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1981-05-29 第94回国会 衆議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月二十九日(金曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君    理事 森  喜朗君 理事 嶋崎  譲君    理事 馬場  昇君 理事 有島 重武君    理事 和田 耕作君       臼井日出男君    浦野 烋興君       久保田円次君    高村 正彦君       西岡 武夫君    長谷川 峻君       宮下 創平君    木島喜兵衞君       中西 積介君    長谷川正三君       湯山  勇君    鍛冶  清君       三浦  隆君    栗田  翠君       山原健二郎君    小杉  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 田中 龍夫君  出席政府委員         文部政務次官  石橋 一弥君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省初等中等         教育局長    三角 哲生君         文部省大学局長 宮地 貫一君  委員外出席者         議     員 中西 積介君         議     員 馬場  昇君         議     員 嶋崎  譲君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ————————————— 五月二十九日  放送大学設置するための国立学校設置法及び  放送法の一部を改正する法律案湯山勇君外二  名提出衆法第五〇号)  放送大学学園法案(第九十三回国会閣法第四  号)  (参議院送付) 同月二十七日  高等学校等実習助手制度改革に関する請願  (安藤巖紹介)(第五一九七号)  同(栗田翠紹介)(第五一九八号)  同(山原健二郎紹介)(第五一九九号)  脊髄損傷者に対する学校教育改善に関する請願  (森井忠良紹介)(第五二〇〇号)  同(奥田敬和紹介)(第五二七四号)  教科書無償措置継続教育条件充実等に関する  請願村上弘紹介)(第五二〇一号)  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関  する請願近藤鉄雄紹介)(第五二七五号) 同月二十八日  私立大学における教授会重要事項審議権の確  認・確立に関する請願越智通雄紹介)(第  五三四一号)  障害児学校教職員定数増員等に関する請願外  一件(三浦隆紹介)(第五三四二号)  同(和田耕作紹介)(第五三四三号)  公立高校の新増設促進に関する請願外一件(三  浦隆紹介)(第五三四四号)  同(大橋敏雄紹介)(第五五〇九号)  高等学校等実習助手制度改革に関する請願外  二件(木島喜兵衞紹介)(第五三四五号)  同外二件(嶋崎譲紹介)(第五四二四号)  同(有島重武君紹介)(第五五〇〇号)  同外一件(大原亨紹介)(第五五〇一号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五五〇二号)  同(佐藤誼紹介)(第五五〇三号)  同(沢田広紹介)(第五五〇四号)  同(中西積介紹介)(第五五〇五号)  同(伏木和雄紹介)(第五五〇六号)  脊髄損傷者に対する学校教育改善に関する請願  (土井たか子紹介)(第五三四六号)  同(中西積介紹介)(第五五〇七号)  四十人学級早期実現及び教職員増員等に関  する請願大橋敏雄紹介)(第五五〇八号)  日本学校安全会の存続に関する請願外二件(中  西績介紹介)(第五五一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校教育法等の一部を改正する法律案中西績  介君外四名提出衆法第二号)  学校教育法の一部を改正する法律案中西積介  君外四名提出衆法第七号)  公立障害児教育学校学級編制及び教職員  定数標準等に関する法律案馬場昇君外四名  提出衆法第一一号)  放送大学学園法案(第九十三回国会閣法第四  号)(参議院送付)  放送大学設置するための国立学校設置法及び  放送法の一部を改正する法律案湯山勇君外二  名提出衆法第五〇号)      ————◇—————
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  まず、中西積介君外四名提出学校教育法等の一部を改正する法律案及び中西積介君外四名提出学校教育法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案に対する提案理由は、去る三月二十日すでに聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有島重武君。
  3. 有島重武

    有島委員 ただいま議題となりました中西積介君外四名提出学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、与えられました時間の許す限り質問をさしていただきます。  最初に、本改正案の御提案とかかわりまして、現在、高等学校における実習助手についてお尋ねをいたします。  昭和五十四年版の学校基本調査というのによりますと、全国の国立及び公立高等学校、さらには盲・聾・養護学校などの実習助手配置されておるその数が一万五千二百八十七名となっております。これらの実習助手業務につきまして、学校教育法第五十条の三項によりますと「実習助手は、実験又は実習について、教諭職務を助ける。」こういうことになっておる。せんだって、私どものところにも、実習助手の方が十数名お見えになりまして、いろいろとお話を承ったのですけれども助手方々がやっておいでになる職場での実態でございますけれども、これが、法律の述べておる「実習助手は、実験又は実習について、教諭職務を助ける。」というようなことをやや逸脱していることも相当ある。逸脱というのは、悪い意味ではなく、相当何か、教諭のやるべきことまで現実にはやっておるというか、やらされておるというか、そういうようなことがあるやに承っておったわけでございますけれども法案提案者の方から、できますればそうした実態について何か御報告いただければ、承っておきたいと思います。
  4. 中西績介

    中西(績)議員 お答えいたします。  いま質問にございましたように、現行法律規定によりますと、教諭補助的業務のみに携わればよいことになっておりますけれども、しかし、御承知のとおり、現在の定数法による教諭配置数生徒状況どもありまして、法規定の範囲の職務にとどまっているということはありません。実験実習を行う場合におきましては、生徒たちに十分理解させ、また、直接実験実習器具を操作させるために、一学級を数班に分けて行うのが通常であります。したがって、その際、実習助手がその一つの班を完全に分担しまして、指導案の作成あるいは指導評価などを教諭同様責任を持って行っているのが現場実態であります。また、実験実習を離れて日常的なものを見てみましても、生徒指導に当たっても、実習助手校務分掌の中に位置づけられ、教諭と同様に指導しておりますし、むしろ、最近言われている教育荒廃を克服していくためにも、実習助手が積極的にそのような指導にタッチできる条件を広げていくべきだと私は思っています。また、部活動クラブ活動などにおきましても同様であると言えると思います。  そういうふうに、いま指摘がありましたように、ただ単に教諭を助けるということだけでなしに、学校運営全体の中におきましても、あるいはそれぞれ授業にかかわる中におきましても、すべて主体性を持ってこれに対応していく、これなしには高等学校実習助手職業高校におきましても普通高校におきましても、これは解決できないという側面があります。特に私たちの年齢の者から申しますと、旧制中学あたり理科助手あたりを考えてみると、卒業して浪人している先輩が一年だけやっておくという、腰かけ的でありましたけれども、これが固定された職業として皆さんに理解をされ、そしてまた、認知をされておるという現状の中では、そうせざるを得ないし、また、することが妥当であると考えます。  以上です。
  5. 有島重武

    有島委員 文部省の方に承りたいのですけれども、関連いたしまして、学校教育法の四十五条、これは定通にかかわることでございますけれども、四十五条の二のところに技能教育というようなことが出ているわけですね。これはどういうものが含まれておるのか。従来は若年層労働力を急激にたくさん欲しかった、だから、田舎からたくさん連れてくるとか、あるいは工場に入れてしまって、定通教育も一緒に受けさせながら資格を取らせる、そうすると職場がそのまま技能教育になるというようなことがあったのではないか。それが実態的なことではなかったかと思いますけれども、現在は、今後のことを考えますと、むしろ積極的に、定通のみに限らず、全日制におきましても——その前に、もっと積極的な、技能教育というものを、言葉の本来の意味のような教育面にちゃんと集約して、実習実験を校外でもってどんどんやらせていかれるような道を開いていく。このためには、全日制におきましてもこういった道を開いていったらどうかということを私たちは考えているわけです。また、その技能教育ということの中に体育だとか語学なんというものも入れていってもいいのじゃないかと考えているわけです。  きょうのこの法案とはちょっと外れるかとも思いますけれども、関連があろうかと思いますので、これは文部省の方に承りたい。
  6. 三角哲生

    三角政府委員 ただいま御指摘のありました学校教育法第四十五条の二で規定しております技能教育でございますが、これは高等学校職業に関する教科文部大臣が指定した科目ということでございまして、この教科とは、家庭、農業、工業、商業、水産、看護などでございます。そういうことで、技能検定が認められますのは、高等学校職業に関する教科に属する科目のすべてでございますが、ただいま御指摘のありましたような体育でございますとか語学などはこれに入っておらないのでございます。この制度と申しますか現在の技能連携というのは、ちょっと御指摘もあったわけでございますが、高等学校以外の各種の職業訓練施設でございますとか、あるいは専修学校でございますとか、そういった教育訓練機関におきます技能教育の成果について、専門教育という観点から評価すべきものもございます初伝、これを高等学校教科の一部についての履修とみなすということでございまして、そのことは、特に勤労青少年など生徒の学習の二重負担の軽減ということ、それから高等学校の修学の機会の拡大に非常に効果的であるという趣旨に立っておるわけでございます。しかし、原則としては、高等学校、特に普通教科につきましては、高等学校自身がそういった事柄につきまして、実習をし、責任を持って行っていくことが適切であるというふうに考えておるのでございます。  ただ、もちろん特定のスポーツとかあるいは外国語等について、なおそれに関する技術なり技能なりを深めていこうということで、高等学校でいたします教育以外に、さらに突っ込んだ修練をしようということも、これはその人その人にとって望ましい場合が多いかと思います。  なお、今後における高等学校職業教育のあり方については、現在、審議会の方に諮問もいたしましてさらに検討は進めたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  7. 有島重武

    有島委員 ひとつ積極的になお検討していただくようにお願いしたいと思います。  次に、公立の小・中学校におきます事務職員のことですけれども事務職員配置状況は、小学校では校数二万三千三百五に対して一万八千三百七十八、中学校九千九百七十四に対して八千二百四十一ということで、両方合わせましても八〇%というようなところにとどまっておるようであります。これは昭和五十四年度の数字でございますけれども、これは実害が起こっておるのではないかと思います。当分の間、当分の間でもっていままできたわけでございます。だから、何となく惰性的になっているのだろうけれども現場において相当いろいろな声を聞いておる。本法案提案者におかせられては、いろいろと御調査があろうかと思うのですけれども、そういった実態についてひとつ御報告をいただければ大変参考になろうかと思います。  それからもう一つ、これは市町村あるいは県の方でまる抱えの状況になっておるというようなことがあろうかと思うのです、どうしても置かなければならない、国の方で置かれないというようなことがあって。ですから、後で文部省の方から、できれば、いま私が読み上げました数字について、これは正規数字だけで言っているのか、あるいは都道府県ないしは市町村で特にいわば犠牲を払いながらやっている数字が一体どのくらいなのか、そういった数の実態を後からまた文部省からも承りたい、お願いします。
  8. 中西績介

    中西(績)議員 お答えいたします。  まず、第一点の、実態につきまして見ますと、学校事務職員の未配置校につきましては、大体おおむね小規模校が多いわけでありますけれども、しかし、小規模校と申しましても、その事務内容につきましては、大規模校と大差はないわけです。きわめて複雑多岐にわたった学校事務というのがあるわけでありまして、事務量におきましても、必ずしも児童生徒数に比例をするということではありません。したがって、これらの学校におきましては、市町村費事務職員配置したり、あるいは税外負担の禁止を規定した地方財政法趣旨に反しておるPTAなど私費によって事務職員を補ったりしておるわけであります。それがいま指摘された点ではないかと思います。また、これらの事務職員もいない学校におきましては、やむなく教員が少しずつ学校事務を分担をしておるという実態があります。  そこで、この五十四年度の学校基本調査報告書などを見てみますと、市町村費による事務職員の数というのは、小学校で六千二百十九名であります。学校図書館事務職員が九百十五名、中学校におきましては、事務職員が四千五十九名、学校図書館事務職員が六百六名、小・中合計いたしますと一万一千七百九十九名に上っています。  したがって、これをもうきわめて最低限見積もりましても、一般的にはこの事務職員の場合には四百万を超える額が一人当たり必要でございますけれども、それを二百万といたしまして、二百三十五億を超える金額になっています。また、この市町村とは異なりますPTAなどを含みまして私費負担によるところの事務職員の数は、小学校事務職員が四百五十八名、学校図書館事務職員が六百六名、中学校では事務職員が三百九十一名、図書館事務職員が三百五十五名、合計千八百十名になっています。  このように大変な負担を、いま大変厳しい、特にまだ配置されておらないというところあたりにおきましても、これにかわるものとして配置をしますだけに、地方自治体の財政上非常にこれが抑圧をしておるという現象があるわけであります。  こういう点を考えまして、ぜひこの際に、いま提案を申し上げている方向で、五年間に事務職員配置をぜひお願いしたいという法律であります。  以上です。
  9. 有島重武

    有島委員 文部省から、いまの数字内数なのか、外数なのか……。
  10. 三角哲生

    三角政府委員 有島委員先ほど仰せになりましたのは、昭和五十四、年度の数字で八〇何がしと、こういうことでございまして、それはそういうことであろうかと思いますが、私の手元にございますのは、一年後の五十五年五月一日現在でございまして、これはこの数値先ほど八〇とおっしゃいましたものが、養護教諭につきましては八二・八、事務職員については八二・一という数値でございますが、御指摘のいわゆる県費負担職員数、これが養護教諭については千七百七人、事務職員については六百八十六人おりますから、これが入っておりますので、これをとりますと、逆に申しますと、国の定数基準による配置の数で申しますと、養護教諭の方は七七・七%、それから事務職員の方は八〇・一%、こういう数値でございます。
  11. 有島重武

    有島委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、本法案の御提出意味合いというものをほぼ了解いたしましたので、なお検討を続けさせていただきたいと存じます。
  12. 三ツ林弥太郎

