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1981-04-23 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二十三日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       北口  博君    近藤 元次君       佐藤  隆君    菅波  茂君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       玉沢徳一郎君    丹羽 兵助君       保利 耕輔君    渡辺 省一君       串原 義直君    田中 恒利君       竹内  猛君    日野 市朗君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    寺前  巖君       野間 友一君    木村 守男君  出席政府委員         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         水産庁長官   今村 宣夫君         水産庁次長   山内 静夫君         海上保安庁次長 大塚 正名君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課防災環境         対策室長    穂波  穣君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     平田辰一郎君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電運転管         理室長     末広 恵雄君         中小企業庁計画         部金融課長   米山 揚城君         海上保安庁燈台         部電波標識課長 山越 芳郎君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 四月二十三日  総合食糧管理法案安井吉典君外八名提出、衆  法第三二号)  食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号) 同月二十二日  食糧管理制度充実強化に関する請願(林百郎  君紹介)(第三五一一号)  畜産経営安定強化に関する請願(林百郎君紹  介)(第三五一二号)  昭和五十六年度糸価の引き上げ等に関する請願  (林百郎君紹介)(第三五一三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(水産問題)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田名部匡省君。
  3. 田名部匡省

    田名部委員 質問に入ります前に、長官には、アメリカにおきますイシイルカ混獲問題あるいは日ソサケマス漁業交渉大変御苦労されましたことに、心から敬意と感謝を申し上げておきたいと思います。大変御苦労さまでございました。  さて、そこで質問に入らしていただきますが、二百海里問題が日本漁業にどのように影響を与えているのか、また、今回の日ソ漁業交渉における漁業協力費が、昨年の三十七億五千万から四十億で妥結を見たわけでありますが、今後毎年増額が要求されるのかどうか、あるいはこれがもしされるとすれば日ソ漁業問題の将来はどのように展開していくのか、今回の日米日ソ交渉を踏まえてわが国漁業の将来の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  4. 今村宣夫

    今村政府委員 対米、対ソ交渉を踏まえて今後のわが国漁業方向はどうかというお尋ねでございますが、対米関係においては大筋としては私は大体うまくいっておると思うのです。今回のようなイシイルカの混獲問題等具体的な問題はございますけれども、これらについてはよく話し合いをして解決を図っていけると思っております。  一番の問題は、今後の水産物貿易等水産の割り当てについて、ブロー法案ども通った後アメリカがどういう政策展開を図ってくるかというところが、われわれとしては十分に留意をするべき問題であろうと思います。幸いにして昨年フランク長官と私の間で貿易関係の問題を話し合い解決をいたしまして、一応日本はそれを忠実に実施をしておるということを高く評価をいたしておりますが、昨年の輸入数量は非常な減り方をいたしておりまして、二〇%近く減っておるわけでございます。そういう減り方について、アメリカは今後ブロー法案施行等との関係でどういう出方をしてくるかということについて十分な留意が必要であろうというふうに思っております。  対ソ関係におきましては、私は、日ソソ日はまずよほどのことがない限り安定をしてきたというふうに思っていいと思っております。ただ、サケマスは、これはソ連に遡河するサケマス日本がとっておるといいますかとらしてもらっておるという関係で、どうしてもこの交渉は非常な困難を伴うわけでございます。ことしは豊漁年でありましたのですが、豊漁年ということになりますとまたかえって交渉がやりにくいという面がありまして、といいますのは、豊漁年でありますからベニシロギンというような値打ち物はとらないでマスをとれ、こういう話になるわけでございます。そうしますと、よく御存じのように、ベニの一匹はマスの三匹ぐらいに相当するわけでございますから、ベニシロギンを減らされたのでは何にもならないということでございまして、そこの攻防がことしの山場であったわけでございます。  幸いにして魚種別クォータは前年どおりということになったわけですが、そのかわりというわけではないのですけれどもコンペが二億五千万ほどふえておる。これは将来どうなるのかという問題でございますが、私は、コンペ水準というのはもういいところへきておるので、これ以上ふやすことはなかなかむずかしい状況にあるということは今回も強く主張いたしたわけでございますが、ソ連としては自分の魚を日本にとらせるのだという立場が非常に強うございまして、これをどういうふうに歯どめをかけていくかということは、いまのところ、私も帰ってきた早々でわかりませんが、非常に端的に申しますならば、漁期が来ても現在のコンペ水準でどうしても最後までがんばってしまう、あるいはまた、コンペ水準を維持できないならばクォータ水準を下げてもいいというふうな覚悟をしないと、これはなかなか歯どめがかからないのではないかという感じを持っておるわけでございます。  御指摘のように、その辺のところが今後のサケマス交渉の非常な問題点でございまして、クォータも四万二千五百トンから下げられない、コンペも四十億からはなかなか上げられない、しかもベニシロギンというのを日本がたくさんとっておるということを向こうはよく知っておるという事態を踏まえますと、私はサケマスについては新たな困難な局面に当面をしておるのではないかというふうに思っております。  その他の海外事情も、入漁料が徐々に上がっておるという問題もあります。クォータはそれほど下がってはいないのですが、そういう問題もございます。したがいまして、いま以上の条件の悪化を来さないように、どういうふうに対外交渉を取り進めていくかということが非常な問題であろうかと思います。  そういう事態を踏まえまして、やはり一つ方向としては、とる漁業からつくる漁業へという、日本の二百海里内の資源的に豊富な水域開発ということをどうしていくか、あるいはつくっていく漁業をどういうふうに取り進めていくかということが、強力な漁業外交と並行して水産課題であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。
  5. 田名部匡省

    田名部委員 世界漁業も大分、入漁料の問題とか、ソ連における協力費の問題でもおわかりのように、なかなかむずかしい問題を抱えていると思うのであります。また一方ではアメリカのように、漁獲を認めるかわりにそれに見合う魚を買ってくれ、こういう条件ものまなければならない。そういう中で、もう一つ日本漁業にとって心配されるのは、何といっても漁業用燃油高騰だろうと私は思うのであります。この高騰による影響というものは大変大きいわけでありまして、昨年来この委員会でもしばしばこの価格差補給金問題が取り上げられたわけでありますが、これもなかなか言うべくは簡単にして、実行となると、多額の補助金ということで、昨今の財政事情のもとではこのこともむずかしいだろうという判断を実は私は持たざるを得ないわけであります。特にこの一万円の補給金で大体六百億、二万円の補給金を出すということになると一千二百億の補助金ということは、これは大変なことだろうと思う。そういうことはよく承知いたしておるわけでありますが、そういうことで、党の部会の方でも制度資金を何とか二年間延期をしようということもまた大変御配慮いただいて、漁民方々感謝をしているわけでありますが、何としてもこの燃油高騰ということ、これはいまの日本漁業にとって大変大きい。燃油高騰していながら魚価は安い。そして入漁料の方は毎年上がっていくということで、国民のたん白資源は御承知のとおり畜産水産で半々、若干これが最近水産の方が少なくなったようでありますけれども、そういうことで、この燃油問題はどうしても解決をしていかなければならぬ問題だろうと私は思うのであります。  先般も、ちょうど今月の二十日、昨年まではじり安傾向にあったこの燃油価格が、二十日から石油元売り各社がそれぞれ卸売価格の値上げに踏み切るということになって、大体一年ぶりに高値に逆戻りをするのではないか、こういう見通しが発表されているわけであります。末端までの価格ということになりますと時間がかかるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、中型イカ釣り漁船、あるいはまき網漁業遠洋マグロえなわ等はこの影響を受けることは必至だ。そういうことを踏まえて、ひとつ燃油問題と日本漁業ということでの御見解をまた承りたいと思っております。
  6. 今村宣夫

    今村政府委員 御指摘のとおり、燃油価格高騰漁業経営をきわめて大きく圧迫をいたしておるわけでございます。これに対しまして補給金を出せれば一番いいわけでございますが、いろいろと、漁業のみに補給金を支出するということはきわめて困難な状況にあるわけでございます。  御高承のとおり、今年度の予算案の編成に当たりましても、党の方でも非常に御心配をいただきまして、燃油対策費一千億、経営安定一資金六百億、五十六年度の償還についての二年間猶予という措置を講じたわけでございます。こういう対策のもとにおいて、私は、漁業者としてはできるだけ真剣にかつ早く省エネ型の漁業移行をしてもらいたい。と同時に、予算的措置を講じまして、体質強化といいますか、構造の改善といいますか、そういうことに真剣に取り組んでもらいたいと考えておるわけでございます。今後の石油価格高騰につきましてはなかなか予断を許さないものがありますが、現在以上の石油対策を講ずるということになりますと、これはまた非常にむずかしい問題であるわけでございます。したがいまして、どうしても私は省エネ型の漁業への移行業界体質強化ということに力をいたさなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  海外漁業への影響は、当然のことながら、御指摘のようにイカとかカツオマグロ等につきまして大きな影響を受けておるわけでございますが、幸いにして、カツオにつきましては一昨年非常に悪かったわけでございますが、昨年、今年にかけましてある程度これを持ち直しておる。マグロにつきましても、この一年間非常に経営が苦しかったわけでございますが、最近ようやく明るさを取り戻しておるという状況にございます。  ただ、問題はイカでございまして、イカ経営問題というのは、これはわれわれとして当面をいたしておりますきわめて困難かつ重大な問題であるということは、御指摘のとおりでございます。
  7. 田名部匡省

    田名部委員 いま一つ、これは今後の問題として考えておかなければならないことでありますが、五十五年度の「漁業の動向に関する年次報告」の中にもありますが、二百海里水域の設定後自分の国の漁業を産業として育成しようという国がだんだんふえてきている。いままでのように、言ってみれば日本がどこへでも行って勝手に幾らでもとれたという時代ではなくなってきておるわけであります。こういう国がだんだんふえていくということは今後相当進むであろう。  ということになりますと、このために漁業開発途上国生産水準がだんだん高まってまいるわけであります。それが高まってまいりますことによって、わが国市場を舞台として、いわゆる国産品輸入品との間で市場競争が生じてくる。いままではもう日本がほとんどこの漁業に関する限りは本当に自由にやれた。それがこういう国々がふえてまいりますと、当然市場競争が生じてくると思われるわけであります。  このような状況のもとでわが日本漁業を維持発展させていくには、相当国際競争力強化することが要求されるわけであります。長官のいまのお話でありますと、省エネルギー、あるいは業界体質を変えていかなければならぬ、こういうことでありますが、これはすぐできる問題でもないわけでありまして、もうすでに、私の方の例で大変恐縮でありますが、十五軒が倒産をして、負債総額すでに四十億五千万、こういう状態に陥っておるわけであります。これが、先ほどのイカの問題は大変頭を痛めておるというお答えでありますが、痛めておるうちにさらにまた倒産が出てくるということ等も考えてみますと、国際競争力をつける、こういうことになるわけでありますが、一体どういうことをお考えになっておられるのか、お知らせをいただきたいと思うのであります。
  8. 志賀節

