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1981-02-24 第94回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十四日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 綿貫 民輔君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君    理事 鳥居 一雄君 理事 竹本 孫一君       相沢 英之君    麻生 太郎君       今枝 敬雄君    木村武千代君       熊川 次男君    笹山 登生君       白川 勝彦君    中村正三郎君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    毛利 松平君       森田  一君    柳沢 伯夫君       山中 貞則君    山本 幸雄君       与謝野 馨君    佐藤 観樹君       塚田 庄平君    戸田 菊雄君       平林  剛君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柴田  弘君       渡部 一郎君    玉置 一弥君       正森 成二君    蓑輪 幸代君       柿澤 弘治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  保岡 興治君         大蔵大臣官房審         議官      水野  繁君         大蔵大臣官房審         議官      矢澤富太郎君         大蔵大臣官房審         議官      垂水 公正君         大蔵大臣官房審         議官      吉田 正輝君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省主計局次         長       矢崎 新二君         大蔵省主税局長 高橋  元君         国税庁次長   川崎 昭典君         国税庁税部長 小幡 俊介君         国税庁間税部長 小泉 忠之君         農林水産政務次         官       志賀  節君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  塩路 耕次君         行政管理庁行政         監察局監察官  重富吉之助君         食糧庁管理部企         画課長     松山 光治君         食糧庁業務部需         給課長     下  壮而君         通商産業省基礎         産業局アルコー         ル事業部管理課         長       井上  正君         中小企業庁計画         部下請企業課長 横堀 恵一君  参  考  人         (佐藤食品工業         株式会社代表取         締役社長)   佐藤 仁一君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     石橋 政嗣君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     堀  昌雄君 同月二十三日  辞任         補欠選任   川口 大助君     村山 喜一君     ————————————— 二月二十四日  増税中止及び不公平税制是正に関する請願(中  路雅弘紹介)(第一一六五号)  同(市川雄一紹介)(第一二六〇号)  都立高校建設のため大和基地跡地の払い下げに  関する請願岩佐恵美紹介)(第一一七三  号)  医業税制の確立に関する請願藤田高敏君紹  介)(第一二六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)      ————◇—————
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  酒税法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、ただいま議題となっております本案について、本日、参考人として佐藤食品工業株式会社代表取締役社長佐藤仁一君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綿貫民輔

    綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 綿貫民輔

    綿貫委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤弘治君。
  5. 柿澤弘治

    柿澤委員 酒税法質問に入る前に、ちょっと主税局長にお伺いをいたしたいと思います。  現在予算委員会予算審議が進んでいるわけですけれども、それと並行して野党各党の中で予算修正案についての話し合いも進められております。その中で一つ大きなポイントになっておりますのは、御承知のとおりサラリーマンを中心とする所得税増税なき増税という形で税負担の増加が進んでいる、その点を何とか調整をしないといけないのではないかということだと思います。きのう、私ども民社党話し合いをしたんですけれども一つ考え方として基礎控除配偶者控除扶養控除、三控除の二万円の引き上げ、さらに給与所得控除控除率の一律五%アップという案を民社党新自由クラブとの間でおよそ合意をいたしました。しかし、その減税額計算で両党必ずしも数字が合っておりませんので、その点について大蔵省のお考えを聞いておきたいと思うのですが、私どもは、大蔵省から出されている五十六年度推計の中で平均給与所得三百五十万という数字がございますので、それに給与所得控除百十五万、それの五%アップということで百二十万にいたし、それにさらに三控除の二万円ずつの引き上げ計算して四人家族で計算をしたところ、一人当たり減税額が一万六千五十円という数字が出ました。その一万六千五十円に課税対象人員三千四百万人というのを掛けまして五千六百十億という一応の減税額推計を出しているわけですけれども、これも若干、平均給与所得ということでとっておりますのでラフな点があろうかと思うのですけれども税務当局として同じこの三控除の二万円引き上げ、さらに給与所得の五%アップというもので計算をした減税額というものをお示しいただければ大変幸いだと思います。
  6. 高橋元

    高橋(元)政府委員 所得税減税につきましての考え方は、かねがね大臣から申し上げておりますとおりでございますから、この際私から繰り返して申し上げることは避けまして、いまお尋ねの減税額の試算でございますが、すでに国会に御提出しております物価が五・五%上がった場合の減収額の見込み、それから本年度の税収の見積もりの説明、その二つを使いまして計算をいたしますと、いまお話しの五千六百億円を若干上回りまして、おおむね五千九百億円程度というふうに概算されます。
  7. 柿澤弘治

    柿澤委員 実はきのうは、公明党民社党話し合いが午前中にありまして、四千五百という数字新聞等にも出てしまっているわけですけれども、私ども午後になって民社党と話をして、同じ制度推計額が違う、五千九百億といいますと千四百億も違うわけですから、最初から私ども入れてもらっていればこんなことなかったのですけれども、小さいが数字に強い新自由クラブということで、公明党民社党さん、どうも外されましたので……。これからこの数字をもとにまたいろいろ議論をしていきたいと思っておりますので、その点ありがとうございました。  酒税の問題に入りますけれども酒税制度についてはもうすでにさまざまな議論が出ているわけですが、最近までどうも議論がすべて生産者中心といいますか、そういう感じになっているように思うわけです。たとえば税率引き上げ幅にしても、消費者負担というよりも生産者事情を考慮して決められる、それによって税種間の負担がかなりアンバランスになっているという問題もあるように思います。従価制度を取り入れてはどうかという意見も強くなっているわけですが、製造業者が反対しているというようなこともあっていつまでも見送られている。これからの酒税行政というものを考えますと、やはり消費者の立場も考え酒税制度を根本的に見直す必要があろうかと思うわけですが、その点についての大蔵省のお考え伺いたいと思います。  特に先日この大蔵委員会伊藤委員質問で、大蔵当局酒税問題に関する懇談会を設けて見直しを行うというふうにお答えになっておりますけれども、いつごろからどのような形で行うのか、またその内容等、御説明をいただければ幸いです。
  8. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いまもお話にありましたように、酒税法が全文改正いたしましてからもう十九年たっております。その間に、酒税はもちろん間接税でございますから、担税者でありますところの消費者、それから納税義務者であられますところの酒造業者、それぞれの事情を反映して、経済社会情勢変化に対応して常時見直しを行ってきたつもりでございますけれどもお話しのように若干全体として不整合な場面が生じておるということは否定できないと思います。  たとえば級別制度あり方でございますが、過日もここで参考人から御意見の御開陳がありましたように、級別制度を存続すべきか廃止すべきか、現在の官能基準によりますところの特、一級という区分をもっと客観的な基準にすることはどうか、それから級別がかつては一、二、三、四級ということもございましたし、特級、一級、準一級、二級という時代もございました。そういうことで等級の数がいまの特、一、二級の三等級でいいのかというような級別制度あり方の問題。それから従量税従価税中心とした課税の方法でございますけれども、現在全体納まってまいります酒税額の中のたしか七%から八%くらいが、清酒の場合、従価税だと思います。そういうことで、従量、従価をいまでも併用いたしておりますのですが、その併用のぐあい、またはいずれか、従量税だけまたは価格群別従量税、それから従価税だけまたは価格群別従価税といういろいろな考え方があると思います。  それから税率構造にいたしましても、昭和三十七年に酒の種類間のバランスを見て税率を設定いたしたわけでございますが、その後原料なり消費需要変化に応じて現在まで相当な変遷を経ております。そういうことで酒の各種類間の税率バランス、これは酒が従量税を基本としてかつ分類差等課税と申しますか、いわば消費態様に応じて、より高い商品により高い負担を求めるという一種の複雑な種類別級別分類差等課税になっておりますので、現在の税率構造がそういう消費態様を反映したものに正しくなっているかどうか、そういう意味で酒の種類間、級別間バランス、それから比較的伸びの低い酒類、原材料が国産であるか外国のものであるかということによりますところのそれぞれの酒の種類個別事情、こういうものを考え税率構造をどう持っていくのか。酒はどこの国でもさようでございますが、財政物資でございますし、また非常に特殊な致酔飲料でございますから、これの製造販売ということにつきまして野放しであるということが必ずしも好ましいことではない。そこで免許制度というものをしいておるわけでございますが、現在の製造販売についての免許、それから各種製造行為販売行為についての許可、そういうものが繁雑にわたらないか、そういうことを総合的に考えまして、現行制度についていろいろな問題を深く掘り下げて検討してまいりたい。そのような問題は、酒類という産業変化でもございますし、食品ないし飲酒の構造というような消費構造変化でもございますし、家計の変化でもございまして、お互いに関連を持って掘り下げた検討をしてまいりたい。  そういう場をつくるということを過日この委員会の場で申し上げたわけでございますが、その際にも申し上げたように、早急にそういうものを設けたいと思っておりますが、行政のレベルで、どういう形で、どういう範囲の方々の御意見を求めるか、実はまだはっきりと決めておりません。できるだけこの国会でもこの委員会で出てまいりましたいろいろな御審議、御論議というものを踏まえて、抜本的な見直しを、そういう場を設けまして中期的に、かつ、しかしながら急いでやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 柿澤弘治

    柿澤委員 時期はまだ決めてないというお話ですが、この酒税法審議がある程度一段落をした春からというふうに考えてよろしゅうございますか。
  10. 高橋元

    高橋(元)政府委員 なるべく早くというふうに思っておりますが、この検討自体にはかなり時間がかかろうかと思います。そういう意味では、早急にそういう論議に入りながら、じっくりとその現実を踏まえてやってまいりたいという考えでございます。
  11. 柿澤弘治

    柿澤委員 それでは内容ですけれども、私も従価税を取り入れる時期に来ているんじゃないかというふうに思いますが、もう一つ関係する問題として、政府の方が予定をしているといいますか、いろいろと検討をしている一般消費税といいますか、大型消費課税というものが、一昨年もことしも税調で取り上げられているわけですけれども、もしも一般消費税なり大型消費課税が導入される場合、この酒についても同様に課税をされるのか、課税される場合、酒税との調整というのがどうなるのか、その辺についてお伺いしたい。
  12. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いかなる形態間接新税というものを、果たしてつくるのか、つくる場合はどういう形態になるのか、これはすべて仮定の問題でございますから、そういう形での御質問でございますとなかなかお答えしにくいわけでございますが、ごくごくの比較法制論と申しますか、そういうことで申し上げますと、ヨーロッパの場合には酒類にはやはり酒税がかかっております。たとえば蒸留酒税とかビール税とかワイン税とかいうのがかかっておりますが、それに付加価値税が併課されておるという場合が多いようでございます。  しかし、酒の税金の上に付加価値税を併課しなければならないという制度的な必然性があるわけではないので、そこは、酒の税率の高さなり、それから付加価値税でございますから、前段階税額控除というのをいたしますが、それを確実にやっていくテクニックなりそういうものであろうと私どもは理解しておりますが、これから検討を進めてまいりますところの間接新税につきまして、どういう構造にするかは、まだ全く見当がついておりませんというか、検討を進めておりません。
  13. 柿澤弘治

    柿澤委員 税調答申には、その辺は何ら明示はされてないわけですか。
  14. 高橋元

    高橋(元)政府委員 五十三年末の「一般消費税大綱」の際には、既存間接税との調整については、具体的に政府検討すべしということになっておりまして、その際の審議経過等で明らかになっておりますことは、おおむね酒のような特殊の嗜好品課税については、体系を別にするということでございました。
  15. 柿澤弘治

    柿澤委員 体系を別にするというのは、課税対象外にすることもあり得るということですか。
  16. 高橋元

    高橋(元)政府委員 酒については酒税だけという考え方であったようであります。
  17. 柿澤弘治

    柿澤委員 もう一つ各種免許あり方ですけれども、これまでいろいろと製造段階についての議論があったと思うのですが、私は、その販売段階の問題を少し議論をしてみたいと思うわけです。  今回の酒税増税によりまして税額部分が上がりますけれども便乗値上げは厳に慎むようにという指導をされる、こういうふうに聞いているわけで、便乗値上げそのものが望ましいとは思いませんが、しかし、酒税だけが上がって卸店小売店マージンが固定される場合には、商品全体の中でのマージン率低下していくということになるわけで、小売店側からは、従来からこの問題について大変不満が強いように思うわけです。酒税が上がるたびにマージン率低下をしていく、お酒だけではもう営業をやっていけない、いろいろと食品等に手を出すけれども、これもスーパー等にだんだんとられて、酒の小売屋としての営業というものが先細りになっていく、大蔵省としては一体酒小売屋さんのことをどう思っているんだ、こういう非難の声さえ出てきているわけです。しかもさらに、大型スーパー進出等新規免許が次々におろされていく、既存業者にとってははさみ打ちの苦しみに遭うというふうに言われておりますけれども、これからの販売店対策といいますか、小売店対策というものをどう持っていこうとしているのか、その点について、大蔵省なり国税庁なりの御方針をお伺いをしたいと思います。
  18. 川崎昭典

    川崎政府委員 先生御指摘のとおり、マージン率が少し低下するわけでございますが、マージンそのものが下がるという事情ではございません。  おっしゃいますように、小売店経営の問題というのはございますわけで、新規小売店免許をおろします際には、十分そういった点も考慮してやっておるわけでございますが、何よりもやはり、消費者の利便といいますか、国民大衆が最も便利な形で消費できるようにというふうに配慮しておりますので、今回の増税に当たりましても、一番問題にされますのが便乗値上げの抑制ということでございまして、小売店事情にも十分配慮をしてまいりたいと考えておるわけではございますけれどもマージン率は若干低下をした、そういう事情にございます。
  19. 柿澤弘治

    柿澤委員 お酒はつくるだけでは酒税確保にならないわけで、それが円滑に販売される販売網があってこそ、最終的に消費者税負担というものが転嫁をされるということになるわけで、その中間過程というものについて、もう少し国税庁なり国税当局なりで、生きられる道といいますか、そういうものを考えていただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。  それに関係してひとつお聞きしたいと思うのですけれども、この免許制度あり方、これがこれからの酒税懇談会といいますか、そこで取り上げられるというふうに先ほど主税局長もおっしゃいましたが、この問題についてはすでに行政管理庁の方も関心を持って、行政事務簡素化という観点から取り上げておられるというふうに聞きましたが、その点、現在の作業の進行状況といいますか、御説明をいただきたいと思います。
  20. 塩路耕次

    塩路説明員 行政管理庁関係では、第一次の臨時行政調査会におきまして、酒類販売業については、酒税確保に最小必要な規制のほかはなるべくこれを自由化するという方向免許制度を根本的に再検討すべきであるという御指摘をいただいております。  これに関しまして、昭和四十年の八月でございますが、国税庁の方で、酒類販売業免許等取扱要領の一部改正を行いまして、一つは、申請者人的要件のうち経歴関係事項緩和二つ目は、申請販売場場所的要件緩和、それから三つ目が、酒類需給調整上の要件緩和、こういう措置をとられております。  その後でございますが、昭和四十六年の七月に同じ要領の一部改正を行いまして、希望する者には卸売人小売をいたさせる、あるいは小売人卸売を認める、このような措置をとられておるというふうに私どもは承知いたしております。
  21. 柿澤弘治

    柿澤委員 この問題は、第二臨調の中ではどういう扱いになるのでしょうか。
  22. 重富吉之助

    重富説明員 お答え申し上げます。  酒類販売業免許につきまして、これを緩和すべきという意見とこの規制を強化すべきという意見、まあ規制を強化といいますか、現状のままでやるべきだという両方の意見があるというふうに承知しております。  しかし、臨時行政調査会審議対象としまして酒類販売業免許を取り上げるかどうかは、近く発足する予定調査会において委員方々がお決めになることであるというふうに私ども考えております。
  23. 柿澤弘治

    柿澤委員 委員の方がお決めになるということですけれども、一応検討対象としては予定される可能性が高いというふうに考えてよろしいですか。
  24. 重富吉之助

    重富説明員 お答え申し上げます。  規制行政につきまして、一般的にできるだけこれを緩和をすべきであるということが世界的な世論でございます。私ども規制行政というのを臨調で恐らく取り上げられるであろうと考えておりますが、どのような許認可事項を取り上げるかということについては、私どもは一切調査会でお決めになることであるというふうに考えております。
  25. 柿澤弘治

    柿澤委員 もし第二臨調なりで取り上げられるということになりました場合に、主税当局なり国税当局としてはこれにどういう対応をすべきか、現在の段階でのお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  26. 小泉忠之

    小泉政府委員 御指摘のように、免許制度につきましては酒税の非常に重要な財政物資でございます。私どもといたしましては、臨時行政調査会あるいは行政管理庁の処置は別にいたしまして、従来の運用といたしましては、消費者サイドのニーズに合わせるように、あるいは逆に販売業免許運用につきまして弾力的に従来からも運用をいたしておりますが、今後も免許制度の趣旨に沿いまして弾力的に運用してまいりたい。同時にまた、しかしこれが流通業界では、最近の情勢でまいりますと中小企業が非常に多いという状況もございますので、その状況も踏まえまして免許制度の的確な運用を期していきたいというふうに考えております。
  27. 柿澤弘治

    柿澤委員 端的に言いまして、免許制度の廃止という答申がもし出たらといいますか、そういう方向になった場合には、大蔵省としては賛成されるおつもりはあるのですか。
  28. 高橋元

    高橋(元)政府委員 制度の問題でございますから私からお答えをいたしますと、たびたび申し上げておりますように、酒がいわば財政物資として、税収確保、保全ということは非常に重要なことだと私どもも思っておるわけでございますが、そのために販売業免許制度が機能しておるということも事実でございます。現状十七万の酒類販売業者がございまして、その中には経営基盤の薄弱な方というのはないわけではございませんが、さらに新規参入が非常に多くなりますと、さらに資力の薄弱な方がおられたり、それから流通が混乱をいたす、乱売等過当競争が行われるというようなことも想像されます。またもう一つ致酔飲料である酒を無制限に食料品店一般に売っていいかどうか。これは国民保健衛生という問題もございます。青少年教育という問題もございます。交通安全という問題もございます。そういうことからいたしますと、私どもは、これから御検討が進めばまたそれに応じて私どもも御相談をしていくわけでございますけれども現状考え方といたしましては、現行酒類販売業免許制度はそれなりの意義を持っておるものであるし、それはそれとして機能さしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  29. 柿澤弘治

    柿澤委員 銀行局おいでいただいていますか。大蔵委員会としても今後の審議にいろいろと関係のある問題でございますので、この機会に銀行法改正案のその後のいろいろな関係業界とのやりとりといいますか、そういう点をお伺いをして、法案提出見通し等についてもできればお伺いしたいと思うわけです。  紙上伝えられるところ、銀行法改正については、国債のディーリングの問題をめぐって証券業界、そして銀行業界そのものとの間でさまざまな意見の食い違いが出ている。大蔵省としても調整に苦慮しているというふうに言われておりますが、その辺については各界の了解を得るといいますか、納得を得るような方向で進んでいるのでしょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  30. 吉田正輝

    吉田(正)政府委員 御指摘業界との調整につきましては、今年の初めから、銀行法でございますので、全国銀行協会中心といたしまして、大蔵省との間で延べ十一回にわたりまして公式の会合を重ねまして、内容につきまして詳細に説明しながら調整に努めているところでございます。  法案提出見通しということでございますが、私どもといたしましてはできるだけ誠意を尽くしまして業界調整を尽くしまして、予定どおり提出させていただきたい、かように考えております。
  31. 柿澤弘治

    柿澤委員 例の大蔵省が提示した三原則というものは、そのまま守られるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  32. 吉田正輝

    吉田(正)政府委員 いわゆる三原則、証券業務についての三原則のことについて御言及になっておられると思いますが、私どもの基本的な立場には変更はございません。ただ、その問題につきましては、実際に運用する場合にどのようになっていくかという点について具体的な姿を銀行業界に示しまして、納得を得るようにいたしたいということでいま努力中でございます。
  33. 柿澤弘治

    柿澤委員 それとの関連でグリーンカード制度見直しという話があちこち出てきておりますし、与党の政調会長もそういう意向を漏らしておられるというふうに聞いておりますが、大蔵省としてはその辺銀行法と関連をしてもう一度見直す気があるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  34. 高橋元

    高橋(元)政府委員 このたびの国会にも、租税特別措置法の中で割引債券のグリーンカードの適用及び総合課税の方法についての新しい規定を盛り込みまして御審議をお願いいたしておるわけでございます。五十五年の改正で五十九年の一月から利子配当について総合課税をやるということを決めていただいておりまして、その既定方針に従って進めておりますので、過日の本会議で総理からお答えもございましたように、この方針に変更をすることを考えておりません。
  35. 柿澤弘治

    柿澤委員 大臣はまだお見えになりませんか。——それではもう少し金融の問題を続けてお伺いいたしますが、きょうの新聞を見ますと、きのう郵政大臣と大蔵大臣の間で個人年金の限度額についての話し合いが持たれ、両者の意見が合わずに、官房長官なり与党と内閣に最後の決断を一任したというふうに出ておりますけれども、そのとおりと了解してよろしいわけでございますか。
  36. 松尾直良

    ○松尾説明員 郵便個人年金の法案につきましては鋭意郵政省との間で検討を進めてまいりましたが、いわゆる年金の限度額について調整がなかなかついていない状況でございまして、昨日両大臣間で再度の折衝が行われましたけれども、双方の見解は大きく隔たったままということで、交渉妥結には至っておりません。法案の提出をできるだけ早くという政府部内の考え方もございますので、できるだけ早く決着をつけたい。両省間で意見が隔たっておりますので、両省といたしましては官房長官の方に交渉がまとまらなかったという事実を昨日通報いたしまして、今後内閣と申しますか、官房長官の御意見も踏まえながら引き続き調整に努めたい、こういう考えでございます。
  37. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、内閣、与党に調整を一任したということではないわけですね。
  38. 松尾直良

    ○松尾説明員 大蔵省大蔵省としての意見をいまいろいろ申し上げておる段階でございます。
  39. 柿澤弘治

    柿澤委員 私どもは、郵政省の個人年金については、これからの簡素な政府、官業の見直しという立場からも、新規分野への参入については賛成できないという立場でずっと主張を続けてまいりました。その意味で、実現の方に進んでいることは大変残念なんですけれども、さらに限度額を大きな額にする場合には、官業、民業の間の競合という問題がかなり深刻になってくる。ある意味では、官業が民業を完全に食いかねない状態になっている。その意味で、限度額にも大変関心を持っていかなければならないと思うわけです。その点で、この問題については両省の話し合いがつくことが閣議への法案提出の前提である、あくまでも第三者に結論を一任するという問題ではないと思うわけですけれども大蔵省としてそういう方針と考えてよろしいのかどうか。ちょうど大臣がおいでになりましたので、よろしいですか、大臣。駆けつけ三杯ということもありますけれども、それじゃ質問を繰り返します。  郵政省の個人年金の問題でございますが、昨日も郵政大臣と大蔵大臣の間で限度額等について話し合いを持ったところ、話し合いがつかずに、政調会長と官房長官に一任をしたというふうに新聞に伝えられております。しかし私どもは、この個人年金問題については、簡素な政府、むしろ官業の民業への移管という歴史の流れの中で創設そのものにも替成できないという立場で主張してきたわけですが、その意味では、限度額が非常に大きくなる場合には民業を完全に食いかねないということで大きな懸念を持っているわけです。その点について、官房長官そして政調会長に一任をしたという報道がもし事実であれば、大蔵省としてはその問題についての責任を放棄したことになりはしないか、あくまでも大蔵省として最後まで自説を主張するという立場が大事だと思いますし、両省の話し合いがつかない限り法案として提出はすべきでないと思うわけですけれども、その点についての大蔵大臣のお考えをこの際お伺いをしておきたいと思うわけです。
  40. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 基本的な考え方は私も同じなわけであります。ところが御承知のとおり、郵政省は現在も年金は扱っておるわけでございまして、ただその年金が二十四万円で逓増制でないというところから魅力がない、したがって伸び悩みだ、そういうようなときに、年金の普及率が全体で一%ぐらいしかない、民間でもかなりやってはおるんだが、もう少し奨励する必要があるんじゃないか、だから郵政省のやっている年金を少し手直しをさしてくれ、簡単に言えばそういうような御要求であります。  私どもとしては、民間があるんだからいいじゃないかという理屈ももちろんあるわけですが、政治の世界になりますと、なかなか理屈だけでも話が前に進まぬということであって、かねて郵政当局とはともかく余り弊害のない程度でということで話しをしておるわけですが、全然話が進まない。問題は限度額であります。そこで、結局同じ内閣の中で両方の大臣がどっちも譲らぬということでは困るわけですから、両方の意見を聞いて大臣官房で調整するということになったわけであります。
  41. 柿澤弘治

    柿澤委員 調整することになったわけですけれども、それに対する方針というものをもう少し明確にお聞きしたい。
  42. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは、私は私の主張があるし向こうは向こうの主張があって、政治の世界ですから、どっちも少しも譲らぬでは全然話は進まぬわけですよ。そこで内閣としては、閣内不統一では困るし、だから両方の意見を聞いた上で総理大臣の方でそれを調整するということですから、私は、やはり内閣のことを考えれば、自分の意見だけが絶対唯一無二のものだといってがんばっているというわけにもいかぬので、そこは常識的に解決されるものと考えております。
  43. 柿澤弘治

    柿澤委員 大臣なり大蔵省の常識というものに期待をしたいと思います。  もう時間が参りましたので、先ほど主税当局には、小売酒税の値上げに関して、酒税部分が値上げをされしかも便乗値上げ抑制という形になりますと小売屋さんとか流通に携わる方々マージン率低下をする、それから酒の消費も伸び悩みをしておりますのでその点で酒だけでは食っていけない、食料品等も兼営をしなければいけない、しかもこれもスーパーその他の進出でなかなか容易でないということで、流通段階について大蔵省は冷たいじゃないかというような声もあって、私ども酒税確保のためには、製造も大事ですけれども消費者へ届けるまでの流通過程についても十分配慮をしていく必要があるということをお訴えをして、免許制度運用の問題その他慎重にということをお願いしたわけです。その点について大蔵大臣にもぜひよろしくお願いをしたいと思いますが、その点だけ一言お伺いをしておきたいと思います。
  44. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 われわれは便乗的な値上げは認めないという方針でやっておるわけであります。しかし将来、免許制度でやっておる小売屋がそれでは生活できない、やっていけないというような事態になれば、それはそのときの話でございます。やはり免許制度で維持されている以上、小売屋が倒産して金が上がらないということになれば今度は醸造元に金が入らない、それが滞れば酒税が滞るという話になりますから、そういう状態が起きるおそれがあるようなときには考えますが、目下考えてはおりません。
  45. 柿澤弘治

    柿澤委員 終わります。
  46. 綿貫民輔

    綿貫委員長 平林剛君。
  47. 平林剛

    ○平林委員 きょうは酒税法改正について質問をいたしたいと思います。  酒とビール、ウイスキーなどの販売価格は、昨年の冬から春にかけて値上げをされました。ことしは酒税法の一部を改正する法律案によりまして酒類税率引き上げられます。酒の販売価格は、この税率引き上げ分それだけ引き上げられましてまた消費者負担がふえるということになるわけであります。そこで、昨年に引き続いて一年たたないうちにまた酒の値段が上がるということは一体どういうわけか、この点は一般国民は余りはっきりしないんじゃないかと私は思います。去年も上がってことしも上がる、これは一般国民は余りすっきりしない。政府法律案の提案理由によりますと、それは最近における厳しい財政事情がある、それから物価水準の上昇等に伴ってその負担水準が低下している等であるからこういう提案をしたんだ、こういうことになっていますね。しかし、一般国民はこういう理屈では納得しない。この委員会でもなぜ酒に対する増税が必要かという質問が何人かの委員からも集中していることでも明らかですね。それは結局政府説明では納得し得ないものがあるからです。私もその一人なんです。酒税引き上げを、昨年の酒価格の値上げに引き続いてことし行わなければならぬ理由、もっと国民が納得するような説明をすべきじゃないでしょうか。
  48. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 平林委員の言うのも人情論として私も同じ感じですよ。私だってともかく去年上げたものをまた上げるということを喜んでやっているわけでも何でもない。これは本当に困り抜いてしまって仕方がないので、ともかくわれわれとしては公債の発行をどんどんふやしていくということは、そのことの方が国民経済にでかい重大な影響を及ぼすようなことになってきた。したがって、どうしても公債からの脱却をしなければならぬ。借金を少なくしろ、これは国民の反対という声は余り聞かないのです。これは大いにやりなさいという声なんです。そこでその声をまず取り上げる、それによって二兆円の公債の減額をいたします。いたしますと、それは自然増収の中で吸収できます。自然増収の中で、そのほかに地方交付税とそれから国債費、これも大体は吸収できる。そこで要するに当然増と言われる経費がどれぐらいあるか。大体一兆九千億円ある。一兆九千億円をいまのままでさらにそれを全部認めるということになると二兆数千億円の増税をしなければならぬ。そういうことはとてもできないということで、結局、極力経費の切り詰めというものをやってきましたが、抑えたり切ったり八千数百億円程度のものを詰めてきた。詰めてきてもどうしてもさらに一般歳出で一兆三千億円程度のものが足りないというところから、約一兆四千億円近い増税をお願いしなければならぬ。何でやるかということでございますが、この際はともかく広く薄くいろいろなものについてお願いをしたいというような観点から、酒税についてもその一つとして、ひとつここに書いてあるような負担水準の低下等のようなこともありますから、去年お上げをしたばかりでございますが、引き続いて今回もよろしくお願い申し上げますということを言っておるわけであります。
  49. 平林剛

