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1981-03-18 第94回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十八日(水曜日)     午後一時三分開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君    理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君    理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       臼井日出男君    浦野 烋興君       狩野 明男君    久保田円次君       高村 正彦君    西岡 武夫君       船田  元君    宮下 創平君       木島喜兵衞君    中西 積介君       長谷川正三君    湯山  勇君       鍛冶  清君    三浦  隆君       山原健二郎君    石原健太郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 田中 龍夫君  出席政府委員         文部政務次官  石橋 一弥君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      松浦泰次郎君         文部省体育局長 柳川 覺治君         文化庁長官   佐野文一郎君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   鍛冶  清君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     鍛冶  清君 同月十八日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     小杉  隆君     ――――――――――――― 三月三日  学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正す  る法律案勝又武一君外一名提出参法第五  号)(予) 同月十八日  学校教育法の一部を改正する法律案中西積介  君外四名提出衆法第七号)  公立障害児教育学校学級編制及び教職員  定数標準等に関する法律案馬場昇君外四名  提出衆法第一一号)  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共  済組合からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出第五一号) 二月二十八日  国立中小企業大学創設に関する請願井出一  太郎紹介)(第一三〇六号)  同(小川平二紹介)(第一三〇七号)  同(小沢貞孝紹介)(第一三〇八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三〇九号)  同(串原義直紹介)(第一三一〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三一一号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三一二号)  同(清水勇紹介)(第一三一三号)  同(下平正一紹介)(第一三一四号)  同(中村茂紹介)(第一三一五号)  同(羽田孜紹介)(第一三一六号)  同(宮下創平紹介)(第一三一七号)  近世史料等収蔵公開のため文書館法制定  に関する請願井出一太郎紹介)(第一三一  八号)  同(小川平二紹介)(第一三一九号)  同(小沢貞孝紹介)(第一三二〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三二一号)  同(串原義直紹介)(第一三二二号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三二三号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三二四号)  同(清水勇紹介)(第一三二五号)  同(下平正一紹介)(第一三二六号)  同(中村茂紹介)(第一三二七号)  同(羽田孜紹介)(第一三二八号)  同(宮下創平紹介)(第一三二九号)  小学校学習指導要領における森林林業教育復  活に関する請願井出一太郎紹介)(第一三  三〇号)  同(小川平二紹介)(第一三三一号)  同(小沢貞孝紹介)(第一三三二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三三三号)  同(串原義直紹介)(第一三三四号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三三五号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三三六号)  同(清水勇紹介)(第一三三七号)  同(下平正一紹介)(第一三三八号)  同(中村茂紹介)(第一三三九号)  同(羽田孜紹介)(第一三四〇号)  同(宮下創平紹介)(第一三四一号)  私学学費値上げ抑制等に関する請願小川国  彦君紹介)(第一三九四号)  同(関晴正紹介)(第一四一三号)  同(小川平二紹介)(第一四六六号)  同外二件(灘尾弘吉紹介)(第一四六七号)  私学に対する公費助成増額制度確立に関す  る請願麻生太郎紹介)(第一三九五号)  同(三原朝雄紹介)(第一三九六号)  同(山崎平八郎紹介)(第一三九七号)  同(森田一紹介)(第一四六八号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願渡辺三郎紹介)(第一四一四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一四八七号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願外  一件(奥田幹生紹介)(第一四一五号)  高校増設費国庫補助増額等に関する請願(伊  藤公介紹介)(第一四六五号) 三月七日  学術奨励研究員定員増加等に関する請願(和  田耕作紹介)(第一四九九号)  私学学費値上げ抑制等に関する請願山崎拓  君紹介)(第一五〇〇号)  同(林義郎紹介)(第一五五九号)  同(林百郎君紹介)(第一五六〇号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願野間友一紹介)(第一五〇一号)  同外二件(伊賀定盛紹介)(第一六〇二号)  同外一件(池端清一紹介)(第一六〇三号)  同(上田哲紹介)(第一六〇四号)  同外一件(小川国彦君紹介)(第一六〇五号)  同外二件(大原亨紹介)(第一六〇六号)  同(勝間田清一紹介)(第一六〇七号)  同(金子みつ紹介)(第一六〇八号)  同外二件(木島喜兵衞紹介)(第一六〇九  号)  同外二件(佐藤誼紹介)(第一六一〇号)  同外一件(嶋崎譲紹介)(第一六一一号)  大学格差是正及び充実発展等に関する請願  (和田耕作紹介)(第一五〇二号)  私学に対する公費助成増額制度確立に関す  る請願楢崎弥之助紹介)(第一五〇三号)  同(山崎拓紹介)(第一五〇四号)  幼稚園就園奨励費補助金交付に関する請願  (伊藤公介紹介)(第一五二一号)  大学格差是正充実発展等に関する請願(栗  田翠紹介)(第一五五八号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願  (森喜朗紹介)(第一五六一号) 同月十一日  大学学費値上げ抑制等に関する請願栗田翠  君紹介)(第一六九一号)  私学学費値上げ抑制等に関する請願辻英雄  君紹介)(第一六九二号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願鈴木強紹介)(第一六九三号)  同外三件(関晴正紹介)(第一六九四号)  同(高沢寅男紹介)(第一六九五号)  同外二件(中西積介紹介)(第一六九六号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第一六九七  号)  同(渡部行雄紹介)(第一七五七号)  国立中小企業大学創設に関する請願(林百郎  君紹介)(第一六九八号)  近世史料等収蔵公開のため文書館法制定  に関する請願(林百郎君紹介)(第一六九九  号)  小学校学習指導要領における森林林業教育復  活に関する請願(林百郎君紹介)(第一七〇〇  号)  私学に対する公費助成増額制度確立に関す  る請願辻英雄紹介)(第一七二四号)  幼稚園就園奨励費補助金交付に関する請願  (菅直人紹介)(第一七五八号)  大学格差是正及び充実発展等に関する請願  (鍛冶清紹介)(第一七五九号) 同月十二日  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願外二件(馬場昇紹介)(第一八六三  号)  同外二件(村山喜一紹介)(第一八六四号)  同外二件(山口鶴男紹介)(第一八六五号)  同(山田耻目君紹介)(第一八六六号)  同(山花貞夫紹介)(第一八六七号)  同外二件(湯山勇紹介)(第一八六八号) 同月十六日  私学学費値上げ抑制父母負担軽減等に関す  る請願井上一成紹介)(第一九七一号)  私学学費値上げ抑制等に関する請願浦井洋  君紹介)(第一九七二号)  同(小沢和秋紹介)(第一九七三号)  同(城地豊司紹介)(第一九七四号)  同(森井忠良紹介)(第一九七五号)  同外九件(斎藤実紹介)(第二〇六〇号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願(阿部未喜男君紹介)(第一九七六号)  同(山本政弘紹介)(第一九七七号)  大学格差是正及び充実発展等に関する請願  (木島喜兵衞紹介)(第二〇三八号)  同(嶋崎譲紹介)(第二〇三九号)  高校増設に対する国庫補助増額等に関する請  願(草野威紹介)(第二〇六一号) は本委員会に付託された。 二月二十六日  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願(第四七三号)は「川口大助紹介」を  「田邊誠君外一名紹介」に訂正された。     ――――――――――――― 三月四日  私学学費値上げ抑制等に関する陳情書  (第七八号)  第五次学級編制及び教職員定数改善計画の期間  短縮等に関する陳情書外六件  (第七九号)  同七件(第一三三号)  名古屋工業大学大学院総合工学研究科博士課程  設置に関する陳情書  (第一三〇号)  私学助成の拡充に関する陳情書  (第一三一号)  公立学校危険建物耐力度点数千点引き上げ緩和  措置の継続に関する陳情書  (第一三二号)  義務教育教科書無償制度の存続に関する陳情書  外十件  (第一三四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一六号)      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。田中文部大臣
  3. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 このたび政府から提出しました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和五十六年度における国立大学新設学部及び大学院設置短期大学部併設宇宙科学研究所国立歴史民俗博物館及び岡崎国立共同研究機構新設等について規定しているものであります。  まず第一は、鳴門教育大学及び鹿屋体育大学新設についてであります。  鳴門教育大学は、すでに設置を見ている上越兵庫の二教育大学と同様、教員資質能力向上という社会的要請に対処するため、主として教員研究研さん機会を確保することを趣旨とする大学院初等教育教員養成する学部とを有し、全体として大学院重点を置く大学として設置し、学校教育に関する実践的な教育研究推進しようとするものであります。  また、鹿屋体育大学は、近年における国民の体育・スポーツ、レクリエーション活動に対する関心の高まりに対応して、これらの分野における実践的な指導者養成を図るため、特に社会体育分野に主眼を置きつつ教育研究推進しようとするものであります。  なお、両大学とも本年十月に開学し、学生入学は、鳴門教育大学にあっては、大学院昭和五十九年度から、学部昭和六十一年度から、鹿屋体育大学にあっては、昭和五十九年度からとするものであります。  第二は、学部設置についてであります。  これは、千葉大学に同大学の人文学部を改組して文学部及び法経学部を、香川大学に法学部を、それぞれ設置し、これら地方における国立大学教育研究体制整備を図るものであります。  第三は、大学院設置についてであります。  これまで大学院を置いていなかった滋賀医科大学医学博士課程大学院設置し、同大学における教育研究の水準を高めるとともに、研究能力のある人材の養成に資することとするものであります。  また、鳴門教育大学は、前述のように、大学院重点を置く大学として新設するものでありますので、大学院設置することとしております。  第四は、短期大学部併設についてであります。  これは、神戸大学医療技術短期大学部を新たに併設し、医学の進歩と医療技術高度化専門化に即応して、看護婦等養成及び資質向上に資することとするものであり、本年十月に開学し、昭和五十七年度から学生入学させることとしております。  第五は、宇宙科学研究所新設についてであります。  従来東京大学に付置されていた宇宙航空研究所を廃止し、国立大学共同利用機関として宇宙科学研究所新設しようとするものであり、これにより宇宙科学に関する研究の一層の推進を図ろうというものであります。  第六は、国立歴史民俗博物館新設についてであります。  これは、わが国歴史資料考古資料及び民俗資料を収集保管し、公衆の観覧に供するとともに、歴史学、考古学及び民俗学に関する調査研究を行う国立歴史民俗博物館国立大学共同利用機関として新設しようとするものであります。これにより、これらの学問分野研究推進に資するとともに、その成果を生かしてわが国歴史文化についての一般理解と認識を深めることを期待するものであります。  第七は、岡崎国立共同研究機構新設についてであります。  すでに国立大学共同利用機関として設置されております分子科学研究所生物科学総合研究機構基礎生物学研究所及び生理学研究所が、有機的連携を保って運営されるよう、これら三研究所をもって構成する岡崎国立共同研究機構新設し、分子科学基礎生物学及び生理学に関する研究推進に寄与しようとするものであります。  以上のほか、このたび新設しようとする二大学を含め、昭和四十八年度以後に設置された医科大学等に係る職員定員を改めることといたしております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。船田元君。
  6. 船田元

