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1981-03-26 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十六日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       北口  博君    北村 義和君       近藤 元次君    菅波  茂君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       玉沢徳一郎君    保利 耕輔君       三池  信君    渡辺 省一君       串原 義直君    島田 琢郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    近藤  豊君       林百  郎君    木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房審議官    高畑 三夫君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  内田 文夫君         外務省経済局国         際機関第一課長 池田 右二君         大蔵省関税局国         際第二課長   吉川 共治君         厚生省児童家庭         局企画課長   北郷 勲夫君         農林水産大臣官         房審議官    井上 喜一君         農林水産省経済         局統計情報部長 関根 秋男君         通商産業省貿易         局輸入課長   横山 太蔵君         通商産業省生活         産業局通商課長 末木凰太郎君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   森  整治君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   林  百郎君     寺前  巖君     ――――――――――――― 三月二十五日  漁業者老齢福祉共済制度の創設に対する助成等  に関する請願小沢一郎紹介)(第二一六五  号)  農業改良普及事業強化充実に関する請願(小  沢一郎紹介)(第二一六六号)  サケ・マス増殖事業拡充強化に関する請願(  小沢一郎紹介)(第二一六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  蚕糸砂糖類価格安定事業団法案内閣提出第三  二号)  農林水産業振興に関する件(畜産蚕糸問題  等)  蚕糸業振興に関する件  畜産物価格等に関する件      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  蚕糸砂糖類価格安定事業団法案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。亀岡農林水産大臣。     ―――――――――――――  蚕糸砂糖類価格安定事業団法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 蚕糸砂糖類価格安定事業団法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  わが国蚕糸業は、伝統的産業として国民生活に深く根差しており、また、養蚕業は、農山村、畑作地帯における基幹作目として定着し、農業経営上重要な複合部門の一つとして農家経済及び地域社会に大きく寄与しているところであります。  しかしながら、繭及び生糸は景気の変動等経済事情による価格変動が激しく、蚕糸業経営の安定を図るためには、繭糸価格の安定が欠くことのできない課題であります。  このため、日本蚕糸事業団が、昭和四十一年に設立され、これまで生糸買い入れ売り渡し等業務を実施してきたところであり、また、最近におきましては、世界的な生糸、絹の過剰基調のもとで生糸一元輸入業務の実施を通じ、繭糸価格の安定を図ってまいったところであります。  一方、砂糖は、国民生活上重要な物資であり、また、砂糖原料作物であるてん菜及びサトウキビは、それぞれ、北海道または鹿児島県南西諸島及び沖繩県における農業基幹作目であるところから、砂糖価格の安定と甘味資源作物生産振興を図ることが農政上の重要な課題であります。  しかしながら、砂糖は国際的な相場商品であって価格変動が激しく、国内糖価もこれに連動して変動しやすい関係にあります。かかる国内糖価変動は、国民生活の安定に悪影響を及ぼすのみならず、国内産糖製造業の健全な発展を阻害し、甘味資源作物農家経営に大きな打撃を与えるおそれがあります。  このような問題に対処するため、昭和四十年に糖価安定事業団が設立され、輸入糖価格調整国内産糖価格支持を行うことにより、砂糖価格の安定と国内産糖製造業の健全な発展を図るとともに、甘味資源作物農家の所得の確保と国民生活の安定に寄与してまいったところであります。  このように日本蚕糸事業団及び糖価安定事業団が行っております業務は、わが国農業発展等に欠くべからざるものであり、今後ともその重要性はますます増していくものと考えておりますが、現下の重要政策課題である行政改革の一環として特殊法人整理合理化を進めるという観点から、両事業団を統合することとし、今回この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、日本蚕糸事業団及び糖価安定事業団を解散し、新たに蚕糸砂糖類価格安定事業団を設立することであります。  新事業団は、解散する両事業団の一切の権利及び義務を承継するとともに、これまで両事業団が実施してきた業務をそのまま引き続き行うこととしております。  第二に、役員につきましては、日本蚕糸事業団糖価安定事業団役員は合わせて常勤役員十二人、非常勤役員五人でございましたが、新事業団では、常勤役員九人、非常勤役員三人とすることとしております。  その他、財務及び会計に関する規定を整備するとともに、両事業団の統合に伴う経過措置等を講ずることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 田邉國男

    田邉委員長 補足説明を聴取いたします。二瓶農蚕園芸局長
  5. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 蚕糸砂糖類価格安定事業団法案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、日本蚕糸事業団及び糖価安定事業団を解散し、新たに蚕糸砂糖類価格安定事業団を設立することとしております。  新事業団は、両事業団の一切の権利及び義務を承継することとなります。  また、日本蚕糸事業団に対する政府及び民間出資につきましては、そのまま新事業団に対する出資として引き継ぐこととしております。  第二に、新事業団役員につきましては、従来両事業団合わせて常勤役員十二人、非常勤役員五人でありましたものを、行政改革趣旨に沿って、常勤役員九人、非常勤役員三人とすることとしております。  また、新事業団業務の適正な運営を期するため、理事長諮問機関として運営審議会を設置することとしております。  第三に、新事業団業務につきましては、従来、両事業団が実施してまいりました業務を引き続き行うこととしております。  すなわち、新事業団におきましては、繭及び生糸価格について、安定価格帯を超える異常な変動防止及び安定価格帯の中での相当な水準における価格の安定いわゆる中間安定を図るため、生糸買い入れ及び売り渡し、外国産生糸一元輸入、繭の保管に要する経費の助成等業務を行うとともに、糖価の安定及び国内産糖等価格支持を図るため輸入糖及び国内産糖等買い入れ及び売り渡し業務を行うこととしております。  これらの業務につきましては、繭糸価格安定法または砂糖価格安定等に関する法律の定めに従い、実施することとしております。  第四に、新事業団財務会計につきましては、繭糸価格異常変動防止に関する業務及び中間安定等に関する業務並びに糖価安定に関する業務ごとに、勘定を設け、経理を区分することとしており、それぞれの業務ごと財務の状態と経営の成績を明確に把握することができるよう措置することとしております。  また、従来どおり国内産糖等価格支持の費用の一部に充てるため、国から新事業団に対し、交付金を交付することとしております。  以上のほか、新事業団の設立に伴う経過措置及び従来両事業団の組織、財務会計等が定められておりました繭糸価格安定法及び砂糖価格安定等に関する法律該当部分削除等、所要の規定を整備することとしております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明を終わります。
  6. 田邉國男

    田邉委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  7. 田邉國男

    田邉委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件につきまして、本日、畜産振興事業団理事長森整治君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  9. 田邉國男

    田邉委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  昭和五十六年度指定食肉価格算定、最近の酪農をめぐる情勢昭和五十五年肥育豚、子豚、肥育牛乳用雄肥育牛、牛乳の生産費及び蚕糸業をめぐる情勢について政府から説明を聴取いたします。井上審議官
  10. 井上喜一

    井上説明員 それでは、指定食肉につきまして、本日畜産振興審議会食肉部会に提出いたしました試算について御説明申し上げます。  まず、総括表をごらんいただきたいと思いますが、昭和五十六年度指定食肉安定価格試算総括表去勢和牛肉、その他の去勢牛肉、これは乳雄でございます、それから豚肉、五十五年度告示に対します五十六年度のそれぞれの食肉上位価格中心価格基準価格につきましての案の総括表でございます。  まず、去勢和牛肉につきましては、中心価格を三・一%アップいたしまして千六百八円二十五銭、基準価格は一三%開きました千三百九十九円十八銭、上位価格が千八百十七円三十二銭でございます。  その他の去勢牛肉乳雄につきましては、中心価格を一・二%上げまして千二百八十五円三十四銭、基準価格上位価格は、それぞれ一三%を上下に開きまして、千百十八円二十五銭、千四百五十二円四十三銭と相なっております。  豚肉につきましては、中心価格を二・〇%上げまして六百八十九円六十五銭、これもそれぞれ一三%上下に開きまして、下の方を基準価格といたしまして六百円、上の方を上位価格といたしまして七百七十九円三十銭という案になっているわけでございます。  これの説明を申し上げますが、算定要領に基づきましてそれぞれ算定したわけでございますが、去勢和牛肉につきましては「算定説明参考資料 その1」をお開きいただきたいと思うわけでございます。  まず一ページでございます。  算定方式につきましては、  P1=(P0×I)×m+k(1±v)で開くということになっているわけでございます。P1が求める価格でございます。P0は基準期間におきます去勢肥育和牛農家販売価格基準期間は過去七年間をとっておりますので、その間の農家販売価格に相なるわけでございます。Iはその七年間に対します価格決定年度つまり昭和五十六年度去勢の若齢肥育和牛生産費指数でございます。生産費変化率ということが言えると思います。mとkは農家販売価格卸売価格に換算する係数でございます。vは卸売価格変動係数ということでございます。  試算をいたしましたのがその次に書いてあるものでございまして、P0は九百三十九円、Iが一・〇五三になりますので、これを計算いたしますと九百八十八円七十七銭になります。それからmが一・四九七、kが百二十八・〇六となりまして、これを全部くくりますと千六百八円二十五銭に相なります。これをプラス・マイナス一三%開きまして、上が千八百十七円三十二銭、下が千三百九十九円十八銭ということで、それぞれ安定上位価格安定基準価格に対応するわけでございます。  それから「算式2」といたしまして二ページに書いてございますが、これは「算式1」を検証する目的で参考までに出した数字でございますが、  P2=(cバー×m+k)(1±v)ということでございまして、P2は求める価格でございます。cバー価格決定年度つまり昭和五十六年度去勢齢肥育和牛推定生産費でございます。mとkとvにつきましては、算定方式の1と同じでございます。算定いたした結果はそこに書いてあるとおりでございまして、安定上位価格が千七百八十三円八十七銭、安定基準価格が千三百七十三円四十三銭、こういうぐあいに相なっております。  以下につきましては、それぞれの要素につきましての基礎資料でございます。  まず三から四ページにかけましては恥でございまして、これの昭和五十六年の一月の下の欄を見ていただきたいわけでございますが、農家販売価格を単純に平均いたしますと九百六十四でございます。安定上位価格あるいは安定基準価格に見合う価格をオーバーしたりあるいは下がっておりますと、それをそれぞれ安定上位価格あるいは安定基準価格に見合う農家販売価格に修正いたしておりますので、そういう方法で修正いたしましたのが、つまり九百三十九円ということに相なるわけでございます。  次に、生産費指数の一の計算、五ページでございます。    I=Σq0P0分のΣq1P1 という方式で算定いたしておりますが、q0といいますのは基準期間つまり七年間の第一次生産費に占めます各費目、いろいろな費目がございます、労働費でございますとかあるいは飼料費でございますとか光熱水料とか、そういった費目でございます、それの五十年度価格でもって表現した金額でございます。q1は昭和五十六年度の第一次生産費に占めます、ただいま申し上げました各費目の五十年度価格表現した金額でございます。P0は基準期間つまり過去七年間におきます各費目に関連したそれぞれの物価指数でございます。これは昭和五十年度を一〇〇にした物価指数でございます。P1は最近時の各費目物価指数でございまして、これは昨年の十一月から本年の一月まで、最新時点物価指数をとっておりますが、これも昭和五十年度を一〇〇にして表現いたしております。そういうことで試算をいたしましたのが一でございまして、Iは一・〇五三ということに相なるわけでございます。  六ページ、七ページ、それから八ページ、九ページ、十、十一ページ、十二、十三ページはそれの資料でございます。  それから次に十四ページに参りまして、枝肉換算係数mとkでございますが、これは卸売価格農家販売価格回帰式でございまして、  Y=1.497X+128.06ということで、Xが農家販売価格、Yが枝肉卸売価格になりまして、これが枝肉換算係数でございます。  それから十五ページは「算式2」に関連するものでございまして、下の方になりますが、第一次生産費の九万八十五円というのがございます。これが実は前の五ページにございましたシグマのq1、P1に対応するものでございます。つまり昭和五十六年度推定生産費でございますが、これをとってまいりまして、あと生産費調査等から推計いたしました地代、資本利子租税公課等を加えまして算定いたしたものでございまして、九万六千八百八十六円となっております。これを「算式2」のcバーのところに入れて計算をしたわけでございます。  以上が去勢和牛肉でございます。  その次に「その2」の「その他の去勢牛肉」について御説明申し上げます。  大体算定方式は同じでございますが、実は、従来去勢和牛肉安定価格を算定いたしまして、それから一定の比率でもってその他牛肉安定価格を算定していたわけでございますけれども、この去勢牛肉につきましても、五年間の生産費調査が整いましたので、それを使用して去勢和牛肉とは別途にその他の去勢牛肉安定価格を算定する、そういうような方法をとっております。  まず「算式1」でございますが、  P1=(P0×I)×m十k(1±v)ということでございまして、P1は求める価格でございます。耳につきましては、ただいま申し上げましたように五年間の生産費調査を使いますので、その五年間の乳用雄肥育牛農家販売価格をとっております。Iにつきましては、その五年間に対する翌年度つまり昭和五十六年度乳用雄肥育牛生産費指数でございます。mとkは生体を枝肉に換算する係数でございます。vは卸売価格変動係数でございまして、算定いたしました結果がそこに書いてありますとおりでございまして、安定上位価格が千四百五十二円四十三銭、安定基準価格が千百十八円二十五銭というぐあいに相なっております。  「算式2」につきましては、前の去勢和牛肉と同様の方式でございますが、  P2=(cバー×m+k)(1±v)で開く、こういうことでございまして、これで試算いたしましたのが安定上位価格千二百八十円二十三銭、安定基準価格九百八十五円六十七銭というぐあいに相なるわけでございます。  次に、各費目算定資料でございますが、三ページから四ページにかけましてはP0の資料でございます。これも一番下のところを見ていただきたいのですが、五十一年から最近時点までの農家販売価格平均は七百六十四円でございますが、これも去勢和牛肉でとりましたと同様の方法で修正いたしまして、七百四十九円ということにいたしております。  それから次に、五ページでございますが、    I=Σq0P0分のΣq1P1 ということでございまして、費目考え方といたしましては同様の方法でございます。q0につきましては基準期間五年間の第一次生産費に占めます各費目金額、五十年度を一〇〇にいたしました価格表現をいたしております。q1は価格決定年度の第一次生産費に占める各費目金額でございます。これも昭和五十年度価格表現をいたしております。P0は昭和五十年度を一〇〇といたします基準期間の、つまり五年間の物価指数でございます。P1は最近時点物価指数でございまして、昨年の十一月からことしの一月までの昭和五十年度を一〇〇とする物価指数でございます。それで計算いたしました一が一・〇一七に相なるわけでございます。  あと六ページ、七ページ、八ページ、九ページ、十ページはその積算資料でございます。  十一ページがmとkでございますが、これも去勢和牛肉と同様な方法によって計算しておりまして、その結果、mが一・四九八、kが百四十四・二七、こういう具合に相なっております。  それから十二ページは「算式2」に関連する生産費でございます。これにつきましても去勢和牛肉と同様の方法計算したものでございまして、六万五千九百七十一円が百キログラム当たりの推定生産費となっております。これを生産費といたしまして安定価格を算定したのが「算式2」でございます。  以上で牛肉の方を終わりまして、次に豚肉に移りたいと思います。  豚肉の「算定説明参考資料」というのをお開きいただきたいのですが、まず一ページ「指定食肉豚肉)の安定基準価格及び安定上位価格」の算定方式でございます。これも算定方式といたしましては同様の従来どおり算定方式をとっておりまして、  P1=(P0×I×α)×m+K(1±v) こういうことでございます。ただし、    α=1+(QA分のQ1-QA)〔γ〕 でございます。P1が求める安定価格でございます。恥が基準期間豚肉の場合は基準期間五年間をとっておりますので、それの肉豚農家販売価格。Iにつきましては、基準期間つまり五年間に対する昭和五十六年度肉豚生産費指数生産費変化率でございます。アルファは、昭和五十六年度豚肉需給調整係数でございます。mとkは枝肉換算係数でございます。vは価格変動係数でございます。QA昭和五十六年度豚肉推定需要量、Q1は推定供給量でございます。ガンマは価格供給弾性値でございます。それで計算をいたしますと、安定上位価格が七百七十九円三十銭、安定基準価格が六百円ということに相なっているわけでございます。  御案内のとおり、豚肉につきましては湯はぎ、皮はぎという二つの整形方法がございますが、これは皮はぎで皮を取る整形方法でございますが、それで仕上げた枝肉安定価格でございまして、湯はぎ法は皮がついておりますのでこれより七%の格差のついたものといたします。  それから「算式2」でございますが、  P2=(cバー×m十k)(1±v)でありまして、P2が求める価格cバー価格決定年度肉豚推定生産費でございます。mとk、vは「算式1」と同様の考えでございます。それで算定いたしますと、安定上位価格が七百二十三円十五銭、安定基準価格が五百五十六円七十七銭でございます。  各費目についての説明でございますが、三ページから四ページにかけましては恥に関連したものでございまして、これも去勢和牛肉と同様の方法で修正をいたしております。実際値の平均が四百二十八円でございますが、安定上位価格を突破しあるいは安定基準価格を下回るような農家販売価格であります場合には、それぞれ安定上位価格安定基準価格水準に修正いたしております。それの平均が四百二十二円でございます。  それから次に五ページに参りまして、生産費指数でございます。生産費指数も    I=∑q0P0分の∑q1P1 という方式をとっているわけでございまして、中身は違いますが、考え方としては同様の方式をとっているわけでございます。  まずq0は、基準期間の五年間の第一次生産費に占める各費目金額でございます。昭和五十年度価格基準でございます。それからq1は価格決定年度の第一次生産費に占めます各費目金額でございます。五十年度価格水準でもって表現をいたしております。P0は五年間におきます各費目に関連する物価指数でございます。五十年度を一〇〇とした物価指数でございます。P1は同様に五十年度を一〇〇とした最近時点での物価指数でございます。昨年の十一月からことしの一月までの物価指数平均をとっております。その試算の結果が一・〇一九でございます。  六ページ、七ページ、八ページ、九ページ、十ページ、十一ページまでがその内容説明でございまして、十二ページから十三ページにかけましてアルファ計算式でございますが、これにつきましては、五十六年度推定需要量を出しております。推定需要量は、過去の数値から消費支出あるいは人口との関連において算定いたしております。供給につきましては、農林省で調査をいたしております出荷動向調査あるいは繁殖雌豚の動向調査等から算定をいたしております。  ガンマでございますが、これは官房調査課で試算をいたしました豚肉価格供給弾性値マイナス〇・六七八というのを使用して算定をいたしているわけでございます。それで算定した結果が一ということに相なるわけでございまして、この中で輸入量の見込みでございますが、前年度と大体同水準の輸入を見込んで供給の方にカウントをいたしております。  次に、mとkでございます。十五ページでございますが、これも去勢和牛と同様の手法によりまして販売価格卸売価格との回帰式をつくっているわけでございまして、mが一・五〇五、kが四十二・四七でございます。  それから、十六ページは推定生産費でございますが、第一次生産費は、先ほどの算定方式推定いたしました五十六年度推定生産費をとっておりまして、三万八千六百四十六円、それに地代、資本利子、租税公課をプラスいたしまして三万九千六百九十三円となっておりまして、これを使いまして「算式2」で安定価格を算出している、こういうことでございます。  以上で食肉関係の説明は終わりまして、あと酪農の情勢につきまして御説明いたしたいと思います。  「最近の酪農をめぐる情勢について」という資料説明をいたします。  まず「酪農経営の動向」でございますが、戸数は漸次減少をいたしまして、頭数が多くなってきております。この間、経営の規模が急速に拡大をしてきております。昭和五十五年で見ますと、飼養戸数が十一万五千戸で、北海道が二万一千戸都府県が九万四千戸でございます。飼養頭数については、五十五年が二百九万一千頭、北海道が七十五万二千頭、そういうような傾向でございます。一戸当たりの飼養頭数も急速に規模が拡大をしてきているわけでございまして、北海道は五十五年では三十五・一頭というような大規模なものになってきております。  生産性の方でございますが、こういうようなことを背景にいたしまして年々向上してきております。生乳百キログラム当たり労働時間で見ましても、この表にありますように減少をしてきております。特に、内地と北海道の格差もかなり出てきているわけでございます。  それから、二ページに参りまして、搾乳牛一頭当たりの乳量でございますが、これも着実にふえてきております。特に最近数年間の一頭当たりの搾乳量の伸びが著しいわけでございまして、たとえば昭和五十年には全国で四千四百六十五キロであったのが、五十四年では五千キロを若干超えております。特に北海道は、五十年の四千二百三十キロが五十四年には五千百七十五キロというように、内地を非常にオーバーする一頭当たりの搾乳量の増加が見られるわけでございます。  収益性は、一日当たり家族労働報酬で見ましても着実に上がってきておりますが、五十五年は販売価格の下落を反映いたしまして減少をいたしております。米の方との比較におきましては、昭和五十一年以降その収益性を上回っているというふうな状況でございます。  次に、三ページは酪農経営の負債とか資産とかいうような状況でございますが、これは北海道と内地に分けまして、農業収入の八〇%以上の酪農経営をとらえております。これで見ますと、五十四年度まででございますが、農業所得もふえてきている。農家経済余剰もふえてきている。資産の方もふえてきている。借入金もふえますが、それ以上に資産の方がふえてきている、こういう状況がはっきりすると思います。  北海道の場合は、借入金のうちで財政資金に依存する部分が多いわけでございます。約七〇%が財政資金に依存をしている。貯蓄の方も年々ふえてまいりまして、五十四年度は九百万を超えているということでございます。  都府県はそれより若干、規模といいますか、金額が下回っております。特に借入金の方は、北海道が大体千八百万程度であるのに対しまして、内地の方は五百万円というぐあいにかなり少ないわけでございます。また、財政資金に依存する割合も内地は小さいわけでございます。貯蓄額は、北海道ないしは北海道以上の貯蓄額がある、こういうことが言えるかと思います。資産につきましては、内地も大変な資産を持っているということが言えると思います。  次に「牛乳乳製品需給の動向」でございますが、牛乳、乳製品の需要動向は近年は鈍化してきているわけでございます。一方、生乳生産は非常に増大いたしまして、需給のバランスが崩れているということで、五十四年度から計画生産生産抑制をしていることは御案内のとおりでございます。ここには五十一年度から五十四年度までの需要と生産量を飲用と乳製品に分けて出しまして、一番下にその過不足を出しております。五十二年度には十五万トン、五十三年度には二十九万トン、五十四年度には十九万トン、こういった過剰が出てきているわけでございます。  それから、飲用牛乳がやはりこれから消費の主導を担っていくわけでありますけれども、これも伸び率が低下傾向でございます。特に五十五年度は冷夏の影響によって伸び率が低かったということが言えると思うのです。五十一年度から五十四年度、それから五十五年四月から五十六年一月までの消費量と率が書いてございますが、ごらんいただきたいと思います。確かに冷夏の影響もありますけれども、その冷夏の影響がない時期をとりましても消費の伸びが落ちてきているということがうかがえると思うのです。  それから、乳製品でございますが、これは生乳需給ギャップがありまして、余乳が乳製品に回るということで大幅な供給過剰が続いております。五十二年、三年、四年、これのバター、脱脂粉乳それぞれの需要量生産量を出しておりまして、その過不足をそこに書いておきましたが、いずれも過剰でございまして、これらが全部積み越されているという状況でございます。チーズについては、需要は伸びておりますが、生産の方は大体年間一万トンという水準で推移をしております。  それから、乳製品在庫でございますが、こういった需要、供給の状況を反映いたしまして、ずっと在庫が多くなってきております。バターが五・六カ月分、脱脂粉乳が八・八カ月分、こういうことが言われるわけでございますが、そういう在庫があるわけでございます。価格の方も、五十四年度よりは幾分回復いたしましたが、なお、安定指標価格に対しまして、バターは九二・七%、脱脂粉乳については九八・一%の水準でございます。  次に、農家の手取り乳価でございます。六ページでありますが、これも五十四年度以降低下傾向を示しております。全国段階で見ていただきますと、五十三年度が百二円二十銭、五十四年度が百一円三十銭、五十五年四月から五十六年一月までで、これは畜産局の推計でございますが、百円程度のところでございます。  最後に、乳製品の輸入状況でございますが、まず乳製品部門の合計でございます。大体各費目とも減少いたしております。チーズが若干ふえておりますが、減少いたしておりまして、五十五年で見ますと、生乳換算で輸入量は二百六万三千トンでございまして、対前年比が九二・四%でございます。あと、調製食用脂とココア調製品につきましては、ここにありますように、五十五年は乳量換算では三十一万八千トンでございまして、一一六・五という対前年比で、増加をしているわけでございます。  簡単でございますが、以上で説明を終わります。
  11. 田邉國男