    ○平林委員 余り説得力ないですな。結局酒税引き上げの提案理由に書いてあることをしゃべっただけだ。そこへ時間かけてよけいな説明しただけであります。結論から言えば財政が厳しい、それから酒税率が下がったということもあるから、こういうことでしょう。だけれども、それがやはりみんなの腑に落ちないのだろうと私は思うのです。  たとえば物価水準の上昇に伴って、その負担水準が低下している、そこで負担引き上げを求める、こう言うなら、大体従量税なんだから、去年ビールだとか酒を上げればお酒の方の税率が下がるのはそのときわかっていたんです。ビールが二百十五円から二百四十円に上がれば、従量税だから税率の方が下がるに決まっているんです。お酒だってそうなんです。そのときはわかっていたんです。そのときは国税庁でも大蔵省でも黙っていて、いま物価水準等の上昇に伴って負担水準が低下しているから上げる、おかしいじゃないですか。去年それを言うなら話はわかるのです。ことしになってそれを言う。去年は黙ってことしは黙らないというのは理屈に合わないです。  それからもう一つ。財政事情が厳しい、こう言う。税率引き上げる理由に、そういうように言っている。いまも大臣お話しになっている。ところが、大蔵省は昨年の十一月まで酒税を三〇%、大幅に引き上げる方針だったのですね。新聞なんかみんな三〇%で上げるように書いてある。財政再建のためには酒税を三〇%引き上げるとある。これはもうそういう報道もそういう発表も、大蔵省は非公式であってもしているのです。これでもし行えば、増税は四千億円くらいあった。ところが、今回はウイスキー、ビールは二五%、酒は平均一五%というふうに当初の考え方が後退をして、税率引き上げによる税収の幅は三千億ちょっとでしょう。財政再建で一銭でも財源が欲しいという大蔵大臣が、これを後退させたんですね。財政事情厳しい折から、最初の方針から一千億円後退したんですね。どういうわけですか。つまりいろいろな点でわからないところがあるから。
  50. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それは財源の問題は全体的な、どういうふうなところで取るかというバランスの問題があるわけです。したがいまして、それは酒税だけで取るというわけにはいかない。そこで分散をした。御承知のとおり、必要財源については酒税とか印紙税とか法人税とか有価証券取引税とかその他分散をして、それで大体これは歳出の問題といつも絡んだ話でございますから、歳出面についても極力切り詰めるというようなことをやってきたわけです。したがって、それで大体三〇%ちょうだいしなくとも、この程度で歳入歳出のバランスが合うということですから、去年も上げてまたことしもということもございますから、それらも考慮いたしまして、結局現行の御提案のようなところにしたわけであります。  それからなお去年のうちから、従量税なんだから上げれば価格に対して負担のあれが低くなるじゃないか、わかっているじゃないかというお話もございました。それも私一つの御意見だと思います。しかしながら理由はそのことだけでなくて、私が先に長々と言ったようなそういうことももちろん大きな理由になっておるわけでございますから、全体としてこうこういうわけでございますということを申し上げたわけであります。
  51. 平林剛

    ○平林委員 なかなか苦しい説明だが、一応筋は通っている。歳出の方で一生懸命努力したとか、あるいはまた酒税だけでなく分散した。分散したというのはちょっと怪しいね。その当時から法人税は幾らなんとかいうのは同時に大体報道されておりますから、ちょっとつけ足しのようだがね。歳出の方を削りましたというようなことを言われると、なるほど一千億そっちで削ったからバランスとれた、こういうこと、ちょっと筋は通っておるけれども、本音は言っていないんだね。私やはりいまの答弁の中で予想したのは、いや、三〇%も上げると酒をつくっておる企業の中にも弱いのがあるから、そういうことのめんどうも多少見なければいけないなんという話が出てくると思ったけれども、それは一言も出てこなかった。そういうのはないわけですな。
  52. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは理由は大体私が言ったとおりなんですよ。しかし二年続けて上げるわけですから、そこには当然ある程度配慮をしなければならぬということも事実であります。
  53. 平林剛

    ○平林委員 もう一つ消費者の方のことはちっとも言わないね。酒を飲んで楽しんでいる人たちの方のことはちっとも考えていなかったようにいまの説明では聞こえますね。これはどうなんですか。これは考えていなかったのですか。
  54. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 消費者もそれはやはり国民のうちに入るわけでして、消費者もやはりいろいろな政府のサービスを受けているわけですよ。それはお酒を飲んで年金をもらっているおじいさんもおるわけですからね。年金がふえても酒が上がってツーペイになってしまったなんという人もあるいはあるかもわからない。しかしそういうような全体のことも考えまして、そして今回はお願いしたので、消費者のことは一つも見なかったと言われますと、見方が足りなかったということの方がむしろ正確かもしれませんが、いずれにしても財源確保という観点からお願いしたということは事実でございます。
  55. 平林剛

    ○平林委員 だんだん私が知恵つけているような感じになるので、質問されるとそれはある、それはあると言ってみんな含める。初めからそう言ってくれるといいのだが、後の方でつけ足しみたいに言われると、何か政府大蔵省の方は酒ばかりねらっているような感じがいたしますね。そういう全般のことを考えてくれなければ困るわけであります。  そこで、私聞きますけれども、わが国の財政事情は大変厳しい、それから昭和五十九年までに赤字国債をゼロにする財政再建というのは非常に目下の急務である、国民の皆さんも理解してくれると思うというのが、大臣の一番大きな引き上げざるを得ない理由の柱になっている。そこで、酒の税金も国民の各層がまんしてくださいよというんだけれども、去年も酒の値段が上がり、ことしも政府の手で税負担がふえる。いま税率の点についてもいろいろ議論がございましたけれども、これからどういう状況になるかいろいろなことを考えますと、昭和五十九年まで、つまり財政再建のめどがつけられる、それまでの間に赤字国債というものもゼロにできるようになってようやくめどができる、そういうことだからがまんしてくれというわけだと思うのですね。そうすると、ここ二、三年を想定して酒の税金はまだ値上げをするんですか、しないんですか。もう大体これで、酒税の率を上げたり酒の値段を上げたりするようなことは現状が続く限りありませんよ、こういうふうに言っていただけるのか、まだがまんしてもらわなければ困りますよと言うのか、この辺はどうですか。
  56. 高橋元

    高橋(元)政府委員 財政事情が今後どう推移していくかでございますが、いまも大臣からお答えがございましたように、歳出について極力節減合理化を図る、行政機構についても簡素化を図るということで対処してまいった場合に、現行税制から出てまいる自然増収だけで、財政再建と申しますか五十九年度からの特例公債脱却は直ちに可能であると私どもは思えません。思えませんが、しかしそれではどういう税負担の増加をお願いすることになるかと申しますと、現在のところどの種類、どの税目でどのくらいというめどは立っておらないわけでございます。たとえばヨーロッパで申しますと、たしかフランスでございましたか、六年間に五回酒税を値上げしておるというような国もございますけれども、そういうことにならないようにできるだけ財政の運営の適実を図ってまいりたいというのが現在の考えでございます。
  57. 平林剛

    ○平林委員 これは大臣の方から聞かないとね。大体の情勢主税局長お述べになった。しかし、こういう問題は政治判断の問題ですよ。それでまだ上げるかもしれぬぞという含みがあるのか、いやもうこれで——いまヨーロッパの例を言ったけれども、ヨーロッパだって、去年は上げましたけれどもその前は三年、四年上げてないですよ。そういうことを考えたらこれは政治判断の問題だ。全国の酒愛好家に今回はがまんしてくれと言うけれども、あと二年くらいは、三年とまでいかなくてもしばらく上げなくても済みますよと言うくらいのことは、これは政治判断の問題です。大臣お答えをいただきたい。
  58. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これはことし値上げさしてもらえば、そう続けて上げたくないというのはもう率直な私の感じなんです。しかし、一にかかって財政全体との問題でありますから、ここで絶対上げませんということを私が言っちゃうと、引っ込みがつかなくなっても困る。しかし、極力上げないように努力をしなければならぬ、そう思っております。
  59. 平林剛

    ○平林委員 去年も上げ、ことしも上がりということの事情国民が理解をしてがまんしようというなら、少なくとも二、三年は上げませんよと言うくらいの政治的配慮がありませんと、国民はなかなか腑に落ちないですよ。私はその政治判断の問題だと思います。いまのお話では十分満足じゃありませんけれども、極力努力をしてもらうということを要請をしておきたいと思います。  そこで、多少細かくなるのですけれども、この委員会でも、酒税税率引き上げによりまして半端になる数字が出てくるわけでございます、税額が。そうなると、端数調整によるところの便乗値上げがないかという点が非常な関心になっております。  たとえば、清酒の特級は二千二百円が税負担率の引き上げによりまして、増税額は百七十八円五十六銭でありますから、現在の小売価格に増税額を上乗せした場合には二千三百七十八円五十六銭になるわけであります。法律が成立した場合には、実際の販売小売価格は二千三百七十九円になるのか、それとも二千三百八十円になるのか、あるいはもっと二千四百円になるのか、ここのところがわからない。まあ特級酒はどうでもいいというわけじゃありませんけれども、重大な関心は一級酒や二級酒の端数がどうなるか、それが問題なんです。  たとえばビールは二百四十円で、二四・二%の税負担率の引き上げでそのまま現行小売価格に上乗せすると二百六十四円六十九銭。これが二百六十五円ということになって三十一銭だけ端数整理をされただけで、ビールは年間約七十億本消費されておるわけでありますから、税額にしますとたった三十一銭が約二十一億七千万円違ってくるわけです。たった三十一銭の端数整理しただけで二十一億七千万円。これは結局、小売屋さんはそのまま値段に乗せてしまえばいいわけですから、消費者負担することになるわけですね。そこで、酒、ビール、ウイスキーの酒類の端数整理を最も近い数字調整したとしても、あるとき細かい計算をした人が、これ全部端数を直近の円単位に持っていっただけで約三十億円以上は消費者負担になってくるという計算をしておる人がいるのです。  そこで、この端数整理は最終的に消費者負担増にならないような措置を講ずる必要がある。非常に細かいけれども、全部に重ねると大きいですから、どうなるのですか。細かい数字についての御指導と、大臣の方からは、最終的に消費者負担増にならないように極力行政措置をとるという言明をしていただきたいということであります。
  60. 小泉忠之

    小泉政府委員 酒類の価格の問題でございますので、国税庁の方から御答弁させていただきますが、御案内のように酒類は原則は自由価格になっております。したがいまして、今回の税制改正案、増税率が確定いたしますとそれを前提に各企業が、これは生産者のみならず流通段階もそうでありますが、各企業が市場の情勢を前提にいたしまして価格を決めていくということが原則でございますが、今回の場合にはこの増税に伴いまして、やはり増税額が価格に上乗せされるというふうに現在の時点では私ども予想しているわけでございます。したがいまして、増税後の価格につきましては当然いまのところは未定でございまして、私どもとしては各企業がどういう値組みをするというような報告も受けておりませんし、相談も受けていないということでございますが、増税率が確定いたしました暁にはそういった動きが御指摘のように出るわけでございます。その場合には私どもといたしましては便乗値上げにならないような指導を必要があればやっていきたいということでございますが、各品目につきましては御指摘のように増税率と市場慣行による価格、これが大体五円、十円刻みの価格になっておりますので、そこの間の調整というものは当然起こるわけでございます。その場合に、最近の情勢を私ども見ておりますと市場の状況が非常に厳しい、酒類の需要も伸び悩んでおるということが従来と変わった情勢として出てまいっておりますので、その点はある程度の増税額が上乗せになりますとその部分は当然、流通界といたしましても、酒類はすぐに売れるものではございませんので、ある一定の期間、たとえば一カ月とか二十日間というものはストックされて流通段階で寝るわけでございます。その分の金利負担等は直接的な経費として流通界の負担になるわけでございますので、できますればそういったものも増税額とともに価格に転嫁されまして、その最終的な取引慣行の価格に調整されるということが望ましいのではないか。その場合に取引慣行によります、市場慣行によります価格を超えて便乗的な値上げにならないようにというようなことは留意してまいりたいというふうに考えております。
  61. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 ただいま間税部長からお話がございましたとおりですが、端数整理をやりますけれども、今度は流通段階の人から言うと税金の分だけ結局値段がふえるわけですね。その分だけ今度はマージンが減るということになるわけです。そういうようなことでマージンをいままでより減らしてもっと売ってくれということもなかなか言いづらい。したがって、消費者にはまことに申しわけないのだけれども、その程度の、マージン率が減らないという程度くらいの範囲内で多少、金利分くらいのものはそこに加算される場合もあり得るわけです。それにはひとつよろしくお願いしますということですね。しかしいま言ったように大体五円刻み、また物によって十円刻みということになろうかと思います。便乗値上げはそれ以上は認めないということで極力指導してまいります。
  62. 平林剛

    ○平林委員 大臣、自由価格であるからある程度業界の自主性というか、決めるだろう、こう言うんでありますが、私はもしそういうことであるならこれからいろんな提案かありますよ。業界がある程度自主性でできるんだというような考え方で、それからマージンだとか利息がかさむからある程度は上乗せしょうがないという理屈が成り立つならば物価調整減税やったらいいじゃないですか。物価が上がって、そして物価が上がった分だけ実質的増税になっているんだからそれは直すのはやらなければいけないな。なぜそっちの方にはいかないのですか。そっちの方はだめだ。こっちの方はマージンの率が下がるから多少は、五円や十円上乗せしなければいけない。さっき言ったようにビールなら三十一銭でも二十一億円にもなるということの大きい話をしているのですよ。これはマージン上げるからしようがない。多少上乗せしてあれするのはがまんしてくれ。一般の勤労者の方のやつは物価が自分が上げたんでもないやつでもって上がって実質上増税になる、それはがまんしてくれ。筋通らぬじゃないですか、筋が。ある程度政治的な圧力のある方にはお目こぼしがあって、大して役にも立たない方は抑えるというのじゃ大蔵大臣の名前が公平を欠くことになる。そういうことでありますね。私はそういう感じを持っていますよ。  そこでこの際、そういう自由裁量がある程度きくならむしろ二級酒とかしょうちゅうはその税率を据え置くことはできないかと言うのです。たとえばいま五円か十円刻みだと言うけれども、二級酒は十四円四十六銭上がるだけですよ。しょうちゅうをごらんなさい。——政務次官いないかな、保岡さんいなくなっちゃった、いる。しょうちゅうなんというのは乙類で六円三十銭、甲類で九円十八銭ですよ。こんな程度のものをこの際——去年も上げことしも上がるようなことにして、しかもマージンが下がるから、金利を負担するからそれだけは上げなければいけない、五円か十円ぐらいはなんという——いや、一般論としていま言ったわけですよ。ですから、そういうことを考えると私はこうした二級酒やしょうちゅうの税率は据え置くことはできないだろうかと思うのですね。そのかわり特級酒なんか二千三百七十八円五十六銭だが二千四百円くらいにしたっていいやな。こっちの方はぐっと上げて、そのかわり二級酒とかしょうちゅうは据え置くというようなことはできぬ相談でしょうか。大臣一般論として聞いてくださいよ。どうも酒というのは大衆課税的傾向にあると思うのですよ。内閣統計局の調査を昔見たのですけれども、所得別、階層別に酒の消費動向というのを見ますと、低所得層ほど酒を買うところのお金が多いのですよ。つまり酒税負担をよけいしているのです。なぜかというと高所得者は社会的に地位も高いし会社へ行っても部長とか課長とかになっていますからね、やはり贈答品を受けるわね。接待酒が飲める。大臣、そうでしょう。会社のツケで飲めるとかというのが多いのだよ。ところが会社のツケでも飲めなければ贈り物もめったに来ない、そういうような人は自分のふところで飲む。だからいわゆる所得別、階層別の低い人ほど税金の負担を高くしている、よけい納税しているということになる。私は多分そうだと思うんだ。かなりの人は身に覚えがあると思うんだ。そう言えば自分で銭出して酒を買ったことないな、サイドボードにいっぱい酒並んでいるし家へ行けばいっぱいあるけれども、自分で銭を出したのは一つもないやというのは大概心当たりがあると思う。  そこで今回の酒税改正に当たりましてはこの点を考慮して、二級酒とかしょうちゅうは増税しない。二級酒の九・六%、十四円七十六銭ばかり増税したって予算額にいくとどのくらいになるかというと恐らく百億に満たないのじゃないですか。しょうちゅうだったら恐らく二十億かそこらにしかならぬじゃないですか。それは財政再建というようなことを振りかざせば一銭でもという気持ちはわかりますけれども、どうも弱い者いじめのような感じがする。そこで二級酒、しょうちゅうは増税しないというようなことにはできぬか、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  63. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それはできないのですよ。しかし十分これは配慮いたしまして、もうすでにおわかりだと思いますが、二級酒だと盛っ切り一杯で一円五十銭しか上げない、しかし特級の場合には約十八円上げるとか、同じ盛っ切り一杯でも一円五十銭と十八円とでは十倍くらい格差があるわけですから、それだけの格差はちゃんと考えてあなたの思想は織り込んで御提案を申し上げた次第でございます。
  64. 平林剛

    ○平林委員 二級酒、しょうちゅうは税率も低い、こう言って私の思想も考えてあると言うけれども、この理論は二級酒やしょうちゅう等に余り通用しないのですよ。財政が厳しいとかあるいは財政の再建のためというなら評判の悪い租税特別措置法のような税の負担軽減はなぜそのままにしておくのか。一杯飲みながらでもきっとそういうことは話題になると思いますよ。政府は、あれは政策減税で少しずつ整理しておる、努力はしているよと、こう言われるかもしれませんが、交際費の課税特例なんかは、ことしは約三兆円近い飲み食いあるいはその他の機密接待、贈答というような形で消費されているのでしょう。価格変動準備金とか貸し倒れ引当金とかの累積額をきょう出がけにちょっと調べてみたら、貸し倒れ引当金の残高だけで三兆三千二百二十一億円あるのです。退職給与引当金残高だけでも六兆八千四百三十二億円ある。賞与の引当金の残高だって三兆三百七十八億円とあるのです。こういうものにはちっとも目をくれないで、しょうちゅうの三十億円、二級酒の百億円足らず——平林君、これはちゃんと君の思想を入れて低くしてあるからと言われたって、そんなことは通用しないですよ。だから、もしそういうことでもうだめなんですと言うならば、財政再建、せめて昭和五十九年までに赤字国債ゼロにするという一つのハードルを越えるまではお互いにがまんしようよ、二級酒、しょうちゅう党の人もひとつがまんして飲んでくれや、お互いに歯を食いしばらなければいけないときだからがまんしようやと言うならば、せめてこの二年か三年、交際費の課税特例はこの間だけストップしよう、飲み食いに年間三兆円も使うようなことはこの際歯を食いしばってがまんしようよ。ささやかな慰めのしょうちうや二級酒でも、百億円でも三十億円でもとにかくそれはできないよと大蔵大臣国会に対して言うのでしょう。それならばそっちの方こそよけいがまんしてくれよとなぜ言わないのですか。せめて交際費の課税特例とかいうようなものは、一年でも二年でもいい、ひとつがまんしてくれ。やろうじゃないですか。私はそれを提案する。大蔵大臣どうですか。
  65. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 交際費の課税特例というのは、交際費は使ったものは経費に認めるというのが原則なんです。だけれども、それは経費に認めませんということでやってきておって……(平林委員「知っている、それは」と呼ぶ)ですから、もう交際費を使うなという……(平林委員「いや、使ったっていいよ。その間税金を取るの。特例は認めないの」と呼ぶ)だから、税金を取る方はかなり強化をして、今回も強化案を出しているわけですから、それで御了解願いたい。
  66. 平林剛

    ○平林委員 そういうことを言っているのじゃないですよ。あなたは百億とか三十億に固執して、改正できないよ、変更できないよと言うから私は言っているのですよ。その程度のことで、去年も上げたしことしも上げた、財政事情もあるからがまんしてくれよと言っているのだからがまんしましょう、そのかわりこっちの方もがまんしろと言ってくれなければ弱い者いじめじゃござんせんかと、こう言っているのですよ。しょうちゅうを飲んだり二級酒を飲んだりビールを飲んだりする人たちは、きっと酒を飲む間に言っていますよ、こっちの方はがまんしてくれとなぜ言わぬのですかと。私が言うのは、交際費を使うなと言っているのじゃない。二兆円でも三兆円でも使ってもいいよ。そのかわり、それだけの余裕があるのですから、幾ら商売上必要だって、余裕があるのだから少し負担してくれれば、財政再建のためにあなた方もがまんしてください。しょうちゅう飲むのだって、あすの働きのために飲んでいるのだよ。ただ酔っぱらいたいために飲んでいるのじゃない。元気が出るから飲んでいるのだ。あすのためなんだ。そうすれば、そういうものについてもどうぞがまんしてくれと言うのがあたりまえじゃないですか。余り弱い者いじめするのじゃないですよ。どうですか。
  67. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 交際費も、ことしはともかく去年よりも上回ったものは一〇〇%課税ですということで、それは強化しているわけですよ。しょうちゅうの方も、最初は皆、一〇%上げるというものだから、売り上げの一〇%上げられるかと思ってびっくりした人もかなりいるらしい。しかしよく聞いてみると、盛っ切り一杯で一円だよあるいは七十銭とかということですと、何だそんな話かというようなことで了解してくれる人もいるのですよ。ですから、全体のバランスで、これは大体この程度ということで考慮をしてやっておるわけなので、私は御了解いただけるというふうに考えているわけです。
  68. 平林剛

    ○平林委員 それでは、またこの続きはほかの例を用いてもう一回やりますから……。  それでは、酒類小売業の免許制度について、残った時間ちょっとお聞きしたいと思います。  酒類免許はなかなか狭いものだと聞いております。それで、今日までの免許申請件数と免許になった件数、これについてちょっと現状お話ししていただけませんか。
  69. 小泉忠之

    小泉政府委員 御指摘のように、小売販売免許制度をとっております。先ほども申し上げましたが、消費者のニーズにこたえると同時に、やはり大事な財政物資でございますので、メーカーから流通段階さらに消費者と、この税額がスムーズに転嫁する。そしてこの納税が、消費者から流通を通って代金がメーカーに回収をされて、酒税が保全される。この二つの基本を踏まえまして弾力的かつ慎重に運用しておるという現状でございますが、御指摘免許現状につきましては、現在全国で小売免許業者は約十七万件でございます。年々この状況はふえておりますが、平均いたしますと、大体年間二千五百前後の免許が下付されておるという状況でございます。  さらに細かく御説明申し上げますと、申請の状況は、それに対しまして大体年間四千八百から五千というものが毎年続いております。この五カ年間を通計してみますと、その四千八百から五千の免許申請に対しまして、免許を下付しておるものは三千九百、たとえば昭和五十四年度で申し上げますと、八〇・七%は小売免許がおろされておるということでございます。
  70. 平林剛

    ○平林委員 私のいただいた資料などを見ますと、大体五十四年度で四千八百五十一件申請があって、許可になったのは三千九百十六件ですから八〇・七%。八〇・七%の免許割合は非常に高いですね。それだと、最近方々で聞く苦情というのは余り出てこないのじゃないかと思うのですが、私の承知しているところでは、申請したくてそれで税務署に行くのです。結局、相談というかお伺いするというか、瀬踏みというか、そういうので行くのですよ。そうすると、いや、あなたのところは条件が悪いから免許にならぬよと言って、もう少し待っていた方がいいよ、こう親切に言ってくれるのだけれども、どうも書類もくれない。そこで相談というか、申請したくてお伺いに来るというか、そういう人たちを含めるとどうなるのか。私は、八〇%と非常に高いものだから、こんなに高ければ余りこういう声は出てこないのじゃないかと思うのですが、こういう人を含めるとどうなるか。記録はあるのですか。
  71. 小泉忠之

    小泉政府委員 先ほど申し上げましたのは全国の計数でございます。全国各地でいろいろな事情から免許の申請があるわけでございますが、そのうちで御指摘のように、これは税務署長が最終的には判断して免許の下付を決定するということでございますが、スケールの大きいものにつきましては国税局長が判断するという仕組みになっております。  いずれにいたしましても、いろいろな客観的な基準を設けまして、先生も御存じだと思いますが、距離基準あるいは人的な要件、これは大事な仕事でございますので、経営能力も必要であるし、それから青少年の飲酒の問題等もございますので、対面販売ということでかなり信用の置ける方に免許をおろすということは当然でございますが、そのほか人的要件としては、過去に酒類関係あるいは食品関係経営をやった年数がどれだけあるかとか、非常に細かくいろいろな点を勘案いたしまして可否を決定するということでございます。もちろん、その地域の酒類の需給状況も大前提としてあるわけでございます。  したがいまして、申請に至るまでの間にいろいろな形で、たとえば電話で御相談があるとか、あるいは署へお出ましになってちょっと御相談をされるというような事実上のコンタクトというのは先生御指摘のようにいろいろございますが、本格的に検討に入るという場合にはやはりちゃんと申請をしていただいて、その書類を税務署長までお出しいただくという仕組みになっておりますので、その件数を申し上げたわけでございます。
  72. 平林剛

    ○平林委員 私、実際上の体験から考えますと、酒類小売業の免許というのは、先ほど言いましたように十七万件ありますけれども、年々約四千件ぐらいずつふえていくわけです。希望する人はもっと多いのですよ。ですから私、ある程度希望する人に対しては、こういう規定の条件がありますよというのを話してせめて書類だけは渡したらどうかと思うのです。来ても、あなたはちょっと無理ですよと指導するのもいいよ、教えるのもいいが、こういう事情であなたよく考えてあれしなさいと言って申請用紙くらい渡してやった方がいいのじゃないのか。そうでないと、税務署へ行っても用紙もくれないということで税務署の評判が悪くなるわけだよ。いま書類を渡しても八〇%でしょう、わからないと言って二〇%外しているわけでしょう。こういうことなんだから、むしろ用紙は申請に来た人には渡すようにしたらどうだろうか。小売免許については議論はいろいろありますけれども、せめて用紙くらい渡すようなかっこうに指導した方がいいのじゃないかなと思っているのですが、それはどうでしょう。
  73. 小泉忠之

    小泉政府委員 各署ではそういうふうに心がけてお話を伺っておると思いますが、先生御指摘のように何分非常に申請の希望も多いわけでございます。逆にまた、先ほど来申し上げておりますように酒類市場の状況は非常に微妙、複雑でございます。地域によってかなりいいところ、悪いところといろいろございますし、あるいは発展地とかいろいろな変化がございますので、それはやはりその地域地域の情勢に応じて、申請者の方も納得するような形で税務署側も指導するというような実態がございますので、書類をお出しいただく、お出しいただかぬというようなところにポイントがあるわけではなしに、やはりいかにして申請者の方が納得されて税務署側の、私ども意見を聞いていただくかというところにポイントがあるのではなかろうかというふうに思っております。
  74. 平林剛

    ○平林委員 せっかく基準があるんですし、これだけたくさんの希望者があるわけですし、いきなり選別しちゃって書類を渡す者と渡さない者があるということは、やはり税務署に対して誤解を生むということに相なると私は思います。ですから、そういう方向で御指導をいただくようにしてほしいという要望をしておきます。問題が起きないうちに、そういう注文があったということをひとつ頭に入れておいてもらいたいと思います。  それで、免許条件について先ほども議論がありまして、臨時行政調査会答申は、昭和三十九年で古い話ですけれども現行免許制度はややもすれば既存業者の保護に傾いて、百貨店とかスーパーの進出あるいは新市街地の発展などで流動的な需給条件のもとでは意味がないという指摘があるのですね。そこで酒税確保に最小限必要な規制のほかはなるべく自由化しなさい、これがいわば今日までの行政調査会答申として続いてきておるわけです。  ですから、私は零細店の保護ということは大事なことだと思います。それから最低限の販売秩序を維持するということも必要だということは認めます。しかし、こういう新しい経済事態になってまいりますと、もう少し近代的あるいは競争力というような点で現状に合ったような酒類免許の条件というものを考えていかなければならぬ時代が来たように私は思います。  そこで、スーパーで酒を扱っているのは非常に少ないそうですね。私の知っている限りでは三千八百くらいあるんだけれども酒類免許を受けているのは三百二十三くらいで、一〇%にも満たないという状況だと聞いております。農協とかあるいは生協とかそういうようなところにおいても酒類販売小売ができるようにというような声も強くなってきております。ですから、私は、零細なお店を保護するということ、これも必要だとは思いますけれども、同時に近代的、競争的というようなことを入れて、つまり大蔵大臣が三十億でも百億でもとにかく酒税を取れるところから取っちゃおうという考え方をしているのですから、そういうときは、消費者にとっても便利な場合、それによって酒税収入があるというふうに予想される場合は、財政再建にも役立つじゃないかというようなことを考えてもう少し幅のあるようなやり方をとるべきでないのかと私は思うのです。そういう点について専門家である国税庁、それからさっき私、しょうちゅうのことをちょっと質問したのですよ、政務次官、あなたの方からも私のいまの質問に対してお返しをいただきたい。
  75. 小泉忠之

