績に加えまして、この見込み輸送量、見込み輸送密度というものを加味するということを政令案上明記することにいたしております。  以上でございます。
  152. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。そういった検討に立って、ぜひともこの四線は存置を図ってもらいたい。われわれもまた今後いろいろと御相談申し上げたいと思います。  最後に一問お願いします。大分残っておるものですから、まとめて申し上げます。  一つは、加古川流域下水道の整備進捗状況、普及率はどうなっているか。これは県、市を指導援助してもらいたいということでございます。  それから加古川大ぜき、これが事業費がついて、今後、来年度予算でも実施されるということのようでございますが、この事業規模、目的、計画について御説明願います。  第三点は大臣にお願いします。  勤労者の持ち家に対する意欲は非常に高まっておりまして、そのためのいろいろな努力をしておりまして、建て売り業者から購入するという場合が相当多いのでございますが、この地域におきまして特にそういうケースが非常に多いわけでございますが、最近の建設業界の不振によりまして建て売り業者が非常に倒産を多くしてきておる。その中で、この持ち家のために非常に苦労しておった勤労者が、倒産によって被害を受けておるというケースが具体的にもあるのでございます。時間がございませんので申し上げませんが、被害が非常に出ておる。最近この地域でも一業者について八十二人もの被害が出ております。本人は前金を払ったままで、もう三分の一から三分の二まで払っている人たち、しかも土地も建物も手に入らないまま倒産で現物が入らぬ。ところが、ローンその他借金をして、勤労者は一生数百万円、ときには一千万円にも上るローンなり借金を払っていかなければいかぬ。一生ただ働きですね。そのような状況が起こっておる。これは宅建業法によって前金保全の規定がございますね。四十一条がございますが、これが有効に働いていない。皆それを避けて、除外規定とか請負契約でもって当事者間でやっていくと、これから抜けられるわけですね。そういった問題等、非常に制度的な不備な点がございます。この点を検討をして、そういったことが起こらないように、またこういったものの救済措置をどうするかということについて、早急に検討して対策を講じていただきたいと思います。これは時間がございませんので、労働省にも、社会労働委員会で取り上げていきたいと思います。この点につきまして、建設大臣のこれについてのお考え、決意のほどを最後にお聞かせ願いたいと思います。
  153. 升本達夫

    升本政府委員 加古川の流域下水道の進捗状況でございますが、先生承知のとおり、上流処理区と下流処理区の二区域に分かれております。上流処理区の方は、昭和五十一年度から着手をいたしておりまして、現在まで処理場の用地取得を中心に進めてまいりました。現在のところ、もうほとんど処理場の用地買収が済んでおりまして、あと一・四%程度の土地が残っておる段階でございます。今後この土地の取得に努力いたしますとともに、できるだけ早く処理場の建設着手してまいりたいというふうに考えております。なお、昭和五十四年度からパイプの工事着手いたしておりまして、今後とも引き続き整備促進を図ってまいりたいと考えております。  それから、下流処理区につきましては、これは現在県におきまして処理場の位置を含めて基本計画の策定中でございます。この策定を待ちまして都市計画決定の手続に入りたい、その後、早期に着工いたしたい、かように考えております。
  154. 小坂忠

    ○小坂政府委員 加古川大ぜきでございますが、これは加古川総合開発計画の一環といたしまして、その目的としまして洪水疎通能力の増大、流水の正常な機能の維持、加古川下流域の都市用水として新たに日量四万トンの開発及び都市用水の取水位の確保というようなことを目的といたしております。昭和五十四年度に実施計画調査に入りまして、五十五年度から建設事業に着手しておるものでございまして、現在水理水文調査、地質調査、せき本体設計等を実施しておるところでございます。  五十六年度には事業費十六億円を予定いたしておりまして、せき本体とかあるいは河道掘削、護岸等の工事を予定いたしてございます。  目標年次といたしましては、昭和六十年度を目途といたしまして事業を進めておるところでございます。
  155. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま宅地建物取引業者関係のお話がございましたけれども、最近こういうような経済情勢でございまして、一部の業者にいろいろ問題が発生いたしております。それで、私どもの方といたしましては、この宅地建物取引業の適正な執行につきまして、いままでもいろいろ対策を講じてまいっておりますけれども、都道府県知事等を通じましてその適正な執行を図ってまいりたい。  それから、問題が生じました場合は、やはり宅地建物を購入されました消費者保護を基本に置きまして、またその業者といろいろ取引をやっております建設業者とか建材業者等もございますが、それらが関連倒産することのないように、こういう二つの視点から、いろいろな対策を講じておるわけでございます。  具体の兵庫県に起こりました事案につきましては、現在知事を通じまして十分指導いたしておるようなところでございます。今後も県とも相談をいたしまして、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  156. 海部俊樹

    海部主査 塩田君、時間が経過しておりますから、これで終わりにしてください。
  157. 塩田晋

    塩田分科員 大臣に以上要請しました件につきまして、ぜひとも強力に推進、指導、御支援をいただきたいと思います。ひとつ御発言をお願いします。
  158. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいま担当局長から御答弁申し上げましたとおり、大変お気の毒な事情が間々頻発しておることは残念でございます。したがいまして、法律があるのですから、その厳正な適用をなお強力に指導するのはもとより、被害者の方方の救済措置につきましても、実効ある方法で指導してまいりたい、このように考えております。
  159. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。
  160. 海部俊樹

    海部主査 以上で塩田晋君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  161. 海部俊樹

    海部主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。水田稔君。
  162. 水田稔

    水田分科員 一つは、本四連絡橋の道路部分の問題についてお伺いをしたいと思います。  五十三年十月十一日に着工されたわけですが、その間に鉄道の問題と、そして道路部分の問題について懸案が残っておるわけであります。当時のたしか蓑輪副総裁だと思いますが、着工の前日に来られまして、倉敷市児島の稗田地区のルートの問題について、この地域は水島のすぐ東にありまして、地形的にも谷間になっている、県道は交差している、そこへ大きな道路が通るということは環境問題として、現在でも環境基準をオーバーしているのにさらに悪くなるということで副総裁に直接話をいたしました。副総裁が、このルートを決めるに当たっては地元の意見を必ず十分聞く、こういうことでそのときの話は済みました。着工したわけであります。その後約三年近く時日は経過しておるわけでありますが、その間いろいろ調査もされておると思うわけでありますが、このルート問題につきましてはどのように御検討なさっておるか、まずお伺いしたいと思うのです。
  163. 山根孟

    ○山根参考人 お答え申し上げます。  稗田地区路線につきましては、先生ただいまおっしゃいましたとおり、五十三年五月の環境影響評価書の公表以後現地での気象観測、大気質等の現況調査並びにその解析、それから路線の土木技術的な諸検討、さらに環境調査等を総合的に実施いたしてきておりまして、現在その最終の詰めの作業を行っている段階でございます。
  164. 水田稔

    水田分科員 この数年来工事は着々と進んでおるわけです。地元から見ますと、たとえば鉄道部分で言いますと、阿津地区の高架はすでに工事が始まっておる。この地域の少し北になります水島インターでは取りつけ道路の工事が始まっておる。また鷲羽山についてはトンネル案がほぼ煮詰まったという話も聞きます。下津井側の橋脚の根元になるところは埋め立てがすでに始まっておる。そういうものを目の前に見る。そうしますと、たとえば環境問題でルートを変えなければならぬかトンネルにするかということを含めて、それぞれの地点が決まってくると変更のしようがなくなってくる。そういう点で、地元住民は大体いつごろになればそういった話が公団の側からあるのかということを懸念しておるわけですから、そういう点の見通しについて再度お聞かせいただきたいと思います。
  165. 山根孟

    ○山根参考人 私どもいろいろな調整等を行いまして総合的な検討の結果をまとめた上で、この春ごろにはこの路線地元の方に御提示申し上げたい、かように考えております。
  166. 水田稔

    水田分科員 わかりました。それじゃそういうことで、お約束のようなことで、十分地元の意見を聞いていただく、そういうことをできるだけ早い時期に持っていただきたい、こういうふうに思います。  次は、岡山県の井原市の高屋地区で進められております区画整理の問題についてお伺いしたいと思うわけであります。  この区画整理は御承知のように、五十年四月に事業認可になったものでありまして、対象面積が百十七ヘクタール、対象戸数が約九百戸あるわけであります。そしてこの仮換地計画の縦覧が行われまして意見書というのが四百三十九出たわけです。その中には白紙撤回、絶対反対だというのが百八十八件も実はあったわけであります。この九百戸のうちにはここに住んでおられない方も大分あるわけでありますから、実際そこに住んでおる者から言えば過半数以上が何らかの意見を出しておるわけであります。そしてこれは年々予算がついて事業執行されるたびにトラブルが起きておるわけであります。中には、業者がブルドーザーを入れてくる、そういう中で住民との間に警察が介入しなければならぬという不幸な事件も起こってきておるわけであります。区画整理の本来の趣旨から言えば、こういうことがなくて地域の環境がよくなる、そういうことで皆さんから喜んでやってもらうということが本来の趣旨だろうと思うのですが、ここに起こっておることは余りいい姿ではないし好ましいことではない、こう私は思っておるのです。こういう事態が起こるということは一体、この計画をつくる段階あるいは進めていく段階で問題があったのではないか、あるいは法的なことより実際の進めるプロセスの中で執行する側に何か欠けていたものがあったのではないか、こういうぐあいに思うのですが、その点は建設省としてはどういうぐあいにお感じになり、またどういうぐあいにお考えになっておるか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  167. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの井原市高屋土地区画整理事業の進行状況でございますが、ただいま先生からおただしのあったとおりでございまして、都市計画道路の決定、その変更、追加、それから区画整理の施行区域の都市計画決定、それから事業計画の決定と、日を追いまして法律の規定に基づいて的確に実施をされたものというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。ただ、先生お話しのように、仮換地指定に際しての意見書が非常に多く出るというような問題も聞き及んでおりまして、必ずしも円滑に進行しているというふうには理解はいたしておりませんが、区画整理事業は御承知のように多くの権利者の権利調整にかかわる問題でございますので、多かれ少なかれいろいろな問題を抱えておるケースが多うございます。この区画整理事業に限って特別に特段の手続上の誤りがあった、あるいは無理があったというふうには私ども理解はいたしておりません。
  168. 水田稔

    水田分科員 法的なことだけではなくて、これだけのことが起こって、しかも警察が介入しなければならぬようないわゆる暴行事件等が起こってくるということは、何と言いますか住民に対する配慮とかそういうもので欠けたところはないかということを含めてお伺いしたのです。ですから、手続上で言えばきちっとできておることは私も認めておるのですが、そういうことをお感じになりませんかと、私はこう言っておるわけです。
  169. 升本達夫

    升本政府委員 いろいろ事業の進行にあわせて、御意見が多かったり、あるいはある程度の反対行動が出たりという状況も伺っておりますし、そういう意味で事業の進行の過程におきましてあるいは一部説明不足というようなことがあったのかという感じはいたしますけれども、私どもつぶさに初めからその状況について逐一伺っておるという経過ではございませんので、それぞれの結果を聞かせていただいて判断をいたしました限りにおいてはそのような感じを持っております。
  170. 水田稔

    水田分科員 住民から不満の出る幾つかの問題を申し上げますと、一つは仮換地の縦覧、そして意見書の提出というのが八十八条の二と三にあるわけですね。この間、聞いてみますと、いわゆる区画整理の事業の工事をするために必要な仮換地の縦覧については、これはしなくてもいいと言う。ですから、でき上がってしまって、その計画については縦覧さす、こういうのが法のたてまえだ、こう言われても、私は幾ら考えても納得できないわけです。と申しますのは、実際に行われたのは、仮換地の計画の縦覧があります、意見を出します、ところが、それは自分のたけしか見せてもらえぬわけですから、実際自分は公平に扱われているかどうかわからぬわけですね、計画段階で。そしてそれに基づいて意見を出し、あるいは県で副審査をやって、そういう中でおかしいところがあれば直してもらえるというなら、いわゆる地権者の権利というのはある程度保障されている、こういうぐあいに考えられるわけですが、その点は、たとえば市の審議会の中で、市の方からは仮換地案の縦覧というのは法的にはないのだ、見せなくてもいいのだ、こういうことを言っておるわけです。そのことから、実際の換地処分についての不満、市民の地権者の公平に扱われていないという心理的なものが一つの大きな問題になっているわけです。そういうことを感ずるわけです。法的な見解についてお聞かせいただきたいと思います。
  171. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの仮換地計画案というのは、法律上の手続と申しますよりもむしろ事業進行上の便宜でそのような名前をつけて呼んでいるのかと思うのでございますが、仮換地の計画案なるものにつきましては、本件事業につきましては昭和五十一年の七月十二日から七月二十五日までの間、地区全体についての仮換地計画案の縦覧を行いまして、意見書の提出の機会を与えたというふうに私ども伺っておりますので、ただいま先生のおただしの、自分のところだけしかわからないではないかということは、必ずしもそういう経過ではなかったのではないかと私ども理解をいたしております。  それから、先生のおただしの法律制度上どうなのかという点でございますが、これは区画整理法上、換地計画を定めて事業を執行するというのがたてまえになっておりますけれども、仮換地の指定は必ずしも換地計画を前提とはしない。換地計画に基づいて仮換地指定をする場合ももちろんございますけれども、法律上の要件といたしましてそれに限定はされない、換地計画が定まっていない段階でも仮換地の指定はできる。ただその場合に法文の条項によりますと、その場合でも換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においてできるというふうに言っておりまして、その条項の二項を受けまして施行者がそういう場合に仮換地を指定いたします場合には「換地計画において定められた事項」、これは換地計画が定まっている場合でございますが、「又はこの法律に定める換地計画の決定の基準を考慮してしなければならない。」こういうふうに書いておりまして、換地計画が定まったときはそれによる、定まっていないときは換地計画を定める場合の基準を十分踏まえて仮換地の指定をやれ、こういうふうに書いておりますので、法律の趣旨からいたしましても必ずしも先行的に換地計画が定められていることを要するということではないというふうに私どもは考えております。
  172. 水田稔

    水田分科員 これは土地の所有権という重大な私権にかかわる問題ですから、それで十分私は個人の権利が保障されるとは思えないわけです。これは建設省も御存じだと思うのですが、昭和五十四年の二月の二十一日に大阪の地裁の判決で、これとは全く同じではございませんが、いわゆる仮換地計画に基づかないものであるということで、これは無効だ、こういう判決が出ております。ですから、仮換地計画に基づいて換地処分がされる、そしてそれがやられる場合にこれは八十八条の二、三、四、五項という手続をしなければならぬということで、この問題は仮換地計画に基づかない仮換地処分は無効であるという判決、簡単に言えばそういうことなんです。これは別な判決もあるということですが、少なくとも裁判所がそういう判断を下しておるということが現実にあることは事実なんですから、そういう点から言っていまの御答弁はいかがなものか、こういうように思うわけです。
  173. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘の判決は大阪地裁の五十四年二月二十一日の判決というふうに承っております。この地裁の判決では御指摘のような判例判示になっておりますが、この以外にも区画整理の仮換地に関する判例は幾多ございまして、東京地裁、大津地裁、大分地裁等年を追って判示がなされておりますけれども、私ども承知いたしております限りにおいては、この仮換地指定が換地計画に基づかないのは違法だ、無効だという判示をいただいたのは今回が初めてではないかというふうに考えております。しかもこれは現在控訴中でございまして、確定判決になっておりませんし、私どもといたしましては、法律の解釈といたしましては、先ほど申し上げたような趣旨に従いまして仮換地の指定は必ずしも換地計画を先行的に要しないものだというふうに理解をさせていただき、これに基づいて区画整理事業の遂行を図っておるところでございますし、現時点におきましてもこれを変更するという必要性は感じておらないところでございます。
  174. 水田稔

    水田分科員 最高裁の判決じゃないですからね。そういう見解もあるかもしれませんが、現実にこの法律を読めばこういう判断ができるという判例もあることは厳然たる事実ですからね。井原で起こっておる問題というのは、私はこの事情については担当の課長のところへ二回訪ねてまいりまして、不公平さというのがある程度判断できる大変な資料をお渡ししてまいりました。あと一遍は電話ですが、そういう点についてのトラブルを避けるようにと、こういうぐあいに言ってきたわけです。そういう中で、私、もちろん違った判決もあることは承知しておりますけれども、五十四年ですからつい最近の判決ですね、これからどう変わっていくか、判例がずっと積み重なっていくわけですから、そういう中ではこの考え方も無視するわけにはいかぬだろう、こういうぐあいに思うわけです。そして、この中でいま工事を進めながら六件の変更をやっておるわけです。これは県の指導で変更したもの、あるいはそこはどうしても工事を進めたいということで市が自発的に直接地権者とやって変更したもの等、六件あるわけです。まだまだ工事は大分かかるわけですから、これだけ出てくるということは、いままでに工事をやった率から言えばわりに高いと思うのです。ということは、もともとの計画について問題があったのではないかということは考えられないか。そしてこれだけいらっていけば全体計画というのは狂ってくると思うのですね。そういう問題が一つ。  もう一つは、この計画の実務を担当した黒田という市の課長補佐がこの事業の設計を委託した業者から台湾旅行、韓国旅行の接待を受けて警察に逮捕されて、これは裁判にかかったわけです。そういうことがその地域住民にとって、これはおかしいのではないか、しかも不公平にやられておるのではないかという疑念をますます大きくしておることは間違いないのですね。そういう点についても私は何回か建設省の方へお話ししてきた。一つは、そのことについてどういうぐあいにお考えになるか。もう一つは、私が要望してまいりましたことについてどのような指導が今日までされてきたのか、その点を伺いたいと思うのです。
  175. 升本達夫

    升本政府委員 私どもの方で事情を聴取したところでは、ただいま六件とおっしゃいましたけれども、仮換地指定の変更をしたものが四件、それから変更を現在協議中のものが二件と伺っております。あるいはこれがさらに進行をいたしておるのかどうか、私もつまびらかにいたしておりませんが、大体おただしのような状況でございます。  そこで、いまこのような変更を重ねていくと全体に影響を及ぼすのではないかという御指摘でございまして、私どもが事情を聞き、認識をいたしております限りにおいては、この仮換地指定の変更は、本人の申し出、希望に基づいて十分直接に利害関係のある権利者と協議した上、協議成立したものを仮換地指定の変更の条件というふうにいたして運用をいたしておるようでございまして、したがいまして、個々の仮換地指定の対象となった地域に限定的に修正がなされたものというふうに理解をいたしております。全体の換地の区画数は相当膨大な数に上るものでございますので、このような部分変更をもって直ちに仮換地計画全体に影響を与えるような修正がなされたものというふうには理解をいたしておらないわけでございます。ただ、私どもは基本的に仮換地の指定変更は、やはりそれなりの合理性があり、しかも土地区画整理法に申しますいわゆる換地の従前地との照応の原則という大原則の範囲内で行われるべきものでございますので、この仮換地指定の変更は、一般論といたしましても限定的に考えていくべきものではないかというふうに考えておる次第でございまして、その線に従って今後指導をいたしてまいりたいと思っております。  それから第二点の収賄に関する不祥事件のおただしでございました。この件につきましては、全く事業施行者の対応姿勢といたしまして問題があることと私ども理解をいたしております。事象が贈収賄ということでございますので、個人にかかわる問題ではございますけれども、しかし区画整理事業の責任者におきましてこのような事情が生じたことを全く残念に思っている次第でございます。市といたしましては、直ちに本人を懲戒処分にいたしましたことはもとより、業者に対しましても指名停止処分、それから県におきましても同様の処分をもって、姿勢を正すべく努力をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、今後さらにこのようなことがないように十分県、市に留意を促してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  176. 水田稔

    水田分科員 建設省が調べられたのは、全都市の方からの一方的な話だけを聞いておるわけですね。ですからこういう問題がこれだけ起こってくる。それはずばり言えば、一つは、なぜ国道三百十三を区画整理で用地を生み出すのだろうか。もちろん金が来ることは実務上わかっていますけれども住民の感情としては、国道というのは、その地域住民の環境をよくするということとは関係がない、国の仕事なんですからね。そしていつ通るかわからぬ鉄道の線路の敷地を区画整理で生み出していく、そういうことに対する不満、そこへもってきて、当事者でしかも一方で反対しておる連中は、げんこつでとった連中ですよ。それがそういう業者から金をもらっておって、そういうけしからぬことをしておる。そしてしかも、公平であるか不公平であるかということについて親切な話はないわけですよ。具体的なものを見せて説明はなかなかされないわけです。そして県へ不服審査で上げていく。余りにも滅歩率が違うじゃないかということで、県が市と話をして聞いてみて、そういう中でこれはこうしたらどうかというような話のものが順次出てくる。ますます不信感はつのってくるわけです。だから、そういう点を解きほぐしていくための、この事業を進めるためのやはり話し合いというものを十分したらどうか、こういうことを何回も言ってきたし、建設省にも私は要望してきたわけですが、市長が腹を割った話には出てこないわけです。そして建設省は市の話ばかり聞いて、それでこれは問題がない、これでこのまま続けていけば、さらに警察が介入しなければならぬという事件が起こる心配があるから、私はもう少しきちっとした指導をすべきじゃないか。もっと極端な言い方を言ったら、いま金がないと困っておるなら、そんな住民が喜ばぬ仕事に金を流すのは当分やめたらどうですか、そう言いたいのですよ。そういう指導をきちっとされるかどうかということをお伺いしておるわけです。
  177. 升本達夫

    升本政府委員 区画整理の事業施行者は御承知のとおり市当局でございますし、またその事業の監督の立場にございますのは都道府県知事ということでございまして、このような法律制度にのっとったそれぞれの責任を十分に施行者あるいは監督者が果たしていただけるものという期待のもとにわれわれはいろいろの事業の進行を図る努力をいたしておるわけでございまして、本件につきましても、市当局努力それから県の監督の努力をさらに期待をし、また十分に指導いたしてまいらなければならないというふうに考える次第でございますが、後半でおただしのように、この事業が権利者の期待しないものであるかどうか、その辺につきましては、私ども現地の状況を各権利者のつぶさな、総合的な意見について集約したものについて伺っておりませんので、にわかにここで即断をいたしかねる状況がございますけれども、少なくとも私どもが申せますことは、権利者が多く問題にいたしておりますと聞き及んでおります都市計画道路、これが国道三百十三号のバイパス、さらにはそれにつながるいわゆる肋骨道路、こういった道路はその都市の全体の構成、さらにこの道路、国道三百十三号の持つ機能と申しますか、という点から考えてやはりこれは実現を図らなければならないものであり、その実現を図るに当たっては区画整理方式による権利調整をするのがベターであるというのが私どもの判断でございまして、その事業の目的、効果については疑いを入れていないというのが率直な御答弁になろうかと思います。  ただ、これを実現するやり方といたしまして御指摘のような問題があるとすれば、その点について十分われわれとしても今後留意しながら指導をいたしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  178. 水田稔

    水田分科員 私も、九百の中で五人か十人が、おれは損だというので言っておるなら、こんなことをここまで来て申し上げることはないのです。少なくとも相当数の住民が不信を抱いている。さっきから言うような理由で不信を抱いておる。そして、その中でこのまま続けば、いままで起こった以上の混乱が起こる危険性がある。住民が警察につかまって、刑務所に入らなければいかぬようなことまでして進めなければならぬかどうかという問題だ。だから、きちっとした指導をしてもらいたい。一方的な市の言い分だけ聞くのじゃなくて、三者的な意見なら、県の意見も少し聞いたらどうですか。少なくとも県はもう少し三者としての見方をしてもらっているだろう。私も県とも話をしてきました。県が中を見て、これは少しというのが幾つか出てきていますね。いま建設省答弁は一方的に全くそういう点は瑕疵はない、そういうような御判断になっておるところが私は問題だと思うのです。  ですから最後に、もう時間がありませんから、そういう点では、私の申し上げたことも十分ひとつお考え願いまして、きちっと県なり市を指導して、問題がこれ以上大きくなるのではなくて、みんなも喜んでもらえるという方向での収拾ができる努力建設省としてもぜひしてもらいたい、そのことをお願い申し上げまして、答弁結構です。  終わります。
  179. 海部俊樹

    海部主査 以上で水田稔君の質疑は終了いたしました。  藤田スミ君。
  180. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は都市計画の視点から、大型小売店舗の無暴な進出問題についてお尋ねをさせていただきます。  御承知のように大型小売店舗の進出というのは、地元小売商店の経営やあるいは生活に大きな影響を及ぼすだけではなく、道路交通あるいは生活環境問題あるいは子供たちの非行問題など地域にさまざまな影響を及ぼしております。こうした問題につきまして昨年九十一国会の予算委員会分科会でわが党の岩佐議員の質問に当時の佐々木通産大臣は「交通問題とか都市計画の問題は、本来は別の法体系に属して解決すべき問題でございます」と答弁されておられますし、さらに神谷審議官は、地元小売業者との調整以外の諸問題については「都市計画法あるいは関係市町村の条例その他によって、総合的にそれらの施設が調和して地元に迎えられるような形の努力がなされておるものと了解をいたしております。」と答弁されております。  そこで、きょうは通産省の方からおいでを願っておりますけれども、改めて通産省にお伺いいたしますが、こうした考え方はいまも変わりはありませんか。
  181. 佐伯嘉彦

    ○佐伯説明員 お答えいたします。  先生御存じのように、大店法は大型店と周辺の中小小売業者との調整を図る法律でございまして、かかる観点から大店法は運用いたしておるところでございます。むろん大型店の進出に伴いまして地域に小売商業との関係以外の諸問題も生ずることは存じておりますが、これらの諸問題につきましては、それぞれ関係の行政機関において必要な措置なり指導がなされているものと考えております。大店法の運用上は、こういった諸機関と連携をとりながら運用するということでやらせていただいております。
  182. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 実際には、都市計画法や条例で調和して地域に迎えられているのだと簡単に言われては困るわけです。現実は、自治体は都市計画法などでは何の権限も持っていないために、東京都の幾つかの自治体でも凍結宣言を決議しているところもありますし、また大阪では商業調整以外の問題、いわゆる消費生活の向上だとか健全良好な住環境整備と結びついた小売商業施設の配置のために、小売商業の適正配置等に関する条例を制定しようというような動きも起こってきております。  そこで、私は特に交通渋滞の問題で運輸省にもお願いしておりますのでお尋ねをしたいのですが、一般に大型スーパーの進出というのは多大な交通量発生させて地域住民の足となるバス路線などに大きな支障を来しているというふうに考えられますが、いかがでしょうか。
  183. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  一般論といたしまして、スーパー等の大型店舗が進出いたしますと自家用車で来られるお客さんが相当増加するということはございます。これによりまして交通渋滞等が発生し、そのためにバスの運行に支障が生ずるということになりますれば問題が大きいと存じております。したがいまして、このような大規模店舗の立地に際しましては、周辺の道路状況とか予想される交通量等を十分勘案した上で、バスの運行に支障がないように店舗とか駐車場の位置等を決めていただくことが望ましいと考えております。
  184. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 実際にどういう状況が起こっているかということを少し申し上げたいと思うのです。  私の地元は堺市鳳町というところですが、そこに昨年十月、府道十三号線に面して駐車場千台つきの売り場面積一万平方メートルの大型小売店舗が進出してきました。おおとりウイングスですが、そのために府道十三号線の渋滞に大変大きな影響が出てまいりました。この府道は、スーパーが進出する以前でも、五十四年度で見てみますと五百メートルの渋滞が三十分以上続くことが二千六百六十二回、合計三千五百十五時間の渋滞が起こっております。まさに府下ワーストテンに入る、大阪南部でも一番ひどい渋滞を起こす府道十三号線です。ところがここに開店をいたしましたものですから、一層その渋滞がひどくなりまして、ここを通る百十五分の運行予定のバスが二百四十三分もかかりまして、二時間以上遅延するというようなケースも出てまいりました。その後若干状況は落ちつきましたけれども、南海電鉄のバス自動車部の調べました、この路線のおくれを残業時間でとってみましたら、ことしの一月で大体八十八時間一カ月残業時間をつくり出しています。ちなみに去年は四十九時間です。一月というのは余り交通量のない時期ですけれども、このためにこの路線だけで三十九時間おくれを出し、バス会社は残業料など負担が重くなったということで悲鳴を上げているわけです。また、この筋向かいには消防署だとか警察署なんかもありまして、いざというときには一体どうなるのだろうかと地域住民も心配をしているわけです。  こうした問題というのは、明らかに都市機能が破壊されていると言えるのじゃないかと思うのです。都市計画法を見ますと、「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念」としているというふうにあるわけですが、こういう点から見まして、これは明らかに都市計画上の問題があると思うのですけれども、どうでしょうか。
  185. 升本達夫

    升本政府委員 先生おただしの具体の場所についての状況をつぶさには知悉はいたしておりませんけれども先生のおただしのような状況が長期にわたって継続的であるとすれば、おただしのように都市計画法に規定がございます都市計画の基本理念を達成していない状況にあるということになろうかと存じます。
  186. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 もう一つ、大変困っておりますので例を重ねていきたいと思うのです。  さらに例を重ねていきますと、和泉市というところがあります。和泉市の国鉄阪和線の和泉府中駅、先ほど申しました、おおとりウイングスというのは国鉄阪和線の急行がとまります鳳という駅ですが、急行のとまるそれのもう一つ先の駅が和泉府中なんです。この和泉府中の駅周辺の準工業地域にダイエー和泉府中ショッピングセンターというところが第一期と第二期の工事を合わせて売り場面積が五万三千五百平方メートル、ニチイ和泉府中ショッピングタウンというところが二万七千三百四平方メートル、いづみやが既存の店舗に約一万平方メートル増床して二万五百九十四平方メートルと三大大型小売店舗がそれぞれ大店法に基づく三条申請を出そうとしているわけです。これは半径六百メートル以内の中に駐車場二千九百台を備えた、売り場面積で言いますと十万一千三百九十八平方メートルの店舗ができることになるわけです。  この地域は国鉄阪和線をはさみまして、先ほど申しました府道十三号線と第二阪和国道が幹線道路として利用されているのですが、この周辺の府道十三号線というのは、先ほど渋滞時間を申し上げましたが、加えてひどいところなんです。だから、一番近い井ノ口の交差点は現在でも一日一万五千台の車が集中し、四六時中渋滞をしているわけです。その上、このあたりの十三号線というのは南海バスが最も集中しているところでして、一日に平日でも百五十九台、それを利用する人七千人の貴重な足になっております。ここに、この十三号線沿いに三つが集中し、かつ、その一つダイエーは十三号線にまさに面して、一千台つきの駐車場で売り場面積は五万三千平方メートルという大きなものを持ってこようというわけですから、一体どういうことになっていくでしょうか。だから南海電鉄の自動車部は和泉市に対しまして、スーパー進出に伴う多大な交通量発生は何とか考えてくれないと、もうバスが走れなくなるということを申し入れをしております。これは正直言って、深刻だと思うのです。私も自動車部の方とお会いしましたけれども、十三号線はいまでも最も頭の痛い路線なんだが、これ以上渋滞するともう営業にも差し支えてしまうのだということを言っているわけです。こういう状態で三条申請が出されて、そうして先ほど申し上げたような状態が出てくるということになりますと、果たして機能的な都市活動の確保ができていくのだろうか。これは、先ほどもお認めになりましたけれども、私はやはり重大な都市計画上の問題だというふうに考えざるを得ないわけですが、どうでしょうか。
  187. 升本達夫

    升本政府委員 先生承知のとおり、現在の都市、特に大都市近郊、御指摘のような都市におきましては市街地の発展状況がきわめて顕著でございまして、発展の動向に沿って必要な交通施設でございますところの街路、道路の整備がおくれぎみであるということは一般的に申せる状況かと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、都市計画法の、先ほど御指摘の基本理念にのっとりまして、できるだけ早い時期にそのような状況が解消されるような方向で努力を重ねてまいりたい所存でございます。  私どもの対応は、都市計画上、その町の現状と将来の発展動向を勘案いたしまして、いかにすれば適切な交通施設が確保されるだろうかという観点から施設の配置計画を定め、その実現を図っていくという方向での対処でございまして、具体的に特定の店舗がどこに立地すべきかということにつきましては、都市計画法上は用途地域規制をもって規制をいたしておりまして、その規制の範囲内で許された範囲内であれば、特に特定の施設、特定の店舗についてその立地を云々するということは考えがたいことというふうに理解をいたしているところでございます。
  188. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 できるだけ早い時期に道路を設置して解消を図っていきたいなどと言われても、実際にはその道路計画というのはないのです。第二阪和国道なんてこの間できたところですから、もう一本つくるなどと言ったって間に合わないわけです。  それから、一定の規制の範囲内であれば立地を認めざるを得ない、こういうことですね。しかし、そういうことになっているから、いまこの都市計画上の問題が起こってきているわけなんです。道路問題だけじゃないと私は思うのです。この三大スーパーは既存の和泉府中駅前商店街というところを取り囲むように建設されることになっているのです。この商店街というのは、十五年前に防災街区造成事業という資金を国からいただきまして十六億円かけてつくったのです。ここは唯一の商業地域ですね。さらに最近は、この商店街は五億五千万円の高度化事業、これも国から受けまして、アーケードをつくったり駐車場をつくったりして整備を進めているのです。ところが、この三大スーパーの進出は、もちろんこういった商店街の努力そのものも踏みにじってしまいますが、何といっても、商業地域としてここを発展させようと努力してきた、赤く塗ってここは商業地域だよということで決めて市が努力してきたところがつぶれていく、そうして準工業地帯の工場跡地に今度は思いがけないものが出ていって、そうして道路もふさいでしまう、こういうふうなことで、都市計画そのものもひっくり返すような状態が出てきているのです。  三大スーパーの中の一つにニチイというところがありますが、その隣接地には、いま国の方からやっと予算をいただきまして、建設省が都市公園というのをつくってくださっているのです。これは地域の者は大変喜んでおりますが、せっかく都市公園ができましても、その隣にニチイがばっとできて、駐車場がその裏を取り囲み、正面玄関が公園を抱きかかえるような形になるものですから、結局車の排気ガスと買い物客とで埋まって、公園としての潤いなどというようなものは初めから吹っ飛んでしまうことになるのですよ。  こういうふうなことは私は大変問題だと思うのです。道路事情といい町づくりといい、もう出店されたら大変なことになるということがわかっていても、いまは地方自治体に都市計画法上のことについて何の権限もないのですね。だからこうした問題は、都市計画法などでどうしても解決の糸口を見つけてもらわないと本当に困ったことになるというふうに私は考えるわけですが、どうでしょうか。  運輸省の方と通産省の方はもう結構でございますので……。ありがとうございました。
  189. 海部俊樹

