運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-04-07 第94回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月七日(火曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 松本 幸男君 理事 大橋 敏雄君    理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       久間 章生君    塩谷 一夫君       地崎宇三郎君    松野 幸泰君       五十嵐広三君    細谷 治嘉君       石田幸四郎君    部谷 孝之君       岩佐 恵美君    三谷 秀治君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安孫子藤吉君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 小島 弘仲君         自治大臣官房審         議官      大嶋  孝君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      森下 忠幸君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 相馬  実君         文部省初等中等         教育局幼稚園教         育課長     内田 弘保君         文部省体育局学         校給食課長   奥田與志清君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課地域計画室         長       小林 康彦君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 横尾 和子君         運輸省港湾局環         境整備課長   高田 陸朗君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部地         方交通線対策室         長       金子 史生君         運輸省自動車局         整備部保安課長 神戸  勉君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         自治省財政局交         付税課長    能勢 邦之君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ————————————— 四月七日  理事小川省吾君同日理事辞任につき、その補欠  として松本幸男君が理事に当選した。     ————————————— 四月三日  指定自動車教習所公共性強化等に関する請願  (岩佐恵美紹介)(第二七一六号)  同(瀬崎博義紹介)(第二七一七号)  同(四ツ谷光子紹介)(第二七一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号)      ————◇—————
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事小川省吾君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長理事松本幸男君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 左藤恵

    左藤委員長 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  6. 小川省吾

    小川(省)委員 例年のとおり、地方財政をめぐって年末大蔵省自治省との折衝が行われたわけであります。結果としては、十二月二十日に渡辺大蔵大臣安孫子自治大臣との間に、六項目にわたっての覚書締結をされたわけでございます。覚書の表文書になっている六項目については結構なんでありますけれども覚書締結交渉に当たっての裏話といいますか、裏の折衝過程についてお伺いをいたしたいと思うのでございます。  伝えられるところによると、大蔵省は自治体の決算状況を見て、地方単独事業を犠牲にしてといいますか、すなわち単独事業を実施しないで給与費に金を回している、だから給与費増加の一途をたどっているのである、給与費の支出を見ると、三十万人に上るぐらいの職員地方財政計画上の職員より上回っているのではないかという指摘があったと言われております。そのような事実があったと思うのでありますが、いかがでございますか。さらに正確に言うとどういうことなのか、御説明を承りたいと存じます。
  7. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十六年度地方財政計画の策定に先立ちまして、国の予算編成と並行して地方財政収支見通し地方財政対策ということをいろいろ私ども議論するわけでございますが、大蔵省との間では、歳入歳出両面にわたっていろいろな論議が交わされたわけでございます。その過程で、いまお尋ねのございましたような決算計画との乖離という点から見ても、単独事業費給与費に回されているのではないかという疑問が提起されたことがございます。  これに対しまして、自治省といたしましては、地方財政計画というのはそもそも標準的な水準における歳入歳出見込み額を算定するものでございまして、地方公務員給与国並み水準所要職員数分のみを積算しているということも申し述べたわけでございます。また、標準的な歳入歳出を見込む計画はもともと実態と完全に一致するものではない、これも事実であろうかと思うのでございますが、そういった点。それから決算計画との乖離は、いわゆる継ぎ足し単独事業の取り扱いについての統計処理上の問題がある。継ぎ足し単独というものは、補助事業と一緒に計上されてるといった面もございます。  それから実態から見まして、五十年度以降では東京とか大阪といったような一部の団体において、個々の事情によります財政の窮迫ということから、単独事業量を極端に圧縮した事情決算に反映しておるということがございました。ほとんどの団体では単独事業をふやしてきておりますけれども、そういうことがございました。三千数百の地方団体について、適切な財源保障を果たす機能を持っております地方財政計画と、国のような単一の財政とを同じく見るわけにはいかないというようなこと等を申し述べまして、大蔵省側から提起されたような考え方は妥当でないということを主張したわけでございます。もちろん地方財政計画においては、予算のように経費間の流用といったような考えそのものが存在しないわけでございます。  こういった議論がいろいろとあったわけでございますが、最終的には生活関連施設整備等国民生活に直結する施策の計画的な推進を図る必要があることから、投資的経費のうちの地方単独分につきましては、前年度伸びを上回る八%の伸び確保するということになりました。その点については、両省間においても当然合意を見たところでございます。いろいろ経緯はございましたが、いまのような議論を通じまして両省間で合意を見て八%の伸び確保した、こういう次第でございます。
  8. 小川省吾

    小川(省)委員 説明はわかりました。それで、実際に単独事業費八%を計上したわけですから結構なんですが、給与費増加分を見て、三十万ぐらい地方職員計画を上回っているんではないかという指摘があったことは事実ですか。
  9. 土屋佳照

    土屋政府委員 職員数につきましては、いろいろと両省間でも詰めていくわけでございますが、いわゆる給与費の中の数字だけでは正確なものをあらわしておるわけではございませんで、要するに社会福祉関係措置費の中で見ておる、私どもが単金職員と言っておるものとか臨時職員なり事業費職員、そういったものを除けばそういう大きな数字も出てくるわけでございますけれども、そういうものはちゃんと事業費等で見ておるわけでございますから、そんな大きな開きがあるわけではございません。  したがって三十万の開きがあるということを、大蔵省との間で直接それが議論として詰められたわけではございません。全般としての職員数なりあるいは給与水準についての議論はいろいろございましたけれども、いまおっしゃったその点だけを特に取り上げて議論したわけではございません。
  10. 小川省吾

    小川(省)委員 いずれにしても、かなり職員数が上回っておるのではないかという指摘が、いまの御答弁を聞いておってもあったのではないかというふうに思っている。もしもそうであるとするならば、自治省大蔵省との間でそういうふうな理解といいますか、理解相違はあったようでございますけれども、話し合いがあったにしては規模是正人員が少な過ぎるというふうに思っているのですが、その点についてはいかがですか。
  11. 土屋佳照

    土屋政府委員 いろいろいま申し上げたような点で議論があったことは事実でございますが、いま申し上げたような一般給与費に入っておる職員以外の者がおることは大蔵省もわかっておるわけでございまして、その点について別に問題があったわけではございません。したがいまして、ここ何年かの間に実態に基づいてそれぞれ規模是正をやっておりまして、それほど大きな開きはないはずでございます。  給与費の問題については、一般ラス指数が高いとかいったこともございますが、財政計画においては国並み給与で組んでおるわけでございますから、そこらは了承した上で計画はできたわけでございます。
  12. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、今年度規模是正はやったけれども、実人員との間にはまだかなり相違があるのだということをお認めになりますか。
  13. 土屋佳照

    土屋政府委員 昨年、五十五年度かなり財政規模是正をいたしました。五十六年度はやっておりませんが、それほど大きな乖離はないとお互いに認識しております。
  14. 小川省吾

    小川(省)委員 おかしいと思うのですよ。かなり人員との開きがある、こういうふうに私は思っておるわけですが、それは後ほどまた論議をしたいと思っております。  そういう事実があったと思うのですが、そこで本年も一兆三百億という財源不足額が出てまいったわけであります。昨年度よりも少なかったというものの、一兆三百億円というのは巨額の財源不足だというふうに思っています。このような財源不足というのは、今後もずっと引き続いて出てくると思われるのか、どうなんですか。もしも、ずっと引き続いて出てくるとするならば、抜本的な対策が必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
  15. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございましたように、五十六年度最終的には一兆三百億円の財源不足が見込まれたわけでございます。今後これがどんなふうになっていくかということについては、現段階におきましては経済の動向もまだわかりませんし、非常に不明確な点が多うございますので、私どもとしては明確に申し上げるわけにはまいらないわけでございます。それと同時に、今後の財政運営におきましても、国の予算規模がどういう形になっていくのか、ここ最近は財政再建ということでかなり抑制的な基調に立ってきておりますが、必要な仕事というものはやらなければならないという点もございます。  そこらを勘案しながら、私どもとしては財政計画をつくり、財政対策を決めていくわけでございますけれども、私ども考えとしては、そう急激に好転するものとも思えませんし、それと同時にまた現在、五十五年度末で約二十九兆にも上る地方債累積普通会計債だけでございますけれども。それから交付税特別会計で七兆七千億の借入残が残る、こういう実態から見まして、こういう累積赤字返済していけるような財政構造に体質を改善していかなければならないということでございますので、なかなか容易な状況にはない。引き続いてやはり厳しい状況があると思っております。  そういった意味で、歳出面における改善合理化を進め、行政改革等を通じて節減を図りながら、なお引き続いて一般財源の充実に努めていかなければならぬ。そういった意味で、いろいろな面から検討を加えていかなければならないだろうというふうに考えております。
  16. 小川省吾

    小川(省)委員 一兆三百億円でありますけれども現行制度前提とした収支差額が一兆六千五百億円と見込まれて、五十六年度税制改正による増収見込み交付税へのはね返りを見て約三千六百五十億円、五十五年度補正予算においての国税三税に対応する地方交付税増加額の一部約二千五百五十億円を繰り越すことを予定をして、最終的に一兆三百億円と見込んだようでありますけれども、五十六年度繰り越しは、前回法律で審議をしたように三千七百五億円であったはずであります。  そうなってまいりますと、一応二千五百五十億円と五十六年度に繰り越すのを予定したところが、三千七百五億になったわけでありますから、私はこの差額というのがあるんだろうというふうに思っています。説明を承りますと、これは五十四年度過程で当然繰り越すべき額で、一兆六千五百億の中に見込んであるんだというふうなお話のようでございますけれども、私にはどうもすとんと落ちない。二千五百五十億と見込んでおったのが三千七百五億になったんだから、当然それだけふえたのではないか、地方がそれだけもうかったんではないかというような感じがするわけですけれども、ひとつ、すとんと落ちるような御説明をお願いしたいと思います。
  17. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十六年度地方財政収支見通しを行った段階では、あくまでもこれは現行制度前提としてやったわけでございます。その際、すでに五十四年度国税精算分に対応する地方交付税増加が千百六十億円あるということがわかっておったわけでございます。したがってその千百六十億円は、通常であれば五十六年度予算に計上されることになるわけでございますから、これは現行制度収支見込みを立てる際には、当然五十六年度歳入として計上する、こういう前提でございます。そこで、それを計算した上で一兆六千五百億円という財源不足が見込まれたわけでございます。  その一兆六千五百億円をもとにいたしまして、新年度税制改正に伴います地方税の七百五十億円と国税の三税の増加に伴います二千九百億円くらい、それがふえてくるということ、それから五十五年度補正によります国税三税の自然増収に伴う地方交付税増加額、これは二千九百九億くらい見込まれたわけでありますが、その中から御承知のように調整減額復活分が百二十億円と、特別交付税増額分として約二百四十億円をとるということにいたしましたから、それを差し引いた二千五百五十億円というものが五十五年度補正に伴う繰り越し分になるということでございますから、それを差し引いていけば一兆三百億になるわけでございます。  ただ、千百六十億円というのは、ただ黙って五十六年度に持ってこないで、一回国の補正予算に計上した上でこちらへ五十六年度送った、こういう形式をとったものですから、二千五百五十と千百六十を足した三千七百五というものが形の上では出てきたということで、だから、計算過程において私どもは、当然現行制度として入るという前提でやっておりましたから、そこは余り矛盾がないんだというふうに御理解を願えるんじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  18. 小川省吾

    小川(省)委員 まだよく理解はできませんが、この点についてはもう少し私も勉強してみたいと思っています。  そこで、この財源不足額をめぐっての補てん措置なんでありますけれども地方交付税増額で三千四百億円、建設地方債の増発で六千九百億円の補てんをいたしておるわけでございますけれども、従来までの経過を見てみますと、交付税増額地方債増額が大体フィフティー・フィフティーであります。なぜ、今回のように三対七というようなこんな形にしたのか。交付税五千億、地方債五千億でもよかったのではないかというふうに思っていますが、なぜ地方借り入れ、いわゆる地方債の方を増加させるような方法をとったのか、この点について伺いたいと思います。
  19. 土屋佳照

    土屋政府委員 御承知のように地方財政対策といたしましては、最終的に見込まれた財源不足額一兆三百億円につきまして、財源対策債縮減を図る一方で交付税所要額確保を図るということで、地方団体財政運営に支障がないような配慮をしたつもりでございます。  その結果は、いまお話のございましたように、財源不足対策の中での財源対策債割合が前年よりも高まっておるわけでございます。五十五年度は五〇%でございましたが、五十六年度は六七%ということで実際高まっておるわけでございます。しかし、私どもとしては、地方交付税の三千四百億円の増額措置によりまして、地方交付税総額は前年度に比べて七・九%の増、五十五年度が対前年比五%増でございましたから、それを超えて七・九%増の八兆七千百六十六億円が確保されました。歳出全体の伸び七%を上回る伸びということが確保できるということになったわけでございます。また、地方税伸びとあわせまして一般財源の比率は、五十五年度は五六・七%でございましたが、五十六年度は五八・九%というように高めることができるということがございます。  それからまた、財源対策債そのものは前年度に引き続いて縮減を図ることにいたしまして、三千四百億円の減額となったわけでございます。五十五年度の一兆三百億円から五十六年度は六千九百億円と大幅に減少をしておるわけでございます。その結果地方債依存度は、形の上では前年度の一〇・六%から九・六%へ低下するということになりました。さらに普通会計債に占めます財源対策債割合も、五十五年度が二三・三%でございましたが、五十六年度は一六・二%ということになりまして、全般的に見れば財政構造が健全な方向へ改善されたと考えておるわけでございます。  確かに、お示しのようになぜ五〇、五〇にしなかったか、もう少し交付税があった方がよかったのではないかといったような御指摘は、私ども、ごもっともと思うのでございますが、国、地方を通じての大変厳しい財政状況のもとでございますので、可能な限りいろいろと検討いたしました結果、こういう形にいたしましても健全化推進は図れる、その方へ一歩は踏み出せるといった判断のもとで、こういった措置をとった次第でございます。
  20. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの御説明を伺っても、なぜ五〇対五〇にしなかったのかという説明にはならぬと思うのです。今後このような場合に、五十五年度までのように、交付税地方債半々になるような形での措置をどうしても願いたい、こういうふうに思っておりますが、いかがですか。
  21. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもとしては、財源不足をどういう形で埋めるかという場合に、いまの状況では、たとえば交付税率引き上げ等はなかなか容易ではございませんでした。そこで交付税をできるだけ確保して、財源対策債はできるだけ縮減するという観点に立って検討したわけでございますが、いま申し上げたような事情がございまして、交付税総額確保するのもなかなか容易でない状況でございました。  そういった中で、できるだけ可能な範囲まで所要額確保するということとできるだけ財源対策債縮減するということで、この線が絶対的に説明できる一番理想的な線だという意味で申し上げておるわけではございませんが、いろいろな状況の中でずっと詰めていって、そこらが落ちつき場所であろう。そしてまた、それがいま申し上げましたような悪い方へ向いておるのではなくて、交付税総額もある程度伸び確保できたし、財源対策債かなり減らすことができたというようなことで、全般として一般財源割合も高められた、そういう判断で、これが一番よかったと私どもも思っておりませんけれども、可能な範囲内でやるところまでやったというつもりでございます。
  22. 小川省吾

    小川(省)委員 財政構造健全化方向に向かいつつあるということはわかるのでありますが、今後は、五十五年度以前のように交付税増額地方債増額とが半々になるようにぜひひとつ措置を願いたい、こういうことを要望いたしておきたいと思います。  それから、交付税の三千四百億の算定についてでありますけれども借入金償還方法変更することによって千九百十億円が増加をすると言っておるようでございます。確かに、借入金償還方法を十年から十五年に変更すれば、返済額が今年に限っては減ることは事実でございます。しかし、地方の借金の返済が先に延びるだけのものであると思うのであります。こういうまやかしの数字といいますか、持って回ったような数字をカウントに入れること自体、問題だと言わなければならないと思っております。今年こういう手法をとったということは、先へ行ってもし苦しくなった場合には、さらにまた十五年を二十年に、あるいは十五年を二十五年にする等して、つじつまを合わせるということも想定をされるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  そして、この償還方法変更についてでありますが、なぜ法律事項として出てこないのか、覚書による措置によったのか、この辺について伺いたいと思います。
  23. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 昭和五十六年度地方財政対策におきまして、昭和五十二年度、五十一年度及び五十年度における既往の交付税特別会計借入金償還期限変更をすることによりまして、そのうちの地方負担分千九百十億円を後年度に回すという方法で、交付税増額確保を図ったわけでございます。このうち、五十二年度分の借入金償還方法変更及びこれに伴って国が負担をすると  ころの臨時地方特例交付金変更につきましては、覚書で確認をいたしますと同時に必要な法律改正を行っておるわけでございます。  御案内のように昭和五十二年度におきましては、財源不足対策といたしまして単年度限りの措置ではございますが、法律によりまして二分の一に相当する額を国が負担するということで、後年度臨時地方特例交付金繰り入れをその際に規定したわけでございます。この特例交付金繰り入れは、御承知のように借入金返済とあわせて行われるものでございます。今回五十二年度分につきましては、過去に法律臨時地方特例交付金繰り入れを決めたものが、借り入れ方法変更によりましてこれも変更しなければならないわけでございますので、この点は法律に合わせて書いたわけでございます。  五十年度、五十一年度分につきましては、これは覚書により措置をしておるところでございますが、五十年度と五十一年度につきましては、御承知のように地方交付税法の六条の三の二項に言う引き続き著しく財源が不足する状態というものにまだ該当していなかった時期のものでございまして、したがいまして、この時期においては法律改正により臨時地方特例交付金繰り入れる、後年度繰り入れを行うということを規定していなかったわけでございます。覚書によって、借入金償還に伴う臨時地方特例交付金繰り入れを行う旨、両省間で取り決めていたことによるものでございます。  その借り入れ償還方法変更するわけでございますので、今回におきましても、従来の経緯からして五十、五十一年度にかかわりますものにつきましては、臨時地方特例交付金繰り入れにつきましては覚書措置をした、こういうことでございます。
  24. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの御説明を聞いても、何だか持って回ったような方向だと思うのですね。ですから、これはやはり何とかしなければならぬと思っております。  それから、五十五年末における交付税特別会計借入残高は約七兆七千億、財源対策債を含めた地方債の残高約二十九兆、締めて地方財政借入金合計残高は約三十七兆円という巨額に達しております。今後、この借り入れはどのように推移していくのか、ピークはどの辺になるのか、お尋ねをいたします。
  25. 津田正

    ○津田説明員 現在の地方債残高がピークに来ると申しますのは、今後におきまして地方債をどういうふうに出していくかということによりますわけでございますので、数字的にはなかなかむずかしいかと存じます。  それから、交付税特借入残高のピークでございますが、これは前の御質問でございましたいわゆる償還前のときでございますと、実は昭和六十年度にピークが参っておりました。しかし、そのときには特会の償還額が、六十年度年度で八千二百億程度ということでございます。償還条件の変更をやりまして、この六十年度のピークが実は五千億程度に減ってまいります。しかし、昭和六十五年度には九千七百億のピークが出てくる、こういうような状況でございます。
  26. 小川省吾

    小川(省)委員 いま言われるような状態でありますから、この辺で根本的な対策を講じないと地方財政は、いまでもまあそうなんですけれども、本当にはい上がることのできないようなどろ沼に入り込んでしまうのではないかというふうに懸念されるわけであります。そうだとするならば、国税が一兆四千億も増額に踏み切った本年ぐらいが、交付税率を引き上げるのには最もよろしい機会ではなかったのかというふうに思うわけでございます。  国税の増税と関連をして、地方交付税率を引き上げるという要求をやられたことはやられたのだと思いますけれども、もっと強く要求をして、国税増額をされる際にこそ交付税率を引き上げるべきであったというふうに思うのでありますけれども、大臣、この点はいかがですか。
  27. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 全般事情考えないで地方財政の面から申しますと、当然交付税率を引き上げるべきであるということは、これは主張すべき根拠であると思っております。その点についても、大蔵大臣とは二、三回にわたりまして、そのことを強く要請をいたしたところでございます。  ただ、国の財政当局といたしましては、このような困難な国家財政の中におきまして交付税率の引き上げというものはきわめて困難である、ほとんど不可能に近い、そういう主張でございましたが、私もその辺はある程度の理解を持っておりましたので、今後の問題といたしまして、本年度は暫定措置でいくということで決着をつけた次第でございます。
  28. 小川省吾

