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市川委員 ちゃんと質問通告のときに説明したつもりなんですけれども、要するに、自国防衛ですよ、ソ連の革命後の政権がやった武力行使、自国防衛、当然のことですね。それから
世界戦争、それから同盟条約による介入、それから帝政ロシア時代の領土の回復。第二次大戦のときに不可侵条約を破って
日本に入ってきた。これは恐らく帝政ロシアの時代の領土の回復、そういう
意味では北方領土は全然当てはまりませんけれども、大体いままでこういうケースしかない。
ですから、先ほどの
防衛庁長官の御答弁、能力が増した、意図はいま持っていない、しかし意図は可変的だ、いつ変わるかわからない、だから潜在的脅威なんだ、こういう説明をされる。しかし、ソ連だけが軍事能力を増しているわけではない。中国も増しているし、
アメリカも増しているし、ベトナムもイギリスもフランスも、みんな増しているわけですよ。
日本も防衛努力をやっているわけです。では、どこの国もいま
日本を攻める意図があるかといったら、ない。将来変わるかもしれないからということになると、
日本にとって潜在的脅威国というのはたくさんになってしまう。けれども、ソ連だけを潜在的脅威だ、こう言う。この説明を求めているのですけれども、この説明はない。
それで、大体この自国防衛が、
世界戦争が、同盟条約による介入——アフガン侵攻の場合、これは私自信は、要するに要請があって入ったのではなくて、要請がある前に入ったというふうに見ておりますけれども、これは同盟条約による介入ということでしょう。それから帝政ロシア時代の領土の回復、こういう四つの見方がある。
あるいはソ連の専門家の方々の
指摘していることは、ソ連というのは、権力を握った革命政権を外部もしくは内部の反革命勢力から防衛するといった、ソ連側からする大義名分もしくは使命感が存在する場合に限って軍事介入に出るのであって、ソ連が無限定的に軍事力を行使し、あすにでも平和国家を侵略するといったソ連脅威論はとうてい成り立たないと、多くのソ連の専門家がおっしゃっていますよ。あるいは防衛庁が委託
研究を頼んでいる平和戦略
研究所の猪木正道さんも、ソ連脅威論は無用だ、こういうことをおっしゃっている。それから元防衛庁の事務次官、亡くなられましたけれども、国防
会議の事務
局長をおやりになった久保卓也さんがこうおっしゃっています。「東
アジア太平洋におけるソ連軍事力の増強と展開は、対米構想を念頭に置きつつ、グローバルにあるいは地域全体を対象としているものであって、特に対日指向というわけではあるまい。したがって、ここ数年来のソ連の軍事的脅威が特に高まったと見る必要はなかろう。」こういう見方をおっしゃっている。制服の方は、おやめになってOBになると非常に激しいことをおっしゃるのですが、さすが内局の方は、おやめになるとかなり良心に従った発言が多くなっている。あるいは元防衛庁官
房長をおやりになった竹岡勝美氏は、最近の朝日新聞の「論壇」で、ソ連は、平和外交をとっている
日本を、
日本がどういう平和政策をとろうが、自分の意思を通すためには軍事力に物を言わせて攻めていくのだという悪魔と見るか、いや、そういうことはやらない非悪魔と見るか、非悪魔と見た方が妥当なのではないのか。これはきわめて常識的なことをおっしゃっているわけですね。
要するに、こういう方々の言っていることの方は、ソ連が能力を増したことはみんな
指摘していますよ。だけれども、皆さんは、
日本は日米安保条約で対ソ戦は抑止力があるとおっしゃっている、あるいは核のかさがあるのだとおっしゃっている。その安保条約下で、
日本が日ソ親善という平和政策をとっているわけです。そういう
日本を、どういう国際条件、どういう国際的
情勢、どういう
わが国周辺の
情勢が生まれると攻めてくるのか。それとも突然悪魔的に襲いかかってくるのですか、ソ連の言うことを聞けというので。この辺をどう見ているのかということが大事なのです。この辺をちっともしゃべらないから、昨年の国会からわけがわからない。
ソ連をどう評価するか、悪魔と見ているのか、
日本が平和政策をとり続けている限り、そういうことはまずしないというふうに見ているのか。これは
外務大臣どうですか、
防衛庁長官というより
外務大臣にお聞きした方がいいかもしれません。ソ連という国をどういうふうに評価されておりますか。