    海部主査 運輸省、御苦労さまでした。
  190. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画について市、地元に何の権限もないというおただしでございましたけれども、これは都市計画法上、都市計画に必要な街路等の施設、公園の決定、それから市街地開発に関する事業等につきまして一定の範囲で市が決定権を持っておりまして、また市の決定権の及ばない施設につきましては都道府県知事に決定をお願いをいたしておるということでございます。したがいまして、都道府県知事がお決めになる場合も、当然関係の地元市町村とお話し合いをした上で決定をしていただくといったてまえになっておりますので、都市計画法の運用を的確に行っていただきますと、当然地元、市当局の御意見が十分反映されるような形で運営されるはずというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。ただ、都市計画の決定と、それから計画どおりに施設ができ上がり町ができ上がっていくかということについては若干距離のある話でございまして、この状況下、事業にも大変費用のかかることもございますし、その実現に若干の時間を要することはやむを得ないところかと思いますけれども、都市計画としてどのようにあるべきかということについては、市当局がかなり責任を持ってお進めいただけるものというふうに考えておるわけでございます。  そこで、ただいまおただしのような商業地域について、既設の商業地域以外に商業的な施設が出ていくということ自体が問題ではないかという御趣旨のように承ったわけでございますけれども、都市計画の用途地域は商業地域に限りません。やはり現状と一定の将来方向を見定めて定めるものでございますけれども、もちろんそれがその都市について絶対的にいいかどうかは時の進行とともに批判、判断さるべきものであろうかと思います。一定の時の進行に従いまして、市街地の発展状況に変化があればそれに従って当然用途地域規制の修正というような手だてで対応していくべきものというふうに考えております。都市計画は一たん決めたらやはりそのとおりであるのが望ましいかもしれませんけれども、やはり機能的に対応していけるものであるし、またそのような運用が望ましいのじゃないかというふうに私ども考えておるところでございまして、先ほど申し上げましたように、市当局地元の意向がなるべく速やかに都市計画という形で反映していただけるように、われわれとしてはそのように努力をお願いし指導もいたしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  191. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 いま御説明のあったことは結局は後追いだと思うのですね。いまもう目の前に結果が出てくるとこれは本当にだれでもわかる話なんですね。もちろん地域のことですからこちらで私が説明しただけでは十分わかりにくいかもしれませんが、しかし、大阪南部では一番ひどい渋滞だというところに、さらに、さきに言った堺のおおとりウイングスでも一時大変な状態が出てきたのに、それの十倍もの大きいのがどかどかと進出してきたらどうなるかということはだれでもわかる話ですね、道路の渋滞が起こるということは。それから商業地域だといって苦労してきたのに、それに周りの方でやっていったら、市が努力をしてきた都市計画がつぶれてしまうなんということもわかることなんですよ。ところが、もうここ一両年中にその三大スーパーがやってくる、こういうことになるわけです。それにはいまおっしゃったような御説明では間に合わないのです。だからいまあっちこっちでこの都市計画の問題が言われ出してきているわけです。この基本理念とあわせまして、都市計画法の第三十三条の開発許可の基準一項九号を見ますと、「開発区域及びその周辺の地域における環境を保全するため、」こういうふうにありますね。騒音、振動など環境悪化の防止策を義務づけています。それから同項十一号は、「当該開発行為が道路、鉄道等による輸送の優等からみて支障がないと認められること。」こういうふうにしています。これらは工場や大きな宅地開発などを念頭に置いたものだと思いますけれども、大型店舗の進出についても現実にこれに類する問題が起こってきているわけです。だから、こういう考え方からすれば、私は、都市機能を麻痺させ都市計画を破壊するという問題を起こしているこういう大型小売店舗についても当然都市計画法などで一定の歯どめをかけるべきじゃないか、都市計画の観点から地元自治体や住民が物を言える場所をつくっていくべきじゃないかというふうに考えるわけです。さっきの御説明では満足できませんので。
  192. 升本達夫

    升本政府委員 都市の中の市街地の中で具体の施設が立地します場合に、それが適当であるかどうであるかという判断は大変むずかしい判断になるのではないかと私ども考えておるわけでございまして、単に一つの施設ができたことによって交通の混雑がふえるとかいう、それは一つの問題点ではございましょうけれども、そのことのゆえに直ちにその区域にその施設が立地することが都市計画あるいは市街地全体を見て適当かどうかというのは、なかなか直につながりにくい問題ではないかというふうに考えるわけでございまして、その点包括的に都市計画制度としては、まずただいま問題になっております点に関連して申し上げますと、市街地全体を通じて円滑な交通を確保するための交通施設の配置計画、それからあとは各土地の権利者がその土地をどういうふうな目的でお使いになるかということについては、先生指摘の点から見ると少し網の目が粗いという御批判があるかもしれませんけれども、一応網の目をかけまして、商業地域、住居地域あるいは準工業、工業地域という色塗りをするという形で整理をいたしておるのが都市計画の現状でございます。したがいまして、その色塗りに合わせた各用途地域の中でどのように権利者が自己の土地をお使いになるか、これは、その用途地域の色塗りをした趣旨にぎりぎりどれ以上のことをしていただかないと合わないことになるかということを建築基準法で細かく規定をいたしておりまして、その規定の範囲内でそれぞれ権利を行使していただく、こういったてまえになっておるわけでございます。したがいまして、そのような都市計画の制度と現状が現実の要請に合わないのではないかという御指摘でございますとすれば、さらに一段この都市計西制度というものの網の目を細かくしていく必要があるのではないかと私どもは受け取らせていただくわけでございますけれども、そのような御要請に対応いたしますためには、さらに都市計画を比較的小さな区域に限ってもう少し建築計画を細かに規制していくような手だてをそろそろもう講じてもいい、あるいは講じなければならない段階に来たのではないかというふうに理解をいたしまして、前国会で都市計画法の改正をいたしまして地区計画制度というものの導入を図っていただいたわけでございます。これの運用をわれわれとしては期待をいたしておるわけでございまして、これは市が中心になってそのようないわば細部の計画を決めていただけることにいたしておりますので、そのような都市計画の運用を図っていただくことによって先生のおっしゃっておられるような御要請にこたえることがかなり広範囲にわたって可能ではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  193. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 地区計画制度を運用していけばこうした問題は解決できるというふうに理解していいのですか。
  194. 升本達夫

    升本政府委員 適切に地区計画制度が適用されるならば、お困りのようなことがもし地元の意向、総意としてあるならば、当然その計画制限に反映さるべきものだというふうに考えております。
  195. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 大臣、私はいまこの堺市と和泉市という非常に限られた地域で具体的に申し上げなければいけませんので申し上げましたけれども、こうした問題というのはいま全国各地で出てきているのです。特にいまのような不況の時期になりますと、工場跡地が大型店舗に変わっていくというようなことが非常に多くなっているのですね。そういう状況の中で、私は、地元の自治体からもお手上げですと言われ、そして通産大臣の方からは、これは都市計画法などで対処してもらわなければならぬと、こう言われましたので、ここでこうお尋ねをしているわけなんです。ところが、いまの御説明を聞いたら、それは地区計画制度を運用すればある程度解決するのだ、こういうことでございます。私はそうじゃないというふうに思うから言っているのですが、そういうことなら一度市にも会っていただきたい。実際典型でありますから、いまのうちにもう一度、この地域のこの問題はいまのこの地区計画制度を運用してうまくいくのかどうかということを検討するために、実際に会ってほしいと思うのです。一つ地域に十万平米も固まって来るような、またあんなにひどい渋滞を起こしているようなところも余りないと思いますから、一度ごらんをいただいて調査をいただきたいわけですが、そういうことがあるから都市計画法などの充実で早急に検討していただきたいということをお願いをしているわけなんです。国づくり町づくりの最高責任者として道路、公園などを進めるためにいろいろ御苦労をしておられる建設大臣としてこうした問題を今後解決するための決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
  196. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生お話を聞いておりまして、たまたま私、一昨日ある地域の方から具体的に、スーパーができて出入り口を利用して車が出入りして地域の方々の住宅にまで損傷を与えてしりの持っていきどころがないのだ、しかも道路は渋滞する、何とかしてほしい、市に言っても県に言っても取り合わないのだからひとつ大臣何とかしてくださいと言ってこられました。都市計画地域住民の方々のための計画であって、そのことによって影響を受けるということについてわれわれは考えが及ばなかったわけでありますが、いまお話しのように、大型店舗が来ることによって道路を占有する、しかしそれはお客様であって市民である、スーパーの周辺の方々も市民である、その因果関係をどのように解決するかという問題と、先ほどお話しのように、駅周辺の商業地区の方々が、せっかく自分たちの振興のために国から援助をいただいて、なお前向きで近代化を図っているそのやさきに、近くに大型スーパーが来て圧迫をする、いろいろな絡み合いがあるわけでありますが、いま局長からも言いましたように、そうしたことをあわせてもう一度——都市計画法の地区計画制度というものの改正をお願いしたわけでありますが、一にかかってやはり都市計画というものは地域住民のためのものであって、一部の者のためでないということに、まず原点に立ち返るということ。そして地域の特色は地域の特色で、皆さんでコンセンサスを得ながら、せっかく計画というものは市の方から上がってくるものでございますので、市を中心にして話し合っていく。あるいは県に及ぶという問題もありましょう。この問題につきましては、なお多くの御指摘を待つまでもなく問題点がございますので、通産関係に及ぶ関係もありましょう、環境庁に及ぶ関係もございましょう、大店法あるいは分野法の関係もございましょうから、いろいろと総合的に判断して、先生指摘のような面で、とにもかくにも、せっかく便利になるような店舗が、逆に地域住民の交通の足を奪う、渋滞を来す、あるいは事故を起こすということのないように、総合的な判断のもとに取り組んでまいりたい、このように考えるものでございます。
  197. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 ありがとうございました。
  198. 海部俊樹

    海部主査 以上で藤田スミ君の質疑は終了いたしました。野坂浩賢君。
  199. 野坂浩賢

    野坂分科員 今度、五十六年から五カ年計画で第四期の住宅建設計画というのができましたね。これについては七百七十万戸ということになっておりますが、これはどういうふうにして算定をされたのでしょうか。     〔主査退席、関谷主査代理着席〕
  200. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  第四期住宅建設五カ年計画につきましては、現在住宅宅地審議会に、おきまして御審議をいただき、御意見をちょうだいした上で政府としての計画を策定するという段取りで検討をお願いしておりますが、その御検討いただいております私どもの原案といたしましては、五カ年計画における期間中の建設総戸数を七百七十万戸と見込んでおりまして、そのうち公的資金によりますところの建設住宅戸数を三百五十万戸と計画をいたしております。この七百七十万戸の総戸数につきましては、計画期間中におきますところの普通世帯の増加あるいは空き家等の増加あるいはまた滅失等の住宅の補充、こういったようなものを過去の趨勢あるいは今後の見通し等から計算をいたしまして、このような数字となったものでございます。
  201. 野坂浩賢

    野坂分科員 建設省予算の概算を要求されるときには三百六十五万戸要求されたですね。これが三百五十万戸になって十五万戸没になった。当初民間住宅を考えておった四百五万戸を四百二十万戸にして十五万戸のつじつまを合わせた、そういうふうに、積算ではなしに、最後の段階はあっちやこっちに行って割り振って七百七十万戸にけつを合わせたというふうに認識できるんじゃないかと思うのですけれども、そういう点では非常に弱いなと、こういうふうに見ておるのですけれども、その辺はどうですか。七百七十万戸、民間が四百二十万戸、五カ年計画で必ず建つと確信がありますか。
  202. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御指摘の公的資金の住宅建設戸数は、昨年八月の概算要求の段階におきまして私ども建設省の構想として提案いたしましたのは三百六十五万戸でございまして、最終的に政府の案といたしまして決まりましたものが三百五十万戸でありますが、私ども計画期間中におきますところの今後の住宅建設を、特に居住水準の改善のおくれております大都市地域に重点を置きまして、公共の賃貸の住宅を主としてこの地域に重点を置きたいということと、また、計画期間中に予想されますいわゆる戦後のベビーブーム世代を中心といたします世帯の方々に対します持ち家需要にこたえまして、良質な持ち家取得の促進を図るというようなことからいろいろと計算をしたわけでございますが、現在相当の住宅の戸数がストックとして存在しております。これらのストックをさらによく活用をし、その流動化を進めることによって、計画期間中におきますところの、私たちが目標としております居住水準の改善が達成できるものと考えましてこのような戸数にしたものでございます。  それにいたしましても、七百七十万戸の総戸数のうち三百五十万戸の公的資金の住宅というのは、その比率といたしますれば、第三期の住宅建設五カ年計画に比べましてかなり比重は高まっておるという点も御理解いただければと思います。
  203. 野坂浩賢

    野坂分科員 この民間の住宅は、空き家も含めて四百二十万戸ということのようですが、空き家は何月ありますか。
  204. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 五十三年度住宅統計調査によりますと、空き家が二百六十七万戸ばかり存在するというふうになっております。  もちろんこの空き家の中には老朽化が著しいものもございますから、これらがすべて良好なストックというわけにはまいりませんが、中には相当の良質のストックもございます。今後もある程度の空き家の増加傾向というものは続くだろうと思いまして、私ども、五十三年から六十年までの七カ年間におきましてなお六十五万戸程度の空き家が増加するであろうというふうに見込んで、先ほど申しましたような総建設戸数を算定したものでございます。
  205. 野坂浩賢

    野坂分科員 新しい家は何戸建てるのですか。たとえば、四百二十万戸のうち二百六十七万戸あったら、百五十三万しか建たないということですか。
  206. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 失礼いたしました。全体で住宅の総戸数のストックが、五十三年の住宅統計調査では約三千五百万戸を超える量になっております。その三千五百万戸全体に対しましてあの調査時点におきます空き家が二百六十七万戸ということであったわけでございまして、私どもが今後建設を進めていくと見込んでおります全体の七百七十万戸につきましては、そのうち六十五万戸程度が空き家の増加となって出てくるものがあるだろうというふうに考えたわけでございます。しかしながら、新しく建設されるものが即空き家になるということではなくて、古いストックのものが空き家になり、またそれを補充する新しいストックとしていま申しました七百七十万戸の計算をしたのでございまして、具体的には相当古いストックの方で空き家が出るというふうに御理解いただければ幸いだと思います。
  207. 野坂浩賢

    野坂分科員 七百七十万戸は建てるわけですね。わかりました。頭を縦に振っておられますが、議事録に載らぬので、七百七十万戸は建てるのだというふうに認識すればいいですね。わかりました。  そこで、経済企画庁おいでですね、あなた方から出されております五十六年度の経済見通しの中で、民間住宅は五十五年度はマイナスの九・七%で、五十六年度は四・三%の増加になっておりますね。これは、いまの状況から判断して、間違いなくことしの五十五年度に比して四・三%ふえると、こういうことになるわけですか。そういう根拠を教えてください。
  208. 岩崎文哉

    ○岩崎説明員 御質問の五十五年度、五十六年度の個人住宅投資、政府経済見通しをどのように見積もったかということでございますが、私ども経済見通しをつくります場合に、いろいろな経済情勢あるいは政策手段というものを取り入れて、いわゆる段階的接近法という方式を用いてやってございます。その中で住宅投資につきましては、実は五つの変数を用いて一つの関数式を立てております。それを現実の着工戸数その他で検証するという作業を行っております。  いまの五十五年度マイナス九・七、五十六年度プラス四・三、かなり改善する姿になっておりますが、これは五つの変数と申しますのが、一つは世帯数の伸びでございます。もう一つは金利水準でございまして、これは全国銀行の約定金利を使っております。それから実質所得、これが三番目でございます。これは実質の雇用者所得を使っております。それから最後に、価格の面では建設材の卸売物価、それから建設業の定期給与、これは大工さんの賃金のようなものを入れてございます。この五つの変数を使いまして推計式を立ててやってみますと、先ほど申しましたように、五十五年度マイナス九・七と落ち込みました。  これの原因を探ってみますと、先生承知のように実質所得はことしはかなり物価の高騰によって落ち込んでございます。また、賃金の上昇も石油ショックということで低くなってございますので、これが響いておる、また金利水準、これは公定歩合の最高が九%という水準がございましたが、五十五年度がなり高こうございました。同様に建設卸売物価、こういうものもかなり高騰してございました。こういうもので五十五年度は残念ながらマイナス九・七、実質マイナスになってしまいました。  来年度はこれがプラス四・三と改善する。この辺の根拠は金利水準、かなり公定歩合が下がる、また、現在も下がり基調にあるということで、この金利引き下げの効果がかなり浸透してくる。また、実質所得は消費者物価の安定とともにかなりの伸びを、昨年よりは五十六年度改善するのではないかと見ているわけでございます。同様に、建設材の卸売物価も安定するというようなことがございますので、五十六年度はこのくらいの伸びになるのではなかろうかと見てございます。  これを他方、現実の着工戸数とかあるいは住宅の質の向上、床面積の伸び、こういうもので検証いたしますと、やはり五十五年度に比べ五十六年度はある程度の伸びが確保できるというように考えております。
  209. 野坂浩賢

    野坂分科員 時間がありませんので、もっと細かく聞こうと思うのですけれども、時間の制約があってなかなか聞けないのですが、たとえば住宅対策というのは鈴木内閣の目ですね。そういう意味で斉藤さんが建設大臣に抜てきされたのだろうと思っておるわけですよ。  今度の住宅対策費というのは予算としては大体一%弱の伸びですね。これは金融関係でいまいろいろお話があったのですけれども、五十五年度は七万戸だったですね。今度は五万五千戸に削られていますね。そうすると、なかなか建たないし、いまの統計を調べてみますと、持ち家の借り入れの依存度というのは四十五年の場合が五九・三%なんですよね。五十四年度は七一%借入金に依存しているということで依存度が高くなっておるわけですね。こういうふうに公庫の金等が思うように出ないということになると、あなたが身を切ってもなかなかできぬではないか、こういうことを心配するわけなんですよ。その辺はどうなんですか。
  210. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 第一の御指摘は公営住宅の戸数の関係だと思いますが、公営住宅につきましては、私どもの第四期五カ年計画の原案におきまして改良住宅を含めまして五カ年間で三十六万戸、これを純粋の公営住宅で見ますと三十二万戸というふうに考えておりまして、その三十二万戸に必要な初年度の分といたしまして五万五千戸を五十六年度予算で計上したものでございます。先ほど申しましたように、公営住宅につきまして現在ストックが約百七十万戸はかりございます。これらのストックにはかなり古いものもございますし、規模の面において必ずしも広くないものもかなり多いわけでございますが、こういうものの改善なり建てかえ等を促進すると同時に、これらのストックを有効に活用することによりまして居住水準の改善ということも相当程度図られるのではないかということで、五十六年度の予算といたしましてこのような戸数を計上したものでございます。  また、住宅金融公庫におきますところの融資の関係でございますが、いままで私どもが見ております資料等によりますれば、これは自分の手持ち資金それから公庫借入金、それからその他の金融機関からの借り入れ等がございますが、公庫の借入金が住宅取得のために必要な資金のほぼ四割程度を占めておる、こういったようなことでいままで運用してきておりますので、今後も、五十六年度以降私どももできる限りの努力をいたしまして、公庫の融資の比率というものが適正な形で運営されるよう努力してまいりたいと思っております。
  211. 野坂浩賢

    野坂分科員 労働省いらっしゃいますか。あなたのところから五十四年の「労働経済の分析」というのが出ていますね。これを読んでみますと、  持家を建築(購入)した場合、建築工事費のうち借入金に依存する割合は、四十五年の五九・三%から五十四年には七一・〇%へと高まっており、住宅ローン金利の引上げは、借入金返済負担を一段と高めることになる。ずっとあって、こういうことを書いておるわけですよ。  借入金五百万円、二十年均等返済の場合で、月々の返済額は、利上げ前の四万六百四十七円から利上げ後には四万四千六百一円への増加となる。先ほど住宅局長お話しになったように、大都市圏にある程度やっていきたいというお話だったのですが、  四十八年から五十三年までの住宅増加数の四四%は中高層住宅を主体とする共同住宅であり、首都圏をとると、その割合は四九%となっている。しかし、五十四年にはマンションなどの中高層住宅の価格も急騰した。不動産経済研究所「全国マンション市場動向」によって首都圏のマンションの価格動向をみると、五十四年の一月当たり平均価格は千九百九十二万円で前年比一六・四%の上昇であった。とくに、十〜十二月についてみると、二千百九十万円で前年比二四・〇%の上昇となって、中高層住宅の購入条件もまた厳しくなっている。こういって書いておる。そうすると、いまの勤労者では、五百万円借りて二千万のを買うということになりますと、千三百万くらいまた別に借りなければいかぬわけですね。そういたしますと、大体月に十五万六千円程度利子を払わなければならない、利子というか元金も含めてですね。これを平均して生活に合わせますと、五百二十万円程度の年収がなければこういう住宅は買えないということになってくるわけですよ。労働省がはっきり物を言っておるわけですから、そういうことになるわけです。そうすると、なかなか建てられないじゃないかということが一つ。  それから、住宅取得能力の指数というのがありますね。三菱銀行や他のいろいろな機関を平均してみますと、五十一年度の取得能力指数というのが大体六〇、五十二年が六六・五、五十三年が七一・四、五十四年が六五・二、五十五年が五四・三、こういうふうに取得指数というのはだんだん落ち始めたのですね。  それから、住宅取得層の変化を年齢別で見ますと、五十年は二十九歳以下で七・六、五十四年は一〇・四になってふえておるわけですね。三十歳から三十九歳までは五十年は四四・五なんです。これが五十四年は四七・六で、四十歳から四十九歳までは三五・七のものが五十四年には二五・八、五十歳から五十九歳までは五十年が八・三で五十四年は一三・九、こういうことになっておりまして、三十代、二十代の若い人たちが買いたいというかっこうになってきた。この人たちは給料が安いですね。そうすると、なかなか思わしく建っていかない、こういう結果の数字が出始めておる。こういう面についてはどのように対応しようとお考えになっておりますか。五百二十万円という年収があるのは相当上の人ですね。そうすると、いまの年齢別の指数、そしてそのために住宅の取得能力指数はだんだん減ってき始めた、このことを一体どうお考えになっておるか、どう対応するかということです。
  212. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生指摘のとおり、五十五年におきましては、地価の高騰、それから五十五年前半におきますところの建築費の上昇、あるいはまた先ほど経済企画庁からもお話がありましたような金利の動向、さらにまた勤労者所得の可処分所得の実質的な減少といったような要素がございましたので、それ以前の年度におきます状況よりは、一般の勤労者世帯の方々の住宅取得能力は、いろいろな計数のとり方がありますが、ある程度下がっておるというふうに考えております。  しかしながら、幸いに地価につきましても最近はその上昇率が鈍化してきております。建築費につきましては反落傾向を示しておるというようなこともございますし、今後地価につきましてはなお予断を許しませんが、こういうような安定化をたどりながら供給が促進されることが必要だと思いますし、またそういうような中でせっかく建築費等も落ちついてきておりますので、市街地の中におきますところの土地の有効利用を図るといったようなことも促進いたしまして、住宅の供給を促進したい。また、いまの状況で見ますと、徐々に回復の基調に向かう環境にもなりつつありますので、そういったようなことを踏まえまして、私どもも諸般の対策を講じてまいりたいというふうに思っております。
  213. 野坂浩賢

    野坂分科員 それでは春闘の賃上げ一〇%は賛成で協力してもらわなければいけませんよ。いいですね。そうしなければとても住宅は建ちませんよ。あなたの理論なら当然そういうことになりますよ。あなた方は、一%しか見てもらっていないですから、そういう議論なら当然大蔵大臣に文句を言わなければなりませんね。  そこで、とうとう時間がなくなってしまったので本旨になかなか入れなくなったのですが、いまやはり一番問題なのは、勤労者の賃金の確保状況にあるということですね。いわゆる実質的な賃金が一%目減りするというようなことであってはならぬわけです。やはり土地の高騰、建設資材あるいは住宅ローンの金利水準、そういうことが問題になってくるわけですね。  そこで、一番問題になるのは大工さん、中小零細企業の皆さんですね。一番建設業者が倒産が多いのです。何件倒産があったか御存じですか、個人から全部含めて。
  214. 宮繁護

    宮繁政府委員 昭和五十五年におきます建設業の倒産の総件数は五千九十七件でございまして、前年度に比べまして一二・八%の増というような状況でございます。
  215. 野坂浩賢

    野坂分科員 第一位ですよ。建設大臣、こういう一位は余りよくないですね。特に零細企業が倒れておるのです。零細企業、個人及び百万円から一千万円未満の業者というのは、大体四千件ぐらい倒れていますね。大部分なんです。一人親方とか零細の建築業者は倒産が進んでおります。それを受けて十二月の二十五日に建設省令公第十三号で、五十五年度事業の消化とか中小建設業の分割発注とか発注標準とか受注機会の確保というようなものをつけて通達が出されましたね。どの程度効果が上がっているかというと、非常に弱いですね。余り効果が上がっておりません。それはこれだけ倒産をしているという実態から踏まえてですね。  そこで、建設大臣でもどなたでも結構ですが、保育所とか老人福祉センターとか、公共の建設、修繕、特に修繕ですね。あるいはそういう公的な機関で建てるものについての分割発注とか、そのようなことをやってもらわなければ、みんな不景気になったから、東京の方から大手が来てみんなやってしまう。その方が信用度が高い。だから中小零細企業はめらめらとして倒れておるわけです。住宅局長は一〇%の賃上げに賛成ですけれども、なかなかそれも思うようになってこないという状況なんです。そして中小零細企業は倒れていく。こういうことでは、建築業者の中小零細企業、小規模事業者の倒産をさらにことしは加速化するのではなかろうか、こういうふうに心配しておるわけです。  だから、その追跡調査をしてもらって、その結果がこのように倒産が出ておるわけですから、公共的な建築物についても中小零細企業に分割発注なり、修理等は最優先的にやらせるようにしなければ、今後陸続として倒産が出るのではなかろうか、こういうことを心配をします。  この点についてはどうかということが一つと、先ほど申し上げました中高層のマンション等で、とても持ち家ができませんから、西ドイツがやっておるように家賃に対する補助金というものを改めて考えていかなければならぬのじゃないか、こういうふうにサラリーマンの皆さんの場合には考えざるを得ないと思うのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  216. 宮繁護

    宮繁政府委員 中小建設業、特に零細な建設業の倒産の数が非常に多いのは先生指摘のとおりでございます。この対策といたしましてはいろいろございますけれども、当面やはり関連倒産を防ぐというようなことで、現在不況業種にも指定していただきまして、いろいろな対策も講じております。  それから、政府系の中小企業金融機関の貸し付けにつきましても、別枠を設けていただくというような対策もやっております。  それから、建設省におきましても、公共事業の執行に当たりましては、第三・四半期から積極的に執行を行っておりますし、引き続き第四・四半期につきましてもできるだけ年度内消化をするように努力をいたしております。  なお、このほかに、いままで住宅建設促進策につきましてはいろいろ御議論がありましたので省略をしたいと思いますけれども、何と申しましてもやはり基本的には、非常に多い零細企業の方方の体質の改善、近代化あるいは協業化を進めるというような基本的な施策につきましても、いまいろいろ進めております。  それから、いまお話がございました公共事業等を発注する場合に、できるだけ中小建設業に受注の機会を与える、この点につきましては、私どもの方では発注標準を遵守していただきまして、大手並びに大きな企業が小さな事業に手を出さないようにしていただくとか、あるいはまたできるだけ支障のない限り分割して発注しまして、地元の業者とか零細な業者に受注の機会を与える、あるいはまた共同請負制度の活用等によりまして、できるだけ中小企業にも発注の機会が多くなるように進めております。  いまのところ建設省の目標につきましては、上半期は大体目標率を達成いたしたようでございますし、下半期におきましても中小企業の受注の機会の確保をさらに図るべく努力を続けてまいりたいと考えております。
  217. 野坂浩賢

    野坂分科員 家賃は。
  218. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 家賃につきましては、御案内のとおり公営住宅につきましてはすでに家賃対策補助が実施されておりまして、お入りになる方々の所得との関係におきまして、その一定の水準を超えるような家賃となる場合には国が助成をするというような措置を講じているところでありますし、また住宅公団の賃貸住宅につきましては、住宅公団が現実に借りておりますところの利率より相当低い程度の利率になるように国の方からこれを補給をいたしまして運営をして、入る方々のための家賃のあり方というものを考えてきております。  また民間の賃貸住宅につきましては、全般的にこれを一律に実施するというのはいかがかと思いますが、いわゆる農賃とか特賞とか申しております住宅につきましては、国が利子補給をするという形におきまして低家賃の賃貸住宅建設を促進するというようなことで現在やってきておるところでございます。
  219. 野坂浩賢

    野坂分科員 もう持ち時間なくなりましたので、しつこく申し上げることできませんが、そういうことをやってもこのとおり八五%程度の中小零細企業が倒れていくわけですから、これではいかぬ。これではいかぬからやってもらわなければいかぬということなんです。  最後に大臣にお願いしたいと思いますのは、自治大臣と話し合っていただいて、各県に対して自治省からも、中小零細企業の分割発注なり修理修繕等は最高度に特に小規模事業者にやってもらうような通達を出してもらいたい。それから建設大臣も、いままでは住宅局長が通達を出しまして、効果がなかったとは言いませんが、若干あったと思うのですが、目に見えるものがないので、この際大臣からそういうことを各県にもお願いをして、あるいは業者にも指導してやっていただきたい、こういうことをお願いしたいと思いますし、いまの公的な住宅については、御案内のように家賃についてはいろいろ御配慮がありますが、民間のマンション等を借りるときは非常に問題がある。だから低利で建てるときにはそうなんですけれども、入るものもなかなか入れない。いま家がなくて困っておるというのは大体千二百万世帯あるわけですから、そういうことを踏まえて検討していただきたいということをお願いしたいと思いますが、最後に建設大臣の御所信を承って質問を終わりたい、こう思います。
  220. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生指摘のように、中小企業の方々の倒産の大変多いこと史上二番目で、オイルショック後の昭和五十二年の二番日でございまして、われわれも頭を痛めているわけでございますが、この方々をお救いする対応は、いま局長からもお話がありましたように、金融政策の問題もありましょう、あるいは貸付制度の問題もありましょうし、近代化の問題もありましょう。宅地政策もあります。あるいは建築資材を安定させるという問題もありましょう。諸施策を図りながらやっていくにいたしましても、一番根本は、住宅政策を活発化することが零細な方々には直接的には非常に影響があるわけでございます。したがって、何とか住宅需要を喚起するための諸施策を前向きで検討いたしますし、いま通達の問題もございますが、四月には次官通達で一応この問題についてはするようにいたしてございます。  なお、中高層マンションの問題につきましても、先生の御懸念につきましても十分拝聴もいたしましたので、あれこれ総合的に考えまして対処してまいる所存でございます。
  221. 野坂浩賢

    野坂分科員 自治省にもお願いしますよ。
  222. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 自治大臣にも一応お話のあったことは伝えておきます。
  223. 野坂浩賢

    野坂分科員 建設大臣としてで、私からじゃないですよ。
  224. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 はい、わかりました。
  225. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、堀昌雄君。
  226. 堀昌雄