    志賀(節)政府委員 まことに倒産方々にはお痛わしい限りでありまして、力の及ばなかったことをこの機会におわびを申し上げたいと思います。  田名部先生指摘のとおり、いままでほとんど日本独壇場でございました漁業の分野に、諸外国くつわを並べてそのスタートラインに並びつつあるような印象でございます。現に、畜産物によるたん白質の摂取は高くつきますので、いままで魚を常食していなかった欧米の国々も昨今では魚に目を向けつつある、そういうような状況が現実に起きてきております。これが顕著にソ連に当てはまる場合でございます。そのため、国際的には今後、公海における漁業というものはますます過当競争に等しいような競争力が要求されてくるであろうということが予想されるわけであります。  一方、それに見合って、それぞれ沿岸国は二百海里内における自国の栽培漁業等にも力をいたすであろう、その御指摘はまさにそのとおりでございます。同時に、日本はこの栽培漁業先進国でございますから、後に続いてくる国々に対して栽培漁業等の技術的な援助をする能力があるのではないか。こういうことを通じて、諸外国に対して大いにこの際喜んでいただくような努力をしたい、必ずそのことは将来いい形ではね返るのではないであろうか、このように考えるわけでございます。しかし、現在のところはあくまでも日本が魚に関しては独壇場でございますから、どうしても諸外国との漁業外交に関しましては、何かを人質にとられて攻められる立場でございますが、この点を将来、ただいま申し上げましたような観点から是正していく、そういう努力をしなければいけない。そのためには息長くこれにがんばっていかなければいけない、かように考えておるわけでございます。  さしあたって、いま当面しているイカの問題に関しましては、先ほども水産庁長官が答弁をしたとおりでございますが、具体的にただいま即効薬ということになりますとなかなかむずかしい。いま申し上げましたようなことをじみちに重ねながら、しかし一方においては、弾力的な制度資金等の運用を図りつつ、いま悩んでおられる、苦しんでおられる漁業家に対しましてできるだけの援助をさせていただく、こういう考え方でございます。
  9. 田名部匡省

    田名部委員 そこで、この二百海里以降、沿岸漁業振興ということで国もまた大変これにてこ入れをいたしておるわけでありますが、きょうは科学技術庁にもおいでいただいておりますが、どうしても、沿岸漁業振興ということになりますと、一方ではわが国エネルギーの不足ということで原子力発電所を各地に設置したい、これとまた漁業問題が相対立するような形で進んでいくだろうと思うのであります。  そこで、きょうはせっかくおいでいただでおりますので、敦賀におきます発電所放射能漏洩問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  御承知のとおり、私ども日本にとりましてもそうでありますが、世界にとってもこれからのエネルギー問題というのは最重要課題だ。この開発なくして日本の国家も民族の繁栄もあり得ない、こういう考え方で私どももこれに取り組んできたところでありますが、残念ながら、こういう事故が相次いで発生をするということになりますと、われわれがこれを進めようということはそれはそれとしてわかるわけでありますが、漁民方々がこれにまた反対をする。先般四国の窪川町のリコール問題もそのとおり。わが青森県におきます原子力船むつ」もそのとおりであります。今回の事故は、新聞等によりますと大々的に取り上げられて、汚染をされた、こういう報道でありますが、今回の事故によって魚類に及ぼす影響汚染は一体どの程度あったのか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。これは科学技術庁の方。長官には、これによって価格影響が出ておるのかどうか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  10. 穂波穣

    穂波説明員 御説明申し上げます。  私ども、事件の発端を知りましてから、福井県の方と密接な連絡をとりまして、所内のことは通産省といたしましても、環境放射能、つまりわれわれとして責任を与えられております問題につきまして鋭意努力を行ってきておりまして、結果といたしまして、先生いま御質問の魚の汚染の問題でございますが、まず、福井県の衛生研究所が迅速に浦底湾の中、つまり発電所放水口の近辺にございます養殖池、ここで飼っておりますハマチ及びマダイを分析いたしました。また、五キロメートル離れたところの比較的底にすんでおりますボラ、これをとりまして分析しました結果、完全に放射能というものは検出限界以下でございまして、汚染というものは認められないという結果を得ました。私どもは、この浦底湾放射能データ福井県の方からいただきまして、私らなりに分析しました結果、魚に対しては汚染は検出されない、安全であるといった旨の原子力安全局名義の発表を四月十九日にさせていただきました。  また、四月二十日早朝から福井県は、農林水産部の方が主体となりまして、敦賀湾、つまり浦底湾から外側に広がりますところの敦賀湾で漁獲される魚、これの放射能調査をやるということを御決定なさいましたので、私どもと協力いたしまして、二十日の早朝、通称敦賀魚市場に上がります約十七種類の魚種、これにつきまして全部で二十六分析いたしましたが、放射能汚染は全く認められなかったということでございまして、福井県と私どもともども敦賀湾の中においても汚染は全く認められない、安全であるという旨を新聞発表させていただきました。  以上でございます。
  11. 山内静夫

    山内政府委員 お答え申し上げます。  放射能汚染の発表されました直後の四月二十日現在におきまして、魚市場等に上場された魚介類につきましては、物によっていろいろ違いますが、大体三〇%あるいは一〇%、エビのごときは半値になった、こう伺っているわけでございます。おととい、きのうと徐々に回復いたしまして、二十二日現在におきましては総体的に見て魚類につきましては大体一、二割安、こういうかっこうで、全体としてだんだん落ちついている模様である、こういう報告を受けているわけでございます。
  12. 田名部匡省

    田名部委員 私も実はそのことを心配しておったわけであります。たとえばこういう事故によって魚価が下がる、一体補償問題等はどうするつもりですか。ちょっとお答えいただきたい。
  13. 山内静夫

    山内政府委員 補償問題につきましては、福井漁業協同組合連合会原子力発電株式会社との間で、原発立地に当たりまして、原発立地関係あるいは管理運営について漁業関係に被害が出た場合には誠意をもって対応する、こういう覚書が取り交わされているわけでございます。わが方といたしましては、その趣旨に沿って解決されるであろう、こういうことを期待しているわけでございます。
  14. 田名部匡省

    田名部委員 それから、今回の問題の発端となったのは福井県の放射能調査によるものだ、こう伺っているわけであります。私はこの質問をしたいと思いましていろいろ役所側と話をしました。原子力発電所の問題は通産省だ、外の方の問題は科学技術庁だ、実はこういうことであります。  先般私どもに「原子力発電の安全はどう守られているか」というのが通産省から出されて、私も一通りずっと目を通してみました。これを見る限りでは原子力による事故あるいは危険なんというものは全く感ぜられない。しかし、これはマスコミも取り上げ方に若干問題があるだろうと思うのであります。言ってみれば、人体にも影響がない、漁業にも影響はない、価格にはいまおっしゃったように若干低落をしたという影響はあったにいたしましても、今回の事故に関する限りはそれほど人体影響がない。一体ばらばらになっておっていいものかどうか。原子力に限っては、科学技術庁がこちらを分担する、通産省向こうを分担するということじゃなくて、何かひとつ責任母体をしっかりとしておいた方がいいと思うのでありますが、これを一つお答えいただきたいということと、新聞によりますと、千八百四十何ピコキュリーとかあるいはレムとかいろんなことが書かれている。私どももなかなか理解できないのです。後からよく説明を聞きますと、われわれが一人当たり年間自然に浴びているものは大体百ミリレムだ、あるいは年間の許容量というのですか、これが五百ミリレムだ。これに比べて一体どうなのかというと、確かにはるかに少ないのです。少ないけれども、五百ミリレムという数字と、千何百ピコキュリーとかと発表されると、一般の人は千何百の方がはるかに汚染度が高いものだとびっくりするわけです。そういったことのPRといいますか説明というものが、もっと徹底してなされてよろしいのではないかと思うのでありますが、この点についてもお答えをいただきたい。
  15. 穂波穣

    穂波説明員 まず、先生の最初の御質問に対して御説明申し上げます。  責任分担の件でございますが、先生御存じのように、原子力船むつ」の事故を契機にいたしまして原子力行政の見直しというのが行われまして、発電炉についてはその安全性につきましては通産省が分担しております。その他の研究炉施設あるいは原子力燃料加工工場等その他の施設につきましては科学技術庁責任を持っておるわけでございます。しかしながら、環境放射能という面におきましては、発電所研究炉あるいは燃料加工工場を問わず科学技術庁責任を持ってやっておるわけでございます。発電炉につきましては通産省と十分な連携をとりつつ行っております。  しかしながら、先生に御説明申し上げたいのは、一つは、行政改革のとき日本には原子力安全委員会というものができたわけでございます。この安全委員会は、総理大臣諮問機関でございまして、すべての原子力安全に関して責任を持って政府を指導、勧告するという立場にあるわけでございます。こういった観点におきまして、私どもは、発電所中側通産省であり、外側が科技庁であると申しましても、国全体としてはその安全性にそごがない体制ができておるものと存じております。  それから、先ほど先生おっしゃいましたピコキュリーあるいはキュリーあるいはレムミリレム関係でございます。まずピコキュリー、マイクロキュリーというのがございますが、これは一兆分の一とか百万分の一という単位の略称でございます。それで、このキュリーというのは放射線の強さを表現する量でございまして、レムと申しますのはその放射線を受けた後の被曝量、つまりある程度の影響量を示す数字でございます。したがいまして、人体影響という面ではレムあるいはその千分の一の単位のミリレムといった数字が一般的に使われてしかるべきものと思います。ただ、新聞においては、種々の面におきまして放射能量とその被曝線量を取り間違えて報道したりいたしますので、国民の皆様方に種々の誤解を生じていることは否めない事実でございます。  私ども原子力安全局は、実は規制の方のみをやっていればいいところでございますが、原子力局とも十分連携をとりまして、こういった新聞発表等におきましてもわかりやすく発表していただけるように鋭意努力しているわけでありますが、たとえば今度の報道みたいに、現地に行かれまして取材されますとつい技術的な発表になってしまう。われわれも非常に苦労しておるところでございます。  ただ、ピコキュリーミリレムという関係は、たとえば一ピコキュリー・パー・グラム、すなわち一グラム当たり一ピコキュリー放射能を持っている魚を毎日五十年間食べ続けてどの程度になるかというのを、私どもサムルールと申しますか目安として皆様方によく説明するわけでございます。つまり、一グラム当たり一ピコキュリー放射能を持った魚を二百グラム毎日五十年間食べる、これで年間の被曝線量はどのくらいになるかと申しますと、〇・〇幾つという単位でございます。つまり、国際的にも認められております年間の許容被曝線量五百ミリレムに対して一万分の一以下、こういった関連になるのでございます。
  16. 田名部匡省

    田名部委員 きょうは漁業問題でありますから、余り突っ込んだ話はできないわけでありますが、いずれにしても被害が出たということになりますと漁民方々影響を受けるわけであります。科学技術庁事故が発生するわけでありませんので、私もそうでありますが、漁民方々は〇・〇七ミリレムなんと言ったってそれはわかりっこないのです。わからないところで一番事故が起きるわけですから、このことをしっかりやっていただかぬと、今度原子力船むつ」も母港を別に新たに建設するということになっておるようでありますが、恐らくここの漁民方々もこの事故によって相当の動揺をしているだろう。何だか知らぬけれども新聞を見ると大々的に汚染されていまにも大変なことが起きると言わんばかりの報道がされるものですから、そちらのみにだけ目がいってしまうわけです。  後から説明を聞くと、今回も、汚染された、被曝線量と言うのだそうでありますが、〇・〇七ミリレム、年間許容の五百ミリレムに比べると全く低いものでありますということは、それはわかるわけでありますが、そういう新聞の書き方が全然ないのです。大きく事故が起きたということの方だけが前へ出る。今後もあり得ることでありますから、こういうことには万全の対策をとっていただきたい。ひとつ要望いたしておきます。どうもありがとうございました。  そこで、本題に戻らしていただきますが、先ほど長官からも、イカ類の問題については大変お困りだ。私のところが日本一のイカ漁業を営んでおりますのでその実態も私はよくわかっておるわけであります。そこで、需給状況をまずお伺いをいたしたいということと、一体イカ価格はいまどのような動向か、これらの業界方々経営収支の状況、大ざっぱに五十年ごろと比較していただいて御説明をいただきたいと思います。
  17. 今村宣夫

