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1981-02-27 第94回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十六年二月二十三日(月曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       池田 行彦君    宇野 宗佑君       小渕 恵三君    小山 長規君       橋本龍太郎君    三原 朝雄君       石橋 政嗣君    大出  俊君       横路 孝弘君    鈴切 康雄君       東中 光雄君 二月二十六日  橋本龍太郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年二月二十七日(金曜日)     午前九時三十五分開議  出席分科員    主査 橋本龍太郎君       池田 行彦君    小渕 恵三君       小山 長規君    三原 朝雄君       五十嵐広三君    石橋 政嗣君       大出  俊君    城地 豊司君       関  晴正君    高沢 寅男君       山口 鶴男君    山花 貞夫君       山本 政弘君    横路 孝弘君       草野  威君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    浦井  洋君       栗田  翠君    東中 光雄君       山原健二郎君    兼務 野坂 浩賢君 兼務 和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中山 太郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   安孫子藤吉君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房会計課長兼内         閣参事官    鴨澤 康夫君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         内閣総理大臣官         房管理室長   関  通彰君         警察庁長官官房         会計課長    城内 康光君         警察庁交通局長 池田 速雄君         宮内庁次長   山本  悟君         行政管理庁長官         官房会計課長  品川 卯一君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       佐々木晴夫君         北海道開発庁予         算課長     谷川 英夫君         科学技術庁長官         官房長     下邨 昭三君         科学技術庁長官         官房会計課長  永井 和夫君         科学技術庁計画         局長      園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君         沖繩開発庁総務         局会計課長   宮島  茂君         大蔵政務次官  保岡 興治君         大蔵省主計局次         長       矢崎 新二君  分科員外出席者         衆議院事務総長 荒尾 正浩君         参議院事務総長 前川  清君         参議院事務次長 指宿 清秀君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   西村 健一君         裁判官訴追委員         会事務局長   青山  達君         国立国会図書館         長       岸田  實君         国立国会図書館         副館長     陶山 国見君         内閣官房首席内         閣参事官    加藤 陸美君         内閣官房内閣参         事官      栗林 貞一君         人事院事務総局         管理局会計課長 笹川 辰雄君         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      植木 邦之君         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         防衛庁防衛局防         衛課長     澤田 和彦君         防衛庁防衛局調         査第二課長   三井 康有君         防衛庁衛生局衛         生課長     金森 仁作君         防衛庁経理局会         計課長     入江 敏行君         防衛施設庁総務         部会計課長   平   晃君         経済企画庁総合         計画局電源開発         官       向 準一郎君         環境庁長官官房         総務課長    鈴木玄八郎君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     井上 良藏君         外務省北米局安         全保障課長   丹波  実君         大蔵省主計局主         計官      千野 忠男君         大蔵省主計局主         計官      篠沢 恭助君         文部省社会教育         局社会教育課長 五十嵐耕一君         厚生省環境衛生         局指導課長   田中 治彦君         厚生省児童家庭         局企画課長   北郷 勲夫君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  戸倉  修君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     逢坂 国一君         運輸省自動車局         整備部車両課長 清水 達夫君         運輸省自動車局         整備部保安課長 神戸  勉君         労働省職業安定         局雇用政策課長 野見山眞之君         建設大臣官房文         書課長     吉沢 奎介君         自治省行政局行         政課長     田中  暁君         自治省行政局選         挙部選挙課長  岩田  脩君         会計検査院事務         総長      松尾恭一郎君         最高裁判所事務         総長      矢口 洪一君     ―――――――――――――分科員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     山口 鶴男君   横路 孝弘君     野口 幸一君   鈴切 康雄君     鍛冶  清君   東中 光雄君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     横路 孝弘君   山口 鶴男君     山本 政弘君   鍛冶  清君     斎藤  実君   浦井  洋君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     高沢 寅男君   斎藤  実君     草野  威君   藤原ひろ子君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     山花 貞夫君   草野  威君     鳥居 一雄君   山原健二郎君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     五十嵐広三君   鳥居 一雄君     鈴切 康雄君   栗田  翠君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     城地 豊司君   岩佐 恵美君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     清水  勇君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     石橋 政嗣君 同日  第三分科員野坂浩賢君及び第四分科員和田一仁  君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計予算  昭和五十六年度特別会計予算  昭和五十六年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所会計検査院及び総理  府所管経済企画庁国土庁を除く)〕      ――――◇―――――
  2. 橋本龍太郎

    橋本主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府及び法務省並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁及び国土庁を除く所管について、審査を行うこととなっております。  国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を求めます。荒尾衆議院事務総長
  3. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 昭和五十六年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十六年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、三百八十六億四千五百四十八万円でありまして、これを前年度予算額三百八十億七千六百八十四万五千円に比較いたしますと、五億六千八百六十三万五千円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百六十一億八千七百三十六万円を計上いたしております。この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十億九千二百六十一万七千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、永年在職表彰議員特別交通費月額二十万円を二十五万円に増額するとともに、国会活動啓発に要する経費を新たに計上したほか、議員外国調査に必要な経費を含む国政調査活動費増額及び光熱水料等増加によるものでございます。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、二十四億五千百十二万円を計上いたしております。このうち主なものは、五十七年夏完成目途として建築中の高輪議員宿舎第二期工事新営費十二億二千九百三十四万六千円のほか、副議長公邸新営費三億二千九百五十万三千円及び第二議員会館議員室ファンコイルユニット更新一億四千二百八十八万円等であります。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億五千万円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 橋本龍太郎

  5. 前川清

    前川参議院事務総長 昭和五十六年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十六年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、二百二十一億五百五十七万六千円でありまして、これを前年度予算額二百十億三千五十四万七千円に比較いたしますと十億七千五百二万九千円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百十億七千五百二十四万二千円を計上いたしております。この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し、四億八千二百七十八万七千円の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、永年在職表彰議員特別交通費月額二十万円を二十五万円に増額するとともに、国会活動啓発に要する経費を新たに計上したほか、議員外国調査に必要な経費を含む国政調査活動費増額及び光熱水料等増加によるものでございます。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十億二千五百三十三万四千円を計上いたしております。  このうち主なものは、昭和五十八年度初頭に完成目途とする麹町議員宿舎改築第一期工事及び本館その他庁舎等設備改修でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 橋本龍太郎

  7. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 昭和五十六年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明を申し上げます。  昭和五十六年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は、九十億二百二十七万円でございまして、これを前年度予算額七十三億八千四百九十三万三千円と比較いたしますと、十六億一千七百三十三万七千円の増加となっております。  次に、その概要を御説明申し上げますと、第一は、国立国会図書館管理運営に必要な経費といたしまして、七十一億四百六十二万八千円を計上いたしております。  これは、前年度予算額に比較いたしますと、四億四千八百六十五万八千円の増加となっております。  増加したものの主なものを申し上げますと、職員給与に関する経費図書館資料購入に要する経費立法調査業務充実のための経費図書館業務機械化に要する経費視覚障害者に対する図書館サービスのための経費その他でございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費といたしまして、五億三万三千円を計上いたしております。  第三は、国立国会図書館施設整備に必要な経費といたしまして、十三億九千七百六十万九千円を計上いたしております。  これは、別館の新営に必要な経費等であります。  以上簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算概略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 橋本龍太郎

  9. 西村健一

    西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十六年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は、七千二百九万一千円でありまして、これを前年度予算額六千八百五十六万二千円に比較いたしますと、三百五十二万九千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費増加によるものでございます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 橋本龍太郎

  11. 青山達

    青山裁判官訴追委員会参事 昭和五十六年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和主十六年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は、八千二百十五万円でありまして、これを前年度予算額七千九百七十九万四千円に比較いたしますと、二百三十五万六千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 橋本龍太郎

    橋本主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 衆議院事務総長参議院事務総長にお尋ねいたします。  五十六年度衆議院関係予算五億六千八百六十三万円程度の増。増加率何%ですか。参議院も同様、予算伸び率は何%ですか。
  15. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  衆議院では、五十五年度当初予算と比較いたしますと、一・四九%の伸び率でございます。
  16. 前川清

    前川参議院事務総長 参議院におきましては、前年度に比較いたしまして五・一%の伸び率でございます。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 衆参両院を足しまして伸び率を平均しても三%程度伸びですね。衆議院の場合は一・四九%、非常に少ないわけでありまして、一般会計伸び率九・九%と言っていますが、一般歳出伸びは四・三%ですから、それから見れば国会予算伸び率は大変少ないということになるかと思います。  私は、かねがね思っているのですが、国会は少なくとも国権最高機関一般歳出伸び率より国会伸び率が少ないということは、行政府に対して国権最高機関たる立法府の地位が、予算の面で見る限り年々低下しているということになると思うんですね。私は、こういうことは大変好ましくない、かように思うのですが、両院事務総長、御感想はありますか。(発言する者あり)
  18. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまの御指摘の点でございますが、われわれも予算増加につきましては努力いたしておりますが、その年度年度によりましていろいろ特殊事情もありますし、また施設費関係等いろいろの事情もございますので、一概には申し上げられないと思います。
  19. 前川清

    前川参議院事務総長 大体衆議院と同様なことでございますが、たとえば、参議院において、施設費等のその年の状況によって伸び率等大分差が出てくるわけでございまして、それによって大きく動かされるという実態でございます。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 議運の怠慢ではないか、こういう後ろからの声がありまして、私自身も率直に反省をいたしているところでございますが、問題は、この財政法規定でも、国会予算国立国会図書館も同様ですけれども、他の省庁とは別な規定の仕方があるわけですね。そこに大蔵省もおられるわけですが、他の省庁に対して大蔵省予算査定するということは、これは権限に基づいて当然の行為でございますが、国会予算国立国会図書館予算については別な規定になっているわけですから、これはもう大蔵省が勝手に査定をするなどということは大変おこがましいことではないかと思うのです。  そこで、大蔵省政務次官出席でありますが、従来とも国会予算国会要求したものはそのまま認める、こういった慣例が定着をしていると思うのです。今後ともその方針を堅持なされるおつもりかどうか、そしてまた、先ほどの数字で見られますとおり、私たちも財政再建の途上であるということを十分自覚をいたしまして、きわめてつつましやかな予算要求を提出をした。したがって伸び率も大変低い。先ほど申し上げたように、行政府に比べて国権最高機関たる国会地位が低下する、そういったような遺憾な状態も出ているということは、よく大蔵省も御認識をしておられるだろうと思うのです。今後、国会予算につきましては、国会要求どおりそのまま認めるということはお変わりございませんね。お答えをいただきます。
  21. 保岡興治

    保岡政府委員 お答えいたします。  五十六年度予算編成では、財政事情等を御理解いただいて、御要求その他協議、御協力を賜りまして、大変感謝をいたしております。  いま先生指摘国会国権最高機関である、憲法に規定のあるとおりで、その点十分尊重して、念頭に置いていろいろ協議をさせていただいているつもりでございます。例年、御要求があったものについては詳細にその内容を承って、十分協議を重ねさせていただきまして、御理解をいただいて。そして国会側の御了解をいただいて予算編成をいたしております。そういう意味では、今後もそのようないままでの慣例に従ってやってまいりたいと考えております。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 わかりました。  そこで、私はかねがね考えていることなんですが、わが国国会の機構というもの、スタッフというものが他の国会に比べて果たして十分であるかどうか、大変に疑問に思う点も多いわけです。きょう、野党の各党は多分政府に対してあるいは自由民主党に対し予算修正要求する手はずになろうと思います。かつて、過去数年間予算修正国会の大きな問題になりました。ところが、問題になりますのは、予算修正案をつくります場合に、どうも国会予算調査室なりの力をもってしては、予算修正案をつくるのが非常にむずかしい。そこでやむなく予算形式修正をいたします場合には、大蔵省の手をかりると言ってはなんですが、そういう形で、実質的には、国会修正を提案して国会修正をするというのではなくて、政府が改めて修正提案をしてそれを詠める、こういうような手続になっているわけであります。これはひとえに、国会自体修正案をつくるということがスタッフの面からいって不可能だ、こういった状態の中で起きた変則的な一つのあらわれてはないだろうか、私はこう思っているのです。  そのほか、アメリカの国会では、たとえばチャーチ委員会等、問題がありますと委員会を設置をする。そういう委員会に対しまして、委員会の新たな調査活動が必要だということになれば、わが国議運に相当するところで相談をいたしまして、それでは当該委員会にはこれだけの調査費をつけましょうということで、スタッフも新たに採用して、そうして審議活動を活発に行うという形にもなっているわけです。  ところが、わが国の場合はそういうわけにはいかないわけでございまして、問題が起きたから、それではたくさんの予算をつけて、その調査のためのスタッフを雇うというようなことは全く不可能な仕組みになっている。こういうこともやはり問題ではないだろうかと私は思うのです。このような点については、当然一遍にというわけにはいかぬと私は思いますが、今後とも十分に相談をしながら、国権最高機関としての国会が有効に機能できるような予算状態仕組みというものをつくっていく必要があるのではないだろうか、私はかように思います。  時間もありませんから、細かいお答えは結構ですが、そういう趣旨はいいことなのか悪いことなのか、賛成であるのか反対なのか、また財政当局としては、そういう仕組みを考えていくことについて国会の御要求があれば、そのまま結構でありますから認めますということだろうと思うのですが、念のためにお答えをいただいておきたいと思います。
  23. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  ただいま山口先生いろいろ御指摘のありました点、同感でございまして、私どもとすれば、いろいろの財政事情もございまして、一挙にということはなかなか実現困難だろうと思いますが、国会調査活動機能充実のために今後とも一段と努力を続けていきたい、こう思っております。
  24. 矢崎新二

    矢崎(新)政府委員 お答え申し上げます。  国会調査機能の拡充、充実という問題は、国会国権最高機関としての役割りをお果たしいただく上で非常に重要な問題であるという認識を私どもも持っておるわけでございます。この点につきましては、毎年度予算編成の段階におきまして、国会の御要望を十分承りながら協議をさせていただきまして、拡充、充実に努めてまいったわけでございますけれども、五十六年度予算につきましても、調査経費増額であるとかあるいは調査スタッフ充実といった面で、できる限りの努力をさせていただいたと思っておるわけでございます。今後とも十分に協議をさせていただきまして、御理解を得ながら適切な措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 西垣さん、五十六年度は私どもは遠慮したわけですから、そういう意味ではさっぱり前進してないのですよ。そういう間違った認識を持ってもらっては困るだろうと私は思うのです。
  26. 橋本龍太郎

    橋本主査 西垣君ではありません。矢崎君です。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 間違いました。矢崎さん、名前を間違えて失礼しましたが、お答えの方は矢崎さんは間違っておるわけですから、その点は十分御認識をいただきたいと思います。  そこで、ことしは議会制度創設九十周年でございます。財政状況もございましてきわめてささやかな記念行事を行ったわけですが、あと十年たちますと百周年ということになるわけです。わが国の議会制度創設百周年、当然意義ある年でもあるわけでございまして、それにふさわしい行事というものを私たちは考えていく必要があるだろうと思います。  そこで、いろいろなことが考えられると思うのですが、過般も福田衆議院議長さんともいろいろお話し合いをいたしたわけでございますが、かつて衆議院議長をされました保利先生が提唱したのですが、この際国会が国際会議場を持ったらどうかということであります。大変結構ではないかということで、各党とも保利議長の当時の御提唱に賛意を表しまして、そして国会議運の中にも国際会議場小委員会を設置をいたしまして、不肖私がいまその小委員長をいたしておりますが、しかし、財政難でもございますので、昨年度調査費三百万、本年度調査費三百万程度ということで前進はいたしておりません。  しかし、過般、京都の国際会館をこの国際会議場小委員会調査に参りました。経過を承りますと、ひとつ国際会議場をつくったらどうかという提唱が昭和三十二年になされまして、その間いろいろな経過はございましたが、京都にこれを設置しようということで三十七年十一月に起工式を行いまして、第一期工事完成昭和四十一年三月二十日ということになっているようであります。国際会議場をつくろうという提唱がなされましてから九年間で一応完成を見ているということであります。第二期工事に着手いたしまして、これが完成いたしましたのは昭和四十八年のようでございまして、これは少しその後またかかっているわけでございますが、ともあれ九年間であの京都の国際会館というものができた。  私は、そういった経過を考えますと、わが国の財政状況、いまは大変困難であるということはお互い承知をいたしておりますが、議会制度百周年の今後十年の後においては、国際会議場をりっぱに完成して、そして議会制度創設百周年記念式典をこの国際会議場において開くということも十分実現可能な計画ではないだろうか、かように考えておる次第であります。特に京都の国際会館へ参りましてお話を聞きましたら、一体国際会議がそこで年間どのくらい開かれておるかと言いましたら、せいぜい二、三十回程度だというのですね。そうして、どういう会議がといいますと、主として学会の会合だ、外交の機密を要するような国際会議というのはどうも京都では無理だ。なぜかと言いますと、在外公館は皆東京に集中しているわけでございまして、機密を要するような国際会議ということになりますと、どうしても暗号電報その他で本国と連絡をとらなければいかぬ、そういったような会合は京都では全く不可能だ、こう言うのです。これからわが国の国際的な地位もますます重要性を増してくるだろうと思います。そうなりますと東京において国際会議が開会されるということも将来はふえてくることは当然だ、かように思います。  そういうことから、私はやはり東京に、しかも国会の施設として国会の近くに国際会議場を持つということの意義は、保利先生ではございませんが、まさに重要な課題ではないだろうか、かように考えております。このようなことについてやはり事務当局の理解と協力がなければならぬわけでございまして、国会としてこういうものをつくろうというときには、衆参それぞれ御相談をいたしまして、衆参両院事務総長の御協力がなければ実現するものではございません。したがって、いまのような考え方に対して、衆参両院事務総長さんからひとつこのお考え方というものをこの際お示しをいただきたいと存じます。
  28. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  国際会議場の建設につきましては、ただいまお話しのとおり、保利先生が議長のときに提案された経緯もありまして、当時の衆参両院議運委員会の関係者でも検討されたことでございますが、ただいまお話しのように、衆議院では議院運営委員会に国際会議場建設小委員会が設置されておりまして、御検討願っておるところでございますが、私どもといたしましては、この国際会議場が建設されることは大変望ましいことだ、こういうふうに思っておりまして、今後も十分先生方と御相談申し上げて、検討していきたい、こう思っております。  ただいまの御指摘の議会開設百年の件につきまして十分考慮していきたい、こう思っております。  なお、ただいまお話にもありましたが、本件に関しましてはもちろん参議院側ともよく協議いたして進めてまいりたい、こう思っております。
  29. 前川清

    前川参議院事務総長 ただいま衆議院総長から申されたと大体同感でございますが、参議院におきましても、すでに議院運営委員会におきましてかつてこの問題につきまして何回も協議された実績がございます。したがいまして、今後将来に向かって御協議されると存じますが、先生の御趣旨のほどを議院運営委員会の方にもお伝えしたいと思います。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 京都の国際会議場が建設された時期は衆議院の第一議員会館、第二議員会館を建設した時期とちょうど合うわけでございまして、坪数もほぼ同様であります。議員会館が、第一議員会館が九億、第二議員会館が十二億程度かかったと承っておりますが、当時この京都の国際会館は三十数億の経費を要したそうです。打ってみますと、確かに、経済の高度成長期におつくりになった建物だけありまして、大変ぜいたくな面もあるだろうと思いましたが、私は国会が持つ国際会議場はもっと機能的な建物でいいだろうと思います。行ってみますと、確かにエネルギー消費型でありまして、ああいうのはいまはどうか、こう思いますが、この国会が持ちます国際会議場はエネルギー節約型で、もっと機能的な、しかも国際会議を行うにふさわしいような、しかもまだ、これから議員外交も活発になるわけでございますから、外国の国会議員の方々等お見えになった場合に、いま衆議院議長公邸とか参議院議長公邸でパーティーを開いておりますけれども、あれではいかにも私はいかがかなという感じがしないでもございませんので、そういったものを行うにふさわしいような機能的な建物ということになれば、そんなに多額の経費を要するものではないだろうと私は思います。もちろん物価は上がっておりますから相当な経費はかかると思いますが、私はそういう意味では、この議会創設百年の記念行事の一つの目玉として、今後十年間に財政の状況を見ながらこれをつくっていくということは決して無理な計画ではない、かように思います。財政当局のお考えを聞いておきましょう。
  31. 矢崎新二

    矢崎(新)政府委員 お答え申し上げます。  国際会議場の建設問題につきましては、御指摘のように調査費を計上してきておるわけでございますけれども、基礎的調査がいま行われておりますが、施設の規模、内容、運営等の基本問題につきましてなお慎重な検討を要するために、五十六年度も三百万程度調査費を計上しておるわけでございます。  御指摘の点は、六十五年までに国会に国際会議場を建設してはどうか、こういう御趣旨かと存じますけれども、この問題につきましては、衆議院におきましては国際会議場建設小委員会参議院におきましては庶務小委員会におきましてそれぞれ御検討いただいていると承知しておるわけでございまして、こういった小委員会の検討状況に十分配慮いたしながら協議を重ねて、慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 先ほど国会要求した予算は認める、こういう基本的な原則をお答えいただいておりますので、そのことを確認しながら、衆参両院十分協議をいたしましてこの問題については取り組んでまいりたいと思っておりますので、財政当局もそのつもりでひとつ対処いただくことをお願いをいたしておきます。  次に、話題は変わりまして、国立国会図書館の問題についてお尋ねをしたいと思います。  法律でも規定しておりますように、全国の公立図書館のいわば中心としての重要な任務を持っている国立国会図書館であります。したがって、私ども議員も図書議員連盟をつくりまして、前尾元議長さんに会長にもなっていただきまして、議員みずからがやはり図書館への関心を高めると同時に、国立国会図書館の問題につきましてもある程度協力といいますか、お手伝いをさせていただいてまいりました。そういう意味で、私たちもこの国会図書館の問題については大きな関心を寄せているわけであります。資料の購入費、図書館業務機械化等々の問題についてもいろいろと注文をいたしてまいりました。  ところで、五十六年度から別館の建設工事が始まっているわけでございますが、これを五十九年度には完成をするということで取り組んでいると思うのですが、館長としての決意をお伺いいたしたいし、また財政当局としても、当然国会図書館、財政法規定国会と全く同じなんですから、衆参両院で要請した場合はこれにこたえて予算を計上するというのが当然の責務であるはずでありまして、この点、別館の完成についても当然大蔵省としては前向きの対処をされると思うのですが、あわせてひとつ財政当局お答えも聞いておきましょう。
  33. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 別館建設関係の経費といたしまして、五十六年度予算で十三億七千八十万三千円を計上いたしました。その内訳を申し上げますと、実施設計外注費、敷地内の建物の解体撤去費、別館の建物の周囲に設ける連続地中壁工事費でございます。これによりまして五十六年度に別館建設工事がいよいよ開始できることになりました。これはひとえに議院運営委員会の諸先生、図書議連の諸先生の御支援、またこの財政事情のもと、大蔵当局の御理解によるものと心から感謝いたしております。  私は、この別館を、予定どおり五十九年度をめどにいたしまして完成させていただきたいと存じます。と申しますのは、もうすでに書庫が満杯に近く、いろいろやりくり算段を五十六年度からやらなければならないという状態でございますので、五十九年度完成できないということになりますと、これは業務上大変なことになるという状況でございますので、この点をぜひひとつ実現していただきたい、これが私の目下の念願でございます。  なお、この別館が建設されましたことを機といたしまして、従来からの懸案であるもろもろの当館の事業を充実させまして、いよいよ当館としての使命を十分に果たせるようにしていかなければならない、この点につきましても格段に各方面の御理解とお力添えを得たいと存じております。
  34. 矢崎新二

    矢崎(新)政府委員 国立国会図書館の別館の建設につきましては、五十六年度予算では、連続地中壁の設置工事を中心といたしまして、約十三億七千万円を計上するということになっておりまして、いよいよ本工事に着手ということになるわけでございます。  今後のスケジュールにつきましては、大蔵省といたしましても、極力国会の御要望の線に沿うべく、財政事情等を考慮しつつ、最善の努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私どもとしては、図書議員連盟としても、またせっかく五十九年度完成目途工事を進めているわけでございますから、五十九年度完成を目指して私ども国会としても御協力したいと思っておりますので、そうした場合は、先ほどのお答えどおり大蔵省としても当然これにこたえてやっていただく、そういうものであるということをこの際確認をしているということを申し上げておきましょう。  そこで、その国会図書館の予算を見ますと、何といいましても図書の購入経費というものが一番重要であると思います。それからまた、国際的に世界各国の国会図書館等との交流というものも近年非常に活発になっているようです。中国との交流というものも非常に活発化しているというお話を承っておるわけでございます。そうなりますと、図書購入を中心とする庁費あるいは旅費というものが、これから国会図書館の機能を充実させるためにも、活動を活発化するためにもどうしても重要だと思うのです。この点いかがですか。また大蔵省も、やはりそういう点は十分認識をされて予算の査定には当然当たっていただかなければならぬことだ、こう思います。この点について館長さんと財政当局お答えをあわせて承っておきましょう。
  36. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 先生の仰せのとおり、わが館の使命を達成いたしますのには、出版費であるとか製本費であるとか旅費であるとか、いわゆる一般に申しますところの庁費的な費目で占められておるわけでございます。しかし、わが館の予算は各費目が相互に有機的な関連を持っておらなければなりませんし、図書館の事業の振興という一つの目的に、それが調和のとれたものでなければならぬということでございます。  今日、わが館の業務は、漸次改善はされてきましたものの、まだ現在、先進諸国の国立図書館に比べますとかなり立ちおくれを示しております。私は、国会に対する奉仕も、図書館界あるいは一般国民に対する奉仕も、遺憾ながら十分であるとは考えておりません。国際協調、文化国家を理念とし、科学技術を国策とするわが国におきまして、国立国会図書館または国の中央図書館である当館が現在のままでよいかということは、私は常々非常に憂慮の念を持って考えておるわけでございます。いろいろ先生もおっしゃいましたような懸案が山積しておるのでありまして、今後、わが館の予算につきまして、予算査定上、一般の庁費として取り扱うのではなく、国策上緊要な事業費であるという立場で特別の配慮を願い、当館の使命達成が可能であるようにしていただきたいということが常々私どもの抱いている念願でございます。
  37. 橋本龍太郎

    橋本主査 答弁はできるだけ簡潔に願います。
  38. 矢崎新二

    矢崎(新)政府委員 国立国会図書館の機能の充実のために必要な経費につきましては、図書館側と十分な協議を遂げさせていただきまして、できるだけの努力をしてきておるところでございまして、五十六年度につきましても、庁費については七億二千八百万、七・一%の増加というような措置が講ぜられているわけでございますけれども、今後とも十分御意見を承りながら、支障のないような措置を講ずるように努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間が来ましたので終わります。
  40. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  次に、山本政弘君。
  41. 山本政弘

    山本(政)分科員 きょうは婦人職員の問題、それから宿日直の軽減緩和の問題、それから速記者欠員の問題について、三点についてお伺いしたいと思うのですけれども、考えてみますと、きょうぼくはここに来るときに調べてみたのですが、もう十五回ぐらいこういう問題を毎年やっているわけですね。少しずつ前進をしているとは言えるかもわかりませんが、しかし、はかばかしい進展があったかというと、ぼくはそんなにないような感じがするわけです。  きょう第一番にお伺いしたいのは、総理府の統計局発表の労働力調査報告によりますと、五十五年の十二月現在の日本の雇用者数は、数字は申し上げませんけれども、その中で女性の雇用者が三分の一をもうすでに超えている、こういう実態がある。衆議院でも婦人職員が約三百二十人ほどおります。そして、その人たちが各部署で働いておる。ところが、婦人の労働条件につきましては依然としておくれた状態にある、こう言っていいんじゃないだろうかと思うわけです。  きょうはその中で、産前産後の休暇問題についてお伺いしたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、数年この問題については分科会でお伺いしているわけであります。昨年も山花分科員がお伺いしておりますが、昭和五十四年度分科会で当時の人事院総裁はこうおっしゃっているのです。「徐々に六週間というものを延ばしていこうというような傾向が顕著に出てまいっておることは事実でございます。」また「大体結論が出かかっておりますので、今後とも事務当局を中心にいたしまして、さらに精力的に作業を続けまして、できるだけ早く結論を得たい、」こうお答えになっておるのですね。そして、昨年の分科会でも金井さんが、「人事院といたしましては産前産後、特に産後問題につきましては重視しておりますので、できるだけ早い機会に実現できるよう努力をしたいと思っております。」こういうふうにおっしゃっておる。そして、これも昨年の質問にありますけれども、外国の実態を見ますと、かなり私のお願いしているような方向に、特に産後については八週間とかそれ以上の休暇を与えているような実態がある。そして五十三年九月発足の労働大臣の諮問機関であります労働基準法研究会の報告でも、産前産後、特に産後について八週間に延長することは早急に解決しなければならない問題である、こう言っているわけです。皆さん方も数年間、できるだけ早い機会に実現する、こうおっしゃっているのです。そして諸外国でもそういう例がある、労働省でもそういう研究会の報告があるんだけれども、一向に進展をしておらぬ。  率直に申し上げますけれども、いいかげんにこの問題についてきちんとした態度をお示しになることが必要だ、私はこう思うのですが、一向にそれが出てこない。この辺一体どうなっているのだろうか。この点についてのお考えをまずお伺いしたいのです。
  42. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 御指摘になりましたような諸般の情勢というものはわれわれも詳細に承知をいたしておりまして、その上で検討を続けてまいっておる次第でございます。  いま御指摘がございましたように、この問題については分科会等で大変御論議をいただきまして、これに対してわれわれの方も誠意を持って御答弁を申し上げてまいりました。ずっとごらんになりますとおわかりでありますように、なかなかむずかしい問題ではありますけれども、一歩二歩の前進というものは常に進めてまいったように私自身も考えておるわけでございます。  いまわれわれの方で、女子の問題だけでなくて、休暇全体の問題について根本的に検討いたしておるという問題が一つございます。  それからもう一点は、女子の労働条件をどうするかということについて、これは労働省及びわれわれの方でも関心を持っていろいろ検討を進めておりますことは事実でございます。  それと、その中で特に産後の休暇の延長の問題、これは最も重要な問題であるということは、われわれもそういうふうに承知をいたしておりまして、その姿勢で取り組んでまいっておる次第でございますが、これには民間の状況がどうなっておるかというようなことも無視はできません。御指摘になりました外国等の事情もございましょう。それと同時に、また地方公共団体の関係、その他公的機関の関係等の取り扱いがどうなっているかという問題も、これは無論考慮をしていかなければならぬことでございます。  そういう総合的な観点から調べてまいっておりまして、特に女性の母体保護というのはこれは大変重要なことで、重点を置いてまいらなければならぬということは重々承知をいたしておりますので、それこそできるだけ早い機会にということで、さらにもう少し――いままで同じようなことじゃないかということで御注意でございますので、私の気持ちをあえて申し上げますならば、さらに一歩前進をして、来年の分科会等ではこの問題はもう取り上げていただく必要のないような方向でひとつやっていったらどうかという決心を私自身はいたしております。それだけ申し上げておきます。いまのところ、まだ時期その他についてはっきり申し上げる段階ではございません。
  43. 山本政弘

    山本(政)分科員 母体の保護は大変必要なのでというので、非常に力が入っておるのですが、そして決心をされているのですが、もうここまで来て、いろいろな問題の各方面の意見というものが大体そういう方向になってきているということは、おっしゃるように事実だろうと私は思うのです。  それで、これは基準法の研究会の報告の一端ですけれども、「産褥期間が六週間から八週間とされていることを考慮し、産後の休業期間は原則として八週間とする方向で検討すべきである。」こういうことがありますので、そしていま総裁の話がございましたので、これはひとつ来年は――決心をしておられるということ、間違いございませんね。これだけひとつ、大変あれですが、確認をさしてもらいたいのです、決心をされておると言うんだから。
  44. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 諸般の情勢はそういうふうに推移をいたしておりますし、ただ若干気になっておりますのは、民間の普及状況がまだまだ低い、総体的に言ってまだまだ低いという点がございまして、われわれの措置というものはやはり国民の全般のまあまあの合意を得なければならないというような、そういう点も大事でございます。  そういう点を踏まえながら、私といたしましては、いま、さきに申し上げました決心をしておるということははっきりと申し上げます。
  45. 山本政弘

    山本(政)分科員 大変前向きな御答弁をいただいてありがとうございました。  ところで、婦人労働者の職場に置かれている現状を考えますと、相変わらず男女というのが分業的に行われているような感じがするわけです、事務総長。  これも私ども毎年お伺いしておるわけでありますけれども、女性がどうも補助的な仕事にしかついていない。昨年の御答弁では、課長補佐だとか係長だとかについているとおっしゃってはおりますけれども、考えてみますと、女性でも優秀な能力を持っている人、たくさんいらっしゃると思うんですよ。それを発揮する場所がない。たとえば能力を開発するための研修の場にさえ参加できないということは、これはどうもぼくは納得ができないんですよ。そして衆議院の場合もそういうことが例外でないと思いますが、どうでしょう。意欲を持った婦人職員に対して積極的に能力を開発するようなチャンスを与えて、そして責任のある仕事につかせるということが私はどうも必要だと思うのです。男女平等ということがいま言われているわけですからね。  その点についてまずどのようにお考えになっているのか、これを聞かしていただきたいと思うのです。
  46. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  もう当然のことでございまして、私どもとすれば、男女のそういう差は全然考えておりませんで、あらゆる機会を通じましてそういった能力の開発等、あるいは研修機関等がありましたら、そういったことに女性の参加も考慮していきたいと思っておりますし、また、適性のある優秀な方にはどんどん上位等級にも進んでいってもらいたいと、こう思っております。
  47. 山本政弘