    ○堀分科員 きょうはひとつ建設省に、地元の問題で恐縮ですが、二点ばかりお伺いをしておきたいと思います。  最初の問題は、実は私は居住が尼崎市でございまして、ちょうど名神高速道路が通っておるのでありますが、この尼崎インターチェンジから神戸に参りますためには、現在西宮で名神高速を出まして、引き続き阪神高速道路に入って神戸に行く、こういう道筋をとっておるわけでありますけれども、実は昭和五十三年までは、この西宮インターチェンジを通過するのにはさして時間を要しなかったというのが実情でございます。ところが、五十三年だったと思いますが、料金改定が行われまして、それからは実はこの西宮インターチェンジというのは大変渋滞することになりました。ところがこの渋滞の告示は、ただ「西宮渋滞」こう出るだけです。大体どのぐらいに渋滞なのかは、下から上がるときにはわからないのですよ。まあまあと思ってばあっと上がってみますと、何とその距離が三十分ぐらいの渋滞になるときもあるのですね。  だから私は、いましばらくこの問題は解決ができないと思うので、まあ、長さでもいいです。要するに、道路交通情報というのをラジオで聞いていると、とことこ何キロ渋滞、こういうふうなあれがありますね。そうすると見当がつくのですが、ただ「渋滞」と出ているだけでは、一体どのくらいの渋滞なのか判断ができない。だから、まず第一点の対策として、もう西宮インターの渋滞というのは大変なものなんですから、「渋滞何キロ」というふうに判断のできる表示をやることが高速道路の利用者にとっては大事なことだ、私はこう思うのですが、ひとつその点を建設省側でお答えをいただきたいと思います。
  227. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生指摘のとおり、渋滞中というだけでは確かに、どの程度のことかよくわからないわけでございますが、ヘリコプターを飛ばして空からやるというのは大変金がかかりますので、いまやっておりますのは交通量の検知器を各所に置きまして、それで交通状態を検知しておるわけでございます。特に阪神のように高架道路でございますと、路面の下に入れます検知器は非常に設置がしにくいので、上から超音波の検知器をつけておるわけでございます。これを数多くつけまして、これをオンライン・リアルタイムで処理することによりましてなるべく詳しい情報が出せるようになるわけでございます。私どもも、逐次その辺を増設してまいるように今後努力をいたしたいと思っております。
  228. 堀昌雄

    ○堀分科員 この対策を幾つか考えてほしいと思っているのです。この間、関係者に来ていただいて、実は一番問題なのは、なぜそういうふうに渋滞が起こるかというもとは、五十円刻みというのが入ってきてから実は渋滞することになったのですね。この前経済企画庁の宮崎次官と話をしていて、たまたま、行政はニードにこたえていないというものの一つの例にこれを出しましてその話をしたら、宮崎次官が、いや先生、それはちょっと企画庁も関係があるかもしれません、こういうことでありました。  この前開いてみますと、百円単位で丸くしたいと言ったのだが、どうも企画庁の物価対策上、五十円刻みということになったようでありますね。ですから、私はこの前ちょっと関係者の方に申し上げたのは、五十円というものと——要するに高速道路を利用する者にとっては、時間を節約したいということで金を払っているのでしてね。要するに、金を払っていないのなら、まあ時間が少々長くかかろうとこれはいたし方がないのですが、高速道路を利用して金を払って、なおかつその払った対価に見合わないようなサービスを国がやっているということは、これはもう大変大きな、高速道路に対する基本概念を損なうものだ、こういうふうに考えているわけです。そこで、やり方としてはいろいろありましょう。まあ、私はこの間、五十円あそこを上げたらどうだろう、丸くしたらどうだろう、丸くすれば私は時間はうんと短縮されて通路はうまくいくんじゃないかということを提案したのです。  いまの時期に値上げというのは問題があるということになるかもしれませんが、今度上がるときに調整すればいいのでありまして、だからそこらのことは、要するにそういうニードにこたえるような対応があっていいんじゃないかという話をしました。  そこらの点、他の方法を含めて、これに対する対応策を真剣にひとつ建設省側で検討をしてもらいたいと思うのですが、何か他の方法があれば、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  229. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生指摘の面につきまして、関西の高速道路の利用ということでなく、私自身も東名をよく使っているのですが、シグナルの問題も非常に懸念いたしておるところで、先ほど局長から答弁があったとおりであります。  なお、料金の問題も、私自身も同じ思いであります。ただ、経済企画庁の関係、いろいろとかかわり合いがあって、この五十円の端数をどのように対処するかということ、高速道路建設関係にかかわる財政上の問題もあろうかと思いますが、これはやはり一応四捨五入するのがよろしいのか、それの問題点も含めて関係者と一度相談してみたいと思います。
  230. 堀昌雄

    ○堀分科員 まあその方法は建設省にお任せをしたいのですが、やはりせっかく高速道路を利用したいというのに、そういう渋滞ということでは非常に残念で、それが名神高速道路の最後のところでございますから、恐らく東名も同じような事態がしばしば起こっているだろうと思うのでありますが、ひとつこれはぜひ早急に御検討をいただきたい、こう思うわけでございます。  二つ目は、実はさっきの藤田委員の御質問に私もちょっと関連をしているのですが、藤田さんのお話、ちょっと終わりの方で伺ったからわかりませんが、大型店舗が出てくるために大変その周辺は車が渋滞して困るんだというお話がございました。これはまだ大型店舗が出てきていないのですが、ちょっと大臣、この地図というか、写真をごらんいただきたいと思うのです。よく見ていただいて、こちらから質問をいたします。  そこで、いま五十五年度着手ということで、名神高速道路というその一番下のところから阪急の神戸線の陸橋のところまで、実は千四メートルというのがいま工事にかかっておるわけでありますが、これは最短距離としてあと完成までに何年ぐらいを建設省は見通しておるのでしょうか。ちょっと事務方の方で答えてください。
  231. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの路線は兵庫県道尼崎−池田線でございますが、おただしのとおり、この県道の名神高速と交差するところから北へ上って阪急の神戸線にぶつかる手前のところまで、延長千四メートル、五十五年度に事業着手したわけでございまして、来年度から用地買収に入るという段取りでございます。     〔関谷主査代理退席、岡田(利)主査代理着席〕  したがいまして、現在のところ、明確にいつの時点という終了時点を申し上げるところまでまいっておりませんが、大体事業の規模からほかの事業との並び等を考えますと、やはり早くても四年か五年ぐらいは事業期間を要するのではないかというふうに考えております。
  232. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのお答えのように、大体五十六年度から用地買収に入って四、五年ということになると、この阪急電車の南側のところでも、昭和六十年程度にいけばまだいい方だ、こういう形になりますね。  ところが、いま私がちょっと図面で御説明をしたように、実際大事なのはその阪急電車を越えてから北の方に、なおかつ千メートル以上、二千メートルぐらいが確保されなければ——当該場所、要するに郡是製絲の跡地に昭和四十九年の二月に西武百貨店は進出を発表しておるのでありますが、ここから先になると、恐らくまた五年ぐらいはどうせ、着手をし、買収をし、拡幅をしていくためには、完成までにはまたさらに五、六年かかるということになると、結局まだいまから十年たたなければここに主要な輸送道路ができない、こういうことになると思うのです。  四十九年でありますから、今日までにもうすでに七年間たっているわけです。本来、大型店舗規制の問題については、このように長時間通産省側の処理でおくれた例は実はないのでありますけれども、私はこの問題について賛成、反対両者が入り乱れておるので大変まずいことだと思っているのです。その理由はこういうことなんであります。  実は佐藤栄作さんが通産大臣のころに西宮市の市長で田島さんという人がおりまして、この人が何を思いついたのか、西宮の沖を埋め立ててそこに日本石油を誘致したいということを提案をしてまいったわけであります。御承知のように西宮市というのは宮本というのの産地でありますから、そんなところを埋め立てして石油コンビナートなんかつくられては大変だということで大騒ぎになりました。私は当時尼崎、西宮、伊丹の工業用水道のめんどうを見ておりましたので、この地域は工業用水の供給力がもうない。そんなところに日量十万バレル以上の石油精製工場をつくるとなれば大量の水が要る、それは物理的に不可能だ、こう言って、市長がどう言われても実際問題としてそれはできませんよと言ったんですが、これがまた賛成、反対入り乱れて、市を二分して大騒ぎになったのです。しかし私は、それは賛成、反対の問題ではありません、物理的にできないことを言っているのを、できるという話なら賛成、反対があるでしょうが、できないということがわかっておることを賛成、反対させるというのはもってのほかだということで、そういうことで佐藤栄作通産大臣に話をして、あなたの方から日本石油へ話してくれ、物理的にできもしないところを、賛成、反対で地方自治体で市を二分して争うようなことをさせることは適切ではない、こう申しましたら、いや堀さんそのとおりだ、私の方から日本石油に話をしましょうということで、日本石油はそこへ進出する意思はありませんと、こういうことでこの問題は処理がされたわけでありますが、どうもいまの百貨店の問題も、私は物理的にどうも不可能だ。それは道路がちゃんとなったら、それからどうぞ皆さん、賛成、反対やっていただいていい。  ともかく、そこへ建物を建てるために輸送用、建設用のトラックが入ることすら非常に困難。そのいまの二車線の道路は一日中渋滞しているのです。特にこれが南の方が一部拡幅をされているものですからわっと来て、また狭いところに入ってしまって、この道路は実は大変困難な道路なのです。  おまけにもう一つ問題がございますのは、すでに事業中の五十五年度着手の一番北側のところに阪急電車の陸橋が実はあるわけです。やはりもし本当に拡幅ということになればこれを四車線にしなければいけないのですが、阪急電車は東の方をずっと高架にしてまいっておりまして、それで尼崎市も県の側も、西の方へ引き続き高架にしていってくれた方がいいのではないか、西宮から西はまた高架になっているものですから、ちょうどいま残されたところにこれがありますので、これはやはり阪急電車を高架にして道路が下を抜ける方が合理的だ、こういうふうに考えるわけであります。しかし、この問題も片づかない。  そうなると、この道路の拡幅の見通しがないということは、ちょうど私が日本石油問題で物理的にだめなことを賛成、反対というのはおかしいと言ったのと同じように、これもまた実は物理的に賛成、反対というのはおかしいのであります。西武側はここに当初の計画では、阪神間を商圏に持って、自動車でショッピングができる新しいアメリカタイプの百貨店なりスーパーを一緒につくるのだと言っていたのですが、道路がないところに自動車でショッピングに来る百貨店なんかできるはずがないのでありまして、そういう意味で私は、きょうはこの問題の一番基本になるところの物理的条件、この道路の拡幅問題というものの見通しをちょっとお伺いしておこうと思うのです。  ですから、仮にいま道路局長がお答えになったように、いまの認可をしておる工事が四、五年でうまくできたとして、そうすると大体六十年ですね。それから、いまの北にずっと私が写真で御説明したところ、なおかつ千メートル以上はあるのですが、それをまたどうせやるとすれば、やはり同じように四、五年はかかる。だから、結局いまの当該郡是製綿のところへいくためには、現状の公共事業の進捗割合、御承知のように現在財政再建中でありますから、かつての高度成長のときのようにどんどん予算をつけてやるということにはなりにくいという客観的条件もあるわけでありますから、そこらを含めて、ひとつ建設省側として、これは将来のことですから見通しの問題でありますが、少しそういう立場からの見通しをお答えいただいておきたい、こう思うのでございます。
  233. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしの阪急神戸線の交差からさらに北上する部分でございますが、兵庫県道の尼崎−池田線の整備という点に限って申し上げますと、ただいま先生おただしのように、いままで歩んできた事業の遂行の延長線で考えざるを得ないだろうというふうに思うわけでございまして、そういたしますと、現在事業中の南の部分一千メートルの事業が目鼻がついた時点から着工ということになりまして、おおむねさらに四年ないし五年の時間がかかるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  234. 堀昌雄

    ○堀分科員 建設大臣、実は私は明日第四分科会でこの問題をちょっと取り上げる予定にしておりましたが、明日は何か本会議もあったりしてちょっと無理なようでありますけれども、大型店舗問題は、さっきもお話がございましたけれども、都市計画との関連で出てきてくれないと住民が大変迷惑をするので、いま規制をしておるのは、実は小売店側との調整だけが中心になって大型店舗の規制が行われておるのです。しかし、これはこれまでの時期にはやむを得なかったと思うのですが、たまたまきょうの日本経済新聞が「大型店過剰は考えもの」ということで問題を出しております中で、「また、大型店が中心となって地域商業全体の振興を図るとか、文化的施設やいこいの場を市民に開放するなど、地域社会との協調にもっと本腰を入れて取り組んではどうか。さらに、地方自治体、商工会議所は都市計画の一環として商業の適正配置を進め、それに即して大型店の受け入れを調整する必要がある。」のじゃないかということを日本経済新聞はたまたま偶然けさの社説で書いておるのですが、これは建設大臣、ひとつ閣議の席で、今後の大型店舗対応策としては単に通産マターとして小売と大型店との調整の問題というだけではなくて、やはりその地域における住民全体の福祉といいますか——ですから、さっきもお話が出ていましたが、交通渋滞という問題は次には公害にはね返ってくるわけです。自動車がそのまますっと走っていれば比較的公害は少ないのですが、とまったり行ったりとまったり行ったりということは排気を非常にたくさん出してその地域住民に必要以上の公害被害を与えるという問題もありまして、これはひとつ総合的な問題として一遍、通産の方にも言っておきますが、建設省あるいは自治省の方からも、そういう広い意味の都市計画の一環というかっこうで、今後は対応しなければならぬところに来ているのではなかろうか、こういうふうな感じがいたしておりますが、大臣、いかがでありましょうか。
  235. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生指摘の面全く同感でございます。ただ、閣議の席で私から発言するのはいかがかな、そういう点があるのですけれども、よく承知していながら関係省庁と話し合ってみたいと思います。非常な問題であろうと思います。
  236. 堀昌雄

    ○堀分科員 私はいま所属が大蔵委員会でありますが、大蔵委員会の中でもいろいろなことが縦割りでどうもうまくいかないのです。これから日本の諸問題というのは、恐らく建設省でもあるいは省を超えて、いまや日本の政治の問題はもう少し幅の広い視野の調整が必要なところに来ておるような感じがしてならないわけでありますが、どうも日本の行政というものは縦割り行政が強くて、なかなか境界を越えてという問題が少ないわけでございますね。  受ける方は、住民というものは一つなのです。別に大蔵省でこうしてもらう、通産省でこうしてもらう、建設省でこうしてもらうという話ではなくて、これは一人の人間がトータルに受けとめるわけですから、やはりそれに向かって処理を進める側もこの隣どうしてもそういう総合的対応といいますか、その中に調整がうまくこなされていなければ、国民のニーズにこたえるような政治はできないのじゃないか、私はこういう感じがいたしてなりません。ですから、そういう意味建設大臣もこれからの建設行政の全般についてひとつ幅の広い視野で建設行政を進めていただくということをぜひお願いしたいと思うのですが、その点いかがでございましょうか。
  237. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 同じように、その面につきましても先生の御指摘を待つまでもなく、環境が著しく変化しつつある態様を見たときに、従来の都市計画の中にもそうしたことを取り入れて、せっかくの都市計画住民のためにならないような方向に傾斜していってはならないわけで、その点につきましても十分配慮してまいりたいと思います。
  238. 堀昌雄

    ○堀分科員 よろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  239. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で堀昌雄君の質疑は終了いたしました。  次に、青山丘君。
  240. 青山丘

    青山分科員 お疲れのところ……。  最初に大臣一つだけお尋ねしたいと思いますが、日本の現在の道路整備状況についてどのように受けとめておられるのか。それからその中で中部圏の周辺整備がいま進められておりますけれども、そちらの方の道路事情についてもし大臣所感をお持ちならお答えいただきたいと思います。
  241. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 日本の道路事情についてということでございますが、御案内のように昨年の予算、財政関係につきましても、日本の道路が非常に立ちおくれているということ、いいと言われる一般的な事案に対応して日本の道路事情は全くまた欧米並みになっていない。一般道路と言われる百十万キロのうち国道はまだ三万八千キロだ。それがようやく九〇%ぐらい整備をされておるけれども、一般国道、府県道、一口に十七万キロと言いますが、その半分は大型車がすれ違えないとか、あるいはバス路線も十三万キロありますが、この半分もまだバスがすれ違えないというような状況で、これはひとつ、道路財源の問題もございますが、何とか関係方々の御理解をいただいて道路網の整備を図るということ、これは日本の国の三十七万平方キロの地域を平均的に発展させるためには、道路、ましてや幹線道路と言われる国道あるいは高速道路というものはネットワークとして整備をしなければならない問題であろうかと思いまして、この問題についてはなお一層前向きで対応していきたいと思います。先ごろも豪雪地帯において、生活関連、産業関係で地元の方々を一番救ったのは道路の確保でありましただけに、この問題につきましてはなお先生方の御理解、御協力を賜りたいと思います。  それからもう一点の中部圏でございますが、私、先ごろ中部地方建設局を視察に参りましたときに、中部圏の地域の各層の方々から言われたことは、中部圏は非常におくれているということをよく耳にいたしました。なるほど中部圏は首都圏、近畿圏にはさまれ、あるいは北陸地域、その中央で、いわばやりようによってこれからの日本の中枢的な地域なんですね。また、やりようじゃなくて、やらなければならない問題だろうと思います。それには恐らく先生指摘のように道路事情であろうかと思います。高速道路整備あるいは近畿道の問題、あるいは中心の名古屋周辺の道路整備という問題も解決していかなければなりません。具体的なことは道路局長の方からお答えすると思いますが、そんなような考え方で、中部圏というものは日本の将来性のためにも、また、国土的にも中枢の地域として道路網を整備しながら考えていくべきところである、このように認識しておるところでございます。
  242. 青山丘

    青山分科員 近ごろいろいろな評価がなされまして、日本の道路はもう大分整備されてきたから道路財源をそろそろ他に、たとえばエネルギーの方に使ってもというような動きがあるんですけれども、私は、いやまだ日本の道路は決して欧米に比べて十分なものではないし、住民の利便に十分供することができるような体制になっていないと思う。ずいぶん前ですけれども、私アウトバーンをすいすい走ったときに、あのころ日本のGNPがちょうどドイツを追い越しまして、それでいて人口は日本が倍ですから、あのときにしみじみと、経済復興というものはやはり道路がなければいけないものだなと、なるほどドイツは追い越したものの、しかしGNPは同じでも向こうは人口が半分ですから、日本の経済復興の約倍のスピードです。日本の経済復興が世界の奇跡と言われるんならドイツはその倍の奇跡を実現してきておる。私は、道路が経済活動を活発にしていく、その活力になっていく、これなくして経済の復興はまずあり得ないとしみじみ感じた記憶があります。といって日本は果たしてそんなすてきな道路整備がされておるかといいますと、まだまだこれからのようですね。なるほど山間地において国道が最近は整備されておるところも町々あります。それがなるほど、自動車の交通量がこんなに少ないのにこんなに道路を整備してと、あるいは若干の矛盾を感じておられる方も中にはあるかもしれないけれども、私はいつもこれでいいと思って走ってきたのですが、さて私のところの近くへ来ますと、中部地建の人たちが大変苦労しておってくださるわりにはなかなか成果が上がらない。とりわけ名古屋市内が、大変整備をされてきておりますが、まだ現状では名古屋市内いいとは言えません。(サ)計画といってまだ高速化が必要な段階です。周辺市町村との通勤、通学、経済活動等での動脈としての役割りが、周辺の橋がネックになっていましたり、周辺都市との入り口において毎朝相当な渋滞を来しておりまして、まだまだこれはとても十分な道路整備とは言えない。そういう実感の中から、地域において、ぜひひとつ道路の整備に積極的に前向きに取り組んでほしい、こういう声がいまだに強いわけです。いま大臣から非常に心強いお考えを聞きましたので、ぜひひとつそのお考えで取り組んで進めていただきたいと思います。  具体的に入らせていただきたいと思いますが、旭南線という道路がありますけれども、この旭南線は名古屋市東部の瀬戸市と名古屋市を結んでおる道路です。国道三百六十三号線というのが、たしか昭和五十年だったと思いますが、国道に昇格しております。それから主要地方道名古屋−瀬戸線、この二つの道路のバイパスの役割りを果たしてきております。すでに一部は瀬戸市において、それから名古屋市において供用開始されております。今回、尾張旭地内において要望が出ておるわけですけれども、尾張旭は名古屋都市圏の住宅都市であります。昭和五十年に公布されました大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法、この法律に基づいて設立をされた瀬戸川及び狩宿地区の特定土地区画整理事業による住宅整備によって、道路整備の必要がいま急速に求められるようになってまいりました。これは全く来年度からの事業ということになりますけれども建設省の進めていただける方針についてお尋ねをしたいと思います。
  243. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの尾張旭都市計画道路旭南線でございますが、これは国道三百六十三号線と主要地方道名古屋−瀬戸線のバイパスとしての役割りを果たす幹線街路でございます。御指摘のとおりでございます。このうちただいま直におただしの狩宿土地区画整理事業の区域内の延長約六百メートルの部分につきまして、都市計画街路事業として昭和五十六年度から舗装工事着手する予定にいたしておりまして、五十七年度を目途に完成をさせたいというふうに考えております。
  244. 青山丘

    青山分科員 ありがとうございます。  愛知県豊明市に都市計画街路大脇−館線という道路がありますけれども、これは一部は、西部土地区画整理地内においてすでに完成を見ております。また、国道一号線へ出てまいります大根−直使線、その一部なんですけれども、これは完了しております。今回事業を促進いたしてまいりたいと考えておりますのは、大脇−館線と豊明市前後駅から南の方へ参ります。その道路の交差するところから西部区画整理組合で完成しております現道道路にまで結んでいきたい。これが朝夕の通勤の大変な問題を解決する一つの重要な道路でありますので、豊明市としてもぜひ取り組んでいきたいと考えておりますが、都市局長さんの御見解を承りたいと思います。
  245. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの豊明都市計画街路大脇−館線でございますが、この路線のうち西部土地区画整理事業の区域に接続する部分、延長約二百五十メートルにつきまして、昭和五十五年度から豊明市を事業主体とする都市計画街路事業で着手をいたしたところでございます。事業年度は一応五十九年度目途ということで事業を推進してまいる所存でございます。
  246. 青山丘

    青山分科員 特にこの道路はまだ用地が取得されておりませんので、用地が取得されていきますと、いまでもそうでしょうか、事業の大半が進んできているのだ、こういうようなことをよく昔は聞きました。この土地の取得というのはなかなか大変な仕事でございますので、ぜひひとつ前向きな姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  それから、愛知県小牧市ですけれども、小牧駅前線、これは小牧市字上之町を起点といたしまして小牧市字中町まで、総延長一千六百五十メートル、幅員十六メートルを幅員二十メートルで整備していきたいという道路なんですけれども、これは現在の市街地の中心地域でして、大変交通量も多くてしかも商店街の地域なものですから、なかなか拡幅整備が容易ではないのでありますけれども、小牧市にとって駅前開発というのは大切な事業として、いま前向きに真剣に取り組んでおります。その意味でこの小牧駅前線を何とか五十九年までに整備していきたい、そういう姿勢で取り組んでまいりました。ようやく昨年の十二月には事業認可を得ておりますので、ぜひひとつ五十六年度は事業費三千万円ぐらいで進めていきたい。この道路改良をぜひ進めていきたいという地元の決意を持っておりますので、局長さんの御見解を伺いたいと思います。
  247. 升本達夫

    升本政府委員 小牧都市計画街路小牧駅前線でございますが、延長約一・六キロ、千六百キロメートル余の幹線街路でございます。このうちの延長約二百五十メートルの部分につきまして本年度から事業に着手をいたしたところでございます。おただしのとおり、この路線は西口地区の市街地整備に大変重要な役割りを果たす道路であることは、われわれも認識をいたしておるところでございますので、今後鋭意その推進に努めてまいりたいと考えております。
  248. 青山丘

    青山分科員 ありがとうございます。  公園緑地関係でお尋ねいたします。  愛知県尾張旭市の城山公園の件についてでありますが、この城山公園というのは尾張旭市のほぼ中央に位置しております。昭和四十八年度より公園整備に努めてまいりました。第一期計画として昭和五十六年度に完了する予定であります。将来は尾張旭市唯一の総合公園として整備をしようとするものであります。現在野球場、テニスコート、弓道場、レストハウス、散策道、芝生広場等公園としての休養施設も整い、利用者も急増いたしております。  それらに対応するために、五十六年度ではもう大体最後の整備ということになってきておりますが、野球場北側に駐車場を整備したい、それからレストハウス西側の庭園について要望しておきたい、このように考えております。最後の総仕上げですので何とか実現をしていきたいと考えておりますので、その辺のお考えを伺っておきたいと思います。
  249. 升本達夫

    升本政府委員 尾張旭市の城山公園でございますが、四十八年度来整備を進めてまいったわけでございまして、大体おただしのとおり完成に近づいております。来年度概成というところまで持っていきたいということで、いませっかく検討しているところでございます。
  250. 青山丘

    青山分科員 ありがとうございます。  愛知県瀬戸市の東公園の整備について。実は私も東公園の整備に一番最初から取り組んできておる者の一人なんですけれども、瀬戸市一里塚町地内の地域の中学校の南側の公園整備なんですが、都市公園として住民整備を求める声が非常に強い。これが一つ。  やはり瀬戸市の南公園の整備です。これは瀬戸市内の菱野団地北側の公園でありますが、この都市公園内に最近文化センター等を建設して総合的な住民の利用に供したい、こういう地域にとっては画期的な事業を進めていくつもりでいま取り組んでおります。  この二つの公園についての建設省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  251. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの瀬戸市の東公園並びに南公園でございますけれども、東公園につきましては五十三年度から整備着手をいたしておりまして、補助事業としては五十五年度からスタートをいたしたわけでございます。それから南公園につきましては四十九年度から整備を進めてきておるわけでございますが、いずれも二十八ヘクタール弱あるいは二十二ヘクタール弱というかなり規模の大きな地区公園、運動公園でございますので、若干整備には時間がかからざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。これから策定を予定いたしております新五カ年計画の中で、いずれにいたしましても推進を図ってまいりたいと考えております。
  252. 青山丘

    青山分科員 これは児童公園ですから一言お聞かせをいただければいいのですが、愛知部長久手町地内に中川原公園というのがあります。これは愛知部長久手町字長湫の長湫、下山土地区画整理地内にある児童公園です。地元の御要望が非常に強いということをひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから公共下水道関係で御質問をさせてください。  春日井市の都市下水路如意中線、この下水路の上流は、春日井都市計画如稲特定土地区画整理組合で現在施行を進めております。五十七年度で一応完了予定となっております。この下水路の敷設においてもそのつもりできたんですが、都市下水路如意申線の下流は市の施行で実施して、区画整理との接続までの六百メートルが五十八年度完了ということになっておるようです。如稲区画整理組合設立時においては、排水対策を最重点に事業計画を立てて、わざわざ遊水地まで設けておるほどです。  このように区画整理事業が進んできますと、夏季の雨水対策が毎年問題となってくるわけです。これらのことから、排水路如意申線を新規計画に入れて、八田川に排出できるよう工事を推進しております。したがって、市の施行部分と組合施行部の接続に一年の計画差があるために、このまま計画どおりに工事が進んでも、五十八年度は組合側の雨水対策と組合事業に大きな影響を及ぼすことは明らかです。  この観点から、すでに建設省へは春日井市の下水道部長と如稲の区画整理組合の理事長が上京して陳情しておるはずですけれども建設省のお考えを聞かせていただきたいと思います。  それからもう一つ。愛知県西春日井郡師勝町、都市下水路の鹿田排水区一号幹線、総延長一千六百四十メートルのものですけれども、総事業費としては一億四千万ほどかかるようですが、五十三年度から進めてきております。六カ年計画事業で、三カ年目に入って、毎年五千万ほどずつついて、工事も順調に進められてきております。今後の進捗が地元で見守られておりますが、政府の方針を聞かせていただきたいと思います。
  253. 升本達夫

    升本政府委員 春日井市の如意申都市下水路でございますけれども、市といたしまして、総事業費十二億円という概算で本年度から事業に着手をいたしております。昭和五十九年度完成を一応目標に置いて整備を進めております。ただいまのお話しの区画整理事業の進行との調整という御趣旨だろうと思いますが、極力事業の整備完成を急ぎたいと思いますけれども、この予定年度を繰り上げるというところまではなかなかむずかしいのではないかという感じがいたします。  それから次の師勝町の鹿田都市下水路でございますが、これも町におきまして総事業費四億円ということで五十三年度から着手をいたしておりまして、完成目標は昭和六十五年度ということになっております。なかなか長時間を要する事業ということになっておりますが、この整備実施に当たりましては、毎年の事業の投資効果を十分配慮しながら、部分的にでも使えるような形で整備をしていくという方針で促進をしてまいりたいというふうに考えております。
  254. 青山丘

    青山分科員 ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  渡辺道路局長お尋ねをいたします。  尾張旭市巡検道線について、それから小牧市市道野口−大山−大草線について、長久手町、田籾−名古屋線について、瀬戸−大府−東海線について、県道瀬戸環状線についてお尋ねをしておきたいと思いますが、巡検道線だけちょっと説明させてください。尾張旭市の南北を抜けていく道路です。  巡検道線、この路線は、北部の春日井市日本住宅公団施行の高蔵寺ニュータウン方面から南部の東名高速道路名古屋インターへと結ぶもので、尾張旭市中央部を南北に縦断する基幹路線であります。延長は五キロほどです。尾張旭市は、この路線が市の公共施設の中心を通過することもあって、最重点路線として第一期整備区間を国道三百六十三号線から主要地方道名古屋−瀬戸線まで約一・七キロメートルとして、昭和四十六年度から昭和五十六年度の事業計画整備を進めてまいりました。引き続いて第二期整備区間を主要地方道名古屋−瀬戸線から、北部です、都市計画道路瀬戸−新居線まで約〇・七キロを昭和五十六年度から昭和五十九年度の四カ年計画で施行予定しているため、第一期整備区間について国庫補助の継続、第二期整備区間については新規採択を地元としては要望しておるものであります。  大変時間が来て恐縮ですが、いま申し上げた他の路線についてもお考えを聞かしていただきたいと思います。
  255. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 四本の路線についてお尋ねがございましたので、簡単に御説明申し上げたいと存じます。  まず、尾張旭市道巡検道線でございますが、先生お話しのとおりでございまして、ただいま国道三百六十三号から北へ上がりまして、主要地方道名古屋−瀬戸線までの間一・七キロを国庫補助事業として鋭意進めているところでございます。この区間は、五十六年度に改良舗装とも完了の予定でございます。したがいまして、その北側の瀬戸−新居線に至る区間につきまして、五十六年度に新規採択を市が要望されておりますことは私ども十分承知しておりまして、いまいろいろ検討中でございます。  次に、小牧市道の野口−大山−大草線でございますが、これも何か近くに大学、たとえば名古屋造形短大とかそれから市民の四季の森というものが完成するための重要な道路のようでございまして、一部区間〇・九キロメートルにつきまして、五十六年度に新規採択してほしいという御要望が出てまいっております。ただいまの尾張旭市道と同様、いま検討いたしておる最中でございます。  次に、田籾−名古屋線でございますが、名古屋の北部から豊田市に向かう区間でございますけれども、まだ改良率が六七%ということでございますので、五十五年度から新規に国庫補助事業として採択をしておりますので、五十六年度以降も引き続き整備を進めたいと存じます。  それから瀬戸−大府−東海線でございますが、これはきわめて重要な主要地方道並びに一部区間は国道百五十五号でございます。改良工区をたしか五カ所ほど設定をいたしまして鋭意仕事を進めております。五十六年度以降につきましても、大変重要な路線でございますので、引き続き促進をしてまいりたいと思っております。
  256. 青山丘

    青山分科員 ありがとうございます。  もう恐らく時間がないようです。国道三百六十三号線の瀬戸市上品野の片草地内、これは道路拡幅を進めていきたいと地元では考えております。これが一つ。  それから、名古屋環状道路の現在完成しております春日井−新川間は地域の利便の評価を大変得てきておりまして、これをぜひひとつ東部方面にまで、そして川を越すところにまで、庄内川ですけれども、何とか進めていきたいと地元では期待しております。この件についてお聞かせいただければと思います。  それから最後に河川局長さんに、準用河川鴨田川改修工事ですが、これは愛知部長久手町地内の嶋田川ですが、国庫補助をしていただきたい。暫定的にはすでに掘削だけをしておりますけれども、護岸の整備をこれから進めていきたいと地元では考えております。御見解を伺いたいと思います。
  257. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 最初に、国道三百六十三号の瀬戸市上品野片草町地内の件でございますが、この道路につきましては、ただいまのところ岐阜県境付近で局部的な線形改良等の事業を進めているわけでございますけれども、片草町地内で約一・八キロの未改良区間があるということでございます。したがいまして、交通の推移等、地域の実情を見まして今後逐次進めてまいりたいと考えております。  それから、二点目にお尋ねのありました名古屋環状二号線の国道十九号から東の部分、庄内川を渡りまして主要地方道名古屋−瀬戸線に奉る区間のことかと存じますが、先生指摘のように、これも交通の分散という点では大変効果はあろうと思うわけでございます。しかしながら、環状二号線につきましては東部区間とか東南部区間等で区画整理が非常に盛んになっておりまして、この買い取り請求も非常に大きなものがある。また、名古屋港のところで名港西大橋の工事をやっております関係でも予算が多額にかかるということがございますのと、御指摘区間の内では五十四年度から勝川区画整理が発足いたしておりますので、これの進捗状況を見ながら対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  258. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいま先生からお話のございました準用河川鴨田川でございますが、これは上流の土地区画整理事業に伴いまして改修を進めているものでございます。昭和五十年から五十一年にかけましては県費の補助事業ということで暫定開削が行われたものでございますが、五十三年度から国庫補助事業として護岸整備等を行っておるところでございます。全体が千二百メートルのうち三百五十メートル及び上流の左岸側のみ五百六十メートルの整備が完了したという状態でございますので、今後なおこの事業を促進してまいりたいと考えております。
  259. 青山丘