  13. 和田耕作

    和田(耕)委員 中西君外の委員提出されております学校教育法の一部改正法律案、これは私、考え方法律のたてまえには大賛成なんです。私自身も、この問題、つまり働きながら高い資格がとれるような階段学校教育だけでなくて、働きながら、学校教育等で得る階段と同じような資格をとれるようなもう一つ階段をつくっていくという、これは一つのそういうふうな考え方が基礎にあるのじゃないかと思うのですけれども、これは非常に大事なことだと思います。たとえば、これにも若干触れております看護婦補助看護婦ですか、看護婦さんが十年、十五年と実績を経て、これが、そんなにたくさん経なくても正看護婦になれる道はあるのですけれども、正看護婦がだんだんと経験を経て、そして、ある認定試験を経て医者になれるというような資格をつくるということも大事なことだということで、私いままで二度も三度も質問を提起したことがありました。  そういう趣旨で、高等学校で特に理工系統教諭を補助する人たち一万何千人もおられるというのですけれども、こういう人たちが次第に教諭になっていくという階段をはっきりとつくるということは、私、正しいことだと思うのですけれども、まず文部省にお伺いしますけれども、この考え方自身文部省はどういうふうに評価されておるのか、それからお伺いしたいと思います。
  14. 三角哲生

    三角政府委員 私どもは、現在の実習助手という制度並びに現実にその仕事に当たっておる方々、これはやはり高等学校の特に職業学科におきましては必要な職として定着しておりまして、非常に重要な役割りを果たしておりますので、そういう意味で、それそのものとしての評価をすることが大事であると思っておりますが、ただいま御指摘のように、実習助手個々方々によりまして、これらがいろいろな方法で勉強なさいまして、そして、たとえば当該職業教科教諭資格を得られることは、これは望ましいことでもあると思っておりまして、現在も、それは認定講習等による道が開かれておるわけでございます。そのことによりまして、現行制度では実習教諭への昇進が可能でございます。  ただ、これを一般的にどうこうということになりますと、学歴や御本人の状況が区々でございますので、これを一括して制度で一挙にどうのこうのということは、いろいろな意味で問題があるのではないかと思っております。  それから、職業以外のたとえば理科について申しますと、これは理科についての観察実験について教諭を助けるわけでございますが、理科につきましては、そういった観察実験だけで独立した教科としての内容構成を持っておりませんので、これを職業教科における実習助手とすべて同じような立場で考えることは、実際上むずかしい点があるだろうというふうに思っております。
  15. 和田耕作

    和田(耕)委員 ちょっと質問の順序が違ったと思いますが、中西委員質問しますのは、この法案考え方として、いま私が申し上げたような考え方に基づいておるというふうに見てよろしゅうございますか。
  16. 中西績介

    中西(績)議員 お答えいたします。  いま指摘のありましたように、この提案理由の中の第三にあります「新たに、高等専門学校を卒業した者及び看護婦免許状取得者を加える」という、ただ単にこのことだけをもってしてこの法案提案しておるというものではありません。と申しますのは、実習助手位置づけが、いま学校教育法の中におきましても、大変あいまいな位置づけになっておるということを私たち指摘しておるところであります。  たとえば賃金形態を見ましても、同等の卒業の、同年次に高等学校を卒業した者と比較しましても、三十七歳ぐらいになりますと事務職員になった者の方が教職の三等級に位置づけをされますので、この実習助手と比較いたしますと、事務職員の場合、三十七歳でうんと差がついてくるわけであります。そして、最終的にはその格差は大変なものになってくるという状況一つあります。  それから、もう一つ大事なことは、いま職業高校あるいは普通高校における実験実習というものの教育の中における位置づけが、日本の場合には、いままで非常に軽視をされるという状況がありました。また、特に普通高校の場合等における進学体制の中では、このことが受験のためにはやられておりますけれども、真に実験実習教育の中に取り入れることによって質を高めていくということにはなっておりませんし、あるいは科学技術の発展に呼応しまして、いまその点が大変おくれていくという状況等もあるわけであります。  そういうことを考えますと、これに従事する実習助手皆さんが、いまこのようにいたしまして、賃金面におきましても、さらにまた定年に至るも実習助手としての位置づけしかないということになりますと、これに対する意欲を喪失してしまうという状況等が出てくるわけであります。したがって、この両面を考えまして、すべて実習助手を廃止して教諭というものでこれを置きかえていく、こういう考え方であります。  したがって、いまいる実習助手皆さんの場合には、そうした資格試験なりを取ることによって十二年間で教諭任用に切りかえていく、こういう体制でもっていこうという考え方であります。したがって、こうした特に第三にうたっております高等専門学校の場合あるいは看護婦の場合には、そうしたものは道が開かれていない面があるわけでありますから、その点を考え合わして、私たちはこれを新たにつけ加えるということでここに示しておるということを御理解いただきたいと思います。  以上です。
  17. 和田耕作

    和田(耕)委員 私、若干誤解をしておったように思います。私、この法律案を通読いたしまして、働きながら正規学校を通らなくてもそれと同じような階段を上ることができる、この制度勤労者確立をするということが非常に大事なことだと考えておるわけでありまして、その一つの形としてここに法律を出されたと思ったものですから、先ほどそういうふうな質問文部省にしたのですけれども、よく読みますと、確かにそれとはちょっと違ったニュアンスを持った感じがいたします。ニュアンスは違っておりましても、やはりそういうふうな考え方が背後にあるというふうに思ってよろしゅうございますか。
  18. 中西績介

    中西(績)議員 本法律案は、先ほども申し上げましたように、いまの高等学校現場における実態といたしまして、教育の質を高めるという方向でもって実習助手という制度を廃止してすべて教諭任用にする、そして、さらに将来的には実習助手はなくなるわけでありますし、そうした中におきましては、いままででありますならば、たとえば実習器具などを助手がそろえておくとか、そうした単純作業的なものと見やすくされておりますために、いろいろ問題があったわけでありますから、これを器具設置からあるいは後片づけまですべて含めて、生徒自身が教師とともにやっていくという習慣なりなんなりをつけていく、こういう体制がいま望まれておるわけであります。  したがって、そうした意味実習助手というものを配置すること、そのことでいままで学校の中におけるいろいろな矛盾が出ておりますから、それをなくするという意味でこれを提案しておる、そこで、いま働いておられる皆さんについては、この皆さんをそのまま放置するわけにはまいりませんので、十二年間の暫定的な措置をとって将来的には教諭任用に切りかえていく、こういうことになっておるわけであります。
  19. 和田耕作

    和田(耕)委員 時間がありませんから、ひとつ簡単に御説明をいただきたいと思いますけれども、大体よくわかりました。となれば、現在もそうだと思いますが、補助看護婦を正看護婦にという制度があります。数年前に、補助看護婦制度を廃止して全部正看護婦にしろという要求がありましたけれども、あれと大体同じような考え方と理解してよろしゅうございますか。
  20. 中西績介

    中西(績)議員 准看を正看にということ、そうですね。——この点につきましては、私たちは、やはり人の生命を預かる医療制度の中におきまして、そうした正式の資格を持ち技術を持つ人がそれに従事をするということ、そのことについては、いま私たちが主張することと変わらないと思います。
  21. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは私、いろいろ問題があると思うのです。社会労働委員会におるときに、この問題を私は問題にしたことがあるのですけれども、准看護婦、つまり補助看護婦的な地位は、ILOのいろいろな職種の中にもはっきりとある地位なんですね。しかも、あっていい地位なんです、正看護婦に対して、看護婦を助ける補助的な看護婦という地位は。いまのこの場合でも、理工系の教諭を助ける実習助手という制度は否定しなくてもいいじゃないか。これは准看の場合と同じなんです。そういうことを実際上必要な制度として考えて、しかし、そういう者が努力をして上にずっと上がっていく場合に、変な制約をつけてはいけない。実際によく勉強をして、そして実務を修得した人は、教員にどんどんとしていくような道を確立していく必要があるのだ、そういう考え方の方がむしろ妥当じゃないでしょうか。たとえば、現在の教諭実習助手でもいろいろと差があるでしょう。経験のある人もおれば、あるいはそうまでもいかない人、上の人もおれば中の人もおれば下の人もおる、これは当然のことです。それを全部一律になくして、その制度そのものを廃止するというのはいかがでしょう。制度は置いておいて、その中で努力する人は教諭にどんどんと上がっていける道を、スムーズに上がれるような階段をつくることの方がもっと合理的じゃないでしょうか。そのことについてひとつお伺いしたい。
  22. 中西績介

    中西(績)議員 先ほどもお答えいたしましたように、職業高校等における実習におきましても、あるいは理科実験等におきましても、班編成でもってやられておるわけですね。そうしますと、いま私たち四十五名を要求しておりますけれども、なかなか実現しませんが、四十五名学級という場合に——職業高校では四十名でありますけれども普通高校では四十五名です。そうしますと、それを班編成いたしまして、そこでもって指導する場合に、教諭一人ではとうていおぼつかないわけですね。したがって、これを一班ずつあるいは二班ずつを担当するというぐあいにいたしまして、教諭が二名なりあるいは実習助手が二名というぐあいに加わりまして、その班の指導を具体的にしていくわけであります。  そういうことからいたしますと、実習助手という制度は、補助的なものでそれが補えるものではなく、むしろ正規教諭に任用された者がこれを指導していく、こういうことがやはりよりベターである、こういうふうに私たちは考えます。  それと、いま指摘のありました、将来的にどんどん任用していけばいいのではないかという説がございましたけれども昭和三十六年に政府提案によりまして教育職員免許法の一部が改正されました。その際に、当時の内藤政府委員の答弁の中には、この点につきまして、免許状を取った者が教諭現実になれるように積極的に指導してまいりたい、こういうように積極姿勢を見せましたけれども、現状ではそれがほとんど不可能に近い状況に置かれております。したがって、両者を考え合わせてまいりますならば、これをいま解決するといたしますと、より質的に向上させるということであれば、むしろ、高等学校の場合には、生徒が直接そうした補助的なものを含めてやっていくということを考え合わせてすべきではないだろうか、このように考えまして提案をしておるということを御理解いただきたいと思います。
  23. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは見解の相違になるかもわかりませんけれども、この実習助手制度という非常に必要な制度制度として廃止するという考え方は、私にはどうも理解ができない。実習助手制度というものを廃止することで、教諭自身一つ科目についての教え方がむしろ混乱するような新しい要素を持つ可能性すらあるのじゃないですか。教えるという大事な仕事を考えても、熟練した一人の教諭がおり、それに対して、それを補助する幾段階かのピラミッド型の教諭体制がある、そして助手が非常にスムーズに上に上がっていくような制度があるという方が、むしろ現実的だし、実際の教育という効果を考えた場合でも、その方がいいのじゃないですか。ぜひひとつ、その問題を御一考いただきたい。これは私、最初から申し上げているとおり、この考え方の基盤に、働きながらより高い資格が取れるということは、現在の日本教育制度としてきわめて重要な要素だと考えておるのです。  これは医者の場合もそうですし、あるいは建築その他の実務に関係するもの、全部そうなんです。学校を出なければ資格が得られないというようなことだときわめて不便な問題が、また現実に合わない問題が非常に多い。医学の問題なんか特に多い制度であります。たとえば特殊学校の先生の資格なんかを考えましても、あれは資格のある先生だけでは何にもならない。特殊学校の学生たちに熱意を持っている人たちが、その先生を補助するという体制で初めて特殊教育ができてくる。こういうことを、その補助者というものを考えないで先生だけの立場を考えると、特殊教育自体ができやしない。特殊教育の例はこの場合に当てはまらないのですけれども一つ考え方としては参考になる考え方です。教諭助手、あるいは看護の場合は三つの段階があるのですけれども、そういう段階は国際的にILO条約でも認められていることですね。また、実際に教えるということ、あるいは外科のお医者さんが仕事をするという場合にも、そういう階段があって初めてうまく物事が進んでいくということになる。そういうことに、単に一つの待遇改善とか平等とかいうふうな考え方をそのまま適用することによって、むしろその職場自体が混乱するという要素の方が、私は心配になるんですね。  したがって、中西君外の方々提案しているこの問題については、私は、非常に大事な問題を提起していると思って、文部省の方にも、この考え方をぜひとも採用するように強く要求したいと思うのですけれども、その一点だけ、いまの助手的な制度を廃止して全部教諭資格にしてというこの考え方現実に合わない、そういうふうに考えられてならないのであります。  以上、そういう意見を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  24. 三ツ林弥太郎

  25. 山原健二郎

    ○山原委員 学校教育の重要な部分を受け持つ実習助手、養護教員、また事務職員方々実態をお互いに十分認識し合って、それにふさわしい処遇をしていくということは非常に重要な問題でございまして、その意味で、今度の法案を出されたことにつきまして敬意を表します。  実習助手の問題について最初にお伺いをいたしますが、実習助手という職名で働いておる方がすでに一万五千人に達しておるという状態でございます。しかも、この実習助手方々が、工業、農業、商業、水産、衛生、看護などの職業科、あるいは理科、家庭、理療、理美容科などの実験実習指導に当たるとともに、実験に必要な準備及び整備、実習指導計画の作成、実習成績の評価などを行う、しかも、その上にホームルームの正副担任、あるいはクラブ活動学校行事などの特別活動の顧問、指導及びその他各種の校務分掌に当たっておるというのが実態でございます。しかし、それに見合った身分が保障されていないという状態でございまして、劣悪な条件のもとで教育に関する仕事をされておるわけでございますが、この実習助手方々の処遇の問題について、一つは、賃金の問題がございます。この実習助手方々の賃金は、現在どういう状態に置かれておるかということが第一点。また、教職員としての権利・権限の上でどんな差別がなされておるかということが第二点でございますが、その点、簡単にお答えをいただきたいのであります。
  26. 中西績介