    山本(政)分科員 私、なぜそんなことを申し上げますかというと、昇格とか昇任とかということも、男性に対して非常におくれているのではないかと思うのですね。特に三等級以上の上位等級への女性職員の昇格というのがおくれているということから実は申し上げているわけですが、ぜひそのことについて前向きにひとつお考えを願いたい、こう思います。  第二番目の問題は宿日直でありますけれども、いままで三日に一回とか五日に一回とかといった宿日直が、いまは大体七日あるいは八日に一回というサイクルになって、これは前向きに取り組んできていただいたようでありますけれども、それじゃ職員の不満が解消されているかというと、そうじゃないと思うんですね。  たとえば宿日直の勤務体系というものを見ますと、一回宿直をすると三十二時間三十分、つまり昼働いてそしてまた二十四時間働いて晩になってくるというようなことで、三十二時間三十分の拘束、つまりまる一日と八時間半という拘束というものは、私はやはり、世間一般の労働条件といいますか、労働時間といいますか、そういうものから考えてみるとやはり不正常ではないだろうか、こう思のです。したがって、そういうことを考えると、やはり人間の生活としてはこれはノーマルではないだろうというふうに私は思うのです。一般の方の行政官庁、これを見ますと、何と言うのですか、ガードマンと言うのですか、それを導入すること自体に問題があるかもしれませんけれども、ともかく一応そういう努力をして、そして減らしているということも事実です。  そこで、そういう場合に一体手当はどうなのかというと、これはもう五十一年以来全然変わってない。少なくとも物価は上昇しているのですよ。一回につき千六百円というのがずっと変わってないという事態が私はあるだろうと思うのです。やはりここにも改善をする余地があるだろう、こう思うのだけれども、むしろ問題は手当ではないんではないか。手当というよりか、要するにそういう生活のサイクルを狂わすようなあり方というものがいいんだろうか、どうだろうか、率直にぼくは申し上げたいと思いますけれども、これは議員協力をし、理解をしてもらわなければならぬと思うのです、国会議員だって。しかし同時に、事務当局だって発想の転換をやっていいんじゃないか、こう思うのですよ。  見ますと、宿舎にしたって会館にしたって公邸にしたってまちまちですよね。しかも十四カ所のところで一晩二十九名の宿直者がおって、対象者が二百五十六名なんです。二百五十六名という数字はどんな数字がというと、衆議院に働いていらっしゃる職員千八百人のうちの一割五分、この人たちが宿日直の対象になっている。しかもその宿日直の態様というものが、先ほど申し上げましたように、本来の勤務の延長ですよ。まさしく延長だと思うのです。たとえば、少しラフなかっこうをしてやったらどうなんですというようなことを言いたいわけです。実態は、宿舎に行ってみれば、あるいは会館でもそうでありますけれども、みんなきちんとネクタイをしてやっているということになるのですから、これはやはり大変な仕事だろう、こうぼくは思うのですけれども、どうでしょう。  夜間の労働あるいは長時間拘束という点で、いま申し上げたように、宿日直の勤務というのはきわめて不正常だ、こう私は思うのですが、職員の健康管理あるいは私的な生活といいますか、そういうものを確保するという面から、宿日直の勤務の緩和、軽減に努力すべきだと思うのです。これをもう三、四年私は連続して事務当局にお伺いをし、要請をしているわけですが、これもはかばかしくない。いま申し上げたように、事務当局が少し大胆な発想の転換をし、そして国会議員の皆さんにもひとつ理解、協力を願ってやっていくということが必要じゃないかと思うのです、新しく宿舎も今度はできるようですし。  それからもう一つ重ねて申し上げますけれども、宿舎ごとにそれが違っているという実態はどうもおかしいと思うのですね。そのことについてはやはり事務当局から、宿舎なら宿舎のそういう世話をする方が議員の中にいらっしゃるだろうと思うのですけれども、ぼくは率直に話をしながら皆さんたちの理解を得ていくことも必要だ、こう思うのですが、その点いかがでしょうか。
  48. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  全く御指摘の点ではわれわれとしても十分考慮していかなければならない点が多々あると思います。もともと、おっしゃるようにこの宿日直というのは非常に変則的な勤務状態でございますし、また、職員の健康等を考えますと、余り好ましい勤務体制ではございません。そういう点では、なるべくこういう宿日直をだんだん減らしていって、理想的に言うと、そういうことのない勤務形態が望ましいと思うのでございますけれども、本院におきましては、どうしても庁舎の管理あるいはその他、議員と直接関係する業務が多うございまして、どうしても直ちにこれを全部廃止してしまうというわけにはまいらないと思うのでございますが、御指摘の点はもう十分私ども承知いたしておりまして、次第にこれを減らしていく、そういう体制で臨んでおるわけでございます。勤務個所の縮小につきましても努力をいたします。  それから、各宿舎によって宿直の回数等が相当差があるという御指摘も、私どもの方ではできるだけ努力いたしまして、なるべくならば同じような回数に統一をとっていきたい、この点は、多少むずかしい点もあると思いますが、そういう努力はやっていきたい、こう思っております。
  49. 山本政弘

    山本(政)分科員 こういうことなんですよ。たとえば赤坂宿舎とか九段宿舎というのは、これはサイクルが大体同じですね。ところが、青山宿舎ではサイクルが非常に短いのです。非常にという言い方は語弊があるかもわかりませんけれども、赤坂や九段の宿舎に比べるとサイクルが短いという点が私は指摘できると思うのですね。それから、たとえば今度は宿舎と会館とを比べてもこれはかなり格差があるというようなことがある。働いている人たちは同じ国会職員なんですよ。  だからぼくが重ねて申し上げたいことは、民間に委託をするということについての考慮というものをもう少し進めていただきたいということが一つ。それから、やはり議員協力ですね。議員協力についておっしゃったらいいと思うのですよ。この会館はこうですけれども、こちらの会館はこうなんですがということをおっしゃっていいとぼくは思うのですね。そのことをひとつぜひ進めていただきたいと思うのです。健康というのは大切なものですから、私はそのことをひとつぜひお願いしたいと思います。どうでしょう、前向きにひとつ話し合っていただけますか。
  50. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまの御指摘の点も十分考慮してやっていきたいと思っております。
  51. 山本政弘

    山本(政)分科員 最後にお伺いしたいのは速記の問題であります。  多党化あるいは国会機能の充実強化という要請がありますけれども、そういう中で事務局職員の業務内容というのは非常に複雑になってきているし、多様化していることも事実だろうし、事務量も増大をしていることも事実だ、こう思うわけです。そこで、各職場とも人員増の要求というものがぼくはかなり切実だと思うのですが、現状では人員増がなくて、欠員状態があちらこちらの職場に存在していることも否定できないだろうと思うのです。  そこで、とりわけ問題なのは、私はもうこれを本当に十四、五年やってきたのですけれども、速記職員の欠員の問題なんです。毎年ここで取り上げてきた。たしか四十二年以来きょうまで速記職員の定員が満たされたことはないだろうと私は思うのです。ずっと欠員のままではないでしょうか。特にお伺いいたしますと、近年は二けた台の欠員状態が続いている、こういう話もお伺いしているのです。会議録の作成というのは、私はもう言う必要はないと思うのですけれども、国会事務局にとっては非常に重要な任務の一つだろうと思うのです。また貴重な資料でもありますし、これはお互いに共有の重要な財産であるということも論を待たないと思うのです。この会議録を作成する速記の職員の重要性についてこの分科会では歴代の事務総長が確認をなされている。その職務の重要性から、速記職員の人材の確保、充実ということがきわめて重要な課題であると私は思いますが、事務当局は、速記職員の欠員補充あるいは増員に努力するという答弁だけなんですね。実態としては、先ほど申し上げたようにずっと欠員が続いておる。しかも最近は二けた台である。この点について、まず事務総長どのようにお考えになっておりますか、見解をお伺いしたいのです。
  52. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、山本先生からは過去十数年間そういう御指摘がございますし、私どもといたしましては、その点は非常に努力をいたしておりますが、ただいまお話のように、ことしも十数名の欠員がございます。これはまことに特殊な技術職員でございますので、その補充が非常に困難であるということもございますが、何とかその養成機関の生徒数も計画を立てまして非常にふやしてとりまして養成人員を多くしていこう、こういう努力はしておるわけでございます。  速記職の重要性、それからまた会議録の作成などはわれわれの重要な職務でございますので、そういう点に支障のないように格段の配慮をしていきたい、こういう気持ちでございます。
  53. 山本政弘

    山本(政)分科員 つまりぼくのお伺いしていることは、格段の配慮というのはどういう配慮なんだということを聞きたいのですよ。格段の配慮と言うのだったらどんな配慮をなさろうとしているのか、お考えを聞かせていただきたい。
  54. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 結局養成所におきます生徒数を数多く養成するといいますか、採用しまして、そういった技術職員を養成するための人員をふやしていく、こういうことでございますし、それからまた、たとえば民間の優秀なそういう技術を持っておる方についての採用も考えていきたい、こう思っておりますが、ただいま格段の配慮と申し上げましても、何しろ非常に高級な技術を持つ人たちのことでございますので、そこにはおのずからむずかしい点が多々あるということは御了承いただきたいと思うのでございます。
  55. 山本政弘

    山本(政)分科員 速記職員について、私は総長のおっしゃるように、非常に優秀な人材を確保しなければならぬという問題があるだろうと思うのですね。しかし同時に、速記者養成所の生徒の募集の場合になかなか優秀な人材が集まりにくいということもあるだろうと思うのです。特に、いま社会全般が高学歴化しているというようなことで、速記者として欲しい優秀な人たちが大学の進学の方向に行ってしまうという場合もあるだろうと思うのです。  そういうことを考えると、なかなか優秀な速記者の確保を図るということがむずかしいということがあるのだけれども、どうでしょう、ぼくはこれは一つの提案といいますか、抜本的な解決策という場合に、これはあくまでもぼくの個人的な考え方ですよ。速記者養成所というのは、大体高校を卒業した方々が試験を受けられてそして採用されていくことになるのだけれども、速記者養成所の位置づけですよ、問題は。たとえば速記者養成所というのが、これはそれが妥当かどうか知りませんけれども、短期大学のような資格を持つとか、そういうことで資格があるというようなことが保証されれば、これまた受ける生徒さんたちの考え方が、いわゆる高学歴社会というようなことから考えれば、そういう方向というものも模索をするのが一つの方法じゃないだろうかという感じがぼくはするわけです。  何かそういうことを言うと大変失礼な、そして言葉として語弊があるかもわかりませんけれども、速記者養成所ということからくる、要するに受け取り方ということに対して、そういうものをやはり払拭をするというようなことで、短大になりますか、あるいは、ぼくは最近の学校の制度というものはよくわかりません。大学の教養学部ですかね。そういうような、要するに資格というものを付与するということを考えてみれば、またそこに一つの道が開けるような感じもするわけです。抜本的な対策というものは、ぼくはそういうつの発想の転換が必要じゃないだろうかと思うのですが、そういうことについて考えていただけないだろうか、こう思うのです。そうしないと、審議時間がふえてくるとかあるいは内容が複雑化をしてくるとかということに対して、優秀な速記者というものを確保するということができないのじゃないでしょうか。どうでしょう、その点お考えをいただけないだろうか。  抜本的ということは、いままでのあり方というものを追求することじゃなくて、何かもう一つ考え方を変えた方法がありはしないだろうかという感じもぼくはするわけです。間違っているかもわかりません。しかしこのままでは、いつまでたっても優秀な速記者というものを確保することができないだろうし、欠員はますます拡大していくのじゃないかと思うのですね。速記者養成所を受ける生徒さんというものがだんだん少なくなっていくのじゃないでしょうか。その辺もぜひひとつ考えていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  56. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまのお話の、速記者養成所を一般の大学があるいは短大が、そういったものと同じようなふうに抜本的に考え直してみたらどうかというお話でございます。確かに御指摘の点では、そういったふうに改組すればあるいは優秀な速記者がたくさん養成されるのではなかろうかとも思いますが、なおこれはただいま初めてお伺いしたことでございますので、この点よくまた一般の他省庁政府関係機関等もいろいろ私の方で調べまして慎重に検討していきたい、こう思っております。  それから、ここでちょっと一言申し上げますが、私どもといたしましては現実に速記者に欠員がありますので、これはどうも申しわけないとは思うのでございますけれども、実はその欠員を解消するためにいろいろ努力をしてきまして、やはり年度計画も立てまして、たとえばこれでやっと三年後に充足できるだろう、こう思っておりますと、いろいろな事情でまた退職者が出てくる。結局こういうことも欠員の状態になってくる一つの大きな原因でございまして、これは充足しようとすればまたそういうことも出る、それでなかなかそれがわれわれの計画どおりにはいかないという一面もございます。
  57. 橋本龍太郎

    橋本主査 時間ですからひとつ締めくくってください。
  58. 山本政弘

    山本(政)分科員 時間ですからと言うから一つだけ。どうでしょう、ぼくはそういうことについて一番悩みを知っておるし、悩みを抱えて苦しんでいるのが現場だろうと思うのですよ。だから一つだけ申し上げます。  職場の方からそれなりの対策を考え、意見というものが出てくれば、提案というものが出てくれば、予算措置を含めてまた事務当局で前向きに対応していただけるのかどうだろうか、これなんです。これを最後に私はお伺いして、質問を終わりたいと思うのです。
  59. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまの点は、そういう提言があれば、私どもも積極的にそれを検討していきたい、こう思っております。
  60. 橋本龍太郎

    橋本主査 山本さん、時間が終わりました。
  61. 山本政弘

    山本(政)分科員 最後に申し上げます。  たとえば国会速記大学なんというのも一つの方法ではないだろうか。これをひとつ考えてください。  終わります。
  62. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で山本政弘君の質疑は終了いたしました。  次に、高沢寅男君。
  63. 高沢寅男

    高沢分科員 私はきょうは二つの問題、一つは各俸給表の定数問題、それからもう一つは常任委員会調査室の機能強化の問題、そういう二つの問題でお尋ねいたしたいと思います。  なお、これはいずれも衆参両院に全く共通する問題でございますから、きょうは衆議院事務総長にいろいろお尋ねをいたしたいと思います。  まず定数の問題ですが、これは私が言うまでもなく、戦後にわが国の議会制度の根本的な改革も行われ、そこで機構の拡充も行われ、そこで非常に多くの国会職員の人が採用されて、それ以来三十数年ということで現在に至っておる、こういうことでありますが、その間これらの国会職員の人たちがいろんな激動の時代も経てきた、その中で立法府としての国会の機能を支えてきた、そういう大変大きな功績のあった人たちだと思うのです。しかし結果としては、現在の職員構成の中で五十歳前後のそういう年齢の人たちが非常に多くの比率を占めるようになっておる。そういたしますと、それらの人たちは当然俸給表では上位の等級になっていますが、そこのところの定数が実態に十分見合う状態になっていない、こういう問題があります。  これもそれこそ毎年毎年お願いをしてきた経過があり、また非常にそれなりの努力や前進が行われた経過があることはよく知っていますが、しかし依然としてなおそういう実態は完全には解消されていない。このことについては、やはり上位の等級の定数を拡大する、結局これしか解決の方法はないと思いますが、これはひとつ事務総長の、五十六年度予算でも大変努力されたことを承知しておりますが、なお将来に向かってひとつお考えをお聞きをいたしたい、こう考えるわけです。
  64. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおりでございまして、実は私どもも、上位等級者にたくさんの職員を抱えておるということで、その処遇につきまして非常に苦慮しておるところでございます。毎年の予算につきましても、そういった点の解決に特別の努力をしてきておりまして、たとえば来年度予算につきましても、上位等級の二等級のところでは十の増といいますか、そういうことも図っておりますが、なかなか一挙に解決ということは困難でございます。しかし、ただいま御指摘のような点では特別の努力をしていきたい、こう思っております。
  65. 高沢寅男

    高沢分科員 この資料によりますと、現在、四十五歳から四十九歳のそういう年齢層の人が、職員総数の一七・一%、それから、五十歳から五十四歳という年齢層の人が全体の一六。七%、こういう比率になっておりまして、合わせるともう三分の一を超えるような、そういう数字になっているわけです。これを皆さんは一つの大きなかたまりということで団塊と呼んでおられるそうでありますが、これが何年かたって自然にその団塊が過ぎていく、時間的に言えばそうなりますが、だからそれまで過ぎていくのを待てばいいということにはいかぬと私は思うんですね。  したがいまして、いま大変努力された中身のお話もありましたが、たとえばこういうふうなことはできないでしょうか。同じようなケースの問題としては、たとえば国税の職員、税務署の職員というふうな人たちも、これも戦後大量な採用がなされて、そしてその人たちはいま大体五十前後の年齢の人が非常に大きくかたまった、やはり団塊になっておる。それで、私などの地元の税務署などの姿を見ても、たとえば所得税の担当の所得税課、法人税課、各課があり、当然課長がある。しかし、その課の中にまたいろいろな部門、第一部門、第二部門というような部門をつくりまして、その部門ごとにその大将になる形の統括官というふうなものが設けられて、それがいわば課長待遇というふうなことでもって仕事をされておりますが、そういう形で、実際上、課長職はたくさんつくれないにしても、課長と同じようなそういう職責をつくる形でもって、そういう非常に高位の、高年齢の人がたくさんいるものに対応する措置もとられている。これはもちろん税務の必要に応じてなされているということでもあるわけですが、同時に、私は、そこにはそういう配慮があると思います。そうすると、この国会という立法府の機能に応じた形で、そしてそういうふうな形の上位等級のところに、一つ大きなそういう職制というものをつくっていくというふうなやり方もあるのじゃないかと思うのですが、総長のお考えはいかがでしょうか。
  66. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいま御指摘のような、管理職相当のポストをいろいろ考えてつくっていくということは、これは非常にむずかしいことでございまして、さればといって、いやそれは全然考慮しないというわけではございませんが、年々努力はいたしておりますが、その点では管理職相当のポストをふやしていくことは大変困難なことでございます。何とかして上位等級を年々ふやしていく、こういうようなことで努力をしていきたいと思っております。
  67. 高沢寅男

    高沢分科員 私としては、時間がありますから進みますが、その両面において、また今後とも大いに努力をしていただきたい、こう考える次第です。     〔主査退席、池田(行)主査代理着席〕  もう一つ、そういう類似の問題といたしまして、自動車課の運転者の人とか用務課の用務員の人たちというふうな職員の人たちの定数の問題です。  この関係の人たちは行(二)表が適用され、その行(二)表からできるだけ行(一)表の方へ移行していく、これがずっと進められてきておりまして、これも大変努力されて、その成果があることは私も承知をしておりますが、ただ残念なことには、その行(二)表から行(一)表へ移った場合に、その行(二)の特一等級が行(一)表では四等級に対応するというような扱いになっておる。そうすると、そういう関係の人たちはいわば四等級頭打ちというような実態で、そこにまた、年齢的に言っても、いま言った五十代前後というふうな年齢の人がたまっておるというふうな実態があるわけです。やはりこの出口を開いていくには、四等級相当というのは、たとえば三等級相当まで認めるというようなやり方が必要になるのじゃないのか、こう思いますが、そういうとびらを開くことについては、事務総長いかがでしょうか。
  68. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまの点でございますが、三等級の道を開くということは非常に困難なことでございますが、御指摘のようなそういった非常に高い等級のところにたくさんの人がおりますので、そういった点をこれからもひとつ十分考慮してまいりたいと思っております。ただ、御指摘の三等級の点についてはちょっと困難だということでございます。
  69. 高沢寅男

    高沢分科員 困難だというお答えだけでは、私としても大変残念でありまして、いろいろ事務総長のお立場での御苦労もあるかと思いますが、ひとつまた、努力は大いにお願いしたい、こんなふうに考えるわけであります。  さて、そこで。次に今度は常任委員会調査室の問題に移りたいと思います。  先ほど、戦後、わが国の議会制度の根本的な改革が行われたということを申し上げましたが、これは何といっても本会議中心主義から委員会中心主義へ変わったというところに大きなポイントがあったわけでありまして、そういたしますと、国会運営の中で委員会の機能を最大限に発揮していくということが立法府としてのあり方の中心になるかと思いますが、そういう委員会機能を発揮するという面では、委員会調査室の働きというものは非常に重要だ、こう考えるわけであります。この議会制度のあり方の中における委員会主義、その中における調査室の重要性ということについて、まず総論として総長の御認識をお尋ねしたいと思います。
  70. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 もちろん、国会における調査機能の拡充ということは大変重要なことでございますし、また、わが方で持っております調査室の制度といいますか、これは大変重要な制度でございまして、年々この機能を拡充していくことには努めていかなければならない、こう思っております。
  71. 高沢寅男

    高沢分科員 私もそういう立法機能の中で働く一員として、反省も含めて振り返って考えてみますと、われわれの先輩から聞いた戦後の昭和二十年代とかいうふうな時期においては、この国会の活動の中でも議員立法というふうなものが非常に活発に行われた。そういうものがどうも最近は余り活発に行われないようになっているのじゃないのかというふうなことも先輩のお話としてお聞きするわけです。自分自身を振り返ってみても、自分の所属委員会政府からいろいろな法案や案件が提案されてくる。それの処理に大体忙殺されておるというふうな形が、どうも自分自身もそういうあり方じゃないか、こう反省をしているわけですが、こういう立法府の機能を発揮していくという面におけるそうした議員立法のあり方あるいは政府提案の法案の処理の関係というふうなあり方、最近の傾向を事務総長はどういうふうに御認識になっているか、これもこの際ひとつお聞きしておきたいと思います。
  72. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまのお話でございますが、これは年々非常に充実していっているのではないかと思うのでございます。先生方の立法活動も非常に活発でございますし、私どもの調査関係もまだまだ力は及びませんが、年々充実してきているとは思っております。また、法制局等においても年々そういった機能を充実していっているのではないか、こう思っております。
  73. 高沢寅男

    高沢分科員 いささか総長のいま言われたことに異論を唱える形になるわけですが、私も、日ごろからいろいろ協力いただいている調査室調査員の人たちのこぼし話を実はある程度聞いているわけであります。われわれがいろいろな委員会で質問をしたい、そのためのいろいろな予備的な調査や、ああいうものもやりたいということで調査室の方に協力を願う、こういう問題でひとつ資料をとってもらいたい、集めてもらいたいというふうな場合に、その調査員の人がその関係の官庁へそういう資料を求めるというふうな場合に得られる場合もあるが、そういう資料が確かにあるはずだが、しかしもらえないというふうなケースもあるというふうなことで、結局立法府としての国会の立法機能を進めるために必要な調査、そのための情報や資料を集める、こういう役割りをする立場の人たちが、今度は思うようにそういうものが集められないというようなことも実態としてあるやに聞いているわけですが、こういう実態についての総長の御判断はいかがか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
  74. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまのお話の点でございますが、議員さん方から御要求のありました調査資料等はなるべく御要求を満たすようにわが方の調査室において取りそろえるべきだとは思います。それを通じての内閣からの資料の提出でございますが、ただいまの御指摘の点、特殊な関係で内閣の方であっても出さないという、何か特殊な関係があるかもわかりませんが、大体においてはそういう点は調査室を通じて先生方のお手元に届くようにはなっておると思いますが、そういうことのないように私どもの方でもよく注意していきたいと思っております。
  75. 高沢寅男

    高沢分科員 きょうはこの点をお聞ききしたいと思いまして内閣官房の参事官においでをいただいていますが、おられますか。――それでは、いまの点を加藤さんの側から判断されて、実態をどういうふうに認識されますか。まず最初にそれをお聞きしたいと思います。
  76. 加藤陸美

    ○加藤説明員 お答えいたします。  ただいまの調査室調査員の方々の御活動についての御協力、御要請にこたえるという点につきましては、具体的な個々の事例を全部私どもも掌握しているわけではございませんのでその辺はお許し願いたいと存じますが、趣旨から申しまして、先生のお話をただいま伺いましたとおり、非常に重要な立法活動の基礎資料であり、また説明等を求められる場合ももちろんあるわけでございます。これは各省庁極力できる限りの協力はいたしておると存じますけれども、また個別のケースについて幾つか問題がもしああとすれば、それは政府部内といたしまして心して御協力してまいらなければいかぬと存じております、今後ともそれはそのように努力してまいりたいと存じております。
  77. 高沢寅男

    高沢分科員 この問題は、もちろん調査室の問題としては衆議院参議院共通の問題であるし、あるいはまた衆参法制局でまた同じ問題があろうと思いますし、あるいは国会図書館の立法考査局、これはまた当然同じ問題があるかと思うわけです。  それで、もう一度加藤さんにお尋ねしたいのですが、最近非常に情報公開ということが言われるわけですね。この意味は、行政の側で掌握している資料、情報というものはできる限り国民に向かって公開されるべきだ、こういう趣旨であるわけです。そうすると、国会という、立法府という立場から見れば、当然そういう情報や資料はできる限り立法府に対して公開されるべきであるというふうなことになろうかと思うわけです。いま情報公開問題が非常に論議され、またその立法、制度化もやろうじゃないかというふうなことが非常に熟してきている、こう思いますが、こういう問題について加藤さんの御判断はいかがですか。
  78. 加藤陸美

    ○加藤説明員 お答えいたします。情報公開一般の問題につきましては、これは非常に重要な問題であると同時に、複雑な要素も持っておると存じております。ただし、これは私ども内閣参事官室で直接扱っておる問題では残念ながらございませんでして、御承知と存じますが、行政管理庁並びに内閣審議室等で関係有識者の御意見等も承りながら検討を進めておられるところでございます。したがいまして、直接それがどういうふうにということはちょっと私お答えいたしかねますけれども、基本的に先生おっしゃるとおりでございまして、特に調査室活動あるいは衆参両院法制局の立法作業その他の基礎的な資料として御要請がありますときには、これはぜひこたえるべきものだと考えております。
  79. 高沢寅男

    高沢分科員 いまのお答えから判断すれば、きょう私はここでは具体的なこういうケースということではなくてお尋ねをしているわけでありますが、そうすると今後そういう、たとえば私なら私が、国会で問題になる法案の関係でもってこういう資料やこういう情報が欲しいなと調査室調査員の方にそのことを依頼をする、その調査員の方から関係の省庁の方へそういう資料の要求が行く、そのときにそこにとびらがあってもらえないというふうなケースが今後具体的なケースで仮にあった場合、そういう場合にはまたあなたの方へもそういうケースをひとつお話しをして大いに協力してもらう。これはまたわれわれの同僚議員も昔もちろん同じでありますが、そういう場合には大いに積極的に対応していただきたい、こんなふうに考えるわけですが、いかがですか。
  80. 加藤陸美

    ○加藤説明員 お答えいたします。おっしゃるとおりに、できる限りの協力を惜しみません。
  81. 高沢寅男

    高沢分科員 そこで、こうした調査室の機能というものがいま申し上げたような形で大いに発揮されなければならぬ、こういう立場で、もう一度今度は定数の問題というふうなことに戻っていくわけですが、五十六年度予算を拝見いたしますと、常任委員会調査室調査員の総定数が百十というふうなことになっております。これは前年比で見ると十二の増になっているわけで、かなり増になったという感じがいたしますが、実態として見ると、昨年の七月、科学技術それから環境対策の二つの特別委員会が常任委員会になったというふうな関係のこれは振りかえということではないか、こんなふうに考えられるわけでありますが、この定数が百十になったという中身の実態は私がいま申し上げたようなことである、こう理解していいのかどうか、総長のお考えを聞きたいと思います。
  82. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 そのとおりと承知しております。
  83. 高沢寅男

    高沢分科員 そういたしますと、十二ふえたようであっても、結局それは実質の増というよりは、むしろそうした機構、制度の改革に伴うものであるということになりますと、私としてはさらにこの面において大いに拡充してもらいたい、こういう気持ちが実はするわけです。もともと委員会中心方式あるいは委員会に付属するそうした調査室という機能はアメリカから導入されたというふうに理解しておりますが、アメリカなどにおける国会のそうした機能と日本とを比べてみればもう格段の違いがあるということは、だれが見ても明らかなわけですね。そういたしますと、私自身は、最近の国会の立法機能というものがいわゆる行政府との関係においてやや機能の発揮が立ちおくれがあるんじゃないのか、もっともっと機能の発揮をしなければいかぬ、こういう気持ちがいたしますが、その立場から見ると、いまの調査員の定数百十というふうなことではなくて、これはもっと、たとえば二倍とか三倍とか、乱暴な言い方をすればそういうふうな思い切った拡充というものが必要じゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  84. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答えいたします。  調査機能充実ということは、われわれとしても重要な使命だと思っております。そういう点では、ただいま御指摘のように年々事情の許す限りそれを充実してふやしてまいりたい、こう思っておりますが、いろいろの事情もございまして、一挙にただいまのお話のように何倍もの人員を要するような調査機能の拡大というわけにはまいらないと思いますが、しかしながら、できるだけそういう点については今後とも努力していきたい、こう思っております。
  85. 高沢寅男

    高沢分科員 私もこういう制度の継続性ということをもちろん認める立場ですから、一挙に二倍、三倍と言ったのは要するに心意気ですよ。そういう心意気で取り組んで、実際実現していくにはそれなりの、従来の経過を踏まえたそういう段階的なということがあると思いますが、そのくらいの心意気で取り組みをしないとなかなか壁があかぬというふうなことじゃないか、こういう気持ちで申し上げたわけですが、具体的に、たとえば今度は五十七年度あるいは五十八年度、来年、再来年というふうに見た場合に、この面において総長ではどういう拡大の対策をおとりになるか、これをちょっと聞かしてください。
  86. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。一句といいましても、人員が手薄ではなかなか調査機能充実するわけにはいきません。さればといって人員をふやすのはなかなか困難でございますが、しかしながら、年々そういう点ではたとえ数名ずつでも増員を図っていきたい。しかもそれ以外に、たとえば調査するための機械の導入とか、そういった点でもいろいろ考えていきたい。まあ、その他の点でもとにかく調査機能の拡充には十分力を尽くしていきたい、こういうふうに思っております。
  87. 高沢寅男

    高沢分科員 これはややよけいな心配になるかもしれませんが、去年の分科会でやはり国会のこうした機能の問題が論議された際に、大蔵当局から、いまは非常に行政を縮小する段階なんで、そういうときだから国会もというふうな話がちょっとあったやに聞いております。いま非常にそういう行政改革、そしてこの定数をなるべく減らしてというふうなことが世間の風潮になっていることは私も認めますけれども、この国会という立法機能の場合には、それと同じような考え方はむしろすべきじゃない。逆に、先ほど言いましたような状況からすれば、むしろその機能拡大のために必要な機構も、必要な定数も拡大をしていくべきだ、こう思いますが、この点は総長、行政と国会の関係でどうお考えですか。
  88. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答えいたします。  ただいまのお話の点でございますが、もちろん国会は一般の行政庁とは独自でございますけれども、しかしながら、やはり何といいますか、行政事務の簡素化とか定員の削減とかということが非常に強く叫ばれております状態におきまして、わが方だけがそれとは無関係にどんどんということは、ちょっとこれはなかなかむずかしいことだと思いますが、しかしながら、ただいまの調査機能の拡充につきましては、そういった点もありますけれども、十分にその点について配慮していきたい、こういうことで申し上げておるわけでございまして、たとえば人員をしからば直ちに倍、三倍の話は、これは一つのあれといたしまして、数人ずつでもふやしていくということについて、非常にそれが困難な場合には、わが方からででも、少し人員をやりくりしてでもそういう点では努力をしていきたい、こういうつもりで申し上げておるわけでございます。何しろ諸般の困難な事情があっても、そういう点については特別の努力をしていきたい、こういうことで申し上げておるわけでございます。
  89. 高沢寅男

    高沢分科員 大いにその方向の御努力をお願いします。  そこで、この調査員の人たちの今度は俸給表の関係になりますが、行(一)のこの関係の人たちは二等級で行きどまりになっている、行き詰まりになっている、こういうふうにお聞きするわけですが、調査スタッフという立場から、私は別個な観点から等級別の定数をつくっていいんじゃないのか、こんなふうに考えますが、この点はいかがですか。
  90. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 お答え申し上げます。  上位等級の点でございますが、御指摘の点では、たとえば二等級の方は非常に多うございますが、その上に進む場合に、これは一等級になりますと、どうしても管理職でなければ一等級の適用がないわけでございまして、そこにはなかなか道が開けないのでございます。したがって、非常に長い勤務を経た職員の人たちは当然上位等級へ進んでまいりますが、しかしながら、管理職定数というものは一定の数がございまして、そこへなかなか行けません。そこで、いまの二等級でとまっておる調査員の人たちが非常にたくさんおるわけでございますが、それらの解決につきましては、やはり少しずつでもそういった管理職定数をふやすことによって解決していきたい、こういうふうには思っておりますが、ただいまのこの上位級等の解決はなかなか困難な問題でございまして、現実に管理職でなければ一等級に行くことは困難である、これも事実でございます。非常に困難な状況でありながら、わが方とすれば少しずつそういう点では解決していきたい、こういう気持ちでおります。
  91. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの何とかしたいというお気持ちを、そういう職員の代表の人たちともよく話し合って、ひとつまたいろいろな方法を考えていただきたい、こう思います。  最後に、さて、そうした調査室が、機能発揮のためにいろいろな資料収集なりあるいは現地調査とかそういう活動をしなければなりませんが、そうすると旅費の関係が出てくると思います。五十六年度予算の中の旅費増加分を見ると、二千万という旅費の総枠の中で前年度より三十三万の増加、こうなっていますが、これは国鉄運賃の値上げ等々考えると、実態的にはこれじゃとても値上げ分にも充当できないんじゃないか。実際にはマイナスになるんじゃないかという心配がありますが、こういう点はもう少し拡大をしなければいかぬと思いますが、どうでしょうか。
  92. 荒尾正浩

    荒尾事務総長 ただいまの御指摘の点は、まさにそのようなことだろうと思います。しかし、各委員会の委員の方が国政調査活動において現地視察等なさいます場合に、一緒に調査員も行きますが、そういう点について先生方の活動には全然不便のないように十分配慮しておるつもりでございます。  ただいま御指摘のお話は、各調査室調査員がいろいろの事象をとらえて現地調査をする、こういう場合の旅費のことだろうと思います。これについてもふやすように努力はしておりますが、なかなか思ったような金額、ふえるわけにはいきません。どうしても必要な場合は私どもまたやりくりしてその方に差し向ける、こういうことも考えておりますが、非常に大幅な増額というのはなかなか困難だ、こういうふうに申し上げるしか仕方ありません。
  93. 高沢寅男

    高沢分科員 時間が来たという通知でございますから終わりますが、ひとつ大いに御努力をお願いしたいということをお願いして終わります。
  94. 池田行彦

    池田(行)主査代理 以上で高沢寅男君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君。
  95. 浦井洋

