運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-02-27 第94回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十六年二月二十三日(月曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       海部 俊樹君    唐沢俊二郎君       関谷 勝嗣君    原田  憲君       藤本 孝雄君    細田 吉藏君       岡田 利春君    中村 重光君       草川 昭三君    寺前  巖君 二月二十六日  海部俊樹君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和五十六年二月二十七日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主査 海部 俊樹君       唐沢俊二郎君    関谷 勝嗣君       原田  憲君    藤本 孝雄君       岡田 利春君    川本 敏美君       後藤  茂君    島田 琢郎君       竹内  猛君    土井たか子君       中村  茂君    渡辺 三郎君       草川 昭三君    榊  利夫君       寺前  巖君    正森 成二君    兼務 井上 普方君 兼務 野口 幸一君    兼務 森井 忠良君 兼務 有島 重武君    兼務 石田幸四郎君 兼務 小沢 貞孝君    兼務 中野 寛成君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 小島 弘仲君         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸大臣官房会         計課長     大塚 秀夫君         運輸省海運局長 永井  浩君         運輸省船員局長 鈴木  登君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松井 和治君         気象庁長官   増澤譲太郎君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政大臣官房経         理部長     澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 岡野  裕君  分科員外出席者         人事院給与局次         長       林  博男君         警察庁交通局交         通指導課長   浅野信二郎君         警察庁交通局運         転免許課長   越智 俊典君         環境庁大気保全         局交通公害対策 加藤 三郎君         室長         大蔵省主計局主         計官      伊藤 博行君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         気象庁総務部長 森  雅史君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本国有鉄道職         員局長     川野 政史君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社職員局長   児島  仁君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社施設局長   前田 光治君     ————————————— 分科員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     後藤  茂君   中村 重光君     川本 敏美君   草川 昭三君     大橋 敏雄君   寺前  巖君     正森 成二君 同日  辞任          補欠選任   川本 敏美君     島田 琢郎君   後藤  茂君     佐藤  誼君   大橋 敏雄君     草川 昭三君   正森 成二君     榊  利夫君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     渡辺 三郎君   島田 琢郎君     竹内  猛君   榊  利夫君     四ツ谷光子君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     中村  茂君   渡辺 三郎君     土井たか子君   四ツ谷光子君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     岡田 利春君   中村  茂君     中村 重光君 同日  第一分科員野口幸一君、第二分科員森井忠良  君、有島重武君、石田幸四郎君、中野寛成君、  第三分科員小沢貞孝君及び第四分科員井上普方  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計予算  昭和五十六年度特別会計予算  昭和五十六年度政府関係機関予算  (運輸省及び郵政省所管)      ————◇—————
  2. 海部俊樹

    海部主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、国土庁、運輸省郵政省及び建設省所管について審査を行うこととなっております。  なお、所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算郵政省所管について説明を聴取いたします。山内郵政大臣
  3. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政省所管会計昭和五十六年度予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十億三千万円で、前年度予算額に対しまして三億二千五百万円の増加となっております。  この歳出予定額には、実用の通信放送衛星管制施設整備費を初めとする宇宙の開発利用推進に必要な経費のほか、電気通信政策推進放送行政国際協力推進電波資源開発利用秩序維持など、通信技術の著しい向上と複雑化する行政需要に即応した施策推進に必要な経費を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額とも四兆一千三百二十五億三千二百万円で、前年度に対し五千五百八十八億四千六百万円の倍加となっております。  この歳入歳出予定額の中には、業務外収入及び支出が一兆七千六百六十五億四千四百万円含まれておりますので、これを差し引いた郵政事業運営に必要な歳入歳出予定額は二兆三千六百五十九億八千八百万円であります。これは、前年度に対し一千六百八十一億七千九百万円の増加となっております。  なお、歳入につきましては、今般の郵便料金の改定に伴う増収額として二千二百十億六千四百万円を計上しております。このため、昭和五十六年度年度における郵便事業の損益は、一千四十五億円の利益が見込まれておりますが、過年度における欠損のため、年度末には、なお一千六百三十四億円の累積欠損金が見込まれております。  歳出予定額におきましては、重要施策としております安定した郵便業務運行を確保するために必要な経費郵便貯金増強利用者サービス向上を図るために必要な経費郵便年金改善充実簡易保険増強を図るために必要な経費郵便局舎等改善のために必要な局舎その他建設費及びその他所要の人件費などを計上いたしております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出予定額ともに四兆八千三百九十九億六千八百万円で、前年度に対し七千九百三十二億九千百万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は四兆三千六百七十五億四千四百万円で、前年度に対し五千二百七十一億六千九百万円の増加となっております。歳出予定額は二兆二千二百六十九億五千三百万円で、前年度に対し三千八百六十一億七千九百万円の増加となっております。  また、年金勘定歳入歳出予定額は百十九億四千四百万円となっております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきまして御説明申し上げます。  事業収入につきましては三兆九千百九十九億円で、前年度に対し五百三十一億円の増加となっており、事業支出は三兆八千二百六十一億円で、前年度に対し二千三百三十七億円の増加となっております。  建設投資の額につきましては、一兆七千七百億円といたしております。これにより、一般加入電話百三十万加入増設等を行うとともに、電気通信網維持改善に特に配意することといたしております。  また、別途御審議をお願いいたしております財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に基づき臨時かつ特例的な措置として納付する臨時国庫納付金につきましては、一千二百億円を予定しております。  これらの建設投資及び国庫への臨時納付金等に必要な資金は二兆四千四百八十六億円となっておりますが、その調達につきましては、減価償却引当金等内部資金で一兆三千二百七十九億円を、特別債・借入金、加入者債券及び財政投融資等による外部資金で一兆一千二百七億円をそれぞれ予定いたしております。  なお、外部資金のうち、財政投融資は一千五百億円を予定いたしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計昭和五十六年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 海部俊樹

    海部主査 以上をもちまして郵政省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 海部俊樹

    海部主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川本敏美君。
  6. 川本敏美

    川本分科員 私は、郵政大臣に二点についてお聞きをいたしたいと思っておるわけでございます。  まず第一点は、奈良西郵便局郵便集配についてであります。  奈良西郵便局というところは、いま奈良市の人口急増地帯の中心でございまして、人口が急速に増加をしておる。この局の管内世帯数は大体四万世帯を超えておると思うのですけれども、聞きますと、昨年は大体郵便物は一週間に三回程度しか配達されておりません。そして今度は、ポスト郵便物をほうり込んでおくと、翌日にならなければ局から集めに来ない。そして、ポスト増設してもらいたいという住民の要求はたくさんあるわけですけれども、これも、予算がないのじゃない、ポストをつくってもその郵便物集めに歩く人がいないという理由ポスト増設がなかなか認められていない。このようなことが郵政仕事の中で許されているのですか。郵便物は大体日本じゅう一日最低一回の配達じゃないかと私は思っておる。一週間に二回とか一週間に三回では、これは受験生が試験が受けられなかったりあるいは借金の支払いの日にちがおくれて高利貸しに代物弁済のものを取られたり、そういう事態がいろいろ起こっておるわけです。そのたびに住民は多大の被害を受けておるわけです。こういう事実を郵政大臣知っていますか。
  7. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  まず事実関係から御説明をさせていただきたいと思いますが、現在郵政省において、郵便事業という問題、これは大勢としては非常に順調に運行されているわけでございますが、いま先生仰せ奈良西の局におきましては、私は、率直に申し上げて大阪管内での業務運行がうまくいっていない局の一つであるというふうに認識をいたしております。これは理由としては、非常に比況の発展が著しい、それから住居表示実施率が低い、転入転出が激しいというような、郵便を正常運行するための条件としては厳しい条件に置かれているということからあるわけでございまして、一週間に三回あるいはまた二回ぐらいしか配達されていないということをかつて耳にしたことは私自身もございますが、昨年の夏以降、特に近畿郵政局は特別の対策を要する局ということで重点的に手を打ってまいりまして、次第によくなりまして、もちろん部分的にはまだ国民の御信頼にこたえるというサービスが十分でない点があるにいたしましても、次第に回復をいたしておりまして、先生仰せのような一週間に三回程度しか配達できないというところはなくなっているのではないか、私自身近畿郵政局からも情報を得ましてそのように判断をしているところでございます。  それから、ポスト関係でございますけれども、いま先生仰せのように、昭和五十一年度から五十四年度までの間にポストが実にわずか一本しか増置されていないわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、昨年の夏ぐらいから特にここに力を入れていろいろの手だてを講じたというようなことで、五十五年度には一挙にと言ったら多少言葉が問題かもしれませんが、十三本増置をいたしまして、国民の期待にこたえる郵便に一歩一歩近づけてまいりたい、そういう努力を傾けている局でございます。
  8. 川本敏美

    川本分科員 いまおっしゃいましたが、まだ現在でも郵便局局長さんのところへ住民の人からいろいろ苦情がいっているのですよ。あなたは昨年夏から郵便が正常化してきたと言うけれども、奈良西局長に聞いたら、一月二十日の郵便料値上げからはがきが三十円になり郵便料が上がったから郵便物が減ってぼちぼちいけるようになってきましたけれども、それまでは大変でした。いまでも聞きますと、集配課、一課、二課があるのですが、合わせて七十名の定員なのですね。七十各の定員の中で配達区数は四十五あるのです。内勤が十七人おるのですよ。そのほかに小包があるのでしょう、ポスト集めに行かなければいかぬ人がおるでしょう、あるいは速達の配達があるでしょう、あるいは発送があるでしょう、そういうようないろいろな仕事から見たら、これは七十名じゃ——毎日二人や三人はいろいろ休みます。その上だれかが休んだら、その配達区域を知っている人がほかにいないのだから、その人が休んだらその配達区域はその日は休みということになる。だから私は、少なくとも予備のいわゆる指導員みたいな人を置いて、そして新しい人に配達区域を全部との区でも配達できるように、やはり予備の三人や五人は置いて、研修をさせて、欠勤者が出たらその代理がすぐに配達に行けるような体制をとらない限り、一人ずつの配達員がおって、その人が休んだらその区は配達できない。先ほどおっしゃったように、人口はどんどん増加して、あるいは県営住宅とか公営住宅公団住宅等の入れかおりが激しい、そういうような中で、むずかしいことはわかります。そういうことを理由に、国民に保障された毎日一回は配達するという責任国民になすりつけるというのはもってのほかだと私は思う。この点、これからどんなことがあっても、担当者が休んでも、必ず一日に一回は配達できる——ポストだってそうです。十三つけたと言うけれども、いま希望は六十ほど積滞しておるのです。六十余り希望があるところへ十三つけて、何が一挙につけましただ、そんなことは自慢できることじゃないのです。  私は、郵政当局国民に対して迷惑をかけたことをまず奈良西地域住民郵政大臣から率直に謝ってもらって、これからは絶対そういう御迷惑はかけませんということを約束をしてもらいたいと思う。  それからもう一つ奈良郵便局はいま改新築中で、三日に落成式が行われるはずですけれども、聞きますと、国際障害者年だというのに、いわゆる道路交通の非常に激しいところに、便利のいいところに建ったわけですけれども、建ててみますと、視覚障害者が歩道を渡るときの点字ブロックとかあるいは信号灯とかそういうような設備が全然なされていないし、外来客に対する自動車駐車場も非常に狭いし、内部は多分りっぱにできているのだろう、トイレ等もりっぱにできておるのだろうとは思いますけれども、その周囲から郵便局利用に来る人たち健常者だけでなしに、障害者が本当に安全に出入りできるようなことに配慮がされていなかったわけです。そして地域人たちからいろいろ申し入れがあって初めて気がついて、後から方々へ連絡して、いま遅まきながらやっておるようですけれども、私は、言われてから気がつくのじゃ間違いだ、その前にそういうことをどうすべきかということをまず利用者の立場に立って考えるという郵政姿勢でなければ、内部自分たちさえよければいいわというような考え方に立って設計されておるようだったら、姿勢を変えてもらわなければいかぬ。この二点について、大臣からひとつ御答弁をお願いします。
  9. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま担当局長から御説明をさせましたけれども、大分よくなっているけれども、先生の御指摘のように、まだまだ不十分な点がある、こういうことをいま認識したわけでございます。これらの点については、さらによくなりますように、改善するように指導してまいりたいと考えております。  もう一点の身体障害者の方にいろいろと不便をかけないように、ことしは国際障害者年でございますので、特に気をつけましていろいろと施設をやっておりますけれども、まだ不十分な点もございますので、これらの点についても、ことしの障害者年に際しまして一層努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  10. 川本敏美

    川本分科員 私は、奈良西郵便局管内人家連檐で市街化区域で、本当に奈良市の中心的な様相を呈しておるのだから、一日郵便二回配達であたりまえのところだと思う。それがまた一日一回も保障されていない。こんなことがないように、できるだけ早い時期に一日二回の配達が全部の区域にわたってできるように措置すべきだと思いますので、これは答弁は結構ですけれども、申し上げておきたいと思うわけです。  そこで、次の問題について聞きたいと思うのですが、郵政省の省内、郵務関係で同和問題による差別事件が続発をしておると思うのですが、これは大臣知っていますか。
  11. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと官房長調査をさせております。
  12. 川本敏美

    川本分科員 大臣は知らないわけですか。
  13. 山内一郎

    山内国務大臣 官房長調査をまだはっきり聞いておりませんが、盛んに調査をさせているところでございます。
  14. 川本敏美

    川本分科員 官房長にいまごろ調査をさせておるというのは、大臣おかしいと思うのです。いままでずっと長い間にわたって同和問題で差別事件がたくさん起こっておる。自殺者まで出ておるのです。自殺者は何人出ていますか。
  15. 奥田量三

    奥田政府委員 お答えいたします。昭和四十九年の初夏のころでございましたが、大阪市内郵便局職員が二名圧殺をした事件がございました。この事件につきましては原因について明確ではございませんけれども、同和問題がこの悲しい出来事の一つの背景になっていたもりと考えられます。省といたしましては、同和問題に正しい啓蒙啓発のため積極的に取り組みまして、どのような悲しむべきことが二度と起こらないように努力しているところでございます。
  16. 川本敏美

    川本分科員 いまの官房長答弁で私おかしいと思うのは、はっきりとわかりませんけれどもと。新聞にまで載っている。四十九年、一九七四年ですけれども、林茂和君が差別問題で自殺をした。その後を追ってまた郵務次長が私の責任だといって責任をとって自殺をしておるのです。その林茂和君が自殺をした原因は何か。出勤簿の上にマル特と書かれてあったのですよ。朝出勤して来て出勤簿に判を押そうと思ったら出勤簿の上にマル特と書かれておる。本人は気の弱い人だから自殺をしたのだということじゃないと思う。大ぜいの全国部落人たちがそういう差別の中で死に追いやられていっているのです。それだけじゃない。自殺者はもう一つありますよね。もう一件ありますよね。三件でしょう、あなたいま二件と言ったけれども。浅野佳代さんの問題を忘れておるんじゃない。浅野佳代さん、ここに私はその遺書を持っていますけれども、この方も自殺をしておるのですよ。だから、いままで同和関係での自殺者郵政省管内で三人出ておるわけです。  そして、差別事件の現状はどうかということを申し上げますと、これちょっと見てください。これも、大臣知らぬと言うから見てもらいましょう。これは郵便物ですよね。これは局内落書き。最初のうちは出勤簿の上にマル特とかあるいはいろいろなこと、差別発言等があったわけですけれども、それがだんだんエスカレートしてきて、最近は「エタ死ネ」とか「エタコロセ」というようなことがトイレの中やあるいは出勤簿の上に書かれるような事態にまで進んできておるわけです。これは憲法で保障された基本的人権を全く踏みにじる事件であると私は断定をしたいと思うのです。大阪西成郵便局ではこの五年間にそういう事件が大体四十八回起こっている。あるいは大阪中央郵便局でも同じように八年間に四十五回起こっている。そして住之江の局でもこの六年間に八回ほど起こっているはずです。その他にも差別事件を挙げれば切りがないほどありますよ。大阪茨木郵便局で「部落出身者キタナイ」という差別文書落書きがあったり、あるいは三重県の四日市郵便局では「同和地域は特に気をつけて配達すること。」という差別発言があります。京都の山科郵便局では差別投書事件が起こっている。高知県の須崎郵便局では「同和問題は特に気をつけろ」というメモを書いて管理者事務引き継ぎのときに渡している。大阪寝屋川郵便局では役職者部下職員集めて「明治四年の解放令で戸籍は平民と新平民に変った。」云々と言って「私の血筋は優秀」であるというような差別発言をしておる。あるいは福岡県の小倉郵便局では「トクシュブラクKコロセ」、こういう落書きがされておる。あるいは福岡県の二丈郵便局では、集配配達原簿差別用語を記載してあった。こういうことで、これは局長さんが謝罪文新聞に折り込んで出しておりますよね。  大臣全国でそのように局内差別事件がたくさん発生しておる。このようなことを大臣は先ほど、官房を通じていま調べさせておりますと言ったけれども、調べるまでもなくこんなことは周知の事実であって、大臣が知らぬということは、私は、郵政の官僚が大臣に対して耳にふたをして聞かせぬようにしているからだと思います。このように差別事件が多発する原因はどこにあると思いをすか。
  17. 奥田量三

    奥田政府委員 同和問題は、人類普遍の原理でありますところの人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題でございます。その早急な解決は国の責務であると同時に国民的な課題であると考えます。郵政省といたしましてもこのような認識のもとに、同和対策審議会答申同和対策事業特別措置法等の精神にのっとりまして郵政省における同和対策推進し、差別的偏見根絶に努めているところでございますが、今後ともさらに、正しい理解と認識を深めるための施策を講じ、差別的偏見根絶のために真剣に対処いたしたいと考えているところでございます。
  18. 川本敏美

    川本分科員 あんたのいまの答弁の前半の部分は、同和対策審議会の答申に書いてある文言をそのまま読んでおるのですよ。同対審答申を読まなければ答弁できないというのはおかしいのと違うんですか。審議会の答申そのまま読まはったんですよ。知らぬ人はわからないが、そんなもの私はわかっておる。その程度かね、郵政同和対策に対する認識というのは。この間郵政省郵政大臣名か官房長名で出された、共闘会議からの申し入れに対する回答書を見ますと、いわゆる同和対策は私の方は主管官庁ではありませんということを冒頭に書いてある。いまあなたが読んだやつに書いてあるでしょう、国の責務とか国民課題と書いてあるでしょう。国の責務というのは、総理府総務長官が同和対策は主管しておる、だから郵政省関係ない、こう思っているのですか。その点、大臣どうですか。
  19. 奥田量三

    奥田政府委員 先ほど御指摘のとおり、同和対策の解決は国全体、したがって政府各省共通の課題であると存じております。ただ、ただいまお触れになりました同和対策事業の所掌ということになりますと、郵政省郵便貯金、保険等の公共の事業サービスを営む官庁であるということからいたしまして、同和対策特別措置法に基づく同和対策事業を所掌する省庁ではないということであります。
  20. 川本敏美

    川本分科員 ちょっと待ってくれ。そんな間違うたことを言ってもらっては困る。郵政省内における同和対策郵政省の所管だと私は思うのです。その点あんたはおかしいのと違うか。同和対策というのは総理府総務長官の手元にあるだけじゃなしに、郵政省管内の管掌事務の中の同和対策郵政省がやるべきなんだよ。それを、いまのは、私の方は関係ありませんという言い方じゃないの。
  21. 奥田量三

    奥田政府委員 御指摘のとおり、郵政省における同和対策推進は当然郵政省責任でございまして、そういう意味で、省といたしましては、部内における差別的偏見の解消、同和問題に対する正しい理解と認識を深めるための諸施策努力をいたしているわけであります。今後とも一層努力をいたすつもりでございます。
  22. 川本敏美

    川本分科員 私は、この差別的な事実、時間がありませんので長い間やるわけにいきませんから、また改めて決算委員会か逓信委員会へ行って聞きますが、この郵政省内の基本的人権を侵害するような差別事件、こういうものを根絶することはできますか。大臣、決意のほどを聞かしてもらいたい。
  23. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと同和問題について御指摘、またいろいろと御意見ございましたけれども、郵政省といたしましても、答申もございますけれども、答申のとおり守っていきまして、郵政省内については郵政省責任を持ってやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 川本敏美

    川本分科員 答申の精神に沿って責任を持ってやっていくということですけれども、この問題についてはいままでやられてないのじゃないかと思うのですよ。私は、いままでこのような差別事件を、これは基本的人権の侵害ですから、これは徹底的に根絶するために対策を立てて、その対策に基づいて省内が挙げて取り組むべき問題だと私は思うのです。ところが、そういう対策を何か立てましたか。
  25. 奥田量三

    奥田政府委員 郵政省といたしまして、同和問題の解決のために各種の施策を講じてきたところでございまして、基本的には昭和四十七年事務次官通達を発しまして、同和問題についての正しい理解と認識を深め、差別的偏見根絶を図るよう部内全般に指導、徹底する基本姿勢を示した士ごろでございます。それに基づきまして、本省あるいは地方郵政局等に同和問題担当官を設置いたしまして、問題の正しい理解と認識対策の迅速、効果的な措置を行うよう指導をいたしております。  また、同和問題の解決のために職員に対する教育、啓蒙を積極的に推進するため、各種の施策を講ずる等いたしておるところでございます。もちろん御指摘のとおり、必ずしも十分な成果が上がっているとは申せません。いまもって差別事象が後を絶たないという遺憾な事態については十分認識をいたしておりまして、今後とも一層努力をいたしてまいるつもりでございます。
  26. 川本敏美

    川本分科員 四十七年ですか、次官通達が出されて、それに基づいていろいろ御努力をやっていただいておることはわかっているわけです。しかし、その後の経過を見ても、郵政省内に関する限り、先ほども申し上げましたけれども、いわゆる役職者管理者差別事件を起こしておるケースがたくさんあるわけです。先ほど来の落書きとかいやがらせとかそういう問題だけじゃないわけです。先ほど一番最初に見てもらいましたが、郵便物ですね、「特殊ぶらくかいほうどうめい」と書いた郵便物のコピーがある。大臣、それを郵便局配達しておるのですよ。特殊部落解放同盟というようなものはないはずですよ。本来から言えば、そんなものは郵便局局長なり郵便課長が見て、これは内容から見ても、あて先もないのだし、そんなものは普通だったら廃棄処分するとかしそうなものですよ。あて先にない部落解放同盟に対してそれを配達をしておる。何の気も使わずに、何の意識も持たずにあたりまえのことのように配達しておる。これは郵便局長、郵便課長以下、配達している方に至る全部がそれであたりまえだと思っておる、そういう差別意識を持っておるあらわれじゃないかと私は思うわけです。だから、これは特段の取り組みをしていただかなければできないと思いますし、もう一つは、そういう差別事件が起こった場合に、その局内における——これは外部から来た人じゃないですよ、落書きとかそういうことは、出勤簿の上にマル特とか書いたりするのは。これはほかの省庁には見られない陰湿な郵政特殊の人間関係がこういう差別事件を起こす原因になっておると思う。あのマル生事件以来、郵政の当局と働く人たちの中には物すごい陰湿な人間関係が生まれていますよね。それがそういういやらしい形になって、そして人権をじゅうりんするような、いわゆるひきょうな差別事件となってあらわれていることを私は指摘をしておきたいと思うわけです。  そのような中で、局内で起こった場合、私はいままで管理者でも処分をしないでほってあると思うのですよ。少なくともこういう事件が起こった場合、一方に被害者がおるわけですから、被害者に対してどのような救済措置を講ずるのか、加害者に対してはどのような処分をするのか、こういうことを明確に指示、通達をしなければこれを根絶することはできないと私は思うわけです。大臣、どうですか。
  27. 奥田量三

    奥田政府委員 ただいま御指摘のような差別発言あるいは落書き等の差別事象の発生は、同和問題の正しい理解と認識の不足に起因して発生するものでございまして、問題の本質的な解決のためには、職員一人一人が同和問題に関する正しい理解と認識を深める努力をすることが第一であると考えております。したがいまして、省といたしましては、職員に対する教育、啓蒙によりまして差別事象を解消するよう、自己啓発による差別的偏見の払拭に努めるためのあらゆる努力を傾ける、まずこれが根本であろうというふうに考えているところであります。
  28. 川本敏美

    川本分科員 最後に、大臣にもう一回だけお聞きしておきたいと思う。  この間、私、予算委員会の一般質問で質問しましたときに、労働大臣は、労働省関係の問題ですけれども、私が大臣をやっておる以上私の責任でございますから、私の進退をかけましても必ず絶滅してお目にかけます、こういう答弁をしておられるわけです。郵政大臣もやはりこのような差別事件の続発の状況、自殺者まで出ている状態、こういうことを根絶していくためには、やはり労働大臣と同じように進退をかけるぐらいの決意を持って、そして対策を樹立をしてやっていかなければできないと思うのですが、大臣の決意のほどをもう一度聞きたい。
  29. 山内一郎

    山内国務大臣 労働大臣と同じような気持ちをもちまして、この対策にひとつ十分力を入れてまいりたい、こう考えております。
  30. 川本敏美

    川本分科員 最後にもう一回だけ。  来年三月で特別措置法がなくなるわけですよ。こういう省内における差別事件が続発をしておって、それの救済の方途がない、このような状態の中で、少なくとも同和対策基本法のような立法措置を講じていかなければ省内でも対策がやりにくいのじゃないか、私はこのように思う。わけですが、最後にもう一回だけ大臣の前向きの取り組む姿勢を御答弁いただきたいと思う。
  31. 山内一郎

    山内国務大臣 同和対策事業特別持置法というのがございます。これは御承知のとおりでございます。これは私の方の郵政省には所管事業はないわけでございますけれども、閣議等においてそういう問題が討議をされましたときには、私もいま先生の御指摘のあったようなことがないように、ひとつ強い決意で臨む所存であります。
  32. 川本敏美

    川本分科員 終わりました。
  33. 海部俊樹

    海部主査 以上で川本敏美君の質疑は終了いたしました。  次に、後藤茂君。
  34. 後藤茂

    後藤分科員 私は、きょうは切手発行政策について二、三郵政当局にお伺いをしたいわけでありますけれども、最初に、ことしは国際障害者年でございます。世界各国のこの障害者年に対する取り組みを見ておりますと、それぞれ大変熱心に、毎年国連でいろいろなキャンペーン年が行われますけれども、それに対応してきたこれまでの経過を見ましても、今年度は相当大きな取り組みをしているわけです、特にその中では、切手発行をすることによって対策を講じていくという国々が大変多いわけです。郵政省でもこのことについては考えておられるようでありますけれども、どういう内容を持っておりますが、そのことについてまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  35. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、国際障害者年の啓発活動及び社会福祉増進の一環として、本年九月を目途として寄付金つき郵便切手の発行を計画しております。発行する切手は六十円に十円を付加した七十円切手一種類で二千四百万枚を発売する予定でございます。これにより発行した切手が完売された場合は約二億四千万円の寄付金が集まる予定でございます。  なお、これら発行枚数、付加する寄付金額等は、法に基づきまして三月下旬開催予定の郵政審議会に諮問の上決定することに相なっている次第でございます。
  36. 後藤茂

    後藤分科員 国際障害者年に対する取り組みにつきましては、郵政省も単に切手を発行して、付加金つきの切手による収入によってその財源措置でやっておけば済むということではなくて、さらに積極的なキャンペーンをやっていただきたいと思うわけです。  次に私は、お年玉郵便はがきの点について、ひとつお伺いをしておいてみたいと思うのです。  お年玉つき郵便はがきというのは、昭和二十五年に初めて出されました。当初は、はがきが二円であったわけです。その二円のはがきのお年玉の末尾二けたの景品に小型シートを発行されております。この小型シートが当初二円で五枚、つまり十円ついておったわけですね。これが二十五年と二十六年。そして、はがきが五円になったのが昭和二十七年ですから、それから四十一年まで末尾の小型シートが、五円になってからは四枚、二十円になっております。それから今度、昭和四十二年から四十六年が七円になりまして、七円になっても四枚ついておる。四十七年から五十一年が十円に改定をされまして、三枚になった。そして今度五十二年から五十六年が二十円になりまして、今年度までですけれども、二枚になっている。来年からは四十円になるわけですね。そういたしますと、どうも五枚、四枚、三枚、二枚とだんだんと減ってきている。そして来年は四十円、これが一枚になるのじゃないだろうかという心配もするわけです。さらに、四十円だけでとまらないのじゃないか、これからまた郵便料金が値上げをされるということになってまいりますと、六十円、七十円というようなことになった場合は、末尾の二けたの小型シートを取りにいってみますと白紙になっていないかという心配もするのです。こういう点、なぜこうやって二円が五枚、五円が四枚、そして十円になって三枚、二十円になって二枚ということになっていくのか、あるいは来年は一枚になるのか、四十円のものが二枚として八十円になっていくのか、こういう点についてお伺いをしておきたい。
  37. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  お年玉切手シートの過去の変遷、仰せのとおりでございまして、かつては五枚の切手シートでございました。ところが現在は二枚のシートでございまして、金額は五枚のとき十円、それから現在は四十円の切手ということに相なるわけでございます。五枚のものを二枚にするということの基本は、事業財政の問題もございます、それからお年玉賞品としての総額に対する制限という関連もございますが、少なくとも今後の方向といたしまして、来年の場合には、はがきは四十円になるわけでございますが、四十円になったから一枚にするということは考えておりません。そうなりますと切手シートという概念そのものも怪しくなってくるわけでございます。  私ども、まだ最終的に確定をしているわけじゃございませんけれども、考え方といたしましてぜひ進めたいと思っておりますのは、四十円の切手二枚というかっこうで賞品にいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  38. 後藤茂

    後藤分科員 これは要望ですけれども、先ほど景品の総額あるいは財政の観点から五枚が最後には二枚になってきているという説明があったわけですが、宝くじを買うのと違って、お年玉つきの年賀はがきを買う場合は景品を目的に買うわけじゃないのです。したがって、一等とか二等とかというのをそう考える必要はない。正月に年賀状が参りまして、そして抽せんがあって、ああここに末尾が当たっておった、ことしは春から、というような気持になれば、ささやかな楽しみですから、もっと一番最後の賞品に対して配慮してやるべきだと思うのですね。現在は末尾二けたが三組ですか、場合によれば四組にしてやってもいいじゃないかというようにも思うわけです。末尾を四組にするかどうかはともかくとして、郵政省のお考え方としては、景品なんか本当言えば出してやりたくないのだけれども、というような意識が働いていはしないだろうか。こういった小型シートに対しましては、ただ総額に縛られないで——総額に縛られるのなら上の方を下げて、より多くの皆さん方に正月に年賀状が来たものに対する楽しみを味わわせてやることが必要ではないかと思いますので、このことは要望をしておきたいと思うのです。  そこで次に、私もこの前の予算委員会でも申し上げたのですけれども、世界各国のいわゆる通常切手を見ますと、それぞれが非常に工夫をし研究をしてその図案を統一している、これが日本の通常切手は図案が不統一、全く支離滅裂、何を考えているのだかさっぱりわからぬということを指摘をいたしまして、ようやく郵政省もそのことに気づいて、昨年からこの問題に取り組んでこられたことは大変敬意を表するわけです。ここに昨年の十月から出てまいりました通常切手の新しい切手図案が出ているのです。いいのもありますけれども、色にいたしましてもあるいはそれぞれの対象物のレイアウトにいたしましても、もう少し神経を配ってやる必要がないか。たとえば皆さん方も、七十円の切手が封筒に張られて消印がされて受け取ったときに何だかわからぬ、真っ黒になってしまいます。くし型日付印の問題については後でまた質問をいたしますけれども、こういった切手の見本ができ上がってきたときに、あるいは試刷りをするときにもっと神経を使っていくべきではないかと思うのですが、こういった通常切手が新しく改定をされてくる場合、郵務局長郵政省としては一体どのように日を届かしているのか、またこれがすんなりと通ってしまったのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  39. 魚津茂晴

    魚津政府委員 普通切手というのは日常最も身近な形で使われるわけでございまして、非常に神経を使って目配りをして、愛される切手にしたいというのが私たちの気持ちでございます。  ただ普通切手の場合に、先生も当然御案内のところでございますが、大量かつ継続的に発行していくものであるため、特殊切手の場合と異なりまして大きさが小さい、色数も少ない。またこれが一番問題なのでございますが、郵便物の機械処理のための制約がございます。というようなことで、中には不本意な切手が結果的にできてしまうというようなこともありまして、たとえば先生おっしゃった七十円の切手でございますが、これは私どもやはり不本意な切手になってしまったと思っているのでございますが、今後はなお一層題材の選定、色合い等十分研究をしてまいりまして、愛される、期待される切手にぜひともしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  40. 後藤茂

    後藤分科員 いま七十円を不本意な切手というように説明があったわけですが、これは印刷しているわけですから、あるいはそれぞれの郵便局にいま行っているわけですから、きょうあしたこれを改定するということはむずかしいでしょうけれども、こういった愛される切手にならない、何をかいているのかさっぱりわからない、しかも消印がついたら真っ黒けになってしまう、こういうようなものをなぜ事前チェックができないのか。その辺に、切手が愛されなければならないとかいうことを言いながら、全くむとんちゃくな点があると思うのです。早急にこれはひとつ郵務局長——これだけじゃございません。たとえば四百十円の切手なんかについても、このレイアウト、どうだと思いますか。美的な面が全くないですね。ただ図柄を統一さえすればいいというものじゃないと思うのです。もっと神経を配って、そして、だれが見ても、なるほど日本の印刷技術で、しかも文化的水準の高い、すばらしい切手を出しているなというようにしてもらいたいと思うのです。  この間バチカンの教皇が見えたわけですけれども、イタリアのバチカン宮殿のシスティナ礼拝堂の天井画を、ミケランジェロの絵ですけれども、これを出したイタリアの通常切手、あるいはスイス、オーストリア、ドイツ等々、あるいはイギリスもそうですけれども、通常切手のすばらしさというものをじっくりとひとつ研究をして、いい対象物はたくさんあるのです、対象物のりっぱなものがいっぱいあるわけですから、そういう対象物をどうレイアウトしてつくっていくか、通常切手をもっと大切にするという観点から、全部一回見直しをしてもらいたいということを要望をしておきたいと思うのです。  このこととちょっと関連をいたしまして、特殊切手が発行されます。年間に大分発行されるわけですけれども、その特殊切手が発行されても、ぜひ特殊切手を買いたいという者が求めていく場合にはそれが売られるわけですけれども、普通、郵便を出そうとして切手を購入しようといたしますと、その特殊切手じゃなしに通常切手を売っている。私はいつも言うのですけれども、郵政省としては、特殊切手あるいはシリーズ切手等を出していく場合に、これはなるべくたんすにしまわれて使われない方が郵政の財政の観点から見てよろしいという意識が働き過ぎているのじゃないだろうか。せっかくいろいろな記念切手を出されるわけですから、それが郵便局に少なくとも一週間なり十日なり、普通の書状等を出そうとして購入を求められたら、そうした記念切手なり特殊切手を発売をしていくという指導をもっと徹底してもらいたいと思うのですが、その点は欠けていないでしょうか。
  41. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現実の問題といたしましては、特殊切手が発行されまして、たとえば一週間普通切手の販売をやめて売りさばくということはやってないわけでございますが、ただ、この特殊切手というものの発行の意味を実質的なものにするためには、そういう窓口での職員の考え方というものが、いま先生がおっしゃったことにつきまして、非常に私たち耳を傾けなくちゃならぬ点があると思うのです。ただ、現実の問題といたしまして、一週間普通切手にかえて特殊切手を売りさばくということになりますと、大体一週間の切手の売りさばき枚数が約四千万枚というふうにわれわれ推算をいたしているわけでございますが、こういう四千万枚の特殊切手を発行するということになりますと、印刷能力から見て問題が出てくるわけでございます。そしてまたそのことが年間発行計画として現在持っている種類を大幅に落とさなくちゃならぬというようなこともございまして、一週間きちっと特殊切手を売りさばくというようなことは、ちょっと私たちいたしかねるわけでございますが、先生仰せの趣旨というものを私ども十分含めまして、窓口の職員に趣旨の徹底ができるようにしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  42. 後藤茂

    後藤分科員 その努力をぜひひとつ進めていただきたい。外国の収集家等と話をしておりまして、こういう点が、もう日本の郵政省の指導というものは一番欠けているということを指摘もされておりますので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  先ほど通常切手に対する消印の問題で、特に七十円等は真っ黒になってしまうということを申し上げたのですが、私も調べて驚いたのですけれども、いまのくし形日付印というものは、明治三十八年、日露戦争直後に決められた。それから全く変わってないわけですね。しかも線が太くて、そして消しのあり方が大変汚い。いま外国への差し立ての消印については少しきれいになっております。これは明治三十八年に準備をされて、そして明治三十九年の一月一日から使用開始をして、七十五年ぐらいになりますか、全く変えられない。これも大変無神経です。したがって非常に汚いですね、封書の上に押された機械印の場合は別といたしまして。この七十五年間もくし形日付印がずっと続けられて全く変えられない。もっと線を細くしてもいいじゃないか。外国のを見てごらんなさい、非常にきれいですから。こういうくし形日付印を変えていく、いまの欧文消印、これもちょっと太いけれども、少なくともそういうようにきれいに消せるようにする意思がおありかどうか、お伺いしておきます。
  43. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の印影の形式というものは、仰せのとおり明治三十八年に。考えようによっては歴史にたえるりっぱなデザインとも言えるわけでございますが、先生仰せの、まずこの線が太いということについて、私たちなぜもう少し細くできないのかというような点につきましては、技術的にはもちろん可能でございますが、著しく摩耗が早くなるというところに現在の線の太さがあるわけでございます。それから、くし形の模様は、当初はやはりデザイン的な意味があったと私は思います。同時に、このくし形の模様というものを入れることによって全体の構造というのが、やはり摩耗を少なくするという働きがあるということで今日に及んだわけでございますが、ただ、せっかくの先生の御意見でありますので、今後積極的に、現在のものを変えるかどうか、そういう点について研究をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  44. 後藤茂

    後藤分科員 こういう消印に関心をお持ちのない人でも笑うのです、いまの局長答弁にはね。著しく摩耗するなんて、そういう答弁をしちゃいけませんよ。日本だけがやっているわけじゃないのですから、やはりそれぞれ諸外国全部やっているわけですから、こういったものに対してもっと神経を配ってほしいと思うのです。もう七十五年間も使ってきて、そして常に大変汚い消印になっているというのを、これはいまから検討するということじゃなしに、早急に変えるということを進めていただきたい、こういうように要望しておきたいと思います。  時間が余りございませんので、一、二検討してもらいたいと思うのですけれども、日本の歌シリーズ、現在近代美術シリーズがずっと続いておりますが、これは、恐らくまだいまのところはエンドレスだろうと思うのですけれども、歌シリーズが終わるわけですね。新シリーズをどういうようにお考えになっているのか。聞くところによりますと、建物シリーズ等々も出されていくようでございますけれども、この新シリーズについて、これは一言でいいですからお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 魚津茂晴