    今村政府委員 まず、イカの需給状況価格の動向でございますが、五十五年におきますイカの水揚げの動向は、御存じのようにイカ類の生産が全般的に非常に豊漁でございましたので、周年、年間を通じまして水揚げ量が大幅に増加をいたしております。生鮮イカで対前年比大体二倍ぐらいであります。それから冷凍イカで大体六割強ということになっております。こういう状況でございますから、輸入を非常にしぼっておるわけでございまして、IQのイカにつきましては年間一万八千トンということで、しぼれるだけしぼっておるわけでございます。ほかの自由化されておりますものも含めて輸入量は大体対前年比六割ぐらいになっております。しかし、全体として見ますと、イカの供給量は前年を大幅に上回っておるわけでございます。この傾向は五十六年もなお続いております。  一方、需要の方でございますが、価格の低落もございまして、これは非常に増加をいたしておりまして、大体二〇%ぐらい消費が伸びております。しかし、全体としての需給を見ますと、生産増加が著しいために、消費の増加にもかかわりませず在庫量はふえておりまして、五十五年十二月末で対前年比三割強の在庫がふえております。五十六年一月におきましても対前年比一七一%、二月が一三二%というふうに依然高い水準で推移いたしております。  こういう需給関係でございますから、昨年の価格は非常に低うございまして、冷凍イカの産地価格は、五十五年十二月は対前年同月比六三%、五十六年一月が六一%、二月は若干持ち直してきまして七五%というふうな形で推移をいたしております。  こういう状況でございますから、イカ釣り漁業経営収支状況は非常に悪うございます。特にイカ釣りの主力をなします五十トン、百トン階層のイカ釣り漁船の収支を見てみますと、四十九年、五十年は黒字であったわけでございますが、それ以後収支が非常に悪化しまして、五十四年におきましては、一隻当たり大体六千七百万円の収入に対しまして支出が約七千八百万円ということで、千百万の赤字になっておるわけでございます。五十五年におきましては、漁業経済調査報告がまだ出ておりませんのでよくわかりませんけれども、五十四年から五十五年にかけまして、ニュージーランドの周辺で豊漁であった、それから日本近海、特に太平洋の近年にないようなスルメイカの大豊漁がございまして、したがいまして、先ほど申し上げました相当量の持ち越し在庫を抱えておりますから、魚価はなお水準を回復するに至っておりませんので、経営状況は前年あるいは前年以上に悪化するのではないかということを憂えておるわけでございます。
  18. 田名部匡省

    田名部委員 実は一昨日ですか、ニュージーランドのイカが八戸港に四万三千ケース揚がった。取引されたのがわずか七百ケースなんです。入札もできないという状況なんですね。しかも、行ってきた方々報告をいただきましたら、もう単純に四千万円の赤字なんです。油も上がっておりますし、イカは安いということで、こういうことになるわけでありますが、一体この需給の正常化あるいは価格対策を今後どうなさるおつもりか、御見解を承りたいと思うのです。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  19. 今村宣夫

    今村政府委員 実はそこが大問題でございまして、一つは、まだ旧在庫が五千トンぐらいあるわけでございます。これは、何とか早く旧在庫をはいてしまいませんと、またまた在庫がその上積みになる、こういうことでございます。その五千トン余りの旧在庫は、端的に言いますと、とにかく損が出てもさばいてしまうということを早くやるべきではないかというのは、業界ともどもそう考えておるわけでございまして、これはいろいろ入札をやっておるのですが、これも落ちないという状況にございます。  そこで、いまの水産業界の販売力をもってしてはなかなかこれはさばき切れないのではないかということで、大手水産業界と話をいたしまして、大手水産会社の力でこれをさばこうということを考えておるわけでございます。この点については、大手の水産業界においても協力をするということになっておりますから、これは、その処理をしてしまわなければいかぬと思っております。  その後、今度、いまおっしゃいましたように入ってきて、在庫が出てくるということにつきましては、これは当面の措置としては調整保管以外には道がないのではないかというふうに思っておるわけでございます。ところが、調整保管をやるということになりますと、先ほど申し上げましたような価格水準でございますから、全漁連もなかなか元気が出ないわけでございまして、結局、調整保管をやった後の損失をだれが負担するかというところで、なかなかその話がつかない状況でございます。全漁連もいま再建に取りかかったばかりでございまして、相当な赤字を抱えておるわけでございますから、このイカを調整保管で抱え込んで、これが全漁連の損失になっていくということになりますと、どうしても元気が出ていかない。今度イカ釣り業界の方でそれではその損失負担を全部持つかということになると、イカ釣り業界の方としても、全部責任をかぶるのじゃなくて、調整保管で若干ほかのところもかぶってもらいたいという気持ちもあるでしょうから、ここのところがなかなか話がつかないわけでございます。なお、この点につきましては、よく両者の意見を聞きながら、でき得れば調整をいたしたいと思っております。  なおまた、ただ単に全漁連傘下の調整保管だけではなしに、大手につきましても所要の調整保管をやってもらわなければいかぬということで、その方につきましても話を進めておるわけでございます。これはマグロにつきましてそういうことをやった例がございますから、イカについても大手としても調整保管を進めていくという態勢で協力の機運にございますから、そういうことで取り進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  20. 田名部匡省

    田名部委員 そこで、これを救うということになりますと調整保管をしなければならない。調整保管をしないと最低の価格が出てこないわけですね。そういうことで、これに期待するところが非常に大きいわけでありますけれども、いま長官がお話しのように、全漁連自体も再建途上にある団体、また調整保管をしていただこうという方もいまや死に体の方々、この方々が集まって生き延びようというのですから、これはなかなか容易な話ではないと思うのです。先生方のお力添えもいただいて、倉敷料も、調整保管事業で二十二億という予算もちょうだいして、二分の一ごめんどうを見ていただいているわけでありますが、二分の一の負担の方も実際のところだんだん危なくなってきているのですね。そういうことで、私はこの調整保管は大変問題があるだろうと思うのです。  実はもっともっと議論をしたいところでありますが、時間があと残り少なくなりましたので、もう一つ、私は、漁業経営の問題のことも用意をいたしておりますので、こちらにも入らせていただきたいと思うのであります。  燃油対策特別資金あるいは漁業経営維持安定資金、これもいろいろと御配慮いただいておるわけでありますが、いま漁業方々は、船を一そう建造するとなると何億という金がかかる、もう担保も保証人もない、こういう中でこの経営維持安定資金を国に用意していただいておる。しかし、末端の方へ行きますとこの金が使えない。使えない理由は何かというと、いま申し上げたように、農業と違いまして一億以上もする船を建造するわけでありますから、もう持っている財産のほとんどは担保に入っている、あるいは同じ漁業者同士で保証をし合っているわけです。たまたま自分が保証している会社が倒産すると、自分資金繰りにも大変な方々まで足を引っ張るという状態になってきている。  いま一つは、末端の方に参りますと非常に消極的なんです。これは当然のことだろうと思うのです。どうせ返していただけない、あるいは保証もない。経営がこのように不安定だということになると、末端では、幾ら長官の方では制度金融だから使えるようにしてやりなさいと言っても、検査する方からは何でこんなところへ金を貸したのだというおしかりを受けるわけですから、片一方では危ないところには貸すなということになりますと、せっかくの近代化資金も使えない、こういうことになるわけであります。  だから、この辺のところの整理がだんだん必要なのではないか。優良な漁業者、会社等については積極的に融資ができる道を開く、あるいはもう死に体になっている方々を当面どうやって救うかという、この二つを考えていかないと、いまの制度の中では、健全な人も余命幾ばくもない人も一緒にしてめんどうを見ているところにこういう問題が出てくるのではないか、こんな感じがいたしておるわけであります。この辺についての御見解を承りたいと思うのであります。
  21. 今村宣夫

    今村政府委員 確かに、燃油資金あるいは経営安定資金を用意いたしておきましても、それが円滑に末端に流れなければ何にもならないわけでございまして、融資の円滑化ということについては私たちも従来からいろいろと意を用いてきたところでございますが、こういう状況に相なりますと、特にその点について十分な配慮が必要であるということは御指摘のとおりであろうと思います。私も、融資がうまく漁業者の手に渡るようにということはやかましく言っておるのでございますけれども、こういう状況になってまいりまして危なくなりますと、どうしても人情としてヘジテートするということは避けられないところであろうと思います。  今後とも、県におきます融資基金の充実でありますとか、その他、国として円滑化につきまして指導いたすべきところは十分指導してまいりたいと思いますが、こういう状況が続きますと、お話のように、経営そのものをとらえて今後どうやっていくのかという問題は検討をなすべき時期に来ておると思います。ただ、残念ながら、従来の水産庁は、経営体をとらえてどうするかということの勉強といいますか検討が不十分でございまして、個々の経営問題をとらえて今後どうしていくかということは、その必要性について十分考えておりますが、これの対策といいますか手の打ち方、どういうふうにやっていくかということは、なお十分検討させていただきたいと思っております。
  22. 田名部匡省

    田名部委員 五十五年度の漁業経営維持安定資金は五百億円であったわけでありますが、私ども青森県の割り当て枠が十七億円、そのうち五億八千九百六十七万円、すなわち三四%しか消化されていない。恐らく全国的には相当あるだろうと思うのでありますが、後日その資料をいただきたいと思います。  そこで、せっかく五百億円も資金が用意されておりながらこの程度しか使われていないということ、これは私どもも含めてもっともっと勉強していかなければならぬ問題だろうと思うのであります。片一方では四十億円も抱えて倒産をしている会社があるのに、五百億円の経営維持安定資金が使えない。この辺のことはこれからの問題だろうと思うのであります。  せっかく中小企業庁においでいただいておりますので伺いたいと思いますが、実は私も不勉強で、水産加工の経営安定資金というものは水産加工業者が使えるものだと理解しておったのですが、勉強いたしましたら、これは全く違うということで、一体水産加工の方々の現状はどうなっているのかということを調べてみました。高いイカを購入して抱えて、どんどん安くなっておりますので、これまた大変な状態になっている。何とか緊急の融資を考えてくれということであります。これは水産庁だと、同じ漁業ということで非常にはだで感じてすぐ理解いただけるのでありますが、中小企業庁の方に参りますと、一般的な中小企業全部が対象でありますから、いま死にそうな業界をという話をしても、一般的なお答えしか出てこないのであります。これは何か漁業に限って緊急の融資の道があるのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  23. 米山揚城

    ○米山説明員 お答え申し上げます。  最近の経済情勢の中で中小企業が一番かげりが深いという認識で私どもおりまして、さようなことで、先般、三月十七日に総合経済対策を決定いたします折につきましても、中小企業対策を柱にしたいということでやってまいったわけでございます。現在、その閣議決定を受けまして、たとえば第一・四半期に資金を十分確保する、あるいは関係政府系機関につきましても、貸付手続の迅速化等の要請等を行ってまいってきておるわけでございます。そういったことで全般的な対策をやってまいっておるわけでございますが、本件のイカの話につきましては、まだ十分農林水産省とも話をしておりませんので、農林水産省の話も伺いまして、できるだけのことはさせていただきたいと考えております。  ただ、全般的に申し上げますと、先ほどちょっと触れましたように、政府系の中小企業金融機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫それから商工中金と三つございますけれども、この第一・四半期の貸付枠につきましては、昨今の状況を踏まえまして、前年度実績の二六%アップの枠を組んでおります。そういったことで、資金的には十分対応していけるのではなかろうかと考えておりますし、また、私ども国と県とでお互いにお金を出し合ってやっております体質強化資金制度というのがございます。これは、先生御案内のように、昨年の冷夏対策あるいは今般の豪雪対策等々でいろいろ大きな役割りを果たしてきたわけでございますけれども、こういったものを積極的に活用していくということも一つ方向ではなかろうかと考えております。  いずれにいたしましても、せっかくの御質問でもございますので、農林水産省の話もよく伺いまして、できるだけの御協力をしていきたいと考えております。
  24. 田名部匡省