    小泉政府委員 まず、免許の方から、私どもの方からお答えさせていただきます。  御指摘のように、地域によって非常に消費者状況が異なりますが、嗜好も微妙に変化してまいっておりますし、現代にマッチしたような販売体制ということは当然必要でございますが、その中で特に御指摘のような大型スーパーあるいは大型の百貨店とか、そういったところの酒類の問題というのが地域的にもいろいろな意味で大事な問題でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたけれども国税当局といたしましても税務署長単位の判断に任せずに、そういった問題につきましては国税局長が全般的な需給状況、経済の動向、消費者のニーズの方向といったものを勘案いたしまして決定するというような仕組みになっております。  そこで、物には両面ございまして、やはり大型スーパーの進出ということは周囲の御指摘のようなかなり零細な中小企業販売業者にも大変な影響を与える場合が非常に多いわけでございまして、それにつきましてはその地域の業界消費者意見も前提にしながら慎重に免許方向を決定するというようなシステムをとっております関係上、御指摘のように大型のそういった百貨店等が酒類を取り扱うケースというのは非常に少ない。しかしながら、先ほど申し上げましたように、全国では十七万店の小売業がありまして、世帯数と引き比べてみますと三百世帯に一店というような状況でございまして、部分的には不足する面もあろうかと思いますが、全般的にながめますとこれでかなり消費者のニーズは充足されているのではないか。したがいまして、従来の運用方針をそれほど急激に変更するという考えは私どもいまのところ持っておりません。
  76. 保岡興治

    ○保岡政府委員 いま間税部長からお答えしたところで尽きているとは思うのでございますけれども、やはり消費者にできるだけ便利に販売するということも必要でありましょうし、また、消費者のそういうニーズに対応することが先生御指摘のように税収確保ということにも資するということだろうと思います。先生も零細業者に対する十分な配慮に言及されておりますので、先生の意を体してできるだけ御趣旨に沿って対処したいと思います。
  77. 平林剛

    ○平林委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  78. 綿貫民輔

    綿貫委員長 沢田広君。
  79. 沢田広

    ○沢田委員 きわめて遺憾だと思いますし、ともかく大臣がいないところでは審議しない。質問をするということは、これは当局もひとつ聞いておいてもらいたいのですが、大臣がいない場合にわれわれが言う、そのときに責任を持ってそのことをわれわれは提言しているわけですから、ただ言った、帰ったということだけで物事が済むわけではないのであります。われわれは政策的な物の言い方をするわけですから、ただそれを答えたらばやらないでいいんだということで受けとめられることはきわめて遺憾なんでありまして、だから大臣がいない審議というのは果たして何を意味するのかというふうに若干疑念を持つのですよ。  結果的には、だれがその言ったことを実行してもらえるのかということになるわけでありまして、こういうことは委員長、苦言を呈しておきますが、二度と繰り返さないということをひとつ委員長からお約束をいただいて、私は質問に入りたいと思います。
  80. 綿貫民輔

    綿貫委員長 努力いたします。
  81. 沢田広

    ○沢田委員 よろしいですね。  じゃ、いま大臣もいないから、免許のことが出ておりましたから、免許のことから事務当局に要請だけしておきます。要請というよりも質問を含めてなんですが、いま免許には三百軒をということで本会議大臣は答弁しているんですね、三百軒を大体エリアとしてやっていますと。このことの基準はそういうふうに理解してよろしいですね。簡単に言ってください。
  82. 小泉忠之

    小泉政府委員 簡単に申し上げます。  お答え申し上げましたが、基準でまいりますと、全国の地域を四つの地域に実は分類して免許運用をいたしております。それで、たとえば東京の特別区等の大都市、人口三十万人以上の市制施行の市街地……。
  83. 沢田広

    ○沢田委員 しているかしていないかだけ答えてもらえばいいんです。
  84. 小泉忠之

    小泉政府委員 そこで、標準世帯数というものを見ながら新規参入者の需給に影響するインパクトというものを検討するわけでございますが、実は三百世帯と申しますのは大都市の基準世帯数ということでございまして、一般の市制市街地では二百世帯、あるいは地方に参りますと百世帯というような段階基準として持っております。  全般的にながめまして、全国で三百世帯であるということにいたしますと若干タイトな面はございますが、しかし平均としてごらんいただければ、それほど需給に対して消費者のニーズに……。
  85. 沢田広

    ○沢田委員 そういう長いことはいいんだよ。  だから、大蔵大臣が本会議で三百軒を標準としていま認可をしていますということは、そのとおり受けとめていいんですかということの答えなんで、もし違うんだったら資料であと出してください。どこの地域は何百軒を標準とするのかということを表として出してください。それは大臣の答弁が違ったとまで言いませんよ、基準ですから。違ったと言いませんが、その基準の内部を私はいま言っているわけですから、あなたのおっしゃったことは表にして、どこはどこで何百軒に一店だ、どこはどこで何百軒に一店だ、後で表で出してください。出してくれるかどうか、それだけ。
  86. 小泉忠之

    小泉政府委員 恐縮でございますが、ちょっと足りませんでしたが、大臣の御答弁は、私ども理解いたしておりますのは、十七万店に対して、これを全国の世帯数で見ると三百世帯に一店になる、こういう御趣旨でございまして、私どもが申し上げましたのは、それを実際に運用しております免許運用基準から当てはめましても、そういった基準は地域としては適合するところがある、こういう趣旨でございます。
  87. 沢田広

    ○沢田委員 だから、あとの細かい資料は出してもらえるのかもらえないのか、こう言っているわけですから、出してくれるのですか。
  88. 小泉忠之

    小泉政府委員 基準の点につきましては、すでに御提出申し上げている……。
  89. 沢田広

    ○沢田委員 いや、それは出ていないよ。
  90. 小泉忠之

    小泉政府委員 これからお出し申し上げます。
  91. 沢田広

    ○沢田委員 それから、食品関係五年という条件はどういう理由に基づくものですか。
  92. 小泉忠之

    小泉政府委員 人的要件の目安として、酒類業の経営者として三年とか、あるいは酒類業に従事いたしておりました期間が五年、さらに敷衍いたしまして調味食品等販売業に従事いたしております期間が五年というような目安を一つの例示として持っております。これは何が何でもそれに固執するというようなことでは毛頭ございませんで、その人その人の人的要件を拝見する際に一つ基準として、物差しとしてこれを持っておる、こういうことでございます。
  93. 沢田広

    ○沢田委員 条件ではない、こういうことですね。
  94. 小泉忠之

    小泉政府委員 条件ではございません。人的な要件でございます。
  95. 沢田広

    ○沢田委員 大臣が来たところでもとへ戻ります。大臣も行ったり来たり大変だと思います。心から御苦労さんです。だけれども大蔵委員会という一つの立場も考えて、ぜひひとつ御考慮いただきたいと思います。  それから、歳出の見直しの完了の時期を大臣はいつごろをめどにして——まあ増税をこれたけしようとしている、歳出の見直しはいまアイ・エヌ・ジーで過渡的である、これで終わったわけではない。とすると、歳出の見直しはいつごろまでに完了する予定ですか。
  96. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは完全完了というのはあり得ないと思うのです。世の中も変わってきますし、思いがけない変化がある。その時代になればもう必要ないという問題も起きてきますから、それはいつでも見直しはしなければならぬ。ただ、現行の状態の中でことし歳出の見直しをかなりやってきたんだけれども、いろいろむずかしい問題もございます。したがって、仮に五十七年度予算というものを今度は想定をしなければならぬということになれば、基本的にどういうようなものを対象にして歳出カットというものを進めていくことができるか、やらなければならないかということは、少なくとも秋ごろまでには決めなければ来年の五十七年の予算には間に合わぬじゃないか、私はそう思っております。
  97. 沢田広

    ○沢田委員 ここに「補助金便覧」という五十五年度のがあるのですが、これだけある。これは大臣は全部見る暇はなかったんだろうと思うのです。私も一ページずつずっとめくってみました。とにかくその中で幾つかの問題を例示をするのですが、退職予定自衛官の就職援護業務補助、こういうのがなぜ必要なんだろう。公務員とかその他にはないですね。一億四千六百四十万ですか、こういう膨大な金が退職予定の自衛官の就職援護業務の補助に出している必要性はどこにあるんだろうかと感じます。そんなに自衛官というのは質が悪くて金でも出してやらなければ就職ができない、こういう状況なんですか。大臣、どうです。
  98. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 細かい話になると私もわからぬのですが、要するに自衛官というのは特殊な職業であって、現場で習ってきたことがすぐ民間に通用するというわけにはなかなかいかないのが多いと思いますね。しかし、そう長く勤められない、これは肉体的な労働ですから、参謀や何かはいいかもしらぬけれども、兵隊さんの方は五十を過ぎても機関銃を持って走って歩くなんということは実際問題としてなかなかむずかしい。しかし、そういうようなことでともかく退職をする場合に、われわれとしてはやはりそれをあっせんするということも非常に大事だと思うのです。そういうことからつけられておるものと考えます。
  99. 沢田広

    ○沢田委員 とにかくほかにはこういうのはないのですね。自衛官だって結果的にまじめな人であればそれぞれの技術を生かす場所はたくさんあるわけです。これは質問の時間がきわめて少ないのですから。  そのほか、ダンプカーの補助金がことしはまた倍になりまして、そういうようなものが出ている。それから特殊法人の北方領土問題対策協会という、北方領土の日まで決め政府自身が当たっているにもかかわらず、そういう特殊法人にも出ている。それ以外に薬剤師会にも、これは何で出しているのかわからぬですが出している。淀川の水源地域の対策基金のようなものも膨大な金が出ているのです。これにはそれなりの理由があるだろうと思います。あるいは新技術開発事業団その他たくさん並んでいるのですが、そういうようなものは政府の一環としてやれば可能だと思うのですね。そういう意味において果たして本当にこの補助金の中身を十分徹底的に見直したのかどうか。細かい返事は後でやってもらいますが、そういうようなことで本当に見直しをしたのかどうか、不公正はないのかどうか。  それから、この中に雇っている人間が物すごく多いですね。幾ら、国家公務員の私の方に出してくれた資料では、定員削減だ、総枠定員だ、こう言いながら、特殊法人やその他が雇っている人員なんというものは膨大なものですね。そういうものに対して全然手を入れないということは、果たして歳出の見直しをやったということを言えるのかどうか。何も首を切れとかなんとかという意味じゃありません。しかし補助金とか交付金とか委託費とか負担金とかというものの定義とその中身というものはやはりきちんと整理していかなくちゃならぬのではないか。委託費というのは委託費で一つはわかります。負担金は義務負担ですからこれもわかります。しかし補助金と交付金というものの性格は法律上もっと正確に把握していく必要がある。少なくとも補助金というのは事業補助でなければならぬ。その事業の目的が、政策ですから、完遂すればその事業はなくなる、こういうものが補助金としての性格だと思うのですね。大臣、その点はいかがですか。
  100. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私もそういうように考えております。
  101. 沢田広

    ○沢田委員 ですから、その原則に立って補助金というものはあくまでも政策的なものであって、その政策の目的が達成されたならばその時点において整理をしていく。言うならば二年なり三年で見直して、その事業の達成の経過にかんがみてその処置をしていく。それが何かいわゆる人員の人件費になってしまったりなんかするという補助金は補助金ではないと私は思いますので、その点はあえて要請しておきます。  そこで、今度の増税によって、三千億ぐらいでありますが、地方財政に与える影響として遊興飲食税があります。これは三二%がまた当然交付されますから一千億ぐらいになります。  飲食店は昭和四十七年から五十四年で見ますと、五十一年に比較しますと十万店舗ぐらいふえているのですね。しかし金額では昭和四十七年の売り上げが三兆円であり、五十四年は六兆八千億の売り上げになっている。そうすると遊興飲食税の分はいまの単価は引き上げられていいんじゃないだろうか。今度酒が値上がりしたのですからいま二千円の限度額というものは、この前も据え置きですから、あわせていまの一般の庶民大衆の限度としてはせめて三千円ぐらいに免税点を引き上げるという措置考えられてもいいんではないか、こういうふうな気がいたしますが、いかがでしょうか。
  102. 高橋元

    高橋(元)政府委員 地方税の問題でございますので正確なお答えがあるいはいたしかねるかと思いますが、本年度は料理飲食等消費税の免税点も控除額も据え置きでございます。これは現在のような厳しい財政環境のもとで、その課税対象になります料理飲食等の消費ということについて税の負担の軽減を図ることが適当でないということが一つございますのと、都道府県税として料理飲食等消費税の持っておりますウエート、これが全体の五%ぐらいでございますが、かなり大きなものであって、これについてさらに軽減の措置を講ずることはできない。この二つ事情からいっておるというふうに理解をいたしております。
  103. 沢田広

    ○沢田委員 ですから大臣、細かい数字のことを言っているのではなくて、売り上げは、昭和四十七年ですから、四十九年が四兆七千億、五十一年は五兆一千億、五十四年度はいま言った六兆八千億。四十七年に比しますと大体倍の売り上げということになっているわけです。一人当たりを見ましても四十七年は三万円です。それが五十四年は五万九千円です。ですから、当然その点は考えられていいのではないか。バー、キャバレー、これは一兆一千七百億、酒場とかビヤホール、これは四千七百九十五億、これは料亭でばかに少ないのですね、二千六百六十七億。いわゆる遊興飲食税を納めないでいいという、二千円以下で料亭で飲めるというところはめったにないのではないかという気がするのですが、こうやってみますと、税の捕捉においても相当狂いがあるのではないかというような気がいたします。  そこで大蔵大臣、これは地方税のことだと言いながら酒を上げるのですから、やはりそれに伴う庶民の遊興飲食税の免税点は、たとえば二千五百円であっても引き上げていく。いままでの酒の上がり分くらいは上げていくという配慮は今日一般化している常識ではなかろうか。いわゆる庶民からしぼり取る、酒は上げます、飲食税でも取ります、これはしかし地方と国だから別なんだ、国民的にはこういうわけにはいかないんじゃないか、こういうふうに思いますから、ひとつ大臣、政治的な判断でお答えをいただきたいと思います。
  104. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 税金のことでございますが、酒は一人で一升も飲んでしまう人はいないわけでございますから、料飲店で二本とか、飲んでも三本ということになると、税金の部分だけからり言えば何十円かという話であって、料飲税に大きく響くかどうか、ここらのところは計算をしてみないと私もよくわかりません。地方自治のことで、自治大臣がどういうお考えであるか、人の所管まで余りここでしゃべってしまうことはいかがかと思いますので、差し控えさせていただきます。
  105. 沢田広

    ○沢田委員 ただ考え方として、酒は上げます、だから上げた分は、一般的にいい悪いは別として百七十九万店の人がそれでやっているわけですから、その人たちにその分がはね返らないような、いわゆる温かみを若干考えていくということでは御考慮いただくように、御検討いただくようにお願いをしたいと思うのですが、いかがですか。
  106. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 いま私が申し上げましたように、一人一人にいたしますと、そう一回の飲食がうんとふえるということではないので、料飲税にそれが大きく寄与するかどうかは非常に疑問のあるところではないかと思います。したがってよく研究してみないと、なかなか私も責任を持ってお答えができないのが残念でございます。
  107. 沢田広

    ○沢田委員 私は、酒の方が上がれば、それは必ず領収証の面では上がってくる、必然的に上がってくる、こういうふうに思います。  時間がなくなってきたので忙しいのですが、ビールは一人当たり、五十年の三十三リッターに対し五十二年が三十七リッター、ウイスキーは二十一リッターに対し、大体二十七リッター、酒は十四リッターに対し十三リッター、これは一年間の消費なんです。この資料はおととしですか、そういうことで、酒はこの間の参考人を呼んでみましても、この四年間十四、十四、十三、十三という一人当たりはずっと横ばいなんです。ビールは三十三から三十七と伸びている。それから、同じようにウイスキーも伸びていっている。酒はやはり伸び悩んでいる。これはこの間の参考人の言われている理由です。  そこで、いま平林委員からも言われたように、酒の二級酒はまず上げないでやったらどうだ、一円四十銭だから勘弁してほしい、こう言うけれども、これは政策的な問題だと思う。金額の問題ではない。やはりそこに政治の温かさを感じさせるかどうかの問題なのです。一円四十銭だからこそ政治の温かさを感じさせるということが必要なのではないか。あるいはまた五月の実施を若干延期をする、こういうことも一つの方法だと思う。あるいは当分の間十四円を二分の一の七円にしておく、これも一つの方法だと思う。いわゆる金科玉条のように、これが最終の城なんだというふうな物の考え方ではなくて、弾力性を持って対処するということが大臣、必要なのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  108. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それはいずれも物の考え方だと私は思います。思いますが、私ども考え方といたしましては、今回御提案をいたしたようなことで御了解をいただけるものと考えて御提案をさせていただいております。
  109. 沢田広

    ○沢田委員 自民党が多数であるからということで了解されるという——了解されない国民の多数がいるという声も考えてもらうことが必要なのではないかと思いますし、まあ、この法律がすべて完璧だとも思ってないだろうと思いますから、その意味においては十分ひとつ御判断をいただくようまたお願いをして、次にまいります。  次に、酒米の販売の問題であります。  先般の参考人意見でも、これは農林省の方も来ておられますけれども、なぜ酒が売れないのだ、なぜ伸び悩んでいるのだ、全部新米にしてもらえればいい酒ができるから売れるのだ、ところがそうはいってない。ということになると、大臣、米の問題は、これでいくと五十五年度は五十四万トン、五十四年度は丸くして四十七万トン、五十三年度は四十九万トン、五十二年度は五十三万トン、五十一年度もやや五十二万トンということで酒米の販売をしているわけです。しかし、参考人等の意見を聞くと、五十五年度五十四万トンという見込みを立てたということは、相当飲んでもらわないとこれにならないのではないかという気がいたしますが、新米だけをやっていて古々米の方の処理についてはどういうふうに考えていくのか。五十四万トンですから、年間からとってきた分は別といたしまして、そのあとの古米の方は今度はどういうふうに処理をしていくのか、その点ひとつ御意見を伺わせていただきたいと思います。
  110. 下壮而

    ○下説明員 酒米の問題でございますので、食糧庁の方からお答えさせていただきます。  酒米につきましては、酒造業界の方から品質的に新米をもって充ててくれなければ困るという御要望がございまして、実は五十一年から五十二年のころに若干、われわれの言葉で低温米と言っております低温倉庫に入っております古米を試験的に使っていただいたこともあるわけでございますが、どうも品質的にうまくないということでございますので、五十三年以降につきましては、自主流通についてはもちろん全量新米でございます。政府が売却するものにつきましても全量新米をもって充てるということでいま対応しておるわけでございます。
  111. 沢田広

    ○沢田委員 結果的には新米ではやっている、しかし酒の方の売れ行きは悪い、それでいい酒をなるべくつくれるように前は古米だったものを新米にしたのだ、それでも売れ行きは伸びていかないのだ、とするとどこに原因があるのか、その点大臣は感覚的にどういうふうにとらえておりますか。
  112. 小泉忠之

    小泉政府委員 お酒の問題でございますので、国税庁の方から若干お答えさせていただきます。  清酒の伸び悩みの状況は御指摘のとおりでございますが、原料だけではなしに、やはり消費者のニーズといいますか、これが微妙にしかも急速に変化してきているのではないか。生活様式が洋風化されるとか、あるいはまた酒類は代替性がございまして、やはり洋酒、ビールとともに清酒も酒類業界の中でしかるべき位置を占めなければならぬ、こういうことでございますので、それを決めるのは消費者の支持というのが第一でございます。  第二は業界の自助努力といいますか、よりニーズに合ったいい製品を出していくというところにポイントがあるわけでございまして、それに対しましては、私ども行政当局といたしましてもできる限りの支援は行っておる、こういうことでございます。
  113. 沢田広

    ○沢田委員 これはいままで割り当てでやってきて、大きいところは大きく、小さいところは小さく、こういうことで中央会の割り当て制度をやっておる。いわゆる経営の努力をしていこう。一生懸命やっているところも放漫な経営をやっているところも、従前の実績でずっとやられておる。とにかくこれを見直して、それぞれ経営診断でもやっていただきながら、それの実態に合うような販売をやるように御指導をいただきたい、こう思いますが、これはイエスかノーかの答えですから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  114. 小泉忠之

    小泉政府委員 御指摘のように、需給の問題は非常に大事ではございますが、御存じのように昭和四十九年度以降は不況カルテルは廃止いたしております。したがいまして、実は生産も自由、こういうことになっております。しかし、全体として需要にマッチした生産は企業経営の上で大事でございますので、個々の業者が判断してやっていくことでございますが、日本酒造組合中央会としては、全体のガイドラインといいますか、ガイドポストを一応つくって各年の生産については努力をいたしておる、こういうことでございます。
  115. 沢田広

    ○沢田委員 私はそういうことを言ってない。ひとつ経営診断も含めながら実態に合うように、それぞれの割り当てについて弾力性を持って中央会がやっていることであるから指導をしてほしい、こう言っているのだから、それはそうしますと言うのか、しないと言うのか、どっちなんですかということを聞いている。そういうことでは時間がなくなってしまう。簡単に言ってください、そういう指導をしてほしいと言っているのだから。
  116. 小泉忠之

    小泉政府委員 いたしておりますし、今後も続けてまいります。
  117. 沢田広

    ○沢田委員 大臣、もう時間が来たようですが、特級は優良である、一級は佳良である、それに該当しないものが二級だというのは、どうお考えになりますか。
  118. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いま仰せのありますのが、まさに級別の官能審査によっておるということだと思います。つまり一つは官能審査、もう一つは申請主義、これは現在の級別制度を支えております。これは昭和十八年以来の級別でございますけれども、いろいろな問題が生じてきておる、そういうことを含めて中期的に検討をいたしたいということを先ほどからお答えいたしておるところでございます。
  119. 沢田広

    ○沢田委員 検討はされるということですが、とにかく優良、佳良、それに該当しないものが二級酒だ——表現もよくないし、きわめてあいまいもこな表現なので、大臣、もう一回政治的な立場で、こういうことはやめて適切な表現に変えるなり合併をするなり、とにかく検討するということで進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  120. 小泉忠之

    小泉政府委員 時間をとりまして申しわけございませんが、執行部からもお答えをさせていただきます。(沢田委員「執行部はいいよ、時間がない」と呼ぶ)  お酒は非常に官能審査が適するわけでございまして、これは各国、たとえばフランスのワインでも四段階に分けてしております。その辺の事情も御勘案いただきまして御検討いただきたいと思います。
  121. 沢田広

    ○沢田委員 大臣忙しいようですから、また夜の方で十分間私の時間がありますから、ひとつそれまでにお答えをいただくことにして、どうもこだわってばかりいてしようがない。  次に、たる・おけの取引は三千社の中の二四%を占めている。この実態をどういうふうにお考えになりますか。
  122. 小泉忠之

    小泉政府委員 御指摘のように現在は二千八百五十程度と確認いたしておりますが、そのうちで約二千の業者がおけ——おけと私ども申しておりませんが、未納税で移出をしておるということでございます。これにつきまして、やはりこれもちょっと長くなりますが、お酒はブレンドといいますか、マリーと申しておりますか、いい製品を合わせるとなおよくなるということでございまして、この特徴がさらに伸ばされて欠点が消されるという、酒は生き物と言われておりますが、そういった非常に伝統的な特徴があるわけでございます。したがいまして、現在の日本酒業界ではやはりブレンドをするということは欠かせない一つ要件になっております。それを反映いたしまして、全国的にも有無相通ずるといいますか、補完しながら全体の酒質をよくするための未納税移出制度あるいは未納税の移入制度というものが現在あるわけでございます。
  123. 沢田広

    ○沢田委員 そういうことを聞いているのじゃないのですよ。いわゆるそれを製造する者には自分の誇りもあるでしょう。自分は自分のいい酒をつくるという——それぞれの酒造認可を求めるときには下請で申請してきているわけじゃないのだよ。自分の渡辺なら渡辺という酒を売りたいぞ、沢田なら沢田という酒を売りたいぞ、そういう意欲を持って皆臨んできているのに、なぜこういう現象が起きているかということに対する認識なんだよ、問題は。それぞれ認可を申請してきたときに、あなた方はそれぞれチェックをして、これならば成り立つだろう、あるいは水もあるだろうし、こういうものもあるだろうということで許可をしてきたんです。それが成り立つ条件をつくるということがやはり政治なんじゃないのかということを問いたいわけですよ。この現状が、これはこういうことだから、ブレンドするんだからしようがないのだというような安易なあなたの答えは返事にならないんだよ。それだったら、そんな許可しない方がいいんだよ。そういうことで、その辺に対する認識はきわめて現状肯定ではあるけれども、いわゆる発想の転換がないということなので、これはそうじゃなくて、それが自立できる条件をどう与えてやるか、それが政治なんだよね。その辺に対して全然認識がないから大手の方か何かにだけ味方をしている、こういうかっこうになっちゃってちっとも前進がない。こういうことではなはだ遺憾だということだけを言って、私の時間も——さっきの柿澤さんも三分過きましたから、私の質問もちょうど三分過ぎましたので以上で終わりますけれども大臣については留保いたしますが、最後に、二級酒の値上げ率の引き下げ分を考える、あるいは五月実施については若干考える、こういうようなことの配慮くらいは、多数を頼んでただこれで押し通すというのではなしに、十分配慮することを特に要請して終わりたいと思います。
  124. 綿貫民輔

    綿貫委員長 渡部一郎君。
  125. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は、まず酒税のこの膨大な値上げ、引き上げというものに対して反対の立場から御質問を数点させていただきたいと思います。  まず、前回御質問いたしましたことの残りをちゃんと聞かしていただきたいのですが、税法上の不均衡よりもいま一番大きな問題になっているのは税執行上の不公平であるということを指摘いたしまして、そのために適切なる課税当局職員の増員とその待遇について考えなければならないと私は主張をいたしました。そしてそれに対して本委員会における数次にわたる附帯決議というものを引用してお話をしたことがございまして、その後予算案が組まれたわけであります。しかしながら本年を見ますと、課税当局職員は増員数がプラス・マイナス・ゼロでございます。大蔵大臣に答弁を求めないでまず国税庁長官からこれに対する御答弁を求めたいと存じます。
  126. 小泉忠之

    小泉政府委員 税務執行の上の問題は非常に厳しい環境が続いておりますことは御指摘のとおりでございますが、一方で行政改革といいますか財政の健全化といいますか、そういった要請も非常に強い要請がございます。したがいまして、国税庁といたしましてもやはりその辺の事情を踏まえて、定員削減という要請にこたえつつ、一方で必要なところには適時適切な配置をするということで乗り切ってまいりたいというふうに考えております。
  127. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 あなたは主計局じゃないんだからそういう答弁は適切でないんだ。あなたとしては人数を多数増員を要請した、しかし主計局が削ったんだと言わなければいけないんじゃないか。もう一回、答弁やり直し。
  128. 小泉忠之

    小泉政府委員 間税関係の税務職員は現在千六百七十四名ございまして、全力を挙げて間税行政の適正化に努めているわけでございますが、やはりいろいろな事情変化と、先ほども質問がございましたが、免許行政とかいろいろな面で人手がかかるということは事実でございますが、一方では行政の合理化ということに年々努力をいたしておりまして、そういった努力を積み重ねて厳しい定員状況を乗り切ってまいるということでやっております。
  129. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 主計局の方、来られていますか。主計局はどうして身内の国税庁の多大の要請に対してこれにこたえないか、そして国会の数次にわたる決議に対して反対の結論を下されているのか、答えていただきたい。
  130. 吉野良彦

    ○吉野(良)政府委員 国税庁の定員の問題でございますが、従来から私ども財政当局も税務執行の重要性は十分に認識いたしておるつもりでございまして、五十六年度の定員の査定に当たりましても、国税庁側から事務の実態なり必要性を十分にお聞きいたしまして、厳しい定員事情の中で最大限の配慮はいたしたつもりでございます。
  131. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 最大限の配慮をしてプラス・マイナス・ゼロだというのはとんとうなずけないですね。酒税にかかる前に、もうトーゴーサン、クロヨンに伴う国民の怨嗟の声が国中に充満しているときに、酒税どころの騒ぎじゃないわけですね。私ども前提として申し上げているのですが、いまの御答弁もまた私は納得できるものではない。大臣に今後の決意を含めて、その点もう一回お伺いしたい。
  132. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は要求する側であってまた査定する側で、両方持っておるわけなんです。どっちの言い分も言い分がある。しかし大蔵省は財政再建をいま大きく掲げて各省庁に極力定員を減らせということで行管と一緒にやっておるという現実もあるわけです。そこで、本当は手前みそで手盛りをするということをやるべきかどうか非常に問題のあるところでございますが、今回は内部のやりくりでプラス・マイナス・ゼロということにしたわけでございます。
  133. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私は酒税のところになかなか入れなくて申しわけないのですが、税金を取りたいのだか取りたくないのだかわからないからちょっと大臣に見てもらおうと思って所得の確定申告書をいまいただいてきました。大臣、まずこの字が大臣の目じゃ見えないと思うのです、振りがなその他。御承知になっておられるように、主税局長、これは恐らく視力が二・〇でなければ読めないような字が書いてある。よほど目がよくなければこれは見えない。というのは、日本国民の大多数、ここの委員会室におられる方の半数以上はこれは書けないことになる。それから用語が不適切である。欄が小さ過ぎる。手が少しふるえる方にとっては横の欄にはみ出してしまう。だから、主税局長にこれを読まして私はいま答弁させたいのです。主税局長、ここの二十七の欄の左側の欄の下を読んでください。
  134. 高橋元