    魚津政府委員 五十六年度から新しいシリーズといたしまして、近代洋風建築シリーズ切手を予定いたしております。
  46. 後藤茂

    後藤分科員 近代洋風建築シリーズだけが考えられているようでございますが、私は一つ提案があるのです。それは、わが国では戦後十八名の文化人の肖像の切手が発行された。それ自体は実は大変評判のよかった切手であります。しかし、あの人が出る、この人が出ないとか、大変むずかしい問題も郵政省にはかけられたと思います。私は、この百年ぐらいの間の方々のというのは、まだちょっといまのわが国の風土から言って、圧力団体がいっぱい出てきたりする風土から言ってむずかしかろうと思いますが、しかしそれ以前の方方の、文化人なり芸術家なり科学者なりという人人を顕彰する切手をぜひひとつ発行すべきではないだろうか。歴史上それぞれ足跡を残された人々が切手になっていない国というのは恐らく日本だけだろうと思うのです。外国ではほとんどそういう方々を国家的に顕彰していっているのです。こういう文化人といいますか、歴史的にそれぞれの足跡を残してこられた人々を顕彰していくという意思はおありかどうか。これはひとつ大臣に、こういったわが国の歴史上それぞれの足跡を残してこられた人々をどう顕彰していくべきか、できれば切手を通じてやっていくという意思がおありかどうか、お伺いをしたいと思います。
  47. 山内一郎

    山内国務大臣 事務当局に聞きまして、昭和二十四年から二十七年まで、文化人シリーズの切手を発行したということは聞いております。その後どうしたのだと言うと、いろいろと資料等の収集とか、いま先生の御指摘もありましたように、だれを載っけてだれが載っからなかったとか、いろいろそのような問題もございますので、これは非常に重要なことだと思っております。したがって、そういう点で検討させていただきましてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  48. 後藤茂

    後藤分科員 大臣、ぜひひとつこの問題に対しては積極的に取り組んでみていただきたいと思うのです。外国からは最近も、この間ECの会議に出てみましても、自動車問題等が大きく貿易摩擦で出てきているし、急速に経済大国になってきて、経済は大変強いけれども文化的水準が低いのじゃないかというような意識で見られる面もあるわけです。しかし、歴史をひもといてみますと、それぞれの時代で大変な業績を残された方々がいるわけです。たとえば肖像が残っていないとか、あるいは著書が残っていないとか、こういうものは別です。しかし、私のところへこうやって熱心な方々からこういう手紙なり資料なりを送ってきているのを見ますと、たとえば解体新書を出した杉田玄白だとかあるいは適塾を開いた緒方洪庵だとか華岡青洲だとかあるいは探検家の間宮林蔵だとか青木昆陽、さらには雪舟とか北斎とか、いろいろな国際的にも知られた人々がいるし、また肖像なり著書なり業績なりの残っている人もいるわけです。先ほど郵務局長にちょっとお見せしたのは、これは実際は切手じゃないですけれども、こういうようにしたらどうかという大変熱心な方々もいらっしゃるわけです。これは松尾芭蕉だとかあるいは良寛、近松門左衛門、さらには井原西鶴、こういったものをもし切手にするとこういう図案になるのではないかという素人のイラストですけれども、どうですか大臣、もう一度お伺いをしたいのですが、そういうように、医学の面におきましてもあるいは植物なり地理なりあるいは学問の分野においても芸術の分野においても、歴史的に評価の大体定まっている人が相当います。こういう人を、郵政省だけということになると大変むずかしいだろうと思いますから、文部省なり文化庁なりあるいはそれぞれの学者、専門家等をひとつ集めまして、どうだろうか、日本でこういった人人を顕彰していくために、できれば切手にしてまいりたいと思うが協力を仰ぎたいということで、これから積極的にこの問題に取り組んでいってほしいと思うのですけれども、大臣いかがですか。
  49. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろお話がございまして、文化人を切手にすることについて非常に御熱心な方々がおいでになる、こういうお話をいま聞いたわけでございます。したがって、そういう方々の意見を十分に取り入れてよく検討して、ひとつ実施の方向についてはやらさせてみたい、こう考えておるわけでございます。
  50. 後藤茂

    後藤分科員 ぜひこれからの新シリーズの中にも、こういったものを加えていくように御検討をいただきたいと思います。  たくさんお聞きをしたいと思っておったわけですけれども、時間がありませんので最後に伺いますが、一つは切手帳あるいはロール切手等の発行がもう一つ取り組みが積極的でないばかりではなしに、ときには思いつきでひょこっと出てきてみたりという点が大変多いのです。やはりこれから、電話で事が済むわけですけれども、家庭に切手帳等あるいは窓口等でロール切手等が簡単に手に入っていくように、ぜひ郵政省としても対策を講じていただきたいと思いますが、時間が参りましたので一言で結構でございますから、この問題に対してひとつ郵務局長の考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 魚津茂晴

    魚津政府委員 過去のいろいろなデータからすると、需要が案外ないのでございますが、しかしながら、これからの郵便というのは、やはりいい意味で商売気を出すということが必要でございますので、需要とか製造コスト等をいろいろ調べた上で前向きに検討をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  52. 後藤茂

    後藤分科員 終わります。
  53. 海部俊樹

    海部主査 以上で後藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、野口幸一君。
  54. 野口幸一

    野口分科員 昨今、郵政省は貯金の利子だとか郵便年金などで大変お力をお注ぎでございますが、私は、その問題は別の機会にまた申し上げるとして、いま後藤先生もおっしゃっておられましたが、特に郵便事業の問題について、なかんずく年賀はがきの取り扱い問題を中心に御質問を申し上げたいと存じます。  一口に申し上げますならば、私も三十数年郵政省内におりまして現場で働きました人間の一人として、郵政省ほど制度とかいろいろなものを変えていくという積極姿勢に欠けている省はない、一言に言ってそういう言葉に尽きるのであります。  先ほど郵務局長が消印の問題で変なお答えをされましたので私も苦笑をしたのでありますけれども、たとえばあの消印の問題にしましても、現場は決して郵務局長のおっしゃっておるようなことを意識はしておりません。少なくとも現場の者で考えておりますのは、たとえば局名が画数が非常に多くて、消印したときに真っ黒けになっちゃう、困ったことだ、どこの局だかわからない、どうしたらよかろうというときに、いま郵政省郵便番号というのを非常にやかましく言っているじゃないか、どうして消印に郵便番号を入れないのだ、こういう声があるのを御存じですか。そういうことも実は全然取り上げようとしない。郵政省郵便番号を普及するとするならば、消印になぜ郵便番号を入れようとしないのか、こんな問題なども再三にわたって現場では言っているけれども、省自身としてはお取り上げにならないような傾向にある。これなんかは本当に考えなくちゃならない問題ではないでしょうか。  その一つを取り上げてみましても、今日郵政省がいろいろな問題で検討されておるようでありますけれども、発想の転換というのですか、それが非常に鈍い、悪い言葉で言うと旧態依然たる中につかっていらっしゃる、こう言わざるを得ないと思うのであります。  大臣はまだ就任早々でそういう問題については恐らく御勉強中であろうと思いますので、きょうは大臣を責めるのじゃなくて、郵務局長はベテランでありますから、ベテランの郵務局長中心にお聞きをいたしますが、どうかそういった意味で、年来に余り輩出しないりっぱな郵務局長だということで私どもも期待をいたしておりますので、ぜひともそういったことで勇断を持って改善をしていただきたいということでございます。それを前段にお願いをして、申し上げていきたいと思います。  年賀はがきでございますが、質問の順序、いろいろ混乱するかもわかりませんが、お許しをいただきたい。  まず、元旦配達というのを金科玉条のようにおっしゃっておられますが、いわゆる元旦の配達達成率というものをお示しになって特に部内に奨励されておりますが、この達成率というのは一体何をもって達成率とされておるか、それをまず一番初めにお伺いしたい。
  55. 魚津茂晴

    魚津政府委員 元旦配達の達成率と申しますのは、十二月三十一日、元旦の前日の午前中に到着した郵便物数がございます。その物数と、元旦に事実上持ち出した物数、これが一緒であれば一〇〇%になるわけでございますが、元旦に持ち出した物数が三十一日の午前中に到着した物数を上回るという場合には一〇〇%を上回る、こういう性格のものでございます。
  56. 野口幸一

    野口分科員 私はそれは理解しないわけではないわけでありますけれども、そのことが郵政省内の物の考え方の発想の基準になっているとするならば、これは少しく改めなければならないのではないだろうかと思うのであります。もちろん国民は元旦に配達されることを希望いたしておりますから、それをやわらげろとか廃止しろという意味で申し上げているのではありません。これはあらかじめお断りしておきます。しかし、そのことにこだわり過ぎて事業の内容が、いわゆる業務の内容がいたずらに繁雑になり過ぎているのじゃないか。そのことを何とかしない限りいけないということなんですね。その辺が問題だと思うのであります。  これはあえて申し上げるまでもないと思いますが、ある郵便局長にその話をいたしますと、実は学生アルバイトが使える雇用期間というのが、大体十二月の二十日過ぎでないと高校が休みにならない、また一月の八日ごろになれば学校へ行く、その間がいわばアルバイトを雇う一番最適の期間だ。その間に何とか処理をしたい。つまり人的資源というものを頭に入れて、その間に処理をしなければ年賀はがきというものは処理されないのだ、こういう発想のもとで物をお考えになっているような傾向にあります。したがいまして、実は、釈迦に説法でありますけれども、取扱規則なんかにのっとりますと、取扱期間というのは十二月十五日から十二月二十八日まで、これが年賀はがきの特別取扱期間だということになっているはずであります。ところが郵務局表も御存じのように、昨年の十二月に宣伝で、あるいはまたテレビで年賀はがきの差し出しは何日までということで宣伝しておりましたが、何日までとやっておられましたか。
  57. 魚津茂晴

    魚津政府委員 十二月二十円というふうになっております。
  58. 野口幸一

    野口分科員 これは全く国民に対する約束違反であります。しかも初めは、私の記憶しておりますところでは、二十八日が二十五、六日ごろ、なるべくという言葉がございました。郵政省のいわば業務に対して御協力をということで、なるべく二十五日までに、なるべく二十四日までに。年々歳々日が早くなりまして、昨年はとうとう二十日になりました。しかも、なるべくという文字が消えました。だから、二十日以降に出した郵便物は元旦に配達してくれないのかという電話も各郵便局にあったはずであります。こういうように現実と合わない取り扱いの状況、いわゆる取扱規則と合わない状況であるのを今後どう処理をしていこうと思っておられますか。
  59. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の特別取扱期間は、仰せのように十二月十五日から二十八日までということに相なっているわけでございますが、一方、国民の皆様方に差し出しをお願いするといういろいろのPRは二十日ということになっている、その乖離といいますか、ギャップをどう考えるのだということになるわけでございますが、私どもお客様に対しては、やはり法律に定められている十二月の二十八日までに差し出していただいたものは、消印もしなくて、そして、地域的な差はございますけれども、できるだけ元旦に配達できるようにする、その特別取扱期間というものを郵便の年末首の業務運行の基本としてやはりわれわれ考えているわけでございます。ただ、お客様への協力要請という形でできるだけ早く差し出していただいて早く処理をできるようにするというようなことで、PRとしては十二月二十日というようなことでお願いはしておりますけれども、特別取扱期間の二十八日というのは仕事の意味では意味を持っているものであるというふうに考えておるところでございます。
  60. 野口幸一

    野口分科員 それじゃ、それはお願いじゃないですね。年賀はがきの差し出しは十二月二十日までにと書いたものを都内なり、テレビで宣伝して、それがお願いですか。なるべくという言葉が入っているならばこれは取扱期間は二十八日までありますけれども、なるべくならば二十日までに出して協力してくださいというのならば意味はありますけれども、なるべくというのは消えたじゃないですか。年賀はがきの差し出しは十二月二十日までに、こう来れば、国民の人が、それでは二十八日まで取り扱いがあるということをそんなことでわかりますか。そんな文字の解釈ができるのですか。問題があると思いませんか。これは一方的な、郵政省の勝手な独断ですよ。二十日までにと言われれば、二十日までに出さなければならないと思うのが人情ですよ。ましてや、先ほどもお尋ねしたように元旦の配達達成率というのは、実は取扱期間を過ぎて、三十一日の午前の到着便までをなるべくならば一日に配達しようと、非常に積極的なんですよ。その裏を国民は全然知らないのですよ。そうでしょう。二十日までに出したものは一日にしてくれるけれども、二十日から以後はだめなのじゃないかという疑心暗鬼を持って、二十日以後の人は出しているのですよ、その裏は御存じじゃないですから。その裏が国民のいわゆる不信になっているわけです。だから、恐らくことしの年末は、二十円の年賀はがきが四十円になるわけです。発行枚数はどういう形にされるか、これから聞こうと思っておりますが、非常に問題があると思いますので、このなるべく二十日という言葉を使っても、二十日というのは非常に問題がある日なんだけれども、この二十日というものを、なるべくを消して協力要請という形を消してしまった形で郵政省が独善的な物の考え方のようなニーズで受け取られるような宣伝だけは絶対やめてください。それだけはひとつ郵務局長、お約束をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  61. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私どもの理屈は理屈としてあるわけでございますが、いま先生仰せの点を十分踏まえまして、今後どういうPRが早期の差し出しにつながって、全体として年末首の業務運行に資することになるのか、十分考えさしていただきたいというふうに思います。
  62. 野口幸一

    野口分科員 もちろんことしの発行枚数は、昨年と違いまして倍になっているわけですから、必ずしも伸びが昨年末と同じような数字になるということについては非常にむずかしい情勢にあると思います。お聞きするまでもないと思いますが、一応現行発行枚数を基礎にして計画されますか、どうですか。
  63. 魚津茂晴

    魚津政府委員 五十五年度の年賀はがきというのは、御案内のように一億三千万枚と前年に比べて増加したわけでございますが、四十円で迎える五十六年度の年賀はがきの枚数につきましては、全体の料金が与える影響、そして過去のいろいろなデータというようなものを十分しんしゃくして、一方、ことしはなお足りなかったというような事実もわれわれ承知をいたしておりますので、減の要因、増の要因というようなものを十分整理して決定をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  64. 野口幸一

    野口分科員 私は、何枚にしろとか、あるいはまたどのくらいがいいだろうというようなことを申し上げるつもりはないのですが、恐らく国民の皆さん方から見れば、昨年の倍になっておる少なくともことしの年賀はがきの取り扱いというのは、いろんな意味で注目されると思うのです。高くなったのに扱いが粗雑だったとか、あるいはその到着の状況がどうだったとか、いろんなことがいままで以上に要求されてくる年になろうかと私は思うのです。そして、倍になったのに相変わらずじゃないかと言われるようなことのないように、ぜひとも万全の措置をとってもらいたいということを、まず前段に申し上げるのであります。  そこで、お年玉つき年賀はがき、これはずいぶん前からやっているわけでありまするが、相も変わらず一円という形であるわけです。発行しました当時の一円というのは、わりあい値打ちと言ってはおかしいのですが、価値のある一円の寄付金だったと思うのです。いま四十円になりまして、相変わらず一円という形の中で、お年玉というものの性格づけをさせていこうと考えておられますか。この辺はどうですか。
  65. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この寄付金つきのお年玉年賀はがき、おっしゃるように、発行して以来ずっと一円でございます。しかも、一円でかつ発行枚数が五億枚ということで固定しているわけでございます。  そこで私、率直に申し上げますが、一月二十日に施行になりました郵便法等の関係法規、この中で寄付金の配分団体が項目として二項目ふえたわけでございます。そういうような点もございますので、私自身の考えといたしましては、寄付金総額をもう少し、国民の皆様方の理解を得ながらふやしてまいりたいというのが私の気持ちでございます。  ただ、ふやす際に、一円を二円にするというかっこうで発行枚数を抑えるのか、それから一円にしておいて発行枚数をふやすのか、そういった技術的な問題がなお残っておりますが、いずれにいたしましても、寄付金総額が五億円であるというこのことについては、ことしの発行までに真剣に、改正をしたいという考えを持ちながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  66. 野口幸一

    野口分科員 検討をしたいということでありますが、実ははがきの原価計算、単純計算で大体十四、五円、四十円ということになりましたら大分もうかるわけであります。まして、一円をいわゆる料金の中からはみ出してやっていくということについては問題がいろいろあろうかと思いますけれども、できるならば、いまの状況から考えて、倍額の二円ぐらいにして国民の皆さんにお訴えする方がいいんじゃないか。また、郵政省が年賀はがきというものを一つの媒体にして、国民の皆さんの福祉の問題についてより積極的にやっていきたいという気持ちをあらわしていくという施策一つあっても、その方向は正しいんじゃないか、こう考えます。したがって、その寄付金の問題についても篤と御考慮をいただきたい、こういうことでございます。  もちろん配分先についてはまたいろいろと問題があろうかと思いますが、それはその時点になりまして、金額が倍になったら倍になった時点において考えることにいたしまして、そういう考え方をお持ちになっていただきたいということを、まず申し上げておきたいと思います。  そこで申し上げたいのは、いわゆるお年玉の引き渡しの状況でありますが、発行されてから今日まで、大体何%程度当せんの物を取りに来ているかということをお尋ねいたしたいと思います。
  67. 魚津茂晴

    魚津政府委員 既往の三年間の交換率を申し上げてみたいと思います。  一等賞品で五八・三%、二等で五六・七%、三等で四六・六%、それから四等で四五%、五十二年から五十四年の三カ年の平均の交換率でございます。
  68. 野口幸一

    野口分科員 約半分しか取りに来てない。この半分しか取りに来ていないという原因は、いわゆる引き渡し期間が短いのか、あるいは賞品に魅力がないのか、一体どういう理由で五〇%しか取りに来ないのですか。その辺は分析しておられますか。
  69. 魚津茂晴

    魚津政府委員 複合原因という感じなんでございますが、はがきを紛失する方も事実上おいでだと思います。それから、めんどうなため交換に来ない、あるいは私たちの周知の不足というようないろいろの原因、それからお年玉の抽せんそのものに興味がないというような人がいらっしゃる、世の中には宝くじの一等の何千万円というのすら取りに来ないというような実態があるわけで、その辺の原因というのはどういうことなのかなということも、私たちこれに関連して思うわけでございますが、いずれにしましてもいろいろの原因があるということ。  ただ、私ども、いろいろの原因という中にPRが不足しているのではないかとか、あるいはこの賞品に魅力がないのではないかということは、私どもの施策関係があることでございますので、そういった点は絶えず反省をしながら、この交換率を高めるというふうに絶えず努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  70. 野口幸一

    野口分科員 一番最後におっしゃった賞品に魅力がない、これは私は一つ言えると思います。ずっと発行以来四等は大体切手ということになっております。これがいわゆる、先ほどの後藤先生じゃありませんが、趣味のある関係の方についてはある一定の興味を持って収集されますけれども、年々歳々ごらんのように切手のいわゆるカタログなんかを見ますと値段が下がっているわけですね。これは発行枚数がどんどん多くなってきて、いわゆる希少価値がだんだん落ちてきているということも一つあります。それから、印刷が非常に単純になってきているという問題、これは先ほども切手の質の問題が出ましたが、それもございます。それから、特に近年は、三等は明けても暮れても封筒セット、これは余り魅力がありません。まして、郵政省が手紙というものに対して文化性を持たせていろいろなことでお差し出しを奨励するというなら、もう少し、このはがきを、この手紙を、あるいはこの封筒を使ったら非常に相手方に喜ばれるなどいう、そういう工夫のある封筒なりはがきなりが入っているのならばいざ知らず、相も変わらずどこにでも売っているような封筒が、しかも、恐らくあの種の封筒は、文房具屋でも一番売れの悪い形の封筒が入っているわけなんですから、それは取りに来ないはずなんです。  それからもう一つは、一つの宣伝の方法として、要らなければその賞品の当せん番号を一定のところに集めて、つまり御寄付をいただいて、それを換金してまたそういう福祉施設に渡す、これを国民の皆さんにお願いをする、そういう一つのシステムを考えてはどうか。たとえば当せん番号のはがきをお受け取りになって御不用の節は、何とぞそれは、たとえば助け合いの箱だとかそういうところへお入れください。それをまとめて換金するなりいろいろな形にして、あるいは現物以外の形の中でお年玉を福祉施設へもう一度それを上げるというような、当せんしたものに対してさらにもう一度国民協力していただけるようなシステムをとってはどうなのか。もらった人は、たとえば切手を一枚あるいはまた封筒を一枚もらうよりも、かえってそういうところへ寄付した方がいいと思うのだったら、それをそこに入れるのじゃありませんか。もう少しそういうような発想の転換をして、お年玉の意義というものをもっと国民の皆さん方に浸透させるような、あるいはまたその意義を知っていただくような方策というものをぜひ考えていただいたらいかがなものか、こう思うのであります。  そして、実は五十何%しかいっていないわけですが、賞品の購入状況はどうなっていますか。
  71. 魚津茂晴

    魚津政府委員 賞品の購入というのは、一等と二等の賞品は結局取りに来られたものだけ買う、つまり買い戻し特約ということで、あらかじめ買っておいて、それで取りに来られなかった場合に余るという仕組みでは買っていないわけでございます。それから、三等のグリーティングカード等のセットは、これは交換といいますか、取りにおいでになると予測した数字より若干多目に買いまして、余った場合にはいろいろ内部の事務用品等のかっこうで使う、またふさわしいようなかっこうで寄付するというようなことでやっております。それから、切手の場合は結局煮つぶすと申しますか、処分をしてしまうわけでございます。
  72. 野口幸一

    野口分科員 私は、それがちょっと不思議でならないのですが、少なくともお年玉の当せんというのは一定の数字までは絶対出すということで約束をしておられる数字なのでありますから、取りに来なければ、その取りに来ない分だけを、たとえば自転車だったら自転車を福祉施設に寄付するとか、あるいは切手だったらそれはいわゆる耳の聞こえない聾唖者の協会の方に寄付をさせていただくとか、あるいはそういった方々の通信にお使いくださいといって寄付するのが普通の道じゃないでしょうか。来なかったからといってその分を適当に処分している。適当にということじゃないけれども、いわばそれをいいことにして賞品を買わない。たとえば当せん率の五〇%と言っているわけですね。大体五〇%くらいしか来ないということだったら、そうとわかっておるのだったらもっといいものを出してもいいのじゃないですか。そうでしょう。そうしたら、たとえばその分だけでも内容的にもう少し充実する。たとえば、いままでだったら六〇%を超えているものはないのだから、六〇%の勘定をして、あとの四〇%の分の予算を賞品の中に組み込むとか、そういう方法もあるでしょうし、ないとするならば——それはとてもできません、よくしたらまた来るかもわかりません、品物をよくした途端に交換率が上がるということも考えられるから、それはできないとするならば、決めた数字というものは絶対動かさないで、残った賞品はそれぞれの施設に寄付する、これがお年玉の意義じゃないでしょうか、残ったものを適当に処理するというよりも。そうじゃないですか、いかがです。
  73. 魚津茂晴

    魚津政府委員 役所というのは、一方では非常に法律的な整備された規制がございまして、たとえば一等賞品を寄付するということについては、少なくとも現行法ではまた制約もございます。ございますが、いま別の観点から、交換率というものを大体想定できるわけでございますから、その交換率に基づいて実質的に賞品の質を高めるというような点については、今後先生からいただいたアイデアといたしましてよく考えさせていただきたい、こういうふうに思います。
  74. 野口幸一

    野口分科員 先ほど私は、いま交換率が六〇%以内だから、残りの四〇%というのは予算的に余っているはずなのだから、その分をお年玉の内容向上に使ってはどうかということを言いますと、実はそれをやることによってまた交換率が上がりますから——恐らく上がりますよ。上がりますから、それはなかなかむずかしいであろう。だから少なくとも一定の決められた額、数字というものはそのままにしておかれまして、残ったものはそれぞれの施設へ寄付する。あくまでもその分は郵政省から出ていきますよという形をとる措置をしてはどうかということを申し上げているのです。それが本来お年玉の意義ではなかろうか。お年玉というのは福祉事業といいますか、そういった方方に少しでも潤いをという意味も含めて考えられたものであろうと思いますから、取りにいらっしゃらない部分について、それは郵政省内で処理するのではなくて、切手なら切手というものは現行切手は使えるのですから、それはそういったところにどうぞ通信用としてお使いくださいと言って差し上げるとか、あるいは封筒もそうでありますけれども、その他の賞品を寄付するという形を、たとえば現行法上どれないとするならば、改正してでもそれをそういった形にするということは、きっと国民は手を挙げて賛成するだろうと思うのであります。そういったように国民の皆さん方に愛される郵便、たとえば郵便はがきを出すことによってそういった面にも協力ができるという郵政省の立場というものをもっと大きく前に出して考えられるのが、私は郵政事業の増収対策に大きな貢献をするものだと思いますが、この点いかがでしょうか。
  75. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私たち現状の説明をする際には法規とかなんとかということを申し上げるわけでございますが、きょうの先生の御提言、これは法規とかなんとかということはそれはそれとして、今後の方法として貴重な御提案をいただいたわけでございますので、来年のその時期まで十分検討させていただいて、前向きに対処してまいりたい、こういうふうに存じている次第でございます。
  76. 野口幸一

    野口分科員 もう時間がありませんので、最後に苦言を申し上げておきますが、もうすでに逓信委員会等で御答弁になっておるようでありますけれども、昨年の年末はこのように官製はがきに印刷いたしまして、一枚実に六十円で売っております。これはちまたでデパート、スーパーあらゆるところで売っておりました。この問題は売りさばき上の問題を含めまして改正すべき問題だと思いますし、一般の人が買わない先に買い占めされて加工されて、二十円のはがきを六十円で売っておるわけです。これは受け取りがありますから、六十円を払っておるわけです。こういうことになりますと、これまた郵政省が不信を買う原因になるわけであります。この問題は詳しく申し上げませんけれども、ひとつ対応を考えていただきたいということをぜひともお願いしておきます。  最後にもう一つだけ申し上げますと、いま申し上げましたような年賀はがきの問題につきましては、ちょっと私が舌足らずで申しわけないと思うのですが、たとえばなぜ一番先に元旦配達の問題をやかましく言ったかということにつきましては、どうも年賀はがきの取扱いというのは、郵務局で頭が固くてと言うと悪いのですけれども、固定観念で物を考えていらっしゃる。だから、いま国民のニーズというものは一体どこに存在するのかという点の発想の転換をしていただいて、もちろん元旦配達ということは金科玉条だという形の中でなくて、もう少し幅の広い物の考え方で、十日までなら十日までに配達することが可能ならば、たとえばアルバイトの人間をどれだけ減らすことができるとか、あるいは常在員をもっと上手に使うことによってコストを抑えることができるとか、あるいはまた、分配局を整理統合して一県一局ぐらいのところで分配局をこしらえて、その分配局の施設をとりあえず常々は郵政職員のレクリエーション施設に使って、年末にはそれを年末繁忙のために県下一斉の集中処理をして、そこへ機械も投入して、あらゆるものを投入してコストを下げる問題を検討するとか、少し角度を変えたこの問題に対する取り組みをぜひともやっていただきたい。そうでなければ郵政省はだんだん先細りになるのじゃないでしょうか。特に私は郵便年金だとかあるいは貯金というものがいま国民の前にいろいろな意味でさらけ出されている。恐らく郵便も次の時代にこの問題が出てくるだろうと思うのであります。少し時代に先駆けて郵政省がこういった問題をもっと掘り下げていかなければならない。  さらに、ふみの日の問題でありますが、ふみの日と決められましたけれども、毎月二十三日という日を国民は本当に意識しているでしょうか。していないと思うのです。少なくとも思い切ったことをやろうとするならば、二十三日にお出しになります郵便物は半額でございます、そのくらいの思い切った措置をしてはどうですか。二十三日に出すはがきは半額で行く。手紙を出したらそれは半分の切手で行くというくらいの措置をして、それが余分に出れば、その返事はまたそれだけ普通料金で返ってくるわけですから、もうかるわけではありませんか。決してそんなに郵政省が赤字になるはずはないと思います。そのくらいにふみの日というものを認識させる思い切った施策をとらなければ、いま郵政省の前向きにやろうやろうとしていることが、国民の間には浸透していかないということでございます。大臣、この辺、郵政省姿勢について、最後に今後の対策をまとめて御返事をいただきたい。
  77. 山内一郎

    山内国務大臣 年賀状の問題、それについております寄付金の処理の問題、さらには、最後に、もっと郵便物がふえるようにふみの日はできているけれどもさっぱりやってないじゃないか、こういうようないろいろな御意見がございまして、非常に貴重な御意見を受けたわけでございます。特に寄付金のついたものは、ともかく全部買っていただいたのですから、それの処分について貴重な御意見を受けましたので、これはひとつ十分に検討させていただきたい、こう考えているわけでございます。  それから、ふみの日に半額というのも、これはちょっと極端でございますけれども、ふみの目をつくった根拠というものは、何とかしてPRをしようという精神でございますので、まだまだ工夫が足りないところがあると私は思います。小学生にもっとPRをしたらどうか、こういう問題もありますので、積極的にふみの日の活用、また郵便友の会というのもございますし、いろいろコンクールをやっております。そういう点でさらに郵便物数がふえるようにひとつ一層の努力をさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  78. 野口幸一

    野口分科員 終わります。
  79. 海部俊樹

    海部主査 以上で野口幸一君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  80. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私は、新しく電電公社の総裁になられた真藤総裁、それから山内郵政大臣に、質問というよりは、主として行政改革、行政の節約、それから、国でやっている事業、こういうものを根本的に反省をしてみる必要があるのではなかろうか、こういう立場から、むしろ要望が多かろうと思いますが、いまから質問いたしたいと思います。  きょうの新聞二、三を見ると、大きな見出しで、国鉄の車掌二千人をカットするというような記事が大センセーショナルに載っておったわけであります。国鉄は病膏肓に入ってしまってもうどうすることもできないわけであります。私は、国でやっている事業あるいは電電公社、専売公社はこういう状態にならないうちにみずからひとつ合理化、生産性向上に取り組んでいただきたい、これが要望であります。  たとえば、ちょっと場違いで済みませんが、国民といいますか一般民間企業をやっている者から国鉄の経営を見ていると、明治以来同じことをやっている。公安職員というのがいるわけです、汽車の中でどろぼうやすりをつかまえる。今日こういうものが要るだろうか。それは明治か大正の初めかにはそういうものは要ったと思いますが、公安職員やめたらどうか。国民の運賃でそんな警察の職員費まで払う必要はないのだからそれは警察に任せたらどうか、こう言っていてもなかなかできないわけであります。  これは電電公社とも関係があるが、たとえば国鉄に工機部というのがある。車両の修理とか、そういうところがある。いま民間企業で車両修理を自分のところの職員でやっているような経営はないと思うのです。それを、膨大な人を使って膨大なコストをかけて車両や何かの修理を工機部というところでやっているわけです。こういうものを切る。そういうようにやっていけば、うちの塚本書記長が質問したときに十五万人と言いましたが、私は二十万人前後になるかと思いますが、それで国鉄は安全輸送に専念ができて、黒字になっていく見通しがあるんではなかろうか。要するに国鉄の中において経営努力、民間的な経営でもってやってこなかった、そういうところに根本の原因があるではなかろうかという立場に立ちながら、郵政省でやっている郵便事業あるいは貯金特別会計あるいは簡保及び年金の特別会計それぞれをそういう立場で見直す。電電公社は幸いにしてことしから千二百億ずつ納付金を納めてもらうようなぐあいで国家財政に寄与しておりますけれども、これも中を検討してみると第二の国鉄になるような要素を含んでいはしないか。幸いに国民の期待のもとに民間総裁ができ上がったわけですから、全く白紙の立場でいままでずっとやってきたことを見直していただきたい、これがきょうの私の質問のすべてであります。  そこで、抽象的なことですが、大臣及び総裁からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  81. 山内一郎

    山内国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、郵政省におきましても、郵便事業、貯金事業あるいは簡易保険事業、いろいろ事業をやらさせていただいておるわけでございます。特に郵便事業につきましては、郵便の収入によって賄うようにとこういうことでやっているわけでございまして、赤字になるから簡単に郵便代を上げればいいじゃないか、こういうようなつもりはないわけでございます。何とかして郵便料金が上がらないようにいろいろ効率化の問題あるいは簡素化の問題に努力をさせていただきまして、皆さん方、こんなにやっているんだけれどもどうしても赤字になるから料金を上げていただきたい、こういうような考え方で従来もやっているわけでございまして、先生の御意見はまことにごもっともな意見で、そういう線に沿って今後もやってまいりたいと考えております。     〔主査退席、関谷主査代理着席〕
  82. 真藤恒

    ○真藤説明員 私、先日電電総裁を拝命いたしまして、その後いろいろ具体的に事務をやっておりますが、いまの御質問に対しまして、私はかねがね、生産性というものは資本力と技術力、これは企業の中の従業員の持つ技術力、それから職員、要するに企業の中の従業員全部の勤労意欲、この三つが一緒になりまして初めて生産性というものが前向きに動くというふうに考えております。電電の場合にこれを当てはめてみますと、電電は一種の装置産業でございまして、今日までの政府のいろいろな保護のもとに、また従業員、先輩の皆さんの御努力によって膨大な資産を築き上げておりますが、これが今後いかに有効に運転されていくかということでございます。  ここで一つ問題でございますのは、いままで電話の拡充ということを主力に経営されてきておりますが、これから情報産業に対する世間の旺盛な、急激ないわゆる需要が出てまいりますので、それに対応するために、幸いにして技術力は蓄積されておりますので、これに対する資本力をどうして持ってくるかということと、それからもう一つは、従業員との徹底した協力のもとに従業員の再配置、再教育というものを新しい技術に合わせてやっていかなければなりませんので、これからの経営、へたにまごつきますとさっきおっしゃったような悪い方向へ行く可能性も多分に持っております。この辺をどう道づけていくかということが当面の問題と心得ております。
  83. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 企業のあり方というものは経営者の考え方というものが従業員に反映する、これは私は常にそう思っているわけです。だから労働組合が大変建設的でいいところは、その企業はやはり前進をしていく、こう思います。その労働組合の体質がいいというのはどういうことになるかというと、経営者の経営方針、これが局長なり、管理職を通じて従業員に反映をしていく、その結果が労働組合としての考え方にはね返ってくる。きわめて簡単な言葉ですが、労使は鏡である、こういうように考えます。したがって、私は八〇年代の大変激変する時代に対応していくための郵政のそれぞれの事業、電電の事業は、まず労使関係をそういう関係に確立する中においてこれから対処をしていかなければならないのではないか、こういうように考えます。これは私の意見ですから、お答えいただかなくても結構です。  そこで、具体的に私は御質問をいたしますが、たとえばそういうためには、私がどうしてもやっていただかなければならないことは、職員の数をふやすなかれ、このことなんです。職員の数をふやすな。いままで役人の経営というものはどこのポストにどういう者が要るから何とか補充しなければいけないということに狂奔——本当にそういうことだけで、なわ張り争いでないが、拡大することだけに狂奔してまいったわけです。ところが、職員の数をふやすなといっても、せっかく生産性を上げた成果というものを、いわゆる俗に言う社会、公共にもお返しする、企業の発展にも使う、職員の福利、厚生、給与の改善にも使うというように、生産性向上の成果が正しく三者配分できるような経営形態でないと、私はなかなかやりにくい面があるのではないか、こういうように考えるわけです。  そこで、私が願ってもやまないのは、三十一万、三十三万というマンモス経営、こういうものがこんなに大きい経営でいいだろうか。電電公社は三十二万でしょうか。郵政はいま三十一、二万ですね。ここに私は問題があると思いますので、民間経営ではないが、まず分割して、自分たち努力が企業の中にあらわれる、その成果配分をわれわれが受けられる、こういうような経営形態を改めて考えてみなければならないのじゃないか、こう思います。  私は会計検査院が、あれは電電公社ですか、やみ給与だか何かでやったというのは、一生懸命経営に努力してやったやつを何とか分けてやろうという苦肉の策じゃないかと思いますが、制度としてそういうものがないとできないから、そういうことになると、国営事業でやっていることがいいだろうか。郵便事業でも、あるいは貯金の事業でも、保険の事業でも、公社形態にするか、あるいはもっと民営に近いような形態にするかどうか、私は根本にそういう問題があると思います。  私は、電電公社においてもそういう問題があると思いますが、そういうことはさておいて、私は、まず第一には経営者としては人をふやすな、このことに一切の経営の方針を貫いていかなければならぬ、こう思いますので、まずこれは事務当局でいいですが、電電は昭和五十年と五十六年の人員はどういうようにふえているか、人件費はどういうようにふえているか、これは職員でいいです。それから、郵政省昭和五十年度の人員は幾らか、五十六年度の人員は幾らか、そしてそのときの人件費は当時幾ら、いま幾ら。
  84. 児島仁

    ○児島説明員 お答え申し上げます。  ちょっと細かい数字を持ち合わせておりませんので、ラフな数になりますが、要員について、逆に申しますと、先生いまおっしゃいましたように人をふやさないということが現実のものになってまいりまして、昭和五十五年度の増員は二百六十名でございます。それから五十六年度、来年度でございますが、これは七十一名。それから後先になりますが、五十四年度は千四、五百名というような増員でございます。したがって、ここ数年非常に低下をいたしまして、ここ数年でトータルでふえておるのは数千名というふうに考えております。ただし、この増加の率が下がっていきまして、最終的にはゼロあるいはマイナスになる時期もあるのかもわかりませんが、ここから先についてはほとんどふえていかないのじゃないかというふうに思っています。ちょっと数がなくて恐縮でございますが、現在ほぼ三十二万、数年前からずっとそれが数千名下がりつつございます。
  85. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 途中ですが、私資料をいただいておって、昭和五十年度には、予算で三十一万八千四百人、ことしは三十三万二千人、人件費が当時八千六十三億、ことしは約一兆三千億、人の数はふえていないが人件費としては一六三%にふえている。それが電電の現状だと思いますから、そのとおりでよければ御返事しなくても……。  郵政省の方はどうですか。
  86. 岡野裕