    田邉委員長 関根統計情報部長。
  12. 関根秋男

    ○関根説明員 五十五年の生産費について御説明をいたします。  資料が五つほど入っておりますが、時間の関係もございますので、結論的な部分のみ申し上げたいと思います。  一番最初に、資料ナンバー1というのがございますが、これは肥育牛乳用雄肥育牛生産費でございます。結論から申し上げますと、一ページでございますが、肥育牛の生体百キログラム当たりの生産費は六・二%の上昇でございます。乳用雄肥育牛生産費は一五・七%の増加となっております。この理由は、二ページ以下に書いてございますが、生産費を構成します大きな要素の素畜費、飼料費労働費がそれぞれ上昇しておるということの結果によるものでございます。これは去勢乳用雄とも共通でございます。  次に、資料2の肥育豚生産費について申し上げます。肥育豚生産費につきましては、百キログラム当たり生産費は対前年比で四・五%の減少になっております。この減少の理由は、二ページでございますが、素畜費と飼料費労働費の三つが生産費の構成要素の大きな部分でございますが、素畜費が、仕入れ時における子豚の価格が値下がりをした、こういうことで生産費の構成の中でマイナスになっておりますが、飼料費労働費が上昇しておる、その差し引きの結果、四・五%の生産費の減、こういうことになっておるわけでございます。  それから、資料の3でございますが、子豚の生産費でございます。子豚の生産費は、対前年では一頭当たり三・五%の増となっております。この三・五%の増の原因は、飼料費が値上がりをした、しかし、自動給餌機等の導入によりまして省力技術が普及いたしましたために労働費が若干減少した、こういうような事情のもとに、結果的には三・五%の増ということになっておるわけでございます。  それから、資料ナンバー4の牛乳生産費でございます。昭和五十五年の牛乳生産費は、全国のベースで申しますと百キログラム当たり二・五%の増となっております。この増の原因は、二ページに書いてございますが、飼料費が八・九%上がっておる、それから労働費が二・八%上がっておる、構成比の中で大きな部分を占めるものが上がっておるわけでございますが、反面副産物は、子牛でございますけれども、その副産物の価格が対前年比でやはり上がっております。これは生産費計算上はマイナスの要素になるわけでございまして、それを差し引きまして二・五%の増ということに相なるわけでございます。  資料ナンバー5というのがございますが、これは北海道についての牛乳生産費でございます。結論から申しますと、北海道の牛乳生産費につきましては百キログラム当たり二・一%減ということになっております。この理由は、先ほど申し上げましたけれども、全国の場合と比べまして北海道の場合には、生産費の構成要素の大きな部分を占めます飼料費労働費の上がり方が少なくなっております。これは、北海道では購入飼料に依存する割合が少ないというようなこともございまして、上がってはおりますけれども全国と比べますとやや上がり方が少ない。それから、先ほど申し上げましたように、副産物の子牛の価格が上がっておる、こういうものを差し引きいたしました結果が百キログラム当たり生産費二・一%の減ということに相なっておるわけでございます。  以上、簡単でございますけれども、御説明させていただきました。
  13. 田邉國男

  14. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十六生糸年度に適用いたします基準糸価等の行政価格につきましては、来る二十八日開催を予定いたしております蚕糸業振興審議会にお諮りした上で、繭糸価格安定法に定めるところによりまして適正に決定いたしたいということで現在検討の詰めを急いでおるところでございます。その背景をなします蚕糸業をめぐる情勢につきまして御説明を申し上げたいと思います。  一ページをごらんいただきたいと思いますが、これは「絹の需給表」でございます。生糸換算でございます。そこでまず、需要でございますが、これは五十五暦年の対前年比でございます。それで需要は九四・三、内需九四・二ということで落ち込んでおります。ところが供給の方は九九・七ということで、これよりも若干落ち込みが少ない。輸入が八二・一ということで大幅に減っておるわけでございますが、国内生産の方は微増というようなこともございましてこういうことでございますが、その結果期末在庫、一番右になりますが、これが一〇七・三ということで在庫がふえておるという姿に相なっております。  それから二ページでございますが「養蚕業の概況」でございます。養蚕農家数、桑園面積、掃き立て卵量、繭生産量、いずれも減少傾向にあるということでございます。ただ、(2)の方に書いてございますように、二戸当たりの桑園面積なり掃き立て卵量、収繭量、いずれも増加傾向ということで、経営規模は拡大をしておる。それから十アール当たりの収繭量は停滞的でございます。労働時間の方は、労働生産性の方は若干上がっておりますが、そう著しい上がりというふうには見られないわけでございます。  それから三ページでございますが、これが「繭糸価格安定制度の概要」でございまして、異常変動防止と中間安定という二つの価格帯があるわけでございます。生糸生産費を軸にいたしまして安定上位価格、安定下位価格という異常変動防止帯がありまして、その中に中間安定価格帯があるということで、中間安定価格帯の下限、これが基準糸価ということで、五十五生糸年度におきましては一万四千七百円ということに相なっております。  それから四ページでございますが、これは「生糸価格の推移」でございます。五十三生糸年度、五十三年の六月からでございますが、その生糸年度のときは中間安定価格帯の上方を推移しておったわけでございますが、五十四生糸年度、五十四年の六月以降、下限の方を推移してきております。そして特に、五十五生糸年度以降というのは基準糸価を下がったり超えたりというようなことで、この辺を上がり下がりしながら基準糸価に張りついたような形で推移をして現在に至っているということでございます。  それから五ページが「繭、生糸及び絹製品の輸入コントロールの仕組み」でございます。一番上の繭は、これは事前確認制度というのをしいてございます。それから生糸につきましては、御案内のとおりの事業団一元輸入というやり方をやっております。以下、絹糸、次のページの絹織物、絹製ベットリネン等あるいは和装用絹製品というようなものにつきましては、輸入貿易管理令に基づきまして、通商産業大臣の承認なりあるいは事前確認なり、税関によるチェックなりというようなことで輸入調整措置を講じておるということでございます。  それから七ページでございますが「和服等購入状況」ということで、総理府のいわゆる家計調査から見ているわけでございますが、全国、全世帯の一人当たり平均でございます。そういたしますと、金額の方ではたとえば五十五年は対前年、和服であれば四・六%ふえておるということでございますが、数量の方が落ち込んできておる。婦人絹着物が八五・二ということで、数量面の方ではむしろ年々減少傾向をたどっておる、こういう姿でございます。  それから八ページでございますが、「国内生糸引渡数量の推移」でございます。五十四年の一番下のところの計をごらんいただきますと、対前年比で八二%ということで、二割ほど生糸を機屋さんに渡した数量が減っておる。それから、五十五年の六月以降この一月まででございますが、これにおきましてもさらに一割落ちておるというような需要の急減を来しておるということでございます。  九ページはそれを図にいたしたものでございます。  それから十ページが「国内生糸引渡数量と生産量の推移」でございます。五十五年の暦年でございますが、五月までは引き渡し数量、機屋さんに渡した数量が生糸生産数量を上回っていた、需要が上回っていたわけでございますが、六月から、逆に国内の生糸生産量の方が機屋さんに渡す数量を上回って推移してきておるということでございます。これを図にいたしたものが十一ページでございます。したがいまして、この国内生糸引き渡し数量を上回る生産量の分につきましては、大部分が事業団へ持ち込まれておるというふうに理解をいたしております。  それから十二ページでございますが、事業団買い入れ売り渡しと在庫の状況でございます。まず、真ん中のところに国産糸というのがございます。国産糸につきましては、糸価が低迷いたしておりますので毎月買っておりますが、売り渡しはもちろんゼロでございます。それから輸入糸が左の方にございますが、一般輸入糸につきましては、五十五年の五月、六月ごろ買い入れがございますが、いずれも五十四年度分がこのごろ到着をしたということで、五十五年度分は全然発注していませんので、一切入っておりません。しかし、売り渡しの方はもうこれはずっと皆無でございまして、ゼロがずっと並んでおるという姿でございます。  実需者売り渡しにつきましは、これも買い入れの方は五十四年度分のずれ込みの入着でございます。売り渡しの方はずっとゼロが続いておりますが、ことしの一月と二月に千俵ほどマル実の生糸を出したわけでございます。ただ、これは出したのですが、国産糸の方の一月、二月をごらんいただきますと、これを上回る数量が事業団に持ち込まれておる、安い生糸が出ていって高い生糸事業団に入ってきておるというような姿でございます。  その結果、在庫でございますが、一番右のすみでございますが、十四万四千六百四俵ということで、約十四万五千俵ほど二月末事業団在庫があるわけでございます。このうち国産糸が三万六千幾ら、それから輸入糸が十万七千八百ということでございますが、国産糸の方はいまでも買い続けておりますので、逐次国産糸のウエートが高まってきておるというような状況でございます。  それから十三ページが、四十九年以降事業団の在庫量がどう推移したかということを図示したものでございます。五十六年二月に十四万四千六百四俵でございますが、現在も買い続けておりますので、この高さはじりじりまた上がってきておるというのが現況でございます。  以上、御説明を終わらせていただきます。
  15. 田邉國男

    田邉委員長 以上で説明は終わりました。  この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十分開議
  16. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  17. 安井吉典

    ○安井委員 ただいま畜産物の審議会が開かれているわけでありますが、それと並行して開かれるこの委員会、そういう位置づけから、審議会で問題になっていることを並行的に取り上げるという形での質問展開をしてまいりたいと思います。  院外では農民大会が次々開かれて、畜産の危機を訴えています。畜産は、かつて成長産業だとかあるいは戦略産業だと言われながらも、今日さまざまな行き詰まりの状況を呈しているわけでありますが、その打開を、現在開かれております審議会の審議や、そういう中から決まる畜産物の価格等に農民は期待をしているのではなかろうかと思います。そういう形での政府としての取り組みをぜひお願いをしておきたいと思うわけであります。  そこで、まず飼料の問題について伺います。  昨年アメリカのいわゆる熱波で大幅な減産があり、二年続きのソ連の不作等で世界的な生産減、しかし、消費の方は増加をして在庫が減っている、そういう事態があります。前途なかなか楽観を許せない状態だと思うのですが、自給だとか備蓄だとか、そういうような問題について真剣に政府としても考えて取り組んでいかなければならない段階だと思います。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕 そういう基本的な問題の処理についてどう考えているかということをひとつ農林水産大臣にも伺いたいわけであります。飼料穀物問題の懇談会を設置する等のことで取り組みをしているとか、そういう話もありますけれども、基本的な取り組みの方向についてひとつ伺っておきます。
  18. 井上喜一

    井上説明員 昨年は、御指摘のようにアメリカにおきます飼料穀物が一七%も減産をいたしますとか、あるいはソビエトが二年続きの不作で三千万トンから三千数百万トンとも言われる穀物を輸入したとかいう事態が起きまして、穀物価格が非常に高騰したわけでございます。こういう高騰の影響がことし一月からの配合飼料価格の引き上げということになったわけでございますが、わが国の場合、土地の面積でありますとかあるいは収益性の問題で、飼料穀物の自給が事実上不可能な状態でございます。そういう意味で飼料穀物は一〇%海外に依存している、こういうような状況でございまして、わが国の中小家畜を中心とする畜産の将来を考えますと、こういう海外からの飼料穀物の輸入を極力安定をしていくということがまず基本でなくてはならないと考えておるわけでございます。  ただ、海外の飼料相場はシカゴの相場を中心にいたしましてかなりいま変動いたしております。非常に大きな価格変動に対応するということは事実上むずかしいわけでございますが、なるべくこういった価格変動のショックを緩和するというような対応措置は最小限とってまいらないといけない、こういうふうに考えているわけでございまして、民間の基金でやっております通常補てんというような方法によります価格安定、あるいは異常に高騰しました場合に補てんをいたします異常補てん制度という二つの制度で対応しているわけでございます。こういった制度を中心にいたしました価格安定制度を今後さらに充実していくという必要があろうかと思います。     〔津島委員長代理退席、福島委員長代理着席〕  なお備蓄につきましても、短期の変動つまりストライキでありますとかあるいはミシシッピ川が凍るというような事態が過去起こったわけでございます。こういうことで輸入がスムーズにいかないという事態も想定されますので、いわばこういった小変動に対します対策といたしまして備蓄を考えているわけでございますが、こういったことにつきましても、今後さらに検討を深めていく必要があろうかと思います。  要は、海外からいかにして安定的に輸入をしていくかということが一番大きな問題でございます。実は配合飼料の安定機構におきまして飼料穀物の懇談会をいま設置していろいろなことを検討いたしておりますが、つまるところ海外からの輸入をどのようにすれば安定をするのかという問題、それと備蓄制度がどういうような関連を持つのか、こういうようなことにつきまして委員の各位に懇談をいただいておる、こういう実態でございます。
  19. 安井吉典

    ○安井委員 過剰米の問題がありますね。食管会計で余っている米の処理がいつも問題になるわけであります。こういった際こそ思い切ったえさへの払い下げ等の措置が必要だと思うのですが、新しい年度におけるそういう問題の処理について政府としてどういうふうな御計画をお持ちなのか。そしてそれに対する財政措置等もこの際伺っておきたいと思います。
  20. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 過剰米処理につきましては、実は食管の財政上できるだけ赤字を少なくするというような考え方に基づきまして、値段の一番有利な方からということで加工用を優先いたしまして、それに続きまして輸出用、それで余ったものをえさ用というような考え方で処理をしておるわけでございまして、全体の六百五十万トンのうち工業用につきましては百六十万トン、輸出用につきましては二百八十万トン、えさ用につきましては二百十万トンというような計画を立てておるわけでございます。五十六年度につきましては、この関係につきまして工業用が三十万トン、輸出用が四十万トン、えさ用が五十万トンというふうに考えておりまして、このえさにつきましても古いものについてこういった数量を売却していく、それに必要な財政措置を講じておるところでございます。
  21. 安井吉典

    ○安井委員 大臣にこのえさの問題について特に伺っておきたいのは、配合飼料の価格安定のための基金、その財源をもっと充実しておく必要があるのではないか、どうですか。
  22. 井上喜一

    井上説明員 価格安定制度につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、総合農協系の基金、専門農協系の基金、それに商系のメーカーの基金、この三基金がございます。それに配合飼料の安定機構の異常補てんの基金があるわけでございます。いまの民間の三基金の現状を申しますと、基金ごとに若干の相違はありますけれども、財源の手当て状況は余り分厚くないわけでございます。異常補てんの基金につきましては大体百三十億程度、いまございます。  そこで、今後これを充実していく必要があるわけでございますが、民間の基金につきましては来年度つまり昭和五十六年度中に大体四百五十億円程度の通常補てんの基金を積み立てていく、こういうふうに考えております。具体的には、トン当たり千八百円のものを基本的に積み立てる、そのほかに四―六月につきましてはさらに千四百円を積み立てる、こういうように考えておりまして、これを年間合計いたしますと、ただいま申し上げましたように四百五十億円程度の基金になろうかと思います。  異常補てんの基金につきましては、昭和五十五年度に国が四十五億円の助成をいたしたわけでございますが、五十六年度につきましては四十八億円の助成を予定いたしております。これは二分の一補助でございますので、民間の四十八億と合わせますと九十六億円、大体百億円近い金が新たに造成されることになるわけでございます。したがいまして、現在百三十億円にプラス約百億円ということになるわけでございますが、四月-六月の間に若干の異常補てんからの補てんも考えておりますので、二百億円前後の基金が、いまのままで推移いたしますとすれば五十六年度末には残る、こういうようなことに相なるわけでございまして、いまよりはかなり財政状況が改善される、このように考えておるわけでございます。
  23. 安井吉典

    ○安井委員 いずれにしても、国際的な情勢がきわめて変動を予想される段階ですから、大臣、特に充実に努めていただきたいということだけ申し上げておきます。  きょう食肉部会で肉の価格に対する審議が行われているわけですね。そのことについてちょっとお尋ねをしておきたいわけであります。  資材費や労賃の上昇分を適正に織り込めば、和牛肉についても、昨年の政府試算をそのまま引き伸ばした形でパリティ方式計算をすれば、一〇%前後のアップになるのではないかと思うのであります。その試算は昨年どおりでいけばそれぐらいになるのじゃなかろうか。特にその他去勢乳雄については、今度は新しい方式によるようでありますけれども、昨年は和牛肉の八一・四%の中心価格で連動させるという方式だったと思います。だから、昨年方式でいって和牛の方が一〇%程度のアップだとすれば、乳雄の方だって五%アップぐらいは見込めるはずではないかというふうにも思うわけでありますが、去年並みの試算でいった場合はどうなるのかということをひとつ教えていただきたいと思います。
  24. 井上喜一

    井上説明員 お答えいたします。  算定方法といたしましては、午前中にも御説明いたしましたように、牛につきましては、過去七年間の平均生産費をとりまして、それと来年度に想定される生産費を比較いたしまして、その変化率つまり一と言っておりますが、その変化率を掛けまして、その分だけ生産費を多くするといいますか、高くするような方法で、それを基本にいたしまして価格を算定しているわけでございます。  したがいまして、労賃でありますとかあるいは飼料費につきましては、現在高くなっておりますので高い要素を織り込んでおりますが、片や労働時間等については非常に合理化が進んできております。また、えさにつきましても、最近のえさ高を反映していることかと思いますけれども、えさを給与する量が減ってきているとか、そういうこともございまして、生産費を上げる要素と生産費を下げる要素が実は二つございます。こういうものを勘案いたしまして算定いたしたのがきょう午前中にお示しいたしました安定価格でございまして、それによりますと、和牛につきましては三・一%、乳雄につきましては一・二%、豚については二%のアップということに相なるわけでございます。
  25. 安井吉典

    ○安井委員 私が聞いているのは、去年のあの算式をそのまま伸ばしていくという機械的な計算で幾らになるのかという、その試算を示しなさい、こういうことです。
  26. 井上喜一

    井上説明員 算定方式についてはきょうの午前中に御説明いたしましたとおりでございますが、この方式自身は変えていないわけでございます。中の数字が違うわけでございまして、過去七年間の数字、それから最近時点の数字を入れますとこのように相なるということでございます。算定方式自身は昨年のものを使っている、こういうことでございます。
  27. 安井吉典

    ○安井委員 少なくもその他去勢については方式が違ったのでしょう。だから、その場合ならどうですか。
  28. 井上喜一

    井上説明員 御指摘のように、乳雄につきましては乳雄自身の生産費調査の結果に基づいて算定いたしたわけでございます。昨年方式でございますと、昨年方式といいますか、和牛の安定価格を出しまして、それとの乖離昨年は〇・八一四というのを使っておりますが、それを使いますと若干上がるわけでございますが、ただ和牛と乳雄価格比というのは若干変動がございまして、最近時点変動の幅をとりますと、いまの水準つまりきょう午前中にお示しいたしました数字の安定基準価格よりも若干下がる、こういったことに相なるわけでございます。
  29. 安井吉典

    ○安井委員 つまり、今度方式が変わったわけでしょう。だから、去年のあの方式計算したらどうなるのかという具体的な数字を聞いているのですよ。
  30. 井上喜一

    井上説明員 昨年の方式でやりました具体的な数字についてはただいま計算をいたしますけれども、〇・八一四、つまり七九・……、八一四でやりますと、乳雄は一・二%のアップでございますが、それが〇・二%のアップになるわけでございます。これはパーセンテージでございますが、具体的な数字についてはただいま計算いたします。
  31. 安井吉典

    ○安井委員 私どもは農林水産省が数字をいじるというその内容については余り信用せぬのだな。答えを先に出して、それに後で逆算で数字を合わせていくといういつもの方式が私どもの頭にこびりついていて、実は信用できないのですよ。初めから三・一%アップにしようとか一・二%アップにしようとか、そういうようなものから逆に算式が出てきて、数字が出てくるというような印象が、米価のときも何のときもいつもあるわけですよ。そのことで私は特に詰めた言い方を皆さんにしているわけであります。いずれにいたしましても、きょうの諮問価格程度で今日肉生産が行き詰まっている状態を打開するというのはなかなかむずかしいように思うわけであります。  豚肉についてもどうですか。去年の需給実勢方式をそのまま引き伸ばした形での計算をしてみるとどういうことになるのですか。
  32. 井上喜一

    井上説明員 若干先ほどの答弁を訂正させていただきますが、去年と同じ方式でやりますと、和牛のアップ率が三・一%でございますので、乳雄も三・一%になるわけでございますが、ただ、和牛と乳雄との価格の乖離が昨年よりは大きくなっておりますので、それでいたしますと、その数値を用いますと、アップ率が一・二%が〇・二%になる、こういうことでございます。  豚につきましては、全く昨年と同じような方式を使っておりまして、ただ中に使う数字が一年間繰り上がっている、ここだけが違うわけでございます。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 使う数字をかげんするから困るということを私は申し上げているわけですが、きょう私は主に乳価を中心に質問を続けたいと思いますので、いま深くは触れませんけれども、特に乳牛の子牛生産奨励金、豚についても素畜の価格安定制度、これらを今後とも一層継続し拡充すべきだと思いますが、どうですか。
  34. 井上喜一

