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1981-05-12 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十二日(火曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       北口  博君    北村 義和君       近藤 元次君    佐藤  隆君       菅波  茂君    田名部匡省君       玉沢徳一郎君    丹羽 兵助君       保利 耕輔君    三池  信君       渡辺 省一君    小川 国彦君       串原 義直君    田中 恒利君       竹内  猛君    日野 市朗君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    寺前  巖君       野間 友一君    木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         食糧庁次長   石川  弘君         水産庁長官   今村 宣夫君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部経済調査官 本多 義光君         防衛庁防衛局運         用第二課長   芥川 哲士君         経済企画庁調査         局内国調査第二         課長      遠山 仁人君         文部省体育局学         校給食課長   奥田與志清君         農林水産大臣官         房総務審議官  角道 謙一君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 五月八日  中型まき網漁業網船大型化及び操業期間延長  反対等に関する請願(藤波孝生紹介)(第四  〇五五号) 同月十一日  食糧管理法の一部を改正する法律案に関する請  願(浦井洋紹介)(第四四四一号)  同(栗田翠紹介)(第四四四二号)  同(瀬崎博義紹介)(第四四四三号)  同(寺前巖紹介)(第四四四四号)  同(中路雅弘紹介)(第四四四五号)  同外一件(野間友一紹介)(第四四四六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四四四七号)  同(松本善明紹介)(第四四四八号)  同(三谷秀治紹介)(第四四四九号)  同(山原健二郎紹介)(第四四五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  3. 田中恒利

    田中(恒)委員 食管法一部改正について、以下若干の御質問をいたします。  食管法が守られていないという大きな理由一つは、いわゆる不正規米流通ということがございますが、農林大臣は、今回の改正法でこれが防げると確信を持っていらっしゃるかどうか、まずお尋ねをいたします。
  4. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 不正規流通は、これを防止していきたいという切なる願いを持っておるわけであります。  御指摘のように、今回の守られる食管法という考え方のもとに、何といってもやみ米等で不当な利得を上げるというようなことはできるだけ防止していきたいということで、政府といたしましても需要に見合った米の計画的な供給を行うということをいたしますとともに、販売業者制度法律にきちんと載せまして、集荷販売許可、認可の制度にしてまいるというようにいたしまして、その辺もいままでよりも法律的にきちんと処置をすることのできるような体制をつくろうということにいたしておるわけであります。そのほかに、今度は法律的な権限を持った業界ということになりますので、その業界の組織を通じまして、的確な米の流通についての情報の収集でありますとか、あるいは管理実態等を的確に把握いたしまして、できるだけ不正規流通の余地を少なくしていこう、そういう処置を講じておると同時に、不正規営業を営む者に対しましては、警察庁初め関係諸官庁と協議をいたしまして、実効ある取り締まりを行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  5. 田中恒利

    田中(恒)委員 食糧庁長官お尋ねしますが、この不正規米やみ米発生源は、食糧庁としてどういうふうに把握をしていらっしゃいますか。
  6. 松本作衞

    松本(作)政府委員 やみ米発生源といたしましては、一つは、農家が直接に自分の余った米を縁故米その他の形で売り払ったものが流れるという場合と、それから、いわゆる農村における不正規業者農家から買い受けてこれを消費地販売する場合、それと三番目には、政府管理された米が卸、小売から、売り渡された後にこれが横流れされる場合というふうに、三つの形があるかと考えております。  第一番目の農家の直接販売する量というものは非常に限られておるのではないかと考えております。それからまた、農家業者等を通じて販売される量がどの程度かということは必ずしも明確ではありませんが、現在、農家消費等というふうに考えまして農家手元にある米の中で、農家が直接消費するものを差し引きますと、約百万トン程度のものの余裕があると考えられておりますので、これが縁故米等に流れますほか、業者等に流れる場合があるのではないかというふうに考えております。それからまた、三番目の、政府が売り渡しました米が、卸、小売等業者へ売り渡された後に横流れをしてくるというものにつきましては、私ども、明確な数字を把握しておらない次第でございます。
  7. 田中恒利

    田中(恒)委員 このやみ米不正規流通米がどこから起きてきておるか、ここのところをひとつはっきり押さえないと、その対策はなかなか立たないと思うのです。いま長官から、約百万トンの余裕のあるお米が農家手元にあるということでありますが、これは保有米の問題につながってくるわけですが、一体、農家保有米の量、その根拠ですね、それに対して実際の農家の実消費量は幾らか、さらに、贈答米縁故米についてはどの程度と推測をしておるのか、これをひとつ数字でお知らせをいただきたいと思います。
  8. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在、私ども需給計画を立てます際に、総需要量の中に農家消費等の量を見込んでおりますが、その数量は五十四年度で三百四十万トン、五十五年度で三百三十万トンを見込んでおる次第でございます。それに対しまして農家の実際の消費量がどの程度あるかということにつきましては、必ずしも正確ではございませんが、私ども抽出調査等をしております段階では、最近の情勢としては二百二、三十万トンであろうというふうに考えておりますので、約百万トン程度農家の直接消費外保有米があるというふうに見込んでおるわけでございます。  この百万トン程度のものの中には、相当程度農家が親戚、知人等に贈与される縁故米というものが含まれておると考えられますので、このうちの一定部分だけが不正規に流れていくと考えておるわけでございますが、ただいま御質問がございました農家縁故米がどの程度になるかということにつきましては、実は詳細な調査を持っておりません。ただ、事例的に調査したものから推測しました範囲では、約六十万トン程度縁故米というふうに見られるのじゃないかという推計をしたこともございますが、この点につきましては正確な数字を把握するまでに至っておらないわけでございます。
  9. 田中恒利

    田中(恒)委員 この農家保有米ですね。この間私たち現地調査にも参りましたが、非常に大ざっぱですけれども、栃木では二俵だ、こういうことでありました。茨城は三俵だ、こういうことでありました。私は食糧庁にちょっと資料を出してくれと言いましたけれども食糧庁資料が出てまいりませんでしたが、私なりに関係各県の状況をちょっと調べてみますと、一番高いのが、一人一カ月当たり農家保有米は、山形が十四キロであります。一年間百六十八キロであります。一番低いのが群馬、埼玉、東京、大阪でありますが、これは七・八キロであります。一年間九十三・六キロであります。私どもの四国では大体百キロ内外、こういう状態でありまして、高いのと低いのと、これは同じ農家保有米でありますが、東京周辺農家は九十三・六キロ、米産地ではありますが、山形百六十八キロ、これは実に一八〇%、二倍近い保有米の差があるのですね。これは一体どういうことなのか。私は、農村部都市部で、農家といえども食慣行生活慣行が違いますから、多少の差はあってしかるべきだとも思いますが、しかし、こう二倍も近い保有米の差があるというのはどうも解しかねるわけであります。  私は、この点がやはり不正規米流通に流れる温床を形成しておるのじゃないか、こういうように思うのでありますが、こういう点について今後どういうふうに対処されるのか、あるいはこういう結果がなぜ出てきておるのか、この点をお尋ねをしておきたいと思うわけです。
  10. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先生が御指摘されましたように、私ども調査によりましても、農家保有量見方につきましては各県で相違がございます。傾向といたしましては、消費県に比べまして生産県では高く見るという傾向があるわけでございますが、このような違いが出てまいりました理由として考えられますのは、やはり生産県におきましては一人当たり消費量も非常に多い。労働ないしは食生活の習慣によりまして米の消費量が高いというような差がある点も指摘されると思うわけでございますが、それ以外に、やはり従来の集荷実績というものから勘案いたしまして、推定されます総生産量の中から集荷されます数量の残りというものを農家保有というふうに考えますと、集荷実績を勘案いたしましてこのような農家保有考え方が出てまいったと思うわけでございます。  したがいまして、今後できるだけ適正に農家保有を維持するというためには、できるだけ農家余裕のある米の全量集荷というふうなことに努力をしていかなければならないというふうに考えておりまして、今後、私どもといたしましては、適正な計画の作成と、それから集荷業者に対します責任を明確にするというような指定制の過程を通じまして、できるだけ全量集荷に努めていく必要があると考えております。
  11. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣、私はこの不正規米流通源泉として、一つはこの問題が大きく作用しておると思います。現地調査などについてもそういう意見が非常に出たわけでありますが、各県で協議会のようなものをつくって食糧事務所、県、市町村がこういう相談をせられておるようです。しかしこれはこういう形で放置しておったのではますます拡大をしていく、傾向的にも拡大をしてきておるわけですね、年次別に。今度全量集荷全面管理をやられるということになりますと、しかもこの不正規米流通というものにチェックをしていくということになると、ここのところに対して何らかの具体的な対応策を立てなければ、源泉についての対策を立てなければ、あと流れておるところをいろいろ取り締まるというのは二番目の問題だと思うのですね。私はここのところについて食管法の中でどうも目が向けられていないような気がするのですが、大臣はこれはどういうふうにお考えでしょうか。
  12. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもも、今後の食管制度を秩序あるものとして政府全量管理責任を果たしますためには、やはり御指摘ありましたように集荷段階における全量集荷体制を明確にしていくことが必要であろうと考えておりまして、そのために、一つ基本計画等におきまして農家保有量というものをできるだけ適正な数量にしていくということを心がけてまいりたいと考えております。従来も農家消費等数量につきましては漸次実態に合わせまして是正をいたしておるわけでございまして、今年度におきましても約十万トンほど減少させてきておるという経過があるわけでございますが、今後できるだけ適正な農家保有量計画上組んでまいりたいということが第一点でございます。  それからもう一つは、ただいま申しましたように、集荷業者を改めて法律指定制にするということで集荷業者責任を明確にしていくということで、このために必要があれば業務基準というようなものも定め、また監督も適正にいたしまして、集荷業者全量集荷体制をとるようにしてまいりたい、そのために必要な運営面での改善というようなことも考えてまいりたいというふうに思っております。
  13. 田中恒利

    田中(恒)委員 これはきわめて簡単なんでありまして、農家生産量から予約限度数量を引いたものが農家保有米、こういう形で基本的には計算しているわけですね。ですから、問題は予約限度枠というものをもっとふやせばこの問題は解決するのですよ。それを政府の方で毎年毎年縮小しておるものだから現実にはこういうことになっておる。一方ではまた生産調整で作用しているという面もありますよ。しかし現実には予約限度量の枠を広げる、これがなければ同じことになりますよ。そういうふうに考えますが、この点についてはどうですか。
  14. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほども申しましたように、従来から、予約限度数量を計算するに当たりましての農家消費量見方につきましては、昭和四十七年ごろは三百八十万トンでありましたものを少しずつ減少いたしまして、五十四年度では三百四十万トン、五十五年度では三百二十万トンというふうに縮小をいたしておりまして、その限りにおきましては予約限度数量考え方をふやすという方向をとっておるわけでございますが、この点につきましてはやはり集荷実績というようなこともございますので、集荷実績等々勘案いたしまして、適正な予約限度数量、その基礎になります農家消費量を見定めてまいりたいと考えております。
  15. 田中恒利

    田中(恒)委員 次に、贈答米縁故米につきまして、不正規流通に対してどう対応していくかという視点で質問いたしたいと思います。  贈答米縁故米が一体どの程度あるのかということを食糧庁もはっきりつかんでいないということでありますが、大変長い間食糧管理してきて、米の流れについてはほとんど食糧庁で押さえられておると思いますが、なかなかわかっていないということであります。これは四十万トンとか五十万トンとか、いま六十万トンと言われましたが、大体その範囲だと一般的には言われておるわけでありますけれども、この贈答米縁故米は、この委員会質疑を通して、不正規流通にならない十分な監視体制をとるということ、それから市町村許可は必要としない、こういう答弁が明らかにされておりますが、贈答米縁故米基準を、単に無償譲渡をする場合ということから、もう少し具体的に、その量はどの程度考えておるのか、あるいは個人間の譲渡にとどまらずに、たとえば法人などが不特定多数の人々に対して米を贈る、たとえば記念品とかあるいは何か景品のような形で、こういうことも考えられるわけであります。こういうものについても贈答米とみなすのかどうか、日常の監視体制というものはどうやっていくのか、もう少し詳しくお考えをお示しをいただきたいと思うのです。
  16. 松本作衞

    松本(作)政府委員 贈答米につきましては、今回の法律が守れる法律にしていきたいということから、個人間の無償譲渡のようなものは実質上チェックをするといいましても困難でございますから、こういうふうな個人間の無償譲渡のような流通につきましては規制の対象から外したいということでございますが、ただいま御指摘がございましたように、これが不正規流通につながるということは非常に問題でございますので、私どもは、個人間の譲渡行為を一々追いかけてチェックをするということからチェックをいたしますよりも、むしろ縁故米贈答米に名をかりたいわゆる不正規流通が行われるところをチェックをしていきたいと考えておるわけでございまして、そのために具体的には、流通業者不正規のものを取り扱ったかどうかということにつきまして、流通業者につきましての十分な指導チェックをしていく、それからまた、許可を受けてない、ないしは指定を受けてない流通業者がこういった米を扱いました場合には当然法律違反ということでこれを取り調べるというような形をとりまして、縁故米贈答米に名をかりた不正規流通が行われないように、主として業者活動チェックを通じてこれを阻止してまいりたいと考えております。  具体的に贈答米基準をどの程度までするかということにつきましては、現在私ども個人間の無償譲渡というふうに考えておるわけでございますが、どこまでが個人間の無償譲渡になるのか、個人の中にいわゆる法人名が絶対含まれてはいかぬのかどうかというような点につきましては、今後想定される具体例に基づいて細かく詰めてまいりたいと考えておるわけでございますが、大筋といたしまして、いわゆる個人間の無償譲渡というものは当然に数量的にも限界があるというふうに考えられますので、あくまでも縁故米贈答米に名をかりた不正規流通が行われないような具体的なチェックの仕方を今後詰めてまいりたいと考えております。
  17. 田中恒利

    田中(恒)委員 警察庁お尋ねをいたしますが、農林水産省取り締まり当局連絡をとりながら厳格にこの取り締まりに対処をしていく、こういうことを本会議大臣はおっしゃられておるわけですが、同じ本会議自治大臣答弁を聞くと、あるいはこの委員会での警察庁答弁を聞くと、行政指導がまず先行し、行政指導が十分に成果を発揮されるということを期待をし、需給事情を踏まえた上で取り締まるのだ、こういう意味答弁でありまして、多少取り締まり方針をめぐって、本法改正取り締まり当局が特に米に焦点を置いて不正規米流通に一般と力を注ぐというような感じにはどうも受け取れないのでありますが、従来と同じように、取り締まりというのは非常に悪質な、組織的な、規模の大きいものに対して取り締まるということなのか、本法制定取り締まり方針や具体的な内容が変わっていくのか、こういう点を含めて、取り締まりについてのお考えを重ねて明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  18. 本多義光

    本多説明員 米穀の流通秩序の維持につきましては、所管行政庁行政措置十分効果を上げるという立場から警察取り締まりをしていく方針でまいったわけでございます。今後とも、先ほど食糧庁長官がお話しになりましたような行政措置に期待いたしまして、警察取り締まりを必要とするような悪質な事犯が生じました場合、的確に取り締まりをしていくつもりでございます。
  19. 田中恒利

    田中(恒)委員 前と余り変わらないと思うのです。どうもまだ取り締まり当局として、行政当局との間に今度の改正に伴う話が十分に煮詰まっていないのではないか、こんな感じもいたします。本法改正のねらいにしておるのは、ともかくやみ米ルートを、根絶するとまでは言っておりませんが、大臣も先ほどおっしゃられたように、できるだけそのパイプを細くしていくということでありますから、行政指導の面での規制と同時に、やはり取り締まり当局の動きというものがいろいろな面で影響を与えると思いますが、その辺十分に連絡をとり合って、もう少し具体的に詰めていただきたいと思います。  次に、不正規米流通のいま一つ源泉と目されるものに超過米の問題があると思います。ことしの十月末、いわゆる五十七米穀年度に持ち越される売り渡し米は大体どの程度になるのか、まずこの点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  20. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ちょっと御質問の趣旨が明確でなかったのでございますが、売り渡し量といいますと、どの点の売り渡し量でございましょうか。ちょっともう一回お聞かせいただきたいと思います。
  21. 田中恒利

    田中(恒)委員 国民に売却される米ですね。
  22. 松本作衞

    松本(作)政府委員 在庫量でございますか。
  23. 田中恒利

    田中(恒)委員 私どもこの間調査に行きまして倉庫を見ましたけれども、たとえば去年の米、それからその前の米は大分なくなって、ことしは思った以上に国民供給される米の量は少なくなってきた。来年の新しい米穀年度に使える米は一体どの程度繰り越されていくのか。十月の末でありますから、まだいまから一定消費が出るわけですけれども、おおよその見当を持っていらっしゃるでしょう。
  24. 松本作衞

    松本(作)政府委員 わかりました。  実は、昨年不作のために生産量需要量との間に約百万トンほどの不足が生じたわけでございますが、五十四年産米におきまして約百八十万トン弱のものを持ち越しておりますので、この五十四年産米を操作することによりまして、百万トンの不足分を補いましても約八十万トン程度のものが翌年度に持ち越されることになるわけでございます。そのほかに、五十六年度の生産調整におきまして若干余裕を見ております。需要に対しまして二十万トンほど余裕を見ておりますので、五十六年産が平年作でありました場合には、その供給余力が二十万トンほどあると考えておりますので、合計で百万トンほどの余裕が持ち越されると考えている次第でございます。
  25. 田中恒利

    田中(恒)委員 食糧庁は約百万トンということでありますが、全農などの話を聞くと、冷害による減収は百万トン以上じゃないか、全農の取り扱いだけでも百二十万トン程度あれしておるのではないかということであります。私たちも各県の食糧事務所事情を聞いてみましても、来年の需給事情は、ことしの米の作況にもよりますけれども、大変厳しい、こういうことが予想されるわけであります。  超過米につきまして、これまでの質疑では、基本計画には入れない、しかし超過米が出た場合には供給計画には入れて政府流通ルートで動かす、価格については特別な助成はしない、こういう意味の御答弁がいままであるわけですね。しかし、本来全量管理というたてまえあるいは食管法の根幹から言うと、量の規制なり量の管理と同時に、価格管理をやらなければいけないのですから、流通ルートだけ超過米を通させて、価格の方はタッチしないということもちょっと筋が立たない、こういうふうに思います。  あるいは超過米歩みを見てみると、四十八年ですか四十六年ですか、買い入れ制限が行われ出して、予約超過米というものが発生する。いわゆる豊況時でありますが、作況一〇〇を超した場合出てきますね。その時期から四十八年、四十九年、五十年とそれに対して一定助成というものがなされておりますね。いわゆる特に米の需給事情が逼迫した段階ですね。それから需給事情が緩和するに従ってだんだん量が少なくなって、五十四年になくなるわけですね。ずっとなくなってきておるわけですが、これからの見通しとしては需給が非常に厳しくなっていくのじゃないか、こういうことも想定されるのであります。  こういう超過米歩みからいきましても、あるいは全量管理のたてまえからいって、天候で米がたくさんとれた、こういう場合の要素を全然無視してそれはお天気でできたのだからその分は知らないのだということで見ない、いま超過米の値段が、御承知のように大体六十キロ当たり三千二、三百円低いと私は思うのです、政府管理なり金利、倉敷なりですね。だから生産者にしてみるとその分はやはり有利に売ろうとしますから、これは全量集荷に乗らないわけであって、やはりそこのところがねらわれておる、こういう面があると思うのです。こういう意味からも、特に需給事情が逼迫してくるという情勢の中では、価格的に何らか対応すべきではないか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  26. 松本作衞

    松本(作)政府委員 超過米の取り扱いにつきましては、まず国の全体の需給の見通しを立てる基本計画段階では超過米が出るということをあらかじめ予測することはできませんので、平年作を前提としての見通しを立てますので、基本計画段階では超過米という考え方は出てまいらないと思っているわけでございますが、出来秋になりまして、供給される米の量が明確になってまいりました段階で立てるいわゆる供給計画の中身におきましては、この超過米供給される数量として織り込んでこれの流通考えていくということでございますので、超過米につきましても、この全量管理考え方の中で発生してまいりました場合には処理をしていくということは考えているわけでございます。  ただ、その際に価格面についても政府直接買い入れ米と同じように取り扱うべきではないかという点につきましては、従来の超過米の発生の状況を見ておりましても、非常に数量が多かった五十二、五十二年等豊作の年でございますので、豊作によって通常の収穫量以上のものが生産されたということが主たる原因であると考えておりますので、これはやはり農家にとっても、超過部分の生産ということでございますのと、一方において、この超過米につきましても限度内の数量と同じような価格条件になりますと、せっかく限度数量を設けましても、限度内であっても限度外であっても価格条件が同じだということになりますと、やはり限度数量が守られがたいというような傾向考えられますので、私どもといたしましては、価格形成におきまして、政府が必要とする量の価格と、それ以上に超過して生産された米の価格とは差があってもやむを得ないのではないかというふうに考えまして、五十四年度以降この超過米に対する奨励措置というのは打ち切ったような次第でございます。
  27. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はちょっとおかしいと思うのですね、それは。豊作になったからちょっと違うと言いましても、米については全量管理というたてまえを貫いておるわけですから、全量管理というのは、量と価格を両方的に国が責任を持つというか管理をしていくということなんでありますし、農業は気象条件に左右されるということは、これは農政の基本でありますし、農業基本法はそのことをぴしっと明らかにしておるので、豊況になってたくさん米がとれたから、これだけの米は見るが、これだけの米は豊況については全然知らないということでやるのは少しきつ過ぎる、こういうふうに思いますがね。ですから、需給の状況を見て、たとえば余ってしょうがないとき、それから足らないような状況になっていく場合、こういう場合には需給が非常に逼迫してくる。こういう場合にもしこの超過米というものが出た場合には、これについては最低限何らかの価格的な対策を立てる、こういうことはどうですか。
  28. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもといたしましては、やはり本来管理すべき数量については基本計画の中で織り込むべきものであると考えておりますので、ただいま御指摘ありましたように、需給の逼迫をするというような場合には、やはり基本計画の中において供給量を拡大をしていくというふうに考えるべきでありまして、したがって超過米の取り扱いを特に優遇するということとは事柄が別ではないかというふうに考えております。
  29. 田中恒利

    田中(恒)委員 優遇じゃないのですけれどもね。これは優遇ではありませんが、基本計画の中でということですが、やはりそういう予約の限度量の問題が基本的にはあるのですね。この議論をしていると長くなりますが、私はやはり超過米のこれからの取り扱いについてはなお検討しておいていただきたいと思います。  この基本計画でありますが、この基本計画は品質別数量を示す、ここに一つの大きな特徴があるし、これが本法改正の、言葉で言えば消費者の需要に応ずる米のいわゆる需給計画ということになるのだと思いますが、そこで具体的にお尋ねをいたします。  たとえば五類でありますが、五類という米は、これは北海道ですね。これは全部北海道であります。この北海道の五類の米は現在生産がほぼ六十万トンと思います。ところがこの五類に対するいわゆる需要は、これは多少年によって変動がありますが、私は三十万トン内外だ、こういうふうに思います。三十万トンになっておるかどうか。いずれにせよこの供給需要の間に倍の差があるわけであります。生産は六十万トン、需要は三十万トン、二倍あるわけです。どちらをとるのですか、この基本計画で。五類米の品質別の基本計画を立てる場合、どちらをとるのですか。
  30. 松本作衞

    松本(作)政府委員 品質別の需給の問題でございますが、私ども基本計画におきましてこの品質別需給考えます際に、まず全体の需給の量につきまして均衡を図るということを考えるわけでございますが、その中のいわゆる品質別の動向につきましては、全体のバランスされた需給の中でできるだけ消費者の動向に即した品質別の生産を誘導していくというふうに考えておるわけでございます。  ただその場合に、品質が、ただいま御指摘がありました北海道の場合のように特定の地域に偏っておるという場合にどうするのかという点につきましては、従来もこの政府の買い上げ数量を決定いたします際には、生産調整考え方に基づきまして、生産の転換が可能となるものを基準にして生産量及び政府の買い入れ限度数量考えておるわけでございますので、今後におきましても、この北海道における五類米の生産規模というものは、従来の生産調整考え方に即して決めていかれるべきものであって、決して、ただいま御指摘ありましたように、当面売れないから直ちに生産をやめてしまうというようなことにはならないというふうに考えております。  ただ、実態といたしまして需給関係が緩んでまいりました場合には、ただいま御指摘ありましたように、どうしても品質によっていわゆる需給関係のギャップが大きくなるというものがございますから、こういうものにつきましては、やはり今後できるだけ需要の確保というようなことにも努めまして、需給のバランスをとるように努力をしていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  31. 田中恒利

    田中(恒)委員 仮に五類米の基本計画を設定する場合に、いまお話しのように、二倍の差があるわけですから、一挙に三十万トンにするというわけにはいかないでしょう。しかし恐らく四十万トンなり五十万トンなり、需要の動向に対応する長期的な生産の方向を見詰めた基本計画ができると思います。ですから三十万トンに対して仮に四十万トンあるいは五十万トンと設定された場合には、そこに十万トンなり二十万トンの過剰が残るわけですね。この過剰が翌年のこの基本計画にさらに反映をされていくのか、あるいは生産調整に結びついていくのか、こういう問題が心配されておるわけであります。この点についてはどういうことなのか、いわゆる品質別の見通しというものが狂って、そこで在庫が生まれた、こういう場合にこの在庫の取り扱いはどういうふうにせられるわけですか。
  32. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、この品質別の需給の調整という場合には、需要に応じて一方的に生産を抑制ないしは伸ばすというだけではなくて、生産実態というものが前提としてあるわけでございますから、そういった生産実態に合わせた需要の開拓ないしは需要の確保というような、両面からの努力をしていかなければならないというふうに考えておりまして、ただいま御指摘ありました北海道の五類米につきましても、私ども今後需要拡大の努力というものの余地が十分にあるというふうに考えておりますし、そういった面での需要の確保にも努めていかなければならないと考えております。  それにもかかわらず、なおかつ剰余が出る場合にどうかという問題につきましては、この場合におきましては、私どもは今後備蓄のあり方を検討いたします際に、直接主食に回す備蓄だけではなくて、一定量をたな上げをいたしまして、このたな上げをされた備蓄を、備蓄の機能が終わりましてから後に加工用等に処分をしていくというような備蓄のあり方も考えておりますので、そういった回転備蓄ではない、たな上げ備蓄の操作の中で、いま御指摘がありましたようないわゆる過剰、需給のギャップ分を調整していくというようなことも考えてまいりたいというふうに思っております。
  33. 田中恒利

