○高橋参考人 お答え申し上げます。
NHKで開発いたしました高品位テレビを簡単に申し上げますと、現行の日本の場合のNTSCを使いまして走査線が五百二十五本、これに比べまして走査線の数が千百二十五本でございます。それから、現行のテレビの規格は縦横比で三対四にできておりますのを、三対五のちょっと横長のワイドにしたわけでございます。それで、あとは大体同じでございます。インターレースも同じでございます。毎秒の像数も同じでございます。
そのようなもので一番問題になりましたのは、これを写す、これだけの千百二十五本の解像度を得る撮像管がなかったということでございます。これにつきましても研究の方でおととしに開発いたしまして、それを使ったカメラがようやくできて、それが一応実用の段階までには持っていっておるという
状況でございます。
それから、ブラウン管の方でございますが、これにつきましてはいまのところは値段としては非常に高いのでございますけれ
ども、将来は現在のカラーテレビのブラウン管と同じように、需要と供給の
関係で安くなるんじゃなかろうかという見通しは持っておるわけでございます。
それから、三十五ミリのフィルムの画質よりもよろしいということでございますので、これは現在われわれが保存しておりますところのたとえば映像の情報量でございます、こういうものをとっておく。さらに今後最近話題をにぎわしておりますビデオディスクのようなもの、こういうものに対する供給の技術システムといたしましても、いいものを供給すれば当然いい画質のビデオディスクができる、こういう
考え方もございますので、そういう
意味合いでフィルムにレーザーでもってビデオから直接録画する、こういう機器も開発は終わっております。
いま残っておるのはどこかといいますと、これを録画するVTRでございます。このVTRにつきましては二つの
考え方でいま研究を開始させております。
一つの
考え方は、デジタルVTRでいくという方法と、もう
一つはカラーの信号を別々に録画して後で組み立てるという方法、この二つが考えられるものでございますから、これの見通しを早くつけてまいりたい、そのように考えております。
放送の平和利用ということを考えましても、国際交流というのはどんどん広がってくると思います。残念ながら世界でいま用いられているカラーテレビ方式は御承知のようにNTSCとPALとSECAMと三方式があるものでございますから、現行私の方の映像をごらんになっていただきましても、この方式変換をした画質は落ちてきております。そういうことのないようにしたい。将来はこういうような
視聴者の皆さんからも現行の画質よりももっといいテレビを出せという要望も来ているものですから、そういう将来のテレビといたしましては、そのときに今度はわれわれ技術屋の
立場からしますと、そういう方式をこの方式で一本化したいというのがわれわれの念願でもあるわけでございます。そういうことを国際
会議にも提案をしましたのが四十八年でございます。それで、この国際
会議でもこれが取り上げられまして、現在各国のスタディープログラムに採用になっております。
NHKといたしましては、高品位テレビを
放送する場合には衛星を媒体とすることが適しておると思います。そういう観点から、将来二十二ギガ帯の衛星
放送のようなことが仮に出た場合には、こういうものにこういうニューメディアが適するんではないかということも含めて国際
会議に提案しておりましたところ、ただいま先生の御
指摘のように、昨年の暮れに
NHKの
会長あてに、アメリカの連邦通信
委員会とそれからSMPTEといいまして、テレビの技術者と映画技術者の集まりの学会がございますが、そこの
会長から要請がございまして、そういうものをペーパーでは見ているけれ
ども現物を見たことがないというので、アメリカの
経費でもってサンフランシスコとワシントンでアメリカの政府
関係者にも見せたところ、次の国際
会議前のアメリカ・リージョン、第二リージョンの
会議においては
NHKの高品位テレビのシステムをサポートしたいということが非公式に漏らされておるという現状でございます。
今後どうするかという問題につきましては、そういうメディアとしまして一番問題なのは、残念ながらバンドを非常に要する、約二十メガのバンドを要するというのが欠点と言えば欠点でございます。ただし、これについてバンドをどれだけ狭くすることによって画質を保てるかという研究も現在やらせておるわけですけれ
ども、その過程におきましては、この前の
NHKのニュースでもごらんになっていただいたように、映画技術手法として採択したいというようなことが映画技術者の仲間から出てきておりますので、そちらの方に対する波及度というものが意外に早くくるんではなかろうか、さように考えておる次第でございます。