    小川(省)委員 強く主張をされたようでありますが、今後とも折に触れて、やはり交付税率の引き上げというのは強く主張をしていかなければならない問題だというふうに思っておりますので、ぜひひとつ引き続いて強く要請をしていただきたいというふうに思っております。  さて、それで給与改善費を一%計上をしているようでございます。国に合わせたものと思いますけれども、余りにも非現実的ではないかというふうに思っています。今年の春闘の状況を見ても、定昇を除いても恐らく六%を超えるような額になることは確実ではないかというふうに思われるわけであります。それから、財政需要に備えて四千五百億を計上しているようでありますが、この定昇の一%の、こういう非現実的なものについてはどのように思っておられるのか。大臣として、国よりも多い職員を持っている地方公共団体の責任者として、この一%というような非現実的な姿を改めていくために今後どういう努力をされていくおつもりかどうか、伺いたいと思います。
  29. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 私の記憶によると、経過的に申しますれば、いまから十年ぐらい前にはそうしたものを計上しないで措置をしておったのではなかろうかと思いますが、その後におきまして大体三%あるいは四%、そういうものを計上してきた。それが今度は一%になった。しかし、この一%によって拘束されるものではないのでございまして、ベースアップの事態が判明いたしますれば、それに対するところの財源措置というものは当然考えなければいかぬので、問題は一%計上したから、それで打ち切ってしまうのだという考え方ではないことだけは、ひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。  それならば、なぜもっとパーセントを上げて計上しなかったかと申しますと、全体の資金と申しますか歳入の見込み、そういうようなものが非常に窮屈でございますので、さしあたり一%計上した、こういうふうに御理解を願っていいのではなかろうかと私は考えております。
  30. 小川省吾

    小川(省)委員 計上しない時代があったことも事実でありますが、計上しない時代はそれはそれとして、計上するにしても一%という数字はまさに非現実的なものだと思いますが、この点については大臣は非現実的だとは思いませんか、いかがですか。
  31. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 その程度にひとつ物価も抑制をしていきたいという意図もこの中には含んでおりまするが、現実の問題といたしまして一%でおさまるかどうかということについては、私も若干の疑念を持っております。
  32. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、同和の関係について、若干お伺いをいたしたいと思います。  総理府はおいでだと思うのでありますけれども、五十七年に同和対策特別措置法が期限が切れるわけですね。やり残しあるいは未着手の事業が数多いと思うのでありますけれども、どんな状態になっておるのか、伺いたいと思います。
  33. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 五十六年度、厳しい財政状況のもとでございましたが、いまお話しのように、特別措置法が最終年度であるということもありまして、地方公共団体が五十六年度で何とか実施できるという事業費はおおむね予算に計上することができました。その五十七年度以降にさらに実施を必要とする事業量がどれほどあるかにつきましては、現在関係省庁で都道府県等からのヒヤリングを継続中でございまして、まだ全事業を把握するに至っておりません。
  34. 小川省吾

    小川(省)委員 恐らく私は、かなりな事業が残っているのではないかというふうに思っております。やはり着手するのが、法が施行されて以降半分ぐらいで着手をしたところも多いわけでありますし、あるいはつい一年前まで未着手であったというものもあるわけでありますから、残事業がかなり増加をしてくるのではないかというふうに思っております。そういう意味からも、この同和対策特別措置法は何としても延長をしていかなければならぬものだというふうに思っていますが、本国会の中で延長を図るべきだという声も強いわけであります。これは各党の決議として出されてくるのだろうと思いますが、それに対する総理府としての対応はできておりますか。
  35. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 現在、関係省庁が協力いたしまして、物的需要の残事業の状況あるいはその他の就労状況等についての実態の把握に努めながら、今後同和問題の早期解決を図るためにはどのような施策が必要かという実質面の検討を急いでいるところでございまして、総理からもたびたび御答弁がありましたように、五十七年度予算の概算要求時期までには政府の方針を決定いたしまして、今後の施策の推進に遺憾ないようにしてまいりたい、こう考えております。
  36. 小川省吾

    小川(省)委員 特別措置法の中に十条債といいますか、十条がございます。最近、どうも十条の指定を受けないものがかなり増加をしてきているというふうに聞いておるわけであります。自治省の方から、その状況がどうなっているのか、ひとつ御説明をお願いをいたしたいと思います。
  37. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 同和対策債でございますが、一番新しい実績によりますと、昭和五十四年度に許可されました同和対策事業債は八百九十一億円、そのうち法第十条によりますものが三百九十七億円でございます。したがいまして、十条以外のものが四百九十四億円ということになるわけでございます。  なお、同和対策事業債全体、すなわち八百九十一億円の中に占める十条債の割合は、この五十四年度で四五%程度でございます。この割合は、最近の状況を見ますと、たとえば昭和五十一年度には三四%、五十三年度には四二%、五十四年度はただいま申し上げましたように四五%でございまして、十条債の割合そのものは逐年増加をしてきておるというように把握をいたしております。
  38. 小川省吾

    小川(省)委員 逐年増加をしていて大変結構だと思うのでありますけれども、十条債をさらに拡大をすべきだという強い声があるわけであります。十条債を連年ふやしておるようであるので結構でありますけれども、さらに拡大をする方向で検討をしていただけるかどうか、再度御答弁をお願いをいたします。
  39. 土屋佳照

    土屋政府委員 特別措置法の十条の適用につきましては、立法当時から、御承知のように国の補助対象とされたものに限って対象とするということにしておるわけでございます。私どもとしては、その方針は今日までずっと堅持してきております。基本的に同和対策事業は、国と地方の共同の責任において実施されるべきものと考えております。国の措置がされたものについて、地方団体共有の財源であります地方交付税による措置を対応させるという立場をとっております。したがいまして、ただいまお示しのございました十条適用範囲の拡大の問題につきましては、国庫補助対象事業を拡大するという方向で解決を図るべきものだと考えております。その方向については、私どももそういった考えに基づいて関係省庁にお願いをしておるということでございます。今後とも努力をいたしたいと存じます。
  40. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、広域市町村圏に関連してお尋ねをいたしたいと思います。  振興課の方に、田園都市構想推進事業助成交付金という横割りの交付金を出すようにしているようでございますが、この横割りの交付金と縦割りの交付金との関係はどうなっておるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  41. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 今回の田園都市に関します補助金につきましては、前から当委員会で大変な御論議をいただきまして、御協力をいただきながら今回の予算になったわけでございます。この点、まず初めに厚く御礼を申し上げておきたいと存じます。  今回のこの補助金につきましては、毎回当委員会でも御質問がございまして、複合的な施設というのが現在の市町村の中で要求されている度合いが大変大きいということがございました。それに従いまして今回の予算の要求となり、これが予算として確定したことになったわけでございます。  この施設は、大規模な複合施設というものを目的としております関係上、しかも補助条件に縛られないということを前提にしておりますので、地方債をもって充当するということになっておりますから、一般的には他の施設とダブるということはないものだと思っております。しかし、他の施設に関する補助金等をどうしても公共団体でそれをもらいたいという話であれば、そのときに応じてお話に乗りたいと思いますが、一般的にこの助成金自身が他の縦割りの補助金と重複するというようなことはないものと考えております。
  42. 小川省吾

    小川(省)委員 また、国土庁や建設省で定住圏とかいろいろな構想があるようでありますが、自治省としては、今後広域市町村圏構想をどう発展させていこうと思っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  43. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 すでに御案内のとおり、昭和四十四年から広域市町村圏の設定ということに自治省が踏み切ってまいりまして、これでもう十何年過ぎておるわけでございます。この間、ただいまお話がございましたように、第三次の全国総合開発計画におきまして新たに定住構想という問題が出てまいりました。それに従いまして、国土庁で定住圏構想なり、あるいは前からございました建設省の地方生活圏というものの考え方がございます。  しかし、地方生活圏の方は、これも前にお答え申し上げたことがあると思いますが、建設省の公共投資ということを重点に置いた施設でございますので、広域市町村圏が考えておりますようなその地域における公益的なネットワーク、それに基づきます共同処理というものとは若干趣が違いますので、これは恐らくダブることがないだろうと思います。また定住圏の構想の方も、その地域におきますそれぞれのモデル的なものでございまして、それが各広域市町村圏に当てはまるものであれば、それを利用するということは広域市町村圏にあろうと思っております。  いずれにいたしましても、広域市町村圏それ自体は、現在の都市と農村と申しますか、そういうものに住んでおる住民の方々に少なくとも居住関係の総合整備をしていこうという考え方、あるいはその地域における豊かな生活ができるということを前提にした物の考え方でございますし、そういうものの中で職業でありますとか性別でありますとか、あるいは世代でありますとかというものを乗り越えた一つの新しい構想の展開をいたそうと思っておりますから、そういう他のものとの兼ね合い、そういうものももちろん考えなければいかぬと思いますし、さらにはこのことが新しい雇用の場になることを願いながら、この広域市町村圏の発展にわれわれは努力していきたいというふうに考えております。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 結構でございます。  さて、そこで私は、昨年の交付税の審議の中で、学校給食調理員あるいは用務員の問題を自治労の調査報告を挙げていろいろと追及をいたしたわけでございます。  そこで自治省に伺いたいと思いますが、本年度は学校給食調理員や学校用務員についての数字をふやしていただけたのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  45. 能勢邦之

    ○能勢説明員 学校給食調理員と用務員についてでございますが、ただいま御審議をいただいております法案の中にございます単位費用の積算基礎におきまして、給与単価の引き上げ等必要な措置は講じております。  算入人員につきましては、お話がございましたように前の委員会小川委員からの御指摘もいただきました。私どもとしましては単位費用をつくる際に、文部省の方から最新のデータをいただきまして比較検討をいたしたわけでございますが、交付税の算入状況実態と比べましてもさほど大きな乖離は見られない、ほぼ妥当なものというふうに考えられましたので、本年度の単位費用の積算基礎におきましては昨年度と同様、学校給食調理員につきましては小学校費において四人、中学校費において二人と賃金職員一人を、また用務員につきましては標準施設規模当たりの小中学校でございますが、それぞれ一人ずつを措置するということにいたしております。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 結果としては、数字はふえていないようでございます。そうすると、私は文部省の方から何らかの要求があったのではないかというふうに思いますが、文部省の方からどうしてもふやしてほしいというような要求は自治省に対してはなかったわけでございますか。
  47. 奥田與志清

    ○奥田説明員 お答えいたします。  先生御指摘の点につきましては、先ほどお答えございましたように、現在学校給食の実態といいますのは、先生御存じのとおり特に中学校におきまして、いろいろ指導いたしておりますけれども、実施状況がたとえば完全給食におきましてもまだ六割に達しないというふうな状況でございますので、実態との関係からいいますとなかなかむずかしゅうございます。私どもも一度御相談はいたしましたけれども、そういうことでやむを得ないことかと思っているところでございます。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 文部省の方では給与費じゃなくて、あの中にはいわゆる補助職員が計上されておりますから、補助職員をふやしてくれということは言ったようであります。それで文部省は、学校給食調理の現場の実態や学校用務員の状況についてはよく御存じのはずであります。人員増加しなければならないような実態にあることは御承知のはずだと思うのであります。私は、昨年の交付税審議の中で詳しく述べたわけでございます。ぜひ検討をいただいて、明年度人員をふやすような要求を自治省に対して強く打ち出していただきたいということ強く要請をいたしておきたいと思いますが、いかがですか。
  49. 奥田與志清

    ○奥田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、私どもは学校給食の調理員の配置基準を示しまして、現在それに従ってやっていただいているわけでございますけれども示しましてからすでに二十年を経ております。その間、たとえば献立内容の多様化というふうなことで労働量がふえる要素もありますけれども、他面で当時脱脂粉乳を液化いたしますような複雑な作業がありましたとか、あるいは最近におきましては調理関係の施設、設備が研究開発されまして格段の整備がなされているというふうな、労働力の軽減につながるような要素もございます。一方でまた、現在米飯給食を鋭意導入中でございます。したがいまして、そういうふうな流動的な要素がございますので、関係者からの要望もございますが、労働量が安定的に確定できます段階におきまして実態の把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 文部省の考え方は少し弱いと思うのです。もっと強く打ち出していかないと、自治省の官僚はなかなかそれを認めるようなことはないわけでありますから、ぜひひとつ文部省としては強く打ち出していただきたい、こういうことを要請をしておきたいと思います。  さて次に、地方ローカル線に関連をして若干お伺いいたしたいと思います。  地方交通線の、この前法律に基づいて第一次、第二次というような改正をいたしたわけでありますが、対処の状況について一応御報告をお願いいたしたいと思います。
  51. 金子史生

    ○金子説明員 お答え申し上げます。  第一次選定の対象になります営業線は四十二線、約七百五十キロと見込まれております。また、昭和六十年度までに転換を図るという対象の営業線は、第一次選定分を含めまして七十七線、約三千百キロというふうに見込まれております。  なお、これらの第一次選定対象分、それから六十年度までの転換対象分、これの営業線の数とキロ程に関しましては、今後国鉄におきまして代替道路の整備状況あるいは開発計画等の状況を確認いたしますので、その結果若干の変動があり得ると考えております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 私は委員会の中でよく申し上げるのですが、私の地元には地方交通線として足尾線というのがあるわけであります。足尾自体が古河銅山と消長をともにしてきた町であり、いまは気息えんえんたる状態であります。国鉄足尾線も、足尾の銅の運搬でできた路線であります。現在、製錬中に発生する硫酸の輸送や運搬が主になっております。硫酸の輸送が陸上輸送に切りかわると、タンクローリーが一日に二百台以上も道路を走るような状況になるわけでありまして、こんな危険な輸送を認めるわけにはまいりません。このような路線は、基準を超えても何としても残してもらわなければ困るわけであります。そこで、昭和六十年度までといいますか、第二次路線の具体的な手続、手順はどういうふうになっているのか伺いたいと思います。
  53. 金子史生

    ○金子説明員 お答え申し上げます。  第二次選定の時期につきましては、第一次選定分がおおむね二年間の協議期間というものを持つことになりますので、それらの状況等を勘案いたしまして、それまでに決めることになるのではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、第二次選定分につきましては六十年度までに転換を図っていくことにいたしております。  なお、選定の手続といたしましては、第一次選定分と同様でございまして、選定の基準に基づきまして国鉄が選定いたしまして知事へ御通知申し上げる。選定について知事の御意見があれば、運輸大臣への申し出を経て運輸大臣の承認、線名の公告という一連の手順が行われるわけでございます。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 危険を予想されるこの路線の廃止については、何としても再検討をしていただきたいということを重ねて要請いたしておきますが、ひとつ耳の底に残しておいていただきたいというふうに思っております。  さて自治省、幾つかの路線が地元の強い願望にもかかわらず撤去されるような状態にあるわけでございます。幾つかは地元の切なる要求で、厳しい、苦しい自治体の財政状況にもかかわらず、第三セクターとかなんとかに移行をしていくようでありますけれども、多くは過疎地帯でありますから大変な状況になるであろうと思っております。本年度は出てこないわけでありますが、このような地方ローカル線に関連をして発生する財政需要については当然応じていくのだろうと思いますが、限りなく応じていく構えといいますか、準備はあるわけですか。
  55. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方交通線も、御承知のように全国的な交通のネットワークの一環をなしておるものでございますから、私どもとしてはこれを廃止する場合は、基本的には国鉄の責任においてバス運行の確保が行われるべきものであると考えております。今回の基準においても、バスに転換することが適切な基準を定められるということで、私どもとしては運輸省当局とも相談をしてきたつもりでございます。結果としては先ほど話があったようなことになったわけでございますが、やはり国鉄の責任でバス運行の確保が行われるべきだ、これが基本的な考え方でございます。  仮に、地方交通線を地方団体が参加する第三セクター方式によって経営を行います場合は、採算の現況から見まして赤字を生ずるおそれが多分にございます。長年努力をしてこられても相当な赤字を生じて、今回廃止という問題が出たわけでございますから、これが直ちによくなるとも思えないわけでございます。そういったことから、結局は地方公共団体負担が転嫁される危険性が大きいと考えておりますので、自治省といたしましては、現行の国と地方との間の事務配分なり財源配分を前提とする限り、地方公共団体が第三セクターに参加することは慎重でなければならないと考えており、終始そのことは申し上げてきたつもりでございます。  なお、特定地域において経常的に発生してまいります赤字を何とか地方交付税等の地方公共団体共通の財源から補てんしてもらいたい、こういう意見も出てくるかもしれませんが、私どもといたしましては、地方公共団体共通の財源から半恒久的に補てんをしていくことはきわめて不適当であると考えておるわけでございますので、仮に第三セクターに地方公共団体が加わる場合でも、特別な財源措置は現状においてはなかなか考えられない。したがいまして、何か残してもらいたいという要望に従って第三セクターができてどんどんそれに金をつぎ込んでいくということは、財源もございませんし、私どもとしては、筋論としてもそれはなかなか容易ではないだろうと考えておるわけでございます。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 国鉄がやって赤字なんだから、第三セクターがやっても赤字になることは必至だろうと思うのですね。いずれにしても、そういう形で地方公共団体財政需要が出てくることも確実ですね。だからそういう意味では、自治省が慎重に扱えというようなことで指導をしてきて、しかも赤字が出て財政需要が出てくる、こういう場合にほっておくわけにはいかぬわけでありますし、交付税による措置といっても交付税にも限界があるわけでありますから、そういう点については何らかの特別の措置を政府としてとるような方向を打ち出すつもりがあるわけですか。大臣、いかがですか。
  57. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 第三セクターの問題については、運輸大臣及び前の自治大臣から、一致した意見として特に慎重でなければならぬというふうに言明をしておるわけであります。地元としては十分に慎重に考えてもらわなければいかぬ、こう思います。  しかしいまのお尋ねは、慎重に考えてもどうしても第三セクターをやる、地方団体も入る、そういう場合の赤字について政府は何を考えておるのかということだと思います。私どもは、いまの段階におきまして、財政局長が申し上げましたとおり、交付税でこれを措置するというわけにもいかない。いまそうした問題についてどうするのだという結論は、私ども持っておりません。したがって、これはきわめて困難な問題であるからその事情考えて、地元としては本当に慎重にやってもらわなければいかぬ、こういうことを私ども申し述べているわけであります。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 政府部内で適切な対処をやっていきませんと、自治体もつぶれる、交付税も壊れてしまうという状態になるわけでありますから、ぜひひとつ慎重に対処していかれるように強く要請しておきたいと思います。  これは国土庁になるのですか、過疎代行事業というのがあります。地方で大変歓迎されている事業であります。恐らく建設省と農林水産省との関係になるのだろうと思いますが、本年も継続をされるものと思うのでありますけれども、従来までの経過と現状について国土庁の方から御説明をお願いいたします。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  59. 相馬実