    井上説明員 乳牛につきましては、実は子牛の奨励金は出しておりません。恐らく御指摘の点は、和牛の子牛につきまして昭和五十五年度、肉牛につきまして出しましたが、そのことを指しておられることと思います。これにつきましては、交付するに至りました経緯につきましては、子牛価格が非常に低迷いたしまして、繁殖農家生産意欲をなくしつつある、こういうような状況のもとにこの制度ができたわけでございますけれども、最近のように子牛価格が非常に高騰いたしまして、繁殖農家の意欲も回復してきているというような状況でございますので、こういう状況を踏まえて検討していくべきものとわれわれ考えているわけでございます。  実は子豚の安定制度につきましては、当初価格安定制度というものをつくったわけでございますが、最近におきましては、肉豚価格と子豚価格の連動がわりあいスムーズに行くようになってきておりまして、むしろ子豚段階では需給調整を中心に事業をやっていく、つまり生産が過剰ぎみの場合には生産を抑制していく、生産が不足ぎみの場合は生産を促進していくような事業を計画しているわけでございますが、これにつきましては、従来もやってまいりましたけれども、さらに来年度以降につきましても積極的に推進していく考えでございます。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 さらに肉畜については、食肉の流通合理化のための産地の食肉センターの拡充だとか、産地と消費地とを結ぶ直販流通体系の整備その他流通機構の改善の問題について、もっともっと力が入れられていいのではないかと思います。それについての考え方はどうですか。
  36. 井上喜一

    井上説明員 肉畜食肉についての流通機構が比較的おくれているのじゃないかという御指摘、各方面から賜るわけでございますが、われわれ十分そういうことを承知いたしまして、近来、生産地から消費地の段階まで、食肉センターでありますとか中央卸売市場、あるいは部分肉センターとか小売店の整備等について、積極的にいろんな対策を進めてきたつもりでございますけれども、さらに今後とも産地、消費地にわたる流通対策を積極的に進めていく考えでございます。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 大臣どうですか、肉畜の生産の問題と流通の問題、それがちぐはぐになっては困るわけですね。いま井上審議官からもお話ありましたけれども、農林水産省として思い切った対応が必要だと思いますが、どうですか。
  38. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおり、この肉畜の流通の問題、大変大事な問題でございます。したがいまして、農林水産省といたしましても種々今日まで検討を加え、対策を講じておる次第でございますが、今後とも御指摘のように重要課題の一つとして、最も合理的な経済的な処置を講じていく努力をしたいと考えております。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 牛乳の問題に移りますけれども、私はいつも思うのですが、政府がおつくりになる生乳の生産需給計画について、輸入ということへの配慮がなくて、どうもばらばらになっている。ですから輸入の方は輸入で勝手に動き、国内生産の方は国内生産で、となっているような感じを受けるわけです。輸入乳製品をも含めた、つまり国産と輸入を総合的な需給計画というものに仕組む必要があるのではないか。そういう中で初めて、やたらな輸入が、輸入の方が先へ進んで国産がそのしわ寄せを受けるというようなことじゃなしに、国産の方を優先させて輸入を削減する、そういう方式が生まれるのだと思うのですよ。その総合性がどうもない。そういうふうな形の計画を持つべきだと思うのですが、どうですか。
  40. 井上喜一

    井上説明員 畜産振興審議会に毎年牛乳、乳製品の需給見通しを出しておりますが、恐らくこれに関連しての御質問だろうと思うわけでございます。  あのわれわれが提出いたします需給表には、輸入乳製品が入ってないと言われるわけでございますが、われわれが入れておりませんのは、輸入が自由化されておりましてなかなか輸入量の予測ができないものでありますとか、あるいはそういう輸入品に国内品が代替できない、そういったものがあの中には入っていないわけでございます。もっと具体的に申し上げますと、たとえばえさ用として輸入いたします脱脂粉乳でございますとか、学校給食等のために輸入されます脱脂粉乳等は入っておりません。また乳糖、カゼインでございますとか、あるいはナチュラルチーズのように、国内生産では賄い切れないもの、あるいは生産できないようなものが入っていないわけでございまして、これもなかなか国内産のものでは置きかえられないものでございます。こういうものは一応需給見通しの中から除外をしてわれわれ算定をしているわけでございます。  したがいまして、策定いたします需給見通しの中では、それを見れば大体国内の生産の目標がつくれるといいますか、見当がつく、こういうものをつくっている、それがわれわれの策定いたします需給見通しでございます。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 外国の自由な輸入というのがまるで野放しになっていて、そのしわ寄せだけで国内の生産が進むということではだめだと思うのですよ。大臣どうですか。
  42. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私もそのような考え方を持っておるわけでございます。自由化したからといって、こちらの生産者がそれによってにっちもさっちもいかないという場合にはいろいろと処置してもよろしいというのは、国際間においても認められておることである、こう考えるわけでございますから、やはりその際は、外交的な折衝なり何なりによって自主規制を要請するとか、いろいろ事はあろうかと思うわけでありまするし、また適正輸入量というものをこちらの輸入関係の関連業界で協議会、今度も畜産関係で協議会をつくらしたわけでございますが、そういう協議会をつくりまして、そして何といっても国内産業第一という立場をとってもらって、いつも申し上げておりますとおり、外国ととことんまで話し合って、そしてその話し合いをつけながらこちらの農業を擁護してまいるという処置をとらなければ、戦後非常に歴史の浅い、特に酪農関係、畜産関係等においては、農家は本当にやり切れないという形になっていくのは当然であろう、こう思いまして、就任以来、安井委員いま御指摘のような気持ちで私も対処いたしておるわけでございます。  外国からどのくらいのものが入っておるのか、農林水産物資が一体どのくらい入っておるのか、常にそういうものを頭に置いて内政面の農林水産行政を立案し、企画し、そうして実施していかなければならぬのではないか、そんな考えを持っております。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 大臣の考え方は本当にそのとおりだと思うのですよ。ただ、どうも日本の行政そのものは大臣の考え方どおり動いていないのですよ。問題はそこだと思うのです。農林水産省だけですべての輸入の問題は解決できるというものではないのかもしれませんけれども、やはり主体的に日本の農業を、畜産をどうするのだという、そういう構図ができて、足りないものは外国から輸入しなければいけません、それが本当のあり方なんで、どうもその辺があべこべになっているという点、それを私は強く指摘して、そういう方向を直していただかなければならぬと思う。大臣そうおっしゃいますから、きょうもそこだけでやりとりするわけにいきませんので、今後にぜひ期待したいと思います。大臣のおっしゃるとおり行政の方のそろばんがはじかれていきますように、コンピューターが動きますように期待しておきます。  私の手元に五十五年度の「保証価格等算定説明資料」というのがあります。これはあすの酪農部会の方にこれの五十六年度版が出されるのではないかと思うのですけれども、あすの諮問価格は幾らになるのかというのをここで聞いても、あるいはお答えはいただけないかもしれませんけれども、ただ、去年のこの方式があります。去年の方式に素直に数字をすっと当てはめたら試算は一体どうなるのか。これは農林水産省のコンピューターはちゃんと動いていると思いますから、これは別に手も何も加えないで去年どおり計算をすれば答えはどうなるのかという、そのことをひとつ伺います。
  44. 井上喜一

    井上説明員 私どもは統計情報部で調査をしております生産費調査参考にしてこういった保証価格等をつくっているわけでございまして、それはもう毎年毎年その時点におきまして十分検討を加えて最善の価格試算をしていく、こういうように考えているわけでございます。したがいまして、今年度におきましては、今年度といいますか、いま現在におきましては、来年度の保証価格を詰めるべく、いまの時点におきますいろんなデータを用いまして検討している、こういう状況でございまして、昨年と全く同じような方法で詰めている、こういうことは、実は私どもやっていないわけでございます。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 あす皆さんの方が部会に諮問する価格は何かということを聞いているのじゃないのですよ。去年のあの算式にすっとことしの新しい数字を当てはめてみればどうなるのかという、機械的な答えを期待しているわけです。
  46. 井上喜一

    井上説明員 私どもいろんな検討はするわけでございますけれども、なかなか先生の御期待に沿うような作業はしておりませんで、やはり現時点におきますいろんな要素を勘案いたしまして検討しているということでございまして、去年のままの数字ではどういう価格が出るかというようなデータは実は持っていないわけでございます。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 いまお持ちでなければちょっと計算してください。計算機をちょっと動かせば出るのじゃないですか。どうです。
  48. 井上喜一

    井上説明員 コンピューターで計算する部分もあろうかと思いますけれども、なかなかこの保証価格を詰めていくというのはむずかしい仕事でございます。なかなかそうは簡単には出ないのでございまして、ただいま来年度の保証価格を詰めるのに一生懸命やっている、こういうことをひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 とにかくいつも農林水産省がおやりのものは、この三年間八十八円八十七銭という答えがみんな同じに出るのです、算式が同じで。数字が、いろいろな要素が違うのだけれども、答えがみんな同じに出るのです。農林水産省のコンピューターというのは何か狂っているか、答えだけをみんな抑えているのですかね。だから私は、そういう意味合いがあるものだから、私のいまの質問どおり答えをやれば恐らく八十八円八十七銭にはならぬのじゃないかと思うのです、もっと上になるか。私はそういうことで、だから、あすの諮問価格を聞いているのじゃないのです。素直に計算をひとつ、いまそこになければ、この質問が終わるまでに示していただきたいと思います。  そこで、先ほどの統計の方からの生産費は百キロ当たり八千三百八十一円ということのお話があったわけでありますけれども、五十五年度のこの算定に使われる生産費というのはどれぐらいになると押さえておられますか。
  50. 井上喜一

    井上説明員 統計情報部からいただきました生産費調査をもとにしていろいろな角度から検討を加えているわけでございます。
  51. 安井吉典

    ○安井委員 その数字はいつ出るのですか。
  52. 井上喜一

    井上説明員 政府内部の調整をいたしまして、あすの朝の畜産振興審議会の酪農部会までには出す、そういうような目途で進めているわけでございます。
  53. 安井吉典

    ○安井委員 それはもう酪農部会に間に合わなかったら、これは皆さん、悪いけれども、みんな首だな。とにかくそれまでには間に合わせるのだろうし、いまできているのでも言えないということなのかもしれませんけれども。  それではもう少しお聞きしますけれども、自給飼料生産労働費と飼育管理労働費とがいつも差をつけられるわけです。私どもはその上にさらに酪農経営の企画管理に要した労働時間も計上すべきだと思うのですけれども、その三つのものは同じ酪農家の労働であります。質は同じなんですから、労賃は同じ形で計算をさるべきだと思うのですけれども、その点についてはどういうふうな作業になっていますか。
  54. 井上喜一

    井上説明員 この家族労働費の評価につきましても議論のあるところでございまして、現在検討中の項目でございます。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕 なお、企画管理労働につきましては、この原価性について多分に疑問があるところでございます。したがいまして、われわれとしては来年度におきましてもこの企画管理労働について新しく評価をするといいますか、生産費の中に組み入れていくということは考えておりません。
  55. 安井吉典

    ○安井委員 いままでずっと農林水産省のこの算定の中では、自給飼料の生産労働費と飼育管理労働費とに計算の仕方を変えて格差をつけてきたのですけれども、いまのお話ですと、そのことについてもいま検討中なのですね、格差をどうするかということで。
  56. 井上喜一

    井上説明員 御指摘のように、従来飼育管理労働につきましては、具体的に言いますと、北海道の地方におきます五人以上の製造業の賃金でもって評価がえをし、それから飼料作物の労働費につきましては、農村地域の雇用労賃でもって評価がえをしてきたところでございます。来年度についてこれをどのように取り扱うかについては、現在なお検討中でございます。
  57. 安井吉典

    ○安井委員 なかなか具体的な数字を言ってくれないのですけれども、委員長、きょう、審議会の部会の開かれる前日にこの委員会を持ったというのは初めてなんですけれども、きょうはもっと具体的な話を出していただけるということで実はきょう設定されたのですよ。そういう経過があるのは委員長も御承知だと思うのですが、理事の間でお話ができているのですか。さっぱり何もわからないじゃないですか、いままでのお話を聞いたら。こんなことでは審議をきょうに一日早めたということについては私どもは疑問を持たざるを得ないのですね。これじゃ困るじゃないですか。どうですか。
  58. 田邉國男

    田邉委員長 いままでの経過からまいりまして、きょうがやはり審議会の前日ということで、皆さんの意見が大いに参酌をされる、そういう意味できょう開くことが適当であろう、こういう判断のもとに、理事会の合意を得ましてきょうの結論を出した経過でございます。
  59. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、そのかわりきょうはもっと具体的な話を聞かせてもらえる、そういう答弁をいただけるということを前提にして設定したと思うのですが、どうですか。
  60. 田邉國男

    田邉委員長 しかし事務当局は誠心誠意いま答弁をしておる状況でございますから、その点は十分御理解をしていただきたい。またさらに、安井議員のおっしゃるようにできるだけ核心に触れて御質問をされて結構でございます。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 それはこちらの方は一生懸命にしたって、答えが出ないじゃないですか。もう誠心誠意中身を話さないようにしているのですよ、誠心誠意やっているようですね。おかしいよ、それは。そういう約束で始めたと思うのですがね。どうなんですか。
  62. 田邉國男

    田邉委員長 その点については、できるだけ政府答弁も誠意をもって答えるようにしていただきたい。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 昨年までの三年間据え置きになっている八十八円八十七銭、その価格をもっと上乗せをする要素もあるし、むしろ下げ要素もないわけではないと思います。その点まずお答えください。
  64. 井上喜一

    井上説明員 私ども、きょうは食肉部会が開催されておりまして、それに関する試算等の資料を提出したわけでございまして、これについては極力お答えできると思うのですが、何分牛乳関係につきましては明日が酪農部会でございます。まだわれわれの最終案もまとまってない状況でございますので、具体的に答えをするようにということを御質問されましても、先生方の意にそぐわない答えになってしまうわけでございまして、この点篤と御了解をいただきたい、このように思うわけでございます。
  65. 安井吉典

    ○安井委員 こんなの答えができないのですか。
  66. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 政府の立場といたしましては、審議会に関係諮問を申し上げた時点において党の方にも国会の方にも実情を御報告し、審議をちょうだいをする、こういう今日までの慣習と申しますか、に相なっておりますために、実は私もまだ乳価関係の最終的な詰めがどうなっておるかという報告も受けておらないという事態でございまして、やはりぎりぎりまでいろいろな点を検討させていただきます、草々の間でございますので、その点ひとつ御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。
  67. 安井吉典

    ○安井委員 いままで何にも検討していないのですか。あしたが部会だというのに何もやってないのですか。あしたの数字がどうかということを私どもは聞いているのじゃないですよ。去年の価格から今日までの段階で、価格をつり上げる要素とかマイナスの要素、こんなものは常識で出てくるじゃないですか。それまで検討していないの。どうなんですか。そのことを聞いているのですよ。そんな弁解を聞いているのじゃない。
  68. 井上喜一

    井上説明員 統計情報部の牛乳の生産費調査によりますと、これは北海道だけについて申し上げますが、五十四年と比較いたしまして五十五年は飼料費が一〇五・六%、労働費が一〇一・四%上昇、それから乳牛の償却費が九八・二%でございまして、これは若干下落をいたしております。そのほか副産物につきましては、五十四年対比では一三八・八%ということで非常に上がっております。こういったようなことが生産費調査の結果から言えるかと思います。
  69. 安井吉典

    ○安井委員 とにかくもっと誠意をもって国会に臨んでほしいんだな。自民党もおかしいと思うのは、私どもは今度のこの質問の最後に、わが農林水産委員会としての乳価や肉の値段についての意向をまとめ上げた決議にしようということを先ほど来理事間でお話をしているのに、文章も中身も読まないで一切だめだと言う。話に乗ってこないというそういう姿勢もおかしいわけだね。これは法案の審議ではないし、国会の議決事項でないものだからそんなような……(「それは事実と違う」と呼ぶ者あり)この際時間さえ過ぎればいいというふうな安易な態度なら、これからあと法案はたくさんありますからね、それらの審議ではわれわれは一切協力できません。そのことを一つはっきり言っておきます。(発言する者あり)それでは決議はできるのですか。これはこっちに聞くわけにいかぬが。では、決議の方はひとつ理事間でお話ししてください。
  70. 田邉國男

    田邉委員長 安井君に申し上げます。  ただいまの問題は、理事会で協議をいまいたしておるさなかでございますので、結論を間もなく出します。
  71. 安井吉典

    ○安井委員 とにかくきょう、前日にやるということが一つ例外なんですよ。だから、その中身がわれわれ、われわれどころか国民の期待にこたえるようなことになっていないということですよ。理事の方で少し話してくれますか。(発言する者あり)
  72. 田邉國男

    田邉委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  73. 田邉國男

    田邉委員長 速記を起こしてください。  安井吉典君。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、きちっとしたものを私ども要求するのはいま無理かと思いますよ。しかし、一定の仮定に立ったもので結構ですから、それをこの委員会が終わるまでにひとつお示しを願いたいと思います。どうですか。
  75. 井上喜一

    井上説明員 ただいま算定しております価格は、生産費調査をもとにいたしまして、あの生産費調査にあります各項目ごとに経費を積算しているわけでございまして、それがなお最終段階まで至ってない、こういうことを御説明したわけでございますが、一定の前提条件を置きましてひとつ試算をしてみろということでございますので、試算をいたしたいと思います。なるべく急いでやりたいと思いますけれども、何分最近はもう連続徹夜で作業をやっているような状況でございますので、なるべく急がせますが、何時ごろになりますか、その点についてはひとつ御了承のほどを願いたいと思います。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 あと買い入れ限度数量の問題についても、どうも九万トン前後減らすのじゃないかなどという報道があります。私はむしろ、第四次酪近の進捗率、これは二・五%ぐらい見ているはずでありますけれども、それぐらいは増量をしていくというような構えでなければ今日の危機打開はむずかしいのではないかと思いますが、どうですか。
  77. 井上喜一

    井上説明員 第四次酪近の目標年次は昭和六十五年でございまして、酪近計画は昭和六十五年を目標にした数値になっている、こういうことでございます。  ただ、限度数量につきましては、具体的に来年度の限度数量を決めるということに相なりますので、来年度の生乳需給関係を見まして、その上で適正に決めていく必要があろうと思います。先ほど御説明いたしましたように、現在乳製品は非常に過剰の状況でございまして、過剰在庫も相当抱えている、こういうような状況でございます。そういう需給事情にもあるわけでございます。全体を勘案いたしまして、適正な限度数量を決定していくようにいたしたいと思います。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 乳価に関する問題は、さらに資料を見せていただいてからにいたしたいと思います。  きょうは厚生省からもおいでいただいているわけですが、保育所の児童に対する生乳給与の問題です。  消費を拡大するということが非常に重大な問題になっている現在、保育所の子供にはいまなお脱脂粉乳を飲ませているというケースがあるわけです。北海道でも牛乳を飲ませようという運動がいま起きています。これは厚生省の、保育所の措置児童に対する給食材料費の予算の見方に関係があるようで、三歳未満の子供には主食と副食の給食費、三歳以上の子供は副食の給食費のみで、年の小さい子供には牛乳を飲ませるということで措置費の計算の基礎があるわけです。ところが、三歳以上の子供には脱粉を飲ませるということで措置費の計算が行われている、私はそういうふうに聞いているわけでありますが、現在保育所がどれぐらいあって、子供がどれぐらいいて、牛乳を飲ませている子供がどれぐらいで、脱脂粉乳を飲ませている子供がどれぐらいだというような状況について恐らく統計をお持ちだと思いますので、この際お話しいただきたいと思います。
  79. 北郷勲夫

    ○北郷説明員 現在保育所の数が約二万二千ほどございます。脱脂粉乳の使用状況を、統計でございますのは五十四年度でございますので、そのときの時点で申しますと、保育所の数が約二万一千でございます。そのうち脱脂粉乳を使用しております保育所の数が、これは個所数だけでございますが、約一万五千でございます。人数でございますが、児童数でほぼ二百万人でございます。そのうち何人脱脂粉乳を飲んでいるかという数字は私の方でございませんが、個所数だけで押さえまして、先ほど申しましたような一万五千カ所、約二万のうち一万五千でございますので、全体のほぼ七割の保育所が何らかの形で脱脂粉乳を使用しているという状況でございます。  脱脂粉乳を使用しております保育所でも、いま安井先生からお話がございましたように、三歳以上児が主体でございまして、三歳未満の子供につきましては生乳を使っているわけでございますが、三歳以上の児童につきましても脱脂粉乳のほかに生乳を飲んでいるところもございまして、その辺の数字は、私ども現在のところ正確な数字を把握しておらない状況でございます。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 措置費について、年の上の子供は脱脂粉乳の予算しか見てない、そういうことは間違いないのですね。
  81. 北郷勲夫

    ○北郷説明員 内訳は、細かい積算でございませんが、積算の考え方としては、三歳未満の方は、子供につきまして主食的な意味がございますので、生乳を飲むような積算をいたしております。それから三歳以上の方は、どちらかといいますとおやつ的な飲ませ方をいたしております。そのような観点から、おっしゃるような積算をいたしております。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 実情も問題ですけれども、私は、その積算の根拠がそういうところにあるというところに一つ問題があると思うのです。脱脂粉乳は日本児童福祉給食会がニュージーランドから一括輸入して、価格は生乳の四分の一ぐらい。栄養価も高い。しかし、例の特有なにおいがあるものですから、子供たちは飲み残しが非常に多いそうですね。小さな子供は生乳を飲んでいる、それから三歳から五歳の子供は脱脂粉乳で、小学校に行けば今度は生乳の学校給食があるわけですよ。  大臣、これはひとつ聞いておいてください。ずっと保育所から小学校に入っての子供の生活の中で、三歳から五歳のときだけ脱脂粉乳でやらなければいけないというのはおかしいじゃないですか。農林水産省としても、もう少し厚生省に、いまのこの計算基礎がおかしいじゃないかということについて発言があっていいと思うのですが、どうなっているのですか。
  83. 井上喜一

    井上説明員 保育所につきましていまの脱粉から生乳に切りかえろという先生の御提案でございまして、私ども基本的にそういうことかとも思うのですが、何分予算的には措置費ということで措置されております。こういう予算上の壁があるわけでございまして、この点なかなかむずかしいのじゃないかとわれわれ思うわけでございまして、厚生省の方もそのような答弁をしておられたように思うわけでございますが、厚生省にも意のあるところを伝えてまいりたい、このように思うわけでございます。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 厚生省の方も、ことしは予算がもう間もなく通過をするという段階ですけれども、その点もっと来年度の予算編成等の中で考え直すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。それからまた農林大臣もひとつ努力をしてください。
  85. 北郷勲夫