    浦井分科員 最初に御紹介をしておきたいのですが、議運委員長やら第一分科会主査の許可を得まして、盲導犬に導かれました視覚障害者の母さん方がきょうは傍聴に来ておられるわけでございまして、御紹介をしておきたいと思います。  館長並びに国会図書館の方も、視覚障害者の問題について質問をいたしますので、ひとつ誠意のある御回答、御答弁をお願いをしたいというふうに思います。  まず最初に、館長にお尋ねをいたしますけれども、ことしは国際障害者年で、これは全面参加と平等ということで、雇用の問題、教育の問題、もちろん発生予防、早期療育、社会生活、いろんな面でノーマライゼーションということが言われております。やはり障害を持っておられる方、ハンディを持っておられる方が、一般社会の中に入って健常者とともに同じような生活をし、同じような仕事ができる、そういう社会が強い社会である、そうでない社会はもろい社会であるというのが国連決議の趣旨であります。だから、そういう点で、そういう全面参加と平等という観点からいきますならば、主として視覚障害者の皆さん方の読書権というものは、やはりこの国際障害者年を期してより一層確保されていかなければならぬというふうに私は思うわけであります。だからそういう点で、ことしそれが始まったわけなんで、恐らくこれから十年間国内行動計画がつくられるだろうと思うのですけれども、国会図書館として、どういうような精神で、具体的にどういうようなことをされていこうとしておられるのか、ひとつ簡潔で要領を得た御答弁をお願いしたいと思います。
  96. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 ことしは国際障害者年でもございますけれども、私、一昨年、昨年ですか、二年続けて英米、欧州、それからアメリカと回ってまいりまして、各国の国立国会図書館の障害者に対する政策というものを実地に見聞いたしてまいりました。非常に強い印象を受けました。ことにアメリカのごときは非常な大規模な障害者に対するいろいろの政策を講じております。私は、その視察から帰りましてすぐ、障害者に対する配慮というものは従来もやっておりますけれども、まだ不十分である、今後何らかの政策を立てて着実に前進させていかなくちゃいかぬ、こういう考えでまいった次第でございます。  たまたまことし障害者年を迎えまして、当面さしあたって私たちが実施いたしたいと思いますことは、まず第一は、障害者に関する特別の文献の目録を編さん、刊行いたしたいと思います。これは、予算の運用によりましてそれをやりたいと思います。この完成には、相当に大部のものでございますから数年かかると思いますけれども、分冊をいたしましてやりたい。それから、外国の障害者関係の文献につきましても従来以上にこれを実施したい、かように考えております。  なお、視覚障害者に対しましては、従来、学術文献の録音テープを作製してまいっておりますが、今年は予算で認められまして新たに医学関係の録音サービスを開始してこれを拡充してまいりたい。また、新たに新収点字図書、録音図書の総合目録をつくりたいと思います。これは当館の所蔵だけでなしに、日本の全体の視覚障害者関係の総合目録をつくる。各機関と協力いたしまして、当館がまとめて五十六年度から年々これを実施してまいりたい。  五十七年度以降につきましては、さらにこの総合目録を五十五年以前に漸次さかのぼらしまして、これを広く及ぼしていくということと、学術録音テープの作製の範囲を着実に伸ばしてまいりたい。  その他いろいろの政策がございますが、今後それを大いに研究して逐年充実していきたいと考えております。
  97. 浦井洋

    浦井分科員 いただきました視覚障害者に対する全国図書館サービス計画、これに基づいてやっていかれるということだろうといまの館長の御答弁を理解するわけでありますが、この全国図書館サービス計画というのを五十五年度からずっと読ましていただきますと、いま視覚障害者の皆さん方が強く要望をされておる対面朗読ということがないわけですよね。できたらこれの制度化をしてほしい、ぜひやってほしいという要望があるわけなんですが、これが入っておらない。これはどうしてなんですか。
  98. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 お答え申し上げます。  対面朗読につきましては、現在地域住民の要望にこたえまして、その地域の公共図書館等の機関におきましてサービスを行っております。予約制というようなことも承っておりますが、当館といたしましては、その機関が資料を所蔵していない場合に資料の貸し出しを行っております。年次計画に対面朗読サービスが載っておらないという先生の御指摘でございますが、私どもといたしましては、国の中央図書館といたしまして地域の公共図書館等の機関がそれらのサービスのやりやすいような体制というものを進めてまいりたい、このように考えております。  したがいまして、近く開設予定の視覚障害者等サービス担当の部屋におきましては、先ほど申し上げましたように、総合目録の作成であるとか、あるいは学術文献録音サービスの充実であるとか、あるいは今後点訳サービスの開始、そのほか情報広報活動、こういったようなものを進めて、全国の視覚障害者サービスを行っている機関とのネットワークを整備していきたい、このように考えております。  これを進めてまいりますにも、今後かなりの予算と人員が必要でありますし、まあできるところから一歩一歩進めてまいりたいと考えておりますので、御理解を願いたいと考えております。  以上でございます。
  99. 浦井洋

    浦井分科員 地方の公共図書館などで録音サービスをやっていく、それのセンター的な役割りを果たしたい、あるいは対面朗読もやっておるんだからそれでよいではないかというお話なんですが、文部省来ておられますか。――文部省にお尋ねしたいのですが、そうしたら、地方公共図書館で対面朗読をやっているのは一体どれくらいあるのか、何カ所のうち何カ所ぐらいやっておるのか、あるいはその利用度というのは一体どれくらいなのか、これをちょっとお答え願いたいと思います。
  100. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 お答えいたします。  私どもの所管いたします公立の図書館あるいは公共図書館でございますが、そういうところにおきまして視覚障害者など身体障害者に対する図書館のサービスの拡充を図るために、施設の整備に当たりましては、障害者の利用の便宜に配慮いたしますとともに、点字図書あるいは録音テープなどの整備を図りますとともに、対面朗読などを行うなどしてサービスの充実に努めてきております。  特に対面朗読につきましては、図書館の司書だけで対応することはやはり困難でございますので、民間の朗読奉仕者の協力を得て実施しているのが実態でございます。私ども公立の図書館に対しまして施設の補助をしてございますが、そこの中におきまして五十三年度四十一館補助をいたしまして、対面朗読室を設けておりますのが七館ございます。それから五十四年度におきましては四十九館に補助をいたしたのでございますが、そのうちの十一館ということでございます。ただ、具体的に各地方公共団体が設置いたします図書館におきまして対面朗読をしておりますのが何館あるかにつきましては、私どもとしましては、そこの実態まで把握してございませんが、この施設の整備状況に見られますように、順次その面のサービスが充実されつつあるというふうに考えております。
  101. 浦井洋

    浦井分科員 充実されつつあるということですが、現実には文部省所管のところで十一館ということですね、対面朗読がやられておるのは。だから、特に学術、学問をしたいといいますか、学術論文なんかを読みたいということであれば、近くにその対面朗読をやっておる公共図書館がない場合には非常に不便である。それから、貸し出しが禁止されておるような貴重な資料を利用するような場合、やはり対面朗読でなければならぬ。あるいは自分の研究をやっておる中で緊急に資料を読まなければならぬ、ここへ行ったらあるんだ、そこへ行った場合に、さあ果たして対面朗読ができるのかといったら、できないというようなことで、録音テープは録音テープとして制度として充実させなければならぬけれども、やはり対面朗読というのは、これを制度化する、拡充していくというのは非常に大事なことではないかというふうに私は思うわけなんです。だから、ぜひ制度化をやっていただきたい。国のセンター図書館としての役割りを持っておる国会図書館としては、これについて意識的に制度化するような方向に取り組んでいただきたいということであります。  そこで聞きますけれども録音サービス、テープをつくって録音サービスを行っておる。予約制であるのでしょうけれども、利用者が申し込んでから、その録音テープが完成をして御本人に渡るまで、期間は大体どのくらいかかるわけなんですか。
  102. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 お答え申し上げます。  いろいろ内容によりまして難易の問題はあると思いますけれども、大体半年からむずかしいものでは一年近いと思います。
  103. 浦井洋

    浦井分科員 さっき私が言いましたように、半年から一年半かかっておるようでは、たとえば医学論文を読みたい、あるいは工学的な学問書を読みたいというようなことになると、とっても間に合わぬわけで、そういう面からも対面朗読というのは私は必要ではないかというふうに思うのであります。対面朗読を実際にやられた方に聞きますと、図書館へ行って、そしてボランティアにしても一緒に行って、図書館で対面朗読をやってもらう、そして聞いているうちに、その論文の中に注がある。そうしたらその注の中に入っておる別の書籍をすぐに取り出して貸し出してもらって、それを読むことができるというような利点もある。あるいはまた、そこでいろいろ問答を交わしながら、いろいろな疑問のところは、また別の資料を取り出すことができるということでありますから、学問研究のための読書法としては、録音テープも、もちろんそれは一定の役割りを果たしますけれども、対面朗読というのは必須の方法ではないかというふうに私は思うわけなんです。  その方々に聞きますと、国会なんかでも何か部屋をとって、そういう方がボランティアを連れて一緒に来られたら、その部屋を利用していただくのだということになっておるわけでありますが、国会図書館にしかない資料を対面朗読をやるのに、わざわざ大阪からボランティアの方と一緒に上京されて、そして国会図書館の中で部屋を借りて、その国会図書館にしかない資料を読んでおるというような状況でありますから、やはり私は、制度として確立をしていくということが必要ではないかと思うのですが、どうですか。
  104. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 お答え申し上げます。  ただいまの対面朗読の話でございますけれども、これもいろいろ専門的な内容によりまして、非常な準備と広範な人間というものが必要であるわけでございまして、われわれといたしましては、それ以前の、何と申しますか情報活動とか、そういったようなものがまず先にあるべきと申しますか、よりよく読書ができるという、そういう下地をまず先にやるというような考え方で進めておるわけでございまして、一般の人の現在の閲覧状況から申しましても、図書館へわざわざ足を運んで資料を読むというのはもう古いんじゃないか。われわれ忙しくてなかなかいけないので、なるべく資料を貸し出したり、あるいは電話一本で必要なところをコピーして送ってもらえるようなサービスを、もっと研究すべきでないかというような声が非常に高まっておって、われわれもいろいろ検討しておるわけでございますが、こういった点も考えまして、われわれとしましては、視覚障害者の方には、できればお手元へます届けるという考え方でまいっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  105. 浦井洋

    浦井分科員 いままで障害者の読書権というのが阻害をされておった。非常に世論も高まり、特にことしは国際障害者年であるということで、館長も外国へ行かれて感銘を受けて帰ってこられて取りかかられた。これから順次やりたいという行政的な感覚では、やはりいかぬのではないかと思うのですよね。順次やるということではなしに――順次やる面も必要な面があります。しかし、具体的にいま国会図書館に対して、こういう研究をやりたいのだ。むずかしい学術論文も読みたい、そして学問を修めたいというふうに考えておられる方が数百人ぐらいおられると思うのですよ。そういう要望にこたえるということが私は必要だと思うのです。  そういう点では、図書館長もよく御承知のように、国会図書館法という法律の二十一条は「国立国会図書館の奉仕及び蒐集資料は、直接に又は公立その他の図書館を経由して、」「日本国民にこれを最大限に利用させる。」ということになっておるわけです。「直接」ということがわざわざ入っておるわけなんです。録音サービスというのは直接ではない。対面朗読というのはやはり直接だというふうに私は思う。だからそういう点で、国際障害者年を期して決意を新たにして、早急に対面朗読を国会図書館でもやるということを計画の中に組み入れ、それを制度化する、これはどうですか。もう一遍。
  106. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 御承知のように、われわれの年度計画というものが組まれておりますけれども、大体これは別館建設というものを目標にいたしまして、諸外国の例などを見ながら、あるいは予算的な措置を考えながら検討いたしてつくってまいったのでございますが、いま先生の御趣旨のものが、どの段階で入り得るかどうか、もう一度検討してみたいと思っております。
  107. 浦井洋

    浦井分科員 段階的ではだめだと考え方を持たねばいかぬですね。どの段階で入るかというようなことで、いまから検討してみるだけではあかぬわけなんですよ。だから、これは後でひとつ図書館当局として前向きによく検討していただきたいと思うのです。  この間私、国会図書館に寄せていただいた。この制度をつくる場合、読む職員が必要ですね。いまはボランティアがたまたま来られる。一緒のときに来られなければやれない。その方々が対面朗読をするのに部屋があるのか。部屋を見せていただいたのですけれども、他の目的に使用している部屋があいておれば、たまたま使えるというような状況です。だから読書の秘密といいますか、あるいは静けさといいますか、そういうことも保たれないわけなんです。だから早くそういう制度化をやって、個室もつくり、あるいは職員も確保する。あるいはサービス窓口も国会図書館のところに適切な形で装置をするというようなことも含めた、全体としての確立を一日も早くやっていただきたい、どうですか。
  108. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 先生のお気持はよくわかります。私も、できればそういうことでいたしたいと思いますが、対面朗読を当館で開始するということになりますれば、それに必要な人員を配置し、予算を獲得するという努力をいたさなければなりませんけれども、現在のわが館の職員の状況は、いまやっております業務をやるのに手いっぱいで、非常に健闘してくれておるという状況で余裕がございません。  それから何と申しても、いろいろの御要望がございますけれども、やはり国立の中央図書館としてやるべきことをまずやらなければいかぬ、予算がこちらの思いどおりに通るならよろしゅうございますけれども、現在の財政事情ではなかなかむずかしゅうございますから、そこにおのずから優先順位をつけてやるべきではないかというのが私の考えでございます。
  109. 浦井洋

    浦井分科員 館長、これは問題発言ですよ。それは人やら金の面で苦労されておることはわかります。しかし、まずやるべきこと、優先順位をつけてやらなければならぬ。そうしたら視覚障害者に対する対面朗読というのはもっと後の段階なのか、こういうことになると、これは大問題ですよ。どうですか。後回したということを館長として言明をされたということになるわけですから、これは重大なことですよ。ことしは国際障害者年、ノーマライゼーションが叫ばれているわけなんです。これはどうですか。
  110. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 私は、対面朗読が後回したというのではございませんで、中央図書館として、まず視覚障害者に対する奉仕としてやるべきことは何かと言えば、全国のそれぞれの関係機関が活動しやすくなるような、あるいはネットワークが組めるような総合目録をつくるということや、それから、ほかの機関ではなかなかできない学術関係の録音テープをつくるということが大事なのでございます。対面朗読も、それはやるにこしたことはないかもしれませんけれども、これはそれぞれの地域的な中心の機関で現在やっておるわけでございますから、ほかのところでやれないことをまずやるという考え方で、現在の計画を立てておるわけでございます。
  111. 浦井洋

    浦井分科員 それはいかぬですよ。時間がなくなりますけれども、対面朗読をやられている公共図書館というのは、文部省がつかんでいるのでも十一しかないわけでしょう。全国にそういう対面朗読制度が必要な、要望している方がたくさんおられる。それを国会図書館として、それはまずやることではないんだというような言い方は許せぬと私は思うのですよ。だからそういう点で、国際障害者年に当たって対面朗読の制度化ということも、金や人の面で、それは非常にやりにくい、困難、ネックはあるということは私も認めますが、そういう中でひとつ国会図書館としてもよく内部で検討して、前向きにその制度化に乗り出すという決意を持ってもらわなければいかぬですよ。どうですか。
  112. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 先生の重ねての御意見でございますので、これを十分に前向きで検討してまいりたいと存じます。
  113. 浦井洋

    浦井分科員 国会図書館、やらなければならぬ仕事があるので、視覚障害者に対する対策は後回したというところが、私はどうも非常にぐあいが悪いということを重ねて指摘をしておいて、時間がございませんから、もう二つほど問題があるので次へ進ませていただきたいと思います。  一つは、そういう点で、簡単に申し上げますと録音図書の点字版の目録を、それを必要としておる需要者といいますか、視覚障害者ですね、そういう人たちの手元に配付されるようにしなさい、こういうことなんです。  いま録音テープの点字版の目録は国会図書館にあるわけでしょう。
  114. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 ございます。
  115. 浦井洋

    浦井分科員 その目録は公共図書館や、あるいは余分にあれば、希望されておる個人の方にも送っておるわけでしょう。
  116. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 そのとおりでございます。
  117. 浦井洋

    浦井分科員 だから、そういう実績というか、ルールができ上がっておるわけですから、たとえば、いままで学術論文などを利用した人あるいは、これから利用したいと希望しておられる人は、何らかの方法で国会図書館が登録をして――これは私、関係者の方にお聞きしたら、いまのところは数百人くらいだ。もちろん制度が普及をすればもっと希望者がふえるかもわかりませんけれども、いまのところ数百人くらい。だからそういう方たちを何らかの形で公共図書館などのネットを通じて国立国会図書館が登録をして、そういう人たちに増し刷りをして定期的に送付するというようなことは可能だと私は思うのですが、どうですか。
  118. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 御指示のように検討したいと思います。
  119. 浦井洋

    浦井分科員 五十六年度の計画を見ますと、その中に、「新収点字図書、録音図書総合目録」の編さん、刊行と頒布ということであります。これは活字版ですね。これを日盲社協にお願いして点字版にして各公共図書館に配付をされておるわけでしょう。
  120. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 お答え申します。ただいまのは、これからの計画でございまして、まだやっておりませんので、新年度から考えておるということでございます。
  121. 浦井洋

    浦井分科員 日盲社協にお願いして点字版にする予定であるわけですから、それだけ少し予算がかかりますけれども、そういうものも少し増し刷りをして、そういう希望する各個人に配付、配達することは私可能だと思うのですが、どうですか。
  122. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 できるだけ、その線で考えたいと思っております。
  123. 浦井洋

    浦井分科員 ひとつ、ぜひ前向きに検討をして実現をさせていただきたい、このように思います。  それから最後の問題は視覚障害者の採用の問題です。これはもう時間がないのであれですが、現在、点字が読める職員の方はおられないわけでしょう。
  124. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 現在四、五人在籍しております。
  125. 浦井洋

    浦井分科員 視覚障害者の方にお聞きしますと、点字図書の整理であるとか総合目録の編集あるいは朗読者の研修とか、あるいは広報活動とか、あるいは現在やられておる録音テープの校正、こういう面で実際に晴眼者であってはやりにくい、かゆいところに手が届かない、視覚障害者でなければやれないという細かい配慮を必要としておる。だから、こういうような配慮をやれるのは、やはり現実に同じハンディに悩んでおられる視覚障害者ではないかというふうに私は思うわけです。「点字毎日」では「五十九年の別館落成時に盲人職員を採用したい。しかし、要望に沿うべく、経過措置として選考採用の形で視覚障害者を非常勤で採用すべく、館内の合意を求めていきたい。」こういうふうに副館長が視覚障害者雇用促進連絡会議の方々に答えておられるわけでありますけれども、ぜひともやはりこの際、視覚障害者の方の雇用を国会図書館としても実現をさしていただきたい、このように私は要望をしたいと思うのでありますが、そのことのお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 陶山国見

    ○陶山国立国会図書館副館長 ただいまの雇用の問題でございますが、私どもといたしまして、実際に図書館の中で、どういう仕事の内容がいいのか、あるいは、その分量はどのぐらいあるのか、こういうようなことをよく検討いたしまして、前向きに進めてまいりたい、このように考えております。
  127. 浦井洋

    浦井分科員 以上で終わります。(拍手)
  128. 池田行彦

    池田(行)主査代理 以上で浦井洋君の質疑は終了いたしました。  次に、山花貞夫君。
  129. 山花貞夫

    山花分科員 私は、先ほどのお話にもありましたとおり、ことしからいよいよ別館建設が始まり、重要な時期を迎えております国会図書館の基本的な問題について、幾点かお伺いをいたしたいと思います。  国会図書館は、国会、行政、司法の各部門に奉仕するとともに、一般国民に対して広く図書館活動、図書館の奉仕を行うことを目的としています。そして、国の中央図書館として国民に対する資料提供の最終的な責任を負っており、同時に、長く将来の国民に対しても資料を提供すべき責務を負っていると考えます。そこで、きょうは、国会図書館における資料の収集と保存の問題、この二点を中心として、以下お伺いをいたしたいと思います。  まず最初にお伺いしておきたいと思いますことは、国会図書館法第七条によりますと「館長は、一年を越えない定期間毎に、前期間中に、日本国内で刊行された出版物の目録又は索引の出版を行うもの」とされておりますけれども、資料の収集と保存の質問の前提として、この点について現状どうなっているのかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  130. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 第七条の規定による目録または索引でございますが、この規定によりまして、わが館では現在「日本全国書誌 週刊版」というのを一週間に一回発行いたしまして、そして同書誌の年刊版を、さらにおくれて発行する。その間に索引を四半期ごとに出すということになっております。  これらの目録に収録する出版物は、当館に納本されているものに限っております。したがいまして、納本漏れのものがございますと、この目録には載らないということになるわけでございますが、われわれといたしましては、できるだけ納本漏れのないように努力をいたしまして、完全を期してまいりたいと考えておるわけでございます。
  131. 山花貞夫

    山花分科員 いまお話にもありましたとおり、国会図書館法七条によれば「刊行された出版物の目録又は索引」となっておりますけれども、今日、現実にはそれがむずかしく、納本された出版物についての目録という現状となっているように伺いました。  これはかつてはそうではなくて、国会図書館がおつくりになっておりました「全日本出版物総目録」によりますと、納本されたもの以外にも、この法の趣旨にのっとりまして出版されたものについては全部掲載されていたということではなかったでしょうか。私ども伺っておるところによりますと、三十五年度版までは「全日本出版物総目録」として、出版されたものについて網羅的に収集されていたのだけれども、その後、三十六年に取り扱いが変わってしまったというように伺いました。実は国会図書館にありますこの「全日本出版物総目録」の現物を拝見したわけですが、三十五年度版を見てみますと、その冒頭に「三十五年申に国内で発行された資料を網ら的に収録したものである。」こう記載されています。ところが三十六年度版になりますと、いま館長のお話にありましたとおり「昭和三十六年中に国内で刊行され、当館に納入された出版物を収録したものである。」こういう形に、法の趣旨からいたしますと後退いたしまして、残念ながら今日に至っているのではなかろうか。調査いたしますと、このように感ずるわけであります。  ちなみに、この三十五、六年で取り扱いが変わったときの総目録掲載の出版物の数などについて見ましても、官公庁の図書につきましては大体半分ぐらいになったのではないか。両方調べてみますと、官公庁の図書については、種類数で四四・二%減、冊数で五〇・六%減、一般の図書について見ますと、種類数で一八・五%、冊数で二四%減、こうして大幅に減っているわけでありまして、理想的には、この国会図書館法の趣旨にのっとりまして出版されたものについて総目録がつくられるということが大変大事なことではなかろうかと思うのであります。いろいろ限界のあることについては理解できるわけでありますけれども、そうした希望を述べまして、納本などの実情についてお伺いをいたしたいと思います。  国会図書館法の二十四条以下によりまして、官公署それから「都道府県若しくはこれに準ずる」諸機関、またその後「その他の者の発行する出版物」等につきまして、唯一の中央国立図書館といたしまして、こうした規定に基づき、いずれも国会図書館に納本するという義務が、それぞれの機関、民間を含めて、かけられているわけであります。この納本の現状でありますけれども、収集率は現段階で大体どれぐらいになっているのかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  132. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 収集率はどれぐらいかということでございますが、何しろ国内で刊行されている出版物の実態というものを完全に把握するということがむずかしいのでございます。把握できれば納本漏れをないようにすることができるわけでございます。これがむずかしい現状でございますので、収集率を算出するということはできない、推定をするより仕方がないわけでございますが、刊行物目録を出しているA省それからA県の収集率を、その刊行物目録と当館が納本したものとを比べ合わせまして調べましたところ、A省では七六%、A県では七九%という数が出ております。  ただし、その納本漏れになっておる文献の内容がどういうものであるかということを、しさいに検討してみますと比較的軽微のものが多い、したがって、主要なものは大体納められておるようであるという結果になっております。これは推定でございますから、確実にこれだけだということは申せませんが、大体八〇%、それから少ないところでは七五%、そして納本漏れの多くのものは軽微のものが多いということを申し上げてよろしいかと存じますが、軽微のものでありましても、当館としては納本の責任がございますから、今後さらに努力をしなければならないと思います。  民間の出版物につきましては、五十四年度の納本数は概数三万七千冊でございます。これは、出版界から出しております出版年鑑掲載の出版物は約二万七千でございますので、それに比べますと、私のところに納本された数は一万多いわけでございます。しかしながら、いろいろ各種の目録を調べたり利用者からの話を伺いますとやはり完全ではない。大体当館におきましては民間出版物の約八〇%程度が収集されておるのではないか、こういうふうに推定をいたしておるわけでございます。
  133. 山花貞夫

    山花分科員 私が国会図書館の実務担当の方から伺ったところでは、七〇%くらいではないかというお話もあったわけですが、またお話に関連して、納本されないものについて、いずれが主要であるか軽微であるかということの判断は、利用者の立場からいたしますとなかなかむずかしい問題であると考えます。できる限り収集率を高めていただかなければならないと思うのですが、具体的にはどのような対策、努力をされているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  134. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 最もわが館の根幹になる業務でございますので、納本率を向上せしめるということは最善を尽くさなければならないと存じております。それで、常時各種の刊行物目録等を検討いたしまして、そして未納入出版物がありました場合には、その都度納入督促を行う、そのほか、一般的に納本制度というものの趣旨を機会あるごとに、いろいろの機会を利用しましてPRに努めておるという次第でございます。  官公庁刊行物につきましては、各省庁や出先機関に対し随時納本制度の趣旨の徹底に努めますとともに、未納入刊行物の調査及び納入を依頼しております。地方公共団体につきましては、各地方に職員を派遣し、常に密接な連絡を保ちまして、納本が行われることを促進いたしておるわけでございます。  民間の出版物につきましては、納本促進をより強化するために、昨年から納本督促のために督促だけを専管する係三名を設けました。また、大手の取次会社経由では納入されにくい地方出版物、小出版社等約二百五十社の出版物につきまして、地方・小出版流通センターを通じて一括して納入していただくという納入ルートを最近確立いたしました。流通センターの御協力によりまして、これをこのルートで集めることができるようになったわけでございます。また、八重洲ブックセンター等に独自に委託いたしております自費出版物につきましても、書店と連絡をいたしまして、納本の促進を図っております。  そのほか、都道府県内で出版される出版物につきましての書誌情報を、毎月都道府県の公共図書館から当館に連絡をしていただくということもお願いいたしておりまして、その回答に基づいて、納入漏れのものにつきましては、直接その出版社に督促をするということにいたします。  結局、一つの方策で完全に納本漏れを解消するということは不可能でございまして、対象も非常に多うございますから、もうこういう努力を積み重ねていくよりほかに方法がないというふうに考えております。
  135. 山花貞夫

    山花分科員 納本漏れに関しましては、特に官庁出版物、そのうちでも中央官庁の出版物の納本状況が悪いのではなかろうかということを伺うわけであります。特に最近では、国政の情報公開に対する世論も大変高まっているということにこたえての国会図書館としての役割りもあるのではないでしょうか。  これとの関連では、国会図書館法の二十四条によりますと、「国の諸機関により又は国の諸機関のため、」に「出版物が発行されたときは、」これを納入させるとあるわけですが、例外規定といたしまして、機密扱いのものは除くという趣旨の条文があります。実はこの中に、機密保護法的な、機密扱いは別格にしているということが法の制度としてあることについて、私は疑問に思います。大変不都合な部分ではないかと思いますが、こういうこともかかわって中央官庁の出版物が大変納入率が悪いのではないかということを心配するわけであります。  たとえば、国会の議事録とか選挙制度審議会の議事録であるとか、あるいは憲法調査会の議事録であるとか、こういうものについては整備されておるようでありますけれども、一般官庁の審議会関係、調査会関係などの資料につきましては、どうも国会図書館に行ってもないという不満を時折聞くわけでありますけれども、こうした面についての国会図書館側での努力と対策、今後の姿勢ということについてお伺いをいたしたいと思います。
  136. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 わが館の法律によりまして、わが館が収集するものは、発行された出版物ということになっております。そして、ただいまお話がありましたように、ただし、機密に属するもの及びひな形その他簡易のものは除くと法律でなっておりますので、結局、発行された出版物であれば、私の方では納本漏れであると言って請求することができるわけでございますが、発行された出版物に該当しないということになると、法的に請求はできないわけでございます。  しからば、発行された出版物というのはどの範囲のものであるかということも、なかなかこれは定義のつけにくいものでございまして、相当部数作成されなければならない。そしてそれがまず不特定多数の者に頒布された場合は発行であるということがはっきりいたしますが、そうでなしに、それでは限定頒布の場合はどうなるか、あるいはそれは発行ではないじゃないかというような議論がいろいろ出ますが、限定頒布の場合でも、相当範囲にわたってそれが頒布されたものであれば、そしてそれが大体において公表されたものとみなされるときには、私どもは、納本の対象になるものであるという解釈で、広く解釈して、納本漏れのありましたような場合にはこれを督促するということにいたしております。それで、大体におきまして刊行された官庁出版物は当館の中に納本されております。  問題は、いわゆる内部資料的なものでございまして、部内限りの利用に供して外部には出さないという性質のものになりますと、私の方から正式に請求もできません。が、私の方では、そういうものであっても、外部で利用し得るものであれば一応連絡いたします。いたしますが、それはそれぞれの局の考えで、これは部内限りのもので公にするものでないということになれば、私の方でこれをいただくわけにはいかぬ、こういうことでございます。
  137. 山花貞夫

    山花分科員 納本につきましては、法二十四条で具体的に図書、小冊子、以下掲げられていると同時に、第八号では網羅的な指摘があるのではないかというように思います。そういう意味では、なお一層この納本率の向上のために、お話がありましたような御努力をしていただきたいと存じます。  なお、先ほど出ました機密扱いの問題につきましては、この法律の解釈などの問題もあると思いますので、また別の機会に伺わせていただきたいと存じます。  次いで、保存の関係に入りたいと思いますけれども、大変大事なことである。保存のない利用はあり得ないわけでありますし、特に国会図書館の役割りからいたしますと、保存の強化も第一義的に取り組んでいただかなければならない課題だと思います。  ただ心配なのは、最近も新聞で報道され、話題となったところでありますけれども、複写による資料の破損の問題。この十年間に複写の申し込みが約十倍にふえている。それに伴って資料の破損数が五倍くらいに激増して、このまま放置しておきますと、蔵書の保存という使命が果たせなくなってしまうのではなかろうかという声も上がっていると伺います。複写による資料の保存にかかわる問題点、破損本の現状などについて、データがありましたならばお話しをいただきたいと思います。
  138. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 資料の利用は、最近複写機器の発達によりまして、図書館施設内の閲覧よりもむしろ盛んにあるという状況でございます。そのために、複写によります資料の破損は極力修理その他に配慮いたしましたりいたして防止に努めておりますけれども、ことに電子式複写が非常に影響が多いようでございます。したがって、同一資料が頻繁に複写利用されます場合には破損が生じてくる。大体経験者の話を伺ってみますと、複写利用による破損は利用冊数の約三%ぐらいではないかというふうに申しております。これは一応の調査の上そういう結論が出たのだと思います。
  139. 山花貞夫

    山花分科員 複写の申し込みの数とかあるいはページ落ちなど本の補修をしなければならない、こういうことについても伺いたいと思ったのですが、関連して先に進みたいと思いますけれども、これに対して国会図書館側ではどういうような対策をとられているのか、今後とろうとしているのかということについてお話をいただきたいと思います。
  140. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 対策といたしましては、まず第一には、複写機器の改良をいま検討中でございます。わが館の複写委託業者と共同研究をいたしまして、従来のやり方よりも影響の少ない機器がつくれないものかということで、第一号機、第二号機とつくりまして、検討いたしております。結局、電子式複写で圧迫を加えます圧力をできるだけ少なくして複写するという方法を考えております。これが完成いたしますとかなり破損の影響は少なくなると思っております。  その次には、資料をマイクロ化いたしまして、そのフィルムによる複写をすることによって原本は保存をしておくという方法をとることでございまして、これは現在新聞、和古書、漢籍、明治・大正期の学術雑誌というものにつきましては、これは貴重なものでございますので、マイクロ化をいたしまして、マイクロによる複写をするということにして原本を保存いたしております。考え方としては、非常に利用度の多いものにひきましてはその範囲を広げまして、マイクロ化いたしまして保護するということが一つの将来の案であろうと思います。  それからもう一つは、資料の複数の収集をしておく、特に利用度の激しいものにつきましては、納本は一冊でございますけれども、そのほかに副本をあらかじめ購入しておくということにいたしまして、一部が破損いたしましてもかわりがあるという形にしておくというようなことをも考慮しなければならないではないか、大体そういうことを考えております。
  141. 山花貞夫

    山花分科員 マイクロ化あるいは複数納入制、大変大事な方法だと思いますけれども、マイクロ化といっても全体の蔵書数からいたしますと、ほんの一部にしかできないのではなかろうかという気がいたしますが、現在どのくらいの割合でその作業が進行しているのでしょうか。もしわかりましたならば、この点伺いたいと思います。
  142. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 現在は、新聞のマイクロ化は、戦後の新聞につきまして、昭和二十八年から約四十社の五十八紙につきましてマイクロ化を実施しておる。戦前の新聞につきましては、明治以降昭和二十年まで三百四紙、七百五万ページを対象にして現在行っております。また、昭和四十年から現在まで三百万ページのマイクロ化を行っております。  それから、和古書、漢籍のマイクロ化は、貴重書、準貴重書等六千九百冊、八十五万ページのマイクロ化を行っております。  学術雑誌のマイクロ化につきましては、四十八年から実施いたしまして、五十万ページのマイクロ化を行っておる。大きなところはそういうものでございます。
  143. 山花貞夫

    山花分科員 御努力はわかりますが、全体の蔵書の数から比較いたしますと、まだまだほんの一部ではなかろうか。先ほどお話のありました複数納本制その他を含めまして、ぜひ保存のための積極的な措置を講じていただくよう希望しておきたいと思います。  最後に、蔵書の点検の問題についてお伺いしておきたいと思います。  定期的な蔵書点検を計画的に行うことは、保存の機能維持にとっても大変大事なことであり、不可欠であると考えます。紛失とか不明本の確認とその補充、分類上の不備の発見とか書庫の管理の状況の把握、また、職員の意識の向上といったいろいろな効果があるのだと思いますけれども、国会図書館では昭和三十六年以来定期的な蔵書点検は行われていないと伺っておりますけれども、現状はどうなっているのでしょうか。この点についてどういうお考えをお持ちなのか、伺いたいと思います。
  144. 岸田實

    岸田国立国会図書館長 一斉点検は過去においてやったことがございますが、現在は常時点検ということで、一定の職員が常時点検をするといったてまえで実施しております。なかなか大部のものでございますから、すみずみにわたって詳細に点検をしておるとはちょっと考えられませんが、たとえば出納いたします機会に発見された図書の状況等を見まして、点検をして修理に回すとかいろいろの措置を講じていくという考え方で実施しております。  一斉点検をある一時にやりますことは非常に結構なことでございますけれども、何分非常に大部のものでございますから、これをやるということになりますと、相当の人数で長期間がかる、大体五十万冊をやるのにほとんど関係職員全員が参加いたしまして一カ月かかる、三百五十万の蔵書ですから七カ月かかるということになるわけでございまして、そういう間、利用をとめるということもなかなかできないことでございますから、常時点検あるいは出納の際に気がついたときにすぐ手当てをするという方法でこの保存を図っていきたい、かように考えております。  なお、別館ができたりしました機会に図書の排架を大量に移転しなければなりません。そういう際には、その機会に合わして一部につきまして一斉点検に類する措置を講ずるということも考慮に入れていいのではないかというふうに考えております。
  145. 山花貞夫

    山花分科員 お話を伺いますと、一斉点検は人員の関係からとうていむずかしい。常時点検につきましても、職員の数が不足がちであるというように伺ったわけですが、こうした問題については、非常に保存の観点から大事な仕事だと思います。職員数などについても配慮していただきまして、蔵書点検の年度計画などをきちんと立てて行うというようなことも必要ではなかろうかと思いますので、そうしたことについて十分御検討いただきますことをお願いして、質問を終わらしていただきます。
  146. 池田行彦

    池田(行)主査代理 以上で山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  これにて国会所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  147. 池田行彦