    船田委員 まず、文部大臣を初めといたしまして文部省御当局には、わが国文教行政の非常に公正な運営というものについて日ごろから御尽力いただきまして、心から敬意を表したいと思います。  早速ですが、ただいま議題になりました国立学校設置法の一部を改正する法律案について私の質問を始めたいと思います。  まず、この国立学校設置法というのは、昭和二十四年以来毎年改正改正を重ねまして、いわば常連でございまして、それらの改正中心は、地方国立大学整備充実にあったのではないか、このように理解をしておるわけです。確かに地方国立大学は、それぞれの地方における教育文化の中核の役割りをしている。特に最近、地方時代という言葉が言われ続けておりますけれども、教育文化における地方時代というのは、やはり地方国立大学がその中心となって開いていくものだ、このように私自身は理解をしておるわけです。  文部省は、一体どのようなお考えあるいは理念によってこの地方国立大学整備充実をやっているのか、その概括的なことについて質問をいたしたいと思います。
  7. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えをいたします。  国立大学につきましては、「高等教育計画的整備の報告」に沿いまして、全国的、構造的に均衡のとれた高等教育発展に資するように、地域収容力やあるいは専門分野構成等を勘案いたしながら、特に地方におきます国立大学整備充実を図ることを基本方針といたしております。右の方針にのっとりまして、昭和五十六年度予算におきましても、鳴門教育大学鹿屋体育大学創設を初めといたしまして、学部、学科の新設等、大都市以外に所在する国立大学でその大部分を措置しておるところでございます。今後ともに、地方におきます国立大学が、各地域教育学術文化の面で一層重要な役割りを果たし得まするように配慮してまいりたい、かように考えております。
  8. 船田元

    船田委員 それでは次に、今回の改正案具体的な内容についてお伺いをしていきます。  まず、鳴門教育大学ですが、これは昭和四十九年度から着々とその準備が進められてきたわけでありますけれども、いよいよ五十九年度から大学院学生受け入れ、六十一年度から学部学生受け入れということで、ようやく創設の運びになったということにつきまして心から喜ぶとともに、今後の発展というものに期待をかけてみたい、このように考えております。  そこで、ここの大学院には現職教員といいますか、実際にいま学校で教鞭をとっている先生方を多く入れるのだというような理念があったと思いますが、一学年の定員が三百人ということですと、その三百人のうち大体どのぐらいの割合で現職教員を入れようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  9. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 具体の問題につきましては、政府委員から詳細お答えいたします。
  10. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、今回御提案申し上げております鳴門教育大学大学院でございますが、すでに発足しております兵庫上越教育大学の場合と同様に、主として現職教員大学院における研究研さん機会を確保するというところを主要なねらいといたしておるところでございます。したがいまして、この鳴門教育大学につきましては、すでに創設準備室を設けまして準備を進めてきておるところでございますが、創設準備室考え方といたしましては、兵庫教育大学と同様に、大学院入学定員のほぼ三分の二程度、御指摘のように完成時におきます入学定員は三百人でございますので、約二百名を初等中等教育における教職経験を有する者の現職教育という考え方検討を進めているところでございます。
  11. 船田元

    船田委員 いまの御答弁ですと、三百名の定員のうちの大体三分の二の二百名ということになっているわけです。ただ、その選抜方法がやはりちょっと問題だと思うのです。たとえば現職教員ともう一方ではほかの大学学部を卒業した者、これも一応入学の試験を受けるということでしょうけれども、学部卒学生一般現職教員との間にもともとギャップがありますから、全く同じ扱いにすると、三分の二は現職教員を入れるといってもそれがなかなか実現しないわけですので、その扱いを一体どう区別しているのかということについてお尋ねいたします。
  12. 宮地貫一

    宮地政府委員 御指摘現職教員にかかわる大学院への入学選抜方法についてのお尋ねでございますが、現在創設準備室におきまして検討している点は、兵庫教育大学の場合とほぼ同様になるものと考えているわけでございます。特に、現職教員受け入れるに当たってどういう配慮をするのかという点のお尋ねがあったわけでございますが、兵庫教育大学におきましても、入試におきましては、三年以上の教職経験を有する者につきましては、たとえば外国語にかえまして、学校教育実践にかかわる分野について問う教育実践というようなものを選択として認めるというようなことをいたしておりまして、現職教員受け入れについてそういう配慮をしているわけでございまして、鳴門教育大学創設準備室におきましても、同様の措置をとることを検討しているというのが現状でございます。
  13. 船田元

    船田委員 それと私が非常に気がかりだったのは、この鳴門教育大学徳島県にできるわけです、そうすると、既存の徳島大学がありまして、その中に教育学部があるということで、同じ県に教育系大学が二つできてしまって、しかも、それが国立であるわけですね、国立教育関係大学が二つできるということになってしまうわけです。  そこで、聞くところによると、地元でもこの両者を調整するための調査委員会というのでしょうか、調査グループというようなものができて、これからもうちょっとしたら調査に取りかかろうという話があるということを聞きました。このような法律を出すからには、すでにその調整はうまくついているのではないかということでちょっと意外に思ったわけなんですが、創設準備室あるいはその調査グループの中で一体どういうふうな話し合いが行われて、その二つの大学調整がついていくのかということについてお尋ねをいたします。
  14. 宮地貫一

    宮地政府委員 御指摘徳島大学教育学部との関係の問題でございますが、それらの調整を図る必要があるということは、関係者におきましてもつとに十分意識をしてきておった点でございまして、実態的に申し上げますと、上越兵庫教育大学創設準備調査ということと、この鳴門もほぼ同時期から創設準備が進んできたわけでございますが、実際的な問題点といたしましては、御指摘徳島大学教育学部との調整問題についていろいろと今日まで時間を要したということが、この鳴門教育大学についての御提案が五十六年度の予算でお願いをすることになった主たる理由と申しますか、そういうことも言えるわけでございます。  そこで、現在までの経過でございますけれども、調整といたしましては、徳島大学教育学部の方では、昨年五月に徳島大学教育学部を新しい学部発展的に改組をするという方針を明らかにいたしまして、ただいまその具体的内容について引き続き検討が進められているというのが現状でございます。  そういうことを受けまして、私どもとしても、御提案申し上げております昭和五十六年度予算案におきましても、徳島大学からの要求に基づきまして、徳島大学教育学部のための学部等改革調査費も計上している次第でございまして、それらの検討を通じましてその間の調整を図るというように考えております。
  15. 船田元

