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1981-03-19 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十九日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    浦野 烋興君       江崎 真澄君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    長谷川四郎君       早川  崇君    吹田  愰君       水野  清君    森  美秀君       森山 欽司君    久保  等君       武部  文君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    柴田  弘君       鳥居 一雄君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      伊藤 博行君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         経営総務室室         長)      片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (日本民間放送         連盟事務局長) 泉  長人君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     浦野 烋興君   水野  清君     福永 健司君   鳥居 一雄君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     田澤 吉郎君   柴田  弘君     鳥居 一雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)  郵便年金法及び簡易生命保険及び郵便年金の積  立金の運用に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出第三九号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保等君。
  3. 久保等

    久保委員 五十六年度NHK予算案審議につきまして、郵政大臣予算に対する意見書が出されておりますが、私はこの点について最初お尋ねしたいと思うのです。  例年NHK予算に対しましては国会でいろいろ附帯決議もつき、また郵政大臣の方でもこれに先んじて例年いろいろと意見が付されております。毎年、NHK経営あり方の問題について長期的な展望に立っての検討を進めよ、あるいはまた受信者負担をできるだけ軽減するようにといったような意見書がついておるわけでありますが、本年の場合、特に郵政省として格別強調しておられまする意見というものはどういったところにあるのか。例年繰り返しておりまするような意見は別として、五十六年度予算案に対して強調しておられる点がありましたら、その点を特にひとつ御説明を願いたいと思います。
  4. 山内一郎

    山内国務大臣 今回のNHK予算につきまして郵政大臣意見を付しているわけでございますが、三点ございます。第一点は、長期的展望に立った経営あり方について検討をさらに進めてもらいたい。第二点は、経営の基盤である受信料の確実な収納を図るとともに、経営合理化と徹底した経費節減を着実に実施し、極力長期にわたり受信者負担増を来さないように努めるべきである。第三点は、視聴者意向を積極的に吸収してやりなさい。こういう三点でございますが、当委員会においてもたびたび問題になりますように、受信料というものは安易に値上げを申請すべきものじゃないんだ、企業者NHKが大変な努力をして、企業努力もやったり、本当にあらゆる点を考慮して実施をしながら、それてもやむを得ないときには受信料値上げということはあり得るにいたしましても、そういう努力をして受信料をできるだけ値上げをしないように、こういう点を特に強調しているわけでございます。
  5. 久保等

    久保委員 いま大臣お話のあった、極力長期にわたり受信者負担増を来さないようにということなんですが、あえて長期的と言われておりますが、一体どの程度のことを考えての長期的という考え方なのか、その点いかがですか。
  6. 山内一郎

    山内国務大臣 何年と言うわけにはなかなか、御尽力願った結果にもよりますのではっきり言えませんけれども、要するに、従来は五十一年に値上げをいたしまして、また五十五年にお願いをしたわけでございますが、そういう点も考慮しながらひとつ一層勉強してください、こういう意味でございます。
  7. 久保等

    久保委員 何か飾り文句のようなふうにも受け取れるわけなんですが、大体五十五年度予算そのものも、特に昨年、ちょうどいまごろでございますが、五十五年度予算案を二月の十九日に閣議で決定しておきながら、現実国会に出されてまいりましたのは三月の十七日、約一カ月ばかりおくれて昨年本年度予算案に対する国会提出が行われました。当時私どもも非常にやかましく申し上げたことでありますが、与党の内部におけるいろいろな意見等があってその調整に手間取ったという当時の郵政大臣の御説明でありました。しかし、その結果、要するに一カ月ばかりおくれたものですから、当然本年度予算については四月の暫定予算ということに相なって、当時私どもまことに遺憾に思い、強く郵政大臣にその善処方を要望したところであります。  それが、現実には五十五年度予算実施を行っているわけでありますが、このことによって現実に五十五年度予算のいわば欠陥が総額結果的にどういうことになったか、これはひとつNHKの方にお尋ねしたいと思うのですが、金額は幾らになりましたか。
  8. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  五十五年四月からの値上げが不可能であったということで受けました当初の見込みとの違いは四十四億でございます。
  9. 久保等

    久保委員 金額的にもNHKにとっては相当な金額だと思います。そういうこともあって値上げ初年度まさに終わろうとしておるわけでありますが、しかし、昨年の受信料値上げ展望は大体三カ年程度という展望に立って考えられた受信料値上げであったと思います。そうしていま言ったようなことがまた当初の予定からすると狂ってまいったわけでありますが、五十六年度、そして五十七年度で三カ年計画を終わるわけでありますが、この三カ年の展望の中で、いま大臣の言われたように、長期にわたってとにかく受信者負担がかからないように、負担増にならぬようにということを言っておられるのですが、三カ年計画から申しまするとあと二年しか残っておらない。その一年度はすでに現在この予算案としてわれわれが審議をしておるわけでありますが、どうも長期にわたって受信者負担増を来さないようにという願望的な気持ちはわかるのですが、しかし大臣が、何といいますか、相当強い意思を持って、自信を持ってこういった意見をぜひひとつNHKで実行するように期待をしたい、こういうことなんだろうと思うのですが、いま申し上げたような本年度予算案審議経過等も考えた場合に、長期にわたって受信者負担増を来さないように努めるべきだとは言っておりますが、まことにどうも先の見え透いた話のような気がいたします。  さらに、特に私、本年と申しますか、五十六年度予算に対する郵政大臣の従来見られない、力説をせられておりまする意見、これは第三項の視聴者意向を積極的に吸収し、これをその運営の中に生かしていくことを望むという、要するに協会に対する視聴者理解と信頼を高めるための施策に積極的な工夫を行い、また創意も生かしていくようにという御意見がついているのですが、これが最近余り見られなかった点だと私思います。もちろん言っておられることは、私ももっともであり当然のことだと思うのですが、こういったことを本年、五十六年度予算について特に力説をせられた気持ちはどういったところにあるんでしょうか。
  10. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろテレビをたくさんごらんになるわけでございますが、本当にいい放映がされる場合、また視聴者のニードに合うような放映をされる場合には、受信料についても、ああ、こういういいものが放映されるのならもっと払ってもいいとはお思いにならぬでしょうけれども、こういう受信料は当然であろうというような感じがやはりあると思うのです。したがって視聴者意向を十分に取り入れて、そういう放映をされればやはり経営全体についても見通しもつくというような点で特に第三項を入れたわけでございますが、NHKの方でもいろいろ工夫されまして、視聴者本部というようなものをおつくりになっていろいろ視聴者関係業務の一元化も図っておいでになりますので、さらにそれを一層促進をしてやっていただきたい、こういう意味で入っているわけでございます。
  11. 久保等

    久保委員 そのことに関連して、NHKで出された昨年の予算の際に拝見をしたのですが、例の五十五年度から五十七年度にかけての経営計画、その中でも特に視聴者との結びつきという項がございます。その中に、具体的に視聴者懇談会あるいは視聴者会議、こういったようなことを具体的に回数等も挙げられておるのですが、その実施状況は五十五年度についてはどういうことでございますか。NHKの方からひとつお答えになってください。
  12. 反町正喜

    反町参考人 お答え申し上げます。  視聴者会議につきましては、五十一年度から始めたわけでございますけれども、まだ五十五年度につきましては私ちょっと年度末まで詰めておりませんですが、たとえば五十四年度で申し上げますと、これは全国五十三カ所で行っておりますけれども、特に五十五年度におきましては新しい試みといたしまして、なかなか役員全国全部くまなくというわけにまいりませんので、ブロック会議なりあるいは努めて地方局にも役員が出向くようにしておりまして、大体年に三回、東京では五回程度実施しております。それから視聴者懇談会等につきましては、これは五十四年度でございますけれども、大体二千回近く各地、各所で行ってございます。なお、そのほか大都市におきましては放送懇談会と申しておりますけれども、多少きめ細かく、東京大阪名古屋等においてはそれぞれの地域に応じまして委員を御委嘱申し上げて、大体年六回各地で行っております。そんな状況で、五十五年度全部正確な集計ができておりませんので、とりあえずお答え申し上げた次第でございます。
  13. 久保等

    久保委員 受信者との結びつきそのものはどんなに強化をしても強化し過ぎるということはないと思いますし、特に昨年この受信料値上げに伴って、五十四年度とは違った意味で、五十五年度からは一層こういったことについても強化をするという趣旨で、特にこういったことを私ども資料として提出せられたのだと思うのです。そういう点でいま五十四年度お話がございましたが、少なくとも五十五年度は五十四年度に比べて一層そういったことが活発にやられておるはずだと思うのですが、ぼつぼつ年度も終わろうとしているわけですから、ある程度数字的にももう少し具体的な御説明があってもしかるべきだと思うのですが、単に五十四年度、五十五年度、従来やっておるから五十五年度も大体似たり寄ったりだという程度では、昨年のわれわれに対する説明あるいは資料提出の経緯から見てもどうも少し熱意がどの程度かと思われるのですが、少なくとも五十四年度に比べれば五十五年度はより積極的に、したがってより回数も多くやられておるものだと思うのですが、その点はどうなんですか。
  14. 反町正喜

    反町参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、たとえて言えば視聴者懇談会等につきましては、ブロック会議というものを新たに設けまして、これは役員が全部全国をあまねく回るわけにもなかなかまいりませんので、たとえて言えば名古屋でありますとか松山でありますとか、そういうところに管内の視聴者の代表の方をお招きいたしまして、そこへ東京会長なり副会長が出かけまして直接地方方々と懇談する機会を得るという新しいブロック会議というものを設けてございます。  それから大都会につきましては、先ほど申し上げましたように、五十四年度に比べまして五十五年度におきましては、特に放送懇談会と申しまして大都市圏在住者の中からしかるべき方を選びまして、東京視聴者会議大阪視聴者会議名古屋視聴者会議のほかに、たとえて言えば区部単位委員の方を御委嘱申し上げまして、区部単位会議を開いているという新しいことも行っている次第でございます。
  15. 久保等

    久保委員 もちろんこの視聴者会議なりあるいは視聴者懇談会のみならず、そのほか二、三具体的な計画等もいろいろ挙げられておったわけでありますから、今後においても一層こういった面について、問題はやはり受信料の納入の問題に直接関係する非常に重大な問題じゃないかと思いますし、ぜひひとつ計画より以上に積極的に具体的な方途をお考えになって推進をしてもらいたい、その点を強く要望いたしておきます。  次に、受信料問題についてお尋ねしたいと思うのですが、その受信料問題の一つとして、受信料滞納状況、こういったものを年度別に、できれば五十年度ぐらいから五十四年度あたりまでにかけて受信料滞納状況がどういう推移をたどっておるか、最初にちょっとお尋ねしたいと思います。
  16. 海林澣一郎

    海林参考人 お答え申し上げます。  それでは五十年度から申し上げます。五十年度滞納の数は五十九万八千でございます。五十一年度十五万八千ふえまして七十五万六千でございます。それから五十二年度九万八千ふえまして八十五万四千でございます。それから五十二年度でございますが、七万五千ふえまして九十二万九千。五十四年度が五万五千ふえまして九十八万四子。それから今年度は、九月末で一応締めてございまして、新しい数字では九十八万七千でございます。これは増加数は三千ということでございます。これが五年間の現況でございます。
  17. 久保等

    久保委員 細かくお尋ねする時間がありませんからなんですが、その中にいわゆる意図的な未契約といいますか、そういったものも含まれておるのですか、それはまた別なんですか。
  18. 海林澣一郎

    海林参考人 おっしゃるとおりでございまして、伺いましても契約をしてくださらない方がいらっしゃいます。それをわれわれは契約を拒否している方という形でとらえておりますが、五十五年の九月末でそれは十万四千でございます。  それから、先ほど御説明申し上げました五十五年度の九月の九十八万七千の中には、契約をしていてくだすっても、お伺いしても支払ってくださらない、私たち部内的には無理解という言葉で一応呼んでおりますけれども、この無理解が三十四万五千という数字でございます。
  19. 久保等

    久保委員 したがって、この両者を合わせるとさらに多くなるわけですが、いま御説明のあった昨年の九月末現在での九十八万七千という受信料滞納者の総数ですが、その中における協会事業に対する無理解が三十四万五千、非常に年々ふえてまいっておる傾向、私ども非常に憂慮にたえません。同時に、常時不在者という数もこれはなかなか大変で、昨年の九月末現在で五十二万五千ぐらいになるようですが、常時不在者が五十万を超えたのが昭和五十一年度以降で、だんだんとこれまたふえておる。だんだん核家族化していって家族数が小さくなっていく、そして勤めに出る者が非常に多い、そういったことなんでしょうが、特に受信者滞納者の中の大半を占めておるわけなんですが、状況をなんだったら簡単にひとつ御説明願いたいと思うのです。
  20. 海林澣一郎

    海林参考人 先生御指摘の特に不在者、面接できないという方たちが多い、傾向としては大都市でございます。われわれとしてはその辺の調査も悉皆調査というような形でやっておりますけれども、お訪ねしたお宅の四〇%以上が全くお会いできないというようなデータが出ておりまして、ただそれで手をこまねいているわけではございませんで、時間を分けまして早朝あるいは夜、ところが夜九時過ぎあたりに参りますと人権問題ではないかというようなことがございます。そういう場合にはそれでは休日にお訪ねしようかというようなことをしております。さらにはお電話をしよう、それから手紙も出そうというようなことを施策として現在実施しております。
  21. 久保等

    久保委員 こういった受信料滞納問題は最も頭の痛い問題ですが、いま言った常時不在等の御家庭に対しても何らかの形で接触をしてまいらなければならぬと思いますし、ぜひ一層の工夫をこらしての努力を願わなければならぬと思います。  ところで、受信料の多寡はこれはもうNHK財務状態に直ちに影響のある問題でして、私はまた別の角度を変えて受信料問題をひとつお聞きしたいと思うんですが、それは受信料免除制度というか、現在免除をやっておりまする面が非常に大きいわけでして、特に減免措置の改廃問題は、これは例のNHK基本問題調査会でも取り上げて、できるだけこれについて検討を加えて、廃止できるものあるいはまた多少でも受信料の徴収の実績を上げるようにという指摘もあるようですが、五十三年以降に若干見直しを行って廃止をした面もあるようですが、あの六項目と言われます廃止、これはいつ行われた問題でしょうか。
  22. 海林澣一郎

    海林参考人 六項目につきましては五十二年四月に廃止いたしまして、内容は職業訓練所青少年矯正教育施設それから刑務所、公的医療機関それから図書館、博物館、九千件で五千五百万円ということでございます。
  23. 久保等

    久保委員 受信料免除状況を見てみますると、確かに免除に値すると思われまするような点があるんですが、しかしまた一面、これは相当な金額になるわけでして、五十三年度で六十一億円余、また五十四年度で六十二億円余という相当な金額になるわけです。考えてみると、NHK公共放送だというんですが、しかし財源は申し上げるまでもなく零細なというか、要するに受信者の拠出した金額そのものですから、そういったもので公共的な方面受信施設負担をしていくことが一体受信者立場からいってどうなんだろうかという感じがいたします。たとえば一つ学校放送なんかにいたしましても約二十億円ぐらいの受信料免除が行われておるわけなんですが、こういったものについて一体、昨日あたり意見を聞いても教育放送でいろいろと貴重な利用をしておられるわけですから非常に結構なんですけれども、そういったものは国なりあるいは地方自治体なりあたり負担をしていく方法が考えられないだろうかどうだろうか。受信料といっても、結局これは国から補助をもらっているわけでもない。受信者そのものが拠出をした受信料ですから、そういったものによって使われておりまする先は、非常に貴重なまた大事な学校放送あるいはその他の社会福祉関係にしてもそうなんです。しかし、NHK財政状態を考えますと、もう年々この受信料の問題、特に値上げの問題がそれに表裏一体のような形で議論をしなければならぬ、そういう状況の中で、そういった公共的な方面に対する放送受信料というものも受信者にとにかく負担させるんだという考え方一体いいのかどうかの問題について、やはり根本的に検討する必要があるんじゃないか。  また後ほど私二、三指摘したい問題があるんですが、受信料問題について根本的にそういった点を考えていきませんと、公共放送というものは、要するに少なくとも受信者メリットを受ける範囲内においては公共放送という名において受信者の手によって積極的に協力してもらわなければならぬが、しかしそうでない非常に高邁な理想といいますか、非常に結構な方面に使われるにしても、直接受信者関係のないと言ってはなんですけれども、そういったものまで受信者負担させることがいいのかどうか。後ほど私国際放送の問題なりあるいはまた放送衛星の問題についても触れたいと思うのですけれども受信者にそういったものまで今後どんどんふくらんでいく経費というものを負担をさせていくというようなことでは、受信者そのもの受信料の不納問題が大変な問題になっているんですけれども、ますます拡大していくおそれがある。したがって少なくとも自分が納めたことによってそれが直ちにメリットとしてはね返ってくる、その範囲に限定をして負担をさしていくというか負担をしてもらう、協力をしてもらうというふうにしていかないと、何かだんだんふくらんでいくものまで含めて結局全部受信者に――後ほど触れますが、たとえば放送衛星の問題にしても、全国でわずかに一%ちょっと出る程度人たちのために星を打ち上げて、放送衛星でもってそういった方面に対する受信を可能ならしめていく、その経費は九九%程度の現在すでに非常によく見える受信者、そういった方々負担をさしていくというようなことは一体納得できるかどうかということになりますと、私は非常に疑問だと思うのです。  国際放送についてもしかりです。これもいずれも後ほどまた触れますけれども、非常に重要なことでやらなければならぬ仕事ではあるけれども、しかしその負担受信者負担をさせてやることについて、一体受信者一般聴視者立場からいって理解納得協力が得られるかというと、私は非常にむずかしいと思うのですね。しかもそれが年々だんだんふくらんでいくような負担について、そういったものまで負担をさせるということについては、この際根本的に受信料というのは一体何なんだということについて考えてまいりませんと、従来の既成の実績をただ延長して、だんだんふくらんでまいる、これは公共放送であれなんだからぜひひとつ協力をしてもらいたいと言って一般受信者に呼びかけてみても、なかなか納得が得られないんじゃないか。  そういう点では、話が少し横へそれてまいりましたが、いま申し上げた問題いずれ後ほどお尋ねいたしますが、要するに受信料免除制度そのものについて、いま御説明があったように五十三年四月以降で六項目について廃止をせられたというお話なんですが、その後出されたこのNHK基本問題調査会の答申といいますか、報告書の中にも指摘されておるような面でNHKとして検討しておられる点、あるいはその後実施せられたものはないんじゃないかと思うのですが、この基本問題調査会で報告書が出された以降のNHKの取り組み方あるいは考え方、そういったものをひとつできれば具体的に御説明願いたいと思うのです。
  24. 海林澣一郎

    海林参考人 先生仰せのとおり、基本問題調査会の答申で「NHKが今後とも免除範囲の縮小について検討を進め、現行の免除措置について、設定当初の社会的意義が失われていると考えられるものについては、免除措置を廃止、有料化を促進することが妥当である」というふうに仰せられております。またこの衆参両院逓信委員会におきましても、審議及び附帯決議という形で御勧告を受けているわけでございます。したがいまして、その趣旨を踏まえまして協会といたしましては免除措置の見直しを行っております。  先ほど五十二年を申し上げましたが、五十五年も一部廃止しましたので、それをまず申し上げますと、大学と高等専門学校でございます。大学、高等専門学校の免除措置を廃止いたしまして、これが件数で二千八百件、うち大学が二千五百件、高専が三百でございますけれども、大体二千四百万程度免除廃止を行いました。  それから、先生が先ほどおっしゃいました学校放送その他ということでございますけれども、現在社会福祉的な、あるいは教育的なということにつきまして、視聴者方々の御理解がどう受けとめられるか、あるいは関係者の方がどう御理解くださるかというようなことを検討しているわけでございますけれども、私どもとしましては、昭和五十年から会長名をもちまして、文部省、厚生省、法務省といった関係大臣あてに、免除措置縮小の円滑な実施のためのたとえば予備措置、積極的な協力というようなことを御要求申し上げているわけでございます。しかし、このように関係各省の予算措置面での御要求を申し上げましても、なかなか厳しゅうございまして、当面免除措置の廃止も最小限にとどめざるを得ないということで、先ほど御報告いたしました五十二、五十五という六項目及び二項目ということの廃止に至ったわけでございます。  今後でございますけれども、ビジョン審議会がございます。この中でも十二分に議論をして、先生のいまおっしゃっていただきましたことを受けとめつつ、今後の方策を考えていきたいというのが現状でございます。
  25. 久保等

    久保委員 そのことについては、確かに免除措置を廃止する、あるいはまたできるだけ受信料の納入をよくするために改めるといったような問題、これは特に郵政省、わけても郵政大臣の、いまお話があったように、やはり各関係省庁に対する積極的な働きかけ、理解を深める努力、こういったことが非常に重要ではないかと思うのです。なかなかいろいろむずかしい問題です。しかしながら、さっきも申し上げたようなことで、ある程度安定した状態で推移できていくようなNHK財政状態であるならば、私はある程度耐えられると思うのです。年々歳々非常に急角度に支出面が膨張してまいる、そういう状況の中にあって、いま言ったような目的は非常にりっぱなことなんですけれども、それを受信者にすべて負担させるということではやはりむずかしいと私は思います。したがって、郵政省そのものがこのことについて、むしろ積極的に政府部内における理解協力、またその出先等に対して十分な説明、説得、こういったようなことが必要だろうと思うのですが、郵政省の方からお聞きしたいと思うのです。
  26. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この受信料免除の問題については、先生御高承のとおり、かなり歴史的なものがございます。それで、いまのなにで申しますと、放送法の三十二条の第二項ということで、あらかじめNHKの方から申し出てもらいました郵政大臣の認可基準を受けて免除していただくということになっておるわけでございますけれども、先ほどNHKからもお話がございましたように、数項目については見直してまいったということがございます。それで、郵政省といたしましても、基本的にはNHKの申し出によるものでございますけれどもNHKともよく連絡をとり、必要に応じて他の所管庁等とも話し合うべき問題が来れば十分努力してまいりたいというふうに考えております。
  27. 久保等

    久保委員 やはり郵政大臣の方でも今後この問題について一層積極的に取り組んでいただきたい、そのことを強く要望申し上げます。  次に私、難視問題のうち、わけても都市難視の問題でお尋ねをしたいと思うのですが、これまた都市難視の世帯数の発生状況の推移について、昭和五十年ぐらいから数字的な推移をできればNHKの方から簡単にひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  28. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  都市の受信障害の実態は、先生の御指摘のとおりに、年々高層建築物の増加によりまして増加していることは事実でございます。ただ、これを一件一件実態調査することは非常にむずかしゅうございます。それで、推計調査を含めましてわれわれの把握しておる都市の実態を申し上げますと、都市圏と首都圏と大阪周辺の京阪神地区、きょう現在で全国五十六万と推定している中の約十万が地方都市でございまして、残りが東京周辺並びに大阪周辺というふうに把握しているわけでございます。  それで、現在私の方でこれに関与するやり方といたしまして、この改善に寄与しておりますのは「公衆の受信の相談に応ずる」、この項目によりまして、受信者並びに建築主などからの要請によりまして、それの被害推計をやるとか、それの調査をやる、そういう形と、もう一つは、それの受信障害を解消するための技術指導をやっているわけでございます。これによりまして、五十六万が大体二万を残すくらいをもって改善に寄与しておるという状況でございます。したがって、あくまでもこの対策そのものは、郵政省の指導要綱に基づきました原因者責任主義でもってほとんどが貫かれておるというのが現状でございます。
  29. 久保等

    久保委員 いま五十四年度五十六万というお話で、二万を残す程度で、あとは全部解消というような御説明だったんですが、この予算書の計画の中では年間三十七万、毎年三十七万程度調査指導というようなことが言われておるのですが、それとの関連はどういうことになりますか。
  30. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の指導の数は、先ほど申し上げましたように、技術指導並びに被害地区の調査、こういうものに対する件数でございまして、先生御高承のように、指導要綱の直接対策そのものは原因者にやっていただくという、指導要綱に基づいてやっているものでございますから、原因者の方々でおやりになった数と、それから三十七万は、ほどんどが解決に結びついております。それ以外に、建築主なりとその被害の住民の方々との話し合いにおきまして、NHKが関与しないで解決しておるという数が足されておるわけでございます。
  31. 久保等

    久保委員 わかりました。  受信料との関係はどういうことになりますか。都市難視に伴う受信料の不払いといいますか、納められない数というものは一体どういった状況にありますか。
  32. 海林澣一郎