    ○岡野政府委員 郵政省でございます。昭和五十年度と五十六年度の対比でございますが、まず予算ベースで申し上げまして、人員数の方でございますが、五十年度三十一万六千七百五名、同じく五十六年度でございますが、三十一万二千九百八名という人員でございます。  これに対しまずに予算人件費でございますが、五十年度は一兆五百億円でございます。同じく五十六年度でございますが、一兆四千九百億でございます。数字を丸めてございますので、御了承願います。  なお、念のためでございますが、行政定員の削減計画といいますもの、先生御存じのとおり昭和四十三年以来五次計画目に入っているわけでございますが、第四次計画までの実態をお話しをいたしますと、削減目標数は四万八千十九名でありますところ実際に減員をいたしました数は四万八千百二十四名ということで、若干実際の減員数の方が上回っているということで、今後もその向きにつきましての努力を重ねてまいりたい、こんなふうに思っているところであります。
  87. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 大臣、総裁、お聞きのように電電においては三十一万八千から三十三万二千、ただし人件費の方は一六三%、約六割三分ふえている。それから郵政の方は三十一万六千から三十一万二千ですから、これはむしろ四千人ばかり減っておりますが、人件費の方は一兆から一兆五千億ですから、約五割ふえている、こういうのが実態ではないかと思います。恐らく職員局長とか何とか局長という人は、こういうことで人件費は減らしつつあります、こういう方向だけで、それは努力しているなど大臣も総裁も思うと思いますけれども、さて一歩翻って中身を私たちが見れば、これだけの装置産業、これだけいろいろ変わってきている時代においてはもっともっと人件費人件費と言うよりは人員は減らせるのではないか、こう思います。  一例をたとえば電電に挙げますと、部門別に見ますと、営業、運転の関係が十二万七千人がいまは十二万四千人になりました。これは三千人ばかり減っております。保守部門というのが十三万六千六百人から十五万二千七百人、保守部門がこういうようにふえているわけであります。私はああいう装置産業の中で保守をみずから全部やろうとすればこういうようにふえていくのはけだしやむを得ぬと思いますが、そこなんです。先ほど国鉄の例で申し上げたように、国鉄の汽車を修理するのは国鉄の職員でなければならぬという考えで経営者がいままでずっと来ているから、あの工機部という膨大な人員を抱き込んでいるわけであります。私たち民間の、たとえば石油化学コンビナートのあの膨大な装置産業の中へいったって、メンテナンスをみずからの職員でやっているようなところ、みずからの社員でやっているようなところはないわけです。だからこの保守部門のうちの十五万人という人を何割下請でやることができるか、これはそういう目でひとつ見ていただかなければならぬのではないか、こういうように考えるわけです。  また郵政の方についても、私が一々細かいことをここで挙げ出すと切りがありませんけれども、たとえば、一つだけ例を、私は郵政の逓信病院のことを前に予算委員会で取り上げたことがあるわけですが、たとえば逓信病院というものは、あれだけ膨大な赤字を抱えながら、自分のところで経営をしなければならない情勢はいまやなくなってしまっておる。ちょっと数字を申し上げますと、郵政省で持っている病院がトータルをしますとたしか十六だと思います。トータルをしますと従業員が二千二百人ばかりいるわけです。収入は四十二億九千万であります。約四十三億であります。支出は百四十二億であります。だから、これは一般民間企業の経営で見ると、この病院、いま職員もろくな先生がいないからと言って利用しない、一般の病院があるのですから。利用しないにもかかわらず、二千二百人の人を抱えて収入は四十三億、支出は百四十二億、要するに百億の赤字を抱えて、二千人の人を抱えているわけであります。こういうものを経営者というものは一つも、ある日に反省をしてみるということを一回もやっていないわけであります。電電も全く同じであります。電電は職員数が、これはやはり十七病院で二千百何人であります。収入が七十六億であります。支出は二百三十三億であります。電電における逓信病院です。二千人の人を抱えて、七十六億の収入で二百三十三億の支出をやっているという経営が何らの反省もなく行われているということであります。だから先ほど言うように、職員の数はふやしておりませんという、そういうことだけでなく、中身を見なくてはならない、こういうように考えます。  いま一つ両方に関係がありますから、いま一点だけ。これはもう国会で私がたびたび取り上げてまいりましたが、たとえば電報。郵政も電電公社もこれは関係がある。電報を私はやめたらどうかというのだ。チチキトクスグコイという電報はもはやもうほとんどないわけであります。一割がそこらしかそういうものはなくて、もう電話が発達していますから、こんな電報なんてやめたらどうだということを私が提案してから二、三年になるわけですが、いよいよ私が主張する方向に、政治家がケッコンオメデトウゴザイマスみたいな電報を打つしか電報の用はなくなっているわけです。そういう中でこの経営はどうなっているかというと、昭和五十四年度予算で見ると、電報の収入は三百三十八億であります。支出は千五百二億であります。電電公社の人と郵政省の人が二万何千人これについているわけであります。だから、こういうものをどうしても役所は、いや慶弔電報といえどもやはりこうやって文字で書かれて持っていった方が相手はありがたがりますとか理由はいろいろ言います。言いますが、企業経営という目で見たときに、こういうものをまず国会の反対を押し切ってでもわれわれはやらなければいけません、こういうように言うのが皆さんの立場であって、私たちはむしろそういうものを置いておいてくれやと言いたい方なんです。ところが、経営者である郵政大臣や電電公社の方から一回もそういう反省の上に立っての経営合理化、こういうのが出てこないというのが現状ではないか。もっとたくさん言いますと、保険であろうと貯金であろうと、われわれが見ていると、見ちゃいられないようなことがいっぱい平然と行われていますから、幾らでも例を申し上げますが、私は国会でやったたった一個か二個の問題について申し上げたわけです。こういう現状の上に立って、もう一回改めて郵政大臣並びに総裁は自分のところの事業というものを見直してもらいたい、それが要望の一点であります。  それから見直すには、よそから言われないで、郵政の事業の中で反省するどういうセクションをつくるか、電電の中で反省をするどういうセクションをつくるか、私たちは門外漢ですから、外から言えというものは幾らでも言えますから。そして時代の要請、国民の要請にこたえなければならぬじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  88. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ御指摘ございまして、特に逓信病院の関係は、御指摘のとおり赤字でございます。そこで、逓信病院の役割りというのは、職員の治療をやる以外に、健康管理といいますか、そういう点で非常に重大な役目を果たしているわけでございますが、こういう状態では赤字ばかりふえるのでございますので、いま一般公開の方向に向かっているわけでございます。全国で二つの病院については一般公開をすでに実施をいたしておりますが、一般公開についてもいろいろな点ですぐできないという点はございますけれども、何とかして努力して全部の病院を一般公開にして、黒字の方向に向かわせ、かつ病院の使命である職員の健康管理、こういう点について十分配意をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  89. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの不採算部門に関する御意見、ありがたく拝聴いたしました。この件につきましては、今後時間をかけながら勉強していかなければならぬと思います。  病院の問題につきましては、いま大臣からお話しになったのと全く同じような考えを持っております。
  90. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それは私の気のついたほんの一部であります。電電の総裁からはまだメンテナンスの十五万人もくっついているものを、一般民間でやるならばこういうものはみんな下請でほとんどやっているけれども、私は全部とは言いませんが、そういう目でその経営のあり方を見なければならないのではないか、こういうように申し上げているわけであります。  そういうことから見ると、これも私はずっと前に提起をいたしましたが、今度の行政改革において、たとえば行政の方においてはブロック機関を廃止しろ。建設省の出先に中部地建だとかいろいろある。その途中のブロックを廃止しろ、こういうのが行政の方には各党からも言われておりますが、現業についてそういうことは、まあ現場の仕事をやっておるから言わなんでおけやみたいな話なんですが、私は、たとえば電電でいうならば、本社があって、私の方なら信越電気通信局があって、長野に電気通信部があって、そしてその下に電報電話局がある。いうなら本社、局、部、電報電話局、四段階というのでしょうかね。私はこれだけ情報化の時代になって、もう電話なんか電電公社お手のものですから、こういう時代に対応するには、行政で各ブロック機関を廃止しろと同じように、やはり電電公社とか郵政省においても、現業部門においても当然そういうことが検討されなければならない一つの重要なテーマではなかろうか、こういうようにも考えます。郵政の方で言うならば、従来の行き方で、今度ははがきに何か広告をとって売りますとか、先ほど来郵政大臣も収入増については大変な努力を図るようにおっしゃっておりますが、全然白紙な立場でもう一回郵政事業を振り返ってみるならば、どうしても末端まで郵便物配達していくには人手がかかるのは無理ないことです。そこを何とか工夫を講じなければこの人件費増加というものはやめていくわけにはまいらぬわけです。それで、私はずっと前に、溝呂木郵務局長の時分に、実験をしてくれないか、こう言って提起した問題があります。というのは、たとえばいま労働組合もみんな唱えていますが、老後の問題、こういう一環に私は資すると思うのですが、税務署とか郵政省とか電電をやめて定年になった人がもうごろごろいっぱいいるわけです。そういう人は、昔とったきねづかでなかなかお役所のこともよくわかっているし、われわれは国家のためや社会のために尽くしたいと思っているのです。だから、私の部落なら部落百戸のところにそういう人をだれか郵政省で委託なり何なりして、そこへ行く郵便物は迅速に、信書の秘密というものを侵すことなく、それさえきちっとしていればいいのですから、配達してくれないか、こういうようにやるならば、郵政省職員というのはいわば卸をやるようになるから、一格上の人ですから、そういうことを実験的にどこかでやっていってみたらどうか。そうすると、この膨大になっていく人件費というものを防ぐことができるのじゃなかろうか。あるいは行管庁からもう勧告を受けていますから、郵政大臣聞いてみてもらいたい。私は、昔、昭和二十五年四月前のを、死んでからもらいに行ったって百円か二百円しかもらえない保険を切れと言ったら、やっと切った。二十五年四月前のもの。もっともっと、三十五年以前のものをもらいに行くのに、死ぬか何かして、満期になるかして千円や二千円もらいに行くのに、電車賃かけてタクシーに乗って行けば三千円もかかるようなものはだれももらいに行き手がないから、そういうものを整理してしまえ、こう言うけれども、自分の持っているこれをどうしても離そうとしないわけです。だから、そういう意味でもって抜本的に、第二臨調が発足をする機会に、私は、臨調から言われてやったではみっともなくてしようがない、みずからやらなければいかぬ、こう思いますから、その辺をひとつ郵政大臣と真藤総裁からもう一回お聞きして私の質問を終わらせていただきます。
  91. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生のお話の、郵便配達部門における請負化といいますか、本務者によらない仕組み、これは団地の配達でございますとかそれから通信力がわりあいと少ないところではかなり進めてまいっているわけでございます。たとえば団地配達なんかですと、全国で千六百ブロック、そういったところはすでに主婦労働力を中心としてやっております。今後ともそういう方向をさらに進めてまいりたい、こういうふうに思います。
  92. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと行政改革の点あるいは経費の節約、また、定員を抑えるようにと貴重な御意見を承ったわけでございますが、われわれもそういうつもりではおりますけれども、なおなお足りないところもあるわけでございまして、今後、臨調においてもいろいろ検討されると思いますけれども、そういう線に沿って最大の努力をさしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  93. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまいろいろ言っていただいた件につきましては、実は私も気がついております。いまこれをどういうふうに考えて始末するかということをいまから研究していきたいと思っております。もうしばらく時間の御猶予を願いたいと思います。
  94. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間ですからこれでやめます。また内閣委員会なり臨調の問題を取り上げる機会に私の気のついたような点を申し上げます。ぜひ積極的に取り組んでいただくように要望いたしまして質問を終わります。
  95. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。  正森成二君。
  96. 正森成二

    ○正森分科員 私は郵便業務について若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず郵政大臣に伺いますが、郵便法の第一条には「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進すること」が郵便関係の目的であると定めらられております。そういう精神で仕事をなさっており、されようとしていることは間違いありませんか。
  97. 山内一郎

    山内国務大臣 この第一条の精神に沿ってやっております。
  98. 正森成二

    ○正森分科員 それを受けて集配郵便局郵便取扱規程というのがありますが、それを遵守される御意向も間違いありませんか。
  99. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのとおりでございます。
  100. 正森成二

    ○正森分科員 同規程の百二十条によりますと、「配達郵便物は、別に定められた配達の区画、度数、時刻、順路及び指定日によって配達する。」云云と決められておりますが、これはもちろん守るつもりですね。
  101. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのとおりでございます。
  102. 正森成二

    ○正森分科員 大阪市内は度数は一日に何回になっていますか。
  103. 魚津茂晴

    魚津政府委員 配達の度数は、市内区と称するところ、これは二回、それから市外区と称するところは一回、市内区の中で特に通信力の多いところは例外的といいますか、特例的に三回のところもございます。
  104. 正森成二

    ○正森分科員 つまり二回のところは二度区と呼ばれているところですね。大阪市の住吉区はもちろん二回のところですね。
  105. 魚津茂晴

    魚津政府委員 市内区ということで二度配達することになっています。
  106. 正森成二

    ○正森分科員 ところが実際はなかなかそうなっていないのですね。私が調査をお願いしました住吉の苅田と長居というところを見てみますと、一日に二回はおろか一回のところが大半で、その一回も配達されない。場合によったら消印から一週間たってやっと配達されるというところがあります。そのためにどんなことが起こっているかといいますと、大臣に聞いておいてほしいのですが、中小商工業者が金銭のやりとりでお金を送る。あるいは何日までに払わないと契約解除するという手紙が行きます。私は弁護士だからその重大性を知っているのですが、それが定められた期日内に着かない。だから業者が非常に迷惑する、こういう問題があります。以下述べるところはわが党の住吉区の政策担当者の古旗孝氏が直接住民に会いまして聴取した事実であります。それからまた、他に芸術的な関係では、画家などが個展を開くときに案内を出す。必ず来てくれる同僚の画家だとかお客さんが来てくれない。おかしいと思って調べたら個展の日が過ぎてからやっとその郵便が着いた。これではもうかなわないという声が聞こえてきております。あるいはまた、苅田地区では就職がだめになった例があります。会社で面接日が決まっておりましたが、その面接日の前に、この面接日には何と何を用意してこい、こういう通知が企業から来るわけですね。その細かい規定を知らせる郵便が期日までに着かなかった。何も持たないで就職の面接に出かけたら、ほかの人は全部用意しておるということで、これは不採用になったという深刻な例が起こっております。あるいはまた、母子家庭のお母さんですけれども、府営住宅へ抽せんを申し込んだ。いつまでたっても郵便局が抽せん番号を配達してこない。新聞にも当選者が発表になったけれどもまだ着かない。そこで、やむを得ないので、大阪府の住宅管理課の方に、まだ着かないけれども私の番号は一体何番でしょう。こう聞いたら、普通は知らせないんだけれどもと言って知らせてくれた。調べてみたらおお当選しておった。しかし、それで手続をするには、自分の抽せん番号の郵便を持っていかなければ手続できないんですね。それで困り果てていたら、しばらくたってからやっこらこと届けてくるというような状況になっているんですね。これでは安い料金で、あまねく公平にサービスするなんて言ったって、言語道断だと言わなければならないと思うわけであります。  だから、住民の間ではこれはとんでもないやり方であるという声が上がっているわけですね。これは郵便法の一条の精神やあるいは郵便物の取扱規程に明らかに反するものだというように思うわけです、その理由についてはおいおい申し上げますが、私はお願いしておきましたが、皆さん方のところには「郵便業務運行記録表〔兼、郵便業務運行状況報告〕」というのがあるようです。こういうものですが、苅田と長居地域について、ことしに入りましてからのこの状況をきょう報告してくださいと言っておきましたが、報告してください。後で資料を出してください。
  107. 魚津茂晴

    魚津政府委員 苅田地区、長居地区という業務運行の実態をその記録表によりまして、ここでは二月二十三日月曜日、二月二十四日火曜日、この二日について御報告をさせていただきたいと存じます。  二月二十三日月曜日に苅田地区には配達を要する物数、これは七千九百通ございました。その中で配達をした物数が七千五百通でございます。したがいまして、滞留になった物数は四百通。その四百通のおくれぐあい、これを記録表から見てみますと、最高でおくれた日数、これが二日ということになっております。それから長居地区でございますが、長居地区は一万四百通が二月二十三日の要配達物数でございます。その物数から配達をし終えたもの、これが六千九百通でございます。したがいまして滞留物数が三千五百通、これも最高遅延日数が二日ということに相なっております。  それから二月二十四日でございますが、苅田地区、これが要配達物数が五千五百通、配達物数が三千八百通、滞留物数が一千七百通、最高遅延日数が二日。それから長居地区でございますが、要配達物数が一万百通、配達物数が六千七百通、滞留物数が三千四百通、最高遅延日数が二日、こういうことになっております。
  108. 正森成二

    ○正森分科員 現物がないのでわかりにくいのですが、その両区の平常物数はそれぞれ幾らですか。
  109. 魚津茂晴

    魚津政府委員 要配達物数に近い物数だと、こういうふうに思っております。
  110. 正森成二

    ○正森分科員 私が他の地区で調べているのでは、とてもそういうぐあいになってないですね。平常物数とほぼ同じならそういうぐあいにおくれが順番に起こってこないのですけれども、それよりも多いから順番におくれおくれになって、その日の入物数というのは平常物数を相当程度上回るというようになっているのですね。ですから、実際上おくれおくれが出てくるわけで、平常物数とほぼ同じぐらいだったらそんなにおくれは起こらないはずなんですね。そうじゃないですか。第一、前の日のが三分の一もおくれておって、平常物数と同じだということはあり得ないでしょう。おくれた分だけは少なくとも平常物数より多いんでしょう。ちゃんと調べてあるんだから。
  111. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そういうことになろうかと思います。
  112. 正森成二

    ○正森分科員 そうですね。だから、郵務局長より私の方がよく知っておるなんというのは大臣よくないですね。ちゃんとこちらは調べておるんですから。  そこで、なぜそういうようにおくれが起こるかと言いますと、大臣、住吉区というのは、大阪市のことをよく御存じならおわかりでしょうが、大阪市内の名門区なんです。人口も二番目ぐらいに多かったのです。それが数年前に分区になりまして、住之江区と住吉区に分区されたのです。そして郵便の需要度合いというのは住吉区が六・五で住之江区は三・五、つまり人口もずっと住吉が多いんですね。ところが、分かれてしまったということで、普通郵便局がたまたま建てかえのときでもあったんですが、前のところから四キロも西南の方に寄りまして、小さい住之江区の方に移ってしまったのです。そして人口が十八万もあるちょっとした市である住吉区に普通郵便局がないのです。したがって、そこでゆがみが起こってくるのは当然のことなんですね。それが一つ原因なんです。  私は、ここに「庁舎新築移転に、伴う郵便施設の改変について」という当該地域の普通郵便局責任者から大阪郵政局に出された上申書と思われるものの写しを持っておりますが、それを知っておりますか。そしてここに書いてあるこういう点を改善してほしいという点をどれくらいやりましたか。
  113. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私、そういった文書が出されたという過去の事実は承知いたしております。そういったことに基づきまして、できるだけの措置を講ずるべく努力をしてきたということも承知しております。
  114. 正森成二

    ○正森分科員 そういう事実に反することを言ったらいけませんよ。こちらはもうちゃんと調べてあるのですからね。ここに書いてあることが大部分実施されてないのです。大部分実施されてないから私が言ったような住民の苦情が起こってきているのですね。そんなもの実施されていたらそんな苦情は起こらないのです。現場の責任者というのは責任持っていますから、こういうぐあいに改善してもらったら住民のニーズにこたえることができるという上申書を出しているのですね。それを、時間がございませんから全部は読めませんけれども、私が言いましたように「郵便享便割合は六五対三五の割合」である、つまり住吉の方が多いんだ。「しかも移転先は現庁舎から約四粁西南にあるため集配区域の八〇%が影響します。」こういう前提を言った上で、「この為現行の配達区はかなり実情にそぐわない状況になっており、」変える必要がある、こういうことを言いまして、「小包配達、速達配達、通常配達区の夫々が合致したものでないので」変えなければならぬ、で、服務表も変えなければならぬ、庁舎が変わりましたからね。職員の「通勤の所要時間は平均して二十五分ないし三十分程度多くかかります。」だから、服務表自体も変えなければならないということを言い、それからいま言いました「区内東端の長居、苅田地区のお客様は」いままでのところから別の郵便局に行かなければならない。ところが、大阪市というのは南北の交通は発達しているけれども東西の交通は発達していないのです、そこでどういうことが起こっているかといいますと、この住吉区の長居とかあるいは苅田の人は、新しくかわった局へ行くために、地下鉄に乗りますと、まず住吉区から阿倍野区へ出て、天王寺区を通って、浪速区を通って、西成区を通ってからやっと住之江区にたどりつく、こういうかっこうになっておるのですね。ですからここでも「お客様は地下鉄難波、大国町経由でなければ当局に対する用達が出来ないのが実情でありますので、配意を願います。」こう言って書いておるのですね。ところが、そういうことが全然行われていない。あるいはまた、「通常配達区画の是正について」は増区をしなければいかぬ。第一集配課は六つ増区しろ、第二集配課は七つ、第三集配課は三つ増区してくれ、こういう要求が出ております。あるいは「速記混合業務の調整について」は、庁舎が変わったから「約十五分程度所要時間が増加する」ということで、現行の五つの取集区を六つに変えてくれ、六つに変えてもらっても所要時間が四百八十分、距離八十九・二キロが五百三十五分及び百八キロにふえます、こう書いてあるのですね。こういうことはもうほとんど実施されない。あるいは速達については「配置人員を是正する必要があります。」少なくとも五名は増加しなければいかぬとか、こういうことが、一々全部読みませんけれども、事細かに書いてあるのに、その大部分が実施されないわけであります。だからそういう問題が起こっているわけですね。こういう問題について早急に是正をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  115. 魚津茂晴

    魚津政府委員 住之江局区内の業務の運行状況というのは、私ども先ほどの郵便法の第一条という理念を基本にして、それによってやっているのだというような精神からいたしますと、現実の姿としてはやはり遺憾な事態、申しわけない事態があることは承知いたしております。したがいまして、この原因というものを究明し、分析をした上で、その上に立った措置を着実に進めてまいりまして、お客様の御期待に沿うようにやりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  116. 正森成二

    ○正森分科員 そういう私がいま言うたようなことを全く無視するようなことが、移ってからもう二年たっているのですが、それでもまだ起こっているから言っているわけで、そういう悠長なことを言っているようでは住民は納得しない。  郵政大臣、人数をそういうぐあいに増員してくれというのを増員してくれないから、必然的にアルバイトに頼るのです。そうすると、アルバイトの人は、ここにも書いてありますが、信書の秘密というようなことを余り考えないのですね。このあなた方の規程を見ますと、「郵便物に関して知りえた他人の秘密は、他にもらしてはならない。」こう書いてあって、その秘密はどういうことを言うかというと、「通信の内容」だけじゃないのですね。「郵便物の有無」、つまり郵便物が来るか来ないかということ、それから「種類、個数その他通信の構成要素のすべてをいう。」こう書いてあるのですね。  ところが、私どもが調べたところによりますと、文化住宅なんかへ配る場合に、文化住宅といったらずっと並んでいるでしょう。一軒一軒家を山内さん、正森さんといってやるのが、アルバイトはわからないからどうするかというと、その文化住宅地域に行くと、山内さん、正森さん、魚津さん、郵便が来ましたよと言って皆取りに行くのです。そういうことまでやっているのですね。だから、私はこういう問題は改善されなければならないというように考えているわけであります。  時間がありませんので、なぜこういうぐあいになるかというもう一つ原因について申し上げたいと思います。  総理府が来ておりますね。同和問題というのは、天は人の上に人をつくらず人の下に人をつくらずと言われておりますように、絶対にあってはならないことであり、そのための同和対策事業特別措置法というのは一定の成果を上げましたが、まだまだ不十分な点がありますから、民主的に改正して期間を延長する等、十分なことは実施すべきことである、こう私は考えております。しかしながら、同時にそれはすべての日本国民の便益や基本的人権と一定の調和のもとに行わなければならない。特に公務員の場合は全体の奉仕者でありますから、そういう考えを滅却してはならぬと思うのですね。  そこで、官公署において同和関係の研修を行うということもそれはあってよいことでありますが、それが勤務時間中に相当回数行われて、それによって非常に業務に支障が来て住民に迷惑をかけるというようなことが起こっても、これはやむを得ないということでございますか。
  117. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 先生御指摘のように、同和問題については、一番の問題は心理的な差別の解消、人権問題、そういうことだと思います。したがって、その啓発については政府としても特に力を入れております。総理府で各省関係の研修をすると同時に、各省でもそれぞれの研修をお願いしているところでございます。したがって、各省の業務のやり方、内容等も一律にはまいらぬと思いますので、できるだけ各省御工夫を願って、採用時の研修のときとか、そういう機会をとらえて、業務に支障のないような形で十分な御配慮をお願いしたい、かように考えております。
  118. 正森成二

    ○正森分科員 業務に支障のない範囲でというふうに言われましたが、そこに大筋の考え方が示されていると思うわけであります。  ところが、ここに住之江郵便局の「同和対策五か年計画」というのがあります。これを持ってきておりますが、この住之江郵便局では、差別落書きなどが起こったというようなことから、非常に同和研修というのをやっているわけですが、これを拝見しますと、ここに「同和研修」と書いてあって、全職員研修が年間五回、後に六回になったようですが、行われる。課別研修が三カ月に一回、役職者研修が二カ月に一回、管理者研修が毎月三回というように、非常に多くの回数が行われているのですね。しかもこれが勤務解除ということで、ほとんど全部勤務時間中に行われているわけであります。私はここに、ことしの二月二十日から、これはついこの間ですが、行われた研修のレジュメを持ってきておりますが、これは明白に午後二時三十分から三時五十分まで行われたと印刷してある。これは三日間にわたって行われたようでありまして、全員参加しているのですね。そういうようなことを白昼やるから、ただでさえ住吉区には郵便局がない、それで非常な不便をこうむっている上に、職員がこういうことで勤務解除をしてもらって、勤務時間中に相当時間にわたって研修を行うから郵便物の滞貨ができる、それが次に回ってさばき切れないからまた次に回るということになっているのですね。郵便局が大きな行政区であるのに存在しない。大阪市内で存在しないというのは二つしかないのですね、分区がありましてもう一つの方は人口がたしか四万五千か、小さなところなんです。ところが十八万もあるというところで郵便局がなくて、しかも職員がはち巻きを締めて一生懸命住民サービス向上させるならいいけれども、勤務時間中に研修だということで大量の勤務解除をとって、そのために郵便物の遅配が起こるということだから商売上の郵便が着かない、就職でおっこちたというようなことが起こるのです。  そこで伺いますが、大阪全体で及びこの住之江郵便局で、この十一月、十二月、一月と三カ月の間、各月で勤務解除者が総計何名、計何時間ですか。そのためにアルバイトをどれぐらい雇いましたか。アルバイト料は。
  119. 奥田量三

    奥田政府委員 大阪市内全局の勤務解除の状況につきましては、ただいま手元に資料を持ち合わせておりません。  御指摘の住之江郵便局につきましては、手元に十月の勤務解除の状況がございますが、それによりますと、十月一カ月の間に住之江局におきましては延べ九十二人、延べ四百七十五時間の勤務解除を行っております。十一月以降につきましては、時間の関係等もありまして正確な数字を持ち合わせておりませんが、おおむね同様の状況であるという報告を受けております。
  120. 正森成二

    ○正森分科員 十月までの分は、昨年質問された逓信委員会のわが党の村上議員が資料をちゃんともらっているのですね。ですから私は、十月まではわかっているから十一月以降のものを調べてきなさいと、どれだけ改善されたかと思って言ったら、十月までしか調べていないとは何事ですか。
  121. 奥田量三

    奥田政府委員 昨日御要求がありましたが、時間の関係等で間に合わなかったということでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  122. 正森成二

    ○正森分科員 それでは、最近三、四カ月の分について、勤務解除の人員、失った総時間数及びそれらに起因してアルバイトを何人雇い、幾ら金がかかったかという点について、私に後ほど資料として提出していただきたいと思います。よろしいですか。
  123. 奥田量三

    奥田政府委員 勤務解除の状況については、調査して御報告を申し上げたいと思います。  なお、臨時職員の雇用につきましては、ちょうど年末の時期もあります、いろんな事由で雇用した臨時職員の総人員はわかるかと思いますが、なお検討いたしたいと思います。
  124. 正森成二

    ○正森分科員 私は、そのときに村上議員が郵政省より報告を受けた時間や日数を念のため申し上げておきますが、昨年の一月一日から九月三十日までで、住之江の郵便局だけで五百九十六人が勤務解除をとり、二千七百四十時間勤務時間が失われております。アルバイトは住之江では六百九十六人、これは十月一日からの分です。二百四十六万円が使われております。  私は、どうしても繁忙時などにアルバイトを使わなければならないというのは、必要性がないなどと言っているものではありません。それは必要があるでしょう。ですけれども、郵便局が大きな行政区でなくなって移動したために、当該郵便局の当事者の、増幅してもらわなければあるいは増員してもらわなければ経常的にやっていけないんだという要求を十分に入れない、しかも研修ということで勤務時間中に仕事をしないというためにアルバイトが要るということになれば、住民に対するサービスの上からいっても問題がありますし、あるいはまた財政再建という点からいいましても非常に問題があるというように思わざるを得ないのです。  大臣、私は決して同和問題について、特に同和対策事業について国の責務というものがあるということを否定するものではありません。それはある部分ではもっと積極的にやらなければならない部分があると思いますが、いま私が指摘したような、住民との矛盾については放置できない問題であるというように思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  125. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政省同和対策推進するに当たりましては、部落解放研究会の活動が同和問題の正しい理解と認識を深めるにふさわしいと認められたとき、このときには業務運行との調和を考慮しながら必要に応じて勤務解除を行い、啓蒙、啓発活動を行わせることも必要であろう、こういうような基本的な考え方を持っているわけでございます。そういうことでやってまいったのでございますが、いろいろお話もございましたので、今後ともこの考え方に基づいて適切な同和対策推進を図ってまいりたい、こう考えております。
  126. 正森成二

    ○正森分科員 いま概括的な答弁があったわけですが、私が指摘した、勤務解除が行き過ぎと思われるような場合には是正しなければならないという点は御同意願えますか。
  127. 奥田量三

    奥田政府委員 郵便局における同和研修等につきましては、もう繰り返すまでもございませんが、同和問題の解決が国民的な課題であり、国の責務であるということから必要な施策であると考えておりますが、この実施に当たりましては、業務の運行状況等、総合的に勘案いたしまして、一層適切な運用を図ってまいりたいと考えます。
  128. 正森成二

    ○正森分科員 一層適切な運用というようにぼかされましたけれども、仮にほかの中央省庁で、国会でも外務省でも警察でも、そういうところで勤務時間中にそういうことを長い時間やって、そのためにパトロールに行けないとか、外務省がほかの大公使が来ても会えないとか、国会で委員会がストップするとか、速記者がここへ入ってこないとか、そういうことになったら放置できますか。それが国民に対するサービスが低下するだけだったら目をつぶるというような、そういうことでは国民はとても郵便料金の値上げなんて何を言うとるかというようなものですよ。ですから私は、皆さん方が全体の奉仕者としての公務員の態度というのをとられるようにぜひ希望したいと思うのです。  それから、郵政審というのがありますが、その答申を見ますと、郵便配達は一日一度としても差し支えないと考えられるというようなことが書いてあるんですね。いまの大阪市の一部ではまさにこの郵政審の答申の先取りをやっているんです。一体あなた方は郵政審の答申を尊重するのか、それとも現行の郵便物の取り扱いの規程というのを尊重するのか、どっちですか。
  129. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在、二度配達するという規定でサービス基準をはっきりさせているところは二回やるべきであります。ただ、郵政審は今後の郵便事業のあり方といたしまして、効率化という角度から、いろいろの条件を考えながらではございますけれども、一度化の方向というものを示唆をしているわけでございます。したがいまして、その郵政審の答申に基づく一度化は、今後条件を整えながらやらせていただくわけでございますが、少なくとも現在の規定で二度配達するというところはそれを目標にしてやっていただきたい、こういうふうに考えております。
  130. 正森成二

    ○正森分科員 時間でございますので終わらせていただきますが、大臣に最後に、いま言うたような事情でございますので、大阪の一部の郵便局について、局から上申書も出ていることですし、実施されていない人員増については御配慮いただく。なお、根本的には人口十八万もの行政区で自分自身郵便局を持っていないというのは異例でございますから、予算関係等ございますが、できるだけ普通郵便局の設置についても将来御配慮願いたいという二点について御答弁をお願いして、私の質問を終わります。
  131. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、ひとつ省内において十分検討させていただいて、御要望にこたえられるように努力をしてまいりたい、こう考えております。
  132. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で正森成二君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  133. 井上普方

    井上(普)分科員 電電公社の総裁に、民間人で民間経営のベテランと言われる真藤さんがなられましたことは、私は非常に喜ばしい、こう感じておる一人でございます。と申しますのは、公社、公団あるいは関連会社というものは、事業の性格からいたしまして、どういたしましても公共性を持たさなければならない、こういう観点に立ちまして公社、公団に移しておるのでございますが、その公社、公団の性格といたしましては、一方におきましては民間には持ち得ないところの長期の計画性というのを持たさなければならない、片方におきましては経営の効率化、こういうものを持たすために公社、公団というのが設置せられ、つくられておると私は認識いたしておるのであります。  しかし、電電公社を見てみますと、民間人の民間的発想あるいは民間的な経営というものがおろそかになってきておったのではなかろうかと思います。この際、新しい民間人、民間経営の知識というものを導入することは、そういう面からいたしまして、新しい血を得るという面においてまことに望ましいことであると、私は真藤新総裁の就任には心から歓迎の意を表したいのであります。  そこで、真藤新総裁にお伺いするのでございますが、もう御就任になって約二カ月でございますか、公社の経営等についてもまだわずかでございますが、お考えになるところがあろうかと思いますので、ここで民間経営と公社経営のどういう点が長所であり、どういう点が短所であるか、その相違点についてひとつお伺いしたいと思うのです。
  134. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答えいたします。  公社というものは、電電の場合は完全な独占企業になっております。したがいまして、国民に必要とされるものはこれは充足する義務があると心得ております。したがいまして、事業の部門別に考えますと、ある時点においてある部門は赤字経営をやらざるを得ない。いまから新たに出てくるものを先行投資的に、いまおっしゃいましたように公共事業であるために、長期計画に基づいてやる場合には出発点では赤字である。もう一つは、世の中にもうすでに要らなくなりつつある事業、たとえば現実にいま申しますと電報でございますが、こういうものも赤字だからといってみだりに捨てるわけにはまいらぬ。国民のコンセンサスとして要らぬということになって初めて捨てることができる。したがいまして、公社の経営を収支バランスをとりますためには、いまの主力事業においてかなりの余裕を生み出さないと全体としてのバランスがとれないということがございますので、その辺のところをどうあんばいするかというのが民間の企業とちょっと違っておるところでございます。  それから第二点は、何と申しましても独占事業でございますので国会及び行政府からの管理監督あるいは注意というものが出てくるのは当然でございまして、それはそれとしてまじめに受けこたえながら、そういう国民の声を代表される方々の意見には忠実に努めていく、また、こちらの状況をかねがね十分御説明しておいて、お互いに状況がわかり合いながら運営していくということも、これは絶対必要だというふうに考えます。そこで民間の会社の社長とはその辺が、非常にこの二つの点で差が出てまいります。  それからもう一つ、現在私出てまいりまして、公社と申しましても独立採算である以上は企業の収支バランスをとる必要があるだけではなしに、独占事業でございますので、新しい社会の要求に応ずるための技術開発能力、また、それを実行していくために必要な技術力というものの育成には全力投球する必要がある。民間の企業よりもずっと早くそういう新しいものに対応する先行投資の必要があるということでございまして、その辺で経営の資金の扱い方というものを民間とかなり違った考えでやらなければならぬということであります。  ただ、現在の状態で、まだ私、日が浅いのでよくわかりませんが、そういうことをやるのに一番必要なのはやはり従業員との協力体制でございます。労働組合との団体交渉の義務はあるが、それの裏づけになる金額の問題になりますと、あるいはその裏づけになる労働行政の点になりますと、膨大な行政機関あるいは国会の機構がございますので、民間のように本当の意味の自主性が非常に薄いということに一つ問題が残っているんじゃないかというふうに考えております。
  135. 井上普方

    井上(普)分科員 いまのお話を承りますと、公社が持っておられますいまの悩みをそのままお出しになったんだと思います。私は経営者としての姿勢を伺ったのです。と言いますのは、民間でありましても信頼というものがまず中心になって業務というものが行われるだろう、こういうような考え方でお伺いいたしたのであります。  それはともかくといたしまして、官庁は民間ではできない長期の計画性を持たなければならない、これは一つの大きな特色でありましょう。同時に効率性を持たす、民間の持っておる能率性のよさを持つ必要もある、私はこう考えておるのであります。しかし、その間には、特に民間におきましては信頼、信用、これがまず中心でなければならないと思うのであります。  それはさておきまして、まず私は真藤総裁にお伺いするのですが、物をつくられる、そして物を売買されるというときには、民間でありましたならば原価計算をしてその物の価値というものを決め、売買するのが通常じゃございませんか。どうでございます。
  136. 真藤恒

    ○真藤説明員 民間で製造業を主とする企業は御調のとおりでございます。
  137. 井上普方

    井上(普)分科員 そこで、これは服部大臣がおられたときですから一昨々年になりますかな。一昨々年の分科会におきまして私は質問した。その際に、物を売る場合に原価計算をせずに商売というのは成り立たない、そこで原価計算を電電公社はやっておるか。電電公社は電話料金については原価計算をいたしておりません、こうおっしゃる。そんな商売はこれは商売にならない、製造業あるいは業務のサービスの提供にいたしましてもできぬというはずがあるか、どうなんだということを私が申しますと、当時の服部郵政大臣は、原価計算をやらせます、こういうお約束をいただいたのであります。その後いかが相なっておりますか。私にはその後の報告は何もないのですが、どうなっておりますか。
  138. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、こういう公益企業といいますものは総合原価主義で運営するのが一般的な通説でございまして、そして公社としましては総体の原価を総体の収入で償うといったてまえでまいったわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、それでは余りに大ざっぱ過ぎるではないか、もう少しきめの細かい原価計算を行うべきじゃないか、こういう御指摘がございまして、御存じのとおり、その後サービス種別別の収支というものを計算いたしまして、これは毎年発表いたしておるところでございます。サービス種別別と申しますのは、電信、加入電話、専用線等でございます。
  139. 井上普方

    井上(普)分科員 ごまかしてもらったら困る。そのときに私は例を出して、東京から熊本までの電話料金は幾らだ、東京から徳島までの電話料金は原価計算で幾らになるか。ただ、原価計算をそのまま料金に反映しろと私は言っているのではない。原価計算をして、そして経営の指標にするのが当然ではないか、こう申した。当時、大臣はそのとおりだ、やらせますと言ったのに、三カ年間なぜやらない。これは真藤総裁の話じゃない。どうしてだ。
  140. 西井昭

    ○西井説明員 ただいまおっしゃいましたいわゆる電話の通話料原価の距離別のお話かと思いますが、これはあのときにも当時の秋草総裁からお話をいたしたかと思いますが、電話をかけますときに、御存じのとおり電話といいますのは一つの通話路で通話ができるわけではございませんということと、設備が古いの新しいのいろいろございまして、なかなか算出が困難である。これはわが国だけではございませんでして、諸外国とも電話の距離別原価というのを出している国はございませんでして、また出せないというのが実態でございますが、先生からいろいろそういう御指摘もございまして、そうは申しましても、一定の前提を置きまして少なくとも勉強すべきではないか、こういうことで、学識経験者等の意見も参考にしつつ、原価の勉強を公社の中でいたしておるところでございます。
  141. 井上普方

    井上(普)分科員 電話料金というのは、これは商品だ。商品を売買するのに原価計算ができてない。これは真藤さん、どうです。民間の方々として、こういうことがまかり通っておることはまさに親方日の丸じゃございませんか。これをどうお考え——もちろんあなたの責任じゃない。こういう経営姿勢がおかしいのじゃございませんか。いかがでございます。お客に対するサービス精神が欠如をしておるのじゃございませんか。どうでございます。
  142. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの、私まだよくわかりませんが、私の技術屋としての常識から申し上げますと、いま説明がありましたように、特定の地域から特定地域への電話のコストといいますものは、ちょっと私がいままで説明を聞きました状態だけで申し上げますと、いま申し上げましたように原価を出すということの手数ということもさることながら、そういう性質でコストを出すということが果たして正しい数字を出すかどうかということに、私現在疑問を持っております。  ちょっと話が長くなりますが、製造業の場合も、多種多量のものを流していきます場合、やはり一台一台の自動車の原価というものはなかなかつかみにくいものでございます。材料費は出ますけれども、加工費というものはラインの中で流れておりますのでできませんので、やはりそこは一括という形でやるのがこれは通常でございます。
  143. 井上普方

