運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-04-09 第94回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月九日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 井上  泉君    理事 青木 正久君 理事 岸田 文武君    理事 谷  洋一君 理事 吹田  愰君    理事 武部  文君 理事 塩田  晋君       小澤  潔君    亀井 善之君       長野 祐也君    金子 みつ君       春田 重昭君    中野 寛成君       岩佐 恵美君    藤田 スミ君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         経済企画庁長官         官房会計課長  横溝 雅夫君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁物価         局長      廣江 運弘君         経済企画庁調査         局長      田中誠一郎君         農林水産大臣官         房審議官    戸田 博愛君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  塚原 喜朗君         国土庁土地局土         地政策課長   渡辺  尚君         通商産業省通商         政策局総務課長 篠島 義明君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   藤田 スミ君     岩佐 恵美君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 井上泉

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。春田重昭君。
  3. 春田重昭

    春田委員 私は、物価問題と景気問題に入る前に、長官行政改革の問題について若干お尋ねしたいと思います。  総理は、第二臨調を主体とした行政改革政治生命をかけると明言されておるわけでございますが、長官は、この行政改革、第二臨調についてどういう御見解なのか、お伺いしたいと思うのです。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 行財政改革をやるということは長年の非常に大きな課題でありまして、五十六年度も実はこの行財政改革が非常に大きな課題であったのでありますが、どうも五十六年度にうまくいかなかったということを反省してみますと、それは、四兆五千億という税の自然増収、一兆数千億という増税、合計六兆という財源を先につくってしまって、それで行財政改革をやる、こういうことをやったものですから、どうもうまくいかなかったのではないか、こういう感じがいたします。そこで、五十七年度は背水の陣をしいて、とにかく行財政改革予算が組めるようにしよう、こういう参り方、増税はやらない、こういう考え方でないと行財政改革は進まない、こう私は思いますが、そういう行き方を内閣全体としてやろうということが決まったことは私は大変結構なことだと考えております。かねての懸案でありますこの大問題を何とかこの際解決の方向に前進させるということは、国家的な非常に大きな課題でもございますから、それが一歩進んだ、進もうとしておるということは非常に結構なことであろう、こう思います。
  5. 春田重昭

    春田委員 行政改革といいましても、機構減らしとか人減らし、金減らしがあるわけでございますが、今回の第二臨調では、特に補助金整理合理化削減というものが大きく社会的に浮かび上がってきているわけでございまします。この補助金削減につきましては、新聞報道等では一律カットだとか、また省庁全体で検討していくいわゆるノルマ方式だとか、積立方式、いろいろな形で報道されておるわけでございます。まだ政府方針は決まっていないみたいでございますが、仮に一律カットないしは省庁全体でたとえば五%ないし一〇%のカット臨調で出た場合、長官経企庁としてそれができる自信がおありかどうか、です。お伺いしたいと思います。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまの段階は、基本方針がようやく決まった、そして二十日には政府と党の行財政改革本部がスタートする、こういう段階でありまして、その基本路線を確認したということで、各論はこれからでありまして、まだ何も決まっておらぬわけであります。かつまた第二臨調土光会長の方でいろいろ作業が進んでおりまして、七月にはその答申がある、こういうことでありますので、各論はこれからだと思います。
  7. 春田重昭

    春田委員 確かにまだ最終方針が決まってないし、七月二十日ぐらいに答申が出るみたいでございます。世上言われているのは、補助金整理合理化削減である。率はどのくらいかわからないけれども、たとえば五%ないし一〇%が削減されたと仮定した場合に、経企庁補助金等を見てみれば、純然たる補助金交付金委託費があるわけでございますが、消費者行政につながっているものが非常に多いわけです。特に補助金等におきましては各地方の消費者生活センターとかサブセンターに渡す、そういうお金が大半を占めているわけです。また交付金等においては国民生活センターに対する交付金でありますし、直接消費者生活につながる。そういう点で、これが一律またノルマ的に五%ないし一〇%カットが来た場合に果たして経企庁でできるかどうか、私もちょっと心配な面があるわけでございますが、そういう中をどう努力するかが今回の問題だ。総論賛成だけれども各論では非常に抵抗がある。ここに問題があるのじゃないかと思うのですけれども、これは仮定の問題ですから。しかし大体方向としてはそういう形に来るのではないかと言われているわけです。そこで、仮定の問題で長官お答えにくいと思いますけれども、仮に五%ないし一〇%の削減がそういう形で来た場合に、果たして現在のこういう体制でできるかどうか、再度お答えできれば、お伺いしたい。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 十四兆五千億の補助金、三千数百ありますが、これはそれぞれ歴史と背景があってできあがった補助金だと思います。理由のない補助金は一つもないわけでありまして、一つ一つ分析いたしましても、みんなこれだけの金額は必要だ、こういう説明がついておるわけであります。しかし、基本路線が決まればそれに沿ってやりませんと国の予算編成ができない。御案内のように、来年新規の調達をしなければならない新しい財源として約七兆五千億が足りない、こういう大蔵省からの試算がされておりまして、それに対して四兆七千億は税の自然増収、二兆八千億を一体どうするかということについていま行革を中心にして議論が出ておるわけでありますから、増税をしないということであれば、これは何らかの形で解決しなければなりませんから、総論賛成各論反対だ、そういうことにならないように企画庁においても今後協力をしていくつもりでございます。
  9. 春田重昭

    春田委員 それでは、本題に入りたいと思います。まず物価問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  五十五年度消費者物価指数最終値はどれぐらいになるのか、お伺いしたいと思います。
  10. 廣江運弘

    廣江政府委員 五十五年の数字は、先生案内のとおり、まだ三月が出ていないわけでございます。二月までの状況で申しますと、二月の状況のままで三月も推移するといたしますと、これは年度を通じまして七・七%程度の上昇、こういうことになろうと思います。三月の状況東京都区部速報が出ているわけでございまして、東京都区部速報は〇・六%二月に対して上昇いたしております。東京都がこの数字のままで固まる、こういたしますと、これが固まるかどうかは必ずしも確かではございません、特に三月の下旬には、新聞等の情報から見ますと、季節商品等は少し緩んでもおりますので、少し下方に修正されるのではないかという期待もございます。仮にそのままに固まってしまうといたしますと、東京都は五十五年度を通じまして七・五%程度、こういうことになります。  そこで、全国東京並みになったらどうなるかという仮定でございますね、こういう仮定を置いて計算いたしますと、全国では七・八%程度になろうと思いますが、二月のままで推移すれば七・七%程度と申し上げましたし、東京都区部速報並みに上がるという仮定をいたしますと七・八%程度になる、こういうことでございますが、その間にはいろいろ、何といいますか変容、変化もあるわけでございまして、まだ確かなことは言えないわけでございます。
  11. 春田重昭

    春田委員 さて、五十六年度消費者物価指数政府目標は五・五%になっているわけですね。仮に五十五年度東京都区部並み全国が上がるとすれば七・八%。五十五年度と五十六年度で二・三%も下げることになっているわけですね、政府目標というものは。その理由といいますか根拠というものを、簡単で結構でございますからお示しいただきたいと思います。
  12. 廣江運弘

    廣江政府委員 まず、五十六年度の場合を五十五年度と比較して考えますと、消費者物価かなり影響を持ちます卸売物価動きが、五十五年度の現在当時、要するに一年前のいまごろと現在とはぐっと趣が違うということでございまして、昨年のいまごろは二〇%を超すような伸びを示しておりましたわけでございますが、このところすっかり落ちついておりまして、三月ですと中旬までの速報値で前年同月比一・八%ということになっております。四月になりますとこの辺がもっと下がってくるかもしれないと思っております。そういうふうに卸売物価状況が非常に鎮静をしておりますので、それから消費者物価を考えた場合、ずいぶん影響は違うという点が第一点でございます。  それから、もう少し直接的な点で申し上げますと、昨年の四月、五月というふうに公共料金、わけても電気、ガスといったものがかなり値上がりをいたしまして、これが消費者物価を大きく押し上げたということは御案内のとおりだと思いますが、ことし、五十六年度は五十五年度のような大きな公共料金引き上げ要因がないということでございます。  そしてもう少し基本的な点で申し上げますと、石油でございますが、五十五年度物価を大きく押し上げたものはやはりこの石油の異常な値上がりがあったという点があろうと思います。もちろんこれは石油産出国状況によるわけでございまして、一概に結論をつけるわけにはいきませんですが、五十六年度は五十五年度のような状況までは、いろいろな要因から考えても考えにくい。需給の状況にいたしましても、節約の進行状況にいたしましても、備蓄の状況にいたしましても考えにくい。あるいは国際情勢全体から見てもそう考えられないというような点。  こういう点を考え合わせますと、五十五年度のようなことはない、五十六年度におきましては政府見通しとして掲げておりますような程度物価は十分達成できるんではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 春田重昭

    春田委員 直接的な原因として電力ガス大型公共料金値上げはない、また原油値上げ等もないだろう、こういうことでございます。  昨年は非常に異常寒波で、豪雪というのが相当あったわけでございます。こういう面で野菜等の被害も大きく、それが直接消費者物価にはね返ってきたというのがあるわけでございますが、この異常寒波原油値上げというのは、これはあくまでもどうなるかわからないわけですね。異常寒波はだれもわからないし、原油値上げも昨年は二回、サウジ等で四ドルですか、UAEで六ドルくらい上がっているみたいでございますが、さて、五十六年度全然上がらないかといったらそうでもない。確かに世界全体としてはだぶつき状態にございますけれども、要するに考え方としては、三カ月ないし四カ月に一回ぐらいは上げたいという考え方生産地にあるみたいでございますから、これだって不確定なんですね。  さて、電力ガスは確かにことしはございませんけれども、ことしはそれにかわる、一兆四千億の増税があるし、また目に見えざる増税といいますか、いわゆる所得税の税制を据え置いたことことによってこうしたものが上がってくる、所得税も上がってくる。こういうことでいろいろなそういう総合的なことを考えれば、この五・五%というのはやはりかなり厳しいんじゃないかという見方もあるわけですね。昨年の七・八からことしが五・五ということは、二・三も下がる、できるかという一部の声もあるわけでございますけれども、再度この問題について、いわゆる自信といいますか、確信といいますか、それたけの――経企庁としては五十五年度にこういう形で六・四%を約束されながら、途中七%台、しかし終わってみれば八%近い消費者物価指数になっているわけですよね。そういう点で再び五十六年度国民にお約束した五・五が守れなかったら、これは大変な問題だと思うのです。そういう点でそれだけの確信があるかどうか、再度、この問題につきましては長官の方からお伺いしたいと思います。
  14. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十六年度の五・五%の見通しにつきましては、いま政府委員が答弁したとおりでありまして、私も五十六年度物価政策はいまの段階では五十五年度に比べまして相当やりやすいんじゃないか、こう思っております。最近の卸売物価動向、それから石油事情、いわゆるげたの問題、いろいろ検討いたしましてもこれは十分達成できる、このように考えております。  五十五年度の場合は、政府見通し六・四%が一番低く、民間見通しは比較的高い数字になりましたが、五十六年度は逆で、むしろ民間見通しの方が全部低い。これはやはり先ほど申し上げました卸売物物価あるいは石油事情、そういうことを民間の方々が最近よく検討して出しておられるんだと思いますが、五十五年度に御迷惑をおかけいたしましたので、五十六年度はできればおつりが出るように、そういう形で何とか物価政策はやっていきたい、こう思っております。
  15. 春田重昭

    春田委員 さて、物価対策費でございますけれども、五十五年度予算では、自民党と社公民三党で物価対策費五百億円というのが合意されたわけでございますが、この使用された額は最終どれくらいになっているのか、お伺いしたいと思います。
  16. 廣江運弘

    廣江政府委員 五十五年度予算のいわゆる物価対策費五百億円の使用につきましては、昨年の十月三十日及び本年二月五日に四党間で合意がございまして、総額約四十四億円が支出されております。  多少細かく申し上げますと、野菜供給安定基金資金造成、さらに物価安定推進運動、それからフードウイークの拡充、食料品特別販売事業等、そしてこの二月に行いました野菜供給確保緊急特別対策事業等でございます。
  17. 春田重昭

    春田委員 五百億円ありながらわずか四十四億円ということで一割弱の使用しかなかった。私は、その結果消費者物価指数は大きく上がりまして、そう鎮静化する役目にならなかったんではないか、せっかく五百億円という大きな物価対策費がありながら十分に発動しなかったんじゃないか、こういう考え方を持っているわけでございますけれども長官どうでしょうか。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の十月とことしの二月に野党三党からの申し入れを受けまして、そして若干の対策をやったのでありますが、その対策が不十分であったではないか、こういうお話でございますが、そう言われますと、私も返す言葉はないわけでございますが、実際はこれはほとんど野菜対策に使っておるわけです。  野菜対策を進めます場合に二つの方法がございまして、数%の過剰見込み作付をしてもらうというやり方と、もっと大幅に二、三割の余裕を見込んで、余裕が発生する場合もあり得ると見込んで作付をしてもらう場合と二つあるわけでございます。これまでは政策の選択として前者の方を選んでおりました。数%の余裕が出た場合、それに対して適当な補償を考えていこう、こういうことでありまして、いわば小さな保険を掛けておったのであります。しかしながら、物価対策というものは非常に大事だしするから、これまでのような小さな保険ではなくもう少し大きな保険を掛けたらどうだ、こういう意見も非常に強くございます。最近は、農林省の方とも相談をしてやや大き目の保険を掛けてもらう、そういう方向に話が進んでおりますので、今後は野菜不足が起こらないように前広に十分な手を打ってまいりたいというように考えております。
  19. 春田重昭

    春田委員 経企庁には国民生活安定対策等経済政策推進費ですか、これが毎年予算に計上されているわけでございますが、今年度は幾らございますか。
  20. 廣江運弘

    廣江政府委員 三十億円でございます。
  21. 春田重昭

    春田委員 昨年度、一昨年度はどれぐらいついたのですか。
  22. 廣江運弘

    廣江政府委員 三十億円でございます。
  23. 春田重昭

    春田委員 ことしの物価指数を五・五というのは至上命令というか課題であって、昨年並みにしてはいけないということは先ほど言ったとおりであります。ところが、経済政策推進費が昨年度、一昨年度全く同じ額である。しかし、昨年は五百億円の物価対策費がついたわけでございます。しかし使ったお金は四十億円でございますけれども、ことしはそういうものがついていないわけですね。自民党野党五党の話し合いでは、五十五年度並み物価対策費も考慮するというような話になっているみたいでございますけれども、この点どうでしょうか。
  24. 廣江運弘