    ○相馬説明員 旧過疎法の制定されました昭和四十五年度から昭和五十四年度までの十年間におきまして、これらの代行事業——過疎法におきましては、基幹的な市町村道あるいは市町村が管理する基幹的な農道、林道及び漁港関連道で建設大臣または農林水産大臣が指定したものにつきましては、都道府県計画に基づいて、都道府県が市町村にかわって事業を行うことができるとされておりますが、この代行事業につきましては、計画事業費ベースで申し上げまして合計二千三百四十五億円、計画事業量では四千二百四十四キロメートルとなっております。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 建設省と農水省でやっておるようでありますが、地方の市町村で大変歓迎されておる事業でありますから、折がありましたら私も建設省や農水省に激励をいたしておきますが、国土庁としても建設省、農水省にさらに積極的に取り組むようにひとつ御連絡をお願いいたしたい、こう思っております。  それから次に、自治法改正についてであります。  かけ声だけは以前からずっと聞いておるわけでありますが、さっぱり出てこないというのが現状でございます。恐らく、各省との折衝をやっているのだという御報告になるだろうと思いますけれども、各省の抵抗によって、出てきたときには骨も柱もないというような状態になっては困るわけでございますけれども、現状はどうなっているのか、御説明を受けたいと思います。
  61. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話しのように、各省との折衝が大変難航していることは事実でございます。今回の改正というのは、十六次、十七次、十八次を通じましてこの際処置をしなければならぬという地方制度調査会の答申に基づいた改正でございまして、私たちといたしましては、なるべく各省の権限などに余りさわらない形の中の改正をいたしてまいったつもりでもございますが、やはり各省とも大変強い抵抗がございますので、いましばらく調整をしなければならないと思っております。  そこで、骨抜きにならないようにというお話でございますから、こちらも骨抜きにならないようにいろいろお話を申し上げているので、大変時日が経過をしておるということもございます。いずれにいたしましても、各省の御理解を得るように今後とも調整をして、なるべく早い時期に提出をいたしたいと考えております。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの答弁で結構でございますから、ぜひひとつそういう形で各省と折衝して、一日も早く出してきていただきたい、こういうことを要請しておきたいと思います。  次に、行革との関連で若干伺います。  第二次臨調も、七月中には中間答申を出すということで動き出しておるようであります。恐らく七月の答申の中に、補助金の整理の問題が当然出てくるであろうというふうに思っておるわけであります。これは地方財政にとっては重要な要素になっているものが多いはずでございます。補助金制度と地方財政との関連、行革全般地方財政との関連について、包括的な見解をお伺いをいたしたいと思います。
  63. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 行革の問題、これはどうしても取り組まねばならぬという実態であることは御理解いただけると思うのであります。  そこで、この中で最初に取り上げられる補助金の問題でございますが、これはどうしても総合化、メニュー化をする、あるいは一般財源化をする、あるいはまたこの際やめてしまう、大体そういうような三つの分類ができるのじゃないかと思いますが、その辺を整理をいたしまして補助金の問題を片づけていかなければいかぬと私は考えております。  そこで、これは地方財政というものにも非常に影響を持つ問題でございます。地方財源の問題あるいは地方の事務の簡素化の問題等々にもすべて関係をしてくる問題でございますので、私といたしましては、その過程におきまして地方にしわ寄せが来ないように、その点は十分留意をしてこの問題の解決に当たっていきたいと考えております。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 いま御答弁がありましたけれども地方財政とは重要な関係があるわけでありますから、地方財政がそれによって割りを食うといいますか、困るような状態がないように、ともかく行政改革を実現することは当然のことでございますが、ぜひひとつその点は配慮をして、自治大臣としても意見を申し述べることができるような点は主張をしていただきたい、このことを要請をいたしておきます。  交付税問題の最後として、法律の題名について伺いたいと思います。  「交付税法等」とありますが、「等」というのは各種手数料の引き上げを含めたからだという説明がございました。私は、国と同様に、地方に関連する各種手数料の引き上げについては、当然独立をした一本の法律案として提案をしたらよいのではないかというふうに思っておりますけれども、この点についてはいかがですか。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございましたように、地方交付税法と各種手数料との関係を、改正問題を一緒にして提案をしておるわけでございます。  基本的には、性格が非常に似ておっても別なものではないかという点については、おっしゃるとおりだと思うのでございます。ただ私どもとしては、この二つが今回出てまいります際にいろいろ議論もしたわけでございますけれども、手数料の改定も地方財政財源対策の一環をなすものでございます。そういった意味では、交付税所要額確保と手数料の改定のための関係法律改正は密接な関連を有しておるということでもございますし、細かい点では、単位費用の積算に当たっても手数料の改定を勘案しておるということもございます。そういった意味では非常に密接な関連があるということで、これはまとめて御審議いただいてもそう矛盾するものでもないし、あわせて検討していただくのがいいのではないかということで、一緒にして提案をしたわけでございます。  ただ基本的に、お示しのございましたような考え方で、それは一応類似しておっても、非常に密接な関係があっても別ではないかとおっしゃれば、それはそういうことでございますけれども、私どもとしては、これを離さねばならぬほど無関係のものでもない、あわせて御審議いただいてもいいものという考え方で、こういう形で提案をした次第でございます。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの御説明は大体わかりますが、「交付税法等」なんというのをつけること自体が私は問題だと思うのです。交付税法というふうに単独で出してくるのが筋だというふうに思っておりますので、以後気をつけていただきたい、こういうふうに思っております。  それから、運輸省の自動車局にお尋ねをいたしたいと思います。  最近、自動車の車検期間の延長の問題が大変大きな論議を呼んでおるわけであります。現行の二年車検を延長しろということなんですけれども、これを定めたのは自動車の保有台数が三百万台時代であったが、いまは四千数百万台というような時代に変わったのだから、当然延長してもよいということのようでございます。この問題についての運輸省自動車局としての見解をお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  67. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答えいたします。  国が行っております自動車の検査は、自動車の安全性を確保し、また公害の発生を防止するというたてまえから、自動車の使用者が当該自動車を保安基準に適合した良好な状態に保っているか、維持管理しているかということを、一定期間ごとにチェックしているものでございます。  この国が行っております検査におきまして、現状を申し上げますと、再検査を必要とするものが一三%を超えていて、その数は約百万台を超えているわけでございます。また、民間指定整備工場においても、再検査を必要とするものがあると推定されます。このため、仮に車検期間を延長した場合、これらの整備不良車がその延長期間中に何らの制約を受けることなく走行することとなります。またこのほか、この間、期間延長によりまして定期点検が十分になされてないことにかんがみ、新たな整備不良車の発生を助長するということにもなると思います。  このような情勢から、車検期間延長につきましては安全、公害対策上問題があり、また、車検とリンクしております重量税、自動車税、交通事故被害者の救済のための自賠責保険の加入等の関連、さらに整備事業運営の適正化等、いろいろ慎重に検討を必要とする事項があると考えております。  しかしながら、この制度につきましては、昨年末以来さまざまな角度から問題が提起されているところでありますので、本年の二月二日に運輸技術審議会に対しまして、最近における自動車技術の進歩、使用形態の変化等に対応した自動車の検査、整備のあり方について諮問したところでございます。当省といたしましては、その結果を踏まえて所要措置を講じてまいりたいと思っております。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 私、いまの見解でよろしいのだというふうに思っておるわけでございますが、しかし、日米自動車競争にも見られるように、日本車が米国国内を席巻をしているのは、ただ小さくて安いということだけではないと思うのであります。日本車の優秀さというか、堅牢なところにも大きな原因があると思うのです。  そこで、一つ提案があるのですけれども、現在の六カ月点検というのは罰則がないわけですね。だから、してもしなくても、まあ一応注意を受けるだけだというような状態になっておるわけでありますから、六カ月の定期点検というのをもっときちんと定めていく。実際には中古の愛用者もいるわけでありますから、ひとつぜひ六カ月点検というものをもう少しきちんとしてもらいたいというふうに思っております。  新車については、二年の車検というのをある程度延長をしてもよろしいのではないかというふうに思っております。もっとも、六カ月定期点検は当然実施をするということになるわけでありますけれども、こういう方向をとって、新車の愛好者にもあるいはまた中古車の愛好者にも、あるいは整備業者の要望にもこたえるような方向をとっていったらどうかと思うのですが、これについての自動車局の見解をお伺いをいたしたいと思います。
  69. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、最近における技術の進歩に伴いまして、自動車の性能は確かに向上してきております。最近における安全、公害規制の強化の要請を受けまして、自動車の構造が高度化、複雑化してきております。また、自動車の大衆化によりまして、使用形態が多用化してきております。また、高速道路の整備に伴いまして、自動車の使用形態が高速化、長距離化等の傾向を示しております。このようなもろもろの点を勘案しまして、自動車の安全確保と公害の防止を図るために現在の車検期間を、自家用乗用車につきましては二年としているわけでございます。  一方、定期点検整備につきましては、啓蒙活動等により実施率の向上に努めているところでございますけれども、ユーザーによります点検整備の実態を見ますと、定期点検は必ずしも十分実施されていない状況でございます。  また、国が行っております車検におきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、年間百万台を超える車両が不合格になっている現状でございます。これらの不合格になっている車を見ますと、ブレーキ、前照灯といった安全上非常に重要な装置及び大気汚染につながります排気ガス拡散防止装置の不良が理由のうち大きな割合を占めているわけでございます。  なお、現在自動車をめぐります諸情勢の変化にかんがみまして、総合的かつ長期的観点に立った自動車の安全確保と公害防止を図ることを前提として、先ほど申し上げましたように運技審の方に諮問しているわけでございまして、その答申を待ちましていまの点についても考えてまいりたいと思います。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 ありがとうございました。  次に、時間がもう十五分程度しかないわけでありますから、いわゆるフェニックス計画、このたび広域臨海環境整備センター法案として出て運輸委員会にかかっておるわけでございますが、本委員会でも連合審査を要求をして慎重に審議をすべき法案だというふうに思っておる大きな問題でもありますので、この法案の周辺をめぐる問題について若干お尋ねをしたいと思っております。  大臣、この法案でございますけれども、運輸省と厚生省ではかなり以前から、港湾埋め立て、土地造成、護岸、あるいはまた清掃の最終処分地の決定というようなことでいろいろ論議をしてまいったようでございます。しかしながら、清掃業務を本来の自治体固有の業務とする自治省にとっては、すぐれた地方自治の問題だと言えると思うのでございます。  この法案は、運輸と厚生の共管になっているようでございますけれども、当然自治省もかまなければならないものだというふうに思います。主務大臣といえば運輸大臣と厚生大臣になっているようでありますが、自治省はこの問題についてどのような経過を踏んで研究、検討をされてまいったのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  71. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 御指摘のとおり、一般廃棄物の処理等につきましてはまさに市町村の固有事務でございます。厚生省、運輸省から法案の協議がございましたときに、私どもは、やはり地方自治というものを大前提に立てて議論をしなければならぬということでいろいろ審議をし、この法案を一緒につくってきたわけでございます。  地方団体が仕事をやることであるから、自治省も主務大臣にならなければならぬという御指摘でございますが、そういうお考えもあろうかと思いますけれども地方団体が仕事をやるあるいは地方団体が金を出す、そういうものについてすべて自治大臣が主務大臣でなければならないというようなことにもならないのではなかろうか、かように考えております。この法案は、廃棄物の処理、それから港湾の秩序ある整備ということの二つを目的としておりますので、港湾を所管しております運輸省と廃棄物の処理を所管しております厚生省が主務大臣になっておる、こういうことでございます。
  72. 小川省吾

    小川(省)委員 確かに道路公団とか、いろいろ自治省に関係のあるのがあることはみんな承知しておりますが、清掃業務というのは自治体の固有の業務でございますから、自治省が当然かまなければならぬものだと思っています。大臣、主務大臣が運輸大臣、厚生大臣となっておりますけれども、数百に及ぶ自治体が関与してくる法案になぜ自治大臣は入らないのか、その辺を伺いたいと思います。
  73. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 いま御説明していただきましたとおりに、結局自治省といたしましては、財政的な問題についてこれに関与しておるわけでございます。しかし、財政的な関与をしておるからといって全部主務大臣になるということになれば、あらゆる問題が主務大臣になるのだろうと私は思っております。そこで、各省設置法令によりますと所管事項というものが決まっておりまして、たとえば廃棄物については厚生省、あるいは港については運輸省、その観点で各省の所管事項が決まっておるのでございまして、その関係上主務大臣としては運輸、厚生ということになったのであって、財政的な配慮をするからといって直ちに自治大臣が主務大臣になるというわけにはならぬのじゃなかろうかと考えておるところでございます。
  74. 小川省吾

    小川(省)委員 この法案ができるかどうかわかりませんけれども、今後どんな姿勢でこのものに関与されていこうとするのか、姿勢について伺いたいと思います。
  75. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 これは、確かに地方団体にとりましては非常に大きな問題でございます。運輸、厚生両省におかれましても適切な指導をなされるものと思っておりますけれども自治省といたしましては、もちろん地方団体のお世話をする仕事でございますので、地方団体からいろいろ御相談がありましたときには積極的にこれに対応してまいりたい、かように考えております。
  76. 小川省吾

    小川(省)委員 複合事務組合というか、自治法をはるかに超えるこのようなものを設立するについて、自治省地方自治の見地からこれに対処をしてきたのが薄いというか弱かったような感じがするわけでありますが、そんなことはありませんか。
  77. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 御指摘でございますけれども、決して冷たく対応してきたつもりはございません。誠意を持って対応してきたつもりでございます。
  78. 小川省吾

    小川(省)委員 地方公共団体が出資をしていくようでございますけれども、金を出しても物が言えないような状態に追い込まれるのではないかというような懸念をしているのでありますけれども、そんな状態になることはございませんか。
  79. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 実は、その点が私どもも一番苦労した点でございまして、地方団体が金を出すけれども口は出せないということにならないように法案の中身を検討し、そのようにしておるつもりでございます。
  80. 小川省吾

    小川(省)委員 運輸省港湾局、このような動きが出てきた一つに、本日の本会議にもかかるわけでありますが、外貿埠頭公団の落ちつき先などというような説もないわけではありません。私も本当にそのようなことはないと思いますが、いかがですか。
  81. 高田陸朗

    ○高田説明員 お答え申し上げます。  外貿埠頭公団は、別な目的の事業を実施するために設立された事業主体でございまして、それについてもすでに廃止が決まっております。本センターとは一切関係がございません。
  82. 小川省吾

    小川(省)委員 それから厚生省に伺いたいと思いますが、首都圏や近畿圏の一般廃棄物や産業廃棄物の排出の現状はどうなっているのですか、その辺を伺います。
  83. 小林康彦

    ○小林説明員 首都圏におきます廃棄物処理の現状でございますが、昭和五十二年の時点におきまして、一般廃棄物のうちで、ごみといたしまして約千二百万トン排出され、最終的に処分に回っております分が約五百三十万トンでございます。産業廃棄物は約五千五百万トン排出され、最終的な処分に回っておりますのは約二千六百万トンございます。  近畿圏につきましては、一般廃棄物のごみが約七百万トン排出され、約二百九十万トンが最終処分され、産業廃棄物につきましては排出量が三千八百万トン、最終処分量が千八百万トン、こんな状況でございます。
  84. 小川省吾

    小川(省)委員 時間も来るようでありますから、いろいろ周辺をめぐる問題を尋ねたいと思ったのですが、呼んだ官庁には質問しないと申しわけないので環境庁に伺いますが、当然中継ぎ基地などに集結をする車などの騒音公害やあるいは交通公害が一つはございます。あるいは埋め立てをしていく際に、廃棄物による海洋の汚染ということが考えられますが、チェック機能が恐らく形骸化して、いわゆる名前だけのものになるだろうと思っていますが、これらの埋め立てに当たっての海洋汚染の関係についてはどのような対策を講じようとしておられるのか、その辺を伺います。
  85. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  大量の廃棄物が移動いたしまして集積するということで、環境庁は環境保全の観点から大変これについて関心を持っているわけであります。この法案の中で、センターが業務に関しまして基本計画をつくるわけでございますが、その基本計画について主務大臣の認可をちょうだいするということになっているようでございます。この認可の際に、関係行政機関の長にいろいろ協議が行われる、環境庁長官もこの関係行政機関の長の一員ということで、この計画について意見を述べ、必要な調整を行わせていただくということでございます。  具体的に、埋め立て処分地が廃棄物でできるわけでございますけれども、この処分地ができることによって海の中の流れがどうであるかとか、あるいは処分地の中に廃棄物を埋め込むこと、それから積み出し基地からたくさん廃棄物がそこへやってくるわけでございますけれども、そこでの、いまおっしゃいました周辺での廃棄物の運搬の集中による公害等の問題それからでき上がった後、土地が何に利用されるかというふうなことを含めまして、基本計画段階から慎重に関与させていただくということでございますし、さらにこれは公有水面の埋め立てでございますから、公有水面埋立法に基づきましてその後手続が行われますけれども、この段階では具体的な内容につきまして、工事中の影響も含め、あるいは構造物の内容等々も含めまして、私どもの方で慎重に技術的な観点から審査させていただく、こういうふうになっております。
  86. 小川省吾

    小川(省)委員 運輸省と厚生省では、昭和五十三年から昭和五十五年度まで八億円という巨費を使って、廃棄物の発生量や廃棄物処理の実態について調査を行ってまいったようでありますが、この調査結果は、当然法案が提案をされた以上完成をしていると思うのであります。どこで発表をされているのか、調査結果はどうなっているのか、いつ発表するのか、この点について、運輸省と厚生省両方にお伺いをいたします。
  87. 高田陸朗

    ○高田説明員 お答え申し上げます。  これまで運輸省と厚生省と調査をおのおの分担して実施してまいっております。特に、運輸省といたしましては、広域処分場の必要性、各施設の概要、海上輸送の方法、海域利用の実態あるいは土地利用の実態、そういった基礎的な事項を検討してまいったわけでございます。こういう検討を踏まえて、今回の構想の必要性あるいは構想の概要というものが出てきたわけで、こういう調査成果を踏まえて今回センター法を御提案した次第でございます。  この調査成果については、今度設立されます広域臨海環境整備センターに一切引き継がれ、そのセンターがさらにそれに加えていろいろな調査を重ねて、事業実施あるいは基本計画の作成に向かっていく、そういう手順になろうかと考えております。
  88. 小林康彦

    ○小林説明員 厚生省におきましては、昭和五十三年度から、大阪湾圏域及び東京湾圏域におきます廃棄物の広域処分の必要性、候補水域の評価方法、各種施設の概要、輸送方法あるいは事業方式等につきまして、事業実施を前提とした場合の基本的あるいは基礎的事項についての検討を行っておるところでございます。  調査結果につきましては、広域処分の必要性につきましてその概要を公表し、あるいは取りまとめて公表することとしております。その他の調査につきましては、センターにこの調査結果を引き継ぎ、さらにセンターがそれに基づいて調査を進められるよう、こういう手順で考えております。厚生省といたしましても、その途中段階で調査成果の取りまとめが終わりましたら、必要に応じ公表していく予定でございます。
  89. 小川省吾

    小川(省)委員 センターに引き継ぐというようなことを言っておりますが、八億円という巨額の金を使用してやった調査でありますから、公表してもらわなければ困る。特に、法案が提案をされて審議に入る段階でありますので、この調査結果を見て法案についての審議をやろうと私どもは思っているわけでありますから、ぜひひとつ早急に調査結果については発表をお願いしたい、センターに引き継ぐなんということを言わないでやっていっていただきたい、こういうことを強く運輸省、厚生省にお願いをしておきたいと思います。  時間が来たようでありますけれども、私はいまこのフェニックスについては、用意をした質問の大体四分の一程度の質問をしたわけなんですが、ちょっとこの法律をめぐる周りの問題にさわっても、問題は数限りなくあるわけであります。委員長、これは十分に日をとって、連合審査の時間をとって慎重な審議を行うよう、強く要請をしておきたいと思います。すぐれた地方自治の問題であり、自治体本来の固有業務である清掃の問題でございますから、委員長においても特に慎重に取り扱っていただくように強く重ねて要求をして、私の質問を終わりたいと存じます。
  90. 左藤恵

