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1981-06-03 第94回国会 衆議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年六月三日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君    理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君    理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       臼井日出男君    浦野 烋興君       工藤  巖君    高村 正彦君       近藤 鉄雄君    坂田 道太君       桜井  新君    西岡 武夫君       野上  徹君    長谷川 峻君       船田  元君    牧野 隆守君       宮下 創平君    木島喜兵衞君       中西 績介君    長谷川正三君       湯山  勇君    鍛冶  清君       三浦  隆君    栗田  翠君       山原健二郎君    小杉  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 田中 龍夫君         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         文部政務次官  石橋 一弥君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省大学局長 宮地 貫一君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         議     員 嶋崎  譲君         議     員 湯山  勇君         郵政省電波監理         局放送部長   富田 徹郎君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   狩野 明男君     桜井  新君   久保田円次君     牧野 隆守君 同日  辞任         補欠選任   桜井  新君     狩野 明男君   牧野 隆守君     工藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   工藤  巖君     久保田円次君     ――――――――――――― 五月二十九日  高校増設費国庫補助増額等に関する請願(石  川要三紹介)(第五五五九号)  同(石原慎太郎紹介)(第五五六〇号)  同(岩佐恵美紹介)(第五五六一号)  同(柿澤弘治紹介)(第五五六二号)  同(粕谷茂紹介)(第五五六三号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第五五六四号)  同(小坂徳三郎紹介)(第五五六五号)  同(島村宜伸紹介)(第五五六六号)  同(中村靖紹介)(第五五六七号)  同(浜野剛紹介)(第五五六八号)  同(不破哲三紹介)(第五五六九号)  同(松本善明紹介)(第五五七〇号)  同(和田耕作紹介)(第五五七一号)  教科書無償措置継続教育条件充実等に関する  請願栗田翠紹介)(第五五七二号)  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関  する請願栗田翠紹介)(第五五七三号) 同月三十日  私立幼稚園教育振興に関する請願愛野興一郎  君紹介)(第五七二五号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第五七二六号)  同(石川要三紹介)(第五七二七号)  同(石田博英紹介)(第五七二八号)  同(稲村利幸紹介)(第五七二九号)  同(今枝敬雄紹介)(第五七三〇号)  同(上村千一郎紹介)(第五七三一号)  同(江崎真澄紹介)(第五七三二号)  同(江藤隆美君外一名紹介)(第五七三三号)  同(小此木彦三郎君外一名紹介)(第五七三四  号)  同(小沢一郎紹介)(第五七三五号)  同(小沢辰男紹介)(第五七三六号)  同(越智伊平紹介)(第五七三七号)  同(越智通雄君外一名紹介)(第五七三八号)  同(大石千八紹介)(第五七三九号)  同(太田誠一紹介)(第五七四〇号)  同(奥野誠亮紹介)(第五七四一号)  同(粕谷茂紹介)(第五七四二号)  同(亀井善之紹介)(第五七四三号)  同(瓦力紹介)(第五七四四号)  同(木野晴夫紹介)(第五七四五号)  同(久野忠治紹介)(第五七四六号)  同(久保田円次紹介)(第五七四七号)  同(工藤巖紹介)(第五七四八号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第五七四九号)  同(小泉純一郎紹介)(第五七五〇号)  同(小宮山重四郎紹介)(第五七五一号)  同(河本敏夫紹介)(第五七五二号)  同(近藤鉄雄紹介)(第五七五三号)  同(左藤恵紹介)(第五七五四号)  同(佐々木義武紹介)(第五七五五号)  同(齋藤邦吉君外二名紹介)(第五七五六号)  同(坂田道太紹介)(第五七五七号)  同(櫻内義雄紹介)(第五七五八号)  同(椎名素夫紹介)(第五七五九号)  同(塩川正十郎紹介)(第五七六〇号)  同(塩崎潤紹介)(第五七六一号)  同(塩谷一夫紹介)(第五七六二号)  同(砂田重民紹介)(第五七六三号)  同(住栄作紹介)(第五七六四号)  同(田中六助紹介)(第五七六五号)  同(竹下登紹介)(第五七六六号)  同(地崎宇三郎君外一名紹介)(第五七六七  号)  同(戸沢政方紹介)(第五七六八号)  同(渡海元三郎紹介)(第五七六九号)  同(登坂重次郎紹介)(第五七七〇号)  同(中島源太郎紹介)(第五七七一号)  同(中曽根康弘紹介)(第五七七二号)  同(中村靖紹介)(第五七七三号)  同(丹羽兵助紹介)(第五七七四号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第五七七五号)  同(野中英二紹介)(第五七七六号)  同(葉梨信行紹介)(第五七七七号)  同(長谷川峻紹介)(第五七七八号)  同(浜野剛紹介)(第五七七九号)  同(林義郎紹介)(第五七八〇号)  同(原健三郎紹介)(第五七八一号)  同(原田憲紹介)(第五七八二号)  同(原田昇左右紹介)(第五七八三号)  同(深谷隆司紹介)(第五七八四号)  同(吹田愰君紹介)(第五七八五号)  同(福永健司紹介)(第五七八六号)  同(藤波孝生紹介)(第五七八七号)  同(藤本孝雄紹介)(第五七八八号)  同(船田元紹介)(第五七八九号)  同(牧野隆守紹介)(第五七九〇号)  同(三原朝雄紹介)(第五七九一号)  同(三塚博紹介)(第五七九二号)  同(水平豊彦紹介)(第五七九三号)  同(森喜朗君外一名紹介)(第五七九四号)  同(森田一紹介)(第五七九五号)  同(山下元利紹介)(第五七九六号)  同(山下徳夫紹介)(第五七九七号)  同(山本幸雄紹介)(第五七九八号)  同(綿貫民輔紹介)(第五七九九号)  同(田中伊三次君紹介)(第六一四三号)  私学学費値上げ抑制等に関する請願大橋敏  雄君紹介)(第五八〇〇号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願部谷孝之紹介)(第五八〇一号)  同(嶋崎譲紹介)(第六一三九号)  高校増設費国庫補助増額等に関する請願(飛  鳥田一雄紹介)(第五八〇二号)  同(有島重武紹介)(第五八〇三号)  同(上田哲紹介)(第五八〇四号)  同(大内啓伍紹介)(第五八〇五号)  同(大野潔紹介)(第五八〇六号)  同(金子みつ紹介)(第五八〇七号)  同(小林政子紹介)(第五八〇八号)  同(鈴切康雄紹介)(第五八〇九号)  同(高沢寅男紹介)(第五八一〇号)  同(竹入義勝君紹介)(第五八一一号)  同(鳩山邦夫紹介)(第五八一二号)  同(山花貞夫紹介)(第五八一二号)  同(山本政弘紹介)(第五八一四号)  同(与謝野馨紹介)(第五八一五号)  同(長田武士紹介)(第六一四〇号)  同(菅直人紹介)(第六一四一号)  脊髄損傷者に対する学校教育改善に関する請願  (田邊誠紹介)(第五八一六号)  公立高校の新増設促進に関する請願外一件(有  島重武紹介)(第五八一七号)  同(阿部哉君紹介)(第六〇二〇号)  同(阿部喜男紹介)(第六〇二一号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第六〇二二号)  同(五十嵐広三紹介)(第六〇二三号)  同(井岡大治紹介)(第六〇二四号)  同(井上泉紹介)(第六〇二五号)  同(井上一成紹介)(第六〇二六号)  同(井上普方紹介)(第六〇二七号)  同(伊賀定盛紹介)(第六〇二八号)  同(伊藤茂紹介)(第六〇二九号)  同(池端清一紹介)(第六〇三〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第六〇三一号)  同(稲葉誠一紹介)(第六〇三二号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第六〇三三号)  同(上田卓三紹介)(第六〇三四号)  同(上田哲紹介)(第六〇三五号)  同(上原康助紹介)(第六〇三六号)  同(枝村要作紹介)(第六〇三七号)  同(小川国彦紹介)(第六〇三八号)  同(小川省吾紹介)(第六〇三九号)  同(小野信一紹介)(第六〇四〇号)  同(大出俊紹介)(第六〇四一号)  同(大島弘紹介)(第六〇四二号)  同(大原亨紹介)(第六〇四三号)  同(岡田利春紹介)(第六〇四四号)  同(加藤万吉紹介)(第六〇四五号)  同(勝間田清一紹介)(第六〇四六号)  同(角屋堅次郎紹介)(第六〇四七号)  同(金子みつ紹介)(第六〇四八号)  同(金子満広紹介)(第六〇四九号)  同(川俣健二郎紹介)(第六〇五〇号)  同(川本敏美紹介)(第六〇五一号)  同(河上民雄紹介)(第六〇五二号)  同(木島喜兵衞紹介)(第六〇五三号)  同(木間章紹介)(第六〇五四号)  同(北山愛郎紹介)(第六〇五五号)  同(久保等紹介)(第六〇五六号)  同(串原義直紹介)(第六〇五七号)  同(栗田翠紹介)(第六〇五八号)  同(小林進紹介)(第六〇五九号)  同(小林恒人紹介)(第六〇六〇号)  同(後藤茂紹介)(第六〇六一号)  同(上坂昇紹介)(第六〇六二号)  同(佐藤観樹紹介)(第六〇六三号)  同(佐藤敬治紹介)(第六〇六四号)  同(佐藤誼紹介)(第六〇六五号)  同(沢田広紹介)(第六〇六六号)  同(嶋崎譲紹介)(第六〇六七号)  同(島田琢郎紹介)(第六〇六八号)  同(清水勇紹介)(第六〇六九号)  同(下平正一紹介)(第六〇七〇号)  同(城地豊司紹介)(第六〇七一号)  同(新村勝雄紹介)(第六〇七二号)  同(新盛辰雄紹介)(第六〇七三号)  同外一件(鈴木強紹介)(第六〇七四号)  同外一件(関晴正紹介)(第六〇七五号)  同(田口一男紹介)(第六〇七六号)  同(田邊誠紹介)(第六〇七七号)  同(田中恒利紹介)(第六〇七八号)  同(高沢寅男紹介)(第六〇七九号)  同(高田富之紹介)(第六〇八〇号)  同(竹内猛紹介)(第六〇八一号)  同(武部文紹介)(第六〇八二号)  同(楯兼次郎紹介)(第六〇八三号)  同(塚田庄平紹介)(第六〇八四号)  同(辻第一君紹介)(第六〇八五号)  同(戸田菊雄紹介)(第六〇八六号)  同(土井たか子紹介)(第六〇八七号)  同(栂野泰二紹介)(第六〇八八号)  同(中西積介紹介)(第六〇八九号)  同(中村茂紹介)(第六〇九〇号)  同外一件(中村重光紹介)(第六〇九一号)  同(永井孝信紹介)(第六〇九二号)  同(野口幸一紹介)(第六〇九三号)  同外一件(野坂浩賢紹介)(第六〇九四号)  同(馬場昇紹介)(第六〇九五号)  同(林百郎君紹介)(第六〇九六号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第六〇九七号)  同(藤田スミ紹介)(第六〇九八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第六〇九九号)  同(細谷治嘉紹介)(第六一〇〇号)  同(正森成二君紹介)(第六一〇一号)  同(松沢俊昭紹介)(第六一〇二号)  同(松本幸男紹介)(第六一〇三号)  同(水田稔紹介)(第六一〇四号)  同(武藤山治紹介)(第六一〇五号)  同(村上弘紹介)(第六一〇六号)  同(村山喜一紹介)(第六一〇七号)  同(森井忠良紹介)(第六一〇八号)  同(森中守義紹介)(第六一〇九号)  同(八木昇紹介)(第六一一〇号)  同(矢山有作紹介)(第六一一号)  同(安井吉典紹介)(第六一一一号)  同(山口鶴男紹介)(第六一一二号)  同(山田耻目君紹介)(第六一一四号)  同(山花貞夫紹介)(第六一一五号)  同(山原健二郎紹介)(第六一一六号)  同(山本幸一紹介)(第六一一七号)  同(山本政弘紹介)(第六一一八号)  同(湯山勇紹介)(第六一一九号)  同(四ツ谷光子紹介)(第六一二〇号)  同(横路孝弘紹介)(第六一二一号)  同(横山利秋紹介)(第六一二二号)  同(吉原米治紹介)(第六一二三号)  同(米田東吾紹介)(第六一二四号)  同(和田耕作紹介)(第六一二五号)  同(渡部行雄紹介)(第六一二六号)  同(渡辺三郎紹介)(第六一二七号)  同(渡辺貢紹介)(第六一二八号)  四十人学級早期実現及び教職員増員等に関  する請願(有島重武紹介)(第五八一八号)  同(阿部哉君紹介)(第五九〇七号)  同(阿部喜男紹介)(第五九〇八号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第五九〇九号)  同(五十嵐広三紹介)(第五九一〇号)  同(井岡大治紹介)(第五九一一号)  同(井上一成紹介)(第五九一二号)  同(井上普方紹介)(第五九一三号)  同(伊賀定盛紹介)(第五九一四号)  同(伊藤茂紹介)(第五九一五号)  同(池端清一紹介)(第五九二八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五九一七号)  同(稲葉誠一紹介)(第五九一八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五九一九号)  同(上原康助紹介)(第五九二〇号)  同(上田卓三紹介)(第五九二一号)  同(上田哲紹介)(第五九二二号)  同(枝村要作紹介)(第五九二三号)  同(小川国彦紹介)(第五九二四号)  同(小川省吾紹介)(第五九二五号)  同(小野信一紹介)(第五九二六号)  同(大出俊紹介)(第五九二七号)  同(大島弘紹介)(第五九二八号)  同(大原亨紹介)(第五九二九号)  同(岡田利春紹介)(第五九三〇号)  同(加藤万吉紹介)(第五九三一号)  同(勝間田清一紹介)(第五九三二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五九三三号)  同(金子みつ紹介)(第五九三四号)  同(金子満広紹介)(第五九三五号)  同(川本敏美紹介)(第五九三六号)  同(本間章紹介)(第五九三七号)  同(串原義直紹介)(第五九三八号)  同(後藤茂紹介)(第五九三九号)  同(上坂昇紹介)(第五九四〇号)  同(木島喜兵衞紹介)(第五九四一号)  同(北山愛郎紹介)(第五九四二号)  同(河上民雄紹介)(第五九四三号)  同(川俣健二郎紹介)(第五九四四号)  同(久保等紹介)(第五九四五号)  同(栗田翠紹介)(第五九四六号)  同(小林恒人紹介)(第五九四七号)  同(佐藤観樹紹介)(第五九四八号)  同(下平正一紹介)(第五九四九号)  同(関晴正紹介)(第五九五〇号)  同(新村勝雄紹介)(第五九五一号)  同(新盛辰雄紹介)(第五九五二号)  同(島田琢郎紹介)(第五九五三号)  同(佐藤誼紹介)(第五九五四号)  同(清水勇紹介)(第五九五五号)  同(沢田広紹介)(第五九五六号)  同(城地豊司紹介)(第五九五七号)  同(嶋崎譲紹介)(第五九五八号)  同(鈴木強紹介)(第五九五九号)  同(佐藤敬治紹介)(第五九六〇号)  同(田口一男紹介)(第五九六一号)  同(田中恒利紹介)(第五九六二号)  同(田邊誠紹介)(第五九六三号)  同(高沢寅男紹介)(第五九六四号)  同(高田富之紹介)(第五九六五号)  同(竹内猛紹介)(第五九六六号)  同(武部文紹介)(第五九六七号)  同(楯兼次郎紹介)(第五九六八号)  同(塚田庄平紹介)(第五九六九号)  同(辻第一君紹介)(第五九七〇号)  同(戸田菊雄紹介)(第五九七一号)  同(土井たか子紹介)(第五九七二号)  同(栂野泰二紹介)(第五九七三号)  同(中西積介紹介)(第五九七四号)  同(中村茂紹介)(第五九七五号)  同(中村重光紹介)(第五九七六号)  同(永井孝信紹介)(第五九七七号)  同(野口幸一紹介)(第五九七八号)  同(野坂浩賢紹介)(第五九七九号)  同(馬場昇紹介)(第五九八〇号)  同(長谷川正三紹介)(第五九八一号)  同(林百郎君紹介)(第五九八二号)  同(日野市朗紹介)(第五九八三号)  同(平林剛紹介)(第五九八四号)  同(広瀬秀吉紹介)(第五九八五号)  同(福岡義登紹介)(第五九八六号)  同(藤田スミ紹介)(第五九八七号)  同(藤田高敏紹介)(第五九八八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五九八九号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第五九九〇号)  同(堀昌雄紹介)(第五九九一号)  同(前川旦紹介)(第五九九二号)  同(正森成二君紹介)(第五九九三号)  同(松沢俊昭紹介)(第五九九四号)  同(松本幸男紹介)(第五九九五号)  同(水田稔紹介)(第五九九六号)  同(武藤山治紹介)(第五九九七号)  同(村上弘紹介)(第五九九八号)  同(村山喜一紹介)(第五九九九号)  同(森井忠良紹介)(第六〇〇〇号)  同(森中守義紹介)(第六〇〇一号)  同(八木昇紹介)(第六〇〇二号)  同(矢山有作紹介)(第六〇〇三号)  同(安井吉典紹介)(第六〇〇四号)  同(山口鶴男紹介)(第六〇〇五号)  同(山田耻目君紹介)(第六〇〇六号)  同(山原健二郎紹介)(第六〇〇七号)  同(山本幸一紹介)(第六〇〇八号)  同(山本政弘紹介)(第六〇〇九号)  同(湯山勇紹介)(第六〇一〇号)  同(四ツ谷光子紹介)(第六〇一一号)  同(横路孝弘紹介)(第六〇一二号)  同(横山利秋紹介)(第六〇一三号)  同(吉原米治紹介)(第六〇一四号)  同(米田東吾紹介)(第六〇一五号)  同(和田耕作紹介)(第六〇一六号)  同(渡部行雄紹介)(第六〇一七号)  同(渡辺三郎紹介)(第六〇一八号)  同(渡辺貢紹介)(第六〇一九号)  障害児学校教職員定数増員等に関する請願  (嶋崎譲紹介)(第五八一九号)  同外五件(中西積介紹介)(第五八二〇号)  同(湯山勇紹介)(第五八二一号)  学級編制基準改善等に関する請願嶋崎譲君紹  介)(第六一四二号) 六月一日  教科書有償化反対父母負担軽減等に関す  る請願外一件(小沢和秋君外一名紹介)(第六  一九五号)  公立大学公立短期大学に対する国庫助成制度  等の拡充に関する請願山原健二郎紹介)(  第六一九六号)  私学学費値上げ抑制等に関する請願山原健  二郎君紹介)(第六一九七号)  高校増設費国庫補助増額等に関する請願(伊  藤公介紹介)(第六一九八号)  同(小澤潔紹介)(第六一九九号)  同外一件(金子満広紹介)(第六二〇〇号)  同(小杉隆紹介)(第六二〇一号)  同(榊利夫紹介)(第六二〇二号)  同外一件(田島衞紹介)(第六二〇三号)  同(中島武敏紹介)(第六二〇四号)  同(依田実紹介)(第六二〇五号)  学術奨励研究員定員増加等に関する請願(山  原健二郎紹介)(第六二〇六号)  四十人学級早期実現及び教職員増員等に関  する請願井上泉紹介)(第六二〇七号)  同(鍛冶清紹介)(第六二〇八号)  同(小林進紹介)(第六二〇九号)  同(田中昭二紹介)(第六二一〇号)  同(山花貞夫紹介)(第六二一一号)  公立高校の新増設促進に関する請願鍛冶清君  紹介)(第六二一二号)  同(小林恒人紹介)(第六二一三号)  同(田中昭二紹介)(第六二一四号)  私立幼稚園教育振興に関する請願内海英男君  紹介)(第六二一五号)  日本学校安全会の存続に関する請願山原健二  郎君紹介)(第六二一六号)  脊髄損傷者に対する学校教育改善に関する請願  (愛知和男紹介)(第六二一七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送大学学園法案(第九十三回国会閣法第四  号)(参議院送付)  放送大学を設置するための国立学校設置法及び  放送法の一部を改正する法律案湯山勇君外二  名提出衆法第五〇号)      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付放送大学学園法案及び湯山勇君外二名提出放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西積介君。
  3. 中西績介

    中西(績)委員 質問を申し上げたいと思いますけれども、主管の大臣である郵政大臣がお見えになっていませんが、これはどうしたことでしょう。
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 いま逓信委員会に入っておりますので……。
  5. 中西績介

    中西(績)委員 私はこれではこの重要な質問を、特に私もう何回か質問申し上げまして私なりの最後のまとめの質問をするつもりでありますので、大臣いなければこれはできません。――先般もわが党の木島委員の方もそのことについて指摘をいたしました。委員長のその際の見解が述べられていますよ。その点からいたしましても、今回は何としてもやはり大臣が出てきて、私は冒頭文部大臣並びに郵政大臣に対する質問を行い、その中から問題点を明らかにしていこうと思っておったわけですけれども、その点でまだ出ておらないということになれば、これは私は理事会なり何なり開いてはっきりしてもらいたいと思います。
  6. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  7. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 速記を始めて。中西君。
  8. 中西績介

    中西(績)委員 ただ、私はきょうのこの質問をするに当たりまして、いままで長い間かかって衆議院での論議そして参議院での論議を経過した後のこの衆議院での再論議でございますから、文部大臣なり郵政大臣の、いままで討論に参加したその経過を踏まえていまどのように考えておられるかについてそれぞれお答えを願って、そこから今度は論議を起こしていこうというのが私のきょうの質問の趣意であります。ということになりますと、郵政大臣がいないということになりますと、主務大臣であるということを、政府当局出しておるこの法案につきましてもあるいは報告書の中身の中にも明らかにされているわけでありますから、その大臣がいないでやるということは、前回も、十一月七日の文教委員会におきまして同僚の木島委員の方からも指摘がありまして、委員長の方からもその点についてわかりましたということが回答されているわけでありますから、この点について私大変不満を持つものであります。片一方だけ抜けておるということになりますと、討論のしようが非常にしにくくなってくるわけですね。  したがって、時間の関係もございますから後に譲りますけれども、前回質問しました木島委員の方からも一言ございますのでかわります。
  9. 三ツ林弥太郎

  10. 木島喜兵衞

    木島委員 いまお話ございましたように、この前の国会最後質問のときに、私は冒頭にこう言っておるのです。「この法律の規定による主務大臣は、文部大臣郵政大臣であります。本来ならば常時この法案の審議には郵政大臣が出ておるべきであります。それは郵政大臣、お忙しいでしょう、来れないならば少なくとも理事会にそういう申し出をして、きょうは出れない、それを理事会が了承するということでなかったならば主務大臣としての任務を完全に誤っておる、」この「委員会の権威の上においては委員長が十分に配慮すべきことである」と私が申したのに対して、委員長は「わかりました。」とおっしゃっていらっしゃいます。きょうは、衆議院はその後初めてであります。だから、私はここでいまあえて一言言いたいことは、きょう出れないならば出れないとなぜ郵政大臣理事会に申し出なかったのか。申し出によって理事会が決めるのであって、申し出がない限りにおいては、主務大臣は出るべきことは当然だと思うから、理事会は出ると思っておったと私は考えます。それが必要であります。なぜならば両者が主務大臣でありますから。このようなことにあらわれる、この法案はずいぶんとこの委員会で長い間審議をしながらもなお乾かないものは、そういう政府の態度にある。私は、そういう意味で、中西君が質問ができないと言うのは当然だと思うのです。それは組み立てがあるのですから、前提があるのですから、質問するにはそれだけの順序を考えているんだから。いままでわが党の質問は、大体まず電波のことから入っておる。そういう組み立ての質問をしておる。その前段がなかったら、その次の質問は、実は前提がなくなりますから後段は続かなくなってくる。その点は、郵政省もさることながら、私は、大変委員長に申しわけありませんが、委員長及び理事会もまた、この辺はきちっとしてもらわなければまさに審議ができないと言いたいところでありますけれども、これは審議を続けます。その点は厳重に申し上げておきます。  以上であります。
  11. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、私は文部大臣にお伺いをいたしますけれども、大臣がいままで衆参両院の論議の中で、この法案に関して何が一番これから気をつけなくてはならないし注意をしなくてはならぬと言われる問題があるのか、大体おわかりになったと思うのです。この点お答えをいただけますか。
  12. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  長いいろいろな御審議を通じまして最も今後ともに注意いたさなければならぬのは、御案内のとおり、大学の自由、また大学の自治、さらに放送の自主性ということでございます。
  13. 中西績介

    中西(績)委員 いま言われました大学の学問の自由、自治、そして放送に関する国の直轄になるということを恐れる余りに、私たちはいままでこのことを主張してきた。そのことが大体大臣では把握をされておるようでありますから、以下、私はそうした問題につきまして再度確認をする意味でいろいろお聞かせ願いたいと思います。  そこで、それに入る前に、いままで私がお聞きをしておりませんこの種計画について、具体的に昨年十一月の論議された以降いろいろおわかりになった点も、またあるいは新たにつけ加えられた点もあると思いますので、文部省の方からお答えをいただきたいと思うのです。  まず第一点は、放送大学の設立、本年の七月となっています。そして設置が五十七年の十月、学生の受け入れが五十九年の四月、その実施地域が東京タワーからテレビ、ラジオの電波が到達する範囲、そして五十九年から四年間を第一期計画とするということが言われています。この点そのように理解をしてよろしいかどうか。そして二つ目に、第二期以降の計画が具体的にどのようになっておるのか。そして三つ目に、それに要する総投資額、あるいは運営費の額がどのようになっているのか。この点について先にお聞かせいただきたいと思います。
  14. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御質問の実務上の経過なりあるいは今後の具体的なケースにつきましては、担当の政府委員からお答えをいたさせます。
  15. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 お答え申し上げます。  放送大学学園法案の審議に当たりまして、第一期の計画として御説明申し上げている点は、先生ただいま御指摘のとおりの計画で考えております。  そしてお尋ねの第二点は、それではその第一期計画以降の第二期の考え方はどうかというお尋ねでございますが、この放送大学の事業そのものがわが国としては最初の試みでございまして、私ども、その点の進め方については、もちろん教育の機会均等を確保するという観点からできるだけ早く全国に及ぼすべきであるという基本的な姿勢は持っているわけでございますけれども、進め方としては、やはり段階的にかつ慎重に進めなければならない、かように考えておるわけでございます。  そこで、一つは、将来計画については、私ども従来の昭和五十年当時の基本計画当時には具体的にまだ取り組んでおりませんでしたけれども、放送衛星の実用化の動向ということも考えていかなければならない一つの課題というぐあいに考えております。  そしてまた、高等教育へ進学する十八歳人口の今後の増加の動向と申しますか、昭和六十六、七年ごろがピークになりまして、二百万人を超す時期が来るわけでございます。そういう高等教育の整備計画を、昭和六十二年から七十一年ごろまでにかけての十八歳人口の増加する時期における高等教育の整備計画ということを、これから検討に入らなければならない時期に差しかかっているわけでございます。私どもとしては、この放送大学の全国的な拡大という問題についても、それらの期間内に達成する方向で進めたいというぐあいに考えております。  お尋ねの第三点でございますけれども、放送大学の全体規模についての試算はどうかというお尋ねでございましたが、その点は、先ほども申しましたように、放送衛星との関係でどう試算をするのかというなお未確定の要素も多分にあるわけでございますけれども、昭和五十年に放送大学創設準備に関する調査研究会議で一つの試案として取りまとめたもので申し上げますと、そこで示されているところで申し上げれば、資本的投資額としては、当時の価格でございますが、約八百七十億、運営費が約二百九十億ということでございまして、昭和五十四年度価格でその点を試算いたしますと、資本的投資額で約千百億、経常費で約三百六十億という試算は、先ほど申しました五十年の基本計画をもとにした試算としてはそういうものを試算いたしております。
  16. 中西績介