    廣江政府委員 国民生活安定対策等経済政策推進費、いわゆる物価対策費は、経済企画庁に計上されておるのは、先ほどお答えいたしましたように三十億円でございますが、去る三月十七日に政府が決めました総合経済対策の中の物価対策の項では、その総論において物価対策につきましては、先生御指摘のとおりきめ細かくやらなければいけないということをうたい、かつ機動的に行うために、まずこの三十億を使いますが、必要が生じた場合には、一般会計の機動的な運用によって対処するということで、具体的には予備費使用するということも含めまして、十分にこれに対処していくということをうたりております。そういう方向でやっていくつもりでございます。
  25. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、昨年物価対策費が五百億円つきながらどうも後半の方に使われたきらいがあるわけでございまして、機動的にという言葉がございますけれども、私の感じからすれば機動的に運用されたような思いもしないわけでございまして、そういう点では政府の迅速な対応を要望しておきます。  次に、石油の問題でございます。通産省の方がおいでになっておると思いますのでお伺いします。  石油製品値上げ動きがあるわけでございますが、この値上げの時期、値上げ幅について、業界監督的立場にあります通産省はいかなる指導をなさっておるのか、お伺いたしたいと思います。
  26. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  現在の石油業界動向でございますけれども先生案内のように、昨年の六月末から七月初めしにかけて元売り仕切り価格の値下げをやったわけでございます。その後一産油国側において七月以降もGSP引き上げがあったわけでございますけれども円高背景にいたしまして、私ども石油業界におきまして、できるだけ価格を安定させるようにということで努めてまいったわけであります。これに加えまして、他方において仕切り価格実勢価格が下落してまいりました。そんなことが加わりまして、実は石油業界現状と申しますのは昨年の秋ごろから非アラムコ系、これは民族系中心でございますけれども経営状況が非常に悪化してまいっております。特に最近になりますと、先生案内の昨年十二月のバリ島総会においてさらにGSP引き上げが行われたり、それから最近円が円安傾向に転じてきたというようなこともございまして、私どもの見るところでは、非アラムコ系企業の五十五年度下期の経常利益というのはマイナスに出てくるというふうに見ております。特に民族系企業の中には、年度間を通じても経常利益マイナスになるというような企業も出てくるというふうに私ども見ておるわけでございます。そういったようなことを背景にいたしまして、現在石油業界において、企業努力による製品価格の安定ということについてもやや限度に来たのではないかということから、その石油製品元売り仕切り価格値上げについて検討が進められている、これが現状でございます。  私どもといたしまして、まだ現在のところ石油業界から具体的なお話がございません。したがって、いつ、どのくらいの幅でということは、私どもまだ石油業界からは聞いておりませんので承知しておりませんが、いずれにいたしましても、石油業界から仕切り価格引き上げという話がございましたら、その段階で、便乗的な値上げがないように十分な監督をやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 春田重昭

    春田委員 まだヒヤリング等をやってないということでございますが、新聞等報道では、大体三月初旬から業界では上げたかったのだ、これは政府政策的意図から四月以降だということで延ばしてきているということで、大体四月中旬、また五月の早々じゃないかと言われておるわけですが、業界から新聞にああいう形で出るということは、通産省においても、お伺いといいますか、話し合い、協議といいますか、そういうものが相当されていると思うのです。そういう点で、まだそういう具体的な申請はないということでございますが、四月のきょうは九日ですか、四月中に申請されるのかどうか。それで、ヒヤリング等はこの四月中に行われるのかどうか。その辺のめどは大体ついているでしょう。どうですか。
  28. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私どもの見るところでございますけれどもユーザンス差益のベースになりますTTSレート、これは電信為替売りレートでございますけれども、これの動きを見てまいりますと、四月になりますとすでに差益から差損に転じているというふうに見ているわけでございます。そういったようなことも加わりまして、片やGSPが上がっておるわけでございますから、石油企業において、まあかなりのと申しましょうか、非アラムコ系経営状況というのが相当に悪化しておることは事実でございます。そういうことから、石油業界において現在いろいろ議論がされておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように私どもまだ聞いてないわけでございますけれども、それで、三月の値上げというような話も確かに一部新聞にも出ておりましたけれども、できるだけ安定させるようにということで私どもも申しましたし、業界の方もその辺は協力してやってまいっておるわけでございますけれども、最近特に円レートが安くなってきたというようなことも加わってまいりましたので、そういった石油業界からの話というのがいずれ出てくるだろうと思っております。
  29. 春田重昭

    春田委員 非アラムコ系は三月決算マイナスになっているだろうという話です。アラムコ系はどうなんですか。
  30. 志賀学

    志賀(学)政府委員 アラムコ系につきましても、五十五年度下期はまだ決算が出ておりませんからわかりませんけれども、私どもの見ているところでは、上期に比べますと悪くなっているという状況でございます。ただ非アラムコ系に比べますと相対的には余裕がある、こういう状況だと思います。
  31. 春田重昭

    春田委員 非アラムコ系は明らかにマイナスである。アラムコ系も悪いということですが、これは悪いということは、九月中間決算では業界全体で四千五百億円の相当な黒字が出ている、差益がそのうち三千五百億あるわけですけれどもアラムコ系においてはどうなんですか、三月期はまだ出ておりませんけれども、悪くなっているけれどもマイナスではない、プラスでも若干だ、大体こういう感じなんですか。
  32. 志賀学

    志賀(学)政府委員 アラムコ系につきましては原油調達コストが先生案内のように安いわけでございます。そういうことから下期は上期に比べて悪くなったとはいえ、ある程度の利益というものは出ているだろうというふうに思っております。
  33. 春田重昭

    春田委員 アラムコ系と非アラムコ系では原油輸入価格が違うので当然決算等において大きな差が出てくると思うのです。したがって、価格面や値上げ時期についても通産省としては配慮をされるのかどうか、この点どうですか。
  34. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答えいたします。  私ども石油製品価格についてのかかわり方の姿勢でございますけれども、私どもの基本的なスタンスというのはできるだけ価格についての政府介入というのは避けるべきだという気持ちを持っております。そこで、コストが上がった場合にそれが市場メカニズムを通じて市場価格に適正に反映されるというのはやむを得ないことであるというふうに思っておるわけです。ただ便乗的な値上げがあってはいけない。こういうことで従来から事前にチェックをするという立場でやってまいっておるわけでございます。こういう立場は従来からとってまいりましたし、現在も変わっていないわけでございます。  そこで、コストが上がったということはアラムコ系、非アラムコ系を問わずコストが上がっているわけでございます。それからもう一つ申しますと、同じマーケットの中で競争が行われているわけでございますが、ここまで仕切り価格を上げたいというお話がございまして、私どもがチェックをしてみたところ、その程度であれば便乗的なものではないだろう、こういうことになりますと、そういうことで仕切り価格引き上げられる。ただその意味は、言ってみますと仕切り価格の上限でございます。その枠内で自由競争が行われる、そこで市場価格が決まってくる、こういう仕掛けになっております。したがって、非アラムコ系アラムコ系が同じマーケットで競争をやっておるわけでございます。さっきも申し上げましたようにアラムコ系、非アラムコ系を問わずコストは上がっておるということでございます。ただ非アラムコ系だけを上げるというわけにはまいらないだろう、こういうふうに思っております。ただ、アラムコ系と非アラムコ系を比べてみるとそこに収益上の差がある、これも事実でございます。その辺も勘案しながら対応してまいりたいというふうに思っております。
  35. 春田重昭

    春田委員 当然市場、マーケットは一緒ですから、多少の差がついたとしても販売価格はそう大きな差をつけることはできないと思うのです。そういう点で、アラムコ系は若干の利益がある、非アラムコ系は相当な赤字である、どの点でその両方を接近させていくかという問題があると思うのです。そこで、自由価格ですから、自由競争の時代ですから通産省としては価格指導はできない、統制価格はできないという話でございますけれども、これは指導という立場から、非アラムコ系に近い額に上げていくのか、算出されたそういう値上げ額に上げていくのか、またアラムコ系の、赤字はないけれどもまだ若干利益があるんだからそう値上げしなくてもいいというその額に合わせていくのか。アラムコ系と非アラムコ系で恐らく申請価格が相当違ってくると思うのです。どちらの方に接近するような形で通産省としては指導していくのですか。
  36. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま先生、大変むずかしい御質問でございます。アラムコ系と非アラムコ系の原油調達コストの差、これが石油業界あるいは石油政策を担当する私どもとして直面する一つの一番大きな問題でございます。だだ、いまの御質問に対するお答えといたしましては、いずれにいたしましても各石油企業から、コストがどれだけ上がった、したがってここまで仕切り価格を上げたい。これは各社ばらばらの数字になります、各社によって事情が全部違いますから。それで相対的に申しますと、絶対レベルとしてはアラムコ系が低くて非アラムコ系が高いという形になりますが、その中で自由競争が行われる。市場価格としては需給が正常であれば一物一価ということで大体収敵するわけでございます。そのときに大体大勢としては安いところに収歛してくる、そこで非アラムコ系の採算が悪くなる、こういうことでございます。いずれにいたしましても仕切り価格引き上げの際、そのコストアップ以上に、要するにアラムコ系は高く、非アラムコ系は低くとか、あるいは逆とか、そういうことは私どもは考えておりません。
  37. 春田重昭

    春田委員 市場価格というのは需給関係で決まると思うのです。現在、ガソリンは乱売とか灯油等は非常に在庫があるということで市場には石油製品かなり余っているわけです。そういう面からいったら、アラムコ系が安く出す、非アラムコ系は高く出す、当然アラムコ系の方に消費者の方はいくんじゃないか。こういうことで非アラムコ系は安くアラムコ系価格に合わせる以外にないのじゃないか、そういうことですね。そうしたら非アラムコ系はますます赤字がつのっていくのじゃないかと思いますけれども、そういう点でこれではいけないということで、もうかっているといいますか、若干利益のある、価格の安いアラムコ系の方を引き上げていくという業界話し合いがついてそういう形で申請が来た場合には、通産省はどういう指導をするんですか。
  38. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私どもといたしましては、各社から申請があった場合、これだけ上げたい、理由はかくかくしかじかということを伺いまして、それが妥当であるかどうかということを判断していくということでございます。
  39. 春田重昭

    春田委員 それで、値上げ方式は等額値上げ方式とか等率値上げ方式というのが言われているわけでございますけれども通産省の見解はどうですか。
  40. 志賀学

    志賀(学)政府委員 確かに一部の石油会社におきまして石油製品値上げの方式といたしまして等率にするということを検討しているという話もございます。ただ、これは私どもまだ具体的に会社の方から何も聞いていないということでございまして、もし仮に等率方式ということが出てきた場合にどう判断するか、こういうことになると思いますけれども、いずれにいたしましても等率か等額か、従来は等額でやってまいっておるわけでございます。等率にしたらどうかという考え方背景というのは、最近の油種ごとの需要構造の変化、この辺を踏まえながら検討する、こういうふうに私ども理解をしておりますけれども、いずれにいたしましても、値上げ方式について等率方式というようなことで出てまいった場合に、私どもとしては、油種ごとの等率方式をとることによる影響といいますか、メリット・デメリット、これはいろいろございます。そういったことを総合的に考えて判断してまいりたいというふうに思います。
  41. 春田重昭

    春田委員 ということは、最終的にはいわゆる従来の等額方式で通産省としては指導していきたいという考え方はまだ持っていないわけですか。
  42. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま申し上げましたように、まだ具体的にそういう話が出てまいっておりませんからあれでございますけれども、私の現在の気持ちを申し上げれば、全体を総合してみますと、従来の等額方式をここで変える必要性があるかどうかという点については、やや疑問を持っておるということは申し上げておきたいと思います。
  43. 春田重昭

    春田委員 この問題につきましては、石連会長の永山さんが等率値上げ方式を主張し、日石の社長が等額方式を主張しているみたいでございますけれども、いずれにいたしましても、等率値上げになりますと、ガソリンとか灯油等の民生用が高くなるわけです。C重油等の産業用等は安くなってくる、こういうことでございますから、等額方式、従来方式で指導するように要望しておきます。  いずれにいたしましても、この石油問題というものは、昨年の円高差益ということで業界全体が相当の黒字になったということで、当委員会でも集中審議を行って、その際、参考人として石油連盟の会長の永山さんがおいでになりまして、いま業界は、確かに九月中間決算では黒字になっている、と。しかし私たちが、これは差益還元するべきだ、国民に還元するべきだ、こう言ったわけでございますけれども、そのときの答弁では、たしか差益還元しても余り多くないので、いわゆる価格の据え置きを私たちはしていきたい、それが国民に還元することに通ずるのだという意味のことをおっしゃったと思うのです。そういう点からも、最近石油製品値上げがずいぶんうわさされておりますが、そういうふうにアラムコ系と非アラムコ系とはずいぶん違うわけですよ。そういう点で、アラムコ系かなりいいわけですから、便乗値上げになりまして、一挙に石油製品が上がるような体制はよくない、こう思うのです。そういう点で、最後に、物価対策の上から経企庁長官の、この石油製品の抑制については厳しい指導といいますか、そういうものを私は望むわけでございますけれども長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  44. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油価格問題につきましては、いま通産省からの御答弁がございましたが、われわれといたしましては、今後便乗値上げをとにかく厳重に監視をしていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
  45. 春田重昭

    春田委員 続いて景気問題についてお尋ねしてまいりたいと思うのですが、五十五年度経済成長率、実績がまだ出ておりませんけれども、その見込み及び五十六年度経済成長率の見通しについて、数字でもってお示しいただきたいと思います。
  46. 井川博

    ○井川政府委員 五十五年度につきましては、成長率は大体当初見通しどおり四・八%実現できそうでございます。五十六年度につきましては、一月に閣議決定いたしまして、見通しとして五・三%の経済成長の見通しということになっております。
  47. 春田重昭

    春田委員 昨年の成長率四・八%、この四・八%を民間需要と公的需要と海外需要の三段階で立て分けた場合、これも同じく数字でもってお示しいただきたい。
  48. 井川博

    ○井川政府委員 伸び率で申し上げますと、四・八%経済成長の中で民間需要、これは個人消費、住宅、設備投資を合わせたものでございますが、これが一・六%でございます。それから、同じく五十六年度につきましては、実質で五・三%というふうに置いております。国内需要のうちの政府支出、いわゆる公的需要でございますが、五十五年度の見込みの対前年伸び率は一・五%でございますが、五十六年度はこうした財政状況でございまして、マイナス〇・八%、実質ではマイナスになっております。それから海外需要でございますけれども、これは五十五年度の実績の見込みでは、対前年六〇%増、五十六年度は一四・七%増でございます。  ただいま申し上げましたのは伸び率でございますけれども、今度四・八%及び五・三%の中の寄与度ということで申し上げますと、五十五年度の四・八%のうち、国内の民間需要の伸び率でございますが、これが一・二%でございます。それから政府支出、公的需要でございますが、これが〇・三%、したがって内需としては一・五%でございますが、したがいまして、その残り三・三%が外需、海外需要、こういうことになっております。それから五十六年度五・三%の寄与度でございますけれども民間需要が四・一%、それから公的需要がマイナス〇・一%、したがって内需合わせまして四%でございまして、残り一・三%が海外需要、こういうことになっておるわけでございます。
  49. 春田重昭

    春田委員 この寄与度でございますけれども、当初見通しは、昭和五十五年度はどうだったのですか。
  50. 井川博

    ○井川政府委員 五十五年度、四・八%という全体の伸び率は同じでございますが、当初見通しにおきましては、国内民間需要が二・八%置いておりましたのが、最終的には、先ほど申しましたように一・二%と落ち込んだわけでございまして、反対に経常海外余剰は一・八%と考えておりましたのが三・三%というふうに海外需要が大きくなったということでございます。
  51. 春田重昭