    田名部委員 大変残念ですが、時間が参りましたので終わらしていただきますが、長官イカを取り巻く状況は、何といっても供給削減、生産調整に、農業がしていると同時に、漁業方々にも御協力いただいて、苦しいときに何とかこれを切り抜けるということでなければならない。水産庁の強力な指導力を私は期待したいわけであります。なかなかむずかしいのです、漁業というのは農業と違いまして。しかし、結果においてこれだけ苦しくなって倒産していくということになりますと、もっと先の時点でいろいろなことの手を打っておけば、あるいは協力をしてお互いが生産調整に応ずるといったようなことで——私はとる人だ、売る人は全く別だと言わんばかりに、これだけ苦しい中でもなおかつ大量のイカをとっているというこの矛盾したことを、水産庁が中心になってちゃんと指導をしていただきたい、強いリーダーシップをとっていただきたい、私はこのことを感ずるわけであります。  いま一つは、水産加工にまで及びます資金対策、これはひとつ早急に検討をしていただきたい。もう余命幾ばくもない人たちでありますけれども、何とかなるものなら救ってあげたい。なぜならば、食糧問題、たん白資源の確保というものは、わが国の安全保障上からも大変重要なことであり、国民にとってはこれは重大な問題である。そういうことに携わっている方々でありますだけに、何としても温かい施策を心から期待申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
  25. 津島雄二

    ○津島委員長代理 吉浦忠治君。
  26. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 水産の問題について、私は、少しばかり立場を変えた角度から質問をしてみたいと思いますが、近年、海面における遊漁がますます盛んになっている問題で、この遊漁の問題を少しばかり質問させていただきたいと思います。  第六次センサス、五十三年によりますと、遊漁人口は年間延べ二千二百六十九万人、こういうふうな多きに達しているわけであります。そのうち漁業協同組合あるいは漁業者あるいは船宿等の遊漁案内業者を利用した者は一千八十六万人。第五次センサス、四十八年の九百十四万に比べますと、一八・九%増加しているわけでありまして、このような遊漁者の著しい増加というもので、漁業者との間における漁業操業その他の漁場利用上の紛争が頻発するとともに、遊漁者の中には大量のまきえさの使用や不要物の海中投棄等によって漁場環境に悪影響を与える好ましくない事例も見られることになっているのが現状でございます。  一方、漁業者側も、遊漁が広範に普及してきた現状を認識の上、秩序ある遊漁の受け入れを図ることが必要であると考えられております。具体的には、沿岸各地域の地理的条件漁業事情等の実態に即して、漁場利用の円滑な調整を図ることが必要である、こう思うわけでございます。  そこで、私は、きょうはこの遊漁の問題にしぼりまして御質問をいたしますが、最初に、大変むずかしい問題でございますけれども、遊漁と漁業との調整を図る上での基本姿勢をまず問いたいわけであります。  生活の手段としての漁業というものを優先させるのかどうかという点、また、遊漁そのものが健全なレクリエーションとして不可欠なものでありますが、このレクリエーションとしての位置づけがどのようになされるのか。また、遊漁を伸ばすことによって、遊漁サイドだけでなくて漁業者も釣り案内等で利益を受ける、こうなるわけであります。いわゆる遊漁と漁業の双方に利益を受ける面があるという点があろうと思います。また、漁業者は遊漁者に対して被害意識的なものが根強くあるのじゃないか。これをどういうふうに調整を図るか。また、遊漁と漁業との両者の関係調整はいかにあるべきか。  五、六項目いま挙げてみましたけれども、農林水産省として遊漁と漁業との調整を図る上でのどのような基本姿勢を持っておられますかをお尋ねをいたします。
  27. 志賀節

    志賀(節)政府委員 吉浦先生指摘のとおり、第六次漁業センサスの調査結果によりますと、海面における遊漁者数は、年間延べ二千二百六十九万でございまして、年々盛んになってきていることは御指摘のとおりでございます。  この遊漁と漁業との関係は、いわば農業における専業農家と兼業農家のような印象も一面持てるわけでございますが、遊漁が行われる沿岸海域では、多数の沿岸漁業者が漁業で生活を立てておりまして、漁業が国民にたん白食糧を供給するという重要な役割りを果たしておることは申し上げるまでもございません。また、遊漁人口の増加に伴いまして、沿岸漁家のうち釣り案内業を兼業する漁家が約九千四百、これはすべての漁家の四・五%に相当するものでありますが、このような漁家の遊漁案内兼業は、漁家所得の向上に役立っていることもまた御指摘のとおりでございます。  このような事情を踏まえますと、漁業者側においては、遊漁をいたずらに排斥することなく、また、遊漁者側も漁業者の正常な漁業操業に支障を与えることのないように、農林水産省といたしましては鋭意これに協力をさせていただき、さらには、資源の保護、培養にも配慮いたしまして、相互に秩序ある漁場利用を心がけることが必要である、こういうふうに考えております。先ほど、専業農家と兼業農家のことにも触れましたように、これも両者を割るようなことなく、双方相互に円満に農業の発展に資していただくのと同じように、この漁業の発展にも遊漁と漁業の両者の円満な相互協力関係を打ち出したい、これが農林水産省の基本姿勢でございます。
  28. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そこで、遊漁と漁業との調整を図るためにどのような措置を講じておられますかどうかをお尋ねしたいわけでございますが、漁場利用調整協議会というものが各県にございます。これはどのような調整力があるのかどうか、強制力を持つのか持たないのか、遊漁者だけが特定ではなかろうと思いますけれども、こういう点をひとつお尋ねをいたしたい。  第二番目に、海区漁業調整委員会というのがございます。どのような調整機能を持っているかという点をお尋ねしたいわけでございますが、いわゆる漁場の使用に関する紛争の処理法というふうなことだろうと思います。これは漁業サイドの機関かというふうに思いますが、そうなりますと、第三番目に最終的な調整権限というものはどこにあるのかどうかという点でございます。私は千葉県でございますけれども、千葉県漁場利用調整協議会と申しますか、これは各地域もございまして、各地域の協議会等があるわけでございますが、そのメンバー等をちょっと調べてみますと、漁協関係あるいは遊漁船組合関係の方、あるいは学識経験者、あるいは公益代表、あるいは観光協会長というふうな方々によってその協議会ができているようでございますけれども、いろいろ紛争が起こる場合の調整というものが、どこに権限があり、最終的な調整機能というものはだれにあるのかという点をお尋ねいたしたいと思います。
  29. 今村宣夫

    今村政府委員 遊漁とか漁業の実態は地域によっていろいろ差がございますので、そこで、各地域の実情に即しながら遊漁問題の調整、解決を図るということで、いまお話のございましたように、遊漁者でありますとか、あるいは漁業者の代表でありますとか、あるいは学識経験者で構成します漁場利用調整協議会を各都道府県に設置をいたしておるわけでございます。また、千葉県のように必要に応じましては地区協議会を設けておるわけでございます。  これらの協議会におきましては、遊漁と漁業の調整に関する各種問題を検討、協議をいたしてもらうわけでございますが、その結果、あるいはまた意見具申という形で、必要に応じまして各都道府県の漁業調整規則によりまして、遊漁者の漁具、漁法の制限等が行われる、あるいはまた一定海域におけるまきえの使用の禁止というようなことも海区漁業調整委員会が指示するというような措置が講ぜられておるわけであります。海区漁業調整委員会と申しますのは、漁業法に基づきまして設置された機関でございまして、この設置されました海区内におきます漁業に関する事項を処理いたすわけでございます。そのほか、漁業調整のために必要があると認めたときは、遊漁に関する事項につきましても、漁業調整規則の制定、改廃に関する意見具申を行いまして、遊漁者に対して委員会指示を出すなどの必要な措置をとることができるわけでございます。したがいまして、最終的には漁業調整委員会に諮りまして漁業調整規則を改正する、定めるということによって規制をするということに相なるわけでございます。
  30. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その場合に、先ほど申し上げましたが、最終的な調整権限というものはどこにあるのでございますか。
  31. 今村宣夫

    今村政府委員 漁業調整規則を制定するのは都道府県知事でございますから、都道府県知事に最終的な権限があるわけでございます。
  32. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 遊漁者のモラル向上のために遊漁者の組織化が叫ばれております。モラル向上だけではありませんが、これを組織化を進めたらどうかというふうに言われているわけでありますが、大変むずかしい意見もあろうと思いますけれども、ライセンス制の導入等、釣り案内業者の組織化について農水省はどういうふうなお考えを持っておられますか、お聞かせを願いたい。
  33. 今村宣夫

    今村政府委員 遊漁者に対します漁業法令の周知徹底を図りまして、漁場利用に関して遊漁者のモラルの向上を図ることは、御指摘のとおりきわめて肝要なことであります。このために水産庁としましては、遊漁団体に対する指導、助成を行って、その健全な育成を図っているところでございます。また、都道府県に対しましても、遊漁者団体の育成に努めるよう指導をいたしておるところでございます。  遊漁の組織化という問題につきましては、いろいろとむずかしい問題があるわけでございまして、たとえば遊漁者から料金を徴収してライセンスを発行するという制度を設けてはどうかという問題につきましては、現にアメリカなどにおきましてはそういう制度が行われておりまして、自然環境の保全と水産動植物の保護、増殖を図ると同時に、遊漁者の権利と義務を定めるということに相なっております。しかし、アメリカの遊漁といいますのはスポーツでございまして、ちょっとわが国とは事情を異にするわけでございます。  漁業者立場から言いますと、そういうライセンスとして権利を付与するということにつきましては非常に神経質でございまして、一方ではそういう組織化ということについては利点があるわけでございますが、一方で当然の権利としてこれを認めるということにつきましては、漁業者のサイドとしては非常に神経質な面があるわけでございます。同時にまた、それが漁業法でありますとか、水産資源保護法等の漁業制度全般にもかかわり合いがある問題でございまして、ライセンス制をしくかどうかということについては、なお慎重に検討すべき問題であるというふうに私どもは考えております。  また、釣り案内業者等について、遊漁者から料金の支払いを受けるということでございますが、これらの釣り案内を兼業する漁業者が現在約三万二千七百人ぐらいおります。それは一応その所属の漁協を通じて掌握が可能でございますけれども、それ以外の釣り案内業者が約四千六百人ぐらいおります。これの把握ということになりますとなかなかむずかしい問題でございまして、たとえばこれを登録制にして把握するかどうかというような問題も一つございますが、そういう問題につきましても、私どもは今後の検討課題として十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  34. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に、育成水面等の栽培漁業振興に要する費用について、漁業者と遊漁者はどのような負担をすべきかというようなお考えを聞きたいわけでありますが、栽培漁業がふえれば釣りの方も大変楽しみがふえるわけであります。しかし、放流魚か自然魚かわからないのに使用料を払うというようなことは困るというふうな、遊漁者が納得しかねる面もあろうかと思います。徴収してもいいじゃないかという意見もあろうと思いますが、栽培漁業をした場合の受益者というのは国民全体でありますから、そうなりますと、漁業者や遊漁者に費用の分担を求めてはならぬというふうな意見も成り立とうと思います。国の事業として推進すべきであるという意見もあると思いますけれども栽培漁業振興という点について、資源管理に対する漁業者の姿勢、また遊漁者の姿勢というものはどういう態度でよろしいかどうかということを、農水省はどのようにお考えかお尋ねをいたします。
  35. 今村宣夫

