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1981-05-22 第94回国会 衆議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月二十二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第二十四号   昭和五十六年五月二十二日     午後一時開議  第一 社会保険労務士法の一部を改正する法律     案(参議院提出)  第二 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関す     る法律の一部を改正する法律案内閣提     出)  第三 地方公務員法の一部を改正する法律案    (第九十三回国会内閣提出)  第四 国家公務員法の一部を改正する法律案    (第九十三回国会内閣提出)  第五 自衛隊法の一部を改正する法律案(第九     十三回国会内閣提出)  第六 国家公務員等退職手当法の一部を改正す     る法律の一部を改正する法律案(第九十     三回国会内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  裁判官訴追委員辞職の件  裁判官訴追委員選挙  裁判官訴追委員予備員選挙  日程第一 社会保険労務士法の一部を改正する   法律案参議院提出)  日程第二 原子爆弾被爆者に対する特別措置に   関する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第三 地方公務員法の一部を改正する法律   案(第九十三回国会内閣提出)  日程第四 国家公務員法の一部を改正する法律   案(第九十三回国会内閣提出)  日程第五 自衛隊法の一部を改正する法律案   (第九十三回国会内閣提出)  日程第六 国家公務員等退職手当法の一部を改   正する法律の一部を改正する法律案(第九十   三回国会内閣提出)  非核原則に関する緊急質問矢山有作君提  出)  核問題等に関する緊急質問矢野絢也君提出)  核問題等に関する緊急質問塚本三郎提出)  核持ち込み問題等に関する緊急質問不破哲三   君提出)  核問題等に関する緊急質問山口敏夫提出)     午後一時四分開議
  2. 福田一

    議長福田一君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 福田一

    議長福田一君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  橋本龍太郎君から、五月二十五日より六月一日まで八日間、中村正三郎君から、五月二十八日より六月六日まで十日間、右いずれも海外旅行のため、請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ————◇—————  裁判官訴追委員辞職の件
  5. 福田一

    議長福田一君) お諮りいたします。  裁判官訴追委員村山達雄君から、訴追委員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  裁判官訴追委員選挙
  7. 福田一

    議長福田一君) つきましては、この際、裁判官訴追委員選挙を行います。
  8. 鹿野道彦

    鹿野道彦君 裁判官訴追委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  9. 福田一

    議長福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。議長は、裁判官訴追委員羽田野忠文君を指名いたします。      ————◇—————  裁判官訴追委員予備員選挙
  11. 福田一

    議長福田一君) 次に、ただいまの選挙の結果、裁判官訴追委員予備員が一名欠員となりました。  この際、同予備員選挙を行います。
  12. 鹿野道彦

    鹿野道彦君 裁判官訴追委員予備員選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、その職務を行う順序については、議長において定められんことを望みます。
  13. 福田一

    議長福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、裁判官訴追委員予備員中山利生君を指名いたします。  なお、その職務を行う順序は、中山利生君を第二順位とし、第二順位予備員である青木正久君を第一順位といたします。      ————◇—————  日程第一 社会保険労務士法の一部を改正す   る法律案参議院提出)  日程第二 原子爆弾被爆者に対する特別措置   に関する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出
  15. 福田一

    議長福田一君) 日程第一、社会保険労務士法の一部を改正する法律案日程第二、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。社会労働委員長山下徳夫君。     〔山下徳夫登壇
  16. 山下徳夫

    山下徳夫君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、社会保険労務士法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、社会保険労務士制度整備充実を図るため、社会保険労務士免許制登録制に改める等の改正を行おうとするもので、その主な内容は、  第一に、職責の明確化を図るため、社会保険労務士は、品位を保持し、業務についての法令と実務に精通して、公正な立場で、誠実に業務を行わなければならないこととすること、  第二に、社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づくすべての申請書等提出代行事務を行うことができることとすること、  第三に、社会保険労務士会会員である社会保険労務士は、他人の作成した申請書等審査した場合等には、審査した事項等を、書面に記載して申請書等に添付し、または付記することができることとすること、  第四に、社会保険労務士となるためには、社会保険労務士試験の合格に加えて、二年以上の実務経験を必要とする.こととすること、  第五に、現行免許制登録制に改め、登録事務は、全国社会保険労務士会連合会が行うこととし、所要登録手続を定めることとすること、  第六に、社会保険労務士会会員でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、申請書等作成事務提出代行事務等を業として行うことができないこととすること等であります。  本案は、去る五月十五日委員会付託となり、昨日の委員会において採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、原子爆弾被爆者福祉の向上を図るため、医療特別手当及び原子爆弾小頭症手当を支給するとともに、特別手当等の額を引き上げようとするもので、その主な内容は、  第一に、認定被爆者であって、現に当該認定に係る負傷または疾病状態にあるものに対し、従来の特別手当及び医療手当の支給を廃止して、新たに月額九万八千円の医療特別手当所得いかんかかわりなく支給すること、  第二に、認定被爆者であって、現に当該認定に係る負傷または疾病状態にないものに支給する特別手当の額を、月額三万三千八百円から三万六千円に引き上げること、  第三に、原子爆弾の放射能の影響による小頭症の患者に対し、新たに月額三万三千六百円の原子爆弾小頭症手当所得いかんかかわりなく支給すること、  第四に、健康管理手当の額を、月額二万二千五百円から二万四千円に引き上げること、  第五に、保健手当の額を、月額一万千三百円から一万二千円に引き上げるとともに、厚生省令で定める身体上の障害のある者等に支給する保健手当の額を月額二万四千円とすることであります。  本案は、去る四月七日委員会付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、討論を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 福田一

    議長福田一君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 地方公務員法の一部を改正する法   律案(第九十三回国会内閣提出
  19. 福田一

    議長福田一君) 日程第三、地方公務員法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長左藤恵君。     —————————————  地方公務員法の一部を改正する法律案及び同報   告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔左藤恵登壇
  20. 左藤恵

    左藤恵君 ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、本案は、第九十三回国会内閣から提出され、今国会に継続されているものであります。  本案要旨は、地方公共団体における行政の一層の能率的運営を図るため、国家公務員と同様の定年制度を、昭和六十年三月三十一日から実施しようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、職員は、定年に達したときは、その定年に達した日の属する会計年度の末日までの間において、条例で定める日に退職するものとし、職員定年は、国の職員につき定められている定年基準とし、あわせて職員職務と責任の特殊性等をも考慮して条例で定めるものとしております。  第二に、任命権者は、職員定年により退職することが公務運営に著しい支障を生ずると認める場合には、一年以内の期限でその職員勤務延長することができるものとし、その延長は通算して三年を超えることができないものとしております。  第三に、任命権者は、定年により退職した者を任用することが公務能率的運営を確保するため特に必要であると認める場合には、一年以内の任期でその者を再び任用することができるものとし、その任期は更新することができるが、定年により退職した日の翌日から起算して三年を超えることができないものとしております。  以上が本案の主な内容であります。  本案について、今国会におきましては、四月二十八日安孫子自治大臣から提案理由説明を聴取した後、慎重に審査を行いました。  昨二十一日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、石川要三君より、附則の規定中に引用されております法律番号の年の表示を「昭和五十六年」に改める修正案提出され、その趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論を行い、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案賛成多数をもって可決され、よって、本案修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、附帯決議を付することといたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  21. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  22. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第四 国家公務員法の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣提出)  日程第五 自衛隊法の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣提出)  日程第六 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣提出
  23. 福田一

    議長福田一君) 日程第四、国家公務員法の一部を改正する法律案日程第五、自衛隊法の一部を改正する法律案日程第六、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員長江藤隆美君。    〔江藤隆美登壇
  24. 江藤隆美

    江藤隆美君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、三法律案要旨を申し上げます。  国家公務員法の一部を改正する法律案は、国における行政の一層の能率的運営を図るため、国家公務員について、昭和六十年三月三十一日から定年制度を設けようとするもので、その主な内容は、職員定年は、原則として六十歳とし、医師等の特殊な官職を占める職員については、六十五歳を限度に特例定年を定めるとともに、定年に達した職員勤務延長定年退職者の再任用等を定めることとしております。  また、国の経営する企業勤務する職員についても、原則定年を法定し、その他の事項は、当該企業主務大臣等が定めることとしております。  自衛隊法の一部を改正する法律案は、自衛官以外の隊員について、一般職国家公務員の例に準じて、昭和六十年三月三十一日から定年制度を設けること等であります。  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、長期勤続者等に対する退職手当の額について、特例として二割増しとしていたものを、昭和五十六年四月一日から一割五分増しに、五十七年四月一日から一割増しに引き下げるとともに、退職手当基準については、公務員制度等を勘案して総合的に再検討を行い、その結果、必要があると認められる場合には、昭和六十年度までに所要措置を講じようとするものであります。  以上三法律案は、いずれも第九十三回国会提出され、今国会に継続されていたものでありますが、今国会におきましては、四月十六日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会におきましては、四月二十三日中山総理府総務長官及び大村防衛庁長官から、それぞれ提案理由説明を聴取した後、定年制関係法律案は同日から、退職手当改正法律案は五月十二日から質疑に入り、五月二十一日には鈴木内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど、慎重に審査を行いました。  質疑は、定年制関係法律案については、公務員定年制度を設ける基本的な考え方、労働基本権定年制度との関係人事院定年制度に対する基本姿勢及び定年年齢を六十歳とした根拠など。また、退職手当改正法律案については、退職手当減額する理由退職手当官民比較民間退職金調査方法及びその内容退職手当制度全面的見直しなど。その他有事法制日米防衛分担非核原則事前協議等に関する問題など、広範多岐にわたって行われたのでありますが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと思います。  かくて、五月二十一日三法律案質疑を終了いたしましたところ、自由民主党愛野興一郎君から、定年制関係法律案に対し、法律番号の年の表示に関する修正案提出され、また、退職手当改正法律案に対し、自由民主党愛野興一郎君及び民社党国民連合神田厚君の共同提案による、長期勤続者等に対する退職手当額引き下げ措置については、その実施期間を二年から三年に延長することとし、施行期日昭和五十六年四月一日を五十七年一月一日に改めること、並びに職員退職し、旧日本プラント協会等に在職した後、再び引き続いて職員となった者の退職手当期間計算については、公庫等復帰職員と同様の通算措置を講ずることなどに関する修正案提出されました。  次いで、趣旨説明の後、三法律案及びこれらに対する修正案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党塚原俊平君、公明党・国民会議鈴切康雄君及び民社党国民連合神田厚君から賛成日本社会党上田卓三君及び日本共産党中路雅弘君から反対意見が、それぞれ述べられました。  引き続き、採決いたしましたところ、三法律案は、いずれも多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  なお、国家公務員法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  25. 福田一

