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1981-04-15 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十五日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 畑 英次郎君    理事 堀之内久男君 理事 阿部喜男君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       長谷川四郎君    吹田  愰君       森  美秀君    久保  等君       武部  文君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君  委員外出席者         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         日本電信電話公         社経営委員会委         員長      吉國 一郎君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山内 正彌君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社施設局長   前田 光治君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 四月十三日  福岡市に電電サービスセンター設置に関する請  願(太田誠一紹介)(第二八一九号)  一般テレビ番組への字幕・手話通訳挿入に関す  る請願石原健太郎紹介)(第二八四三号)  文字多重放送聾唖者向け利用に関する請願  (石原健太郎紹介)(第二八四四号)  身体障害者に対する郵政行政改善に関する請願  (石田博英紹介)(第二九一九号)  同(粟山明君紹介)(第二九二〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣  提出第四〇号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、ちょっと冒頭に恐縮ですけれども、けさの新聞等では、いわゆる公共企業体職員に対する春闘ベースアップの問題がかなり政府部内でも煮詰まってきて、本日は何か関係閣僚のお集まりがあると聞いておりますが、かねて議論してまいりましたように、たとえば公共企業体の中でも電電公社などは、これから職員の全面的な協力を得ながら国庫納付をする四千八百億というようなものを生み出していかなければならぬという非常に重要な責任も負わされておるわけでございますので、この公共企業体職員ベースアップの問題について、閣僚会議に臨まれる大臣所信をまずお伺いしておきたいと思いますし
  4. 山内一郎

    山内国務大臣 だんだんと春闘といいますか春のベースアップの時期がいま参っているわけでございますが、公共企業体につきましても、本日関係閣僚会議を開催をいたしまして、これに対する協議をやることに相なっているわけでございます。私の方は郵政当局とそれから電電公社関係しておりますけれども、やはり大いに働いていただいて、能率よくまた企業も効率よくやっていただくためには、労使の皆さんがよく協力をいたしまして十分相談をして気持ちよく働いていただく、こういうことを考えながら、今回のベースアップにつきましてもやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 新聞報道ですから正確かどうかわかりませんけれども、大蔵省が非常に厳しい姿勢を示しておるのに対して、労働省が労使関係健全化の立場から形式に流されない回答をやりたいというようなことを主張しておるやに書かれております。いま大臣所信をお伺いしましたが、民間では大体七%から八%というふうな大手の回答が出されつつあるようでございますので、そういうものをずっとにらみながら、本当に公共企業体職員が意欲を持って働けるような処遇をするように、担当大臣として各段のお骨折りを冒頭にお願いしておきます、  次に、公衆電気通信法の一部改正についてお伺いいたしますが、まず電電公社の方で最近いろいろ新聞に書かれて、公社黒字で困っておるという宣伝が盛んにあるわけで、昭和五十五年度の決算は、もちろんできておりませんが、見通しとして新聞ではまた三千五百億くらいの黒字になるのではないかというようなことを書かれておりますが、見通しはどうでございますか。
  6. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  五十五年度の事業収入でございますけれども、幸い景気の動向も比較的安定をしておりますし、また私ども現場機関に至るまでの増収努力等とも相まちまして、二月現在の速報でございますけれども事業収入予算に対しまして六百九十六億円の増収に相なっております。五十五年度の収支差額は、予算では二千七百四十四億円でございますけれども、これを確保できることは当然といたしまして、これを若干上回ることになると思っております。支出の方がまだしばらく決算に時間がかかりますので、収支の最終的な状況はつかめておりませんけれども、現在そういう状況にございます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはまだ決算してないのですからわからないのはいいのですが、大体三千五百億などという数字がすでに新聞に発表されておるわけです。そういう根拠があるのかどうか、大体大方の見通しで結構ですから。
  8. 岩下健

    岩下説明員 いま申し上げました予算の二千七百四十四億円に二月までの七百億をそのまま仮に積んでみますと三千四百あるいは五百という数字になるわけでございます。もちろん、この収支差額の使途につきましては、毎回この委員会でも御答弁申し上げておりますように、すべて利用者のための建設改良投資その他に充当いたしまして利用者に役立つように五十五年度についても使用したい、こう考えております。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 主な原因が、先般実施したいわゆる夜間割引をやったけれども、実際は通話数利用がふえて六百億ぐらいの予想以外の収支差額が出る、そういうように新聞は報道されておるようですが、このことは決算ができておりませんから議論しても仕方がないのですけれども、私が心配するのは、この先日曜祭日の割引あるいは遠距離の引き下げ等を行ってずっといまのような状況利用が伸びていくだろうか、短期間の利用状況だけで長い将来を財政的に展望すると非常に危険があるのではないか、その辺についてはひとつ公社の方でも十分気をつけていただかないと、今回たまたま夜間割引をやったけれども利用がふえた、後もまた割引をやっても利用がふえるのだというふうな考えだけで進むと危険があるのではないかということを、ちょっと御忠告申し上げておきたかったわけです。  そこで具体的な問題に入りますが、先般いわゆる市町村納付金の問題についてお伺いをして、大体内容はよくわかったわけでございますけれども自治省の方では、この前申し上げたように、地方制度調査会からこの固定資産税に見合う市町村納付金についての特例を廃止する方向で検討せよという答申が出て、新聞では郵政省電電公社にその旨を申し入れたというふうに出ておるのですが、どういうふうになっておりますか。
  10. 津田正

    津田説明員 相済みません。私財政局でございまして、先日恐らく税の固定資産税課長が参ったのかと思います。担当固定資産税課長でございますので、ちょっと具体的な動きというものを私承知しておりません。恐縮でございます。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは事務当局でも結構ですが、郵政電電、そういう申し入れを受けましたかどうですか。
  12. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  そういう情報は得ておりますけれども自治省の方から私どもの局に具体的にお申し出があったということはございません。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで、担当でなければわからないそうですが、そうすると自治省の方は、新聞によると郵政電電申し入れをしたと書いてあるが、するということになるのかどうかわかりませんが、この点はおわかりにならないのですか、きのうちょっと話していたのですけれどもね。  それでは、この前電電公社事務当局の方からは、現行どおりでやってもらいたいのだという強い御要望を私は承っておるのですけれども、具体的な日程に上ってきておりますし、さらにいまの地方自治体財政から考えますと、この声はかなり強く郵政電電に要請をされてくるだろう。そういう状況にありますから、避けて通れない問題だと思うのですが、郵政大臣あるいは電電公社総裁はどう対処をされるお考えですか、聞かせていただきたいと思います。
  14. 山内一郎

    山内国務大臣 電電公社が支払っている地方納付金の問題でございますけれども公社の仕事が非常に公共的であるとか、また地元に対して電話サービスによって地域の発展に相当寄与しているとか、そういうようないろいろな点から二分の一というふうに決まっていると私は解釈しているわけでございます。したがって、現行においてもそのことについては何らの変更もございませんし、さらに公社では一層住民のニーズにこたえていろいろ対策をやってまいりたいと考えておりますので、現行でひとつやってもらいたいというふうに考えているわけでございます。
  15. 真藤恒

    真藤説明員 公社といたしましては、値上げをせずに、むしろ値下げをしていくためには、ぜひ現行のままでおいていただきたいと思います。
  16. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 恐らくこれは自治省の方からかなり強い声として、郵政の方に、あるいは電電公社の方にお申し出があろうと私は思うのです。事の起こりは政府に対する納付金、そんな国に納めるお金があるならば、地方自治体の方にもいままけておる固定資産税をあたりまえに払ってもらいたいという意見になると思うのですけれども、私は、全体の経営の中でこの問題については十分検討を願いたいと思っております。いま直ちにどちらがいいという結論を持っておりませんけれども公社というものの性格から考えて、結局は利用者負担にかわってくるだけのものでございますから。  あわせて公社土地使用とその補償の問題についてお伺いしたいのですけれども公衆電気通信法の八十一条によって他人の土地使用できる、ある場合には知事の裁定を待って使用ができることになっておりますが、同法の九十条によって、対価を支払うことになっております。私有の土地については大体三年ごとに、田んぼの中の電柱は一本何ぼ、畑の中の電柱は一本何ぼ、山林の中の電柱は一本何ぼというような基準を定めて支払いをしておるようでございますけれども、いま問題になっておるのは、地方自治体あるいは国の所有に係る道路の占有、電柱あるいはマンホールあるいは公衆電話ボックス、そういうようなものが問題になって、たしか昭和五十年には大阪の堺市でいろいろな問題が出ておったようですが、去年の十二月には東京都が、都議会の中で、電電公社から占用料をもらうべきだというふうな意見が出されておるようでございますが、これについて公社の方で承知をしておるところがあるならばお知らせを願いたいと思います。
  17. 前田光治

    前田説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、電電公社道路電柱等を立てておりますが、これの占用料は、現在のところ道路に関しましては無償にさせていただいております。ところが、近年幾つかの地方自治体等で、この占用料を取ったらどうかという論議があちこちでなされておるということを承知いたしております。しかし、私どもといたしましては、従来ともこの公衆電気通信事業の高度の公共性ということを配慮していただきまして、国道指定区間につきましては、建設省において道路法施行令十九条の二によりまして無償とさしていただいておりますし、それから地方公共団体の管理する道路につきましても、建設省から行政指導していただいておりまして無償としていただいておる現状でございます。今後とも公衆電気通信事業公共性に御理解をいただきまして、従来どおり無償にしていただきたいというふうに考えております。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 建設省の方でも、道路法三十五条の規定に基づいて政令で定める基準に従って道路管理者協議をするというのが原則ですけれども、実はこの政令がまだできてないと私は承知をしておるのです。したがって、現行では道路管理者公社との間で話し合いをしておるのですけれども、基本になっておるのは建設省からの通達だと思うのです。電電公社占用については無料でいけという通達を出されておるやに聞いておりますが、そうなっておりますか。
  19. 山本重三

    山本説明員 ただいまお尋ねの電電公社占用物件に係ります占用料につきましては、建設大臣が直接管理いたしております一般国道指定区間につきましては、道路法施行令の十九条の二を根拠にいたしました通達によりまして占用料を徴収しないことにいたしております。なお、その他の道路につきましては、道路管理者でございます地方公共団体に対しまして、道路局長通達により、国の管理いたしております一般国道と同様に占用料を徴収しないという方針で処理するように指導しているところでございます。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これについて、先ほど申し上げました五十年には大阪の堺の市議会でいろいろ議論をされた。時に去年の十二月九日の都議会でもこの問題が取り上げられておるようでございまして、何か東京都の試算によると年間十億円ぐらい、占用料をもらえば収入があるのだというような計算をなさっておるようですが、そういう自治体からの要望というものは、建設省には上がっておりませんか。
  21. 山本重三

    山本説明員 ただいま先生指摘のように、一部地方公共団体からそのような要望等を受けておるのは事実でございます。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これもまた避けて通れない問題になってきておりまして、特に地方公共団体の言い分は、電気ガス等公益事業と比較をして不公平にわたるのではないかと、そういう意味から電電公社からも占用料を徴収すべきであると。そしていま生きておるのは、建設省が出していただいた通達によって一応占用料を取らない、無料にすると、こうなっておるのですが、建設省通達が消えますとこれを無料にするという根拠が非常に薄弱になってくるわけなんですね。それだけに公社財政にとっては大変な問題が起こってくるのではないかという気がするのですが、これは郵政省電電公社の方でどうお考えか。ただ取ってもらいたくないというだけでは非常に根拠が薄いので、こういうふうに考えておる、こういうふうに対応したいという姿勢があるならば、それをひとつお聞かせ願いたいのです、
  23. 守住有信

    守住政府委員 地方自治体との関係でいま二つの点を御指摘になったわけでございますが、私どもも、こういう声を聞くようになりまして、問題の性質というものを認識いたしまして、これはもちろん郵政省あるいは建設省自治省、そういう関係もございますけれども、やはり地元自治体の問題でございますので、その自治体執行部あるいは議会の方々と電電公社通信局通信部人たちとの間で電電公社事業性格なり、役割りなり、地域社会との密接性なりそういうことを十分御認識、御理解をしていただくのがます一番の基盤じゃないか、こういうことで実は公社の幹部の方にもお話いたしまして、公社の方でお話があると思いますけれども、今後単に本社だけの問題じゃなくて、まさしく地域社会の問題でありますので、そういう働きかけといいますか御理解を求めることが一番大事だ、その上に乗りまして、私ども郵政省としては政府部内の関係もございますので、十分話し合いをしてお願いしていきたい、このような姿勢でおるわけでございます。
  24. 前田光治

    前田説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましても、ただいま電気通信政策局長から御答弁がありましたのと同様の趣旨でございまして、このような動きの生じております地方自治体に関しましては、電話局長なり通信部長なりあるいは通信局長なりがそれぞれ誠意を持って対応し、公衆電気通信事業公共性に御理解をいただくべく努力を尽くしておるところでございます。今後ともそのようにさらに努力を重ねまして、御理解を得てまいりたいと思っております。  先生先ほどお話のございました堺市につきましても、鋭意御理解を得るよう努力をいたしました結果、現在のところ問題は一応解消はいたしております。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 東京都の方はどうですか、
  26. 前田光治

    前田説明員 これは比較的最近起きたことでございますが、これに関しましても鋭意接触を続けておりまして、御理解を得るべく努力をいたしておるところでございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 固定資産税の二分の一がいま大体五百億と言われておるわけですから、もし固定資産税の二分の一、市町村納付金の場合ですね、これがなくなれば五百億大体毎年財源が要る。こちらの占用料の場合はっきりした計算はできぬでしょうが、全部もし占用料を納付しなければならないとすると、どのくらいの額が要るものですか。
  28. 前田光治

    前田説明員 お答えいたします。  これはいままで歴史的にもずっと無償にしていただいておりますので、いろいろな仮定を多く置きませんと概算もできないわけでございますが、大胆な仮定を置きまして試算をいたしましたところでは、二百億円強という程度ではなかろうかと存じております。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いわゆる納付金に端を発して寄ってたかって電電公社からむしり取れというような大変な状況になってきておるようでございますけれども、しかしその国に対する納付金性格から考えれば、まだ地方自治体の要求の方が筋が通っておると思うのですよ、その限りでは。ですから、これはなかなかむずかしい問題になってくるのじゃないかという気がいたしますので、先ほど電気通信政策局長お話しになりましたように、よく理解をいただいて、そういう固定資産税なりあるいは占用料公社納むるとすれば、それは公社負担ではなくて、結局は利用しておる利用者負担にかわるのだということをよく理解していただいて、大きな声になって問題にならないような格段の努力をこの問題についてはお願いをしておきたいと思います。  次に、今回の法改正でいわゆる地域集団電話一般化の問題、加入電話種類変更議題になっておるようでございますけれども、これはかなりの経過があるようでございますが、法の趣旨説明によると、いわゆる地域集団電話加入者十分の一以下になったとき、そしてその施設が老朽化したとき、郵政大臣の許可を得て一般加入に切りかえる、こういう法の趣旨のようでございますけれども、これは間違いありませんか。
  30. 守住有信

    守住政府委員 御指摘のとおりで、間違いございません。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、私が一番心配するのは、加入するときは集団条件に従って二百加入あるいは百五十以上の集団ができた場合に、集団地域集団電話というものに加入契約を結んだ、もちろん一つ一つ電話加入権との関係で個々に属するものと思いますけれども、そうなりますと、十分の一以下になったから、施設が老朽化したから、大臣認可があったからということで一方的に種類変更ができるということは、契約に違反をするのではないか、法的に可能なのだろうかということを非常に心配しておるのですが、これは十分検討をされましたか、
  32. 西井昭

    西井説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、いわゆる債権債務をお互いに負っておりますこの加入契約内容変更する場合に、法制上の考え方は一体どういうことかという御質問かと思いますが、ただいま先生もおっしゃいましたとおり、地域集団電話といいますのは、設置に当たりまして法律にいろいろな条文がございまして、どういうものが地域集団電話に該当するかということが公衆法要件として明定をされておるわけでございますが、その要件に当てはまらないような地域集団電話が出ました場合に、具体的には加入数が減少いたしましたときに、地域集団電話要件には当てはまらないけれどもどう扱うかといった場合の規定は、現在の公衆法上何らの規定がないわけでございます。したがいまして、今回の法律ではそれを明定していただきたいということがその内容でございますが、私ども考えでおりますのは、加入数法律根拠を基づきます加入数よりも極端に減少いたしまして、当初予定いたしておりました要件を著しく欠くといったその場合においても、地域集団電話加入者電話サービス利用上の地位に変更を加えるということは、現在の公衆法法体系の中で必ずしも禁止をする趣旨ではない、こういうふうに解釈をしておるところでございまして、この点につきましては郵政省とも御相談、御指導をいただきましたところでございます。  それで、ただいまおっしゃいましたとおり、加入者数が著しく減少いたしました地域集団電話に対して、一定の条件のもとで種類変更ができるという措置を設けるということのやむを得ないという理由でございますが、まずそう著しく加入数が減少いたしますと、その加入者の方は実態的にほぼ単独使用に近い形になりますにもかかわらず、集団加入を前提としたいろいろな制度、料金というものによってサービスが受けられまして、いわゆる加入者間の負担というものが著しく不公平になるということ。それから、地域集団電話といいますのは必ずそこに交換設備を置かなければいけないわけでございますが、きわめてわずかの加入者のたかに交換設備を維持していくということは、当然のことでございますが、費用負担が増加をいたしまして、帰するところ電話加入者全体の利益に反するという問題が生じます。こういう問題を解消いたしますために、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、どういう措置をとるかということになりますと、その残っておられる加入電話の方に一番ふさわしい種類加入電話変更していただく以外に適切な方法はないのではないか、こう考えましてただいまの法律をお願いしておるわけでございます。  ただその場合に、当然のことながら加入者権益保護ということにも配慮をいたす必要がございますので、この種類変更をいたしますときには、その交換設備老朽化等現在のままではサービスを維持して提供することが困難な事情が生じた場合に限りまして、その判断契約当事者であります公社判断によらずに、第三者と申しますか監督官庁であります郵政大臣認可を受けて必要な措置をとる、そういうことで残存加入者保護にも十分配意をしていきたい、こういう趣旨でこの法律をつくったところでございます。よろしくお願いいたします。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 趣旨はわかるのですけれども、まずその第一点目の著しく要件を欠く、著しくというのは十分の一以下になったときだという根拠というものはきわめて薄弱だと私は思うのです。二百加入なければできないという条件があったのなら、二百を欠いたときだって要件は欠いておるわけです。十分の一という根拠がまず私にはわからない。何を根拠十分の一にしたのか。そして、そのことが著しく要件を欠いたから種類変更するのだというのならば、何も十分の一というような数字を設けなくても、要件を欠いたところでやればいいのであって、十分の一という根拠は一体どこにあるのか。  二点目に、公社の提供する交換設備が古くなってからという条件があるのですが、それは公社の都合であって、明らかに加入者関係ない。そのときの理屈は、一般の加入者負担がかかるからだ、一般の加入者負担がかかるということは、大体地域集団電話そのものを残しておくということで一般の加入者負担がかかることになるのであって、何も十分の一になったから、施設が老朽したから負担がかかるという理屈にはならないはずなんですから、一般の加入者負担を軽くしようと思えば、要件を欠いたその時点で全部種類変更したっていいではないか。言いかえれば、千円とったらどろぼうだけれども、百円とったのはどろぼうではないという理屈になるのです、その辺はどうなんですか。
  34. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生から最初にございました十分の一の根拠は何だという点でございますが、これは算術的に十分の一がいいとか二十分の一がいいとか、そういう数理的根拠ではございませんで、確かに先生おっしゃいますように、ちょっとでも欠けばやってもいいではないかという理論も成り立つと思います。ただ、こういう種類変更を強制する場合でございますので、なるべく納得の得やすい方法でいきたいということで、いろいろ御意見も伺ったわけでございますが、最大十分の一、それ以下というふうにした方かいいのではないか、この辺がお客様の納得を得るのにいいのではないかという根拠考えたわけでございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう理屈からいけば、たとえば二百加入地域集団電話がある、そうしていままだ地域集団電話ですけれども、その地域集団電話加入者の中の少なくとも百、半分、あるいは百五十加入の方々が種類変更してもらいたい、一般加入にしてもらいたいという申し出がある。ところが、この場合五十名は反対だ、五十名が集団電話を残してもらいたい、百五十名は一般加入に切りかえてもらいたい、そこでぽんとやれぬことはないじゃないですか。そこで全部一緒に種類変更してしまう、それが一番予算もかからないし、一番やりやすい方法になりませんか。それを施設が老朽するまで待つ。どうせ強制的にやるのならば、十分の一だとか施設が老朽して取りかえになるまで待つとかいう必要はなくて、半数と言えば問題があるが、少なくとも三分の一なら三分の二以上の集団加入者の方々から種類変更申し出があったときには残った人も一緒にやる、これだって同じ理屈じゃないですか。
  36. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生のおっしゃるような理論も成り立つと思いますが、三分の一ないしは三分の二ぐらいになったらもう全部やってしまうというのもどうかと思いまして、先ほどからの繰り返しになりますけれども、なるべく納得の得られやすいような状況に持っていきたいということで十分の一を考えたわけでございます。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 仮にいまの法律そのままいきますと、仮に十分の一以下になっておっても、まず施設が老朽するまで待たなければならぬわけでしょう。交換機が老朽して取りかえを要するまで待たなければならぬのが第一点目ですね。大臣認可を得なければならぬというのが二つ目でしょう。いま一番問題になっておるのは、われわれが耳にするのは、集団電話の中でも八〇%の方々が種類変更してもらいたい、ところが二〇%程度の人あるいは一人か二人の人が反対をするためになかなかできないというのがいまの実態なんですよ。そうするとこの法律では、反対する者はそのまま残しておいて、施設が老朽したところで法的にばかっとやろう、こういうわけですよ。それならば八〇%なり九〇%の人が種類変更してくれと言ってきたときに一緒にやってもいいじゃないかと私は言うのです。それができなくて、施設が老朽してからやるならばできるという理屈がおかしい。どうせやるのならば、法的にやれるというのならば、より多くの人たち種類変更をしてもらいたいと申し出たときに、若干の反対はあっても一遍にやってしまう、それだってできるのじゃないかというわけです。
  38. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生のようなお考えもあり得ると思います。私たちといたしましては、たとえば先生のおっしゃったように、二百加入のうち百加入がもう単独電話に変わりたいと言えば、そのときに一遍にやればいいじゃないかというお話もあるわけですが、そうしますと、これはまた逆の意味で、まだ使える交換機を捨ててしまうというかっこうにもなりますし、それでそういう半分程度で強制するというのもいかがかということで、老朽化するまでというふうに考えましたのは、現在ある交換設備をできるだけ使いまして、お客様にも納得を得やすいような数値になるまで待つというような状況考えたわけでございます。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも私は、実際問題としてわれわれのところによく相談に来るのは、普通は、一般加入に切りかえてもらいたい、それは公社を通じて切りかえてくれるでしょう、しかしあなたの地域集団電話の皆さんに納得をしてもらわなければいけませんよ、一人でも二人でも残るとなかなかうまくいかないのですよ、こういう話をするわけです。そして、恐らく集団電話加入の皆さんの全部の意見をまとめたい、そのために延び延びになってくるというような事情が実際にあるわけですよ、ですからそこで一遍に、たとえばそれが半分というのは問題があるならば、あなたがよって来った十分の一以下の方々が種類変更に反対だ、十分の九以上の方々はもう種類変更をしてくれと言っておる、その時点でおやりになってもおかしくはないじゃないですか、なぜ残しておかなければならぬのか。  たとえば、それは将来は施設が老朽化すれば切りかえるわけですから、九〇%の人たち一般加入に変わるときには、そのときには回線も何も引いておくのでしょう。引いておかなければまた改めてつけなければならぬわけですから、大方の工程としては、その際すでにもう予定をした回線は入れてあるはずだと思うのですしそこで切りかえた方が負担が少なくて済むでしょう。何人か残っておる、たとえ三人でも残っておる、その残っておる間は施設が壊れるまで使わせる、そんなことをする必要があるかどうか。それをやらなければならないとするならば、逆にその人たちを強制することは法的に問題があるのじゃないですかという理屈になるわけです。
  40. 西井昭

