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1981-04-21 第94回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二十一日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    狩野 明男君       粕谷  茂君    亀井 善之君       川崎 二郎君    木野 晴夫君       倉成  正君    田名部匡省君       竹中 修一君    宮崎 茂一君       上原 康助君    角屋堅次郎君       竹内  猛君    矢山 有作君       渡部 行雄君    市川 雄一君       小沢 貞孝君    榊  利夫君       中路 雅弘君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房審議官    高畑 三夫君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      森実 孝郎君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         林野庁長官   須藤 徹男君         水産庁次長   山内 静夫君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      栗林 貞一君         科学技術庁計画         局計画課長   松井  隆君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     井上 良藏君         国土庁地方振興         局特別地域振興         課長      清野 圭造君         外務省経済協力         局経済協力第二         課長      畠中  篤君         大蔵省理財局特         別財産課長   佐藤 孝志君         気象庁総務部企         画課長     駒林  誠君         建設省都市局都         市計画課長   牧野  徹君         日本電信電話公         社施設局次長  池沢 英夫君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     古屋  亨君   狩野 明男君     相沢 英之君   川崎 二郎君     山村治郎君   木野 晴夫君     浜野  剛君   渡部 行雄君     勝間田清一君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     狩野 明男君   浜野  剛君     木野 晴夫君   古屋  亨君     上草 義輝君   山村治郎君     川崎 二郎君   勝間田清一君     渡部 行雄君 同月二十日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     石田 博英君   粕谷  茂君     天野 光晴君 同日  辞任         補欠選任   天野 光晴君     粕谷  茂君   石田 博英君     上草 義輝君 同月二十一日  辞任         補欠選任   上原 康助君     竹内  猛君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     上原 康助君     ————————————— 四月二十日  同和対策強化に関する請願中村重光君紹  介)(第三一五〇号)  同和対策充実強化に関する請願小沢貞孝君  紹介)(第三一九六号)  同(串原義直紹介)(第三一九七号)  同(清水勇紹介)(第三一九八号)  同(下平正一紹介)(第三一九九号)  同(中村茂紹介)(第三二〇〇号)  戦後ソ連強制抑留者恩給加算改定に関する請  願(上草義輝紹介)(第三二九三号)  戦後ソ連抑留中の強制労働に対する特別給付金  支給に関する請願上草義輝紹介)(第三二  九四号)  引揚者等に対する特別交付金支給に関する法  律の一部改正に関する請願上草義輝紹介)  (第三二九五号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願金子一  平君紹介)(第三二九六号)  同(木村武雄紹介)(第三二九七号)  同(泰道三八君紹介)(第三二九八号)  同(近岡理一郎紹介)(第三二九九号)  同(橋口隆紹介)(第三三〇〇号)  同(古屋亨紹介)(第三三〇一号)  同(前田正男紹介)(第三三〇二号)  同(渡辺栄一紹介)(第三三〇三号)  旧国際電気通信株式会社社員期間のある者に  対する国家公務員等退職手当法施行令改正に関  する請願細田吉蔵紹介)(第三三〇四号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願河本敏夫紹介)(  第三三〇五号)  同(田村元紹介)(第三三〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇号)      ————◇—————
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田厚君。
  3. 神田厚

    神田委員 農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げます。  まず最初に、本年度農業白書が出されました。その農業白書の中で、特にいろいろな問題が提起をされておりますけれども、問題の提起がされておりましても、その具体的な内容と実施見通し、こういうものについて非常にあいまいな記述が多いわけでありまして、それらについて二、三例を挙げまして具体的な見通しにつきまして御質問を申し上げたい、こういうふうに思っております。  まず農業白書の百二十ページに「排水条件整備等急務」という問題が指摘をされております。これは「計画転作実施状況」の中で、それぞれの地域におきまして計画転作が行われておるけれども、この計画転作地域でのさまざまな努力を通じて転作田団地化が進められている、そういう状況の中で「排水条件整備等急務となっている。」というような記述になっております。「急務」ということでありますけれども、いつまでにどの程度どうするのかという具体的なその見通しについて記述がされてない。これらはどういうふうにお考えでございますか。
  4. 杉山克己

    杉山(克)政府委員 水田水稲以外のほかの作物生産できるようにする、つまり汎用性を高めるということはきわめて重要なことでございます。それ自身生産性を上げることにもなりますし、それから転作推進していく上にもこれは必要な要件ということができようかと思います。  そこで、その改善をどの程度図ってきたかあるいはまた今後図っていくつもりかというお尋ねでございますが、実は昭和五十四年度に実施した土地利用基盤整備基本調査というものがございます、これによって水田地下水位、用水の水を引いた後、地下水位がどの程度まであるかということを調、へたのでございますが、この時点では地下水位が七十センチメートルよりももっと深い、つまりある程度乾燥しておって、ほかの作物栽培が比較的容易であるというところが百七十七万ヘクタールございました。これが昭和五十六年三月末、今日現在では、若干の推定を加えておりますが、ほぼ百九十二万ヘクタールあるというふうに見られております。比率で言いますと、全水田面積の五九%であったものが六六%まで高まっているという状況でございます。それから七十センチメートルより深いというほどではないけれども、七十センチメートルから四十センチメートルくらいの地下水位のところが五十年現在では九十七万ヘクタール、五十六年現在では七十七万ヘクタール、比率で三二%が二七%になっているというようなことで、全体としてはかなり地下水位の引き下げに改善の結果が見られるというような状況になっておるわけでございます。これらのいま申し上げました七十センチメートルないし四十センチメートルのところでも、通常の野菜類あるいは大豆とかなたね、これらのものの栽培は可能でございます。今後とも私どもはこういったほかの作物栽培が可能になるよう、いま申し上げましたような傾向をさらに伸ばして、地下水位の深い、排水条件のいい水田を多くしてまいりたいというように考えております。  そのために、実は五十四年度から特に排水対策特別事業という事業を起こしまして、小規模の簡易な排水を短期間で実現するということで予算措置等も講じて、その改善に努めているところでございます。
  5. 神田厚

    神田委員 土地改良事業は、計画に沿ってうまく計画どおりにいってないのが現状ですね。計画に対しまして大変なおくれがあるというような状況でありますが、そういう点の改善の問題はどういうふうになっておりますでしょうか。
  6. 杉山克己

    杉山(克)政府委員 土地改良事業一般がきわめて長期年月を要するというものが多うございます。そういったことに加えまして、特に石油ショック以後、それから最近財政事情の悪化が反映されまして、公共事業予算はそれほど大きく伸びないというような状況にあるわけでございます。五十五年、五十六年はほとんど横ばいである。物価上昇等を考えると、実質の事業量はむしろ低下しているというようなこともございます。そういうようなことから若干ペースダウンといいますか、土地改良事業一般の伸びはきわめてむずかしい状況にあるわけでございます。  ただ、そういう中でも、私どもはただいま申し上げましたような排水関係事業でありますとか、あるいは最近の生活環境を含めた農村環境整備でありますとか、それから畑地の総合整備、こういった事業重点に考えまして、伸び悩んでいる予算重点配分ということで、できるだけ現実の生産に即応した土地基盤条件整備を図るということで対応しているわけでございます。  なお、今後の整備をどう考えるかということでございますが、現在の第二次土地改良長期計画がこの五十七年で完了いたします。その後のさらに長期の、まあ十年を単位とするわけでございますが、土地改良の第三次長期計画について、目下最近の情勢等を加味いたしました新しい計画をつくるべく検討を進めているところでございます。
  7. 神田厚

    神田委員 次に、農業白書の百二十四ページの「水田利用再編第二期対策実施」の項目の中で、「超多収品種開発に取り組むとともに、収一益性補てん仕組み程度について検討を進める」こういうふうな記述がございます。これは転作推進に関連しまして、飼料穀物国内生産の問題あるいは輸入飼料問題等関係で、今後われわれとしましても「長期的課題として超多収品種開発に取り組むとともに、収益性補てん仕組み程度について検討を進めるなどその可能性について検討していくことが必要である。」こういうようなことが記述をされております。これはいつまでにどのくらいのことを行おうとしているのか。この点につきまして、一つには、飼料穀物の超多収品種開発について、もう一つには、収益性補てん仕組み程度について御質問を申し上げます。
  8. 川嶋良一

    川嶋政府委員 超多収性の稲の品種育成につきましては、農事試験場初め関係試験研究機関ですでにいろいろと実施をしております。現在までのところ、いろいろな外国品種の探索ですとかあるいは外国品種日本品種の交配ですとかいろいろと進めているところでございます。現在までのところ、まだ農家に国が栽培を本格的に勧めるという状況にはなっておりませんけれども外国品種の中には、かなり収量性で有望なものがあるとかいろいろな成果が出ております。なぜ農家に指導するところまでいってないかといいますと、脱粒性の問題ですとか病害虫の問題ですとか、まだいろいろと検討しなければならない問題がございますので、目下そういった点について研究を進めているというところでございます。しかし、いろいろな状況から見まして、この研究を大幅に強化をしていく必要がございますので、五十六年度からこの超多収性品種育成につきまして、県の試験場等とも共同いたしまして、本格的な研究実施するということにしているわけでございます。  この目標あるいは時期の問題でございますが、試験研究でございますので、なかなか明確に見通しをすることはむずかしいわけでございますけれども、こういう状況でございますので、私どもとしては、一応明確な目標を立てて、段取りを明確にした上でやっていきたいと考えているわけでございます。  そういうことからどういうことを考えているかと申しますと、超多収ということですから、一トンとかいろいろなことを言われているわけですけれども、現在の日本の稲の品種収量性というものは世界に冠たるものでございまして、相当なところまでいっているわけでございます。これを大幅に引き上げるということはなかなか容易なことではございませんけれども、一割とか二割というところでは目標になりませんので、まず五割ということを目標にしているわけでございます。日本の稲の品種は相当進歩の度合いが速いわけでございますけれども、それでも五割を上げるのにこの百年間、大体五十年単位で上がっております。そういうことでございますので、相当長期間かかるということでございますが、これも余り先では、実際に育種する場合に大変目標としてなりにくいわけでございますので、できればもっとうんと短い期間でやっていきたいということで、三年とか五年とか七年、そういったような計画段階をつくりまして実施をしていきたいと考えているわけでございます。  なお、収益性の問題でございますが、これはいろいろな点で各方面関係が多いものでございますので、こういったような技術的な検討とあわせまして、省内でいま幅広い検討を進めているところでございますし、また農政審議会等でも御論議をいただくことになっておる次第でございます。
  9. 神田厚

    神田委員 この超多収品種開発の問題ですが、いま御答弁を聞いておりますと、大体五割アップするのに相当の年月を要しているということでありますが、そういうことではとても間に合わないわけでありますから、全国的な収量競争みたいなものを農林省がキャンペーンしてこれを実施してみるとか、そういう計画は考えられませんか。
  10. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 えさ米につきまして、先生からのそのような御提案も私ども今後も検討させていただきたいと存じますが、ただいま技術的な開発をいたしておりますその段階で、試験場なりを中心にしました借り上げ圃場なり何なりの段階での仕組みなりをいま早急に組み立てなければいけないということで検討させていただいております。  一般化する場合におきましては、先生からの御指摘もございますような収益性の問題になりますと、収量なり技術的な開発が非常に進まなければならないので、御趣旨のような御提案検討させていただきますが、なお幅広い観点から私ども検討させていただいて、農政審議会なんかにも相談してまいりたいと考えております。
  11. 神田厚

    神田委員 次に、省エネルギー問題でございますが、農業における省エネルギーの問題は、石油問題等現状から見まして、早くこれを省資源省エネルギー農業転換をしていかなければならない、こういうことも指摘をされているわけでありますけれども、これらについては具体的にどんなことをどういうふうに考えているのか、いつごろまでにどういうふうにしようという計画をお持ちになっておりますのか、お聞かせいただきたいと思います。
  12. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 農業白書におきましても省資源省エネルギー型の農業への転換というのは重要な問題だということは指摘されております。ただ、私どもは、この問題につきましては、日本経済、社会全体にわたる問題でございますし、できるだけこうした問題に対応するような対策を考えていきたいというのが基本的な立場でございますが、具体的に、これはこういう形でいつどうできるというプログラムを立てにくい段階でございます。したがいまして、私どもといたしましては、省エネに対する技術開発なりの研究部門、さらにそれを具体的に実用化する実験的な段階、さらに物によりましては、施設園芸等につきましては、すでに各種の細かい工夫等がされておりますが、これらは具体的な助成事業で進めていくということで、これからのエネルギー対策へ対処いたしてまいりたい。問題は、これからの石油なりの需給のあり方も重要なバックグラウンドになります。これらを見きわめながら、私どもとしてできるだけ円滑に対応していくような施策を進めてまいりたい、このように考えております。
  13. 神田厚

    神田委員 農業というのはもともと自然を利用したものでございますから、そういう意味ではいろいろな形での転換の方法があるわけでありますから、試験研究その他でこういうふうな問題についての思い切った対応を農林省の方で考えていただきたい、こういうふうに思っております。  次に、従来の試験研究につきましては、非常に水稲に偏っていたきらいがあるわけでありますけれども、今後どういう試験研究強化しようとしておられますのか、その辺をお聞かせいただきたいのであります。
  14. 川嶋良一

    川嶋政府委員 先生指摘のように、従来わが国の農業に占める稲作の重要性から見まして、国の試験研究水稲試験研究重点的に配置されていたことはそのとおりでございますが、米の需給均衡も達成されている最近になりまして、昭和四十年代以降米の試験研究を他の重要な作目にシフトをするという形で、たとえば草地試験場ですとか熱帯農業研究センターですとか果樹試験場野菜試験場といったような新しい重点的な作目研究勢力を移しているという状況でやってきているわけでございます。  なお、最近はそういったような専門研究のほかに、新しい農産物の需給に即しました水田利用再編の問題ですとかエネルギーの問題ですとか、新しい技術、遺伝子組みかえですとかいろいろな新しい研究分野がありますので、そういったような方面研究重点を移してまいりたいと考えているわけでございます。
  15. 神田厚

    神田委員 たとえば熱帯試験場の問題なんか言われましたけれども、過日、内閣委員会筑波研究センター視察に参りましたが、その規模やいろいろなものを見ますと、非常に不十分ですね。もうちょっと大規模な、機能が十二分に発揮できるような研究施設として変えていかなければならない問題もたくさんあるような気がしたのでありますが、その辺のところはどういうふうに御判断になっておられるでありましょうか。
  16. 川嶋良一

    川嶋政府委員 先生指摘熱帯農業研究センターを御視察いただきまして、御理解いただいたわけでございますけれども熱帯農業研究センターは、実際の研究者があそこを主にして研究する場所ではございませんで、実際に現地に行きまして、東南アジアとか各方面で、現地共同研究をやるという組織になっておりますので、必ずしも熱帯農業研究センターのあの場所研究が行われるということになっておりませんけれども、それにいたしましても、そういったような研究の需要というのは非常に多くなっておるわけでございますので、せっかく筑波に大ぜいの研究者が集まっておりますので、研究機関の固有の枠にとらわれないで協力をして、各方面重点的、総合的に推進していくようにやっていきたいというように考えておるわけでございます。
  17. 神田厚

    神田委員 水田利用再編対策に関連した試験研究推進状況はどういうふうになっているのか、今後どういうふうにこれを強化をしようとしているのか、大変大事な問題だと思うのであります。たとえば先ほどお話がありましたが、えさ米、さらには米の新規用途開発ハト麦シコクビエ薬用作物、こういうものにつきましての試験研究等もなされているように聞いておりますけれども、これらにつきましてはどういうふうに……。
  18. 志賀節

    志賀(節)政府委員 水田利用再編対策に関する研究は、これまで大豆、麦などの重点的な転作作物について新品種育成病害虫防除など、個々の技術開発を進めてきておりました。しかし、昭和五十四年度からは、これの技術開発をさらに一層推進するため、特に大型のプロジェクト研究として総合的な研究を開始をしております。これらの試験研究によって大豆・麦などの新品種排水改良病害虫防除収穫乾燥など、技術開発に多くの成果を上げておりまして、これらは逐次普及に移しておるところでございます。今後は、大幅な転作に対応するため、従来の個別技術に加えまして、各地域基幹転作作物とその他作物を組み合わせ、作付体系などを農業研究センター中心にして早急に開発、確立することといたしておりまして、これとあわせて飼料用稲など、新しい作物に関する試験研究も鋭意進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、この研究対象作物の拡大につきましては、従来農事試験場が行っていた麦、大豆等のほか、飼料用稲、いま先生指摘ハト麦あるいはシコクビエ、こういった特用作物について品種改良栽培管理等研究を行うとともに、これまで研究が行われていなかった鳥害防除研究を行うことといたしております。  また、水田利用再編対策を効果的に実施するための転換畑高度利用に関する試験研究を行いまして、水田利用再編対策に役立たせることとしております。この研究においては草地試験場野菜試験場等専門試験研究機関開発された新作物の導入や、これらの機関研究者協力を得て、新しい技術体系を組み立てることにしておるわけでございます。
  19. 神田厚

    神田委員 この水田利用再編対策に関連した試験研究推進が強力に進められることが、いわゆる水田再編対策というものの政策をうまく農業者がプラスに受けとめることができる非常に大事なことでありますから、これはやはりもう少し本腰を入れて取り組んでいただかなければならない問題だというように考えておりますから、ひとつそういうことで、余り幅広くなされているというふうな判断に立てないわけでありまして、もう少し幅広いものをこれらの研究課題の中に入れまして少し研究していただいたらいいのではないか、いまこういうふうに考えているわけでございます。  私ども視察をしまして非常にユニークに感じましたのは、鳥害について、これを予防するための研究施設等もございまして非常に興味を持って見たのでありますが、それらも、しかし、あの研究成果というのがどのくらい本当に実用化できるのかということになりますと、その研究成果の伝え方やなんかの問題がいろいろありまして、これはこの後またちょっと御質問させていただきますけれども、そういうことから考えますと、どうも何かちょっと中途半端というか、もう少し本腰を入れた取り組みにならないかなというふうな感じを持つものでありますので、ひとつその辺は水田再編利用との関係を特に重視しながら試験研究充実をお願いしたい、こういうように思っておりますが、政務次官いかがですか。
  20. 志賀節

    志賀(節)政府委員 神田先生の御指摘は全く私自身の気持ちそのものでもございまして、御承知のとおり、私ども選挙区を経めぐりますと、水田再編利用対策、この問題で一体たんぽを寝かしたままでこの後どうしてくれるんだ、何か転換作物でいいのがないのかという御質問が、非常に身を切られるように痛いわけでございます。したがいまして、私と先生とはそういう意味では全く同じ基盤に立っておるのではないかと思います。私自身役所におきましても、これは転換作物の有力なものを早急に開発してほしい、またお百姓さんに喜ばれるような技術開発を一日も早くなし遂げてほしいということを言い続けておるわけでございまして、先生の御意思を十分に体して今後もその面で対処させていただきたいと思います。
  21. 神田厚

    神田委員 そして先ほど申し上げましたが、その研究されたものの成果が、どうもうまく農業者等の要望に合ってこれらがすぐに応用できるような形で対応がされていないのではないか。もう一つは、成果と同時に、農業を取り巻く情勢やあるいは農業者の要請に沿った試験研究がされているのかどうか。こういうものはどういうふうなところで意見をくみ上げて試験研究の方に移していく、どういうシステムでそういうことをしていくのか。いろいろ要望があると思うのです、こういうことをやってくれとか、こういうことについて困っているとかですね。そういうものについては、どうも常に本当に農業者が要望していることについての試験研究が果たしてなされているんだろうか、こういうふうなことを方々で聞くのでありますけれども、それらについてはどういうふうに考えておりますか。
  22. 川嶋良一

    川嶋政府委員 私ども試験を実施するに当たりましては、常に先生指摘のことを念頭に置き、またそれを常に研究に反映をさせてやっていくということを心がけているわけでございます。ただ、試験研究でございますので、大変時間がかかるとか、外から見てわかりにくいとかいろいろございますけれども、そこは常に私ども反省をいたしまして、生産現場で生じている問題あるいは農家の要望など常に十分把握していきたいというように考えておるわけでございますが、特に普及の組織あるいは行政部局、こういったところではまた別な角度で密着して農民の要望等に接しているわけでございますから、そこと組織的かつ積極的な連携をとりまして、そういったような反映が十分できるように心がけているつもりでございますけれども、今後ともそういった点については、十分努力をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  23. 神田厚

    神田委員 それから、試験研究の課題の調整の面でありますけれども試験研究は基礎的なもの、応用的なもの、それぞれあるわけであります。これらにつきまして、国とか県とかいろいろ枠があって、それぞれの機関を持ってこれらについての研究をなさっているわけでありますけれども、場合によりましては、国や県の枠を取り払って、お互いに情報を交換し、そしてそれらの研究を共同でやっていくようなシステムをつくっていかなければ本当の研究成果を上げることができないわけであります。こういう問題については、今回特に研究センターの設置ということで、国の機関の統合を決めているようでありますけれども、県との関係やあるいはほかの研究機関との関係等についてはどういうふうにお考えでありますか。
  24. 川嶋良一

    川嶋政府委員 試験研究、特にわが国の場合には、国と県の研究機関中心になって推進をしております。そういう関係から国と県との連携というのは非常に大事でございます。しかし、国と県とはそれぞれ研究の内容あるいは自然条件いろいろと異なりますので、それぞれ役割りを一応分担をすることにいたしております。国におきましては、基礎的な研究あるいはそれに近い応用的な研究を分担する、県におきましては、その県の実情に即した普及奨励に直接役に立つような研究、一応こういう分担をしているわけでございますけれども先生指摘のような、そういうからに閉じこもったことでは十分な推進ができませんので、一応そういう分担を踏まえながら、両方でよく相談をして研究推進を調整していこうということで、最近は特に水田利用再編等の問題がございます。これは非常に緊急かつ現地に密着した研究でございますので、国と県が一体になって研究を進めていくという組織を全国的につくっております。今回農業研究センターができますと、いままでは私どもの方で会議とかいろんなところを通じてかなりやっていたわけですけれども、もう少し研究の現場で、さらにそういったような、国と県の一体的な推進という形で努力ができるのではないかというように考えておるわけでございます。
  25. 神田厚

    神田委員 ただいま、水田利用再編対策試験研究等は、特に現場の状況、土地状況やその他の条件等についての問題が非常に大事であるから、県機関との関係を緊密にしながらこれは推進をしているんだ、こういうお話でありました。それはそれで非常に結構なんですが、研究センターができまして、そういう県との関係やなんかの調整はどういうところでなさるわけでありますか。
  26. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターは、専門的な試験研究機関で得られました成果を総合化していくというのが一つと、それからそういったようなものを中心にしまして、さらに農業の現場に即したような技術体系をつくっていく。当面水田利用再編関係ですとかいろいろあるわけでございますが、実際には個々の地域でそれが活用されていくということになりませんと、それが実際に生きていかないわけでございますけれども、センターが全国的なことをやるというわけにまいりませんので、現在の組織といたしましては、北海道とか九州とかいろいろ地域農業試験場がございますので、そこのところと十分連携をとってやっていく。センター自身は関東、東海等を担当いたします。そういうことで地域地域の国の試験場と県の試験場、こういった関係の橋渡し的な役割りを十分果たしていくということで、これまでより以上に現場に密着した国の研究成果が生きていく、そういう推進をしてまいりたいということでございます。
  27. 神田厚

    神田委員 農業研究センターが総合的研究推進する、こういう目的で設置されることになっているわけでありますが、いままでは総合的な研究というのはどういうふうになっていたのか。つまり総合的な研究はなされていなかったのか、あるいはどういうところが総合的にそれらの研究成果を取りまとめて運用していたのか、その辺はどういうふうになっておりますか。
  28. 川嶋良一

    川嶋政府委員 私どもが従来総合研究と言っておりますのは、農林水産技術会議が企画立案をしておりまして、各研究機関個々では対応できない非常に総合的な研究でございます。個々の研究機関にももちろんそれぞれの段階での総合ということはあるわけでございますけれども、私どもが従来言っておりました総合研究というのは、そういったような性格のものを指しております。それの実施に当たりましては、それぞれの研究機関にまたがる大規模な問題でございますので、技術会議が企画立案をし、それぞれの研究機関がそれを組織的に分担するという形で進めているものでございます。
  29. 神田厚

    神田委員 そうしますと、今度は技術会議とは別に農業研究センターが総合研究推進をしていく、こういうふうなことになっていくわけでありますけれども農業研究センターの総合研究推進体制というのはどういうふうになっているのか。従来のものと比較した場合の特徴はどういうふうになっているのか。たとえばだれがどういうふうにしてどこで何をやるのか、またそれを決定するのはどこなのか。あるいは研究体制の比較において、それぞれのものの統合の組織図がありますけれども、たとえばどういう人がどういう立場に立ってこれを行っていくのか、総合的な運用の責任はだれがどういうふうにどこでとるのかということが明確になっていないように感じているのでありますけれども、その辺はいかがでございますか。
  30. 川嶋良一

    川嶋政府委員 従来行ってまいりました総合研究に比べて、今度の農業研究センターで行うとされている総合研究は、農業研究センターがセンターの中あるいはセンター以外の研究機関協力も得て実施していくというものでございまして、それが従来と趣を異にする研究であるというように私ども考えているわけでございます。責任とか計画とか実施とかいろいろな段階で非常にわかりにくい点があるというお話でございますが、基本的な計画、それから基本的な責任は、農林水産技術会議が全体の中でそれを立案して進めていくということでございますが、そのもとで、たとえば水田利用再編ですとかいうかなり具体的な、しかし相当大幅な研究実施していくというものを農業研究センター実施をさせるということになりますと、それは農業研究センターの所長が責任者として実施をしてまいります。その場合に、さらにそれを細かく分担をしてやっていくという場合に、個別の研究をやることによってそれに寄与するという場面もありますけれども、いろいろな専門家がそこに集まって共同研究をしていくということで、いままで個別ではなかなか解決できなかったような問題を短期間にかつ多面的に解決をしていくということにしたいということで、そういったようなところには研究チームを設けまして、そこでかなり中核的な問題は解決をしていくということになりますと、それはそのチームのチーム長が責任を持ってやる。それの中核と、それからほかの個々の研究分野あるいは他の機関との関係等については、総合研究官という立場の者がさらに幅の広い研究の責任を持ってやっていくということになります。そういうことでございますので、農林水産技術会議からセンターあるいは総合研究官、チーム長といったようなそれぞれ段階的な責任体制というものを明確にして進めていくということに考えているわけでございます。  中核となるべさ総合研究官というのは、いまのところ五人。そういうことから言いますと、五つの大きな課題を設定をしたい。その中で特に中核的なものを共同して解決をしていくというようなチームも、これもいまのところは五チーム考えているわけでございます。それでこのセンターが直接定員を確保しておるのが三人か五人程度でございますけれども、必要に応じましてそのセンターの中あるいは他の研究機関、これは国に限りませんけれども、広く流動研究員その他の制度を活用しまして、総合研究推進していくというようなことにいたしているわけでございます。
  31. 神田厚

    神田委員 そうすると、ただいまのお話ですと総合研究官、これは五人、プロジェクト研究チームは五チームつくってやっていくということでありますが、五つの大きな課題というのはどういうふうなものになりますか。
  32. 川嶋良一

    川嶋政府委員 いま考えております総合研究の課題は、一つ転換畑の問題でございます。これは個々の作目技術開発を踏まえまして、それを地域的に密着するような体系化された技術に持っていく、これが一つでございます。  それからもう一つは、農業生産を組織化するということで、農用地の効率的な利用を図っていくということでございまして、これは地域複合とか地域農業推進といったようなことで最近いろいろと研究を求められている問題でございまして、地域農業における集団的な土地利用システムを確立していくという課題でございます。  それからもう一つは、省エネルギー型の農業生産システムを確立するということでございまして、きめ細かい農業的な配慮から地域農業における省資源省エネルギーのもろもろの技術をシステム化していくという課題でございます。  それからもう一つは、最近各専門作目におきまして連作障害その他のもろもろの障害が出ております。またこれを解決するために農薬等の使用はできるだけ避けていこうということになりますと、生態的な防除でやっていかなくてはいけないということで、地域生態系の改良によります農作物被害の総合的な防止技術の確立、これが四番目でございます。  五番目は、農用地における環境保全技術の確立ということでございまして、これは前の四番目と多少関連がありますけれども、これはもっと幅の広い地域農業複合化を推進するために有機物の循環を中心にいたしました技術体系を確立していこう。目下総合的な研究を必要とされ、また個々の研究では解決し得ない総合的な問題として最も重要視されております五つの課題をやっていこう、こういうことでございます。
  33. 神田厚

    神田委員 このそれぞれ五つの問題、大変重要な問題でありますけれども筑波移転の機関と移転をしてない機関があるわけですね。これらについてはどういうふうな形でそれぞれの研究推進体制というのをおつくりになるんでありましょうか。
  34. 川嶋良一

    川嶋政府委員 大まかに申し上げますと、専門研究機関はおおむね筑波に集結をすることになります。地域農業試験場はそれぞれの地域に存在をしております。それから専門試験場の支場所、これはそれぞれの地域に存在しております。ただ、若干の専門研究機関は東京またはその近県に所在をしております。これは茶の試験場ですとか草地の試験場ですとか、筑波に集中することによって研究を進めていくというのにはちょっとなじまないそういう研究機関に限られております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕 これは大体私どもとしては筑波所在と同じような関係を持って進めていきたい。筑波またはその周辺におきます専門試験場、それからそれぞれの地域試験場、こういったような仕分けで、その中で農業研究センターが総合的かつ仲介的な役割りを果たしていく、こういう全体構想を持っているわけでございます。
  35. 神田厚

    神田委員 農業研究センターと他の試験研究機関との仕事の役割りの分担、こういうものについてはどういうふうに提起をされておられますか。
  36. 川嶋良一

    川嶋政府委員 専門試験研究機関は、それぞれ作目別の研究機関がございます。それからそれぞれの作目に共通するような研究機関がございます。それぞれがそれぞれの専門にかかわる研究をやっていくわけでございますけれども、その個別の研究がそのまま農業の現場に生かされていくということもありますけれども、多くの場合はそれが体系化されて生かされていく、そこで農業研究センターの役割りが出てまいります。それから各地域試験場にはいろいろな専門の部署がございまして、一口に言いますと、小型の農業研究センターといったようなものでございます。それが各地域にございますので、農業研究センターがおおむね全国的な立場から見た基本的な体系をつくりますと、そういったような地域試験場にそれが移されてきまして、それぞれの地域に適用したような形にして現場へ持っていく、こういう関係になるわけでございます。
  37. 神田厚

    神田委員 先ほどもちょっと御質問しましたが、水田利用再編対策研究対象作物の拡大、それからいろいろほかの地域との連携、こういうことで従来なさっておられました研究体制の見直しということも当然これは求められてくると思うのでありますが、具体的にそういうものについての検討というのはどの程度進んでおるんでありましようか。
  38. 川嶋良一

    川嶋政府委員 水田利用再編等の問題は、非常に多面的でございますけれども、現在までの組織体制、運営の中では必ずしも十分ではないということから、今回農業研究センターを設置したい、こういうことでございます。  そういうことでございますので、これまでの研究組織体制の見直しによってこの水田利用再編等を強力に推進していくということは、この農業研究センターに絡まる組織の見直し、こういうことによって前進を図ってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  39. 神田厚

    神田委員 それから、この試験研究成果の問題でありますが、試験研究が行われて、それぞれの成果が出るわけでありますが、これが広く活用されなければ意味を持たないわけであります。どうも各試験場から交換されるものが発表の時期が非常におくれて、現実的でなくなったり、あるいは余りにも学問的な記述方法のために一般の農業者が非常に理解をしにくい、こういうふうなことも言われております。こういうことで研究成果の問題は、その研究された技術をもう少し平易にわかりやすく、農業者に利用できるような形でやっていかなければならないと思っているわけでありますが、この辺についての今後の考え方はどういうふうにお考えになりますか。
  40. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業の動向に即した試験研究推進していく、その成果を速やかに普及に移していくということは、試験研究の基本でございますので、常にそういったことを考えてやっているわけでございます。生産現場なり普及なり行政なりあるいは試験研究、こういった関係は日ごろ非常に密着をして仕事を進めておりますので、必ずしも定型的なあるいは定期的な、形式的な会合なり印刷物によることなく、日ごろから成果の交換あるいは伝達等をいろいろと行っているわけでございます。それは、たとえば品種の問題ですと、品種が発表されるという段階はもちろんかなり形式的あるいは定期的なものでございますけれども、そこに至るまでの経過におきましては、有望なものが出ますと、それは県へ行って、県からはそれぞれの試作、これは農家が直接関与をしておりますけれども、こういったところで常日ごろいろいろやっているわけでございます。そのほかの、たとえば病害虫の農薬の問題でございますとかいろいろな栽培法にいたしましても、日常のいろいろな交換というものが目に見えない形でずいぶん行われているわけでございます。そのほかにもちろん定期的あるいは形式的にいろいろな会議を開催いたしまして、組織的に漏れなくお互いに情報が交換できるようにという形になっているわけでございます。  また、試験研究機関でございますのでかなり学問的な形での報告もさしていただいておりますけれども、その学問的な報告だけではもちろん御指摘のような形で農家はなかなか理解しにくいわけでございますので、日ごろできるだけそういう伝達をしておりますし、またできるだけわかりやすい形で農家に普及していくという努力もますます必要であろうかと思います。特に最近は、各方面で非常に多面的な情報の手段があるわけでございますから、できるだけそういった現代的な方法を駆使いたしまして、できるだけわかりやすい形で皆さんに御利用いただくということにつきましては、今後とも十分心がけてまいりたいというように考えております。
  41. 神田厚

    神田委員 成果の伝達の問題ですが、やはり新技術というのは農業者が大変関心を持っているものであります。いまのような形でやっておられますと、どうも不十分だというふうな感じがするのですが、この際、研究センターを新しくつくるという中で、これらの試験研究あるいは新技術成果の伝達方法等について何か新しく工夫ができないでありましょうか。
  42. 川嶋良一

    川嶋政府委員 センターの趣旨がかなり総合的かつ実際の農業の現場に即した形で研究を進めていくということでございますので、センターのみならず一般の国の試験研究機関で得られた成果が十分よく理解され、それが利活用されるということがこのセンターを設立する趣旨と並行して非常に重要であろうと私ども考えております。このセンター、従来の試験場とか試験研究所と言わずにセンターと名称をつけさしていただきたいと思っていますのは、そういったような意味でかなり開かれた研究組織でありたい、あるいはそういったような運用をしてまいりたいということで、運用あるいはいまの成果の問題にいたしましても、できるだけ農業者あるいは外の人の意見等も十分組み入れた形で、どうしたらいいかということも一緒に考えながらやっていこうということを考えております。まだ十分具体化しているわけではございませんけれども、これからできるだけそういう形で、せっかくこういう形でできるセンターでございますので、できるだけそういう新しいいろいろと期待されている面を解決をしていくということで努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 神田厚

    神田委員 一番大事なことは研究したものが広く利用されるということでありますから、そういう意味では、ただいま御答弁がありましたように、研究成果の発表なりあるいはこの利用につきまして、特段の、前とは違った形でこれが広く利用できるような方途を考えていただきたい。具体的なシステムをつくらないとだめですから、そういう組織的なことからもひとつ工夫をしていただきたい、こういうようなことを要望しておきたいと思っております。  それから、農業研究センターを十二月一日に設置をする、こういうことでございますが、特に十二月一日という時期が選ばれたのはどういうことなんでありましょうか。
  44. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターにつきましては、その設立の趣旨からいきまして、できるだけ早く設置をしたいわけでございますが、今回の農業研究センターの設置に当たりましては、農事試験場を初め関係試験研究機関からの振りかえでセンターをつくりたい、こういうことでございますので、それぞれの職員の異動あるいは研究用の施設、機材といったようなものの移転等がございますし、また職員の研究生活面等、諸準備がございます。そういうことがございますので、それにかなりの時間がかかるということで、できるだけ早い機会にまず設置を決めていただいて準備をしていきたい。したがいまして、そこに若干の準備期間があるということと、もう一つは、これはかなり自然的な制約でございますけれども、このセンターのかなりの主力になります農事試験場の移転でございます。大体ここで取り扱っている作物は、夏作物と冬作物が交代をしてまいりますけれども、夏作物の作付の途中ですと大変ぐあいが悪いので、おおむね夏作物と冬作物が入れかわります十二月一日というのが最も適当ではないか、こういうことで十二月一日にお願いをしたい、こういうことでございます。
  45. 神田厚