    今村政府委員 栽培漁業におきます費用負担の問題というのは、漁業者相互間の関係におきましては、いずれ受益負担問題というのを解決しなければいけないと思っております。たとえばアワビのようなものでありますと動かないわけでございますから、地元の漁業協同組合が放流してそれをとるということにおきまして、わりあい負担問題というのは起こらないわけでございますが、今後タイのような回遊性漁業につきましての栽培ということをうんと力を入れていくということになりますと、当然のことながら放流する者と受益する者とは必ずしもイコールではないわけでございまして、これらの漁業につきまして、それを相当大規模に今後実施をしていくということになりますれば、たとえば瀬戸内海の関係漁協というふうなとらえ方をしなければいけないわけでございますから、この点については十分な検討課題であろうと思っております。  遊漁者の関係につきましては、なおさらにそれよりも間接的な問題でございまして、回遊性漁業につきまして、先ほどお話しのように、自然のものか放流したものかわからないということもありますから、これらの点についての負担問題につきましてはさらに困難な問題でございます。いずれにしましても、今後の検討課題であるというふうに考えております。
  36. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次は、さまざまな遊漁船がふえてきておりますけれども、これらの遊漁船の安全対策という点でお尋ねをいたしたいわけです。  観光業者の船もありましょうし、漁業者の船もありましょうし、個人の船もあろうと思います。こういう遊漁船の安全対策はいかがお考えなのか。また二番目として、遊漁船を登録制にしたらどうかという意見もあるわけでございます。そして操船技術の講習会、または海上交通やあるいはほかの県の船等の無秩序な操業の問題とか、あるいは駐船管理に関する問題、こういう問題があろうかと思います。そういう点で、登録制はどうかという点と、もう一点は、釣り人保険というものはどうか。加入についてどういうふうになっておるか。また、農水省はこういうふうな方々の指導をどのようになさっているかどうかという点。まとめて結構でございますのでお聞かせ願いたい。
  37. 今村宣夫

    今村政府委員 まず、遊漁船の安全対策でございますが、これにつきましては、船舶安全法によりまして航行区域及び最大の搭載人員等につきまして制限がございます。また船舶に設置しなければならない設備の義務づけ、あるいは検査等の定めがあるわけでございます。また、船舶職員法によりまして、一定の資格を有する船員を乗り組ませるべきであるということ等の定めがございまして、運輸省においてその事務の実施が図られておるところでございます。  また、遊漁船等の小型船舶に関する安全指導につきましては、海上保安庁におきまして、毎年、小型船舶関係者を対象といたしました海難防止講習会の開催でありますとか、あるいは海事関係法令に基づく取り締まりの実施等が行われておるところでございます。なお、漁船を対象とする安全指導につきましても、海上保安庁において海難防止講習会等が実施をされておるところでございます。  それから、遊漁船を登録制にしたらどうかということでございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、遊漁船に伴いますいろいろな漁船との間の競合関係というのがございます。それから、遊漁船にもいろいろございまして、漁業者が釣りの案内のために使用する漁船と、釣り案内の業者が所有する遊漁船というのがございまして、両者合わせまして四万二千隻くらいあるわけでございます。特に最近は個人所有のモーターボートの釣りが非常にふえているわけでございます。われわれとしましては、その漁船につきましての遊漁船というのは掌握ができるわけでございますが、これ以外のものについての掌握はなかなか困難だという状況にあります。したがいまして、そういうものを登録制にして掌握をしたらどうかという意見もあるわけでございまして、登録制というのは漁業調整というのは漁業調整上の観点から望ましいわけでございますが、レクリエーションに使用します船舶についてそういう登録制ということができるかどうかという問題も同時にございます。したがいまして、これらの問題を踏まえまして、この問題については今後十分慎重に検討する必要があるというふうに考えておるわけでございます。  それから第三番目の、釣り人の保険はどうなっておるかということでございますが、これは民営の損害保険会社で釣り人自身が加入する保険として釣り保険というものがございます。釣り人個人または釣りの同好会等の団体単位で保険会社と契約をしまして、被保険者すなわち釣り人でございますが、これが釣りの目的で自宅を出ましてから帰宅するまでの間に起きた事故の損害のてん補ということをいたしておるわけでございます。  それから、遊漁船所有者が加入する保険としましては、損害責任保険というのがございます。これは、遊漁船の管理者が過失によって釣り客に傷害を与え、または釣り客の所有漁具等に損害を与えた場合において、法律上の損害賠償責任を負担するということの損害の補償でございます。また、全国水産業協同組合共済会というのがございまして、そこで乗組員の共済事業の中に遊漁船の共済契約というのがございまして、漁船登録をしております釣り船の管理者が釣り客定員数を被共済者として共済契約を行いまして、釣り船として使用中に釣り客に事故があった場合には共済金が支払われるという形に相なっておるわけでございます。  万一の事故に備えまして遊漁者が保険に加入するということはもちろん望ましいことでございますから、水産庁としてもこれらの加入促進については十分指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次は、漁港並びに漁村の環境問題についてお尋ねをいたしておきたいのですが、漁港内に釣り人の乗用車が放置されたり、または狭い漁村地域へ大ぜいの釣り人が押し寄せるために交通事故が絶えない。あるいは駐車場や道路の整備がどのような状態なのかという点で、大変環境問題が起こっているわけであります。これが第一点。  二番目には、モラルの問題でありますけれども、釣り人が空きかんやごみを海中に投げ捨てて、それが漁網やノリの網等に損傷を与える、こういう問題も起こっているわけであります。この対策をどのようにお考えなのか。  三番目として、遊漁船がふえてきて船だまりが占拠されて困るというふうな意見もあるわけであります。こういう対策がどのようになっているか。  四番目といたしまして、釣り人が漁港の岸壁やあるいは防波堤を使用して釣りをしている場合がありますが、そういった場合のいわゆる安全対策というものがどうなっておりますか。時間の関係でまとめて四点、簡潔にお答えを願いたい。
  39. 今村宣夫

    今村政府委員 第一点でございますが、漁港は本来漁業生産の基盤でございますから、漁港の機能の増大を目的として、機能施設として臨港道路とか付帯施設としての駐車スペースを含めた漁業施設等の整備を図っておるところでございます。われわれとしましては、漁業用の揮発油税の財源身がわり事業としての漁港関連道の整備でありますとか、漁業集落環境整備事業の一環としての集落道路の整備を推進しているところでございますが、一般的に道路そのものを釣り人のためにどうこうということは行っておりません。当面はその漁港の機能を阻害しない範囲内で既存の土地を利用させますとか、あるいは地元の市町村等が必要に応じて駐車場を別途確保するという措置を講じてもらわなければいけないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の、釣り人のマナーの問題でございますが、これはどうしてもそういうマナーは守ってやっていただかなければいけませんので、水産庁では四十八年から、遊漁団体が行いますパンフレットとかリーフレットの発行でありますとか、ポスターの車内掲示、あるいは遊漁者を対象とする講習会の開催につきまして助成をし、そのモラルの向上を図っておるわけでございます。  第三点の、遊漁船がふえて船だまりが占拠されて困っておるということでございますが、確かにそういう事例が見られるわけでございます。しかし、同時に、漁港を利用している遊漁船はその大部分が漁船であるということもありまして、一方的にこれを排除するということはなかなか問題であろうかと思っておりまして、利用区域でありますとかあるいは利用時間等の調整を行うように漁港管理者を指導していっておるところでございます。したがいまして、漁船以外の遊漁船等の利用に対応する施設につきましては、漁港施設の整備水準の現状でありますとか事業の目的から見て、現時点でその積極的な整備は困難でありますけれども、今後の問題として検討していきたいとわれわれとしては思っております。  もう一つ、岸壁や防波堤を利用しておるという管理と安全問題につきましては、これは漁港の管理の範囲内、漁港の利用管理に支障がない範囲内で行ってもらわなければいけないわけでございまして、特に防波堤というのは、外洋に面しておりまして釣り人の安全が確保される構造とはなっていないわけでございます。したがって、立ち入り禁止だとか危険個所の表示というのは漁港管理者の方でいろいろとやっておるわけでございますが、なかなか釣り人の方でそれが守ってもらえないというところに悩みがあるようでございます。そういう安全の問題につきましては、今後とも漁港管理者に対しまして指導の徹底を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 国民釣り漁法といいますか遊漁法、まあ、法ということになるかどうかわかりませんが、全国民の二割以上が釣りを楽しんでいるということでもありますので、国民釣り漁法の制定ということについて農水省はどういうふうなお考えをお持ちなのか、簡潔で結構でございますが、お知らせ願いたい。
  41. 今村宣夫

    今村政府委員 遊漁法の制定という問題になりますと、人によっていろいろ考え方が違っておりまして、その内容は必ずしも煮詰まっていないわけでございます。先般、遊漁の検討会を開きましたときにも、それぞれの立場立場で非常に考え方の相違があるわけでございまして、遊漁法を制定するということであれば、問題を相当煮詰めないと、現段階ですぐに遊漁法ということにはいかないのではないかというふうに私は思っております。しかしながら、問題の所在は十分認識をいたしておりますから、今後この問題につきましては十分に検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  42. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間になりましたので、最後に、遊漁について行政はどの省庁が担当するのが最も望ましいかという点をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  先ほど長官も言っておりますように、日本アメリカでは国情が違いますが、アメリカにおきましては、これは州政府も含めておりますけれども、五千万人の釣り人に対して約七万五千人の職員がいるわけです。このように釣り行政というものに日本と格段の違いがあるわけですけれども日本では水産庁において水産専門官を一人設置しただけじゃないかなというふうに、これは私がそう思っているわけです。そうなりますと、いろいろ兼務した中で仕事をおやりのようでございますが、日本でも中学生あたりを、休みの日などある団体等が東京湾上で釣り大会を開いたり何かするように、スウェーデン政府等では小中学生に対して野外選択科目として週に二日間の釣り科を課して積極的に奨励している、そういう国もあるわけでありまして、私は、この釣りに対して日本の行政指導は大変手薄ではないかというふうに考えているわけです。  そこで、アメリカのようなスポーツフィッシングというような考え方もあろうと思いますが、日本では水産庁が専門官を置かれたようでございますけれども、これは果たしてどこの省でおやりになるのが一番いいのか。スポーツとすれば文部省でありましょうし、環境の面からすると環境庁も関係あるかもしれません。あるいはその施設、福祉ということになれば厚生省、それがいま日本では水産庁ということになっておりますけれども、手薄な行政等含めまして、どのような省庁が適当なのかという点もできればお知らせを願いたい。以上をもって終わりといたしますので、簡潔にお願いいたします。
  43. 今村宣夫

    今村政府委員 御指摘のように、遊漁はスポーツであるというふうにも考えられますし、同時に環境保全、安全対策という側面も持っておるわけでございまして、その側面におきましてそれぞれの担当省庁が担当してやってもらうということに相なろうかと思います。しかし、遊漁が水産動植物を採捕するということにおきましては漁業と同一の行為でありまするし、また、遊漁と漁業者とが同一海面を利用するということで、その調整問題というのはきわめて重要な問題でございますから、私どもといたしましては、第一義的に水産庁が担当するものと考えて所要の対策を講じておるところでございます。  しかしながら、この行政というのはきわめて日が浅うございまして、行政組織としても至らざるものが多々あるわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、今後の対策のあり方とも関連いたしまして、そういう行政組織問題につきましても十分検討をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  44. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 以上で終わります。
  45. 津島雄二

    ○津島委員長代理 武田一夫君。
  46. 武田一夫

    ○武田委員 私は、敦賀発電所での放射性物質のたれ流し事件に関係しまして、漁業への影響というものをひとつ御質問したいと思うのであります。  発表によりますと、放射性物質がかなり多く検出されまして、それが水産動植物への影響がどうなっておるかということが心配されておるわけであります。影響はないというのでありますが、食品としての安全は間違いなく保証できる、こういうふうに理解してよいものかどうか、その点、まず最初にお尋ねをいたします。
  47. 山内静夫