    中西(績)委員 それともう一つ具体的なことを聞いておきますけれども、先ほどお答えになりました第二期以降の計画について、その期間内にそういう計画を達成をしていくということであるようでありますけれども、ちょっと言葉が足りませんので、もう少し細かく、第二期以降、たとえば段階的にこれから達成をしていこうと言っておりますけれども、それはたとえば五年計画なりあるいは十年計画なりあるいは十五年という中期的なものなのか、長期的なものなのか、中期の場合にはこういう計画でいきます、長期の場合にはこういう計画でいきます。その場合に、あなたがいま言われましたように、放送衛星というのがあるわけですから、これの関連がありますから、この放送衛星が予定どおりに打ち上げられ、これを使用するということになったときにはこのようになりますという案くらいは私たちに示していただかないと、論議するにしても、この前から指摘をしておりますように、少なくともこうした予算を伴うものについてわれわれ一方で論議する際に、それがどういうものであったか不明なまま、よろしい、賛成をするというような、こうしたことを私たちは絶対にしてはならないと思うのですね。そういうことを考えてみますと、いま言われました十八歳人口二百万人がピークに達する時期あたりすべてわかっているわけですから、そういうものを加えた計画というのはどうなっていくのか、この点もう少し詳しくお答えください。
  17. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先ほども申し上げましたとおり、第一期計画の完成の後におきます全国規模にどういう手だてで拡大を図っていくかということについて、さらにもう少し具体的な案で示せというお尋ねでございます。  その点は、やはり全国的に広めるに際しまして一番ポイントになります点は、一つは放送衛星の問題であろうかと思っております。この点、放送大学に放送衛星を活用する問題につきましては、もちろん郵政省を初め関係省庁と十分御相談をしながらこれから具体的な課題を検討させていただかなければならないことがあるわけでございますが、私どもただいま聞いておる点で申し上げますと、昭和五十八年度に打ち上げが予定されております第一世代の放送衛星については、難視聴地域の解消というようなことで二チャンネルを乗せるということで話を伺っております。そしてその次の六十三年度打ち上げが予定されている第二世代の放送衛星についてチャンネルが増加されるというぐあいに伺っているわけでございまして、問題は、その放送衛星のチャンネルを放送大学のために利用する問題について、これが具体的にこれから検討していかなければならない課題でございます。  そして、その放送衛星で放送大学の放送を行うということが決まりますれば、全国にネットを広げるという問題は、そういう点では、地上局の整備ということではなしに、放送衛星を利用すれば、全国に広げるという観点からする問題点は解決をされることになるわけでございます。  問題は、放送衛星の実用化のこれからの運行状況と申しますか、そういうようなこともよく見定めて対応しなければならない課題があるわけでございまして、そこの点は、基本的に第一期計画以後の広げ方について、基本的な点でなおそこがまず第一点の問題点でございます。したがいまして、中期ないし長期の、あるいは五年計画ぐらいで刻んでいくのか、十五年ぐらいをかけるのかというお話の点でございますが、まずは、ただいま申し上げましたような点が基本的な第一の点でございまして、その点が、私どもとしてはこれから具体的に詰めさせていただかなければならない課題と、かように考えております。
  18. 中西績介

    中西(績)委員 それで、私は、いまそこに郵政大臣がいて、具体的にそういう問題等についてはっきり確認をした上でやはり計画なり何なりが詰められぬと、論議のしようがないのです、これだけ論議を深くずっといままでやってきておりますから。いよいよこれから発足させ、これに賛成するかどうかということを再度また問い直されておるわけですから。前回私は反対をしましたよ。しかし、その中身が十分なものであるなら、またわれわれの対案の出しようだって、物の言い方だって全部違ってくるのです。そういうものが全然出されないうちで私たちは不明のまま論議をしていこうというのですから、これは大変論議のしようがないということが言えるのです。もう前回からこのことをみんな尽くしているのです。ですから、私はそういう点で、先ほどありましたように、五十五年で見直すと、投資額が一千百億、そして運営費が三百六十億、すでにこうした見直しだって相当されていかなくちゃなりません。したがって、少なくとも五年なら五年、先ほど言われましたように五十九年放送衛星が打ち上げられるということになってまいりますと、これに伴い具体的にそれから以降の状況がどうなってくるのか、その際に五年間でいける中身になるのか、あるいは十年間なのか、十五年間なのか、それくらいの計画なしにこの放送衛星というのは打ち上げられるのですか、どうなんです。
  19. 富田徹郎

    ○富田説明員 現在計画されておりますのは、第一世代の実用衛星の計画を現在進行中であります。ただ、第一世代の放送衛星の計画でございますと、一つの放送衛星に二チャンネル程度の容量しかない、いわば小さな放送衛星が計画されているわけでありまして、これは五十八年度中に打ち上げが予定されておりますが、その次に来ますいわゆる第二世代のかなり大容量の放送衛星を一応計画しておりますが、この打ち上げ時期として現在のところ想定されておりますのが六十三年度であります。そうしますと、この放送衛星、これだけ容量の大きなものであれば放送大学用のチャンネルが十分乗り得るであろう、そして、その放送衛星の特性からして、全国を一気にカバーする可能性は非常に強いということは容易に想定されるわけでありますが、ただ、何しろ宇宙開発といいますか、衛星の開発、ロケットの準備に始まって、三チャンネルないしは四チャンネルの電波を出すようなそれだけの高性能な放送衛星が、その期日そういう予定線表に従って開発されていくかどうかということは、一応の想定される計画線表であって、それが一〇〇%確実に実現されるとかいうようなことは現在のところは申し上げられない。  いずれにしろ、そういう計画で放送衛星の開発、実用化計画というのは進んでおるという段階でございます。
  20. 中西績介

    中西(績)委員 そうなってまいりますと、いま第一期の計画というのは、放送衛星とのかかわりはなくやられておるということですね。その点ちょっと確認します。
  21. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 そのとおりでございます。
  22. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、もう一つお聞きしますけれども、全国に設置する学習センターというものがございますね。この学習センターはどういう規模のものになってくるのでしょう。ですからこれは、第一期分の学習センター、それから第二期以降の学習センター、これとは差異が出てくるのですか。そこいらどういうふうになるのか。そしてそれに要する整備費、用地費、そして先ほど出てきた総投資額の中にこうした整備あるいは用地、すべての費用がこの中に含まれておるかどうかですね。こういう点どのようになっておるのでしょう。
  23. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先ほど申し上げました全体の投資額の中には、学習センターの整備費の経費は含まれております。  そして、学習センターについてのお尋ねでございますが、第一期の計画では関東地域について六カ所という形で考えているわけでございますが、第一期の計画以降の学習センターの整備、これは全国的に広げる場合におきましても、スクーリングがこの放送大学の場合に非常に大事な要素であるということは御審議の段階でもずいぶん言われておるわけでございまして、学習センターの整備そのものは第一期計画以降全国に広げる際にももちろん必要でございます。そして、そのことは放送衛星を使うこととはかかわりがなく、学習センターの整備というものは必要なことであると私どもは考えております。そして第二期以降どういう形で学習センターの整備をしていくかというのは、やはり第一期におきます学習センターの実施の状況も十分見た上でその点を考えていかなければならない課題がいろいろあろうか、かように考えております。  なお、当面、第一期計画で考えております学習センターの規模で申し上げますと、学習センターについては、おおよそ一カ所約二千五百平方メートル程度の建物を予定しておりまして、三十人程度を収容できる講義演習室やあるいは実験室を十教室設ける、そのほか学生相談室とか、図書館、事務室等を設けることを構想いたしておりまして、一カ所当たり約四億程度という試算をいたしております。  なおただいまのところ、学習センターのための土地取得費というような点は、設置場所でございますとか土地の評価額等大変不確定な要素が多いため、土地取得費そのものについては算入をいたしておりません。  先ほど申し上げました「放送大学の基本計画に関する報告」の中でまとめられております点で申し上げますと、各ブロックに地方事務センターが九カ所、各県に学習指導センター、実習センター、演習センター、ビデオ・センター等を整備するという考え方で、先ほど申し上げました施設の整備計画の経費の中に計上、試算をいたしているところでございます。
  24. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、総投資額の中には用地費のみが省かれておる、こういうことになるが、この点よろしいですね。  そこで、問題は、いま言われました第二期以降の問題との関係になってまいりますけれども、放送大学の設置の目的からいたしますと、全国的にネットワークが張りめぐらされて、すべての要求をする皆さんがこれで学習できるという、そういう組織、機構をつくり上げていく、あるいは施設をつくり上げていく、こういうことになってくると思うのですけれども、その場合、先ほど言われました総投資額そのものは、この計画面で、そうしたまだ不明の点、五十八年度中、まあ五十九年の二月だと言われております第一世代の放送衛星、それから六十三年四チャンネルをという第二世代のこれを入れての放送衛星を打ち上げた後のこの状況からいたしますと、いろいろな点で、そうした施設の関係だとかいろいろなものは、いまお答えがありましたように、学習センターはどこでもこれは必要なんだと言うけれども、ほかの施設設備の点では差異が出るのではないかと思うのですけれども、その場合には、第一期だけはそのように不要になるような設備がされておっても、第二期以降はそういうことはなくなるということを意味しておるのですか。そういうことを計算の上で一千百億、このことが出てくるのでしょうか。その点もうちょっと細かくお答えください。
  25. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先ほど申し上げました五十年の「基本計画に関する報告」で試算をされておりますものは、先ほどもお答えしたわけでございますが、放送衛星による整備ということは、当時放送衛星の実用化の問題が今日ほどでございませんでしたので、含まれておりません。地上系で整備をするという試算でございます。  そして、第一期の計画では、関東地域で東京タワーからテレビ、ラジオの電波の届く範囲内でございますが、送信所を一カ所、これはこれから調査をして決定することになろうかと思いますけれども、送信所を一カ所設置する経費は計上いたしておるわけでございます。それは、具体的に送信所がどういうカバーをすることになるかというような、その後における計画を広げていく際の具体的な関東地域におきます実施状況としてやはり検討課題があろうかと思いまして、送信所を一カ所設置をすることを計画いたしておるわけでございます。一番大きい点は、放送衛星で第二期以降についてカバーをするという際に、送信所の建設問題が具体的には関係が出てこようかと思います。ただいまのところ、問題点は、地上局の整備と放送衛星によります計画とをどのように第二期以降においても考えていくのか、それらの点は、まさにこれからの課題として私ども検討しなければならないと考えております。試算といたしまして、第二期以降放送衛星のみによった場合の方が経費的には恐らく地上局だけで整備をする場合よりも安くはなるんではないかということは見当をつけておりますけれども、それらの点についても、なお経費的な面は、もちろん私どもも、問題点は、なるたけ早く全国をカバーしかつ経費的にも一番効率のいい形というものを検討すべきことは当然のことでございまして、それらの点については郵政省初め関係省庁とも十分協議をしながら、第二期以降の計画の経費の見積もりと放送衛星の利用の仕方というようなことについては、これからの課題として検討をさせていただきたい、かように考えております。
  26. 中西績介

    中西(績)委員 そういたしますと、郵政省にお聞きしますけれども、先ほど出ました五十八年度中に難視聴地域に向けての二チャンネルを備える第一世代の放送衛星、それからその後の六十三年を目標にしての第二世代の放送衛星、こうした打ち上げの費用なり何なりは大体試算はできますか。
  27. 富田徹郎

    ○富田説明員 第一世代の五十八年度中に打ち上げます放送衛星の費用は、約六百億円というふうに想定しております。これはユーザーたるNHKが六、国が四という割合で一応負担する計画でまいっております。ただ、六十三年度に一応予定しております第二世代以降の衛星については、開発経費その他一切まだ確定的なものはございませんので、まだ想定いたしておりません。費用、コストというような観点からは具体的な詰めはまだ行われておりません。
  28. 中西績介

    中西(績)委員 いずれにしましても、第一のものよりも第二のものは一装備からいたしましても内容的にも高められた機能を持つわけでありますから、この六百億より安くなるということはないですね。
  29. 富田徹郎

    ○富田説明員 お答え申し上げますが、チャンネル当たりのコストというような観点で計算するか、総体の費用として計算するかによって当然違ってまいりますが、一応お尋ねの趣旨は放送大学で利用されますチャンネルのコストというふうに考えますと、現在のところ、特に安くなるとも言えませんが、つまり開発経費が今後大型ロケットを開発するというような経費も付加されてくるものと想定されますので一概に言えませんけれども、ただ、三ないし四チャンネルになりましてチャンネル容量がふえてまいりますので、一チャンネル当たりにすればそれほどの変化はないかあるいはその他の状況から推して安くなることも十分考えられるとは思います。
  30. 中西績介

    中西(績)委員 私が言っておるのは、使用するチャンネル数というのは数が限定されるでしょうからね。ですから、数がふえるからそれによって割り当てすればと言うけれども、しかし、負担する側は国かNHKかが負担するわけでしょう。ですから、国が負担する額というのは上がるのか上がらないのか、こういうことになんですけれども、どうでしょう。
  31. 富田徹郎

    ○富田説明員 具体的にその費用分担のあり方というものはまだ詰められておりませんけれども、ただ、放送大学も一つのユーザーとして応分の負担をしていただく。放送大学、これは結果としては国のあれになるのかもしれませんが。ただ、私が先ほど申し上げましたよう開発費用の負担というような観点は、これは宇宙開発に責任を持ちます国の負担分でありまして、放送大学も結局経費の支出先は国かもしれませんが、放送衛星に対しては一つのユーザーとして負担をしていただくということに恐らく将来なるだろうというふうに考えられます。
  32. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、この六十三年の場合もユーザーとしての負担というのは、いま言われた額、たとえば六、四の割合で納入をさせるということになるわけでありますけれども、その割合なり額なりは余り変わらぬということなんですか。
  33. 富田徹郎

    ○富田説明員 第一世代のユーザーとしてのNHKの負担も、総合と教育チャンネル、二チャンネル用の負担としての計算でありまして、したがって、そのユーザーは使うチャンネル数に応じてある程度の負担をしていただくということになりますから、仮に四チャンネルというふうな状況になって、そのうちの一チャンネルを使うとすれば、ユーザー負担分の四分の一が放送大学が負担するということになるわけであります。  それと、こういうコストの計算には、耐用年数といいますか衛星そのものにも寿命がございまして、その寿命で割るというようなことも考慮に入れてコストということを考えていく必要があろうかと思います。
  34. 中西績介

    中西(績)委員 いまのお答えからしますと、五十八年度中に打ち上げられる難視聴地域を対象にすると言われております二チャンネルということになってまいりますと、これはNHKが使うのであって、放送大学の場合にはこれは活用できないということですか。
  35. 富田徹郎

    ○富田説明員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、五十八年度は一応NHKの難視聴解消用にNHKのテレビジョン番組二系統の放送をすることを予定しておりまして、放送大学で利用できる可能性はいまのところないというふうに考えております。
  36. 中西績介

    中西(績)委員 そうすると、文部省にお伺いしますけれども、一号機なり第一世代に打ち上げられるものについては活用できないということになれば、六十三年の第二世代の放送衛星を打ち上げられた中で初めてこれが活用できるということになるわけですね。そうしますと、この第一期とのかかわり、そこは重なるのですか、それともそれ以降になるのですか、そこをはっきりしてください。
  37. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 放送衛星の、特にただいま郵政省の方から御答弁ございましたように、第一世代については、放送大学で利用するということはまず考えられないということでございまして、問題は、第二世代以降の放送衛星については、放送大学の放送に利用する問題についても、これは先ほど来申し上げておりますように、これから十分関係省庁と相談させていただきながら詰めていく課題でございます。ただいま伺っているところでは、六十三年度に第二世代の打ち上げが予定をされているというぐあいに伺っているわけでございますけれども、放送大学の第一期の計画が、従来御説明申し上げておりますように、五十九年度から学年進行で整備が進められてまいりますと、六十二年度で一応完成をするということになるわけでございます。それ以降の、時期的には大体第二世代の放送衛星の打ち上げ時期と、放送大学の第一期計画以降の拡大計画をどう考えるかという時期とはおおむね重なることになろうかと思いますが、しかし、この点はなお放送衛星の具体的な打ち上げのこれからの日程とも関係があるわけでございまして、そういう点も十分今後の検討課題としては念頭に置きながら私どもとしては考えてまいりたい、かように考えております。
  38. 中西績介

    中西(績)委員 それでは、その時期にならないと、放送衛星が成功して活用できるという確認がなされなければ、計画の中には組み入れがたいということですか。どうなんです。
  39. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 それはその時点まで検討がされないということではもちろんございませんので、第一世代の放送衛星が打ち上げられれば、第二世代の放送衛星の計画については、もちろん六十三年度以前にその全体の構想なり計画というものは当然に練られるわけでございまして、第二世代以降の計画が練られる際に、私どもも放送大学としてそれを利用する問題についても検討に取り組むことになろうかと思います。したがいまして、その検討というのは、もちろん六十二年度以前に当然されることになるわけでございます。
  40. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、その期間までに検討が行われるということは当然でありますけれども、いままだ不明な点がたくさんあるということは事実ですね。  そこで、郵政省の方にお伺いをしますけれども、いまこのようにして第二世代の放送衛星の打ち上げをしまして、そのうちの一チャンネルを使う。そして、それは負担としては、ユーザー中の負担のうちの四分の一を放送大学が支払うということになるわけです。それはいま説明されたとおりです。そうしたことをすべて計算をしたときに、経費としてはどうなんですか、地上局でずっといった場合と、それからこの放送衛星を使用した場合に、どの程度安くなるのかあるいは高くなるのか、そうした試算をしたことはございますか。
  41. 富田徹郎

    ○富田説明員 放送衛星を使いまして一気に日本全国をカバーするとか、あるいは外国におきましても数カ国をカバーするような放送衛星の企画は行われております。これで地上システムとの比較もいろいろな角度で試算程度は行われておりますが、日本の場合はロケットから国産でいこうという方針を一応持っております。そのロケットの開発経費等も含めていろいろな前提条件が非常に複雑にかかってまいりますので、特に試算はしておりませんが、これは伝聞でありますけれども、将来は一対十以上の比率をもって地上システムよりも安くなるであろうということを言う外国人の学者もおるというのが現状でありまして、果たしてそれがそのようになるのか。それから受信コスト、特別なアンテナを上げなければいかぬという問題があります。そういうようなことからしますと、欧米といいますか、特にアメリカでは商業ベースでいろいろ計画が練られている国でありますからいろいろな計算値があるかと思いますけれども、何しろ直接放送衛星――いままでは放送衛星と言われるものは大きなアンテナで、家庭受信じゃなくてある特定の、たとえばCATVというようなものが共同聴取するような形での放送衛星は一部ありましたが、直接家庭で、おわんといいましても一メーター以下の受信パラボラアンテナで受けられるような放送衛星が実用されている国は、現在のところどこにもないわけでございます。これは恐らく一九八五年、昭和六十年前後から非常に活発にはなってまいりますけれども、まだ未知の分野でありますのでいろんな角度から詰めなければいかぬ。逆に言えば、前提条件が非常に複雑に絡みますので、どの程度安くなるかという比較は詳細には現段階ではできないものというふうに考えております。
  42. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、文部省にお伺いしますけれども、これから以降の計画なり何なりは、いま五十年度試算の八百七十億、五十五年の試算見直しで千百億という投資総額、これは将来的には放送衛星をたとえ使ったとしても安くなるという計画ではないということですね。このことを確認してよろしいですか。
  43. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 五十年の試算では、先ほども申し上げましたとおり地上系で八〇%カバーをするということを前提にいたしました試算でございます。そして、もちろん当時は放送衛星の利用については具体的な日程に上っていなかったということで、その点は想定をされていないわけでございます。私どもとしては、これから放送衛星を放送大学に利用する問題についてもちろん具体策についてこれから真剣に取り組んでいかなければならぬわけでございますが、先ほどの全体の試算を、放送衛星を利用した場合がそれを上回ることはまずないのではないかと考えております。
  44. 中西績介

    中西(績)委員 それからもう一つだけ、郵政にお聞かせいただきたいと思うのですけれども、第一期までは地上設備でいくわけですから、そのための設備、施設というのをつくっていかなくちゃなりません。そうすると、第二期以降この放送衛星を使用するということになりますと、それに伴う設備、施設ということになってくるわけです。そうなりますと、第一期までの期間に使用した設備は無用のものになるんですか、それともそれは利用できるのですか。
  45. 富田徹郎

    ○富田説明員 仮に第二世代以降の放送衛星を使って、空から放送衛星の電波で放送大学の授業が行われ、そして東京タワーからは第一期計画で使用しましたUHF、そういう電波で受信が行われている、番組内容は全く同一であります、そういう状態が、第一期計画終了後当分の間、もし仮に放送衛星を使うとすれば、関東エリアに関しましては続くのじゃないだろうかというふうに想定しております。それはNHKの難視聴解消用放送衛星につきましても、確かに難視聴解消のためにも使われるわけですが、よく見えているところにも衛星から電波が降ってまいるわけでありまして、そのときにはやはり両方見える状態が全国に行われておることとほぼ同じような形になるものというふうに想定しております。
  46. 中西績介

    中西(績)委員 もうちょっと簡単に言ってください。  第二期計画で、放送衛星を使っての特別の地上における施設、設備というのは第一期計画でつくられたもので使用できるということになれば、これは計画の上からいたしましても、あるいは設備費なりからいたしましても、何も増額するということにはならないわけなんですね。それを使うようになってきた場合にはたとえばこの地域における地上設備をもう使いませんと新たにしなければいかぬということになれば二重になるわけでしょう。ですから、そういう点がどうなるんですか、こう言っているわけですから、どうでしょう。
  47. 富田徹郎

    ○富田説明員 東京タワーにおきます送信機は、確かに二重と言えば二重という状態で行われるということになると思います。それから受信者側の方から見まして、UHF用のアンテナを一応関東エリアでは設置していただかなければいかぬという問題がありますが、これは数千円程度のアンテナでございますから、それは仮に放送衛星を受けるように切りかえて新たに放送衛星用のアンテナを買われれば、それは重複しているという状態とも言えますが、またUHFアンテナはほかのUHFテレビを見るためにも利用できるわけでありまして、その受信者側の負担という意味の二重設備はそれほどの問題ではないだろうと思います。送信機そのものは、これはUHF送信機は空に上がるわけでは決してございませんので、その意味では確かに二重の設置にはなっておるという状態が想定されます。
  48. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、総括しますと、ちょっと長くなりましたけれども、文部省がいま計画しておる投資総額、それから運営費総額というのは、一応いまのところでは五十年に見積もったこれを基調に据えながら、年次別の物価上昇率だとかいろんな諸経費の増額だとかそういうものをプラスしたものであって、おおよその点については変わらないということで考えてよろしいわけですね。文部省もそうだし、郵政省の方もそのように、設備だとかいろいろなことを全部考えてみまして、そういうように理解をしてよろしいということですか。
  49. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先ほどの試算で申し上げましたように、五十年度価格の試算であり、かつ五十四年度価格には計算し直したものがあるわけでございます。今後の整備計画のテンポがどういうテンポで進んでまいりますか、そのことと見合わせて、それらの施設についての物価上昇に伴う価格の算定の再計算ということは当然出てまいってこようかと思いますけれども、五十年に説明をされております基本的な施設、設備の経費といいますものは、地上系で整備をするならばこういう計算があるという一つの試算が出されておるわけでありまして、もちろんこれは当時の基本計画での一つの試算でございますが、私どもこれをたたき台として基本的に進めていく、地上局の整備ならばそういう考え方になるわけでございまして、放送衛星利用の問題はこれから具体の検討を関係省庁ともしていくことになるわけでございまして、基本的な点で申せば、恐らくは第二期以降の整備をする際に、放送衛星の場合と地上系と二つを截然と分ければ、放送衛星を利用すれば第二期以降は送信所の建設が要らなくなるという点が、基本的な点で大きな金額の差の出てくる点ではないか、かように考えております。ただ、電波を利用する側から申せば、第一期計画の関係地域で申せばUと放送衛星の電波とが両方聞ける状態にあるという点で、それらの点は、先ほど郵政省の方からもお答えのございましたように、必ずしもそれがすべてむだな投資になるというぐあいには考えられない、受信者側から見ればそういう立場もあるということもございまして、全体の整備計画については、その辺を十分相談をしながら今後具体策について早急に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  50. 中西績介

    中西(績)委員 郵政省の方もいまの答弁でよろしいですね。
  51. 富田徹郎

    ○富田説明員 そのとおりです。
  52. 中西績介

    中西(績)委員 なお、一つだけいまお聞きするのを忘れておりましたので、送信所を一カ所計画するということになれば、どれくらいの費用がかかるのですか。
  53. 富田徹郎

    ○富田説明員 お答えいたします。  一応送信所建設一カ所三億八千万程度でできるのではないかと想定しております。
  54. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、問題は、大学教育を公開して社会人や家庭婦人層まで含めて、これからただ単に大学の教養課程ということだけでなしに生涯教育の場を提供するというこの放送大学、したがって、私は、前回もいろんな方から指摘がされましたけれども、第一期計画というのは関東周辺であります。そうしますと、いま一番大学なりあるいは施設が充実拡充されておるところにこれが行われるわけでありまして、いろんな調査結果からいたしましても、一番切実に要求をしておる四国だとか、あるいは中国だとか九州、あるいは東北、北海道という地域においては、期間的にはずいぶん遅くなってくるわけであります。そうなってまいりますと、放送衛星を活用して全国的な規模で機会均等ということからいたしましても、一定の期間、研究期間を持ちましてこれを実施することの方が、いま財政的に大変厳しいと言われておる時期に当を得たものではないか、このように私は考えるわけであります。なぜ第一期計画をこうして急がれ、そして、もう三、四年ぐらいの研究期間を置いてでも実施する方がいいのではないかと思うのですけれども、どうしてこのように取り急ぎ行おうとしているのか、この点お答えをしてください。
  55. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 従来の御審議でも御議論をいただいた点でございますが、第一期を関東地域からということでお願いをしている点は、一つは、人口の集積と非常に多様な人口構成というようなことで、今後の拡大計画に当たって必要な資料を得やすいというようなこと、それから広域の送信所として既存の東京タワーを利用できるというようなことで、電波網整備に要する経費が過大にならないというようなこと、あるいは放送大学の本部といたしましては千葉の幕張地区を予定しているということなどがございまして、私どもとしては、関東地域、東京タワーから電波の届く範囲内をまず第一期の計画として進めさせていただきたいということで、従来から御説明申し上げておる点でございます。  そして、私どもこの放送大学の構想に取り組みましたのは、先生御承知のとおりすでに十年以上検討を経てきておりまして、予算的に申せば、政府の予算案としては昭和五十四年度予算から具体化の予算が計上されて法案の御審議をお願いしてきているというような経過でございます。  私どもといたしましては、この委員会の審議でも御指摘があったわけでございますが、放送大学を成功させる一番大きなポイントは、いかに優秀な教員の方々に御協力をいただくか。教官スタッフとして本当にりっぱな方々を専任の教員としてももちろんこの放送大学に来ていただき、そしてまた国公私立の大学の先生方にも御協力をいただく、その点がやはり一番大きな基本だと私どもも考えているわけでございます。  ところで、それではどういう先生方に来ていただき、そのことを具体的にどう進められるかということになりますと、行政当局がそのことについて入り込んで準備を進めるということはできない事柄でございまして、やはり放送大学学園を出発させていただきまして、教学責任者が教官スタッフについて準備を進めるということが次の非常に大事なポイントでございまして、私どもとしては、そういう事柄を進めるためにも、この御提案申し上げている法案の一日も早い成立をお願いしたい、かように考えているわけでございます。
  56. 中西績介