    議長福田一君) 三案につき討論の通告があります。これを許します。上田卓三君。     〔上田卓三登壇
  26. 上田卓三

    上田卓三君 日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案並びに国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。(拍手)  今日、日本は急速な高齢化社会を迎える一方、石油危機以降の低経済成長減量経営によって、中高年齢者雇用不安は増大しています。加えて、わが国社会保障制度の貧弱さ、労働引退年齢年金受給開始年齢のギャップは、退職、老後の不安を一層大きくしております。  そうした意味で、今日、定年延長が社会的に大きくクローズアップされてきたことは当然のことであります。日本のように、定年制という強制的解雇制は国際的にもまれな制度で、しかも六十歳という、まだ働き盛りの年齢強制解雇に踏み切ることに問題の本質があります。  日本社会党は、定年問題が、高齢化社会を迎えた今日、年金など、労働からの引退後の生活保障定年延長と比較的若年齢による雇用差別の禁止への社会的要請など、働く国民共通課題であることを強く訴えるものであります。  公務員定年制についても、定年という、こうした働く国民共通課題として、長期的展望に立った基本施設の中で論じられなければなりません。同時に、それは労働基本権を中心とする公務員制度根幹に触れる問題であることも忘れてはなりません。  国家公務員法改正して公務員定年制を導入する今回の法案の最大の問題は、現行公務員法分限条項との関連であります。  この点について、わが党は、法案審議の過程で再三指摘してきたところでありますが、いまだに納得のいく答弁はなされておりません。  分限条項公務員労働基本権制約代償措置である以上、労働基本権についての論議なしに一方的に定年制法律で決定することは間違いであります。  人事院が、公務員労働条件について勧告権を持ち、政府国会に対して意見を申し述べる権限を持ちながら、定年制に関しては書簡だけにとどめているのも、今後に多くの問題を残すことになりましょう。  公務員制度根幹に触れる重大問題を、このようにずさんで一方的なやり方で決定することは、断じて許すことはできません。(拍手)  一部に、定年制公務員勤務年限延長だという間違った声もありますが、とんでもない話であります。定年制法制化を引き金にして、公務員制度全般の改悪、すなわち公務員の首切りと権利剥奪が企てられていることに、わが党は無関心ではおられません。  公労法適用の五現業職員についてもしかり。現行団体交渉権を封殺する悪法であると言わざるを得ません。  政府は、定年制法案を断念し、改めて高齢化社会展望に立った基本施策を示して、当該労働組合と率直に話し合いを進めるべきであります。  次に、退職手当法でありますが、そもそも退職手当見直しは、一昨年の人事院勧告実施に際し、十一月二十二日の閣議で打ち出されたものであります。人事院勧告実施と引きかえに、財政再建に関連する諸施策が閣議決定されたのであります。  政府は、官民格差の是正ということを趣旨説明答弁で繰り返しておられますが、本当は財政再建が目的であり、そのために何が何でも退職金を削るということではないでしょうか。政府政策決定、それに追随する官民比較の作業を経て、今回の退職手当法案となったのが事の真相であります。したがって、政府提出している官民比較数字そのものも、大変疑問と言わざるを得ません。(拍手)  さらに、根本的な問題は、民間準拠というならば、民間労働者団体交渉によって決めている退職金は、公務員労働者も当然、団体交渉で決めてしかるべきものであります。この点についても一、政府の明確な答弁はなされておりません。  また、公務員労働者は、今回の改正案を出す前に、定期昇給の延伸、ストップ、退職時二号俸の上積み措置の廃止によって、すでに賃金水準のダウン、退職金減額を予定されているのであります。わが党の試算では、これだけでも数百万円の減額となっており、この上さらに退職手当を約一割近く削り取るということは、どうしても納得できません。  今日、財政再建緊急課題であることは、わが党もよく理解しておるところであります。しかし、長期的視野に立つ行財政政策を欠いたまま、安易な行政改革公務員二法を成立させれば事足りるかのように宣伝している政府姿勢は黙認できません。  国家行政に携わる公務員といえども生身の人間であります。公務員の重要な労働条件である退職金退職条件定年制については、法案に至る前提として、まず労使の団体交渉とその合意を見る努力こそが優先されねばなりません。政府は、そのような努力をほんの少しでも行ったのでありましょうか。  連日のように国会請願に押し寄せる公務員労働者の心情が私にはよく理解できるのであります。公務員退職金を削減し、定年制を強行して、賃金を抑制する、こうした反動的な施策のもとで公務員労働者労働意欲が低下を来すのは必至と言わざるを得ません。  わが日本社会党は、以上の理由において公務員法案に断固反対するものであります。(拍手)  イギリスにおけるサッチャー政権の低落と労働党の躍進、フランスにおける、ミッテラン新大統領の誕生は、ここ数年来各国で試された小さな政府政策が惨めにも破綻していることを物語っております。わが国に今日求められているのは、アメリカのしり馬に乗って軍備を拡張したり、公務員いじめに走ることではなく、大幅減税と賃上げで景気を回復し、雇用の拡大と福祉、教育、医療充実を目指す日本型ニューディール政策を大胆に推し進めることであります。(拍手)  最後に、公務員二法の撤回と関係労働組合との十分な話し合いを再度要請して、私の反対討論を終わります。(拍手
  27. 福田一

    議長福田一君) これにて討論は終局いたしました。
  28. 福田一

    議長福田一君) 三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも修正であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  29. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり決しました。(拍手)      ————◇—————
  30. 鹿野道彦

    鹿野道彦君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、矢山有作提出非核原則に関する緊急質問矢野絢也君提出核問題等に関する緊急質問塚本三郎提出核問題等に関する緊急質問不破哲三提出核持ち込み問題等に関する緊急質問及び山口敏夫提出核問題等に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
  31. 福田一

    議長福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  非核原則に関する緊急質問矢山有作君提   出)
  33. 福田一

    議長福田一君) まず、矢山有作提出非核原則に関する緊急質問を許可いたします。矢山有作君。     〔矢山有作登壇
  34. 矢山有作

    矢山有作君 私は、日本社会党を代表して、非核原則の虚構と日米核同盟の現実をあばいた今回のライシャワー発言に関して、鈴木内閣政治姿勢を追求ずるものであります。(拍手)  周知のとおり、一九六〇年一月十九日、日本国民の圧倒的な多数の意思を踏みにじって日米安保条約の調印を強行し、事前協議制が発足しまして以来、歴代自民党政府は、日本に対する核持ち込みはあり得ないと強弁してきたのであります。また、六七年十二月、時の佐藤首相は、「核はつくらず、持たず、持ち込ませない」との国会答弁を行い、七一年には、非核原則国会決議が全党一致でなされたのであります。  しかるに、今回のライシャワー元駐日大使の発言は、空母、巡洋艦など、米国の核積載艦艇の日本寄港、領域通過を日本政府が承知していたばかりか、積極的にこれを黙認してきた事実を暴露したものであります。二十一年の長期にわたって国民を欺き続けた自民党政府の虚構を一挙に打ち砕き、国民にはかり知れない衝撃を与えているのであります。  この突如としてのライシャワー発言は、日本国民の圧倒的支持を受け、国是ともなっている非核原則を突き崩し、米国の核積載艦の寄港、通過の公認ばかりか、日本国内での核基地の建設、さらには、日本の核保有化に道を開こうとするレーガン政権の企図を代弁するものとの疑いを持たざるを得ません。(拍手)  鈴木総理自身も、日米両国の同盟関係を強調したさきの日米共同声明の当事者として、この史上まれに見る政治謀略、レーガン政権の謀略の積極的な加担者としての責任を免れ得ないものと考えるのであります。  ちょうどこの問題に関係して、けさ方、新聞報道の伝えておるところがありますので、この問題をあわせて伺いたいのであります。  その報道によりますと「米軍はすでに一九五〇年代後半、「日本への核兵器の持ち込みの可能性」を考えて、核アレルギーを静めるため、日本政府に協力を申し出ていたとみられる」機密文書の存在を明らかにしております。このことは、ライシャワーの発言がレーガン政権の政治謀略だと考えられるその考え方をさらに強めるものであります。したがって、この際お伺いしておきたいのでありますが、こうした事実があったのかどうか、正直に、明らかにされたいのであります。(拍手)  鈴木総理、あなたは、この未曽有の事態に際して、いかなる政治責任をとろうとするのか、まず、それを明らかにすることが先決であります。  鈴木総理、あなたは、今後さらに虚構に虚構を重ね、欺瞞に欺瞞を重ねて、非核原則の空洞化、形骸化に加担しようとされるのか。また、さきの日米共同声明に沿って日米の同盟関係を強化し、非核原則第三項を抹殺し、日本国内での核基地の建設、自前の核保有国化への道を直進しようとされるのか。しかしながら、総理、そのいずれも、わが党を初めとする全国民の一致した怒りと指弾を免れることのできないものであります。鈴木総理、いま、あなたに求められていることは、真相の究明と毅然たる対米交渉であります。何よりもまず、ライシャワー発言の一切の真偽を明らかにすることであります。ライシャワー氏の言う、核積載艦の寄港、通過は日米間の事前協議の対象にしないといういわゆる口頭了解なるものがあったのかどうか。また、事前協議の対象になる核持ち込みの中に寄港、通過が含まれるか否かの解釈について、日米両国の間に食い違いがあるのかどうかも明らかにされなければなりません。(拍手)また同時に、しばしば日本に寄港し、その一部は日本の基地を母港とする米第七艦隊所属の艦艇の核兵器搭載の有無をも、ぜひ明らかにされなければなりません。  そして、その結果、ライシャワー氏の発言が誤りであるというのなら、ライシャワー氏に対して厳重抗議すべきであると思いますし、反対に、指摘されたとおりであるなら、長期にわたって国民を欺いてきた自民党政府の責任を明らかにするとともに、日米間において核持ち込みには寄港、通過を含むことを確認し、一切の寄港、通過を拒否することはもちろん、米国に今後、寄港、通過をしないということを約束させなければなりません。このことは、非核原則を国是とするこの国の宰相として当然とるべき措置と考えるのであります。総理の明確な御答弁を求めます。(拍手)  鈴木総理、米国の退役海軍少将ラロック氏の指摘によると、太平洋に配置された米国の戦略核及び戦術核弾頭は合計二千発を超え、その運搬手段は艦艇百二十隻以上、航空機六百八十機以上を数え、これらの艦艇のすべては、対潜ロケット、アスロック、核魚雷サブロック、各種の艦対空ミサイルと核爆雷、そして巨大な海底発射弾道ミサイルなどで武装されており、さらに、空母搭載の攻撃機、戦闘機や、陸上基地のP3対潜哨戒機等も各種の核ミサイル、核爆弾で装備されていると言われております。このような艦艇が日本周辺を遊よくし、自由に出入りしているというのであります。  鈴木内閣初め歴代自民党内閣は、このような恐るべき事実を国民の目から隠蔽し、国民を欺いてきたのであります。しかし、今回のライシャワー発言は、この虚偽を国民の前に暴露し、国是たる非核原則をなおざりにしてきた歴代自民党政府の反国民性を明らかにしました。  鈴木総理、もはや三百代言的な言辞は断じて許されません。事態の真相究明に尽くすべきあなたの明確な見解と決意を、この際はっきりと国民の前に表明されたいのであります。(拍手)  一九七四年秋のラロック証言に関して、日本政府が米国政府に照会した際には、安川・インガソル会談でのきわめて不誠実な回答に甘んじた経過があります。今回のライシャワー発言についても、すでに園田・マンスフィールド会談で決着がつけられようとしております。それは虚構に虚構を重ねる以外の何物でもなく、国民の政治不信は増大するのみであります。  この際、重ねて、毅然たる対米交渉による真実の究明を強く要望するものであります。  政府は、核積載艦の寄港の事実を米政府に照会することを拒んでおるようでありますが、一体いかなる理由によってこれを拒否するのか、外務大臣から所見と決意を伺いたいのであります。  さらに、私が強く要求したいのは、これらの真相究明と対米交渉を通じて非核原則を死守することであります。  人類史上唯一の核攻撃にさらされた国民として、また、平和憲法を持つ国民として、非核原則日本国民の圧倒的支持を得ているのであります。この非核原則の堅持は国民の悲願であります。二十日の日本記者クラブの昼食会での、総理の核持ち込みについての事前協議に対する発言を伝え聞いて、総理はあえてこの国民の悲願に挑戦しようとするのかとの感を持ちました。  この機会に、いかなる事態においても非核原則を堅持するとの決意を国民の前に明確にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。  アメリカの核のかさに依存しながら非核原則に固執するのは矛盾であるという考え方がありますが、総理の御見解を伺いたいのであります。私は、核のかさというのは戦略的なものであり、核装備艦等がわが国に立ち寄らないからといっても、機能は十分に果たせる、すなわち矛盾はしないと考えております。  次に、私は、今回のライシャワー発言により明らかにされた日米核同盟の危険性について指摘し、総理の所信を伺いたいのであります。  鈴木・レーガン共同声明の直後に、日本海において海上自衛隊と米第七艦隊との日米合同演習が行われるに至ったことは、日米核同盟の危険性を明らかにしたものであります。しかも、秋田沖において日本漁民のマスはえなわ漁網を再三にわたって切断し、操業を妨害し、その生命と生活を脅かした米国艦隊は、あえてオホーツク海を通り、宗谷海峡を経て日本海に入ったと考えられるのでありますが、これは、鈴木・レーガン共同声明による日米同盟なるものが、実は、対ソ同時多発報復戦略に基づく核同盟にほかならないことを如実に示したものであります。  総理、あなたはレーガン政権の対ソ同時多発報復戦略の恐るべき本質を御存じなのでしょうか。ワインバーガー国防長官は、米上院軍事委員会の証言で、ペルシャ湾岸においてソ連が武力侵攻に訴えた場合には、米海軍は北西太平洋、北大西洋においてソ連のあらゆる弱点に対して同時多発の報復を行うと断言しているのであります。総理、あなたがその本質の何たるやもわきまえることなく調印し、後日その能力の欠如をみずから暴露し、外相辞任という国際信用にかかわる事態を引き起こしたあの共同声明こそが、この対ソ同時多発報復戦略への全面的加担を誓約したものにほかなりません。  日本海における日米合同演習は、この恐るべき戦略にのっとり、宗谷、津軽、対馬並びに千島列島の四海峡封鎖作戦の演習を断行したものであります。今後再び日本海において、このような危険きわまる演習を行わないということを、総理にこの際、明言していただきたいのであります。(拍手)  日本海最大の好漁場の周辺で、マスはえなわ漁の最適期というとき、この危険な演習に踏み切り、漁具切断、操業妨害で、漁民に多大の損害を与えた防衛庁長官の責任は重大であります。長官は、みずからその責任をどうおとりになるつもりか、明らかにされたいのであります。また、総理は、米軍艦艇による被害の実態を明らかにし、物心両面にわたる補償について十分な措置をとるよう確約されたいと思うのであります。  相次いで発生する漁具切断や操業妨害に対する非難や、演習中止を求める激しい世論の前に、防衛庁は二十二日以降の演習を中止したようでありますが、伝えられるところでは、訓練中止をするか否かを決定する緊急な重要会議で、大村長官と防衛庁幹部は酒を飲んでいたと言われるのでありますが、そのような重要会議が酒を飲みながら行われていたとは言語道断、まさに、あいた口がふさがらぬとはこのことであります。(発言する者あり)このような姿勢であるからこそ、国と国民を守るという自衛隊が、逆に軍事優先、国民に大きな犠牲を強いる今回の合同演習を強行することにもなるのであります。事の真相を究明し、厳重な措置をとるべきであります。総理の見解を承りたいのであります。  最後に、この機会に、総理に対し日米安保体制の解消を強く要求いたします。  いまや日米安保体制は世界大の軍事核同盟へと拡大、変質したのであります。NATO諸国と日本を東西の両翼とし、米国を中核とする世界大の核同盟がその本質であり、第三世界をめぐる攻防においてソ連を打破し、再度世界制覇を確立せんとしているのであります。このグローバルな世界同盟の中で、日本は第三世界の人々を抑圧する側に立とうとしているのであります。これが今日の日米安保体制の実体なのであります。非核原則の空洞化、形骸化、日本海における日米合同演習の強行など、この拡大、変質した日米安保体制下の危険なうねりの一環にほかなりません。
  35. 福田一

