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上田(卓)
分科員 件数の問題は、確かに年によって違うということですから、必ずしもふえもしてないし減りもしてないということにもなるのじゃないかというように思いますが、いずれにしても、こういうゆゆしき問題が、こういう法律が存続している中においてさえ、なおかつ続発している。件数は減っていない。
いわんや、私は手元に、ここ二、三年の全国的な、本当に悪質な差別事件二百二十二の事例を紹介した冊子を持っておるわけでございますが、先般も
長官にお会いさせていただいたのですが、大阪の淡路中学の、日ノ出の地区住民を消せとか、あるいは旭区生江町の、本当に聞くにたえない、部落民は消せとかウジ虫
どもとか、そういう悪質な、この解放運動の歴史の中で、水平運動が起こって来年でちょうど六十年になるのですけれ
ども、過去の歴史の中にもなかったような悪質な、ヒットラーまがいのユダヤ人を地球上から抹殺せよと言うたような、あれに近いものが出てきているということは本当に理解しがたい。措置法がいまや切れようとしている。あるいは片や解放運動というのですか、各界が非常に関心を持って、大きな部落問題を
解決せよという動きがある。世界的な動きもある。そういう状況の中で、あるいは大都市部落と言われるところは国の施策によって、ある程度環境改善がなされてきている。にもかかわらず、そういうものが出てきているということは、日本共産党の差別キャンペーン、赤旗とか民主新報によるところの、そういう影響というものが少なからずあると私は思っているので、そういう
国民のおくれた意識を増幅さしているという意味では非常に犯罪的だと私は
考えておるわけであります。
同時に、少なくとも地方自治体で同和対策事業をされておるわけでありますが、この現在の同和対策の国の法律は、全体の同和対策事業の半分くらいしか補助対象にしていない。あとは地方自治体の超過
負担になっている。五十四年度末現在で、自治省調べでございますが、約四千七百億円ほどの同和の債務が残高として残っている。この元利償還だけでも大変だ、こういうような状況があるわけでございますし、とりわけ、こういうふうに景気が悪くなってくると、同和だけがいい目に遭っているのではないか、同和取り過ぎ論という形で出てきておるのは、もう
一つの側面から見るならば、やはり特別措置法が定める法律が、地方自治体のやっている同和対策に対して十分な援助をしていないというところに大きな問題が
一つありはしないだろうか、こう私は思っているのです。いわゆる地方自治体が大きな
負担を強いられている。だから市町村においては、この措置法の延長だけではなしに、法の抜本的な
改正をしてもらいたいという要求があるのが
一つでございます。
それからもう
一つは、地名総鑑に見られるように、一流の大
企業が、その労務
政策として、あるいは就職の門戸を同和地区から排除する
目的で購入している、あるいはそういう差別図書を商売にして
企業に売りつける、こういう特に悪質な差別に対しては何らかの法的規制が必要ではないか。確かに
一般国民の無知からくる、理解のなさからくるそういうものについては、啓蒙とか教育とか人権思想の啓発というふうな形で、それはそういう分野で私はいいと思うのですけれ
ども、特に犯罪的な、そういう意識的なものに対しては法的規制が必要だ、それがあの三つの附帯
決議ではなかったかというふうに私は思うのですが、
長官、どのようにお
考えでしょうか。