    神田委員 科学技術博覧会が行われるわけでありますが、農林水産省関係はこれにどういうふうに対応しますか。
  46. 志賀節

    志賀(節)政府委員 筑波研究学園都市において開催される国際科学技術博覧会につきましては、わが国の農林水産業の技術開発に大変大きな刺激を与えるものと私ども期待をいたしております。そこで、農林水産省といたしましても、これに積極的に対応をしてまいりたいと考えております。  ただ、本博覧会への政府出展の基本計画はいまだ策定されておりませんで、本年中に科学技術庁及び財団法人国際科学技術博覧会協会が中心となってこれを策定することになっておりますので、これを待って、これを踏まえて対応することにいたしたい、このように考えておる次第でございます。  また、国の内外からの博覧会入場者が筑波農林研究団地の試験研究機関にも多数おいでになることが予想されることから、筑波試験研究機関とともにその対応に万全を期したい、そういうことで検討を進めておるところでございます。  いまのところ二千人くらいでこの博覧会においでになるのではないかということが見込まれておりますし、多いときには日に二十万人くらいおいでになるのではないだろうか。そうすると、隣接する農林の研究機関には、一%と見ても二千人の方がおいでになることが考えられますので、これらについても十分念頭に置いて対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  47. 神田厚

    神田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、委員長にお願いがあります。  本日は農林大臣が出席をする約束の中での審議でありましたが、とうとう時間が来ましても大臣がお見えでありませんでした。これは委員会運営上非常に遺憾なことでありますから、今後理事会等でひとつ問題提起をいたしますので、善処をしていただきたいと、最後につけ加えて終わります。
  48. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 神田委員の御発言、委員長としてはまことにごもっともであると考えております。参議院の大蔵委員会に厳重に抗議を申し込む  ことをお誓いを申し上げます。  暫時休憩いをたします。     午前十一時三十二分休憩      ————◇—————     午前十一時四十七分開議
  49. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。榊利夫君。
  50. 榊利夫

    ○榊委員 最初に大臣にお伺いしたいのですが、その前に、たくさん聞きたいことがございまして、欲張っていますので、政府側委員の方、なるべくひとつ簡潔に御答弁をお願いいたします。  今度の農業研究センターを新たに設置する問題、これはこれで結構なことだと私は考えますが、せんだって現地にも視察に行ってまいりまして、行って一つおやと思ったのは、設置法が政府から国会に提出された時点ではすでにほぼ完成している、看板のかけかえが待たれるだけ、こういう事態でございます。これはある意味合いでは行政先行と申しますか、国会が国権の最高機関だ、そういう憲法規定あるいは議会制民主主義、こういう原理に照らしましても、やはり問題ではないかと思うのであります。こういうやり方と申しますか、あり方、大臣としてはどういうふうに御認識でございましょうか。
  51. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 研究所、試験場、これは一カ所にできるだけ集めてやっていこうということ、それぞれ一つ一つ専門別の試験研究所としてはそれでよかろうと思います。その試験研究の結果を総合的により農民的な立場にどうして結びつけていくかというような研究、そういうものをやるためには、施設ができ上がった後でも差し支えないのではないかな、私はそういう感じを持ちます。もちろん御指摘のように、国権の最高機関で立法化して、その法律に基づいて、その法律の目的を達成するような施設をつくるというのがあるいは道筋かもしれませんけれども、しかし、試験研究に関しては、そういう点は先ほど申し上げたような線で、総合性を生かしていくということで私は十分目的が果たせる、こう思います。
  52. 榊利夫

    ○榊委員 質問の趣旨がちょっと違うんです。私が質問しているのは、農水省の場合、前にも問題がありまして、たとえば農業大学校の設置の際、まず学生を先に入れて教育して卒業の時期が迫ってきた、あわてて設置法を提出した、こういういきさつもあったわけでございます。そういうやり方が今度の場合も払拭されてない。事後承認的なやり方というのはふさわしくないので、この点についてはひとつ御検討願いたいということなんです。その点いかがでしょう。
  53. 川嶋良一

    川嶋政府委員 具体的なことでございますので、私の方から説明をさしていただきますが、先般御視察いただきまして、建設中のものもごらんいただいたわけでございますが、あの施設につきましては、いま建設中のものといたしまして、技術会議事務局が、昭和五十四年度からせっかく筑波にああいう専門研究機関が集まったわけですから、しかし、移転に当たりましては、組織の再編等につきましては、十分落ちついた後でということでございましたので、組織再編にかかわらず共同で利用できるような研究施設をつくりたい、こういうことで共同利用研究施設というのを五十四年度からつくっております。  それからもう一つは、農事試験場が、農事試験場の一部ということでいま畑作研究センターというのが移転をしておりますけれども、そのほかに農事試験場そのものが現在地では環境が非常に悪化しまして、研究を続けることができにくくなったということから、農事試験場を移転することにすでに決めたわけでございます。それに必要な施設といたしまして昭和五十五年度から実施をしております。  そういうことがございますけれども、いずれにいたしましても、そういったような既往の施設あるいは人員を振りかえまして新しい研究センターをつくりたい、こういうことでございますので、できたときには人も施設も、これは農事試験場だけではなくて、全部転用して研究を進めていきたい、こういうことでございますので、決してお話しのようなことを考えてやっているわけではございませんので、よろしくお願いします。
  54. 榊利夫

    ○榊委員 つまりもっとわかりやすく言えば、もっと設置法を早く出してくださいということを聞いているのです。その点いかがでしょう。
  55. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 確かに私ども事業実施と法制の整備との間にそごを来している面が御指摘のような点で見られたかと存じます。今後こうしたことのないように十分注意はしてまいりたいと考えております。
  56. 榊利夫

    ○榊委員 今度の農業研究センター設置の一番の目的と申しますか、いま話の中にありましたけれども、総合的な実験、試験研究、調査、こういったところにポイントがあるというふうに理解しておりますけれども、予定されている五つのプロジェクトチームあるいは五人の総合研究官、それもそういう趣旨を含んだものだと思います。  ちょっとお尋ねいたしますけれども、これまでも総合的な研究調査という点では目指してきたんじゃないか。これまでも総合研究をやられてきたというように解するのですが、今回の構想の場合、従来からの総合的な研究の教訓、それはどういうふうに生かされているのか。つまり何が足らなかったからこういうのが必要になったか、そのあたりの問題意識はどうなのか、お尋ねいたします。
  57. 川嶋良一

    川嶋政府委員 試験研究機関の組織等につきましては、それぞれその時代、時代に応じて組織の見直し、再編をしているわけでございますけれども、最近の農業事情からいたしまして、特定の研究機関ではできにくい、そういう総合的な課題が非常に多くなってまいりました。農林水産技術会議ではそういったような課題につきましては、技術会議の方で企画立案をいたしまして、各研究機関に分担をさせまして、総合的な研究を進めてきたわけでございます。これはそれぞれの研究機関がそれぞれの研究機関で分担をしてきた、それを技術会議が総合的に進めてきた、こういうかっこうでございます。今回、農業研究センターで行おうとしますものは、そういったような分散、分担型ですと、いろいろな専門の人が集まって短期間に解決をするということは非常に困難でございますので、可能な限り一つ研究機関に集中をいたしまして、そこで実際に仕事を進めていく、こういう形にしたわけでございます。これは従来どうしてもそれぞれのところで分担をしますと、具体的なすり合わせというのはなかなかうまくいかない、それを実際にそこでやっていこうということでございから、このセンターに限らず、ほかの研究機関協力も得て具体的な実施をしてまいりたい、こういうことでございます。
  58. 榊利夫

    ○榊委員 そういう総合的な研究一つのあれとして、大型の別枠研究ということが上がっておりますけれども、これは二百五十名の研究者が参加する。そうしますと、他の部門、他の機関研究者がそれに必要に応じて参加をするというふうになっておりますけれども、このプロジェクト研究チームそのものの方は常勤者は三名ですね、これで見ますと。ちょっとそこに落差があると思うのです。常勤研究者が三名というのでは、研究をまとめていくことができるのか、あるいはむずかしいのじゃないだろうかという疑問もありますし、あるいはまた。プロジェクト研究チームに組み込まれて、研究をまとめ上げる責任を持たされることに不安を感じるという声も耳にしております。研究者の間で、このプロジェクト研究チームの構想については、あるいは体制についてはまだ議論が尽くされていないのじゃないかという気がするのですけれども、そのあたりはどうでしょう。議論をかなり尽くされてきたというふうに御理解でしょうか。
  59. 川嶋良一

    川嶋政府委員 一つは総合研究そのものの問題でございますけれども、これは農業研究センターが責任を持って進めていくということでございますが、実際の研究の進め方そのものにはいろいろな段階がございまして、非常に大きな各研究機関が関連をしてやるものと、それから個別にそれを実際に特定の圃場で解決をしていくといういろいろな問題がございます。大きな問題は大きな問題なりに、所長なりいろいろな人が責任を持ってやりますけれども、お話しの研究チームというのは、その中でも特に違った専門の人が集まって重点的にやっていく、こういう仕事でございます。それを開発することによって全体の総合研究が非常に進んでいく、こういうものをそこで実施をしたい。固有の定員は三名でございますけれども、しかし、そのセンターの中に一年間、三年間こういった形で完全にそこに張りつかなくても、ある特定のときにそこに協力をすればいいというものもございます。それからほかの機関の流動研究員等もございます。いろいろな工夫をしまして、基幹三人の力を十分発揮するような、そういう運用をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、総合研究について十分詰められているのかということでございますけれども、私どもがいまこのセンターで考えておりますのは、水田利用再編とか、そういう当面の急を要する問題でございまして、これは実際にかなりいままで進めてきているものを、先ほど申し上げましたような反省から、さらに具体的にこのセンターで実施をしていこう、こういうことでございますので、これはまだそういうセンターに集まって検討をする段階にはなっていないわけですけれども、寄り寄り関係研究者が議論を積み重ねておりますので、できるだけ十分詰まったものでセンターが発足したときには研究を進めてまいりたいというように考えているわけでございます。
  60. 榊利夫

    ○榊委員 要するに、研究を実際やっているのは研究者でございますので、いろいろな分野の研究者の意見を聞いたり、よく内部で討議をして、そうして研究者の合意と納得を得て進めていっていただきたい。これが成果を上げる道だと思いますので、その点ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  次の問題ですけれども研究成果をどう生かすかという問題ですね。わが国の農業技術研究はそれなりに高い成果を上げてきております。たとえば、直接筑波とは関係ありませんけれども、農水省の方で推進されてきました田畑輪換方式、これもその一つだと思うのです。水稲と他の作物を組み合わせてローテーションを組んでいく。これでいきますと、稲の作付面積のコントロールが自由にできるし、それから稲や畑作物が二〇%から五〇%増収になる、そういう研究実験例が出ております。畑の地力の消耗も防ぐし、連作障害も避けられる。そういう点では非常に好都合な、輪作体系を確立するのにいいものだというふうに考えるのです。  しかし、せっかくこういういい研究成果が上がっているのだけれども、じゃ実際どれくらい田畑の輪換方式が普及されているかといいますと、必ずしも十分ではないようなふうに見えるわけでございますけれども、この輪換方式の普及については、農水省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  61. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 田畑輪換の問題は、御指摘のように、水田の非常に有効な利用といたしましては、私どもも従来からもこの普及に努めていた点はございます。  ただ、これまでの田畑輪換につきまして、土地改良事業等で進めた際の問題といたしまして、土地利用についての何らかの地域的な合意と申しますか、協定、申し合わせのようなものがないと、一つ仕組みとしての田畑輪換が成り立たないというようなことがございました。幸い昨年、農用地利用増進法が通過成立いたしまして、そうした仕組み自体も、農地制度上のかなり緩和された形態もとられますので、これからの方向としましては、やはり田畑輪換自体が進められるような基盤ができたということを踏まえまして、やはり本格的にこの問題について取り組んでいかなければならないだろう、このように考えております。
  62. 榊利夫

    ○榊委員 筑波に農林研究団地ができていまして、この場合もよい研究結果が生まれることを期待するわけでありますけれども、よい研究結果が生まれながらそれが生かされないということにならないように、いまの田畑輪換方式については、基盤ができたので推進するという話でございますけれども、必ずしもこれは理想的に進んでいるように思えません。この点では、ひとつもうちょっと力を入れてほしいと思うのです。これはもう大変農民のためにも、日本のためにもなる問題でございますので、だから農水省の組織機構としても、研究成果が生かされないようなことがあれば、それはちょっと是正をしていく、改善をしていくということが必要ではなかろうかというふうに思っております。このことを一言だけお尋ねをしておきます。
  63. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その点はこれからの農業振興上、大変大事なことであると私も考えております。特に、水田農業のみによってきた地域に畑作農業を入れていくということは、その畑作の技術をやはり農家の諸君にも理解し体得してもらわなければなりませんために、なかなか一遍に、すぐにというわけにもいかないという面があろうかと思いますので、そういう点は、やはりそういう技術普及をする普及員の資質向上等をやりますとともに、強力な普及体制と申しますか、そういう点は今後強く進めていきたい、こう考えています。
  64. 榊利夫

    ○榊委員 次は、農水分野の行革問題で二、三お尋ねいたします。  安上がりの政府、国民本位の簡素で効率的な行政機関をつくらなければいけない、こういう問題につきましては、私たちの党としても具体的な提案を行っているわけでありますが、この農林水産分野につきましても、肥大化した国有林野事業の見直しとかあるいは特殊法人の見直し、補助金の見直し、検査検定制度の簡素化、こういった問題が行管庁によっても課題とされております。この間新聞にも発表されましたけれども、第二臨調に提起した基本文書の中にそのことがうかがわれますけれども、農水大臣といたしまして、これらの農水分野の行革問題についてはいかなる見解をお持ちなのか、お尋ねいたします。
  65. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 行政改革の問題は、すでに御承知のように、新聞紙上等にも伝えられております。農林水産省といたしましては、たとえば定員削減等につきましても、四十三年以来相当程度努力をしてまいりまして、そのときどきに応じた機構についての合理化あるいは制度問題等にも取り組んだまいったところでございます。今後、第二臨調を中心にして各種の問題が出るかと思います。予算的にも非常に厳しい条件があろうかと思いますが、やはり国会でも自給力の強化に関する決議というものをいただいておりますし、かつまた、昨年、農政の基本方向という課題につきまして、農政審議会からも方向についての明示をいただいております。やはり農政の基本的な施策の方向を堅持しながら、そうした問題にどう対応するか、非常に苦しい、厳しい条件だろうとは思いますが、その中で私どもとしては最大限の努力をいたしてまいらなければならないと考えております。
  66. 榊利夫

    ○榊委員 大臣の御意見を伺いたかったのですけれどもね。
  67. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 やはり農家生産意欲を積極的に持つような環境をつくるという、そういう基本的な方向をきちんと生かしながら、その中で行政改革というものは断行していかなければならない、こう考えます。  ただ、この林業関係——いまも榊先生は農水、こう言われるのですが、ぜひ林を入れていただきたいと思うのです。この林というのが非常に大事だと私は思うのです。その林が、造林面積が年々年々減ってきておる、そうして現在二十万ヘクタールを割って、もう十七、八万ヘクタールになっているんじゃないかなというふうに思うのです。一時は四十万ヘクタール一年間に木を植えてきたのが、もうどんどんどんどん減ってきておる。こういう事態になりますと、もう切る方だけになって、今度は植える方がなくなるというようなことになりましたら大変なことになる。しかも林業というのは、郵便と同じであって、人力が中心になる、機械化がなかなかできない。そういうところに林業の特性というものを見出しながら、やはり山に相当な投資をしていくということを全国民的な立場で考えていかなければいかぬ。やはり農業というものはそういうものだということを十分理解した上で、筋の通った行革案をつくっていただくということが最も大事だなということを、私は声をからして叫び続けておる次第でございます。
  68. 榊利夫

    ○榊委員 いまの推移の話が出ましたけれども、そのことで、ちょっと新しい問題ですが、質問させていただきたいのです。  けさの新聞によりますと、敦賀原発で放射能漏れの問題が次々に大変大きな話題になっておりますが、ここに、けさの毎日新聞でありますけれども、運転管理専門官が十原発で十五人おられる、そのうち十人は電気工作物の検査官の資格を持っているんだけれども、五人は農水省の食糧事務所の米検査官から転身した人たちだ、こういう報道があります。大体去年の秋ごろからというのですが……。それで、ふだんは事務系統の仕事をされているけれども、資格専門官が休んだり出張したりすると、かわって原発の管理をしている。まあ言うなれば素人管理をしているという事態のようでございます。これについては、この身分は農水省の職員のままでしょうか、あるいはそういう実情を知っておられたのか、それからどういう対策をとっておられるのか、ちょっとこの点お願いします。
  69. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 本日の新聞に出ておりました記事の内容につきましては、全くそういう事実はございません。食糧事務所の検査官が配転されたという事実はございませんので、この記事は間違いでございます。
  70. 榊利夫

    ○榊委員 そうしますと、転身したということは全くの誤報ですか。
  71. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  けさの新聞のことでございますので、至急調べまして、ただいま食糧庁長官が申しましたように、運転管理専門職五名が食糧庁ということはございません。私の方の関係した職員といたしましては、この五人のうち一人が統計情報部から配置転換で参った者でございます。この配置転換の問題は、五十四年の行革の一環といたしまして省庁間の配転問題が御存じのように出まして、私どもも希望を募り、関係省と受け入れ条件等を話し合いしました結果、出向希望者を募って出向させたものでございまして、身分的にも通産省の方へ移っている、このような者でございます。
  72. 榊利夫

    ○榊委員 定員削減でほかの省庁へ回す、それが本人の希望であるという場合も確かにあるでしょう。だけれども、こういう非常に人命にかかわるような分野に定員削減という見地から配置をして移して、それが事故につながるということがいささかでもあれば、これは本末転倒になるわけであります。したがいまして、この点については実情をもっと調べて、そういう例が農水関係でないかどうか、あるいは食糧庁関係でないかどうか、あればやはり国民の安全、人命にかかわるような結果を生まないように、十分な基礎研修、教育等々もそこで伴わなければこれは大変なことでございますので、この問題についての今後の対策ですね、どういうお考えなのか。
  73. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その件につきましては、実はけさの閣議でも私から各関係大臣にお願いをしておいたのですが、いろいろ新聞あるいはけさの各大臣の報告なんか聞いてみますと、やはりいま御指摘のようなルーズな面が少しあった感じがいたします。したがいまして、もっと責任感のあるような職員の養成、教育、ふだんの指導監督、そういう件については二度とこういう職員の取り扱い上のミスで事故を起こすというようなことのないように十分注意すべきではないか、こういう話をいたしております。と同時に、実は農林水産省から毎年予算編成の際に人員も各省に配転という形でやっておるわけです。したがいまして、先に受け入れていただいた方に対しては、その職務に十分使えるような教育をしてもらいたい、訓練をしてもらいたいということを今後も重ねて強く要請をしていきたい。そして特にこういう人命に関する仕事等については、国民に心配をかけることのないような勤務ができるように努力をしていきたいと思います。
  74. 榊利夫

    ○榊委員 現地福井からのそれによりますと、エビなど魚が売れなくなって困っているということでありますけれども、安全管理のずさんさ、そのしわ寄せが漁民にきているという実情があるわけであります。この点については、漁民対策でぜひひとつ政府としても積極策をとっていただきたいと思いますけれども、この点について、現段階で考えておられることがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  75. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 水産庁の担当がおりませんので、便宜私の方からお答え申し上げます。  今回の事故に伴います魚介類の汚染につきましては、科学技術庁と福井県が協力して行いました敦賀湾産魚介類の放射能調査の結果でも放射能が検出されなかった、こういうふうに私ども聞いております。ただ、今回の事故に関連して、周辺漁業に出荷自粛等による影響が出ておりますが、これにつきましては、すでに福井県が先ほどの調査結果を各市場に連絡しまして、出荷の円滑化について協力依頼を行っております。今回の出荷自粛に伴います補償措置等の問題につきましては、関係者間で十分話し合いの上処理さるべきだろうと思っておりますが、なお、これらの問題についての監視体制なりは私どもなりに努めてまいるつもりでございます。
  76. 榊利夫

    ○榊委員 この問題では、大臣、現地に指示をするとか、あるいは場合によっては省としても調査団を送って影響等々について調査してくるとか、そういう考えはございませんか。
  77. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 本件につきましては、水産庁の方から特に福井県を中心にして調査なりするように指示しておりまして、福井県からの相談にはいろいろ水産庁としてもあずかっていくつもりでございます。
  78. 榊利夫

    ○榊委員 つまり、これは広がる可能性があるわけですよ。あの周辺ずっと漁業で生計を立てておる方がたくさんおられるわけですから、その一円が魚が売れなくなるといいますと、相当広域の影響が漁民に出てくる心配があるわけです。それについてはいち早くどれくらい広がるのか、あるいはどういう実害が考えられるのか調査をする、これが一番の出発点だと思います。そういう前向きの姿勢、対策、これはひとつ政府としてぜひとってもらいたいと思うのです。その点いかがでしょう。
  79. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 もう大事なことでございますので、御指摘のような方向で措置をしていきたい、こう考えます。
  80. 榊利夫

    ○榊委員 話はちょっと戻りますけれども、行革の問題で、これまで地方自治体向けの補助金が中央官庁ごとに縦割りに細分化されていて、御存じのように一係一補助金と言われるようになっております。これを簡素化して国と地方の二重行政を少なくしていけば、相当の節減になるのじゃないかというふうに思われるのですけれども、この面での簡素化ということは、政府として、特に農水関係ではお考えになっておられませんか。
  81. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 農林関係の補助金で、御指摘のような地方団体との関係でございますが、直接地方自治体が事業主体になるような場合の補助金と、地方自治体を経由いたしまして事業主体に交付されるものと二通りございますが、国と地方との二重行政が生ずるようなことには私どもならないようにしておりますし、また事実そういうものはないと考えております。ただ、地方の自治体として自主的に判断されて行われる行政と、やはり国は国の立場として、たとえば農業生産の再編成とか構造問題等政策的な課題につきまして、国の施策として推進する際には、現在の補助金という政策手段はきわめて有効なものとは考えております。  ただ一方で、それ自体が硬直化あるいは御指摘のような細分化等の弊害を伴いやすいということも、私ども意識しておりまして、かねがね積極的な見直しをしておりまして、構造改善事業等につきまして統合メニュー化という方式で弾力的な対応措置をとっておりますし、五十六年度予算におきましても、統合メニュー化等合理化措置を講じてまいりましたし、金融的な面におきます助成策の重点を移すものを配慮しておるわけでございますが、そうした方向で今後とも補助金自体の執行まで含めたあり方について、合理的にかつ効率的に実施していかなければならないということは、私ども考えてまいりたいと思っております。
  82. 榊利夫

    ○榊委員 その簡素化ということは、やはり考えなければならないことだろうと思います。  同じようなことですけれども農業関係にもいわゆる同種特殊法人と言われるものがありますね。たとえば畜産振興事業団、糖価安定事業団、蚕糸事業団、これはいずれも農業関係の同種特殊法人でありますけれども、こういったものについてもむしろ統合した方が効率的じゃないかという一つの考え方もあるわけです。これは簡素化、効率化、こういう点では考えられる問題、研究される問題ではないかと思うのですが、この点についてはいかがお考えでございましょう。
  83. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 農林水産省関係で現在十四の特殊法人がございまして、五十四年の閣議決定に従いまして、今回の蚕糸砂糖類価格安定事業団への統合、さらに漁業共済関係の団体が五十七年ということで予定されておりまして、これまでも特殊法人の整理、合併等については努めてまいりました。  御指摘のような畜産の場合を考えますと、畜産物自体御承知のように国民生活上かなり重要な食料品となりまして、農業の中でも畜産が特別な一分野を形成いたしております。またこの畜産振興事業団自体は価格の安定だけではなく各種の畜産振興の事業にもかかわっておりますし、土地の問題、えさの問題、衛生上の問題等畜産自体は一連の生産の過程、流通過程を通っておりまして、それ自体が大きな分野を有しております。また海外につきましても、オーストラリア、ニュージーランド等の国とはかなり密接な関連を有した一つの分野をなしております。これらを統合したらという御意見もあろうかと思いますが、そうした畜産の性格からして、やはり統合すべきではないのではないか、今後の畜産を振興し、かつ畜産物の安定的な供給を図っていく大きな政策手段としては、畜産振興事業団は独立して存在すべきだろう、このように考えております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  84. 榊利夫

    ○榊委員 これはなくすとかそういう意味ではなくて、統合してそれぞれの分野で伸ばしていく、その方が簡素にしてかつ効果が上がる。こういう趣旨なんです。これは性急にここで結論を出しなさい、こういうことではありませんで、研究できる問題じゃないか、こういうことであります。研究を願いたいと思います。  次に、ちょっと変わりまして、筑波移転の跡地の問題ですが、現在の都内の品川区の上大崎二丁目に東京営林局がございます。これが筑波へ移転した国土地理院の跡地へ移転する計画があると聞いておりますが、移転の時期、それから移転後の跡地利用の計画はどうなっているでしょう。この二点お尋ねいたします。
  85. 須藤徹男

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  この東京営林局の移転につきましては、いまお話がございましたように国土地理院の跡地への移転を予定いたしておりますが、まだ移転の時期につきましては明確に定まっておりません。  また、その跡地、つまり国土地理院の跡地に移転した後の現在の営林局の跡地の利用の問題でございますが、この跡地の処分につきましては、国有林野事業の大変厳しい財政事情もございまして、財源問題とあわせて慎重に検討しておるということでございます。特に用途につきまして、公共施設としての利用要望がもしあるということになりますれば、いま申し上げました移転のための財源措置等の見通しを踏まえながら十分配慮していきたいというふうに考えております。
  86. 榊利夫

    ○榊委員 実は、この東京営林局の場所というのは山手線の目黒駅の近くでして、山手通りに面しまして大変足の便のいいところなんです。しかも閑静である。こういうところは珍しくなっておりますので、都民や区民が気安く利用できるような公共施設の用地になることが、いまの話と関連しますけれども望ましいと思うのです。したがいまして、民間のデベロッパーに払い下げられてオフィスだとかホテルだとかマンションなどに使われるようなことになりますと、都民のサイドから言いましても大変失望することになりますし、国有財産の有効な使い方という点でも邪道だと思いますし、そういう点では多くの方々に喜んでもらえるような公共施設の用地としての利用方法、こういうことを考えていただきたい。大臣の大所高所からのお考えを伺えればと思います。
  87. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私は建設大臣をやっておりまして、日本の都市の短所は、空閑地が先進国の都市と比べて非常に少ないことでございまして、これは防災上の見地から、また都民の憩いの見地から、市民の憩いの見地からも、そういうところは公共用地として活用すべきである、こう考えるわけでございます。これも審議会がございまして、その審議会がいろいろ検討して結論を出す、こういうふうになっておるわけでありますけれども、住宅地が少ない、住宅が少ないということも一方にあるものですから、空閑地、緑地、公園というものがなかなかとりにくいといったような点もあるようでございますけれども、できるだけそういう空閑地として活用していくようにすべきではないか、こんなふうに考えております。
  88. 榊利夫

    ○榊委員 食糧の援助問題でお尋ねいたします。外務省の方も来ていただいていますね。  食糧援助に関しまして、一方、わが国の食糧援助をこの間統計で見ましてもかなりふえております。五十四年度が六十六億、五十五年度が百十三億、こうなっておりまして倍増しているのですが、一つ疑問に思いますのは、その際二十五億円が小麦の援助になっているのです。これは基本的に米を援助の対象とするのが政府の方針ではなかったか、一九六七年以来の食糧援助の基本方針だったと思うのですけれども、これはもう変更されたことを意味するということでしょうか。
  89. 畠中篤

    ○畠中説明員 お答えいたします。  わが国の食糧援助は、被援助国からの要請に基づいて食糧援助を実施しております。したがいまして、これまでにも小麦の援助要請がある場合には小麦を使用してきておりまして、五十五年度に初めて小麦を使用したということではございません。
  90. 榊利夫

    ○榊委員 政府の基本方針としましては、基本的に米を援助の対象とする、これが方針なんです。ところが麦がずっとふえてきている。とにかくこの一、二年急増しているということになりますと、やはり方針が変わってきたのか、こういう疑問がわくわけであります。しかも小麦の場合には九割までが輸入です。日本が輸入して援助する、こうなる。ところが一方では米が余っておる。これはどこから見ましても、国民的に見ましてどうしてだろうかという疑問が出てくるのは避けがたいのです。その点です。
  91. 畠中篤

    ○畠中説明員 先生指摘のとおり、わが国自身が大量の小麦輸入国であることでもありますことから、食糧援助につきましては、従来から米を中心に援助を行ってきておりますし、今後とも被援助国からの要請によりまして、一部米以外の穀物を使用する可能性はございますけれども、今後とも米を中心として援助をしていくことにつきましては変更はないものと考えます。ただ、五十五年度におきまして、小麦の使用が若干多かったことにつきましては、アフガン難民及び食糧不足に悩むアフリカ諸国等から小麦の援助要請が非常に多く出されました結果、結果的に小麦が食糧援助に使用された量が若干多くなっております。
  92. 榊利夫

    ○榊委員 アメリカの方は現在世界最大の米の輸出国でもあるわけです。それからもちろん麦の輸出国でもあるわけでありますけれども、一方では日本米の輸出規制をアメリカとしては求めてきたという経過がありますね。同時にだぶついたアメリカ産の小麦を買い入れろ買い入れろという要求も強かった。わが国の場合九割の小麦が輸入だ。そういう中で、この小麦の援助額がふえているというのは、アメリカのだぶついた小麦をもっと買えという要求、そういう一種の外圧があったからではないか、こういう疑問があるわけであります。その点についてはどうでしょう。
  93. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。  米の輸出につきましては、昨年の四月に農林水産省の澤邊次官とそれからアメリカのハサウエイ次官との間で話し合いをいたしまして、一定のルールに従いまして、日本側は日本の米を輸出するという話が決まっております。  また同時に、ただいま先生指摘の小麦の援助でございますが、これは先ほど外務省からもお答えがございましたように、あくまでも被援助国の要請が、五十五年におきましては小麦が若干多かったという点からふえたわけでございますけれども、基本的には私どもは、KRの援助の中におきましても、米を中心に考えていくという基本的な考え方を持っておるわけでございまして、その点はいささかも変わっていないということでございます。  なお、米の援助につきましての今後の方針につきましては、食糧庁の方から御答弁があると思います。
  94. 榊利夫

    ○榊委員 やはり援助につきましては、米を基本とするという方針があるわけですから、それについても、ほかから、いや小麦をやってくれ、小麦をやってくれ、もっと買ってくれ、そして援助してくれ、こういう要求があったからといって、それに従っていくといったことは、やはり厳に慎んでいただきたい、そういうことにはならないようにしてもらいたいということであります。  それで、やはり最近ともすると逆輸入の問題を含めまして、せっかく日本の農民がいろいろ苦労して栽培をした、輸出できるようにもなった、あるいは国内でも相当市場が拡大した、ところがその途端に外から入り込んできて、そのせっかくの発展の芽が摘まれるという例があるわけであります。たとえば最近一つ問題になっておりますのは、花、花卉ですね。切り花です。この輸入が一方で急増しているのですよ。農水省の統計をとってみましても、五年間で六倍以上になっているのです。ところが国内の花卉生産、これもやはり大変な力の入れようで、たとえば東京都下でも八丈島なんか、これは暖かいものですからかなりのものが東京都内にも入ってきておりますけれども、そういう国内の花卉生産地に、外国の花卉の生産によって、このままいったら結局は国内生産に影響が出てくるのじゃないかという心配、不安が出てきておるわけであります。ですから、この問題につきましても、農水省としてはせっかく苦労して汗水流して開発してきたものがだめにならないようにひとつあらかじめ——あらかじめというよりも、現在そういうことが問題として起こってきておりますので、対策をそれなりに考えていただかないといけないのじゃないかと思っているのですが、その点いかがでございましょう。
  95. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 最近におきます花卉の輸入でございますけれども、切り花と球根が大宗を占めておるわけでございます。総体といたしまして安定的に増加をしておるというふうに見ております。  切り花類につきましては、これは洋ラン、それから冬春季におきます菊等が中心になっておるわけでございますけれども、所得水準の向上に伴います花卉消費の多様化あるいは冬春季需要の拡大に対応して、こういう輸入というものも伸びてきておるというふうに見ております。しかし、切り花の国内の出荷量、これに占めます輸入品の比率というのは、五十四年で見ますとまだ一・六%、わずかなウエートに相なっております。それから物によりましては、たとえば菊などにつきましては、これは台湾から入ってきますけれども、国産品に比べまして品質はむしろよろしくないというふうに言われております。したがいまして、特に国産品と競合が生じておるというふうには現段階では考えられないわけでございます。それから一部洋ラン等につきましては、これはタイとかシンガポールの方から入ってまいりますけれども、コスト割れというようなことも出ておるようでございます。したがいまして、輸入の増加テンポというのは鈍ってくるというふうに見ております。  それから、球根類の方でございますが、これは国内増産のいわば元種といいますか、そういう形で新品種を導入するということで輸入されているものが主体でございます。したがいまして、国産品との競合については問題はないのではないかというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、現段階において、特に特別の措置をとるというようなことは必要はないのではなかろうかというふうに考えております。
  96. 榊利夫

    ○榊委員 ひとつ注意深く見守って、国内の花卉生産農家に影響がある、打撃になる、そういう現象が強く出てくればすぐに緊急対策をとるというようにしていただきたい。そういう点で注意深く見ていっていただきたいと思います。  ちょっと関連しているんだけれども、話が飛びますけれども、実は同じ食糧の問題で、東京都で防災用の非常食、乾パンですけれども、これを百五十万食備蓄しているんです。それを毎年五十万食ずつ処分して三年で更新するというようになっている。一食が七十円程度ですけれどもね。五十万食で三千五百万円ということになりますか。ところが、いろいろ聞きますと、処分するわけで、大変もったいないわけですね。食べられないから処分するのか、そうじゃなくて、ここに見本を取り寄せてまいりましたけれども、もうりっぱなもので大変おいしいし、もしよろしかったらそこでひとつ試食していただいても結構ですが、災害救助用乾パンと銘打っておられまして、これは五十三年の三月の製品なんです。それがいま言いましたように、毎年交換して三年で全部をかえていく。実際これはもう五年でも十年でも大体食えるのです。これはもったいないな。たとえば先ほどもちょっと出ましたけれども、アフリカで本当に、ここにたくさん写真を持ってきておりますけれども、飢餓前線が広がっている。それでもう食糧がなくて子供たちがミイラのようになって倒れていく。それから二十歳代のお母さんでもまあおばあちゃんみたいになって枯れて亡くなっていく。そういう非常に悲惨な事態もあるわけでありまして、そういうところに、何といいますかお恵み的なものじゃなくて、やはり緊急食が必要なところがあるんじゃないかと思うのです。そういうところには、こういう非常食を、もったいない処理の仕方じゃなくて、もっと有効な、人類的な見地からも有効な生かし方があるんじゃなかろうか、こう思うわけであります。ひとつそういう点で御研究を願いたい。そうすれば恐らく東京都にも喜んでもらえるでしょうし、関連者がみんな喜ぶという方向が探り出せるならばということでございます。どうですか、委員長。ちょっとこれ見てください、大臣も。これ何も書いてないのが新しいのですね。破っていただいて結構です。私も試食してみましたけれども、大変うまくて、これだったらどこに持っていっても喜んでもらえるんじゃないか、こう思うものなんです。この点について御見解といいますか姿勢と申しますか、お聞かせ願いたいと思います。
  97. 畠中篤

    ○畠中説明員 お答えいたします。  東京都が防災用非常食として備蓄しております乾パン、これをたとえばアフリカ難民の援助ということで使用することの可能性でございますけれども、私ども東京都がどういう制度で備蓄して、どういう処理をしておるかということは、詳細は存じておりませんけれども、私ども聞いておりますところによりますと、一応乾パンの品質保証期間は三年間ということになっておる。したがいまして、毎年三分の一ずつ更新しておるというふうに聞いております。その結果、三年を経過した備蓄非常食は食用とせず、飼料として利用しているというふうに聞いております。したがいまして、今後の研究の余地はあるとは存じますけれども、一応かかる形で更新されました食糧を海外援助に使用することにつきましては、必ずしも適当ではないのではないかと考えておりますけれども
  98. 榊利夫

    ○榊委員 三年が終わった物を、こういう意味じゃなくて、たとえば二年で、一年間の余裕を残してそれを使うとか、いろいろな有効な使い方を考えれば恐らく知恵が出てくるのじゃなかろうか、こう思うのです。したがいまして、ひとつその点関係部局で、向こうの東京なら東京の意見も聞きながら、何かいい方法がないかどうかということで御研究を願いたい、こういうことです。よろしゅうございますか。研究していただけますか。
  99. 畠中篤