    議長福田一君) 矢山君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  36. 矢山有作

    矢山有作君(続) 鈴木総理は、この危険なうねりに身を投じようとしていると断ぜざるを得ません。  私は、日本社会党を代表し、この質問を終わるに当たり、あえて総理に対し、世界同盟化とも言うべく拡大、変質した日米安保体制の解消と八〇年代日本の国際的進路の根本的転換を強く要求するものであります。  ここにわが党は、第三世界の諸国民とかたく連帯し、核も軍事同盟もない平和な世界の構築に向けて闘い抜く決意であることを表明して、非核原則に関する私の緊急質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇
  37. 鈴木善幸

    内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  まず、ライシャワー発言についてのお尋ねでありますが、安保条約の核に関する事前協議制度のもとにおきましては、いわゆる艦船による核持ち込みを含め、核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象となっております。これが日本政府の従来からの見解であり、いまも変わっておりません。  また、去る二十日、マンスフィールド大使は園田外務大臣に対し、今回のライシャワー発言という背景の中で、昭和四十九廣十月にラロック発言との関連で当時のインガソル国務長官代理によって表明された米政府の見解を再度確認いたしました。  政府といたしましては、非核原則を今後とも堅持していくことは従来から御答弁申し上げているとおりであり、核持ち込みについての事前協議が行われた場合には、常にこれを拒否する所存であります。  なお、矢山議員御指摘のように、核積載船の寄港、通過は日米間の事前協議の対象としていないという口頭了解なるものは存在いたしておりません。  また、以上申し述べた考え方からして、今般のライシャワー発言に関連して、核に関する事前協議の問題について、経緯や事実関係について改めて確認の必要はないものと考えます。(発言する者あり)  なお、先般の日本記者クラブにおける私の発言に関連して、非核原則についてお尋ねがございましたが、政府としては、従来から御答弁申し上げているとおり、非核原則を今後とも堅持していくとの方針に変わりはありません。  次に、日米共同声明についてであります。  日米核同盟化という御指摘がありますが、そのような表現は国民を惑わすものであり、まことに心外であります。(発言する者あり)また、今回の共同声明は、矢山議員が対ソ同時多発報復戦略として御説明になっている考え方とは全く無縁なものであります。  今回の日米首脳会談は、今後の日米友好協力関係を一層発展させる上で、きわめて重要な意義を有するものでありました。今回の会談では、現下の国際情勢及び日米関係につき包括的かつ充実した検討を行い、その成果を共同声明に盛り込んだ次第であります。共同声明の基調となっているのは、あくまでも世界の平和と繁栄を目指し、日米両国が協力していくことを約している点であります。  なお、共同声明に言う日米両国間の同盟関係とは、民主主義及び自由という、両国が共有する価値の上に築かれた総合的な日米間の関係をとらえて表現したものであります。日米関係を同盟関係と表現したからといって、それは現在の日米関係の枠組みを変えるような新たな軍事的意味を持つものではないことを明確に申し上げておきます。(拍手)  次に、はえなわ切断事故についてであります。  今回のはえなわ切断事故は遺憾な出来事でありました。政府は、直ちに米側に事実関係等を照会した次第でありますが、米側は、今回の事故は米国艦船によって起こされた可能性があり、遺憾である旨述べるとともに、補償の用意があるとして、被害額についてわが方に照会してきております。  他方、今回の事故につきましては、ソ連側に責任があるとの見方もあり、政府は、目下ソ連側に対しても事実関係を照会中であります。  日本の安全のための日米間の訓練は必要でありますが、政府といたしましては、わが国の漁業の操業に支障を生ずることのないよう、今後とも漁業の安全操業に十分配慮していきたいと考えております。  なお、今回の訓練が期間半ばで中止される旨決定されたことは、すでに御承知のとおりであります。  なお、日米安保体制を見直せとのことでありますが、従来より申し上げてきておりますとおり、わが国は、日米安保条約を安全保障政策の基軸の一つとしており、政府としては、このような考え方に基づき、今後とも日米安保条約を堅持し、その円滑かつ効果的な運用に努めていく考えに変わりはありません。このような考え方は、国民の大多数の支持するところであります。  また、わが国の平和と繁栄は、世界の平和と安定の中で初めて確保し得るものであります。政府としては、平和憲法のもと、今後ともこのような目的に向かって積極的な努力を行っていく決意であります。  なお、残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣園田直君登壇
  38. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。  従来から申し上げておりますとおり、事前協議に関する交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかでありますが、この点に関して日米間の了解の相違はございません。米国政府が、安保条約上の誓約を遵守することを繰り返し確言していることは御承知のとおりであります。  なお、先日私とマンスフィールド大使とお会いしました際、マンスフィールド大使の方から発言があって、今回のライシャワー発言という背景の中で、昭和四十九年十月十百の安川大使とインガソル国務長官代理との会談の際表明された米国政府の見解に言及し、この米国政府の見解は現在でも何ら変わっていないと向こうから発言をし、かつ米国政府安保条約の誓約を遵守することを確認して、繰り返して確言をしておられたわけであります。  ライシャワー大使は、定年で大学をやめられた後、どういう意味か知りませんがああいう発言をされておりますが、これは全く一私人の発言でありまして、米国政府は、一個人の発言にはノーコメントであるという返答でございます。(拍手)     〔国務大臣大村襄治君登壇
  39. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) 日米共同訓練の日本海訓練に関しまして、私の責任についてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。  訓練計画の作成段階から、今回の訓練海域周辺で漁船が操業していることは承知していたところであります。しかしながら、戦術技量の向上のためには条件の異なった海域で訓練を行うことが必要であることから、日米双方の訓練日程の調整の結果、漁船の操業に支障を与えないよう配慮しつつ、この時期、この海域で訓練することとしたところであります。  この訓練実施中の本年五月十四日から十五日にかけて、及び二十日に、北海道積丹沖等において、はえなわ切断等の被害を受けたとの情報を得ているところでありますが、これらの事故は、日米共同訓練参加中の艦艇によるものでないとは考えられますものの、日米共同訓練の後半に参加する予定の米軍軍艦やソ連艦により発生した可能性があると言われており、事実とすればまことに遺憾であります。  私といたしましては、被害者の方々への補償が速やかに行われるよう、関係大臣と緊密な連絡をとりつつ、最善の努力を払ってまいりたいと考えております。  また、諸般の事情を慎重に検討しました結果、私の責任と判断により中止の方針を決定し、米側とも調整した上で、今回の共同訓練を本日十六時をもって中止することとしたところであります。  なお、将来このような訓練を実施する場合には、諸般の事情を十分考慮の上、国民の理解と協力を得て円滑に行われるよう措置していくのが、私に課された責任であると考えている次第でございます。(拍手)  なお、会議中飲酒云々のお尋ねがございましたが、これは事実に全く相違しております。会議終了後、食事の際、水割り若干を供した事実はございますが、(発言する者あり)これにより業務に支障を来したことは全くないものと考えております。念のため申し上げておきます。(拍手)     —————————————  核問題等に関する緊急質問矢野絢也君提出
  40. 福田一