    池田(行)主査代理 次に、皇室費会計検査院及び裁判所所管について順次説明を求めます。山本宮内庁次長
  148. 山本悟

    山本(悟)政府委員 昭和五十六年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和五十六年度における歳出予算要求額は、二十八億八千八百六十九万四千円でありまして、これを前年度予算額二十七億五千八百七十七万九千円に比較いたしますと、一億二千九百九十一万五千円の増加となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億二千百万円、宮廷に必要な経費二十五億六百五十三万四千円、皇族に必要な経費一億六千百十六万円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、一千六百万円の増加となっております。  これは、昭和五十五年度限りの内廷費の定額二億五百万円が、昭和五十六年度においては、二億二千百万円となることによるものであります。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億一千五百五十七万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億九千九十六万二千円でありまして、前年度に比較して八千五万五千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、三千三百八十六万円の増加となっております。  これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額一千九百万円が、昭和五十六年度においては二千四十万円となること等によるものであります。  以上をもちまして、昭和五十六年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  149. 池田行彦

    池田(行)主査代理 次に、松尾会計検査院事務総長。     〔池田(行)主査代理退席、主査着席〕
  150. 松尾恭一郎

    ○松尾会計検査院説明員 昭和五十六年度会計検査院所管の歳出予算案につきまして説明申し上げます。  本院の昭和五十六年度予定経費要求額は、八十三億七千二百四十三万円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として七十二億八千七十四万九千円を計上いたしましたが、これは総額の八七%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、調査官四人、一般職員六人を増置する経費も含まれております。  旅費として五億七千六百十六万八千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億六千百四十万六千円、外国旅費が七百八万円であります。  施設整備費として一億七千二百八十七万二千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎本館防災改修工事費一億四千百九十六万七千円であります。  その他の経費として三億四千二百六十四万一千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑を図るための会計検査活動費五千二十万四千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十六年度予定経費要求額八十三億七千二百四十二万円を前年度予算額八十二億七千五百九十三万八千円に比較いたしますと、九千六百四十九万二千円の増加となりて偽りますが、その内訳の主力ものについて申し上げますと、人件費において二億五千三百八十四万円増加し、施設整備費において、庁舎本館防災改修工事の進行に伴い一億六千五百三十二万二千円の減少となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、本院の昭和五十六年度予定経費要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  151. 橋本龍太郎

  152. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 昭和五十六年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。  昭和五十六年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、一千八百八十億五千四百二十九万九千円でございまして、これを前年度予算額一千八百一億二百二十万六千円に比較いたしますと、差し引き七十九億五千二百九万三千円の増加となっております。  これは、人件費において六十八億四千三百四十七万四千円、裁判費において三億五千百三十五万八千円、営繕費において二億八千二百八十九万二千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において四億七千四百三十六万九千円が増加した結果であります。  次に、昭和五十六年度予定経費要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。  特殊損害賠償事件、民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理等を図るため、四十七人の新規増員及び沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づく定員からの十五人の振りかえ増により、裁判所職員定員法上、判事十六人、裁判所書記官十三人、裁判所事務官三十三人、合計六十二人の増員をいたしております。  他方、定員削減計画に基づく昭和五十六年度削減分として裁判所事務官三十二人の減員を計上いたしております。  次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の新営に必要な経費として百億四千四百十八万六千月、その他の裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として四十六億二千七百三十三万五千円、合計百四十六億七千百五十二万一千円を計上しております。  次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。庁用図書、図書館図書の充実を図るため、裁判資料の整備に要する経費として五億三千四十八万八千円、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計算機等裁判事務器具の整備に要する経費として三億九千七百四十四万八千円を計上しております。  次は、民事執行法の施行に伴い、民事執行の充実強化に必要な経費であります。民事執行事件の円滑、適正な処理を図るため、裁判資料及び競売場、現況調査用器具等の整備に要する経費として一億六千五十三万一千円を計上しております。  次は、裁判費であります。国選弁護人報酬に要する経費として二十億七千二百四十二万九千円、証人等の日当に要する経費として五億六十八万円を計上しております。  以上が、昭和五十六年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  153. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、皇室費会計検査院及び裁判所所管については終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩。      ――――◇―――――     午後零時五十一分開議
  154. 橋本龍太郎

    橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣総理府、ただし経済企画庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  まず、政府から説明を求めます。中山総理府総務長官。
  155. 中山太郎

    ○中山国務大臣 昭和五十六年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和五十六年度における歳出予算要求額は、百一億八千八百八十七万七千円でありまして、これを前年度歳出予算額百億六千百十六万八千円に比較いたしますと、一億二千七百七十万九千円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和五十六年度における歳出予算要求額は、五兆八千二百三億四百三十七万五千円でありまして、これを前年度歳出予算額五兆四千七百億二十九万八千円に比較いたしますと、三千五百三億四百七万七千円の増額となっております。  このうち、経済企画庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費一兆六千九百五十六億四千六百三十五万円、警察庁に必要な経費一千五百四十七億五千六十二万五千円、行政管理庁に必要な経費二百四億五千三十万円、北海道開発庁に必要な経費七千百四十六億七千二百九十八万一千円、防衛本庁に必要な経費二兆一千二百五十四億二千二百六十一万円、防衛施設庁に必要な経費二千七百三十九億九千七百五十六万八千円、科学技術庁に必要な経費三千八十七億一千四百七十一万円、環境庁に必要な経費四百六十億一千三百八十八万四千円、沖繩開発庁に必要な経費二千百七十二億三千二百六十二万一千円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本府一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して一千三百八十二億二千四百十一万円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して五十六億四千六百四十一万六千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁一般行政及び国の行う統計調査事務に従事する地方公共団体職員の設置の委託等のための経費でありまして、前年度に比較して七億二千八百六十六万円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸、漁港、住宅、公園、下水道、農業基盤整備、造林、林道、沿岸漁場整備等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して三十億二千百六十万九千円の増額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千五百四十九億六千三百八十七万七千円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備等諸施策の推進のための経費、提供施設の整備のための経費、補償経費等充実のための経費、基地従業員対策の強化のための経費、提供施設の移設等のための経費でありまして、前年度に比較して二百七億八千三百三十六万八千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、原子力開発利用、宇宙開発、海洋開発、防災科学技術及び重要総合研究の推進並びに科学技術振興基盤の強化のほか、科学技術振興調整費の創設等のための経費でありまして、前年度に比較して百八十三億七千八百九十七万四千円の増額となっております。  環境庁に必要な経費は、環境保全の企画調整の推進、公害健康被害の補償、大気汚染及び水質汚濁の防止、公害防止等調査研究の推進並びに自然環境保全の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して十一億六千五十二万二千円の増額となっております。  沖繩開発庁に必要な経費は、沖繩における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖繩開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、土地改良、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して四十六億二千七百五十六万四千円の増額となっております。  また、以上のほかに、新規継続費として防衛本庁において一千五百七十六億六千六百三十二万二千円、国庫債務負担行為として総理本府において六百二十四万円、警察庁において十四億三千四百八十八万八千円、北海道開発庁において三百五十三億二千八百万円、防衛本庁において五千六百三億八千二百八十九万三千円、防衛施設庁において三百四十五億三千百五十二万八千円、科学技術庁において一千四十六億一千八百五十七万円、沖繩開発庁において九十一億五千五百八十二万九千円を計上いたしております。  以上をもって、昭和五十六年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いします。
  156. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて説明は終わりました。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  157. 橋本龍太郎

    橋本主査 速記を起こして。     ―――――――――――――
  158. 橋本龍太郎

    橋本主査 総理府所管中行政管理庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  159. 野坂浩賢

    野坂分科員 長官は鈴木内閣の中でも実力者と言われておるわけでありますから、御出席も、全部そろわなければおいでにならぬというようで、お待ちをしておりました。しかし、行政管理庁の責務なり、実力者であるあなたが第二次臨調をおつくりになった、そういう意味ではまず率先垂範、時間を厳守して行管庁の責務を全うしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  昨日の本会議で、臨時行政調査会の候補者といいますか委員が任命をされたわけでありますが、この会長というのはすでに決まっておるわけですか。それともどういうふうにして会長はお決めになるわけですか。
  160. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいま遅参いたしまして、大変失礼いたしました。先ほど参議院で第二臨調の委員の御承認をいただきまして、実は関係各方面にお礼参りをしておりましたので遅くなりました。  臨時行政調査会の会長につきましては大体総理大臣から委嘱する、そういう形になるのではないかと思います。
  161. 野坂浩賢

    野坂分科員 土光敏夫さんはまだ会長に決定はしていないわけですか。
  162. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 内定しておるという状態で、まだ正式にその手続が済んでおるわけではございません。
  163. 野坂浩賢

    野坂分科員 ことしの、五十六年度予算の編成に当たりまして、大蔵大臣の渡辺さんは財政再建元年だというふうにおっしゃっておりますし、野党の皆さんは増税元年の年である、こういうふうに位置づけがされておるわけでありますが、この臨調につきましては、財政再建ということが非常に重要に考えられておると思いますが、そうかということと、もう一つは行政管理庁、この臨調というのは、小さい政府といいますか安上がりの政府といいますか、そういうことで財政とは関係なしに進められておるものである、こういうふうにも考えるわけですが、どうでしょうか。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いわゆる、臨調と申しますのは行政制度及びその運営の見直しということでございまして、行政には行政固有の原則があり、そのやり方があると思います。したがって、財政再建のためのみに行政改革は行われるものではございません。固有の価値と方法を持っておる行政の効率を発揮して、国民の期待にこたえるように改革が行われる。しかし、ただいま時代的要請は、日本の財政状況は未曽有の困難な状況に直面しておりまして、それをどういうふうに直していくかということもまた国民の大きな関心であり、時代の要請でもございます。そういうような点も踏まえて行政改革が行われることはまた当然であります。そういうような複合的な考えに立って行政改革は行われるべきものである。ただ、ややもすると、減税回避とかあるいは財政再建のためにのみ行政改革が取り上げられるような風潮がございますが、これは誤りであると思います。
  165. 野坂浩賢

    野坂分科員 よくわかりました。第一義的には、行政の適正化なりあるいは国民の要請にこたえる行政をつくり出す、こういうふうにお話しになったわけでありますが、土光さんは会長の内定について、二月九日の新聞に抱負を述べられておりますが、こういうことを述べておられます。「政府は、赤字国債をどんどん出すわけにはいかない。だから増税というわけだ。昨年も増税論が出たので、経団連は政府に対して、増税は行財政の合理化をやったあとのことだと条件をつけてやった。どうしても予算が足りなければ、合理化しなければならん。」、だから私は、むだを排除するという意味でこの臨調に取り組む、というような抱負を述べていらっしゃるわけであります。  これについては、委員の委嘱をされるにあたって十分お話しになっておると思いますが、若干長官と会長との間に、これはまだ内定でありますが、土光さんとの間に意見の相違があるように考えられますが、その辺については、きちんと御就任になる前にそういうことは御理解をいただいて、この調査会を運営をしていただくということにしていただかなければならぬ、こういうふうに思いますが、そういう点についてはきちんと整理をしていただけますか。
  166. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいまの土光さんのお話というのは私も新聞で拝見いたしましたが、その趣旨とするところは、要するに、むだを排除して能率的な政府をつくるという点に主眼があるのではないかと思います。  第二臨調が正式に発足いたしますと、辻清明東大教授のような行政法、行政学に卓抜な見識を持っていらっしゃる方もおりますし、また、組合関係の方もおりますし、ジャーナリスト関係の方もおりますし、そういうさまざまな御意見が反映されて集大成されるものであると思います。ただ、われわれは、これらの方々に全能力を発揮していただいて、フリーハンドで自由な討論と結論をつくっていただくようにしたいと配慮しておりますが、これができました法律の趣旨に沿って答申が行われるという点は、われわれも関心を持っておらなければならぬと思っております。
  167. 野坂浩賢

    野坂分科員 この法案の前文を読んでみましても、なかなかむずかしく書いてあるわけですけれども、わかりやすく言えば、むだのない行政といいますか便利な行政、あるいは国民のための行政、大体こういうことに集約されるのではなかろうかな、こういうふうに思いますが、そういうふうに考えてよろしい、わけですか。
  168. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まあ、簡単に言えばそういうことであるだろうと思います。
  169. 野坂浩賢

    野坂分科員 そこで、この法案の所掌事務のところ、二条でありますが、一条にもそう書いてあるわけですが、「調査会は、行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議する。」、こういうふうに述べられております。どこにも「行政」という言葉が使ってあるわけですが、「行政」というのは限定といいますか、どの辺まで、限定があるのかないのか。「行政」というのは全般に何でもやれるというふうに考えるわけでありますけれども、この辺はどうでしょう。
  170. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 法律的解釈は政府委員に後刻やらさしていただきたいと思いますが、「行政」と書かれてある以上は、立法及び司法を除くいわゆる行政各部が包含されると思います。ただし、法律的制約や憲法的制約もある点について旭、それらの制約は考慮さるべきであると思います。たとえば地方のような場合には、憲法に「地方自治の本旨に基いて、」云々という言葉がございますから、それらの制約は当然考慮すべきであると思います。
  171. 野坂浩賢

    野坂分科員 これは二月二十四日に出されておる新聞ですけれども、「第二次臨調また地方自治体問題、自治・行管の対立再燃」、こういう見出しで出されております。いまお話がありましたように、地方自治体といいますか地方公共団体については、憲法の九十二条から九十五条までその制約があるということでありますが、地方制度の問題、地方公共団体にかかわる問題については第二次臨調では全然触れない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  172. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういうことにはならないと思います。この条文にも「行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善」とこう書いてありまして、中央と地方の関係もございますし、あるいは中央と地方のバランスの問題があります。人間の使い方にしても給与のあり方にしても、中央と地方の均衡という問題も当然また考慮さるべきでございまして、要するに国民全体の側から見て、行政というものに期待されているニーズと申しますか要請と申しますか、それにこたえるというのが本旨であるだろうと思います。そういう点から、地方自治の本旨という点についてはわれわれは慎重なる配慮をしなければならぬと思いますが、それに触れない範囲内において、行政制度一般として、あるいは共通の問題として、あるいは中央との対比、バランスの問題、均衡の問題、そういうような面から見、あるいは効率性、能率性というような面から見まして、改革が加えられ、これに対していろいろ勧告や何かがなされることはあり得ると考えております。
  173. 野坂浩賢

    野坂分科員 ちょっともとに返りますが、この臨調に長官が期待をされておるものは総論的なものか、あるいは具体的な各論的なものか、両方か、そのどっちでしょう。
  174. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 両方でございます。やはりこれからの改革を行うということを考えますと、いままでの過去の実績をよく検討していただいて、それから八〇年代、九〇年代に来るべき時代の条件もよく考えていただいて、そして政府とはこうあるべきである、行政とはこういうふうに機能すべきである、そういう体系と哲学と申しますか、基本観念をできたらつくっていただきたい。その中には中央と地方の関係も入りますし、あるいは官業と民業の関係もありますし、あるいは公務員管理の問題もございましょうし、そういう問題も含めまして、一つの包括的なビジョンといいますか、体系をつくっていただいて、そして全体としてこういうふうなあり方が望ましい、いわばそれで軌道を設定していただければ非常にありがたいと思うのです。全体像をある程度つくっていただくと同時に、今度は具体的に、しからばそれを実行していくに、時間的に追ってどういうふうにやっていったらいいか、そういう具体的な問題まで答申していただけば非常にありがたい、そう思っておる次第でございます。
  175. 野坂浩賢

    野坂分科員 政府の中には審議会あるいは調査会というものがたくさんあるわけですが、そういう点については重複をしないでそれぞれ答申をするということが原則ではなかろうかと思いますが、いま長官のお話では、共通問題ということになりますと、非常に重複の諸点が出てくるのではなかろうか。重複が出た場合には、たとえば地方制度調査会とこの臨調と重複するような点については、やはり避けていくということが必要ではないかと思いますが、その点はどうお考えでしょうか。
  176. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 視点が若干違うと思います。地方制度調査会という場合には、恐らく地方制度という観点からすべてを見て、中央も見るという形になると思います。第二臨調の場合は、法律に明記されておりますように、行政制度及び行政運営という非常に包括的な立場から地方もながめる、そういう形になると思います。したがって、対象となる分野については重複する部分も当然あり得ると思います。結論について同じになるか、あるいは違うことになるかわかりませんが、その取り上げる視点が少し違うのではないか、そういうふうに考えております。
  177. 野坂浩賢

    野坂分科員 視点が違っても、大体総体論はそういう姿が出てきても、具体論になってくると、一つの問題を整理していく、あるいは進めていくという場合については、どういうふうにして調整なさるわけですか。
  178. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いままで地方制度調査会の何回にもわたる答申もございましたし、また第一次臨調の答申、そのほか、いままでの委員会審議会における答申等もございました。そこで、その例を見ましてもダブっているところはございます。  第二次臨調におきましても、具体的問題になりますと、オーバーラップして意見の表明が行われるということは十分考えられて、そして同じ結論になるか違う結論になるか、これはいまから予断を許しませんが、それは自由にやっていただくことでありますから、同じになっても違うようになってもわれわれは尊重しなければならぬ、そう思います。
  179. 野坂浩賢

    野坂分科員 それはおきまして、いま長官がお話しになりました中に、共通の問題もあるし、それぞれ給与の問題あるいは人事の問題等もあるというお話があったわけです。  具体的にお尋ねをいたしますが、たとえば教員あるいは警察官の問題や、今度日商の方でしたか、会頭から道州制の問題を提起されて、それも第二次臨調には反映します、というようなお話が長官からあったやに伝え聞いているわけでありますが、この道州制の問題とか、地方公共団体の教員の問題あるいは警察官の定員の問題、さらには給与の問題、こういう問題はやはり地方公共団体に属する問題、こういうふうに理解しておるわけですが、その点はどうお考えでしょうか。
  180. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それは国家の制度の一環としてという観点から、あるいは中央との対比との面において取り上げられる可能性は十分あると思います。それから、いわゆる固有事務で委任しているものもございますが、これらは法律上当然というような考えに立って、取り上げられる性格を持っておるもの。と思います。  しかし、それ以外の事務につきましても、国政における制度全般の一環を担うものというような観点から、中央との対比等々の観点から取り上げらるべき可能性もあると考えております。
  181. 野坂浩賢

    野坂分科員 自治省はおいででございますか。
  182. 橋本龍太郎

    橋本主査 田中政課長が来ております。
  183. 野坂浩賢

    野坂分科員 自治省からもお答えいただきたい。
  184. 田中暁

    田中(暁)説明員 お答え申し上げます。  われわれの理解しておりますところでは、いわゆる第二臨調は国の行政制度及び行政運営の改善、合理化について調査審議する機関として設置されるものでございますから、地方自治固有の行政の改革に関する問題につきましては、内閣総理大臣の諮問機関でございます地方制度調査会において調査審議されることが適当であると考えております。  なお、国の行政のうち地方行政に関連のある事項はいろいろございまして、たとえば、国と地方との機能の分担などにつきましては第二臨調でも当然調査審議が行われるものと予想されるわけでございますが、その際には、累次にわたります地方制度調査会の答申の趣旨が十分尊重されるよう期待しているところでございます。
  185. 野坂浩賢

    野坂分科員 いま田中課長からもお話があったのですが、参議院の地方行政委員会で、前の石破自治大臣がこういうふうに述べております。「たとえば道州制のごとき、これを国の機関でなしに、地方の制度という前提に立ちます限りは、第二臨調などであれこれ御審議願うべき筋のものではありませんで、地方制度調査会の本来のお仕事としてやっていただきたいものと考えております。」、こういうふうに自治大臣は御答弁になっておるようであります。いま行政管理庁の長官からのお話では、こういうものもやるのだ、こういうことになってきますと、やはり新聞どおり、あなたは実力者ですから抑えつけられる、自治大臣がこれでは困るなあと言いながらも、あなたの力で押しまくられてくるというようなかっこうに見えるわけです。そこらの点については非常に微妙な発言を田中課長はしておりますけれども、尊重してもらうという意味で逃げていますけれども、この辺やはり、重複を避ける意味できちんと整理をした方が、要らざる、要らざると言うと大変語弊がありますが、混乱を起こすのではなかろうかなということを心配するわけですが、その辺はどうでありましょうか。
  186. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 道州制が取り上げられるかどうかはわかりません。私が日商会頭に前にお会いしましたときに、そういう個人的意見の表明がありましたので、臨調ができました際はその御意見があったことをお伝えいたします、そういうふうに申し上げたのでございます。  ところで、道州制を取り上げるかどうかということでございますが、当然これは第二臨調で、もし必要あらば取り上げられる可能性がある問題であると思います。それは、国の制度の大きな部分をなすものでございまして、中央と地方との仕事の配分とか、そのほかの面におきましても大きなファクターになるのであります。そういう行政制度という中に含まれる重大な要素でもあると思いますから、それは当然入るものである。固有の地方公共団体のお持ちになっておる仕事にまで、具体的に、個別的に入るというようなことは避ける必要があると思います。しかし、制度一般論として考える場合には、これは国の制度という一環として取り上げらるべき問題であると考えます。
  187. 野坂浩賢

    野坂分科員 大変どうも、大臣と課長とで恐縮ですけれども、いまお話があった道州制の問題については、地方制度調査会がやるべきか、あるいは臨調でやるべきか、自治省はどう考えておるわけですか、それをイエスかノーかで。
  188. 田中暁

    田中(暁)説明員 自治省といたしましては、前大臣がお答え申し上げましたとおり、地方制度調査会で調査審議いただくのが適当と考えております、
  189. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうすると、自治省と行管は全く相対立をするということになるわけであります。したがって、県の固有事務、地方公共団体の固有事務、いわゆる九十二条から九十五条の範疇、そういうものについて閣内できちんと整理をして、この委員会で明らかにしてもらいたい。中曽根長官にお尋ねをしてもここでは調整がなかなかできないわけですから、委員長にその取り扱い方をお願いをせざるを得ないということになりますので、よろしくお願いしたい。
  190. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 道州制のような問題は地方制度調査会でも取り上げられるし、また、第二臨調においても取り上げられる可能性のある問題だろうと思います。地方制度調査会といたしましても、設置法の趣旨にかんがみまして、そのような区域の問題、管轄権の問題というのは大事な問題でありますから、当然お取り上げになるでしょう。しかし、先ほど申し上げました理由に基づいて、もし必要ある場合には臨時行政調査会におきましても取り上げられてしかるべき問題である。両方が取り上げたからといって悪いことではありません。給与でも定員管理でも何回も同じことが取り上げられているわけでありますから、別にけんかするような意思もありませんし、必要もないと思っております。
  191. 野坂浩賢

    野坂分科員 行政の簡素化でやはりやるべきことについては何でもかんでもということよりも、やはりきちんと整理をして、効果ある調査会にしなければならぬ、二年ですからね。したがって、しかも長官は、五十七年度予算に間に合うように当面する問題については出してほしい、そして実力者であるあなたがやって、行管の長官というのはいままで十分できなかったけれども、中曽根はやるだろうというふうにみんな見ておるわけですから、一気かせいにやる可能性があるだろうと思うのです。そういう点についてはやはり整理をして、効果のあるように、それぞれの調査会でやってもらう、こういうことは私は必要だろうと思います。したがって、同じことをあっちでやったりこっちでやったり、また混乱をして、どういう調整をするかということのないように処理をしてもらいたいと思います。整理をしてもらいたい。たとえば教育の問題にしてもあるいは給料の問題にしても、そういう一般論というものはあるにいたしましても、内容的にはその県の固有の事務だ、こういうふうに私たちは考えておる。パターンとしては、大綱というものは行政についてということでありまして、そこに範囲というものが決まってないということがあるでしょうけれども、その辺はやはり行管の長官ですから、問題を整理して、やはりきちんとしてもらわなければならぬ、こういうふうに思いますので、特に委員長にお願いをして、整理をしてもらいたいと思います。
  192. 橋本龍太郎

    橋本主査 いま確かに、行政管理庁長官と自治省の方の説明の中に完全に相反する点があるように私も思います。いま副主査の方々とも御相談いたしましたが、理事会に御相談、申し上げ、同時に、この予算委員会の終了までの間、政府としての見解を統一されるように私からも政府側に要望いたします、ということであとをお進めください。行管長官、その点はお願いをいたします。
  193. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 別に食い違っているとは思わないのです。先ほど御答弁申し上げましたように、これは両方で取り上げていい問題である。そういう重複する問題はいままで幾らでもございました。また、地方制度調査会長の林敬三さんが委員にもおなりになっておりまして、しかし委員となった以上は、所属を離れて、学識経験者として国家的大局に立った御判断を願うという形になりますが、そういう御経験も生かしていろいろ内部の調整は行われると思いますので、その点は御心配の必要はないと思いますが、せっかく委員長のお言葉でございますから、そのようにいたしたいと思います。
  194. 橋本龍太郎

    橋本主査 野坂さん、どうでしょうか。たとえば双方の審議会で取り上げて論議をすることも可であるということであれば、それも一つの答えでありますから……。
  195. 野坂浩賢

    野坂分科員 ええ、それは統一見解を出していただければ結構なんですが、自治大臣は、たとえば道州制の問題とかあるいは教育の問題とか、そういうものについて行管が所管をする第二臨調等で論議することはきわめて遺憾である、要らざることだ、こういうふうに述べられておるわけですから、田中課長もそう述べておるわけですから、行管の方は、それは全部をやるんだ、やってもいいじゃないかということですから、やはり政府の統一見解を述べていただかなければ、これは混乱をするし、新聞等のこういう疑惑なり、閣内不統一であってはならぬと思いますので、整理をして、委員長が述べられたように、予算委員会の総括質問前に、政府の統一見解を述べていただくということにします。
  196. 橋本龍太郎

    橋本主査 予算委員会が終了するまでの間に、政府側からの見解を求めるようにいたします。
  197. 野坂浩賢

    野坂分科員 それではもう一点だけお願いします、時間がありませんから。  特殊法人はいま百九ございますね。これは、内閣の人事課長もおいでだと思いますが、これを五十五年ですか六年ですか、約五十五ぐらいにしたいというふうに聞いておるわけでありますが、天下り人事の実態、その点のお話をいただきたいといいますのは、ここでは官業と民業との分担問題も論議をされると思いますし、たとえば専売とか国鉄とか民営論まであるというような情勢でありますから、それをまた元高官の皆さんが民間の中に入って――りっぱな方だと思いますけれども、できるだけ民間人で運営させるということの方が大切ではないか、こういうふうに思うわけです。それについては、現状とこれに対する考え方を長官から承って終わりたい、こう思います。
  198. 栗林貞一

    ○栗林説明員 特殊法人の役員の問題につきましては、五十二年十二月に閣議決定をいたしまして、それからさらに五十四年十二月に閣議了解をしまして、国家公務員を退職して特殊法人の役員になる場合の目標について具体的に決めていただいたわけでございます。その内容は、先生ただいま申し述べられましたように、全特殊法人の常勤役員につきましては、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめるということを目標にするということになっております。それで、私どもことしの一月一日現在でまとめましたところでは、常勤役員全体の数が七百六十九人でございますが、そのうち国家公務員から直接就任した方あるいはそれに準ずる方、まあ民間に行かれてから役員になった方とか、法人の部内に入られてから役員に上がられた方とか、そういう者を含めまして四百四十二人、五七%ぐらいでございまして、その前に比べても少しずつ減ってきておりますが、これは何分にも任期が来ましたところでそれぞれ考えて努力していくという問題でございますので、今後とも閣議了解の線に沿いまして、各省、特殊法人とも努力していくということになっておるところでございます。
  199. 橋本龍太郎

    橋本主査 野坂君、時間が来ましたので締めくくってください。
  200. 野坂浩賢

    野坂分科員 長官に、そういうことをどう思うかという御感想を承って終わります。
  201. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いわゆる天下りということは好ましからざる現象である、そういうことで、内閣といたしましてもこれをできるだけ規制に努めておるところで、たしか閣議決定も閣議了解もしておると思います。その線に沿いまして今後とも努力してまいりたいと思います。
  202. 野坂浩賢

    野坂分科員 これで終わります。
  203. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、斎藤実君。
  204. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 まず中曽根長官にお尋ねをいたします。  現在、行政改革が政治の焦点になっておりまして、これは多くの国民が望んでおることでございます。私は、各省庁が認可をしております財団法人あるいは社団法人、これらの公益法人についてお尋ねをいたしたいと思います。公益法人ですから公益的な目的のために申請をし、許可を受けて、その事業を行っておるわけでございますが、最近、特に営利を目的としてつくった子会社が経営不振になって倒産をした。これは後で申し上げますけれども、民宿の指導育成を目指して設立された厚生省認可の日本民宿組合中央会、この子会社が、民宿業務用品などを会員の民宿に売りまして倒産をした。これで負債総額が二億円を超えたということで、大変大きな問題になった事例がございます。公益法人を設立する場合、設立の趣意書あるいは事業計画、収支予算書などをそろえて担当大臣に申請すれば許可になる。比較的手続が簡単なんです。それで申請したその公益法人は、認可を受けますと社団あるいは財団法人のお墨つきがもらえるということで社会的な信用も重くなる、その上法人税の減税もあるということで、どうしても収益事業に手を出すというのが最近ずいぶん多くなっています。     〔主査退席、横路主査代理着席〕  ところが、五年も六年も事業を行っていない、休眠法人といいますか、これらが大きな社会問題になっておりまして、行管庁も、昭和四十六年ですか、この問題についてはずいぶん国会でも論議をされまして、それで公益法人の指導監督に関する行政監察をおやりになった。これは昭和四十六年ですから、もう十年たっています。そこで昭和四十六年に、監察の勧告によりますと、休眠している公益法人は三百二十九法人ある。これらに対してどう整理をしたのか、あるいは指導したのか、解散を勧告したのか、その後どういう状態になっているか、まず最初に伺いたいと思います。
  205. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  勧告の後に、昭和四十八年に入りましてから、私の方でいわば推進の監察をいたしました。政府としましては総理府が中心になりまして各省の連絡会で進めておりましたが、私の方でその後二年後に、四十八年に推進をいたしまして、休眠状態にあるものを再度洗い直しをいたしました。すでに各省で手を打っておるものが約二割くらいございまして、そのほかに手を打たせつつあるのも二割弱まできておりました。ただ、所在不明等の休眠法人がございまして、これについての対策が非常に問題になりました。私の方でも法務省にちょうどお願いをいたしまして、法制審議会でも審議がございましたが、その後、一昨年に法律が成立いたしまして、去年の六月から公益法人の監督の強化の問題、それから休眠法人については整理ができるという法律ができましたので、その後の状況を見ているところでございますが、相当改善は進んだものと私どもは考えております。
  206. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 法人が二万で、休眠法人が約二割というと四千ですね。これが一年とか二年とかというのならいざ知らず、戦後三十年間何もしてない、届け出もしてない、報告もしてない、あるいは五年、六年というのはざらにあるわけです。それで五十四年十二月に民法の改正がありまして、休眠法人には解散命令が出せる、それから公益法人でないのに公益法人の名称を使ってはならない、あるいは悪質な公益法人については解散させることができるというふうになっているわけですが、この十年間でまだ四千件もある。私はなぜこういうことを申し上げるかというと、利権をあさって、その法人をやみブローカーが暗躍をするというのですね。いろいろな事例を私は後で申し上げますけれども、いまだに四千件の法人が休業をしているということについてどういう手だてでこれを処理するのか、もう一遍ひとつお尋ねしたいと思います。
  207. 中庄二

    ○中政府委員 先生指摘の事項は、公益法人の実態をどうやってつかんでおるのか、特に報告等の制度がございます。これをどうつかんでおるのか、私どもの方で第一回勧告いたしました後、二年後にもう一度その状況を見たわけでございますが、届け出が非常におくれているものもございました。事実届け出の出ておりませんものが、私どもで選んで見たものの中で言いますと、やはり一割程度ございました。そういうことで、各省に実態把握なり立入検査なりということもお願いしておりますので、その後、相当改善されたのではないかというふうに私どもは考えております。
  208. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 届け出をされてない法人、三年以上報告をされていない法人の数はわかりますか。
  209. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  私どもの調査の時点でございますので三年ということは限っておりませんのでございますが、おくれているものというのを別にいたしまして、調べました時点でございますので何年かということはわかりませんが、約一割程度が出ておらぬということは当時の調査結果で出ておりました。
  210. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いまの答弁で、一割程度だとかということで掌握をされてないわけでございますが、公益法人として官公庁が許可するわけでございますから、これは厳重にやってもらわないと何のための公益法人かということになるわけでございまして、やはり事業の性質上、社会に公益のための事業ということで許可するわけですから、全く休眠しているという法人ですな、これをそのままにしておくということが私は問題だと思うのですね。昭和四十六年に内閣総理大臣の指示に基づいて各省の連絡会議というのをつくりましたね。これは機能を発揮されているのですか、どうですか。
  211. 関通彰

    ○関(通)政府委員 ただいま先生お触れになりました公益法人監督事務連絡協議会は庶務を総理府が担当いたしておりまして、公益法人の主務官庁であります二十二の省庁がメンバーになりまして監督事務の統一的な推進を図っている会議でございます。      〔横路主査代理退席、主査着席〕  概略申し上げまして、年間五、六回関係省庁が集まりまして諸般の事務の協議をいたしております。昨年は、一昨年民法の改正が行われまして監督権限が強化され、またいわゆる休眠法人の整理の規定も新たに加えられる等のことがございましたので、新しい改正された民法によります運営の諸般の問題につきまして協議をいたしている状況でございます。
  212. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 総理府がこの連絡協議会の事務局になっていると思うのですが、具体的に年に五、六回集まって打ち合わせをしているというお話ですが、これは事務的な打ち合わせだけじゃなくて、具体的にこれを明確にして、すっきりとした公益法人としての活動を思う存分やらせるような手だてはとれないものですか、いかがですか。
  213. 関通彰