    高橋(元)政府委員 二十七の「上の二十六に対する税額」「税額表で求めた金額。平均課税を適用する場合は「平均課税計算一般用」の十の金額」を書いてください、こういう意味でございます。
  135. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そのとおりです。これは特殊なめがねをお使いになっていまお読みになったから……。これは普通の目では見えません。こういう実際にまじめに税金を納めようという方が意気を阻喪するような表現と欄が並び過ぎている。これは、私は自分でやってみてわかったのですけれども、この欄が小さ過ぎる、用語がわからない。それから中には何々の欄に掛ける何とか、それに何々の欄を引く、そして何々の欄を足す、それを何で掛けるなどというのがついておりますけれども、これは数学の試験ではあるまいし、こういうのはどう考えても適切でない。何回か言われているのですけれども、細かく言う必要はないと私は思います。主税局長、日本国民にこれを書かせるというのだったら、少なくとも中学校卒業程度の方は平均いたしましてこれは全部書ける、そして目も相当悪くても字も見えるという程度に書き直されたらいかがでしょうか。
  136. 高橋元

    高橋(元)政府委員 これは所得税法の施行細則で決めておるわけでございますが、実はいま御指摘のことは、くどくなりまして恐縮なのですが、三つの要因からできているのだと思うのです。一つは、所得計算というのが意外とめんどうなものである。これは記帳とか記帳に基づきます会計決算ということがなければできてまいらないわけで、そういうものがないときに卒然として申告書に向かいますと、それは仰せのように割り算、掛け算、どこへどう書いていいかわからぬという問題が起こってくるかと思いますが、これは記帳なり経営の指導ということを通じて、またそういう水準の向上をまつということで国税庁も努力しておられると思います。  二番目は、税制が非常に複雑だということだと思います。いま私にお尋ねのありましたのは所得税でございますから、変動所得の平均課税という制度がございますが、この平均課税をやります場合には、別途の計算書で補足的に計算をしてそこに転記してください、こういうことなのでございます。さらに租税特別措置もございますから、いろいろな不評がございます。そういうものはできるだけ税制の簡素化を図るべきだという御指摘でありまして、それは私どもも常々そういう心持ちで税の見直しをやっておるわけでございます。  三つ目の問題は、申告書のまさにその書き方が非常に小さくて、通常の方がお使いになる、一般の方がお使いになる場合に必要なことと、特別の計算をなさり、特別の税制を申請なさる方がお使いになる欄といろいろ並んでおる。そこで、どこへどう書いていいかわからないという問題が起こってまいりますので、その辺は国税庁とも相談をいたしまして、通常の方の所得申告ということが一番わかりやすくやれる、それ以外の特別の税制、特別の所得計算を選ばれる方のものはまたそれとして、それはそれぞれの税制を御存じの上でなされるわけでございますから、そういうものはそういうものとして組み込むことができないか、その辺の工夫は御指摘もありましたので、ぜひその検討をしていきたいと思います。
  137. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣、率直に申しますけれども、いまのものをよしとするための御答弁なら、いままさに主税局長言われたとおりと思います。善意での納税者にいや気を差させるようなこんなものは本質的に全部書き直す必要がある。ですから、私は大蔵省内にこの書類の見直しのための委員会を設けるなり、適正なメンバーを設けるなりして全面見直しをお願いしたいと思うのですが、いかがでございますか。
  138. 高橋元

    高橋(元)政府委員 前にたしか作家の方とかそういう方にお願いをしまして、申告書をもっとポピュラーにわかりやすくするという工夫をいたしたことがございました。いまお話もございますので、そういう工夫ができるだけやってみれるような勉強をもう一度いたしてみたいと思います。
  139. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣いかがですか。
  140. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 ただいま主税局長が答弁したとおりです。
  141. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 だから大蔵省というのは不思議なところで、税金が欲しいのだか欲しくないのだかわからないとさっきから非常にいやな言い方をしているわけでありますが、わからないことが多過ぎるわけであります。  もう一つ、先日同僚議員の柴田君が多少質問いたしましたが、社会保障の所得制限に関する問題であります。  社会保障の分野で所得制限の課せられているものについては、老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金、福祉手当、被爆者手当、老人医療、児童手当、特別児童扶養手当等がございますが、所得制限によりまして年金などは一円の差で総合収入に非常に大きな格差が生じてまいります。たとえば、もうおわかりでしょうからはしょって一部を読み上げますが、老齢福祉年金につきましては、二人世帯の場合で扶養義務者の所得が六百万円未満のケースでは、本人の収入が二百二十六万六千円でありますならば老齢福祉年金は二十八万八千円を受け取ることができ、合計二百五十五万四千円の収入となりますが、これより収入が一円多い、つまり二百二十六万六千一円になりますと年金はゼロになりまして、その差は二十八万七千九百九十九円の減収ということになるわけであります。これはいろいろなケースがございまして、計算をいたしたリストを持っておるわけでありますが、老齢福祉年金二人世帯で所得制限が二百二十六万六千円以下となっておりますから、逆転の最高額は年間二十八万八千円であります。同じように老齢福祉年金の六人世帯では逆転の最大幅は一万二千円、これは少ないです。ところが扶養義務者所得の六百万以上八百七十六万以下という部分で計算いたしますと、逆転現象は二十七万六千円であります。  また障害福祉年金の一級二人世帯、本人所得三百万円以下という所得制限がついておりますので、これに至りますと逆転の最大幅は実に四十三万二千円であります。障害福祉年金の二人世帯の二級、本人所得三百万円以下の制限がついておりますが、この場合は二十八万八千円であります。障害福祉年金の六人世帯一級の場合は、逆転が四十三万二千円であります。それから障害福祉年金の六人世帯の二級になりますと、扶養義務者所得八百七十六万円以下という制限がございますので、二十八万八千円という逆転現象が起こります。これは私の発明した用語ですが、すみ落とし、こういうふうに公的な保障金額によって収入が上がっているのが極端に打ち切られる。するとのこぎりの刃みたいになっていく。この境目のところに、ただいま申し述べましたように一万二千円ないし四十三万二千円のぎざぎざができるわけであります。これは税の執行の公平あるいは福祉の公平化の上からいって問題になる金額だろうと思います。なぜかと言えば、一円の差で年間四十三万円も収入に差があったのでは、とうていだれもが納得し得ない金額だからであります。  これの解消はいろいろな方法があります。いろいろな方法がありますけれども、なかなかむずかしい問題でもあります。しかし、これをほっておきますと福祉全体に対する信頼を失い、問題化することはもう明らかであります。今期予算の中ではできないのかもしれませんが、こうした問題について、少なくともこの逆転の大きな幅が十万を超すなんということはちょっとぐあいが悪過ぎる。私が十万と仮に申しましたのは、ある一定額以上の逆転現象を起こさないという配慮があってしかるべきではないか。これは御研究の課題になるべきものではないかと思うわけでございます。税の方から減税でやるのか、あるいは福祉の限界の幅のところをすみ落とし方式でやるのか、やり方はいろいろあるとは思いますけれども、そういうのを含めまして御研究をいただきたい、検討の重大な課題ではないかと大臣に私は申し上げるわけでございますが、御回答をいただきたいと存じます。
  142. 矢崎新二

    ○矢崎(新)政府委員 ただいまの所得制限の基準額の上下で可処分所得に逆転を生ずるという点は御指摘のとおりでございます。  問題は、こういった逆転を避けようといたしますと、所得制限に近い階層についての給付額を逓減させていくというようなことも一つの方法ではないかと考えるわけでございますけれども、そういった相当多段階の給付額を設けることになりますと事務処理上の負担に耐えられるかどうかというふうな問題がありますのと同時に、もう一つは、刻んでいきますとかなり少額の給付が出てくるという問題もございまして、社会保障給付の趣旨、目的という点に照らして問題がないわけでもないわけでございます。こういったいろいろな問題がございまして、実際問題としては困難な面もあるわけでございますけれども、御指摘の問題は今後の研究課題としてまいりたいというふうに考えております。
  143. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 あなたはいま給付者に対して逓減するというふうに述べられましたが、確かに角のすみを落とす場合には、逓減させる方と逆に上げる方と両方あるわけです。あなたがわざわざ逓減だけを言われたのは大変ずるい御答弁でありまして、私はそういう御答弁に余り感銘することができない、同調することもできません。  私が言っているのは給付水準を切り下げろという議論ではありません。給付水準より上回る人が極端に収入がへこむ、そこの問題をいま指摘しているわけでありますから、減税またはその範囲をちょっと超えた人々に対する何らかの処置というものをとる必要があると私は述べたのであります。  また、そういう意味で、多段階にすることによって事務処理が大変だといま述べられました。確かに多段階にするというような単純なテーマではないと思います。一円刻みにして何十というテーマにするべき問題ではないでしょう。ですから私は、ある大まかな基準を設けて、四十三万というのは余りにも多過ぎる、幾ら何でも多過ぎる、これは不公平というものを通り越している金額ではないか、だから研究してもらいたいと言ったのです。だから、その辺の問題の大きさをとらえて、それに対する果断な追撃と検討大臣の所信として述べていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  144. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それはかねがね私も疑問を持っておった点なんです。  いままでも所得制限が八百七十六万とかあるわけですから、そこでやはり同じ話が出ているわけです。今回初めて出たわけではなくて、いままでもずっとそういうふうなぎざぎざは出ておる。しかし、それをあなたの言うように、確かに三百万で一万か二万か違っただけで、それはそれだけの大きな……(渡部(一)委員「一円違い」と呼ぶ)一円というのは取引がないから一万円と言ったのですが、そういう開きが出てくることは問題があると私は思います。それをなくするためには、事務的には細かい刻みを幾つも入れるという話なんです。それが非常に手数がかかるというようなことだとすれば、そんなに四十万も開かなくて十万とか、あるいはもう少し多くてもいいかもしれぬけれども、事務的に、実務的に何段階かくらいにできるかどうか、そういうことは十分検討させなければならぬ、私もそう思っています。それはやり方で、ともかくふやす場合と減らす場合と両方ございます。しかし、ふやす方はなかなか考えられないという場合は減らすこともあり得ますが、いずれにしても余り差があり過ぎるのは問題だ、だから、これは十分検討します。
  145. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは今後の御努力をお願いしておきたいと思います。  次は、厚生省の児童家庭局から資料をもらってきたのですが、児童手当の支給状況を見比べますと、被用者つまりサラリーマンでございましょうか、この支給率は八三・三%、自営業者、これは九二・八%で、約一〇%近い差がついております。昨年の児童手当の支給状況によりますと、サラリーマンが百五万五千五百世帯で自営業者が百九万九千九百五十七世帯となっているわけであります。対象児童数は、サラリーマンの方が百四十一万三千人に対して受給者は百十七万七千四十三人、自営業者は百四十二万七千人対して百三十二万四千二百五十八人、そこで先ほど言われましたパーセンテージが出てくるわけであります。所得制限がございまして、サラリーマンと自営業者の間では福祉年金や児童扶養手当、奨学金、国民健康保険料、保育料など課税所得というのを基準にして行っているためにこのような不公平が出てくるわけであります。つまりサラリーマンの方は俗説によれば十割課税されており、そして商工業者については捕捉されることがそれよりはるかに低い。巷間の説によればクロヨンとかトーゴーサンとかいうものがそのままこういう幼稚園とかその他の児童手当とか、そういうものに全部はじいてくることをこの数字は示しているわけです。したがって、この数字をこのままにしておきますと課税水準というもので、それが最も権威のある水準ということになっているがゆえに福祉や何かでその数字を使っていくわけですけれども、その課税水準がクロヨン、トーゴーサンなどと言われるような実態で問題になりますと、後、収拾がつかなくなってくるわけであります。  さて、この問題に対して今後どういうふうに処置をなさるか、まず伺います。
  146. 矢崎新二

    ○矢崎(新)政府委員 社会保障のいろいろな給付があるわけでございますが、この所得制限を適用いたします場合の基礎となる所得のとり方につきましては、給付の対象となる方が非常にさまざまな業態にわたる多数の方でございますから、一つの共通の尺度として課税所得というものをとっていかざるを得ないというふうに考えておりますが、この執行の問題につきましては、これは税務当局で適正な把握に従来から御努力いただいております。今後ともそういうことで御努力をいただくと思いますので、私どもといたしましては、この課税所得を基礎とするというやり方をとらざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  147. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 あなたは、悪いけれども、それは御答弁になっていないですよ。御自分でもわかるだろうけれども、はなはだ拙劣な答弁だと思うわけです。  たとえば練馬区の例で見てみますと、幼稚園にやってくる人というのは、大きな車に乗ってくる人たちがその公立幼稚園の所得制限のあるところに入ってしまう。そしてサラリーマンのお子さんというのは課長でもだめなんです。所得制限の上から言うと収入が高いことになっている。だから自転車に乗っている子供は公立保育園に入れない、車に乗っている商工業者の子供は入れる、こういうふうに町じゅうで言われている。こういう不愉快な状況がある以上は、トーゴーサン、クロヨンの問題に手をつけざるを得ない。あるいは所得制限というのは課税水準でやるんじゃない、課税水準というのはにせものなんだ、うそばかり書いてあるんだから、皆さんこれを基準にしないようにと厚生省に言わなければならない。こういうどちらかとらなければならない。ところが、私が国税庁に対してクロヨン、トーゴーサンの実態はと申し上げたところが、そういう数字はない、調べたこともない。調べたことがないわけで、税執行は公平に行われるというたてまえだから調べることもおかしいんだという御答弁をこの間内々にいただいた。私ははなはだ怒っておるわけでありますが、短い時間で何とも申し上げられません。大臣、私はこれからこの問題はぎりぎりと、ねちねちとやらしていただきますが、きょうはお時間がないようですから、この問題に対する概括的なお答えで結構でございます。きょうのところは入り口ですから、一言いただいて退席していただいて結構でございます。
  148. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは農家のことがよく言われるのですよね。問題は確かに——それでは農家の人が脱税しているかというと脱税はしていないんですね。つくっている物はもうだれにもわかっているわけですから。これだけの面積で何ぼとれるかということは、法外なものがとれるはずがない。所得は案外低い。低いんだけれども、生活程度が高い、これも事実なんです。というのは、一つは娘が勤めに行っているとか何かで兼業農家が大部分。それからその人たち、娘や息子は税金を払っているわけですね。あとは、食い物は、菜っぱとか大根だとか、やれ何だとかちょこちょこと自分の家の周りにつくってしまう。それで家は昔からあるということ。同じ三百万円収入があったとしても、サラリーマンの方は家賃も払わなければならない、何もないかにもないという新しい世帯の人、片っ方は親の代から住みついているから、一応物は全部持っている、生活費が余りかからない。それで自動車を買ってしまうとか、それからもういい家に入っているとかいうようなことで、結局所得だけで言うといま言ったようなことになってしまう。では資産制限まで見たらどうなんだ。私、厚生大臣のときに、これは所得制限だけじゃおかしい、資産制限も入れろと言ったことがあるのです。ということになれば、今度は農家はすぐわかってしまうんですね、不動産ですから。それでは預貯金で持っている人をどうしてつかまえるんだ。やはり預貯金だって財産ですから、これは卵を生む。これは分離課税制度だからつかまえようがないということになってくると、これからグリーンカードでもできて、それで預貯金の額もわかるということになれば、資産制限ということもあるいは考えられるかもわかりませんが、いまの段階では非常にむずかしい。  それでは、この所得制限をしなくたっていいじゃないかということになると、これまた別な不公平が出てくるということで、大変むずかしい問題でございますが、今後とも一層勉強させてもらいたいと思っております。
  149. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣、結構です。  では、私はこの問題はもう少し研究しなければならぬ問題だと思います。それは、いまフローの問題とストックの問題を個人の家庭について言われましたが、大蔵省自身にもフローとストックの問題がごちゃごちゃになっている点がございますから、これはまた後に議論させていただきたいと思っております。  お酒の税金の引き上げの問題に移りますが、先日の参考人意見聴取の際、清酒業界の皆さん方が四人おられて異口同音に言われたことは、この時期の引き上げというものが清酒の方に打撃があり、ビールの方にプラスであると発言されたことであります。それは酒類間におきまして、需要期を迎えるビールは仮需が発生し、大々的にその時期もうかる。ところが不需要期を迎えた清酒の方は、こういう五月なんというあるいは四月などという時期に行われると全く販売低下して、そしてその低下したものが今度は嗜好の固定化という方に結びつき、毎回値上げのたびにだんだんだんだん清酒は売れなくなるという方向に寄ってくる、このような業界間の問題に影響を与えるようなことはしてもらいたくないという強い要請がございました。これにどうおこたえになるか、御答弁を聞かせていただきたい。
  150. 高橋元

    高橋(元)政府委員 六、七、八という三カ月をとりますと、大体酒は年間の売り上げの一五%ぐらいの割合になると思います。ビールはそれに対して六、七、八で半分ぐらい出荷がされるわけであります。そういう意味で、いまお話しのように、酒の場合には不需要期、ビールは需要期、こういうことになろうと思います。私直接出ておりませんでしたが、前回の参考人の御意見というものを後からいろいろ話を聞きますと、ビール業界の方はビールが特に有利とは思わないという御意見だったと思いますし、兵庫県の長部さん、それから富山の福光さんの二人はむしろ不需要期が値上げとしてはいいんじゃないかという御意見であったやに承りまして、いまのお話、お示しのありましたことと私の理解と若干違っておるかもしれませんが、いずれにいたしましても、清酒は秋から年末にかけて出荷されるのが一番多いのでございます。ビールは夏場を控えて六、七、八と出ていくのが一番多いわけでございますが、消費への影響を考えますと、むしろ不需要期に行われる方がいいのではないかなということでございます。手持ち品課税ということをいたしておりまして、一・八キロリットル以上の手持ちをやっております場合には、引き上げになります酒税につきまして差額を手持ち品課税として納めていただくわけでございます。従前の五十三年の酒税引き上げも、今回と同様に五月一日施行ということになっておりますが、そのときの経験で申しましても、特に酒類間の需要動向に影響を及ぼしていないんじゃないかという考え方でもございますし、酒につきましては一級が一五%程度、二級が一〇%弱という引き上げ幅でございますので、小売価格に対する税の引き上げ幅もビールが一〇%ぐらい、清酒一級が三・五%、清酒二級が一%ぐらいというふうに思います。今回の増税内容からいたしましても、従前の経験からいたしましても、特段五月一日の増税の実施ということで清酒に不利になるということはないものというふうに私ども考えておる次第でございます。
  151. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは時間がもうなくなってまいりましたので、最後に一つ申し上げておくのですけれども、私はこの質問をするためにちょっといままでに出された通達のたぐいを拝見させていただきまして、実は仰天しているところであります。これは手に持っているのが酒税関係法令通達集、国税庁でお出しになったものでございますが、このほぼ半分がお酒の問題に対する細かい行政指導の数々であります。これは率直に言いまして、少しくだらないのが多過ぎる。そしてやかまし過ぎる。これでは私が先日申し上げましたように、国立酒屋に国立バーに国立酒造家と言った方がいいぐらいのものになりかねない。それだからこそマージン低下について考えてくれとか、あるいはびんの大きさについて考えてくれとか、レッテルのデザインについて考えてくれとかという要求が業界から堂々と出てくる。そして税金の引き上げの時期というものについても、わが業界は得とか損とかという議論が出てくる。要するにマーケットメカニズムを一たん破壊すると、最後のどん詰まりまで破壊しなければならなくなることをこのペーパーは示しています。銀行局の銀行に対する通達、もうすごいものですけれども、その半分ぐらいの大きさになってきたわけですから、この辺でそろそろお考え直しになった方がいいんじゃないか。私はこれはむしろきょうは質問ではなく、忠告しておきたいと思います。そして酒税の問題が、このような税務執行の不均衡あるいは税に対する不公平感のいや増す中で行われているということは、今後の税執行に対して非常にぐあいの悪い出来事であったと私は感想を申し上げておきたいと思います。今後この問題について、先ほどいろいろ何ポイントか指摘いたしましたが、抜本的な修正のために見直しを御努力いただきまして、よろしくお願いしたいとお願いをする次第でございます。  以上で終わります。
  152. 綿貫民輔

    綿貫委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  153. 綿貫民輔

    綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。玉置一弥君。
  154. 玉置一弥

    ○玉置委員 先日、時間がなかったので、その続きということでお伺いをしていきたいと思います。  そこで、先日もお話ししましたように、五十三年のアルコール部会の際、あるいは第二臨調という動きの中で、現在専売アルコールのあり方そのものがときどき話題になってきている。そういう現状から見まして、これからアルコールの方向としてどういう方向をとるべきであるか、その辺をそれぞれ確認をしていきたい、かように思うわけでございます。  現在アルコール専売制度というものがしかれております。その中の問題点として、官営の七工場、そして民間それぞれの各企業、非常に分野の中の争いというものがあるわけでございますけれども、大蔵管轄あるいは通産管轄というふうに分かれておりますその分野の調整について、どのように話し合いをされながらいままでやってこられたのか、それについてそれぞれのところからお答えを願いたいと思います。
  155. 小泉忠之

    小泉政府委員 アルコールの関係でございますので、私どもの方は酒類原料用アルコール関係を所管いたしておりますから、先に答弁さしていただきます。  酒類原料用のアルコールは、酒類の原料だけに供給するという原則を貫いております。それに対しまして専売アルコールの方は、工業用とか医薬用、食品添加用と非常に多岐にわたって用途範囲を支えて供給をいたしておるという関係でございまして、一般的にはやはり販売面で専売アルコールと酒類原料用アルコールが競合しないようにということで調整をいたしておりますが、現在のところ競合している部分はないというふうに考えております。  ただ、しかしながら、非常に特殊な製品といいますか、たとえばみりんの中でみりん第二種というのがございますが、これはその企業で蒸留器を持って、アルコールを製造していない、しかもみりんをつくらなければならぬという業種でございまして、そういったところ、あるいはカキ渋抜き用、これまた食品関係で必要な用途でございますが、そういったところにつきましては、やはりしょうちゅうとか原料アルコールを使用したり、あるいは専売アルコールを使用するといったような関係がございます。こういった競合する部分、ごく一部でございますが、それにつきましてもやはり専売アルコールの売り渡しが民営を圧迫しないように、通産省のアルコール事業部と私どもの方で調整を図っているということでございます。
  156. 井上正

    ○井上説明員 通産省の方からお答えいたします。  いま大蔵省の方からお答えがございましたとおりでございますけれども一般的には競合する分野はないわけでございますが、一部、いま御説明がございましたように、みりんの原料用あるいはカキの渋抜き用に若干競合する分野がございます。いま大蔵省からお答えがございましたように、基本的には民業を圧迫しないようにということで、専売事業の方からこの二分野への販売につきましては、特に御希望がある場合に限って売るということにいたしておりまして、専売事業といたしまして積極的にその需要開拓といったようなことは一切やってないわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、みりんの二種業者に対しましては、専売アルコールの買い受けを希望する方に限りまして供給をするということにしておりますし、カキの渋出し用につきましては、もう新規の需要者にはアルコール専売事業の方から供給いたしません。それから、アルコール専売のアルコールとしょうちゅうと両方使っておられる方もあるわけでございますけれども、そういう方につきましては、従来お使いになっておりますしょうちゅうの量が減らないようにという配慮をいたしておるわけでございます。それで、数量的にはみりんの二種用に使っているものが多いわけでございますが、アルコール専売事業の方から販売しております数量は年々減っておりまして、たとえば昭和五十年で申し上げますと、みりんの二種製造業者にアルコール専売事業から七百七十四キロリットルのアルコールをとったわけでございますけれども、これも最近時点、昭和五十四年を見ますと四百四十三キロリットルということで、この間大幅に供給を減らしているということでございます。アルコール専売事業といたしましては、今後とも民業を圧迫することがないように、従来とりました方針にのっとりまして考えてまいりたい、そう思っております。
  157. 玉置一弥

    ○玉置委員 いまお聞きしますと、いわゆる通産管轄、国営のアルコール製造については民間を圧迫しない程度にとどめているというお話でございますし、また大蔵の話では、販売面で競合しない。これは両方おっしゃいましたけれども、ただ逆に消費者の立場というものを考えました場合に、競合する分野も出てきているのではないかというふうに考えるわけです。  一つは、現在言われておりますのは、食品の防腐剤関係に新しい分野として大変アルコールが利用されてきている。ところが、いろいろ調べてみますと、いわゆる民営のアルコールと官営のアルコール七工場はそれぞれ原料の占める割合が違う、こういうことも原価の価格差といいますか、そういう状況になっておるわけです。片方では国産、特に沖繩、奄美大島それぞれを中心にした糖みつの大量使用をやっております。また、サツマイモの利用という面からもかなりの国内農産品の使用ということが行われているわけです。  ところが、官営になりますとその比率が非常に低下をいたしておりまして、糖みつ関係では、この間お話を聞きますと二五%前後であるというお話でございます。そういうところから見ますと、その糖みつの中でもまた輸入糖みつあるいは国内の糖みつ両方に分かれるわけですけれども、輸入糖みつの比率が約九〇%近い、そういう実態から見て果たしてフェアな分野争いができるのかどうか、その辺が非常に問題になってくるわけです。アルコール専売制という現在枠を課せられた中で自由な争い、それは分野しかないというふうに思います。  そういう意味で、果たして現状でフェアな争い、競合ができるのかどうか、その辺それぞれのお考えをお聞きしたいと思います。
  158. 小泉忠之

    小泉政府委員 御指摘のように、専売アルコールと酒類原料用のアルコール、ともに同じ原料になりますが、最近の情勢ですと原料の大半はやはりいずれも輸入に依存しておるという状況かと思います。粗留アルコールあるいは先生御指摘のように糖みつ、これがやはり過半以上、八割ないし九割というような形かと思いますが、占めております。したがって、輸入原料価格はほとんど同じ、イコールフッティングといいますか同じ状況になるわけでございまして、全体の原料価格差も生じていないというふうに私ども考えております。ただ、あるとすればやはり使用国産原料、御指摘のように原料の使用割合が若干異なるかと思いますが、いずれにいたしましても国産原料は数量的には少ないということでございまして、あるとしても原料価格差というのは非常にわずかなものではないかというふうに考えております。
  159. 井上正

    ○井上説明員 いまの点につきまして、通産省の方からお答え申し上げます。  アルコール専売事業で製造しておりますアルコールは、実は発酵アルコールと合成アルコールと両方ございます。それで、民間と競合問題がございますのは発酵アルコールの方でございますので、発酵アルコールに限りましてお答えをいたしますと、現在アルコール専売事業で発酵アルコールの原料としておりますもののほとんどは、いま御説明ございましたように糖みつを中心にいたしました輸入品でございまして、アルコール専売事業といたしましては国産原料の使用に努力はしているわけでございますけれども、やはりどうしても経済性の問題もございまして、現在、国産原料の使用比率は四、五%程度というものにとどまっているわけでございます。  輸入品でございます糖みつあるいは粗留アルコールにつきましては、全く国際商品でございますので、輸入価格につきましては民間とほとんど格差がないというふうに私たち了解しております。  したがいまして、原料面での基本的な競争条件と申しますか、これは民間とアルコール専売事業を比較いたしまして、イコールフッティングといいますか、基本的にはそういうものであるというふうに認識しております。
  160. 玉置一弥

    ○玉置委員 この間、アルコール部会の発表といいますか出された内容を見たのですけれども、そのときには民間よりも官営の方が効率は悪いという話が出ておりました。しかし、実際価格的に、先ほど申しました防腐剤の分野だけを見て新しい分野ということで双方から分野拡大という動きをされているのは事実でございまして、いまお話を聞きますと、私がいろいろ調べたところによりますと、国営七工場と民間の原料分野が違う。そして、国内の農産品の使用ということで、ある程度各民営のアルコール会社に割りつけをされているということも事実でございまして、そういう面から見て、ぜひ同じ条件にそろえていただくように努力をお願いしたいと思います。その辺についてそれぞれの回答をいただきたいと思います。
  161. 小泉忠之

    小泉政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、民間の酒類原料用のアルコール原料事情、実は最近非常に輸入原料の値上がり等で厳しいものがございますが、一方では官営の専売アルコールと協調いたしまして両者がともにそれぞれ特色を生かして発展していくということが望ましいと思いますが、そういった点十分留意をいたしまして、この分野の調整と申しますかが図られるように期待いたしております。
  162. 井上正

    ○井上説明員 通産省からお答え申し上げます。  いま大蔵省からお答えございましたように、アルコール専売事業といたしましても、原料面も含めまして今後とも民間のアルコール業界と十分協調して事業を進めてまいりたい、そう思っております。
  163. 玉置一弥