    議長福田一君) 次に、矢野絢也君提出核問題等に関する緊急質問を許可いたします。矢野絢也君。     〔矢野絢也君登壇
  41. 矢野絢也

    ○矢野絢也君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、核問題等に関し、鈴木総理並びに関係閣僚に御質問をいたします。(拍手)  ライシャワー元駐日大使の日本への核持ち込みの発言、共同声明をめぐる解釈の不一致、外相辞任など、きわめて重要な問題が今日提起されております。これらについての鈴木総理の一連の言動は、大変失礼ながら、まさに総理としての資格を問われる醜態の一言に尽きます。  私は、三月、党の代表団の一員として訪米し、米国各界と隔意のない意見の交換をする機会がありました。公明党も米側も、日米友好がきわめて重要であるとの認識で一致しました。そのため、日米間の意見の食い違いを相互に相手の立場を尊重し合いながら克服しなければならないという点でも一致しました。  また、そのためにも、わが国は平和憲法や国是をあくまでも守りつつ、その範囲内で国際的な貢献、役割りをどうわが国が果たしていくべきかということについても、また、その接点を求める努力が必要であると痛感をいたしました。  その意味で鈴木総理の訪米については期待もし、評価もしておったわけでございます。いたずらにアメリカの言いなりになるだけとか、また反米的な前提を置いてイデオロギー過剰の議論をするとか、何でも反対という無責任かつ非現実的な議論、ましてや虚構のつじつま合わせでは、国民の理解も得られませんし、これからの厳しい国際環境を生き延びることもむずかしいと言わざるを得ません。  総理みずからが、日米交渉に当たって、できることとできないことをはっきりさせねばならぬと言っておられた。これは、外交は何よりも信義が大切であるということだと思います。ところが、日米共同声明に関しては、同盟関係の表現について軍事的意味はないと言い、外務大臣は、あるいは外務当局は、その解釈が食い違う。その後、これを総理みずからが修正される。外務大臣がおやめになる。国際信用を、結果において総理みずからが大きく失墜させてしまいました。  ライシャワー発言で重大な問題となっておる核持ち込みの問題は、これは簡単に言いますと、アメリカ政府は、口頭了解あるいは日米間の了解で、核の通過、寄港はフリーパス、つまり事前協議の対象ではないから、事前協議の相談にはかけないのだ、アメリカはそう考える。日本政府は、事前協議の対象だから、当然、持ち込みの場合は相談があるはずだから、その相談がないということが、つまり通過も持ち込みもないのだ、こういう理屈。これはいわば日米両国政府がなれ合いをして、結論から申し上げれば、二十一年間、政府国民を欺いてきたということであり、絶対に許せることではありません。(拍手)  ましてや、国権の最高機関である国会で、昭和四十六年、公明、民社両党の提案によって、非核原則国会決議がなされております。これでは、行政府による立法府、つまり政党政派、各派は政策は違うとしても、政党政派を超えた立法府に対する行政府の欺瞞であると言わざるを得ません。  このような重大な問題を、総理は、相も変わらず言葉先でごまかそうとしておるように思うわけであります。たとえば「佐藤内閣以前には、核問題については詰まっていなかった」と言うかと思うと、すぐまた「一貫しておった」と訂正したり、また、二十日のお昼には日本記者クラブで、核兵器の積載艦船、航空機の寄港、通過を、事実上、事前協議でイエスと受け取れる発言をしたと思えば、後で全面的に否定する。次から次と起こる鈴木総理の、大変失礼ですけれども、失態、不手際に対しては、国民や私ども野党が批判するのはこれは当然のことながら、与党の中からも批判が高まってきておる。これはまことに無理からぬことで、総理、あなたの一連の措置は、大変失礼ながら、お粗末過ぎます。  特に、共同声明の解釈をめぐって、総理と外務大臣の見解が異なり、これが原因で外務大臣が辞任された。これはかつてなかった不祥事です。また、総理に対する抗議の意味も込められておったと言われておりますが、総理は、外相辞任の経過理由並びにどうこれを受けとめられるか。さらにまた、日米首脳会談の成果そのものが、信頼を損なうという意味で逆にマイナスになってしまったのではないかと言われておりますが、その影響についてどのように評価しておられるか、明確に御説明を願いたい。  このような一連の失態は、普通の政治常識をもってすれば当然総辞職に値するものと言われております。この一連の失態についての責任のけじめをどうつけられるか、伺いたいのであります。  ライシャワー教授は、大使として長年日米関係に直接携わっておられました。しかも知日家であることから、同氏の発言の重みは格別のものがあると言わざるを得ません。本日の報道によりますと、アメリカ国務省筋での話として、ライシャワー氏に対して国務省はその発言の撤回を要求された。しかし、ライシャワー氏はその撤回要求を強く拒否したと報道されております。総理、このライシャワー発言は、事実に基づかないうそであると政治生命をかけて断言する御自信がございますか。政府は、これは一個人の無責任な発言であるから、アメリカ側への照会をする必要はないのだ、こう言っておられます。まことにこれは理解に苦しみます。個人の、私人の偶然の無責任な発言なら、むしろ堂々と公式に政府はアメリカ側に問い合わせをすべきであります。なぜ照会ができないのか、問い合わせができないのか、理由を明らかにしていただきたい。  今回の問題は、米側に問い合わせる必要がないのではなくして、問い合わせをするとぐあいが悪いことになる。すなわち、ライシャワー氏の発言のとおり、核兵器搭載の艦船の寄港、領海通過も事前協議の対象となっていないとの口頭了解、もしくは何らかの了解があるとすれば、米政府ライシャワー発言を肯定しないまでも全面否定しない、こんなことになったら、やぶをつついてヘビを出すことになる。日本国民をいままで欺瞞しておった、いままでの虚構というものを公式に証明することになる。これはまずいということで、日米の交渉、統一見解、こういったものがお出しになれないのではないか、国民は疑いを持っておるわけでございます。  こういう疑惑に対しても、総理は、米国に公式に確認をし、もって国民の不安を除くべきだと思いますが、明確な御見解をお願い申し上げます。(拍手)  私は、昭和五十年の国会におきまして、わが党の調査に基づいて、米軍の公式文書をもとに、米軍岩国基地にMK101核爆雷ルル、これが搬入されておる、これを指摘しました。今回のライシャワー発言もまた、このことを裏づけるものであります。  ここから先は質問の要旨に載ってません、新しい話でございますから。そして、二十二日付のワシントン・ポストあるいは現在日本に入っておるAP電、こういったものによりますと、二十年前、一九六一年、岩国の海兵隊基地近くの海上に停泊していた米軍の上陸用舟艇、LST、これに核を搭載しておったということが、ワシントン・ポストその他アメリカ側の報道によって現在伝え.られてきておる。しかも、それは単なる憶測ではない。「当時、国務次官補を務めていたアレクシス・ジョンソン氏(元駐日大使)、国防次官だったポール・ニッツ氏に確認を求めたところ、その事実を認めた。ジョンソン氏は、「その時のことは非常によく覚えている。私は、東京のアメリカ大使館から核積載」STの岩国停泊の報告を受けた。すぐニッツ国防次官に連絡した。その結果、当時のマクナマラ長官が同船の岩国出港を命じた。その時、同LSTはたまたま沖繩に臨時に行っていたので、沖繩にとどまることになった」と述べている。また、ニッツ元次官は、「間違いなく、そういうことはあった。あれには全くヒヤヒヤさせられた。しかし、詳しいことはあまり覚えていない」と語った。」こういう意味の報道がワシントン・ポストその他アメリカ側の報道によって現在日本に入ってきております。  総理にお伺いいたしますが、この事実についての調査の確約を、まずこの席でしていただきたい。そして、本当に確信を持って、いままで核の持ち込みはなかったとこの席で断言できるかどうか、改めて伺いたいのであります。(拍手)  もはや、アメリカ側を信頼するとか、核の存否は言わないなどというごまかしはやめられて、まず、核兵器積載艦船の日本への寄港、領海の通過は、事前協議で言う核兵器の持ち込みに該当するのかどうか、もう一度はっきり日本政府の見解を改めて示していただきたい。  また、このことは米側も同じ解釈なのかどうか。同じであるとするならば、その証拠、その根拠を具体的にここに示していただきたい。  国会の正式な要求があれば、核兵器を持ち込ませずという中に、日本への寄港、領海通過も含まれるという日米間の新しい合意をつくるよう、米側に交渉したり照会するつもりはあるかどうかも伺いたい。  また、外務大臣に伺いたいのでありますが、従来の、核兵器の持ち込みには寄港も通過も含まれるという日本政府の見解に対して、米国政府から何らかの申し入れ、要望等はあったのかどうかを伺いたい。  次に、ライシャワー氏が指摘した口頭了解なるものは存在するのかどうか。また、大平外務大臣に対して同氏が注文をつけたという点については、外務当局はその事実を確認しているかどうかを明らかにしていただきたい。  次に、総理と防衛庁長官に伺いたいのでありますが、仮に、いま私が提案いたしましたような、日米両国政府が口裏を合わせたと言うとこれは悪いかもわかりませんが、いままでのような非核原則を一応は日本は守ります、またアメリカ側もそれは尊重します、守られるはずですというようなことに仮になったとしても、その実際の状況、実態はどうなのかという疑問が残ります。つまり、日米双方の確認にもかかわらず、戦略的な見地から、ひそかに核は通過し、持ち込まれているのではないかという疑問、先ほどワシントン・ポスト等をもってその事実を指摘しました。  ラロック氏は、かつてアメリカの上院、下院両院で証言をしたときに、「米艦艇が日本及びその他に寄港する際、どこかで核兵器をおろすことはない、現実に空母はすべて核兵器が装備されている」と述べられた。軍事的常識から見て、いい悪いはこれは別として、そのとおりだろうと思わざるを得ません。防衛庁として、軍事常識の立場から、この証言をどう判断しておるのか。核装備艦船が日本に入る前に、どこかで核をおろして日本に来ておると防衛庁は本気で思っておられるのかどうか。  また、これまで日本に寄港、通過した米軍艦船、航空機その他、在日米軍の装備で核兵器塔載可能なものなどを具体的に列挙していただきたい。さらに、在日基地の米艦船、航空機は一切核兵器を装備されていないことを具体的な形で確認しているかどうかも伺いたい。  つまり、仮に公式の確認が日米間でできたとしても、このような実態面における国民の疑惑に、そんなはずはございません、アメリカを信頼しておるというような、いままでのような答弁の繰り返しでは、説得力ある説明とは言えません。総理及び防衛庁長官に対して、ただいまの点について明確にしていただきたいと存じます。(拍手)  虚構の上の外交、何となく虚構だと国民が感ずるような外交には、真の友好親善や国民の理解は無理だと思います。  また、総理は、二十日の記者クラブで「核搭載艦船の寄港、航空機の領空通過は事前協議で道が開かれておる。日米間で現実的に対処する」と述べられたようでありますが、これは事実上、核兵器の艦船、航空機の寄港、通過にイエスという意味を与えられたと受け取られております。これは総理の本音がちらっと出てしまったと言うべきなのか、失礼ながら御勉強が十分でなくての失言だったのか。しかし、ちょっとした御失言というわけにはいかない、余りにこれは重大な失言でありまして、総理の真意を伺いたいし、失言で済ましてよい簡単なことなのかどうかということについても、その所感を伺いたいと思います。  非核原則の堅持は、国民すべてがこれを支持し、わが国の国是でもあり、決してあいまいにしたり軽々しく扱うべきではありません。  わが党は、今回の問題の重要性にかんがみまして、岸元総理、藤山元外相初め歴代の総理、関係者の方々に、これらの経緯についての説明をお願いしたい。これは当然のことだと思います。また、ライシャワー元駐日大使の来日を求め、国会において証人としてお尋ねをしたい。真実を明らかにし、国民の納得できる解明をするため、それらのことを実現されるよう、強く要求するものでございます。総理の所信をお伺いしたいと思います。  最後に、きわめて重大なことでございますが、日本海域における日米合同演習に際して、日本漁船への深刻かつ大きな被害についての原因、被害状況の調査はどうなっておるのか。漁民の被害についての補償には万全を期すべきであり、また、再発の防止等をどのように考えておられるのか、政府の御見解を伺いたいと思います。  すべてについて、虚構ではない、総理の赤裸々な、真情あふれる御答弁をお願いもし、期待をして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇
  42. 鈴木善幸

    内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  伊東外務大臣の辞任に関連してお尋ねがございましたが、今回の首脳会談は、両国政府は満足すべき成果をおさめたものであり、私からのたび重なる慰留にもかかわらず辞任されたのは、まことに残念なことでありました。いずれにいたしましても、これはあくまでもわが国の国内問題であり、これにより日米関係がいささかの影響も受けることはございません。  なお、共同声明についてのお尋ねでありますが、内容については私も目を通し、私の責任において最終的に決裁したものであり、その内容にも満足をいたしておるのであります。この点は改めて明確に申し上げておきます。  次に、ライシャワー発言日米首脳会談との間に、時期的に見て何らかの関係があるのではないかとの御指摘でありますが、私はそのようには考えておりません。  ライシャワー発言については、米側は、去る二十日マンスフィールド大使が園田外務大臣に述べられたように、これは一私人の発言であり、米政府としては安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対するその約束を誠実に遵守するとしていることは御承知のとおりであります。なお、艦船による核持ち込みを含め、核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象であることは、事前協議の交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかであり、この点について米国に確認する必要がないとする政府の考え方は、すでに累次にわたって御説明してきておるところであります。  また、日米間に了解の違いはないと考えられる以上、個々の点につき米国に照会したり、新しい日米合意をつくるための対米交渉をする必要はないものと考えております。  一九六一年の岩国のLST核搭載の調査の件につきましては、外務省に検討させることといたします。  なお、日本記者クラブでの私の発言につきましては、ライシャワー発言に関連しての数人の方々への答弁など、私の発言の全体を注意深く聞いておられれば、何ら誤解の余地はないものと考えます。  私は、他の方々の質問に対し、いわゆる核の持ち込みについては、あらゆるものを含めて事前協議の対象となること、また、その際に、非核原則を十分踏まえて既定方針を今後とも継続していくことを強調いたしました。私が現実的に対処すると述べたのも、核については日本国民の間に特殊な感情が存在するという現実を踏まえて対処するということであり、したがって、核についての事前協議につきましては、いかなる場合でもノーであるという政府の考え方は何ら変わっておりません。(拍手)  なお、岸元首相、ライシャワー元大使などを国会に呼ぶようにとの御提言でありますが、証人、参考人を呼ぶかどうかのこの問題は、最終的には国会において御判断になることでありますが、政府といたしましては、以上申し述べてきた理由からいたしまして、改めてその必要はないものと存じます。  次に、日本海における日米合同演習についてであります。  今回のはえなわ切断事故は遺憾な出来事でありました。政府は、直ちに米側に事実関係等を照会した次第でありますが、米側は、今回の事件は米国艦船によって起こされた可能性があり、遺憾である旨述べるとともに、補償の用意があるとして、被害額についてわが方に照会してきております。  他方、今回の事故につきましては、ソ連側に責任があるとの見方もあり、政府は、目下ソ連側に対しても事実関係を照会中であります。  日本の安全のための日米間の訓練は必要でありますが、政府といたしましては、わが国の漁業の操業に支障を生ずることがないよう、今後とも漁業の安全操業に十分配慮していきたいと考えております。  なお、今回の訓練が期間半ばで中止される旨決定されたことは、すでに御承知のとおりであります。  なお、残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣園田直君登壇
  43. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 総理と重複を避けつつお答えを申し上げます。  核積載艦船の問題は、このイントロダクションという言葉の中に寄港、通過が含まれているということについては、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とする交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサーの口頭了解からして十分に明らかなところでありまして、この点に関してわが国の主張はアメリカはよく理解しておるところであります。  なお、この点について米国政府から何らかの申し入れ、要望はございませんでした。  次に、ライシャワー氏の言う口頭了解、これは、ライシャワー発言が、艦船による核持ち込みを事前協議の対象から除外するという口頭了解があったということを言っておるのであれば、このようなものは存在しておりません。  ライシャワー発言で言われるところの核に関する大平・ライシャワー会談は承知をいたしておりません。  なお、日米合同演習については、総理から答えられましたが、すでにこの補償については、米政府は急ぐということであり、かつまた、本日の閣議で総理からも御指令がありましたが、米政府に対し、少なくとも漁業の最盛期あるいはまかり間違っても、このような間違いが起こるような時期、地域に演習をやることは今後反対である、こういう申し入れに対して、米国政府も、全く同意見であるから今後そのように検討するということでございます。(拍手)     〔国務大臣大村襄治君登壇
  44. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) 矢野議員のお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。  まず、核兵器の具体的配備状況についてのお尋ねに対しましては、総理大臣からお答えがございましたが、防衛庁としての立場からお答え申し上げます。  米軍における核兵器の具体的配備状況、運用状況については、米側が公表しないとととしており、防衛庁としては承知しておりません。しかしながら、核兵器の持ち込みは事前協議の対象とされており、この約束を履行することは、米国にとって安保条約上の義務であり、政府としては、安保条約日米両国の信頼関係に基づいている以上、米国のかかる約束が履行されていることに何ら疑いを有しておりません。  次に、日本海での日米共同訓練に際しての日本漁船への被害の状況等についてのお尋ねがございました。これに対してお答えいたします。  水産庁からは、本年五月十四日から十六日までの間及び五月二十日に、合計延べ百二十二隻の漁船が、北海道積丹沖等において、はえなわ切断等の被害を受けたとの情報を得ております。これらの事故は自衛艦によるものでないとは考えられますが、日米共同訓練の後半に参加する米軍艦艇やソ連艦により発生した可能性があると言われており、事実とすればまことに遺憾であります。  防衛庁としては、被害者の方々への補償が速やかに行われるよう、関係省庁と緊密な連絡をとりながら、最善の努力を払うほか、今後の日米共同訓練の実施に当たっては、米側に対する漁業情報の提供に努める等、できる限りの措置を講じてまいりたいと考えております。  なお、防衛庁としては、諸般の事情を慎重に検討しました結果、今回の共同訓練について、本日十六時をもって中止することといたした次第でございます。(拍手)     —————————————  核問題等に関する緊急質問塚本三郎提出
  45. 福田一