    中西(績)議員 お答えいたします。  御存じのとおり、実習助手という言葉からいたしますと、そのイメージは大変暗いものがいまあります。現行法のもとにおきましては、実習助手が幾らがんばりましても、あるいは勉強しましても、また実習実験について教諭以上の力量を持っておっても、一生涯実習助手という扱いになっています。特に現今、県教委あるいは校長が法の規定を盾にいたしまして、教育職でありながら教育上の責任は持たせられないとして排除することが、実習助手の積極的な教育活動参加の姿勢を抑えつけ、意欲をなくしてしまったり、生徒の教師と実習助手の差別視を生んでいるところであります。そのため、教育効果が十分上がらない結果もそういうところから生じておることは否めません。  したがって、社会的にも低い地位に見られ、実際の例として、私の所属をしておった学校におきましても、結婚話が壊れたといった例も聞いております。また、賃金の扱いにつきましても、教育職給料表三等級適用でありまして、先ほども申し上げましたように、教諭と比較すればもちろんきわめて低く、事務職員との比較を見ましても、三十七ないし三十八歳で逆転して、その後はますますその差は拡大をしていくという状況に置かれています。  以上であります。
  27. 山原健二郎

    ○山原委員 三等級を廃止して二等級との一本化を目指すためにお互いに努力をしてきたわけですが、二等級への渡りを実現する等の取り組みについても、今日までずいぶんここでも論議をされてきましたけれども、やはりどうしても壁があるわけです。その点で、どうしてもここを突破するということが必要だと思います。  もう一つは、現在、実習助手の中で教職免許状取得者は、工業科だけでも三千人を優に超しておると言われておりますが、大部分が任用されていないという状態にあります。どのような理由で任用されていないのか、それはどういうふうに把握されておるでしょうか。やはり身分を確立して権利・権限を保障するためには、教諭として位置づけていく必要があると思います。その点では私どもも一致いたしております。  ただ、法案としてこれを十二年間で行うということになっておりますが、やはりもう少し早く実現をしていくために努力をすべきじゃないかと思いますので、その点についての提案者の御決意を伺いたいと思います。
  28. 中西績介

    中西(績)議員 いま指摘されましたように、先ほどもちょっと触れましたけれども昭和三十六年に教職員免許法一部改正がされまして、実習助手は、規定資格と単位を修得することによりまして、高校普通二級免許状が取得できるようになってはおります。当時の議事録を見ますと、内藤政府委員の方の答弁では、免許状を取った者が教諭現実になれるように積極的に指導してまいりたいという答弁をしておりますけれども、政府としても、この免許法の一部改正で積極的に実習助手教諭に任用していこうという姿勢が強くその当時は見受けられました。しかし、せっかく免許状を取得しても、教諭に任用されなかったし、それが進まなかったというのが、いままでの現状であります。したがって、前任者が退職をするか何かしないとその席があかないという理由をもちまして全く任用されないというのが、いまの状況であります。したがって、そこで実習助手皆さんが研修を積み重ね努力を重ねて免許状を取得しても、このまま生涯実習助手という、いわば未熟者としての職名に甘んじなければならない。こうしたこと自体、私たち考えますと、教育現場における自主的、自発的に教育者が良心のもとに教育活動に参加できる体制というのをいち早く達成していかなくてはならぬと考えます。  したがって、この十二年間という問題につきましては、私たち、五年間なり六年間程度という考え方もありましたけれども、この点については、一定の期間を持たないと、それぞれ働いておられるということ等もございまして、この資格を取得するに際しましても、いろいろな諸条件があろうし、それから、さらに学校内部における変革にもなってまいりますので、そういうことを考え合わせまして、十二年間、こういうことを一応考えたところであります。
  29. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一点、この点につきまして、いま和田さんの質問の中で少し意見の食い違いのようなものを聞きながらちょっと心配しているわけですが、法案では実習助手の削除をしまして、職務規定の中でも削除するということになってまいります。そうすると、たとえば高等学校には実習助手は要らないのかということが出てくるわけですね。この点はもう一度はっきりお答えしておかれた方がいいのじゃないかと思います。特に農業高校などでは、野菜あるいは牛とか馬とかいうようなものがおるわけでございますから、その扱いについてどういうふうにするかという点も当然考えておかなければならぬと思いますが、その点についてお考えになっておると思いますが、簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  30. 中西績介

    中西(績)議員 実習助手高等学校の各職場からなくすということに実態としてはなるわけでありますから、その際に、いま指摘をされましたような問題が出てくるということをよく私たちも聞きます。しかし、実態としては、たとえば工業高校等におきまして、あるいは農業高校等におきまして、特にそのことが出てくるわけでありますけれども、農業高校の場合を考えてみましても、実習助手教諭になっても農場や畜舎を中心とする実験実習を担当するのがあくまでも本務でありますから、当然、施設、設備の維持管理、これは現在配置されておる農業従事員などその他職員とともに担当していくことになるわけであります。したがって、教諭もその点でこれを一緒に担当していくわけでありますから、そういう問題は、私自身が農業高校の出身でありますだけに、ないと確信をいたしています。
  31. 山原健二郎

    ○山原委員 私も、実験実習が重要な基礎的な技術技能生徒たちに与えていくというものであり、かつ、新指導要領によりましても、この点を指摘をされているわけでございますから、その点で考えるならば、いま提案者のお考え方に対して同調できるというふうに考えております。疑問があれば、これはやっぱり今後話をしながら解決をしていくということで結構ではないかと思っております。  次に、養護教諭の問題につきまして、これは私どもも、社会党の皆さんと一緒に共同提案もし、また、昨年の五月でありましたか、私自身も、五年間で定数改善の中にこれを入れておったわけでございますが、そのときにも養護教諭の方たちの意見もずいぶん聞かせていただいたわけでございます。その中で、実に大変な仕事を受け持っておられるわけでございまして、たとえば学校安全会の法律改正、木島先生がおいでになりますけれども、小委員長としてあれを実現されたわけですが、そのときにも養護教諭の先生方の意見も聞いたわけですが、たとえば朝学校へ行って子供の顔を見る、そして子供たちの健康状態を判断する。保健室へ帰ってくる。けがをした子供が飛び込んでくる。腹が痛い子供が飛び込んでくる。いま指摘されているように、子供たちの体力というのは、健康状態がかなり破壊されておりますから、そういう子供たちがずいぶんたくさんふえているわけですね。この子供たち指導しなければならぬ。しかも、その指導の方法が、この間NHKのテレビを見ておりますと、実に子供たちが気軽に入っていく、それに対してアナウンサーがいろいろ聞いているわけですが、そうすると、体のこともあるのだけれども、何となくここへ来れば安心するという、精神上といいますか、心の病まで養護教諭の先生方が見ておられるというテレビが行われておりました。さらに、けがにしましても、年間百万件を超すけががあるわけですから、これを見なくちゃならぬ。あるいは学校安全会の仕事もしなくちゃならぬ。申請もしなくちゃならぬ。お金の計算もしなくちゃならぬ。お金の計算をしているうちに子供が飛び込んでくると、それをほっておいてまた仕事をしなくちゃならぬ。しかも三校、三校受け持っておる方がおいでになるわけですね。  そういった実態を考えてみますと、これは本当に大変な仕事であるわけでございまして、これに対して適切な処遇をしていくということは、全く提案者の言われておるとおり重要なことでございます。全校必置という問題、これはいままでお互いに言い続けてきたところでございますが、この法案には、そのことが書かれておりますが、この実現に向かっての提案者の御決意を伺っておきたいのですが、実は大臣に聞きたいのだけれども、空席のようですから、文部大臣等の答弁も一緒に交えて、実現するという決意を表明していただきたいのです。
  32. 中西績介

    中西(績)議員 お答えいたします。  いま指摘がございましたように、この養護教員の全校必置の問題につきましては、ただ単なる改善措置などと全く異なるものでありまして、百三条を振り回してこういう事態を招いておるわけでありますから、一日も早く法二十八条に立ち返って全校配置を実施すべきだということを強く感じるわけであります。  いま御指摘のように、各学校におけるいろいろな状況というものは、確かに問題がありますし、われわれとしては、ぜひこの点を短期間、五年間で設置をさせるということを目標にいたしまして、皆さんに御賛同願って、文部省に強くこの点を迫っていきたい、こういうふうに考えておるところであります。
  33. 山原健二郎

    ○山原委員 定数改善についての提案も出され、全校必置の問題も階帯決議もあります。前の定数改善のときにも附帯決議もつけているわけですね、しかし、それは一向に実行されないというこの文部省の態度に対して、ちょうどおらぬからいけませんけれども、どうお考えになっておるか、これは文部省に聞くよりももう一回提案者の方から……。これは文部省の怠慢ですよ。これに対してどういうお考えを持っておるか、はっきりさしていただきたいと思います。
  34. 中西績介

    中西(績)議員 私たちは、特にこの点に関しまして、いま各現場を見てまいりますと、一人の子供に対する温かい目というのが欠けておるのではないかということを、このこと一つを取り上げてみましても強く感じるわけであります。小規模校あるいは大規模校といわず、これは当然必要なことでありますだけに、特に分校などにおきましては、四カ所かけ持ちという実態等が報告されています。あるいは、はなはだしいものにつきましては五カ所も、しかもその数は千人を超えるものになっておるということも聞いています。  こういう実態等をずっと勘案してまいりますと、いち早くこれをいかに実現するかということが大変重要であります。特に、いま一日に百人を超えるような子供を相手にしておる大規模校、それから全くいないところでもし百万件のうちの一件であろうとそうした問題が出た場合の対応の仕方等に欠陥が出てくるといたしますと、これはまさに文部行政の怠慢であります。  先般、私たち提案を申し上げました急増地域における助成措置等につきましての問題とは異なりまして、これは、土地だとかあるいは校舎だとか、こういうものは全く要らないものでありまして、いま教員一人を配置をすれば済むという問題でありますだけに、ぜひこの点は早くやらなくてはならぬと思います。と同時に、いま問題になっておりますこの過重ぎみな労働条件等につきましても、いち早くこれを解決しないと、たとえば広島あたりで起こりましたような、過労によるところの心疾患によって亡くなったということで公務災害の適用等も見受けられる状況等があるわけであります。したがって、こういう点をもう少し実態を早急に把握をいたしまして、直ちに措置をとることを強く要請をしてまいりたい、このように考えております。  以上であります。
  35. 山原健二郎

    ○山原委員 時間もありませんので、事務職員の問題について、一問だけになりますが、お尋ねをしておきたいと思います。  提案趣旨は十分わかっておりますが、事務職員の仕事にしましても、法規に書かれておりますように、実に多岐にわたる仕事をしておられるわけでございまして、その中で、県費による方と、それから市費等によって働いておられる方とがおいでになりまして、市費職員等の配置のアンバランスが非常にあると聞いておるわけでございます。配置状況についてはお調べになっておられると思いますし、先ほど少し御答弁されておりましたから、その点はわかるわけですが、そういう状態の中で、やはり全校必置を目指してこれをとにかく実現をしていくということが必要だろうと思います。そして同時に、この事務職員方々の仕事というものが、これまた学校教育の面で非常に重要な部分を持っておるわけでして、単に事務をとるというだけでなくて、子供との触れ合いや、あるいは生活指導、あるいは直接、間接にそういう面での深いかかわりを持っております。そして、学校教育を担う一員としまして、それなりの自覚を持ちつつも、教員との賃金格差の拡大、あるいはそういうものに対する強い不満や疎外感を生み出しているのが実情ではないかと思うのです。これでは学校の運営は、民主的に円滑に発展することはできません。  その意味におきまして、この賃金格差についてどう取り組んでいくかということをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 中西績介

    中西(績)議員 御指摘のございました数等につきましての資料でございますけれども、いまお手元にお配りしておる、私は、これをおかりして皆さんに資料提供をしておるわけでありますけれども、この資料の中の、養護教員の場合は百二十八ページ、それから事務職員の場合には、その次のページにそれぞれ出ておりまして、実態としては大変問題のある状況になっています。  そこで、いま指摘のございました賃金問題でございますけれども、賃金問題については、教員と現場事務職員の賃金格差があるということで、非常に格差是正を要求する声が強く出ておるところであります。そこで、行政職のような職階制賃金体系ではなくて、教員のような、学校事務職員独自の賃金体系があっていいのではないかと考えます。ただ、このことは、まだまだ検討すべき内容もありますから、ここで断定的には申し上げかねますけれども、できれば、そういう方向で賃金を確定していくべきではないだろうかと思っています。したがって、現行でまいりますと、四等級の渡りまでは容認されておりますし、文部省自体も、三等級の渡りについては認めるという態度があるわけでありますから、この点もいち早く解決をしていくという措置をとるべきではないだろうか、こういうふうに考えておるところであります。
  37. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  38. 三ツ林弥太郎