    西井説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、十分の一以下という、地域集団集団性を明らかに欠いておるというような方を、なぜその交換機が老朽化するまで待たなければならないか、こういうことかと思いますが、先ほど申しましたとおり、私ども地域集団電話一般化のこの法律をお願いをしておりますのは、地域集団電話の一つの特徴といたしまして、そのための交換機を別に置かなければならない、それが一つの大きな特徴でございまして、それがいまのままで使える場合はなるべく現状のままにいたしまして、その交換機が相当老朽化をいたしまして使えなくなるというときになって初めて、こういう地域集団電話の当初の集団性のほかに、そういうことを前提として加入された方の御納得が得られるのではないか。そういう意味で、ただいま先生のおっしゃいましたのに比べると慎重過ぎる案かもわかりませんが、そういう趣旨で、交換機が使える間は、せっかく地域集団電話として加入をしていただいた方でございますので、その範囲内においてそのままに存続をさせていきたい、こういう趣旨でございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 理論が一貫性がないのですよ。著しく要件を欠くからというお話があったのです。いまのは今度は施設の方からの交換機のお話ですね。交換機が老朽化すれば取りかえなければならぬから負担がかかるという理屈になるならば、これは十分の一にならなくても交換機はだんだんに使えなくなるわけでしょう。交換機が機能しなくなったときに種類変更をします、それは一つの理論でしょう。著しく要件を欠くから種類変更をします、それも一つの理論でしょう。しかし、おたくの意見を聞いておると、最初は著しく要件を欠くから種類変更をしますというわけです。いまのお話を聞いておると、交換機がだんだん老朽化していくから、それを取りかえなければならぬことになるから種類変更をします、こうなるのですよ。どっちが本論なんですか。交換機をもう取りかえぬでいいように種類変更させるのですか、それとも著しく要件を欠くから種類変更するのですか、どっちですか。
  42. 西井昭

    西井説明員 条件といたしましては、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、地域集団電話という集団性の条件を著しく欠いてこれはどう見ても地域集団電話ではないというのは、切りかえたいというのが趣旨でございます。ただその場合でも、交換機を設置してまだ間もないのもございますので、わざわざ新しい交換機を撤去してまで種類変更加入者の方に強制してお願いをするということは、住民の方の御理解と御納得をなかなか得にくいのではないか、こういうふうに考えまして、交換機が老朽化し、あるいはただいま先生のおっしゃいましたように、特別の事情がありまして保守費がたくさんかかるとか、いろいろな条件が整いましたときに、第三者であります郵政大臣の御判断を得てこれを切りかえさせていただきたい、こういうことでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 二つも三つもかぶせてあるから理論がむずかしくなるのですけれども、交換機が使えなくなるからという理屈ならば、いまの法律でいけば、十分の一以上の方々が種類変更を望まないならば交換機を取りかえなければならないのですよ。十分の一以下になったとき初めて。交換機を取りかえずに強制的に種類変更はできるけれども十分の一以上の方々が残っておる場合には、たとえ交換機が古くなっても取りかえなければならぬのがこの法律なんですよ。そうでしょう。だから交換機というのはそれほど大きいウエートは持たないと私は思っておるのですよ。要件を欠くというのが一番大きい理屈だ。その場合十分の一以下というのが果たして妥当かどうか、これも私は率直に言って非常に疑問があります。なぜ十分の一という数字が出てきたのか根拠はありません、常識でしょうと、こう言うのです。  さて心配になるのは――法制局、お見えになっておりますか。この契約上、集団電話として加入して、集団電話としてはいろいろな利点がある、たとえば度数制でないから、区域内にかけるときは何遍かけても料金を取られないというような問題がある、基本料金が安いとか、いろいろそういうことを条件集団電話として加入することを契約したわけです。それを公社の方の事情で、著しく要件を欠いたからとか、あるいは施設が老朽化したからとかいう理由で一方的に種類変更を押しつけることが――これから後はいいでしょう。いままで契約しておったものについてさかのぼって契約変更は可能であろうかどうだろうか、その辺、もし加入者から争いがあった場合にはどうなるであろうかということを心配するのですが、見解はどうですか。
  44. 関守

    ○関(守)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、この地域集団電話加入していた人が一方的にその種類変更させられるということはどうかということでございますけれども、確かに一般論として申しますと、契約変更を一方的に行うというのは、無論むやみにできるわけではないわけであります。しかしこの電話サービスにつきましては、先ほどからもいろいろお話がございますように、一つの特徴を持っている特殊なサービスであろうと思います、それは非常に公共的な色彩が強くて普遍的でなければならないとか出したがいまして、電話サービスの提供は正当な理由なくして拒むことはできない、さらに一たん締結した契約については、公社の方からは、たとえば電話料の滞納というような利用者側の重大な信義違反があるような場合でなければ解約ができないというような特性を持った契約でございます。しかもその契約内容につきましては、一般的に個々にやるのではなくて、非常に画一的、形式的に契約を締結するという性格のものでございますので、そういう契約につきまして契約内容なり条件変更するということについては、事後的な事情の変更等によりまして公社の方で何もできないということになりますと、これは非常に不合理である、そういう種類サービスではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。そういう場合には、事後的であっても、一方の立場からの契約変更が――契約内容種類変更でございますけれども――できるというふうに考えるべきではないだろうか、それをまた、公社自身がやるのではなくて、立法措置によってそういう機能を与えるというのは可能なんではなかろうか、そういう合理的な範囲で可能ではないかというふうに考えているわけでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 裁判で争わなければわかりませんが、いまのような御趣旨ならば、この法律をつくらなくたっていいような気がするのです。この法律をつくらなくたってやれそうな気がするのですよ。別に、こんな法律をつくらなくたって、いまの趣旨から言えば、公社現行法律の中でやればいい。種類変更ぐらいはやったっておかしいことはないじゃないか。公社サービス提供の特殊性から言えば、何もこんな法律をつくらなくたって、現行法でもそのままやっておかしくない。わざわざ法律をつくらなければならぬというところに私はやはり問題があるような気がするのですけれども、もう時間がありませんから、これで論争する気はありませんが、非常に問題が残るおそれがあるということだけは申し上げておきます。  その次に、先般来、いわゆる回線の開放の問題が非常に話題に上っておりますが、きょうは一般論で結構ですが、言われるところの回線の開放というものを電電公社ではどの範囲のことをお考えなのでしょうか。一部には、いまの専用回線の利用の規制をもっと緩和せよ、それが回線の開放だという意見もあるし、また一部には、いまの電話回線まで全部開放して、いわゆる電電公社電話線の貸し業者になれという、これまで大きい意味での開放という問題もありますが、総裁も回線の開放をやらなければいかぬと言うし、郵政省の方もそういうお考えのようですけれども、回線の開放という場合にどの範囲までをお考えになっておるのでしょうか。
  46. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたとおり、世間で回線開放と俗称されておりますが、具体的な個々の御要望を承りますと、その内容は人によって非常にまちまちなのが実態でございます。  その中で一番多く出ております御要望といたしましては、御存じのとおり現在の公衆電気通信法が四十六年に改正になりまして、データ通信を業として行う者を認める。従来の公衆電気通信法によりますと、いわゆる公衆電気通信を業として行える者は電電公社しかなかったわけでございますが、このコンピューターを使います計算業者の発生によりまして、コンピューターを使いまして、それを業として他人の計算を行い、あるいは他人のデータを整理、収集する、こういう者を認めたのが四十六年の公衆法改正でございます。ただ、そのときに、四十六年当時はわが国のコンピューターの今後の発展というものがどういうふうになるかということがまだ見通しもきわめて定かでございませんでしたので、当時予測される範囲内におきまして法律改正をお願いをいたしましたわけでございますが、その後、最近のコンピューターの発達に伴いまして、当初は、いわゆる大型コンピューターになればなるほどその平方根に応じて経費が落ちるというような理論かございまして、そういうことを想定いたしました法律でございましたわけでございますが、最近のいわゆるミニコン、マイコンに代表されますコンピューターの小型化、分散化というのが著しく進展をしておりまして、現在の公衆法規定上はその辺がきわめてはっきりしていない、したがって、その辺のところをはっきりさせろというのが一番多い御要望であろうかと思います。  具体的に申し上げますと、当時のときには、コンピューターを使用するときにコンピューター使用に名をかりて電信電話的業務を行わないということを中心にいたしまして現在の法律ができておるわけでございますが、その内容の定義が、いま申しましたような当時の予想でつくっておりました関係で、共同使用、それから他人使用、それから公衆回線と専用線を制度的には特定通信回線と申しておりますが、公衆回線と専用回線の接続等についてある程度の制限があるわけでございます。それが現在の実態に合わない部分を速やかに直せというのが一番多い御要望でございます。  なお、公社といたしましては、現在の公衆電気通信法では郵政大臣の個別認可というセービング条項がございまして、実態的には、この個別認可制度郵政省の御指導を得まして活用いたしまして、実態的にはそのほとんど大部分の御要望に応じてきたつもりでございますが、個別認可といいますのはその方以外にはわかりにくいということで、もう少しいまのような規定をはっきりさせろ、しかもその後郵政省令あるいは認可基準等が追加、追加で直っております、そういうものとあわせまして、非常にわかりにくい規定になっておる、これをもっとすっきりわかりやすくしろというのが一番多い御要望でございます。  それからそのほかに、そういうふうにコンピューターというのがだんだん発達いたしてきますと、データ処理のほかに、それに伴う付加価値通信というものが出てまいるわけでございますが、そういったものに対しまして、考え方をきちんと整理をして、そして法律上何らかの規程を設けるべきであるという意見もございますか、この辺のところになってまいりますと、人によっていろいろまちまちな御意見でございまして、実態はそういうことでございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体データ通信を中心にする専用線の開放というのが中核のようでございますけれども、どうもわれわれ聞いていて、回線の開放というのはどの範囲までを大体指すのか、なかなかわかりにくいものですから、これは総裁郵政省の方も開放に向かって努力するということでございますから、鋭意検討を願いたいと思います。  時間がなくなりましたのでまとめて質問をいたしますが、ポケットベルの運用状況について、いわゆる提供地域は何地域ぐらいか、そしてカバーしておるいわゆる加入者の数はどのくらいか、公社としての収支状況、今後の計画、これをひとつ答えてください。  それからもう一つ、これを先にお願いしますが、総裁、拡充法が昭和五十七年で切れるわけでございますけれども、今日までの経緯から考えて、前のいきさつもあるわけですが、これをまさか再延長するというようなお考えはなかろうと思いますが、この辺はどうでございましょう。
  48. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  将来の資金調達を見通しました場合に、五十八年、九年あたり非常に厳しい局面になろうかと思っております山建設投資のための所要資金、あるいは債務償還の所要資金といった資金需要に対しまして、資金の調達、供給側から考えますと、内部資金が収支差額の減少が予想されますだけに非常にきつい、こういった状況を前にしまして、数年前から公社としましては、国の内外におきます公社のいわば自主調達、国内の公募債あるいは外債等によりまして、鋭意調達力を強める、多様化するということを努力してまいりました。かたがた政府に対しましても、経理安定の資金、つまり財政投融資という形での御協力をお願いしておるわけでございますけれども、その場合に、拡充法によります資金調達、現在これが二千七百億程度ございます。したがいまして、この辺の全体の調達の力といいますか、資金需要に調達力を見合わせた場合に果たしてどうだろうかという点につきまして、現在鋭意検討を重ねております。  現在検討中の中、長期の計画の中でこれを明らかにしたいと思っておりますけれども、ただ結論的には、拡充法の延長は、前回の国会の論議、公社の意向表明等に照らしましても、非常に困難な状況にあるということは十分承知しておりますけれども、ただ資金の調達がそういう困難な状況にございますので、その辺を総合勘案した上で結論を出したい、かように考えております。
  49. 玉野義雄

    ○玉野説明員 ポケットベルにつきましては、四十三年の七月から東京二十三区内で実施いたしまして、五十六年の二月現在で百七万加入になっております。  サービス地域といたしましては、全国の県庁所在地と、これを中心とする、ないしはこれに準ずる都市、六十四地域でやっております。  収支状況につきましては、五十四年度で二百七十七億の収入になっておりますが、ほぼ黒字というふうに考えております。といいますのは、基地局経費その他がなかなか分計がむずかしい点はございますが、われわれとしては黒字になっておるというふうに考えております。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 以上で質問を終わりますが、先ほど来申し上げてまいりましたように、公社財政がかなり見込みよりもいいということで、地方自治体等からの固定資産税の問題あるいは占用料の問題等の問題も出ておりますが、何といっても、ざっと勘定してみましても、公社がこれから納付金のために実際に準備しなければならないお金は大体八千二百億から八工二百億ぐらいになるのではないかと想定をされます。いわばそういう大きい負債を背負ってのこれからの公社の運営でございますから、少なくともこの納付金の整理がつくまでは、あとのいろいろないま出ておる問題については、監督官庁としても公社当局としても、十分この意を尽くして――私が心配するのは、それが加入者負担になることを恐れるがゆえに、十分意を尽くして努力を願いたい、市町村の納付金とかあるいはいまの占用料等について、さらにもう一つは、いま最後に申し上げました拡充法の延長の問題ですけれども、これはもう加入者、国民の、利用者の感情からしても延長は許されないというふうに私は考えておりますから、その点も十分ひとつ、新しい計画の策定に当たっては配慮をしていただくようにお願いをして、質問を終わります。
  51. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部喜男君の質疑は終わりました。  久保等君。
  52. 久保等

    ○久保委員 きょうは当逓信委員会電電公社経営委員長吉國委員長においでを願っております。御多忙の中、まことに恐縮に存じます。  経営委員長は、もちろん電電公社経営委員会のきわめて重要な責任と、また任務をお持ちになっておるわけでありますが、電電公社経営委員は、他に非常に重要なお仕事を持っておられる方々が兼務をして経営委員のお仕事をやっていただいておるわけでして、この電電公社法の中にも、経営委員は報酬を受けない、そういう制度の中で大変な御苦労をいただいておりまして、私ども平素から大変敬意を表しておるわけでありますが、本日も大変お忙しいようでございますので、特に最初の方で、電電公社経営のあり方の問題等を中心にして若干お尋ねをいたしたいと思います。  電電公社はここのところ、いろいろ国庫納付金の問題であるとか、ただいま審議をいたしております公衆電気通信法の一部改正法案、これもまた加入者に対する非常に大きな一つのサービスとして料金の引き下げということを実施しようとする法律案でありますが、ここのところ、経営に対する非常にいろいろな意味での重圧なり負担というものが出てまいっております。したがって、そういう中にあって一体電電公社経営というものはどうあるべきかということが今日一つの非常に大きな問題になっております。  電電公社の成立した経過について申し上げる時間もございませんが、とにかく電電公社は発足以来約三十年間の実績を持って今日に至っておりますが、最近では、たまたま行革問題と軌を一にいたしまして、電電公社の民営論といったようなことがいろいろあちこちで提言せられております。最近の新聞紙上等にも、経済団体の幹部の皆さん方が非常に熱心に民営論等の議論を出しておるわけであります。  私ども非常に心配いたしますことは、何といってもこれだけの大変な大公共企業、しかも電信電話事業というものはきわめて重要な国にとっての最大の基幹産業である、公共性の非常に強い、有機的な一体性を持った事業である、そういったものが何か今日経済的な面、財政的な面から取り上げられて、ひとつ電電公社から財源を引っ張り出すことはできないだろうかというような考え方が非常に過度に出てまいっておりますことを私ども実は一面においては非常に残念に思っております。事業の本質というものが理解されておらない。きのう通った国庫納付金の問題にいたしましてもその一連でありますが、もちろんこの法律案、まだ本会議にはかかっておりませんけれども、本来でありますと当委員会で十二分に審議しなければならぬ大変な問題だと思うのでありますが、これも先般、わずか連合審査といったような程度で衆議院の大蔵委員会で議了した、そういう状況に置かれております。  ところで、経営委員長にお尋ねしたいと思いますのは、電電公社経営問題が今日たまたま行革問題と関連して民営論という形で出ておりますけれども、私は、少なくとも今日までの経験からして、事業全体の経験からして、この電通事業というものが民営にはなじまない、民営であってはならぬと実は思っております。実は、委員長承知のように、関係閣僚会議のもとにつくられた公共企業体等基本問題会議、ここで、昭和五十三年と申しまするとまだ三年足らず前でありますが、五十三年六月に意見書をおつくりになって時の安倍内閣官房長官に意見書をお出しになっている。この意見書をおつくりになった経営形態懇談会のメンバーにも吉國委員長はお入りになっておられるようであります。したがって、まだ出て幾ばくもない公共企業体に関する経営のあり方という問題を非常に御熱心に議論をせられて結論をお出しになっております。私も拝見をして、一々非常に納得できる点が多いわけですが、この問題についてはもちろん十分に御存じだと思うのですが、その点一言ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  53. 吉國一郎

    吉國説明員 ただいま久保委員指摘のように、昭和五十三年六月に公共企業体等基本問題会議意見書を提出いたしましたことはそのとおりでございます。  この基本問題会議は三つの懇談会がございまして、経営形態懇談会、当事者能力懇談会、法令関係懇談会、三つの懇談会に分かれて議論をいたしまして、私は経営形態懇談会の一員でございましたが、その中の郵政部会という部会ができまして、その郵政部会長を務めておりました。したがって、日本電信電話公社に関する部会には出席はいたしませんでしたけれども経営形態懇談会としてまとめて報告書を提出いたしますときには、若干の参与をいたしましたということでございます。
  54. 久保等