    議長福田一君) 次に、塚本三郎提出核問題等に関する緊急質問を許可いたします。塚本三郎君。     〔塚本三郎登壇
  46. 塚本三郎

    塚本三郎君 私は、民社党国民連合を代表し、ここ数日来、政府が混乱を重ねておられる一連の外交案件について、政府の明快なる説明を求め、国民の不安を除かんといたすものであります。(拍手)  まず第一に、過日発表されました日米共同声明についてお尋ねいたします。  今回の共同声明は、幾つかの点においてなお不十分ではありますが、それにもかかわらず、私どもはまずまずのできばえと評価いたしております。  総理が、日米対等の立場で言うべきことは十分に主張したとされ、したがって、分担についても応分の責任を果たすことは避けられないことと認め、その結果、今回の共同声明は、日本にとって重荷を負わされたと見るのは正当の評価でありましょう。−しかし他面、日本としてそれはいたし方のないことだというよりも、これからの日本としては、けだし当然であるとの評価もなくはございません。  日本は、米国を初め世界各国、とりわけ自由世界の一員として、資源・エネルギー及び食糧などを依存し、かつ工業製品の有力なる市場として、さまざまの恩恵を受けてまいりました。日本は、極論が許されるならば、これらの国々なくしては生きられない立場にあり、つまり、世界は日本を必要としなくとも、日本は世界なくしては生きられないという運命を背負っているからであります。  まして、日本は、経済大国を自負しながら、その割りには、国際的協力においてきわめて貧弱で、先進自由諸国間にあっては、むしろ非難される国となり、ひいては孤立化への道を進むことを警戒しておりました。  今回の共同声明は、それをある程度緩和する方向にかじをとったという点で、われわれは一応の評価をしているのであります。  恐らく、総理御自身も、その点でアメリカ国内はもちろん、世界各国の意外な好評に気をよくして帰国されたことでありましょう。なのに、日本に戻ってみると意外にマスコミの論調は冷たく、野党からの攻撃の声にたじろいでおられたのではありませんか。  総理が、十二日の自民党内の最高顧問などとの懇談で、日米共同声明の作成の経過に不満を漏らされたこと及び参議院においても同様の発言をされたことは、官僚の思い上がり外交に不満を表現したものと受け取られますが、それは声明発表の前に対処すべき事柄であって、帰国してからの不満表明はみずからの指導力の不足を自白したことにはなりませんか。共同声明は首脳会談の真実、真髄そのものでありまして、これを出した一方の当事者が後になって異を唱えるに至っては、両者の信頼関係は一体どうなるのか。アメリカへの配慮の不足とみずからの指導力のなさを白状したものにほかならないと思うが、いかがでありましょうか。(拍手)  首相が異を唱えている間は、いまだ日本国内における鈴木総理の掌握力の弱さを暴露したにとどまりまするが、伊東外務大臣の辞任に至っては、無責任、不信用のそしりを国際間に招いたものと受けとめるのが常識でありましょう。  そこで、質問しなければならぬ第一は、共同声明そのものに異論があるのでありますか。あれば、どの部分なのか。先ほどは「満足しておる」とおっしゃったが、それならば、共同声明作成の過程に異論を唱えておられるのか。これも「再三立ち会った」といまおっしゃった。それならば、でき上がった共同声明の解釈をめぐってなのでございましょうか。この点をはっきりと御説明願わなければ、私どもは何が何だかわからないではありませんか。このごたごたの責任は、外務大臣というよりも総理御自身にあると思うが、いかがでございましょう。(拍手)  次に、共同声明は、「日米両国間において適切な役割の分担が望ましいことを認めた」とし、「また首相は、日本の領域及び周辺海・空域における防衛力を改善し、並びに在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、なお一層の努力を行うよう努める旨を述べ、この関連で、両者は、六月予定される大臣レベル及び事務レベル双方での日米両国政府の代表者による安保問題に関する会合に期待した。」と結んでおります。  これはどう読んでも、米国が分担していた日本周辺防衛の一部を軽減し、その分を日本側が分担を増大せしめることによって行うとの約束であります。総理が、いま改めて、新たなる防衛力増強の約束を否定されることには、余りにも無理があると言わなければなりません。  共同声明は、第一項で、両首脳は日米が同盟関係に立つことを再確認し、第二項で、ソ連の軍事力増強をにらみ、他国への軍事介入は容認できぬと対ソ共同対決の方針を約束し、第四項で、アメリカは中東湾岸地域の安全確保のため、極東軍事力をその方面に転出させたので、極東の防衛力は弱まった、日本はこの措置による受益者だから、この欠落した部分は自分で補充することが必要だと両首脳が意見の一致を見、第七項で、国際的挑戦に対処するために、日米はともに西側の一員としてつり合いのとれた役割りを分担すると述べ、第八項で、前述のごとく、在日米軍財政負担の軽減に一層の努力をすると言明しているではございませんか。  私が質問をいたさなければならぬ第二の点は、これほどまでに言明されておりながら、新たなる軍事的分担の増大を約束したものではないという説明は、相手国アメリカに対する背信の行為となることを恐れるのであります。その点、しかと総理の所信のほどを伺いたいのであります。  安全保障は、総理が担う至上の国務であります。日本の安全に対し不可欠と考えてアメリカ大統領と約束されたならば、総理は、国民に堂々とその真実を語るべきだと思います。いたずらに右顧左べんすることは、わが国の防衛の基本をさらに狂わせ、ひいては、外務大臣が憤慨して辞職するにとどまらず、アメリカその他友好国からの日本不信を増大せしめることは避けがたいと憂慮するが、総理はこれを何と受けとめておられましょうか。  また、共同声明に述べられた国際情勢と認識が正しいとの信念をお持ちならば、防衛庁が今日用いていられる五十一年作成の「防衛計画大綱」を改めるの必要がありましょう。  日米共同声明では、高まりつつある世界の緊張に憂慮を表明し、それに対処する約束を明言されながら、他方、国内では、五十一年におけるデタント時そのままの「防衛計画大綱」を維持し、それでいて、別表による装備の増大のみをねらって、GNP一%論や予算要求におけるさらに来年度へ一〇%増という別枠の数字のみを先走らせることは、政府の武器の買い物競争ではないかという批判となるのはけだし当然であります。  行政改革が叫ばれ、福祉や教育や国民の健康までも切り下げられようとする財政窮迫の今日、なお安全保障がそれらに優先する最重要課題とお信じになるならば、政府は、それだけの信念を持って、世界情勢と日本の果たすべき役割りを国民説明しなければならないことは当然であります。それでなければ、防衛に対する整合性ができないではありませんか。アメリカ向けの約束と日本国民への説明との使い分けは、総理個人のみならず、日本国民全体の不信となることを警告し、総理並びに防衛庁長官の覚悟のほどを伺いたいのであります。  次に、ライシャワー元駐日アメリカ大使の核持ち込み発言について質問いたします。  いまを去る九年前、沖繩の祖国復帰に際し、わが民社党は、軍事基地については核抜き本土並みと主張し、それをそのまま佐藤内閣の方針とされ、アメリカと折衝の結果、返還が実現したことが思い出されます。  その核抜きが非核原則となり、国会での議決がなされ、これは国是と言うべきでありましょ−う。問題は、「持たず、つくらず、持ち込まず」の三つのうちの「持ち込まず」という項に対する見解についてであります。  政府の公式見解は、一、核兵器の配置貯蔵、二、核搭載艦船の一時寄港、三、同艦船の領海通過というものであります。  しかし、二、三については事実関係としてチェックが不可能な状況にあり、もっぱらアメリカの行動に信頼することで処理されてまいりました。日本政府はアメリカを信頼してまいりましたが、これは信頼という名の虚構にすぎないのではありませんか。  かつて、この件に関しては、ラロック米国防情報センター所長が、四十九年の秋アメリカ議会で「核兵器を積んだ艦艇は、どこの港へ立ち寄る場合でも、それをおろしたり積んだりはしない」と証言しました。彼はかつて海軍作戦部長の要職にあり、それは日本政界に大きな衝撃を与えたのであります。当時、木村外務大臣は、「核兵器の持ち込みは、日米安保上重要な装備の変更として事前協議を要するが、日米間にはいまだかつてそのような協議を行ったことはないから、そんな事実はないものと確信する」と述べ、一方、アメリカ国務省は「核兵器の存否については一切言明しないのがアメリカの国是だから、ラロックの証言についても、マクマホン法を盾にノーコメント」と回答しています。  軍艦は、国際法の慣行で不可侵権を認められております。その所属する国以外に、検査や検問は他国の領海といえども認めてはおりません。アメリカの軍艦が入港しても核装備の有無はチェックの方法がないのみならず、問い合わせても言明しないのが国是だと返答されておるのが今日の実情ではないでしょうか。特に潜水艦に至っては、水面下を航行されたら、艦そのものさえも全くお手上げの日本の実情であります。  国民の多くは、かのラロックの証言のときに重大なる疑惑と不安を抱き、今回のライシャワー氏の確信に満ちた発言によって、日本政府の虚構の発言がいかにも寒々としたものであることを感じるのは、決して私一人ではないと思います。かくて、核兵器そのものを明確にすることは、日本政府では本質的に不可能とされておりましょう。  しかし、私がここで指摘しなければならないことは、今回のライシャワー氏の発言の中身は、「日本政府はアメリカの意向を日本国民に正直に伝えず」——よろしゅうございますか、「日本政府はアメリカの意向を日本国民に正直に伝えず、さらには日米両国政府の約束をも国民に伝えたがらない」という日本政府への不満を述べている点であります。  ライシャワー氏は続いて、「私の大使在任中、日本政府はこの問題を回避しようとした。国会で議論になったとき、日本政府のスポークスマンは、領海通過なども事前協議の対象に含まれるという印象を与えるように試みた。このため、アメリカ政府は非常に困惑をした。」——きのう大使とお会いになったのも、その一つのあらわれではございませんか。「私はワシントンからの訓令を受けて、当時大平外相と会談し、外務大臣は余りしゃべらないことで有名な人物だが「わかった」と言った」と明確にライシャワーは語っておられるのであります。  日本国民が最も信頼しておるアメリカ人の中の一人から、ここまで述べられているにかかわらず、なお政府がこれを無視するのは、みずからの決定を否定したことになりはしないでしょうか。政府は、ライシャワー氏の発言を否定する根拠を、この段になりましたならば明確に示す必要があると思うのであります。  この際、改めて、核持ち込みに対し、日本政府はいかなる解釈の上に立ち、それは日米間でどのような機関で確認し合っているのか、国民に納得のいく、わかりやすい説明を求めなければなりません。  最後に、私はアメリカの核のかさについてお尋ねしたい。  日本政府は、日米安全保障条約を締結し、非核原則を国是と定めた佐藤内閣の当時、これはアメリカの核のかさを前提としていたものと解することが正しいと思うが、いかがでありましょうか。アメリカが核のかさによって日本国を守ってくれるからこそ、日本非核原則を決めたのではありませんか。四十三年当時、佐藤総理は、他国が核を持っている以上、アメリカの核の抑止力に頼らざるを得ない旨の発言を国会でしておられまするが、政府は、いまもその方針に変わりはありませんか。  かくして、日本の領海、領空に核を持ち込ませないとのただいまの政府見解は、核のかさは必要がないとの前提に立っておられての発言なのでありましょうか。鈴木総理の二十日の記者会見における発言訂正の混乱は、「日本はアメリカの核のかさは欲しくないということか」という質問が引き金となり、「事前協議の場でイエスもあればノーもある」と答えられた一幕は、やはり核のかさを意識しての発言と受けとめることが自然でありましょう。  今日、総理は、事前協議の場では常にノーであるとの意見に統一されましたし、ただいま外務大臣も繰り返されたのであります。しからば、アメリカの核のかさは不必要との見解なのでありましょうか、それとも領海への持ち込みを禁止して、なお核のかさに入ることが可能とあらば、具体的に御説明願わなければなりません。  安全保障は、政府の有利、不利の計算に立つのではなく、一国の命運をかけての総理の深い洞察ど厳然たる信念によって貫かれなければならぬことは言をまちません。(拍手)きのうの新聞の第一面は、見出しでありますけれども「おかしいぞ首相の外交感覚」とか、「事前協議 現実的に対処直後、一転打ち消す」とか、「相次ぐ釈明・訂正」「首相発言一また否定あわてて統一見解日米の解釈の差はっきり」などなど、見るにたえない新聞の見出しばかりでありました。総理大臣の御発言の混乱は、当然国民の認識の混乱となりつつあることを憂えないわけにはまいりません。  ここにあえて苦言を呈し、明確なる御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇
  47. 鈴木善幸