    春田委員 成長率四・八%そのものは辛うじて達成したわけです。ところが、いま御説明のありましたように、政府見通しの、いわゆる民間需要と、そして海外需要とが全く逆転している。いわゆる内需が当初二・八が一・二、海外需要が一・八が三・三、この逆転で辛うじて全体的には四・八%が達成された、こういうことで内需が冷え込み、輸出好調で達成されたということが言えるわけでございます。  そこで、五十六年度は、民間需要は、先ほどの御答弁では四・一になさっているわけです。五十五年度も当初見通し二・八が最終一・二になったわけですね。そういうことからいったら、この四・一というのは非常に大きく伸ばしておられるわけでございますけれども、この五十五年度と五十六年度を比較した場合、いまの政府の施策で内需を呼び起こすことができるかという心配があるわけです。この点、どうですか。
  52. 井川博

    ○井川政府委員 御存じのように、寄与度というのは、GNPに占めますシェアと伸び率で規定をされるわけでございます。たとえば五十四年度、一昨年度になりましたが、五十四年度は、御存知のようにGNP六・一%でございまして、それでは、このときの民間需要は幾らであったかというと、五・三%であったわけでございます。それから海外需要はどの程度であったかというと〇・九%であった。要するに、これは伸び分の比率でございますので、大きく動くわけでございます。われわれといたしましては、先般も総合経済対策を立てることによりまして、いま停滞ぎみの内需を下支えをしていくというような施策を講じますれば、五十六年度五・三%、そのうち四・一%という民間需要の達成は可能であるというふうに考えておるわけでございます。  特に、先ほどから先生お話しの、民間需要が五十五年度については低迷をした、それが今度一・二が四・一にも大きく寄与度で見ているじゃないか、こういうお話でございますが、五十五年度民間需要でも、特に個人関係の消費と住宅投資が落ち込んでいるわけでございます。理由はといいますと、やはり物価高というのが非常に大きい理由になってまいるわけでございますが、先ほどからのお話もございますように、五十六年度については、物価五・五%ということになりますと、消費マインドももとに返ってくるというふうなことを考えれば、大体民間需要四%程度の、四・一%でございますが、その伸びは期待できるというふうに考えておるわけでございます。
  53. 春田重昭

    春田委員 五十六年度は個人消費と住宅部門で大きく民需を回復していきたい、こういうことでございますが、その個人消費でございます。昭和五十六年度は前年度に対して四・九%の増を見ておられるわけでございますけれども、これは自信ありますか。
  54. 井川博

    ○井川政府委員 実質四・九、これに対して五十五年度の現在は見込みで二%であるということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、実質が二%に落ち込んだという理由はやはり物価高ということでございます。ちなみにこれが五十四年度でございますれば民間消費は五%でございますし、五十三年度は六%というふうなことでございまして、物価が安定すれば大体その程度の消費の実質の伸びは期待できる。したがいまして、五十三年、五十四年度ほどではないが、それに近いものを期待したというのがこの四・九%の数字の意味合いでございます。
  55. 春田重昭

    春田委員 物価の安定ということをおっしゃいますけれども、私からすれば、五十六年度は五十五年の基調がそのまま推移したとしても、これは高値安定だ、決して物価が安くなったんじゃないという感じを持つわけです。  それとともに一番問題なのは、いま春闘のさなかでございますけれども、賃上げですね。賃上げも当初一〇%ぐらいの労働者側の要求みたいだったわけでございますけれども、どうも労使間の話し合いでは七%台におさまるみたいです。  そういう点からいったら、昨年の物価上昇の七・八%をカバーするようにはならないし、実質収入は相当マイナスになって、期待されないんじゃないか。そして一連の公共料金値上げ、また先ほど言ったように一兆四千億の増税さらに所得税増税、こういったもののが加わってくれば家計は相当苦しい。昨年以上に苦しいんじゃないか。こういう中で全体の五三%を占める個人消費に期待するのはちょっと酷ではないか、厳しいのではないかという感じを持つわけです。この点長官どういう御見解ですか。
  56. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十六年度の経済運営にはいろいろ問題点があろうかと思うのです。その第一は、いま御指摘のありました個人消費がどの程度伸びるかということでありますが、これはやはり物価の安定ということがその前提条件になっておると考えております。  それから第二は住宅問題でございまして、五十五年度は非常に大幅に落ち込みましたが、五十六年度はある程度これを回復したい、そういうことで、先般決まりました新五カ年計画をいかに円滑に実施するかということについて関係閣僚会議も近く開かれる予定になっております。  投資の問題につきましては、金利水準、資金量、こういうような問題があろうかと思いますので、低利な資金を豊富に供給する、そういう方向に金融政策を持っていかなければならぬと考えております。  なかなか激動期でございますから、ほっておいたのでは思うように経済成長も期待できないわけでありますので、変化に即応した機動的な経済運営を進めることによりましてことしの経済成長目標は達成をしたい、これを達成いたしませんと、税の自然増収も確保できませんし、雇用も確保できない、こういうことになりますので、政府目標は万難を排して達成したい、こういうつもりでおります。
  57. 春田重昭

    春田委員 何といっても景気回復の最大の手だては個人の消費の喚起と住宅部門、私は不況を脱するにはこの施策が大きな対策じゃないかと思うのですけれども、住宅問題をきょうやる予定でしたけれども、どうも時間が来たみたいなので、これはいずれ決算委員会で建設省所管がございますので、その際質問させていただきたいと思います。せっかくきょう建設省、また国土庁からおいでになりましたけれども、御了解いただきたいと思います。  最後に、この個人消費の喚起は、何といっても私は所得税の減税だと思うのです。やはりいま国民は危機感を持っているわけですから、この危機感をやわらげるのは、自民党と共産党を除く野党五党で合意しましたいわゆる所得税減税、これが大きな効果を生むのじゃないかと私は思うのです。政府は五十五年度剰余金で減税するということでございますが、長官は景気対策のそういう立場があるわけでございまして、そういう景気対策、すなわち個人消費の拡大のためにもこの所得税の減税は絶対やるべきであるということで、今後六月に向かって大体わかってくるわけでございますけれども長官自身として大蔵省や関係各省へ、閣議を通じたりその他いろいろな機会を通じて、この所得税減税、いわゆる剰余金が相当出るように働きかけていく必要があるのではないか、積極的にやられる必要があるのじゃないか、こういう感じを持つわけでございますけれども長官どうでしょうか。
  58. 河本敏夫

    河本国務大臣 税収がどの程度になるかは五月末に確定をいたしますので、まだはっきりした見通しは立ちません。しかし総論的に申し上げますと、やはりある程度の減税ができるような結果が生まれることを私どもも期待をいたしております。
  59. 春田重昭

    春田委員 それでは、残余の問題につきましては次の機会に譲るという形にしまして、理事会でも言われたように時間厳守ということでございますので、これで終わりたいと思います。
  60. 井上泉

    井上委員長 中野寛成君。
  61. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 きょうは、野菜の流通改善を中心にしてお聞きをしたいと思います。  御通告を申し上げております質問の前に、物価見通しについてちょっとお聞きしておきたいと思います。  これは新聞紙上等にも分析をされているのでありますけれども、五十五年度見通しの問題ですが、いわゆる物価公約と言われるものは六・四%でスタートしたわけであります。結果は七・八%前後ということでございまして、これについては政府見通しが甘かったのではないか等々の批判がされているわけであります。しかし、この見通しを作成する過程で経企庁御自身としても六・九%程度という予想が強かったのではないか。ところが当時の大平首相周辺から五%台に抑えてほしい、政府の一つの姿勢としてそれはそれで決して悪いことではないと思うのであります。しかしながら、いわゆる政治的な配慮がその中に加えられて、実際には不可能と思われる数字がそこに提示をされるというふうなことが起こっているのではないだろうか。そこから、たとえば現在の春闘等におきましても、本当に物価はこの程度で抑えられるかという疑問、不信感というふうなものが生まれてくる。昨年の春闘では労働サイドの大変な良識といいますか、経済や物価に対する影響等を考えて要求そのものが大変抑えられた経緯があるわけであります。ある意味では、そのことによって日本のきわめて厳しい経済情勢の中で今日の比較的安定した状態を迎えているということも言えるわけでありますけれども、その中で実質賃金の低下、そして国民生活のきわめて厳しい状態というものが生まれてきていると思うのであります。見通しと努力目標、そして政治的配慮と、いろいろな思惑の中からこういうものが生まれてくるのだろうと思うのでありますけれども、このような今日の批判を受けてことしの物価に対する見通し経企庁としてどのようにお考えでありますか、まず長官にお尋ねをしておきたいと思います。
  62. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和五十五年度物価政府見通しが達成できなかったということは大変申しわけなく、遺憾に考えております、原因は御承知のとおりでございますから申し上げませんが。そこで、五十六年度の問題でございますが、五十六年度につきましては私どもは五十五年度よりは、新しい戦争でも始まれば別でありますが、そうでなければ概して非常にやりやすいのではないか、こう思っております。その一つは、消費者物価と密接な影響のあります卸売物価が急速に安定の方向に行っておるということでございます。昨年の前半、一月から六月までは対前年比二〇%以上の上昇が続いておりましたが、現在はほとんどゼロに近くなっております。政府のことしの見通しは四・一%でございますが、最近の現状から考えますと相当下がるのではないか、こういう感じすらいま持っておるのでございます。また、昨年は四月一日から、石油の異常な高騰に基づきまして電力ガス料金が大幅に値上げをいたしました。このために消費者物価を一・一%押し上げておりますが、今回はそういうことがありませんで、公共料金影響は昨年ほどではない、こう思っております。石油事情も最近は安定の右向に行っております。そういうことで、五十六年度につきましては五・五%という政府見通じは十分達成できると考えております。
  63. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 昨年の物価見通しが誤ったことの理由として電気、ガス料金の大幅引き上げやその余波、そしてまた異常気象による野菜の高値、こういうものが指摘され、またいま長官が御答弁になりましたもろもろの要因があったわけでありますけれども、その中でストレートに家計に響いてくる、また物価に対する意識を直接刺激するもの、これはやはり台所に直結したたとえば生鮮食料品、野菜等の問題ではないだろうか、こう思うわけでありますが、この物価に対する野菜等の寄与度といいますか、それをどのように考えられ、そしてまたことしの見通しをどのように考えておられますでしょうか。
  64. 廣江運弘

    廣江政府委員 政府が経済見通しを立てる、物価見通しを立てますときに、個別的なものを積み上げていってこれこれになるというような方法は、年という長い期間をとりますとなかなかむずかしいわけでございまして、この辺はある程度マクロ的な見方をせざるを得ないわけでございますので、そういう前提でお答えをさせていただきます。  お尋ねの野菜でございますが、野菜はCPIの中のシェアは三%程度で、それほど大きくないわけでございますが、経験則に徴しましてもわかりますとおりかなりの上下変動をいたします。特に昨年度五十五年度の場合は非常に気象条件の変化を受けまして、夏は何十年ぶりという冷夏でございまして、八月から九月にかけて野菜の価格かなり高騰している。これは比較をいたしましただけでも三〇%の動きをしているわけでございます。また年明け以降でございますが、寒波、特に異常乾燥の影響が強うございまして、これが響いて一月以降の野菜価格かなり高騰しておって、昨年の年明け以降が非常に高騰したことはまだ記憶に新しいところでございますが、それに迫るような高騰をしたわけでございまして、私どもはそこまでは考えていなかったというのが原因でございます。  そこで、数字で示せというお尋ねでございます。そういう事情もいろいろございまして、数字で示すときにはどこに基準をとるのかといったような点がございましてなかなかむずかしいわけでございますが、お尋ねにお答えする意味で五十五年度の、わかっておりますまでの、二月までの資料で申し上げますと、野菜は四月から二月までの実績で言いますと、総合で七・九%上がっておりますが、そのうちの寄与度は〇・一%弱というくらいの数字になろうと思います。先ほど申し上げました冷夏であるとかことしの正月以降の異常寒波、異常乾燥という点からこの数字を見ると多少少ないのではないかというお感じもあろうかと思いますが、これは先ほど申し上げたように五十四年度というのが非常に異常な高騰を示した年でございまして、これを数字で申し上げますと寄与度で〇・七%ほど野菜だけで押し上げておりますので、例年が、その前の年が〇・一五くらいでございますので、かなり高く押し上げたということがあると思います。その上に先ほど申し上げたような押し上げとなっているという点をお含み願いたいと思うわけでございます。  これを裏づける意味から、もう少し別の観点から申し上げますと、CPIの指数と野菜の指数は直接の関連はございませんし、上になったり下になったりということもございますので、これもその程度の御認識でいただかないといけないと思いますけれども、ことしの場合、二月までの総合指数は一三九・一ということになろうかと思いますが、野菜は一四七・四でございますので、六%ほど高くなっているという点で五十五年度物価に及ぼした野菜の影響というものを御推量願いたいと思うわけでございます。  さて、それでは五十六年度はどうかということでございますが、先ほど最初にお答えいたしましたように、五十六年度も個別的にごうごうという見方はいたしておりませんけれども、まず通常の変動に対しては対処できるようなことを想定いたしまして五・五%というものができ上がっているとお考えいただきたいと思います。その上に立ちまして私どもは、今年それから昨年の、特に秋冬野菜の高騰等の経験を十分にかみしめまして、五十六年度においては遺漏のないような十分な心構えで対策も打っていかなければいけないというふうに考えております。
  65. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 政府機関等が出しました物価等に対します資料、そういうものを読んでおりますと、「五十三年度の野菜生産量は、天候不順の影響等により夏秋ものを中心に平均単位当たり収量が前年度を下回りましたが、」という説明が出てくるのです。すぐ下に「また、五十四年度は秋冬野菜が異例ともいえる台風や長雨等の被害により大幅な減産となりましたが、」と出てくるのです。そして、五十五年は冷夏等の理由がまた挙げられてくるわけです。毎年、何かこういう形で理由づけがなされていくわけです。天候というものは必ずしも私どもの願うようにはいかぬわけでありまして、野菜が確かに天候に影響を受けることだけは間違いありませんけれども、しかしながら、それにしてもそれが毎年同じようなことで理由づけられているということに、私はどうも安易な姿勢というものを見るような気がしてならないわけであります。そういう意味で、生産の方法、手段等についてもいろいろ進歩、充実をしているわけでありますから、経験に照らし合わせながら、より一層こういうことに対応策を講じていただきたい。流通の問題等も絡み合わせて、そのような対策が十分にできるのではないかというふうな感じがするわけでありますけれども、端的にいかがお考えでしょうか。
  66. 廣江運弘