    左藤委員長 ただいまの小川省吾君の御提案の件につきましては、運輸委員長と十分連絡をとって善処したいと思います。  松本幸男君。
  91. 松本幸男

    松本(幸)委員 初めに、いま時代の寵児のように騒がれて華々しく誕生いたしました、そしてまたかまびすしい世論の中に置かれております例の第二臨調と地方自治体の行財政に関連をいたしまして、お尋ねをしたいと存じます。  御存じのように第一臨調は、高度経済成長がいよいよ本格的に始まろうとする昭和三十九年の九月に、約三カ年の歳月をかけて大変りっぱな改革意見を作成いたしまして政府に答申をいたしたのでありますけれども、この第一臨調における主要な改革の意見、主要な部分というものは、ほとんど実施をされずに十七年間もそのまま放置をされ、たなざらしにされてきた、こういうことでありますが、この第一臨調の答申というものは、いまひもといてみましても、そのままそっくり今日に適用して実施をしても決しておかしくはない、差し支えはないというような大変いいことがたくさん盛られているわけであります。  にもかかわらず、この第一臨調における改革意見というのは、そのほとんどが、無視をされたと言うと語弊があるかもしれませんけれども、日の目を見ずに今日に及んで、いま改めてまた第二臨調によって、八〇年代あるいは二十一世紀に向かっての国、地方の行財政のあるべき姿について改革の意見を求める、こういう話であります。  そのこと自体はしばらくおくといたしましても、今回発足を見ました第二臨調は、その設立の方針にも述べられておりますように、特に高度経済成長時代に肥大化した行財政、それに伴ってきわめて不健全になった財政健全化して、さらに社会経済情勢の変化に対応したところの八〇年代あるいは二十一世紀に向かっての国と地方の行財政の姿というものを探求して、その趣旨にも述べられておりますように、政治哲学を確立するのだというようなきわめて格調の高い目標が示されているわけでありますが、この第二臨調の行方というものを静かに見ておりますと、果たしてこのようなきわめて格調の高い目標に沿った改革意見が出てくるであろうかどうかということが、いささか懸念をされるわけであります。  当面、さしあたって昭和五十七年度予算編成に間に合わせるということで、七月に中間の答申を行うという予定のようでございますけれども、すでに四月の半ばでございまして、わずか二カ月ないしは三カ月程度で、ある意味ではその先の答申のたたき台といいましょうか、向かうべき方向というものがまず示されるのではないかということを考えますと、きわめて早急な意見を出さなければならない、こういうことになるように思われます。しかも、いろいろ伝えられているところによりますと、まずは二兆円の歳出の削減をするんだとか、あるいはまた来年度は増税なしの予算編成をするんだとかいうようなことが言われているわけであります。  私は先日も申し上げましたとおり、五十六年度の国の予算四十六兆八千億円のうちに、地方に対して交付する金が交付税で約八兆七千億、国庫支出金で十兆七千億、譲与税が四千五百億、合わせて十九兆八千五百億円、約二十兆円の金が四十六兆円の国の予算から地方に支出をされているわけであります。さらに受け入れ側の地方団体の方から見ますると、御承知のとおり五十六年度の地財計画による財政規模は四十四兆五千億円、このうちいま申し上げたように交付税、国庫支出金で約二十兆が地方に交付される、こういう仕組みになっているわけであります。  こういう実態の中で、第二臨調が言うところのいわゆる二兆円の歳出の削減、この中には当然この十兆七千億円に及ぶ地方団体に対する国庫支出金についても、削減の対象として考えないわけにはいかないというように思われるわけでありますが、そのような場合に自治省としては、また後ほども申し上げますけれども、十兆七千億円の国庫支出金がいわゆる財政再建のための言われておりますような二兆円の歳出削減の対象になってきたという場合にどのように対応されるのか、まずひとつ伺っておきたいと思います。
  92. 土屋佳照

    土屋政府委員 現下の国、地方を通ずる厳しい財政状況のもとで、何とか早く財政再建を完遂したいということでいろいろと苦労があるわけでございますが、その中で国民の声としては、どうしても行政の改革、簡素合理化といったことが主張されておるわけでございます。そういった意味から、政府においても五十七年度に向けてできるだけ歳出を削減をして、国民負担との関連を考えながら財政再建をしていきたい、こういう前提で二兆円といったような声などが聞かれるわけでございます。  第二臨調が発足をいたしまして今後いろいろと検討されるわけでございますが、どういった形で、どういった中身について詰めが行われていくのか、私どもとしてはいまのところまだわからないわけでございます。いろいろと適切な御意見が出されると思うのでございますが、その中で、不明確ではございますがかなり歳出を削減する、二兆円程度必要であるという声も聞かれます。そうなってまいりますと、十四兆を超えます国庫補助負担金、こういったものが削減されるということは、新聞等でも伝えられておりますのであり得ることだと思っております。  その中身がどういう形でされるのか。一律削減とかあるいはそうではなくて、各省共通に一種のノルマ的なものとして削減の義務を課するといったようなこととかいろいろ言われておりますが、率直に言って、まだはっきりしたものは私どもとしても承知していないわけでございます。ただ、節約となれば、そういった意味で国庫支出金というものが削減されることは、これはあり得ると思っております。  ただ、その中身は、御承知のようにいろいろなものがございます。それを議論しておればいけないから一律にというような声も出るのだろうと思いますけれども、義務教育費国庫負担的なものもあれば生活保護費的なものもございます。いろいろなものもございますから、削減ということについてはいろいろな議論があるだろうとは思っております。  ただ、私どもとしては、この国庫補助金の整理合理化ということは従来から言っておるところでございまして、特に地方団体の自主、自律性を確保しながら、国、地方を通じて行政の簡素合理化に資するということになりますと、どうしてもこれに触れざるを得ない。そういった意味で、不要不急の事務とか零細な補助金とかいったようなもの等については、常に関係各省についても申し入れを行っておるところでございます。  今後も、そういった方向はそういう形で進められるべきだと思っておりますけれども、基本的には事務事業が廃止されて、そして補助金が廃止されるということになれば、それは行政の減量にもつながるし、簡素合理化にもなるわけでございますけれども、どうしても必要な仕事であって補助だけがいわば国の財政の面から切られるということになりますと、それは地方へしわ寄せが来るということにもなるわけでございまして、そういう負担の分だけが一方から一方へ移るという形では非常に困るわけでございます。  したがいまして、基本としては事務事業の廃止、それに伴う補助金の整理ということになろうかと思いますが、事務事業が残って必要な仕事をやらなければならないものについては、そこの国と地方との間の財政負担という関係を明確にいたしまして、地方団体にいわばしわ寄せが来るようなことでは困るわけでございますので、そういう観点から十分見守っていきたいと思っております。方向として、簡素合理化の方向へ行くことはこれは当然でございますが、その中身において、地方財政という立場から十分注視をしてまいらなければならないであろうというふうに考えておるわけでございます。
  93. 松本幸男

    松本(幸)委員 すでに言い古されていることでありますけれども、いわゆる税金は国の方がたくさん取るけれども、いざ使う段になると地方が使う。七、三の割合で、国税で七を取って地方税は三だ、使う段になるとそれが逆転するんだということが従来から指摘をされているわけであります。事ほどさように、使う方の分というのは地方がたくさん使っているわけであります。  御承知のように国庫支出金の十兆七千億も内容を見ますと、大別して、いわゆる義務教育費あるいは生活保護費等の民生、衛生費といったような民生関係、衛生関係、学校の職員給与といったような対人的なものが大体半分、それから公共事業等に関連をする対物的なものが大体半分、あとはその他というようなことになっているようでありまして、対人的なものにはなかなか手がつかないとすれば、必然的に十兆七千億の半分を占める対物的な公共事業関係等について、比較的しわ寄せが多く行われてくるんじゃないかというような予測も成り立つわけであります。これをしも大変重大なことでありまして、この補助金の削減のあり方いかんによっては地方団体にきわめて深刻な影響を与えずにはおかない、こういうしろものではないかと思うわけであります。  こういう点につきましては、自治省の側としては地方制度調査会もあるわけでありますけれども、やはり時代の寵児的になっております第二臨調の方が優先してその意見が入れられるような風潮のような感じがいたします。したがいまして、ぜひ第二臨調のこれからのありようといいましょうか、審議の進め方といいましょうか、そういう点につきましては十分留意をしていただいて、ゆめゆめ地方団体に多くのしわ寄せが行われることのないようにひとつお願いしたいと思います。  それから第二番目に、国の予算地方財政計画との関係でございますが、この関係を年次別に推移を見てまいりますと、昭和三十八年、資料がございませんのでそれ以前のものはわからないのでありますが、昭和三十八年から昭和四十四年までは、国の一般会計予算に対して地方財政計画による予算規模がやや下回っておりました。要するに、国の一般会計予算の方が地方財政規模よりも大きかったわけでありますが、これが昭和四十五年以降逆転をいたしまして、地方財政規模の方が国の一般会計予算を上回るようになりました。これが昭和五十四年度まで十年間続いてまいりまして、昭和五十五年度からさらに逆転をして、地方財政計画による額が国の一般会計予算を下回るようになったわけであります。五十五年度が九千四百六十億円、約一兆円ほど地方財政が下回り、五十六年度になりますと倍増して二兆二千三百億円、国の予算より少なくなったわけであります。  これらの推移を見ておりますと、それぞれの時代の背景あるいは国の政策の重点といいましょうか展開の方向、こういったものに左右されてこういう結果になったのだろうとは思いますけれども、なぜこのように上がったり下がったりしたのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  94. 土屋佳照

    土屋政府委員 全般的に申し上げますと、地方財政計画は御承知のように、標準的な水準における歳入歳出見込み額を計上しておるわけでございますから、地方財政のまさに実態でございます決算とは異なるわけでございます。決算規模よりも常に小さな規模となっているわけでございます。  決算規模におきましては、地方財政は従来から国の一般会計よりも大きな規模となっておるわけでございますが、それにもかかわらず、地方財政計画が国の一般会計よりも小さな規模となっておるのは必ずしも適切ではないということで、より実態に近づける努力を払う必要がある。そういった観点で、四十六年度において、たとえば貸付金等の新規計上を行うといったようなことで、実態に即して歳出規模是正を行ったわけでございますので、先ほどお示しがございましたように四十五年度までは地方が小さかった。しかし四十六年度以降は、地方財政計画の規模が国の一般会計の規模を上回るということになったわけでございまして、それは財政計画の性格からそういったことになっておった。しかし、それをより実態に近づけるということで四十六年度あたりから変わってきた、こういう流れがございます。  その後五十年度以降は、申し上げるまでもなく国、地方もともに財政危機に陥っておりまして、多額の借入金に依存した財政運営を余儀なくされてきておるわけでございますが、特に国におきましては、国債費が急激に増高をしてまいりまして、相当な国債を発行しておりますので非常に急激にふえてきておるということと、また五十四年度あたりから景気回復に伴う国税三税の順調な伸びが見られたわけでございまして、それによって地方交付税交付金が増加をいたしまして、形の上で一般会計歳出の規模を非常に拡大させたということもございました。そういうことによって、五十五年度において再び国の一般会計が地方財政計画を上回るというようなことになったわけでございます。  五十六年度においても、前年度に引き続いて国の一般会計予算伸び地方財政計画伸びよりも大きかったために、地方財政計画の規模が国の一般会計規模よりも小さくなっておるわけでございます。先ほどお話のございましたように、国が四十六兆七千八百八十一億、地方財政計画は四十四兆五千五百九億でございますからかなり開いてきておりますが、逆転した結果伸びが国の方が大きかったということでそうなったわけでございます。  ただ、実質的な意味で、一般歳出伸びで見てまいりますと、地方財政計画伸びは五・九%でございますが、国の一般会計における歳出伸びは四・三%でございまして、実質的には地方の方が大きいということでございます。実質的な施策に回る経費の面では地方財政の方が上回っておる、こう言っていいのではないかと思っております。やはり最近の状況は、国の公債費が非常に伸びたということと、地方交付税というものを国の歳出に組んである、そういったことからこういう形が出てきておるものと言えるのではないかと思っておるわけでございます。
  95. 松本幸男

    松本(幸)委員 どちらかと言えば、いろいろ技術的な側面のようなお話を伺ったわけでありますが、私なりにこれらの推移を考えて大づかみに判断いたしますと、昭和三十八年から四十四年までというのは、いわゆる高度経済成長の全盛期でありまして、政府みずからが産業基盤の整備に大型の公共投資をやった時代ではなかったかというように思われるわけであります。その結果として、なりふり構わずと言ってはこれまた語弊があるかもしれませんけれども、高度経済成長のための産業基盤整備に狂奔したという結果、いろいろな公害であるとか、あるいは環境破壊であるとか、さらには、一方では国民からの教育あるいは福祉への要望が漸次高まってきた。  そこで国の方では、高度経済成長によってもたらされたところの公害や環境破壊、一方における国民の教育や福祉への要望、後段のことはしりぬぐいとまでは言いませんけれども、前段はいわばしりぬぐいのようなものでありますけれども、これを地方団体にやらせるというようなことになって、それが四十五年から五十四年度までいわゆる地方財政規模が国の予算を上回る、こういう数字になってあらわれてきたのではないかというように思うわけであります。  ところが、第一次オイルショック後、国債の大量発行によって財政が破綻をしてしまった、これを再建しなければならない、こういうことになりまして、昨年、昭和五十五年からいわゆる行政改革であるとか予算の削減であるとかというようなことが言われるようになりまして、この財政再建と軌を一にして、再び地方財政というものは国の予算規模を下回るようなことになってきたというように見られるわけであります。  こういった事実関係をとらえてみますと、少なくとも現象面で見る限り、国の財政再建を目標とした予算の削減というものがストレートに地方財政規模の縮減に連動してきている、結びついてきているというように思われるわけであります。したがって、先ほど申し上げました、いわゆる第二臨調による補助金削減等の改革についても、このような地方財政規模の縮減に一層拍車をかけるようなことになるのではないかという危惧があるわけでありますが、そういうことは万々ないというように言えるのかどうか、ひとつお伺いをしたいと存じます。  それからもう一つ、これは大臣にお尋ねしたいわけでありますが、この第二臨調とかあるいは地方制度調査会等の関連を踏まえまして、いわゆる八〇年代あるいは二十一世紀に向かってという地方財政のあるべき姿というものをどういうように考えておられるのか、この際大臣の御所見も伺っておきたいと思います。
  96. 土屋佳照

    土屋政府委員 国と地方財政とは、仕事の面でもまさに車の両輪で、お互いに密接に関連し合いながら、その時代時代の要請に応じてきておるわけでございます。そういった意味でいろいろな時代の流れというものは、先ほどいろいろとお話がございましたが、それぞれの時代にそれぞれの役割りを果たしてきたわけでございますが、全体を通じて見まして、やはり地方財政計画と違って決算面では、いまお示しの三十八年度以降もずっと地方の方が多いわけでございまして、四十六年度以降においてもその点は同じように大きくなっておる。  ただ、その間に、高度成長が終わって、またその後オイルショックによって非常に景気が停滞したという中においても、財政面ではかえって主導的な役割りが求められましたために、国も地方も金を借り入れてでも財政規模をふくらませて、景気を浮揚させようということをしたことは事実でございますが、その結果、地方だけがそのしわ寄せを受けたということではなくて、それはやはりお互いに関連し合い、補完し合いながら仕事を進めてきたということが言えるかと思うのでございます。先ほどおっしゃいますように、特に地方がそのためにしわ寄せを受けたということはない、それぞれの立場で機能を発揮したわけでございます。  ただ、五十五、五十六年度予算においては、繰り返しになって恐縮でございますが、国の場合、過去の累積が非常に大きな公債費となり、そしてまた三税の伸びがよかったために、地方交付税の額が大きくなったということでございます。その結果、形式的な規模で非常に上回った。しかし実際に使いますのは、国の場合は公債費と地方交付税交付金として支出した残りでございますから、その一般歳出同士で伸びで見れば、先ほどお示ししたように、地方の方が実質的には中身のある仕事をするというかっこうになっておるわけでございまして、国との関係において地方が割りを食っておるというようなことはないと私ども考えております。
  97. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 八〇年代の当初の姿をどう考えるかというのがお尋ねの要点だと思いますが、現在、国と地方との関係というものはある程度錯綜しておりまして、すっきりした形にはなっておりません。それが、問題がいろいろ展開する一つの原因だろうと思います。  したがって、今後努力をいたしまして、国と地方との事務配分というものをさらにはっきりさせる、それに対するところの裏づけの財政措置も講ぜられる、そしてそれによって地方分権というものは確立する、そういう方向にこれからさらに努力をいたしまして、八〇年代初期におきましてはそういう姿が日本に現出をいたしまして、そして相ともどもに日本の今後の発展のための基礎づくりが確立をするという姿を私は想定をいたしております。
  98. 松本幸男

    松本(幸)委員 私は、来年度予算においても、恐らく地方財政の規模が国の予算よりもさらに下回っていくような傾向というものが出てくるのではないかというように考えるわけでありまして、これからまた具体的なことで申し上げますけれども、それだけやはり地方団体にしわ寄せが行われるような傾向にあるという点を心配をしているわけでありまして、そういうことにならないように、これまた御努力をいただきたいと思うわけであります。  大臣の御答弁できわめて抽象的なお話があったわけでありますが、現状認識といたしまして、今日の地方団体の行財政の姿というもの、あり方というものがこれでいいのかどうかということでありますが、私はきわめて変則的だというように考えるわけであります。  地方財源たる地方税は十七兆円、それに加えて、先ほども申し上げた八兆七千億円の地方交付税と十兆七千億円に及ぶ国庫支出金が地方財政を支えている歳入の大宗でありまして、これでは地方の主体性あるいは自主性といったようなものは全くないと言っても過言ではないと思います。  五十五年度交付税総額が八兆七百七十五億円で、この膨大な交付税額が、都道府県の場合はわずかに一団体、市町村の場合では、三千百九十一団体あります中で、わずかに二%程度の六十五団体を除いて八兆余の交付税が交付をされているわけであります。言ってみれば、ごくわずかの特異な団体を除いて、都道府県、市町村を含めて、ほぼ全地方団体がこの交付税を受けているということでありまして、慢性的にいわゆる基準財政収入額が不足をしている、全部がそういう状態である、こういうことであろうと思います。いわゆる慢性的な歳入不足に悩んでいるわけでありまして、こういう変則的な状態に対して、まずこういった状態を根本的に改めていかなければならないというように私は考えるわけであります。  繰り返して申し上げるようでありますけれども、ほとんど一〇〇%の団体がその交付を受けるというような形というものは、地方交付税の本来の性格からいたしましても、やや性格が異なったものになってきているんじゃないかというような感じがするわけでありますが、このような慢性的な歳入不足を解消する手段方法、こういったものについてどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  99. 土屋佳照