    ○北郷説明員 御存じのとおり保育所の運営費につきましては全額一般会計からの支出になっておりまして、限られた中で大分値段が違いますので、飲食物費の中で余裕があれば、子供の健康の増進という角度からもできるだけ牛乳の消費の拡大ということは必要だと私どもは思っておりますが、予算的に一般会計の支出でございますのでなかなか簡単にはまいらないのではないかというふうに思っております。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 亀岡農水大臣にぜひ御努力を願いたいと思うのですが、北海道なら北海道で、小さな子供は北海道でできた生の乳を飲む、小学校に入ったらまた飲む、間の三歳から五歳だけがなぜニュージーランドの脱脂粉乳の溶かしたものを飲まなければいかぬのか。これはただでさえ牛乳の消費が進まないということで嘆いている農林水産大臣としては、もう少しここできちっとした発言をし努力をしていただきたいと思うのですね。どうですか。
  87. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 厚生省にもよく事情をお聞きしまして、担当課長からもいまお話がありましたように児童の健康というような点も十分考え、恐らく予算上の理由というふうに私は聞いておったわけでありますが、農林水産省としても善処しなければならぬなという感じを持ちましたので、来年度の予算編成、いろいろな面で非常に厳しい事情ではありましょうけれども、善処していきたいと考えております。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 さらに消費を拡大するという意味で、国産のナチュラルチーズを新しく工場をつくってやってはどうかという問題があります。ちょうど去年の畜産振興審議会の建議がありますね。建議の中にも第三項に「国産ナチュラルチーズの振興策について速やかに検討すること。」という一項目がある。それだけではない。この委員会の場でもあるいは予算委員会でも私も問題提起をしたことがありますけれども、去年初めて出された問題が、ちょうど一年たった現在において進んだ処理になっているかというと、むしろ逆にメーカーが参加をしないということになったり、そういうようなことが背景になって、最近の北農中央会の農林水産省の畜産局等とのお話し合いもさっぱり進んでいないということを聞くわけであります。どうでしょうか、これからの見通し。
  89. 井上喜一

    井上説明員 チーズにつきましては、バターなどと違いまして将来の成長部門の一つだと思います。したがいまして、農林省といたしまして最近進めておりますのはソフトチーズ、ソフト系のチーズにつきましては比較的対外的な競争力もございますので、こういった施設の助成を中心に進めていっているところでございまして、すでに畜産振興事業団の方から六億五千万程度の助成も北海道と四国にあります農協系の会社にいたしているわけでございます。  ところで、ハード系のチーズでございますが、現在関税率ともう一つは関税割り当て制度、二つの制度によりまして国産の保護を図っておるわけでございますが、ソフト系のチーズに比べてなかなか国産化がむずかしい状況にいまはあるわけでございます。昨年、畜産振興審議会の建議あるいは国会等の御要請もございまして、われわれ検討いたしまして一つの試案というのを発表したわけでございます。これは生産者と民間企業の合弁の会社をつくってそこでハード系チーズをつくる、こういうような構想であったわけでございますが、乳業メーカーあるいは生産者団体内部でそれぞれ検討いたしました結果、なかなか農林省が考えておりましたような形の会社はむずかしい、こういうようなことに相なったわけでございます。そういうことで私どもも、一応従来のいきさつはいきさつといたしまして、また別途の新しい観点から新しい提案を考えるべきではなかろうか、こういうことを生産者団体なりメーカーに言っているわけでございます。  いずれにいたしましても、将来経営的に採算が合っていかなくちゃならないものでございます。技術があるのかどうか、あるいはどういった製品ができるのか、販売先が確実にあるのか、あるいは経営的な基盤がしっかりしているのかどうか、こういった点十分考えて検討していかなくちゃならないと思うわけでございまして、いずれ生産者なりあるいはメーカーの方からも一つの具体的な提案が出てくるのじゃないかということをわれわれ待っているわけでございまして、そういう具体的な提案を待ちまして、企業的にペイするのかどうかというような観点に立ってわれわれの対応策を考えていきたい、このように考える次第でございます。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 大臣どうですか。去年のいまごろはかなり農林水産省も気負った形でこの問題への取り組みを言っていたわけです。もうすっかりしぼんでしまって、これは一体どうなるのかとみんな心配しています。もっとひとつここで気合いを入れていただきたいと思うのですが、大臣どうですか。
  91. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実の話、私も就任直後畜産当局がえらい気合いを入れておりますので、各メーカー関係者に来てもらいまして、できるだけ早急に農林水産省の意向に沿って協力してほしい、こう要請をいたしたわけでありますが、そのとき関係メーカーの皆さんは非常に冷たいという感じを私は受けたわけであります。これは困ったなということで何回か畜産局を通じて督励をいたしたわけでありますけれども、結局いま事務当局から答弁申し上げましたような線で積極的な返答が参らない、こういうのが現状でございまして、メーカーのそういうあれを待っておったのではいつまでたってもらちが明かぬ、こういうふうな感じも持ちまして、別途生産者は生産者としての擁護体制をとる、そういう方向に力を入れていくということも一つの方法ではないか、こういうことで指導をいたしておるわけであります。  結局採算がとれるかとれないかの検討がなかなか見きわめがつかぬというのがメーカーの言い分、こう私は感じ取ってきておるわけでございます。今後とも酪農を奨励する以上、やってまいります以上、バター、チーズ、これはどうしても両々相まって生産をしていかなくちゃ足腰の強い酪農をつくり上げていくことはできないことは、先進酪農国の歩んできた道をたどってみればわかることでありますので、そういう点、いろいろ外国からチーズ工場をつくるについても文句が来ますけれども、それにつきましては、酪農をやる以上は、当然チーズもバターもつくらなければ酪農そのものを否定することにつながるのじゃないか、この間も豪州の閣僚会議のとき等にはそういうことを申しまして相手国の酪農関係者の理解を求めておる。こういうことを努力していけば、私はそういうナチュラルチーズの生産体制も確立できると思っておる次第でございます。
  92. 安井吉典

    ○安井委員 もう一度去年のあの熱意をかき立てていただいて、取り組んでいただきたいと思います。  いま外国との関係というお話が出ましたけれども、それでは擬装乳製品と言われているものの輸入の問題をこの際お尋ねをしていきたいと思います。  この委員会でもしばしば取り上げられている問題でもありますし、私も特に予算委員会に出て、ここの委員会にはなかなか来てもらえない通産大臣、外務大臣、大蔵大臣、それと亀岡農水大臣と四人に、いわゆる調製食用脂の問題だけでも解決できないかということのお尋ねをした際に、四大臣の意見が食い違ったものですから、ひとつ統一見解を示してほしい、こういうことで保留をしておったわけです。ところが、予算委員会が後で強行採決で総括質問が一日短くなってしまって、出番がなくて、いわゆる政府の統一答弁なるものを予算委員会の場がお聞かせを願うことができないままに今日に至っているわけです。  きょうはそれぞれの省の大臣がお見えになっているわけじゃありませんけれども、ひとつ大臣の代理としてお答えを願いたいわけです。当時、私のところにお見えになった各省の方から、この問題について政府としての統一答弁は予算委員会で外務大臣がする、そういうことになっておったので、きょうは外務大臣の代理として外務省の国際課長でしたか、おいでいただいておりますので、その点伺いたいと思います。
  93. 池田右二

    ○池田説明員 調製食用脂の輸入問題につきましては、わが国の酪農が当面しております諸困難を踏まえて何とか適切な対応を図りたいということで、関係省が一体となって現在まさに輸出国と鋭意協議を続けておるところでございます。  この問題につきましては、実は三月七日の衆議院予算委員会で、伊東外務大臣の方から統一見解ということで御説明申し上げてございますが、その際に大臣の方からも申し上げましたとおり、今月末、乳価の決定が迫っておりますので、それまでには何とか具体的解決策を見つけたいということで四省考えを一つにしてやっておる、いままさにそういう方向で鋭意努力をしているところでありまして、相手国ともいろいろな問題がございますが、国内の事情も踏まえて何とかこれを解決しようということで、関係省庁と協議の上、外務省としてもやっているところでございます。かような状況でございますので、いましばらく成り行きを見守っていただきたいと存じます。
  94. 安井吉典

    ○安井委員 農水省が一生懸命にやるのは当然なんですけれども、わが国酪農が当面している諸困難を踏まえということが一応統一見解になったことは、私は評価できると思います。農水省だけじゃなしに、ほかの全部の省が酪農の困難ということを統一見解として示したことは評価できると思いますけれども、具体的な対策がどうも足踏みしているような気がするわけです。農水省の方は、大臣、後から伺いますが、通産省と大蔵省からもひとつこの点について伺います。
  95. 横山太蔵

    ○横山説明員 お答えいたします。  通産省といたしましても、ただいま御紹介のございました政府統一答弁に基づきまして、当面している酪農業の諸困難を踏まえ適切な対応を図るというこの方針にのっとりまして、私どもの分担すべき分野でいかなる御協力ができるかということを念頭に置きつつ努力をしておるところでございます。
  96. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答え申し上げます。  ただいま外務、通産からもお答えがございましたように、私どもといたしましても、調製食用脂の輸入問題につきましては、わが国の酪農が当面している諸困難を踏まえまして適切な対応を図るべく、関係省が一体となって関係輸出国と鋭意協議を続けているところでございまして、今月中に問題の解決を図るべく、大蔵省としても努力をしているところでございます。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 そこで農水省の方なんですが、私たちが初め問題提起をしたのは、AAからIQに移せ、そういう含みというか、そのことを主張していたのが、統一見解はいいのですけれども、そういう中で、もうそのことをあきらめてしまって、単なる行政措置に終わってしまうのではないかという心配が逆に出てきているわけであります。その中身をもう少し実効のあるものにするための努力がなければ、私は統一見解も何もないものだと思うのですが、その点、農水省どうですか。この前、畜産局長は余りはっきりした言い方をここではなさっていなかったように思うわけであります。具体的にどうするのか、その点を伺います。
  98. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまも各省から御答弁申し上げましたように、いま、実は丁々発止と、その具体的な方法はどういうふうに話し合いをつけることができるかということで、ECとも、それからニュージーランドとも最後のつばぜり合いをしながら折衝を進めておる次第でございます。具体的にどこまで進んでおるか、いまだ報告は受けておりませんが、今月中に結論を出すようにと私は指示をいたしてあるわけでございますので、今月中に話し合いをつけることができると考えておるわけでございます。  なお、事務的にその後の経過がございますれば、事務当局から説明を申し上げます。
  99. 井上喜一

    井上説明員 いま大臣からの御答弁、それから関係各省からのそれぞれの御答弁に尽きるわけでございますが、現在鋭意関係各国と折衝中でございまして、何とか話をつけるように持っていきたい、このように努力をしているところでございます。あわせて関係各省ともいろいろな御相談を申し上げているわけでございまして、いずれ関係国との話し合いの結果を踏まえまして具体的に関係各省とは詰めるわけでございますけれども、やはり輸出国の状況に応じまして、国内の行政指導なり、あるいはそういう行政指導を担保いたします国内的ないろいろな措置等を多角的に組み合わせました措置を考える、このようなことを大ざっぱに考えておりますが、なお、ただいま申し上げましたように、関係国との話し合いの推移を見きわめまして、関係各省と具体的にこういったことを詰めてまいりたい、このように考えます。
  100. 安井吉典

    ○安井委員 国内で多角的にとはどういうことですか。
  101. 井上喜一

    井上説明員 外国の場合も国によりまして日本に対する輸出態度が違うわけでございますし、またわれわれが行政指導いたします場合も、関係各省によって対応が異なるわけでございます。そういったことを勘案いたしまして、輸入について一定の効果を担保するような措置を組み合わせて考えていきたい、このようなことを申し上げた次第でございます。
  102. 安井吉典

    ○安井委員 問題は、ほかの国、特にニュージーランドから始まるのでしょうけれども、向こうとの折衝であろうと思います。自動車の輸出に関係があって、差しさわりがあって困るからということでいわゆる調製バターの問題などをがまんさせる、自動車のために酪農が犠牲になるというようなことはとうてい許せないことではないかと思います。そういう意味でも問題だし、特に国内では乳過剰ということで計画生産になって、北海道などでは一円ずつお金を出してそれで消費の拡大をして、北海道内の生乳の消費はやっと少し上がってきた、そういう中で輸入がどんどんふえてくる、とりわけ違法な、それぞれの国においても許せないようなものがまかり通っていく、こういう状態ではいまの危機を乗り切ることはとうていできないと思います。これは去年の畜産審議会の建議の中にも書いてありますね。ぜひとも新しい段階に、三月末だそうでありますけれども、とにかくそれまでの間に完全な解決を図っていただくということをきょうの場合申し上げておきたいと思います。  次に、乳製品の過剰在庫の問題でありますが、これも昨年の畜産審議会の建議の中にも第二項に掲げられております。この委員会でもいままで何度も何度も取り上げてきた問題でありますが、この前畜産局長は、法令等の手続はもう問題はないのだ、ただ問題は財政上の問題だ、こういうふうな答弁をされていたように思います。とにかく大量の乳製品の在庫が事業団並びに民間の中にあるということが酪農の発展のために大きな重荷になっていることは間違いない事実だと思います。  きょうは畜産振興事業団の理事長もおいででございますので、事業団の立場からこの過剰在庫の問題にどう対応しようとするのか、そのお考えや方針を伺っておきたいと思います。
  103. 森整治

    ○森参考人 お答えを申し上げます。  現在事業団が持っております乳製品は、バターが一万一千九百七十トン、少し細かいですが、脱脂粉乳が四万四千三百九十七トンということになっておるわけでございます。畜産振興事業団が持っております在庫は、一般の市場から隔離をするために買い上げたものでございます。したがいまして、市況に悪影響を及ぼさないということで放出するというのが法制のたてまえになっておるわけでございます。そういう意味で、現在持っておりますこと自体は、持っている限りは直接的に市場に影響がないのではないだろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、これは長期にわたって保管をしておるわけでございますが、その管理にも十分気をつけておりますが、これを特別の目的に処分し得る事態、たとえば一カ月分以上であるとか、一年以上たっているとか、そういうことがございますので、処分することは可能でございます。しかし、これには先ほど先生御指摘のように膨大な財政負担が必要となるというふうに判断をいたしますし、また国際的に外国に対していろいろ問題を起こすということもなきにしもあらずということで、ただいま現時点畜産振興事業団の持っております在庫を特別に処分するということは非常に困難なのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。  しかし、現在すでに実施いたしましたが、海外援助のような場合はこれは国内に影響がないというふうに考えられます。これも負担との関係がございますけれども、そういうものを除きましては、原則として従来どおり、現在事業団が持っております在庫につきましては、しばらく市況の回復を待ちながら持っておりたいというふうに考えておるわけでございます。
  104. 安井吉典

    ○安井委員 これは事業団に在庫がゼロになるということになると、これまた別な心配も出てくるような気がするわけです。事業団として適切な在庫量というのはどれぐらいだとお考えですか。
  105. 森整治

    ○森参考人 これは考え方はいろいろあると思いますけれども、一応私ども、望ましい在庫としましては、バター五千トン、脱粉一万トン程度は持っていた方があるいはいいかもしれないという程度のことは考えているわけでございます。
  106. 安井吉典

    ○安井委員 そういたしますと、いまのものは過剰であることは間違いないわけですけれども、これは一過性なのかどうしようもないものなのか。つまり、前者であるとすれば後で何とか解決ができる、こういうことなんですがね。その辺の御判断はどうなっているのですか。
  107. 森整治

    ○森参考人 先生御案内のとおり、一応いま生産調整、計画生産ということでやっておるわけでございまして、民間の過剰在庫も若干ある、そこで金倉を助成しながらいま市況の回復を待っているということでございますが、これは計画でございまして、実際に、昨年のように冷夏が来る、したがって飲用牛乳の伸びが計画より非常に下回る、また乳製品の在庫がそのためにはね返ってふえてきた、その逆もまたあり得るわけでございまして、大変天候に支配されると言ってはあれでございますが、需要自身がそういう非常に振れを持った性格を持っておるわけでございますので、通常在庫だけということではなしに、いま確かに過剰でございますが、過剰分も場合によっては、需要のいかんによっては急速にさばけていくということもあり得る。  それからもう一つ、いま世界的に、過剰であった乳製品がわりに需給タイトになってきた、市況も相当上がってきておるわけでございまして、その辺、全体を絡めて見ていかなければならない問題だというふうに思っております。  結論から申しますと、過剰分ができるだけはける、需要が起こるということを期待をしながら、もしそういうことでなお管理に支障を来すような事態があれば、その時点でもう一回判断をいたしたい。ただいまのところ、先ほど申しましたように食用として使った方がいいと思いますし、そういう需要の回復を、市況を見ながら適切な管理をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  108. 安井吉典

    ○安井委員 農水省の方に伺いますけれども、大臣、特に海外の援助用にわずかですけれども出した経過があります。開発途上国への援助物資として、これはそちらの方の財源に乗って出すということになるわけでありますけれども、特に脱粉だと思いますね、その道をもっと探求すべきではないか。それからもう一つは、思い切ってえさ用に脱粉を回していくという道、そういうようなことが考えられると思います。  つまり、国内の市況に大きな影響を与えては困るわけですから余り方法がないと思いますが、そういったようなことをもっともっと積極的に考えていくということが必要なのではないでしょうか。いろいろな手法を組み合わせて考えていくというようなこの間の御答弁もありますけれども、具体的な取り組みはどうでしょうか、私はまあ一つ提案をしたわけですが。
  109. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおりに私どもも考えておるわけでありますが、そうかといって、この間ザイール共和国には五百三トンほどの脱脂粉乳の援助をいたしたわけでありますけれども、それじゃほかにすぐ出せるかということになりますと、やはり伝統的な酪農品輸出国がありまして、それらの国々から自分たちの市場を乱されては困るというような苦情がすぐにはね返ってくるということで、そういう援助をするについてもなかなか実際的には話が具体的に進まないというわけでございます。しかし何としても、先ほど来の論議のとおりこの過剰在庫が酪農を圧迫するという厳然たる事実は否定できないわけでありますので、できるだけ適正在庫に近づける最大の努力をしておる次第でございます。
  110. 安井吉典

    ○安井委員 中央酪農会議が、政府が二分の一ぐらいの負担をするという気があるのなら、残りの二分の一を生産者と処理業者との間で分担する方法もないではないというような提案をしたということを聞いています。これについてはどうですか。
  111. 井上喜一

    井上説明員 脱脂粉乳を子牛でありますとか子豚に給与していくということは、こういった家畜の保育にどうしても必要なことでございます。ただ、そういった畜産農家はなるべく安い脱脂粉乳を希望するということで、先ほども輸入のところで申し上げましたが、輸入脱粉を使っているわけでございます。国内脱粉に比べて、これは相場によって変動いたしますけれども二分の一でありますとか三分の一、あるいは場合によっては四分の一という価格でありましたので、どうしても輸入脱粉に頼るという傾向があったわけでありまして、国内が過剰であるのに脱粉を輸入してえさに使っているというような、いささか皮肉な現象が出ているわけでございます。  これの処分の最大の問題は、何といっても財政負担の問題だろうと思います。脱脂粉乳につきましてはすでに不足払いということで財政負担をしているわけでございますが、さらにえさ用に回すことによって財政負担が要るわけでございます。ただ、まあ生産者のそういう提案も一つの提案だろうと思います。われわれとしても、どういうような形でその提案が具体化されるのか、財政負担ができれば一番いいわけでありますが、もしできないような場合には畜産農家の方にも協力を願わないといけないわけでございます。一つの提案と受けとめまして検討させていただきたいと思います。
  112. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つ最後に伺っておきたいのは農家の負債整理の問題です。ここに北海道の道庁と北農中央会とが酪農家の経済階層区分別に対策を練るためにつくった資料があります。これは恐らく農水省にもずっと行っておると思うのですが、一万六千二百六十七の酪農戸数、このうち差し引き余剰が昨年末に出た農家をA農家とすると、それは三〇・六%にしかすぎない、あともう全部B、C、Dは赤字になっているわけですね。特にD農家はもう家計費も賄えない。こういうようなわけで、約定償還元金まで全部支払った結果で見れば、平均してA農家は黒字が百七十七万七千円、B農家は百六十六万八千円の赤字、C農家は三百五十二万五千円の赤字、D農家は何と八百二十三万五千円の赤字。これは一年間ですよ、一年間の収支がこういうような状況にあるわけです。  先ほども生産費調査等の結果をお聞きしますと、何だか一年間の北海道の酪農は生産費では去年よりも安くなっているという数字のようで、それならめでたしめでたしですけれども、現実のこの姿とどうつり合うのか、私もちょっと疑問に思いながらさっき伺っていたわけであります。もっと詳しい資料の中身の説明はもう時間がありませんのでやめますけれども、こういうような状態に対して、これは北海道だけじゃない、全国の酪農家も似たような姿にあるし、さらに冷害で苦しむ農民も、水田農家にしても東北等同じような状況があらわれているように思います。したがって、これらに対して単に利子補給をしてやるからとか、ちょっと延長してやるとか、そんなようなことでは対応できないのではないかと思いますね。ひとつ抜本的な対応策をこの際示すべきではないかと思いますが、これは農林水産大臣いかがですか。
  113. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 日本の酪農家は、私がいつも申し上げておりますとおり日本農政の先頭を切って挺身をしておるというふうに私は理解をいたしておるわけであります。歴史が一番短いわけであるにもかかわりませず、国際酪農水準に着々と近づきつつある意味においては、大変私は酪農家の皆さん方に敬意を表し、その労を多とするわけであります。  ところが、その日本農政の最先端を歩いていただいておる酪農家の皆さんが、いま御指摘のように負債でにっちもさっちもいかないという方が七割近くもおる、これであったのでは、もう先頭を切っていただいている酪農家の諸君が途中でおかしくなったのでは、日本農政二十一世紀に向かって暗たんたるものになってしまいますので、どうしてもこの酪農家の皆さん方には、あるべき姿の中に酪農を安定的に経営していけるような施策を講ずべきである、こう考えまして、この負債に対する積極的な対策というものを私も就任早々事務当局に命じておるわけでございます。近く結論が得られることと思いますが、やはりそのような気持ちで総合的な施策も講じてきたわけでありますが、さらに五十七年度の厳しい予算編成の中においてもそういう点は特別に考慮をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  114. 安井吉典

    ○安井委員 この乳価決定までの段階にその問題について一つの答えをお出しになるおつもりですか。
  115. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まあできればそうしたい、こう考えております。
  116. 安井吉典

    ○安井委員 その中身は、いまの段階でお話し願えませんか。
  117. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 財政当局とも――これまた相当経費を要するわけでありますので、この点はもう少しお待ちをいただきたい、こう思います。
  118. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、乳価が決まるまでといったらもうあした、あさってぐらいでしょうね。それまでにはお出しになるということを、それは確認をしてよろしいですね。
  119. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、そうしたいということで最後の詰めをやらしておるということでございます。
  120. 安井吉典