    海林参考人 五万六千件でございます。どうも見えにくいから払わないという理由でございます。
  33. 久保等

    久保委員 都市難視の問題については相当実績を上げておられるようですが、なお年々歳々ふえていく可能性は非常に強いわけですし、一層御努力を願いたいと思います。  それでは次に私、国際放送の問題について少しお尋ねをしたいと思いますし、同時に、先ほどもちょっと触れましたように、NHKの今後の経営立場からいって非常に大変だと思うんですが、従来の国際放送そのものをもう少し積極的に評価をして、見直さなければならぬ時期に来ているのじゃないかと思います。きのうあたりの質疑を聞いておりましても、受信の面においてはむしろ相対的に機能が低下しておるのじゃないかというようなことも言われておりますし、何か送信機なり、その他の機器にいたしましても、古い機器を使って細々とやっておるような印象を受けるわけです。これまた根本的には経費の問題になってくるわけですが、ところが、来年度予算をながめてみますると、残念ながらどうも交付金にいたしましても、これは郵政省の方にお聞きいたさなければなりませんが、五十六年度は五十五年度と比べて交付金の金額は若干ふえておりますが、比率の面でまいりますると、五十五年度と五十六年度は変わらない、これは一体どういうことなのか、ちょっとその点、最初にお尋ねいたします。
  34. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  国際放送につきましてですけれども、非常に私ども重要視いたしておりまして、毎年度重点項目にも挙げておるところでございます。それで、ことしも一生懸命がんばったつもりでございまして、厳しい財政事情ではあるわけですけれども金額的に申しますと九億九千八百万円というようなことで、前年度から五・七%増ということになっておる次第でございます。ちなみに郵政省の私どもの電波監理局関係予算の伸びでございますけれども、一・五%というようなものでございまして、その中でも私どもとしては一生懸命努力したというつもりでございます。  ところで先生御指摘の、NHKがみずからの放送としてやります分に、トータルの国際経費に占めるパーセンテージが二六・六%ということで、前年度と少しも変わっていないではないかということでございますけれども、この分は、実は為替レートの分がございまして、その分での何千万円かの差額がございます。そういうことで、内容的には命令放送放送上の延べ時間といたしましては六時間増加する要求をいたしましたわけですけれども、だから内容的にはより多くの分を命令放送の方で、分として見ていただいたということでございますけれども、その分は為替レートの中に埋没してしまったというようなことでございます。
  35. 久保等

    久保委員 NHKの方から、NHK国際放送の現状といいますか、現在の国際放送に対してどういう認識を持って取り組んでおられるのか。NHKの方から、国際放送の現状について簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
  36. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  現在、NHKの方では、放送時間が一日二十七時間ぐらい、それから使用語は二十一の言語をもちまして実施をしております。御存じのように、このうち一般向け放送、ゼネラルサービスと言っておりますけれども、これは主に世界各地の日本人、外国人、それから日系人の方々を対象にして、一日二十四回毎正時から三十分間というような形で、英語と日本語によってニュースなりあるいは解説の速報を実施しております。  なお、先生御存じだと思いますけれども、これにつきましては、五十四年の十月からポルトガルのシネスで、中継地をつくりましてヨーロッパなりあるいは中東向けのサービスをしておりまして、これは昨年のイラン・イラク戦争のときに大変現地の方々にも役に立ったと聞いております。  それからもう一つの地域向け放送につきましては、放送の対象地域を特定して一日当たり一、二回放送している。これは、その地域の言語だとか政治事情、風俗あるいは宗教などの特性を考慮しながら、ニュース解説とかあるいは日本の紹介とか、そういったものを主に放送しているというのが実態でございます。
  37. 久保等

    久保委員 そのシネスに中継局を設けてやられた、その経費というものはどのぐらいでやられたのですか一
  38. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。年間一億円でございます。
  39. 久保等

    久保委員 外国、特に欧米あたりに比べてどういうことなのか、たとえばアメリカあるいはイギリス、ドイツ、この方面との比較において日本の国際放送状況をひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  40. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  現在、諸外国の実施状況というものは、約百カ国に近い国がそれぞれ国際放送実施しております。時間で見ますと、ソビエトとかアメリカとか西ドイツ、イギリスといったところが大変たくさんの放送をしておりまして、一週間に約五百時間以上放送しているということで、これに対しましてNHK国際放送は、一週間に大体二百五十九時間ということで、時間の量で言えば十五位ぐらいではないかと思っております。これは、御存じのように電波が直接それぞれの外国の家庭に情報を伝えるということで力を入れているのではないかというふうに思っております。  なお、政府が直接国際放送を運営している国も少なくありませんし、また、政府から独立して公共放送機関としてやっているという例もいろいろございます。  なお、御指摘の点の最近の国際放送界では、送信施設の強化というのが大変目立っておりまして、NHKが現在使っておりますのは最高で百キロワットでございます。合成いたしまして二百キロワットということでございますけれども、世界では大体五百キロワットという送信機を運用してやっているという状況が大変多うございます。  また、先ほど申し上げましたシネスのような中継基地をつくっているところも大変多うございまして、アメリカが海外に約十カ所、それからイギリスが六カ所、それから西ドイツが五カ所というふうに中継局を設置して、国際放送を広く広げているというのが実態でございます。
  41. 久保等

    久保委員 そういう外国に中継基地を設けてやるという問題は、特に外務省、また直接関係します郵政省、こういったようなところが積極的に考えてまいらなければ、もちろん解決する問題ではございませんが、こういう国際放送に対して一体どういう認識を持っておるのか。従来、私どもこの委員会で毎回やかましく申しておるのは、国際放送についての経費というものは当然国が負担すべきではないかということで、年々交付金の率の引き上げについてやかましく指摘をしてまいっております。しかし、それより以上にさらに一歩二歩進めて、国際放送というものは一体どういう意義を持っているのかというようなことについて本質的に議論をしたことが余りなかったのですが、単に在外邦人が日本のニュースなりあるいはまた日本の娯楽なりを見られるようにということが中心であったと思うのですけれども、しかし、日本が経済大国と言われるほど今日国際的に非常にいろいろな問題を引き起こすということにもなっておる現状からすると、やはり日本に対する正しい理解、それからまた日本の文化の交流、もちろん経済的ないろいろな交流といいますか、取引が盛んになっておるわけですから、そういう点からいきましても、やはり日本の実態というものをテレビなりラジオなりそういった放送を通じて、やはり日本の誤解のない姿というものをひとつぜひ知ってもらう、理解してもらうということが非常に重要になってまいったと思います。そういう点では、実は昔日の比ではないと私は思うんですね。  だからそういう点を考えると、従来の交付金がどうとかこうとか言う以上に、もう少し郵政省が積極的に国際放送というものについて、これは何も日本の宣伝をするという目的じゃなくて、私はいい意味での日本の真の姿を理解してもらう。もちろん在留邦人そのものが昔と違って非常に今日大ぜい一旅行者も多くなっておりますが、旅行者のみならず現地でいろいろ活躍をしておられる日本人も非常に多いわけですから、そういう人たちにとってはなおさら切実な問題だと思うのですけれども、そういう点から考えますと、この国際放送という問題についても、意義、価値、そういったものについて従来と違った角度からというか、従来より以上にこれを重視してまいる時期になってきておるのじゃないか。  それがためにはやはり何といっても金の問題です。金の問題を、これまた日本の国内の受信者負担をさせる、そういうことではとてもこの負担には耐え切れないと思うのですけれども、特に郵政大臣どう考えますか。国際放送というものは、いま私が申し上げておったように、当委員会で問題になるのは、やはり命令放送というもの、こういったものについては全額当然国が支出をするように、国がこの資金を出すようにということで毎年毎年実はやかましく申してきたところなのです。  しかし、私がいま申し上げておるのは、それももちろんやらなきゃならぬが、同時に国際放送そのものを従来より以上に重視をして、そうしてこれに対しては、財政的な援助というよりも、本来は国がやるべきなのですけれども公共放送という名においてNHKがやっておるわけですから、NHKにそういった意味協力をさせる、努力をさせるというふうにしなければならぬと思うのですが、この国際放送の問題について、現時点における放送一体どう理解するか、どうお考えになっておるのか、今後一体どうしようとするのか、そこらあたり積極的な意図を少しお聞きしたいと思うのです。
  42. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生ただいまいろいろおっしゃっていただきましたように、私どもとしましても、いまの事態になりますと特に国際的な日本の理解を深めたいということで、先ほども申し上げましたけれども、省といたしましても重点施策ということで毎年努力してまいっておるつもりでございます。それで、この間閣議の席でもそういうようなことが出たということもありまして、微力ながらも努力を傾けておるつもりでございます。  ただ、先生の御質問はそうではなかったかと思いますけれども、ただいまのやり方と申しますか法制では、国際放送というのは、先生御高承のとおり歴史的なものがございまして、NHKが従来からやっておった、そういうことで放送法のもとではNHKがやる分があるということで、これを国、政府の命令によるものと、より効果を考えて一体化してやってもらいたい、その命令分についてできる限り補償するという考えについては今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  43. 久保等

    久保委員 そんな話は、これはもう従来から聞き飽きるほど聞いておるわけです。問題は、その国際放送というものをどう理解するか。単にNHK郵政省との間に命令する、されるという関係で真ん中に間仕切りを設けてどっちがどうだとか、そんな問題じゃなくて、これは国そのもの立場から考えたら、仮に受信者が金を出そうが出すまいが、国としてさっきも申し上げましたような目的からいくなら当然やらなきゃならぬ問題だと思うのですね。しかも、これほど地球そのものが小さくなっている、したがって人の交流にしても経済の交流にしても文化の交流にしてももう昔とは全然違うのですね。そういう点からいくと、国際放送というものを新しい一つの時代に立って見直さなきゃならぬ時代に来ているのじゃないか。もうこれは全面的に国がやるべきことなのですよ。  私は、そういう意味で、従来のような単なる延長線上の問題として考えるのではなくて、国際放送というものを新しい今日の時代に即したような立場から理解をし推進をしていくということが郵政省としては当然とるべき態度ではないか、こういうふうに申し上げておるのですよ。交付金の比率がどうだとかこうだとかいう問題がありますが、これはもう本来、前から言っているように、国際放送というのは何も日本の受信者そのものが希望して国際放送をやっているのじゃないのですよ。それは歴史的にはそういう経過があるにしても、受信者そのものは決してそのことを望んではいないです。だれかがというか、国がやることは結構だという意味では国民ももちろん賛成であろうと私は思うのですけれども、自分の身銭を切ってひとつ国際放送に、アメリカの方へ電波が届くようにあるいは欧州の方に電波が届くようにという、そういう気持ちは持っておりませんよ。また、そこのところをもう少し区別をきちっとして、国際放送というものを見直して、私は、積極的にこの問題をひとつ、まあNHK長期ビジョンの中でもどういう答申が出てまいりますか知りませんが、非常に大きな一つの問題だと思うのです。しかしそれは受信者の能力をもってしては解決する問題ではない、したがって積極的に政府そのものが取り組むべきだというふうに考えるのですが、郵政大臣の方から、時間がございませんからひとつ簡潔に、その積極的な御熱意のあるところをお聞きしたいと思うのです。
  44. 山内一郎

    山内国務大臣 いま久保委員からいろいろお話がございまして、国際放送については、政府といいますか国の方も、これは重大な問題である、こういうことで交付金を出してきた、こういう経緯があるわけでございます。  しかし、いま世界の情勢が非常に変化いたしておりますし、その影響というものは日本の方にもすぐやってくる、こういうような非常に世界的な時代に相なったわけでございます。いろいろ御提言ございまして、文化、経済、政治の面においてももっと日本の理解を得るように、非常に重要なことでございますので、国がもっと積極的にやるべきである、こういう点については、今後そういうふうに私も努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  45. 久保等

    久保委員 格段のひとつ御努力を願います。  次に、放送衛星の問題について若干お尋ねいたしますが、きのうもこのことについては大分議論のあったところですから、簡単に私お尋ねしたいと思うのです。  放送衛星打ち上げが目睫に迫ってまいっておるわけでありますが、すでに五十四年度からNHK予算にも計上してまいっておるわけですし、五十六年度で三年目を迎えようといたしております。ところで、五十八年に打ち上げるということの予定のようですが、そうなりますると、五十六年度ではその予算四十七億三千万円、五十四年、五十五年度で合計十億九千万円、約六十億近いものが五十六年度までで支出をせられる。しかし総額は、きのうもお話があったように、六百億のうち六割、三百六十億をNHK負担するということになってまいりますると、五十七年度一体幾らを予定しておるのかお尋ねしたいと思います。
  46. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 BS2の開発に要する経費だと思いますけれども、五十七年度におきましてNHKの分として七十四億三千万円を予定いたしております。  それからBS2開発経費は、五十五年から支出を始めていただきまして六十年までの間に御負担いただく、こういうことになっております。(久保委員「その各年度について」と呼ぶ)五十八年度が百十六億四千万でございます。五十九年度が七十一億五千万円でございます。六十年度が四十九億三千万円。合計三百六十七億円という試算になっております。
  47. 久保等

    久保委員 こういった金額を含めますると一体NHKの今後の収支計画というものはどういうことになってまいりますか。五十七年度までという三カ年計画で去年の五十五年度予算案に対する審議の際には説明があったわけなんですが、こういったことは全部織り込み済みの見通しになっておりますか、収支見通しは。
  48. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘どおりでございまして、私どもは、五十五、六、七、この三年間の約百三十億円というものにつきましては、経営計画に述べたように、その支出の計画は立てたわけでございますが、五十八、五十九、六十年度につきましては、これは具体的な支出計画はまだ立てておりません。  それで、電波監理局長からお話ございましたのは、国とのかかわりでお話があったと思いますので、五十八年度から六十年度までにおきましては、具体的にさらに計画を詰めまして実施計画として計上するという考え方でおるわけでございます。
  49. 久保等

    久保委員 時間がないものですからお尋ねするのは控えまして、私、最後に申し上げたいと思うのですが、要するに放送衛星打ち上げに伴って大変な経費を必要とするわけです。しかも難視の関係で申し上げますると、さっきもお話があったように、全受信者の比率から申しますると、恐らくわずか一・何%といった程度の比率になるんじゃないかと思うのです。現在約三千百万世帯ぐらいですから、四十二、三万世帯ということにかく一・何%といったような数字になると思うのです。もちろんNHKの目的、放送法の第一条からいって、こういった地域に対しても電波を届けるようなことについて全力を挙げなければならぬ。これはNHKの設立目的でもあるわけですから、やらなければならぬ。やらなければならぬが、しかし、全世帯数のわずか一%をちょっと出た、一%か二%、そこらあたりに対する施設としていま三百六十億、しかもこれが五年間で次のことを考えなければなりませんから、当然今度は減価償却を考えなければならぬ。そういうことになってまいりますると、なかなか大変な金額になる。しかも、それがある一定の安定した五年か十年もつんならいいけれども、年々歳々とにかく減価償却を含めながら経費を支出していかなければならぬ。大変な負担だと思うのですね。  それから、地上施設でやるのは技術的にもう限界に来たというようなお話もきのうありました。しかし、地上施設でやっていくのといま言う星でやっていくのと、そこらの経済比較というものをよほど緻密に計算をする必要があると私は思うのです。きのうも星の場合には残念ながらローカル放送というものについては余り期待ができないというような話もありますし、そこらのところは膨大な資金を必要とするし、また今日のような地上施設でカバーできるものはほとんどもうやり尽くしてきたが、なおかつ残っておるところについてもし地上施設を利用するとすれば大変な金がかかるというようなことで、これはまた一つの曲がり角というか、要するに地上施設でやる一つの限界に来ていると思うのですね。世帯数にしてはわずかですが地域的には広いと思うのですけれども、そういったところに対して一体どういう方法でこれに対処していくことが賢明なのか、妥当なのかということについては、私は、単にNHK受信料によって賄っていくということではこれまた非常に大きな一つの限界にぶつかっているのではないかという感じがいたします。これは先ほどの国際放送の問題と同じですが、国際放送の問題といい、放送衛星の問題といい、これは従来のような受信料制度受信者にすべて負担をさせていくということでは解決できない、余りにも大きな問題である、余りにも大きな経費を必要とする問題だと思うのですね。  そういう点では、長期ビジョンの検討の中でもいろいろ十分に検討願わなければならぬと思うのですけれども、これは郵政省を含めて、特に郵政省、むしろそういったことについては、政策的な問題ですから真剣に考えてまいりませんと、まことにどうも毎年値上げもしなければならぬ、しかし不能はだんだん拡大していく。特にこういう要素が加わってくると、私は不能がふえることはむしろ目に見えていると思うのですね。そういう点で今日非常に大きな曲がり角に来ているんじゃないかというように考えますので、これはお答えは要りませんが、しかし大臣から一言最後に、私がいま申し上げた根本的な大きな問題について、それからNHK会長の方からも簡単にお答えいただいて私の質問を終わります。
  50. 山内一郎

    山内国務大臣 難視聴解消の問題、これはいろいろいままで地上方式でずっとやってまいりましたけれども、この辺でやはり転換期といいますか、どちらへ向かってこれを解消していくか、放送衛星でやろうということで踏み切って、五十五年度から予算がついているというのが現状でございます。  これをNHKで全部やっていただくというのは大変でございますから国も四割出しましょう、こういうことで進んでおるわけでございますが、いまのところはこの線に沿ってやっていきたい。地上方式でやれば本当に大変でございます。金額もはじかせておりますけれども、大変なことでございますので、まず全国の皆さん方に中央の放送だけでもひとつ見られるようにいたしましょうということでございます。  久保委員の御提言もいろいろ今後参考にしてやってまいりたいと考えております。
  51. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生御指摘の難視の問題、これはNHKの事業目的でございますので、やはりNHKとして責任を持たなければならないというふうに認識しておりますけれども、さればと言って経営を揺るがすということになることは許されませんので、十分慎重に考えていきたい、その問題を含めて、いま長期ビジョン審議会で御審議いただいておるという状況でございます。  それから国際放送につきましても、これはNHKの本来業務という形である面もございますので、そういう点をあわせてやはり国の交付金というものも適正な形でいただくというふうに努力したいと考えておる次第でございます。
  52. 久保等

    久保委員 終わります。
  53. 佐藤守良

    佐藤委員長 久保等君の質疑は終わりました、  阿部未喜男君。
  54. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKの皆さんは、きのう、きょうと引き続いて御出席いただきまして大変御苦労に存じます。  昨日来、同僚の委員の皆さんから多くの質問が出されましたので、私がお伺いしたいと思っておりましたことも大方は出尽くしたようでございますが、なおその中でどうも納得のいかない幾つかの問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、大臣意見書でございますけれども、昨日来大変な議論になっておりますNHK長期ビジョンの問題について、実は郵政大臣長期的なビジョンをつくるべきであるという意見を出されたのは、昭和五十二年の大臣意見書が始まりです。そして、五十三、五十四、五十五、今年で五十六年、五カ年にわたって同じ意見が述べられておるのです。  郵政大臣意見といえども国会でそれが承認をされれば国会の意思だというふうに私は考えます。国会昭和五十二年からNHKに対して長期的なビジョンの策定をしなさいということを申し上げておるのに、二年たっても三年たってもほったらかしてある。一体郵政省大臣意見を、そしてそれを議決した国会の意思をNHKはどう受けとめておられたのか。同時にまた、郵政省郵政省です、意見の出しっ放しで同じことを五回も繰り返すばかな話がありますか。意見さえ述べておけばあとはいいのか、あるいは形式的にそういう文言を入れねばならぬと考えておるのか。せっかく意見を述べておきながら、実に三年間、率直に言ってほっぽり出されておるのです。国会としてもこれは私は問題があると思いますが、郵政省にも問題があると思う。ましてや、意見を述べておる、国会で議決しておるものについて真剣に取り組まなかったNHK一体何を考えておるのか。これは郵政大臣会長から明確にお考えを承っておきたいと思います。
  55. 山内一郎

    山内国務大臣 NHK予算について意見をつけた、その中の一つ長期的展望である、こういうことでございます。  そこで、いろいろ時代の変遷に従って変わってくるものですが、テレビジョンが非常に普及をいたしまして、五十二年ごろから、だんだんと普及してきた、こういうことである限界に来るであろうということはもうおのずからわかっておることでございます。したがって、そういう時代のことをよく考えながら先を見通しておかなければ、これはどこかで行き詰まって大変なことになりますよ、こういうことを五十二年からずうっと申し上げているわけでございます。その予想したことがいまやってきた。急にこれをやっていただいてもなかなかいい知恵も出ませんので、毎年毎年出してやっているわけでございますが、NHKの方でも昨年の七月になって長期ビジョンの審議会をおつくりになった。今度は本当に真剣に取り組んでいただいておる、こういうことで評価をいたしておるわけでございます。
  56. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私ども大臣意見書あるいは国会附帯決議をないがしろにしているというような気はさらさらございませんで、五十二年度に阿部先生御指摘長期展望の問題についても御意見を承りまして、五十二年の六月にNHK経営問題委員会をつくりました。それから引き続いて五十四年に基本問題調査会の第二次をつくりました。それから、ただいま大臣が申し上げたように、五十五年の七月に長期ビジョン審議会を発足いたしました。まあ、釈迦に説法でございますけれども、なかなか協会の環境が厳しくなるいろいろの度合いないしは条件が非常に急速でございますので、それらについてやはり対応を誤らないようにしなければならぬということで慎重に検討しているということでございますので、ひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣はしょっちゅうおかわりになるのですから、大臣が出した意見じゃありませんけれども、しかし郵政当局が長期ビジョンをつくるべきだということを意見として出されたのが五十二年の予算のときであることは間違いないのです。自来、五回にわたって同じ意見が述べられておる。早く言えばそれまでほうってあったわけです。非常に激動するからこそ早く手をつけて長期のビジョンをつくらなければならないのが、私は筋だと思うのです。激動するから慎重になんて言っておったら、今日のように激動しておったらまだつくらない方がいいという理論になるのです。激動するからこそ早く長期のビジョンをつくらなければならないのに、大臣、なぜ三年もほったらかしにされておって何も言わなかったのか。その程度意見であったのか。それを私はお伺いしておるのであって、経過は私は皆知っておるのです。三年間もほっぽり出されて五十四年になってやっとできたという、三年間ほうってあったというのは一体どういうことなのか。郵政省意見だけ述べて全く無関心であったのか。そしてNHK当局は、国会が何を決めようとそんなことは関係ない、大臣意見などというようなものは馬耳東風、聞き流しておけばよろしい、いよいよ苦しゅうなったからあわてて去年つくった、そういうことなのですか。それとも何かほかに理由があって三年間もほうっておいたのですか。三年間ほうっておいた理由を聞いておるのです。どうですか。
  58. 山本博