    ○畠中説明員 それでは私ども詳細研究させていただきます。
  100. 榊利夫

    ○榊委員 あと五、六分でございますが、びろうな話ですけれども、農村で屎尿がだんだん肥料として使われなくなってまいりまして、各町村が屎尿廃棄処理に大変お金がかかる、あるいは公害問題も起こっておるということは有名でございますが、近年、屎尿を化学処理して肥料として農地に戻していく、そういう一石二鳥三鳥の方式がいろいろ研究されているようであります。宮崎県の東諸県郡綾町、これは内閣委員会委員長、宮崎県ですけれども綾町から始まりましたリサイクル方式の屎尿液肥化装置、ちょっと試みにこれを持ってまいりましたけれども、不快感を催される方があるかもしれませんので、出すのは私ちょっと省きたいと思いますけれども、これはにおいも何にもしません。もともとの発想は、何か薬局の薬剤師の方がある酵素を使うと屎尿も臭気がなくなるということにヒントを得て、それからいろいろ研究が始まったと聞いております。発酵させまして全く異なった肥料、つまり液化肥をつくるわけで、もちろんばい菌その他は全部死滅しておりますし、きれいなものですから、においもほとんどいたしません。こういうリサイクル方式のものが今後ずっと広がっていけば、一石二鳥三鳥になるのじゃないかと思うのですが、この種の研究のことは農林水産省としてはもちろん御存じだろうと思いますけれども、どういうふうにお考えでございましょうか。
  101. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生からお話がございました宮崎県の綾町等におきまして、屎尿の簡易処理法ということで通称綾方式と呼ばれております処理法を採用しておるということは承知をいたしております。先生からお話がございましたように、屎尿に酵素剤を添付しまして、その後來雑物を取り除く。そして分解を促進するために曝気処理などを行いまして、得られた液体を貯留する方式というふうに聞いております。本処理によりまして得られます液体につきましては、重金属等の土壌保全上好ましくない物質の混入がないということが確認されますれば、これは肥料取締法に基づきます「特殊肥料」というのに該当をいたします。したがいまして、都道府県知事に届け出をしていただかなければなりませんけれども、肥料としても利用が可能であるというふうに思っております。したがいまして、一番問題は重金属の問題だけでございまして、そうでなければ利用は十分可能であるというふうに考えております。
  102. 榊利夫

    ○榊委員 かなりの町村や農場などで利用が試みられているというふうに聞いております。安上がりの屎尿処理とそれから農業増収にも役立つ、カドミウムなど重金属の害もない、こういうことになれば願ってもないことでありますし、綾町の場合も七千五百人程度の処理施設で用地費を含めて三千五百万円で済んでいる。厚生省の補助しておられる一般の屎尿処理施設の六、七割で済んでおるということです。運営費も年間四百五十万円ぐらいですから、一般の三分の一ぐらいの割り安であります。九州一円でずっと広がって本州の方にも広がってきておるようでありますけれども、現在この方式が厚生省の屎尿処理施設構造指針ですか、これに含まれていないために補助の対象にはなっていない。この方式を推進するために、構造指針に含めることも検討してしかるべきじゃなかろうか、こう思うわけであります。その点が一つ。  同時に、とりあえず廃棄物処理施設整備費ですね、国庫補助、この国庫補助金の交付要綱、これにもありますように、厚生大臣が補助対象として承認することもできるのじゃなかろうかと思うのですが、この二点、研究検討していただきたいということでございます。どうでしょうか。
  103. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 農林水産省側といたしましても、今後こういう方面の発展が相当予想されることも考えまして、補助対象として検討させていただきたい、こう思います。
  104. 榊利夫

    ○榊委員 最後ですが、こういうリサイクル方式の液肥ですね。これはいま説明いたしましたように、肥料としてもいいし土壌改良にも役立つ。本来の自然の摂理、これに合うわけです。もとに、大地に戻していくわけでありますので。しかも石油資源の節約にもなる。一石二鳥、三鳥でありますので、政府としてもリサイクル方式の屎尿液肥化装置、これをひとつ研究していただいて、促進できるものなら大いに促進をしていく、こういうことになれば、これは農家農民だけではなくて、農村だけではなくて、市町村の財政という点からも新しい機軸を開くことになると思いますので、最後にひとつこの点での努力を改めて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  105. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 仰せのとおり、この屎尿処理の問題、これを自然に返すという立場から、しかもそれが農業振興にも大いに役立つ、しかも市町村財政にも好影響をもたらす可能性を持っておるということでございますので、十分検討してまいりたいと考えます。
  106. 榊利夫

    ○榊委員 終わります。
  107. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 矢山有作君。
  108. 矢山有作

    ○矢山委員 先に農業研究センターの方からお伺いしたいのですが、私は、今度の農業研究センターについて、まず第一番に懸念される点がありますので、それを確かめておきたいと思うのです。  その一つは、設置される研究センターが企画通絡の機能だけを優先、先行して、たとえば米の減反、転作などに関する研究への上意下達のコントロールセンター的な役割りしか果たせないのではないだろうか、各地域に散在しておる場所の連絡、調整の統一、一元化に主たるねらいがあるのではないかというふうな疑問を持っておるのですが、そういうことになっては大変なので、その点の御見解を承りたいと存じます。
  109. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターにつきましては、従来の専門別の試験研究機関だけでは対応しにくい総合的な技術問題を中心として取り組んでまいることにしておるわけでございます。特に筑波研究学園都市に集中しております農業関係専門研究機関協力いたしまして、また各地域にあります地域農業試験場との連携も十分保って総合的な研究推進していくということでございますので、御指摘のようなことは考えておりません。
  110. 矢山有作

    ○矢山委員 地域農試との連携の中核としての役割りという点を重視されておりますだけに、いま申しましたような危惧の念を持っておるのですが、ぜひそういうことのないように運営をしていただきたいと思うわけです。本来試験研究だとか科学技術というものは、政策の後追いをさせられておるようでは私は意味がないと思うのです。生産可能性あるいはそれに伴う危険性、問題の発生を予測して、ときには乱暴な政策をあらかじめチェックするようでなければ、私は科学でもなければ技術でもないと考えております。試験研究に多額の費用や人を充てる意味がなくなってしまうと思うので、その点どうでしょうか。
  111. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農林水産省の試験研究機関研究をするわけでございますので、現場の農業におけるいろいろな問題あるいは農業全般を推進するためのいろいろな問題、これにつきまして十分密着をした研究を進めていくことは大変重要でございますので、従来ともそういうことを念頭に置いて進めてきたわけでございますけれども、今後ともせっかく筑波に集中し、また農業研究センター等設置をされることになりますれば、一層そういう点については留意をして進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  112. 矢山有作

    ○矢山委員 私は、あえてこういう質問をしたのは、質問が前後したわけですが、農業基本法が施行されて以来の試験研究機関のあり方等々からして、いま言いましたような疑問を持っておるということを申し添えておきたいと思うのです。  ところで問題は、組織や体制をどうするかということでありますが、この筑波農林研究団地の建設ということでこういうことが言われておるようですね。ちょっと読んでみますが、「筑波農林研究団地は、昭和四十七年度から建設に着手し、本年度をもって概成した。これによって、農業関係試験研究機関二十場所のうち十の専門場所(このうち農事試験場は、畑作研究センターのみ)、研究員、約二千五百名のうち約千名が同団地に集中するとともに、今後の試験研究の飛躍的な発展を図るための施設面での条件整備が行われた。」ここからなんですが、「しかし、組織体制面(組織、機構、人員の配置、研究の分担関係等)については、検討すべき問題が少なくなかったにもかかわらず移転業務が優先されたため未検討のまま今日に至っている。」こういうことが言われておるのですが、この報告が出てから一年余り過ぎておりますので、恐らくそういう未検討な部分というものは解消しておるのだろうと思いますが、この点いかがですか。
  113. 川嶋良一

    川嶋政府委員 試験研究の組織、運営の見直しについては、それぞれ適時やっておるわけでございますけれども、今回筑波に集中したという利点をとらえまして、また最近の農業の諸情勢の変化等も踏まえまして、広く総合的に試験研究の見直しをしよう、こういうことで学識経験者等によります検討会も開きまして、一年有余にわたりましていろいろと検討をしてまいりました。その結果、農業研究センター中心とする組織の見直しを実施して、現下の需要にこたえてまいりたいということになった次第であります。
  114. 矢山有作

    ○矢山委員 そうすると、未検討の部分は検討されて解決したということですね。
  115. 川嶋良一

    川嶋政府委員 現在の諸情勢の中で十分検討をいたしまして、これからの需要にこたえられるような、そういう組織として農業研究センターあるいは各地域農試の経営の強化ですとかあるいはそれぞれの専門研究機関の組織再編に至りませんけれども、こういうような形で研究を進めるべきではないか、こういうような意見等も十分踏まえてこれからやってまいりたい、こういうことでございます。
  116. 矢山有作

    ○矢山委員 そうすると、まだ今後の検討に残されておるということですね。
  117. 川嶋良一

    川嶋政府委員 私どもとしては、大筋としてはこれでやっていきたい。もちろんいろいろな細部についてはなお検討の余地もございますし、運用上の問題もございますので、これからそういう点で努力していくつもりでございます。
  118. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで、これはちょっと聞いたのですが、肝心の水田稲作の試験地がまだ決まっていないというような話なんですが、新年度の試験研究には問に合うのですか。
  119. 川嶋良一

    川嶋政府委員 水田研究につきましては、大部分が現在鴻巣市にあります農事試験場水田中心にした研究を進めております。筑波にはかなり基礎的な研究、これに必要な水田がございます。それから機械とか作業関係研究を進めるための水田筑波に造成中でございます。大規模水田につきましては、まだ筑波にございませんので、筑波の周辺に適地を求めまして、それが手当てができた段階で鴻巣から移転をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  120. 矢山有作

    ○矢山委員 それじゃ次に人の問題に移りたいのですが、定員が三百一名ですね。うち研究職が百七十二名ですか、これについては「農事試験場等からの振替による。」としておられるようですが、「農事試験場等」というのは、具体的にはほかにどういうところから振りかえを考えておられるのですか。
  121. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農事試験場が大部分でございますけれども農業技術研究所、草地試験場、それから蚕糸試験場で、これらはほとんどが農業経営関係でございまして、一部農業技術研究所から麦、大豆等研究室が含まれております。
  122. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで私は、そういうふうにいろいろな試験場から人を振りかえたということで、研究業務に万全が期せられるんだろうかという疑問を持っておるのです。一カ所に集めさえすれば、それで総合的な研究になるというふうに単純には考えられないんじゃないか、この点もうすでにお触れになった方がありますけれども、そういうふうに思っているんですが、どうなんです。
  123. 川嶋良一

    川嶋政府委員 現下の厳しい行財政の中で、新しい大規模なそういう総合的な研究を進めていくということにつきましては、私どももいろいろ工夫を重ねております。総合的な研究を従来型でやるのではなくて、そういう研究の現場でみんなが集まって、実際に仕事をしていくということを中心にいたしまして、その中で具体的には総合研究官とか研究チームとかそういったようないままでの研究機関にはない組織を工夫をいたしましてやっていきたい。そのほか流動研究員ですとかいろんな関係仕組みを活用しましてやっていきたいと思っておるわけでございますが、何分にも共同して研究をやるわけでございますから、御指摘のように、集まればいいということではございませんし、またいろいろ工夫をした組織はそれなりに考えておるわけでございますけれども、要はそれをいかにして運用していくかということでございますので、これは今後とも私ども大いに努力をしてまいりたいというように考えております。
  124. 矢山有作

    ○矢山委員 一応了解いたします。大いに期待をしております。  そこで、もう一つちょっとお尋ねしておきたい問題があるんですが、いわゆる行(二)の職に属する職員ですね。この方々が鴻巣から筑波へ転勤するということになるようですが、この転勤については問題ございませんか。
  125. 川嶋良一

    川嶋政府委員 当面は鴻巣の方に水田研究が残りますので、逐次職員の異動を考えたいということで、基本的には問題ないと思いますけれども、個々のそれぞれの職員にはいろいろ事情がございますので、従来筑波の移転に私どもがとってまいりました職員の身分の保障と雇用の安定に対して十分配慮して誠意を持ってやっていきたい。筑波にこれまでに移転した分については、それぞれ対策を終わったわけでございますが、そういったような関係で今後とも一人一人の職員についてきめ細かい配慮をしながら、この移転を完了したいというように考えております。
  126. 矢山有作

    ○矢山委員 私の手元で承知しておるところでは、対象の人たちが四十九名ですか、そのうちで四十名は転勤が不可能だというようなことを聞いておるのです。転勤ができますというのが四名しかおらないというふうに聞いております。ただ、五名くらいの人は、困難な要因が除かれれば移転が可能になる。そのうち要因が除かれた段階で行けるというのが二名、それから全面的に移転時までに困難な要因が除かれれば行くというのが三名、合わせて五名です。移転が可能だというのは四名しかおらぬということです。移転不可能だというのが四十名からおるというふうに聞いておるのですが、これは間違いでしょうか。こういう人たちは、やはり試験研究の第一線で縁の下の力持ちというような役割りを果たしてきた人たちですから、今後に対する処置を十分配慮していかなければいかぬのじゃないかなと思うのですが、いま申しました人数の点は誤りがあるのか。そういうふうな実態であるとするなら、その人たちに対してどういうふうな対処をしようとしておるのか、それをお聞きしておきたいのです。
  127. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農事試験場におきましては、今回の農業研究センターの問題以前に移転を決定しております。そういう関係で場内に移転対策委員会というのを設けまして、いろいろと職員の希望等も聴取しながら、場合によりますと政府の機関に配置転換するとかあるいは適当な転職をお世話するとかいろいろ対策を講じているところでございます。  今後の問題でございますが、いま先生のお示しになったような数字も私ども聞いておりますけれども、それは全体の計画としてもあるいは個人の御事情としてもいろいろ流動的なようでございますので、常にそういったような職員の意向を掌握しながらきめ細かい対策をしてまいりたい。決して無理をしたり何かするというようなことは考えておりませんし、非常にきめ細かい対策を今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。
  128. 矢山有作

    ○矢山委員 長年働いてきた人たちに対する施策ですから、十分きめの細かい処置をやっていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  そこで、大臣お見えになりましたので、次の質疑に入らしていただきます。ちょうど設置法の一部改正を審議するようになりましたので、この機会に農業なり食糧政策の問題について若干お尋ねをしておきたいのです。  まず第一にお伺いしたいのは、これは皮肉な質問になるかもしれませんが、農業センターの設置の趣旨は、簡単に言うと現在日本農業が直面している問題、農産物需給の不均衡あるいは兼業の深化、耕地利用の粗放化、石油多消費型農業農業のオイルづけと言われているものですね。その他環境問題等々解決して、食糧自給力の維持向上を図っていくために、農業生産全体をとらえた総合的な視点に立って技術開発を進めるため、こういうふうに言っておられますが、このとおりと理解してよろしゅうございますね。
  129. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 仰せのとおりの考え方でセンター法案を提出さしていただきました。
  130. 矢山有作

    ○矢山委員 そうなると、逆にこれまでの試験研究機関では、農業生産全体をとらえた総合的な視点を持たないままに技術開発をしてきたのか、こういうふうに実は私どもは言いたくなるわけです。そこで一体いままでの試験研究というのはどういう視点でやってきたのかというふうにお尋ねしたいと思うのです。
  131. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 矢山委員御承知のとおり、それぞれの専門的な試験場でそれぞれの分野の研究を重ね、品種改良等を行って、日本農業進展の基礎を築いてきたわけでございます。その果たしてきた役割りはきわめて大きいものと私は考えておるわけでございますが、戦後の日本農業も他産業の発展とともに、そこに所得格差が出てまいりまして、その格差を埋めようということで基本法ができ、そして農業も相当進歩はいたしたわけでありますけれども、一面いろいろな需給の不均衡という問題が国民の食生活の大きな変貌によって出てまいった。こういう事態に対処するために、今回技術関係の総合性を行政面にできるだけ生かしやすいような考え方、そういうものをこのセンター設置によって図っていこう、こういうことでこの法案を提出させていただいておるわけでございます。  皮肉にもという御指摘でございますが、そういう面は否定できないと私も考えておるわけでありますが、天候相手の農業の分野の中で、しかも耕地面積の狭い日本で、厳しい国際競争の圧力の中でどうして日本農業を進展させていくかということになりますと、やはりこういう考え方もだんだんと取り入れて、あらゆる手段、方法をとって、国会でお示しいただいた食糧自給力強化の決議の趣旨に沿っていかなければならない、こんなふうに考えておる次第でございます。
  132. 矢山有作

    ○矢山委員 従来の試験研究というのは、確かに、個別、専門別に高度の技術を追求するという点では何といっても一つの役割りを果たしたと私は思うのです。ただ、それが農政の中で生かされてこなかったという問題が非常にあるのではないかというふうに痛感をしておるわけです。それは農政の中に積極的に生かそうとしなかったのか、それとも試験研究全体が、個別、専門別に言うなら非常に高度な研究がなされたけれども、しかし、その研究日本農業生産全体のあり方をとらえての研究ということの視点が欠けておったというのか、その辺はどちらか知りませんが、いずれにいたしましても、そうした欠陥をいままで持っておったのではなかろうか、そういうふうに思います。それだけに、今回農業研究センターをつくられたことについては、従来の反省の上に立った運営をすると同時に、それを農政の中で生かしていくという努力がなければならぬのじゃないかというふうに私は思っているわけです。それに対する御所見等をまずお伺いしておきたいと思います。
  133. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いま御指摘をいただきました矢山先生の考え方に対しては、全く私も同感でございます。特に、このセンターの法案をお願いすると同時に、やはり技術が行政の中にもっともっと渾然と溶け込んで、そして行政と技術と立法とうまく融合して、そこからわき出てくる活力というものが、今後の農林行政をして本当に農民的なものにしていく道ではないか、そういうことを考えまして、技術総括審議官でありますとかあるいは技術会議の内部機構の刷新ということもやらしていただいておる次第でございます。
  134. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで、農林水産省では、戦後だけでも何回か所管の試験研究機関整備や再編をしておられるようですけれども、現在の研究体制はいつ整備されたわけですか。私の承知しておるのでは、昭和三十六年、試験研究機関の第二次整備、このときに大体いままでの試験研究機関というのは整備されてきたのではないかと思っておるのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  135. 川嶋良一

    川嶋政府委員 大きな見直し、再編は三十六年でございます。
  136. 矢山有作

    ○矢山委員 昭和三十六年というと、たしか農業基本法が施行になった年ですね。そうすると、この試験研究機関農業基本法の制定の趣旨に従って整備をされてきたというふうに理解していいのでしょうか。そしてまた、整備の内容というのは、簡単に言っていただければいいのですが、どういうふうなものだったのか。その二点お伺いしたいと思います。
  137. 川嶋良一

    川嶋政府委員 大筋はそういうことでございます。内容といたしましては、当時の農業技術研究所から専門機関を分離いたしまして、おおむね専門研究強化という方向で再編をされたわけでございます。その後、草地試験場とか果樹試験場とか野菜試験場とかいろいろそういう方向で整備拡充をされてきたわけでございます。
  138. 矢山有作

    ○矢山委員 第二次整備のことを書いた文献を見ますと、選択的拡大に対応して試験研究部門の分離独立をやっていく、それから戦後の目覚ましい科学技術の進歩を踏まえて研究水準の高度化を図る、こういうことが言われておるわけですから、そういうことだろうと私どもは思うのですが、そういうことをやった結果、最初に私が言いましたような現状日本農業というものをつくり上げてきた。幾多の問題点が指摘されておったわけですがね。そうすると、農業基本法が制定され施行されて二十年、それに並行して行われた試験研究の結果として今日の問題を数多く抱えた農業というものが生まれてきた、筋道としてはこういうことになるわけですね。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そういう見方もできるわけでございます。と同時に、一方において、やはり農政の面においても、品種改良等によって農産物も一畜産物も過剰状態をもたらした。これも輸入農畜産物の政策とも密接な関連があるわけでありますけれども、とにもかくにも予想よりも生産を上げてきたということは確かでございまして、それが輸入農産物と相まって現在の農政の大きな一つの課題となってきておるということも見逃し得ない現実であると考えます。
  140. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで、これからの施策を考えていくためには、いままでやってきたことをある程度反省してみるということが必要ですので、そういう立場から一つ、二つだけお伺いしてみたいのですが、農業基本法がねらいとした点ですね、農業基本法はどういった点を大きな柱としてつくられ施行されてきたのかということを簡単に御説明いただきたいと思うのです。
  141. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 農村の地域社会、農業従事者と都市勤労者、その所得が見合うような農政をしようというのが、たしか農業基本法の発想の根源であったかと私は考えておるわけでございます。
  142. 矢山有作

    ○矢山委員 他産業と農業従事者との所得の均衡を図るというのが大筋のねらいで、そういう中で、そのためにということで幾つかの重要な施策が挙げられておるわけですが、一つは構造改善、つまり規模拡大によって自立経営農家をつくるのだということが出ておりましたね。それからこれからの消費の動向等を見て選択的拡大の方向を打ち出していくのだ。もう一つは、農産物価格の安定を図って農業所得を確保するのだ、大ざっぱに言ってこういうことでしたね。
  143. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そのとおりと考えます。
  144. 矢山有作

    ○矢山委員 そこで、時間があれば、そうした農業基本法で施行したものが具体的に個々にどういう結果になったかということを検証してみたいわけですが、とても全部触れる時間はありませんので、その中で一つだけ取り上げてみたいと思うのです。  農業基本法が目指しておった、将来の消費動向を見て、米麦中心よりもむしろ将来消費の拡大が予想される作目に移っていくということで、その選択的拡大ということが一つ大きな柱になったわけですが、その選択的拡大の政策の成果をどういうふうに評価しておられますか。
  145. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 農業基本法時代を振り返ってみまして、当時畜産三倍、果樹二倍というような形で畜産、果樹というような部門、施設園芸等も加わりまして、これらの部門につきましては、個別経営としてはかなり技術的にも進歩したと思います。  さらに、それを現状から顧みました際に、そうした形で非常に国内の自給力を高めた分野とそうでない分野が両極的に併存するような現状に至っている、こういうことに考えております。
  146. 矢山有作

    ○矢山委員 選択的拡大の政策の結果、大きく伸びたのが畜産の分野であるとか果樹の分野等々、大きく伸びましたね。しかし、大きく伸びたが、その反面に、また今日見ると、たとえばミカンができ過ぎて木を切り倒さなければならぬとか、あるいは酪農で言うなら生産調整をやらなければならぬとか、いろいろな問題を起こしたわけです。その中で一つだけ取り上げてみたいと思うのは、選択的拡大の中心に畜産というものを取り上げておったと私は思うのですね。畜産を取り上げてきたのでありますが、私どもその後の畜産の推移を見ておって非常に問題になってきたのは、やはり飼料の問題ではないか、えさの問題じゃないか、こういうふうに思っておるのです。畜産というものを選択的拡大の主要な部分として取り上げてきたときに、えさの問題というのはどういうふうにお考えになっておったんでしょうか。
  147. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  基本法制定直後でございますが、三十七年五月に四十六年の長期見通しをつくっております。この中でえさの問題も触れているわけでございます。これは概要を申し上げますと、一つは草地改良あるいは既耕地への作付を含めて飼料作物の増産、それからイモ類等の国産濃厚飼料の増産を見込んでおりますが、やはり鶏とか豚等を中心にして濃厚飼料の輸入を増大させることは避けがたいという見通しをとっているわけでございます。
  148. 矢山有作

    ○矢山委員 濃厚飼料の輸入は避けがたいという方針をとっておられて、まさにそのとおりの状況になっておると私は思うのですね。当時の統計を見てみますと、飼料穀物の輸入というのが農業基本法が施行された後非常にふえておる。しかもそのふえ方というものが、これは大変なふえ方なんですね。こういう事態を予想してかかっておったんでしょうか。畜産の問題を言う以上は、全面的に濃厚飼料の海外依存、それは避けがたいことだということで済ますわけにはいかぬ。そんなことをやっておると、日本の畜産が外国の飼料産業の加工工業になってしまうので、そんなことでは済まぬ。やはり私は、飼料の自給というものを相当重視した対策をとるべきではなかったかと思うのです。そういう点で、先ほどあなたが草地改良の問題を持ち出されたと思うのです。しかし、草地改良をやりながら、現在の飼料全体としての自給度というのは非常に落ちてきていますね。濃厚飼料もほとんど輸入ですね。その点は、畜産を選択的拡大に選んだという立場からして反省はないわけですか。
  149. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 非常に重要なポイントをお突きになっておられると思います。と申しますのは、農業基本法を制定をして、選択的拡大をやって畜産をやる。草地改良ということを重点的にやったわけであります。それはそれなりに一応の成果を上げてきておるわけでありますけれども、やはり草に関する試験研究、そういうものが全くゼロ。たとえば日本のモンスーン地帯で、日本の風土に無限に生える野草を品種改良して、そして日本独特のいわゆる牧草資源を造成をしてまいるといようなことを、私どもの考え、かつ政策として出していただくべく、いろいろと運動いたしたわけでありますが、日本の農学、学問そのものがやはり米麦中心というようなことでありまして、草に興味を持って草をやろうという行政官は左遷されるといったような現実も、私は農林省の外の方にいて見ているわけでございます。それが今日の日本の畜産全般に対する一つの大きな弱点になってきた、こう私は思うのです。  この反省がありまして、私どもも議席を得させてもらいましてから、諸先輩の皆さんとともに国立草地試験場が設立されたのはいまからたしか十四、五年前じゃないか。そこから日本の草が始まった。帯広大学に草地学科が設けられたのが昭和三十三年でございます。帯広大学と岩手大学。東京大学と京都大学は、草地学科を置いてくださいと言ったら、草は生えるものであってつくるものじゃないという当時の農学部長さんのお話です。これは事実なんです、私はある代議士のお供をして行ったわけですから。そういうことを申されるほど牧草に関する関心がなかった。ですから、いまでも農林省でも各県でも、本当に牧草を育てる、品種改良をするという技術者が何人いるかということになると、まだまだ足りないという感じがいたすわけです。  そういう点で、いま技術会議でも今回予算計上いたしまして、野草の牧草化の研究というものを積極的に推進しようということにいたしておるわけでございます。そういう面で優秀なスモウドリグサでありますとか大分のオオクサキビというのですか、宮崎県か大分県かあの辺で、県の試験場が造成したりっぱな牧草がございます。そういうものをどんどんこれから造成をしていかなければならぬ、こう考えますし、それと同時に、種苗行政というのにもっともっと力を入れなければいかぬなという感じがいたすわけです。同じく労力を使い、同じく飼料を使い、同じくやってよけいとれるというためには、りっぱないい種をたくさん国としてつくり上げていく努力をしなければならぬな。今回センター法案等を中心にして、技術中心にして、この種苗というものを重視して農政を進めてまいりたい。これは農業基本法の成果を顧みながら、これからの日本の農政に対しましての私の考え方の一つでございます。
  150. 矢山有作

    ○矢山委員 その点で私は、十数年前にたしか農林省に勤めておられた方だと記憶しておりますが、日野水一郎さんという方がスイスの方かどこかヨーロッパへ行って酪農の勉強をされた、その方が書かれた本を見て記憶に残っておるのですが、日本の草の成長というのは欧米諸国に比べると比較にならぬほど成長が早いというのですね。したがって、畜産を言う以上は、草の問題を真剣に検討すべきだというようなことを言っておられたのをいま思い出しておるのですが、そういう点でやはり一つは努力が欠けておったんじゃないかという気がいたします。畜産を言う以上は、今後そういった問題に全力を挙げていただきたいと思うのです。  そこで、次にお伺いしたいと思いますのは、農業基本法ができました当時、すでに農基法農政というのは米麦阻害政策だというふうなことが言われておったわけです。そこで私は、麦だとか大豆などの生産についてその当時どういう考え方で対処されておったのだろうかということをちょっとお伺いしたいのです。
  151. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 三十五年前後の麦作をめぐる情勢でございますけれども、前の大・裸麦と小麦と様相が大分違っております。大・裸麦につきましては、需要が、国民所得水準が大分上がってきた、それからお米の方の生産が大分ふえてまいったというようなこと等につれまして、押し麦でございます食糧用の麦の消費がだんだん減ってきつつある。この三十五年の末には政府の手持ち在庫量が急増しまして、大体一年分の在庫が見込まれたというのが大・裸の状況でございます。小麦の方につきましては、生産量は徐々に増加してきたわけでございますけれども、需要の方もパン用等を中心としまして増加傾向にあったわけでございます。小麦の生産の方の面については、まだ生産性が余り高くないというような姿があったわけでございます。そのため、当時の麦の生産対策といたしましては、需要の動向に即応いたしまして、消費が減退をした大・裸麦、これにつきましては小麦への作付転換を図る。それから自然条件なり生産費の方から見まして、麦作限界地帯というようなところにつきましては、てん菜なり飼料作物等へ転換を図る。それから単収の増加なり省力栽培による生産性の向上、これを図りまして、生産費の逓減を図るということを基軸として推進をするということで、当時は考えておったわけでございます。
  152. 矢山有作

    ○矢山委員 いまおっしゃったのは、当時つくられておった麦生産合理化対策要綱の問題に触れてのお話だと思うのですが、結局この要綱ができたのは、中を読んでみますと、大麦、裸麦また小麦についても食糧用——小麦はちょっと別ですが、小麦は食糧用もふえるが飼料用もふえる、こういうように言っておるから、分けて言いますと、大麦、裸麦は食糧用は減少するけれども、飼料用の需要は増大が見込める。それから小麦については、食糧用も増加するが、飼料用の需要も増大する。こういう見込みで麦の生産性の向上及び麦作限界地帯の作付転換、有畜営農の促進等を図って麦作経営の合理化を図るということを言って、これで麦作改善対策協議会ですか、ああいうものをつくってやってきたわけですね。ところが今日、これは麦に関して見ると、そのときの麦生産合理化対策要綱にうたわれておったようなことにはさっぱりなっていない、こういうふうに言えるのです。したがって、試験研究の面においても恐らくこういう状態だから、麦や大豆試験研究者なんというのはほとんどおらなくなってしまっているのじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  153. 川嶋良一

    川嶋政府委員 試験研究はかなり長期計画で進めていかなくちゃいけないということで、一定の基本的なものを維持していきながら、それぞれその時代、時代に即応した研究もまた重点的にやっていく、こういうことで、そのバランスは私どもとしては大変重要視をして、常にそれを考えながらやってきているところでございます。そういうことから言いますと、基本的な麦、大豆等研究、特に品種改良等につきましては、従前とも今日も引き続きやっております。  ただ、それに関連をいたしますもろもろの研究については、それぞれいままで麦をやってきた、あるいは大豆をやってきた人がほかの緊急な問題に変わるということもあり得るわけでございますけれども、いずれにいたしましても、麦、大豆等につきましては、年々新しい品種をつくっておりますし、ものによりますとずっと続けておりまして、十六年なり十七年目でやっと最近の大豆状況からして品種になった、こういうこともあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういう長い目でずっとやってきているわけでございます。
  154. 矢山有作

    ○矢山委員 そうすると、試験研究機関の方ではそれだけ研究者はおらぬのではないかというようなことを私は言ったのですが、そうではなくて、それだけ着実な研究をしておられるのに、しかしながら、それが政策の中で生かされてこない。したがって、その対策要綱はできたけれども、麦の需給状況は、私が数字をあえて言わぬでもおわかりのとおりな状態になってしまっておるわけですね。結局、結論から言うと、私どもはその当時こういう対策要綱なりそれを推進していくための麦作改善対策協議会というのは、結局は麦の安楽死をねらうのではないかということを批判してきたのですけれども、結果的に言うとそういうような状態になってしまった。もう麦作をやっている人はほとんどないと言って過言でないほど少なくなっているわけですからね。そうすると、結局この大麦、裸麦、まあ小麦を含めて、畜産の選択的拡大をやる中で飼料用としての用途を考えながら、実際にはさっぱり生産は上がってこなかった。そして結論として、畜産が振興されればされるほどえさが対外依存度を強めていく。特にアメリカの場合が多いようですが、そういう結果になってしまった。したがって、いろいろやってこられたけれども、しかし、畜産の選択的拡大というのは、結局、自給飼料対策、国内でのえさをどうするかということが考えられておらなかったから、アメリカのえさ市場に日本の市場を開放したという結果になってしまったということが、いまやはり厳しく反省されなければならぬのではないか、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
  155. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘の点、いろいろな面から検証してみなければならないだろうと思います。  いまの時点で、現在飼料穀物として輸入しておりますものは、実は実量で千六百五十万トンに達しております。これは仮に単収三百キロと仮定いたしましても、実は五百五十万ヘクタールというわが国の耕地面積を上回る耕地面積が要るという実態になるわけでございます。そういった意味で、私どもは実態としては、やはり今日の膨大なわが国の畜産生産規模を維持していくためには、飼料穀物の安定的な輸入ということが重要であろうと思いますし、その場合、価格、品質、輸送条件から考えて、今日の状況ではアメリカが最も安定的な効率的な相手国になるということは否定できないだろうと思います。しかし、御指摘のように、大家畜を中心にして飼料作物の増産を図っていくことは非常に重要な課題だろうと思います。特に最近数年間を見ますと、多頭飼育の進展過程で一部地域で再び濃厚飼料の依存率を酪農についてもかなり上がった時期があったわけでございます。そういう意味において、草地改良を進めると同時に、何と申しましても既耕地への飼料作物の作付をふやす政策を拡充する必要があると思いまして、各般の施策を講じているところでございます。
  156. 矢山有作

    ○矢山委員 私も、いまの日本の畜産のえさを全部国内で賄うようにすべきだ、それは理想ではあっても、そんなことがおっしゃるようにできるとは実は残念ながら思っていないのです。しかし、やはり国内での飼料というものをどう確保するかということは、畜産を考える以上重要な問題である。たとえばソ連が農業危機だ、農業危機だと盛んに言われておりますが、穀物ができない。ソ連の穀物生産が低下したことがソ連の畜産に非常に大きな影響を及ぼしているわけです。そして畜産を維持していくことができない。そこに最大の原因があるわけですから。そこでアメリカの穀物輸入に大きく依存しようとする。そうすると、先般のアフガニスタンのソ連軍の侵入事件等によって穀物禁輸措置を食らう、こういうようなことになってソ連の畜産は大変なんです。われわれが畜産というものを、消費の動向を考えてみて維持していかなければならぬというなら、そういう点を考えながらえさというものに真剣に取り組んでいかぬと、ただ単に、よそから買えば安いから、それでやりますというようなことだけでは済まないような事態が来るおそれがある。金さえあれば何でも手に入るという時期がそろそろ終わりつつあるということは御承知のとおりなんですから、そういう点は真剣に検討していただかなければいけないと私は思います。特に米の減反ということがやかましく言われておるときですから、その点御見解はどうですか。
  157. 森実孝郎

    森実政府委員 私どもも基本的には飼料の増産ということは重要な課題だと思っております。今回発表いたしました長期見通しでも、粗飼料については、現在のTDNで五百十六万トンというベースを九百四十万トンまで増産したい。そのために、先ほど申し上げましたような既耕地の作付の増大等の一連の施策を講じたいと思っているわけでございます。  そこで問題は、濃厚飼料をどう考えるか。私は率直に言いまして、現在の耕地規模それから経営条件、何といっても飼料穀物規模が物を言う生産でございますので、そこら辺にむずかしい点があると思います。しかし、わが国の農業の実態からいいまして、過剰となる水田でえさ用目的の米をつくるかどうかということは、確かに一つの議論があるところだろうと思います。そういう意味で、省を挙げて現在検討を進めているところであり、特に大臣の御指示等もございまして、飼料米の新しい品種開発ということについて、現在急速に研究を進めているところでございます。
  158. 矢山有作