    井上(普)分科員 私は異なことを承ると申さざるを得ない。おおよそサービスといい製造業といい、物を売り買いするのには、これは原価を計算しなければ私は経営は成り立たないと思う。いまのお話であれば、古い設備があり新しい設備があると、こうおっしゃる。だからできない。そんなことは世の中通りますか。通らぬでしょう。少なくとも最新の技術を誇り、IC関係では世界に誇っているのだ。電算機なんかではわれわれは世界のドップレベルをいくのだと大いばりをしている電電公社なんだ。こんなことをやってだれが納得します。少なくとも遠距離料金、ここからここまでは原価計算上は三百円だ、しかし諸般の事情等これあり、これを五百円でいまもらっておるのですという姿を出すのこそ国民に納得させるのです。これは料金はお上が決めただけじゃありませんか。国民がなんで納得をします。これが商売人のあり方として当然ですか、大臣、どうです。
  144. 真藤恒

    ○真藤説明員 恐れ入りますが、大臣の御答弁の前にちょっと私のいま申しましたことを注釈させていただきます。  いまおっしゃるような意味の原価なら出ますと思います。ただ、それはその通話についての正確な原価ではございません。通話ルート別の統計的な原価は出ますと思います。ですけれども、一つ一つの通話についての原価というものは不可能に近いと思っております。たとえば自動車の場合に、いろいろな型の車を一つのラインに流します。同じコロナならコロナで流していきますけれども、それの作業時間というものはなかなか一台一台には出てまいらぬものでございます。やはり百台なら百台、コロナの百台というそういう意味の原価でつかまえてやらなければできないものだ、そういう意味でお答えいたしております。
  145. 井上普方

    井上(普)分科員 私はそれを聞いているのです。それで、それからして、一体年間に平均何通話があるかということから、個々の一分間、三分間の電話料金というのは原価計算が出せるはずだ。やってないじゃありませんか。大臣がここで約束し、総裁も了承し、その上でもってこの原価計算、三年間にわたって私はまだ聞いてない。大臣は少なくともやらせます、こう言った。できてない。どうです大臣。これはあなたの前の前の大臣だけれども、こういう約束、議事録にきちっと載っています。やらない、こういうような姿勢が電電公社の今日の姿勢じゃなかろうかと私は思う。少なくともここでのやりとりというものは国民に対しての約束なんだ。大臣いかがです。
  146. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま少し申し上げましたとおり、これは確かに先生のそういう御質問ございましたので、公社の中でも学識経験者を交えまして、どういう考え方でどういうふうに原価計算をするべきだろうかということの検討を実はいたしたところでございます。  少し長くなりますが、そのときのことを申しますと、結局電気通信技術といいますのは非常に技術の進歩が激しいということと、それからその中に古いもの新しいものが混在しておる。地域によってそれが非常にまちまちである。それからさらに通話の経路が、たとえば東京−大阪の通話をやるときに十ぐらいの経路を通って通話が流れてまいりますし、端末の交換機も全部多種多様でございます。そういうことで、どういう前提で原価計算を行うべきかということを、実は学識経験者の意見も参考にしつつ、そういうものに対して一定の前提を置きまして計算をすればどうなるかという研究を行っておりまして、それはそれなりにいろいろ公社の内部で検討をいたしておりますが、そのときに最大の問題になりましたのは、原価計算というのはただいま先生のおっしゃいましたように料金の一つの目安になるものでございますが、このように技術変革の激しいもの、そしてそのときに一定の前提を置きますときに、どうしても過去の一定時点における設備状況とかコール状況とか、そういうものの実態に応じて原価計算をせざるを得ない、そういうものが、二、三年のうちにその内容が逐次変わってまいるわけであります。そういうときに原価計算はどうあるかということについては、そういう先の見通しも行って、いろいろなことを行うべきだ、こういういろいろな御意見がございまして、そういう前提を踏まえてわれわれはそれなりの検討はいたしておりますが、なかなか国民の皆様方に発表できるような自信のあるものというのは非常にむずかしいというのが実態でございます。
  147. 井上普方

    井上(普)分科員 設備が古い、回線が幾通りもある、そんなのはわかり切っております。しかし、それじゃあなた方は古い設備に対しては減価償却ということはやってないのですか。こんな経営やっているのですか。古い設備であれば、減価償却をやって、残存価額が幾らだということも出てくるはずなんです。あなた方はそんなこともやっていないのですか。いまこういうものがあるからできない、むずかしいとおっしゃる。物を売っているのですよ。国民はそれを買っているのですよ。コンピューターはともかく電子技術の最先端をいくのだ、こんなおよそ偉そうなことを言っているけれども、そんなことさえようせぬほど能力がないのですか。民間であれば、原価計算していまの原価は幾らだ、古い設備は償却して幾ら残っておる、したがってどんどん変わっていく、あたりまえの話じゃありませんか。そんな姿でこういうような近代経営が成り立つと思いますか、総裁どうです。
  148. 玉野義雄

    ○玉野説明員 いま営業局長が申し上げましたのは説明足らずでございまして、新しいとか古いという意味は減価償却をしているとかしていないとかいう意味ではございませんで、コール当たりのコストが古い機械と新しい機械で違うものですから、だんだん新しくなるほどコストパフォーマンスがよくなっていくというその辺の出し方の問題を言っているだけでございます。  それで、少し補足いたしますと、先生方と相談いたしました点では、原価ずばりというのはいろいろな点でむずかしいから比率を出していただくのはどうだということで、いまその比率について具体的に検討しておるところでございます。
  149. 井上普方

    井上(普)分科員 しかし、自分のところの原価を計算するのに学者先生あるいは経験者を集めてでなければできないほどあなた方は無能力なんですか。経営としては無能力と断定して私ははばからぬ。新しい経営、近代経営において原価、少なくともどういう形にあれ、国会で言われるまでもなく、少なくとも通話料金というものは原価を計算してはじき出して、先ほど申しましたように、私は原価計算どおり料金をつくれと言っているのじゃない。この前もそう言ったはずだ。しかし三年間にわたって、さあ学者先生のお知恵を拝借してどうやったらよかろう、むずかしい、できぬようなことばかりに結論を持っていっている。どうです。その当時約束されたのは郵政大臣であり、また総裁である。
  150. 山内一郎

    山内国務大臣 いま井上先生の御意見、御指摘を聞いておりまして、物を売るには必ず原価計算をしてから売価を決める、これはもう一般の常識論でございます。  そこで、いま電電公社でも大変苦労してやっている途中だと思いますけれども、これはどれがどの原価をどうやるかという問題ですね。総合的に国全体のものを出すのはわりあい簡単かもしれませんけれども、ただ、たとえば東京と熊本の間の電話料の原価は幾らになるかというような点は相当研究しないと出ないような気が私はするのです。しかし、前の大臣のお約束でございますので、井上先生の御趣旨に沿った研究、原価計算というものをもっとさせてみたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  151. 井上普方

    井上(普)分科員 総裁、あなたの民間からの新しい知恵を導入するというのは、私はこういう点にもあると思う。役所は親方日の丸になって、独占企業だからというのであぐらをかいておる。そして国会で約束しても三年間われわれ、少なくとも私らに何の報告もない。国会といいましたら、これは会社にしますと株主総会みたいなものでしょう。そこで約束したことはお守りにならなければならぬのじゃないですか。質問した私に対しては三年間もともかく何の報告もないのです。ほおかぶりしてきているんです。ここに官庁仕事、官僚的な色彩が非常に濃厚になってきているんです。これを直していただくのが真藤総裁、あなたの任務なんです。少なくとも近代経営であれば、山内さんいま東京から熊本までとおっしゃいましたが、このごろはおわんとおわんとの間でぴっぴと行っているんです。原価計算なんて、有線でほとんどやってないのです。少なくともこんなのを専門家にやらせれば私は簡単にはじき出せると思う。しかもコンピューターと言えば、世界一のコンピューターを誇っているんですから。何を言っているんだ。電電公社はそんな技術力しか持っていないのかと私は言いたい。少なくともこの問題については早急に、この国会が終わるまでに結論を出して、私に報告を欲しいと思うのです。大臣、いかがですか。
  152. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま申しましたとおりでございますが、もう少し補足さしていただきますと、学者先生の御意見を承りましたのは、私どもの勉強のときに一定の方法で原価計算を出したわけですが、原価計算のやり方といいますのは御存じのようにいろいろな方式がございまして、公社のような安企業体にこういう計算のやり方が果たして適当であろうかどうかということについては先生方の御意見も承りまして、こういう電信電話のときのような原価計算のやり方——原価計算のやり方というのは御存じのように幾つもの学説、種類がございますが、そういうことについて学者先生方の御意見を承ったわけでございまして、具体的な計算はもちろん公社側でいたしているところでございます。  そういうことで、一応の仮定のもとに、一定の前提のもとに、勉強として先ほど申しました一応の計算をいたしておりますが、そういうことで御理解をいただきたいと思います。もしそういう前提でございましたら、先生の方にまたそういう計算の内容その他考え方等について御説明をきしていただきたいと思っております。
  153. 井上普方

    井上(普)分科員 これなんです。いいですか、われわれが要求して、ここで私が立たなければ全部ほおかぶりだ。少なくとも原価計算は幾通りの方法があるということは知っておる。その前提は幾つもある。前提は置きながらでも少なくともそれの努力をし、ここにその前提の誤りがあるということであればそれを正していけばいい。そして少なくとも国民に開かれた料金を設定しなければ、私はこれはあなた方の責任だろうと思う。そしてまた、真藤総裁の責務だろうと私は思う。電電公社のいろいろな問題が起こっておることも私は存じております。そのことについては私は申しますまい。ただ、こういうような独占企業であるという観点から、国民には、利用者には何も知らせるなという態度でいままできておる。そのことに今日の電電公社の体質があることを強く指摘いたしまして、時間が参りましたので、これで終わらしていただきます。
  154. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で井上普方君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算郵政省所管についての質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  155. 海部俊樹

    海部主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算運輸省所管について説明を聴取いたします。塩川運輸大臣
  156. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 昭和五十六年度運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二十一億一千五十一万九千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百七十六億四千八百三十四万五千円を含め一兆五千五百二十七億三千六百三十七万七千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で四・八%の増加になっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆五千九百十二億六千二百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千二百五十億八千四百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百五十三億六千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千三百七十八億五千四百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十六年度財政投融資計画中には、当省関係の公社、公団等分として、融資一兆三千八百七十七億円、政府保証債三千八百億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道の再建を推進することといたしております。  国鉄の再建につきましては、昭和五十四年十二月の「日本国有鉄道の再建について」の閣議了解及びこの閣議了解を実施するための法的措置として、昨年末公布された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づき、国鉄自身の徹底した経営改善措置とこれを前提とする国の行財政上の措置とを総合的に実施することにより昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の実現を図ることといたしております。  このため、昭和五十六年度においては、予算人員一万一千人の縮減を初め国鉄経営の合理化を一層推進するほか、所要の運賃等の改定による増収二千十億円を見込むとともに、総額七千三百四十一億円の助成を行うことといたしております。  第二に、交通基盤施設等の整備を促進し、国民生活の安定向上を図るため、港湾、海岸及び空港の各部門について、五十六年度を初年度とする新たな五カ年計画を策定し、それぞれの事業の計画的かつ積極的な推進を図ることといたしております。  また、東北、上越新幹線の早期完成を初めとする鉄道の整備を推進するとともに、整備新幹線につきましては、工事着工のための所要の調査を継続するとともに、公的助成の方法及び地域の負担に関する制度の整備等が行われた場合には、所要の手続を経て、工事に着手できるよう措置しているところであります。  第三に、海運、造船対策といたしまして、日本海運の国際競争力の回復を図り、あわせて造船業の需要を確保するため、引き続き、外航船舶のうち高度合理化船及びLNG船の建造融資について利子補給を行うとともに、造船業の経営安定化のため、引き続き船舶輸出の確保を図るほか、過剰施設の処理に関する助成を行うことといたしております。  また、船員の教育体制等の充実を図るとともに、雇用対策についても積極的に推進していくことといたしております。  第四に、新海洋秩序に対応し、広域化、多様化する海上警備救難業務に対処するため、巡視船艇及び航空機の整備を引き続き推進するとともに、海洋調査の充実強化を図るため、大型測量船の建造等を行うことといたしております。  第五に、経営改善努力している地方バス、中小民鉄、離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービス維持、確保に努めてまいります。  第六に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、空港周辺対策、地震火山対策、交通安全対策、交通被害者救済対策等の充実強化を図ることといたしております。  なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和五十六年度運輸省予算説明」及び「昭和五十六年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和五十六年度運輸省関係予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。
  157. 海部俊樹

    海部主査 以上をもちまして運輸省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  158. 海部俊樹

    海部主査 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺三郎君。
  159. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 ことしは、申し上げるまでもなく、記録破りの豪雪になったわけでありますけれども、この問題では国鉄当局、第一線の職員を含めて大変な努力が行われたわけでありまして、まさに豪雪地帯では不眠不休の事故対策あるいは線路の確保対策、こういうものが行われてまいっておるわけでありまして、私どももその御健闘には非常に敬意を表しているわけでありますけれども、きょうはわずかの時間でありますから、国鉄の職員の業務上の災害、こういう問題にしぼってお伺いをしたいと思います。  そこで、最初にお聞きしたいわけでありますけれども、昨年の暮れからことしにかけてのこの豪雪の中で、それに原因して出てまいりました業務上の死亡者、これは国鉄部内の職員、さらに臨時職員含めてでありますけれども、それは現在どのくらいになっておるか、最初にお伺いをしたいと思います。
  160. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  昨年の十二月から二月、今月いっぱいまで、十二月に二人殉職が発生いたしました。それから一月に二人発生しております。二月は幸いにしていまのところ発生しておりませんので、十二月から数えますと四人ということでございます。
  161. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 いま私は雪の問題にしぼってお伺いをしたわけですが、国鉄の職員及び臨時雇用者、これの業務上の死亡者というのは年間大体どのくらい出ておられますか。これはここ数年間にしぼってで結構でありますけれども、いま数字が手元にあればそれをお答えいただきたいと思います。
  162. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  昨年は十二名の殉職がございました。これは臨時雇用も含んででございます。ことしは四月から数えまして現在までで十名でございますか、そんな数でございます。
  163. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 先ほど来の質問の中で、十二月に二人、一月に二人殉職者が出ておるわけですけれども、これは正規の職員臨時雇用者別に言いますと、どういうふうになりますか。
  164. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  一月に二人発生したと申し上げましたが、そのうちの一人が臨時雇用員でございまして、一人が職員。十二月の分は職員でございます。臨時雇用員は一人でございます。
  165. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 国鉄問題は、私から申し上げるまでもなく、財政上の問題をめぐって大変な状況にあるわけでありまして、それだけいろいろな形での業務上の改善や合理化が行われてきておると思います。ずっと通して見ますと、三十五万人体制の目標の問題がありますけれども、ここ数年間もそれぞれずっと職員が事実上減員される、こういうふうな状況で推移してきたと思うわけですが、ただ、この合理化は単に機械の導入その他によって捕われておるというのではなくして、いろいろ業務上の改善、手法の改善の問題であるとか、そういうふうなものが行われておる。同時にまた、いままで国鉄自身がやっておった仕事を下請なり、あるいは要員減に伴って必要な臨時雇用者なり、そういう人々の事実上の労働によって賄われてきておる、こういう状況があると思うのです。これは国鉄がお出しになっておる資料の中でも明確になっておりますから、あえて具体的な中身の答弁は求めませんけれども、そういうふうな形の中で、年間の臨時雇用者あるいは季節的な雇用者、こういう方の数がふえてきておるのではないかというふうに私は思うのですが、その点は傾向としてどうですか。
  166. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  臨時雇用員と申しますのは、御承知のとおり、きわめて臨時的な業務でありますとかあるいは季節波動が非常に激しい、たとえて申し上げますと除雪のための臨時雇用員、そういったものに充当しておりまして、したがいまして、この数は、性格上どうも本社で正確に把握するというわけにまいりませんので、地方の管理局長が必要に応じて雇用する、そういったてまえにしております。したがいまして、正確な数はちょっと本社ではつかんでおりませんけれども、月にならしまして大体四千人から五千人程度であろうと私どもは見込んでおります。
  167. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 私は、先ほど申し上げましたが、たとえば駅や列車の清掃、それから寝台の解体とか整備、最近では新幹線や本線を除いての線路の保守作業、こういうところまで臨時作業員で行われているという傾向が出ておる、こういうふうに思うわけです。したがって、いま御答弁いただきました数によりますと、はっきりはしないけれども大体四、五千名だ、こういうふうに言われておるわけですが、私がいま申し上げております清掃とかあるいは寝台などの解体、整備、こういうものとは別に、保線関係臨時雇用者といいますか、これは保線は言うまでもなく列車を動かすための基礎でありますし、非常に重要な作業だと私は思っておる。そういう状況の中で、保線関係の作業に従事しておる臨時雇用者というものは大体どのぐらいになりますか。
  168. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、清掃作業でありますとかそういったものは合理化によって臨時雇用員がふえておるのではないかという御指摘がございましたが、民間会社に委託はしておりますけれども、臨時雇用員とはちょっと性格は違うかと思います。
  169. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 その点ちょっと言い足りなかったのですが、いま言ったようなこういう職種といいますか仕事は、民間の下請に出されていると思います。  それで、私が聞きたかったのは、保線関係の作業に従事しておる臨時雇用者、これは、先ほど大ざっぱに四、五千名と言われた中でどのくらいのウエートを占めておるか、本社としてつかまえておればお知らせ願いたい。
  170. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  ただいま保線関係のみの数を正確に持ってまいっておりませんので、ちょっと調査をいたしまして、後ほどまたお答え申し上げたいと思います。
  171. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 時間がありませんから、具体的な中身に入らせていただきます。  そうしますと、各管理局単位で臨時の雇用者については決められておる、こういうふうなお話でありますけれども、国鉄における臨時雇用者の雇用契約というものは管理局ごとに結ばれる、必然的にこういうふうになるのだと思いますけれども、その場合に、雇用契約というのはどのように行われるのでしょうか。まあ職種によっても違うと思います。しかし、おおよその期間とか賃金の基準というものがあるのだと思うのです。それから、どういう職種が主として臨時雇用者を多く使っておる職種になっておるか、数がわかればあれですけれども、これは先ほどのお答えで数が正確でないということであれば、雇用契約、雇用形態をはっきりさせていただきたいと思います。
  172. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、鉄道管理局ごとに契約をしておりますが、鉄道管理局ごとに地方の実情を勘案いたしまして、臨時雇用員就業規則というのをそれぞれの管理局が持っております。その就業規則に従いまして契約を行っておるわけでございますが、概略申し上げますと、勤務時間とか基本的な問題につきましては、日勤の者が多うございますから、大体七時間から八時間の通常の勤務時間、こう御理解いただいてよろしいかと思います。  それから賃金につきましては、職種によりまして非常に重労務のもの、あるいは比較的軽いもの、こういったことでかなり違いますが、本社におきましては大体最低額を毎年決めております。したがいまして、その最低額に従いまして、地方では、周囲の状況とか仕事の内容を勘案いたしまして具体的に決めるということになっておりまして、本社段階で統一的に決めるということはいたしておりません。賃金は、現在のところ大体三千五、六百円から高いもので五千円程度というふうに私どもの方では見込んでおります。
  173. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 雇用期間はどうですか。
  174. 川野政史

    ○川野説明員 雇用期間は、原則といたしましてその日雇用するということになっておりまして、人によりましてはかなり長期にわたるものもございます。
  175. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 そこで一つお伺いをしますが、先ほど御報告をいただいた豪雪による職員の死亡事故、この中で私は臨時雇用者の問題を取り上げたいと思うわけですけれども、これは新潟鉄道管理局の管轄下にありますが、米坂線でことしの一月二十七日に死亡事故がございました。これは臨時雇用者であります。  時間の節約のために申し上げますが、この臨時雇用者、安部さんという人ですけれども、この人の場合には昭和二十年から国鉄の臨時雇用作業員としてずっと働いておるのです。二十年からですから大変な年限になるわけですが、夏冬それぞれ臨時雇用者として働いておる。今年度の場合には冬期間のみの採用になっておるようでありますけれども、非常に痛ましい事故でありますが、段切りの作業、この日は猛吹雪で視界ゼロというふうに警察の調べでもなっていますけれども、この中で列車に接触して亡くなられた、こういう状況であります。これに対する労災補償、これは新潟管理局の方から本人の遺族に対して示されているようでありますけれども、これについては御存じでしょうか。
  176. 川野政史

    ○川野説明員 承知しております。
  177. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 それでは、いまの事故の安部さんに対する労災補償、これは労働者災害補償保険法、いわゆる労災法に基づいて支給される、こういうふうなお考えのように私は承っておりますけれども、それによりますと、最近法の改正がございましたから、遺族に対する特別支給金は三百万円、それから法律による葬祭料が三十万何がし、それからこれは国鉄の内規だと思いますけれども、いわゆる国鉄の援護見舞金等贈与基準規程によりますと、合計十四万円になりますね。高木総裁名で六万円、それから管轄の局長名で四万円、それから所属の箇所長名で四万円、合計十四万というような計算になります。そうなってまいりますと、一時金は法の改正での百万の上積みを含めて三百四十四万七千七百四十円、こういうふうに計算上なると思うのです。それから、そのほかに労災保険法によるところのいわゆる遺族に対する年金、これは百万ちょっとだと思うのですね。月にして八万九千何がし、こういう状況だと思うのです。  この人は、先ほど申し上げましたように、昭和二十年から、臨時ではありますけれども、国鉄に長い間奉職してきた。そして、いま五十三歳で扶養家族が四人もあるわけです。こういう状況ですから、いま私が合計で申し上げましたけれども、全部含めて三百五十万足らずの一時金、それから月平均にして八万何がしの遺族年金、こういうふうな状況になるのだと思いますけれども、御当局側の計算、考え方は、いま私が申し上げた数字でしょうか、それとも国鉄自体としてもっと別な規則なりあるいは考え方なりがあって、それだけじゃございませんというふうになるのでしょうか、どうでしょうか。
  178. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり丁私どもの臨時雇用員に関します就業規則におきましては、労働災害が発生した場合には、労災保険法に準拠しまして補償するということになっておりまして、このことはひとり国鉄だけではございませんで、公務員の関係あるいは他の公共企業体なり安企業の関係、大体同じような考え方でやっておるわけでございます。  この安部さんの件につきましては、先生の御指摘のとおり、長い間国鉄に御協力いただきまして、しかもこういう痛ましい事故でお亡くなりになった、まことにお気の毒なことだと思っているわけでございますが、補償の関係につきましては、ただいま先生の御指摘になりましたようなルールに従いまして計算をいたしますと、いま御指摘のような金額になるかと思います。このようなルールによりまして、臨時雇用員の労働災害に対する補償を行っておるというのが私どもの現在の制度になっております。そのような金額になるかと思います。
  179. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 いま局長の御答弁が、ちょっと含みあるようにも聞こえるのですが、そのルールによりますと、というふうになるのですけれども、私がお聞きしたいのは、まだ定まっておらないということであればそれでも結構でありますが、当局側としては、いま私が申し上げました数字でこの件については終わりです、こういうふうになるのか、そうではなくて、もっと別な事情の勘案がある、こういうふうにお考えなのでしょうか。  これは、いま私が具体例としてこれだけ出しておりますけれども、やはり同じような立場の身分の人が国鉄に、過去あるいは将来にわたっても事故の絶滅を図らなければなりませんけれども、あり得ると思う。特に国鉄の保線作業の現場は、御承知のように大変危険な状況が場合によってはあり得る、こういう職場でありますから、大変な職場だと思うのです。そういう意味で、これは一つの例として具体的に私はお聞きをしておるわけなんですけれども、しかも、事故の原因は、いまさらに綿密に調査が進められていると思います。しかし、私どもが把握する範囲内においては、本人の責めに帰さない、いわゆる業務上の災害殉職だと思うわけです。そういう点から言えば、いまおっしゃったような金額で、これはルールに従っておるのだからそれで終わりです、こういうふうになるのか、あるいはそうでない、これからさらに検討する余地があるのか、この点をひとつきちんとお答えいただきたいと思う。
  180. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  労災保険法に準拠いたしましたルールによりますとただいま御指摘のような金額になりますので、私どもといたしましては、現在の段階ではその制度に従いまして補償を申し上げるということしか方法がないのではないかと思っております。  事故の原因その他につきましては御指摘どおりの状況でございまして、現在地元で詳細な調査が行われていると聞いておりますので、その調査結果を待ちたいと思っております。
  181. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 そうしますと、事故の原因がいま究明——ほぼわかっておると思うのですけれども、さらに詳細な点についての調査が綿密に進められて、その原因いかんによっては、何回も繰り返しておっしゃっておりますルールに基づいた金額、これは一つの労災法上の基準がありますから、国鉄の内規もありましょうからこれは当然だと私は思うのですけれども、事故の原因いかんによってはそれのみによらないというふうな場合もお考えでしょうか。
  182. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおり、現在地元におきまして、これは警察の手によりまして調査が行われている、こう聞いておりますので、現在の段階では、その調査の結果を待って私どもとしては対処をいたしたいと考えております。
  183. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 さらにお聞きをしますが、臨時作業員に対する監督体制、これは国鉄の場合にはどういうふうになっておりましょうか。一般的に言いますと態様がいろいろあると思いますから、たとえば保線関係の作業に従事する臨時作業員に対する監督体制、これはどのような基準がございますか。
  184. 川野政史

    ○川野説明員 お答え申し上げます。  臨時雇用員でございましても、現実には国鉄のおのおの現場の職場に配属されてそこでの仕事になりますので、直接的にはその職場の長、あるいはもっと具体的に個々の作業の場合には、その作業の指揮者というのが臨時雇用員に対する作業指揮者になると思います。
  185. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 私が調べましたところでは、保線関係の作業員、これに対する一つの現場の一番末端のといいますか、具体的な監督については、たとえば秋田鉄道管理局の場合には、これは労使の交渉の中でそういう取り決めが行われているのだと思いますけれども、作業員十名に対して監督一人、その監督は国鉄のいわゆる正規の職員、こういうふうになっておるように聞いておりますが、これはそれぞれの管理局ごとに違うのでしょうか、この管理体制というのは。どうですか。
  186. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  各管理局ごとに、あるいはその職場ごとに、あるいはその作業の実態に合わして管理、監督をいかようにしたらいいかということを決めているわけでございます。したがいまして、統一的な基準というものはないわけでございます。
  187. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 ここに昭和五十年以降の業務上の殉職者の数がずっと、一応私も調べてはおりますけれども、この殉職者あるいは負傷者というものまで含めますと、残念ながら作業が作業なだけに相当の数に上っているわけです。これに対する安全管理は相当きちんと統一的に図られておらなければならない、このように私は考える。特に臨時作業者が集団でやるような作業に対する責任ある監督体制は、相当厳密に行われなければ今回のような不慮の災害が起きるのではないか。もちろんそれだけが原因ではありませんけれども、しかし、可能性がむしろ強まると私は考えますから、この点については今後十分に配慮をしていただきたいと考えます。  ちなみに、当日の問題を出しますけれども、十七名の作業員が一緒に作業をしておったのですね。しかも、当日は猛吹雪、現場は三メートルぐらいの積雪という状況で、視界ゼロです。全く危険な苦労の多い状況の中での作業が行われておった。その中での列車との接触事故でありますから、そういうことを考えれば考えるほど臨時の作業者に対する指揮監督、的確な指示というようなものがどうしても不可欠だと私は思うのです。そういう点について本社の考え方はどうですか。
  188. 川野政史

    ○川野説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、殉職者の数は、国鉄では近年おかげさまで非常に減少いたしまして、先ほど申し上げましたとおり昨年が十二名、現在のところは十名ということで、十数年前は四、五十名、さらに昔は百名を超した時代もあったわけでございますが、いろいろ努力をいたしましてそのような数には一応なってまいりました。しかし、ここ一年、二年を見てまいりますと、触車事故と申しまして列車に接触して殉職するというケースが非常にふえてまいりました。今回のケースもその一つでございますが、私どもといたしましては、たくさんある原因の中で特に触車事故だけは何とか防ぎたい、非常に重大な結果をもたらす事故でございますので、触車事故防止を最重点に進めてまいりたい、このように思っております。
  189. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 時間が迫ってまいりましたから申し上げますが、先ほど御答弁の中で、今回の場合労災法上の適用、国鉄では臨時雇用者についてはそういうルールになっている、ですから、いまの段階ではそれを申し上げる以外にございませんという話です。そして、他の国家公務員、地方公務員ないしは同じような公企体、そういうところと横並びだというふうに受け取れる御答弁がありました。  これは時間がありませんので詳しくは、個々には私は申し上げませんけれども、果たしてそうですか。これは私の調査ではそうなっておりません。国鉄は別ですよ。国鉄はそのようになっておりますけれども、他の公企体の場合も、それから国家公務員の現業の場合にも、臨時雇用者に対する取り扱いは国鉄のような状態じゃないのです。先ほども申し上げましたが、これはいかに臨時雇用者といえども一家の支柱である働き手が亡くなられて、全部ひっくるめて一時金が三百四十万何がし、この程度、それから遺族に対する年金が扶養家族が四人もおって年間百万そこそこ、こういうふうな状態というのは大変な状況なんです。  それで、私が申し上げたいのは、労災法上の規定の適用、これはそれでいいと思うのです、これは当然ですから。しかし、それ以外に企業としての、国鉄独自の職員ないしは臨時雇用者に対する上積みの手だてというものは積極的に行うべきだ。これは、法律がそうなっておりますからそれで終わりですよという言い方もあるでしょう。あるでしょうけれども、私からいまさら申し上げるまでもなく、基準法は最低限を決めて、しかもそれを不断に向上させなければならぬというのが法の精神です。そういう点から言って、国鉄の場合に、いま言ったような数字によってどなたも明確に御認識あると思いますけれども、国鉄の職員としてはこれじゃとても大変だと思うのですね。こういう重大な仕事に携わっている。ですから、国鉄それ自体のこれに対する何らかの対策を今後十分に考えるべきだ、私はこういうふうに思うのです。  それで、繰り返しますけれども、たとえば専売の場合を見ても林野の場合を見ても、いま職員局長がおっしゃるように、これは労災法だけですよと、特に臨時の場合でしょうけれども、そういうふうに言われておりますが、促そうじゃありません。これはもう一回お調べ願いたいと思います。私はいま細かには申し上げませんが、どうですか総裁、ひとつこの問題について考え方をお聞きしたいと思います。
  190. 高木文雄

    ○高木説明員 その問題、私、余りつまびらかでございませんが、御指摘の点もございますので、とっくりと勉強さしていただきたいと思います。  いずれにしましても、今度起こりました事故は非常に痛ましい事故でございまして、私も長年いろいろ除雪その他でお世話になった方だということは承っておりますので、御指摘の点を含めまして、できる限りのことをいたすというつもりで取り組んでまいりたいと思います。
  191. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 最後に一つだけ運輸大臣にお聞きをしたいと思います。  これはいまの問題とは離れますけれども、御承知のように、来年度東北新幹線が開通をいたします。私は山形県出身でございますが、山形県は、この新幹線の開通に伴って在来特急がもしなくなるなどということになれば、これは開発どころか、あるいは利用者の利便どころか、全く交通の谷間に置かれてしまう、こういうふうな状況がありますから、いま県はこぞって在来特急を残してもらいたい、そういう状況の中で、新幹線によっていままで置きざりにされておった地方を含めての均等なる発展、これを非常に強く願っておるわけでありまして、きょうは予算分科会でありますから、単なる陳情として申し上げるんじゃありません。ひとつこれに対する運輸大臣の基本的な考え方をお聞かせ願って、大体時間のようでありますから、私の質問をそれて終わりたいと思います。
  192. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 御承知のように、五十七年の春ごろをめどに、とりあえず東北・上越両新幹線大宮開業で発足いたしたいと思っております。それに伴いまして、ダイヤはそれぞれの在来線をできるだけ新幹線の乗りかえに便利なように変えていくべきだと思っております。  しかしながら、従来ございました特に「やまばと」ですか、それに「いなほ」というような特急線を何本でもいいから残せという地元の要求があることは事実でございまして、私も国鉄当局の方方に、本数は減っても何本かは維持していく方が地元の利便になると思いますしいたしますので、またそれによって利用もしていただけると思っておりますので、何本かは最低限確保するようにいたしたいと思っております。
  193. 渡辺三郎

    渡辺(三)分科員 終わります。
  194. 海部俊樹

    海部主査 以上で渡辺三郎君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  195. 土井たか子

    ○土井分科員 まず、私、この委員会に参りましてちょっと奇異に感じたことがございますので、揚げ足取りでなく一言申し上げたいことがございます。  先ほど運輸大臣が御説明を賜りましたのは「昭和五十六年度運輸省予算説明」でございますが、まだ予算は確定いたしておりませんで、いま予算案審議中の国会でございますので、御説明賜る場合は「昭和五十六年度運輸省予算案説明」というのが的確なことになるのじゃないかと思います。いかがなんですか。
  196. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私は、予算案と申し上げたつもりでございますが——それは予算案説明でございまして、仰せのとおりであります。
  197. 土井たか子

    ○土井分科員 よく私も耳をそばだてて承っておりましたので、後で議事録を精査をお願いします。予算とおっしゃったように私は聞いております。これは揚げ足取りでなくて非常に大事な話だと思いますので……。  さて、私はきょう本題は、航空機騒音の問題をまず取り上げて申し上げたいと思いますが、環境庁御出席でいてくださいますね。  それでは、まず環境庁の方からお尋ねを進めたいと思いますが、昭和四十八年の十二月二十七日に「航空機騒音に係る環境基準について」という告示が出されましたが、あの中で、第一種空港の中に含めて考えられております大阪国際空港周辺の騒音についての環境基準を運輸省に対して具体的に環境庁がお示しになった中身は、いつまでにこれはクリアをしなければならない、このようになっておるわけでありますか。
  198. 加藤三郎

    ○加藤説明員 これは先生御指摘の告示の中に、書いでございますが、第一種空港につきましては、最終的には「十年をこえる期間内に可及的速やかに」ということでございます。
  199. 土井たか子

    ○土井分科員 この表現はもう幾たびとなく取り上げられて、日本語としてもおかしな表現だということで問題にされ続けてきたわけでありますが、十年ということになりますと、五十八年までの間にこの中身を充足しなければならない、こういうことなんですね。  それで、これを具体的に守っていくことのためには「七十五WECPNL未満とする」ということが大体大前提になっておりまして、それ以上の地域においても、家屋内においては六十WECPNLを超えてはならないということになるわけですね。このことを具体的に指示されているのが環境基準の内容であると理解しておいてよろしゅうございますか。
  200. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先ほどお答え申し上げましたように、七十ないしは七十五Wの最終的な環境基準値の達成期限は「十年をこえる期間内に可及的速やかに」ということでございますが、その改善目標となっておりますものの中に「十年以内に、七十五WECPN未満とすること又は七十五WECPNL以上の地域において屋内で六十WECPNL以下とする」ということになってございます。
  201. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、大阪空港周辺に住んでおられる方々のそれぞれの家屋内におきましては、来る五十八年以降においては六十を超えるような家屋は環境庁からすると認めるわけにはいかない、こういうことになりますね。
  202. 加藤三郎

    ○加藤説明員 そのとおりでございます。
  203. 土井たか子

    ○土井分科員 それに従って運輸省の方も大変御苦労をこのところずっと重ねてきていられることを、私もよく承知をいたしております。かつて第一種指定地域というのはWECPNL八十五以上であったのが、一昨年の七月十日付の告示で八十以上に緩和をされ、そしてさらにこれが七十五に緩和をされ、やがて七十に緩和をされるというふうな方向で、家屋に対しての防音のためのいろいろな施設に対しての助成を運輸省としてはお進めになっていらっしゃる、このようにわれわれ理解いたしておりますが、それはそのとおりでございますか。
  204. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 そのとおりでございます。
  205. 土井たか子

    ○土井分科員 現状は、WECDLNLはどこまでを第一種指定地域としてお考えになっていらっしゃいますか。
  206. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 WECPNL八十までを指定いたしておりまして、五十六年度に七十五まで広げる予定にいたしております。
  207. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、本年度中に七十五まで、そしてその後の計画は七十五で十分に環境庁の指示されている環境基準は、来る五十八年には守れるというふうな目安を運輸省としてはお持ちになっていらっしゃるわけですか。
  208. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど環境庁の方から御答弁がございましたように、大阪は大変騒音区域の広くかつ人口の多い空港でございまして、そういう点を勘案いたしまして、環境基準では、十年を超える期間内であって可及的速やかに、ということになっております。したがいまして、五十八年までに全部ができることはなかなかむずかしいということが最初から考えられていたわけでございます。  それにいたしましても、私どもできるだけ努力をいたしまして、五十八年内に騒音値の高い区域の方についての防音工事を完成させたいと考えておりますが、W七十五までの区域を全部五十八年までに完成させるのは、正直言って困難であると考えております。
  209. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、いまの御答弁を簡単に言うと、恐らく五十八年度終わっても、環境庁が指示されておられるような環境基準を運輸省としては守る自信がない、具体的に守れないだろう、こういうことを披瀝されたように受けとめさせていただいてよろしゅうございますか。
  210. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 五十八年度までに完全に達成することは困難である、ただしそれを超えて可及的速やかにやるということで、この環境基準に書かれております言葉どおりに何とかそれを達成しようというふうに考えておるわけでございます。
  211. 土井たか子