    田中(恒)委員 考えてみるということじゃなくて、こういう場合には単年度で消していく、いわゆる加工なり輸出なりえさなり、こういうことで理解をしてよろしいですか。
  34. 松本作衞

    松本(作)政府委員 どれだけの数量についてそのような措置をとるかということは、今後の備蓄のあり方とも関連いたしますので、一律には申せませんが、ただいま御指摘ありましたように、私どもとしては主として加工用に処理することを前提とした備蓄というものの中で相当程度処理ができるものというふうに考えております。
  35. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは流通規制の問題について若干御質問いたしますが、今回の改正は、配給をなくして集荷小売商の自主的な商業活動を通して米の円滑な供給をさせるというところが一番大きな内容になっておるわけであります。その基本はいわゆる消費者の需要に沿う米を公平かつ円滑に消費者の家計を圧迫しない価格供給をしていく、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  36. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘のような趣旨で流通改善を図っていきたいと思っております。
  37. 田中恒利

    田中(恒)委員 消費者米価については、これは政府管理責任にある、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  38. 松本作衞

    松本(作)政府委員 そのように理解しております。
  39. 田中恒利

    田中(恒)委員 この場合に、消費者の求める米の品質と価格への行政指導が問題になると思うわけであります。一つは標準米の品質と位置づけでありますが、標準米がどうも毎年だんだん量が少なくなっておる、こういう傾向が出ておりますね。しかも消費者の中からは、最近は特に古米を混ぜておりますからまずい、案外標準米はいいという声よりも、この数年来標準米はやはりまずいという声が強いわけですね。これはやはり小売段階の混米の操作というものが米の不人気をもたらして、米の消費拡大にブレーキをかけておる、こういうふうに理解をせざるを得ないわけでありますが、標準米の比重がだんだん少なくなってきておることについてどうお考えになるのか。  御承知のように標準米というのは三類から四類、五類が標準米になる、こういうことになっておるわけですね。五十四年の数字を見てみましても、これは全体の米の中で三七%あるわけですね。ですから標準米は三七%消費者の手元に届かなければいけないのですが、これは二七%で一〇%落ち込んでおりますね。しかも、この量はだんだん少なくなっていっておるわけです。これでは消費者に対して政府責任を持って——標準米制度というものはいま消費価格を決めていく一つの指標になっておるわけですが、これが崩れるのではないかという心配も一方ではあるので、この標準米を今後どういう程度の比重にしていくのか、混米に対してどういうふうな対策をしていくのか、小売価格などに対する行政指導はどう考えられておるのか、こういう点を一括してひとつお答えいただきたいと思います。
  40. 松本作衞

    松本(作)政府委員 標準価格米は、やはり一定価格消費者に安定した米の供給をするという意味で今後とも重要な役割りを果たしていくものと考えておるわけでございますが、消費者の需要の動向からいたしますと、どうしてもいわゆる上米嗜好、良質米嗜好の傾向がありまして、その結果として標準米の割合が減少していく傾向にあることは事実でございます。しかし、私どもといたしましては、できるだけ消費者の方に品質内容と価格の点について十分な適正な判断がされるような状況を明確にしていく必要があるというふうに考えておる次第でございまして、良質米の嗜好等につきましても、品質と価格関係について消費者の方に十分理解をされた上で消費者の選択が行われるようにしてまいりたいというふうに考えております。  したがいまして、ただいま御指摘がありました混米の問題につきましても、従来原料構成等について必ずしも明確でありませんでしたものを、特に昨年度からは、小袋詰め精米についての原料構成を袋に明確に印刷させることにいたしまして、品質別にどのような原料の米がどのような割合で入っておるかということを明確にするよう指導をしてまいった次第でございます。したがいまして、こういった原料構成と価格との関係を十分明らかにすることによって消費者の適正な選択に期待をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  しかし、そのような実態が適正に行われますためには十分な指導が必要でございますので、今後都道府県、食糧事務所一体となりまして、こういった末端における価格と品質との関係についての十分な指導を徹底さしてまいりたい。一方におきまして、販売業者許可制の中で、販売業者に対しましてもこういった品質と価格についての適正な販売についての指導を十分に行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 田中恒利

    田中(恒)委員 次に、流通を担当する主体であります。  これは集荷業者それから卸、小売でありますが、これらの米穀市場を担当する流通主体は、農協などは集荷団体として非常に大きな組織力、資金力を持っておりますが、卸、小売などは、特に小売商などは、当委員会の参考人の意見陳述にもありましたように、米という巨大な商品を担当するに当たっては非常に厳しい環境の中に置かれておる。非常に規模が零細であるというところに、今日の大きな経済活動の中で悪戦苦闘しておる、こういう旨の御発言があったわけであります。特にこれら小売段階の零細業者の権益をどういうふうに守っていくのか。あるいは農協、生協あるいは卸、小売それぞれの担当流通主体の間に、ある意味では一致するところもございますが、またある意味では利害が相通じない面もございます。こういう問題についてどういう利害調整をせられようとするのか。ともかくこの流通段階の米を担当する業者の近代化あるいは体質改善、こういうものが当面やはり大きな問題だと私は思うのですが、これらについての食糧庁方針を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  42. 松本作衞

    松本(作)政府委員 流通段階におきます体質改善の問題は、今後の食管制度を健全化する上で非常に重要な課題であると考えております。販売業者の体質強化につきましては、従来もたとえば大型集中精米の促進をするための助成でありますとか、または販売業者の構造改善事業に対する助成でありますとかいうようなことをいたしまして、その体質強化に努めてまいった次第でございますが、今後ともこの販売業者の体質改善については具体的に指導をしてまいる必要があると考えております。そのために、今度の法律改正の中におきましても販売業者に対する業務運営基準というようなものをつくりまして、その中で具体的な体質改善の方法を推進していきたいと考えております。  なお、これらの販売業者がそれぞれの系統によりましてどうしても競争し合うというようなことが考えられるわけでございます。ある程度適正な競争というものは消費者に対するサービス向上の面からも必要であると考えておりますが、それが経営の基盤をもろくするというようなことがないようにするために、今後の流通改善の面におきまして、たとえば新規参入を認めていくような際における業者間の商業調整の問題というようなことにつきましても必要な場を設けていくということで、今後需要が必ずしも急激に増加するとは考えられません米でございますから、流通秩序の維持を図って、業者が健全に経営ができますような方向を考えていきたいと思っております。
  43. 田中恒利

    田中(恒)委員 集荷の事業区域についてでありますが、これまでの政府答弁によると、現在のあり方を見直す必要があると一方では指摘し、また他方では従来の方法を余り変えない、こういう答弁がなされておるわけでありますが、この事業区域についてはどのような方針で望まれるのか、改めてお尋ねいたしたいと思います。
  44. 松本作衞

    松本(作)政府委員 集荷業者につきましては、今回法律改正によりまして指定制という形で法律上地位と責任を明確にしたわけでございますが、この場合に、できるだけ全量集荷体制を充実していく必要があると考えておりますので、そのために必要な改善というものを検討していく必要があるのではないかと思っております。  その際に、集荷業者の業務区域についての考え方といたしましては、集荷区域については市町村を基本とするという考え方は今後とも維持してまいりたいと考えておりますが、ただいま申しましたような完全集荷を達成するという意味から、集荷の効率化、適正化のために必要な地域につきましては指定制度の運用を弾力化する、また業者指定要件に取扱数量を加えるというようなこと等も配慮いたしまして、集荷業者がより活発な事業ができるようにというような運営上の配慮を考えてまいりたいと思っております。
  45. 田中恒利

    田中(恒)委員 生活協同組合が農業協同組合などと結びついた産地直結の米のルートというものが一つありますが、これについてはどういうふうに評価をし、今後これをどういうふうに取り扱っていかれようとしておるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  46. 松本作衞

    松本(作)政府委員 消費者が特定の米を需要しておるというような場合、従来から生協等が産直というような形での流通を実施しておる事例がございます。今後におきましても、私ども、この流通が自主流通米のルートによりまして食糧管理制度流通の枠内で行われる限りにおいては、これを否定する必要はないと考えておるわけでございますので、生協と生産地との間において自主流通ルートを通じての適正な流通が確保されることを期待しておる次第でございます。
  47. 田中恒利

    田中(恒)委員 大分時間がなくなりましたので大臣にお答えをいただきたいと思いますが、八〇年代の農政のあり方を示しました農政審の答申をめぐって、米について二つの重要な問題の提起があったと思うのです。一つは、日本型食生活の定着、米の消費拡大ということであります。いま一つは、農産物の価格政策は需要に対応する、需給事情を反映した価格支持政策のあり方、この二つが注目を浴びておったと思うのです。  米の消費拡大というものを前提にした日本型食生活の定着という問題については、その後余り具体的に農林当局あるいは関係機関の動きも見えないと私は思うのです。学校給食という問題がその前提でありますが、これもさほど大きな進捗を示していない。すでに当委員会で一、二議論があったとおりでありまして、大都市等は相変わらずあれでありますし、文部省と農林省の間でもこれにまだ一緒に腰を入れてかかろうという姿勢になっていない。こういう面は案外軽くなっておるというか、名前は出てきたけれども具体的な内容はさっぱり出てこない、構想もどうもわれわれ自体もまだはっきりつかみ切れない、こういう状況でありますが、後段の需給事情の反映をもととする価格政策については、たとえばこの間の畜産物の乳価の据え置きの決定、あるいは先般の、大変御苦労されたようでありますが蚕糸価格の七百円の引き下げ、非常に具体的にスピードアップして価格需給事情反映という路線を突っ走っているわけです。  ですから、いま農民や関係団体、関係者の間には、次に出てくるのは麦であり、ことしの米価である、この流れの中でいわゆる需給事情を反映した価格、すなわちそれは現状維持なり引き下げなり、そういう不安があるわけです。しかし、生産費及び所得補償方式に立つ限りは、物価、賃金あるいは需給事情も米については昨年に比べて非常に窮迫しておる、こういう事態も明らかであります。私は、こういう状況を踏まえて、近く訪れる麦価と米価の決定について大臣はどのようなお考えであるか、この際明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
  48. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 米の消費拡大につきましては、農林省は、五十六年度予算編成の中に織り込んでおります学校給食を初めといたしまして、市町村を中心といたしました米消費拡大運動等の展開を強力に推し進めておるところでございまして、相当な実績を上げておる、私はこう見ておる次第でございます。なお、都会地の学校給食が週二日までにはるかに遠いという状態であることにかんがみまして、文部当局に対しましても強くその点の推進方をたびたび要請いたしておるところでございます。  次の、需給事情を十分考慮した農産物価格というようなことが農政の基本方向の中に指摘されてあるわけでありますけれども、それぞれの農産物価格の根拠は、立法されたその法律に根拠を置いて今日まで決めてきておるわけでありますので、これらの法律があります以上、この法律制定の精神を十分に尊重して農産物価格は決めていかなければならない。たとえて申せば、米価につきましては「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こういうふべにきちっと書いてございますので、この米麦価等につきましては、現行食管法に示してあります精神を十分に体して決定さるべきもの、私はこのように考えておる次第でございます。
  49. 田中恒利

    田中(恒)委員 以上私は、与えられた時間の中で、きわめて部分的でありましたが、本改正案が現状の追認であって、法と実態の乖離を埋めるにすぎないという政府の見解についての若干の御質問をいたしました。しかし、この食管法改正は、長い間財界などから批判されておりますことに対して、政府自体が食糧管理に対する政府の関与度を薄くし、特に財政負担を軽くしていく、こういう視点に立って自由な商業活動に依拠していく、こういう仕組みに変えようとせられておる、こういう理解をせざるを得ません。そのことから、改正法を通して新しく実態と法との乖離がまた生ずるのではないか、こういう心配を実は強くするものであります。このことはやがて食管法の部分管理への道に入っていくのではないか、こういう不安を感じます。  そういう意味で、国内外のきわめて深刻な食糧の需給事情を背景にして、私ども社会党は総合食管制度というものを提案しているわけでありますが、そういう視点に立って、ぜひこの総合食管制度を加味した方向でこの政府提案の食管法を切りかえなければいけないのじゃないか、こういうことを感じましたので、あわせて意見として申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  50. 田邉國男

    田邉委員長 新盛辰雄君。
  51. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回の食管法改正当たりまして、特にこれまで議論をされました諸問題を、重複を避けながら政府の見解もただしてまいりたいと思います。  まず、この食管法の根幹の認識でございます。いまもお話がございましたように、法と現実の乖離を生み出して、これからとめどなく食管法がなし崩しになっていくだろう、さらには食管の空洞化という現実をつくったのは、これまでの行政のあり方に問題があったのではないか。米の過剰と流通米の横行に対する行政手段が、手法においてだめになったから、現状追認という形で改正に踏み切らざるを得なかった、こういうことだろうと思います。法律の権威というのは一体何であるかということを改めて問い直す必要があると思うのです。  すでに戦後の段階を踏まえて四十年ぐらいになるわけですが、この法律は過去において法律改正十八回、同施行令が四十一回、施行規則が九十五回、施行に関する件が百五十六回、政府に売り渡すべき米穀に関する政令が二十八回、このように政令がそのときどきにおいて、いわゆる役人の御都合主義というか、あるいはひとり歩きをしている現状をただ追認したような形で各種法律の政令の内容は変わっている。これはやはり食管法の空洞化というのはそういう面からも来ているのじゃないかと思うのです。このことについて、まず大臣どうお考えになっていますか。
  52. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 新盛委員指摘のような見方もあるのかもしれません。私どもといたしましては、国民の基本食糧であります主食の米麦の確保と供給ということに対しまして全力を尽くしておるところでございます。  しかるところ、食糧事情というものは、その時代時代、時々によって豊凶等もございますことは御承知のとおりでありますから、その事態事態に応じた対処の仕方をして適時適切なる法の運営というものを弾力的にやってまいった、こういうふうに見ておるわけでございまして、その結果、戦後三十六年をけみしておる今日、終戦直後のあの食糧不足状態のときは別といたしまして、一応農政がある意味における軌道に乗って以来今日まで、食糧問題について、特に主食の問題について国民の皆さん方に不安を与えるという事態は一度も起こしてこなかったということが一つと、さらに、何といっても米作農家の皆さん方に生産意欲を落とさせずに今日まで来ることができたということをもってしましても、この食糧管理法というものの運営は比較的戦後適切になされてきたもの、こういうふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  53. 新盛辰雄

    ○新盛委員 米穀の再生産を確保する、消費の家計を安定せしめる、これは根幹になっているわけでありますが、農政審「八〇年代の農政の基本方向」の中でも「政府国民に対し責任をもって米の安定的な供給を確保するという制度の根幹は維持」する、こういうことになっているわけでありますが、今回自主流通米を法的に認めるということは、食管制度全量管理の否定につながるのではないか。さらには、部分管理への移行が明確になって、食管法の基本的機能の変質につながっているというふうに私は認識をしているのですが、特に省政令によるこの新たな運用、これは当面の重大な焦点になってくるわけです。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕 いわゆる基本方針というものをおつくりになるわけでありますが、ネコの目農政と言われて指摘を受けている状況の中で、こうしたことの基本方針を、計画をこれからお立てになる。そのことによるこれからの運営ということについて、何回か議論もあったわけでありますが、再度確認をする意味で申し上げたいと思うのです。果たしてこの基本計画という問題においてどのような——この法令の内容について、すでにお示しになっておられる改正の省政令の、いわゆる見込みということで私ども把握をしましたが、このことについてここに明らかにしなければ、われわれがいま現在議論をしているのですから、運用の問題が一番いま焦点になっているわけですから、そのことをお出しにならないで、この議論を通じてということだけで済まされるのかどうか、このことについてはどうお考えですか。
  54. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画につきましては、今後の食管制度を国が責任を持って全量を管理をしていくという考え方を具体的に明確にしていこうということでございますので、この基本計画の内容につきましても、法律上も、管理についての基本方針管理の方法に関する基本的な事項、需給の見通し、それから管理すべき米穀の用途別、品質別、流通における管理の態様別の数量の見込み、それから管理に関する重要事項というような、具体的な列挙をいたしまして、この基本計画の内容を方向づけておるところでございます。  なお、この基本計画の具体的な内容は、やはり年々の需給事情によって定まってまいりますので、その時点で明確にしていくことになるわけでございますが、基本計画考え方につきましては、できるだけ法律上においても明確にしたつもりでございます。
  55. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いま一つ確認しておきますが、食管の将来像ということにつながるわけですけれども全量管理体制から現状追認の形で間接統制あるいは部分管理へ今回のこの法改正によって変質をしていくものだ、こう理解をするのか。いや、そうじゃなくて、運用の面で、いまおっしゃいました基本方針で、基本計画によってそのことは十分に加味してやっていくというのか。そのことを明確にお答えいただきたい。  それと、民間流通が非常に優勢になってくる、新しい食管管理の秩序は再構築されるべき筋合いのものである、そういうふうに理解していいのかどうか。  さらに、今回のこうした基本計画が出されるわけでありますが、予約限度数量などの基本理念、これについて、政令によってある意味では強権発動につながる場合もあり得る、こういうことなどについてはどういう御見解を持っておりますか。
  56. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、今回の改正はあくまでも国が責任を持って全量を管理し、消費者に対して安定供給を図るとともに生産者の再生産の確保を図るという、根幹を維持するための法改正であると考えておりますので、これが部分管理の方向を目指すものというふうには考えておりません。  その具体的な根拠といたしまして、基本計画供給計画等におきまして、自主流通米も含めました明確な数量管理考え方を定めまして、これによって自主流通も含む全量管理体制を明確にしておる次第でございます。したがいまして、自主流通米についての考え方はあくまでも政府管理の中における流通のあり方でございまして、これにつきましては法律上も「基本計画ニ即シ消費者ニ対シ計画的ニ適正且円滑ナル供給ガナサルルモノトシテ政令ノ定ムル所ニ依リ政府以外ノ者ニ売渡サルルモノ」というようなことで、自主流通米の食管法上におけるあり方を法律上明確にした次第でございます。  限度数量につきまして、この基本計画によって強制されることになるのではないかという御指摘でございますが、この基本計画の中における政府管理すべき米穀の数量というものは、従来の生産調整における全体需給の均衡を図る前提としての数量と一致すべきものと考えておりますので、従来から限度数量というものが生産調整を前提にして考えておった考え方と、今回基本計画の中において政府管理すべきものとして定められるものとは一致をしていくものと考えておりまして、この基本計画によって限度数量を強制するようなものではないというふうに考えております。そのことは、この基本計画の性格が政府管理に関する方向づけでありまして、この方向づけ自体を関係者の方々が見て指針にしていただきたいということでございますから、そういった基本計画の性格からいたしましても、直接これによって限度数量生産調整を強制するようなものではないわけでございます。
  57. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回の改正で、これは水田利用再編第二期対策の状況の中で、減反絡みの食管改正じゃないかという意見もあるわけです。過剰のときはこうして食管法改正、そしてまた競争原理を取り入れてこうしたものが価格形成等にも出てくるわけですが、そうしたいわゆる生産地、生産農家の減反の方向がさらに位置づけられるという問題と、米の消費という面で末端における競争条件がさらに拡大をしていくという形の中で、果たして流通機構としてどうなのかという疑問も出てくるわけであります。  それで、自主流通米のUターン、こうしたことについてはどう今後扱われていくのか。それと価格指導考え方でありますが、この価格形成のあり方で、市場原理による価格による需給調整が今回の改正の柱にもなっているわけですね。こうしたことについて、安定価格帯をどういうふうに設けるのかという問題も出てくるわけです。特に、消費者米価が上がった、上がったことに対するはね返りはどういう部分に出てくるのか。われわれも神奈川県の各地を調査をしまして、その中で明らかになるのは、やはり一類、二類、それに四類、五類というような、いわゆる差のある品質の内容においてもその価格においてはいろいろと問題があるやに見受けられたわけでありますが、こうした諸物価へも恐らく影響するのじゃないかということの危惧もありまして、これからの価格の形成のあり方としてどういうふうにお考えになっているか、お尋ねをします。
  58. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の改正におきましては、需給面における調整を計画的に図っていこうということで改正をいたしておるわけでございますが、価格についての考え方の基本は、価格についての規定を何ら変更しておりませんので、変わっておらないつもりでございます。  ただ、ただいま御指摘ありましたように、末端における価格等が混乱をしてくる心配はないのかということにつきましては、品質別の需給を達成をしていく場合に、品質に合った適正な価格が形成されるように努めなければならないというふうに考えておるわけでございまして、そのために一つは、販売業者が自主的な営業努力をすることによりまして適正な品質の米を適正な価格販売できるように、そのための業務運営の基準等も明らかにいたしまして指導を徹底をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、これらの実態が確実にあらわれてくるかどうかというようなことにつきましては、県、食糧事務所等も通じましてチェックをいたし、指導一監視を強化いたしまして、適正な品質の価格が維持されますように今後とも指導をしてまいりたい。そのことによりまして消費者に対して適正な品質の米が適正な価格流通されるように努めてまいりたいと考えております。
  59. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、食管の財政負担というのが非常に気になるところでありますが、今後これはどういうふうな推移をたどるのか。食糧安全保障上確保していく量を維持するとすれば、財政負担を余儀なくされるわけでありますが、今後こうした食管の財政負担という面ではどういうふうな推移になるのか、それをひとつ明確にお知らせをいただきたいと思う。  それと、何としても逆ざや解消という問題はこれに関連があるわけでありますが、八〇年代農政を考えていく際にもそのことについて重点を置かざるを得ないと政府も言っておるわけでありますが、このことについてどういうふうにこれから対処されるのか、それが第二点。  第三点に、過剰米の処理について。食管会計の大きな赤字というのは、この過剰米の処理をどうするかということともかかわり合いがあるのですが、この見通しはどうなっているのか。五十五年で六百六十六万トン、こういうふうになっているのですが、五十四年の六百五十万トンに対して五十四年から五カ年計画で第二次の過剰米処理に取り組んでおられるわけであります。恐らくこの処分損失額は一兆四千億になるだろう、こう言われておるわけでありますが、五十四年六月四日に衆議院決算委員会でも、これからの過剰米を出さないために明確な行政措置を行わなければならないことも決議されております。この処理についてどのようにこれから対処されるか、お尋ねをします。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 財政負担を来しております原因につきましては、いま御指摘いただきました米の過剰問題がございますし、さらに売買逆ざやの問題、さらに運賃とか保管料とか金利及び事務人件費等の管理経費、これが財政負担の要因になっておるわけでございます。これらの財政負担についてどの程度まで負担をすべきであるか、適正負担は一体どこなんだという点につきましては、これは一概に言えないわけでありまして、何といたしましてもこの財政負担はできるだけ軽減していかなければならない、そして必要最小限の経費をもってこの食管を運営してまいる、そういう方向をとっていかなければならぬわけでありまして、そのためには米の消費拡大、非常な御苦労を願って水田利用再編対策の第二期対策をやりまして、そして米の需給の均衡を図ってまいるという処置をとっておるゆえんも、米の過剰問題による財政負担をできるだけ早期になくしていこうということでございます。  それから売買逆ざやにつきましては、年々米価決定の際にその是正に努めてきておるところでありますけれども、最近は大分その逆ざやが縮まってきておるわけでありますが、今後も米需給や食管のあり方との関連において十分留意しながら、やはり生産者は先ほど申し上げましたような食管法に基づく再生産を旨とする生産者米価、適正家計を維持していくための消費者米価という、これは法律生産者消費者米価の決め方をちゃんと書いてありますので、やはり適正な両米価の決定を行うことによって逆ざやも、できることならば、できるだけその差を縮めていきたいものであると考えておるわけであります。  管理経費のうちの大部分は、金利でありますとか保管料、運賃のような、民間流通の場合でも必要な経費でありますけれども、これらについてもできる限りの改善合理化に努めるほか、機構、定員についても、社会情勢の変化等を踏まえまして合理化を図ってまいっておるところでございます。  次いで、古米処理の具体的な実情についての御質問でございますが、このことにつきましては食糧庁長官の方から答弁させることにいたしておるわけでありますが、五十八年までに計画的に毎年古米の処理をいたして、そして五十八年には終了をしたいということで、いまのところ計画どおりに進んでおるわけでございます。具体的な内容につきましては長官から答弁させます。
  61. 松本作衞

