○田島
委員 変わってないつもりだそうですけれ
ども、私は大体そういう
考え方には反対なんですよ。すぐ何かというと税を
考える。ところが、税というものにはおのずから
一つの厳しい約束事があると思うのです。それは何かというと、反対給付という約束がある。税というのは、何でもかんでもそれだけ所得があるから税金を納めなさい、納めましょうというものじゃないんですよ。どんなに所得があろうと、納める必要のない税金なら納めなくたっていいし、取るべきでない。
じゃなくて、やはり
行政サービスというものを役所がやる。その
行政サービスの中で、そこに住む
住民が受ける恩恵がある。その恩恵を受けるためには、やはりその負担を
住民みずからが何らかの形で負担すべきであるという、そこに
地方自治の本旨もあるわけですけれ
ども、税金を納めるわけですね。ただおもしろくて、おれのところはこれだけの収入があるから、じゃ税金でも納めてやるかなと納めているのじゃないのですよ、どんなに所得がある人でも。そうじゃなくて、やはり税を納める以上は、この税がどう使われるか、そしてその使われ方の中でどうわれわれに返ってくるかということを、ちゃんと
考えながら税金を納めているわけです。
〔中山(利)
委員長代理退席、
委員長着席〕
だから、反対給付というものを約束しない税金というのは悪税ですよ。本来取るべき税金じゃない。昔の悪代官と同じだ。何でもかんでも取り立てる悪い代官さんと同じで、そういう税の取り方だったら、これはもう問題にならぬと思うのですね。だから、財政が苦しいから税金で取ろうというのはそもそも間違い。財政が苦しくて税金を取るのじゃない。その財政の苦しい原因が何だというところにむしろ問題がある。
その財政の苦しさというのは、お金はないけれ
どもやらなければならぬ仕事がいっぱいある。そのやらなければならぬ仕事というのは、間違いなく
住民にとって幸せなことなんだ、きょうもさることながら、あした、あさって、将来において、そうやっておいてやることは間違いなく歓迎されるところなんだ。そういう仕事があるけれ
ども、金がないからできないという場合に初めて、できたら税金という名で負担をしてくれませんかというのが税金のあり方です。別にいまやらなければならぬ仕事はこういうものがあるというのじゃなくて、何とはなしに財政が苦しい、台所が苦しいから、
住民の皆さんよ、もう少し税金を払って台所のやりくりを楽にしてくれなんというのは、
行政の怠慢です。
だから、国税三税の伸びるのを一生懸命期待するのもどうかと思うけれ
ども、それ以上に、
地方税源を求めるという形で何かで税金を取ってやろう、何かの税金をふやしてやろうということは、私は賛成できない。その前にやらなければならぬことがあるはずだし、本当はそんな姿勢は
行政としては最も恥ずかしいことだと私は思うのですよ。そのことについての
議論をすると、細かいことでいろいろなものを引っ張り出してやらなければならぬけれ
ども……。
国の五十六年度予算案
審議の際に私はたびたび触れたことですけれ
ども、ちょっと横道にそれますが、たとえば
昭和五十四年度の国の決算に対する会計検査院の検査結果、約五千数百億円の不正不当、改善要望事項の対象がある。しかも、それはどのぐらいの検査対象に対して出てきたものかというと、
政府の重要機関と称するところの八%に対する検査結果が五千数百億円出てきているのです。それはたまたまちょうど一番ひどいところへぶつかった八%かどうかわかりませんけれ
ども、素人計算だって、じゃ一〇〇%やったらどうなる。五兆円ぐらい出てくる。五兆円出てきたら二兆円の国債依存度を減らすのなんか朝飯前、まだ三兆円残る。野党五党が一生懸命口角あわを飛ばして詰め寄った四千億や五千億の所得税の減税、そんなものも朝飯前。しかも一兆四千億の増税は一切やる必要なし。これは
地方団体と別ですけれ
ども、一例として私は挙げた。
国政の中にだって、そういう
部分がある。
地方行政の中には、それよりもっとひどいものがあったって、ないということは絶対ない。そんなことを言挙げすると、恨む人がいたって、私のことをほめてくれる者はおらぬけれ
ども、いまやまさに本当に、こんなことを言ったらだれかにどうだろうなどということを
考えたのでは、どんどんじり貧になってしまいますよ。いま、
一つの例として、国の五十四年度決算に対する会計検査の結果を挙げて、たたき出してみれば五兆円ぐらいの出さぬでも済む金があったはずだ。五兆円あれば二兆円の国債依存度を減らすこと、
政府が、大蔵が盛んに主張したこと、そんなものは簡単にできる、それから一兆四千億の増税は要らない、四、五千億の所得税の減税ももっとおまけをつけてやってやってもいいですよって、できるじゃないですか。同じようなことが
地方行政の中だって、
地方財政の中だってあるのですよ。だったら、税金なんかよけいに取るとか手数料をよけいに取るなんて、できた義理じゃないと思うのですけれ
どもどうですか。
こういうふうにあるという実態を見せなければ、ないと思いますからと言うかもしれないけれ
ども、国の方ははっきり出ているのですからね。たとえば人件費等については、まだ国家
公務員の方が
地方公務員に対する給与、手当等よりはきれいですよ、私ははっきり言うけれ
ども。もっと
地方公務員の方が遊びがあるというか余裕があるというか、いわゆる空出張、空超勤、それから何とやら手当かんとやら手当といってまことに数多い手当の中で、噴き出すような手当をもらっている事実だってある。とすれば、そういう事実に目を覆って、それで大変財源が足りないからといって税財源を一生懸命探すのですという答えはいささかさびし過ぎるというか、それじゃ満足できないのですが、どうでしょうかな。