    中西(績)委員 私は、五十九年の二月ころに第一世代の放送衛星が打ち上げられて、それに基づく各経験とその中による計画、そういうものの中で一挙に全国的な視野での、関東という視野の中での計画、経験、そういうことだけでなしに、これからいたしましても、次の第二世代を打ち上げる六十三年までの期間の間には相当の計画期間があるわけですから、そうしたものを重視した中で、全国的な視野の中でこれを計画し、そして試算をし、そして正確を期していくという、そうした内容を具備をした中で、いま言われた教員スタッフの問題にいたしましても協力を願うについても、一定のそういう計画性を明らかにすることが大変重要ではないかと思うのです。そして、皆さんのコンセンサスを得た中でこれをつくり上げていくということがいま問われておるのではないかと思うのです。第一期のものは地上のもの、それから以降は全然異なってくるということになってくるわけでありますから、この点を考えあわせていきますならば、取り急ぎ行うということの意味が大変薄くなってくるのではないか、こう考えます。というのは、いままで研究をしてきた経過があるし、討論してきた経過があります。それをどのように補完をしていくかということを、この期間において十分整えていくということがいま問われているのではないかと私は思うわけでありますから、こうした意味におきまして、これは大変拙速主義に陥っておるのではないかということを指摘をしたいと思います。  そこで、むしろ逆に優先すべきは夜間の大学、学部関係です。あるいは通信教育関係、公開講座。これにつきまして、先般私お聞きしました際に、大学局長なりにお答えをいただいて、このことは大変重要なことであるし、このことを充実をさせる、そのことが言われておりましたけれども、実態はどうなっていったのでしょうか。追及しなくてはならぬ点が本当に追及されておるかどうか。予算面におきましてどうなっていますか。五十五年度についてはお聞かせいただきましたけれども、五十六年度の予算面で、こうした面での伸びなりあるいは充実した面が果たしてあるのでしょうか。この点どうですか。
  57. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘の既存の大学についてももちろん、特に夜間大学でございますとか、あるいは通信教育、それから一般大学における大学の公開講座というようなものの充実を図っていくべきことは、私どもとしてももちろん努力をしていかなければならない課題だ、かように考えております。  そして、お尋ねは、五十六年度予算で現実に伸びたのかという御指摘かと思いますが、たとえば大学の公開講座の点で申し上げますと、五十五年度予算で大学の公開講座に要する経費として、これは国立大学分でございますけれども、約一億一千二百万余りでございましたものが、伸びとしては若干でございますが、一億一千五百万ということで、財政状況も非常に厳しい状況下でございますが、そういうものについては私どもも伸ばしてきているというのが、御指摘の点では五十五年度から六年度どうだというお尋ねでございますので、予算的にはそういう配慮はしてきておるわけでございまして、もちろん、私どもこの放送大学が、新しい大学として家庭婦人なりあるいは勤労者の方々に対して開かれた大学として大いに活用されることを望むわけでございますが、御指摘のような一般大学、既存の大学についてもそういう配慮が必要なことは当然のことでございます。その点は、今後も私どもとしても努力をしてまいるつもりでございます。
  58. 中西績介

    中西(績)委員 夜間の場合あるいは通信の場合あるいは公開講座の場合、それが拡大されたり、さらに単位の互換なり、いろいろな面で本当に開かれた大学としてのあり方が、先ほど具体的に一つの例として公開講座を言われましたけれども、一億一千二百万が一億一千五百万になったと言うけれども、これは伸びてない。金額は伸びたけれども、率でもってするなら伸びたということにならない。ですから、こういう点あたりが軽視されて、しかも片方、いま言うようなことを拙速的にやるということが大変問題ではないかということを私は指摘をしておるのです。ですから、ほかの点で本当だなということで私たち納得できるような資料なり何なりございますか。あのときの答弁からするなら当然これはやらなくちゃならぬと思っておったのですけれども、どうでしょう。
  59. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 それは金額的に額はふえても率からすれば十分ではないじゃないかという、それらの御指摘については、私ども今後とも努力をしてまいりたい、かように考えます。  それから、昼夜開講制については、たとえば愛媛大学については法学科について五十四年度昼夜開講制を開いたわけでございますが、五十六年度といたしましては、経済学科についても同様のコースを開いたということはございます。  いずれにいたしましても、これらの事柄は、既存の大学がそういう点について大学を開かれたものにし、かつ弾力化、多様化を図っていく、そういう観点は私どもとしては積極的に進めることで対応しておりますが、要は、大学側もそういうことについて大学人みずからがそういうことについて理解を深めていただいて、そういう施策を積極的に出していただくということがやはり前提になるわけでございまして、私どもとしてもそういう点で努力をしてまいりますが、大学人に対してもそういう点が積極的に受けとめていただけるような方向になることをぜひとも期待したい、かように考えております。
  60. 中西績介

    中西(績)委員 私は、前回の場合、特に予算編成で十二月前、十一月の討論の中でこのことを強く指摘をしたしお願いをしたわけであります。しかし、内容的には額は三百万ですよ。これはパーセントにするとわずかですね。ということになりますと、これは実際の伸びということにはならないわけですね。ですから、こうした点からいたしますと大変問題が残っておる。また、この点については考慮されなかったと私は判断をせざるを得ない、これが一つです。  それからもう一つ、有給休暇制度についてどうなっておるのか。先般のあれでは、きょう来てもらっておりませんけれども、労働省の審議会で結論が年度内に出るということをその当時政府委員の方から発言があっています。それが出たのかどうか。それを受けてどのように文部省としては考えたのか、この点についてお答えください。
  61. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 労働省の所管でございますけれども、労働省側の審議会での考え方といいますのは、有給教育訓練休暇制度の果たす役割りが重要であって、既存の制度として有給教育訓練休暇奨励給付金制度を生涯訓練体制の一環として位置づけを明確化し、充実と普及を図るという形で対応をしているというぐあいに伺っております。私どもといたしましては、もちろんこの問題について前向きな対応ということで先般も御答弁申し上げておるわけでございまして、中央教育審議会の生涯教育に関する検討課題においてもそのことが言われているわけでございます。  御指摘の点は、もちろん文部省限りで解決できる問題点ではございませんが、ただ、文部省がそのことについて各省庁に対しても積極的な気持ちで働きかけるべきではないかというお尋ねかと思いますが、そういう点は、私どもとしてもそういう気持ちを踏まえて対応をしているところでございます。
  62. 中西績介

    中西(績)委員 確認をしておきますけれども、労働省の審議会の結論としてはそうした有給休暇制度なるものは明確には出ていない、こういうことですね。  そうなりますと、なお前回のこの労働省側の答弁というのは非常にあいまいにされてきたし、文部省としては、こうしたものを生かすということになれば当然有給休暇制度でなくてはもうできないということは、先般までの論議の過程でははっきりしているわけなんですね。ですから、そうなればなるほど、強く他省庁に働きかけてでも具体的なこの実施計画なり何なりを立てさせていくという、やはりこういうところまでいかないとこれはできないと思うのですが、文部大臣、この決意が一つ。  それと、もう一つ大臣にお伺いしますけれども、第二次臨調の中でいま行政改革の面で大変厳しいいろいろな問題が提起されておるようであります。そうした場合に、この放送大学というものが新規な大規模財政支出になるということはさっきからの論議の過程の中でも明らかになっておるわけでありますけれども、これに対して、この大規模財政支出と、それからこの第二次臨調、行政改革の問題とのかかわりを大臣はどのようにお考えになっておるのか、この二点についてお答えください。
  63. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 前段の御質問、スクーリングその他についての問題でお話がございましょうと存じますが、これは労働省その他、他省庁との間に折衝を持っておりますことは、ただいま局長からお話があったと存じます。  臨調の問題につきましては、私はこの問題について、先般来申し上げておりますように、総理とは両三回お話をいたしまして、本放送大学学園法というものをあくまでも進めてまいる、さらに、それにつきましての臨調との問題は、これはまだ学園法が成立いたしておりません段階でもございまするし、その点は総理にお任せを申し上げて、私は、本学園法の成立を特にお願いをして、皆様方に御協力をお願いしてまいった次第であります。
  64. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、そういう大規模財政支出ということの関連からいたしますと、それに対する見解は文部大臣は持っていないということで、総理なりにそれをお任せしてあるということですか。
  65. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 もちろん客観的な推移は十分に存じておりまするけれども、まず本法案を通過いたさせるということが、これはもう十年来の懸案でもございまするし、それからまた、臨調発足に当たりましても、この放送大学学園法の問題は、国会に四回の提案という経過もございまするし、これはこれとして別途推進してまいる、それからまた、臨調の問題はさらに今後の問題として考えたい、かように考えております。
  66. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ただ、問題は、先ほども申し上げましたように、この内容というのがまだきわめて不明の点がございますし、特に第二期以降の計画とそれから衛星とのかかわり、そういう問題とあわせまして、十分時間をとってやるべきであると思います。  したがって、行政改革とそれからこの中身については、大規模といえどもそれが求められる、あるいはまた、国民とのコンセンサスなり、すべての皆さんがこのことを認め要求するということになれば、これはもう当然、行政改革とのかかわりの中で言えばいま言われるとおりでありますけれども、ただ、問題は、この計画というものの中で、これから十分な対策を立てていかなくてはならぬ面が余りにも多過ぎるということになってまいりますと、十分私たちが皆さんを納得させ得る体制、そうした時間的なものを持ちながらこの点を進捗させる方が大事ではないだろうかということを私は考えております。したがって、この点もう一度十分お考えになっていただきたいと思います。  残る問題については、後で郵政大臣が参りました際にさらに質問を重ねてまいりたいと思います。  以上です。
  67. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 午後一時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  68. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有島重武君。
  69. 有島重武

    有島委員 放送大学学園法案並びに社会党より提出されました放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案を一括提案されたわけでございます。放送大学学園法、内閣提出法案につきましてはいままでずいぶん長い時間をかけて審査をしてまいりましたし、一応の審議も終わったわけでございます。しかし、この法案は未知数の部分が大変多くございまして、幾ら論じ合ってもいろいろな問題は残ろうかと思います。  そこで最初に文部省の方にもう一遍確認だけしておきたいのですけれども、放送大学は生涯教育の中核的な機関である、こういうような定義づけ、これは社会党さんの方の案もこういった点では一致していくのではないかと思うわけですけれども、生涯教育ということについて私たちはこんなふうに思っているわけだ。  大臣に一番最初に伺いますよ。生涯教育という言葉がことさらに出てくるのは、いままで教育というと限られた時間といいますか、いわゆる学齢といいますか、大体六歳から二十数歳まで、そういった人生の限られたある時間、それから教育するところは限られた空間的な限定の中で教育が行われているように使われてきた。教育基本法でも言っておりますように、あらゆる場所あらゆる機会に教育が行われるのであるというようなところから、もう一遍いまの教育制度を見直さなければならないという反省のもとにいま生涯教育ということが言われるようになった。  そこで何よりもこの生涯教育ということについては本人の意欲ということ、これが第一番でしょうね。それからその本人の意欲を支えていくというのは、自分が学習していくその成果を社会的にも評価してくれるということがやはり必要でございましょうね。  具体的に申せば、官公庁なんかにおいても高校卒の方が採用されておった、それが後にいろいろな手段のもとに学習を積み重ねて資格を得られた、そこに当然給与がアップされていく、あるいは短大卒業の方々も大学卒業の資格を得る、あるいは大学卒業の方々がその上のいろいろな資格をお取りになるということに対して、経済的にもこれを何か実績を裏づけていかれるようなことが当然並行して考えられなければならないでしょうな。そういうことまでいま考え出しておられるのかどうか。現にそういったこともやっている例もあろうかと思いますけれども、そういった点が一つですね。  それからもう一つ、生涯というのは時間的な問題でございますから、大学、高等教育機関というようなことになりますと、特に単位を長期にわたって累積してこれを加算してもらうというようなことが制度としてはっきりしていなければならぬじゃないかとか、それからもう一つ、空間的にもいわゆる単位の互換ということがもっとスムーズにいかなければならないんじゃないか、こういったような要件が生涯教育にはぜひとも必要なのではないか、そういうふうに私は考えるわけだけれども、大臣の御所見を最初に承っておきたい。
  70. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  従来のような学校教育というだけではなく、今日のような非常に高度に発達いたしました社会におきまして、同時にまたいろいろな環境の変化、価値観の複雑化というようなことから、やはり家庭におきましても、あるいはまた学校を卒業してからも、さらに学ぼうという方々も非常に多いという点で、そういうふうなニーズにこたえるという意味でございますが、ただいま有島先生が言われましたように、まずその前提には学ぶ心というものとそれからまた学び得る環境というものとまた学ぼうとする人に対しましての前提となるいろいろの修学の材料、そういうふうなもの、心とそれから環境、学ぶ素材、これを提供するということが最も重要なことだろう。それはまた単なる学校教育だけではなく、あるいは家庭における婦人の方々の教養のためにも、あるいは社会に出られた方がさらにもっともっと勉強したいという意欲に対しましても十分にこたえ得るだけの近代的な教育、これが一つの大きな理想でなければならない、かように私は考えております。
  71. 有島重武

    有島委員 そうした理想に向かって一歩踏み出す、その具体的な措置として放送を一つの手段として用いる通信大学というようなことを構想してそれを出発させよう、そういうところに来ておるんだろうと思うのですね。  そこで大学局長にもうちょっと具体的にお答えいただきたいんだけれども、単位の累積加算ということについていろいろといままでも機会あるごとに発言をしてまいりました。これはどういうふうに進んでいるか、その進捗状況を御報告いただきたい。
  72. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 単位の累積加算についてのお尋ねでございまして、従来一般といいますか既存の大学におきましても単位の互換でございますとかそういう形については積極的に進めるように弾力化ということを図ってまいってきております。  既存の大学におきます学生の修得単位の取り扱いの問題については、これは国立大学協会等とも御相談をしながら、新たに大学の一年生に入学した学生ですでに修得している単位の取り扱いについてどうするかということについては、もうすでに五十四年でございますけれども、各大学に通知を出しまして、その取り扱いを、たとえば大学を卒業または中途退学して新たに大学の一年に入学した場合の既修得単位の取り扱いということで、教育上有益と認めるときには入学した大学において修得したものとして認定することができるというような扱いはすでに行われているわけでございます。  先生お尋ねの点は、累積加算ということで特に放送大学の場合などが想定をされているかと思うわけでございますけれども、四年で卒業するということ自身はなかなか実際問題としていろいろとむずかしい問題点がある、そういう際に、たとえば五年なり十年なり前に修得した単位も含めて、それらを加算して大学卒業単位の認定をするという事柄についてのお尋ねではないかと思うわけでございますけれども、放送大学なら放送大学ということで想定して申し上げますと、放送大学で単位を幾つか修得をして、さらにその後特に単位の修得について具体的にいろいろな事情でそれが中断をされていた。その後また再び大学で勉強するだけの時間的な余裕ができて、放送大学で再び入学手続をとって入って前の単位と合わせて卒業要件として考えていくという問題でございますれば、私はそういう累積加算という考え方はこの放送大学においてはもちろん積極的に考えるべき事柄でございますし、これは大学自体でそのことをお決めになればできる事柄、かように考えております。  累積加算と言われます際に、たとえば大学以外のところで修得した単位を大学での勉学の一つに認めるかどうかという問題になりますと、これはその点は設置審議会の基準分科会でございますとかそういうところで御検討は願わなければならぬ課題でございますけれども、その点は相当大学制度の一般論にかかわる問題がございますので、そういう審議会等においてなお十分御検討いただかなければならない課題ではないかと思います。  同じ大学におきまして前に修得した単位を後に、途中中断をして、勉学する際に単位として加算をしていくという考え方については、放送大学なら放送大学というところで考えますればその点は大学がお決めになればできる事柄であり、かつこの放送大学の本来の趣旨からいたしましても、家庭婦人等いろいろな方々が勉学する機会として途中相当期間中断をしてまた単位を取るということも十分考えられる事柄でございますから、そういう事柄については放送大学については積極的に取り上げてやっていくべき事柄ではないか、かように考えております。
  73. 有島重武

    有島委員 この点につきまして、大学設置基準ないしは学校教育法を一部やはり改正していくというようなことも将来行われなければならないのではないかと思うわけです。けれども、あれですか、当分の間というのかな、この放送大学学園が設置しようとしておる大学、あるいは社会党さんの案もございますけれども、この大学は社会党案ならばこれは普通の大学ですから、設置基準ないしはいまの学校教育法ががっちりと適用されるわけだけれども、新しくつくられるというかいま内閣の方の考えておられるいわゆる大学、これは設置基準やなんかということとどういうふうにかかわってくるのか。これはぴったりと乗っかっていくのか、やや違うことになるのか、この辺はどうなんですか。
  74. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 あるいは御質問の趣旨を私正確につかまえていないのかもしれませんけれども、政府で御提案申し上げております放送大学学園の放送大学についてはもちろん正規の大学でございますし、学校教育法の改正もこの附則でお願いをしておるわけでございます。それで大学通信教育についての基準ということについては、卒業の要件等についてたとえば三十単位以上が面接授業により修得すべきものでございますけれども、放送授業をあわせ行うとする場合には、面接授業により修得すべき単位のうち十単位までは放送授業により修得することができるというような形で、基準についてももちろん放送大学にかかわる部分について具体的に検討をするという――まあ検討そのものはすでに審議会内部においても行われてきているわけでございます。  そして単位の点についての御説明で申し上げれば先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、放送大学なら放送大学自体の単位として修得し、途中中断をしてまた勉学するという際にそれを両者合わせて卒業単位と考えられることはもちろんその大学自身がお決めになることでございますが、当然にそういうことは大学でそういうお取り扱いを決めればできることであり、かつ放送大学の本来の使命からしてもそうすべきものではないか、かように考えているわけでございます。
  75. 有島重武

    有島委員 大臣、こういうことなんですよ。生涯教育ということの立場でもっていまの制度ないしは法制をもう一遍見直すと、手直ししなければならない部分が出てくるかもしれないなということです。これは今後も御研究をいただきたいのです。  放送大学というけれども、たとえばほかの大学でもってすでに幾つかの単位を取って中退をしておった人が、放送大学によって単位を幾つか取る、そういったものの累積加算ということです。単位の互換といいますか累積加算といいますか、そういったことも起こるであろうし、今後は国民の要請に従ってということになりますと、短大ということも起こってこようかと思うのです。あるいはこの放送大学に籍を置いて勉学しておる者が地域的に近いところのいろいろな高等教育機関において勉学をしていること、これもひとつ評価の中に入れてもらえまいかというようなことも起こってくるかと思うのです。そういったようなことは将来の検討課題として残しておいてもらいたいわけなんです。  どうですか、大臣。積極的に検討してもらいたい。
  76. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいまお話しのようないろいろなケースが出てくるであろうと存じます。これは十分に検討に値する問題でもありますし、また単位の互換とかなんとかというふうな問題やら今後そういうふうな問題につきましては十分に配慮してまいりたい、かように考えております。
  77. 有島重武

    有島委員 それでは社会党提案の法律案について伺うことにいたします。  まず、いま文部省と生涯教育について少し問答したわけですけれども、社会党で考えていらっしゃる大学、これも趣旨としてはやはり生涯教育ということをかなり強く意識されておられるのかどうか、この辺はどうなんですか。一番最初にこれだけ伺っておきたいと思います。
  78. 嶋崎譲

    嶋崎議員 お答えいたします。  有島委員の御提言と同じように私たちも生涯教育というよりも生涯学習権という問題をどのように教育制度の中で具体化するか、これが今日の大変重要な問題だと考えております。したがいまして、いつでもどこでもだれでも教育を受けられるそのような制度を今日つくり出すことが、日本の教育にとって重要な改革のポイントだと考えております。わが党が湯山委員以下三名で提出をいたしましたこの法律案の提案理由でも御説明申し上げましたように、そのような生涯学習権という観点から放送大学というものを位置づけていくという考え方で御提案を申し上げているわけでございます。
  79. 有島重武

    有島委員 わかりました。  そこでこの法律案の一番の特徴と思われるところ、先日も提案理由の御説明をいただいたわけでございますけれども、設置形態につきましてお聞きします。  多分昭和五十三年ごろであったか、お答えいただいておる嶋崎委員が小委員長となっておられました放送教育小委員会におきましていろいろな調査を行った。そこで設置主体としては現行の放送法制上の制約にかんがみて特殊法人の方式によらざるを得ないというような一応の一これは小委員会が本委員会に報告をしてそこで承認をしたものですから一応ではない。そこで一致をした。そうした経過があったわけでございますね。  このたびの社会党の方式は異なった方式でもって出てきたわけでございますけれども、ここら辺の御真意といいますか理由を御説明いただきたい。
  80. 嶋崎譲

    嶋崎議員 お答え申し上げます。  過ぐる八十六国会におきまして衆議院文教委員会の放送教育に関する小委員会でもっていま有島委員が御発言になりましたような趣旨の決議を行っております。その決議を改めて今度は違う設置形態でもって提案をいたした理由でございますが、放送を利用する大学が国民の要請にこたえるためには、先日の委員会で提案理由を申し上げましたように四つの課題にこたえる必要があると考えます。  第一は、学問の自由、大学の自治が保障され、国から独立が確保されているということ。学問の自由と大学の自治が一つ。  第二は、放送の本質、公共性にかんがみて実質上の国営放送になってはならないということ。  第三には、学問の自由、大学の自治と放送法制上の公共公平の原則とを調整する必要があるということ。  そして第四には、全国的に教育の機会均等を保障する、そのようなものとして始めなければならない。  この四つが、放送を利用するこの大学を設立するに当たりまして重要な要件だと考えるわけであります。  かつて文教委員会内部の小委員会において不肖私が委員長を務めまして御決議をいただいた内容を振り返ってまいりますと、ここには設置形態に基づく大学のあり方についても幾つかの条件を付して小委員会報告を提出いたしたわけであります。特に設置形態の問題でいきますと、小委員会の決議の特殊法人方式の部会は次のように述べております。「この特殊法人方式をとる場合には、特殊法人の組織及び大学の管理運営のあり方について、大学の自治が尊重されるよう事前に十分な措置を講ずることが必要であります。」と提案をいたしたわけであります。  今日まで幾たびか本委員会討論をしてまいりまして、政府案について、特殊法人方式をとる場合の大前提に十分な措置を講ずることという点が当委員会のすべての委員から問題にされましたが、まだその大学自治や学問の自由のあり方について多くの疑問が提出をされております。その意味で、第一の前提である学問の自由、大学の自治の保障が不十分だという点から、それを国立大学という形でいけばまず保障できるということを考えたわけであります。  この小委員会報告でもう一つ重要なことは、設置形態が特殊法人の場合だけを述べているのではなくて、その後に「なお、設置形態については、以上のほか、イギリスのオープン・ユニバーシティーのように大学と放送局を分離する方法もあります」、この形態もあると提案をいたしておりますが、もし大学と放送局とを一体のものとして考えるという放送大学であれば、現行放送法制体制のもとでは特殊法人という形態しかないと言っているわけであります。したがいまして、大学と放送局を分離するという形でのイギリスのオープンユニバーシティーの方式をとるということになればその形態も可能であることを、すでに小委員会決議で述べているわけでございます。  そういう意味におきまして、当委員会で幾たびか議論をされてきた諸過程におきまして、大学における学問の自由の問題と放送法制上の国営放送をチェックするという考え方などについてまだ多くの疑義が残っている段階で、政府案を修正される意図や見通しが立たないまま今日に至っておりますので、改めてこの原則に合致した設置形態として大学と放送局を分離するオープンユニバーシティーの方式を採用するように提案いたした次第でございます。
  81. 有島重武

    有島委員 大学について大変本質的な一番問題になってきた問題、それがまさにいまの嶋崎さんからお話がございました学問の自由それから放送法、この二つの折り合いの問題であったわけです。  そこで、私はこのように思っているわけなんです。ここで設置する大学というのは、いわば大学の共同利用機関というような意味合いの方が強い。これが一つの独立した大学として、これによって卒業生がたくさん出てぐる、この大学だけで卒業する人がたくさん出てくるというようなことは余り期待すべきではないのじゃないかというふうに私は思っているわけなんです。  それからもう一つは、通信大学ということでございますから放送のほかに文書の手段もある。それから、通信大学といっても、通信で行われる部分というものは一部分であって、その大部分はやはり対面といいますかスクーリングということが非常に重要な問題であるということで、放送電波による部分というのは現実問題としては分量としても大変少ないのじゃないのか、そういうことも思うわけです。そこら辺の御認識はどんなふうに社会党さんの方ではされておられたのか。  こういった言い方はいいかどうかわからない。もし放送の公共性という問題と学問の自由というようなことがぶつかり合うような事態が起こったときには、私はそれは放送電波の公共性の原則の方を優先させるべきであるというふうに思うのです。どうしてかというと、大学としてこのことだけでは言いたいんだということでもし放送法に抵触するようなことは、他の手段でも十分できるわけですから、放送の公共性に抵触しない、と言うと何か非常に消極的な言い方になりますけれども、放送にふさわしい分野をどんどん開拓していくというようなことを十分使い分けることができるのじゃないかというふうに私は初めから思っていたわけです。  そこで社会党さんの御提案の放送大学の学問の自由と放送の公共性、このことについてのお考えになり方、ここでも大体この法案に盛られて出ているところでございますけれども、私どもこんなふうな考え方からこれを見ておるということをここで申し上げるわけです。それについて社会党さんの方でもしそんな見方をされては困るのだということがおありになれば言っておいていただきたい。
  82. 嶋崎譲

    嶋崎議員 お答えいたします。  有島委員の御質問は二点かと思います。  第一点の方は、放送を教育として利用する場合のメディアの使い方が教育の中でどういう位置を占めているかという点に関係していると思います。放送を利用する大学のこの放送は、教育の幾つかの手段の中のワン・オブ・ゼムでございまして、印刷教材並びに演習、実習、いわば多くの教育の諸課程の中の一つとしてメディアの位置づけをすべきだと考えております。  そういう意味におきまして、今日の通信技術の発展やマスコミュニケーションの発展の中で世界の各国が教育の手段としてこの放送というものを利用しているという点を積極的に入れるけれども、教育の基本はそう考えておかなければなるまいと考えております。  問題の放送大学における大学の学問の自由という問題と公共性との関連でございますが、放送大学は放送等の媒体を使用して教育を行うという点では通常の大学とは異なっております。学校教育法上の大学でありますから、大学教育に必要な教育課程を編成する機能を持っていることは言うまでもありません。放送大学における教育に必要な放送はNHKが行うことができると私たちは考えたわけでありますが、その際に、この必要な放送をNHKが行うこととしているから、その規定との関係で国立学校設置法第三条の四として、放送大学の編成した教育課程に準拠して放送番組が編集されるべき旨を定めたわけでございます。したがいまして、有島委員のおっしゃるように公共性というNHKの媒体を使っての教育でありますけれども、放送大学は学校教育法上の大学であって、その内容をNHKを通じて放送するわけでありますから、両者の間のいわば調整という問題を考えながらも、大学における教育課程に準拠して放送されるという相互の関連で調整は可能であると考えたわけでございます。
  83. 有島重武

    有島委員 大体わかります。私どもも実はずいぶん前、十年ほど前だったと思うのですが、やはりNHK方式ということをずっと考えてきたわけなんです。そういった点はわかりますけれども、嶋崎先生あれですか、この大学だけで卒業する学生さんが相当多い、その方が主力であるというふうにお考えになっていらっしゃるのか。まあ私どもは、さっき申し上げたようにこの大学だけで卒業する方々というのはそれほど多くはない、それが主力ではない、他のいろいろな機関で勉学、学習、研究をしておった方々がなお継ぎ足しをする、単位の互換をする、あるいは累積をしていくということがこの放送のメディアを使うことの一番効率のよいといいますか主な使い方になるであろうというふうに思っているわけだけれども、その辺はどうですか。
  84. 嶋崎譲