    土屋政府委員 財政計画の面で見ますと、五十六年度地方税は三八・三%、地方交付税地方譲与税を含めた一般財源では五八・九%ということになっておるわけでございまして、その点では、五十五年度の五六・七%より高まっておるということは言えるわけでございます。  しかし現実には、この地方税決算上では大体三一%程度のものだと思っておりまして、全般を見て、一般財源の比重をもうちょっと高めなければならぬ。特に、地方税の比重が高まっていきませんと、いまお示しのございましたように、不交付団体がなくてほとんど交付団体ではないかというようなことになるわけでございまして、そういった意味では、私どもは、基本的に地方税を中心とする一般財源の充実ということが必要であろうと思っておるのでございます。  ただ、大変恐縮でございますが、地方税だけでこれが全部賄われれば、その比重が高まれば高まるほどいいわけではございますけれども、御承知のように、地方団体ごとに税源の偏在ということがあるわけでございまして、国のように単一の団体ならそれはいいのでございますが、地方団体間には非常にその差がございます。したがいまして、地方税の充実だけでなくて、もう一つ地方交付税という財源調整機能と財源保障機能を持ったものを充てまして、それによって全体が標準的な仕事ができるようにするということも、これまた必要であるわけでございます。  そういった意味から私どもとしては、五十年度以降の収支の不均衡の状態を見、また累積した赤字の状況考えますと、どうしても地方税を中心に一般財源の充実を図っていくということに努めなければならないと思っております。  ただ、率直に申し上げまして、国、地方を通じて収支の不均衡が顕在化している現在でございますから、今後、国と地方との事務分担をどうするか、そこら考えながら財源配分をやっていかなければなりませんが、いま直ちに大きな金を国から地方へ移すとかどうとかということは、現状ではなかなか容易なことではないと思っております。  今後、将来にわたって行政改革等を進め、その中で、地方と国との機能分担のあり方を詰めていく中で、国民の負担のあり方との兼ね合いにおいてどういう財源の配分をしたらいいかということを詰めていかなければならないと思っておりますし、その中で地方一般財源というものをふやしていく。そうでなければ地方の自主性、自律性というものは確立できるはずがございませんので、従来からそれは地方制度調査会等を中心に議論をいただいておるわけでございますが、限られた財源の分け合いということになりますからなかなか容易ではございませんけれども、こういった行政改革等で見直しをされる時期こそ、最もそういうことを検討するに適切な時期だと思っておりますので、地方制度調査会その他の方々の御意見を十分拝聴しながら、私どもとしては研究を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  100. 松本幸男

    松本(幸)委員 いつ質問いたしましても、答えは大体判で押したような答えきり返ってこないわけでありまして、基本的には地方の自主財源確保のために普遍的な税源あるいは税目を地方に与えよ、こう言いますと、返ってくる答えは必ずと言っていいほど、地方のいわゆる財政力といいますか経済力といいましょうか、そういったものが非常にアンバランスなのでどうしても、税目を与えてもある一定収入がなかなか確保することがむずかしいのだ、したがって、やはり国税によって徴収をして交付税方法をとらざるを得ないのだという答えがいつも返ってくるわけであります。  先ほども申し上げたように、もう全団体交付税を受けている、こういう状態を考えますと、それは当然地方団体にそれぞれの経済力の差があるということは十分わかっていますけれども、ある税目を地方に渡したときに、それによって求められる税収によって、ある部分のところまではこれは確保できるというものがあるはずだと思うわけであります。  この国税三税のうちで、法人税にするのかあるいは所得税にするのか酒税にするのか、あるいは他の税にするのかは別としても、一つの税目を、与えると言うと語弊がありますが、地方に回せば、ある一定の収入というものが得られる。どうしてもそこまでいかないものに対しては交付税の制度を存続させて、それに対しては従前のように交付をしていく、こういうことでこの交付税についても圧縮をする方向でいくべきではないか。  このことについては、先ほど小川先生の方から交付税率をもっと引き上げろというお話がありましたので、多少考え方を異にするようなことになりますが、地方団体側にしても、慢性的な歳入不足のために背に腹はかえられずに、手っ取り早い交付税の税率を引き上げろという要求になって出てくるわけでありますけれども、やはり基本的に考えますと、これは言うならば自縄自縛でありまして、地方団体は、一方では自主性であるとか主体性であるとかあるいは分権であるとかということを強く要望している、他方においては国からもらう。もらうと言っては、これまた語弊がありますけれども交付税をふやしてくれ、こういう要求とはどうも少し乖離しておりまして、何か矛盾があるような感じがするわけであります。  したがって、地方の自主性、主体性あるいは分権というものを考える以上は、やはり国からの交付税的なものについては、国庫支出金を含めて極力圧縮をして、必要最低限でやっていくという方向がとられなければならないというように私は考えているわけでありますけれども、こういった点について、最近は計算事務も大変発達をしておりますから、仮に何かの税を地方にやった場合に、どういう税収になって、どのくらいの団体交付税を交付しなくても済むというような試算といったようなものをおやりになったことがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  101. 石原信雄

    ○石原政府委員 今後の地方財源のあり方に関連してのお尋ねでございますが、昨年十一月に出されました税制調査会のいわゆる中期答申におきましても、今後の地方財源のあり方としては、まず地方の独立税源の強化に重点を置くべきだということが指摘されております。その理由といたしましては、やはり行政サービスと受益者負担といいましょうか、負担との関係がなるべく直接的に結びつくような財源のあり方が望ましいのだ、こういったことが述べられております。常に、地方税源の強化を論ずる場合には財源の地域偏在の問題がついて回るわけでありますけれども、御指摘のように、最近は大部分の地方団体交付税の交付を受けるという状態のもとでは、やはり地域偏在の問題よりも、この独立税源の強化の問題にウエートを置いて税制改正考えていくべきじゃないであろうかと私ども考えております。  そこで、具体的に、しからばどういう税目でどういう財源の再配分といいましょうか、財源移譲というものが考えられるのかという点につきましては、政府として公式の場で議論したことはございません。ただ、学者先生なども交えた自主的な研究の場では、いろいろな検討がなされたことはございます。その場合に、国、地方を通じて国民の租税負担をふやすという前提に立ちますといろいろな議論があり得るわけですけれども、それでは問題が非常にややこしくなりますから、国、地方を通ずる税負担の総量は変えないで、国と地方の間の財源のやりとりでもっと地方の独立税源の強化ができないだろうかという意味で、いろいろな国庫補助負担金を廃止して、それにかわる財源として、たとえば所得税系統の所得税から住民税所得割、あるいは法人税から法人住民税あるいは法人事業税、それからたばこ専売益金をたばこ消費税、こういった幾つかの財源の振りかえの場合に、団体ごとにどういった財源の変動が起こるのか、こういったことは検討したケースがございます。
  102. 松本幸男

    松本(幸)委員 先ほど来から申し上げておりますように、ともかく地方の独立した収入が不足しているという現状でありまして、これについては国庫支出金あるいは交付税を含めてもう少し地方に固有の財源を与えるような方向で、やはりせっかくの第二臨調あるいは地方制度調査会においても、国と地方の行政のあり方を抜本的に検討しようという時期でもありますから、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思うわけです。何か国の方では、交付税やあるいは国庫支出金によって地方団体を縛り上げてしまって、地方支配を貫徹しようという意図があるのじゃないかというようなひがみも出てくるわけでありますが、自治省も昔の内務省ではないわけでありますから、言うならば地方団体の味方として、ぜひそういう方向で御努力をいただきたいというように存じます。  次に、交付税の関係につきましてちょっとお尋ねいたします。  五十六年度地方交付税につきましては、先ほども御質問がありましたように、特例交付金千三百六億円、交付税特別会計借入金千三百二十億円のほかに、前年度からの繰越金三千七百五億円によって本年度交付税総額八兆七千百六十六億円が確保されたわけでありますが、先般も申し上げましたけれども、いわゆる国税三税を算定基準とする交付税については、当然地方の固有財源であるというたてまえから当年度地方団体歳入として入るべきものであって、本来的には、こういう形で特例を設けて翌年度に繰り越すというような措置は、必ずしも妥当なものではないのではないかということを指摘したわけであります。  果たして、五十六年度において国税三税の増収が大きく伸びるかどうかということは、いまの段階では予測の限りではありませんけれども、もしこのような三税の伸びがあった場合には、五十五年度と同じような繰り越し措置をとって来年度に繰り越す、こういうような方法をまたとられようとされるのかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  103. 土屋佳照

    土屋政府委員 いまお示しのございましたように、わが国の経済が民間活動が主体をなしておるといったことやら、国際環境の変化も非常に予見しがたいものがございます。そういったことで、五十六年度のわが国の経済がどういった推移をたどっていくか、現時点では非常に不明な点が多いわけでございます。きわめて不透明で流動的であるわけでございます。  そういったことから、五十六年度に国の予算補正されるかどうかも定かではございませんが、仮に五十六年度においても五十五年度と同じような補正措置がとられた場合には、その時点における地方財政状況を見ながら対応策を検討することになるだろうと思います。  私どもとしては、途中の補正は全部翌年度に繰り越すのだということを考えておるわけではございませんで、たびたびお答えを申し上げましたように、年度間調整は、本来的に地方団体が行うのが原則だと思うのでございます。  ただ最近、きわめて異常な財政状況であるために、ここ二年ほどそういったことをやってまいったわけでございますけれども、現実には、五十七年度以降の地方財政状況がどうなるかということをよく見た上で、取り扱いを決めるということになるだろうと思います。どういうふうになるかはわからぬわけでございますけれども、いずれにしても私どもの基本的な考え方は、地方財政の健全な運営ができるように、どういう方法を選べば将来にわたって健全性が確保されるかという点で、地方団体の立場で真剣に考えて決断を下すべきことだと思っております。
  104. 松本幸男

    松本(幸)委員 次に、交付税に関連いたしまして、ちょっと生臭いような話でありますけれども、奈良県の香芝町で地方交付税を不正取得した、それに対して自治省が、この不正取得の二十一億円余りの返還命令を出したということが過日の新聞で報道されておりましたが、その経過と内容につきましてひとつ御説明いただきたいと思います。
  105. 土屋佳照

    土屋政府委員 昨年の八月、香芝町におきまして住民からの事務監査請求がございまして、それに関連いたしまして、奈良県が香芝町の地方交付税の検査を実施いたしましたところ、町税、主として町民税と固定資産税でございますが、町税の一部を正規の歳入科目に歳入しないで、財産収入及び寄付金という別の科目に歳入処理をするといったような違法な会計処理を行うとともに、普通交付税の算定に用いる資料に作為を加え、虚偽の記載によって不当に交付税の交付を受けていたということが判明いたしたのであります。  市町村については知事が検査をすることになっておりますので、奈良県知事が検査したわけでございますが、その結果の報告に基づきまして、五十六年の三月十二日に地方交付税、これも普通交付税でございますが、普通交付税の返還及び加算金の納付を命じまして、三月二十五日に加算金を付して全部返還をされたのでございます。返還額は、本来のものが十六億六千百七十一万四千円でございました。それに対する加算金が五億一千百二十万二千円ということでございます。三月二十五日に返還した、その日までの加算金を加えて返還をしたわけでございます。  現在まで調査をいたしました結果、判明した不正取得の状況は、昭和五十年度から五十五年度までの地方交付税につきまして、普通交付税に用いる資料に作為を加えて虚偽の記載をして、不当に交付税の交付を受けていたというものでございます。作為を加えて虚偽の記載がございましたのは、主として基準財政収入額についてということでございまして、先ほど申し上げましたように、市町村民税及び固定資産税を中心にされたわけでございます。これに伴って、対応します基準財政需要額においても、農業行政費とかその他の諸費等で連動して虚偽の記載をしたということでございます。返還を命じました額は先ほど申し上げたとおりでございますが、返還までの日数に応じて一〇・九五%の割合の加算金を取ることになっておりますために、先ほど申し上げたような額を加算して返還させたわけでございます。  なお、いま申し上げましたような五十年度よりも前にもいろいろ問題があったかもしれませんので、その点については引き続き調査をしておるところでございます。何せ非常に古い時代でございまして、台帳その他の調査には時間がかかると思いますけれども、そういった点も十分調査をすべきものだと考えております。  まことに、これは私どもとしては残念な事柄でございまして、交付税というのは、申し上げるまでもなく地方団体の共有の財源でございます。その算定事務は、国と地方団体の相互信頼の上に運営されているものでございまして、今回の事例は全く異例なことでございまして、このようなことは他の地方団体にはあり得ないと、私どもとしては考えておるわけでございます。そう申しましても、現実にこういったことがあったわけでございます。交付税制度の運営につきましては、配分の公正を確保するため、適正な算定事務が当然行われなければならないことでございます。また、交付税検査の徹底を図る必要があると考えられますので、私どもとしては、市町村に対する交付税検査の強化等について、各都道府県知事に対して事務次官名による通知を行って検査の強化をお願いをしたところでございます。  私どもとしては、今後こういった事態が生ずることのないように、検査方法の改善とか検査体制の充実強化等を含めて、不正防止のために努力をしてまいりたいと思っております。私ども自身でも、交付税課の中にプロジェクトチームみたいなものもつくりまして、いまいろいろな方法を検討しておるわけでございます。まさかと思っておったわけでございますが、大変お騒がわせをしたわけでございますが、いろいろな手段を講じましてこういうことが起こらないように、最大限の努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  106. 松本幸男

    松本(幸)委員 経過につきましては大体わかりましたけれども、こういった不正取得に対して利息をつけて返せばいい、こういう性格のものであるのかどうか、関係者あるいは責任者といった者の処分、こういうものは全く考えられていないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  107. 土屋佳照

    土屋政府委員 長年町行政に携わっておられました町長は、この事件が発覚をした後、町長選挙が暮れにございまして当選された後、不幸にも火事で亡くなられたということもございまして、この方については責任を問うということもなし得ないわけでありますが、それ以外に、これは私ども詳細は存じませんけれども、公文書偽造といったようなこと等で、いま司直の手でも捜査をされておるようでございます。そういった結果等も見守りたいと存じますが、何にいたしましても、共通の財源でお互いに信頼の上に立ってやっておるものを、こういった形で傷つけるということは許しがたいことでもございます。私どもとしては、過去の処理もさりながら、今後こういうことがないように全力を挙げていかなければいかぬと考えておるわけでございます。
  108. 松本幸男

    松本(幸)委員 この種の事件について責任が首長に集中されて、そこがいまお話しのようなことであるから、お亡くなりになったのでは責任のとりようもない。部下職員はつまり補助職員であって、それらの責めはほとんどないというように理解してよろしいわけですか。
  109. 土屋佳照

    土屋政府委員 責任は長だけというものではないと思います。やはりそれに担当者それぞれの責任もあるわけでございますから、そこらがいま申し上げましたような公文書偽造とかいろいろな点で捜査されておるような状況でございます。そういった司直の手もそこへ入っておりますので、そういう状況を見ながら、多分行政上の取り扱いも決めることになるのではなかろうかと考えております。
  110. 松本幸男

    松本(幸)委員 わかりました。  次に、国庫支出金のことについてお尋ねしたいと思います。  五十六年度の国庫支出金につきましては、先ほども申し上げたとおり、十兆六千八百六十五億円ということになっておりますが、先日いただきました資料を拝見いたしますと、各省別にその補助負担額が示されておりまして、この各省別の補助負担額につきまして、これはちょっと御無理なお願いかもしれませんけれども、いわゆる機関委任事務による補助負担額と、地方団体の固有事務に対する補助金額といったようなことがおわかりになっておりましたら、御説明いただきたいと思うわけですが、もし全体のものがおわかりにならなければ、自治省だけの二百十何億ということになっておるようでありますが、それだけでもおわかりになれば御説明いただきたいと思います。
  111. 土屋佳照

    土屋政府委員 申し上げるまでもないことでございますが、地方団体の事務はきわめて複雑多岐にわたっておるわけでございまして、それが機関委任事務であり、あるいは団体委任事務であることは、いろいろ議論としては分かれてくるわけでございますが、渾然として固有事務と一緒に仕事がされております。ある人の補助職員で、補助をもらった職員が仮におるといたしましても、その人はその委任事務だけをやっておるわけでもないとかいろいろなことがあるわけでございまして、渾然となっておりますので、そこはこういった事務は機関委任事務だといった分け方はできますが、そういう財政的な面で分けることはなかなか私どもとしてもできにくいので、実際そういうこともしておりません。
  112. 松本幸男

    松本(幸)委員 地方団体側からすれば、いわゆる超過負担の問題等含めまして、この機関委任事務に対してはいろいろと意見もあり批判もあるわけであります。そして、さらにこだわるようでありますけれども、第二臨調がいろいろな補助金その他に検討を加えていくといった場合に、やはり機関委任事務と地方団体固有の事務に対する国の補助金といったようなものは、かなり区分をされて検討が加えられなければならないものではないかと私は考えるわけであります。暴論を言いますならば、そんなに超過負担があるような機関委任事務だったらば、地方団体がもうそんなものは返上してしまう、仕事も要らない、金も要らないといったようなことさえ言われるわけであります。  そういう点から考えますと、いろいろな補助金を検討するに当たって、お金の方は出さない、ところが仕事の方はそれだけ残っているということになりますと、ますます地方団体の側では苦しい状態になるわけでありますから、その辺のところを第二臨調が的確に、もし国庫支出金たる補助金あるいは負担金を削るというならば、あわせて仕事も削る。お金と仕事はくっついておるものですから、金の方だけ削って仕事はそのまま残すということがゆめゆめあってはならないというように考えますので、そのためにあえて私はこの機関委任事務に要する経費、補助負担金、それから固有事務といったものに区分をしてみるべきではないかということを申し上げたわけでありますが、これらのことを今後お調べになるおつもりがあるかないか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  113. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しの御意見は、よく理解できるわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたが、本当にこれが機関委任事務で、これが固有事務ということで事務的に区分けはできますが、それについてどれだけ財源的にきちんと分けられるかということになりますと、これはなかなか容易じゃないと存じます。ただ、マクロ的にでもそういうことができるのか、研究はしてみたいと存じます。  いずれにいたしましても、いまお話のありましたように補助金整理といった場合に、国は機関委任とかなんとかで仕事はやらしておる、そして財政の都合で補助を切って、あとは地方へしわ寄せするということがあってはならないと思いますし、私どもとしては、国、地方を通じて行政の簡素合理化を進めるという意味では、不要な事務はもう整理をしてしまって補助金はやめるというのが基本であろうと思っておりますし、必要な事務が残るものについては、国で補助を打ち切るというなら必要な財源確保しなければなりませんから、いわゆる一般財源化ということを当然考えるべきだと思っておるわけでございます。  そういうことを明確にする意味で、いまおっしゃいましたように分けられるかどうかということでございますが、私どもも第二臨調においてどのような進み方をされ、どういった議論がされるのか、いまのところわからないわけでございますけれども、いろいろな事務ごとに分けておやりになるということになれば、補助金の整理は研究しなければならぬ問題だとは思っておりますけれども、いまのところお尋ねの点については、明確なものを持っておりません。なお、引き続いて研究をさせていただきたいと存じます。
  114. 松本幸男

    松本(幸)委員 その辺が、これから補助金を削減するのだということでやたらに大なたをふるわれても困るのでありまして、やはり実態に即して、一律なんということはとんでもない話でありまして、不要不急のもの、目的を達したもの、これらは当然削減の対象になってもあたりまえでありますけれども、必要不可欠のものについては存続をしていかなければならない。それらをえり分けるためにも必要な資料になってくるのではないか。地方団体の側でも仕事と金という両面を考えますと、そのことが大変重要なことじゃないか。したがって、検討するというお話でございますが、できればそういう資料もつくっていただいて、お示しをいただきたいというように希望をしておきます。  それから、先日いただいた赤い表紙の「昭和五十六年度地方財政計画 昭和五十六年度地方団体歳入歳出総額の見込額」という資料を拝見いたしまして、十四ページにございます第六表の「国庫支出金の内訳」というのと同じような「国庫補助負担金等に基づく経費の内訳」というのが三十三ページにございまして、第六表では十兆六千八百六十五億四千六百万円、この二十一表の総計によりますと、同じような形でほぼ同額の十兆五千二百九十四億四千八百万円、こういうことになっておりまして、千五百七十一億円ばかり六表と二十一表との違いがあるわけでございますが、千五百七十一億円というのはどういうところに計上されている支出であるのか、細かい話で恐縮でございますが、おわかりになりましたら……。
  115. 津田正

    ○津田説明員 お示しの十四ページの国庫支出金の内訳十兆六千八百六十五億円と、それから三十三ページ、国庫補助負担額十兆五千二百九十四億円、若干差異がございますが、これは基地交付金等、いわば一般財源と同じように事業がやれるというようなものは三十三ページの表からは除いておる、こういうようなことでございます。
  116. 松本幸男