    ○山本参考人 ほうっておいたと言われますと非常に心苦しいのでございます。御指摘のように、五十二年度にそういう意見書が出ましたので、私たちがいま会長が申しましたように経営問題委員会をつくりまして、今後のNHKあり方をここで御審議願いました。  ただ、長期的展望という中身の問題でございますけれども、この時点におきましても私たちは、三年なら三カ年間についての一つの事業計画、収支の見通し、こういうものを立てまして、それなりに単年度ごとの予算なり単年度ごとの事業計画を立てておったわけではございませんで、やはり部外の方の御意見も十分伺って三カ年計画というものを立てて国会に御審議を願い、郵政省にもそういう御説明をしてまいったわけでございますが、何せこの時点におきまして私たちが考えました委員会の中で御審議願ったのは、時間的な問題もございましたから、現行法制の枠の中でNHKのありようというものを三カ年間、今後どうあるべきかというような形で御審議を願っておったというわけでございますが、いままでもお話がございましたように、五十五年度からまた三カ年間計画で、受信料改定をお願いした時点におきましていままでNHK審議をお願いしてまいりましたような現行法制の枠の中で御審議を願うということだけでは、問題というものの十分な解決ができないのではないかということで、五十四年度から現行法制の枠にとらわれないでこれからのNHKのありようというものを広く御審議を願うという形で、長期的展望なりビジョンというもののつかまえ方でございますが、経緯としては決して無視をしてきたとか疎んじてきたということではなくて、そういう形での努力はしてまいりましたのですが、五十四年度以降におきましては、従来と違ったビジョンというものに立ち向かって内容を詰めてまいりたいということが経緯でございます。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 経緯は非常によくわかりましたが、郵政省の方も大臣意見である間は構いませんが、国会でそれが承認をされたら、これは大臣意見でなくて国会の意思ですから、その国会の意思がどうなっておるかというぐらいのことは気をつけて見ておってもらわなければ、五年間も同じことを繰り返しておったんじゃこれは何のための意見かわかりませんから。  それからもう少し意地の悪い言い方をしますと、国会大臣意見を付し、国会は議決をしたが、それは別に考えなくてもよろしい。たまたま基本問題調査会が五十四年の十一月に第二次の報告書を出しております。それで長期経営ビジョンを検討せよという事項が指摘されておるのです。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  基本問題調査会から言われたから、これはやらなければならないとなったんじゃないか。それまではほうってあった。こういう意地の悪い見方もできますが、そこまでは言いません。しかし、これからもう少し、基本問題調査会も大切ですが、国会の意思についても尊重してもらいたいということを申し上げておきます。  二点目に、きのうのどなたかの質問の中で、闘争のときに入ると、NHKの管理職がはち巻きを締めるとか赤い腕章を巻いて走り回るという、そういうお話を私耳にしまして、きわめて奇異な感じがしたのでございます。私の承知する限りは、たしか労働組合法第二条一項の一号だったと思いますけれども、管理監督の地位にある人たちは労働組合に加盟することが一応排除されておるのです。そういう者が入ってきたら労働組合としても認定ができないというのが原則です。きのう伺いますと、何かひなだん会とかいうきわめてりっぱな会があって、労働組合の役員をなさっておる皆さんがいま経営の最高のスタッフにおなりになっておられる。そういう皆さんがおいでになりながら、管理監督の地位にあるいわゆる管理職が一千名もなだれを打って労働組合に入っておるというのは、一体どういうことなんですか。全く理解ができません。どなたかちょっとそのいきさつを話してください。
  60. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおり、労働組合法では管理監督の立場にある者、これは労働組合から排除される、こういうことになっております。この労働組合員として認定される範囲というものは、一つ役員とかあるいは雇い入れ、解雇あるいは昇進、異動、こういったものについての監督の地位にある者……(阿部(未)委員「それは私は知っている。そんなことは言わぬでいい」と呼ぶ)ただし、私が申し上げたかったのは、補助的あるいは助言的な地位にある者、これはその範囲の中から除かれております。われわれとしては、非常に初歩的にそういう業務についている者、これは組合員の中に入ってもいい、こういうふうに考えて、そしていまの制度が成り立っているわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私はこう理解しておったんですよ。たとえば専門的な職種においでになって給与上ある程度優遇をしなければならないが、多種多様にわたっておる。そこでたまたま給与の上では管理職の俸給表というようなものを適用するけれども、その人の本来の仕事は管理監督の地位にあるんではない。だから組合員であるんだ。そういう形ではないのかと理解しておったんですが、いまの武富さんのお話では、そうではなくて、やや補助的な仕事である、管理監督の補助的な仕事であるから組合に入れてあるんだ、こうお答えになったようですが、私の理解は違いますか。
  62. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 お答えいたします。  NHKの管理職と申しますか、管理監督の業務をやっている者は非組合員でございます。きのうの質問にもございましたし、先ほど阿部先生からの御質問にもございましたが、専門職の中で、要するに管理職の待遇をしている専門職がございます。それは組合員でございます。われわれは、労働組合法の規定にのっとって、組合員と非組合員というものははっきり分けております。ただし、組合員の中で専門能力の高い者、それは管理職と同等の待遇をする、処遇面だけそういう処遇をする、身分は組合員であるということでございます。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま中塚副会長がお答えになったように、処遇上ほかに方法がないから、処遇上は管理職の給与等を支給するという処遇をしておるけれども、その仕事そのものは管理監督の地位にあるものではない、そう私は理解しておったのですけれども、先ほどの武富さんのお話では、管理監督の補助的な仕事をしておる。補助的なら違法じゃないでしょう。違法じゃないでしょうけれども、そういう人間が一千名も労働組合の中に入ってかき回されたのでは、労働組合はたまりませんよ。本来管理監督の地位にはない、そういう職責ではない、しかしたまたま処遇上ほかに方法がないからやっておるのだ、そう理解してそれは間違いないですね、それで。
  64. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 そのとおりでございます。
  65. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。これは世の中広く一般に誤解のないようにしておかないと、NHKでは管理職が一千名も労働組合に入っておるなどと、日放労の組織にとってもこれはまことに恥ずかしいことで、そういうばかなことはあり得ぬと私は思っておったものですから。  次に、お願いいたしますが、最近、NHKの番組の編成のあり方や報道の公正の問題等についていろいろな雑音を耳にいたしますが、たしかあれは二月十三日じゃなかったかと思いますけれども、(発言する者あり)ちょっと不規則発言が多過ぎるから、委員長、注意してください。たしか二月十二日に会長は新聞記者会見をおやりになりまして、日米閣僚のテレビ討論をやるのだというようなことを発表されたと聞いておりますが、そういうことはございましたか。
  66. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。記者会見でそのようなお話が出ました。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは会長、確認しておくが、あなたが記者会見でおっしゃったのです。これは重大なんですよ。単なるスタッフの間にいろいろあったのなら別ですよ。いやしくも放送協会を代表する会長が記者会見で、あしたの何時から日米の閣僚のテレビ討論をやりますということを新聞記者に発表された。ところがその翌日、二月十三日の放送の時間になる直前に取りやめになった。これはどうして取りやめになったのですか。
  68. 田中武志

    田中参考人 この企画は、もともとNHKの方から提案いたしまして、日米双方の政府の当局者が衛星中継を使ってテレビ討論をしようという画期的な企画でございました。それで、これもNHKのアメリカ駐在特派員がホワイトハウスとの間の交渉に当たってそういうふうな企画で出てきたものでございます。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 中止になったのはなぜかと聞いておるのです。
  70. 田中武志

    田中参考人 ところが二月十三日、これは放送の当日でございますけれども、その朝早くアメリカ側の方から、当日出席予定でございましたアメリカ側のミース大統領特別顧問あるいはノフジガー大統領補佐官という中心になるようなお方が、ホワイトハウスでの経済問題についての緊急会議ができましてどうしても出席できない、代理の方なら出席できるという話がありましたので、せっかくやる以上はこういった中心的な方に出ていただかないと中継放送の中身が伴いませんので、それで私どもとしては中止、延期するということに踏み切ったわけでございます。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いやしくも会長が記者会見をされて、あらかじめ国民の皆さんにお伝えしてあった内容が突然取りやめになった。これは視聴者の側から見ると、なぜおやめになったんだろうかときわめて奇異に感じます。いまのお話では、両国政府の首脳が対談をなさるということでしたけれども、そのルートといいますか話し合いは、アメリカのワシントンですか、あの出張所のNHKの出先の人が直接当たっておった。うわさに聞くと、その辺に問題があったように聞いておるのです。いわゆる外交のルートを通じずに直接NHKがおやりになったそこのところに非常に問題があって行き違いが起こったのではないですか。というのは、十三日の日アメリカ側から断られて、あわててNHKの幹部が外務省に飛び込んで、何とかしてくださいと言って泣きついてきたといううわさがあるのですが、それはどうですか。
  72. 田中武志

    田中参考人 当日早朝に私どもの方へ直接アメリカの方からこういった事情で出席できないということがございましたので、それで、当日出席していただく日本側の出席者の中に外務省の方もおられましたので、その辺の打ち合わせをしたということでございます。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私が聞いたのは、NHKのさるお方が伊東外務大臣のところにおいでになって、何とかしてくださいということで泣きついて、初めて外務省が腰を上げて、伊東外務大臣が大河原大使に連絡をつけた、それでしぶしぶ外務省が腰を上げて、あれは何というのですか、向こうのあれに当たったところが、もう時すでに遅く会議に出発した後であった、それでどうにもならなかった、こう聞いておるのですが、それはうそですか。
  74. 田中武志

    田中参考人 私の聞いている範囲では、先ほど申し上げたとおり、当日直接ホワイトハウスの方から、こういう事情で出席ができないからひとつこの後また改めてというお話がありましたので、外務省とその辺いろいろ打ち合わせをしたというふうに聞いております。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなたが聞いておるとおっしゃったが、あなた方は当事者だから、聞いておるのではなくて、本当のことを申してもらわなければ困るのですよ。聞いた話では困るのです。外務省にだれが行って折衝したか知りませんが、少なくとも日本の公共放送NHKが外国、アメリカと約束しておきながら、その約束が当日になってほごにされる、これほどばかにされた話はないんじゃないですか。そうしてその事の起こりは正規の外交ルートを通じずに勝手なことをやったからそういう結果になって、泣き寝入りをしなければならない。およそ国際間で、いやしくも政府の首脳が出て対談をやろうという番組がその日になっていきなりキャンセルされるなんというばかなことはないと私は思うのです。これだけばかにされて、NHKは抗議か何かしたのですか、どうなさったのですか。
  76. 田中武志

    田中参考人 その点につきましてはアメリカ側と十分話しまして、この後条件が整い次第またなるべく早い段階で行う予定で最初考えておりましたけれども、いろいろ日程その他が詰まってまいりまして、外交日程その他が入ってまいりまして、いまのところはその情勢の展開を待っている状況でございます。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 日本側から出席をする閣僚級というのはどういう方々だったのですか。
  78. 田中武志

    田中参考人 日本側からは、宮澤官房長官、それから二階堂総務会長、それから大来対外経済担当政府代表、それから菊地外務省外務審議官、この四人の方でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは私はマスコミの皆さんからの解説を承ったのですから本当かどうかわからないのですが、これが蹉朕を来した原因は、そもそもNHK会長が宮澤官房長官と話をして、こういう企画でやろうではないかということで話を進めたが、政府部内においてただでさえ余り仲がよくないと言われておる伊東さんの方が、外務大臣がつんぼさじきに置かれたのでつむじを曲げてしまった。そこで外務省が腰を上げてくれなくて、まあ妨害したと言えばこれは少し言い過ぎですが、本気になってアメリカ政府との折衝をしてくれなかった、これがこういう結果を招いた原因だ。そういう企画を私は悪いと言うんじゃないのですよ。企画そのものはりっぱですけれども、言うならば、やり方が、特定の権力者とNHKがくっついて企画をしたから、正式なルートにのせてやらなかったから、こういう過ちを犯す結果になった、そう私は思うのですが、これはマスコミの方々の解説ですからどこまで信用していいかわかりませんけれども、そういうきらいはなかったのですか。
  80. 坂本朝一

    ○坂本参考人 それはもう全くのぬれぎぬでございます。私、この件に関して、宮澤官房長官に事前にも事後にもお目にかかっておりません。ただ阿部先生御指摘のように、少なくともNHK会長が記者会見で明日やりますということを発表しておきながら、それができなかったということについての私の責任は非常に大きいというふうに認識しております。ただし、事柄が番組のことでございますので、土壇場にいってできなくなるというようなことは、事政治的な問題だけでなしにございますので、その点の御猶予はお願いしたいと思うのですが、私はこの企画をギブアップしておりません。せっかくこういう衛星でもって世界が結ばれる現時点において、生で責任者が話し合うというような企画は何とかやはり実現したいということで、昨年もアメリカへ参りましたときに、アメリカの総局長に衛星を有効に使えという指示をした、それが企画の発端になっていたのではないだろうか、これは私の推測でございます。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長がそういうふうにお答えいただければ、私も非常に心丈夫でございますけれども、しかし何といっても国民の側から見ますと、突然中止になったということについては、どうしてそういうことになったんだろうかという疑惑が非常に残っておりますから、単にアメリカの都合でやめましたというのではなくて、こういういきさつであったということを、やはり機会を通じて明らかにしておいてもらいたいと思います。  もう一つ同じようなことがあったのですが、ロッキード事件の五周年ということで、NC9ですか、あの報道特集でもって何か番組をつくられておったところが、これまた放映の寸前になって中止になった。これもマスコミを大変にぎわしておるようでございますが、これはどういういきさつでございますか。
  82. 田中武志

    田中参考人 二月四日の夜に、ロッキード事件が五周年というようなことでございましたので、どういうようなニュースを出そうかということで事前にいろいろ企画を立てました。それで、その材料を集め編集をしていく過程の中で、いろいろ議論もありましたけれども、当日のニュースといたしましては、ちょうど榎本さんの最終公判にも当たりましたし、それからその後、被告人尋問というような大きな話題もございましたので、裁判そのものにひとつ焦点をしぼってやっていこうということで、内容的には当日の裁判の内容とか今後の展望、そういったロッキード事件の公判そのものに焦点を当てて放送企画を出した。それを最終的な編集判断として出したというのがそのいきさつでございます。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうせそういう判断をなさるなら、もう少し早目に判断をなさっておいてもらわぬと、放映寸前になって判断をされたのじゃどうもぐあいが悪いのですよ。なぜ、放映寸前になってそういう判断を出さねばならなかったか。率直に言って疑問が残ります。しかしまあ、NHKの方で自主的にお決めになったわけで、アメリカに決められたわけじゃないですから、このことはもう触れませんが、ただ判断をされるなら、もう少し早目にやっておいてもらいたい。これは申し上げておきます。  次に、予算関係についてお伺いしますし  NHK予算というのは私は非常にわかりにくいのです。たとえばNHK昭和五十六年度受信料収入というものはどういう基礎で――細かいことじゃないのですが、たとえば昭和五十五年度の未収金は昭和五十六年度の収入に計上されておるのかおらないのか、この点ひとつ。
  84. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  五十六年度に計上しました受信料につきましては、五十六年度に新しく発生いたします債権額でございますので、前年度、五十五年度受信料の未収分については予算に計上してございません。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。それで私は疑問が起こるのですよ。いただいております収支予算・事業計画・資金計画の三十三ページに、資金計画の「入金の部」で受信料収入予算の二千七百六十二億云々があって、その中から年度内に収納に至らない受信料を控除する、こうなっておる、それが資金計画だということになっておりますね。なるほど昭和五十六年度については昭和五十六年度中の未収が残るでしょう。しかし昭和五十五年度の未収は繰り越して入ってくるはずですから、資金計画から控除するというのはわからないのです。
  86. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  いま、五十六年度新たに発生いたします債権額をのせていると申し上げましたが、その五十六年度中に全部その債権額を現金化できるかということでございますと、現実問題として全部はできないわけでございまして、そのうちの九六%相当額がいままでの経験値としても入金として入ってまいります。したがいまして、その辺の事情を資金計画で明らかにしたわけでございまして、先生いま御指摘の、そのうち本年度収納に至らないものを除くというのは、四%を除くというわけでございます。それで資金計画に九六%のものを受信料の入金のところに表示してございます。  もう一つお尋ねの、前年度受信料の未収分はどこへいったのかということでございますが、これは先生もし予算書をごらんでございましたら、三十五ページに資金を四半期別に分けて計上してございますけれども、その「入金」の最後に「その他の入金」というところがございますが、そこへ前年度受信料の二年目に集めるべき入金額が百二十九億三千八百万と表示してございます。現実の資金の中身に着目いたしますと、五十六年度、いま御審議いただいております受信料につきましては、その九六%を年度内に現金として収入する見込みだ、前年度の取り残しについては五十六年度にまたそれ相応の金額を取っていくということを、この資金計画で明らかにしておるわけでございます。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体そういうことにならなければ勘定が合わないわけですが、それでは五十五年度受信料は必ず五十六年度中に未収は入ってくるのですか。二年間、三年間にわたって未収は残るのではないですか。
  88. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  受信料の債権額につきましては、二年間これを会計上計上いたしましてこの収納に努めるわけでございまして、いま申し上げましたように五十五年度のものを五十六年度に会計上収納いたしまして、会計上それで取れなかったものは、会計上の債権としては落としてしまうわけでございますけれども、営業としましては、これを長期にわたって収納に努力することは変わりないわけでございます。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから予算の立て方が、どうもそこが私はわからないのですよね。いずれにしても、これは一応債権として認めたものを予算に立てていくわけでしょう。確かにおっしゃるように五十六年度受信料が五十六年に全部入ってこないことはわかります。わかりますけれども、それは当然前の五十五年の未収がそこに入ってきて、資金全体としてはそう大きい動きがないのではないか。それをややこしく五十五年の未収は別に――これも確定してないのでしょう。未収分を、確定はしていないけれども一応予算に計上してある。そして五十六年の債権はその中から未収になるであろうと思う分を引き去ってまたこれを予算に計上してある。しかし、実際の資金計画としてここに計上してあるものが間違いなく現金として入ってくるかというと、これはいずれもきわめて不確定なんです。きわめて不確定ならば、そういうややこしい予算のつくり方をしなくても、ことし債権の確定したものがことしの収入に大方なる。それで実質的には未収の分が毎年繰り越していく、翌年の収入になってくる、そういう運用でいいんじゃないですか。どっちにしても不確定なものなんですよ。きわめて不確定なものをよりわかりにくいように予算上計上されておる、そういう気がしてならないのですが、どうなんですか。
  90. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  いま先生おっしゃいました受信料の収納につきましては、一年、二年、三年、四年と追いかけていくわけでございますから、その経過から言えば同じじゃないかというお話でございます。しかし、実際問題として初年度と二年度は相当の収納額があるわけでございまして、三年以降になりますとその収納額は非常に小さくなってくるというのが現実でございます。それに着目して協会のいわゆる債権をどの年限で切って計上するのがよろしいかという論議が長らくございまして、いま定着しておりますのは、初年度の未収金は二年度までは債権として載っけておく、三年以降のものは雑収入としてこの予算の中に計上してあるということでございますので、入金額そのものについては、予算の構えとしては万全だと思いますけれども、二年で切って債権を切るところに、資金計画に前年度の入金額を入れてあるというところが多少会計上の問題と現実の感覚と、あるいはおわかりにくいかもしれませんけれども、いずれにしましても、いずれ入ってきますものは雑収入であり、未収金の回収という形で漏れなく計上されているわけでございます。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 取れる取れぬは別ですが、ただ私が考えるのは、きわめて不確定な要素を持っておる、わざわざそんなに仕分けをしなくても、現実問題としては、五十五年の未収が五十六年に入ってくる、五十六年の未収は五十七年に入っていくのですから、資金そのもの、現金そのものの動きにはそう大きい違いはないんじゃないか。それをわざわざいずれも不確定な要素を組み合わせて、あたかもこれなら間違いない資金計画ですというように書いてあるけれども、これも絶対的な資金計画に率直に言えばならないはずなんです。やはり不確定な要素を含んでおる。これは非常にわかりにくいのですが、それがNHKの会計のあり方ならば特段申し上げません。内容はわかりましたよ。  次にお尋ねいたしますが、先ほど久保委員の方からもお話がありましたけれども国際放送費ですけれども国際放送費は、この予算書によりますと、十七億何千万ということになっております。ところがもう一つ国際放送そのものに要する費用、いわゆる人件費その他を含めたものは三十数億円になっておるのです。国際放送予算は十七億しかないが、実際には三十七億という金が国際放送に使われる、そう考えられるのですが、これはどういうわけですか。
  92. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  いま先生おっしゃいますように、NHK予算の表示といたしましては、人件費、国内放送国際放送項目を分けて計上いたしておりますので、国際放送の番組直接経費はおっしゃるように十七億でございます。ただ、私ども申しております三十七億と申しますのは、国際放送を行うのに人、物、金、全部合わせて幾らという把握を五十一年からしているわけでございますが、そういう意味で、主として人件費、要素を加えてまいりますと三十七億になるということでございます。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これもまた非常にわかりにくいのですね。人件費の方はいわゆる給与で計上して、それから国際放送には国際放送費で実際に放送のための費用だけしか計上していない。しかしよく調べてみると、国際放送に実際に要するお金は実に三十七億六千万くらいの金が要るんだ。ここに先ほどから議論になっておる現行法制上での国際放送の、国が命令をし、国が費用を負担しなければならないものは幾らかという問題と絡んで、あなたのところのこの予算の計上の仕方が非常に問題があると思うのです。一見国際放送は十七億しかかからない、こう見えるのですよ。しかし、実際には国際放送をするために三十七億もかかっているのが現実でしょう。その三十七億に対して一体命令分はどの程度かということを議論しなければ議論の核心に触れないと思うのです。  そこで具体的に、国際放送のために要する予算、いわゆる人件費も含めて三十七億、そのうち郵政省から放送法の三十三条でございますかによって国際放送を命令されておる部分について幾ら金がかかっているか知らせてください。
  94. 渡辺伸一

    渡辺参考人 いま国際放送総体につきまして三十七億と申し上げましたが、命令分とそれから自主放送によって行うものと二元的になっていることは先生御存じのとおりでございまして、この経費についてどのような区分になっているかという問題でございますが、いわゆる命令放送について具体的に言いますと、命令放送に必要な金を受信料がどれだけ食っているかという問題と同じでございますけれども国際放送の命令書にありますように、命令の金額範囲で行うということでございますので、命令に要する経費というのは、やはりその経費の中でやっているという認識をしているわけでございます。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは議論が逆さまじゃないんですか。まず三十三条では「郵政大臣は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」と、こう明らかに記されております。ですから、まず郵政省側はこの三十三条によってNHKに命令しておるわけでしょう。そうじゃないんですか。
  96. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生ただいま申されましたとおり、放送法の三十五条の規定によりまして、国は、NHKが命令放送実施するために必要な経費負担することになっておるわけでございます。そして郵政大臣が、その実施命令におきまして命令放送を、その放送効果を高めていただこうというようなことで、NHKがみずから行います自主放送一体として実施するように命じておるわけでございまして、したがいまして、外見上は命令放送部分がどの部分だということは明らかとなっていないわけでございますけれども、私ども交付金の算定に当たりましては、一応命令放送に必要な要員あるいは施設等にかかる費用を個々に積み上げまして、それらに基づきましてその額を決めておるということになっております。  もう少し詳しく申し上げますけれどもNHKは、国際放送関係経費として、NHKに伺いますと国際放送費というかっこうで、先ほど申しましたように十七億二千八百万という計算をされております。それの細目は、番組制作費あるいは編成企画費、技術運用費あるいは通信施設費、大きく分けましてこの四つに分かれておるようでございます。そのほかに、国際放送実施するために給与が要るという形で十五億ちょっとの数をお聞きしております。それから管理費等というかっこうで五億でございますか、そういうかっこうで五十六年度は三十七億五千七百万円要する、そういうふうにお伺いいたしております。  私ども、政府命令を発するに当たりましての積み上げ方でございますけれども国際放送費といいますか、先ほど申しました十七億二千八百万円に関するものにつきましては、政府分としては六億二千四百万円を現在としては見込んでおるというかっこうになっております。給与相当分に対しましては三億三千九百万円、それから管理費等に対するものにつきましても三千五百万、そういうような見方でございますけれども、もうちょっと詳しくなりますけれども、通信施設費の中に受信改善費と申しますか、シネスから中継している部分がございますが、これは一億三百万というようなことですけれども、この分につきましてもいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、全額国庫負担、この分はそのまま見ているというような形になっておるわけです。  いずれにいたしましてもラジオ・ジャパンと申しますか、伝統的なものがございますので、やはりラジオ・ジャパン、日本放送協会というかっこうで自主放送と命令分を一体として放送していただくのが効果があろうというような考え方でございます。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実際問題としてはこの国際放送一体的に放送せざるを得ない、それは私も理解ができるのですが、その中でいま局長お話しになったような予算の組み立て方が妥当であるかどうか。これが妥当であるという根拠がございますか。たとえば全体のあれに対して国が負担しておる分はいま二六%ぐらいですか。二六%は国が命令しておる分であるという根拠がございますか。
  98. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  二六・六%という形になっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては毎年度予算の問題で努力しておるわけでございますが、予算で支出した範囲内において政府命令分の放送実施していただきたいというような、ちょっと逆さの関係でお願いしておるわけでございます。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これだけ放送してくれ、そういうような理屈になっておるようでございます。しかし、この負担の割合は大分変わってきております。高くなってきましたね。国際放送で政府負担分の方がだんだん高くなってきました。高くなったからいいというのではなくて、私はやはり何が妥当かという線を合意すべきであるという気がするわけなんですよ。国際放送の中で何割を命令分として見るかというそれを決めるべきだ。  きょう大蔵省来ていただいておりますが、きのう私大蔵省の方にこの問題で質問すると申し上げたら、非公式な御連絡がございまして、大蔵省といたしましては郵政省がおっしゃるだけ国際放送については全額予算を認めておりますから出席せぬでもいいんじゃないでしょうかというお話がございました。私は全額認めたとか認めぬとかというんじゃなくて、国際放送分を一体何%というふうに取り決めるのが双方が納得できる筋だろうか。放送一体的でやむを得ません。負担割合をどうするか、そのことを検討すべきであるということを、今回が初めてではありません、数次にわたって申し上げております。郵政当局とNHKはどういう検討をしたか、明確にしておいてもらいたいと思います。
  100. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先ほど久保先生の御質問の最後にも私、国際放送の問題について適正なという修飾語を使ったわけでございますけれども、その適正なという適正が一体那辺にあるかということはなかなか御議論のあるところかと思いますのでああいう言い方でお答えしたわけでございますが、少なくともNHKの自主放送としての国際放送は報道、教育、教養、娯楽も含まれているわけでございますが、命令分に関しましては時事に関するもの、国策に関するもの、報道ということで、娯楽ということについての御指定はございません。だから、そういうような分量的と申しますか、そういうことも当然一つの物差しにはなるんじゃないだろうかということで検討するように指示して検討していることは事実でございますけれども、正直言って適正というところのパーセンテージが那辺にあるかというのをなかなか探りかねているというのが偽らざる現状でございます。
  101. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生は、NHKが行っております国際放送の中の何%かを国が出すということで、フィロソフィーと申しますか、一定の考え方を明確にしろという御要求かと思いますけれども郵政省と申しますか、政府といたしましては、NHKの自主放送分がなくても政府として最低限は確保いたしたい。その分を確保した上で、なお今日のようにますます必要になる分について、その上増し分として年々微力ながらも努力してまいっておるというような考え方でございます。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 最低のものは確保というその最低のものというのは何%ですか。最低がわかればあとはわかるんです。
  103. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 それも何%が妥当かということは、先ほどむずかしいというふうに申し上げたわけでございますが、それと同じことで申し上げにくいわけでございますけれども、四十四年度以降の率で申し上げますと、四十四年、四十五年度は一二%というような数字になっております。それから五十年以降かなりふえておりまして、五十年度が一六・九%、五十一年度一九%というようなことで、年々そのパーセンテージを上げまして、より重要性を増す国際放送について努力してまいっておるというようなことでございます。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省見えていただいておりますが、これは亡くなられた大平さんが大蔵大臣のときにも約束をしていただいて、これは法律ではっきり決まっておることですから必要なお金は出します、そう約束をいただいておりますし、またきのうのお話でも、非公式ですが、郵政省から要求があっただけは全額認めておるんだから出なくていいんじゃないかというお話があったんですが、いまの議論をお聞きになって、大体大蔵省としては国際放送を政府が命令した分は政府が負担する。ただ、国会がこれは多過ぎるとか言って削ったらこれは別ですよ。国会が議決をした範囲内で賄わなければならぬけれども、そうでない限りは政府としては国が命令した国際放送に必要な予算は、これは原則として認めているんでしょう。
  105. 伊藤宗一郎