    ○安井委員 大臣、最後に、いま鈴木総理が政治生命をかけるといういわゆる行政改革の問題について大臣のお考えを伺って終わりたいと思います。  政治生命をかける人がだんだん何人も出てきて、大蔵大臣、行管長官、一体どうなることなのかと思うのですけれども、一律に補助金を削減するなどといったって、そうなれば農業に対するしわ寄せというものが非常に強くなってしまう。大体税金というのは、金のある人から取った歳入で弱いところに配るのが、これは国の財政の仕組みなわけですよ。その上の方の歳入の方は抑えてしまって、大きな企業に対する租税特別措置などはそのままにしておいて、力の弱い農民の補助金をぶった切るというようなことでは、とにかく財界がいまそれやれそれやれと言ってやっているものですから、財界主導の行政改革ということになると弱肉強食になってしまうのではないか、そのことを私どもは心配しています。  私も党の行政改革の責任者でもあるし、行政改革はやらなければいかぬと思います。やらなければいかぬが、何でもかんでもぶった切れではなしに、そのものの価値観を明確にして、今日の段階で何が大切なのか、何はもう少しがまんをしてもらってもいいのか、あるいは力のある人にがまんをしてもらっても力のない人を助けていく、そういうことに主眼を置かなければ、これは本当の行政改革じゃないと思うのですよ。何か農林水産大臣、鈴木総理に肩をたたかれていたということの記事もありますので、その点ひとつ最後に伺っておきたいと思います。
  121. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 やはり私どもは、農業基本法を中心にいたしまして、国会で制定していただいた法律に基づき、また農林省としてやらざるを得ないというふうに、これらの法律の精神に基づいて行政的に進めなければならないという施策を進めておるに必要な助成金というものを出しておるわけでございます。したがいまして、行政改革は進めなければならないということは、これはもう総理が全国民に公約をいたしたわけでありまするから、私どもといたしましてもこの総理の気持ちを実行をしていかなければならない、こう考えます。しかし、その際にも、やはり筋の通った説明のつく、しかも食糧増産やあるいは漁業振興やあるいは林業発展のために本当につらい仕事を黙々としてやっておる農林漁家の皆さん方のことを考えました際には、やはりこれの方々に説明のつく、納得がいって協力してもらえるような節約の仕方というものを私どもは突き詰めなければならない、こういう考えを持っておる次第でございます。
  122. 安井吉典

    ○安井委員 終わります。
  123. 田邉國男

  124. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 畜産価格、乳価の決定を前にいたしまして、一般情勢に関する質問をさせていただきたいと存じます。  昨年国会におきましては、食糧自給力の向上を図るべしとの国会の決議がなされたわけでございます。総合安保という立場から考えましても、日本国民が激動の時代に生き抜いていく、そういう観点から考えましても、食糧の自給力を向上させるということは、これは急務のことでございます。ところが、こうした努力にもかかわりませず、外国からの農産物の輸入が増大をするということによりまして国内の自給力が衰えるのじゃないか、あるいはまた、自動車の輸出の犠牲に農民がなっているのじゃないか、こういう考え方が一般に通用いたしておるわけでございます。  したがいまして、将来に対する不安というものがもし高じていくということに相なりますれば、日本がとってまいりました、特に農林省がとってまいりました政策そのものも非常に不信をもって迎えられますし、実行ができないのじゃないか、私はこういう考えがいたすわけでございますので、この点を事実を明確にいたしまして、また農林省自身の信念のほどと政策を明確にしていただきたい、この点を事実を明らかにして論じてみたいと思うわけでございます。  そこで現在、酪農関係から申し上げてまいりますと、牛乳が余っておるということが言われております。特に乳製品、バターにおきましては三万五千トン、六・八カ月分、生乳換算にいたしまして四十七万五千トン、脱脂粉乳が八万五千トン、生乳換算にしまして五十五万九千トン、九・一カ月分、こういうものが余っている、こういうふうに言われておるわけでございますが、この点に関しまして、なぜこういうような余る状況になったのか、まず農林省の見解をお聞きいたしたいと存じます。
  125. 井上喜一

    井上説明員 在庫の状況につきましてはただいま先生御指摘のとおりでございます。  どうしてこういうような需給の不均衡が出まして乳製品の過剰を招来したのかということでございますが、やはり消費が、従来のように飲用牛乳あるいは乳製品とも急角度で伸びるというような段階から、非常に安定といいますか鈍化の段階に入ってきているわけでございます。しかるに、配合飼料価格等の生産資材の価格がわりと安定をした、安くなってきたというようなこと、しかし乳価の方はその水準がそのまま維持されまして、酪農面への経営環境が好転をいたしまして、酪農家生産意欲が向上をいたしたということ、あるいは搾乳牛の一頭当たりの搾乳量が非常に増加をしてきております。ここ四、五年のうちに一割ぐらいの搾乳量の増加があるわけでございます。そういったこととか、あるいは乳牛の飼養管理技術が向上いたしまして、そういう意味で酪農の経営規模を大規模化できるような、そういった素地ができてきた、こういうようなことが重なりまして、生乳の生産量が急速に増大して、それが需要の伸びを上回るようになった、これが供給が過剰になった主たる原因ではないか、このように考えております。
  126. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 需要が伸びないというものの中には、たとえば市乳の販売におきまして、昨年冷害の影響が相当あったのじゃないか、こういう点もあると思います。それから同時に、いま農林省では挙げませんでしたけれども、輸入農産物の影響、こういうものがあるのではないかという指摘が相当あるわけでございます。  そこで、私は輸入農産物の実態というものをより明確に数字を見てみたわけでございます。そうしますと、酪農をめぐる情勢資料をいただきましたが、脱脂粉乳は五十五年におきましては七万九千トン輸入しておる、生乳換算にして五十三万八千トンでございますね。それからナチュラルチーズが七万四千四百八十八トン、生乳換算にしまして百万トン、乳糖が六万一千トン、生乳換算にして二十万トン、カゼインが二万二千トン、生乳換算にしまして七万六千トン、そして調製油脂、ココア調製品、こういうふうになっておるわけでございます。  そこで、事実関係を明確にいたしたいと思うわけでございますが、いま脱脂粉乳が国内の生産の分が八万五千トン、生乳換算にして五十五万九千トン余っておるわけでございますけれども、実績のほぼ同じものが外国から輸入をされておる、こういうのはだれが考えてもちょっとおかしいのではないか。生乳換算にしまして全部で二百五十万トンでございますけれども、一番大きいのがナチュラルチーズの百万トン分、その次が脱脂粉乳の五十三万八千トンなわけでございます。ですから、国内のものが余っていて外国から入れるのがたくさん入ってくる、これはどう考えましてもきわめておかしいのではないか。この点についてはどうですか。農林省はどう考えているのですか。
  127. 井上喜一

    井上説明員 乳製品の中で大きな量を占めておりますのは脱脂粉乳とナチュラルチーズでございます。脱脂粉乳で輸入されておりますものは、ここの資料にもございますように、飼料用でありますとか学校給食用あるいは福祉用でございます。それから、ナチュラルチーズは通常のナチュラルチーズが入るわけでございますが、これらについて共通しておりますのは、こういったものを国内ではなかなかこういった価格でつくれないということだと思います。  脱脂粉乳につきましては、一定の特定目的といいますか、政策目的を持って輸入しております。安いものでないと使えないということです。これは、飼料用にしてもそうでございますし、学校給食用で、これは学校給食で料理に使っているようでございますが、父兄負担等の関係からやはり安い脱粉じゃないと使えない、こういうような状況で入ってきておるわけでございます。ナチュラルチーズにつきましては、国内にそういった生産の余力がないわけでございます。そういうことで生乳換算で百万トンも入る、こういうような状況でございます。
  128. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 そうしますと、つまり飼料用脱粉の場合におきましては、これは非常に輸入しておりますけれども、農家生産の体制には非常に役に立っている、こういうふうに理解をしてよろしいと思うのですが、ただ問題は、ナチュラルチーズとか乳糖とかカゼインの場合は、なかなか日本の国内生産体制も整っておらないという点がありますのですぐ代替はできない。  しかし、国内で同じものが余っておるものが外国から入ってくる、これが二百五十万トンの中の五分の一を占めておる。ともすれば外国の農産品というものが国内の生産を阻害しているという非常に大きな誤解がありますので、これは入れておるけれども農家のためになっておるのだという点を明確に認識をしなければならぬと思うのです。そうした上で余っておる農産品を、脱脂粉乳を、どうして在庫から消費に回すかという点を考えなければいかぬと思うのです。  つまり、生乳換算で二百五十万トンのうちの五十三万トンが入ってきておる。しかし、これは国内でも同じものが余っておるわけでありますから、農業団体も、これが非常に大きな格差があるけれども、政府の方としましてはある程度の努力をしていただいて、できればまずこれを消費する、こういう努力をやってくれ、あるいは先ほども話がありましたけれども、外国に出してやる、こうした努力がまず最初になされなければならない。このことを私は指摘したいと思うのです。ですから、やはり同じものが余っておる、これは何とかして早く国内で使えるものであるならば早く消費をする、こういう手だてを考えなければいかぬ、こう思うのですが、どうですか。
  129. 井上喜一

    井上説明員 過剰な在庫があるわけでございます。これを解消していくということはどうしてもやっていかなくてはいけないことでございますが、なかなかむずかしい問題がございます。一つは財政問題でございます。これを処理するにいたしましても膨大な財政負担がかかるわけでございます。すでに不足払いをしております乳製品につきまして、さらに補助金を出しまして財政負担をいたしまして処理をするということでございますので、なかなか問題が大きゅうございます。  それからもう一つの問題は、処理する用途にあるのじゃないかと思うのです。脱脂粉乳につきましては、これはえさ用にということが考えられるわけでありますが、バターにつきましてはどういった用途に処分をしていくかというような問題がございまして、こういう処分の用途についてもなかなかむずかしい問題がございます。  またこれは輸出でやるのかあるいは国内で処分をするのかという問題がございますが、輸出については先ほど大臣の御答弁にございましたように、これは外国との調整の問題がございます。伝統的な輸出国との間になかなか問題がございまして、そういったことを調整しなくてはいけないという問題でありますとか、あるいは受け入れ国がそういうものを希望するということでなければこちらから援助をするわけにまいりません。援助の予算は日本で組んでおりますけれども、そういう予算の中で援助を与えられる国が、どういうものを援助してほしいかということを選択するわけでございます。そういう問題もございまして、なかなかむずかしいわけでございます。  国内的にはいま言いました二つの問題でございまして、財政的な問題それからどのような形で処分をしていくのか、こういう問題があろうかと思います。
  130. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 そこで今度は調製油脂の問題に入るのでありますが、これは一万七千トン輸入をしておって、生乳換算が十五万六千トンということになっておるわけでありますが、これが非常に伸びておる。そこでこれをどのように輸入の抑制を図りたらいいかということが最大の問題に相なっておるわけでございます。  そこで、ともすれば外国からの輸出攻勢というものは、日本からも大いに日本の工業製品を外国に売って輸出攻勢をやっておるので、つまり日本の自動車の、工業製品の犠牲になるのじゃないかという点で大きく指摘されるところでございます。しかしながら、世界の自由貿易の潮流が、自由貿易だけでなくして、自分たちの国民が困らないように、たとえば日本の農民におきましては、外国からの輸入品がどんどんふえることによって日本の国内の農民が困るようなことがあっては、自由貿易の原則というものもある程度規制しなければいかぬ、同時にまた工業製品におきましても、日本がどんどん外国に出すことによって向こうの労働者が失職するようなことがあるならば自粛してくれ、こういう方向に来ていると思うのです。  ですから自動車におきましても、たとえばイギリスにおきましては、日本は、全イギリスの一一%まで日本の自動車を売ればそれ以上自動車を売らないということで自主規制をしておる。それからまたフランスにおきましては三%。そして一昨日アメリカも、アメリカの国内で日本の自動車を買わないという法律をつくればこれは国際貿易上大変な問題になるから、日本の方で自主規制をしてくれないか、こういうことになって政府間交渉に入ることになったわけでありますが、そうであるならばわが国としましても、いままでとにかく農産品の自由化というものに対しましては、日本の国内の農民が犠牲にならないようにということでがんばってきた。同時にまたアメリカが工業製品において、日本に対して自動車を自主規制してくれというのであるならば、これはやはり調製油脂の問題におきましても、あるいはその他の農産物におきましても、あくまでも日本の農民が輸入農産物によって崩れないように、交渉の根拠というものは自主規制を相手に堂々と求める、こういう基本的な姿勢で臨んでいかなければならぬと思うのです。  ですから、そうした潮流の中におきまして、ともすれば誤解を受けてきたのは、外国からの農産品がどんどん入ってきて日本の国内の農民は犠牲になるのだ――しかし農林省はどんなことがあっても農民を守るのだ、この決意が私は必要であると思うのですよ。ですから農林大臣、ぜひその決意とそれから交渉の方針、それをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  131. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林水産大臣は名前のとおり日本農林水産漁業家の立場に立って、その利益を守り、そうして食糧の安定的供給をすることのできるように生産にいそしんでもらう、これが私の任務でございますから、いやしくも自動車を売りたいために農産物を買うなんというような考えはみじんもないということを申し上げておきまするし、また今日までもそういう立場をとったことは全くないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。  それから、農業というのは命から二番目の大事な食糧を生産する産業でありますから、どこの国でも農業というものに対してそれぞれの保護策をとっておるわけであります。アメリカは残存輸入制限品目は一つしかないのだ、こう言ってよくいばるわけでありますけれども、しさいに検討して見ますと、農事調整法という法律によりまして、小麦、小麦粉、小麦ひき割りミール、落花生、チーズ、バター、バター代用品、チョコレート・ココア調製品、アイスクリーム、練・粉乳、ミルク・クリーム、麦芽ミルク調製品、ミルク含有飼料、こういうもので実はそれぞれ保護をいたしておるわけであります。ただしガットの免責条項を確保をしておりまして、国際的な批判を受けないでアメリカ農民を保護するようなことをちゃんとやっておる。  さらにECでは、それぞれの国がやはり農産物の輸入制限措置をやっておるわけであります。フランスは農業品が十九品目、西独が三品目、デンマークが五、ベネルックスが四、こういうふうに非常に低いようでありますが、しかしこれはもう本当に国際価格に対する課徴金というものを相当高率に取っておるわけであります。たとえて申し上げますと、バターについては三一一%、脱粉については二七九%、牛肉については一〇四%、こういうような課徴金を徴収をしておる。こういうふうにしてそれぞれの農家を守っておる。  日本もそれらに負ける必要はないわけでありますから、私も就任以来擬装乳製品については、ニュージーランドに対し、またベルギーに対し毅然たる態度で自主規制、最初はIQをやりますよと通告したわけですが、これが非常な大きな反響をもたらしまして、そうしてガットの場で、われわれがこれはバターである、こういう指摘をしたわけですが、いや、その製品はバターではない、こういう結論をガットで出されてしまっておるものですから、したがって今度は自主規制を求めようということで、現在もジュネーブにおいて、またニュージーランドにおいて、自主規制を求めるべく二国間で話し合いを進めておるということでございます。
  132. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 時間が大分切迫しましたので畜産の問題に入りますが、やはり農民に対しましては各国で非常に手厚い政策をとっておる。したがいまして、牛肉の問題につきましても、私はいままで農林省がとってきた政策というのは間違っていなかったと思います。  と申しますのは、確かにいま十三万五千トンの牛肉を入れております。約十三万五千トンですよ。しかしながら、これはあくまでも日本政府が、国内の生産農家に対して影響がないという範囲で入れようじゃないか、だからあくまでも足りないものを入れる。そうして入れたものは、畜産事業団が一元化輸入をして、そして日本の国内の価格に合わせて売る。その差益が相当出ているはずでございます。その差益を農民の生産意欲を高めるために回している、これがなかなか理解できない。ただ外国からの圧力で、東京ラウンドで五十八年度までに十三万五千トンだから、十三万五千トンを何がなんでも実現しなければいかぬ、国内の農家を圧迫しても十三万五千トンだ、それから五十八年度以降になれば、また交渉をしてこれが十五万トンとか二十万トンになるのじゃないか、そうすれば国内の農家はもっともっと苦しむのではないか、こういう先行きの不安があるというところに私は大きな問題があると思うのです。  ですからあくまでも、外国から牛肉を入れるにしても、これは足りないものを入れるのだ、入れたものは、やはり一元化輸入で、これは日本が確保して、そしてその差益というものを出しているのだ、ちなみに、これはなかなか明らかにされておりませんから、畜産事業団が五十一年度から始めた差益を、今日までどれだけ生じておって、主なものに対してはどういうように使っているのか、言っていただきたいと思います。
  133. 井上喜一

    井上説明員 畜産振興事業団の差益金についてのお尋ねでございます。輸入牛肉の売買差益はどうして出るかと申し上げますと、事業団が原則として入札で買いまして入札で売る、こういう制度をとっております。したがいまして、日本の国内相場あるいは海外の相場によりまして差益の発生状況が違ってくるわけでございます。  それが各年度ごとに出てきておりますが、五十一年度から申し上げますと、五十一年度の差益金が三百八億、それから五十二年度は三百九十三億、五十二年度が四百五十四億、五十四年度が四百二十一億、五十五年の見込みでありますが、これは大体二百四十億前後出るのではないか、あるいは若干下回るかもわかりませんが、大体この程度を見込んでおります。  この差益金はどのように使われるかということでございますが、これは畜産物の価格安定等に関する法律に明確に規定されておりまして、益金の十分の二につきましては一種の価格変動準備金というような性格だと思いますが、資本金の二五%に相当する額に達するまでは積み立てる。資本金の二五%までは差益の十分の二について積み立てるということです。それで残額につきましては助成勘定というのがございます。これは各種の助成事業をやる勘定でございますが、その助成勘定に繰り入れまして使用しております。使用は、これは農林省令で定める事業に限定されておりまして、事業は肉用牛の生産振興とか、あるいは畜産経営の指導あるいは技術指導、それから主な畜産物の流通合理化、たとえば食肉センターでありますとかあるいはソフトチーズの施設なんかがそうでございますけれども、これらに助成するようになっております。  これは各年非常に多岐にわたっておりますので、五十五年度について見ますと、子牛の生産奨励です。先ほど御質問ありましたように、子牛の生産奨励金といたしまして一頭一万五千円を出すというような事業をやっております。あるいは稲転地域で肉用牛を始める。肉用牛を始めまして、稲作転換をいたしまして飼料作物を導入する、こういった事業でありますとか、それから消費者対策といたしまして、牛肉がなるべく安く消費者に渡りますように、新しい牛肉の値下げルート新設事業といいまして、つまり従来のような卸を通して小売に行くというような流通じゃなしに、組合自身が組合員と直結をして肉を届けるような、そういった事業をやっております。それから子牛の価格安定基金というのがございますが、その基金に対する助成でありますとか、あるいは酪農に対しまして低利資金を融資しております。あるいは養豚経営に対する低利資金の利子補給などもこの指定助成事業として実施しているものでございます。それから牛乳の計画生産でありますとか飲用牛乳の消費拡大等の費用、三十三億円五十五年度は助成いたしましたけれども、これもこういう差益の中から出している、こういうことでございます。
  134. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 制度としましては、強い牛肉を非常に巧みに利用しまして、日本で言うならば柔よく剛を制す、こういうような制度であるとも言えるのじゃないかと思うのです。  つまり、たとえば子牛の値段が下がった場合には、いままで三万円、あるいはいまは一万五千円の子牛生産奨励金を肉用牛の場合は出している。もしさらに下落した場合におきましては、この制度を利用しましてまた三万円ということもあり得る。さらにまた、乳牛が子牛を生産した場合に、外国からの脱脂粉乳というよりは、もっと徹底すれば、全乳保育をして子供に母乳を飲ませるということにすれば、さらには生乳の消費そのものも伸びるのだ、だからそれを奨励するためにいまキロ当たり三十円の補助を出しておる。やはりこうした制度は今後も維持していくのだ、このことによって農家にも大きな恩恵になると私は思うわけでございまして、外国からの農産物そのものが、すべてがすべて日本の国内の農家生産を阻害をしているのじゃないのだという点ももう少しよく認識をしておくべきではないか、こう考えるわけでございまして、要するに制度を守って農家の所得を向上させる、こういうところにウエートがなければいかぬ。  そこで、きょう今後の畜産価格の方におきましては諮問案が出たわけでございますが、さらにはまた、乳価の問題につきましても適正な価格を諮問をしていただくということが大事であると思います。これはできるだけ上げるということが最も望ましいことでございますが、しかし一方におきましては、同時に消費者というものも存在をいたしておるわけでございます。余り高い農産物価格になりますと、先ほども言いましたように消費が伸びない。ここの整合性をいかにするかということがきわめて重大な問題であると思います。ですから生産価格を、保証価格を上げたことによって酪農情勢の解決がすべて成ったのじゃないのだというところが問題でございまして、一方においては消費者には価格を低くする、生産者の方々に対しては高くする、こういう矛盾した政策を一度にすぐはできないというところに大きな問題点があると思うわけでございます。  そこで、私は問題を一点にしぼりまして、やはり農家の所得を向上せしめるという点からいいますならば、たとえば北海道におきましては千七百万円の負債が一農家当たりある、あるいは都府県におきましては五百万円の負債がある。これはいままで農家の皆さんが一生懸命努力をしまして、外国の飼養頭数と変わらない非常に急激な努力をいたしてきた結果であると思うわけでございます。それを急激に借金を返済をしろということになりますと、農家経営にとって大きな問題でありますから、つまり金融政策におきまして、たとえば償還期限の延期、金利負担の軽減というものをもっともっとダイナミックに考えていく必要があるのじゃないか。それによって農家の所得を向上することができるのじゃないか。あるいは自給飼料の面におきましてももっと改善をすることができるのじゃないか。外国からの飼料におきましても、安いときにできるだけたくさん買って、これを備蓄をして国際的な変動に対処して、農家が不安を抱かないように計画生産をすることができるのじゃないか、こういう点にもっと留意をすべきではないか、こう考えるわけでございますが、時間が参りましたので、この点に関してだけ質問をしまして、終わりたいと思います。
  135. 井上喜一

    井上説明員 牛肉の差益を助成勘定に入れまして、これをいかに効率的に使用していくかということだと思いますが、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、酪農の負債対策につきましては、われわれ命を受けまして細部を詰めている、こういうような段階でございます。その他の事業につきましても、そのときどきの必要性等を十分勘案いたしまして、適切に助成事業を決定するようにしてまいりたい、こういうように思います。
  136. 玉沢徳一郎