    ○土井分科員 非常に苦しいところなんです。これは予算も伴いますから非常な御苦労があることは私も百も承知で、しかし地域住民の方々からいたしますと、これはここで、机上でいろいろ考えているような問題じゃないということも、運輸大臣は御近辺の選挙区でいらっしゃいますからよくよく御承知おきいただいているはずなのであります。したがいまして、かの激甚地域で来る日も来る日も航空機騒音の中で生活をしている方々からしますと、運輸省は七十五を来る五十八年までの間ずっと続けて、住居に対しての防音対策を初めとして周辺整備をいろいろ具体的に努力したい、このようなお気持ちなのですが、いまから申し上げる問題はその中の谷間にある問題で、私はいままで幾たびとなく続けてお尋ねをしてきて、努力はするとおっしゃってくださるのだけれども、一つも進展の跡が見えない問題です。  つまり、どういうことかといいますと、WECPNL八十五が第一種指定地域というふうに告示をされました一昨年の七月十日、そのときにはその一種区域の場所に住んでおられなかった、ところが七月十日後日ならずしてここに住まれたことのために、後にWECPNLが八十五から八十に緩和をされて第一種指定地域がずっと広がって、それに対する対策運輸省として講じられている中で、八十五地域の中に生活をしながら、幾らたっても、いつまで待っても対策の対象にならないという方々があるというこの事実は、運輸省としてもよく御承知おきくだすっているところなんです。これを危険接近の理論という理屈をもって、勝手にそこに騒音を承知で後で住んでいる人たちなのだから、勝手な話であって、運輸省としてはそういうことまで手当ての対象に考えるわけにはいかないと初めは非常に強く振り切られましたけれども、そのうち八十からやがて七十五ということになってまいりますと、いよいよ対象地域は広がっていく、そして緩和される、にもかかわらず最もひどい激甚地域で捨ておかれたようなかっこうで取り残される方々に対する対策というのは、いつまでも勝手だ勝手だでは済まなくなっていっているんですね。危険接近の理論ではもはや済まなくなっていっている。あのあたりは、運輸大臣も御承知のとおりに、大阪とか神戸とかいろいろ通勤のためには非常に便利な地域でございまして、いわゆる過密状態の住居地域でございます。したがいまして、そういうことからいたしますと、これはいつまでも危険接近の理論を盾にして、後回し後回しと、それは勝手なことなんだから運輸省としても知らない、ではどうもいかないような状況であります。環境庁としては、こういう問題に対してはこういうこともあろうかということをあらかじめお考えになって何らかの指示をなすっているかというと、どうも私がいままでいろいろと聞き知っている限りにおいては、そういう措置を講じられたということはないし、そういうことをお考えの中に入れて事前に環境基準値をお出しになる場合にもお考えになっていらっしゃるとは思えない。環境庁としてこういう問題に対してはどのようお考えになりますか。
  212. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先生も十分御案内のとおり、航空機騒音に係ります環境基準保は、生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持することが望ましい基準でありまして、法律によります指定区域の告示日と居住の時期的前後関係にかかわりなく、住民全体に適用されるものだというふうに私ども環境庁は考えております。  いまお尋ねの民家防音工事の助成につきましては、現行の航空機騒音防止法によりますれば、第一種区域の指定の際、現に所在する住居のみが対象となるわけです。したがって、指定後の住居につきましては、現行制度のもとでは、空港周辺対策では何らかの措置を講ずることは困難な状態にあるというふうに聞いておりますが、先ほど申しました環境基準の趣旨からいって、これは好ましくない状態が存在するというふうに考えております。このような状態をどのように改善していくかにつきましては、発生源対策や周辺土地対策を講じていくことはもちろん必要でありますが、そのほかに民家防音対策を含めてどのような対策が適当かどうか、今後十分に検討していきたいというふうに思っております。
  213. 土井たか子

    ○土井分科員 環境庁としては、そういう意のあるところをもってこのことに臨んでほしい、こういうお立場であろうと思います。  運輸省とされては、恐らく五十八年になっても環境基準をクリアすることはむずかしい。われわれとしては、これは御努力に御努力をお願いする一方でしかないわけですけれども、やはりこの環境基準値を守るということが大前提なので、そこのところは守れない、守れないと言いわけばかりを繰り返して事が済むはずはないわけなんですね。  だから、そのことはまず守っていただくということをはっきり申し上げると同時に、いまの谷間の問題について、大体やってみてから後、後回しにしたことに対して初めて手をつけていく、つまり五十八年が経過してから後の問題で、それは宿題として、あと取りこぼしにしたこの問題はちょっと待ってください、そのときになってから少し手をつけていくということも考えないではないからというふうな姿勢があるのじゃないかと言われているのです。どうもそれではちょっと困るので、そんなことはまさかないと私自身が思うわけで、きょうはこういう質問をさらに続けているわけですが、この谷間の方々の世帯数はどれくらいかというのは、あらまし運輸省としてもつかんでいらっしゃいますか。
  214. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、世帯数の数字は、私、いま手持ちに持っておりません。
  215. 土井たか子

    ○土井分科員 しかし、これは運輸省としては調べてちゃんと持っていらっしゃることだと思いますが、ないんですか。
  216. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 申しわけございませんが、調べてございません。
  217. 土井たか子

    ○土井分科員 これは運輸省としては怠慢至極。このことについて何回伊丹から、この問題何とかなりませんかという要望が来ているか。一回、二回じゃないはずですよ。私も、この問題をひっ提げて運輸省に幾たび行ったことでしょう。世帯数すら具体的に把握されてないという熱意のなさには、ただただあきれ果てますよ。運輸大臣、これをどうお思いになりますか。
  218. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私も、いま聞きまして、調査をしておってまだその報告書が来てないのか、あるいはまだ調査が手につかないのか、あるいは調査ができにくい状態なのでやっておらないのか、そういうことをひっくるめまして、一回早急に、私自身が事情を聴取いたします。
  219. 土井たか子

    ○土井分科員 大臣、一言申し上げますが、これはいろいろ調べにくい状況だとはとても言えないのです。自治体の方ではこの問題を掌握して、きちっと調べて持っていますよ、中身を。いま電話をして調べようといったら即刻できる話なんです。それすらできてないというこの事情については、私は憤りを感じますね。誠意がなさ過ぎる。努力すると言いながら、何の努力をなすっていたんですか。大臣、これについては、この誠意のなさというものは、私はただいま本当にもう一度そのことを再確認した気持ちでございまして、誠実にこれを取り上げて問題にしていただけましょうね。大臣、どうですか。
  220. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 至急事情聴取いたしまして、お答えできる範囲で、できるだけ早くまとめさせて、返事いたすようにいたします。
  221. 土井たか子

    ○土井分科員 そうして、それを調査をされたそれから後の問題が実は肝心かなめになってくるわけですから、環境庁の環境基準を充足する日を待たず、ひとつこの問題に対してどのようにしていくことが解決策になるかということについても考えを進めていただいて、民家の防音の問題、谷間のそういう民家についても取り上げて努力をするというふうなことまで、ひとつ大臣、お考えをいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  222. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 対策につきましても、これは運輸省だけじゃなくして環境庁とも相談しなければならぬと思いますが、早急に講じるようにいたしたいと思います。
  223. 土井たか子

    ○土井分科員 いまのような、これはもう何年来言い続けできたかわからない問題についてもそれくらいの誠意のなさだったら、ましてや新空港建設については、地元に対していろいろ御説明を口先でなすっても、私は、本当に住民人たちが納得なさるのはなかなかむずかしい問題だろうと実は思います。  そこで運輸大臣、これは時間のかげんもありますからちょっと中身に深く立ち至っていろいろとお尋ねをするという余裕がございませんけれども、昨年の八月十七日に出土庁長官が神戸で記者会見をされまして、新空港早期着工のために関係閣僚協議会というのを九月早々にも設置するという御発言でございました。ただいまこの新空港建設のための関係閣僚協議会というのがございますか。
  224. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 国土庁長官のお話しされた内容を私は聞いておりませんが、現在まだ一まだといいましょうか、現在空港の関係閣僚会議は設置されておりません。
  225. 土井たか子

    ○土井分科員 なかなかこれはつくることもむずかしい事情がおありになるのではないかということも思いますけれども、しかし大臣の記者会見での発言でございますから、地元の住民の方々の中には、もうちゃんと運輸大臣を初めとして関係閣僚協議会があるというふうに考えておられる方々も多いのです。つまり、いろいろこれは混乱しますよね。いろいろな大臣が、あっちに行ってこの問題について何の発言をなさる、また別の大臣がいろいろな場所に行ってこの問題を取り上げて別の発言をなさる。まことに混乱この上ない。最近は泉州沖以外にも神戸沖というものが出てきたらしく、神戸の方に行きましてもいろいろこの問題が取り上げられて取りざたされておりまして、泉州沖は果たして大丈夫なのかというようなことも住民の間にはまた話題になっている始末であることは、大臣よく御承知のとおりでございます。  そこで大臣にお尋ねしますが、大臣はかねて、五十七年度着工にこぎつけるというふうなこともおっしゃいましたが、そして六十五年開港を目指すということもおっしゃいましたが、このおっしゃったことにただいまもお変わりはございませんか。
  226. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私は、終始一貫いたしまして五十七年度で着工し得るようにと言っております。ただし、六十五年開港を目指すということ、これは明確に言っております。
  227. 土井たか子

    ○土井分科員 これは今回は国際空港でも成田の二の舞は踏むまいということも考えて、しかしこれは百年の大計と申し上げても過言でないような国の大事業であるというのが中身でございますから、六十五年開港ということになるとあと十年ないのですね。これはいまどういうことをお考えになっていらっしゃるかということがあらまし具体的につかめるようなものでないと何だか心もとない気もいたします。  そこで、お尋ねを進めたいと思いますが、事業費なんですが、成田の場合は地元負担がゼロ、国は総事業費の二〇%、そして残りは財政投融資と公団債だったはずですね。  この新空港の場合について、運輸大臣としてはどのようなお考えをお持ちですか。
  228. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 これは私は即断で申し上げるわけにまいりません。したがって、政府部内で各関係の協議も必要でございましょうし、さらにより以上に必要なのは地元との関係でございますから、相談も必要でありますので、私はこの地元の地方自治体等が空港の将来の管理運営に何らかの形で参加し得るような、そういうことができるような資金の分担、配分というもの、負担といいましょうか、そういうふうなものが望ましいと実は思っております。     〔唐沢主査代理退席、関谷主査代理着席〕  しかし、現在このような方式で事業主体もこうなりますというようなものはまだ確定しておりません。したがいまして、資金の分担につきましても、いま私が発言するのは差し控えさせていただきたいと思うのですが、重ねて申しますと、地元が発言し得るような形態、資金の負担というものはぜひ考えたいと思っております。
  229. 土井たか子

    ○土井分科員 いま大臣の御趣旨のほどは御答弁を承ってわかるのですが、そうしますと、具体的に事業内容も確定をしていないのだから、事業費の負担の中身とか割合をどう考えるかということは差し控えたいということ、そのような御答弁をいただいております。しかし、国二〇%プラス地元五%案というのがかねて運輸省によって提案をされたという経過もあるのですね。これは撤回をされているのですが、あるいはそのことを下敷きにしてお考えをお進めになっていらっしゃるのですか、いかがですか。
  230. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 実はそれはいわば事業主体の問題と関係してまいりまして、私の方からいろいろな案は、提案はまだいたしておりませんけれども、案を持っておることは事実でございます。たとえば国二〇%に対して地元一〇%持ってもらえぬかというような希望も申し上げたこともあったかと思います。あるいは国が二〇%で、できれば地元五%というようなことも言ったかもわかりません。言っておると思いますが、しかし、それはあくまでも希望として現在言っておることでございまして、協議をいたします段階でその問題は煮詰めていきたいと思っております。
  231. 土井たか子

    ○土井分科員 ただ、成田のように地元負担ゼロということではない、このことだけは大前提として考えておいていいのですか。
  232. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私の希望はそういうことであります。
  233. 土井たか子

    ○土井分科員 さらに、これは年内にも示されるであろうと言われております。辺地域整備事業の具体的な中身というのがございますが、これはすでに煮詰まっておりますか。
  234. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま先生のおっしゃいました周辺整備計画というものは大きく分けて二つございます。一つは、空港に直接関連のございますアクセスのための施設でございます。もう一つは、空港ができますことによって人口が集中する、そして、そこにある程度産業が集まってくる。その都市化に伴っていろいろな施設が必要になる。下水道も必要になるでありましょうし、学校も必要になるでありましょう。そういう広い意味の周辺整備と狭い意味の周辺整備とがございます。  その広い方の周辺整備につきましては、主として地元公共団体が案をお立ていただき、それに対して国が協力をするというのが本筋であろうかと思います。前者のアクセス交通施設につきましては、これは運輸省の分担する部分と運輸省の所管外の部分とがございます。したがいまして、関係省庁間で協議を進めなければいかぬものが含まれておるわけでございます。たとえば道路が建設省の所管であるというがごときでございます。したがいまして、いま私どもは関係省庁間での事務的な話し合いをしているという段階でございます。
  235. 土井たか子

    ○土井分科員 その事務省庁間のいろいろな話し合いというのは、かなり詰めが必要ですから時間もかかるだろうと思います。ただ、それは地域で、地元で、自治体で中身をつくっていかなければならない周辺整備の中でも、特に都市づくりを考えた場合に、その根幹に考えられなければならないのはやはり公共下水道の普及率のデータが大事になってくるのですね。あの辺は大臣自身が選挙区でいらっしゃいますから……(塩川国務大臣「ちょっと違います」と呼ぶ)ちょっと離れていますけれども、まあまあ大阪というような意味ではそういうことですから、したがいましてよく御存じですけれども、決して普及率は高いとは言えない。しかし今回は、予算案を見ますと、下水道の整備に対しての予算というのは、削られることはあっても、ふえることはおぼつかない。こういう状況を抱えて問題が進行していっているわけですね。ですから、そういうことからすると、地元の方では、これはいろいろ事情はございましょうけれども、もう運輸大臣とされては、泉州沖と一たん答申が出たら大盤石の構えてこの問題に臨まれるというお気持ちで、この周辺整備の事業内容についてもいろいろとこのお考えを研究を積まれながらお進めになっていらっしゃるということなのか、それともそれはそうではなくて、泉州沖というものは最優先に考えながら、他の地域についても空港の建設予定というふうなことも考えの中に全くないわけではないということで事をお進めになるか、これによって大分違ってくるのですよ。その辺、いかがですか。
  236. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 空港は、成田の場合もわれわれ承知いたしておりますが、空港であるとかあるいは鉄道という、こういう大きいプロジェクトを進めますのに、その位置選定につきましてはどうしても総合力を発揮した客観的な、科学的な調査が必要でございまして、それを航空審議会で長年にわたりまして検討願い、そして答申が出されました。その答申によりますと、泉州沖が関西地域では最適であるという答申でございました。でございますから、私はこの客観性のある答申の線に沿って建設を進めるべきだと思っておりまして、いま泉州沖以外にそれじゃどこか他の候補地も考えておるかということでございますと、それは全然考えておらないということでございます。
  237. 土井たか子

    ○土井分科員 終わりますが、それでは最後に一問だけ。  先ほどちょっとお話に出ました交通網、アクセスの一環の中身として、それならば運輸大臣は、大阪湾岸道路計画もこの新空港と連係をして考えていかなければならないというふうに御認識になっていらっしゃいますか。
  238. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 いわゆる湾岸道路と言われております阪神道路公団建設による高速道路でございます。これは現在のところ泉大津−神戸間の計画でございますが、これは有力なアクセスとして空港への延伸を当然計画をしていくべきだと思っております。
  239. 土井たか子

    ○土井分科員 終わります。ありがとうございました。
  240. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で土井たか子君の質疑は終了いたしました。  次に、森井忠良君。
  241. 森井忠良

    森井分科員 ただいまは空の問題でございましたが、私は海の問題についてお尋ねをしたいと思います。本四架橋に伴いますところの諸問題です。  まずお伺いしたいのですが、この国会に法案をお出しになりますか。
  242. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 本四架橋の建設に伴いまして旅客定期航路事業に影響がかなりあると予想されますので、現在この問題にかかわりまして法案を準備中でございます。
  243. 森井忠良

    森井分科員 どうも運輸省と建設省の考え方が違うようで困るのですが、建設省いますか。——建設省は法案の準備はどうなっているのですか。
  244. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 ただいま申し上げました法案の準備につきましては、運輸省、建設省あるいは関係省庁と共同で作業をしておるわけでございます。
  245. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 建設省来てないのですか。
  246. 森井忠良

    森井分科員 来ないようになっていますか。——それでは何かの手違いでしょう。私のところへ質問取りにも来ましたけれども。  いないようですから、私の方からお伺いをするのですが、建設省は、法案の要綱その他要綱に近いもの、概要とかそういったものも含めて、いまもってできておりませんと、こう言っております。かろうじて、法案の名前は、仮称という名前がついておりますけれども、骨子どころかポイントだけ幾つか書いたものを私どものところへ持ってきております。建設省は、御承知のとおり、本四架橋の窓口官庁だと思うのですけれども、そこでは全然できていない。これはそのようにあなた方も理解していますか。
  247. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 それぞれ各省の分担がございまして、分担部分につきまして、いわゆるたたき台といったものはございますが、これをまとめまして一つ法律案あるいはそれに対する要綱というものはまだできてないわけでございまして、たたき台で現在いろいろ各方面と折衝中でございます。
  248. 森井忠良

    森井分科員 私が持っておりますのは、日本海事新聞という新聞です。これはコピーですけれども、ことしの二月の十六日、月曜日号ですけれども、「本州四国連絡橋の建設に伴う旅客定期航路の再編成並びに旅客定期航路事業の事業者及び離職者に係る特別措置に関する立法措置の概要」、こういうものが出されています。これは海事新聞でございまして、いわゆる業界紙だと思うのですけれども、これは見ていらっしゃいますか。
  249. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 承知しております。
  250. 森井忠良

    森井分科員 役所は大抵秘密を持っていまして、それを隠したがる。ですから、情報公開法の制定その他出されているわけですが、これについては早々と、いま確認をいたしましたように、まだ法案の要綱もできていないという中で、実質的にはこれは要綱になっているんですね。ちゃんと第一から第二十二まで、最初の「目的」から最後の「附則」まで二十二項目に分かれていまして、概要と申し上げましたが、要綱と銘打ってもおかしくない、かなり整備をされたものでございます。  これを建設省に見せましたら、全く存じませんと言うわけです。少なくともこれはニュースソースは残念ながら運輸省側だと思わざるを得ない。そういった形で、現に業界紙で大々的に報道される。私どものところにも問い合わせがありました。私は、私どもの党の本四架橋対策特別委員会の事務局長ですから、本当か、本当かと言って、関係労働者からわんさと抗議が来ておるわけでございます。あなた方のだれかが出したんじゃないんですか。
  251. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 海事新聞に載りましたいわゆる案と称するものでございますが、これは先ほど申し上げましたような、まだ事務的な段階のたたき台でございまして、これを関係の旅客船事業者あるいは労働組合に示しまして意見を求めているものでございます。したがいまして、政府として、これが案であるとかあるいはこれが要綱であるというところまでまだいったものではございません。
  252. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、関係各省でまだ話が煮詰まっていないわけですね。合意に達していないと理解していいですか。
  253. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 いろいろの問題を含んでおりまして、すべての問題で関係各省、これは法制局も含めましての話でございますが、合意に達しているということではございません。
  254. 森井忠良

    森井分科員 たとえば建設省と運輸省はどの部分がいま見解が対立しているのですか。
  255. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 基本的な問題、大筋では、考え方といたしまして運輸省の担当いたします部分は航路の再編成に関する問題と、それから事業に従事する従業員の離職者対策等が中心でございます。それから、建設省の担当している部分は、主として転廃業を余儀なくされる事業者に対する補てんの問題、これが建設省の担当でございますが、その間、たとえば再編成につきまして国が再編成の基本方針を立てる、あるいは事業者にその方針に基づきまして実施計画を立てさせる、こういう仕組みを私どもいま考えておるわけでございますが、その段階で当然補てんを担当いたします建設省の方とどのようにかかわり合いがあるかというような問題につきまして、まだ調整をいたしておるところでございます。
  256. 森井忠良

    森井分科員 本四架橋に関する問題は山ほどありますから、きょうそのすべてをお聞きするわけにいきませんけれども、少なくともこの海事新聞に載っている原案といいますか、この記事は法案要網に近いものですけれども、そうすると、これは運輸省としての希望ですか、それとも関係ありませんか。
  257. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 ある段階で関係者の意見を聞くための一つのたたき台として関係各省でそれぞれ持ち寄ってつくったものでございますので、ある段階での一つの素案といいますか、試みの案というふうにお考えいただいても結構だと思います。
  258. 森井忠良

    森井分科員 建設中の因島大橋がしばらく工事を中断しておりましたが、これはどこに原因があると考えていらっしゃいますか。
  259. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 一つは、橋の工事に伴いまして、その下を通ります航路の安全問題、この点についていろいろ検討を重ねているということが一点でございます。それからもう一つは、やはりその裏には、橋の建設に伴いまして影響を受けます旅客船事業者あるいはそこに働く従業員の人たちの補てんといった問題がまだ明確になってなかったという点にあろうかと考えております。
  260. 森井忠良

    森井分科員 旅客船業者についてはわかりましたが、旅客船事業に従事をしている船員その他の従業員、そういった人の雇用であるとかあるいは生活安定であるとか、そういったことも関係ありましたか。
  261. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 当然のことながら、そういったことも背景にあったかと、このように考えております。
  262. 森井忠良

    森井分科員 いま工事を再開されたわけですけれども、ということは、そういった問題は一応解決をした、こういうふうに理解をしていいのですか。
  263. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 すべて細かい点まで解決したということではございませんで、基本的な政府の考え方、あるいはそれを実現するための法案の準備、こういったものが進められているということで諸般の手続が再開されるようになった、このように考えているわけであります。
  264. 森井忠良

    森井分科員 航路業者にしてもそれから海運組合の皆さんにしても、これは大変な問題ですかう、それなりに実力を背景にして関係当局と交渉なさることは当然だと私は思うのです。そのことは当然だと思うのでありますが、それだけではないですよね。たとえば私どもがしばしば問題にしております港湾労働者の雇用、生活、何かいままでの進められ方を見ておりますと、とりあえず声の大きいものは対策が講じられて、じっくり話してあるいはその調査を進めなければならないにもかかわらず意図的に調査がおくれたというものもあるわけですけれども、そういったものについてはまだ置き去りのような感じで、旅客船業者あるいはそれの従業員等が中心に進められている、片手落ちじゃないかという感じがするわけですが、運輸大臣、いかがでしょう。
  265. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  港湾運送の雇用の問題につきましては、昭和五十一年十月に関係省庁より成ります本州四国連絡橋旅客船問題等対策協議会が設置されまして、その協議会では五十三年に「本州四国連絡橋の建設に伴う旅客船問題等に関する対策の基本方針」を決めております。この方針の中で、連絡橋の建設が個々の港湾等で、港湾・陸上運送等の関係の業界の雇用に及ぼす影響につきまして調査検討を行うことといたしております。調査の結果その影響が明らかになった場合には必要な措置を講ずる、そういうふうに決定をいたしております。この方針を受けまして関係省庁、本四公団、総評等によって構成されます本州四国連絡橋雇用対策中央協議会が設置されまして、さらにまた一昨年の九月に港湾労働調査を実施するための港湾労働調査委員会が発足いたしております。そして、この委員会で各種の調査を実施してまいったわけでございますが、昨日その結論が出てまいりまして、現段階における各種調査の中間報告を踏まえて、港湾ごとの個々の港運業者の事業の実態によっては港湾労働に明らかな影響がある、そういうふうに予測をされるという結論が出たわけでございます。  それで、いままではそういったことで調査の結果を待って対策を考えるということでございましたので、先生御指摘のように、若干対策のおくれた点がございますが、昨日その結論が出ましたので、今後はこの結論に基づきまして本州四国連絡橋雇用対策中央協議会におきまして必要な措置の検討に入ります。運輸省はこの協議会のメンバーでございますので、そのメンバーといたしまして必要な措置をとりたいと考えております。
  266. 森井忠良

    森井分科員 大臣、お聞きのように、旅客船業者等につきましては、先ほど来の話を総合いたしますと、まだ法案要綱までできていないけれども、対象者というのはほぼ限られた感じになっております。いま答弁にありました港湾労働者についてはどうもこの特別立法には入れてもらえないというふうな形のものがありますけれども、審議するわれわれとしては、当然のことでありますが、影響するものはすべて同じですから、やはり同じように扱って特別立法の中に入れるか、さもなくば早急に別の法律を提出すべきではないか。この点、大臣の政治的な御判断を伺っておきたいと思うのです。
  267. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 先ほど局長が言っておりますように、影響は恐らくないであろうと当初想定しておりましたけれども、なお慎重に調査ということで調査いたしました結果、昨日、影響があるかもわからぬと出てきております。そこで、特別立法にこれを盛り込むかどうかということでございますが、私たちのいまの方針といたしましては、十分な対策を講じて、それによって御迷惑をかけないようにしたい、こういう方針で臨んでおるところでございます。
  268. 森井忠良

    森井分科員 誤解があったらいけないと思いますから申し上げますが、必ずしも同じ立法でなくてもいいと思うわけです。それは中身が違いますし、関係港湾労働者の考えとそれから船員の皆さんのお考えとは違うし、置かれておる条件も違っているわけですからそれはいいと思うのですけれども、同じように被害を受ける者として具体的には同じように救済をすべきではないか、この点を強調したいわけです。もう一度、恐縮ですけれども、その点について。
  269. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 とりあえず、中間報告が出たところでございますし、中間報告の中身をよく精査いたしまして、影響がどういう層に出てくるかということを見まして、そこで一度その関係者の方方と十分話し合ってみたいと思っております。その上で態度を決めさせていただきたい。
  270. 森井忠良

    森井分科員 これは調査については四つあるのですよね。公団あるいは労使調査、地方調査とあるわけですけれども、先ほど言いましたように、また調査がおくれておるということもありますが、公団のように早々と出した調査、これは先ほど大臣がいみじくも言葉の端におっしゃいましたように、余り影響がないじゃないか、こういう言い方をしておりますが、最近出てまいりました地方調査の方は、とんでもない、たとえば坂出港のごときは従業員についても半分ぐらいになってしまうのではないか。もちろんそれに見合うところの貨物のトン数が減ってくるわけです。地方調査でははっきりしたものが出てきています。あるいは関係の労働者、労働組合等が調べたものでうんと数字の違いがございます。これは特に御記憶願っておきたいと思うのですけれども、先ほど言いましたように、公団の調査では、昭和六十二年の時点ですけれども、貨物のトン数においてせいぜい〇・四%しか影響を受けない、関係する労働者も一人だというふうな極端な例を出しているのですね。それに対して地方調査は、貨物についても人数についても大方半分ぐらい減っていくんだ。これは香川県の場合です。もちろん県その他の関係行政機関も入っての調査ですけれども、これだけの違いがございます。  時間の関係がありますから多くは申し上げませんけれども、絶対に、港湾労働者に関すること、あるいは港湾労働者だけではありませんね、運輸大臣の所管からいけば国鉄の労働者だって影響を受けるわけですし、駅弁を売っている人たちも影響を受けるわけです。あるいはまた運輸省の所管じゃないかもしれませんけれども、私は産業構造だって大きく変わるんじゃないかというような心配を持っています。橋ができてお客さんがふえると思っていた旅館やホテルも、逆に今度は便利がよくなったからかえって日帰りが多くなるのではないかという不安だってあります。タマネギの生産だってあの阪神の市場を考えてみますと、これは高知と淡路島、恐らく利害が対立しておるはずですし、もろもろの被害を順次精査をしていく、この基本的な姿勢をもって今回の特別立法のみならず、いろいろな意味で法的な措置も含めて御検討いただきたいと思うわけですが、この点についてもう一度大臣からお答えを承っておきたいと思います。
  271. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私も本四架橋はそう簡単には考えておりません。でございますから、先ほどお話しのように、たとえば港湾労働者にも影響が出るということも出てまいりましたし、あれだけの航路を開いておったものが変わるのでありますから多方面に出てくると思うのですが、そこらは十分に気を使いまして対処いたしたいと思います。
  272. 森井忠良

    森井分科員 時間が余りありませんから次のテーマに移らせていただきたいと思いますが、国鉄呉線の複線化の問題でございます。  これはまず概要を申し上げますと、昭和五十二年の九月、当時の国鉄の副総裁が呉線を視察をなさいまして、そのときに呉市でありますとかあるいは呉市の議会でありますとかあるいは商工会議所でありますとか、そういったところが陳情をしたという経過があるわけであります。それが発端になりまして、国鉄の方はその年の十一月、下関工事局が所管になりまして、いろいろ調査をしておるわけでございます。言うなれば基礎調査の感じでありますが、それを見ますと、一番はっきりしているのは——実を言いますと、広島−呉間の開通は明治三十八年なんですけれども、全線を開通いたしましたのは昭和十年ですが、実は軍港がありました点で単線じゃ困るということで、軍の指示等もありまして、特に広島−呉間については用地の取得が大部分といってもいいほどなされているわけでございます。国鉄の調査によりますと、必要な用地が十八万四千平方メートル、そのうち十五万平方メートル近くはすでに確保されておりまして、八一%まで用地があるわけでございます。それから、もちろん線路を敷設する場合の用地の造成もほとんどその区間は行われております。それから、必要なトンネルについても十一カ所すでに完成をしているわけでございます。ただSL時代のトンネルの設計ですから、もちろん改造も必要でございますが、ともかく言うなればいま宝の持ちぐされになっているわけです。ですから、路線の一部がたとえばモーテル等の店舗になっておったりして、非常に関係住民としては不愉快に感じているわけでございますけれども、いま申しましたように、ほとんどの設備がありながら複線化をしてもらえない。先ほど言いました五十二年に国鉄の副総裁が見えたときには、いまにもできるかのような非常に前向きなお答えがあったわけでございますが、その後さたやみでございます。  時間の関係でついでに申し上げておきますけれども、幾ら用地がありましても、設備がありましても、乗客がいなければならぬわけですから、当然乗客のことも考えなければなりませんが、鉄道に沿って走っております国道の渋滞が年々ひどくなりまして、これは国道三十一号線ですけれども、そういったことがあったのと、それから電化をいたしましたからスピードアップにもなったということで、四十五年と五十二年調査の時点と比べますと、乗客も三〇%ふえておる。私も国会に来るときよく呉線に乗るのであります、それは国道が渋滞ということもありまして、そこで見てまいりますと、一番必要な通勤の時間帯、七時半から八時半までの間、この間で五本の電車が走っておるわけですが、平均をいたしますと一五六%、非常に込んだ状態で運ばれている。単線としては限界だという結論を一応出しておるわけでございます。にもかかわらず、先ほど申し上げましたような幻想が副総裁等によって振りまかれながら複線が実現をしていない。いま国鉄再建法なんというもので地方交通線がばったばった切られているわけでありますが、切るだけでなく、こういうふうな深刻な状態のものについては、いまある資産をむしろ活用していくべきじゃないか。行政管理庁の方からの指摘もあるわけでありますから、むしろそういった姿勢こそ望ましいと思うわけでございます。  質問の項目について一挙に話してしまいましたけれども、運輸大臣なりあるいは国鉄総裁のお考えを承っておきたいと思うのです。
  273. 高木文雄

    ○高木説明員 いまお話しのとおりでございまして、呉線の複線化ということは私どもの頭の中にあるわけでございます。ただ、最近都市周辺におきまして道路がふくそうをしてきたということから、広島に限らず他の都市におきましても都市周辺の複線化の御要請が非常に強いわけでございますが、まことに残念ながら私どもの一兆余りの現在の工事予算の中で、東北・上越新幹線等きわめて大きなプロジェクトの方に実は投資枠を食われているというような関係がございまして、なかなか複線化の方に手が回らない。気持ちとしてはだんだんそうした都市周辺地域の複線化にかなりの力を入れてまいりたいと思いますけれども、まだ現在の与えられております資金枠から言いますと、直ちに手をつけるというところまでなかなかいき得ない情勢にございます。しかも、今回の再建計画におきましては利子負担が国鉄経営にとって非常に負担になるからということで、私どもも工事規模の実質的な抑制に努めまして利子負担を少しでもふえないようにしなければならないという要請がございますので、片一方におきましては御要請に応じて複線化の仕事をおくればせながら始めさせていただきたいという気持ちを持ちながら、片一方においては全体の投資規模の問題、利子負担の問題の関係で、まだいつどういうふうにしてやらせていただきますというところまでは申し上げられないわけでございます。決して副総裁が参りましたときと今日と基本的には変わってないわけでございますけれども、金の枠の問題の関係でなかなか手がつけられないでおるということでございまして、関係地域の方々に御期待をいただきながらそれが実現できないでいることを私としても残念に思っておりますが、決して忘れているとか無視しているとか、そういうことではないわけでありまして、今後とも全体の投資枠の中でどういうふうにしてやっていくかということをいろいろ勉強してまいりたいというふうに考えております。
  274. 森井忠良

    森井分科員 いま呉駅は民衆駅として改装中でございまして、この七月にできるのです。それにはちゃんと複線の設計ができているわけですね。  そこで、いま総裁の御答弁を総合いたしますと、もうすでにハードな実質調査については進められているわけですから、複線化の必要はお認めになりますか。特に呉−海田市間ですね。
  275. 高木文雄

    ○高木説明員 先ほどのお示しのように、だんだんお客さんもふえてきておることは事実でございます。恐らく今後ともふえる方向にあるだろうと思いますから、私どもの方の立場としてもきわめて有力な候補地であるわけでございますが、実はまだ通勤時間帯における乗車効率が二〇〇を超えるような地域全国的に見ますと残っておりまして、そういう他の地域におきますところの交通のふくそう状態とにらみ合わせながら順次優先順位を決めていくということになろうかと思います。その場合に、全国的に見ました幾つかの候補と言ったらおかしいのですが、そういう予定の中の一つであることは間違いないわけでございますが、いま申しましたように、それを全部やるというにはとても投資枠が足らないという現状でございまして、今後のお客様のふえぐあいあるいは道路のふくそうぐあい等にらみ合わせながらよく検討してまいりたいと思いますが、今日の段階ではいつからどういうふうにというところまでは残念ながらお約束いたしかねるという現況でございます。
  276. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で森井忠良君の質疑は終了いたしました。  石田幸四郎君。
  277. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 私は、自賠責の問題について、若干、お許しをいただいた時間の範囲内において質疑をいたしたい、こう思います。  自賠責の支払い基準の改定につきまして、過去の例でいきますと二年に一回の割りで大体改正が行われてきたわけでございます。前回行われたのは五十四年の二月でございますから、いままでの慣習からいけばもうそろそろ改定されていいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。私の手元に検討資料ともいうべきものが手に入っておるわけでございますが、まず最初にお伺いをいたしたいのは、やはり自賠責の支払い基準の改定は二年なら二年経過しますれば、物価の上昇もございますし、あるいは給与ベースの上昇もあるわけでございますので、当然そのくらいの期間内には改定をした方がよろしい、そういうふうに考えられるわけでございまして、まずその改正の時期についてお伺いをいたしたいのですが、前回、五十四年の二月一日に改正されております。それから二年経過しておるわけでございますので、大体新年度に入る四月前後には改定をされるもの、こういうふうに期待をいたしておるわけでございますが、そんな見通しでよろしいかどうか、まずお伺いをいたしておきたいと思います。
  278. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生いま御指摘のとおり、自賠責保険の現行の支払い基準は、五十四年二月一日に改定されてほぼ二年を経過したわけでございます。それで、物価、賃金の上昇等に伴う改定が必要になってきていると私どもも考えまして、現在事務的に改定準備を進めているところでございます。関係省庁等と意見の調整が終わり次第、できるだけ早い時期に新基準を実施いたしたいと考えております。
  279. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 今回の基準の見直しは、給与ベースとかあるいは物価上昇率、そういうものを勘案したものに基づいての改定でございますので、保険料の値上げそのものにはつながらない、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。
  280. 飯島篤

    ○飯島政府委員 今回の支払い基準の改定に伴いまして直ちに保険料の引き上げが必要になるとは考えておりません。
  281. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 この支払い基準の改定について大体考えられるのが、一つは傷害、それから二番目には後遺障害の問題、それから三番目には死亡に伴う慰謝料等の問題、そういうものが考えられるわけでございますが、この三つの中でそれぞれどんな項目が改定の項目に予測されておるか、検討されておるか、その中身についてどれをどこまで検討をしておる、金額まで御発表があれば結構なんですけれども、そこまでもしいかなければ、これとこれとこの項目は検討しておるのだというようなことをひとつ御報告いただきたいと思います。
  282. 飯島篤

    ○飯島政府委員 大体大まかに言って検討いたしておりますのは三点ございまして、傷害の場合についての休業損害の限度額、それから傷害、後遺障害、死亡、それぞれについての慰謝料の問題、これについては若干議論が関係者間であるようでございます。それから三番目に、逸失利益の算定に関連いたします年齢別の平均給与額の改定、大きな点はこの三つでございます。
  283. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 その中で従来ちょっと不満であったのは、たとえば傷害の場合に、入院看護を要する、そうしたときの看護料の料金の改定でございますけれども、現行のものを見ますと、入院看護をした場合には日当たり二千八百円の支払いになっておりますけれども、これは健康保険に基づく看護補助者の料金の七割、こういうことになっておるわけですね。そういう考え方で来ているわけですが、もう少しこれアップさせる必要があるのではないか、こういうことが一点。  それから、通院の場合の付き添い、その場合が極端に低くて、さらに入院看護をした場合の約半分、こういうことになっておりますけれども、これはいわゆる今日の収入の日割り計算等からいきますと極端に低いのではないかというふうに思っておるのでございます。これは従来の計算でいきますればいままでとそう変わらなくなってしまうのですけれども、そういう低過ぎるというような批判に対してどんなお考えがあるか、お聞かせをいただければ幸いであると思います。
  284. 飯島篤

    ○飯島政府委員 傷害の場合の近親者またはその他の者の看護料それから通院、自宅療養中の看護料、いずれについても一応検討はいたしております。ただ、考え方は従来と余り変えないで、単価アップということで検討いたしております。
  285. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 できればもう少しアップを考えていただきたい。御要望だけ申し上げておきます。  それから、傷害の慰謝料ですけれども、これが入院の場合と通院の場合と分けるのだという考え方のようでございます。現行は、傷害の慰謝料は一日当たり二千八百円になっておりますけれども、いままで若干伺っている程度では、入院の場合と通院の場合いずれもアップするわけだから問題がないようには思うけれども、通院に比べて入院の場合はちょっとその差が大き過ぎるというふうに思われますが、下の方をもう少しアップするかどうかしてその差が縮められないものかどうか、お伺いをいたしたいと存じます。
  286. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いまお話しの傷害の慰謝料でございますが、現在は被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案いたしまして、治療期間の範囲内で認められた日数に一日当たりの単価を乗じて算出いたしておるところでございます。  今回の改定につきましては、裁判等におきましては入院、通院の別に認定した日数をもとに慰謝料を算出するのが一般的傾向でございます。したがいまして、今回これにならいまして慰謝料の算出基準に入、通院の区別を設けようとするものでございます。  なお、この改正によって、被害者にとって従来よりも有利になることはあっても不利になることはないというふうに考えております。
  287. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 それから、もう少し具体的な問題を伺いたいのは、後遺症の場合、その計算基礎が、症状が固定をしたときの収入ベースによって考えるのだ、そういうふうに改正をするのだというようなお考えのようでございますが、その理由というのはどういうところにあるのか、ちょっと御説明をいただきたい。
  288. 飯島篤

    ○飯島政府委員 今回の改正につきましては、利益喪失期間の起算点が後遺障害確定時とされておりますことから、より合理的にした方がいいのではないか。また、こういった改正をいたしましても、被害者に有利になることはあっても不利になることは決してないと考えて、御指摘のような検討をいたしておるわけでございます。
  289. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 ただ、その場合に、なかなかその後遺症というのは固定の時期が問題になるわけですね。こういうふうに症状が固定をしたときの収入をベースにして改正するということになりますと、まだ治らぬのだ、治らぬのだといって後ろへ引っ張る、そういう可能性が増大をするのではないか、そういう状況から問題が生じやしないかというふうに老婆心ながら考えるわけでありますが、その点はいかがですか。
  290. 飯島篤