    ○久保委員 ありがとうございます。  ところで、私は、この出された部会での電信電話事業に関する問題についての経営のあり方、これについての部会がやはり意見書をおまとめになって出されておるわけですが、なかなか十分な検討を加えられた結論として出ておるのですが、部会長は尾本信平さんですが、電電公社部会のこの電信電話事業経営形態に関する報告書、総裁は御存じでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  55. 真藤恒

    真藤説明員 就任以来少しその説明も聞き、報告書も読んでおります。
  56. 久保等

    ○久保委員 御所見はどんなふうにお考えになっていますか。
  57. 真藤恒

    真藤説明員 非常に妥当な結論を出してありまして、この結論のとおりにわれわれが実際実施できることになっておれば、電電経営は現在よりももっと進歩したのではないかなというふうに考えております。
  58. 久保等

    ○久保委員 細々した運営だとか何かの問題はいろいろあると思いますが、私のお尋ねしたいのは、経営形態の問題について、いわば枠組みの問題について、この経営形態に関する報告書について一体どうお考えになるか、経営形態の問題です。そのことについて一言……。
  59. 真藤恒

    真藤説明員 私、当事者でございますので、この経営形態については現時点においては何も申し上げるべき立場にないというふうに考えまして、その面についてのお答えは御免除いただきたいと思います。
  60. 久保等

    ○久保委員 それでは当面の事態に対する公社総裁の態度としていいかどうか、私は非常に疑問を感じます。  これはちょっと大事な部分だけを私は申し上げてみたいと思うのですが、この電電事業経営形態に関する報告書の中で、「経営形態について」という一項がございます。その「経営形態について」の中では、電話事業、電報事業それからデータ通信、大きく分けて事業網を三つに区切っております。  最初の電話事業の部分についてちょっと申し上げてみたいと思うのですが、この中に言われておりますことは、   一般家庭への著しい普及の結果、電話は即時性のある対話型の通信手段として国民生活に不可欠のサービスとなっており、その公益性は極めて高く、このような面からは、従来どおり公的な経営形態を維持していくことが適当であると考えられる。  なお、今後は、離島やへき地への架設等の採算をとり難い需要に対しても積極的に対応する必要が強まるものと予想されるが、このような需要への十分な対応は、民間には必ずしも期待し難いと考えられる。  また、電話事業は、いわゆる自然独占性を有するだけでなく、全国的な通信網が単一のシステムを構成していることから技術的統一性を必要とし、また、サービスの均一性に対する要請もあるため、これらの面からは全国的な独占事業として営まれることが望ましい。  さらに、電話事業に要する電気通信回線網は、データ通信、ファクシミリ通信等各種の電気通信サービスにも共用される全国的かつ基幹的な回線網となっており、文字どおり我が国経済社会全体の神経組織と言うべきものである。このような役割を有する回線については、その施設整備の円滑及び管理の適正化を最大限に確保するために、公的に保有管理させることが望ましいと考えられる。  以上のような諸点を総合的に考慮すると、電話事業については、効率性の面において要員管理等の問題はあるとしても、現行経営形態を維持することが適当であると考える。 こういうことを書いておるわけです。なお、電報事業につきましても「当面、電報事業電電公社に行わせるのが適当であると考える。」あるいはまたデータ通信につきましても電電公社がデータ通信サービスを行うことが適当であると考える。こういったようなことが言われておるのですが、特に電話事業の問題等について言われておることは、電気通信事業全般に対する一つの考え方として、経営形態の問題についてはやはり公社経営の形態で行くことが望ましい、適当だということが結論的に言われているのです。現在、先般来申し上げるようにいろいろ報道せられておりますが、私は率直に言って事業の実態というものを全く十分理解しておるとは思われない。経済団体あたりで何か民営にすることがいいのだ、民営にすることがいいのだ、また政府もいま金が非常に必要な財政再建という立場からいって、もし企業的に妙味のある企業であるならば、ぜひひとつここからは財源を何とか捻出しよう、そういう角度からながめた意見というものが非常に強いという感じがいたします。特にこの公共企業体等基本問題会議での御意見というものは、相当な年月をかけて、これは争議権の問題、労働問題等の問題もあったことが発端となって、公務員制度審議会からの答申を受けた経過はあるわけです。  いずれにいたしましても、この経営形態のあり方の問題については相当専門的な立場で非常に慎重に議論せられた。これは各企業体についてもやられておるようですが、国鉄の場合には何か一部民営にすることが好ましいというふうなことも言われておるし、専売関係の方はやはり民営が適当だろうというふうなことも言われております。それぞれの企業の特質というものを十分に検討を加えながら出された結論のように思うのですが、その最高責任者である、当の責任を持っておられる総裁が全く白紙だということは、これはまことに奇異な感じがするわけなんですが、総裁いかがでしょう。
  61. 真藤恒

    真藤説明員 私がいま意見を申し上げる立場にないと言いますのは二つ理由がございます。  さっき申しましたように当事者である、こういうことは国が決めて、その方針に従ってわれわれは具体化については責任を持って対処しなければならぬという考え方をしていることが一つでございます。  もう一つは、いまの報告に出ておりますのは、その限りにおきましては私は全面的に賛成でございます。ただし、その後急激に起こってきた民営論というものの根拠を私はまだ全然つかんでおりません。したがって、民営論について比較検討しないとどちらがいいということは言える立場にはございませんが、私個人といたしまして、民営論について、まだ日が浅うございまして十分な勉強ができておらないという二つのことで、現段階においては意見を申し上げることを御免除願いたいと申し上げたところでございます。
  62. 久保等

    ○久保委員 私も、細かい事情の内容については、あるいはまたいままでの経過等について御承知にならないのはもう十分わかります。しかしただいま申し上げたように、経営形態のあり方で現在のような公共企業体の形態が一体いいのか、それとも民営にすることがいいのか、そのくらいの判断は、失礼ですけれども総裁、少なくとも現実にいろいろと公衆電気通信法案の実質的な提案の責任者といってもいい立場におられる総裁が、経営形態の問題についてなおひとつ民営との比較検討の上からの判断がつかないのだと言われることは、私は若干奇異に感じます。  少なくとも政府が諮問機関的な意味でつくった公共企業体等基本問題会議、こういったところでも先ほどちょっと読み上げたような結論を出されておる問題について、それがいいか悪いかの判断――賛成だと言っておられながら、一面においては民営の主張の根拠はよくわからないからと言うのですが、私は民営の根拠というものは、余り長文の理論的な根拠が今後研究された結果発表せられるとは思いません。そういう点で考えるならば、当の現職総裁がこの経営形態の問題について白紙状態だということは、これはいささか私は奇異に感じますよ。これは一人私だけじゃないと思うのです、私は、総裁にぜひその点、失礼な申し分ではあるけれども経営形態の問題について早急に勉強せられて、ぜひひとつ結論を出してわれわれにお聞かせ願いたいと思うのですね。しかも、これはことしの七月までに云々というような話もあるししますから、単なる時流に何かしら押されるような形にならぬように、現職の総裁としては私はしっかりとお願いをしたいと思っている。
  63. 真藤恒

    真藤説明員 時流に流れることを私非常に気にしますので、民営論というものに対してもう少し民営論のコンセンサスが固まるまで待って、十分その民営論の特質を考えるという意味でございまして、現在におきましては、民営論は実際のところいろいろ議論がございますけれども、コンセンサスがまとまっておるわけじゃございません。したがって、比較の対象には科学的にできないという意味で、現状においては何とも申し上げられないというふうに申しておるところでございます。
  64. 久保等

    ○久保委員 総裁は、特に民間に実際に長くおられて、民営論の方は、もういまさら人からお聞きしなくても総裁みずからの体験から民営とは一体どういうものかというようなことの本質なりそういったものについては、われわれとは全然違った長い豊富な経験を持っておられる。その総裁公共企業体の方がよくわからぬと言うのなら、これは来たばかりだから、もう少しよく研究してみたいと言われるならいいけれども公共企業体の問題について、答申なり意見については、ほぼというか、総裁、そこまで言われぬのですが、全く賛成だと言っておられて、どういう根拠で民営論を主張しているかわからないと言っておられるけれども、民営論の特質については、総裁みずからの長い間の体験の中で、私はむしろお釈迦様的な御意見を持っておられると思うのですね。われわれの方がむしろ釈迦の説法を聞かなければならぬ方だと思うのですが、その総裁から逆に民営論の講義を聞かなければならぬというお話を聞いて、いささか奇異に感じます。しかし、いずれにしても総裁が現在結論的には持っておられないということであれば、お考えをいただくより方法がないわけですから、早急にひとつぜひ私どもの耳に入るような形で公共企業体の問題に対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。  ところで大臣にこれまた念のために。先ほど申し上げたように官房長官に出された意見書というものについて大臣はどうお考えになりますか。要するに電電公社経営形態のあり方の問題について。
  65. 山内一郎

    山内国務大臣 二年間にわたって検討を続けられまして、五十三年の六月十九日に「公共企業体等基本問題会議意見書」が出されております。私もそれを見ましたけれども、その中で電電公社電信電話事業について「現行経営形態を維持することが適当である」という結論が出されているわけでございますが、現在、私はそのとおりだと思っております。  ただ、郵政省で何か民営についていろいろ検討しているのじゃないか。これはうわさでございまして、全然検討も何もいたしておりませんので、そういう意見も述べることもできません。それだけつけ加えさしていただきます、
  66. 久保等

    ○久保委員 これは、内閣としてこういった意見書を受けられたわけですし、閣僚の一人であり、しかも担当大臣の立場からすれば、当然この意見書というものについては十分に尊重せられるべき性格のものだ、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  67. 山内一郎

    山内国務大臣 そのとおりでございまして、先ほど申し上げたとおりでございます。
  68. 久保等

    ○久保委員 わかりました。  それじゃ次にお尋ねしたいと思うのですが、先ほどもちょっと申し上げましたように、非常に大きな問題になっております国庫納付金の問題、衆議院では大蔵委員会の審議を議了したという段階になっておるわけです。この問題については、この前私申し上げましたように、本来でありますとこの逓信委員会で十二分に慎重に審議をすべき性格のものでありましたが、大蔵委員会に付託せられて、大蔵委員会で先般ほんの短時間の連合審査が持たれた程度でありまして、まことに残念に思っております。制度そのものがまことに筋の通らない制度でありますことはもう繰り返して申し上げませんが、しかし、この納付金制度によって今後四年間に四千八百億円、しかもこれに対して利子をつけて返すことになりますから、今後十四年間の総支出というものは元利食あて八千二百億円に上ると言われております。大変な負担です。  一体今後の電電公社経営がどうなってまいるか、先ほどもちょっとお話が出ておりましたように、拡充法の問題もこれまた明年度で切れます。明後年度から、あの建設公債発行によるいままでの収入といいますか、資金というものは今後は何らかの形で別途考えなければならぬという問題もあります。昨年の十一月から夜間通話の範囲拡大等が行われたというようなことで、今回また公衆法の一部改正、次から次へと電電公社は金のなる木があるという考え方なのでしょうか、次々と召し上げていく、私は、今回の公衆電気通信法の一部改正による長距離の通話を値下げすること自体は、少なくとも加入者負担減になることでありますから結構だと思う。ただ問題は、全般的に判断し、全般的にながめて今後の見通しを立てた上にやらないと無責任のそしりを免れません。  私はそういう意味では公衆電気通信法に対しては疑問を持っておるわけですが、中身そのものについては賛成であるけれども、今回出されてきた、こういう時期にこういう形で出されてきたことには大きな疑問がある。むしろ郵政当局そのものに対しても私は反省を願わなければならぬと思っておるくらいでありますが、しかしいずれにいたしましても国庫納付金の問題は先ほど申し上げたような経過になっております。一体今後の財源不足等についてどう対処していくのかという質問等については、これは郵政大臣からも何回もお答えがありました。今後ひとつ一増生産性を上げてもらう、従業員もひとつ努力してもらって、そういったマイナス面をぜひ補ってもらって、赤字克服といったようなことについても今後一層努力してもらいたいのだというようなことを大蔵委員会の場でも、また当委員会でもおっしゃっておられるのですが、そのことは、結局従業員諸君に従来より以上に努力してもらわなければならぬ、生産性を上げてもらわなければならぬという意味だろうと思うのでありますが、そういったことは、郵政大臣としてもう一遍確認をしたいと思うのですが、いかにお考えになっておりますか。
  69. 山内一郎

    山内国務大臣 納付金の問題につきましては、国家財政が非常事態であるという点から、これは財政当局と意見を一緒にしたということでございますけれども、そのためにも電電公社に大変な御苦労をかけること、この点は間違いないと思うのです。したがって、従来も一生懸命やっていただいておりますけれども、さらに生産性の向上、能率化を促進するためには、一番重要なことはやはり労使協調の点であろうというふうに私は考えているわけでございます。したがってその点、電電公社でも十分やっていただきますけれども郵政省としてはそこに重点を置いて今後配慮してまいりたいと考えているわけでございます。
  70. 久保等

    ○久保委員 大臣、端的にお尋ねしますが、結局労働条件の向上問題、これについては十分に配意してまいられる御意思かどうか、お尋ねしたいと思います。
  71. 山内一郎

    山内国務大臣 そのとおりでございます。
  72. 久保等

    ○久保委員 大体そういう御答弁だろうと思うのですが、しかし先ほど来申し上げるように、一つの時期的な問題として考えると、電電事業は今日異常な事態にあるのではないかという感じがいたします。だから、そういう点から申しますと、いま言われた労働条件の向上の問題について十分考えようということは、中にこの場の答弁ということだけじゃなくて、本当に誠意と熱意を持ってお取り組みをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  73. 山内一郎

    山内国務大臣 熱意を持ってやる決意でございます。ただ、いろいろといま国家財政が緊迫しているという点も一つの条件の中に入ると思うわけでございますので、そういう点でそういうことも考えながら、なおかつ電電公社の皆さん方に気持ちよく働いていただくために私は力を尽くしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  74. 久保等

    ○久保委員 そういうことは大蔵大臣もよく言うわけですが、特にもう少し――いま春闘のさなかでいろいろ問題になっているし、大臣これからおいでになって御相談になるのだと思うのですが、問題は、四・四%がどうとかこうとかという議論も出ているのですけれども、消費者物価の問題は一体どう考えているのかという問題もあるし、それから同時に給与という問題はいわば生産性、生産そのものに対する非常に大きな原動力になっているわけですから、ただ抑えればいいというものではなくて、むしろ投資をして逆に生産性を思った以上に上げてまいるならば、それは非常に生きた形での給与問題、労働条件の向上そのものが逆にまた生産を高めていくということになると思うのです。ここらの積極面がないのですね。できるだけ安くたたくことが何か国家財政の助けになる、その面だけを見れば確かに助けになると私は思うのです。しかし、いま言ったそれがどうはね返ってくるか、それが生産向上の上にどう生かされてくるかという面を考えるならば、わずかばかりの金額をけちけちしてやるようなことは全く愚策だと私は思うのです。  だから、大蔵大臣の立場もわからぬわけではないんですけれども、特に現場を持っておられる、郵政にしても電通にしてもそうですけれども、そういう現場を抱えている大臣としては、一体今後の生産をどうしていくか。伸ばしていかなければいかぬわけですね。成績を向上させていかなければならぬわけですが、そういう立場で労働者の問題については、先ほどもちょっとお尋ねしたようにぜひ格段の誠意と熱意を持って取り組んでいただくようにお願いしたいと思うのですが、もう一遍ひとつお答え願います。
  75. 山内一郎

    山内国務大臣 いま久保先生の言われましたとおりでございまして、熱意を持ってひとつ大いに努力をしてまいりたいと考えております。
  76. 久保等

    ○久保委員 恐縮ですが、経営委員長にちょっとお尋ねいたします。  経営委員長もすでに経営委員になられて約五年近く御就任になっておられるようですが、大変な激職を持っておられながら経営委員をおやりいただき、また経営委員長に御就任になっておられる、まことに御苦労に存じます。  ところで、そういう御経験の上から制度なり経営形態のあり方については、先ほどお尋ねしたように、従来の枠組みそのものを変える必要もない、したがって現行制度が適当ではないかという御判断のようですが、この現行制度の中で、運用の面あるいはまた若干の手直しといいますか、あちこち少し組織的にも考えた方がいいのじゃないかというようなことで、きわめて簡単で結構ですけれども、もしお気づきの点、御所見がお伺いできれば幸いだと思うのです。
  77. 吉國一郎

    吉國説明員 実は昨年日本電信電話公社でいろいろ問題となった事件がございました、それに対応いたしまして経営委員会としても大変責任を感じまして、経営委員五人の合意で一つの意思決定をいたしまして、それを部内に通達したことがございますが、何と申しましても公社の中でこのようなことが二度と起こってはならないということで、まず第一に監査機能を強化しようではないかということを考えまして、現在監事が二人おりますが、その監事を補佐するようなスタッフもそろえまして、内部で業務及び経理の監査を十分にすることによって二度と再びあのような事態が起こることのないようにしようということで、目下その具体化について検討中でございます。  なおこの点につきましては、執行部総裁、副総裁にももちろんよく相談をいたしまして、監査機能の強化に努めるようにいたしたいと思います。
  78. 久保等

    ○久保委員 もう一つちょっとお尋ねしたいと思うのですが、実際の公社運営の上から問題になるのは、予算の面で拘束されております現在の状況、これはもう企業の自主性だとか効率性だとかいう面では、経営者の立場から言って私は非常にやりにくいというか、企業性を発揮する上からは大変な湾路になっておるんではないかと思います。特に給与等の基準内、基準外というような問題についても一々細かく郵政大臣の了承を得なければならぬ。私は、特に電電公社のこの経営形態の中で特筆すべき問題は何といっても経営委員会が設けられておるということで、これはほかに見られない非常に大きな特色だと思います。しかも、経営委員長初め経営委員の方々全部国会の両院の同意を得て内閣総理大臣が任命するというようなことでは、むしろ国務大臣より以上の非常な厳重な扱い方になっておるわけでして、そういう経営委員会の議決を経ております予算決算、その他重要事項すべてでありますが、そういった問題が何か非常に細々と規定せられておる。したがって、一言にして言えば、予算の中の予算総則、これについては大いに改善をしなければならぬというように考えるのですが、細かい何条どうこうの問題は別として、総括的にごらんになって私がいま申し上げたようなことについてはどういうようにお考えになりますか。
  79. 吉國一郎

    吉國説明員 先ほど久保委員がお挙げになりました公共企業体等基本問題会議意見書、この中に当事者能力懇談会の報告書というものもございます。そこの中で予算の統制について触れておりますが、その最後に一三公社五現業の予算の執行に当たっては、制度面での弾力性を活用し、各企業体等が自主的に企業性を発揮できるよう運用の円滑化に努めることが望ましい。と書いてございます。その点、久保委員指摘のように現在の運用について問題なしとしないということであろうと思いますが、ただ現在の予算総則は、予算の弾力性でございますとか予算の流用、経費の繰り越し、給与総額の変更等について規定をいたしておりまして、それ全体といたしましては企業的な経営体制を確立するためのものでございまして、日本電信電話公社法の基本精神に基づいて決められておるものと思います。  ただ、その運用につきましてはなお若干の改善の余地があると思いますので、そういう点についてはなお今後執行当局にもよく話をいたしまして、できるだけこの意見書にございますように運用の円滑化に努めるようにいたしてまいりたいと思います。
  80. 久保等

    ○久保委員 経営委員長ありがとうございました。大変お忙しいそうですから結構でございますが、ただ一言、なお今後もお願いしたいと思いますのは、経営形態そのものについてさえ今日非常に外野の方で声を大きくしていろいろ意見がございます。それだけに、最も責任のありまする経営委員長あるいは経営委員の方々にこういった問題についてもぜひひとつなお一層御鞭撻をいただき、あるいはまた積極的な御意見等も場所を得て十分に御発表いただきますことが、世論に対する一つのいい指導にもなるわけだと私は思うのです。問題は、世論といっても、これはもうだれか専門的な、またその責任の衝にあるところで提唱し、また大いに議論を提起してまいりませんと、ただ単にあちこちでにぎやかにいろいろ議論が出たからといって、必ずしもそれが正鵠を得た議論であるかどうかは私は別だと思います。そういう点では、非常にお忙しい中で大変な御重責で御活躍をいただいておりまして、まことに私も国民の一人という立場から見ても感謝にたえません。国民のための電信電話事業が健全に発展をしてまいりますようにぜひひとつ今後一層の御尽力をお願い申し上げまして、私の経営委員長に対する質問は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  81. 吉國一郎