    ○玉沢委員 終わります。
  137. 田邉國男

    田邉委員長 吉浦忠治君。
  138. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は、先般の委員会に引き続きまして乳価の問題、すなわち擬装乳製品の問題とかあるいは金融対策でありますとか、消費問題を含めまして御質問を申し上げたいわけでございますけれども、質問に入る前に、最初に養鶏問題で二、三質問をさしていただきたいと思うわけでございます。  五十三年の六月に、卵価が低迷をいたしておりますときに、衆議院の農林水産委員会委員会決議を行ったわけであります。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕 その折に、養鶏を農業の一部門とするということで、大変生産養鶏農家の方々が喜んで、今日の卵価の安定と申しますか、その当時から見れば比較的高い目に推移をしているような状態でありまして、喜ばしい状態が生まれたわけではありますけれども、御承知のように鶏卵需給安定対策検討会というものが開かれまして、昨年の暮れでございますか、その内容等についてすでに公表されておりますが、報告の内容等については生産者の間からかなりの不信なり不満なり疑問が出ているわけでございます。  こういう点を最初にお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、疑問はそれぞれあろうと思いますけれども、まず凍結羽数の問題であります。四十九年の五月の時点で、生産農家の方々が大変苦慮されまして、このときの凍結羽数を基準にして減羽を行ってきたわけでありますけれども、これを五十五年の五月の時点で見直すというふうな状態になっている点が一つであります。  二番目には、いわゆる低卵価の原因となっておりますのは、先般の委員会でも御指摘ありましたが、やみ増羽を一定羽数、いわゆるやみ増羽分の二〇%ないしは三〇%を減羽させるようにするという点でありますけれども、そうなりますと、残りのやみ増羽分を凍結羽数として認めるという、やみ増羽をやった者が得するような行き方の決め方になろうとしているわけであります。この検討会でも、二〇%以上にするとかあるいはもっと高い地点にするとかいうふうな意見にいろいろ分かれているようです。生産者の声がこれに反映をしているかどうかと私は大変心配をいたしておりますが、以上の内容を盛り込んだ局長通達が、一昨日の局長答弁によりますと五月ごろ出されるというふうなことを聞きましたが、もしもこのとおりのものが出されますと、やみ増羽者を許して、まじめに生産調整を守ってきた生産者に犠牲を強いる結果になると思うわけであります。  そうなりますと、五十三年の当委員会で決議をいたしました養鶏農家を守る、生産者のその立場が行政不信につながりはしないかと私は心配をしているわけです。そういう点で、今日までの経過の中で、まじめな生産者は卵価の回復を望んでおりましたのが、五十四年八月には自主減羽を示しており、五十五年五月の羽数は四十九年の時点よりも減っていることが考えられるわけです。そういう点でまず第一にお尋ねをいたしたいのは、現在生産者の個別の凍結羽数は四十九年五月時点の羽数を保障してもらいたい、それを通達の中にきちっと明記してもらいたい。この点をまず最初にお尋ねいたしたい。
  139. 井上喜一

    井上説明員 昭和五十六年度生産調整についての基本的な進め方の通達はことしの五月ごろに出す予定で作業を進めているわけでございます。先生御指摘のいまの点がその問題の一つでございまして、いつの時点の羽数を凍結羽数にするのかということでございます。  生産調整はたしか昭和四十七年から始まったと思いますけれども、非常に精緻な形になりましたのは昭和四十九年からでございまして、その時点の羽数をもって凍結羽数としたわけでございますが、よくよく検討してみますと、どうもその羽数自身がいまの実態と多少かけ離れているのじゃないかというような議論がございまして、むしろ現実的には五十五年五月時点の羽数の方が生産調整の基準にする羽数としては適当じゃないのだろうかというような御意見があるようにわれわれ伺っておるわけでございます。  ただ、それは総羽数でございまして、ただいま御指摘になりました個々の農家の問題がございます。生産調整に協力しなかった者もございますし、生産調整に協力してしかも羽数をどんどん減らしてきた人もいるわけでございます。そういう人が後継者ができてその後継者に経営を譲り渡す、そういった場合に、いままでは飼養頭羽数を減少させてきたけれども、さらにもっと多くしたいというような希望のある経営農家もおられると思います。  そういうことで、まだどの時点の羽数を凍結羽数にするかは最終的な結論を出しておりません。これは今後詰めていきたいと思いますけれども、仮に五十五年五月の時点の羽数で凍結をするということにでもなりますれば、恐らくいま申し上げましたような経営に支障が出てくる、こういうぐあいに考えますので、そういった経営者、つまり生産調整を守ってきていて飼養羽数を減少させてきた農家につきましては、それ以後さらに飼養規模をふやしていきたいというような場合にはそういうことができるような配慮をしていく必要があろうかと思います。その点については弾力的に配慮がされるようにしていきたい、われわれこのように考えます。
  140. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 一昨日の局長答弁によりますと、いまのと同じようなことを答弁されたわけです。そうなりますと、四十九年の時点にまじめにやった人、これは全くばかをみてしまう。それはいま審議官が言っているのと同じでありまして、五十五年五月の時点でというのは生産者全体の状態を見て決める、こうおっしゃるけれども、四十九年の時点を考慮しなかったならば、そのときに悩み苦しんで減羽をした人たちは何の救いもない。強引に横やりを押してやみ増羽をやった人だけが得するようなことをするならば、これは真の行政とは言えない。ですから、そういうものをきちっと局長通達の中に織り込まなければいけない。どうですか。
  141. 井上喜一

    井上説明員 お答えいたします。  まず、凍結羽数といいますか、四十九年、五十五年のそれぞれ五月時点の羽数を申し上げますと、四十九年時点で、これは凍結羽数になっているわけでございますが、一億二千六百七十八万八千羽でございます。五十五年五月は一億七百六十万羽でございまして、四十九年対比で五十五年を見ますと八四・九%、約一五%ぐらい羽数が減っているわけでございます。したがいまして、羽数の基準をどこに置くかという、それはマクロの問題でございますが、これは四十九年よりもむしろ五十五年の方がより現実的ではなかろうかというような意見が強かったように思うわけでございます。  ただ、先生おっしゃいますように、そうしますといままでまじめにやってきた者はばかをみるじゃないかという個々の生産者の調整の問題があろうかと思います。それにつきましては、いままで生産調整に協力し、さらに減羽をやってきた人が、この五十五年時点の羽数で凍結されますと今後の経営規模拡大ができなくなる、こういうような場合もあろうかと思います。そういう場合にはそういう養鶏家に対しては弾力的な措置、つまり経営規模の拡大ができるような措置を考えていく必要があろうかと思います。その点十分に考えて対応策を考えてまいる所存でございます。
  142. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、前々から課題になっておりました点で、要するに凍結の下限羽数ですね、五千羽までで抑えておりましたけれども、小規模経営の方々が、そんなこと言っては申しわけありませんけれども、どなたもやみ増羽に対する減羽のときは犠牲を払われたわけではありますけれども、言うなれば小規模経営の方々の出血の方が大きかったと思うのです。ですから下限の五千羽を長い間の懸案であります一万羽までに伸ばすようにぜひ考えていただきたいし、また行政指導をやっていただきたいと思うのです。この点についていかがでございますか。
  143. 井上喜一

    井上説明員 飼養頭羽数をどこに置くかということでございます。つまり生産調整をする階層を何羽以上にするかという問題、これは非常に大きな問題でございます。当初は経営規模が拡大していくそういう階層をとらえまして、そこの農家の飼養羽数を抑えていけば生産調整ができるじゃないか、こういう考え方でやったわけでございますが一当時といまとでは経営規模がまるっきり違います。大規模の飼養頭羽数の農家の数が多くなりまして、その農家の飼養いたします鶏の羽数の総羽数に占めるウエートが非常に高くなってきているわけでございます。そういうことから農家の飼養羽数の下限を五千羽から一万羽に引き上げてはどうなのかという意見があるわけでございますが、これまた賛否両論ございます。  われわれもこの取り扱いに非常に困っているわけでございますけれども、一つは経営の自立が可能な飼養羽数がどの程度であるのか、五千羽で引くのか一万羽で引くのかというような問題、あるいは引き上げたことによりまして鶏卵の需給にどういうような影響を与えるのかというような問題それからもう一つは、先生御案内かと思いますが、昭和五十六年度から無断増羽者につきましては配合飼料の価格安定制度から排除する、そういう措置をとっております。それとの関係もございます。五千羽から一万羽に引き上げたとなりますと、仮にそういうぐあいになりますと、一万羽以下の農家に対しましてはこの排除措置が効かないことになります。そういった点全体をよく考えまして、下限を五千羽にするのか一万羽にするのか検討してまいりたいと思います。
  144. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 これは十分な検討をするときがもう来ていると思うのです。ですから、これから後で私は取り上げますけれども、やみ増羽を図っているような商社経営なり企業経営なりというものをきちっとチェックしていけば、こういう小規模経営の方々のアップは当然あってしかるべきではないか。これは当然できると思うのです、確信を持って私は言えると思うのです。検討してもらうのじゃなくて、もうこれは一万羽まで伸ばすというその時点が来ているというふうに私は思うのですけれども、もう一回どうぞ。
  145. 井上喜一

    井上説明員 先生のような有力な意見のあることはわれわれは十分承知しております。しかし、片や五千羽にという意見もあるようでございますが、先生の御意向等を十分考慮に入れまして、なお検討してまいりたいと思います。
  146. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 一方、やみ増羽者は、現実にはもとの羽数に戻すのは無理だという理由として、それがわずか二、三〇%のやみ増羽分の減羽で許されるというのならば、残りの八〇%は凍結羽数として認められるわけで、こうなりますと、やみ増羽をやった者が得だ、二、三〇%だけ切り捨てになってあとのものは残るというのなら、増羽した分だけ得するということになってしまうのです。ですから、こういう矛盾がまじめに働いた人たちにはどうしても納得できない。まじめに働いていらっしゃる生産者がやみ増羽者の犠牲になるということであれば、国会決議をした意味も何もなくなってしまう。どうですか。
  147. 井上喜一

    井上説明員 いままで生産調整を守ってきた養鶏農家にとりまして、無断農家がそのまま認められるというようなことになりますと、確かに感情としてはなかなか受け入れることができないという問題があろうかと思います。ただ、昨今の状況を見ますと、鶏卵の価格安定というのはますます必要になってきております。そういう意味で、鶏卵の価格安定を図りますために、いままでの無断増羽者に対しましても一定の条件をつけまして、全体の生産調整運動といいますか、生産調整体制の中に組み入れていくということが必要なのではないか、このように考えているわけでございます。  そのためにわれわれが考えておりますのは、いままでの無断増羽者を認めるといいますか、正式に認知する条件といたしまして、一定の羽数を切り捨てる、一定の削減率を掛ける、こういうことを考えているわけでございます。削減率を掛けたといたしましてもなおかつ感情的な問題は残ると思いますけれども、全体の鶏卵の生産調整をスムーズにやっていくという観点からはそういうことも必要ではないのだろうかというふうにわれわれは考えているわけでございまして、この削減率をどうするかについては、なおわれわれは検討する余地がございますので、関係者とも十分相談いたしまして適正な削減率を決定してまいりたい、このように考えております。
  148. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 くどいようですけれども、大臣もよく聞いてもらいたいのですが、こういうまじめな方々の声が反映できるのが私は行政の望ましい指導だと思うのです。したがいまして、五十六年度からということでその減羽の切り捨てが二〇%程度ということですけれども、二〇%以上というその以上ということだけだって検討会では相当もめたのではないですか。そうでしょう。ですから、これを以上にするということは不可能だと思う。そうするとやみ増羽者にとっては非常に有利な点で、やればやり得だということになってしまう  一つのことだけでとどまっていたのでは先へ進みませんから、そこでやみ増羽者の措置ですけれども、日本の将来を考える場合に、やはり生産者の意見を十分にお聞きになることが私は大事だと思うのです。よく大臣もおっしゃいますけれども、声なき声をお聞きになって公平な立場でおられるのが大臣だと私は思います。そういう点で日本養鶏協会とか全鶏会議等の要望、生産者団体の意見をよくお聞きになって、一年間ぐらいその検討をなさるぐらいの必要がありはしないか、こういうふうに思うのです。いかがですか。
  149. 井上喜一

    井上説明員 無断増羽者の扱いをどうするかというのはこれまでの非常に大きな懸案でございまして、やっと昨年関係者によります検討会を開きまして一定の考えを出していただいたわけでございます。確かに先生の御提案も一案ではございますけれども、近々、昭和五十六年度生産調整の方針も通達しなければならないような時期に来ております。われわれは生産者団体等とは十分連絡をとって最終的な方針を決めてまいりたいと思いますので、その点ひとつ御理解のほどをお願いいたしたいと思います。
  150. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 こういう論議をしている間でもやみ増羽者の人たちはどんどんと増羽を図っているのです。半月ぐらい前のNHKのテレビでも放映されておりました。やみ増羽者の名簿が見えるぐらいの距離で報じておりましたが、農林省はこのやみ増羽についてどれくらい的確な把握をなさっておられますか、具体的事例でお述べ願いたい。
  151. 井上喜一

    井上説明員 無断増羽者の現況でございますが、これは経営規模別に見ましても各階層ございます。われわれの把握しているところを申し上げますと、五十五年の五月末現在の調査でございますが、戸数では百一戸でございまして、無断増羽数が三百四十六万一千羽でございます。それで五千羽から一万羽未満が九戸でございまして、三万九千羽でございます。それから一万羽から二万羽未満が二十一戸でございまして、無断増羽数が十九万九千羽、それから二万羽から五万羽未満の階層は四十一戸でございまして、この階層が一番多うございまして、無断増羽数が九十万三千羽でございます。五万から十万羽未満が十七戸でございまして八十九万二千羽、十万羽以上が十三戸でございまして百四十二万八千羽、こういうことになっておりまして、十万羽以上の飼養者のうち、十万羽以上の無断増羽を行っているものは五社ございます。岩手県一つ、宮城県二つ、茨城県二つ、こういった状況でございます。
  152. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その十万羽以上の増羽を行っている具体的な企業経営等のことはこの場所で言えますか。
  153. 井上喜一

    井上説明員 こちらの調査の都合もございますので、この場で公表いたしますことはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
  154. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 申さなければわからないと思いますので、農林省がおっしゃらなければ、こちらの方でつかんでいる資料をこの場所で私は申し上げたいと思うのです。よろしいですか。  北海道選出の代議士の方もいらっしゃいますけれども、北海道、青森県、栃木県等で顕著に行われておりまして、具体的事例を三点だけ挙げますが、北海道の白老で北海物産という会社が二十万羽の規模で土地造成を行っておりまして、これも終了して建築も完了しておりまして、増羽に取りかかっている現状であります。二十万羽ですよ  青森県では、これも名前を挙げてはどうかと思いますけれども、福田種鶏場が前田農事という企業養鶏から十五万羽を買って、自己育成場及び種鶏場を採卵農場として転換して、育成場分で四十万羽、種鶏場分で十万羽、総計六十五万羽の計画で仕事に入っております。これは八戸の第一農産という会社を通じて、どうやら三井物産から資本援助が出ているのではないかと言われているのです。六十五万羽ですよ。  事例のもう一点は、栃木県でカブト養鶏という、埼玉から移転した養鶏のようでありますが、これは最初凍結羽数が五万羽でしたが、現在羽数は十五万羽で、これは伊藤忠飼料が支援して十万羽やみ増羽をしていると、こうなって入っております。また新規増羽中で、また十万羽を増羽中でありまして、大洋漁業が支援してやみ増羽中、計二十五万羽で、やみ増羽はこれで二十万羽、こういうことになっているのです。こういう資料は農林省つかんでいませんか。
  155. 井上喜一

    井上説明員 北海道と栃木のものについてはわれわれまだつかんでおりません。  それから、青森県のものにつきまして、青森と岩手に関係する会社のようでございますが、これについては、われわれつかんでおりますのと若干差異がございます。
  156. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 行政の衝に当たる農水省がきちんとした――先ほど四十九年の時点でも、まじめに働く人たちのことを話をしても、五十五年時に見直すぞというふうなこと、いまこうしてどんどんと増羽を図っている、そういう企業経営があるわけです。こういう指導をどうなさるのか。私は、そういう点では非常に不満だらけの行政になりはしないか。言うことだけ言う、決めることだけ決めて、守ることは何にも守らせない、こういうことでは真のまじめな養鶏農家を守るとは言えないと思うのです。  飼料基金の連動問題でも抜け穴だらけでありまして、時間がないので余り詰められませんけれども、飼料基金の積み立て等におきましても、生産者やあるいは飼料メーカー、国の三者が出してその飼料基金を積み立てているわけですけれども、これもやみ増羽者分を飼料メーカーはもうすでに除いて積み立てているという現状。また、一つの業者が二つの県にまたがって農場を持っている場合、ある県ではやみ増羽をし、ある県ではやみ増羽をしていない場合に、その県の基金というものにやみ増羽をしていなければ加入ができますが、そこで加入数量のチェックが不十分なために、加入している県で、その農場で加入できない農場の分まで全部そこで加入契約をしているという、実質的にはやみ増羽をしても完全にその加入ができるというふうなことになっているわけです。こういう点で実に抜け穴だらけであって、やみ増羽者は県単位で見るのでなくて、国単位で厳しくチェックする必要があるのじゃないか。  したがいまして、国に、国と言わなくても中央で結構でございますが、中央に強力な羽数調査委員会、羽数調査機関委員会はあれですけれども、羽数調査機関というふうなものを設置して、中央においてきちっとしたチェックをする、そういう機能を発揮することができないかどうか、こういう点、いかがでございますか。
  157. 井上喜一

    井上説明員 まず、えさ基金と鶏卵の生産調整との連動の問題でございますけれども、いまの制度を前提にいたしまして、われわれ、県の協議会が無断増羽者の有無をチェックをする、それでその結果を全国の協議会の方に連絡をする、こういうことを考えておりまして、ある県で仮に増羽をしてなくても、ある県で違反をしておれば、そのメーカーは価格安定基金から排除されるわけでございます。それは全国段階、都道府県段階の協議会を通しまして十分連絡いたしまして、そういうような措置をとるようにわれわれは指導していくつもりでございます。  それから、生産調整の進め方の基本的な考え方の問題に関連するかと思いますが、農林省も従来生産調整につきましていろいろな指導をしてきたわけでございますが、そういったいままでの経過を顧みまして強く感じますことは、やはりこういう生産調整といいますのは生産者団体が中心にならないとなかなかうまくいかないものでございます。行政当局からのかけ声だけではスムーズにいかない、こういうことを痛感しておりまして、極力生産者主導の生産調整を進めていく、そのためにわれわれができる限りの応援をしていく、こういうような体制をとるのが一番よろしいのじゃないかと思うわけでございます。  したがいまして、飼養頭羽数のチェックにいたしましても、国段階でチェックをするというのはなかなかむずかしいわけでございます。市町村あるいは県を中心にいたしましてチェックをするという体制、こういうことでチェックをするのが一番いいのではないか。そういう体制をバックアップしていくのは国として当然でございますけれども、実際生産調整の主体になりあるいは実際にそのチェックをしていくというのは、そういった生産者自身でなくてはうまく進まないのじゃないか、こういったことを強く感じている次第でございます。
  158. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この養鶏農家を守る点で、大臣、最後に、いま検討会等で報告書が出ておりますけれども、五十五年五月の時点生産調整の場合に見直しをしていこうという動きがあるわけです。ですから私、このやみ増羽の問題等を徹底的に洗い直さないと、そのままのことであれば、どこまでも生産調整に協力した人たちは救われないような結果を招いては申しわけない、こう思っているのです。そういう点でどういうふうに行政責任者として臨まれるか、養鶏問題で最後にお尋ねをいたしたい。
  159. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 吉浦委員の質疑を通じてやみ増羽に関しての御意見、私も十分理解いたしましたので、その点を十分しんしゃくをいたしまして指導してまいりたいと思います。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  160. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間がなくなってまいりましたけれども、擬装乳製品の点で一点と、それから基金の問題、旧債対策等で一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  食用調製脂あるいはココア調製品などの擬装乳製品の輸入規制問題が農政の一つの大きな焦点になっておりまして、先ほど大臣から答弁があったとおりでありますけれども、これまでの委員会でもう再三取り上げてきた問題ではありますが、これも言いっ放し、聞きっ放しという状態で何の進展も見ていないのじゃないか。日本の経済の場合、国際化が進む中で農業もその影響を受けるのは当然でありますけれども、その受けとめ方が問題これが私は政治であろうと思うのです。今日の日本は、工業製品輸出のために、あるいはアメリカやECを納得させる代償として農産物輸入を拡大してきたことは、私は農政とは言えないと思う。日本の農家側に立って大臣がおっしゃるように政治を考えるのが農政であると思います。根本問題に立って輸入の問題を真剣に考えてもらいたい。国内生産を圧迫する現在の安易な畜産物輸入政策を早急に転換しなければならない。したがって、昨日の新聞でありますか、大体結論が出ているようでありますけれども、現時点における農林省の見解というものをきちっとお尋ねをいたしたいと思います。
  161. 井上喜一

    井上説明員 食用調製油脂の取り扱いにつきましては、現在わが国酪農が当面しているいろいろな問題を踏まえまして、関係各省一体になりまして協議をするとともに、輸出国ともいま話し合いをしている、そういった状況でございます。まだ最終の段階まで来ておりませんが、三月中に何とか結論を得るようにわれわれは努力をしているわけでございます。先ほどの答弁にも申し上げましたように、相手国の自主輸出規制あるいは日本国内におきます行政指導とかあるいは輸入の抑制に効果のある措置、そういうものを組み合わせまして、何とか輸入抑制に実効の上がる措置を考えていきたい、このように考えている次第でございます。  もう一つのココア調製品につきましては、ただいま業界に輸入の自粛を要請しておりまして、年によって若干変動はございますけれども、大体自粛の線で守られているのではないかとわれわれ考えておりますので、当分こういった輸入の自粛についてのココア業界の対応を見守っていきたい、このように考えている次第でございます。
  162. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 金融対策について一点だけお尋ねをして終わりにいたします。  酪農の規模拡大は、大臣もおっしゃっておりましたけれども、一戸当たりの頭数にしてもあるいはECの水準に達してはおりますが、その規模が浅く、急速な近代化のために多額の償還金に悩み切っているわけです。酪農資金として、五十二年度には畜産経営改善資金のうち四百億、五十四年には酪農経営合理化資金から百億、五十五年には酪農経営安定推進資金から三百億、計八百億、畜産振興事業団から利子補給等を行っておりますが、償還期間が短くて、償還期間に入っている現在、農協等のプロパー資金等に切り変えたりして大変悩んで返済している例が多くて、さらに金利負担を抱えて大きな問題になっておるわけであります。年々二百五十万から三百五十万の負債を抱えているのが北海道の現状であります。借金を返すためにまた借金を重ねるという、サラ金地獄に近い状態であります。  この制度資金の枠の拡大、限度額の引き上げ、金利の引き下げ、償還期間の延長等について思い切った措置はないのかどうか。各種制度資金を統合した大型の超長期超低利酪農金融制度の創設等について積極的に検討する考えはないかどうか。それから、金融措置の面だけでなくて、再建不能な酪農家に対しては特別立法による救済措置を考えてないかどうか。時間が参りましたので、この三点だけお尋ねして終わりたいと思います。
  163. 井上喜一