    船田委員 いまの御答弁ですと、来年度から調査のための費用もつくということで、いずれにしても早くお互いの調整をして、なるべくごたごたを残さないような納得のいく形で五十九年度からですか、スタートしてもらいたい、このように考えているわけです。  次に、先発の教育大学として兵庫教育大学、これは昭和五十五年度に学生受け入れをした、それから上越教育大学、これは五十六年度、今度の四月から学生受け入れをする、そして今回の鳴門教育大学、これで三つの新しい構想教育大学ができるわけでございます。これは私が言うまでもなく、昭和四十七年七月に教育職員養成審議会の建議がございまして、それから五十三年六月ですか、このときには中教審の答申で「教員資質能力向上について」というのがございまして、それに従ったいわゆる現職教員の研修のための新しい構想大学ということになるわけです。  そうしますと、兵庫教育大学とか上越教育大学にも現職教員がかなり入っている。先ほどの御答弁の中にも、幾らかそのニュアンスが出ておりましたけれども、もう一度具体的に、その数はどのくらいなのか、現状についてお知らせ願いたいと思います。
  16. 宮地貫一

    宮地政府委員 お答え申し上げます。  兵庫教育大学でございますが、昭和五十五年度から大学院学生受け入れております。なお、昭和五十七年度から学部学生受け入れ計画になっておるわけでございますが、諸般の準備を順次進めてきておるわけでございまして、大学院について申し上げますと、昨年四月に、初等中等教育における三年以上の教職経験を有する現職教員が百三十二名でございまして、それを含めまして全体で百四十六人の学生受け入れております。そういうことで、具体的な本格的な教育研究活動が現に動き出しているわけでございます。また、第二年目の昭和五十六年度の入学者につきましても、実は昨年八月に、すでに選抜試験を実施いたしておるわけでございまして、現職教員百七十三名を含みます全体として百九十五人の合格者の決定を見ているというのが現状でございます。  なお、上越教育大学でございますが、こちらは昭和五十六年度から学部学生受け入れることになっておりますし、また大学院学生昭和五十八年度からということになっておるわけでございます。本年四月からの学部学生受け入れに備えまして十分施設設備の整備等、諸準備を進めておるわけでございます。  なお、この学部学生入学者選抜というのが、去る一月末に推薦による入学者の選抜試験を行いましたほか、今月の初め、三月四日から六日でございますが、共通一次試験に基づきます第二次試験による入学者の選抜試験が行われまして、去る三月十六日に二百十名の合格者の発表を見ているわけでございまして、上越教育大学の場合で申しますと、志願者の倍率が七・一倍ということで一般教育学部の倍率が五十六年度は二・九倍ということに比べますと、上越教育大学の場合も応募者としては非常に多くの学生が応募しているということが申せるかと思います。
  17. 船田元

    船田委員 実は、ここにそれに関する建議を持ってきたのですが、それの第四として「教員の研修の改善充実について」、その中で数字の二番目の「現職教員の研修を目的とする新構想大学院創設」の中で「この大学院は、地域的な適正配置を考慮してたとえばブロックごとに設置することとし、」、こういうふうに述べているわけなんです。この各ブロックごとにこれから新構想教育大学をつくってくれというような要請がここにあったわけですけれども、実際にこの新構想教育大学というのはこれから各ブロックにつくる予定があるのかないのか、もしつくらないのだとしたら、たとえば現在ある各地方教育大学のところに、あるいはまたその教育学部大学院現職教員を優先的に入れさせる、そういう代替案もできていなければならないと思うのですけれども、実際にそのようなことは行っているのか、あるいはまたこれから行おうとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
  18. 宮地貫一

    宮地政府委員 先生御指摘昭和四十七年七月の教育職員養成審議会の建議におきましては、御指摘のように現職教員のための大学院を「たとえばブロックごとに設置すること」ということについて御提案をいただいているという経緯があることは、私も十分承知をいたしているところでございます。しかしながら上越兵庫教育大学創設と相前後いたしまして、既設の教員養成大学学部についても大学院設置について積極的に取り組むということも出てまいったわけでございまして、具体的に申し上げますと、本年までにすでに六大学大学院設置することも進めてきておるわけでございます。さらに五十六年度におきましても、引き続き二大学設置を予定しているということもございます。  文部省といたしましては、この新しい教育大学と既設の教員養成大学学部と両者相まちまして高度な教員養成の実を上げていくことが必要であろうかと考えております。したがいまして、新教育大学につきましては、私どもとしては、当面三大学にとどめまして、それらが所期の目的に沿うよう充実していくように努力をしてまいりたい、あわせて既設の教員養成大学学部におきます大学院構想検討状況などに応じまして、順次そういう整備を進めてまいるというぐあいに考えておるところでございます。
  19. 船田元

    船田委員 同じようにして昭和四十七年の建議の中では、現職教員で研修を大学院で受ける場合に「在学中の身分、給与の保障措置を講ずる」ということがございます。これはもちろん研修を受ける教員そのものの身分あるいはその給与の保障ということであって、これは多分きちんと措置されているのじゃないかと思いますけれども、一方、研修をする教員が実際にそれまで教壇に立っていた学校では、その教員のかわりになるいわゆる研修代替の教員というのが必要なわけでございまして、その研修代替の教員というのは一体どれくらい確保されているのだろうか。  それからもう一つ、同様に建議の中では「卒業者には上級免許状を授与するとともに、その処遇についても特別の措置を講ずることを検討する必要がある。」、すなわち研修をしていない先生とこういう新しい教育大学あるいは大学院で研修をした先生との間に何がしかの差をつけていかなければいけないのではないかというようなことも提案をしているわけですけれども、それに対する文部省の対応というのは一体どうなっているのでしょうか。
  20. 宮地貫一

    宮地政府委員 研修代替教員措置についてのお尋ねでございますが、公立の義務教育学校教員鳴門教育大学大学院に研修のため派遣されます場合には、兵庫教育大学の場合と同様に研修代替定数措置する予定にいたしております。もちろん、これは上越教育大学大学院の場合も同様な扱いで考えるわけでございまして、先ほど御説明申しましたように、上越教育大学では、昭和五十八年度から大学院学生受け入れることになるわけでございますが、その時期には同様の措置をするということで考えております。  なお、第五次の教職員定数等改善計画、これは文教委員会等でも御審議をいただいたものでございますが、五十五年度から六十六年度の間におきます改善計画の中で、研修代替定数の増としては二千四百六十人を見込んでおるところでございます。  なお、兵庫上越、鳴門の三教育大学大学院現職教員受け入れは、入学定員のほぼ三分の二ということで先ほど申し上げたわけでございますが、五十五年度から六十三年度までの間では千二百人に上る見込みということでございます。  それから、お尋ねの第二点の終了後の処遇の問題についてでございますが、これは一般大学院を終了した教員の免許状や給与の改善というものについてどう考えていくかという全体の議論としては、今後の検討課題として私どもも取り組まなければならぬ課題と考えております。しかしながら、鳴門教育大学を含めまして、この新教育大学大学院の終了者のみにつきまして特別の措置を講ずるということは考えていないところでございます。
  21. 船田元