    山内政府委員 今回の事故に伴う魚介類汚染につきましては、科学技術庁福井県が協力して浦底湾魚介類あるいは養殖魚等の放射能調査を行ったわけでございます。この結果、魚類からは放射能は検出されない。ホンダワラ及びムラサキイガイにつきましては放射能が検出されたことは事実でございますが、仮に毎日食べたと仮定いたしましても、人体には影響がない、こういう発表を科学技術庁が四月十九日と二十日に行っているわけでございます。  なお、原子力安全委員会もこの調査結果をもとに四月二十日に、放射能による環境への影響はほとんどない旨の発表を行っておりまして、水産庁もこの事実を承知しておるところでございます。
  48. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、安全であるということで福井県は安全宣言というのを出しているわけです。ところがなかなか消費者への浸透が遅いといいますか弱いといいますか、一たんこういうことがありますとなかなか後遺症というのは抜けないわけであります。そういうことで、県としては安全宣言を出しているわけでありますけれども、重ねて、やはり安全という確認の、そしてまた国民の不安を解消するために、私は農林水産大臣の安全宣言というのも考えていかなければならないのじゃないかというふうに思うわけです。その点についてはいかがお考えでございましょうか。
  49. 山内静夫

    山内政府委員 今回の事故に関連いたしまして、周辺漁業影響があった、それからなおかつ出荷自粛等によって影響が出ている、これは事実でございます。  これにつきまして、福井県等が行いました魚介類等の放射能調査の結果、放射能は検出されなかった、こういうことから、関係市場に連絡を行いまして、流通の円滑化について協力依頼を行ったわけでございます。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕 初めのころは消費市場から出荷自粛の要請があったわけでございますが、ただいま現在において出荷自粛の要請は全部解除された、こう聞いているわけでございます。  それで、放射能人体への影響問題につきましては、水産庁としては必ずしも専門的な知識を持っているわけではございませんから、この種の発表された意見につきましてかれこれ申し述べる立場ではございませんが、事故の原因あるいは放射能の環境への広がり等の解明がまだ調査中であるということと、なおかつ、魚介類の精密調査、こういうことが現在行われている、こういうことでございますから、これらの結果が早く出てくるのが望ましい、こう考えまして、関係省庁にその旨を要請しているところでございます。
  50. 武田一夫

    ○武田委員 いずれにしましても、そういう結果を踏まえてのしっかりとした安全というものの確認を浸透させて、そういう漁業あるいは加工業者あるいは流通業者等に影響のなきようなさなければならない、こういうように私は思いますので、そういう点の万全な対応をひとつお願いを申し上げたいと思います。  それから、この影響によって、いま話がありましたように、漁業者あるいはまた流通加工業者に対する影響がかなりあって、相当入荷拒否あるいは値段の暴落等があったわけですが、そういう直接、間接的な被害の状況というのは掌握されているものかどうか。それに対して補償というものもこれは起こってくるのじゃないかと思うのですが、その点に対する当局の対応というのはどうなっているのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  51. 志賀節

    志賀(節)政府委員 今回の事故に伴う漁業被害等の状況につきましては、地元県からまだ報告を受けていないので、具体的に申し上げることのできる段階には至っておりません。  しかし、ただいまいろいろお話がありましたように、地元漁業等には出荷の自粛とか魚価の低落などによる影響が出ていることはまた事実でございます。これらの漁業被害等につきましては、その補償等について、今後、当事者である日本原電と被害漁業者等との間で十分話し合いが行われ、速やかにこれが解決されるよう、私どもはこれを望ましいと考えておりますから、農林水産省といたしましては、今後この方向で県とも十分連絡をとり合いながら対処してまいりたいと考えております。
  52. 武田一夫

    ○武田委員 それから、今回のこうした事件を通しまして私は痛感するのでありますが、漁場の汚染という問題。これは、原発の所在地を見てみますると、現在二十一基稼働しているわけであります。東京電力、日本原子力発電株式会社、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、こういうところで二十一基動かしている。それで、そこには必ずと言っていいほど漁港がございます。そして漁業者の皆さん方がそこで生業をしている。こういうことになると、ほかの地域のいわゆる管理状況とかそういう監視体制はどうなっているかというのは改めてやはり見直ししなければならぬじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。  私の近くの福島県の場合などは、聞くところによりますと、一号機が大熊町にできて以来、その周辺ではコンブ、ワカメが異常に成長の度合いが速いとか、そういうようなことも言われておりますし、魚なども何か大きくなるんだ、それを漁民は喜んでいる、それを売っている、ところが本人たちは食べないなんというような、こういうことも言われているわけでありまして、漁場として出てくるそういうものが一般の国民に与える影響、どうなるのかということを考えると、やはり厳重なる監視体制、自粛体制というのが必要であろう。いまもしているのでしょうが、こういう事件が起こっただけに、改めてそうした対応というものに取り組まなければならないのじゃないか、私はこう思うのでありますが、その点に対して、どのようになっているものか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  53. 山内静夫

    山内政府委員 原発の排水等のチェック体制につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、原子力施設周辺住民の健康を守り、環境の保全を図るために、各地方公共団体及び施設者が発電所周辺の環境放射線のモニタリング調査を行っているわけでございます。  今回の放射能漏れ事故に関連しまして、原子力発電所の一層の安全確保を図る観点から、四月三十日に科学技術庁及び通産省がそれぞれ原子炉か置者等あて、各事業所の一般排水路を点検してその結果を報告するよう指示したとわれわれは伺っているわけでございます。水産庁としても、今後このような事故が再発しないように、十分な安全管理のもとに発電所が稼働されるよう、関係機関に強く要請していく所存でございます。
  54. 武田一夫

    ○武田委員 科学技術庁の方はどうですか。
  55. 穂波穣

    穂波説明員 私どもとしましては、原子力利用に伴う放射線障害防止という観点から、環境における放射能の監視ということに責任を持って当たっておるわけでございます。  この原子力発電所周辺の水中あるいは空間における放射能監視と申しますのは、昭和四十九年から、電源開発促進対策特別会計法に基づきまして交付金を各県に出しまして監視事業に実際に当たっていただいておるわけでございます。つまり、私ども原子力発電所から一切放射能が出ないということを言っているわけではございません。放射能は管理された状態で、基準値を十分下回る状態で出すならば安全であるという観点にまず立っておるわけでございます。こういった監視というものは、あらかじめ定められたところから出るならば、それに対応する体制はすでにできているわけでございます。今回の事件のように、出るべきところではないところから出された場合には、これはなかなかつかまらないということがございます。幸いにして、福井県の衛生研究所の測定で比較的早期にこういう異常事態が発見されたということは、われわれの体制が少しでも役に立ったと思っている次第でございます。  いま次長の方から御説明がございましたように、本件に関しましてはそのような事情にかんがみ、すなわち、出るべきところではないところから出ている、こういったことはあってはならないことでございますので、私どもの所管事業所、通産省におかれましては各原子力発電所に、一般排水路等出るべきところでないところから出ていないかということを改めて確認しているところでございます。
  56. 武田一夫

    ○武田委員 ともあれ、ほとんど海岸に設置されていくということで、排水は全部そちらの方に流されているわけでして、薄められて影響がないというようなことを言っているわけでありますけれども、それが多少なりとも年々歳々蓄積されていくと、魚介類等にどういうふうな影響があって、人体に対する影響はどうなのかということは、逐次きちんとじた検査、監視体制を強めながら、国民にはっきりしたものを示さなければならない。現実に動いているわけでありますし、しかもこれから建設しようとするもの、あるいは建設途上のものもございます。これなどもあわせて、今回の事故を教訓にしまして万全の体制で取り組んでいってほしい、このように思うわけでありますが、時間も来ましたので、政務次官からこの辺についての御決意というものをお聞きいたして、終わらせていただきます。
  57. 志賀節

    志賀(節)政府委員 武田先生の御意見には全く同感でございまして、二度とこういうことのないように、政府としては厳重に対処してまいりたいと思います。  この際一番思い浮かびますのは、災害は忘れたころにやってくるということでして、こういう事故が起こりますと、その直後は監視の目も光りやすいのでありますが、少し時間がたちますと、のど元過ぎればのたとえのようなことがないとは限らない。そういうときこそ大事なのではないか。やはり今後、そういう面で大事をとってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  58. 武田一夫

    ○武田委員 終わります。
  59. 田邉國男

    田邉委員長 野間友一君。
  60. 野間友一

    ○野間委員 水産庁長官にまずお伺いしたいと思うのですが、幸いにして十人目でしたか、日ソサケマス交渉が妥結したわけです。実はあすの外務委員会でこれをやることになっておりますので、一言、二言この点についてまずお聞きをしてあすに回したいと思いますが、この交渉の結果についての評価、それから今後の課題についてどういうふうに考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  61. 今村宣夫

    今村政府委員 去年と違います点は、コンペが二億五千万円ふえたということで、そのほかの条件は昨年同様ということでございます。コンペも昨年同様ということであれば一番よかったわけですが、諸般の情勢上そういうことにもならなかったということで、その点は残念でございますが、全体としての評価はまずまずではないかと私は考えておるわけでございます。  今後の課題といたしましては、一つ協力費がどういうふうになっていくのかという問題と、もう一つは秩序ある操業という問題をどういうふうに考えていくのか、その二点であろうというふうに思っております。
  62. 野間友一

    ○野間委員 次に、敦賀原発放射能たれ流しの問題について少しお聞きをしてみたいと思いますが、この敦賀発電所事故について水産庁は一体どういうお考えを持っておられるのか、まず所見をお伺いしたいと思います。
  63. 山内静夫

    山内政府委員 今回の敦賀原発事故につきまして、水産庁としては非常に遺憾なことである、こう理解しておるわけでございます。実際に漁獲物についての放射能汚染がなかった、こういった状態であっても、漁業関係では被害が続出しているという事例でございます。したがいまして、わが方といたしましては、漁業補償関係関係当事者である日本原電と関係漁業者との間で円滑に行われるように、こういう方向で対応したいと思っておるわけでございます。
  64. 野間友一

    ○野間委員 私ども日本共産党も独自に調査に入りましていろいろ調べておるわけですが、漁業関係者が言われるのには、安全宣言等々の問題もありますけれども、一番こわいのはまずイメージダウンだと言うのです。PCB汚染のときには価格の回復に約二年かかったというふうに言われておりますが、こういう点から考えまして、これは単に安全宣言を出してそれで済む問題ではない。これはこれから大変に尾を引く問題ではなかろうかと思うのです。しかも敦賀だけではなくて、被害は県下全域に及んでおる。これは御案内のとおりであります。  そこで関連して聞きますのは、漁業なりあるいは漁業従事者に及ぼした被害とか損害の状況、または実態、これを農水省はどのように把握しておられるかという点でありますが、これはいかがでしょうか。
  65. 山内静夫

    山内政府委員 現在、被害総額につきましては福井県を通して調査中でございます。放射能事故当初におきましては、一部地域の操業停止であるとか、あるいは価格が大幅にダウンして、現在も一、二割下がっており、日々刻々被害が累積しておる、こういう状況でございます。現在のところ、先ほど申しましたように、被害が何億円というかっこうでは申し上げられませんが、毎日福井県と連絡をとりながら、被害調査状況等について調査をしているところでございます。
  66. 野間友一

    ○野間委員 これは早急に調査をして、漁民に対する被害あるいは漁場の保全、これにぜひ万全を期していただきたいと思います。  新聞等々にも大々的に報道されておりますように、大消費地の卸売市場、これが福井県産の魚介類の入荷をストップさせるとか、あるいは敦賀魚市場、ここでは競りが立たない、当分回復が見込めない。きのうの夕刊にも「魚セリ値、十分の一」こういうふうな報道もありますけれども、ずっとまだ続いておるわけですね。こういうことによりまして、ちょっと調べてみましたら、敦賀市内の漁業関係者、これは漁協の組合員が二百五十名、仲買人七業者、小売が七十業者、大変深刻な打撃を受けておりますし、それから民宿とか旅館のキャンセル、約百七十軒あるようですが、こういうところでも大きな被害が出ておる。と同時に、全体として魚離れ、こういうところまでエスカレートする。これはいま申し上げたPCBとかあるいは私の出身であります和歌山のコレラの騒ぎ、あれで大変深刻な打撃を受けたわけでありますが、こういう点で非常に心配になるわけです。  先ほども論議がありましたけれども漁業関係者に対する損害補償、これは農水省は責任を持ってきっちりと被害補償なり、漁業者に対して万全の施策なり対策をとるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  67. 山内静夫