    松本(作)政府委員 過剰米の処理につきましては、五十四年から五十八年度まで五カ年間で計画的に処理することにいたしておりまして、すでに五十四年度におきまして百十三万トン、五十五年度におきまして百二万トンほどの処理を完了しておりますので、五十六年から五十八年度までの間に約四百三十五万トンほどの数量を処理をいたすことによりまして六百五十万トンを完了したいと思っております。  この内容につきましては、できるだけ有利に処分できる順序ということで、工業用、輸出用、飼料用というような順序で処理をしておるわけでございます。従来まで輸出用が予想以上に伸びておるわけでございますが、今後とも工業用、輸出用というものに重点を置き、残ったものを飼料用として処理をするというような考え方で、少しでも政府の財政負担を少なくするような形での処理に努めてまいりたいと考えております。
  62. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今後ともこうした過剰米処理、まあ一応軌道に乗っているというふうに御報告があるわけでありますが、工業用とかあるいは輸出が非常に増大をしているとかということ等もございますけれども、いずれにしてもこれは莫大な処分の損失額を持っておるわけですから、これからもこうした過剰米処理ということについては全力を挙げていただきたいと思います。  米の流通の諸問題についてお聞きしたいと思うのでありますが、先ほどからも不正規流通米の防止、取り締まりについて意見が出されております。何といっても、こうした新しい制度改正に伴って発生するやみ米あるいは不正規流通米のことについてどう規制をするのか、現地を見ましても異口同音にそのことだけ指摘されております。  いま六万四千二百六十店舗があるのですが、こうした全国の小売販売業者の皆さん方のお気持ちの中には、神奈川県下でも大体同数ぐらいのやみ業者がいるだろうというようなことを言っておられるわけですし、こうした面から見ますと、これまで登録制のものを今度新しく許可制にする場合、集荷の場合の指定基準だとかあるいは販売の、直接の小売許可基準だとか、そうした基準のあり方というのは問題が非常に多く出てくると思うのです。こうした扱いを誤れば、結局もう自由になったのだと、消費段階におけることをも踏まえて大変混乱をしてくるのじゃないか。ここがまた私は今回の改正のみそであろうし、そのことの規制のあり方いかんによってこの法改正の内容というのが結局変質していくのだということになりかねない。このことについて再度政府対応策お尋ねします。  特に集荷業者の問題についても議論があります。この場合、農協系列とその他の卸業者との間での意見の違いがあります。そうしたことに対する調整はどうするのか、あるいは集荷業者販売業者を完全に分野して——分野法というわけにはまいりませんが、この際、あるべき姿を明確にすべきじゃないかというのも出ているわけでありますが、これからのそうしたことに対する対策というのはどういうふうにおとりになるのか、まずその辺からお聞かせいただきたいと思うのです。
  63. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今後食管制度における米の流通秩序を適正にいたしますために、不正規流通についての十分な排除に心がけていかなければならないと思っておるわけでございますが、そのためには、まずできるだけ不正規流通を発生する根源をなくしていく必要があろうと思っております。一つは、できるだけ需給の均衡を図り、品質に応じた需給のバランスをとることによりましてこぼれ出る米をなくしていく。また集荷業者販売業者それぞれにつきまして、指定制または許可制というような形で地位と責任を明確にすることによりまして、こういった流通業者の中からの不正規流通というものをなくしていく。さらにはまた、今回の制度改正によりまして守れる食管法にするということでございますので、法律に定めてあるものについては必ず遵守してもらうような、いわゆる取り締まり体制を強化していくというようなことでやみ米の発生をなくしていくことに努めていきたいと考えておるわけでございます。  なお、こういったやみ米が発生しないためには、流通実態というようなものについての情報も的確に把握するようにいたしまして、そういうふうな危険性が起こった場合には直ちに取り締まりができるような体制を漸次整備をしてまいりたい、そのために食糧事務所または県の指導体制というものを強化してまいりたいと考えております。  第二番目の、流通業者についての指定基準があいまいであることによって不正規流通が出るおそれがないかという点でございますが、今後、集荷業者についての指定制及び販売業者についての許可制の要件といたしましては、一つは、業務を遂行するに足る十分な経験を有しておるかどうか、また業務の実施に必要な資産、信用を持っておるかどうか、さらには業務の適正な規模を保持できるかどうかということと並びまして、法令違反による処罰を受けたかどうかというようないわゆる遵法要件につきましても指定の要件として定めることにいたしておりますので、これらの要件に照らして適正な業者指定または許可をされるようにしてまいりたいと思っております。  なお、これらの業者指定いたします際に、御指摘がありましたように、農協系、商人系といったような形での競合関係がいろいろ出てくるかと思うわけでございますが、今後できる限り、消費者に対して販売サービスができるような、そういった業界のあり方というものを前提として考えなければならぬと思うわけでございますが、具体的な指定につきましては地域ごとの条件によっていろいろと差がございます。また具体的な商業調整的な色彩も強いわけでございますので、そういった地域の状況に基づく商業調整のやり方というようなものにつきまして適正な場を設けるというようなことで、具体的にこの法の趣旨に沿ったような流通改善ができるように指導をしてまいりたいと考えております。
  64. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それだけで果たしてうまくいくでしょうかね。集荷団体とか販売団体ですね、そうした区別というのを明確にしていく指導というのは、いま長官が言っておられるように、ある意味ではなかなかむずかしい面があるでしょう。しかし現実の問題として、無登録の業者取り締まり警察だけに任していくのじゃなくて、食糧事務所だとかそういう行政指導の面で明確にしていくのだ、しかし、たとえば縁故米だとか贈答米についての規定あるいは限度というのは、いままでの議論を聞いておりましても非常に不明確ですよ。  これはこれからのことだとおっしゃるのですが、そうした面でどこが不明確かと言えば、たとえば商行為として取引する者の規制、あるいは消費者間の取引あるいは友人間の取引、あるいは贈答米縁故米もそうであります。こうしたものについてどこまで介入できるのだろうか、あるいはそういうことができなければもう自由化への道を開く、オープンになる。こういう牽制が販売規制だと言うけれども現実にはそういうふうにはならない。そういうことについて実際の取り締まりというのは、交通違反を起こしたときに赤い切符を渡すような、一々そういう点検をすると莫大な管理人も必要になってくるでしょうし、行政の面における体制も必要になってくると思うのですね。第二臨調のときに、そういうわけにはまいりませんし、ただ一片の通達等でこの規制が完全にできるというふうには思われないのですよ。そこのところについてどういうふうにお考えになっているのか、再度お聞かせいただきたいと思うのです。
  65. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回、集荷業者につきましては指定制販売業者につきましては許可制をとりましてその業者の地位を明確にいたしますとともに、その責任の所在も明らかにした次第でございます。したがいまして、法律面におきましても業者の活動についての業務運営基準というものを定めまして、その業準にのっとって運営をしてもらう、また業務の実態が十分でないときには業務改善命令というものを出しまして業務の適正化を図っていくというようなことを法律上明らかにいたした次第でございますので、こういった趣旨にのっとって県、食糧事務所等がこの集荷業者販売業者についての指導の適正を具体的に期してまいることができるというふうに考えておる次第でございます。  その取り締まりの方法といたしまして切符制度のようなものを考えられないかというような御指摘もございますが、この点につきましては、交通違反等、許可を持っておる免許者が一定範囲内の違反をするというものよりも、むしろこういった許可を受けてないような者が違反を犯すというような場合も多いと思いますので、直ちにその場で処理ができるというよりも時間のかかるような指導監督が必要になってまいると思うわけでございますので、集荷業者販売業者等のいわゆる正規の業者以外の業者につきましても十分な流通の監視、監督をしてまいりたい、そのことによりまして縁故米贈答米等の名をかりた不正規な商売が行われないように、十分な監視体制をとってまいりたいと考えている次第でございます。
  66. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今度は、生産者、農民の一番の問題であります減反と関連するえさ米の問題についてお聞きをしておきたいと思います。  第二期対策の減反政策は六十七万七千ヘクタールということですが、これは来年度からの発生で、本年度は六十三万一千でしたか、まあこれは冷害その他の関係でそうなっているのです。これは現実の割り当てを各都道府県別におやりになったと思うのですけれども、やがて二百二十四万ヘクタールの三分の一、昭和六十五年までには八十万ヘクタールくらいつぶさなければ追いつかないのだという意見もあります。そういう減反の中において、今回のこの改正という問題は生産意欲を非常に失わしめるのではないかという問題も関連して出てくるわけでございますが、現状割りつけられましたことの経緯の中でどういう状況か、まずそれをお知らせいただきたい。  次に、この減反による転作のこれからのあり方という関係でありますが、確かに麦だとか大豆だとかその他飼料作物の転作奨励は、それなりに政府も懸命にやっておられるように思われるのですけれども、水田をつぶしてしまったのではどうしようもない、これが偽らざる農民の声であります。  そういう中で、最近になってえさ米の問題で政府も重い腰を上げて、ひとつ試験田における転作対象としてえさ米を考えてみよう、こういうことになったのでありますが、これは奨励金を出すにしても収益性が大変悪いので、転作奨励金というのはいかがなものかということも一部に言われております。しかし、これから外から輸入する飼料、そういうことに対して、水田をつぶさないためにこのえさ米を計画生産をしていくという面では、もはや具体的にこの食管の中で考えていくべき筋合いのものじゃないだろうか。確かにえさ米をつくることによって食用米との混乱が生じてくるのではないか、あるいは横流しが出てくるのじゃないか、そういうことに対する防止対策を含めてもう具体的に作業に入るべき状況に来ていると私は思うのです。  そうした面でえさ米の将来展望、品種の問題もありましょう、法制化しなければならない面もございましょう。しかし、この飼料米はコストダウンだということよりも、やらされる減反よりはみずからやる減反の中でこのえさ米も可能な範囲に、農民がこれから活用度を持つように、価格の問題その他を含めた将来展望を明らかにすべきじゃないかと思うのです。昭和六十五年度までの農産物の需給の長期見通しという関連からきて、特にこのえさ米についてどういうふうにこれから展望を立てられるのか、そのことについて前回前向きの政府の意思がわかりましたので、その上にさらにどうするかということを、脱粒性だとか収益性だとかそんなことばかり言っていないで、もっと前向きにこの計画をお立てになっているのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思うのです。
  67. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず第一点の五十六年度の転作の状況でございます。転作等目標面積でございますが、これにつきましては、五十六年度の分につきましてはすべての都道府県におきまして市町村別の配分をすでに終了いたしております。また、ほとんどすべての市町村におきまして農業者別の配分も終わっておるという状況でございます。今後の達成の見通し等につきましては、六十三万一千ヘクタールということで相当の上積みもございましたし、非常に厳しい状況であるとは思いますけれども、第一期の三年間、各年度とも超過達成をされておるということからいたしましても、第一期同様に関係者の理解と協力を得て目標が達成されるものと期待をいたしておるわけでございます。  それから第二点のえさ米の問題でございます。えさ米の試験研究は相当長期間を要すると考えられますので、現在その推進に全力を挙げているところでございますが、民間の試験研究田の転作面積カウントの問題につきましては、国が中心となって行っている試験研究を円滑に進める、そういうことの一環といたしまして検討を進めておるということでございます。したがいまして、えさ米自体の取り扱いとは別個の問題である、かように考えておるわけでございます。  えさ米を今後どう取り扱うかということにつきましては、収益性の問題なりあるいは識別性の問題、あるいは脱粒等の技術面での問題というようなこともいろいろございます。この収益性の問題についてはいろいろ補てんの仕組みなども考えられるではないかということもあるわけでございますが、関係者の合意形成というものがまだできておりません。そういうこともございますので、長期的な課題として検討を進めていくべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、将来展望というようなお話もあったわけでございますけれども、当面は何と  いいましてもこの超多収量品種の育成に関します試験研究を積極的に推進をしていく、それとともに長期的な課題として、ただいま申し上げましたような収益性の補てんの問題等もございましょうし、そういう問題に取り組んでいくということでございます。六十五年の見通し等におきましても、まだそういう段階でございますので、えさ米というような形のものは織り込んでおらない、こういうような段階にあるわけでございます。
  68. 新盛辰雄

    ○新盛委員 食管、米の問題について、また後の同僚議員の方から追及があるかと思いますので、ひとまずこれでおきまして、やはり食糧という問題で、魚のことについて、緊急な質問でございますので、ぜひひとつ御理解いただいておきたいと思います。  それは、このたび海上自衛隊と米海軍による対潜水艦特別共同訓練、日米共同軍事訓練が、きょうは十二日でありますが、もうすでに十二日から秋田沖の海域において行われる。それも五月二十三日まで二回に分けて訓練をされるやに承っております。この秋田沖の海域は、軍事上の見地から公にされない部分と、あるいはまた海上自衛隊も実は十三日から十五日の三日間この演習を行うわけでありますが、この部分については航行警報が事前に海上保安部の方に流されているわけであります。ところが、今回の日米共同の軍事訓練を行うこの海域のいわゆる航行の警報については何ら知らされていない。確かに機密事項であるという対潜訓練海域ということになっているのですが、こういうことによって起こっている漁民の不安というのははかり知れないものがあるわけであります。  防衛庁は、この軍事訓練の航行警報というのを一体どういうふうに水産庁、すなわち漁業者の皆さんと連携をとられているのか。それは軍事上の問題であるから公にできないとなれば、ソ連があそこで実弾射撃をやった、それで今度は日米間における共同訓練をこの地域でやるのも秘密であるというふうになると、まさしく国際的なルール違反じゃないか、国際慣行を無視したことになるのじゃないか、このことについてまず防衛庁からお聞きをしたいと思うのです。  そしてまた、海上自衛隊の航行警報は事前にこうして漁民の方にも知らされているということになっているのですが、こうしたことについて、何といいましてもあの地域は、今回の冷水化によってマイワシが大量に死滅をして、現地の漁民は大変苦労しておられる。そこで今度はマスの流し網をこれから始めようというさなかにこうした訓練がもし起これば、例の日昇丸事件と同じようにいつ惨事を招くかもわからない、網は切られる、どうしでくれるのだ、この不安がつのっているわけであります。これに対して水産庁は事前にどういうふうに把握をしておられたのか、このことをお聞かせをいただいて、農林水産大臣は魚の方を守る、まさに食糧の維持確保のために、動物性たん白質のいわゆる漁業の操業というのを安全に守らなければならない義務があるわけですから、このことについてどうお考えかをお聞かせをいただきたいと思うのです。
  69. 芥川哲士

    ○芥川説明員 お答えいたします。  まず、今回の日米共同訓練というものの概要について御説明させていただきたいと思います。  この訓練は、先生おっしゃいましたとおり、きょうから二十三日まで行われるわけでございますが、期間は前半と後半の二つに分かれておりまして、前半の方は本日より十五日までの四日間、後半は十九日より二十三日までの五日間、訓練の日数は合計九日間ということになるわけでございます。訓練の場所は秋田沖の公海上の海面でございまして、縦約百二十マイル、横約百四十マイル、これを平方キロで申し上げますと約四万平方キロということに相なるわけでございます。  それから、参加の規模でございますが、まず、海上自衛隊の方は艦艇が十隻参加いたします。艦艇の内訳は、護衛艦というものが七隻でございます。それから補給艦、これが一隻でございます。それから潜水艦、これが二隻参加いたします。それに航空機、これはP2Jという、潜水艦を見つける対潜哨戒機というものでございますが、これが延べ十六機でございます。  他方、米海軍の方の参加規模について申し上げますと、これは訓練の前半の部分と後半の部分とにおいて参加艦艇等が違いますので、まず前半の訓練に参加する艦艇隻数を申し上げますと、これは五隻でございます。内訳は、駆逐艦が四隻、それに潜水艦が一隻、これは原子力潜水艦でございませんで、ディーゼル推進の通常型ということに相なっております。それから航空機、これはP3Cという、わが方のP2Jと同じく対潜哨戒機でございますが、これが若干参加するということに相なっております。なお、後半の部分に参加する米側の艦艇は十二隻、それに航空機が若干ということでございます。  次に、主要な訓練項目について申し上げますと、まず、対潜捜索攻撃訓練というものがあるわけでございまして、これは潜水艦を見つけてそれを攻撃する訓練というものでございます。次に、通信連絡訓練というものがございます。これは艦艇同士、あるいは艦艇と航空機、あるいは航空機同士の通信連絡をうまくやれるかどうかという訓練でございます。第三番目の訓練項目といたしましては、防空戦訓練というものがございまして、これは艦艇を目がけて攻めてまいりますところの航空機に対しまして、艦艇の方がそれを守るという訓練内容でございます。最後に、水上打撃戦訓練というものがございまして、これは艦艇同士が互いに撃ち合うという訓練でございます。  しかしながら、ぜひ御記憶願いたいのは、今度の訓練におきましては、実弾あるいは訓練弾という、そういう射撃は一切行わないということでございまして、先ほど申し上げましたような水上打撃戦訓練というものは、たとえば大砲でございますれば、大砲をどういう方向へ向けて撃てば当たるのであるかという、そういう手順を演練するという訓練でございます。(新盛委員「長ったらしい説明はいいですから、なぜ秘密にしたのかだ」と呼ぶ)  そこで、先ほど先生がおっしゃいました海上自衛隊の訓練、これは五月十二日から十五日までの分については航行警報が出ておるけれども、日米合同演習については航行警報が出ないではないかという御質問でございましたけれども、私ども承知しているところでは、先生のおっしゃる合同演習についての航行警報は出ておるということでございまして、私、ここにその原文を持ってきておりますが、ちょっと読ましていただきますと……
  70. 新盛辰雄

    ○新盛委員 なぜ漁民が知らないか。出ているとおっしゃるならばそれでいいのです。いまのはぜひ資料をください。これは日米秘密共同訓練、私はそう言っていいと思うのです。そういうことであれば、現地の漁民の皆さんが、このマス流し網、はえなわ漁業の宝庫であるあの秋田沖で現実に操業される、ところがそういう情報が入っていないから、もし事故が起こったらこれはどちらの責めになるのか、こういうことまで言っておられるわけですから、そこのところをきちっとしてください。水産庁ももちろんそのことについてお答えがあるでしょうから。
  71. 芥川哲士

    ○芥川説明員 お答えいたします。  私どもの地元の漁民の皆様との折衝の、あるいは調整のやり方でございますが、まず、私どもといたしましては、先ほど今回の訓練には入っておらないと申し上げました実弾あるいは訓練弾という射撃、これは大変危険度が高うございますから、これをやるにつきましては地元の皆様との調整なり御相談なりをしておるわけでございます。しかしながら、今回の訓練はこういう危険度の高いものが一切含まれておらない訓練でございますので、事前の御調整を特に今回やったということではございません。  しかしながら本日の新聞にも、私申し上げておりますのは朝日新聞でございますが、本日の新聞にも若干触れられておりますけれども、当初私どもは、この海域におきまして訓練弾の射撃もやろうということを考えまして、四月の時点におきまして、地元の、これは県当局でございますが、そちらと御相談したことはございます。しかしながらその後、県当局の御意向も聞き、それからそれ以外の考慮もございましたので、結局射撃訓練というものを中止することにしたわけでございます。その結果、先ほど申しましたように、今回の訓練にはこういう内容が入らないという結果になったわけでございます。  それでは、射撃訓練が入らなければ全く危険がないのかという御質問でございますけれども、私どもはそうは思っておりません。したがいまして、今回の訓練におきましては、私ども、あるいは航空機あるいは艦艇によって特別に哨戒員をふやすなり、あるいは航空機によるパトロールを行うなりして、その結果、漁船というものを発見しました場合には、直ちにそれを水上に走っておりますところの艦艇に伝えて後、艦艇の方がみずからその漁船の操業に支障がないように避けるという対策をとっているわけでございますので、漁船の皆様としては通常のとおり、すなわち訓練がなかったものとしてそこで操業なさることについては一向差し支えないわけでございまして、私どもの方から衝突を避けるなり何なりして防止対策をとるということにしておるわけでございます。
  72. 新盛辰雄

    ○新盛委員 水産庁、どうですか。
  73. 今村宣夫

    ○今村政府委員 まず第一点の、事前に連絡があったのかどうかという問題でございますが、私たちは、事前に連絡を受けておりません。これは、防衛庁がただいまも御説明をしたようなことであろうと思います。射撃を行わないということでありまして、射撃を行うという場合には連絡がございますが、今回は射撃を行わないということで連絡を行わなかったという説明を受けております。射撃を行わなくても、こういう大規模な演習を行います場合には当然漁業の操業に影響があるわけでございますから、私の方は、こういう大規模な演習を行う場合には射撃を伴わなくても連絡をしてもらいたいということを申し入れてございます。それで防衛庁も、演習の規模によっていろいろ違いますが、今後は、一定基準のものは連絡をするということを言っておられるわけでございます。  それから第二段の、漁業の操業に影響はないのかという問題でございますが、御存じのような日本海のサケ・マスの操業を実施中でございますから、そういう操業の特殊性というものがございます。先生おっしゃいましたように網を相当、十キロにわたって流しておるわけでございますから、漁船そのものに影響はございませんでも、操業の状況に影響があるということでございますので、そういう操業の特殊性につきまして、担当課長二名派遣をいたしまして防衛庁に十分説明をいたしておりますが、防衛庁の方としては万全の措置を講ずるということでございますので、われわれはそれに期待をいたしておるわけでございます。そういう状況につきまして、地元につきましても、訓練の内容及びそういう防衛庁の態度について私たちは地元の関係県には連絡をいたしておるところでございます。
  74. 新盛辰雄

    ○新盛委員 現地の安全操業には、確信を持って安全である保証をしていく、これは防衛庁がそうおっしゃっているのです。そしてまた、水産庁の方に防衛庁が連絡をしたとおっしゃるけれども長官自身それは受けてないとおっしゃるのですから、食い違っているのですよ。だから今後、これは実弾射撃であろうとなかろうと、流し網というのは網を切られてしまっては何にもならないのですよ。そういう安全操業を妨害するようなあり方、あるいは事前の通報ということ、航行の警報、そういうことを怠って日米秘密の共同訓練をおやりになるというのはもってのほかですよ。だから事前に明確にそのことについて水産庁なりと連携をとって、現地の漁民が不安を持たないようにするのが当然でしょう。現地の皆さん、非常に不安がっているわけですから。このことについては今後各委員会等でも追及があるでしょうけれども現実にもうおやりになるのですから、その結果によって事故が発生したらどうするのか、このことは明確にしておいていただきたいと思うのです。  それで、農林水産大臣はこうしたことについて総括的に内閣としてどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
  75. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 水産庁長官から申し上げたとおりでございます。実はけさ閣議の五分前、九時に防衛庁長官から、恐らく新聞を見てからじゃないかと思うのですが、いや実は秋田沖で演習をやるから連絡いたします、これはまあ公式の連絡といえば連絡でしょう。こういうことの二度とないように、私からもやかましく漁業安全操業という見地から、漁民の生活権を守るための自衛隊が漁民の生活権を逆に邪魔するようなことがあったのでは、これは本末転倒でございますので、その点は十分こういうことが再び起こらぬように防衛庁に申し入れをしたい、こう思っております。
  76. 新盛辰雄

    ○新盛委員 とりあえず延期するなり、もう一回相談を十分して、そう訓練を急ぐ必要はないでしょう。それは日程的にいろいろ問題はあるでしょうけれども、事前にそういう通報等がおくれているし、関係者の打ち合わせもないのですから、ここはひとつやめていただくことを要望して、終わります。
  77. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 吉浦忠治君。
  78. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 食糧管理法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  食糧管理法は、昭和十七年、御承知のように国民食糧の確保及び国民経済の安定を図るため食糧を管理し、その需給及び価格の調整並びに配給の統制を行うことを目的に制定されたものであるわけであります。食管制度が、主食である米を国民に安定供給する機能を十分に果たしているばかりでなくて、生産者には価格支持により経営の安定及び所得確保、また消費者には家計の安定を図る重要な役割りを果たしていることを軽視するわけにいかないわけでありますが、なお、昭和五十五年、昨年の十一月、農政審答申の「八〇年代の農政の基本方向」の中で打ち出されたように、食糧の安全保障、日本型食生活の定着の政策課題に対応するためにも、制度的役割りはさらに重要になると思われるわけであります。一面、厳格な配給制度を中心に、不足時代の法律制度が数多く残存しておる現状からして、実態と合わない不合理な面もあらわれていることも事実であるわけでありますが、そこで私は、今改正案の内容につきましてお尋ねをいたしたいわけであります。  今回の法改正の内容については、大まかな言い方をすれば、食管制度流通面の行き詰まりを是正し、新たな食管制度への脱皮が図られるとしてこれを積極的に評価する向きも少なくないわけであります。一方では、法令の規制内容と経済実態の乖離を見直して、これを追認したにすぎない、また、本制度の抜本改正とは評価しにくいとする意見も数多くあるわけでありますが、改正後の運用次第では、わが国の農業と食生活、ひいては国民経済に及ぼす影響については大なるものがある、こう思うわけであります。その意味から、軽々しく制度改正はなすべきではないとの消極論もありますし、時期尚早論等もあるわけであります。  そういう中で政府はなぜこの時期に法改正に踏み切ったのか、また、法改正の真のねらいというものはどこにあるのか、さらに、現在政府が進めようとしている行財政改革の検討との関連において、その前に法改正を行うという意味はどこにあるのか、この点をまず最初にお尋ねをいたしたい。
  79. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま吉浦委員が御指摘されましたとおり、現行食管法には事実と法文との乖離した問題でありますとか、いろいろ御指摘になったような問題点があるわけでございます。したがいまして、私も代議士になりまして二十年、なったころから食管法改正しなければいかぬ、こういう気持ちを持っておりました。ですから、せっかく農林水産大臣になったのですから、この際、食管法をどうしても改正したいということで、事務当局、なかなか当初は、基本問題でむずかしい問題も含んでいるので、これは歴代の農林水産大臣が苦労しているのです、こういう話もございました。ざっくばらんに言ってそういう経緯をたどって、しかし、その国民の基本食糧を安定供給していくための基本法が守られない面があるとか、法治国家の中で批判を受けるような面を持つということは何としても耐えがたい、われわれも立法府の議員である、こういう立場から事務当局ともいろいろ懇談を進めまして、そして実は改正案を出そうというふうに踏み切ったわけであります。  そして、大きな法律、大事な法律でございますので、出した以上は国会において審議がストップするような内容であってはいけない、少なくとも大方の合意を得た線で提案をしょう、こういう基本的な考え方のもとに、実は党ともよく相談をしてただいま提出いたしております改正案をまとめて提案をしたというのが実態でございまして、行革の面から見ましても、やはり法律をきちっとして、そして内容をさらにきちっとして守られてこれが実行されるということによって、国民の信頼も得、食管の財政内容についても対策を進めることのよりしやすいような環境もつくることができる、こういうような考えで実は取り進めさせていただいたわけでございます。  何でいま時分に出したのかと言われるわけでありますが、これは食糧問題が非常に大きな問題になっており、国会でも自給力の強化という決議もしてもらっておりますこういう時期でもありますので、農業問題が非常に国民の前にアピールしておるときにこういう御審議をいただくというのは非常にまた時宜に適しているのではなかろうか、こういうような考え方で提案をさせていただいた次第でございます。
  80. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、大臣、第二臨調の方からもう一回審議をやり直せとなると、また審議をやり直すようなことになる食管法改正でございますか。この点をお尋ねをいたしたい。
  81. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 第二臨調の皆さん方もそれぞれの立場立場で御検討されておるわけでありまして、私は、国権の最高機関の当委員会において審議をされたものがまたすぐに指摘を受けるというようなことはないのではないかなというふうに推測をいたしておる次第でございます。
  82. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時期尚早論というものも、軽々しく論ずべきではない、聖域とも言われ、二十九年間にわたって触れられなかった食管法亀岡大臣のときに出されるということは画期的だと私は評価をいたしますが、時期的な問題が、ずいぶんお急ぎのようでございますし、そういう点から見て、第二臨調の前に改正しようとなさるねらいもわからないわけじゃありませんけれども、その影響が、いま大臣は量局機関だから絶対大丈夫だというふうにおっしゃいますけれども、真のねらいというのはどうもその付近にあるのではないかという推測を私はいたすわけでございますが、大臣どうでございましょう。
  83. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私が食管法改正案を出したいなと思ったころは、第二臨調というのがどういうふうになってどうなるか、全然情報も何も、現実もなかったときでございますので、吉浦委員の言われるようなことは私は当時としては全く考えておらなかったわけであります。
  84. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に進みます。今後の食糧事情というものについて不安を持っておるわけでありますけれども、昨年のような内外にわたる気象災害等に見られますように、短期変動があらわれるほか、長期的に見ても世界の穀物需給というものがタイトに推移するという見方もあるわけでありまして、将来にわたる食糧の安全保障を考えると、食管制度のこれまで果たしてきた国民の食糧の確保とその安定供給という役割りは今後とも的確に発揮されるようにしておく必要がある、こういうふうに考えるわけですが、予測される食糧事情の緊迫化に対してはどのような手だてを講じておられますか、これが第一点で、果たして万全の措置を講じているという確信を持っておられますかどうか、この二点をお尋ねいたしたい。
  85. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は、戦後三十六年間の中で、昭和二十年代の食糧不足の時代を除いた以後の今日まで、食糧については全く不安のない状態をずっと続けることができたわけでございます。第一次の石油ショックの際にも、さらには去年あれだけの国際的な不作の年、わが国にとっても冷害、豪雪といったような気象的影響を受けて非常な凶作であったにもかかわりませず、食糧問題について国民がまあ不安も持たずに生活ができておるということにつきましては、政府を信頼していただいておるということでございます。したがいまして、政府といたしましても、食糧の生産並びに必要量の確保、これがための食糧の輸入、飼料の輸入、そういうものに対する処置等のことにつきましては、もうすでに事務的にもきちんと取り決めをいたしてございますので、吉浦委員御心配のようなことはないということを私ははっきりと申し上げることができる次第でございます。
  86. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほどもお尋ねがありましたが、私も心配の点で尋ねてみたいわけでありますけれども、水田利用再編対策によりまして稲転が進む中で、飼料米の導入が近い将来の問題として議論の対象となることは間違いないわけでありまして、一部にはこれを含めた総合食管とすべきだというふうな意見もあるわけでありますが、政府食管制度としては将来的にどう対応されるつもりなのかをお尋ねしたいわけです。  この点、先日の参考人の陳述の中にも強い要望もこれありまして、政府の積極的な取り組みを期待する向きも強いわけであります。大臣が就任早々でありますか、この飼料米等についても積極的取り組みを示されましたけれども、いつの間にか、後ろに座っていらっしゃる方々の意見の方が強かったかどうか知りませんけれども、何か方向転換を最近なさったような感じがしてならない。大臣を私ども叱咤激励するわけではありませんけれども、何か大臣として任期中に亀岡イズムというふうなものを明確になさることも必要じゃないか、私はこういうふうに思うわけです。  というのは、後でまた申し上げますけれども、食管の逆ざや等についても、長官が逆ざやの適正な解消をというふうなことを言っておりましたけれども、私は逆ざやがあってもしかるべきじゃないか、あってしかるべきであって、それをもう少し強硬に大臣が突っぱねられて、そうして大蔵省との折衝においても生産者を守り消費者を守るという立場を一貫されるべきである。私どもどこまでも、そういう点における大臣の行動にできる限りの協力を惜しむものではないというふうに、先日の答弁を聞いて、切歯扼腕という言葉が当たるかどうかわかりませんが、そういう感じがしているわけであります。そういう点で、えさ米の問題、総合食管として考えるべきじゃないかという考え方を持っているわけですけれども、お答えを願いたいと思います。
  87. 松本作衞