    嶋崎議員 有島委員の御意見のように高等教育の機会というのは国公私立大学、高等教育機関が現実にあるわけでございます。また、通信教育などの高等教育を受ける機会もあるわけであります。そういう中で、放送を媒体とするこの高等教育というものを設ける趣旨は、そういう一連のいままでの学校教育制度の中で教育を受けようと考えながらも受ける条件が整わない、ないしはそういう諸条件が十分でない多くの国民の中の生涯学習にこたえるという観点で、高等教育機関として位置づけていけばよいのではないかと考えております。
  85. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、この大学プロパーの卒業生というものがやはり主力であるというようなお考えなのですか。
  86. 嶋崎譲

    嶋崎議員 主力という意味ではありませんが、この放送大学は教養学部を中心として設置された学部を持つ大学でございますし、生涯学習一つまりいつでもどこでもだれでも教育が受けられる権利をこの高等教育機関を通じて実現をしていこうという考え方でありますから、現在ある現行の高等教育の制度で十分に高等教育が受けられる人たち以外に広範な国民の生涯学習の権利を具体化できるような条件を準備するという意味で、この学部の内容はすでに文部省を中心にいたしましてずいぶんいろいろな角度からの調査研究が行われてまいりまして、その国民の生涯学習の要望にこたえた学部のあり方、学科のあり方などについて検討されておりますから、そういう学部・学科目を見て生涯学習という観点から放送大学を選ぶかどうかは、生涯学習の立場から見て国民の皆さんが御判断をいただくということになろうと思います。
  87. 有島重武

    有島委員 次にいきます。  内閣提出の方の法律でございますと、放送大学は広く大学関係者の協力を得てということが一番最初に解説なんかに出てくるわけですね。確かにこれは午前中の質疑の中でも文部当局のお答えの中で、この試みが成功するかしないかは、ここによい、ふさわしい教員を集めることができるか、その次はいろいろな高等教育機関、現在ある日本の中の高等教育機関あるいは世界じゅうの高等教育機関と言ってもよろしいでしょう、そういったところからの協力がスムーズに得られるかどうか、このことがかぎになると言っておりましたね。私もそれは同感でございます。  それで、社会党案のは国立大学ということにするわけでございますね。これは従来、日本の風習みたいなものであるかもしれないけれども、国立と言ってしまうと、どうも公立だとか私立だとかの相互乗り入れといいますか、相互に単位を交換するということはもとより、どこか私立の学校で二年までやって、その後を国立に乗りかえるというようなそういうことはなかなかやりにくい状況になっておりますね。そういった状況の中で、この社会党案のようにすることがかえって国公私立大学関係者の協力を求めたりあるいは意見を求めたりすることがやりにくい状況をつくるんじゃないだろうかと懸念されるわけでございますけれども、このようなことについてはどのように考えていらっしゃいますか。
  88. 嶋崎譲

    嶋崎議員 いま有島委員の御提案のとおり、放送大学は私たちの提案も一種のオープンユニバーシティーのような考え方でありますから公開大学でございます。放送大学というよりもむしろ公開大学という方が、この大学が国民のための大学というにふさわしいと思います。国民のための大学だということになれば、国立で出発しても、国立の放送大学は公開という意味で国公私立関係の大学の協力がぜひ必要になることは言うまでもないと思います。したがいまして、この大学が将来どのような形で国公私立大学の協力を得るかは、この大学を発足させる大学の設立準備委員会並びにその後できる大学の管理機関などで御審議をいただき、方向を決めていくものだと考えております。現行制度のもとでも共同利用研究所などの評議員制度などは国公私立を含めて多くの意見を聞きながら運営をしていくという、そういうモデルはないわけではないと思います。そういう意味におきまして、有島委員のおっしゃられましたような、共同利用研究所などの経験に学びつつ国公私立大学などの協力を得るようなそういう仕組みを今後大学で御検討いただければよいのではないかと考えます。  もう一つは、いままでの政府案でいきますと、地方の大学の協力ということが大前提になっております。しかし全国の、たとえば国立大学の教養部ないし教養学部でこのような開かれた、いわば国民の大学と言われる公開大学について議論が行われている様子もなければ真っ正面に協力する体制すらないのが現状でございます。したがって最近アメリカでできてまいりましたような放送大学は、たとえば連合大学という幾つかの大学の連合の上に放送大学というものを構想する考え方などもありますように、全国の国立大学の少なくとも教養学部を支えるような学部がどのように横断的に連合しつつ協力するかというようなことなども、国大協その他で十分に議論をしていただく機会をつくりつつ、いま申し上げた方向で国民のための大学の運営に努力をいただければ幸いだと考えているわけでございます。
  89. 有島重武

    有島委員 文部省の方にちょっと聞いておきますけれども、閣法によりますと、こういった点は国立でも私立でも公立でもない大学でございますね、そうすると国大協にいっても相手にされないし、私大連にいってもよそ者である、非常に孤立をする、こういうことになりますか。いかがですか。
  90. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘のように特殊法人の放送大学学園が設置する大学という形で、その点はこの学園法案の附則で関係の学校教育法等の改正もお願いをしているわけでございます。従来からもこの放送大学についての構想については国立大学協会その他それぞれ大学の関係者、もちろん私立大学の関係者、特に私立の通信教育の関係者などにも考え方についても十分御説明をしてまいってきておるわけでございます。  お尋ねは、この大学がいまある既存の大学のどういう団体に所属することになるのかという具体的なお尋ねであったかと思うわけでございまして、その点はそれぞれこの大学ができましてから御相談になることでございますけれども、私どもやはり全体の、たとえば国立大学協会等においてもこの大学が加盟メンバーとなるかどうかその辺はこれからの御相談でございますが、当然に国立大学協会等とも密接に連絡をとり、先ほども御説明したわけでございますが、教官、組織その他についても御協力も得ながらやっていかなければならぬという立場もございますし、当然そういう団体と密接な連絡をとれるような形で進めていくもの、かように考えております。
  91. 有島重武

    有島委員 いまの大学局長のお答えでは、最後のお話だとやはり国大協に一番近いみたいです。その辺にまた、オブザーバーぐらいに入れてもらおうという感じでしたな。  それで社会党案の方、この大学はほかの国大協のメンバーとは違いまして、全国にスクーリングの場所を持つわけですね。それと既存の国立大学との関連みたいなことも何かお考えになっていらっしゃるわけでしょうか。
  92. 嶋崎譲

    嶋崎議員 先ほど申し上げましたように、私どもの案は、国立大学として出発をするわけでありますが、言うまでもなく開かれた国民の大学でございますから国が責任を持って教育関係諸団体、国公私立大学などを含めて設立当初から御意見を賜り、こういう大学のあり方などについて検討をしていただくように今後とも放送大学自身がお決めになることだと思います。しかしやはり国立大学として出発すれば、全国の国立大学の連合ないしは共同利用的なものが軸になっていて、そしてそれを通じてその他の公立私立大学などにも協力を呼びかけつつ国民のものにしていかなければならぬという、全国的な下からのバックアップという、下からの民主制という側面を追求しなければならぬと思います。  同時に中央の放送大学は、共同利用研究機関が今日やっているように、私立大学、公立大学などを含めて今日まで放送教育などに経験があり、いわば教育工学的放送を取り扱うような、そういう一連の経験者なども広く人材を開放して、一種の共同利用的な観点から中央では門戸を開放していかなければならないものではなかろうかと考えております。
  93. 有島重武

    有島委員 時間が参りましたから、最後にNHKの問題でもって少し承りたい。  NHKが放送を担当する、こういうことになれば、私どもがその当時考えておりましたときには大体いまの設備でもっていいんじゃないかという、それに多少のプラスをすればいいんではないか、これは十年前に考えておったことでございますから、そんなふうに思っていた。ところがこうやって政府の法案も出ておる。ここで詰めてまいりますと、NHKにやってもらったとしても、やはり政府案と同じくらいの経費はかかってくるのではないだろうかということですね。  それからもう一つは、NHKにいままでなかったような国費を投入するということも起こってくるわけですね。  それから民放と対比してNHKの力といいますか権限といいますか、そこに大変力が集中されてくるといったことが起こってくるんじゃないだろうか。  もう一つ、これは技術的な問題でありますけれども、授業料とそれから一般の受信料、こういったものの関係は一体どうなってくるのだろうか。もちろん国立大学は公共的なものだとはいえどもやはり授業料を取って、経営と言ってはおかしいけれども、やっているわけですね。独立採算制の姿をとっているわけです。NHKの存在そのものが公共的なものというふうになっているわけであります。だから民放と違うところですけれども。  そういったような関係は一体どうなるのだろうか、この辺について御説明をいただきたい。
  94. 湯山勇

    湯山議員 基本的な問題を含めた御指摘であったと思いますが、簡単なものから申し上げますと、受信料というのはNHKのみが取るたてまえでございまして、これは現在取っておるのをNHKが取っていく。それから授業料につきましては、われわれも政府と同じように私学の通信教育と同程度の授業料というものは取る。ただ、それは国立学校として取っておりますから国のお金になります。それについては、NHKに対して国がその費用を負担するということが一体可能かどうかということもありまして、調べてみますと、NHKにおきましては現に国際放送の場合に費用は国が負担するということになっておりますから、授業料として国が徴収した金は、それへプラスもありますけれども、NHKへそれを費用として支払うということは現行法においても国際放送で認められているというので、そういう操作を行っていくという構想でございます。  それからNHKと国立学校との放送の関係ですが、この調整をどうするかという問題は非常に大きな問題でございまして、一体どういう方法で大学教育をNHKの電波に乗せるか、そのことについては、国際放送には放送の地域、それから放送の事項について郵政大臣が命令することができる規定がございます。しかし、教育放送にそういう郵政大臣の命令というようなものを取り入れることは望ましいことではないということからいろいろ調べてみますと、放送法の第三条におきまして、放送内容について自由を確保しなければならないけれども、法によって規制することは可能であるということがちゃんとうたわれております。  そこで、われわれが出しました法案にありますように、三条の四として放送大学の編成した教育課程に準拠して番組を編成するという条項を入れまして、第三条に許された法律による規制をここでやっていくということにすれば放送法との矛盾もこの点ではなくなる。つまり大学のそれと番組との関係、これには若干の問題がありますけれども、幸い放送法の四十四条の五項を見ますと、これまたまことに好都合なことには、教育放送につきましてこういう項目がございます。前の方がありまして、教育放送について、「当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。」こういう規定が現行法にもあるわけでございまして、これに準拠してNHKが通信教育でもって高校をやっておる。それの経験を聞いてみますと、その間にほとんど矛盾は起こらないということも確かめてまいりましたし、あるいはまた民放を利用しておる例としては、望星というのですか、高校がございまして、これはFM東京を使っております。これらについて見ましても、放送法によるこのような、法令の定める教育課程の基準に準拠するようにという条項に適するように放送もしなければならないという関係があって、ここでも何の支障もなく行われている。しかし、片や大学でございますし、いまのように番組審議会は持たないということになっておれば若干の調整機能というものは、事実使う使わないにかかわらず必要じゃないかということから、われわれの法律ではそのことを準則で幾つかの項目を調整規定として定めてございますから、そうすると基本になる放送の自由を守る中での法律による制限というのは許されている、そしてまた教育放送においては教育課程に準拠したものをやらなければならないという現行法をここへ移してこういう形にとりましたから、おっしゃるような無理はないものというように私どもは信じております。  特にこの政府案の審議におきまして一番逓信関係の皆さんから指摘されたのは、民放とNHKという現在の放送の基本体系を崩すのではないか、これは当時郵政政務次官をしておった自民党の宮崎茂一氏からまで非常に強い御指摘がありました。だからこの点は何としても克服しなければならないということで取りかかってみますと、現行法にそういう規定がちゃんとあるのです。だから、そんなに無理をしたり大臣命令でやらなくても、この程度の規定で御懸念になるような点は解消するのじゃないかということがこのようにした理由でございます。
  95. 有島重武

    有島委員 御趣旨はほぼわかりました。大体定められた時間が来てしまいましたのでこの程度にいたしますけれども、社会党の出されましたこの法律案というものは非常にいろいろな示唆を多く含んでおるのじゃないかというふうに私は感じております。  どうもありがとうございました。
  96. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 三浦隆君。
  97. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 まず政府の方に御質問したいと思います。  今回の放送大学学園法案というふうなものは、旧憲法体制下では全く考えることのできなかった新しい発想の大学でございます。一般に新しいものが生まれ出ようとするときには陣痛を伴い、特に初めての場合には本人の戸惑いもあることでしょうし、だからこそ周辺のアドバイスといたわりの中で、また周辺の新しきものへの期待が込められて生まれ出るものだろうと思います。できるならば全員の祝福を受けたい、そうしたものだろうと考えております。しかしそのためには、新しく生まれ出る限りいろいろ未知なものがございますから、さまざまの予測できない欠陥も出てくるかと思います。そういう意味では、考えられる限りの欠陥は最小限度にとどめなければならないと思いますし、その限りにおいて反対者の意見というべきものには謙虚に耳を傾けていただきたい、このように思います。  そうした中で、この社会党対案もなかなかよく研究されてつくられております。このことに対しては心から敬意を表したいと思います。ただ、今回は特に行財政改革という厳しい中で、むしろきわめて例外的な発想の中で生まれ出ようとするものでありまして、個々に検討してみるならば、この厳しい行革の中で文部省だけに多くの予算を割くことが果たして新規に許されるのだろうか、あるいはなぜ特殊法人にしなければならなかったのだろうか、あるいはなぜ文部省あるいは文部大臣の権限というものがかなり強められなければならなかったのだろうか、あるいはまた放送の利用の仕方その他に対しても、どこまで新大学が放送大学という放送利用に値するものなのだろうか、あるいは具体的な教育課程の問題等まだまだいろいろ検討しなければならないものがあろうかと思います。  しかし、にもかかわらずこれに賛意を表しましたのは、文部省当局で出された「放送大学について」の「放送大学設立の目的」に、「生涯教育機関として、広く社会人や家庭婦人に、大学教育の機会を提供すること。新しい高等教育システムとして、今後の高等学校卒業者に対し、柔軟かつ流動的な大学進学の機会を保障すること。広く大学関係者の協力を結集する教育機関として、既存の大学との連携協力を深め、最新の研究成果と教育技術を活用した新時代の大学教育を行うとともに、単位互換の推進、教員交流の促進、放送教材活用の普及等により、我が国大学教育の改善に資すること。」とございますが、こうした問題をきわめて善意にとらえまして、いろいろと問題はございますけれども、とにかくこれは旧憲法体制ではない現在の新しい憲法体制の中で善意のもとに新しく生まれ出たのであるという認識のもとに、わが党は賛成したのでございます。しかし、社会党案にも見られますように、あるいは各党諸先生方の質問にも見られますようにいろいろ懸念される点もございまして、そこに衆議院の採決の後の附帯決議が出され、また今回、参議院の場合におきましても附帯決議がなされていようかと存じます。  そこで、ここでは再々度の確認という意味をもちまして二、三政府にお尋ねいたしたいと考えております。  まず第一点には、役員の人事あるいは教員の人事あるいはその運営等におきまして、大学の自治の本旨にのっとるという趣旨を踏まえられてほしい、少なくともこうしたことを無視された一方的な文部省の権力介入はないとは信じますけれども、その点、改めて御確認の答弁をいただきたいと思います。
  98. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  三浦先生の御質問にありましたことは、今回の審議の過程におきまして同様のいろいろな御質問がございまして、そのたびごとにお答え申し上げておりますが、御懸念になりまするような大学の運営あるいは管理という問題につきましては十分に配意いたしまするとともに、かようなことがあくまでもないように大学の自治、自由という問題と放送の自由という問題は踏まえまして、またできました大学の管理におきましてもあくまでも民主的な運営をいたしたい、かようにお約束するものでございます。
  99. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次には、新しい大学が開かれた大学として門戸を開き、国公私立大学等にも広く共同利用の道が開かれる、あるいは私立大学通信教育との連携、協力が開かれるように、さらにまた教育の機会均等の確保ということで、とかく教育が東京等が中心になろうとするときに僻地教育を踏まえた全国各地の人々にもこうした機会が与えられますように、第一期としてたまたま東京近くあるいは千葉県にその大学がつくられるとしましても、公開講座等の実施をいたしましてできる限り門戸を開くようにしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  100. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 その件につきましては、最初のスタートは東京を中心といたしました関東一円から始めまするけれども、しかし国民の要望、ニーズというものは各方面に相当大きな期待があるように存じます。ただいまの御質問の今後の諸計画等につきましては、御要望に従いまして担当の政府委員からさらに詳細お答えいたします。
  101. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 大臣からお答えしたとおりでございますが、御趣旨のような点は参議院のこの法案に対する附帯決議でも述べられておりまして、私どもとしてもその趣旨を尊重して対応してまいりたい一かように考えております。
  102. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次には、教育課程の編成あるいはまた学園の放送教材作成というふうなときにも広く多くの人々の意見を聞いてほしい、このように思いますし、また教員についてのすぐれた人材の確保あるいは学ぶ学生にとっての学習条件の整備、さらに働く人々あるいは家庭の主婦、高齢者の人々、さらにもっと大きく門戸を広げまして海外より帰国する日本人子弟あるいは外国人留学生というふうなものも踏まえて、本当に幅広く多くの人々の意見を聞き、これが運営されるように願いたいものと思います。  これについて大臣のお答えをお聞きしたいと思います。
  103. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御要望がございましたとおりでございまして、われわれはそれを踏まえまして今後十分研究もし、配慮してまいりたいと考えます。
  104. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 新しく生まれ出るものですから、たまたま初めてこの大学づくりに携わった人々が多くの人々の御意見を聞きながらこれがよいのだということでそれを決めて実施いたしましても、実施する過程の中で新しい疑問にもあるいは矛盾にも再々出会われることだと思います。そのとき、もう決まったことだからということでいわゆる権威的に押しつけるのではなくて、弾力的柔軟に、なおかつよいと思って新しく始まったことが国会その他各界から批判を受けましたときには、それにも謙虚に耳を傾けられてすぐに改めていくといいましょうか、試行錯誤と申しましょうか、そうした柔軟な姿勢をとっていただくためにも、この新しい大学ができましてから一定の期間が終わりました後に教育の効果その他の見直し、反省ということも必要ではないか、このように思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  105. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 これが初めての試みでありますだけに、ただいま御指摘がございましたようにこの運営をいたします過程におきましても、さらに常に反省もし、常にそれをさらにりっぱなものに仕立てるというだけの十二分な配慮はいたしながら進んでいかなければならない、かように考えております。
  106. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、社会党嶋崎先生にお尋ねをいたしたいと思います。  今回の社会党提案、そして社会党のこれに対します問題点と題しましたものを拝見させていただきました。大変に各般にわたりましてよくお調べになったなということで本当に敬意を表したいと思います。何事も新しいものが生まれ出るときでございますから、それぞれの立場の相違はあれ、どうしたらばよりよいものが生まれてくるのかということについて本当にみんなでいろいろと検討しながら新しきよりよいものを生み出したいと考えております。  さて、この社会党案では、特殊法人ではなく国立大学あるいはNHKの利用というふうになっております。しかし、これは文部省案であれあるいは政府案であれ社会党案であれ、共通項はこの行革の流れの中にあってつくらないのではなくていずれにしろ設置する、つくるという方向性において同じだろうというふうに思います。とすれば、ここでなぜ特殊法人でなければならないのか、なぜ国立でなければならないのか、ここのときにどうして私学であってはいけなかったのだろうか、私にはそんな感じもいたします。  むしろ開かれた新しい大学は、東京なりあるいは各地方の主な私立大学、それがむしろ結集した形での、相互協力した形での一つの新しい私立大学、そうしたものの方が私学の独自性というものも踏まえながら、文部省とも一歩距離を置いた形での新しい大学、そうして文部省の目指すところの新時代に即応する教育というものにも、だれからも批判されないでつくり得る可能性もむしろあったのではないかと考えておりますが、この私立大学案についての御検討はなされたのでしょうか。
  107. 嶋崎譲

    嶋崎議員 お答えいたします。  すでに八十六国会衆議院文教委員会で、放送教育に関する小委員会の決議が文教委員会で行われました。この小委員会では設置形態についてあらゆる角度から検討をいたしてまいりました。その設置形態の一つとして国立大学方式というものがあることは言うまでもありません。ところが、国立大学がそれ自体ストレートに放送局を持つということになると、現行放送法制の体系のもとでの国営放送という姿を持つから、これは現行放送法制の中では無理であるというのが、国立大学について私たちが困難な問題があると提案をした一つの設置形態でございます。  第二番目は、いま三浦委員のお尋ねの私立大学の方式はどうかという点についても、あらゆる角度から検討いたしまして次のようなことを委員会決議で申し上げているわけであります。「私立大学方式で、学校法人が私立の放送大学を設置し、放送局を開設する場合であります。この場合には、放送大学の特殊性に基づく国の関与のあり方と私立大学の自主性との調和において困難な問題があります。」  きわめて簡潔に申し上げておりますが、つまり、今日の構想しておりますところの生涯学習というものを前提とした大学、開かれた大学でありますが、それだけに全国民に開放されるものでありますから、一定の計画性、一定の国民的な関与の仕方という全体の立場というものが一方に貫かれなければならない。他方で、私立大学ということになりますと、私立大学の持つ自主性という問題を現行の学校教育法制のもとでは尊重しなければならない。そうしますと、全体的ないわば国の関与のあり方という、表現は余りよくありませんが、全体的な考え方、国民の大学というふうに言ってもいいと思いますが、それと私立大学の持つ性格との間を調整するということは多くの問題点が現行法制のもとではある、こう判断をいたしまして、国立と私立大学の方式は困難な条件があるというふうに小委員会では報告をいたした次第でございます。
  108. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 私もその案は拝見いたしております。しかし、それは本来でしたならばそれほどの問題もなくできるんじゃなかろうかと思います。本当に許されるならばもう少し時間をいただいてより十分に検討してみたかったような気もいたします。  そこで最後に、質問ではなくてむしろお願いでございます。  いま政府――大臣並びに嶋崎議員からの御答弁をいただきました。文部省がよかれと思った趣旨、これに対してそれでは不安な点があるといった社会党を初めとする野党の意見などを踏まえまして、いわゆる悪意にとれば際限なく広がってまいります、私はこれをあくまでも善意にこの答弁どおり期待したいと思っております。  そこで、本日の大臣答弁を踏まえて、前回、昨年、五十五年十一月十二日に放送大学学園法案に対する附帯決議がすでに通っております。また、今回参議院文教委員会で五月二十八日付で放送大学学園法案に対する附帯決議というものが通っております。こうしたものを私としましては再度ここでも御確認いただいて、放送大学法そのものは大変抽象的でございますから、これが本当に生かされて生きるためにはこれから数々の施行令なり施行細則なり関連法規が必要とされると思います。この細かい関連法規をこれからつくりますときに、附帯決議に盛られますようなさまざまな注意事項をよく御勘案されてそうした法規がつくられますことを心から期待いたしまして、質問にかえたいと思います。
  109. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 私に対する答弁をお求めになりませんでしたが、先生の御要望に対しまして十分に留意いたしまして今後の善処をいたしたい、お約束いたします。
  110. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 御答弁どうもありがとうございました。
  111. 嶋崎譲

    嶋崎議員 いまの御意見に対しまして、すでに衆議院の段階における附帯並びに参議院における先般の附帯などを拝見させていただきまして、その附帯に盛られた精神は私たちが提案をしている法案の内容と多くの点において共通をいたしております。そういう意味におきまして附帯が実現されることを、附帯で危惧された問題が今後もろもろの施行規則その他で具体化されることを願うものでありますが、それにもかかわらず私たちが新たな代案を出しましたのは、そのような附帯決議が実際に実行されるかどうかを考える際に、設置形態が特殊法人という方式をとったがために大学の自治と学問の自由並びに現行放送法制上の公共性との間の対立、調和について多くの疑念が残っているために、附帯決議に盛られた精神を実現するためにはこの設置形態のすきっとした体制で実現させるべく代案を提出いたした次第でございます。
  112. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 ただいま嶋崎議員からの御発言もございましたように、これからの新しい大学でございます。そうした新しいものに対してどういうふうなものができるか、とにかく行財政改革の厳しい中でつくられる大学で、本当にモデルともなるべきものですから、これからもしばしば文教委員会で課題になると思います。そういう意味では大臣答弁というものが本当にそのとおり善意に行われますことを心から再度期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  113. 三ツ林弥太郎

  114. 栗田翠

    栗田委員 自民党提出法律案に対しましては山原委員が後でいろいろと細かく質問をいたしますので、私は多くは社会党提出法律案について伺いたいと思います。  最初に、先ほどからたびたび皆さんも質問なさっていらっしゃいますが、なぜ今度の社会党提出法律案では、この放送大学の形態を国立大学とそれから放送局と分離させたかということについて御質問がずいぶん出ております。ですから改めてこのことについては伺いませんけれども、ただ一つ、五十三年十二月の小委員会での嶋崎委員長の報告を拝見いたしますと、その当時は特殊法人大学に放送局を開設するということになっておりまして、それを採用された理由として、特殊法人大学として放送局を開設した場合には放送法制上の難点は解消される。そしてオープンユニバーシティ方式であると大学が放送の主体とならないことになる、こういうことを言っていらしたわけでございますね。私たちも放送大学の形態というのはいろいろな形が考えられるというふうに考えておりますから、今度の社会党案のような形もあり得ると思っているわけですけれども、以前このようにおっしゃいましたその難点について、今度こういう形で提案されました中でどのように解決していこうと考えていらっしゃるか、それを伺いたいと思います。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
  115. 嶋崎譲

    嶋崎議員 かつての放送教育小委員会に際しまして、共産党の山原さんも理事でお互いに討議した結果、当時私たちがこのような特殊法人方式の放送大学というものを最終的にはとらざるを得ないという趣旨のことを申し上げたのには、幾つかの前提条件がございました。  一つは、特殊法人の方式をとる場合に、特殊法人の組織及び大学の管理運営のあり方について大学自治が尊重されるよう事前に十分な措置を講ずること、これがまず大前提でございます。この大前提そのものが、いまの政府案では今日までの長い審議の過程で十分に解き明かされていないという判断に立ったことが一つであります。  またこの際には、大学と放送局を一体のものとした場合という前提で特殊法人方式は打ち出されております。しかし、大学と放送局を分離する場合というオープンユニバーシティーの方式もありますということを伏線として申し上げたのは、特殊法人方式で解決できない場合には分離する形態もあるという伏線でございます。ただ、大学と放送局を一体としてとらえるとすれば、現行放送法制並びに学校教育法の観点からすると特殊法人という形態をとらざるを得まいという意味の趣旨でございました。  それにおきまして、私たちの新しい法律の提案理由の中で申し上げましたように、生涯学習を前提とした開かれた国民の大学を構想するためには、第一に学問の自由、第二に放送の公共性、そして三番目には大学の自治と放送の公共性との調整、そして第四にはすべての国民に均等の機会を与える、この四つの原則で出発すべきだと考えるわけでございますが、残念ながら学問の自由に疑義があり、放送の公共性問題についての調整にも疑義があり、同時にまた、将来の計画について国民の機会均等の問題がネグられているずさんな計画の段階であるということなどにかがんがみて、今日国立大学を設置すればまず大学の自治、学問の自由の条件が確保される。国立大学として設置すれば全国の国立大学の協力を得る条件が整うし、それを軸にして学術会議やその他の機関並びに私立大学、通信教育などの諸機関にかかわっていらっしゃる方々の御意見を聞くための条件が整うと判断して、国立大学としたわけであります。  放送の方は、いままですでに高等教育について一定の経験といわば蓄積を持っているNHKが、現行放送法制の枠の中で放送大学と協議し、その調整が可能となれば直ちに全国的な方向に向かって放送大学が均等の機会を与えるための準備を計画的に立てることができると判断をいたしまして、今回は分離した形態のオープンユニバーシティーの方式で提案をさせていただいたわけでございます。
  116. 栗田翠

