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上田(卓)委員 いずれにしても、将来の引き下げを準備して、それを今回の
法律案の中に入れているということはわれわれとしては絶対納得できないということを申し上げておきたいと思います。
それから、民間準拠と言いながら、実際は
公務員の方を意識的に高くしておきながらその部分を減らしていくということで、そういう意味では民間準拠になってない。民間よりも低く
公務員の退職金を
考えていくと言わざるを得ない、逆較差が出るだけである、私はそういうふうに
指摘せざるを得ないと思うのです。
それと同時に、冒頭に私がフランスの大統領選挙のことについて長官にも若干感想を聞いたわけでございますが、いま小さな
政府というのですか、いまの日本の経済なり政治にも絡んでくるわけですけれ
ども、そういうものが果たして必要なのかどうか。日本において中小零細企業の倒産が相次いでおり、失業者が百二十万とも百五十万とも言われて、非常に雇用不安というものがまかり通っておるわけです。フランスでもやはり失業が増大したということが現職大統領の落選につながっておるわけですから、われわれとしてはもっともっとこれから民間のそういう雇用を増大するあるいは民間の賃金なり退職金というものが低ければ高くしていく、こういうことが必要ではないか。自動車の輸出についても非常に欧米の風当たりが強いわけでありますし、また鉄鋼についても非常にかげりが見られておるというような
状況があるわけですから、いまこそ内需の拡大というのですか、市場をどう広げていくか。確かに外国との貿易量をふやしていく努力を今後も続けなければならぬことは事実でありますけれ
ども、もっと国内の景気をてこ入れするために、国民所得をふやしていく、内需をふやしていくということが一番大事なことではないのか。そういうことをしないで、増税であるとかあるいは行革ということで
公務員いじめをするというようなやり方は大いに問題があるんじゃなかろうか。逆に公共事業とかで
政府が民間の雇用をふやしていく方向を目指すべきであって、それを一たん採用している人間も枠を徐々に減らしていくというような
考え方は時代逆行もはなはだしい。いまの時点で選挙をやったら、こんな
状況ですから自民党さんは実際はしないかもしれませんけれ
ども、大変な結果を招くんではないか。先ほど言ったように、イギリスのサッチャー政権があんな緊縮財政で、右寄りというのですかタカ派的なやり方がいまになって裏目になって出ているわけですからね。これはフランスにおいてもそうだと思うし、アメリカのレーガン大統領でもあのままでいくならば相当問題を残すのではないか、私はこういうふうに思っておるわけです。
だから、民間準拠という形で
公務員の退職金を減額するというよりも、逆に民間をもっと上げる努力をするということ、さらには
公務員の退職金についても下げるのじゃなくて、景気のてこ入れという意味からも上げる。また同時に何を言っても皆さん方は
公務員、
公務員とおっしゃっているのですから、逆に言うならば、それだけ守秘義務があったり
公務員は民間に比べていろいろな形で
労働条件が制約されたり権利が踏みにじられているわけですから、
給与とかあるいは退職金とかそういう
制度でもっともっと特殊性というのですか、
公務員を強調して
身分を守っていくことが一番大事じゃないか、私はこのように思っておるわけです。本
会議もありますし時間の
関係もありますから、そういうことを申し上げて、最後に長官と
人事院総裁の
考え方を述べていただきたい、このように思います。