    ○関(通)政府委員 ただいま事務連絡協議会の現況の概略お答え申し上げましたが、四十六年にこの連絡協議会が設置されました趣旨は、先ほど先生もお触れになりました行政監察に基づく勧告が行われましたのを受けまして、実際の主務官庁であります各省庁が事務の統一的改善を図ろうというために設けられたものでございまして、その後四十六年以降、行政監察結果に基づく勧告で述べられました事項を中心に幾つかの具体的な申し合わせ事項を決めております。  一つは、四十七年に申し合わせいたしました公益法人設立許可審査基準でございます。各省庁統一的な審査基準を申し合わせで決定いたしております。二つ目は、公益法人設立許可申請書の添付書類、これは各省まちまちでございましたが、四十七年に統一的な申し合わせを決めております。それから三番目は、公益法人の経理に関しまして、管理台帳をしっかりしたものを常備させるように申し合わせをいたしております。それから四番目に、共管法人の取り扱いにつきまして具体的な申し合わせをいたしております。それから五番目は、これは五十二年に申し合わせたものでございますが、公益法人の会計基準をつくりまして、これを各省庁で申し合わせまして、この基準に基づいて各公益法人の経理の指導を行う、かような具体的な申し合わせ等もいたしております。
  214. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 実は私は、各省庁所管している公益法人の台帳というのを調べてみました。余りにひどいのですね。中には職員がだれもいない、机も電話もない、また住所に事務所がないという法人もあるのです。私は戦災復興本部というところに電話してみました、これは建設省ですけれども。戦災復興本部ですかと聞きましたら、違います、東亜商事ですと言う。十年前からそういうものはありませんと言う。私は実際にこれは確かめたのです。先ほどの答弁で四千の法人がまだわからぬとかそういうことを言っていたのでは、これは話にならぬと思うのですね。せっかく公益法人を認可しながらその実態を掌握していないということは、私は非常に怠慢だと思うのです。  これはもう一遍ひとつ、中曽根長官、これはいま一つの事例ですけれども、私は後でまたいろいろ事例を申し上げますけれども、こういうことでは法律に基づいたせっかくの公益法人の役目といいますか、これは何にもならぬわけでして、長官としてこの点どうされるおつもりかお答えいただきたいと思います。
  215. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 せっかく民法の改正までやりまして休眠しているものを廃止するという手続まで決めたぐらいでございますから、そのように整理すべきものは至急整理してはっきりさせるべきである、政府としても努力してまいりたいと思います。
  216. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 とにかく十年たっているわけですからね。それでその当時は、四十六年にはそれだけの連絡協議会をつくって取り組もうということでスタートしたわけですね。そういう二万件の法人の中でいまだに二割は掌握できない、あるいは休眠法人があるということはきわめて私は遺憾だと思うのですね。  ところで、昭和四十六年に調査をして十年たった。それで具体的にもう一遍この体制を立て直して、集中的に、精力的にこの問題に取り組むべきだと思うんですね。十年たってもまだ四千件の休眠法人があるし、実態も明らかでないのが二手法人もあるということでは、これは私は問題だと思うのですが、いかがですか。
  217. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  私どもで把握しております数字、先ほど申し上げましたのは昭和四十八年での抽出の率でございまして、私、いま承知しておりますのは、国の各省庁の許可に係りますものが約五千程度、それから都道府県知事、教育委員会の許可に係るものが約一万二千程度、合わせまして一万七千ぐらいという数字かと思いますが、先ほど申し上げましたように、勧告の後相当改善が進んでおりますので、相当実態はよくなっているかと思いますが、特に昨年の六月から施行されました法律、まだ施行されましてから八カ月ぐらいでございますので各省庁の努力に期待したいところでございますが、私どもといたしましても、総数が多うございますので、ほかの監察をやります折に、そういう公益法人にも十分関心を払いながら今後の各省の動向を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  218. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 ひとつ積極的にこれは進めていただきたいと思います。  そこで、具体的な事例に入りますが、労働省所管の社団法人日本建設雇用管理協会、これは別会社をつくっておりまして、株式会社日本建設雇用管理センター、役員も事務所も同じなんです。ところが、営利事業を始めまして不動産を始めた。不渡りで一億六千万を出しておる。これは新聞ででかでか報道されましたから御承知と思いますが、こういう事件が起きておるわけですね。この法人に対してどういう処置をされたのか、伺いたい。
  219. 野見山眞之

    ○野見山説明員 建設雇用管理協会につきましては、昨年の一月不渡り手形を出したということで、直ちに責任者を呼びまして、経理の実態につきまして事情聴取を始めたわけでございますが、そのさなか理事長が詐欺罪で逮捕されるという事態になりました。私どもといたしましては、債権者に対する保護をまず十分に考えなければいけないということで、責任者に対しまして、当時残っておりましたのが副理事長でございますが、事業の停止をすぐに指示いたしまして、と同時に、債権者の保護の観点から、その時点における債権債務の関係につきまして直ちに実態を調べるように指示いたしました。その後、事業は停止のままで今日に至っておりまして、経理の実体的な責任者でありました理事長からの事情聴取が、実は理事長が身柄勾留のまま裁判に付されたというような状況でございましたので、実態が必ずしも究明されませんでした。  したがいまして、実は昨日理事長に対する公判の判決、有罪判決が出まして、そのまま勾留の状態が続いておりますので、至急理事会を開催して、債権債務の関係を整理した上で解散の方向に持っていくということで現在進めさしているところでございます。
  220. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 次に、厚生省にお伺いします。  社団法人日本民宿組合中央会、これも全く同じなんですな。日本民宿共済会をつくった。これは完全な営利目的でつくった別会社です。子会社です。これがまた経営不振の影響を受けて、五十五年二月二億円近い負債を抱えて倒産した。この法人に対する処置はいかがですか。
  221. 田中治彦

    田中(治)説明員 お答えいたします。  社団法人日本民宿組合中央会は昭和五十年五月の設立てございますが、それ以来民宿の衛生水準の確保等の事業を推進していたわけでございます。ところが、特定の理事が独断で多額の債務保証をしておりました株式会社日本民宿共済会が倒産をいたしまして、その影響を受けまして五十五年五月に銀行取引停止の処分を受けたわけでございます。社団法人日本民宿組合中央会では緊急に役員会を開きまして、この独断で債務保証をいたしました理事の引責退任というような措置をとるとともに、再建の可能性につきまして検討を重ねたわけでございますけれども、債務額が余りにも多額であったというようなことで、民法の規定に従いまして全理事の名におきまして破産の申し立てをいたしまして、五十五年九月三十日に東京地方裁判所で破産宣告を受けるに至ったものでございます。  一方の株式会社日本民宿共済会につきましては、その設立の経緯につきましてはよくわからないのでございますが、私どもが社団法人日本民宿組合中央会に昭和五十五年十二月に立入検査いたしました段階では、その同じ建物の中に株式会社の民宿共済会も存在していたわけでございます。また、五十五年五月現在でございますけれども、この日本民宿共済会の登記簿を見ますと、一人の役員が民宿組合中央会の理事になっておるというような事実がございます。
  222. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 また厚生省にお伺いしますが、財団法人同胞の会というのがあるんですが、これは目的は引き揚げ、戦災孤児の援護、それから傷病者その他一般引き揚げ者の援護を目的として設立した法人ですが、こういうものは役割りをすでに終了しているわけですね。こういう定款にうたってある役目を終わった法人に対してははっきりけじめをつけるべきだと思うのですね。いかがですか。
  223. 北郷勲夫

    ○北郷説明員 いまお話のありました同胞の会は昭和二十三年に設立されたものでございまして、おっしゃるとおり戦災孤児とか引き揚げ者に対する援助が目的でございまして、現在その代表者がどこにいるかもわからぬというような状態でございまして、完全に休眠法人でございまして、これはいま完全にこの設立許可の取り消しの対象にしなければならぬ法人でございます。ある程度数をまとめてやろうと思っておりますので、ほかの法人等を調べておりますが、許可の取り消しの方向で現在検討、手続を進めておる段階でございます。
  224. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 この同胞の会の寄付行為を見ますと、勝手につくっているわけですね。設立当初の目的に加えて、高齢者の救済あるいは在宅老人の看護及び老人ホームの建設、運営などというふうに勝手につくっているわけですね。私は、こういう先般申し上げました純然たる公益法人が目的に外れて営利行為をするという、これはもちろん届け出もしないからわからぬと言えばそれまでですけれども、やはり公益法人が営利行為を行う場合にはこれはもう違反ですから、必ず、事業報告をする場合にこういうふうに営利行為を目的とした事業をやるという報告を義務づけなければ、いつまでたってもこういう問題は解決しないと思うのですね。監督が不十分だあるいは届け出がないからといってそのままにしている間に、公益法人の目的から外れた営利行為をやっている。しかもそれが税金も払わぬ、脱税行為もしているということになると、これは何のために官庁が許可したかということになるわけです。この辺どうですか。
  225. 北郷勲夫

    ○北郷説明員 同胞の会が勝手に定款を変更してというお話でございますが、これはもちろん認可を要するわけでございまして、勝手にやってもそれは有効でないと思うわけでありますが、いずれにしましても、余りこれを放置しておきますと、利用する人間が出てまいるわけでありまして、これは実にけしからぬと思うわけであります。何とか早くそういうことが起こらないように整理してしまいたいと思っております。
  226. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 中曽根長官、私が、いまだんだん申し上げたこの公益法人をやはり厳正に――休眠法人をどう整理するかということですね。そして、本来の目的である公益法人をいかに育成するかという二面性を、私はぜひ長官として、これは厳正な立場に立って指導し監督していただきたいと思うんですね、これは迷惑するのは国民ですから。法の権威というものが失われてしまう。そういうことでございますので、長官、ひとつこの休眠法人あるいは公益法人として適正でない法人に対する処置を厳正にやっていただきたいということを申し上げたいと思うのですが、決意のほどを伺いないと思います。
  227. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私も全く同感でございますので、各省等を督励いたしまして、御期待に沿うように努力いたします。
  228. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 終わります。
  229. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で斎藤実君の質疑は終了いたしました。  これにて行政管理庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。
  230. 橋本龍太郎

    橋本主査 次に、科学技術庁に関する事項について質疑の申し出があります。順次これを許します。五十嵐広三君。
  231. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 けさの新聞報道によりますと、レーガン政権の核不拡散政策が大きく転換をするような感じで、カーター時代から見ますとずいぶん変わりそうな感じでありますが、そこで、この機会に第二再処理工場建設に関する政府の考えといいますか、計画のようなことをまずお伺いを申し上げたいと思います。
  232. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  レーガン政権の原子力政策と申しますか、大統領選の争点になっておりませんでしたので、いまだに私ども確たる姿をつかみかねているわけでございます。先生指摘のように、新聞報道では、大分カーター前政権と変わって、少し積極的になるのではないか、特に高速増殖炉の開発の推進、これに関連して再処理についても何か態度の変化があるのではないかという感じは私どもも感じているわけでございますけれども、まだ確たる姿、政策というものは承知をしていないわけでございます。  先生指摘の第二再処理工場につきましては、東海村の再処理の共同決定の交渉の際に、すでに双方の頭にあって、直接ではございませんが、いろいろ頭に置いた議論がなされたわけでございますけれども、いまだに第二再処理についての米国側の姿勢というものは公式的には変わっていないわけでございます。日本側といたしましては、再処理需要がだんだんふえてまいります事情もございますので、昭和六十五年ごろには操業に入りたいという希望は持っておりますけれども、これも日米間の、当面の東海再処理工場の本年六月一日以降の操業をどうするかという折衝の過程で議論されていく課題である、このように認識をしている次第でございます。
  233. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 仮に、御計画になっておるように六十五年には操業運転を開始したいということでいくとすれば、それから逆算すると、用地の確定なんかは大体いつごろになることになりますか。
  234. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 用地といたしましては、今年あるいは来年中ぐらいには確定をしないと、後のスケジュールがつらくなるなということで進めているわけでございますが、何分にもこの辺につきましても、一応基本的な日米間の了解というものが必要になってくるのであろう、こういう状況にあるわけでございます。
  235. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 いまの見通しで、一九九〇年あるいは西暦二〇〇〇年ぐらいの時点で、高レベル核廃棄物、廃液の総発生量といいますか、大体どのくらいの量になっていくかですね。
  236. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 今後の原子力発電の伸びについてでございますが、私どもは十年後、昭和六十五年度に五千百万ないし五千三百万キロワットという目標がございます。さらにこれを延ばしてみまして、二〇〇〇年ごろどうなるかということにつきましては、正式な見通しを持っていないわけでございますが、仮に二〇〇〇年時点で一億キロワットぐらいという想定をいたしますと、その時点まで、二〇〇〇年までに発生いたします使用済み燃料の累積発生量が約二万六千トンとなるわけでございます。これをその時点までに再処理するということで計算をいたしますと、高レベル廃液の総量は約一万三千立米ということになるという計算になります。
  237. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 いま東海村の再処理工場にある廃液の貯蔵タンクですね、これの容量はどの程度のものでありますか。  それから、非常に高レベルの廃液の貯蔵についてはどこでも事故発生の可能性が――一九七三年ですか、アメリカのバンフォードの貯蔵所の事故なんかは特に代表的なものであるわけでありますが、あのときは四百四十立米ぐらい漏れたということであったわけでありますが、高レベル廃液は言うまでもなく非常に放射能が強い。崩壊熱の発生も大きいわけでありますから、タンクの腐食が激しいことと思うのでありますが、そういう安全性についてはどうか。あるいはそのタンクの耐久期間といいますか、大体何年ぐらいもつのか、その辺をちょっとお答えいただきたい。
  238. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  まず、動燃事業団の再処理施設におきまして、昨年末現在までで八十八立米の高レベル廃液が貯蔵されているということでございます。  それからタンクでございますが、現存しておりますのは九十立米のタンクが三基ございます。合計二百七十立米の貯蔵能力を持っております。今後百二十立米のタンクを五基増設する計画を持っておりまして、合計八百七十立米の貯蔵能力になるということでございます。  さらにこのタンクにためたものを数年貯蔵しておきまして、放射能レベルを少し下げた上で固化処理をするという固化のパイロットプラントを六十二年から操業するという計画を進めておりますので、現在のタンクの増設計画で量的には十分間に合うというふうに計画を持っているわけでございます。  それから、タンクの安全性と申しますか寿命についてでございますが、先生指摘のように熱も発しますし、それから硝酸溶液ということでございます。したがって非常に腐食性の高い廃液であるということでございますが、このタンクの設置につきましても、動燃の再処理工場を建設いたしました時点では実は高レベル廃液の処理の技術開発が、現在ガラス固化という技術が一応工業的にも完成しているというふうに見られるわけでございますが、その当時はその見通しが必ずしも明らかでございませんでした。したがいまして、相当長期間高レベル廃液をタンクで貯蔵しておかなければならないのかもしれないという予想もございまして、相当がんじょうにつくっているわけでございます。すなわち、十九ミリの板厚のタンクでございまして、ステンレス鋼製であるということで、使用の条件も、廃液の温度が六十度まで、また硝酸濃度も二ないし三規定という条件を設定いたしましてつくられております。ステンレスといいましても硝酸できわめて徐々にではございますが腐食していくわけでございまして、十九ミリの厚さのうち約二ミリくらいは腐食して溶けてしまうということまで想定いたしまして、理論的には数百年もつのだということではございますけれども、一応かたく考えましても数十年の寿命は何とかもち得るのではないかというふうに考えております。  この傍証といたしまして、東海の工場と同じ貯蔵方法をとっております英国のウィンズケールですでに十六年間、あるいはフランスのラアーグで十四年間、同じくフランスのマルクールで二十二年間という運転実績も、この場合はトラブルなく実績を続けておりますので、適切な保守は十分常時いたさねばなりませんが、この寿命についての心配は要らないであろう、また適切な管理ということによってトラブルは絶対防がなければならないという姿勢で臨んでいるわけでございます。
  239. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 原子力発電所の耐用年数といいますか、原子炉の寿命はおよそ何年くらいとお考えでしょうか。
  240. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先生御案内のように、現在稼働いたしております大きな原子炉が建設されてから寿命が尽きたという例は実は皆無でございまして、私ども試験炉あるいは相当小型の商業用発電炉についての実例を持っているわけでございますが、イギリスを中心といたしまして、海外ですでに十数基の原子力発電所が二十年以上の運転実績を有しております。それでなおかつ動いているということでございます。そういうことも踏まえまして、一般的には二十五年ないし三十年程度の寿命があるというふうに考えているわけでございます。もちろん、いわゆる法定耐用年数という数字はもう少し小さく設定されているわけでございます。
  241. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 最初の東海村のコールダーホール型というのですか、あれの場合は四十一年でありますからもう十五年たったことになりますね。そうそう長い寿命とは言えぬわけで、そろそろ原子炉そのものの廃棄、処分についても考えていかなければいかぬということだろうと思うのでありますが、これらについてのお考えがあれば、ごく簡単でいいと思いますが、それと、なかなか洋上投棄が困難であるという低レベルの処理について、最近むしろ陸地処分の方が適当ではないか、かなりそういうところにウエートをかけた考え方なんかも出てきていると仄聞をするのでありますが、それに関連して、いま全体で三十万本くらいですか、これが六十五年くらいには百万本くらいかというお話を承っておるのでありますが、どうせ発電所を処分するならば、そこに低レベルのものも、ドラムかんを一緒に処置をしてはどうかという考えもあるやにお聞きしますが、そういう考え方はあるのかないのかということもお答えいただきたいと思います。
  242. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 まず、原子炉の寿命が来たらどうするかということでございますが、私どもこれを廃炉と呼んでおりますが、廃炉につきましてはそれなりのいろいろな実例はございますけれども、一応大きく分けて二つございます。  一つは、その炉を密閉した形でそのまま置いておくということと、もう一つの形は、その炉を取っ払ってしまってもとの姿に戻すと申しますか、土地をもとの姿に戻すというやり方でございます。当然手間暇から言えば、廃炉をして、炉を壊してもとの姿にするということの方が手数はかかるわけでございますが、日本の実情を考えてみました場合に、そのままほうっておくということは現実の問題としては許されないわけでありますし、土地の有効利用、せっかく御協力を願い、獲得した土地を未来永劫発電施設として使っていくという考え方をとりたいと思っているわけでございます。東海村の一号炉、すでに十五年稼働しておりますが、あと何年もつか、まだ相当もちそうだとは思っておりますけれども、そう長い先ではない。また、ほかの炉もおいおいに寿命ということを考えなければならない、そういうことを考えまして、私どもいまから安全な、また完全な廃炉のやり方ということにつきまして研究開発に着手しているところでございます。  考え方といたしましては、あくまで現在あります炉が廃炉の状態になった場合には、その炉を取っ払いまして、その同じ場所になるか、あるいは隣になるか、それはそのときの事情でございましょうが、やはり新しいその時点での炉を建てて、そのサイトを発電所として末永く役立てていきたいという考え方をとっているわけでございます。そうなりますと、その壊した部分の廃棄物の処理という問題が量的には問題になるわけでございます。この点、先生指摘のとおりでございます。  それから、低レベル廃棄物の処分の問題でございますが、五十一年の原子力委員会の決定、基本的な考え方といたしまして、陸地処分と海洋処分を並行的に、観念的には半々というくらいで進めていこうという基本的な考え方がございまして、その考え方は現在も変わっていないわけでございます。ただ、実態的にやや海洋処分の方が国際的な手続等々の関係もございまして少し先行して手当てが進んできていたということは事実でございますが、それと並行いたしまして、余りおくれない形で陸地処分ということもぜひ考えていきたいということで、やや急いで準備を進めているというのが実情でございます。  そういうことでございますので、発電所の廃炉と一緒に処分してしまったらどうか、その土地を使って処分してしまったらどうかというお話、お考えについては、私どもはむしろ発電所として末永く活用させていただきたい、こういう考え方で進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  243. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 いずれにいたしましても、廃棄物の問題は原子力開発にとっては最大のネックでありますし、どうも状況を見ますと、その問題がその処理、処分とも十分な開発を見ないままに暴走しているきらいもないわけじゃないというふうに思われますので、この際、これらの点につきましては強く警告を申し上げておきたいと思います。  そこで、長官に御意見をお聞きしたいことがあるのですが、東海村の再処理工場のプルトニウムや、それから人形峠の核燃料製造工場の濃縮ウランによって、簡単に核兵器を製造することが可能な状況になっているということは、改めて申すまでもないところであります。一定の知識と情報があると、俗に言うホームメード原爆が可能だというようなことも言われているのであります。この間ぼくも見たのですが、ことしの初めから国内の書店でも出始めているようでありますが、例のアメリカのプリンストン大学の物理学科の学生が夏休みのレポートとして書いた「原子爆弾の自家製造法」というタイトルのレポートについての手記を翻訳したのが本で出ておりまして、国内でも売られているわけであります。これなんかを見ましても、公開されているアメリカの資料だとかあるいはそういう核物理学者というよりは核物理学の学生程度の知識でも十分に手づくりが可能とされているわけでありますから、まして現在の日本の大企業などが原爆をつくる気になれば、これは技術的にはたちまち製造が可能という段階になるのだろうというふうに思うのであります。  そういう面では非常に危険な感じがするのでありますが、そういう状況の中で、例の竹田前統幕議長が退任前の一月の末に内部に意見書を配付して、非核三原則に批判的な見解を明らかにしていたということがこの間来報ぜられているわけであります。あるいは一昨日、自民党の箕輪副幹事長さんが記者会見で、自衛隊制服組が非核三原則に強い不満を持っているというようなことに言及したというようなことも伝えられているのでありますが、この竹田、箕輪両氏の発言について、中川長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  244. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私の方が担当いたしております原子力の開発利用は、昭和三十年にできました原子力基本法に基づいて、平和の目的に限るということになっておりますし、御承知のふうに昭和四十二年には非核三原則というものを政府の基本的な姿勢としてとっておりますし、あるいは昭和五十一年でしたか、核不拡散条約に批准をいたしております。こういったことでございますので、私としてはもう平和に限る、間違っても原子爆弾をつくるというようなことはない、こういう立場にあります。  竹田統合幕僚議長がいろいろな意見を持っておるということについてはちょっと伝え聞いておりますけれども、国を守る立場にある人がいろいろな考えを持つことはあり得るのかなあとは思いますが、いかに現場の人がそのように思っても、政府としてはそういう気持ちはさらさらない。ましてや私は、原子力をあずかる者としてはそのような措置はとらない、こういうことでございます。
  245. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 しかし一方で、同じおとといのこと、原水協の代表者が政府に公開質問状を出したという報道がなされているわけであります。つまりそれは、国連総会でどうも日本政府は核兵器廃絶問題に関しては不熱心だ、核兵器廃絶の国連決議投票に反対してみたり棄権したり、非常に不熱心だということで、政府あてに公開質問状を出したというのでありますが、どうもこれが真実とすると、とんでもない話じゃないかと思うのでありますが、長官の御意見はどうでしょう。
  246. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私は外務大臣でないからよくわかりませんけれども、国連その他におきまして、核兵器廃絶についてはわが国わが国なりにそれなりの努力をしているように思っております。私どもも政治家として、また原爆を受けた日本人として、核兵器がなくなることをこいねがっているわけでございます。
  247. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 つまり、そういう立場で閣内で長官の御意思を十分に主張し、反映させて、このようなことのない方針をとっていただく、そういうふうに受け取っていいでしょうか。
  248. 中川一郎

    ○中川国務大臣 このことで特別発言するとは思いませんが、もし方針が誤ったようなことがあれば、閣僚としての責任は守っていきたい、こう思っております。
  249. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 しかし、現にそういう質問状が出ているようでありますし、またその質問状の内容がそのとおりであるとすれば、これは本当に国民の願望を無視したものであると思うわけでありますから、ぜひひとつ積極的な閣内での御発言をお願い申し上げておきたいというふうに思います。  それから、さっきの問題にちょっと戻って、ロンドン条約の問題があるわけでありますが、韓国にしても台湾にしても、あるいはその他のそれぞれの国々で、ロンドン条約に入っていない国については廃棄物の処理、海洋処理について拘束を受けないということ等もあって、この前鬱陵島ですか、これはわずかな量であったようでありますが、しかし、そういう疑問を提起したことには違いない問題であったと思うのであります。そこでこの際、これらロンドン条約に参加しない国々と一体どう調整をとっていこうとするか。そしてこの極東近辺の海洋の汚染ということのないような考え方を、日本あたりがリーダーシップをとってやってもいいのではないかと思うのでありますが、何か考えありますか。
  250. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、ただいま原子力発電を動かしているのは台湾が二基、韓国が一基でございます。建設中あるいは建設に取りかかろうとしているのがフィリピン等これからだんだんふえていくかと思われます。御指摘のように、これらの国でも、いずれは廃棄物の問題に悩んでくることかと思われますが、現在のところ、非公式な話をしたところでは、自分のところへ取っておけるので、まだ海洋投棄等の必要には迫られていないというような非公式情報も得ているところでございます。  御指摘のとおり、これらはまたロンドン条約に加盟しておりません。これは必要が迫ってないということもあるかと思われますけれども、してない状態で仮に考えますと、自由に廃棄できるという心配は確かにあるわけでございますが、われわれ太平洋の方々に御説明申し上げた際にもわかりますとおり、大西洋と違いまして太平洋の国は非常に漁業に依存するところが多うございますので、太平洋の国々は海洋汚染に対して厳しい態度をとっているというのが現状でございます。したがいまして、わが国が今後、国際ルールにのっとり、なおかつ国際ルールに上乗せしたような、しっかりした技術と方法によりまして海洋投棄を進めようと現在計画しているわけでございますが、これを模範的に示すことによりまして、後から捨てようとする国も、わが国のルールや技術に従っていくもの、そういう方向を打ち出してまいりたいと考えておるわけでございます。
  251. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 質問を終わります。
  252. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。  続いて、城地豊司君。
  253. 城地豊司

    城地分科員 日本の学術研究の都市である茨城県筑波研究学園を舞台として、四年後の昭和六十年に国際科学技術博覧会が開かれます。この博覧会は、東洋の科学思想の再評価、科学技術と芸術の融合、成長し成熟する存在としての人間の問題、極限環境への挑戦というような四点を基本理念として、科学技術と人間のかかわり合いに焦点を当てた歴史的な催しでありますけれども、これについて関係各方面の絶大な御協力によりまして実施の運びとなったことに対して、地元茨城県選出の議員として関係者の皆さんに深く感謝を申し上げます。  この博覧会の実施につきましては、今国会でも国際科学技術博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案が上程されることになっています。また、この会場をつくるためには、昭和四十五年の日本万国博覧会や昭和五十年の沖繩国際海洋博覧会などを十分参考にした対策がとられると思いますし、また会場建設のためには、第一に財政に関する問題、これが一番大きい問題だと思います。第二には二千万人に上る参加者の輸送の問題、第三にはこれらと関連する鉄道、道路など、非常に多くの課題が含まれております。これらの問題につきましては、当面する関係の科学技術委員会でいろいろと論議をされる向きもありますから、私は、それらの課題とは別に、この科学技術博覧会の会場の跡地問題と緊急医療の問題について関係各方面の考え方を伺いたいと思います。  第一に跡地の問題でございますが、一つの事業を行う、その事業は建設をして半年なら半年で一応終わるということになるとすれば、一番根本的に考えておかなくてはならないのは、何よりもまず、この跡地をどういうふうに利用しようかという計画ではないかと思います。現在われわれが知っている範囲では、跡地利用の問題は検討はされておりますが、まだ結論は出ていないわけであります。  一つの事業を行うのに跡地の問題が先に来るというようなことについては、当然、科学技術博覧会の実施の方に重点が置かれて、跡地はその後ということになるのは常識的でありますけれども、これらの建設をしたり、会場の設営をしたりする場合に、跡地問題がはっきりしていることによって、先ほど申し上げました問題点の一番大きい財政の問題等にも非常に大きなかかわり合いがありますし、たとえば跡地をどういう形で活用するかによって、一つ一つのやる作業が変わってくると思うわけであります。たとえば跡地を都市化したりするという場合に、一つの例ですが下水道その他の関係だけにしてみても、簡易でやるのか恒久的なものでやるのかということによっては、一度で済むものが二度になったりしますし、さらには道路その他の関係でも、かなり変わってくる様相があると思うわけであります。  そういう意味で、跡地の利用問題について、いま、ちまたで有識者の中からいろいろな意見も聞きますが、一番いいということで、ついこの間ある人が意見を言ってくれました。せっかく科学技術博覧会をやるのであるから、あそこに私立の大学をつくったらどうだという意見でございました。あの近くに筑波大学という非常にりっぱな大学があるのに、もう一つの大学をつくる必要ないじゃないかというような意見もあるようでありますけれども、それはむしろ逆であって、それだけの科学技術博覧会をやれるような、非常に環境的にいい。しかも筑波研究学園都市がある。そして筑波研究学園都市には、筑波大学だけでなくて、国の四十二の研究機関もある。とすれば、その近くに、私立てなくても、国立ても結構なんですが、そういう大学をつくることの方が非常に大きなメリットがある。筑波大学との交流の問題にしても、その他研究機関に従事をしている技術者の雇用の問題にしても、さらにあれだけ環境のいい地域でありますから、そういう意味での文教地区といいますか、そういうことで、さらに筑波研究学園都市が大きくなったという形にすることがいいんじゃないかというような意見等もございます。  ですが、これは一つの考え方であって、必ずしもその考え方がすべていいということにはなりませんが、いま例で申し上げましたように、そういう関連からして跡地問題について関係当局で特に現在どういう構想をお持ちか、また、どういう角度で検討中であるか伺いたいというのが第一点でございます。  第二点は緊急医療対策についてでございます。  二千万人の人が半年間に科学技術博覧会に参加をする。まあ日帰りで行く人もある、宿泊をする人もある。大変な数でございますし、そういうことから考えても、また、あそこの構想の中に研究者村というようなもの、世界じゅうから著名な研究者や技術者がそこへ来て長い期間滞在するというふうな研究者村の設置ということも検討されておるわけであります。そういう立場からすれば、やはり緊急な医療対策というようなものを十分やっておかなければならないのではないかというふうに考えるわけでございます。  現在の筑波研究学園都市の現状からすると、一番おくれているのが医療対策だと言われています。当初、国土庁が中心になって計画をして、二十万都市を目指した筑波研究学園都市が現在十二万になっていない、二十万人まではなかなか集まらないという状況でございます。これは構想がそのとおり実施されないという、そのことだけをとらまえて問題にするわけではありませんが、しかし、あそこに新しく居を構えている人たちの現在最大の悩みは、何といいましても、あの地域に医療の施設が少ないということでございます。小さい病院は幾つかあります。しかし緊急医療、急にけがをした、急病だというときに応急手当てをする緊急医療対策が不備であるということが問題にされておるわけでございます。  そういう中で、筑波大学がありますから筑波大学にはりっぱな附属病院があるじゃないかというふうに言われます。ベッド数も八百もある。しかし筑波大学の附属病院は、一般の地域住民の医療に直接かかわり合いがありません。かかわり合いかないというよりは、それは診療もしてくれますが、診療を頼みに行くと、そういう人は二カ月後だとか――特異な病気とか特異なものがあれば、これはきわめて研究の対象としては適当でありますから、すぐにでも入院させてくれるということもありますが、大学の附属病院の性格として、そういうことだと思うのです。したがって、あの地域で住民一人当たりのベッド数というような数字でいきますと、まあまあ日本全体の水準のとおりいくのですが、そのベッド数のベッドに入院している人が、その地域の人たちでないというようなことから、あの地域に住んでいる人たちは非常に医療について要望が多いわけであります。極端に言うと、大きな総合病院を建ててくれないかというのが、われわれに寄せられている非常に大きな要望でございます。  そういう立場からしても、今度科学技術博覧会を研究学園都市の隣接の地に行うとすれば、いま住んでいる人たちですら緊急医療がきわめて不十分であるし、そのことに対して懸念を持ち、そして心配をしているということでありますから、二千万人の参加の人や研究者村に来る世界有数の学者の人たちが安心していられるためにも、やはり根本的な医療関係の対策が必要なのではないかというふうに考えます。  この医療対策はそう簡単にできません。病院の建設だけでも数年かかりますし、病院の建設と相まって、その病院に要る医師、看護婦というような人たちの獲得というようなものも、なかなか容易ではないというのが病院の実態ではないかと思います。そういうことで仮に医療対策をやるとすれば、あと四年後に迫っている科学技術博覧会でありますから、早急に手を打たなければ、そう半年や一年でできるという問題ではないと私は考えておるわけでありますが、その緊急医療の対策を含めて、医療対策全体についてどのように考えておられるか、考え方をお示しいただきたいと思います。
  254. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  まず第一点の博覧会の跡地利用の問題でございますけれども、現在の博覧会の基本構想の中におきまして、先生お話ございましたような研究者村というような話もいろいろ出ております。ただ、この基本構想そのものは現在まだ検討中でございまして、いま協会が原案を作成されたところでございまして、これにつきましていま各方面の御意見をいただいておるところでございまして、大体三月末くらいに決定をしたいと思っておるところでございます。また、あの基本構想の中に述べられましたものは、すべてこれ国あるいは協会がやるということではなくて、いろいろ関係方面、民間の御協力も得て、ああいうことができたらなあという一つの願望を込めた基本構想である、このように伺っておるところでございます。  それで、具体的な跡地利用の問題でございますけれども、この国際科学技術博覧会につきましては、一昨年の十一月、閣議了解におきまして、この博覧会を進めるということが御決定いただいたわけでございますけれども、そのときに、非常に厳しい財政事情も踏まえまして、この博覧会の用地の取得及び跡地の利用処分につきましては県の責任において行うということが決められているわけでございます。そういうことで、この用地の取得につきましても県が非常な努力をされまして、非常に短期間のうちに、すでに会場用地約百ヘクタールの八五%強につきまして買収が進んでいるということでございます。  一方、跡地につきましては、この博覧会会場用地は、県が、いわゆる工業用団地として活用される、そのために科学技術に関連のある産業を誘致したいというお考えである、このように承知いたしておるところでございます。  それで、私ども科学技術庁といたしましても、こういった博覧会を契機にいたしまして、その跡地に、研究開発に非常に熱心な民間企業が進出してくるということは非常に望ましいことでございまして、特に昨今、非常に言われております研究開発におきまして、いわゆる産官学と申しますか、産業界、大学及び国の研究機関、これが協力して日本の自主技術を育てるための研究開発が必要であるということを言っておられます。御承知のように筑波研究学園地区、これは大学と国の試験研究機関を中心に集まっておるわけでございますが、その周辺にございますこの跡地に、研究開発に熱心な民間企業が進出してくるということは、まさにこの産官学協同の研究の場というものができるわけでございまして、非常に望ましいことであろうと考えておりますので、私どももできるだけ茨城県あるいは国土庁と御相談申し上げて、こういった方向に対して協力をしていきたいということを考えておるところでございます。  それから、第二点の緊急医療の問題でございますが、先生指摘のように、あの地区におきまして、お医者さんが足りない、病院が足りないという声が非常に強いことは私どもも承知いたしております。あの学園都市全体につきましての医療の充実ということにつきましては、あるいは国土庁さんの方から御説明があるかと思いますけれども、先生指摘のように、博覧会開催時の緊急医療というのも非常に重要な問題でございます。私ども過去の例として勉強いたしましたところでは、万博の際は、総入場者数六千四百万でございますが、九万人の患者が発生いたしました。これは一日平均約五百人。沖繩海洋博の場合にも、入場者数三百五十万でございますが一万七千人、まあ患者の軽重はいろいろございましょうけれども、一日約九十人という患者が発生したということだそうでございまして、ちなみに過去の博覧会の場合には、やはり医療救護体制というものをつくりまして、万博の場合には、そのための万博メディカルセンターというような財団法人ができておりますし、沖繩の場合には沖繩海洋博医療センターというような財団法人ができております。いろいろ各方面の御協力をいただきまして会場における患者の発生に対応したという過去の事例でございます。  今回の博覧会におきましても、御指摘のように二千万人という入場者を予想いたしておりますので、この緊急医療体制というのは非常に大事なことだと思っております。博覧会協会におきまして現在、基本計画、会場計画等を進めておりますが、同時に、これから会場運営の計画を立てるわけでございますので、この運営計画の一環といたしまして、医療救護体制をどうするかということが今後検討されていくわけでございますが、これを円滑に有効に働かせますためには、やはり各方面の御協力がないとできないかと思っておりますので、私どもといたしましても、関係方面の幅広い御協力をいただくよう、できるだけの努力をいたしていきたい、このように考えておるところでございます。
  255. 城地豊司