    内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  まず、日米共同声明についてお尋ねがありますが、さきの矢野議員に対する質問にもお答えをいたしましたとおり、共同声明の内容につきましては私もみずから目を通し、私の責任において決裁をしたものであり、その内容には私も満足をいたしております。この点は明確に申し上げておきます。  なお、伊東外務大臣の辞任に関連してのお尋ねでありますが、今回の首脳会談は、両国政府は満足すべき成果をおさめたものであり、したがって、私からのたび重なる慰留にもかかわらず辞任をされたことはまことに残念でございます。いずれにいたしましても、これはあくまでわが国の国内問題であり、これにより日米関係にいささかの影響もあるとは考えておりません。  なお、今回の共同声明の基調は、日米首脳間で、世界の平和及び繁栄を目指し、日米両国が協力していくことを約している点であります。  また、共同声明に言う日米両国間の同盟関係とは、民主主義及び自由という、両国が共有する価値の上に築かれた総合的な日米間の関係をとらえて表現したものでありまして、日米関係を同盟関係と表現したからといって、それは現在の日米関係の枠組みを変えるような新たな軍事的意味を持つものではありません。  なお、共同声明で述べている役割り分担の考え方は、従来に比べて新しいことを述べたものではなく、わが国が集団的自衛権を行使できないことは憲法上明らかであり、極東の平和と安定のための日本の役割りは、日米安保条約の円滑な運用のほか、政治、経済、社会、文化の各分野における積極的な平和外交の展開に重点が置かれることになります。  もとより、わが国自体の防衛に当たって共同対処する日米両国の間に役割り分担が生ずることは自然のことでありますし、また、わが国が自国の防衛上の観点から自衛力の整備を進めることは当然であります。  日本が国際社会において果たすべき役割りについてお話がありました。  わが国は、平和国家としての基本的立場を堅持しつつ、日米安保体制を基礎とする日米協力関係を一層強化し、国際社会が直面する問題の解決のため、わが国の国力、国情にふさわしい役割りを積極的に果たしていくべきものと考えております。  この点は、私がこれまでいろいろな機会に述べてきているところでありまして、先般の訪米の際も、私とレーガン大統領との間で率直に話し合った次第であります。  いずれにせよ、私は日本の総理として、国民の意向を体して外交を進めてきております。米国においても、言うべき点は率直に申し述べました。米国における発言が、私の国内での発言と異なるものでないことを明確に申し上げておきます。  次に、ライシャワー発言についてでありますが、安保条約の核に関する事前協議制度のもとにおきましては、艦船による核持ち込みを含め、核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象となっております。これが日本政府の従来からの見解であり、いまも変わっておりません。  この点につきましては従来から申し上げているとおり、事前協議に関する交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかであると政府は考えております。  なお、去る二十日、今回のライシャワー発言に関連して、マンスフィールド大使が園田外相に対し、昭和四十九年十月にラロック発言との関係で当時のインガソル国務長官代理によって表明された米政府の見解を再度確認してきたことは御承知のとおりであります。  次に、米国の核のかさの問題でありますが、わが国は、核の脅威に対してわが国の安全を維持するために、安保条約に基づき、米国の核抑止力に依存していることは御承知のとおりであります。この米国の核抑止力は、米国の核兵器がわが国の防衛のために使用され得る可能性があるという事実自体に基づくものでありまして、米国の核兵器が日本の領域内に存在しなくても、米国の核抑止力が働くことに間違いはないと思います。  残余の点につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣園田直君登壇
  48. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。  総理からお答えされたところでありますけれども、本問題に関して、日本と米国の間に了解の相違はございません。非核原則を中心にした日本の主張はアメリカ側も理解するところであります。  なお、米国の核のかさの下にあって、核の脅威に対してわが国の安全を維持することは当然であります。安保条約に基づき、米国の核抑止力に依存しております。しかし、米国の核抑止力とは、米国の核兵器が日本の国土内になければ抑止できないとは考えておりませんので、この両方の理論には矛盾はないと考えております。(拍手)     〔国務大臣大村襄治君登壇
  49. 大村襄治

    ○国務大臣(大村襄治君) 私に対する塚本議員のお尋ねは、二点あったかと思います。  まず第一は、日米共同声明に関連いたしまして、日本側の分担の点について六月の実務者で詰めるという約束であると思うが、防衛庁は、これにどう対処するつもりであるかというお尋ねの点でございます。  この点につきましては、日米両国の防衛責任者が、日米安保条約の円滑な運用に関し十分意思疎通を図っておくことは重要なことであると考えております。六月の日米安保事務レベル協議及び私の訪米に際しましては、具体的な問題は現在のところ決まっておりませんが、総理訪米の結果を踏まえて、国際情勢を含め防衛問題について、わが国の憲法及び基本的な防衛政策にのっとり、米側と率直に話し合い、相互理解を深めたいと考えております。  次に、防衛の整合性に関連いたしまして、防衛計画についてお尋ねがございました。この点についてお答え申し上げます。  わが国は、現在昭和五十一年に策定いたしました「防衛計画の大綱」に従いまして防衛力整備を進めているところでありますが、現在の防衛力は同大綱に定める水準にも達しておらず、装備の老朽化、即応性の不備、抗堪性、継戦能力の不足等種々の問題が存するところでございます。したがいまして、最近の厳しい国際情勢にかんがみ、防衛力の現状における不備等を是正し、「防衛計画の大綱」に定める防衛力を可及的速やかに達成することが目下の急務であると考えており、いま直ちに「防衛計画の大綱」を改正する考えは持っておりません。(拍手)     —————————————  核持ち込み問題等に関する緊急質問(不破哲   三君提出
  50. 福田一