    松本(幸)委員 わかりました。それがつまり千五百七十一億円である、こういうことですね。  次に移ります。  この国庫支出金十兆六千八百六十五億円、先ほども申し上げましたが、いわゆる対人的な費用と対物的な費用というふうに大きく分けられるわけでありますが、国庫支出金の性格を考えますと、大変くどいようでありますけれども、補助金等を検討する対象になるのはどうしても対物的なものになっていくのではないかと考えられるわけであります。今後自治省は、第二臨調等において補助金の削減等を考える場合に当然相談もありましょうし、協議もあると思いますけれども、そういう補助金の削減等に対応する自治省側の基本的な構えといいますか考え方、こういう点につきましてひとつお考えを伺っておきたいと思います。
  117. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどから申し上げますように、国庫補助金の削減といった点についてどういった形で行われるかということについては、私どももまだ詳細はわからないわけですし、これから議論をされることだと思っております。しかしながら、大量のものを節減されるということになりますと、大きなものは、たとえば義務教育の国庫負担法であるとか生活保護費とか、あるいは国民健康保険税への支出とか、公共事業の五兆円余りとかいったようなことになってくるわけでございますから、そういったものへ、どの程度のものを削減されることになるのかわかりませんけれどもかなりそこへ集中してくることは考えられるわけでございます。  しかし何度も申し上げましたように、私どもとしては、行政改革というのはまさに国と地方を通ずる行政の改善合理化であるべきであって、方向としては地方の自主、自律性を強化するという方向であるべきだと思っております。そういった意味から、補助金についても見直しをいたします際は、やはり不要不急のものは事務をやめて、そして補助金も整理するということが基本であるべきであって、それ以外のもので仕事として残すべきものについては、地方の事務として定着しておるようなものはできるだけ地方に任せる、そして財源としては、補助をやめたものは一般財源化してその措置をとるといったような形で進むべきだと思っておるわけでございまして、ただ単に国の財政の都合だけで金は切った、あとは地方の方へ財源を振りかえて、そこで適当に引き受けてやってくれというようなことではとても困るわけでございます。  私どもとしては、そこの基本的な線は、意見を述べる機会がございますれば明確に申し述べたいと思っておるわけでございます。もちろん行政改革そのものについて、私どもとしてはかねがね補助金の整理合理化ということは申しておるわけでございますから、そういった方向については当然十分議論を尽くしていかなければなりません。そこの地方と国との間の分担関係と、それから財源措置という点については、ただいま申し上げましたようなことで適切に対処していかなければならないと考えております。
  118. 松本幸男

    松本(幸)委員 次に移りたいと思います。  同じく国庫支出金の内訳につきましてお尋ねしたいのでありますが、いただきました資料の第十五表、二十八ページでございます。その他公共の事業費のうちの文教施設費というのがございますが、これをずっと見てまいりますと、五十五年度に対して国庫補助負担が四百三十三億ほど減額されて、逆に地方負担が二百七十億五千万円ほど増額されているわけであります。最終的には百六十二億ほどの減額でございますけれども、この文教施設費について国庫補助負担額が四百三十三億減り、地方負担が二百七十億ふえたという根拠につきまして、御説明いただきたいと思います。
  119. 津田正

    ○津田説明員 お答えいたします。  文教施設費につきまして国費と地方費がいわばアンバランスなかっこうに出た、こういう点でございますが、実は文教施設費の中にいわゆる定額補助系統の事業というものが多いわけでございます。定額補助と申しますと、括弧書きして三分の一相当とか三割相当とかいうふうに書いてございますが、実際面におきましてはもっと地方負担が大きい、こういうような実情でございます。したがいまして、昨年度はその定額補助何分の一相当というようなことで地方負担を計算しておったわけでございますが、それでは実態に合わないだろう。  確かに地方団体の需要というものは、それ以上にかかるというようなことでございます。むしろ、その分はきちっと財政需要で盛るべきではないか。したがって単純な割り返しではなくて、実際の事業の執行状況から見ての国費対地方費の関係で増額計上する、こういうことによりまして、また地方団体にとりまして財政計画が実情と合うようなかっこうになるのではないか、そういうような観点から、今回むしろ地方負担を多く計上しておるような措置をとったわけでございます。
  120. 松本幸男

    松本(幸)委員 細かい内容のことについてはなかなかわかりにくいところでありますけれども、この数字を見る限りにおいては、果たしてこういうことでこれからの文教施設づくりが十分にできるのかどうか。地方負担がやたらにふえていくと言うと語弊がありますけれども、こういうように地方負担をふやしていくという傾向は決して感心したものではないというように考えるわけでありますが、具体的な細かい内容等につきましてまだわかりませんので、改めてまたお尋ねをしたいと思います。  次に、やはり細かい問題で恐縮でありますが、国庫支出金の中にあります国有提供施設等所在市町村交付金のこれまた算出の根拠につきまして、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  121. 石原信雄

    ○石原政府委員 国有資産等所在市町村交付金、いわゆる基地交付金でございますが、この交付金は性格的には、基地の所在する市町村において自衛隊が使用する固定資産あるいは米軍が使用する米軍に提供している固定資産、これらについてのいわば固定資産税にかわるべき性格の財源を付与するという性格と、それから基地が所在することによるもろもろの財政需要に対処するための対策費といいましょうか、そういった性格の財源を与えるという二つの性格がございます。  そこで私どもは、予算要求に当たりましては、基地所在市町村における固定資産の価額に対して、固定資産税の税率百分の一・四相当の総額確保されるようにということを一応の目標として要求を行っております。ただし、この国有財産が五年ごとに評価がえが行われますために、評価がえの行なわれない年度においては伸びがないということになります。それからまた五年ごとの評価がえでありますから、五年目には一挙に相当程度の評価増になるといった変動要因をならしまして、評価がえの年から評価がえの年までの間において、おおむね固定資産評価額の百分の一・四相当額が確保できるようにというような考え方に基づきまして、予算要求を行っているところでございます。
  122. 松本幸男

    松本(幸)委員 これまた大変細かい話なんでありますけれども、この国有提供施設等所在市町村助成交付金につきましては、五十五年度百八十八億円でありましたものが本年度百九十九億五千万円になりまして、十一億五千万円ほどの増額でありまして、これの伸び率というのが六・四%ということになっております。  いまお話がありましたように、大体これらの交付金については、いわゆる固定資産税に見合った形で米軍の施設あるいは自衛隊の施設がある市町村に交付をする、こういうたてまえのようでございますが、そこで、本年度のいわゆる市町村税における固定資産税の伸び率というものを見ますと、全体では七・八%、償却資産の場合は特に大きくて一三・五%、このように伸びているわけであります。いまのお話からいたしますと、この国有提供施設等所在市町村助成交付金の増額の方が市町村税における固定資産税の増加率よりもわずかでありますが低いわけでありますけれども、そういう関係についてはどのように理解をしたらよろしいのでしょうか。
  123. 石原信雄

    ○石原政府委員 基地所在の固定資産と固定資産税全体の課税の対象になります資産の価額の動きというのは、必ずしも一致いたしておりません。基地所在の市町村における提供施設につきましては、それぞれ土地の形状あるいは施設の内容等により、年度によって一般の固定資産税の額よりも伸びが大きい年もありますし、低い年もあります。過去におきましては、おおむね固定資産税の伸びよりも基地交付金の伸びの方が高かったわけであります。  それは一つには、この基地交付金制度を創設されて以後しばらくの間は、固定資産評価額に百分の一・四を乗じた額まで達していなかった。そこで、そこに到達するようにということで、資産の伸びよりも予算伸びの方を高くしてきたという経緯もありますし、また、基地所在の市町村が抱えるいろいろな財政問題に対処するために特に財政補給金的な意味で上乗せする、こういったことも行われましたので、過去においては固定資産税の伸びよりも基地交付金の伸びの方がはるかに高かったという時代もございます。  最近はほぼこの五年間を通じて見ますと、固定資産評価額に対して百分の一・四の率を乗じた額程度のものが確保されてきておりますので、年度によって多少のばらつきはございますが、おおむね固定資産——償却資産は別でございますが、土地、家屋等の固定資産税の伸びと基地交付金の伸びはほぼ似たような傾向を示しております。しかしながら、これは別に固定資産税全体の伸びを目標にしながら基地交付金の予算額を決めているわけではございませんで、基地交付金の方は基地交付金の対象となります資産の状況あるいは基地所在市町村の財政状況等を勘案して決めてきているという事情に基づくものでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、資産に対して百分の一・四という目標をできるだけ早く達成するということと同時に、基地の所在する市町村のいろいろな財政事情にも対応できるようにということで予算増額確保に努力してまいりたい、このように考えております。
  124. 松本幸男

    松本(幸)委員 一般的に固定資産税の対象となりますのは土地、建物、それから各種の償却資産機械類等ということでありますけれども、こういった米軍の基地もしくは自衛隊の基地等の場合の対象となる固定資産についてどういう形での調査が行われているのかということと、もう一つはいわゆる兵器ですね、これらも評価の対象になるのかどうかということ、それからもう一つは迷惑料というものもお話があったのですけれども、それらについてはどういうような形で算定をされるのか、あわせてひとつ伺っておきたいと思います。
  125. 石原信雄

    ○石原政府委員 基地交付金の対象となります資産は、自衛隊が使用する土地、家屋等の施設でございます。それから飛行場、弾薬庫等でございまして、土地や家屋その他の施設でございます。いわゆる兵器といいましょうか武器といいましょうか、そういったものは対象にしておりません。それから、基地が所在することによるもろもろの財政需要をカウントする点については、これはたとえば調整交付金の方では住民税の減免額あるいは電気税の減免額、こういったものを基礎にしておりますけれども、基地交付金の方は特に具体的な需要の積算の上に立ってこれを要求しているということではございません。総額に対して最近の財政需要の伸びを踏まえて、一定の伸び率を乗じて予算要求を行うというような方法をとっております。
  126. 松本幸男

    松本(幸)委員 なぜ兵器は交付金の対象となる固定資産の中に加えられないのですか、その理由を……。
  127. 石原信雄

    ○石原政府委員 基地交付金ができました当時、昭和三十二年度からできたわけですが、その当時の議論といたしまして、それまで基地の所在する市町村における自衛隊が使用する土地や家屋その他の施設あるいは米軍に提供される土地、家屋その他の施設が固定資産税の課税対象から除外されて何らの措置がなかった、そこで少なくとも固定資産税相当額は関係市町村に交付されてしかるべきではないか、こういうような議論からこの制度がスタートしたわけでございます。したがって、その当時からいわゆる武器というか兵器というか、こういったものは初めから議論の対象になっていなかったという経緯かございます。
  128. 松本幸男

    松本(幸)委員 私もかつては基地のある町におりました関係で、当初、国有提供施設等所在市町村交付金という長い名前の交付金ができました当時は、米軍の航空機等についてもこの交付の対象になるんだ、いわゆる固定資産として評価されるんだ、こういうお話であったわけなんですが、それは間違いであったのでしょうか。  それと同時に、機械設備、課税されない車両、こういったようなものも、一般的には固定資産税の課税対象になるわけですけれども、兵器は対象にならないんだということがいまのお話だけではちょっと理解ができない、納得ができないわけなんですが、もう少し明確な理由を示していただきたいと思います。
  129. 石原信雄

    ○石原政府委員 米軍の航空機に対して、固定資産税相当額を交付金として交付するという話は、私は聞いたことございません。当時の記録等でも、そういったものは見当たりません。  それから、武器に類するものを交付金の対象になぜしないのだという御指摘でございますが、そもそも基地交付金ができたときの経緯が、基地所在市町村におきまして広大な土地を占拠しているものについて全く課税ができない、それがその地域の発展を阻害している、こういったものに対する措置として何らかの財源的な手当てがあってしかるべきではないかというようなことが、この制度がスタートする一つのきっかけになった考え方であります。  したがいまして、考え方として、武器その他を課税対象といいましょうか、交付金の対象にするという考え方はもともとなかったわけですが、なぜなかったのかというのは私もよくわかりませんけれども、一つには技術的な理由もあったと思います。そういったものを、武器のたぐいが正確に把握できるかどうかというようなこともあったかと思いますが、それよりも、少なくとも土地やその他の施設については固定資産税に相当する財源措置がなされるべきだという考え方が基本であったために、武器はもともと対象として考えられなかったということであろうと思います。  なお、関係市町村等の財源措置の問題でございますが、一般の固定資産税であれば土地、家屋、償却資産が課税対象になるわけですけれども、それと同時に、それによる収入額の七五%は地方交付税の計算上差し引かれるわけであります。しかし基地交付金の方は、それに対応する財政需要がきわめて特殊であるということもありまして、現在地方交付税の計算上は全く基準財政収入額から引かれないということになっておりますので、関係団体に与える財政的な寄与度といいましょうか、こういったものはかなりのものになっているのではないかというふうに考えております。
  130. 松本幸男

    松本(幸)委員 兵器にはなぜ課税しないのかということについてはまだ若干疑念が残りますけれども、それはまたおくといたしまして、もう一つ、直轄事業負担金のことについてお尋ねをしたいと思います。  この直轄事業負担金につきましても、いわゆる超過負担の問題と同様に、地方団体の側からはかねて強い廃止の要望もあるわけであります。五十五年度の四千四百二十八億円が五十六年度には四千四百九十四億円となりまして、六十六億円ほど増額をされているわけでありますが、その内訳を見てまいりますと、国庫負担分については百六十六億円も減額をされております。逆に地方負担が、いま申し上げたように六十六億円もふえているわけであります。さらにその中を見てまいりますと、道路につきましては国庫負担が七十六億円減額をされて、逆に地方負担が七十億円ほど増額をされているわけであります。  先日いただきました資料を拝見いたしますと、二十八ページに公共事業費の内訳が第十五表として載っておりますが、国は一兆一千六百四十八億三千三百万円を地方道の整備の費用として五十六年度に補助することになっております。これに見合う地方負担が六千二百七十六億七千四百万円、合わせて一兆七千九百二十五億円ということになっているわけでありますが、このように地方道の整備に対して約一兆一千億円余りの補助金を地方に支出をして、逆に国道の整備費に対して直轄事業負担金といって二千二百六十五億円も徴収をしている。  何と申しますか、行って来いのような関係になるわけでありますけれども、単純に考えますと、こういった直轄事業負担金などは徴収せずに、この分だけ国が地方道に出す補助金を減らせばいいんじゃないか、それだけ事務量も簡素化されるのではないかというような単純な考え方も出てくるわけでありますけれども、この直轄事業負担金を地方団体負担をさせるという合理的な根拠、あるいはこれを負担させることによるメリット、こういうものはどういうものであるのか、ひとつお話を伺いたいと思うのです。
  131. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 直轄事業に伴う負担金のあり方につきましてのお尋ねでございますが、地方財政計画上の数字指摘してのお尋ねでございますので、まずその点からお答え申し上げたいのでございます。  五十六年度地方財政計画の直轄事業費におきましては、先ほど御指摘をいただきましたように、五十五年度に比べまして国の負担の方が減り、地方負担の方が逆に六十六億ほどふえておるということでございます。その大きな原因としては、御指摘のように道路に関する直轄事業費におきまして国が七十六億の減、これに対して地方負担の方が七十億の増、こういう点にあるわけでございます。  この原因は、直轄事業負担金につきましては、いわゆる改修事業費等負担金、これが地方団体負担率が低うございます。四分の一とかあるいは三分の一というようなことでございますが、一方維持補修費に関して負担金がございまして、これは二分の一のものが多いわけでございます。五十六年度におきましては、そういった改修事業関係のものが道路では逆に減りまして維持補修費の関係の方がふえているということから、地方負担の大きいものの方がふえたためにこういった数字になっておるということ、並びに北海道における直轄事業の負担率の改正があった、こういう点から直轄事業負担金の増に対して国庫負担が減っておるという形になっておるわけでございます。  直轄事業負担金という制度を一方で設けながら、他方では御指摘のように地方道等の整備につきまして国が補助負担金を支出しておる、いわば刺しちがえのようなかっこうではないのか、なぜ直轄事業負担金というものを設けなければならなぬのか、その理由は何か、こういう点でございますけれども、確かに一方で補助をしながら一方で負担金を取るという点については、全体の数字から言えばそういうことでございますが、直轄事業負担金制度の設けられました趣旨は、やはりその地元に利益するところがあるという観点から、その一部について地元地方団体負担をするという仕組みでございます。  また直轄事業負担金そのものは、地域により年度により、もちろん事業の実施されるところ、実施されないところ、あるいは前年度に比べて増加あるいは減少があるなど、いろいろなケースがあるわけでございまして、必ずしも地方道等への補助とはその団体ごとにはもちろん見合わないわけでございまして、地域ごとにいろいろ異なるわけでございます。総体としては、確かにおっしゃるように差し引きの計算になるのじゃないかということでございますが、地域ごとにはもちろん差がある、それを先ほど申し上げましたように地元の利益がある、受益があるという観点から、負担を賦課しておるものでございます。  自治省といたしましては、直轄事業負担金制度の中で建設事業負担金の点につきましては、いま申し上げたような点もございますので、その負担のあり方は公共事業制度の基本にかかわる問題であり、慎重に検討すべきものと考えておりますが、維持補修費につきましては地方団体側からも、これに関する負担金というのはやめてくれ、こういう要請が非常に強うございまして、自治省といたしましては、維持補修費に関する負担金というものは早急に廃止すべきじゃないか、この点を従来から関係省に申し入れをしておるところでございまして、引き続き努力をしてまいりたいという考えでございます。
  132. 松本幸男

    松本(幸)委員 これを取るメリットというのが必ずしもはっきりしません。受益者である、国道が通過することによってその地域住民にある程度の受益があるということで出すんだ、取るんだというお話ですけれども、通過地域においてはむしろ受益よりも被害の方が大きくて、受益者ではなくて被害者であるというのが現状だというように思います。  それと同時に、いまのお話によりますと、改修事業費が減額をされて維持補修費か増額をされたから、結果として何か国庫負担が七十六億減って地方負担が七十億ふえたんだ、こういうお話のように伺えたのですけれども、そして最後には地方団体側からは改修事業費、新しい国道の築造等に対するものよりも、むしろ維持補修は国の方でやってくれ、こういう声が強いので廃止をするんだという、廃止の要望が強いのでその方向で努力をしているというお話があったわけなんですが、現実にあらわれた姿というのは前段の説明のように、五十六年度はいわゆる改修事業費が減額をされて負担率の高い維持補修費が増額されたから結果としてふえちゃったんだというのじゃ、これは全く逆の話であって、努力も水のあわだったということになるわけですけれども、その辺のことにつきましてもう一遍ひとつお答えをいただきたいと思います。
  133. 津田正

    ○津田説明員 直轄事業の関係におきまして、いわゆる公共事業の抑制ということで、新設、改良というのはほとんどストップされちゃったわけでございます。ところが維持補修というのは、ともかく車が走っている限りはある程度かかる。これは、景気対策とかそういうことに関係なく、ある程度伸びざるを得ない。その結果、国費負担が大きい新設、改修というのは事業量が伸びない。それで、大体国費が四分の三あるいは三分の二というかっこうのものが事業量が伸びない、しかし維持補修関係は国が二分の一、地方が二分の一、これはともかく伸びざるを得ないというようなかっこうで、地方負担がふえたということでございます。  それからもう一つ、維持補修につきまして地方団体側の意見がいろいろあるわけでございますが、それの端的な例は、実は国の直轄分の維持、補修につきましては、全部二分の一地方負担がかぶるわけでございます。ところが地方でも国道を管理しておりますが、地方が管理しておりますものにつきましては、補修について国費は三分の一出してくれる、ところが維持というようなものには出してくれない、これは国と地方とアンバランスじゃないか、こういう議論がまず出ておりまして、それで基本的に直轄事業はどうあるべきか、特にこの維持補修関係、現在でも国がやった場合と地方がやった場合と財源の見方が違うのがおかしい、こういうことで問題が起こっておるわけでございます。
  134. 松本幸男