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  国際放送の重要性という点につきましては、私どもも十分認識しておるつもりでございます。ただ、郵政省が認めた全額をどうのこうのというのは、直接私お答えしておりませんのでやや確認しておりませんが、たまたま今年度の場合には郵政省の御要求とおおむね同じぐらいの額で査定がなされておろうかと思います。ただ、今後すべてをもってそういうふうにしろということになりますと、交付金といえどもやはり歳出の一部でございます。国の財政事情等々も勘案しながら適正な額を計上してまいりたいということでございます。  それから、第二点の命令放送についてはという点でございますが、先ほど条文の御紹介がございましたが、三十五条の第二項で「国が負担する金額国会の議決を経た予算金額をこえない範囲内でしなければならない。」ということで、議論が逆転しておるのか本則なのかわかりませんけれども、適正というその言葉がむずかしいんですけれども予算に計上された額の範囲内で命令が行われるといったてまえに法制的にはなっております。それから、予算に計上するについては、行政部内での予算編成あるいは国会での御審議等々ございますけれども、いろんな議論を経て決められました国会で議決をされた予算ということで、それが結果的には適正な額ということに認定されていくんではなかろうかというふうに考えております。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 三十五条の二項にどこか予算の編成という言葉がありますか。国会の議決を経るという言葉はありますが、予算の編成の範囲という言葉はありませんね。
  107. 伊藤宗一郎

    伊藤説明員 私が申し上げましたのは、先生御承知の上で御質問いただいていると思いますけれども予算は当然のことながら編成手続を経て政府として提案するものでございます。したがって、でき上がったものが議決されて初めて効力を持ってくるということは申すまでもないことでございます。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、議論が逆転しておるかどうかの問題ですが、三十五条の規定に明らかなように「前二条の規定により協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」とこれは明確になっておるんですから、予算編成の手続上は「負担とする。」というこの大原則を踏まえて予算の編成にかかるべきなんです。その結果、国会がこれは多過ぎるとかあるいはそういう意見が出るならば、こういう意見があってこうなったということはそれはやむを得ぬでしょう。一般の補助金みたいにこれだけでよかろうとかいうようなことにはならない。これは命令した以上は負担をしなければならないという原則があるんですよ。ただしかし、それが国の歳出上困るような金額になっちゃいかぬというのが、私はこの三十五条の二項の規定だというふうに理解しておるのですが、もう答えはいいです。  そこで、大蔵省としては非常に理解があって、今年度郵政省の要求しただけの予算を認めたようでございますが、あと残るのは、NHKは三十七億という国際放送予算受信者のふところから引っ張り出して使っておるわけですから――久保先生おっしゃったとおりです。その中で命令された国際放送分の費用、一体どの程度負担してもらいたいのか。先ほどから会長はわかりません、わかりませんと言うが、自分のところで金を使って放送を出しておって、何ぼもらえばいいかわからぬというようなばかな話がありますか。これだけはぜひもらいたいんだという枠はNHKの中になきゃならぬはずですよ。そんなものもなくて長期ビジョンなんかあるわけないでしょう。そのくらいの原則はちゃんと立てなさい。そして、NHK郵政省と、ついでに予算を編成する大蔵と話し合って割合を決めておくのが一番無難だと私は思うのです。これはどうですか。口が酸っぱくなるほど言ってきておるのですよ。やる気ありますか。
  109. 坂本朝一

    ○坂本参考人 NHKは、全く何も意見を申し上げないでいただいているというのではございませんで、当然NHKとして来年度なら来年度国際放送はこういう規模で実施したい、それにはこれだけの経費が見込まれるということで、いろいろと御当局と折衝していて、その結果がこうなっているということでございますので、全くいただいた金をもとにして逆算して考えるということではございませんので、それはひとつ御理解いただきたいと思います。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのとおりなんです。そのとおりだからこそ、いただく金が少なければ受信者負担はふえるという理屈になるわけです。しかもこれは、国が命令する以上は当然その負担は国がしなさいよ、ただ国の財政支出上困難がある場合は国会の決議の範囲でやらなければならないことになっておると私は思うのです。ですから、あとは郵政省と折衝されるんでしょう、国際放送の命令分について。NHKとしては、これだけはぜひ命令分としてびしゃっとしてもらいたいという要求があるはずですよ。それを何かただでもらうように考えてぺこぺこする必要はないんです、法律で決まっておるのですから。こんなものこそちゃんとあたりまえにもらわなきゃいけない。だから、大体私は半々がいいのか六、四がいいのかそれはわかりませんが、三者で話し合う以外にないと思うのですがね。どうですか、郵政省の方は。大臣はどうせかわるから、あなたの方が詳しい。(笑声)
  111. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この問題は私も勉強してみましたところ、数年前から、もっと前からかもしれませんけれども、かなり議論になっているところでございまして、今後ともその重要性をよく認識いたしまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKどうですか。郵政省がせっかく考えてもNHKが考えなきゃだめですよ、これは。
  113. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いみじくも先ほど四分六か七、三かというような先生のお話がございましたけれども、私もそういうようなルールが一つ確立されればかなりいいんではないだろうかと思うのですが、ただその場合の分母の百がどういうことになるのかということもあるものですから、軽々に七、三だとか四分六だとかというふうにも申し上げかねるもので、苦慮しているのですけれども、最終的には何かそういうルールが確立できないものかなということで、先ほど命令放送とわれわれの放送の中身が多少違うというようなことの例示も申し上げたのは、そういう含みもあって検討させている、こういうことでございます。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この次は私が言わぬでいいように、ぜひひとつ郵政とNHK、大蔵も一緒に話し合って、そう不当な額を要求をするとはぼくは思いませんから、それは知れているじゃないですか。大蔵省の予算の中から見れば、本当にもうスズメの涙みたいなものですから。ほかのことでずいぶん大蔵省は無理をしておるのですよ。御存じかどうかわかりませんが、本来国がやらなければならない、国の庇護のもとに置かなければならない保護世帯とかいろいろなところに対する受信料免除というのは、これは国の厚生福祉の政策としてやらなければならないものを、NHK受信者がみんなかぶっておるのですよ、免除しておるというのは。そういうところは大蔵省はもう大変助かっておるのですよ、あなた方。だから、せめて国際放送ぐらいはきちっと出してやりなさいよ。これは帰って大臣にそう言っておいてください。あなたが出すと言ったら怒られるかもわからぬから。  時間がなくなりましたが、その次、こういうことはどうなっているのですか。いま前納の件数が相当ふえ、それからまた口座利用がだんだんふえているようでございます。口座利用がふえ、前納の件数がふえてくるということは、逆に言えば、営業活動の中でいわゆる人件費と見られる委託の費用が幾らか減ってくるのじゃないかと思いますけれども、口座や前納がふえながら委託人件費の方もだんだん伸びておる。これはどういうわけですか。
  115. 海林澣一郎

    海林参考人 お答えいたします。  非常にうがった御質問をいただきました。おっしゃるとおり口座がふえる。現在口座は全国平均四二%、東京は五〇%でございます。口座がふえますれば、委託が回って歩く頻度数が少なくなるだろう。ところが、一地区でごっそり全部口座になりますれば、委託の方がそこへ伺わなくなるということでございますけれども、十軒のうち一軒、二軒ということでございますので、どうしてもそれをフォローせざるを得ない。かつ、引っ越しされてしまいますと、次に口座を勧奨いたしますときにまたそこで訪問しなくちゃいかぬ。しかしながら、先生のおっしゃるとおり、三年、五年、十年というような長期ビジョンの中で考えますれば、NHKとしては経費節減、抑制ということで当然口座化を推進する。実は五十六年の営業の四つの基本方針の中にも、口座を積極的にやろうということで、他の公共企業が六〇%、七〇%いっておるわけでございますから、それに接近すべく現在努力し、やがてコストを下げたい。しかし現状二、三年、もっと先でございましょうか、急速に低減することは至難のわざではなかろうかと思っております。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 よくわかりました。おっしゃるように、これはひとつ努力をして、この人件費がずっと減ってくれば経営の上でも非常に楽になってくるのじゃないかという気がします、確かにそうです。私も郵便局の仕事を知っていますから、郵便部数が少ないからといって、あたりまえの道を歩かぬわけにいかぬので、大体そうだろうと思いますが、それでも常識的に、件数が減れば余り人をふやさなくていいということは言えると思います。  最後ですが、いまNHKの方ではローカル放送に非常に熱心に取り組んでいただいております。結構なことだと思うんですけれども、関東を除いては各県に放送局があるわけですが、あの県域放送というのがローカルの中では非常に大きい役割りを果たす。たとえば県知事がどういうことを考え、どういうことを言っておる、いわゆる単県の放送になるわけです。あるいはわれわれが選挙するとき、政策の発表をやって放送する。ところが県域放送が入らないものですから、大分県の人が愛媛県の県知事さんの話を聞いていたり、山口県の立候補者の話を聞いていなければならない。せっかくローカル番組に力を入れてみても、県域の分野で非常に大きく欠落してくる。県域放送の充実についてはどういうふうな取り組みになっておるわけですか。
  117. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただいたとおり、県境のようなところにおきまして、いま先生のお話のような、いわゆるローカル放送に対する難視が出ておるのはそのとおりでございます。現在全国的に十二万世帯とわれわれは見込んでおります。簡単に各フロックで申し上げますと、北海道地区では九百世帯でございます。東北で四千九百、東京で二千六百、中部で一万八千。特徴といたしましては、いま先生が例示されましたように、瀬戸内関係の近畿から中国、四国、九州に多いわけでございます。この辺につきまして申し上げますと、近畿で三万七千、中国で一万九千、四国で一万四千、こういう状況を示しているわけでございます。  これにつきましては、まずわれわれの難視解消の計画といたしまして、全然とは申しませんが、NHKの総合も教育もほとんど見えにくい、そういう全国難視的な計画を最優先しております。それから、引き続きましてこのローカル放送の難視地区の解消に努力しているわけでございますが、現在、このローカル難視の解消だけの目的でつくった局が全国で五十六局でございます。そのうち、香川県と愛媛県に例示されますように、この二県だけで二十四局でございます。現在、これにつきましては、さらに、先生御指摘のとおり、選挙の場合は御承知のように出入り中継などでこれをできるだけ補完する努力はしておるわけでございますが、現在、たとえば兵庫の川西市萩原台、これ以下約十九地区をこのローカル難視のための局候補としまして現在調査しております。それで、すでに五十五年度中にも五局を完成いたしまして、それから五十五年度中にさらに二局の着工をしております。五十六年につきましては、この調査を進めまして、先生の方が御高承のとおりに非常に散在しておるものでございますから、それが局として非常にまとまりにくいのをどういう形でまとめていくか、このまとまったものから置局の計画という形で取り進めてまいりたい、さように考えております。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、いま数字は直ちに納得しがたいのです。大分県などというところは、愛媛県、山口県の放送の入るところが多いのではないかと思っているくらいですが、大分県が入っていないのは非常に残念です。四国ばかり余りかわいがらないで、大分県の方も少しかわいがってもらわないと……。どうですか、堀之内先生、九州も少しかわいがってもらわないと……。  よくわかりました。せっかくローカル放送強化をやっておられるわけですから、この次は、県域放送について、いまお話がありましたように、ひとつ積極的に進めていただきますようにお願いをいたします。  先ほど来、いろいろ申し上げましたが、要は、NHK公共放送としての使命を全うされますように、そのことをひたすら念願をして申し上げたことでございますから、行き過ぎのありました点はお許しをいただきたいと思います。  終わります。
  119. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部未喜男君の質疑は終わりました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十四分開議
  120. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。鳥居一雄君。
  121. 鳥居一雄

    鳥居委員 御苦労さまです。同僚委員からさまざまな角度の質疑がございました。視点を変えまして、私はきょうの質問で多重放送などを含めたニューメディアにつきまして、その展開、これをお尋ねをしてまいりたいと思います。  個々のメディアに入る前に、郵政省NHKに対しまして、八〇年代を展望して放送技術の新しい開発、これにどのように取り組んでいかれるのか、まず伺いたいと思います。
  122. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ニューメディアの開発に備えて郵政省としてどのような取り組み方かという御質問かと思いますけれども、ただいま御指摘のように社会、経済等の分野におきましていろいろ高度化、複雑化が進んでまいって、非常に情報量が増大してまいっておりますし、そうした情報の高度化、多様化に対します社会的ニーズも一段と高まっておるというふうに認識しております。  ニーズはそうですが、一方送りの側、メディアの側といたしまして、近年におきます放送技術あるいは電気通信技術の革新というものも大変著しいものがございまして、放送衛星、多重放送等いろいろと実用化が迫ってまいっておるという実情でございます。  そのような認識の上に立ちまして、郵政省といたしましても、こうした技術革新の成果というものは早急に国民に還元さるべきものである、還元してまいりたいという考え方のもとに、具体的に申しますと、御存じと思いますけれども、現在郵政省放送の多様化に関する調査研究会議というものを学識経験者の方々から構成していただきましてやっていただいておるわけですけれども、そうしたところにおきます審議状況検討状況というものを踏まえながら、こうした時代の大勢におくれないように積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  123. 高橋良

    ○高橋参考人 NHKといたしましては、ニューメディアの実用化というものにつきましては、将来国民生活にも非常に大きい影響を持っておる、またこのニューメディアにおきまして、現行の放送メディアが欠落しておる部分というものを補完するという考え方もございますし、また、現在の放送メディアが持っていない機能というものをつくりまして国民の福祉に還元してまいりたい。さような考え方から、NHKといたしましても、新しい放送サービスのメディアの研究開発というものを行ってまいりましたし、またこれからも継続してまいりたい、さように考えておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、大体無線系を用いまして技術論として新しい放送メディアというものを考えられるのは、紙の上では約二十五種類ぐらいということをわれわれ考えております。しかしいま先生御指摘のように、八〇年代から九〇年代にわたりまして、この直近のところにおきましてわれわれが国民のニーズ、シーズというものにこたえられるであろう、またこたえるべきではなかろうかという判断に基づきまして、八つほどのニューメディアに重点を置いて研究開発を行っております。  一つは、緊急警報放送でございます。これにつきましては、非常災害のようなときに、たとえば聴視者の皆さんが夜お休みのときでもこの警報にタッチをしていただきまして、臨時ニュースその他災害情報というものを周知させるというようなシステムでございます。それから、このように交通が非常に盛んになってまいりますと、走行中の車による災害というものも非常に増加しつつございますので、このような運転者に対しまして交通情報を与えるという考え方、これにつきましてすでに外国では実施しておるところもございますので、こういうふうな道路交通情報というものを伝達する手段も研究しております。  それから、簡単な文字や簡単な図形で構成されるような情報を、現在のテレビのディスプレー装置、ブラウン管上を利用いたしましてさらに補完するような情報手段としまして、文字放送、これの研究もやっております。その続きどいたしまして、ハードコピーで情報を送るというようなファクシミリ放送、さらに簡単に申し上げますと、現在のラジオ放送に、動画ではございませんですけれども、スチール写真のような形でもってインフォーメーションの量をふやすという考え方の静止画放送、さらに、現在のテレビというものについてさらに画質をよくするという考え方、それから現在国民の方からもワイドのもの、さらに画質のよいテレビという要望も非常に来ておりますので、これに対する高品位テレビ放送、さらに現在のFM放送というものにかわりまして、それ以上によい音質の放送という考え方で超高忠実度放送ということでPCMの放送、そういうものに重点を置きまして新しい放送サービスの研究開発をNHKは行っております。
  124. 鳥居一雄

    鳥居委員 音声多重放送でありますけれども昭和五十二年に開始されまして以来この新しいサービスの改善に取り組んでこられましたNHKや民放各社、非常にその御努力を高く評価するわけでありますが、現状におきましては、放送時間が非常に短いという制約あるいは受信可能地域が非常に限定的である、こういうことが現在その恩恵を受けられないということの条件として一つ出てきているわけです。それで私の手元にも、もっと放送時間、放送番組の充実をしてほしい、あるいは日本じゅうどこでも見られるようにという要望の声も寄せられているのが現状であります。  そこでお尋ねいたしますが、NHKとして昔声多重の現状、普及の状況、これを御説明いただきたいと思います。
  125. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  五十三年度以来、実用化試験局といたしまして、東京大阪から順次放送を開始いたしまして、五十五年度現在におきましては、東京大阪名古屋、京都、神戸、和歌山、前橋、この七地区で昔声多重放送の実用化試験局を開設し、放送実施しているわけでございます。これによりますサービスエリアは、世帯カバレージで申し上げまして約五〇%でございます。したがいまして世帯数で約千六百三十万世帯ということでございまして、放送時間は一日平均一時間二十分程度実施しております。  また、受信機の普及状況でございますが、これにつきましては、五十六年一月の電子機械工業会の調査によりますと、音声多重受信機は約三百万台というふうに発表しておりますので、われわれとしても大体三百万台ぐらいは普及しているのではなかろうかと推定しております。
  126. 鳥居一雄

    鳥居委員 そこで、今後の拡充計画でありますけれども受信可能地域の拡大それから放送内容の充実はどのようになさるお考えでしょうか。
  127. 高橋良

    ○高橋参考人 まず五十六年度につきましては、ただいま先生の方にも事業計画としましてお示し申し上げましたように、札幌、仙台、広島、松山、福岡管内担当局級の五地区で新たに昔声多重サービスを開始する予定でございます。これによりまして世帯カバレージが六〇%、世帯数でまいりまして約千九百万世帯がカバレージ内に入る見込みでございます。また放送時間につきましても一日平均二時間二十分程度を予定しているわけでございます。  五十七年度以降につきましては、残りが約四土地区になるわけでございますが、これにつきましては、プログラムのあり方また受信機の普及状況、そういうものも勘案いたしまして、逐次全国ネットの完成をしてまいりたい、そのように考えております。  なお、放送内容の考え方につきましては放送局長説明させます。
  128. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  放送内容につきましては、まずステレオ放送につきまして「音楽の広場」とかあるいは「あなたのメロディー」とか、そういった番組につきましてはステレオ化を図ります。  それから二カ国語放送につきましては、夜の七時のニュースそれから五時のニュースといったところを、新しいのは七時のニュースでございます。それから一時と五時のニュースは、これまで五十五年度もやっておりましたけれども、そのうちの五時のニュースを継続して引き続き二カ国語放送でやる。  それからもう一つは、補完利用の拡大ということで、この三月一日に行いましたけれども、劇場中継のときに解説を昔声多重でつけまして、これも大方の方の御好評をいただいております。  以上でございます。
  129. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうすると、地域の上で日本じゅうがどこででも見られる、これは努力目標でも結構ですが、どういうめどを立てていらっしゃいますか。
  130. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  確定いたしまして何年度に完了という計画はまだ持ち合わせておりません。先ほど申し上げましたように、五十七年度以降につきましては現在長期ビジョン委員会の技術委員会でも、どのような形でこれを普及させていったらよろしいかという一応のNHK考え方も示しまして、各外部の先生方の御意見ども聞きまして、逐次単年度計画として詰めてまいりたい、さように考えております。
  131. 鳥居一雄

    鳥居委員 音声多重放送につきましては、電波の恩恵を平等に視聴者が受けられる、こういう方向でひとつ格段の努力をお願いしたいと思います。  郵政省はこの昔声多重の補完利用しか認めない方針でこれまでやってまいりましたけれども、独立利用を認める方針の転換を実は新聞報道等で入手いたしております、この政策転換について御説明願いたいと思います。
  132. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビの音声多重放送につきましては、御存じのとおりただいまのところ補完利用ということでやっているわけでございます。去る臨時国会におきましてもテレビの昔声多重の普及の度合いが遅いという御指摘もございまして、お約束いたしましたとおり、ことしの当初におきまして拡大いたしまして、本番組を補完するあるいは豊かにするものであるならばすべてこれを認めましょうというような政策変換と申しますか、拡大利用に乗っての線を打ち出したわけでございます。  ところで、ただいまいわゆる本番組とは無関係な独立利用についてのお話でございますけれども、新聞紙上等にそういうことが書かれているのは私も見聞きしたことがございますけれども、私どもの方から申し上げたことはないというふうに考えております。いずれにいたしましても、独立的利用ということを考えてみました場合に、電波の効率的利用を図れる、あるいは情報の高度化多様化には資することにはなる、そういうふうには考えておりますけれども、当初からいまだに時間がかかっております第三者利用というようなものとの関連をどうしても断ち切ることができない、やはり考慮すべき事項がいろいろあるというようなことで、先般の補完的利用の拡大措置以降におきます具体的な利用状況あるいはその様子等もなお検討いたしながら、関係者の意見等を聞きながら検討してまいりたいという実情にございます。
  133. 鳥居一雄

    鳥居委員 独立的利用のまさにその分野でありますが、文字多重、文字放送について伺いたいと思うのです。  最近、経済的な繁栄あるいはまたそれに伴う国民の嗜好の多様化、こういう状況の中で個人生活の面でもあるいはまた産業活動の上からいきましても、情報に対するニーズは一段と強まっている、高まっている、こういう認識に立つわけであります。こういう中で文字多重、これはブラウン管を通じて必要な情報、受け手が望む情報を手軽に入手できるという意味で、受け手側の選択の機能というのが非常に評価されていいメディアだと思うのです。また、これは文字放送という意味からいきまして、聴力障害者に対する字幕サービスの提供という意味で、この文字放送の早期実用化が望まれているわけであります。イギリスにおきましても、BBC放送などがもうすでにこのサービスを始めておりますし、わが国においても、技術的にはこの開発がかなり早い時点で進められ、今日までに終わっているわけでありますけれども、その実用化が一体なぜおくれているのか、この点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  134. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字放送の技術開発の現時点における状況でございますけれども、この三月末に開かれます予定の電波技術審議会では、技術的方式につきましての答申は得られるというふうに聞いております。かなり前から研究を始めておったわけですけれども、一言で申しますと、二十九文字で済みますアルファベットの国と日本の文字との差というものが大変多かったのではないだろうかということでございます。  なお繰り返しますけれども、技術的基準は、現在のところ三月末には決まる予定ですということですけれども、こうした技術開発の場合に、通常はメーカー等が先行して商品等を出すということが多いわけでございますけれども、研究室内あるいは実験室内でのセットというものはあるけれども、市販されているようなものは、残念ながら日本の場合いまないというふうに認識いたしております。一言で申しまして、文字の差ということではないかというふうに考えております。
  135. 鳥居一雄