    井上説明員 酪農経営の改善のための資金につきましては、従来から農林漁業金融公庫資金などの長期低利の資金の融通に努めてきたところでございますし、今後とも必要に応じまして現行制度を活用いたしまして円滑な融通に努力していきたいと思います。また運転資金につきましても、公庫の総合施設資金で対応できる部分もございますし、また農協の系統資金によって融通するような制度もあるわけでございます。  そこで、先生のいまのお尋ねは、最近の酪農の状況にかんがみまして、かなりの負債農家といいますか、借入金の返済に困る農家も出てきているのじゃないかというようなお尋ねかと思います。非常に急速に酪農が発展してまいりまして、そのひずみが出てきている、そういった一面もあろうかと思います。平均的には、午前中にも申し上げましたように資産がふえておりまして、農業所得の方もふえてきておるということが一般的には言えるわけでございますけれども、それはあくまで平均論でございまして、個々の農家を見ますとそれぞれ事情が違いまして、かなり返済に困るような農家も出てきているのは事実だろうと思います。  従来、たとえば畜産振興事業団の指定助成事業で、昭和五十四年度には末端金利五分、償還期間五年の酪農経営の合理化資金を百億円つくりましたし、また五十五年度におきましても同様な趣旨で酪農経営安定推進資金というのを、融資枠三百億円を設定いたしております。あるいは従来の貸付金の償還猶予等につきましても、関係の金融機関にその旨依頼をしたわけでございまして、こういったできるだけのことはいたしてきております。また、農林漁業金融公庫に自作農維持資金がございますが、農業の再建整備を図るためにこういう運転資金につきまして五十四年度から創設されております。したがって、こういう制度も今後とも活用していくことも必要かと思いますが、さらに、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、現下の酪農経営の実態にかんがみまして、負債サイトについてはさらに検討し、結論を出していきたいと考えております。
  164. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 終わります。
  165. 田邉國男

    田邉委員長 近藤豊君。
  166. 近藤豊

    近藤(豊)委員 私は畜産の問題で、きょうの委員会生産価格の問題で非常に関心を集めているわけですけれども、これからの畜産を考える場合に一番むずかしい問題がやはりふん尿の処理だろうと思うのです。農業の、全然別の問題ですけれども、昭和五十三年ごろから、土質の低下がはなはだしい、化学肥料が多用された結果、土地の地力が低下して大分生産性が下がってきている。そこへもってきて、さらに化学肥料をどんどん使って、農薬を使っていきますと、これは国民の食生活にとっても非常に油断のならないことになります。そうした点から考えますと、家畜のふん尿を有機質の肥料にして土壌に戻すということが最も適切だと思うわけです。  この点で、現在の政府がとっておる対策の中では、ふん尿を集めて乾燥して、それを肥料として土壌に戻してやるということが中心だと思うのですが、この方法以外に何か別の方法をとっておられるかどうか、圃場事業等としてはこれが中心的なものだと理解しておりますけれども、まずこの点について確かめてみたいと思います。
  167. 井上喜一

    井上説明員 家畜のふん尿処理でございますが、これは、ただ公害を出すものとして処理をするだけではなしに、土地に還元していくということが基本であろうと思います。土地に還元することによりまして地力が向上するということと同時に、ふん尿の処理としても非常に有効な方法でございます。したがいまして、われわれといたしましては、家畜のふん尿については土地に還元していくことを基本に考えましていろいろな対策をとっておるわけでございます。
  168. 近藤豊

    近藤(豊)委員 ではお尋ねしますが、現在の方法の中で、集めて乾燥して肥料にして土地に還元するということを中心にしてやっておられて、それ以外に余り決め手になる方法がないと思いますが、そういう方法で処理をしておられて、還元率というものはどのぐらいになっておりますか。つまり、家畜から出るふん尿の総量のうちで、そういうことで有機肥料として土地に還元されている率はどのぐらいのものになっておりますか。
  169. 井上喜一

    井上説明員 お答えいたします。  家畜のふん尿の還元状況でございますが、われわれの調査によりますと、九七・五%の農家が土地に還元をして利用しておるということでございます。残りの二・五%が他に放置をしたり廃棄をしたりしている状況でございます。  ちなみに、その家畜から年間どれぐらいのふん尿が排出されるかと申し上げますと、現在乳用牛の飼養頭数が二百六万七千頭、肉用牛が二百八万三千頭、豚が九百四十九万一千頭でございますが、豚の回転期間は大体七カ月でございますので、これの約二倍くらいが年間出荷される豚でございます。それから鶏が二億九千百八十四万五千羽でございまして、これらの家畜から排出されるふん尿の量が、年間約六千五百万トンでございます。
  170. 近藤豊

    近藤(豊)委員 ちょっともう一回聞き直しますけれども、そうするとその家畜から出るふん尿の総量の九七・五%が還元されるということではなくて、いまお答えになったのは農家の九七・五%ですね。そうするといわゆるふん尿で還元されている割合というのはどれぐらいになりますか。
  171. 井上喜一

    井上説明員 私どもの調査では農家が九七・五%でございますが、そのふん尿の利用量も大体その程度じゃないか、そういうぐあいに見ているわけでございます。確かに厳密に申し上げますと違います。
  172. 近藤豊

    近藤(豊)委員 これは畜産局だけの問題じゃないと思うので、きょう御出席いただいているかどうかわからないのですが、現在土質の低下、これを何とかして防いで、そしてさらにもう一回地力を上げるために有機質の肥料を入れるとか、いろいろな方法があると思うのです。これに対してある程度の予算措置をとって、一昨年ぐらいからですか、努力をしておられると思いますが、必要と考えられる有機質の肥料、つまり堆肥の利用と言うのですか、特に堆肥の利用について、それの推進に努めている最中だと思います。その有機質の肥料を必要としているような土壌、つまり改良を要するあるいはこれからもう一回その低下した土質を持ち上げてやらなければいけないような耕地がたくさんあると思うのですが、そういう点については現状はすでに把握しておられますか、それともまだ調査が十分に行き届いていないでしょうか。
  173. 高畑三夫

    ○高畑政府委員 地力の調査につきましては従来から一般的な調査をしておりますけれども、いまお尋ねのような有機質肥料の所要量の調査につきましては、まだ詳細なる調査はしておらないということでございます。
  174. 近藤豊

    近藤(豊)委員 私は、実はこの有機質の肥料の利用がまだまだ不十分であって、地力が大分低下してしまったところをこれからもう一回回復させるには、ずいぶん有機質の肥料が必要だというふうに理解をしております。特に私の出身地の近くの渥美半島などはずいぶん土壌が悪くなっていて、八十センチぐらいも掘らないといい土地が出てこないというような状況だと聞き及んでおりますけれども、そういうときにこの有機質の肥料を使う場合、まだまだ堆肥などの状態では、あるいはふんを乾燥して発酵させてというような状態ではなかなか使いにくいから、そういうものをどんどん使うについて農業者の方もちゅうちょする面があるし、また量的にもそういうことから十分使えないのだということを聞いておるわけなんです。  そこで堆肥を使いやすくするというようなことが非常に必要だというふうに私は考えておりますが、堆肥をもっと使いやすくするという点で非常に効果のある技術開発が一部に行われております。実はそれをここに持ってまいりました。これをあちらにどうぞ。――御承知ないかもしれませんが、これは粒状になっておりまして、通常堆肥として使われるいろいろな草だとかあるいは家畜のふん尿だとか、場合によっては人ぷん、人間のふん尿まですべて一緒に処理をして、そして発酵、乾燥さして、粒状にして使う技術がすでに実用に移されておるわけです。この点については御存じありませんか、審議官。畜産局には実はこのサンプルを一度お持ちしております。承知しておられるかどうか。
  175. 井上喜一

    井上説明員 私は実は人ぷんまで入れたものにつきましてはいま初めてお聞きしたわけですが、こういった種類のものはたくさん出回っているようでございます。承知しております。
  176. 近藤豊

    近藤(豊)委員 この粒状の乾燥肥料を実は畜産局の方にも検討していただいて、そして実際この技術を開発した人たちは、畜産農家の若い人たちが自分たちで苦労してこれを開発したわけなんです。ですから、本当に畜産経営をしていてふん尿の処理に困って、何とかこれをうまいぐあいに活用できないかということで、実際にその場で苦労している人たちの知恵が結晶したものなんですけれども、もちろんコストだとか経営上の難問だとかいろいろなことがあります。しかし農林漁業金融公庫の方で融資援助でこれをひとつ応援してくれないかという話があったときに、結局農林漁業金融公庫ではお取り上げにならなかった。  そしてその結果、実に皮肉なことに、通産省の補助団体であるクリーン・ジャパン・センターの方で取り上げまして、静岡の県の農経連と一緒にクリーン・ジャパン・センターがこのノーハウを使って、実はすでに静岡県の小笠郡にプラントの建設が着手されたわけです。こういうことは私はこの農林水産委員会にいて非常に残念なことだと思うのですが、この点についてひとつぜひ大臣の御感想を伺いたいわけです。
  177. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういうことに似たようなことを私も実はかつて経験したことがございます。これはやはり農林水産省は、そういう点まで本当は親身になって技術的に解決の道を講じてやるのが当然だと私は考えます。ところが、なかなかそういうわけにはいかない面があるわけです。これはもう地力保全でありますとか品種改良でありますとか、そういう面について、やはり技術者の納得のいく問題でないとなかなか取り上げてもらいにくい。たとえばいいナシとリンゴをかけ合わせたような、いわゆるナシリンゴのようなかっこうをした果物、一つ新品種をある農家がつくって、新品種の指定を申請する。ところが、方程式を書いてどれとどれを受精させてどういうふうにしたというような記録がないために、これは取り上げることができませんというので、なかなか新品種に認めてもらえない。ところが、試験場でそれに近いようなものをつくると、それはすぐ新品種に登録される。  こういうことで、えさ米の議論なんかでも、この委員会でも民間の試験研究というものをもっと大事にしろという御主張がなされるゆえんもその辺にあるのではないか、こういうふうに考えまして、私も就任以来、実はこの技術問題、そういう問題については、特にこれからの農業には大事な部門でございますので、親身になって、農家の立場に立った行政推進をしなければなりませんよ、こういうふうに言うて、これからはそんなことのないように相談に乗ってやるという農林水産省であるように指導していきたいと思っております。
  178. 近藤豊

    近藤(豊)委員 大臣のお答えに私は非常に力づけられるのですが、どうもいま御指摘のように、農林省に属する技官あるいは研究者あるいは委託研究先の人たちが開発した技術、それは記録のとり方もすべて非常にうまく、なれておられる。ところが、民間で開発したものというのは、そういう点でデータが不足しておりますし、それから現実にこの肥料も栽培実験をすでに農林省系の試験場とかあるいは県の農業試験場でしておるわけなんです。結果はなかなかいいものであるわけですけれども、そういうある程度中間的ないい結果というだけでは不十分だということで、とことん納得のいく、農林省の中でやったと同じような結果が出ないとこれは取り上げられない。そうしているうちに今度は同じ公務員の組織の通産省の方の、しかも補助団体がこうして取り上げてしまう。これは別に農林省と通産省が競争する必要もありませんし、どこかが取り上げればいいことなんですが、私は実はこれは非常に大切なことだという気がするので特に強調しておきたいわけです。  なぜなら、やはりこれから日本の農業が国民の大事な食糧を供給していく上に、農薬づけだとかあるいは化学肥料でどんどん地力が悪くなるということは、農薬づけの場合には国民の健康が問題になります。そこでいま健康食品なんかがどんどんめちゃくちゃな高い値段で売れている。これは、本来なら日本の農業の主流が国民が安心して食べられる健康食品を補給すべきなんで、その点はやはり非常に反省すべきじゃないかと思います。それから同時に、地力が低下したら、一生懸命われわれこうして日本の農政の回復のために努力をしてもこれはどうしようもないことなんで、その場合には有機肥料というものを使わなければどうしようもないだろうと思うのです。一種のリサイクリングというのですか、われわれが大地から取り上げたものをもう一回大地に戻してやるということが一番基本だと思います。  そうした意味でこの技術は非常に検討に値するものだと私は思うのです。したがって、ぜひ畜産局でも、あるいは厚生省などと協議をした上で、この技術をもう一回真剣に再検討していただきたいと思うのですけれども、ひとつ事務当局の方からも約束をしていただきたいと思います。
  179. 井上喜一

    井上説明員 お説のとおりでございまして、そういったことでわれわれも努力してまいりたいと思います。
  180. 近藤豊

    近藤(豊)委員 それから前にもこの場で飼料の問題について取り上げたことがございます。いま日本の畜産は大分生産量も上がってまいりましたけれども、こうして価格の問題やらを一生懸命討議いたしましても、仮にえさが外国の供給先の状況でがばっと値上がりしたりしますと、畜産経営というものはまた危機に瀕するわけで、そういう危険が実は案外近い将来もう起きてくるかもしれないという気がいたします。そうした意味で、このえさの問題を考えたときに、えさのストック等について、たとえば突発的に値段ががっと上がったようなときに、しばらくえさの市況を下げるとか、あるいは国際市況の値上がりに直接影響されないような手段をとるためには、相当のストックがあるということが望ましいと思うのですが、その点については基本的にこれからどうやって対処していくお考えですか。
  181. 井上喜一

    井上説明員 どの程度の規模の備蓄を持つべきであるかという御議論でございますが、これはどういう事態を想定するのかということによって違ってくると思いますが、ただいまのところ私どもは、突発的な小規模の事故に対応した備蓄を持つのが現実的である、こういうことから、備蓄といいますか、在庫といたしましては通常在庫一カ月ぐらいメーカーにございます。そのほかに備蓄といたしまして一カ月程度を目途に現在備蓄対策を進めている、こういう状況でございます。  昭和五十六年度の末になりますれば、トウモロコシ、コウリャンが五十三万トン程度でございます。それから大麦が十七万トン。それに古米で飼料用に売却が予定されているものが二百十万トンございます。ただいま古米がございますので、一応備蓄としてはまずまずの量がある。一カ月分ということになりますれば、十分それを賄うに足る量がございます。なおそのほかに輸送中のものがございまして、これがどの程度になりますか。三、四週間分ぐらいあろうかと思いますので、そういうのを全体合計してみますと大体三カ月分近くぐらいあるのじゃないかと思います。いまのところ備蓄としましてはそういうことでございまして、大体一カ月分ぐらいを目途に進めるということが現実的じゃなかろうかと考えております。
  182. 近藤豊

    近藤(豊)委員 冒頭の部分に関連するのですけれども、小規模の備蓄とおっしゃいましたね。小規模の備蓄を各地に分散して持つ体制にあるということと理解していいですか。
  183. 井上喜一

    井上説明員 大部分といいますか一〇〇%輸入に依存しておりますので、港湾の便がありますところで飼料工場に併設をしてサイロをつくっております。したがいまして、主要な港湾の所在場所で備蓄をしているというのが実態でございます。何分これは農協なりメーカーの協力を得ませんと備蓄できません。現在はそういった農協なりメーカーがサイロをつくりまして、そのサイロに備蓄をする、そういうような形態をとっているわけでございます。
  184. 近藤豊

    近藤(豊)委員 農協の備蓄はこれは非常に必要なことだと思うのですけれども、メーカーの方の備蓄は、してもらっても、いざ市況が変わってくるとすぐ値段を上げられる心配が起きてきますね。そういう事態に対してはどうやって対処なさるわけですか。便乗値上げではなくて、コストが安くて輸入したものを市況が上がったからとにかくいまのうちに上げておこう、よくやることですけれども。
  185. 井上喜一

    井上説明員 現在の備蓄は、量的に不足する、つまり量的な確保ができない場合に備えるための備蓄でございまして、価格を抑制するために備蓄したものを放出するということは原則として考えてないわけでございます。価格の高騰に対しましては価格安定制度がございまして、余り大きくない変動に対しましては民間が自主的にやっております価格安定基金によって対応いたしますし、価格の上昇が大幅な場合には、配合飼料価格安定機構という一種の第三セクターのようなものでございますが、これに国が二分の一原資を補助し、あとの二分の一を民間が積み立てる、そういった原資でもって異常な値上がりがあります場合には補てんをすることによって価格の値上げショックを極力抑える、つまりショック緩和をしている、そういうことで対応しているわけでございます。
  186. 近藤豊

    近藤(豊)委員 去年アメリカもそれからソ連の方も、日本も含めて穀物は非常に不作であったわけですけれども、ことしも仮にまた冷害が来ないとは限らない。そうした場合に、アメリカが引き続き大きな食糧供給余力、輸出余力を持っている場合はいいのですけれども、それが仮にだめになった場合は、九〇%以上アメリカに依存している日本としては非常に危険なことになりかねない。あるいはアメリカとソ連の関係が何らかの展開をした場合には、アメリカの食糧あるいは飼料がかなり多くソ連へ食われてしまって、日本が買ってくるものがうんと値段が上がったりすることも考えられるわけなんです。  ですから、どうしてもこれから日本は飼料の輸入先を多元化しなければなりません。そのために先般大臣が東南アジアを往訪されて、そしてそのときにいろいろなプロジェクトが出てきたことは伺いましたけれども、来年度の予算の中で、経済協力予算を含めて、これは農林省所管だけではないと思いますけれども、アメリカ以外のところで食糧あるいは飼料、特にえさになる穀物の増産に協力する。プロジェクト等、どのようなものを予定されておりますか。
  187. 井上喜一

    井上説明員 飼料穀物は一〇〇%輸入に依存しておりまして、しかもその輸入いたします量が最近時点でも千五、六百万トンという膨大な数量に上っているわけでございます。そういう意味におきまして、わが国の畜産を安定するためには、こういった飼料穀物の安定輸入というのはどうしても必要になってくるわけでございます。最近各国の穀物政策というのが貿易等にも影響を与えるような状況になってきております。そういう意味で、いかに安定輸入をしていくのかというようなことをわれわれ検討会を設けまして検討しているわけでございまして、その一つといたしまして、輸入先の多元化ということがあろうかと思います。  確かにこれから開発していく余地のあります国に援助をいたしまして、その方から輸入していくということも一つの方法でございますし、また現実的に見ますと、アメリカは何といっても安定輸入ができる最大の輸出国であるのも事実でございます。そういう意味におきまして、アメリカからのそういった輸入が可能になるように、たとえばブラジルならブラジルに援助をいたしましてヨーロッパへの穀物の輸出をブラジルから可能にさせる、そういうことが、間接的でありますけれどもアメリカからの輸入の安定にも役立つといった側面もあろうかと思います。したがいまして、輸入ソースの多元化を、文字どおりそのようになる場合もございますけれども、間接的にそういうようになる場合、つまり現在のアメリカからの輸入がより安定化するというような場合にも援助をいたしまして、安定輸入を図れるようにするのも一つの方法じゃないか、このように考えるわけでございます。
  188. 近藤豊

    近藤(豊)委員 いま御指摘のようにブラジル、アルゼンチンあるいは太平洋岸のペルー、そういうところは実は全くの後進国というわけではなくて、すでに長い間穀物生産に携わってきた歴史と経験を持っております。ですからこういうところは、増産をさせようとした場合に、アジアの国々のような場合と違ってかなり容易な面があります。ところが非常に距離が遠いとかあるいは長期の契約をなかなかしてもらえないとかということで、これまで幾つもあった開発輸入の案件というのが実現を見ないでそのまま、失敗というわけじゃないのですが、実現を見なかったわけです。  私は、実はアメリカが安定輸入の先であるということは重々承知しておりますけれども、これは万一の場合を考えて、北半球がうまくいかない場合に南半球が生産ができる場合もあるわけですから、余りにもアメリカ依存の強過ぎる現況を、南半球にもう少し依存度を高めることを考えるべきじゃないか。そうした意味でブラジル、アルゼンチン、ペルーというような穀物生産の可能性のあるところに、今後開発輸入あるいは向こうの生産者に対して長期契約をするというようなことをやりやすくすることに政府が協力をして、多元化の促進を図ることが必要だと思うのですが、その点についてはいかがでしょう。単に開発輸入じゃなくて、先方の生産者を援助して、日本の農業者もたくさん移民をしていっているわけですから、そういう人たちを援助してあげることによって日本の輸入先を確保することが私は非常に必要じゃないかと思うのです。そういうこともこれからはぜひ考慮していただきたいと思います。大臣、よろしくお願いしたいので、御所見を伺いたいと思います。
  189. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨私もまことに賛成でございます。  豪州あるいはタイ、フィリピン、さらにはインドネシア等におきましても、やはり新たにそういう意味からの農業開発をしたいということで日本に技術協力を求めてきておるわけでございますので、そういう面において協力をしていきたい、こういうことでこの前もこの委員会でも申し上げたところでございます。そしてその生産力を上げることによって、日本に直接輸入してこなくとも、アメリカとの飼料並びに穀物等の貿易につきましては、カーター・大平会談で協定をいたしましたあの協定に従いまして、毎年定期的に話し合をして供給するということになっておりまして、去年の十二月にも、初旬に日本政府とアメリカ政府と話し合いまして、五十六年度も十分供給を確約しておるところでございますので、そういう点については、今後とも開発の面においても御指摘のような線に十分注意をしてやってまいりたいと考えております。
  190. 近藤豊

    近藤(豊)委員 終わります。
  191. 田邉國男

    田邉委員長 林百郎君。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、繭と生糸基準価格の問題についてお聞きしたいと思います。  私は長野県ですが、御承知のとおり繭の生産農家というのは桑しか植えることができないような地域、そういうところで桑をつくり繭をつくっておるわけでありますが、この繭生産農家ほど非常に不利な条件のもとで農業経営をしておる農家はないと思うわけなんです。たとえば統計情報部の繭生産費調査によりますと、一時間当たりの生産労働力の評価は、繭の場合は七百十円、米の場合は千百三円、それから加工原料乳の場合は九百三十五円ですが、一番労働力の評価が低いわけなんです。これは基準糸価を決める場合の生産費も、実際の生産費より下げた生産費を繭の生産費として算入しておるわけですが、こういう労働力の評価について、米や加工原料乳に比べて一番低いということはお認めになりますか、農林省。
  193. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答え申し上げます。  繭、米、牛乳等の行政価格につきましては、国民経済に占める地位あるいは農家経済での位置づけ等、商品特性に即しまして決定されるべきものであるということから、その算定方法はそれぞれ異なっているわけであります。いま御指摘の家族労働、自家労働の労働評価でございますが、確かに先生が数字を挙げられたように違っております。主要食糧でございます米につきましては、全国の製造業労賃により評価がえをする。あるいは国民の重要な栄養源でございます加工原料乳につきましては、飼育労働について北海道の製造業賃金により評価がえをやる。それから繭につきましては、衣料原料ということでございますが、この繭につきましては統計情報部調査どおり、農村雇用労賃をそのまま用いまして適用生産費を算出しておるということでございます。  繭生産費を組みかえ修正するに当たりましても、この統計情報部調査の労賃単価をそのまま使っておるというわけであります。そういう面から、先ほどお話がございましたような単価の差が生じておるということでございます。
  194. 林百郎