    松本(幸)委員 これをしも、いまの御説明で必ずしも十分に納得をするというわけにはまいりませんけれども、かねてからとにかく強い要望のあります直轄事業負担金の廃止の要望にぜひ謙虚に耳を傾けていただいて、これからもひとつ努力をしていただきたいというように考えます。  時間が来たようでございますので、以上をもって質疑を終わります。
  135. 左藤恵

    左藤委員長 午後四時四十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二十六分休憩      ————◇—————     午後四時四十分開議
  136. 左藤恵

    左藤委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。工藤巖君。
  137. 工藤巖

    ○工藤委員 まず、地方財政計画全般について御質問を申し上げたいと思います。  昭和五十六年度地方財政計画を拝見いたしますと、対前年度伸び率が七%、これはかなり低いのでありまして、いただいた資料の中にあるものの中では一番低い。昭和三十一年度の六・四%以来の低い伸び率でございます。これも大臣が概要説明で述べられたように、「おおむね国と同一の基調により、財政健全化を促進することを目途として、」「節度ある財政運営を行うことを基本と」しておるものだろうと思うのでありまして、当面やむを得ないものと存じております。  こういう厳しい状況の中にありながら、国庫補助を伴わない一般行政経費は九・二%と、比較的大きな伸び示しております。また、投資的経費を見ましても、直轄事業とか公共事業関係などは国の予算を反映してほとんど伸びがない、横ばいという状況でございますけれども、普通建設事業については九・四%、過密過疎対策については一一・四%といったような大幅な伸びを見せておりまして、地方単独事業費では全体で八%伸びております。これらは、行政需要の多い地方実態に即応したものとして評価できると考えております。このことを前提にいたしまして、基本的に賛意を表しながら、若干の御質問を申し上げる次第であります。  第一に、基本的な問題でありますが、周知のとおり昭和五十年以来の国の著しい財源不足、同時に地方もまた同様でございまして、五十六年度地方債残高は三十一兆六千二百億弱になる見込み。また、交付税特会の借入金残高も七兆七千億ということでありまして、これは地方財政にとって大変大きな将来の負担だと思うのでございます。したがって、ことしの地方財政対策の中でも、公債費の伸びが二〇%という異常な伸び示しております。これは恐らく来年も、その後も続くのではないかと思われるのであります。  こういう状況の中で健全な地方財政を確立するために、行財政全般にわたって抜本的な見直しをしながら、これに対応しなければならないと思うのでございますが、基本的な大臣のお考えを承りたいと思います。
  138. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 国の財政と同様に地方財政も、ただいま申し述べられましたとおりにまことに憂慮にたえないような財政構造になっておるわけでございます。  そこで、これを回復をいたし、健全な地方行政が運営できるような財政基盤をつくり上げるということはなかなか容易なことではないのでございまして、端的に申しますれば、一刀両断でこの財政構造を解決をするというわけにはいかぬだろうと思っております。複雑な事情が絡み合っておりまするので、その中におってわれわれは常時絶えざる努力をしてこの難関を切り抜けてまいらなければならぬ、こう思います。  その第一は、でき得る限り一般財源確保するという努力をすること、これは毎年のこの予算編成期において、私どもは常時努力をしていかなければならぬ問題だと思います。  それから、地方税の強化の方策についてやはり不断の努力を重ね、工夫をこらしていくという努力が必要だろうと思います。  同時にまた、高度成長下においてふくらんでまいりました歳出という面について、この際低成長時代であり、これからはかつてのような高度成長を期待し得ないこの環境におきまして、歳出の合理化という問題について努力を重ねていく必要があるだろうと考えます。  同時に、国、地方を通じての事務の処理というものをでき得る限り簡素化していくということも、きわめて大切なことであろうと存じます。  そうした諸施策を常時努力をすることによって、三年、五年あるいは七年の間にこの構造を変えていくという目標を持ちまして、努力をしてまいることだろうと思います。  繰り返して申し上げますれば、一般財源確保のためにいろいろな工夫をし、努力をしていくこと、あるいは地方税制に対して、いろいろとこれから、難関はございまするけれども、工夫をこらしてやっていくこと、それから歳出面についての合理化を図ってまいること、それから国との関係におきまして、この辺はさらに合理化をするというような面についてわれわれも配慮していくこと、そうした幾多の施策を常時努力することによって、この財政構造の不健全さを解消するということでいかざるを得ないだろうと考えておるところでございます。
  139. 工藤巖

    ○工藤委員 ただいまの大臣のお答え、一般財源確保の努力、地方税源の強化、そして歳出の合理化、こうした努力を積み重ねて、次第にその財政構造というものはよくなっていくんだという御説には、私もきわめて同感でございます。しかし課題はたくさんございまして、これをそれぞれ地方自治体が努力をしながら解決をしていかなければならないし、自治省におかれてはそれを十分に指導しながら、地方団体の信頼と期待にこたえていただきたいと念願する次第でございます。  次に、五十六年度地方財政計画財源不足の一兆三百億円に対するやり方が従来とは変わっております。財源対策債がふえてきておる。この間の事情は、午前中の質問でよく理解をいたしました。  また、五十年から五十二年までの間の交付税特会の借入金償還方法変更をしていったということに関連しても、その内容については午前中のお答えでよく理解をいたしたわけでありますが、これは考えてみますと、償還しなくてもよくなった金額、これが交付税増額に充てられたわけでありますが、同時にそれにあわせて千五百七十億を国の方では、交付税特会に臨時特例交付金として入れなくてもよくなったという形になっておるわけですね。  それからもう一つは利差臨特、本来はこれも予算計上すべきものを計上しないで、千百三十億円を借り入れたかっこうにして後年度に繰り延べていく。合わせると、ちょうど二千七百億円あるわけでございます  これは、国で予算措置をしないで後年度に繰り延べた、いわば赤字国債と同じような形になって後年度負担になっているんだ、この地方交付税特会との操作の中で特例公債二千七百億円がここに隠れているんだ、こういうような表現を使ったら誤りでしょうか、どうでしょうか。
  140. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十六年度の国の予算編成も大変厳しかったし、また地方財政も大変厳しい状況の中で計画を立てるということになりまして、私どもといたしましても、地方財源の充実強化という面で、特に交付税所要額確保ということで、大蔵当局ともいろいろ折衝したわけでございます。  しかし、率直に申し上げて交付税率の引き上げは、こういった時期でございましてできません。そういった中で、五十五年度が前年度に比べて五%しか伸びなかったために、実は大変苦労したこともございました。何とかそれ以上に交付税伸び確保したいということで、いろいろと工夫したわけでございますが、何といっても厳しい状況の中でございますので、いわゆる普通の臨特、臨時特例交付金千三百億は昨年どおり確保したわけでございますが、後の手段がなかなか見つからない。  そういった中で、国としても非常に財政状況が厳しい、いわば当然増経費も増税によって賄わなければならないような状況でもございましたので、私どもとしてもいろいろと検討した結果、一つはただいまお示しのございましたように、三千四百八十億の借り入れ返済、うち千五百七十億は国が負担するというものでございますが、それについて借入条件の変更をしましたために、いわば後に送った、結果的に新しく財源をつくったわけじゃございませんが、それが返済を要しないということのために交付税確保されたというかっこうになって、それはとりもなおさず国の方でもその分だけ予算に組まないで済んだという点においては、厳しい国の財政状況も配慮した形になっておるわけでございます。  また、同じように利差臨特の千百三十億もそうでございまして、国の財政状況等見ながらその分は今度は計上しない。しかし、それがそのために将来の地方財政に影響を与えるということでは問題がございます。私どもとしては、それはもう一銭も地方団体に迷惑をかけるわけにはまいりませんので、それは送ったかわりにその分はいわば借入金によって処置をする、そして穴は埋めるが、その返済分はすべて国が後年度負担をするということでございますから、いまおっしゃいましたように、国の立場から見れば、本年度においてはそれは支出をしないで済んだけれども、後へ送ったということでございます。その間に、それぞれの立場において財政健全化を図って、いわば返済の時期までには健全化を果たしておこう、こういう努力をしようということでございまして、全般的に国と地方との財政状況をあれこれと考えた結果とった措置でございます。
  141. 工藤巖

    ○工藤委員 ただいまもお話がありましたとおり、ことしの財源不足を埋める手段をずっと拝見しておりますと、いかにも国の財政が大変だ。地方財源確保のためにいろいろ努力をしていただいて、ただいまお話の中にあったような二千七百億というものも、計上はされていないけれども地方団体にとっては別に直接の痛みはない、将来国が全部負担してくれるものでありますから。そういう形になって財源補てんができたけれども考えてみるとずいぶん国の方の財政の厳しさというようなものが、この不足財源に対応する交付税操作を見てもよくわかる。このことは、同様に地方においても厳しい財政のもとにあるということだろうと思うのであります。  そこで、現在御承知のとおり第二次臨調が設置されて、今後の対応についていろいろな審議が始まっているわけでありまして、これは国でも真剣に取り組まなければならないが、地方でもまた同様にこれらの諸問題に対応していかなければならないだろうと思うのでございます。臨調で調査項目、検討項目になっておりますものは、官業と民業の領域をどうするか、あるいは特殊法人、許認可事務、補助金、予算編成権とか公務員制度とか、万般にわたって見直していく。しかもこれは、七月までに一応の答申を出すというようなことで、大変に忙しい、しかし重要な第二臨調が始まっているわけでありまして、地方としてもこれに対応すべきだろう、こう考えるわけであります。  それで、その中から若干のことについて御質問申し上げていきたいと思うのでありますが、たまたま昨日の新聞報道で、国土庁の定住圏構想問題の研究会の報告が取り上げられておりました。その中身は、「公費の工芸教室など行き過ぎ」という見出しがついておりまして、いろいろ行政サービスは多様化しているんだけれども、受益、負担の公平の観点からいろいろな問題があるというような趣旨のことが出ておりました。私は、その研究会の報告というものは全然拝見しておらないわけですが、これについてもしおわかりでございましたら、これに対するお考えといいますか、御所見を承りたいと思うのでございます。
  142. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 実は、私もまだその報告書を入手しておりません。新聞で読みました限りでございますけれども、地域住民の要請といいますか、ニーズの高いいわゆる社会的サービスのあり方というものに対する一つの問題の提起であろう、このように考えております。基本的には、すべてのことをすべて行政がやればいいというものでは決してなかろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  143. 工藤巖

    ○工藤委員 そのとおりだろうと思うのですね。地方公共団体は、どういうようにして住民に対するサービスをできるだけ少ない経費で充実するかということにいろいろ努めている。こうした、一見そんなことまでと思われるものがたまには出てくる。そういうものも実際には地方公共団体のいろいろな事情があったり、住民の合意があったり、あるいは住民が民間でやらないから、行政が先達となって糸口をつけようという形で始まるものもある。ところが、始まるとマンネリ化してもうやめられなくなってしまうというようないろいろな問題点がこの中に、ちょっとした記事でありますけれども大変含まれているように思われるわけであります。  私はこういうような諸問題について、基本的には受益と負担の公平という立場から、もう一つは財政運営というか、経費の節減合理化という立場から、住民サービスとのバランスを考えながらでありますけれども、民間でできるもの、民間の方が効率よくできるものというものもあるわけでありますので、そういう点から、財政運営の合理化の見地から、公営企業で現在やっているものも含めて全般的に見直していく必要があるのではないかというように思うわけです。  また、こうした観点から、自治省におかれましても、いろいろな実態というものを把握しておられるだろうと思うのです。また、市長会とか各団体においても、いろいろこういうものに対する検討が進められたりあるいは研究資料が出されたりしております。こういうようなことを素材にしながら、行政機構の簡素化なりあるいは事務の簡素化なりといったようなものについて、地方に対する情報の提供や指導というものを積極的にやっていただきたいと考えているのでありますが、いかがでございましょうか。
  144. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまおっしゃられたこと、まことにごもっともだと思います。先ほど大嶋審議官からもお話がございましたが、それぞれの地域にそれぞれの特性があるわけでございますから、それぞれの特性を生かしたやり方をやって住民の行政需要にこたえていくというのが、地方自治団体の務めであろうと思っております。先ほどお話がございましたように行政を簡素効率化していく、あるいはそういう点に立って地方の分権化を進めるというのは、すでに御案内のとおり第十七次の地方制度調査会でもそういうことが述べられておりまして、そういう基本的な方向というのはやはり私たちもこれからの指導の理念として持っていくべきだと思っております。  御案内のとおり、地域社会にはいろいろな人が住んでおりまして、民間の活力というものを利用することもありましょうし、地域の連帯という形で、それぞれの人々の家庭生活ということの中でみんなで助け合っていくということもございましょうし、あるいはお話がございましたように、行政が先達となってこれを引っ張っていくということも当然必要であろうと思います。そういう中で、やはり情報の提供というものも大変大事なことだと思っておりますから、これからの行政のあり方として、みんなが力を合わせて地域社会をつくっていくには、そういういろいろな情報の提供がより大事になってくると思っておりますので、そういうことも念頭に置きながら今後の指導に当たっていきたいというふうに考えております。
  145. 工藤巖

    ○工藤委員 次に、給与と定員管理の問題について承りたいと思うのですが、発表されておりますラスパイレス指数などを見ましても、かなり給与の高い自治体もある。給与は高いけれども、定員管理を厳重にして何とかつないでいるというところもあります。この給与を引き下げるという問題実際には非常にむずかしい要素もあるわけでございますけれども、高い給与で定員を普通に管理していたら、財政はもう追って破綻していくのは目に見えているわけであります。こういった点について先般質問にも出ておりましたが、地方財政計画上に大幅に伸ばした普通建設事業や単独事業給与費に食われていないかといったような意見や批判が出てくるような状態でははなはだ遺憾であるわけでありまして、この点についての指導についてお考えを伺いたいと思います。
  146. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 大変給与が高いということで連日新聞をにぎわしておる点がございまして、この点については大変申しわけないと思っております。ただ、この給与の高かった一つの原因を調べてみますと、実はつい最近と申しますかここ十年くらい前までは、公務員の給与というのはどちらかと申しますと、工藤委員も御案内のとおり民間の給与のベースアップの時期となかなか合わずに、公共団体職員も大変苦労しておったことは事実であります。それか例のオイルショック前の給与の大幅アップがございまして、それ以後地方公務員給与が民間の給与に比べて非常に高いということが指摘をされるようになりました。  私は、やはり高いというのは引き下げる努力をすべきだとは思っております。ただ、それぞれの地域におけるいろいろな事情もないわけではないと思いますから、それぞれの地域における判断と責任においてこの給与がどういうふうにあるのかということを考えなければいけませんし、地域の住民が現実に自分たちの行政に当たっている人たち、公務員の給与がどういうふうにあるのが正しいのかという批判を加えることも、大変大事なことだと思います。  もともと給与につきましては、私から申し上げるまでもありませんが、要するに労働三権がないという代償のために、人事委員会を置きましたり議会が関与したりということで給与の適正化が図られてまいったわけでありますけれども、なかなかそれが地につかなかった。あるときにベースアップをやめましたり昇給をやめましたり、それぞれの公共団体が高いということに対する批判を受けながら努力をしたこともありました。ところが、最近はこういう物価の状況になりまして、そういう大わざをなかなか使えなくなったという点もございます。そこで、初任給の基準の引き下げでありますとか運用昇短の停止でありますとかわたりの考え方をやめるとか、いろんなことで今度は小わざ等を使いましたために、下げ方が若干低くなったのだと私は思います。  しかし私は、公共団体それ自身が漫然と給与を上げているものではないと思っております。やはりそれなりの努力をいたしておりますし、公共団体として住民とともに地域社会に生きていくわけでありますから、地域の批判というものを受けながら非常に住民の批判の高い給与を払うというのはなかなかできないことだと思いますし、そういうことがないように今後とも給与の指導をしていかなければいかぬというふうに考えております。
  147. 工藤巖

    ○工藤委員 次に移りますが、新聞等の報道によりますと鈴木総理は、補助金等の整理によって五十七年度は増税なしで予算編成をするという方針を述べておられるようであります。実際、行政機構の改革とか定員減というようなものを仮にやりましても、その年に出血首切りなんてできるわけはございませんし、ことしの予算編成状況を見ると実際に一兆四千億余りの増税をやっている。来年も、恐らくこの程度の財源不足は出てくるであろうと思われる。そうすると、総理のおっしゃるように補助金等の整理でもやらなければ、予算編成はできないのではないのかとさえも思うわけです。しかしこれは、地方団体の立場で考えますといろいろ多くの問題点が出てまいるわけでありまして、補助金問題について御質問をしたいと思います。  補助金については、申すまでもなくそれぞれの沿革がある。中央官庁として国の政策の方向を示すには、百の説法より一つの補助金をつけた方が地方はそれについてくる。それで国の政策はこのようにやっているということが言えるわけでありますから、さまざまの補助金が出てくるのは当然だと思うのです。しかし、その補助金がいつまでもそのままで残っておって、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの形には必ずしもなっていない。こういう点を見直していく必要があるだろう。  地方団体側から見ると、補助金をいただいて大変ありがたいものもたくさんあります。そしてまた、補助金がつけば起債もついてくる。だから補助金をもらわなければならないというので、非常に煩瑣な手続があっても、陳情、要望を重ねても補助金をいただく努力をする。ところが、逆に今度はそのことがマイナスになりまして、地方団体がいまここにこういう施設をつくりたいと思う、しかし補助の枠が少ないと、単独でやってやれないこともないのだけれども、もらえる補助をもらわないでやったんじゃ損するから、やろうという体制があるにもかかわらず翌年に延ばす。ということは、奨励すべき補助金が実は補助の枠によって制約されるという働きもしている、こういう問題があるように思うのであります。  それで補助金については、いろいろな点からの見直しが必要だと思うのでありますが、だれでも言うことであり、いままでも言われていることでありますけれども、補助金が各自治体にとって普遍的、定型的なもので、これを基準財政需要額に組み入れていけるような種類のものは、補助金を廃止して一般財源化していくことの方が、事務の簡素化の面からいっても地方の主体性確立の面からいってもよいのではないかと思うのであります。やめてもよい補助金があればやめていく。零細補助などでは、やめていいと思うようなものもあるように思うわけであります。  また類似目的、同一目的の補助、たとえばコミュニティー施設のようなものには、各省庁とも御承知のとおりさまざまな補助金があります。こういうものをメニュー化していく。地方自治体の選択によって、選んでいけるようにメニュー化する方法がないか。ところがこれは、言うことはやすいけれどもなかなか実行がむずかしい。それは各省庁のセクト主義にもあるだろうと思うのですが、何とかこういうものを調整して補助金の整理統合、一般財源化を図っていくべきではないか、そういう形で見直すべきではないかと思うのでありますが、御所見を簡単に伺いたいと思います。
  148. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお示しのございましたように地方団体の自主性、自律性を高める、そして国、地方を通ずる行政の簡素合理化を図るという見地から、補助金につきましては整理できるもの、やめられるものは整理してしまうということが大事だと思いますし、また地方団体の仕事として同化、定着化したものについては、地方の仕事として一般財源化を図るということが大事だと思っておりまして、その点は私ども前々から主張しておるところでございます。今後改革が進められる中で、そういった方向でいくように私どもとしても努力をしたいと思っておるのでございます。  最後におっしゃいましたように、存続する補助金につきましても極力統合・メニュー化を図るということが大事なことだと思っております。類似の目的を有する補助金についてできる限り統合をいたしますとともに、補助対象事業について可能な限りメニュー化を図り、地方団体が幅の広い事業選択をすることができるようにいたしまして、地域の実情に即した事業に対して、有効に補助金を活用することができるようにすることが大事だと思っております。  ただ、過去いろいろそういう事例もございますけれども、形の上では一本化したけれども実際にヒヤリングなどはもとの課でそれぞれやっているとかどうとか、いろいろな御意見もございます。いまのような組織の状況のもとにおいては、なかなか一遍にはよくならないと思うのでございますけれども、せっかくこういった行政の改革という機運が向いておるときでございます。全体として見直しの機会に、私どもとしてはいまおっしゃったようなことが適確に進められるように希望もし、努力もしたいと思っておる次第でございます。
  149. 工藤巖