    松本(作)政府委員 飼料米につきましては、農林水産省といたしましては現在実験段階、試験段階ということで、鋭意飼料用の品種の開発に努力しようという段階でございますので、この段階で飼料米についての施策を明確にする段階にはなっておらないわけでございます。  なお、総合食管にしたらどうかという点でございますが、現在の食管法は主要食糧、主食を中心とする管理考えておるわけでございますので、飼料穀物等も含むということにつきましては現在の食管法考え方から見てそぐわないのではないかと考えておりますほか、飼料穀物も含めて他の作物についてはそれぞれの流通価格の措置を検討しておりますので、そちらの段階考えるべき問題ではないかと思っておる次第でございます。
  88. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 飼料米はこれからの検討でございましょうが、いま他の団体で積極的にえさ米等を進めているのを、農林省はどういうふうな態度でそれに臨まれようとされておるのか。近い将来においてこれをどうしても導入しなければならぬことはわかり切っていると思うのです。そういう点における当局の姿勢というものの再確認をしておきたいのです。いかがでございましょう。
  89. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 飼料米の問題につきましては、昨年の農政審議会の答申にも示されましたが、現在におきます飼料米の持っているメリットもございますが、同時に収益性なり識別性、あるいは技術面においても問題があるということも事実でございます。したがって、現段階で本格的な一般的な生産を見込むというわけにはまいらない。したがって、研究開発の段階といたしまして、技術会議を中心として超多収穫品種の開発研究を進めておるわけでございます。  先般、この問題について転作カウントに含めるということにつきましては、技術会議が進めます試験研究の体系に入りまして、かつ一定の要件に沿うものについては、私どもこうした試験研究をさらに一層進めるということで転作カウントの扱いをしたわけでございますが、現状におきますえさ米の問題は、技術的な脱粒性等の問題もございますし、収益性の点から申しましてもこれを奨励するような段階にあるというふうには考えておらないわけでございます。そういう取り扱いで早急に研究開発を進めるべきであろうという考え方に立っておるわけでございます。
  90. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 二重米価制についてお尋ねいたしますが、生産者米価と消費者米価は異なった基準で決定すべきであるというのが二重米価制の原則であり、これは、米穀は国が全量管理するという原則と同じく食管の根幹をなすものと考えておりますけれども、こういう点はどうか。  と同時に、適正な売買逆ざやを維持するという問題も、国の全量管理という法の趣旨に照らした場合、きわめて重要な要素として位置づけるべき性格のものというふうに考えているわけでございます。なぜならば、適正な売買逆ざやの維持が不正規米流通させないための必要な措置でもありまして、これなくしては結果として国の全量管理という原則は守れないし、全量管理の基礎を崩していくものとなるのではないかと懸念されているからであります。政府は今後売買逆ざやの問題にはどういう考えで臨まれるのか、これが第一点です。  また、新食管法のもとでの米価は、需給均衡が基本計画等を通じ強く打ち出されている関係で、従来とは異なった形で行われるのではないかとの心配があるわけであります。政府は今後の米価決定の基本方針をどういう考えで進められますか、この二点をお尋ねいたしたい。
  91. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在の食管法におきまして、生産者米価についてはその再生産を確保し、消費者米価については家計の安定を旨として定めるということでございますから、それぞれの立場で米価を定めていくということは、今後もこの考え方を継続するつもりでございます。  しかし、このそれぞれの立場で適正な米価を算定をし定めていくこと自体が、必ずしも当然に売買逆ざやを必要とするかどうかということは、それぞれの米価決定時におきます需給事情、財政事情等も参酌をして決めることに相なりますので、当然逆ざやが前提であるとは考えておらないわけでございまして、一方におきまして、政府管理経費、運賃、保管料というようなものについては全部財政負担をするという前提のもとで、政府が買い入れするものと売り渡しとの関係において当然に逆ざやが要るかどうかということは、それぞれの価格の決め方の中で判断していくべきものであろうと思っております。従来はそういった考え方から、できるだけ売買逆ざやの縮小に努めてまいっておるわけでございますが、今後の売買逆ざやのあり方については、それぞれの米価のあり方に基づいて定められていくべきものでございまして、一律に売買逆ざやを食管制度上必要であるというふうには考えがたいと思っておるわけでございます。  それから、需給均衡価格になるのではないかという点につきましても、今回の食管法改正においては、需給の均衡を図るということで数量的な需給均衡の方向を定めておるわけでございますが、価格については考え方を変えておりませんので、従来の価格考え方、あり方と、特に今回の法律改正によって変えていくということは考えておらないわけでございます。
  92. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 価格の問題は食管法の今度の改正とは関係がないとおっしゃっておられますけれども、米審等の意見を参酌して、従来どおりの価格の決め方で進まれるわけですね。
  93. 松本作衞

    松本(作)政府委員 そのとおりに考えております。
  94. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほど触れました売買逆ざやの問題ですけれども、縮小していくことは当然でありますけれども、適正な売買逆ざやというものをどういうふうな焦点に当ててお考えになっておられますか。前の私どもの武田委員への答弁によれば、適正というのは七千億から少しでも少なくなれば適正というふうに考えていいかどうか、または、一兆円にふくれ上がれば不適正というふうにお考えなのかどうか。農林省の適正と考えておられるその売買逆ざやの縮小というものをどの付近に置いておられるのか、お尋ねをいたしたい。
  95. 松本作衞

    松本(作)政府委員 いわゆる米における売買逆ざやは五十六年度において千六百億を見込んでおるわけでございますが、私ども、売買逆ざやにつきましては、一時三千億以上ありましたものを漸次縮小して是正の方向に努めてきておるものというふうに考えております。  今後、この売買逆ざやをどのように考えるかということにつきましては、先ほど申しましたそれぞれの米価、生産者米価、消費者米価の算定のあり方の中で、経済事情という中で財政負担等の要素も考えていかなければならないというふうに考えておりますが、一方におきまして、この売買逆ざやの解消が生産流通消費に及ぼす影響というようなことも考えて、慎重に取り扱ってまいりたいと思っております。
  96. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 食管の赤字ということが今度の第二臨調ではかなり大きくクローズアップされるものと思うわけであります。三Kというので、その中にお米が同じような扱われ方ではならないのじゃないかという考え方を私は持っているわけです。ですから、ほかの健保と国鉄と、この食管、お米の赤字というものが同じ系統で同じ審議の中にあったのでは、日本の食糧の危機を来すというふうに考えるわけでありますので、そういう点における態度は、どういうふうなお考えを持ってこの第二臨調あたりの態度に対して臨まれるのか、その点の決意のほどをお尋ねをいたしたい。
  97. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもも、先生から御指摘がありましたように、食管制度国民の生活、国民食糧の確保と、農業の主要農産物である米の再生産を確保いたしますために、適正に運用してまいるためには、一定量の財政負担が必要になってくるというふうに考えておりますので、この食管の財政負担につきましての一般の理解を深めるように努力をしたいと考えておるわけでございますが、一方におきまして、やはり食管制度の中におきまして、ただいま御指摘ありました売買逆ざやまたは自主流通助成、さらには流通管理の経費というようなものについて合理化する余地がないかどうかということについては、十分に検討してまいらなければならないというふうに考えておりまして、できる限りの節減の努力、合理化の努力というものも一方において行っていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  98. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 アメリカとの今度の鈴木総理大臣の会談等においても、同盟ということでその協力が一層緊密化になるわけでありますが、軍備の拡張につながるような同盟にはならないとは思いますけれども、そういう面の心配が多分にあるわけでありまして、そうなりますと国の安全保障的な役割りを持つお米も、私はそれより以上に重要視されなければならないというふうに考えているものです。  ですから、そういう点からすると、国民の生命を守る、そういう重大な立場にあるお米の問題を、軽々しくその逆ざやによって解消する、あるいは赤字によって解消するというようなことじゃなくて、守るという立場で政府当局はもう少し真剣な取り組みをしていただかなければならないというふうに考えておりますけれども、そういう点をもう一度大臣の方からお答えを願いたい。
  99. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も吉浦委員と大体考え方を同じくしております。したがいまして、機会あるごとにその点は世間に対しまして申し上げてきているところでありまして、食糧の重要性、特に主食たる米の全量管理による安定的なお米の供給ということが日本のあらゆる面における安全の基本である、こういう考え方を持っておるわけでございます。でありますがゆえに食管会計の中身が赤字であってもいいというわけには真っすぐにはつながらないわけでありますから、その点についてはただいま長官からお答え申し上げましたように、あらゆる努力をして経費の節減、合理化、食管制度を健全に維持してまいりますためにも、やはりできるだけ金のかからない食糧管理という努力を私どももしなければならない、こう考えております。
  100. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 昨年の冷害、冷夏と言った方がいいかもしれませんが、それによって地域経済が著しく不景気に陥っているのが現状でありますが、その実態をどのように具体的に掌握なさっておられますかをお尋ねしたいわけです。こうした地域経済に対して農産物価格、とりわけ米価の与える影響というものがきわめて大きいと考えるわけでありますが、政府はどういう手だてを講ずる用意がおありなのか。また、今年のお米の概算金早期支払いなどについてはどう対処されるつもりなのか。地域経済の景気とも関連して明らかにしていただきたいと思いますが、経済企画庁の方からお答えいただきたい。
  101. 遠山仁人

    ○遠山説明員 昨年の冷夏が地域経済に与えた影響について御説明申し上げます。  冷夏の経済活動への影響につきましては二つあると思いますが、通常夏に増大いたします季節的な消費が不振となるということと、もう一つ生産活動、特に農業生産の不振に伴う農業所得の減少から、消費や雇用等に影響が出てくる、この二つの面があろうかと思います。昨年の場合は、最初に申しました消費そのものへの影響もかなりあったと思われますけれども、これは全国的なものだと思います。地域経済への影響という点につきましては、農業所得の減少を通じます影響の方が大きかったのではないか、こういうふうに考えております。  地域的に見ますと、冷害の影響が大きかった東北地方では、農家世帯の消費の落ち込みというものが大分懸念されて、そういう面があったわけでございますけれども、農外所得の割合が大きかった、農業所得の割合が若干低下しているということ、あるいは共済金の支払いによりまして所得の減少が緩和されたということから、数字の上で見ますと、農家消費支出という点では四十六年の冷害のときのような落ち込みにはならなかったのではないか、こういうふうに考えております。けれども、農業機械の出荷、それから農村地域におきます自動車の販売の不振というものが大分見られたわけでございまして、これは冷害による農家所得の減少が影響しているのではないか、こういうふうに考えております。また、東北地方からの出かせぎもやや増加をいたしました。こういうことを考えますと、冷害の地域経済に及ぼしました影響は小さくなかったのではないか、こういうふうに考えております。
  102. 松本作衞

    松本(作)政府委員 確かに昨年度は冷害が大きかったわけでございますが、その冷害による農家経済の打撃につきましては諸般の災害対策を講じてまいったところでございますので、今年産の米につきましての概算金につきましては、現在のところ従来どおりの方針で対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  103. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 経済企画庁、ありがとうございました。  次は、基本計画生産調整との関連についてお尋ねをいたしますが、政府の予算編成によって生産調整数量等が決定され、それをもとにして基本計画の設定を行おうとしておられるようですけれども現実問題としてこれは一体のものと考えなければならないと思うわけであります。今回の改正法案が需要の動向に応じた管理を基本とし、基本計画作成に当たっても需要を中心とするとした場合、基本計画需要の見通しが供給の見通しを規制し、生産調整のあり方に多大な影響を与えるというふうに予測されるかどうか、この点をお尋ねをいたしたい。
  104. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画におきましては、国民が必要とする数量の米につきまして需給の方向づけをしていくわけでございますが、その場合には当然に、一方におきまして需要の動向に対応した供給を図っていかなければならないわけでございますが、それとともに供給生産面にはまた制約がございますので、そういった供給面での制約のもとにおける円滑な需要との結びつきということも考えていかなければならないわけでございますので、一方的に需要面に重点を置いて生産面を規制をする、または生産調整を強制をしていくというようなものではございませんで、やはり需要面と供給面と両々相まって円滑な需給のバランスをとっていく方向づけをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、長期的に見れば、やはり国民が喜んで消費されるような品質の米が生産されることが望ましいわけでございますので、この基本計画を指針として関係者が努力していただくことによりまして、そういった長期的な方向づけに誘導ができることを期待しておるわけでございます。
  105. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 基本計画は、毎年の需給の動向を見て大臣がこれから決定されることになるわけでありますけれども、前にも質問がありましたが、生産者なり消費者及び流通関係者の意思というものが、この基本計画作成の場合にどのように反映をされるというふうにお考えなのかどうかをお尋ねをいたしたい。
  106. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は、政府管理の方向づけを示して、それに基づいて関係者がこれを指針として円滑な米の流通管理ができますことを期待しておるわけでございますが、この基本計画自体におきましても、できるだけ関係者の意向が反映されるように努力してまいりたいと考えております。具体的なやり方といたしましては、米価審議会の場等におきましてこの基本計画についての御意見を伺いますほか、その他関係団体との基本計画に関する打ち合わせの場をつくっていくというような方法を考えてまいりたいと思っております。
  107. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この基本計画の場合に、本会議でも私大臣質問申し上げたわけですけれども、米価審議会を格上げして主要食糧審議会というふうな、仮称でありますけれども、そういうもので、お米の値段だけということでなくて計画策定等にも広く意見を聞いていくことが必要ではないかということで、主要食糧というふうな名称で広い立場から審議をし、また意見を大臣に具申していくという行き方が好ましいのじゃないかということを、できれば修正案でと思っておりましたが、そういう意見を持っているわけであります。そういう点についてどのようにお考えなのか、お答えを願いたい。
  108. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画の作成に当たりましては、ただいま申し上げましたように、できるだけ関係者の意見を反映させるようにいたしたいと考えておりまして、そのための方法といたしまして米価審議会の場ということも考えておるわけでございますが、ただ、この基本計画政府の米穀の管理に関する方向づけを示すわけでございますので、これが直接に生産者消費者等の関係者の利害を拘束するものとは考えておらないわけでございます。したがいまして、米価、麦価のように、直接生産者消費者の利害に影響を与えるものとして米価審議会に諮問をし、答申をいただいて決定をするというような手続をとるものとは性格を異にするものではないかというふうに考えております。したがいまして、米価等の取り扱いとは異にすることになるというふうに考えておる次第でございます。
  109. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 基本計画供給計画関係についてお尋ねをいたしますが、基本計画供給計画はどういう関係を持っているのか、供給計画規制力を持つものかどうか、あくまでもこれは目安なのかどうか、これに従わなくてもいいのかどうかという点と、供給計画の性格及び内容について政省令はどうなっているのかを明らかにしておいていただきたい。
  110. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は、いわゆる作付される、播種される以前につくられるわけでございますので、あくまでも見通しになるかと思います。したがいまして、これは政府管理についての方向づけをしていくということでございまして、これが直接に生産者消費者を拘束するというよりも、関係者の指針として役立っていくことを期待しておるわけでございます。     〔菊池委員長代理退席、津島委員長代理着席〕  一方におきまして供給計画は、供給が可能となる数量が明確になる段階におきまして、いわゆる出来秋におきまして、次の米穀年度供給すべき米穀の内容についての計画でございますから、従来のいわゆる配給計画に準じまして、具体的な流通の運営が政府直接管理米及び自主流通米についてこの供給計画に基づいて行われることになりますので、基本計画の見通しに比べますと、この供給計画現実的な意味合いを持ってまいると考えておるわけでございまして、政令におきましては、この供給計画の策定の時期及び策定の期間等につきまして明確にしてまいりたいと考えております。
  111. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 生産調整が進まなかったり、または生産調整は達成したが、お米がとれ過ぎて計画以上の米が出回るというふうなことになったり、その結果、政府米の売却が進まずにこれが過剰在庫として残るような場合に、政府は次年度の基本計画をどのように定められようとなさるのか、お尋ねをいたしたい。
  112. 松本作衞

    松本(作)政府委員 単年度の豊作によりまして過剰在庫が出たような場合に、これを直ちに翌年度期の基本計画において大幅に生産を縮小するというようなことは、生産の安定性からいっても望ましくないと思っておりますので、この場合は在庫の調整というような形で処理していくべきものと考えておるわけでございます。しかし、基調的にいわゆる生産力が非常に高まってまいりまして、過剰の基調が明確になってくるというような場合におきましては、やはり基本計画自体においても、需給均衡を図る基本計画の内容とすべきものというふうに考えております。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、基本計画の中できちっと決められますと、いままでのような農民の意見を聞いての、あるいは団体等の意見を聞いての生産調整というわけにはいかないだろう。そういう点の非常に不安な点があるわけでありますけれども、この点どういうふうにお考えでございますか。
  114. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来の生産調整におきましても、やはり全体の需給の均衡ということを前提にして生産調整の規模が定められてまいっておるわけでございますので、今後におきましても、基本計画における総需給の均衡ということと、生産調整の前提となります需給の均衡の考え方は一致するものと考えております。  なお、生産調整につきましては、従来どおり農民の方々の理解と協力に基づいて実施されていくことを前提といたしておりますので、この基本計画ができましたことによって生産調整を強制していくというようなことは考えておらないわけでございます。ただ、この基本計画ができますことによって、総需給の均衡された中におきましてできるだけ需要の動向に即した米穀の生産が図られるように、また、生産実態を前提といたしました需要の確保が図られるようにというような、需給均衡の方向づけがなされていくというふうに考えておるわけでございまして、生産調整の従来の考え方と矛盾するものではないというふうに思っておる次第でございます。
  115. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 予約限度超過米管理についての基本的な考え方お尋ねしておきますが、予約限度超過米について、生産調整目標の達成を前提にしても、豊作等によりましてその発生が避けられない、全量管理を前提として、その管理をどうしていかれるのか。基本計画供給計画との関連で明らかにしておいていただきたい。  もう一点は、私は予約限度超過米が発生した場合には、基本計画供給計画の見直しを行ってこれに取り組むべきだ、そうしないと政府管理責任は果たせないというふうに考えておるわけですけれども政府はどのようにお考えなのか、お尋ねをいたしたい。
  116. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画段階におきましては、政府といたしまして需給均衡を図ることを前提として見通しを立てるわけでございますから、この中では超過米という考え方は出てまいらないというふうに考えております。しかし、生産の状況等によりまして実際超過米が発生することがあるわけでございますので、これは供給が可能とされる数量についての計画であります供給計画の中に織り込みまして、流通ルートは自主流通ルートを通りまして適正に供給されるように、管理の枠内におさめて考えていきたいというふうに思っております。
  117. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 政府が直接買い入れて管理されます政府米の割合が著しく減少した場合、流通ルートの特定などにより政府が間接にしか管理しない自主流通米の割合が著しくふえるわけであります。こうした事態を全量管理という基本に照らしてどのように考えられるのか。  また、米の管理は、言うまでもなく政府がその責任を負うことになるわけですが、それを円滑に進める政府米の流通割合並びに自主流通を含めた運用の基本的な考え方というものをお尋ねしておきたい。
  118. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米は、現状におきましても、消費者に対しましては品質に応じた米穀の供給を可能にし、また生産者に対しましては品質に対応する適正な価格の形成というような役割りを負っておりまして、政府管理米と両々相まちまして適正な流通の確保を図っておると思っておるわけでございますが、従来この自主流通米につきましては法律上必ずしも明確でございませんでしたので、今回自主流通につきましての法律上の位置づけを明確にいたしますとともに、基本計画供給計画の中に織り込みまして、政府全量管理実態に即した管理が行えるように考えておる次第でございます。したがいまして、この自主流通米が政府米と違ったいわゆる自由な米であるというふうには考えておらないわけでございまして、あくまでも政府管理の中に位置づけられたものであると考えておる次第でございます。  なお、自主通流米の数量が非常に過大なのではないかという御指摘でございますが、私ども従来までの自主流通米の流通実態消費者の良質米嗜好の傾向、さらには五十三、五十四年産におきまして自主流通米がむしろ過剰になったというような実態等から考えまして、現在の自主流通米と政府米の比率がそれほど大幅に変わってくるものではないというふうに見込んでおるわけでございますが、今後の基本計画等の策定の過程におきまして、御指摘のような問題が起こらないように、適正な自主流通米の比率が維持できるように適正な運営を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  119. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 適正な運営とおっしゃいますけれども、自主流通米がどんどん拡大しても政府全量管理という食管制度の根幹にも触れないというのが今回の法改正の内容なのかどうか。ということになると、自主流通米がどんどん拡大するということにならないか等の不安があるわけでありますが、それでも食管による根幹というのは守られるかどうか、こういう点を心配しているわけです。お答え願いたい。
  120. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、自主流通米の存在自体は現在の食管法の根幹から見て間違いではないというふうに考えておるわけでございますが、自主流通米と政府米の比率というのはやはり適正な流通を確保するために配慮すべき事項であるというのは御指摘のとおりであると考えておりますので、今後基本計画等の作成の中におきまして、自主流通米が過大に増加して政府操作米が過小になるというようなことにならないように考えてまいりたいと思っております。過大であるか過小であるかという判断につきましては、需給実態によりますし、消費者の良質米の嗜好等の需要実態にもよりますので一律には決めかねるわけでございますが、私どもといたしまして、現在の政府米と自主流通米の割合というものが大きく変わるものでもない、また変わるべきものでもないというふうに考えておる次第でございます。
  121. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 自主流通制度の質的拡大ということを、今年の二月ですか、食糧庁が「食管法改正の趣旨及び内容について」というところで明らかにされておりますけれども、そのことは何を指しておられますか。今回の法改正と関連するのかどうかお尋ねをいたしたい。
  122. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来、自主流通米は直接政府管理米よりも良質なものについて流通がされておったわけでございますが、品質に応じた需要の確保というような点からいたしますと、四、五類米等の米につきましても生産者販売努力によって需要拡大、市場の確保を図っていくということが望ましいというふうに考えまして、関係県の方々ともお話し合いをしました結果、四、五類米についての自主流通米の仕組みが昨年度からつくられまして、これに対しまして政府としても、特別自主流通米についての助成措置を講じておるところでございます。  ただいま御指摘がありました質的な拡充ということは、こういった四、五類米についての自主流通の道を考えておるわけでございまして、すでに実行に移されたものを漸次実態に応じて充実してまいるということを考えておるわけでございます。
  123. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 政府が直接管理しない、いわば特定された流通ルートを通ったお米も政府管理するものに含まれるということなのかどうかということと、正式に法律で明らかにしたということなのかどうか。こうした考えは従来の法律解釈と大きく違ったというふうに考えていいのかどうかお尋ねをいたしたい。
  124. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来から、いわゆる食糧管理の中には直接政府が買い入れて売り渡す管理と、それから政府流通の方式、数量の内容についての計画認定というような形の規制を加えまして、政府が直接買い入れ売り渡しをしない形で管理をするものと両方があるということを申しておったわけでございますが、こういった考え方のもとに自主流通米というものが食管法上位置づけられてきたものと理解をしております。今回の食管法改正におきましても、自主流通米についての食管法上の位置づけというものは従来の考え方を継承しておる次第でございます。  ただ、従来の法律におきましては自主流通米についての規定が必ずしも明確ではございませんで、政令以下の段階においてこれを定めておりましたので、今回の法改正におきましてこの自主流通米についての規定を明確にいたしますとともに、その数量につきましても基本計画供給計画の中で明確に位置づけまして、政府管理の中にある自主流通米であるということを仕組みとしても明確にいたしたわけでございまして、いわばいままでのやり方を制度的に確認をしたというふうに考えておる次第でございます。
  125. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 政府は自主流通米とはどういうものかという定義を公式に表明したことはなかったのではないかというふうに思うわけです。しかし、今回の改正案において、法の第三条で「消費者ニ対シ計画的ニ適正且円滑ナル供給が為サルルモノトシテ政令ノ定ムル」というふうにしておられますが、「計画的ニ適正且円滑ナル供給」の中身というものは一体何なのか。続いて、現行政令による自主流通制度とは異なったところがあるのかどうか、あり得るとすればそれは何であるか。また、この政令で政府は何を定める見込みでおられるのか、この点をお尋ねいたしたい。
  126. 松本作衞