    ○矢山委員 飼料米の問題はかねていろいろ議論のあるところですから、それはぜひ御研究いただきたいとともに、麦作なり大豆作の問題についても、稲作転換を言っているときですから、その転換をするのにどういう方法が麦の生産なり大豆生産の増加に結びつくのかということを考えて、転換政策を打ち出していかぬといかぬではないかという気が私はするのです。いろいろな要件はあると思うのですが、とにかく大豆をまいておけば、芽が出さえすれば、幾らとれようがとれまいが一反当り何ぼ金をやるんだ、あるいは麦をまいておけば、幾らか一反当たり金をやるんだというやり方をやっておったのでは、下手をすると無意味な金を出すことになってしまって、生産の増加につながってこないのではないか。だから生産を増加させるような稲作転換というものをどうするかということを、この時点で検討すべきなんじゃないですか。
  159. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策は五十三年度から進めております。五十六年度から第二期に入るという状態にあるわけでございますが、転換する作目といたしましては、やはり戦略的な作物といいますか、重点作物といたしまして麦、大豆、飼料作物、てん菜、そばというようなものを特定作物といたしまして、奨励金の面等においても優遇措置を講じておるということでございます。その際に、御指摘のように、現在の奨励金の交付の仕方は反別の奨励金になります。もちろん基準収穫量という水稲の単収のいかんによりまして、反別でも差はございますけれども、問題は先生指摘のように、転作する作物、これが大豆なら大豆収量、そういうものに応じて交付は現在してないわけです。それはそういうふうに交付をするということをむしろ考えた方が、麦、大豆の土地生産性その他が上がる、そういう手だてにならぬかというお話かと思います。  問題は、その収量に応じてという話になりますと、これは大豆がどのくらいとれたかという確認をしなくちゃならないわけですね。この確認がまず非常に問題であろうというふうに思っております。現在の場合は反別の奨励金でございますので、確かに大豆をまいた、麦をまいたということを市町村の職員等が確認すればよろしいわけでございます。もちろん私たちは今後この転作作物が定着せぬと困るわけです。奨励金があるからつくっているということでなしに、だんだん奨励金がなくなっても、大豆、麦、こういうものをつくる、そういう足腰の強い転作営農を育てるというのがどうしても主眼でございますので、奨励金以外におきまして大豆、麦の生産対策、経営対策、そういう問題につきまして、試験研究成果等も踏まえまして、生産性の上がるやり方を別途生産対策で、この水田再編とも絡ませながら、そういうものの施策を展開しておるということでございます。
  160. 矢山有作

    ○矢山委員 私は、転換奨励金を出すなとかあるいは減らせとか、そういう議論をしているのじゃないですよ。要するに、いま非常に自給力が落ちておる重要な麦や大豆生産増強を考えるなら、一工夫があっていいのじゃないか。それには、基本的には麦や大豆の価格政策というものをどうするかということが確立されてこないとなかなかむずかしいと思いますが、そういう点を検討しながら、生産の増強に結びつくような方向で今後御検討いただきたいというふうに考えます。  そこでもう一つ、最近は食糧の問題が非常に大きな問題になっておりますので、お伺いしたいのですが、食糧の自給率というのは非常に落ちてきていますね。最近の統計では、総合で大体七二、三%ですか、それでカロリー計算をすると三〇数%、こういうふうに言われておりますね。大体その程度と理解していいですか。
  161. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 食糧の総合自給率でございますが、先般長期見通しを出しましたベースになりました五十三年度の食糧農産物の総合自給率は七三%でございます。御指摘の、カロリーで申されたのは恐らく自給率をカロリー換算する方式だろうと思いますが、この点はとっておりません。恐らく四〇%程度じゃなかったかと思いますが、これは数字的には私ども公表しておりません。
  162. 矢山有作

    ○矢山委員 カロリー換算すれば三〇数%から四〇%ということは一般に言われていますね。そういうふうに食糧自給率がわが国では非常に低下をしておるのですが、この自給率の低さというのは、世界各国に比較すると大変な低いところにあると私は思っておるのですが、どうです。
  163. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 自給率自体、総合自給率というのは各国出しておりませんので、総合的な自給率という形では比較ができませんが、各作物について申し上げるならば、わが国では米、野菜、果実なりは非常に高い自給率に属しておるわけでございます。ヨーロッパ諸国では比較的野菜、果実なりが低い国もあるわけでございますが、わが国の場合には、そうした比較からしますと、いわゆる食用とえさ用を足しました穀物自給率はかなり低い部類に属しますが、西欧諸国では比較的高い比率だ、そういう点で作物によっていろいろバラエティーがある、このように見ております。
  164. 矢山有作

    ○矢山委員 いま御説明いただきましたが、野菜や果実なんかでは低いところがあるとおっしゃったんですが、私がいただいておる自給率の国際比較で見ると、野菜なんかで低いというのが、西独の三五%ぐらいという数字を示していただいておりますが、そのほかは大体自給率が非常に高いし、また自給率を高めるように努力をしておるんじゃないかとぼくは思うのです。  というのは、私は昭和三十八年に社会党の欧州農業調査団というのに加わって、ヨーロッパ、東欧を含めて八カ国ほど回ったことがあるのです。そのときに非常に強い印象を受けたのは、その当時は労働党は政権を握っておりませんで、あそこは野党の方に陰の内閣という組織がありまして、その陰の内閣の農林大臣、もし組閣するようになれば、その人が農林大臣になるんだという、そのペアトという人に会ったことがあるのです。食糧問題、農業問題についていろいろ意見を聞いたのですが、そのときに彼はこう言ったのです。  わが国は第二次大戦前までは海外にほとんど食糧を依存しておった、したがって、その当時は二五%ほどの自給率しかなかった、ところが、その後のわれわれの深刻な体験から、どうしてもこの食糧自給率を高めぬことにはもうどうにもならぬということで、全力を挙げて戦後食糧自給率を高めることに取り組んできた、そうすると、昭和三十八年ですから、戦後十八年ですね、その当時で、現在大体五五、六%まで自給率を高めた、こう言って胸を張っておりました。  そのときに私は、その当時すでにもう日本の自給率はそろそろ下がりかけてきたわけですから、非常に深い感銘を受けたわけですけれども、やはり食糧の自給率を高めていくということはきわめて重要なんではないか。特に食糧というものが、最近は単なる食糧ということよりも、いわゆる戦略物資的な様相を非常に強めてまいりましたから、それが特に、アフガニスタン事件後のいわゆるソ連に対するアメリカの穀物禁輸措置等を見ましても、これは端的なあらわれだと思うのです。そういう点がございますので、ぜひこの食糧自給率を高めていくということに対して格段の努力が要るのではないかというふうに私は思うわけです。  そこで、これを一問聞いて、本会議がありますから後に回させていただきたいと思いますが、この間一月に、いわゆる賢人会議の提言が発表されておりますね。その中の部分を読んでみると、農業貿易の章なんですが、こういうことを言っておるのです。アメリカの耕作地の二十分の一は日本のための食糧生産に使われている、こういうことを書いておるのですね。私はこれを見て、やはり農業基本法二十年の間の農政というものがついにここまで来たのかという感を深くしたわけです。アメリカの耕作地の二十分の一が日本の食糧生産に使われておるというのですから、これは大変な話だと思うのです。  そこで、こういう指摘を賢人会議で出されておるというこの実態を踏まえながら、私は農林大臣に、食糧自給というものに対して基本的にどうお考えになるのか、承っておきたいと思うのです。
  165. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 これは昨年の四月でしたか、衆議院、参議院において、食糧自給力強化に関する決議というものが各党満場一致で本会議の議決をちょうだいしたわけでございます。これは国権の最高機関の国会が、いままでのようなことじゃいかぬよ、とにかく自給力をもっと上げる努力をしなさい、少なくともいまより下げるようなことがあってはならぬぞ、こういうことを政府に対して強く院の意思を示していただいたもの、こう受け取っておるわけでございます。したがいまして、米を除くそのほかのものにつきましては、農政審議会において一年半にわたる御審議をちょうだいし、そして私も就任以来、その農政審議会の答申をできるだけ早くひとつお出しいただきたいということで、事務当局を通じて要請を申し上げ、昨年答申をちょうだいをし、需要と供給の長期見通し等も閣議決定をいたした、こういうことでございまして、とにかく不足しているものは、できるだけ国内でできるものはつくるということで、特に小麦等においても、めん類で食べておるものの小麦は全部国内で自給をしよう、豆類等についても、食用の六割程度は国内で生産をしよう、こういう努力をすることを閣議決定をいたしたわけでございます。  と同時に、先ほど来論議のありましたえさ関係につきましては、やはり輸入先がアメリカばかりでありますと、アメリカが去年のような干害とか干ばつとかというものがありました際のことを考えれば、どうしても輸入先を多様化しておかなければいかぬ、こういうことで、実は東南アジア、ASEANの諸国に参りましたときも、やはり日本と競合するような農作物をつくるということは、もう日本目当てにはやめてください、もし日本に農産物として輸出を企図されるなら、トウモロコシとかあるいは小麦類とかそういうものを大いに生産をしていただきたいと。これにはビルマも、この間ネ・ウィン総理も日本に来て大変いいことを聞いたということで、そういう計画を立てたいと申しておりましたし、すでにASEANの諸国では、そういう方向に方向転換をしたいというようなことを各首脳も言っておられました。  やはりこれはもう農業、農産物を十二分にそれぞれの国が自給をするという努力をすることが、私は平和をもたらす一つの最小限の方法ではないかとさえ実は思っておるわけであります。そういう意味におきましても、全力を挙げてやはり日本技術革新をやり、品種改良をやって——品種改良ということを言いますと、日本人で笑う人もいるわけです、品種改良なんてくその役にも立たないと言って。あの野坂昭如という黒めがねをかけたあれと対談しましたとき、品種改良なんというのは全くくその役にも立たない、こういうようなことを平気でああいう人たちが言っている。こういう事情でございますから、やはりよほど本気でやっていきませんと、結局安易な道、安易な道ということになって、やはり種をまいてどろまみれになって物をつくり上げていくというのは、これはもう大変な、土を愛し自然を愛する百姓魂と申しますか、農民魂というものを持たないとできないんじゃないかというその辺をみんなに知ってもらいたいなあという気持ちで、農林水産大臣としての勤務中はそういう心構えでやってまいりたい、こう考えております。
  166. 矢山有作

    ○矢山委員 それではもう少し時間があるようですから、本会議が始まりますので、一応これで打ち切って、本会議後に、あと二つ三つございますので、お願いしたいと思います。
  167. 江藤隆美

    江藤委員長 午後二時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  168. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。矢山有作君。
  169. 矢山有作

    ○矢山委員 先ほど農林大臣から食糧自給の問題についての御見解を承ったわけでありますが、先般出されました農政審の答申を読んでみますと、食糧の安全保障ということをかなり重視をされておるんだろうと思うのですが、わざわざ第二章という一つの章を起こして「食料の安全保障」ということで記述がなされております。ところが、同時に発表されました長期見通しによりますと、六十五年度ですかの総合自給率は五十三年度と横並びで七三%、穀物で言うなら五十三年度の三四%が六十五年度には三〇%になるということでありますから、私ども食糧自給の向上ということから考えると、ちょっとこれは問題があるんじゃないかなという感じがしておるわけですが、いかがですか。
  170. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も農政審議会のいろいろ御審議の過程においてそのような感じを持ったわけであります。しかし、いろいろ論議をお聞きし、事情等を理解するにつけまして、もうほっておけばぐんぐんぐんぐん自給率が下がっていくものを、これからの相当な努力によってやっと自給力の維持を果たすことができるという大体の皆さん方の御意向ということでございまして、それにつけても農林水産省としては、その長期見通しというものを最低の線として、それを上回る努力を傾けなければならないという決意をむしろ新たにした、こういうのが私の実感でございます。
  171. 矢山有作

    ○矢山委員 私はちょっと矛盾があるように思いますので、食糧自給の向上ということは国会の決議もあることですから、ひとつぜひ全力を挙げてお取り組みいただきたいと存じます。  そこで、一つお伺いしておきたいのですが、先般いわゆるジョーンズ・レポートと呼ばれるものが米国の下院歳入委員会貿易小委員会の対日貿易監視小委員会の方から下院に提出をされておるのでありますが、それを見ますと、農産物貿易に関しては、貿易自由化には多くの制限があり不満であるということを述べた後で、日本が稲作転換から他作目の自給増大を図ろうとしておることに対して、将来、米国からの輸入を減らす結果にならないだろうか、新しい保護主義のおそれがあるといったような意味のことを言って牽制をし、さらに大豆の禁輸措置のような経過からして、供給者の米国に対し不安を持つことについては、日本が各種食糧の特定量について、そのときの価格で買い付けることができることを保証する日米食糧安全保障条約といったものがつくれるかつくれぬか政府で検討したらどうか、こういう提言をしておるのであります。  そこで、政府としてはどういうふうにこのジョーンズ・レポートをお受け取りになっておるのかということと、それからこういった問題に関連をして、何かアメリカの方からお話があったかどうか、その二点ひとつお伺いしておきたいと思います。
  172. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。  ただいま矢山先生指摘のアメリカのジョーンズ・レポートの中で、日米の長期協定につきまして示唆をしていることは事実でございます。ただ、わが国の食糧の安全保障を図るためには、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、基本的には国内の生産力の維持向上を図るべきであるということは言うをまたないところであります。ただ同時に、先ほど畜産関係の御質疑がございました際にもお触れになりましたように、残念ながら現在の段階におきましては、今後とも海外からの供給に相当量穀物等について依存をせざるを得ない。その前提に立った長期的な輸入の安定化ということもまたやむを得ざる事実でございます。  そこで、このような観点から、先般の農政審議会の御答申の中にも、わが国の自給力とこれに対応する輸入の必要量を踏まえた長期輸入取り決めを締結することは有効な手段だということが述べられておるのでございます。しかしながら、私ども現在の段階で考えておりますことは、当面直ちにこのような取り決めを結ぶことが適当であるかどうかということにつきましては、国内あるいは国外の穀物の需給情勢も十分に吟味をしなければならないところでございますし、また米国の長期取り決めに関する態度、これも見きわめなければならないと思います。また同時に、国際小麦協定に見られるような開発途上国も含んだ国際的な多国間の取り決めの動きというような事態もございますので、これらの動きを慎重に見きわめる必要があるというのが私どもの考えでございます。  なお現段階におきましては、わが国の穀物の安定輸入先でございますところの米国との間におきまして、一昨年の大平総理の御訪米の際、日米共同声明というのが出ておりまして、これに基づきまして、穀物を中心といたしますところの主要農産物の需給状況について定期協議を持つことになっております。この定期協議は、昨年は十二月にワシントンで行ったわけでございますが、その際、日本側からは、わが国の需給事情及び輸入必要量につきましての情報を提供し、その必要量につきまして安定的な供給を要請するということをやってまいりまして、これが新政権にも引き継がれるように要請をいたしてまいりました。これに対しまして米側からは、日本の輸入需要量を満たすべく緊密に協力するという回答があった次第でございます。当面はこのような定期協議の枠組みを通じまして、安定供給の確保に努めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  173. 矢山有作

    ○矢山委員 食糧の問題について安全保障条約なんというのはおっしゃるようにいま考えるべき問題でもないし、そんなことをしたら口までアメリカに預けてしまって、それこそアメリカの言うことは何でも聞かなければあごが干上がってしまうというようなことになる。これではわが国としての自主性を云々することもできなくなるので、それは絶対に応ずるべきではない、むしろ国内の自給率を高めながら対処していただきたい、私はこういうふうに思っております。農林大臣ひとつ御意見を……。
  174. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も大体そのような考え方を基本にいたしまして、就任以来畜産物の輸入等の問題についてニュージーランド並びにベルギー、EC等の諸国と話し合いを詰めまして、とにかく日本の実態というものを十分に理解してもらうという努力をいたしまして、その結果、これから輸入は当分ふやさないというような方向でとりあえず話し合いをつけたということもございます。話し合えばわかる、そうしてお互いわかった上で、信頼関係の上で将来長く平和に貿易を続ける、こういうような話し合いで先般実は一応の決着をつけたということもございますので、これからもこちらの立場を十二分に相手方に納得させる努力というものが私どもの責任でもある、こう考えてやっていきたいと思っております。
  175. 矢山有作

    ○矢山委員 次に進みますが、実はこれは私資料要求したら資料をもらえませんでした。一九七四年の十月に当時の大臣官房の参事官をしておられた齋藤育雄さんですか、この方が中心でまとめられたということを聞いておるのですが、「輸入がストップした場合におけるわが国の栄養水準(試算)」というのがあるということを聞きまして、これはかつて衆議院の外務委員会でも論議になったようですので、政府委員室を介してこれを出していただきたい、こう言ったところが出してくれないでこれを一枚持ってきたのです。ゼロックスにとってあるのですが、字が小さくてとてもじゃないが読めないのです。こういう資料というのは大体提出してはいかぬということで押さえているのですか、どうなんですか。
  176. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  たしか四十九年の十月に輸入ストップ時の栄養水準試算ということで、いま氏名が出ましたけれども、確かに当時官房企画室で一部有志が算定した経過はございます。役所として公式的にはまだ取りまとめにも入っていない段階のものでございますが、一部新聞に出たことがございます。その中身は輸入がストップした場合におきますわが国の栄養水準の試算値として約二千百七カロリー程度になるであろうということで、いろいろ前提を置きまして、不作付地を解消し、裏作等を行う、あるいは開拓可能地を耕地化するというようなことを前提にして、輸入がストップした場合には、この程度のカロリーが算定されるという経過の中間的な数字というふうに理解しております。資料につきましては、私どももう少し探してみまして明瞭なものがあればそれを御提出するようにいたします。
  177. 矢山有作

    ○矢山委員 これはその当時大分新聞で取り上げられて、食糧全面輸入停止になったら大変なことだということでかなりショックを受けた人もおるのですよ。それで衆議院の外務委員会でも五十三年十月に論議されておるようですから、恐らく正式の資料として論議した人は受け取っておると思うのです。だから、これは秘密でないのなら、農林省はこういう試算もやっているのだということをやはり出してもらいたい。いま出すとおっしゃったからそれでひとつお願いしておきます。  そこで、これを読んでみると大変なんですわ。いまおっしゃったように輸入がストップしたときに栄養水準を維持しようと思えばどういうふうにするのかというので、米生産調整で生じた余剰水田五十六万二千ヘクタールを復活させる、まずこれがある。それから裏作可能な水田に麦類となたねの作付をやらせる。それから十四万六千ヘクタールあるゴルフ場の三分の二を耕してカンショを植える。それから短期間に百五十四万ヘクタールの農地造成をするために全国から十トン級のブルドーザー四万九千台を動員して一年間フル稼働してそれをやるのだ。こういうことを書いておるのです。  私はこれを見て、一体どんなつもりでこんなものを出したのだろうか。第一食糧が輸入ストップした段階で四万九千台からの大型ブルドーザーを何で動かすのだろうか。石油はそのとき入ってくるという前提に立っておるのだろうか。これは一体どういうことを考えておるのか。それから休耕田の復活だといっても、これはとてつもない労力を要する問題だと思うのです。それから作付を強制して麦をつくらしたりなたねをつくらせたりするというのだけれども、こんなことがまじめに考えて検討されたのかと思って、一体どういうことなんだろうと思ったのですが、個人的な研究だからわからないとおっしゃいますか。こんな子供だましみたいな研究農林省の企画室でやっておるといったら話にならぬですよ。どうです、御所見は。
  178. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  当時のある段階での数字ではないかというふうに私ども思いますが、そうした形で役所として公式的に認めているものでもございませんし、いまおっしゃるように、各種の前提があることは事実でございます。  付言いたしますならば、農政審議会の先般の審議の過程におきまして、むしろ輸入ゼロというようことよりも、ある程度、二分の一なり三分の一というような輸入量の削減があった場合を想定して、どういう対応があり得るかということで、現在の二千五百カロリーから一割前後は落ちざるを得ないというような一応想定をした試算をいたしたわけでございます。  ただ、その場合にも、いま御指摘のように、現在の耕地利用率を高めるとかあるいは可耕地を耕地化するというような問題について、どういうふうな手順でやれるかというような問題そうした問題等を今後食糧の安全保障という観点から研究を続けるべきだという農政審議会からの御指示を得ております。私ども省内にそうした安全保障に関しますグループをつくりまして、現在検討いたしまして、農政審議会といずれ協議して進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  179. 矢山有作

    ○矢山委員 それでは、いまの齋藤さんの研究というものは全く話にならぬですね。だからこれも、こんな研究農林省はやったことがあるのだなという参考のためにひとつ出していただくのと、それからいま何か。プロジェクトを持って研究をやっておられるということがいろいろ報道されておりますが、それはまだまとまっておりませんか。まとまっておらなければまとまった段階でよろしいが、まとまっておれば、われわれ勉強するためにも御提出をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  180. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 まだデータ的にまとまっておるものではございません。短期的な備蓄対策とあわせて、そうした長期的な対策というようなことで各国の事例等を調査するなりデータをいま収集している段階でございます。
  181. 矢山有作

    ○矢山委員 時間が参りましたのでやめますが、もう二つだけお願いいたします。  まとめて申し上げますと、農業研究センターの設置を契機といたしまして、食糧自給力の向上を目指し、まさに言われておるような総合的な視野から農業技術開発に取り組んでいただいて、そして農政の上では、その技術開発が実際に生かされて取り入れられるように、ぜひ全力を挙げて御努力いただきたいということを御要望申し上げ、最後に一つだけお伺いしたいと思います。  というのは、最近問題になっておるのですが、気象庁の方で人員整理のために十四の測候所を夜間閉鎖をするという方針を出しまして、そして何か四月一日でやったのじゃないかと思うのです。その結果、観測上に非常に穴が出るということで、特に農業団体等から非常に激しい反対がありまして、問題になっておるのです。というのは、気象には、それぞれの地域特有の、突風だとか雷雨だとかあるいは霧が出るとか霜が降るとか、いろいろな問題がありまして、夜間の観測が全然できなくなるということになると、相当農業の上に支障があるということを言っておるわけなんです。私も確かにそういう点では問題があるのじゃないかと考えておるわけであります。  特に、九州で問題になっておるのは都城あたり、あれはお茶の産地ですか、ああいうところでは霜がくるのを早くつかんで、夜の作業ででもビニールをかぶせていいぐあいに保護しないとお茶の葉がだめになってしまうというようなことが言われておりますし、農業上いろいろ問題が各所で起きているようです。したがって、これは農林省としてどういうふうにお考えになるか。やはり農業生産の上に直接大きな影響を及ぼすような、そういう測候所の廃止、夜間の観測ができないというようなことはやめさせる必要があるのじゃないかと思うのですけれども、これは大臣いかがでしょう、検討していただけませんか。
  182. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 気象庁関係のことにつきましては、いろいろ機構的な変動があるようでございまして、この点につきましては、官房の審議官のところでいま気象庁と、そうした体制についてどうなるかということを問いただしておりまして、私ども農業生産上支障のないように対応したいと思っておりますので、なお研究させていただきたいと思います。
  183. 矢山有作

    ○矢山委員 ぜひこれは御検討ください。夜でも電話をかけたら対応できるようにするとか言って、あれは無人電話転送装置、そういう電話を設置するから大丈夫なんだというようことを言っているのです。これは電電公社は認めていないのですよ。気象庁の方は、無人電話転送装置をつけるから大丈夫だ、こういうようなことを地元に言っているらしいのですが、これはぜひ対応してくださいね。
  184. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 早速調査いたしまして対応したいと存じます。
  185. 矢山有作

    ○矢山委員 以上で終わります。
  186. 江藤隆美

    江藤委員長 鈴切康雄君。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 福井県の敦賀市の原発事故は、調査が進むにつれまして、大変に管理のずさんさからこういう大きな事故につながったということがわかってまいりまして、それだけに世間に大きなショックを与え、住民の不安をつのらせております。浦底湾に隣接する敦賀湾が汚染されているのではないだろうかということで、大変に漁業への影響が心配されておりますが、この事故以来、農水省としてはどのような対応の仕方をしてこられたのか、また今後どのようにこの問題について取り組もうとされているか、この点についてまずお伺いします。
  188. 山内静夫

    ○山内政府委員 事故発生以来、県と緊密な連絡をとりまして、漁業の動向あるいは出荷の動向、こういう方向を調査しているわけでございます。現在、今回の事故に伴う魚介類の汚染につきましては、四月二十日科学技術庁と福井県が協力して敦賀湾の魚介類についての放射能調査を行ったわけでございます。その結果、放射能が検出されなかったというように伺っているわけでございます。  今回の事故に関連しまして、周辺漁業に出荷自粛等の影響が出てきますが、これにつきましては福井県が、先ほど申し上げました調査の結果を各市場に連絡いたしまして、出荷の円滑化、こういう方向でいろいろ協力依頼を行っておるところであります。  今回の出荷の自粛あるいは操業停止、こういう問題に伴いまして補償の問題が起きると思いますが、これは当事者間で十分話し合いの上処理される、こういうように考えておるわけでございます。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 福井県の水産試験場と敦賀市の漁協は、原発から放出されている温排水を利用してのハマチとタイの養殖実験をしておりますけれども、事故に伴う影響の調査結果はどういうふうになっているのか。またコンブとかワカメとかイワノリあるいは根つぎの魚等についての影響はどうなんでしょうか。
  190. 山内静夫

    ○山内政府委員 敦賀湾で養殖されておりますタイ、ハマチ等につきましては、放射能は検出されなかった、こう聞いておるわけでございます。その他の魚介類等につきましても、魚類につきましては検出されない、こういう報告を受けているわけでございます。  なお、ホンダワラとムラサキイガイにつきましては、微量の放射能が検出されたと伺っているわけでございますが、これは毎日食べても人体には影響ない、こういう報告を受けているわけでございます。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もうすでに原発の事故に伴って水産業界の売れ行き不振という問題が起こっております。この問題に起因しての売れ行き不振に対して、農水省はただ単にお互いの話し合いにまつということでありますけれども、そんな程度で事が済むかどうかの問題です。  それから、福井県の方としてはもう安全宣言をしているわけでありますけれども、農水省としては、この問題についてただ県の方に任していればそれでいい、こういう簡単なものであるかどうか。少なくとも水産業の場合においては、一県だけで事が済む問題ではないわけです。全国的に影響を及ぼす問題であるだけに、そういう程度でいいのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
  192. 山内静夫

    ○山内政府委員 第一点目の当事者間の話し合いの問題でございますが、原発立地につきまして漁業協同組合連合会と原子力発電株式会社との間で協定が交わされておりまして、原発の運営とか保守管理につきまして、もし漁業に被害が出た場合には補償するという協定がございますから、これに基づいて処理される、こう理解しております。  なお、難航した場合には、水産庁といたしましても、この辺の仲介を図っていきたい、こう思うわけでございます。  鮮魚の出荷等につきましてはいろいろ県がやっておりますが、その他いろいろ県と相談いたしまして、水産庁もできる限りのことをいたしたい、こう考えております。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから安全宣言の問題については、福井県の方ではもう安全宣言を出しているわけですけれども、農水省としては何らこれには関知しない、こういうことですか。
  194. 山内静夫

    ○山内政府委員 安全宣言の問題は、一応衛生研、厚生省関係でいろいろやっているわけでございまして、魚介類につきましては放射能は検出されず、こういうことでございますから、わが方といたしまして水産庁独自で調査するということでなくて、福井県の調査を信頼しまして、なお足らないところがあったらわが方がお手伝いする、こういう立場で進みたい、こう思っておるわけでございます。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 話は変わりますが、二十日に農林水産団体と農民組合が財界主導の補助金整理に反対するとの見解をまとめ、発表しました。その内容は、肥大化した行政機構、組織、人員については合理化、効率化を断行することは全面的に賛成であるけれども、経済の合理性の名のもとに農林水産業や中小企業などの弱者に合理化を強要するものに対しては反対をするということで、いわゆる総論賛成、各論反対というパターンになっております。農林行政と言えば、すでに御承知のとおり補助金行政とまで言われ、権益確保のためにいままでもすでに役目の終わったものについても新たな名目で補助金を出すというようなことが国会でもとかく問題が指摘されているわけであります。  そこで、農林大臣にお伺いいたしますけれども、これから行われる行政改革の補助金の整理について、農水省としてはどのような姿勢で取り組まれるお考えであるか、まず御所見をお伺いいたします。
  196. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御承知のように、わが省の各種補助金は農林水産行政の推進上きわめて重要な役割りを果たしてきておるわけでありまして、また一方、硬直化、細分化などの弊害を防止するために、今日までも積極的な見直しを行ってきたところであります。五十六年度予算におきましても、閣議決定された行政改革計画実施について、これは五十四年十二月に閣議決定されたものでありますが、その方針に従って所要の整理合理化を行っているところであります。しかし、これらの補助金は、昨年四月国会で議決されました「食糧自給力強化に関する決議」、さらには昨年十月に農政審議会から示された「八〇年代の農政の基本方向」を踏まえて、国として農林水産行政を進めていく上で有効な政策手段であることもこれまた厳然たる事実でございます。したがって、今後とも事業の統合でありますとかメニュー化でありますとか、事務処理の簡素化などによりまして補助金の整理合理化を進めながら、真に必要なものについては、農林水産行政の有効適切な展開に支障を生ずることのないような措置をしていく必要がある、こういうふうに基本的に考えております。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 農林行政の中の補助金というものは非常に大きなウエートを示しているわけでありますが、農林行政に対する補助金の整理合理化という問題は、これは今国会における総理の行政改革の大きな柱としての補助金の整理と大変に問題を一にするわけでございますから、そういう意味から言いますと、農水省が一番補助金の整理合理化については反対をされるのじゃないだろうかということですでにうわさに上っているわけでありますけれども、補助金整理の言うならば基準設定というものについてはどういうふうにお考えになっていましょうか。
  198. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  補助金の整理という問題が出ておりますが、先般臨時行政調査会におきまして、当面の課題といたしましては補助金も含めまして歳出全般、さらに歳入につきましての財政全般についての見直しをして、この七月に中間答申を出すというふうに承知いたしております。現在これについての具体的な御指示がございませんが、私どもは大臣が先ほど申し上げましたような方向に沿いまして、現在の農林行政の必要な限度におきまして、どういう方向で整理合理化してまいるかということを内部で検討いたしております。特に、基準等についていろいろお考えがあるような新聞報道もされておりますが、具体的な点は私ども承知しておりませんが、私ども判断で今後検討してまいりたいと考えております。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、補助金の整理について部内においてはまだ全然検討されてないということなんですか。それともそういう話があるので、すでに作業に入っている、作業に入っているとするならば、どういうことを基準として整理合理化を進めようとされているのか、その点についてはどうでしょうか。
  200. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども部内での検討は進めておりますけれども、お話しすべき段階のものはまだ現在にはございませんので、私どもなりに五十七年度を目指しての努力、工夫をいたしたい、このように考えております。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 部内で検討されているということになれば、何かの基準がなければ部内で検討ができるわけではないでしょう。となれば、やはり何か基準に当てはめて、こういうものについては整理合理化をしなくちゃならぬだろうというようなことが、ある程度物差しがわからないと、ただ単にこれを切る、これを残すなんというそういうものではないと思うのですけれども、その点についてはどうなんですか。
  202. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その点につきましては、第二臨調との関連もこれありまして、まだ臨調でいろいろ御検討いただいているさなかに、方針も方向も全く示されない間に、たとえば私の省である方向なり何なりを出しますと、これはまたえらい批判を受けることになりかねない、こういうことでございますので、政府と臨調と一体になって難関を突破するという構えをつくり上げなければならぬわけでございます。その辺は鈴切委員のひとつ深い御理解をいただきたい、こういう感じがいたすわけでございます。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 かなり厳しい補助金整理ということになってくると思いますけれども、その問題はそのぐらいにいたします。  法案の内容でございますけれども、法案に関連して今回農業研究センターというのができるわけでありますが、八〇年代の農政をこの農業研究センターではどのような形でこれから研究されていこうとされているんでしょうか。その点について。
  204. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターにおきましては、農林水産業の生産性の向上、それから総合的な食糧自給力の強化と今後わが国が農林水産業の健全な発展を図っていく上で技術上果たさなければならない重要な役割りがございますので、それを踏まえてやっていきたいという基本的な態度のもとに、まずわが国農業の再編成と生産性の高い農業、食品産業の展開、こういったようなものを図っていくための技術開発、それから資源エネルギー問題等に対処しながら長期的な視点に立った画期的な新しいもろもろの技術開発、それから林業、水産業、こういったような関係につきましてもいろいろとあるわけでございますが、そういった関係を踏まえながら、総合的に専門研究も踏まえて、また一方では地域農業試験場等地域とも対応しながら研究を進めてまいる、こういうことでございます。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これらの問題を具体化するための農林水産技術開発とか改良についての農林水産省の基本的な取り組みというのはどうなっていましょうか。
  206. 川嶋良一

    川嶋政府委員 先ほど申し上げましたような基本的な考え方なり基本的な方向を踏まえながら、今回試験研究機関を総合的に見直しをいたしまして、その結果農業研究センターの新設を中心にいたします組織の再編成、こういうことをやらしていただきまして、それを中心にして具体的な試験研究の進展を図ってまいりたい、こういうことでございます。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 鴻巣の農事試験場水田部門を除いて全員が筑波へ移動するわけでありますけれども、移動に当たっての宿舎とかあるいは生活面での配慮については、どういうふうにお考えになっていましょうか。
  208. 川嶋良一

    川嶋政府委員 基本的な方向といたしましては、鴻巣にあります水田で行っております研究筑波地区で実施できますような体制で今後進めていきたいと思っておるわけでございますが、とりあえずは、筑波水田関係がございませんので、基本的あるいは基礎的な研究についての施設は設置をいたすわけでございますけれども、かなり大規模水田を使った研究はできませんので、当分の間は鴻巣の方で実施をしてまいりたい、できるだけ早く筑波の方に適地を選定をいたしまして移ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそう聞いているのじゃなくして、鴻巣の農事試験場水田部門を除いて全員が筑波へ移動するということですが、移動に当たっての宿舎とか生活面での配慮についてはどうされているかということなんですよ。宿舎とか学校とか、あるいは病院とか交通機関とか、そういうものについてどういうふうに配慮されているかと聞いているのであって、まるっきり答弁が違いますね。
  210. 川嶋良一

    川嶋政府委員 大変失礼いたしました。  そういうことで、いま現在鴻巣に勤務しておりす者が一度に行くわけではございませんけれども筑波の農林研究団地では、すでに大ぜいの研究関係の職員が移動しているわけでございます。すでに必要な職員の宿舎については十分確保されておりますし、また今回新たに移転をする職員についても十分その措置が講じられているわけでございます。その他いろいろと生活上の問題もございますけれども、これらにつきましても、すでに整備充実されつつあるそれらの施設の活用ということで十分対応できると考えているわけでございます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、筑波へ移動するわけですけれども、いつ移動されるのですか。
  212. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターの設置の前に農事試験場は移転をすることにしておりまして、すでにやや計画的な移動をしておりますけれども、本格的な移動は十二月一日以降になります。さしあたりはそういうことで、全部行くわけではありませんけれども、先ほどの水田関係との関係で逐次移る、こういうことでございます。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 水田部門を残してほかの研究部門が行くというわけでありますが、幾つの研究部門とどれぐらいの人数が行くのですか。
  214. 川嶋良一

    川嶋政府委員 詳細な移転の実施計画については、いま調べておりますので、後ほどお答えさせていただきます。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 こういうことは全部質問をしますよということでお話をしているわけですから、そういうことについては答弁についてもきちっと用意していただかないと困りますね。  それでは、今回農業研究センターを設立して総合研究強化を特に必要とする面については、どういうところをねらっているのでしょうか。
  216. 川嶋良一

    川嶋政府委員 今回農業研究センターで総合的な研究をしてまいりますわけですが、いろいろございますけれども、私ども当面五つの大きな柱を考えているわけでございます。  一つは、水田複合経営におきます転換畑、これは当面きわめて重要な問題として、すでにある程度やっておるわけでございますけれども、これは第一番の重点課題として考えておるわけでございます。  それから、農業生産の組織化と農用地の効率的利用、これは地域複合とか地域農業とかいろいろ言われておりますけれども、これの集団的な利用、組織化、これをどういうようにやったらいいかという研究でございます。  それから第三番目は、省エネルギー農業生産システム、これは省資源省エネルギー農業的にきめの細かい、いろいろシステム化した生産方式を考えていくこういうことでございます。  それから四番目は、連作障害等現在いろいろと起きていますし、それからそれを防除するためにいろいろの薬剤を使うといったようなことも控えなければいけないということで、新しく地域生態系の改良によります農作物の被害の総合防除、こういったような技術開発を考えているわけでございます。  それから、五番目といたしましては、こういったようなもろもろのことを含めながら有機物循環という農業の本来の非常に大きな役割りを活用した地域農業の複合化の技術体系、こういったようなもの、こういったような面で総合的な研究推進してまいりたいと考えております。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 農業センターがこれからできるわけでありましょうけれども、その研究成果が実際に発揮されるにはどのくらいの時間を必要とするのでしょうか。
  218. 川嶋良一

