○
今村政府委員 対米、
対ソの
交渉を踏まえて今後の
わが国の
漁業の
方向はどうかというお尋ねでございますが、対
米関係においては大筋としては私は大体うまくいっておると思うのです。今回のような
イシイルカの混獲問題等具体的な問題はございますけれ
ども、これらについてはよく
話し合いをして
解決を図っていけると思っております。
一番の問題は、今後の
水産物貿易等、
水産の割り当てについて、
ブロー法案な
ども通った後
アメリカがどういう
政策展開を図ってくるかというところが、われわれとしては十分に
留意をするべき問題であろうと思います。幸いにして昨年
フランク長官と私の間で
貿易関係の問題を
話し合いで
解決をいたしまして、一応
日本はそれを忠実に実施をしておるということを高く評価をいたしておりますが、昨年の
輸入数量は非常な減り方をいたしておりまして、二〇%近く減っておるわけでございます。そういう減り方について、
アメリカは今後
ブロー法案の
施行等との
関係でどういう出方をしてくるかということについて十分な
留意が必要であろうというふうに思っております。
対ソ関係におきましては、私は、
日ソ、
ソ日はまずよほどのことがない限り安定をしてきたというふうに思っていいと思っております。ただ、
サケ・
マスは、これは
ソ連に遡河する
サケ・
マスを
日本がとっておるといいますかとらしてもらっておるという
関係で、どうしてもこの
交渉は非常な困難を伴うわけでございます。ことしは
豊漁年でありましたのですが、
豊漁年ということになりますとまたかえって
交渉がやりにくいという面がありまして、といいますのは、
豊漁年でありますから
ベニ、
シロ、
ギンというような
値打ち物はとらないで
マスをとれ、こういう話になるわけでございます。そうしますと、よく
御存じのように、
ベニの一匹は
マスの三匹ぐらいに相当するわけでございますから、
ベニ、
シロ、
ギンを減らされたのでは何にもならないということでございまして、そこの攻防がことしの山場であったわけでございます。
幸いにして
魚種別の
クォータは前年どおりということになったわけですが、そのかわりというわけではないのですけれ
ども、
コンペが二億五千万ほどふえておる。これは将来どうなるのかという問題でございますが、私は、
コンペの
水準というのはもういいところへきておるので、これ以上ふやすことはなかなかむずかしい
状況にあるということは今回も強く主張いたしたわけでございますが、
ソ連としては
自分の魚を
日本にとらせるのだという
立場が非常に強うございまして、これをどういうふうに歯どめをかけていくかということは、いまのところ、私も帰ってきた早々でわかりませんが、非常に端的に申しますならば、漁期が来ても現在の
コンペの
水準でどうしても最後までがんばってしまう、あるいはまた、
コンペの
水準を維持できないならば
クォータの
水準を下げてもいいというふうな覚悟をしないと、これはなかなか歯どめがかからないのではないかという感じを持っておるわけでございます。
御
指摘のように、その辺のところが今後の
サケ・
マス交渉の非常な
問題点でございまして、
クォータも四万二千五百トンから下げられない、
コンペも四十億からはなかなか上げられない、しかも
ベニ、
シロ、
ギンというのを
日本がたくさんとっておるということを
向こうはよく知っておるという
事態を踏まえますと、私は
サケ・
マスについては新たな困難な局面に当面をしておるのではないかというふうに思っております。
その他の
海外の
事情も、
入漁料が徐々に上がっておるという問題もあります。
クォータはそれほど下がってはいないのですが、そういう問題もございます。したがいまして、いま以上の
条件の悪化を来さないように、どういうふうに
対外交渉を取り進めていくかということが非常な問題であろうかと思います。
そういう
事態を踏まえまして、やはり
一つの
方向としては、とる
漁業からつくる
漁業へという、
日本の二百海里内の資源的に豊富な
水域の
開発ということをどうしていくか、あるいはつくっていく
漁業をどういうふうに取り進めていくかということが、強力な
漁業外交と並行して
水産の
課題であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。