    ○飯島政府委員 後遺障害の確定につきましては、専門の医者の判断を求めるのはやはり妥当であると考えざるを得ませんので、時期は若干おくれる場合があるかと思いますが、やむを得ないと考えております。
  291. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 それでは、今度は財政問題を少し伺いたいと思います。  この自賠責の損益計算書あるいは貸借対照表を見ますと、五十四年度の利益が百七十四億七千万となっておるわけですが、これが五十三年度と比較をすると、損益計算書にあらわれてきた利益が非常に減少いたしております。実に年間で四百八十三億から減少しておるわけでございますが、まず第一点伺いたいのは、そうすると五十五年度の利益の予想が一体どうなっているか、それから五十六年度の利益の予測はどうなるか、まずここら辺のお答えをお伺いいたしておきたいと思います。
  292. 飯島篤

    ○飯島政府委員 五十五年度保険勘定の損益見込みでございますが、利益は百二十一億三千九百万円でございます。なお、五十六年度予算につきましては、七十一億八百万円という見込みでございます。
  293. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 そうしますと、今回の支払い基準の見直しは五十六年度利益の予測の中に当然含まれていると考えてよろしいですか。
  294. 飯島篤

    ○飯島政府委員 その範囲内に入っていると考えていただいて結構です。
  295. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 そうしますと、この実施時期は四月というふうに考えざるを得ないが、まあそこら辺だと考えてよろしいですかな。
  296. 飯島篤

    ○飯島政府委員 今度の支払い基準の改定によって要する増額分といいますか、それは全体から見ますとわずかなウエートしか占めておりませんので、いまのようにお考えいただいて結構なのでありますが、実施時期については、先生御指摘のとおり、できるだけそういった時期を目標に努力いたしたいと思います。
  297. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 それで、これはもう少しお伺いをしたいわけでございますが、今度は死亡者の保険額の最高限度二千万の問題、これが五十三年の七月に現行の限度額になっておって、その後二年九カ月経過をいたしておるわけでございます。この限度額の改定はいろいろな角度から考えていかなければならない問題だと思いますが、従来改定の一つの基準というか、根拠になっていたものについては、交通事故の裁判の決定金額の大体八〇%を賄える程度というふうに考えられてきたわけでございます。そういう根拠に基づいておるわけでございますので、今日のこの二千万というものが、最近の裁判の状況によっては恐らくだんだんとパーセントが下がってきているんだと私は思うのです。二年九カ月経過をいたしておるわけでございますから、裁判の決定額よりパーセンテージをはじき出してみれば下がっておる、そういうふうに思われますが、いま大体どのくらいのパーセントに下がっているか、おわかりでしょうか。
  298. 飯島篤

    ○飯島政府委員 手元に五十三年までの資料しかないわけでございますが、二千万円まででとまりました事案が六六・五%という状況でございます。
  299. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 五十三年のデータで六六・五%ですね。そうしますと、従来基準として考えられていたのが裁判の決定額の大体八〇%ということでございますから、もう改定をしなければならない時期に来ているわけですね。ここら辺、時期をどうお考えになるか、それからいまの普通の交通事故に伴う裁判の決定の金額、それからあとその他改定に伴ってどんな条件を勘案をしなければならないか、それがまたどういう条件になったときに改定をするという方向になるか、そこら辺の考え方について御報告をいただきたい。
  300. 飯島篤

    ○飯島政府委員 従来からもそうなんでありますが、今後の保険金限度額の引き上げにつきましては、いまお話のありました裁判等における賠償水準、これがまず一つ、それから物価、賃金の水準等経済社会の動向、それから他の損害賠償補償制度における賠償水準の推移、そして保険収支の状況等を勘案しながら検討してまいっておるわけでございます。  ただ、保険収支の状況につきましては、何分この制度につきまして四十五年以降据え置きということでございます。据え置いたまま限度額を三回にわたりまして二千万円まで引き上げてまいったこと、それから交通事故の状況でございますが、件数、負傷者数とも五十三年、四年、五年と微増してきております。そこへ五十五年から死者数も増加してきておるということで、先ほどの御質問の中でも自賠責の収支の状況の一端を御推察いただけたかと思うわけでありますが、保険収支の状況が楽観できないという状況にはなっているのでございます。
  301. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 余り時間がありませんからむずかしい議論はここではできないのでありますけれども、これは四十五年から保険料据え置きという状況で、できれば保険料据え置きが一番望ましいのですけれども、実際問題としてこれは保険収支の関係があって、だんだん悪くなってきている、そこへきて最近交通事故がまたちょっと上向きになりかけている、そういう要素がありますね。それから、いま野党が盛んに要求をいたしているいわゆる減税問題がありまして、労働者といいますか、サラリーマンといいますか、そういった方々の実質的な収入の目減りもあるわけであって、ここでいきなり保険料のアップというものはそう簡単に決められない状況が周囲の状況としてはあろうかと思いますね。しかし、保険そのものが現実の裁判で決めるそういった水準とはだんだん乖離してきている現状もありますれば、これは何とかしなければならぬ。そこら辺の問題を十分に国民各位に理解を求めなければならぬわけでございますから、そこら辺の手だてをどうするかということを考えてもらわなければいかぬと思っているのです。具体的には、これは実際に保険料アップというようなことになりますれば、それぞれの審議会等に諮問をなさるという手続をとるのでしょうけれども、そのもう少し手前で議論が公になる、そういうような仕組みというものが考えられるかどうかについてお伺いをいたしておきたいと思うのです。いかがですか。
  302. 飯島篤

    ○飯島政府委員 保険金の限度額の改定につきましては、大蔵省その他関係業界ともいろいろ意見の交換をしながら検討してまいらなければならないと思っておりますが、いずれにいたしても被害者の保護に欠けることのないよう、今後も慎重に検討してまいりたいと考えております。
  303. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 あと、最後に大臣にお伺いをいたしたいと思います。  いまちょっと議論を聞いていただきましたように、四十五年から保険料が上がってないわけですね。これは交通関係者の非常な御努力もあったことと思うのです。しかし、最近また交通事故がだんだん数字の上でも上がってきておりますし、容易ならざる状況になってきている。一時、死亡事故等が減りまして、そのために自賠責の保険収支というものは非常によかったわけでございますが、それをそろそろ食いつぶしてきている状況でございます。そうかといって、ベースアップそう思うようにいかない。物価上昇率の問題もあるし、また、いま申し上げましたいわゆる物価減税という問題も政府の姿勢としてはそう簡単に認めがたいというようなことをおっしゃっておるので、そこら辺を含めて実際の裁判基準等を考えますと、どうしても限度額を上げざるを得ない。前回上げてから二年九カ月たっているわけですから、間もなく三年を経過するというようなことになってまいりますと、実情とは大きな隔たりが出てしまうことを心配しておる。一時的に交通事故等が大分抑制をされたものですから、この限度額の最高額の引き上げについてもちょっと議論がとだえておったような状況もあるわけですよね。しかし、そういう意味でもう改定の時期が来ているので、ぜひとも十分な御研究を運輸省においてなされるよう御要望を申し上げたいわけなんです。それについての所見を承って私の質疑は終わりにしたいと思います。
  304. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 御質問の趣旨は、私もよく承知いたしました。けれども、いま質問の中にもございましたように、せっかく交通事故が減ってきましたのに、また去年あたりからことしにかけてずっとふえるような状況になってきておる。限度額の引き上げにつきましては、いまのところはまだわれわれも検討に入っておらないのですけれども、支払い基準については、この際具体的に調査を始めて水準を見てみようということでやっておるわけでございます。  限度額の問題につきましては、その支払い基準の作業を一回終わりまして、そこで保険財政の推移をもう少し検討さしてもらった上で、検討いたしたいと思っております。
  305. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 終わります。
  306. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で石田幸四郎君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  307. 中野寛成

    中野(寛)分科員 大阪国際空港の問題を中心にお聞きしたいと思います。  その前に、私も大阪国際空港については地元豊中の市議会で公害対策委員長等を仰せつかっておった時期がありまして、もう十五年も前になりますが、そのころから、地元自治体としてそしてまた議会の意思として、新空港をできるだけ早くつくることが現在の大阪空港の抜本的な対策の唯一の方法だということを明記いたしましたことを記憶しているわけであります。そしてそのころから運輸省に対しては要望を続けてきた、言うならば、私個人にとっても十五年がかりの仕事でございます。  しかしながら、大詰めに来たとは申せ、財政事情等関連をして、いままた大変厳しい状態にあるように思うわけであります。ことし調査費が引き続いて決定を見るかどうかという——予算に組み込まれたわけでありますけれども、この調査費の性格について、すなわち関西新空港泉州沖がこれによって一歩前進をしたというふうに運輸省としては見ておられるようでございますが、そういう判断でいいのでしょうか。
  308. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 これは御質問のとおりでございまして、私は、これはなかなかむずかしいプロジェクトであったものが一歩大いに前進したと思っております。
  309. 中野寛成

    中野(寛)分科員 ただ、お聞きいたしますと、大蔵省サイドは必ずしもそういうふうに受けとめておられないかのような印象で聞いているわけであります。言うならば純然たる調査費で、泉州沖が果たしてそれでいいのかどうかまだ調査を進めるのだということで、結局、それによって泉州沖に決まることが必ずしも一歩進んだという判断ではなくて、もう一歩手前の、白紙状態の段階における調査費だというように大蔵省サイドとしては考えておられるようなことをお聞きしているのですが、大蔵省の方はどうお考えなのですか。
  310. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  関西新空港につきましては、先生御案内のように大変巨大なプロジェクトでございます。この空港につきましては長年関係者の関心があるということも私ども十分承知しておりますけれども、プロジェクトが非常に巨大な問題であるだけに、その基本的な問題、たとえば採算性の問題あるいは工事施工中にかかる環境問題等々、プロジェクトのいわば基本にかかわる問題についての解明が十分なされなければならぬ。  ところで、現在そういった問題について十分な答えが出ておるであろうかというふうに考えてみますと、御案内のように、まだその点の解明は十分行われていないというのが現状がと思います。  五十六年度予算をどう考えるかという点でございますけれども、御案内のように、五十六年度につきましては調査費が二十四億五千万計上されております。私どもといたしましては、この五十六年度に計上されました調査費は、とりあえず泉州沖案を基礎といたしまして調査を行い、それがプロジェクトとして成り立つかどうかの判断材料を得てまいりたいというふうな調査費であるというふうに理解しております。そのようなものでございますので、先生御案内のように、予算書上も「目 空港整備事業調査費」に計上しておるということでございます。
  311. 中野寛成

    中野(寛)分科員 いまの大蔵省の御答弁ですが、たとえば私どもが今日まで聞いてきた範囲としては、いわゆる三点セットが少なくとも昨年じゅうには地元に提示をされて地元協議が始まるというふうに最初聞きました。それが、五十五年中にはが五十五年度中に変わって、そういう大蔵省サイドの意思、判断等もあって、具体的に三点セットが正式に提示されるのはいつのことやらさっぱりわからないというのがいまの状態ではないだろうか、こう思うわけであります。そうこうしている間に、財政事情のことを考え、また周辺整備のこと、地域整備のこと等も含めて考えれば、神戸沖の方が安上がりで、そしてまた地域整備等に関連しても大変簡単にいくじゃないかというふうな案が、自民党さんの内部でこういう声が出ているというふうなことで、この問題については、私は大臣の意気込みは大変高く評価もし、そして大変なものがあるというふうに思ってきたのでありますが、事ここに至って、何かこの問題についてずいぶん混乱が生じているのじゃないかという感じがするわけでありますが、その事態について、そしてまたこれからの見通しについて、計画についてどのようにお考えなんでしょうか。
  312. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 こんな大きい事業を計画し、実施していくのでございますから、そう予定どおりぴしぴしと何もかもが進んでいくということはなかなかむずかしい。私はそれはもう当初から思っております。ですから、私は大臣に就任いたしまして、関西空港の一つの作業を進めていく目標、これをやはり明確にいたすべきだという考えに立ちまして、でき得れば昨年の十二月までに諸計画を整えたいと思っておったのですけれども、それが事務当局の間でも実は準備はなかなか整っておりません。けれども、そこに、十二月ということに私自身が目標を置いたということ、私はそこに意味があったと自分自身で思っております。そして早急に計画を煮詰めてまいりまして、今日では運輸省として、いわば環境影響評価、アセスメントなりあるいは空港建設の基本計画と申しましょうか、そういうようなものについてのいわばデザイン、それに多少肉づけいたしました工事予定というようなものが整ってきたという段階でございます。  もう一つの周辺整備につきましては、これは各省庁間での連絡もとらなければなりませんけれども、そもそもこれは地元の意向というものを入れなければ最終的に煮詰まるものではないと思っております。でございますから、アクセスを中心とした、こちらが可能な限り予想し得る周辺整備計画というもので一応計画を作成いたしたい。それらはほぼでき上がってきつつございまして、環境評価とそれから空港の基本計画につきましては提示し得る段階にありますけれども、アクセスを中心とした周辺整備はもう少し煮詰めなければならぬ、これとてもそんなに時間はかからないように思っております。  しかし、これらはいずれも運輸省を中心とした計画である、まだ各省庁の間ではこれを調整し終ったものではございませんで、各省庁と連絡はいたしておりますけれども、調整し終ったというものにはなっておりません。  そこで、この計画を一応地元にできるだけ早い時期に提示いたしまして、地元の意向も聞きながら、なお地元と協議の対象に取り上げていくべき問題等について私は相談もしていきたい、こう思っております。  それからなお、神戸沖の話でございましたが、これは昭和四十六年に、運輸大臣が航空審議会に諮問いたしたのでありますが、その諮問後、各専門家によりまして位置決定について十分調査をいたしました。  その段階におきましては、神戸沖よりも泉州沖の方がよりベターであるという総合的な判断が下されたこと、これが一つ。なお、その当時神戸周辺の沖合いに空港を建設することについては強い反対がございました。それはなぜかというと、神戸市自身の反対もございましたし、同時にあの周辺の西宮、灘、それから尼崎、大阪市という周辺都市が騒音の降り注いでくる空港をさらにもう一つつくるということに対しては反対であるという明確な反対をいたしたのであります。そういうことを踏んまえて航空審が結局適地として泉州沖であるという決定もされた経緯があります。  そこで、空港というような大きい公共事業施設をつくりますときに、位置決定は非常に大事でございまして、その位置決定はあくまでも客観性を持たなければならぬと私は思うのでございます。成田空港の場合も位置が変わったことによって大変な騒動が起こったことも御承知のとおりでございまして、そういう経過を見ましたら、やはり冷静な第三者が決めた位置、これが私は一番最適な位置だと思っておるのでございまして、その位置が泉州沖と答申に出ておるのでございますから、神戸沖だとかいろんなことをうわさでは言われておりますけれども、そういうのは運輸省としては取り上げておりません。
  313. 中野寛成

    中野(寛)分科員 神戸沖のことはさておいて話を進めていきたいと思いますが、そうなりますと、先ほどの大蔵省の御答弁等からいきますと、これまたいわゆる純然たる調査費ということになりますと、泉州沖というふうに設定をして、そして正式な地元協議というのはこれはまたそれこそいつになるかわからないという状態のようです。目標設定もいまのところはされていない。そして、大臣のいまの御答弁によりますと、その前の段階における協議を進めていくというふうなお考えのようでございますけれども、しかし、大蔵省のあれからいくと、具体的に場所も設定し得ない全くのもう一つ何か後ろに引っ込んだ段階の調査というふうな感じの印象を受けるわけであります。果たして本当の協議というのはどういうプロセスを経ていつごろできるのですかね。そして、今日までいろんな調査をしたはずなんですけれども、しかし、そういうふうな調査というのは——いまでもやっぱり泉州沖の空港設置については反対の人たちもたくさんいらっしゃるし、自治体にも反対決議をしたままの自治体がたくさんあるわけです。そういう住民の不安とか疑問というふうなことの原因を考えますと、やっぱりそういう今日までの調査結果というのが十分公表されていないという、そういう御批判があるわけであります。そういう意味では、調査結果を早く公開をするということと、地元協議を早く進めるということ、このことが何よりも現段階においては望まれることではないか。そしてその日程的なプログラムをはっきり明確にして、そしてそれに基づいてきちっとやっていくということ、その決めたこと、また目標を設定したこと、それをきちっと守っていくという姿勢が証明されて初めて、運輸省と協議したこと、また約束したことが果たされるであろうという運輸省に対する信頼感にもつながっていくわけでありますから、その辺のことをむしろはっきり明確にしていただきたいと思います。
  314. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 御承知のように現在の財政状況でございますから、こういう大きい公共事業を新規に認めるということになりますならば、大蔵省としての感覚から申しますと、当然、こんな大きい公共事業をすぽすぽ安易に認めて、そして他の公共事業に対する大蔵省の姿勢が問われてはという点も多少あると思います。と同時に、政府全体としてこのプロジェクトを進めていくというのにはまだ調査が不十分であります。これは十分調査され、また計画も十分練られたものであるとはまだ私も思っておりません。特に財政状況、資金の負担あるいは収支状況を見ますと、まだ十分検討しなければならぬところがあることは事実であります。でございますから、政府全体としての意思決定にはまだ若干日がかかるのではないかと思っております。  しかしながら、実際に建設を進めていくのにとりあえず必要とするところの土質の調査というものも、事前に調べたじゃないかとおっしゃいますけれども、それは事前調査でやりましたときには、位置決定の際に調べた程度でございまして、これが建設をするということになり設計図をかくということになりますと不十分な調査でしかなかったわけでございまして、やっぱり十分な土質の調査をやらなければ設計自体も決まってこない、それによって見積もりも変わってくる、こう思われます。ですから、そういう調査を今後続けていかなければならぬと思うのであります。  そこで、そういうことの調査を全部終了することを待つよりも、その以前に運輸省としてでき得るもの、たとえば影響評価というものは約四年の間かけて実施してきたものでありますから、こういうものなりあるいは空港の建設工法とかいうようなものは、いま持っておる計画を提示して、それをもとにして、地元としてさらにこういう点が協議の対象にしたいんだとか、あるいはこの点についての疑問があるとかいうようなものを、一応は運輸省が窓口となって地元とすり合わせしていきたい、その結果として計画を煮詰めて、政府部内における決定として持っていきたいと思っております。  それにはどのくらいの年月がかかるかということでございますが、運輸省案を基本にして地元で検討を願って、どのぐらいかかるかということは、地元のいわば反対運動との関係もございましょうし、また地元自身の周辺に対する整備計画等もいろいろございましょうからして、はっきりしたことは言えないと思うのですけれども、できるだけ地元には誠意を尽くして早く協議が相調うように持っていきたい、そうして政府案としてまとめられるような準備を一刻も早くやりたい、こう思っております。
  315. 中野寛成

    中野(寛)分科員 大臣のせっかくの御努力ですが、残念ながら具体的な日程までには至らない。そういう意味では、たとえば三点セットの地元提示、昨年末だとかいうふうに日程がある程度明示をされておったときに比べますと、何か一歩も二歩もこの問題が後退したような印象を持ちます、実質的な問題は別にして。しかし、先ほども申し上げたように、これらの問題が、具体的な政府の意思決定に基づきながら、明確な姿勢のもとに進められることを要望しておきたいと思います。  本来お聞きしたいのは現在の伊丹空港の問題についてお聞きしたいわけですので、そっちの方へ進んでいきます。まして、新空港の対策がそういう状態で大変おくれているということを考えれば考えるほど、その新空港建設の理由となった現在の伊丹空港対策、そのことがなおさら強力に望まれるわけでありますから、そういう観点でとりわけ明確な御答弁をお願いをしたいと思います。  すでに大阪空港の周辺対策につきましては、五十五年度末見込みで約二千二百億円の国費が投入されることに相なります。ある方が、これだけ金をつぎ込んで、そしてちっとも地元の方に喜んでもらえないというような金の使い方はほかに知らないというふうにぐちをこぼされておったということを仄聞をいたしました。それはなぜだろうかということを考えなければならぬ、私はこう思うわけでおります。それはすなわち、結局行き当たりばったりでやってきて、個の周辺整備に対する姿勢とか計画というものが明確でなかったのではないか、そのゆえに今日いろいろな問題が起こってきて、そして金を使ってもその効果が十分目に見えた形で上がってこないということになっているのではないかということであります。  時間の都合上、問題を幾つかまとめてお尋ねをいたしますけれども、たとえば昭和五十二年四月三日にエアバス導入の協議をいたしました際に、私も現地で立ち会いました。十項目の覚書を航空局長と地元知事なり市長なりと取り交わしました。その第三番の項目に「激甚地区の街づくりについては、重要かつ緊急な課題として関係住民の意向も反映した地区計画を早急に確定する。」こういうのが入っています。そういうことで、いま地区計画策定協議会というのをつくって作業を進めておられるようです。これも、一たん提示したものが地元の皆さんに非民主的なつくり方だといって返されて、また改めて今度は一から協議をし直すというかっこうでやっているわけです。これも本当にいつのことやらわからないのです。そして、いま地元の方でいらいらしている気持ちの中で、このいま読み上げた三項目の続き、その部分が強く要望されておるわけです。すなわち、これらの地区計画の「実施のために必要な制度改善や法改正の検討も行い、計画実施に対して関係機関が共にあらゆる努力をはらう。」とこうなっているわけであります。そして、このことについては私昨年ここの席上でもお尋ねをいたしました。そして、検討中というお答えでした。早急に結論を出したいというお答えでした。しかし、いまだかつてその御回答らしきものを拝見した記憶もありませんし、どうもまだのようであります。一体どうなっているでしょうか。
  316. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のように、十項目中の第三項の街づくりというものの対策が、この十項目の他の項目に比べまして著しくおくれていることは認めざるを得ない状況でございます。また、この問題につきましてたびたび国会の席で、五十五年度中にとにかく方針を示そうと、こういうことを申し上げてきたわけでございます。私も、着任以来この問題は非常に重要な問題として取り組んでまいりまして、残されたわずかの期間でございますけれども、最善の努力をして方針のまとめに取り組んでおるところでございます。  いろいろ困難な問題がございますことは先生つとに御承知のとおりだと思いますが、幾つか問題がある中で、私なりに一番肝心なのは、騒音等の激甚地区をたとえば緑地化していく場合に、まず真っ先にぶち当たる問題に告示日後の建物の問題が一つございます。これは御承知のように現在最高裁で争われております問題とも関連をいたす問題でございまして、直ちに結論をなかなか出しにくい問題かと思います。  それからもう一つの問題は、西区域あるいはみなし西区域への近接移転の問題、その他たくさんございますけれども、私は、せんじ詰めてまいりますと、第二点が一番大きな問題じゃないだろうかというふうに思っておるわけでございます。  そこで、実はこの問題の解決につきまして、騒音対策面からのアプローチだけでは壁に突き当たってなかなかうまく先へ進まない。そこで、先ほど先生の御指摘ございました委員会におきましてもいろいろ検討していただき、地元の住民の方々の御意見も入れましていわゆる絵づくりを進めてきておる、そうして一部の地区についてはかなりその絵づくりが進んだという状況でございます。私どもの感じでは、先ほど申しましたように、これを騒音対策の観点からのアプローチでなかなか壁が厚い場合に、別の手法、これも先生つとに御承知の、たとえば都市計画手法、あるいは住環境モデル整備手法というようなものからのアプローチができないだろうかと、これを真剣にやってまいりました。ところで、そういう手法へのアプローチを考えてまいりましたときに一つネックが出てまいりました。その計画の具体的な中身というものがないとなかなかその新しい手法の検討が進まない。そこで、ただいま申し上げました委員会で、特定の地区ではございますけれども絵づくりが進んできた、こういうことでございますので、その絵づくりの進んだ地区をモデル地区といたしまして、それを取り上げましてただいま申し上げました別途の手法の採用ということに真剣に取り組んでいきたい。そこでとにかくワンステップ進むのではないか。特に来年度におきましては、私どもでは、大阪の南地区につきましてそのための調査をしたいというように考えておりまして、非常に進み方が遅いというおしかりでございますが、できれば大きく一歩踏み出したいところではございますけれども、わずか半歩でもいいから踏み出していきたい、かように考えている次第でございます。
  317. 中野寛成

    中野(寛)分科員 半歩でも一歩でもという答えをいままで何代にわたる航空局長に何回お聞きしたか実はわからないぐらいなんです。そのたびに正直言ってうんざりするのですが、これは本当に大臣の政治的決断といいますか、そういうものさえ望まれていると思うのですよ。検討すべきことは大概検討して、問題点はもうここまではっきりしてきているのですよ。あとは手法の問題でしょう。その手法の問題についてこれまで検討をしてきた結果、こういうことが明らかになってきました。私個人にしたって、十五年間この問題、同じことを言ってきている。もう実際言って、十五年待ったのだからあと十年待ったって同じかもしれないけれども、毎日被害者は大変な被害を受けているわけですよ。  そういう問題の中で、今度は、大臣大阪の方だからよく御存じでしょうが、あの周辺を見たら立ち退きで移転した人たちがくし抜け状態で、そして駅までの区間の商店街があって、その商店街がさびれてしまっているわけです。この商店街は地域計画の対象の範囲に入らないのです。そういうようにより一層幅広い形で影響が出てきているわけです。そうして、これから先の計画がはっきりしませんから、自分たちの商売の計画さえ、対策さえ立てられないのです。そのために、しばらく自治体の融資制度をひとつ充実させて、もう少し商店街に金を貸したらどうだといったって、商店街の方が金を借りません。返す当てのない金を借りたってどうしようもない、抜本的対策を全く立てられない。こういう問題について、私は大臣の政治的決断として、もう航空局の皆さんから具体的な話を聞いて、正直言っていま局長は精いっぱい御答弁くださったと思います。思いますが、なかなか局の段階でそれ以上にお答えにならぬ。なれないのかもしれませんけれども。大臣に政治決断の方を明確にして、時期も明示して、ひとつお答えをいただきたい。
  318. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まさにこういう内陸にあります飛行場というものは、本当のところを言って騒音で高うつくのです。だから、これから海につくらぬとだめですよ。だから、これから新しく海につくるものを大いに推進してください、お願いしておきます。  そこで、伊丹の周辺整備の中で、新しい法律をつくって、その法律に基づいて地域整備をしたいという、これは私たちもそれができれば一番いいと思って、私も就任以来この法律を何かすぐつくれぬだろうかと思って、実際一生懸命やって検討もしてきました。現在も各省集まってその法作成に努力しておるのですけれども、どうもあらゆる面でひっかかってきてうまくいかないのです。  そこで、私がいろいろと見ておりますのに、それではこの地域をどうしようかという計画を地方自治体がお立てになる。それをこちらが、たとえば土地区画整理法に基づくとか、あるいは緑地法で適用できるものはあるか、あるいは再開発のなにが使えるかとか、いろいろなそういう既存の法律を使って、市当局がつくられた計画、それにこちらの方がお手伝いし、アプローチしていくということ、それもできないだろうか。それも一つの解決だ。政府が悪いのだ政府が悪いのだ、政府は何か法律をつくれ、これは言っておいてもいいかもわかりませんが、問題の解決にはまだならないように思うのです。ですから、もしそういうことで市当局が、実際にうちの方でそれでは計画をつくるが、この計画についてどういうふうにするのがいいのかという相談でもあれば、これはまたわれわれもやりやすいなと思うたりしております。ですから、こちらは法律をつくるということを何代も前の大臣も約束しておることでございますから、それはそれでわれわれも検討いたしますが、実際は、法制局等とも協議いたしましたが、なかなかむずかしい。そうならば、具体的な解決方法、現実の問題の解決として、市当局とどのように話し合っていくかということにお力添えをいただければ、こう思うのです。
  319. 中野寛成

    中野(寛)分科員 時間が来ましたから終わらなければなりませんけれども、しかしいずれにせよ、今年度中に制度改革、法制化の問題は結論を出して提示することになっているわけですよ、日にちはあとわずかですけれども。局長は一生懸命努力をしてやろうとしているという御答弁ですけれども、その御答弁の後で大臣がそういうふうにおっしゃられますと、これはまた延びるのかいなという感じにますますもってなるのです。私は、大臣だから、より一層前向きにお答えしていただけるのだと思っておりましたら、なかなかそういうイメージを受け取れない、むしろ地元に何かの協力を要請する方の話がメーンに座ってしまっている、こういう印象を持つのです。  地元は精いっぱい応援しよう、協力もしたいと思っているのですよ。しかしその地元も、いろいろやろうとして出た結論が法改正、制度改革なんです。そうしないと、地元も手が出せないのですよ。そして、この原因者はだれかという問題が必ずまた来るのです。地元が先に行こうと思えば、地元がやる事業、対策に補助金を出すみたいなかっこうになってしまうのです。主体はどこにあるのかということさえ明確にならないという問題が出てきて、また地元は大騒ぎになるのですよ。  だから、あくまでもこの問題は運輸省が主体となって積極的に進めていくという姿勢が基本にあっていただきたいということが第一点と、今年度中にという局長が先ほどおっしゃられたあの今日までの約束、これについてはしかと今日段階で確約をしていただけますか、できなければいつだということは。幾らこういう作業だからといって、そんなに簡単に期限を切れないというのではなくて、みずからそこに基本的姿勢として時期を明確にされることが、住民の信頼をから得、そしてまたこの作業がより一層進んでいくということの基本だと思います。ゆえに、あえて再度お聞きいたします。そしてこの質問で終わりたいと思います。
  320. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほども申し上げましたように、また前々から申し上げておりますとおり、法改正を含めて今後のこの町づくりを進めていく方針を今年度中にお出ししたい、かように考えております。
  321. 中野寛成

    中野(寛)分科員 大臣、よろしいでしょうか。
  322. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私は、現実的な解決により一層努力いたしたいと思っております。
  323. 中野寛成

    中野(寛)分科員 終わります。
  324. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、榊利夫君。
  325. 榊利夫

    ○榊分科員 手短に質問いたしますので、ひとつてきぱきと御答弁をお願いします。  第一番目は、自動車の安全問題でありますが、大臣にひとつ。  昨年秋、いわゆる行政改革との関連で自動車の車体検査問題が取り上げられまして、それがきっかけになりまして車検の期間だとか費用の問題が改めて社会的関心を呼んでおります。この車検問題を考える際、基本点として第一義的な問題というのは、自動車の安全運行と人命、公共の福祉を確保する、こういうところにあるのではないかと思うのでありますが、また道路運送車両法の中心点もそこにあると考えますけれども、いかがでございましょうか。
  326. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 仰せのとおりです。
  327. 榊利夫

    ○榊分科員 行革問題に関連しまして中曽根行管庁長官がこの問題を持ち出されたときの理由というのは、いわゆる仕事減らし、人減らしというところに視点があったわけでございます。陸運局や陸運事務所の行っている検査事務あるいは登録事務を減らして、それによって職員の削減を図ろう、そういう主眼から出ていたと私ども解しております。  そうしますと、ここにはいかにして自動車の安全運行あるいは公共の福祉を確保していくかという問題は残念ながら欠落しているわけであります。私はここでそのことを論じるつもりはございません。私の属しております内閣委員会等々でもこれから議論しなければならないと思っておりますけれども、そのことはさておきまして、現行の道路運送車両法あるいは保安基準といったものも百点満点とは言えないのではないかというふうに考えているのですけれども、この点はどういうふうな御認識をお持ちでしょう。
  328. 飯島篤

    ○飯島政府委員 最近の自動車技術の発達によります自動車の性能の向上、一方では構造、装置の複雑化、あるいは公害規制の強化等々の事態の変化に対応いたしまして、私どもといたしましては実は法律については二十二回、保安基準については四十五回にわたって改正をいたしまして、時代に即応すべく努力をしておるところでございます。  また最近では運輸技術審議会から昨年の十月に「自動車安全基準の第二次拡充強化目標」について答申が行われたところでございます。したがいまして、私どもといたしましてはこの答申を踏まえまして、重点目標として示されました高速化対策等につきまして、保安基準の改正、長期的な緊急課題の設定等、所要の措置をとってまいりたい、さように考えております。
  329. 榊利夫

    ○榊分科員 いまの御答弁の中でも、現行の保安基準が高速道路の増加に対応し切れているかどうか、そういったことが問題意識されているということ、さらにまた自動車部品材料の品質を初め精度や品質管理技術の向上、こういった問題に保安基準が見合っているかどうかといったことも問題意識に上っているように解します。あわせて安全で耐久力のある自動車をつくらせる、こういう上でも現在の保安基準で十分なのかどうなのかといったことも恐らく検討が必要になっているのではなかろうかと思うのでございますけれども、具体的にここはこうというふうな検討がなされているとするならば、たとえば高速の問題あるいは部品材料等々に見合った保安基準、あるいは耐久力のある自動車をつくらせるという上での基準、そちらで具体的な検討が進んでいるとすればもうちょっと詳しく御答弁くださればと思います。
  330. 宇野則義

    ○宇野説明員 技術的な問題でございますので、私から答弁させていただきます。  ただいま先生御指摘の自動車の耐久性とか品質の向上につきましては、私ども、四十四年の例のリコール問題が発生して以来、新しい車、新型車の型式審査に際しまして、保安基準に適合しているかどうかということを調べる具体的な方策といたしまして、耐久試験車というものを提示させてその状況をチェックするということを進めてまいってきておるわけでございます。具体的には、その耐久試験車の走行キロは三万キロメートルの走行を終えたものを提示していただいて、そういういわば走り込んだ車の状態がどうなっているかというチェックをいたすことにいたしておるわけでございます。  一方、審査が終わりました後の量産開始後におきますところの自動車の品質等につきましても、自動車メーカーに対しまして定期的に監査を実施いたしまして、品質管理の徹底あるいはユーザーのクレーム等が出た場合の適切な処理といったような措置をとりながら、強力に指導を行ってきておるところでございます。  ちなみに申し上げますならば、四十六年以降公害対策の直接の担当者といたしまして公害専門官といったような職員全国に配置いたしまして、また安全関係につきましては、五十二年以降全部の局ではございませんが、現在五つの局に配置いたしまして、車の状況をチェックするという体制をとっておるところでございます。
  331. 榊利夫

    ○榊分科員 そういうふうにいろいろ問題は少なくないということでございます。要するに自動車の安全運行、人命と公共の福祉を確保する、そういう立場で一つの問題になっております現行の車検制度にも十分な検討を加えて、省略できる検査項目は省いていく、必要な検査事項は加えていくというのが合理的な姿勢であると思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  332. 宇野則義

    ○宇野説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございました去る二月二日に運輸技術審議会に今後の自動車の検査並びに整備のあり方についてということを諮問いたしたわけでございますけれども、当然この諮問の中では、時代の要請に対応した姿を見出したいということが一つございます。先ほどもお話があったかと思いますが、そのためにはやはり安全、公害の防止という見地に立って御検討をしていただくという段取りになっておるわけでございます。  なお、安全基準そのものにつきましては、昨年の十月に同じく運輸技術審議会から答申をいただいておりますが、五十七項目にわたります今後の安全規制の強化項目の指摘をいただいております。具体的には、一つ大きな柱といたしまして高速化対策というものがございます。それから大型トラックの対策がございます、それから火災防止対策、こういう大きな三つの柱のもとに、ただいま申し上げました五十七項目についてこれから検討するわけでございます。なおこの五十七項目につきましても早急に実施すべき項目、あるいはもう少し時間をかけて研究をしながら、研究の結果を見て整備をしていく項目といったようなことで、時期的にも一応のめどをつけながら進めていくように答申をいただいておりますが、この答申に従いまして作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  333. 榊利夫

    ○榊分科員 車検に関しまして、どうも費用がかかり過ぎるという問題がございます。乗用車の場合ですと、車検時の費用が十数万円かかるというのが常識ですけれども、調べてみますと、半分前後は重量税及び強制保険なのです。そのしわ寄せとして車検整備の費用を切り詰めるということにもなります。ところが一方自賠責保険を取り扱う損保会社の収益状況を見てみますと、軒並み増益であります。したがいまして、この問題では重量税や自賠責保険料の負担をなるべく軽減していく、こういう努力があってしかるべきだと思うのですけれども、いかがお考えでしょうか。
  334. 飯島篤

    ○飯島政府委員 確かに車検にリンクいたしまして、税金につきましては自動車重量税また自動車税の滞納がないことの確認等が行われておる、また自賠責の保険料というか、契約がきちんとされているかどうかをチェックする仕組みになっておるわけでございます。税金のことはともかくといたしまして、自賠責の保険料、強制保険の方についてのみ申し上げますが、先ほどのある先生からの御質問でございましたが、最近交通事故が五十三年以降件数また負傷者の数がふえております。また死亡事故も五十五年から微増になってきております。一方保険料は四十五年から据え置いたまま保険金の限度額を三回にわたって改定して五百万から二千万まで引き上げてきておるわけでございます。したがいまして、現在の強制保険の場合の収支状況は利子収入を当てにしてようやく黒字を出しているという現状でございますので、現在の保険料が高過ぎることはないと考えております。
  335. 榊利夫

    ○榊分科員 高過ぎることはないという説明ですけれども、実際に軒並み増収。保険というのは、これは公益事業ですからそうもうける仕事じゃないんですね。したがいまして、これは研究してしかるべき問題だと思うのです。最近の事故等々の傾向があるからという一つ理由を挙げられましたけれども、これは全面的に研究をして、下げることができるならば、自動車はまさにいま全部が使っているわけでありまして、その負担をなるべく軽減するということで前向きの研究をお願いしたいと思うのです。その点どうですか。これはもう全然研究する余地がないとお考えでしょうか、それとも研究してみる必要があるというふうにお考えでしょうか。
  336. 飯島篤

    ○飯島政府委員 自賠責保険につきましては、被害者保護の観点から保険金の限度額の引き上げを検討すべき時期に来ているのではないか、あるいは支払い基準の改定をすべきではないかという意見の方がむしろ多いというふうに私どもの方としては受け取っております。そういったことに対応していくために、現在の保険料では必ずしも対応できるかどうか、相当慎重な検討を要するというふうに考えておるところでございまして、先生がいま御指摘のようにこれを下げるということは容易なことではないというふうに考えております。  ただ、先ほどから保険会社の話が出ておりますが、私どもの方の申し上げることではございませんが、保険会社全体の収支については運輸省としては詳しく存じておりません。
  337. 榊利夫

    ○榊分科員 保険料の値上げの問題も考えておられるようでございます、だから私は言ったのでございますけれども。すぐに国民の側に負担増をという短絡した考え方じゃなくして、その関係はよく調査をしてこの問題に取り組んでいただきたい、対処していただきたいということを述べて、次に移ってまいりたいと思います。  もう一つは運転免許と交通問題ですけれども、運転免許を得るに費用がかかり過ぎるというのも大変言われていることであります。年齢掛ける一万円、三十歳だったら三十万円、四十歳だったら四十万円、こう言われているわけですけれども、この改善策は御検討なさっておられますか。
  338. 越智俊典

    ○越智説明員 運転免許の費用の関係でございますけれども、私どもが卒業までに要した費用をアンケート調査によって調べたところによりますと、十九歳の者ですと九〇%の者、二十歳代の教習生ですと七七%の者、全体では七四%の者が二十万円未満で卒業しております。一部で伝えられるように非常に高いという料金にはなってございません。  ただ私ども、この全体的にかかる料金を抑えるための方策といたしまして、教習所は中小企業が多いものですから中小企業の近代化促進法の指定業種といたしまして、近代化計画をつくりまして現在近代化を進めておるというところでございます。
  339. 榊利夫