    栗田委員 いまの点で、分離した場合に大学が放送の主体とならないことになるのではないか、そういう点はいかがですか。
  117. 嶋崎譲

    嶋崎議員 大学は放送の主体とはなりません。大学は大学でカリキュラム編成権を軸にして方針を決め、それをNHKというメディアを通じて番組編集権を具現していくという調整の関係と考えております。
  118. 栗田翠

    栗田委員 放送大学が教育課程編成権を持った場合、そのNHKの持っている放送番組編集権を侵すことにはならないでしょうか。
  119. 嶋崎譲

    嶋崎議員 その関係はきわめてシリアスな問題を内包いたしております。現にイギリスのオープンユニバーシティーの場合にも、大学側が計画をした講義や番組についてBBCの側からこれにクレームをつけるという事態が起きることなどを通じまして、幾つかの問題が出ておるだけに、いま委員から御提案ありました問題は大変慎重に取り扱わなければならない重大な問題だと考えております。  しかし国民に開かれた放送大学を国立大学として出発して、その国立大学のカリキュラムの編成権は大学にあるという前提の上でも、メディアを使う教育、つまり放送を使う教育の場合には教授の行う講義を放送用に加工しなければならないということがございます。特に理科系の科目の講義などは表だとか図解だとかいろいろなものを使うことによって放送を利用するための特殊ないわば伝達方法というものがございますから、その限りにおいて番組編成権をわれわれの教学権の枠の中で相互に調整すれば、両方の価値の追求、大学の自治の問題と放送の公共性という二つの価値を調整し得るものと判断をいたしております。
  120. 栗田翠

    栗田委員 いまNHKを使って放送されるということをおっしゃいましたけれども、そうしますと、放送開始のときから全国ネットワークで放送するという構想ですか。
  121. 嶋崎譲

    嶋崎議員 いまのところUHFとFMの新しい一つの波を使うということで動き出すと思います。そうなりますと、NHKがその波のための設備投資を行えば全国的にNHKの現在のカバレージに関する限りは放送ができるわけでございます。  問題は、放送大学は単に放送は教育のワン・オブ・ゼムと先ほど申し上げましたように一つの手段でございますから、地方の学習センターやビデオセンターや多くのいわばスクーリングに必要な諸設備を具体化していかなければなりません。したがいまして、放送は全国に直ちに動き出すことになりますけれども、それを大学として具体化していくときには、計画的にたとえば北海道の方が先にやるとか、四国の方を先にやるなどを考えながら、その放送を支えるに必要な教育の体制について計画的な対応をしていかなければならないと判断をいたしております。
  122. 湯山勇

    湯山議員 ただいまの御指摘の点はまだ正直言って詰まっておりません。と申しますのは、NHK側の対応がどこまでどうできるかということが決まっておりません。ただしかし、一番最初に上がる放送衛星はNHKが上げるということははっきりしております。その場合に、予備衛星というのがありますから、それが使えるものか使えないものかという検討もまだ十分されておりません。もしそれが使えるということになれば、もうその段階から全体をカバーすることも不可能ではない。それからテレビの場合であればネットワークはかなりいまのままではむずかしいようですけれども、FMの場合であればまだ余裕がありますから、それらを使えばあるいは必要なところへ先に持っていくということもやれないことではない。  さらに、第二回目の放送衛星がどれだけチャンネルを持ってどれだけどうするというのはまだ全然決まっていないわけですが、しかし、これへもまた乗せられる可能性も持っておりまして、少なくとも政府の方で言っておる昭和七十二年、来世紀にかかるようなそんな悠長なものではない、われわれはNHKを使うことによってはるかにその時期を早められるということは申し上げられるかと思います。
  123. 栗田翠

    栗田委員 この法案を見ますと、放送大学を千葉県に置くというふうになっておりますが、私たちが政府提案の放送大学法でも心配をしますのは、画一的な放送になり、いわば全国的に教育が画一化されるという面があるのではないかということが大変心配されたわけでございます。  それで伺いたいのでございますが、行く行く放送大学を数個お持ちになるような計画は持っていらっしゃるのか、あるいは先ほど連合大学の構想をちらっとおっしゃいましたけれども、そういう形でその点をカバーなさるのか、その辺の構想はどんなふうでございましょうか。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 嶋崎譲

    嶋崎議員 当面、政府の法案で提起されておりますように、国立大学を発足させるとすれば現在の敷地、施設、建物、その他を考慮して、当面千葉県に置くとして出発をしたらどうかと考えております。しかし、今後数個の学部を置くかどうかというようなことは、放送教育の中身がそのローカル性並びに地域の文化、そういうものを踏まえつつ配慮していかなければならないことは言うまでもないことでございますので、今後の設立されます大学において幾つかの地域にそのようなものを配置するかどうかなどについては御検討をいただければと考えております。
  125. 栗田翠

    栗田委員 この法案では学部として教養部を置くことになっておりますが、イギリスのオープンユニバーシティーの例では六つの学部を持っております。人文、教育、数学、理学、社会科学、工学というふうにあるわけですけれども、将来学部をふやしていくというような構想はお持ちなのでしょうか。
  126. 湯山勇

    湯山議員 とりあえず教養学部ということになっておりますけれども、現在私立大学のやっておる通信教育にはもっとたくさんの学部があると思います。一般的に教養学部でスタートしますけれども、もちろん通信教育には制限がありまして、直ちに工学部までというのは無理かもしれませんけれども、だんだん体制が整っていけば、人文学部とか、そのほか大学で判断をし、それから国立学校設置法を改正することによっていろいろなこの放送によって対応できる学部は、むしろ生涯教育の観点から言ってもふやしていかなければならない、このように考えます。
  127. 栗田翠

    栗田委員 文部省が以前、昭和四十五年十月から十一月にかけて放送大学に関する世論調査をしていらっしゃいます。どんな分野を学びたいかということを調査なさった中で、家政学系が最も多く三二・八%、文学系が二二%、それから経済学系が二〇・六%、その次に教養学系が一七・九%、その次に外国語系一一・五と、こういう順序になっておりますけれども、その辺の考慮などは、今度の場合どうなっているのでしょうか。  また、さっき学部をふやしていくというお答えもございましたけれども、実態調査や要求調査、そういうものを基礎にしての学部増設の順序などはどう考えていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
  128. 湯山勇

    湯山議員 御指摘のとおりでございますが、われわれの考えといたしましては、教養学部というのはかなり法学部的な要素を持っているし、経済学部的な要素も持っているし、家政的まで入るかどうかわかりませんけれども、総合的な学部であると思います。そこで、スタートをして、そして体制が整えば、おっしゃるように、もちろん住民あるいは国民のニーズにこたえるような学部を優先的にふやしていく、これは当然のことだろうと思います。
  129. 栗田翠

    栗田委員 大学院の設置などは、将来考えていらっしゃいますか。
  130. 嶋崎譲

    嶋崎議員 現在の国立大学の場合をとってみましても、教養部のあり方を検討して幾つかの大学で教養学部ができていることは、栗田委員御承知のとおりだと思います。その教養学部の上に大学院が設置されていることも御承知のとおりでございます。こういういわば既存の大学にある教養学部並びに大学院の経験にかんがみて、国民に開かれた生涯学習としてのこの放送大学も、そのような意味の大学院に向けて将来進むべきものと考えております。
  131. 栗田翠

    栗田委員 学生の受け入れの問題でございますが、政府提出法案ですと、試験を行わずに先着順ということになっておりまして、そこがまた一つの討議の的になっていたわけでございますが、この社会党の提案の放送大学の場合はどういう形態をおとりになりますか。
  132. 嶋崎譲

    嶋崎議員 同じく抽せん、先着順に採用するという考え方を当面とろうと考えております。
  133. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、学生は、細かいことになりますが、どういう単位を取って、どういう卒業資格になるのかということはどうでしょうか。
  134. 嶋崎譲

    嶋崎議員 もうすでに教科の内容、卒業資格などについては、文部省を中心に放送大学創設準備に関する調査研究が長い間行われてまいりました。そこで出されているように、大学設置基準に従い、そして教養学士という観点で当面は出発してはどうかと考えております。
  135. 栗田翠

    栗田委員 次に地方センターについて伺いますが、地方センターの成否がこの放送大学の成否を握るものと思いますけれども、法案の中に地方センターを盛り込まれたのはどういう理由によるものでしょうか。
  136. 嶋崎譲

    嶋崎議員 すでに政府案について参考人その他の委員会審議を行ってまいりました。その際にも、オープンユニバーシティーなどの経験に学んで、全国の国公私立の大学、既存の大学の協力を得るということなくしては成功しないということから、法律事項として起こしたらどうかという参考人の御意見が多々ございました。そういう観点から、私たちはこれを法律事項として起こすことを考え、同時にまた、この地方センターには学習センター、ビデオセンターなど、いままで文部省が調査会を設置して教育の追求をやってきたものなどについては、それらを加味しつつ充実させた方向に進めたいという提案でございます。
  137. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、地方センターは各県にどのような規模で、どのくらい置くのか、また組織がどんなふうになるのかということを伺いたいと思います。
  138. 嶋崎譲

    嶋崎議員 すでに昭和五十年の段階で文部省の大学局が「放送大学の基本計画に関する報告」を出しております。その基本計画の中で、県段階における地方センターのあり方などについて一定の構想が出ておりますので、それらを今度新たにわれわれが提案をいたしております放送大学の方で再度御検討いただきながら、それをより民主的な方向に充実させていくように御検討を願えればと考えております。
  139. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、その放送大学の教員は全国各地の地方センターに分散しているということになるわけですね。そうなりますと、従来の大学のような教授会の運営は困難になるのじゃないかと思いますけれども、教授会の具体的な運営の仕方はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  140. 嶋崎譲

    嶋崎議員 それは大学が動き出しましてから具体的に大学側がお決めになることだと思います。  しかし、全国の各地域の地方センターに協力していただく教授や諸先生方の経験を中央の大学に反映しないことには放送大学は成功しないことは言うまでもありません。したがいまして、放送大学の基本的教授会は、学校教育法上で言うところの教授会をまず構成し、その教授会に地方の大学で放送大学に協力している先生方を個々にくくるのか、それとも、たとえば全国の国立大学の教養部長会議というようなものでバックアップしつつ、そしてそこから代表を出して、教授会に対する全国的意見を反映させるような考え方をとるか、いろいろな考え方があろうと思います。  しかし、ただ言えることは、教授会という基本があった上で、委員会制度、代議制度、そういう多様な形態を導入しながら、世論を教授会に反映させていくように工夫すべきだと考えております。
  141. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、他大学の協力やら、いまのようなお話でかなり他大学が大きく関与していかれることになりますけれども、地方センターを他の大学の中に、そのものに置くということもあり得るわけですか。
  142. 嶋崎譲

    嶋崎議員 この放送大学はキャンパスなき大学というところに特徴があって、そのキャンパスを埋める重要な役割りが地方における地方センターでございます。その際に、地方の大学の、国立の大学その他の施設などを利用するという場合もあれば、最近のように定時制がまさに建物あれども生徒がないというような事態で、あいている建物が相当あるわけでございまして、いろいろ工夫しながらそういうものを利用することができやしないかと考えております。
  143. 栗田翠

    栗田委員 他の大学の施設を利用して実習、演習をするということも、いまのお答えですとあるわけですね。どんな形でやられることになるのでしょうか。
  144. 嶋崎譲

    嶋崎議員 その具体については放送大学の教授会で、今後、地方センターのつくり方、それの運営の仕方などについてはお決め願いたいと思いますが、考え方の基本は、開かれたという意味の民主性と積極的な自発的参加というものを可能ならしめるような方法が検討されるべきだと考えております。
  145. 栗田翠

    栗田委員 いまのようなお考えに立ちますと、国立大学の協力というのは比較的とりやすいかと思いますが、私立大学、それから公立大学の協力というのはどういう形になっていくのでしょうか。
  146. 嶋崎譲

    嶋崎議員 いまの問題も、動き出した大学の教授会並びにその運営のあり方を検討する中で具体化されていくものと考えますが、まず国立大学で出発いたしますから、軸は全国の国立大学の教養部ないし教養学部がバックボーンになりますが、それを軸にした上で、放送大学の運営その他には、共同利用研究所のような他大学、私立公立の大学の先生方などを含めて客員教授の形式をとったり、ないしは必要な放送の教科について学術会議などの意見を聞くなど、いろいろな形で国公私立の教官の意見が反映できるような方法は検討すべきだと考えております。
  147. 栗田翠

    栗田委員 改めて伺いますけれども、これを国立大学となさったお考えなんですが、いまのような構想でまいりますと、全国の国公私立大学によって支えられる大学ということになるわけでございまして、従来の国立大学とはちょっと質が異なっているような面もあると思います。こういう異質な大学を国立大学として設置するのはかえって協力が得られにくいのではないかというような面も考えるのですけれども、その辺はどんなふうに検討してこられたのでしょうか。
  148. 湯山勇

    湯山議員 ただいまのような御指摘は各所でもいただいたのですけれども、現在の国民感情からいって、国立だから排除するというようなことにもならないのじゃないか。また電波が、放送大学学園ですか、何かそういう特殊法人でなくてNHKから出ているということも、またこれ親近感の持てる問題であると思いまして、そういう点では、私立あるいは公立、そういうところも、協力が別に国立だからというのでやりにくいというようなことにはならないと私は思います。現に、地方の小都市でもたとえば商科大学の教授が国立大学の授業を持っている、講座を持っている、講義を持っているという例もありますし、また国立学校の教授が私立大学の講義を持っている、お手伝いしているという例もございまして、その点は特に懸念する必要がないのじゃないか。  学校教育法には通信教育の大学というのもあるのですけれども、国立の通信教育をやっている大学というのは一つもないわけです。これはかねがね指摘もありましたように、学校教育法にある通信教育の大学というのを国が持たないというところには一つ問題があるのじゃないかということも言ってまいりましたが、そのことも、こういう通信教育の大学を放送大学という形態で国が持つということもまた別なところで意味があるし、協力の問題も決して困難ではない、このように考えております。
  149. 栗田翠

    栗田委員 この社会党案を拝見いたしますと、任期制をとらないことになっていますけれども、その場合の人事交流がどうなるのだろうかということが一つ気になります。それともその放送大学の教員は終身雇用という形にするのかどうか、どうお考えでしょうか。
  150. 嶋崎譲

    嶋崎議員 今日、日本の国公立大学における教官の交流という問題は、わが国の高等教育並びに学術体制を発展させるための非常に重要な課題であると考えております。したがいまして、放送大学という国民に開かれた大学であるだけに、既存の国立大学において保守的な対応をして十分人事の交流が行われていないような現実は改革をいたしまして、むしろこの国立大学はそういう意味での全国国公私立大学の交流の場にしていけるような道をどう開くかについて、国公私立大学並びに通信教育などに関係のおありの方々とその点については前進的な改革を含めた対応をしていくのが必要なのではないかと考えております。
  151. 栗田翠

    栗田委員 国立大学方式の場合、その放送大学の教員になることによって給与が低下する私立大学の先生方が出てくるということもあると思いますけれども、そういう場合に協力を受けられないということが生じるのではないかという心配を持っております。そこらはどうお考えですか。
  152. 嶋崎譲

    嶋崎議員 放送大学は国民に開かれた大学であり、しかも非常に期待を持たれている生涯学習の高等教育機関であります。それだけに、確かに現給からすれば下がるというような事態が起きてもより積極的に協力する教官を結集していくということがこの大学における教官を集めていく場合の重要なポイントでなければならぬと考えます。しかし、現給をどのように保障するかという問題は、これはそれ自体として解決をするための努力をしなければならぬ問題だと考えております。
  153. 栗田翠

    栗田委員 次に、多少細かい問題になりますけれども、この大学では放送による教育と演習、実習等による教育との比重はどんなふうに考えていらっしゃいますか。
  154. 嶋崎譲

    嶋崎議員 政府案では三〇%、三〇%、三〇%ということで、放送による教育の割合は世界の放送教育の現状から見ると率が高いと思います。  イギリスのオープンユニバーシティーは約一〇%、最近はそれの比率が八%ぐらいに落ちているとも言われています。つまり、イギリスの場合にはオープンユニバーシティーそのものが、長いイギリスの高等教育や学校制度の伝統を受けまして小サークル主義であり、しかもチューターシステム、スクーリングが非常に伝統的にすぐれたものを持っております。したがいまして、放送は幾つかの教育の中のワン・オブ・ゼム、幾つかの中の一つという意味で、オープンユニバーシティーはその割合がより低くスタートをしているところに特徴があろうと思います。  わが国の今日の政府提案の考え方では三割と言っておりますが、いまのところ私たちはそれがどのくらいがいいかについては結論を持っておりません。ただ、放送大学が発足するに当たりまして、放送大学を推進される教授会その他の機関において、わが国の放送大学における放送の役割りというものについては、いまの政府案をたたき台にして今後どう考えるかについて御検討いただければ大変幸いだと考えております。
  155. 栗田翠

    栗田委員 発足時の教授等の任命はどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  156. 嶋崎譲

    嶋崎議員 質問の趣旨がわかりません。教授の任命はどうするのですかということですか。(栗田委員「はい」と呼ぶ)  これは学校教育法で言うところの大学でございますから、その大学の運営に従って教授の選考をするということになろうと思います。
  157. 栗田翠

    栗田委員 参議院文教委員会で共産党が修正案を出した中に、意見放送の保障というのを盛り込んでおりますけれども、これは社会党案の中にはありません。この辺はどう考えていらっしゃいますか。
  158. 嶋崎譲

    嶋崎議員 意見の異なった問題を処理していく場合の放送の問題、放送法四十四条第三項に関係する問題だと思います。  確かに、イギリスのオープンユニバーシティーの経験などを見ましても幾つかの問題がございまして、大学側が計画した講義についてBBC側がそれをチェックするというような事態が起きたりしております。また映画などについても、オープンユニバーシティーがつくった映画について、それを放映するかどうかについて、ある部分をカットするかどうかをめぐってBBCの側でクレームをつけてきているというような事態が起きております。  したがいまして、放送法上で言うところの意見の公平というものを踏まえて放送するという問題と、カリキュラムに従って放送大学が教育のカリキュラムを編成するということとの間には、常に相互に調整が行われる努力が必要でございます。したがいまして、私たちの案によりますと、その調整のいわば保障として準則のようなものを設けて、そしてその調整についての対応の基準を決めておけばいいと法案提出している次第でございます。
  159. 栗田翠

    栗田委員 それでは続きまして、文部省に対して二、三の点だけ伺っておきたいと思います。  まず、放送大学の全国ネットワークが完成するのは一体いつなのでしょうか。
  160. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御提案申し上げております放送大学学園法案におきます放送大学の第一期の計画については従来からも御説明をしている点でございますが、関東地域、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の届く範囲内を第一期の計画として考えているわけでございます。そして、全国的にそれを広めていく対応といたしましては段階的な慎重な対応で考えていきたいということで御説明をしてきておるわけでございますが、特に問題点は、放送衛星の利用の問題をどう考えるかという事柄がこれからの検討課題として現実の問題となってきておりますし、それらについて早急に郵政省初め関係の省庁とも具体的に御相談を詰めていかなければならない、かように考えております。  従来、その放送衛星の問題がございますので、私どもそこの点が必ずしも明確に申し上げられないわけでございますが、将来計画としては高等教育へ進学する年齢でございます十八歳人口の動向、それの今後の増加の状況というものも十分見ながら、ただいまは高等教育の整備計画の後期の計画ということで対応いたしておるわけでございますけれども、六十二年から七十一年ごろにかけまして現在の高等教育の整備計画に続く高等教育の整備計画をどう考えていくかということを考えなければならない課題として持っておるわけでございまして、私どもは放送大学の全国的なネットの完成ということもその期間内に達成するという方向で進めたい、かように考えているわけでございます。  しかしながら、放送衛星の問題でございますとかそういう問題点についてなお検討課題がございますので、それらの点を十分現実問題として受けとめながら今後関係省庁とも協議して教育の機会均等の早期実現ということを念頭に置きながら対応を考えてまいりたい、かように考えております。
  161. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、いまの御答弁ですと検討課題であって、まだはっきりとしたプログラムがなかなか立てられない、こう理解してよろしいわけですね。  それで、昭和五十四年にやはりこの放送大学法が審議されましたときに当時の内藤文部大臣が答弁をしていらっしゃるのですけれども、後期高等教育計画に引き続いて新しい高等教育計画の策定を予定することにしているけれども、それに即応して昭和七十一年までに全国都道府県に学習センターを設置して学生を受け入れるというふうに言っていらっしゃるわけです。いま局長がお答えになったのはこれに沿ったお考えでございますね。
  162. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 基本的にはそういうことを踏まえながら、もちろんそれよりも早い時期になるたけ完成をすることを目途として検討いたしたい、かような考えでございます。
  163. 栗田翠

    栗田委員 この答弁が出されたのは昭和五十四年でございます。現在は御存じのとおり五十六年ですから二年たっているわけです。この二年間に余り進歩していないというふうに思うのですけれども、これがこんなに遅々として進まないというのは一体どういうわけなんでしょうか。その辺の一番の難関になっているもの、またはなぜ進められないのかといったような事情、そんなことをちょっとお答えいただきたいと思います。
  164. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 従来からも御答弁をいたしておる点でございますけれども、この放送大学というのは新しい大学として試みられるわけでございまして、そういう意味では、もちろん第一期の計画を実施しまして、その実施の上でさらに具体的にいろいろと現実的な対応として処理をしなければならない課題というものも出てまいるのではないかということを従来からも申し上げているわけでございます。私どもとしては、そういう意味でこの第一期の計画をスタートさせていただきまして、現実の問題として放送大学そのものの建設に取りかかり、そして大学で実際に放送を利用した大学としての授業が行われ、その実態を踏まえた上で今後の全国的な規模を広める際の具体的な資料も得たいということを従来からも申し上げているわけでございます。     〔委員長退席、中村一喜一委員長代理着席〕  そういう事柄が一つあるというのが基本的にあるわけでございまして、そのほかには先ほど来御議論が出ております放送衛星の実用化の問題、これも第二世代の問題についてはまだ未確定の部分が非常に多いわけでございます。それらの活用方法について関係省庁とも協議を進めてまいらなければならぬというような問題点があるということが言えるかと思います。
  165. 栗田翠

    栗田委員 先ほど、現在進んでいます後期高等教育計画の終了に沿って次にまた計画を立てていくということをおっしゃっておりました。ところで、これは先日の国会での質疑の中で出てきた問題ですけれども、いまの後期高等教育計画は計画の部類ではないということを与党である自民党の委員が言っていらっしゃるわけで、計画の抜本的見直しなんということも与党自民党が言っていらっしゃるわけでございます。そうなりますと、五十四年ごろにいろいろおっしゃってこられましたけれども、現在また見直しということが出てきた場合に、さっき七十一年ごろに何とかということをおっしゃって――まだ七十一年というのもはっきりしているわけではなくて、二年前に当時の文部大臣がおっしゃったわけですけれども、そういうものが見直されてくるときにどうなるのだろうかということを私は大変心配いたします。  見直しをなさるのかなさらないのか、見直される場合に、全国ネットワークをつくっていくという計画がどんなふうに保障されていくのか、そういうことについて伺いたいと思います。
  166. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘の現在の後期高等教育計画について、これは基本は量的には抑制をしながら質の充実を図っていくということで、そういう基本に沿いまして、高等教育の弾力化でございますとか多様化を図っていくという観点からただいま後期の計画で進めているわけでございます。  この後期の計画そのものにつきましても、たとえば入学定員の増の状況にいたしましても、計画で見込みました数よりも相当下回った数になっている。そういうような点も踏まえまして、御指摘のございますように、この後期計画そのものについても、入学定員の増など、あるいは進学率の動向の設定、そういうようなことに関連してさらに検討課題があるという点は御指摘があったとおりでございまして、そういう観点からの見直しということは必要ではないかと私どもは考えておりますし、また、策定をされております後期計画そのものにも、そのことは随時見直しをすべきではないかということも触れられているわけでございます。  ただ、それの見直しといま御指摘放送大学の全国的な整備の計画とは直接には関連する問題はないのではないか、私はかように考えております。
  167. 栗田翠

    栗田委員 その直接関連しない理由はなぜでしょうか。
  168. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 直接関連しないではないかと申し上げましたのは、放送大学の全国的な整備というのは、取り組みといたしましては、もちろんただいまの放送大学についての御説明をいたしております第一期計画が学年進行で完了いたしまして、それからさらにそれらの実施状況を踏まえながら規模を広めていく問題について取り組むということで御説明をしているわけでございまして、後期計画そのものは五十六年から六十一年度までの五カ年間の問題でございますので、放送大学の第二期計画以降の全国的に広げていく際の問題点とは直接かかわる点はないということを申し上げたわけでございます。
  169. 栗田翠

    栗田委員 何か前回の質問の繰り返しになるような気もいたしますけれども、前の委員会で審議をされていた大学建設抑制法がもし実際に進められていって建設の抑制などがされていくとすれば、たとえば三年間抑制されても、その後の計画だって変わるわけでございますね。だから、それならば、それに続く次の後期計画が完了した後は変わらないのだというようなことが果たしておっしゃれるのかどうか。本当はこれは前回の法案の提案者にも伺いたいくらいなんですけれども、ちょっときょうは場が違うものですから残念ながら伺えないのですけれども、文部省は変わらない変わらないとおっしゃって、この前与党自民党は変わるとおっしゃっていたわけですね。そういう中で組まれてきたこの放送大学の全国ネットワークを完成させていく方向というのもかなりぐらぐらしているのではないだろうか。いまだに第一期計画すらきちんと見通しが立っていない中で二期、三期をつくっていく、こういうわけですけれども、一体これはどういうことになるのだろうか、まことに不安定ではないかということを私は思うわけです。  たとえば政府計画がもし満足に進んだとしましても、これは全国ネットワークがつくられる、一期、二期、三期の計画が完了して全国に学習センターが設置されるのに十五年かかるということになるわけですし、それでいまのように後期計画がぐらぐらしていった場合にはどうなるかわからないのじゃないでしょうか。  その辺はどう考えていらっしゃいますか。
  170. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 その点はまさにこの放送大学を教育の機会均等の確保という観点から全国的に広めていく広めていき方をどう考えるかという問題点でございまして、従来文部省で、たとえば昭和五十年の基本計画などで検討しておりました際には地上系の整備ということで計画を考えていたという点を御説明いたしておるわけでございます。  しかしながら放送衛星の問題も片や実用化と申しますか、第一世代の放送衛星についての日程というようなものもだんだん固まってきておるし、第一世代については放送大学に直接利用するという点はいまのところ考えられていないというぐあいに私ども承っておりますが、第二世代の放送衛星をどう利用するか、その際に放送大学にそれを利用することも適切でないかというような意見もいろいろあるわけでございます。その辺については、放送衛星の第二世代の実用化ないしそのチャンネルをどう利用するかという問題はこれから具体の検討に入っていくわけでございます。そして放送衛星を放送大学に使うということに固まれば、もちろんそれは御指摘のような時期を待たずして放送衛星で全国をカバーするネットが完成されるということは一面言えるわけでございます。  ただ、放送そのものは放送衛星でカバーされましても、やはり各地の学習センターの整備計画ということも片や考えてまいらなければならない課題でございまして、そういうような問題点を十分今後も具体的に検討を進めていきながら、放送大学の第二期以降の計画と申しますか、第一期計画の完了後の全国ネットをどう進めていくかということについてはなお具体的に検討課題がいろいろあるわけでございます。  そういうことを申し上げているわけでございまして、ただいまの高等教育計画の後期計画について見直しということが必要ではないかという点は、先般来の委員会の審議の際にもいろいろ御指摘をされている点を踏まえて、たとえば実際の入学定員の規模等について策定しました計画について具体的に数字の面でもずれが出てきておるわけでございますから、それらをどのように踏まえて後期計画というものを考え直していくのか、それは検討を進めなければならない課題だということで申し上げておるわけでございます。  したがって、後期計画の見直しということと放送大学を全国に広めていく際の事柄とは直接にはかかわらないのではないかということを私は申し上げたわけでございます。
  171. 栗田翠