    松本(作)政府委員 「計画的ニ」と申しますのは、自主流通計画大臣承認ということによりまして行うという意味でございまして、これは従来から実施しておった点でございます。  それから「適正且円滑ナル供給」ということにつきましては、流通の方法を規定をしていく、それからまた数量の確認手続を規定をする、さらにはまた自主流通計画の認可の方法を明確にするというようなことで、この流通の仕組みを明確にしていこうということでございますが、この点につきましても従来の政令で定められたものを継承していきたいと思っておるわけでございますが、法律上の根拠が、従来は第九条の譲渡及び処分についての政令のところで根拠づけられておりましたものを、今回は第三条のただし書きの自主流通米の規定のところで根拠づけるという形にしたいということでございます。
  127. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に進みますが、競争契約による売買の内容についてお尋ねをいたしたいのですけれども、現行法による売買方法とどう違い、またどう運用するのか。特に運用いかんで特定地域や特定品質やあるいは米の需給に大きな影響を与えかねないというふうに思うわけでありまして、運用のあり方について政府はどのように考えておられますか。  また、競争契約による売り渡しをきわめて例外的にするよう政省令でさらに明確にすべきであるというふうに思いますが、この点どうなのか。特に飼料向けとか加工向けという形での古米処理だけでなく、人間が直接食べる米穀についても競争契約で売り渡す場合があり得るのかどうか、こういう点をお尋ねいたしておきたい。
  128. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の政府売り渡しについての規定は、従来の法律におきましては売り渡しの方法等について具体的な規定がございませんでしたので、必ずしも明確ではなかった点を明確にした次第でございまして、一つは随意契約を原則とするということにいたしましたこととともに、例外的に競争契約が可能になるというふうに規定をした次第でございます。  したがいまして、実態といたしまして従来の販売の方法を大きく変えるというふうには考えておらないわけでございますが、過剰になりました古米の処理等、品質、内容によって価格の相違がいろいろとあり、また競合する食糧との価格関係を考慮しなければならないというような場合に、競争契約によって適正な価格形成がされるようにというような規定を設けた次第でございまして、これはあくまでも例外でございますので、通常の主食用の売却というようなものにこの競争売却の規定を適用する考え方はないわけでございます。したがいまして、御心配がありましたような、特定地域の米を特に意識的に下げるためにこれを使うというようなことは全く考えておらないわけでございます。
  129. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 政府は、消費者米価の設定をどうするのかとも関連いたしまして、競争契約による売り渡しが法で定める家計の安定を旨とした売り渡し価格の設定と矛盾しないように、どのように運用されるのかをお尋ねいたしておきたいのです。
  130. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の売り渡し価格の決定におきましても、契約の前提になります標準売り渡し価格につきましては、従来の売り渡し価格の規定であります消費者の家計の安定を旨として定めるという条項をそのまま適用するわけでございますので、私どもといたしまして、今回の改正によって政府の売り渡し価格考え方を変える気持ちは全く持っておらないわけでございます。
  131. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 緊急時における配給制度の実施というふうな点でちょっと疑問を持っておりますのでお尋ねいたします。  米需給が通常な事態にある場合には厳格な配給制度は廃止するが、需給が逼迫する緊急時においては配給制度を復活することにしておられるわけです。この場合通常時、緊急時の判定というものは政府にゆだねられておりますけれども政府は命令により緊急時の対応をするというふうに決められておりますが、その発動基準をどう考えておられますのか、いつどういう状態のときに緊急時というふうに発動なさるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  132. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この法律で定められました緊急時の発動の内容につきましては、現在私どもが予想されますのは、海外における異常な事態によってわが国に対する食糧の輸入が一時期ないしは相当期間困難になる、そのことによって国内の米穀の需給がきわめて逼迫をするというようなことが考えられるわけでございますが、こういった事態は実は予測しがたい事態でございますので、こういう状況のときにこうするということをあらかじめ設定することはなかなか困難ではないだろうかというふうに考えておりまして、具体的なその状況に対応して適切な判断ができるように法律上でも要件を定めておる次第でございます。  したがいまして、この判断については行政庁の責任において実施をさせていただきたいと思っておりますし、こういった事例は、似たような法律でございます石油需給適正化法等におきましても、そのような行政庁の判断にゆだねられておる次第でございます。
  133. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 長官、この発動基準というものをきちっとしておきませんと、海外の動向なりというふうなことでお話しになりましたけれども、どういうふうなのを通常時と言い、どういうものを緊急時と言うのか、この委員会等で明確に審議するのが当然だというふうに私は考えるわけでありまして、その基準がどうなるのかという不安があるわけでありますので、国外だけではなくて、現在はかり得る国内の動向なりを見きわめて、基準というものをどういうふうにお考えなのかお尋ねしておきたい。
  134. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この第八条ノ四の規定におきまして、米穀の需給が著しく逼迫しまたは逼迫するおそれがあるということ、それから基本計画等に即した米穀の適正円滑なる供給の確保が相当の期間きわめて困難であるということ、それからまた、国民食糧の確保なり国民経済の安定に重大な支障が生じまたは生ずるおそれがあると認められること、さらに、その事態を克服するために必要な限度において緊急事態として判断をするというような形でこの法律上の限定がされておるわけでございますが、これを具体的にどの程度の場合であるのかということは、先ほど申しましたように、現在予想されますのは海外からの食糧が途絶するような場合が考えられるわけでございますが、それ以上に具体的な事例というものを前提にしてあらかじめ定めておくということはなかなか困難であろうと思いますので法律上このように限定的に書いてあるわけでございますので、この条文に即した判断に基づいて緊急時の発動をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  135. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほど前例があるとおっしゃいましたけれども、前例は石油備蓄等の問題であって、これはすべて海外依存だからそういう問題だろうと思うわけですね。お米の場合には国内の問題で、それほど海外依存度を、食糧全般のことについては別でありますけれども、特にお米を中心とした場合にはその付近のことをきちんとしておきませんと、緊急時というこの法案そのものが権威のないものになってしまう。足りなければ復活させる、そうでなければ従来どおり、こういうふうな行き方の法案はどうもあいまいさが残るような気がしてならない。法律というものはどこまでもそれを守っていくというところにねらいがあるわけでありまして、まずくなったならばもとへ戻すというふうな点は、この審議の内容からしてみて、大変問題が残りはしないかと私は考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。
  136. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申し上げましたように、緊急事態につきましてはあらかじめこういうふうな事態ということを明確に、具体的に定めることは困難であろうと思いますが、この緊急事態がどういうものであるのかということについての一般的な考え方は、ただいま申し上げました法律の趣旨に即しまして具体的に定めてまいるようにしていきたいと考えます。
  137. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 緊急時に政府として役割りを十分に果たすためにも、通常時に全量管理を基本とした仕組みをつくっていくことが重要であると思いますけれども、この点どうでございますか。
  138. 松本作衞

    松本(作)政府委員 緊急時におきまして再び統制、配給等の仕組みを発動することにいたしているわけでございますが、こういった事態も考えまして、通常時におきましても、流通ルートの特定なり、または計画の樹立ということで、こういった緊急時にも対応できるような制度の仕組みを考えている次第でございます。
  139. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に進みます。  不正規流通が今日の食管法の権威を低下させておることは事実でありまして、食管制度の崩壊ムードを巻き起こしている事実の上に、新しい食管制度においては、不正規流通米取り締まり流通秩序の維持に政府はどのような態度で臨まれるのか。これは本会議等でも私は質問をいたしましたが、具体的に明確にお答えを願いたい。
  140. 松本作衞

    松本(作)政府委員 不正規流通取り締まりにつきましては、今回の食管法が守れる食管法ということで改正をした趣旨からいたしましても、適正に厳正に取り扱ってまいりたいと考えております。  具体的には、まず、不正規流通米の発生をできるだけ食いとめていきたいということで、一つ需給のギャップをできるだけ少なくすることによりまして不正規に流れる米をなくしていきたい。そのために、基本計画供給計画等の形によりまして計画的に需給のギャップをなくしていきたいと考えております。  次に、不正規な米が流れる危険性のあります流通段階におきまして、集荷業者指定制及び販売業者許可制という形で流通業界の地位と責任を明確化することによりまして、こういった流通段階から不正規な米が流れてこないように、この点の取り締まりなり指導を十分にしていく。そのための業務運営についての基準を定めるとともに、業務改善命令等も発し得るような法改正をいたしているわけでございます。  それとともに、今回の法改正に基づきます流通実態に即しまして、流通の流れがどのようになっておるのかということをできるだけ明確にとらえていくということで、流通についての情報の管理をできるだけ適正、正確なものにしていきたいと考えている次第でございます。  このようなことによりまして不正規流通米の発生をできるだけなくしていきますとともに、流通の流れにつきましては、県、食糧事務所協力いたしましてできるだけ適正な流通が行われるような監視体制指導体制を明確にしてまいりたいと考えている次第でございます。
  141. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今回の改正の趣旨に従いまして、第九条に基づく主要食糧の所有者の譲渡制限、いわゆる施行令第八条、施行規則第三十八条、第三十九条について見直しを図る、こうなっておりますが、生産者及び消費者の個人間の贈与まで原則的に禁止している規制の緩和を図る方針を明らかにしておられるわけであります。この点については、末端規制の緩和として考える必要があるが、縁故米贈答米に名をかりた不正規流通等が発生しないような措置はどのようにとられますか。この点が大変問題でありまして、先日の現地調査、私は長官と一緒に同行しましたが、あの米穀取扱業者等のこぞっての意見が、縁故米贈答米に名をかりた不正規流通を大変心配しているわけであります。これが今度の改正の中で最も注目され、この発生しないようにする措置というものが頭の痛いところだろうと思うわけでありますけれども、こういう点について長官はどういうふうにお考えなのか。あと、大臣にちょっとお尋ねいたしておきたい。
  142. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正におきまして、実態上守れる食管法にしていきたいということからいたしまして、個人間の無償譲渡のようなものは、これは一々チェックしようとしても実質上困難でございますから、これは規制の対象から外したわけでございますが、この縁故米贈答米に名をかりた不正流通が起こることについては、ただいま御指摘がありましたような心配が予想されますので、私どもは、業として、いわゆる経済行為として不正規流通が行われないように十分な指導チェックをしていく必要があると考えております。  そのために、先ほど申しました、集荷業者販売業者段階におきまして不正規流通が行われないように十分指導監督をいたしますとともに、このような集荷についての指定または販売についての許可を受けておらない業者が経済活動として不正規流通米を扱うというような場合につきまして、十分にこれを監視、チェックできるような体制を整備してまいりたい。そのために都道府県、食糧事務所一体となりましてそのような指導監視体制を今後充実してまいりたいと考えている次第でございます。
  143. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 長官からお答え申し上げたとおりでございますけれども、特に私は、それぞれの地域社会で消費者も生産者もまた流通業者も、いわゆる不正規業者と申しますか、やみ業者と申しますか、そういう方々も地域社会に行くと大体見当がついている感じがいたすわけです。したがいましてそういうものを食糧事務所でありますとかあるいは流通業界の事務所でありますとか、そういうところへ連絡願うなり、情報収集を的確にして、迅速にして、そしていわゆる対策を的確に講じてまいる、こういうことが私は大変大事であろう。やはりこの食糧管理法というものは国民のための食糧を安定的に供給するための法律でありますから、あくまで守られやすい法律にいたしていくわけでございますので、そういう点も御協力いただければより効果を発揮することができる、こんな考えも持っておる次第でございます。
  144. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣、これは重要な問題でございまして、ここの委員会でどういうふうに答弁なさったか、責任が問われるぐらい、これはなかなかむずかしい問題です。これからの従事する人数はだんだん減していかなければならない、それなのに取り締まりは強固にしていかなければならない、こういう相矛盾するものがあるわけです。長官大臣も、その心境は私はよくわかりますけれども、これに名をかりた不正規流通というものが、この食管法がまた守られない食管法というふうになるという不安を抱いているものでありまして、十分、これに対する審議というものの中で明らかにして、できないものはできない、できるものはできるということできちっとしておかなければいけないというふうに私は心配をいたしておるものでございます。  時間もありませんので最後に、やはり不正規流通ということで、名前まで挙げてどうかと思いますけれども、はっきりしていますから、日経新聞にいまやみ相場が掲載されておるわけでありますが、政府がこれをいままで放置してきた理由というものはどこにあるのか、今後これをどういうふうに扱うのか。これを放置すると、守れる食管法にしたいと幾ら政府が主張されても、国民の信頼を得ることはできないというふうに思うわけでありますけれども、その守る点でこういう点をどういうふうにお考えなのか、最後にお尋ねをして、終わりたいと思います。
  145. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在自由米というものが流れておるという実態は残念ながら否定し得ないわけでございまして、そういうふうな実態に基づいて自由米の市況というようなものが新聞に載っておることも承知しておる次第でございます。  ただ、最近の自由米市況等を見ましても、非常にいわゆる不正規米が品がすれになっておるというようなことが、この価格に反映されておる面も見られるわけでございますので、私どもといたしましては、こういった市況が報道されること自体を問題にするよりも、この実態自体をなくしていくようにしていかなければならないというふうに考えておりまして、先ほど来お答えいたしましたようなことで、今後一層不正規米流通の防止というものを、今回の食管法改正を機会といたしまして、心を新たにして取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  146. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 ありがとうございました。終わります。
  147. 田邉國男

    田邉委員長 この際、午後一時五十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  148. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲富稜人君
  149. 稲富稜人

    ○稲富委員 今回の食管法改正という問題につきましては、すでに数年前より政府はしばしば食管法改正をやろうというようなことを言われておりましたので、私は今回の改正案もさぞかし画期的な改正案であるだろうと、非常な期待をいたしておりました。ところが、提出されました改正案の内容を検討いたしますと、本委員会においても食管法の運用についていろいろ論議をされておりました、すなわち、食管法の立法の精神に反するではないか、こういうような批判がありておりましたが、その批判の対象となったものを今回合法化したというような内容のように見受けられます。従来の運用を追認した改正案ということが言われるゆえんのものはそこにある、かように考えます。  しかしながら、この追認した改正案の内容を見ますと、そこには一つの落とし穴のような疑点があることも、またこれは否定することはできません。そういう意味から若干の質問をいたしてみたい、私はこう考えるわけでございますが、私のこの考えに対しまして提出者としての政府考え方を承りたいと思うのでございます。
  150. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 稲富委員から御批判のごとく、現状追認という、結果的にはそのような形で御提案を申し上げざるを得なかった、こういうことは率直に私も認めるところでございます。しかし、考えてみますと、今回の審議の過程を通じて申し上げてきましたとおり、大変大事な法律である、日本の農業政策を支えてきた一つの大きな役割りを果たしてきております食管法でございますので、これはやはり法律であります以上、守られておる法律ということで初めて健全に食糧管理の大役を今後も長く続けて果たしていくごとができるであろう、そういう考えを持ちまして、実は今回純粋に改正の決意をいたした次第でございます。  したがいまして、国会に提案をいたします以上は必ず成立をさせていただけるように、とにかくあらかたの関係各界の方々の同調を得ることができるような姿で提案をしなければいくまい、またそういうことで内容を整備することがこの食管法を健全に維持発展させていく、この制度を維持発展させていく根本でもある、こういう立場に立ちまして今回内容をまとめた次第でございます。  稲富委員から御指摘を受けるごとく、そのほかこの改正案の中には何か将来の農政を揺さぶるような落とし穴があるのじゃないかというような御指摘もあるわけでありますけれども、私も農政に携わって三十年の自分なりの道を歩いてきておりますので、そういうことは絶対あり得べからざることでありますし、あってはならないことである、こう私自身考えておりますし、事務当局ともそういう点を十分詰めまして、そして提案をさせていただいた、こういうことでございますので、ひとつそういう御理解のもとに御指導、御審議をいただければ大変幸せだ、こう思う次第でございます。
  151. 稲富稜人

    ○稲富委員 ここで長官にひとつお尋ねしたいのですが、従来自主流通米というものは管理外の米だ、こういうようにわれわれは檜垣長官時分も承っておりまして、この席上におきましてずいぶん論議したことがありました。本日、答弁を聞いておりますと、これは管理内の米だということを答弁されたようでございます。今回の法律改正によってそういう制度をはっきりするために、今回は自主流通米というのは管理内の米だ、以前は管理外の米だ、こういうように解釈を変えられたようでございますが、これはやはり今回その点を明らかにするためにその解釈というものを変更されたのでございますか、この点、承りたいと思うわけでございます。
  152. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通制度が発足いたします際に、自主流通米が管理内であるのか管理外であるのかということにつきましてはいろいろ御議論があったということを承知いたしております。ただ、その際におきましても政府側の答弁といたしましては、管理の形には、直接政府が所有権を移した管理と、それから所有権を移さないけれども適正な規制のもとに管理をするという管理と両方があって、自主流通という管理はその後者に属しておるというような説明をしておったというふうに承知をいたしておりまして、従来もこの自主流通米が政府管理の外にあるということではないと答弁しておったと承知しておる次第でございます。  ただ、従来食管法法律面におきましては自主流通米というものが必ずしも明確にあらわれておりませんでしたので、ただいま御指摘ありましたように、食管法管理の中に位置づけをするという意味で、今回の改正の中で、法律面におきましても自主流通米を明確にした次第でございまして、第三条におきまして「基本計画ニ即シ消費者ニ対シ計画的ニ適正且円滑ナル供給が為サルルモノトシテ政令ノ定ムル所ニ依リ政府以外ノ者ニ売渡サルルモノ」という形で、管理内であるけれども政府には売り渡さないものであるということを明確にした次第でございますし、この数量につきましても、基本計画供給計画におきまして数量的な位置づけも明確にしようということで考えておるわけでございます。
  153. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がこの問題を質問いたしましたのは、管理外の米か管理内の米かということでずいぶん議論をしたことを私記憶いたしておるのですよ。それで管理外の米なんて食管法のどこを見てもないじゃないか、それを政府は勝手に管理外の米なんて、そういうことはあり得ないじゃないかと議論をしたことを記憶いたしております。きょうは管理内の米だということを長官言っていらっしゃいましたので、今度はこういうような法律の上において明文化するから、本日、本当のことを言って管理内の米だ、こういうことを思い切って意思表示されたものだ、こういうふうに解釈いたしましたので、念を押して私お尋ねしたわけでございます。  それで、端的な質問でございますが、今回の改正案というものが生産者及び消費者にどれほどのプラスを与えるものであるか、結論だけでございますが、どういうようなお考えを持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  154. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 米作農民の心の支えになってきた、また実質的な支えになってきました食糧管理法という法律が、いろいろな批判を受けて、そして存続することが非常にむずかしいような情勢に持っていったのでは、これはもう生産農民も、またこの法律によって全量を政府管理をし、そして主食を供給をしてきたというこの実績からして、消費者も実はこの法律を大変信頼をし、頼りにし、そしてやはりこの食管制度は長く維持してほしいという声も最近とみに消費者の方からも高まってきておるわけであります。したがいまして、そういう意味において、やはり批判を受けることの少ない、しかも守りやすい、守られているこの食管法、しかも今後できるだけ経費を節減をして金のかからない食管制度という方向に育てていけば、私は日本の食糧政策の基本であるこの食管法は、永久にと言ってもいいくらいの役割りを果たしていくことができるもの、こう考える次第でございます。  特に私、この一年農林水産大臣を経験いたしてみまして、とにかく外国からの農産物の圧力といいますか、厳しい要請といいますか、きのうあたりも三カ国ほどの関係者が農林省を訪問されたわけでありますけれども、いずれも握手が終わった後には、自分の国のこういう農産物があるから買ってほしい、早く植物防疫法による規制を解除してほしい、とにかく日本に農産物を売りつけよう売りつけようという方々が非常に多い。そういう中で、この食管法は非常に大きな役割りを果たしておりまするし、今後も果たしていくであろう。そういう意味において、部分管理なんということは、考えるのがちょっとおかしいのじゃないかというような感じさえいたすわけでございます。
  155. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま大臣から御答弁のありましたことに対しましては、私たちも非常に関心を持っておるわけでございますので、このことについては後ほどまたお尋ねすることにいたします。  今回の改正案を見ますと、何だか政府は、余りにも食管財政というものの負担を何とか軽減しなくちゃいけないというような気持ちがあって改正に踏み切られたという感が私たちはするわけでございます。その点がいかにも、この農政の上から見ましても、食管財政の赤字だ、この負担をどう軽減するかということで、従来非常に政府は頭を突っ込んでいらっしゃいます。今回の食管法改正の中にもそういう考えがあるのではないかということも一応私たち考えますので、この点についてもひとつお尋ねしたいと思うのでございます。
  156. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管並びに国鉄、健保といった三Kということでずっと批判を受けておるわけでございまして、そういう意味で、この食管財政というものを常に健全化を図ろうという努力をすることは私は当然であろうと思います。しかし、そのことが今回の法律改正の直接の原因ではなくて、実は昨年の国会において、当委員会が中心になって自給力強化の決議をちょうだいいたした、あの精神を全うするためにも、やはりこの食管制度というものは法律的に批判を受けないように、ざる法であるとか法治国家として守られない法律なんというのはやめてしまえとか、そういう声が出てくることを私は大変恐れて、それが先ほど申し上げましたように直接の動機となって食管法改正したい、こういう気持ちでございます。  財政の問題は、政府として、納税者に対してできるだけの軽減した経費でこの食管を運営することができればという、その努力をすることは当然ということでございまして、直接改正考え方の中には財政問題は私は入れておりませんでしたので、この点あしからず……。
  157. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでひとつ質問の本論に入りたいと思いますが、まずこの食管法の今回の改正で、政府は今日まで常に、食管の根幹を守るということを主張してまいられました。この法律改正によってこの食管の根幹というものは守り得るものだ、かように考え改正当たりましたか、この点のことを承りたいと思うのであります。
  158. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私はもう食管法の根幹は、今回の改正案でも、現行法と同じく十分に守られているもの、こう確信をして提案をいたしておる次第でございます。
  159. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではここで承りたいと思うのでございますが、元来食管法の根幹ということを言われますが、一体食管法の根幹とは何であるか。これはもちろん政府見解も前に発表されたこともありますけれども、改めて食管法の根幹とは何であるか、このことをひとつ念のために重ねてお尋ねしたいと思います。
  160. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 米麦の全量管理をして供給をしてまいることと、米価並びに麦価の根幹を守る一つの手法として法律にきちんと明記をしてあること、これらが根幹である、こう私は考えます。
  161. 稲富稜人

    ○稲富委員 政府は根幹というものに対して、統一見解を四十三年の七月二十五日に発表されております。「食糧管理制度の根幹とは、国民食糧の確保および国民経済の安定を図るために、食糧の需給および価格の調整を行なう上で、必要不可欠な管理の基本的あり方である。」ということを統一見解として発表されております。さらに、これに対しまして、この根幹というものは、「生産者のその生産した米穀を命令で定めるものを政府に売渡す義務がある。法律上、必ずしも無制限買入れを要求しているものではないと思うが、食糧管理法の従来の運用の経緯、生産者がこれより受けている利益を考えた場合には、いかように米の管理について改善を加える場合にも、生産者の米穀の再生産の確保を図り得るような仕組みを用意することが条件となるものと考える。」これを統一見解として発表されておりますが、これはいまでも統一された見解として解釈して差し支えないのでございますか。
  162. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのとおりであると私は認識いたしております。
  163. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、この見解を見ますと、提案当時の立法の趣旨といささか食い違う点もあると思うのでございます。  御承知のとおり、食管法というものが提案されましたとき、第七十九回帝国議会、衆議院の会議において、昭和十七年一月二十四日、農林大臣はこういう説明をしております。「農民が安ンジテ生産ニ従ヒ得ルヤウニ、生産セラレタル米麦ハ、必ズ政府が之ヲ買フト云フ態勢ヲ明カニ致シマシテ、」これが食管法の提案の理由でございます。この提案の理由というものが、そのときの食管法の基本であらなければいけないと思うのであります。  しかも、この提案理由のときの質問の中に、またこういうふうに書いてあるのがあります。これには、「第三条ノ命令ヲ以テ定ムルモノヲ全部政府ニ売渡スベシト云フ此ノ解釈ハ、農家ノ飯米以外ノモノヲ全部売渡セ、斯ウ云フコトニ解釈シテ宜シイノデスカ」という委員質問に対しまして、そのとき政府側は「大体左様デゴザイマス米ニ付キマシテハ只今自家用保有米制度ヲ米穀管理制度デ認メテ居りマスガ、之ヲ除キマシテ其ノ他ノモノヲ政府ニ売渡スベシ、斯ウ云フコトニナルノデゴザイマス、」という答弁をしております。  すなわち、そうしますと、食管法のこの提出された提案理由から見まして、食管法の根幹というものは、農民が生産したる米麦は農家保有米以外は政府がこれを買い上げて保管する、このことによって国民食糧の確保を図り、食糧の需給及び価格の調整を行い、生産者の米穀の再生産の確保を図るとともに、消費費者には管理した米麦を消費者の家計の安定を図る価格で売り渡すということであらなければいけない、これが食管法の根幹であり立法の精神である、かように解釈しなければいけないと私は思うのでございますが、これに対してはどういうような考え方を持っていらっしゃるか承りたい。
  164. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、昭和十七年にこの食管法が提案されましたときの説明は、御趣旨のように全量買い入れという考え方であったと考えております。ただ、このことは、昭和十七年という食糧事情が非常に逼迫した時点での食管法ということでこのような説明がされたと思うわけでございますが、第三条の買い入れの規定のところで命令の定むるものを買い入れるという規定になっておる点から考えまして、この法律自体としては、必ずしも全量を政府が買い入れるということでない運用が可能な法体系になっておったものと理解しておるわけでございます。
  165. 稲富稜人