    吉國説明員 ただいま久保委員から大変な御期待をいただいて身の引き締まる思いでございますが、ただ、経営形態の問題について一言だけ申し上げさせていただきますと、いずれこの問題は、いわゆる第二臨調、今度の臨時行政調査会においても検討されまして、その上でいろいろな議論が出てまいると思います。ただいま山内郵政大臣から答弁もございましたように、郵政省で民営論を検討しているという事実も全くございません。ただ新聞等で民営、民営と言っているわけでございます。したがいまして、民営にいたしますにしてもどういう内容のものであるか、民営と申しましても非常に幅の広いものでございますので、そういう問題が何ら内容を明らかにされないで、ただ民営、民営という声が世間に歩き回っているような状態でございます。臨時行政調査会でいろいろ検討をいたします段階においては、当然電電公社にもまたいろいろ問い合わせも検討の提供もあると思います。そういう機会には十分に議論を尽くしまして正しい姿に結論が落ちつくように、私ども努力してまいりたいと思っております。
  82. 久保等

    ○久保委員 どうもありがとうございました、山  次に、公衆電気通信法の一部改正法案の審議を進めたいと思うのです、もう余り時間がございませんけれども、今回のこの改正案を提案するに至った経緯なりその理由というもの、特にその理由について簡潔にひとつお答え願いたいと思うのです。
  83. 守住有信

    守住政府委員 先生承知のとおり、わが国の通話料の問題でございますけれども、諸外国に比べましても近距離は二分の一あるいは四分の一と非常に低くと申しますか、安くと申しますかなっておりますのに対しまして、遠距離は二倍ないし三倍というのは御承知のとおりでございますけれども、この遠近格差が非常に大きいというので前々から非常に大きな問題になっておりまして、私ども政策局としても、重大な政策課題だ、こういうふうに認識しておるわけでございます。今般、日曜祝日の割引制度の導入もございますが、五百キロ以遠ということで考えましたものは、やはり一方ではいろいろお話もございましたような公社の財務状況も踏まえながら、しかし特に遠距離と申しますか五百キロ以遠というものにつきまして値下げを行う、五百キロ以遠で一四%、七百五十キロ以遠で一七%に結果的には相なりますけれども、そういうものをやろう、それからまた日曜祝日、これが三百六十五日の中で約一八%の日数比を占めておりますけれども、そういうものにつきまして、これは六十キロ以遠の夜間割引と同じ区域でございますけれども、六十キロ以遠のものに対して割引制度を導入して、一方では納付金の問題もあったわけでございますが、公社自身直接加入者の方々に利益を還元すると申しますか、やはりそういう思想がなければならぬということの一つの具体化である、このように考えておる次第でございます。  したがいまして、そういう意味で今国会に一応暫定と申しますか、抜本的な遠近格差の問題はなお残っておるわけでございますけれども公社経営状況というのを一方踏まえながら、五百キロ以遠について値下げを行いますし、日曜祝日の割引制度を導入しよう、こういうものでございます。
  84. 久保等

    ○久保委員 格差問題を取り上げますと、遠近格差の問題、これは確かに従来から一つの非常に大きな問題になっております。しかし問題は、格差問題がそれには限らないわけでして、特に加入区域の大小による格差、これは非常に大きな格差があると私は思うのです。よく言われまするように、たとえば東京のような非常な加入密度の高い、しかも地域的にも相当大きいそういうところと、小さい加入というよりも単位料金区域、単位料金区域の小さなところ、加入者はわずかに千余りといったようなところもあるし、それから東京のように加入者が約四百万、四百万対小さいところの例としてはよく言われるのですがすぐお隣の三鷹あたりのところ、これは面積からいけば日本一小さいようですが、単位料金区域としては東京は五百八十五キロ平米、それに対して三鷹の場合にはわずかに九十キロ平米、こういった環境を考えても、非常に大きなアンバランスがあると思うのですね。そういったような問題についてはどうお考えになっていますか。
  85. 守住有信

    守住政府委員 御指摘の単位料金区域の問題でございますけれども、面積的に見ればいろんなそういう数字の上では非常に違いがあるわけでございますが、やはり長い間の公社の歴史的なと申しますか、料金体系の中の問題として、都市というものを中心として単位料金区域が設定されておるといういろんな歴史的な経緯もあろうかと思います。しかし、御指摘のような点はなお遠近格差の問題とあわせてのさらに一つの問題であるというふうに認識をしておる次第でございます。
  86. 久保等

    ○久保委員 認識はしているというわけですが、認識しているだけでは問題の解決にならぬわけです。しかも、先ほどちょっと武蔵野、三鷹を取り上げたのですが、全国的に見て加入者数で単位料金区域の中で大小を比較すると、何といっても東京の三百九十六万四千加入、約四百万加入、それから奈良の上北山という単位料金区域ではわずかに千二百。千二百加入と四百万、倍率からいくと約三千倍以上になるわけです。加入者の数の大小だけをとらえてみた場合に、格差といっても余りにも大きな格差になっているのですしこういう問題で前々からわれわれ主張しておりますのはグループ料金制の問題、これはまた後ほど同僚委員の方からも御質問があるようですから私は多く触れませんけれども、とにかくそういうような非常に大きなアンバランスがある。  遠い近いももちろん問題があります、しかし、遠い近いの問題だけについて言っても、今度の遠い近いの遠近格差是正は今回出たこの法律案によってすべて解決したと理解しておりますか。
  87. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生承知のように遠近格差につきましては、外国と比較しまして日本は近距離が安くて遠距離が高過ぎるという問題があることは御承知のとおりでございますが、これを抜本的に改正をいたしますためには、やはり安い近距離を上げて遠距離を下げる、こういう必要がございますが、われわれといたしましては、先ほど電気通信政策局長が言われましたように、さしむきいまの収入状況等見まして、できる範囲で著しく高いと思われる最遠距離二段階の値下げ等、ないしは昨年の夜間割引とか、ことしいまお願いいたしております日祝割引等を考えておるわけでありますが、先生おっしゃいますように、抜本的に遠近格差を是正する必要はあると思っておりますけれども、それにつきましては近距離の改定ということが起きてきますので、そのときに抜本改正をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどの加入数による差の捕捉でございますが、これにつきましては先生承知だと存じますが、最初加入区域を最低単位といたしましたときは二、三キロから東京のような三十キロという非常に大きい格差があったわけでございますが、単位料金区域にいたしましてはぼ平均三十キロという面積に直していったわけでございます。しかし、個々につきましてはおっしゃるようにそういう格差がございますが、現在五段階に基本料を分けておりまして、それで加入数の少ないところは基本料が安い、こういうことで考えておるわけでございます。
  88. 久保等

    ○久保委員 とにかくいまのお答えにもありましたように、遠近格差の問題そのものについてもすべて片づいたということではない。要するに料金体系全般について検討しなければ、局部的に取り上げただけでは問題は解決しません。  しかも、この問題は何もきのう、きょう指摘されている問題ではなくて、この前の料金値上げの際に、昭和五十一年の衆議院における附帯決議の中にも「電信電話の料金体系については、」「公平な料金決定方式を確立」せよ、こういうような附帯決議もつけられております。あるいはまた、ずっと昔でありますが、昭和四十四年の五月八日、参議院の逓信委員会における附帯決議の中でも、グループ料金制の問題を取り上げて「一般利用者負担能力、原価等を考慮して再検討」せよといったようなことが取り上げられております。そういったようなこと等考えて、根本的に料金体系というものを見直してぜひ確立をしていく必要がある。だからそういう機会に、あらゆるものを、遠近格差の問題にしろ、加入者の密度の格差の問題にしろ、あるいは面積の大小の格差にしろ、そういったことをすべて検討しなければ、単に遠いところを若干下げるんだということでは問題は解決しないと思うのですね。なぜそういうことに重点を置いた検討をし、また法案の提案の仕方をしないのか、これは私非常に残念に思います。もちろん下げた部分だけは利用者負担が軽減されるのですから結構でありますが、しかしそのことだけで済まされるわけではないのでありまして、先ほど来申し上げますように、非常に財務的な負担が重なりに重なっておる時期に、こういった問題だけを緊急に取り上げなければならぬ理由が一体どこにあったのか、その緊急性の問題について一言政策局長にお答え願います。
  89. 守住有信

    守住政府委員 遠近格差の問題は、先ほど御答弁いたしましたように前から大きな問題になっておった、それから利用者の方々からの御意見も非常に強いものがある、他方、電電公社収支差額と申しますか、その性格は違うわけでございますけれども予算上、決算上非常に大きな収支差額が出てくるような現象がございまして、片や納付金の問題等にも発展していったわけでございますが、長い間の問題でもございましたし、ここで公社としましてそういうものを直接加入者の方々に還元していく、こういう具体化というもの、限界はございますが、先生指摘のような抜本論でもございませんが、しかしここで具体的なものをはっきり国民の前に出していくという姿勢が大切ではないか、こういう判断をいたした次第でございます。
  90. 久保等

    ○久保委員 繰り返すようでありますが、要するに料金体系の問題は長い間の問題で、しかもこれは直接加入者、国民に利害関係が深いわけですから、公平な負担を求めてまいるということからしての総合的な整合性のある料金体系をつくることに、ぜひひとつ真剣に取り組んでもらいたい、このことについて通信政策局長から簡単にお答え願いたいと思います。
  91. 守住有信

    守住政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたように、近距離と遠距離を調整するためには、経営を維持していくためにはどうしても近距離を値上げしてその間の調整を図らなければならない、この問題がございますので、なかなか即座にこれを実施するというわけにはまいらない。一方、経営状況もございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういう問題の抜本的な体系の問題として今後いろいろ研究していこうと考えておりますし、さらにまたそのことが公社のコストということ、原価計算はなかなかむずかしゅうございますし、いろいろな前提を置かなければなりませんけれども、現在十四段階に分かれておるそのコストの実態を何らか統計的なあるいは配賦的な手法で国民、利用者の前に明らかにしていって、近場と遠距離との違い、実態というものを利用者の方々に十分御認識、御理解を得ながらこの問題は取り組んでいかなければならぬ、このように考えておる次第でございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  92. 久保等

    ○久保委員 もう時間がありませんから最後に一つお尋ねしたいのですが、いろいろな国民のニーズに基づいて公社が新規サービス等を開始するに当たって、物によっては当然郵政大臣認可を得なければならぬという問題があります。そのことについてお尋ねしたいのですが、正式に認可申請書が出されて、それに対する認可は表面的にはきわめて問題なく片づけられておるようでありますが、その認可申請を正式にする以前の準備段階といいますか、電電公社郵政省との間における話し合い、折衝といったことに時間がかかり過ぎておるような、これは通信政策局は発足してまだ間もないわけでありますから電監室当時からの問題であろうと思いますが、そういう傾向が間々あるようです。そういう準備段階でもう少しスピードアップして、認可問題についてはてきぱき処理してまいる必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  93. 守住有信

    守住政府委員 御指摘認可問題の対応でございますが、認可内容に応じまして、事務的に従来のパターンの延長というサービスのものもございますし、基本的なと申しますか、従来のサービスとの整合性等々についても十分配慮しなければならぬというものもございますので、それに応じてやっておる次第でございますし、こういう席でなんでございますが、非常に少数の人間でやっておるということもまた御理解いただきたいと思う次第でございます。
  94. 久保等

    ○久保委員 もちろん人数の問題は考える必要があると思うのですが、先ほども申し上げたように、電電公社性格なり生い立ちといいますか、そういうことを考えれば、でき得る限り自主性というか企業性というものを発揮させていくといったてまえに立ては、それこそ許認可の問題についての合理化という問題も一面において考えていったらどうかと思うのです。  しかし全く新規のサービスの問題については、郵政大臣としての認可という問題にかかるわけですから、検討されることは当然必要ですし、やらなければならぬと思うのです。ただ、具体的に言うと五十四年ごろ、新規事業をやるということになれば、電電公社自体は労使の間で話し合う。これは非常に慣行的によくやっておられるようですが、労使の間で話が決着がつく。もちろん従業員に対しては訓練もしなければならぬというようなことで、相当時間をかけて訓練をやったりなんかして準備は終わっているのだが、なかなか認可がおりない、認可の申請が正式にできるところまではいかないというようなことで、たとえば小型電話ファクスだとか、あるいはクレジット通話サービスだとか、あるいは二重番号サービスだとか、自動着信転送サービスだとか、電子式PBX付加サービスだとか、ビジネスホン50Eだとか、公衆ファクスサービスだとか、いろいろな問題を五十三年ごろから話をしているのですが、組合の方では何かもう訓練まで終えて、いつ始まるかいつ始まるかと思っておるのだけれども、まだ一向に正式には決まらぬ。そういったようなこと自体が、すでに五十四年ごろのものがいまだに解決していないというか認可がおりないというようなことで、われわれそういう経緯を聞きますると、どうしてだろうなという疑問を持つのですが、結論は、ここで余りもう時間がありませんから、ぜひひとつもう少しスピードアップをして、認可の問題については早く片づけるように今後格段の努力を願いたいと思います。これだけ要請をしておいて私の質問を終わりますが、局長の方から一言御答弁願います。
  95. 守住有信

    守住政府委員 お話のように、なるべく迅速に処理をするという基本姿勢でおるわけでございますが、中には国民、利用者との関係あるいは企業サービスとの整合性という問題もございますので、その点につきましても、なるべく早くその問題点を公社の方に提起しましてやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  96. 久保等

    ○久保委員 質問を終わります。
  97. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 久保等君の質問は終わりました。  次に、武部文君。
  98. 武部文

    ○武部委員 私も最初に経営形態の問題と納付金の問題について総裁考え方なりあるいは大臣考え方をお聞きしたかったわけですが、時間が最初の予定よりも削られましたしまた、同僚委員からこの問題について取り上げられましたので、私は一つだけ申し上げておきたいと思いますが、この納付金問題というのは、私自身はいまだに納得できません。先ほどの同僚の委員と同じ見解であります。あの連合審査のわずか三時間ばかりの中でも、政府側の答弁を聞いておりましても納得できません。しかも、電電公社と馬やばくちを一緒にして金を召し上げてしまう、こういうようなことが一体筋が通るだろうか。この大蔵省の無理押しに対して、郵政省電電公社が最終的に抑え込まれてしまった、このように私は理解をしておるわけであります。同時に、電電公社側にもそのような抑え込まれるようなすきがあったではないか。一々例は挙げませんが、そういう点について考えていかなければ困る、こう思います。  先般の財源確保法案の本会議における趣旨説明の際に、わが党の佐藤君が質問をいたしましたが、これに対する答弁を見ておっても、やはり認識が全然違う。ここに議事録がございますが、本会議の議事録によっても、中曽根行政管理庁長官は「五十五年末におきましても、約一兆六千億円と推定されるいわゆる剰余金、収支差額が生まれております。しかも、ここ二、三年の間、また相当額の剰余金が見込まれる状態でございます。」今度は大蔵大臣に至っては「電電公社は、ともかく、それだけ一兆六千億円も利益積立金があって、剰余金は累計で五十六年度末では二兆二千四十六億円くらいになるのです。」こういう答弁をしておるのであります。しばしば論議がありましたように一兆六千億、しかも今度は大蔵大臣は五十六年度末、今年度末には二兆二千億、何か金庫からあふれ出るほど電電公社は金を持っているじゃないか、だれが聞いてもそうとれるような答弁であります。全く内容を御存じない。電電公社の経理というものはそういうものじゃない。こういう点について電電公社なり郵政省が大蔵省に対して、電電公社経営の実態、経理の実態というものをもっと認識させる努力が必要だと私は思うのです。そういう点が欠けておるから、こういう点で突っ込まれて抑え込まれてしまう。確かに財政再建は当面する政治の大きな課題です。しかし、それに電電公社が文句を言わないで抑え込まれてしまうことは、私は納得できません。今後の経営状態を見るとなお心配だ、こういう点がありますので、冒頭にそのことを申し上げておきたいのでおります。  そこで、先ほど久保委員からもお話がございましたが、今度の料金改定の目的は一体何だろうか、いまからちょうど十年前の昭和四十六年の衆議院本会議で広域時分制を内容とした公衆法法律改正が出たときに、本会議で私はこの問題を取り上げました。ここに議事録を持ってまいりましたけれども、いまからちょうど十年前であります。そのときは三分七円、それと設備料の値上げ、そういうものの法律改正でございましたが、当時は佐藤総理大臣、井出一太郎郵政大臣でございました。私どもはその数年前から、この料金体系の問題について、いわゆるグループ料金制というものを採用すべきだということで、逓信委員会でも具体的に地図を挙げながら、そういう問題について公社の検討を要求したことを私は記憶をしておけます。  あれから十年たちました。今回の改正はこの問題には何も触れていない。しかも、いまお話がございましたように、その後数回にわたって衆参両院の附帯決議もなされておるのであります。なぜそういう重要な問題について一指も触れないで、そうしてただ単にちょっと利益が出ておる、剰余金が出ておる、突っ込まれるかもしらぬ、それらは遠近格差の中の遠いところだけちょっと小手先細工でいろっておけば、それでまず一千億程度の金が減収になる、こういうことでは公社の全般的な料金体系を見直すことにならない。しかも問題はたくさん残ったままだ、こういうことになると思うのですが、郵政省はもう一回ひとつこの問題に対して答えていただきたい。
  99. 守住有信

    守住政府委員 先生指摘のように、参議院の逓信委員会におきましても、グループ料金制の研究を行うということにつきましての附帯決議がなされたことは承知いたしておりますが、今回の改正法は、先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども要望の多い通話料の遠近格差の是正を図るための措置といたしまして、近距離通話料を値上げと申しますか改定しない範囲内で遠距離、特に遠い遠距離通話料の引き下げをしようとするものでございます。したがいまして、一方では公社経営状態も見ながら、加入者へ直接還元という方式をとろう、一定の限界の中でそういう方策をとろうというものでございます。したがいまして、グループ料金制につきましては、何回も御意見、附帯決議等もいただいておるわけでございまして、公社自身も、これはもう十年前からの問題でございますので、いろいろ研究をされておるというふうには聞いておるわけでございますけれども、やはり近距離の調整の問題、さらにはこのグループ料金制の問題、これはあわせて考えていかなければならぬ、こういうことでございまして、当面の現在時点での措置としては、経営状況考えましてここまでが限界である、こういうふうに考えた次第でございます。
  100. 武部文

    ○武部委員 法律改正によって減収になる、これと関連をして、この前段としてひとつ正確な数字をお聞かせいただきたいのですが、今回の四千八百億円の納付金、これは四年に分割、その場合に公社は、この四千八百億円のほかに先ほどのお話のように利子がかかるわけですが、財投の関係等から見て、一体何年間に元金を幾ら、利子を幾ら、どれだけの金を払うことになるのか、正確な数字を述べていただきたい。これは公社側から。
  101. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  納付金の四子八百億円、この財源につきましては外部借り入れに求めるということで考えております。現在公社の外部借り入れの形は、電信電話債券を発行してこれを引き受けていただくという形でございますが、現在の電電債券の償還年限が十年でございます。それから利率、現在は八・三%前後でございますが、なべて八%前後という前提で計算いたしますと、五十六年度から子二百億円調達し、以降毎年千二百億円ずつ四年続きまして最高四千八百億円の元金、これに対します利払いは五十六年度から始まりまして、最終の利払いの終了が、五十九年に借り入れましたものの十年後、つまり六十九年でございます。五十六年から六十九年まで合計十四年間の利子負担が三千四百億円というふうに算定をしております。
  102. 武部文

    ○武部委員 これではっきりいたしました。八千二百億円、これだけのものが電電公社が払わなければならぬ金だ、こういうことになることがわかりました。  そこで、昨年の十一月の二段階制の割引で約千三百億の減収、今回はまた遠距離の割引、さらには日曜祭日、この割引で、先般のお話によりますとちょっと違った金額のようでありますが、平年度で千二、三百億円になるというようなことを聞いておりますが、大体間違いありませんか。
  103. 西井昭

    西井説明員 ただいまおっしゃいましたとおり、夜間割引で平年度で約千三百億、それから長距離の二区間の昼間料金の値下げ並びにそれに伴いますもろもろの影響、それから日曜祝日等の割引を行います、この二つで平年度で約一千百億円の減収になる見込みでございます。
  104. 武部文

    ○武部委員 その結果、平年度で、二つの法律改正によって二千四百億減収になる、こういうことであります。大体数字はこれでわかりましたから、以下、今後の料金体系の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  現在三分十円でありますが、料金区域最低の十円、この三分十円の根拠は一体どういう根拠になっておりましょうか、たとえば原価補償に占めるところのパーセントは幾ら、営業や保守の費用は何パーセント、収支差額は大体何パーセント、どういうことになっておりましょうか。
  105. 西井昭