    船田委員 これまでの質問は、いわゆる現職教員の研修ということについてでございましたが、今度はちょっと立場を変えまして、新しく教員養成する課程について、自民党におきましては、最近文教部会の中に五つの小委員会をつくりました。たとえば教育の正常化を図ったり本当の意味での国民教育を実現するために五つの小委員会に分けていろいろと議論を始めたことは、皆さんもよく御承知のことと思います。  その一つに、教員問題小委員会というのがございますけれども、現在の教員養成制度のあり方、それから免許を付与するときの制度のあり方、さらには各都道府県の教育委員会が行う採用試験、そういったものについても、これからどんどん調査を行って、問題点があれば、それをどんどん提起して、そして必要に応じて意見を発表していこうということになっているわけです。  特に第一回目の会合で問題になったことは、教員養成における教育実習というのが、現在の段階では大変不十分である、ですから、新任の教員が初めて学校の教壇に立ったときに立ち往生してしまうというようなことがしばしばある。あるいはまた免許状取得者の数に比べて実際に教職に就職する者の数が非常に少ない。たとえば昭和五十五年度三月卒業の大学、短期大学大学院学生、これは全部合わせますと五十三万四千二百人になる、その中で免許状を取った者が十七万四千五百人、卒業者三人に対して一人が少なくとも何がしかの免許状を持っている、こういう現状でありますし、さらには、その五十五年度三月に卒業した者の中で実際に教職についた者が四万二千人、すなわち免許状取得者四人に対してわずか一人しか実際に教職についていないという現状であるわけです。  こういった現状を生み出したのは一体何か。それは免許状を与える基準がいまのところ非常に甘過ぎるのだ、あるいはまた教員免許を受けるときの学生の心構えというのでしょうか、教員免許でも取っておこうかというような甘い考え方がその数字になってあらわれてきている、こういう議論が出たわけです。もちろん、これらの問題については、すでに五十三年九月の教育職員養成審議会教育実習に関する専門委員会の報告の中にも挙げられているわけです。たとえば「多くの学生が免許状を取得することについては、これを通じて初等中等教育への関心を深めることができること、これら多数の免許状取得者の中から資質の優れたものを教員として採用することができること」という長所を挙げているわけですが、それと同時に、欠点といたしまして、「こうした多くの学生の中には、教職についての意識や態度、能力等に問題がありながら、一種の経歴ないし将来の必要に備えての資格として免許状を取得するものがあり、そのため免許状の社会的及び専門的評価を低下させているという意見も否定できない。」ということも挙げているわけで、これは非常に鋭い指摘である、このように考えているわけです。  この議論をもっと進めていきますと、現在の開放制の教員養成制度そのものの正否ということも問われるわけでございまして、実際に先ほど申し上げた小委員会の中では、現在の開放制よりもむしろかつての師範学校の制度の方がよかったのじゃないか、もちろん、その師範学校には教員になる者だけしか入れなかったわけですね、ですから、その教員になるという意欲といいますか心構えというものは、戦前の師範学校の方がむしろ強かったのじゃないか、こういう議論まで出されたわけでございますが、このことにつきまして、大臣あるいは大学局長は一体どのようにお考えになっているでしょうか。
  22. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 大変貴重ないろいろの御質問でございますが、当該問題につきましては局長からお答えいたします。
  23. 宮地貫一

    宮地政府委員 教員養成についていろいろ問題点指摘されておりますことは、私どもも十分承知をいたしておるところでございます。  教員養成につきましていま御指摘の、いわゆる開放制の教員養成のあり方そのものについても検討すべきではないかということでございますが、私どもとしては、戦後の教員養成の基本原則として、一貫して開放制ということでやってまいったわけでございまして、御指摘問題点十分意識をいたしておりますが、具体的なその改善につきましては、それぞれ教員養成大学学部の、たとえば教育実習等につきましても、最低の基準よりも上回った教育実習をやるということで、目的養成大学学部におきましては、教員養成の質を高めるためのいろいろ努力をいたしておるわけでございます。  問題は、一般大学におきまして、特に中学校、高等学校の教科の免許状を取る実際の学生数が非常に多い、先ほど御指摘のような数字になるわけでございます。その一般大学の卒業生の教員になる者、ならない者、ならないで免許状を取る者が非常に多いではないかという御指摘でございますが、免許状そのものを取ること自体について、私どもとしては、それを否定することはないのではないかと考えております。要は、本当に質の高い適格者に現実に先生になっていただくということが非常に大事でございまして、その点は、教員養成の面でも目的養成を十分強化するとともに、現実に教員になりました者の資質を高めるという点がやはり大事ではないかと考えております。教育大学大学院での現職教員資質向上ということで、こういう教育大学を御提案申し上げている点もまさにそこをねらっているわけでございまして、私どもとしては、御指摘教員養成問題点については、今後、十分取り組んでいかなければならない課題と考えておりますが、現状としては、現実の教員養成大学学部教員養成に当たりまして、たとえば教育実習を重視するとかそういうことで対応しているのが現状でございます。
  24. 船田元

    船田委員 大臣からの御答弁がなかったのは大変残念でございますが、この問題をもっと突き詰めますと、いわゆる教員像というのですか、教師とは一体どういうものであるか、どうあるべきかというようなところまで発展する問題で、これから私どもも機会あるごとに大臣にもお尋ねをしたり、また、われわれとしても考えなければいけない大変重要な問題であると思います。大体いまのことについてはそのくらいにしておきたいと思います。  次に、もう一つの新しい大学として鹿屋体育大学が、これから開学、そして学生受け入れということになるわけです。確かに国立大学の中には、たとえば筑波大学体育学群というのでしょうか、そういった体育系の大学も幾つかあるわけです。ところが、なぜ今回、鹿屋体育大学ということで新たに体育大学をつくらなければならなかったのか。そこには鹿屋体育大学が、これまでの体育大学と違って、何か新しい特色というものを持っているのじゃないか、そのように推測ができるわけですが、このことについては一体どうなっているでしょうか。
  25. 宮地貫一

    宮地政府委員 鹿屋の体育大学についての特色は何かというお尋ねでございましたので、まず、それについて私からお答え申し上げます。  御提案申し上げております鹿屋体育大学は、ねらいといたしましては、社会体育分野に主眼を置いて教育研究を行うものということでは、国立としては初めての体育系の単科大学でございます。  具体的には、教育内容や運営の仕組み等につきましても工夫、改善を図っているわけでございますが、目的、性格といいますかは、ただいまも言いましたような社会体育分野に主眼を置きまして、学校体育に必ずしもとらわれないで、体育・スポーツ、レクリエーションの分野におきます実践的な指導者養成を図ることといたしております。  教育内容面では健康教育の領域を重視するというようなことで、これから高齢化社会にも向かっていくわけでございますが、年齢、健康状態、職業等に応じました運動処方と申しますか、そういう指導能力の涵養を図るというようなことを考えております。また、社会体育に関しましては、地域社会体育あるいは職場体育、野外体育といいますか、そういう分野の授業科目を開設して履修させるというようなことを考えております。三番目に、体育実技につきましては、専攻する運動種目について高度の技能を身につけさせるということと、できるだけ多くの種目について基礎を修得させるというようなところを教育内容としては考えております。  さらに、大学全体の開放という面でも積極的に取り組むということで、社会体育指導者等を受け入れまして再教育計画的に実施いたしますとか、あるいは一般市民を対象としたスポーツ教室などの公開講座を実施するということも考えております。  さらに、国際交流と申しますか、留学生を積極的に受け入れまして、諸外国のそういう体育・スポーツ、レクリエーションの分野の人材養成にも協力をするというようなところを考えておりまして、国内の大学はもとより、広く諸外国の大学とのスポーツ交流も促進するというようなところに主眼を置いた特色を生かした体育大学として考えているところでございます。
  26. 船田元

    船田委員 それから、ちょっと細かいことで恐縮ですが、鹿屋体育大学の開学が昭和五十六年度、学生受け入れが五十九年度からになるわけですね。それから先ほどの鳴門教育大学も同じように開学が昭和五十六年度、学生受け入れが五十九年度。ちょうど開学の時期と学生受け入れの時期、この期間がちょっと長過ぎるような気がするわけなんです。せっかくいまお話を伺ったように、大変おもしろい構想大学なものですから、できるだけ早く学生受け入れをしてもらいたいと思っておりますが、何でこんなに長い期間、間があいているのかということはどうでしょうか。
  27. 宮地貫一

    宮地政府委員 お尋ねは、開学から学生受け入れまでの期間が大変長いではないかという御指摘でございます。大学設置をこの五十六年十月にいたしまして、学生受け入れは五十九年四月からということで、二年半の期間を置いておるわけでございます。  一つには、現下の大変厳しい財政状況のもとにおいて、財政負担の集中を緩和するということもございますが、学生受け入れに必要な施設、設備の整備でございますとかあるいは新しい体育大学にふさわしい教育研究計画をつくるにいたしましても、慎重な取り組みが必要であるということ、さらに教官スタッフを確保するというようなことなど、準備業務に万全を期するという趣旨でございます。  なお、同様の趣旨から学生受け入れまでの期間を二年半といたしました例といたしましては、上越教育大学の場合にも二年半の準備期間を置いて慎重な準備をいたした前例がございまして、私どもとしても、新構想大学として充実した内容を持つために慎重な準備期間を考えてこの二年半というものを考えたわけでございます。
  28. 船田元