    ○稲富委員 立法のときには「命令ノ定ムル」なんということはそういうことだと思っていないのです。これは端的にはその時分は食糧が非常になかった時分だから、「命令ノ定ムル所」というのは食糧を全部政府管理する、それがためには農民はできた米は全部政府に売らなければいけないということが義務づけられている。全部売らなければいけないというのは政府が買わなくてはいけないということなんです。その当時の「命令ノ定ムル」というのは、売らなくてはいけないという命令であったと私は思う。ところが、米がだんだん余ってくると、今度は「命令ノ定ムル」ということは全量買い上げなくていいのだ、こういうふうに解釈がおのずから変わったものだと私は思う。立法のときの精神と運用上における法律の解釈というものが変わるということはおもしろくないと私は思う。私はその点は矛盾していると思うのだが、どうでございますか。  どうもその辺は腑に落ちない。足らないときには命令だった、余ったときの命令というのは全部買わぬでいい、足らないときには全量売れという、農民はできた米は全部売り渡せということがやはり全部を管理するという命令だった、余ったときは全量を買い上げないということが命令だ。そのときによって解釈を変えるということはあり得ないと私は思うのですが、この点いかがでございますか、率直に承りたいと思う。
  166. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管法ができました昭和十七年は極端に食糧が足りないときということでありますので、稲富委員指摘のとおりであろうかと思います。しかし、需給のバランスのとれておるとき、またとれ過ぎたと申しますか過剰なとき、こういうことを立法当時の方々がもしお考えになっておられたら、あるいはそのことにも触れておられたのじゃないかなという感じもいたすわけです。  そういう意味において、自主流通米を今度法律にきちんと入れて、そうして全量管理をするという体制をとにかく法律によって明らかにしたということは、あとは二度と改正しなくとも、この食糧管理制度というものを、その精神において立法当時の精神も変えることなくわれわれの子々孫々に伝えていけるのじゃないか、こんなふうに私は思います。
  167. 稲富稜人

    ○稲富委員 法の解釈というものをそのときの事情においておのずから変えるということは許されないことなので、それが立法された時分の法の命令というものが、供出すべきものであるという命令であったとするならば、余ったとするならば法律内容を変えて全量買い上げしないのだ、こういうことは法律にはっきりうたうことが必要じゃないかと思う。  自主流通米は管理外の米だといってこれを大目に見る、こういうところに食管法の今日までのあいまいさがあったので、今回改正しようという趣旨はそこから出発したのだろうと思いますが、すべからくその条文をそのときそのときの事情において解釈を変えるということは許されないことなので、今後の問題もあるからこの点を明らかにしておきたい、こういうことで尋ねたわけでありますから、その点の私の解釈が間違っておるか、その点をはっきり承りたいと思うのです。
  168. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米なり限度数量なりにつきましての従来の法律上の解釈につきましては、たびたび政府側から御説明をいたしておりますので改めてここで御説明はいたさないわけでございますが、法律上必ずしも明確でなかったという点は考えておりますので、今回の法律改正におきまして、過剰、不足いずれの事態にも適応できるような形のものを法律上も明確にしたということでございまして、ただいま先生から御指摘があったような疑問点に対してこの法律改正で明確にしようとしたわけでございます。
  169. 稲富稜人

    ○稲富委員 私、今回の改正というものは、そういうあいまいであったものをはっきりしょうと思って改正されたものだ、こういうふうに解釈しておりますので、ただいまのようなことを申し上げたわけでございます。  さらに今度の改正についてお尋ねいたしたいことは、今回の改正の第二条ノニに「政令ノ定ムル所ニ依リ毎年米穀ノ管理ニ関スル基本計画ヲ定ムル」こうなっております。この基本計画というものはいかなることをやられるつもりであるか。この点をはっきりしておきませんと、私が先刻申し上げた、うっかりしておったら落とし穴に入るのじゃないかというのはここなんです。基本計画というものはどういうことを策定しようと考えておられるか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  170. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画におきましては、その年々の需給事情のもとにおきまして政府の米穀の管理方針を明確にしていきたいということでございまして、その内容といたしましては、その年におきます米穀の管理に関する基本方針を明らかにいたしますとともに、どのような形で管理をするかという管理の方法についての基本的な事項を定めることといたしております。  それとともに、その年の需給事情が全体としてどのような需給事情として見通しをするかという、全体の見通しを立てました上で、政府管理いたします米穀につきまして用途別、品質別及び政府米、自主流通米別の見通しを数量的に明確にいたしたいと考えております。さらに、それと関連いたします事項といたしまして、備蓄のあり方というようなこともこの基本計画の中で明確にしてまいりたいと考えておりまして、その年における需給事情のもとで政府管理の方向づけを具体的に明確にしてまいりたいと思っておるわけでございますが、これはいわゆる政府管理の方向づけでございまして、これによりまして直ちに生産者消費者を直接拘束するというよりも、関係者の指針にしていただきたいということでこの基本計画を作成しようとするわけでございます。
  171. 稲富稜人

    ○稲富委員 この第二条ノ二の四に「政府管理スベキ米穀ノ数量並ニ其ノ用途別、品質別及流通ニ於ケル管理ノ態様別ノ数量ノ見通ニ関スル事項」ということがあります。これは実に融通のある第四号でございまして、この解釈いかんによっては、どうでも幅が縮まるし、幅が狭められるという問題でございます。私は、ここに非常に生産者その他関係者の不安が生じてくると思う。  たとえば、今日、生産調整をやっております。これはいまでは行政指導生産調整をやっておりますけれども、これがやはり政令で決められた場合は、この生産調整というものが法的には義務づけられるということになってくる。こういうことになりますと非常に重大な問題が生じてくる。ここに、今度の改正案のこういう点から一つの落とし穴的な非常な不安があるということを私は申し上げるわけでございます。こういう点がないのであるか。いわゆる今日の生産調整、具体的には減反政策、こういうものが行政指導でやられている、これが法的に義務づけられるという問題が起こるのではないか、そういうことをわれわれ心配いたしますので、この点をひとつ特に承っておきたいと思うのでございます。
  172. 松本作衞

    松本(作)政府委員 生産調整につきましては、現在生産者団体の理解と協力を得て、行政指導によって進めておるわけでございますが、今後ともこの生産調整の進め方につきましては、従来と変わるところがないというふうに考えておりまして、この基本計画によって生産調整を強制するということは考えておりません。  と申しますのは、この基本計画におきましても、総需給の見通しにつきましては生産調整の前提となります需給の見通しと一致するものというふうに考えておるわけでございまして、生産調整の前提となる需給と違った基本計画需給考えることはないというふうに思っておるわけでございます。  また、基本計画は、先ほど申しましたようにあくまでも政府管理についての方向づけを示すわけでございまして、これは関係者団体に指針として考えていたださ、それによって食管制度全体の運営を円滑にしようということでございますので、決して強制をするというような性格のものとは考えておりません。したがいまして、従来の生産調整のやり方が今回の基本計画の作成によって特に変わるというふうには考えておらないわけでございます。
  173. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではいま一つ念を押しますが、今回の改正によって基本計画の中では、現在行われている生産調整行政指導によってやっている、これは一つの法的拘束を受けるものではないということを、ひとつはっきりここで明示していただきたい。
  174. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう稲富委員おっしゃるとおりでございまして、この食管法改正案によって生産調整を拘束するなんというようなことは全く考えておりません。
  175. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、政府が買い上げる場合、このときの生産者米価決定に対しても、この基本計画外で従来どおり決定する、こういう意味でございますか。この点もこの機会に承っておきたいと思うのでございます。
  176. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 生産者並びに消費者米価決定に当たりましては、先ほど来申し上げておりますとおり、従来どおり、こういうことでございます。
  177. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは次に、第四条の内容でございます。  これは先刻吉浦さんも質問しておったのでございますが、われわれが読んでも非常にはっきりしない点があります。「政府ハ其ノ買入レタル米穀ヲ第八条第一項ノ供給計画ニ即シ第八条ノ三第一項ノ許可ヲ受ケテ米穀ノ卸売ノ業務ヲ行フ者又ハ政府指定スル」云々という文句があります。この内容をもっとつまびらかに、この機会にひとつ具体的に御説明願いたいと思うのでございます。
  178. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来、政府の売り渡しにつきましては、必ずしもその方法について法律上明確ではございませんでした。したがいまして、この改正によりまして、まず随意契約によることが原則であるということを明らかにいたしますとともに、随意契約によることが不適当と認めるときは、いわゆる入札の方法による一般競争契約または指名競争契約によって売り渡すことができることとしたわけでございますが、この随意契約によることを不適当と認める場合というのは、これは古米の処理というような形のもので、品質によって価格の内容が非常に異なってくる、また、他の競合する原料との価格関係を見定めなければならないというような場合に入札の方法による競争の契約ということを考えておるわけでございまして、通常の主食用についてこの例外規定を適用することは考えておらないわけでございます。
  179. 稲富稜人

    ○稲富委員 その場合「前項ノ規定ニ依リ売渡ヲ為ス場合ニ於ケル予定価格ハ政令ノ定ムル所ニ依り標準売渡価格基準トシテ之ヲ定ム」こうなっております。この政令によって定めようとする標準売り渡し価格というものは具体的にどういうことになるのでございますか。
  180. 松本作衞

    松本(作)政府委員 予定価格につきまして、標準売り渡し価格基準にするわけでございますが、標準売り渡し価格につきましては、従来の政府の売り渡しの価格の規定がそのまま適用されるわけでございまして、これを基準といたしまして、品質、用途等を参酌をいたしまして予定価格を決めるということを定めたい考え方でございます。
  181. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、この標準価格というものは、食管法にうたってあります「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということになっております。この趣旨はやはり明確にやられるという意味でございますか。先刻生産者価格の問題もお尋ねしたのでございますが、生産者価格決定をする場合は、経済事情を参酌し、生産費を補償するということ、次期生産を確保することを旨としてこれを定むということになっております。それと同じように、消費価格の決定に当たりましても、経済事情を参酌して「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということになっておりますが、この点は、標準価格との問題がどう影響するのであるか、全然関係ないのであるか、この点を承りたいと思うのでございます。
  182. 松本作衞

    松本(作)政府委員 標準売り渡し価格につきましては、ただいま先生から御指摘がありました、従来からの政府売り渡しについての価格の根拠に基づきまして計算をするわけでございまして、従来の考え方と全く変えておりません。
  183. 稲富稜人

    ○稲富委員 そこで大臣一つ申し上げたいと思いますが、今回のこの改正案の内容を見ますると、政令、省令で決定する事項が非常に多いのでございます。私は常に、政令、省令というものは、法の運用に対する一つ対策としてやるべきものであって、政令、省令というものが法の立法の精神に反するようなことであってはいけないと、かように考えます。もしもこれがいたずらに政令、省令等によりましていろいろなことをだんだん運営上にこれを実施されますと、ついには法の立法の精神にさえも遠ざかるという問題が出てくる。こうなりますと、政治というものがおのずから官僚化してしまう。立法府としての権限さえも非常に損なうということになってくるわけでございますので、政令をつくる場合、あるいは省令を決定なさる場合、これは法の精神を阻害しないような、どこまでも法を生かすための運用をするための一つ考え方でやらなくちゃいけないという、基本的な立場の上に立って政令等は決定すべきものである、かように考えます。これは非常に立法府としての重大な問題であると私は思いますが、これに対して、ひとつ大臣のこういう政令を策定する上においての考え方を明らかにしていただきたいということを、特にこの機会にお願い申し上げたいと思うのでございます。
  184. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は私も稲富委員と全く考えを同じくいたしておるものでありまして、国会で制定をされた法律の効果をより一層上げるために、その法の精神を全うするための政令というのが当然である、こう考えるわけでありますので、今後政令制定に当たりましてもその趣旨は十分尊重して決めていきたい、こう考えます。
  185. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣がそういう考え方であるならば、本来から言うならば、政令を決定する場合においては、この法の審議に当たったわれわれに対しても、今回政府はこういう政令を出そうと思っているのだ、この法の精神には沿うのだ、法の精神を侵すものではないということで、私は委員会等にも一応諮ることがしかるべきである、かように考える。それを全く委員会をつんぼさじきに置いて、ただ政府と官僚によって政令を次々つくっていくということが法の基本的な精神を侵しておったというような場合は非常にゆゆしき問題であると思いますから、そういう重大な政令等に対しましても、御決定なさる前に本来から言うならば立法府の了承を受けるとか、そういうことが取り扱い上必要ではないか、かように考えるわけでございます。これはどういう考えを持っていらっしゃいますか。
  186. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 「政令規定見込事項」を一応お手元にお届けしてあるわけでございますが、いまのような点は、政令は法律を執行する際の規則でございますので、国会審議を必要とするという先生の御意見でございますけれども、しかし、いままで法律の精神を阻害するような政令、そういうことをする政府はあり得ないはずである、こう思いますので、その点は政府を信頼していただくということではないかなと、こう思う次第でございます。
  187. 稲富稜人

    ○稲富委員 立法の趣旨に沿うような政令をつくるということは大臣責任においてやってもらわなければ、出た後でこれは変更しようという問題になってくる、往々にしてそういう問題があります。後方申し上げることもありますけれども、こういう問題がありますので、この点は特にひとつこの機会に私は政府に要望いたしておきたいと思うのでございます。  さらに、今回のこの改正案を見ますると、今後起こってくる問題は、米の品種別の問題がクローズアップしてくると思うのでございます。これに対してはやはり生産地としては非常に重大な問題でございますので、今後その品種改良に対しましても、政府の適地適品種といいますか、こういうような強力なる指導体制というものが必要ではないかと思うのでございますが、これに対してはどういうような考え方を持っておられるか、承りたいと思うのでございます。
  188. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 本当に大事なことを御指摘いただいたわけでございまして、良質で味がよく、しかも多収であるというような品種を創生してまいるということは、これはもうあらゆる点から見てやらなければならないことである、こういうふうに考えまして、私自身も就任早々そういう面に農林水産省としても全力を挙げて取り組むべきであるということで指導をいたしておるところでございます。  特に昨年のごとく冷夏あるいは異常気象等によってあれだけの大きな被害を受けるというようなことが今後もあり得るわけでありますので、ああいう事態においても耐え得る品種をつくり上げていくというためには、常に試験研究の努力を欠いてはならない、こういうふうに私自身は考え指導をいたしております。
  189. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に、米の備蓄の問題についてお尋ねしたいと思います。  農林大臣は特に備蓄の問題に対しては関心を持っていらっしゃる。われわれは国民の食糧に安心を与えるという意味からいうても当然備蓄対策というものは必要である、こういう考えを持つのでございますが、備蓄の問題に対しては大臣も相当造詣が深いと思いますので、備蓄対策についてどういうような考え方を持っていらっしゃるか、この際承りたいと思うのでございます。
  190. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 備蓄につきましては、今日まで不測の事態に対応するため、米穀年度末に二百万トン程度の古米を保有することというようなことでやってまいったわけであります。昨年のあのような不作のときでも十分対応できたということでございます。しかし、現行の全量回転備蓄方式では毎年大量の前年産米消費者に供給することになり、消費者の新米供給の希望が強い現状にそぐわない形が出てくるということも、これはもう争えない事実でございます。  したがいまして、今後の備蓄方式といたしましては、不測の事態に対処するという備蓄の機能を果たしながら、しかも消費者のこのような問題にもこたえ得るような方式を工夫する必要があるということで、現在その規模や仕組みなどについて検討を急いでいるところでございます。この食管法改正当たりましても、基本計画の中で備蓄の問題の運営の基本的な考え方を明らかにしていかなければならぬのではないか、こういう議論もいたしてきたところでございます。
  191. 稲富稜人

    ○稲富委員 備蓄の方法としてはどういうようなものをやろうという計画でございますか、この点承りたいと思うのでございます。
  192. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 具体的には、食糧庁の方で現在考えている方式を御説明いたさせます。
  193. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま大臣からもお答えいたしましたように、従来は全量回転備蓄ということで、順次主食用として消費をしていくことを前提とした備蓄でございましたが、いろいろ問題もありますし、緊急の事態に対応するという備蓄の機能を強化する必要があると考えておりまして、そのために一定部分はたな上げをした備蓄ということで、一定期間備蓄用として保管をいたしまして、その保管期間が終了いたしました段階では加工用等に処理をするという部分を組み合わせていく方法を考える必要があるのではないかということで、現在内容を鋭意検討中でございます。
  194. 稲富稜人

    ○稲富委員 検討中であるそうでありますので、備蓄の方法に対しては私は私としての考えを申し上げたいと思うのですが、備蓄の方法としてはやはりもみ貯蔵が一番いいと思うのです。御承知のとおり、今日備蓄というものが、紙袋に備蓄をするとかビニールの袋に備蓄をする。御承知のとおり、米というものは生き物なんです。これを空気の通じない袋に入れておきますと、当然これは窒息いたします。味が非常に変わるのですよ。  昔から、もみというものはあのまま持っておけば何十年でも何千年でもそのまま品質が変わらないものだと言われておった。農家の旧家に参りますと、もう何十年も前からのもみを穂につけたまま倉庫の二階なんかにずっと並べてある。これはいざというときの、飢饉になったときの種もみだと称して何十年前から置いてあった。何十年になっても死なないというのです。それだからこれは米の品質も変わらない。これは場所はとります。ところが、今日ではもう農家にも——昔は備蓄のもみびつというものを持っておりました。自由販売当時は、おのおのの農家に、もみ貯蔵の備えをしておりまして、米の相場がよくなった時分にこれを精白して、そして売るというような態度をとっておった。ところが最近は米が全部国から管理されるので、できたときにすぐ米を納めるというわけで、そういう農家にも、備蓄のもみ貯蔵の倉庫も全部なくなってしまっております。これはやはり、米の品質を変えないためには備蓄のもみ貯蔵が最も適当だ、かように考えております。  特に、米というものを紙袋とかビニールの袋に詰めるということは、非常に米の品質を悪くすることになる。もしも米を貯蔵するとするならば、玄米として貯蔵するならば、一番適するものはかますか俵か、やはりわらに入れておくということが一番品質は変わらないものだと昔から言われている。  それで、これは備蓄制度をやろうとするならば、備蓄の方法についてもいろいろ検討する必要があるのじゃないか、かように考えます。こういう点も、私は一つの経験からそういうことを申し上げたいと思いますが、これに対しては、そういうことを参考にお考えになるかどうか、承りたいと思います。
  195. 松本作衞

    松本(作)政府委員 もみ貯蔵につきましては、ただいまお話がございましたように古来から重要な備蓄の方法であろうかと思うわけでございます。ただ、最近におきましては、農家の包装様式が非常に変わってまいりまして、俵またはかますを利用する農家が非常に少なくなっておりまして、最近の包装は紙袋、麻袋またはビニール袋というのが多くなっておりますので、必ずしも、もみを俵に詰めるということが農家でうまく行われるかどうかという問題もございますし、また、もみ貯蔵に匹敵をするような低温保管の倉庫も整備されておりますので、低温保管を利用するという方法もあろうかと思いますが、今後、先ほど申しましたたな上げ備蓄等を考えます際には、御指摘がありましたような備蓄のあり方、方法等につきましても十分検討さしていただきたいと考えております。
  196. 稲富稜人

    ○稲富委員 要は、備蓄をする以上は米の品質の変わらないような備蓄をする、こういうことが必要でございますので、そういうことも十分検討の中に入れていただきたい。  この問題で最後にお尋ねしたいと思いますことは、今日政府は過剰米ということを言われる。過剰米というと米が余っているのだということになる。私は、これは備蓄をして、備蓄米としたらどうかと思う、過剰米なんという言葉を使わないで。そして必要な場合には備蓄米からこれを放出するというようなことにすることが妥当である。過剰米というといかにも余った米を放出するという感じを持たれますので、最初から過剰米なんかという言葉を使わないで、必要なものは量は多くてもいいから備蓄をしておく。必要な場合、備蓄からこれを放出するのだ、こういうような態度をとることが必要じゃないかと私は思うのです。それで、私が希望することは、過剰米という言葉を使わないで備蓄米ということにしておかれたらどうかと思うのですが、いかがでございますか。
  197. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、備蓄のやり方を一部たな上げをしていくということにいたしますれば、これが主食用ではなくて加工用等に回る場合であっても、必ずしも過剰米ではなくてこれは備蓄用というふうに考えることが可能であると思います。  ただ、現在までの過剰米の中には、備蓄機能を果たす以上にはるかに多くの数量のものがあるわけでございまして、今後の米の需給のあり方といたしましては、やはり適正な備蓄の範囲でゆとりを持つことが必要であろうかと思いますので、その必要量以上の量というものはやはり過剰米と考えざるを得ないし、そういった過剰米はなるべく出さないようにしていくことが必要ではないかというふうに思っております。
  198. 稲富稜人

    ○稲富委員 過剰米をなるたけ備蓄の方に回す、こういうことでひとつやっていったらどうかということを考えるわけであります。  最後になりましたが、米の消費拡大の問題でお尋ねをします。これは私は、もうすでにずいぶん前から論議している問題でございます。昭和五十三年時分から、米の消費拡大のために純米酒を製造したらどうかと。  御承知のとおり、酒税法の第三条によりますと、酒というものは、米と米こうじと水を発酵したるものが清酒ということになっております。ところがこれに対しまして、米の足らなかった時分に、ほかに含有物を入れるということになってアルコールを入れた。それが今日の合成酒なんです。それで、この酒税法第三条の政令事項、その含有物を入れてもいいという政令事項を排除すれば、直ちに純米酒というのができます。純米酒ができると、これによって年間五十万トン以上の米の消費拡大になる。私は五十三年からもうたびたび大臣にこのことを質問いたしております。  初めは、大蔵省の主税局では、そういうことをやると日本酒が高くなる、こういうことを言っておりました。これは税金があるわけなんです。税金を安くしなさい。ことしはまた税金を上げておる。こうなりますとやはり日本酒というのは高くなるということになる。逆のことを政府はやっておる。  かつてこれは閣議におきましても、酒米をふやすことによって米の消費拡大をやろうということを決定されておる。決定されておるけれども一つも実行されない。どうも私わからない。私はどの大臣にも、歴代の大臣にこのことは希望申しておるけれども実現いたしておりませんが、米の消費拡大のために純米酒をつくる。それは、いわゆる含有物を入れるという酒税法第三条の政令事項を廃止すればいいのですから、これは簡単なことなんです。これをなぜおやりにならないかわからないのだが、ひとつ消費拡大のためにこれを実行するということをやっていただきたいと思いますが、これに対する大臣考え方を承りたいと思います。
  199. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 米の消費拡大について純米酒をやれという御指摘、まことに御趣旨は十分理解できるわけでありますが、いざこれを実行しようということで、私も食糧庁を督励をいたしておるわけでありますが、酒屋さんそのものがなかなかそういう点に踏み切っていただけないという面が現実にあるようでございます。したがいまして、まあ一遍に純米酒まではいけなくとも、アルコールの添加率をできるだけ下げていって、やがては純米酒というところまで持っていくのも一つの方策ではないかということで、そのような指導食糧庁を通じて大蔵に接触をいたしておるわけでございますが、なかなかこれも口で言うごとく現実が進んでおらないのが非常に遺憾でございます。これもやはり酒屋さんが、そういうふうにしてつくっても売れないのではないかといったような心配もしているわけなんですね。しかし、何といっても米の消費拡大していかなければならない今日でございますので、さらに努力をいたしてまいります。
  200. 稲富稜人

    ○稲富委員 委員長が酒屋さんですがね、これは純米酒は味がいいのですよ。渡辺農林大臣、いまの大蔵大臣質問しました。そのときは、そんなことをやりましたらその日本酒はべたべたすると言う。知らないからそんなことを言う。べたべたしないのですよ。純米酒というのはさらっとしておるのです。うまいのですよ。いわゆる百薬の長なんです。ところが今日はアルコールを入れておるから舌をぴりっと刺激する、こういう点がありますので、純米にすればもっと嗜好もふえてくるということはもう的確ですから、これはもうちゃんと委員長が酒屋で知っておるはずですから。こういうことは私は歴代の大臣に希望してきた。十分このことは消費拡大のために考えていただきたい。  最後になりましたが、私は今日の日本農業というものは非常に重大な危機に当たっていると思う。農民がややもしますと農業に対する希望をなくしている、こういうときでございますから、こういうような大きな問題、日本農業をどうするかということに対してもっと考えなければいけないのじゃないかと私は思う。先刻大臣答弁の中にありました外国からの農産物の輸入、これが日本農業を非常に阻害している、こういう問題に対して政府はどう取り組んでいくか、こういう問題こそ真剣に取り組まなければならない問題だと私は思います。どうかひとつ、そういう点からも大臣は、日本農業を今日どうするか、こういう観点から基本的な日本農業の自立のためにひとつ立法でもやって、そうして農民が農業に希望の持てるような日本農業を育てる、こういうようなことで処していっていただきたいということを、特に私はこの機会に大臣に希望を申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  201. 田邉國男

    田邉委員長 日野市朗君。
  202. 日野市朗

    ○日野委員 食管法の審議もいよいよかなり進んでまいりまして、みんな恐らく農水省に対していやみの一つや二つ言ったと思います。私もこの食管問題についてはいやみの一つや二つは言わなければならぬ。私はいままでずいぶん、自流米、それから買い入れの限度数量、それから生産調整と、どんどん米に対する迫害が進んでくるという状態を見ながら、非常にいらいらしていた者の一人であります。大体この食管法という法律、これはかなり強行性を持った法律ですよ。それがありながら、一体農水省は何をしているのだ。これだけのものを持っていながら、日本の農政の中で米の占める位置というものがどんどん後退をしていった。私はその責任の大半を農水省に嫁したいと思うのであります。  大体、食管法というのは非常に特殊性を持っているわけでございますね。日本の経済というのは言うまでもなく自由主義経済の中で運営をされてきているわけですが、その中で食管法というのは特殊性を持っています。自由経済の中でこれは統制的な要因を非常に強く持っているのでありますが、これはその必要があるからこういう法律が置かれているのですね。その必要というのは何かということになれば、食糧をきちんと国において管理して、国家の存続、民族の存続に憂いなからしめるという、非常に高い、しかも強いりっぱな理想を掲げているわけでありますが、しかし残念ながら農水省、非常に弱腰であります。私はその点非常に残念であると思う。  食糧管理の必要というのは各国どこでも認めていることでございますね。アメリカはアメリカなりの努力をする、ECはECなりの努力をする、それから社会主義諸国と言われる国においても、食糧については非常に重大なる関心を払っているわけですね。しかし残念ながら日本の食管法というのはどんどんと迫害を受けまして、その迫害をずっといままで加えてきた、それを後追いで、いま食管法改正という形で今度は法文化をしようということで国会に出てきたわけなんでありますが、そもそも食管制度を守っていく、食管法というものの必要性を高く評価する、そのようなことが根本的に必要だと私は思うのです。そういう根性を据えた運営をやっていかないとこれは大変なことになると思うのですが、そこらについてはどうでしょう、農水省、どういうふうに考えておられますか。
  203. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう日野君の考え方と相通ずるところを持っておりますからこそ、守られない法律をそのまま置いておいて、しかもこれが米作農民の基盤である、農政の一つの大きなよりどころである、こういうことを言いましても、やはり守られるようにきちんと常に整備をしておくということもわれわれ立法府にある者、政府にある者の務めではないか、こういう考え方で、先ほど来タイミングが悪いとかいろいろな御指摘は受けておりますけれども、しかし、やはり農林水産大臣としての責任考えました際には、そういう体制をとっておくということが課せられた任務達成の一つの方策ではないか、こういうことで今回提案をさせていただいた、気持ちは全く同じような気持ちでおる次第でございます。
  204. 日野市朗