    議長福田一君) 次に、不破哲三提出核持ち込み問題等に関する緊急質問を許可いたします。不破哲三君。     〔不破哲三登壇
  51. 不破哲三

    不破哲三君 私は、日本共産党を代表し、核兵器の持ち込み問題を中心に、鈴木総理並びに関係閣僚に質問をしたいと思います。(拍手)  ライシャワー発言によって明るみに出た核兵器持ち込みの問題は、世界ただ一つの被爆国である日本が、国民の意思に反して核戦争の基地にされているかどうかという問題であり、政府が二十一年間この問題で国民をだまし続けていたのかどうかという問題であります。     〔議長退席、副議長着席〕 事はきわめて重大であり、玉虫色とか灰色の決着の許されない問題であります。そういうつもりで、政府の明確な答弁を求めたいと思います。  第一に、ライシャワー発言に反論して政府は、核の通過、寄港を事前協議の対象とするという政府の解釈は明確である、こういう答弁をされました。しかし、核を持ち込むのは日本政府ではなくてアメリカ政府であります。アメリカ政府が、この点で日本政府と同じ解釈に立っているのかどうか、これが問題であります。  昨日来、総理や外相は、たとえば一九六〇年の藤山・マッカーサー了解だとか、一九七四年の安川・インガソル会談だとか、一九七五年三月の照会だとか、つい最近行われた園田・マンスフィールド会談だとか、いろいろ挙げておりますが、政府自身の説明によっても、それらの会談や了解事項の中に、核の通過とか核の寄港とかトランジットという問題が明記されていたということは何ら説明されていないわけであります。そこには核持ち込み、イントロダクションという言葉があるだけで、ここに核の通過や寄港が含まれているのかどうかが中心問題であります一もし日米間に明確な了解があるというのであるならば、一体どこで、核の通過や核の寄港、トランジットという問題を、用語としても明示して日米両国間に合意が行われたのか、そのことについて明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  そして、もしこのことが政府の一方的な解釈にとどまるものであって、米側と明示の了解がないのであるならば、政府は直ちにアメリカ側と交渉して核通過、核寄港を事前協議の対象とするという点で明確な合意を確立すべきでありますし、このことを厳重に要求するものであります。(拍手)  第二に、ライシャワー発言は、七年前にアメリカ議会で行われた元提督ラロック氏の証言を裏づけたものであります。  ラロック氏は、その際、その証言に先立って、もう一つ重大なことを言っております。「私の経験からすれば、核兵器を積載する能力ある艦艇は、どんな艦艇でも核兵器を積載している。」これは、アメリカが巨額の金を使って核兵器積載用に軍艦をつくる以上、その軍艦を海外に配備するときに核を持たない、いざとなったら取りに帰るというようなことがあり得ないことは明瞭であります。そして、現在アメリカ海軍が持っている艦艇、特に空母、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、潜水艦、この戦闘用艦艇三百三十三隻のうち、その九一%に当たる三百二隻は核兵器積載可能に設計されております。太平洋艦隊に属する百四十隻のうち百二十二隻が核兵器積載可能、ラロック氏によれば核を積んで動いている軍艦であります。  この軍艦が寄港するのは横須賀だけではありません。私どもが調査したところによれば、横須賀、佐世保、舞鶴、ホワイト・ビーチなどの米軍あるいは自衛隊の軍港ばかりか、小樽、函館、秋田、新潟、名古屋、大阪、神戸、呉、岩国、別府、博多、長崎、那覇、そういう平和な港にまで、これらの軍艦が絶えず出入りしているわけであります。  先ほど秋田沖の米日海軍の合同演習のことが問題になりましたが、この合同演習には米軍の艦艇十二隻が参加しております。そのうち、原子力ミサイル巡洋艦ペインブリッジを初め、駆逐艦七隻、フリゲート艦一隻、この九隻は核兵器積載可能の艦艇、ラロック氏によれば現に核を積んでいる艦艇であります。十七、八日には、こういう艦艇、駆逐艦三隻が京都の舞鶴に入港しているわけであります。  事はきわめて重大であります。私は、政府にまず第一に要求したい。これらの核兵器積載可能の艦艇が、一体日本の港に、いつ、どれぐらい入っているのか、政府は直ちに調査して、この寄港状況を国民報告することを求めたいのであります。(拍手)  第二に、核の寄港について、核の持ち込みを許さない、トランジットも事前協議の対象で御免だということで日米間の明確な合意が成立するまでは、これらの艦艇は明確な核の容疑のある艦艇でありますから、これらの一切の米海軍艦艇の日本寄港を中止させる措置をとるべきことを、私は政府に要求するものであります。(拍手)  次に、ライシャワー氏が問題にした事前協議の除外条項、これは単に核艦船の寄港ばかりでなく、核積載航空機の一時立ち寄りも除外だということが、先日も、アメリカ政府で働いていた対日専門家は六〇年以来のアメリカ政府の一貫した解釈だとして報道されました。核積載の飛行機の一時立ち寄り問題について、一体日本とアメリカの政府の間で、どのような交渉がこれまで行われてきたのか、この点についても私は明確な報告を求めたいのであります。  これらは決して机上の議論ではありません。アメリカ側は、ライシャワー氏が言うような解釈に基づいて、現にこれまで現実に日本に核を持ち込んでいる、これは歴然たるものであります。  わが党は、一時立ち寄り、トランジットという名目で核兵器が在日米軍基地に一定期間持ち込まれた、そのことを記録した米軍文書を入手しました。これは、沖繩の嘉手納弾薬庫に配備されている米空軍の第四〇〇弾薬整備中隊の一九七五年二月二日から八日までの週間整備計画書であります。この一週間どのような作業をするのか、克明に記録されております。その冒頭には司令官のサインまで明確にあります。これによると、一九七五年二月三日、B61という核爆弾が嘉手納の飛行場から嘉手納弾薬庫の整備作業場に運ばれて、二月三日、二月四日、二月五日、二月六日、四日間ここで整備補修の作業を受けた、そして、二月七日に嘉手納の弾薬庫から、また嘉手納の飛行場に戻されたということが、この中には明確に記録されているわけであります。私は、すでにこれに関する全資料を政府側に手渡しましたが、政府が厳重に調査をすることを求めたいと思います。これは明白な事実であります。  アメリカ側は、五日間の滞在だからトランジットだといって事前協議をしない、これがアメリカの解釈でありましょう。しかし皆さん、一時立ち寄りも事前協議なしでは許されないとする日本政府の解釈が日米間の合意であるならば、これは両国間の協定を正面から踏みにじった不法行為であります。そしてまた、核持ち込みを許さないという政府説明を聞いてきた日本国民に対する重大な挑戦であります。これは絶対にあいまいな解決は許されないものであります。  私は、政府が責任を持ってこの真相を調査し、米国政府に抗議し、再びこのようなことが行われないように、基地の立入調査を含めて、核持ち込みを絶対に許さない保障体制を責任を持って確立し、そのことを国民国会の前に報告することを厳重に要求するものであります。(拍手)  なお言えば、B61というのは、現在アメリカが持っておる空軍用の核爆弾四種類のうちの最新鋭のものであります。そして、この爆発力は百キロトンから五百キロトンと言われておりますが、広島型原爆の十倍から四十倍という威力を持った核爆弾であります。  さらに、核持ち込みのもう一つの重大な危険は、明示的に核攻撃任務を与えられた核部隊が、日本の領域に平気で配備されていることであります。  私どもはすでに、岩国の海兵航空隊、それに付随するMWWU1、海兵航空団第一兵器部隊、嘉手納の空軍とその弾薬整備部隊、これらについて、これがアメリカの公式文書によって核攻撃任務を与えられたものであることを繰り返し指摘してまいりました。ところが、政府は、核弾頭さえなければ核部隊があっても核ではない、そういうことを言って、この配備を認めてきたのであります。  しかし、これらの部隊は、平時から、命令があればいつでも核攻撃に飛び立てるような準備を絶えず整え、その訓練を日夜行っております。有事の際に核弾頭さえ持ち込まれれば、日本は核攻撃の第一線基地に転化する、そういう態勢になっているのであります。日本政府が、どんな場合でも核持ち込みを認めないという態度を貫く、アメリカもそのことを理解しているというのであれば、そういう核部隊をこの日本に置くことは、アメリカにとっても全く無意味なことでありましょう。  私は、政府が、そういう一切の核部隊、特に岩国のMWWU1のように、アメリカのコマー国防次官によって、この部隊は核兵器と毒ガス以外は扱わない専門部隊だ、岩国にいるスカイホークやイントルーダーに実戦用の核兵器を供給する任務を持っているのだ、こういうことが明らかになっている核部隊は、直ちに日本から撤退させるようアメリカ政府に要求することを求めるものであります。(拍手)  実は、ここに事前協議問題のもう一つのなぞに包まれた問題があります。政府は言おうとしませんが、一九六〇年の安保改定交渉以来、事前協議問題で日本とアメリカが最も突っ込んだ交渉をやったのは、沖繩復帰の問題について協議した一九六九年の佐藤・ニクソン会談でありました。そのときにアメリカ側で準備に当たったのはキッシンジャーでありましたが、彼は、先日発表した回顧録の中で、あの合意には、「日米安保条約事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく、」という文章を書き込ませた。これは実際に緊急事態が発生する以前でも、沖繩の核兵器問題を取り上げる権利を得た、アメリカ側がもう一度沖繩に核を持ち込める権利を得た、そう言えるようにこの条項を書き込んだのだということを回顧録で明確に記録をしております。  そして、さらに重大なことは、これに呼応するかのように日本政府が、国会国民には、どんな場合にも、有事の場合にも核持ち込みの事前協議にはノーと答えると言いながら、アメリカに対しては、その態度を通告しないどころか、全く反対のことを通告している、こういう事実があることであります。多くの事実がありますが、私はここで一つの事実を挙げたいと思います。  六九年十一月に佐藤・ニクソン共同声明が結ばれた十カ月後、一九七〇年九月に、時の防衛庁長官中曽根康弘氏がアメリカを訪問しました。そして訪問の記録を、ここにありますようにマル秘とは書いてありますが、防衛庁長官中曽根康弘の名前で報告書をみずから書いております。  この中には、防衛庁長官としてレアード国防長官と会ったときに、核問題について、一応個人的見解とは断りながら「米国の核兵器の再導入については留保しておく方がよいと考えている。これは事前協議の対象となるものであり選択の可能性を残して留保しておくのが賢明と考える。」こう伝えたということをみずから記録しているわけであります。選択の可能性というのは、いざというときに日本側に再持ち込みの意思あり、イエスもあるということを防衛庁長官が国防長官に述べたものであります。しかも、この文書の記録の末尾の方には、中曽根大臣自身の所感として、リエントリー、再持ち込みについて留保するという私の考えは、アメリカの国務、国防両省から歓迎されたと書いているわけであります。国民にそういうことは言いながら、アメリカに対してはそういう態度をとる。これならば、アメリカがいざというときには持ち込めると考えるのは、あたりまえじゃありませんか。(拍手)  私は、中曽根現行政管理庁長官に、どういう真意でこのような交渉をやったのかを説明をいただくと同時に、総理に対して、二度とそのような言動が許されないこと、そしてまた、核持ち込みに関する事前協議にはイエスはあり得ないことを明確にすること、そして、そのことをアメリカ政府に公式に通告することを厳重に求めるものであります。(拍手)  こういう事態があるのは、非核原則が単なる政府政策声明や国会決議にとどまっているからであります。この問題に決着をつけるには、非核原則の法制化が何よりも重要であります。(拍手政府と自民党にその意思があるかどうか、このことを総理、総裁に求めるとともに、アメリカの核戦略の危険性がこのように明確になった今日、日米軍事同盟の強化に踏み切ったさきの共同声明の誤りは明らかであり、これに基づく軍拡路線の中止、軍事同盟路線の中止を要求する。そしてさらに、わが党としては、このような危険を一掃するために、日米安保条約を早くなくして、非同盟中立の日本に進むために、さらに全力を尽くすことを最後に申し上げて、私の質問を終わるものであります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇
  52. 鈴木善幸

    内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  日米安保条約の核に関する事前協議制度のもとにおきましては、いわゆる艦船による核持ち込みを含め、核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象であります。これが日本政府の従来からの見解であり、いまも変わっておりません。  この点につきましては、すでは御答弁申し上げているとおり、事前協議に関する交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかでありまして、この点に関し日米間に了解の違いはないと考えます。  なお、昭和五十年三月二十六日、藤山・マッカーサー口頭了解について、日本側の了解の内容に異存がない旨、米側も正式に確認した経緯があることは、不破議員も御承知のとおりであります。  なお、核寄港問題についての日米間の合意が成立するまで、一切の米海軍艦艇の日本寄港を中止させよとのことでありますが、安保条約の核に関する事前協議につきましては、米国政府は、安保条約上の誓約を遵守することを繰り返し確言してきていることは御承知のとおりでありまして、これまで米側が事前協議を行ってきていない以上は、米核積載艦が寄港したというような事実はないものと考えております。  したがいまして、御指摘の措置をとることは考えてもおりませんし、またその必要はないと思います。  次に、在日米軍基地への核兵器の持ち込み問題でありますが、政府といたしましては、これまで米側が事前協議を行ってきていない以上は、核が持ち込まれたというような事実はないと考えております。したがいまして、施設、区域への立入調査などもその必要はないと考えております。  次に、わが国の防衛努力についてであります。  わが国は、憲法及び専守防衛、非核原則等、基本的な防衛政策に従って自主的に防衛力整備のための努力を行ってきておりますことは御承知のとおりであります。この点は、さきの日米共同声明においても明記されておるところであります。また、米国によるわが国へのいかなる核兵器の持ち込みも、厳格に事前協議の対象とされております。したがいまして、米国の核戦略に連動した軍拡路線などといった御指摘は全く当を得ておりません。  なお、御指摘の非核原則の法制化の問題につきましては、非核原則を堅持することは政府の一貫した政策であり、この政策はすでに内外に周知徹底されております。また、この問題については、国会における諸決議により国会の意思も明確に表明されておりますことから、これを改めて法制化する等の措置をとる必要はないと考えます。  なお、残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣園田直君登壇
  53. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。  御質問の中にありました米軍文書というものがいかなるもので、どういう経路で、どういう責任で出されたか、承知をしておりません。が、いずれにいたしましても、安保条約の核に関する事前協議制度のもとにおいては、いわゆる艦船による核持ち込みを含め、核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象であります。これが従来からの日本側の見解であり、今後も変わりはありません。  また、繰り返しますが、二十日にマンスフィールド大使から私に対して、昭和四十九年十月、ラロック発言との関連で当時のインガソル国務長官代理によって表明された米政府の見解をみずから確認してきた次第であります。  したがって、これまで米側が事前協議を行ってきていない以上は、核が持ち込まれたというような事実はないと考えており、また、施設、区域の立入調査等もその必要はないと考えております。  核部隊あるいは核専門部隊、ガス要員という話がありましたが、これは世界各国、大体そういう要員は各所、逐次に移動していくわけでありまして、必要に応じて各所にこれは使用されます。こういう部隊がおったから核兵器を持っているという証拠にはならないと考えております。  次に、政府が従来から繰り返して説明しておりますとおり、沖繩返還交渉の際に、御指摘のような核兵器持ち込みに関する密約のごときものは一切存在しておりません。(拍手)     〔国務大臣中曽根康弘君登壇
  54. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私が訪米いたしました際に報告書のようなものをつくったと言われますが、そういう事実はございません。防衛庁長官が報告書をつくるということはないのです。出すとすれば総理でしょうけれども、総理に対しても、そういうものをつくった例はございません。ただ、当時私に随行した者が、部内の資料として私の行動をメモしたその記録文書はございます。そのことを言われているのではないかと思います。その文書は、もう十年前にできた文書でございまして廃棄処分になっておる、こういうことを聞いております。  そのときの話でございますが、十年前のことで記憶は定かではございませんが、当時、沖繩の返還問題が重大政治課題であったわけです。その中でも、特に核抜き返還をいかに実現するかということで、佐藤内閣は血みどろの努力をしておったときであります。  私、たまたま訪米いたしまして、レアード国防長官に会いました際に、この核抜き返還の重大性に関する日本国民の要望をしばしば伝えたのであります。この核抜き返還ができるかできないかということによって、将来の日米友好親善の基本が固まるということを強く訴えたのであります。レアード国防長官は、アメリカ議会の情勢からして、それはきわめてむずかしいという答弁を当時しておられました。しかし、私は何回も、これがキーポイントになるということを強く要請した記憶はございます。しかし、当方からいわゆる再導入を認めるような発言をしたとか、そういう話をしたということはございません。そういう記憶は全くございません。(拍手)     —————————————  核問題等に関する緊急質問山口敏夫提出
  55. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 次に、山口敏夫提出核問題等に関する緊急質問を許可いたします。山口敏夫君。     〔山口敏夫登壇
  56. 山口敏夫