    鳥居委員 NHKに伺いますが、NHKとして技術研究所で技術面における開発を終えているわけですけれども、今後これをどのように実用化していく方針であるのか、またそのサービスの内容をどういうふうになさろうとするお考えか、伺いたいと思います。
  136. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、NHKといたしましては、技術研究所を中心にして各技術部門が協力いたしまして、四十八年からこれの研究開発に臨んだわけでございます。その経過を一言だけ触れさしていただきますと、これも先生御承知のとおり、テレテキスト方式と違いまして、象形文字を使っておる日本でございますので、その面におけるテレテキストと違った技術的な困難さを持ったわけでございます。その辺は御承知のように解決いたしまして、ただいま電波監理局長からお話もございましたように、電波技術審議会の年度末の答申によりましてパターン電送方式は答申がされるというふうに予定されているように聞いております。  これに対してNHKとして具体的にどういう考え方を持つかということになりますと、いま局長が申し上げたような受信機の問題がまず一つございます。これにつきましては、工業会の方にそういう研究会もつくってもらいまして、それに技術指導などをいたしまして、各社間でこれからつくる受像機についての、たとえばコードの押すボタン位置の問題とか、そういうコードの使い方の問題、こういうものは大体終わったと思っております。  それから放送局間の問題として、今度はたとえば民放さんがやり、NHKが仮にやったといたしますと、その間におけるコード約束事項というものについては、これから話し合わなくてはいけないのではなかろうかと思っております。  あと技術的な問題としましては、何といたしましても、今度制作条件というものを非常に容易にしてやらなくてはいかぬという面における端末機の開発、これをいま努力中でございます。  それから内容でございますけれども、とりあえずNHKとしましては、先生御指摘のたとえば耳の御不自由な方々に対する字幕サービス、こういうものは公共放送の使命としても、文字放送が開設されればやらざるを得ないだろう。これは当然だと思っておりまして、これは放送の内にもそのようなプロジェクトをつくりまして現在研究中というような状況でございます。  いずれにいたしましても、電波技術審議会の答申を待ちまして、われわれとしてもさらに実用化に向けて研究開発に努めてまいりたい、そのように考えております。
  137. 鳥居一雄

    鳥居委員 アメリカにおきましても、イギリスにおきましても、この文字放送を聴力障害者向けのサービスとして非常に積極的に取り組んでいらっしゃるわけでありますから、ぜひともNHKにおきましても、その方向、取り組みを要望しておきたいと思います。  ところで、郵政省は文字放送実施主体を新聞社とお考えになっているのじゃないだろうか。これまでの報道等から見まして、新聞社か民放があるいは第三者機関が、この三つの対象以外に実施主体というのは考えられないと思うのです。報道等を見ますと、いろいろなリークのされ方をしているわけですけれども、どうやら新聞にかなり比重がかかって、新聞とお決めになった、こういうふうに受け取れる節が実はあるわけですけれども、現在の民放各社を見てみますと、新聞と民放各社との系列化がかなり進んでいますね。そういうことから考えてみると、一体、集中排除という原則との矛盾はないのか、こういうふうに思うのですが、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  138. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字多重放送でございますけれども、いわゆる昔声多重放送の場合はもう一つ声が加わるというようなことでございますので、補完利用ということがまず先行したわけでございますけれども、文字多重放送の場合、通常十ばかりの別の番組と申しますか情報が送れるというようなことになっておりますので、たとえば一つは、ただいま先生の申されました聾唖者のために、本番組と申しますか、それの説明を入れるというようなことはあろうかと思いますけれども、その他九つ残る部分についてどうするのか、そうなると、番組自体にくっついた補完的な利用よりも、その技術的内容からして独立的な利用、第三者かどうかは別といたしまして、本番組とは離れた独立的な利用というものが中心になろうというふうに、技術的には考えております。  ただいま新聞に関するお話がございましたけれども、私自身としては全然記憶もございません。恐らく今度三月に答申が出ますので、その中でやはりディスカスなり勉強なりはするでしょうから、そういうところで注釈を加えられたのかとも思いますけれども、私といたしましては全然記憶がございません。つまり、新聞に独立的な利用、そういう意向が強いとかいうようなことは否定申し上げたいと思います。  しかし、いずれにしましても、こういう技術が開発され、本来的に技術的に言えば独立的な利用が予測されるような内容のものであるということで、実施主体をどうするかというのは当然検討を進めなければいかぬわけですけれども、どういう内容の番組がこういうものに適するのか、そういうものに対してそれならスポンサーになりましょう、あるいは番組をつくりましょうというようなこと、あるいはそうした場合に、ある番組内容を送りますときに、だれが財政的基礎を持つのかというようなこと、いろいろ問題があるだろう。御指摘のマスメディアの、もしテレビ会社がやるとすればマスメディアの集中ということになるではないか。ただ、それで放送会社自体以外の方に使っていただくということになれば、これは放送局自体を放送局以外の人が使うというようなことになりますので、財産権の問題とかいろいろな問題があるだろう。それから、電波の公平利用という立場から考えた場合にどうなるのか。いろんな観点から勉強する必要があるというふうには考えておりますが、方針として出したことはございません、あるいは決めたこともございません。
  139. 鳥居一雄

    鳥居委員 郵政省で現在進めているキャプテンシステム、これはNTTのコンピューターを使いブラウン管を使ってちょうど文字放送に相当する情報提供をやろうとする、そういう意味では同じような事業ということになるだろうと思うのですね。それで文字多重とこのキャプテンズを比較してみますと、情報コストの上からいって明らかに答えが出ている、文字多重に軍配が上がる。そういう意味からいってかなりキャプテンズ自体特色が一長一短あることは事実だろうと思いますし、郵政省としてもどっちかというと文字多重に比重を変えていらっしゃるのじゃないか、こういうふうに思える節があるのですが、いかがですか。
  140. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  文字放送とキャプテンシステムとの比較といいますか、優劣、どちらに重点を置くのかというようなお話のようでございますけれども、現在のところそういう観点から検討したことはございません。  それから、いわゆるやはり家庭内のテレビというものの一部を使う、ブラウン管を使うというようなことになりますので、それぞれが実用化する時点においては共通に使えるようにする必要があるだろうというようなことはございますし、考える必要があるということで、いろいろ検討もいたしておりますけれども、両方のメディアを比較してどうこう、あるいはああいう考え方を出すというようなことは現在までのところ私の記憶する限りございません。
  141. 鳥居一雄

    鳥居委員 もちろん、現在進行中のキャプテンズのことですから否定的な御発言は立場上できないことはよくわかるわけです。しかしこのニーズの動向を的確に判断して、そして的確な対応ができるような方向というのをひとつ御検討いただきたいと思うのです。  緊急警報放送システムについて伺いたいと思うのです。  大規模地震対策特別措置法、これが五十三年にできまして施行されて以来、大規模地震の直前予知、この体制というのが現在進行中です。金や太鼓で知らせるというきわめて原始的な知らせ方しか現在ないわけですね、予知会の方で一つの情報を流したいという形になった場合。それで現在のテレビ、ラジオが負うところの責任たるや大変なものがあるわけです。予知会の情報を直ちに流すという役割りからいって、このシステムの開発というのはきわめて重要だと私たち思うのです。現在四つの方式がありますね。NTV方式、TBS方式それからNHK方式、国際電気方式、この四万式をどのように評価されていらっしゃいますか。それから、これを標準化していこうとする場合、テレビの方式はこれだ、ラジオの方式はこれでいく、こういう形にしなければ、この緊急放送システムというのは、いたずらに方式ばかりが錯綜しましてその効果を上げることができないんじゃないかという懸念を持つのですが、郵政省としてどういう対応をなさるのか。
  142. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 緊急放送システムでございますが、いまの時代に非常に急を要するというようなことで、先生も御存じのように、昨年の二月ごろだったと思いますけれども、急遽実験を認め、また電波技術審議会の場におきましても、その年の四月からだったと思いますけれども、取り上げまして研究いたしたわけでございます。  それで、先生いま挙げられましたような方式がございます。電波技術審議会での議論でございますけれども、いま申されましたような方式の比較をいろいろ技術的にいたしております。システムの信頼度あるいは受信機のコスト、消費電力あるいは電波妨害の体制等々を比較検討しながらその長所を取り入れて、先ほど挙げられましたいわば四つの方式といいますよりも電波技術審議会方式と申しますか、日本の方式というようなことで望ましい方式を検討いたしたいというペースで、もう一度繰り返しますけれども、どちらがいいんだというようなことで、競争方式じゃなくて、その四つの方式の利点、長所をとりながら一つの電波技術審議会方式というものをつくり出したいというような合意のもとで検討をいたしたというふうに聞いております。  それからラジオ、テレビというふうに申されましたけれども、ラジオ、テレビと申しますのは電波媒体でございまして、この緊急放送システムというのはそれにつけ加える変調の部分というようなことでございますので御存じのとおりだと思いますけれども、そういうことで、いずれにいたしましても共通に使えるもの、方式と申しますか、ラジオでもテレビでも、あるいは放送衛星からも流す必要があると仮にいたしましても、放送衛星からもあるいはFMあるいは短波放送で流す必要があるということになれば、そうした共通のどのメディアにも使えるというのが一つ考え方といたしまして適当だという前提条件を立てました上で検討したというふうに聞いております。
  143. 鳥居一雄

    鳥居委員 次にNHKに伺いたいと思いますが、NHKで開発したこのシステムは概略どういうシステムでしょうか。それから、実用化をどのように進めていかれるお考えでしょうか。
  144. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、NHKといたしましては、国民に放送でもってこういうたとえば大地震の場合とか津波のような場合には周知させる義務を負っておるわけでございますので、これは昭和四十年代から研究に努めたわけでございます。  それで、そのポイントでございますけれども、いま電波監理局長の話にもございましたのですが、これを誤操作した場合のこわさということがございますので、まず正確な動作をするという方式であること、二番目に、受信そのものが非常に安くできるという方式であること、三番目には、電波媒体をどの媒体でも使える、中波でも、短波でも、FMでも、テレビでも、どれにでも使える方式であること、それから放送事業者としましては、こういうメディアをやる場合に放送機に変更するための大きい金がかからないことできるだけ経費の少ないやり方でできる方式、この四つを基本に置きまして研究開発をさせたわけでございます。それで、大体この特徴を持ったものが一応でき上がりまして、これを電波技術審議会の方に報告をした、そのような経緯でございます。
  145. 鳥居一雄

    鳥居委員 この四つの方式についてそれぞれがすでにフィールドテストを終えているわけですが、それで、電波技術審議会の方でも昨年末までには答申を出したい、こういうことできておりますけれども、一日も早くできなければならないこの方式、現在のところなぜおくれているんでしょうか。どの時点をめどにして答申があるんでしょうか。
  146. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 方式につきましては先ほどからたびたび出てまいりましたけれども、今月末に行われます電波技術審議会で緊急警報システムについての答申は出るというふうに聞いております。  なお、標準方式というのが少し細かい規定になるわけですけれども、その分につきましても年内には結論を出したいということで審議を進めておるというふうに聞いております。
  147. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは、高品位テレビについて伺いたいと思います。  NHKでこれまでに開発された高品位テレビ、アメリカにおきまして大変な好評を博したと報道にございます。アメリカのワシントンあるいはサンフランシスコ、そして放送業界誌の「ブロードキャスティング」、これは次の世代、現在のテレビに取ってかわるものだろうというように言われておりますが、NHKで開発された高品位テレビ、どんなような内容のものでどういう見通しをお持ちですか。
  148. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  NHKで開発いたしました高品位テレビを簡単に申し上げますと、現行の日本の場合のNTSCを使いまして走査線が五百二十五本、これに比べまして走査線の数が千百二十五本でございます。それから、現行のテレビの規格は縦横比で三対四にできておりますのを、三対五のちょっと横長のワイドにしたわけでございます。それで、あとは大体同じでございます。インターレースも同じでございます。毎秒の像数も同じでございます。  そのようなもので一番問題になりましたのは、これを写す、これだけの千百二十五本の解像度を得る撮像管がなかったということでございます。これにつきましても研究の方でおととしに開発いたしまして、それを使ったカメラがようやくできて、それが一応実用の段階までには持っていっておるという状況でございます。  それから、ブラウン管の方でございますが、これにつきましてはいまのところは値段としては非常に高いのでございますけれども、将来は現在のカラーテレビのブラウン管と同じように、需要と供給の関係で安くなるんじゃなかろうかという見通しは持っておるわけでございます。  それから、三十五ミリのフィルムの画質よりもよろしいということでございますので、これは現在われわれが保存しておりますところのたとえば映像の情報量でございます、こういうものをとっておく。さらに今後最近話題をにぎわしておりますビデオディスクのようなもの、こういうものに対する供給の技術システムといたしましても、いいものを供給すれば当然いい画質のビデオディスクができる、こういう考え方もございますので、そういう意味合いでフィルムにレーザーでもってビデオから直接録画する、こういう機器も開発は終わっております。  いま残っておるのはどこかといいますと、これを録画するVTRでございます。このVTRにつきましては二つの考え方でいま研究を開始させております。一つ考え方は、デジタルVTRでいくという方法と、もう一つはカラーの信号を別々に録画して後で組み立てるという方法、この二つが考えられるものでございますから、これの見通しを早くつけてまいりたい、そのように考えております。  放送の平和利用ということを考えましても、国際交流というのはどんどん広がってくると思います。残念ながら世界でいま用いられているカラーテレビ方式は御承知のようにNTSCとPALとSECAMと三方式があるものでございますから、現行私の方の映像をごらんになっていただきましても、この方式変換をした画質は落ちてきております。そういうことのないようにしたい。将来はこういうような視聴者の皆さんからも現行の画質よりももっといいテレビを出せという要望も来ているものですから、そういう将来のテレビといたしましては、そのときに今度はわれわれ技術屋の立場からしますと、そういう方式をこの方式で一本化したいというのがわれわれの念願でもあるわけでございます。そういうことを国際会議にも提案をしましたのが四十八年でございます。それで、この国際会議でもこれが取り上げられまして、現在各国のスタディープログラムに採用になっております。  NHKといたしましては、高品位テレビを放送する場合には衛星を媒体とすることが適しておると思います。そういう観点から、将来二十二ギガ帯の衛星放送のようなことが仮に出た場合には、こういうものにこういうニューメディアが適するんではないかということも含めて国際会議に提案しておりましたところ、ただいま先生の御指摘のように、昨年の暮れにNHK会長あてに、アメリカの連邦通信委員会とそれからSMPTEといいまして、テレビの技術者と映画技術者の集まりの学会がございますが、そこの会長から要請がございまして、そういうものをペーパーでは見ているけれども現物を見たことがないというので、アメリカの経費でもってサンフランシスコとワシントンでアメリカの政府関係者にも見せたところ、次の国際会議前のアメリカ・リージョン、第二リージョンの会議においてはNHKの高品位テレビのシステムをサポートしたいということが非公式に漏らされておるという現状でございます。  今後どうするかという問題につきましては、そういうメディアとしまして一番問題なのは、残念ながらバンドを非常に要する、約二十メガのバンドを要するというのが欠点と言えば欠点でございます。ただし、これについてバンドをどれだけ狭くすることによって画質を保てるかという研究も現在やらせておるわけですけれども、その過程におきましては、この前のNHKのニュースでもごらんになっていただいたように、映画技術手法として採択したいというようなことが映画技術者の仲間から出てきておりますので、そちらの方に対する波及度というものが意外に早くくるんではなかろうか、さように考えておる次第でございます。
  149. 鳥居一雄

    鳥居委員 いまの御説明の中にも帯域の問題が出てきたわけですが、放送に関する技術陣の大体の見通しとして次の世代これがとってかわるだろう。ですから、郵政省としてのこの対応というのが実はがきを握るだろうと思うのです。郵政省としてどういう取り組みをなさいますか。
  150. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいまNHK技師長が最後に申されましたように、現在使っております。波数帯、放送衛星に使っておりますのも十二ギガサイクル帯でございます。これは国際的に放送のバンドとして分配されておるわけでございますけれども、このバンドの中で高品位テレビジョン放送を行うというには必要な周波数帯の確保は困難だ、不可能だというふうに申されましたが、私どももそのように理解しております。それで、私どもといたしましては、こういうふうにNHKが開発された技術をぜひとも実現いたしたいということで、幸い十二ギガ帯よりもちょうど倍、二十二ギガ帯に放送衛星業務のための分配がございます。国際的な分配が行われている。こういうところでひとつやったらどうかということで、放送技術としての方式の統一もございますけれども、バンド的な意味においても国際的な場におきまして高品位テレビジョンの統一的な技術基準というものを確立する方向でそういう方向に寄与してまいりたい、機会あるごとにそういう立場から発言もし、文献もコントリビュートしてまいりたいというふうに考えております。
  151. 鳥居一雄

    鳥居委員 きょうは主としてニューメディアの展開について伺ってまいりましたけれども、この問題やはり一番重要なのは、科学技術の開発といいますか成果といいますか、それをどのようにして国民のニーズに合致させていくかという永遠の課題だろうとも思うのですが、放送政策の中にこのニューメディアの問題を明確に位置づけ、今後取り組んで努力をしていただきたいと思います。  要望いたしまして、質疑を終わります。
  152. 佐藤守良

    佐藤委員長 鳥居一雄君の質疑は終了いたしました。木下敬之助君。
  153. 木下敬之助

    ○木下委員 NHKの五十六年度予算についてお伺いいたしたいのです。いろいろと問題点たくさんありますが、特に営業費の増大というのが目につきましたので、この点についてお伺いいたしたいと思います。  NHKの五十六年度予算の事業支出の使途別内訳を見ると、広報及び営業活動に六百四十五億円余りを計上しているようです。これは全事業支出の二三・七%に及んでいるようですが、その内訳はどうなっておるのでしょうか。また、前年に比べて伸び率はどうでしょうか。
  154. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  いまおっしゃいますように、六百四十五億一千七百万の営業関係経費の内訳でございますが、三つに分かれておりまして、事業の広報に関する金がそのうち十八億でございまして、伸び率としましては、これが九・三%ほど前年度に比べて伸びております。次は受信改善に要する経費でございますが、金額として四十七億六千万ほどでございまして、これが五・六%。それから契約、収納に関する経費が五百七十九億四千六百万円でございまして、この伸びが八・三%でございます。全体としましては、六百四十五億と申しますのは八・一%の伸びでございます。
  155. 木下敬之助

    ○木下委員 営業関係支出の全事業支出に占める割合は、この十年間どのように推移しておりますか、お示しいただきたい。
  156. 渡辺伸一

    渡辺参考人 いま申し上げました六百四十五億という数字は、先ほどから申しております事業支出に人件費を加味した数字であらわしておるわけでございまして、この方式は五十一年からとっておりますので、十年というお話でございますけれども、五十一年からの経緯を説明さしていただきたいと思います。  五十一年は全体の構成比率が二二・二%でございます。以下、年次を追って申しますと、それが二二二二、五十二年二二・六、五十四年が二二・九、五十五年が二三・五、五十六年が二三・七%というふうになっております。
  157. 木下敬之助

    ○木下委員 その五十一年より前のは、数字を同じような計算方式に並べかえればわかるんじゃないですか。
  158. 渡辺伸一

    渡辺参考人 ちょっといま手元にございませんものですから、五十一年からの積算を申し上げたのですが、作業をすればわからないことはございませんけれども、必要であれば後ほどまたあれします。
  159. 木下敬之助

    ○木下委員 せっかく話題に出たんですから、どうぞ出してください。  そういったものを見ますと、だんだんとふえてきているようでございますけれども、この傾向というのは、今後の見通しはどういうふうに考えておられますか。
  160. 渡辺伸一

    渡辺参考人 ただいま申し上げましたように、この営業関係、事業の広報、受信改善、契約、収納関係でございますが、これはだんだん比率としてふえているわけでございます。これは、その中身を申し上げましたように、広報にしましても受信改善にしましても、それぞれの項目についてかなり節約をしましたり、あるいは原因者責任主義の徹底によってまた減少をしていくという傾向はそれぞれ持っておりますけれども、全体としまして、やはり受信料制度を支えていく、受信料の公平負担というものをしょった経費でございますので、だんだんとふえていくという傾向はあるというふうに申し上げられると思います。
  161. 木下敬之助

    ○木下委員 絶対量がふえていくのとパーセントがふえるのはまた別な問題で、パーセントがふえていくというのは、営業費の節減や営業方法の改善など、当然経営努力はしなければならないけれども、営業費の増の傾向がこのまま続いていくと、本来の放送に使われる部分の費用を圧迫することにならないかと、考えるわけですが、その点どうお考えですか。
  162. 渡辺伸一

    渡辺参考人 各年度経費の配分につきましては、いま申し上げました営業の経費も大事でございますけれども、番組をつくり出してお送りするという経費について最も重要に考えておりまして、いろいろと工夫をいたしまして、ある一定率を下回るようなことがないように配慮をしておりますけれども、いまお尋ねのように、将来にわたって営業経費がふえるということのかかわりで申しますと、いままでのところは、管理費その他の経費を抑え込んで、放送費については一定の比率を保っております。ただ将来にわたって営業費が、申し上げましたように、全体の構成比率が若干でも上がってくるという趨勢は否めないのでございまして、今後これらの問題を抱えて、八〇年代全体について協会経営をどうするかという課題の一つとして取り上げておるところでございます。
  163. 木下敬之助

    ○木下委員 放送が本来ですから、それを圧迫するのはおかしいじゃないかという理論と、どうしても上がっていくのが趨勢だから仕方がないというのは、ちょっとかみ合わない論議だと思うのです。基本の姿勢というものを持ってやっていただきたいというのが私の意見でございます。  また、不払い対策とか、受信者との結びつき等、国民に理解を求める姿勢というのは評価できるわけですが、経費の点を考えるとおのずと――前に質問したときにも申し上げましたが、フクロウ部隊をつくったけれども、結局それによる成果よりも費用の方が多かった、こういった点、幾つか挙げられておりますので、その辺の限界をどのように考えているかお聞かせ願いたい、
  164. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先生のおっしゃるように、その点はわれわれとしてはかなり大きなテーマであるという認識を持っております。ただ、御承知のようにNHKを取り巻きます、特に受信料の問題につきましての環境がなかなか厳しゅうございますので、それを何とか理解を求めて収納を上げていくという努力、その努力のためにやむを得ない経費の増高があるわけでございますが、これはあくまでもできるだけ効率的に努力をして所期の目的を達していきたい。そして、いま御指摘のような一番肝心の番組の充実にひびが入るようなことになっては、全く元も子もなくすことになるわけでございますので、そういう点を十分考えながら、限界があるではないかという御指摘はそのとおりでございますけれども、その限界をとこら辺にするかということもなかなかむずかしい問題ではございますが、努力したいというふうに考えております。
  165. 木下敬之助

    ○木下委員 ぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。  最初の私の質問に対するお答えの中で、営業費六百四十五億一千七百万と言われましたね。その内訳の集金の部分が五百七十九億とちょっと聞いたんですけれども、ほとんど大半がこの集金のようであります。この大きな営業費の中の一番大きな、大半とも言える部分は、たとえば自動振りかえに切りかえる等進めれば相当削減できるのではないかと考えるのですが、自動振りかえというのはどの程度進んでいるのか、またどの程度まで可能なんでしょうか。
  166. 海林澣一郎

    海林参考人 営業担当からお答え申し上げます。  自動振りかえにして人の手間が省けるという基本的な考えからいたしますと、先生のおっしゃるとおりでございます。現在口座振りかえで金融機関に振りかえておりますパーセンテージは、全国平均で、五十五年で四二%でございます。ただし、先生御承知の全国三千五百地区に郵政委託地区というのがございまして、ここではまだそういう金融機関への自動振りかえができませんので、その辺の伸びが今後どうなるか、東京では大体五〇%ということでございます。  したがいまして、われわれとしてはコスト軽減のためにその方向の努力をいたしたい。特に五十六年、そういった受信料の口座振りかえを勧奨しようということで、たまたま手元に持ってきたのでございますけれども、こういうパンフレットをつくりましてお送りするとか、お気づきかと思いますが、放送のステーションフレーク、一分間の中でも、どうか口座振りかえをお願いしますといった諸施策を講じておりまして、これからコスト軽減を図るかなりの大きなテーマ、眼目が、おっしゃるとおりこの振りかえによって果たされるというふうに思っておりますが、時間的にはかなりかかろうかと思います。
  167. 木下敬之助