    栗田委員 こういう不安定な計画の中で、しかも数々の問題点を野党などが指摘いたしましてやっていく中で、きょうこうして強引に、強引といいますか、何としても通していくのだという方向で審議が進められているということについて、大変私は問題を感じているわけです。  それから、やはり前回の論議の中でこれも与党委員がおっしゃったことでございますが、アメリカのマーチン・トロウの言葉を引用なさって、エリート教育を受けられる能力のあるのは全体の一五%、それから大衆教育的なものが受けられるのが一五%から五〇%で、それ以上になるとユニバーサル型だというようなことをおっしゃって、大学教育は複線化しなければならないというような御意見が出ていたわけでございますね。そうして、こういうものを文部省としてもそれなりに検討していくのだということをおっしゃったと思いますが、そうなりますと、放送大学などは政府提案でも試験をせずにいわば先着順に採っていくということになりますから、言ってみますと、学術の中心である大学という性格にふさわしくないのではないか。  これは複線化の問題がなくても私たちは疑問に思っている点でございますけれども、まして一五%しかエリート教育は受けられないのだと、本人はおっしゃったわけじゃないのですが引用なさっておっしゃったときに、こういう放送大学がい海出てくるということは、まことにその主張との間に矛盾があると私は思うのですね。それをまた前回は検討なさるというふうにおっしゃっておりましたけれども、こうなってきますと放送大の目的自体にもかかわってくる可能性があると思いますが、その辺はどう考えていらっしゃるのでしょうか。前回の討議ともあわせてのお答えをいただきたいと思います。
  172. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 放送大学は、まさに新しい形の大学として従来の大学とは異なった使命を果たすものというぐあいに私どもも理解しておるわけでございます。もちろん学校教育法に言います正規の大学としての使命を果たすものと考えているわけでございますが、それぞれいろいろな方のいろいろなお考えがあろうかと思いますけれども、やはり大学というものの実態は、基本的に申せば、あるいは大学と申しますよりは高等教育機関、高等教育と申し上げた方がより幅広いかもしれませんけれども、そういうようなものについて多様化を図り、弾力的な運用ができるようにして国民全体の多様な要請にこたえるということも、また事柄としては必要な態様として私は当然考えなければならない点ではないかと思います。  高等教育の多様化なりあるいは弾力化ということそのものは、ただいま私どもとしても計画を進めております高等教育の計画的整備におきましてももちろん言われている点でございまして、そういうことを踏まえてこの放送大学も新しい形の大学として十分期待にこたえるものになるのではないか、かように考えております。  なお、放送大学そのものについて大変いろいろと御指摘いただいたわけでございますが、私どもとしては先般参議院文教委員会におきましてもこの法案の採決の後の附帯決議は各党一致で御採決をいただいたように伺っておりますし、もちろんその附帯決議の精神に沿いまして私どもとしてはこの放送大学がりっぱな大学となるように努力をしてまいるつもりでございます。
  173. 栗田翠

    栗田委員 大学建設の抑制という案が一方から出ておりまして、これは政府提出ではございませんけれども、片方から出ているわけですね。その抑制という内容に、いわゆるエリート教育といいますか、大学の質を高めるのだといったようなニュアンスのある御発言があったわけでございます。そして文部省もそれに沿って検討努力をしていらっしゃるという御答弁をなさったわけですね。ところがいまの多様化の中で放送大学が出てまいりますと、放送大学というのはさっきもちょっと御発言が出ておりましたが、ユニバーサル型だ、こうなるわけですね。そうなってきますと、いわゆる抑制するものと、こういう非常に幅の広い人たちが教育を受ける大学というものとが矛盾していくのではないかというふうに思うのです。  大臣に伺いますけれども、大臣、特に必要だと思うものに限って認可なさるということが、前回の大学建設抑制法と私一口で言っておりますけれども、法律の中にはあるわけでございますけれども、今度のこの放送大学の場合には試験も受けないで先着順で大学に入学するという非常に幅の広い人たちを受け入れる大学になっているわけですけれども、こういう二つの問題を見て、与党自民党が言っていらっしゃるいわゆる大学の複線化ということなどは今後お認めになっていらして、その上を分けて、必要と認めるということで認可なさっていらっしゃるのですか、どうなんでしょうか。
  174. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御審議をいただいておりますこの放送学園大学というものは、御案内のとおりにいわゆる教養学部を中心といたしました生涯教育という一つの新しい姿において開かれた大学をつくろうというわれわれの年来の理想を実現しようとするものでございます。一方におきまして、大学の乱立と申しますか、余りにも大学が次から次に出てくるということについて、もっと質を高めなければならないという問題やら幾多の反省も当然あるのでございましょう。これら二つを両々相まつことによって、私は教育の理想が達せられる、かように信念を持って考えておる次第でございます。
  175. 栗田翠

    栗田委員 学術の中心としての大学とお考えになりますか、この放送大学を。
  176. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ちょっとお言葉がわからなかったのですが、もう一度おっしゃってください。
  177. 栗田翠

    栗田委員 学術の中心として位置づけられている大学とお考えになるでしょうか。
  178. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 学術の中心としてというお言葉でありますが、われわれは特に本学園大学の場合におきましては、一方におきまして本来の大学であり、学問の問題を追求いたします反面に、この多様化いたしております現代社会に対します情操教育と申しますか生涯教育という社会教育面を非常に重視いたしておる点が特色である次第でございます。同時に、こういうふうな国民全体の教養のレベルアップと申す段から言いましても、かような大学というものはますます、私は非常に重要性を持ってくる、かように考えております。
  179. 栗田翠

    栗田委員 いま私が申しましたのは、大学の定義を申し上げたのですが、余り適切にお答えくださらなかったと思うのです。こういう点でも大変予盾があると思っております。あえてそれ以上伺わないことにいたしますが、最後に、計画全体の予算はどれだけかかるのだろうか、それから大蔵省としていま財政危機の中でこの計画は認められているのでしょうか。     〔中村一喜一委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 第一期の計画といたしましては、資本的経費として約九十七億ということを試算をいたしております。なお昭和五十六年度予算の計上額としましては、放送大学学園の創設ということで三億五千二百万円を計上いたしております。もちろん予算といたしましては、これからそれぞれ年度ごとに予算について必要なものを計上をお願いするということになるわけでございますが、予算的なことで申し上げれば以上のとおりでございます。
  181. 栗田翠

    栗田委員 私、計画全体を伺いましたが、どうでしょうか。
  182. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 計画全体についての試算ということでお尋ねでございますれば、けさほど来御答弁を申し上げている点は、一つには、繰り返しになって大変恐縮なのですが、第一期計画以降の計画については、なお放送衛星の問題をどう使うか、地上局の整備とその放送衛星を放送大学に使う問題等、具体的に検討すべき問題点は早急にやらなければなりません。それらの点がございますので、その点必ずしも明確に申し上げられない点をお許しいただきたいのでございますが、昭和五十年に放送大学創設準備に関する調査研究会議がまとめました「放送大学の基本計画に関する報告」で示されております試算で申し上げれば、資本的投資額が約八百七十億、経常費は約二百九十億でございまして、それを昭和五十四年度価格で申し上げれば、資本的投資額約千百億、経常費約三百六十億ということでございます。もちろんこれは単年度でそれだけの整備ができるというものではございませんので、私どもが申し上げている計画で言えば、地上系の整備で昭和七十二年ぐらいまでの間の整備に要する金額としてそれだけのものを要するということになろうかと思います。
  183. 栗田翠

    栗田委員 時間になりましたので終わりますけれども、二年間たっても論議が一向に進まないで、二年前、五十四年と同じような答弁をしていらっしゃいますし、参考人をお呼びしたり海外視察をしても、野党側の意見が一向にこの中に入っていかないし参考人の御意見も盛り込まれないで、法案が同じものが出てきているという点もまことに問題ですし、いま伺ったように一千億を超える。恐らくこれからもっと金額は多くなっていくのでしょうけれども、そういうお金をかけて、一方で行革とかいろいろ言っているときにこういう非常に不確かな計画のものがつくられていくということについて、私は反対でございます。  このことをはっきり申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  184. 三ツ林弥太郎

  185. 小杉隆

    小杉委員 まず、社会党の方に質問をいたしますが、従来この衆議院文教委員会論議をしていたときには、大体において特殊法人ということで議論をしていたわけです。一転してNHKにやらせるというふうな形に変わってきたわけですけれども、そういうふうに変わった理由、これをまず聞かしていただきたいと思うのです。
  186. 嶋崎譲

    嶋崎議員 もうすでにたくさんの委員の方に同じ質問でお答えをいたしましたので、簡潔に申し上げます。  かつての小委員会報告では、この特殊法人方式をとる場合には、特殊法人の組織及び大学の管理運営のあり方について、大学の自治が尊重されるよう事前に十分な措置を講ずることが必要でありますという指摘をいたしてまいりました。ところが、今日まで審議されてまいりました政府案によりますと、この問題についていまだに疑義が残っております。この点が一つ。  いま一つは、小委員長報告では、設置形態は大学と放送局が一体となった場合には特殊法人方式しかないと言ったのでありまして、大学と放送局を分離するという場合について、イギリスのオープンユニバーシティーの方法もあるといっことも報告をいたしている次第でございます。  したがいまして、放送法上の公共性の問題と大学自治の調整、それから同時に生涯学習という観点から、関東周辺で先の計画が立っていない。教育の機会均等という観点から見ても、今日NHKの施設設備や経験を生かすことが機会均等についてもこたえるものと判断をいたしましたので、提出した内容の法案といたした次第でございます。
  187. 小杉隆

    小杉委員 私はいま言われた後段の部分ですね、いま行政改革で非常に財政が苦しいときに、全く新しい放送大学をつくって、また莫大な投資をかけるということがどうなのかという観点からちょっと聞いているわけなのですが、仮に社会党案でNHKに委託してやった場合は経費は大体どのくらいかかるのか、お答えいただきたいのです。
  188. 嶋崎譲

    嶋崎議員 確かにNHKの放送施設は、現行のテレビ、ラジオ放送で手がいっぱいでございます。したがって、放送大学のための放送を行うためには新たな施設の付加が必要になることは言うまでもありません。その際に、現在NHKが持っている土地などの収用を考えても、設備を考えても、それからNHKが今日までいろいろ検討してきた教育の経験などの蓄積を前提にしても、私たちは本来の経費ははるかに安上がりで、NHKくらいのカバレージについて放送教育が実施できるように近い将来なると思います。  しかし、そのためにかかる経費という問題については、先般の国立学校設置法、私立学校設置法の一部改正案でも問題になりましたように、必要と認める場合を除き、でございまして、今日のような行革が問題になっている時代であっても、今日国民に必要な生涯学習の機関をつくることは必要な場合と判断をいたして、経費を注ぎ込むことはやぶさかではないと判断をいたしております。  ただ、政府案のように膨大な経費で未計画なものに比べ、NHKを媒体として使うならば、はるかに経費は安上がりでいけると判断をいたしております。数字ははじいておりません。  同時に、仮に政府案と同等の経費が必要であるといたしましても、私たちの場合にはすぐれていることは明らかであります。全国放送を実施しているNHKの経験と技術力を生かすことができ、効果的に全国放送を実施することができる。二番目に、NHKの多年にわたる教育、教養放送の経験、すぐれた放送技術の蓄積と開発能力を活用できる。そして三には、ローカル放送の利用を通じて地方の文化の多様性や地域性の要請にこたえるような放送番組が編成できるなど、幾つかの積極的なメリットがあると判断をいたしております。  そのように行革との関係も御判断をいただきたいと思うのであります。
  189. 小杉隆

    小杉委員 きょう電波監理局の方見えていらっしゃいますか。恐らくいまNHKの電波も、ほとんど現在の放送で手いっぱいだと思うのですが、私はいま嶋崎さんがお答えになった部分は、確かに考えてみる要素はあると思うのです。  そこで、別にNHKに限らず、たとえば社会党案の中には、放送大学の中身にローカル色を盛り込め、そういう部分も入っているわけですから、たとえば民間放送を使って委託をするという方法だって考えられると思うのですね。ですから、私は何もNHKに限定しなくても、いま行われている民間放送も全部含めて利用するという考え方だっていいじゃないかなと思うのですけれども、電波監理局の方に伺いますが、仮にNHKがこれをやるという場合には恐らく電波はいまの放送で手いっぱいだと思うのですね。そうしますと、第三の波というのですか、教育放送以外のまた新たな波が必要になるだろうし、またスタジオとか送信設備とかいろいろな面で手直しが必要だと思うのです。  これは仮定の質問で恐縮ですが、まずどんな点がもしNHKなり民間放送を使った場合に問題点として現状で考えられるか、それをお答えいただきたいのですが。
  190. 富田徹郎

    ○富田説明員 NHKが放送大学の放送を行うということになりました場合には、経費といたしましてはいま嶋崎議員の方からお答えがあったようにほぼ同等の経費が恐らく要ることになるだろうと考えられます。  と申しますのは、NHKの現有の設備はNHKの現在の放送の量に見合ったものになっているわけでありますから、新たに設置しなければいかぬということになります。これはUHFの波一系統、全国的に八〇%の対世帯カバレージをできるようなことを計画しまして、それを留保してあるといいますか用意してあります。それとFMの一系統であります。それらは新たに送信所、それからこれはローカル放送をやるかやらないかはかなりの問題点を含みますけれども、新たなスタジオ設備はほとんど要るということになると思います。そうしますと、結局NHKのノーハウといいますか無形の技術的な成果を導入するというような点のメリットはあるいはあろうかと思いますが、ハードウエア的な面から見ますとほとんど政府計画と遜色のない経費が必要になるものと考えられるわけであります。  さらに、最も問題となりますのは、現行の放送法制は放送事業者にほぼ一〇〇%完璧な番組の編集の自由を尊重しておるたてまえになっております。これが委託でありましてもあるいはどういうふうに法体系を整備をいたしましても、現行のような意味の一〇〇%完璧な番組編集の自由を持つ放送事業者とは違った形の放送事業者にならざるを得ないだろうという点が法制上の最大の問題点だろうと考えられます。
  191. 小杉隆

    小杉委員 先ほどから経費の話が出ておりますが、文部省に伺いますが、基本的な経費として千百億円、それから経常費として三百六十億円ということですが、経常費というのは毎年毎年これだけかかっていくということなんでしょうか。
  192. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 御指摘の経常費は完成年度においてそれだけを要するということで、もちろん経常費でございまして年々要する金額でございます。  なお、この放送大学におきましては、考え方といたしましては私立大学の通信教育の授業料とほぼ見合う程度の授業料を徴収するということを考えているわけでございまして、それらの歳入が私どもの試算では経常経費の三五%ないし四〇%程度をカバーするというような試算はいたしております。
  193. 小杉隆

    小杉委員 文部大臣に伺いますが、いま行政改革旋風の中で教科書無償についてもいろいろこれを取りやめるべきだという意見がありますし、また私立大学の補助金につきましてもあるいは私立の高等学校以下の補助金につきましても相当強い批判が出ているわけですけれども、こういう中で文教委員会のわれわれは、あるいは文部大臣以下文部当局の皆さんは、これは将来のためにということで壮大なロマンとしてどうしてもやらなきゃいかぬという気持ちでは一致していると思いますけれども、いまの客観情勢から見ましてこれは壮大なむだ遣いじゃないかという批判にどう答えていくのか。  そして、せっかくこの提案が通ったとしても果たして実現性があるのかどうか、これは非常に疑問だと思うのですね。その点について見解を伺いたいと思うのです。  たとえばいま運営費については学生からの授業料として三五%なり四〇%もらうといっても、それでもやはり三百億近い経常費がかかるわけですから、この経常費だけで教科書無償の分と同等ぐらいの経費が年々出ていくわけですね。そういう点についての見解をお伺いしたいと思うのです。
  194. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御質問の件でございますけれども、いまの放送大学の問題につきましては、先般来また今朝も申しましたように総理にも御意見をお尋ねいたしまして、われわれといたしましては、一つの開かれた大学、同時にまた国家的な意味におきましても、テレビ、ラジオを使いました一般教養の増進という問題は、ただいま先生がお挙げになりましたいろいろな問題とも相対比いたしましても、なおかつ非常に重要性を持っておるということから、特に本件につきましては強くお願いを申し上げておる次第でございます。
  195. 小杉隆

    小杉委員 もう一度電波監理局の方に伺いますが、文部大臣がいまおっしゃったとおりわれわれも考えておりますけれども、しかし、いまのこういう客観情勢から見てやはりできるだけ効率的にこういう放送大学をやっていくということも考えてみなきゃいかぬと思うのですね。そうでないとなかなか説得力を持たないと思うのです。  そこで私は、こだわるようですけれども、やはりせっかくいま放送局がこれだけ全国にあるわけですし、また民間放送も全部あるわけですから、そういうものを全部活用したものはできないのかどうかという点にこだわるわけですけれども、いま全国で民間放送とNHKのあれは合わせて大体何局ぐらいあるのでしょうか。  それで、先ほど送信所とかスタジオとか新たに増設をしなきゃいけないから放送大学と同じぐらいかかっちゃうんだというお話でしたけれども、私はそれは法案を通すためにそういう答弁をしているのじゃないかと思うのです。地方局のスタジオなんかであいているところとかあるいは民間のスタジオを借りるとかいろいろな方法で、せっかくいまNHKも民放も設備投資をしてきてこれだけ普及しているわけですから、そういうものを活用したら同等どころか半分以下で済むのじゃないかと思うのですけれども、編成権の問題はちょっとおきまして、私は、経費の問題としては同等であるかどうかちょっと疑問だと思うのですね。  この問題については、文部省内でかつてひとつNHKにやってもらおうかということも考えたことがあるやに聞いておりますけれども、そういうNHKを利用するという案に対しては文部省その後どう考えを変えられたのか、その点もあわせてお聞きしたいと思うのです。
  196. 富田徹郎

    ○富田説明員 放送設備につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、客観的に見まして余裕の設備がない以上新たに設備しなければいかぬという問題があります。ただ、先生の御指摘になるように、なるべく効率的にやるため最大限努力します。たとえば既設のアンテナにもし強度の余裕があればその共架といいますか、ともにアンテナに乗せるとか、あるいはスタジオの敷地に余裕がある場合にその隣につくったスタジオが放送局のスタジオの有効な活用ができるとかという程度の利便はあるいはあるかもしれませんが、基本的にそのコストに大きく影響する程度の効率性は出てこないんではないかというふうに考えておる次第でございます。
  197. 小杉隆

    小杉委員 放送局の数はどのぐらいあるのですか。
  198. 富田徹郎

    ○富田説明員 大小取りまぜますと全国に約一万ぐらいの放送局というものがあります。本当に小さな中継局を含めての数字でございます。
  199. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 放送大学の構想を検討する段階において、放送大学の放送の実施形態ということについてはずいぶん時間をかけて検討してきたわけでございまして、その検討の過程でNHKの方で放送部門について積極的な姿勢を示していた時期があるということは承知をしているわけでございます。しかしながら、放送大学の設置に関する調査研究会議において検討の結果、大学の教育研究の自由と放送事業者の番組編集の自由との調和を図るという観点から、放送大学の教育内容をNHKの電波を利用して放送することには無理があるというような考え方で、先ほど来御審議がされている点でございますが、放送と大学とを一体のものとして担当する設置主体を考えるという結論に達してきているわけでございます。  そういう観点で私どもは、従来の検討の過程でも、NHKは高等学校については持っているわけでございますけれども、NHK自体が大学を自分で持つというようなお考えは、このことについては私ども一度もそういう意見については伺ったことはございません。  なお、私ども放送大学学園で大学と放送局とを設置主体としては一つのものとして持つという考え方で進めているわけでございますが、この仕事を進めていくに当たりまして、もちろんNHKが従来学校放送について持っております経験なり技術なり、そういうようなものについては、私どもとしてもこの放送大学学園の放送局の分野において、そういうNHKの貴重な経験なり技術なりというものについては積極的に協力を求めてまいらなければならないことではないか、かように考えております。
  200. 小杉隆

    小杉委員 社会党の提案によりますと、今度大学の教員の定数ですか、これが千八百七十人ふえることになっているわけですね。いま行政改革ということで国家公務員の定数削減ということが叫ばれている中でこれだけの人員をふやすということになりますが、これは相当過大な数字ではないかと思うのですけれども、もうちょっと少ない人員でできるという見通しはないのかどうか。
  201. 嶋崎譲

    嶋崎議員 基本計画の枠をそのまま援用している数字でございまして、昭和四十八年以来御承知のように新構想大学については公務員の定員の枠外で定員を拡大してきているといういまの現状にかんがみて、将来放送大学というものができたときには文部省の基本計画でも二千ないし三千ぐらいの人間がこれに関係をする計画になっているということを考えまして、今日まで検討されてきた基本計画案に基づいてその数字をはじき出しているというのが実情でございます。
  202. 小杉隆

    小杉委員 もうすでに私の質問したいことはこれで終わりますけれども、いままで私申し上げたように、この計画が相当膨大な経費を要するプロジェクトでありますし、いまのこういう行政改革というムードの中でこれを財務当局に納得をさせるということはきわめて困難だと思うのです。  たとえば既設のNHKなり民間放送なりそういう設備とかあるいは技術、そういう面で活用できるものは十分に活用して、先ほど挙げられました一千百億の基本的な経費あるいは経常費の三百六十億というものをできるだけ圧縮をして、その辺の計画をもうちょっとしさいに詰めていく必要があるのじゃないか。そうでないと、財政当局の壁を破ることはなかなかむずかしいというふうに考えますので、その点を私意見を申し上げて質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  203. 湯山勇

    湯山議員 御注意いただきましてありがとうございました。  小杉さんの先ほどの電波監理局の方への御質問、これは一体費用がどれだけ、どうなるかという御質問でしたけれども、部長の方は少しよけいな答弁をしたようで、つい誤解があってもいかぬと思いますから。  部長が言うのは、それはNHKが持った場合には番組編成権とそれとの間にトラブルが起こるというようなことが問題だという御質問外のことを答えておりました。しかし、それは仮に放送大学学園がやったにしても、放送法の規制とそれから学校教育法とはたてまえが違っております。たとえば、政治教育なら教育にしても、学校教育法では特定の政党を支持しちゃいかぬ。一方は公平でなくちゃならないというそれはあるわけです。ですから、あたかも特殊法人にやらせれば放送法の規制のなくなるような答弁でございましたが、決してそうではない。  ただ私どもはその点をどう調整するかという点につきましては、放送法の第三条に、法律によって制限することは認められている。そこで、それを受けまして、大学の教育課程に従った番組を放送する。ここまでなら確かに押しつけになります。しかし、押しつけでないことは、四十四条の五項には、現行放送法です、教育放送の場合はその教育課程、編成されたものに従ってやらなければならないと受けざらができておるわけで、押しつけじゃなくて、たまたまそっ啄時を同じゅうするというようなかみ合わせがあるわけです。それでもなお問題があってはならないというので調整規定をつくっておりますから、いま部長が少し、これは賛成して電波監理局は大分たたかれましたから、そのことを弁解したのだと思いますけれども、決してそうでないということを御理解いただきたい。  それからいまの定数の増の問題、五十七年度から一千名を超える増員、これは確かに無理があると思います。ただ、学生の受け入れはもっと年度後ですから、それはおっしゃったような準備会、そこで練っていって、おっしゃるようにこの際ですから、やはり大蔵省もうんと言うような体制をつくるということは非常に重要でございますし、民放で協力できるところはしてもらわなくちゃなりませんけれども、これは昭和三十年ごろでした、進駐軍からチャンネルが多量に返ったときに、ずいぶんひどい取り合いがありました。そのときに参議院文教委員会は、教育放送は公共性のある放送機関にやらすべきだという決議をした経緯がございます。  現在公共性のあるところと言えばやはりNHKであって、そこへやらないと、たとえば何々の放送があった、平たい言葉で言えば習字のがあった。その次に何々堂の筆を皆さんどうぞ、こういうことになりかねない。そうなると教育放送が営利に使われる、それを規制する法はないわけです。そういうこともありまして、以前に教育放送は公共性のあるものという決議をしたいきさつ、これは教育的な配慮だと思うわけです。  そういうことを考えれば、いまのように現行法でも規制ができる、受けざらもできているということ等々を考えて、いまNHKにやらすということは自然ではないか。それから、いま言われたような施設を民放に持ってもらうというのも大変な費用がかかる問題ですし、そういうことからこういうことをわれわれは提案したということを、御注意はありがたいのですが、御理解もいただきたいと思います。
  204. 小杉隆

    小杉委員 これで終わりますが、これは法律が通っても恐らく実行の段階に至るまで非常に大変だと思うのです。そこで私は、社会党提案のNHKの電波を活用するという点も含めて柔軟に現実的に対処していくという姿勢が必要だと思うのです。恐らくこんなに膨大な金がいま直ちに出るということを考えている人は一人もいないとすら私は考えるわけで、その点はこれから法律が通っていく際にも、やはり社会党の提案の部分というのを私は大いに考慮の中に入れていいんじゃないかというふうに考えます。  これは私の考えですけれども、そのことを申し上げて終わります。
  205. 三ツ林弥太郎

  206. 中西績介

    中西(績)委員 郵政大臣がまだお見えでないようですから、参りますまで文部大臣なり、そして社会党の湯山さん、嶋崎さん、提案者に対して一、二質問を先にさせていただきたいと存じます。  そこでまず御両人で結構でございますけれども、いままで幾つか質問が出まして言われましたけれども、こうした対案を出すに至る経過としては、先ほどもちょっと触れておりましたけれども幾つかの理由があるようであります。大体四つ程度挙げておったようでありますけれども、これらについてもう少し加えるところがございましたら、文部大臣がわかるように十分内容を詰めて御答弁をいただきたいと思います。
  207. 嶋崎譲