    ○玉置委員 大蔵大臣がお戻りになりましたので、アルコール専売について一言だけ御意見をお伺いしたいと思います。  先ほども申しましたようにアルコール部会あるいは第二臨調でアルコール専売制のあり方が話題になっておりますけれども、今後この専売制度について大蔵大臣として将来専売制度を残すべきかあるいはアルコール専売を廃止して自由化に持っていくべきか、どちらにお考えになっておるか、それについてお聞きしたいと思うのです。
  164. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 アルコールの専売制度についてはかねがね議論の多いところでございます。もう時代おくれじゃないのか、何で専売の理由があるんだねと、この議論をなかなかやめさせるということは非常にむずかしい、私はそう思っておるわけであります。まあ時期、手順等については混乱があっては困りますから慎重に対処しなければならない、そういうことで審議会等で議論をされておりますから、その結論に従って対処してまいりたいと考えます。
  165. 玉置一弥

    ○玉置委員 どうも何回聞いても審議会の結論が出ないと動かない、あるいは先の話はわからないという話ばかりでございまして、ぜひとも大蔵大臣個人の持ち味を生かしていただきたい、かように思うわけです。お疲れですから余り聞かないで、食後はちょっとゆっくりしていただきたいと思いますので、まだまだ聞きたいのですけれども、時間の関係で次に移りたいと思います。  先ほどから問題になっております級別課税制度の件でございますが、先日の参考人の方のお話を聞きましても現在の品質区分というものが非常にあいまいであるということ、そしてこの級別制度ができまして以降環境が非常に大きく変わってきている、いろいろな意味から見てもそうでございますし、また消費者にとりましては、原価百何十円しか変わらないものが千百円くらいの高いものを飲まされるということにもつながるわけでございまして、そういう意味から、この級別課税制度というものをぜひ見直していかなければならない、そういう時期ではないかというふうに思うわけです。  聞くところによりますと、主税局税制二課の方でいままで二度ほど級別課税制度内容についていろいろ検討されたというお話を聞いておりますけれども、その検討された結果がどうなのかという話が一向に聞こえてこない。表にも出ない裏にも出ないというところでございまして、ぜひそれを表に出していただきたいと思うので、その内容について、どういう状況でどういう判断をされたか、それについてお伺いしたいと思います。
  166. 高橋元

    高橋(元)政府委員 四十六年の長期答申の中で、「わが国における酒類産業の動向等に配意しつつ、より一般的に従価税制度を導入する方向をとるべきであると考える。」というくだりがございまして、それがきっかけとなりまして、四十七年当時相当清酒に対する課税制度の勉強をいたしたわけでございます。四十七年の六月に「酒税制度(清酒)の改正私案」というのを当時の酒造組合中央会にお示しをして、中央会を通じまして清酒業界の御意見を求めたことがございます。内容は非常に多岐にわたっておりますが、要約いたしますと、一つ級別をやめてしまう、もう一つは四段階価格群別従価税にいたします。四段階と申しますと、四五%、八五%、一二〇%、一三〇%という従価税率をそれぞれの税抜き販売価格に対して設定をいたしまして累進的な従価税をかける、こういうことであったわけでございます。  四十七年の九月に酒造組合の中央会からこれに対する「酒造業界意見」というのが参りまして、要約いたしますとそれは反対であるということであります。「まことに遺憾ながら今般提示されました本私案に対しましては、次の理由により反対であります。」という答えでございました。反対の理由が幾つかございますが、最初は、従価税でございますから、清酒のようにことに米を使っております場合にはコスト増が起こります、コスト増の都度それに伴って価格を修正する必要が起こってまいりますが、その際に、価格だけでなくて酒税の額も一緒にふやさなければいけない、そうなると、消費者に過重な負担にわたるということではないかというのが第一。それから第二が、いま申し上げたこととダブりますけれども、米の値段が上がりますと、清酒のコストはほかの酒類に比べてより頻繁に上がってくるということが予想されるので、従価税制度をとると他の酒類に比べて不利になるというのが第二であります。第三は、長年従量税になじんできて、百年の歴史を持っておるわけでございますから、そういうものに比べますと従価税は複雑であって、納税手続に困難をもたらすということでございます。そのほか若干の理由が挙がっておりますけれども、とにかくそういうことで、公式の機関であります酒造組合中央会から反対であるという御意見が寄せられた、これが従来の経緯でございます。
  167. 玉置一弥

    ○玉置委員 それを見てその後どういうふうに考えられましたか。
  168. 高橋元

    高橋(元)政府委員 たびたび申し上げておりますように、従量税中心とします酒の税金というのは、これはやはり世界じゅうそういう制度でございます。従量税でございますから、コストが動かない、したがって販売価格が動かない場合には当初設定をいたしました消費税としての適正な税率が保たれるわけでございますが、コストが上がってまいると、自動的に隠れた減税と申しますか、言葉がよろしくないのかもしれませんけれども税負担率が下がってまいります。それを価格なり所得の状況に応じて随時訂正をしていくという必要が起こってくる。その過程では適正な税負担が求められないということがございます。また、特、一、二級、こういうふうに級の格差に応じて税率を設定しておきましても、それぞれの級の中で、価格が上がりますと税負担率が下がってまいりますから、たとえて申しますとのこぎりの歯のような税負担率になるわけでございます。消費税の理論からするとそれも問題がある。そういうことで、従価税に移った方がいいという意見がいまの四十六年の税制調査会答申に出ておったわけでございますけれども、いま御説明申し上げましたような経緯を経て、最近の、昨年の十一月に出てまいりました税制調査会の中期答申の中では「税務執行上の問題、酒類の生産、流通の実情等も十分考慮する必要がある。」「従価税制度への本格的な移行については、現実的な観点をも踏まえて酒税制度全体のあり方とともに検討を行うことが適当である。」「当面は、税負担の公平の観点から従価税率の適用範囲を拡大していくことを検討する」こういうような御趣旨の御答申をいただいておるわけでございます。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 消費税でございますから、たびたび申し上げておりますように、生産者への影響、消費者の選択に与える影響、酒税課税方式との関連、そういうものを十分見きわめながら、中長期的にと申しますか、抜本的に検討を続けていきたいというのがただいまの私ども考えでございます。
  169. 玉置一弥

    ○玉置委員 五十五年十一月の税調答申に書いてあった——書いてあったというのはおかしいですけれども、あったということで、これから検討されるわけですね。
  170. 高橋元

    高橋(元)政府委員 検討を積極的に進めてまいりたいというふうに考えます。
  171. 玉置一弥

    ○玉置委員 現在の業界の実態というものを見た場合に、先日の参考人お話でも、いまの級別制度あり方についてやはり疑問を持っておられる。そしていろいろな改善策をやっておられますけれども、そういう中でいまの制度そのままにしておいたのではなかなか構造改善が進んでいかないというのが実態ではないかと思うわけです。そういう意味から、ぜひ級別制度見直しについてこれからいろいろな方々と積極的に進めていただきたい、かように思います。  きょうは時間がないので本当のさわりだけやりまして、また別途……。
  172. 高橋元

    高橋(元)政府委員 積極的とお答え申し上げましたけれども、その意味はいま委員から御指摘のありましたようなそういう趣旨でございまして、従価税制度という答えを予定をいたしてそれに向かって進めていくというふうに御理解をいただかないようにぜひお願いを申し上げたいと思います。広範に消費、生産両方の事情考えながら抜本的に取り組んでいく、こういう気持ちでございます。
  173. 玉置一弥

    ○玉置委員 いや、私もどれがいいというものを持っているわけじゃございませんので、本当に困るのですよ。検討していただくという言葉で十分だ。あとはたとえば中期答申のときに、非常に分野の広いどこかに課税するなんという話がありまして、少なくともその時期が決まるならば、同じ時期には検討していただきたい。同時進行ですね。それは、ぜひお願いしたいと思います。それがいいか悪いかは別にしましてですね。  それと、先日の参考人の方のお話の中に、酒米について強い要望がありました。きょう農林省の方もお見えになっていると思いますけれども、先日のお話では、ほかの工業米との関連で酒米だけについて値を下げるのは大変むずかしいということでございます。現在の特に清酒業界の実態、中小零細企業にとっては、純米酒というお米だけで清酒をつくる、そういう中に持ち味を生かしていくという傾向が非常に強いわけでございます。そういう実態を考えた場合、あるいは現在清酒がほかのお酒との比較で見る限り年々原価が大きく上がってきている。これは主に米の値上がりによるものでございますけれども、そういうことから考えて何らかの処置をやらなければいけないと思うわけです。そこでこの間のお答えをはい、そうですかというふうに聞くわけにはいかないので、今後大蔵省と相談をされてどういう措置をとるか検討されるかどうか、いまやらないという話だけじゃなくて。現状では、他の比較でできないだろうと思います。ただ、やはり政策的に何か加味していかなければいけない。古米処理についても同じようなことが言えるわけです。古米処理を何でやらなければいけないのか。これはやはりいまの農家を維持していくためにしようがないからやっているのだ。同じような考え方でこの酒米についてもお答え願いたいと思います。
  174. 松山光治

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  先般の当委員会におきまして私からお答え申し上げた趣旨は、酒米の需要というのが米の需要先として重要だということと、アルコール添加の減少を通じて米の需要を拡大していっていただく、こういう基本線に立ちまして、従来から自主流通米が主体の酒米でございますけれども、一部消費拡大という点から自主流通米よりも割り安の政府米を売却しておる、こういうことを申し上げたわけでございまして、すでにその売却率はたしか二割を超えておるはずでございます。今後ともアルコールの添加というものが少なくなってまいりまして純米酒の方向に進んでまいるあるいは全体としての酒の需要がふえてまいる、こういうことになりますれば政府米の売却量もおのずからふえていく可能性が出てくる、このように思っておりますが、その際の価格につきまして現在は主食用と同じ価格で売却いたしておるわけでございますけれども、これを主食用よりも安い価格で払い下げていくということについてはなかなかむずかしい問題がある、このように申し上げた次第でございます。  ただ政府米の世界におきましても、いろいろな類別に価格が違っておる。現在のところ酒造業界の御要望もございまして、原則として三類よりも上の三類以上の米を売却しておるわけでございますけれども、品質格差によりまして、主食用でありましてもそれよりもある程度低い価格の米もあるわけでございますので、そういうものはコスト軽減という点から利用する可能性がないのかどうかといったようなことにつきましてはすでに関係方面にもいろいろと問題は提起させていただいておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  175. 玉置一弥

    ○玉置委員 では大蔵省にお伺いします。  農林省としてはほかのお米との関係でいまのところが限度ではないかというような感じでお答えいただいたわけでございますけれども、いまの構造改善の進み方を見ていると、本当に年間七十件ぐらいつぶれていくのを待つだけだというふうな感じがするわけです。ただ先日の参考人お話にもございましたように、酒米を下げてさえいただければまだまだ生きる道がある、そういうニュアンスで私は受け取っておりますし、また現在の酒造業界の体質から考えても、そういう面での措置というものを何かとっていかなければいけないのではないかと思うわけです。そういう面で、この酒米についてあれだけ強い要望があって、先ほど渡部委員の方から、いろいろな通達によりがんじがらめにした中でやっておられたわけでございますから、当然の責任として大蔵省はとらなければいけないというふうに思うわけです。そういうのを考えた場合、そして前農林大臣ということで、いまの農政を考えた場合に、大蔵大臣ひとつお答え願いたいと思います。
  176. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、お酒をたくさん消費してもらった方がいいのです、一方で米の生産調整をやっているわけですから。ですから今度の酒税等の値上げの場合も、そういうことも頭のすみっこにどこか入っていますということはこの前申し上げたとおりです。しかしながら、値段を古米で安くしたから大量にお酒がふえるかどうかということも問題がございますし、主食よりもさらに安くするということについては、嗜好品の原料をおれたちの主食より何でそんなに安くするんだという問題もあります。古々米とか古米とかいうもので酒がつくれるんだといっても、結局酒の量がふえなければ今度は新米を買わないという話になりますから、それでは同じことになってしまう。そういう点をいろいろ勘案して、いつも適正な価格での払い下げということをやっておるわけでございます。
  177. 玉置一弥

    ○玉置委員 本当に聞きたいのは、いまを固定した場合に、ではふえた分について安くしてくれるかという話を聞きたいわけで、いま言っていませんけれども、この間言ったのはそういうことなんです。  そういうことで、業界をがんじがらめにするならばやはり業界の要望も聞いてほしい。逆に言えば、消費者としては、これからお米が上がったからお酒が上がるということは非常に困るわけであります。  そういう面で、つぶれないように——ざっくばらんに言いますと、いま二千八百五十というのは絶対に多いとぼくは思うのです。お酒をつくっているところが二千八百五十社もあるということ自体大変多い。多いからつぶれていくんだ。そしてそれなりに二千八百については、残りの四〇%のシェアを食っているにほかならないわけでございます。そういう面から構造改善としてもかなり大きなことを考えて対処していかなければ、本当に自助効果を待つだけであるというようなことになりかねないので、いままでにないことをぜひお考え願いたい。その一例として挙げているわけです。これが非常に業界からの要望が大きかったということでございますから。  時間も参りましたので終わりたいと思いますけれども、最後に先日お話ししましたみりんについて一言だけお願いしておきたいと思います。  先ほどアルコールの話の中で通産、大蔵ともに、みりん第二種について出しておるということがございました。これは家庭用調味料という立場から、通産側からも出ている。これは酒類でないというふうに私は解釈をしたわけです。事実、こういうふうに通産の、飲まれないものの中に入っておるわけです。そういうことも考えて、これからの酒税見直しの際にはぜひとも家庭用調味料に課税をしないという立場をとって検討願いたい。これは希望でございますから言うだけに終わりますけれども、そういうことで今後の検討をお願いして終わりにいたします。  どうもありがとうございました。
  178. 大原一三

    ○大原(一)委員長代理 正森成二君。
  179. 正森成二

    ○正森委員 それでは私から若干の質問をさせていただきます。  大蔵省は今度、本年度で二千八百億円ほどの酒税増税をされるわけですが、飲酒人口をほぼどのくらいと見ておられますか。
  180. 小泉忠之

    小泉政府委員 人口問題につきましては厚生省所管でございますので、私ども直接責任を持ってあれではございませんけれども、一応私ども、飲酒ということで御質問でございますので、調査をいたしまして調べました結果、昭和五十四年の十月に厚生省の調査がございました。それで昨年の十二月に発表いたしました保健衛生基礎調査概況というものがございますが、それを拝見いたしますと、二十歳以上の男子成年につきましては、全く飲まないという方を除きますと八三・二%、それから成年女子につきましては四二・六%というものが一応飲酒をしているということになるわけでございます。飲酒人口がどういう定義になるか、これは御議論あるところだと思いますが、一応この率を前提にいたしまして最近の、昭和五十五年十月の成年人口にこの率を乗じますと、成年男子としては三千三百万人、女子で千八百万人、合計いたしますと五千百万人が飲酒人口ということに一応はなるのではなかろうかというふうに考えております。
  181. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、いま伺うと、約五千百万人が飲酒人口。二千八百億円余り増税しますと、結局割りますから一人当たり五千五百円前後の増税になるという計算になると思います。——そうですね。  そこで大蔵大臣伺いたいと思いますが、昨年大臣に就任されましてから増税の必要性を国民に納得していただくために大分あちこち行脚をされたようでありますが、そのうちの幾つかがテレビで放映されたことは御存じですか。
  182. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 知っております。
  183. 正森成二

    ○正森委員 私はそのうちの一つを非常に興味深くテレビで拝見しておりましたが、大臣はなかなか演劇の才能もおありのようでありまして、私が見たテレビでは、酒を増税して、おれは、酒で税金を何十万も払っておるというのがおるがそんなことはないという論旨で、たまたまそこにありましたコップか何かをぐっとお飲みになりまして、ビールを皆よくお飲みになると思うけれども、ビール一本で税金は大体百二円足らずだ、だから平均ビールを一本飲むとすると税金は一カ月で三千円だ、そうすると一年で三万円ちょっとだ、だから何十万円も税金を納めるというようなことはあり得ない、そんなに税金を納めるぐらい飲めば、酒やビールを飲み過ぎて腹を壊して命の方が先に亡くなってしまうわなとこう言うたら、みんながわっと笑って効果満点であったという印象を受けたのですが、覚えておられますか。
  184. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 そのとおりであったかどうか知りませんが、そういうような趣旨のことを申し上げたことは事実です。  大体二級酒を例にして、一升で百五十円だ、したがって毎日一升ずつ飲んでも一カ月四千五百円、そんなにはとても飲めないという話をいたしました。
  185. 正森成二

    ○正森委員 私が聞いたのと違っているかもわかりませんが、何十万円も酒税を納めるというようなことをすれば、先に体が悪くなってしまうという趣旨の話でありました。  それで、私は、そこから逆に大臣にこの酒税というのが逆進性の強い税であるということを申し上げたいのですね。つまり大臣のおっしゃった意味をある意味では逆にとりますと、松下幸之助さんだとかあるいはブリヂストンタイヤの石橋さんとか年収何億円あるいは十億円を超える人でも、何十万円も酒に関する税金を納めようと思えば、先に体の方がまいってしまう。つまりそういう億単位の収入がある人でも何十万円はなかなか普通の酒を飲んでいる限りは納められない。ところが、普通の庶民でも、晩酌一合あるいは夏の暑いときにビール一本を飲む庶民というのは多いわけですから、そういう人はやはり数万円程度の税を納めるということになるので、ある意味では国民全体にほぼ同じくらいの税額がかかってくる。したがって、所得税というのが担税能力のある人からは多く税金を取り、担税能力の少ない人からは少なく税金を取るというたてまえから見れば、これは、財政の必要上やむを得ないけれども、必ずしも一から十まで好ましい税制とは言えないという面を持っているのではないかという感を持ったわけであります。大臣の御所見はいかがですか。
  186. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 この間接税というのは往々にしてそういう傾向が皆ございます。売上税でもあるいはガソリン税でも何でもそういう傾向があるわけであります。そのことを私は否定するものではありません。しかし、その中で何とか配慮をしたいというのは、たとえば一級なら一合十七円でも二級なら一円五十銭だ、そういうところで配慮はしておるわけですが、あなたの指摘するような点は、これは否定はいたしません。
  187. 正森成二

    ○正森委員 同僚委員から多分質問もあったと思いますが、たしか今回の手持ち商品の限度額は、表現は悪いかもしれませんが、千八百リッターだったと思います。五十三年は千五百リッターで、その前はたしか千三百リッターだったと思いますが、今回千八百リッターに上がりました、おおよその根拠をお聞きしたいと思います。
  188. 高橋元

    高橋(元)政府委員 前回の限度数量千五百リッターでございますが、今回増税対象とさせていただいております酒の数量が、五十三年当時に比べて二二%伸びております。ところで、その間に小売の酒屋さんが二%ばかりふえておりますので、その千五百リッターに二二%を掛けて一〇二%で割りますと一七九九・一、ちょうど千八百リッターになります。これが今回の手持ち品課税課税最低限度数量を決めた根拠でございます。
  189. 正森成二

    ○正森委員 私はお正月に何軒かの支持者のうちへ行きましたが、そのときに小売店も相当ありまして、一様に言われたことは、五月一日なら五月一日に値上げということになると、その日の朝早く税務署の職員が来て、酒を銘柄ごとに全部並べておかなきゃならない。そして検査をされて、以前なら千五百リッターが一リッターでも多ければ全部に対して新しい税率が課せられるということになるので、非常に手間も多いし、それからめんどうである、また記帳の関係でもややこしいことがあるので、そういう点について、国のために税金を賦課した高い値段で売って国に納めるわけだから、その点をできるだけ簡素化するようにできないだろうかという意見が非常に多うございましたが、主税局としては何かお考えがございますか。
  190. 高橋元

    高橋(元)政府委員 執行の問題は、後ほど庁からお答えをさせていただきますが、昭和五十三年の増税の際の経験で申しますと、納税義務者が全体で一万三千業者ぐらいでございまして、免許者に対するウエートは八%ぐらいでございます。つまり十二件に一件ぐらいの手持ち品課税をさせていただいております。それで手持ち品課税をする場合に、一千八百リッター、当時は一千五百リッターであったわけでございますが、それを超えますと、これは一千五百一リッター全体について手持ち品課税をお願いするわけでございます。往々にして増税によりまして値上げがあります場合に、見越しの取引がございまして一時的に仮需が発生をする。それで、それを低い税率で仕入れた方が増税後高い値段で売られると、そこに不当だと申しますか、余剰な利得が発生をする。それがやはり流通業界の混乱ということにも相なるでありましょうし、資力の大きい販売業者なり飲食店なりが多量に手当をいたしまして、それによってウインドフォール・プロフィットが発生をする。そういうことは公正の観点からも税収の観点からもどうも望ましくないということでありまして、手持ち品課税をさせていただいておるわけですが、さりとて十七万あります酒屋さん全体について手持ち品課税をやるのは容易ではございませんので、大体一〇%足らずのところに手持ち品課税が行きますような形に調整をしておるわけでございます。したがって、これはいわば少額不追求と申しますか、税法上の言葉では少額不追求ということをよく言いますが、そういう考え方で限度数量を定めておるわけでございまして、恐らくそれは千八百リッター、出っ張った部分だけかけたらどうかという御意見かとも思いますけれども、そういうのとちょっと趣旨が違うという点を御理解いただきたいわけでございます。
  191. 小泉忠之

    小泉政府委員 執行面から補足して申し上げますが、千八百リッターという非課税の限度をいただきましてかなり簡素化されておるということでございまして、納税義務者としましては、大体見込みになりますが、前回が一万四千人程度ということになっております。したがって、今回もその前後というふうに心得ておりますが、執行上はいろいろ御指摘がございましたように、その手持ちの数量がどのくらいであるかということをやはり厳密に一応その審査はする必要があるということでございますので、この増税が確定いたしますと、五月一日というその施行日のしばらく前から、記帳については御協力をいただくということでできるだけ簡素化いたしまして、前五日、後十五日ということで二十日間で問題を処理する。実際の調査はもう五月一日、二日の非常に短期間に簡単に終了いたしまして、それを超えるものについてこの課税をお願いするということになっております。
  192. 正森成二

    ○正森委員 前回の議事録を拝見しましたが、前回もほぼそういうような御答弁のようでありますが、やはり小売業者にとっては増税期日の前後、特にその当日に税務署の調査があって、奥さんと一緒にもう酒を種類別に全部並べてというのは大変な負担らしいと思われますので、さりとてその一定の前から蔵出しのところでつかまえて後はフリーにするというのも、聞いてみましたら徴税上なかなかむずかしいようですね。だから何かいい方法が見つかるまではいたし方ないかもしれませんけれども、できるだけ酒類小売関係に大きな迷惑のかからないようにこれからも考えていただきたいというように思います。  そこで別の方を聞かしていただきますが、たしか五十三年の酒税法改正のときには同時に清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部改正というのも一緒に行われたように私は聞いております。そのときには、この改正法律施行の日から昭和五十六年十一月三十日までの間に清酒製造業を廃止する者に対して給付金を給付するという制度があったようでありますが、いまは五十六年の二月ですから、あと九カ月ほどになりますが、この制度は将来どういうようになさるおつもりか、お見込みを伺いたいと思います。
  193. 小泉忠之

    小泉政府委員 御指摘のように清酒製造業等に関する安定措置法の改正が五十三年度ございまして、それ以来五十六年度までこの構造改善のために転業ないしは廃業される方について構造改善給付金というものを給付する制度ができております。現在までその制度によって転廃をなさったという方は二百社を若干超えるというような状況でございますが、この制度は、御指摘のように五十六年の十一月三十日までに法定されております。しかしながらこの制度自体は、業界負担もかみ合わせまして行っておるという状況でございますので、延長するかどうかというような問題点につきましても、やはり酒類業界の意向といいますか、さらに盛り上がる雰囲気というものが犬前提になるというふうに私ども心得ておりまして、業界の一致した同意があるかないかということが一つのポイントになるというふうに心得ておるわけでございます。
  194. 正森成二

    ○正森委員 いま間税部長から答弁があって、業界の方が必ずしもこれを存続してほしいという要望が現在のところないので検討中であるという趣旨の答弁ですが、たしか特別措置法で日本酒造組合中央会に信用保証事業及び給付金給付事業の二つの事業を行わせる、こういう内容措置法ができたと思いますが、この基本財産として信用保証基金というのを設けるわけですが、それはどういうぐあいにやるかと言えば、一部は業界から出させ、一部は国から出す、その運用益と、さらに転廃業者が出ましたときには新たに業界からもう一度金を出さして、それで給付を行うというようにたしかなっていると思うわけであります。ですから、もともとの運用益をつくる信用保証基金も業界が出さなきゃならない。その運用益で全部賄えるかと言えばそうじゃなしに、改めてまたもう一遍業界から徴収してそれを足さなければならないという二重に業界負担になっているので、なかなか業界の方から、便利なものだと思いながらこれを続けてほしいという声が出にくいのじゃないかというように思われるわけであります。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕  五十三年の法律などを見てみますと、基金の総額が、政府が予算案で五億円を追加しまして、これにその半額相当の二億五千万円を業界が出措いたしますので、基金の総額は四十三億五千万円に当時なったようでありますが、それが現在幾らになっておるかということ、及びその給付金をもととして貸し付けの保証をしてもらったりしておる業者がたくさんおると思いますが、その業者の数並びに最近二、三年の保証限度額といいますか、その推移を簡単に述べていただきたいと思います。
  195. 小泉忠之

    小泉政府委員 計数の御質問でございますのでお答えさせていただきます。  基金の総額は、本年の二月現在でございますが、保証原資と申しておりますが、五十億四千万円。御指摘のように政府補助金三十億六千万円のほか、業界からの二対一の拠出金というものが内容として含まれております。  それから、それに基づきまして保証限度というものが設けられておりますが、これが千二百十億円。これは酒造いたします場合の酒造資金というものが時期的に集中しているわけでございます。これについて、借りに参ります場合の債務の保証をこの信用基金が行うということでございまして、その保証の対象は、清酒の製造資金の債務、こういうことになっております。その保証料は年〇・二五%ということになっております。  それから転廃業の関係でございますが、これをもとにいたしまして、たとえば保証料等を徴収いたしますので運用益が実は出るわけでございます。これは構造改善の近代化の原資として活用するというシステムになっておりますが、そのうちの一つ構造改善のために転廃した方々に対して給付金を給付する、しかしながらその金額がやはりもう少し高い方がいいという御議論がございまして、半額については、構造改善のために転廃する場合には残られる方は同時にまたこのメリットが結果的には生まれるわけでございまして、したがいまして、その方々負担するという趣旨で半額はそういった方々の拠出になっておる、こういうことでございます。
  196. 正森成二

    ○正森委員 時間ですから大臣に行っていただきますが、いまお聞きになりましたように——これからまだもう少し後で聞くのですが、大臣が行かれるので先に大臣にお聞きします。  中小酒造業者というのはなかなか大変なんですね。参考人を呼びましたが、参考人が家業を引き継いだときは四千件ぐらいあった、それがいま三千件を割っておるというような苦渋、苦衷も述べられたわけですが、そういう中小企業に対する補助を考える場合に、いまも言いましたように、もともとの信用保証基金自体が政府の出資が少ない。そこで運用益が出ましてもそれにさらに業界からお金を足さなければ給付金を交付できないという関係になっておりますので、政府の出資関係を二対一でなしにもう少しふやすとか、あるいは給付金を出す場合に業界から出す割合を一対一じゃなしにもう少し業界に有利にするとかというような改善が行われれば、もう少し業界の方からこの制度を存続してほしいとかあるいは利用度が高まるのではないかと思うのですが、そういう点についての御意見を承っておきたいと思います。
  197. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私も、大蔵省は取るばかりで働きバチの醸造屋さんにもう少しめんどう見たっていいじゃないかという意見はかねがね持っているのですよ。持っているのですが、何せこれは時期が悪いですね。財政再建であっちもこっちも切らなければならぬというような状態の中で、大蔵大臣自分の所管ばかりふやしちゃったということになるとほかに示しがつかないというようなこともあって、そういう気持ちはありますが、いまのところひとつ御容赦を願いたい、そう考えております。
  198. 正森成二

    ○正森委員 政務次官もおられないようですけれども、時間の関係がありますから、主税局長がおられますから続けたいと思います。  主税局長、いま時期が悪いと大臣おっしゃったのですけれども、時期の点で言いますと、性質は違うとおっしゃるでしょうが、今度法人税が二%上がります。それでエネルギー関係の投資減税をやる。これはもちろんエネルギーのために非常に有用な政策減税である、こういう御主張だと思いますが、巷間言われておるのは、法人税で二%取るからそのお返しに、ことしは締めて八百億ぐらいになるのですか、それぐらいの減税のお返しをするという説が非常に多いのですね、そういう受けとめ方が。そうだといたしますと、酒の関係で、もちろん最終的には消費者負担になるのですが、酒造関係者にも相当な増税額になる。それで本年度二千八百億余りの増税になるというように考えますと、法人税の場合には平年度で五、六千億程度の増税で八百億見返りがあるということになれば、二千八百億あれば二十億、三十億程度の出資を出して信用保証基金をふやすということだってそれほど絶対に時節柄できないということでもないと思うのですが、いかがですか。やはりむずかしいですか。
  199. 高橋元