    川嶋政府委員 先ほど申し上げましたような非常に緊急な課題が多いわけでございますので、これらのうち、緊急度を考えながら、しかし総合研究でございますので、チームをつくりまして、三年とか五年とかそういったような計画をきちっとつくりまして、その時点でははっきりした成果が出るような、そういう仕組みを考えております。ただ、三年なり五年なりたたなければ出ないというものもありますけれども、その前にも成果の得られたものにつきましては、逐次普及に移していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、先ほど大変失礼申し上げましたけれども農事試験場の鴻巣を移動する研究室は、現在二十六あるうち二十の研究室が移ります。それから移転の予定者は百二十人でございます。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 研究成果が出てくるということになれば、当然それは農業者に還元をされなければならないというふうに思いますけれども、それについてはどのようなシステムで、これから農業者の方に総合センターの結果というものが還元されていくのか、そのシステムはどうなっていましょうか。
  220. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターの総合研究中心といたします成果は、各地域ごとにあるいは社会条件ごとにいろいろとまた実際に農家で利活用する場合には、それぞれ修正なり補完なりしていかなければいけない、こういうことがございますので、センターで研究を進めましたものにつきましては、それがある程度発展をしてまいりますと、地域農業試験場、またさらに都道府県農業試験場、こういったような手順を経まして実際の農家に届く、こういうかっこうになるわけでございますけれども、これはそういう仕組みが硬直的になっては困りますので、常日ごろから常に相互に意見交換なり情報交換なりあるいは実際に現地試験等をしながら進めていくということで、できるだけ早い機会に正確に農家に届く、こういうかっこうで努力をしていきたい。またこの農業研究センターについては、そういう意味で従来と違ったような研究の考え方あるいは組織、こういったものを考えておりますので、できるだけそういったようなことがうまくいくような仕組み、従来と違ったような仕組みをいろいろと考えて実行してまいりたいと思っております。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 目黒、品川にまたがって農水省の林業試験場というものがあったわけでありますが、それは全部筑波の方に移転をされました。その跡地利用の計画についてお伺いしたいわけでありますけれども、移転をされました跡地の処分方法についてはどうなっていましょうか。
  222. 川嶋良一

    川嶋政府委員 目黒と品川にまたがります林業試験場の跡地につきましては、農林水産省の用地として使用していたわけですけれども筑波に移転するということで国有財産特別会計で大蔵の方に入っておりまして、そちらの方で国有財産の審議会を通じてその処分についてはいろいろと御検討いただいているということでございます。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 筑波移転の跡地小委員会が発表いたしました、目黒区、品川区の林業試験場に対する利用計画というものの内容はどういうふうになっていましょうか。
  224. 川嶋良一

    川嶋政府委員 私どもとしては前に一度、大蔵の方に、国有財産の審議会の方で審議をする段階にいってしまった後は、若干ある程度の希望を申し上げたことはありますけれども、諸般の事情でそういうことも終わりまして、目下のところ私どもの方とは完全に関係がないといいますか、私どもの方では詳細は承知しておりません。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 跡地利用の概要について、農林水産省の方からその計画の概要についての資料をいただいているわけですから、ただ知らないというわけにはいかないと思いますが、これはどういうことなんでしょうか。
  226. 川嶋良一

    川嶋政府委員 私どもの方で所管しておりませんので、差し上げてないと思いますけれども……。そういうことでございます。(鈴切委員、資料を示す)
  227. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  お届けしました跡地利用計画は、大蔵省の国有財産担当局に聞いたものを差し上げたものでございまして、林業試験場の場合、国有財産の処理の方向といたしまして、避難場所を兼ねた公園として利用するという考え方をもって、国有財産の処理基準に従って財務当局で処理されるもの、こういうふうに相なっている模様でございます。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは大蔵省の方が所管するにしても、一応それに基づいて農林水産省としては、これに対する資料を出しているわけですから、当然その資料等も整理されて、私からも質問等については言っておるわけでありますから、この問題についても、農林水産省としては自分の跡地については全く知らないということでなくて、やはり関心を持っていただかなければならない問題じゃないかと思います。  建設省にお伺いしますけれども、この付近は過密木造住宅地区であって、道路整備も十分ではないわけでありますが、国有財産中央審議会の答申では「公園の防災機能を高めるため本地へ通ずる通路の整備を行うほか本地周辺地域の不燃化を推進するものとし、この関連において必要あるときは本地内の外周部分の一部を利用するものとする」となっておりますが、本地周辺地域の不燃化を推進ということはどのように考えておられますか。またそれは区画整理等も含めてのお考えかと思うのでございますが、その点についてはいかがでしょうか。
  229. 牧野徹

    ○牧野説明員 林業試験場跡地につきましては、国有財産中央審議会の答申におきまして、ただいま先生からお話がございましたように、避難場所を兼ねた公園として利用するというふうになっておるわけでございます。ちなみに、この場所につきましては、すでに東京都の公園の都市計画決定が行われております。跡地は十二・一ヘクタールございますが、その大部分を含んで公園の都市計画が行われておりまして、今後逐次基本設計の検討に入る、こういう段階でございます。その際に、国有財産審議会の答申におきましても、いまお話しございましたようなことが書かれておりますので、東京都におきましても、防災機能を高めるための周辺の不燃化でございますとか、あるいは道路の整備というものを公園の整備とあわせて行っていく、そういう方針であるというふうに聞いておるわけでございます。  なお、建設省といたしましては、五十六年度に都市防災不燃化促進の計画調査策定費補助というのがございますので、この補助を目黒区及び品川区に対して行うことによりまして誘導してまいりたい、かように考えております。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あの場所は非常に狭い道路がふくそうしておるわけです。ですから、せっかく公園をつくる、あるいは防災計画に基づく避難場所をお考えになっても、とても狭い道路に多くの方々がひしめき合って避難するということは非常に問題があるわけです。そうなってまいりますと、あれだけの広大な土地を防災計画に基づく避難場所にするというならば、当然これは何らか、もっと道路を拡幅しなければならないということは、いまあなたがおっしゃるとおりですけれども、これはやはり進めてまいりませんと、本来の機能を十分に果たし得ないという結果になってしまうわけですから、その点については十分考慮に入れられて計画を進めていただかなくちゃいけないのじゃないか。このことを要望しておきます。  さて、農林水産に関連して小笠原の諸問題についてちょっとお伺いをいたしておきます。昭和五十四年四月一日に小笠原諸島振興特別措置法が施行されまして早くも二年を過ぎました。小笠原の発展というのは何といっても基本産業である農業、水産業の発展なくしてはとうてい考えられないわけでありますけれども、振興計画の基本方針で「目標人口は、昭和五十八年度末の人口というものは、短期滞在人口を含めて約三千人と想定し、常住人口は約二千三百人を予定するものとする」とありますけれども、五十五年度末の世帯数とか常住人口あるいは短期滞在人口を含む数の実績はどういうふうになっておりましょうか。
  231. 清野圭造

    ○清野説明員 お答え申し上げます。  昭和五十四年度末におきます小笠原の在島人口は千九百四十二人でございます。このうちで常住人口は千五百九十五人。これに係ります世帯数は八百二十四世帯。それから短期滞在人口が三百四十七人でございます。一年後の五十五年度末では、これは計数の関係で三月一日ということになっておりますが、人口では千八百八十六人、このうち常住人口が千六百四十五人。これに係ります世帯数が八百四十一。短期滞在人口は二百四十一人というふうになっております。それで、この間に短期滞在人口は調査日の違いといったようなこともありまして、若干減っておりますけれども、常住人口につきましては五十人ほど、率で申しますと三%ほど増加ということになっております。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十四年に振興特別措置法が施行されたわけでありますけれども、五十四年度から五十八年度までの人口あるいは世帯の将来計画を年度別にどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。結局昭和五十八年度までに短期滞在人口を含め約三千人、それから常住人口は約二千三百人というふうに予定するわけでありますけれども、それについて年次計画的なものが必ず一つ計画されていませんと、果たしてこれで目標が達成できるかできないかという問題になるわけであります。そういう意味において五十四年度から五十八年度までの人口並びに世帯数の将来計画というものを年度別にはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  233. 清野圭造

    ○清野説明員 五十四年度に策定いたしました小笠原振興計画によりますと、目標年次、これは五十八年度でございますけれども計画目標年次の人口を三千人、このうち常住人口を二千三百人というふうに想定しておりまして、想定しておりますのは目標年次だけという形になっております。その間につきましては、年度ごとの目標率といいますか、そういうものは特に設定しておりませんで、趨勢といいますかトレンドによって伸びていくというふうな考え方をとっておるわけでございます。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはどういう資料なんでしょうかね。要するに五十三年度の実績、五十四年度の実績、五十五年度の実績、それから五十六年度、五十七年度、五十八年度とそれぞれ小笠原諸島在島人口の一つ計画といいますか、こういう計画に基づいてという資料があるわけですが、こういう計画に対する資料というのはおたくの方では全く出していませんか。
  235. 清野圭造

    ○清野説明員 ただいま御指摘の数字はあるいは東京都が都の審議会で説明したときのその途中の年次の人口かというふうに思っておりますけれども、私どもとしては目標年次以外の計画人口というのを出したことはございません。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 常住人口二千三百人、それから短期滞在人口を含め三千人という形で、少なくとも東京都の振興計画の素案をもとにして国土庁としてはそれを認められたわけでしょう。認められたということは、どういう計画になっていくかということまで含めて認められたのじゃないですか。そういうことは全く知らないということになりましょうか。
  237. 清野圭造

    ○清野説明員 ただいまの数字につきましては、私どもとしましても途中年次におきます計画の数値としての説明は受けております。したがいまして、途中の年次での実施計画を策定する際のいわばもとになる資料としての説明としてわれわれは受けておるわけでございます。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東京都からいわゆる振興計画に基づいて人口についての一つ計画が出ているわけでしょう。その計画に基づいて説明を受けて、あなたの方でこれはちょっと無理ではないだろうかという御疑念をはさまなくして、言うならば最終的に滞在人口を含めて三千人ということについて、これはお認めになったわけでしょう。となるならば、いま現在東京都が出しているところの常住人口並びに短期の滞在人口の計画現状とはいまどういう開きがあるのでしょうか。進んでいるのでしょうか。
  239. 清野圭造

    ○清野説明員 当初立てました旧島民の帰島の計画と申しますか、帰島の見込みが想定よりは進んでいないという状況に実はなっておるわけでございます。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結局進んでないということでしょう。進んでないとするならば、五十八年度のいわゆる短期までを含めて三千人、そしてなお常住人口二千三百人という計画は果たして達成できるという御確信がありますか。
  241. 清野圭造

    ○清野説明員 計画年次といたしましては五十八年度までございますので、まだ途中の年次でもごいます。そういう意味もございまして、現在の段階では、この目標数値というものをまだ計画数値として変更するつもりはございません。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結局、思うように進んでないという現状なのじゃないですか。五十八年度だから、当分間があるから計画というものはまだ変更はしないといっても、それでは実際にこの数字の人口が小笠原に、常住人口並びに短期の人口も含めて五十八年度に達成できるなんという確信があなたあるはずないでしょう。それくらい言うならば、小笠原振興計画というものはもう行き詰まってしまっているのですよ。人口的にも行き詰まってしまっているわけだ。だから、あなたの方としてはなかなかお答えができないわけです。東京都がそういうものの試算をはじいたわけであって、私どもは関知しないということでしょう。関知しないと言ったって、おたくの方で東京都の方の計画を認めて、言うならばこの振興計画というものはできたわけですから、当然それを関知しないというわけにはいかないわけであって、なぜこういうふうにして人口計画が思うように進んでいないのですか。その原因はどういうところにあるのでしょう。
  243. 清野圭造

    ○清野説明員 当初の帰島計画とその実績との間に若干ずれが生じてきたわけでございます。その理由といたしましては、本土への引き揚げ後、すでに三十数年も経過をしておりまして、内地での生活基盤が一応確立といいましょうか、定着しておる人もあるわけでございまして、現状で小笠原に帰島いたしまして、そこで新しい生活を営むということに対する不安感といったようなものがやはり大きいのではないか。そのほか土地の問題とかあるいは就業の問題といったようなものも考えられますけれども、その辺がやはり一番大きな問題ではないかというふうに考えておるわけであります。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに農業人口、サービス業人口及び観光客の急増というものを当初は皆さん方は見込んでいたわけでありますけれども、実際に観光客及びサービス人口の増加は、確かに快速船が就航されることによってそれなりにはふえたにせよ、環境整備ができていない。また問題としては、第一次産業である農業及び水産業に従事する人口の拡大というものが実際には思うように進んでいない。だから、今後農水産業振興策がどういうふうな形になっていくかということが一番問題になってくるわけですが、その点について農業とかあるいは漁業に対して特に問題になる点はどういう点でしょうか。
  245. 清野圭造

    ○清野説明員 まず農業関係でごいますが、千キロも離れた離島であるというような問題がございまして、したがって市場からも遠い、そういう制約条件があるわけでごいます。特に農業ではミカンコミバエといった特殊な病害虫の問題もございますし、また生産規模の面から見ましても小さい、あるいは地力も劣っている、さらに耕地あるいは農業者も少ないといったような問題があるわけでございます。漁業につきましても、その規模が小さいということから、操業区域が限られるというような、いわば根本的な問題もございます。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、この小笠原振興計画に最も必要である第一次産業である農業、水産業、これが魅力がないということなのですね。それではなかなか思うように進まないのは当然ですね。  そこで、お聞きいたしますけれども、現在農業、漁業従事者の小笠原における所得というものはどういうふうになっていましょうか。こういうことをお聞きいたしましょう。東京都との比較で、公務員を含んだ場合においてはどれくらい、含まない場合にはどれくらい、全国的の比較については、公務員を含んだ場合にはどれくらい、含まない場合にはどれくらい、こういうことについてはどういうふうになっていましょうか。
  247. 清野圭造

    ○清野説明員 公務員を含んでいる数値がちょっと手元にないものでございますので、公務員を除いた数値で比較をさせていただきたいと思いますが、ほかの地域と比較する場合には、その経営形態とかいろいろ条件もあるものでございますので、若干注釈が必要なところもあるいはあるかもしれません。特に東京都のような場合にはそういったことが必要かもしれませんが、推計といったものも一部含まれておりますけれども申し上げますと、農業所得につきましては、一世帯当たりで五十一年度、五十四年度二時点で比較をいたしますと、五十一年度につきましては、小笠原村では百二十六万円となっておりまして、東京都の百二十四万円に対してほぼ同じ、一〇一・六%、全国の百十五万五千円に対しましては一〇九・一%となっております。また五十四年度では、小笠原村では百八十四万二千円、東京都が五十万九千円でございますから三・六倍程度になっておりますが、全国が百十二万六千円でこれに対しては一・六倍程度になっております。  次に、漁業所得でございますが、五十一年度は小笠原村では二十四万七千円になっておりまして、これは東京都下で比較対象に似たような地域がなかなか得られませんで大島と八丈島をとったわけでございますが、大島では二十四万二千円でこれに対しましては一〇二・一%とほぼ同額、同じく八丈島では百四十五万円でございますから、これに対しましては一七%という数字になっております。また五十四年度では、小笠原村は二百五十一万六千円になっておりますが、大島では八十六万八千円でございますから大島の二・八倍強、それから八丈島の三百五十一万一千円に対しましては約七割といった水準になっております。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまあなたがそういう比較をされても、それは実は比較にはならぬわけです。なぜならぬかといいますと、島の人口に占める公務員の割合が小笠原は非常に高いわけです。だから、国民所得における公務員構成比を当てはめて計算しますと、実際には村民一人当たりの所得は百五十四万八千円とかいうことになって、全国平均の二百四十四万四千円に対して約六三・三%、こういう統計もあるやに聞いております。いわゆる公務員を度外視してあなたがまだ小笠原の方は所得が高いのだという論拠にされるわけでありますけれども、それは全く小笠原には当てはまらない、それはお認めになりますか。
  249. 清野圭造

    ○清野説明員 確かに小笠原村におきます公務員の比率は非常に高いわけでございますので、御指摘のような点はあろうかと思います。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、きょうここで御答弁できなければ、ちゃんと公務員比率を計算して、実際の小笠原諸島における農業あるいは水産業の一世帯当たりの所得を明確に出していただきたいのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  251. 清野圭造

    ○清野説明員 先ほどの説明でちょっと補足させていただきたい点が一つございますが、農業所得などにつきまして小笠原が比較的高く出ておる原因の一つとして、内地でございますと兼業というのが一般化しておりますけれども、小笠原の場合には専業が非常に多いという点もあろうかと思います。  なお、公務員を含めた数値につきましては、この数値はいずれにいたしましても東京都の方で調査をし出していただくものでございますので、その点についてはまた都とも十分相談をいたしたいと思います。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 小笠原の振興事業費は、五十四年度は四十一億七千万円、五十五年度は三十五億八千万円、五十六年度は三十億円で、五十四年度に比べて実は十億円も落ちているわけですが、その理由はどういうことなんでしょうか。
  253. 清野圭造

    ○清野説明員 五十六年度の数値は、御指摘のとおり額としてはやや落ちてきておりますが、この内容は、簡易水道あるいは下水処理場といった比較的事業規模の大きい生活環境施設の整備が一段落したということのほかに、道路とか港湾等交通施設の整備がかなり進捗したことがその原因だとわれわれは理解いたしております。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 農地の整備とか灌漑の施設というものは実際に軌道に乗りましたか。
  255. 清野圭造

    ○清野説明員 御指摘事業につきましては、今後の事業計画の中で配慮していきたいと考えておるわけでございます。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まだまだやらなければならない問題があるにもかかわらず、振興事業計画が実際に落ち込んでいくということはどういうことなんですか。あなたの方ではすでに振興計画は終わった、そのように見ているのでしょうか。
  257. 清野圭造

    ○清野説明員 先ほど申しましたとおり、事業費でやや落ち込んでいるのは、計画に掲げました各事業が部分的に完了したものがあったために、一時的に事業費が落ちているというものでございまして、計画事業がすべて終わったとは考えておりません。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十四年度が四十一億七千万円、五十五年度が三十五億八千万円、五十六年度が三十億円という状態で落ち込んできているということになると、五十七年度もさらに落ち込むんじゃないかという懸念を実は持つわけでありますけれども、東京都の計画でいきますと、新しい集落の整備農業用ダム、大村中央公園、大村川の砂防工事等が五十七年度には新規事業として要求されていくのではないかと考えておりますから、それだけでも最低十億円程度の上乗せは必要であると私は思うわけでありますけれども、国土庁として、言うならば小笠原に対する取り組み方が少し努力が足りないんじゃないかと思うのですが、五十七年度に東京都がさらに上積みするいろいろの計画に対してはどういうふうにお考えでしょうか。
  259. 清野圭造

    ○清野説明員 小笠原振興計画計画目標を達成いたしますために、残事業等につきましては、東京都ともよく協議いたしまして、事業の優先度等も十分見きわめながら要求をいたしていきたいと考えております。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどお話がありましたように、かねてから若年漁業者の受け入れという問題について大変に問題があるわけでありますけれども、単身漁業者の受け入れ住宅というものについて、地元の方としては、若い漁業従事者を必要とする以上は、父島にしても母島にしても余りにも住宅事情が悪いので、ぜひそういうことをという、そういう考え方を明らかにしているわけでありますが、当然小笠原の場合においては、地場産業である農林あるいは水産業というものをこれから発展させていくためには、単身漁業者の住宅というものをつくっていく必要があると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  261. 清野圭造

    ○清野説明員 現在小笠原におきます公営住宅は大体三百三十戸ほどございます。特にお話しのような漁業者の住宅についての要望というようなものもあるということはわれわれも承知いたしておりますけれども、この問題につきましては、今後都とも相談をし、検討していきたいというふうに考えております。
  262. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 検討していきたいということは、そういうふうな方向で進めていくということですか。
  263. 清野圭造

    ○清野説明員 いずれにいたしてましても、計画事業ということになりますと、東京都の方でその策定をいたすのがまず順序でございますので、そのような形での要請ということがまず第一段階として出てくるものであろうとわれわれは考えておるわけでございますが、その上で私ども検討いたしたいということでございます。
  264. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、小笠原においては大変に害虫が多いわけでありますけれども、御存じのとおりアフリカマイマイとかあるいはミカンコミバエとか、そういう害虫の防除、非常にこれは農業の敵になるわけでありますけれども、振興計画の中に生産対策としてミカンコミバエ、アフリカマイマイその他の病害虫防除推進するというふうに書いてありますけれども病害虫防除をどの程度まで推進しようとしているのでしょうか、基本的なお考え方をお伺いします。
  265. 清野圭造

    ○清野説明員 病害虫駆除の基本的な考え方といたしましては、まず小笠原におきます産業の振興のためには、この温暖な気候を利用した特産物の伸長といいますか、ということを図らなければならないというふうに思いますけれども、このためには農業生産の安定、向上を図る上で阻害となっておりますこういったミカンコミバエでありますとかあるいはアフリカマイマイといったものの撲滅、駆除ということを図ることがまず先決だというふうに考えておるわけでございます。
  266. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 撲滅を図るということが大切だということで、それはそのとおりなんですけれども、それでは実際にどういうふうな状況になるのか、これからちょっとお聞きしたいわけでありますけれども、アフリカマイマイとミカンコミバエの防除に対する国庫補助は確かに年々増加されておりますけれども、五十二年度から五十六年度までの予算額の推移というものはどうなっていましょうか。
  267. 清野圭造

    ○清野説明員 五十二年度から五十六年度までのアフリカマイマイとコミバエの防除関係予算でございますが、五十二年度から申しますと、五十二年度に一億八百万円、五十三年度に一億三千四百万円、五十四年度に一億四千二百万円、五十五年度が一億七千四百万円、それから今年度が二億百万円ということで、昨年からことしにかけまして二千七百万円、一五・五%のアップということになっております。
  268. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これについて、いま両方合わせておっしゃったわけでありますけれども、アフリカマイマイとそれからミカンコミバエについて、これは予算が恐らく別々になっているわけでしょうから、それについて細かくひとつ御説明願います。
  269. 清野圭造

    ○清野説明員 予算の内訳では防除費と試験研究というふうに分かれておりますので、ミカンコミバエとアフリカマイマイの内訳があるのは防除費の方でございますので、防除費だけについて五十六年度、今年度の予算額を申し上げますと、ミカンコミバエにつきましては一億八千七百万円、アフリカマイマイにつきましては八百十万円ということになっております。
  270. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それならば、当然防除に対して昭和五十二年度から五十五年度までそういう数字があるわけでしょうから詳しい数字を教えてください。
  271. 清野圭造

    ○清野説明員 それでは防除関係について申し上げますが、ミカンコミバエにつきましては、五十二年度には、十万単位で申し上げますと、九千八百六十万円、それから五十三年度には一億二千四百万円、五十四年度には一億三千二百三十万円、五十五年度には一億六千二百五十万円、五十六年度は先ほど申しましたとおり一億八千七百三十万円ということでございます。  それからアフリカマイマイの方につきましては、五十二年度が二百五十万円、それから五十三年度が二百八十万円、五十四年度が同じく二百八十万円、五十五年度が四百七十万円、それから五十六年度が先ほど申し上げましたとおり八百十万円ということでございます。
  272. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 小笠原の場合は、農地を含む民有地というのは全体の約三割で、ほかの七割というものは国有地並びに国有林というものがほとんどであります。そこでアフリカマイマイの汚染というものは、何も民有地とかあるいは農地だけの問題ではなくして、島全体が汚染をされているという状態であるわけでありまして、なかんずく農地に植えられた野菜等に国有林地あるいは国有地から発生したそういうアフリカマイマイ等が襲いかかってしまうわけでありますから、当然防除費の予算といいますか、それが確かに五十二年度から少しはふえたにしても、八百十万円ではとうていこのアフリカマイマイの防除というものはできないわけでありますけれども、このアフリカマイマイの防除に関する研究の進捗状況というものはどういうふうになっていましょうか。またその技術上の問題点というのはどんなところにあるんでしょうか。その点についてはどうなんですかね。これはいま言った農業研究センター、こういうのでやはり取り扱わなければならない問題じゃないでしょうかね。その点どうですか。
  273. 川嶋良一

    川嶋政府委員 小笠原諸島におきますミカンコミバエとかアフリカマイマイとかいったような病害虫防除研究につきましては、これは東京都が国の助成を受けてやっておるわけでございますけれども、私どもといたしましても、それについて必要な指導、助言を随時やっておるわけでございます。ミカンコミバエについては、御案内のとおりかなりの技術開発ができまして、これは実際に航空防除等をやっておるわけでございますけれども、アフリカマイマイの方は、まだ生態等についても必ずしも十分な解明ができていない、こういうことで、立地条件その他いろいろありますけれども、私どもとしましても、そういった点についてはいろいろと応援をしてやってまいりたいというように考えているわけでございます。
  274. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣、アフリカマイマイというのは小笠原では全島汚染をしているわけです。それが農業に与える影響というものはもう大変に大きな問題です。いまお話にありましたように、これは東京都で国の助成を受けてやっているからそれでいいんだ、こういう筋合いのものでは実はないわけです。今度新しくできます総合研究センターにおいても、やはり害虫の駆除というものは一つの大きな柱になっているわけですから、国庫補助をしていると言ったって、実際には防除剤といういわゆる薬品の配付に必要なお金であって、これの生態とかそういうものについては実際には研究されてないわけですね。こういう一つの大きな、地域的な病虫害の問題について、今度の総合研究センターでやはり積極的に取り上げていかなければならない問題だと私は思うのですが、大臣どうお考えでしょうか。
  275. 川嶋良一

    川嶋政府委員 農業研究センターにつきましては、各それぞれの専門で得られました成果を総合的にやっていくということで、いまのアフリカマイマイ等の病害虫の個別の試験研究、これは農業技術研究所等でやっております。従来ともそういったところの研究者が一緒になっていろいろ助言、指導等しておりますし、現地にも行っておるわけでございますけれども、何分にも生態等が非常にむずかしいということでございますけれども、今後ともそういった点については、そちらの方面から強力に応援をしてまいりたいと思います。
  276. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十五年度と五十六年度の薬品の配付についてはどういうふうになっていましょうか。
  277. 清野圭造

    ○清野説明員 薬品の配付といいますか、防除費そのものにつきましては、先ほど申しましたとおり、アフリカマイマイにつきましては五十五年度には四百七十万、五十六年度には八百十万というふうに申し上げたのですが、このほかに、実は試験研究といたしまして、五十六年度におきまして、物理的な防除法といたしまして、新たにみぞ掘り機を購入いたしまして、農業センターにおいて、畑の周りにみぞを掘りまして、どのような方法が防除に効果があるかといったような研究を進めることにいたしております。このほか、従来どおり農地内での薬剤に加えまして、周辺地区を含む地域に散布できるだけの薬剤の量は、その確保を図っているところでございます。
  278. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに五十五年度と五十六年度、五十五年度は四百七十九万の薬品配付をしたわけでしょう。五十六年度は八百十万でしょう。そうしますと、なぜこれだけの、言うならば予算が上がってきたかということは、結局は薬品の配付の状況が変わってきたから予算が多くなってきたわけでしょう。だからそれをお聞きしているわけですよ。その内容はどうなんだと聞いています。
  279. 清野圭造

    ○清野説明員 詳しい数値は現在ちょっと持っておりませんけれども、この事業費のふえました内容といたしましては、薬剤を散布する散布面積がふえておるということがその内容になっておるわけでございます。
  280. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 散布面積がふえているということは、それでは民有地以外の国有林にも散布されているのでしょうか。
  281. 清野圭造

    ○清野説明員 いままで農業地を中心にやっておったわけでございますが、その周辺部まで広げたということでございます。
  282. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうじゃないでしょう。要するに、散布の回数をふやしたということでしょう。何も民有地以外の国有地に散布したわけではないし、言うならばもう農地というのは決まっているわけですから、その農地に対する散布の薬というものに対しては、より以上たくさん散布回数をふやしたということではないですか。
  283. 清野圭造

    ○清野説明員 散布面積もふやしておりますが、御指摘のとおり回数もふやしております。
  284. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 薬品の配付については一ヘクタール当たり五キログラム。それを五十五年度には年十回やったわけです。ところが、五十六年度の予算については一ヘクタール当たり五キログラムを十六回やるということでしょう。だから、どこをそんなに散布の場所を広げたのですか。要するに回数をふやしたということじゃないですか。散布の場所をふやしたなんていいかげんなことを言わないでください。回数をふやしたのです。それに伴うところの予算の計上が多くなったということじゃないですか。アフリカマイマイの被害が大きいために十回ではとても処置できないから、言うならば十六回にした、こういうことじゃないですか。その点についてはどうなんですか。
  285. 清野圭造

    ○清野説明員 確かに回数もふやしておりますけれども、農用地そのものがふえておりますので、散布面積の方もやはりふえているという実態でございます。
  286. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたの方のお考え方については、私は余り納得できないです。もう少し細かい調査をしてください。一ヘクタール当たり五十五年度は五十キロ散布したのです。五十六年度は一ヘクタール当たり八十キロ散布したのです。そういうことで予算が上がったということであるわけですから、いま現在農地以外のところをどんどんとふやしているようなそんなことではなくして、結局同じ場所に回数をふやしたというにすぎないわけですが、これはそれ以上は申し上げますまい。  さて、シロアリの発生源については、国有林内の大変に古い木あるいは腐った木の中に卵を産んだり、老朽化した建物に卵を産んだり、繁殖源が非常に広範囲に及んでおります。個人個人の駆除には非常に限界があるわけでありますけれども、何らかの対策を講じませんと、公共建物はもちろんのこと、一般住宅についても十年もたたないうちにシロアリの被害を受けてしまうわけです。なかんずく父島におけるところのシロアリの被害というものは、非常に大きな被害を受けているわけでありますけれども、さて、それで政府としては、このシロアリの問題についてどういうふうにして対処されるつもりなのか。また農業研究センターでは、こういう問題をどういうふうに取り上げようとされているのでしょうか。
  287. 川嶋良一

    川嶋政府委員 シロアリ自体の防除研究については、農業研究センターではやる予定はございません。
  288. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 こういうふうなシロアリの駆除についてはどこがやるのですか。
  289. 川嶋良一

    川嶋政府委員 よくわかりませんけれども農業関係生産とか流通とかそういったところとは直接関係ございませんので、農業関係では少なくともやっておりません。
  290. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 農水省というのは、要するに林業関係関係あるんでしょう。林業関係関係ないのですか。父島においては季節的にウンカのようにシロアリが発生するわけです。もう先が見えないぐらいこのシロアリが発生して、それが全部公共施設とかあるいは住宅に入り込んでしまうということで、十年もたたないうちに家がぼろぼろになってしまう。その問題については、私は前に一度質問をしたわけですけれども、それに対してどういう研究がなされ、どういうふうに処置され、どういうふうな予算が組まれているのでしょうか。
  291. 川嶋良一

    川嶋政府委員 先ほどシロアリの問題について、農業センターということでございましたので申し上げたわけですけれども、林業関係につきましては、マツクイムシとかこういったシロアリの問題も若干やっております。  それから、あと建設省あたりでやっているのではないかと思いますが……。
  292. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 林業というと、これは農水省とは関係ないのですか。シロアリというものについては農水省とは一切関係ない、こういうことですか。
  293. 川嶋良一

    川嶋政府委員 林業試験場は農林水産省の試験研究機関でございますので関係ございます。ただ、先ほど農業研究センターという視点でお答えしたものですから……。
  294. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 じゃそれを御答弁願いたいのですが、農林水産省でしょう。ですから、当然それに波及してシロアリの問題についてはどうなっていましょうか。
  295. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 シロアリの恐ろしさというのは、私も東京に住んでおって、シロアリにすっかり家をやられてひっくり返りそうになった経験をしておりますので、この処理については、やはり住宅局なり林野庁なり、いままでのシロアリ防除対策というものは相当やっていると私は思うのですが、私自身もはっきりどこでどういうふうにやっておるか確認しておりませんので、確認をした上で回答を申し上げたいと思います。
  296. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 父島におけるシロアリの季節的な異常発生というものはこちらで想像できないぐらい実は発生するわけです。そのために物すごい被害を受けているわけですからね。ただ、この国会において質問し、答弁してそれで済んだというものじゃなくして、やはりこの駆除についてはぜひ前向きにやっていただきたいということです。  それからミカンコミバエについては、かなり力を入れているわけでありますけれども、実際には二百五十万頭体制では効果がなかったという結果になっております。絶滅宣言がおくれた理由と、ミカンコミバエの研究の進捗状況に対する問題点というのはどこにあるのでしょうか。
  297. 清野圭造

    ○清野説明員 ミカンコミバエの絶滅宣言につきましては、当初五十六年度を予定しておりましたのですが、諸般の事情によりまして若干おくれる見込みでございます。それでおくれておる理由は何かということでございますが、絶滅には努力しておるところでございますけれども、御承知のとおり豊島とか母島においてはもうすでに効果が上がっているわけでございます。しかし、父島のミカンコミバエにつきましては、他地域と違いまして誘殺効果が薄いということのために、不妊虫の放飼量を大幅に増加させなければならないという問題がございます。そこで現在そのための施設を拡充中でございます。このために小笠原諸島全体の絶滅宣言がおくれているという実態にございます。今後とも農水省とも十分協議の上、対応してまいりたいというふうに考えております。
  298. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 小笠原の一つの大きな柱として、水産業の振興のために小笠原母島沖港の問題でございますけれども、外防波堤建設が必要欠くべからざる問題であるというふうに私どもは認識しております。昨年の四月にこの問題について質問をいたしましたけれども、そのときに、四十九年度から五十三年度までに基本計画調査で九千五百万円を計上して実施をしておる、特に五十五年度については、調査費約二千八百万円をもって引き続き環境面その他も含めて抜本的な補完調査を実施し、事業のめどをつけたいと考えておる、こういう御回答をいただいたわけでございますけれども、調査結果というものはどういうふうな状態でしょうか。またそれに対して、外防波堤をこれから当然母島においては建設していかなければならないというふうに思うわけでありますが、事業のめどはどうお考えでしょうか。
  299. 清野圭造

    ○清野説明員 お話しのとおり、四十九年度から基本計画調査を実施してきておりまして、五十五年度においても約二千八百万円ということで調査を実施したわけでございます。それで実施いたしました調査の結果がことしの五月ごろに明らかになるということになっておりますので、その時点におきまして、規模実施期間というものにつきまして判断をすることになるというように考えております。
  300. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども申し上げましたように、振興計画、毎年ダウンなんということでなくして、こういうような問題を取り上げてどんどんと振興計画の中に組み込んでいきませんと、小笠原の母島の振興はあり得ないわけです。ですから、そういうことをぜひやっていただきたいということを要望いたしたいと思っております。  それから、電話のことについてちょっとお伺いいたしますけれども、母島の電話について用地確保あるいは局舎の建設を含めてどの程度まで進捗されておるか。また現在の無線方式の拡大を何回線にされるのか。また開通の時期というのはどういうふうにお考えでしょうか。
  301. 池沢英夫

    ○池沢説明員 お答えいたします。  現在、父島と母島間は、御案内のとおり三回線の電話回線で公衆電話を三個設置しているわけでございますが、いま先生おっしゃいましたように、さらに通話の改善を図るために、電話の交換局を母島に設置したいというふうに考えております。  それで問題は、父島と母島間の回線をさらに増設する必要がございます。そういったことでいろいろ用地の確保に相努めてまいりまして、このほどようやくめどがつきまして、五月あたりから工事に着手をしたいと考えております。工事の完了する時期は、大体五十七年度いっぱいには何とかしたいと考えております。
  302. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、父島と母島ですけれども、一システム四十八回線ということが言われているわけでありますが、最終的には四システム百九十二回線まで引ける、こういうことでしょうか。
  303. 池沢英夫

    ○池沢説明員 おっしゃいますように、最終的には最大百九十二回線までとることができます。
  304. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 将来計画はどうなりましょうか。いわゆる通信衛星というものについての計画はどうなりましょうか。
  305. 池沢英夫

    ○池沢説明員 通信衛星につきましては、小笠原諸島全体をいわゆる自動即時網に編入するという計画の一環として考えております。いま通信衛星を打ち上げる予定が五十八年二月が目途になっております。そういうことで、通信衛星を利用して実施するように検討を進めておりまして、順調に進みますれば、五十八年度じゅうにはサービス開始という取り運びになろうかと思っていま努力しているところでございます。
  306. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 母島の製氷冷蔵庫の老朽化は非常にひどいものであって、昨年は三回、ことしになっても故障が起きているというような状態です。離島のため、フレオンガスの補給も非常に困難で、修理費も一回何百万かかる、そういう状態でありますが、母島はこれから有望な漁業基地になっていく以上、一般漁業に製氷冷蔵庫は必要欠くべからざるものがあろうと思いますが、国土庁はこれらの実情をよく調査されておられましょうか。またどういうふうに対処をされようとしているのでしょうか。
  307. 清野圭造