    ○日野委員 守られないような法律を置いておくのはちょっとぐあいが悪いことは私もよくわかるのですが、ただ、守られなくなる前に、守る努力をすべきだったのだと思うのですよ。残念ながら食管法なし崩しと言われるいままでの守られなくなってきた責任というものは、農水省にきちんと考え直してもらわなければいかぬ。こういうふうに考えるということは、これから将来の食糧管理、これをどうするかということについても非常に大事なことでありますから、そこのところは私の方から十分な注文をつけておきたいと思うのです。  大体、食糧のことでありますから、それは不足のときもあります。それから余るときだってあるでしょう。そういうあらゆるときに対処できるような法律でなければならぬわけですね、この食管法というのは。そんなことはあたりまえではないでしょうかね。どうなんでしょう、どういうふうにお考えですか。
  205. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この法律昭和十七年という米の極端に不足なときにつくった法律でありますから、不足の事態に対処するための立法措置ということに相なったのだろうと思う次第でございます。かつて日本においては日本産の米が過剰になるなんというようなことを考えた人は恐らくなかったろうと思う次第でございますので、御指摘のとおり、需給均衡しておる場合あるいはとれ過ぎた場合においてもきちんと運営できるような食糧管理制度食管法というものでなければならない、そういう考え方も私どももいたしまして、今回そういう点の改正を提案を申し上げておる、こういうことでございます。
  206. 日野市朗

    ○日野委員 現状、米が過剰基調にあるということは私も認めるわけでありますけれども、それにしてもここまで事態が来る前にもっと的確な処置をとるべきだったと私は思っているわけであります。そして、いまや米過剰、食管改正という大合唱がそっちこっちで出ているわけなんですが、こういう大合唱が余りにも安易に農水省に影響するということは非常に憂うべきことではなかろうかと私は思うのです。農水省はこのとおり国民の食糧確保という観点でやっておりますよという、もっと毅然たる態度が必要だったのじゃないでしょうか。  たとえば、財界からは米が余っているということで文句を言われる、これは自民党さんあたりはここいらから文句を言われるのは一番弱いところですね。それから一部の消費者代表と称する労働組合あたりからもこれに対して文句を言ってくる、また、財政上の問題ということで大蔵省もいろいろ文句を言ってまいります。しかし、大蔵省なんかにはむしろこれはこんなふうに言うべきじゃないですかね。われわれは非常に大事な食糧管理をやっているんだよ、金が足りないということは理由にならぬのだというふうに堂々と言うべきじゃないでしょうか。その分もし金が足りなかったら大蔵省の才覚でどこかから生み出してくるのが大蔵省の務めでありまして、そういう観点に立って今後とも食糧管理ということについては毅然とした態度で、いろいろなことを言われることはよくわかります、しかし、そういうことは言われながらも毅然とした態度を農水省が持していくということの大切さということを私はいま非常に感ずるのでありますが、農水大臣いかがお考えでありますか、ひとつお考えをお聞きします。
  207. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 全く同じ考えでありまして、日野君がそういうふうにわれわれを激励してくださるということは大変心強い限りであります。これは、農林水産大臣としての職責を果たすために声を大にして言いますと新聞には行革に消極的と、こう書かれるわけでありますけれども、そんなことを書かれようと何しようと、そんなことは苦にいたしておりません。私といたしましては、農林水産大臣に与えられた任務を果たしていくためには、やはり農家の食糧生産に対する意欲をふるい起こさせ、なおかっ外国の飼料等を初めとする輸入農産物の安定的な確保ということと両方相まって、一億国民の食生活に不安なからしめるということのためには、やはり今日までやってまいりました農政の推進ということが絶対に必要である。  特に私はいつも申し上げておるわけでありますけれども、日本の農業の基盤整備というものは戦前はほとんど手がつけられていないと言ってもいいくらいでありまして、二千年前のたんぼがそのまま存在しておったと言っても過言ではない。基盤整備、用排水、そういう問題について具体的に取りかかったのは戦後であると言っても言い過ぎではない、こう思うのです。したがって、基盤整備が先進国に比べて非常におくれておる。まさにこれから、国も、税金も上がるようになり、そうして一番おくれておる農業の基盤整備に投資をして、生産性の高い農業をやれるような環境をつくり上げていかなければならないこのときに、農林省の補助金がいろいろな批判を受けるということは私は本当に残念でならない、こういうことであります。  これ以上言いますといろいろとまた批判を受けますが、しかし、言うことだけはきちんと言いまして、そうして第二臨調の皆さん方の理解ある決断をお願いせなければいかぬ。こういうことを叫び続けておるゆえんも、日野君指摘の気持ちがあるからでございます。
  208. 日野市朗

    ○日野委員 もう二つ、三ついやみを言おうかと思ったのですが、そう出られると何とも言いにくいところがありますので、この点はこの程度にとどめておきます。それにしても、今後この食管を、これはいままでわれわれの努力不足もいろいろあったという各人の反省をも含めながら、これからずっと、これだけはきちんと守っていくのだというお互いの覚悟は必要であろうかというふうに思います。そこで、これはぜひとも農水省にも、私、本当にいままで弱腰だったような気がしてならないのでありますが、これからはしっかりやっていくのだという決意を固めて仕事をしていただきたいというふうに思います。  それで、まず一番大きな問題は、何といっても米の過剰ということであろうと思います。この過剰原因というのはいろいろ考えられるところですね。一つは、何といりてもその中の一番大きなところは、消費がどんどん下降線をたどっているということであろうと思いますが、大体そういう認識でよろしゅうございますね。これからの議論の土台にしていきますから……。
  209. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来、国民の食生活の変化に伴いまして主食の地位が低下し、特に米についての地位が低下いたしまして消費の減退があったということが過剰の一つの原因だろうと思いますが、他方におきまして日本の稲作の生産力が向上いたしまして、それによって潜在生産力が増大したということもこの過剰の一つの原因になっておると考えております。
  210. 日野市朗

    ○日野委員 潜在的な生産力、これについてはおくとして、食生活がすっかり内容が変わってしまったということは、やはりきちんと注目をしなければいかぬのでありましょう。よく昼飯なんかに弁当を出されますと、ぼくら米で育った人間は、何だ飯がこれだけかというような感じを持ちます。昔なんかうちの方のすし屋は、お握りの上に刺身を乗っけたようなすしを出さないとサービスが悪いと言われた。やはり米を食わないと充足感がないわけでございますね。ところがいまはすしなんか見ても、ほんのちょっぴりの御飯に、飯が見えるかなというふうな大きな種が乗っかっているというような現状でございますね。  これは国民の食生活、そして食嗜好といいますか、そういったものも変わってきたのだなというふうに思うのですが、私はこういう点で重大なポイントとして見なければならないのは、確かに米を食う部分は減ったのであります。そしておかずの部分が多くなった。それは表面的に見ればそうでありますが、国民の全体の食生活のうちのかなりの部分が米以外のものに置きかえられたということだろうと思うのですが、どうでしょう。
  211. 松本作衞

    松本(作)政府委員 御説のとおりに、米ないしは主食以外の、副食物等に置きかえられた面が非常に大きいと思っております。
  212. 日野市朗

    ○日野委員 そうすると、これは食管法が掲げている目的に沿って考えれば、食糧をきちんと管理をしていくという立場から見るならば、その米に置きかえられた部分の重要さというものを再認識しなければならないのじゃないでしょうか。どうでしょう。
  213. 松本作衞

    松本(作)政府委員 置きかえられた部分といたしまして畜産物が大きいと思いますが、畜産物について従来から各般の施策を講じておるところでございまして、この点の重要性は十分意識されておると思いますが、他方米麦につきましても、現在まで、減少いたしましたとはいうものの、やはり熱量でいいまして約三〇%は米、一二%は麦からとっておるわけでございまして、四〇%以上が米麦であります。食管物資からエネルギーをとっておるというような重要性は依然として続いておるというように考えております。
  214. 日野市朗

    ○日野委員 その麦の方が大部分が輸入だというところに問題があるのでありますけれども、私、考えてみて、米だけ、それから麦も一応形式的には入っているわけでありますが、食糧管理という観点から米麦にだけ焦点を据えていくということでは国民の食糧をきちんと確保をしていくということにはならないのではないかという感じが非常に強くいたします。  現に、食管法そのものが雑穀あたりまでずっと対象としていたことはあるわけなんでありますが、特に現在必要なのは飼料作物。いま四〇%近くの熱量は米麦からだとおっしゃったが、しかし六〇%はそのほかのものからとっている。しかも肉からとっているところが非常に大きな部分を占めてきましたし、これからも占めていくだろう。現在の国民の食生活の変化の傾向から見るならば、これからも肉というものは非常に重要になってくる、畜産というものは非常に重要になってくるというふうに思うのです。  それで、このえさですが、これについてはやはり管理をきちんとやっておかなければならないのじゃないかというふうに思います。どうですか、そういうふうに思われるかどうか。そこらの基本的な観点を一つと、それからいまもう圧倒的に輸入に頼っているわけでありますが、外国における飼料穀物、これはどういうふうにこれから推移をしていこうとしているのか。特にこれはアメリカからかなり買ってきているので、アメリカの動向などというのは非常に重要な部分になってきますが、アメリカとの間の農産物の定期協議なんかで、このえさについてはどういうふうに指摘をされておりますか。
  215. 森実孝郎

    森実政府委員 ただいまえさの管理の問題それから需給の推移の問題、また日米交渉における経過等各般の御質問がございました。要点を申し上げたいと思います。  えさの管理の問題でございますが、現在わが国が輸入しております飼料穀物は千六百五十万トンという規模でございまして、これ以外にいわば配合飼料原料であるトウモロコシ、大豆かす等を加えればもっと大きな量になるわけでございます。これは私が申すまでもなく、外国の農地面積を五百万ヘクタールも六百万ヘクタールも使って生産されたものが輸入されているという実態にあるわけでございます。  今日までの状況を見ますとき、確かにいろいろな物の見方はあるでしょうけれども、アメリカを中心にいたしました生産力の順調な発展のもとで、きわめて割り安に民間の貿易を通じて入手されている実態があるわけでございます。これからの需給見方にも関係してくるわけでございますが、やはりできるだけ割り安な価格で安定的に輸入を図るということが、飼料穀物政策のこれからも基本ではないかと私は思います。そういう意味で、やはり各般にわたる施策を講ずることは必要かと思いますが、直ちにこのことが国が管理をすることをもたらすというふうに考える必要はないのではないかというふうに思っているわけでございます。  需給の推移でございます。昨年、アメリカの熱波とかソ連の凶作等で一時価格が高騰いたしました。しかし、昨年の十一月ないし十二月から比較的安定状況にあります。これは南半球の豊作、さらにその後アメリカ等の作付も比較的順調であり、雨もあったこと、さらに申し上げればソ連の買い付けも一巡したこと、そういった状況で、いまは一応落ちついた状況だと思っております。一番新しい状況等を総合いたしますと、特別の天候の変動がない限り、当面飼料穀物の需給並びに価格について不安な材料はないというふうに私どもは見ているわけでございます。  しかし長期的には、やはりいままでのようにアメリカに膨大なセットアサイドの面積があるわけではございませんし、なかなか畜産物の需要は根強い点がございます。そういったことから、飼料穀物の需給は逐次タイトな方向に向かってくる、価格も割り高な状況になってくるということは否定できないと思いますが、また同時にそういった価格効果を通じて、いままでの直線的ないわば世界的な畜産物の消費拡大、増産ということにも、ある程度市場なり価格効果を通じて抑制が働いてくるという面は事実あるだろうと思います。私どもそういった点から、やはり輸入の安定化努力並びに今後発展途上国の開発努力に対する援助等の措置は強化していかなければなりませんが、当面、特に国が直接介入して飼料穀物の貿易なり流通規制するような状況ではない、このように思っているわけでございます。  日米間の協議でございますが、昨年の十二月の時点で協議が行われて、これはすでに公表されているところでございます。まだその後定期の正式協議は行われておりませんが、頻繁に私ども情報の交換を行っております。  今日の状況で申し上げますと、飼料穀物の作付面積は大体前年並み、雨量等も比較的いままでは順調である、それからもう一つは南半球自体が非常に豊作であった、もう一つは、ソ連へのエンバーゴーは廃止されましたけれども、ソ連自体の買い付けばすでに一巡している、さらに価格効果もあって多少世界的には消費が頭打ちになって、むしろ在庫量もふえたというふうな状況から、比較的安定した状況であるという連絡を受けているわけでございますし、また昨年の十二月において、私どもも飼料穀物を初め輸入穀物の輸出の安定化についてアメリカ側に要請をしたところでございますが、これについてはアメリカ側も基本的にわが国の立場を十分尊重して、安定販路としてのわが国の市場を重視する旨を明らかにしているところでございます。
  216. 日野市朗

    ○日野委員 現在の短期的な見通しとしては確かにおっしゃるとおりでしょう。確かに私もおっしゃることはよくわかるのでありますが、ただ、この現在の国際情勢等が急速に動くということもこれは十分に考えなければならない。そういう際の最低限の国内における飼料の確保というようなことの必要性というものを私は看過すべきではないと思うのですね。それは、いま間に合うんだよということとまた別の問題であります。何があってもこれは最低限度のものは確保できる、そういう担保的なものは何かありますか。  私見ていると、去年は熱波騒ぎがあったけれどもことしはどうも順調にいっているようでございますと言ったって、これはおてんとうさまとの相談でございますから、何が起こるかわからない。やはり最低限必要なものは確保するというだけの心構えを持ってこれから行きませんと、何かあった場合に、これは大変だと言ってあわてたって、そのときは間に合わない、こういう事態が来るのじゃないかということを恐れます。いかがでしょう。
  217. 森実孝郎

    森実政府委員 ちょっと先ほども触れさせていただきましたが、現在わが国が輸入しております穀物その他の外国の農地面積、どのくらいを使って輸入が行われているかということにはいろいろな推算がございますが、恐らくわが国の現在の耕地面積の二倍以上、二倍半くらいの耕地面積を使った生産を前提として行われているわけでございます。したがって、一つのエマージェンシーに対して今日と同じような生活状況を維持するという前提に立ちまして供給の安定を図るということは、入れ物の問題としてそれ自体やはり無理があると見ざるを得ない。  私どもえさの問題に問題をしぼって考えるなら、やはり基本は大家畜、資源でございます大家畜のえさの確保ということをまず基本に考えていく。そういう意味においては、限られた耕地の利用としては粗飼料の増産ということを重点に置くべきものと考えております。そういう意味で、今回の長期見通しでも現在の粗飼料がTDNベースで五百十六万トンの生産を九百四十万トンまで持っていきたい、作付面積の拡大を図っていきたいということを、草地の改良、既耕地への飼料作物の導入等を通じて考えているわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、中小家畜のえさであるトウモロコシ、マイロ等について、わが国の農業の中でまとまった量をつくっていくことは、量的にも、それから基本である経営規模の問題としても、私どもは事実として困難であると見ざるを得ない。やはり長期的な意味での輸入の安定化努力なりあるいは在庫政策と申しますか備蓄の増強、そういった点でできるだけ摩擦を少なくする努力ということに当面政策を傾注すべきものと考えているわけでございます。
  218. 日野市朗

    ○日野委員 いまいろいろ説明ありましたが、そういった点を見ても、やはりえさ米の魅力というものを私も非常に強く感じるのであります。  実は私のところでも、えさ米を何とかして制度的にも定着させるということから、ずいぶん農家の方に頼んで試験田をつくってもらっております。この間も連休中にずっと苗代を回ってみましたけれども、非常によく成育をしているわけでございますね。農民の方々も感覚的に、えさ米というのはいい、この日本の行き詰まった、特に私の方なんか米地帯ですから、あの地帯での米作それから畜産との複合というようなことを考えて、何とかしてこれを物にしたいということで、いま一生懸命努力しているわけなんですね。私はこのえさ米というのは非常に魅力的だと思います。  もう何人もの方がここで言ったでありましょうから、余りその方々とダブらないように伺いたいと思うのですが、まず、えさ米というのは認める方向で努力すべきではないかというふうに思うのですが、この制度的な障害となるものをちょっと挙げてみてください。
  219. 角道謙一

    角道説明員 お答えを申し上げます。  えさ米につきましては、いま日野先生御指摘のように水田をそのまま利用できるということもありますし、また食糧の自給力の強化に非常に意味があるということもございますが、現在実際に使用されております飼料穀物は大体トン三万数千円台で入ってまいりますけれども、米そのものは国内で食糧管理法によりましてトン三十万円程度で買い入れをいたしております。そういう意味で、基本的にえさ用として考えた場合の米と食糧管理法によります買い入れの価格と非常に大きな差がございまして、飼料用米生産については収益性の点でまず問題があるということが第一でございます。  第二の点は、そこで、主食用の米とえさ用の米ということを言いましても、同じ米でございまして、用途が飼料用あるいは主食用に変わるということだけで、二つの間に識別性というものが現在ではございません。そういうことで、食糧管理法によります流通規制という観点から見ますと、えさ用の米を大量に流通させるということにつきましては現段階ではなお問題があるということでございます。  また、現在の米の収量というのは十アール当たり五百キロ程度でございまして、こういう程度の収量ではなかなか収益性の向上という点からもまだ問題があるわけでございますし、最近超多収穫品種ということでいろいろ注目されておりますたとえばアルボリオというような外国の品種がございますが、これにつきましても、脱粒性あるいは耐冷性あるいは耐病性というような点で品種そのものにつきましてもまだ技術的にいろいろ問題があるという点がございまして、本格的な生産考えるということについてはいろいろまだ問題があるというように考えております。
  220. 日野市朗

    ○日野委員 これはいろいろな問題があるのは当然であります。特に収益性なんかから問題があるのはわかるのですが、いずれにしても、ああこれはいいとぽんと飛びついて大丈夫なものなんてありませんので、こういったものを栽培しながらだんだん品種的にも改良していく、それからいろいろなつくり方の技術も考えていくということが必要になってくるであろうと思うのです。  ただ、よく食用とえさ用の区別がつかないのではないかというのは、私はちょっとどうかと思うのですね。いま御指摘あったアルボリオのJ1とかJ10なんというのは一見してわかるし、それに着色をしたり粉砕するなり、そういう方法だって十分考えられるのです。  それで、私ここで余り長い時間をとるわけにいかなくなってまいりましたので、いま流通のお話が出ましたが、いますぐに大量流通ということはちょっと考えられないだろうというふうに思います。それで、えさとして、飼料用としての流通もある程度考えてみませんと、まずえさとして食わせる技術、つくる技術なんかについてもある程度流通ということは考えなければならないだろうと思うのです。いまこのアルボリオなんかを動かすときには、農民の方々がえらく不満を持っていますのは、手に入れようと思ってもなかなか手に入らぬ、これをちょっと動かすにも何か判こを十一ぐらいつかせられるのだそうですね。そういう実態なので何とかならぬかという要望も強いのですが、どのようなことになるのでしょうかね。
  221. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在、食管法におきまして、米の正常な流通を確保いたしますために流通規制をする必要のあるものにつきましては、農林水産大臣指定をいたしまして流通規制をしておるわけでございますが、いわゆる飼料用の米につきましても、これが主食用の米と非常に紛らわしいという事実がございますので、この飼料用の米が種子等の用途で流通する場合には食糧事務所長の許可を受けて流通をしてもらうことになっております。このための手続をとっていただいておりますためにあるいは手続が繁雑だというような御批判があるのかもしれませんが、主食用の米と混同しないための最小限度の流通規制措置であると考えております。
  222. 日野市朗

    ○日野委員 これは恐らく農水省の立場としても、えさ米の試験田については転作面積にカウントするのだというようなことをおっしゃったので、ある程度えさ米の魅力については考えておられるのだと思うのですが、これからのそういった試験的な作付やら食わせる技術なんかについても、これは非常にいろいろな問題が出てくると思うし、ある程度流通考えることは必要なことだと思うので、これを簡略化するというようなことは考えられませんか。
  223. 松本作衞

    松本(作)政府委員 飼料米につきましては、これが主食用の流通と混乱をすることによって食管制度の健全な流通を阻害する点が心配されますので、やはり流通規制については明確にしておく必要があると考えております。
  224. 日野市朗

    ○日野委員 時間がなくなってきましたので、えさ米はえさ米でまた別にやりましょう。  それでまず、今度の改正案の中の基本計画についてちょっと伺いたいのであります。  実は私、この改正案を見ていて、これはかなりのことをこの基本計画の中でやれるなと考えたのです。これはかなりモンスター的なものじゃないかなと思うのですね。この基本計画の中では一体歯どめというものがなくなってしまうのではないか。この法律上は一応基本計画において定める事項がずっと並んでおりますが、これについては、いままで遠慮しながら農水省がやってきた限度数量を決めることやら生産制限やら、場合によっては価格の抑制というようなことも今度は法律の名において大っぴらにやれる。これは農水省にとってはかなり強力なものを手に入れることになるのではないかと思いますが、どうですか。
  225. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画におきましては、政府管理すべき米穀についての毎年の方向づけをいたすわけでございますが、その方向づけの内容といたしましては、政府管理すべき米穀の基本的な方向でございますとか、管理の方法についての基本的な事項でございますとか、またはその内容別の管理すべき米穀の数量の見通しというようなことも含めておるわけでございます。  これは従来政府がやっておりました需給操作というものが、過不足いずれの需給事情のもとにも必ずしも円滑に運営できるということになっておりませんので、その年々の需給事情に対応した政府管理の方向づけを明確にしていくということで、従来やっておりましたことを一層明確にいたしまして、これを関係者の方々の指針として、関係者の方々がこの政府考え方を十分理解された上で食管の運営についての協力をいただくということでございますので、私どもといたしましては、こういったガラス張りの形で食管の運営の方向づけが明確になってくると考えておりまして、政府だけが独断でやるべき筋合いのものではないと考えております。
  226. 日野市朗

    ○日野委員 私、この基本計画の構想を見まして、これはやる気になればかなりのむちゃがこれでできるわけですよ。その歯どめが必要だと思う。たとえば生産制限をもっと強化しなければならないということになったら、いま松本さんはガラス張りのという言葉を使ったけれども、ガラス張りのそのガラスがあるかどうかが問題ではなくて、その中身が問題なんですね。どういう中身が決められるかということについて大変強い関心を持たざるを得ないですね。系統の農協の方々がこれは生産制限や価格抑制というものについての法的根拠を与えることになりやしないかということを心配される、私はまことにもっともだと思います。この中で、では数量としてどのくらいの米ということを農水省で決めてしまえば、それが今度は非常に強い強制力を持ってまいります。しかも今度は罰則もかなり整備される。こういう状態の中で、生産者にしても、また場合によって消費者にしても、非常な心配を持つのは当然だと思う。  私は、農水省が恣意によって、ほしいままにこれをいじれるのではないのだという何かの担保が必要な感じがしますが、どうですか。農水省は決してわがまま勝手はここではやりませんということをきちんと私は言ってもらいたいし、わがまま勝手はやれないような何か制度的な保証、制度的な担保、そういうものが必要である。そうでなければ、まさにこれは怪物になる可能性があると思いますよ。モンスターになる可能性がある。どうですか。
  227. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は、あくまでも政府管理についての方向づけを示しまして、この方向づけを指針として関係者の御協力をいただくものでございますので、この基本計画関係者を直ちに拘束するというような性格のものでは決してないと考えております。  生産調整との関係につきましては、従来も、生産調整を行います前提としては、需給の均衡を図るという考え方に基づいて生産調整をお願いしているわけでございますが、この需給の均衡の考え方におきましては、基本計画需給考え方と一致するものと考えておりますし、また、生産調整につきましては従来から理解と協力のもとに行政措置でお願いをしているわけでございますので、今後とも、この生産調整の運営につきましては従来と特に変えるというふうには考えておりません。  先ほど申しましたように、基本計画政府の方向づけであり指針でございますので、直ちにこれによって生産調整を拘束し、強制するものではないということからいたしまして、これによって農民に従来と違った非常に大きな負担をかけるということを考えているわけでなくて、むしろ、今後米の需給の安定を図りますためには、消費者の需要の動向を見定めながら供給を図っていただきたい、また供給実績というようなものを前提にいたしまして、需要の確保なり市場の開拓というものも考えていかなければならないというような、需給の調整を図る目標を、方向づけをいたすわけでございますので、これが直ちに強制的に働くものではないと考えているわけでございます。
  228. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いま日野委員が、基本計画の中で生産調整まで拘束してしまうのではないか、そういう心配がある、こう御指摘になったわけでありますけれども、決してそういう意図はないということと、生産調整につきましてはすでに国会の当委員会でもいろいろ御報告申し上げておりますとおり、五十六、五十七、五十八の三年間の大体の計画は決定をいたしておりますし、その年度年度の割り当て数量等につきましては十一月中に行ってしまうわけでございます。食管法に基づく基本計画は一月か二月に、播種前に決定する、こういうことでございますので、この食管法基本計画で示した数字生産調整を拘束するということは事実関係の上でもできません。先ほど長官から再度申し上げておりますとおり、食糧需給関係一つの指針として設けるものでございますので、その点は私どもといたしましても、ひとつ御心配なく、御信頼をいただきたい、こう思う次第でございます。
  229. 日野市朗

    ○日野委員 生産調整などをこれをもって強要するつもりはないという、つもりがないことはよくわかりました。ただ、この条文の中でそれをやらないという歯どめがないじゃないですか。これでやろうと思えばやれるのです。いかがですか。
  230. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま大臣からもお話をいたしましたように、生産調整はあらかじめ決めるわけでございますから、この基本計画によって逆に生産調整を強制するということではございませんし、この法文を見ていただきましても、政府が定めるものでございまして、これによって直ちに生産者生産に対してこういうふうな拘束をするというようなことは何ら法文上も書かれておらないわけでございますから、そういう意味で、いままで申し上げましたようなこの基本計画のいわゆる指針的な性格というものは法律上も明確であろうと考えている次第でございます。
  231. 日野市朗