    青山分科員 ありがとうございます。終わります。
  260. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で青山丘君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  261. 長田武士

    長田分科員 私は、高遠自動車道と首都圏の都市計画道路との接続並びに都市交通体系の整備について建設省並びに運輸省にお尋ねをいたします。  まず、東京と新潟を結ぶ関越自動車道であります。  本州を横断しまして太平洋ベルト地帯と日本海側とをつなぐ大動脈といたしまして重要な役割りをしておると私は考えるわけであります。そこで、去年七月に群馬県の前橋まで開通されたわけであります。今後の建設計画はどうなっておるのか、また現在における利用台数、また完成後予想されます利用台数、現在とこれから完成後の台数はどのくらいと予測されておるのか、お尋ねをいたします。
  262. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 関越自動車道につきましては、先生お話にございましたように前橋までつながっておりますけれども、新潟の方で長岡と新潟黒崎の間も実はできております。  そこで、その中間になるわけでございますが、五十六年度には越後川口−長岡間、新潟の方でございますが、二十四キロメートルを供用する予定でございます。残る区間につきましては、ちょうど群馬、新潟県境にかかります関越トンネル、これは十一キロというわが国の道路トンネルの中では最長のトンネルになろうと思いますが、これを工事中でございまして、全線供用は若干、六十年代にかかるというふうに考えておるわけでございます。  なお、関越自動車道は途中藤岡で分岐をいたしまして、長野から上越の方へ将来延びるわけでございますが、藤岡から佐久の間六十九キロメートルにつきましては、現在日本道路公団施行命令をすでに出しておりまして、事業実施のための諸調査を進めているところでございます。  なお、交通量についてのお尋ねがございましたが、ただいまちょっと手元に持ってまいっておりませんので、また後ほど調べまして御報告申し上げます。
  263. 長田武士

    長田分科員 現在首都圏を中心といたしまして放射道路は東名あるいは中央高速と、建設中の東北、常磐、東関東自動車道など、すべて首都圏道路あるいは環状六号、七号、八号線に接続をいたしておるわけであります。しかし、この関越自動車道はいまだに都内の幹線道路と接続いたしてはおりません。そこで、建設当初東京外郭環状線というのを計画されておったわけでありますけれども、これが当然接続されるものだと私たちは考えておりました。しかし、それが遅々として進んでおりませんし、そういう点では関越道路のみこういう状況にありまして、果たして外郭環状線というのは一体どうなっておるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  264. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます前に、大変恐縮いたしました。交通量でございますが、五十五年十月練馬と所沢の間が三万八千台、所沢と川越の間が四万三千台、このような交通があるわけでございます。  そこで、先生指摘のように、関越道につきましては都心側で強い道路につながっていないということでおしかりを受ける場合が多いわけでございますが、恒久的にはもとより先生の御指摘のように東京外郭環状道路の整備、これが非常に重要なことかと存じます。しかしながらいろいろいきさつもございまして、東京外郭環状をまだ進めるところまではいっておりませんので、当面は利用者の方々にいろいろ情報を提供いたしまして、迂回路に回っていただくとか、あるいは都内に入ってまいりますと例の谷原交差点がございまして非常に交通問題になっております。この辺を改良するというようなことで対応してまいりたいと存じますが、恒久的には、御指摘のとおり地域住民の方々とよくお話をしながら、将来は外郭環状の方へ回っていただくようにというふうに考えておるわけでございます。
  265. 長田武士

    長田分科員 外郭環状線はどういう予定ですか、具体的に。
  266. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 いつの国会でございましたかちょっとはっきりいたしておりませんが、いろいろ関係住民の方々から環境問題を中心とする反対がございまして、当時の金丸建設大臣がしばらく凍結をすると申し上げた経緯がございまして、私どもその後も環境問題を守るためにどういう構造にすればいいか、部内的には検討いたしておりますが、まだ外に出す段階までは至っておりません。
  267. 長田武士

    長田分科員 そこで私は不思議に思うのですけれども、このような受けざら道路といいますか、こういう道路が完成されていないまま前橋インターまで開通をする。いまお話がありましたように、五十六年あるいは五十七年、五十八年というふうにさらに延長されるわけであります。こうなってまいりますと、関越自動車道が受けざら道路をきちっと何らかの形でつくらない限り、私はどうしてもあの問題は解決しないであろう、渋滞は解決しないであろう、私はそういう感じがするのですよ。この点、どうでしょう。
  268. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 私も御指摘のとおりだと存じます。たまたま先ほど東京外郭環状道路、まだ検討と申しましたのは東京都内のことでございまして、言葉が足りませんでした。埼玉県内におきましては直轄で用地買収あるいは一部区間の造成等も始めておるわけでございます。将来これを、たとえば関越道路まで何らかの形でつなぐということができれば、埼玉区間とあわせましていろいろ都心に入る交通の分散にも役立つわけでございますので、その辺も前向きに検討いたしたいと思っております。
  269. 長田武士

    長田分科員 このように受けざらとなる道路がないために、練馬ランプが、谷原交差点といいますけれども、非常に渋滞をいたしておるわけであります。最近では、あの谷原交差点のおり口を左右に曲がりまして、いろいろな狭い道路に車がどんどん入っていく、そういうような状況なんですね。朝なんか子供さんの通学の危険性とかあるいは騒音あるいは環境問題等々で、あの地元の人は非常に不安を持っております。  そんなことで、私はどうしてもわからないのは、道路を建設する場合、当然開通のめどというのも計画を立てるわけでありますけれども、一体ランプ状況はどうなっておるかというようなことも十分勘案し、検討し、それが解決しない限り開通は延期するとか、そういう柔軟な対策が必要じゃないか、そういう点を私は痛感するのですが、どうでしょうか。
  270. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 関越道を通さないということになりますと、その分の交通がやはり二百五十四号線なり国道十七号等なりに分散されまして、そういった道路が込むということもございます。私どもとしては、できました道路はやはり有効に利用していただくということにいたしたいわけでございます。  そこで、問題の処理でございますが、したがいまして適切な迂回路、迂回路と申しますか、他の道路に分散して都心に入っていただくということが一番だと思いますので、道路公団におきましては電光表示板等により表示をいたしております。なお、国道二百五十四号線、通称川越街道につきましてもただいまバイパスを有料道路でつくっておるわけでございますが、これが間もなく完成もいたしますので、そんなところを有効に利用するようにいたしたい。なお、さらに当面の対策としては、谷原交差点の立体化が東京都により進められておるわけでございますので、これの促進を図ることが一つの解決策であろうかと思っております。
  271. 長田武士

    長田分科員 建設大臣、谷原交差点を最近通ったことがありますか。
  272. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 私まだ行ってないです。
  273. 長田武士

    長田分科員 そういう点は建設相はやはり一度状況を見たらどうでしょうかね。ですから、私は開通してはいけないということをさっき申し上げたわけであります、全体が混雑状況を呈するというようなことで。いろいろなネックはあるでしょう。あるのですけれども、練馬の住民はたまったものじゃないのですよ、早い話が。そういう意味で、やはり開通問題についてはランプの状況を十分踏まえてやるというのが物事の筋じゃなかろうかと私は思いますが、大臣、この点はどうですか。
  274. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 道路問題は財源的にもなかなかむずかしい問題で、ついやはり地元要望にこたえるような形で漸次やっていくような形になってきておるわけです。しかし、特にいま御指摘の関越自動車道につきましては、前々から問題点についてはよく聞いております。ただ、経過措置としてこうした状況になってはなはだ遺憾と思っておるわけでありますが、開通した部分については、私はそれなりの効果があろうかと思います。せっかく高速道路をつくってかえって入り口周辺の方方に御迷惑をかけていることについては大変申しわけなく思うわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、東京外郭環状道路とてもう凍結するような状況で、なかなか地域の方々の御理解をいただけないというのが実情でございます。  具体的には、いま谷原、練馬等々の住民の方々に大変御迷惑をかけているということの御指摘があったわけでございます。実情は十分わかっておるわけでございますので、住民の方々の御理解をいただきながら早期に対応を図ってまいるということ以外いま方法がないわけで、とにもかくにも地域住民の御理解をいただきながら、早期地元の方々に御迷惑をかけないような方途をやってまいりたい、このように考えるものでございます。
  275. 長田武士

    長田分科員 御迷惑をかけないと言うが、現実にずいぶんかかってしまっているのですよ、大臣。  そうすると、あとは交通情報を流すとかいろいろな方法があるでしょうけれども、それはあくまでも手法でありまして、基本的な解決にはならぬのですよ。そういう点では、道路というのはもっともっと長い展望の上に立って、ここを開通すればどこでどうなるかぐらい皆さん専門家ですからわかるでしょう。ただやればいいのだというような、そんな感覚じゃいかぬのですよ。そういう点、私はずさんさといいますか、強く義憤を感ずるね。  次に、いま大臣からお話がありましたとおり、地元の皆さんの御要望も伺っていると思います。これは、先ほど御答弁がありましたとおり、谷原の交差点につきましては、従来平面交差に加えまして補助百三十四号線というのがあるのです。これはアンダーで入るのですね、アンダー部分、それから目白通り、これはオーバーの部分ですね、新たに設けられるわけであります。そして三重立体となるわけであります、従来の平面道路がありますから。そういう構想を私は聞いております。私は、この点について地元住民の方々からいろいろな意見を聞きます。  第一番目には、目白通り自体が混雑しているのでありますから、立体交差をして果たして効果があるかどうか、この点地元の人は疑問を持っています。第二番目には、環境問題や公害がかえって広がるのじゃないかという心配をしております。第三番目には、関越は谷原だけでは解決できないのじゃないか、主にこの三点の疑問を持っておるわけであります。  また、三重立体にするためには、目白通り片側それぞれ五メートルの買収が必要であります。しかし、この買収をしようというところはすでに四十六年に関越が川越まで開通した際に買収されたところなんです。そういう意味で、住民感情といたしましては二度の買収に非常に難色を示している傾向というのもあるのですね。この点どうでしょうか。
  276. 升本達夫

    升本政府委員 谷原交差点に関連いたします街路事業の整備が、当初の計画からかなりずれ込んでおるという御指摘についてはまことに残念に思っている次第でございます。  現在のところは、ただいまの補助百三十四号線の整備につきましては、環八との分岐点から谷原交差点までの二キロメートルについて大体四八%の事業進捗率ということになっております。これができ上がりますと、谷原から先、すでにでき上がっております埼玉県境までの区間との接合ということになりまして、かなり交通状況が緩和されるというふうに期待をいたしておるわけでございますが、その時点は、五十七年度末におきまして一応そういう状況になるように努力をいたしております。  さらに、ただいまのお話の立体交差につきましては、さらに一年度かけまして五十八年度末に立体交差を行うという、これはアンダーバスの部分でございますけれども、そのように整備を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、ただいま直におただしの三重立体、さらに谷原交差点のその上に目白通りを通すという問題の御指摘でございます。この点につきましては、確かに一つ考え方ということかと思うわけでございますけれども、この点につきましては、現在東京都が将来の交通状況それから立体化の効果あるいは逆効果等についていろいろ調査を行っておるわけでございまして、建設省といたしましては、この立体交差そのものの判断に当たっては、やはりその地区を中心としたかなり広い範囲にわたって、いまお話が出ましたような面にまでわたって、かなり広い面の道路整備の進め方を検討して、その上で適否を考えていくべきことだというふうな取り組み姿勢でおります。端的に申し上げますと、ここだけで三重立体をやってみたことで果たして問題の解決に直につながるかどうか、あるいはどれだけの効果が期待できるものか、逆に御指摘のような公害といいますか、住民に対する悪影響ということとの比重をどういうふうに考えていくかという問題もございますので、この計画については少し慎重に対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  277. 長田武士

    長田分科員 補助百三十四号線が環状八号線と接続するわけですね。谷原での車の流れも若干緩和されるということは私もよく理解できます。しかし、この補助百三十四号線が南田中団地を通過するわけなんです。都営団地がございます。反対運動が続けられていることも私よく承知しておるのです。今後このような点を踏まえましてどのように対処されるのか、その点どうでしょうか。
  278. 升本達夫

    升本政府委員 団地の中の通過につきましては、住民の方々からいろいろ御意見が出ておるということはよく承知をいたしております。東京都として現在この対応策の詰めを行っておるわけでございまして、たとえば遮蔽の施設をつくるとかあるいは両側の緑化を図るとかというようなことで、できるだけ団地の皆さん方の御要望を取り込んで対応できるような方向でいま検討を進めているところというふうに理解しております。
  279. 長田武士

    長田分科員 地域住民の要求をすべて満たすことは大変なことだろうと私は思うのです。条件が合わないで移転を希望する人、どこかへ移転したい、こういうケースの場合、グラント・ハイツというのがいま開発中でございますが、むしろそういうところに優先的に入居できるような対応を東京都に働きかけたらどうでしょうか。
  280. 升本達夫

    升本政府委員 私どもの街路部門の部局といたしましては、ただいまの入居者の移転のことについては具体的にお話を承っておりませんので、いまのところちょっとお答えを申しかねるわけでございますけれども、さらによく東京都の真意を確かめてみたいというふうに考えております。
  281. 長田武士

    長田分科員 いま申し上げました補助百三十四号線は、西武池袋線と交差しておる。そして、その高架化の工事も実は関連しているのですね。谷原からの車の流れが現状では西武線の踏切で遮断されてしまうだろう、そういう心配をいたしております。そうなったのでは幾ら百三十四号線が開通しても意味がないのじゃないかという感じが私はいたします。その意味からも、西武線の高架化工事については、石神井−富士見台の間の高架化が急がれておるわけであります。そこで、高架化の実現は谷原から補助百三十四号線が開通される五十七年秋までに間に合うのかどうか、この点はどうでしょうか。
  282. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘区間、この連続立体交差区間のうち、富士見台から石神井公園間でございますけれども、先年の夏以降かなり詰めた説明地元に対して都も努力をいたしておるわけでございまして、実は一昨日、二月二十八日におきましてもさらに地元との説明会を持つ等の努力をいたしておりまして、大体ある程度の御理解はいただいたというふうに考えられる状況だろうと思います。今後さらにきめ細かな調整ということに若干時間は要するかと思いますけれども、おおむねの御理解はいただいたというところまでまいったというふうに聞いております。したがいまして、建設省といたしましては、これから都が進めます環境関係の調査に基づいた諸施策あるいは諸手続を進めるに当たっての、住民との協議を十分に配慮して進めるように東京都を指導してまいりたいと思っておりまして、いまのところ極力ただいまおただしの時点までに対応ができるような方向で努力をいたしたい、五十七年は無理でございますけれども、五十八年の十二月というような時点までには何とかそういう立体化が図れるような方向で進めたいということで、努力をいたしておるところでございます。
  283. 長田武士

    長田分科員 この石神井公園−富士見台間、一・六キロメートルあるのでありますけれども、すでに事業認可はこの部分は受けております。五十四年には現況調査をやっておりますし、五十五年には環境調査もそれぞれ終了しているようであります。そして地元との交渉にいま移っているわけでありますが、きのうも実は説明会をやっておるのですね。そういう意味で、私は、これについては早急に手を打っていただきたいということが地元要望でございますから、しっかりやっていただきたいと思っておるのです。  地元との交渉で環境側道について合意が得られ都市計画が決定されるわけでありますが、それから着工、建設に至るまでどの程度の期間を考えておりますか。
  284. 升本達夫

    升本政府委員 具体の個所によりましていろいろの状況の差があろうかと思いますので、一概には申し上げかねるかと思いますが、側道の整備につきまして、この部分につきましてはかなり西武鉄道の線増部分の土地が確保されているという状況もあるようでございますので、地元の環境対策についてのお話し合いが進行すればかなり順調に進捗が図れるケースではないかと思っておりますけれども、やはり三年ないし四年というような時間が整備に必要ではないかというふうに考えております。
  285. 長田武士

    長田分科員 西武池袋線につきましては、私は単に都内だけの問題ではないと考えております。その背後には人口急増地域であります埼玉県の所沢とか飯能といった都市を抱えておるわけです。したがいまして、輸送力の増強のためにも私は早期着工を強く要望しておきます。特に、いまお話をいたしました石神井公園−富士見台の間以外におきましても、桜台−練馬間、この南側についてはもうすでに日照問題も解決しておりますし、用地買収もほぼ完了しているようであります。私は、そういう点では即刻事業認可を与えて工事に着工した方がいいのじゃないか、そう思いますが、どうでしょうか。
  286. 松尾道彦

    ○松尾説明員 御指摘の点についてでございますが、一つは、いまの連続立体交差化事業につきましては、西武鉄道も積極的に促進するというふうなことで現在進めておるわけでございますが、残念ながらいま御指摘のとおり日照権等の問題で一部住民から反対が出ましてなかなか進捗していないというのが現状でございます。  それからもう少し池袋寄りの桜台付近でございますが、とりあえずは新桜台−向原間におきます地下鉄との、八号線の接続問題で、現在環七の地下のところにつきましてはすでに着工いたしております。  さらに、問題といたしましては、池袋に入る複複線化の問題につきましても、早期にできるように積極的に指導してまいりたい、かように考えております。
  287. 長田武士

    長田分科員 去年の分科会でも私同じことを質問したのですよ。また同じような答弁だね。一年間たっても全然変わらないのですか。一部の反対している人もいますよ。いますけれども、何で努力しないのですか。あの踏切へ行って見てください。あかずの踏切と言うのです。一時間のうち十分前後でしょうか、開いているのは。そういう点で、去年と同じような答弁で事足りると思ったのではちょっと甘いんじゃないですか。もう一回答えてください。
  288. 松尾道彦

    ○松尾説明員 輸送力の増強に関連しましては、昨年よりも進みましたのは桜台と向原間の地下問題につきまして、約一・九キロでございますが、これにつきましては昨年着工いたしておりまして、現在鋭意工事中という段階でございますが、いまの高架工事につきましては、全体的な関連もございますので、東京都の説明会にも西武鉄道も入りまして鋭意進めているというふうな現況でございます。
  289. 長田武士

    長田分科員 それから、同様に、石神井公園逆一号踏切、そこから石神井四号踏切ですね、この区間。谷原交差点に通ずる富士街道というのがあるのですけれども、それから補助百八十二号、これは南北交通の混雑解消のためにも、私は早急に事業認可を、この点についても与えるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  290. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの点については、私どもの方も、現在までのところ具体的には承っておりませんので明確にお答えできませんけれども、御趣旨を承りまして東京都とよく相談をしてみたいと思っております。
  291. 長田武士

    長田分科員 どうもはっきりしませんね。道路問題につきましては、地域住民の皆さんとのかかわり合いというものは非常に深いわけでございますから、建設することも、地域のいろいろな問題で反対もありますし、大変であることは私もよく理解しております。しかし、物事は誠心誠意、真心を持って事に当たる、これが大事だなという感じがするのです。そういう意味で、どうかひとつこの推進方をよろしくお願いしたいと思っております。  最後に建設大臣、私も国会で物価対策の方をやらしていただいておりまして、最近常に痛感をしている問題を一つだけお尋ねしたいと思うのです。  まず、去年一年間の民間住宅の着工戸数が約百二十七万戸、前年に比べて一五%という減少になっております。落ち込みになっています。原因については、金利の負担だとかあるいは建設資材の高騰という理由もありましょう、しかし、私は、何といってもその根本原因というのは地価の問題であろうと思います。昨年一年間の地価の上昇率というのは、全国平均で八・三%、東京などの三大都市では一〇・二%も記録されておるわけであります。このような地価高騰に対しましてどういうふうに対処されるのか、対策をひとつ大臣、お聞かせをいただきたいと思います。
  292. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅問題が、先生の御指摘を待つまでもなく、最も重要な課題であることは御案内のとおりであります。景気の問題のいかんにもかかわる問題の方から見てもそうであります。しかもその一番の問題点は、いま御指摘を待つまでもなく宅地事情であるということであります。したがって、宅地をいかに住宅建設に対応できるような形で生み出すかということに問題があろうかと思います。  なかなか困難性はありますけれども、当面具体的には、あくまでも山林、農地の計画的な開発を図るとか、あるいは現在の遊休地の高度利用あるいは既成市街地のさらなる計画的な発展というようなものを考えながら、しかもなおかつ地方公共団体あるいは民間デベロッパー等々の協力を得ながら、何とか対応できるだけの、宅地需要を満たすものを生み出す方途をせっかくいま引き続き検討中でございまして、宅地並み課税という問題もございましょうが、あらゆる手段、方法をとりながら、宅地の鎮静化と住宅に対応できるだけの宅地を生み出す方途について、せっかく努力をいたしておるわけでございます。ただ、御案内のような限定された地域における宅地を生み出すという問題点についてなかなか困難性があるわけでありますが、何とか中長期的計画を図りながら、需給バランスを図ってこの問題については対処してまいりたい、こういう所存でございます。
  293. 長田武士

    長田分科員 終わります。
  294. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  295. 沢田広

    沢田分科員 時間が大変限られておりますので、簡潔に質問していきたいと思います。大臣も、長時間大変御苦労さまであります。三十分の間にとにかく何かを提案をし、それにまた回答をいただこうということでありますから、簡潔にお願いをいたしたいと思います。  最初に、昭和四十五年に都市計画法ができて、十年以内に市街化区域はおおむね都市施設を完備をする、こういうことで法律がつくられたわけで、その経緯は大臣承知をされていると思うのであります。しかし、現実には十年たってもそれが完成する状況にはなっておりません。私の出身の埼玉県は、東京湾中等水位というものから考えてみれば、きわめて湛水の条件に、地盤沈下も一方には進んでおりますし、そういう状況にあるわけであります。  そこで幾つかの問題をこれから挙げるわけでありますが、第一には、下水道の分流方式というものが促進をされることによって、一般の雨水は結果的にはどこへ流されていくのかという問題が一つ起きてきます。その点は、建設省としては、市街化区域内の下水道の分流方式がこれからだんだん進んでいけばいくほど、四十ミリぐらいの雨でも湛水をする場所というものがたくさん出てくる。しかもまだ、新幹線が今度入ってまいりまして、そういう状況になるとその状況はさらに深まってくる。その受けざらである河川をどういうふうな状況でこれを整合性をとろうとされているか。一方では地盤沈下が進む。一方では下水道の分流方式が進行する。その場合の雨水は、どんどんふえて、土地改良の水路なりに流れ込む。都市河川というものは余りないですから、そういうものに流れ込む。そこで溢水する。そうすると、そのときの下水道の事業予算の中には、分流方式によって生じた被害の補償も当然含まれると解さなければ理論的におかしい。これは、土地改良法五十六条ですか、にも、それぞれその受益者との協議を行って負担に応ずる義務が法律上規定されておるわけであります。ですから、そういう意味において、私のいま述べたことについては、当然下水道の予算の範囲内においてそれに対応する被害の補償は含まれていると解すべきであろう、法律的にそうなるであろう、こういうふうに解釈をするわけですが、ひとつ見解を承っておきたいと思います。
  296. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまの御指摘は、市街化の進行している地域について、下水道による雨水排除とそれから在来の農業用水等の排水路との排水の調整の問題かというふうに承らしていただいたわけでございますけれども、私ども下水の施設整備を図ってまいります場合には、まず基本的には、農業用等の従来の排水路と分離した形で下水道の雨水排出管渠を設置するというのが本則だろうというふうに考えて整備を図っておるつもりでございます。  しかしながら、地域状況によりまして、やむを得ず農業用水路に雨水を排除するという必要が生ずる場合もあろうかと思うわけでございますが、この場合には、農業用水路の管理者でございます土地改良区等と十分事前のお話し合いをいたしまして、そごのないように指導いたしておるところでございます。この場合に、農業排水路の改修費、維持管理費等につきまして、下水道との関係で費用の負担が増大するというような場合におきましては、その負担増大分について調整協議が必要であろうかというふうに考えておるわけでございます。
  297. 沢田広

    沢田分科員 そうすると、法律的に土地改良法でいえば五十六条の受益者の協議、こういうことに基づいて協議し、それぞれ予算の範囲内において負担の任に応ずる、こういうことでいいわけですね、それは協議して決めるわけですから。
  298. 升本達夫

    升本政府委員 排水路、都市下水路等の広義の下水道の管理者側において、農業用水に対して必要が生ずればある程度の負担はやむを得ないかと思います。ただ、これを国の補助対象事業の中に取り込むかどうかはまた別の問題でございますけれども、管理者として、調整を経て必要な負担については考えなければならない場合があり得るというふうに申し上げたつもりでございます。
  299. 沢田広

    沢田分科員 それはちょっと違うのじゃないかと思うので、そこへいくとまた問題があるわけでありますが、要すれば、分流方式という方式を採用すれば、分量がふえるだけじゃなくて速度が速まるということが一つ大きな問題になるわけですよね。単なるそのままであれば雨水は紆余曲折を経て流れ込むが、時間的な到達時間というものは倍くらいの速度になるわけですね。だから、言うなら、たらいでバケツに水をあけるようなもので、集中的にばかっとくるのですから、その部分だけ湛水現象が起きてくる。こういうことについて国の予算の中に入っていないのだ。理論的に言えば、当然分流方式をすればそういうものが起きてくるということはわかっていることでしょう。——それはわかりませんか。そういう状況が起きるということの理解はつきませんか。
  300. 升本達夫

    升本政府委員 土地の状況により、それから都市下水路の敷設計画によりまして、いろいろ状況の差はあろうかと思うわけでございますけれども、一般的に雨水の排除が既設の農用水路等によって行われるとすれば、いままでよりは流量がふえるということはあり得ると思います。
  301. 沢田広

    沢田分科員 だから、これは原因者負担という現在まで行っている国の政治の基本原則ですね、国鉄がやれば国鉄の原因者負担、建設省がやれば建設省の原因者負担、この理論というものは一応法律のあらゆる分野において貫かれているわけであります。ですから、この原因者としてのものは当然、いまあなたが肯定されたように、到達時間が速くなれば一つの容積の中に——埼玉県はさっき言ったように深く掘ったって、東京湾は掘るわけにいかないのですから、どんどん地盤沈下は進んでいるのですから、結果的には拡幅をする以外にないのですね。拡幅をする以外にはもうないのですよ、そこを掘ったって東京湾を掘らなければ解決しないのですから、そういうことでしょう。  そうしますと、集中度が速くなると、その瞬間における、とにかく四千五百分の一くらいの勾配のところへ分流方式によって流れてくるということになれば、その場面において溢水が起こるということは必然的な結果でしょう。ですから、私の言うのは、法律論的にいって——これは金をあなたから幾ら取ろうなんて考えているのじゃないが、ただ法律論的にいって、その原因者負担の原則からいくと、分流方式というものの施設をすれば、いやおうなしに雨水というものはその近くの水路に、これは谷底に流れているところですから、その水路を利用せざるを得ない。それが土地改良区の水路であろうと、市の水路であろうと、個人の水路であろうとにかかわらず、その水路を利用せざるを得ない。しかし、その水路に被害が生ずれば、その原因者負担というものは、当然分流方式によって起きてきた原因というものによって、建設省の責任というものは、金額の多寡とかなんとかは別として、当然責任の一端はあるだろう、これで余り時間をとっていたくないのですが、それを否定するということでは困るので、自分の方はないのだ、市町村だけにあるのだ、ちょっとそんなような言い方に聞こえたのだけれども、原則論としては、親元の建設省がどう指導するかということにかかっているわけですから、どこで金を出すかは別問題として、原則的な解釈はそうでなければならぬでしょう、こう言っているわけですね。それはそのとおりでしょう。
  302. 升本達夫

    升本政府委員 分流式というシステムをとれば当然にそうなるかどうかは、一概に申せぬと思います。ただ、状況によっていろいろあろうかと思います。既設の用水路の流下能力という問題もございましょうし、当然に何らかの新たな負担が生ずるかどうかは、一概には申せないかと思います。  それで、先ほどちょっと御説明を漏らしましたけれども、そのような市街化が進行している地域において既設の用排水路を利用いたします場合に、すでに農業用としての利用が著しく減少している、あるいはもうなくなっている場合も、極端な場合あるかと思いますが、そのような場合は、これは都市下水路、つまり広義の下水道の中に取り込んで処理する。つまり下水道施設として対応する、その改修をするということで整備ができる。その場合には下水道側の全部の負担ということになるわけでございますので、そのような形で解決し得る問題であると思います。  なお、農業用の利用がかなり残っておって、そのままの形で管理者が管理を続けていきたいという場合に、下水工事に起因して何らかの改修を要するような事情が農業用排水施設の方に生じた場合、その費用負担については個別の管理者間の協議によるべきであろうということを申し上げたわけでございます。
  303. 沢田広

    沢田分科員 原則的には、埼玉県なんというのは、いまもお話がありましたけれども、さっき言ったような状況ですから、流し場はほとんどなくなりつつあるのですね。東京湾の水位と雨水がだんだん一致するような状況になってきているわけですから、結果的には、どうやってみてもそういう現象がいやおうなしに起きてくる。ですから、この下水道の分流方式を進める場合については、そういう末流への責任というものをやはりきちんと整理をするように、これは時間がありませんからきょうはとりあえず要請をして、いまの回答で次に進ませていただきたいと思います。  大臣、いまもいろいろお話がありましたけれども、近隣商業地区、要地区——金沢などで十七、八階のマンションが建てば、やはり都市の美観を失すると考えます。だから、金沢市はそういうふうに条例をつくっておりますね。たとえば倉敷なんか条例はないですけれども、そういうものができたらあの倉庫が並んでいる美観、その町の情緒というものは失われますね。また都市計画審議会の答申でも、付近が二階家ばかり並んでいるところに大きな建物が建つことはいいことじゃない——いいことじゃないとは書いてないけれども、とにかく十分慎重に扱いなさい、日照とか風害とか電波障害とかいうものが関連するから、その点は十分考慮しなければいかぬでしょう、こう言っているわけです。  これは政治的な話なんで、いまの法律というのは建築基準法に基づいて、商業地域あるいは近隣商業というところについては建設業者の方が有利に扱われて、その地域住民というものは何ら手を打つ方法がない。訴訟以外にない。どこに助けを求めるかというと、求める場所がない。この間もちょっと言ったのですが、座り込みをするか何かする以外にない。あるいは爆弾でもぶっ込むか、それ以外に方法はない。法律体系として、対等に交渉でき、できるだけ円満に話がつけられるようなシステム、組織、そういうものを考えませんと、どうも建設省の役人というのは建設業者寄りの法律をつくりたがる。大臣はそうではないだろうと思う。今度環境大臣にでもなっていったら、そうは言わなくなってしまう。大臣は政治家だからそんなことはないと思う。やはり建てる側と、それによって被害を受ける側とが平等、対等の立場で公正な交渉が行える。そのために東京都なりその他は条例をつくり出したわけですね。これは大臣、いま私の言ったそういう考え方については同意できますか。
  304. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 具体的な問題はともかくも、先生のお考えのような、これは方針先生は申されましたけれども、方向づけについては、具体的なことは別として、私も同感と申し上げてもよろしかろうと思います。
  305. 沢田広

    沢田分科員 大臣が同感であるとすれば、それが今度はどういう形で法律上対等な条件をつくってやれるか、これを考えるのがわれわれ政治家の任務になるわけです。  いまは市町村にそういう紛争の解決の条例をつくらせる、これも一つの方法です。それから昔のように、付近何メートルであるかわからぬが、その被害を受ける人の同意を得なければだめですというのも一つの方法だと思います。しかし、これは憲法から出てきているいろいろな条項も相互にあるわけですね。公共の福祉に反せざる限り所有権が自由であることも事実、しかし健康にして文化的な生活を営む権利もある。それらが調整されて受忍限度という言葉が生まれ、それぞれ判例が生まれてきておるわけなんです。  今日までの日照、日影の判例を総括的に全部調べてみますと、またやや均衡を欠いているという状況です。ですから、その辺を部分的に認められているもの、あるいは部分的に認められないもの等々があります。これをひとつ判例をもう一回見直してみて、それに対応した市町村条例をつくらせるとか、あるいは現在の建築基準法の中で考え方を変えるとか、そういう方法を考えていただけるかどうかということですね。いま若干アンバランスがあると私は思っています。考え方が一致していれば、そのアンバランスがあるかないかの認識はこの次の問題にします。もしアンバランスがあると大臣が思ったならば、それを是正する気持ちがあるかどうか、この点を一応確かめておきたい。
  306. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 日照、日影規制の問題につきましては、四十九年の審議会の答申を得て、五十一年から基準法に盛り込んでございます。この法律が施行されてまだ何年もたたないわけでありますが、その後も紛争があるということは承知いたしておりますが、話し合いの問題を法律の問題としてそこまで取り上げるのはまだなじまないというか、少し期間的な余裕があってもいいのではなかろうかと思います。しょせん同一地域内で共存共栄といいますか、ともに住む運命共同体のような地域で住まいする人たちでございますので、その点は何らかの指導をもって話し合いをケース・バイ・ケースで積み上げていく方が、むしろ将来に気持ちの上でも禍根を残さないのではなかろうか、いまのところは私はかように思っておるわけでありまして、五十一年に盛り込んだ日照、日影関係を弾力的に運用しながら、まだそこまで考えなくてもよろしいのじゃなかろうかというように、現在のところは考えているところでございます。
  307. 沢田広