    ○榊分科員 それから免許を得る通行門が御存じのように自動車教習所でございますけれども、どうも自動車の教習所界には警察官僚の天下りが多過ぎると思うのです。たとえば全日本指定自動車教習所協会連合会の石井栄三会長は元警察庁長官であります。原田事務局長も元警察大学校の教養部長であります。ここに資料を持ってきておりますけれども、これは大変なものなんですね。手元の統計資料によりますと、教習所の管理者は八割以上が警察出身者で占められております。東京の場合五十九校のうち三十四校、神奈川の場合四十四校中四十一校、静岡の場合四十六枝中四十六校全部がそうなんです。警察関係者です。愛知の場合五十六枝中五十校、京都が二十三校中十八校、大阪が三十八枝中十九校、こういうふうに管理者がことごとく警察出身者である。しかも、私はここに持ってきておりますけれども、名刺の中に、これは名前は差し控えておきますけれども、その全国連合会の役員でありますが、警察電話まで刷り込んである。つまり教習所あるいはその教習所の連合組織に警察電話が引かれているということなんです。これはやはり好ましくない。公私混同もはなはだしいというだけではなくて、これでは警察支配ではありませんか。こういうことは改めるべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  340. 越智俊典

    ○越智説明員 警察電話の関係でございますけれども、教習所協会等にあります電話につきましては、警察側からの連絡の必要性ということで設置しておるものでございまして、問題はないというふうに考えております。
  341. 榊利夫

    ○榊分科員 警察側から電話をするだけじゃなくて、ちゃんと民間の人のこれに番号を打ってあるのですから、一方的な電話じゃないでしょう。恐らく双方に連絡し合っているわけでしょう。しかも名刺にまで刷り込んである。こういう事態が続いていっていいと思っていらっしゃるのですか。
  342. 越智俊典

    ○越智説明員 名刺に印刷することにつきましては余り適当なことではないというふうに思っております。
  343. 榊利夫

    ○榊分科員 好ましくなければそういうことはやめる措置をとっていただきたいと思うのです、使わないように。
  344. 越智俊典

    ○越智説明員 名刺に刷る必要性はないと思いますので、名刺の方に表示する必要はないものというふうに考えております。
  345. 榊利夫

    ○榊分科員 表示することをやめるということと、同時に電話も、民間会社に警察の直通電話を引いて云々なんということも普通じゃ考えられないのですね。そういうことについても、電話はもう引き揚げるとかそういう措置をひとつ御検討願いたい、こう思います。  それから自動車教習所の管理ですね、これが一種警察的で、指導員の場合を例にとりますと、朝八時から夜七時まで勤務されておるという例も少なくないようであります。しかも、どうもそれについて文句も言いにくい、不満も言いにくいという空気があるようでありまして、この点では、ここに労働省の方に来ていただいていると思いますが、労働基準監督署みずからが摘発した教習所における労働基準法違反の率、これは他の事業所よりも高いんじゃないかと思うのですけれども、実際はどうでしょうか。
  346. 岡部晃三

    ○岡部説明員 これは必ずしも継続的にデータをとっておりませんが、昭和五十四年一月から三月まで実施いたしました全国における臨検監督の二百十二事業場に対する結果を見ますると、何らかの法違反が認められましたものが百七十事業場で違反率は八〇・二%でございます。これは同じ時期における一般の全産業平均の違反率六一・七%に比べて高い違反率と相なっております。
  347. 榊利夫

    ○榊分科員 つまりずば抜けて高いわけですよ。普通の事業所、これも余り好ましくないのですけれども、労働基準法違反の状況というものが六一%、教習所の場合には八〇%、二〇%の差がある。警察の天下りが多い。そこの管理が大変寸労働条件あるいは職場の状況、それがいわば取り締まり的なといいますか、極論しますと、上から押さえつけるような、だからもっと明るい職場をつくっていくという点でも、そういう労働基準法に違反するような状況というものは是正をしてもらいたいし、そういう点では労働省としても適切な是正措置をとってもらいたいと思うのであります。この点どう対応しようとしておられるのか、お聞かせ願います。
  348. 岡部晃三

    ○岡部説明員 自動車教習所の労働条件改善につきましては、ここ数年大きな問題と私ども考えておりまして、毎年の行政運営方針にもその点を盛り込んでいる次第でございます。また、さらに自主的な労働条件改善をお願いしますために、各都道府県労働基準局が中心となりまして、労働時間問題につきましてのいろいろな業種別会議を開催をお願いをしておりまして、現在まですでに十五の発足を見ております。そのような努力を通じまして、だんだんに法の趣旨とするところの普及徹底が図られるというふうに期待をいたしておるところでございます。
  349. 榊利夫

    ○榊分科員 御努力をお願いします。  さて、やがて春の交通安全週間がやってまいりますけれども、よく交通違反取り締まりが行われております。この五年間スピード違反だとか信号無視などの摘発件数はどういう推移を示しているのか、数字がありましたら教えていただきたいと思います。
  350. 浅野信二郎

    ○浅野説明員 お答えします。  五十一年から五年間の各年別の交通違反の取り締まり総件数で申し上げたいと思いますが、五十一年が千百八十三万六千二百五十件でございます。五十二年が千二百四十七万百件、五十三年が千二百十一万九千二百三十三件、五十四年が千九十一万七百六十七件、五十五年、千百六十四万二千五十九件、こういう状況になっております。
  351. 榊利夫

    ○榊分科員 反則金はどうなっておりますか。
  352. 浅野信二郎

    ○浅野説明員 反則金の収入額でございましょうか——反則金の納付額は、これは年度単位で許をとっておりますので、五十一年度から五十四年度までを申し上げたいと思いますが、五十一年度が五百八十五億二千六百六十七万円、五十二年度が六百二十三億八千六百一万八千円、五十三年度が五百五十八億六千六百六十三万円、五十四年度が五百三十二億九千七百四十一万五千円、こういう状況になっております。
  353. 榊利夫

    ○榊分科員 そうしますと、ふえるというよりは若干下向きということですね。これはもう国庫に入っているわけですけれども、国庫に入るから多ければ多いほどいいというのじゃなくて、やはり多いよりも少ない方が好ましいわけでありますが、特にその点でよく言われるネズミ取りですね、いわばやみ討ち方式ですか、これは取り締まりのための取り締まりとして悪評なんですね。これは恐らく皆さんも耳にされていると思いますけれども。一昨年の交通安全特別委員会で警察庁の太田参事官が、そのネズミ取り問題に関連しては、国民の共感に支えられた交通警察の運営を目指したいと答弁されているのですが、反則金がふえるのじゃなくて、もっと減るような、そういう交通警察の運営と申しますか、そして本当に国民が共感できるようなそういう取り締まりの方法に徹していくべきじゃないかと思うのですけれども、この点についての決意をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  354. 浅野信二郎

    ○浅野説明員 私どもも、交通指導取り締まり活動というのは、他の交通対策と同様に、国民の理解と共感に支えられていかなければ真にその目的は達しないということで、そういう立場に基づきまして適正な取り締まりを実施しているところでございます。今後ともそういう方針で十分指導、取り締まりを行っていきたいというふうに思っております。
  355. 榊利夫

    ○榊分科員 現在適切ですではなくて、適切かどうかということもひとつ研究を願って、より適切にしていく、こういうことでお願いします。  時間が余り残っておりませんので、二つだけ簡単にお尋ねします。  一つは、羽田空港の問題です。大臣大阪の方ですけれども、東京の方で一つ質問いたします。沖合い展開の問題で、地元からもいろいろ素案についての意見、要望が出ておりまして、B滑走路をもっと沖合いにとかそれからC´、D滑走路は時計の回る方向にちょっと首を回してほしいとか、あるいは滑走路のかさ上げをしてほしいとか、その点につきまして、私、昨年も質問いたしまして、松本さんが今度は自分たちが頭をひねる番だ、こういう答弁をいただいてきたわけでありますけれども、年度内に運輸省としては案を提示されるというふうに承っておりますけれども、いつになるのか、それからその骨子はどういうものなのか、一言お願いしたいと思います。
  356. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 地元からの要望はただいま先生おっしゃったとおりでございます。私ども検討しておりますのは、まずBランを、沖合いと申しましても、一番沖に出すのはこれは船舶航行に支障がありますのでできないという結論でございますが、B滑走路の位置の変更を検討いたしております。  それから第二に、新しくつくりますC´並びにD滑走路の方向を多少東回りに振るということ、この二点を検討いたしておるところでございます。  なお、最終の詰めの段階にいま入っておりまして、船舶の安全航行なり湾岸道路の計画なり等々関係機関との最終の詰めをいたしておりますので、年度内での東京都並びに関係区への提示はちょっと無理であろうというふうに考えております。時期については年度を越しますが、できる限り早い時期に提示をいたしたいと考えております。
  357. 榊利夫

    ○榊分科員 私は年度内に出されるのかと思っておりましたけれども、越えるようで、ひとつなるべく早く結論を出していただきたいと思います。  最後ですが、騒音対策、これは先ほど来出ておりましたけれども、騒防法によってさまざまな移転補償だとか防音工事等々やられておりますけれども、一つ関係住民に周知徹底されていないという面があるように思うのです。それは未申請者がかなり残っております。これは自治体任せになっているために、せっかくの騒音対策なのに、知らなくて申し出がなかったというケースも多々あるように思いますので、その点についてはひとつ自治体任せではなくて、政府の方としても、運輸省としてもこれを徹底させていくということで御努力願いたいということが一つと、それからもう一つはC工法の問題です。  羽田空港周辺の場合、すでに五十五年度からC工法の受け付けがストップされているのです。大田区の調査でも約二千五百戸が、これは対象戸数の半数になるのですけれども、残っているわけでございます。しかも本人たちは工事を希望されている。道路一本はさんで向こうは遅かったけれどももうやった、うちはC工法のためにおくれている、早くやってくれという声が強いわけでありますけれども、これについて早期再開ということで、他の空港に合わせるということもあると思いますが、羽田の場合もう線引きされているのですから、ひとつ五十六年度予算も計上されていると聞いておりますし、そういう現実を踏まえてなるべく早く再開してもらいたい。その点についての御見解、お願いします。
  358. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいまおっしゃいましたように、他の空港とのバランスという観点から五十五年度までストップしておったわけでございますが、五十六年度には他の空港につきましてもWECPNL七十五までの線引きをいたすことにしております。したがいまして、ほかの空港においてもC工法の採用が五十六年度に出てくるわけでございますので、羽田についてもC工法を採用してまいりたいと考えております。
  359. 榊利夫

    ○榊分科員 そうしますと、新年度再開できる、こう考えてよろしゅうございますね。
  360. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 そのとおりでございまして、五十六年度に実施に移してまいる方針でございます。
  361. 榊利夫

    ○榊分科員 どうもありがとうございました。
  362. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で榊利夫君の質疑は終了いたしました。  次に、島田琢郎君。
  363. 島田琢郎

    島田分科員 最初に、昨日新聞で例の国鉄再建法の地方線基準に関する政令の問題が報道されて、大変現地は大騒ぎになっておりまして、緊急にということでこの永田町かいわいはけさから、大臣御承知のように、地方からのこれを心配して集まってまいりました人たちで大変ごった返しているというありさまであります。昼休みに私も大臣に会って、私の北海道のことについてもちょっと陳情いたしました。その際、異常な決意ということを述べておられましたけれども、この政令づくりというのは、この再建法が国会に提出されるや社会的に大きな問題として国内の騒ぎになったわけであります。したがって、政令の基準づくりというのは、まだまだ相当慎重を要するという部面を残しているわけでありまして、巷間いろいろと伝わっているものはありますけれども、しかし、これはもう慎重の上に慎重を期すということでないと取り返しがつかぬと私は心配をいたしておりまして、とりわけ、私は北海道の立場で言えば、へたなことになりますれば、せっかくいままで北海道開発にとって重要な役割りを果たしてきた国鉄が、今後北海道の道民ばかりではなくて、非常に全国にも大きな問題として発展していくということを心配している一人であります。大臣からは先ほどお話にあったような答えが返ってくるのだろうと思うのでありますが、しかし、これはもう本当に慎重を期してもらいたい。ましてや、いまわが党が、先般成立を見ました国鉄再建法に対して一部改正案を国会に提出して、その議論を要求しているところであります。したがいまして、こうしたわが党の提出いたしましたものもしっかり議論を願った上で最後の腹を固められるということが妥当だ、私はこう考えておりますので、再度ひとつ大臣には慎重を期してもらいたいということで要請をしたいと思いますが、いかがですか。
  364. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 確かに、国鉄が創業いたしまして百十年、その間地域開発とそしてまた民生の安定ということと結びついて国鉄も発展し、その使命を果たしてまいりました。ところが、時代が変わってまいりまして、最近、モータリゼーション、つまり自動車による交通量というものが異常なまでに発達してまいりましたのに伴って、鉄道自身も非常に経営が苦しくなってまいりました。そこで、国鉄再建の一つの方法として、特定地方交通線は転換をお願いいたしたいと言っておるのでございますが、仰せのように、それぞれの地元の生活とは非常に密接な関係があるということは十分承知いたしておりますので、われわれといたしましてもできるだけ最小限の転換にとどめたいと思って鋭意努力しておるところでございます。この問題をめぐりまして、それぞれの役所の立場もございますし、それはそれなりに意見の調整をしなければならぬということで、過去数カ月にわたりまして懸命の調整に努めてまいりまして、ほぼ内閣としても政令を決定せざるを得ない段階になってまいりました。でございますから、仰せのように慎重を期すことは当然でございますが、できるだけ早い時期に政令も制定をしなければならぬという事情になってきておるということも御承知いただきたいと思うわけです。
  365. 島田琢郎

    島田分科員 そうすると、いまの大臣の予定としては三日の閣議で決めたい、こういう考えでいるということですか。
  366. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私はできるだけ早い時期にと申し上げておるのでございまして、いつ何日ということでこの席で申し上げることはちょっとはばからしていただきたいと思います。
  367. 島田琢郎

    島田分科員 私は大臣と会いました後各省を回りまして、とてもじゃないがそんな数日や半月くらいで決められるような状況にはないというふうに思いました。というのは、大臣はおおよそ固まったようなニュアンスでおっしゃっていますけれども、これはなかなか厳しい内容がそれぞれ各省にあってまだまだそれが詰まっているというふうに私どもは受け取っておりません。そういう状況の中で、政府部内だって慎重論があるわけでありますし、どうかはやって取り返しのつかぬようなことをなさることを厳に戒めていくべきだ、こう思っております。ひとつ再度、慎重の上に慎重を期して、将来に取り返しのつかぬようなことはせぬというお考えで取り組んでもらう、このことを要望しておきたいと思います。  さて、そうした国鉄の政令づくりで頭いっぱいの大臣に、今度は角度の変えた方向からひとつ問題を提起したいと思うのですが、どうも合理化、合理化と何でも合理化すればいいのだという合理化一辺倒で、鈴木総理初め八〇年代を地方の時代にするのだなどと言っておきながら、どうもやることなすことみんな言っておることと逆行するようなやり方を強行しようとなさっておる。その一つに、いま四月一日から実施に移されるというふうなこれも報道がなされております気象庁の管下にあります地方測候所の合理化問題というのが出てまいりました。いま予定されているのは十四カ所だという説明があるわけであります。この十四カ所はいずれも大変重要なセクションに置かれておりまして、地域社会で果たしてきた役割りというのもきわめて大きい、かたがた、この中には、深刻な過疎に悩む、何とか地方自治体の努力の中でこの苦境を乗り切っていきたい、こういう努力がなされている町村が大変多く含まれています。北海道にも二つの候補がいま挙がっておるわけであります。その両方とも過疎の深刻な町としてランクづけされ、たった一人の住民がふえるか減るかに神経をとがらしているというような実態にある町であります。これは全国十四カ所に限らず、大変今日過疎過密が深刻になっているという中でありますから、私がいま長々とここで説明する必要がないほど、政府の皆さん方はよく御存じのとおりであります。  今度の測候所の夜間閉鎖計画というのは、一つは行政改革の中から人員を減らしていく合理化の一環として浮上してきたものでありますが、行政改革とか合理化というのは、地方、つまり本当に全国の各地で、地域社会の一環として大変な重きをなしているこういう重要な部門を切り捨てるということが一体合理化ということになるのだろうか。これはまさに逆行以外の何ものでもないではないか。ひとり気象庁ばかりではございません。いままでも出先がどんどん切り捨てられてまいりました。しかし、今回のこの気象観測所の合理化なんというのは——長い間その町にあって住民と一体になって協力し合い、そしてお互いに助け合って地域社会の重要な役割りを果たしてきた、そういう歴史を持っているのであります。たった一人引き揚げるだけだから大したことはないではないかといったことで済まされる問題ではない。しかも、法の精神からいっても、気象庁が果たす役割りは条文の中にも明確に示されているとおりなんでありますから、そうした意味からいっても法違反だというふうな強い気持ちさえ持っているのでありまして、今回のこうした測候所の合理化というのは思いとどまってしかるべきだ、こういうふうに思うのですが、大臣いかがです。
  368. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 お答え申し上げます。  気象庁といたしましては、業務の第一線にある気象官署の観測所あるいは気象情報の提供のサービス上の重要性は十分認識しております。したがいまして、これをできる限り維持充実することに努めてまいりましたけれども、今後もそういう努力を重ねていく所存でございます。しかしながら、二力では、社会の多種多様な要望にこたえるためには進歩した新しい設備、気象衛星とか有線ロボット測器のたぐい、あるいは気象レーダー、そういったような新しい測器を導入する必要がございます。これに伴いまして、いま申し上げました測候所等の第一線気象官署の役割りも変化しつつございます。今後の気象業務の充実はこれらの点を十分考慮しながら行わなければならないというふうに考えている次第でございます。  今回、測候所の夜間の業務の一部を地方気象台に集約するということの措置は、このような観点から、現在豊富な気象データが集まっており、また業務体制も整備されている地方気象台に一部の測候所の夜間の業務の一部を集約するものでございます。これは過疎化の促進という方向にはつながらないものとわれわれは考えている次第でございます。
  369. 島田琢郎

    島田分科員 基本的に認識が全く違うのですね。機械が精密になってそれで皆さんに御不便はかけません、また一人ぐらい減ったってそんなものは過疎につながるような話ではない、まるで木で鼻をくくったようなお話でありますが、果たしてそうだろうか。  時間がないから余り詳しく申し上げることができないのが残念でありますけれども、果たして機械でいままでのような住民サービスができるとお考えなのかどうかは、今度のやり方を仄聞するところによっても私はその点が指摘できると思うのです。じゃ夜間のそういうサービスを切った場合にはどうしようとお考えになっていますか。
  370. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先生御指摘の今回の測候所の効率化につきましては、一部の測候所の夜間の宿直を廃止しようとするものでございますけれども、夜間の観測は従来どおり機械によりまして行います。また、台風とか大雨とか、そういった異常気象時には夜間も臨時職員を配置いたしますし、また平常の気象状態のときの対応につきましては、資料とか人員の充実しております二十四時間勤務体制も整っております地方気象台において当たることといたしますので、全体としては地域住民へのサービス低下にはならないというふうに考えているわけでございます。
  371. 島田琢郎

    島田分科員 それじゃ具体的なことで申し上げます。  たとえば、北海道の雄武の場合に例をとって申し上げますと、雄武に四名の方が配置されている。一名夜間閉鎖によって引き揚げていくわけでありますが、その分は、夜間は機械で人間が話をするということにこれは当然なるでしょう、緊急時を除けば。それで、いま地方気象台ということになれば網走ということになるのですね。そうすると、いままで雄武の近辺の人たちは雄武で聞けたものが、今度は網走に問い合わせなければならぬということになるのですね。しかし網走で聞くにしても、夜間でも雄武にいると思って電話をかけた場合はどうなるのですか。
  372. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いまお問い合わせの測候所にお電話をおかけになった場合には、網走の地方気象台においてお答えできるような方途を講ずるつもりでおります。
  373. 島田琢郎

    島田分科員 具体的にはどういうことですか。
  374. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 電話のお問い合わせ等については、測候所におかけいただければそこから地方気象台の方に御連絡できるような方途を講じたい、網走地方気象台では雄武の測候所を含めて網走管内並びにその周辺のデータは全部時々刻々入っておりますので、測候所におかけになった方の御要望には応ぜられるというふうに考えております。
  375. 島田琢郎

    島田分科員 科の言っているのは、雄武の測候所に電話をかける、しかし夜間は人がいない、しかし網走にかけるということがわからない、そうしたらどうなるのですか。そこのところをぼくは聞いている。
  376. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 その点については、ただいまは無人でございますので、網走の方におかけいただければお答えできるようにというふうなインフォメーションを与えるように考えております。
  377. 島田琢郎

    島田分科員 そうすると何か電話を置いておかなければなりませんな。どんな電話が配置されるのですか。
  378. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 目下具体的な装置については関係方面と打ち合わせて検討している最中でございますけれども、いずれにせよ電話の対応は測候所から地方気象台で行うことができるようにしたいと思っております。
  379. 島田琢郎

    島田分科員 その関係者とはどこを指して言うのですか。
  380. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 これは電電公社等の関係の機関と御協議をさせていただいているわけでございます。
  381. 島田琢郎

    島田分科員 どんな電話が配置されるか具体的にお聞きしようと思っているのだけれども、なかなかお答えにならぬのですが、たとえば留守番電話といったたぐいのものになるのではないですか。
  382. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 そういうものも含めて現在検討しておるところでございます。
  383. 島田琢郎

    島田分科員 実は留守番電話という問題が出る前に、無人電話の転送装置という構想が一つあった。というのは、伺うところによると、雄武町、あるいは十四カ所全部にそういう説明をしているのだろうと思いますが、チェンジホンを設置をするから、皆さんにサービス低下につながるようなことは一切させませんし、ございません、こういう説明をして回っておりますね。事実ですね。
  384. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いまおっしゃられるとおりでございまして、無人電話伝送ができるような装置を広くいままでに使われているということで、われわれもそれによって測候所と地方気象台の間をつなぐというようなことを考えていたのでございますけれども、これについては問題があるというふうな指摘もございまして、その後関係の電電公社等と御協議をさしていただいて、先ほど来申し上げているような方式を考えようと検討中でございます。
  385. 島田琢郎

    島田分科員 こういうチェンジホンの利用というものは早くから電電公社が警告を発しておりまして、これがだんだんメーカーによってこの種の電話がつくられて全国に広がりを見せて、かなり社会的な問題になっていたわけですね。それはあなたの方で構想される以前からこの点については問題ありとして取りざたされていた。気象庁はいみじくもそのことをお知りでなかった、あるいは知っていて、まあ役所間で話をすれば何とかなるわいという甘い気持ちで現地の説明にまで材料としてお使いになったとすれば、これは非常に問題だと私は思うのです。そうやってごまかしながら合理化を図っていかなければならぬほど、気象庁というのはサービス問題に血も涙もない省庁として存在していたのかと私は疑いたくなる。住民は大変動揺しているのですよ。説明に来たときはそういう話であった。それはその後だめだ。しかし、これがだめだということはやや常識化していたわけですよ。電電公社もこの種の問題には警戒して、通信法違反であるから全国に何とかこういうものを使わないようにというような動きはかなり早くからあったわけですね。電電公社どうですか。
  386. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  公衆電気通信のネットワーク、いま国民の皆様方にお使いになっていただいている電話のネットワークに加入者の方がいろいろな種類の機械をつけてお使いになるという制度がございますが、これにつけます機械は当然のことながらほかの一般の加入者の方々の通話の妨害にならないとか、いろいろな意味で迷惑にならないといったようなものでなければならないことは当然でございます。したがいまして、郵政大臣の認可を経て技術基準というのがつくってございます。そういうものにパスしたものは自由におつけいただいて結構なわけですが、それにパスしないものは、つけていただきますとほかの加入者の方々にいろいろな形で迷惑をかけますので、つけられないということになっております。  いまお尋ねのチェンジホンというものは、公社に技術基準に合っているかどうか認定をしてくれという申請がいままで出たことがございません。したがって正確にその中身は承知しておりませんけれども、いろいろなものに報告をしておるか、あるいは公社にもぼつぼつでございますが、まずいという苦情が来たりしておりますので、われわれのところでその会社を呼びまして、どういうものであるか、ちゃんとしたものならば認定を出してほしい、それから御説明をいろいろ聞いたのですが、それはどうしても技術基準に合わない実態のようでございます。数回催促をいたしておりますけれども、認定を出してまいりませんので詳細の実態はわかりませんけれども、要するに認定を受けていない機種であるということでございます。
  387. 島田琢郎

    島田分科員 違法であることが明らかですね。私は、知らなくて説明をして回ったとすればまことにうかつ千万、知っていてやったとすれば、言葉は悪いがごまかしてペテンにかけて、出先のその町を混乱に陥れる、これは罪深いと思いますよ。それでその対応に、今度はあわてて留守番電話の方式に切りかえて目下話し合いを進めているところだ、こういうことですが、そのことが問題というのもさることながら、そんなことまでして大事な、たった一人だとはいいながらその町にとって町民の一入減ることがどんなに大変なことかという悩みを抱えている町の人たちのいわゆる心境というものは、私は本当にここで言い尽くせないものがあると思うのですよ。それをあなたは、一人ぐらい減ることが過疎にそんな影響なんかあるものかと開き直りでおっしゃるなら、私は許せないと思うのですよ。これは四月一日に見切り発車などすることは私は許しませんが、ぜひお考え直し願いたいと思うのです。そうして、むしろその出先を充実していくということに力を入れるべきではないでしょうか。たとえば気象レーダーの受信設備にしたって、全国百カ所ありますが、二百万くらいの器材でございますから、全部に装置したって二億円ぐらいでこれは上がるのです。アメダスの受信装置だって、そんなにたくさんお金がかかるわけではない、五千万をかければできるわけです。いまの機械の装置ですべてだとおっしゃるが、しかし昨年は冷害、そして冬を迎えて豪雪、けさもまた第二次豪雪被害が起こったと言われるほど、北陸路では大雪が降っています。八丈島にもけさは雪が降りました。ましてや、いま羽幌とか雄武とかを初めとして、全国に合理化をしようとするこの測候所の配置されているところの町村というのは、それぞれに農漁村地帯で、天気を相手に、天気に頼り、そうして皆さんの気象の観測と予報と報道によって毎日毎日精いっぱい生きている地帯であります。そんな地域を血も涙もなく切るなんというのは、大臣、これは鈴木総理の言っている和の精神からいったっておかしいじゃないですか。もっと切るべきところは別にあると思う。ぼくら、総論賛成、各論反対だなんということを考えておりません。総論においてそこはきちっとすべきだ。そうであれば、行政改革はやらなければならぬことをぼくらも認めている。そんな出先の小さいところを切ってそれで合理化ですとお茶を濁したような話をされて、濁された地域は一体どうなるのでしょう。そこのところをもう少し血の通った行政の立場でのお考えに変えてほしい。  きょうはもう時間が来ちゃったから、これ以上お話しすることができなくなりましたけれども、要は、私は短い時間で問題の幾つかを指摘いたしました。留守番電話で用足りるなんという、そういう考え方自体が、一体気象庁は住民サービスをどのように考えているのか疑いたくなる。  大臣、最後にひとつ、私がいま申し上げていることに無理があるかどうか、それを含めてお考え願いたいのと、菊考え直しを願いたいということを私は強調して、大臣答弁を求めるものでございます。
  388. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 御承知のように、気象関係の技術は非常な発達をしてまいりまして、それに伴いまして、やはり先端技術でございますだけに、改革が激しいのであります。今度、測候所の一部を整理いたしますのは、先ほど気象庁長官も言っておりますように、単に合理化だけの問題ではなく、人員だけの問題ではなく、やはり気象観測の精度を高めていこう、そういう観点からやっておるのでございます。したがって、測候所がなくなりましても何らかの形で情報が提供できるようにし、サービスの低下を来さないようにして、しかも精度の高い情報を流すということに努力すべきだと思うのでございまして、いろいろと、それは、測候所がなくなるということは、人がおらなくなるということはさびしくなることは私はよくわかりますけれども、しかしこれは、もう時代が、どんどんと機械化して、そして精密化していく中で行われることでございますので、御勘弁願いたいと思うのでございます。そのかわり、サービスの低下は来さないように、私の方からも十分に指示いたしておりますし、また気象庁の方でも努力すると思っております。それと同時に、その当該地域に対します対策というものも、もっと、要するに店の通った交渉をし、理解を深めるように努力するようにいたさせますので、ひとつこの合理化につきまして御承認をお願いいたしたいと思う次第でございます。
  389. 島田琢郎

    島田分科員 時間がないから反論ができないのですけれども、私は全部わからぬとは言いませんが、八割ぐらいわかりません。とってもだめだ、こう思いますが、一応質問を終わらせていただきます。
  390. 関谷勝嗣

    関谷主査代理 以上で島田琢郎君の質疑は終了いたしました。     〔関谷主査代理退席、岡田(利)主査代理着席〕
  391. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 次に、竹内猛君。
  392. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、ただいまの島田分科員に引き続いて、気象庁に関する諸問題、それから筑波研究学園の移転に関する公務員の手当の問題、二点について質問をします。  まず最初に、塩川運輸大臣にお伺いしますが、気象庁の果たすべき基本的な課題について、まず大臣からお伺いしたい。
  393. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 気象業務は、国民の生命、財産の安全を守る、これは当然のことでございますが、同時に、交通の安全の確保、それから国民生活の安定と申しましょうか、やはりスケジュールが立つような安定でございますが、そういう面から見て貴重な業務だと思っておりまして、今後そういう趣旨を貫徹するように努力をしてまいりたいと思います。
  394. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 長官、そのようにやっていますか、
  395. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いま大臣から言われたとおりでございまして、われわれ、気象業務は一般国民へのサービスをモットーと心がけて日夜努力を重ねておるつもりでございます。
  396. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 農林省の統計によると、昨年七月から九月までの間の農産物の冷害による被害が六千九百十九億円、本年の豪雪によるところの被害が、二月十六日までの現状で一千百五十九億と言われております。これはまだどんどんふえてくる。これほど国民に対して被害を与えている、これはやはり気象上の諸問題であるわけなんです。  こういうような問題が国民の中にあるときに、いま話があるように、気象庁が行革の対象になっている、こういうことは私はやはり問題だと思う。つまり、塩川大臣か言うように、国民の生命、財産を守り、そして交通の安全、産業、福祉のためにやるということは、これは大事な安全保障でしょう。そういう安全保障が行革の対象になって、だんだん人が減っていく。なるほど減らすべきところは減ったっていいでしょう。ところが一番末端のサービスをすべきところが減ってしまう。これは逆じゃないですか。それはどうなんです。
  397. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 気象業務は安全保障と確かに関係ございますが、しかしこれは気象庁としましても、やはり政府全体としての行政の簡素化、合理化を進めていくのでございますから、気象庁も安全保障に関係ございますし、消防関係もやはり十分安全に関係ございますが、これも行政改革をやはりやっていこうとしておるのです。ところが気象庁の方は、行政改革もさることながら、機械がうんと進んでまいりましたので、その機械にふさわしい体制づくりということを心がけ、その結果としてやはり行政改革に寄与するという発想でやっておるということも、ひとつ御承知いただきたいと思うのです。
  398. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 四十四年四月八日に、内閣委員会で時の佐藤総理大臣がこういうことを言っておられます。「気象観測などはこれから最も大事なことで、そういうところで人を減らしていいわけはないのです。」それから、若干飛ばしますが、「仕事を減らして初めて国民の官庁になるのだ。国民がしあわせになるように仕事を減らす。どうもしかし仕事を減らすときに役所の連中が自分たちの都合のいいような仕事を減らしたってだめなんで、目的はどこまでも国民のお世話をするのだ、これを減らしたら国民が幸いする。利用しないような届け出事項などはひとつ整理する。」こういうふうに言っておられますが、こう言えば塩川さんは、もうそれから十年だったから情勢が変わったという答弁をするかもしれないが、そういう答弁じゃだめなんですよ。  さっきから島田分科員との話を聞いていると、電電公社の了解も得てないような形で十四地区のやつを一人減らそうというのでしょう。おかしいじゃないですか。だから、サービスをしていかなければならない。一番末端のところにあるものが、気象のような、二十四時間、夜も昼も気象には変化があるんですね、これは消防と同じだ、あるいは病院と同じですね、こういうものは減らそうにも減らせないでしょう。万が一ということがある。それじゃ、もしそのことによって重大な責任問題が起こったときにその責任をとりますか。どうです。
  399. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先生御指摘のとおり、気象庁は、自然災害の防止、軽減というような国民の生命、財産に直接かかわりのあるような、二十四時間交代制をとってやるような業務を行っているわけでございますので、一般の省庁とは異なった削減の計画になっておりまして、われわれは一般よりも軽減されているわけでございます。したがいまして、そういう条件のもとでわれわれもできる範囲内において効率化を図っていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
  400. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 増澤長官は長野県だと思うのですけれども、地元の長野県の諏訪も減らすのですか。長野はどうなんです。
  401. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先生も諏訪の御出身だということを先ほどお伺いしたのでございますが、私も生まれ故郷が弱体になることについては心情的に忍びないものがございますけれども、やはり全体として考えたときに、効率化を図るという点では減らさざるを得ないというふうに考えている次第でございます。
  402. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 中曽根長官が最近の予報が当たらないじゃないかということで、大分気象庁がしかられたことを承知していますが、それは結局役所があっても信頼をされないということなんだろうと思うのです。信頼ということは、どうしてもやはり人員の配置にしろ機械にしろあるいはそれの情報の伝達にしろ、それがうまくいっていなければいけないと思うのです。それで、気象庁がいろいろ言われたわけですけれども、これに対していまの方向と逆行すると思うのだけれども、この点はどうです。
  403. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先生御指摘のように、先般行政監察において、予報が当たらぬじゃないかというようなおしかりを受けたわけでございますけれども、一般に対しましては適時適切に予報など気象情報を提供いたしまして、国民一般の日常活動に役立てるということはもとより、先ほど来大臣もお答え申し上げておるように、防災活動あるいは交通の安全等に努めることが私ども気象庁の責務と思って平素から努力してまいっているわけでございます。  予報精度の向上につきましては、いろいろな事情はございますけれども、現在の学問あるいは技術等ではまだ解明されていない現象がございます。また、観測施設にもおのずから制約がございますことなどによって、予報精度を向上させるということは決してなまやさしいことではございませんけれども、最大限の努力を払って予報精度の向上に尽していきたいというふうに思っております。
  404. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いろいろお話を聞いていると、だんだんサービスが低下をしてそして機械に変わっていく。機械がすべて正しいということはないですね。選挙の予想などというものはかなり外れている。ぼくなんかも選挙の予報に外れられて大分困っている。あれも機械のやっていることなんですね。あれなんかは自然現象じゃないですよ。ところが気象というのは自然現象ですから、これによってこうむる被害というのは——選挙はあるいは当選するやつが落ちればそれだけの話だけれども。多くの国民が被害を受けるのだから、こういうものに対して、これは安全保障なんだ、安全保障ということになれば、何も人員の整理をするのじゃなくて、大事なところには人間を集めていくし、いい機械を使ってなるべく被害を小さくしていく、こういうふうにしていくのが筋じゃないですか。だから、こういうものについてはもっとがんばっていいのじゃないですか。気象というのは安全保障なんだ。防衛費だけが安全保障のように、どんどん野放しに枠外に伸ばされて好きなことを言われて、国会で大問題になった。気象の問題でも少し国会で問題になるくらいのことを長官言ったらどうです。この冷害、豪雪、これについてはもっと設備をよくし、人間を適当に配置をして、しっかりやるんだ、そうしたら名長官になるけれども、自分の郷里のやつまで減らしてさびしい顔して下がっていくなんて、ずいぶん情けない話だと思うのです。もっとしっかりやりませんか。
  405. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 機械化万能というようなことに対する御批判もございましたのですけれども、気象庁としては、進歩した技術を踏まえまして、人間と機械との最もよい組み合わせによりまして気象の業務の近代化を図る方針で気象業務体制の充実を推進してまいっておるわけでございます。これによりまして社会の要請にこたえるようなサービスを行おうとするものでございまして、決して機械化で万能になるというふうに考えているものではございません。
  406. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私のところに来ているところの要請によると、いまやらんとしていることに対して、これをやめてもらいたい、こういう多くの署名が全国から届いています。これだけの世論というものを無視して強行されますか。
  407. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いろいろと陳情や御希望が述べられておることはよく存じておりますけれども、先ほど来御説明申し上げているとおり、これは地方の地域に対してサービス低下にはつながらないというふうに考えているわけでございますので、先ほど大臣からもお願いを申し上げたとおり私もぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  408. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 第一次から第五次までの人員整理で八百五十七名がかわったのですね。ところが最近は成田空港で百十人、それから気象衛星センターで二百八十人を新しくつくった、こうなんです。国立病院でもつくれば看護婦や医者がふえる、そうでしょう。同じように、気象というのは立場が安全保障なんだから、そういう立場に立ったときには当然人間がふえてしかるべきなんです。大事なところには大事な人間が必要なんです。それくらいのことを運輸大臣も長官も大蔵省の説得ができないようなことでは腕が悪いじゃないですか。そして本当に多くの何十万という署名——これはまだ署名がふえますね。先ほどの島田委員のところは初めて知って、びっくりしてすぐ飛んでくる。私もびっくりした。藤原咲平さん、お天気博士が一生懸命つくったところがいつの間にかなくなってしまう。そして機械になっちゃった。そんなさびしい話はないですよ。何とかそういうものは残して本当に民間に気象のサービスをしていく、こういうふうなことにどうしてならないのか。これをしつこいようだけれどもなお私はお伺いしなければならない。
  409. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いま測候所がなくなるというふうにおっしゃられましたけれども、夜間の業務、宿直の職員を一人減らすということでございまして、決して測候所をなくするというわけではございません。  先ほど衛星センターについての人員増のお話がございましたように、私ども、一方では必要なものについては大蔵省にも御要求申し上げて御理解をいただいて、増員も図っていただいておるわけでございます。一方ではやはり増員をいただいている、一方では効率化によって合理化できるものについてはそれだけの努力をしなければいけないというふうにわれわれは考えてやっているわけでございます。
  410. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 毎日新聞の一月十日の朝刊によりますと、「観測技術がこれだけ進み、ひと昔前には想像もできなかった〃情報〃にかこまれながら、不測のドカ雪や遭難が起こるとは、悲しい皮肉だ。昨秋、行管庁も気象庁に対して予報精度の向上について勧告したが、もどかしい話である。」こういうように言われておりますね。それから予報官というものと地域の結びつきということについても細かく書いていらっしゃる。先ほど島田委員が言ったように、天気予報というものはその地域の人の心と結びついている、あるいは歴史と結びついているものだと思うのです。そういう点で、何でも機械を入れればそれで結構だということではない。あるいはまた宿直を一人減らすということは夜間の観測ができないということでしょう。これは夜間の任務ができないということでしょう。そういうようにしてだんだんだんだん末端のサービスを小さくしてしまう。むしろ秋田県などはもっと拡大するべきじゃないですか。そういうようにだんだん小さくしていって最後には中央集権で、機械で、非常に冷たいものになってしまうということについては、大変心配するし、恐れるのです。なお検討の余地ありやなしや、御回答をいただきたい。
  411. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 私どもは、すべての業務を中央の方に集めるというような考え方は毛頭持っておりませんで、地方の気象台を中心にしてその地方に対してきめ細かなサービスを提供できるようなシステムを構成しようというような考え方でやっておるわけでございます。
  412. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題は平行線になってしまったわけですが、きょうここで短い時間にこの問題をすべてやろうというわけにいかない。いずれ別な場所で、農業と気象というような問題あるいはその他の問題でしっかり、同僚の島田委員も農林委員ですから、われわれは日本の産業を守っていくためにはこれはもうきわめて重要なことだと思っておりますから、別なところでもう少し時間をかけてまとめてやります。  そこで、今度は人事院の方にお尋ねしますが、昨年の十月二十一日にも同じようなことをお尋ねいたしまして長橋局長からも回答がございましたが、事態は年を越して、いよいよ本年は筑波研究学園が概成からさらに完成に向かう年であります。  そこで、移転手当の十年というものがことしは満期になって、人事院がいよいよ何がしかの動きをしなければならない時期になっておりますが、これについてどういうようなお取り計らいをしますか。
  413. 林博男