    嶋崎議員 それぞれの御質問の方々に時間の制約もあろうと思いまして、余りだらだらと御説明をしたのでは御迷惑がかかってはと思いまして、簡潔に申し上げていたために舌足らずの部分があったかもしれません。補いながら全体の考え方について改めて意見を申したいと思います。  先般の委員会におきまして私どもが提出をいたしました放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案の提案理由の中で、今日わが国においては生涯学習という国民の権利、国民の要求にこたえるためには放送大学という放送を利用する大学によって国民の教育に対する機会均等が保障されるという立場から、放送大学の設立については賛成いたしております。  ところが、この放送大学をつくるに当たっては、次の四つの点を前提にして放送大学の設立を推進すべきであると考えてまいりました。  その第一は、学問の自由、大学の自治が保障され、国からの独立が確保されていること。憲法二十三条に言うところの学問の自由と大学自治を前提にして権力からの大学の自由を保障するということが第一点であります。  第二番目は、現行放送法制のもとでは、放送の本質、公共性にかんがみて事実上の国営放送になってはならないということ。憲法二十一条その他の言論、表現の自由などを踏まえた基本的な価値がこれまた権力からの自由として現行放送法制度はつくられているわけでありますから、放送の本質、公共性にかんがみて国営放送にはならぬこと。  第三番目には、一方で大学における学問の自由、大学の自治という価値を追求し、他方では現行放送法制のもとで放送の公共、公平の原則というものを両立させる大学でなければならない、この点が第三番目であります。  そして第四番目には、国民に開かれた今日のような大学、私は、放送大学というべきではなくて、イギリスで長い間議論があった結果、公開大学、国民に開かれた国民の大学、オープンユニバーシティーという言葉を使ったように、高齢者も家庭の主婦も勤労青年も、いつでもどこでもだれでも教育が受けられるという意味での教育の機会均等を保障するというものでなければならないということ。  この四つの条件を具備して放送大学というものを発足すべきであると考えているわけでございます。この四つの原則という立場から見ますと、現在の政府案は、第一については、放送大学の設置主体として特殊法人放送大学学園を設けることとしておりますが、大学を設置する特殊法人であるという特質を全く配慮することなく、その理事長、監事、運営審議会委員の任命権を無条件に文部大臣にゆだねております。理事会を法定することもなく理事長への権限の集中を図っております。  この構想では文部大臣の支配、管理も可能となり、放送大学学園の国からの独立をとうてい保障することはできない。この点はすでに衆参の長いこの審議に当たりまして今日まだ解かれていない、大学自治の侵害ないしは学問の自由、独立が保障されない形態になっているという問題が政府案の中に蔵しております。特に、大学の管理機関として改めて評議会を重要な事項を審議する機関として法律事項として、学校教育法上の教授会は当然だという答弁を今日まで政府側はいたしてまいりましたが、基本的な人事権が評議会に移ることによって、少数の評議員によって人事権が握られるということは、今日の学校教育法上の大学と本質的に違う点でございます。  こういう点からしてまず学問の自由、大学自治が保障され、国からの独立が確保されるという第一の前提が政府案では非常に危険性をはらんでいるというのが、改めて国立大学として国立学校設置法の一部改正で学校教育法上の放送大学を設置すれば今日の国家権力からの大学の自由というものが制度的に保障されると判断をいたしまして、私たちの提出した案は放送大学を国立大学とするといたした次第でございます。  第二番目の放送の本質及び公共性という問題に絡んで、実質上国営放送、準国営放送という問題が当委員会におきましても逓信委員会におきましても長らく議論が進められ、この問題については準国営放送という言葉で大方の了解があるように、全額国が出資する別の放送局を持つという意味で、権力からの放送の自由という現行放送法制上の問題があるという点が指摘されてまいりました。そういう意味におきまして、新しい憲法ができて以降、現行放送法制のもとでは公共放送と民放という二本立てのもとで、NHKが放送の本質、公共性を具現していくような設置形態として今日まで努力されてきておられます。そういう意味におきまして、特殊法人放送大学学園が放送局を持つということになりますと、現行放送法制のもとではNHKと民放にプラスして第三の電波、第三の放送局という問題が逓信委員会その他で議論をされながら、第三だということを郵政省は認めてきたにもかかわらず、放送法上の抜本的な改正が行われないままに今日まで至っております。  そういう意味におきまして、私たちは、一方で権力からの大学、学問の自由を守るために放送大学を国立大学として、他方で放送の公共性並びにその本質を追求してきたNHKに現行放送法制の枠の中で放送をやっていただくというふうに大学と放送局を分離することは、わが国の憲法並びに現行放送法制や現実の学校教育制度の現行法体制に見合ったものと判断をいたしまして、このような放送局と大学を分離するという形態の案を提出したわけであります。  特に、第三の点がきわめて重要であります。一方で大学の自治を追求し、他方で放送の公共性というものを追求していくという場合に、特殊法人でいく場合と大学と放送局を分離する場合とではどんな違いが出てくるかと申しますと、共通していることは、現行放送法制のもとでの、四十四条三項その他に言われる公平の原則、いわゆる公共性というものが追求され、他方で大学における自治が追求されると、そこにはおのずから価値の対立が起きることは言うまでもありません。  そうなりますと、いまの特殊法人方式でもその対立の調整が問題になることは言うまでもありませんが、特殊法人放送大学学園の中でその調整が行われるとすれば、国民に開かれた場でないところで事が処理されてしまうのであります。  しかし、NHKと国立大学を分離したわが党の案でいきますと、仮に放送番組をめぐってその番組のあり方などについて国民からの批判を受けた場合であっても、国民に開かれた場としてNHKが片一方にあり、片一方に開かれた国立大学があれば、そういう対立調整の問題は特殊法人の中のいびつな形で処理されるよりも、国民の前で広く公にされながら処理されていくという条件になりますから、それぞれの価値を追求するための調整にはNHKと大学の両者が両々相まって努力をするということになろうと思います。  こういうふうに考えまして、しかしそれでも、イギリスのオープンユニバーシティーに生じておりますように、仮に大学が出した講義がBBCにおいてクレームがつけられるとか、ないしは大学でつくった映画がBBCによってクレームがつけられるというような対立問題が起きてこないという保証はどこにもありません。したがって、国民に開かれた場の中でこの調整に努力するというオープンな姿にしていくという歯どめを一方に持ちながら、この両者の運用に当たって、その運用において生ずる必要な問題点を準則として両者の協議において事前に定めておくならば、特殊法人方式のような形よりもより放送法上の価値と学問、大学の自由の価値との二つの対立するモメントを調整していくことが可能であると考えて、私たちは放送法第四十四条の八に「協会は、国立学校設置法第三条の五に規定する放送の放送番組の編集の方法その他編集に関し必要な事項については、放送大学と協議して準則を定め、これに従って放送大学番組の編集をしなければならない。」という規定を設けたわけでございます。  特に政府案は、第四番目の国民の教育における機会均等という観点から見ますと、関東周辺における展望はありますけれども、僻地や全国的な広い国民の生涯学習という観点から見ますとその計画についてほとんど未知なものが多いだけに、早く機会均等を保障していくというような計画を行うためには、NHKの今日の放送の体制やその設備、施設や人材などをフルに活用することによって、先ほど湯山議員が申されましたように、国民の機会均等の体制を速やかにつくり上げていく放送大学として出発することが必要だと判断をいたしまして、本法案提出いたした次第でございます。
  208. 中西績介

    中西(績)委員 郵政大臣がおいでになったようでありますが、きょうこうして審議するに当たりまして郵政大臣が出席されていないということでもって私は本委員会で抗議をしたところであります。  その理由は、少なくとも本法案に関する主務大臣文部大臣郵政大臣であるということが明確に規定づけられています。それであるにもかかわらず、昨年の十一月七日の本委員会におきまして大臣が出席していないということもございまして、この点に関して本委員会では問題提起をし、そして確認をしておったわけであります。この法案の審議には常時郵政大臣が出ておるべきであるということが一つです。そして、もし来れないならば、少なくとも理事会にそういう申し出をするなり了解を得て、本委員会に出席のできないことを事前に明らかにしておくべきではなかったか。  前回そういうことがありましたにもかかわらず本日も出席されておらないということを、私は質問者としてここに来て初めて知りました。ところがそのことの届け出も出てはおらないということもございまして、結局、理事会でそうした論議もせずにやられたことについて反省をしなくちゃならぬという、逆に当委員会が何か落ち度があるみたいな形になっています。  この点は私、大臣に確認をしておきたいと思いますけれども、今後こういう事態が出るといたしますと、委員会審議をどのように理解をされておるのかということを私は追及したくなるわけであります。この点について一言御見解があればお答えをいただきたいと思います。
  209. 山内一郎

    ○山内国務大臣 本日こちらの文教委員会開催について私が呼ばれておりましたことも存じなかったわけでございまして、まことに申しわけないと思っているわけでございます。きょうは逓信委員会の定例日でございまして、朝からいろいろな、NHKの決算等の問題がございまして、ただいま終了いたしましたので直ちに駆けつけてまいったわけでございます。  事務当局もそういう点を知らないで文教委員会に御連絡がしてなかったということにつきましてはまことに申しわけございませんで、私は心からおわびをいたしたいと思います。
  210. 中西績介

    中西(績)委員 前段に言われたこと、大変気に食わぬことを言われて、主務大臣であるということは御認識いただいていますか。
  211. 山内一郎

    ○山内国務大臣 主務大臣ということは知っております。
  212. 中西績介

    中西(績)委員 そうすれば出席をするということが当然でありまして、出席できない場合には事前にその策をちゃんととるべきではないでしょうか。
  213. 山内一郎

    ○山内国務大臣 そのとおりでございます。したがって私の方の、郵政省の担当者もそういうことを知らなかった点については心からおわびをいたします。
  214. 中西績介

    中西(績)委員 知らないということは、主務大臣であるということを知らなかったということでしょうか。
  215. 山内一郎

    ○山内国務大臣 それは事務当局から聞いてみないとわかりませんが、当然主務大臣であるということは知っているわけでございます。
  216. 中西績介

    中西(績)委員 そうであれば当然出てくることが前提になっておるわけですから、その前提の中で、来られない場合の措置をどうするかということを事前の策として考えるべきではないでしょうか。そうした事態の中で事務当局が知らなかったということで済まされる内容ではないということをもう一度よく確認をしておきたいと思います。  そこでお聞きをします。  先ほど社会党の嶋崎議員の方から三名提出による放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案が対案として出されています。この点に関しまして、文部大臣、先ほど私がよくお聞きいただきたいと申し上げましたのは、四つの理由を挙げておるのであります。そしてその中身はここ数年来討議され、そして参議院に移りましても論議をされた中身でありますし、しかも冒頭に、放送の自由、学問、研究の自由、このことを前提にし保障するという立場に立ってこの放送大学というものは設立をされなくてはならない、こういうお答えがありましたから文部大臣はすでにおわかりだと思いますけれども、この四つの理由につきまして否定をされるのでしょうか、それとも肯定をされるのでしょうか。
  217. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御案内のとおり本件につきましては、この放送大学学園法案の審議の全部を通じましていろいろと御論議をいただいたところでございます。この四つのことにつきましては当然前提として考えておる次第でございます。
  218. 中西績介

    中西(績)委員 郵政大臣にお伺いいたしますけれども、いまおくれてまいりましたので十分ではございませんでしょうけれども、特にこの対案については御存じです。
  219. 山内一郎

    ○山内国務大臣 書類をいただいておりますし、一応勉強させていただいております。
  220. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、先ほど私が申し上げました四点の大きな理由というのは一応御理解いただけますか。
  221. 山内一郎

    ○山内国務大臣 このうち五点書いてございまして、四点というのはどれとどれかよくわかりませんが、まず一つ申し上げますと、国立大学とするというのが第一点でございますか。
  222. 中西績介

    中西(績)委員 それでは申し上げましょう。  国立大学であるということは当然でございますけれども、これを出された経過、対案を提案をしたその経過であります。これについては大体四つの項から成り立っています。  第一は学問の自由、大学の自治、これを保障するために国からの独立が保障されていかなくてはならぬということであります。  そして特に大臣に後でお伺いしようと思いましたのは、第二に放送の本質、公共性にかんがみ、実質上の国営放送になってはならない、権力からの自由、このことが重要であるということであります。  第三は、学問の自由、大学の自治と放送法上の公共あるいは公平の原則、これをどう両立させるかということであります。  第四は、全国的に教育の機会均等を保障するために文化の多様性及び地域性を確保しながら地域を重要視するという中身を含んでおります。  大ざっぱに申し上げましたけれども、こういう四つの提案をする理由が先ほどからるる説明がされてきたところであります。  そこで私は、特に第二の理由につきまして、政府案におきましては国からの独立性がきわめて弱い放送大学学園、この放送大学学園が放送事業者となっておりまして、先般から私ども討論の過程の中でも、第三の放送としてあるんだということを何回か答弁をいただきました。したがって、第三の放送ということになってまいりますと事実上の国営放送になりかねない、こういう危惧がありますために、放送局と大学を分離する、そのことによって学問の自由そして放送の自由を守り通していこうという考え方に立っておるということが説明されたわけであります。  したがって、この四点全部お聞きしたいのですけれども、時間がございませんので、この第二点だけにつきましても――この提案の理由については恐らく大臣御納得いただけると思いますけれども、このことはより正しいのではないかと私は考えます。この点どうでしょう。
  223. 山内一郎

    ○山内国務大臣 その仕組みについてはいろいろ文部省で御検討されて国営放送にならないように、放送法の精神からいきましても国営放送はいけないというような基本的な方針がございますので、学園をおつくりになったり大学を別におつくりになったりいろいろ苦労しながら国営放送にならないように苦心をされておりますので、その点についてはわれわれも了解しているわけでございます。
  224. 中西績介

    中西(績)委員 そこでこの対案になっている法律案というのは、国から独立するのに種々配慮されているという言い方の中で、いま特殊法人として文部省は提案されております。しかし私たちはそれより以上に、日本放送協会かその教育に必要な放送をそれぞれ行うことによって国営放送となる危険性を排除することは可能ではないか、こう考えての提案だということでいまお聞きしました。  したがって、この点どうでしょうか。
  225. 山内一郎

    ○山内国務大臣 社会党で提案されましたのは、まず第一点は放送大学を国立大学として設置をするという点でございますが、われわれの考えとしては、国立大学が放送する場合はやはり国営放送にならざるを得ないのではないか、こういうような見解を持っております。
  226. 中西績介

    中西(績)委員 いまのお答えを聞きますと、中身は全然知ってはおらないということが答弁の中で明らかになりましたので、郵政関係ではこのことに関しては全く知らないということを意味するわけですが、そのように理解してよろしいですか。
  227. 富田徹郎

    ○富田説明員 ただいまの御質問の放送と大学を分離するというのは一つの案でございますが、初期の段階では確かに検討されたわけでございますが、われわれとすれば学問の自由かつ放送の番組編集の自由の調和点に立つものとして、分離せずにむしろ特殊法人として一体化する方が両方の自由あるいはそういう原理を満足させる方法としてベターであるという判断のもとに、特殊法人による放送大学ということを御提案しているわけであります。
  228. 中西績介

    中西(績)委員 先ほどから長い時間かけて討論をされましたように、放送大学学園、この特殊法人としてのあり方、これが生まれてきた経過、そして小委員会での結論、そういうものをお聞きいただいたと思うのですけれども、そういう内容を付していまお答えいただいたのでしょうか。
  229. 富田徹郎

    ○富田説明員 確かに五十四年の通常国会に御提案して以来いろいろな論議がありました。そういうような過程を全部取り入れて、わが方あるいは文部省ともいろいろな角度で検討しつつ、問題点の御指摘は御指摘として率直に受けとめながら、かつよりベターな方策をというのは、附帯決議にもありますように運営上の細の注意を払っていくことによって問題点を最小限にし、放送大学のよりよき発展を目指して全体の運用の妙も含めましてその改善を図っていきたいというふうに考えておるわけであります。
  230. 中西績介

    中西(績)委員 運営の妙ではもうだまされません。これは筑波大学なり何なりの問題のときにずいぶん論議をしてまいった内容でありますけれども、その後出ておる中身を見ますと、大変なことになりつつあるわけであります。  したがって、私は最後文部大臣にお聞きしますけれども、いま四点については御理解をいただき、そして確認をいただいたわけであります。そうなりますと、こうした湯山嶋崎両提案者からいろいろ説明ございました一部を改正する法律案について、どういう見解をお持ちですか。
  231. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御両所におかれましても、特に大学のみならず、生涯教育という点におきましての重要性は十二分に御了解をいただいた上で、やはりこのような開かれた新しいシステムの大学はつくりたい、ただいまの御指摘の四点の中で問題を何とか調整をできないだろうかという点においていろいろと御苦心なり努力をなさった跡は顕著にわれわれも理解をいたす次第であります。  しかしながら、やはりどういたしましても特殊法人でなければ解決し得ないという厚い壁に対しまして、われわれと見解を異にいたすものでございますが、その御苦心のほど、また本法案を御理解いただきまして前向きに御推進いただいております姿に対しましては、敬意を表する次第でございます。
  232. 中西績介

    中西(績)委員 第一から第四までのことを先ほど約十五分程度説明をいただきまして、そのことを理解をしていただいて問題点を挙げて、そのためにこれが対案として出されたのだということが明らかになったわけであります。そのことを理解をするということになれば、私は、当然この点について、いまの特殊法人に基づく放送大学学園法なるものが多くの問題を持っておるということになりはしないかと思うのです。そうした意味でこの対案をどのように考えておるかということをお聞きしたわけであります。  したがって、この点は問題がないから、さらによりベターであるということでそのようにやっておるのか。先ほど指摘をした四つにわたる問題点があるわけでありますし、そのことを認めているわけでありますから、それより以上にベターだということになると、私はいまの法案から考えますと、この四つを認めるということになればベターだとは考えにくい中身を持っています。この点どうでしょう。
  233. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 先ほど来の学問の自由でありますとか大学の自治、さらにまたいわゆる国営という問題についての法制上の制約、あるいは公共公平の原則でありますとか国民に開かれたる大学の問題とか、おのおのわれわれの企図いたしておりまするところと同じでございます。  しかしその間において、いまの四点に対して強く御主張いただきます反面に、行政上の問題あるいはまた法制上の今日までのいろいろな御審議の経過にかんがみまして、私の方では御提案申しました放送大学学園法が最良である、こういうことを再度申し上げなければならぬ、かように考えております。
  234. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたのでこれ以上追及はいたしませんが、私は大学の学問の自由、自治、この点に関しては、従来から指摘をされていることに対して解明された内容のものは全くないと考えます。したがって、両者を両立させるという視点からいたしますと、これは将来誤りを犯すのではないかということを大変危惧をいたしております。  あと、郵政大臣にお聞きしたいこともまだございましたけれども、私の受け持ちの時間が参りましたのでこれでやめますが、先ほど大臣が答弁されました国営放送になるから云々というような次元の討論はすでに終わっておるわけですから、大臣としてはもう少しこの問題について真剣にお考えにならぬと、全く考えておらないということになるわけですから、この点だけは御注意を申し上げておきます。  以上です。
  235. 三ツ林弥太郎

  236. 馬場昇

    馬場委員 放送大学学園法につきましては、大分長い間議論をいたしたわけでございます。この政府案につきましても、いま中西委員質問しました点一つを見ましても、ほとんど解明されていないのです。  そこでわが党といたしましては、まだまだ解明すべき点が非常に多いということでもって、同僚の木島委員それから長谷川委員湯山委員嶋崎委員、四名がこの政府案の解明についてまだ質疑を通告しておるわけでございますので、私は、特に湯山議員外二名で提出いたしましたところの放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案、これを中心にして質問をいたしたいと思うのです。  まず、ただいま中西委員がこの法律案提出したところの動機、背景がどういうところにあるんだ、もちろん提案理由の説明も聞いておるわけですけれども、こういう質問に対しまして嶋崎議員から、学問の公開の国民的要請にこたえる、あるいは広く国民に大学教育の機会を提供する、その他この法案提出いたしました理由の説明があったのですけれども、私は、いま教育の荒廃というものがその極に達している、こういう今日の状態の中でその原因の一つに学歴偏重の社会、それがもたらすところの大学の格差、そして受験地獄、こういうものがあると思うのです。私はこの法律を提案者が出されましたことについて敬意を表するのですが、これを読みましてそういう学歴偏重とか受験地獄の解消、こういうものに非常に役立つのではないかともろ手を挙げて賛成をしたところであります。その点についての提案者のお考え、そしてさらに生涯学習についても触れられましたが、生涯学習のあり方というものについてどう考えておられるのか、あるいはあるべき大学の姿というものをどう考えておられるのか、そういう点についてお考えを最初に聞いておきたいと思うのです。
  237. 嶋崎譲

    嶋崎議員 馬場委員の御提言、御質問の第一は、私たちが提出をいたしました放送大学法案も政府の提出しているものも、一つの共通した認識は、今日の学歴社会と大学、高等教育における格差を解消していくために広く国民にいつでもどこでもだれでも教育が受けられるという教育制度の改革を行うような大学を創立することによって事態に対処しようとした意図は共通していると思います。  その意味で放送大学はまさに――わが日本社会党は数年前に先進国のヨーロッパにおける教育改革の経験を交流するための国際シンポジウムを開きました。その国際シンポジウムのテーマは「教育改革と民主主義」と題して、西ヨーロッパの先進諸国における今日の教育改革の現状についてシンポジウムを行いました。そのシンポジウムに際して、わが党の文教委員木島委員が日本社会党のわが国における教育改革案を提出いたしまして、広く学界の皆さんや国民諸階層の皆さんに御審議をいただいたわけであります。そのわが党が提出いたしました教育改革案のポイントは、まさに学歴社会と今日の学校格差をいかに是正していくかという観点に立って、既存の教育が学校教育に限られて、いわばいつでもどこでもだれでも、できればただで教育が受けられるという先進諸国の経験に学んだ改革が必要だという観点から、放送大学の設立は必要であるということを明らかにしてきたわけでありまして、私たちは、馬場委員の最初の点は、こういう放送大学の設立でもって、わが党案のような考え方でいくならば、十分に貢献し得るものであると考えております。そういう意味におきまして、二番目の生涯学習権を保障するということが、何も十八歳から大学へ、二十二歳から大学院というそのような学校制度の枠組みにとどめることではなくて、まさに働きながら、スウェーデンのストックホルム大学は約半数に近い人たちが平均三十五歳以上で、そういう方々が入学していく大学としてすでに開放されております。そういう経験に学びまして、いつでもどこでもだれでもという生涯学習の権利を保障するその道筋として、このわれわれの提案をいたしたわけでございます。  大学の構想についても、先ほどの議論の中で幾つかございましたが、これをユニバーサルカレッジみたいに言う人がおりますが、放送大学といえども学校教育法の五十二条に言うところの学術の府であって、問題はその学術の中身が教養学部にふさわしい学際を越えた高い専門的成果、学問的成果を広く国民にやさしく開放していくというだけであって、何も大学の本質が変わったり多様性の一つだけというふうにとらえるべきではないというふうに考え、わが国の学校教育法で言われるところの高等教育のあり方を前提にした中で、こういう大学の役割りというものを位置づけるべきだと考えております。
  238. 湯山勇

    湯山議員 補足してお答えいたします。  いま御指摘になりました学歴社会というのは一体何かというと、今日の学歴社会という言葉で言われている事実は学歴ではなくて学校歴になっている、ここが非常に大きな問題であると思うわけです。しかし本来の学歴というものはどこの学校を出たかというのではなくて、その人が何を学んだか、それが学歴でなくてはならない。その何を学んだかということが、今日の学制の中ではそれぞれ学校という枠に縛られまして、それにこたえる体制には必ずしもなっていない。そこで開かれた大学、つまりこの放送大学におきましては、決められたコースを通って卒業資格を得るということも一つありますけれども、このことを自分は学びたいというものを選択して学ぶことができる、それは自分で自分の中へつくっていった学歴になってくる、それが尊重されるということになれば、おのずからいまの形骸化しておる学校歴社会というものに対して大きな警鐘の役割り――本当の学歴というのは何かということがそれによって自覚させられるということになることが一つあると思います。  しかもその学歴というのは、十九歳とかあるいは十五歳とか、そういう切れ目切れ目であってはならない。このことはかつてOECDの教育調査団が十数年前に参りまして、フランスのフォール元首相とか、この間から問題になっているライシャワーさん、この人たちが来て、日本の十九歳の自殺が一番多いというようなことの指摘があって、文部省はそれに対して何らか反論のようなことをしていましたが、そういうことを破っていかなくてはならない。これは憲法によっても、能力に応じて教育を受ける権利がある。学習権であるのと同時に、これは教育を受ける権利であって、それはとにかく三十歳であろうが五十歳であろうが、能力に応じて教育を受ける権利というものは憲法によって保障されなくてはならない。しかし、今日の日本の学校形態、制度の中ではそういうものもほとんど忘れられている、これをここで具体化していこうというねらいもいま御質問の点にはあるということだけ補足して申し上げたいと思います。
  239. 馬場昇

    馬場委員 わかりました。  次に郵政大臣、先ほどの答弁を聞いておりまして何としても郵政大臣にも聞いておかなければならぬという質問をいたしますので、ひとつよく聞いておいていただきたいと思うのですが、先ほど中西委員が政府案と対比しながら、湯山さん外二名で出しましたこの社会党案の特徴は、言うならばすぐれておる点は一体どこを意図して出したのか、そういう質問が行われたのです。  そのときに提案者は、まず幾つかの理由を挙げまして、その中の一つに、放送大学学園が流す電波というものは、これは特殊法人ですから、いまの電波体系の基本でありますところの公共NHK、民放ではないわけです。そうすると、特殊法人の理事長は文部大臣が任命するし、そこにお金は全部国から出るわけですから、国営放送に近い第三の電波だと言われておることは大臣も御存じのとおりでございます。そういう国営放送に近い第三の電波で現行放送体系を変えさせるのではないか、こういう危険性があるので、社会党の案はそういうことのないように現行のNHKにやらせるのだ、こういうのが第一の理由で言われたのですよ。  まあ、ほかのことも言いながら質問したいわけでございますが、文部大臣、これはお聞きになっておったと思うのですけれども、さっき嶋崎議員は、政府案というのはいま言いましたように理事長等を文部大臣が任命をする、教授会の機能なんかは無視されておる、学問の自由、大学の自治が制限されておる、こういうことだから放送大学学園じゃなしに現行の国立大学にする、そして学問の自由、大学の自治を守るんだ、こういう意味でこの案を出したのだ、こう言われたわけです。さらに、大学教育というものを放送を通じて恵まれない地域にやりたいんだ、こういうようなこともお話があったわけです。  そこで郵政大臣、端的に聞きますけれども、文部省の案と社会党の出している案とどちらが国営放送にならないいいものか、現行放送体系から言ってどちらが好ましいですか。
  240. 山内一郎

    ○山内国務大臣 私たち郵政省も、文部省といろいろ検討しながらこの提案を申し上げて御審議を願っているわけでございます。  そこで、どうも国営放送になるおそれがあるじゃないかという点の御質問でございますけれども、それはならないように学園をつくり、大学をつくって、国が余り関与しないで放送をやるようにしている、こういう点で大変苦労しているわけでございます。  そこで、社会党からお出しになっている、国立大学を設置して日本放送協会にやらせる、こういうことですが、国立大学というのはもう国が完全に関与している大学ですね。したがって、そこで放送はどうするか、放送は自由にやって国立大学はあってもなくてもいいようなことになれば、これはまたおかしなことになるので、国立大学というものがこういう放送をやるんだ、そういう意思でもって放送協会にやらせるということになると私は思うわけでございます。  したがって、先ほどちょっと言いましたけれども、社会党の御提案は、せっかくでございますけれども、われわれの案より非常に国営に近いんじゃないか、こういうふうに解釈しております。
  241. 馬場昇

    馬場委員 全く詭弁ではないですか。NHKと放送学園がやる放送とどちらが現行の放送法体系に近いのかと聞いておるのです。NHKにやらせれば公共放送そのものですからね。それで片一方は全部金を出して、理事長も文部大臣が任命するわけでしょう。あなた方は答弁でも第三の放送になるとか、その危険性を認めた答弁を過去にいろいろしているわけですよ。おたくの自民党だって、逓信関係の委員の人なんかは皆そう言っておるでしょう。私が言っておるのは、あなたはもう逃げなくてもいいから、どちらが現行放送法体系に近いのか、NHKか放送学園か、どっちですか。
  242. 山内一郎

    ○山内国務大臣 先ほど申し上げたのでございますけれども、国立大学というのはこれは国でございますよね。だから国が関与して、教育の基本というのはやはり国がお立てになって、それを放送という技術のNHKをお使いになるというだけでございますので、その辺の関連性が、その内容についてまだ十分研究はいたしておりませんけれども、提案の書類を拝見しますとそういうふうに解釈できる、こういうことを私は申し上げているわけでございます。
  243. 馬場昇

    馬場委員 それは国立大学とか大学の中身もお知りにならない答弁でして、それではもう一遍文部大臣に聞いてからあなたにまた聞きますけれども、文部大臣、現行の国立大学と今度あなた方がつくろうとしておる放送大学学園のどちらが学問の自由、大学の自治は保障されると思いますか。
  244. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  問題は学問の自由の問題と、同時にまた放送をいたさなければならないという放送の自由の問題と二つあるわけでございまして、その両々相まって目的を達成させるためにはどうしても特殊法人というものをつくりまして、それによって放送が行われるようにいたし、同時にまた大学をつくりましてそれに行わせる、こういう両者を兼ね備えた上から申しましても、われわれの御提案を最上のものと考える次第でございます。
  245. 馬場昇