    ○木下委員 どこまで可能かという見通しがおありでしたらぜひお聞きしたいのですけれども、パーセントにおいても、どの程度までが可能ではないかということを。
  168. 海林澣一郎

    海林参考人 御承知のように、他の公共機関、ガスですとか電気ですとか、この辺が六〇から七〇というようなパーセンテージを占めております。東京でいいところでは七〇を超えているわけでございますけれども受信料制度の場合には対価論ではございませんで、滞納であれば電気をとめてしまうというような直接的なことがございませんので、われわれとしては努力目標を、どうでございましょうか、七〇%に置くということがまあ理想の頂点ではなかろうかというふうに考えて、諸施策をただいま立案中でございます。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 先ほどの話で、その郵政委託の部分はできていないと言われましたが、これはどういう事情でできないのか。また、その点はどういう見通しを持っておるのか。
  170. 海林澣一郎

    海林参考人 全国の集金区の中で住民の方が二千世帯に満たないところ、この部分につきましては、郵政、特定郵便局でございますけれども、特定郵便局の集配の方とかそういう向きに委託をして契約、収納をいただいているということでございます。その特定郵便局のオンライン化と申しますか、これは郵政の方の領域でございますけれども、新聞その他の報道で着々進んでおりますけれども、この地区に対して大体三百三十万件ぐらいの契約者がおりますけれども、そこにまだNHKとしては手がつかないわけでございまして、今後、その辺の調整を議論していくところでございますが、御質問にお答えしますれば、その部分に申し上げたような意味で手が入らないということでございます。
  171. 木下敬之助

    ○木下委員 細かいことになってあれですけれども、結局郵政に委託しているところで、郵政の方に委託して集金してもらっている。だから、その末端の人が自動振りかえに合意しさえすればできるわけですね。
  172. 海林澣一郎

    海林参考人 基本的には制度の問題がございます。それから、システムとして、先ほどちょっと触れましたオンライン化というような技術革新に伴うものもまだできないということでございます。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 どうも余りよくわからなくて不勉強で申しわけないのですけれども、結局二千人ぐらいの世帯のところというのは、自動振りかえがやりたくてもいまシステム的にできないということですか。機能がないということですか。
  174. 海林澣一郎

    海林参考人 おっしゃるとおりでございます。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 それでわかりました。その自動振りかえの勧誘というのは、集金人もお願いして回っているのだと私ども思っていたわけですけれども、聞きましたら、自動振りかえにしようとその集金人に言ったところ、いいです、いいですと、こういうふうに言われたと言うんですよ。考えてみると、全部が自動振りかえに仮になってしまえば、集金人の仕事というのはなくなるわけで、当然利害が反しておるから自動振りかえ化には余り熱心になれないというのは、これは人間の心理として当然のことだと思うのです。NHKが本気で経費の節減のためにこの集金の合理化と自動化を考えておるならば、自動振りかえ化によって余った人たちの転職の道の拡大みたいなものまで含めて、利害が反しないようにして、相当積極的な方策をとれるのじゃないか、こう思うわけですけれども、その点はどんなふうにやりますか。
  176. 海林澣一郎

    海林参考人 利害が伴わないというお言葉がございましたけれども、確かに委託の方が収納に回っている、それが口座になる、一件減るということでございますけれども、われわれの報酬の考え九の中で、口座に振りかわった場合に、それを事務費として受け持ち件数と比例をして委託の方たちの報酬の中に組み込むというような制度もございます。  それから先生のおっしゃいます、NHK自体が勧奨する、それから金融機関にお願いする、三対七の割合でございますけれども、先ほどちょっとパンフレットなんかお見せしましたけれども、金融機関にもお願いをし、またわれわれが自力で開発をしなければいけない。実は五十六年度の営業の基本的な計画の中で、口座をさらに進めようという項目を四大項目一つに入れまして、五十六年、積極的にその方向に進んでいきたいというふうに考えております。
  177. 木下敬之助

    ○木下委員 その積極的なことと、いま言った集金の方にも利のあることはわかりましたけれども、逆にその集金の人の手を通じて自動化にしていったものは、その後ずっと永続的にそのかえた人に入るわけですか。そうするとまた逆に、費用の削減というものをどういった形で考えているのか非常に疑問になってくるわけです。
  178. 海林澣一郎

    海林参考人 先ほどは、口座振りかえになったときの時点での事務処理ということで申し上げましたけれども、全体的に委託集金人の報酬ということのバランスでは総合的にやっておりますので、いまおっしゃったような形での結果には至らないということでございます。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 どうもよくわからないのは、私は、結局その集金人が自動化を自分が積極的にしていけば、その本人が有利なのか、不利なのか、変わらないのか、それを聞いておると、両側に答えられておって、どっちにとっていいかわかりませんが……。
  180. 海林澣一郎

    海林参考人 ただいまの口座振りかえに伴う報酬、それは大体十のうちの四の割合でございまして、NHKとしては、逆に六割に相当する部分を行動による報酬という形で、将来方向としては過不足なく、NHKの損にはならないという形で今後進めてまいります。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 何か余りよくわからないんですがね。ちっともわからないですな。皆さんおわかりでしょうかね。(「わからぬ、わからぬ」と呼ぶ者あり)わからないですね。結局どっちかで変わらないのか、集金人にとって、集金人の人もちゃんと自分が生活しているわけですから、その人の生活も考えなければこういった問題の解決はできない。だからそのときに、結局この振りかえを集金人が積極的にしたときに、集金人が得になるのなら、それはどんどん進むでしょう。そのかわりNHKとしては経費の節減にならない。自動振りかえにすることによって逆に経費が多くなるじゃないかと言っているのだし、もしそこで本人の収入が減るのなら、これは何かを考えないことにはならない。その考えるところが明確なのかどうか。実際減るのか減らないのかを聞いておるわけですから、もう一遍、そこがわかるようにちょっと教えてください。
  182. 海林澣一郎

    海林参考人 NHKが有利である形であります。
  183. 木下敬之助

    ○木下委員 集金人に対して有利とか不利とかいう感覚ではなくて、一緒にやっていただきたいというのが私の最初のお願いなのですけれども、そうでなければこれは進まない。NHKが有利と言っても、振りかえにすれば全面的にこの営業費がどんどん減っていけるものならこれにこしたことはないし、そこで余った人というか、その人たちをまた別の事業でNHKが考えていけば、それだけの収入になるだろう、こういう発想だったのですが、いまの話では、少々自動化したところで営業費の節減はできないというような印象も受けたし、何かその辺が非常に納得のいかない話になってきまして、私としましては、きょうは資料もありませんし、こんなことばかりに時間をとっていてもあれですけれども、どうかこの点は――何かお答えをいただけますか。
  184. 山本博

    ○山本参考人 こういう制度は、いま御指摘がありましたように、全面的に片一方にだけというような形ではなかなか進捗いたしません。したがいまして、こういう自動振りかえをいたしましたときには、本来ならばNHKが全部その恩恵を受けるといいますか利益を受けるというのも、これは一つのやり方でございますが、同時に、請負の方々がそういう活動をしておられるということを考えますと、そこに何がしかの配慮というものも当然あってしかるべきだろうということで、いま話がありましたように、全体の受ける、そこから出てきますメリットの一部は請負の方々にもお分からしておるということで、全面的な形でのNHKの営業費がそのために低廉化するということにはなっておりませんけれども、全体としましては営業費の低廉の方にプラスになっておるという扱いをしておるのが現状でございます。
  185. 木下敬之助

    ○木下委員 その現場に働いている人たちのことを十分考えてやっていただきたいというのが私の意見でもありますから。しかし、その人たちの使い方を、ただ同じ人間を仕事量は減ったけれども同じ給料で残しているような形を考えるのじゃなくて、何か積極的な、最初に申し上げましたように転職の道の拡大を図るとか、何か建設的な方向でこういった問題を片づけていただきたい。これはぼくはNHKのいろいろな長期のビジョンの中にぜひ入れていただきたいと思います。また、全面的にできないというのは最初の見通し等でも聞いておりますから、この点につきましては、どうぞいま一層の御検討をお願いいたしたいと思います。  以上のように、営業費を取り上げてみましても、今後の見通しのむずかしさというのを大変感じておるわけです。五十五年から五十七年の三カ年計画以後、NHKはまたまた大幅な赤字を出すことになると推定されます。テレビの普及がどんどん進んでいた時代と違って、これからの経営は根本的な頭の切りかえが必要であろうと考えております。長期ビジョンを論議する中で、この際原点に返って考えてみるべきであろうかと思います。その原点というのは、日本に公共放送というのは必要なのか、NHKは必要かというところまで一度掘り下げて考えてみていただきたいと思います。現在のままの延長ではなくて、白紙に返って、今後の日本の社会にどのような公共放送が必要なのか、あるいは公共放送は必要ないのか。もし必要であるなら、その公共放送を維持するための経費はどのくらいが適当か、この点を考えていただきたいのです。受信料という形で国民に負担をかけるからにはおのずと金額に限界があるだろうと思います。どこかに水準を見つけて大枠を明らかにする必要があるのではないかと考えます。こうした角度からNHK経営あり方検討したことはございますでしょうか。また、海外の公共放送の場合、何かそういった基準というものに考えが向いている国があれば、お聞かせいただきたいと思います。
  186. 山本博

    ○山本参考人 ただいま御指摘がございましたような議題について、従来検討の課題といたしたことはございませんが、先ほどもお話がございました長期ビジョンの審議会が昨年の七月にできまして、それでこの中の議題には、先ほども説明の一部に申し上げましたけれども、従来の調査会とか審議会では現行法制の枠内でいろいろ議論をしていただいたのですが、今度の審議会の場合は、現行法制あるいは現行体制というものにこだわらないでNHKというものを一度お考え願いたいという問題も提起してございますし、そのメンバーになっておられる方々もそういう問題から考えてみようということで、現在の日本の社会の中に、あるいは放送体制全体の中で、NHKの持っておる性格なり、意味づけなり、その責任なり、機能なり、そういうものをどう考えていくべきかということで、御趣旨と全くぴったり一致しておるかどうかわかりませんけれども、一応そういうことを議題としてお取り上げになっておりますし、私たちも、そういうことをお考え願うことは非常にいいことだと思って、お願いをいたしておるということでございます。  それから、金額がどのぐらいかということは、これは海外の公共放送一般の例を見ましても、国民の負担がどのぐらいであれば適当であるかというのは、これは社会情勢なり国民の所得なりそれから放送の持っておるその社会の受け取られ方ですね、こういうものによって一概に決めがたいものでございますので、海外の公共放送あるいは国営放送、そういうもののところで、国民の負担がこのぐらいが妥当であるというようなものを決めておるところはございません。
  187. 木下敬之助

    ○木下委員 いろんなことが考えられると思いますが、根本問題で考え直すということですから、いろいろな議論が出される中で、ぜひ、全く白紙でいま公共放送というものを考えて、国民にとってためになるのかならないのか、国民が望んでおるかという、この三十五年戦後だってしまった中で、全くいろんなものが新しくなっている中で、白紙でだったらどうなのかというものをひとつ持って、現状と比較しながら、それに近づくような努力というものをしていただきたいというふうに考えます。  先ほどの集金の話でも、もうすでにこういうふうになっていたら、幾ら費用がかからないシステムがあったとしても、それを全部NHKが吸収するわけにいかない、こんなこともそういったことの一つだと私は考えております。  だから幾つかの三Kという中でも、国鉄等大変な問題ですわね。そんなのがいわゆる親方日の丸という形で答えています。NHKにも、やはり赤字がかさんでいく中で何か確固たるものを持ってないと、これから先どうなるのか、私ども予算に反対、賛成をしていく中で、現状のNHKというものだけ考えればやむを得ないという面をいまは優先しておりますけれども、ちょっと視点を変えれば、必ずしもそれが国民にとってためになっているかどうかというのは非常な迷いを感じるわけです。だからこの点は、ぜひもうじっくり前向きに検討して、国民のためになるかという視点で考えていただきたいと思います。  予算のことはそのくらいにして、これから昔声多重について少しお聞きしたいのですが、郵政省にお聞きするのが一番先が本当だと思いますけれどもNHKを先にちょっと聞かしていただきます。  NHKのいまの音声多重はどういった実施をしておるのか、いまどういう状況か、少しお聞かせいただきたいと思います。
  188. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  五十五年度、きょうにおきましては、五十三年度以来順次にサービスを拡大してまいりました音声多重の実用化試験につきましては、五十五年度東京以下七地区でもって昔声多重放送のサービスを実施しているわけでございます。これによりまして世帯のカバレージが五〇%、世帯数で申し上げますと約千六百三十万というふうにわれわれは把握しているわけでございます。  放送時間につきましては、一日平均一時間二十分程度行っているわけでございます。  なおわれわれが、この千六百三十万の中で、音声多重の受信機が普及しているというのを工業会の調査に基づきまして把握している数字は約三百万程度というふうに考えております。  なお番組内容は、先生御高承のように、シルクロードとか紅白歌合戦、そういうものに使っているわけでございます。  なお詳細は、放送局長の方から番組内容については説明させます。
  189. 木下敬之助

    ○木下委員 では、先に聞かしてもらいます。
  190. 田中武志

    田中参考人 五十六年度の新年度におきましては、放送内容といたしましては、ステレオ放送で「名曲アルバム」とかそういったものはいままでやっておりましたので、さらにいろんな「あなたのメロディー」その他に広げていきます。それから、二カ国語も七時のニュースその他に広げます。それから、劇場中継、そういったものにつきましても、補完利用の解説をつけていくというようなことを当面考えております。
  191. 木下敬之助

    ○木下委員 昨年末に利用方法の枠も大分拡大したようでございますから、どうか新しい、いままでのテレビと全く違った、また全然別の角度から視聴者に楽しんでもらえることが考えられるのではないかと思いますので、枠の拡大した許可の範囲の中ではぜひ新しいことを考えてやっていっていただきたいと思います。  では、郵政省にこの昔声多重についてお聞きいたします。  枠の拡大が図られたことは電波の有効利用の観点からも大変結構なことだと思いますし、特に昨年の衆参同時選挙のときに勇断でもって音多の利用が特別にできるようにしたというのは、あの当時間いておりまして大変すばらしいことだったというように私も評価をしておりますが、今後この音声多重放送をどうしていくおつもりでしょうか。
  192. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 音声多重放送の拡大につきましては、昨年来本委員会でも御指摘がございましたし、放送時間数も不足である、あるいは受像機の数もなかなかふえないというような御指摘がございまして、補完的利用につきましては私どももそういう点からまことにごもっともだということで、昨年の十二月末に方針を出し、具体的には一月からやってもらえるような形にいたしたわけでございます。  ただ、このテレビの昔声多重というものは、それ以外の利用の仕方があるということでございますけれども、独立利用ということになりますと、それこそ新聞紙上でも一、二載っておったようでございますけれども、やはりラジオ単営社等に与える影響とか、あるいはすでに第三者利用を考えました場合に、放送局自体はその補完利用としてかなりの時間使っておる。そうしますと、独立利用に使える時間というものは細切れになる。主体は、どうしてもテレビ放送本体をやっておりますところの主体性といいますか、そちらの方がリーダーシップをとるというようないろいろな意味がございまして、ただいまのところは、そうした問題点、従来からあるわけでございますけれども、なお検討を続けたい。そうしまして、昨年の末はたしか受像機は二百三十万台でしょうかというふうに申し上げましたけれども、いまのNHKお話では三百万台にふえているというようなことで、いましばらくこの推移を見てまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  193. 木下敬之助

    ○木下委員 技術革新の成果を国民へのサービス向上に充てることは大変結構だと思います。しかしその場合、現在の放送通信の秩序に影響を与えることになるので、ぜひそういった点についてはまだ十分な話し合いの中でやっていただきたいと思います。  特に文字多重放送は重要な問題をいろいろと含んでおると考えますが、この文字多重放送について今月中には技術基準等について電波技術審議会から答申がなされる予定と聞いております。文字多重放送について郵政省は今後どう取り組んでいくおつもりでしょうか。
  194. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  文字多重放送の技術基準でございますけれども、先ほどもお話に出たかと思いますが、日本の文字の特殊性というようなことで多少技術開発がおくれたわけでございます。その日本の文字に適したパターン方式というものでございますけれども、それに関する技術基準の答申はこの三月末を期待しておるわけでございます。  そうして、この文字多重放送、音声多重放送といいますか、多重ということでは同じでございますけれども、やはり内容はいろいろ違っております。まず音声多重は、音声がもう一つ加わるということでございますけれども、文字多重放送の方は、ただいまのところ十種類程度の別の番組が追加できるというようなことでございます。そうした意味で、非常に情報の高度化あるいは多様化に役立つという意味では私ども評価しているわけでございますけれども、そうしたいろいろな番組をどこがつくるのか、まず補完的利用というものになりますと、それは本来送っておる放送会社がやるということは単一的に出てくるかと思います。そうした番組、個々の伝えられる情報の中でどういうものが一番ニーズがあるのか、それをだれがつくるのか、だれが放送するのか、そうしたものを放送事業者と別の実施主体にするのか、いろいろ問題があるというようなことで、放送の多様化に関する調査会議というものが設けられておるのは御存じのとおりでございますけれども、そうしたところにおきましてもぜひ精力的に御検討いただきたいということで、その結果も見ながら私ども検討を続けてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  195. 木下敬之助

    ○木下委員 新聞でずいぶん詳しい報道をいろいろ見たので、まだ少しいろいろと聞いてみたいのですが、先ほど鳥居先生もお聞きになられたと思いますし、時間もありませんので、その辺は割愛させていただきますが、この文字多重放送、聴力障害者のためには非常に有効な手段であろうと考えますし、こういったものがうわさになれば非常に期待しておられると考えるわけです。特に本年は国際障害者年に当たるので、これらの人々のために早急に文字多重放送の実現を図られてはどうかと思うわけですが、技術的なものが処理が済んでおるのなら、ぜひ早くやっていただきたいということを考えております。この点、どうお考えでしょうか。
  196. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  テレビ画面に関連いたしまして、数行、一行程度の字幕をスーパーにする、そうした形で送る場合、聾唖者向けにとりましては非常に有意義なといいますか、喜ばれることだというふうに考えております。  そうした場合に、いわゆる補完的利用でございますし、また番組制作上からも放送事業者がやるに決まっているといいますか、かなり直接的な関係がございますので、そうした問題もないのではないかと私どもも考えておるわけで、こうしたものはできる限り早く普及されるに越したことはないというふうに考えておるわけでございます。  ただ一つ別の立場から申し上げますと、聾唖者向けの字幕放送のみを先行いたしましてやるというようなときに、受信機の普及の問題の点などにつきましては、それだけしか番組がございませんので少し普及の度合いが遅いだろうというようなこと。  それから、先ほども申し上げたかと思いますけれども、テレビ音声多重なんかの場合は、かなり実験的な段階からも実はマーケットに相当の受像機をつくられておった、いろいろな形のものが出回っておったというようなことでございますけれども、これにつきましては、研究所といいますか実験所内のバラックセットがあるという段階でございまして、まだメーカーの商品というものは一つもないというようなことがございます。  それから、常時流すというふうなことになりますと、放送局自体としては持ち出しというような面といいますか、経費の面の負担の問題があろうかというふうに思っております。ただ、こういう形の利用をアメリカでもう一九八〇年から精力的にやっておるということは、大変参考にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  197. 木下敬之助

    ○木下委員 詳しいことが出てきた段階でまた聞かせていただきたいと思います。  ちょうど時間になりましたので、私の質問はこれで終わります。
  198. 佐藤守良

    佐藤委員長 木下敬之助君の質疑は終わりました。  依田実君。
  199. 依田実

    ○依田委員 きょうは紙上いろいろ言われておりますNHKの話題の中から幾つかお聞きをしたい、こう思うわけであります。  まず第一に、編集権というものをNHKがどういうふうにお考えになっておるのかお尋ねをしたいのであります。と申しますのは、週刊誌などでロッキード番組、いわゆるスタジオNC9、この問題がいろいろ取り上げられたわけでございますけれどもNHKはその編集権というのはどこにあるのか。一般の新聞協会などの統一見解というのは社長、実際的には編集局長なり主筆、こういうところに編集権というものはあるんだ、こういうふうに言われておるわけであります。外国などでは経営と編集の方が分離して考えられておるところがありますけれども、日本ではおおむねそういうふうに考えられておるわけであります。NHKでは編集権はどこにあるとお考えになっておるのでありましょうか。
  200. 坂本朝一

    ○坂本参考人 これは最終的には会長の責任でございます。
  201. 依田実

    ○依田委員 私もそうだと思います。そしてまた、日常業務については放送局長なりあるいは報道番組については報道局長が持っておると思うのでありますが、それは正しいでしょうか。
  202. 坂本朝一

    ○坂本参考人 御指摘のとおりで、日常のニュース、番組の最終的な責任者はそれぞれの長でございます。
  203. 依田実

    ○依田委員 今回のNC9、ロッキード問題。サンデー毎日が取り上げたわけでありますが、私が大体内部の友人に流れを聞きましたところ、大体サンデー毎日の書いておるところが真相に近いんじゃないか、こういうことでございます。これを読みますと、この番組については報道局長は終始その番組を出すことに反対をされておるわけであります。そして現場でいろいろ再検討を命じておるにもかかわらず、ややもすると現場が先行をいたしまして、そして最後は報道局長が断を下してこの番組をカットさせたわけでありますけれども、私はこのあり方について問題はないと見ておるのでありますが、NHK側はどういうようにお考えになりますか。
  204. 田中武志

    田中参考人 報道局長が編集上の判断を下したわけでありまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
  205. 依田実

    ○依田委員 ところがその後、サンデー毎日の記事などを見たり、あるいはまた私が伺ったところでは、組合内でこの問題についていろいろ討議がなされておる。そしてまた、この記事が正しいとするならば、何というのですか、やくざのけんかみたいに局長の首を取ってこいとか、そういうようなせりふを吐いておるということが書かれておるわけであります。私はそもそも、この編集権というのは団交の議題にはならぬものだと思っておるのであります。NHK側が今後この問題についていまお答えになったような態度で終始一貫臨まれるかどうか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  206. 田中武志

    田中参考人 編集権を行使する責任者が公正な判断のもとにみずからの主体的な判断で決断をしたものでありますから、そのとおりでございます。
  207. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  いま依田先生のお話の中に、編集権について団体交渉しているという御発言がございましたけれども、編集権について団体交渉をいたしたことはございません。むしろ現場における業務のあり方について不満があった場合に、労使で話し合ってこれを解決するというのが通常の手段であろうかと思います。私は、いま御指摘になったのはそれに類することか、こう考えるわけであります。
  208. 依田実

    ○依田委員 いま武富さんからお答えがありました。編集権についてはいままで団体交渉をしたことはない、まことに結構でございます。今後ともその方針でぜひやっていただきたい、こう思うのであります。  私は今回のこの事件のいろいろ背景というものが問題じゃないか、こう思うのであります。と申しますのは、私がいまNHKの皆様方に、協会側に、これから毅然たる態度で臨んでもらいたいと申し上げましたのは、過去に幾つかいろいろなケースがありました場合に、ややもすると経営者側が最後の一線を守り切れないで途中で折れる、こういう心配があるのであります。つまりよく言われておりますように、協会のトップと組合のトップがいろいろ後ろで手を結びまして、これは過去に私たちがNHKで管理職をやっておったときに、経験で痛い目に遭ったことがあるのでありますが、つまり第一線の管理職、今回の場合ならば、報道局長が信念を持ってやっておるときに、後ろから弾が来るようなケースになっては困るから、私はそういうことを申し上げておるのでありまして、ひとつぜひこの点につきましては今後ともいまの御決意で臨まれていただきたい、こう思うわけであります。  そしてまた、なぜそういうことを私が申し上げるかと申しますと、どうもいろいろ組合員の中に、現場の局長とか部長の言うことよりも他の筋の方を気にかけなくてはならぬ、そういう方がいいんだ、こういうような気風がややもするとあるんじゃないかということを、私は自分の体験を含めまして心配をしておるから申し上げておるわけでありまして、今回の事件に、私はこの報道局長もよく知っておりますけれども、自由民主党から圧力があったとかそんなことはあり得ない。報道局長を長くやるような人なんだ。どういう番組を組むとどういう効果になるかということはよくわかっておるのです。その上で決断をされておるのですから、ひとつぜひこれは守り抜いていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、いまちょっと私が触れましたけれどもNHKの全体のムードの中に、ややもすると人事が違う筋から行われるんじゃないかというようなうわさと心配があるわけでありまして、これは広く事実としてNHKの中に蔓延をしておるわけであります。そこできょうは、主に人事の中の幾つかの問題を取り上げさせていただきまして、NHKの多くの職員の皆さん方から私が委託された、そんな気持ちでちょっとお尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  まず第一、上田哲さんという方がいらっしゃいます。この方は現在NHKの中でどういう身分になっておるのでしょうか。
  209. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。協会からは退職をいたしております。
  210. 依田実