    西井説明員 ただいまの三分十円の根拠はということでございますが、現在の電信電話料金と申しますのは、いわゆる総括原価主義という考え方で決められておりまして、それの範囲内におきまして、個々のサービスごとの料金については、ただいまおっしゃいましたような原価とか効用とか、さらには歴史的沿革等に基づきまして定められておるというのが実態でございます。したがいまして、この三分十円というのもそのような歴史的沿革その他に基づいて決まっておるわけでございます。  その根拠、三分十円になりました主な要因を申し上げますと、まずダイヤル通話料の体系でございますが、いわゆる距離別時間差法というものを導入いたしまして、単位料金を固定いたしまして通話できる時間を遠距離ほど短くする。距離別時間差法を導入いたしたときに、それまでの各区間ごとの料金の差が著しく変動しない、こういうことで決めたのが実態でございます。  また、現在の単位料金十円と申しますのは、五十一年の料金改定の際に財政基盤の確立のために基本料の改定と合わせまして一律従来の七円のものを十円に上げたというのが実態でございます。  それから、この区域内通話時間の三分に決めましたのは、昭和四十七年のいわゆる広域時分制の実施の際に、従来加入区域内無制限でありました通話時間を、通常の通話であれば三分以内でほぼ通話の目的が達せられる、こういう理由から三分十円にした、こういうのが経緯でございます。  したがいまして、端的に申しまして、現在の区域内通話料というのは必ずしも原価に基づいて設定をされたものではございません。それで、区域内通話料と区域内通話に要する原価というものを対比することは非常に困難でございまして、これは諸外国におきましても、こういう距離段階別の原価というのは試算はできないというのが一般でございますが、ただ、公社もそういうわけにもまいりませんので、公社の内部でいろいろ一定の前提を置いて学識経験者等の意見も参考にいたしまして試算をしたものがございます。それによりますと、現在の三分十円というのは、原価から見ると著しく安いというのが実態でございます。
  106. 武部文

    ○武部委員 四十六年のときに広域時分制の提案があったときに、私は三分七円を五分七円にしたらどうだということを提案したわけですが、これは受け入れられませんでした。大体三分というのは世界的な常識というような答弁があり、いま局長から答弁がございましたが、それに似たような答弁が当時もあったことを記憶しております。現在の電電公社のコストの問題は総合原価補償主義をとっておる、こういうことですから、それもいまの段階ではやむを得ぬような気もいたします。  それならば、こういうことを聞きますが、間違いなら間違いというふうに言ってください。現在の通話原価、これを距離別に見た場合、最遠距離のコストは区域内の十三・九倍の試算結果が出ている、こういうことを私は聞いていますが、そういうことを公社側として試算をしたことがあるかどうか、これをちょっと……。
  107. 西井昭

    西井説明員 お答え申し上げます。  公社内でいろいろな勉強をしてまいりましたけれども、現在、先ほど申しましたように、学識経験者等も入れましてどういう計算をすれば一番実態に近いだろうかということで勉強した結果の数値は、もう少し遠近格差が大きうございまして、大体一対二〇程度というふうになっております。
  108. 武部文

    ○武部委員 後でもう一つ、この資料から申し上げたいと思いますが、実は「電話の向うはこんな顔」という本がございまして、これは去年発売されたものですが、この中にいま私が申し上げたことが書いてあります、十三・九倍が一番遠い距離と区域内との格差だ、こういうふうに、それがコスト上における数字だ、こう書いてあるのですが、いまのお話と若干違うようであります。それはそれとして、一つお聞きしたかったのであります。  そこで私は、時間の関係で料金の問題だけにしぼってこれからお尋ねをいたします。  確かにこの料金というものは、電電事業が健全な運営をされていかなければならぬ、そのために前提としたものでなければならぬということは、私も基本的にそのとおりだと思います、しかし、あくまでも公正でなければならぬ、これは料金決定の原則でなければならぬと思うのです。したがって、不公正があるならばこれは直ちに努力をして公正な料金にするようにしていかなければならぬ、そのためにこそ、われわれはグループ料金制というものを十数年前から提案をして検討を求めてきたのであります。電信電話諮問委員会の答申というのがここにございますが、これは五十三年一月五日、電信電話諮問委員会会長都留重人さんから電信電話社総裁の秋草さんに出されたものであります。この中にやはりこの問題がはっきりとうたわれておるのであります。  これを見ますと、かねがね私どもが一つのモデルケースとして出しておったイギリス式のグループ料金制というものがここへ記載をされております。もちろんこのグループ料金制というのはイギリスだけではなくて、ニューヨーク方式もある、あるいは隣接方式をとっておる西ドイツの方式もある、いろんなグループ料金制があります。しかし、ニューヨークは直ちに日本に適用はなかなか困難であろう、したがって今日最も近いグループ料金制としてわが国に適用されるであろう、参考になるであろうというものはイギリスにおけるグループ料金制度だと、ここにもはっきり記載をされておるのであります。ここにもイギリスの具体的なものがございますが、そういうイギリスの料金制度を参考にしながら――ここにははっきりと、「イギリスにおけるグループ料金制度は、料金区域の境界付近で市内通話と市外通話の料金格差が生じないなど評価できる面もあるので、これを参考にしながら、区域内、隣接区域、非隣接区域の間に不公平が生じないように、秒数などによる調整を行うことが考えられてしかるべきであろう。」全部は読みませんが、そういう諮問に対する答申がここにはっきりとうたわれております。  何遍も言うように、私どもはこの問題は十数年前から指摘をしておるのであります。確かにむずかしい問題はあります。しかしこのことは、遠近格差の中で、たとえ困難であろうとも努力をしながら成案を得ていかなければならぬということを何回も言い、公社側もそのことについては検討をし勉強させてもらうというようなことを答えておきながら、今日十数年経過をしたわけです。そして昨年の十一月にはあのような法律改正が出てきた。また今度も、それとは全然関係ない遠距離だけを低減をする。こういうことになってきたわけですから、私は料金問題について公社側に一貫性がない、このように指摘せざるを得ないのであります。  一つの例を申し上げましょう。先ほど東京の例がございましたが、私はごく最近体験をしたわけですが、私の地元に飛行場があります。この飛行場はターミナルが非常におんぼろで、全然問題にならぬので、今度ターミナルをつくろうということになって、りっぱなターミナルビルが完成をいたしました。前にあったビルの――ビルなんというものではありませんが、建物と今度の建物とは約百メートル離れておる。私の地元は二つの市が隣り合わせにひっついておりますが、ちょうどその飛行場が境界線になっておるのです。私はよく知っておるから、今度建物が建てはこれは市外通話になるなと思っていましたけれども、ほかの人は全然わかりません。その建物と建物との間が奇妙なことにちょうど境界線であります。したがって、新しいターミナルができた途端に電話は市外通話であります。  今度新しいターミナルができた市は約三万数千の小さな市です。こっちの市は十二、三万、約四倍、ほとんど全部もとのところの通話なんです。ターミナルビルはいま物すごく混雑しています。電話料は一遍に市外通話になっちゃった。これはついこの間のことでありますが、それがあるからこそわれわれは、グループ料金制としてその隣接の地域だけは同じ料金にしたらどうだ。確かにイギリスとかアメリカとか西ドイツのやり方というのはそういう簡単なものじゃありません、距離別にいろいろやっておりますから。そういうことをやっておったんでは時間がたつから、せめて隣の区域だけは同じ料金にしたらどうだ、こういうことをわれわれも提案をしておるわけであります。  こういうことがなぜできないのか、私は大変疑問に思うし、利用しておる方から見れば、きのうまでは市内達話で十円でやっておったのに、きょうから市外かと、全然局番も違ってしまっておる。建物は約百メートルしか離れておりません。こういうことが現実にあるんです。そういう問題を解決するためにこのグループ料金制というものをわれわれはかねてから提唱しておったのです。  これはどこでも出てくると思うのです。隣の家、隣の道――道を隔たればもう市外ですから、こういうものを解決することになぜもっと電電公社は力を入れないのだろうか。ちょっとこの点だけ……。
  109. 西井昭

    西井説明員 ただいま先生のおっしゃいます事例のとおりでございます。公社はこのグループ料金制そのものはただいま御指摘のとおりやっておりませんが、先ほど来お話のございました昭和三十七年の距離別時間差法、これはある程度お話が短ければやはり十円でかけられるということで、われわれとしてはグループ料金制に一歩近づく前提の料金体系であるというふうに理解をしておるわけでございます。それから、四十四年に近郊通話の採用をいたしまして、四十七年に広域時分制を採用するということで、逐次そういう方向に向かっておるということは御理解を賜りたいと思います。  ただ、今回のときになぜそれをさらに、完全実施ではなくても進めないか、こういう御指摘であろうかと思いますが、先ほどから政策局長からもお話がございましたとおり、わが国の料金体系の抜本的改正を行うためには、どうしてもグループ料金制を行いますにいたしましても近距離の通話料を値上げをするべきだということでございまして、そういうことになりますと、いろいろな関係の利害が相反する方も出ていらっしゃいます関係で、今回の場合は、あるべき料金体系の中で、公社経営状況も勘案いたしまして長距離の値下げの部分だけを一歩先んじて実施をする、こういうことでこの法案をお願いをしておるところでございます。
  110. 武部文

    ○武部委員 一歩先んじてこれからやろう。これからやるのだということならば、恐らく次のことを考えておられるに違いないから、それではこれからお聞きいたしますが、現在の単位料金区域は五百六十七ですが、その場合に、グループ料金制として私どもが主張しておるように、隣接地域、これを同じ料金単位にした場合に、五百六十七はどの程度の数になりましょうか。
  111. 玉野義雄

    ○玉野説明員 グループ料金制といいますのは、先生が先ほどおっしゃいました単位料金区域を中心にして行いますので、それぞれの単位料金区域のグループがそれぞれダブって出てまいります。したがいまして、そのグループの数は、単位料金区域を単位としてつくりますので、数は単位料金区域の数と同じ五百六十七になります。
  112. 武部文

    ○武部委員 ダブってくるわけですから、そうだと思います。  そこでお聞きしたいのは、もしこの五百六十七ある単位料金区域の隣接を現在と同じような料金に改定する、それを私どもは言っておるわけですから、そうした場合に、基本料が上がるところがあるでしょう。全然上がりませんか。
  113. 玉野義雄

    ○玉野説明員 基本料は現在単位料金区域内の加入数ということで決めておりまして、したがいまして、グループ料金制ということは単位料金区域を変えるということではなくて、その隣接を単位料金区域内の料金と同じにするという意味でございますので、基本料の変動ということはないのではないか、私はこういうふうに考えております。
  114. 武部文

    ○武部委員 そういうふうに理解していいのですか。
  115. 西井昭

    西井説明員 ただいま総務からお話しいたしましたように、現行公衆電気通信法ではそういう書き方になっておるということで御理解を賜りたいと思います。  御質問趣旨は恐らく、グループ料金制を導入いたしました場合、隣接の単位料金区域の通話料も同一単位料金区域の通話料と同じ金額になるわけでございまして、したがいまして、最低の通話料で通話できる加入電話の数がふえるので、そういったものを合計して基本料の額を決めたらどうか、こういう御趣旨かと思いますが、法律改正いたしましてそういうふうに実施をいたしましたら、これはその分だけ増収になるということは確かでございます。
  116. 武部文

    ○武部委員 現在の基本料の性格からいってそうなるだろうと私は思ったから、いまの基本料の性格からいってそうならなければおかしいので、そうなるだろう、したがって、若干の基本料の値上げによる増収は、このグループ料金制をやっても増収の面が若干あるなということを言いたかったのです。  そこで、現在の五百六十七の隣接を全部同一料金区域にした場合に、大体年間の平年度の減収は一体幾らぐらいになると予想されましょうか。
  117. 西井昭

    西井説明員 現在、御存じのように単位料金区域内は三分十円でございまして、隣接が八十秒十円でございます。これをもしグループ料金制ということを実施いたしまして安い方の三分十円に合わせるといたしますと、平年度で約五百億程度の減収になる見込みでございます。
  118. 武部文

    ○武部委員 わかりました、五百億ならこれは大したことはないのです。いままでの二つの減収の実績から見まして、そう大した金額にはなりません。しかも不公平はこれである程度解消される。私どもの念願しておるグループ料金制のまず第一段階目として、この隣接の開始ができるだろう、こう思っています。  そこで、確かに遠近格差の是正というのは非常にむずかしいことはよくわかります。これは、一番低いところの三分十円をそのままにしておったのではまた問題の解決にならない。ですから、たとえば三分十円の単位料金を変えるか、あるいは三分の単位時間を変えるか、三分ではなくて二分とかそういう方法、その中からいろいろな組み合わせが出てくるだろうというふうに考えられます。ですから、いろいろな外国の例をここにも書いてありますが、やはりそういうことをいろいろ検討しながら、努力をしながら今日グループ料金制というものがアメリカなりイギリスでやられてきたという歴史を、私はこの本からくみ取ったわけです。  特にアメリカにおいては、一九五〇年には遠近格差が三十七倍であった。これが二十八年間かかって、二十八年間のうちに実に十五回も料金改定をやっておる、そういう努力をしながら、今日この格差は割引のない昼間料金で三・五倍に縮まっておるのですよ。十分の一になっておる。二十八年かかって十五回の料金改定を繰り返しながら十分の一の遠近格差に変えていったという歴史を、アメリカのATTは現実にやっておるのです。  そういう努力がやはり電電公社にも必要だと私は思うのです、これは、上がるところは必ず文句を言う、下がるところは黙っておる、これが通弊です、しかし、料金が公正でなければならぬということを私は言いましたけれども、一体日本のいまの料金制度というのは公正だろうか、いま、一対七十二でしょう。それを今度六十に下げるという、これは一つの努力として評価はできますよ。しかし、外国と比べるとてんでお話にならぬ倍率でしょう。あなた方がお出しになった主要国の電話料金の倍率を見ますと全然違いますね。この倍率を見ますと、日本は七十二倍、そしてイギリスは十二倍、西ドイツは十五倍、アメリカが十八倍、フランスが十五倍、こういう倍率になっていますね。日本は改正後六十倍です。そういうふうに遠近格差はこういう内容を日本は持っておる。ですから、確かに一挙にはできぬかもしれませんが、そういう努力はこれから四六時中続けていかなければならぬ。私は、公正の原則から言って、当然そういうものに公社が真剣に取り組んでいく必要がある、このように思っております。  残念ながら、十数年来述べてきたことがいまだに実現しておらないわけでありますが、そういう意味で今回の法改正も、ただ単に遠距離だけに手をつけたということから見ると、私は一貫性がないということを指摘しておるわけであります。  そこでもう一つお伺いをいたします。遠距離の通話というものが電電公社収入にどういう率を占めておるだろうか。この点の資料がなかなか手に入りませんが、お伺いをいたしますが、今回五百キロ以上のところから下げるということになっていますが、五百キロから七百五十キロまでの間に占めるダイヤル通話収入分布というものがここにございます。これを見ますと一一・七%、七百五十キロを超えるもの一一・四という数字になっております。確かに遠距離のパーセントは高いのです。これは五十四年度のですが、ところが昭和五十二年度では、むしろ今回お出しになった数字よりももっと高かった。ここへ私は書いておりますが、たとえば五百キロのところが皆さんの五十四年度のダイヤル通話収入分布のパーセントは一二・一となっておりますが、五十二年度は一四・七あったのですよ。遠距離の収入分布がだんだん下がってきておる、こういうことが数字の上から出てくるのです。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 遠距離よりもむしろ近距離の通話の収入分布の方が高いという数字がこの資料から見ますと出てきますが、私がお伺いしたいのは、それならばこのダイヤル通話収入分布のパーセントはこれでわかりますが、住宅と事務用と二つはどういうふうな区分になりますか。
  119. 西井昭

    西井説明員 お答え申し上げます。  住宅と事務用別の利用状況でございますが、大体大ざっぱに申しまして、住宅用の方は通話度数で一カ月一加入当たり二百七十度程度、それから事務用の方は九百六十度程度という使用でございます。
  120. 武部文

    ○武部委員 そうすると、ここには住宅と営業と分けてありませんね。資料はございませんが、いまおっしゃった数字計算できませんけれども、二百七十対九百六十の割合でかけていけば、大体のダイヤル通話収入の分布というものはわかってくる。――わかりますね。したがって、遠距離通話は明らかに営業用が多い、こういうことになるわけです。  そこで私が指摘したいのは、今度の五百キロ以上の法律改正による減額措置というのは、一般の人には余り影響がない。むしろこれは企業用の値下げだというふうに理解せざるを得ないのです。ですから、これはこれとして下がることを、さっきの話ではないけれども、私は反対をいたしません。それはそれなりに意味を持っておるでしょう。しかしそれならば、いま申し上げたように、近距離の問題というものをここらあたりで少なくとも公社あたりから――具体的な数字として先ほどようやく五百億円という話が出ましたけれども、隣接の区域については同一料金を適用すれば年間、平年度で五百億円ぐらいな減収になるとおっしゃっているが、その実行を大体いつごろからやろうとしておるのか。私どもとしては、イギリスやあるいは西ドイツやアメリカのようなそういうところまでいま求めません。直ちに実現できる方法としては、これができることだ、これならば今回の法律改正にも一緒に提案してもらってもいい、そのぐらいに思っているのですが、どう思っていますか。
  121. 西井昭

    西井説明員 お答えします、  ただいま長距離をかける方はほとんど事務用で、近距離は住宅用が多いのではないかという御質問でございますが、公社の方でこの辺のところの詳細なる記録をとっておりませんので、それに対する明確なお答えができないのが非常に残念でございますが、きわめて少ないサンプルで選びましたところでいきますと、おっしゃいますとおりに事務用の方が比率といたしまして若干近距離が少なくて、遠距離が多いということは確かでございますが、事務用と住宅用で距離別分布が著しく異なるというほどのことはございません。  なお、今回お願いいたしておりますのは、長距離の二区間の昼間の料金の法定料金の値下げをお願いいたしておりますが、これが国会の御承認を得ましたならば、夜間並びに深夜の料金につきましてもこの昼間料金の値下げに応じまして認可料金の方で郵政大臣の方にお願いをいたしたい、こういうふうに考えておるところでございまして、夜間、深夜は、もう企業はほとんど閉じておられますので、これはほとんど住宅用の方の御利便になるのではないか、こう思っておりますし、また、当然のことながら日祝割引は住宅用の方に非常に御利便になるのではないか、こう考えておるところでございます。  それから、グループ料金制の早期の実施でございますが、先ほどから申し述べておりますとおり、わが国の電話料金体系の抜本是正のためには長距離を下げて近距離を上げていくというのがわれわれとしては料金体系の合理化である、こういうふうに理解をいたしておりまして、したがいまして、このグループ料金制を実施するに当たりましては、むしろいま諸外国に比べて著しく安い区域内通話料を上げていくことによりましてこのグループ料金制の方に向かっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  122. 武部文

    ○武部委員 そういう考え方ですとなかなかできないのです。確かにこの十円は外国から見ると安い。これで見ますとアメリカは十五円、イギリスは十九円、ドイツは二十四円、フランスは二十二円となっておりますから、それは確かにそうでしょう。しかし、それにいま手をつければこれは大変むずかしい。七円を十円にするときだって大変だったのです。七円にしたときが四十六年、それから五十一年に十円になったのですね。そのときもいろいろな論議がありました。ですから、上げる場合は確かにむずかしい、相当時間がかかるのです。しかしそういうことのために、手を染めなければならぬ問題を遷延してはならぬのです。  われわれが言っているようにこのグループ料金制というのはいろいろなケースがあるのです。ヨーロッパでやられておるようなグループ料金制度を日本に適用することは、風土の点からいっても、あるいはイギリスのように集落や町がぽつんぽつんとあるようなところと違ってずらっと軒並みに連なっておるような日本に同じことをやれと言ってもちょっとむずかしいのです、ですからイギリスのようなことは直ちに日本に適用はできません。それは私どもも素人なりにわかります、ですからそこに手をかけていくには相当な時間がかかる。さっき申し上げたようにアメリカは二十八年間に十五回も努力をしながらやった。そういう積み重ねの中で今日十分の一まで格差が縮まっておるという歴史を持っておるのですよ。  ですから日本もそこまで行くには相当な時間もかかるし努力も必要だが、いま日本の風土の中で不公平感があるのは、隣の家が、いま私は飛行場のことを言いましたけれども、百メートル離れてぽん、ぽん、ぽん、今度は市外通話になっていく、そういう実態があるのです。そのために、隣合わせの地域だけは同じ料金にすればいいじゃないか、そこをまず今回実施をして、そして不公平感というものがなくなるようにやったらどうだ、こういうことを言っておるのであって、決して、できもしない、なかなか困難なイギリスや西ドイツのことを直ちに電電公社にやれと言っておるのではないのです。  ですから、財源も五百億ですから、せめてこれを提案したなら、この次は公社としては隣接区域の通話料は同一料金にする、こういう方針で直ちに作業にかかる、こういう決意があるかどうか。あるかどうかというよりも、それをやってもらいたいということを私は要望いたしますが、いかがですか。
  123. 玉野義雄