    ○工藤委員 第二臨調との関係でいろいろ補助金の削減等か言われておりますが、これが必要な補助金が削減されるということになると、それが地方負担に転嫁されるというおそれがあるわけであります。この点については、十分に配慮をしていただかなければならないので、さまざまなやり方があろうかと思いますけれども地方の立場から補助金制度について十分に対応していただきたいと考えております。これはお答えいただかなくてもいいのですが、いまの対応の仕方について何かお考えがありましたら伺いたいと思います。
  150. 土屋佳照

    土屋政府委員 もうよくおわかりのことでございまして、私が申し上げるまでもないわけでございますが、この補助金の整理合理化がどういう方向で行われるか、私どもも今後の臨調あたりの動きを十分関心を持って見ておるわけでございます。  率直に申し上げて、いまの補助金といっても、大多数は地方団体のもの。一般会計の分で約十一兆五千億ぐらいが地方団体向け、そして特別会計でやっております、道路整備特別会計といったような部分で地方へ出しておるものが二兆二千億ぐらいございますから、十三兆七千億ぐらいが地方向けでございます。その中で主なものを拾ってみますと、義務教育費の国庫負担法とか国民健康保険税への支出とか生活保護費とか、公共事業が五兆円もございます。  そういったものの中で、事業量を縮めればうまくいくものもあろうかと思いますが、削減の仕方、合理化の仕方にも工夫が要るものが多いのだろうと思っております。  それぞれ的確な結論が出されるものだと思っておりますけれども、結果として事業がやめられるものはいいのでございますが、何度も申し上げますように、やめられない、どうしても必要なもので、国の財政もきついからその補助率を落とすとかというような形で削減だけをされてしまったら、それは地方負担、持ち込みということになるわけでございまして、財源がなければ、それは全部国と地方とただ負担を振り分けたということであっては、地方の立場から申しますと、これは大変むずかしい問題でございますので、私どもとしては、行政の簡素合理化ということは進めなければなりませんか、そこのところは十分注視をいたしまして、地方団体財政にしわ寄せが来て地方の仕事が円滑に進まないということのないように、十分御理解をいただくように努力したいと思っておるわけでございます。
  151. 工藤巖

    ○工藤委員 先ほど、メニュー化しようとしても、官庁の縦割りシステムなどもあって大変メニュー化が困難なようにも思われるということを言いましたが、ちょっとそれに関連して、補助の問題じゃございませんが、事務の合理化というか地域の実態に即した姿で対応してほしいものの一つに、保育所と幼稚園の一元化の問題があるわけでございます。  これは、自由民主党におきましても幼児問題の研究会、特別委員会が設置されて検討が進められているところであるのでありますが、幼児の保育と教育というものは分離さるべきものではないというふうに私どもは思っております。保育は受けたが教育は受けないという幼児があっても困るし、教育、保育は一体のものだと思うのでありますが、いろいろな経過かあって、また保育所と幼稚園の設置目的がそれぞれございますから、沿革的にそれぞれ建設をされてきているのであります。しかし、小さな集落で幼稚園、保育所両方建てなければならぬということも実際問題として不可能でありますし、現実にはほとんど保育所でいっているところもあれば、また逆に幼稚園が支配的な地域もある。一方の地域には保育に欠ける幼児がたくさんいるというようなわけでも必ずしもないのであります。  こうなると地域の人としては、これを一本化してほしいという要望が出てくるのは当然であろうと思います。厚生省、文部省両省でいろいろ話し合いも進んでいると思うのでありますけれども、こういう地域の実態に即して仕事を合理化していくということは、積極的に地方の意見なども聞きながらどんどん前向きに進めてほしいものだと念願しているわけでございます。厚生省、文部省の課長さんも来られているようでありますが、簡単に経過なり考え方をお話しくださればと思います。
  152. 横尾和子

    ○横尾説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいましたように、地方の特に人口の少ないところでは、実際に保育所が唯一の就学前の教育機関であるような場所がかなりあると存じております。私どもの調べている資料では、町村が主でございますが、およそ約一千の町村においては、幼稚園がなくて保育所だけがあるというような状況になっているように思っております。  そういう場所において、先ほど先生おっしゃったように、保育は受けたが教育が受けられなかったというようなことがないように、私ども保育内容がよくなるようにかなり努力を続けてきているところでございます。また、保育所そのものもできないような、子供の人数がさらに少ないようなところにつきましては、特に三十人とか二十人とか、小さな保育所ができるように措置もしておりますし、施設整備もさせていただきたいと思います。  ただ、保育園と幼稚園の一元化を単純にできない問題の一つには、たとえば都市におきましては、都市の共働きの世帯の勤務というのは大変長時間にわたっております。都市型の保育園と申しますのは、大体朝の七時半に門を開きまして、そうして給食を食べ、お昼寝をし、夕方六時ぐらいまで開いております。それでも、昨今のベビーホテルの問題のように、六時でもまだ足りない、これを七時、七時半まで延ばしてほしいというような御要望も強いわけでございます。そういう地域におきましては、幼稚園が大体九時ごろからお昼御飯前までというような態様になっておりますと、そこのところを機械的に一元化しますと、共働きの御家庭の子供さんの立場にとってみますと大変大きな問題があるというふうに思っております。したがいまして、地域の町村を主とした保育所と大都市を主とした保育所とで若干その担うべき役割りも異なるかと思いますけれども、そういう状況を踏まえながら、いま文部省と御相談をさせていただいているところでございます。
  153. 内田弘保

    ○内田説明員 ただいま先生から御指摘がありましたことに関しまして、幼稚園と保育所の関係、御存じのように現在、文部省と厚生省で学識経験者からなる幼稚園及び保育所に関する懇談会というのを設けております。ここで御協議をお願いしておるわけでありますが、これは行政管理庁からの勧告を受けまして審議を続けてまいりまして、私どもとしてはことしの夏ごろまでに何らかの結論を出していただきたいというふうに希望しております。文部省としましては、その結論を拝見しながら、幼児や地域の実態に対応できるようこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。  先ほどからお話にありましたように、幼稚園と保育所は非常に混同的に運営されておりますが、私どもとしましては、御承知のとおり幼稚園はあくまでも幼児教育の場として学校であるというふうに考えております。したがって、これに対する国民の強い要望やあるいは幼児期の教育の重要性ということを考えておりまして、先ほど厚生省の課長からもお話がありましたように、幼稚園のまだないところが全国の市町村のうちの三分の一ほど、大体千二市町村で公立あるいは私立の幼稚園も全然ございません。私どもは、幼児教育はいろいろな意味で教育の基礎であり非常に重要なことと考えておりますので、できるだけこういう市町村においても幼稚園をつくっていただくように図って、また指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
  154. 工藤巖

    ○工藤委員 お二人のお答えをお聞きしておりましても、それぞれ、片や学校でありとおっしゃいますし、片やベビーホテルの問題との関連で保育も考えなければならない大都市の実情があるということでありまして、なかなか一元化というものがむずかしいように思う。ただ地方から見ると、子供を幼稚園に上げるのも保育所に上げるのも、みんなよい教育機関であると思ってそこに上げているわけであります。両方の制度のよいところを取り合いながら、いいものに一本にまとめてくれればいいなというのが率直な感じなわけでございます。今後とも話し合いを進め、一元化を促進していただきたいと思うのであります。  さて次に、地方財政の自主性、自律性の拡大は常に言われているのであります。地方自治の本旨に照らして考えても、財政的にその自主性、自律性が確立しなければならない。ところが、わが国の自治体といいますか地方自治の場合には、なかなかそういう訓練ができていないというのかどうかわかりませんけれども、たとえばアメリカの自治体などと比べてみまして、課税権においてもその他の活動、行政面においてもかなり制約があるように思うのです。  たとえば、地方税地方税法で標準税率が決められておる、制限税率が決められておる。大体地方としては決めてほしい。決めてもらわないとどうやってかけたらいいかわからないから、やはり標準税率は決めてほしい。これをもし決めないで好きなようにやれと言われても、大変困るだろうとは思うのです。まあ、現段階はそういうところであろうと思います。  しかし、本当に自治体の自治の本旨を実現していくという観点から見るならば、標準税率は当然決めなければならないが、ある程度の幅を持って選択してもよろしいぞというような試みというか、自治体に自分でやってみなさいというような形で努力をさせてみる、あるいは住民が本当にそれを理解して、税の取り方から使い方から住民が参加していくという、こういう形のあるべき姿の自律性、自主性を持った自治体を育てる方向に、いろいろ考えていただくことが必要なのではないだろうか、こう思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  155. 石原信雄

    ○石原政府委員 地方税の理想としては、先生御指摘のとおりであろうと思います。  御案内のように、現在の地方税法のもとでは税目によりまして標準税率を定めているもの、また一定税率とされているものがあります。それから、標準税率を定めているものの中には、制限税率を置いているものとそうでないものとあります。これは、税それぞれの税率の決め方を見ますると、税の種類によりましては、地域によって負担率に差があることが好ましくないと考えられるものについては一定税率を採用しております。それから、地域によってある程度差があってしかるべきだと考えられる税については標準税率あるいは制限税率、物によっては制限税率が置かれてないとか、こういった形になっております。  私は、税目によって、たとえば住民税でありますとか国定資産税でありますとか、その地域社会の構成員がこれを負担するというような税は、相当程度幅があっていいのじゃないか。また、税金のかけ方についても、たとえば住民税について、かつてオプション1、2、3にそれぞれただし書きがあったような、ああいう考え方がもう一遍考え直されていいのじゃないかというような感じを持っております。たとえば、たばこ消費税などのように、国と地方の自主的な財源の配分割合意味するようなものについては、これはなかなか国との関係がありますから困難な面が多いと思います。いずれにいたしましても、税の種類によって可能な限り、地方団体の課税権が自由に行使できるような姿に持っていくべきものではないか、そのような努力をすべきではないかと考えております。
  156. 工藤巖

    ○工藤委員 続きまして、起債の許可についても、これは野放しにすることはできないと思いますし、ことに起債の返済を元利償還金を交付税で見ていくなどというものもございますから、そういう点で一件ずつ審査していかなければならないものもあると思うのですけれども、こういうものもいまのような考え方から言えば、財政規模に応じてある程度の枠を決めて、その枠の中では一件一件、市町村であれば県の地方課へ行き国の財務部に行って審査を受けなければならぬというような形ではなく、なるべく自主性を生かすような形での審査の方法、許可の方法というのがとれないものだろうかと思うのであります。いかがでございましょうか。
  157. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方債許可手続の簡素化という点につきましては、地方債の枠配分式というものをできるだけ取り入れたいということで年々拡大に努めておるわけでございます。五十四年度債の普通会計債に係ります実績を見ますと、すでに都道府県分の八六%、市町村分の九九%までが枠配分方式となっておるわけでございまして、五十五年度においても、枠配分方式の一層の拡大を図るということで、都道府県指定都市分の高等学校整備事業、それと住宅事業、それから市町村分について厚生福祉施設整備事業の一部について、一件審査方式から枠配分方式に変更したわけでございます。五十六年度におきましても、都道府県指定都市分の社会福祉施設整備事業を枠配分方式に変更するということにしておるわけでございますし、そのほか財務部等の関与の度合いも大分整理されてきておりまして、かなりその面では進展をしておると思います。しかし、なお合理化すべき面もあるわけでございますから、今後とも引き続いてそういった面には努力をしてまいりたいと思っております。
  158. 工藤巖

    ○工藤委員 次に、ギャンブル収入のことについてちょっと伺いたいのでございます。  ギャンブル収入は基準財政収入額の枠外になっているわけでございますが、このギャンブル収入のあるところとないところでは事実上財政力に大きな格差が出てくるわけです。私はよくわからないのですが、いまギャンブル収入で最高に収入を得ているところ、あるいはギャンブルはやっているけれども最低の収入のあるところ、これは市町村がいいと思いますが、わかりましたらちょっと。名前は、場合によれば言わなくても結構です。どこが何ぼで一番、どこでも結構ですから、ちょっとそれを教えていただきたい。
  159. 土屋佳照

    土屋政府委員 正確に調べたものでは、五十三年度決算でございますけれども、公営競技収益金が最も多額な団体財政規模にして率が高いという意味ではなくて、額そのものが一番大きい団体は、競艇事業を実施しております福岡市でございまして、収益金が五十三年度で百四億円でございます。これは標準財政規模に対して一〇・五%ということになっております。収益金が最も少ない団体は、岐阜県下で競輪事業を一部事務組合方式で施行しておる数カ村でございますが、収益金の額は約百万円、標準財政規模に対する比率は〇・二ないし〇・三%程度でございまして、非常に幅があるような状況でございます。
  160. 工藤巖

    ○工藤委員 標準財政規模に対して一番たくさんもらっているのはどんなところがありますか。
  161. 土屋佳照

    土屋政府委員 広島県の宮島町でございまして、これは指数が五五四、こうなっております。
  162. 工藤巖

    ○工藤委員 五五四というと、一般的な歳入の五倍以上ギャンブルから収益が入っているということですね。参考までに伺いますが、こういう町は交付団体になっているのですか。交付税をもらっているのですか、もらっていないのですか、福岡、宮島は。
  163. 土屋佳照

    土屋政府委員 いずれも交付団体になっておるようでございます。
  164. 工藤巖

    ○工藤委員 ギャンブルの問題はいまお話しのようなことでございまして、百億の金が入ってくるところと入ってこないところがある。しかし、片やそれでも交付税をもらっている。いまお話しの宮島は、収入の五倍くらいのお金が入ってきて、それで交付税はもらう、交付団体になっている。こういう実態は、市町村相互の間から見ると、そっちの団体はギャンブルからたくさん収入があってうらやましいな、どうもこういう感じを禁じ得ないだろうと思うのですね。  それで、もちろん従来の経過がございまして、こういう収入を上げるまでには大変な苦労をしてきた経過というものもあるだろうと思いますから、結果的な現在の収入だけを見て、一概にこういうギャンブル収入を云々することは正鵠を得たものだとは思いません。いろいろな経過があるし、また危険負担もあるだろうと思います。そういうことは十分承知しながら、このギャンブル問題には対応しなければならないが、やはりある程度の均てん化の方向というものはもう少し進めるべきではないだろうか。現在行われております均てん化の状況を、ちょっとお知らせいただければと思います。
  165. 土屋佳照

    土屋政府委員 確かに、お話のございましたようにいわゆるギャンブル団体で非常に収入が上がってきておるとはいうものの、過去にはなかなかいろいろな経緯もございまして、それなりの苦労の積み重ねもあるわけではございます。しかしながら、先ほどから申し上げたようなことで、いまや大変大きな収入になっておるということもございまして、その均てん化ということが従来から議論されておる、論議の対象になっておるわけでございます。  そういった意味では、まず大きな点では、四十五年度に公営企業金融公庫納付金制度を設けまして、近年はその納付率の引き上げを行ってきておりまして、現在では納付率は一%ということになっておるわけでございます。そのほかに、公営競技の施行団体に対します特別交付税について、減額調整をしておるということもございます。また地方債についても、調整措置をとっております。  そのほかに、納付金のような全国レベルの均てん化のほかに、都道府県レベルでの均てん化の推進を図るように指導しておりまして、実は昨年切りかえをいたします際もかなり強くそれは指導いたしまして、府県の市町村の全体の役に立つような振興交付金へ拠出をするとか、あるいは全市町村で設立した自治会館へ拠出をするとか、いろいろな方法かなりなところでそういうことをやっていただきました。今後ともできるだけそういうことをしながら、こういった形の収入でございますから、全体が納得のいくような形で使われていくように指導をしていきたいと思っておるわけでございます。  ただ、これは全部やめて完全な均てん化というのはなかなか容易じゃないと思っておりますが、できるだけそういったことで努力をしたいと思っております。  なお、これも御承知のとおり、五十四年の六月に、学識経験者をメンバーとします公営競技問題懇談会というのが総理府にございます、そこで意見書が出されておりまして、政府においてはその意見書の趣旨を踏まえまして、公営競技運営の改善策を検討するために、五十四年の七月から総理府に公営競技問題関係省庁連絡会議というのを発足させておりまして、鋭意検討を重ねておるところでございます。議論はいたしておりますけれども、なかなかこれといって大幅な結論というものはまだ出していないわけでございますけれども、今後ともさらに議論を重ねて、均てん化を進める方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  166. 工藤巖

    ○工藤委員 そういうことでよかろうと思うのであります。  最後に、第二臨調がいま進められている。国の行政との関連で、地方自治の問題も調査審議することになっているわけでありまして、これに並行しながらやはり地方団体地方団体の立場で、行財政の問題に取り組む必要があるだろうと考えるわけであります。地方制度調査会は、従来継続的にこれをやっておりますが、夏までに第二臨調が結論を出すというならば、地方制度調査会等でも臨時にこういうものを開いて、あるいは地方団体の意見を聞くとか、地方の立場から主体的にこれに対応する必要があるのではないだろうか、将来の方向を打ち出し、具体的な対策を検討すべきだと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  167. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 第二臨調におきましては、実は地方制度調査会の林会長さんが入っておられまして、そのときどきの審議の状況を見ながら、地方制度調査会を開催をいたしていただけるものだと私たちは思っております。  なお地方団体におきましても、自治確立協議会というのをつくっておりまして、そこで行政改革に関するいろいろな問題を討議されるようでありますから、そういう問題が地方制度調査会の中に反映されてくるものだと、またこれも思っております。  いずれにいたしましても、地方の意見というのは、地方制度調査会その他の段階で臨時行政調査会の方に反映されるように、われわれも努力をしてまいりたいと思っております。
  168. 工藤巖

    ○工藤委員 地方自治が大変大事なときでございますから、こうした第二臨調の動きなども見ながら、手おくれのないような十分な対応をしていただきたいと思っております。  地方自治を確立するために、先ほど、補助金による支配というような形ではない、自主的な財源確保等によって地方自治の行財政確立をすべきであるというようなことがいろいろ話題になってきておるのでありますが、私は、中央官庁というのは指導理念を明確にする、あるいは技術の援助、人材の派遣、情報の提供というようなことによって地方に対して指導も行い、その信頼も得ていくというのが筋であろうと思っているわけでございます。そして、地方自治体の安定と住民の信頼こそがそのまま国政の安定につながる、こういう重要な役割りをそれぞれの自治体が持っているものだと思うのでございまして、この点につきましてもし大臣から所見がございますればお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  169. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 第二臨調におきましては、地方事情も十分考慮しながら結論を出すものだと思っております。特にこの際、私ども考えねばならぬ問題は、いまのような混迷した制度の中におって漫然と時を経過いたしまするならば、地方自治体の意識というものもおかしくなっていくのではないか。自律性、自主性ということを強調してはおりますけれども、現実を見ますと決してそういうものではなくして、常に中央志向の傾向がますます強まっておるというのが現状だと思うのでございます。  これは、ひとり地方団体を責めることはやすいのでございまするけれども、その遠因は制度に由来するものが非常にあるわけでございます。どうしてもこの機会にその制度というものを切りかえまして、そして地方団体の自主性、自律性が、みずからの責任において地方政治をやっていくという体制をつくり上げるための第二臨調の答申を得たい、私どもこう考えておるわけでございます。この点については、財政の問題とあわせまして今後の地方自治のあり方にも関係する問題でございまするので、十分注意をいたしまして、今後私としては努力をしてまいるつもりでございます。
  170. 工藤巖

    ○工藤委員 ありがとうございました。終わります。
  171. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、来る四月九日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会