  39. 湯山勇

    湯山委員 最初に、文部大臣にお尋ねいたします。  昨日の衆議院本会議におきまして、国際障害者年に当たって障害者の「完全参加と平等」の実現を図るためにという決議が行われましたがも大臣御存じのとおりだと思います。まだ国会から政府の方へはしかるべき手続きなされていないかと思いますけれども、大臣はよく御存じでございますが、あの決議を実現していくためには、文部省文部省としてそれなりの対応をしなければならないと考えます。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕  このことについて、文部大臣のお考えを伺いたいこと、それと関連いたしまして、当然、ただいま提案されている障害児教育の——失礼しました……。  そこで、大臣、いろいろ時間の御都合もおありでしょうから、そのことだけ先にお尋ねいたします。
  40. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりの次第でございまして、障害者年に当たりましては、政府挙げてこれに対応いたさなくてはなりません。それに応じまして、部署部署に従いまして対応いたしてまいるわけでございますが、昨日の決議では、障害者のための各種の施策につきましては、長期行動計画を策定するなどいたしまして、一層その充実に努めるべきであるという趣旨のことが述べられておるわけであります。  文部省といたしましても、政府の推進本部とも密接な連絡を図りながら、主として教育面からのいろいろな施策について充実を図ってまいりたい、かように考えております。具体的なケースにつきましても、もちろん、障害者教育のことにつきましては、養護関係その他対応いたしておりますけれども、さらにまた、具体的な問題につきましては担当の政府委員からお答えいたします。
  41. 湯山勇

    湯山委員 担当政府委員から後でお聞きすることにいたしますから、大臣は結構でございます。  それでは、続いて、養護教諭の問題につきまして、いま山原議員からもその配置に関する御質問がございましたが、私も思い出しますことは、最初、義務教育学校の教員定数、これがずいぶんまちまちになっておりましたので、最初に法律として出ましたのは灘尾文部大臣のときで、前の内藤文部大臣が初中局長のころでございましたが、これは都道府県が措置したものの半額を国が負担するというのが当初のスタートでございました。そのときに、私が、そういうかっこうにして果たして養護教員が全面的に確保できるかということを質問いたしましたところ、これに対しての御答弁は、とても養成が間に合わない、その当時ので言えば、とにかく気が遠くなるぐらい、このままのペースで進むと二十年かもっとかからないと養護教員の充足はできないという答弁でございまして、それでは教育の推進に大変支障ができる、それについて速やかに対応すべきだというような論議をしたことをいま思い出しております。  ところが、あれが三十三年としてももう二十年以上たっておって、また同じように、ここで養護教員必置という法律提案がなされるということは、考えてみれば、われわれも怠慢であったような気もするし、政府当局も、この問題に対する対応が非常に鈍かったというようなことをいま感じております。  そこで、当時心配されたこともそれですが、小さい学校等においては、実際に養護教員を置くよりも、目の前の学級担任あるいは教科担任の教員の方が欲しいというので、総定数の枠から外して、養護教員を要求しないで一般教員に振りかえるという措置も、過程においてはずいぶん講じられておりました。法律でそれらの基準も定められて、近づいておるとは思いますけれども、なおかつ、今日の状態で見ますと、養護教員が配置されていないで、それを養護助教諭で埋めているというのが相当あるのじゃないかということを懸念いたしておりますが、その実情はどうなっているでしょうか。
  42. 中西績介

    中西(績)議員 養護教諭は、いま指摘ありましたように、この養成内容から見ましても不十分でありますから、この点を助教諭をもって振りかえるという措置がとられておりますけれども、五十五年度で千五百人からの助教諭が採用されておるところであります、それで、こうした養護教諭に切りかえていく政策が、いまきわめて重要な問題としてあるわけであります。特に、養護教諭の場合には、心の病に対しましても、教育的に健康指導をすることが非常に重要でありますだけに、この点を指摘しなくてはならぬと思います。さらにまた、養護職員というのが不足いたしておりまして、市町村費で約千六百人配置をされております。これも、このまま放置すると大変な問題でありまして、この点を何とか早急に解決をしていかなければならない、大きな課題としてあるわけであります。したがって、これらは、考えてまいりますと、いま早急にこの養護教諭養成とあわせまして措置をしていかなければならぬのではないか、こう考えておるところです。
  43. 湯山勇

    湯山委員 ただいまの御答弁によっても、養護教員有資格者の養成というのが急務であるという意味の御答弁であったかと思います。この養成について、提案者の方で何かお考えがあればお伺いいたしたいと思います。
  44. 中西績介

    中西(績)議員 昭和四十年、国立養成所が設置されまして、五十年には国立大学四年制へと移行の措置がされました。その入学定員の合計が四百五十人、九大学十課程に現在なっています。  それで、有資格者を得るに四百五十人という数では非常に少ないわけでありますから、養成機関を増設する必要がございますが、私たちは、一県一養成機関をという目標がございますけれども、これは無理といたしましても、やはりそれに近づけるべくいち早くその対策を樹立すべきではないか、このように考えておるところです。特に、各種学校での養成につきましては、漸次廃止をするという方向を持たない限り、依然としてたやすいところに任せるという事態が残ってまいりますので、ぜひこの点を廃止するという方向で持っていきたいと考えておるところであります。
  45. 湯山勇

    湯山委員 文部省は、この充足についてどう考えておられるのか、初中局長の方で案がございますか。
  46. 三角哲生

    三角政府委員 これはやはり御指摘のように、充足、需給の問題が非常に重要でございます。私どもは、今回の定めておりますところの第五次定数改善計画におきましては、これは養護教員の定数の改善ということで、全体計画数値五千百二十二人というのを見込みましたが、それを見込みました際には、やはりこの需給の問題を考えまして、そして、ただいま提案者の方からも若干の御説明がございましたが、現在の大学及び国立養成所の五十五年の三月の新規卒業者で、免許状を取得した者の数が両方で五百五十人ぐらいでございます。そのほかに短期大学あるいは指定養成機関というものがございまして、それらは両方で四千五百人ぐらいおります。しかし、これらがどういうふうに学校職場に入ってきてくださるかは、また、必ずしもその免許状取得者の数そのものではございませんけれども、私どもが立てました五千何がしの人数に関する限りは、これは充足ということは何とかこなせるのじゃないか、こういうことでございますけれども、この人数とその充足をする期間によりまして、これはかなり慎重な検討ないし見通しをつける必要がある事柄であろう、こういうふうに思っております。
  47. 湯山勇

    湯山委員 いまのような状態で、あるいは養護教諭資格、それから正看の資格両方を持っておれば、病院の方が有利な条件で就職できるというようなこともありますので、当然、文部省もそう考えているし、提案者もそう考えておるのであれば、こういう法律を速やかに成立させて、そして教育に支障のないようにしていくというのは、お互いの重大な務めであろうと思いますので、文部省の方へもひとついまのような意味で努力するように要請いたします。  続いて、実習助手の問題ですが、すでに質問がたくさんございまして、特に残っておるような問題、論議されていないような問題の幾つかをお尋ねいたしたいと思います。  提案されておる学校教育法等の一部改正によって実習助手というものを廃止するということでございまして、この点については、承っておりまして若干誤解されやすい要素もあるように思います。しかし現在、高等学校、特に職業高校におきましては、職業高校における実験実習というのは、もう教育の実質そのものであるということを考えてみるときに、ただ単に実験実習というものが通常行われておる学習の補足というような意味であってはならない。このことは、新しい学習指導要領の中にも十分指摘されておって、提案者も十分御存じと思います。  そういう立場から見て、実験実習というものの基本、それをどう考えておられるか、この提案とどう関連を持っておるかということを、まず伺いたいと思います。
  48. 中西績介

    中西(績)議員 先ほどもお答えいたしましたように、実験実習位置づけを、私たちは、重要視する必要があるということが大きな理由でありますだけに、特に日本のいままでの教育のあり方というものが学歴社会、そしてそのための進学、それによって大きくゆがめられてきておるという現状から考えますと、実験実習そのものも、受験のため、あるいはテストのためという方向が強く踏襲されておるわけでありますから、真の教育的な見地からします実験実習に当たらないという状況が出てきておるわけであります。  したがって、こういうものをあわせ考えてまいりますと、強化をする方向でもってやるとすると、いま現場で出ておる実習助手に対するべっ視だとか、そのことによって出ておる学校内における混乱だとか、そういうものをいち早くなくし、そして、この位置づけを高めることによって質的なものを高めるという方向でもってこの実習助手を教員に、こういう考え方でありますだけに、実習実験のあり方を私たちはもう一度見直し、そして教育内容の中におきましても、その位置づけを高めていくということが、きわめて重要な課題であるということを認識しながら、この問題を提起しておるということを御理解いただきたいと思います。
  49. 湯山勇

    湯山委員 やはりいま申し上げた中で、先ほど和田先生からも、実習助手というのが完全に消えてしまうというのは、病院勤務の正看護婦と准看護婦というような関係もあって、これを全面的になくすることには問題があるという御指摘がございました。  もちろん、実習教諭でございますから、教諭というのがあれば、通常の教科においても助教諭というのは当然あるわけでございましょうから、そういうことも考えられて、ただ実習教諭だけということではないと思いますけれども、それはそれとして、定数実習助手、それから通常の機械なら機械の教諭というものが一括して入ってくるというようになれば、具体的には一体どうなるだろうか、定数の中で処理がどうなるかというのがちょっと疑問になりますのと、それから、そういうことでもしそれを誤れば、学校運営教科の運営にも支障を来すという場合もあるかと思いますが、それらをどう処理していくか伺いたいと思います。
  50. 中西績介

    中西(績)議員 現行定数法による教諭の数、これに実験実習を担当する教諭として現行定数法による実習助手の数に見合う数を加えることにいたしておるわけでありますから、基本的には、現行定数法による教諭及び実習助手の総数は、提案している改正案が成立いたしましても同数となるわけであります。したがって、結果的に教諭の数は増すわけでありますけれども実験実習を初め日常の生活指導ども含めて、現在よりも厚みのある指導体制をとることがむしろできるのではないか。したがって、教育的にも学校運営上におきましても、プラスの面はありましても、マイナスの面は出てこないのではないか、こう私たちは認識をいたしておるところであります。
  51. 湯山勇

    湯山委員 次に、事務職員の問題についてお尋ねいたします。  これももう御質問ございましたが、私ども現場を見てみますと、たとえば学校の指定統計、これは一番大きな統計ですけれども、五月一日になされますが、大きい学校だからそれは分量が少ないとか多いとかというのではなくて、どこも平等です。それから県の教育委員会なりが学校実態調査をやる、その調査項目も学校の大小によらず一律であって、その辺は、学校の規模によって事務量の差別はほとんどありません。ただ、給料の計算などは、数の少ないところは幾らか少ないというのはありましても、調査、事務の系列、それから形式、内容というものは、学校の大小にかかわらずなされていますから、それを学級も持っている授業も持っている教諭が兼務するということは、これはもうほとんど不可能に近い、ずいぶん無理がいっているということを現に見ております。  そういうことですから、その弊害については、提案者においては十分おわかりのことと思いますが、国立学校等におきましては、高校にしてもあるいは中学にしても、潤沢なという言葉は当たりませんけれども、それに対応するような配置が行われておる。ただ、公立学校では非常に窮屈だということをよく聞かされますが、その実情はどうなっておるでしょうか、まずこれを伺いたいと思います。
  52. 中西績介

    中西(績)議員 私たちが調べたところにおきましては、文部統計要覧によって調べたわけでありますけれども国立学校におきましては、小学校が、七十一校に対しまして事務職員二百八名であります、図書館事務職員十二名、計二百二十名になっています。したがって、一校当たり三・一人。中学校につきましては、七十六校に対しまして事務職員二百十三名、図書館事務職員九名、計二百二十二名。したがって、一校当たり二・九名になっております。  公立学校でも、いま指摘がありましたように、学校事務の種類あるいは量については、国立学校とほぼ差がないわけでありますから、当然、公立学校におきましても、約三名に近い国立学校と同様の措置がさるべきでありますけれども、当面、私たちが要求しておりますように、いま欠けておる各学校にぜひ一名だけはということで提案しておることを御理解いただきたいと思います。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 湯山勇

    湯山委員 配置されない学校は、県費負担事務職員が得られないために、市町村負担あるいはPTAで雇い入れているというような形で補っている実例も相当あると聞いておりますが、その実情はどうなっておるか、おわかりでしたら御説明願いたいと思います。
  54. 中西績介

    中西(績)議員 お答えします。  各県の実態によりまして相当その差がございますけれども、一部の県におきましては、定数内におきまして臨時事務職員配置されたり、あるいは数校兼務の実情が見受けられます。  たとえば新潟県の例を一つとってみますと、五十四年度でありますけれども、五十四名もの臨時学校事務職員配置されておるということを聞いております。臨時職員の採用につきましては、教育事務所単位で行っておりますけれども、賃金が低いとか勤務条件がよくないとかいろいろなことからいたしまして、確保することが大変困難な状況になっております。  そのほか幾つかの県の実態を知っておりますけれども、いずれにしましても、特に兼務の場合におきましては、山間僻地の場合が多いわけでありまして、きわめて長距離間を兼務するという実態等がありまして、この点、事務上大きなそごを来すという状況等も出ておることを申し添えておきたいと思います。
  55. 湯山勇

    湯山委員 ひとまず、これで終わります。      ————◇—————
  56. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次に、馬場昇君外四名提出公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案議題といたします。  本案に対する提案理由は、去る三月二十日すでに聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍛冶清君。
  57. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ただいま議題となりました法律案につきまして、若干の御質問を申し上げたいと思います。  本案を提出されました馬場昇君外四名の方々には敬意を表するものでございますが、この法案の理解のためにも五点ぐらいお尋ねをいたしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  最初に、提案理由の説明を先日お聞きしたわけでございますが、その中に、「従来、盲・聾・養護学校は特殊教育学校と称しておりますが、本案においては、これを障害児教育学校と改めることにしております。」こういうふうな提案の理由の説明がございましたが、この名称を改めるようにされた理由をまずお伺いいたしたいと思います。
  58. 馬場昇