    城地分科員 お答えで大分わかりましたが、たとえば跡地の利用の問題については、そのような工業用団地という考え方もありますが、工業用団地そのものは、筑波町、大穂町、それから今度決まりました谷田部町と、地元で科学博を誘致する際に、こちらに来てほしい、こちらに来てほしいということでいろいろな競争がありました。その結果、大穂町、筑波町の方には工業用団地をつくる。そして科学博の方は一応谷田部町に決めるというようないきさつもありました。したがって、工業用団地そのものについて私ども承知をしておりますが、ただ単に工業用団地というように簡単に片づけましても、工業用団地が埋まるというわけにもなかなかまいりません。  しかもあの地域で、私は考えてみますと、筑波研究学園都市全体を見てみましても、あれだけの研究機関が来た。そして東京、神奈川から優秀な研究者があそこへ移っている。しかし持ち家で自分で家をつくって定住しようという人がわりあい少ない。その原因には、将来自分がそこに住もうということよりは、むしろ自分の定年なら定年になった後には、どうもここへ住めそうもない、自分のいままでやってきたものを生かせないということ、そういう不安が、わりあい大きく影響しているんじゃないかというのが非常に大きな側面ではないかというように考えるわけであります。  そういう意味では、ただ単に工業用団地だから民間企業の進出が望ましいということだけではなしに、そういうところの基本にもう少しメスを入れていただいて、さらに定住できるような対策も立ててやることが、日本の全体的な研究者、あれだけの高い水準の研究者が集まっている。しかも、その人たちの研究成果なり蓄積した頭脳というものを十分活用できることになるのじゃないか。ただ単に工業用団地をつくったから、民間がおいでなさいということではならないのじゃないかというように考えます。  それからもう一つは、筑波研究学園都市の基本的な問題になりますが、普通、民間の企業がどこかへ企業進出する場合には、おる意味では民間の企業は、そこにいつまでもいるから、めんどうを見てもらえるということで、行きましたら、まず土地を買う。そして持ち家をつくって、非常に安定した中で働くというのが民間企業の進出と住居との関係であります。研究学園都市が民間企業の進出と違って、どうも自分の家を持たない、公団のアパートだとか人が建てた家、他人の所有の家に間借りをするということの中には、将来に対する保障がないから、なかなか家を建てられないということと、将来どうなるんだろうかという点の心配と、さらには第二点で申し上げました医療機関等が完備していなければ、少し不便であっても別居しようということで家族と同居しないというようなことになるのではないかというように考えるわけであります。したがって、跡地の対策についても、そういう意味を含めて十分に御検討もいただきたいと思います。  さらに医療の関係につきましては、ただ単に科学技術博覧会開催中の緊急の暫定的な医療ということよりは、むしろあそこにある筑波研究学園都市という都市の中における医療のあり方ということでいきますと、やはりあれだけの人口、あれだけの人を抱えるのですから、総合病院の一つくらい建設をするということが必要であります。そしてむしろ、その病院の建設を、科学技術博覧会のそういう緊急医療対策に活用するということの方が筋道が通っているし、将来のことを考えても必要なのではないかというふうに私は思います。  伝え聞くところによると、なかなか総合病院の進出がないということですし、それから日本のお役所の機構は、たとえば筑波研究学園都市は国土庁、今度の科学技術博覧会は科学技術庁、そして病院の関係は厚生省ということ等で、いろいろそれぞれの範疇があって、なかなか科学技術庁でそれを決めるとか国土庁で決めるということにはならないかもしれませんが、そういう点を含め、この病院問題を含めた緊急医療対策にぜひとも万全を期していただきたいということを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  256. 井上良藏

    ○井上説明員 国土庁でございます。ただいまの医療体制の問題でございますが、筑波大学の附属病院を含めますと確かに、この都市での人口割りの医師数あるいはベッド数も全国平均に近いものになっておるわけでございますが、御指摘のとおり、地区内に手軽な診療を受ける施設が少ないこと、あるいは地区内には救急指定病院というようなものがない、周辺にはございますが、こういうものがないというようなことに問題があるのは事実でございます。  この問題につきましては従来から国土庁といたしましても診療所の設置等努力はいたしてきたわけでございますけれども、非常に人命にかかわる問題でもございますし、厚生省、文部省あるいは地方公共団体また地元医師会等と十分協力いたしまして、できるだけ早く必要な医療体制が整備できるよう努力をしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  257. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で城地豊司君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。     〔主査退席、横路主査代理着席〕
  258. 関晴正

    ○関分科員 中川長官にお尋ねをいたします。  長官には昨年十月二十三日、いろいろと御質問申し上げて、ちょうど四カ月ぶりというところになりました。また、あなたが青森県に、ぜひ大湊を検討してくれ、こういうことのお願いがありまして半年は過ぎました。青森県からはどんな御返事がきておりますか。
  259. 中川一郎

    ○中川国務大臣 知事さんには二度お願いしてございます。途中、安全性確認の手順等を示してほしいということでございましたので、そういう二度のお願いを受けて知事さんが地元関係の皆さんにいろいろと相談をされて各方面の意見を聞いて、大体意見が出尽くしたということで、この三月四日に御報告に来ていただく、こういうことになっております。
  260. 関晴正

    ○関分科員 どんな返事がくると長官は思っておられますか。
  261. 中川一郎

    ○中川国務大臣 返事は相手がするものでございますから、相手がどういうことを持ってこられるか、見なければ、お会いしなければわかりません。
  262. 関晴正

    ○関分科員 私は長官の期待するようなよい返事はとても出しっこない、出せない、そういうところにあると思っております。また、知事たる者が自分で結んだ協定、その協定に忠実になりさえすればいいのに、なかなかなりがたい状況にあることを、かわいそうだと私は思っております。  そこで長官に申し上げたいわけですが、長官は、四者協定は守る、そういうことで進めておる。しかしながら現地の皆さんが了解されるならば何とか進めたいものなり、こういうことで取り組んできた、こう思います。知事もまた大分長官の意を体して、何とかして母港を定めることができないかしらというようなお気持ちになられて、各方面の意見を伺ったようであります。  これらの各方面の意見が今日出し尽くされまして、出てきたところの意見というものは、まず四者協定のメンバーであった県漁連は絶対反対、湾内の町村長さんたちはこれまた反対、その他の方々の賛成意見というものもございますが、その賛成意見の大方というのは、漁民が納得し了解するならばという条件つきが大部分であります。そうして出てきている意見の中には、外海がいいのじゃないのか、外海に持っていってもらったらいいじゃないかというのが大変多いわけであります。北村知事は、これらの意見を踏まえまして、自分の意見というものを長官のところに持ってくるのにはいささかためらっているようであります。そうして賛成、反対、外港、この三つの意見があるということを並列してあなたのところに届けてくるだろう、こう私は思います。そういうことの意見が出てきた場合に、そういう御報告がなされた場合に長官はいかがいたしますか。
  263. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私は、まだ知事さんの報告の内容を見ておりませんから判断できかねますが、仮にいまのようなお話であったとしても、私の心境は、どうかひとつ大湊を使わせていただきたいという心境に変わりございません。
  264. 関晴正

    ○関分科員 何が何でも最後まで大湊にお願いしたい、こういうお気持ちですか。
  265. 中川一郎

    ○中川国務大臣 理解が得られるならばぜひともそうしたい、こう思っております。
  266. 関晴正

    ○関分科員 そこで、理解が得られる日限を、いつまでをタイムリミットとお考えですか。
  267. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これは、私の希望としては、一日も早くということでございます。特に、十月には佐世保から出なければならないという約束もありますから、それらを考えて、神に祈るような気持ちで一日も早くということでございます。
  268. 関晴正

    ○関分科員 これは神様だとか仏様だとか、お祈り申し上げれば、あるいは場合によってお加護もあるかもしれません。科学技術庁長官というのは、これはやはり科学的に物事を処理していかなければならない担当の長官だ、私はこう思います。そこでもっと冷静にお考えになっていただきたい。四者協定のメンバーである県漁連が絶対反対。この絶対反対というものが続く限り、あなたは強行しないとさきの委員会で答弁されたのですから、強行はできない、私はこう思うのですが、その点はいかがですか。
  269. 中川一郎

    ○中川国務大臣 再三申し上げておりますように、強行はいたしません。やはりあくまでも話し合いの上で、納得がいった上でということでございます。
  270. 関晴正

    ○関分科員 今度の予算で、大湊港を再母港化した上において修理をしなければならない、こういう考え方に立って予算を立てられたようでありますが、その予算の内容をひとつお示しください。
  271. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  日本原子力船研究開発事業団の五十六年度予算におきます国庫債務負担行為限度額といたしまして、五十五億円をお願いしております。これは「むつ」の新定係港施設の整備に充てるための経費として計上をお願いしておるものでございます。  御案内のように、新定係港の整備のための費用というものは、新定係港がどこに決まりましょうとも必要となるものでございますが、この五十五億円につきましては、積算の基礎として大湊港の改修の場合ということでございます。現在、先ほど来るる長官より申し上げておりますように、大湊港を再度「むつ」の定係港とすることの可能性につきまして御検討をお願いしているわけでございまして、もし幸いにして地元に受け入れていただいた暁には、この費用で大湊港の燃料交換施設を改修する予定でございます。また、仮の話といたしまして、他の場所になった場合、そういう場合にはその場所の条件に応じまして、岸壁の築造等の諸施設の整備費の一部として使用することになろうかと考えております。
  272. 関晴正

    ○関分科員 いま少しく詳しく御説明いただきたいと思います。五十五億の内訳です。燃料交換施設にだけ五十五億向けられますか。もう少し詳しく示してください。
  273. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 五十五億円の債務負担限度額の内容でございますが、まず燃料交換等の建屋につきまして約三十一億円、使用済み燃料貯蔵設備に約十二億円、放射線管理設備、設計管理費等、約十二億円の合計でございます。
  274. 関晴正

    ○関分科員 長官にお伺いしたいのですが、少なくとも青森県がおおむね引き受ける方向にあるとか、あと時間の問題で合意しそうだというならばそういう予算化もわからないわけじゃありません。しかし長官が、四者協定のメンバーである県漁連が反対している限り強行はしないというこの方針と、予算を組むというこの態度というものはいささか相合わないものになっているのじゃないだろうか。そういう意味では、大湊港を指定して予算を組むということは、私どもにとってはありがた迷惑だ。何か青森県で内意でもありまして、そういう予算は組んでもよろしゅうございますというようなことでもあったのでしょうか。自信があってこの予算を組んだのでしょうか。お答えください。
  275. 中川一郎

    ○中川国務大臣 自信があれば非常に結構なのですが、自信はないままではございますけれども、お願いをしておる。そしてお願いができれば、いま説明したような形で使用したい、ただし、どうしてもそれがだめだというならば、これはまた岸壁とかそういったほかのところに使わざるを得ない。いずれにしても、主十五億程度のものは、佐世保から十月には出なければならぬとするならば必要なものである、こういうことで、仮に御了解がいただけるという前提で予算に計上してお願いしているものでございまして、了解を得たとか、得られる見通しを得たとかいうものではございません。
  276. 関晴正

    ○関分科員 定まっておっても、国の予算というものはなかなか厳正です。相当に計画が定まって大丈夫だとみんなが予想しておっても、いざ予算となると、国は組みません。組んでくださいません。そういうことを考えるというと、いまの場合、予備費の中にでも入れておいて、そうして事を進めておくとか、具体的に大湊というふうに予算を組むということは、これはどうしても行き過ぎだ、こう私は思うのです。この点は行き過ぎだと思っておられませんか。
  277. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 予算の積算の基礎として大湊港を考えさせていただいているということでございまして、いずれにしろ新母港というものは必要であるわけでございます。そういう意味で、その趣旨をお認め願いたいという趣旨で予算の計上をさせていただいている次第でございます。
  278. 関晴正

    ○関分科員 大湊をよろしいと言っているならば別ですよ。また、あなたたちの方では、大湊がだめであればもう一切あきらめるのだ、ここに命をかけて、その他はもう考えていないのだ、ここがだめならばもうギブアップするしかないんだという悲壮な気持ちでここに飛び込んで、そうして神にお祈りをしておられるのかどうか、もう一遍この点を聞いておきます。  さきの科学技術委員会のときには鈴木総理は、決して大湊オンリーワンではないと明確に答えられておったわけです。鈴木総理が大湊オンリーワンでないと言っていることとあなた方のおやりになっていることとは違反しているのじゃないでしょうか。祈る気持ちや手を合わせる気持ちで事を進めようといったって、それ自体非科学的なことでしょう。このことによって青森県の行政がどれだけまた迷惑を受けているかわからない。何せ名にし負う中川長官のことだから、きげんを損ねると困ってしまう、こう言って戦々恐々としているのです。私は、北海道のヒグマが勝つか青森のネコが勝つかけんかする、こう言っているところです。青森県の行政をどんなにかこれが混乱させているかわからないのです。  ことに原子力船の母港の問題は、昭和四十二年に発生した問題です。もう十四年たちました。事件が起きたのは四十九年、それから七年は過ぎております。そうして堂々といまの総理大臣が結んだ四者協定なんです。撤去する、こういう明文化されているところの協定があっても、なおかつここに事を持っていこうなんということは、これは一体政治の姿勢として許されることであろうか。また、行政の姿勢としても、足かならざるものに予算をつけて、そうして圧迫するといいましょうか、高圧的な態度に出ているということについて何とも考えていないものだろうか、こう思いますと、本当に残念でならないわけです。そういう意味において、この予算はとにかく定かになる、確定するまでの間は他の方に持っていっておくべきだと思うのですが、どうですか。
  279. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 いろいろ青森県御当局に御迷惑をおかけしているという点につきましては申しわけないと思っている次第でございますが、一方、新しい母港を設定し、その整備を進めるということも、これはどうしても進めさせていただきたいという立場にございますのでこのような処置をとらしていただいている次第でございますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
  280. 関晴正

    ○関分科員 とにかく正常ならざる予算の組み方であるということについては指摘しておきたいと思います。  そこで、長官、長官は科学技術庁長官なんですよ。原子力船事業団の主務大臣はあなたではないのですよ。御存じですか。
  281. 中川一郎

    ○中川国務大臣 総理大臣が責任大臣でございますが、事務的な責任は私の方にありますので、いまのところは科学技術庁長官としてお願いしているのであって、正式なお願いは総理大臣を含めた閣僚の間で相談をして正式にお願いをする、いまは下お願い、こういうことだろうと思います。
  282. 関晴正

    ○関分科員 原子力船事業団法の第三十八条、ここにはこの事業団の主務大臣は総理大臣であり運輸大臣である、こう明確に記載されている。では科学技術庁長官というのは何だろう、こう見ますと、科学技術庁長官というのは委任を受けて仕事をすることができる、委任大臣、そうなっております。  そこで、鈴木総理は、四者協定を守る、うそつき総理にはなりません、こう十月二十三日に科学技術委員会お答えになられました。また中川長官も、鈴木総理がうそつきになっては困るので四者協定の四者が合意した上でなければこれを進めない、こう明言されました。私はここまではわかると思います。  そこで、この六カ月の間の時間の推移というものです。県漁連の皆さん方が絶対反対、青森県の知事はもうほとほと困って、とにかく何と中川長官に頼まれたのか知らぬけれども必死です。長官の意に沿いたいばかりの気持ちで必死です。見ていても気の毒みたいなものです。長官がはっきりただいま、漁民団体が、四者協定を結んだ一者が反対だと言う限りこれはやらないんだということである限り、青森の大湊にこれを持っていくことは至難中の至難だ、こう私は思います。また海上デモをやって意思をはっきり示しましょうか、こう言っております。あくまでもあなたはお待ちになる、こう言っておられるようですが、春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎ、やがて長官も長官でなくなるときまで待っても、よいという返事は来ないだろう、こう私は思いますが、それでもそれまで待つつもりですか。
  283. 中川一郎

    ○中川国務大臣 知事さんあるいは関係者の御努力に対しては本当に深く敬意を表し、感謝いたしております。また、漁民の皆さんが原子力船「むつ」の開発に基本的には反対ではない、ただホタテを中心とする育てる漁業に影響があるんだ、それを理解してくれ、これもまた理解できるところでございます。  そこで、四者協定の問題については、総理大臣も守らなければならないとして、撤去する等、あるいは新母港を探す等、そしてまた現実あそこに入れないという形、それで守れるものは守った、しかし守れない点も、完全ではなかった点は、この点についてはおわびをする、そして改めて新母港として御理解いただけないか、こういうお願いをしているわけでございます。  御指摘のとおり、非常に厳しい現地の状況ではありますけれども、できるなら現地に私も伺って、誠意を持って地元の振興も考えつつ「むつ」の開発を大湊でやっていきたい、こういう気持ちでさらに一層努力をしてみたいと思っております。
  284. 関晴正

    ○関分科員 大変いいことをおっしゃってくれました。やはり知事を介して、あるいは市長を介してだけの話では長官も決断するのに自信がないでしょう。出かけていって漁民の皆さんに飛び込んで、そうしてお話をしてみようか、こういうお話のようでありますから丁即刻出かけていって漁民の声を聞く、また漁民をあなたが納得させる力があるならば力を示してみたらどうかと思うのです。それは三月四日まで、あるいは分科会が続くし、予算のこともあるので、知事の回答が来るまではできないかもしれませんが、予算の方の段取りがついたならば、段取りがついたならばといったって、衆議院がついたからといってまた参議院があるわけですから、そう簡単にもいかぬでしょうが、この予算委員会が終わり、国会がある程度落ちついたときにでもあなたは漁民の団体にお会いして、あなたの意見を申し述べたい、こういうお気持ちですか。
  285. 中川一郎

    ○中川国務大臣 このことはいま初めて申すことではなくて、知事さん、市長さんあるいは漁連の団体の皆さんに大変御迷惑をかけていることでもあり、おわびもしなければならないし、また、私の考えていることも聞いてもらいたいところもあるし、また、皆さんの気持ちも聞きたいのでお伺いするチャンスをつくってほしい。ところが、知事さんも漁連の責任者の人も、いま来られても困る、来られる段階になったときにサインをいたしますから、そのときにお越し願いたい、こういうことでございまして、いまも、お伺いせずに決まれば結構ですが、関委員、大変むずかしいぞと言うから、そういった努力もしてみたいという過去の気持ちも変わったことではなくて、そういう気持ちだけ持っているということを申し上げまして、そして地元からよし来い、話を聞いてやろうということになったら、予算その他の御都合を伺っておじゃましたいという気持ちでございます。
  286. 関晴正

    ○関分科員 そういう事情にあるから、いつでもすぐ抜け出せるというわけにもいかないでしょう。でも、漁民の諸君がどうも知事を頼りにして、われわれの意見をかわって言ってくれと言っても、頼りにならぬという段階になると、長官のところに出かけてまたお話を申し上げたい、こういうことを言っている向きもありますが、そういう場合に、おいでになればいつでも長官はお会いいたしますか。
  287. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いつでもお会いして御意見を承ります。
  288. 関晴正

    ○関分科員 大変結構な態度でいい、こう思います。  そこで、私余り時間がないのですが、この問題についていたずらに時間を空費して青森のことを考えるよりは、中川長官が最も安全だと言うのですから、長官の言うことを聞くような港でも長官自身お考えになって、そちらの方に移した方がいいんじゃないだろうかというふうに考えることがありませんか。私はその港を中川港と名づけているのですが、仮称中川港、そういうところにでも移してお進めする、こういうお考えはありませんか。
  289. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私としては、日本全国いろいろ調査をした結果、やはり環境条件あるいは自然条件等々考えて大湊が一番いい、こう思っておりますので何とかひとつ……。大湊以外にはいまのところ考えがいかないところでございます。
  290. 関晴正

    ○関分科員 私は、最も適切な場所だなんということについては、さきの委員会で、何もこれは適切なところじゃない、何が適切かといえば自民党の勢力の強いところであるということと、津軽海峡に近くて、あるいは原子力潜水艦でも出てくる場合に対応するのには役に立つかなということぐらいであって、ここに住んでおるところの漁民にとっては経済上大変な打撃を受ける。そうして一たび放射線が漏れた場合には、この海は洗たくのきかない海である。ぐるぐる潮の流れがすみずみまで回って、それから外海に出るようになっておる。そういうことからいけば、科学的にもこの場所はよい場所とは言えないはずです。しかし、いままた適、不適の論を同じように繰り返す時間はもう私にはありません。どんなことがあってももうこれは県の漁業団体がいやだと言っているのですから、私は方針を早く変えて、転ずるべきだ、こう思います。  その場合に申し上げたいのは、やはり外海、その外海ということになっても、これもなかなかいいところはないでしょう。こうなると、科技庁長官が責任を持って自分のところの外海にでも持っていくしかないのじゃないだろうか、私はそう思っている。人のところに押しつけることよりは、よし、引き受けた、おれのところだ、こういうふうにお考えになっていいんじゃないでしょうか。どうです。重ねてお尋ねします。
  291. 中川一郎

    ○中川国務大臣 重ねてまた申し上げます。  現段階においては、各方面、北海道も含めてやはり全国的に最適なところは大湊である。もちろん、湾内で生活を営んでいる人のことも考えなければなりませんから、そこで知事さんから、安全の手段、手順というものを――中では原子炉のエンジンは使わない、外海で実験をする、出るときも入るときもあそこでは使わない。さらには、廃液は湾内では一切捨てないということで漁民の皆さんに一切迷惑をかけない、こういうことも申し上げて理解を得るように努力をいたしておるところでございます。
  292. 関晴正

    ○関分科員 どんなに努力をしても、またどんなにそういうお話をしても、信を失っている間柄でありますし、生活のかかっておる漁業団体の皆さんのことでもありますから、私は、本当に聞いてあげるならば聞いてあげてもいいことも場合によってはあると思うのです。何もこの反対運動というのは、われわれ社会党が押しつけてでき上がっている問題じゃありません。この漁業団体はみんな自民党です。あなたの方の人ばかりです。だがこれは許されない、こう言っているわけです。それだけに余りむだな時間をかけることのないようにして、早々に切り上げて他の方に向かうようにしてください、これを希望しておきます。  その次に、防衛庁おいでになっていると思いますが、先般の新聞報道によりますと、原子力航空母艦をアメリカにおいて二十億ドルで建造するのだという計画が出ておるんだが、その際に、太平洋の適地に母港を定めなければならないし、その母港の選定作業中にあり、そのときには日本の佐世保を母港にしよう、こういうような記事が出ているわけなんですが、これについて防衛庁あるいは外務省、どちらでもよろしゅうございます。  また、防衛庁としては原子力潜水艦を建造するという計画があるかないかということと、外務省の方からは、そういうアメリカの考え方についてお話がどの程度まで進んでおるのかということと、そういうお話が来たときには外務省としてはどう受けるつもりであるのかということについてお答えいただきます。
  293. 丹波実

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  現在、アメリカは現役空母を十三隻持っておりますが、そのうち御承知のとおりミッドウェーだけが日本に母港化しておる、こういう状況にあるわけです。そこで一九七九年末のイランの問題、それからアフガン事件ということを契機にして、アメリカは空母をインド洋に常時張りつけた状態になっておりまして、その結果、空母のやりくりが非常に苦しいということで、去年の一月に出されましたブラウン当時の国防長官の報告の中で、アメリカとしては今後こういう空母のやりくりを考えるに当たって、大西洋または太平洋においてもう一隻の空母の母港化を考えたいという表現があったわけで、それ以来本国会におきましてもいろいろな御質疑があるわけでございます。私たちは、随時アメリカ側にどういうところが候補になっておるのかということは聞いておるわけですが、アメリカとしては大西洋、太平洋の各地を候補地として挙げておるけれども、いままでのところは予備的な検討であって、いずれにも決定しておらないという状況です。したがって、日本にそういうことを申し込んできたということはございません。
  294. 澤田和彦

    ○澤田説明員 原子力潜水艦の建造計画があるかという御趣旨の御質問でございますが、潜水艦その他自衛艦の推進力といたしまして原子力を利用しますことは、一般に、船舶の推進力としての原子力の利用が一般化するまでになっていない現状におきましては、原子力基本法第二条との関係で認められない。別の言い方をしますれば、一般の船舶の推進力として原子力が一般化した場合には、原子力基本法との関係においては差し支えないというのが、これまでたびたび政府国会お答え申し上げてきました一貫した見解でございまして、私ども防衛庁もこの見解は全く変えておりません。今日現在、私どもはまだ原子力推進の船舶というものが一般化したというような状況にあるとは考えておりませんので、現在におきましては、防衛庁は原子力潜水艦の比較的近い将来におきます建造ということについて、計画もいたしておりませんし、研究も全くいたしておりません。
  295. 関晴正

    ○関分科員 終わります。
  296. 横路孝弘

    横路主査代理 以上で関清正君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  297. 山原健二郎

    ○山原分科員 この二月の二十五日に各新聞が一斉に報道しましたスリーマイル島の原発事故後の新生児の死亡率が上昇したというアメリカのネーション誌の掲載問題ですが、これはもう質問があったかもしれませんが、科学技術庁はすでに入手をしておられますか。
  298. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 まだ全文を入手しておりません。
  299. 山原健二郎

    ○山原分科員 中身につきましては、新聞情報しかわからないということですか。全然つかんでいないのですね。
  300. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 そのとおりでございます。
  301. 山原健二郎

    ○山原分科員 しかし、これはかなり怠慢じゃないですかね。これだけ原子力発電所をめぐっての問題が各地で起こっておりますときに、この雑誌は週刊誌ですが、すでに二十三日に出ているわけです。きょうは二十七日ですから、外務省は持っているわけですし、どういう内容なのか調べてみるという関心も全くないというふうに理解してよろしいですか。
  302. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 外務省を通して調査をしておりまして、雑誌のネーションの論文が二つに分かれているというぐらいのことはわかっておりますが、まだ詳細は入手していないわけでございます。  ただし、このスターングラス教授というのは前からこういう問題に関心をお持ちのようでございまして、かつても同じような趣旨のことを発表され、そしてまたアメリカの中で議論され、かなり否定的な結論に在っているということも承知しております。
  303. 山原健二郎

    ○山原分科員 それだけの認識を持っておれば、なぜもっとお調べになりません。このアーネスト・スターングラスという人ですか、これは放射線物理学の人です。これだけじゃないのですね。新聞の情報によりますと、あの事故当時のペンシルバニア保健局長をしておりましたマクレオドという、同じピッツバーグ大学の教授も同じ報告をしておるわけです。しかもこれは、いわゆる判断ということじゃなくて、幼児の死亡率を風上、風下に分けてやっているわけですからね。そんなものが出て国民が関心を持っておるときに、当の安全性を主張しておる科学技術庁が調査もしない、前からそんなことを言っている人だというようなことで済まされるものではないじゃないですか。そんなあやふやな人間だったら、それなりにあなた方は反論したらいいわけで、これは全くお話にならぬと思いますよ。  これは実際に新生児の死亡率について実証的に出ております。私どもも入手する機能は持っておりませんから、この新聞情報によりますと、明らかに風下といわゆる風の吹かなかったところ、当時、事件が起こりましたのは一昨年の三月二十八日ですか、三月の時点までは、死亡率は冬の期間は低下するという状態で、四月になって急増しておるという数字が出てくれば、普通だったらこれは相当関心を持って、一体どうなのかということをお調べになると思うのですよ。この人物が怪しげな人物だという言い方でございますけれども、それならそれで、どういう者か。以前からそういうことを言っておるというが、以前というのはいつですか、スリーマイル島の事件が起こる前ですか。
  304. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この問題については、このように私どもは考えております。  スリーマイルアイランド事故により、ペンシルバニア州及びニューヨーク州北部などで、新生児の死亡率が増加したとのスターングラス教授の研究報告については、報告の詳細を入手しておりませんが、専門家などの意見を聴取してまいりました現段階において、とりあえず次のことが言えるかと存じます。  まず第一に、米国原子力規制委員会調査結果によれば、スリーマイルアイランドの事故により環境に放出された沃素は微量であり、周辺住民の被曝がきわめて少ないものだとされております。したがって、このような微量な被曝により、新生児といえども、死亡する等の障害があるとは全く考えられないのが、専門家の一致した大方の意見であります。  第二に、この問題についてスターングラス教授がかつて同様趣旨の発言をしたことがありまして、これを契機として行われたペンシルバニア州保健省の調査によれば、原子力発電研から約十マイル以内の胎児、幼児の死亡率は、州全体と比べ統計的に有意な差がないとの結果がはっきり得られておりますし、その発表に際し、同州保健省疫学部長は、スリーマイルアイランド事故程度の低線量では影響はあらわれないであろうと、はっきり言っております。スリーマイル事故の前後で死亡率に明確な変化は見当たらないものと、述べてもおります。  第三に、一般的に新生児の死亡率の変動はきわめて多くの原因により生ずるものであり、原因に関する詳細な分析を行わず、特定の一要素のみの因果関係を求めることは、科学的に全く意味がないことというのが専門家の見方であります。  第四に、スターングラス教授は一九六九年にストロンチウム90に関する研究を発表しておりますが、これについてもアメリカ小児科学会により全く根拠のないものとされており、また一九七〇年にも原子炉周辺の地域で幼児の死亡率が増加しているものとの見解を発表したことがありますが、これはアメリカ原子力委員会によって手厳しく批判されております。  私は、以上申し上げたことから、今回のスターングラス教授の意見が原子力安全性に疑念を与えるようなものとは全く考えておりません。偏向されたこの種学者が無責任に発言することは、一般に大きな影響を与えることであり、迷惑至極と考えております。
  305. 山原健二郎

    ○山原分科員 何を言っているんだ、長官、そういう御発表をするのは、きょう初めてですか。
  306. 中川一郎

    ○中川国務大臣 二十六日にも同じことを申しております。
  307. 山原健二郎

    ○山原分科員 二十六日、どこでやられましたか。
  308. 中川一郎

    ○中川国務大臣 科学技術委員会でございます。
  309. 山原健二郎

    ○山原分科員 それなら、なぜ原文を取り寄せてやりませんか、それだけのことを言われるならば。これは、議員の質問に口をかりて、科学技術庁が原発推進の宣伝をしているとしか受け取れませんよ。偏向する学者だなどという決定、しかも日本の「専門家」という言い方だが、だれが専門家が、どういう人か、私はわかりませんから聞きませんけれども、スリーマイル島の事件が起こった二日後に――あのときは事故が起こって二時間十分たってから測定が始まったんですよ。そしてその翌日、まだ大騒ぎになろうとする直前に、日本の原子力委員会は安全だということを発表した。それから大騒ぎになったのでしょう。そういう科学的な客観性を持たない一方的な偏断をもって、この委員会の場所を宣伝の場所にするのは許せませんよ。それなら何で原文を取り寄せて精密な検討をしないんだ。原文は持っていないと言う。新聞情報でやっていると言うじゃないか。それをもってこの学者が、専断的な勝手な判断をしている偏向な学者だというような判断をして、国民をごまかすということは、これは少なくとも科学技術庁のやるべきことじゃないということを私は申し上げておきます。      〔横路主査代理退席、主査着席〕  二番目は、原発立地の問題です。この過程について伺いたいわけですけれども、一つは、原発を設置しようとする電力会社が立地を決意し、そして経過としては、最初に地点を選定をするということがございまして、それから環境調査をやって環境審査会にかけるという経過をたどるわけでございますが、一般的に事前調査と言っておるのがこの地点選定の調査だと思いますが、仁の地点選定の調査は普通は環境調査とほとんど同じものなのかどうなのか、ちょっと最初に伺っておきたいのです。
  310. 戸倉修

    ○戸倉説明員 先生お尋ねの立地調査の件でございますが、御指摘のように、電気事業者は、まず将来の電力需要、それから立地条件等を勘案いたしまして立地地点の選定をいたしますが、その場合に所要の調査を行って決めるということでございます。  環境調査につきましては、さらに詳細な調査が必要だということでございまして、これは私どもが指導通達を出しておりますが、環境調査要綱に基づきまして環境調査報告書というものを作成いたします。この結果は地元の方々に縦覧をいたしますし、説明会を開催いたしまして、これを環境審査に反映をさせる、こういう手続になっておるわけでございます。
  311. 山原健二郎

    ○山原分科員 環境調査というのはもちろんわれわれも知らぬわけじゃありませんが、その中身は、たとえば今回、私の県で窪川原子力発電所問題が非常に大きな問題になっておりますが、その際に、町の調査要請に基づいて四国電力側が調査する中身というのは、地形、地質、これは地質踏査、ボーリング、試掘調査、音波調査、深度測定ですか、地質測定、それから気象、海象では風向き、風速、気温、湿度、流向、流速、水温、波高、潮位等の測定、それからその他は地下水、地盤沈下、土地利用の調査、さらに動植物の生息分布状況等の調査、自然放射能の測定などというのがありますが、これはいわゆる第二次調査となりますか、環境調査の中身とほぼ一致しておると思いますが、そういうことはあり得るわけですか。
  312. 戸倉修

    ○戸倉説明員 窪川町から四国電力に申し入れております調査内容につきましては、先生も御承知のとおり、原子力発電の立地が可能かどうか、環境にどういう影響を及ぼすかを調べてほしいという申し入れであるというふうに私ども承知をいたしております。  環境影響調査報告というのは、もちろんそういった、先生いまお話がございましたようなデータが使える部分がございますけれども、さらに、立地選定をいたしましてからより詳細な調査が必要である、それを環境影響調査報告書という形にまとめて通産省の方へ提出をする、こういう手続になっております。
  313. 山原健二郎

    ○山原分科員 この事前調査で地点の選定を電力会社がやりますと、次には環境調査、そして用地取得と漁業補償という問題が出てまいります。そして、環境調査が通産省の環境審査に入っていくわけですね。環境審査の方を通産省が受け取った場合に、各省庁の調整を図り、それから第一次ヒヤリングというのがありますね。それから知事の同意を得て電調審にかける、こういうかっこうになるんですね。それはそのとおりでよろしいですか。
  314. 戸倉修

    ○戸倉説明員 手順としては先生おっしゃったとおりでございまして、環境審査と第一次ヒヤリングというのはある程度並行して行われますが、それが終わった後に、地元の意見を徴するという形で都道府県知事の同意を得た後に、内閣総理大臣が電源開発調整審議会に付議をする、そういう手順になっております。
  315. 山原健二郎

    ○山原分科員 この通産省から出されておりますいわゆる原子力発電所に係る手続の概要を見ますと、住民の意思というものが反映されるところは、制度的には、調査が始まり、環境調査が行われ、環境審査にかけられるという段階から見まして、結局第一次ヒヤリングのときに住民の意向が反映できるということになるのか。また、知事の同意を得るというこれははっきりしているわけでして、ここですね。ほかに住民の意向というものは制度的に反映できる場所というのはどういうふうになっていますかね。
  316. 戸倉修