    廣江政府委員 野菜は、価格をグラフ等で見ましても物すごい動きをいたすわけでございます。CPIのシェアは先ほども申し上げましたように小さいわけでございますが、動きが、ほかのものとは比べものにならないような動きをするために、暴れるといいますか、物価に及ぼす影響かなり大きくなって出てくるわけでございます。五十三年は比較的落ちついて動いたわけでございますけれども、五十四年は秋の台風の影響を受けまして、それが、年を越して五十五年の一月以降物すごい高騰をしたわけでございます。五十五年の場合には、先ほどお答えをしたような次第でありたわけでございますが、この問題については、そういう理由もさることながら、やはり結果として出てきたものが国民生活に大きな影響を及ぼすという点は御指摘のとおりでございまして、十分な対策をとらなければいけないということでございます。  そこで、この三月十七日に出しました経済対策におきましても一つの特色といいますか、特徴といたしまして野菜対策を十分にやらないといけないということを認識いたしまして、物価対策の三項になりますか、生活関連物資について特に配慮するという一項を起こしておりまして、その中では野菜等については、これは具体的にこれからその時期になりまして十分検討していかなければいけないわけでございますけれども、「十分な作付を指導するなど、供給の確保に努める」と、供給面が非常に重要であるということをうたっておるわけでございまして、その辺を認識してやらなければいけない、こう考えております。
  67. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 一つは、そのときの天候等によって生産高の度合いというものがある。ところがそれだけで影響がとどまればあれほどの乱高下はしないのではないか。むしろ、それに伴って流通機構の実態、市場システム、そういうものがそれに輪をかけて、いわゆる掛け合わされて、そして消費者のところへ来るときには大変な値動きがあるということではないだろうか。そういう意味で、でき得る限り消費者に与える影響を最小限度に食いとめるためにも、やはり安定的な供給、流通の改善、市場システムの改革というようなことが、より一層真剣に取り組まれなければならないのではないだろうか、このように思うわけであります。  そこで、話を進めていきたいど思いますが、先般、近畿管区行政監察局が三月二千八日ですかにまとめられております「野菜の安定的供給に関する実態調査結果」、これは去年、五十五年七月から十一月まで五カ月がかりでいろいろ調査をされたようでございますけれども、これも私は非常におもしろいといいますか、大変時宜を得た調査であり提案ではないだろうかというふうに評価をさせていただいて、興味深く読ませていただいたわけでありますが、まず行管の方から、この概要について御説明をいただきたいと思います。
  68. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 私どもの近畿管区行政監察局と滋賀行政監察局が昨年七月から十一月にかけまして京阪神地域を中心として野菜の実態調査をいたしたわけでございます。  その結果、第一は、地方卸売市場を通じて供給される地場野菜は中央卸売市場経由の野菜に比べて流通経費が節減されるという、生産者にとっても消費者にとっても利点があるということがわかりました。したがって、中央卸売市場を中心とする広域流通体系の整備とあわせて地域流通体系の整備についても御考慮いただきたいというのが第一点でございます。  第二は、いわゆる産直とかそういうものがございます。野菜の産地直結販売を私ども調査をいたしました結果では、鮮度あるいは価格の点で、卸売市場を経由するものよりもすぐれた利点が見られました。したがって、こういう制度、販売方式についても今後推進していく必要があるのではなかろうか、これが第二でございます。  第三は野菜の価格、これは消費者の購買態度というのもいろいろ関係するでしょう。したがって、賢い消費者というものに対する教育というものも今後一層推進する必要があるのではなかろうか。  この三点について、私どもの方が調査結果をまとめ、近畿農政局の方に通知いたしております。  以上でございます。
  69. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 この調査、提唱に対して、農水省はどのようにお受けとめになっておるでしょうか。
  70. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 野菜の追跡調査というのは大変手間暇がかかりますし、なかなかむずかしい調査でございますけれども、近畿行政監察局がこういう御調査をされたということに対しては非常に大きな敬意を払いたいと思いますし、まあ調査の方法等についてはいろいろ議論もないわけではございませんが、私たちとしては、その出されました結果は、いわば野菜問題の原点といいますか、そういうものを再確認されたというような受けとめ方をいたしておりまして、野菜のようなバルキーなものでございますから、できるだけ輸送費をかけないで、近いところで生産して供給するのが一番望ましいことは申すまでもないことで、これは全く野菜問題の常識であるというふうに考えております。  しかし、残念ながら、われわれが担当しております野菜行政というのは、その原則だけでは済まされなくなっているところにむしろ問題があるのではなかろうかと思うわけであります。一つは、高度成長の過程で都市近郊の野菜産地がほとんどつぶれているということが四十年代前半の野菜価格高騰の原因になりました。もう一つの問題は、野菜の周年供給が必要になってきているということでございます。たとえばキャベツで申し上げますと、初夏と秋は平場でしたらどこでもキャベツができます。しかし冬のキャベツはやはり温暖なところから届けなければなりません。夏のキャベツは高冷なところで生産をして届けなければなりません。年間を通じてどういうふうに切れ目なく野菜を供給するかということが野菜供給の最大の問題点であると思っております。そういう意味で、指定産地を指定し、指定消費地域と指定産地とをつなげて、年間切れ目なく野菜を供給していく。そこで先ほど先生の御指摘がございましたように、天候が異変が起きますと、次につながる産地の生育がおくれる。前の産地のできが悪い、そうするとそこに空白ができてくるというところに現在の野菜価格が高騰する原因があるのだろうというふうに思います。したがいまして、地場野菜の重要性というものは全く論をまたないところでありまして、地場野菜産地の育成ということは非常に大切でありますけれども、同時にわれわれとしては中間地帯とか遠隔地帯にも地域に応じた産地を育成をして、年間切れ目なく供給していくことが必要だという点についての御理解を賜りたいと思いますし、言ってみれば行管の御指摘はごもっともでありますけれども、それでは野菜問題の解決にはならないのではないかという感じを持っております。
  71. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 行管の指摘は、この地場野菜の育成それから地方卸売市場の育成といいますか、そういうものが一つのポイントになっているわけです。確かに今日までのこれらの問題に対する行政というのは、非常に進歩していることだけは事実だと思うのです。たとえば野菜指定産地制度等の政策によって生まれたのは、産地の大型化であり専門化が進んだということでありましょうし、中央卸売市場の整備が優先的かつ計画的に進められた結果、その集散機能というのは飛躍的に高まったということは言えると思うのです。  しかしながら、そういう状況の中で、今度はまたそれはそれとして問題点が生まれてくる。何か一つの仕事をやりますと、それはそれまでの事態に比べれば進歩ではあるけれども、その仕事の中で問題点も新たにまた経験する中でできていく、それを直していくという試行錯誤が、ある意味ではこれは行政の一つの宿命でもあり、またそれは仕事でもあろうと思うわけであります。たまたまそういう問題点を見ておりますと、大都市の中央卸売市場の拠点化が進行することによって大都市圏への野菜が過剰集中してくる、そしてまたそのために転送もしなければならぬ。転送することが一概に悪いとは言いませんけれども、しかしそれはそれの中に問題もまた包含をしている、こういうことではないかと思います。それをわれわれとしては、そのまま冷静に受けとめていく必要があるということだと思うのであります。  たとえば、首都圏全体の野菜の需要量というのは二百九十九万トン、しかし市場供給量は三百六十七万トン。ところが、こちらの方は供給過剰になっておりますけれども、一方神奈川県とか埼玉県ですと十四万トンないし十八万トンの供給不足が生じている。こういうふうに、地域ごとの需要に対する供給の過不足というものが出てきているわけであります。そしてその中に実はいろいろなそごや、そしてまたいろいろな業者の介入する余地やそういうものが出てきて、そしてそれがまた悪く言えば高くて新鮮度の低い野菜を地方の消費者が食べさせられる、こういうような事態も生まれてきていると思うわけであります。こういうことについてどのようにお考えでございましょうか。
  72. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 確かに先生お話ございましたように、地方卸売市場というのは今度の行管の調査では非常に着目をされておられるわけでありまして、われわれといたしましても全体の流通の拠点になります中央卸売市場と、比較的人口の小さい都市におきましては地方卸売市場を配置しながら、両者の連携によって野菜を安定的に供給していくという方向で考えているわけでございます。  ただ、先ほども先生の御指摘にもございましたように、中央卸売市場というのはある程度信用力もございますので、大型産地との結びつきもかなり強くて荷引き力はある。しかしどちらかというと地場野菜を集める力が弱い。逆に、地方市場は昔からのつながりもございますので、地場野菜を引く力は強いけれども全国的に流通している大型産地からの荷物を集める力が相対的に弱いというような傾向がございます。しかしながら現在の消費者のニーズというのは、非常にいろんな野菜を同時に消費をしたいという御希望をお持ちでございますので、中央卸売市場も遠距離のものと地場のものをうまくセットして供給し、地方卸売市場もうまくセットして供給する、そういう形に産地と市場との間をつないでいく必要があるだろうというふうに思っております。  その場合、先ほど御指摘ございました地方市場は大型産地からの荷引き力が弱いという意味で、中央卸売市場からの転送に依存するということも間々見られるわけでございますけれども、一面では、小さな市場に大きな荷物を一遍に持っていくよりも、中央卸売市場がいわば一種の集配センター的機能を果たして小口化して地方市場に送るという面では、一面では合理的な面も持っているというふうに思いますが、やはり効率、コストというような点を考えますと、地方卸売市場にもそういう荷物が集まるようにしていくことが非常に大事だというふうに思っておりますので、われわれといたしましても地方卸売市場の施設の整備強化、あるいはそこに働いておられます会社の経営力の強化等を通じまして、あるいはまた産地の出荷体制の指導も行いまして、地方卸売市場にもそういう荷物が十分集まるように、現在も行っておりますし、今後とも一層努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  73. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それじゃ農水省としては、地方卸売市場の価格調査なり実態調査等を実施されておられますか。
  74. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 御承知のように、中央卸売市場は農林水産省が監督指導いたしておりますが、地方卸売市場は都道府県が監督指導いたしております。そういう意味で、調査等はまず第一義的には都道府県等で行っておられるわけでございますが、農林水産省といたしましても生鮮食料品流通情報サービス事業ということで、日々の入荷量、価格等をコンピューターシステムを通じて産地あるいは消費地等に流しておりますが、そういう情報として現在七十七市場の情報を流しておりまして、そのうち十六市場は地方卸売市場の価格、入荷量等を流しているところでございます。  ただ、恐らく先生の御指摘は、今度の行管の調査をおやりになりましたように、地方卸売市場について産地から小売に渡るまでの追跡調査をやったことがあるかという御指摘かと思います。中央卸売市場につきましては毎年行っておりますが、地方卸売市場については現在のところ行っておりません。これはやはり直接の監督指導が都道府県であり、都道府県条例によっていろいろな実態の把握等に努めておられるという状況もありますので、われわれとしては一応中央卸売市場の追跡調査にとどまっているということでございます。
  75. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 中央卸売市場と地方卸売市場のそれぞれの役割り分担ですとか、またはいまこうして話題にいたしております地方卸売市場の充実、そういうふうなことを考えますと、やはり都道府県と協力をしてその調査等も集中的に行って総合的な対策というものを講じていく必要があるのではないか、その対策を講ずるためにもその調査はどうしても必要ではないかというふうに思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  76. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 追跡調査というのは、これは非常に技術的なことを申して恐縮でございますが、なかなか大変な調査でございます。非常に時間もかかりますし、調査の方法自体にもいろいろ問題があろうと思います。たとえば今度の行管の御調査ですと、地場野菜は出荷経費はないものだというふうな前提で御調査されておるわけでございますが、あるいはそういう方法がいいのかどうか等もございます。中央卸売市場ですと、かなり取引の形態もはっきりわかっておりますので調査もやりよい面もあるわけでございますけれども、せっかくの御指摘でもございますので、都道府県等とも相談をしながら検討を進めてまいりたいというふうに思います。
  77. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 行管の調査で、たまたま出荷経費等のことについてゼロというされ方をしているということですが、これは行管の方としては、ゼロではなくて、きわめて少ないので省いた、こういうふうにこの調査では書かれているわけですが、この地方卸売市場について、その実態と今後の充実のさせ方ですか、あり方、そういうものについて、もう少し詳しく行管の方からお答えいただけませんか。
  78. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 私ども調査をいたしましたのは、それぞれのパターンに応じまして、地方卸売市場について調査をいたしました。ちょうど八月でございまして、私ども調査をいたしましたものは、個人出荷が大部分であるということ、それから荷姿の制限がないこともございまして、選別の手間とか包装代が要らないということで、一応非常に経費が少ないということで考えておったわけでございます。  今後、地方卸売市場については、農林水産省が従来中央卸売市場について十分行政をやっておられたと同じように、それとあわせまして地方卸売市場についても御検討いただくというのが今回の調査の趣旨でございます。
  79. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 農水省はいかがですか。
  80. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 八月という時点でございますと、たとえばキュウリとかトマト等はどこでもできる時期でございます。どこででも野菜ができるときの野菜というのは、比較的問題は少のうございまして、先ほど物価局長の御答弁もございましたように、ことしの秋冬季の野菜というのが一番大きな問題を起こすわけでございます、これはやはり、植物が生育しにくい時期に消費者の野菜に対する需要が非常に高まるということで、われわれとしては秋冬季が一番心配になっておるわけでございます。  ちょっと答弁があれしましたけれども、地方卸売市場につきましては、われわれといたしましては、大都市ではできるだけ中央卸売市場を全国的に配置し、中小の都市は地方卸売市場を配置しながら、全体としての流通のネットワークをつくっていきたいということでございまして、地方卸売市場につきましても、市場整備の補助金等も出しておりますし、また地方卸売市場の施設に対する低利の融資等も行っているわけでございます。同時にまた、野菜価格価格安定事業というのを行っておりますけれども、指定消費地域の中にございます、ある程度の規模になりました地方卸売市場への野菜の出荷も価格安定対策の対象にいたしておりまして、そういうことで中央卸売市場と地方卸売市場をうまくくるめた流通のネットを、それぞれの県と御相談しながら、市場整備計画等もつくっておりますので、県と御相談しながら野菜流通のネットをつくっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  81. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それぞれ時期的な把握の仕方、それから表現の内容、受けとめ方によって、行管の調査と農水省の受けとめ方というのは違いがあるだろうと思います。それはそれとして理解はしたいと思いますが、いずれにいたしましても、それぞれに何らかの形で関与する役所が力を合わせて、知恵を出し合って、それに前向きに対処していくという姿勢がまず基本的に望まれるであろうと思うわけであります。  そういう意味で、地方卸売市場のあり方やその役割りについての評価は、それぞれの違いがあるかもしれませんけれども、少なくともその地方卸売市場の活用の仕方について、まだまだ工夫の余地があるということだけは、農水省の方もお認めになっておられると思いますが、それでよろしいでしょうか。
  82. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 私が先ほどから御答弁申し上げておりますことは、多少説明が不十分かと思いますが、私たち、地方卸売市場の重要性というのは非常に重視をいたしておるわけでございます。ただ、先ほどから御答弁申し上げておりますのは、あくまで行政監察局の調査という前提に立ちまして、野菜行政全体として見ますと、非常に部分的な、全体の流れの中で地方市場を位置づけるということではなくて、たまたま地方市場は安かったとか経費が少なかったということでは野菜問題は片づかないという気持ちを申し上げておるだけでございまして、地方卸売市場の重要性は十分認識しております。地方卸売市場と中央卸売市場の連携を強化しながら、全体として年間を通ずる野菜の安定供給を図ってまいりたいと考えております。
  83. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私もここへたまたま行管の方と農水省の方と、両方をお呼びして御質問しているのですが、別に行司役をやるわけでもないし、立場として大変微妙でございますけれども、こういう調査というのは、こういう時期に、こういう前提条件のもとでやって、その結果こういうものが見かけられた、この部分について工夫の余地はないかというのが、調査の一つのねらいではなかろうかというふうに私感じるわけであります。これは何か行管の言いわけめいたことになりますが、行管としてのねらいをもう一度きちっと明確におっしゃっていただきたいと思います。
  84. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 いま先生が言われましたとおりでございまして、私どもも野菜関係につきまして、中央卸売市場が持っている機能、非常に大事だと思っております。ただ、中央卸売市場だけに目を注ぐのではなくて、地方卸売市場というものもございまして、われわれの調査結果では生産者にも消費者にも有利になっている。この辺については今後も目を向けて行政をやっていただきたい、そういう趣旨でございます。
  85. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 実は先ほど農水省の方で、地方卸売市場については都道府県の方が所管しているのでということのお話がありました。それで地方の自治体の方に、これを充実させるためにはどうしたらいいですかと聞いてみたわけですよ。これはきのうも申し上げておきましたが、この国に対する要望事項として地方自治体がもし挙げるとしたらどういうことがあるか。農水省の方も、この充実にはやはり注目をして進めていかなければいけない、こういうお答えでありますから、この国に対する地方からの要望事項について申し上げて、お聞きをしたいと思うのです。  一つは、地方卸売市場施設整備費補助金の確保と補助率の改善。二番目が、卸売市場近代化資金の利率の引き下げ等融資制度の改善。三番目が、公設地方卸売市場の運営費に対する助成措置の制度化。四が、地方卸売市場に対する固定資産税、都市計画税及び不動産取得税の課税の特別措置。そして五番目に、中小規模市場の整備に伴う卸売業者の合併等に対する独禁法運用緩和について。この五番目を除きますと、全部これは、今日の財政再建途上にある国家財政から考えると、きわめて苦しい内容の要望ばかりかもしれません。しかし、地方も同じように厳しい状態の中で消費者の問題を考えますときに、私は、これらのことは決して財政事情を理由にしてほっておけるものでもないだろうと思います。  あわせて、昨年、与野党話し合いによって五百億の物価対策費等も組まれたわけでありますけれども、むしろその五百億の使い道について、みんな、困った困ったと言っているような、きわめてこっけいな状態が一時期あったようにも思います。そういうことも考え合わせまして、この地方卸売市場の充実について、地方の要望に対するお答えも含めて、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  86. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 第一点の、地方卸売市場施設整備費補助金につきましては、五十六年度予算で二十二億五千万円を計上いたしておりまして、地方の御要望にはかなりおこたえできるのではなかろうかというふうに考えております。  第二点の、卸売市場に関する近代化資金の枠でございますが、五十六年度は九十億円の枠を用意いたしております。利率の引き下げでございますが、最近の諸金利の低下等も勘案いたしまして、近く引き下げることができるかどうかという点で目下検討を進めているところでございます。  第三点の運営費に対する助成というのは、先ほど先生の御指摘にもございましたように、財政事情の折、あるいは都道府県等が開設しておられます地方卸売市場に対して運営費を助成するということは事柄の性格上なかなかむずかしいことではなかろうか、むしろ合理化等によって市場運営の健全化を図っていただくことが必要なのではなかろうかというふうに考えております。  第四点目の税の問題でございますが、五十六年度から税制改正の措置を講じたわけでございますが、その内容は政府の補助を受けて設置しました卸売市場施設、この中には卸売場、仲卸売場、あるいは保管場所、倉庫、冷蔵庫等もございますが、それらの償却資産につきまして固定資産税、都市計画税の課税標準を今後五年間三分の二にいたすということに五十六年度からいたし、地方からの御要望にできるだけ沿うように努力をしているところでございます。
  87. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 その御努力の方向に沿って、なお一層それが充実されることを強く要望をしておきたいと思います。  あわせまして、少なくとも地方卸売市場の充実についてなお一層御努力をされるということでありますが、もう一つ、地場野菜の振興の問題ですが、先ほど御答弁の中で都市近郊の産地が少なくなってきたというふうなことのお話もあったわけでありますけれども、しかし人間の生活にとっていわゆる都市形態や人口の分布というのは変わっておりますので、昔ながらの概念では考えられないと思いますが、やはりその地方はその地方に合ったものをつくるわけですし、そしてその地方はそめ地方でそこでできるものを消費しながら生活をしていくという消費者の生活実態というものは経験法則的に生まれてきているとも思うわけです。すべてそれによって縛ることはできませんけれども、やはり産地と消費地が近いということや運送経費、またその他行管が指摘しておられますもろもろの内容から考えますと、地方卸売市場を拠点としてより一層地場野菜の振興が充実をされていくということでなければならぬわけでありますけれども、このことについてはどのように具体的に対応を講じようとされておられますでしょうか。
  88. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 先ほど高度成長の過程で都市近郊の産地がかなりつぶれていったというふうに申し上げましたけれども、だんだん経済の成長も鈍ってまいりまして、最近では都市周辺での野菜生産意欲というのは、昔ほどではございませんけれども、若干取り戻しつつあるというふうな認識を持っておりまして、そういう観点から、われわれといたしましては、地場野菜生産を行っていただく地場野菜生産団地の育成事業とか都市近郊の産地を整備していくという事業も行っておりまして、生産管理施設とか集出荷施設等を導入する事業を進めて、できるだけ都市近郊あるいは地場野菜の生産の育成を図っていきたいというふうに考えて、それをそういう方向で進めているところでございます。  また、地場野菜の価格め安定につきましても、例を挙げさせていただきますと、たとえばコマツナだとかシュンギクとか、先ほど先生の御指摘になりました生活の近くでできる野菜等につきましても、特定野菜というようなことで二十五品目ぐらいを指定いたしておりますが、都道府県の価格安定法人が価格補てんを行って生産の安定を図っていただくというようなことのための助成措置も講じているところでございます。  そういうふうに生産対策価格安定対策を講じることによってできるだけ地場野菜が回復し、都市近郊産地が発展をしていくということを願いながら、それらの対策を今後とも進めていく所存でございます。
  89. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 これにつきましても地方自治体の要望というのがございまして、もう時間の都合で読み上げますが、一番目に、野菜価格安定事業の採択条件の緩和、二番目に野菜価格安定事業の対象地域、指定消費地域の拡大、三番目に野菜価格安定事業の対象品目、対象数量の拡大、四番目に野菜価格安定事業の国庫補助率の引き上げ、こういうことが実は要望として出されているわけでありますが、自治体としても、このように要望が上がってくるということは、それだけにこの単独の価格安定制度を含めまして大変力を入れているという証左でもあろうと思うのでありますが、これらについてどのようにお考えでございましょうか。
  90. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 国の野菜価格安定事業につきましては、昭和四十年ころから徐々に拡充をいたしまして、現在では相当大きな規模の価格補てん事業を行えるようになってきておりますし、指定消費地域につきましてもすでに百三十七都市を指定消費地域として指定をいたしております。それらを通じて、指定消費地域に指定産地から出荷される野菜につきましては価格補てんの対象にいたしておるわけでございまして、都道府県の御要望は財政事情等いろいろむずかしい問題がございますけれども、できるだけ御要望の方向に沿って今後とも施策を充実してまいりたいというふうに思っておりますが、先ほど先生お読み上げになりました要望の中で、国庫補助率を引き上げるというようなことについてはなかなかむずかしい問題があろうと思いますが、各県も野菜価格安定については大変御熱心でございますので、各都道府県とも十分御相談しながら施策の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  91. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 意地悪く深追いしようとは思わないのですが、この地場野菜のことについて都道府県と相談しながらということでございますけれども、この問題は具体的に新鮮でかつ安いものを系統立って大量に、そしていつもというわけにはいかないけれども、しかし時期が来れば地場野菜で思い切り野菜の消費もできるという消費者サイドから考えても、その推進というのはもっと具体的にお答えいただけるような内容のものが進められていなければうそじゃないかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
  92. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 先ほど都道府県と御相談してと申し上げましたのは、先ほど先生がお読み上げになりました野菜価格安定事業につきましては、一般野菜については国が七〇%、それから重要野菜というのがございますが、これについては七五%を国が助成をし、同時に一五%及び一二・五%は県の義務負担になっておるわけでございますので、地方自治体の御要望で数量をふやしたり対象品目をふやすということは、県の義務負担があるという意味で、地場野菜を振興するように県と相談をしてと御答弁申し上げたわけでございますので、私の説明不足でございましたので、申し添えさせていただきます。
  93. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 もうそろそろ時間が迫ってまいりましたが、もう一つ、次に、転送の問題の実態については、また機会があればぜひ近いうちに具体的に詰めてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、行管の御指摘の中で、たとえばさっきの出荷経費の問題なんですが、たとえば中央卸売市場への出荷経費ということになりますと、包装や輸送費等が高くつく、産品のイメージアップのためには多色刷りの段ボール箱を使っているというふうなこと等の指摘もあるわけであります。それから、卸売手数料の問題も指摘をされておるわけであります。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 これらのこと一つ一つにもある意味では消費者にも負担がかかってまいりますが、同時に生産者の手取り率を低くすることにもつながっているわけであります。  これらのことについてもっと国の指導、それから競り売りの場合には、卸売人がそれを担当させているというか、そういう慣習といいますか、になっているわけなんですけれども、しかしもう少し公平を期するという意味から、公的機関がそういうものにもつと力を注いでいくといいますか、関与していくといいますか、そういうことが必要なのではないか。この野菜に関しては値段の乱高下が非常に激しいというけれども、こういう市場経済主義というのは私どもの党もそれを堅持していかなければいけないという立場をとっているのですけれども、しかしそういう原則の中ででき得る限りもっと安定的に、何か投機的な、また競り売りのそのときの物によってより一層値段が乱高下をしていくというふうなこと、そういうことを避けるための工夫というのは、その中で正しい市場経済を維持していくためにも必要じゃないか、こういうふうに思うのでありますが、その二点についてお伺いしたいと思います。
  94. 戸田博愛