    ○林説明員 先生の御案内のとおり、この手当は昭和四十六年に人事院が勧告いたしまして、それに基づいてつくられた手当でございます。一般の手当とは若干違いまして、当分の間の措置として特別に支給する手当でございます。したがいまして、改正法の施行の日から十年以内にその改廃等につきまして人事院が勧告するものとするというふうに附則で規定されているわけでございます。  それで、御指摘のように昭和四十六年から数えまして十年目に入ったわけでございます。したがいまして、ことしの十二月がそのタイムリミットということでございますので、それまでに何らかの結論を出す、できれば例年夏の勧告の時期がございますから、でき得ればそれに間に合うように何らかの結論を出したいということで鋭意検討をいたしておるわけでございます。
  414. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 若干現地の声をまとめて申し上げたいと思うのです。これは以前からそのことについては申し上げているのですけれども、依然として二十万の人口が十三万にとまっております。やがて科学博覧会が六十年に催されたとしても、現在の状況ではそんなに人口がふえる可能性はない。だとすれば、ここに言っているようなことは依然として続いてくるわけです。  「最寄国鉄駅との交通が不便で高く、車なしでは用が足りないため生活に負担がかかっています。筑波大学病院があるものの、一般患者を受け入れる総合病院や救急医療体制が整備されていません。」したがって、病気があれば土浦の病院に行くと片道タクシーで千五百円から二千円、往復で三千円ないし四千円かかるわけです。「ガス・上下水道などの公共料金をはじめ生鮮食料や衣料品などの諸物価は東京より高い状態です。高校以上の教育施設が不十分なため、多大な出費をして子供を東京に下宿させるかそれとも筑波からUターンするかという問題が深刻な悩みとなっています。現に高校以上の子弟をもつ者、老父母をかかえている者、自宅をもっている者など仕事の中心となっているかなりの職員がやむなく月七〜十万円の別居費をかけての単身赴任か片道二〜三時間の通勤をしています。東京などでの生活様式を一大転換し、国の事業によって移転してきた研究機関職員と家族がこのような生活問題に直面している状態が早急に解決するよう強く要望します。」「しかもこのような状態の中で私達には筑波研究学園都市移転手当という重大な問題があります。政府は昭和四十六年、東京などで支給されていた調整手当と同額の手当を移転手当として新設しましたが、この手当はその改廃について、法律施行の日から十年以内に人事院が勧告するとされており、移転促進という手当の性格から打ち切られる不安を強くしています。」さらに、その後参議院の決議があります。これは「当該研究者等の生活条件の低下または支障をきたさないよう努めること。」これは四十五年に参議院で決議をしている。「私達は現在の移転手当が筑波研究学園都市手当として将来とも支給される手当に改正・新設されることを切実に要望しています。」ということで要請がございます。この中には継続をしてくれという意見、それから都市手当という新しいものを新設してくれという要求、こういう二つに分かれておりますけれども、この点についてはいかがでしょう。
  415. 林博男

    ○林説明員 いまもお話にございましたように、この手当は、筑波の方に試験研究機関が移転いたしまして、それに伴って職員の方に移動していただくわけでございますが、それを円滑にやるという趣旨で、移転を促進するという大きな目的を持った手当でございます。ただその場合に、筑波研究学園都市ができまして生活の環境といったようなものが十分にまだ整備されておらない、そういう点の行かれる職員の方の御苦労というものもあわせて配慮したわけでございます。したがいまして、その後のそういったものの状況、十年たちました現在、大体五十四年度でもって大方の試験研究機関の移転が完了したわけでございますけれども、その後の生活環境等のいろいろな状況というようなものもつぶさに検討して結論を出したい、かように考えております。  なお、当初、四十六年当時の計画では大体昭和五十年に移転が完了するという計画でございました。ところが、その後計画の方がかなりおくれまして、いま申し上げましたように一、二の機関は五十五年度に入ってようやく移転を終わったというような状況でございます。したがいまして、検討に際しましては、そういうふうに当初の計画に比べましてかなりおくれたという事情も当然腹に入れて検討いたしたい、かように、考えております。
  416. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは移転をしてから現地で採用した人たちもいるわけですね、こういう人たちも含んで考えられるのか、それとも移転者だけを対象にされるのか、この辺についてはいまのところどのようなお考えでしょうか。
  417. 林博男

    ○林説明員 先ほど申し上げましたような移転の促進という意味から申しますと、やはり現地で採用された方ということではなくて、主として東京から移転していただいた職員の方ということが対象になるわけでございますけれども、先生も御案内のとおり、いわゆる権衡職員というものがございまして、これは研究員等でいわば地元では採用ができない、全国から広く人を集めて配属しなければならない、こういう職員につきましては、特に権衡職員ということで、権衡上この手当を支給しておるわけでございます。  現在のやり方はそういうことになっておりますけれども、地元採用の方々にもこれはぜひ支給してもらいたいという御要望もございます。そういう御要望があることも頭に入れて検討をいたしたいということでございます。
  418. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間が来ましたからこれで終わりますが、運輸大臣気象庁長官、皆さんの部下と言っては失礼ですけれども関係者、高層気象台も筑波研究学園の中にあるということも頭に置いてもらって、いまの問題、先ほど言ったことは同じような要求と悩みを持っておるということも含めまして、ぜひ人事院の方では、移転された皆さんが所期の目的を達するように、喜んで研究ができ生活ができるようにしてほしいということを要望すると同時に、いまの気象庁の問題については、どうしても安全保障という立場に立った十四機関の閉止あるいは十機関を、また、あるいは四つの通報所ですか、そういうところにもいろいろと手を加えようとする、だんだん末端を整理をして、機械に促して冷たくしていく、そして国民から、住民から気象というものを遠ざけて、離していく。機械ができたから、サービスができるからいいじゃないかということではやはり温かい和の政治とは言えないし、地域の時代という鈴木総理のまくら言葉に逆行する。これは地域の政治じゃなくて、まさに中央の政治になってしまうということは非常にまずいということをまず私は申し上げて、きょうはこれで終わります。
  419. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、中村茂君。
  420. 中村茂

    中村(茂)分科員 まず最初に、陸運行政の姿勢についてお伺いいたしたいと思います。  ここに一通の要請書がございます。一九八〇年十月六日付で、あて先は長野陸運事務所所長武田稔殿、出し人は総評全国一般長野地方本部執行委員長佐藤政善、判こを押してあります。長野県労働組合評議会議長岡田幸雄、これも判こを押してあります。で「要諸書」、こうなっているわけであります。皆さんの組織内に出したものですからすでに目を通していると思いますが、私から要約して、お伺いするその事件の背景それから内容をただしたい、こういうふうに思います。  合資会社の宮原酸素、こういう会社が長野県の小県郡東部町にあるわけですけれども、この会社では昭和五十四年から労使の紛争が起きております。不当労働行為の救済申請が長野県の地方労働委員会に出されまして、審査が行われてまいりました。そして昨年の五十五年十二月十八日付で救済命令が出されたわけであります。しかし、被申し立て人の会社側はこれを拒否いたしました。そこで中央労働委員会に上告されて、中央労働委員会では宮原酸素不当労働行為事件として審査が行われました。そして、ことしに入って五十六年一月三十日付で、その命令に対しての履行勧告が行われました。しかし会社側はこの履行勧告に従わないで、依然として紛争が続いている。  その中で起きた問題でありますが、この紛争の内容は、先ほど申し上げました宮原酸素の製品である高圧ガスの運送をめぐる問題として、そこに従事する従業員、運転手、チャーター、こういう労働者の契約問題や労働条件をめぐって紛争が続いてまいりました。私がここで取り上げようといたしますのはその運送をめぐっての問題でありますけれども、この紛争の過程で運送業務を日東運送株式会社、この会社は群馬県伊勢崎市若葉町四番の十四号にあるわけでありますけれども、長野県内には営業の免許を取得しておりません。そして先ほど申し上げました製品である高圧ガスなどの危険物を搭載しているわけでありますが、重量制限オーバー、過積みの問題が起きてきております。ですから、運転手自身はもちろんでありますけれども、沿線住民の安全性が全く無視された形で、危険きわまる運送が行われているわけであります。この違反の、営業免許を持っていないで走っている車が五台ありまして、群四四あ、この記号は五台とも全部同じでありますが、自動車の番号は二〇四六、二〇四七、二〇四八、二〇五〇、二〇五一、この五台が先ほど申し上げましたように路線の許可なしで飛んで歩いている、こういう事件であります。要請書を出した日付が昨年の十月六日、もう半年もたっている。  こういう状況の中で、私もこの問題をお聞きいたしまして、二月に入って、私から直接群馬の陸運事務所所長さんに電話をいたしました。そうしたら、この違反の案件についてはすでに長野の陸運事務所から連絡を受けている、ですから会社に対して行政指導をいたしました、局に上申して処分を考えています、こういう連絡をいただきました、しかし依然として違反の五台の車は過積みで飛んで歩いているというのが現在の実情でありますけれども、これだけの危険な状態を何で放置しておくのか、私には理解できません。その事情はどういうふうになっているでしょうか。
  421. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いま先生のお話にありました組合の要請書、紛争の過程等については陸運局から報告を受けているところでございます。  本件は、要するに日東運送株式会社の荷主であります合資会社宮原酸素店の労使紛争に端を発しまして、日東運送による運送行為について区域外営業あるいは過積載容疑が問題になっているということだと思います。  この件につきましては五十五年十月に組合の要請がありまして、長野陸運事務所でまず調査をいたしました。その後群馬県の陸運事務所へ、この事業者が本拠があるということで移牒をいたしました。そして、群馬県の陸運事務所におきましては、所要の調査をした上で、ことしの二月九日、東京陸運局長に対し調査内容の報告が提出されているところでございます。現在は東京の陸運局で、この調査報告書に基づきまして、日東運送の違反行為の認定、処分の内容について検討を行っているところでございます。私どもの方といたしましては、早急に結論を出すよう指導してまいりたいと考えております。
  422. 中村茂

    中村(茂)分科員 十月六日に要請してもう半年近くたって、二月九日に通知をもらって約二十日近くたとうとしているけれども、まだ検討中だと、こういうことで、なかなか理解ができません。陸運行政というものはそういう時間のかかるものか。地球を一回りも二回りも回ってきても間に合うような時間で、長野と群馬と東京と、こういう間をこれだけの時間がかかっているということですが、なかなか理解できません。全くひどい状態ですが、委員長、これを大臣に見せたいと思うのですけれども……。(写真を示す)しかもそういう違反の運送をしながら、片方で路線の申請を出しているわけですね。しかし、そういう労使の紛争の中から起きてきている問題でありますから、私は、きちっとしたけじめをつけてもらいたいというふうに思うのです。違反の運送を半年間も黙認してきて、それに続いて路線の認可をしたからといって堂々と続いてできる、こういうことでは、行政が何のためにあり、どういう指導かと、指導について疑問を持たざるを得ないわけです。しかも労使の紛争の中から起きてきている問題でありますから、違反を追認するというような形は全く許されないことであります。そこで、いずれにしても違反しているものについては停止さしてもらう、そして認可については、労使紛争の中で起きてきている問題でありますから、慎重に対処してもらう、このけじめをつけた、きちっとした厳正な態度が陸運行政の中で必要ではないか、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  423. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生のいまの御指摘のとおり、私ども、違反は違反として厳正に処分をすべきであるというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、東京陸運局において早急に結論を出すよう指導してまいりたいと考えております。  一方、いまお話にございました日東運送の免許申請の件でございますが、新潟陸運局に対しまして。昨年の九月に、長野県を事業区域とする一般区域貨物運送事業、限定でございますが、の免許申請も提出されております。それで、確かにこの事案につきましては、荷主であります宮原酸素店の労使紛争が絡んでおります。それが中労委において審議中でもございます。したがいまして、いま先生のお話にありましたように、慎重にこれらの審議の推移あるいは関係者間による話し合いの状況を見ながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  424. 中村茂

    中村(茂)分科員 いまお話ありましたように、もう相当たっている問題でありますから、きちっとけじめをつけていただく、それから申請の問題につきましては、労使紛争の中で起きてきている問題でございますから、慎重に対処していただくことを強く要求いたしまして、この案件については終わりたいというふうに思います。  次に、信越線の列車ダイヤ改善についてでありますけれども、これは信越線の軽井沢駅から小諸駅間の、通学している、特に高校生の通学問題です。  状況を若干御説明いたしますと、通学している高校生は、この沿線の軽井沢高校、それから小諸商業高校、小諸高校、これだけでも約七百人程度、それから近隣の高校を含めると約千人を超えるというような状況であります。ところが、授業やクラブ活動が終わっても、この列車の時間、ダイヤというものが非常に隔たりがありまして、一時間から二時間、時によっては三時間も待たなければ列車に乗ることができない。こういう事情のためにさまざまな問題が起きてきているわけです。御存じのように軽井沢というところは避暑地でもあるし、ああいうところです。海抜が約七百から一千メートルというところで、出とか谷が多いわけですけれども、自転車などは当然ききません。ダイヤがそういうために、そこでいろいろバイクに乗りたいという生徒も多いわけでありますけれども、文部省の指導でバイクなどについては慎重な取り扱い方をするという通達も出ておりますから、学校もそのようにしているわけでありますけれども、その裏をかいて、学校まで持ってこないでどこかの家に預けておくというような生徒も出てまいりまして、交通事故に発展したり、深刻な状態が出てきております。それから、時間があるためにそれをどこかでつぶさなければいけないということで、たむろするところを見つけて、そこでよからぬことが起きてきてみたり、それから、女性の生徒が、通りかかった車に、時間があれだからということで乗せてもらったところがとんでもない方に乗せていかれてしまったというふうな事件も起きたり、さまざまなそういう問題が起きて、結局は非行につながるというような状況が起きている。そこで生徒が、もちろん父兄、学校の先生、自治体も含めて、これは何とかしなければいかぬ、こういうことで連絡協議会ができまして、ダイヤを何とかしてもらいたい、こういう要望が強くなってきているわけであります。しかも具体的にそういう案を示しておりまして、これから申し上げる四つのことについて解決していただけないかという具体的な要望になっているわけであります。  信越線上りについて、小諸駅着十八時五十二分、これは小諸駅どまりになっているわけでありますが、これを軽井沢駅まで運行してもらいたい。それから信越線下りについては、小諸駅発十二時五十六分を軽井沢駅始発にしてもらいたい。それから次は、小諸駅発十六時四十八分を軽井沢駅始発にしてもらいたい。次は、軽井沢駅発十八時三十分ごろの列車を増発して長野駅まで運行してもらいたい。それで、私ども平素この軽井沢と小諸のいろいろな列車の事情について当惑していることが一つあるのです。それは、小諸のところは長野の管理局管内、軽井沢は高崎の管内というところで、局でいけばちょうど中間点になるものですから、言えば両方の局へ行かなければその問題が解決できないというような行政上の事情もあります。総裁、これは線ばかり切っていくのが能ではなくて、通しているところは便利よくして、お客さんにもうんと乗ってもらうというのが国鉄の任務だと思いますから、そういう住民の多くの要望についてどのようにお答えいただけるか、その点について明快な御回答をいただきたいというふうに思います。
  425. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生御指摘の列車ダイヤの改善についての御要望、管理局も本社も十分承知をいたしております。先生も御承知のとおりでございますが、当該の区間には七往復の普通列車が終日運転されておるのでございますが、御利用が大体三五%程度にとどまっております。わりあいすいている区間でございます。お客さんの流動がどうしても、そういった信越線のちょうど谷間になっておりまして、その辺が私どももなかなか苦しいところでございます。仮に列車を増発するということになりますと、どうしても運転手あるいは車掌といった要員とそれから車両が必要になるということでございまして、その点については先生御承知のような国鉄の現状に照らしまして、大変大きな制約があるわけでございます。  ただ、学校の終業時刻あるいはクラブ活動に合わせまして、できるだけダイヤを振ると申しますか、そういった御要望は十分私どもとしても御趣旨を理解できるわけでございます。しかし、これは総合的ないろいろな手配が必要でございまして、短時日のうちにすぐそれができるということにはなかなかまいらないのは残念でございます。  そこで、できるだけ早い機会に、と申しますのは、来年春に予定されております東北、上越の新幹線の開業の時期にこの辺のダイヤ改正をする機会がございますので、そういった機会には先生のこういった御要望、地元の御要望を十分踏まえまして、できるだけその線に沿って見直しを図ってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  426. 中村茂

    中村(茂)分科員 国鉄の場合には、普通、毎年十月のダイヤ改正というのがあるのじゃないでしょうか。私どもにとっては、十月というのはダイヤ改正の時期だというふうに思っているのですけれども、来春で上越新幹線、それも恐らく大きい改正があるでしょう。この十月のダイヤ改正というところで、これは私が申し上げている四本ではなくても、一木でも二本でも、解決できるものについては検討をして、また春のそういう大きなダイヤ改正というふうに、何でも春に持っていってしまわないで、十月のダイヤ改正などを含めて対処していただきたいというふうに思いますが、その点はいかがでしょう。
  427. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、十月に機会があればと思いますのですが、この線区については十月にはそういった機会は恐らくないのではないかと思います。車両について増になることはちょっと無理でございますが、要員の増になることは、これも非常に困るわけでございまして、たとえば具体的に申し上げますと、先生御指摘の第一の、小諸着十八時五十二分の小諸どまりを軽井沢まで延長するという御要望がございますが、実はこの電車はその後小諸駅に滞泊をいたしまして、二十一時何分でございましたか、小諸駅から軽井沢へ向けて最終の電車にこの車両を当てているわけでございます。もし仮にこれをそのまま軽井沢へ延長いたしますと、もう一度一往復をしてまたやらなければならぬ。そのためには要員がどうしても必要になるというような問題がございます。私どもは列車の増発キロと申しておりますが、キロ数をできるだけ現状にとどめる、できれば削減する、あるいは要員の増につながることはどうしても大きな制約があるということでございまして、その辺事情を御了解をいただきたい、こう思っております。
  428. 中村茂

    中村(茂)分科員 これは国鉄の事情もおありでしょうけれども、十月のダイヤ改正を含めて、要望が一日も早く解決できますように、心からお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  私の時間はもう五分ばかりありますから、昨年の分科会で総裁に長い時間をかけて、写真まで持ってきてお願いしたのですけれども、いわゆる煙の出る車を小海線を走らせてもらいたい、こういうことですが、その後も相変わらずこの地域人たちが何とかできないか、こういうことで、協議会などをつくっていま研究しております。  昨年の総裁のお話では、行事や何かのときで一時なら研究してみましょう、定期ではなかなか無理ですよ、こういうお話であったわけでありますけれども、考えてみますと、いま問題になりました小諸、ここから山梨の小淵沢に小海線というのが、海抜日本一の高いところを走っているわけでございますけれども、これを避暑地の軽井沢というようなところに結びつけて、夏の避暑地を含めて通す。中央線は新宿から出ておりますし、信越線は上野から出ておりますし、東京近郊の人たちも一日のコースとしては非常にいい。しかも小海線というのは山水明媚で、夏などについては一度行けばだれも行きたくなる、こういうところですから、何とか研究して前向きで検討していただけないのかというのが地域人たちの願望にいまなっているわけでありますけれども、そういう願望実現のためにひとつお考えをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  429. 高木文雄

    ○高木説明員 SLにつきましては、皆さん大変かわいがっていただいているわけでございますので、日本の文化の発展を引っ張ってきたものでございますから、ぜひそういう御期待には、可能な限り沿ってまいりたいという姿勢でおるわけでございます。  御存じのように、現在は経常的に運転しておりますのは山口線だけでございますが、昨年は横浜の港の開港百年の記念、それから札幌−小樽間の北海道の鉄道百年記念というようなときに当たりまして、地元からの非常に御熱心な御要請があり、一つは警備、あれは非常にたくさんの子供さんが見えますのはよろしいのですけれども、警衛の問題で非常に心配がございますが、警備について地元で責任を持っていただけることが一つと、収支で、そのことのためにまた赤字がふえるということもいろいろ問題もございますので、大変わがままなお願いでございますけれども、地元で収支差額負担をしていただくということを前提にして、その二カ所で昨年行いました。  今年も各地から御要請が出ておりまして、いま研究しておるところでございますが、私どもといたしましては、地元の御熱心さということを頭に置きながら、車両の回しが可能な限りにおいては、御要請があればというふうに考えております。ただ、こういう赤字状態でございますものですから、地元の方である程度赤字が出てもそれは自分でかぶるよと言っていただけませんとなかなかむずかしいわけでございますので、そうしたことで何カ所かでやっておりますから、昨年も御要請というか、御希望が地元で強いことは承りましたが、今後ともそうしたことを前提にして、よそではこういうふうにやっているということを参考にしていただいて、地元での御研究が実ってまいりますならば、私どもとしては初めからだめだということではないわけでございますので、どうかひとつ地元の熱意を結集していただきまして、そしてまた同時に、実は車両がもうすでに何両もございませんものですから、全国一斉にできませんので、何かの行事というようなことに関連しながら企画を立てていただけるというようなことであれば、考えさせていただきたいと思います。たくさんあります中でも、いまの小海線の地区が御熱心であることは、私どもも承知をいたしております。
  430. 中村茂

    中村(茂)分科員 三件について解決のための要求を申し上げたわけですけれども、全力を挙げて解決していただきますよう心から強く要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  431. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で中村茂君の質疑は終了いたしました。  次に、有島重武君。
  432. 有島重武

    有島分科員 都市交通、特に東京の下町方面の問題でございます。  東京の地下鉄は世界一である、こういうことになっております。そこで、今後の首都圏の地下鉄の整備につきまして、十一号線は現在蛎殻町、箱崎のエアターミナルまで工事の認可が出ている、こう聞いております。昭和四十七年の三月の都市交通審議会の答申では、深川の扇橋まで十一号線を延ばすということになっておるようでございますけれども、この免許申請はいつごろなさるのか、早くやっていただきたい、こういうことでございます。
  433. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 十一号線の蛎殻町以遠の延伸につきましては、現在のところ営団では具体的な計画を策定をしておりません。将来、輸送需要の状況等を見まして検討をしたいというふうに聞いております。
  434. 有島重武

    有島分科員 そういたしますと、この審議会の答申についてはどのような評価をしていらっしゃるのか。
  435. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先生も御案内のように、四十七年三月、都市交通審議会で十五号答申が出されまして、これに従いまして東京都内の都市圏の地下鉄は鋭意整備を行っておるところでございます。地下鉄は、大量公共輸送機関としまして非常に重大な使命を果たしておると思います。そういう意味におきまして、この答申に沿いまして、できるだけ早く整備をしたいという気持ちでおりますけれども、最近非常に路線の建設の単価も上がっておりますし、環境問題等もございますし、あるいはまた、これには国の助成が伴うものでございますから、国の財政事情等いろんな問題がございまして、なかなか思うようにいきませんが、鋭意建設を続けていきたいというふうに思っております。
  436. 有島重武

    有島分科員 八号線の問題でございますけれども、現在、明石町まで、これは駅名でいくと新富町ということになるのでありますが、開通しておるようでございます。その延長先が湾岸まで、これは免許がおりておるということでございます。それで、これを豊洲から押上に抜ける路線、これも都市交通審議会の答申に載っておる路線でございますけれども、これにつきましては、五区連絡協議会というのがございまして要望が出ております。これは早急に免許申請をなさるというふうに聞いておりますけれども、これは大臣もよく御案内のことじゃないかと存じますけれども、これをぜひとも推進をしていただきたい。お答えをいただきたいと思います。
  437. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 八号線、有楽町線でございますが、これの亀有ルートにつきまして現在営団が免許申請の準備作業をなお続けております。この作業が終わり次第、地元の関係区とお話し合いをいたしまして、その上で免許申請を行うという方向にはなっております。運輸省といたしまして、その状況をお待ちいたしまして対処したいと思っております。
  438. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 私もこれは何遍も陳情を受けておりまして、営団の方にもやかましくこれを促進するように言っておりますので、急いでやってくれるものと思っております。
  439. 有島重武

    有島分科員 それでは十一号線につきましては、深川の扇橋まで計画を早く、これは免許申請だけでも出してもらいたいし、それからなお扇橋の先の方をまたどう延ばすかというようなことまで——実はそちらでも考えていらっしゃるのではないかと思いますけれども、江東区のその方面はこの四十七年のころとずいぶん違って人口がふえてきておるし、それから千葉県の方にずっと行くことにしましても、ずいぶん状況が変わっておるのではないかと思いますので、ひとつこれは促進をお考えいただきたい。  次に、小名木川線、これは貨車の線でございますけれども、亀戸−大島−砂町−豊洲、ここに至る貨物の引き込み線がございまして、これを客線にしてもらいたい、こういう要望がございます。この実現を阻んでいる隘路は一体どういうことなのか、それを承っておきたい。
  440. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 御案内のように、この貨物線が現在貨物専用の線路でございますので、第一番目には、当然のことながら駅などの旅客輸送のための設備が全くございません。それから、現在単線でございますし、電化がされていないということでもございます。それから、道路を横切って平面交差がかなりたくさんございます。これらが隆路ということになるわけでございまして、旅客営業を開始するためには、この陸路を打開するためにかなりの設備の改良が必要である、相当多額の投資が必要になる、こういうことになることが予想されます。御承知のように国鉄財政が非常に苦しいときでございますので、なかなかこの問題の実現はむずかしいものと思われます。
  441. 有島重武

    有島分科員 多額ということでございますけれども、大体どのぐらいかかってしまいますか。
  442. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私どもの方でまだ旅客輸送にする場合の細かい検討はいたしておりませんけれども、概算で見当をつけますと、この区間を旅客輸送するために必要な諸設備をいたしますと恐らく百億オーダーのお金がかかる、全体としましては数百億というオーダーになるかと思います。
  443. 有島重武

    有島分科員 といたしますと、これは地下鉄よりもずっと安くできるということに相なりますね。
  444. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この八号線の地下鉄の工事費については私ども伺っておりませんけれども、普通の地下鉄の建設費は、場所によってずいぶん違いますけれども、恐らくキロ当たり百億から三百億ぐらいのオーダーではないかと思います。したがいまして、いま私が申し上げましたのは、これは私どもとして先ほど申し上げましたように小名木川の貨物線を旅客線にするための具体的な計画をやっておりませんので、きわめて概算で申し上げたわけでございますけれども、恐らく工事費においてはそう大きな差は出ないのではないか、そういう感じがいたします。
  445. 有島重武

    有島分科員 今度別の折で結構ですから、もう少し詰めて詳しくデータを教えてください。  それから、この小名木川の沿線の土手のところなのですけれども、あるいは土手沿いの用地なのでございますけれども、ここを整備してもらいたいという要望があるわけです。特に大島一丁目あるいは大島二丁目というようなところは相当ひどい状況になっておる、これは御承知でしょうか。
  446. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま先生御指摘の地域につきまして貨物線をはさみまして両側に側道ができております。その側道が非常に整備状況がよくないということで、この地域の方々からいろいろ御要望が出ておるのは承っているわけでございます。ただ、実はこの線ができましたのは非常に古い時期でございますが、かつては国鉄の国有財産ということで整備されていたわけでありますけれども、公社になりましてから道路づけかえ等によりましてこの側道ができているわけでございますけれども、それらの土地の財産の整理というものが全国的に大分残っておりまして、これをいま精力的に整理いたしている状況でございます。この地域のこの側道につきましても、現在なお所有権といたしましては国鉄になっている部分が大分あるわけでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように建設当時に道路等をつけかえましたときの側道でありまして、道路管理者に移管すべきものでございます。したがいまして、いまその移管手続を進めている状況でございまして、昨年十月にも都と江東区と現地立ち会いをいたしまして、この財産移管についての現地立ち会い確認書をつくるというところまで来ております。財産移管のための現地立ち会いの確認書をつくるという作業も進めてまいっております。したがいまして、これはいずれ近いうちに財産は整理されまして、道路管理者側に移るわけでありますけれども、しかし、この道路の維持管理ということにつきましては、これは所有権が国鉄にありますけれども、現に道路として使っているわけでございまして、道路側と申しますか、道路管理者側でいままでも維持管理をお願いしているところでありまして、整備につきましても、聞くところによりますと都市側において五十五、五十六年度においてこの整備を進めていくということを聞いている状況でございます。
  447. 有島重武

    有島分科員 やってくださる、こういうことですか。そこら辺、まだよくわからぬけれども、だんだん移管してしまうのだから余りきれいにしなくてもやってくれるのだろう、こういう話なのか、移管するならばきれいにして移管しましょうという話なのか。これは住民が通っているわけです。これは国鉄のものだと思っているわけですね。相当赤字でいらっしゃるかもしれぬがこれはひど過ぎる、そういう感じでいるわけですね。どちらでやっていただくか知りませんけれども、促進をしていただきたい。促進をしていただけますか。
  448. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私の説明がどうも要領を得ませんで失礼いたしました。  所有権の移転は残っておりますけれども、道路の管理の方は都市側でずっとお願いしているわけでございます。したがいまして、この所有権の移転を機に管理を移すということではなくて、道路としての整備は都市側がいままでもすでにおやりになっておりますし、今後もお願いするということでございます。  ただ、現状道路の状況が非常によくないということにつきましては、都市側において五十五、五十六年度において相当整備するという計画をお持ちであるということを聞いておりますので、その点を申し上げたわけでございまして、道路の整備につきましては都市側にお願いをしているというところでございます。
  449. 有島重武

    有島分科員 それではひとつこういった話があった、だから早くやってくれということで、こちら側からも、地主の方ですから、ひとつ促進をしていただきたい。お願いします。  細かい話と言えば細かい話でございますけれども、いわゆる八〇年代はいろいろな変化の時代だということになっておりまして、いままでの行き方についてひとつ反省しなければならぬということもございますけれども、また新しい観点といいますか、地域の時代とも言われるわけで、いろいろな要望についていままではなかった発想といいますか、忘れてこられた発想というか、そういったものがまた見直されてくるということも多々あろうかと思うわけでございます。  そこで錦糸町の駅の北口の再開発、これは進捗状況も見ているわけですけれども、これはどのように進めていきたいと思っていらっしゃるのか。
  450. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 錦糸町の北口でございますが、これはそれまで貨物の扱いをしていた場所でございます。昭和四十三年に貨物の取り扱いが廃止になりまして、以後業務上にいろいろ使ったりいたしたわけでございますけれども、土地の利用法としてさらに高度に活用していただきたい、地域の方のお役に立てる、あるいは乗降されるお客さんのお役に立つということと同時に、国鉄も関連事業収入を上げたいということもありましていろいろ検討したわけでございます。それで現在は五十三年から暫定的に一部駐車場とかあるいは中古車の販売場であるとかあるいはモデルハウスといいますか、住居展示場であるとか、一部物品の販売をするというような場所をつくりまして、いま暫定的にこれを利用しているわけでございます。これは五十三年以来こういう形に使っております。これによって、いま国鉄としてはいろいろ関連事業収入を上げているわけでありますが、実はこういった暫定利用を始めだというのは、この開発を計画いたしました段階で東京都あるいは区と御相談申し上げたわけでありますが、御承知のように、あの地域につきましては東京都、区といたしましても、いろいろな御計画といいますか、国鉄が開発するについてはいろいろ御要望もあったわけでございます。したがいまして、私どもとしてこの計画をまとめ上げるには相当時間がかかるという判断をいたしまして、先ほど申し上げましたような暫定利用に踏み切ったという経緯でございます。以後東京都、区を入れまして、私どもが出まして連絡協議会というものを五十二年以来発足させておりますけれども、これにつきまして昨年も何回か打ち合わせ会議を開きまして、今後の開発について東京都、墨田区と意見の交換をしているという状況でございます。
  451. 有島重武

    有島分科員 すぐお隣の亀戸からでございますけれども、東武線を伸ばして日光の方に真っすぐに直通にしたい、こういうような要望があるわけなんです。これは、私鉄の問題でございますけれども、可能なのかどうか。
  452. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 現在、東武亀戸線につきましては各駅停車の二両連結の車両運転をしておるのが限度でございます。ここに優等列車を運転しようといたしますとこれは施設の大改良、また相当な投資額になりますので、現段階では東武鉄道もそうした計画を持っていないというふうに聞いております。
  453. 有島重武

    有島分科員 計画というよりも、それは相当不可能であろうということに近いということなんですか、それともお金をかければ可能だ、そういうようなことですか。
  454. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 いままで聞いているところでは相当不可能に近い、こういうふうに承知しております。
  455. 有島重武

    有島分科員 いま話しております錦糸町、亀戸なんかは、乗り降りの量というものは相当多いかと思いますけれども、それにも増して通過量が非常に多いんじゃないかと思うのですけれども、これはどのくらいの数字になっておるのでしょうか。
  456. 橋元雅司

    ○橋元説明員 細かい数字はちょっと手元にございませんが、錦糸町の駅で見ますと乗降のお客さんの数はたしか十二万人でございます。それから通過人員、これは平井と亀戸の間でございますが、約四十万人のお客さんがお乗りいただいております。
  457. 有島重武

    有島分科員 駅ビルを設けていくための条件といいますか、また線路の地下に工事をするための条件といいますか、ある場合には今度は線路の上空を使うための条件。たとえば、錦糸町、亀戸両方駅ビルがあるわけでございますけれども、これをずっと拡大していって大きくしていけば、双方の駅ビルを伸ばしていって、それでそこにプロムナードをつけてしまうというようなことも考えられるわけです。これは日暮里と西日暮里みたいな非常に短い距離のところ、そういうようなところには将来考えられてくるんだろうと思いますけれども、こういうことをやってみる上でどういう点がむずかしいのか、それをあらかじめ教えていただきたい。  もう時間がありませんからもう一つ言っておきますけれども、今度はモノレールの問題なんです。  隅田川や荒川に沿ってモノレールを設置してもらいたいという要望がかなり昔から潜在的にあるわけなんです。川沿いにモノレールを設置するためにはどういった条件が必要なのか。モノレールにつきましては、地方鉄道法だとかあるいは都市モノレールの整備の促進に関する法律なんかがあるわけでございますけれども、物理的というか、技術的にどうしても不可能なようなことがあるかどうか、この点を教えていただきたい。
  458. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 まず線路上空の利用についてお答え申し上げたいと思いますが、私ども、錦糸町もそうでありますが、用地の有効利用、活用ということにいま一生懸命に取り組んでおるわけであります。線路の上があいているではないかという御意見はずいぶんいろいろお伺いするわけでございます。それで、現在線路の上を有効に使っているところがございます。これは大部分が駅部分でございまして、駅の上にショッピングビルその他をつくるというケースはいままでもあるわけでございます。ただし、いま先生御質問のありました駅と駅との中間の線路の上にずっとふたをかけていくということにつきましては、これもいろいろ検討したわけでございますけれども、いろいろ検討しなければいけないむずかしい条件がございます。それを個条的に申し上げますと、一つには、駅部分だけというスポットですといいんですけれども、線路の上全体にわたってふたをするということになりますと、将来その線が持っております輸送機能がどう変化していくか、そういったようなものをよほど見定めてつくりませんと、関連事業をしたために本来あるべき輸送の機能が制約を受けるということになってはいけないのではないかという点が一点ございます。それからもう一つ、いろいろ災害とか事故とかいうことを将来に向かって想定しなければいけないわけでございますけれども、そういったような場合に、線路の上に何らかの構造物がある、またそこにいろいろ権利があるということになりますと、この復旧体制というものもなかなかむずかしくなるという点がございます。それからもう一つ大きな問題は、毎日列車や電車が運転されている線路の上で工事をするわけでございますから、それが安全にできるかということと、またそのために、普通の空き地といいますか、地面につくります工事に比べますと大変に高い工事費がかかるわけでございます。したがいまして、そういった多額な工事費を入れてなおかつ採算に合うかどうかということが、これもまたこの上を使うという立場に立ちますと当然考えなければいけない条件でございます。  ただいま申し上げましたような条件を考慮いたしまして検討いたしますと、いまの段階で駅中間部分の線路の上を全面的にふたをするというのは非常に問題があるというふうに感じているわけでございます。したがいまして、今後も使えるところにつきましては極力開発していきたいと考えておりますが、やはり駅付近というものがまず出てくるのではないだろうかと考えておる次第であります。  なお、このことにつきましては、私どもの方でこの活用等について部外者の学識経験者等の御意見を聞くという懇談会を設けていたわけでございますけれども、その会議にいろいろ御意見をお諮りしました段階でも、線路上空の利用については相当慎重に考えるべきだという御意見も出されている状況でございます。したがいまして、いま申し上げましたような諸条件を考慮しながら、開発できる適地についてはやっていきたいということでございます。
  459. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お尋ねの隅田川沿いのモノレール計画ということでございますが、申しわけございませんが、こうした計画についてはどうもまだ私どもの耳に入っておりません。何かそうした計画が具体化したならば検討をしたいと思いますが、それらの計画上の隘路ということにつきましても仮定の上のことでございますのでちょっとお答えができませんが、一般的な問題といたしましては、何と言いましても技術的な安全性の問題、それから経営上の収支の採算がとれるかどうかというような問題、それらを通じましてだれが建設し、経営していくのかというような経営、建設主体の問題、こういうような諸点を考慮していく必要があるのではないかというふうに思う次第でございます。
  460. 有島重武

    有島分科員 もう時間だからやめますけれども、大臣、これから二十年くらいの間に相当いろいろな変化が文化の面でもあるいは人口の態様の面でも起こってくるであろうことは言われておるようでございますけれども、いろいろな要望についてひとつ前向きにさらに検討を進めていただきたい。お願いをするところです。一言。
  461. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 確かに時代はもう刻々と変わります。それに適応するようにやっていかなければなりませんし、また都市交通にわれわれも重点的な資金配分をして、国鉄にいたしましても都市交通において体力を回復したいということも念願としておりますから、今後その重点的な投資を続けたいと思っております。また民鉄におきましても、やはり省エネルギーの傾向から見まして、これからの高速鉄道利用というものはふえると思いますので、積極的な投資を促進させていきたいと思っております。
  462. 岡田利春

    岡田(利)主査代理 以上で有島重武君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十八日午前九時三十分から開会し、引き続き運輸省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十二分散会