○角屋
委員 いま
人事院総裁からも御答弁がございましたように、
国家公務員の場合にいたしましても、あるいは地方
公務員の場合にいたしましても、あるいは三公社五現業、公労協の
関係の組合員の場合にいたしましても、いわゆる民間との
関係で言えば、労働三権そのものをとってまいりましても大きな制約条件を受けておるわけであります。いわゆる争議権は
禁止をされる、あるいはまた
国家公務員、地方
公務員について言えば、団体交渉権あるいは団体協約を結ぶ権利というふうなものは保障されていない、公労協
関係について言えば、これは団体交渉権あるいは団体協約締結権というものは明らかに認められておるわけでありますが、それといえども争議権については
禁止をされておるという状況下に置かれておるわけであります。しかも国民全体の奉仕者といったような
立場で、中立性なりあるいは公平性なり、公正性なり、いろいろな形のものを強く要請されておりますし、同時に、政治活動についても制約を受けておるわけであります。しかも
公務員のやるべき任務というのは、これは国、地方を問わず、行政の推進者としてきわめて大きな責任を負っていかなければならぬという
立場にあるわけであります。
したがって、これからやられてまいりますこの
公務員制度の検討問題、あるいは退職金の今回のカット法案で言えば、
一つは、「長期勤続後の退職者等に関する
退職手当の特例」として、「勧しょう等により勤続期間が二十年以上三十五年以下の職員が退職した場合に法第三条から第五条までの規定により計算した額に百分の百二十を乗じて得た額の
退職手当を支給するものとしていたのを、」これは四十八年改正と言われるものであります。それを「百分の百十を乗じて得た額を支給するものとすること」これは附則第五項
関係として改正をされる。
もう
一つ、第二番目として「
退職手当の基準の再検討」こういうことで、「職員が退職した場合に支給する
退職手当の基準については、今後の民間事業における退職金の支給の実情一
公務員に関する制度及びその運用の状況その他の事情を勘案して総合的に再検討を行い、その結果必要があると認められる場合には、
昭和六十年度までに所要の措置を講ずるものとする」これは附則第十八項
関係であります。
そこで、前段の部分は後ほどに議論をするとして、まず第二番目の「
退職手当の基準の再検討」ということを特に法文上書いて審議をお願いするという、その基本的な
考え方は何かということであります。元来、私も、二十三年の間に、政権を担当しておる与党の責任者としばしば法案の修正の話し合いをした経緯がございます。そして相当数出した中から、これとこれとこれは受け入れられるというふうな形で法案修正になったものはたくさんございます。そういう場合に、私は、かつて漁業災害補償法案というのが出てまいりましたときに、当時長谷川さんが農林水産
委員長当時でありますけれども、
委員長との修正の話し合いをして、結局これに、附則に検討条項というのをつけたのであります。この場合の検討条項というのは、
政府から出してまいりました
原案、それから私の名前で出しました党の対案、そういうものの中で、法案の中に
政府として直ちに取り入れがたい、それは、二、三年の間にぜひそれを入れたいという気持ちの上に立って、そこで検討条項として
政府にある程度法的に責任を負わせるという形をとったわけであります。この場合はまさに前進が期待される検討条項であります。また党の公害特別
委員長当時に、公害紛争処理法案につきまして、私は当時の山中総務
長官に検討条項というのを入れようとしていろいろ話し合いました。このときは、私の大臣のときにそれを入れて、後任の大臣に荷物を背負わせるというのは非常に困る、私が
理事であれば相談をして
政府に当たっていくけれどもというような経緯がございましたが、このときは前向きの改正を前提として検討条項をつけようとしたのであります。ところが、この附則の第十八項
関係で「
退職手当の基準の再検討」というのは、一体
公務員労働者から見て期待される方向に行くという再検討なのか、あるいは民間準拠に籍口して改悪の方向に行こうとする再検討をわざわざ法文上あらわして予告をする、そういう
意味の再検討なのかというのが、これが法文上にあらわすだけに基本的に問題であります。元来、
総理府にいたしましても、人事院にいたしましても、こういう条文をつけなくても、常にこれまでも検討してまいりましたし、これからも検討するわけでございますけれども、特に今回の場合に「
昭和六十年度までに所要の措置を講ずるものとする」ということで再検討をやっていこうというねらいと真意は何か、これを明確にしてもらいたい。