    ○戸田政府委員 多色刷り段ボールの問題が指摘がございました。確かに野菜の各産地は非常に激しい産地間競争を行っていることは御指摘のとおりでございます。  ただ、段ボールというのは三色刷りまでは一度で印刷ができるわけでございまして、三色刷りにしましても、段ボール経費全体の二%程度、二円程度のコストでございます。そういう意味で、現在の野菜の段ボールはほとんどが三色刷りになっておるというふうに思っておりますし、それがそれほど経費を加算させておるというふうには判断しておりませんけれども、今後より一層過剰包装ということになっていくということでは困りますので、現在農業団体とも連携をいたしまして、包装資材適正規格推進運動というのを農業団体が進めておられますので、それらとタイアップしながら過剰包装の是正というようなものを図っていきたいというふうに思っております。  また、価格形成で競り売りの御指摘がございましたけれども、現在の中央卸売市場は公平、公正という、差別をせず競りを原則とするということになっております。そういう意味で公開の場でだれでも競りに参加できて価格を決めていくという点では公正さという点はかなり確保されているというふうに思っておりますが、安定という点については御指摘のような事実があるよいうことは否定できないというふうに思っております。  また、公的機関で競りをしてはどうかという御指摘でございますが、価格形成というのは、やはり民間の商行為によって価格が形成されることが大原則であろうというふうに思いますので、われわれといたしましては、競り人について研修その他を通じて競り人の資質の向上を図ることによってできるだけ価格の安定が図られるようにいまも行っておりますが、今後ともそういう方向で努力してまいりたいと考えております。
  95. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 もう時間が参りましたから終わりますが、きょうは行管と農水省を中心にお尋ねをしたわけでありますけれども経企庁としてもこれらの実態についてより一層具体的なメスを入れながら、先般出されました物価対策、その中身を実効あるものにしていただき、そしてより物価の安定を進めていただきたい、こう思うわけでございます。  最後に大臣にそのことを御要望申し上げ、御答弁をお願いして質問を終わりたいと思います。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 河本敏夫

    河本国務大臣 野菜は国民生活と物価に非常に大きな影響がございますが、いまその問題を掘り下げていろいろ議論をしていただきまして、私どもといたしましても感謝をいたしております。御趣旨を受けましてしっかり野菜対策を進めていきたいと思います。
  97. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ありがとうございました。
  98. 井上泉

  99. 岩佐恵美

    岩佐委員 通産省にお尋ねをしたいと思いますが、ことしの三月に「行政指導についての考え方」というものを出しておられますけれども、これは何日に出し、そしてそれはどういう扱いにされたのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  100. 神谷和男

    ○神谷政府委員 三月十七日だったかと思いますが、「行政指導についての考え方」というものを取りまとめましてプレス等にも御説明をいたしましたが、基本的にはこれは公正取引委員会におきまして独禁法と行政指導との考え方についてというものを取りまとめられることになっておりましたが、行政指導につきましては私どももその重要性あるいは有用性を非常に重視いたしておるわけでございます。国会の委員会等におきましても、指導いたしますというような答弁をしない日がないくらい、私ども生き物の経済を扱っております官庁といたしましては行政指導の有用性というふのを重視しておりますので、本件に関連いたしましては公正取引委員会の事務局と私どもの事務局と意見交換を常時行っておりますが、この考え方を取りまとめられるに当たりましても意見の交換を行ってまいったところでございます。基本的な大きな考え方で両者の見解の差はないと私ども了解いたしております。もちろん立っておる場所が違いますと、一つの物を見ましても、陰影が若干違って見えるというところはやむを得ないと思いますが、基本的なところは異なっておらぬと思います。  ただ、私どもの第一線で毎日行政指導をやりながら行政を行っておる者に関しましては、公取の方で取りまとめられました見解に関して、通産省言葉で、あるいは私どもの川岸に立っておる者の目から見て、やはり省内の関係者に十分よくその本質を説明し、一層の統一を図る必要があろうか、このように考えて取りまとめたものでございます。本来的には省内の思想統一という考え方の文書でございますけれども、たまたまプレスの方からも、公取の記者発表に関連いたしまして通産省考え方も説明してくれ、こういうことでございましたので、同一の文書をもって説明をいたした、こういう次第でございますし、またそういう趣旨の文書でございます。
  101. 岩佐恵美

    岩佐委員 そうしますと、私はこの文書を読んで感じましたのは、これはもう公取の見解に対する通産省の反論であり、そしてまた業界に対する通産省の決意なのではないか、こういうふうに思ったわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
  102. 神谷和男

    ○神谷政府委員 先ほど申し上げましたように、公正取引委員会の事務局あるいは役所同士といたしましても常時意見交換を行っております。したがいまして、公取の見解に関して通産省が反論をせにやならぬような事態になるのは余り好ましくないと思っておりますが、先ほど御説明いたしましたような考え方の本質そのものに関してはうちが反論するような性格のものではないと考えております。しかし行政指導は、先ほど申し上げましたように、きわめて有用かつ重要であるにもかかわらず、非常に世上の関心の的になっておりまして、いろいろな取り上げられ方をいたしておりますので、私どもといたしましては、私どもの役所の関係者に物の本質をより正確に理解していただくため、あるいはもちろんそれとの関連において業界の方でも御同様の理解をしていただけば結構だと思っておりますが、そういう趣旨で言ったものでございます。したがいまして、ある意味では、反論というようなものを書かねばならぬほど意見の食い違いがないということに関しては喜ばしく思っておるところでございます。
  103. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、公正取引委員会の行政指導についての考え方を見ても、行政指導が悪いんだということで別にきめつけているわけではなくて、それを細かく分析してみると、好ましくない行政指導もあるんだ、それは日本の経済の発展にとって、あるいは国民生活の安定にとって好ましくない、そういうことから一定の考え方を出していると理解をしているわけですけれども、この両者の考え方を見ていきますと、基本は、行政指導についての考え方は、それが好ましくないから全部やめろというふうには両方ともなっていないわけで、そこのところは違いはないわけですけれども、細部にわたってみると非常に違いがあるし、それは基本的な問題にも通ずるというふうな気がするわけです。  それで、公正取引委員会に伺いたいわけですが、通産省は、公取の見解では独禁法の運用あるいは行政指導に新たに変更を加えようとするものではない、従来どおり、業者間の独禁法違反を招かないように注意してほしい、という内容のものであって、したがって、実態面での変更が特にあるとは考えていない、公取の見解についてこういう意見を言っているわけです。もしそういうことであるならば、わざわざ公取が見解を出す必要はなくなってくると私は思うわけですけれども、この点について公取の考え方を伺いたいと思います。
  104. 伊従寛