    ○戸倉説明員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、制度的に住民の意見を聞く場といたしましては、まず第一に、電気事業者が環境調査報告書を作成した段階で、公衆の縦覧に供するとともに説明会を開催して住民の意見を聞く、こういうことが第一点でございます。  それから、先生指摘の第一次公開ヒヤリングにおきましては、原子力発電所にかかわる諸問題について、電力会社の方から計画を説明させるとともに、地元の住民の方々の御意見を伺う、これが第二点。  それから第三点は、電源開発調整審議会に付議する前に都道府県知事の意見を聞く。  それからなお、電調審を通過した後に安全審査に入るわけでございますが、安全審査の過程におきまして当然安全問題については厳重な審査をいたすわけでございますけれども、通産省が安全審査をした結果をさらに原子力安全委員会の方でダブルチェックをする。その過程でいわゆる第二次の公開ヒヤリングを実施して、住民の方々の御意見を聞くというような手続の場がございます。
  317. 山原健二郎

    ○山原分科員 結局、環境調査にかける前に説明会、縦覧ということが行われ、それから環境審査の過程において第一次公開ヒヤリングが行われる。これは普通、一般縦覧とか説明会というのはどこがやるのですか。説明するのは電力側ですか。
  318. 戸倉修

    ○戸倉説明員 これは電気事業者が行うことになっております。
  319. 山原健二郎

    ○山原分科員 結局、そこは電力会社の方が縦覧資料を出す、あるいは説明会をやる。第一次ヒヤリングはこれはもう御承知のとおり通産省がやるわけですけれども、その説明は電力会社の方が行う。こうして電調審にかかっていきまして、電調審から総理大臣の基本計画その他計画に乗せられて、そしてつまり、第二次ヒヤリングがあるとしてもずっとそういうふうにストレートにいくわけですね。  では、住民がいやだということを言ったときに、その過程においていやだということがはっきりと出るのは、制度的に見れば知事だけですね。知事の同意というものだけにかかっておるとしか思えないのですが、たとえばヒヤリングでも賛否両論が出てきて言うだけですから、言って聞いてそれが報告されるだけですから、その点から考えますと、安全性の問題その他でいやだと言いましても、制度的には知事が合意をするかしないかにかかるというふうに理解してよろしいですか。
  320. 戸倉修

    ○戸倉説明員 先ほどいろいろな諸手続について申し上げましたけれども、それぞれの段階で当然私ども十分御意見を伺いまして、環境審査、安全審査等に反映をさせていく、こういうことになっております。都道府県知事がどういう同意をするかということももちろんあれでございますが、それぞれの段階で十分地元の御意見を伺うということでございます。  それからなお、現実問題といたしまして、やはり地元の御理解と御協力を得ながら原子力発電の立地を進めていくということは大変重要でございまして、立地調査に入る場合にも、当該市町村等の了解のもとに実施しているというのが現実には行われているわけでございます。
  321. 山原健二郎

    ○山原分科員 それはいままでも住民の声は聞くということはありますけれども、歯どめとしての制度的なものはいまお聞きしてもないわけです。実際にはっきり歯どめをかけるというのは、知事が同意をするかしないかということが制度上の問題として残っているだけでして、こういう点から考えますと、本当に住民というのは弱いものだなということをしみじみ感じておるわけですが、一たび調査を許してしまえばあとは立地が決められる、地点が決められる、そして環境審査がせられる、電調審にかかる、こうなってきますと、もう地元の範囲を離れてしまって、通産省へいき、総理大里が電調審へかけていく、基本計画に乗っていく、こういう歩みをするわけでして、地元の意見は聞くとはいいながら、その地元の住民なるものがたとえば議会であったりするわけでございますから、いわばストレートに、最初の調査を許せばほとんどいってしまうというのが現実ではなかろうか、私はその点を非常に心配しておるわけです。  時間がございませんが、いま高知県の窪川町におきまして、原子力発電所問題をめぐって大変な賛否両論が渦巻いております。ここの住民の方たちにとっては、まるで青天のへきれきのごとくこの問題があらわれてくるのです。なぜかといいますと、私はここへ持ってきておりますが、窪川町における「農村空間整備基本計画書」という大変なものです。これは県も関係をしまして、農協、教育委員会あるいは漁民団体全部が入って、七年間にわたってつくり上げたものです。長官は農林水産大臣をしておられましたからよくわかると思いますが、あの地域は米作地帯、酪農地帯です。高知県一の酪農地帯で、そして海岸へ行けば漁村がございます。いわば農漁村地帯ですね。その農漁業がどう繁栄をしていくかという、第一次産業を繁栄させていくための七年間にわたる労作ができましたのが昨年の一月です。しかもこれは実現可能な町発展の政策として出されておるわけでございまして、これができた、そしてこれに向かって農民も漁民も前進をしていこうとするやさきに、昨年六月に町長さんが、原子力発電所を誘致してもいいという発言をしまして、そこから一挙にこの問題が噴出するわけです。そして、反対の住民にとりましてはほかに手がないということで、町長さんのリコールということに発展していくわけです。本当に、行って聞きますと、手がないのです、こう言うのですね。そして、町長さんの解職請求投票に入りまして、二月十六日に告示をされて、三月八日に投票を迎えるという状態でございます。これに対して、県知事は賛成側に回って、告示の日から乗り込んで、いわば陣頭指揮をとるようなかっこうになります。それからまた、自民党の方でも櫻内幹事長その他が、あさってでございますか、現地に乗り込むというような状態で、平和な町が一瞬にしてこういう政争の状態になるわけです。権力は押しかけてくる、一方では金の力で、四国電力は、告示になりましてからも、三百名、四百名という町民を連れて、バスに乗せて、愛媛県伊方の原発を見に行くのだということで、旅費も宿泊費も飲食の費用も全部四国電力が賄っておるという事態が起こっております。  この解職請求の選挙でございますけれども、公職選挙法との関係におきまして、たとえば買収行為、利益誘導行為あるいは地位利用行為というものは公職選挙法の適用を受けるものかどうか、伺っておきたいのであります。自治省、お見えくださっておると思いますが、お答えをいただきます。
  322. 岩田脩

    ○岩田説明員 お答えします。  ただいま御質問の長の解職投票につきましては、一部公職選挙法の中の関係規定が準用されております。ただいまお挙げになりました買収の規定、特定の地位にある者の選挙運動の禁止規定、そういったような規定も、それぞれ一部修正を受けておるものもありますけれども、準用されております。
  323. 山原健二郎

    ○山原分科員 この長の解職を申請する選挙というのは、公職選挙法を全面的に受けるのじゃないそうです。たとえばポスターだとかビラとかいうものは出しほうだいであります。しかし、少なくとも戸別訪問であるとか買収、利益誘導、地位利用というものは公職選挙法の適用を受ける。そうしますと、一つの町において選挙が行われている、たとえば町会議員選挙、町長選挙は公職選挙法が適用されるわけですが、その中で一定の選挙に直接かかわりのある問題をもって、そして無料で住民を連れていく、飲食をさせる、その途中において、原子力発電所は絶対に必要なのだ、どうしてもつくってもらわなければ困るなどという宣伝をするということは、公職選挙法によって、買収、利益誘導に該当する可能性を持っておると思っております。そういうことが選挙に入りましてからも行われておるわけでございますが、これはまさに選挙違反すれすれの状態ではないかと思っておりますが、これについて警察庁の方ではどのような調査をされておりますか。
  324. 漆間英治

    ○漆間説明員 御質問の件につきましては、高知県警察が把握したところによりますと、四国電力株式会社におきまして、原子力発電所の施設、構造、安全性、立地条件等を広報するために、昭和五十年以降、同社が設置した愛媛県下の伊方原子力発電所について、高知県下の成人を対象に同社の営業所単位に参加者を募集いたしまして、経費を同社が負担して、バスによる一泊二日の視察旅行を企画、実施してきたということであります。  ことし一月以降に同営業所で取り扱ったところによりますと、窪川町周辺地区から約十回、およそ四百人の住民が視察旅行に参加しており、窪川町長の解職投票が告示された後においても、二月十八日から十九日にかけて三十九名、二月二十一日から二十二日にかけて百二十九名が視察旅行に参加したというように、事実関係を把握しておるようであります。
  325. 山原健二郎

    ○山原分科員 これはやめるべきだと思うのです。中川長官に対してこの前私が御質問しましたら、行き過ぎた行為については慎しむべきだというお話もございました。そういう点から考えまして、本当に選挙に入ってやっておるその問題で、これは明らかに買収だと私は思うのです。お金を取ればまだ話がわかりますよ。いまだにお金も取らないで飲食の提供をして、そして、車の中では四国電力側の職員が、どうしても原子力発電所は必要なのだということをおっしゃっておられるわけです。こういうやり方についてはどうしても納得がいかないのです。フェアな選挙、住民がたとえ賛成であろうが反対であろうが、論議を戦わせて選挙を行っていくという、選挙の公正というものを守るべきだと私は思うわけでございます。  また、それに対して、自由民主党が行くことについて私はとやかく申し上げるわけではありませんけれども、政府機関が行くなどということは恐らくないとは思いますけれども、あと一週間しか残されておりませんこの選挙に当たりまして、中川長官として、政府機関あるいは行政機関が、少なくとも町を二分する意見があるときに、一方の側に立ってこれを強要するがごときことは慎しむべきであると思います。そういう行き過ぎた行為については、いかに原子力を推進する立場に立っても限度というものがあると思います。同時に、それだけの配慮というものが必要だと思うのでございますが、長官の意見を承りたいのであります。
  326. 中川一郎

    ○中川国務大臣 せっかくの御指摘ではございますが、実態について私、認識しておりませんので、意見を申し上げられる立場にございません。ただ、公平に、法に従った選挙が行われることを望みます。
  327. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で山原君の質疑時間は終了いたしました。  次に、栗田翠君。
  328. 栗田翠

    栗田分科員 私は、いま問題になっております静岡県浜岡につくられる原子力発電所三号炉の問題、また東海大地震を予想して新しい基準で再審査されたと言われております一、二号炉の問題について伺いたいと思います。  まず最初に、科学技術庁の長官に伺いますけれども、昭和三十九年に原子力委員会から原子炉立地審査指針というものが出されて、原子力発電所の立地条件の基本的な考え方を述べておりますけれども、特にこの中で原則的な条件と言われているものはどういうことでしょうか。
  329. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 原子炉の立地条件の適否を判断するための指針としまして基本的な考え方が示されておるわけでございますが、主な事項としましては、まず、自然災害に着目いたしまして、発電所に対して大きな事故をもたらすような地震、洪水その他の自然災害が過去に起こっていない、そして将来もないであろうと考えられるということが判断の一つの条件でございます。それから、原子炉が公衆から十分に離れている、逆に申しますと大きな都市からは離れていた方がよろしい。それから三番目としまして、これは万々が一のことでございますけれども、発電所が事故を起こした際に、退避等公衆への影響を防ぐような対策をしやすい環境にある、この三つを基本にしているわけでございます。  ただし、この指針を適用するに当たりましては、当該原子炉に対して施された防護施設、安全施設、そういうものとの関連を十分評価して考えるべきことは当然のことでございます。
  330. 栗田翠

    栗田分科員 この浜岡の原子力発電所がつくられるところというのは、いまおっしゃられた一の条件、大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったかどうか。これは安政の大地震、それから昭和十九年の東南海地震、またそれ以前周期的に大地震が起こっている震源域にあったという過去の条件があります。それから、将来においてもあるとは考えられないこと、いま東海大地震が予想されていて、あすに起きても不思議ではないと言われており、大規模地震法がつくられている、その震源域の中にあります。通産省は三号炉増設について審査をパスさせていらっしゃいますけれども、この審査内容の立地条件のところを拝見いたしますと、二と三の要件、つまり周辺に余り大都市がないかということや、万一事故が起きたときに余り人口密集地がなくて被害が多くないという、このことについては述べてあるのですが、一の肝心な立地条件について全く触れてない審査内容についてパスをさせていらっしゃいますけれども、一体そこはどうお考えになってのことなのでしょうか。
  331. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 御説明申し上げます。  通産省といたしましては、もちろん日本は地震多発国でございますし、安全審査を行う場合におきましては耐震設計ということを非常に重要視いたします。ただいま御答弁がありましたように、十分な耐震設計をするということがこういう立地をする場合の重要な条件であるというふうに考えております。  ところで、浜岡三号炉の耐震性でございますが、通産省におきまして各分野の専門家に集まっていただきまして、これを原子力発電技術顧問会というのがございます、そこで十分な検討をいたしまして、入念かつ厳正な審査を実施いたしまして、そして安全性が確保できる、この耐震設計は十分であるというふうに考えまして、それで昨年ダブルチェックのために安全委員会の方に諮問したところでございます。  耐震設計の具体的な内容でございますが、これは昭和五十三年に原子力委員会が定めました耐震設計審査指針というのがございまして、これに基づきまして、歴史上の最大の地震と言われております江戸時代の安政東海地震、これはもちろん考えるわけでございますが、そのほかに敷地周辺の近傍の活断層があればそれを考慮する、あるいは地震地帯構造という学問領域から見て考えられるような地震も考える。先生指摘の想定東海と言っておりますこの地震の指摘の件も、われわれといたしましては十分考慮いたしまして、そして、しかもサイトにおきますボーリング調査、横坑調査、岩盤試験、こういうようなものを入念に調査のデータも検討いたしまして、先ほどの専門家の御意見も伺いながら、そして判断した、こういうことでございます。
  332. 栗田翠

    栗田分科員 耐震設計さえ十分やってあればいいとおっしゃいますが、原子力委員会の指針には、立地でまずこういう点が大事であると、耐震設計が十分ならばよろしいとはどこにも書いてありません。まず安全な立地条件、その上に十分な耐震設計。こう考えるべきだと私は思います。  それから、あらゆる角度から十二分に耐震設計をやっていらっしゃるとおっしゃっておりますけれども、いま大きな地震についてはまだ未知の部分というのが非常にあると言われております。現にこれは中部電力株式会社自身が義務づけられています防災業務計画を出しておりますが、その中を見ましても、「なお、地震対策についてはまだ解明されない事項が多いため、解決され次第逐次整備していくものとする。」とちゃんと書いてあるわけなんですね。「解明されない」ところがある。何から何までわかってもう十二分でございますといまおっしゃったような言い方ですけれども、ちゃんと中部電力自身が解明されてないということをはっきりと防災計画に書いております。  その他、私は、この質問をするに当たって、こういう関係で非常にいままでも広くやってこられた学者の方々の御意見を伺いました。  つい先ごろまで予知連絡会の会長をなさっていた萩原先生の御意見も伺ったわけでございます。  萩原先生は、ここに、国立防災科学技術センターが出しております「地震断層付近の震害に関する調査」という冊子の序文にこう書いていらっしゃいます。「比較的大きいマグニチュードの地震の震央付近での記録はまだ得られていない。」「日本やアメリカの強震観測事業の進展によって今日では、地盤または堅い岩盤上における最大加速度が震央距離とともにどのように減衰するかについてのグラフや実験式が求められている。シードの式や金井の式などがあり、また最近では加速度強震記録の統計解析など、これらの実験式は広く耐震工学者によって採用されているが、震央近くの強震観測資料を欠くために、適用範囲は震央距離がおよそ二十キロメートルより遠いところに限られている。大きい地震の震央付近または地震断層付近の地震動がどのようなものであるかを知ることは、重要構造物の耐震設計基準を定めるにあたってはきわめて大切なことであるが、前に述べたように、いまだに強震計によって記録されたものがない。今後強震観測事業がさらに進展すれば、いずれは震央付近での強震記録を得るごとに成功するであろうが、それまでには、かなりの年月を要することになろう。」とはっきりお書きになっていらっしゃいます。  私はお電話もしまして改めて伺いました。先生は同じようなことをおっしゃいました。そして、いまわかっているのはせいぜいマグニチュード七ぐらいのものしかわからないのである、強震計を全国的に配置する計画がある、数としてはあるがいま都会に集中していて、それも建物についている、地盤の上に欲しいがなかなか思うようにいかない、こうおっしゃいました。  そしてまた、いまの耐震設計に入れる計算は、遠くの地震の記録の応用で、主観や仮定が入るので、まだ実証されていないものが使われていることになるというふうにおっしゃいました。  また、萩原先生が「金井の式」ということで引用していらした金井先生にもお電話して伺いましたけれども、金井式というのは経験式ですと金井先生はおっしゃるのです。そのまま使っていることはないでしょうが、この地震のように経験がないものについては自信がございません、こうおっしゃいました。  それから、日大の地質学をやっていらっしゃる守屋喜久夫先生、これはイタリアやアルジェリアの地震の調査に早速行かれた方ですけれども、断層地震のおそれのあるところに原発を建てるのはすごく反対です、国家的事業として東海大地震が近いと言って対策をとっているのに国民感情としても合わないことです、こうおっしゃっております。私はこういうものを見るにつけましても、いま立地条件ということを十分考えなければ、何もかももうわかっているからこれで十分なのですとおっしゃるいまの通産省のお考えには反対でございます。  時間がありませんので第二点に移ります。  この原子力発電所の施設というのは重要の度合いによってAS、A、B、Cというランクづけがされていると思いますけれども、今回三号炉の耐震設計について、想定地震動の大きさが変わったために新しい基準が当てはめられました。いままでの設計用最強地震動は、これはS1と略して言っているようですが、三百ガルだったのが四百五十ガル相当に変わっていますし、今度はカインという単位を使っているようですが、比べるために一応ガル相当というふうに申します。そしてまた限界地震動S2は、いままで四百五十ガルまでだったものが六百ガル相当に変わっているわけでありますけれども、このS2やS1などを当てはめて検証している部分というのは、いま挙げました四つのランクのうちのどこの部分でしょうか。
  333. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 先生指摘の耐震性の重要度分類でございますが、これは原子力発電所の放射線災害を防止するための考え方でございまして、そういう機能がなくなったときに安全上問題になるようなものは非常に重要なものというふうに考えまして分類してございます。それでA、B、Cというふうになっておりますが、これは静的解析というものから考えまして、通常一般の建物をCクラスといたしまして、Bクラスはその一・五倍、Aクラスは三倍というふうに考えております。  それで、もう一つの御指摘の四百五十ガルないし六百ガルと申しますのはAクラスに対するものでございまして、これは動的解析というものを行いますときの地震動でございます。じゃ、具体的にどういうものがAクラスないしAクラスに対応するのかということでございますが、まず圧力バウンダリーと……(栗田分科員「それは結構です」と呼ぶ)よろしゅうございますか。格納容器とか余熱除去計、そういうものでございます。
  334. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、さっきのS2は非常に強いわけですが、S1ぐらいの地震動がもしあった場合、ランクで言いますとBクラスとかCクラスとかの部分は壊れる場合がありますね。壊れる可能性がありますね。
  335. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 実際に壊れるかどうかというものはこれは別でございまして、あくまでも審査をする場合の解析上の条件がいいかどうかということでございます。ですから、Aクラスに分類されているものは動的解析をするという基準になっております。じゃ、CクラスないしBクラスはすぐ壊れるかというと、それは事業者が、Bクラスで分類されておってもAクラス並みの設計をすれば壊れない、こういうことになりますので、ちょっとすぐにはお答えできないんじゃないかと思います。
  336. 栗田翠

    栗田分科員 それでは重ねて伺いますが、少なくともBとCについては四百五十ガルを入力して検査はしていないということですね。
  337. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 動的解析はAクラスについてのものでございます。やっておりません。
  338. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、壊れる可能性はあるということです。  それで、三号炉の補正申請書を見ますと、たとえばBクラスに入っているものでも「放射性廃棄物以外の放射性物質に関連した施設で、その破損により公衆及び従業員に過大な放射線被曝を与える可能性のある施設」というところがBクラスになっておりますね。蒸気タービン、復水器、給水加熱器及びその使用配管、復水脱煙装置、復水タンク、その他その他と、これはBクラスになっておりますね。――そうのようですが、こういうところでもBクラスになっているところがあるということです。これは私、非常に重要だと思います。  それで、次に伺いますけれども、中川長官は以前、原子力発電所は強固な岩盤の上にあってその危険にはさらされていない、つまり地震で壊れたりするという危険だとか、それからこの前不破書記局長が液状化の問題などを申しましたけれども、そういった種類などの危険にはさらされていないとおっしゃいましたけれども、しかし原子力発電所の施設すべてが岩盤にきちっと固定されているというわけではありませんね。
  339. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 発電所の施設がどういうふうに基礎がついているかというお話でございますが、この件につきましてお答えいたします。  原子炉と原子炉建屋、タービン建屋、重要なタンク類、こういう主な施設はすべて第三紀中新世の相良層という堅牢な岩盤に直接支持されております。それからそのほか開閉所、海水系等の一部、こういうものはコンクリートによって十分支持力を持つ堅牢な地盤に支持されております。それから真水のタンク類などの一部は、直接岩着しているものもありますが、部分的には地盤を改良して行っているというものもございます。
  340. 栗田翠

    栗田分科員 私もきのう課長さんから伺いましたけれども、岩盤に直接固定してないもの、中には岩盤にパイルを打って上の方で固定しているというものもあるようですけれども、直接固定してないものは、たとえば一、二号炉取水槽から原子炉建屋までのパイプ、それから建屋から放水口まで、これは一号機で六百七十メートル、二号機で八百メートル、それから事務、建屋、送電線開閉所、原水タンク及び原水タンクまでの井戸からのパイプ、清水タンク、それからいろいろな複雑な配管系統でCクラスのもの、こういうものがしてないということですね。  それから、中部電力が安全性をPRするためにつくりましたパンフレットがここにございますが、このパンフレットを見ますと、取水槽も砂地の上に置かれているようになっております。こういうものがたとえば地震などが起きたときにもし壊れたら、たとえば放水口だとか取水槽だとか壊れただけでも、水が循環しなくなって非常に危険になると思いますけれども、こういう点はいかがですか。
  341. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 取水槽は沖合い六百メートルから取りましてサイトに持ってくるわけでございますが、その間は岩盤についております。
  342. 栗田翠

    栗田分科員 しかし、取水槽そのものが中部電力のこの図によりますと、砂の上にあります。
  343. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 昨日、先生からそのようなお話がございまして、私調べてみましたら、私どもの詳細設計の資料は全部岩着しております。その資料は一体どうしてそういう紛らわしいのを出したかということを昨日帰りまして中部電力に問い合わせましたところ、それは要するに間違いである、かつて計画段階でつくったものをそのまま推定という形で載っけたようでございまして、それを訂正してないということでございました。こういうことは大変まずいことだということで、私からも十分注意しておきました。
  344. 栗田翠

    栗田分科員 住民を安心させるためのパンフレットにせっかく岩着しているものがしてないように書いてある、これはちょっと信じられないようなことなんですけれども、私それなら、安心させていただくためにぜひその取水槽の詳細設計を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  345. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 後ほど先生の方に御説明に伺いたいと思います。
  346. 栗田翠

    栗田分科員 出しますか。
  347. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 検討させていただきます。
  348. 栗田翠

    栗田分科員 スリーマイルの事故を見ましても、第二次給水系と言われている、アメリカの原子力発電所の関係ではこれは事故が起きても大して大きな事故にはつながらないと言われていたところの事故が発端になってあれだけの大事故を起こしたと言われております。ですから、いまこういうふうに部分では、主なところとおっしゃるのは岩盤の上にあるかもしれませんが、さっき挙げたようなものが岩盤の上にないということは、私はいま東海大地震を考える上で大変危険だと思います。また、大地震の震央付近の記録というのがはっきりと機器でとってないということになりますと、どういう事態になるかということがすべてわかっているわけではありませんから、そういう点ではこういう立地条件のところに置くということは実に不安定だと私は思っております。  あわせて、これは前回不破書記局長が総括質問で述べたことですけれども、この原子力発電所の置かれる場所というのは、静岡県が出しました液状化危険図で、三百ガル以上の地震が起きたときには液状化する地域というふうにはっきりされているわけでございます。全部が岩盤の上にあるならいざ知らず、そうでない部分がある以上、この液状化地域と言われている砂地の上に置かれている、また、パイルで支えてあるかもしれませんけれども、周りに地盤があればとまっているけれども、そこの地盤が流れてなくなってしまったりしたときにどういうことが起こるか、これはまことに危険でございます。  ところで、この三号炉の審査に際して液状化についての審査はしていらっしゃいますか。私、全部読みましたが、液状化のエの字も出てなかったようですが……。
  349. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 液状化の問題は学問的には非常にむずかしいわけてございますが、新潟地震の例から見ますと、かなり限定された条件で起きております。と申しますのは、これまで三百年以内に信濃川が移動した河川敷で地下水位が高い、それから砂地であるというところに起きておりまして、たとえば海の砂のようなところでは起きてないというようなことでございます。それで、この浜岡のサイトでございますが、そういう観点から私ども詳細な実際の地質関係の調査をしているわけでございますが、この地点ではそういう液状化の起こる可能性はないというふうに判断しております。
  350. 栗田翠

    栗田分科員 端的にお答えいただきたいのですが、地質の調査はしていらっしゃるとしても、液状化するかどうかという立場で審査はしていらっしゃらないようですね。
  351. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 ですから、液状化をするというのは地質の条件がそろわなければいけないということでございまして、そういう関係の詳細な調査をしております。
  352. 栗田翠

    栗田分科員 それならば、なぜ静岡県がつくった地図に液状化地帯と書かれているのでしょうか。この原発の敷地のすぐ横は新野川という川も流れております。
  353. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 静岡県の資料につきましては、私もどうしてそういう関係の分類をしたのかということを問い合わせましたところ、これは新野川という川の河口であるということ、その地図のブロックが四角になっておりますが、ちょうどサイトが入るようなメッシュであった、それで、河口が入るのでそういう地域にしたというふうに聞いております。それで、では川とサイトとはどういうふうに違うかということでございますが、このサイトの地質につきましては、詳細な調査をいたしますとこれは川の砂ではない、要するに、年代を見ますと海の砂でございまして、相対密度と言いますが、密度の詰まりぐあいというものが違うわけでございます。いろいろ検討してみましても、そういう液状化の起こるような条件ではないというふうに私どもは判断しているわけでございます。
  354. 栗田翠

    栗田分科員 メッシュが大きかったものだからちょうど入っちゃったなんておっしゃいますけれども、この地図を詳細に見ますと、ずいぶん小さい区切り方をしている部分もあるのです。ところが、この浜岡は大きい方のメッシュで全部塗りつぶしてありまして、さっきからお話を伺いますと、あれは中部電力の間違いだ、静岡県の地図はちょっと大きく書き過ぎちゃったのだとか、いろいろおっしゃっていますけれども、私はそういう意味では大変不安だと思います。安全だということを前提にいろいろ言っていらっしゃるのではないかと私は大変不安に思います。  ただ、時間がありませんので次の問題に移りますけれども、三号炉の審査基準が、地震動の大きさが変わりまして一、二号炉も当然補修しなければならないという問題が大変報道されたことがございました。中電の幹部もそういう発言をしたし、それから、吹田原子力安全委員長なども真剣に検討したいということをおっしゃっておりますし、そういう御発言がいろいろあって十二月の九、十日ごろには一斉に新聞が書いたわけでございますが、その後、あれは誤報であったということで一遍に訂正されたという過程があります。私はこの過程に大変不自然なものを感じております。  ただ、もう時間がありませんのでその過程をいま細々伺いませんけれども、一つ伺いたいことは、一、二号炉を再審査なさって、審査報告書もいただいて私も読みましたが、浜岡三号機の地震動を用いて浜岡一、二号機の地震応答解析及び構造強度解析を行ったと書かれておりますけれども、浜岡三号炉の地震動というものは新しい基準のS1ですね。
  355. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 それはS1が四十三カインでございますが、一つは三号機のS1を適用する、それから三号機のS2も検討したということでございます。両方とも検討しております。
  356. 栗田翠

    栗田分科員 そうしますと、ここに出されています報告書は、S1で検討したもの、それからS2で検討した記録が書かれておりますか。
  357. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 S2のものはそれには載っけておらなかったかと思います。
  358. 栗田翠

    栗田分科員 これが私、大変問題だと思います。S1といいますと、最重要部分の旧一、二号炉のS2に当たるものでございます。ガルに直しますと四百五十ガルで検討しているわけですから、最重要部分Aというランクはもともと一号炉、二号炉でも普通の地震動の一・五倍で設計してあります。ですから、新しい基準のS1を当てはめて一、二号炉の最重要部分をもし検討するならば、それは十分地震動に耐え得るという結論が出るのはあたりまえで、最初からAランクのところは一・五倍でしてあるわけですから、それでなさったから安全だということにはならないわけですね。S2でもおやりになったのでしたら、その実験検査記録、またいろいろ見ますと、S2のようなものは模型をつくって実験してみなければわからない、非常に極限的な、限界的な地震動だから、ある程度曲がっても、ぽきっと折れるか折れないか、こういうところまで調べなければならないのだということが書かれておりますけれども、そういうふうにはしていない。なぜS2での解析の記録がないのか、これはどういうことですか。お出しになったら都合が悪かったのか、実際にはこういうふうに詳しくやっていらっしゃらなかったのか、どちらでしょうか。
  359. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 S2についても検討いたしました。ただ、そのS2でやりますと、材料の許容応力というのがあるわけでございまして、その終局耐力の関係から、比率から見て余り問題でないというか、材料の率の方が大きいものですから、あえて載せるまでもなくわかっていただけるということで載せなかったのでございまして、検討の中身がないということではございません。
  360. 橋本龍太郎

    橋本主査 栗田君、時間が来ましたので締めくくってください。
  361. 栗田翠

    栗田分科員 はい。  どういう検討をなさったのかよくわかりませんが、検討なさったら載せるべきですね。これは新基準を入れたという以上は新基準で検討したものを載せなければいけないということじゃないですか。
  362. 橋本龍太郎

    橋本主査 時間は過ぎていますから、簡潔に答弁を願います。
  363. 逢坂国一

    ○逢坂説明員 検討はしました。ただ、説明の資料には載せるまでもないと判断したものですから、そういうことでございまして……。
  364. 栗田翠

    栗田分科員 時間がなくて残念です。載せるまでもないと判断したというのは、これは大変な問題で……
  365. 橋本龍太郎

    橋本主査 粟田君、もうこれで締めくくってください。
  366. 栗田翠

    栗田分科員 大変な発言でございます。これは、本当に新しい基準で検討したというのならば当然お載せになるべきであって、そうでなかったら、あれは誤報ではなく、マスコミが流した再検討、そしてそのためには補修も必要であることの方が正しいと私は思います。  時間がありませんからもう締めくくります。  長官に申し上げますけれども、こういういまの状況ですから、一、二号炉の再審査を速やかに、新しい基準に沿って、S2を入れてやっていただきたいというふうに思っております。いま、浜岡の住民は三号炉建設は大変大きな不安を抱いていますのと同時に、すでに運転されていて、しかも、大規模地震が予想される前に建てられた一、二号炉の安全性に大変な危険を感じているのが実際なんです。そういう意味では、慎重に、そしてだれにもわかる審査をしていただき、ごまかしてはなく、本当の発表をしていただきたいと思います。  それから三号炉については、原子力委員会の立地条件の基本原則に立って……
  367. 橋本龍太郎

    橋本主査 栗田君、みんな三十分ずつの時間を守っているんですから、時間を守ってください。締めくくってください。
  368. 栗田翠

    栗田分科員 いま三号炉をこの危険な地域につくるのはやめていただきたいというふうに思います。一言お答えをいただいて私の質問を終わります。
  369. 中川一郎

    ○中川国務大臣 安全審査は、これは原子力行政の基本でございますから、万々御迷惑のないように推進してまいりたいと存じます。
  370. 栗田翠

    栗田分科員 どうもありがとうございました。
  371. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。  次に、和田一仁君。
  372. 和田一仁

    和田(一)分科員 初めに、一九七九年の三月二十八日にアメリカのスリーマイルアイランドで原発事故がありましたけれども、その後の経過について、科学技術庁としてどのような見解を持っておられるのか。特に、最近になって一部の新聞では、このスリーマイル原子力発電所事故の後で、その周辺で新生児の死亡率が非常に急上昇したような、そういう発表をアメリカの学者がしているというようなことが報道されております。原子力発電について非常に関心の深いわれわれとしては、これが本当であれば大変だと思うのです。あのときは確かに、この結果はあの周辺の住民に対して放射線その他の影響は与えなかった、こういうふうに発表されておったと思うのですが、この報道について、またこの事故以後の経過ですね、ひとつ長官の御見解を聞きたいと思います。
  373. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この問題につきましては、昨日の科学技術委員会におきまして中村喜四郎委員からも指摘され、先ほど山原分科員からも御指摘がありましたので、考え方を申し上げます。  スリーマイルアイランド事故によりペンシルバニア州及びニューヨーク州北部などで新生児の死亡率が増加したとのスターングラス教授の研究報告については、報告の詳細を入手しておりませんが、専門家などの意見を聴取してまいりました現段階において、とりあえず次のことが言えるかと存じます。  まず第一に、米国原子力規制委員会調査結果によれば、スリーマイルアイランドの事故により環境に放出された沃素は微量であり、周辺住民の被曝がきわめて少ないものであったとされております。したがって、このような微量な被曝により新生児といえども死亡する等の障害があるとは全く考えられないのが専門家の一致した大方の意見であります。  第二に、この問題についてスターングラス教授がかつて同様趣旨の発言をしたことがありまして、これを契機として行われたペンシルバニア州保健省の調査によれば、原子力発電所から約十マイル以内の胎児、幼児の死亡率は、州全体と比べ統計的に有意な差がないとの結果がはっきり得られておりますし、その発表に際し、同州保健省疫学部長は、スリーマイルアイランド事故程度の低線量では影響はあらわれないであろうとはっきり言っております。スリーマイル事故の前後で死亡率に明確な変化は見当たらなかったとも述べております。  第三に、一般的に新生児の死亡率の変動はきわめて多くの原因により生ずるものであり、原因に関する詳細な分析を行わずに特定の一要素のみの因果関係を求めることは、科学的に全く意味のないことだというのが専門家の見方であります。  第四に、スターングラス教授は一九六九年にストロンチウム90に関する研究を発表しておりますが、これについてもアメリカの小児科学会により全く根拠のないものとされており、また一九七〇年にも原子炉周辺の地域で幼児の死亡率が増加しているものとの見解を発表したことがありますが、これはアメリカ原子力委員会によって手厳しく批判されております。  私は、以上申し上げたところから、今回のスターングラス教授の意見が、原子力安全性に疑念を与えるようなものとは全く考えておりません。偏向されたこの種学者が無責任に発言をすることは、一般に大きな影響を与えることであり、迷惑至極だと考えております。
  374. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 少し補足させていただきます。  スリーマイル事故の後、原子力安全委員会におきましては、米国原子力発電所事故調査特別委員会を設けまして詳細な調査を行ってまいりました。その結果、五十二項目にわたって指摘されました改善事項というのがございます。これは審査関係、設計関係、基準、それから防災、安全研究にまでわたるものでございまして、現在着々それを実行に移しつつあるところでございます。さらにその後も見直しておりますけれども、この方向は誤っていないという結論を得ております。  なお、ただいまの大臣の御答弁の中にありましたヨードにつきまして少し御説明さしていただきますと、アメリカの原子力規制委員会が測定、それから排出量、推定、全部合わせまして最終的に得た結論といたしまして、沃素が気体として漏れ出したのが十四キュリーであるということがわかりました。そして沃素が一番人間に影響しますのは、牛乳等の、ミルクを経まして人間に入る、そして人間の甲状腺にたまりやすいということが一番の障害とされております。この場合一番大きいものが観測されましたのは、ヤギのミルク一リットル中に四十一ピコキュリー含まれているというのがございました。仮にこのミルクを一日に一リットル乳児が飲んだといたします。一リットルと申しますのは、ほかのものを飲まないで全部これをやったという量でございます。その場合は、甲状腺に受ける線量は五ミリレム、いわゆるICRPの決めました千五百ミリレムに対しまして三百分の一ということでございますので、これが死亡とかなんとかという障害に結びつくとはとうてい考えられないところでございます。
  375. 和田一仁