    ○清野説明員 母島の漁業協同組合の冷凍施設でございますが、今後の需要等を勘案いたしまして、必要な施設の整備について検討してまいりたいと考えております。
  308. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後になりますけれども、ことしの冬は異常低温により、伊豆七島特産のキヌサヤエンドウが早くから被害を受けております。去る二月二十六日から三月二日にかけて伊豆七島に降雪をもたらした異常寒波により、さらにその被害は拡大されましたが、八丈島では記録的な降雪に見舞われ、特産の観葉植物にも甚大な被害が出たと聞いております。政府はこの実態をどのように認識されておりましょうか。またこのような被害に対して政府はどのような手を打っておられるのか、あるいはどういうふうな手を打っていかなければならないと考えているか、また具体的にどういう救済措置があるのか、それについて最後にお伺いいたします。
  309. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 伊豆七島におきましては、二月末から三月上旬におきます異常寒波によりまして、樫立、中之郷地区等におきまして、フェニックス等を中心にいたしまして観葉植物に四億七千万円の被害が発生した、かように聞いております。  寒波による被害農家に対しましては、四月十七日に、五十五年十二月以降の降雪等によります被害について天災融資法の適用政令を公布施行したところでございます。今後天災資金を初めといたします制度資金の円滑な融通によりまして、その経営再建を図ってまいりたい、かように考えております。  なお、東京都におきましても対策を考えておられまして、島嶼地域作物寒害応急事業ということで、肥料、農薬の配付に対する助成を千百八十三万円でやっておるということも聞いておりますし、さらに緊急融資特別対策というのをやっておりまして、末端金利三分というような融資も都自体で措置を講じておると聞いております。  そのほか、農業改良普及員を通じます技術指導、こういうものも行っておる、かように聞いております。
  310. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これで質問を終わります。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  311. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 渡部行雄君。
  312. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず大臣にお伺いいたしますが、去る委員会において、わが党の角屋委員から農政の基本についての御質問があった際に、日本の農民が喜んで農業に従事するような農業環境をつくりたい、こういう趣旨の御答弁があったようでございますが、しかし、なるほど聞いていると本当にそうありたいなというふうに思いますけれども、実際に数字や具体的農民の感情等に触れて考えますと、大臣の言われたのはあくまでもたてまえであって、現実には全く逆の方向に農政が走っているのではないだろうか、こんなふうに思われてならないのであります。たとえばどういう魅力を感じさせるためにどういう施策を具体的にやっておるのか。たとえば後継者育成のために、なるほどいろいろと小さな対策はされておるようでございますけれども、それが効果として実際に後継者がふえてきておるか、こういうことになりますと、御承知のとおり後継者はだんだんいなくなっておるのが実態であります。  また、日本の自給率を向上させると口ではおっしゃいますけれども、実際に食糧品の輸入等を見ますと、統計の中でも年々ふえてきておる。それではそのふえる分以上に日本人の胃袋が大きくなっているなら話はわかりますけれども日本人の総体の胃袋はそれほど急激な変化はしていない。そこに外国食糧がどんどん入って場所を先にとってしまえば、後に残った場所日本の農民がつくった食糧は入る余地がなくなるのは当然だと思うのです。そういうふうに考えていくと、一体どこをもって本当に農民が幸福感を感じながら農業にいそしめるようなものになるのか、この辺を具体的にお伺いしたいと思います。
  313. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御承知のように、農業というものは自然的、社会的、経済的に不利な環境のもとに、生産性の低い条件のもとでやっていかなければならない、何と申しましても、農業以外の産業から比べると困難の度合いの非常に多い産業である、こういうふうに私は認識をいたしておるわけでございます。この困難の多い農業、これはまた命から二番目に大事な食糧を生産するというきわめて重要な産業である。生産性が低く、しかも重要な産業であるというこの農業に従事する農業者の諸君が喜びを感じて農業経営に従事できるような環境をつくるのが、われわれ立法府にあり行政府にある者の使命であると私は考えておる、これは日ごろ申し上げておるところでございます。  しかるところ、戦前から戦後にかけて農地解放を行い、そして膨大な公共事業費、国費をつぎ込んで、土地基盤の整備を行い、用排水事業を逐次整備して、暗渠、客土等々を行い、農道を整備し、土地条件をよくしてまいる。一方においては、農林年金あるいは農民年金という制度をつくる。さらには低利、長期の融資をつくる。災害に遭った際には、農業災害補償法という法律によってこれまた再生産の体制をとる。とにもかくにも、農民諸君を主体にした施策を私どもは懸命の努力を続けて今日までやってきておるわけでございます。  したがいまして、日本のように高度、急速な経済伸展をした国において、本来であれば放置しておけば農業からほとんど他産業にかわってしまうという事態もなく、とにかく一億一千万の食糧を供給して、戦後四十年間食糧の心配を全国民にさせなかった、こういうことをし続けてきたということは、先生がいま指摘されたような暗い面ばかり数え上げれば、そういうふうにも見ることができるかもしれませんけれども、やはり私どもとしては、農家とともに将来に夢、光を認めながら、生きがいと農業に従事しがいを感ずる施策をやるのだという意気込みがなければ、これはもう農家の方から愛想を尽かされるということになりはせぬのかなという気持ちで、私は今日まで農林水産大臣としての職責を果たすために努力をしておる、こういうことでございます。
  314. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大臣の何とかしたいというお気持ちは十分わかるわけです。ただ、問題は、戦前からずっと歴史的に見ましても、かつては相当の自給率があったわけです。総合自給率においても穀物自給率においても相当のものがあったのが、だんだん年を経るに従ってこの自給率が崩れてきておる。こういう実態は、農林省がこれほどの陣容をもって一生懸命取り組んでいるにもかかわらず、現実にはどんどんと後退させられておる。これはどこかに一つ間違いがあるのではないだろうか、日本農業のあり方に根本的な欠陥があるのではないだろうか、その欠陥について本当にみんなが真剣に掘り下げて、やはり衆知を集めてそれを直す必要があろうかと私は思うわけでございます。  そこで、「昭和五十六年度において講じようとする農業施策」、「八〇年代の農政の基本方向」、「農産物の需要と生産長期見通し」というのが出ておりますが、これを読んでみましても、問題点のとらえ方が非常に問題になるのではないかと私は思うのです。  というのは、「農業、食品産業と農村の当面する諸問題」という中で、大体六つの問題を指摘しておられます。第一に、畜産物、油脂、果実、加工食品等の消費がどんどんふえてきて、食生活が多様化しておる。二番目に、米、麦等土地利用型農業部門においては、地価が高騰しておるために規模の拡大が思うように進まない。したがって、そこから生産性の向上がおくれておる。そのために農業と他産業間の生産性格差の是正が進まない、こういう指摘をしております。三番目に、施設園芸、養豚、養鶏など施設型農業部門では相当の規模拡大が進んで、中核農家育成に希望が持てる。四番目が農業の高齢化。五番目に、加工食品、外食による飲食費等の増大によって日本の食生活が大分変わりつつある。そして六番目に、食糧の安全保障というものを取り上げて、その重要性を訴えておるわけです。     〔愛野委員長代理退席、塚原委員長代理     着席〕  しかし、これがいま本当に日本農業の当面する諸問題として農業そのものを動かす重要な問題提起だろうか。私はそういうふうには考えられないのであります。なぜならば、もっともっと重要なことが農業の内部にひそんでいるのではないだろうか。それはまず第一に、食糧の需給構造に対応する自給能力がない。つまり食糧安全保障の欠如が大きな一つの問題である。二番目には、特に労働生産性が低いこと。飼料穀物を含む穀物及び牛肉等の生産コストが諸外国と比べて余りにも高いという問題が指摘されるのではないだろうか。第三点としては、一農家当たり経営面積が諸外国と比べて余りにも狭小である。そのためにやはり生産性がなかなか上がらないし、過剰投資がそこに行われざるを得ない、こういう土地所有の一つの構造にも問題があるわけです。第四番目は、耕地面積当たり資本投下が過剰である。立花隆氏の書いた「農協巨大な挑戦」という本がありますが、これにもあるように、とてもじゃないが、アメリカの農業日本農業を比べたのでは問題にならない。大体農地一ヘクタール当たりアメリカでは〇・六馬力の機械投入に対して、これはトラクターですが、日本は四・六馬力、八倍にもなっておるわけでございます。こういうことを考えると、非常にむだな機械投資が行われておる、こういう問題が一つ指摘されておるわけです。そして五番目が、農業者の老齢化。後継者の不足。大きな問題としては大体こういうことが言えるのではないだろうか。  それで、この問題を一つ一つそれじゃどう解決していったらいいのかということになるわけでございますが、それにはいまのような農地のあり方、農業経営のあり方ではどんなに補助金を使ってもどうすることもできないだろうと私は思います。大体農林省は農地の流動化を促進すると言っておりますが、このことは大きな農家をつくるということなんでしょうか。まずそこから私ははっきりさせなければならないと思うのです。なぜ農地の流動化を図らなければならないのかという点についてお伺いいたします。
  315. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  農地の流動化の問題は、ただいま先生から御指摘がございましたように、わが国の農家の二月当たりの耕地が狭小であるというようなこと、またそれが過剰投資の大きな原因にもなっているというような点もございます。やはり何といいましても、わが国の特に土地利用型の農業におきましては、こうした点から考えますと、規模の拡大をして生産性の向上を図っていかなければならない。そうした面で農地の流動化を、所有権の移転形態ということもございますが、むしろ賃借権の拡大、貸借関係におきまして拡大していく。しかも農地制度上できるだけ現状に適合した円滑な流動化を図るということで、昨年農用地利用増進法を中心にいたしましていわゆる農地三法の改正をしていただきました。その結果、昨年の十二月におきましても農用地利用増進事業の実績が四万七千ヘクタールと、たしか前年よりも二万ヘクタール程度拡大をしております。こうしたことを契機にいたしまして、農業生産性を高めるようなことをしてまいらなければならない、このように考えておるわけでございます。
  316. 渡部行雄

    渡部(行)委員 農地の流動化というと、何も農地がふえたり減ったりするものではないわけですよ。流動化というのは、言ってみれば所有権の移動にしかならないということなんです。農地そのものが、ここにあったものがそっちの方に移ったりあっちにあったものが別の方に移ったり、そんなふうにして集まるものじゃないのですよ。日本という立場で耕地全体を考えると、耕地面積はちっとも変わっていないのです。ただ、所有権がある特定のものに集中するかどうかという問題であります。そういう移動を考えると必ず金銭が伴うわけです。だから、流動化が進めば進むほど耕地が高くなるというのは自由市場の原則なんですよ。そうすると、ますます動かなくなっていく。だから百年河清を待つがごとしなんです、こういう政策では。なぜ所有権の集約にこだわるのですか。あるいは賃借権とかそういうことでやろうとする。現にある耕地をどういうふうに効率的に活用するか、効率的に耕作させるか、そして収益をそこから図っていくか、そして余分な農民の労働力はどこに吸収させるか、そういうことを総体で考えたら、そんなに苦労しなくたってこんな問題は解決できるのじゃないか。  それにはいろいろな方法があると思うのですよ。たとえば農業コンビナートの問題これなんか一番いい例は、ユーゴスラビアあたりのコンビナートを見ると非常にすばらしい。これは私はいつか行ったこともあるけれども、小さな農家が、所有権はそのままでいいのです。それを大きな、数個の市町村を集めたぐらいの単位にして農業法人をつくらせていく。そして共同作業、共同の耕作等一切共同でやっていく。そうすると、相当の労力が余ってきます。余った労力は、農業コンビナートに働いて賃金をもらえばいい。そして生産から消費までのルートを農民が全部占領していくということを考えないと、農民は第一次生産だけを請け負って、あと第二次から第三次のうまい分は全部他産業に持っていかれてしまっておる。こういうところに幾ら金を出しても、日本農民の生活はさっぱり豊かにならない、農業所得はよくならない、こういう問題があると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  317. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  先ほど農地の流動化について私どもが申し上げたのは、所有権移転というような形態はなかなか進まないということで、むしろ賃借権なりあるいは農用地利用増進法におきましては、農地の利用改善事業と申しまして、土地利用協定あるいは取り決め等によりまして、より土地の有効利用が図れるような地域的な取り決めを進めるというような方向をとっておるわけでございます。したがいまして、地価その他各種の問題を避けながら規模の拡大が図れるような方向をとりたい。かつまた、そうした問題はやはり地域全体での合意の形成と申しますか、話し合いを足場にしなければならない。そして地域農業自体を振興していくような方向を見出さなければならないということで、地域農政という政策を地域ごとに進め、農業の構造改善を強力に進めたいと考えております。また同時に、地域におきます高齢者の対策先生から御提示のありましたような農村内におきます加工その他の部門での就業の確保等の各種の問題も、地域内での振興政策の中に考えていかなければならない、このように考えておりますので、御意見のような方向も、これからの農政の中には当然考えられるべき課題と考えております。
  318. 渡部行雄

    渡部(行)委員 必ずしも所有権にはこだわっていないと言われておりますが、この「八〇年代の農政の基本方向」の二ページには「第二に、基盤整備や各種近代化施設の整備はかなり進んだが、米、麦等の土地利用型農業部門では地価の高騰等により規模拡大が進まず、」云々と、こういうふうに言われておる。ここで指摘した「地価の高騰」というのは、その売買というものを想定したから地価の高騰がそこに作用しているというふうにとるのが当然じゃないでしょうか。地価の高騰との因果関係はどうなんですか、それでは。
  319. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 いま答申の中の二ページの御指摘でございますが、これは過去の反省として書きました。現在、土地利用型農業部門におきますおくれというのは、地価の高騰等によりましてなかなか規模拡大が進まない、したがいまして賃借権なりを中心にした貸し借りの関係あるいは土地利用の協定等によります方向での生産単位の拡大、大規模化を図って生産性を上げるべきだろう、このように考えておるわけでございます。
  320. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そういう一農家に農地を集約させようという考え方でいくと、これはそんな簡単に進まないと私は思うのですよ。いま賃借権の話をしましたが、最初ねらいはそうであったが、現実にやってみたらできないから、今度は賃借権で集約してみようという、一つの何というか袋小路の中で、どこか一つ突き抜けよう、こういう考え方から賃借権が出てきたと思いますけれども、それじゃ賃借権で、それだけでいくかということなんです。これは非常にいろいろな問題を包蔵しているわけです、賃借権となれば。それは、たとえばどの程度の小作料ということが問題になってくるわけで、いまは大体十アール当たり三俵、いいところで四俵、こういう小作料が取られておるのですよ、それはまた相当収穫もいい場所ですけれども。そうなっていくと、これを賃借権の問題を通して、集約化を通して昔の地主と小作の関係が拡大される危険性があるわけです。そうすると、何のために農地解放をやったのかという疑問がまた出てこざるを得ない。そんなことをやるならば、農地を手放す人には手放しやすくしてやる、あるいは集約を一人の名義にしなくても、これからは一つ農業法人的なものにどんどんと集約を図る方向の方がむしろ近代的になっていくのではないだろうか。しかも、いま急激にコンビナートをつくれといったってそんなことはできないでしょう。しかし、農協や地方自治体が本気になって、あるいは国の指導もそこに入れてやれば、最初は工業資本と競争的にやっていけばいいのですよ。清水食品とどこどこの農協のコンビナートが競合する。しかし、本当にじみちに進めていけば、協同組合経営と資本家的な企業経営とでは、私は協同組合経営の方が勝っていく、そういうふうに考えます。  そういうふうにして日本の土地利用というものを考えていけば、やはりいまのような個人集約的な農業では徐々に行き詰まっていくんじゃないか。現に私は行き詰まっていると思うのですよ。やはり全体として農業が保障されていく。いま耕地の利用率は約一〇三%でしょう。こんなことで本当の高生産、いわゆる生産性の向上というようなことはとても期し得ないのじゃないか。したがって、そういうものについても新たな考え方で取り組む必要があるのではないか、私はこんなふうに思うのですが、その辺に対する御見解をお伺いいたします。
  321. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほどからお答えしてまいったところでございますけれども、これまでの農地制度の歴史を振り返りましても、現在におきます土地所有者はきわめて零細な兼業農家が主体になっておりまして、むしろ戦前のような大規模な地主と言われる階層が農村に存在しない時代になっております。かつまたもう一つは、法人化なりの問題も農地法上もいろいろ試みましたが、なかなか進まない。  そうした中におきまして、やはりできるだけ緩和された形での利用権設定という形での賃借権を設定いたしまして、現状に合うような規模の拡大をしやすい条件を盛っていくことが必要だろうと思います。その際、個人の農家が拡大していく方向も地域によってはございましょうし、共同的に土地利用を組織化していく面もあろうかと思います。それらは地域での選択にも基本的にはなろうかと思いますが、そうした方向での土地利用型農業におきます合理化なり生産性の向上を図ることが基本的に必要だろう。また同時に、そうした農産物についての御提案のようなコンビナートという考え方もあるいは農協なりが積極的な対応として出る場合には、そうした問題も当然あろうかと存じます。
  322. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、去る四月十三日の日本農業新聞の記事に、こういう大きな見出しで「ぬれ手にあわ大手食品会社」というのが出ておるのです。「食品業界の大手各社は、五十六年三月期決算で、過去最高の利益を計上する見通しとなった。証券各社の調べによると、製粉、菓子、乳業、配合飼料など、東京証券取引所一部上場十三社で、昨年九月からの半期で約四百億円の経常利益を上げ、売上高経常利益率も全製造業平均を上回っている。」こういうことが指摘されているのですね。  これはただ、たとえば清水食品とか森永とか明治とかいうところが資本だけを出して施設をして、あとそこで働いているのはほとんど農民ですよ。そうしてそこからこういう莫大な利潤を取るわけです。この利潤を農民に還元してあげたらどれほど農民は豊かになるかということなんです。だから、食品の生まれてから死ぬまで、人間で言うなら一生ですね、食品の一生をたどっていけば、全く生むだけの商売が農業であって、後の加工、販売、消費というところまで持っていくのはみんな農民以外の資本家がやっておる。そうしてそこに一番うまみが集中しておる。こういう一つの流通過程というものを、あるいは流通構造というか、これを破壊しない限りはどんな政策をやったって、まず農民から本当に気に入られる農政なんかは確立できないのじゃないか。  現に、飼料作物の問題でも、後から申し上げますが、なぜ飼料作物の問題でこんなにがたがたしなくちゃならぬのだろうか。農民の方からすれば、これは恐らく飼料関係企業に気がねしているのじゃないか、こういう声が聞こえてくるわけですよ。だから、その辺をもっと真剣に取り組んで農民というものに理解してもらう必要があるのではないか。どうですか、生産から消費まで、これを系統団体で、農民のいわゆる系統的な支配にまず一部ゆだねるところから始めて、競争的に発展させていくという考え方はいかがでしょうか。     〔塚原委員代理退席、委員長着席〕
  323. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 農協の系統組織が先生おっしゃいますように加工、販売の分野にまで進出いたしまして付加価値を高め、農民により有利な所得を確保する、あるいは農産物の販売力を強め、計画的あるいは安定的に生産を可能にするということはきわめて意味のあることであるというふうに私思うわけでございます。特に先進的な農業協同組合におきましては、そのような形を現にとっておりまして、相当な程度の力を蓄え、また食品のいろいろなほかの産業の面とも競争する実力を持っているところがございます。しかしながら、達観して申し上げますと、まだまだ農協の組織は末端の単協においては弱いところがたくさんございまして、現に事業の内容等も調べてみましても収益の上がる分野はむしろ信用事業とかあるいは共済事業、そういう部分でございまして、加工、販売等におきましては、むしろ赤字を出している組合が多いというのが現状でございます。このような状況のもとにおきましては、力のあるところはできるだけその基盤を整備して加工、販売の分野にも進出する、あるいは力のない農協は都道府県あるいは全国の段階の連合会に力を結集いたしまして、系統組織全体としてこれらの事業に取り組んでいく必要があるのじゃないかというふうに考える次第でございます。農協の系統の中でもこのような考え方はかなり強くなっておりまして、生産から販売までの一貫体制ということを農業団地のシステム等も活用しながら運動を推進しているというふうに聞いております。特に「一九八〇年代日本農業の課題と農協の対策」というのを全中が出しましたが、このようなことで、その思想としては先生のおっしゃられるのと同じような方向で位置づけているわけでございます。農林水産省といたしましても、このような系統農協の動きを踏まえまして、積極的な努力をしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  324. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いま農協の販売部門で赤字を出しているのが相当あると言われましたが、これは赤字になるわけですよ。明治や森永がつくったのを買ってきてそれを売ったりして、そうして必要以上に人件費をかけたりしているから赤字になるので、自分の本当の自前のものを売っているならそんなに赤字になるはずがない。そしてまた農民から毒ばれるような品物を売らないのです。上部の郡や県やあるいは中央の手数料を皆天引きされておって、そういうのが全部価格に重なって価格の中に入ってくるから比較的高いものを売る、市価よりも高いような品物がいまたくさんあるのですよ。こういうような流通のやり方をやっておっては、農協なんか本当に大変なことになってしまうと思うのです。だから、その辺をひとつ考えて御指導願いたい。  そして、その一番典型的な例は北海道の士幌農協といいますか、士幌町の農民は大体二戸平均二十一ヘクタールの耕地を持って、そうして平均千九百万円の農業粗収入を上げておる。実際にもうけ頭になると二千万円から三千万円と言われておるそうです。こんなに収入を上げているのはバレイショコンビナートをつくってやっているからだ。しかも、これは生産から販売まで皆一手にやっておるそうでございますが、日本農業の中でもこういうすばらしい一つのケースがあるんですから、これらも一つの参考にしながら日本農業のあり方というものを再検討する必要があるんじゃなかろうか、この点はいかがでしょうか。
  325. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 ただいま先生指摘のように、北海道の士幌農協は総組合員数が七百六十九名ぐらいでございますけれども、購買品の供給高が六十三億、販売品の販売高が百十三億という大変な規模でございまして、加工事業の収益も二十四億に上っておるというふうに聞いております。しかし、その基礎にございますのは二十一ヘクタール平均というきわめて規模の大きい、力の強い農家の集まりということで、それを基盤にいたしました士幌農協の体制ができ上がってきたというところに大きな意味があるというふうに考えるわけでございます。やはり農協の一つの先進的な事例ということで士幌農協は考えるべきであるというふうに思うわけでございますが、まだまだ基盤の脆弱な農協もたくさんございますので、それらの農協につきましては、その力をつけていくことと、それからさらにその力を結集して、集合した力でこのような事業に取り組んでいくということが必要ではないかというふうに考える次第でございます。
  326. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次には、いわゆる食糧の安全保障と申しますか、国民の需要に応じた食糧自給体制をどう確立するかという点でございますが、いま農水省がやっているのは、とにかく大豆をもう少し自給率を上げなくてはならない、麦を上げなければならない、そうすると、そこに奨励金、補助金をやって、そうしてまあまあというところでつくらせておる。しかし、これはいつまで続きますか、私はこういうやり方は長続きしないと思うのです。  それではどうすればそういう均衡のとれた自給の生産ができるか。それには最初から米が幾ら、麦がどのくらい、そして大豆がどのくらい、飼料作物がどのくらいというこの割合を、日本の国全体をながめて適地適産で、適地がどこにあるか、そういうところにセットで割り当てしたらどうでしょうか。そうしてそのセットを消化したら、いわゆる基準の収穫を上げたら、それはどれだけという買い入れを約束していく、あるいはまたその中から当然間に合う価格というものを引き出せるとも考えられます。これはちょっと電子計算機あたりでやってみれば案外おもしろい結果が出るのではないだろうか。そうすれば、何も自給率がどうのこうのなんてそんなに騒がなくとも、私は初めから均衡のとれた自給がどんどんと伸びる可能性がそこに出てくると思うのです。そうして問題は、農地をフルに活用することです。フルに活用すれば兼業なんかやっていられるはずがないのです。専業しなければならないのです。そして専業すればこれだけの所得が保障されるとなれば、若い者もどんどんとそこに入っていくと私は思うのですよ。そういうもっと意欲に満ちた農政というものを推進しないと、何か落ちこぼれだけ集めて何とか一時的にそこを修復するようなかっこうで農政を進めていったならば、私は将来、ただ口先で食糧安保を叫びながら、実はもうのどはいつの間にか外国のアメリカやカナダにきっちりと握られて声も出ないくらいになってしまうと思うのです。現にいま日本はそういう事態じゃないでしょうか。この問題は日本の独立にもかかわる問題ですよ。そういうことを考えると、これはよほど本気になって取り組むべきだと思うのですが、そういう一つの考え方をどこか模範的に実施してみてはいかがかと思うのですが、どんなものでしょうか。
  327. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  適地適産ということは、それぞれの地域におきましてもそうした声は多いことは事実でございます。ただ、機械的にそれらのものが割り出された結果について、現状におきます農業なり農家という立場で対応し得るかどうかということに基本的に問題がございます。現在、米の問題につきまして水田利用再編対策を進めている過程におきましても、やはりそうした問題をめぐっての地域あるいは国全体の合意を形成していかなければ生産の再編成ができないというきわめてむずかしい問題でございます。機械的にこれらが割り切れないというところに現在の農政の問題がございます。やはり置かれた現状におきまして最大限の努力をいたしまして、自給力を向上するために麦、大豆、飼料作物というような基本的な、わが国でも生産可能なもので国民生活に直結するものを着実に生産の増大を図って、国全体の自給率が少しでも向上するような方策をとるべきだろうと考えておるわけでございます。
  328. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ちょっとわかりにくいのですが、時間の関係でこの辺でいまの問題は終わります。  次に、水田利用再編成の第二期対策についてお伺いいたします。これは三年間を一期として今度第二期をやるそうでございますが、調整面積が六十七万七千ヘクタール、こうなっておるのですが、ただ昨年の冷害で五十六年度に限っては六十三万一千ヘクタール、こういうふうにかかっておりますが、この六十三万一千ヘクタールというのは、五十六年度六十三万一千ヘクタールをやって、次の年度からその六十七万七千ヘクタールから引いた差の数字を今度は次年度にかぶせていくということなんですか、どうなんですか。この辺お聞かせ願いたいと思います。
  329. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十六年度から三年間にわたりまして水田利用再編対策の第二期対策を迎えるわけでございます。その際に、第二期の要調整面積といいますか、転作目標面積は六十七万七千ヘクタールというふうに考えております。ただ、初年度のこの五十六年度につきましては、五十五年産米の未曽有の、しかも広範な冷害等の災害というのがございましたので、全国ベースで四万六千ヘクタールの軽減をするということで、五十六年度は六十三万一千ヘクタールでございます。したがいまして、あと五十七年、五十八年の両年度につきましては、本来の姿に戻りまして、六十七万七千ヘクタールの転作目標面積をお願いするというふうに考えております。
  330. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、いま一方においては行政改革が叫ばれて、補助金の一律一〇%削減などという話も出ているやに聞いておりますが、ここではすでにこの水田利用再編奨励補助金という形で五十六年度において講じようとする農業施策の中にはっきりとうたっておるのですが、この補助金は、仮にそういう事態があっても変える御意思はありませんか。
  331. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 転作等奨励補助金でございますが、これは各期ごとに定めるということに相なっております。したがいまして、五十六年度から新しい奨励補助金の水準体系というものを考えまして、基本額のほかに計画加算さらに団地化加算というようなものを考え、あるいは地域振興作物加算というようなものも考えたわけでございます。したがいまして、期ごとにということでございますので、現段階におきましては、私たちといたしましては五十六年度から五十八年度を通ずる転作の奨励補助金としては今回の体系でいきたいというふうに考えております。
  332. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは転作と切り離すことのできない問題ですから、これが変更されるとなると当然転作そのものが見直されるというふうに解釈していいでしょうか。
  333. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま申し上げましたように、この転作目標面積、またこれを転作していただくという角度で稲作所得と転作作物の所得とのギャップ、この辺を参考にしながら転作奨励補助金といいますものの水準体系を考えたわけでございます。したがいまして、この水準はこの三年間このままいけるものというふうに考えております。万々一これが動くというようなことになれば、目標面積等も変わるのではないかというようなお尋ねでございますが、万々一変わるとなれば、そういうことがあり得ようかとは思いますけれども検討しなくちゃならぬかとも思いますけれども、いまのところはそういうことがないものと考えておりますので、その辺は御了承いただきたいと思います。
  334. 渡部行雄

    渡部(行)委員 こういう補助金による転作というのは、大体いつごろになれば定着して補助金というものがなくなるというか、そういう時期はいつごろをめどにしておるのですか。
  335. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策は五十三年度からスタートしたわけでございますけれども、その際におおむね十カ年の事業、これをその時点の需給関係等も見定めて目標面積等も期ごとに定めていく、こういうことで面積なり奨励金等も考えておるわけでございます。私たちといたしましては、転作の定着性を高めていく、生産性を高めて定着性の高い転作営農を実現したいということで考えておりますので、この奨励補助金といいますものは、それに見合って削減されていくべきものではなかろうか。したがいまして、現段階でどうかということのお尋ねでございますれば、水田利用再編対策はおおむね十カ年ということでございますので、その時点でたてまえとしては奨励金というものもなくなってしかるべきものと思います。ただ、現実にそうかどうかということにつきましては、その十カ年の切れる直前になって、その具体的な事態を十分見きわめて、その時点において判断すべきものであろう、かように考えます。
  336. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いま農林省が取り扱っておる補助金というのは、総額で二兆幾らとか聞いておるのですが、一〇%削減されると二千何百億かの削減ということになるのですが、もし万が一にそんな事態になったらどういう補助金がその対象になっていくのでしょうか。
  337. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  農林省所管予算が約三兆三千億円でございまして、そのうち所管の補助金は二兆三百億円でございます。一律一割というふうなことを私どもまだ想定いたしておりませんが、やはりいまの補助金の中でも当然増的な部分もございます。ただいま農蚕園芸局長がお答えいたしましたような転作の奨励金の問題あるいは利子補給、補助の問題あるいは年金の問題等各種のそうした分野がございますし、そうでない分野といろいろ各種の分野がございます。私ども補助、融資全体を通じて見直すときには見直さなければならないと考えておりますが、いまどれをこうするというふうな方針を決めておるわけではございません。
  338. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は大体行革の一律一〇%などという機械的なやり方には反対なのです。いま日本農業がどういう位置にあるかということを本当に認識すれば、そんな単純な立場で補助金を切るとかいうことは出てこないはずですよ。ですから、農林大臣は、農民の問題に対する最高責任者として、この行革が決して農民が不利にならないように、あるいは農林水産省がそのことによって逆に落ち込むようなことのないように、農民に希望を与えられるような立場でひとつがんばっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  339. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 本当に理解ある御指摘でありまして、私もそのような気持ちで全力を傾けたい、こう思っておるわけでございます。いずれにいたしましても財政再建、この厳しい体制を乗り切るためにはどうしても行革を成功させなければならない、やり遂げなければならない、こういう国民的世論に十二分にこたえていくためには、やはり断固としてやらざるを得ないわけでありますから、その際には、全国民が理解して、公平な形でみんなが行政改革のいわゆる苦労と申しますか、苦痛と申しますか、そういうものをともに分かち合って、この危機を乗り切るのだといった感じが起こってくるように私どもとしては第二臨調の答申の出ることを期待しておる、こういうことでございます。
  340. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に移ります。  飼料穀物の自給率を高めなければならないと指摘しておるわけですが、実際にはどんどんとかえって多く飼料作物は輸入されておるわけです。しかし、農民は一生懸命研究しながら、米と見分けのっけられる飼料作物をいま栽培してきておるわけです。そこで私がお願いしたいのは、この飼料作物転作作物として認定していただけないかという点なのです。
  341. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 飼料作物は、現在水田利用再編対策上は特定作物ということで認めてございます。
  342. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも失礼いたしました。えさ米です。  そこで、私は実物を持ってまいりました。これは品種はイタリアだそうですが、アルボリオという品種とそれから何かアルボリオJ1という品種だそうです。それでこの品種は、後で大臣に見てもらえばいいが、精米ができないそうです。これは農林省のちょっとした人が見ればだれでもすぐわかるという、まことに識別性のはっきりした品種でありまして、しかも、この収穫は大体十アール当たり一・三トンから一・四トン、それを持ってきた方は一・三トン収穫しておる、こういう話です。ところが皆さんの出しておるこの資料を見ると、韓国の品種の改良が大体六百ぐらいまでようやくきておるという実態で、そういうのは別としまして、そういう実績を上げているえさ米を具体的に飼料作物として認めていただけないものでしょうか。
  343. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 えさ米関係のお尋ねでございますが、えさ米につきましては、水田をそのまま利用できるという利点もございますし、万一農産物輸入に不測の事態が生ずるというような場合には、資源の維持に必要な家畜の確保にも資するとか、あるいは食用にも転換しようということであればできるというような意味で、食糧自給力の維持、強化に寄与するという意義はあろうかと思います。  ただ、その反面、現在使われております飼料穀物の価格水準から見ますと、大体トウモロコシ等三万円でございますが、栄養的な観点からして、現在過剰米などもえさに回すというときも大体そんな水準でございます。政府の食管が主食用で買うときは大体三十万ぐらいということなのですが、そういうような飼料穀物の価格水準から見ますと、収益性は非常に低い、物財費も償わないというような状況一つございます。  それから、えさ米と言いましても、これは米でございます。ただいまアルボリオJ1なりJ10等あるいはサンプルを見せていただいているかと思いますが、これもやや粉状質だということは聞いておりますけれども、その辺の識別の問題というのがございますし、また粉にいたしますれば、これはまた穀粉等として同じく人の口に入り得る可能性もあるというような問題がございます。そういう識別性の問題、それから多収品種として注目されております品種は、アルボリオもそうかもしれませんが、脱粒しやすいというような技術的な問題もあるようでございます。  さらに、これを転作奨励金の対象にということになりますと、そのほかに先ほど言ったような主食用とえさ用とで十倍近くの価格差があるということで、横流れの心配があるという問題もございますし、それから六十三万一千ヘクタールの転作を現在お願いいたしておりますが、水田になれない麦なり大豆なりという畑作物等を軸にして転作をお願いしているわけでございますけれども、これがえさ米ということでいいということになりますと、なかなかそういう転作がむずかしくなるという問題もございます。あれやこれやいろいろ検討いたしたわけでございますが、現段階におきましては、このえさ米水田利用再編第二期対策の奨励補助金の対象にする、転作作物として認めるということは考えておりません。
  344. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この三つの条件は私だってわかっているわけですが、識別性は、これは精米できないということでだれでもわかるというのですよ。とても米にして食べられるものじゃない。実際につくっている農民がやってみてそうだと言っているんですから、それをなぜ信用できないのでしょうか。  それから、収益性の問題ですが、あなたは農民の生活をやったことないからそういうことを言うんでしょうが、これをえさ米として認めてくれということは、奨励金目当てじゃないんですよ。これを自給飼料にしたいんですよ。自給飼料というのは、農民にとってはただ同然なんです。自分の働きだってほとんどただのように見ているんですから。いままで酪農家がなぜばたばたとつぶれておったか。それは全部買いえさのためなんですよ。えさを買って、買ったえさよりも肉の値段が落ちてしまうから、赤字になって倒産しているんですよ。私の方なんか何町歩も売って、全部豚につぎ込んで、財産すっからかんになって、一つもなくなった農民すらいるんですよ。それは政府の指導でやっているんですよ。そういうものに耐えていくにはどうしても自前のえさでやらなくちゃならないんです。自前のえさになれば、収益性だの何だかんだのむずかしい言葉は農民には必要ないんですよ。自分のところから刈って、それを牛にくれればいいのであって、そういう農民の本当の生活の中につくり上がった習慣みたいな一つの経営方式というか、そういうものをもっと大事にするならば、当然これは転作作物の対象に見ていいんじゃないか。しかも、一トン三百から一トン四百もとれる、そしてそれは米にはならないというこの識別性、あとは収益性でしょう。それをあなた、ほかの、アメリカのトウモロコシと比べてどっちが高くつくからという、こんな計算をしたら日本の酪農なんかとても自前でできませんよ。だから、そういうことを考えてもっと検討の余地ないですか。そんな簡単に突っぱねるものじゃないと思いますがね、農民がせっかくつくって持ってきた汗の結晶を。
  345. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 収益性がきわめて低いということは、先ほども申し上げましたように一つは物財費をも償わないということでございまして、アルボリオJ1にいたしましても、これを一トン以上つくるというお話でございますけれども、やはりそれなりに肥料なり農薬なりの物財費がかかろうかと思います。そういうものをペイしない、そういう収益性であるということでございます。したがいまして、これは流通飼料とするか自給飼料にするかという問題はもちろんあるわけでございますが、自給飼料にする場合におきましても、これを転作作物ということで奨励するのはまだ問題ではなかろうかというふうな意味合いから申し上げたわけでございます。  それから、識別性の問題でございますが、アルボリオJ1なりJ10の問題といたしましては、非常に大粒で粉状質だということは日本のいままでのジャポニカ系の品種とは確かに相違点はあろうかと思います。しかし、これは粉にすれば人間様の口に入り得る加工食品用にも向くというふうにも言われておりますので、その辺につきましては、横流れ等の問題も心配であるということは否定できないと思います。
  346. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それではこれから私も農家の方々とよく話をして、農林省と共同で何か研究できるような機会と条件をつくりたいと思いますが、そういう中で実際に確認できれば、考えていただけますか。
  347. 川嶋良一