    伊従政府委員 私たちが「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」を明らかにしましたのは、昨年の九月に、東京高裁の生産調整についてのいわゆるカルテル判決の中で、独占禁止法と行政指導につきましてかなり立ち入った分析をしまして、その上に立って判決が出されているわけでございますが、それを参考にしまして、行政指導と独占禁止法との関係について、独占禁止法違反を誘発するおそれのある行政指導がどういうものであるかということを明らかにしたわけでございます。この点は従来はっきりした形では出しておりませんので、今回この考え方を出しましたことによって、行政指導につきましては当然関係官庁においてその点をさらによく検討されて指導されることを期待しているわけでございます。そういう点で考えまして、いま先生御指摘になった通産省の方の考え方がどこまでいっているのかということは承知いたしませんけれども通産省の方の行政指導のあり方も昭和三十年代と最近では変わっておりますし、その判決で問題になりました石油の生産調整の時期と現在とでは恐らく変わっておりますので、通産省の方では、現在どういうふうな行政指導をしているかということを踏まえまして、基本的な考え方については変わりはないと言われているのではないかと考えております。ただ私たちの方ではかなり詳細に行政指導と独禁法との関係につきまして判決の考え方に従って分析しておりますので、その点では新たに参考になる点があるのではないかと考えております。
  105. 岩佐恵美

    岩佐委員 一言で言えば、実態面で変更が特にないということではないということになるわけですね。
  106. 伊従寛

    伊従政府委員 言葉の表現の問題ですが、私は、実際に通産省の方でも今度の考え方を参考にして、いろいろ行政面で変化があるのではないかと考えております。
  107. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、通産省は、公取の見解の中で「各省庁設置法以外に具体的な法的根拠が定められていない行政指導により、事業者の自主的な事業活動が制限され、価格、数量等の市場条件に影響が及ぶ場合には」独禁法との関係において問題があると指摘されているのに、設置法によって行政指導ができるのだという一面的な強調をして、通産省と公取の見解に相違はないと言っているわけですけれども、私は、この部分もそういうことではないのじゃないか、非常に通産省のとらえ方が一面的だし、そして不十分だし、また大事な部分が欠落しているのではないか、そういうふうに思うわけですけれども、この点はいかがでしょうか、公取に伺います。
  108. 伊従寛

    伊従政府委員 いまの点につきましては、判決理由の第七の「違法性」という個所がございますが、この第七の違法性の有無、数項目ございまして、「通産省による石油需給調整と独占禁止法」という項目がございまして、その中のさらに小項目になりますが、「行政指導と独占禁止法」という項目がございます。いま御指摘になりました点はこの最初のパラグラフの後段で言われているわけでございますが、この「行政指導と独占禁止法」の項目全体を見ますと、ここでは問題となる行政指導を指摘しているわけでございまして、事業者団体に対するもの、それから個別業者に対するものということで独禁法上の問題点を指摘しておりますので、私たちは、やはりこれは一部ではなくて全体として解した場合、判決理由の「行政指導と独占禁止法」の項目のところで言っているのは、問題となる行政指導を指摘しているのだと考えておりますし、その点を公正取引委員会の方の考え方で明確にしたわけでございます。通産省には通産省の方のお立場があると思いますが、そこら辺の表現が適当であったかどうかにつきましては、これは私たちから見ますと全体の、要するに独禁法との関係の独禁法上の問題点が出ていないうらみがあるのではないかと思います。
  109. 岩佐恵美

    岩佐委員 それからもう一点、「個別事業者に対する行政指導については、石油カルテル判決においても、「個々の事業者に対し、個別に指導を行う限り、独占禁止法の禁止規定に形式的に違反する行為ではあり得ない」」、これも通産省が刑事判決を正確に受けとめていない、我田引水あるいは勝手な解釈をしているのではないかと思うわけですが、この点について公取のお考えを伺いたいと思います。
  110. 伊従寛

    伊従政府委員 いまの点につきましても、ただいまお答えしましたように、判決理由の3で述べております点は、全体として見ますと、問題となる行政指導を指摘しているのであって、これは判決の性格からそういうことになるかと思いますが、その中の一部といいますか、その最初の部分にこういう表現があるかちといって、そこだけを取り上げるということは、私たちの方から見ますと適切でないということでございますが、恐らく通産省の方としましては、これは通産省のお答えすることかもしれませんが、私たちの方の考え方で出ました点が極端にいかないようにという点から書かれたのではないかと思っております。
  111. 岩佐恵美

    岩佐委員 ことしの三月三十一日に山形地裁鶴岡支部の灯油裁判の判決では、昨年九月の刑事判決と同じで、通産省が関与しているカルテルについて、これは独禁法違反である、しかもそれによって損害をこうむった消費者がカルテル行為者に損害賠償請求ができるという判断をしています。これは、官民一体のカルテルの場合には、事業者のみならず国に対しても消費者が損害賠償請求ができる、そういう可能性が生じたことを示していると考えられるわけです。行政官庁の軽々しいといいますか、毎回言われているカルテルを誘発する行政指導行為、これに対する、昨年の刑事判決に続いて、今度の民事の共同不法行為におけるカルテル行為、それが業界あるいは通産がお手伝いをするというかっこうのカルテル行為というのは問題なんだというような判決というのは、私は非常に重大な警告だというふうに思いますけれども、これを通産省としてどう考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  112. 神谷和男

    ○神谷政府委員 灯油裁判につきましては、判決全文を入手いたしておりませんので、判決全文を入手いたしましてから、御指摘のような問題に関して私ども考え方を、要すれば明らかにしたいと思いますが、基本的に、私ども官庁と業界とで共謀してカルテル違反行為を行うというような事態はあり得ないし、考えられないものだというふうに考えております。私どもといたしましては、この通産省の見解にもございますように、行政指導の重要性、有用性というものを依然としてきわめて重視すると同時に、その与える影響その他の重要性にかんがみまして、その運用には、私どもといたしましては細心の注意を払いながら進めていきたいと思っておりますし、従来もそのようにやってきておるわけでございます。
  113. 岩佐恵美

    岩佐委員 最後に、公正取引委員会委員長に御意見を伺いたいというふうに思いますが、今回の民事の判決、これは判決全文が出てから十分検討していただきたいというふうに思いますけれども、公になりました要旨からも、いま私が述べましたようなことは明らかになっているわけです。そして、さらに昨年の刑事判決、こういうことから、私は事業者のカルテル行為を誘発する行政指導、これは独占禁止法の精神に反するということが社会的に明らかになったし、また同時に、国民に多大な影響、被害を与える、これも明確になったというふうに思います。そういう状態の中で、公正取引委員会が果たさなければならない役割りはますます重大になってきているというふうに思います。先ほどから通産省の独自の見解とも言えるその考え方、そしてそれが公正取引委員会の言っている趣旨と反する、見解が曲がったり、あるいは公正取引委員会の行動にブレーキをかけるような、そういうものであるような気がしますし、私はそういうことがあっては困るというふうに思います。そこで、公正取引委員会の決意というものをお聞かせをいただきたいと思います。
  114. 橋口收

    ○橋口政府委員 三月十六日に取りまとめをいたしました「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」というのは、多年の懸案に対しましての公的な見解を明らかにしたものでございまして、たとえ話で恐縮でございますけれども、青、赤、黄色という交通信号につきましては、幼児といえどもその趣旨をよく理解いたしていると思います。しかし経済行為になりますと、中には色弱と言ってよろしいんでしょうか、青、赤、黄色の識別のつかない方もおられるかもしれませんから、くどいようでありますが、そういうことを明らかにしたのが三月十六日の文書の性格でございます。したがいまして、私ども考え方あるいは行政活動につきましては従来と今日と変わりはございませんが、しかしいまおっしゃいましたように、昨年の九月の高裁判決または鶴岡判決の趣旨にかんがみまして、行政指導のあり方いかんによって事業者間にカルテルを誘発するような行為、つまり民をあみするような行為はしないように今後とも産業官庁に対して注意を喚起してまいりたいと思いますし、また産業官庁から御相談があれば誠意を持ってお答えをいたしたいと思いますし、また、そういうことがありましてもなおかつ事業者間にカルテルを誘発するような行為があれば、当然法の規定に従って事業者の行為を取り締まってまいりますし、また将来の問題としましてあるいは刑事事件に発展するような場合には、先ほど経済部長からお答えしましたような問題も発生してまいるということで、従来と今日と姿勢において大きく変わりはございませんが、いまの御指摘もございますから、ますますしっかり一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
  115. 岩佐恵美

    岩佐委員 これで考え方の質問は終わりますので、公正取引委員会は結構でございます。どうもありがとうございました。  次に通産省に伺いたいと思いますけれども石油製品、とりわけ灯油でございますけれども、小売店の仕入れ価格について実際に調査をしているかどうか伺いたいと思います。
  116. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私ども石油製品価格につきまして従来からいろいろ行政指導をやっております。具体的には、先生案内のように元売り仕切り価格引き上げの際に事前のチェックというようなこと、それから小売段階におきます小売価格の、これはモニターを使っての調査でございますけれども、そういったことをやっているわけでございます。ただ、先生ただいまお尋ねございました小売店の仕入れ価格につきましては、現在調査はやっておりません。
  117. 岩佐恵美

    岩佐委員 もし一般の消費者が小売店の個別あるいは平均の仕入れ価格を知りたいと思った場合、何か知り得る方法というのはあるんでしょうか。
  118. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私どもの所管法でございます石油業法に、石油精製業者あるいは石油輸入業者、石油販売業者からその事業に関して報告をさせることができるという規定はございます。ただ、この規定でございますけれども石油販売業者の範囲、これは非常に小さいところが対象外になっておりますし、それから業法上、これは二十一条でございますけれども石油業法の施行に必要な限度において報告を徴することができる、こういうことになっているわけでございまして、そういう面から申しますと、なかなかただいま先生がお尋ねになりました点については直ちにはむずかしいのではないかというふうに思います。
  119. 岩佐恵美

    岩佐委員 一般に小売店の仕入れ価格、これは取り扱い規模だとかあるいは元売りとの資本を含む提携関係だとかあるいはその小売店が存在する周辺あるいはある一定の地域、そういうところの需給環境、そういうものによって非常に左右をされる。正確にとらえるのがなかなか困難だというふうに流通の専門家の筋では言われているわけですけれども、その点について通産省はどう考えておられるか、御意見を伺いたいと思います。
  120. 志賀学

    志賀(学)政府委員 確かに先生からただいまお話ございましたように、その石油製品の小売価格についてその地域の流通経路の特殊性だとかあるいは需要の特殊性だとか、そういったいろいろな要素が絡むわけでございます。したがいまして、かなりその価格については差異もございましょうし、それを正確に把握していくということはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに思っております。
  121. 岩佐恵美

    岩佐委員 いま小売価格というふうに言われましたけれども、私は仕入れ価格も同じようにそうなんではないかということで伺っているわけですが、その点はいかがでしょうか。
  122. 志賀学

    志賀(学)政府委員 小売店に行くまでの流通経路だとかあるいは量であるとか、そういったいろいろなファクターが絡んでまいります。したがいまして、おっしゃるようにそういった仕入れ価格についても実態を正確に把握していくということはなかなかむずかしい側面があるというふうに思っております。
  123. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、経済企画庁に伺いたいと思いますが、五十五年度物価見通し、これが不正確で見通しをはるかに上回るというような結果になったわけで、これは大変残念というよりも国民は非常に憤りを持っているわけです。そこで、五十六年度物価見通しは一体どうなんだろうか、そういう関心が非常に高くなっています。  この間の委員会でいろいろこの物価問題についての論議がされているわけですけれども政府目標五・五%のうちもうすでにげたで、計算方法の違いはあるでしょうが、二%が占められる。そしてそれにプラスして予算関連の公共料金値上げで〇・三、ビール、ウイスキー、清酒で〇・一、はがきで〇・〇二、私鉄で〇・〇七の値上げが予定されています。これで単純計算でいくと、残りは三・〇一というふうになるわけです。このような中で、石油製品値上げが一キロリットル当たり平均六千円というふうに言われています。同時に値戻し、つまり上げたくても上げられなかった分、これを今回一気に上げよう、そういう分が四千円、合わせてキロリットル当たり一万円近い値上げが予定されているというふうに報道されています。これを、では消費者物価に与える影響ということで計算してみますと、これは経済企画庁数字をもとにしたものですけれども、灯油が〇・一、ガソリンが〇・一、合計で〇・二。この〇・二というのは、五十六年度予算関連の値上げに匹敵するウエートを占めているというふうに思います。それでこの石油関連を差し引くと二・八一しか残らない、そういうことになります。ナフサ関連による石油化学製品の値上げによる影響、あるいは先ほどからの議論の中でも野菜が挙げられていましたが、そういう野菜だとか魚あるいは紙、そういうものへの影響を考えると大変なことになるのではないかと思われます。石油製品値上げというのが物価に非常に大きな影響を与えるのではないか、五・五%を達成する上でなかなか困難になる重要な要素になるのではないかというふうに私は思うわけですけれども経済企画庁考え方を伺いたいと思います。
  124. 廣江運弘

    廣江政府委員 まず先生がお示しになりましたいろいろの前提につきまして多少意見を申し上げておきますと、最初にげたが二というふうな前提でお話しになったと思いますが、これはこれから三月の状況がわかりませんと何ともなりませんものですから、それはひとつペンディングにしていただきたいと思います。それが仮に二%といいますのは、三月の全国東京都の区部速報の三月並みに上がるという一つの前提があった場合に、全国が平均で七・八になります。そうしてその場合のげたが二%になるのではないかということかと思いますが、その中には季節商品の動き影響がございますので、実際げたとして勘案しなければいけないのは半分強くらいだということも一つ御指摘をさせていただきます。  それから先ほど、予算関連の公共料金のほかにたしかはがきを挙げられたと思いますが、これは予算関連の公共料金の中で考えればよろしいかと思います。私の方で指摘が間違っておりましたら訂正させていただきますが、そう思います。  それから、私鉄等のことにも言及なさいましたですが、これは目下運輸審議会等におきまして検討中のものでございまして、最終的に決定したわけではございませんので、〇・〇七というふうに実現するかどうかは、これは申請の段階でおとりになったというふうに了解をさせていただきます。  その次に、石油がそれではどういうふうに動くかということについてお答えをさせていただきます。  石油値上がりはいま私どもはまだ具体的に承っておりませんし、先生新聞報道されていることから御質問になったわけでございますが、先ほど来のやりとりの中でも出ておりましたけれども石油製品について仮に元売り仕切り価格引き上げられたといたしましても、末端の小売価格は需給関係等の要因によって変動するものであります。したがいまして、元売り仕切り価格が上がったから直ちに消費者物価への影響が、先生が言われたように出てくるというふうなことを前提にいたしまして消費者物価にこれだけ及ぶというのは、私どもの方では考えておりません。元売り仕切り価格から即そのままストレートに小売価格が動くというようなことはなかなかないと思いますので、それがそのまま動くという前提でお挙げになりました数字をそのまま肯定するというわけにはまいらないと思います。  ともあれ、五十六年度消費者物価につきましては、五十五年度が当初見通しかなり狂ったわけでございますが、私どもは十分に気持ちを引き締めて五十六年度物価対策に最善を尽くさなければいけないと思っております。
  125. 岩佐恵美