    ○日野委員 どうも根性が悪くなっておりまして、いままでの食管法がずいぶんいじられた経緯があるものですから、われわれは本当にもう根性が悪くなっています。また米がさらに過剰だ過剰だと言われて、そしてさらに、では何かどこか考えて、生産調整をもっと強化するなんというときはすぐここいらが関係者の頭にぴっとひらめくような感じがして私はならないわけでありまして、生産制限や、場合によっては価格抑制といったようなものも含めて、そういったものの法的根拠としては絶対に使わないものでありますということをはっきり言ってもらいたい。そしてこの計画をつくるについても、恣意にわたらない、農水省がほしいままにやるのではないという担保が欲しい、このように思うのは私だけではないと思います。どうでしょう、ひとっここいらについて考えていただけませんか。
  232. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 生産調整のためにこの基本計画を使うというようなことは絶対にいたしません。
  233. 日野市朗

    ○日野委員 いままでの答弁を見ると、この計画をつくるために関係者の意見を聞くということも答弁しておられるようでありますが、単に関係者の意見を聞くだけではなくて、きちんと関係者の意見を聞いてそれをこの中に生かしていくという、一つの運用の上でもその方向は考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。  余り時間がなくなってきましたので、次の問題点に移ります。  これは部分管理ではないかということについて非常に強い疑問が呈されているところであります。特に自主流通米が現在もうすでに米の流通の三分の一を占めているというような状況では、なるほどなという、部分管理という言い方、これも非常な説得力を持っているというふうに考えざるを得ないところであるなと私も思うわけでありますが、少しこの自主流通関係について伺っておきましょう。  この改正第三条、ここには「基本計画ニ即シ消費者ニ対シ計画的ニ適正且円滑ナル供給が為サルルモノトシテ政令ノ定ムル所ニ依リ」云々、こうあります。「計画的ニ適正且円滑」こういう言葉が入ってきたのです。これはどんなことを意味するわけでしょう。
  234. 松本作衞

    松本(作)政府委員 「計画的ニ」と申しますのは、自主流通計画というものを農林水産大臣の承認にかかわらしめたいというふうに考えておりまして、これによって自主流通米が計画的に流通することを保障をしていきたいと考えております。  それからまた「適正且円滑ナル供給が為サルルモノ」ということでは、自主流通米の流通の方式につきまして、生産者団体、指定団体から卸売業者に売り渡されるということ、それからその数量についての明確な確認がなされるというような、流通のあり方について政令で定めていきたいというふうに考えておるわけでございますが、この自主流通計画につきましても自主流通米の流通の仕組みにつきましても、従来の政令によって定められたものをそのまま踏襲をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  ただ、従来はこの政令の根拠が法律の第九条の譲渡及び処分に関する政令ということで定められておりましたものを、今回の改正によりまして自主流通米についての法律上の規定に即した政令ということでの位置づけを明確にしていきたいということでございます。内容といたしましては従来の自主流通米の仕組みを踏襲してまいりたいと考えております。
  235. 日野市朗

    ○日野委員 どうもこれについても、食管を扱う場合われわれかなり身構えて読むというところがございまして、大体、適正かつ円滑なる供給であるかどうかということの判断基準というものはあるのでしょうか。もしこれが適正かつ円滑ではないというような判断が入ってくると、いままでの自主流通米の取り扱いとはかなり違ったものになってくる可能性なんかがあるというようにも考えられるわけですが、その点いかがですか。
  236. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の自主流通米の規定は、実態として自主流通米の流通生産者団体と卸売団体との間で行われておるという事実を前提にして考えておるわけでございますので、抽象的に「適正且円滑」という言葉の意味に基づいて白紙につくられるものとは考えておらないわけでございますが、先ほど申しましたように、適正かつ円滑であるかどうかということは、この流通の仕組みが生産者側にとっても需要者側にとっても適正であり、かつ、その仕組みに基づいた流通が円滑に行われているかどうかということでございまして、この点につきましては、こういった実態を前提にして判断が可能であるというふうに思っております。
  237. 日野市朗

    ○日野委員 実態を前提にというと、現在の状態をまずイメージとして思い描け、こういう意味であるというふうに考えますが、うちの方のササニシキなんかもいま自流米で二万二千円から二万三千円ぐらいというようなことになっている。しかし、これは動く可能性があるぞというふうに私たち考えるわけですね。かなり上下する可能性はある。価格の上下ということを考えてみますと、政府米とのつり合いの問題が当然出てまいります。そういうところに価格操作をやるという可能性は、これは考えておられるわけですね。
  238. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申し上げましたように、この自主流通米の規定は実態としての自主流通米の流通を前提として、これを制度的にも明確にしようという考え方でございますので、従来の品質別の流通なり価格の形成というものはそれが前提になって行われているというふうに思っておりまして、今回の自主流通米についての法律上の規定によって従来の価格形成というものが急に変わるというふうには考えておりませんで、従来の形成された価格というものとの継続線上において需給関係によって定まってくるものというふうに考えておるわけでございます。
  239. 日野市朗

    ○日野委員 そうはおっしゃいますけれども、ここの規定が入ってきたということは、条文上はいままでとは大分さま変わりなわけであります。そうすると、これを根拠にしていわゆる価格指導、こういうようなことが入ってくる可能性を私強く感ぜざるを得ないのですが、「計画的」「適正且円滑」、これは単に精神的規定だ、まあ言うなれば、これは法文上から言えばアクセサリーみたいなものだというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  240. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、現在の自主流通制度というものは、やはり消費者に対しましては品質別の需要の動向に応じた米の供給を可能とし、また生産者に対しては品質に応じた適正な価格の形成を図っておるという意味で、食管制度の枠内で重要な役割りを果たしてきておると思うわけでございますが、この自主流通米の姿を法律上定義をいたしますと、いまお述べになりましたように、消費者に対して計画的に適正かつ円滑なる供給がなされておるし、またなされなければならないというふうに考えておりますので、この「計画的」とか「適正且円滑」ということが単なるアクセサリーの表現ではなくて、現在の自主流通米の実態からいたしまして、このような役割りを果たしておるし、また今後も果たしていかなければならないものという意味法律上の定義を明らかにしたつもりでございます。
  241. 日野市朗

    ○日野委員 時間がどんどん過ぎてしまいますので、次の質問に移ります。ただ、私ちょっといまの答弁では納得したわけではございませんので、その点だけつけ加えておきます。  この自主流通米についての助成ですね、これはどういうふうにお考えですか。自主流通米もきちんと政府管理を行うのだというふうにいままで答弁の中で述べておられますが、自主流通米の助成ということについてもきちんとしておくことがやはり管理責任の一環として必要であろうというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  242. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米につきましては、政府管理の内容をなす重要な流通ということで、現在も流通促進奨励金、良質米奨励金または販売促進費というような、自主流通についての流通を円滑化するための助成を行っておるわけでございまして、このような助成の必要性はこの食管法改正によっても変わるところがないというふうに考えておる次第でございます。
  243. 日野市朗

    ○日野委員 では、時間の関係でこれは最後の質問になりますが、いままで生産者生産調整もずいぶん協力してきましたよ。これは不本意ながらやってきたと思うんですな。まあペナルティーの威嚇のもとにやってきた。政府の方もいろいろ努力をいたします、新しい需要を開発していくために努力をいたします、こう言ってこられた。私たちも学校給食には非常に力点を置きながらこれをどんどん進めてくれ、こういうふうに言ってきたのです。大体目標年度が五十六年でございますが、この目標年度が今度で終わるわけです。その達成率はどうなっておりましょう。私の仄聞するところによると余り芳しくないようであります。一体何が理由ですか。達成率が芳しくないその原因は何か。そしてその達成をきちんとやるためには何が必要だと考えているか。それから、目標年次が終わろうとしておりますが、さらに新しい目標を設定することを考えておりますか。それはどんなものですか。
  244. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先生御存じのように、学校給食は学校教育の一環としてやっているわけでございますけれども、特に学校給食に米飯給食を実施することにして、私どもも、これでわが国に本当にふさわしい学校給食が確立できるのではないかということで関係者の理解、協力を求めているところでございます。  現在の実施状況、ちょうど一年前になりまして、新しいものをいま調査中でございますけれども、これによりますと学校数で八四・一%、子供の数で八〇・九%というふうな状況でございまして、おおむね大部分のところで努力をしているということになっていようかと思います。なお一部大都市等において不十分なところがございますけれども、これも五十一年度以来推進をしてまいりまして、関係者の理解、特に米飯給食というものが大事だというふうな理解が進んでまいりまして、いま具体的にどういう方法でやるのかというふうな点で若干意思統一ができていないというところも残っておりますけれども、私どもこれにつきましても必要な助成をきめ細かくやっておりますし、鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、今後の扱いにつきましては、現在の進捗状況を見ながら、また関係者の意見を聞きまして、適切に対処してまいりたいという考えでございます。
  245. 日野市朗

    ○日野委員 では、これで終わりますが、生産者農家は泣く泣くペナルティーの脅威にさらされて生産調整に協力しているのですから、国の側も、学校給食で需要拡大をやりますと言ったらやはりきちんとやってください。こういうことを聞かれたら、ちゃんと一〇〇%目標を達成しましたと胸を張って言ってもらえることを、実は私も未達成だということは知っておりましたが、期待をしたかったのでありますが、まことに残念であります。その感想だけ申し述べて、終わります。
  246. 田邉國男

    田邉委員長 上草義輝君。
  247. 上草義輝

    上草委員 このたびの食管法改正は、昭和十七年に制定されて以来あるいは二十七年に一部改正されて以来の法改正でありまして、非常に長い歴史を持ったこの食管法でありますが、いろいろと問題が出てきている中で、その問題点をできるだけ手直しをしながら、この食管法が長もちをするように、あるいは再生させることをねらいとして今回の食管法改正が出されているわけでありまして、この点については私ども全面的に支持をするものでありますが、実は改正法の運用面について一、二点確認させていただきたいと思っているわけであります。  特に、わが国の食糧供給基地と言われる北海道の立場から見まして、今回の法改正がちょっと急に過ぎるのではないかという感も否めないわけでございまして、実は今回この審議がなされている最中でも地元からたびたびの要望がありまして、この運用面について確認をしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕  第一に、この改正案においては品質別の需給ということがしばしば出てまいりますし、この点の視点について関連してくるわけでありますが、北海道の稲作農家もできるだけおいしい米をつくろうという努力を重ねております。しかしながら、これはすぐに実効あるといいましょうか、実りある、効果のあるものではありませんし、努力を重ねていることは事実でありますが、この品質別需給において、あるいは特定地域のものとか特定品位米に何か規制をするとか、そういうようなことがもしあるとすれば、これは大変な問題であり、北海道としても重大な関心を持たなければならない、こう思っているわけでございまして、あるいは生産をしても価格の方で抑制をされるとか、あるいは品質格差の問題がいままで以上に拡大されるなんというような心配がたまたまあるわけでございますが、この点についても、何とかひとつそういうことのないようにお願いをしたいわけであります。  特に最近の北海道は、牛乳を初め、ビートとかあるいは米麦に見られるように数多くの問題が出てきているわけでございまして、これらの基幹をなす作物であり、特に水田についてもすでに四〇%以上の減反をしているわけでございまして、間もなく半分になろうといたしております。十二万ヘクタール、これはもう四国から水田が全部なくなってしまうということに等しいわけでありますから、こういうことから考えましても、これ以上生産が抑制されるとか縮小されるというようなことのないように、北海道としてはこういう問題は非常に大事なことでありますので、品質別の需給、あるいは減反との関連の問題、あるいは品質格差の関係について、ひとつ大臣から明確なお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  248. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正において、需給の均衡を図るということで基本計画等を作成をすることにしておるわけでございますが、その際の需給の均衡を図ります上におきまして、品質別にできるだけ需給の均衡を図っていく必要があるということで、品質、内容等を含めた計画を立てることにしておるわけでございます。しかし、この品質別需給につきまして、ただいま御指摘のように特定の品質の米が特にしわ寄せされるのではないかというような御心配があるわけでございますが、従来生じておりました品質によって需給のギャップが異なってくるというのは、大きな原因は、やはり全体需給のギャップが特定品質にしわ寄せされてきておるというような状況にあったと私ども思うわけでございますので、今後品質別にも需給のギャップをなくしていきますためには、全体としての需給の均衡を図っていくようなことを考えていかなければならないと思うわけでございます。  基本計画におきましてもこの需給の均衡を目標といたすわけでございますが、この点については、生産調整におきまして需給均衡を達成するための生産の調整、転作の推進を行政措置としてお願いをしておりまして、この生産調整については、従来からの地域別の配分というようなことをこの食管法改正によって特に変えるつもりはございませんので、従来の生産調整の地域配分を前提といたしまして限度数量が定められてくることに相なります。  したがいまして、供給される数量というものは生産調整の方向づけに従って定まってくるわけでございますが、私どもといたしましては、需給の均衡を図りながら品質別の需給の調整を図るという場合に、一方的に需要面から生産面を抑制してくるということだけではなくて、むしろ生産現実を前提といたしまして、これの需要の確保を図っていくという面も必要になってまいるわけでございまして、基本計画における需給の均衡といいますものは、需要に合わせた生産生産実態に応じた需要の開拓という、両々相まって進められていかなければならないというふうに考えておりますので、今回の基本計画による需給調整が、一方的に生産を特定の地域について抑制をし、または生産調整の強制につながるということがないという点は、先ほど来申し上げておるとおりでございます。  ただ、豊作等によりまして特定の品質について過剰が生ずる、需要に見合わないというようなことも考えられますから、そういう場合には、今後備蓄のあり方につきまして、いわゆるたな上げ備蓄というようなことも考えておりますので、このたな上げ備蓄の操作等の面において、過剰をこういった備蓄用の米に充てていくということも考えられるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  また、今回の品質別需給考え方は、あくまでも需給のバランスをとっていくということでございますので、これによって価格面について特に変化をもたらすということは考えておらないわけでございまして、価格につきましては、従来の食管法における価格考え方をそのまま踏襲をしていくというふうに思っておる次第でございます。ただ長い目で見まして、できるだけ需要に即した供給を図っていくことが、食管制度の健全な維持のためにも、また日本の稲作農業を発展させるためにも必要でございますから、この基本計画を通しましてできる限りそういった方向に誘導していく役割りというものを果たすことは期待しておるわけでございます。
  249. 上草義輝

    上草委員 今回のこの法改正を機会に、日本の食糧政策全般にわたって、これはあくまでも国民ひとしく食糧を配分するということが基本であろうと思いますし、大臣もしばしばその根幹は守るという決意を述べておられますが、ひとつこの需給を守るという意味からして、輸入政策分野で一貫した食糧政策、その食管法になるように、いろいろ心配されることがその運用面についてあるわけでございますけれども、時間がありませんので、その辺の大臣の御決意を一言承りまして、私の質問を終わります。
  250. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 日本の食糧をめぐる情勢、農業をめぐる情勢、一般農産物にいたしましても畜産物にいたしましても、あるいは生糸関係の問題にいたしましても、どこを見ても、とにかく厳しい情勢が積み重なっておるという現状でございます。しかも農業以外の産業はぐんぐん月給が上がっていく、農業は国際水準というような批判のもとにがまんにがまんを重ねていかなければならないという現状、そういう中で農家生産意欲を落とさないように、協力して、そうしてこの危機突破をしていかなければならぬというこの状態において、私ども政治家がそれぞれ親身になって、先頭を切って道を開いていかなければならないという気持ちを私はまず基本といたしていきたい。  と同時に、外国農産物に対しましては、これはもう日本の実態を歯にきぬを着せないでとことんまでとにかく言うて、そして理解をさせるということを、私は今回ニュージーランドやECの諸君と接触をしてみまして痛切に感じました。やはり話せばわかるということでございますので、そういう方面にも、外国に対しましてはもうあらゆる機会を活用をして納得を得て、そうして外国からの輸入をできるだけ少なくしていく。  同時に、国内におきましても、農家の理解と納得のもとに農政を、もろもろの政策を進めていかなければなりません。幸い生産調整というああいうむずかしい大問題を農家の協力のもとに、北海道なんか本当に五〇%、ほとんど五〇%に近い生産調整の協力をちょうだいしておるということを私どもは忘れているわけではございません。したがいまして、そういう農家の方々が本当に農業に自信を持ってやっていけるような環境と体制をつくっていこう、食管法改正当たりましても米価を算定する際に当たりましても、そういう気持ちを失ってはならない、そういうことで対処していきたい、こう思います。よろしくお願いいたします。
  251. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 岸田文武君。
  252. 岸田文武

    ○岸田委員 今回の食管法改正の諸般の問題について、同僚議員からすでにいろいろの角度から質問が行われておりますが、私は主として、配給消費流通消費といった面でお尋ねをさしていただきたいと思います。  まず、具体論に入ります前に大臣の方から、今後の食生活の安定について米の役割りをどう認識しておられるのか、そういう認識の上に立って今回の食管法改正をどのように位置づけておられるのか、総括的にお伺いしたいと思います。
  253. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 岸田委員御承知のとおり、日本はモンスーン地帯です。日本の農地で一番よくできるものは何かというと米です。しかもその米が農家収入の約四割をまだ占めておる、国民食糧の約四割を維持しておる、こういうことでございますから、米の地位は非常に重要である。主食として、これはもう本当に日本民族が発展的に生きてまいりますためには米なしではやっていけない、こう断じても差し支えないし、また米というものを大事にしていく日本というふうな方向にリードしていかなければいかぬ。私は、これはもう意識的に強力にリードする必要がある、こう思うのです。  残念ながら終戦直後は、そういう点私は手落ちがあったのではないか。学校給食というような面で粉食奨励ということで、粉食粉食、米を食うとばかになるというようなことで米を目のかたきにして、そうして粉食奨励をした結果が今日の米の過剰という問題に来ていることは当然でありますので、これはもう、米をもっと大事にするという義務教育における教育、これは私は指導要領は非常によくできておると思うのです。ただ、相願わくは、あの教科書の中で、指導要領の中で、やはり米はモンスーン地帯で一番よくできる作物なんですよということを教えることが基本であろう、こう思うのですね。その点が、教科書をずっと見てみますと、指導要領で落ちているのじゃないか、  こんな感じもいたします。  そういう意味において、米というものは非常に大事である、したがって、この米を主食として国民に不安なく供給をしてまいるための食管法、また十二分に生産してもらう生産農家のためにも、この食管法というものを体当にりっぱな法律として、食糧の基本法として維持存続していくことが必要である。かつて第一次石油ショックのときも、昨年凶作になったときも、食糧のために不安を抱いた日本人は一人もいないというのは、ある意味においてこの食管法の果たした大きな役割りであるということを認識すればするほど、この制度の基本法でありますところの食管法というのは、法律があっても守られないなんという批判を受けないように、やはりきちっとしておくべきであるということで今回改正案として提案をさしていただいた次第でございます。
  254. 岸田文武

    ○岸田委員 今回の改正によりまして、販売業者許可制ということが法律の上で明らかにされたわけでございますが、この運用について各般の面でいろいろ疑問を持ちあるいは不安に思っている問題がございます。若干お尋ねをさしていただきたいと思います。  まず、許可制ということの意義でございますが、片方で自主的な商業活動の促進と言いながら許可制という非常にきつい法律的な手段をとる、いままでの登録制でいいのではないかという、この点についてどうお考えでございましょうか。
  255. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正におきまして、流通の秩序を確保いたしますために、米の流通につきましてただ単に量的な面ばかりではなくて、品質面、価格面、または消費者に対する販売活動というような面におきまして責任を持った流通をしてもらうために、販売業者を特定をいたしましてその地位を明確にいたしますとともに、その責任も明らかにすることにしたわけでございます。そのような観点から業務運営についての基準をつくりまして、これに基づいて具体的な販売活動をしていただく、また必要に応じて業務改善命令等を出しまして適正な販売活動を行ってもらうというような責任を明確にいたしましたので、このような責任が常時達成されますためには必要な指導監督というものも必要になってくると思うわけでございます。  したがいまして、こういった責任を持っておる販売業者でございますから、そのために許可制という形をとりまして、きちんとした資格を持った人にこの販売業者をやっていただこうというような趣旨で許可制をとることにしたわけでございます。
  256. 岸田文武

    ○岸田委員 大型店の問題あるいはガソリンスタンドの問題等で許可制がいろいろ議論になっておりますことから実はいま私疑問を呈したわけでございますが、やはりこれは、米の持っておる一番重要な物資としての意義というものを背景にして理解すべきものではないかなと思っておるわけでございます。  そこで運用の問題に入るわけでございますが、今回新しい許可制に移行するに際して、従来の業者がこれで継続できないということになっては大変でございますが、逆にまた、この際たくさん業者がふえてしまう、そういうことを懸念する向きも非常にたくさんあるわけでございます。この辺の運用の心構えあるいは方針をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  257. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の販売業者許可制についての許可の要件といたしましては、経験の要件でありますとか資産の要件でありますとか施設の要件でありますとか、または遵法要件というような要件に基づいて許可の判断をしてまいりたいと思うわけでございますが、その際には、従来からの取り扱いをしておりました販売業者については優先的にこれを認めていくということになろうかと思っております。ただ、その際におきましても、いまのような要件に即して適正であるかどうかという判断をさせていただくことになろうかと思います。  また、今回の法改正によりまして、販売活動によってできるだけ消費者に対して販売面でのサービスをしていただく、消費者に買いやすいような販売体制をつくってもらうということを考えておりますので、そのために従来の販売業者では不十分であるという場合には新規の参入も認めていく必要があるのではないかと考えておるわけでございますが、そのような場合におきましては、従来の販売の継続性でありますとか、それからその地域における需給関係販売実態等考えまして具体的に判断をしていく必要があると思います。その際には、おのずから商業調整的な色彩を持つことになると思いますので、この商業調整を円滑に進めますための仕組みといたしまして調整の場というようなものを新たに設けるというようなことも考えまして、円滑にこういった流通の改善ができますように指導をしてまいりたいと考えております。
  258. 岸田文武

    ○岸田委員 これは実際に運用するとなると大変むずかしい問題があるように予測をされるわけでございますが、なお少し事務的な点についてお尋ねを続けさせていただきます。  販売業者許可制という表現から一部誤解する向きもあるのですが、これは店舗ごとの許可であるのかあるいは業者としての許可であるのか、この辺についてひとつお答えをいただきたい。また、その問題に関連をしまして、自動販売機等の扱い等が解釈上も問題になってくるのではないかというふうに考えられますが、お答えをいただきたいと思います。
  259. 松本作衞

    松本(作)政府委員 販売業者のうちで、卸売業者許可につきましては企業ないし業者ごとに行いたいと考えております。また小売につきましては従来どおり店舗ごとの許可制というふうに考えてまいりたいと思っております。
  260. 岸田文武

    ○岸田委員 次に、小売業者でおやじさんが突然死んだとかいうような場合、相続、承継の問題、これは昔の立法でございますからその辺まで詳細に規定し得ないのでございましょうが、どういうふうに理解をしておられるのか。これを余りきつく運用いたしますと実情として困ったことになる、わけでございましょうし、しかし逆にこれを緩めますと大手の業者が乗っ取りを図るというようなことの運用にもつながりかねない心配をするわけでございます。この点いかがでございましょうか。
  261. 松本作衞

    松本(作)政府委員 販売業者の営業につきましての相続、承継等につきましては、できるだけ認める方向で検討してまいりたいと思っておりますが、その場合でも、先ほど申しました許可制の要件に即して適正であるかどうかということは当然判断する必要があるというふうに考えております。
  262. 岸田文武

    ○岸田委員 いま許可の運用基準ということをおっしゃいましたわけでございますが、先般お漏らしいただきました政令の案を見ておりまして、私あの表現の中で、必要な経営規模の見通しというようなことが書かれてあったように思うわけでございます。このときに、お米の販売量だけを問題にするのかあるいは全体の経営規模を問題にするのか、この辺についてもいろいろ迷っておる面がございます。いかがでございましょうか。
  263. 松本作衞

    松本(作)政府委員 小売店の場合には、米専業ではなくて他部門を経営するという場合もあろうかと思いますが、私どもいわゆる規模の要件として考えておりますのは、やはり米の取扱数量基準にして考えてまいりたいと思っております。
  264. 岸田文武

    ○岸田委員 やみ業者の取り扱いの問題でございますが、現実にいろいろな各地で存在をしておる、これを認知するのかあるいは認知しないのか、この辺の方針をお聞かせいただきたいと思います。
  265. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今後不正規流通取り締まりというものは厳正にやっていかなければならないと考えておるわけでございますが、今回の許可制の要件の中でも先ほど申しましたように遵法要件というものを設けるつもりでありますので、このいわゆる不正規流通にかかわったかどうかということにつきましては、厳正な態度で判断をしてまいりたいと考えております。
  266. 岸田文武

    ○岸田委員 時間が参りましたので最後の質問でございますが、長い間いわゆる配給制ということを根幹に置きながら販売業者、卸売業者小売業者も事業経営を続けてきた。ここで、食管法改正という一つの大きな転機を迎えるわけでございます。私は、こういう転機を迎えたときこそ販売業者のこれからのあり方をしっかりと考え直し、この際思い切って近代化を進めるというようなことを、食糧庁を中心としてお進めいただくことが大変大事なことではないかと思います。その辺についてのお考えを最後にお尋ねをして、質問を終わらせていただきます。
  267. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、今回の食管法改正の中の一つの重要な内容は、従来配給所的な性格を持っておりました販売業者に対して、消費者に対して責任を持って米の供給をしていただく、いわゆる自主性ある販売活動を通じてその法律上の責任を果たしてもらうということを明確にした点でございまして、このために許可制というような措置もとり、またその業務運営についての適正な指導も図れるようにした次第でございますので、この法律改正を機会にいたしまして、販売業界においてもぜひこの法律の趣旨に沿った消費者に対する十分な販売活動ができるように、体質改善に努力をしていただきたいというふうに考えておるわけでございまして、国といたしましても、この体質改善に対しましては十分な協力をしてまいりたいと考えております。従来から、大型搗精工場に対する支援でありますとか、米配協が行っております構造改善事業というようなものについての支援をしておるわけでございますが、今後一層この体質改善のための努力に対して、国としても援助、指導を行ってまいりたいと考えております。
  268. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 次回は、明十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会