    山内政府委員 漁業関係者の救済等につきましては万全の対策をとる所存でございます。
  68. 野間友一

    ○野間委員 救済の中に、私が申し上げたように損害賠償、これはまさに故意ないしは過失に基づいて与えた損害になりますから、したがって事故の原因の究明と同時に、きちっと損害、被害金額を確定して、そして国にも責任があると思うのですけれども、監視体制、それはともかくとしても、要するに被害については、きっちりと漁民の要求に対しては適切に救済していくということについて、これは農水省がやはりイニシアをとってやっていくということが当然必要だと思います。先ほど抽象的に救済していくというふうに言われましたけれども、いま申し上げたような点についてはいかがでございますか。
  69. 山内静夫

    山内政府委員 漁業関係の被害につきましては、先ほど来申し上げておりますように、日本原子力発電株式会社福井漁業協同組合との間で覚書が取り交わされておりまして、原発の設置あるいは運営等によって生じた損害につきましては補償する、こういう内容になっておるわけでございます。したがいまして、補償交渉等につきましては当事者間で第一義的にはやる、こういうことでございますが、被害の調査その他で県あるいは国がお役に立つことがあれば関係者と共同していろいろなことをやっていきたい、こう思っておるわけでございます。
  70. 野間友一

    ○野間委員 調査等ということを言われましたけれども、もう少し具体的に私がお聞きしておることに答えていただきたいと思うのです。  確かに第一義的には当事者間で交渉し、そして妥結をするということになりますけれども、この救済についても万全の措置をとるという以上、漁民の要求に対しは適切に補償が行われるということについて農水省としてもきちっと施策あるいはその措置援助をしなさい、こう言っておるわけです。
  71. 今村宣夫

    今村政府委員 ただいま次長がお答えを申し上げましたように、損害の内容及び額といいますか、そういうものにつきましては現在刻々と報告を求めておるところでございます。その損害の額がどういうふうに出るのか、また同時に、その損害につきましてどういう考え方をとるのか、たとえば魚離れをしたときに、魚離れしたものを損害と見るのか見ないのかという内容の問題もあります。したがいまして、その辺のことをよく詰めなければいけないという問題が第一点。  それから、損害賠償につきましての話し合いは当事者間でよく話し合ってもらうわけでございますが、その損害額の取りまとめといいますか、そういう段階、あるいはまたその当事者間の交渉の段階におきまして、水産庁としましては十分な対応をしてまいりたいというのがお答えの趣旨でございます。国の損害賠償責任をどうするかという問題は、これはちょっと私の方としてはお答えをいたしかねるわけでございます。
  72. 野間友一

    ○野間委員 次長、このようにお答えいただいたらいいわけです。  浦底湾に関してお聞きしますが、この放射能汚染調査、これはたしか通産省がやったというふうに聞いておりますけれども、この結果はどうであったのかということと、それから水産庁、農水省としても今後の影響というものを考える場合にやはり独自に調査をする必要があるのではないか。これは単に通産省がやって、その結果、汚染の度合いが人体には安全だとかあるいは諸法規には抵触しないということではなくて、やはり漁民や漁場を守るという立場からこれは他人事では決してないわけで、水産庁みずからが当事者ですから、この点についても積極的に調査をする必要があるのではなかろうかと思いますが、この点についていかがでしょう。
  73. 穂波穣

    穂波説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生浦底湾放射能調査について通産省ということをおっしゃいましたが、本件環境放射能に関しましては科技庁が責任を持ってやっているわけでございます。  事件発生以来県の衛生研究所と連絡を保ちまして、まず浦底湾内にどの程度の放射能が分布しているかという迅速な調査にかかったわけでございます。その結果は四月十九日に私ども新聞発表いたしましたが、確かに放射能の分布は一般排水口、つまり出てはならないところから出たわけでありますが、そこの近傍に非常に限られております。それからまたそのほかの観測といたしましては、排水口から約七百メートル離れました県の水産試験場の養殖場におきますハマチあるいはマダイ、これの放射能分析を行ったのでございますが、汚染というものは認められていない。それから先ほども申し上げましたが、約五キロメートル離れましたところで、底層に比較的おりますボラ、これの放射能汚染状況も調べたのでございますが、汚染は認められなかったということで、魚類に対する汚染は心配ないということを発表いたしました。  ただ新聞に発表がございましたように、事実として、通常食べませんムラサキイガイあるいはホンダワラ、これに通常よりも比較的高い値の放射能が検出されております。この件につきましてはどの程度汚染が広がっているかというのを見るための非常にいい指標生物、つまり放射能を取り込みやすい生物でございます。しかしながら私どもの解析としましては、通常食べないのでございますが、これを仮に食べるとしても人体の安全上は問題がないという解析を行っております。
  74. 山内静夫

    山内政府委員 放射能問題、ことに人体への影響という問題につきましては水産庁として必ずしも専門的知識があるわけではございません。したがいまして、今後先生の御発言の趣旨を踏まえながら、科学技術庁と相談して事を進めていきたい、こう考えております。
  75. 野間友一

    ○野間委員 この漁場保全の点について水産庁にお伺いをします。先ほども質問があったのですが、敦賀で今回の事故があったということは、単に敦賀だけではなくて、ほかでも起こる可能性は私はあると思うのですね。この点について農水省はどういうふうに考えておるのか、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
  76. 山内静夫

    山内政府委員 当然のことながら、先生指摘のようなことが予想されるわけでございます。したがいまして、わが方といたしましては、この種の事故が再発しないように、関係省庁に強く申し入れたい、こう思っておるわけでございます。
  77. 野間友一

    ○野間委員 原発立地に関して、海水産物の汚染度調査について科学技術庁は県の衛生研究所に委託して測定しておるというふうに私は聞いておるわけですが、これは水産庁ときちっと連絡をとりながら報告しておるのか、水産庁は報告を受けておるのか、つまり実態を把握しておるのかどうか、この点についてお伺いするのと同時に、もしその実態をきちっと把握していないとすれば、これはやはり科学技術庁と緊密な協議なりあるいは連絡をとりながら、これらの調査の結果について水産庁としても、この漁場保全、漁業を守るという立場からそういうことが必要ではなかろうかというふうに思いますが、いかがです。
  78. 山内静夫

    山内政府委員 従来からもそうでありましたように、今後とも科学技術庁とこの種の問題につきましてはよく協議、打ち合わせをいたしまして、万全を期してまいりたい、こう思っております。
  79. 野間友一

    ○野間委員 余り愛想のない返事で困るわけですが、これは県の衛生研究所に委託して常に調査をしているように聞いているのですけれども、実際そうなのかどうかということ、その都度これを水産庁に連絡をしておるのかどうか、どうでしょうか。
  80. 穂波穣

    穂波説明員 ただいま原子力発電所が立地しておりますところの放射線の監視業務は、私どもの国の交付金によって実際に県側に実施していただいております。県の体制は、この環境放射能レベルを測定して異常な蓄積が生じないということを確認する業務でございますが、四半期ごとに県におきまして種々の会議を持ちまして、その結果を公表しております。ただ、公のルートとして科学技術庁から水産庁にその結果の報告というのが、現在のところございません。今後しかるべき措置をとりまして、水産庁と十分連絡が密にできるようにいたしたいと思っております。
  81. 野間友一

    ○野間委員 次長、ちょっといまあなたが答弁したことと違うようですけれども、結局公表はしておるようですが、要するに科学技術庁から正確にデータなり報告を受けてそれを検討するということじゃないわけですよ。あなた、今後ともというようなことを言いますけれども、これはまさに官僚答弁ですよ。ですから、もっとまじめに考えてもらって、この事故を教訓にして、こういうことは二度と起こらないように、漁業経営や暮らしや、あるいは漁場を守るという立場から取り組んでいかなければ大変なことになるぞということを私は申し上げておるわけです。この点についてはよろしいですか。
  82. 山内静夫

    山内政府委員 水産庁といたしましては、漁業を守る立場から、チェック体制等を科学技術庁等にいろいろ注文をつけるとともに、いままでの口頭の報告でなくて、何らかの形でチェック体制が敷かれるような方向で検討してまいりたい、こう思っております。
  83. 野間友一

    ○野間委員 通産省が何か原発の総点検、こういうことを指示したやに報道で私は読んだと思うのですけれども、これは事実かどうかということと、それから、水産庁もこの際ですからきちっと一緒に調査をされて、そしてその仕組みなり何なり、これは確かに技術上の専門家でないかもわかりませんけれども、やはり今後のこういう問題についての予防とかあるいは是正について当然やってしかるべきじゃないかと私は思いますので、時間の関係がありますから、通産省水産庁、簡単にお答えいただきたいと思います。
  84. 平田辰一郎

    ○平田説明員 御説明申し上げます。  通産省といたしましては今回の敦賀発電所の件にかんがみ、四月二十日付でエネルギー庁の長官名で各電力会社に対しまして、原子力発電所の一般排水路の点検について指示をいたしました。これは、一般排水路について管理区域からの放射性物質の漏洩、混入のおそれについて点検を行うとともに、放射能測定を行いまして、結果を速やかに報告させる趣旨でございますが、他の発電所にも敦賀発電所と同様のことがないかどうかにつきまして早急に点検を命じた趣旨でございます。
  85. 山内静夫

    山内政府委員 水産庁は、従来水産物の生物関係調査関係を主体に置きまして、原発の構造等につきましての知見は十分ではなかった、こういうことは事実でございます。これを契機にいたしまして、できるだけ原発関係の一応、機能であるとかあるいは施設等々につきまして知見を深めていきたい、こう思っております。
  86. 野間友一

    ○野間委員 ぜひお願いしたいと思います。  三宅泰雄元東京教育大学教授のいろいろな書き物を読んでみますと、アジとかサバなどは好んで放射性物質を食べる。それが、これは別の本ですが、体内から放出されずに蓄積される、こういうふうなことがこれまた言われておるわけですね。  これは私、いつか外務委員会でもこのことを今後の検討課題としてぜひお願いしたいということも言ったことがあるのですが、国民を放射能の害から守るためには、海産食品における放射性物質の最大許容濃度、これを早く決めなければならない。これも三宅教授が指摘をされておりますが、水産庁になるのかあるいは科学技術庁になるのか、両方になるのか知りませんけれども、やはりいろいろな問題を抱えたわけですから、こういう点について基礎的にきちっとした研究なり調査、こういうものが私は必要ではなかろうかと思いますが、どちらでも結構ですからお答えいただきたい。
  87. 穂波穣

    穂波説明員 御説明申し上げます。  いろいろ学説はございますが、まず放射能を好んで食べるという魚がいるというのは一般的学説ではないかと思います。ただ私どもも、いわゆる環境生物、特に食品となる生物につきまして汚染の上限を定めるという動きは、かってビキニのマグロ事件等、核実験、大気実験が非常に多く行われたときには動きがあったわけでございますが、近年そういった実験がとまっております。それからそういったような多大な放射能汚染が生じるといった事柄が少なくなってきておりますので、現実にそういった上限を決めるという動きはいまのところございません。つまりケース・バイ・ケースで迅速に対応していきたいと思っております。  なお、そのようなバックグラウンドとして、科学技術庁は、放射線医学総合研究所の那珂湊支所におきましてそういった基礎実験を繰り返しておりまして、どのように放射能が魚の中に取り込まれるかといった実験も繰り返して、一応万全の準備を整えているところでございます。
  88. 野間友一