    岩佐委員 石油製品については、値上げをしたいというふうに言ったからといって、確かに需給関係によってその値上げが貫徹できない、そういうケースがある場合もございます。ですけれども、先ほどからいろいろと言っていますように、そこにかなり石油業界の一致団結した行動というものがあったり、あるいは行政官庁の手伝いがあったりというようなかっこうでいきますと、これがすんなりと通るという場合もあるわけで、私はこの点では、物価に重大な影響を与える石油製品についての値上げが果たして妥当なのかどうかということを経済企画庁としてきちっと見ていく必要があると思うし、またそうしていただきたいというふうに思います。  そういう観点から、この石油業界の過去のいろんなデータについて数字的に考えていきたいと思いますが、まず五十五年度石油業界は史上最高の利益を上げています。経常利益を見ると、昭和石油が前期の八・〇七倍、二百二十六億、それから日石精製が二・二一倍の六百十八億、東燃が四・八一倍の六百三十五億、そしてモービルが一・六倍の三百三十二億、エッソが三・二倍の四百二十五億、シェルが〇・七七倍の百八億、日石が、これは新聞報道でございますけれども、二・七倍の一千五十億、これがわかっているものだけで、あるいは推定されるものだけで合わせますと三千三百九十四億円という経常利益を上げたということになるわけです。それでちなみに一九八〇年のメジャーの利益について見てみました。そうしますと、たとえば一番少ないガルフが二千八百五十六億円、これは明らかに全世界からガルフが集めた利益だと思いますけれども、これが日本のいま挙げました数社の利益を下回っている、つまり日本の石油業界はメジャーよりも大きな利益を上げているということが言えると思うのです。それからモービルは五千七百二十二億円、それからソーカルが四千八百七十二億円、テキサコが四千五百四十七億円、こういう数字と比較をしますと日本の石油業界の五十五年度における決算は異常に利益を上げているのじゃないかというふうに思います。この点の数字の確認について通産省に伺いたいと思います。
  126. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ただいま先生いろいろ数字をお挙げになったわけでございますが、私手元に数字を持っておりませんので、確認をとおっしゃられますとちょっと困るわけでございますけれども、全般的な大勢として申し上げますと、五十五年の、暦年ベースの決算の会社について見てみますと、アラムコ系中心にいたしまして特に上期の利益が大きかったわけでございますけれども円高背景にしてかなりの利益が出ているというふうに思っております。ただ、このメジャー系の中にも、たとえばシェルというような非アラムコ系のメジャー系があるわけでございますけれども、シェルグループの決算を見ますと、確かにかなりの利益を上げているわけでございますけれども、前年の経常利益に比べるとむしろ減っている、こういうような状況でございます。したがって、このシェルグループの五十五年下期の決算というのはかなり悪化していたというふうに思われるわけであります。それからアラムコ系でない民族系中心といたします企業決算を見てみますと、五十五年、昨年の秋ごろからかなり経営状況が悪化してきておるということでございまして、確かにアラムコ系メジャーを中心にしてかなりの利益が、特に円高もございまして出ているということはおっしゃるとおりだと思いますけれども、全般的に言うとこのアラムコ系も含めて昨年の秋ごろから悪化してきている。特に民族系中心とする非アラムコ系企業の収益状況というのは昨年の秋ごろから悪化してきておりまして、最近になりますと円安傾向も出てきておるというようなことでかなり苦しくなっている、こういう状況だと思います。
  127. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまの申し上げました数字をさらにキロリットル当たりに直すと一体どのくらいの数字になるかということを試算をしてみたわけです。エッソ、モービルは石油を一〇〇%東燃から入手しています。そういうことで東燃の売上数量で割っていきますとキロリットル当たり六千百十四円の利益になっている。また日石と日石精製についても同じような計算をしてみますと六千六百四十一円になるという計算が出てくるわけです。私どもは昨年の値上げについてこれは上げ過ぎだということで再三指摘をしてきているわけですけれども、その点について、いやそうじゃないんだ、各社別にいろいろチェックをして通産省が便乗値上げがないように指導したんだというふうに言われて、そして結果的にはこういう利益が上がっている。国民だって生活が非常に苦しい中でございますから、これはとうてい納得できる数字ではないわけです。これに加えて四月からさらに値上げをするというような業界動きがあって、それを通産省がいま認めるかどうかかぎを握っているんだというふうなことがこれもまた新聞報道等で言われているわけですけれども、一体通産省はこの点についてどう考えておられるのか、伺いたいと思います。
  128. 志賀学

    志賀(学)政府委員 確かに昨年、五十五年のエッソあるいはモービル、アラムコ系の利益というのはかなり大きかったわけでございますけれども、これは一つには円高影響があっただろう、それからもう一つはアラムコ、安いサウジの油が供給されているといった有利な条件、こういうことが重なっただろうと思っております。ただ、たとえばモービルについて見てみますと、確かに利益がかなり上がっているわけでございますけれども、それの主たる大きなファクターというのは、むしろC重油関係の販売益であるとかあるいはナフサ関係であるとかあるいはジェット燃料であるとかそういった大口ユーザー向けの関係のところで特にアラムコ系であるという有利さが出ておりまして、そこで主として利益を上げておる、利益の増加をもたらしておるというふうに私どもは承知をしております。  そこで、最近新聞などで値上げの問題がいろいろ言われているわけでございますけれども、ただいままでのところ私どもまだ各社からお話を伺っていない、そういう段階でございます。ただ、ここで先生に申し上げておかなければいけないのは、先ほども申し上げましたように、民族系中心といたします非アラムコ系石油企業経営状況というのは昨年秋ごろから非常に悪くなっております。特にまた昨年の十二月のバリ島総会によってGSP引き上げが行われました。それから二月になりますと円安傾向が出てまいりまして、恐らく四月について申しますとすでにユーザンス差益が発生する状況からむしろ差損が発生する状況になってきておる、こういうふうに私ども見ておるわけでございまして、そういうことから申しますと、これは現在会社の方でいろいろ検討をしているわけでございますけれども、コストアップがあった場合にそれを適正にはね返していくということは企業段階での努力ということもそろそろ限界ではないか、こういう感触も企業の方で持っているわけでございまして、私どもそういう状況を踏まえまして、企業の方から元売り仕切り価格値上げお話があったときにはこれはその段階で十分検討し、チェックをしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  129. 岩佐恵美

    岩佐委員 非アラムコ系石油会社の経営が苦しい、そういう理由値上げをしていく、これは当然一物一価の原則で非アラムコ系にあわせて価格を決めればアラムコ系の利益というのは、先ほど例示したように未曽有のものとなります。結局は消費者が不当に高いものを買わされる、これはエネルギー政策の問題だと思いますけれども、結果的にはそうなる。それからさらに、今度の値上げについて、業界の中では等額値上げか等率値上げでやっていくかということで議論があるようですけれども、たとえばC重油ネックということで、C重油がはけないから民生用灯油等、そういうよく売れるところで高く値上げをしていこう、そういう動きも非常に強く出ている、こういうことがあるわけです。  そういう中で、現在灯油の量が一体どうなっているのかということを見てみますと、五十六年一月には得率が一二・六、二月が一二・三、これはもう得率の限度いっぱいなのではないか、専門家じゃありませんから技術があるのかどうか知りませんが、いままでからしたら最高の得率ではないかと思います。ところが、生産量から見てみると一月が二百五十一万キロリットル、二月が二百三十五万キロリットル、それぞれ九一・四、九七・六と落ち込んでいます。結局C重油ネックで原油処理量が大幅に落ち込んでいる、そういう点から灯油の処理、生産量も非常に圧迫を受ける、そして価格の面では先ほど言ったような圧迫を受けるという二重の圧迫を受けることになり、消費者が灯油について高いものを買わされるという危険がまた大きくなってきていると思うのです。その点について通産省考え方を伺いたいと思いますし、同時に、私は最後に大臣に要望したいと思うのですが、五十五年度消費者物価が目標どおりにいかなかったという苦い経験に照らして、そう安易に需給関係で上げられるということではなくて、石油製品の問題については、経済企画庁物価を安定させるという観点からしっかりと監視をしていただきたいし、独自に計算をするなり独自の通産省へのチェックをしていただきたい、こういうふうに要望したいわけですが、その点について大臣のお考えを最後に伺いたいと思います。
  130. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私から最初にお答え申し上げます。  確かに最近の灯油の生産得率はかなり高くなっております。これは精製設備の運転条件の変更といったことをやりまして得率を上げるという形で灯油の安定供給に努めてきているところでございます。ちなみに御参考までに申し上げますと、全般的に需要が落ちております。そういうことで原油処理量、たとえば一月で申しますと前年同月に比べまして八八・二%、二月が九〇・七%でございます。それに対しまして灯油の生産の方は前年に対して九一・四、二月が九七・六ということで、原油処理の落ち込みに比べまして灯油の生産は相対的に高い。それは得率のアップという形で対応しているわけでございます。  そういうことで、灯油の安定供給が大丈夫かということでございますけれども、私どもの現在の判断では、いずれにいたしましても灯油の在庫レベルというのは、確かに昨年の異常な高レベルの在庫に比べますと落ち込んでいるわけでございますけれども、その前の五十四年あるいは五十三年といった年と比べますとなおことしの灯油の在庫レベルは高いわけでございます。したがいまして、私どもとしてはこの灯油の安定供給について支障が出るということは考えていないわけでございます。ただ、いずれにいたしましても年ごとの需要の構造変化が出ている、これは確かでございまして、そういった需要構造の変化に対応いたしまして、たとえば既存の精製設備の改修によります中間三品の得率のアップ、さらに長期的に申しますと重質油分解技術の開発といったことを通じまして中間三品の安定供給に努めるということが必要であると思っております。
  131. 河本敏夫

    河本国務大臣 企画庁の立場から申しますと、石油価格政策国民経済全体の立場からやってまいりたい、こう思っております。
  132. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  133. 井上泉

    井上委員長 依田実君。
  134. 依田実

    ○依田委員 これからの景気の見通しなどを中心にいろいろお伺いさせていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  先般公定歩合が引き下げられたわけであります。また、それに先立ちましていろいろ景気振興対策も打ち出された、こういうことでございまして、これで景気へのいろいろな刺激策が一段落というふうに受けとられておるわけでありますけれども、一部には公定歩合の引き下げ、少しタイミングを失した、遅かったのじゃないかというような意見もあるわけでありまして、いろいろ対策が打ち出されて、これをもとにこれからの景気が果たして回復するのかどうか、その辺の見通しにつきまして大臣に先にお伺いをさせていただきたいと思います。
  135. 河本敏夫

    河本国務大臣 昨年の夏ごろから景気はずっと低迷しておりまして、こういう情勢が続きますと雇用問題にも支障を来しますし、さらにまた財政再建という点から考えましても税の自然増収という面にも悪い影響が出てまいりますので、先般若干の景気対策物価対策と並行して進めることにいたしました。公定歩合の時期がおくれたのではないかというお話でございますが、物価それから円レートの問題、国際収支、そういうものを総合的に判断をいたしまして、そしてこの三月中旬という時期を選ばれたのであろう、こう思っております。
  136. 依田実

    ○依田委員 今度の政府見通し、景気を主導して上昇させていく、その主導力は民需、つまり民間の需要を先導役として景気を回復させていきたい、こういうようなことになっておるわけであります。そしてまた、政府が出しております五十六年の民間最終消費支出は実質で四・九%ぐらい上昇するのじゃないか、こういう見通しをお立てになっているようでありますけれども、町の実感を当たってみると、どうもこの見通しは少し過大ではないかという気がするわけでありますけれども、そういう最終末端の消費がこれから盛り上がっていく、そして景気を回復させていくのだというその根拠はどこにあるのか、その辺についてお尋ねさせていただきたい。
  137. 井川博

    ○井川政府委員 消費という場合にこれに一番大きい影響を及ぼしますのは物価でございます。物価が高くなりますと、給与自体がある程度の伸びをいたしましても実質給与、実質所得がマイナスになるというようなことになってまいります。そういたしますと消費マインドに影響してくるということでございまして、五十五年度は消費支出がもう少し高い率で伸びるとわれわれ思っておりましたのが低迷をした。このことによって、御案内のように、五十五年度としては実質二%程度の増しか示さないのもまさにそういう事情でございます。この点につきましては五十六年度消費者物価が安定をして五%台、見通しとして五・五%ということになりますと実質所得もだんだんふえてまいりますし、消費マインドももとに返ってくるということになりますと四・九%。何回も申し上げておりますように、五十四年度は五%でございましたし、五十三年度は六・二%でございました。したがいまして、物価が安定をしてき、消費マインドが正常ベースに返れば四・九%程度の個人消費の伸びは達成可能であると考えておるわけでございます。
  138. 依田実

    ○依田委員 これから春闘でいよいよ決まってくるわけでございますけれども、この春闘の賃上げというものはどっちの要素でお考えになっていらっしゃいますか。
  139. 井川博

    ○井川政府委員 私たちといたしましては、春闘の賃上げの率がどの程度かということは見通しをいたしてございません。ただ、雇用者所得一人当たりの伸びがどの程度か、これは国民所得をはじきます場合のいろいろな前提になるものでございますからはじいておるわけでございますが、これが七・五%、昨年よりは多少伸びるという状況をはじいておるわけでございます。七・五雇用者所得が伸びるというふうなことになり、しかも物価が五%台であるということになれば、実質所得は当然プラスというふうなことになるわけでございまして、先ほど申し上げたように、物価が落ちつき、そして実質所得がプラスということであれば個人消費は正常に復する、こういう考え方でございます。
  140. 依田実

    ○依田委員 この賃金の問題はもろ刃の剣みたいなものでありまして、賃上げのベースが高ければそれだけいまおっしゃったように実質所得がふえるわけでありますが、しかし賃上げ幅が多いということはまた物価へはね返ってくる、いろいろな意味でなかなかむずかしい問題であろう、こう思うのであります。しかし、いずれにしましても、多少実質所得がふえた、そこでそれがすぐ購買意欲の変化となってあらわれてくるのかどうかということになると、そこのところに少し私は疑問を持つわけでありまして、いまの消費者の購買態度というのは本当に必要なものだけ買う、こういうようなことになっておるのじゃないかと思うのであります。  それとまた、いわゆる耐久消費財のブームの循環があるわけでありまして、前回は五十四年が家電を中心に、VTRであるとか音声多重放送が始まったとか、そういう意味でこのブームの現象になったわけでありますが、ではことしはそのブームの周期から言うとまだ回復にはならぬのじゃないか、こう思うのでありますが、耐久消費財の需給関係をどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
  141. 井川博