    沢田分科員 大臣の言っていることで一番違ってきていることは、もう時間の関係があるから簡単に言いますが、土着の人はそんな悪いことをしないのですよ。大臣の選挙区だって、土着の人が裏の家に全然日が当たらないような建物を建てることはやりません。大臣だってできないでしょう、選挙にも影響してしまうし。だから、土着の者は先祖代々いるのだから、それはできっこない。そういうのは完全な大手の、いわゆる流れ者みたいな者が来て、ばかっとやっていくのですよ。つくってしまえば売ってしまって、はいさようならと、しりをまくって行ってしまうのですから、結果的にはそんな人情論が通用する相手じゃないのですね。だから私は、それが法律的にある程度保護されないと、なかなかそうはいきませんよということを言っているわけです。片方はそれをつくってしまえば、分譲で売ってしまうのですからね。そして、売ってしまって、はいさようならと言って行ってしまえば、後は何のかかわりもないのですよ。隣人もへったくれもないのですよ。そこに大臣との認識のずれの問題がある。隣人の間では、たとえば二階建てを建てるのだって大変な苦労ですよ、裏の家に対する影響があって。そういうことは、デベロッパーが来てばかっと一千坪なり二千坪のところに建てるところに、実はサンシャインじゃないですけれども、問題が起きるわけですね。ですから、その辺の大臣の認識、私がさっき言ったように、いろいろ判例が出ております。判例集もあります。だから判例の出た経過にかんがみて、いままでの法律の適用が十分であったか十分でなかったか。もしアンバランスがあれば、若干その辺はこれから是正をする。もしそれでいいのだというなら是正しなくてもいいです、これは後でまた回答してもらいますから。ただ私は、いま言ったように、対等であるとすればそこに何らかの方針があってしかるべきである、こういう見解で述べているわけです。  時間が大分過ぎてきたようですから、もう一回それをお答えをいただいて、それから市町村に対する紛争解決の条例は指導する気がありますか。やはりその方法があるかどうか、その点もひとつ確かめてお答えをいただきたいと思います。
  308. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 大変失礼でございますが、私から少し事務的に御説明をさせていただきたいと思います。  先生も御案内のとおり、建築基準法によります日影規制は、従来のいろいろな日照問題の経緯にかんがみまして、社会的合意が得られる合理的かつ客観的な基準に基づきまして、住居系地域におきますところの中高層建築物による日照阻害を防止いたしまして、健全な市街地の形成を図ろうということをねらいといたしました公法的な制限でございます。  したがいましてこれとは別にまた私法関係に基づく相隣関係というものが別途ありまして、これはこれとして、別にいろいろと隣人相互関係でお話し合いがあり、最終的には裁判所の判断にゆだねられる、そういったようなことがありますので、公法関係と私法関係の接点としてとらえられておる。基準法につきましては、いま申しましたようなことでございますので、現時点では住居系地域における日影規制という形で各公共団体で条例をつくっていただき、現在適切な運用を指導してまいっておるところでありますので、この点につきまして御理解賜りたいと思います。
  309. 沢田広

    沢田分科員 そんな答弁はむだな時間を費やしただけで、何もぼくの言ったことに答えていないんだよ。そんな、事務局が書いた文章を読んでいるだけで、ぼくの言っていることに全然答弁になっていないじゃないか。そんなこと聞いてやしないよ。何を言っているのだ。わずか三十分の時間の中で詰めようというのだよ。そんな官僚が書いた答弁を読むだけでは答弁になっていないのだよ。大臣だって違う答弁をしているということはわかるでしょう。住宅地域のことは言っていないよ。ぼくは、近隣商業地区とかそういう地区においても、なおかつ住宅が一般的な住宅に利用されているという地域において、隣人だと言うから、大臣、隣人だけではないですよ、流れ者も来ますよ、その場合には隣人愛などというのは通用しないですよ、その辺のことを言っているので、あなた、そんなことを言っているのじゃないよ。もう時間がないから、大臣もわかってくれたでしょう。頭を縦に振っているからその趣旨はわかってもらったということで、あとはひとつ事務当局に指示してもらって、金科玉条で大手の業者ばかり守るような官僚の扱い方だけしていたのでは、私は大臣の本意でもないだろう、こういうふうに思いますから、よりその付近住民を大切にする考え方で今後指導を進めていただきたい。  その次に、これは大臣に聞いてもあれだから、今度はあなた方に聞く。この前も、河川台帳はできておりますか、道路台帳はできておりますかというような質問をやりました。これは登記に関する問題なのでありますが、買収をしたけれども抵当権に入っていた、そのうちにお父さんなりおじいさんが死んでしまった、相続が完了しない、その場合は登記できませんね。そういう状態でいるわけでしょう。それ以外の方法をとっていたら教えてください。
  310. 宮繁護

    宮繁政府委員 一般的、抽象的なお話ですので、私の方からお答えいたします。  いまの場合は、登記簿につきまして整理をしていただきまして、そしてその後に所有権をこちらへ移していただくというような手続を進めることになろうかと思います。
  311. 沢田広

    沢田分科員 いや、完了しているかどうかを私は聞いているのだ。いままでの買収したものはすべて登記が完了しているか、どうですか。
  312. 宮繁護

    宮繁政府委員 建設省で直轄事業としてやりました場合には、原則として所有権の移転登記は終わっていると思いますけれども、しかし特殊な事情があります場合、たとえば土地改良事業がまだ施行中であるとか、あるいはまた多数の方々の共有地であるとか、そういった場合には登記の完了していないものも間々あるかと思います。そのほか、建設省の直轄事業でなくて、元来は都道府県知事あるいは都道府県の事業でありましたものを直轄に引き継いたような場合に、かなりの土地につきましてまだ登記が未完了なものがあろうかと思います。
  313. 沢田広

    沢田分科員 未完了になっているその間に何か方法をとっていますか、何もとっていないですか。
  314. 宮繁護

    宮繁政府委員 登記がまだ完了していない場合に二つの例がございまして、一つは、所有者が、自分が所有したまま道路、河川等に使っていただいても結構でございますという土地と、それと、いまお話しのような登記の関係の事務処理がおくれているために登記ができていない、こういう例がございます。それで、いままで起工承諾等で使わせていただいておりました土地につきましては、所有者の方から買収してくれというお話がございましたならば、できるだけそれは適正な時価で買収する方向で進めております。
  315. 沢田広

    沢田分科員 わかりました。できていない。  きょう、第一分科会で登記の問題を実はやったのですよ。その程度なんじゃないかなと私も思っていたら、やはりその程度だった。ぼくもその登記のことは不勉強で十分よく理解しておりませんですが、しかし、それ以外にも方法があるということで、登記の方の関係で第一分科会で聞いたのですが、これは今度、後で法務省とよく相談して、それだけではないということで、とにかくどこへ行っても台帳がなかなか整備されない状態にあるわけですから、それを促進することを期待をいたします。  あと、残された時間三分程度ですから簡単に。  これは突然の質問で答えができないかもわかりません。これは勉強家だったらわかるのですが、見沼三原則というのが——これは愛知用水と並び見沼用水、日本の二大用水ですね。見沼には見沼三原則というのが実はあって、調整区域については、言うならば川下である川口が、もう東京湾よりもゼロメートルになっちゃっているわけですから、どうしてもそこが湛水して溢水をする。だから上流はどんな理由があろうと開発はさせないというのが基本的な原則で今日まで来たわけですね。今度、見沼の用水を水資源の問題として一部署愛をして、東京都の水、埼玉県の水に使うわけです。この見沼の中に十何階建てのマンションが今度建つ、こういうことになった。そうすると、見沼三原則は消えたと解するのがいいのか、それだけが特殊の条件として認可をされたと解するのがいいのか。その点、わかっていたらひとつ教えてください。また、見沼三原則というものがあったのを知っていたか知らなかったか、そこからいきましょう、もう時間があと一分ですから。
  316. 宮繁護

    宮繁政府委員 調整区域等の開発許可の問題でございますと私の担当でございますけれども、その三原則につきましては承知いたしておりません。
  317. 沢田広

    沢田分科員 そこへ十三階建てのマンションなんかが建つということは、開発許可としては埼玉県がやっていることなんですが、そういうことは、見沼三原則も知らなかった。では芝川改修のこともよく知らなかった、そういう状況ですか。——では、これは何を言ってもしようがない。後で事務当局をもって答弁をさせることにして、五分よりちょっと前ですけれども、一応終わります。
  318. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  319. 土井たか子

    ○土井分科員 建設大臣、きょう私は、道路計画について具体的なことをひとつお尋ねいたしますので、まず事務当局の方からいろいろお答えをいただいて、最後に大臣の方から一言、それについて御意見なり御所信のほどをここで披瀝していただく、こういう順序で三十分間進めたいと思います。  東京の方では環七、西日本の方では有名な国道四十三号線というのがございまして、兵庫県では尼崎、西宮、芦屋、神戸と横断している、世にいわゆる悪名高き公害発生源の道路でございます。  そこで、環境庁、警察、御出席ですから、環境庁と警察にあらましのところをまず言っておいていただいて建設省に矛先を向けたいと思いますが、この国道四十三号線は、沿道庁民に排ガス等による健康障害というものを起こさしめているというふうに認識されているかどうか、環境庁、いかがですか。
  320. 加藤三郎

    加藤説明員 私ども環境庁といたしましては、まさに先生がおっしゃられましたように、この四十三号付近は日本でも最も激甚な交通公害のひどいところでございまして、私ども周辺住民が大変苦しんでおるということは十分に承知いたしております。
  321. 広谷干城

    ○広谷説明員 警察庁といたしましても、この地区の交通公害に対しまして最重点の対策をとっていかなければならぬ地域である、かように認識をいたしております。
  322. 土井たか子

    ○土井分科員 建設省とされては、この点どういうふうに御認識をされていますか。
  323. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 四十三号、ただいま先生からお話のございましたとおり、環境問題が非常に激化しておることを十分承知いたしております。
  324. 土井たか子

    ○土井分科員 抽象的にお答えになる分には差し支えなくそういうふうにお答えになるのですが、さて、具体的にその問題をどれだけ実情に即応して把握をされているいろいろな資料の中に生かされているかというと、さあ、ここが問題なんです。  それで、過去ずっとそれに対するいろいろな調査というのがございます。わけても、払いを言うのなんかは、それの一部分にしかすぎないだろうと思うのですが、四十九年に兵庫県で衛生部の調査、五十年に環境庁調査、五十二年に兵庫県の医師会の調査、この場合は特に沿道の小学校の子供たちに対して、たんとかせきなどの諸症状をいろいろ道路との関連で調査をされている中身です。四十九年から五十三年にかけては、尼崎市が独自で環境保健衛生調査というのを行われているわけですが、これすべてについて御存じでしょうか、どうでしょうか。これがもう公表されているというわけなんですが、公表されているということも御存じでしょうか、どうでしょうか。そしてこういうものを入手されていますか、どうですか。いかがです。
  325. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 承知をいたしております。ただ、細部にわたります資料は、本省と申しますより近畿地方建設局の方で所持をいたしておるわけでございます。
  326. 土井たか子

    ○土井分科員 近畿地建の方で処理をなさるということは、事務的処理としては一番直接に携わっておられる場所だからそういうことだと思いますが、しかし監督は建設省にあるのでしょう。そのことに対しての監督権は建設省の側にあるのでしょう。
  327. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 もちろん、先生お話のとおりでございまして、たとえば先国会で成立をいたしました幹線道路の沿道環境対策に関する法律の具体的な運用とか、こういうことにつきましてはもちろん本省が各地方を指導してまいることになるわけでございます。
  328. 土井たか子

    ○土井分科員 さあ、そこでお尋ねする意味が十分にあるわけなんです。また、お尋ねをしなければならないと思うのですがね。  この関係住民の方々に対して説明会というのがありますが、この説明会のときに、いろいろな、御自身いままで検討された調査内容を資料としてお持ちになって、その資料によって説明をされる、これは当然なことなんです。ところがその説明の中身には、この関係住民の方々に対して、いままでいろいろと調査された結果が十二分に生かされていないということが、これはもういつも指摘されるのです。子供たちに引き起こされているたん、せき、これは非常に多いわけですが、これとの因果関係がどうなるかとか、それから周辺の方々について慢性気管支炎のような症状がある、これの四十三号線との関係は一体どうなるかとか、そういう問題について住民の方々の方が、自分自身の問題ですから、生活自身の問題ですからよく御存じなんですが、説明を受ければ受けるほど後に残るのはストレスでありまして、さらに建設省に対する不信でございまして、なかなかそこのところが、受け答えとしてスムーズに事が運ばないのです。  いろいろな理由を見てみますと、主なる原因というのは、どうもいろいろいままで行われてきたそういう調査結果というものを誠実に受けとめて検討されたという跡が見えないということが現実あるわけなんですが、建設省としては、これは一一検討して、説明の中身にちゃんと入れて説明しているという自信がおありになりますか、どうですか。
  329. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生の御指摘説明会というのが何をお指しになっているのか、ちょっとわからないのでございますけれども、私どもは、各機関で調査いたしましたことは十分勉強いたしておりますし、またそういった環境問題に対する今後の処置方針等につきましては、いろいろ先生方等の御意見も聞きながら、もちろん勉強はしておるわけでございます。ただ、説明会でどう言っておるかという点について、ちょっと申しわけございませんが詳しくはお答えできません。
  330. 土井たか子

    ○土井分科員 それはどういう説明会かわからない、それはそのとおりなんでしょうが、それはどういうことかというのをいまから申し上げます。  西宮と大阪との間に、今度は高速道路がやがて開通をいたします。やがてであって、これはまあ建設省としては予定はお考えになっていらっしゃるのでしょうけれども、果たしてそのとおりいくかどうかはクエスチョンマークで言わなければならないと私どもは考えております。それで、この高速道路の問題について、四十三号線周辺の方々に対して説明会が過去において持たれているはずでありますが、それはそのとおりだと思いますけれども、どうでしょう。
  331. 升本達夫

    升本政府委員 直接この工事の衝に当たっております阪神高速道路公団から、説明会を持っておるというふうに聞き及んでおります。
  332. 土井たか子

    ○土井分科員 ところが、その説明会では、沿道の排ガスは総量として増加するとまず発言をされて、しかもなおかつ、しかし排ガスの増加が沿道住民の健康障害を増加するということは考えられないというふうな発言になっているのですが、これは排ガスの量が増加すれば被害も増加すると考えるのが常識的な物の考え方でありまして、排ガスは増加するけれども関係住民に対しての被害というのは増加しないと言われるならば、その根拠というのは那辺にあるかというのが聞きたいような気がするわけであります。これはどういうふうに理解されておりますか。
  333. 升本達夫

    升本政府委員 公団から私どもが聞いております限りにおきましては、公団実施をいたしました大気汚染に関する調査の結果といたしまして、それは状況の差はもちろんございますものの、おおむね現状とは変わらない。したがいまして、その影響度という段階になりますと、ほとんど変わりはないというふうに考えていただいていいのではないかという趣旨の御説明を申し上げたのではないかというふうに考えております。
  334. 土井たか子

    ○土井分科員 説明は、口頭で受けるものは説明の中身であります。  ところで、幾ら口頭で説明を受けましても、もう一つ釈然としない問題は、昭和五十五年の六月二十七日付で西宮市長から公団側に対して、要望を含めての質問事項が出されまして、それに答えて、公団側から西宮市に対して十一月七日付で文書が返ってきているわけですが、その文書の中身を見ましても、こういうことが明記されているのです。「当公団では、兵庫県道高速大阪西宮線と連結した時を想定して道路管理者の立場から環境質の変化の程度を予め検討しているが、特にこの結果について公表することは考えておりません。」こうなっているのですね。口頭で説明はやってやるけれども、文書として公表することは考えていない。これじゃちょっと住民も納得しかねると思うのですよ。やはり責任ある立場というのは、いろいろといままでの調査結果を踏まえて、それに対して検討を加えて、そして資料として、こういうふうに考えるというところを公表するというのが当然じゃないですか。公表は考えておりませんじゃ、これは住民側が納得なさらないのはあたりまえだと私は思うのですが、この点は公表なさいますかどうですか。大臣、これは公表して当然でしょう。これはお役人的立場で御答弁なさらないで、大臣どうです、これは公表してあたりまえだとお思いになりませんか。
  335. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ストレートに先生お話を聞いておりますと、口頭で説明できるものが公表できないということはいささかどうかと思いますが、何かその間に事情があるのではなかろうかと思いますし、何かやはりあるのではないかと思います。その因果関係がちょっとわかりませんので、局長の方から……。
  336. 土井たか子

    ○土井分科員 説明できても公表できないという、そこに何かの理由がある、これはそういうことをやればやるほど不信のかたまりに皆なってまいります。これは公表されてしかるべきだと思うのです。公表を約束してください。いろいろ言いわけは要らないですよ。
  337. 升本達夫

    升本政府委員 一言申し上げさせていただきたいと思うのでございますが、私の方も正確に、どういう状況でどういう御説明をし、どういう資料について公表をはばかったかはつまびらかに伺っておりません。現在手持ちございません。  しかし、私どもが一般的にこういう状況下で懸念されますことは、お話しを申し上げる内容と個々のデータとの結びつきが非常にむずかしい場合があろうかと思います。したがいまして、数字を直にごらんになって、かえって逆にお考えがむずかしくなる場合があり得るのではないか、つまり個々の断片的なデータが全体としての実態を確実にあらわすものであるかどうかということについて説明が届くかどうかという問題があろうかと思います。したがいまして、そういう点を懸念して、恐らくその数字の公表ということが直ちにしにくいという判断を持ったのではなかろうか、これは推測でございます。  しかし、状況は十分また把握いたしまして、公表すべきものにつきましては公表を考えるべきだと私も思います。
  338. 土井たか子

    ○土井分科員 それは公表を考えてくださいね。これはまだ言いたいことはありますけれども、時間の関係で私は一切割愛しますから。これはやはり数字を見て、またいろいろそれに対しての疑問というものを解消することのためには、そちらも時間がかかるとおっしゃるけれども、公表しないでおいて、不安を残して、住民の方々が絶対納得しないという強い態度に出られるくらい時間のかかることはないのですよ。そういうことからすれば、公表して、それに対して説明をしていく、納得されるまで説明をしていくという基本的姿勢というのは非常に大切だと思われますが、大臣どう思われますか。——そうでしょう。首を振ってないで、ちょっと一言議事録に残しておいてください。
  339. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 基本的にはよくわかります。
  340. 土井たか子

    ○土井分科員 基本的にはよくわかりますとおっしゃいますが、それはどういう場合でもあくまでそういうことでなければならぬと私は思います。  さて、この問題に対しては発生対策と周辺整備について、被害者側の対策というのが、この道路の公害問題について言うならば、大きく分けますと二様あるだろうと思うのです。  そこで、発生対策から私はきょうは問題にしたいと思いますが、将来交通量というのは、これは何としても問題なんです。四十三号線が来年どうなるか、再来年どうなるか、国道二号線がどうなるか。これは四十三号線というのは、国道二号線がずっと並行して走っていますから、したがいまして両者ともこの交通量というのは大変気にかかるのですが、わけてもきょう取り上げている国道四十三号線に対しまして、向こう交通量の予測というのは、五十六年の推計というのが出ております。これは三全総であるとか経済動向なども全部勘案してお出しになっている数字だろうと思われますが、しかし、具体的にその数値をお出しになる基準になっているのは、四十三年、四十六年、四十九年の全国道路交通情勢調査の分析から得ているのですね、三年に一遍の。一年には春と秋とに一遍ずつの。一遍ずっといっても、もっと正確に言いましょう、一日ずつです。しかも、近畿地建に行っていろいろ資料をいただいてその中身を見てみると、四十三号線については、その一日をさらにきめ細かに言いましょう、十二時間ですよ。春にわずか十二時間、秋に十二時間、しかも三年に一遍。そして五十六年から向こうの予測というのが、何と四十九年の全国道路交通情勢調査を最後に三年に一遍の分析でしか、この車の台数についての将来像、交通量というものを考えていない。これがいまの現状に即応した交通量に対しての測定になり得るとお考えですか。大臣、どうですか。これはまずちょっと大臣に大まかなことで聞きましょう。
  341. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 三年に一度、しかも何か一日ですか、十二時間、これはやはり調査方法の問題もあろうかと思いますが、いささか調査の問題としては考えさせられるところでございます。
  342. 土井たか子

    ○土井分科員 そうでしょう。それは調査の方法としては考えさせられるのです。私は、公害委員会の方でこれを取り上げまして、四十三号線の対策として、こんな交通量調査で将来の交通量というのを測定するというのはまことに現状に即応しないやり方だ、ついては、将来、五十六年というものを予測値として出さなければならないのならば、特別に四十三号線の交通量測定に対しては別途の調査方法を講ずる必要があると言ったら、そのとおりだと言われて、いまだその別途の調査方法を講じておられるいきさつがないのです。具体的に言えば、どこそこに測定者を置いてどうしておりますとおっしゃるかもしれぬけれども、しかし、それは資料を見ると予測量の中にちゃんと組み込まれているとはとても思えないのです。こういうことでは私はまずだめだと思いますよ。  事務当局、さらに聞いてください。時間のかげんがありますから私ははしょって申し上げますけれども、この四十三号線の交通負荷というものを軽減するためにどうするかということに対しては、だから大阪湾岸道路計画というのがございますと、こうくるのです。大阪湾岸道路計画建設大臣も御存じでしょう。  ところが、この大阪湾岸道路計画というのは、私はここにも資料を持ってまいっておりますけれども、神戸市の垂水区から大阪市の南港埋立地まで、泉佐野市付近までの約八十キロを内容としていま考えておられる。そうして、しかもこの一部分に対してはもうすでに建設は終了いたしております。しかし、四十三号線対策で、四十三号線の交通負荷というものを軽減することのために期待される道路だ、道路だと、住民に対してはいつも一つ覚えみたいにこの説明をされるのですが、私が先日、運輸の分科会で二十七日に運輸大臣に対して、大阪湾岸道路計画についての質問をいたしました。それは関西新空港との絡みで質問をしたわけでございます。そのときに運輸大臣は、こういうふうな御答弁をされています。「いわゆる湾岸道路と言われております阪神道路公団建設による高速道路でございます。これは現在のところ泉大津−神戸間の計画でございますが、これは有力なアクセスとして空港への延伸を当然計画をしていくべきだと思っております。」こう言われるのであります。つまり、関西新空港ができなければ、このことに対してはわからないとおっしゃるかもしれないけれども、空港と直結するアクセス道路である、こういうふうに運輸大臣はきっぱりおっしゃるわけですよ。  さあそこで、近畿地建からいままで西宮市に対して答弁として出されております文書、五十三年十一月十五日付の日付が振ってありますけれども、この中身を見ますと、大阪湾岸道路という問題については、「空港計画との整合性については同一レベルで村々に論ずることはできません。ただ、」「大阪湾岸道路は、空港と切り離しても当然必要なものと考えております。」と言っているのですね。そして、この大阪湾岸道路は、国道四十三号線の交通負荷を軽減するために期待されているということを切々と述べられているのです。これは、空港と直結するアクセス道路となると条件は違ってきますよ。大阪湾岸道路ができれば四十三号線の交通量はこれだけ減るという計算をして、しきりに宣伝されている。私の手元にもその数字はございますけれども、これは変わってきますね。建設大臣どうですか、だって湾岸道路が性格が変わってくるのですから……。
  343. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 私もさきに建設局を視察して、湾岸道路につきましても視察してまいったのですが、その折も空港との絡み合いで地元の方々から御質問を受けたときに、この湾岸道路は空港を想定して計画したものでないということをお答えいたしました。私もそのようにレクチュアを受けておりましたので、空港とは関係なく、御指摘の四十三号、阪神高速道路との関連で湾岸道路が計画されたものと私は現在まで承知いたしておりました。ただ、空港問題が出てまいりましたので、御指摘のように当然交通量の問題は再検討しなければならない時点になって、もしいまの計画の関西空港がそのままセットされるとするならば、やはりその時点で交通量というものはもう一度考え直さなければならない道路ではなかろうか、このように考えております。
  344. 土井たか子

    ○土井分科員 運輸大臣は、五十七年着工を目指して鋭意泉州沖をただただ専一に空港計画の予定地としてただいま作業を進めておられます。そうすると、その時点になってくると、交通量の計算も四十三号線に対しては変えていかなければならない、そういうことになりますね。もう目の前の問題ですよ。建設大臣、よろしゅうございますか。これは確認しておきます。また首ばかり振らないで……。
  345. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま申し上げましたように、当然調査を進めなければならない問題でありますし、空港関係につきましては、すでに阪和道等々については交通量調査に入ってございますので、あわせて関連して調査を進めるべきものと考えます。
  346. 土井たか子

    ○土井分科員 そういうことになってきますと、四十三号線の公害の移動発生源であるところの車の交通量からして、まず第一に大分状況が変わってくると言わなければならない。いま建設省がお考えになっている中身が変わってくるわけです。まずそれが一つ。  それから、先ほど来いろいろと質問の中でも申し上げましたとおりで、いままでの五十六年の推計というのも、いま四十三号線の実情に合ったものではないということがまた一つ。  そういうことからすると、大体よって立つ資料によって住民の方々に説明をしようとおっしゃっても、これはそもそもがちょっと無理な資料なのです。現状を十分に掌握して、被害の状況に対してもいろいろ調査検討された結果を吸い上げ、資料として生かして、しかもなおかつ誠意を持って説明しようという態度ではないのですから、そういう中で、時間のかけんもありますから私は申し上げたいのですが、阪神高速道路大阪−西宮線というものはいつ開通予定を考えておられるのですか。
  347. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの路線の開通見込みは、現在のところ、本年の七月中という予定をいたしております。
  348. 土井たか子

    ○土井分科員 いまのような状況のままで七月中に開通だけを急ぐというのは、建設大臣、ちょっと困りますよ。沿道住民の方々の中には、いまのようなことをもって説明と言われたのじゃ、われわれに対する説明にはなっていないという声が非常に強いのです。ひとつ七月というのにこだわらずに、もう一度初めから説明をし直すぐらいのつもりで住民の方々と話し合いをしてくださいませんか。これは建設大臣、あの辺の激甚状況というものは御存じかもしれませんけれども、ぜひ出かけていって、高速道路の開通というのは四十三号線と併用するわけですから、だからほかの国道の問題とは、環七が例としてよく挙げられますけれども、ちょっとわけが違います。そういうことからすると、開通を急ぐのじゃなくて、いま申し上げたように、住民に対してひとつ誠意ある立場、態度というもので建設省は臨む、こういうことからも七月の開通を見合わせてでも住民の方々との話し合いということをもう一度やってみる気にはおなりになりませんか。いかがです。
  349. 升本達夫

    升本政府委員 公団の要請、したがってまた私ども都市局からの要請、要望を申し上げさせていただきたいと思うわけでございますが、この大阪−西宮線の開通は、先生よく御承知のとおり、阪神間の重要な路線でございまして、一刻も早くその開通が待たれている大変大きな要望を担った路線でございます。そういう点から見まして、私どもといたしましては環境対策その他につきまして十分な配慮をし、住民の声をできるだけ吸い上げた上で対策を講ずるという前提のもとに仕事を進めさせていただいておるつもりでございますので、今後ともそういう配慮を十分いたしながら早期開通を図ってまいりたい、私ども要望、要請、われわれの気持ちを率直に申し上げますとそういうところでございます。
  350. 土井たか子

    ○土井分科員 ここでいろいろ要望を承っても私は納得するわけにはちょっといかないのです。だって、先ほど来申し上げておるとおり、検討された結果の資料一つ公表することをなさらないわけですから。そういうことからすると、わだかまりが残ってきた一方ですよ、いままで。  さて、その大阪−西宮線の阪神高速道路の中でランプウエーが幾つかある。具体名を言いましょう。西宮に池開町というのがありまして、ここにアウト、出口のためのランプウエーというのが建設される予定です。ところが、大変なスロープです。しかも、急降下の無理な設計がここになされて用地買収の点で難があったということもございます。住民の方々はただでさえ四十三号線の公害に悩み、そして今度はランプウェーのために二重に追い打ちをかけられる、被害を受けるということが予測されますので、いろいろとこれに対する予測値なども、あたりに対しての影響評価ということを含めて公団側と話し合いを進めていらっしゃるわけですが、まだ話し合いは決着をいたしておりません。住民の方々が納得をされない限りは着工はしないということをひとつ建設省側もはっきりここで確認をしておいていただきたいと思いますが、どうですか。
  351. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのランプにつきましては、おただしのとおり、現在まだ住民の方々と話し合いが進行中でございまして、着工に至っておりません。私ども並びに公団といたしましては、環境施設帯を住民の方々の同意の得られる範囲で設置をしながら対処してまいりたいという意図のもとに、目標のもとに努力をいたしておるところでございまして、私どもといたしましても関係住民の大方の合意を得て着工に至れるように公団を督励し、指導してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  352. 土井たか子

    ○土井分科員 四十三号線の対策については、そうすると、大阪湾岸道路の性格が変わることによって四十三号線の交通量も変わってくるということに対しましてまた別途対策を新たに考えていかなければならない、こういうことだと私は思います。そうでしょう、建設大臣。  そこで、ちょっと申し上げますが、先ほどの十二時間の調査の中には入ってこない大型車の問題が実はあるのです。夜間大変激増する。この大型車対策で警察の方もずいぶん御苦労なさったことも私は存じておりますが、なるべく高速道路を利用するように、という奨励も一時期あったのですが、実は通行料をどうするかという問題や、かえって高速道路を利用することのために振動が周辺に大変ひどくなるために、周辺の方々も必ずしもこのことをよろしいとはおっしゃらない、そういう問題があったのです。この大型車の対策についていま警察の方ではどういうお考えを持っていらっしゃるか。そして、建設省としては何らかの別途の大型車対策というものを考えていただく必要があるように思いますが、どうしたらいいか、何かのお考えがあるならいま出しておいていただきたいと思います。そして、質問を終わります。
  353. 広谷干城

    ○広谷説明員 大型車の問題につきましては、従来、この四十三号線におきましても速度規制でありますとかあるいは夜間の走行車線の減少なりあるいは過積載、スピードの取り締まりなりということに力を尽くしてきておるわけでございますけれども、今後とも必要に応じましてそういうふうな施策を講じていかなければならないのではなかろうかというふうに考えております。
  354. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先ほど先生お話ございましたが、交通量調査は十二時間一回ということじゃなしに、経年的にいろいろ調査もしておりますのを反映して三年にやっておるわけでございますので、その点はひとつ御信用をいただきたいと思います。  そこで、大型車の問題でございますが、四十三号における交通処理対策であるとか、それから利用者の啓蒙指導、それから高速道路を利用しやすくするような何らかの方策がないか、こういったことで大型車の利用を促進するのが望ましいと思いますので、関係方面とも十分協議してまいりたいと思います。
  355. 土井たか子

    ○土井分科員 終わりますが、大臣に一言。  いろいろ道路建設、これは、ために反対をするのではないのです。反対をしさえすればいいなんてことは、私はいささかも考えておりません。ただしかし、これは将来、四十三号線に対していま持っていらっしゃる建設省交通量というのが、湾岸道路の利用計画というものが変わることによって変わってくるのです。そういう問題もあり、しかもあそこは高速道路と併用されていて周辺に与える影響が非常に大きな地域だということも御認識の上で、この夏、大阪−西宮線、これは阪神高速道路なんですが、その高速道路供用開始することをちょっと先に延ばしてでも、住民の方々に対して納得できるまで説明をするということが大切だと思われますが、大臣としてはどうお思いになりますか。これは建設省としては後々問題ですよ。きょう、あすのことじゃない、二年、三年、五年、十年とたてばたつほど問題になると思う。どうですか。大臣として一言ください。そうして私は終えます。
  356. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 計画路線としての開通時期につきましては、ぜひ御理解をいただいて計画どおりさせていただきたいと思います。問題は住民の御理解、コンセンサスの問題であろうかと思います。ともあれ御指摘のような四十三号線の車に関連しての大きな問題につきましては、あわせて総合的にこれから対応して早期に解決するような方途で進めてまいりたい、このように考えますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  357. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で土井たか子君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺貢君。     〔岡田(利)主査代理退席、関谷主査代理着席〕
  358. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 まず最初にお尋ねいたしたいと思うのですけれども、ことしの一月二十二日に、閣議決定によりまして、新経済社会七カ年計画のフォローアップに基づいて昭和六十年度までの累積公共投資についての計画の変更があったわけでありますが、この計画の変更の概要についてお尋ねをいたしたいと思います。  特に公共投資の場合には、現在の生活基盤一、そして今日まで産業基盤二というふうに言われておりました。しかし、公共投資の性格からいって国民生活密着型の公共投資に変えていかなければならない。とりわけ六十年度に向けて雇用の拡大やあるいは深刻なスタグフレーションの中で内需をさらに広げていく、そういう立場からも生活密着型の公共投資に当然フォローアップの中でも検討がされて、そしてとりわけ人口急増地帯などの下水道やあるいは公園、都市河川の問題などに重点が入れられた計画の変更であろうかというふうに考えるわけでありますが、まずフォローアップによって公共下水道と流域下水道、つまり下水道の第五次五カ年計画の全体、それから二番目には第三次の都市公園整備計画、それから第四期の住宅建設、これは後ほどで結構ですけれども、下水道計画と都市公園整備計画概要について御説明をいただきたいと思います。
  359. 升本達夫