    ○野間委員 原発の運転管理専門官についてお尋ねをしますが、これは新聞報道では米の検査官出身で十二月一日に転身してきた人が専門官十五人のうち五名、三人に一人がそうだというようなことがたしか報道されておったと思いますが、私の方でいろいろ調べてみますと、この運転管理専門官は十五人いるようですが、その十五人のうちで農水省出身が、統計情報部から三名、農業水利事業所から一人、営林署から一人、こういうふうになっておるようですね。  この事件が運転管理専門官の知識等々の問題が絡んでおるのかどうかよくわかりませんけれども、しかし統計情報部や水利事業所、営林署、こういうところから、しかも講習がわずか十日間ぐらいだったというふうに聞いておりますが、これでは実際に出向と申しますか転身された方が大変気の毒だというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。ですから、通産省も運転管理専門官は一遍きちっと見直すというようなことも言っておられるようでありますけれども、この点について、やはりこういうようないろいろなことを踏まえた上で専門官のあり方について検討し直すということになるのでしょうか。
  89. 末広恵雄

    ○末広説明員 お答えいたします。  運転管理専門官制度でございますが、これは一昨年アメリカで起こりましたスリーマイルアイランド事故の教訓を踏まえまして、また地元の住民の方々の不安を解消するために、国の常駐官を原子力発電所に派遣いたしましてその運転管理状況を常時監視させるための制度ということで、昭和五十五年度に発足させたものでございます。現在全国十カ所の原子力発電所に十五名の運転管理専門官を派遣しております。  先生ただいま御指摘ございましたように、運転管理専門官十五名のうち五名につきましては、省庁間配転によりまして農林水産省の御協力を得まして実現したものでありまして、昨年十二月一日より勤務いたしております。この五名でございますが、従来農政上のエキスパートということで行政をやっていたわけでございますが、いままで電気事業と全く無縁な仕事をやっていたということで、現段階では主として本省から行っております専門官の補助的業務と申しますか、あるいは事務的な仕事を担当しております。ただ、私どももいろいろと研修等をいままで実施しておりますし、これからもいろいろと計画しておりますが、これから経験を積むことによりまして一日も早く運転管理監督の第一線で仕事をしていただくということを期待しておるわけでございます。  研修につきましては、昨年十二月発令になりまして、すでに二度にわたりまして東京におきまして研修を実施しております。そのほか、原子力発電所におきまして先任の運転管理専門官と一緒に、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますが、発電所におきましていろいろと研修をする、あるいは原子力発電所をつくっておりますメーカーに行きましていろいろな機器について勉強するということで、いま研修を積み重ねている状況でございます。
  90. 野間友一

    ○野間委員 正確に答えるのは大事だと思いますけれども、聞いたことに答えてくださいよ。長々と答えられますと時間がたってしようがないのですよ。  そういう素人の方、これは本人の意思、希望で配転してやられたのかどうかよくわかりません。この点については時間がありませんのでこれ以上追及できませんけれども、よく考え直して適切に措置をされるように要求しておきたいと思います。  次に、ロランAについてお聞きしたいと思います。  これは保安庁、水産庁が中心になると思います。時間がありませんのではしょりますが、御案内のようにロランAというものは漁船の位置を確定するために欠くことのできない装置になるわけであります。ところが海上保安庁が、昨年の秋ですか暮れですか、たとえば2H6、こういうレート等々が一番ひどいわけですけれども、受信不能海域があるということでこの点についての調査を実はされたわけであります。これは報告書を私も持っております。それからもう一つは、ロランAを近い将来なくしていく、そして今度はデッカにかえていくというようなことが言われておるわけです。質問を私したいのは、一つは、調査の結果、2H6レート等々受信不能の地域があるという認定、そういうような評価をされておるわけでありますが、これについてどうすれば是正されるのか。これは実際に受信装置をつくっております古野電機で聞きますと、アンテナとかアースを手直しするだけで直るのは不可能だというわけです。むしろ八丈島、これはいま出力百三十キロワットです。硫黄島にあったころは六百キロワットですね。八丈島のこの出力をもっとパワーアップしてほしい、そうすれば是正できるということを専門の古野電機の方も言っておるわけです。したがってこのロランAの整備、特に出力のパワーアップで、特に黒潮のルート、このあたりの受信困難な地域を解消して、漁民の皆さんの利益になるようにぜひ措置をお願いしたいというのが一つ。  それからもう一つは、無線協会とか大日本水産会等から要望も出ておりますように、保安庁に対しまして、ロランAをぜひ将来も存続させろ、デッカに切りかえることがないように、こういうことを要求しておりますが、この点についての方針をお聞きしたいと思います。
  91. 山越芳郎

    ○山越説明員 ただいま先生から御指摘がありましたとおり、五十三年当初から米国のコーストガードが運用しておりました硫黄島のロランAが廃止になりまして、そのため和歌山県、四国沖の一部の海域において漁船でロランAの船位測定が困難になったということがございました。  この件につきまして海上保安庁で、当庁の船舶をもちまして五十三年以降数回にわたりまして調査をしてきております。それから五十三年には地元の漁船によりまして調査も進めたわけでございますが、その結果、当庁の船舶で測定した限りにおきましては、特に測定ができないというような海域は存在いたしませんでした。ただ、漁船でやりました場合には、漁船内のロランAの装備状況が不備であるということ、及び、ロランAで船が位置を出します場合、三局または四局のロラン局からの電波を受けて位置を出すわけですが、ロランA局のどの局を使うかというその選定が必ずしも適切でないために船位測定が困難であったというようなことが認められました。  それで、海上保安庁といたしましては、装備方法が不備な漁船については、受信機のメーカー及び漁業組合を通じましてその不備を改善するよう指導するとともに、適切なロラン局、レートと言うのですか、それを使っていただくよう指導をしてまいりました。また、その海域において利用可能な日本海側のロランA局についてもロランチャートに五十三年十一月から記載をしておりまして、われわれといたしましては、その海域でロランAが十分利用できるというふうに考えております。  それから、先生の御指摘になりました、パワーアップをすればいいのではないかという件でございますが、パワーアップをいたしましてもそれほど効果が期待できないのじゃないかというふうにわれわれとしては考えております。  それで、装備を改善してもまだ測定不能だという御指摘のようでございますが、そういうことになりますならば他に原因も考えられるのではないか。たとえば雑音の問題とかそういうこともありますので、再度調査をしたいと思っております。  ロランAをやめるという問題でございますが、現在ロランAのユーザーがたくさんございます。そのユーザーの動向を見て考えなければならない問題だと思います。現時点におきましては、具体的にロランAをやめるタイムスケジュールを持っているわけではございません。
  92. 野間友一

    ○野間委員 いろいろな漁船、漁業に携わっておる方に聞きますと、たとえば九州の南の方、対馬、それから日本海側、同じ船の同じような受信設備で、2Hレート等以外のところではよく入る、こういうわけですね。ところが2H6レートは入りにくい。これは先ほど課長が言われましたが、この報告書を見ましても、いま私が言いましたようなところでは夜間受信困難であったとかあるいは受信不能であったとか、2S7レートは夜間は受信不能であったとか、いろいろな指摘が随所にしてあるわけで、いま言われたように多少の受信装置の改善あるいは受け方の改善で決してできるものではない。このこと自体は、第五管区海上保安本部そのものが報告書の中で、文書ではっきり書かれておるわけで、この点についてはやはり正確にひとつお答えをいただかなければならぬと思うのです。  それから、いま申し上げたように、この受信装置のメーカーあるいは販売をやっておる西宮にあります古野電機、ここに聞きましたら、そういう多少の手直しじゃだめだ、つまりロランAの基地そのもののパワーアップがなければだめだ、これをやればできるのだということをはっきり言っておるわけです。  保安庁はいろいろ言葉を濁してあれこれ言われますけれども、デッカにもしかえた場合、リースでかなり金がかかるわけです。ロランAの場合には受信装置は買い切り、これは約四十万するようですけれどもね。ところが、デッカにかえまして、これの受信装置をやりましたら、セナーという独占会社で、リースしかないというわけですね。しかもリース料が年間三十六万円。ですから、ここに奉仕するようなことにしかならぬわけです。デッカ網は国際的な趨勢だとかなんとか言われているようですけれども、セナーの会社そのものを調べてみましたら、これは海上保安庁から大変な天下りなんですね。昭和五十五年の人事院の「営利企業への就職の承認に関する年次報告書」を見ましても、昭和五十五年度以降今日まで八人天下りをしておるようです。  こういうことで、デッカそのものはリースで三十六万円も金を出してやる。いま魚価が低迷して漁業そのものが大変な状態なんですね。しかもリースしかない。そういう状況ですし、中小の漁船はロランAを十分利用してあちこちで操業しておるわけですが、特に受信不能な個所については、あるいは困難な個所については、パワーアップをすればこれは十分受信が可能だということを言っておるわけですから、先ほど課長はもう一遍調査をすると言われましたけれども調査をして、ロランAをなくさない、そして漁民に受信可能のような状態にする義務がある、こういうふうに私は思います。と同時に、当面というか、いまのところこれを廃止することは考えていないというふうな話がありましたけれども、保安庁の次長からその点のお答えをいただきたい。  それから、これは言ってみれば一つの海の羅針盤ですから、やはり水産庁としても大変重視しておると思います。そういう点で水産庁としてもこれらの実態を把握して、これは衝突事故等々障害も出てきますから、この点について海上保安庁等々に十分物を申して、漁民の操業の安全にぜひひとつ尽くすように措置をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  93. 大塚正名

    ○大塚(正)政府委員 先ほど電標課長からお答え申し上げましたように、わが国のロランAの廃止問題につきましては、私どもが整備中でございますデッカチェーンの整備の状況とか、あるいはユーザー、特に小型の漁船関係方々のそういった問題等を十分に考慮いたしまして慎重に決定する必要があろうかと存じております。したがいまして、現在具体的に、どういう時期にどういう形で廃止するというようなことについては一切計画を有していないわけでございます。  細かい報告書についての問題点につきましては、電標課長からお答えをさせていただきます。
  94. 山越芳郎

    ○山越説明員 調査結果の件でございますが、四国沖もしくは和歌山県沖で使いますレートといいますのは、先ほど御指摘になりましだ2Hレート、2S7レート、2S5レート、2S6レート、2S〇レート、2S4レートと、幾つかのレートがございます。実際に位置を測定いたします場合には、二つのレートがあれば測定が可能でございます。それで、その場所に応じまして適切なレートを使用いただくことによって位置が測定可能になると思います。  それから、電波は海上を伝搬するか、または陸上を伝搬するかということによりましてその電波の伝搬の仕方が違います。そのために場所によってあるレベルで受かる、またはレベルが小さくなる、大きくなるということがございまして、必ずしもすべての場所で同じというわけにはなかなかいかないというのが現状であります。  以上でございます。
  95. 今村宣夫

    今村政府委員 従来からいろいろ話は海上保安庁から聞いておりますけれども、ただいま先生からお話がございましたので、海上保安庁の方からもよく話を聞きますし、漁業者自身からもその利用の実態等について私どもでもよく調査したいと思います。
  96. 野間友一

    ○野間委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、これからいろいろ問題がありますので聞きたいわけですが、これはまた別の機会にあるいは任意にいつかお呼びして、この点についてぜひ詰めてみたいと思います。いま長官も言われましたし、保安庁の方からも答弁がありましたけれども、漁船の安全についてぜひ万全の措置をとられるように重ねて要望して、質問を終わりたいと思います。
  97. 田邉國男

    田邉委員長 次回は、来る四月二十八日火曜日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十分散会