    川嶋政府委員 転作に取り上げるか上げないかという問題の前の研究段階といたしまして、国としては五十六年度から本格的に試験を開始してまいりたいというところでございますので、私の方からお答えいたします。  これまでも飼料用稲につきましてはいろいろと研究を重ねてきたわけでございますけれども、こういう状況でございますので、先ほど申し上げましたように、五十六年度から本格的な研究を進めてまいりたい。その中でいろいろと、現地で多収を上げているとか、あるいは熱心な農家等もございますので、私どもとしては、私どもが行う国の試験研究の一環として、できるだけ現地とも密着した研究を進めてまいるというところから、若干現地農家の圃場をお借りした研究等も目下考えておるわけでございます。そういう国の試験研究の一環としては、ただいま先生お話しの点については検討の余地があるのではないかと考えます。
  348. 渡部行雄

    渡部(行)委員 このことはこの程度にいたします。  次に、最近バクテリアが農業に大変重要な役割りを果たしておるわけです。しかも、そのバクテリアの利用によっては窒素肥料にかわる役割りを果たさせたり、中には害虫を食ってしまうというか、殺してしまうバクテリアもあるということでございます。そういう点で、いま農林省が進めておるバクテリア研究はどの程度までいっているのでしょうか。
  349. 川嶋良一

    川嶋政府委員 微生物関係農業利用は各方面に多様に展開をされているわけでございますが、私ども先生いま御指摘生産の面、さらに微生物関係では加工、流通の面、大きく分けますとこの両方にわたりまして研究を従来とも進めてきたわけでございます。     〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕 こういう関係から、ただいま御指摘の微生物の天敵的な利用あるいは加工の面ですと発酵食品ですとか、いろいろございます。こういう形で、微生物の利用は各方面にわたって試験研究の面でもいろいろ大きな成果を上げているところでございます。この点については、なお一層研究を進めてまいるということで、試験研究体制あるいは内容の充実等について鋭意努力をしているところでございます。
  350. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最近はバクテリアばかりでなくてDNAという遺伝子組みかえが相当研究されて、この遺伝子工学という分野がこれからの二十一世紀を支配するだろうとまで言われているのですが、これについては農林水産省はどういう研究を進められ、またそれに付随するいろいろな対策等についてはどのように考えられておりますか、お伺いいたします。
  351. 川嶋良一

    川嶋政府委員 遺伝子組みかえ等の技術開発は、近年世界的に進展を見ているわけでございます。先ほど申し上げましたような土壌微生物あるいはその延長上でのただいまの遺伝子工学、こういったような関係については、私ども従来とも産業的にも研究的にも相当力を入れてやってきているわけでございまして、すでに単細胞の培養ですとか細胞融合とかいった点では世界的な成果を得ているわけでございます。こういった成果を踏まえまして、すでに私ども研究機関で、たとえば大腸菌に大豆たん白の遺伝子を組みかえるといった成果も上げているわけでございまして、従来の研究基盤の上にさらに新しい芽がいろいろと出ておりますので、そういったようなものを積極的に推進してまいりたいと考えておるわけでございます。幸いに筑波研究学園都市に、農業技術研究所とか植物ウイルス研究所とかいったような遺伝子組みかえ関連の試験研究を従来やっておりました機関が集中をいたしましたので、こういったような関係研究が飛躍的に推進できる基盤が整ったわけでございます。  こういう状況からいたしまして、私どもといたしましては、総合的に大規模研究推進の必要を痛感いたしておるわけでございます。そういう意味で、こういった個々の研究をさらに発展させるためにいろいろと研究しておるわけでございますが、特にその方面関係の権威の方々にお集まりいただきまして、農林水産省におけるDNA組みかえの推進のあり方等もいろいろ検討していただいておりまして、目下それを取りまとめつつあるところでございますが、これからは農林水産関係ばかりでなくて、各方面とも連携をとりながら重点的に推進してまいりたいと考えておるわけでございます。
  352. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今度筑波にできた研究所の中に、物理的封じ込め手段として、P1レベル実験室からP4レベル実験室までできるようでありますが、これは一般の研究者にも開放するのですか、しないのですか。
  353. 川嶋良一

    川嶋政府委員 遺伝子組みかえについては、研究結果が世界的に期待されていると同時に、研究を進めていく場合にいろいろな注意等が必要であるということもありまして、研究を進めるには細心の注意を払うとともに、また積極的な推進を図らなくてはいけないということで、新しい分野ということもありますので、研究者の積極的な養成等も兼ねながら推進してまいりたいと考えております。
  354. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、科学技術庁にお伺いしますが、いま若干議論したとおりに、微生物や遺伝子工学というものの研究が非常に早いテンポで進められておるわけでございます。しかも、この分野というのは、農業だけでなく医療やあるいは中には軍事的な目的をもって非常に広範に取り扱われておるわけでございます。こういう反面、人間の文化と生命にとって非常に有意義な効果を与えるものであると同時に、またその裏で、これらを殺戮する最も危険な研究でもあると言われております。こういうものを取り扱うのに、いまのようなガイドラインだけで取り扱い得るだろうか。法的な規制をしながら、しかも研究の自由とその実験のあり方というものを保証しあるいは監視できる体制をつくることが望ましいのではないか、このように思いますが、ひとつ御意見をお伺いしたいと思います。
  355. 松井隆

    ○松井説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、現在、組みかえDNA研究につきましては、「組換えDNA実験指針」と言っているガイドラインでもってやっておるわけでございます。これにつきましては、昭和五十四年に内閣総理大臣が決定になり、それを内閣総理大臣から各省の大臣に、また私どもの方からも都道府県知事とか民間機関に全部通知をいたしまして、その遵守方を要請しておるわけでございます。現在のところ、その遵守につきましては、それで十分に確保されておるというふうに考えておるわけでございます。  ただいま先生指摘の、そういった研究については期待される効果も大きいけれども、同時にその安全性の問題とかがあるのだから、その法制化の問題についてはどうかという御質問でございますけれども、現在のDNA組みかえ研究推進の仕方につきましては、昭和五十四年に総理大臣が議長の科学技術会議でもって「DNA組換え研究推進方策の基本について」という答申を行っております。そこで言っている考え方は、世界の多くの研究者によってこの組みかえDNA研究実施されておるが、当初予想された潜在的な危険性は現在もなお推測の域にとどまっておるということが考えられる、それで現時点でこれに法律による規制を加えるということは適当ではないのではないかということ、それからこのような状況のもとでの法律の規制は、研究の不必要な抑制をもたらすおそれがあるというような意味で適当な措置ではないと考えられるという見解を示しているわけでございます。それでこれは、これをつくるまでに関係各界の識者を集めましたいろいろな場で検討してきたものをまとめたものでございまして、これは五十四年でございますけれども、私どもとしては、現時点においても、この種の研究を法律によって規制するということは適当とは考えられないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  356. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どういう法律をつくるかが問題で、法律をつくれば研究まで拘束されると思うのはとんでもない。法律というのは一つの問題で、研究の中でガイドラインに反したことをやって、そこからある事故が発生したりいろいろな被害を及ぼしたりした場合に、だれがこれを規制するのか。民間がやった場合にガイドラインで規制できますか。できようがないですよ。だから、いまアメリカでもそれは法制化の問題で大変な議論をされているわけです。時間がないから私は読みませんから、科学朝日の五月号を読んでください。ここの中にその必要性というものがよく書かれております。しかも、軍事目的に使用するというようなことはみな避けておるけれども、実際はこのDNAの研究が一番進んでいるのは軍事関係の化学じゃないかと私は思って見ていますよ。だから、細菌戦がベトナムにおいて実験されたの何だのという情報が入るわけで、そういうことを考えると、法制の必要はないなどと言うのはとんでもない話で、しかもあなた方のつくったガイドラインというのは何ですか。これは主任を設けろとか、実験責任者をつくれとか、安全主任者をつくれのと、全くつまらぬ拘束をすることばかりでしょう。私はそんなことを言っているのじゃないですよ。研究室の中は全く自由にさせなければならぬです。これは人道も飛び越えた実験をしなければわからぬですよ。問題は、その試験室から一たん外に出る、壁一重を隔たって外に出たときにどうするかという問題なのです。それは試験室のその危険性を絶対に外に出してはならないという問題なのですよ。それを法律で規制しないで何で規制できますか。そういう危険性があるのです。ところが日本のガイドラインを見ると、みんな実験そのものに非常に重荷をかぶせて、これじゃとてもじゃないが、相当の資本でもなければできないですよ。しかし、いま科学者の心理状態というのは、むしろこんなDNAの実験なんかは一人でだってできるのです。試験管とそして顕微鏡とでできるのですよ、そんなに金をかけなくたって。そうすると、そこに個人的抜けがけが出てきたりあるいは企業のそういう無責任な、資本の少ない企業が早く利潤を追求したいということでそういう研究に入っていく。その際に法律がなければ何で規制できるか、私はそういうことを言っているのです。実験の手かせ足かせになるような法律をつくるならそれは私だって反対ですよ。そうじゃない。もっと実験室から外に出て、その安全性をどう確保するか、そういうことをもう一度検討する必要があるのじゃないですか。
  357. 松井隆

    ○松井説明員 先生おっしゃるとおり、現段階ではまだ試験研究と申しますか、そういう段階でございまして、主としてこれをやられているのは大学とか国の機関とかが多いわけでございますけれども、今後こういった研究というものは、民間でもどんどん進んでくるわけでございまして、そういう場合には、当然のことながらこれらの機関における遺伝子組みかえ実験にかかわる長期的な安全確保体制とか、そういうものをどうするかということは、今後とも関係省庁とも相談していきたい、こういうふうに考えております。
  358. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今後検討するというふうに解釈して、時間が来ましたから最後に一言。  せっかくお呼びしておるので、果樹共済と森林共済の問題ですが、どうも果樹共済も森林共済もそうですが、加入率が非常に少ない。そこで今日の加入の状況、そしてこれからどうすれば全体的な加入を促進できるか。そうしていかないと、結局共済財政というものは赤字になってしまうと思うのです。だからそういう点でもっと共済制度の充実なり、あるいは支払い方法の率割りにも問題があるようですし、掛け金の料率がどうなっているか、この辺について、まず果樹関係、その次に森林関係というふうに御説明願って、私の質問を終わりたいと思います。
  359. 松浦昭

    ○松浦(昭)政府委員 まず果樹共済についてお答えを申し上げます。  果樹共済の加入率は全国平均で見まして昭和五十五年度は収穫共済が二七%、樹体共済は七%でございまして、一般的に低位にとどまっていることは否めない事実でございます。樹種によりましてはかなり高いものもございますが、まだまだ加入率が低いと言わざるを得ないわけでございます。どうしてこのように加入率が低いかということでございますが、やはり制度発足以来なお日が浅いということもございまして、その制度の仕組みとかあるいは内容につきましてまだ十分に農家に理解されてないという面もございますが、また果樹共済は農家間あるいは産地間におきましてかなり栽培の形態とか技術に格差がありますために、専門的な果樹農家がなかなかこの共済に加入していただけないといううらみがございます。そこで、この加入率を上げるということが最大の課題であると考えまして、実は前通常国会におきまして農業災害補償制度の改正法を提出させていただきまして、幸いこれが実現を見たわけでございます。細かにはその内容について触れませんけれども、できるだけ専業的な果樹栽培農家も加入を容易にする。またその加入をしたいという意欲が増していただけるような形で実は改正を通していただいたわけでございまして、ことしからこれが実施になっております。そこでわれわれといたしましては、この制度改正を機会に加入率が伸びますように全力を挙げたいと考えておる次第でございます。
  360. 須藤徹男

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  森林保険制度には森林国営保険、それから全国森林組合連合会が行います森林災害共済のほか、森林火災保険のみを扱う民間保険があるわけでございますが、いまお話しございましたように、森林国営保険及び森林災害共済におきます加入率は、全体民有林の人工林の約三〇%ということに相なっておるわけでございます。ただこれも、たとえば一齢級、つまり一年生から五年生というような若い林分につきましては約七〇%、これが五齢級、つまり二十五年生以上になりますと一七%、平均いたしまして、いま申し上げました三〇%というような率になっておるわけでございますが、このように加入率が低位にありますのは、一般に火災、気象災害等の森林災害が幼齢林に多く発生いたしておりまして、いわゆる中高齢林になるに従って、その程度は低くなっておるということから、この加入率が低いということでございまして、今回の豪雪被害はむしろ中高齢級に多いわけでございますので、これを契機といたしまして、保険加入の必要性につきまして、従来の普及活動に加えまして直接森林所有者にカード及びパンフレットの配布等を行いまして、積極的に加入の促進を進めていきたいと考えておるわけでございます。全力を挙げてこの加入促進に努めていきたいと考えておるわけでございます。  料率につきましては、針葉樹、広葉樹別に分けております。またそれらの針葉樹、広葉樹につきまして二十年生以下、二十年生以上というふうに分けておりまして、たとえば針葉樹の二十年生以下の一等地は、保険金額千円につき一年三円九十銭というような料率でございますし、また二十一年生以上につきましては、一等地につきましては千円につき一年一円九十銭というような料率になっておるわけでございます。
  361. 渡部行雄

    渡部(行)委員 終わります。
  362. 塚原俊平

    ○塚原委員長代理 竹内猛君。
  363. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農林水産省の設置法の一部改正に関連をして、地元から出ている議員としてこの際若干の質問をしていきます。  まず最初に国土庁にお伺いをしますが、学園の施設が概成をして、ことしは二年目に入りますが、いまだに人口が予定どおりに移転をしない。その中には医療あるいは学校、公共施設、交通等といろいろありますけれども、その中で、交通問題の都心から学園に関するものは、学園だけではなくて科学技術博覧会の問題と関連をしますが、学園の内部の交通に関しては非常にまばらであります。したがって、地元の要求としてはバスのターミナルをつくってもらいたい。これは強い要求がありますので、これに対していまどういう考えを持っておられるか、国土庁から。
  364. 井上良藏

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  筑波研究学園都市の都市機能の向上を図るということはきわめて重要でございまして、そのための文化機能あるいは商業業務機能等が必要でございます。そのほか、いま御指摘がございました交通機能といいますのは、ぜひとも必要なものであろうというふうに考えているところでございます。  法定計画でございます研究学園地区建設計画におきましても、交通機能を充実させるための一つとしまして、都心地区にバスターミルあるいはタクシー乗り場、新交通駅、待合ホール等の施設から成ります交通ターミナルを整備いたすことにいたしております。  茨城県におきましては、五十六年度、七年度をかけまして、この交通ターミナルの施設計画、詳細設計を策定することにいたしておりまして、国土庁といたしましても、交通ターミナルができるだけ早く整備できますように努力してまいりたいというふうに考えております。
  365. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはできるだけスピードを上げてやってもらいたいということと、続いて、いま行財政の改革の問題が起きておりますが、あの学園都市というのは六カ町村にまたがっているところであって、いろいろなことを議論する場合にも、それぞれの議会がそれぞれ議論しなくちゃならないということがあります。いずれにしても、地方自治を侵さないことを前提にして町村の合併というものを進めていく必要がある。知事も大体そういう考え方を持っているわけですが、この点について、やはり一定のめどをつけて、自治を侵さないような方向においての町村合併に対する努力をされたい。これは国土庁どうですか。
  366. 井上良藏

    ○井上説明員 筑波研究学園都市の六カ町村の合併問題につきましては、いまお話がございましたように、茨城県におきまして推進を図っているところでございまして、また六カ町村におきましても、その機運が醸成されつつあるやに聞いております。  国土庁におきましても、都市づくりという観点から、本都市の均衡のとれた一体的な整備と管理運営を進める上で一つの強力な行政主体が必要であろうというふうに考えております。また新旧の住民の融和の促進、昭和六十年の科学技術博覧会への適切な対応、あるいは広域化による経済活動の振興等の必要性からも、町村の合併が望ましいものであろうというふうに考えております。町村の合併は地元公共団体が主体となって進めるべきものでございますけれども、国土庁としましても、今後とも各関係機関と協議しながら、関係町村の合併が円滑に促進されますように努力してまいりたいというふうに考えております。
  367. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ぜひそのように進めてもらいたいと思います。  続いて大蔵省に質問いたしますが、筑波研究学園都市には各省庁のそれぞれの機関がほぼ移転を完了した。その後の跡地利用について、たとえば東京の滝野川の技術試験場等々、その他の場所がたくさんありますけれども、これは本来東京における過密、過疎の解消ということを目標にして学園都市への移転が行われたわけでありますから、できるだけ公園にしたりあるいは災害の避難の場所にしたりというような方向で、大衆の憩いの場所にしてもらいたい。中には住宅を建てるために払い下げをしてもらいたいということが言われておりますが、そうすると、過密を促進することになって、筑波研究学園都市をつくった意味もないということになりますから、大蔵省としては、この土地の取り扱いについてどのように考えられているか、まずそのことをお伺いします。
  368. 佐藤孝志

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました筑波研究学園都市に移転しました国の各種の試験研究機関等の跡地につきましては、大蔵省としましては、昭和四十八年の一月に国有財産中央審議会に諮問をして審議をお願いしてきたところでございます。昨年の五月に同審議会から跡地利用の基本方針、つまり基本的な利用の方針と、それから主要跡地二十九カ所のうち二十二カ所につきましての利用計画の大綱につきまして、大蔵大臣あての答申をいただいたところでございます。  跡地利用の基本方針につきましては、先生すでに御案内のところと思いますけれども、概略を申し上げますと、二つのことが骨子になっております。一つは、筑波移転の趣旨にかんがみまして、過密解消のため、都市の防災性の向上や生活環境改善のために活用することを基本とする。したがって、公園、緑地、避難広場等への転用を主眼としつつ、現在及び将来の都市計画に適合した用途への転用を推進するということが一つ目の柱になっております。二番目は、大規模都市に真にふさわしくかつ緊要性の認められる都市施設及び文化施設等にも転用を図る。この二つが骨子になっておるわけでございます。  そこで、農林水産省関係の各機関を含みます個々の筑波移転跡地の利用計画の大綱は、いま私が申し上げましたこの基本方針に基づいて策定されておるものでございまして、公園あるいは学校、そういう公用、公共の用途に十分な配慮を払ったものになっております。私どもといたしましては、この利用計画大綱に従いまして、国有財産関東地方審議会というのが別途ありますけれども、そちらの方から答申を得て、具体的に処分を行っていきたい、かように考えております。
  369. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま説明があったような方向で——最近、金がないから国有財産を売り飛ばして一部財政の充当をしようなんということで、空き地に空閑地利用の住宅を建てればかなり建つし、金にはなるけれども、そういうことをやることは目的が移転の目的に反するから、ぜひいまの線を推し進めてほしいということを強く要望をいたして、次に移ります。  科学技術庁に質問しますが、先ほど渡部委員からも質問がありましたが、現在埼玉県和光市にある理化学研究所を筑波研究学園都市内に移転をするという計画があると聞いているけれども、これは事実かどうか。
  370. 松井隆

    ○松井説明員 お答えいたします。  現在ある理化学研究所を筑波に移転するという考えは、私どもいま持ってございません。ただ、先生御案内のとおり、理化学研究所が新たに遺伝子組みかえ実験の施設を建設したいという計画がございまして、それにつきましては、この施設の重要性、それからまさにこの施設というのは、関係研究者が多数集まりますところで産、官、学の有機的連携をとりながら研究を進めるというのが最も適当であろうということで、筑波研究学園都市に建設したいというふうに考えております。
  371. 竹内猛

    竹内(猛)委員 過般谷田部町に赴いて、だれとどういうような話をしたかということについて説明をしてもらいたい。
  372. 松井隆

    ○松井説明員 お答えいたします。  かつて理化学研究所とそれから私どもが谷田部町に赴きまして、その関係者と少しそういうことについて話し合いをしたということはございます。
  373. 竹内猛

    竹内(猛)委員 だれと会ってどういう話をしたかということを聞いている。
  374. 松井隆

    ○松井説明員 お答えいたします。  谷田部町の町長さん、それからあと議会の方たち、そういう方たちとお話ししたということがあります。
  375. 竹内猛

    竹内(猛)委員 現在この理化学研究所には研究員もいない。それから事業の主体あるいは予算等々について、新しくやろうとするならばどういう計画と構想を持っておられるか、その点について……。
  376. 松井隆

    ○松井説明員 お答えいたします。  理化学研究所における構想につきましては、現在今年度予算におきまして約四億円ほど計上してございまして、それをもとにして遺伝子組みかえ施設をつくろうというふうに考えているわけでございます。  当然のことながらこの施設は、日本の各界の特に研究者に有効利用していただこうという視点から、筑波研究学園都市を考えているわけでございまして、これにつきましては逐次そういった形で理研の中の体制等についても整備してまいる、こういうふうに考えているわけでございます。
  377. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは官、学、民が一体となって仕事をする、どういう内容の仕事を、どういう場所でやられるか。場所と仕事の内容について、官、学、民とはどういうものを言うのか。
  378. 松井隆

    ○松井説明員 まだ具体的に官、学、民の内容につきましては決めている段階ではございませんけれども、この施設については、目的といたしまして、主として遺伝子組みかえ実験にかかわる安全評価等にかかわる研究をやろうというふうに考えているわけでございます。  それで、その中身といたしましては、遺伝子組みかえ実験と申しますのは、いろいろな研究があるわけでございますけれども、まず宿主——ベクター系と申しまして、つまり遺伝子を組み込む側のもの、そういうものが安全かどうかということ、それからさらにどういった組み合わせがいいのか、いろいろな多様性のある研究を行い、そういうことをやることによって安全性の評価、研究を行うということを考えているわけでございます。
  379. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは伝えられるところによると、P4の研究をやられる。日本においては、こういう研究はまだ余りしたことはない、きわめて危険なものである。そういうものを地元には余り知らせないで、特定のところで話をして、わかったときには予算場所も決まっていたということになると、地元からいろいろな意味で声が出るのはあたりまえなんです。研究学園の中にもこれからいよいよ人が移ってこようというときに、先ほど渡部委員からも言ったように、実験をする、実験をしたものが外部に出たときに感染、発病、そしてさらに病気が増していくということになって大変なことになるということはだれでもわかることなんです。こういう問題について秘密のうちに進めるということはどういうものですか。
  380. 松井隆

    ○松井説明員 お答えいたします。  まず地元に関するお話の件でございますけれども、先ほどちょっと申しましたとおり、私どもといたしましては、理化学研究所とともに、国土庁を初めといたしまして、茨城県あるいは地元の一部関係者に対して趣旨の説明を行ってきているわけでございまして、まだ地元民に対する説明は行っておりません。今後はこれら関係者の意見を上く聞きまして、同時に地元住民に対しても納得のいく説明をしたいと考えておるわけでございます。  それからもう一つは、P4施設の安全性と申しますか、そういう点でございますけれども、もともと組みかえDNA実験というものは、人類にとって全く未知の分野であったということで、実験の安全性についても科学者の間でいろいろと心配されたという向きもあったわけでございます。その後、遺伝子組みかえ実験の経験とか実績が積み重ねられてきまして、現在ではこの種の実験は当初懸念されたほどの危険性はないという認識が科学者の間で一般的になってきているわけでございまして、事実欧米諸国でも実験指針がどんどん緩和されております。またわが国の有力研究者の方でももっと緩和すべきであるというような話になってきている状況でございます。しかし、私どもといたしましては、遺伝子組みかえ実験というのが将来さまざまな成果を生むということが期待されているわけでございまして、その成果が医学であるとか農学、薬学あるいは工学、そういう分野に広く利用されるということを考えますと、やはりおのおのの遺伝子組みかえ実験が十分安全なものであるということを確認することが必要であろうと考えておるわけでございます。そのため、たとえば安全性が十分予想されるものにつきましても、慎重を期するために安全性に関する知見を十分得るということの実験をやりたいと考えておる次第でございます。  それで、この筑波学園都市につくろうと考えておりますP4施設でございますけれども先生御案内のとおり、P4施設というのは、中で実験したものが外に出ないようにグローブボックスというものを使いまして、そのグローブボックスというのは外と完全に遮断されておりまして、人間の手を入れるところもまさにグローブになっておりまして、そういう意味では完全に外と遮断されている施設でございます。さらに使用した器具等を出す場合にも、全部滅菌をするという措置がとられている、非常に高度な安全性を保っている施設でございまして、さらにそういったものを使うについても、その体制面におきましても、学識経験者から構成される安全委員会というものを設けまして、そこでその安全性が十分図られるということを遵守していきたいと考えておるわけでございます。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕
  381. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私はここで内容にわたって議論をする時間がありませんから内容の議論はしませんが、過ぐる十七日にも御茶ノ水の全逓会館で約三百人の学生や主婦やあるいはサラリーマン、それぞれの人々が集まって、この問題について内田教授などを招いていろいろ議論をした。そして八人の質疑者が出て話をして、最初にこの問題を取り上げた、いわゆる市民の運動が起きていますね。ところが、理化学研究所の労働組合では、昨年の十二月二十七日、この問題について、移転云々についての議論をして採決した結果、一票投票の結果、移転反対をすることに賛成をする者が二百二十八、反対が五十一、わからないということで態度を保留した者が六十八というように、内部の者から反対者が多いというこの事実、これが何よりも問題の性格を明らかにしているわけですから、こういう事態についていまどのように行政としては考えておられるか。
  382. 松井隆

    ○松井説明員 おっしゃるとおり、理研の組合で本件についてまだ十分な理解を示していないという点があろうかと思っております。もともと本件につきましては、理研が中心になりましてつくりまして、筑波研究学園都市でまさに成果を上げていこうという趣旨のものでございまして、そういった意味合いからも、私どもとしても、もう少し理研の方によく話をいたしまして、その組合がこの計画につきまして、その意義等について十分理解をしていただくというふうに理研当局にもお願いして、円滑な推進を図っていきたい、かように考えております。
  383. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうは、この問題についてはこれだけで終わりますが、いずれまた日を改めて内容の問題にわたって質問をしますけれども、私はその地元ですからね。地元で初めてこれを聞いてびっくりするような状態で、地元から出ている国会議員に詳しく説明もしないようなものをいきなり持ち込むということは、これは大変な問題になりますよ。そのことだけははっきり申し上げておきます。  続いて農林水産省にお尋ねしますが、きょうの各新聞を見ますと、敦賀の原子力発電所の被害の中で、農林省の元の米の検査員があたかもその原犯人のような新聞記事が出ています。あれはとんでもないことだ。あしたも委員会がありますから、その点については調査して明確にしないと、農林省の名誉のためにも非常に困ることだと思うけれども、どうです。
  384. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  食糧庁から配置転換によって参りました検査員であるというように報じられたことは、私どもの現在の調査では全く事実無根であると聞いております。また実情については私どもも調査いたすつもりでございます。
  385. 竹内猛

    竹内(猛)委員 明日も農林水産委員会がありますから、通産省の方からも来てもらって報告してもらわないと、何か米の検査員が被害の原犯人であるような、こういう誤った報道については黙って見ているわけにいかない。しっかり調査をして正確な報道をされるように頼みたいと思います。  そこで、農林水産省の移転の問題についてはすでに同僚が多くの質疑をしておりますから、私はそういうことについては余り同じ質問をしませんが、ただこういうことだけは確かめておきたいと思います。  一部に、またあるところに研究センターをつくっていくということは、研究を一元化してこれを統制をして、やがては軍事研究に持っていくのだ、こういうようなことを言う人がいます。そういうことがあってはならないので、ひとつそういうことのないように十分に検討というかあれをしてほしいということをまず最初に申し上げますが、そういうことはないですね。
  386. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 そういうことは絶対にございません。
  387. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は筑波大学の実態を見ているのですけれども筑波大学は確かに学則によって言論、集会、結社、表現の自由が極力抑えられている。五日前に届け出をしなければ集会ができないということで、これに違反をした学生は全部処罰される、こういうことで、前々から憲法違反ではないかということで質疑を続けてきたけれども、まさかそういうことは農林水産省の技術会議の中にはないわけでありますけれども、しかし、食糧と農業というものは国の安全保障でありますから、その国の方針に向かってそれぞれの分野で、いままでの研究あるいは研修というものをその分野が担当をして、それを総合的に進めていくということは正しいことだと思うし、またそうあらねばならないというふうに思いますけれども、その点については間違いがないかどうか。
  388. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 学問の自由、研究の自由、そういうところからこそ本当の発見や発明等が生まれるもの、ごう考えるわけでありまして、やはり国家公務員であります以上、国家公務員法に基づいて、その使命感に燃えて国民のための研究に従事をする、こう確信をいたすわけでございます。
  389. 竹内猛

    竹内(猛)委員 特にこの茨城県は、北海道を除いて本土第一の農業県であり、どういう作目をもってしても上から十番目以内には入っている。それだけに農家も熱心であるし、またいろいろなところで研修をしております。  そこで、大学の研究室とそれから農林水産省の研究所との関係というものは、やはり大学が生徒相手ですから中に閉じこもることがときどきあったとしても、農林水産省の研究所というものは、大衆に開かれた研究機関であってほしい。昨年冷害がありまして、ナシの問題があって、それの病虫害に対して調査を求めたところ、非常に喜んでこれに応じてくれました。大変喜んでおりますが、そういうことは一例でありますけれども、できるだけ研究所内の農場、試験場だけではなくて、もっと一般のところにりっぱな農家がありますから、そういうものと提携をしていくような努力をしてほしいと思いますが、これに対してはどうですか。
  390. 川嶋良一

    川嶋政府委員 筑波にりっぱな研究施設ができまして、大ぜいのすぐれた研究者研究をしているわけでございますから、国と県、あるいは普及、こういったような通常の関係で農民あるいは地元との交流を深めていくほかに、いろいろな意味で地元と研究機関あるいは研究者等と交流を深めていくということは非常に大事なことではないかと思います。昨年大臣が筑波御視察のときに、特にその点について私ども強く指示を受けまして、地元とよく交流をしてやるようにということでございます。早速茨城県あるいは筑波地区関係の連絡会を開催をいたしまして、県と十分連絡をとりながら進めているところでございます。  また個別的には、周りの農民あるいは一般の方々も含めまして十分理解をしていただくための資料室とか映写室、こういったようなものを整備をして、十分外部の方々にもおいでいただく、あるいは先ほど御指摘のあったように、私どもも外に出て一緒にいろいろと勉強させていただくといったようなことを考えているわけでございます。  最近も科学技術週間がございましたが、これは私ども機関を一斉に開放いたしまして、いろいろとかなり大ぜいの方がおいでいただきまして、大変成果を上げたと思っておりますので、今後とも努力してまいりたいと思います。
  391. 竹内猛

    竹内(猛)委員 閉ざされた研究センターじゃなくて、ぜひ開かれた研究センターになってほしいということを要望します。  最後に、これは大臣にお伺いしますが、行政管理庁からの勧告として、改良普及員、これは養蚕も含め、あるいは農協の配置しているものも、あるいは生活改良普及員について、これに対してかなり厳しい勧告がされております。今日まで日本農業技術の先端に立って、大変変化に富んだ農政の転換の中で、非常に苦労してきた皆さんに対して、そういう勧告を受けたということは、それなりの理由があったかもしれませんが、今後これをどのようにされるのか。大臣は、改良普及員全国協議会の会長と言われるほど中心のお立場にある人でありますから、ぜひその点について、それの扱いについて、ひとつ大臣の所見を承りたい。
  392. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 科学技術の進展に伴う農業の近代化を進めてまいりますためには、農家に新しい技術、新しい品種、そういうものをできるだけ全国的に速やかに普及をするということが、今後の日本の農政推進のために非常に大事である、こう思います。そういう意味において、改良普及員の果たさねばならない仕事というものは、今後非常に大きなものを持つであろう、こう思うわけでございます。  農繁期のときだけしか活躍していないということで、一年の半分遊んでいるみたいな批判をする人もなきにしもあらず、こういうようなことでありますが、その休んでいる間に種を選び、その知識を農家に与え、一軒一軒農家を回って、そしてとにかく農家の相談に応じていくというのが普及員の特質であるわけでありますから、この普及員がいたからある意味において日本の戦後の農政は非常に技術が普及し発展をしてきた、こう言っても過言ではない、こういうふうに考えております。また、養蚕の指導員につきましても、むずかしい生き物を扱って、そしてりっぱな絹をつくるということは、技術が進んでおりませんと違蚕をしてしまう。この違蚕をなからしめてきたのが養蚕の技術員であるということも言えるわけでありまするし、農村の婦人の生活改善、また農家の生活改善、特に最近日本型食生活の定着をするためには、やはり生活改善普及員の今後の活躍にまつべき点が非常に多いわけです。ところが、なかなかこういうものが、農村の人目につかないところでこつこつ仕事をやっております関係上、しかも黙々としてやっておりますから目につかない。そういうことで、いつも行政改革のたびごとに厳しい批判の目にさらされる、こういう経験を経ながら、しかしその都度、本当は大事なんだということを再認識されて今日まで来ておるわけでございますので、今後も私といたしましては、将来本当に日本農業を発展せしめていくためには、技術を普及させる、そのためには普及員自身の資質向上、勉強、これも大事ではございますが、それとともに、この制度を維持発展をさしていかなければならない、こう考えております。
  393. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これでもう終わりますけれども、ぜひこの研究センターが、開かれた研究のセンターとして周辺の農民に愛され、全国の研究中心になっていくように、そして先ほども渡部委員が言ったように、画一的な一〇%削減というような、そういう行財政改革というものにとらわれないで、大臣は、農業というものの特殊性というものを、これは国の安全保障ですから、その安全保障の立場に立って、しっかりがんばってもらわないと、それはもう一番じみな、一番下働きになっておるものが片っ端から足を引っ張られて壊されてしまう。これは本当に私は残念でならない。だから、そういう点では、これからもいろいろな具体的な例であれしますけれども、ぜひこれはがんばってもらいたいということを要望して、終わります。
  394. 江藤隆美