    ○玉野説明員 ただいま営業局長がお答え申し上げましたように、外国と比較した場合に確かに遠距離は高いわけでございますが、近距離は逆に非常に安過ぎるというような状態がございますので、抜本的に近距離を上げたときにやりたいという考えを持っております。いまでも外国より安い隣接とか近距離、これを値下げいたしますと、抜本改正のときには非常に大幅な値上げになってくるという逆作用がございますので、やはり近距離値上げのときに同時にやった方がいいのではないか、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  124. 武部文

    ○武部委員 近距離を上げるということは、私はいまの段階ではちょっと至難のわざだと思うのです。とても不可能なことだと思います。しかも電電公社はいま収支差額黒字です。こういうときに料金体系の一番下の段階を値上げをする、たとえば十円を十五円にするとか、三分を二分にするとかいうようなことが出れば、これは抵抗は強いと思います。収支差額黒字です。そういう中でとりあえずやるべきことはここにある、何も抜本的な、根本的に料金体系を揺るがすような改正ではないわけです。しかも五百六十七という限定されたもので一目瞭然わかるのです、隣の地域だけのことなんですから。その向こうは区域外になるのですから。そういう点で私は一つの例を言ったけれども、まだまだたくさんの例があるのです。  私は総裁にちょっとお伺いいたしますが、お聞きいただいておって、決してこれは無理な話じゃないと思うのです。隣の家に何で市外通話をかけなければいけませんか。そういうことの改正電電公社としてはとりあえず公正の原則の第一歩としておやりになったらいかがでしょうか、それだけの決意はありませんか。
  125. 真藤恒

    真藤説明員 実は私着任いたしましたときには、いま御審議願っておる法案は電電からはすでに提出済みでございました。その後いろいろ料金体系について説明を聞き私なりに考えておりますが、今度御審議願っておりますのは、遠距離はほんのわずかでございますけれども落としておりますし、そのほかのことでは今日までの値下げの動きといいますようなものは、まず個人の住宅用の長距離を中心にして値下げを進めておるということで了解して、またそれは妥当な措置というふうに考えております。  さて、これからの問題でございますが、その後いろいろ話を聞きまして、いま先生のおっしゃっておりますグループ料金制度の問題、それから遠近格差が下げましてもさらに大きいという問題、いろいろございますので、将来の体系を全部見直す姿をひとつ描きまして、そして途中の経営の状態を見ながら、その描いておる姿に経理の許す限り一歩一歩近づいていくというやり方をやっておいて、最後に体系をきちっと立て直すという方向に持っていくのが妥当ではないかというふうに考えております。電電公社経営を独立会計で収支のバランスをとりながらということになりますと、やはり具体的にはこの方法をとらざるを得ませんし、それから今度の四千八百億の納付金に絡みまして、納付金を納めておる四年間は少なくとも部分的にも値上げをするということは非常に困難な政治情勢になっておることもございまして、今後、私ども努力いたしまして経理の許す限りにおいてはそういう部分的な修正、それも住宅用の費用を先に下げながらということで一歩一歩進んでいきたいと思いますので、恐らくこの料金のことにつきましては、各国会ごとにいろいろ御審議願うようなことを申し述べることができるように努力したいというふうに考えております。
  126. 武部文

    ○武部委員 おっしゃるように、根本的な解決は料金の構成、遠近格差の是正、確かにそういうことになるだろうと思うのです、しかし、現実にいま二回続いて改正された法律内容を見ますと、これは遠距離の通話料の高いのを解消するための法律改正なんです。ですから、確かに夜間の二段階割引は遠距離の人がみんな非常に喜んでおる、今回の改正でも遠距離の人は大変喜びます。そういう努力公社側がされていることを私は認めます。遠近格差が七十二が六十になる、これをまた縮めていく、せいぜい外国並みにだんだん縮まってくる、これは結構なことだと思うのです。そのためには上を下げると同時に下も上げなければならぬということも確かによくわかりますが、下を上げるということは、いままでの例がそうなっているのですからなかなかむずかしいのです。  そこで、下を上げるのはなかなかむずかしいが、そこにも不公平がある。不公平が存在しておる。同じ十円でありながら、そこにも料金に大きな不公平がある。その不公平を正すために財源は約五百億で足りるとするならば、今日の公社の財源の中でその不公平の是正のためにそれだけのものを費やして、部分的な解消というものは十数年来の懸案事項ですから、ぜひ公社としては実現してもらいたい。私どもとしては強い要望を持っておるわけです。それだからこそ毎回の附帯決議にも出され、また諮問委員会の答申にもこのことが出されておるわけですから、いまお話がございましたけれども、ぜひひとつ根本的な解決の方向に向かっていろいろな資料を整備され――私はこれにちょっと目を通してみましたけれども、日本の電話料金のコストは一体どうなっておるだろうか、そういう点については、アメリカと比べてはやはり格段の差があるように思います。確かにどんどん伸びてきた電話の実態の中で、コスト計算は非常にむずかしいと思います。しかし、そういう資料を整備しながら、一体何段階がいいだろうか、格差は何倍がいいだろうか。いまのイギリスのように四倍、そんなものを持ってきては大変なことになると思いますが、それならば一体何倍がいいだろうかというようなグループ料金制についての検討を常に公社側としてはやっておいていただかなければ困る。そうでなければ料金に対する信頼性は失われてくると私は思うのです。ですから、最悪の場合に上げてくれと言ったって今度は国民が納得しませんよ。そういう内容がわからなければ上げることに了解いたしません。  だから、そういうことを考えてくると、今日ただいまやるべきことは、この法律改正法律改正として、これは私どももこれに対して反対は申し上げません。これはこれなりの意味を持っておるでしょう。しかし、もっと大事なことがなおざりにされておるのだということをきょうは指摘したかったわけでありますから、グループ料金制についての根本的な見直しの努力公社はこれからどんどんやってもらいたい。同時に、金額ははっきりわかったわけですから、とりあえずいま申し上げたような隣接区域内を同一料金にする。その実現を早急にやっていただきたいということを最後に要望して、ちょうど時間が来ましたから私は終わりたいと思いますが、もう一つだけ要望しておきます。  やはり附帯決議の中に身体障害者、いわゆる弱い人たちのために減免措置とかいろいろなことをやるようにという附帯決議が今日まで何回も出ております。これに応じて電電公社は直ちに、五十一年に附帯決議があったところ、その後間髪を入れず設備料の分割払いと債券の引受免除をおやりになりました。これは大変結構なことだと思います。そのほかに現在シルバーホンが出ておりますが、いわゆるあんしん電話とかめいりょう電話、私もサービスセンターに行って拝見さしていただきました。大変りっぱなものができています。しかし、それも付加使用料というものがありますね。あんしん電話月三千五百円、めいりょう電話月百七十円の付加使用料、そういう身体障害者の皆さんに対する付加使用料の減免――四兆円も持っておるような電電公社ですから、そういう予算の中でわずかの金でございます。特にことしは障害者年ですから、そういう人たちに対して前回設備料の分割払いや債券の引受免除、こういうことで弱い人たちに対する配慮がなされておるわけですが、そういう点について公社は積極的に取り組むべきではないか、このように思いますが、電電公社の見解をお伺いしたいのであります。
  127. 西井昭

    西井説明員 ただいま先生のおっしゃいましたいわゆる福祉電話にかかわる料金の問題でございますが、御存じのとおり現在身体障害者等の認定あるいはそういう方に対します福祉対策、そういうのは厚生省を中心といたします国がそういう計画を立てて立案をし実施をされておるわけでございまして、公社としてはそういうことをみずから企画し実施する立ち場にないことはもうよく御存じのとおりでございますが、公社といたしましては、そういう方面から御協力の要請がございましたら、ただいま先生のおっしゃいました御趣旨を踏まえましてそういうものに対して対処をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  128. 武部文

    ○武部委員 時間が過ぎましたが、私、郵政省にお伺いしたいんですが、前回の五十一年の際も、この附帯決議を郵政省が積極的に推進をして電電公社からの認可申請を許可した、ここにこういう文章がございますが、そういう意味で郵政省自身がもっと積極的に、新しいマスメディアも結構だけれども、こういう福祉問題等について郵政省自体が電電公社に対して積極的に指導するというような姿勢をとってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  129. 守住有信

    守住政府委員 福祉電話等の問題、いろいろ御指摘ございましたけれども公社自身でできます臨時減免あるいは認可等にかかわるようなものにつきましては、公社十分打ち合わせをしてそれに応じてまいりたい、このように考えております。
  130. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  131. 佐藤守良

    佐藤委員長 武部文君の質疑は終わりました。  竹内勝彦君。
  132. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、今回の値下げということで五百キロメートル以上を遠距離の場合対象にした、こういう中でその根拠をいろいろとお伺いしていきたいわけでございますけれども、特に料金値下げによって減収はどれくらいになるのか、また利用者が多くなれば反面当然増収ということも考えられるわけですね。そういう面でいきますと、今回一体何をねらいとしたのか、料金値下げに踏み切ったその理由でございますね。まず、どの辺にねらいを持っておったか、これから最初に答えてください。
  133. 守住有信

    守住政府委員 やはり遠近格差の問題で強い要望が長く続いておりましたし、それを基本としながら一方では収支差額性格は基本的に違いますけれども、いろいろな納付金関連で論議を招いた。そこで、直接加入者に料金という形で利益を還元しなければいけない、こういうことでございます。ただし、その場合、公社経営というものも十分踏まえてまいらなければなりませんので、一定の限界はございますけれども、特に遠距離のものあるいは住宅用が中心になりますところの日曜、祝日の割引というものを実施したい、これがねらいでございます。
  134. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それじゃ、それによって果たして減収はどの程度になっていくのか、あるいは利用者増をどういうふうに見込んでおるのか、そういった今後の目標を教えてください。
  135. 西井昭

    西井説明員 今回実施いたします長距離の二区間の引き下げと日曜、祝日の割引に伴います減収額でございますが、平年度でいたしますと、両方合わせまして約千百億の減収でございます。その中には料金値下げに伴う利用増約三百億を織り込みました結果が平年度で千百億の減収になっております。
  136. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 東京を中心とした場合、料金単位を決めていく場合に、六十キロメートル、百キロメートル、あるいは百六十キロメートル、二百四十キロメートルとずっと上がっていくわけですね。このように料金単位を決めた、その区間を分けた根拠というのはどういうことでしょうか。
  137. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  現在の通話料金体系の基礎ができましたのが昭和三十七年のときの距離別時間差法の導入の際でございまして、そのときに現在の十四段階という段階ができたわけでございますが、これは当時の課金技術の関係から申しますと、できるだけ距離区分の少ない方が課金上便利であるということと、それから秒数を二秒半よりさらに細かく切るということは通話上あるいは課金上いろいろ問題が多いということで二秒半を一番長距離に適用いたしまして、そしてそれまでの三分単位の手動の市外通話のものと各距離段階別の通話の負担変動ができるだけ生じないように、こういうことで決めましたのが現在の距離段階別の料金の考え方でございます。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このたび、三百二十キロメートル以上五百キロメートルの人たちは、この料金値下げということは対象外でございますね。こうやって見てみますと、この人たち利用数は一・五%、累計ではもちろん近距離というのは非常に多いわけでございますけれども、五百キロメートルまでがほとんどなんですね。九八・二%ある。したがって、むしろこの辺を対象にするということが非常に利用者にとっても要望が多かったのではないか、こう思いますけれども、なぜこの辺は考えられなかったか説明してください。
  139. 西井昭

    西井説明員 御存じのとおり、わが国の通話料金は、近距離は諸外国より安く遠距離は諸外国より高いということでございまして、距離が遠くなるほど諸外国に比べて著しく料金が高い、こういう形になっておるわけでございます。公社といたしましては、先ほどから申し上げておりますとおり、抜本的な料金改正といたしましては近距離を上げ遠距離を下げるという料金体系に持っていきたいというのが希望でございますが、一挙にこれを実施するということは困難でございますので、今回はそのうちの長距離料金の値下げだけを一歩先んじて実施をするという考え方で踏み切ったわけでございます。これを踏み切りましたのは、公社経営状況がおかげさまで比較的順調でございますので、その公社経営状況の範囲内で、できる範囲内において実施をする、そういうことで、五百キロメートルを超えますところの長距離料金の引き下げと、それから特に住宅用の方の御利便も考えまして日曜、祝日の割引を実施をいたしたい、こういうふうに考えました次第でございます。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このたびの改定で遠近格差というのはどのように変化していくのでしょうか、そして諸外国との例でいけばどうなりますか。
  141. 西井昭

    西井説明員 今回の料金引き下げによりまして、従来いわゆる遠近格差が一対七十二と開いておりましたのが一対六十に縮まるわけでございます。なお諸外国は、先ほどもお話がございましたように、遠近格差というのはほぼ一対十五、六程度でございますので、なお諸外国に比べて遠近格差が大きいというのが実態でございます。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 日本は近距離は三分で十円でございます。アメリカは五分までで十五円、フランスは無制限で二十二円。こういう意味でいくと、日本は外国と比較して近距離の場合は安いということそれのみは言えないと思いますけれども、むしろ長距離といわず中間距離に焦点をどう合わせるかということが大事ではないかと思うのです。特に利用者の多いのは、この中間距離の場合、三十キロメートルまで、または八十キロメートルまでというものが利用者が多いわけです。ところが、収入の面でいくと、近距離を除くと、一番多いのは三百二十キロメートルから五百キロメートルまでというものが一二・一%で最も高い比率を占めております。そういう意味では、このたびの料金値下げで恩恵を受けるのは先ほど私が述べたようにわずか一・八%の人を対象にしておる。思い切って三百二十キロメートルから五百キロメートルまでの人たちも含めるという考え方は今後考えてもいいのじゃないか、こう思いますけれども、見解はどうですか。
  143. 西井昭

    西井説明員 ただいまおっしゃいましたとおりでございまして、長距離二区間の通話料の比率は、通話の回数の比率で申し上げますと、ただいまおっしゃいましたとおり一・八%しか占めておりませんが、そのわずかの回数で収入は二三%余りの収入をかせいでおるということで、長距離をおかけになる方が非常に高い負担をしていただいておるということは確かでございます。また、三百二十キロメートルから五百キロメートルまでのところが、各距離段階別で申しますと、区域内を除いて一番たくさん収入が上がっておるということも確かでございますが、ただ、これを諸外国と比較いたしますと、いま御指摘のとおり大体百キロ程度まではわが国の通話料金は諸外国よりも一般的に安くなっております。そして三百二十キロメートルを超えるあたりから逐次高くなってまいりまして、長距離ほど非常に高くなっておる、こういうことでございまして、そういう意味で三百二十キロメートルから五百キロメートルのところも諸外国に比べて高いのであるからそこも少し考える余地はないかという御指摘かと思いますが、この辺のところは高いと申しましてもそれほど著しく高いというほどでもございませんし、先ほど申しました最大の理由といたしまして、公社経営状況から判断をいたしまして、一番たくさん収入のありますところをいじるということは収入上影響を及ぼすところも非常に大きい、こういう諸般の情勢を勘案いたしまして今回は長距離二区間の値下げにとどめたという次第でございます。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 当初の予定として六月一日から料金値下げというものを考えておるようでございますが、いまのプロセスから見ていって、果たしてこのころから料金値下げは施行できるのでしょうか。
  145. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  五十六年度予算では、遠距離二段階の値下げにつきましては六月から、それから日祝割引につきましては十月からということで予算計上いたしておりますが、これは、秒数改定等の工事がございますので、法律でもお願いしておりますように、法律が施行されてから三カ月以内の政令で定める日に実施する、こういうふうになっておりまして、われわれとしては法律が通りますれば三カ月以内に実施するということで遠距離の段階については考えております。それから日祝割引につきましては、これは認可料金でございまして郵政大臣認可申請を出しますので、その認可手続を経次第実施したい、こういうふうに考えております。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 日曜、祝日の値下げですが、これは一応予定としては十月という考え方でございますね、これは六月の遠距離のものから比較すると、かなりおくれておりますね。なぜなんでしょうか。
  147. 西井昭

    西井説明員 日曜、祝日の実施期日の予定が予算上おくれておりますのは、この法案の御承認を国会でいただきましてから私どもの方で必要な認可手続をとりまして、あと郵政省の方で郵政審議会その他の手続を経られまして確定をするという時間的ずれもございます関係で、実施期日を日曜、祝日の方はおくらしておる次第でございます。  それから、この席でついでに、まことに恐縮でございますが、先ほどこの長距離二区間を日曜、祝日によります利用増を幾らと見ておるかというときに三百億と申したかと思いますが、百三十億の間違いでございますので、ひとつ訂正さしていただきたいと思います。
  148. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次の問題に移ります。  第七次五カ年計画を五十八年以降実施ということで検討中であるということでございますが、積滞がほぼ解消した現在、今後の建設計画の中身が技術革新など変化しておるわけですね。さらに、納付金制度など公社の建設投資計画が先行きどうなるか、いろいろと不安等もあるようでございますし、そういうことのないようにプランを考えるべきではないかと思います、また、光ファイバーとかあるいは電子交換機等あるいはディジタルデータ交換網、こういった特に新技術の導入が進むことになっていきます。特に通信網の品質維持という面から、整備取りかえ工事や万が一の災害に備えた防災、そういった設備の工事等も重要であると考えられます、整備取りかえあるいは防災計画の見通し、そういったものを御説明ください。
  149. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  先生のいまの御質問、非常に多岐にわたっておるようでございますが、七次計画というのは現在検討中でございまして、具体的になりますのは五十八年度以降でございますので、来年の秋ごろまでには策定したいというふうに考えているところでございます。  七次計画の中身になりますけれども、いま申し上げましたように、具体的にはまだ検討中でございますけれども、現在の電気通信サービスを維持しながら多種多様化し、また高度化いたしました電気通信の需要にこたえていくということでございまして、性格づけますと大きく分けまして四点ほどになろうかと思います。  最初の三点がサービス面でございますけれども納付金等に絡みましていろいろと公社収支等の御質問も多数これまでにもいただいておるわけでございますが、事業を拡大いたしまして健全な経営を図るという上から、新しいサービスを積極的に開発、拡充していきたいということが一点。  第二点といたしまして、やはり情報化というものに対する要求が非常に熾烈なものがございますので、それにこたえるというために新データ網あるいは新加入ファクシミリ通信網あるいは自動車電話サービスというもののサービス提供地域の全国的な早期拡大ということが第二点でございます。  第三点目といたしまして、やはり電電公社は公共的な事業でございますので、公共性という観点からいろいろなサービスの提供地蔵の全国的な普遍化を図ること、あるいは加入区域外の電話というようなものに代表されますような過疎地域におきます電気通信サービスの改善、それから先ほどの御質問にもございましたけれども、福祉用の機器というものの積極的な開発ということを考えておるわけでございます。  あと設備面におきましては、大体将来の電気通信網というものの方向づけが世界的にも明らかになってまいりまして、いわゆるディジタル化ということになるわけでございますが、これには約二十年程度という長期間を要すると思いますので、それに向けまして通信網のディジタル化というものを積極的に進めていきたいと考えております。  こういうことが大きな柱でございますけれども、そういうものを実施していく上におきまして、やはり設備をできるだけ効率的といいますか、経済的に作製するという上から、先生指摘のような新枝術というものは積極的に開発、導入していきたいと思っております。  また、防災計画等、これは幅広い意味での国民生活の安全というものにつながっておるという意味で防災対策等の推進をおっしゃったのだと思いますが、それらのことにつきましては支障のないよう取り組んでいきたい、いろいろなことによりまして計画ダウンするということではなくて、資金調達等につきましても十分努力いたしまして、現在計画するものに支障のないようにしていきたいと考えております。  以上でございます。
  150. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁に御決意を一点お伺いしておきますが、いまのこの防災計画であるとか、整備取りかえとか、いろいろ重要な問題、またさきにも交換機の故障だとかいろいろと問題点があったわけでございますし、そういった面から今後の第七次五カ年計画等を含めて、この実施というものは非常に重要だと思うのですね。そういう意味で総裁としてどう取り組んでいくか、その御決意をお伺いしておきます。
  151. 真藤恒