    ○井川政府委員 耐久消費財サイクルというのがよく聞かれるわけでございます。これは実は高度成長のころ毎年国民の所得がどんどんふえていった、しかもそのころは国民生活が現段階よりは相当低いときであった。こういうときには、御承知のように、電気掃除機である、洗たく機であるというのでどんどん買い増していったという状況でございますけれども、ここ数年のように、そういう耐久消費財で買えるものは全部買っているというふうなことになってきますと、明確なサイクルが全体的にあるかどうかということになるとやはり問題ではないだろうか。御案内のように、VTRないし音響機器はいまでも売れている。国民の消費態度といたしましても、物価が上がった場合に、始末をするものは始末をするが、買いたいものばどんどん買うというふうな姿勢もあるわけでございまして、耐久消費財については非常に多元化している。一方、耐久消費財の中の家具等については、御案内のように住宅建設が進みますとこれに応じて進んでいく、こういう状況でございます。したがって、五十六年度が耐久消費財についてマイナスの関係の年になるとはわれわれ考えておりませんで、かえってたとえば自動車等につきましては五十五年度自体が対前年国内の需要が非常に大きいマイナスを示してきているというふうなことから考えまして、五十六年度については、昨年の反動もあり、やはりプラス面があるというふうなことを言われているようでございます。しかし、かといってこれは全般的にそういいというわけにはいきませんけれども、耐久消費財について五十六年度マイナスの年であるという認識は  われわれとしては持っていないという考え方でございます。
  142. 依田実

    ○依田委員 個人消費の意欲を駆り立てるもう一つの要因の多くは時間外収入がどのくらいになってくるか、こういうことだろうと思うのであります。通常の給料以外に給料が入るようになると消費意欲というのは一段と盛り上がってくるのじゃないか、こう思うわけであります。私、きょう労働省の方をお呼びしなかったのでありますが、企画庁でおわかりの範囲内で結構でございますから、時間外労働の見通しを含めて最近の雇用状勢、こういうものについてどういう見通しをお持ちになっておるのか、お聞きします。
  143. 井川博

    ○井川政府委員 おっしゃるとおりでございます。実は先ほど春闘の話が出まして、私は雇用者所得全般でお答えいたしましたけれども、所定内給与と申しますのは全体のわれわれのGNPではじきます雇用者所得の五〇%少々、五三、四%という状況になります。これにいま先生おっしゃいました所定外給与あるいはボーナス等々が加わって全体の雇用者所得になるわけでございます。したがいまして、所定内給与が一定である場合であっても、所定外給与がふえるとか減るとかということによって雇用者所得が増減をするわけでございます。ただ、現段階は雇用情勢は足踏み状況ということでございまして、どちらかと言えば従来の改善傾向が停滞をいたしてございます。手元にございます二月の数字でございますが、有効求人倍率は昨年のいまごろが〇・七八あるいは〇・七六というふうな〇・七の上の方をいっておりましたのが、二月が〇・七一と下がってきている。それから、完全失業者数も昨年のいまごろが百十万前後でございましたのが百二十七万。それから、完全失業率も昨年のいまごろは二%を切っておったわけでございますが、二月の数字が二・二三、これはやはり生産がどうも湿りがちである、停滞しているというふうな状況から、雇用状況の改善も足踏みというかっこうでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、個人消費等々が伸びまして、五十六年度の成長が五・三%、ことしの四・八よりもさらに多い成長をしていくということでございますし、鉱工業生産につきましても、五十五年度はどうも四%台にとどまりそうであるという状況でございますが、五十六年度は現在の見通しではGNPと同様五・三%である。要するに鉱工業生産も需要が順次伸びていくことによって伸びるという状況でございまして、雇用状況につきましても――雇用状況でございますからそう目覚ましい改善ということはございませんけれども、悪化は食いとめられ、やや少し改善していくという状況を頭に置いておるわけでございます。
  144. 依田実

    ○依田委員 もう一つはやはり何といっても住宅の需要だろう、こう思うのであります。年間百五十万一尺これが通常でありますけれども、ここのところはどうも百三十万戸を割るようなぺースになってきておるわけでありまして、河本長官もきのうでしたか何かの会合で、やはりこの住宅産業の振興なくしては景気の回復はないのじゃないかと心配されておるようでございます。しかし、これは先般ローンの金利の引き下げなどありましたけれども、これをもってしたのでは、とてもとても新規の住宅需要が起こる、こういうことはないわけでございます。前の委員会でも長官がおっしゃいましたように、やはり土地価格、これが問題になっておるわけであります。  そこで、きょうは国土庁の方に来ていただいておるわけでありますが、この土地の価格を抑制する、言ってみれば宅地を、優良住宅地を出してくる、そういうようなことで抜本的な対策をお考えになっておるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  145. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 最近の地価の動向等から見まして、抜本的な土地対策いかんというお話でございますけれども、やはりいわゆる人口あるいは産業の地方分散というのを進めていくというのが基本であろうと思います。  ただ、そうは申しましても、そういった問題というのはなかなか時間もかかるものでありますから、では当面の対策はどうだということになるわけでありますが、最近の状況を見ますと、宅地の需要に対しで供給が非常に落ち込んでおるというのが非常に大きな要因であろうというふうに考えられるわけでございまして、したがってそのためのいろんな施策をこれまでやってきたわけでございますけれども、さらにそういったものを総合的にかつ積極的に進めていくというのが当面の土地対策であろうというふうに考えております。
  146. 依田実

    ○依田委員 その宅地の供給をふやす、こういうことで例のC農地への宅地並み課税というのを五十七年度に完全実施をするという方向で考えていらっしゃるのかどうか、いずれにしても宅地並み課税をやって宅地を供給しよう、こういうお考えのようなんでありますが、これは五十七年実施という方向で考えていらっしゃいましょうか。
  147. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 いま申し上げましたように、いろんな施策を総合的にやっていくという中の一つということになるかと思いますが、先生案内のように市街化区域内の農地のいわゆる宅地並みの課税ということにつきましては、昭和五十五年度の税制調査会の答申にもあるわけでございますが、宅地供給を促進する見地から、一定の地域でございますけれども、五十七年度以降のいわゆる宅地並み課税について、長期にわたり営農を継続する意思を有する者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地を加え、あるいはA農地及びB農地に対する課税を強化する、そのために十分な検討を行うべきであるとされておりまして、私どもといたしましては、この答申の趣旨に沿って今後関係省庁と連絡を密にしながら検討を進めてまいるということになっております。
  148. 依田実

    ○依田委員 いまおっしゃいました、長期にわたって営農の意思がある、こういうことでございますけれども、その辺について、たとえば十年であるとか具体的にどういう方向で営農の意思があると判断をされるのですか。
  149. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 この答申の中で一つの方向が示されたと思いますが、具体的な検討につきましては今後の問題ということで、いま先生お示しのような十年とかそういったところの議論までまだ入っておりません。
  150. 依田実

    ○依田委員 この問題については、何か宅地並み課税をするとそれで宅地が出てくるのじゃないか、こういうようなお考えのようでありますが、私はこの問題はなかなかむずかしいんじゃないかと思うのです。やはり東京近郊で農業を営んでいらっしゃる方にとっては、これは死活問題でありまして、野菜の安定供給という意味からいっても、都市近郊の農家から農地を取り上げてしまう、こういうことが果たしていいのかどうか。あるいはまた、長い間農業を本当にやられている方にとっては、ほかのことをやれといってもなかなかできないわけであります。お子様のいままでの教育の問題とかそういうものも含めて、農家の方がそれじゃあしたから三井物産へ行って勤めなさいと言われたって、なかなかそういうぐあいにはいかない。  そういう意味で、私としてはぜひこの問題は慎重にやっていただきたい、少なくとも十年なり営農の意思がある、こういうようなところはやはりいままでどおりの農地としての税金でやっていただくのがいいんじゃないか、こう思うのであります。  と申しますのは、どうも政府のおやりになる土地政策全般を見ておりますと、もっともっとほかに手をつけるべきところがたくさんあるのじゃないかと思います。東京で空閑地、いかにも何か農地が一番空閑地を占めているように見えるのでありますが、実際はそうじゃない。かえって国有地とか東京都が持っておる土地などで遊んでおるところがたくさんあるわけであります。そういうものをひとつぜひ積極的に払い下げの基準を早くつくられて民間に払い下げられるとか、あるいはまた国鉄の用地などで都心部にいいところがあるわけでありまして、一部何かそういうところを分譲住宅の構想をお持ちだ、こういうことでありますけれども、そういうものは一刻も早くやっていただいて、宅地を出すためには宅地並み課税だ、こういうような短絡的なお考えでおやりにならないように、ひとつ要望だけさしておいていただきたいと思うわけであります。  それじゃ、再び景気の方へ戻らせていただきまして、在庫調整がどういうふうに進んでおるのか、どう見通されておるのか、その辺についてちょっとお伺いさせていただきたいと思うのであります。経企庁、日銀あたりは昨年夏ごろには、五十五年中には在庫調整は終わるのだ、こういうお考えを述べられたことがありました。昨年末になると、五十六年の一月から三月ぐらいには在庫調整は完了だ、こう言う。ところが最近はまた違うお考えをお持ちのようでありますけれども、この在庫調整は果たしていつごろ終わるとお見通しになっておられるのですか。
  151. 井川博

    ○井川政府委員 在庫調整は、御承知のようにメーカーの原材料在庫、製品在庫がございますし、さらには流通在庫、日々の活動に大変な影響がある問題でございまして、事後的には、いつ終わった云々というのは分析ができるわけでございますけれども、事前に、あるいは現段階でどの程度いくかというのは大変むずかしい問題でございます。したがいまして、その点、年度全体を見渡す場合よりもさらにむずかしい問題があるということを御承知いただきたいと思いますが、在庫調整が大体一-三月、すなわち五十五年度中に終わって、五十六年度に入りますと今度は調整積み増しの段階に入るであろう、大きい感じとしてそんな感じを持っておりましたのが少し廷びたということは事実でございます。  ただ、どうして廷びたかというと、在庫というのは御承知のように需要というものがあり、その需要の見込みをどう立てるかということ、生産者のその見込みあるいはまた販売者のその見込みというものに関係いたします。ということは、結局需要が予想どおり伸びなかったとうことでございます。予想どおり伸びなかったのは、先ほど来先生のおっしゃっておりますような個人消費がどうも予想よりも落ちた、あるいは住宅が予想より落ちたというところからくるわけでございまして、そういう状況から、物価状況等々、個人需要等を決定するそういう問題からいって、いままで延びてきたのばある程度理由があるのだけれども、大体この四-六ぐらいが底になるのではないだろうか。と申しますのは、四月から物価も五%台ということでございますし、その影響からやがて明るい感じというものも出てくる。直ちにというわけにはまいりませんけれども、それでも明るい状況が出てくるということになりますと、需要が徐々に伸びていく。したがって現段階、そうした需要の伸びという意味、停帯という意味から言えばいま一番底であって、今後徐々に伸びていくということであれば、四-六が底であり、七-九以降は徐々に上がっていく、こう考えていいのではないかというのが現段階考え方でございます。  ただし、在庫調整ということになりますと、先ほど申し上げましたようにメーカーあるいは販売業者の段階もあるし、各業種ございます。構造不況業種等々になりますと、これはなかなか七-九月で終わりそうもないという業種もありますけれども、全体的に考えればいま申し上げたような状況ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  152. 依田実

    ○依田委員 まあ減産をしましても、それ以上に最終需要が落ち込んでおるということで、なかなか在庫調整というのは終わらない。それとまた、いままでの考え方と違って、円の先行きの見通しによるわけでありますが、たとえば円高だということになれば、輸入原材料などを中心になかなか在庫を持つということはしない、先へ行って輸入した方がいいということで、これはなかなかいままでのように簡単なわけにはいかないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。  時間がありませんから、最後に、やはり海外景気が日本の景気、需要、そういうものに影響するわけでありますが、アメリカを初め海外の景気見通しというものをどういうふうにごらんになっておりましょうか。
  153. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 先進主要国の景気の状況でございますけれども、アメリカは御存じのように、昨年の第二・四半期に大きなマイナスの後回復してまいったわけでございます。特に個人消費を中心とした回復でございましたが、このところに参りまして生産が前期比マイナスでございますし、住宅が年百二十万戸程度ということで、若干弱い指標が出てまいっておるわけでございます。一-三月のGNPは、アメリカの商務省の見通しによりますと年率五%でございますが、四-六月期は、民間のエコノミスト等の見通しでもおおむね横ばいないし若干のマイナスではないかという見通しが強いわけでございます。  一方、ヨーロッパでございますけれども、このところ景気の下降が続いておるわけでございます。特に雇用情勢が悪化しておりますし、物価も国によって若干鈍化はしておりますけれども、なお高い物価上昇が続いておるわけでございます。したがいまして、なお景気の下降がしばらく続くのではないかという見通しでございます。  OECDが昨年の末出しました経済見通しによりますと、OECD全体といたしまして、年率でございますが、本年上期が一カ二分の一%、下期が二カ四分の一%の成長率ということでございます。来年の上期に至りまして三%程度の成長ではないかというふうに見ておるわけでございます。
  154. 依田実

    ○依田委員 きょうは通産省の方をお呼びしておりますものですから、例の自動車の問題についてちょっと伺わせていただきたい。  一昨日から向こうから使節団が来て、新聞紙上伝えられるところによれば、いわゆる説明をしておるのだ、こういうことでございます。きょうまで続いておるわけですから、まだ最終というお話にはまいらぬかと思いますけれども、こめ状況の中で、これはなかなかむずかしい問題で、日本側が自主規制をするということが言い切れるかどうか、まだ見通しとしてむずかしい問題でありますが、今度の交渉でアメリカ側から得た感触についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
  155. 篠島義明

    ○篠島説明員 きょう一日まだ残しておりまして、全容はまだ説明を終わっておりませんが、新聞等でも報道されておりますけれども、ある程度予想された内容を中心にわれわれ説明を受けております。アメリカの自動車産業は非常に深刻な状況であることについでは従来からも説明を受けておりますけれども、改めて認識した次第でございます。
  156. 依田実

    ○依田委員 もう本当に時間がございませんので、こういう数字はお持ちになっているのかどうか、もしあれならお答えをいただければと思っておるわけでございます。と申しますのは、さっき申し上げたように自主規制ということはまだ決まっておるわけではございませんから、仮定の問題をお答えいただくのは大変恐縮でございますけれども、そうしてまた台数などについてもいろいろ言われておるわけですが、すべて憶測にすぎないわけであります。たとえば百六十万台の自主規制という場合、関連企業を含めて日本の景気への影響度、国際収支へのマイナス度というものについて、何かシミュレーションをおやりになっておるのか、その辺について伺いたいと思います。
  157. 篠島義明

    ○篠島説明員 いろいろなファクターがございまして、したがって数字の出し方によっては誤解を招くおそれもありますし、現在のところ通産省として公に御説明できる数字のシミュレーションは持っておりません。
  158. 依田実

    ○依田委員 あと一分残っておりますので伺いますが、アメリカから出してきたアメリカ国内の自動車販売台数、これは少し甘いのじゃないかということも巷間言われておるわけでありますが、この辺のことはどういうふうにお考えになっておりますか。
  159. 篠島義明

    ○篠島説明員 数字見通しでございますから、見通しの手法によっていろいろな見方が出てくると思いますが、八二年、三年については向こう側として一応ああいう数字を持ってきておるのに対して、こちら側としてこれはおかしいじゃないかというようなことを積極的に言えるような段階にはない、向こうが向こうの示しておる手法によってそういう数字を出したというのをそのまま素直に受けとめておる段階でございます。  なお、ことしの数字につきましては公表しないことになっておりますので、一部は新聞報道されておりますが、これについてはいろいろな角度からある程度の具体的な感覚的な数字は説明を受けております。
  160. 依田実

    ○依田委員 時間が来ましたので、終わります。
  161. 井上泉

    井上委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十七分散会