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渡辺国務大臣 ただいま議題となりました
アフリカ開発銀行への
加盟に伴う
措置に関する
法律案外三
法律案につきまして、
提案の
理由及びその内容を御説明申し上げます。
初めに、
アフリカ開発銀行への
加盟に伴う
措置に関する
法律案につきまして申し上げます。
この
法律案は、別途本
国会において御承認をお願いいたしております
アフリカ開発銀行を設立する協定に基づき、わが国が同
銀行に
加盟するために必要な
措置を講ずることを目的とするものであります。
アフリカ開発銀行は、アフリカ諸国の経済開発及び社会的進歩に寄与することを目的として一九六四年に設立された地域開発金融機関でありまして、現在、アフリカの独立国五十カ国が
加盟しております。
同
銀行は、アフリカの開発途上諸国に対して、農業、電力、運輸等の分野において活発な開発融資活動を行い、多大の成果を上げてきておりますが、これに伴い、同
銀行の
資金基盤の強化に対するこれら開発途上諸国の期待が一段と高まってきております。
このため、同
銀行は、域外の先進諸国に対して同
銀行への
加盟の要請を行い、一年近くにわたる交渉の結果、域外二十一カ国との間で
加盟条件に関する原則的な合意が得られるに至りました。
政府といたしましては、わが国が同
銀行へ
加盟し、アフリカの開発途上諸国の経済発展のための努力を支援することは、これら諸国の
国民生活の安定と
向上のためのみならず、
世界経済全体の均衡のとれた成長を
確保するためにも重要であると考え、他の先進諸国とともに、これに
加盟することを決意した次第であります。なお、わが国は、同
銀行の活動を補完することを目的として一九七三年に設立されたアフリカ開発基金に、その設立当初から
加盟し、積極的な協力を行ってきたところであります。
以下、この
法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、
政府は、同
銀行に対し、
加盟に伴う当初出資として、協定に規定する計算単位で二億四千五百六十八万計算単位に相当する
金額の範囲内において、本邦通貨により出資することができることとするほか、
予算で定める
金額の範囲内において、本邦通貨により、追加出資し、また同
銀行の
特別基金に充てるため拠出することができることといたしております。
第二に、同
銀行への出資及び拠出は、国債の交付によることが認められておりますので、国債の
発行権限を
政府に付与するとともに、その
発行条件、償還等に関して必要な事項を定めることといたしております。
第三に、同
銀行が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所としての業務は、
日本銀行が行うことといたしております。
次に、一次産品のための
共通基金への
加盟に伴う
措置に関する
法律案につきまして申し上げます。
この
法律案は、別途本
国会において御承認をお願いしております一次産品のための
共通基金を設立する協定に基づき、わが国が同基金に
加盟するために必要な
措置を講ずることを目的とするものであります。
一次産品のための
共通基金は、一次産品の価格の安定及び一次産品に関する研究・開発、
生産性の
向上等に資することを目的とした国際機関であり、国連貿易開発
会議の場における四年余にわたる設立交渉の結果、昨年六月にその設立について合意が成立したものであります。
一次産品の価格の安定と品質の改善、
生産性の
向上等は、一次産品の輸出所得の改善を通じて、開発途上諸国の開発と発展に大きく寄与するものであり、また、一次産品の大部分を輸入に依存しているわが国にとってもきわめて重要なことであります。
政府といたしましては、このような見地から、同基金の設立交渉の場において積極的な役割りを果たしてまいりましたが、同基金の設立に当たり、これに
加盟することを決意した次第であります。なお、同基金には、
世界の独立国百六十三カ国の
加盟が予定されております。
以下、この
法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、
政府は、同基金に対し、協定に規定する計算単位で二千五百四十七万六千三百九計算単位に相当する
金額の範囲内において、本邦通貨により出資することができることとするほか、
予算で定める
金額の範囲内において、同基金の任意拠出に充てるため本邦通貨により拠出することができることといたしております。
第二に、同基金への出資及び拠出は、一部国債の交付によることが認められておりますので、国債の
発行権限を
政府に付与するとともに、その
発行条件、償還等に関して必要な事項を定めることといたしております。
第三に、同基金が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所としての業務は
日本銀行が行うことができることといたしております。
次に、
臨時通貨法の一部を改正する
法律案につきまして申し上げます。
現在、
臨時通貨法に基づいて
発行されている貨幣の額面は、百円が最高となっているのでありますが、最近における
国民の経済取引の実情を見ますと、より高額の貨幣が必要であると考えられますので、
政府は、
国民生活の利便に資するため、新たに五百円貨幣を
発行して五百円の
日本銀行券とあわせて流通させることとし、ここにこの
法律案を提出した次第であります。
この
法律案の内容は、
政府が
発行できる臨時補助貨幣として新たに五百円の臨時補助貨幣を加えるとともに、その法貨としての通用限度を一万円とするものであります。
次に、
昭和四十二
年度以後における
国家公務員共済組合等からの
年金の額の
改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして申し上げます。
この
法律案は、
国家公務員共済組合法等の規定により支給されている
年金につきまして、別途、本
国会で御
審議いただいております恩給法等の一部を改正する
法律案による改善
措置にならい所要の
措置を講ずるとともに、
国家公務員共済組合法に基づく遺族
年金に加算される寡婦加算額の引き上げ、
共済組合間における短期給付の
財政調整
事業の実施等の
措置を講じようとするものであります。
以下、この
法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、
国家公務員共済組合等からの
年金の額を
改定することであります。
すなわち、旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための
特別措置法、旧
国家公務員共済組合法及び
国家公務員共済組合法に基づく
年金のうち、
昭和五十五年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、本年四月分以後、
年金額を引き上げることといたしております。なお、引き上げにつきましては、恩給における
措置にならい、
昭和五十五
年度の国家公務員の給与の改善内容に準じ、
年金額の算定の基礎となっている俸給を増額することにより行うことといたしております。
この結果、平均で約四・四%
程度年金額が改善されることとなります。
第二に、公務
関係年金及び
長期在職者の受ける退職
年金等の最低保障額を、恩給における
措置にならい改善することといたしております。
第三に、
国家公務員共済組合法に基づく遺族
年金に加算される寡婦加算の額を、厚生
年金及び恩給等における寡婦加算の額との均衡を勘案して引き上げることといたしております。
なお、遺族
年金を受ける妻が、同時に退職
年金等を受けることができる場合には、必要な調整を行うことといたしております。
第四に、遺族の範囲の改正であります。
現行法では、組合員期間が十年以上の者の配偶者につきましては、遺族の要件として、死亡した者との生計維持
関係を必要としない扱いとなっております。これを、死亡した者との生計維持
関係をその要件とする扱いに改めることといたしております。
第五に、現在二十五の
共済組合が個々にその
事業を行っている短期給付につきまして、
財政調整
事業を行うことといたしております。
以上のほか、掛金及び給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額につきまして、公務員給与の引き上げ等を考慮し、現行の四十一万円を四十二万円に引き上げることといたしております。
さらに、
昭和五十四年以前に退職した
年金受給者に対しまして、
昭和五十五年以後に退職した者と同様、退職後の給与所得に応じて
年金額の一部の支給を停止することとするなど、所要の
措置を講ずることといたしております。
以上が、四
法律案の
提案の
理由及びその内容であります。
何とぞ、御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。