    升本政府委員 下水道がこれからの生活環境の確保あるいは公共用水域の水質保全のために大変必要不可欠な施設であるということは御指摘のとおりでございます。現在のところ、わが国下水道の普及率は本年度末の見込みで約三〇%という段階でございまして、国際的に見ましてなお著しく立ちおくれているという状況でございます。  そこで、おただしの来年度を初年度といたします第五次の下水道整備五カ年計画でございますが、五十六年度から六十年度までの五カ年間をもちまして総投資額十一兆八千億ということで第五次の五カ年計画を策定させていただきたいと考えているところでございます。この十一兆八千億の総投資額をもちまして、六十年度末におきまして人口普及率を約四四%まで高めたいということを目標といたして整備努力をいたしてまいる方針でございます。
  360. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そうしますと、昭和五十五年度の最終到達で普及率が三〇%、これは第四次の計画によりますと、総投資額七兆一千億円プラス予備費で五千億円、合計七兆六千億円で到達は四〇%である、こういう計画でございました。しかし、第四次全体を通じてみて結局のところ到達は三〇%であり、遂行された計画の総事業費が六兆八千四百三十七億円、計画の九六%になっているわけですね。ですから、そういう点から見ると、第五次の十一兆八千億円でほぼ四四%というふうに推計をされていらっしゃると思うのですが、ただ、この四次計画の遂行を見た場合に、資材の高騰であるとかあるいは公共用地の確保がきわめて困難であった。予算の規模は一定程度ふくれたけれども、事業総量としてはなかなか思ったように計画どおり進行できないというのが現状であったと思うのです。その点について第五次の展望を、またその策定に当たってそういう点を十分に御検討されてこうした数値を出されたのか、改めて御説明いただきたいと思うのです。
  361. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、現在進行中でございます第四次の五カ年計画の目標値といたしましては、この五カ年を終わり、五十五年度末をもって四〇%の普及率に到達したいということでスタートいたしたわけでございます。先生、先ほど七兆六千億とおっしゃいましたけれども、七兆五千億の総投資額になります。この七兆五千億の総投資額から四千億の予備費を除きまして七兆一千億の総事業費に対しまして、達成率は本年度末をもって九六・七%という数字になるわけでございますが、ほぼ一〇〇%になんなんとする事業費上の達成率でありながら人口普及率ではかなりパーセンテージが下回っておるということは、御指摘のとおりにいろいろな状況はございますが、やはり大きな要素といたしましては物価の値上がり、それから事業がかなり込み合った市街地内を進行していくということから、事業費の諸経費が、当初見込みよりはかなり大幅にかかる場合が多いということ、さらに処理場につきましては近隣住民の方々からのいろいろな御要請がございまして、いろいろな環境対策上の施設を必要とするような条件がございまして、事業費が当初予定どおり以上に必要となったという面がございます。しかしながら、それに加えて大きな問題は、いわばその投資の内容でございまして、処理場に重点を置いて実施をしてまいったケースが多うございます。それから、管渠というのは、御承知のように、かなりのところまで通じませんとこれが開通にならないという状況でございまして、投資額がイコール人口普及率にはね返ってまいらない面がかなり多分にございます。いわば先行投資というべき部分がかなり含まれているということを御理解いただきたいと思うわけでございます。  来年度からスタートいたします第五次計画におきましても、その点については十分配慮をいたしたいと思っておるわけでございますが、かなりの地域につきまして処理場の整備が進行しておりますし、先行投資部分が今度の五カ年間で生きてくるケースが多うございますので、第四次におけるほど大きな落差が結果的に出ることはないのではないか、われわれとしてはできるだけそういう落差がないような方向で整備努力をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  362. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 確かに処理場は大規模でございまして、私は中川流域下水道の処理場を見学したわけですが、最新の技術を駆使した、しかも広大な土地が必要であるということでは二曲理解することができるわけであります。しかし、地方自治体にしてみれば、とりわけ埼玉などは人口急増の地域でありまして、全県土の中の一六・九%が市街化区域ですね。この市街化区域の中に、五百四十万人口の中のほぼ七五%、四百万人を超える人たちが住んでおります。六十年を俯瞰しますと、人口は当初計画六百万よりふえて六百五十万以上になるのではないかというような推計が立っているわけなんです。  そういう中で県も市町村も大変な努力をいたしておりまして、たとえば先ほどの第四次の上位計画に対応してこの五年間、県、市町村全体では、たとえば流域下水道については総投資額千四百四十三億九千百万円、これは当初計画の一三三・七%、また公共用下水道については一千七百九億三千五百万円、これは当初計画の一四二・八%、これだけがんばって地方自治体も国の補助をいただきながら努力をしているわけです。しかし、処理人口の普及率の状況を見ますと、計画二八・二%に対しまして五十五年度末の到達は二四・三%ですね。相当努力をしていますけれども、なかなか人口の増加や需要に応じることができないというのが現状であります。  そういう意味で、第五次の五カ年計画の遂行に当たりましても、そうした積極的に流域下水道や公共下水道に取り組んでいる市町村の実態を十分に御検討いただき、また現実に人口の増加や、とりわけ埼玉県は首都圏であり、内陸部の人口の増加とあわせて内陸軽工業地帯として発展をしております。現在では鉱工業生産は全国の第六位という大変大きな比重を占めておりますので、そういう点からも下水道の普及は焦眉の急であると言わなければならないと思うのです。  そういう点で、県内の主要な流域下水道の供用開始の問題でありますが、荒川の右岸の供用開始のほぼ目安、それから荒川の左岸の北部ですね。さらに、中川流域下水道の供用開始の第五次五カ年計画での目安、同時に荒川左岸南部のいわゆる南部幹線を貫通させて芝川幹線につなぐわけでありますけれども、これは川口、浦和さらに大宮、上尾など最も人口の稠密な地帯の幹線でありますが、それぞれの幹線についての供用開始の目安を御説明いただきたいと思うのです。
  363. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの荒川左岸の流域下水道の北部処理区並びに荒川右岸流域下水道の二カ所につきましては、本年度末に処理開始の見込みでございます。これによりまして桶川市、和光市等六市町の供用が開始されることになるわけでございます。今後も鋭意その整備促進を図ってまいりたいと考えております。  それから、荒川左岸の南部処理区につきましては、おただしのとおり昭和四十七年度からすでに処理開始がなされておるわけでございまして、現在のところ構成市町村全部で八市ございますが、そのうち大宮、浦和市等六市で供用されているところでございます。今後も引き続き整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
  364. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 いまちょっとお聞きしましたのは、荒川左岸南部の芝川ですね、芝川幹線の、いま国鉄の下を通って川口に入っております南部幹線がずっと出ているのですが、これは最も人口の多い地域で、大変困難であり、地元住民の皆さんの御理解をいただきながら進められていると思うのですが、これが貫通して芝川幹線の供用開始になると思うのですが、この芝川幹線と、それから東部の地域の中川流域下水道、この二カ所についてはほぼいつごろの目安になるか、お答えをいただきたいと思います。
  365. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの荒川左岸南部処理区の芝川幹線に関連いたしまして、現在外郭環状線のところの用地買収がまだ未買収部分が二十数%ございまして、これがいまのところは来年度、五十六年中に直轄の方で買収をいたしたい、こういう予定のようでございますので、それに合わせて整備着工を図っていきたいというふうに考えております。  それから、芝川幹線の延長の方でございますが、これは確かに御指摘のようにかなりおくれておりますけれども、周辺の市町村の面整備、パイプの整備の進行に合わせて芝川幹線の整備も図っていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、中川流域下水道につきましては、現在中央幹線の管渠の築造、それから処理場の施設の建設の促進を図っているところでございまして、これも五十七年度末に処理開始に到達したいというふうに努力をいたしておるところでございます。
  366. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 これは第四次の年次計画もかなりおくれているわけでありまして、ぜひ第五次では芝川、さらに中川が確実に供用開始ができるように、予算の面においてもひとつ重点的な配分を考慮していただきたい、このように考えております。  この流域下水道や公共下水道の進行とあわせて、特に埼玉の内陸部の都市河川、とりわけ利根川、荒川という二つの大きな川にはさまれている地域でもございますし、河川改修の総合的な事業はきわめて重大であると言わなければならないと思うのです。昨年度から計画着工されております中川、綾瀬の総合治水計画について、特にこの流域の面積は九百八十キロ平米ありますし、埼玉の中心的な平野部でもございますが、この計画の遂行は全体としてはどのように進行されていらっしゃるか。
  367. 小坂忠

    ○小坂政府委員 中川、綾瀬川総合治水対策はどうなっておるかというお話でございます。中川、綾瀬川流域は、いま先生からもお話がございましたように、利根川の沖積平野でございまして、昔から農地としての利用が非常に活発に行われておったわけでございますが、最近東京のベッドタウンとしての住宅の増加とかあるいはいろいろな開発が行われておりまして、片一方では遊水区域がだんだん減少していく。いままでは遊水してもよかったところが、遊水しては困るようになるというようなこと、それからもう一つは、全体で保水機能がだんだんなくなっていくというようなことから、浸水被害が非常に出ておるわけでございます。そういったところに着目いたしまして、建設省で行っております総合治水対策という、その対象の河川に組み込みまして、現在その諸対策を進めておるわけでございます。  総合治水対策一つの柱は、何と申しましても治水施設の整備を促進するということでございまして、片一方、やはりいま申し上げました保水、遊水機能の確保をしていくというようなことから、流域内に協議会を設け、県、市町村等も含めましていろいろ御相談しながら治水対策を総合的に推進していくというようなことで現在進めておるわけでございます。  特に河道を整備いたします治水施設の整備につきましては、昭和五十五年度から中川、綾瀬川を、総合治水対策特定河川というのがございますが、それに指定いたしまして、おおむね十年程度で時間雨量五十ミリに対応できるようにしようというようなことで、治水事業の促進を鋭意図っておるところでございます。五十六年度はその第二年目でございます。
  368. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ほぼ十カ年計画で二千億円というふうな事業が設計されていくと思うのですが、こうした都市河川の整備の問題、あわせて、すぐ隣接しております川口の中心部を流れております旧芝川、局長さんよく御存じだと思うのですけれども、埼玉県内の都市の河川の中では最も汚れているというところでして、地元や県を含めて芝川のあの緑地化ということでは大変な努力をしているわけですが、この五十六年度から芝川の緑化事業に対する国の施策も、強い要望もございまして一歩前進したというふうに聞いておりますが、簡単で結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。
  369. 小坂忠

    ○小坂政府委員 芝川の治水施策はどうなっておるかということでございますが、ごく大まかに申し上げまして、芝川本川の問題とそれから川口市内の旧芝川の問題がございます。ただいま先生お話はたしか旧芝川の部分であろうかと思いますが、旧芝川につきましては、いまお話しのように、緑化を望む声も非常に強いということは承知いたしておりますが、その前に私どもの立場から申し上げますと、先ほど来申し上げておりますような非常に治水的に問題のある地域でございますので、この河道をやはり治水的に安全なものに仕上げなければならぬというようなことから、治水目的に合致した遊水地的な効果を発揮させるような河川にしなければいかぬというのがまず第一義でございます。  それから、それと並行しながら、いま市民の非常に強い御熱望がございますので、緑化ができるかどうかというようなことで現在最終的な絵を検討しておるわけでございますが、五十六年度からその事業に一部着手いたしたいと考えております。
  370. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 それでは、そういう点も含めてひとつ総合的な河川の対策を推進していただきたいと要望いたしたいと思います。  それから、先ほども触れましたように、埼玉県は人口の急増地域でもございますし、同時に建設省の地震観測所ですか、これが岩槻にあると思うのです。とりわけ関東平野、首都圏に隣接している地域は活断層が比較的多いというふうに調査の結果でございます。  そういう点で、防災対策を含めて公園緑地計画はかなり重要な施策であろうかと思うのです。埼玉県内の趨勢を見ますと、昭和三十五年には県土の八〇%がいわゆる緑地でした。しかし、昭和五十年には六六・四%、現在ではもう六〇%を切ると言われております。そういう点で、特に人口密度の高い都市部における都市公園の整備は急務だと思うのです。  これはちょっと具体的な問題でありますが、蕨市というところがございまして、これは全国一の人口の稠密な都市でございます。ここに大きな工場がありましたけれども、これが移転をするということで約五・二ヘクタール、工場跡地を公園にしたいという市あるいは県の要望などが出されておりまして、七カ年計画用地買収費五十億四千四百万円、さらに施設整備費二十七億六千万円という計画でこれを進めていく。これは一つの典型的な例でありますが、そういう自治体の公園化計画に対してひとつ国としての積極的な対応を要望したいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  371. 升本達夫

    升本政府委員 公園整備につきましても、来年度を初年度といたします第三次の五カ年計画を策定いたしまして整備の推進、促進を図ろうと考えておるところでございます。この計画につきましては、もろもろの要請の第一番の要請といたしまして大震火災時における避難地または避難路としての機能を有する都市公園、防災公園の整備、これを第一の目標に掲げておるところでございまして、五カ年計画の具体の策定に当たりまして十分御趣旨に沿うように尊重いたしまして、防災公園の整備を重点に施行してまいりたいと考えておるところでございます。
  372. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 次に、建設問題の幾つかの点についてお尋ねをしたいと思うのです。  とりわけ中小企業の倒産は、昨年大変深刻な不況の中で、昨年一年間で一万七千八百八十四件に達しております。この中で内訳を見ますと、業種別で特に多いのは建設業の五千二百二十二件、これは前年比九・五%の増でして、さらに建て売りなどを含めますと五千八百四十六件で全体の三三%を占めているわけです。  この要因はいろいろあろうかと思うのですけれども、特に資材高騰であるとかあるいは用地費の負担が高くなってきて、そして住宅建設も当初計画百五十万戸に対してほぼ百二十五万戸というふうに、せっかく消費者の住宅が欲しいということもなかなか実現できにくい、それが建設業界にも反映をしてきておるというふうに考えられるわけです。  そこで、去年の三月十三日に次官通達等で、インフレで資材などが上がった場合に、たとえば国の直轄など三%条項、足切り条項などはありますけれども、特別な措置がとられているわけです。その件数も、国の段階で約三百九十件六億九千万円、地方自治体にいきますと、去年一年間で、四月以降ですが二千百九十件十億九千万円。いろいろお話を聞いてみますと、この条項を請負契約の中の本文にしてほしいというような意見も非常に強いわけなんですが、いまの深刻な不況の中でとりわけ中小の建設業者が苦労しているわけでして、そういう意味ではこの通達等ぜひ弾力的な運用を図っていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  373. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいまお話のございましたように、昭和五十四年、五十五年は建設資材が異常に高騰いたしました。五十四年の春ごろから一〇%以上、五十五年の五月ごろがピークでございました。そういう異常な物価の値上がりに対処するために、一応現在の契約では、請負代金額が不適当となったときはスライド条項の適用がありまして代金額を変更することになっておりましたけれども、いま申し上げましたように、特に五十五年度におきましては、石油関連資材の価格高騰に対応するために緊急の措置といたしましていわゆる特約条項を実施してきたところでございます。  今後の資材の動向でございますけれども、木材とか小棒は反落をしておりますし、大分落ちついてまいったのではないかと考えております。しかし、やはりこれは十分注目して対処しなければいけないと思っております。  そこで、建設省におきましては、いままでの特約条項を一般化いたしまして、特別な事情によりまして資材の価格が高騰するような事態が生じた場合には、これに対応して請負代金額を変更し得る旨の規定を設けたらどうかということで、現在中央建設審議会におきまして御検討願っております。近く公共工事の標準請負契約約款を改正する予定でございまして、これに基づきまして所要の措置をとっていきたいと考えております。  そこで、この標準請負契約約款ができますと、今後はその適切な活用を図ることによりまして、資材の急騰に対しましても建設業者に多大な負担をもたらすことのないように十分気を配ってまいりたいと考えております。
  374. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 時間がありませんけれども、特に公共事業の関係などで業者に犠牲がないように、審議会の答申等もあろうと思うのですけれども、積極的な対応が欲しいと思うのです。  確かに最近合板や製材は若干鎮静化しておりますけれども、セメントは一月も二五・九%、生コンも一一・九%、こういう状況ですね。ですから、三%の足切りとかあるいは一年間推移を見なければということではなくて、ひとつ積極的な対応を求めたいと思います。  最後に、建設大臣お尋ねをいたしたいと思うのですけれども、三月十三日に経済関係閣僚会議が予定をされているというふうに聞いているわけです。特にこの中では金利の問題やあるいは公共事業の前倒しの問題が検討されるというふうに報道されております。物価も鎮静したとは言いながらも前年比ほぼ八%になるのではないかというときでありますが、そういう点で、この経済関係閣僚会議に対してひとつ建設大臣の方から——たとえば金利の問題でも、住宅のローンなど八・五二%、一千万のローンを持っておりますと利息だけで年間に八十五万二千円払わなければならない、月給の三カ月分ぐらいに相当するわけでして、そういう点を含めて金利問題、さらに公共事業前半期七〇%というふうにも言われておりますけれども、こうした公共事業の、とりわけ生活関連の事業の積極的な推進が必要であるというふうに私は考えております。  最後に、大臣答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。
  375. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 景気浮揚について公共事業が非常に波及的な起因を持っておるということは、先生御案内のとおりでございます。考えてみますると、経済環境における建設省所管の公共事業については、いま申し上げましたように、基本的に因果関係があるわけでありますが、私といたしましても、何とか公共事業を執行する上において十分な配慮のもとに、経済の浮揚を図り、それが雇用の安定にかかわり、また先ほど御質問がありましたように、中小企業、わけても建設業界の倒産の歯どめになるようなことを考えておるわけであります。ただ問題点として、公共事業の執行の面につきまして、日本の経済が国際的な中で非常に可変性といいますか、たとえば円の問題一つにいたしましても、国際価格が非常に動きやすいというような状況、あるいはオイルトラブル等々の問題がありまして、日本の経済情勢そのものが非常に変動しやすいというような状況でございますので、私たちといたしましては日本経済の状況の推移を見きわめながら、経企庁あるいは財政当局等も十分考えておられることと思いますが、それに即応するような形で対処し、この問題については十分な対応を図っていくものと考えておるところでございます。
  376. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で渡辺貴君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  377. 上原康助

    上原分科員 短い時間ですから、私は沖繩の地籍明確化作業の進捗状況と若干の問題点についてお尋ねをさしていただきたいと思います。  御承知のように、地籍明確化法が去る五十二年の五月に制定をされて、それからやがて四年を経過しようとしているわけです。きょうはまず開発庁と建設省の担当部門についてお尋ねをしたいのですが、たしか二十五・〇九平方キロが開発庁、建設省関係の担当になっていると思うのですが、現在の進捗状況また問題点はどういうところにあるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  378. 佐野厚

    ○佐野説明員 沖繩開発庁が担当すべき位置境界不明地域といたしまして二十五・〇九平方キロメートルになっておりますけれども、これを昭和五十二年度から計画的に明確化調査実施してきております。昭和五十五年度までに十九・四八平方キロメートルにつきまして明確化調査を終える見込みでございます。で、五十六年度におきまして、残る未調査地域五・六一平方キロメートルを実施いたす予定でございます。これによりまして、一通りの調査ができるということになるわけでございます。問題点といいますか、地主相互の合意によりまして境界を見出していく、こういうことになりまして、その話し合いがかなり難航するというところもございます。  そういう点で、現在、五十四年度までに着手した分についての数字でございますが、すでに国土調査法に基づく調査成果の認証が済んでいるもの、これが十・六平方キロメートルございます。なお、残りにつきましても、認証に到達するように目下努力を続けているところでございます。
  379. 上原康助

    上原分科員 そこで、細かい数字はいずれまた詳しくお尋ねをいたしますが、いま御説明がありましたように、二十五・〇九平方キロで一〇〇%になるわけですが、昭和五十六年度計画はたしか五・六一ですね。この五・六一は五十六年度までに全部完了しそうですか。そこいらの見通しはないのですか。残りますか、それとも残さぬで一〇〇%全部達成できるのかどうか。
  380. 佐野厚

    ○佐野説明員 これは実際に調査実施いたしております県の土地調査事務局とも調整をしながら出した数字でございまして、現地におきましても実行できる、こういうようなことになっております。
  381. 上原康助

    上原分科員 それで、この法律のその後の取り扱いはどうなりますか。
  382. 佐野厚

    ○佐野説明員 位置境界が明らかになりますと、実際の所有者、それからその上に建物を建てている現実の占有者、その辺の入り乱れた状況が出てまいります。その点を、今後は土地の売買ですとかそういうものによって調整していくという仕事がございます。
  383. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、それは法律は五十六年度きりでなくするとかいうことにはいきませんね。
  384. 佐野厚

    ○佐野説明員 説明をちょっと申し落としましたけれども、この調査は二年間にまたがって実施いたしております。たとえば五十六年度に着手いたしますと、そこでいわゆる明確化調査を行います。で、旧境などがわかって、その次の年に地籍法に準ずる調査というのを行います。それが終わった段階で権利関係の調整がございます。そういうスケジュールになっておりますので、二年間期間がございます。いままでも大体その二年間で最終的なところまでこぎつけているわけでございまして、残る土地につきましてもそういうようなスケジュールで進めてまいりたいと考えております。
  385. 上原康助

    上原分科員 念のために聞いておきたいのですが、この地籍明確化法は公用地法との関係ではどういうふうに御認識ですか。
  386. 佐野厚

    ○佐野説明員 沖繩開発庁が所管いたします位置境界不明地域につきましては、公用地の法律とは直接関係するものはございません。
  387. 上原康助

    上原分科員 そこで建設省にちょっと。  大臣でも担当局長でも結構ですが、いま若干開発庁から説明があったのですが、この沖繩の地籍明確化作業を進める段階においてどういう問題点があるのか、また建設省にかかわるものについてはどういう御認識で進めてこられたのか、御説明いただきたいと思います。
  388. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 境界不明地域におきます調査につきましては開発庁の方で主としてお願いをしておるわけでございますが、私どもは境界不明地域ができましたいきさつ等につきまして思いをいたしまして、この出ました結果につきまして建設省として対応できるものをなるべく早期に対応するようにいたしたい、こういう基本的な考えでいる次第でございます。
  389. 上原康助

    上原分科員 具体的な点はお答えないのですが、時間がありませんので。  特に、この法律制定の過程でも大変問題になったわけですが、法律の第二十二条の運用あるいは適用といいますか、解釈論は別として、運用、適用の問題。解釈せぬと運用ができないかもしれませんが、その二十二条との関連で政令の十二条が制定されていることも御承知のとおりです、この二十二条の考え方についてはどういう御認識なのか。これは簡単でいいですから。また、十二条の政令の内容についてはどのように運用してこられたのか、お考えなのか、ぜひひとつ御見解を明確にしておいていただきたいと思うのです。
  390. 山田哲朗

    ○山田説明員 ただいま先生からお尋ねのございました法律の第二十二条でございますが、これは位置境界不明地域におきまして、政令で定める公共施設の整備について、国が必要な財政措置を講ずるということを定めておるものでございますが、これを受けました政令につきましても、先生お尋ねのございました点でございますが、国道、県道あるいは市町村道のうち特定のものにつきまして国が財政措置を講ずるということを定めておるわけでございます。  この考え方でございますが、先生御案内のとおり、沖繩の市町村道のつぶれ地の問題につきましては、道路改修の場合の国庫補助等の例にならいまして、幹線市町村道を国庫補助の対象にするということでやっているわけでございますが、本政令の制定に当たりましても、道路事業につきましての国庫補助の体系でございますとかあるいは施設の性格等を勘案いたしまして、国道、県道についてはすべて国庫による財政措置の対象とする、それから市町村道につきましては、市町村道の見直しを行いまして可能な限り幹線市町村道への引き上げのできるものは引き上げるということを前提といたしまして、市町村の区域内の主要な集落を相互に連絡するもの等主要な道路網を構成するものについて国の財政措置をとる、こういうことを定めている次第でございます。したがいまして、これに基づきます運用といたしましては、幹線市町村道をこの政令の規定により指定して運用をしていくということにいたしておるところでございます。
  391. 上原康助

    上原分科員 いまあなたがおっしゃるのは一般論ですよね。一般論というよりも一般の市町村道の認定をどうするかということなんでしょう。これは建設省はどういうお考えを持っておられるのか。地籍明確化法と言わしていただくのですが、この法律ができたそもそもの発端というかスタートというのは、戦争によって沖繩の公図、公簿が全然ない、地籍が確定できない、混乱をしていたものを政府の責任で確定をするということがスタートだった。だから、この間から説明を聞いているのですが、皆さんの解釈というのは、一般の市町村道の認定と、この地籍法の二十二条あるいはそれを受けて制定された十二条三号の解釈を、その他のつぶれ地、市町村道のものと同一視しあるいは同格的に扱おうとするからこんがらがっているのじゃないか。私はそれは妥当じゃないと見ているのです。これはどうなんですか。そこは明確にしていただかないと困る問題なんです。  もちろん一般の市町村道の認定問題も大変重要でまだ懸案事項として残されておりますが、それ以上に、地籍明確化法に基づいて、法律が制定されて、条文化されて、政令が打たれているその解釈を拡大をして、一般のその他の市町村道と同じような解釈をしようとするところに問題解決が行き詰まっている大きな原因があると私は理解している。沖繩側もそういうふうな受けとめ方です。どうなんですか。建設省はどういうふうにお考えなんですか。
  392. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 この明確化法の政令十二条の御指摘がございましたけれども、十二条三号には、市町村道の要件といたしまして、主要な集落を相互に連絡するものあるいは主要な道路網を構成するもの、こういう市町村道が書いてあるわけでございまして、かつ建設大臣が沖繩開発庁長官と協議をして指定をする、こういうことになっておるわけでございます。  この要件はまさに幹線市町村道に該当するものということで、幹線市町村道をこの対象にする、こういう考え方でございます。ただ、先ほど沖繩開発庁から御説明がございましたように、そのために幹線市町村道の見直しを行いまして、一般市町村道から幹線市町村道の格上げをすでに考えているところでございます。
  393. 上原康助

    上原分科員 確かに政令の三号にはあなたがいまおっしゃるような前段がそう書いてありますね。「構成するものとして建設大臣が沖繩開発庁長官と協議して指定するもの」、だから建設大臣と沖繩開発庁長官が協議をして、必ずしも幹線とかそういうものじゃなくして、ここは認定した方が地域やそういうところにマッチしているだろうということについてはできないことはないのだよね。この法はそういうことでしょう。しかも、これは後ほど大臣の御見解を聞きたいのですが、この法律が制定をされて、しかもこの二十二条に基づく十二条の政令というのは一年有半にわたって皆さんもたもたしたのだよ。私はそのいきさつをよく知っている。同時に、公共物というか公共施設というものの解釈をめぐって、皆さんが、水路とかその他のものも公共施設ということに含めなさいと言うのだが、道路だけに限定をしてしまったのだ。これも問題。  そういう過程で、五十三年の七月の二十一日に当時の振興局長が沖繩の関係市町村長を集めて説明会をやっている。そういう中でこういうことを言っている。「一級、二級にとらわれず弾力的に考えていきたい。最終的な詰めは残っている。」いろいろ説明をして、「以上のように二十二条では市町村道全部が救済できる形になります。」はっきり言っているのですよ。会議録を皆さんとられている。さらに、それだけじゃないのです。ここが大事。私がいま言ったことと、「地籍の明確化の段階で判明すれば、その他のものについては、」——これは公共施設ですが、「その時点で政令を改正して入れるように検討したい。二十二条の内容は、建設大臣と開発庁長官が協議して指定するもので、一級、二級道路に限らず補助対象は弾力的に運用したい。」明確に言っているのですよ、建設大臣。  だから、沖繩側の市町村長さんというのは、担当の振興局長がこういうことで説明をした以上は、単に皆さんがいまおっしゃったような一、二級の幹線道路とかそういうことにとらわれずに弾力的に運用できる、したがって市町村の負担にならない形で国の責任においてこの地籍明確化はなされるであろうという前提で、今日までいろいろ難儀をして苦労なさって協力もしてここまで地籍明確化作業を進めてきたのですね。認定をしようという段階では一般市町村道と同等の解釈のもとにやろうということになると、これはもう一度混乱が起こりますよ。この点はもう少しお考えになっていただかないと、せっかくみんな集団和解方式とかいろいろ作業を進めてここまでやってきたのに、担当局長なり担当者が説明したものとは全く後退したような形でこれを取り扱うということに対しては、現地側も合点がいかないし、私たちも納得しませんね。どうなんでしょう。改めてのお答えをいただきたいと思います。
  394. 山田哲朗

    ○山田説明員 政令制定の前後でございますが、私どもの当時の担当局長等が現地へ参りましていろいろ御説明をしておるようでございますが、私ども理解しておりますところでは、当時の一、二級幹線市町村道にとらわれず見直しをいたしまして、引き上げできるものは極力引き上げるということで対処いたしたい、なおまた幹線市町村道以外のものにつきましても、地方財政措置その他も検討いたしましてなるべく地元の御負担を軽減するように努力したい、こういう趣旨で御説明をしていると理解をしておるところでございます。
  395. 上原康助

    上原分科員 その理解の仕方が食い違ったのでは困る。もちろんそのときにも、その他の一般市町村道の問題も説明されていますよ。その中にも、行った振興局長、いま総務局長ですからね、これは後ほどお尋ねしますが、私が言ったのと大体同じ見解ですよ。「地籍法と違うのはなぜかというと、端的に言って、地籍不明地域は沖繩以外にはない。」だから、この法律をつくったわけでしょう、地籍を明確化するということで。振興局長が、一般市町村道の認定問題と地籍法は違うのだという説明をやっているのですよ。「端的に言って、地籍不明地域は沖繩以外にはない。沖繩の特殊事情にある部分である。一般つぶれ地は沖繩の特殊事情できわめて多いというだけで、他県にもある相対的なものである。」だから、地籍明確化法に基づく認定道路というものは、通常言うところの一般市町村道の認定のやり方と同じ取り扱いをするのじゃなくして、それは弾力的に建設大臣と開発庁長官が協議をして決めていきますよ、市町村には負担をかけませんということを言ってきたんだよ。これを守っていただきたいというだけのことです。建設大臣、この件についてどうお考えですか。
  396. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 この問題について、私、経過をまだ熟知はいたしておらないわけでありますが、いま先生のやりとりを聞いておりまして、この特別措置法ができた時点を踏まえてこれはやはり早急に対処をすべき問題であろうと思います。もう戦後何十年もたちましていまだにこうした問題が取り上げられているということについて、私自身も大変意外に思ったわけであります。せっかくこの措置法ができておりますので、これは開発庁と協議をするということもうたってあるわけでございますので、この点につきましてなお前向きで検討さして、早く結論を出して対処してまいりたい、このように考えます。
  397. 上原康助