    和田(一)分科員 いま大臣の御答弁で、原子力の安全性に疑念を与えるものとは全く考えていない、安心をいたしました。  それでは、次に別の問題でお尋ねいたしますけれども、理化学研究所でライフサイエンスの推進部が今度筑波学園都市にDNAの組みかえ操作のガイドラインに沿って物理的封じ込め施設のP4というのをつくることになったそうですけれども、このP4というのは理研だけでお使いになるのか、それとも官学民、こういったものの研究者が共同に使えるのか。そういうみんなが使えるということであれば、その窓口はやっぱり理研がおやりになるのかどうか。そして、どこか窓口があって、そこでやる実験のテーマなんというものは、何かチェックする機関があるのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいわけです。
  376. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  このP4施設、御指摘のように理研がつくるということにいたしておりますが、これは先生おっしゃいましたように共同利用施設という考え方でつくっていくものでございます。まだその実際に利用するときにどういう手続等でやるかというところまで詳細に決めておりませんけれども、やはり理研がお世話をいたしますので、窓口というのは理研になろうかと思っております。  ただ、その実験のチェックというお話でございましたが、これは内閣総理大臣が決めております組みかえDNAの実験指針の中でも、こういう研究をやるときには安全委員会というようなものをそれぞれ機関でつくれということになっておりますので、共同利用施設でございましても、やはりその実験の内容等につきましては、理研の中にしかるべき安全委員会をつくりまして、そこで検討していただくということになろうかと考えております。
  377. 和田一仁

    和田(一)分科員 安全委員会というのは、これは理研の内部でおつくりになるのですね。これに外部からの人は入るんでしょうか、どうでしょうか。  それから、チェックをするようになる、これからでしょうけれども、どういう基準でこれをチェックなさるか、もう実際に利用される時期が近いだけにお考えになっていると思いますが、その辺も少しお漏らしいただきたいと思います。
  378. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  この安全委員会というのは理研の中に置くと申し上げたかと思いますが、置くのは中でございますが、この構成員はいろいろな専門家等にお集まりいただいた、外部からもお集まりいただいたものになると思っております。  それから、チェックの基準というお話でございますが、これはやはり先ほど申し上げましたガイドラインができておりますので、それが一番の基本になるかと思っております。なお、ガイドラインも、中身、どういう実験ということを全部決めておるわけではございませんので、その辺は安全審査委員等の御判断も当然入るかと思います。基本になりますのはガイドラインかと思っております。
  379. 和田一仁

    和田(一)分科員 ガイドラインというのは、やり方とか、それから使うものまで入るのですか。そういう中で、私がお聞きしたいのは、非常にこの部門では研究が進んでおるようで、非常に高度の遺伝子操作が行われる、こういうことが考えられるだけに、これはやっちゃいかぬというようなもの、ここまではいいんだというような何かそういう基準が必要になってくるんじゃないか。その場合に、そういった基準をどういうラインで引かれるか、私はこれは非常に倫理的な面も含んで、この基準の策定というものはあってしかるべきでないかなという感じも持っておるわけです。その辺どんなふうにお考えか。
  380. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  このガイドラインと申しますのは、一番の重点は、現在の時点で知見の得られておる、組みかえられる、宿主と申しておりますけれども、それからそれに組み込む供与体と申しておりますが、遺伝子を供与する供与体、それからそれを供与体から埋め込まれる方に運ぶベクターというような言葉を使っておりますが、そういうものの組み合わせを決めておるのが基本でございます。  この日本のガイドラインの決め方におきましては、こういうものはやっていけないということではなくて、現在の知見の得られておるこれこれの組み合わせはやってよろしい、やる場合には封じ込めの程度をP1からP4に応じまして、こういう組み合わせならばP1でいい、P2でいい、これはP4でなければいけないということを決めてございます。したがいまして、基準のできてないものは勝手にやってはいけないことになっておりまして、この基準のできてないものは国の指導のもとにやる。国の指導というのは、これは科学技術会議の中に専門家の集まりのライフサイエンス部会あるいは組換えDNA技術分科会というものがございますので、そこの御意見を十分聞いて国が指導してやっていくということでございます。
  381. 和田一仁

    和田(一)分科員 知見できないものについては国の指導のもとでやる、こういうことでございますね。  この分子生物学の分野の研究開発というのは非常に目をみはるものがあって、非常な進歩をしているようで、これに関連した記事が新聞に出ない目はないというぐらいでございます。私は、人類の福祉にとって大変有用性の高い分野であって、これが将来人類の福祉に大きな貢献をしてもらいたい、こう思っておるわけです。けれども、あらゆる科学がそうであるように、この分野においても最新の技術というのは常にもろ刃のやいばのように非常に危険な面も持っておる。そういう性格があるだけに、この分子生物学、こういったDNAの組みかえというものについて非常な不安もあるし、その技術が逆に、人類の福祉に役立つだけでなく、大変な不幸を人類にもたらす結果にもなりかねない、そんなふうな可能性もあるんじゃないかと思っております。  そこで私、ちょっと防衛庁に伺いたいんですが、いらっしゃってますか。
  382. 橋本龍太郎

    橋本主査 はい、来ております。
  383. 和田一仁

    和田(一)分科員 かつてBC兵器というものがございまして、その特にBの部分ですね、Bの部分がいまは、申し上げているように非常に違ってきております。これはいままでのBC兵器というような古典的なものではなくなってきてしまって、この分子生物学、こういった分野における開発というものが非常に進んでいるんじゃないか、こういうふうに感じておるわけですけれども、こういったものを世界各国でどういうふうに研究しておるか、そういうものを駐在武官等から情報をとっておられるかどうか、簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  384. 三井康有

    ○三井説明員 そのような情報につきましては、ただいまの段階におきましては駐在武官等からの連絡、報告といったものはまだ参っておりません。
  385. 和田一仁

    和田(一)分科員 そういった情報をとる気はございませんか。どうですか、これから。
  386. 三井康有

    ○三井説明員 重要な問題でございますので、私どもといたしましても、今後諸外国の動きにつきましては、できる範囲でフォローするように努めてまいりたい、このように考えております。
  387. 和田一仁

    和田(一)分科員 これは大変重要なことじゃないかと思うので、ぜひひとつやっていただきたいと思うのです。  それで、その情報がないのでよくわかりませんけれども、どこかでこういうものを、最新の技術を開発してつくっておって、それが不幸にして日本に向かって使われたという場合に、一体いまの防衛庁はそれに対する防御の体制があるのかどうか。研究も何もしてないとなると、これはそういったものに対応する知識も何もないということになるのですが、いかがですか。
  388. 金森仁作

    ○金森説明員 お答えいたします。  防衛庁としましては、この遺伝子組みかえ研究に関してはやっておりません。またこの遺伝子組みかえ研究、この技術を持ちました研究によりましてどのような種類の生物化学兵器ができるのかということについても承知しておりません。したがいまして、その防護策についてはもちろん現在研究していないというのが実情でございます。
  389. 和田一仁

    和田(一)分科員 この分野における最近の開発は余りにも急速で、もう月単位で変わっているというだけに、ぼくはそういったことであっていいのかどうかという疑問を持つわけですね。私は何も防衛庁がこれを研究して開発しろと言っているんじゃなくて、向こうに使われたときに、こっちが防御するためにはこういう知識がないとできないんじゃないかということを心配しているのであって、それがいわゆる人類の福祉のために開発されているものでも、使い方によっては大変なことになりかねないだけに、そういった感じを強く持つわけです。もし使われたときに、いまやってない、これからもやる気がないとなれば、これは保健所に任しておくということになるんでしょうか。あの甘いカルキかなんかまけばいいんだという程度の認識でいるのかどうか。
  390. 金森仁作

    ○金森説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、どのようなものができ上がるのかというのが全くわれわれわかりませんし、一般の防疫対策としては、われわれの問題になりますればそういうことに関する調査というようなことは当然これからやっていかなければならぬと思いますし、現在においてはそういうところでございます。
  391. 和田一仁

    和田(一)分科員 大宮の駐とん地の中に化学学校というのがございますね。あそこではガスの方の防御の手だては訓練されているようですが、生物に関してはやってないんですか。  それから、あそこでやっているやってないでなく、防衛庁の持っている病院あるいは民間に委嘱してということでも全然やってないということですか。
  392. 金森仁作

    ○金森説明員 私ども持っております病院関係、――防衛医科大学等もございますし、それから衛生学校というのがございますが、そういうところでも現在のところは研究しておりません。
  393. 和田一仁

    和田(一)分科員 化学学校は。
  394. 金森仁作

    ○金森説明員 お答えいたします。し  化学学校では細菌兵器につきましては研究をしてないと思います。
  395. 和田一仁

    和田(一)分科員 化学学校と理研との間での交流というのはあるんでしょうか。
  396. 園山重道

    ○園山政府委員 私どもの承知しているところでは、理研と化学学校との間の連携はないと聞いております。
  397. 和田一仁

    和田(一)分科員 私、この前DNAの組みかえについて、P4を使う場合には、これは一番高度の物理的安全を考えてのことだと思うのですけれども、いま官も学も氏も、特に民間なんというのは技術導入をどんどんしてでもこの開発に躍起になっている、そして、これを実際にやっている研究者というものは非常に多くの省庁間にわたっている、だから、政府としてはどこで何をやっているかというようなことを本当に把握できるのかどうか、これを本当に把握するためには窓口を一本にして、そして研究テーマなんかもしっかりとつかんでおく必要がある、こういうことを申し上げましたら、その方向で検討されるという意味の御答弁があったわけですが、これはやはり相当急がなければいけないんじゃないかなという感じを持っておるわけです。特にそういった方向でやっていただくなら、もうあちこちでやっておりますけれども、やはりテーマ別にプロジェクトチームというようなものをつくって、そしてそれぞれ得意の分野で研究されている研究者を効率のいいようなかっこうでそのプロジェクトチームに投入して、成果が上がるようなシステムにしていただきたい、こう思うわけですが、こういうことについて、この前はそういう方向だということだったんですが、いかがでしょう。
  398. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  まず、いわゆるチェック機能的な意味での窓口というようなことにつきましては、前にも御説明申し上げましたが、このガイドラインというのをまず国全体のガイドラインという形で総理大臣に決めていただくという位置づけをしておるということを申したわけでございます。もちろん、このガイドラインをいかによく守っていただくかということにつきましては、いろいろな調査その他が必要でございます。現在私どもは関係各省の連絡会議をつくりまして、そこでいろいろ情報を集めていただいておる。それから、先ほど申し上げましたような実験指針で基準が示されてない、しかし新しいものをやりたいというものは国の指導でやるということにしてございますので、そのためにどういう手続でお申し出をいただくかというようなことも決めまして、その形で実施をいたしております。  一方、先生指摘のプロジェクトチームを組んでこれを推進するための配慮ということにつきましても、これは大変重要なことかと思っております。ただ、大きな施設設備が要るといういわゆる巨大科学的なものとは若干趣を異にいたしておりますので、大きなプロジェクトチームを組んでということでは必ずしもうまくいかないのではないかという感じがいたしております。ただ、先生指摘のように、それぞれの分野におきまして、各方面で研究をしている研究者の人たちのいわば情報交換、意思疎通といったようなことは大変重要なことかと考えております。私どもも、具体的に、たとえば筑波研究学園都市にはたくさんの機関でこういう関係の研究をしておられる方がおられますので、そういった方を、あそこに研究交流センターというのがございますが、ここにお集まりをいただいていろいろ意見交換をしたいということも現実にやっております。今後そういう方面は非常に強化していかなければならぬ、こう考えておるところでございます。
  399. 和田一仁

    和田(一)分科員 最近研究者の間でいま示されているガイドラインを緩和してくれという声が非常に強いわけですね。これは、安全が確認されればそのレベルを下げてやってよろしいということになろうかと思うのですけれども、つくるときもアメリカのガイドラインに沿っておつくりになった。今度は向こうの方で緩和の声が高まって緩めるというときに、少なくも日本はそういったことだから緩めようというんではなくて、やはり実験研究レベルで実証があった後にやるべきではないか。外国の文献がそうだからとか情緒的なものとかあるいは利害関係で、開発がおくれては大変だというような程度でこのガイドラインは緩めてもらいたくない、こんな感じがするのですが、私は、いま窓口一本化とそういった意味を含めて、やはり何としてもこれが人類に大変大きな福音をもたらすものに開発をしてもらいたい。そのためには、やはり政府がある程度そういうものを窓口一本化した中でこの研究開発をしてもらいたいと思うのです。  ただ、大臣、一つお聞きしたいのですが、こういった両刃のやいばであるだけに、防衛庁、自衛隊というようなところは直接これをやらないのは私は結構だと思うのですが、しかし、これは研究開発がおくれていますと、向こうが持ってきたものを解決するかぎがこっちにわかってないということになるとえらいことだ。やはりそれに使ったものにぴしゃっと合うかぎ穴をすぐ発見できるという研究にまで引き上げていかないといけないという感じもあるわけなんです。それはそんな困ったことのためにではなくて、本来は人類の福祉のために活用されるべきものなんですが、しかしそういうことを本気になって研究していくとなれば科学技術庁ということですが、これは絶対にBC兵器、生物兵器の開発には使わせないという断固たるものにしていただきたい。これをどんなふうにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  400. 中川一郎

    ○中川国務大臣 遺伝子組みかえの問題は非常に脚光を浴びております。これは、われわれ人類、人間の生活向上のために使うものであって、生物兵器というようなことに使ったら人類が滅亡することでございますから、断じて、そういった方向はとらない、これははっきり申し上げます。
  401. 和田一仁

    和田(一)分科員 日本は一九二五年のジュネーブ議定書は批准していないのですね。私はそう思っておりますが、こういった分野が非常に進歩してきただけに、人道上大変な兵器をつくるというような、使用するというようなことのないように、これはいかに専守防衛のためであっても兵器として使うということが絶対にあってはならぬ。むしろ向こうがやってきたときに防衛するためのレベルは、こっちが持っていなければいかぬけれども、私は、そういったことのないようにこいねがっているわけです。この新しい分野の開発が本当に人類の福祉のためのものになってほしい。これは人間の英知の問題ですけれども、そのために、これの研究発展が阻害されてもいけないし、逆に言えば、いま大臣の断固たる決意があったようですが、これを間違って使うというような方向にはないということだけを私は確認をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
  402. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で和田一仁君の質疑は終了いたしました。  これにて科学技術庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  403. 橋本龍太郎

    橋本主査 次に、警察庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、これを許します。草野威君。
  404. 草野威

    草野分科員 私は自動車の運転免許証の問題についてお伺いをしたいと思います。最近、この免許証の更新問題につきましていろいろと話題になっておりますけれども、この問題につきまして国家公安委員長並びに交通局長の御見解をひとつ承りたいと思います。  この免許証の更新の問題でございますけれども、現在全国で免許証を所持している者が約四千三百万人、このように言われておりますが、その中で更新を受ける人たちの数が、昭和五十三年には一千百一万二千六百九十九人、昭和五十四年が一千二百三十二万八千九百九十九人、昭和五十五年が一千二百八万五千九百十一人、このような国民の約一割にも当たる多くの方々が、毎年免許の更新を受けているわけでございます。  そこで、まず伺いたいことは自動車の運転免許の更新をする目的。更新を受ける方は半日くらいの時間をとられるわけでございますし、さらにまた何がしかの費用をかけて更新検査を受けるわけでございますけれども、その更新を受ける目的というもの、なぜ免許証の更新を受けなければならないか、この目的につきまして警察庁の御見解を承りたいと存じます。
  405. 池田速雄

    池田政府委員 免許の更新は、直接的には免許を受けられました方が引き続き運転者としての適性をお持ちかどうか、こういうことを確認するための制度でございます。具体的には、適性と申しましても運動能力それから視力、聴力等の検査をいたすわけでございますけれども、なお付随いたしまして最近では、更新の機会に安全運転に関する講習を行おうという制度になっておりますために、毎年変化してまいります交通情勢あるいは法令の改廃等につきまして講習を受けていただきまして、安全運転の確保に努めていただく、こういうことを目的としているわけでございます。
  406. 草野威

    草野分科員 そういう中で更新検査を受けたときに、いわゆる不適格者の方、こういう方が出るそうでございます。いただいた資料によりますと、この不適格者は昭和五十三年が約三十五万人、五十四年が三十九万人、五十五年も同じく三十九万人、このように大ぜいの方々が不適格というようにチェックされているようでございます。  そこで、不適格とは一体どういうような理由で不適格にされるか。それからもう一つは、不適格者になった場合に、その人は更新することはできなくなるのか、こういう点について伺いたいと思います。
  407. 池田速雄

    池田政府委員 御指摘のとおり、私どものサンプル調査によりましても、昨年でほぼ四十万人の方がそういう判定を受けられたというふうに考えておりますけれども、大部分が視力の変更によるものでございまして、こういう方に対しましては、たとえばめがねを着用される、そういったような条件をつけまして免許証を更新いたしておるわけでございます。
  408. 草野威

    草野分科員 そういたしますと、この三十数万人の人でございますけれども、サンプリング調査による約という数字でございますが、たとえば視力とか聴力、こういうことが理由で不適格になった人たちの数とか、それからそれ以外の何らかの理由で不適格になった人の数だとか、さらにまた交付を全然受けることができない者、こういうような数はどういうふうになっておりますか。おわかりになりますか。
  409. 池田速雄

    池田政府委員 正確な数字を持ち合わせておりませんので恐縮でございますが、先ほど申しましたようにほとんど大部分の方が目の関係でございまして、更新の際に全然運転ができないということで排除された例は聞いておりません。運転能力の点につきましても、たとえば四肢等を廃された方につきましては義肢等を用いられる等の方法によりまして、何らかの形で免許を更新されておりますので、その際に完全に排除されたという例は聞いておりません。
  410. 草野威

    草野分科員 完全に排除されて免許証が交付されない、こういう例はきわめて少ないということですね。そういたしますと、単に目が悪いとか、それから耳が聞こえないとか、そういうような理由で不適格になるということは、考えてみればこれは本人自身の問題でございまして、運転者自身がみずから管理する問題だと思うのですね。したがって、そういうことであるならば、三年ごとに更新を行って運転適性が保持されているかどうか、こういうチェックをしなければならないというような問題ではないのじゃないか、このようにも思えるわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  411. 池田速雄

    池田政府委員 残念ながら、死亡事故あるいは重傷事故等につきましても、数は少のうございますけれども、そういった適性を欠いておられますのに、そのまま運転して事故を起こされたという数があるやに聞いております。しかし、そういった点につきましては御指摘のとおりもっぱら運転者の自覚の問題であるというふうにも受け取れますけれども、現在、御指摘のとおり四千三百万人もの運転免許保有者時代を迎えておりまして、何と申しましても運転者の方が、車社会の中で、その構成員としての責任を自覚されまして良識のある行動をとられる、こういった意識を高めていただくというのが一番大事であろうというふうに考えております。  それで私どもの考えでおりますのは、その際に本人の方のそういった適性というものをもチェックするわけでございますけれども、なおそういった車社会への参加意識と申しますか、安全運転に対する意欲を高めていただく、こういう絶好の機会ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で、現在行っております講習等も、実は運転免許につきましてよく指摘されますのは、免許を取るまでは教習がある、ところが免許を取った後の教習と申しますか講習と申しますか、そういった教育の体系というのは十分できてないではないか。したがいまして、免許さえあれば、俗な言葉で言います免許皆伝だということで運転をしておるのでは広いかというような御指摘も強くされているところでございまして、そういう意味での教育の体系をこれからも整備していかなければならぬというふうに考えておりますけれども、そういう意味で更新というものの果たしている役割りも大変大きいであろうというふうに考えております。  それから現在の制度では、運転者の方の記録というものをできるだけ正確に行政の側で把握しておきまして、適時適切な運転者行政をやる、こういう仕組みになっておるわけでございますが、現在でも書きかえの際にお見えにならない、これは大多数の方が亡くなられた方だと思いますけれども、そういうことによりまして、台帳と申しますか基本ファイルと申しますか、そういうものを整理する数が四十万ないし五十万ほどもございます。また、従来の違反、事故等によりまして不適格者と認められます方が、そういう際にチェックされるといったような機能等もございますので、やはり単に自分の方の身体上それほど影響がないから更新は不必要なのじゃないか、こういうお考えでなくて、先ほど来申し上げておりますように、これだけ多数の方が参加する車社会ということになりますと、そういった意味の意義というものも十分お考えいただいて、安全意識を高めていただく機会ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  戦前の、運転者の方が大変少ない時代には、五年という……
  412. 橋本龍太郎

    橋本主査 答弁はできるだけ簡潔にしてあげてください。
  413. 池田速雄

    池田政府委員 時代があったようでございますが、その後、戦後は二年になりまして、二十九年からは三年ということになっておりまして、この制度は定着しているのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  414. 草野威

    草野分科員 局長さんのおっしゃっていることは理解できないわけではございませんが、やはりこれは運転者自身のモラルの問題でございますので、目が悪くなったら自分に合うようなめがねをかけるとか、耳が不自由になれば補聴器をかけるとか、そういうことはドライバーに限らず、おやりになっておることでございますので、そのために、わざわざ適性検査を三年ごとにしなければならないということはどうか、このようにも思います。  それからまた、講習の問題につきましても、一応最低三年間という実地を経てきておるわけでございますので、それはその人なりに程度差はあっても技術というものは向上しているわけでございますので、改めて講習を受けなければならないということもどうかなと思うのですね。  さらにまた、死亡者のチェックであるとか、さらにまた犯罪者のチェックの問題でございますけれども、これはまた別な次元の問題ではないかと思うのですね。また別な方法でおやりになっても十分できることではないか、私はそのように思えてならないわけなのです。  時間もございませんので、この問題でもう一つ。いまも最後におっしゃったように、更新を三年で行うということなんですが、その三年という法的な根拠はわかりますけれども、なぜその三年という期間を設けたのか、法律的とかということじゃなくて、なぜ三年という期間を定められたのか、この根拠について、ひとつお聞かせください。
  415. 池田速雄

    池田政府委員 やはり定められましたときには、こういったそれぞれの方の運転の適性のチェックと申しますか、そういうことを三年に限ってやるということが最も適切であるというふうに判断されたと思うわけでございまして、その経緯につきましては先ほど申し上げたような事情がございます。
  416. 草野威

    草野分科員 そういう御答弁だと、はっきり理解することができおいのですけれどもね。  では、この問題について最後に一つお伺いしたいと思いますが、整理いたしますと、更新の目的というのは、一つは運転者の適性の保持をチェックするためと、それから、もう一つは運転者の安全意識を向上させるため、こういうことが主な目的のようですね。そういたしますと、何かいろいろな資格だとか免許だとか、いわゆる国家試験を受けて取る例がたくさんあると思います。たとえば航空機の操縦士であるとか、それから船舶の操縦士であるとか、それから電車の運転士だとか、それから危険物の取り扱いであるとか、またこれは全然違いますけれども司法試験の制度だとか、それから医師の免許でおるとか、いろいろそういう国家試験がありますね。こういうものは一部の例外を除けばほとんどが永久免許、こういう制度になっているわけですね。なぜ自動車免許だけが三年ごとに更新検査をしなければならないか、こういうことがちょっと理解できないのです。  そこで、最後に、いまのこの問題を含めて二つだけお伺いしたいと思います。  一つは、これは国家公安委員長にもひとつお答えをいただきたいと思いますが、更新がどうしても必要だということであるならば、更新時の講習の内容等について再検討すべき問題があるのではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。  もう一点、三年という更新期間についても、いま御説明いただきましたけれども、いま一歩何か理由というものがはっきりしないようでございます。もう御存じのとおり、たとえば外国の例を見てみますと、西ドイツ、スイス、フランスは永久免許になっている。オランダが五年、イギリスが満七十歳の誕生日まではいい、こんなようになっているそうでございますね。そういうところから見て、この三年という更新期間についても再検討をされるお考えがあるかどうか、これは国家公安委員長と局長の両方にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  417. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 更新の期間の問題について、いろいろ有益な御質問を受けたわけでございますが、これは警察庁といたしましては、まずいまの制度が一番いい、こういう考え方を持っておるようですが、だんだんのお話を承りますと、われわれも考えるべき面もないわけではございませんので、これは内部でよく検討したい、こう思います。
  418. 池田速雄

    池田政府委員 御指摘のございました他の免許につきましては、何と申しましても、その方が主として職業としておやりいただく場合の免許ということで、独立していろいろなお仕事をされる、あるいはそうでない場合には、やはりそういった免許をお持ちの中で職場での管理を受けながら仕事を進めておられるという例が多いのじゃなかろうかというふうに考えております。そういう点と、普通のどなたでも取られるようになっております運転免許の場合とは若干性格が違うのじゃなかろうかという感じがいたします。そういった特殊性というものを十分御考慮いただければありがたいと思います。  それから、第二の御指摘の更新時の講習の問題につきましては、できる限り内容に検討を加えまして、講習の効果というものが最大になるよう努力を重ねてまいりたいというふうに思います。
  419. 草野威

    草野分科員 では、次の問題に移ります。  左折事故の対策車の問題につきまして、運輸省の方にお願いいたします。時間がございませんので簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。  初めに、左折事故対策車につきまして、いままでの経過を見てみますと、昭和四十六年五月に交通安全対策特別委員会で、大型車の低運転席を検討することが決議されまして、続いて同年の十一月に、大型貨物自動車運転席研究委員会、この委員会におきましては結論といたしまして「本委員会としては、安全上まだ不測の点を持っているかもしれない低い運転席よりは、すでに知りつくされている従来の運転席にミラー等の見直しによる構造、装置などの改善をもって対処する方がより適当であると判断する。」このような結論を出しているわけですね。  昭和四十九年に運輸省が十項目にわたる保安基準の改正をされまして、その中に一項目としてアンダーミラーの改良、こういうことをされております。ところが昭和五十三年、左折事故による痛ましい事故が相次いで発生いたしました。そういうことが社会問題になって、左折事故につきまして緊急対策がとられました。そしてまた、初めてメーカーに対しまして、低運転席だとか視界改善車、こういうよう柱試作車を十九台つくらせた。こういうことが現在までの経過であると思います。  こういう経過をずっと振り返ってみまして、昭和四十六年の大型貨物自動車の研究委員会の検討では、現行の高運転席車の方がよい、こういう結論が出ておった。今回のこのような一連の試作車をつくろうという試み、何か大きく方向を転換されたんじゃないか、こういう気がしてならないわけでございますけれども、考え方の方針転換をされたのかどうか、まず、そういうことを伺っておきたいと思います。
  420. 清水達夫

    清水説明員 お答え申し上げます。  ただいま、四十六年十一月に一応の結論を見ました大型貨物自動車運転席研究委員会と、私どもが現在鋭意推進いたしております検討会、この方針に差があるかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、左折事故をなくすという観点で視界を改良する、こういう基本的な方向づけにつきましては、特に考え方を変えたつもりはございません。その後の技術の進歩あるいは情勢によりまして、さらに一層視界改善を抜本的によくするということで今回の試作車製作に踏み切った、こういうことでございます。
  421. 草野威

    草野分科員 そういたしますと、今回のこの検討会、ことしの三月までに評価検討を終えて報告書が出るようなことを伺っておりましたけれども、これがどうもおくれておるようでございます。おくれている原因とか、また、いつまでに報告書を出されますか。
  422. 清水達夫

    清水説明員 お答え申し上げます。  当初予定でございますと今年度いっぱいということで進めておりましたが、御案内のように物理的な作業を伴う膨大なデータをとっておりまして、現在、五十四年度に実施いたしました私どもの交通安全公害研究所、さらには財団法人日本自動車研究所の試験結果、さらに昭和五十五年度に実施いたしました実際の貨物自動車の使用車による試験、こういうデータを現在総合的に鋭意解析している段階でございまして、めどといたしましては本年の夏ごろをめどに最終的な取りまとめ、これを検討会にお願いしている、こういうことでございます。
  423. 草野威

    草野分科員 具体的な問題なんですが、この低運転席車がもし実現したとした場合、保安基準が当然改正になると思いますが、積載重量を従来のものと同じ重量、こういうふうに考えた場合は、現行の車両の長さの制限がありますね、この長さそのものについても、保安基準の改正によってこれを長くするとか、こういうことは現実問題としてはあり得ることでしょうか。
  424. 清水達夫

    清水説明員 お答え申し上げます。  ただいま、先ほど御答弁いたしましたように検討会におきまして最終的な試験結果を取りまとめていただいておりまして、私どもから結論的なことは申し上げられないのでございますが、一応現在のところ、これらの試作車についての問題点がいろいろ出ておりますが、現在の検討会におきましては、あくまでも視界をよくする、こういう意味合いにおきまして大型車の技術的な見地からの評価、これの方向づけをいただきたい、こういうことにいたしておりまして、その結果によりまして、いま御指摘の積載量の問題に影響するということが出るかどうか、それは先の問題として、この検討会の方向づけをいただいた後で、さらに検討する課題であるというふうに考えております。
  425. 草野威

    草野分科員 ひとつその点は十分に検討いただきたいと思います。  この問題の最後として、昨年の十一月に東京で三歳の幼稚園児が大型ダンプカーのサイドガードに巻き込まれて即死するという大変痛ましい事故があったわけですけれども、この問題につきまして、本来安全装置であるはずが巻き込んでしまった、こういう結果につきまして、サイドガードの構造そのものについて検討する必要があるのではないか、こういう警察サイドの意見等も新聞に出ておりました。このことにつきまして運輸省はどのように考えておられますか。現在のサイドガードのあり方につきまして、その後再検討されているか、また現状のままでいい、このように思っていらっしゃるのか、いかがでしょうか。
  426. 清水達夫

    清水説明員 ただいまの具体的な事故に絡みますサイドガードの問題でございますが、私ども新聞情報ではそういう情報を入手しておりますが、正式には、そういうお話もお聞きしておりませんし、私どもといたしましては現在のところでは、先般実施いたしました緊急対策のサイドガードで――一応事故でございますので、いろいろなケースがございまして、不幸にしてああいう事故があったわけですが、ほかのいろいろな技術的な問題、不整地において下が接触するとか、そういういろいろな問題がございますので、現在のところ私どもといたしましては、あの基準で一応最善のものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  427. 草野威

    草野分科員 警察庁にお伺いしたいのですが、この事故を御存じでしょうか。もし御存じであれば、この事故につきまして例のサイドガードの問題について、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  428. 池田速雄

    池田政府委員 当時報告を受けました限りでは、当該事故につきましては残念ながら、あの事故は防げなかったのじゃなかろうかというふうに聞いております。  ただ一般論といたしまして、ぜひ常によりよいものをつくっていただくということを運輸省の方にはお願いしているところでございます。
  429. 草野威

    草野分科員 時間がなくなってきましたけれども、警察庁に交通安全の対策につきまして簡単にお伺いしたいと思います。  交通事故の死者が昭和元年以来五十五年末までに四十万人を突破した。特に昨年は八千七百六十人となって十年ぶりに増加に転じ、新交通戦争の様相を深めてきた。この増加の原因並びに第三次交通安全基本計画の考え方について最後にお伺いをしたいと思います。
  430. 橋本龍太郎

    橋本主査 草野さん、警察庁と言われましたが、総理府の交通安全対策室でよろしいわけでしょう。
  431. 草野威

    草野分科員 質問通告は警察庁です。どちらでも結構です。
  432. 仲山順一

    ○仲山政府委員 ただいまお話しのとおり、わが国における交通事故による死傷者数は、昭和四十五年の一万六千七百四十五人をピークに昭和四十六年以降九年連続して減少してまいりましたが、警察庁の統計によれば、昨年は交通事故死者数が八千七百六十人で前年比二百九十四人、三・五%増、交通事故発生件数、負傷者数もそれぞれ一・一%、〇・三%増加しております。運転免許の保有人口、自動車の保有台数が年間二百万の規模で増加するという大変なモータリゼーションの進展を背景といたしまして、交通事故発生件数及び負傷者数については昭和五十三年以降横ばいないし増加の傾向を示してきておりましたが、昨年は死傷者数についても増加に転じたものであります。また、死亡事故の内容について検討してみますと、若年運転者の無謀運転等の悪質違反による死亡事故が多発しておるような実情でございます。  このため、政府といたしましては、昨年は特に夏の全国交通安全運動を実施いたしまして、無謀運転の防止、暴走族の追放等を重点に幅広い国民運動を強力に展開してきたところでございます。また、悪質凶暴化の傾向にあります暴走族についても、暴走族に対する総合対策の推進につきまして、関係省庁申し合わせを行いまして暴走族の追放にも力を入れてきたところでございます。  最近における交通死亡事故は、運転者の社会的責任の自覚の欠如に起因するものが多いと考えられますので、政府においては家庭、地域、職域を通じた交通安全思想の一層の普及徹底を図るよう努めるとともに、道路交通環境の整備、安全運転の確保等、各般にわたる総合的な交通安全対策を強力に推進すべく、地方公共団体、民間団体に対する指導を強化しているところであります。  また、来る四月六日から十五日までの十日間、歩行者、特に子供の交通事故防止、無謀運転の追放等を重点に春の全国交通安全を強力に実施しようとしておるところでございます。  また、ことしは障害者年で、交通事故による障害者も十万人の余を数えているということでございますので、何とかこれを少なくするというために各地区でシンポジウムを行いまして、それを総合的にまとめまして、五月の二十八日、二十九日には中央で大シンポジウムを行い、それに対する総合的な取り組みを考えてやっていこうということで、いまがんばっておるところでございます。どうぞよろしくお願いします。
  433. 橋本龍太郎

    橋本主査 時間が終了しましたので、締めくくってください。
  434. 草野威

    草野分科員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。  交通安全対策につきましても、今後とも十分にひとつ取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。
  435. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上で草野威君の質疑は終了いたしました。  これにて警察庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。  次回は、明二十八日午前九時三十分より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十四分散会