    馬場議員 鍛冶委員にお答えする前に一言申し上げたいわけでございますけれども、ことしは国際障害者年でございますし、そして、はからずも昨日の衆議院の本会議で「国際障害者年に当たり、障害者の「完全参加と平等」の実現を図る決議」が満場一致決議されました。その中で、その第一項目といたしまして、「障害者対策の抜本的改善を図るため、中央、地方を通じ「長期行動計画」の策定に努めるとともに、特に障害者に関する現行法制及び諸制度の現状を点検し、その改善に努力すること。」とあるわけでございまして、私ども提案いたしておりますこの法律は、まさにこの国会決議に当たるのじゃないかと思います。  きのう国会決議されまして、きょうこの委員会でこれを審議していただきます委員長並びに委員皆さん方に心から敬意を表するところでございます。  いま鍛冶委員から御質問ございましたように、私どもは、この法律の中で、従来使われておりました「特殊教育」というものを「障害児教育」というぐあいに名称を変えております。これはもうひとえに、この名称の差別とかどうとかということも背後にございますけれども、私どもは、この名称を変えまして、本当にこれから障害者の教育を拡充、充実していきたい、そういう強化、発展を希望しながら、やはり言葉を、差別的といいますか、何かそういう言葉の響きのないように、そして本当に発展させますようにということで、名称まで変えて抜本的に提案しているところでございます。
  59. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では、次に進めさせていただきまして、御提案なさるについては、種々現状等も把握なさった上で当然御提案なさっておられることと思いますが、現在の盲学校、聾学校及び養護学校学校数とか教員数、児童数、生徒数、こういったような面での具体的な把握、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
  60. 馬場昇

    馬場議員 昭和五十五年五月一日の学校基本調査によりますと、まず、盲学校、聾学校養護学校学校数でございますけれども、盲学校七十三校でございます。聾学校百十校、養護学校六百七十七校、計八百六十校ございます。  学んでおります生徒の数は、盲学校が八千百十三名、聾学校が一万一千五百七十七名、養護学校が七万二千百二十二名、合計九万一千八百十二名でございます。  教員数は、盲学校が三千三百六十三名、聾学校が四千七百五十六名、養護学校が二万五千三百七十四名、合計三万三千四百九十三名でございますが、このほかに、寮母並びに事務職員、現業職員、介助職員等を加えますと、障害児学校に約四万数千名の人が働いております。
  61. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そこで、昨年の五月の九十一国会では、政府提案による教職員定数法改正案が成立をいたしまして、障害児学校関係部分が相当改善をされてくる、こういうふうに思っておるわけですが、それにさらに踏み込んで定員を変え、また、いろいろと措置をなさろうとされておりますが、その内容、目的等について、さらに詳しくひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 馬場昇

    馬場議員 昨年の九十一国会で定数法改正されまして、その中で障害児教育関係分もある程度改善されておるわけでございますが、この現行制度の中で幾つかの問題点を持っておるわけでございます。  まず第一は、小学部、中学部の標準が小・中学校の標準法の中に入っている、高等部の標準が高等学校の標準法の中に入っている、残念ながら幼稚部については法律がない、こういうのが現状でございますので、私どもとしましては、現在の障害児学校を見ますと、設置しておるところが全部ではありませんけれども、大部分のところは幼稚部から小学部、中学部、高校部とずっと設置しておりまして、それを一貫して教育を連携をとりながらやっておる、そういう状況でございますので、私どもは、やはり障害児学校教育を振興するためには、幼稚部から高校部まで一貫して独立した標準法でもってやる必要があろう、これが現状の問題点であるので、変えたいと思う第一点でございます。  第二点の問題といたしましては、現行の十二カ年計画等を見てみましても、たとえば寮母などにつきましては、最低保障対象の小規模寄宿舎を除きまして、十二年間でも全然増員にならない、こういう現状もあるわけでございますし、確かに教員、寮母さん合わせまして、去年の改正でも五千百二十四名が増員になるわけで、これは一歩前進したとは認めておるのですけれども、しかし、そのほか、たとえば教職員の週担当授業時数の削減というのは行われていない、こういう問題とか、さらに、最近、その重度・重複児童が非常に多く入ってきておるわけでございますが、これに対する対策、対応というのが欠けておる、こういう問題もございますし、さらに、十二年計画を言っておるのですけれども、私どもは、十二年計画ではどうしても長過ぎる、こういうような感じを持っておるわけでございます。  そこで、提案しておりますのは、現行定数法で分かれておりますのを一本にしたということ、それからもう一つは、教職員等の担当の授業時数というのを、特に幼・小・中学部では大体週十五時間、高等部では週十二時間、こういう基準にいたしまして教員増を図った、こういうことでございますし、さらに現業職員の定数も定める、そうして先ほど申し上げましたように、十二年は長過ぎるから六カ年にした、こういうことでございますし、特に情勢といたしましては、最近、盲・聾学校生徒が減っているという時期でもございますし、さらに、その重度・重複児童の入学がふえておる、こういうものに適応させた、そして新しい法律を出した、こういうことでございます。
  63. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私も、国立久里浜養護学校等、また地元にもいろいろ養護学校がございまして、ときどきいろいろと見させていただき、お話も承ったりはしているわけでございますが、そういう中で、特に重複の障害児の方々、大変にこれは手とり足とりという形でやらなければいけない、ひどいお子さんになると、むしろマン・ツー・マンでも足りないぐらいではないかというふうなお子さんも、一生懸命に先生方が教育していらっしゃるのも、この目で見てまいりました。  そういう意味から、この定数については、御提案趣旨というものは大変理解ができるわけでございますけれども、これは先ほど湯山委員も御質疑の中で触れられておりましたし、ほかの委員も触れられておったと思いますが、教員の数、これは本法が成立して施行されたと仮にいたしますと、当然、相当数この人員がふえてくるようになると思います。それに対して、やはり実際面といたしましては、教員の数がふえればそれだけ相当財政的な裏づけも必要になってくるであろう。また、果たして養護教員が、法は成立したけれども、それを充足するのに、一応経過措置を六年ということにはしてありますが、それで現実に対応ができるのか、こういったいろいろな点を考えてまいりますと、もしそれができないと、これは絵にかいたもちになってしまいます。そういった点がちょっと心配になりますので、お尋ねでありますが、まず、本法が仮に成立したとして施行されたときに、さっきちょっと御答弁いただきまして、教員の数の現状を御報告いただいたわけですが、それと比べてどれくらいふえるようになるのか、もし試算等しておられればお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 馬場昇

    馬場議員 お答えいたします。  この法律が成立いたしますと、教員の増が、現在の現行法で十二カ年計画で五十五年、五十六年度分の増員があっているわけでございますけれども、それを差し引いて、この法制定による増は一万二千三百二名、こういうぐあいに計算をいたしております。これは教員です。それから養護教員の増が千二百四十四名、合計一万八千百四十六名の増でございます。それから寮母の増が二千五百九十六名、事務職員の増が二千二百八十五名、こういうような増員を見込んでおりまして、これを六カ年計画で充足していく、こういう計画でございます。
  65. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 本法による定員増というのは、そういう形になると思いますが、これは一般の教員の方についても、やはり相当定数というものがふえていくかっこうになると思います。そういたしますと、全般的に見まして、やはり財政的に相当大きな支出というものが考えられるわけですが、こういった点については六カ年の経過措置の中で十分対応できるというお考えがおありなのかどうか。  それから、教員につきましては、先ほどからいろいろ議論がございましたように、養護教員の方々の養成というのはやはり大変厳しいみたいでありますし、また、あってもそちらの学校に行くか行かないかという問題もあるようであります。こういう点についても配慮はなさっておられるとは思いますが、こういった点、多少不安も残りますので、この点についての御答弁をお伺いいたしたいと思います。
  66. 馬場昇

    馬場議員 この法律成立によりましてどのくらいの経費が要るかということでございますが、まず、教員、養護教員の増は、先ほど言いました人数でございますけれども、年間の一人当たりの給与を四百九十万というぐあいに計算いたしますと、実は八百八十九億円ぐらいの増になるのです。それから寮母の年間給与を四百四十七万として計算いたしますと、百十六億円余り要ります。事務職員の年間給与を三百七十六万ということで計算いたしますと八十五億円ぐらい要るわけでございまして、先ほど言いました人数の合計二万三千二十七名になりますが、所要経費は千九十億円余りになります。これは六カ年で充足するわけでございますから、単純に六で割りますと、国庫負担が二分の一でございますので、国の費用は一年九十億円、こういう計算になるわけでございまして、時あたかも行財政改革の時期でございますけれども、国際障害者年であるし、この九十億円という金は、やはり障害者の教育を充実、拡充していくというのには、出そうと思えば十分出せる金であるというぐあいに考えております。
  67. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では、最後に、これは本法律案と関連いたしまして文部省の方に、事務当局にお尋ねをいたしたいのであります。  わが党は、以前から教員養成の問題と絡みまして、教育実習の場に障害児教育をぜひ含めていくべきであろう、むしろ積極的に義務づけるぐらいにやっていいのではないかという御提案、御質問を申し上げたことが再々あるわけでございますが、こういう点の具体化、実際いまどういうふうに御要望申し上げ、御質疑申し上げたことが具体化されてきているのか、また、いまどういう取り組みがなされているのか、この点についてお尋ねをいたします。
  68. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 お答え申し上げます。  教育実習障害児教育を義務づけるということについて積極的に取り組むべきだという御指摘につきましては、先生からもお話のございましたように、何度かこの委員会でも御質疑をいただいておりまして、先般も当文教委員会有島先生から御指摘をいただいた点でございます。その際御説明を申し上げたわけでございますが、教職を志望いたします学生に対して、心身に障害を有する児童・生徒についての理解を深めさせるということは、大変有意義なことでございますし、ぜひともそうしなければならないことではないか、かように考えております。  そこで、先般もお答え申し上げたわけでございますが、日本教育大学協会におきましても、国立の教員養成大学・学部におきますそういう教育実習の効果や方法等についても検討していただいておるわけでございます。  そして、養成審議会の御了承もいただきまして、昨年度からでございますけれども、一般の学校の教員となろうとする者についても、特殊教育学校における実習の成果をもって教育実習として評価をするという考え方で、関係の大学や各都道府県教育委員会に対して指導するというようなことで対応をいたしておるところでございます。  問題は、どうもそういうことが必ずしも十分徹底していないのではないかというような御指摘も先般いただいたわけでございまして、また、六月にも教育大学協会のお集まりなどもございますので、そういうような機会を見まして、さらにそういう趣旨の徹底については私どもも十分対応してまいりたい、かように考えております。  なお、免許状の取得を希望する学生全部の総数で申し上げますと、十七万人を超える人数になるわけでございまして、それらの教育実習を特殊教育学校ですべて行うということになりますと、実習生の数と受け入れ可能な学校の規模というような均衡の問題などを考えますと、そのことを直ちに実現するというのはなお問題があろうかと思います。  そういうことで、教育実習の面で積極的に取り入れていくという方向については、すでに通知もいたしておるわけでございますが、なお一層その趣旨の徹底には努めたい、かように考えております。
  69. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ちょうど時間となりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。
  70. 三ツ林弥太郎

  71. 三浦隆

    三浦(隆)委員 まず初めに、すべての障害児が個人として尊重され、差別なき教育を享受できるように、その教育環境の条件整備を行うということはよいことですし、必要なことだと思います。  その意味では、この法案提案理由趣旨にございます「公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数の標準法を制定し、学級編制及び寄宿舎の舎室編制の適正化並びに教職員定数の確保を図ることにより、障害児教育へのきめ細かい配慮を行い、障害児教育の一層の充実に寄与しよう」という趣旨、そして、「また、重度・重複障害児の急速な増加や盲・聾学校の児童・生徒数の減少などに対応し、その現状と実態に即した改善を図り、とりわけ重度・重複障害児の増加等による過度の勤務のため腰痛等教職員の健康破壊が進みつつあるのを阻止するためにも、さらに教職員の大幅増員が必要」だという現状分析とその改善策そのものにつきましても、前向きに検討されてよいものと思います。しかし、よりよい方向へと改善を望まれているのは、障害児教育の分野だけではなく、福祉諸関係等他にもいろいろの分野がございます。  そこで、この障害児教育の実情につきましては、先ほども鍛冶委員の御質問に対しての馬場議員の御説明にもございましたが、現在の実情は、昭和五十四年五月一日の文部省統計によりますと、盲学校学校数が七十三校で、うち分校二です。在学者数八千三百三十人ということは、一学校当たり平均百十四人です。また、そこに働く本務者としての教員数は三千三百四十五名で、在学者数にしていわゆる一人当たり二・四九といった割合になっております。それから聾学校では、学校数が百十、うち分校九でございますが、在学者数一万一千九百十一名、一つ学校当たり平均百八人、本務者教員としては四千七百九十三名でございますので、一人当たり二・四九、同じ比率です。それから養護学校学校数六百五十四、分校数百八、在学者数六万八千百五十六名で、一つ学校当たり平均百四名、そこに働く本務者としての教員数二万二千七百九十六名でこれを割ってみますと、一人当たり二・九九。言うならば、大体二・五から三といった比率が出ているわけです。さらに、これがより充実することが望ましいのでございますけれども、一方では大蔵省統計で、昭和五十六年度の予算定員対前年度比較表というふうなものが出ておりまして、どこの省庁が前年に比較して公務員数がふえているか減っているかというふうな表などが出ておりますが、どうお考えでしょうか。
  72. 馬場昇