    上原分科員 ぜひそうしていただきたい。私は何もここでやりとりだけやろうと思っていない。ただ、経過が実際にそういうことになって、私もいろいろ調べてみて、こういうふうな説明書もあります、しかし実際は違うのだと。違っているわけですよ。それで、市町村長さんたちも非常に心外に思っているわけですよ、またもかと。またも政府はそういう仕打ちしかしないのかと、こうなりますよ。だから、いま大臣の方は非常に誠意のある御答弁でありましたが、しかも政令では開発庁長官と協議をしてと、これは建設大臣が主管ですよね。「建設大臣が沖繩開発庁長官と協議して指定するもの」だから、あなたの御権限で、こういういきさつがあるのだから、ここは一般の市町村道と同一視することではなくして、地域の負担というのが大きいから、しかも地籍困難を確定するという前提で法律ができたんだから、弾力的に運用して地域要望に沿おうじゃないかということを持ちかければ、私は解決できる、一〇〇%といかないにしても相当部分期待にこたえ得る問題だと思っておりますので、要望を込めていま質問を申し上げているのです。ぜひそういう趣旨を御理解いただきたいと思うのです。  そこで、具体的な面で、与那原町の問題なんですが、これは御承知のように、与那原町を九十一ブロックに分けてやったのですが、現在八十一ブロックについては認定手続をとっているようでありますね。しかし、御承知のように、集団和解方式でできずに、未合意の方々がいる。十五人ぐらいですかね、合意しない地主がいらっしゃる。そういうことで勧告をいまやっているわけでしょう、その部分については。勧告が成立しない場合は一体どうなるのですかということ、これは開発庁に質問です。  同時に、建設大臣、与那原町の場合ですと、これは全く所有権とかそういうものとは関係なくして、米軍が上陸をして、全部敷きならしてそこに荷役集積所をつくったわけですね。それが取り払われたときには、もう所有権とは関係なくして、割り当て土地でやったんです。だから、いまようやく三年がかりで地籍明確化なっているわけですが、相当御努力をいただいてさっき申し上げたような状況まで来ているわけですが、十四本の町道を認定してもらいたいということに対して、これまで合意というか、認定されそうなものはわずかに五本だというのですね。これじゃ、与那原町にとっては大変な負担にもなるし、何のためにこれだけ私たちは一生懸命協力したのかという気持ちになっているわけなんです。こういう問題についても、開発庁とも沖繩県ともよく御相談をしていただいて、ぜひ先ほどの御答弁のように、地元の期待を裏切らない方向で解決をしていただきたいと思うのです。この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  398. 佐野厚

    ○佐野説明員 御質問の第一点の勧告の問題についてお答え申し上げます。  いわゆる位置境界明確化法には、位置境界の確認は関係所有者全員の協議によって行う、こういうふうに定められておりますけれども、関係所有者のみでは話し合いがなかなかまとまらないというケースがやはり出てまいります。そういうことで確認の作業が進まないのも問題でございますので、これを客観的、公平な立場から勧告をする、こういう制度を設けております。この勧告につきましては、関係所有者からの申し出を受けて実施機関の長、具体的には開発庁の沖繩総合事務局長が行いますけれども、勧告の客観性、公平性を確保するために、あらかじめ沖繩位置境界明確化審議会の意見を聞いて行うと、こういうようなことになっております。このような公平性を保つ手続で出される勧告は、十分客観性、公平性のあるものでありまして、関係所有者がやはりこれに従うことが位置境界明確化の作業を促進する上で一番望ましいものだと考えております。私ども、沖繩与那原町におきましてすでに三件の勧告を行っております。関係所有者全員がこの勧告に従って確認が行われるように期待し、かつ、それに進むように努力を進めてまいりたいと考えております。
  399. 上原康助

    上原分科員 時間ですから、まとめて大臣の方からもう一度、いまの与那原町の認定問題を含めてひとつ御答弁をいただいて、私はこれで終わります。
  400. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 大臣からお答えをいただきます前に、若干細かいことを先に申し上げさせていただきます。  与那原町の幹線市町村道の格上げ等につきましては、県に選定を依頼いたしまして上がってきたものでございまして、ただいまあそこの不明地域内に十四本の市町村道がありますが、五本だけ幹線認定したというお話でございますが、実は私どもきわめて前向きには考えておるわけでございまして、幹線市町村逆の面積当たりの密度等を考えてみますと、極端に面積の狭い石川市などは別でございますけれども、与那原は最大クラスにはなっておるわけでございます。その辺でぜひひとつ、われわれも前向きに県とよく相談したという点を御理解いただければありがたいと思います。
  401. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 具体的な御質問があったわけでありますけれども、沖繩の特殊事情をよく配慮して、この問題については今後対処してまいりたいと考えております。
  402. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。
  403. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、五十二年に引き続きまして東京湾横断道路にしぼってお尋ねをしたいと思うわけでございます。  東京湾横断道路の計画は、昭和三十六年、いまから二十年前になりますけれども、構想が浮上してまいりまして、その後オイルショック等で一時凍結状態になったわけでありますが、その後第三セクター等による東京湾横断道路株式会社を設立するというふうなことまで話が進んだわけでございますけれども、五十一年から道路公団調査室が設けられ、事前の準備が進められているのが現状でございます。  一方、東京、神奈川、千葉、川崎市などの市長によります六都県市会議と申しますか、いわゆる首都圏サミットというものも何回か会議を開いて、首都改造問題等に係る東京湾横断道路計画を前向きに取り上げていこうというふうな動きでございます。一時凍結状態にあったこの東京湾横断道路がいよいよ実現に向けて動き出そうとしているときでございまして、まず最初に、関連道路網いわゆる東京湾環状道路あるいは東京湾岸道路等の整備と整合性についてお答えを願いたいと思います。
  404. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 東京湾横断道路につきましては、先生指摘のとおり、やはり周辺の道路網との整合性がきわめて大事なことかと存じております。中でも最も関連を有しますものは東京湾岸道路でございます。湾岸道路は百六十キロございますが、これが湾岸を取り巻いているという条件のもとでその真ん中をつなぐ、連絡をするということがきわめて意味のあることかと存じております。
  405. 吉浦忠治

    吉浦分科員 東京湾岸道路の中における東京湾横断道路の重要性というものは建設省の方でも十分お考えだと思いますが、現在、東京湾岸道路が、一般道路と高架道路と分けますけれども、一般道路の方が東京から千葉、木更津、この袖ケ浦のところでございますけれども、そこで奈良輪のところで一たんぶっ切れておるわけでございまして、そのあとまた君津の方にまた形として出てきて富津まで延びている現状でございます。このようにちょうどヘビのおなかみたいにふくらんだり細くなったりということでは用をなさないわけでございますが、その東京湾岸道路の見通しと申しますか、当初の計画現時点における進み方と申しますか、今後の取り組みというものをどういうふうに考えておられますか、お尋ねをいたします。
  406. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 湾岸道路につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、確かに木更津のいわゆる盤州の浜のところが抜けておるわけでございまして、これが全体として完結していない。それから、東京、神奈川側で申しますと、大井埠頭から先、これがまだ羽田空港の沖合い展開計画も進行中でございますし、これを含めまして扇島にわたる間がまだはっきり確定ができないという状況でございます。こういった残っております区間については私どもも鋭意検討を進めておるわけでございますが、特に木更津の盤州の浜につきましては、将来湾岸を埋め立てていくか、あるいは内陸部にいくかとか、いろいろ問題点がございますので、千葉県ともよく協議しながら、いま資料を集め、基礎的な検討をしているという段階でございます。
  407. 吉浦忠治

    吉浦分科員 道路局長はその面では大変造詣の深い方でございますので、その盤州のところ、いわゆる木更津の奈良輪のところで終わっているのを、海岸線に沿いまして、いま東京湾横断道路をつくろうと予定されております、その盤州の地点までの湾岸道路の延長というものは検討するとおっしゃっておられますけれども、本心その検討される事項にいまお考えでございますか。
  408. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 横断道路ができました場合、千葉の内陸に入ってまいりますと、将来の、いわゆる東関東自動車道の木更津線というものも内陸部にあるわけでございますが、これにつなぐというだけではとうてい用をなさない。たとえば長浦−木更津バイパスであるとか、こういった幹線にもつなぐ。それから、湾岸道路は、御承知のとおり、あれだけの断面で袖ケ浦まで参っておりますから、これを何とか南の方へ延ばし、富津の方へつないでいくことは当然必要かと思います。  そういう意味で、この抜けております区間連絡する方法につきましては私どもも前向きに検討いたしたいと思っております。
  409. 吉浦忠治

    吉浦分科員 大変前向きな御答弁で喜ばしいことでございますけれども、この小櫃川の下流のところのいわゆる東京湾最後の埋め立てというのがちょっとむずかしいだろう、富津の埋め立てが最後になるんじゃないかということが言われているわけです。これが可能であればこのところまで延びることもできるでありましょうけれども、その付近局長のお考えはどうなんですか。
  410. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 小櫃川の河口は、先生承知のとおり、最後に残された干がたということで、野鳥の類も相当集まるということが言われておるわけでございまして、私どもこの辺につきましては十分慎重に対応をいたしたいと思います。
  411. 吉浦忠治

    吉浦分科員 それから、先ほどちょっと答弁の中にありましたけれども、東関東自動車道路の木更津線の延長でございますね。現在千葉市の南の方で終わっておりますけれども、ぜひこれを延長していただいて、木更津のところまで延長したものが、今度は横に——ちょっと図で申し上げたいのですけれども。  ここのところからここへ来たものが、ここでぶっ切れている。横断道路はこちら側のこれですね。ですから、これがここでとまったのでは何も意味がないんで、これをここへ持ってこなければならない。この予定も全然なされていない。いま答弁の中には、こういうものも必要だとおっしゃるんだが、点線も何もない。この計画には一番詳しい局長がこういうことじゃ困ると思うのです。どうですか。
  412. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 東関東自動車道木更津線につきましては、すでに基本計画が出ておりまして、次の段階として整備計画に至る調査を進めているところでございます。もちろん整備計画を出す段階になりますと、やはりインターチェンジの位置とかいろいろなことも確定をいたしますので、関連道路の整備をどうするかということももちろん問題でございます。したがいまして、地方公共団体と十分詰めた上でないと、また逆な意味整備計画が出せないということでございまして、その辺は鋭意いろいろ協議をしているところでございます。
  413. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうなりますと、袖ケ浦から木更津のバイパスがいま進行中でございますね。とりあえずこの面を急いでいただきたい、こう思います。このネックになっているところ、いま障害になっているところは、話を聞きますと何か解決の見通しがあるということでございますけれども用地買収なりあるいはまた代替地の問題だろうと思いますが、そうなりますと、この木更津バイパスは完成めどというのは立っておりますか。
  414. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生御案内のとおり、袖ケ浦町の福王台、区画整理でやりました地区でございますが、ここで一部供用開始しておりますのと、それから木更津に参りまして、現道を広げました貝淵の区画整理地区、ここが広がっておるというだけの状態なのでございますが、五十五年度には清見台の地区で五百メートルほどさらに使えるようにいたしたいと考えておるわけでございます。用地買収も始まりまして以来、いろいろむずかしいところもございましたが、関係者の御協力を得るべく精力的に交渉をやっておりまして、まだ時期がいつごろということはちょっと申し上げられませんけれども早期完成を図るべく努力をいたしたいと存じます。
  415. 吉浦忠治

    吉浦分科員 いつかは申されないとおっしゃるけれども、いま進めておりますので、目安を立てて進めなければ、それはやはり無責任なやり方だと思うのですね。私ちょっと調べたところによると、五十八年度までぐらいに完成の予定だということですけれども、そういうおつもりですか。
  416. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 現道の混雑状態を見ますと、五十八年と言わず、さらに早くもしたいのはやまやまでございますけれども通常用地買収が完了いたしましてから工事にやはり二、三年というものはかかるわけでございますから、五十八年というのは若干希望的な年度かと思いますけれども、一生懸命努力をいたしたいと存じます。
  417. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうなりますと、私は、横断道路の完成を目指す環境整備が最大の条件であろう、こう思っているわけです。千葉県側だけでも困りますけれども、当面その千葉県側の問題を考えてみますと、湾岸道路の継ぎはぎみたいな言葉ではちょっと不適当かと思いますけれども、木更津のところから君津の一部は湾岸道路ができておりますね。それから、富津のところでいま埋め立てが今度始まっておりますが、このところは富津公園まで予定はちゃんとできているわけでございますね。いかがでございますか。
  418. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 延ばす予定はできております。
  419. 吉浦忠治

    吉浦分科員 こうなりますと、道路というのは、もう局長が一番おわかりでしょうけれども、一定のところまでは真っすぐ来て、そこでぷつっと切れて、別なところの道路からまた行って、また横に行って、それからまた横へ行って、また今度はつながるということでは、それは継ぎはぎ道路と言っていいかどうかわかりませんけれども、道路の意味をなさないと思うのですよ。やはり道路というのは流れが大事でありまして、交通事故だって、スピードに関係なく流れがとどまるところに事故が起こるというふうに統計上なっているわけです。そういう面で、いろいろな障害はありましょうけれども、できやすいところからつくって、できにくいところはなかなか着工できないというのでは、やはり道路問題は非常に重要な今後の問題だろう、私はこう思っているわけです。その辺の取り組みについて、時間もありませんので、ひとつその先の百二十七号線のバイパスの件をちょっとお尋ねをしておきたい。  それは木更津のところから恐らく館山に至るバイパスの中身だと思いますけれども、鋸南町の保田の一部と、それから館山の那古のところからの一部が予定にあるようでございますけれども、この百二十七号線のバイパスの見通しというのはどういうふうにお持ちでございますか。
  420. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 三カ所着手をしておるわけでございますが、南から申し上げますと、まず館山バイパスでございますが、すでに安房中央西部圃場整備区域というのがその中にございまして、ここは圃場整備とあわせまして用地買収を始めております。  それから、鋸南町の勝山−保田バイパスでございますが、これは先生よく御存じのとおり、実はもう十年になるわけでございまして、なかなか問題がございまして、土地も狭いところだものですから、まだ事業実施まで至っておりません。大変私ども残念でございます。  それから、木更津の方へ参りますと、君津の現道拡幅の子安という区間がございます。これは八キロほどございますが、区画整理とあわせまして着々用地買収及び工事実施している、こんな段階でございます。
  421. 吉浦忠治

    吉浦分科員 見通しの立っているところだけの答弁ではなくて、百二十七号線全体の見通しをどういうふうにお考えかということをお答え願いたい。
  422. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 将来的には、湾岸道路の整備、横断道路の整備等を考えました場合、いまの百二十七号は基本的には二車線しかございませんし、南総に向かう交通等の処理に対しまして、特に夏季あるいは潮干狩りのころの混雑が物すごくひどい、こういうことは十分承知しております。私どもは、将来全体的に百二十七号を館山までバイパスないしは現道拡幅で四車線でつなぎたいとは思っておりますけれども、いまとりあえずやっておるところのめどがつかない状態では、まだちょっと全線を申し上げる段階には至っておりません。
  423. 吉浦忠治

    吉浦分科員 次に進ませていただきまして、いまある程度はわかりましたけれども、首都圏機能の分散から見たところの横断道路の位置づけというものについてお尋ねをいたします。
  424. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 東京湾をめぐっております交通路をショートカットするような横断道路でございますので、東京を初めとする京浜地区に集中しております人口なり経済なりといったものが、適正に分散再配置されるという効果があろうかと思っております。
  425. 吉浦忠治

    吉浦分科員 首都圏の場合に、二千八百万の人口が集まっているわけです。四国ですらも四百万なりそこらの人口で、本四架橋を幾つもというふうなことが行政的な面で浮上したわけでございますね。一つの東京湾横断道路が二十年間も放置されている、放置というよりも浮かび上がってから今日まで期間を要している。特に建設省が四十一年から調査を始められて、しかも今度は道路公団の方に移管をなさって、これは五十一年からでございますからもうすでに六年、調査費も五億円、五億円、五億円、七億円、九億円、九億六千万と、これはことしの予定のようでございますが、このように調査費をおつけになって、今日までそういう重大な問題をいろいろ除去なさりながら、建設の方向へ持っていっていただくことは、大変私は感謝をいたしておるわけでございますけれども、首都圏の橋として、房総のこれからの未来を考えた場合にぜひとも必要な道路であるわけです。そのどこにネックがあって今日までこういう状態になっておりますか、その点をお伺いいたします。
  426. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 調査状況につきまして、いまお話しがあったとおりでございますが、実際に物をつくるとなりますと、東京湾、これは場合によっては大きな地震もあるかもしれないというようなところでもございますから、十分そういった点でも大丈夫であるような構造物をつくらなければいけない。ただ、十五キロ延長がございますが、地質をボーリングいたしましたが、五十五年度を終わりましてでございますけれども、まだ六本という程度でございまして、そういう面ではまだ調査が不足する。ただ、従来から長い間やってきておりますので、経済調査であるとかそういったものはそろそろまとめの時期に来ておるのではないかなというふうに思っております。
  427. 吉浦忠治

    吉浦分科員 どんな構造の橋をいま最終的に——最終というよりも現段階でどういう構造の橋をかけようというふうにお考えでございますか。簡単で結構でございます。
  428. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 川崎側、木更津側からそれぞれ橋で大分沖合いまで出しまして、そこにそれぞれ人工島をつくりまして、それから両人工島の間を沈埋トンネルで海の底にもぐらす構造をただいま考えております。これは大型船の航行等に対応する措置でございます。
  429. 吉浦忠治

    吉浦分科員 五十五年の二月、昨年の二月でございますか、ボーリングを川崎側を始められまして、その調査結果というのはどのような結果が出ておりますか。
  430. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 場所によってそれぞれ若干地質は違うようでございますけれども、最上層にきわめて軟弱なヘドロが大体三メートルから五メートル堆積をいたしております。その下層に粘性土を主体といたしました軟弱層が大体十メートルから四十メートルぐらいの厚さの幅でございますが、堆積をしているということが判明をいたしております。
  431. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうすると、人工島でその橋げたをつくる場合の危険度と申しますか、そういう見通しについての狂いはなかったのでございますか。
  432. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 もちろん、そういったことでかなり深いところまで軟弱層がございますので、人工島をつくります場所によりましては、下の地盤改良等をかなりやった上でないとこの地震時の安全性等が保てないわけでございまして、そういった調査研究も継続をいたしております。
  433. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうなりますと、特に東海大地震等のことが、いま周期に入っているとかいろいろ言われている。防災訓練等も行われているときでございまして、心配なのは地震だろうと思うわけでございますが、そういう防災に対するこの計画の変更なりというものは考えられたことがございましたか。または現時点で大丈夫だというふうにお思いでございますか。
  434. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 いろいろ先生方にお集まりをいただきます委員会を、建設省調査をいたしておりましたときから設けておるわけでございまして、ボーリングの結果等で判明しております地質等のデータをそれぞれ入れまして、地震時の安全性を確かめているわけでございます。現在までのところでは、いろいろな対策を考慮すれば地震時に対してもおおむね安全であるというような結論は得られております。しかし、なおボーリングのデータが不足しておりますので、もう少し調査を続けたいというわけでございます。
  435. 吉浦忠治

    吉浦分科員 ボーリングの方は川崎側だけでなくて木更津側の方もおやりになる予定でございますね。
  436. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 木更津側の方も予定はいたしておりますが、全般的に千葉側の方が地盤がよろしいようでございますから、その密度は川崎側より粗でよろしいのではないかと思っております。
  437. 吉浦忠治

    吉浦分科員 房総の開発と将来性の展望という点で、簡単で結構でございますけれども、どういうお考えをお持ちなのか。
  438. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 京浜地域と房総地域が、横断道路ができました場合は直結される。したがいまして、京浜地域にとりましても房総の広大な自然の空間が利用可能となる。それからまた房総にとりましては、半島という特殊性から来る過疎性、これからの脱却による計画的な発展も可能であろうか、こういった点が期待されるわけでございます。  具体的に申し上げますならば、房総地域の魅力ある中心都市としての木更津地区の発展がございましょうし、また、房総地域のすぐれた自然の利用による観光レクリエーション資源の開発がございましょうし、さらには、大都市市場への近接効果による農水産業の振興があろうかと存じます。さらに、場合によりましては、房総は水は余りございませんけれども、水を余り大量に使わないような非常に高度な都市型工業というようなものの発展の場合もあるかもしれない、このように考えております。
  439. 吉浦忠治

    吉浦分科員 四十八年からいろいろな調査の中で、東京湾横断道路アセスメント委員会というものが調査に取りかかったというふうな報告をされておりますけれども、どういう調査をなさってこられたか、簡単で結構でございますから……。
  440. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 何と申しましても、東京湾内に橋をかけ、それから二つの人工島を設けるわけでございますので、東京湾内の環境に及ぼす影響が私どもといたしましては一番心配でございます。そこで、湾内の水質に及ぼす影響につきまして、いろいろコンピューターを利用いたしましたりいたしまして検討を進めているわけでございます。だんだん予測精度を上げていきたいと思っておりますが、粗い検討の結果では、まあそれほど大きな影響はいまのところなさそうだという結果が出ておりますけれども、精度を上げ、さらに、ただいまのところ、東京湾横断道路海洋生態調査委員会といいますものを道路公団の方でつくりまして、湾内の生物であるとか生態系の実態調査も進めてまいりたいというふうにしておるわけでございます。
  441. 吉浦忠治

    吉浦分科員 今日まで、調査室の方でいろいろお仕事を進めていらっしゃる中で、地元の、私、千葉県の方ばかりを申し上げているわけですけれども、木更津市あるいは君津市等のいわゆる横断道路の中心になるようなところの地元、そういうところとの打ち合わせはどのような進め方をなさって今日まで来ておられるのか、その点をちょっとお尋ねいたします。
  442. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 これまでも関係自治体等とは極力接触をするようにいたしておりまして、意見交換を行うとか、あるいは先ほど来申し上げておりますようないろいろな委員会どもつくっておりますが、こういったところで御意見を述べていただくとか、それから調査のある程度中間報告がまとまりました段階でこれを御説明するとか、そういった接触をいたしております。ただ、まだ事業化が具体化するというような時期ではございませんので、たとえばそれぞれの地域に参りまして、直接地元民の方々に御説明をするというようなところまではまだ早かろうと思っておるわけでございます。今後も、調査の進展に応じまして、やはり関係自治体を中心といたしまして十分お話し合いを進めてまいりたいと思っております。なお、五十二年九月には、両岸におきまして住民の方々にアンケート調査をいたしたような例もございます。
  443. 吉浦忠治

    吉浦分科員 最後の質問でございますけれども大臣、ちょっと最後にお答え願いたいのですが、千葉県側とそれから神奈川県側、まあ東京も含めますけれども、やはり両方の機運が盛り上がりませんと、なかなかむずかしい問題だろうと思うわけです。ですが、民間団体の方も、こういう問題に真剣に取り組んでいるところもございます。たとえば千葉地域科学研究所というふうなところも、民間でアメリカのサンフランシスコ等に何回か出向いて相当調査をしている向きもございますし、この東京湾横断道に真剣に取り組んでいる団体もあるわけでございます。そういう民間の啓発等も、やはりこれからおやりになってもいいんじゃないか。それは官庁と民間は違いますけれども、意見をお聞きになったり、意見の交流等もあってもしかるべきではないか、こう思うわけです。  いずれにしましても、住民の盛り上がりというものがやはりこれから大事じゃないかというふうに考えるわけでございますが、PRと言えば簡単でございますけれども、そういう面でも十分地元と話し合いをしながら、神奈川県側にもPRをし、両方とも相まってその横断道の建設が成りますように、私は建設省主導型でおやりになってもいいんじゃないか、こう思うくらい、やはり将来を展望される場合には必要ではないか、こう思うわけでございます。大臣、その決意のほどを最後にお答え願いたい。
  444. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 東京湾横断道路の構想につきましては、四十一年から発想が起きて、調査段階に入っているということであります。御案内のように、延長十五キロという、世界的にも初めてのことでありましょう。しかも、東京湾という、首都圏はもとより千葉、房総にかかわる大きな、大変革をもたらすような構想でありますだけに、所管省としても慎重に現在まで経済環境とか、いわゆる環境そのものずばり、あるいはそれによって起こるであろう変化についての調査、特に地質の問題、海流の問題から、先生指摘の地震の問題、ありとあらゆる問題について取り組んで進めておるわけであります。  これは省庁として、役所の立場で進めておるわけでありますが、先生の御指摘は、こうした大きな問題であるので、民間についての啓発と民間からの盛り上がりを期待ということであろうかと思いますが、これはもうわれわれ役所でやるということもさりながら、やはり地元の方々が、これによって千葉県、房総関係は一変してしまいます。もちろん神奈川県の方もそうでありましょうけれども、これはやはりわれわれが指導するということよりも先に、これだけのものが相当熟知されてきておりますので、民間関係の団体もみずからもってひとつ盛り上がるような形で、われわれのしりをたたくぐらいの意欲を示していただいた方が、もっと早く実現に向かっていくのではなかろうかと思います。さりとて、われわれが民間の方方のPRということについて等閑視するという意味ではございません。もとより、行政の面から御案内を差し上げて地元の方々とのコンセンサスを得ることは当然のことながら、両々相まってこれだけの画期的な問題について取り組まない限りは、私はなかなかこの問題は実現への道ほど遠しというように考えるわけであります。大規模構想であればあるほど、関係諸団体はもとより、われわれも心して、十分な調査の上、事故のないように早期に実現方を図ってまいります。あわせて、いま御指摘のような形で、民間とも十分話し合い、協調し、盛り上がりを待ちながら、両々相まって、早くこの首都圏を含む神奈川、千葉、房総を含めての大構想に向かって進みたい、このように考えるものでございます。
  445. 吉浦忠治

    吉浦分科員 どうもありがとうございました。
  446. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田之久君。
  447. 吉田之久

    吉田分科員 最初にお伺いいたしますけれども建設省専門委員という存在がございますね。これは、どの法律に基づいて任命されるものであり、またどんな仕事をなさっているのか、それから現在何人ぐらいいらっしゃるのか、その辺からお伺いいたします。
  448. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 建設省の専門委員は、建設省内部部局組織規程、これは昭和二十七年の建設省令でございますが、これに基づきまして設けられたものでございまして、現在二十二名おります。  仕事といたしましては、その二十二名の方々は必ずしも建設行政一般についての専門家だけではございませんで、たとえば地震の専門家であるとか、あるいは建設業の専門家であるとか、あるいは海外建設行政の専門家であるとか、いろいろ専門分野が分かれておりますから、一堂に会して会議を行うというようなことではございませんで、必要に応じましていろいろの御意見を承る、このような運用をいたしておる次第でございます。
  449. 吉田之久

    吉田分科員 その二十二名のうち学者が何名であるとか、いろいろその辺の分類をもう少しお話しください。
  450. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 二十二名の内訳を簡単に申しますと、元国会議員が七名、建設省出身者が六名、学者、弁護士、マスコミ出身者等が九名ということになっております。
  451. 吉田之久

    吉田分科員 その元国会議員の七名というのは何党に属される方々ですか。
  452. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 私、政党のことはよく存じませんが、拝見いたしますと自民党の方だけだと存じます。
  453. 吉田之久

    吉田分科員 ちょっと大臣にお聞きいたしますけれども、いま申し上げましたとおり、そしてお答えがありましたとおり、この建設省専門委員、それはいろいろとそういう専門的な検討をしていただく制度として私はそれ自身を否定しないわけでございますけれども、その中にいまも七名の自民党に属すると思われる元国会議員がいらっしゃる。私どもの認識では、自民党のしかるべき衆議院、参議院の議員が落選されると間々この委員に就任される。そういうことでございますと、これはいかにも自民党だけの、しかも国会議員の落選中の一つの肩書きを付与する、そういう便法に使われていることになりはしないか。また一般的には、建設省専門委員と、なかなかに権威ある肩書きでございますから、やはり万般にわたり相当な見識を誇り、また相当な発言力を持っておられるものだと想像するのは間違いではないと思うのです。  そういういわば浪人中の政治家が、そういう肩書きによっていろいろと立ち居振る舞いをなさり、かつまた業者がかなりそういう人たちに頼っていくという傾向、それは当然あり得ると思うのです。何かそういうことが、こうした政界あるいは個人とその業界との癒着の始まりになりはしないか。何かこう余り愉快でない、さわやかでない、そんな感じを私どもは抱いているわけでございますが、大臣はいかがお考えでございますか。
  454. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 建設専門委員の制度が創設されて三十年たつわけであります。その間、建設行政についてそれなりに卓見をいただき、非常に寄与しておったということについては事実であろうかと思います。たまたま行政改革等の問題から、昨年来専門委員について大分御指摘が多うございます。それにつきまして私もいろいろと過去の歴史を見ながら、現況と比較してこの問題については取り組んでまいっておるわけであります。たまたまと申しますか、過去の経緯からいま御指摘のような方々が委員になっておるということも事実でございます。  そうしたことを勘案いたしまして、先ごろも先生からの御指摘もございまして、三十年たつとこういうような誤解があって御本人にも御迷惑をかけてもいけない、われわれも建設省としてそうしたことから誤解を受けてもならないというようなことから、何とかこの制度につきましては見直す時期ではなかろうかというようなことを考えまして、先ほども見直す方向で検討するということを御答弁申し上げたわけであります。  せっかくの善意でやったことであろうかと思いますが、そうしたことで御懸念をいただき、御指摘いただいたことについて大変遺憾に思うところでございまして、ぜひこの問題につきましては、人事の問題でもございますので、あわせて業法の問題等を勘案しながら対処してまいりたい、このように考えるものでございます。
  455. 吉田之久

    吉田分科員 いま大臣の御答弁を聞いて、私どももそれでいいと思いますが、早急に、建設省の権威のためにも本当に残すべき専門委員は残していただく、それから、世間からあらぬ誤解や疑惑を招くような、そういう政治家が一時的にその専門委員に就任するということは、この際、後を断たれるべきではないかということを強く申し上げておきたいと思います。  その次に、建設業法について御質問をいたしたいと思うのです。  この建設業法は、建設業を営む者の資質の向上あるいは建設工事の適正な施工を確保するため、また、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進するためにつくられている法律だと思うのです。そういう観点から見ますと、いまたくさんの日本庄宅公団がつくった住宅団地があります。あるいはその他公営の住宅団地もございます。そういう団地の営繕を業とする人たちは、こういう社会の変貌の中でこれからきわめて必要な業種として存在してきていると思うのです。この業種の人たちを特別一つの新しい業種として、専門職種の中に追加すべきではないかという考え方を私は久しく持っているわけなんです。  ちなみに現状を申しますと、たとえば住宅公団の指定工事店に属する人たちは土木一式工事、建築一式工事は当然持っておりますけれども、同時に、大工工事、左官、石、屋根、電気、それからタイル、れんが、ブロック、あるいはガラス、塗装、防水、内装仕上げ、建具、あるいは水道施設工事というような多面にわたる専門職種の許可を持たなければ営繕業種として完全を期していくことができない、こういう仕組みになっているわけでございます。  しかし、大臣承知のとおり、こういう職業の方は、たとえば防水だけでありますとか電気工事だけでありますとか、そのことにきわめて深く専門的にかかわっていくというよりも、むしろきわめて多角的に、一応あらゆる仕事に精通している、そういう職人がいま必要とされていると思うわけなんです。したがって、時代の変化とこの業法の規定とが私は合わなくなってきていると思うのですね。こういう点につきまして検討されるお考えがあるかどうか、まずその辺をお伺いいたしたいと思います。
  456. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいまお話しの住宅の舗修、修繕工事建設業法上の建設工事に該当いたしますので、それを請け負うことを業とする者は、軽微な工事のみを請け負う者を除きまして、建設業の許可をとらなければならないことになっております。しかし現実には、一般に補修、修繕工事は請負代金額が二百万円未満の軽微な工事が多い。また、建築工事につきましては六百万というような規定がございますけれども、そういうふうなことで、補修、修繕工事だけの請負工事をやるような場合は許可が不要な場合が多いわけでございます。  それで、許可を必要とするような大規模な補修、修繕工事を請け負う業者につきましては、たとえば住宅等の補修、修繕でございますと、建築工事業とか大工工事業の許可をとることが必要でございますけれども、その許可を持っておれば、いま申し上げましたような大規模の補修、修繕もできることになっております。  それで、現在のところは、直ちにこの新しい業種を追加する必要があるのかどうか問題であると思われますけれども、いまお話しのように、現行の二十八業種ができましてから十年近く年月を経ておりますし、この間、御指摘の補修、修繕以外の業種につきましてもいろいろ御要望、御意見等もございますので、私どもとしましては、今後機会を見まして中央建設審議会におきまして、業種追加の必要性とかその範囲等について検討をお願いして対処してまいりたいと考えております。
  457. 吉田之久

    吉田分科員 機会を見てというのは、大体どのくらいの期間を置いてということにとればいいのでしょうか、  それから、たとえば日本住宅公団の空き家補修なんかを業としている人たち、もちろん、その他住宅公団からいろいろ請け負う他の仕事もあわせてやっておりますけれども、そういう場合に、たとえば土木一式工事と建築一式工事のほかに、大工工事とかその程度さえあれば全部請け負う資格を持つのでしょうか、どうでしょうか。
  458. 宮繁護

    宮繁政府委員 いつ検討を始めるかというお尋ねでございますけれども、実は、中央建設審議会におきまして、ただいま当面の緊急課題といたしまして、標準請負契約約款の改定問題とかいろいろなことも御審議いただいておりますので、それらの重要課題の審議の仕上がりぐあい等を見まして、近い将来検討していただきたいと考えております。  それから、住宅公団等につきましても、いま申し上げましたような大工工事あるいは建築工事業の許可を持っておりますれば、当然修繕等について請け負うことは可能でございます。
  459. 吉田之久