    真藤説明員 今日まで電話の積滞を解消するために設備は量的にはかなり整備されております。今度は質的にかえる時代だと考えております。この質的にかえるというのにはいろいろございまして、新しい技術による新しいサービスというものに対応するための新しい設備と古い設備との交換、あるいは新しい設備をさらに増強するという面、それからいまお話に出ました防災対策、あるいはルートの安全性を保つための一つの防災対策でございますが、多ルート化ということを進めていかなければならぬと思います。もう一つは、新しいサービスに対して地域別のサービス格差ができるだけないような形でこれを進めていかなければならぬということを主眼点にいたしまして、私着任いたしましてすぐ第七次計画のたたき台になる案をいままとめておりますが、大体この秋ぐらいまでに第一次のたたき台をまとめまして、それからリファインしながら事を進めていきたいと考えております。  もちろん、それに対しまして資金の問題、それからこういう納付金の問題ということを切り抜けながら持っていくのに対して、生産性をどう上げていくか。これはいわゆる人間の面の生産性だけではございませんで、新しい技術の取り入れ、それから物を買う買い付けのシステムが今度根本的に変わりますから、それによる買い付けの合理化というあらゆる面で支出を削りながら、また収入ができるだけ早くふえていきやすいような回線の使い方ということも進めていきながら、というふうに考えております。
  152. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 公社が毎回五カ年計画を出すときには、大体開始一年ぐらい前からプランを作成して国会の審議等も行われたわけですね。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 いまも述べましたように、大きな技術的な変化が考えられる今回の第七次五カ年計画、こういったものは早目に出すことが、つまり新サービス等に関連する企業に前もって自主的に技術の研修等プラスになると思う面からも、大切であると考えるわけですが、こういった面を早目に出していこうという考え方はございませんか。
  153. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  先ほど総裁が基本的な案をことしの秋ぐらいまでにつくるということをお答え申し上げましたけれども、それをいろいろたたきにたたきまして、来年の秋ごろまでにはいろいろ御審議願うような案を策定したいということを申し上げたわけでございますが、その中で、私先ほどもお答え申し上げましたけれども、新データ網とか加入ファクシミリ通信網、あるいは自動車電話サービス、そういうようないろいろ情報化に非常に密着いたしました新しいネットワークサービスというものは、早期に全国的拡大を図りたいということを申し上げましたか、そのような種類のことにつきましては、全般の中の一部ということになりますけれども、いまのような先生の御趣旨を踏まえまして、計画が固まり次第できるだけ早く世の中に明らかにしていくということが必要かというふうに考えております。  以上でございます。
  154. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、次の問題に移りますが、先ほども論議がございましたが、このグループ料金制という問題、ぜひ検討していただきたい。  いま道一つ隔てただけで市外通話料を取られる、こういう不合理ですね。これをいわゆるグループ料金制という考えにしますと、隣接する区域の通話はすべて市内通話ができるようにし、隣をまたがる場合にのみ市外通話にしていくという、このグループ料金制にしていこうという今後の考え方どのようにお持ちでございますか。
  155. 西井昭

    西井説明員 ただいまお話のございましたとおり、現在の料金体系では中位料金区域内三分十円、隣接八十秒十円ということで、かなりその間に秒数が飛んでいるわけでございます。公社といたしましてはこういう問題を解決いたしますために、いままで一歩ずつ解決するためにいろいろな施策をとってまいりましたわけでございますが、なおそういう問題が残っているというのは確かでございますが、現在の不合理な料金体系を直す抜本改善をいたしますためには、近距離を上げて遠距離を下げていきたい、こういうふうに思っておるわけでございまして、グループ料金制もそういう一環の中でできるだけ早期に実施をいたしたい、こういうふうに考えているところでございます。  そうは申しましても、近距離通話料を何かの形で値上げをするということについては、国民の利害が相反する、利用者の皆様方の利害が相反するという面もございますので、そういうものについて利用者の方のコンセンサスを得ながらできるだけ速やかに実施をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この前の附帯決議にもあったわけでございますが、第七次の計画の中で、このグループ料金制というものを最優先して検討したらどうかと思いますがいかがでしょうか。
  157. 西井昭

    西井説明員 この問題につきましては、公社としてはもうできるだけ速やかに関係方面の御理解を得て実施をいたしたいということでございますか、一挙に抜本案ということは事実上なかなか困難であろうかと思いますので、できるだけしばしば、そしてあるべき姿に持っていきたいというように考えている次第でございます。
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 遠近格差ということは現在いろいろと検討されております。しかしもう一つ、先ほどからも論議のように、隣の家へかけるのに道路一つ隔てて市外通話、こういう不公正さ、これを直していくのが緊急の課題であると思うわけです。こういう意味からも、第七次五カ年計画もいよいよ秋には大綱をつくり、来年具体化さしていこう、こういった考え方でございますけれども、今後の大きな課題として、この問題、グループ料金制に関して直ちにでもひとつ検討を開始してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 西井昭

    西井説明員 公社の中でも、抜本的な料金体系はいかにあるべきか、それに伴いますいろいろな関係資料の整備というのを進めておるところでございまして、御趣旨を踏まえまして早急にそういうものを固めてまいりたいと考えております。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 東京二十三区の例、これはすべて区域内でかけられます。また大阪の例でも、大阪から県をまたがって兵庫県のある一部においても区域内料金でかけられます。これはもちろん立地条件等がいろいろございます。しかし、ここで私考えなければいけないのは、たとえば同一府県内、まあかなりの距離を持っているところもございます。おのずと料金が変わってくるわけでございますけれども、この際ひとつ同一府県というものに対して、これをすべて区域内料金ということまではいかなくても、何らかの――距離だけでいきますと、非常に細長く距離を持っておるような府県にとっては、たとえば私の住んでいる京都におきましても非常に距離がございますね、そういう意味では、同じ府内でも相当電話料金というものは変わってくるわけですよ。そういう意味で、同一府県内を何らかの形でグループ料金制なり区域内料金という考え方で進めていこうというような考え方はございませんでしょうか。
  161. 西井昭

    西井説明員 ただいま先生お話は、公社がいま考えております隣接単位料金区域までを含めたグループ料金制というよりも、もっとそれを拡大して同一府県程度まで拡大したらどうか、こういう御意見かと思います。これを行いますにつきましては、公社経営上の点も配意をいたしますと、いわゆる最低通話料を相当大幅に値上げをしなければいけない、こういう結果になってまいりますので、一挙にそこまで持ち込むというのは事実上なかなか困難であろうかと思いますが、確かに電気通信技術の発展等を踏まえますと、将来は次第にそういう方向に向かっていくのがあるべき姿であろうかと思っております。  それに対しまして公社は、電話と違っておりますが、データ通信のために便利に利用できるためのディジタル交換網というものを開発いたしまして、五十四年度に回線交換サービス、それから五十五年度にパケット交換サービスというのを開始をいたしましたわけでございますが、そういうものは、ただいま先生のおっしゃったような形にはなっておりませんが、ほぼそれに近い形。パケット交換等に至りましては遠近格差が一対一・五というように縮まっておるような、こういう料金体系になっております。  公社は、それに続きまして加入ファクシミリのための網をただいま計画をいたしておりますが、そういうディジタル網がどんどん発達をしてまいりますと、いずれは、現在の電話の昔声を送っておりますアナログ通信網も、次第にそういうものに吸収をされ統合されたディジタル通信網に発展していくのではないか、こういうふうに考えておる次第でございますが、そういった中でただいまのような問題も十分に検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回の値下げの分のいわゆる法定制を緩和して値下げをしていこう、これに関しては異論はございません。さきに本委員会でも多くの論議を呼びました郵便料金の法定制を緩和した問題、あるいはいままで専売あるいは国鉄料金等、国会の審議を経ずに大臣認可によって料金を値上げしていった、こういった意味でひとつ大臣にもう一度この際確認しておきたいわけでございますけれども、そういったものが、今後値上げという問題が安易に郵政大臣認可によって行われるというようなことになっては大変でございます。このようなことは絶対にあってはならないことである、こう思いますけれども郵政大臣の御見解はいかがでしょうか。
  163. 山内一郎

    山内国務大臣 電話料金は国民生活にとって非常に重要なものでございますので法定制に相なっていると思うわけでございますが、現在のところこれを緩和しようという考え方はございません。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 公社の方としてもそういったものはよもや考えてはいないと思いますけれども、これはやはり国民の代表である国会の審議によって、利用者である国民によって最も支えられている公社でございます。その意味から公社としてのお考えを聞かせてください。
  165. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  電話料金を初めといたします公衆電気通信料金の法定制緩和の問題でございますが、これは高度の立法政策にかかわる問題でございまして、公社が御意見を申し上げる立場にないとわれわれ理解をいたしておりますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次に、専用回線についてお伺いしておきます。  公衆電気通信法に基づいて専用回線の利用についての考え方が原則禁止から原則自由へ考慮中である、三月二十七日ですか開かれた電気通信政策懇談会において最も緊急かつ重要な課題の一つとして検討されたようでございます。郵政省としてこの専用回線の利用状況、特に例外規定で審査請求してくる利用形態の増加傾向、こういったものをどう把握しておりますか答えてください。
  167. 守住有信

    守住政府委員 データ通信回線には、専用タイプの、法律上は特定通信回線と申しておりますが、それと従来の電話網を利用しましたところの公衆通信回線、二種類あるわけでございます。この利用状況でございますが、回線数の方で申し上げますと、四十七年三月に特定通信回線が一万三千六百回線であったものが五十五年三月には八万三千五百回線、こういうふうな伸びでございまして、特定、公衆、両方合わせますと四十七年一万三千六百であったものが五十五年三月には十万七千四百回線、こういう異常な伸びを示しております。  それから、許可件数の方でございますけれども、データ通信回線の共同使用の一部のもの、あるいはまた特定通信回線と公衆通信回線との相互接続というものにつきまして郵政大臣の個別認可を定めておるわけでございますが、これが認可件数、四十八年度十九件であったものが五十四年度は百三十二件と約七倍というふうにふえております。その他いろいろシステム数の伸び等もございますけれども、一応回線数あるいは認可件数でお答えさせていただきます。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ではもう一問聞いて終わります。  電気通信政策懇談会で原則禁止から原則自由へ検討されているようでございますが、郵政省としてはどのように考えておるか、また電電公社経営形態にも影響を及ぼしてくると思うのです。その意味から郵政省考え方と電電公社考え方を聞かせてください。
  169. 守住有信

    守住政府委員 このデータ通信の回線利用制度の問題につきましては、いろいろな方面から御意見、御要望、陳情等が多数出ておる次第でございます。ただしその中身を見ますと、いろいろなものがございまして、これを私どもとしては現在事務的に性質別と申しますか、実は誤解に基づくようなものもございますし、現行制度の運用の中でできるというものもございますし、認可とかあるいはまた省令改正でできるというものもございますし、さらには法律改正を必要とするというふうなものもございますので、それをまず事務的に分類整理をしておる、こういう状況でございます。  ただしこの政策につきましては、現在政策懇談会の中でも当面の経営形態の問題よりもむしろこちらの方が焦眉の問題であるというふうな問題意識がございまして、一応そのたたき台としてこの間専門委員会の方で、電気通信の新しい秩序の確立という課題の中で、その問題も入っておるわけでございますが、まだいまの段階は、専門委員会の方から懇談会へそういう大きな課題ということで出した課題の中の一つに入っておるという段階でございまして、これについてはまだ今後の検討というふうになっておるようでございます。  また私どもは、いま事務的な点は申し上げましたけれども、その後この問題は、いま御指摘にありましたように公社と民間利用との分野調整という問題にもなってまいりますし、それから現行公衆法の枠内で対処できるかどうかという問題もございますし、その他いろいろな面でまた電電公社の方とも意思疎通を十分図りながら対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  170. 西井昭

    西井説明員 ただいまのデータ通信の回線問題でございますが、基本的にただいま通信政策局長からお話がありましたのと公社も全く同意見でございます。ただ公社としてはそういう各方面からの要望が非常に強うございますので、原則として各方面の御要望にこたえるという姿勢で、できるだけ早く郵政省の方で御結論を出していただくように御期待を申し上げているところでございます。  なお、経営形態の問題につきましては、これは高度の立法政策の問題でございますので、公社として御答弁をする立場にないことを御理解いただきたいと思います。
  171. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、終わります。
  172. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 竹内勝彦君の質問は終了いたしました。  木下敬之助君。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 早速お伺いいたしますが、このたびの通話料の改定で五百キロメートルを超えるものが十円につき〇・五秒長く話せるようになるわけで、これは遠近格差の是正で言うと、市内通話の度数料と最遠距離市外通話度数料との比率で見て、従来の七十二倍から六十倍に短縮されることであり、いま一つの不満というか、まだまだであるという感じは持っておるのですが、一歩前進であると受けとめたいと考えております。こういったこのたびの通話料金の決定となるわけですが、電電公社におきましては、通話料金の決定というのはどういった考え方でやられておるのか、お聞かせいただきたい。
  174. 西井昭

    西井説明員 電信電話料金につきましては、公社が独立採算制ということを義務づけられております点にもかんがみまして、料金の総収入が合理的で能率的な電信電話事業経営に必要な総費用を償うという考え方に立ちまして定められているところでございます。  具体的に距離段階別の通話料の決め方でございますが、これは基本的には距離か長くなるほど費用も増加をいたしますし、それから効用とかそういう面も増大いたしますほか、過去のいろんな料金体系上の経緯がございまして、そしてそういうものを踏まえまして利用者負担変動等がその都度その都度著しくならない、そういうことに基づいて現在のような体系になってきておるというのが実態でございます。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 過去の経緯とか、急には変えられないということも十分考えられるのですが、基本的に自信を持ってこうこうこういう理由でこの料金だということがもっと利用者に堂々と示されるような形でやっていただきたいと考えるのです。原価費用という言葉もありましたが、原価計算に基づいて決定すべきと考えておるわけですが、公社においては原価の算出はどのようにしておるのでございましょうか。
  176. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  通話料の距離別原価でございますが、通話といいますのは、ある対地からある対地へかけます場合でも通話の経路が非常に多岐にわたっていることと、それから交換機、伝送路等の設備が需要に応じて建設されて新しいものとか古いものが混在をしているとか、それから非常に大束の回線と小束の回線との差で同じ距離でも原価が変わっている、そういうことで算出に当たって非常に困難な問題が多うございます。したがいまして、これは諸外国とも通話の距離段階別の原価というのは出していないというよりも、出せないというのが実情でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、そういうことばかりも申しておられないと思いますので、公社といたしましては、一定の前提を置きましてこの通話料原価というものの計算公社の内部におきまして試算をし、そしてその試算の方法等について、学識経験者等の意見も含めまして検討を進めているところでございます。それによりますと、近距離の通話料は現在のたとえば一番近い中位料金区域内三分十円という料金は原価より著しく安く、逆に遠距離通話料は高いというのが結果でございます。
  177. 木下敬之助

    ○木下委員 むずかしいとは思いますけれども、できればどういう考え方で計算をするのだとか、こういう計算の方法があるとか、もっと明らかにしていただきたいと考えておるのです。
  178. 西井昭

    西井説明員 計算の具体的なやり方でございますが、モデルをつくってそれで原価計算をやるというやり方が一つあるわけでございます。このモデルをつくってやるやり方といいますのは、モデルのつくり方によって著しく原価が振れていくという状態になるわけでございまして、前提の置き方によって余りにも原価の相違が著しく出てくるという問題がございます。したがいまして、また、そうして出しました原価で現実の料金を決めまして現在の収入に当てはめましたときに、必ずしも実態にマッチしないという点もございますので、公社でそのほかいろいろな案も検討いたしましたけれども、一応これが一番妥当であろうかという方法を申し上げますと、まず一番詳細な資料がとれますのが決算数値でございますので、まずその決算数値に基づきまして電電公社の全体の事業を大ざっぱに五事業にまず割るという作業をいたしたわけでございます。  五事業と申しますのは、電報、電話、専用、データ通信、加入電信、これ別に分計をいたしまして、そしてその電話の中をさらに本電話機にかかわる原価、それから各種の付属機器等にかかわります原価、こういうふうに割ってまいります。そして本電話機にかかわる原価の中で料金として回収いたしますものは、御存じのとおり基本料と通話料で原価を月収いたしておるわけでございますが、基本料というものの考え方をまず整理をいたしまして、何を基本料で原価を回収し、何を通話料で回収するか、裏を返しますと、基本料に対応いたします支出は何に充て、通話料に対応する支出を何に充てるかということを検討いたしたわけであります。そういたしまして、通話料に対応いたします支出の中でまず設備に関係する費用と設備に関係しない費用に分計をいたしまして、設備に関係する費用につきましては、距離に比例しない費用、それから距離に比例する費用、それからその両者の中間的なもの、こういうやり方に分計をいたしまして、それに基づきまして、あと距離段階別の分計の基準といたしましては、距離に比例しない費用については遠近にかかわらず通話料の比で分計をする、距離に比例いたします費用については通話料に通話距離を加重した値の比で分計をする、それから距離にある程度比例する費用は、おのおののケースによりまして、たとえば市外交換機等は、距離が遠くなると途中にある程度の市外交換機が入ってまいりますが、必ずしも距離に比例いたしませんので、そういう具体的な経由回数等を加重した値の比で分計をする、こういうやり方をいたします。ただ、これは決算数値でございますので、一定の年度の事実でございますが、公社事業といいますのは時々刻々と新しい設備が入りますほか、いろいろな通話の内容も変わってまいっておりますので、そういった形をしかるべき年度に補正をしていく、こういうやり方で原価計算をしておる次第でございます。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 相当に詳しいお話をありがとうございました。設備と設備じゃない部分、設備にしても使用することによって消耗する部分とかいろいろなものがあるでしょうけれども、たとえば有料道路なんかでは投資の金が戻れば無料にするというような考えもあるようですから、十分な検討の上ではっきりした方向を出して、それに基づいてやっていただきたいと思います。  あと重ねてちょっとお聞きしますが、いま新データ網サービスのコストとかパケット交換サービスとか、ずいぶん遠近差のない形で出ておるようでございますが、こちらの方はそういう考え十分に入れた、相当原価に基づいた考え方をしておると解釈していいのでしょうか。
  180. 西井昭

    西井説明員 おっしゃるとおりでございまして、新しいサービスといいますのはまさしく最初の計画即モデルでございまして、そういうモデルに基づきまして原価に極力忠実な料金を設定しているところでございます。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 もう一つ先ほどの質問等にお答えになっていた中で、公社の料金等あるべき姿に持っていきたい、そういったものを検討中であるという答えも聞いたのですけれども、これは公社で言うとどういうところのどういう機関が検討していつごろまでに出そうとかそういったことになっておるのですか。
  182. 西井昭

    西井説明員 あるべき料金体系をつくりますには、極端に申しますと、公社内の各部局がそれぞれの分担に応じて関係をしてまいりますが、取りまとめをさせていただいておりますのは営業局でございます。  そういうものをいつ発表するかということでございますが、公社としては内部的にどういうのが一番理想的な形態かということをいろいろ検討中でございまして、一応の事務的な不案は何案かできてございますが、なおその後の状況等も踏まえましてこれをさらに詰めてまいりまして、できるだけ速やかにあるべき姿というものを確定してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
  183. 木下敬之助

    ○木下委員 もう一つだけ重ねていまの問題でお聞きしますが、あるべき姿といっても、先ほどからこれまでの経緯というものがよく言われてきましたが、これまでの経緯を抜きにいま全く白紙で新しくつくるとしたらという意味のあるべき姿なのか、現状に一番マッチしたあるべき姿なのか、どういう考えでやっておられるか聞かせてください。
  184. 西井昭

    西井説明員 公社といたしましてはできるだけ理想的なあるべき姿というものを追求いたしたいと考えております。ただいま原価計算の御説明で申し上げましたとおり、その計算の前提になりますいろいろなことは、どうしても過去の長い間の歴史を引っ張っております設備でございますとか、そういういろいろなものにどうしても引っ張られる。白紙の上に新しい技術で絵をかくというわけにはなかなかまいらない。そういう意味である程度過去の歴史的経緯に引っ張られる、こういうふうに御理解を賜りたいと思っております。
  185. 木下敬之助

    ○木下委員 モデルができてそれにどう近づけていくかということでございましょうけれども、その辺の決意についてお伺いいたしたいと思います。  今年度から四年間にわたって四千八百億円の国庫納付が始まりそうでありますし、建設投資を現状維持するとした場合、その穴埋めというかその分の借入金が必要となって、さらに借入利息までも負担せざるを得ないことが明らかになっているようです。こういう経営環境の中で、またわが国の中ではこれ一つと言ってもいいのじゃないかと思うように公共料金の値下げも可能じゃないかと言われておる公社が、現在の健全な経営を維持しつつ、なお値下げを求められていると思います。そういった状況の中で、値上げに結びつけて加入者負担をかけることがなく、なお一層の抜本的な遠近格差の是正を行っていかなければならないというこの点について、公社の見解と今後の方針、どのくらいの決意でやろうとしておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  186. 真藤恒

    真藤説明員 収支バランスをとりながら独立採算という公社の与えられた根本的な立場に立ちますと、事を急ぎますとやはり値上げという方向へ行かざるを得ない経理状態になると思います。と言って、余り収支バランスだけを極端に考えますと、世の中の進歩についていけないという形になる危険性が多分にございますので、その辺の間をどう泳ぐかということでございますが、泳ぐのに泳ぎやすい姿をつくっていく、また泳ぎやすい姿を国の方でつくっていただく、これがうまいぐあいにマッチする必要がございますが、現状必ずしもそういう意味の理想的な泳ぎやすい形にはなっておりません。その辺につきましては、今後いろいろまた具体的にお願いしなければならぬことが次々に出てくると思いますが、現状までのやり方のしきたりの中ではなかなかうまいぐあいにいかぬのじゃないかと考えております。
  187. 木下敬之助