    高橋(元)政府委員 私も正確に記憶しておりませんけれども、保証基金の限度と申しますのは、保証の必要額に保証倍率を掛けてそれが満杯になっているかどうかということでさらに資金を追加するかどうかということの判断の上に行われるのだと思います。そういう点からいたしますと、酒造の債務の保証に要する限度というものは格別五十五年度または五十六酒造年度について天井につかえておるということでは必ずしもないのではないかというふうに承知しておるわけでございます。法人税を二%、本年四月一日以降終了年度から引き上げさしていただくということを予定しておるわけですが、その際にエネルギー対策促進税制をつくりましたのは、決してこれは法人税の増税見返りという意味ではございません。昭和六十五年までに輸入エネルギーに対する依存度を、いま御案内のように七五でございますが、全体の五〇%まで下げていく、そのために産業が使いますエネルギーの原単位、これを設備投資の更新ないし新しい投資によってどんどん減らしていくということはどうしても必要でございますので、それに対して、たとえば現在やっております省エネルギーでございますとか代替エネルギーの設備投資の特別償却率を引き上げる。あわせて若干、選択によりまして七%の投資税額控除制度を三年間に限りやる、こういう趣旨でございます。その原資が八百億と伺いましたけれども、その中で特別償却で使います枠が三百五十億ございますから、これはいずれになるかチョイスでございます。そこは従前からの特別償却の枠の中でございます。残る四百五十億が産業構造転換投資促進税制でございますか、それが従前行っておりました投資税額控除として私どもが減収計算をいたしました四百五十億の枠の中にはまりますように対象設備をしぼりまして、いわば持ち出しが起こらないように、六千三百億円の二%の税率引き上げに伴います増収は確実に一般会計で使用できるようにという配慮も加えたわけでございますし、エネルギー対策投資促進税制の中で七割くらいは中小企業によって利用される。四百五十億だけ取り出しましても六割くらいは中小企業によって利用されるということでございますから、決してそれとのつり合いから今度の安定基金に対する追加出資または補助率の引き上げが要請されるということではないかと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  200. 正森成二

    ○正森委員 いま一応御説明を聞いたのですけれども、ここに衆議院大蔵委員会の調査室がつくった資料報告書がありますが、この中にも「酒造原料米の割当制度を通じ、永年にわたり事実上の生産調整を続けていた清酒製造業界は、自主流通制度を導入した昭和四十四年の食管制度改正に伴い、新たに生産の自由化への一歩を踏み出すこととなったが、これはまた、それまで、原料米割当の主要な基準とされ、この結果、一種の財産価値を有していたいわゆる造石権的な基準指数が、酒造資金調達の際の担保たり得る機能や転廃業時の譲渡価値を失うことを意味していた。このような環境の激変に対処するため、業界は、いわゆる酒類業組合法に基づき、五年間の過渡的措置として生産数量の自主規制を行い、一方、この間、第二次の近代化を実施し、完全自由化に備えて企業体質の強化を積極的に進めることとした。清酒製造業の安定に関する特別措置法は、業界のこのような実情等を背景に、清酒製造資金融通の円滑化と清酒製造業の整備合理化に資するため、日本酒造組合中央会に、信用保証事業及び給付金給付事業の二つの事業を行わせることを内容として、昭和四十五年に制定されたものである。」云々、こういうぐあいになっているのですね。  ですから、酒造関係は最初は割り当て制ということで固定されて、それが一定の時期にぽっとほうり出されて、造石権的な財産価値を事実上失うことになったというような苦衷があったわけで、ある意味ではそれに対する手当て、見返りとして行われた制度でありますから、五十六年十一月の末に一定の制度がなくなる可能性があるということに際しては、やはり業界意見をよく聞いて、業界がこういうことであれば存続してよろしいということであれば、十分配慮を示していただきたいということを最後に申し上げておきたいと思います。いかがですか。
  201. 高橋元

    高橋(元)政府委員 先ほど大臣からもお答えがありましたように、こういう一種の補助制度でございますから、その用を失ったものはちゅうちょすることなく廃止をして、常に新しい有効な用途のために財政資金を使うということが原則であろうと思います。  いまお話のありましたような点もございまして、酒造業の現状については、先ほど来国税庁また私どもの方からお答えしておりますような状況でございますけれども、なおよく業界の実情を把握いたしたいというふうに考えます。
  202. 正森成二

    ○正森委員 それから、御承知のように下請中小企業振興法というのがあるようであります。それで、酒造関係はこの指定業種にはなっていないようですが、先ほど承りましたら、振興基準というのはすべての業種に適用されることになっておるようであります。ところで酒造関係の中小業者は、この間参考人に聞きましても、三千件ほどあります酒造業者のうち約二千件くらいは、自分のところでつくったものを独自の販売ルートを持たないでおけ売りをしている。つまり大手の方におけでそのまま売って、大手がそれに一定の加工をしてびん詰めにして販売ルートに乗せるということになっているようです。  ところが、このおけ売り関係業者が、それぞれの親事業者との間で明白な契約書を持ち、そして親企業から長期的な発注計画を提示してもらっておるかどうか、あるいは単価の決定方法その他が下請の振興基準に合致しているかどうか、あるいは下請代金の支払い方法が、少なくも労賃に見合うものは現金で、そのほか短期の手形でもらっているかどうかという点については、非常に疑問があるのです。わが党がアンケート調査を実施しましたときにも、価格が経営をやっていくにはいささか低過ぎるとか、代金の支払いが遅延するとかいうような苦情といいますか、要望をされた方が何件かあるわけであります。そういう点についてまず通産省はどう考えておるかということと、大蔵省が税金を取る母体でありますから、その点について何か調査なりお考えがあるかどうか、あわせて承っておきたいと思います。
  203. 横堀恵一

    ○横堀説明員 ただいまの先生の御質問に対しまして、下請関係中小企業庁の立場を御説明させていただきたいと思います。  ただいま先生が御質問になられましたような類型のものは、製造委託ということで下請関係にあるということでございまして、これは法律といたしましては下請代金支払遅延等防止法それから下請中小企業振興法の二つがかかってくると思います。  まず下請代金支払遅延等防止法でございますが、この法律は考え方といたしまして、独禁法の不公正な取引方法の一類型として不公正な下請関係の是正を図るという観点でつくられておりまして、これにつきましては公正取引委員会と私ども中小企業庁が協力いたしまして立入検査等の規制をやっておるところでございます。そしてこの具体的な進め方につきましては、大体毎年末ごろ、下請取引の適正化ということにつきまして、親事業者及び親事業者団体等に対しまして通達を出しております。  それから、下請代金支払遅延等防止法の内容に、親事業者がやってはならないということがいろいろ書いてあるわけでございます。たとえば割り引き困難な手形を出してはいけない。具体的に申し上げますと、繊維では九十日、そのほかの業種では百二十日を超える手形というものは違反になる。それから不当な値引きとか買いたたきはいけないということになっております。それで、特に昨年四月二十四日に、不当な値引き、返品、買いたたき、これらに関しましては運用基準を定めまして具体的な例示をつくり、こういうことが違反するということで、これも親事業者団体等にも内容を周知しているところでございます。  それから、下請中小企業振興法でございます。これは下請中小企業の振興を図るということで、規制というよりもむしろ自助努力の助長をねらいとした法律でございまして、これにつきましては、「下請中小企業の振興を図るため下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準」を定めるということで、振興基準というものが定められております。そしてここの中におきまして、先生がおっしゃいましたような長期的な発注計画の提示等を定めておりまして、これにつきましては主務大臣の指導及び助言ということで普及徹底を図っておるところでございます。
  204. 小泉忠之

    小泉政府委員 未納税取引の継続的な安定ということは、国税当局といたしましても重視いたしておりまして、いま御説明ございました支払遅延防止法等の趣旨に沿って指導いたしています。具体的には昭和二十八年から注文生産制度というものを活用いたしまして、中央会を指導いたしております。これによりますと、あらかじめおけ取引を、未納税取引をやる前にその内容等について、あるいは支払い方法等について明確な契約を結ぶということを大前提にいたしまして、それに基づいて未納税の取引を認めるというような指導をいたしておりまして、御心配のようなケースは現在のところ私ども聞いておりません。
  205. 正森成二

    ○正森委員 これで質問を終わらしていただきますが、おけ売りの価格についても中小の酒造業者が成り立つように、行政指導で目を光らしておいてほしいというように思う次第です。  それでは終わります。
  206. 綿貫民輔

    綿貫委員長 ただいま佐藤参考人出席されております。  この際、佐藤参考人に一言申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本委員会におきましては、目下酒税法の一部を改正する法律案を審査いたしておりますが、佐藤参考人には忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  なお、御意見は、委員からの質疑にお答え願うことといたしたいと存じます。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順序これを許します。戸田菊雄君。
  207. 戸田菊雄

    ○戸田委員 まず初めに、きょう個別参考人について委員長初め関係各位の皆さんに大変御配慮いただきまして心から感謝をいたします。また、参考人佐藤さんには大変遠いところ、御多忙なところ、私の日程上事前連絡もなくて大変不十分のまま参考人に来ていただきましてありがとうございました。  それで、時間が往復で二十五分なのです。ですから、非常に短い時間なものですから、項目的に疑問点について若干質問してまいりたいと思うのです。事前の通告がありませんから、いろんな面であるいは不十分な点があるかもしれませんが、そういう点については後刻資料等を通じましてお願いをしたいと思っております。  それで第一点でありますが、いまお渡しをいたしました「日本酒入門」という資料の中に「酒ができるまで」といういわば酒造の製造工程があるわけであります。初めて粉末酒が出現をするわけでありますが、その製造工程はどういう工程でつくられていくのか、その概略についてひとつ御説明を願いたいと思います。  それから同時にまた、粉末酒の年間の製造見込み量ですね。これはどのくらいお考えになっておられるか。酒税法第七条十一号ですと下限が制定されておりまして六キロリッター以上、こういうようになっています。でないと製造免許がいただけない。それ以上になることは当然でしょうが、どの程度見通しをされておるか。  それからもう一つは、製造後のシェアに占める割合は酒税法の第九条の小売業者、その免許を得た者を通じて大体市販をされるというかっこうになると思うのでありますが、そういう面についてはどのようにお考えになっているか、まず三点について御説明願いたいと思います。
  208. 佐藤仁一

    佐藤参考人 最初に、粉末酒の製造工程ということでございますが、大体粉末酒というものはお酒を乾燥いたしましたものでございまして、お酒自体をつくるわけではございませんので、乾燥しますお酒は、現在の市販の既存のお酒を利用いたしまして、これをアルコール分とかそういう水以外の成分をほとんど飛ばさないで、水だけをほとんど飛ばすという、実はそういう一種の乾燥技術によってできるということでございまして、そういうことで酒造工程図というようなものはちょっと毛色が変わってしまうわけでございますが、一応そういうふうに申しますとしますと、乾燥しようとしますお酒は何でもよろしいわけでございます。たとえばしょうちゅうならしょうちゅうのような、一番単純に水とアルコール、大体のお酒が水とアルコールからできているということですと、水とアルコールがある溶液でございます。その溶液の中に、アルコールには溶けないけれども水には非常によく溶けるという固体の被覆力のある食品をあらかじめお酒の中に溶解するわけでございます。たとえばそれは一般的にはデキストリンというものを使っておりますけれども、そこにありますお酒のアルコール分に対しまして倍量前後のデキストリンをあらかじめそのお酒の中に溶かして溶液にするわけでございます。その溶液をスプレードライヤーと申します瞬間乾燥機でございますが、一般に粉乳なんかを乾燥いたします、そういう乾燥機でございますが、それは霧状に熱風の走っております乾燥室の中にそういうデキストリンを溶解しましたお酒を噴霧するわけでございます。噴霧いたしますと非常に表面積がふえますので、瞬間的に乾燥する。瞬間乾燥のためにそのデキストリンがアルコール分を包んだような形になりまして、そのときに、瞬間乾燥のために、水とアルコールの若干は飛ぶのですけれども、表層に水は通るがアルコールは通らない、いわゆるアルコールよりも水の方が分子が小そうございますので、水だけ通ってアルコールが中に残って、次の瞬間に全体が乾燥いたしまして、そのデキストリンの中にアルコールとかその他の成分が閉じ込められて乾燥されてしまう。そういうような形で粉末のお酒ができるということでございます。  次に量でございます。大体現在アルコールを含んだ粉末製品は飲料用途には販売を私ども自粛しておりますけれども、ただ、いわゆる業務用、調味料用でありますとか、加工食品の添加用といたしまして、従来から業務用の素材として販売をいたしておりますけれども、その量は大体年間二十数トンくらいは売っておりますので、お酒の免許に出てきます下限よりは現時点におきましても十分超えておると思いますので、免許の下限以上の量は確保できると予想いたしております。  粉末酒が酒として認められた後、お酒の中のどのようなシェアを持つのであるかというような予想でございますが……。
  209. 戸田菊雄

    ○戸田委員 その点はちょっと説明を加えますと、付表の第二ですが、この資料によりますと、政府説明によりますと粉末酒そのものが有しているアルコール分は三十九・六度、こう説明されている。しかし、現在のところその他の主成分の内容については全く粉末酒の場合はわれわれはわかっていないわけです。したがって、その付表二に見られますように、清酒の場合は糖質がグラム当たり何ぼ、たん白質グラム当たり何ぼ、それからカルシウムはミリグラム当たり何ぼ、カロリーは百cc当たり何ぼと、こういうように主成分として一定の規格が出ているわけですね。だから、粉末にした場合にこの主成分がそのまま持ち越されて、資質としてそのまま維持されていくのか。もちろんそうだと思うのですが、その辺の見解についてぜひお答えを願いたいと思います。  もう一つは、商品ということになりますと、そういうものはラベルとしていろいろ表示をされると思う。どの程度まで商品価値としてこれからシェアの対象になるときにはお考えになっておられるのか。もちろんこれから制度化されてこれが決定されれば当該主税局なり、大蔵省等とそういう許認可条項についていろいろ検討されることはそのとおりだと思うのでありますが、そういう点に対するお考えはどのようにお考えになっておられるか。  時間がありませんから、こちらで一応説明を受ける点はお話しします。  次は、清酒の場合は付表三によって「宮水分析結果」とかあるいは「醸造用水各成分の比較」これは単位ppmですか、これも詳細あるわけですね。御存じのように灘の生一本なんというのはえらく伝統が今日までありまして、あの夙川の、西宮のああいうものの燐酸系の多い鉱物質、そういうものが非常にいいとか、六甲山から流れ出てきたものがいいとか、あるいは海岸の塩分が若干あるものがいいとか等々、大変水に対して——酒をつくる場合米と水、そういうものを中心にして今日までやってこられたと思うのでありますが、そこが民族酒として主軸をなしていると思うのでありますが、そういう面についての醸造用水の各成分に対するこの問題になりますと、結局粉末ですから、利用する、愛用する、そういった人たちが自己判断で場所を選定して水を選ぶ、そういうことになるわけですね。そうすると資質がそのまま維持されていくのかどうかということが一つ疑問なわけであります。その点について化学的に分析されているのでありましょうが、ひとつ御説明をいただきたい。  それから第四点は、この粉末酒のメリット、デメリットです。いろいろあると思うのです。たとえば清酒を原材料とするわけですから、どうしても私の判断でいきますと製造が高コストになるのじゃないか。いまの清酒以上に粉末酒というものは値段が高くならないのかどうか。あるいは材料購入について現在流通センターていろいろ——この間参考人の皆さんに来ていただいて一般業界意見も聞きましたが、おけ買いとかそういうことで非常に困難な状況もあるようであります。そういうところに割り込んで、酒をおけ買いでやっていくのか、自己製造でやっていくのか。そういう材料はあくまでも酒なわけですから、そういう点の材料購入その他の問題についてもどういうことを考えておられるのか。あるいは包装はビニールになるわけでしょうから非常に簡便であるとか輸送に便利であるとか等々が一面で考えられることもありましょう。そういった面のメリット、デメリット、それぞれあるのでありましょうが、この辺についてどういうお考えを持っておられるか、その点についてひとつお答えを願いたいと思います。  それからもう一つは、粉末酒の基準税率、これはリキュール類その他の税率を適用するということになっておりまして、今回基準税率が二十九万何がし、こういうことになって、いわば清酒で見ますと一級酒よりもちょっと上回る、ウイスキーで見ても二級酒より若干上回る、こういう状況ですね。そのかわり第三条の用語意義の解説にいきますと、リキュール類からは、雑酒として取り扱われるから除外するということになって、この辺は私も若干疑問を持っておるのでありますが、そういう面についての税率課税体制について制度上一体どうお考えになるのか、時間がありませんから一応この辺まで。
  210. 佐藤仁一

    佐藤参考人 まず最初に、粉末酒の成分的なものがどのようになるのかという点のお答えでございますが、粉末酒はお酒を二次加工的に乾燥したものと先ほどの製法から御推察いただけるかと思いますが、お酒にあらかじめそのお酒のアルコール分の倍量前後のデキストリンを添加するわけでございます。そのデキストリンでもってアルコールを被覆、包含させるということでございますので、このような原料のお酒は、たとえば非常に甘味の強いエキス分の異常に多いようなお酒の場合は乾燥技術的に非常に困難なものも例外的にはあるかと思いますけれども一般的にはそういうものが大体この原料のお酒の成分のアルコールの約倍量前後のデキストリンが加味されたような結果になる、そういうふうなお答えで大体大きな間違いはないかと思いますけれども、それで大体よろしゅうございましょうか。  その次には、値段の件ということになりますが、大体お酒を粉末化しますときには当然デキストリンというものがアルコール分の約倍量前後余分に要ります。それからそれを乾燥する経費、たとえば一種の熱風乾燥でございますからそういうエネルギーとか加工費、加工の人件費を含めまして、そういったようなものが当然加わります。それから若干、たとえば一割前後のロス分が生じます。そういうことで少なくとも二割ないし三割ぐらい、レギュラーの酒に比べましてコストアップになるかと想像いたすわけでございます。しかしながらただそういうものが今度は容器の点で、酒質にもよりますけれども、たとえばお酒なんかの場合ですと約二・五分の一とか、そういうふうな目方になるわけでございます。水のかわりにデキストリンが入ったような形になるわけですけれども、そういう形になりますと容器が袋でよろしいということ、それから全体としての重量が二分の一ないし三分の一に減量いたしますので、輸送費とかそういったようなものはダウンするのではないかと思いまして、その辺で幾らかは高いということははっきり言えると思いますが、あとは量産とかそのスケールとか、そういうことによってもかなり違うのではないかと思います。  それからその次ですが、私どもまだはっきりとそのことにお答えできるようなポリシーそのものも明確には持っておりませんけれども、いろいろ用途に応じまして既存製造メーカーからその目的によく合致した酒質のものを購入するということだと思っております。  それから、雑酒、リキュール的な税率ということに関しましては、私どもといたしましては国税当局の方でよくよく御検討いただいた上お定めいただいたのでございますので無論異存があるわけではございませんし、結構だと思っておるわけでございます。  メリット、デメリットということでございますが、粉末酒と申しますと、ただそのまま水だけが飛んだお酒の粉末化ができれば非常に理想なんでございますけれども、そのお酒のアルコール分に対して倍量前後のデキストリンがどうしても本質的に入らなければならないわけでございます。そういうわけでございますので、たとえばお酒の場合、清酒を粉末化したもの、これはアルコールに対して約倍量のデキストリンが入っておりますので、これを溶解いたしますと約三分の一がアルコールで三分の二がデキストリン、大きく言いますとそういうものでございます。どのようなお酒が原料でありましても粉末酒は大体そのような大まかな構成を持っております。そうしますと、これを水に溶かしてもとへ戻しましたときには異常にデキストリンが多いお酒でございます。だから、私としましては粉末清酒と申しましても、これはレギュラーの清酒とは全く異質の異種のお酒であって、これを粉末清酒と言いますことははなはだ——そういう表現が当たっておるか当たってないか、この辺は今後よく御当局の御指導にあずかって考慮いたしたいと思っておるのですが、とにかく私は、そういう点から申しますならば、粉末の清酒は清酒とは比べるものじゃないと思います。余りにも大きな差がございまして、アルコール分に対して倍量のデキストリンがある、このようなお酒が日本酒と言えるかどうか、私は大変疑問に思っております。ただ用途によりまして、私が思いますのはそれはデメリットだと思いますが、登山家であるとか大変な僻地に旅行をするとか、そういう普通の酒が飲めないような人は、それでも酔うことは酔いますので、欲しいという要望は大変あります。一般的な清酒、まともな酒があるような場面では恐らく利用されないだろうと私は思っております。ただし、登山家とかそういう特別な人には使ってもらえるのではなかろうか。だからせっかく水を取った酒を溶かして飲むというのは特殊用途にしか使われないと私は思っております。ただし、水を取ったお酒というものは、現在のお酒では水があるために使えないような潜在のニーズというものが今後たくさんあるかと思っておりまして、そういうアプリケーションを開発したときに粉末酒の本当の社会的な意義があると思っておるわけでございます。
  211. 戸田菊雄

    ○戸田委員 非常に少ない時間で申しわけなかったのでありますが、なおわれわれもこれを契機にしていろいろ検討いたしまして、大蔵省と今後詰めましてそれらの最終立法に誤りのない判断をしていきたいと考えておるわけでありますが、きょうは本当にお忙しいところありがとうございました。
  212. 綿貫民輔

    綿貫委員長 鳥居一雄君。
  213. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 どうも遠方から御苦労さまでございます。  引き続きまして伺いたいと思うのですが、従来の日本酒というのと全く概念の違う、強いて言えばお酒でないお酒ということになるだろうと思うのです。たとえば酒税法の二条の中に、薄めるという表現で、それで一度以上だから酒であると。ところが薄めるというのは濃いモルトを水をもって薄めるという、すでに液体であるということだと思うのです。それで参考人御自身がこれをお酒だとお認めになっていらっしゃるのかどうか。粉として料理に使う調味料である、こういう規定をした場合には全くお酒ではないわけなんですけれども、この点いかがでしょうか。
  214. 佐藤仁一

    佐藤参考人 私、この十数年来、いろいろな調味料の粉末化を業といたしております。みそ、しょうゆを初めといたしましていろいろなものを粉末化しておりますが、その辺なかなかむずかしい御質問でございます。ただ、それは定義をどういうふうに考えるかということだと存じますけれども、ミルクでも乾燥したものは粉乳としましてこれをミルクに入れておるのが当然で、入れない方が何か不自然な気がいたしまして、そんな点から——ただ従来のお酒の粉末というものはアルコールも水を飛ばすときには大体同時に飛んでしまいますので、当然酔いという効果が非常に薄れたものしか得られなかったのですが、私の方法でありますと、ほとんどの水は飛びますが、ほとんどのアルコール分は残るという乾燥方法でございますので、酔いという効果、そういう点は十分。それからそのほかの成分もほとんど残存しております。ただそういうデキストリンといったような被覆材が酒精、アルコール分の少なくとも倍以上、倍前後入るということで、その辺ちょっとひっかからないでもないのですが、私としましては粉末の酒というものはこの粉末化の技術が大分進んでおりますので、粉末酒は確かに酒である。また酒でないとする方が非常に無理があっても、もうしばらくすれば、私は自然にそれほど抵抗なく酒である、このように立法もしていただくとかそういうことになりましたら、それほど不自然でなく酒には液状、粉状あるというようになるのではないかと個人的には思っております。
  215. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 まだ酒造業として免許がおりたわけじゃありませんから、大蔵の行政指導など全く受けないお立場にいらっしゃるわけですから、言いたいことを率直にお話しいただきたいと思うのですけれども、いまの、少なくとも酒税法の規定からいきますと、粉末酒というのは規定にはないわけですね、粉の状態ですから。ですから、それを水に溶いた状態であれば、一度以上でお酒ということになるわけですけれども、さっきも申しましたとおりに、薄めるという表現からいっても、新しい概念であろうと思うのです。  率直にお尋ねするのですが、デキストリンというのは何ですか。
  216. 佐藤仁一

    佐藤参考人 デキストリンと申しますと、でん粉を加水分解した、一変形したものでございまして、でん粉というのは、大変高分子、ブドウ糖の分子がたくさん重合したものでございます。御飯とかそういうものも主体がでん粉でございますが、これが少し酵素とか薬品でこなれますと、非常に水溶性になりまして、だんだん甘くなって、よく普通水あめになって、さらに糖化しますとブドウ糖になるわけですが、その水あめとでん粉の状態の中間ぐらいの状態の、一種の水溶性のでん粉質と言えるかと思います。  そのほかいろんなタイプがございますが、そういった、まあ簡単に言いますと、でん粉を水溶性にやや加水分解した、消化したというふうなものと言っていいと思いますが、それでおわかりでございましょうか。これも大変専門的に申しますと、一日ぐらいかかるかと思いますけれども……。
  217. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 実は試飲したのですけれども、皆さんのいろんな御意見の中に、とても甘過ぎて純粋な日本酒とはちょっと比べようがないぞと。つまり、お酒として国税が追いかける対象としては、全くのお酒とした場合に酒税がかかるわけですけれども、利用の仕方については、いま調味料として利用の方法がありますし、それから、たとえば僻地においてお酒として飲む。  もうすでにマーケットリサーチ等をおやりだろうと思うのですが、生産計画あるいは見通し、これをどういうふうにお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。
  218. 佐藤仁一

    佐藤参考人 もう先生の御指摘のように、私自身も溶かして飲むお酒としては、これは特殊な場所における特殊な用途はあるだろうと思いますけれども一般的にこれを溶かして飲料にするという用途は、そんなに皆さんが話題にされるようなものはないかと思っております。  ただ、非常にアルコールの濃度の薄いソフトな、たとえば甘口の、甘くてもいいようなお酒もいろいろございまして、清酒的なものではこれはちょっと通らないかと思いますけれども、少なくとも通人の方に言わせれば、これは酒じゃないとおっしゃるかと思います、私も同感でございますが、しかし、甘口の、新しいソフトなカクテルのようなものには大変向いているのではないだろうかというふうに私は思っております。  それで、これをもし飲料用途にするならば、つくるのが大変めんどうなカクテルとか、それも少なくとも十度以下のソフトな、いわゆるフレッシュジュースの中に少しアルコールの酔いの成分があるといったような、そういうような新しいソフトなドリンク、ハードドリンクとソフトドリンクの中間のジャンルのような、新しいそういうニーズというものは、今後開拓すれば、非常に愉快な、楽しい飲み物として、ひょっとすれば案外商品としておもしろいのではなかろうかと考えております。
  219. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 時間の制約で最後になったのですが、需要の動向、この生産計画、これはどうでしょうか。
  220. 佐藤仁一

    佐藤参考人 何分にも初めてのことでございまして、私もまだよくわかりませんが、何しろ飲料用途ということはこの十数年間一切販売を自粛してまいりまして、そのデータも持ち合わせておりませんけれども、とにかく、たとえばいわゆる飲酒家が期待をするようなものとしては、レギュラーの酒が得られないような山の上であるとか、特殊な場所以外ではまずないであろう。しかし最近は、すべての食品も大変多様化のニーズがございまして、現在の、酒と酒でないというような新しい分野というところに、粉末酒の取り扱いの便利さであるとかいろいろな特徴を生かした用途、潜在的なニーズが今後いろいろあるのではないか。  そういう形で大変マスコミに取り上げられて、話題性といったようなものが——確かに私自身も大変驚いておるような現在でございまして、海外からまで、いろいろな用途で非常に興味がある、そういう技術が知りたいとか、いま大変興味を持たれておるさなかでございまして、私としては、何か水のない酒として、それはすべて実績のない、現在では潜在需要こそないわけでございますが、そういったもののアプリケーション。  だから、液体の酒と競合するものではないと私は思います。しかし、液体の酒では使えないような用途で、ただそれは潜在された用途がかなりあるような気がしておりまして、今後じみちにその辺の研究、品質改良、そういったものに努力したいと考えておるわけでございます。
  221. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 終わります。ありがとうございました。
  222. 綿貫民輔

    綿貫委員長 玉置一弥君。
  223. 玉置一弥

    ○玉置委員 大変御苦労さまでございます。  いまお聞きをしておりますと、従来のお酒よりも大体一割から三割ぐらいコストアップになる、そういうお話でございまして、それは製造段階ですね。  小売段階になりますと、容器費あるいは輸送費、そういうものを非常に安くする、そして在庫スペースが要らない、このメリットはかなり大きいと思うのですね、特に小売店の場合には、繁華街といいますか、非常にいい場所でやられておりまして。それとまた、長期在庫がきく、そういう面から考えると、現在の酒類メーカーにとっては、かなりの脅威な品物ではないかというふうに思うわけです。  そこでまず、いまどの程度の意気込みでこの粉末酒にお取り組みになっているか、そういう意味で、現有設備の中から、いまの粉末酒、特に、調味料として主体としては出しておられるというお話でございますけれども、そのウエートは何%ぐらいか、それから、これからさらに、お酒として認可を得たならばどうされるか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  224. 佐藤仁一

    佐藤参考人 お答えいたします。  先生の御質問に、私もこれは初めてのことで、確たるデータとかそういうものも何にもございませんので、全く私自身の感じだけでございますが、とにかく、先ほどから申しておりますように、私としましては、これは水をとったお酒でございまして、水をとるために水のかわりにデキストリンをアルコール分の約倍量も入れたというもので、そういう意味では、これはもう従前の酒とは全く違った酒でしかあり得ない。しかし、だからといって価値がないとか、そういうものでは決してないと私は思っております。粉末酒の社会的な意義というものは、その用途というのは——酒というのは単なる飲料だけではないと思っておりまして、いろいろな食品に入れますと大変風味がよくなるとか、また吸収性がいいとか、いろいろな効果もありますので、いわゆる溶かして飲むというのは、液体の酒がそこにはないような場所でのみ代用品的にあり得るものであろう。ただしアルコール分が非常にソフトで、薄く溶かすとデキストリンの害というか、そういうものが非常に薄れたような酒質だとかそういうようなカクテル、甘いカクテルといったようなものにはおもしろいかと思うていますけれども、いわゆる通人が飲むお酒というものとは全く異種の酒だと私自身は思っております。
  225. 玉置一弥