    江藤委員長 中路雅弘君。
  395. 中路雅弘

    ○中路委員 今回の農水省の設置法案ですが、農業に関する多数の部門の専門的な知識を活用して総合的な試験研究、調査を行う、そういうことを目指しているものですし、私も先日、委員会の皆さんと現地を見せていただきまして、一定の評価をすることにやぶさかでありません。  一、二問、これと関連して最初にお聞きしておきたいのですが、農水省のこうした試験研究機関のあり方の問題ですけれども日本農業がわが国の基幹産業の一つとして、かつ総合的に発展させる見地から、専門別に細分化されたいまの試験研究機関、調べてみますと、全省庁の試験研究機関の総定員の約三分の一が農水省に配置されているわけです。この行政機構も一層簡素化、効率化しなければいけませんし、そうした観点も含めて試験研究機関を再編成していくということは、また国民の一つの要望するところでもあると思いますが、今後こうした試験研究機関について検討していく、また一度メスも入れて検討する必要があると思いますが、大臣のお考え、いかがでしょうか。
  396. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 確かに、この試験研究機関につきましては、御指摘のような点、心がけねばならないな、こういうふうに考えまして、今回もこのセンター法案を提案いたしますとともに、科学技術会議の機構を刷新をし、また農林省という行政機構の中で、技術とこの立法、法律と申しますか、そういうものがいかに渾然一体として力を発揮するかというような点も十分考慮しながらやっていかなければならないというような立場で、実は技術の尊重という立場も踏んまえて、技術総括審議官制度を設置をした、こういうこともその証左でございます。
  397. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの試験研究機関についてはひとつ重点的に検討もしていただきたいと思います。全体の事業や事務のあり方についても幾つか意見を持っているわけですが、後で御質問したいことがありますので、一点だけ、それと関連してこの問題で御質問しておきます。  先日、私たちの党も、当面の行政改革の計画の要綱の提案の中で、米の全量の検査を抜き取り検査、サンプル検査に移行してはどうかということ、これがやはり検討されるべきではないかという提案もしていますけれども、現在、東日本ではサンプル検査が進んでいますけれども、西日本ではほぼ全量検査になっているわけですね。こうしたことから、数字をちょっと調べてみますと、東日本では、検査量が五百七十七万トン、西日本は二百五十一万トン、検査官の数が、東日本が七千百九十四人、西日本が六千八十六人ですから、一人当たりの検査量で、トンで出しますと、東日本が五百六十六トン、西日本が二百五十三トンという大きなアンバランスが生まれているわけです。農水省として、こうしたアンバランスを是正するとともに、やはりサンプル検査への移行を本格的に進めるべきであるというふうに私は考えますが、いかがお考えですか。
  398. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  現在、食糧検査関係に多数の食糧検査官が携わっておりますが、ただいま先生指摘のように、食糧検査の関係では、毎個検査と称されて全量検査をすることを従来たてまえとしておりましたが、最近におきましては、抽出検査にかなり移ってまいっております。したがいまして、食糧庁におきまして現在検討しておりますのは、現在、地域的な差はございますが、これらをできるだけ抽出検査へ移行させながら検査官の合理化を図ってまいりたい。ただ、これを実施いたします際には、やはり抽出検査をいたします場所の設定等におきまして、生産者団体との、いろいろ地元での調整を図りながらいたしてまいりたい、このように考えておりますので、できるだけそういう方向に進みたいとしておるところでございます。
  399. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御答弁ありましたけれども、この検査については、サンプル検査へ全面的にやはり移行していく必要があるだろうと思います。そしてこの問題は、やはり事務、事業の問題あるいは定員管理のあり方の問題等とも深く関係していますから、ひとつそういう点で十分検討して進めていただきたい。  きょう私は、時間の中で、関連をしていますのでぜひ御質問したいという問題がありますが、気象庁はお見えになっていますか。——農林水産業にかかわる問題でもありますのでお尋ねしたいのですが、気象庁が、第五次の定員削減計画の第二年度、本年度分として四十六名の定員削減計画を出されたわけですが、その中で、第三次の定員削減計画の柱として出して、当時反対も強くて一度断念された測候所の夜間の仕事ですね、十四カ所、測候所の夜間を無人化するということを、これも四月一日からすでに強行されたわけですけれども、この測候所の夜間閉鎖というのは、農林水産業にもあるいは地域住民にも見過ごすことができない大きな影響を持つ問題ですが、十三時間無人化になるわけですから、これは測候所の将来、存立にもかかわってくるのではないかと思いますが、私は、聞きますと、いまの測候所は、資料も少ないですし、もっとアメダスやレーダー等の資料も配信して、ある面では充実しなければいけないとも思っているんですが、こういうようになってきますと、将来廃止のおそれもあるわけですが、この点について最初に所見をお聞きしたいと思います。
  400. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  測候所の将来廃止につながるかという御質問だと思いますが、私どもは測候所の現地におきます第一線の気象業務としての重要性、観測上の重要性、それから地元への照会、応答の重要性から考えまして、ただいまの段階では考えておりません。
  401. 中路雅弘

    ○中路委員 ただいまの段階で考えてないというお話ですけれども、この測候所の重要性からいって、私はむしろある面で、測候所は測候所としての役割りがありますから、さらに充実をしなければならないと思っているわけですが、もう一度お尋ねしますけれども、気象庁として測候所を廃止するというようなことは毛頭考えてない、そういうお考えですか。ただいまは考えてないというのは、いずれこれから、いま無人化、さらに廃止ということも一つ頭にあるのですか。
  402. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  気象庁がこの十年近くにわたりまして計画し、現在進行しております予報業務の体制並びに観測業務の体制は、新しい形の技術に基づくものであります。しかしながら、新しい形の技術といえども、たとえば全部東京に集めて統括制御をするとか、あるいは全部大阪に集めて統括制御をするということはできるべくもありませんし、するべきでないと考えております。現在進行中のものは、地方気象台へ重点的に機能を集約しつつあるわけでございますけれども、測候所が完全に姿を消して、すべて地方気象台へ吸収されてしまうということはあり得ないと考えております。
  403. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一度この問題は後で関連して御質問しますけれども、今度十四カ所、いまの夜間の無人化の処置をとられるときに、気象庁はこれに伴う処置として幾つか対策を立てておられますけれども、その中の、たとえば気象庁が測候所の夜間の閉鎖に伴うサービス低下を防ぐ決め手としておられた夜間電話の転送装置ですか、これが電電公社から違反の付属物だと判定されて、実際には実現していない。気象庁は関係自治体にもサービス低下を来さないと繰り返し言明されていますけれども、実際に、かわるものとして約束されたこともできないで、そして一方、無人化だけは四月一日から強行する、これは大変けしからぬことだと私は思うのですが、この夜間電話の転送装置の問題はどうなったのですか。
  404. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答えを申し上げます。  当初、夜間の測候所所員の無人帯に測候所あてお問い合わせの電話がかかった場合は、自動的にそれが二十四時間勤務体制の地方気象台へ転送されて、そこで職員がお答え申し上げますとの御説明を申し上げてまいりました。しかしながら、その後その転送装置に問題があることがわかりまして、四月一日からは、当面コレクトコールの方式でございまして、地方気象台へ問い合わせの電話をいただきますと、着信払いの方式で対応させていただいております。  なお、自動的に転送される装置が一刻でも早く使用可能になるように努力を続けているところでございます。
  405. 中路雅弘

    ○中路委員 電電公社の方は気象庁から申請があっても認められないとはっきりと言明しているわけですね。今後努力してみるという、それは言い逃れであって、できないことを対応処置だということで、この無人電話転送装置を整備しますということをうたわれているわけです。それができないことが明白なんです。できないことが明白なんだけれども、事実上の夜間の閉鎖、これだけは強行する、ここにも私は大変けしからぬ今度のやり方が出ていると思います。  もう一つこれに関連してお尋ねしますが、宮崎地方気象台長と都城測候所長の連名の「市民の皆様へ」というビラがここにありますけれども、このビラも当初都城市に依頼して配布する予定でしたが、市長の賛同を得られないで突っ返されたといういわくつきのビラですけれども、このビラの中に、時間が限られていますから全部読みませんけれども、「台風が接近しているとき、大雨による被害が予想されるとき」云々ということで、「夜間でも測候所員を配置して、」万全の体制をとるから御安心くださいという趣旨のことが書かれているのですが、最初にお尋ねしますけれども、ここで言われている「大雨による被害が予想されるとき」というのは、警報で言うと何の警報が出るときですか。
  406. 駒林誠

    ○駒林説明員 大雨警報または暴風雨警報が該当すると思います。
  407. 中路雅弘

    ○中路委員 あなたは直接担当者でありながら、そういううそを言ってはいけないと思うのです。気象業務法だとか施行令四条だとか、予報業務規則の二十八条には何て書かれてあるのですか。大雨の被害が予想されるときは、注意報の発令ということが明白になっていて、気象庁の規則によれば、注意報の規定に当てはまるということは明白じゃないですか。
  408. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  宮崎で気象庁がお配りしましたビラの中の文章は、気象庁側の夜間の異常時に対する対応を述べたものでございまして、気象庁といたしましては、警報級のものを対象に夜間臨時勤務すると考えております。
  409. 中路雅弘

    ○中路委員 そうではなくて、私が聞いているのは、気象庁の規則では、大雨による被害が予想される場合には何を出すということが明記してありますね。これは注意報の発令でしょうと言っているのです。
  410. 駒林誠

    ○駒林説明員 大雨注意報でございます。
  411. 中路雅弘

    ○中路委員 警報ではないのですよ。注意報なんですよ。皆さん自身が決めている規則ですね。そうして今度の夜間閉鎖のときの、かわる処置として夜間に臨時の人を出す、その場合は警報発令、そのときに夜間臨時職員を対応させますということを対応処置として出しているわけですね。注意報のときに人を出すというようなことは決めておられないのです。しかし、この市民に対するビラでは、注意報のときに人を出しますから大丈夫ですということでビラを出している。  これはこのビラのミスだけではないのですよ。たくさんあるのですが、たとえば、別の今度閉鎖のところですが、鹿児島県の阿久根測候所、この市の広報紙の「あくね」の四月号、四月十日発行の十三ページに皆さんが「夜間閉鎖しましても、台風や大雨による被害が予想されるときなどは、夜間でも所員を配置して監視や観測を行なう」と書いてある。これもうそでしょう。注意報のときは人を出さないのでしょう。間違いありませんか。
  412. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  注意報段階そのもので、警報段階には及ばないと予想される場合には、夜間臨時勤務は原則として考えておりません。注意報段階でありましても、それがそのまま警報段階へ発展するおそれがあると予想される場合には、臨時勤務をするように考えております。
  413. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、私が言っているのは、ここで言われている「大雨による被害が予想される」ということは注意報の発令だから、そのときには人を出さないわけだ。それを人を出してやりますから万全ですということで、皆さんが広報に出したり、市民に出しているビラは間違っているのだから、少なくともこのビラは間違いでしたということで、そのことを明らかにしないと、こういうことで万全の体制がありますから、今度こういう体制をとりますということは、明白に市民を偽ることになるわけだ。少なくともこのビラは撤回しますか。
  414. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  万全ということの意味でございますけれども、職員が夜、異常気象に対応するということだけではございませんで、現在の観測方法、いま宮崎県の例が出たから申し上げますと、たとえば宮崎の地方気象台には、県内二十七カ所、それから隣接県の風、雨、気温などの気象資料を自動的に時々刻々入手するようになっておりますし、また福岡、種子島にあります半径三百キロの探知範囲を持ちます気象レーダーの観測結果がファクシミリを通じて常時入るようになっております。こういう形で異常気象を宮崎で監視しておりますが、さらに鹿児島地方気象台では、宮崎県を含めまして南九州全域を常時監視しております。加えて、気象庁本庁では全国を常時監視いたしておりまして、二重、三重の異常気象の監視体制をとっております。こういう現在の科学技術の水準から判断しまして、これをビラは「万全」という言葉は、言葉がややきつかったかもしれませんが、そういう気持ちをくんでいただきたくて表現したものだと思います。
  415. 中路雅弘

    ○中路委員 全くけしからぬことをあなたは言っているのだよ。そういうことを言っているのではなくて、このビラでぼくは言っているのだよ。もう一回読みますよ。「大雨による被害が予想されるとき、」は「夜間でも測候所員を配置して、」そういう万全の体制を考えておりますから「ご安心いただきたいと思います。」と書いているのですよ。だから、いま認められたように注意報のときでしょう。注意報のとき大雨が降る被害が予想されるときは、夜間でも測候所員を配置していますから御安心くださいと書いてあるから、これは違うでしょう、さっき言ったように、警報のときしか夜間測候所員を出さないのですよ、お認めになられたように。だから、これは間違いだから、市民に間違ってこういう報道をして、所員を配置していますというのは違うから、こういった間違った、気象庁自身が決めている規則からも間違ったことをビラで出しているのだから、これは撤回しなさいと言っているのですよ。
  416. 駒林誠

    ○駒林説明員 先ほど申し上げましたとおり、注意報の中にも程度があると考えられまして、警報へつながるおそれがあるような注意報の場合は、警報級の災害を予想される場合には臨時勤務いたします。原則としては、警報級につながらない、注意報の中でも初中等程度でもとへ戻る、終わってしまうものについては残さないつもりでおります。そのビラの表現があるいは——先ほど先生がお読みになった基準は、法律的な用語の定義でございますが、日常的な災害というような言葉でそのビラは書かれていると思いますので、私は、本質的には誤りでなくて、意をくみ取っていただきたいと思っている次第でございます。
  417. 中路雅弘

    ○中路委員 これだけにこだわっているわけにはいきませんけれども、皆さん自身が法律の施行令や規則の中で、こういう場合は注意報ですよ、こういう場合は警報ですよと決めて、そうして警報が出るときは測候所員を出すけれども、注意報の方は出さないのですよ。その注意報の条文のところの文章を出して市民に配って、測候所員を出すと言っているから、これはうそをついていることになるから、こういうビラは撤回しなさい。これも一カ所でミスを出したのではなくて、いま言ったように、ほかのところでも鹿児島でも広報でそれを出しているから、そこはきちっとしなさいということを私は言っているのですよ。これはけしからぬことですよ。この文章は間違いでしょう。大雨の被害を与えるというときは注意報ですから、注意報のときは測候所員を出さないのですよ。警報のときには出すのです。注意報のときには、こういうときにはまだ測候所員を出さないのだということははっきりしているわけだから、それを出して——市民からどんどん電話が来るのですよ。その電話について取り次ぐ電話だってつけないで強行しているわけでしょう。だから私は、こういうビラは撤回をしなさいと言っているのです。後でもう一度お話ししますけれども、これは全くけしからぬことですよ。  それじゃもう一度その問題と関連してお尋ねしますけれども、夜間無人化になると、もちろんさっきおっしゃったように、気象台が機械化になって二重、三重ということをおっしゃっていますけれども、目視でなければできない問題がありますね。やはり機械にかからない観測、波浪だとか積雪、霜、特に海上の実況、皆農林水産に大変大きな影響を持つ問題です。これはやはりできないわけですし、私も調べてみましたら、今回夜間閉鎖の対象になっている十四測候所の昨年一年間の十八時から翌朝八時までの夜間における注意報、警報の発令回数が百回を超えているところが、この中で八つの測候所に上っています。むつ、伊良湖、呉、萩、飯塚、平戸、阿久根、都城、それから夜間の問い合わせが異常時に一晩で五十件を超えるところが伏木、伊良湖、飯塚、阿久根、都城、五つの測候所に上っています。特に出漁の前の実況問い合わせあるいは農家の霜に対する問い合わせということは一晩で十件を超えるところが何カ所もあるわけです。こうした中で、いまの処置はサービス低下にならないというのは、私は強弁だと思うのです。その点はいかがですか。
  418. 駒林誠

    ○駒林説明員 今回の措置によりまして、測候所の職員が夜の七時に帰りますと、従来夜の九時に観測をしておりまして記録をつける作業をしておりましたその観測が、機械の分だけになりまして、先生のおっしゃいますとおり、雲の種類であるとか霧であるとか霜であるとかは現在機械でははかれませんので、そこのところは欠測になります。しかしながら、たとえば霜注意報でございますと、翌朝の一番気温の低くなるときに、風速が何メートル以内で温度が、そのときによって違いますが、何度程度まで低下すると予測される場合に出されるわけでござまいして、極力前日の夕方までに出すように努めておりまして、測候所の職員が昼間勤めている時間帯にお答えできるように努めているわけでございます。またどうしても夜急に霜注意報など出さなければいけない場合でございましても、地方気象台からテレビ、ラジオを初めとしまして、県の消防、防災課等の、県によって違いますけれども、窓口へ連絡いたしますと、地域防災計画に従いまして、行政無線等を通じまして市町村へ連絡が行くようになっておりますので、総合的にサービスが低下したとは考えておりません。
  419. 中路雅弘

    ○中路委員 あなたも認められておるように、私が言ったこうした——特に海上の実況なんていうのは、これはいまの話の中でもできないわけですよね。霜やあるいは農業に非常に関係のある問題ですね。こういうところはサービスの低下になるということは明白なわけですね。特に測候所というのは、地方気象台や管区の気象台で把握できないところを、地域と結びついて、地域の気象の特異性や産業のあり方をよく知った測候所が担当して地域に合ったサービスをやるというのでいままでやってきたわけですから、こういった点では明らかにサービス低下になりますし、地元の農業、漁業の関係者あるいは関係の自治体がこぞってこの問題ではいま反対しているというのは決して理由がないわけではないわけなんです。しかも、皆さんが対応処置だということで考えられた電話はつけられないということですから、こういうときに関係者の皆さんと話し合いもつかないまま強行するということは、私は許すことができないことだと思います。四月一日からすでに強行されておりますが、この夜間の無人化を一時中止して、関係の農漁民団体、あるいは特に地方自治体ですね、と十分話し合ってもう一度やるべきだと考えますが、いかがですか。
  420. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  私どもの措置が、説明にあるいは不十分なところがあって御心配をおかけしている面もあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、現在のこの措置をいま直ちに中止するあるいは直ちに撤回するということは考えておりません。私どもの措置は、単に第五次定員削減という、公務員を減らすということだけでこり固まって出発したわけではありませんで、それの目的ももちろんかぶさっておるわけでございますが、予報技術、観測技術の時代的変化とともに進んでいるものでございまして、それの私どもの説明の仕方がいままでに至らなかった点があれば、これからも一生懸命に努力いたしたいと思います。
  421. 中路雅弘

    ○中路委員 説明が至らないんじゃないんですよ。さっきのビラでもあるように、市民に事実上うそをつき、それから約束したこともできないまま強行もするというところから、大変皆さん不安になって、いろいろの陳情や請願がいま殺到しているわけですね、気象庁にも。特に全気象の組合の皆さんがいま、無人化になるむつだとか宿毛だとか都城の測候所で手弁当で自主的に夜間も当番制を組んで観測、通報、地元への伝達、電話応対をされているわけですが、これについて気象庁はいかがお考えですか。
  422. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  職員団体が自主観測と呼びまして行っている夜間勤務がございますが、これは業務命令にのっとっていない業務でありますので認めることはできません。したがいまして、気象庁は中止するように通告しております。しかしながら、現状ではその自主観測と呼ぶ仕事が施設や気象庁の業務に支障を与えておりませんので、たとえばかぎをかけて入れなくするとかいう方法はとりませんで静観している状態でありますが、職員団体が良識ある行動をとるよう希望しておる次第であります。
  423. 中路雅弘

    ○中路委員 地元の一般の世論もあるいは地元のいろいろな新聞を見てもこれを称賛しているのですよ。かぎかけて追い出すどころじゃないんです。私、きょう例を挙げませんでしたけれども、その三つの測候所で自主的にやっておられる仕事を全部聞きました、注意報を何回出しているか。それがどれだけ役に立っているかということもいろいろ一般の世論にも出ていますし、これは宮崎日日新聞を見ますと、四月三日付ですが、「近年、公務員の公僕精神が失われつつある中で、組合員の行政サービスに徹する姿がひときわ光る」ということで、仕事についてもいろいろ一般紙も報道しているところなんですね。公務員が国民に奉仕するという立場で、こうした不当な夜間の閉鎖に対してあくまで公務員として住民へのサービスを守るという立場から手弁当でやっているわけですが、こうした点について私どもは積極的に支持していきたいと思います。  いずれにしても、今度閉鎖をされるところ、私はこれは農林大臣にちょっと聞いていただきたいのですが、調べてみますと、みんな農漁業に大変影響のあるところなんですね。たとえば冷害もあり農業関係者がいつも頭を痛めています青森県のむつだとか、あるいは愛知県の渥美半島、これは野菜の好適地ですし、台風の常襲地帯であり養殖漁業の高知の宿毛ですね。あるいは霧でいつも問題になります平戸、香川県の種なしブドウの生産地方、霜でやられれば壊滅するというお茶とたばこの宮崎県の都城と、挙げると枚挙にいとまがないわけです。私がこうした点でお聞きをしますと、これだけ地元の農漁業関係者にも影響を持つ問題を運輸省は農林省とも全然相談しないでやった、まだ話もしていないというお話ですから、ひとつこの問題について、地元の農業関係者、それから自治体もいま挙げて反対しているわけですから、もう一度関係者で十分話し合ってみる必要がある。少なくとも農業や漁業の関係者が心配されている不安は取り除いていかなくてはなりませんから、その点で、ひとつ御足労ですけれども、農林大臣の方から運輸省の方にも話していただいて、いまこのまま、片方では自主宿直だということで始まっている、地方自治体も農業関係者も反対をしている、一方では約束した電話もつかないまま事実上夜間は閉鎖をするということでは、これは行政のあり方としても住民の皆さんの中に混乱を広げていくばかりになりますから、一度この解決について関係者で十分話し合っていくように処置をしていただきたいのですが、いかがですか。
  424. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 もう農業気象は農家にとっては本当に大事な大事な一番の頼みの綱と言ってもいいくらいの役割りを果たすわけでありますから、実は気象庁からこの話が持ち込まれたときに、たしか地元と話し合いが十分つくというようなことを気象庁では言っておられたと思うのです。ところが、いま先生のお話をお聞きしてみますと、地元との間にその話し合いがついていない向きもあるようでございますので、私のところなんかもしょっちゅう、これから五月の初旬にかけて霜がおりる、そうすると、もう養蚕なんか春蚕はだめ、桃は一年だめ、リンゴもだめと、こういうことになるので、一家総出で一晩じゅうタイヤを燃やしたり重油を燃やしたりして霜の被害を食いとめるという努力をするわけです。そのときの基準というか、指図というか、状況というか、そういうものを地域的に確認してくれるのが気象庁なわけですから、その方が夜いなくなったとなると、農家は心配でございますから、そういう点では農林省の方からもよく気象庁の方に申して、よく話し合いをして、そしてどうしてもやらなければいかぬというときには、いろいろやり方も考えられると思うのですね。話し合いをして、地元の方が納得がいくような方策をとるべきであろう、こう思いますので、私の方からも運輸大臣の方にお願いをしたい、こう思います。
  425. 中路雅弘

    ○中路委員 いま大臣から運輸大臣にもお話をしていただくということなのですが、大臣も繰り返しおっしゃったように、霧だとか霜だとか気温、本当にこういった各種の気象情報というのは、特に農業関係者にとっては死活問題です。こういうところで本当にサービス低下にならないように、いずれにしても、解決していかなくてはなりませんから、お約束のように——さっきのお話ですと、気象庁から地元との話もつくからやるというお話だったというのですが、いまお話ししたように、全く関係者は納得していないわけですから、十分話し合いをしていただくように、この問題をお願いしておきたいと思います。  時間ももう余りありませんので、あと時間の中でほかの問題に移りたいのですが、午前中も同僚の榊委員が特殊法人のあり方だとかあるいは弱小法人の統合、簡素化等についても意見を述べましたけれども、私はこの特殊法人とあわして公益法人——時間がありませんから全部調べたのをここでお出しするわけにはいきませんけれども、公益法人を調べますと、公益法人の役員への天下り、これも持参金つきといいますか、いろいろの補助金や委託金や補給金など役員への持参金つきの天下りが、調べてみますと八十八の法人。こういうところにもありますから、特殊法人だけじゃなくて、全体として公益法人等にもここで抜本的なメスを入れるということが私は必要ではないかと思うのです。これは農林水産関係だけの問題を言っているわけではありませんけれども、こうした特殊法人とあわして公益法人等についても抜本的な検討をやるということについてはいかがですか。
  426. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  公益法人の農林水産省所管の数でございますが、社団法人二百九十九、財団法人百六十二、合わせて四百六十一ございます。公益法人につきましても、今後私どもとしても、そうした御指摘のような点について留意してまいらなければなりませんが、私どもいま公益法人について若干述べさしていただきますと、昨年民法の改正がございまして、解散等の手続も変わりまして、実は公益法人の中に戦前からのあれで休眠法人が比較的ある、こうしたものがまたときどきトラブルを起こすというような事例がございますので、目下この公益法人については、特に休眠法人の解散なりを指導いたしておりまして、現在までに自主解散させたものが三、設立許可の取り消しをしたものが四というようなことで、なお九つの法人についてこうした整理をいたしまして、こうした公益法人についてもきちんとした姿に引き戻したいと考えているわけでございます。
  427. 中路雅弘

    ○中路委員 さらに、最近も発表になりましたけれども、特殊法人の役員への天下り問題、これも私は大変重要な問題だと思いますが、政府はいままで特殊法人の役員への天下りを規制するとかあるいは天下りを常勤役員の半数以下に抑制するということなど閣議決定されてきたわけです。調べてみますと、今日に至っても、この天下りの比率が六〇%前後に上っています。天下り官僚が全役員ポストを占めている法人も二十法人以上に上っているわけですけれども、官僚OBだけでなくて直接の天下り組の比率は、年々見ますと高くなっているわけですね。天下りの比率とそれから直接の天下り組の比率及び天下りの官僚が全役員ポストを占めている法人数の推移がどうなっているのか、最近五カ年について、各年の一月一日現在でいいのですが、簡潔に数字を説明いただきたいと思います。
  428. 栗林貞一

    ○栗林説明員 特殊法人の役員の関係でございますが、まずことしの一月一日で数字を把握いたしますと、国家公務員から直接特殊法人の役員になられた人が三百十八人でございます。それからそれに準ずる者と申しますか、民間に一回行きまして、あるいは法人の部内に入ってから上がった人、これが百二十四人で、四百四十二人が合計でございます。五七・五%でございます。  昨年の一月一日は、直接が三百二十二人で、それに準ずる者が百四十五人、計四百六十七人、直接の分でも何人か減ってはいるわけですが、全体の役員数が減ってきておりますので、率では〇・数%上がっております。  その前は、合計で申しますと、五十二年の一月が四百九十四人、五十三年の一月が四百八十七人、五十四年の一月が四百八十九人でございますが、これは先生御承知のように、五十四年の一月まではどんなに民間に長くおっても全部この中に入っております。  それから、五十四年の暮れに閣議了解で、先生おっしゃったように半分という線を決めましたので、具体的に国家公務員から直接行く場合に準ずる者はどうだという線を決めまして、五十五年の一月から運用をしておりますのがいま申し上げました数字でございます。それで、昨年の一月からことしの一月にかけてはいま申し上げましたような数字で若干減少をしてきつつあります。  それから、国家公務員出身者が全役員を占める法人は、確かに五十二年の一月から三年の間、二十四、二十七、三十と実はふえたのでございますけれども、これも先ほどのようなことで、従来の考え方で計算してふえておるわけでございますが、五十五年の一月はこれが若干減りまして、新しい閣議了解の線でいけば二十一でございます。ことしの一月は、やはり私ども二十一と言わなければならないと申しますのは、実は民間の人がちょうど任期いっぱいでやめまして、民間の人を探しているために、一月一日でとりますと、どうしても全役員が国家公務員出身になるというようなものも入っておるわけですけれども、とにかく一月一日現在でとりますと二十一という数字になっております。
  429. 中路雅弘

    ○中路委員 閣議で少なくとも半数以下に抑制するということを決定されているわけですけれども、いま御説明いただいたように、天下りの比率はやはり六〇%前後になっています。そして天下り官僚が全役員ポストを占めているというのが二十の法人を超えているのが現状だと思うのです。  農林水産省の所管の特殊法人についても、やはり天下りの比率が大変高いのですね。もう余り時間がありませんから、私ちょっと調べてみたのですが、間違いなければ確認していただきたいのですが、十四の農林水産省所管の特殊法人で、役員への天下りをさっきの説明のようなことで計算しますと六五%になります。認可法人をとってみますと、六つのうちで合計しますと七五%ということになるわけですから、いまの比率よりもさらに多いわけですし、天下り比率が一〇〇%になっている法人がたしか三つですか、ありますから、この点でも全体の比率よりもさらに高いということもありますが、いま私がお話ししたのはほぼ間違いありませんか。
  430. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 最後の三法人は確かにそのとおりでございますが、国家公務員出身者数の先生指摘のいわゆる天下りの比率でございますが、私ども特殊法人の場合六〇・四%、認可法人の場合六七%、このような数字になっております。
  431. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしても六〇%を超えているということですね。こうした天下りの実態に対しては、御存じのように一般の新聞、世論等も、たとえば新聞の見出しを見ましても、閣議決定をこけにした役人天国だとかあるいは公費天国と同様に高級官僚の優雅な天国が許されるはずがないというような主張も出ているわけですが、農林水産省の関係でもいま言った現状なんです。大臣、これはいかがお考えでしょう。
  432. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 やはり閣議決定でできるだけ民間から登用するようにということを決めてあるわけでありますが、いざ適任者ということになりますと、なかなか実はむずかしいという面もあるわけです。たとえば機械化研究所というところがございますが、ここで機械の検査をするということになりますと、検査権というのがありまして、そういう面で公務員の経験者でそういう仕事をした人にどうしても選定の幅が狭まってくるというような事情がそれぞれございますが、努力をいたして半数以下にするような方向に持っていきたい、こう考えております。
  433. 中路雅弘

    ○中路委員 この天下りの問題は、戦前の営団だとか統制会の時代からその弊害が指摘されてきた古くて新しい問題だと思いますが、特殊法人の天下りも真に規制するためには法的な規制を加える必要があると私は思いますが、いまおっしゃったように、みずから決めた開議決定というのがあるわけですから、これをひとつ厳格に守って、すべての法人について閣議決定にあるように比率を五〇%以下になるように当面全力を尽くすべきであると私は考えるわけですが、これはもう一度官房の方と大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  434. 栗林貞一

    ○栗林説明員 私ども閣議了解、閣議決定の線を厳格に守っていくことは当然だと考えておりまして、閣議了解が五十四年の十二月になされましてから非常に厳格に各省庁と相談しながらやってきているつもりでございます。  ただ、ここで申し上げたいのは、一つには閣議了解がありまして、全特殊法人の役員について半数という目標は定められましたが、いま現に役員がいるわけでございますので、やはりその任期切れのときをつかまえながら人選をして、適任者を探していくということで、徐々にその目標に近づけるということしかないわけでございます。  それからもう一つは、民間の方をできるだけ登用するということは、確かに閣議了解に書いてありますし、その線でやっておるわけですが、実はこれは言うべくしてなかなかむずかしい問題でございまして、各省庁とも非常に努力をしながらやっている。たとえば民間からと申しましても、具体的にエキスパートの専門家がどういうふうに得られるか、本当に優秀な人材が来てくれるかどうかというところは、実は給与の問題と絡んでおりまして、なかなかそういう方は給与で折り合わない。それから特殊法人は、先生御承知のように、たとえば余り長期はいけない、高齢はいけないというふうなことになってきますと、会社に帰ってからどうするのか、その辺の問題も非常にむずかしゅうございます。その辺を一つ一つ乗り越えながら閣議了解の目標を達成していこうということで努力しておるわけでございます。法人部内から上げると言いましても、やはり日が浅いとかあるいは小さな法人はなかなか現実むずかしゅうございます。その辺も十分踏まえた上で閣議了解をなるべく早くその目標を達成できるように努力していきたいと考えております。
  435. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほどお答え申し上げたように、閣議決定の線を極力実行できますように努力をいたします。
  436. 中路雅弘

    ○中路委員 あと二問で終わりますが、いまいろいろおっしゃっていますけれども、実際にはさっきの統計のように、直接の天下りは決して減ってないのですね。むしろパーセントで見ると若干高くなっている状態ですから、ひとつこれは厳格に守るようにやっていただきたい。  あと二問ばかりですが、一つは、これは御検討いただきたいと思いますが、天下りの問題で、個別企業への天下りの問題とともに関係業界団体への天下りというのもあるわけですね、いろいろの業界。この点は各省庁の関連企業への行政指導が業界団体を介して行われるという面もあって、高級官僚の関係業界団体への天下り、これはある意味では、個別企業に天下りするよりも弊害が大きい場合もあります。かつて大平前総理もこれは自制しなければならないということを答弁でされたこともありますけれども、私は現行の天下り規制というのがこうした関係業界団体への天下りは全くしり抜けで規制していませんから、この業界団体への天下りについても規制するような一定の検討が必要ではないかと考えているのですが、いかがですか。
  437. 金井八郎

    ○金井政府委員 国家公務員法の第百三条で、離職した公務員に民間への就職を制限している、その対象となりますのは、いわゆる営利企業であります。営利企業と申しますのは、商法上の商行為を営業として行う企業を指しているわけでございまして、御指摘の業界団体は、確かに業界全体の利益のために行動する、連絡調整等しているという団体であるわけですが、公務員法で申します営利企業には該当しないというふうに考えております。  この問題は、営利企業の就職承認制度に関連しまして種々御論議をいただいておる中で御指摘もいただいているわけですけれども、やはり憲法上の職業選択の自由の問題もございますし、かたがた公務員の服務規律を確保していくという立場でのこの制度の趣旨から申しますと、さらに違反行為につきましては刑事上の刑事罰も科されているわけでございます。それらのことを考えていきますと、やはり営利企業は企業そのものを対象にしているのであって、いわゆる業界団体までを営利企業に含ましめるということについては、現在のところ消極的に考えざるを得ないわけでございます。
  438. 中路雅弘

    ○中路委員 これはさらに私は検討していただきたいということだけにきょうはとどめますけれども、たとえば私鉄運賃値上げの認可の際に、民鉄協会の理事長に運輸省の官房長がついているとか、あるいは電力会社やガス会社の業界団体に通産省の高級官僚が天下っている。やはりこれは検討しなければいけない。個別企業の問題と離して考えられない問題ですから、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  最後にもう一問ですが、現在の天下りの規定が離職後二年間に限って規制するということになっていますけれども、これは本省の局長クラス以上にとっては大変短過ぎて効果が少ないのではないかと私は思うわけです。  ロッキード事件で逮捕、起訴された若狭氏の場合も、運輸次官をやめた後、たしか日本船舶振興会で二年過ごしてすぐ全日空の副社長ということですし、その点では、離職後二年以降五年以内についていた地位を調べてみますと、その多くが、通産だとか大蔵を見ますと、次官の経験者で、資料もありますけれども関係大企業の役員の地位についているということも非常に多いですね。もとへ戻りますが、さっきの業界団体も大蔵省、農水省、通産省、運輸省、郵政省ということで、運輸省は特に多いですが、たくさんの高級官僚が業界団体に入っています。  こうした年限の問題についても、調べてみますと、たとえばフランスでは離職後五年間天下りを規制しているわけですけれども、離職後の規制期間の延長についても検討すべきじゃないかと考えるわけですが、いかがですか。これで終わります。
  439. 金井八郎

    ○金井政府委員 現在の公務員法の制定当初の際に、離職制限につきましては離職後二年間、それから在職期間につきましても二年という形になっておりましたのが、その後の改正におきまして、離職前は五年間在職した国の機関という形に改正されました。その際に、離職後の年限についても検討がなされたわけでございますけれども、離職前は五年まで延ばして、企業と関係のある国の機関に五年間在職した者というふうに延ばした反面、離職後につきましては、二年のままにされた経緯がございます。これはやはり先ほど申しました職業選択の自由との関係もございますし、かたがた服務規律を確保していく点から申しますと、離職後二年間たてば、その不当な影響力をかつて在職した国の機関に及ぼすというおそれは比較的少ないのではないかという判断があったのではないかというふうに考えておるわけでございます。  この問題は、御指摘のように、各方面からも御論議いただいておりますので、私どもも常日ごろその点については検討は加えているところでございますけれども、現在のところは二年という形で大体支障がないのではないかというふうに考えております。  なお、諸外国の例も御指摘いただきましたが、フランスにおきます離職後五年間と申しますのは、これは在職中職務上関係のあった企業へ行くことを禁止しているわけでございます。わが国の制度は、在職した国の機関と企業との関係が密接であれば、その機関に在職した職員はすべて審査の対象になるということになっておりまして、若干制度の相違がございます。  なお、他の先進国につきましても、就職制限をしているのは、主要なところではイギリスとフランスだけでございまして、アメリカあるいは西ドイツにつきましては就職制限制度はございません。企業に入るのは自由でございますけれども、その後の行動が規制されているだけという状況になっておりますので、相対的に見ますと、国際的にわが国の公務員の就職制限制度は比較的厳格なものになっているというふうに考えているところでございます。
  440. 中路雅弘

    ○中路委員 時間なので終わります。
  441. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  442. 江藤隆美

    江藤委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。農林水産省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  443. 江藤隆美

    江藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  444. 江藤隆美

    江藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、愛野興一郎君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の共同提案により附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。上田卓三君。
  445. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の各派共同提案に係る農林水産省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農林水産省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について善処すべきである。  一 今後における農業関係試験研究推進に当たっては、先の衆参両議院における「食糧自給力の強化に関する決議」の趣旨を踏まえ、農業研究センターの発足を契機に、時代の要請に応じた総合的な試験研究体制の整備を図るとともに、基礎研究を一層充実し、開かれた研究機関として地域農業の振興及び地域農業者の要請に応えるよう努めること。  一 筑波研究学園都市の建設の趣旨にかんがみ、当該区域に勤務する職員の勤務条件の改善、特に筑波研究学園都市移転手当について適切な措置を検討すること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じてすでに明らかになっておることと存じます。  よろしく御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  446. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  447. 江藤隆美

    江藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  448. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいまは農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果、御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  私といたしましても、本委員会における審議内容を十分尊重いたしまして、今後とも農林水産省に与えられた任務の遂行に全力を尽くす所存でございます。  また、ただいま御決定になりました附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、善処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————
  449. 江藤隆美

    江藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  450. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  451. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る二十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十八分散会