    ○依田委員 いつ退職になられましたのでしょうか。
  211. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。五十四年の十二月二十五日でございます。
  212. 依田実

    ○依田委員 NHKの人事規程によりますと、人事の処理基準がございます。NHKの人事異動についてはNHKの会報、つまり国で言いますと官報、これに掲示することをもって公告することになっておるのであります。この上田哲さんの退職はNHKの広報に載りましたでしょうか。
  213. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  協会報というのは官報だというお話でございますけれども、必ずしもそれは当たっていないかと思います。これは部内の業務を円滑に図るための周知の材料だ、こういうことにいたしております。お答えをいたしますれば、これは会報には載せておりません。  なぜ載せなかったのか、こういうお話でございますけれども、(「特別扱いだ」と呼ぶ者あり)いいえ。上田氏は御承知のとおりに、昭和五十三年七月に国会議員に就任をして以来、これは公職休職といたしております。したがいまして、上田先生の籍としては、休職時に所属をしておりました報道局の政治部に属しております。しかし業務上の関係国会へお出になって以来全くない、こういう状況が続いております。そこで、非常に長期、十年以上にわたるわけでありますけれども、十年以上引き続き実際の業務に携わっていない。ただいま申し上げましたように会報で実務上これを知らせる、こういうことになっておりますので、退職は、この十年の長い間実際の任務についていないわけでありますから、これは部内に改めて周知をする必要はない、こういうふうに考えたから載せなかったわけであります。
  214. 依田実

    ○依田委員 私はどうもそれが納得いかないのであります。もし上田さんがおれはNHKの職員だと言った場合に、何をもってNHKはこれに反論するのですか。
  215. 武富明

    ○武富参考人 ただいま申し上げたとおりに、会報というのは実務的なレベルのものであります。実務的には十年間全く関係のない方でありますから、改めて載せる必要はない、こういう判断をいたしたわけであります。
  216. 依田実

    ○依田委員 私はこれは背後に非常に深いものがあると思うのであります。上田さんは四十三年報道の政治部からかわっていない、こういうふうにいまおっしゃるわけです。NHKに職員名簿があります。この名簿を逐年追ってみますと、書き方が変わっておるのです。どういうふうに変わっておるかといいますと、昭和五十年十一月の名簿を見ますと、所属はニュースセンターの政治部になっておるのです。五十一年十一月の名簿を見ますと、上田さんはどこに書かれておるかというと、直轄業務部の専従者の欄の上から四番目に書いてある。昭和五十二年十一月の職員名簿を見ますと、同じく直轄業務部の専従者欄でありますけれども、一番下に書いてある。五十三年十一月を見ますと、直轄業務部の専従者欄のこれまた一番下に書いてある。ところが、これが問題なんであります。五十四年十一月の名簿を見ますと、名簿から上田哲さんは突如として消えておる。いま武富さんは、五十四年十二月に退職になったと言われた。五十三年十一月と五十四年十一月の間には状況変化は全くないにもかかわらず職員名簿から消えたのであります。これはどういう意味でしょうか。
  217. 武富明

    ○武富参考人 ただいま会報についてお話ししたのと同じく、この職員名簿というものもまた日常の業務の便宜のためにつくっておるものであります。したがって、ただいま申し上げたとおり、十年以上公職にいて、いなかったわけでありますから、これはあえて書く必要はないというふうに考えたわけであります。  それから、何年かごとに名簿が変わっておるという状況がございます。五十四年には、それぞれの所属の場所にほかの者は記載をした、こういうことであります。しかしその中で、事実上業務に全く関係のない状況にある者を名簿に載せたままにしておく、こういうことにつきましてはいろいろ無用の誤解を招く、こういうこともございましたので、私の判断で落としたわけであります。
  218. 依田実

    ○依田委員 私は、これはほかのところに意味があるのではないか、こう思うのであります。五十四年十一月に名簿から落ちたということは、皆さんも記憶をたどって思い出していただくとよくわかるのでありますが、五十四年六月と七月に経営委員会が開かれました。この席で、いわゆる上田さんの身分について激論が闘わされたと言われておるのであります。この名簿が五十四年十一月に発行されておるということは、通常われわれの経験から言いますと、五十四年七月、八月の異動を待ってつくられるのでありますが、ということは、六月、七月に経営委員会で激論になった、これは困った、何とか世間の目からこれは消さなくちゃいかぬということで、五十四年十一月の名簿からは消えたのではないかと私は見ておるのでありますが、私の推測は違いますか。
  219. 武富明

    ○武富参考人 それは全く違っております。
  220. 依田実

    ○依田委員 そして五十四年十二月、すでにNHKの職員の名簿から落ちておる、その後で上田さんはNHKを一応退職、こういう形を整えた。しかし、NHKのさっき言った、まあ官報じゃありません、会報というのは、NHKの全職員に周知するものであります。ところがその会報に載らない。つまりいまでもNHKの職員の中では、上田さんというのはいまどういう身分になっているのだろう、こういう疑惑がある。周知徹底をしてもらわないと困るのであります。そういう意味で、まあ仕方がない、周知徹底の仕方が悪かったのかもしれませんから、協会の職員の中にそういう疑惑があるのだから、そしてまた、この会報というのは周知をする道具なんだから、いまでも遅くありませんから、上田哲さんはNHKを退職されたということを周知してもらいたい。それで、会報でだめなら何か周知の方法を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  221. 武富明

    ○武富参考人 先ほどお話がございました、会報に載せることによってそれが確認をされる、こういうことではなくて、われわれとしては、辞令書を渡すこと、これが確認の方法だ、こういうふうに思っております。  それから、周知ということでございますが、これはいま先生はそうおっしゃいますけれども、上田議員が現在なお協会の職員であるというふうなことを考えている職員は、私はちょっと考えられない。それはすでに退職をなすったときに、いろいろな形でもってみんなに周知をされております。ですから改めてやる必要はないのじゃないか、こういうふうに私は考えます。
  222. 依田実

    ○依田委員 しからばお尋ねをいたしますが、上田哲さんはたしか昭和二十九年入局だと思います。そして五十四年十二月に退職でございますけれども、四十三年から休職、こういうことでございます。退職なさるについては退職金をいただかれておると思うのでありますが、その額と算定基準はどうなっておるのでございましょうか。
  223. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  確かに退職をいたしましたので退職金は払っております。額は、これは個人的な問題なので具体的なことはなるべく申し上げたくないのですけれども、約七百万円を支払っております。これの算定というのは、一般の職員と同様に就業規則に定めました算定方式によって定めたものであります。
  224. 依田実

    ○依田委員 大体その額ならいいんじゃないか、こう思っております。  次にもう一つ、局内でいろいろ取りざたされております大事についてお話を伺いたいと思うのであります。大変個人的なことですから名前は記号で申し上げますが、これはNHKの人事部を通して先般申し上げてありますから、それでひとつお答えをいただきたい。  五十五年十月十二日、会報二五五二号人事の欄に、五十五年十月三日退職、依願、I・Sという方がいらっしゃいます。東京営業局の庶務部付という役職であります。部付というのはNHKの中の管理職の一つのホストでございます。この人はいつ管理職になられましたでしょうか。
  225. 武富明

    ○武富参考人 退職に当たりまして管理職に任用いたしております。
  226. 依田実

    ○依田委員 HNKにいわゆるポツダム退職というのがあるわけであります。これはつまり、長い間いろいろ御苦労された、学歴などの問題からいって管理職にはして差し上げられなかったけれども、最後の退職のときに管理職にして差し上げて慰労退職金を、まあ管理職のポストに上がるわけですから、それだけ退職金がいただけるわけであります。これはまあどこの企業でもこの程度は人情としてやっていらっしゃるのじゃないか。聴視者はそれを聞いて怒るかもしれませんけれども、私はまあいいと思うのであります。しかしそれはNHKのために長く一生懸命苦労をされた人だろう、こう思うのであります。このI・Sという方、この方の日常の勤務状態はいかがでございましたでしょうか。
  227. 武富明

    ○武富参考人 おっしゃるとおり、退職時に管理職に任用するに当たりましては、その勤続年数とか退職時の年齢とか、あるいは在職中の業績というものを勘案して与えております。われわれとしては、この在職中の業績を認めまして、そうして管理職に任用いたしたわけであります。
  228. 依田実

    ○依田委員 ところがこの方は、周辺に非常にいろいろうわさといいますか、ルーズなところがある人であります。仲人は上田哲さんがやられております。三年ばかり日放労の専従として中央委員をやられた経歴があります。しかし日常の勤務状態については非常に問題がある。最後は金銭的にも大変ルーズでありまして、毎月月末になりますとあらゆる銀行から催促の電話がかかってくる。第一銀行、三井銀行、東京相互、平和相互、ときわ相互、日本信販、北陸銀行そのほか、そのたびに御本人はいない、残られた周りの方が電話を受けて応対をされておるのであります。こういう事実は御存じでしょうか。
  229. 武富明

    ○武富参考人 それは、これを任用するかどうかのときに現場の意見もいろいろ聞きまして、そういうことを全部ひっくるめまして任用したわけであります。
  230. 依田実

    ○依田委員 では知っておった、こういうことでございますね。  それと、またこの方は、最後の東京営業局に来られる前はいわゆるNHKのスタジオ見学を扱う部署におられた。ところがそういう性格の方ですから、見学に来る御婦人方からいろいろお金を借りたりしておるが返さない。御婦人がNHKの職員だと思って貸したところが返さない。憤慨して人事部へ電話をされておるのであります。人事部ではその上司の部長を呼んで、困ることだと言ってやられておる。つまり人事部はそれだけこの方のことをよく知っておるのです。そういう人をなおかついわゆるポツダム退職といいますか、そういうことにしていいのでしょうか、どうでしょう。
  231. 武富明

    ○武富参考人 そういううわさは聞いておりますけれども、事実関係は私どもは把握をいたしておりません。  それから、当然のことながらいま申し上げたように勤続年数、退職時あるいはその在職中の業績というものだけを判断いたしておりますので、その他の条件、たとえばさっき申されましたどなたかが仲人されたとかなんとかということ、これらは一切関係はございません。
  232. 依田実

    ○依田委員 そのくらいにさせていただいて、次のケースに移らしていただきます。  今度はI・K君という方であります。これは週刊誌にも取り上げられましたけれども、あえて名前は申し上げません。要するに去年六月の衆議院選挙のとき、池上署で法定外文書を配布した件によって選挙違反として逮捕されておるのであります。六月に地方検察庁へ送検になっております。この人に対してNHKはどういう処分をされましたか。
  233. 武富明

    ○武富参考人 これは先生のおっしゃるとおり略式命令で罰金五万円を言い渡されております。もちろんわれわれ業務外のこととはいえ、協会のこれからの使命というものに非常に大きな影響がある、こういうふうに考えましたので、責任審査を開きまして処分をいたしております。
  234. 依田実

    ○依田委員 処分の結果は譴責だと聞いておるのです。譴責というのは、NHKの懲罰規程からいいますと下から二番目の非常に軽いものであります。軽いというとおかしいのでありますが、いずれにしても実害がない。将来の昇進に本来なら響くかもしれませんけれども、まあ組合のため、選挙のため活動したということでこれはどういうふうになるかわかりませんけれども、いずれにしてもそういう軽い処分を受けておるのです。  私はこの方個人には非常に同情を禁じ得ない。ということは、私自身がみじめな経験があるからです。私がまだ組合員であったとき、上田哲さんが参議院の第一回の選挙をやった。私は社会主義なんというものは信用してなかった。ところが、いまでも思い出します、東武鉄道の沿線の足立区の団地へ半強制的に連れていかれた。そうして法定外ビラを団地の中へ配らされたのです。同じケースであります。御本人はふんまんやる方ないと私は思っておるのであります。いやあるいはまた、しんから信じてやったのかもしれませんけれども、私はこの個人の方については非常に同情を禁じ得ないのであります。しかしながらこの処分については、特にNHKという公共機関であります。言論の不偏不党をうたっておるNHKであります。それがこういう事件にかかわったのでありますから、処分は厳正であってしかるべきだろう、こう思うのであります。  私がどうしてNHKの中で軽いかと言いますと、ほかの事象に比べて非常に軽い。と申しますのは、皆さん方も思い出していただけるかもしれませんけれども、これも余りいい事件じゃなかったのでありますが、NHKでデート・クラブ事件というのがございました。デート・クラブが挙げられて、その中にNHKの職員の名前が出ておった。このときの処分がどういうふうに行われておるかといいますと、関係した管理職二人、これは形は依願退職でありますけれども、いずれにしてもやめざるを得ない境遇に置かれたのであります。これは書類送検をされて、そして実際はやめさせられておる。そしてまた、ただそれに同席をした、つまり自分は女の子と遊んだわけではありませんけれども、おまえおもしろいことがあるから来いとその管理職に連れられてついていって、喫茶店で話しておった。ですから警察に参考人として呼ばれました。この人は参考人として呼ばれたわけだ。しかるにもかかわらず、これは減給処分を食っておるのであります。こういうようなことを考えてみますと、少しこれはアンバランスじゃないだろうかと思いますけれども、いかがでございましょう。
  235. 武富明

    ○武富参考人 まことにお恥ずかしいことでありますけれども、いま依田先生がおっしゃったことはこれまた双方とも事実でありまして、そういうことで確かにあっせんの幇助という嫌疑をかけられて書類送検をされ、そして起訴猶予になったという一例がございます。その二つの例をいま依田議員が引いて、これは軽過ぎるのではないかという御発言があったわけであります。私ども双方とも責任審査委員会を開きまして、その情状とかその他のことを十分に論議をして、そしていま先生がおっしゃったように片一方は減俸、片一方は譴責、こういう処分をとったわけであります。  いまの公職選挙法に問われた件でありますけれども一つにはまだ一般職の身分であるということ、これから将来がある身分であるということ、それから本人が非常に深く反省をしていたこと、それから同時に、日常の服務態度というものが非常によかった、こういうことであります。それと比べて片一方の方は重いじゃないかという話でありますけれども、片一方はあっせん幇助の疑いとはいえ、何分にも部長級であります。下に何人かの部下を持って指導監督に当たらなければならぬ者であります。その辺と、さらに嫌疑をかけられましたことが実に破廉恥罪に属するような、そういったことであります。そこらを認定をいたしまして、事の影響というものを考えましてそのような処分をいたしたわけであります。
  236. 依田実

    ○依田委員 三つ目のケースであります。よくNHKの中では、組合に関係すると出世が早いのじゃないか、こういうことを言われておる。私はそんなことはないと思っておるのです。これは単なるうわさだろうと思っておるのでありますが、ある人からこの人を調べてくれと言われました。日放労の大事な役員の御夫人でK・Sさんという方がいらっしゃいます。この方は、昭和四十三年一月に立川営業所へ長期臨時でお入りになっておる。いわゆるアルバイトであります。四十四年の十月、正規の職員に採用されておる。五十年四月にいわゆる職員の二番目のランクでありますB級、五十四年にいわゆる職員のトップでありますC級、これに昇進をいたしました。四十四年の十月から九年半であります一女性であります。そしてその間、臨時専従として一年間に何日間か組合の仕事をしておるわけであります。つまり九年ちょっとでC級に昇進したのでありますが、この事実は正しいでしょうか。
  237. 武富明

    ○武富参考人 そのとおりであります。
  238. 依田実

    ○依田委員 これはNHKの昇進度合いからくると異常なんであります。と申しますのは、大学卒、いわゆるマル優といいますか、幹抜でいまC級になるのは約十年であります。普通は十一年から十二年。私自身のことを申し上げて恥ずかしい次第でありますが、私は旧制大学を出たにもかかわらず十二年かかりました。そういうことを別にいたしましても、九年半、ましてその間組合へ何日間か出ておるのです。五十一年四日、五十二年十二日、五十三年十日、五十四年十九日、五十五年については八十八日も臨時専従として働いておるのです。この御婦人はなかなかいい方だと言われております。しかしながら、それにしても異常な昇進だと思いますけれども、いかがでございましょう。
  239. 武富明

    ○武富参考人 いま依田先生がおっしゃいましたように、本人は職員採用後十年でC級に昇進しております。大学で十年というのは決して遅い方ではございません。もちろん九年くらいでもってなる者もございます。しかし、これは十年でなっております。そして、いまこれは異常なことであるとおっしゃいましたけれども、このときの女性の十年で上がった者は三割ございます。
  240. 依田実

    ○依田委員 私は幾つか例を挙げましたけれども、これは要するに個人の皆さん方のことをとやかく言っておるのじゃないのです。この方々も一種の被害者だと私は思っておるのであります。組織の中で生きていくために、いやだと思いながらやるべきことはいろいろやらなくてはならぬということだと思うのであります。しかし、そういう疑惑が職員の間にあるということが問題ではないか。そして一万六千人のNHKの職員の皆さん方は一生懸命いまいい番組をつくっておる。最近は、私はNHKの番組を見ておりますけれども、非常によくなっておるのです。しかしながら、そういうことが周りでうわさされますと職員の士気に関係があるのじゃないかというふうに思うから、私はいろいろ申し上げておるわけでありまして、ぜひ経営陣の皆さん方が、NHKの職場の中でそういうようなうわさの立たないような、そういうために御努力をしていただきたいと思うのであります。  最後に、職制の中で選挙のために金集め、こういうふうに言われておりますけれども、私はこの問題についてはきょうは深く当たりません。しかし私がざっと調べたところでも、五十五年六月、去年の選挙は期間が短かったからなかったと言われております。しかし、五十四年十月の選挙には確かにあった。これは口頭で回るわけでありますから文書が残っておるということはありません。しかしながら職場によってなかったところもあるのです。報道局みたいに意識の高いところは、集めるといろいろ文句が後から出てくるかもしれない、こういうことで集められていない。いろいろな部署によってあるいは人脈によって集められておることだけは事実でありまして、これも私が経験しておる。  参議院の選挙のときであります。当時はわれわれ一回千円。一選挙大体二千円くらい。当時は一万二、三千人が職員でありますから、一回につき一千二百万くらい、二回集めれば二千四百万くらい、このくらい集められたのであります。私たちはこのとき飲み屋さんへ行って愚痴りました。私はこう愚痴ったのであります。NHKの職員の中にも子供さんが学校へ行って学費負担のある人もいるんだ、奥さんが病気の人もあるんだ、そういう人から半強制的にお金を取り上げて一人の人の立身出世のためにやることがいいのかどうか、そういうふうにわれわれは言ったのです。  当時、この間亡くなられました荒畑寒村先生に私はお会いした。先生はこう言ったのです。社会主義者の第一歩は隣の人への愛情からだ、しかしいまの社会主義者にはそういういいところがなくなっておる、こういうことを言われたのです。私はいまでもその言葉を思い出します。組合の、そしてまたいろいろな人からお金を取り上げる、そしていろいろ書かれておりますけれども、片一方では三億円の豪邸、これでは私は納得がいかない、NHKの皆さんも納得がいかない、こう思うのであります。  きょうのNHK経営陣の皆さんは私の大先輩であります。私が手とり足とり番組を教えていただいた大先輩であります。私がまだ大学を出て入ったばかり、右も左もわからない中で社会正義というものはこういうものだということを皆さん方に手とり足とって教えていただいていわゆる硬派番組をつくりました。皆さん方は本当にそういう意味ではNHKの今日の隆盛の基礎を築かれた方であります。あしたはNHK放送記念日であります。会長、あしたきっと職員の前でごあいさつをされると思うのであります。真に不偏不党、つまりそれは自由民主党に偏るとかそういうことじゃない、真の不偏不党ということで、そしてまた職員の皆さんの中にやる気を起こさせるようないいごあいさつをしていただきたいと思いますけれども会長の御決意はいかがでしょうか。
  241. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いろいろと率直に御指摘いただいて感謝しております。私も、先生のおっしゃるように国民の負託にこたえる、そして不偏不党、放送の自由を守るということが私に与えられた任務であるという認識は持っておるつもりでございます。一生懸命やりたいと思います。よろしくお願いします。
  242. 依田実

    ○依田委員 終わります。
  243. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終わりました。     ―――――――――――――
  244. 佐藤守良

    佐藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件に対して、本日、日本民間放送連盟事務局長泉長人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  246. 佐藤守良

  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHKの皆さんにはお疲れのところ御苦労さんでございます。民放連の衆参考人には大変お忙しい中を御無理を申し上げましてありがとうございました。  最近の新聞やテレビでは校内暴力であるとかあるいは家庭内暴力、こういった問題が大きく取り扱われているわけでございます。このような事態をどのようにして解決をしていくのか、学校の先生方はもちろんのこと、すべての父母の皆さんが一生懸命取り組んでおりますが、その中でテレビ放送一体何ができるのか、また今日まで何を子供たちに与えてきたのか、真剣に考えるべき時期が来ておるというふうに私は思うわけでございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕 そこで、今日、テレビは子供たちの心身ともに健やかな発達のために一体何ができるのか、この点にしぼって質問を申し上げたいと思います。  私は三年前にも当委員会で、日曜も祭日もないテレビを子供が視聴する時間は学校の授業時間よりも多いことを申し上げました。昨年十月のNHKの国民生活時間調査は、この状態が依然として続いている、「テレビに子守りをさせないで」と岩佐京子さんが著書を出されて警鐘乱打をしておられるのですけれども、テレビの前の子供のくぎづけ状態、これは依然として衰えていないということをNHK調査結果は示していると思うわけでございます。私はこの現状を踏まえて、テレビが人間形成に果たす役割りの大きさを重視をして、未来に生きる子供たちにもっと人間のやさしさやいたわり、友情や愛情、苦しみや悲しみについてその真の意味を教えることが可能であるテレビを積極的に生かしていくことが非常に大切だというふうに思うわけでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、放送事業者としては子供向け放送を行います場合の基本を何に求めておられるのでしょうか、放送基準の中で児童向け番組の基準を定めているわけでございますが、この基準は何をもとにしてつくられたのでしょうか、NHKと民放連の両方からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  248. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  私どもは国連の児童権利宣言あるいは児童憲章といったようなものをもとにしながら、国内番組基準の中に児童向け番組という項を設けまして、その中で四つの項目を立てまして、一応の番組の基準というふうにしております。第一項目は「児童に与える影響を考慮し、豊かな情操と健全な精神を養うようつとめる。」とかというふうなことで、四つになっております。これに沿って、昨今のように、いま先生御指摘のように、テレビが子供の文化の中で非常に重要な地位を占めておるのも事実でございますので、私どもはこういう観点が番組の制作の基本というふうに考えております。  また、現場の方でもこれを敷衍しながら、最近の子供さんたちがとかく自己中心的になりやすいとか、あるいは他人を思いやる気持ちがないとか、あるいは豊かな文化環境をつくるというようなことなども当然現場の制作担当者などは頭の中に入れながら、現在NHKの子供向きの番組をつくっているというのが実態でございます。
  249. 泉長人

    ○泉参考人 民間放送連盟でも放送基準の中で児童、青少年への配慮を決めておりますが、昭和五十年に特に一般的な基準の中から児童及び青少年への配慮というものを抜き出しまして、児童と青少年の人格形成に貢献して、よい習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるようにということで抜き出して、特別な配慮をしたのが昭和五十年でございます。自来、全体的な放送基準の中でも特に青少年に対する配慮をそのようにして実施しているところでございます。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、その基本は児童憲章であり、国連の児童権利宣言である、こういうふうに思っております。子供は人類の宝であり、民族の宝です、しかも、この宝は内面からも外からもみがくという営みがなければ値打ちが出てまいりません。子供たちが宝でなくなれば、民族と人類にとりましてそれは破滅の道でしがないわけでございます。だからこそ児童憲章が定められているのだというふうに思います。  このみがかなければならない宝物は判断力もまだ大変不十分です。そうすると、幼児や児童向けの番組というのは当然大人対象のものとは区別して、配慮を尽くして放映しなければならないと思うのですが、NHKと民放はそれぞれどのような配慮をしていらっしゃるでしょうか。
  251. 田中武志