    馬場委員 人の質問をよく聞いて答えなさいよ。全くピント外れで、何が最上ですか。  私の質問は、放送法との関係でいま言っているんじゃないのですよ。私が言っていますのは、現行の国立大学とあなた方が今度つくろうとしておる放送大学学園のどちらが大学の自治とか学問の自由とかが保障されると思いますかということなんです。放送法との関係はまだ言ってないのですよ。
  246. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 おっしゃっておらないから私が申し上げたのです。というのは、放送を抜きにして特殊法人と国立大学とどっちがいいか、これではちょっと片手落ちの気味がございます。それで私がいまお答えいたしますのは、そういう意味の御質問ならば、両方ともりっぱに大学の自治、学問の自由を守ります。
  247. 馬場昇

    馬場委員 その話はこの次に質問するのですよ。あなた、だれが考えてみても、あなた方が今度つくろうとしているのは、それは学問の自由とか大学の自治というのは侵されますよ。現在国立大学の理事長なんか、まだ理事長はありませんけれども、あなたが任命していないでしょう。教授会とかいろいろな自治があるでしょう。それがないでしょう。だから、これは大学の自治とか学問の自由とかが現行の国立大学よりも後退しているわけですよ。そのことを言っているわけです。  だから郵政大臣、そこを私は聞いたわけです。現行の大学の自治とか学問の自由とかいうものよりもこの学園は後退しておる。それとの結合をあなた方は言っているのだから、さらに問題もある。あなたは国立大学からいろいろ教育課程なんかやるからと言ったけれども、それよりも放送大学学園というものはまだ後退しているのですから、それとの関係でやっているわけですから、放送体系からいってどちらがいいですかというようなことを私は質問したのですよ。それはどうですか。
  248. 山内一郎

    ○山内国務大臣 どちらが学問の自由とかというのは文部省の所管でございますから、私の方は答えるわけにいきませんが、どちらが国営放送に近いかというような御質問かと思うわけでございます。したがって、放送の内容が国営に近い方が国営放送に近い、こういう点を私は申し上げているわけでございます。
  249. 馬場昇

    馬場委員 失礼きわまる話ですよ。それこそ時間が限られておりますからあれですけれども、そういう答弁では了解できません。それならば、大臣はいまから審議に毎日朝から出てきてくださいよ。あなた全然聞いていないからそんなちぐはぐな答弁をするのですよ。  そこで、もう水かけ論を言ったってしょうがありませんから、いま私が議論しました点につきまして、提案者の方から提案理由を含めながら再度お考えをお聞きしたいと思います。
  250. 嶋崎譲

    嶋崎議員 郵政大臣は、国立大学に金を出すということと特殊法人である放送大学学園に金を出すということを同じく理解しているというところに、まず大変な議論が起きていると思います。馬場委員質問にありますように、国立大学には国は金を出せどもコントロールはしない、そこに学問の自由と大学の自治があるわけであります。したがいまして、放送大学という大学を構想したときに、学問の自由、大学の自治というものを保障していく一番いい方法は、学校教育法上に決められている大学として設立することが学問の自由と大学の自治が一番保障されると、現行法制のもとでは素直に読み取るべきだと思います。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕  ところが、今回の政府提案の放送大学学園法案は、国からお金を出すけれども、その大学が放送局を持つということになるとこれは明確に国営放送ということになるから、したがって、大学と放送局を一体にするためには現行放送法の体制ではそれができないということで、特殊法人という形をとったのだと思います。  しかし、今日まで当委員会で審議が進められてまいりましたように、連合審査でも明らかなように、政府提案の特殊法人方式は国がまる抱えであるという意味で準国営放送だから、現行放送法制の公共放送NHKと民放という二本立てに対して、準国営放送と言われるいわば第三のタイプの放送局が生まれるということになる。したがって、現行放送法制のもとでは、第三のこのようなタイプのものが問題になる以上は、現行放送法制そのものの抜本的改正が必要だということが、逓信委員の自民党、与党の議員を含めて今日まで問題になってきたわけであります。  ところが、このように準国営放送と言われる特殊法人方式の放送局であるにもかかわらず、そのようなものが現実に生まれるとすれば、現行放送法制上一番危惧された番組編集権、そういう自由が脅かされるという危険性をはらむ。そこに大学と放送局を分離した考え方を持たなければならぬという私たちの提案の根拠があるというふうに理解をいたしております。  先ほど申し上げましたように、特殊法人の枠の中で放送局と大学というものと二つある。片一方は番組編集権という基本的な権利がある。片一方には大学の自治という基本的権利がある。この間に調整が行われて、仮にオープンユニバーシティーで起きたような事件、たとえば大学で決めた講義が放送法の枠から言えばよからぬとクレームがついても、特殊法人の中だけで、国民の前に明らかにされないまま事は処理されてしまうのであります。  しかし、NHKという現行放送法制の公共的な立場での番組編集権を国民の前に明らかにしておき、放送大学というものを分離して国民の前に明らかにしておくならば、もしその調整に際してオープンユニバーシティーのような問題が起きれば、これが大学自治の問題なのか放送における言論自由の問題なのかを国民の側から判断する材料を得るわけでありますから、まさに公開大学と言われるように、われわれが提出しました分離案の方が、現行放送法制上の言論の自由を追求していくことと大学の自治を追求していくことが国民の前に明らかになるだけに、相互の調整はきわめてシビアに努力が行われることによって、よりすぐれた放送による教育が行われると判断をいたしているわけであります。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕  その調整に当たって、したがいまして、国立学校設置法並びに放送法制等の改正を提案することによりまして、NHKと放送大学との間に将来そのような問題が起きないように準則を定めて、基本的な問題に対処する基準を決めておこうというのがわが法案提出した考え方でございます。
  251. 馬場昇

    馬場委員 放送についてNHKを利用するメリットというものについて先ほど御答弁があったわけでございますが、先ほどから議論が行われておりますように、現行放送法体系の二本立てが守られるという問題、それからNHKの経験とか施設、資材の利用で経費が節減できるという問題がありました。遠隔地にも電波が送れるということもありましたし、ローカル放送が活用できる、こういうこともあったのです。  そこで、先ほど郵政の方から答弁をいただいたのでわからなかったのですが、まず提案者に聞きたいのですけれども、NHKを利用するメリットとして提案者の方は経費節減になる、ところが郵政省の方では余り経費節減にならない、こういうような答弁であったように思うのです。このNHKを利用するメリットは、先ほど言いましたように、また答弁もあっておりますようにたくさんあるのですけれども、その中の一つ、経費節減について提案者の意向を聞いておきたいと思うのです。
  252. 湯山勇

    湯山議員 経費の節減につきましては、正確な、どれだけ軽減になるということをお示しすることは、残念ながらそれだけの手足を持っておりませんので申し上げられませんけれども、すぐ常識的にお考えいただきまして、たとえばいまNHKがやっておる「シルクロード」、こういうのは当然教養大学の教養の中には出てくる大きな問題だと思います。それらをもし新たな放送大学学園があれだけの取材をやろうといったら大変なことになる。しかし、NHKにはいままでの蓄積がずいぶんあります。要るものは簡単に持ってこれる、使用料だけ払えばとにかく使わしてもらえるという利点はだれも否定できないと思います。こういう質的な高まり、それから充実した教育という点のメリットはお金で計算できない大きいものがあります。  なお、経費の面におきましても、これも常識的に考えまして、たとえば放送大学学園が人工衛星を使う。NHKはもうすでに計画的に出ています。それを経験を持った者が使うのと、新しい者が研究して使うのと、それの費用がどれだけ違うかということもまただれが考えてもわかるところだと思います。  さらに私が申し上げたいことは、何といっても、電波がNHKから出るということであれば、放送大学学園から出るよりは国民はうんと親しみやすい。すでに現在も「大学講座」というのをやっている、高校については正規の高校の教育をやっている、そういうことは知っておるわけです。そういうことを知っておる人たちは、NHKがやっておるのだからこの大学へ行こうということで、それだけでも国民は親しみを持ちやすい。そうすれば、NHK学園放送大学何かという看板立てて宣伝しなくても、どんどん入学希望者もありやすいと思う。  さらに、授業料の徴収にしても、学園でやれば、また集金人を別に雇うか郵送かでなければ授業料徴収はできない。NHKには現在料金徴収、法律で強制できなくなりましたけれども、そういう体制があるわけです。それへ託せば、料金は払いますけれどもうんと安い費用でできる。これも当然のことで、正確な計算じゃなくても、常識的に考えても、そういう面で節約できるものはたくさんあります。ことに、いま放送大学学園が地方のいろいろな取材をしようとしたら、これも大変です。しかし、NHKはほとんど各県に局を持っています。何とか本部なんというのはなくして、何県の何局というように皆なりましたから、そういうのがそれぞれの地域で持っている資料はずいぶんたくさんありまして、それらがやはり生きた教育につながっていくということ等も、費用と絡んで教育内容に大きなプラスになるという点、どの面から見ても放送大学学園よりも安くできる、経費も安くできる、これは常識であって、いま放送部長が言われたのは、役所で同じものを同じようにつくるとすればという計算にしかすぎない、こう思っております。
  253. 馬場昇

    馬場委員 いま行財政改革で物すごく議論が行われておる最中でございますし、私も、いま提案者の御説明のように、やはりNHKを使いますと非常に経費節減になると思うのですが、先ほど郵政の方は余りそう節減にならないという答弁でございます。これは両方聞いておったって水かけ論でございますし、私はこの点につきましては、委員長にお願いしたいのですけれども、やはりNHKから参考人を呼んで明らかにさせなければいけないと思うのですよ。そういう点についてNHKから参考人を呼ぶということについて委員長のお取り計らいをお願いしておきたいと思うのです。いかがですか。
  254. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 後ほど理事会で相談いたします。――理事会で協議します。
  255. 馬場昇

    馬場委員 ただいまNHKの参考人を招致するということを理事会で協議するという御答弁をいただきましたので、了解をいたします。  そこで、NHKの番組編集権と先ほどの大学の教育課程編成権との調整の問題につきましては、御質問するつもりでしたが、先ほどの答弁でよくわかりました。  その答弁の中で、NHKが放送大学と協議して定める編集に関する準則というものを言われましたけれども、準則にはどういう内容を定めるのですか、少し説明していただきたいと思うのです。
  256. 嶋崎譲

    嶋崎議員 本案においては、学校教育法に基づく教育課程編成権を有する放送大学と、放送法に基づく放送番組編集権を有するNHKとが、おのおの分担する責任に応じて協力し、放送大学における教育に必要な放送を行うこととされているのでありますが、これら二つの権能が調和的に行使されることが必須の不可欠の条件であります。  したがいまして、私どもが提案いたしました本案によりますと、改正後の放送法四十四条の八の第一項に言う放送大学番組の編集に関する準則とは、このような見地から、放送大学の編成した教育課程に準拠し、学生その他の視聴者に効果的に理解されるための放送大学番組を編集するための基準、方法、手続、その他編集に関し必要な事項を定めるものといたしております。これらの事項の具体的な内容は、NHKと放送大学とが自主的に協議し、決定するものでありますが、右の事項のほか、たとえば放送大学番組の録音及び録画に関する事項、NHKと放送大学との間に具体的な放送大学番組の編集に関し両者の意見が相違した場合におけるその調整手続などを定めることといたしております。
  257. 馬場昇

    馬場委員 次に、放送大学の創設準備委員会の構成、そしてその検討事項等について御説明をいただきたいと思うのです。
  258. 嶋崎譲

    嶋崎議員 放送大学の設立に当たりましては、今後設立準備委員会を設けることになろうと思いますが、その委員長は、事務取扱として、いわゆる学長候補でなるかどうかは別として、事務取扱と位置づけた上で、放送大学設立に当たって教授会が構成された段階で学長を選ぶという手続をとればいいと考えております。その設立に当たりましては、そのような民主的な手続をとるということを前提にするならば、政府提案で提出しておりますところの準備委員というものをつくって、設立準備委員会をつくり上げていくということになろうと思います。
  259. 馬場昇

    馬場委員 次に、午前中も問題になったのですけれども、勤労者の有給休暇等の諸条件、こういう問題につきまして、たとえば、放送大学が成果を上げるためにスクーリング等に出席をするというときに教育有給休暇制度をつくれという要求は非常に強いのですけれども、この点につきましてはいかがお考えでございますか。
  260. 湯山勇

    湯山議員 ただいまの問題は、ただ放送大学に関連しての問題だけではなくて、勤労者教育、通信教育全体の問題として本委員会でも取り上げられておりますし、それから、特に木島議員等はこれについて非常に熱心に取り組んでおられることは皆さん御存じのとおりでございます。ただ、今日の社会情勢から見て、そういうことが認められていない。労働省等に対しても常に呼びかけをしておりますけれども、なかなかそれに応じられない。特にいまスクーリング等が大学でやられる関係で、どうしても長期の大学の休みの期間に集中する。ところが、学生の方はそれに対応するだけの休暇がとれないということは、これはもうここだけの問題ではなくて、重大な問題であると思います。したがって、段階的にはその間無給であっても休暇がとれるような道はとれないか。文部大臣もしばしば労働大臣に御協議しますということでしていただいたのですが、できていない。そこで、国立の通信教育というものが、今日までの日本の大学の中には通信教育をやるものがなかった。これは国が責任を持って、そういう有給休暇ですか、教育休暇をとる、それがやはり一つ障害になったのじゃないか。そこで、国立の通信教育をやって、そして、そこでとにかく国がそういうものの模範を示すという体制も、国立大学であればあるいはとりやすいのじゃないか。それがお手本を示して他の通信教育にも及んでいく、こういうことになるのではないかと思いますので、この機会に、この問題もありますけれども、良識のある議員の皆さんが、いま申しましたような教育のための有給休暇、それだけの学習権といいますか、それが保障される体制、制度を確立していただきたい、このことを、御答弁になるかならないかわかりませんけれども、私は所感として申し上げたいと思います。
  261. 馬場昇

    馬場委員 次に、これは文部大臣にお尋ねしたいのですけれども、午前中からの質疑の中でも多く出たのですけれども、この放送大学学園をつくるとものすごく経費が要るわけですね。そして第二期計画というものの試算もお聞きしたのですけれども、一千百億円ぐらいだ。これは投資総額ですか、運営費も三百億円ぐらいだ、こういうことも答弁なさいました。それから学習センターの設置費用、これも一カ所で四億円以上要るんだ、こういう答弁もあったわけですし、さらに、全国にネットワークをつくるためのスタジオ設備や送信所建設等、こういうものにも莫大なお金が要る、こういう御説明があったわけですけれども、また、別の質問に対する答弁として、第二期計画以降放送衛星を使うということもまた検討中だ、こういうことがありました。そうしたら、第一期計画でいろいろの設備投資とかその他をやっている、これが第二期計画で放送衛星を使うということになりますと、第一期計画でやりましたいろいろな放送施設等は、たとえばむだになるというようなことはございませんか。
  262. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 午前の質疑でもお話が出た点でございますけれども、御案内のとおり、第一期計画については東京タワーから電波の届く範囲内で進めさしていただきたいということで申し上げているわけでございます。もちろん、放送衛星の問題について、第一期計画の完了後全国的に広げるに際しまして、どう利用していくかというようなことについてなお関係省庁でも十分御相談をしなければならない課題かように考えておるわけでございます。  そこで、御指摘の点は、第一期計画を東京タワーからやった場合に、第一期計画完了後の放送衛星でやるとなった場合にその点がむだになるのではないかという御指摘をいただいたわけでございますけれども、その点は、確かに、第一期計画では送信所を一カ所つくるということと、電波を送り出すための設備については、もちろんこれは地上系でカバーをする際の設備でございますが、しかしながら、放送衛星を第一期計画以降使うことになりましても、私ども、通常のUの波で受信できるということと放送衛星で受信できるということともちろん中身は同じものになるわけでございますけれども、その点は、必ずしもそのことが直ちにむだな経費であるというぐあいには言えないのじゃないか、かように考えております。
  263. 馬場昇

    馬場委員 いま簡単な一つの問題点の答弁があったわけですけれども、しさいに検討いたしますと、私は、やはり第二期計画以降が明確になっていないわけですし、その中で第一期計画が進んでいくわけですから、むだなんかも相当出てくるのじゃないか、こういうぐあいに思います。  そこで、大臣、第二期計画もまだ未定でしょう。そして、いま社会党からもこういう提案が出ておるわけでしょう。やはりこういう放送大学という初めてのものですからね、国民全体の祝福を受けて発足をするということが一番大切なことじゃないかと思うのですよ。そして、この問題が議論され出しましてからほとんど十年ぐらい議論しているわけですね。だから、いまはたくさんの問題があるわけですから、何もここ一年とか二年とか急がなくても、そういう問題をみんなで議論をして煮詰めて、そしてみんなで祝福してこういう放送大学をつくるという方が大臣としてはいいのじゃないか。だから、そういう意味におきまして、何も一年とか二年とか急がない方がいいのじゃないか、十分検討する期間を置いた方がいいのじゃないか、こう思うのですが、大臣どうですか。
  264. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま先生が御指摘のとおり、すでに十年余を経過いたしましたこの審議でございます。その間には、これで四回目の国会への提案ということもございます。もうこの辺で本件につきましては国家、国民のために、ひとつ御協力をいただいて、りっぱな第一歩を踏み出したい、かように考えております。
  265. 馬場昇

    馬場委員 いまの答弁には、しかも社会党からも対案が出ておるわけですし、本当にそういうところをどうやって、たとえば突き合わせたら本当に納得するものができ上がるか、そういう議論なんかが、私はやはり時間をかけて必要だと思うのですよ。そういう点で、ぜひ時間をかけて、国民に祝福されたような発足をしてもらいたいと大臣に言っておきたいのです。  もう一つ、具体的な問題を聞きますと、これは大臣、この前のこの委員会でも答弁されましたが、学校健康会法との関連はどうなっておりますかね。
  266. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 健康会法の問題につきましては、すでに御案内のとおりに閣議決定によりまして、学校給食会と安全会、これを一緒にいたしまして統合いたすということでございます。これにつきましては、すでに両案ともに御審議をいただく段階になっておりまして、両法案国会提出いたしまして、現在それぞれ御審議をいただいておるところでございまして、どうぞ、これは別個な法案でございますが、ここに私といたしましては政府の方針どおり両法案の早期の成立を改めてお願いを申し上げる次第でございます。
  267. 馬場昇

    馬場委員 五十四年の十二月二十八日の閣議決定というのは、日本学校給食会と日本学校安全会とをこの放送大学学園設置のときに統合する、こういうぐあいになっていますね。この法律はいま参議院にかかって、もう大臣も御承知のとおりでございまして、通過しそうではないということは現実になっていますね。その関係はどうお考えですか。いま一緒に成立を望みたいということですが、もう通過しないことははっきりしていますね。御存じないのですか。
  268. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 私の方といたしましては、両法案を御審議をお願いをいたすべく御提案申し上げ、御審査中と存じておりまして、お通しいただくいただかないはちょっと私ではお答えできない、国会の方の問題であろう。私の方は、両法案本当にりっぱに成立させていただくように、改めてお願いを申し上げます。
  269. 馬場昇

    馬場委員 参議院で通せと私に懇願してもしようがないじゃないですか。あなたは全く形式的な答弁をなさいますけれども、これ以上進めませんけれども、実は私の見方では通らない。そういうときに一緒にやろうという閣議決定というのはどうなるのですかということを聞いているのですが、これ以上は水かけ論になりますので聞きません。  そこで、第二臨調との関係ですね。先ほども出たわけですけれども、この放送大学の問題は第二臨調の中で取り上げられていないのですか、どうですか。
  270. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 私は、政府の者といたしまして総理と御連絡を申し上げ、お話をいたしておるのでございます。臨調の方に関しましては、仄聞をし、また巷間新聞等で拝見をいたしておるものでありまして、まだ臨調の方との接触は私自体はいたす段階ではございません。
  271. 馬場昇

    馬場委員 第二臨調は新設の特殊法人は認めないという方針じゃないのですか。これは御存じないのですか。どうですか、大臣
  272. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 もはや十年も審議をいたしておりまする本件でございますので、その点は、それをお認めになる認めないという問題以外に、これはまた特別だということもございますので、どうぞよろしく……。
  273. 馬場昇

    馬場委員 では、第二臨調で特殊法人の新設は特別だということになっているのですか。
  274. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 まだ臨調の方からどうのこうのということはちっとも伺っておりません。
  275. 馬場昇

    馬場委員 では、一般論で、第二臨調というのは特殊法人の設置は認める方針ですか、認めない方針ですか。一般論はあなた御存じでしょう。
  276. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 本件はすでに十年も経過いたしましたものでありまして、一般論でどうこうと言うわけにもまいらないようでございます。
  277. 馬場昇

    馬場委員 全然あなたのは、これだけじゃございませんけれども、余り答弁にならないのですよ。しかし、時間もそろそろ来ましたから、最後にまた聞いておきますけれども、まだいまの納得したわけじゃございません。そんなあいまいな答弁で法律を通そうというのは私は不謹慎だと思うのですよ。  そこで、第二臨調に関係いたしまして、やはりいまいろいろ巷間伝えられておりますのは、四十人学級の計画を見直すのじゃないか、あるいは教科書の無償というものを見直されるのじゃないか、あるいは私学の助成というものもメスが入れられるのじゃないか、こういうことが伝えられておるわけです。これはひとえに行財政改革という中で文部省の経費を節減しようというところから来ておると思うのですよ。そういうことと、この放送大学学園というのは物すごく経費が要るわけですよね。またあなたの答弁というのはわけのわからぬ答弁をするかもしれませんが、この法律を通すということによってほかの経費節減というものをまさか許してしまうということがあったとすれば、これは大変なことになると私は思うのですよ。そういう点において、これは当然物すごく金が要るわけですから、金を節減するために、教科書の無償とか、さっき言いましたような四十人学級とか私学助成なんかを削ろうという動きがあるわけですから、そういうことは絶対に文部大臣は責任を負って守るという決意はございますか。
  278. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 決意も十分ございますし、ただいまその問題とは別件でございますので、ここではこの程度にいたしたいと思います。
  279. 馬場昇

    馬場委員 ちょっと答弁がわかりませんでしたから、もう一遍やってください。
  280. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御審議をいただいておりますこの放送大学学園法の問題と、また、先生、私も同様でございますが、いろいろ心配をいたしておりまする予算の問題、あるいは臨調の問題、これはおのずから異なっておりますので、ここでただいま私がお答えを申し上げるちょっと筋ではない、かように考えております。
  281. 馬場昇

    馬場委員 失礼ですよ、答弁が。この放送大学というのは資金が要るでしょう、資金が。行財政改革というのは資金の問題でしょう。何が別の問題ですか。失礼じゃないですか、あなた。だから、これはあなただっていままでの答弁の中でも、四十人学級だとか教科書の無償とか私学助成とかいうのはきちんと守るようにがんばるという答弁をしているじゃないですか、あらゆるときにも。何でいまそれが答弁できないのですか。
  282. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 それは冒頭にがんばると申しました。
  283. 馬場昇

    馬場委員 時間が来たわけでございますけれども、私は先ほども言ったのですが、大臣、いま社会党の湯山さん以下三名が出されたこの法律というのは、本当に一生懸命やって、そしてあらゆる放送法体系の問題から、大学の自治・学問の自由の問題から、いろいろ考えてあなた方の提案したものを審議して、その中でどうやって両方を両立させるかということでもって一生懸命検討して出された案ですよ。こういう一つの対案も出ている。あなた方のものにしてもいろいろ問題はある。まだまだ同僚がいまからたくさん質問しますから、そういうことですから、そういうときには本当に両方をどうやって調整して国民とともにコンセンサスを得るか、こういうことでぜひ慎重にやってもらいたい、このことは最後にお願いするのです  が、ぜひ大臣の答弁を聞きたいと思うのです。
  284. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 御趣旨のほどは確かに拝聴いたしました。
  285. 馬場昇

    馬場委員 私の質問を終わります。
  286. 中村喜四郎

    ○中村(喜)委員 参議院送付放送大学学園法案に対する質疑は終局されんことを望みます。(「反対、反対」と呼び、離席する者多し)
  287. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 暫時休憩いたします。     午後五時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後六時四十八分開議
  288. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、中村喜四郎君の動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者多し)     〔退場する者あり〕     〔賛成者起立〕
  289. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立多数。よって、中村喜四郎提出の動議のとおり、内閣提出参議院送付放送大学学園法案に対する質疑は終局いたしました。  速記をとめて。     〔速記中止
  290. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 速記を起こして。     ―――――――――――――
  291. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、一言申し上げます。  日本社会党及び日本共産党の委員諸君に御出席をお願いいたしましたが、出席がありません。やむを得ず議事を進めます。  これよりただいま質疑を終局いたしました内閣提出参議院送付放送大学学園法案に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付放送大学学園法案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  292. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  293. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、三塚博君外三名より、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題といたします。  提出者より趣旨の説明を求めます。有島重武君。
  294. 有島重武

    有島委員 私は、提出者を代表して、ただいまの放送大学学園法案に対する附帯決議案につきまして、その趣旨の説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送大学学園法案に対する附帯決議(案)   政府及び放送大学学園の関係者は、学園の設置する大学が広く国民に開かれた大学として充実発展し、わが国の高等教育の改善と、生涯学習の機会の拡充に役立つとともに、学問の自由・大学の自治と放送の公共性・公平性とが十分に確保されるよう、左記事項の実現に努めるべきである。  一、学園の役員及び運営審議会委員の選任に当たっては、国・公・私立大学関係団体、放送関係団体等の意見を聞くなど適任者の確保に努めること。  二、学園が設置する大学の運営に関しては、評議会及び教授会の構成、運営等が、大学の自治の本旨にのっとり、適切に行われるよう配慮すること。なお、多数の非常勤教員の意見の吸収についても、適切な方途を講ずること。  三、学園が設置する大学については、   (1)開かれた通信制大学となるため、国公・私立大学等にも広く共同利用の途を開くとともに、これら関係者の協力が得られるよう必要な措置を講ずること。特に、私立大学通信教育との連携協力については、施設、設備、教材の利用はもとより、放送の利用についても、検討、配慮すること。   (2)全国的に教育の機会均等が保障される大学となるよう、再度教育需要予測調査等を行い、適切に対処すること。第一期計画外の地域においても、この大学を広く国民が   (3)教育課程の編成にあたっては、地域性を加味するなど、画一的な教育内容にならぬように留意すること。   (4)教員については、研究条件の整備、待遇等に配慮しつつ人事交流を円滑に行い、優れた人材の確保に努めること。   (5)学生については、そのニーズの把握に努め、単位互換、編入転学、障害者の教育等を容易にするとともに、学習センターの拡充整備、育英資金の確保、週休二日制の一層の普及をはかるなど、学習条件の整備に努めること。   (6)働く人々をはじめ多くの人々が、この大学を積極的に利用できるよう、教育課程の編成、放送時間、スクーリング等についてさらに検討するとともに、授業料、放送受信設備費が過大にならぬよう配慮すること。  四、学園の放送教材製作部門に多数の優れた専門家を確保できるよう、処遇等について配慮すること。  五、学園の施設整備については、既存施設の活用をはかるなど投資効果が上がるよう配慮すること。  六、第一期計画完成の際など、一定の期間ごとに教育の効果及び大学教育全般との関係について見直しを行うこと。  七、学園の大学の名称については、大学の目的、性格等を考慮し、公募等の方策を講じて適切に決定すること。   右決議する。 以上でございます。  その趣旨は案文に尽きておりますので、朗読をもってかえさせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  295. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく本案に対し附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  296. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議に対し政府の所見を求めます。  まず、田中文部大臣
  297. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分に留意いたしてまいりたいと存ずる次第であります。
  298. 三ツ林弥太郎

  299. 渡辺紘三

    渡辺(紘)政府委員 ただいま御決議をいただきました事項につきましては、その趣旨に十分留意してまいる所存でございます。     ―――――――――――――
  300. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  302. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十一分散会