    ○玉置委員 現有設備で、たとえば五%を粉末酒に割いているいまの分野を七、三にするとかいう可能性があるのかないのか。それと許認可の話ですけれども、今回粉末酒として税金をかけようということですね。原料のお酒には税金がかかっていないですね。
  226. 佐藤仁一

    佐藤参考人 現在は市販のお酒を、だから当然税金のかかったお酒を購入してやっております。
  227. 玉置一弥

    ○玉置委員 税金のかかったものにまた税金をかけようというシステムが今回ですね。
  228. 佐藤仁一

    佐藤参考人 いえ、今度もし酒として認可をいただきましたときには、原料の酒は未納税というのですか、それで、できた粉末に粉末酒の税金がかかるというふうに理解しております。
  229. 玉置一弥

    ○玉置委員 その課税のときに、どういう理由でかけるのだという話を聞いておりますか。お酒だからということですか。売るのは粉末ですね。粉末で売ればお酒じゃないですね、いままでで言うと。そういうことなんですね。買った人がお水を入れるとそこで自家醸造になるというお話をされましたですか。
  230. 佐藤仁一

    佐藤参考人 現在私どもとしましては、お酒は当然税金のかかったお酒を買いまして、そしてこれを乾燥して粉末状にいたします。前に当局の御見解も承っておりますが、現在の酒税法上からいきますと、粉末状のものは酒類には該当しない、そういうことで酒ではない、だから自由に製造販売してよろしいという形で私どもやっておるわけです。しかし、それを買った消費者が水で溶かしますとこれは酒類になる。だから溶かす用途、飲料用途は自粛してほしいというような御見解でございましたので、それは物が物で確かにそうだと私も思いまして、以来、非常に要望はございますけれども、飲料用途、いわゆる溶かして飲むという用途はすべてお断りしてきたわけです。ところが、それでは溶かさないでほおばればいいのかと言われましても、ほおばりましてもつばに溶けまして、酔うのは一緒でございます。ただ、酒は液体でなければならないというのは、粉末状の酒がなかったからそういう概念しかなかったのではなかろうか。粉末のミルクだとか粉末のしょうゆでも現在は大変な量がいろいろ利用されておりまして、粉末酒というのは決して万能のものではございませんが、そういったある種の酒であることは間違いなかろう、またそれを否定することの方がどうしても無理があるんじゃないかと私は思っております。
  231. 玉置一弥

    ○玉置委員 もう時間がありませんので終わりますけれども、いまのお話を聞いていますと、それでは、水割りをつくったらそのたびに課税をするのかという話も出てまいりますし、逆に言えば、そういう理論でいくと、しょうちゅうというのはアルコールと水ですから、水割りが課税されないとなれば、それではしょうちゅうも課税されない。要するに、アルコールをつくっているところから買ってきて水を加えて出すということになれば、これはつくることにならないわけですね。そういう問題点もありますので、がんばってください。
  232. 佐藤仁一

    佐藤参考人 そういう問題がいろいろございますし、粉末酒がお酒ということについて先生方も何か不安なようなものもお感じになっておるのではないかと思いますけれども、確かに粉だからお酒でないという考え方の方が非常に無理がございまして、この際御当局がいろいろ御検討いただいて、これは酒だということになりました。酒はお菓子用にも調味料用にも使われておるのですから、粉末だともっと使いよいと思いまして、そういう方面もお酒として扱っていただいて、お酒となれば、先ほど水割りと言われましたですけれども、たとえばウイスキーの水割り、これはウイスキーを乾燥しまして、ウイスキーのアルコール分の倍量のデキストリンが入っていますのですから、現行酒税法の解釈からいっても、これは水に溶かしましたら一種のリキュールであろうと思うのです。エキスが二度以上あるとリキュールですが、アルコール分の倍も入っておるものですから一種のリキュールだと思います。そういう意味で、ウイスキーを粉末化したものは決してウイスキーじゃないし、清酒を粉末にしたものも正確に言ったら決して清酒ではない、一種のリキュール的なお酒であろう。承っていますと、いわゆる粉末酒というものはやはり粉末酒であるというふうな御解釈のようでございますので、よく御検討いただいた結果であろうと、そういうような課税方式すべてに私は大変ありがたいと思っておるのです。
  233. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  佐藤参考人には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  引き続き、政府に対する質疑を続行いたします。戸田菊雄君。
  234. 戸田菊雄

    ○戸田委員 農林省呼んでおったのですが、来ておりませんので、若干順序を変えて質問をいたします。  きょうは小売免許制度等については一切触れませんけれども、若干その点について大臣の見解を承っておきたいのでありますが、現在の酒類行政についての政府の態度、大蔵省の態度、これは一つは財源としての酒税の重要性というものに着目をした立場をとっておるのだろうと思うのです。第二は、既存業者営業を維持しようあるいは酒類業界の立場、もう一つは、利用者の必要に応じてより安く、より簡単に必要品を仕入れることができる、こういうことになっておるようですが、そういう見解には大臣、お変わりありませんか。
  235. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私はそういうことだと思います。
  236. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それで確認をしておきたいことは、これは大蔵省からもらった資料なのですが、「現行酒類販売業免許基準等一覧」昭和三十八年一月十四日付間酒二の二、改正が四十六年七月一日、こういうことになっておりますが、この資料はいまでも変わりありませんね。
  237. 小泉忠之

    小泉政府委員 変わっておりません。
  238. 戸田菊雄

    ○戸田委員 これを私もしさいに検討したのですが、いま前段で大臣が見解を述べられました第三点の利用者の利便提供の問題、もちろんこの中には社会秩序その他の問題がありますから、いまの販売許可の中にも、たとえば店舗の前に自動販売機を置く、店舗を閉めた場合には未成年者が買わないようにその自動販売機も閉鎖するということになっていますが、それは当然だと私も思います。いまの流通体制を見ましても、醸造、卸、小売、こういう三段階になっています。しかし、流通体制の中の状況を見ますると、この間各参考人意見等もいろいろ聞きましたが、大分アンバランスがありますね。たとえば醸造がおおむね二千八百件、そういう中でたる売りをしなければいけない業者が何と八五%あるというのですから、大部分ということになりますね。私も地元でもって醸造その他皆さん知っていますから、いろいろ調べてみますと、いわば給料取りと同じようなかっこうですね。マージンはどのくらいですかと言うと、それはやはり余り詳しいことは言わないのですが、そういう業者間のアンバランスというものは解消して、経営安定方式というものをとらなくちゃいかぬのじゃないかというふうに考えるわけでありますが、この辺の見解についてひとつ大臣にお聞きしたい。  それからもう一つは、卸の場合も一定のマージンがそれぞれあるわけでありますが、その中にも大小ありますから、こういう面に対する経営安定措置というもの、ことにいまの景気はこういう状況ですから、これは決して酒ばかりとは私は言いません。総体的な販売、そういったものが影響していると思うのであります、国民消費も減っていますから。ですから、そういう問題についてのアンバランス解消というものも必要じゃないだろうか。いま十七万店近い小売販売店等があるわけでありますが、その中には従前の小売、店舗を構えてやっているのが十三万店程度。これは国税庁の調査でそうなのです。だからこういう面の経済安定というものも当然考えなくちゃいけませんから、そういうものを育成強化すると同時に、店舗の機械近代化、いろいろな融資制度はありまするけれども、なかなかめんどうなことを言って実際は融資が相当おくれているという状況がございますね。だからそういう問題についての改善措置をやるべきではないだろうか。その上に立って、たとえばこの基準案でまいりますると、大部市、中都市、そしてA地域、B地域、C地域、D地域と細分化をやっておられるのですが、最近は都市周辺はどこでも同じだろうと思うのですが、団地造成その他が非常に急速に進んでいるのですね。たとえば仙台のような場合は、人口からいっておおむね大都市の三十万人以上、こういう地域に入るわけです。しかし開発造成した地域に一団地で一万五千人の人口が住むとか、あるいは三千世帯が一遍にできていくということになると、そこには一店もない。卸業なり小売業なり希望者なりというものがいろいろなことを相談をして、結果的に幾つかはふえているようでありますが、その辺は既存小売その他の流通体制を壊さずに堅持しながら、安定体制をとりながら、そういう問題について配慮していく必要はあるのじゃないだろうかというような気がいたしますので、その辺の見解をひとつ大臣にお伺いしたい。
  239. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 規則はありますが、問題は現地のケース・バイ・ケースだと私は思うのです。たとえば一つ既存の町があって、そこでは一戸当たりの売上量は大体この程度だ、だから新しい団地が三キロも遠いところにできたけれども、町の中に入っているのだから、全体平均すれば新しく許可する必要はないとか、よく言うのですよ。しかし、そういうように全然離れたところに団地ができたりなんかした場合は、町の中の平均のものがどうだというようなことでなくて別に考えたっていいじゃないか、私はそう思っています。したがって、それは実情に応じて、要するに業者の組合の言いなりに税務署がなる必要はないわけでございますから、常日ごろ業者との関係は協力関係を持っていただく。そういう面では極力権利もかばってはやるが、しかし、だからといって行き過ぎたことを認めるわけにはいかない。そのときどきの判断で処置すればいい、そう思っています。
  240. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間が二十分なものですから、すでに半分近いのですが、農林省まだ来ておりませんでしょうか。——それては一応私か持っている資料で大蔵大臣の見解を確かめておきたいと思うのでありますが、現在酒類全部に米を使用した場合の必要数量、これは私の計算ですが、酒米使用量としては五十五万ないし五十六万トン。五十四年のライスイヤーでいけば、自主流通米が四十四万トン、政府米が三万トン、合わせて四十七万トン。その他、栽培契約その他が恐らく入っていると思いますが約九万トン。五十五年が、自主流通米が三十八万トン、政府米八万トンで四十六万トン。その他七万トン。五十六年の見通しでありますが、自主流通米四十二万トン、政府米その他含めますと五十二万トン、こういうことなのですが、いま農林省に確かめましたら、農林省は、年度ごとに計画をして酒米の使用状況をずっと計画を立てます、五十六年度はまた秋口にいって立てます、いまのところはまだやっておりません、こういう状況なわけであります。したがって、さしあたってアルコール添加をやめた場合に、その使用量増加は約四十二万トンございます、こう言っているのですね。そうしますと、いま古米在庫が大体六百五十万トン程度あるわけでありますが、この解消のためにいろいろ農林省としても努力しているようでありますし、大蔵省としても過日特別会計等を設置してその解消政策についてもいろいろやっているようであります。こういうものに対する酒米増量、米消費の拡大、こういう点に大蔵大臣は努めていくべきではないかというふうに考えますが、いかが考えておりましょう、見解を聞かせてください。
  241. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は酒米がうんと消費されることは大変いいことだ、そう思っていままでも酒の消費拡大に努めてきたし、今回の税法改正におきましても十分に配意しておるつもりでございます。
  242. 戸田菊雄

    ○戸田委員 農林省の企画課長が参りましたから、ちょっと数字的なものについてお伺いしたい。  古米在庫がいま六百五十万トン、これは後で、間違いがないかどうか回答願いたいと思います。五十五年度六百六十七万トン。五十六年度、見通しがないのですが、これはどのくらいか。それから五十四年度より第二次過剰処理六百五十万トン、これをやりますということで、五十四年から五十八年度で解消していくという計画を持っておって、五十四年度に特別会計法の改正に伴って売り渡し年度以降七年間で、大体一般会計から食管特別会計国内米勘定への計画的損失補てん、繰り入れていく等々を含めて解消します、これは大体その計画でまいりますかね。この点が一点。  それから、過剰米量の処理計画でありますが、これは五十四年度から五十八年度ということになりますが、工業用、輸出用、飼料用——時間がありませんから数字は読みません。総計でまいりますると、工業用が百六十万トン、輸出用が二百八十万トン、飼料用二百十万トン。ことに輸出用の場合は、韓国、インドネシア等が非常に多いということでありますが、これはアメリカ等の関係もいろいろありましょうからなかなか容易じゃないでしょうけれども、今後の見通しとしてはどういう見通しを持っておるのか。その辺の見解をひとつお知らせを願いたい。  それから財政負担の問題でありますが、大体財政負担総額一兆三千億、こう見ておるようですが、これは間違いないのかどうか。大体ピーク時、五十八年二千億程度の赤字ということになっていくのですが、それからすぼまっていくと思うのでありますが、そういう面に対する調整資金の五十四年度から五十六年度の数字的な問題、それから過剰米処理を含むこれらの残額処理の金額の問題について、時間がありませんからこれも読みます。調整資金は、五十四年度七千二百億円、五十五年度六千百億円、五十六年度五千六百七十億円。それから過剰米の方が七千五百三十八億円、六千五百二十二億円、五十六年度が六千五百二十億円、こういうことになっておりますが、この内容については間違いありませんか。  以上四点についてお願いをしたい。
  243. 松山光治

    ○松山説明員 過剰米に関するお尋ねでございます。  過剰処理対象数量、五十四年度から始めておりますが、六百五十万トンの予定で進めております。なお、五十五年十月末の古米在庫は、過剰処理以外の主食用の古米も含めまして六百六十六万トン、こういう数字に相なっております。  それから輸出の見通しについてのお話でございましたが、一応いまのところ全体といたしまして二百八十万トンの予定で進めておりますし、大体その予定どおりにいくのではないか。あるいは今後の状況いかんでは若干あるいはふえることになるかもしれませんが、大体その線でいくのではないか、このように考えております。  それから財政負担についてはお尋ねのとおりでございますが、過剰処理に伴う損失負担分として御指摘になりました五十四年度七千五百三十八億、五十五年度六千五百二十一億、五十六年度六千五百二十億は、調整資金への繰り入れプラス過剰米処分の損失繰り入れを含めた合計額であるというふうに承知いたしております。
  244. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そこで、大臣ぜひ検討願いたいと思うのは、いま仮に私の計算でいきますと、百万トン酒米用に消費拡大していく、需要拡大ということになりますると、この購入価格が大体、自主流通米でもって五十四年ベースで一万七千三百七十九円でありますから、それから政府米が一万五千三百九十七円、その差約二千円ですね。これをトン当たりで計算いたしますと、仮に百万トン消費するということになると、おおむね三千億見当の、いずれにしても財政の収入ということになってまいります。これを税収の方に回すかあるいは食管の方の赤字解消に回すかどうかは別にしても、それだけの財政再建ができるということになると私は考えるわけであります。ですから、さらにそれをふやしていくという努力になっていけば、これは何も古米にしてえさ米や何かでもって低コストで売らなくたっていいわけでありますから、そういう面に対する検討をぜひ大臣お願いをいたしたいというように考えておるわけです。  それから第二点は、いまやはり、この間参考人意見を聞きましても、酒米をもう少し安く何とかできないか、こういうことですね。四十七年以降自主流通米でやってきたわけですけれども、これは政府米の方がやはり低いわけです。しかし、それは新米でなければだめだということですから、なかなか困難性はあると思うのでありますが、そういう面でできるだけ低コストのものでこの需要拡大をやって、それを原材料にしていくような、事業経営の安定を含めた対策を幾らかでもやっていく必要があるのではないだろうか、こういうふうに考えているわけですが、その辺の見解が一つであります。  それから、いま粉末酒について、わずかの時間でありましたがいろいろと参考意見伺いました。結局はまだ酒としての商品価値としては考えられないということでありますが、制度上は雑酒の部類に入れておりまするから、その点では私はやや納得いくといいますか、そういう状況だと思いますが、ただ、その課税体制の問題ですね。例の三条の用語意義の問題については、これはあくまでもリキュール類からは排除する、しかし税率課税対象にくれば、それはリキュール類のその他の税率課税する、こういうことですね。何かこう私はちょっとまだ理解できない状況なんですが、この課税対象について御説明をいただきたい。  以上三点。
  245. 小泉忠之

    小泉政府委員 たくさんの御質問でございますので、整理いたしまして一つ一つお答え申し上げたいと思いますけれども、最初の御質問はお米の問題でございます。仮に全量米で酒をつくった場合に云々というお話でございまして、これは現在アルコールを添加してつくっておりますが、その値段と、それでアルコールのたとえば値段で申し上げますと、現在アルコールはキロリッター当たり二十一万七千九百円、こういうことになっておりまして、概算いたしましてアルコールの値段は二百三十一億。それを仮に全量米にいたしますと、トン当たり三十万円でございますので千二百四十五億、こういうことになりまして、差し引き一千億の財政負担、こういうことになるわけでございまして、現在つくっておりますお酒に仮に全部これを転嫁いたしますと、一升百五十円程度ぐらいのコストアップ要因になるということで、なかなかこの負担をどこで負担するかという問題、非常にむずかしい問題があろうかと思います。  それから第二点、それでは酒米価格を引き下げるということで考えたらどうか、こういう御指摘でございますが、これも現在の制度ですと酒米は、先ほど食糧庁の方からお答えがございましたように、食管制度の枠内で運用されておりますので、特別に価格の措置を講ずるというのは食管制度自体からは非常にむずかしい、こういうことがあったわけであります。したがいまして、現在は自主流通米より若干主食としてコストの安い政府管理米のウエートを次第に払い下げの枠を広げていただいて、現在二〇%を超しておる、こういうような状況で順次措置をいたしておるということでございます。
  246. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 ただいま粉末酒の技術的な問題について御質問がありましたのでお答えいたします。  まず最初に、なぜ雑酒に分類をしたかということでございます。現在、委員からもお話がございましたように、どこに落とすかとすればリキュールに一番近いわけでございますが、ただ、リキュールと若干微妙に違っているところがございます。ただいま酒税法でリキュールの定義は、酒類と糖類その他の物質を原料としたもの、酒と砂糖その他の物質、この中にはほかの酒も入りますが、それを原料としたものであるというのが第一の定義でございます。第二の定義は、エキス分が二度以上であること、この二つの定義がございます。  ところで、粉末酒でございますが、これは先ほど参考人からお話がございましたように、酒に砂糖が入っております。それから香料が入っております。アルコールが入っております。さらにデキストリンが入っております。それからエキス分でございますが、これは平均で二十・三度という数字でございます。この二つがまさにリキュールの条件に合うものでございます。しかしながら、なぜそこで雑酒としたかということでございますが、条件としてはリキュールの条件に合うわけでございますが、先ほど来参考人からお話がございましたように、原料に多量のデキストリンを含むとか、それから製造方法が従来の酒をスプレーで乾燥したものであるというようなことで、従来の製品とは非常に製法が異なっております。それから生産数量が少ないので、出てきたものが一体どういうものであるかということもなかなか認定がつきがたいということで、雑酒の中のまたその雑に分類をしたわけでございます。  それから、税率の点でございますが、雑酒の中で雑で分類をいたしますと、ただいま改正をお願いしております税率表では、雑酒の中の(2)の「その他のもの」の(i)「アルコール分が十三度未満のもの」というところに該当するわけでございます。これが九万五百円でございます。ただ、この粉末酒は度数が平均三十九度でございますから、それに度数を加算いたしまして二十九万四千三百円となっているわけでございます。  それで、リキュールとの比較でございますが、リキュールの税率二つございまして、「アルコール分が十五度以上で、エキス分が二十一度以上のもの」それから「その他のもの」というふうに分かれております。それでその場合に、ただいま申し上げました雑酒の一キロリットル当たり九万五百円というのがたまたまリキュールの「その他のもの」「アルコール分が十三度未満のもの」九万五百円というものに該当するわけでございます。粉未酒はその上に度数加算を行いまして二十九万四千三百円としている次第でございます。
  247. 戸田菊雄

    ○戸田委員 これが最後になりますが、いまの説明で分類の方式については私も、リキュール類の特徴は香料の入った強い洋酒ですから、そういう面では若干、今回の粉末酒も香料を入れる、それから度数も三十九・六度程度は確保する、こう言ったのですから、やや無理があってもその点は了承するのです。ただ問題は、課税方式では、この大蔵省の資料によりましても、雑酒に来て二分類をしていることは御指摘のとおり。しかし、その他の雑酒については十二度でしょう。だから加算方式をとるわけでしょう、三十九度ですから、一度ずつ超える場合に。そういうことだから二十九万何がしになる、こういうんでしょう。だから私は、従前の分類方式と課税態様について若干、どうもすっきりした理解をしていないんですよ。その辺が一つ。  それで大臣に最後に質問いたしますが、いまのような状況でいきますと、酒米の早期需要拡大もなかなか無理だということになれば、やはり農村に対しては減反あるいは生産者米価の凍結等々の問題で、一向に改善されない。国の財政としても、入るべきものを、何かやはり政策のないところにそういう停滞をしている内容なきにしもあらず、こう私は判断をしているわけなんです。そこで、大蔵大臣は経済閣僚会議の一員でもありまするから、これはいま鈴木総理が提唱している総合安保政策、こういったところにはなかんずくいろいろ対策があるわけですから、そういう面を含めて総体的に国としてぴしっとした政策を立てて、食糧、そういう個別的な課題についてどう対処していくかということを、各委員会で、問題になったらぜひやるべきじゃないかというふうに私は考えまするけれども、その辺の見解を聞いて、私の質問を終わります。
  248. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 酒で米の消費拡大をやれということについてはかねてからの議論でございまして、私もそういう論をなしたことがあるんです、過去、もう十年ぐらい前に。やはりいろいろ研究をさせてみたんだが、全体としてやっても、むしろかかり負けしてしまう。また、純米酒というものをつくってみて——現在もう出ているものがありますからね、必ずしも大衆受けするとは限らない。ともかく、べたつくとか、やれ重いとかなんとか、酒はやはりいろいろ好みがありますから、いまはむしろさらっとしたようなお酒の方が若い人に好まれるような時代なんで、純米酒というようなものはやはり現実には趣味の酒以上にはなかなか伸び切れない状態ですね。それを無理してつくると、いま言ったように要するに一千億円もよけい掛かりがかかってしまう。とてもだめだ。それを今度は値引きして半値でお米を売るというわけにはいかないということでございまして、やはり限界があるんじゃないか。  それから、やはりお米の問題については、もう価格政策を導入して、売れないお米は安く、売れる米は高く、そうすれば一番簡単明快じゃないのか、私は農林大臣のときからそれは言ってきているわけです。私は一部実行したわけですよ、ずいぶん騒ぎはありましたが。そういうことを最初からやっておればこんな過剰問題は起きなかったと私は実際思っておるんです。ですから、二百万トンなら二百万トンという限度を設けて、それにおいての備蓄ということ——備蓄というよりも、現実にはそのうち百万トンぐらいしか食べませんから、あとの百万トンぐらいどうしたって、えさか工業用か何かに回っちゃうんですよ。しかし、その程度の損失は、やはり国全体の政策の問題だから、これは安全保障的な物の考え方でもがまんできるんじゃないか、自衛隊だって、鉄砲を持たせて撃つか撃たないかわからぬけれどもやはり備えているんだから、その程度のものはやはり食糧の点においても、むだ遣いと言えばむだ遣いだが、まあまあ仕方のない最小限度のものかな、こういうように思っておるわけでございます。
  249. 綿貫民輔

    綿貫委員長 午後四時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後三時二十七分休憩      ————◇—————     午後四時四分開議
  250. 綿貫民輔

    綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続き質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
  251. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私に与えられた時間は四十分程度だそうでございますので、今日までたくさんの問題がありましたから、その部分は抜きまして、日本の酒とも言うべき清酒の業界の中でいま大変大きな問題になっております問題につきまして、許された時間少し質問をしたいと思います。  とりわけ清酒の問題というのは、直接消費者国民関係してくることでございますので、その意味では、国民の皆さんに納得をしていただけるようなものでなければならぬと思うのであります。  それで、私も何度か酒税法について質問したことがあるわけでありますし、私の地元にも清酒業界の方もいらっしゃいますし、いろいろ教えてもらっているわけでございますけれども、いま二千八百五十に製造業者が大変減ってしまっているわけであります。これは何も醸造業、酒造業に限らずどの業界でも、基本的に一番弱い者もそれなりの努力をすればやっていける、ましてや清酒につきましては税の財源であるわけでありますから、一番中小零細の業者も、ある程度行政指導に伴ってやっていけば、これはなりわいとしてやっていける、こういう政策でなければならぬと私は思うのでございますが、大臣、その点はいかがでございますか、常識問題ですから。
  252. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 商売のことでございますから、上手下手もあります。しかし、大部分の人は普通のことでやっていけるというのが望ましいと思います。
  253. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かに商売である限り上手下手がありますが、いまの酒税法が、大のものを擁護し小のものを大変苦しめるということがあってはならぬと私は思うのであります。きょうはちょっとそういう問題についてやりたいと思います。私の出身は経済の方でございますから、そうそう化学について詳しいわけではございませんけれども、私の頭で考えてみても常識的におかしいなと思われることは、恐らく大臣も一緒だろうと思いますので、細かい点は、そんなことは大臣知る必要はないと思いますが、常識的な点でこれは確かにおかしいのじゃないかと思われる点につきましては、そのポイントだけで結構でございますから、率直にお伺いします。  逐次お伺いをしていきたいと思うのでありますが、御存じのように、酒をつくるときには玄米全部を使うわけではなくて、精米をするわけでありますけれども、特級酒、一級酒、二級酒、大体これは玄米のどのくらいの割合を使っておりますか。
  254. 小泉忠之

    小泉政府委員 お酒をつくります場合は、御指摘のように玄米を精白をいたしまして、白米といたしまして仕込みに入る、こういうことになるわけでございまして、その精白度と申しますか、削る度合いは通常大体七〇%から七五%というふうなことが言われております。
  255. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、残りの二五%から三〇%程度というのは、元来は副産物として破砕、砕米もありましょうけれども、通常言うところのぬかですね。ぬかといっても、赤ぬかを除けば中ぬか、それから白ぬか、まあ上ぬかとも言いますけれども、これは大変きれいなもので、いわゆるつけものをつけるぬかとはイメージが違うのであります。皆さん方の方では、これは米粉ときれいに呼んでいるようでございますけれども、従来は白米以外のこの米粉あるいは赤ぬかを除いたぬかというのは、これは清酒の原料にはしてこなかったわけですね。そう理解してよろしいでしょう。
  256. 小泉忠之

    小泉政府委員 技術的な点でございますので、引き続いてお答え申し上げますが、玄米を精白いたします過程で、御指摘のように副産物としてこのぬかが出るわけでございます。これは御指摘のように白ぬか、私の方では米粉と言っておりますけれども、粉の状態の米でございます。もともと米でございまして、これが粉になったということでございまして、清酒の原料の定義の上では米に属するというふうな解釈になっておるようでございます。
  257. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 したがいまして、清酒というのは、酒税法の第三条の三に、清酒とはということで「米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」「米、水及び清酒かす」云々とあるわけですね。そしてそれを補足して酒税法の施行令の第二条に、清酒の原料といたしましては「米、水及び米こうじとともに清酒の原料とする場合に限る。」というふうに書いてあって、「一 麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ」「二 アルコール」云々とあるわけですね。だから、清酒である限りは、ここに定義をされた以外のもの、つまり米、米こうじ、それから醸造用のアルコール、醸造用の糖類、これ以外のものが入っている場合には、これは清酒と言えない、こういうことになるわけですね。よろしいですか。
  258. 高橋元

    高橋(元)政府委員 そのとおりでございます。
  259. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ところが最近、技術が大変進みまして、そのこと自体は大変いいことだと私は思うのでありますけれども、皆さん方が言うところの米粉——もちろん米粉でありますから赤ぬかは除いてあるわけでありますが、普通の用語でいきますとぬかの赤ぬかを除いた部分、米で言えば白米以外の、一〇%から二〇%ぐらいの部分ですね、この周りでイオン交換樹脂を使って酒ができるという技術が開発されてきたわけですね。これを清酒に入れるということは、いまの酒税法上は許されておりますか、どうですか。
  260. 小泉忠之

    小泉政府委員 清酒を製造いたします工程の問題にも関連いたすわけでございますが、御指摘のような米粉をもとにいたしまして糖化液をつくるというのは、清酒の仕込みの工程の別に、米粉をもとにいたしまして、これに酵素剤を入れまして糖化を促進する、しかもでき上がりはイオン交換できれいにするという形で、米粉糖化液と申しておりますが、糖化液を精製するということでございます。したがいまして、先ほど申しました米と解される米粉を加工いたしまして、その結果は米粉糖化液になる、その間に米が本質的な変化を来した、こういう判定になるわけでございます。
  261. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ということは、いまの御答弁ですといわば米を原料として清酒ができるまでの過程でそれが生まれたから、したがってそれはいまの酒税法上でもそのまま読めるのだ、こういう解釈だと思っていいですね。
  262. 小泉忠之