    馬場議員 ちょっと最後の方の御質問が……。
  73. 三浦隆

    三浦(隆)委員 大蔵省の統計によりまして、「昭和五十六年度予算及び財政投融資計画の説明」というのが出されております。これによりますと、公務員数が省庁によって減っているところあるいはふえているところというふうなものがあるのですが、この表から見てのいわゆる文部省の問題点、いかが御理解されておりましょうか。
  74. 馬場昇

    馬場議員 ただいま盲学校、聾学校養護学校生徒一人当たりの教職員の数の試算のお話があったわけでございますが、私どもといたしましても、そういう計算をいたしまして、特に先ほどもちょっとお答えいたしたわけでございますけれども、小学部、中学部では大体教師一人当たり十五時間でいこう、それから高校部では一人当たり十二時間でいこう、こういう物の考え方に立ってこの定数法をつくっておるわけでございます。そういたしますと、小学部では大体一・八四人、それから中学部では二人、高校部では二・八三人、それを考えておるわけでございまして、先ほどもちょっと三浦さんもおっしゃいましたように、最近、重度とか重複児の生徒がものすごくふえているわけですね。そういう中で、おっしゃいましたとおりに、先生とかあるいは寮母さんに、腰痛とか妊娠障害とか本当に健康破壊というものも出ておるわけでございます。先ほどもちょっと言われたようでございますけれども、まさに一対一あるいは二対一、そういうぐらいの教育も必要だ、そういう状況でもございますので、私どもは、まだふやしたい、こういう現状にあるというぐあいに見ております。  特に、養護学校が義務制になりまして三年目でございますので、こういう点が非常に大きくあらわれてきておるわけでございますので、ぜひこの際大いに増員して障害児教育の振興を図りたい、こういうことでございまして、教育現場障害児教育の振興、どうしてもこれだけは必要だというところから試算し、この法律を出しておるわけでございますので、この辺の他の省庁との比較、定員の増の比較というものは、残念ながら十分にはいたしておりません。
  75. 三浦隆

    三浦(隆)委員 ちょっと質問の趣意と違ったように思うのですが、言うならば、いま財政再建ということで過酷な行財政改革を強いられようとしているわけです。そこでは現に働いている公務員の人すらも、場合によっては配転なりその他いろいろと苦しい状況を強いられるかもしれない、そういうふうな現状にあるわけです。そして、国のこうした状況というのは、恐らくは地方自治体にも及ぶはずであります。いま障害児教育学校における統計は、さらにここで詳しく国立公立・私立ととってありますが、これは省略させていただきます。  ただ、言うならば、いまむしろ人員の削減を図ろうとしているときに、いささかでもふやすというには、それなりの相当の論理構成が必要とされる。先ほど言ったように、もっと充実したいという分野は、何も文教だけではないのであって、各省庁にもまたがっているところだと思うのです。しかも、それがそうできないで、ふやすどころかむしろ減らされようとするところが少なくないということです。  たとえば総理府、大蔵省、農林水産省、通商産業省、郵政省、労働省、建設省、自治省と軒並み対前年比人数が減ってきているわけです。こうしたときに、他の省庁はほとんどゼロないし一けた、やっと二けたの伸びぐらいを示しているにすぎません。たまたま自衛官九百九十六名の伸びというのが際立って目立つところでありますが、これに対して文部省の場合には二千九十六名という増になっております。ほかが減り、ほかが伸び悩んでいるときに、文部省だけが大変に大きく伸びているということであります。  ですから、この事実は、行財政改革に直面して厳しい局面に立たされております他の省庁から見れば、教育の重要性というものをきわめて認識しつつも必ずしも釈然としない思いを持つ人が少なくないであろうということであります。特に国の行財政改革が必ずや地方公共団体に及ぶことを考えますと、障害者教育というものがきわめて公立に依存する度合いが強いものですから、仮に法案が通ったとしても、恐らくは公立自体でもこれを行っていくことは大変にむずかしいだろう、こう考えるわけであります。そこで、国にしても地方自治体にしても、むしろ伸び悩むでありましょう文教予算の中で、いかに効率的に文教の質的向上を図るかということが大変にむずかしい課題としていま迫られている、こう理解いたします。  そこで、この一つのあらわれが、五月二十七日の文教委員会で採択されました大学の新増設等を抑制しようとする私立学校法及び国立学校設置法の一部を改正する法律であった、このように思います。私自身は、受験難に悩む子供たちを考えれば、むしろ時代の要請として新しい諸学部・諸学科も必要かもしれませんので、できるだけ学校をふやしたい、収容定員をふやしたいと思っているわけでありますけれども、しかし、いまの時点、この行財政改革を強いられるときは大変に苦しいのだ、その一点をもちまして一昨日賛成へと踏み切ったわけであります。  その際に、いつまでも時限立法の形で抑えることはよろしくないからという形で、特に附帯決議案を示したわけです。そこでは、たしか社会党の嶋崎委員からも、この法律の理念についてはともかくといたしまして、行財政改革に伴う抑制措置のやむを得ざる、必要な理由についてはある程度お認めいただいたのではなかったか、このように理解いたしております。  そこで、重ねての質問になるようでございますが、鍛冶委員も言いました、この厳しい行財政改革が行われようとするときに、盲・聾何がしといった名前を変えようといういわゆる名称の変更はともかくといたしまして、今日の時点で、働く人たち、公務員を増員するという点は、いささか無理なのではなかろうか、このように理解しますが、いかがでしょうか。
  76. 馬場昇

    馬場議員 質問趣旨がよくわかりました。一昨日この委員会で、私立大学国立大学の設置を三年間抑制しようという法律三浦委員は賛成なさったというお話でございますが、私どもはこれに反対をしたわけでございます。  それから、そういう抑制をするという法律が、この文教委員会で通ったわけですけれども、きのう、先ほどから言っておりますように、ちゃんと本会議で、障害者年に当たり決議が行われておるわけです。その決議の中には、先ほど私も読み上げましたように、長期行動計画を策定して障害者に関する現行法制及び諸制度の現状を点検して、その改善に努力すること、障害者年に当たって障害者教育その他を含めて改善に努力せよ、国会とさらには行政は、これは国民に対する国会の決議ですから守らなければならない、こういうことでございまして、私どもとしましては、何としても前向きにこの国会決議をやる。それで、現在、障害児学校に学んでおります生徒が九万人ぐらいおる。そこに働いております教職員は四万五千人ぐらいおる。それが、われわれのこの法律でどんなに充実した明るい学校になり、明るい教育ができるか。そして、この趣旨にありますように、四百万の障害者に対して、われわれが国会でこれをつくり上げてやるとどれだけ希望と夢を与えるか、こういうことでございまして、私どもは、そういうことをきのう国会の本会議で満場一致で決議したのだ、そういう趣旨からもこの法律提案するのは当然のことだと思うわけでございます。  さらに言いますと、いま行財政改革の問題がございましたが、行財政改革の中で——それは要らないものはどんどん削ってよろしい、削らなければならないという思想でございますけれども、要るものはふやさなければならない、これが行財政改革だと私どもは考えておるわけでございます。  そういう点から言いますと、先ほど言いましたように年に九十億円ですよ。この九十億円という金は、この国会決議の中で当然に許されておる、こういうことでもございますし、さらに私どもは、行財政改革は、教育とか福祉とか、こういうものを後退させてはならないという基本的立場も実は持っておるのです。  では、どうすればいいのかということになるわけでございますけれども、たとえば租税特別措置法、そういうものを適正に運営し、法を改正してやれば、われわれの試算では二兆円ぐらいの金はそこから出てくる。あるいは、たとえば海外援助費、そういうところからも削れるじゃないか。さらに、防衛費につきましても、聖域と言っておりますけれども、この九十億円という金は、たったジェット機一機分を買わないということになれば九十億円というのは出てくるわけです。  そういう面から言って、本当に私はでき得るものだと思いますし、さらに文部予算の中で言いましても、たとえば、われわれは主任手当なんか要らないと言っている。主任手当を削ればいいわけですよ。要らないものを出す必要はないじゃないですか。さらに言うならば、たとえばこういう時期に五千人もの教職員の海外研修をやる必要はないじゃないか。あるいはいろいろ官製研究会なんかする必要はないじゃないか。補助金も削れるじゃないか。そういうことをやっていきますと、九十億円ぐらいの金は出てくる。そういうことを文教委員会で努力することが、きのうの国会決議に報いることでもありますし、八一年の国際障害者年にわれわれがとるべき道だ、こういうことを出しておるわけでございます。
  77. 三浦隆

    三浦(隆)委員 抽象的な論理に反対する者はだれもおらないのです。そうではなくて、現実に四十六兆七千億円ぐらいの予算しか組み得ないわが国で、よかれあしかれ昭和五十年度から公債がどしどしと発行されて、十年後、昭和六十年度にはこれを返さなければならぬ。すでに七十兆円も八十兆円もの累積が積まっておる。このまま続けば百兆円を超えようとしているわけですよ。まさに一兆円、二兆円を問題にしているのではなくて、百兆円をいまわれわれはどうしようかとしているわけですよ。その国債の利子支払いだけでも容易ならざるときに、これを元本そろえて返さなければならない。ウルトラCの何かの収入があればとにかくとして、まごまごすれば増税なりその他われわれに大変過酷なしわ寄せが来ようとするからこそ、支出も何とか切り詰めをしなければならない。こういう必死な思いをしているのであって、私たちにとっては、いまの自民党政府がいつまで続くなどと思っておりません。ひょっとすれば昭和六十年目前に耐え切れなくて退陣するやもしらぬ、われわれ野党がその後を継ぐやもしれぬと言ったときに、できもしないことを言うことは恐らく不可能だということであります。責任野党として、しっかりとすべて万般を見通しながらわれわれは考えていかなければならないのだ、こういう角度から質問をしているわけであります。  そこで、時間もございませんが、さらに質問をいたしますが、いま実は手元に、国立視覚障害者技術教育短期大学というふうなものを、視覚障害者の伝統的な職業であるはり、きゅう及び理学療法の技術教育をよりよく行うために、そうした短大をつくってほしい、こういう陳情なども、これらの人々の団体の総会において決議されたものとして私の手元に来ておるのですが、いかが御理解されるでしょうか。
  78. 馬場昇

    馬場議員 それは私の手元には、きょう質問の通告もございませんので、資料を持ってきておりませんから、まだ詳しい内容を知りません。
  79. 三浦隆

    三浦(隆)委員 詳しい内容はともかくとして、こうした国立視覚障害者技術教育短大というものをつくりたい、そう思っている人が大変大ぜいいらっしゃる。こういう短大をつくることが是か非かということをお尋ねしたいと思っているのです。
  80. 馬場昇

    馬場議員 それは必要とあれば、ぜひそういうものはつくらなければならないという考え方を持っております。
  81. 三浦隆

    三浦(隆)委員 同じことで、こうした問題も大変な多額な資金を必要とするわけですけれども、このようにして、いままでなくても、どうしてもこうしても必要であるというふうなものに対しては、本当につくっていかなければならない、このように考えてはおります。  さらに、時間がないので残念ながら触れることができませんけれども、実は社会党なり共産党、そうした人々に本当は教育学校というようなものについて基本的にお尋ねをしたかったというふうに思います。  いずれかの機会を見てお尋ねしたいと思うのですが、その中には、いわゆる独占の側に立つものと反独占の側に立つものと、二つの学校なり教育というふうなものがあるのだといった有力な説などが述べられております。そうした説を考えたときに、こうした障害者教育というふうなものは、二つのうちのどちらに入るものかどうか、私としては大変問題を感じております。  いずれかの機会に改めて御質問をしたいということを言いまして、私の質問を一応終わります。
  82. 馬場昇

    馬場議員 私ども教育に関する考え方は、憲法、教育基本法にのっとってやっており、これを遵守するという立場であることをはっきり申し上げておきます。
  83. 三ツ林弥太郎

  84. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題についての質問の最初に、二年前、一昨年八十四通常国会の衆議院の本委員会公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案ということで共同提案をしたことがございます。いま提起されております障害児教育の問題についての定数もその中に含まれておりました。  今度出されました法案は、大体基本においては同じだと思いますが、もし部分的な修正などがありましたら、その理由と個所について御説明をいただきたいのです。
  85. 馬場昇

    馬場議員 お答えいたします。  基本的には、二年前に出しました法律と同じでございます。「特殊教育」を「障害児教育」と改めて、先ほど言いましたように、幼・小・中・高相互の連係のもとで一貫した教育を行って、実情に即して一本の法律とするということで、障害児教育の充実強化を図るという、基本的には同じ内容でございますが、実は一部手直しをしております。  理由は、昨年九十一国会で政府提出定数法改正で、障害児関係部分も幾分改正されたところはあるわけでございますので、それを踏まえたということと、第二の問題は、五十四年から養護学校が義務制になってきておりまして、ことし三年目になるわけでございますが、先ほどから言っておりますように、重度と重複児の入学が非常にふえておる、このことをこの法律の中で加味した、こういう点がございまして、具体的に言いますと、この前の法律では小・中の学級編制基準が八人だったのを七人にしておるとか、あるいは高等学校は十人だったのを九人にしておる、重複の方は五人だったのを三人にしておる、そういうところが変わっております。それから、寄宿舎の舎監の増をやっておりますし、寮母の最低保障の八名を十名にしておる、そこが変わっておりますし、それから寄宿舎の重度・重複児の入舎増で寮母の増もさせておるわけでございます。それからさらに、健康維持とか医療保障の側面から養護教諭をふやした、こういうところが一部手直しをしておるというところでございます。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 いま御説明がありましたように、義務制化に伴いましていわゆる重度あるいは重複児の受け入れということが行われるために、大変な腰痛その他の問題が出てくる、これは必至の状態、もともと予想されたことでございますから、その点で先生方の増員というのは、いわば国際障害者年の問題ももちろんございますけれども、これは当然の要求として早急に抜本的に解決をしていかなければならぬ問題だということをまず最初に申し上げておきたいと思います。  その次に、障害児学校における寮母さんの定員増の問題でございますが、これは去年の定数法で、結局、肢体不自由児の養護学校の場合には、寄宿舎の舎生の四分の一から三分の一へ、それから小規模寄宿舎の最低保障は八人から十人、それから舎監教諭を一名加配するというふうな一定の改善がなされているわけでございますが、しかし、よく検討してみますと、先ほどもお話がありましたが、小規模でない寄宿舎においては盲・聾・精薄及び病・虚弱養護学校の寄宿舎の寮母は、十二年たちましても一名もふえないことになると思いますが、この点についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  87. 馬場昇