    吉田分科員 その修繕が非常に小さく割って請負をされる場合はいいわけなんですけれども、それが非常にまとまっていく場合には、とても二百万やそこらの金額にはならないと私は思うのですね。したがって、私がきょう聞いただけでも、それぞれの業者が大体まず十種類ないし十五種類のそういう許可を得て、そしてようやく業者として立ち振る舞っておる、そういう実態のようでございます。  しかも、それはもちろん十年以上の経験者とかあるいは技術者を持っておればその資格を得ることができるわけでございますけれども、同時にその仕事の性格上、こういう万般の種目にわたって絶えず仕事が続いてくるというものではないと思うのですね。三年ごとの更新の際に、こういう仕事を全然請け負ってないからこれはもう資格を失うのだということで、また削り落とされていく。しかしやはり、いつでもどのような仕事にも対応するためにはということで、またそれぞれ資格取得しようと業界の人たちはなさっている、こういうことが続いているわけであります。  私は、近く機会を見ていろいろ見直し、また追加、そういうことをなさることは非常に結構だと思いますけれども、これからきわめて重要な一つの職種として登場してくるこの補修、修繕と申しますか、あるいは住宅営繕工事と申しますか、そういうものをぜひ新しい一つの分野としてしかるべき制度を検討し、そしてその資格を保持している人たちに対してはその資格を与え、業を営むことができるようにしてやるべきではないか。いつまでもこのように非常に小刻みに分類いたしておきますことは、あたかも一個の独立した企業として発展していくことを阻んで、何か下請や孫請に甘んじさせるような仕組みにたまたま相通ずる形式になっていることを私は心配するわけでございます。その点ひとつ早急に積極的な御検討をいただきたいと思うのです。  それから、実は、この十月一日に行政改革の一環として発足予定の日本住宅公団と宅地開発公団とを統合した、いわゆる都市整備公団、そのことの誕生は大いに期待されているわけでございますけれども、実は昨年の五月六日にその新しい公団の業務内容のあらましとして、団地サービスへの指導を強化するとともに、競争原理を導入し、広く他の民間業者の育成、活用を図るということが新聞等で発表されておりまして、私は非常にいいことだと考えているわけでございますけれども、こういう、これからますますいま申しましたように公団住宅の修理、営繕ということが必要となってまいりますこの時代において、しかも入居者に対するサービスあるいはせっかくの国の財産でありますこういう財産が、長期にわたってきわめて快適な住宅としての内容を保持するためには、やはりこうした営繕業者が非常に活力に満ちて、かつ競争原理が導入され、その業界も発達し、また住民に対しても十分なサービスができるということは非常に重要なことだと思うわけでございます。この点につきまして、発足もだんだんと近づいてくるわけでございますが、現時点においてどのような考え方をお持ちになっているか、お伺いいたしたいと思います。
  460. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅公団住宅の修繕工事につきましては、一般的には小規模でございまして、また現に居住者の方々がいらっしゃるというような中での工事であるということから、従来いろいろな状況の中で団地サービス株式会社を設立いたしまして、住宅管理の円滑化を図ってまいったところでございます。また二回、公団といたしましてはこれらの住宅の補修、修繕工事につきまして民間事業者の方々の登録指定工事店制度を設けまして、団地サービス以外の民間の方々に保全工事実施していただいているところでございます。今後住宅公団と宅地開発公団が統合して新しい公団になりました場合におきましても、相当数に上る住宅の管理につきましては、その適切を期するという観点、また民間の事業所の方々の発展ということも必要でございますので、今後ともこれらの民間の方々の御協力を得まして、その維持保全が円滑に行えるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  461. 吉田之久

    吉田分科員 いまそういう趣旨にのっとりまして、全国にもそういう営繕業を主とする指定工事店のグループがそれぞれ保全連合会というようなものをつくってお互いに研修に努力し、またいろいろ業界の発展のためにがんばっているわけであります。しかし、地域的に見まして、現在東京と関西だけに限られていると申しますか、多く存在しているのがその両地域だけでございます。関東、すなわち神奈川、埼玉、あるいは中部とか九州の方はほとんど団地サービスが主体となって営繕を営んでおられるというふうに承っております。いまおっしゃるとおり、そういうより民間の競争原理を導入しながら完璧を期していこうとするならば、全地域にわたってそういう業者の保育成、指導を図られますことは大変大事なことではないかというように考えるわけでございますが、この点いかがでございましょう。
  462. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 おっしゃるとおり、東京あるいは関東などに比べまして中部、九州の支社の管内につきましては登録指定工事店の数が少ないという実態にございます。これは御案内のとおり、住宅公団の管理しております住宅の戸数が他の地域に比べて比較的少ないことから、工事契約件数等が少ないといったようなことのためもあろうかと考えられます。しかしながら、また一面技能、施工の能力というものを考えまして、それらの力のあります民間事業者につきましては、今後ともその活用を図るよう、これらの登録を積極的に行って運営の円滑化を期するよう住宅公団を指導してまいりたいというふうに考えております。
  463. 吉田之久

    吉田分科員 結構でございます。  では次に、奈良の第三十九回国体が五十九年の秋に開かれますことで、道路局長を初め皆さんに若干の要望を申し上げたいと思うのです。  御承知のとおり奈良県は平たん部が非常に局限されております。しかも、そこにほとんど人口が密集しているわけでございます。したがって、今度の国体も、その平たん部の各地域に競技場あるいは宿舎も散らばった形で開催していかざるを得ない、そういう現状にあると思うのです。ところが、局長もよく御承知のとおり、奈良県というところは道路の整備、開発が大変おくれているところでございます。それは何も県や市町村が故意におくらせたわけではなくて、いわゆる古文化財とか埋蔵文化財が大変多うございまして、したがって、いろいろなバイパスをつくろうとしても、新しく道路を新設しようとしてもほとんどストップがかかってきておる現状でございます。しかしながら、この五十九年の国体はもう待ってくれないわけでありまして、そういう点で県当局も大変焦りを感じているような状態にございます。しかも、ここに来て今年度あたりから大変緊縮財政でございます。物価は上がっていく、予算値むしろ減っていく。だから、五十九年までにそうした道路交通体制が受け入れ条件として果たして完備するかどうかという点が私どもも非常に心配なのでございます。こうした特殊な状況を御賢察いただいて、今後いろいろ御配慮をいただかなければならないと思います。その点について、今日現在の建設省のお考えを伺いたいと思います。
  464. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生指摘のように、奈良は千四百年前からの歴史があるわけでございますので、いろいろ文化財の問題等がございまして、なかなか道路をすぐつくるというわけにまいらないわけでございますけれども、国体に必要なもの、特に交通渋滞のはなはだしいような区間のバイパス等といったものについては、何とか必要な最小限の区間だけでも完成をしたいと思っております。  用地買収等でまだいろいろ問題になっておる個所がありますこと、それから例として申し上げますならば、橿原バイパスの近鉄の横断個所はアンダーで考えておりますので、どうしても文化財の調査が先行しなければいけません。こういった点については、奈良県教育委員会の方にも私どもの方からお願いをいたしておりまして、その辺、時期に間に合うように努力をいたしたいと思っております。
  465. 吉田之久

    吉田分科員 それで、特に具体的に、たとえば国の直轄事業として国道二十四号線の奈良バイパスの残事業、これが下三条から大和郡山市の伊豆七条間を四車線化することで四千五百五十メートル、それから日ごろ特に渋滞おびただしい橿原周辺、したがって橿原バイパスとして、田原本町の十六面というところから橿原市の曲川に里を暫定二車線化、延長五千七百四十メートル、それから国道百六十五号線大和高田バイパスの整備、この辺は何としても五十八年度末までには完成しなければ、国体に重大な支障を来すのではないかと思うわけなんですが、このことに関して道路局長として何とか間に合わせるおつもりかどうか伺っておきたいと思います。
  466. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 二十四号線の橿原バイパスについては、先ほど申し上げましたように最小限の区間として主要地方道の桜井−田原本−王寺線がございますが、これから橿原市曽我までの区間を五十九年の国体に合わせたいということでいま進めております。  それから奈良バイパスでございますが、これも四車線になっておりませんのが奈良市の市道九条線から南でございまして、横田で現道とぶつかって合流をして、さらに南へ参りまして西名阪の郡山インターまでの間、これが問題になろうかと思います。この間、郡山インターまで四・六キロを四車線に拡幅整備することを考えております。  それから大和高田バイパスにつきましては、過日一部分が開通をいたしておりますので、柏原バイパスとは直接はまだつながってはおりませんけれども、市道等を利用して通過できるようなことを考えたいと思っております。
  467. 吉田之久

    吉田分科員 それから、その他地方道もいっぱいございまして、その辺の促進のために用地取得が先決でありまして、そのために用地国債を準備しなければならない。五十六年度に十四億七千三百万円を県としては要望しているわけでございますけれども、この点の見通しはいかがでございますか。
  468. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 やはりこういった仕事を進めてまいりますためには、用地の国庫債務負担行為は必要だと思います。ただ、国庫債務負担行為は、一般論といたしましては、地価が非常に高騰する場合とか、移転を要する物件が多数建設されて後では取得が困難な場合ということでございますので、そういった条件にも該当しなければいかぬかと思いますが、該当するものは国庫債務負担行為を積極的に利用いたしたいと思います。しかしながら、後年度におきまして若干の予算負担が生ずるものでございますので、その辺の兼ね合いを考えながら進めてまいりたいと思っております。
  469. 吉田之久

    吉田分科員 おっしゃるとおり、地価が高騰する場合等を懸念してこの種の国庫債務負担行為の措置がとられているとは思うわけでございますけれども、同時に、こういう低経済成長下における国体のような年次別事業、どうしてもその時期にはやらなければならないという問題等につきましては、ぜひ国庫債務負担行為を積極的に導入することによって、その実現を期していく以外に方法はないと思うわけであります。いろいろと、特にその辺で集中的な配分を考慮していただく以外にないのではないかと思いますので、よろしくお願いをしておく次第でございます。  それから、最後に、地価の高騰が非常にいま国民の中で問題になってきております。しかも住宅地を求めるニーズというのはますます強くなっている情勢にあります。しかも一方において景気が非常に落ち込んでおります。私どもはこういう状況の中で、この際、市街化調整区域というものを大胆に見直すことによって、そしてその必要なところを市街化区域に編入していくこと、それはいろんな国家政策の点で時宜に適したことになりはしないかということを考えているわけでございます。そういう点で、昨年の九月十六日に通達を出していらっしゃいますけれども、この通達を出すに至った背景と趣旨は何であるかということをこの際改めて伺っておきたいと思います。
  470. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのとおり、昨年の九月十六日付でございましたが、都市局長通達をもちまして線引きの見直しの通達を発出いたしました。市街化区域、調整区域の区分けの都市計画、いわゆる線引きは、御承知のとおり昭和四十三年の新都市計画法に基づいて実施をいたしてまいったわけでございますが、その後における運用状況を見ますと、制度創設の目的は逐次達成されつつあるものの、一方、市街化区域内において必要な土地基盤整備の立ちおくれが見られる、他方また、農地等が残存したまま市街化が進行するというような状況もございまして、計画的な市街化を図るため、なお一層の努力が必要とされている状況というふうに認識をいたしております。  こうした実態を踏まえまして、今後、良好な住宅、宅地の円滑な供給に配意しつつ、市街地の計画整備を一層推進することが必要と考えられますので、そのため適切な線引きの見直しが行われるべきであろう、こういう背景に基づきまして発出いたしたわけでございます。多くの都道府県におきましては、昨年の秋に実施されました国勢調査にあわせまして、都市計画法に基づく基礎調査実施いたしまして、その結果によって二回目の線引きの見直し作業に着手するという段階に参っておりますので、各都道府県におきまして、このような考え方に適合した見直しの方針及び変更基準を策定いたしまして、適切な線引きの見直しが行われるよう発出をいたしたものでございます。  通達の内容は、主な点は四点ほどございまして、一つは、おただしのように、調整区域から市街化区域へ編入すべき区域、土地の範囲でございますけれども、区画整理事業でございますとか、公共団体あるいは民間の開発者が計画的に行う事業の実施が確実な区域については、これは積極的に市街化区域に取り込むべきである。それから、逆に市街化区域の中で宅地化がなかなか期待できない農地等の一定の面積を持ったかたまりがあれば、これは五ヘクタール以上のかたまりがあれば、これからはむしろ積極的に調整区域の方へ、逆線引きと言っておりますが、出すように整理をすべきではなかろうか。  それから第三点といたしまして、飛び地の市街化区域につきまして、いままで大体五十ヘクタールという規模、広がりがあれば、飛び地の市街化区域が設定できるということでやってまいりましたけれども、この条件を緩和をいたしまして、もう少し小さなものでも拾い上げることが可能であろうというふうにいたしました。  それから第四点といたしまして、都市計画の基礎調査の結果によって線引きの見直しをやるということにいたしておりますけれども、これは一般的な原則でございまして、必ずしもその場合だけでなければいじれないというふうにかたくなに考えなくてもいいのではなかろうか、円滑な住宅地供給に資するという観点から、必要に応じて線引きの見直しを今後とも行っていくことでよろしいのではないか、こういう趣旨の内容でございます。
  471. 吉田之久

    吉田分科員 いまの御答弁を聞きまして、現時点においてそうした見直しを求めておられる趣旨、判断、まことに適切だと思います。  ただ、大臣に申し上げたいのですが、私、農林大臣にも先日申し上げたことがあるのですけれども、この市街化区域の中の問題の農地でございますけれども、これは何も五ヘクタールにこだわらなくても、もっと小さい農地でも、いわゆるA農地、どうしても売りたがらないところは今度はもう積極的に市街化区域から外していく。私は、いろいろスプロールを防ごう、乱開発を防ごうとするこの法の趣旨はよくわかるのですけれども、しかし同時に、都市の機能としてやはりこれからは随所に緑地があってもいいのではないか、あるいは大災害時等に避難すべき場所があってもいいのではないか、だからそういう点も考慮して、いまいろいろと地価問題、宅地問題等を総合的に判断しながら、非常に時宜に適した措置を講じていかれることが必要なときに来ているのではないかと思うわけなんですが、最後に大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  472. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 基本的には先生の御発言と全く同感でございます。宅地政策の面からいろいろと制約をつくっておりますけれども、防災の面あるいは良環境の維持等から見ますると、こうした問題も一つの課題として配慮して取り組まなければならない問題であろうかと思います。
  473. 吉田之久

    吉田分科員 終わります。
  474. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で吉田之久君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。
  475. 寺前巖

    寺前分科員 お疲れのところ恐縮です。  京都府下に計画されているダムに日吉ダムというのがあります。これは二十年近くも住民の間で安全性の不安なり生活上あるいは環境上の不安なり、いろいろな問題をめぐって反対の声が強かったわけです。二十年たってきた今日です。一体現状をどういうふうになっておると見ておられるのか、見通しはどういうふうに見ておられるのか、これは水資源開発公団の方になるんでしょうか、まずは御説明いただきたいと思います。
  476. 田中和夫

    ○田中参考人 先生の御質問の日吉ダムでございますが、四十七年九月に基本計画ができまして、公団事業になりまして以来私どもの方で仕事を進めておるわけでございますが、昭和四十八年一月にダムの調査所を設置いたしまして、以来、京都の知事さん初め京都府御当局の方々あるいは近畿地建の御当局の方々の大変な協力を得ながら、地元の方々と話し合いを進めてまいったわけでございます。  その結果、六つほど地区があるわけでございますが、昭和五十二年二月には日吉の天岩地区の関係者の方々と、また五十三年十二月には京北町の関係者の方々と、さらに五十五年二月には日吉町中地区の関係者の方々、また五十六年二月には、つい最近でございますが、八木町の関係者の方々との間でそれぞれ調査に関する基本協定書といったようなものの締結ができまして、地元の方々の御協力を得て、現在、技術関係の各種調査あるいは補償関係の各種調査を継続実施中でございまして、五十六年中には一般補償に関する調査を完了する予定になっております。
  477. 寺前巖

    寺前分科員 ところで、いまもお話がありましたが、この日吉ダムについて、予備調査だけだというのにもかかわらず、ここに水資源開発公団がお出しになったパンフレットがありますが、この中に「ダムの規模および型式」というのが載っているわけです。これを見て、大体調査もされていないのに予備的段階だけで型が決まってしまうというようなやり方はちょっと不安だという声が出ているわけです。パンフレットによると、ロックフィルダムということで進めておられるようだけれども、内容をきちんと公表して、最終的にこういう状況だからこういう型式にするんだというふうに態度は決めるべきだとみんなが言うわけです。これに対する見解を聞かせていただきたいと思います。
  478. 小坂忠

    ○小坂政府委員 御指摘の日吉ダムにつきましては、ただいま公団の方からもお話がございましたように予備調の資料が整っておりまして、それに基づきまして四十六年度から実施計画調査に入って、水文調査とかあるいは地形調査、地質調査というのを鋭意進めているところでございます。それで、この調査結果をもとにいたしましていろいろな技術的な検討を行いまして、今後ダムの型式等を決定することにいたしております。したがいまして、このパンフレットに確定したがごとくあるいはお読み取りいただいたかと思いますが、そういった状況でございますので、よく御理解いただきたいと思います。
  479. 寺前巖

    寺前分科員 今後、調査をされて最終的に決定されるに当たっては、その調査の公表をやってほしい、こういう結果からこういう結論を出して型式はこう決めますというふうにやってくれというのが強い要望なんです。その点いかがでしょう。
  480. 小坂忠

    ○小坂政府委員 いろいろな資料が私どもの手元に集まりました段階でそれらを総合的に判断いたしまして最終決定を行うわけでございますが、個個の材料、これを一々発表して皆様方にお知らせするというのは、特にダムの設計に当たりましては、非常に高度の技術的判断あるいは総合判断というものが必要になってまいりますので、それらを総合した私どもの最終結果についての御説明により、御理解をいただくという方法をとりたいというふうに考えておりまして、個々の段階でのあるいは個々の資料についての発表というものは控えさしていただいておるわけでございます。
  481. 寺前巖

    寺前分科員 なぜそれが出てくるかというと、前に和知ダムというところでゲートが決壊したという事件があるのです。結局経済性のためにこういう事故が起こるんじゃないかという不安が経験の中から出ているわけです。それからアメリカでのロックフィルダムを使われたところでの事故が起こっているわけであります。  そういうことを勘案してみたときに、協力をする以上は一定の資料を提出していただいて、地元関係者の手で、しかるべき技術者にもこういう点で間違いないだろうかという自分らの納得いく立場も確立してみたいという声があるわけです。ですから、本当に御協力をお願いしたいというならば、それにふさわしい材料を提供するということは当然だと私は思うのです。ですから、そういう立場で御協力をいただいたらありがたいと思うのですが、いかがですか。重ねてお聞きしたいのです。
  482. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまの事故例を挙げてのお話でございますが、そういった事故は二度と起こしてはならぬということで、私どもの施工者におきましても厳重な技術的な監理、チェックをいたしておるわけでございます。事が非常に技術的、専門的な分野でございますので、私どもといたしましては先ほど御説明いたしましたようなことによりまして、むしろ誤解を招くようなことをしない方がまたいいんじゃないかというようなことで進めておるわけでございますが、それについてもひとつ御理解いただきたいというように考えます。
  483. 寺前巖

    寺前分科員 かえって誤解を生むんじゃないですか。何で資料を出せぬのやと言われたら、かえって誤解を生むんじゃないですか。協力さしたんだから、きちんとした根拠の調査結果はどういう状況だったかと言ってあたりまえだと私は思いますよ。それを見てみんながわかるかといったら、技術問題ですからそうはいきませんから、しかるべき人たちに見ていただいて、それは当然こういう結論になっても妥当じゃないですかと言われればそれでいい話だと思うのです。こだわるとかえって何でこだわられるんだろうか、調査だけしてあとはわしらを信頼せいじゃわからぬじゃないか。これは後でちょっと御答弁をまた重ねて聞きたいと私は思います。  それで、水資源公団に水没の関係地域の問題について二、三聞きたいと思います。  一つは、財産持ちを中心にして補償金その他いろいろ処理してもらえるということになると思うのですが、この地域に借地人や借家人、財産のない人がやはり何人がおられるわけですね。こういう低資産者に対して一体補償はどうするんだろうか。結局出ていくにも出ていけない。ここにおればこそ生活が今日まで成り立っておったんだという問題があるわけですね。これに対する処理はどうされるか。  それから、農協の有線放送施設というのは、大体この水没地域に住んでおられる方々は農協の一割余りになるわけですね。そういう人たちも根拠にして一定の有線事業をやっておった。さて、この有線事業、人も配置し、借金もして今日まで来たわけだけれども、この一割の人たちが全部出ていかないにしても、そのうちの七〇%ぐらいは出ていくという話になるだろうと言われている。そうすると後々の運営に影響する。こういう問題については一体どういうことをお考えになっているんだろうかという質問がやはり出るわけです。  それから、ダムの直接水没地域じゃございません、直下流に、ここの政治的経済的中心地である殿田という町があります。これは汽車の訳もあるところです。皆さんが二種兼業でそこへ出てこられて、買い物をされて家へ帰られる、あるいは自転車を預けられる、いろんな役割りをしているわけです、この地域の諸君たちは、水没地域によって三割なり五割なり営業に影響するという業者が出てくるわけですね。こういう人たちに対して、一体どういうふうにめんどうを見ようとおっしゃるのか。これは実際に直接被害から、それとの関連被害というのですか、そういう事態が生まれるのだが、こういう問題についてはどういうふうに対応をしておられるのか、しようとしておられるのか、その辺のお考えを聞かしていただきたい。
  484. 田中和夫

    ○田中参考人 先ほども申し上げましたように、現在補償に関する調査実施中でございますので、その調査結果を待って、いまおっしゃったような事柄に対してどういうふうな補償のやり方をやるのかという公団考え方をまとめまして、それを地元にお示しして、それから交渉が始まるという段取りになるわけでございますが、まだ調査段階でございますので、一般論として申し上げなきゃならぬわけでございます。  一般的に申し上げますと、いまお話のございました借地人、借家人、これは閣議で決定いたしました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがございまして、当然その要綱に準拠して行うことになるわけでございます。それによりますと、借地人については、借地権補償、あるいは家屋の移転を伴いますので家屋の移転補償、その他移転に伴いまして通常生ずる損失の補償というようなものが当然出るわけでございます。また、借家人につきましても、借家人補償、あるいはその他通常生ずる損失の補償というような補償がなされることになると考えております。  また、これらの補償処置とあわせまして、公的な融資とかあるいは公営住宅とか、そういったもののあっせん等について、京都府あるいはその他の関係機関の御協力を得ながら、こういった借家人とか借地人とかいったような方々、低資産者と申しますか、の方々の生活再建が確保をされますように努力をしてまいりたい、こう考えております。  それから、二番目に御質問のありました有線放送の問題でございます。これは農協の有線放送だそうでございますが、今後十分実態を調査さしていただきまして、その調査結果によって、その農協管理者の方と十分協議してまいりたい、こう考えております。  それから、最後に御指摘のありましたダムの直下流、下流部の中心街、日吉町の中心街だそうでありますが、殿田というその中心街の営業者に影響がある、ダムによって相当な数の方々が移転されることによって影響があるというお話でございます。しかし、いまも先生お話にございましたように、これは直接の被害でない、いわば間接的な影響でございますが、この種の補償処置につきましては、現在の補償制度のもとでは対応がきわめて困難であるというふうに考えておりますので、御了解をいただきたいと思うわけでございます。
  485. 寺前巖

    寺前分科員 後でちょっとまた聞かしていただくことにして、次に、この日吉ダムなるものは洪水調整ダムのようですが、下流の亀岡市というところがあります。ここは有名な京都における保津川下りの出発点で、角倉了以が保津峡というところを切り開いた。ところが、従来から、この亀岡市から下へ水がはくということで断面を広げると、京都市の田林原堤が危ないということで、あそこの保津峡のダムを広げることはやらなかったわけです。そのために、亀岡市で、人家の浸水常襲地域というのが、逆流問題として常に問題になってきたわけです。そういう地域がある。上流に調節ダムができるということだけでは、さっき申し上げたような問題との関連もありまして、なかなか納得し得ない状況も生まれるわけです。特にこの亀岡市にお住まいの方々が、保津川下りという遊船をこいで仕事をしておられる関係もありまして、この問題については非常に関心が強いわけです。  そこで、この人家浸水常襲地域について、このダムだけではなくして、さらにしかるべき対策が必要だというふうに、これらの諸君たちが言っているわけですけれども、これに対する見解をお聞かせいただきたいと思います。
  486. 小坂忠

    ○小坂政府委員 ただいまお話のございました亀岡市周辺の地域でございますが、先生お話のように、淀川水系、桂川上流部の治水上も非常に重要と申しますか、問題を抱えておる地域でございます。と申しますのは、やはり保津峡の直上流であるということで、たびたびの浸水被害をお受けになっておるということで、私どもとしても、その地域の治水対策には非常に心を割いておるわけでございますが、まず上流の日吉ダムの完成によりまして、その被害がかなり軽減されるであろうということは一つ言えるかと思います。そのためにも、私ども、まず日吉ダムの完成を目指さなければいかぬというふうに考えております。  なお、日吉ダムができましても、いまお話しのように、この地域は、宿命的と申しますか、地形の関係から、どうしてもやはりまだ水害を受けやすい地域でございますので、これについての河川改修も進めていかなければならないというようなことで、昭和五十年度から事業に着手いたしておりまして、現在も鋭意努力しておるわけでございますが、今後とも、効果的なものから順次やっていきたいというふうに考えております。
  487. 寺前巖

    寺前分科員 同時に、このダムとの関連で幾つかの疑問が出ておりますので、お答えをいただきたいと思います。  渇水時には、農業用水確保のために必要な旗流をしてくれるのか、これが一つです。ダムの上下流関係者のダム操作に対する発言権はどのように確保されるのか。第三番目に、日吉ダムの上流にさらにダム計画を進めるのか、その現状はどうなっているのか。第四番目に、いわゆる日吉ダムによる新規開発水量は一秒間に三・七立方メートルということらしいが、その配分はどういうことになっているのか、その決定の時期はどうなのか。既設の世木ダムというのがあるけれども、これに依存する農業用水はどういうことになるのか、お答えをいただきたいと思います。
  488. 小坂忠

    ○小坂政府委員 まず第一の、渇水時の農業用水の確保の問題でございますが、日吉ダムには流水の正常な機能を確保するという目的もございまして、そのための容量も確保してございますので、下流の既得農業用水等に支障の生じないように、渇水時にはダムから補給することになろうと思います。  それから、二番目の、ダムの上下流の関係者のダム操作に対する発言権をどう見るかというお話でございますが、これにつきましては、私ども、ダムをつくりました場合には必ず操作規則を法令によってつくることにいたしておりますが、その際に、京都府等関係府県知事さんあるいは市町村長さんなどの御意見を聞きながら、これを作成するということになっております。なお、その計画を上回るような異常な渇水が出た場合、そういった場合には当然利水関係者あるいは府県の意見を聞きながら操作をしていくということになると思っております。  それから、日吉ダム上流にダム計画を今後まだやっていくのかというお話でございますが、淀川の工事実施基本計画によりますと、桂川上流部には日吉ダムのほかにもまだダムが必要であるということになっておりまして、ダム群をつくらねばならぬということで、現在いろいろな調査を進めておるわけでございますが、現在、すべてまだ予備調査段階でございますので、詳細にわたりましては今後詰める必要があろうかというふうに考えます。  それから日吉ダムによります新規開発水量三・七トンの配分がどうなるか、あるいはその時期がどうなるかというお話でございますが、これにつきましては、現在まで関係府県よりの要望が非常にたくさんございますが、それらを調整いたしまして今後決めたいというふうに考えております。その時期につきましても、もちろんなるべく早くこの調整を利用しまして決定いたしたいというふうに考えておりますが、いまの時点では明示することはちょっとできない状況でございます。  最後の、既設の世木ダムに関する問題でございますが、世木ダムに関連いたしまして、農業用水が従前とられておるということでございます。当然、それらの農業用水につきましては、今後つくられる日吉ダムの中で解決するようになっております。  以上でございます。
  489. 寺前巖

    寺前分科員 国土庁になりますか、いよいよダムをつくっていく、そうすると関係のところの環境が変わるという問題になってきます。特に、上流の京北の宇津、中地地区などではバックウオーターその他の問題が起こってきますし、その他神吉地区などいろいろな要求が出ています。宇津、中地地区では土地改良事業をやってくれとか、神吉地区では簡易水道をやってくれとか、いろいろな整備事業の取り入れを進めるのだったらこういうことも考えてもらわなければならないという、地元要望というものがたくさんあるわけですが、こういうものに対する対応の仕方は一体どういうことになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  490. 藤重邦夫

    藤重説明員 日吉ダムにつきましては、現在水特法の二条の指定ダムに指定すべく準備をしているところであります。ことしの四月中には指定されるものと考えております。このダムの指定の後、京都府知事の方から水源地域地域指定の申し出あるいは整備計画案の提出があれば、関係省庁の協力を得て速やかに対処する所存でございます。  整備事業の内容につきましては、ダムの指定をまだしていない段階なので何とも申しかねますが、この日吉ダムの建設影響を緩和するために必要な事業であることが客観的に言えまして、所管省の了解が得られれば、整備計画に取り組むことは可能である、そう考えております。
  491. 寺前巖

    寺前分科員 時間の関係もありますので、私は、最後に大臣にお願いをしたいと思います。  先ほどからるるいろいろな状況についてお聞きをしたわけですが、何といっても、このダムをつくるということによって一番深刻な問題になるのは、財産のない諸君たちなのです。制度は、どうしたって財産を中心にして物を処理していかなければならぬことになりますから、財産がなくても長年そこに住んでいることを通じて生活が保てた人たち、財産のある人たちは、これは一定の補償でもって新しいところに行けるかもしらぬ。しかし、この諸君たちはどうにもならないということに、まあ基準が財産中心に処理されてきますから、どうしてもなっていく。先ほどから話が出ました日吉町の天若というところで借地あるいは借家生活、そういう生活をしている人たちが七人いるわけです。お仕事をやっておられるのは、山の労務者であるとか、あるいは土木の労務者であるとか、ひとり住まいのおばあさんとかそういうことになってくるわけなのです。ですから私は、こういう人たちを、どうしたって環境の条件が新しくなって、そのことによって、従来よりも本当に住みにくいというような結果をつくらしては大変だと思う。いろいろな方法を通じてでも、この人たちが大きな犠牲を受けて、そうして社会生活に重大な影響を与えないように私は、特別な御配慮を、大臣に問題を提起してみたいと思うのです。  それからもう一つは、先ほどの制度のお話にもやはり関係するのですが、ここの水没地域のすぐ近所なのですが、そこの直下流に政治経済の中心地があるわけです。そこで、私も一軒一軒歩いてみて、どういう利用関係になっているのか、そこの業者の状況を見たら、日用雑貨品屋さんは五割ぐらいはだめになるところが出ますし、パーマ屋さんもそういうところが出てくるのです。自転車預かりをやっておられるところではやはり四割の打撃を受ける。名前を挙げてずうっとチェックしていくとそうなるんですね。そうすると、直接の水没地域でないけれども、今後の営業をどうするかという問題として深刻な問題がその地域に及んでくるんですよ。これは制度には乗らないか知らぬ。だけれども、ここの諸君たちの協力がなかったならば、このことによって過疎は一層過疎化し、やはり打撃を与えてくるということになるわけなのです。こういう、直接的に水没しないけれども、間接的に営業上、環境上障害を与えることに対する対策は一体どう考えたらいいものなんだろうか。特別な御配慮がそこにはやはり要るのではないでしょうか。そうして、しかもその直下流だけですから、それだけにダムの型式問題が大きな問題になるのは、直接的にやはりそこの何の補償もない諸君たちのところが一番深刻なのです。だから、それだけに納得のできるような一定の資料を出してあけて、御安心くださいと言えるように、素直にしてあげていただきたいものだというふうに私は思うわけです。こういう三点について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  492. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 日吉ダムに関連して御心配の向きにつきまして、ただいま十分お聞きしておったわけであります。予備調査から二十年、基本計画からも十年たっておるわけで、その経過を数えても、いかにこの問題に対する取り組みについての配慮が、調査が行われているかということも考えられるわけでありますが、先生指摘のように、せっかくの治水であり利水であるこの多目的ダムの結果、関係住民の方々に生活の面あるいは環境の面で障害があってはならないことは当然のことであります。先生の御懸念に私は全く同感するものでございます。法的措置において具体的に配慮がなされていることとは別に、せっかくその地で職を得、住まいし、そこに財産を持たない方々に対する配慮も私はやはり考えなくてはならぬ問題ではなかろうかと思います。しかるがゆえに、この業を起こす上においては、当然そうした方々の理解の上に成り立って円満にこの事業の遂行ができるような配慮のもとに進めていただくように、直接的には水資源公団になりますか、指導をしてまいりたい、このように考えるものでございます。せっかくの事業が少しの犠牲者もあってはならないというように私は政治家として考えているものでございますので、その点につきましても十分な配慮のもとにひとつ進めるよう、重ねてその向き指導の上に積み重ねていきたい、このように考えておるのでございます。
  493. 寺前巖

    寺前分科員 どうもありがとうございました。
  494. 関谷勝嗣

    ○関谷主査代理 以上で寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三日午前九時三十分から開会し、建設省及び国土庁所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十三分散会