    ○林(百)委員 単価の差はお認めになりましたですが、よく国内需要が落ち込んでいるから糸価も繭価も下げなければいけないのだというお話なんなんですが、昭和四十五年から五十五年の十一年間の生糸の国内需要の減は六%なんですね。ところが養蚕農家の方は五八%減、半分に減っておるわけです。繭の生産量も三五%減で、いずれも養蚕統計年報によるものですけれども、これを見ると、落ち込んでおるのは需要ではなくて、むしろ生産量の方が需要の減よりは非常にスピーディーに落ち込んでおる、こういうことはお認めになりますか。
  195. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 養蚕農家あるいは繭の生産量につきましても、近年相当急激な減少をたどってきておるということでございます。したがいまして、その繭の需要の長期的な減というものよりは確かに急激でございますが、ただ近年におきましては、生糸の需要減というのがここ一、二年は非常に急激であるということは言えるかと思います。
  196. 林百郎

    ○林(百)委員 急激だと言いますが、世界の繭の生産量八十万俵でしょう。そのうち日本で消費しているのは四十万俵でしょう。その四十万俵のうち日本の生糸業者がつくっておるのは二十六万俵でしょう。それなら日本の生糸業者がいまつくっている生糸は全部消費してもまだ足りなくて、世界で一番の生糸の輸入国になっているのじゃないですか。そういう実情じゃないでしょうか。それが生糸の需要が減っている減っているとあなたの方は言って、それで基準糸価を何か下げる前提みたいに、ひがんで物を言っちゃいかぬけれども、これから大臣に聞きますが、そんなことはないと思うのですね。どうですか。
  197. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話ございましたように世界の生糸生産量八十万俵、日本の生糸需要量四十万俵、国内生産二十七万俵というふうに通常言われておるわけでございます。ただ私が最後に申し上げましたのは、ごく近年の生糸の需要といいますか、これが急激に落ちておるということを申し上げたわけでございます。  具体的に申し上げますと、五十四生糸年度は五十三生糸年度に対しまして八二%の生糸の引き渡し数量、要するに機屋さんに渡した数量でございます、大体二割落ちておる。それから五十五生糸年度に入りまして、この一月まででございますが、これが九〇%ということで一割減、五十三年度に比べますと五十四生糸年度で二割、その線よりもこの一月までさらにまた一割落ちておるということで、ごく最近の事情でございますが、機屋さんに引き渡す生糸の量は急速に減っておるということを申し上げたわけでございます。
  198. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると四十万俵の消費というのはどこで使っているのですか。世界の生糸生産の半分くらいは日本で消費しているのですから、機屋さんにそんなに渡りが少ないというのはどこで消費するのですか。
  199. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 要するに生糸生産量というのは八十万俵あるわけでございますが、このうち四十万俵を消費という際に、これが生糸そのままの姿もございましょうし、絹糸の形態あるいは絹織物の形になるというようなことで、いろいろの形態で四十万俵ほどの消費があるわけでございます。その際に、最近の情勢におきましてはこの四十万を切ったような姿になっておるということを申し上げておるわけでございます。
  200. 林百郎

    ○林(百)委員 四十万俵を若干切ったと言ったって、まだ二十六万俵の生産では足りないわけでしょう。それを余る余ると言っておる。それは蚕糸事業団が十四万俵持っておる。しかしそのうちの十一万俵近くは外国の生糸なんですね。それで、これは機屋さんとの関係もありますので非常に微妙な関係があると思いますが、たとえば一万三千二百円くらいの生糸が着物になっていく場合は約三十万円になる。要するに中間の費用が原料費に対して約六七%を占めている。ところが普通の農産物ですとこれが四一%くらいなんで、こういう流通の過程も考えてみないと、機屋さんが日本の生糸は高いから使えない、だから蚕糸事業団買い入れるのはやめろとかあるいは外国からの生糸をどんどん入れろとか、そういう御意見もあるようでございます。はなはだしいのは、通産事務次官がかっては暴言も吐いているわけですが、そういう生糸を原料とした織物にまで至る中間の各過程が非常に複雑で、結局中間の経費が六七%近くも占めてしまう。農産物の方は四一%だ、こういうことについてはお考えですか。
  201. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 最終絹製品価格に占めます生糸代、これは製品の種類等によって大きく異なるわけでございますが、高級な振りそでで二・五%程度、小紋では一五%程度というわけでございます。その際に絹製品の流通経費、繭売り問屋と小売マージンでもって流通経費を見ますと、振りそで、小紋とも五〇%程度は確かに占めておるわけでございます。もちろん生糸の段階におきましても生産の合理化、品質の改善に努力する必要はあるとは考えますけれども、御指摘のように絹織物の生産、流通の段階におきましても、生産体制の整備なり取引慣行の合理化等改善すべき課題が多多あると思っております。したがいまして所管省の通商産業省との連携を密にして、これの合理化といいますかそういう面を図ることが必要である、かように考えております。
  202. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、大筋は大体お聞きのとおりなんですよ。私たち蚕糸事業団のことも心配はしておりますけれども、基準生糸の値段というのはすぐ繭価に響いてきますからね。来年度基準糸価は、大臣、二十八日に審議会へ諮問なさるのでしょう。そういう場合にまさかことしは去年より下げて諮問するというようなことはないでしょうな。
  203. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 計算をいたしておりますので、これからそれらを十分検討をいたしまして審議会に諮問をいたしまして決定をしていきたい。いまここで私がどうとかこうとかという結論を先に言ってしまったのでは審議会からおしかりを受けますので、この辺の発言は慎重にさしていただかなければならぬということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  204. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう中で外国の生糸が入ってくるということで、外国の生糸あるいは生糸のまがい品ですね、青竹と言われておりますが、こういうものの輸入に対して、通産省も農林省と協力をいたしまして事前の許可だとかあるいは事前確認だとか、原産地証明が必要だとか、いろいろの措置を講じておるのですが、実はこれに対する脱法行為がしばしば行われておりますので、この実情をちょっとお聞きしたいと思うわけなんです。  昨年の七月、フィリピンからいわゆる青竹が入ってきたのですが、どこのどういう会社から日本の国のどこのどういう会社へどのくらいの量が入ってきたのですか。これは通産省にお聞きします。
  205. 末木凰太郎

    ○末木説明員 御説明いたします。  御指摘の、昨年七月にフィリピンから輸入されました絹織物は、数量は十二万平方メートル、輸入者は東京の銀座に所在します日本バイルハック株式会社という会社でございます。
  206. 林百郎

    ○林(百)委員 これはいわゆる青竹で、管理令あるいは外為等にも違反しておると思うのですけれども、いわゆる青竹で脱法的なものが入ってきたわけなんですか。フィリピンとの関係はどうなっていますか。
  207. 末木凰太郎

    ○末木説明員 絹織物の法規制との関係で申しますと、現在ちょっと制度が変わっておりますが、当時は、フィリピンから絹織物を輸入する場合には、外国為替及び外国貿易管理法に基づく輸入貿易管理令によりまして原産地証明書を提示することが業務づけられておりました。この織物は原産地証明書を提示して輸入されたわけでございます。そういう制度をとっていました理由は、先生御承知のとおり、日本に対する最大の絹織物の供給国でございます中国の絹織物が、これは二国間の話し合いで数量制限しておりますので、別の国を迂回して入ってくることを防止するという意味で、本当にフィリピンのものであるかどうかを確認するという趣旨であったわけでございます。  ところがその後、本件が御指摘のようないわゆる青竹、つまり本当は中国でつくられたものであって、フィリピン産を擬装したもの、そういう青竹であるという疑いが生じましたものですから、調査をいたしました結果、フィリピンから発行されたと言っております原産地証明書は、実は偽造されたものであるという疑いが濃厚になってきておりまして、現在最終的な調査を急いでいる段階でございます。もしそういうことであれば、これは法律違反の問題が生じてまいります。
  208. 林百郎

    ○林(百)委員 バイルハック社の社長は白井利八さんですか。
  209. 末木凰太郎

    ○末木説明員 社長は白井利八という方でございます。
  210. 林百郎

    ○林(百)委員 これは自民党のある議員の秘書をやっていた方だということがもっぱらうわさされているわけなんで、名誉に関することなのでここで断言はしません。そういうことを通産省に聞いても通産省はお答えにくいと思いますから、私の方でそう言っておきます。  それから、これは七月ですが、十月に今度はスペインから百三十七万平米の青竹が入ってきた事実がございますが、そういう事実がありますか。
  211. 末木凰太郎

    ○末木説明員 御指摘のとおり、昨年十月に約百三十七万平方メートルの絹織物がスペインのものと称して輸入されましたが、実は中国産の青竹であるという疑いがございます。調査中でございます。
  212. 林百郎

    ○林(百)委員 これは結局青竹ですから糸になり得るので、事前許可ですか、それとも事前確認ですか、あるいは原産地証明が必要なんですか。もし、そういう生糸だとすれば、糸を擬装して入ってきたとすれば、何が必要になってきますか。
  213. 末木凰太郎

    ○末木説明員 先生誤解をなさっていらっしゃると思いますが、これは織物でございます。和服の裏地にする、日本で言えば羽二重に当たるような生地でございます。  法規制との関係でございますが、中国産の織物でございますと、事前に通産大臣の許可が必要になっております。ですから、これがもし青竹、つまり本当の原産地が中国でございますと、通産大臣の許可をとらなければならないわけですが、本件について許可を与えたことはございませんので、したがって違反の疑い、法律違反の疑いがあると申し上げたわけでございます。
  214. 林百郎

    ○林(百)委員 私はこれはすぐ生糸になると思っていたわけですが、あなたは織物だと言うならば、しかも中国のものというのは、そういう疑いがあるのですか。それは確認できるわけなんですか。中国物ですと、許可を得なければいかぬのですね、二国間協定がありますから。
  215. 末木凰太郎

    ○末木説明員 ただいま申し上げましたように、中国産の絹織物でございますと許可が必要です。しかし本件は許可をとっておりません。そういう意味で、もし中国産ということが最終的に確認されますれば、許可を得ないで輸入をしたという意味で外為法の違反になるわけでございます。
  216. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう疑いを持って、管理令に違反しているあるいは外為法に違反しているということで、通産省も独自の調査をしているのでしょう、これは。  それともう一つは、どこの会社が入れたのですか。
  217. 末木凰太郎

    ○末木説明員 この件につきましては、国内におきましてはその輸入をした会社、これは有楽町にありますニッタン株式会社です。この辺を中心にいろいろ調査をいたしまして、また一方、スペインから積み出されたということになっておるものですから、外交ルートを通じましてスペイン側の事情も調査をあわせていたしております。そのような調査はまだ現在続行中でございますけれども、現在までのところ、スペインから実は船積みをされていないということが確認をされております。
  218. 林百郎

    ○林(百)委員 輸入した商社はどこで、そこは、実際自分が輸入したと言っているのですか、あるいは名義だけ貸してやったので、実はここだと言っているのですか、どのような関係ですか。
  219. 末木凰太郎

    ○末木説明員 税関等への正式な手続に出ております輸入の名義人はニッタン株式会社でございますが、私どもの調査に対しましては、同社の社長は、実は私は名義を貸しただけであって、別の人が本当の輸入者であるという申し立てを行っております。それでは、その名義を借りたとされている人はどうかということでございますが、名義を借りたということは認めておりますけれども、両者の言い分が必ずしもぴたりと一致してはおりませんものですから、いま詳しい事情をさらに追及をいたしております。  恐らく先生商社とおっしゃいましたのは、その後の国内をおっしゃったのかと思いますが、輸入されました後、国内の絹織物を取り扱う商社、問屋さんを通じて販売されたわけでございますが、この輸入が仮に法律違反の行為であったといたしましても、国内の取引は、現在の法制上、国内で売買することは何ら問題がないということになっております。
  220. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、国内でそういう不法に入ってきた絹織物あるいは青竹を取り締まることはできないと言うならば、たとえばその生糸を回収するとかあるいは絹織物を回収するとか、そういう措置はとれないわけですか。それはもう市場へ流れてしまうわけですね。それが日本の生糸事情を抑圧することになるのじゃないでしょうか。
  221. 末木凰太郎

    ○末木説明員 ただいま国内取引は法律上は問題ないと申し上げましたが、御指摘のとおりかなりの大量なものが市場に出回ることによりまして国産品の売れ行きが鈍るというような形で実際に悪影響を及ぼしたわけでございます。これは昨年の十一月ごろのことでございます。  そこで、これは法律上の措置ではございませんが、これを取り扱った何社かの問屋さんあるいは商社に対しまして、業界の混乱を防ぐという意味において極力その販売を慎む、すでに売ったものは売り先から買い戻して、仕入れ先に売り戻すという形の協力をしてくれないかというふうに要請をいたしました結果、今日まである程度の品物の回収が行われておりまして、ことしに入りましてからは、この品物と競合するような裏地用の絹織物の市況も幾分好転してきております。
  222. 林百郎

    ○林(百)委員 これを輸入したのは先ほどあなたもおっしゃるようにニッタン株式会社ですが、ニッタンでは名義を貸しただけで、実際は七月、フィリピンの青竹を入れたバイルハック社だ、要するにバイルハック社は常習になっているわけですね。そしてこのルートも、国会ですから言いますと、たとえば平井産業、牛田織物株式会社、松村ルートそれから蝶理ルート、もう一つ今度のにはIルートというのがある。それで平井産業には資本的にグンゼ産業が後ろについている。こういうこともあって、流通ルートも大体固定している。四ルートプラス一つのIルート、こういう事実はありますか。それからバイルハックからまず三星ジャパンへ来て、三星ジャパンからいまの五つのルートを流れていく。それで三星ジャパンには韓国の銀行の東京支店、韓国第一銀行東京支店が金融をしている、こういう事実は通産省では御存じですか。
  223. 末木凰太郎

    ○末木説明員 輸入されました後の国内の流通のルートということでございますが、フィリピンのときは十二万平方メートルで、スペインのときは百三十七万平方メートルでございまして、量的にかなり違うということもございまして、必ずしも固定されたルートで繰り返し通ったというわけではございません。それから、いま先生何とかルートというふうに名前を挙げておっしゃいましたが、そういった会社が取り扱っているということは事実でございますけれども、私どもはこれがいわゆる青竹のためのルートという認識はいたしておりません。
  224. 林百郎

    ○林(百)委員 外為違反になりますと、これは刑事罰で三年以下の懲役、百万円の罰金、しかしその目的物の価格の三倍が百万を超える場合は当該価格の三倍だといいますから、本件の場合は、スペインから来たあれは二十八億二千万円ということになるわけですが、これは警察も来てもらっているが、警察も捜査に入っていますか。入っていたらここで言える範囲のことを言ってみてください。
  225. 内田文夫

    ○内田説明員 現在私の方の段階といたしましては、いま通産省の方からお話ありましたように七月と十月の事実があるということは承知をしております。そしてそれぞれについてそれぞれの所管官庁で調査中であるということ、調査について連絡を受けておるという段階でございます。
  226. 林百郎

    ○林(百)委員 通産省にお聞きしますが、いま回収していると言いましたが、回収した絹織物はさらにどう処置していく考えですか。
  227. 末木凰太郎

    ○末木説明員 繰り返しで大変恐縮でございますが、国内での取り扱いについては全く違法性の問題がございません。法律違反という問題がございません。あくまでこれはマーケットに対する一時的な急激な悪影響を取り除くというところからスタートしたわけでございます。現在のところでは、まだ少しでも多く回収をしてマーケットに出回らないようにということで関係者に協力を引き続き呼びかけている段階でございまして、全体の終了を待ちまして取り扱いを決めたいと思っておりますが、ただいま申し上げたような趣旨で始めたことでございますから、最後の処理もあくまでもその趣旨に沿った形の結論を出したいと考えております。いましばらくお時間をいただきたいと思います。
  228. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、通産省としてはいろいろ抵抗があったと思いますが、これだけのことをしているわけですね。たとえば日本の自動車が安くアメリカへ入るというのでアメリカではああいうような世論を起こして、保護貿易にまではいかないとレーガンも言っているわけですが、外務大臣が行ったり、総理がこれから行ってどういうことになるかわかりませんけれども、どこの国でも、その国の産業がつぶれそうになっているのに外国のものの方が安く入ってくるから仕方がないのだといって放置しているという法はないわけですね。ことに政治としてはそういうことはできないわけなんですね。  そういう意味で、事業団が売る機会がないとかあるいは十四万俵抱えているとか、そういうようなことはあっても、かつては輸出の大宗の生糸生産国であった日本、その末端には多くの貧しい農民がいるわけですから、この価格をある程度維持していくということについては日本の農林大臣とあっては努力すべきじゃないですか。にやにやっとして、諮問はどうも基準価格を来年度は下げざるを得ませんというようなことで日本の生糸業や繭の生産農家を破滅に陥れるようなことを、まさか亀岡さんがやるとは思いませんが、どんなものでしょうか。
  229. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 林委員誤解されておると思うのですが、事生糸、絹織物、絹糸に関して、生糸一元輸入しておるわけでありますし、そのほかの絹製品も全部これは貿易管理令で規制をいたしておるわけでございます。いま自由貿易の国際関係の中で、福田さんが内閣総理大臣のときに決意をされて、伝統産業である絹産業、養蚕業を健全に育成をしていこうということでその決意をされて、そして貿管令が施行されて、その貿管令によってただいま通産省からあるいは大蔵省関税局の方から御説明のあったような処置を各省がとっておるわけであります。  したがいまして、私は、ほかの農林水産物資等に比べればこの養蚕業を守る生糸を中心にした価格安定の措置というものは、これ以上守られているあれはないというほど国会から法的措置を講じていただいておる、こういうことであると理解をいたしております。したがいまして、でき得べくんば養蚕農家の手取りをふやしながら、そうしてこの養蚕、製糸、絹業を発展せしめていくというふうに持っていきたいということで、今日まで各位の御協力によって努力をしてきているわけであります。  しかるところ去年、おととし二年間、生糸の相場は全く張りついてその高下がございません。したがいまして、実需の放出もまた生糸の放出もできないということでたまる一方で、事業団に十四万五千俵という膨大な生糸在庫を有するに至っておるというこの現実も私どもとしては見逃すわけにはまいりません。これらを放置をいたしまして、そうして、上げればいい、据え置けばいいということでいって果たして将来に明るい見通しを持つことができるのだろうかということを、やはり深刻に厳しく、私は私なりに考えておるわけでございます。したがいまして、このような事態の中でどういうふうに持っていけば最もよく、何といってもやはり養蚕と製糸と絹関係の業界の皆さんが一致協力してまいりませんと絹の需要も向上してまいりませんので、そういう意味においてどういうふうに処置すれば一番いいのかということをいま苦慮しながら最終的な結論を出すための努力をさせていただいておる、こういうことであるわけでございますから、どうぞひとつ、養蚕に特に熱心な林委員でありますから、養蚕業の実態もよくおわかりになっておられるわけでありまするし、その辺のところは十分ひとつ、伸びんと欲せば屈しなくちゃならぬときもあるじゃないかというような感じも、私は本気になって心の底からそんな気持ちも実は持っておることを申し上げまして、お答えといたします。
  230. 林百郎

    ○林(百)委員 では時間が参りましたので……。
  231. 田邉國男

    田邉委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  232. 田邉國男

    田邉委員長 速記を始めてください。      ――――◇―――――
  233. 田邉國男

    田邉委員長 この際、竹内猛君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の共同提案に係る蚕糸業振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。竹内猛君。
  234. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党を代表して、蚕糸業振興に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    蚕糸業振興に関する件(案)   最近における絹需要の減退、糸価の低迷及び生糸・絹製品の強い輸入圧力等を背景として、わが国の伝統的民族産業である蚕糸業及び絹業は、極めて厳しい事態に直面している。   よって政府は、蚕糸業及び絹業一体となった安定的発展を期するため、生糸一元輸入措置を含む生糸・絹製品の実効ある輸入調整措置及び絹製品の需要の拡大策を講じつつ、現行の繭糸価格安定法に基づく価格安定機能を堅持するとともに、五十六生糸年度に適用する基準糸価を適正に決定し、併せて効率的な繭生産体制の整備に努め、斉合性ある対策を総合的に講ずるべきである。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  235. 田邉國男

    田邉委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  竹内猛君外四名提出の動議のごとく決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議に関し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  237. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近のわが国蚕糸業をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ、十分検討いたしてまいる所存であります。      ――――◇―――――
  238. 田邉國男

    田邉委員長 次に、津島雄二君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の共同提案に係る畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。津島雄二君。
  239. 津島雄二

    ○津島委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党を代表して、畜産物価格等に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する件(案)   政府は当面する昭和五十六年度加工原料乳保証価格及び豚肉牛肉安定基準価格等の決定並びに畜産行政の運営に当たっては、左記事項の実現に努め、酪農経営の維持、畜産の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。     記  一 加工原料乳保証価格については、昭和五十二年以来据え置かれている実情を配慮し、また生産者の二ケ年にわたる生産調整の経緯、飼料価格の高騰など生産資材費の上昇が経営収支に及ぼした影響及び最近における牛乳・乳製品の需給事情等を考慮し、生乳の再生産を確保することを旨として適正に決定すること。  二 五十六年度の加工原料乳限度数量は前正度の状況をふまえ、適正に決定すること。  三 豚肉牛肉安定基準価格等については、労賃及び飼料等生産資材費の上昇等をおりこみ、適正な水準で決定すること。またこれとあわせ、素畜価格安定制度等の適切な運用により畜産経営の安定を図ること。  四 酪農畜産農家の固定化負債の解消を図るため、実情調査の上、適切な経営安定対策を講ずること。  五 牛乳・乳製品の消費拡大を図るため、学校給食等を更に一層促進するとともに需要の拡大を推進すること。また、国産乳製品の開発、普及に努めること。  六 調製食用油脂等偽装乳製品の輸入については、早急に実効ある抑制に努めること。また、食肉の輸入については国内生産に悪影響を与えることのないよう輸入割当及び関税制度等の適切な運用を行うこと。  七 乳製品の過剰在庫が市況を圧迫している現状にかんがみ、畜産振興事業団及び民間在庫の解消を図る各種の施策を検討すること。  八 食肉流通の合理化を図るため、産地食肉センターの充実等を一層促進するほか、産直方式の促進、部分肉センターの有効活用、食肉小売価格の適正化のための施策を充実すること。  九 配合飼料価格の大幅な値上げに伴う農家負担の軽減を図るため、異常基金の充実を含め、配合飼料価格安定基金と備蓄制度の充実を図ること。  十 飼料の国内自給度の向上を図るため、未利用山林原野等の畜産的利用と草地造成の促進を図る各種施策を充実すること。    また、水田利用再編対策等に関連して、粗飼料の生産増強とその有効利用を図る体制を整備するとともに、えさ米の実用化のための試験・研究を推進すること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  240. 田邉國男

    田邉委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  津島雄二君外四名提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議に関し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  242. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近のわが国畜産をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ、十分検討いたしてまいる所存であります。     ―――――――――――――
  243. 田邉國男

    田邉委員長 ただいまの両決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十一分散会