    田中参考人 私どもは先ほども申し上げましたように、国内番組基準にのっとりましてやっておりますと同時に、先ほど先生の御指摘のように、一日の子供たちのテレビの視聴時間というものは、調査によりますと、小学生が二時間三十二分、中学生が二時間十二分というびっくりするような数字も出ております。したがいまして、私どもは子供とテレビの問題につきまして、内部的にもあるいは調査の結果をもとにしながらもいろいろ考えております。特にテレビが子供の文化の中心だという最近の事実につきましては十分な認識を持っておりまして、ひとつ子供たちに対しては豊かな情操、健全な精神というようなことで、特にこういった中身を盛り込みながら番組を制作しているということでございます。
  252. 泉長人

    ○泉参考人 放送における児童への配慮はNHKさんのおっしゃったのと同じでございますが、特に私ども民間放送というのはコマーシャル放送をやっております。そういう意味で、判断力のない特に幼児、それから児童、そういう者に対しては、コマーシャルにおいても十分具体的な配慮を加えるようにいま作業をしているところでございます。
  253. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私はここに学用品のキャラクター商品を少しだけ持っておりますが、これはゼンダマンづきの筆箱です。それから、ウルトラマンであるとか怪獣であるとか、そういうものがついている定規です。そのほかにも、町にはこういったものがあふれているわけです。私も先日百貨店の学用品売り場をのぞいてみましたが、こういったキャラクター商品でないものを探すのが困難だというふうな状態でございました。しかも、このキャラクター商品といいますものは高いわけですね。この新学期や入学期を控えて、父母負担を考えますと、私はこれは大変だなあと大変心配になるわけでございます。  昭和五十一年に発行いたしました「子ども・教育とテレビ黒書」というのがございますが、「鉄腕アトム」が子供の人気をさらったころの状態がこう書かれております。「アトム時計で目が覚め、アトム歯ブラシで歯をみがき、アトム洗面器で顔を洗い、アトムタオルで顔を拭き、アトムはし、アトム茶碗、アトム皿、アトムコップで朝食をとり、アトムバッグに、アトム弁当箱を入れ、アトムノート、アトムエンピツ、アトム消しゴム、したじき、を入れ、アトムグツをはいて、アトム帽子をかぶり、アトムハンカチを持って学校にいく。家にもどれば、アトムガム、アトムチョコをおやつに、アトムおもちゃで遊び、お母さんとアトム銀行に行き、夕食後、アトムを見て、アトム毛布をかけて、アトムベッドにねる――といた有様はけっして誇張ではなかった」というふうに書いてございます。このアトムは、明治製菓だけでなくて、その図柄を約五十社、大小八百余りのキャラクター商品に使われまして、何しろこのアトムがついているだけで売れたわけでございます。  現在はどうなっているかといいますと、これがもっともっと多様化しているわけです。たとえばララベルであるとか、キャンディ・キャンディであるとか、ドラえもん、ヤットデタマン、怪物くん、戦艦ヤマトなどなど、キャラクター商品というのは子供たちの生活を取り込みまして、テレビの主人公から離れた子供の生活はないと断言をしても言い過ぎではないというふうに私は思います。  ここで大ぶろしきを広げさせていただきますが、いま申しましたようなものは一部ですけれども、まだまだいっぱいある。こういうような水筒であるとか、ハンカチであるとか、コップであるとか、消しゴムであるとか、こういった化粧箱であるとか、おはしから何でもあるわけです。画用紙などもわざわざこういったものをつけて高く売られているというふうな状態になっているわけです。時間がありませんので、見たい方は後で展示会でも開きますから、どうぞごらんいただいても結構です。  そこで、民放連にお尋ねをいたしますが、私どもが調べましたところによりますと、放映された番組の主人公や登場人物などが商品化されているというものはすべて子供の番組に関するものだという状態なんですね。これは一体どういう理由によるものでしょうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  254. 泉長人

    ○泉参考人 民放の子供番組とキャラクター商品の結びつきというのは、私も簡単にはお答えできないなかなか複雑な関係があるようでございます。必ずこういう番組の主人公をつくっている方々が著作権を持っていらっしゃって、そういう者がテレビだけではなくて、おもちゃなどの権利、著作権に属するものでございましょうか、そういうものを持っていらっしゃるために、やはりテレビのアニメなんかに使った主人公をおもちゃの方にも権利を使って利用させているというケースは非常に普遍的に行われていると思います。
  255. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この番組のヒーローはこのように商品になっているわけです。  私はここに、子供たちが消しゴムと呼ぶおもちゃを持ってまいりました。これは学習に使う消しゴムではないわけです。テレビ番組に登場するヒーローとか怪獣とか、これを型にはめまして固いゴムでつくられているわけです。これは文房具屋の店先であるとかスーパーの入り口とか、子供の背の高さに合った自動販売機によりまして、子供の行くところどころにでもそれが目に入ってくる。百円玉を入れますと、こういうプラスチックの玉がぽろんと出てくるのですね。こういった中にウルトラマンや怪獣が入っているわけです。いま持ってまいりましたこれは一人の子供が買いためたもので、二百七十一個ございます。合計金額にいたしますと約九千円分なんですね。子供の好奇心とか収集本能を最大限に利用していることはこれで明らかだというふうに思うわけです。  それからまた、ここに上等なのを持ってまいりましたが、これはお孫さんにねだられて買った方もあるのではないかと思うのですけれども、キャラクター玩具で、これを「ボルテスV」と言うそうですが、五体で合体になっているのですね。ここのところを押して抜きますと、これはジェット機として遊べるわけですね。これが第一号で、差しますとこれがロボットのような、怪獣のようなこれの頭になる。下のこれは戦車なんですね。これが靴になっているという状態で、合体で、一つ買いますと千五百円か二千円ですが、これを合わせますと、この「ボルテスV」は九千八百円。子供はこの超合金というところに大変魅力を持っている。こういったものがたくさん出回っているわけです。  大臣にお尋ねいたしますが、この高いおもちゃで子供たちは一体どのくらいの期間遊んでくれるというふうに思われるでしょうか。
  256. 山内一郎

    山内国務大臣 なかなかお答えしにくい問題でございますが、私も孫がおりますけれども、買ってしばらくすると飽きて、何かほっぽり出しているようでございます。
  257. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 おっしゃるとおりでございまして、この高価なおもちゃが半年あるいはせいぜい一年足らずでもうすたれてしまって、はやらなくなるわけですね。いま一番はやっておりますのはこれなんです。これがテレビで映されるわけですね。  「機動戦士ガンダム」と言います。  昔は、幼いころ遊びました母親がつくってくれた人形をお嫁に行くときにも持っていったというものでございました。それほど幼児のおもちゃといいますものは思い出も深く、人間の心を養うのに大変大切なものです。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 子供たちは、大切であるはずのおもちゃをたった半年ぐらいでぽいと捨て、また別のものを欲しがるわけです。  子供をこんな気持ちにさせてしまうというのは一体なぜでしょうか。それはテレビの漫画など子供番組は大半半年で次のヒーローに交代するわけです。そして、この新しいヒーローを追ってまた新しいキャラクター商品が次から次へと出されてくるわけでございます。  そこで、こうしたキャラクター商品を一番効果的に売る方法をスポンサーは考えるわけです。キャラクター商品のCMを同じ番組の前後や中間に挿入をしまして、番組とCMを一体化してその相乗効果をねらう、いわゆるタイ・インという宣伝方法があるわけなんですね。  ここに、いま映されているテレビを写真でとってまいりました。これは「戦艦ヤマト」の番組の部分で映る。そうしますと、いま言いましたように中間であるとか前後にこのCMが映るわけです。どちらが本物なのか子供たちにわからない。こういった番組の中でこのキャラクター商品の宣伝をしている。全体がこういった商品の宣伝だということになるわけなんです。  これは「ヤットデタマン」、子供が一生懸命見ている番組なんですわ。それでそれのCMがこれになるわけです。ここに「黄金合身」と書いてある、この下の方は「大馬神」といって馬が宇宙からばあっと飛んできてこの「ヤットデタマン」と合体をするというふうなことがあるわけなんです。  これは番組がCMの役割りを果たしているというふうなものでございまして、一九八〇年の九月に「子どものテレビの会」、FCTの調査報告によりますと、このキャラクター玩具のCMというのは七十六本、つまり四六・一%、日本ではこれにタイ・インの手法が使われてCMは一回から三回挿入されているというふうに指摘をしております。また、三十団体から成ります「子どものためのテレビCM連絡会」、ここの調査では「江崎グリコのウルトラマン・シリーズは番組そのものが広告なので規制してほしい。子どもはCMと番組を混同しているらしい。」という会の意見が寄せられているわけです。アメリカではこういったタイ・インというやり方は番組とCMの区別をあいまいにして、年齢の低い視聴者を混乱させるおそれがあるとして、七五年以降禁止をされているわけですね。  先日の当委員会で衆参考人が、子供向けCMのガイドラインをいま作成中だとおっしゃったわけですけれども、私は、外国に比べて十年もおくれたけれども、幸いこのたびチャンスがある、だからこのチャンスを生かしてタイ・インというふうなやり方を禁止するんだということをガイドラインに明記をすべきだと思うわけです。こういった点をぜひとも民放連の中で自主的に作業をおやりいただくことを心から要望をいたすわけでございますが、いかがでございましょうか。
  258. 泉長人

    ○泉参考人 ただいまつくっておりますガイドラインの中では、いまおっしゃったように番組とCMを混同されないような、判断力の少ない子供に対して十分区別ができるような表現をするようにということをいま検討して、その条項の中に入れております。ただ、おっしゃるように、タイ・インを絶対に禁止するというところまではまだ議論が煮詰まっておりませんが、御意見も十分検討の中で反映させていきたいと思います。
  259. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひ、先ほども申しましたように、アメリカでできて日本でできないことはない、顔の色が白くても黒くても黄色くても、やはり子供の幸せを願う心は同じだという立場で禁止をお願いをしたいと思います。  それから、アニメ問題に関連をいたしましていま一つお願いをしたいわけですが、先日の委員会で、子供向け番組のCM時間が長いという同僚議員の御指摘に対して衆参考人は、アニメーションは制作費が非常に高いんだ、普通のドラマ番組の五割増しなんだ、これを回収しようとするとコマーシャルがふえることは無理がない、やむを得ないと御答弁になったわけでございますね。私はこれはどうも納得がいきません。もし泉さんの御説明どおりだとすれば、民間放送の場合はお金をかけたよい番組をつくればCMの時間がべらぼうに長くなるということになりますが、現実はそんなことにはなっていないわけですね。私は、子供番組のCM量が多いのは制作費が高いからということではないと思うのですね。しかし、きょうは私時間がありませんので、これに対するお答えは結構でございます。しかし、泉さんの答弁がいやいや正しいんだということで、おまえさん間違っているよとおっしゃるなら、そのことを説明する資料を後ほどで結構でございますから、ちょうだいをしたいと思います。資料の点だけ、出すとか出さないとか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  260. 泉長人

    ○泉参考人 資料を差し上げることにいたしたいと思います。
  261. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 民間放送といいますのは宣伝、広告、コマーシャルによって成り立っているのですから、私は決してCMのすべてを否定するというわけではございません。しかし、少なくとも子供番組だけはもうけの対象にすることは許されないというふうに思いますし、これは子供を持つすべてのお父さんお母さんたちの願いだというふうに思うわけです。  私は、ここにテレビの会が昨年の十一月に東京四局について調査をされました資料を持っております。これによりますと、午後五時台のCMは、4チャンネルは二一%、6チャンネルは二一・八%、8チャンネルは二〇%、10チャンネルは二一・六%と、いずれも二〇%を超えているわけなんですね。この時間は子供向けのものが多い時間帯であり、特に両親共働きのかぎっ子が熱心に見ているという時間でございます。しかも、働く父母たちは子供がどのようなものを見ているのか全然関知できないという状態の中で子供が見ているということなんです。民放連として子供向け番組のCMの量を減らすという方向で検討をするということはできないでしょうか。こういったこともガイドラインに明記するなど、ぜひ自主的に御検討をいただきたいと思います。
  262. 泉長人

    ○泉参考人 前回武部先生の御質問にもお答え申し上げましたように、民間放送は週間一八%という自己規制をしております。その一八%というのは週間のコマーシャル量でございますから、時間帯によっては多いところ、少ないところが出てくるのはやむを得ないことでございます。これは各社の番組の編成権に属する問題で、民放連がどこに入れろとかどこに入れるなということは申せませんが、先ほど申しましたように、昭和五十年に青少年に対する配慮を特に厳しくしようではないかという申し合わせをいたしましたときに、質、量ともに十分配慮するという申し合わせをしております。それに沿って各社は視聴者の声にこたえて努力をしてほしいということは申せますが、この時間を減らせとかこの時間をどうしろということはなかなかむずかしい問題でもあろうかと思います一  CMの量を若干減らしたからよくなるのかと申しますと、私は――現在民放連でやっておりますのは、CMの質を高めることによってそういう面をもっとカバーしていくべきではないかということで、質の問題をいま重点的にやっておりますが、質をよくすれば量は多くてもいいのだということではございません。いま言ったのは、量は各社の自主規制にお願いいたしますが、質の問題につきましては、先ほど申しましたようなガイドラインでさらに向上を図っていくということをいま考えているわけでございます。
  263. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほどのFCTの調査でも明らかでございますように、民放の中で申し合わせ基準などはつくっているがなかなか実際に守られていないという状況ですので、ぜひお互いに主体性を持ち、自覚を持ってやっていただく御討議をお願いしたいと思う次第でございます。  さらに、こうしたCMの量だけではなくて、子供番組の内容そのものにも重大な問題があるというふうに思います。「子どものテレビの会」というのがモニター調査に基づいて今度このような本を出されたわけです。ここにも明記してございますが、夕方五時台から七時台の子供番組を幾つか見るだけでありとあらゆる暴力の種類を目撃することができるとして、この子供番組にあふれる暴力の実態を指摘をしておられます。  その内容を申し上げますと、殴る、ける、突き飛ばすなど武器を使わないもの、ナイフで刺す、ピストル、機関銃で撃つなど武器を使うもの、戦闘機で爆撃する、原爆を思わせる宇宙エネルギーで一挙に兵器で破壊するもの、その他毒液で人間を溶かす、拷問するというものや脅迫など言葉によるものから、火山が爆発し、溶岩が流れ、暴風雨が起こるなどの自然現象によるものまで、などというふうに列記してあるわけなんですね。  私も見ておりますと、まことにグロテスクきわまる怪獣が耳をつんざくような効果昔のもとに高層ビルを踏みつぶす、平和な町が一瞬に破壊される。このビルをつくるのに営々と働いてきた人は一体どうなったのか。町には喜怒哀楽を持って人間が生活しているということなどは全く度外視をしているわけです。また、宇宙兵器だとか科学兵器などとこれを画面で駆使しているのですけれども、これは科学を装いながらきわめて非科学的なものだと私は思います。  なぜ子供のテレビに暴力物とか戦争物がこれほど多いのか。アニメ製作会社で十五年というベテランの製作者は、七九年七月のFCTのオープンフォーラムで次のように述べておられます。「製作する番組が商品として成り立つかどうかということは、すなわち、視聴率をあげられるかどうかなので、それは極言すれば、暴力をどう見せるかということにつながります。」中略いたしまして最後に、「ともかく、商売になる番組を作るために、どうしても尋常なやり方ではやっていけない。ですから、最初は腕一本切っていたのが、四クールおよそ五十本で大体一年分ですが、それだけやるうちにどんどん暴力がエスカレートするのは仕方のないことなんです」こう言っておられるわけです。  これは子供番組が営利の対象になっているということ、それから暴力の場面の多用につながっている、こういう告白がなされていると思います。  私は、テレビが子供たちの健やかな発達、豊かな成長に寄与できると思いますし、もっと積極的な番組づくりをすべきだと思うわけです。  そこで、時間がありませんので、二、三まとめて提案をさせていただきたいと思います。最後にこのお答えをいただきたいと思います。  その一つですけれども、民放連としてよい子供番組をつくることをもっと激励し推進をしていただきたいわけでございます。現在、調べてみますと、放送番組について民放連盟賞など数種の表彰制度があるわけです。ところがこのうち、子供番組に関するものは、文化庁と厚生省でやられているものたった二種類なんですね。連盟自身が子供たちによい文化、よい関係を与えていくという立場に立たれるならば、こうした子供番組の表彰制度もつくって現場の製作者も励ましていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。  それから次に、NHKにお尋ねをしたいと思います。子供向け番組は民放だけがやっているわけではありませんし、NHKもやっているわけです。現に動物の生態や自然現象を描くドキュメンタリーとか「ウルトラアイ」のように科学する楽しさを追求する番組あるいはクイズ番組、ニュース番組などと、良心的に教育的にという御努力をしておられることは私はよくわかると思います。  そこで、さらにNHKに要望をしたいのは、子供向け娯楽番組について御検討をいただきたいということです。娯楽物はもう民放に任せるということではなくて、この五十六年度予算の中でNHKも子供向けの娯楽番組でよいものをつくるように努力をいただきたい。夕方の相撲の実況も確かにお年寄りのお楽しみになっております。同時に、先ほど述べたかぎっ子などの問題にどう取り組んでいくのか。「セサミストリート」ということなどもよく検討していただいて、ああいった時間帯に放映するものにうんと魅力あるものをつくっていただきたいと思うわけでございます。  それから最後の提案は、NHKと民放の両方でございますが、一年に一度ぐらいは子供番組のコンクールというふうなことを一緒にやって、よい番組をつくるためにNHKと民放がお互いに競争する、励まし合う、こういうふうなことを考えていただいたらどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお聞きしたいと思います。
  264. 泉長人

    ○泉参考人 子供番組の質の向上につきましては、お話ごもっともなことだと思います。また、民放連の中での表彰の対象に一般番組の表彰はございますが、子供番組を抜き出しての表彰はございません。先生のような御意見は大変いい御提案だと思いますから生かしたいと思いますが、やはり内輪ぼめの範囲でなく、いま見ますと、子供番組の表彰というものは先ほど先生がおっしゃったような二件くらいしかございません。子供番組に対する御注文をいただくだけじゃなくて、そういう方々も子供番組を表彰していただけるようなことももっといろいろ勧めていただきたいというふうな希望も持っております。  それから、子供番組と申しますが、いま先生が御指摘になったような番組はほとんど外注の番組でございます。私たちがいろいろ基準をつくっておりますけれども、それは私ども放送の内部にとどまっているわけでございますので、先ほど申しました子供のCMの留意事項と同様に、考査基準というものを外部に持たして、子供番組を外部でつくっているプロダクションや何かにもわれわれと同じような子供に愛情を持った考え方で番組をつくってもらうような教育も、気を長くやっていかなければならない問題だと思います。子供の番組をよくしようとおっしゃいますが、なかなか一朝一夕にはそうはなりませんが、しかし、その教育の問題を気を長く考えてたゆまずやれば徐々によくなっていくことだと思って、私ども作業を進めておるところでございます。
  265. 田中武志

    田中参考人 子供番組の向上につきましては、私ども、日常的な番組審議会あるいは母親の方とか教師の方も出ておられます視聴者会議とかいうところで、いろいろの御意見を反映させながら制作をしていきたいというふうに考えております。特に番組の編成につきましては、いま御指摘のように編成面で親子が一緒に楽しめるような番組、そういったものを幅広く考えながら、特に夕方あるいは早い夜にかけての編成については重点的に考えていきたいというふうに思っております。  なお、子供向け番組の賞につきましては、私ども大変貴重な御意見だと思いますので承っておきたいというふうに思います。
  266. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひそういった提案の御検討、両方でお願いし、よい意味の競争などもしながら、コンクールなどもお願いをしたいと思います。  時間が参りましたので、私は、在日米軍の受信料問題、これは四年か五年越しで毎年聞いておりましたのですが、次に回させていただきたいというふうに思います。ぜひ郵政省が外務省を通じて、自主的にNHKにきちんと受信料が入る、大臣が所信で述べておられるとおりにできるように御努力をお願いしたいことをお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  267. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終わりました。  これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  268. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  269. 佐藤守良

    佐藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  270. 佐藤守良

    佐藤委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、畑英次郎君外五名より附帯快諾を付すべしとの動機が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。畑英次郎君。
  271. 畑英次郎

    ○畑委員 私は、ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、 放送の不偏不党と表現の自由を確保すること。  一、 テレビジョン放送の難視聴対策を一層効率的に推進し、早期解消を図ること。  一、 協会は、厳しい経営環境を深く認識し、長期的展望に立つた経営の在り方について検討をさらに進めるとともに、経費の節減、収納の確保等に努め、今後の受信料の改定を極力抑制すること。  一、 国際放送の充実強化を図ること。  一、 協会は、視聴者理解と信頼を深めるため、視聴者の多様な意向の積極的な吸収反映に努めること。 以上のとおりでございます。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの六党共同提案に係るものでありまして、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますので、各項目については説明を省かせていただきます。  何とぞ御賛成をお願いする次第でございます。終わります。(拍手)
  272. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  273. 佐藤守良

    佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、山内郵政大臣及び坂本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。山内郵政大臣
  274. 山内一郎

    山内国務大臣 日本放送協会昭和五十六年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  275. 佐藤守良

  276. 坂本朝一

    ○坂本参考人 日本放送協会昭和五十六年度収支予算、事業計画、資金計画につきまして、ただいま全会一致をもって御承認いただきましてまことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  なお、この予算を執行するに当たりましては、郵政大臣意見書並びに御審議の過程でいろいろ御開陳いただきました御意見を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  277. 佐藤守良

    佐藤委員長 なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか、     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  279. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、郵便年金法及び簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  提案理由の説明を求めます。山内郵政大臣。     ―――――――――――――  郵便年金法及び簡易生命保険及び郵便年金の積   立金の運用に関する法律の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  280. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便年金法及び簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における高齢化社会の急速な到来等の諸情勢にかんがみまして、国民生活の安定及び福祉の増進に資するため、年金額逓増の仕組みの導入、年金の最高制限額の引き上げ、年金積立金の運用範囲の拡大等郵便年金に関する制限を改善するとともに、既存の郵便年金契約について特別措置を行おうとするものであります。  まず、郵便年金法の一部改正の内容について申し上げます。  第一は、年金額の逓増の仕組みの導入であります。  現行の郵便年金の年金額は定額制でありますが、今回、これを改正いたしまして、郵便年金約款の定めるところにより、年金額の逓増及び分配すべき剰余による年金額の増加ができるようにしようとするものであります。  第二は、年金の最高制限額の引き上げ等であります。  現在、年金の最高制限額は年金受取人一人につき年額二十四万円、最低制限額は年金契約一件につき年額三千円とされておりますが、最近における社会経済情勢の推移を考慮いたしまして、年金としての機能の充実を図るため、初年度の基本年金額の最高制限を七十二万円に引き上げるとともに、最低制限を十二万円に引き上げようとするものであります。  第三は、書面の交付制度であります。  これは、加入者に対するサービスの向上を図るため、年金契約の申し込みを受けた際に、年金契約の内容について記載した書面を申込者に交付しようとするものであります。  第四は、年金契約の申し込みの撤回制度であります。  これは、郵便年金に加入しようとする者の保護を図るため、年金契約の申し込みをした者は、一定の期間、その申し込みの撤回を行うことができるようにしようとするものであります。  次に、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部改正の内容について申し上げます。  これは、郵便年金の充実を図るため、郵便年金の積立金の運用範囲に外国政府等の発行する債券、信託業務を営む銀行または信託会社への金銭信託で元本補てんの契約があるもの及び銀行等への預金を加えようとするものであります。  最後に、特別措置の実施について申し上げます。  これは、郵便年金制度を改善するに当たり、既存の年金契約につきまして、加入者の利便及び事業運営の効率化を図るため、加入者の申し出により契約を消滅させ、年金の支払いにかえて特別一時金を支払う等の特別措置を行おうとするものであります。  以上のほか、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の改正により、郵便年金の積立金の運用範囲を拡大することに伴いまして、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律につきましても所要の改正を行うことといたしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。  以上、この法律案の提案理由及び主な内容につきまして御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  281. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る二十五日午前九時五十分理事会、十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会      ――――◇―――――