    山口敏夫君 私は、新自由クラブを代表して、総理並びに外務大臣に、本日議題となっております日米共同声明、核問題等に関し、政府政治姿勢日米外交関係を中心にお尋ねしたいと思います。  昨年の大平内閣不信任案の成立、衆参ダブル選挙と政局不安、混乱の中で鈴木内閣は誕生いたしました。たなぼた内閣、はからずも内閣との批判の中ではございましたが、その多年の政党政治家としての経験を生かし、与党自民党内に盤石の鈴木体制を確立したその政治力、国民課題である行政改革財政再建に意欲的に取り組み、みずからの政治生命をかけるとの決意と勇断に、国民の中には、その長期安定政権を望む人さえあったのであります。  しかるに、今日の日米首脳会談、ライシャワー発言をめぐる核問題についての総理を初め政府部内の不統一は、全く国民の信頼を失うものであります。国の最重要課題について一日も早く、矛盾と動揺と混乱に終止符を打ち、国民が安心できる政治指導力を発揮し、対外的な信頼回復を期待しつつ、数項目、政府の見解をただしたいのであります。  総理は、首脳会談は首脳がやることであって、首脳会談の結果は共同声明に織り込むべきだとワシントンからの帰国後おっしゃられました。先進国首脳会談が開催されて以降の外務省の慣行に強い不満を述べておられました。総理の主張は当然のことでもあります。  総理が、日本国会での与野党の論議を踏まえて、日本国憲法の制約下における防衛の問題、国民感情、日米経済問題等、レーガン大統領と率直に話し合われたということはうかがい知ることができますが、総理、あなたは、仮にも国の最高指導者であり、政策決定者であります。日米会談のすべてはあなたの責任に帰結するのであります。  鈴木・レーガン会談で、どう問題が話し合われたのか、両者間だけの会談で国際情勢をどう確認されたのか、首相は、レーガン大統領と話されたその政治的な部分を、共同声明の中にどう織り込みたかったのか、この機会に再度お伺いし、国会の場を通じて御発言、御報告をいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、同盟関係は、外務省当局の説明を伺っておりましても、「複数の国家が、互いに相手の国を防衛するため、または共同して第三国を攻撃するために協力し合う関係を言う場合もあれば、必ずしも軍事的関係に限らず、広く種々共通の利益を有する複数国家間の緊密な協力関係という意味で用いられることもある」という解釈に立っております。必ずしも軍事的関係にとどまらないと弁明にこれ努めておりますが、同盟という言葉が、かつて軍事同盟以外に使われたことがあったでしょうか、外務大臣に伺いたいと思います。  わが国の歴史を振り返ってみましても、同盟関係が有終の美を飾ったことはほとんどなく、その大部分が破滅的、悲劇的な結果に終わっているのであります。  まして、今日のわが日本国、国民は、平和憲法とそれに基づく民主主義の根深い定着の中で、その結果としてもたらされる国内の安定から、米国の二十五分の一、ソ連の四十分の一の小さな四つの島の中で、非西欧圏でただ一つ、世界第三位の経済力を持つに至っておるのであります。国民の勤勉さ、優秀さを誇り過ぎるということのない繁栄を今日築き上げたのであります。  その賢明な国民は、戦後三十数年たった今日、国際社会における日本の役割り、自由主義陣営の中における日本の責任等々を十分自覚し、承知をしておるのであります。だからこそ、厳しい経済環境、財政の中にもかかわらず、防衛費の増額にも一応の理解を示し、自動車問題に代表される日米経済交渉にも、種々言い分があるにもかかわらず譲歩し、納得しておるのではありませんか。  アメリカ・レーガン政権にとっても頭の痛い問題である自動車問題を首脳会談前に解決せずに、アメリカとの交渉のカードとしてこれを有効に使うべきだという意見もありますが、首脳会談前に決着するという武士道精神は、今日の外交、対外関係にも生きておるのであります。  しかるに、日米基軸、日米中心、連帯の中で国際社会に貢献していこうと考えている国民の意識は、完成の段階に差しかかっていると言っても過言でないと思います。にもかかわらず、一部の外交屋、国際屋が、米国の気持ちを代弁したとはいうものの、軍事的色彩のきわめて強い同盟などという言葉を無神経にも使い、そのかけがえのない日米関係に水をかけ、日米国民の間に誤解と不信を招いた責任、日米外交、友好信頼関係を損ねた責任は、一体だれがこれをとるおつもりなのか、外務大臣に伺いたいと思います。  伊東前外務大臣が責任をとってやめられた理由は、まさにそこにあるのではないか。とするならば、伊東前外務大臣ではなく、その指導力の欠如を率直に認めて責任をとるのは、総理自身ではないのか、鈴木総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  ライシャワー発言後に、日米政府間で、核持ち込みについて園田外務大臣とマンスフィールド大使の会談が行われ、ライシャワー氏の発言の真意を否定されました。  ライシャワー氏は、半世紀に及ぶ日本の研究家、駐日大使として両国の外交面でのかけ橋ともなった人であります。ライシャワー氏は、深い変わらぬ日本への愛情と、日米友好維持への使命感に燃えた人物でもあり、ハーバード大学における最後の歴史的講義の中で、彼は、日本が自国の問題に集中することから、より重大な世界の問題——日本がみずからの運命をそれによって究極的に決定される——に関心を振り向けるのが遅過ぎると指摘しております。  そのライシャワー氏の発言を、単に一私人、引退した老教授という、人格を否定するがごとき、その内容の信感性の否定に躍起となっている政府姿勢はいかがなものでしょうか。ライシャワー氏が生涯をかけた日米友好の立場に立っての発言として、謙虚に敬意を持って受けとめ、核問題にいま一度深い関心と問題認識を改めるべきではないでしょうか。  非核原則の中で、従来から不透明であった核積載艦の領海通過、寄港をも含めて、核持ち込まずとの非核原則の堅持を、政府の大方針として明快にされましたが、この方針は、米国政府にいつ説明し、いつ了解を求めるのか。六月のハワイの実務者会談でこの確認をとるのか。フィリピンでのASEAN外相会議に参加するヘイグ国務長官に対して、園田外務大臣との間で確認をとるのか、外務大臣にお伺いをしたいと思います。  また、総理も外務大臣も、核持ち込みはないと言明しておりますが、本日の午後一時、AP電によりますと、ジョンソン元米国務次官が、一九六一年初春、米軍岩国基地海上数百メートルの地点で、米上陸用舟艇に原子爆弾が積載されていたという事実をまた明らかにしました。外務大臣に、この点をお答えいただきたいと思います。  総理は、核兵器を持っているのは米国であります、事前協議のイニシアチブも米国にあります、その米国が事前協議を申し出てこないのだから、日本への核持ち込みはない、そういうフィクションが明らかにされたとき、総理は、どう責任をとるのか。その政治的見解を明らかにしていただきたいと思います。  一九七四年、日本の政治家として初めてノーベル平和賞を受賞した佐藤榮作氏は、オスロ市にお一ける記念講演において、「私は、核兵器を保有し一ない日本の進路について熟慮のすえ、日本政府自身の政策として、非核原則という政策を設定したのであります。核兵器を作らず、持たず、持ち込まずという三原則であります。この非核原則という政策は、わが国国会の決議としても採択されました。私はこんご、わが日本のいかなる政府のもとにおいても、この政策が引続き継承されてゆくであろうことを信じて疑わないのであります。」と述べております。  また、佐藤氏にノーベル平和賞を授賞されたその理由披露の中で、オーセ・リオネス女史は、「日本国憲法には、「戦事と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明記されています。これは、一国の憲法としては、類のない条項であります。佐藤氏は政府首班として、憲法の反戦条項が、日本政策の基盤であることを再三強調しました。また同氏は、核兵器に関して日本政府の拠りどころとすべき三原則、すなわち“核兵器を作らず、持たず、持ち込まず”という非核原則を提唱しました。日本国民は、佐藤氏のこのような平和政策を支持し、事態がこれに反する方向に進む徴候には強い反発を示しました。「日本国民は、核兵器に対するアレルギーを持っている」とよく言われますが、そうしたアレルギーは健康な徴候であり、他の諸国は、これに学ぶべきであろうと思います。」と述べております。  佐藤元首相のノーベル賞の受賞は、単に一佐藤氏の政治家としての勲章ではなく、その大きな理由となった非核原則は、わが国国会の決議の上に基づいた、日本政府が、日本の議会が厳守すべき大政策であるということを銘記すべきであります。  スペースシャトル「コロンビア」の帰還で、世界の目は久しぶりに宇宙に向けられましたが、この成功を手放しで喜ぶことはできるでありましょうか。これまでスペースシャトル計画に最も関心を寄せてきたのは米国防総省であります。軍事専門家の間では、軍事利用、特に対ソ戦略との関係で関心が高いのであります。  ブラウン前国防長官は、アメリカ上院委員会で、「スペースシャトルは米国の将来の軍事計画にとって欠くことのできない重要性を持っている」と証言をしております。まさに地上のみではなく、宇宙での軍拡が進行していることを否定しようがありません。この競争の火つけ役は、またソ連にもあるのであります。  こうした宇宙にまで広がる軍拡競争、際限のない兵器転用によって、近い将来の人類を脅かす危機に包囲されているのが今日の現状であります。にもかかわらず、三原則の一項目である「核を持ち込まず」を削除して、二項目、二原則政策転換すべきだという近視眼的な提案に、外務大臣は、昨日外務委員会において一部理解を示すがごとき態度でございましたが、心底から非核原則を堅持するおつもりがあるのかどうか、改めてお伺いしたいと思います。  日本の役割りは、歯どめのない軍拡や核拡大に狂奔する大国を説得し、日本をして軍事的役割りを分担するのではなく、人類の平和、福祉に貢献することが私たち日本の役割りではないでしょうか。国民もまた、……
  57. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 山口敏夫君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  58. 山口敏夫

    山口敏夫君(続) みずからの国の発展にのみ関心を持つのではなく、世界の中の日本として、南北問題の解決と世界経済体制の安定に積極的に貢献すべきであります。  七月のオタワの先進諸国首脳会議における各国の海外経済協力費、防衛費の負担の合計とわが国の負担を比較してみるならば、GNP対比で三・七%、一・八%と差があり、これを金額に直すと約四兆円弱に近い開きがあるのであります。この経済協力を増額することによって、アメリカの防衛費負担に対する要求を政策転換させることができると総理はお考えでしょうか。また、今日と同じように日米関係を軍事的同盟関係の中で維持することを考えておられるのか。新しい時代の日本の最重要政策について、総理自身の所信をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇
  59. 鈴木善幸

    内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えをいたします。  まず、共同声明についてでありますが、その内容につきましては、すでに矢野議員ほか、先ほど来御質問にお答えをいたしましたとおりであります。私も目を通し、私の責任において最終的に決裁をしたもので、その内容にも満足しているものであります。  次に、核の問題についてお答えいたします。  安保条約の核に関する事前協議制度のもとにおきまして、核の持ち込みに該当する場合はすべて事前協議の対象となります。政府といたしましては、非核原則を今後とも堅持してまいりますことは従来から御答弁しているとおりでありまして、核持ち込みについての事前協議が行われた場合には、いかなる場合であろうと、常にこれを拒否する所存でございます。  次に、非核原則についてであります。  政府としては、非核原則については、これまでも機会あるごとに明らかにしているように、平和国家たるわが国が誠実に遵守すべき最も重要な基本政策の一つであり、今後ともこれを堅持してまいる所存でございます。  このような政策は、宇宙時代と言われる今日におきましても、何ら変わるものではありません。  また、わが国は、非核原則の堅持はもとより、核兵器の廃絶、核軍縮に向けてあらゆる機会に努力していかなければならないと考えております。  わが国の平和と繁栄は、国際社会の平和と安定に密接不可分に結びついております。この観点から、わが国は、国際社会の平和と安定の確保に積極的貢献を行っていくこととしております。  かかる観点から、わが国としては、わが国の安全保障政策として、日米安保体制の円滑かつ効果的運用と、必要最小限の抑止力としての自衛力の整備を着実に進めるとともに、平和国家であること、また大きな経済力を有する国として、経済協力を初めとする積極的な外交努力を通じて国際社会の平和と安定に寄与していくこととしております。  なお、残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣園田直君登壇
  60. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 総理がお答えになった以外のことについてお答えをいたします。  重複をしますが、非核原則は、憲法、史上唯一の被爆国であるわが国の歴史、体験、強い国民の世論、核戦争がもたらす被害の甚大さ等の認識に基づくものでありますから、いかなる事態といえども、政府としては今後とも非核原則を堅持していく方針でございます。  昨日の参議院の外務委員会でという御発言がありましたが、私の記憶では、山口先生はきのう参議院の外務委員会に御出席はなかったんじゃないかと覚えております、多分新聞か何かだと思いますが、これは全く事実とは違っております。一人の委員の方から、憲法だ、非核原則だと言うけれども、憲法と非核原則は残ったが国は滅びた、こういうことでは困る、どうだ、こういう話がありましたから、それは仰せのとおりであります、したがって、理想を見失わないよう現実と環境に注意をしつつ十分配慮をしながら進めてまいりますと答えたわけで、三原則を一つ削りますとか、あるいは時と場合によっては世間の顔色を見ながら変えようなどという発言は一切いたしておりませんから、この際、御理解を願いたいと思います。(拍手)  それから次に、総理が共同声明でお使いになった同盟という言葉は戦争以外にない、こういうことでありますが、学者の山口先生にしてはちょっとと存じます。国際法上、確かに同盟の定義は確立しておりません。しかし、場合によって軍事的なものを指しているときもあるし、場合によっては他の分野のこともあります。  例の一つを挙げますと、一八一五年、オーストリア、ロシア、プロイセンの間の神聖同盟、これは御承知のとおり非軍事的なものであって、正義、宗教的性格を持った代表的なものであります。(拍手)次に、私の記憶に間違いないとすれば、ケネディ大統領の時代であると存じますが、進歩のための同盟という米国提唱の開発途上国援助計画があったとしております。これも全く軍事的意味はないわけでありまして、あと探せば、もっとあると存じますが、いま記憶しているのは以上のとおりであります。(拍手)      ————◇—————
  61. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         外 務 大 臣 園田  直君         厚 生 大 臣 村山 達雄君         自 治 大 臣 安孫子藤吉君         国 務 大 臣 大村 襄治君         国 務 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣 中山 太郎君  出席政府委員         外務省条約局長 伊達 宗起君      ————◇—————