    船田委員 いまの御説明のように、私もそれは理解できます。ですから、何とか万全を尽くして学生受け入れを間違いなくやってもらいたい、このように考えております。  それから、先ほどの御説明鹿屋体育大学が、いわゆる学校体育というこれまでの養成のあり方ではなくて、むしろ社会体育というのでしょうか、たとえば体育館あるいは運動場、そういったものの管理者をつくったり、実際に実践的な地域のスポーツの指導者養成するというようなことをおっしゃいましたけれども、これは最近、国民の間で非常に高まっているスポーツ・体育に対する情熱というものにこたえる非常に時宜を得た一つの試みである、どんどん卒業生が出てもらいたいものだというふうに考えております。  特に昨年は、私の地元の栃木県におきまして、第三十五回国民体育大会、栃の葉国体が行われました。文部大臣初め文教関係者の皆様には大変お世話になりました。それで、皆様の御協力を得て大変大きな成果をおさめることができたわけです。国体の後においても、地元では、その国体があったということで大変スポーツ熱というのが弱まらない、むしろこれからますます高まっていこうというふうな状況になっております。栃木県としてもあるいはまた県内の市町村でも、そういったせっかく県民の間に広まったスポーツ・体育熱というものを冷まさないようにいろんな方策を講じているわけなんですが、ただ、いろんな問題を聞いてみますと、たとえば体育施設というものが非常に少ない、順番待ちでいつまでたってもその場所が借りられないということもありますし、また審判員とかあるいはそのスポーツの指導者、こういったものがなかなか見つからない。ですから、ママさんバレーをやるとかソフトボール、早起き野球、いろいろありますけれども、それがなかなかうまく運営されていないというような面があるわけなんです。  このような地域スポーツの振興ということを全部含めまして、これから一体文部省としてはどういうようなスポーツ・体育の振興方策をとっていくのか、概略についてお話を伺いたいと思います。
  29. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御指導のスポーツ振興、体育の重要性でございますが、御案内のとおりに最近、体育の問題が非常に重要視されるに至りまして、本当に国を挙げて取り組んでおります姿勢というものは、御指摘のようにわれわれといたしましては非常にうれしい次第でございます。  しかし御指摘のように、このためのいろいろなスポーツの施設あるいはまた指導者養成でありますとか学校体育施設の開放事業の推進といったようなことだとか、さらにまた各地にできておりますスポーツクラブ等の育成や、いろいろな面において多彩なスポーツに対しまするニーズというものが非常に高まっております。  また、それだけではなく、今回の問題になっております名古屋のオリンピックの問題とかアジアの大会とか、こういうふうな国際競技におきまする日本の選手の活躍というものも非常に期待されるのでございますが、こういう声にこたえまして、国際競技力の向上あるいはまた施設の整備、そういうふうなものからさらに体育全体に対しまするいろんな基礎研究あるいは研究体制の整備といったような科学的な体育研究というものも進んでまいっております。われわれは、こういう問題にこたえまして、いまや本当に国を挙げて大いに推進したいものだ、私はかように存じております。  なおまた、先ほどお話のございました教員道と申しますか、教員というものが職というよりもむしろ道という名のつくような、非常に精神的な要素にこたえてりっぱな教職にあることをおっしゃいましたが、私は、本当にこれに対しましては感激をいたす次第でございます。
  30. 船田元

    船田委員 どうもありがとうございました。  次に、学部新設と改組ということも改正案の中にあるわけですけれども、一つは千葉大学、現在まで人文学部があったわけですが、それを改組して文学部法経学部にする、しかもその定員が、人文学部のときには三百二十人であったわけですが、これが文学部法経学部二つになりますと合わせて定員が五百人というふうにふえるわけです。  それからまた、香川大学には新たに法学部設置するということでありますけれども、それぞれどんな理由でその改組あるいは新設をしなければいけないのかということについてお尋ねいたしたいと思います。
  31. 宮地貫一

    宮地政府委員 学部の改組、新設考え方についてのお尋ねでございますが、国立大学整備充実全般につきましては、各大学教育研究を充実いたしまして、それぞれ特色ある発展を図るというのが基本でございます。  そこで、高等教育計画的整備という観点から、地域的な均衡でございますとか地域間格差とかあるいは専門分野構成というようなものを考えながら、最初に大臣からもお答え申し上げましたように、特に地方における国立大学整備重点を置いてきておるわけでございます。  御提案申し上げております千葉大学人文学部の改組でございますが、これはやはり人文社会系分野整備につきまして大変社会的要請が強いということでございまして、人文系の学部整備ということについては、ほかの大学からもいろいろ要望は伺っているわけでございますが、この千葉大学の場合につきましては、すでに五十三年度から具体的な調査を進めてまいってきておりまして、そういう準備体制が十分整ったところから取り上げていくわけでございます。香川大学の場合も同様でございまして、香川大学の法学部新設についても、すでに五十三年度から調査を進めてきておったものでございます。千葉大学の場合には、特に南関東地域におきます今後の学生の急増というようなことも考えまして、拡充、改組を行うということにいたしたわけでございます。  なお、高等教育計画的整備ということで国立大学整備充実についても図っておるわけでございますが、全体的な計画で申し上げますと、それぞれ国立大学整備につきましては、高等教育計画的整備ではほぼ年間二千人を超えない程度と申しますか、そのぐらいの学生増募というような計画で年次計画をもって取り組んでいるわけでございます。その中で特に地方における人文系の開設の要望が大変強いわけでございますが、ただ、人文系の場合には教官の確保というようなことなどが基本的には非常に重要な点になるわけでございます。それぞれ各大学計画の進みぐあい、その計画の熟し方といいますか、十分練られたものについて順次取り上げていくという対応をいたしておるところでございます。
  32. 船田元

    船田委員 それと、今回の改正案の中では、大学学部新設、改組とともに、附則第三項に昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等定員措置の改定、これをさらに改定しまして、一万二千七百二十三人から一万四千八百四十一人、これから二千百十八人さらに増加をするということになっていると思いますが、その内訳は一体どのような人数でしょうか。
  33. 宮地貫一

    宮地政府委員 お尋ね定員措置の改定についての今回の二千百十八人の定員増の内訳はどうかというお尋ねでございますが、国立学校定員需要につきましては、まず先ほども申しました学生の増員に伴います学年進行ということで順次教官を整備していくわけでございますが、そういう学年進行に伴います増がございます。  それから二番目に、新設の医科大学の付属病院の年次計画に伴いますそういう要素が非常に多いわけで、いわば義務的な所要定員といいますか、そういうようなものが大変多いわけでございます。特に五十六年度は付属病院の開設、これが三病院開設するというようなことで大変定員がきついということになっておるわけでございます。そういう要素を踏まえまして、昨年度の定員増よりも本年の定員増が相当上回っているわけでございます。  具体的に附則第三項で措置をされました定員でございますが、対象大学といたしましては、御提案を申しております鳴門教育大学鹿屋体育大学を加えまして全体で先ほどの二千百十八名でございますが、先ほどもちょっと申しました新設医科大学整備関係では、特に高知医科大学、佐賀医科大学、大分医科大学の三大学の付属病院の創設関係で、これは一病院で二百八十一人ということでございまして、三病院で合計八百四十三人となっております。病院関係整備は、ほかに既設の医科大学新設病院についても年次計画整備を進めてきております。ただいま申しました八百四十三人を含めまして千六百四十四人がそういう整備関係でございます。そのほか筑波大学整備でございますとかあるいは長岡技術科学大学など新大学整備関係で四百七十四人ということになっているわけでございます。
  34. 船田元