    ○木下委員 世の中が変革を求めておる時期でありますから、どうぞ余り過去に流されずに、思い切った行動をとっていただきたいと考えております。  納付金を行って、なおかつ遠距離通話料の値下げを行って、公社の長期の収支は大丈夫なのか、五十七年度以降の建設投資に影響は出ないのであろうかという考えもあるわけですが、特に新データ網サービスとパケット交換サービス及び専用線サービスについて簡単に御説明いただき、新データ網とパケット交換サービスサービスエリアについて、現状と今後の見通しをお伺いいたしたいと思います。
  188. 西井昭

    西井説明員 長期計画の中身の前に、回線交換サービスとパケット交換サービスについて御答弁を申し上げたいと思います。  御存じのとおり、公社はデータ通信にふさわしいディジタル公衆網といたしまして、昭和五十四年に回線交換、昭和五十五年にパケット交換の両サービスを開始いたしまして利用者要望に積極的にこたえているところでございます。五十六年の二月末現在の加入回線数でございますが、回線交換サービスにつきましては百回線、パケット交換サービスについては五十七回線でございまして、まだ緒についたばかりでございますが、そのほかに現在申し込み中のものは、回線交換サービスで百九十四回線、パケット交換サービスで百九十回線となっております。  品目別には、これは御存じのように二百ビットから四十八キロビットまで多種多様の回線があるわけでございますが、内容的には二子四百ビット以上の高速回線に対します需要が多く出てまいってきておりまして、ユーザーの業種別に見ますと、製造業、販売業、金融業、大学、官庁、そういったところが主なユーザーでございます。  この新データ網サービス加入区域でございますが、現在のところ、回線交換サービス東京、横浜、名古屋、大阪の四都市でございまして、パケット交換サービスはこれらの四都市のほかに福岡、仙台、札幌を加えました七都市となっております。また、これの拡大につきましては、需要の動向を勘案しながら積極的に拡大をするということで今後の長期計画を計画しているところでございます。
  189. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、データ通信回線の全面開放についてお伺いいたしたいと思います。  最近、データ通信回線の全面開放問題が報道されていますが、現行法体系ではどの程度の制約があるのか、またそれは何を意図してそのような制約があるのかお伺いいたしたいと思います。
  190. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  現在のデータ通信回線制度が設けられましたのは昭和四十六年の公衆電気通信法改正によって設けられたわけでございまして、それまでは公社の回線を使って業として公衆電気通信業務を行うということは禁じられておりましたわけですが、四十六年の改正によりまして、データ通信に関してはそういう制限を原則的に撤廃をしたわけであります、それから、それまでは加入電話網につきましては音声を伝える機器、端的に申しますと電話機でございますが、それ以外はつけられないことになっておったわけでございますが、それ以降、データ端末でありましても、コンピューターでありましても、ファクシミリでありましても、何でもつなげるようにした、これがいわゆる俗称回線開放と言われております回線開放の内容でございます。  ただ、その当時の法律改正のときにはまだわが国のデータ通信の発展はようやくその緒についたばかりでございまして、今後どういうふうに発展をしていくか予測がなかなかつきにくかったというのが一つございまして、それからまた当時におきましては、大型コンピューターでデータ処理を集中して行う方が経済的である、大型コンピューターになりましてコンピューターが倍になりますと経費はその平方根で比例する、こういうのが一般常識でございましたので、そういったようなことを前提にいたしまして現在の公衆電気通信法のデータ通信の章ができているところでございます。したがいまして、その後のマイコン、ミニコン、マイクロプロセッサー等の著しい発展によりまして、データ通信はいわゆる分散処理、それからコンピューター相互間の接続という問題が最近出てまいりまして、そういうものについて現行法制というのは必ずしも十分に対応できてないというのが実態でございます。  ただ、現在の公衆電気通信法では、個々の法律のほかに郵政省令、さらに郵政大臣の個別認可制度というのがございまして、公社といたしましては、郵政省の御指導も得ましてこの個別認可制度を最大限に活用いたしまして、現実的には各需要の御要望にほとんど応じてきておるというのが実態でございます。  なお、その間におきまして、郵政省令の改正、それから認可基準改正等いろんな改正がございまして、その結果、現在の規定はそういう継ぎ足しがあるということで非常にややこしくなっておるのが一つと、それから個別認可制と申しますのは、ほかの方にわからないわけですし、またこれを発表することは企業秘密なりあるいは信義に反するということで、発表もできないといういろいろな関係で、世間様から見たら非常にわかりにくくなっておる、こういうことになっておるのも実態でございます。  そういう問題について、できるだけ御要望に原則として応じる方向で、法律改正を行うものについては、これは当然のことながら郵政省にお願いをしなければなりませんし、その他、郵政省令の改正認可基準等につきましても、ただいま郵政省の方で政策懇談会等でいろいろの御意見もお集めになっておるようでございますので、そういうものでできるだけわかりやすくて御要望にこたえられるように、郵政省でやっていただくことについて公社もできるだけの御協力をさしていただきたい、こういうように考えている次第でございます。
  191. 木下敬之助

    ○木下委員 他人使用とか共同使用、相互接続とかいう言葉も聞くのですが、これは、どういう内容で、またどのような考えで設けられておるのでしょうか。
  192. 西井昭

    西井説明員 他人使用と申しますのは、先ほど申しましたように、公社の回線を借りて、そしてそれを使って業として他人の通信を媒介をするのを他人使用法律用語で言っておるわけでございます。  これは、先ほど申しましたように一般の電話電信においては禁止されておるわけですが、コンピューター関係については、いわゆる計算業者というものを認めるといったてまえでこの他人使用というのを認めておるわけでございます。ただその場合に、データ通信に名をかりて電信電話的業務を行わないように、こういうことで他人使用の範囲内に一定の制限を加えておるのが現実でございます。  具体的に申しますと、先ほども申しましたように、当初大きなコンピューターに集中をしてデータ処理をするということを想定いたしておった関係もございますので、ある端末からコンピューター処理をしましたらその処理というのはまた端末に返っていくだろう、こういうことを前提にして他人使用基準というものをつくりましたわけですが、その後データ通信の発展に伴いまして、認可基準改正等によりまして、一つのコンピューターではなくてそのコンピューターを幾つか突き抜けていって複数のコンピューターで処理をするというところまで現在は認めております。  それから、共同使用関係でございますが、これは一般の電話関係の専用線につきましても共同使用は認めておるのでございますが、ただ、これは本人使用に準ずる範囲に厳しく制限をしておるというのが実態でございます。これを自由にやりますと結局他人使用と同じことになります関係で厳しく制限をしておりますが、データ通信に関しては、これは業務上の一定の関係がございましたら、一般の電話の専用線等と違いましてかなり範囲を緩めておるわけでございます。  ただその内容が、郵政省令に書かれておりますのは、当初はこれだけあれば大体共同使用の範囲内に十分入るのじゃないかと思ってつくりました郵政省令でございますが、その後個別認可制で共同使用の範囲が加わっておるのですが、これは世間様から見ましたら、個別認可でございますのでなかなかわかりにくい、そういう意味で、他人使用、共同使用という制限は、一見現在法制上は非常に厳しいかのごとく書いておりますので、これをはっきり緩めるというのが民間の御要望でございます。  公社といたしましては、現実にそういう個別認可制の活用で事実上の需要に対して応じておるのが実態でございますので、そういうものを整理をしていただきたいということと、できましたら、これがだめということだけをはっきりいたしまして、そういう規定の整理等を郵政省の方にお願いをしておるというのが実態でございます。  それから回線の接続でございますが、これは一般的に申しますと公衆回線と特定回線、電話で申しますと電話網と専用線の接続のことを相互接続と言っておりまして、一般の電話等につきましてはこの相互接続というのは原則的に禁止をしておるのが実態でございますが、データ通信につきましてはこの相互接続というのは原則的に認めております。ただし、法制上は原則禁止の書き方になっておりまして、ただし接続のときには郵政大臣の個別認可が必要であると原則禁止かのごとき書き方になっておるわけでございますが、実態的には、この相互接続については、これが一番個別認可の多い件数でございますが、個別認可によって御要望にこたえておる、これが実態でございますが、民間から言わせますと、おっしゃられるのは、出せば認められるものならそんなのはやめろ、こういうのが大体の御要望でございます。
  193. 木下敬之助

    ○木下委員 実際にはそう不自由をさせてないというふうにも大体とれたのでございますけれども、法の改正の必要があればまたそのときに慎重に審議させていただきたいと思います。  その回線開放について利用者からの具体的な要望というのはどういうのが出ておるのですか。いまも大分話が出たと思いますけれども
  194. 西井昭

    西井説明員 利用者要望は、ただいま申しました共同使用、他人使用の制限を緩めろ、原則的に撤廃をしろ、どうしても困るものがあるのならそれはネガティブリストを出せ、これが一つでございます。  それから、相互接続につきましても、ネガティブリスト化をして困るもの以外は原則として認めろ、これが利用者の御要望の一つでございますが、これが大体ほとんどの方の御要望でございます。  それからそのほかにもう一つございますのは、データ通信がそういうふうに共同使用、他人使用、それから相互接続というのが相当緩んでまいりますと、これはもう通信事業者ではないか、いまの法制で申しますと、公衆電気通信事業者というのは国内では電電公社しかないのでございますが、そうなってくると、コンピューターでデータ処理をしておられるTSS業者という方はもう通信事業者になるのではないか。そうなってくると、これは通信事業者としてあるべき形を整えてきちんとした整理を行うべきではないか。  これについてはいろんな御意見がございまして、これは多数の御意見ではございませんが、そういう御意見もございます。その御意見の出てまいりましたもとは、アメリカにおきましては御存じのとおり付加価値通信業というのがりっぱに一人前に認められておるわけでございます。アメリカは御存じのとおり独占禁止、集中排除という形をとっておりまして、電話会社も全国に千五百もございますし、そのほかいろんな各種の通信事業があるわけでございます。ただアメリカは、独占排除という形の関係で、データ処理をしておる方はいわゆる付加価値通信はできない、付加価値通信をやっておられる方はデータ業をやっちゃいけない、そういうのがかつてのアメリカ法制であったわけであります。したがいまして、かつては一社でやっておりましたものが、たとえばタイムシェア、タイムネット社というのはかつてはデータ通信もやり付加価値通信業もやっておったわけですが、それを二つに無理やりに割らされまして、データ処理をやる会社と付加価値通信業をやる会社、そしてそのおのおのが、データ処理をやる会社はアメリカは原則的にFCCの規制外、付加価値通信を行っているのはFCCの規制内、こういうふうなやり方になっておりまして、そういう法制を日本に持ち込みまして、そして日本にもいま言ったような付加価値通信をやっておりますのを一人前の通信業者として認めろという御意見があることも確かでございます。  ただ、わが国の法制がアメリカと違っておりますのは、わが国の法制面で申しますと、ただいま申しましたように、回線の使用については共同使用、他人使用、相互接続等のいろんな問題で法制上いろいろの制約がございますが、データ処理の中身についてはわが国の法制はノータッチという解釈をしておるわけです。アメリカの例で申しますと、データ処理と付加価値業というのは混然一体としておりまして、アメリカはなぜそれを割っておるかというと、過半データ通信をやっておるのはデータ処理業者に分類し、過半付加価値通信をやっておる者は付加価値通信に分類する、こういうふうに無理やりに分類してきたというのが実態でございます。これに対しまして、その後のデータ通信を中心とします電気通信の非常な発展によりましてアメリカはそういうやり方は不可能に近くなった、何がデータ処理で、何が付加価値通信かという分類が不可能になったということで、これに対する第二次コンピューター調査という調査結果が出まして、その結果、電気通信というものを基本通信と高度通信に割りまして、高度通信についてはFCCの管轄であるけれども規制をしないというふうに、第二次コンピューター調査ではそういう方針で出てまいっております。  そういうアメリカのいろいろな動きと、日本はいわゆる法制度が違う形をとっておりまして、日本はデータ通信業者の方が付加価値通信をおやりになろうとなるまいと、内容に全くタッチしないという法制になっておりまして、その辺の議論が、ごちゃごちゃになると言うと失礼でございますが、ごったになりまして、いろいろな方が自分の都合のいいいろいろな御意見を申しておられるというのが実態だとわれわれは認識している次第でございます。
  195. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣にお伺いいたします。  今後いまのように情報処理が多様化、高度化していくと思いますが、そういった中でプライバシー保護について大臣郵政省としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  196. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  電気通信におきましては、従来から通信の秘密に対しましての第三者の侵害の禁止あるいは電気通信の業務に従事する者の守秘義務というものを定めておるところでございますが、情報処理の多様化、高度化、いまお話に出ましたようないろいろな面で、これらの通信の秘密の規定のみでは必ずしもプライバシーの保護ないし個人データ、企業データ等の問題もあろうかと思いますが、個人データの保護十分にカバーし切れないというふうに見ておるわけでございまして、これらのプライバシーの保護という観点から見まして通信の分野で何をしなければならないかということにつきまして、実は電電、KDDとも共同しまして研究を始めておるというところでございます。  なお、プライバシー保護というのは、データ通信といいますか、情報処理と申しますか、そういう分野だけでございませんで、いわゆる手作業と申しますか文書情報という問題、広がりもございますし、また片方から見ますと、人権の保護、そういう面も実はあるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、通信の分野で、特にデータ通信という意味で研究をしておるわけでございますが、政府全体といたしまして、一方では情報の公開というテーマもございます。その中でのプライバシーの保護、こういうことでございますので、行政管理庁を中心といたしまして行管自身でも研究会を持っておられると聞いておりますし、あと法務省や通産省その他、私の方は通信という角度でこれに共同して対処していきたい、このように考えている次第でございます。
  197. 木下敬之助

    ○木下委員 いまも話に出ました情報公開法等も民社党も検討いたしております。そういった中で、個人のプライバシーとの関係がいろいろとむずかしくなると思いますが、真の意味での行政改革というのと十分これは関係のある問題で、必ずや前向きに進んでいただきたいと考えております。  それでは次に、昨年末妥結した日米資材調達の問題についてお伺いをいたします。  昨年末まではこの委員会でも電電公社の資材調達問題は大きな課題として取り上げられましたが、妥結に至るまでの経緯と今後の見通しについてお聞かせ願いたい。
  198. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  電電公社の資材調達問題に関します日米交渉につきましては、関係の国会の諸先生方あるいは郵政省、外務省の御支援、御協力、御指導のもとに昨年の十二月十九日に妥結いたしました。  ただいま御質問の経緯につきまして概略申し上げたいと思いますが、五十四年六月二日の牛場代表とシュトラウス代表の共同声明によりまして以降枠組みが設定されまして、五十五年十二月末までに日米間で双方とも詰めていこうということになりまして、以来事務的に約十回、代表間で約五回にわたりまして交渉を続けてまいりました。第四回までは双方の調達の実態、日本におきます電電公社、アメリカにおきましては最大の電信電話会社でありますAT&Tに関しまして、双方の調達の実態の認識をしようということで、これは大変事務的な話ではありますけれども電電公社でいいますと、たとえば競争入札の分野あるいは随意契約の分野等、あるいは電電公社以外の自営市場におきましてのマーケットの実態ということについて説明いたしましたし、アメリカ側もAT&Tが調達をやっております実態について詳細な説明を受けました。その四回にわたります事務レベルの交渉を受けまして、第五回以降にこの問題の解決のために努力し、解決の方途を探ってまいったわけでありますが、特に第六回目になりまして日本側から、郵政省の御指導のもとに日本案を作成いたしまして、先生承知の三段階方式によります案を提案いたしました。アメリカ側は、電電公社の資材調達問題はすべてガットのコードで購入すべきだという主張をずっと続けておりまして、それに対しまして電電公社は、電気通信設備の資材調達についてすべてをガットのコードを適用することは不適当である、一部についてはそれは可能でありますけれども、中枢部分を占めるような装置につきましてはガットのコードの適用は不適当であるという主張を繰り返しまして、最後まで電電公社の三段階方式を手をかえ品をかえて説明いたしまして、最終的にはアメリカ側も電気通信設備の調達についてはやはり日本側の提案する方法によるのが適当であるという判断をしたのだろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように十二月十九日に妥結をしたわけでございます。  その後私どもは、この妥結に当たりましてのいろいろな了解事項、あるいは今後電電公社が実際にこの調達について、特に三段階方式の中で、第一段階の物品につきましてはガットのコードのもとに調達するということにしておりますので、今年の一月から発効しておりますガットのコードの適用につきまして電電公社は誠実に実施するということから、すでに一月に入りましては一月十日に九品目につきまして資格審査の公告をしてございます。なお、四月四日になりまして四品目、十五日、本日でございますが、八品目について資格審査の公告をいたしたところでございます。
  199. 木下敬之助

    ○木下委員 詳しくはまた別の機会に聞かしていただきたいと思います。  最後に、一言だけ申し上げたいと思います。  料金問題においてのトラブルをよく耳にするのです。私も現実に私の地元でいろいろな話を聞いてまいりましたけれども、この料金苦情の処理に当たって、窓口の対応状況というものに対する不満の声が大分上がっておりましたが、公社の指導はどのように行っておるのでしょうか。
  200. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えいたします。  大変御迷惑をかけておる点もございまして恐縮しておりますが、この電話料金、特にダイヤル通話料金でございますけれども、いろいろお客様の方で御不信を抱かれまして、窓口へ、あるいは電話で私ども電話局に対してお尋ねが相当多数あることは事実でございます。いまどういう応対を指導しておるのかというお尋ねでございますが、応対の前の問題としまして当然のことでございますけれども、正確な計測と申しますか、それから計算、それからきちんとした請求をするということがまず前提でございまして、あわせて、いつお問い合わせがあるかもしれないわけですから、できるだけ私どもの方でお客様がお尋ねになったときに参考に供し得るようなデータでございますね、そういうものをできるだけ整えておくということが当然必要でございまして、この二点を応対前の問題として現にやっておるわけでございます。  それから、実際にお尋ねなり苦情なりのお申し出があった場合の対応でございますけれども、基本的な問題としては、大変忙しい中でお客様がいろいろお申し出なさるというのはよほど御不審を抱かれてお話があるわけですから、そのことを十分認識して、まず率直に、素直に私どもの方でお客様のお話というものをよく承る、篤とお話をお聞きするということがまず第一だ。  第二点といたしまして、私ども、相当厳密な、信頼性の高い機械というものを使ってはおりますけれども、機械なりコンピューターというものは一〇〇%の保証ということはないので、たまには故障もありますし、人手の過程でのエラーというものもあるわけでございますから、機械あるいはコンピューターというのは絶対だというような印象の物の言い方というのは厳に慎みなさい、よほど気をつけて物を言っても、いかにも電電公社を一〇〇%信頼すべきだというふうな印象でお客さんの方はお受け取りになるのだから、その点は念には念を入れてというか、十分気をつけよということを申しております。  それから三番目に、電話料金の仕組み自体も大変複雑でございますし、それから請求の仕組みもかなり厄介な仕組みになっておりまして、お客さんの方ではなかなかすっきり正確に御理解がしにくいという面も事実上あるわけでございます。そういうことからくるお客様の方の誤認と申しますか誤解と申しますか、そういうものもございますので、その点は十分お話を申し上げて、御理解がいただけるものは御理解のお手伝いをする。  それから次に、お話をいろいろ承っていく上で、私どもの方でこれは単なるそういう説明だけではだめで、工程の全部または必要な部分についてこれは調査を要するなということになりましたら、これはきちんとお預かりをして、必要な工程、人手部分もありますし、場合によればハードの面のチェックということも必要になろうかと思います。そういうことは入念に調査をいたしまして、その結果をもってさらにまたお客様と応対をして、是正をすべきものがあれば当然是正をいたしますけれども、間違いないという結果が出れば、またそのことを十分に、調査内容も付しまして御案内をするというふうな行き届いた対応をするということを基本に、十分な指導をしておるところでございます。  今後とも十分気をつけてやってまいりたいと思います。
  201. 木下敬之助

    ○木下委員 お話はよくわかりましたが、私の方に来た苦情というのは、申し出たところ、これはコンピューターでやっておるのだから絶対間違いないからということで取りつく島もない、三度ほど言った。自分が女性だからばかにされているんだろう、こういうふうな感情で私に話しておられましたので、そういうことの声がたくさんあったのでは困ると思いますので、どうか、末端までいまのような趣旨の行き届くような指導をお願いいたしたいと思います。  では、私の質問はこれで終わります。
  202. 佐藤守良

    佐藤委員長 木下敬之助君の質疑は終わりました。  次回は、明十六日午前九時五十分理事会、十時から本委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十五分散会