    馬場議員 おっしゃるとおりでございまして、障害児学校の寮母は、小規模でない寄宿舎では、現行法では十二年たちましても一人もふえない、こういうかっこうになっておるわけでございまして、そこから先ほど言われましたような腰痛とか妊娠障害とかいろいろの障害が出ておる、こういう状況でございます。  そこで、この法律案では、寄宿舎の舎室の編制というものを男女別にいたしまして、幼・小・中は五人にいたしております。高校部は三人にいたしております。これに対しまして寮母を、幼稚部で三人、小・中部で二人、高校部で三人、こう配置することにいたしておりまして、こういたしますと、私どものこの法律が成立いたしますと、二千五百九十六人の寮母の増になるわけでございます。だから、現在の寮母数というのは四千五百名前後でございますので、約五五%の増になるということで、この寮母の問題につきましては抜本的な改善を図る、こういう気持ちで出しておるわけでございまして、こういうものを現行の十二年から六カ年に縮める、そういたしますと、いま言いましたような身体破壊、こういうものもなくなっていくのじゃないか、こういう考え方を持っております。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 私も、去年この問題について心配をしながら法案の修正案を出したわけですが、この点、いまおっしゃったような方法で解決されようとしているわけで、なおこの点についてはさらに煮詰めの段階で方法を見出すことができるのではないかと思います。  それから、もう一つの問題は、訪問教育制度の問題でございますが、これは去年、私の党の栗田議員が独自で調査をして、文部大臣に対して質問をしたことがございます。そのときの定数算出方法は、盲・聾・養護学校学級増として算出をしまして、一学級当たり五名までを訪問学級としておりましたが、十二年後には三名ということなんですが、そうして教員数を算出をしておったわけです。しかし、実質的には五名につき一名の教員配当となっておるわけでございますが、この法案では、別枠で算出をしまして、対象児五名までを三名の教師が当たることになっておると思うのです。  そういう点で、対象児に対する教育が週二回で二時間ずつ、合計しまして四時間の授業を受けるのが大体ほとんどの県の傾向のように思っておったわけですが、そういうふうに考えていたのですが、今度の法案でいきますと、大体提案者のお考えでは、訪問教育は週何時間ぐらいになると判断してよろしいでしょうか。
  89. 馬場昇

    馬場議員 訪問教育制度のお尋ねでございますけれども、この法律案では、訪問教育対象児五人までに教員三名とやっておりますし、あと三名ふえるごとに一名の教員増とする、こういう内容になっておるわけでございます。ですから、その上に訪問教員の持ち時間を、先ほどもちょっと言ったのですが、週十五時間としていますので、週一人当たり大体七時間から十時間ぐらいの訪問はできる、いわゆる非常に改善するということでございますし、現行法では、私どもが計算しますと、十二年後でも一人当たり大体週五時間、最高七時間ぐらいじゃないかと思いますが、この法律では、週一人当たり七時間から十時間になる、こういうことでございます。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 大体いまの御説明でその辺の事情がわかってまいりました。  次に、いま予算委員会に匹敵するような大論争が行われたわけでございますが、これはやはり一番大事なところなんです。したがって、この法案では、先ほどから説明されておりますように、年間九十一億ですかが必要となるわけで、ここからどう考えるかということですが、実はいま三浦さんの方から、独占、反独占という言葉が出ましたし、行政改革の中でどうするかという問題が出たわけですが、これは、行政改革そのものあるいは日本の予算構成そのものについてどういうふうに考えるかという見方によって、論争が起こるのは当然のことでして、その点では、本当に言えば、現在の行政改革が本当に民主的で、しかも国民に対するサービスその他に対してはこれを充実していく、しかも、余分なものあるいは天下りその他については適切な批判を加えていくということが大事だと思うのです。  同時に、私は、去年の十月、十一月に、たまたま東欧の諸国を回る機会を得たわけでございますが、そのときに感じたことがあるのです。それは確かに、日本の今日の状態から見ましたならば、決して豊かではないと思いました。それはルーマニアへ行ってもブルガリアへ行ってもハンガリーへ行きましても、いまホーネッカー議長が来ていますが、東ドイツにおきましても、そういう意味の豊かさという点では、それは日本の方が豊かに見えますし、いわば経済大国としての実績を持っているわけです。けれども、じゃ福祉の問題あるいは教育の問題から見ますと、中身の批判は、これはいろいろ見方があると思いますけれども、しかし、ずいぶん違うのです。  たまたま私は、ハンガリーで病気をして、三泊四日ハンガリーの病院へ入れられたわけですが、帰るときには、いろいろ経費を含めまして二万八千円の経費を請求されまして、それを払いましたときに、あなたは外国人だからお金を取りますよ。しかし、私の国の国民でございましたら一銭も取りません。社会主義の国が、そういう点ではかなり充実した社会保障制度を持っておるということは知っておりましたけれども現実にこう体験をしまして、やはり貧しい、豊かではない国であっても、それだけのことができるのはどこに問題があるのか、あるいは教育の面でも、就学前の子供から、東ドイツの場合はキンダーガルテンなどという、子供の学園といいますか、そういうものからずっと大学を卒業するまで経費は要らないというような状態です。これは資本主義の国と社会主義の国と違いはあると思いますけれども、しかし、国の経済の持ち方あるいは仕組みなどというものが検討されますと、ずいぶん変わったものが出てくるのだろうということを痛切に感じたわけです。また、最近の行政改革の中に見られます日本経済の仕組みを見ましても、たとえば、非常に大型プロジェクトの仕事というのには予算がずいぶんつくわけですね。私も四国ですから、本四架橋というのがあるわけで、これは四国住民の要求でもあります。しかし、三つも一緒につくるということになりますと膨大な金が投入されますけれども、その国家資金が投入されて、実際にそれによって仕事をしておるのは、大手の鉄鋼とかセメントとかいうようなところで、四国や中国の中小の業者はほとんどこれに参画することはできない、仕事を欲しいと思ってもほとんど参画できないというような実態があるわけですね、そういう問題。あるいは九十一億といえばジェット機一機分じゃないかと言うと、また軍事費と比較する単純な理論だというきめつけ方をするわけでございますけれども、私はそうじゃないと思うのです。  今日の核問題等を考えましても、きのうの新聞を見ますと、トップ記事で来年度予算は軍事費、防衛費については枠を外す、そして福祉、教育を打ち切っていくということがずばりと出るわけです。今年度の予算だって、五十六年度の予算だって、どの新聞を見ましても、これは防衛費増大と福祉、教育のしわ寄せだということが言われているわけでして、そういった点から考えてみますと、これはわれわれも大胆に言う必要がある。私はジェット機を買う必要はないと言ったっていいわけです。そういうものがあるならば、国際障害者年に見合うような、また経済大国と自負しておる日本の国家にふさわしいような、障害者に対する適切な教育施設あるいは設備その他を充実していくことができる、その構えをどこへ持つかということで論議をする必要があると私は思っております。  そういう意味では、長い間懸案となっておりますこの問題について、いま提案者方々法案として提出をされてきたことは、積極的な日本経済の新しい前進をつくり出していく一つだというふうに考えまして、その点で私はこの提案に対して支持をしたいと考えております。また、私ども考え方、かつての提案もそういう意味でなされたということを明確にしておきたいと思います。  同時に、提案者におかれましても、たとえば政権をとる時期も来るということは、政党としては当然考えておかなければなりません。そのときにおいてみずから実行できるという構えと決意が必要だと思いますが、その点について提案者馬場先生の御発言をぜひもう一度承っておきたいと思います。
  91. 馬場昇

    馬場議員 行財政改革に対する私ども考え方というのは、先ほど申し上げましたように、削るべきものは削らなければならないけれども、必要な経費はふやさなければならない、こういう考え方を持っておりますし、そういう状況から必要でないものは削れるものもあるし、そういうところからいって、たとえばこれに要する経費なんかは十分捻出できるという自信を私たちは持っておるわけでございますし、そういう面でぜひ積極的にこれを可決していただいて推進していきたいと思っておるわけでございますが、もしこれに反対とかいろいろ言われる人に私は聞きたいわけです。  たとえば、ことし国際障害者年だ、国際障害者年だと言われますが、国際障害者年は何なのかということをまず聞きたいわけでございますし、きのうの国会決議というのは満場一致の国会決議ですよ。この決議には、国会の各委員会もあるいは行政府もこたえなければならない、こういうものにこたえられないというなら国会決議とは何だ、そういうことで私は本当に大変なことになるのじゃないかと思うわけでございますし、現実を見てみますと、障害を持っておる九万人の子供、そこに働いている五万人近い教職員、そのバックにある四百万人近い障害を持っておる方々、こういう人たちにいまの日本の国の政治というものは本当に報いていかなければいかぬ、私は、こう思っておりますし、現実実行可能な、しかも本当に最低な提案であると思いまして、ぜひ満場の御賛同をお願いしたい、こう考えます。
  92. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣に最後に一言お伺いします。  きょうは文部大臣も参議院との関係でお忙しかったわけでございますが、きょう出ましたのは、前々からこの委員会で問題になり、かつ、この委員会で附帯決議もつけられた問題なんですね。そして同時に、実習助手の問題あるいは養護教員の問題あるいは事務職員の問題、そして障害児学校における教員の定数、寮母の定数の増加の問題、こういう問題で論議をしたわけです。これらは学校教育を構成する、また障害児教育の重要な部分を担っている人々の処遇並びに定数の問題でございまして、当然、文部省としましても、その気持ちはおなかの中に持っておられると思います。ただ、諸般の情勢の厳しいことは、これは皆国会議員ですから、わかるわけでございますけれども、いまもお話があったように、障害児問題につきましても、情勢は国際的には国際障害者年というような問題もありますし、ここらで文部省としても長年の懸案に対して一歩前進をさしていくという構えをぜひとっていただきたいと思いますが、きょうの質疑応答を聞いておられましてどういうふうな御見解を持っておるか、最後にお伺いをいたしたいと思います。
  93. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 国際障害者年を迎えるに当たりまして決議もされた次第でありますが、ただいまお話しのとおり、ぜひとも前向きでいろいろな御意見に対して御相談をしながらやってまいりたい、かように考えております。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  95. 三ツ林弥太郎

  96. 湯山勇

    湯山委員 時間の関係もございますから、簡単にお尋ねいたします。  障害者年につきまして、文部大臣に最初お尋ねいたしましたのは、実は障害児の養護学校への入学につきまして、参議院の予算委員会でしたか、総理大臣と文部大臣との御答弁に若干の食い違いがあった、このことも実はきょう時間があればはっきりさしたかったわけです。と申しますのは、いま馬場委員の方から御提案になっておられます法律、それと同時に、普通の小・中学校へも心身障害児が相当入学する、ことに父兄の意思によって決定するとなれば、そういう問題もございますから、それと直接つながりのある一番関係の深いのは、いま出ておる法律では養護教員の皆さんであったので、そこで、養護教員の問題をお聞きするのに当たって、障害者年の文部省の取り組みというお心づもりも聞いておこうということでございました。  なお、文部省がこれに対してどう対応するかは事務当局からお尋ねするはずですけれども、基本方針について大臣の御答弁がございましたので、この点の質問は省略さしていただいて、馬場委員に直接お尋ねいたします。  いまいろいろ御質問があった中で、この単独立法によってきめ細かい障害児学校の円滑な、しかも目的にかなった運営をしていこうということでございまして、これを見ましても、寄宿舎に調理員を設けるとか、通学用の自動車の運転職員を設置する、さらに、それには添乗員まで定数で決めておこう、あるいはまた、ボイラーのあるところでは、機関職員も定数の中で見ておこうというような御配慮は、確かに障害児に当然なくてはならない配慮であって、それらの点につきましては、提案の御趣旨よくわかりますし、ぜひ実現さしていただきたいものだというふうに考えます。  また同時に、いま山原委員からもございましたし、先ほどまた、現実問題に対処するために三浦委員からも御質問ございましたが、この基本的な考え方として、日本が国際的に信用を得る道というのはいろいろある、それは、いまの憲法にありますように平和に徹すること、これもそうだろうと思います。それから民主主義に徹すること、これもそうであると思いますし、本当の文化の面において尊敬を受けるというような国にしていく、これもそうです。同時に、基本的な人権を尊重するということも非常に重要であって、障害者年の取り組みを、多少の費用はかかっても、日本が世界に先んじてやっていくということは、日本の国際的な信用を高めていく、それを高めていくことが、ある意味では、皆さんがよく言われる愛国心、国を愛する道につながるというような考え方を私は持っておりますので、そういう点について提案者はどのようにお考えなのかということもひとつお答えいただきたい。  さらに言えば、財政再建のときに生まれた者は不幸せだということでは、子供に対しては済まされない問題であって、たくさん児童・生徒がふえて、入学する子供が多ければ、それに対応する教員配置というものは、貧乏を質に置いてもやはりやらなければならない。将来の日本を背負う子供にいまの大人の政治社会で起こっておることのしわ寄せを持っていくということは、お互い大人として、政治に携わっておる者として、極力避けねばならないことだということも、また提案者においてはお考えのことだと思います。  そこで、具体的にお尋ねいたしたいのは、この際、私ども知っておる範囲では、養護学校定数におきましても、いま三浦委員から御指摘のように、どこそこの分校というのは相当多いわけです。厚生省の福祉施設なんかでそういう障害児のいるところは分校になっています。ところが、分校の定数は、本来この基準どおりに分校として独立して計算されなければならないのが、県によってはそうじゃなくて、本校、分校一緒にしてやるものですから、規定どおりいったものよりも非常に少ない配置になっている、こういう例もあって、問題にもなっておりました。  そういうこともありますので、現行法を適正に実施させるということでも、これはなかなか大きな仕事だと思うのですが、改めてこの際、この法律をお出しになったという意味を、明確にお答えになっておりますけれども、ひとつまとめてお答えいただきます。  それから、いま申し上げましたように、障害者年に当たりまして、提案者はもうこれで障害児対策はいいとお考えになっておられるのか、私どもいろいろ見てまいりますと、ただ定数だけではまだ不十分であって、その他障害児対策としては、あるいは障害児学校等においても整備すべきも画、充実すべきもの、強化すべきものが多々あるように考えます。それらについてお考えがあれば、お伺いいたしたいと思います。
  97. 馬場昇