    船田委員 いまの御答弁によりますと、大体二千百十八人の増の中では医科大学の特に付属病院をつくるところで大変な数が必要であるということだったわけです。確かにこのことにつきましては、昭和四十八年度以降、たとえばわが自由民主党の中の文教部会でいろいろなチームをつくって、無医大県、医科大学のない県を解消しようというような提案もありましたし、それから経済企画庁の経済審議会の答申、いわゆる経済社会基本計画、こういうことによって無医大県を解消しようというような動きが出てきたわけです。これによって文部省では年次ごとに無医大県を解消してきたわけで、これは言うなれば、みずからまいた種のような気がするわけです。もちろん、それはそれなりに地域の医療あるいは医師不足というものを解消することには大変な力になったということでございます。たとえば、医師の数も人口十万人に対して、昭和五十五年度が大体百四十人、これが昭和六十年度推計で大体百五十七人になる。所期の目的の百六十人ということにほぼ近づいて、大体その目的が達成されようというふうになっているわけです。  それからまた、もう一つ、現職教員に研修の機会を与えるという先ほどの新しい構想教育大学も、上越兵庫、そして今度鳴門と三つできるわけでございまして、その効果を心から期待することには変わりがございません。しかし同時に、この一万四千八百四十一名という定員が、昭和四十四年の行政機関の職員定員に関する法律、すなわち国家公務員の総定員法一条定員というものから当分の間その枠外に外されている。しかも、それが毎年毎年二千人近い増加を見ている、こういう状況になっているわけです。これはもちろん行政改革をこれから推進していこう、そういうスタンスから見ると、まさに目の上のたんこぶのような状況になっている。  ちなみに昭和五十六年度中に一体どれだけ国家公務員を減らそうとしているか、これは御承知のように、第五次定員削減計画の第二年目に当たるわけですが、数字を申し上げますと、一般非現業が五十六年度末までに千百八人減る、それから五現業の方では千百十一人減らそうとしている、ところが、国立学校設置法で認められた枠外の定員というのが逆に二千百十八人ふえるわけでございます。そうすると差し引きマイナス百一人、たった百一人しか減らない、こういう状況になりまして、定員削減の計画をほかの部門で一生懸命やっていながら、しかも国立学校設置法定員の増加でそれを帳消しにしてしまうというような状況になってきていると思いますが、この点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
  35. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 実は、昨日も閣議におきまして、行政管理庁長官の方からも行革の問題について非常に厳しい御発言がありました。われわれといたしましても、行政改革の問題というものはいかに重大な問題であるかということを十二分に認識いたしております。他方また、総定員法の枠外に置きまして特別立法によって御指摘のような無医大の解消といったような重大使命を帯びた定員の需要が出ております。これをどう調整いたすかということは、御指摘のとおりに大変むずかしい問題でございますが、しかし、われわれといたしましては、国の使命とするところのこの定員の獲得につきましては、今後中央とも十二分に交渉いたし、話し合いのもとに解決してまいりたい、かように考えております。
  36. 船田元

    船田委員 先ほど大臣がおっしゃいましたように、先日の十六日ですか月曜日に第二次臨時行政調査会が初会合を開いたわけです。これから公務員の定員削減ということについても、かなり具体的な、しかも思い切った提案というのがなされる、こういう予想をしているわけです。  この国立学校設置法定員、要するに総定員法の枠外にある定員ということについては、私も、それを全部なくせというような極論を吐いているわけではありませんで、これは医科大学あるいは教育大学、これからまた新しくどうしても社会的な要請でつくらなければならぬ大学が幾つかあるわけですから、目の上のたんこぶと言われないような、その批判をかわせるような理由というものをちゃんとつけて、そして各方面に理解を徹底させていただきたい、このように考えているわけでございます。  次に、今度は大学院の改革ということについて二、三お尋ねをいたしたいと思います。  近年は大学関係者の間で、既存の大学をどんどん改革していこう、こういった動きがありまして、そして新しい大学院のあり方ということについて調査研究が進められているということを伺っているわけです。たとえば幅広い分野にわたる協力、連携のもとに大学院独自の立場から教育研究を進めていこう、そのために既存の学部、学科の上に、つまり縦割りで機械的に大学院を置いていく、たとえば経済学部であれば、その上に機械的に経済学研究科の修士課程、博士課程を置く、こういうようなことじゃなくて、横断的に複数の学部あるいはまた複数の学科を土台として総合研究科とか独立研究科というものをつくろうという話が私の耳にも入ってきております。このような大学の動きに対応いたしまして、昭和五十一年には学校教育法六十八条の二が加えられまして、教育研究上特別の必要がある場合においては学部を置くことなく大学院を置くものとすることができる、いわゆる大学院大学とか独立大学院、こういうことが法的に可能になったわけです。それから、大学院設置基準第四条に第五項があるわけですけれども、これにおいても、教育研究上必要がある場合においては後期三年の課程のみの博士課程を置くことができるということで、新しい大学院構想を実現するための法的な受けざらというのでしょうか、法的な整備というものができているわけです。  そこで、それができました後、これから具体的に一体どういうふうな大学院をつくっていくのかということでいろいろな研究があると思いますが、これがどの程度実現されているか、あるいはこれから実現しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  37. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 すでに先生におかれましても大変詳細にお調べになっていただいた上の御質問でございますが、大学院の改善充実を図るに当たりましては、最近における特に学術研究の進歩でありますとか社会の発展に適切かつ柔軟に対応できるような考え方で進んでまいるつもりでございます。  大学院の問題は、御案内のとおり大学設置審議会の答申を受けまして大学院制度の改善を進めるとともに、制度の改善を踏まえながら、学際領域等の研究進歩の問題について専任教員、専用施設による独立研究科といったような八大学十五研究科でございますが、等の設置をしてきております。  現在、農水産系の連合大学院を初めといたしまして各方面においては、新しい構想大学院についての検討が進められておるところでございますが、文部省としましては、五十三年の八月に大学院問題懇談会で「大学院の改善・充実について」の報告をいただいております。この報告の内容を十分に参考にいたしまして、特に博士課程についてのオーバードクターの問題など留意いたしながら、教育研究の目的、内容についてのすぐれた意義を持ったこの調査につきましていろいろと今後検討を加えてまいりたい、かように考えております。
  38. 船田元

    船田委員 いろいろな動きがございまして、それで文部省がなかなか本腰を入れてくれないというような批判も一部にはあると聞いております。ですから、文部省側でも十分に本腰を入れてくれれば、そういった構想がいっぱいありますけれども、それがこれからどんどん実現していくのじゃないかということで心から期待をしているわけです。  それらの動きの中で、先ほど大臣がお話になった中で連合大学院構想ということがございましたが、それについて若干申し上げたいと思います。  この連合大学院構想というのは、これは一つの大学学部や学科の壁を取り払うだけではなくて、もっと思い切った施策がその中に含まれている。つまり一つの大学だけじゃなくて大学大学の壁を取り払っちゃって、それで大学院というのを横並びに連合させていこう、これがいわゆる連合大学院構想であると思います。一言で言うならば、これは現在、全国の農水産系の国立大学、しかも博士課程を持っていない修士課程までの国立の農水産系大学というものが中心になってやろうとしている。それで大変おもしろい構想であるわけなんですけれども、ただちょっと誤解されているかなと思われますのは、新しい連合大学院をつくるのだということで大きな器を別につくってしまって、そしてそこに学生を一カ所に集めて別な大学院でやるのだというような考え方があるわけですが、これは決してそうではない。この連合大学院というものに各大学の有能な教官なりあるいは研究者というものをまず最初に登録をさせます。そしてそれぞれの大学院において修士課程を終了してこれから先もっと自分のために研究をしたい、こういう学生が何人かいるとしたら、その学生は、その連合大学院に登録されている教官のリストを見まして、自分に一番合った教官は一体どこにいるだろうかということで調べるわけです。そしてある大学にいる先生のところに行きたいという場合には、連合大学院に出願をして、籍はやはり自分の大学にあるけれども、ほかの大学の先生のところに派遣されるといいますか、そこに行くわけですね。つまり入学許可後は自分が選んだ教官のもとで、また、それに関連する複数の教官の指導を得て研究を行うというシステムであって、もちろん連合大学院で新しく教官を雇おうとしたり、あるいは教室を新しくつくるということじゃなくて、私は人材銀行みたいな考え方じゃないか、このように考えているわけで、極端に言えば事務局だけあれば済む連合大学院構想である、このように私は理解をしております。  この大学院構想も、目的とするところは、現在専門化され過ぎている大学院にある程度総合性というものを持たせようとしている。確かに、いまの大学院学生というのは、自分の幅の狭い研究領域で終わってしまう。特に農学系の学問の場合には、もちろん応用科学ということですから、やはり総合性というものが非常に必要である、それが現在余りに専門化され過ぎているために、非常に本質が薄れてしまっている。また学生は自分の狭い研究範囲の中での就職というものにこだわるために、そこでオーバードクターという問題が出てしまう。オーバードクターというのは、数の問題だけではなくて、その学生が就職をえり好みしてしまう、あるいは現在の職業あるいは現在の産業にマッチしていない変な専門分野というものを持っているからだというふうに理解をしておるわけでありまして、このようなオーバードクターとか応用科学のためには、それを解決するにはぜひとも総合性が必要だということが、この農水産系の連合大学院構想に如実にあらわれていると思います。  この連合大学院構想に対して文部省としては一体どういう考え方を持ってこれから対応しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  39. 宮地貫一

    宮地政府委員 御指摘の農水産系の連合大学院の問題について、私ども関係者からもお話をいろいろ承っているところでございます。具体的に予算的には、御案内のとおり五十三年度以降「農水産系連合大学院(仮称)」ということで、その創設準備ということで定員もとりまして準備を進めていただいて今日まで来ておるわけでございますが、御指摘のように、いろいろ新しい構想をお持ちでございまして、私どもも、そういう方向で具体的に創設準備にも取りかかっているところでございますが、なお、現在までのところ、私どもとしては、参加大学と連合大学院との連合の仕方と申しますか、そこらにつきまして、それぞれ管理運営でございますとかあるいは参加大学と連合大学院の間の調整、それらについて、なお十分検討を要する課題があるのではないかとか、あるいはまた確かに、そういう新しい行き方というものを考えなければならぬものだと考えておりますが、実際問題として非常な距離的隔たりをどう克服できるのかとか、均衡のとれました安定した教官組織を維持できるかどうかとか、いろいろなお基本的な問題点が残されているのではないかと考えております。  なお今後、引き続き関係者によります十分な調査研究が行われることを期待しておりますし、私どもとしても、決して文部省としてもしり込みをしているということではございませんので、取り組んではきておるわけでございますけれども、なお慎重な検討は十分しなければならぬ、かように考えております。
  40. 船田元

    船田委員 関係者の話を聞きますと、これは十年越しの計画でございまして、いろいろな面で要望というのでしょうか希望が大分高まってきておりますので、できるだけ早くこの構想が実現するように御尽力いただきたいと心からお願いをいたします。  次に、大学の開放ということについて若干お尋ねをいたします。  これまでは大学の改革と言っても、中身の改革というのでしょうか、学生に対する改革というものが中心の改革の内容になっていたわけですが、それと同時に外部に対しても、つまり地域社会に対して大学を開放していこうという動きがあること、これも事実でございます。これはたしか一九六七年ですか、ポール・ラングランという方が、ユネスコの社会教育国際シンポジウムにおきまして、人間というのは本来一生涯を通じて教育を受けたい、そういう意欲を持つものであるし、そういう者に対してはどんどん教育機会を与えていかなければいけない、このような趣旨を述べたと思います。その代表的な言葉が生涯教育ということになるわけですが、その生涯教育の中核的な役割りを果たすのは、やはり大学であり、特に地方大学ではないか、このように理解をしております。  ちょうどこの十四日にも、生涯教育のあり方について諮問されております中教審で総会が持たれました。文部大臣に対して答申をするその原案となる「生涯教育に関する小委員会報告」が了承されたことは御承知のとおりであると思います。  その中で生涯教育を進める具体案としまして、人間の一生を「成人するまでの教育」、「成人期の教育」、「高齢期の教育」、大体三つの枠に分けているわけですが、その中の特に「成人期の教育」の中で「大学教育の開放」ということがあります。これをちょっと読んでみますと「大学の正規の課程を成人に開放するための具体的方策としては、学士入学などの編入学を含め、昼間学部への正規の学生としての受け入れの拡大のほか、昼夜開講制、大学通信教育、放送大学など開放型の制度の拡充や、成人の学習も考慮した多様な教育課程の編成などが必要である。」、続きまして「正規の課程以外の開放の形態としては、聴講生・研究生の制度や大学公開講座があるが、これらは大学に余裕があり、正規の教育に支障がない場合に実施されるのが現状である。したがって、これらを大学教育活動の一環として取り入れ得るように諸条件の整備を進めなくてはならない。」、つまり、正規の形で成人に開放する、たとえば学士入学大学の通信教育というのがある。それからもう一つは、正規の課程以外の開放として聴講生の問題、大学公開講座という問題がここに挙げられているわけです。  大学側では開放をするためにはいろいろな努力をしていると思いますが、現在の状況では一体どのようになっているか、お尋ねをいたします。
  41. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 先般ちょうだいいたしました中教審の非常に貴重な報告がございまして、私もごあいさつに行った次第でありますが、ただいま御指摘のようなこれから後の大学の形態というものは、開かれた大学と申しますかそういう意味から申しましても、通信教育あるいは放送大学、今後御審議をいただかなければならないそういうふうな問題も出ております。  そういうことで生涯教育というものが、ただ単に社会教育としての生涯教育という面ではなく、さらに開かれた大学としてのより深い意味におきます生涯教育というものが貴重なものとなると存じます。  なお、これにつきましてさらに具体的な問題については政府委員からお答えいたします。
  42. 宮地貫一

    宮地政府委員 中教審の答申においても、大学役割りといいますか、生涯教育において果たす役割りが非常に重要であるということは、ただいま御指摘されているとおりでございまして、私どもも、そういう方向に沿って、いろいろな面で大学を社会に開放するという考え方を基本に据えまして、いろいろな施策を進めているわけでございます。  なお、お尋ね現状でございますが、大学公開講座について申し上げますと、昭和五十四年度の開設状況は、国公私立を合わせまして二百一大学、千百八十一講座が設けられておりまして、十一万人余りの方々が受講しているという状況でございます。そして講座の内容といたしましては、スポーツや教養に関するものから職業に関する専門的なものまでいろいろ各大学が特色を生かした多彩なものを行っておりまして、各方面の好評を得ておるところでございます。そのほか夜間の大学でございますとかあるいは国立大学の昼夜開講制について申し上げますと、たとえば千葉大学学部、福島大学経済学部、愛媛大学法文学部等で取り組んできておりまして、私どもも、そういう方向で積極的に大学を指導いたしておるところでございます。  ただ、既存の大学というのは、そういう面で社会の要請に対して必ずしも十分な対応ができていないという点もまた御指摘のとおりでございまして、私どもとしては、そういう面に積極的に対応をしていき、さらに大学の正規の課程そのものを、たとえば社会人の受け入れのために特に積極的に考えていくというようなことも必要なことであろうかと思っております。  御提案申し上げております教育大学現職教育を積極的に考えるということも、もちろんその一つでございますが、大学院の修士課程へ社会人受け入れ具体的に行っておりますところで申し上げますと、たとえば筑波大学でございますとかあるいは埼玉大学の政策科学研究科におきましても社会人を積極的に受け入れている、そのほか慶応義塾大学で経営管理というような研究科でも有職者が全体の中で相当の割合になっているというようなものもございます。そのような大学の正規の課程を、特に社会人の再教育といいますか、そういう面で積極的に開放していくということも非常に大事なことだと思っておりまして、そういう施策を進めるためのいろいろな行政としてできますことを、これからも積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  43. 船田元

    船田委員 ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  大分話がわき道にそれましたが、もう一度改正案に戻りまして、今回の改正案の中には、国立大学の共同利用機関の改編ということも含まれております。一つは、東京大学付置の宇宙航空研究所、これを発展的に解消いたしまして宇宙科学研究所という共同利用機関にする、それから分子科学研究所生物科学総合研究機構を統合して岡崎国立共同研究機構とする、それから国立歴史民俗博物館、いわゆる歴博をつくるというようなことが挙げられております。  その中で一つ、以前から東大宇宙航空研究所と宇宙開発事業団、この二つの機関の関係というのがしばしば問題になってきている。宇宙航空研究所宇宙科学研究所というふうに変わっても、この議論というのは決してやまないと思うわけです。一体どこが問題かというと、これはもちろん所轄庁が違うということもありますが、たとえばロケットを打ち上げるということには全く変わりがないのに、宇宙科学研究所では、これまでの宇宙航空研究所でありますけれども、固体燃料を使っている、それから宇宙開発事業団では液体燃料を使うというように、どうも素人目から見ると、別々の研究技術でやっていこうとお互いに張り合ってしまっている。むしろこれを互いに技術交流をすれば、たとえばこの前宇宙開発事業団で「あやめ二号」というのが打ち上げに失敗しました、そういうこともなく、もっと効率よく衛星が打ち上げられるのじゃないかというふうに思うことがあります。  そこで、両者の技術交流とかあるいは人材交流、これは果たして行っているのだろうか、それからまた将来の課題として、この二つの機構というものを何らかの形で統合するか、あるいは一つの機関でコントロールする、こういうことまで考えていないだろうかということについてお尋ねをいたします。
  44. 松浦泰次郎