    馬場議員 幾つかの御質問をいただいたわけでございますけれども先ほどから触れていない問題で、たとえば派遣教員の話も出ましたし、養護教諭のお話も出ましたが、寄宿舎看護婦というものを、実は第十三条で提起しておるわけでございます。これは重度・重複児の入舎が非常にふえておりますものですから、病弱児や常時薬をやらなければならない、こういうような者とか、健康に特別な配慮を必要とする者がだんだんふえてきておるわけでございますし、やはり保健婦助産婦看護婦法の第五条の職務内容を持ったような看護婦さんがぜひ必要だということで、こういうことも規定しておるわけでございます。先ほど質問者が言われましたように、そのほかに学校栄養職員、あるいは学校給食調理員、寄宿舎給食調理員、こういうものも規定しておるわけでございますけれども、やはり障害児の学校では健康保持及び給食それ自体が重要な学習活動であるし生活指導である、そういうことの重要性にかんがみまして、こういうのも出しておるわけでございます。  さらに、学校警備員等も規定しておるわけでございます。これはやはり障害者の寄宿舎、そこの警備員というのは、普通の学校の警備員と違うと思うのです。いろいろなことがあったら学校と連絡するとか先生に連絡するとか父兄に連絡するとか、そういうことが障害者の寄宿舎には非常に多いわけでございまして、そういうところも、普通の学校の警備員以上に充実強化しなければならぬ、特別な教育的な任務を持っておるという意味においてつけ加えておるわけでございます。  それから、分校の問題が出ましたけれども、分校は、この法律では一つの独立校、一つ学校というぐあいにして取り扱っておることを申し上げておきたいと思います。  さらに、基本的な考え方でいろいろお話がございました。さっきもちょっと言いましたけれども日本教育は、平和憲法に基づき、教育基本法に基づき行われなければならないというのは当然のことでございます。そういうときに、特に障害者の基本的な人権を大切にしなければなりませんし、特にまた、障害者の教育、障害者の生活を考えた場合に、その国が平和でなければ本当の障害者の人権は守られていかないわけですから、いかに平和が大切かということでございます。  特に、先ほど質問者も言われましたように、財政再建の時期に生まれた者は運が悪いのだ、そんなことは絶対にあってはならないと私は思うのです。なぜ財政再建、行財政の改革をしなければならないか、その責任は、やはり歴代の政府にある、私は、そういうぐあいに思います。子供には決して責任はないわけです。国民にはないわけです。そういう意味で、国民の中で特に障害を持っている子供にこの財政再建の責任はないわけでございますので、そこに持っていってしわ寄せするというようなことがあってはならない、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  それから、私どもは、この法律だけで事足りるということではありませんし、事足りるとするような考え方では、国際障害者年あるいは国会決議にも応ずることはできないということもございますが、私どもといたしましては、このほかに、実はたくさんの法律を予定しておるわけでございます。先ほども本委員会でも一部議論もあったわけでございますが、教職員の身分の問題、それから権利の問題、そしてまた勤務条件の改善の問題、そういうものについて、あと幾つかの法律案を衆議院並びに参議院を通じて社会党は出しているわけでございます。たとえば、先ほどもちょっと出ておりましたが、学校教育法の一部を改正して「寮母」を「寄宿舎教諭」というぐあいに変えるべきだ。これはさっきの実習助手実習教諭と同じような立場でもございます。さらに、たとえば女子現業員に対する産休代替法というものも、法律案として実は国会に出しているわけでございます。さらに、養護学校看護婦とか学校事務職員とかあるいは栄養職員に育児休業法が適用されていないわけでございますので、これもやはり適用させるというような法律改正も国会に出しておるわけでございます。  まだそのほかにも、いろいろ行政的に改善すべき点は私ども要求もしているわけでございますが、これだけではございませんで、総合的に障害児教育を整備充実し、強化発展させたいという立場で取り組んでおることを申し上げておきたいと思います。
  98. 湯山勇

    湯山委員 質問は終わりますが、最後に、大臣にお願いいたしたいと思います。  せっかく昨日ああいう決議もございましたし、大臣の先ほどの御答弁もございましたが、ちょっと申し上げましたように、国際的な取り組みの中で日本がどれだけ先導的な役割りを果たしていくかということは、私は、非常に重要な日本にとっての課題であると思いますので、大臣におかれましても、障害者年における障害児教育の問題、これは社会教育学校教育全体を通じて重要な問題であると思いますので、ひとつ全力を挙げてお取り組みいただきますように切に御要望申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  99. 田中龍夫

    ○田中(龍)国務大臣 十分拝聴いたしまして、また、御相談をいたしながらやってまいりたいと存じます。
  100. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後零時五十七分開議
  101. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、本日付託になりました内閣提出参議院送付放送大学学園法案及び湯山勇君外二名提出放送大学設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  お諮りいたします。  内閣提出参議院送付放送大学学園法案は、第九十三回国会におきまして、本院において可決し、参議院に送付いたしましたが、参議院におきましては、継続審査に付され、本国会におきまして昭和五十六年度施行のための所要の修正を行って本院に送付されてまいりました。  したがいまして、本案の提案理由の説明は省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  103. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより、湯山勇君外二名提出放送大学設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案提案理由の説明を聴取いたします。嶋崎譲君。
  104. 嶋崎譲

    嶋崎議員 ただいま議題となりました放送大学設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。  近年におけるわが国の高等教育の急速な発展と社会の複雑、高度化の進展を背景に、国民の大学教育の機会の拡大、大学の社会への開放あるいは学問の成果を国民に還元すること等に対する要請は、ますます大きくなっております。これらの国民的要請にこたえるため、放送を効果的に活用する大学を設置することは、まことに重要な課題であります。  しかし、このような放送を利用する大学が国民の要請にこたえて本来の役割りを果たすためには、少なくとも次に述べる四点について十分な配慮が行われることが不可欠であります。  すなわちその第一は、学問の自由・大学の自治が保障され、国からの独立が確保されていることであります。第二に、放送の本質・公共性にかんがみ、実質上の国営放送になってはならないということであります。第三は、学問の自由・大学の自治と放送法上の公共・公平の原則を適切に調整する必要があるということであります。そして第四は、全国的に教育の機会均等を保障するとともに、文化の多様性及び地域性を確保するということであります。  しかるに、現在政府から提案されている放送大学学園法案は、これまでの審議の中で明らかなように、これらの点に対する配慮がまことに不十分であり、とうてい国民の期待にこたえる大学になるとは思えないのであります。  そこで、われわれは、国民の大学教育及び生涯学習の機会に対する要請に真にこたえるために、学問の自由・大学の自治が確立されている国立の大学として放送大学設置するとともに、その教育に必要な放送は国からの独立性が保障されている日本放送協会が行うことが最も適当と考え、この法律案提案した次第であります。  次に、このような構想を採用いたしました理由につきまして、政府案と対比しながら述べてみたいと存じます。  まず第一に、政府案は、放送大学設置主体として特殊法人放送大学学園を設けることとしておりますが、大学を設置する特殊法人であるという特質を全く配慮することなく、その理事長、監事及び運営審議会委員の任命権を無条件文部大臣にゆだねております。さらには、理事会を法定することなく、理事長への権限の集中を図っております。この構想では、文部大臣の支配管理も可能となり、放送大学学園の国からの独立をとうてい担保することはできません。また、大学組織についても、評議会のみを法定してこれに人事権を付与するなど、少数の評議員中心の大学運営を予定しております。この大学自治組織では、教員全体の意見が大学運営に反映する保障はなく、学問の自由・大学の自治が脅かされるばかりでなく、教職員の積極的協力が期待されないのであります。  これに対して、本法律案のように放送大学国立大学として設置すれば、既設の国立大学と同様に、人事権を初めとする重要な権限は教授会に属することとなり、大学運営に対する教員全体の意見が反映され、大学の自治が担保されることになります。また、放送大学が、国立大学協会の一員として、国大協を構成する全国立大学によってその自治が支えられ、補強されることも見逃せないところであります。  なお、放送大学に不可欠な既設の国立大学等の教員の協力を得るなどその提携協力関係を確立する上でも、また、政府案のごとく任期制をとる必要もなく、同じ教育公務員の身分を保障したままで人事の交流を行うことができる点においても、大きな利点があるということができます。  第二に、政府案では、さきに述べましたように国からの独立性がきわめて弱い放送大学学園が放送事業者となっており、事実上の国営放送になりかねないのであります。これでは、国民の世論操作や思想統制の手段に放送大学が利用されるおそれすら指摘せざるを得ないのであります。  これに対して、本法律案では、大学の自治を保障された放送大学が、国からの独立について現行放送法を前提として種々配慮されている日本放送協会との協議を通じて、その教育に必要な放送を行うことによって、国営放送となる危険性を全く排除しているのであります。  第三に、政府案では、放送事業者の番組編集権と大学の教学権との調整を、同一法人内部の問題として処理するため、特殊法人方式を採用したとしております。しかし、特殊法人方式によって問題が解決したわけではなく、むしろ、両者の調整が国民の目に触れないところで、しかも理事長の強い権限を背景に番組編集権の優位のもとに安易に解決されるおそれが強いのであります。このことは放送番組を水準の低い魅力の乏しいものにすることになります。  これに対して、本法律案では、イギリスにおけるオープン・ユニバーシティーとBBCとの関係のように、放送大学日本放送協会とが教育界における提携者の関係に立って、両者の調整が国民に開かれた形で行われることを予定しております。またこの調整は、必ずしも容易な問題ではなく、その真剣な努力がよりよい放送番組をつくり上げるゆえんでもあり、さらには印刷教材、通信指導、スクーリング等の充実をもたらすことに結びつくものと考えるのであります。  第四に、国民の全国的な教育の機会均等をどう保障するかについて、政府案の場合、その将来計画があいまいなままに、とりあえず東京周辺地区に放送大学を発足させようとしているばかりでなく、将来も画一的な放送番組を全国一律に放送することを予定しております。  これに対して本法案は、大学発足に先立って広く関係者を網羅して放送大学創設準備委員会を設け、放送大学日本放送協会との協力のあり方、既設の大学の協力の確保、具体的な将来計画などについて十分に検討を行うことを予定しております。特に、将来計画の確定とその速やかな実現については、すでに全国放送の実績を持つ日本放送協会の協力が大きな力となることは言うまでもありません。さらに、ローカル放送の活用等によって、文化の多様性及び地域性の要請にこたえる講義番組を提供する可能性が大きいことも見逃すことのできないところであります。  なお、日本放送協会が、多年にわたる教育・教養放送の経験、すぐれた放送技術の蓄積とその開発の能力を持っていることは他の追随を許さぬものがあり、これらを放送大学教育に活用できることもきわめて大きな利点であります。  以上申し述べました理由により、本法律案提案した次第でありますが、その内容は次のとおりであります。  その第一は、放送等により教育を行う大学として国立放送大学設置し、通信による教育を行う教養学部を置くこととしております。  また、放送大学に本部を設けるほか、学習指導に必要な地方センターを設けることとしております。  第二には、放送大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教職員の参加を求めるように努めなければならないこととしております。  第三には、放送大学における教育に必要な放送は、日本放送協会が行うこととするとともに、その放送は放送大学の編成した教育課程に準拠して編集された放送番組により行われなければならないこととしております。  第四には、日本放送協会が放送大学の放送番組の編集を行うに当たっては、放送大学と協議して定める準則に従って行わなければならないこととしております。  また、国内番組基準の適用除外等を行っております。  第五には、日本放送協会が放送大学における教育に必要な放送を行うに要する費用は、国の負担とすることとしております。  第六には、この法律昭和五十七年四月一日から施行するとともに、放送大学昭和五十九年度から学生を入学させることとしております。  最後に、大学には通信による教育を行う学部を置くことができるなど、関係法律に所要の規定の整備を行っております。  以上が、本法律案提出いたしました理由とその概要であります。何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  105. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時九分散会