    ○松浦(泰)政府委員 お答えいたします。  最初に、今度新設を予定いたしております宇宙科学研究所関係の沿革についてちょっと申し上げたいのでございますが、わが国における宇宙の研究開発は、昭和三十二年の国際地球観測年における観測事業の一環として東京大学で開始されました。その後、昭和三十九年度に全国の共同利用の研究所としまして東京大学宇宙航空研究所設置されました。同研究所中心に、広く大学研究者により宇宙空間や地球周辺の諸現象の科学的解明を目的としまして観測ロケット、気球、科学衛星等の観測手段を着実に自主開発いたしまして、エックス線天文学等の宇宙科学分野においても、また各種の宇宙工学の分野においても国際的に高く評価される実績を上げている次第でございます。  先般も新聞で報道されましたように、二月二十一日に第七号科学衛星「アストロA」というのを打ち上げました。これは純粋な太陽フレア等の観測をいたします科学衛星でございますが、計画予定軌道に対しまして地球一周の時間が約五十一秒だけの差というような、非常に精度の高い結果を示しておるものでございます。  その後、ただいまお尋ねのございましたような、わが国としましても実用目的による宇宙開発を行うという必要が生じまして、昭和四十四年度に宇宙開発事業団が設置されました。この宇宙開発事業団は、法律によりまして人工衛星の打ち上げ、そのためのロケットの開発等を行っておるところでございますが、先ほど申し上げましたように、今度新設転換予定いたしております宇宙科学研究所は、科学研究を目的のものでございます。それで両者の計画につきましては、ちょっと先生調整機関のことに触れられましたが、総理府に置かれております宇宙開発委員会というところで両方の計画調整しながら進めておるところでございまして、現在もその調整済みの計画によってやっておる次第でございます。  ただ、御指摘のようにどちらもロケット、人工衛星の打ち上げ等の問題がございまして、両者につきましても言われておるところはあろうかと思いますが、実際にはそういう調整のもとにかなり連絡をとりながらやっておるわけでございます。御存じのように、事業団で打ち上げましたロケットや衛星につきましても、東大のいままでの宇宙航空研究所が自主技術によって積み重ねてきました衛星及びその打ち上げ用ロケットの宇宙工学の研究成果がいろんな部面に生かされておるわけでございます。  それから、また今後の問題としまして、事業団が開発を予定いたしております液体酸素、液体水素によるロケットエンジンの研究の問題がございますが、これにつきましても、重要部分を今後とも宇宙科学研究所において分担して開発を進めていくというようになっております。  また、事業団の技術委員会には研究所の教官十七名が参加することによるというような専門的立場からの協力もいたしております。また研究所では、これは大学の共同利用機関の共通の問題でございますが、大学院学生等の教育も分担いたしておりまして、そこで養成されました人材がそういう事業団等において活躍する、そういう高度の技術者の養成という面でも貢献をいたしておるわけでございます。  そういうことで、いろいろな面で共同いたしておるのでございますが、私どもの感じとしましては、宇宙科学、そういう高度の科学の分野につきましては、やはり大学先生方中心になりましてその使命を果たしていくということが、国家経済の見地から言っても非常に能率的じゃないかというような感じを持っておるわけでございます。  そういうことで、将来は御指摘のようなそれぞれの機関の共同の問題についてもいろいろ議論が出るかとも思うのでございますが、私どもは、そういう基本線を維持しながら、学問研究の自由ということも念頭に置きながら、その辺につきましては対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  45. 船田元

    船田委員 いまの御答弁で、お互いの役割り分担、それから人材の交流がなされているということについてはよくわかりました。ただ、たとえばNASA——アメリカ航空宇宙局、ここでは日本の宇宙科学研究所に当たる宇宙科学部という基礎部門が一つある。それからもう一つ、宇宙開発事業団に当たる宇宙地球応用部というのでしょうか、こういう応用部門があるわけです。その二つの部門はあるけれども、しかし、もともとは同じNASAの中に存在をしている。だからこそ有機的にも結びついているし、それだからこそ二つが非常に効率的に運営されているのじゃないか、こういうふうに理解をしているわけです。  いまや実用衛星というのが一つ上がれば、国民の生活に及ぼす影響あるいは効果というものは非常に大きなものとなってきている。たとえば「ひまわり」が打ち上げられて、それで家庭にいながらテレビをつければ天気予報のときに雲の分布が一目でわかってしまう、こういうようなことがあるわけです。そういう意味でも、なるべく両者の連係プレーというものをうまくやって、そして国産の技術でどんどん衛星が打ち上げられるように何とか関係方面に協力を依頼してもらいたい、このように考えております。  話は少し変わりますけれども、現在幾つかの大学の付置研究所で例の遺伝子組みかえ実験が行われていると思います。どこで行われているかということは、文部省でももう把握をしていると思います。しかも、この研究、実験というのは、かなり激しいガイドライン、厳しいガイドラインというものによって規制、コントロールをされている。日本での遺伝子組みかえ実験のガイドラインというのは、一九七九年でしょうかに決まったが、これは一九七六年にアメリカの国立衛生研究所、NIHというところのガイドラインに従ったものである。このお手本もかなり激しかった、厳しかったわけですから、日本におけるこのガイドラインも非常に厳しいものになっている。NIHで非常に激しく、厳しくしていたのは、この組みかえ実験ということによって新しく生まれる微生物が一体どういう危険性を持つのか、その当時の技術でははかり知れない、こういう発想があったからだと聞いております。  ところが、これまでの各国での研究によって、その遺伝情報が働く仕組みというのは、当面の予想と違いまして、生物の種類によって特有なことがわかった。ですから、新しい微生物ができてもそれほど危険ではない、こういう状態がわかってきたわけで、アメリカやヨーロッパでは規制を緩和しよう、こういう動きがあって実際に緩和されてまいりました。ところが、日本だけはまた置いてきぼりを食らった形で緩和していないために、世界でも一番厳しいガイドラインとして現在残っているわけです。  そこで、日本でも研究者の自主組織である遺伝子操作協議会というのがありまして、そこでやっとガイドラインというものの見直し作業を昨年の夏ぐらいから進めてきた。そして今月七日の学術審議会の組換えDNA部会というところに改正案というものを提案したということが報道されました。  その改正案内容、多分そのガイドラインをある程度緩和するという方向に行っていると思いますが、その改正案の主な内容と、それから学術審議会では、一体これからどういう対応をしていくのか、そのことについてお聞かせ願いたいと思います。
  46. 松浦泰次郎

    ○松浦(泰)政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、遺伝子操作協議会、代表者は内田久雄という先生でございますが、そこからそのような要望書が出てまいりまして、学術審議会の部会で検討を始めたところでございます。  この研究者が現在百数十名おられるのでございますが、主な状況を申し上げますと、日本ではたとえば霊長類の遺伝子を認められております大腸菌あるいは酵母というようなものに組みかえます場合に、物理的封じ込めといいますか、そういう要素が四としますと、生物学的封じ込めが一ということで合計五というような、現在考えられます一番厳しい条件を必要としております。これがお話のございましたアメリカの場合は、たとえば大腸菌に組みかえます場合には物理的な基準が一、それから大腸菌の種類によりまして要求される条件が一、合計二というようなことでございまして、五と二というように、数字が少ない方が緩いわけでございますが、そのような差が生じてございます。  それから、いまのアメリカの場合、霊長類の遺伝子を組み込みます場合に、大腸菌とか酵母菌以外のいわゆる宿主−ベクター系というものでございますが、基準条件が物理的に三、生物的な要素が一で四ということで、この場合にも日本よりは一低いということでございます。  しかし、先ほど御指摘ございましたように、この組みかえDNAの問題は、比較的新しい学問分野でございまして、当初はその危険性が非常に強調されておりました。わが国でアメリカの以前の基準に準じまして新しく基準を制定します場合にも、報道関係では相当その点が指摘されておったようなことでございます。しかし、その後、いまお話ございましたように、アメリカの方では、最近の研究によりまして漸次緩和をしてまいっております。しかし、特定の非常に問題の病原菌等を使います場合とか宿主−ベクター系と言われております遺伝子を組み込まれるものにつきましては、やはり一定の条件がございまして、その範囲でこれを許しておるというようなことでございます。  それで、日本としましても、それが安全なものであればそういう検討が必要でございますので、先般御指摘のように学術審議会の部会を開催いたしまして、そこにおきまして、内田先生も見えまして協議会としての要望内容を御披露されたのでございます。議論としましては、外国でそうなっているからということで単純にああそうですかということでこれを改正ということは、ちょっと学問的にもできないので、その辺についてのどのような実証があるか、こういう点をさらに追求しまして、そのような科学的な実証のもとにその改変を検討していこうということでございます。  ただいまその辺が始まったばかりでございますが、ただ国際的な情勢でもございますから、できるだけ鋭意検討しまして、そのような方向に必要な措置を講じていくことになろうかと思っている次第でございます。
  47. 船田元

    船田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  48. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、明後二十日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十三分散会      ————◇—————