    小泉政府委員 ちょっと御説明が不足かと思いますが、清酒を製造いたしますために、同一の製造工程の中で米粉を使いましてこれを糖化して使用するということは何ら問題ないわけでございますが、でき上がりました糖化液を製造場外から持ち込みまして、これを仕込みの工程の中に投入するということになりますと、これは別の問題が出てくるわけでございます。
  263. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その問題についてはまた後からお伺いをしたいのでありますけれども、私がお伺いをしたいのは、酒税法の施行令に、清酒の原料として糖類というのはブドウ糖と水あめということになっているわけですね。ところが赤ぬかを除いた部分からできるものというのは、これはいま糖化液ということを言われましたけれども酒税法上はでん粉質物分解物というきわめて舌をかみそうな名前のものになっているわけですね。私が疑問に思いますのは、いまの御答弁のように清酒をつくる過程でそれができるということでございますが、第一の疑問というのは、清酒の原料という中にはそのぬかの部分からできますでん粉質物分解物というのは酒税法上入っていないのですね。ところが、合成清酒の原料の中にはでん粉質物分解物というのはちゃんと入っているわけですよ。入っているということは、従来の酒税法からいけば、このぬかの部分から、技術が進歩してできたでん粉質物分解物、通称糖化液というのは、これは清酒の中の、清酒の原料とは認めてこなかった、こういう酒税法体系で今日まで来ているのじゃないのですか。
  264. 小泉忠之

    小泉政府委員 そのとおりでございます。
  265. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、いま間税部長から御説明があったように、だんだん技術が進んでこういうものができるようになったこと自体、私は技術の進歩というのは人間の勝利だと思いますので、このこと自体は否定をしないのであります。ただ、いま御説明があったように、従来、つまりこれだけのイオン交換樹脂を使えない段階酒税法ができていた時期には、それは使わないでほかのところに、業者に売ったりしていたわけですね。この赤ぬかを除いたぬかの部分、米粉というのは外に出していたわけでありますけれども、技術が進んで今度はそれが使えるようになって、お酒の原料というか、糖類の部類に入るものとして使えるようになってきたわけであります。  そうしますと、私は非常に問題だと思いますのは、酒造組合中央会でラベルをつくっているわけです。製造過程中、でん粉質物分解物というのを含めてお酒をつくった場合には、これもこの原材料名という下のところには米、米こうじのままでいいとされているわけですね。そうしますと、従来のように、悪く言えば米ぬか、きれいに言えば米粉、これを入れないでつくった清酒も、それからそのお米の周りの部分、もちろん赤ぬかは除きますが、周りの部分でこれをイオン交換樹脂でつくって、糖化するか、アルコールにするかは各段階で別といたしましても、そういうものを入れたものも、原材料名は米、米こうじで済んでいってしまうということは、これは飲むわれわれ消費者国民の側から見ますと、一体これが一緒でいいのだろうか、これはちょっと消費者をごまかすことにならないだろうか、酒税法自体がいまの新しい技術に沿っていないのじゃないだろうかという、大変素朴な疑問を持つわけでございます。  大臣、話はむずかしい話じゃないので、いわば米粉、きれいなぬかから技術的につくって、それを米のしんだけでできた清酒、これと、いまやまぜることも技術的に可能になっているわけであります。まぜないものとまぜたものをこの米、米こうじという表示でやってしまうというのは、消費者から見れば大変ごまかしたことになっているのじゃないだろうか。私は、技術が進むことも、限られた米をなるべく有効に使うことも、これはそれなりに、その面ではいいことだとは思いますが、飲む側から見ますと、従来使わなかった米ぬかの部分をまた技術的に進歩さして、そしてアルコールとして使うかあるいは糖類として使うかは別といたしましても、もう一回入れるというのと、従来の米のしんの部分だけ、白米だけを使ってつくったものと同じ、米、米こうじの原料名として国民の皆さん方に飲んでくださいというのは、これは酒税法が少し技術の進歩におくれているのではないか、消費者をごまかしていることになるのじゃないだろうか、こう思うのでございます。  きわめて常識的な問題だと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  266. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は知識がないので、何でそれなら粉をつくって酒をつくるのか、最初から粉なんかつくらずに、まるまる酒にしちゃった方が手っ取り早くていいんじゃないか、私はそう思うのですよ。  そのことで、あなたの言わんとするところは、これは二〇%までみがかれたお米だけの酒です、これは米粉と酒のまぜ合わしたものですと、どこかで表示をしろというような意味かなと思ってぼくは聞いておったのですが、それも一つ考え方でしょう。しかし、それを言うと、それじゃ灘あたりで売っている酒は、田舎の酒をみんな、栃木県の酒も灘で売っているわけです、いわゆるおけ売りというやつで。あれはみんな何種類かまぜるそうですね。どこそこ産何%、栃木産何%、神戸産何%と言ったら、灘の酒は商売にならなくなっちゃうのかどうか、そういう問題にも発展をするんじゃないか。灘の酒と言えば、灘でつくったものと思いますからね、みんな。ところが実際は、自分のところでつくるのは、もう三〇%、四〇%しかないというようなところもあるらしい。けれども、やはり灘の酒で、逆送されてくるわけですね。それで、まぜた方がいいとかなんとか、私はわからぬが、そういう問題との関係はどうなのか。だから私は調べないで、ここでそれは米と米粉とを分けた方がいいですと、いますぐ残念ながら——気持ちはわかるんですよ、あなたの気持ちと私も同じ気持ちだが、技術上いろいろどういう問題があるか、検討さしてみたいと思います。気分は本当に同じでございます。
  267. 小泉忠之

    小泉政府委員 恐縮ですが、補足して申し上げたいと思います。  先ほども、御説明がちょっと不足でございましたけれども、同一製造工程内で米粉を使いまして糖化液にいたしまして清酒に入れるといった場合は、これはもとが米でございますので、米であるという解釈で米ということになるわけでございますが、先ほど御指摘の、しからば表示はどうなるか、こういう問題になるわけでございますが、表示につきましてはやはり業界考え方というものが大事でございまして、たとえばそういった糖化液を使ったものをまぜた純米酒というものがあり得るかというところになりますと、これはかなりそれぞれ考え方が変わるということでございまして、業界では現在、その糖化液を利用した、あとは米といった場合に、これは純米酒という表示は避けようじゃないかというような議論が進んでいるというふうに聞いております。
  268. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま間税部長が一番最初に言った話は、確かに酒税法を読んでみますと非常に不思議なのは、米こうじだって米なんですよね、原料は。それはちゃんと列挙するようになっているわけですね。この法律のたてまえの掲名主義というのは、非常に米の原料がいろいろ製造過程で変わってくるものですから、そして清酒にまでなるものですから、非常にその面では、何というのですか、むずかしいというか、なかなか法律に書くときに御苦労なさるとは思うのであります。  そこで、なぜ私がこの問題を問題にするのかといいますと、いま申しましたイオン交換樹脂を使って、この米粉あるいはぬかの部分からこういった糖分なりあるいはアルコール発酵までさせたものを使うと、一体コストはどのくらい安くなるんですか。
  269. 小泉忠之

    小泉政府委員 経済的なメリットを考えますと、これはやはり合理化されるということで、たとえば米二五%に精白の一キロの値段は千百六十円ということでございますが、それに対しまして米粉を使う場合にはかなり安くなるというようなことは言えるかと思います。  いずれにいたしましても、もとは米粉でございますが、先ほど御指摘のように、その過程で変化をいたしますが、同一工程内における変化というのは、そもそも酒の醸造についてはいろいろな形に変化するわけでございまして、その中間過程を糖であるか米であるかというふうな議論は私どもは避けておるわけでございます。
  270. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はもとが米であることを何も否定してないのですよ。ただ、それは従来、いま大臣がいみじくも言われたように、米をみがいて、その部分は使わないで、おせんべいにしたり、飼料にしたりしてそちらへ回していたものですよね。これを今度技術が進んで、糖化したりあるいはアルコール発酵させたりして、イオン交換樹脂というものを使って清酒の中に入れることができるようなものまでできるようになったわけですよ。ですから、それをごっちゃにしちゃうというのは、まず一つは表示の面からおかしいのではないかということ。  それで、もう一つ私が指摘したいのは、いまはっきり言われませんでしたけれども、私の聞いたところでは、これを原料として入れますと、最大見積もってコストが米だけの場合に比べて二十分の一ぐらいになるというのです。それから、これをブドウ糖のかわりに使うと約半分ぐらいになるというのです。この米粉なり白ぬかなりを原料としてイオン交換樹脂を使う機械というのは、安いもので大体一千万ぐらい、大きいものになると五千万ぐらいするわけですよ。そうすると、これを使えば二年か三年ぐらいで完全にこの機械はペイできるという、こういうしろものなんですよ。ですから、大臣聞いていただけばわかるのでありますが、だれでも、それじゃひとつこの糖化液を全部有効に利用していきたい、どんどん中小零細の酒造業者もぜひこれを使いたいというふうに考えるのはあたりまえだと思うのです。  ところが、いま間税部長から言葉の端々で出ておりましたけれども、この一千万から五千万するような機械を備えつけて自分の工場の中でつくる場合には、これはちょっとおかしいとは思いますけれども、現在の酒税法で許されて、略称この白ぬか糖化液というのは使えるわけであります。ところが、この白ぬか糖化液をよその工場から買ってきますと、先ほど私が読みましたように、清酒の原料にはこの白ぬか糖化液というのは入ってないわけです。正式に言いますと、先ほど申しましたように合成清酒にはでん粉質物分解物という名前で入っているけれども、清酒の場合には、これを他の工場から買ってきて、そして自分の工場で入れてコストを安くしようとするとこれは使えない、こういうことになっているのです。間税部長、間違いありませんね。
  271. 小泉忠之

    小泉政府委員 そのとおりでございます。
  272. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大臣、いまお聞きのように、中小零細にしてみれば、おけ売りにいたしましてもどうしても大メーカーの方にたたかれるということでありますから、できる限りコストを下げたいと思っているわけでありますけれども、いま申しましたように大企業は機械を入れて、そうして二、三年でペイできるぐらい大変なコストを下げることがこれによってできるわけです。ところが中小零細の方は、これがまだ近代化資金の方に入ってないという点もいろいろありますけれども、よその業者がつくったこのでん粉質物分解物、略称白ぬか糖化液というのを使おうとしますと、使えないんですね。これは大臣おかしいんじゃないでしょうか。  弱い中小零細の企業こそこういったものも使っていいというならば、表示はどうするかはまた別といたしまして、使っていいというならば、これだけの機械を備える業者にも税法上ちゃんと備えるようにすべきだと思いますが、どこか私たちの言っていることが違っているのだったら、ひとつ大臣お答えになる前に、主税局長でも間税部長でも結構ですから、もし私の見解がどこか事実として違っているのなら説明していただいて、ひとつ大臣お答えいただきたいと思います。
  273. 小泉忠之

    小泉政府委員 その前にもう一点触れさせていただきますが、おっしゃるように制度的には同一工程内で米をみがきまして、その米粉にしたものを今度は糖化してきれいにして、それで前の米と一緒に酒をつくるといった場合は、これは当然認められるわけでございますが、その量を、出たもの以上に外部から糖化液として購入いたしまして追加するといった場合には、その製造場外から入ってくる状態では糖化液でございます。これは非常に糖分の多いもので、糖類に近いものになるわけです。そこでこれはやはり米ではないという解釈になるわけでございまして、使用はできないということになるわけでありますが、問題は糖化液を使用してできた酒質がどういうものになるかということも関連いたすわけでございまして、実はやはり製造管理を注意して行えば酒質は特に劣るようなものはできないというふうな技術的な見解も出ておりますが、この製造管理を行うことについてやはりかなり注意をしていかないと、できる酒質というものについても問題が残る場合もあるというようなことでございますので、外部から糖化液をふんだんに購入して追加してこれが米の酒であるということについては、かなり一般の理解が得られるかどうかという点について問題が残るのではないかというふうな感じもございます。
  274. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 品質の維持については、これはまた技術的な問題があって、いろいろなことができる、私は可能だと思うのですね。問題は、これはいわばブドウ糖と水あめがまじったようなものとしても使うことができるわけですから、したがってこれは糖類として使うこともできるわけですね。ですから、いずれにいたしましても、同じ過程で、自社工場の中でそれができた場合にはいまの酒税法上できるけれども、同じようなものをつくる専門家がたとえばあったとして、専門工場があったとして、同じような品質のものが安くできて、それを自分の工場ではなくて他の工場でできたものを買ってきて入れるということは、たとえば条件が同じ品質だとすれば、これは酒税法自体をそれに合わせてやるということにしなければ、これは酒税法上、大企業のそういった機械を設置できる力があるものはやれるけれども、力のないものはできないということはおかしいことになると思うのですね。大臣、どんなものでしょうか。
  275. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、いまこれは初めて聞いたので実態もよくわからないし、あなたの話を聞いている限りでは全くそうだなという気もするのです。しかしながら、問題点もあるのでしょう。どういうものがあるか、それによって二十分の一にコストが安くなるということになれば、米の量が少なくて済むという話にあるいはなるのかどうか。今度は米が余り少なくなっては困るわけです、米が余ってしまうわけですから。それならそのようにそういうものはつくらせないとか認めないとか何かしなければ、われわれとしてはお米の問題、これは非常に酒と米というのは密接不可分な関係ですから、そこらの点をどういうふうにメリット、デメリットが両方出てくるか、これは真剣に検討します。私はいますぐ結論は申しませんが、あなたの言うことも聞く限りでは全くもっともだし、しかし私も知識がないからもっともだと言っていて、知識があったら違っていたなんてまた後から言えなくなりますし、どうぞひとつ……。
  276. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そう御謙遜なさらずに、私は、冒頭言いましたように、常識問題としてそんなむずかしいことを聞いているつもりはないので、確かにそこで品質が非常に著しく悪いということになればこれはまた問題だと思いますけれども、原則的には自社工場であろうと他の工場から入れたものであろうと、同じものができる可能性が十分あるわけでありますから、これはひとつ酒税法施行令の第二条の二のところに「ぶどう糖」と「水あめ」とある、いわばこれの混合でありますから、ここに合成清酒の原料にあるでん粉質物分解物というのを入れればできることになるわけでありますから、ひとつ十分検討してもらいたいと思うのであります。  あわせて、いま大臣はさすが農林大臣をやられただけに絶えず米の問題が頭にあるわけでありますけれども、まさに大臣が言われたとおりなのです。この方向へいくということは、一面では大変御苦労なさってつくった米を大変有効に使うということなのですが、片や米の消費の量の拡大という方向からいきますと、これは逆行するわけですね。  もう一つは、きょうは詳しく触れる時間がありませんけれども、清酒業界の安定ということから言いますと、いま何といっても過剰生産なのですね。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 しかし、これをやりますとますます過剰生産になる可能性があるわけです。同じ一トンなら一トンの米からつくれる酒の量というものは大変多くなるわけでありますから、大変過剰生産になっているわけであります。ですから、これは現場の中小の清酒業者から言わせれば、何だ、いままで行政が指導してきたことと違うじゃないか、なるべく米の消費を拡大しなさいと言ったのに、一つの米からより多くの清酒ができるようになってしまう。それからなるべく、量を少し少なくして、ある程度生産者にも、いま二千八百五十の業者ですが、だんだんなおかつ減りつつあるわけですね。ということで、そのためにはある程度生産量をお互いに、いわゆるカルテルを結ぶという意味じゃなくて、なるべく減らしていかなければならぬということで今日まで行政指導で来たものが全然逆方向を走っているわけです。その面では大変重要な課題なわけでありまして、どうぞひとつその面からもこの問題について考えてもらいたい、こう思うのでございますが、もう一言大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  277. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 ただいまお話があったように、これは場合によってはもろ刃の剣になる可能性もありますから、これは使わせるべきものなのか、使わせるとすればやはり競争ができるようにしてやらなければならない。同じ競争条件をそろえなければならぬ。だからそうした場合にどうなるか、そうした問題も含めて真剣に検討します。
  278. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まさに競争条件を一緒にすること、それから現場から言わせれば、一体これで——もちろん先ほど品質表示の話がございましたので、その点も十分検討してもらいますが、日本酒というものが何か味が悪くなったじゃないか、やはり表示だけははっきりしませんと、国民消費者を欺瞞することになるので、ひとつその点も日本酒というものは本当に国民の酒として品質がいいというようなものにしていくために、そういう観点から一体これがどうなのだろうかということを十分考えてもらわなければならぬと思うのであります。  最後にもう一問は、先ほどちょっとおけ売りの話がございましたけれども大臣の御見解を聞いていますと、どうもおけ売りというものにはちょっと否定的なようなお言葉遣いでございましたけれども、私はいまの中で原料から最後の商品まで一貫して自分の工場でつくっているものはないので、自動車だって全部部品はおのおのの工場で下請でつくっているわけで、いわゆるおけ売りと言われるものは一つの灘なら灘の酒ができるまでの協力工場だ、生産協力体制だというふうに考えればいいのであって、これを何か全然別のものをブレンドしているというのは大変知識が薄弱なもので、杜氏もそれなりの指導があって、それに合わぬものだったら買ってくれないわけでありますから、いわばこういった下請体制というのでしょうか、あるいは一つの清酒ができるまでの協力体制だと考えれば、何も清酒だけに限ったことではないわけですね。それはそういうふうに理解するのが正しいと私は思っているのであります。  もう時間がなくなりましたので、そこで問題なのは、いわゆる未納税業者と申しますか、一般用語で言うおけ売り、こういった人々はどうしても大メーカーにおけ売り価格が大変支配されやすいということが生産の不安定を招くし、今後の維持の体制にも大変苦しいわけであります。きょうは余り時間がありませんので、余り細かいことは言いませんが、こういう指導はどうなのだろうか、これは業界の中でも意見があるようでありますけれども、御存じのように、いま各一年ごとに生産量というのを買い方と売り方が契約をしてやっているわけですね。一年ごとでは売る方にしてみても、生産体制をいろいろな意味で整えていくのにも大変長期的に物が見れないわけであります。したがって、ここでひとつ三年契約ぐらいの、もう少し長期の契約ということを指導してみたらどうだろうか。ただし、経済は動くものでございますから、しかも嗜好品でありますし、消費に直結するものでありますから、しかもとりておかれないというものでありますからなかなか三年まではむずかしいということであれば、主契約と補助契約というのでしょうか、一定量の大きな量というものは主契約にしておいて、あとは、端数程度の細かい部分はサブ契約のようなものにしてつくる方がもう少し長期的に生産体制が組めるような体制というのを考える必要もあるのじゃないだろうか。一体これをやった場合どういう弊害が出てくるんだろうか、国税庁の方でもいろいろと頭を悩ましておることとは思うのでありますが、若干その点について御意見をお伺いしておきたいと思うのです。
  279. 小泉忠之

    小泉政府委員 未納税取引の関係の御指摘でございますが、私ども行政の立場からも、売る側と買い側ともに特色を出して日本酒の品質を高める、しかも取引が安定して継続していくようにということを期待いたしておるわけでございます。それの一つとして御指摘のような注文生産制、注文生産契約というものを買い側と売り側で結んでなるべく長期的な契約のもとに両者安定した取引が行われるということが基本でございますし、それが、一年が二年、二年が三年と長ければ長いほどいいわけでございますが、それを期待したいわけでございますが、実は逆に申しますと酒類の需要というものがある意味では変動期に参っておりまして、特に清酒に関しましては市場の状況もなかなか厳しいという状況もございますので、生産計画が需要にマッチするということも大切でございますので、そこら辺も留意しながら今後も検討していきたいというふうに思います。
  280. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 確かに言われるように、インフレの度合いとか何かによりますと逆にもろ刃の剣になってしまう可能性なきにしもあらずなんで、なかなか検討を要することだとは思いますけれども、いずれにしろ、お互いここで審議している者は日本の酒を発展させていくようにという共通の意識があることは間違いないと思うのですね。そのためにどういうふうにしていくかというのをわれわれも具体的に考えながらいかなければならぬと思っておりますので、今後とも、酒税法審議のときのみ清酒なりウイスキーなりのあり方考えるというのでなく、常時こういった問題も議論するというふうにしていきたいと思っているわけであります。きょうの質問はこれで終わります。
  281. 大原一三

    ○大原(一)委員長代理 沢田広君。
  282. 沢田広

    ○沢田委員 わずか十分でありますが、さきに宿題になりました問題について大臣からひとつお答えをいただきたい。忘れましたか。——補助金の整理の問題について検討をしていただくということで時間を与えたつもりですけれども
  283. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 財政再建を実行していく上におきまして補助金問題はやはり一番大きな問題の一つでございます、十四兆五千億もあるわけですから。しかし、これを整理するということは言うはやさしいが現実は非常にむずかしい。私も千七百億円近く補助金整理をやっていただきましたが、結果は六千五百億円もふえちゃったということであります。しかし、そのふえたものの大きいものは何だというと社会保障と文教ということになってくるわけでございます。したがって、そういうような問題も含めまして補助金の見直し、中身の制度その他についても、どこまで切れるか、国民の理解がどこまで得られるか、こういうものも含めて根本的にひとつ洗い直しをやってみたいと考えております。
  284. 沢田広

    ○沢田委員 短い時間なんですから一般論じゃなくて、さきに取り上げました自衛隊の退職予定者の就職援護業務補助に一億四千六百四十万も出ている。ほかの公務員やほかにはないぞ、そういう問題も挙げたし、ダンプカーの補助も五千二百二十四万も出ている。これは、問題は選択なんですね。問題は、酒によって庶民が負担をするのか、がまんをしてもらうところはがまんをしてもらうのかというところの選択なんであります。言うなれば公営住宅の執行率も、二千五百億も予算を組んでおるけれども果たして必要なところへこれが充当できるのかという問題も、考えてみると選択の問題になってくる。そういうふうになりますと、なるべくなら庶民に迷惑をかけないで、むだなところとは言わないけれども、がまんしてもらうところはがまんをしてもらう、そういう情熱も必要なのではないか。だから、千六百八十何億補助金を切ったけれども結果的にはふえちゃった、しかしもっとやればできるところもあるのではないかという問題について実は明確にお答えをいただきたかった、こういうことなんであります。
  285. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、この個別案件についてすぐ回答するつもりでなかったものですから言ってありませんでしたが、この次の大蔵委員会にでもまたあなたが質問のときに回答させてもらいます。
  286. 沢田広

    ○沢田委員 それから、参考人が来たときにも実は言ったのでありますが、医師会に次いで酒屋さんの組合、政治団体というものはきわめて一辺倒的な政治献金をやられる。前にもいろいろ問題がありましたが、今回の酒の値上げも一%のマージンを含めて結果的には国民大衆に犠牲を負わせる。にくたらしいと思われる方もおるでしょうけれども、そのことによってある意味においては政治献金を擁護する、こういう傾向なしといたしません。五十一年度どういうふうに大蔵省は調べておられるか。たとえば全国小売酒販政治連盟からは七千九百八十九万円、細かい数字は省きますが、行われているわけであります。行き先等について言うことはとりあえずきょうは時間がありませんからやめますが、そういう関連性というものを酒税の中に織り込むこと、そのこと自身に疑惑とまでは言わなくても、正当なものであるかどうかわかりませんけれども、ちょっと正当とは言いがたいのではないか。自民党とか社会党とかという政党じゃないのですよ。正しいという意味でありますから、そういう意味においては正しくないんじゃないか、不当性があるんではないかというふうに思うのでありますが、これは大臣からお答えをいただきたいと思います。
  287. 小泉忠之

    小泉政府委員 酒造組合の関係でございますので、私どもの方からお答えさせていただきますが、酒造組合等は政治献金はいたしておりません。これは酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に基づいて設立されているわけでございまして、政治的な献金はいたしておりません。ただ清酒製造業者あるいは小売業者有志の方々が政治団体をおつくりになって、そこで政治献金というような行動はあるやに伺っておりますが、これは自治省に届け出て政治活動を行っておるというふうに伺っております。
  288. 沢田広

    ○沢田委員 ですから、全国小売酒販政治連盟の方の関係はあります。ただし醸造の関係は陰に隠れてしまっております。これは法律的にできないから実態的にはそれぞれに割り当てて、割り当てられたものをそれぞれ処理をしておる。今度のダブル選挙の場合も内容はなかなか私の手元には、まだ締まってないから出せないということでありますけれども、三月三十一日ということであるから最終的にはそれが取りまとまってない、こういうことでありますが、後でこの点は御報告いただけるというふうに解釈をしてよろしいですか。
  289. 小泉忠之

    小泉政府委員 申し上げましたように、酒造組合等は政治献金をいたしておりませんが、自治省に届け出られた範囲での献金額というものは、これは自治省の所管でございますので、自治省の方から御説明があろうかと思います。
  290. 沢田広

    ○沢田委員 それは当然自治省の方ですが、私の方が質問をするに当たって自治省の方に申し上げた限りにおいては、いまの答弁のような段階で未熟成であったわけです。ただ、私の質問に対して大蔵省が酒造組合あるいは小売店というもの、小売店には現実にこうやってあるわけでありますから、その内容を——当然公表されるべきものですから、守秘義務の範囲にはこれは入らないと思うのですね。その公表された結果について当委員会に、あるいは私にということになりますか、提示する用意はあると解釈してよろしいかどうか、こういうことであります。
  291. 小泉忠之

    小泉政府委員 酒造業者あるいは小売業者方々の個々の政治活動については、私ども所管外でございますので、御了承いただきたいと思います。
  292. 沢田広

    ○沢田委員 それはそのとおりの返事しか来ないだろうと思うのです。しかし、内容的に見ると、そういう問題を起こしやすい条件を持っている、こういうことを考えて、われわれは判断をしていかなければならぬ、こういう立場ですから、あなたの方で答えなければ、三月三十一日になれば一応全部書類は届くわけですから、あたながいやなら私の方で調べてやりますから結構ですが、ただ、そういうものによって酒税は動かされてはならない、そういう懸念で申し上げたということであります。とにかく大臣、もう時間がありませんが、酒税は日本が五・四、アメリカは一・八、イギリスは四・八、フランスは一・五、イタリアは〇・四。酒税の占める割合から見ますると、いつも大蔵大臣が挙げる例を今度は逆に私が持ってきたわけでありますが、日本は酒税の占める割合はきわめて高い。それだけ国民生活に与える影響は大きい。特に、実質賃金が低下をしている、景気も停滞をしている、こういう状況の中で、私は値上げはするべきではない、こういう判断に立つわけですが、先ほども述べたように、せめて大衆酒と言われるようなものについては再考されることを望んでやまないわけでありますが、そろそろ時間が参りました。  以上で私の質問は終わりますけれども、先ほど述べた補助金の整理統合等でこの程度の金は生み出される。これだけごらんになっていただいたら、こんなにむだがあるのかなということを感じられると思う。時間があればこれを皆読んで大蔵大臣説明してあげたいのですが、それがないものですから残念ですが、この中からその程度の金は出てくるということを十分理解をしていただきたいと思うのです。問題は、選択の場合の優柔不断が結果的には国民大衆に迷惑をかけて増税に走る。もっと思い切って、いわゆる小さな政府、むだな特殊法人というものに対して厳重な審査をやっていくという中から、これくらいの金は生み出されるのではないか。もっと大蔵大臣は勇気があったと実は私は信頼していたのでありますが、官僚の圧力に負けたのか、あるいは自民党の族、族に負けたのかわかりませんけれども、その点はきわめて残念至極であるということを申し述べて、私の質問は終わりたいと思います。
  293. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 先ほど自衛隊の就職の補助金、それはどういうわけでつけたんだ、大体私が言ったのは間違いなかったようですが、もっと詳しい担当者がおりますから説明させます。
  294. 沢田広

    ○沢田委員 次の時間の方に申しわけないですから、追ってまた別の機会にお伺いさせていただきます。終わります。
  295. 大原一三

    ○大原(一)委員長代理 堀昌雄君。
  296. 堀昌雄

    ○堀委員 資料をちょっとお配りをして、皆さんにも見ていただいて論議をさせていただく方がよろしいと思いますので、ひとつ資料を配らしてください。  先般の大蔵委員会酒類参考人をお招きをしていろいろとお話伺いました。その席でちょっと取り上げた問題ですが、そのときは大臣主税局長も御不在でありましたから、もう一遍その中での問題点のおさらいを少しさせてもらいたいと思います。  そこで、きょうは農林政務次官にも入っていただきましたし、渡辺さん、かつて農林大臣経験者でもございますから、少し酒の基本問題をやってみたい、こう考えているわけであります。  さっき同僚の佐藤観樹議員も申しましたけれども、その国々でその国の酒というふうに考えている酒類があると思うのです。そういう式の酒というのがわりあいはっきりしないのはアメリカではないかと思いますが、イギリスはやはりスコッチの国、ウイスキーというのはまずイギリスだとわれわれ考えますし、ブドウ酒となれば、世国各国あるわけでありますけれども、これはやはりフランスかドイツかというふうに考えます。ビールとなると、これも世界各国ありますが、これはドイツかなと思います。日本酒というのはだれが見ても日本の酒だ。ですから、言うなればナショナルブランドの酒というものはおのおのの国がそれなりの配慮をしている、私はこう見ているわけであります。  さっき沢田さんから、税の総額の中に占める酒税の割合の話も出ましたけれども、私は日本の場合には酒税は決して諸外国と比べて安い国ではない、こういうふうに考えるわけです。  その中で非常に問題があるのです。その問題は、さっきあなたも佐藤観樹議員の質問に答えて、競争関係にあるものは競争条件が等しいことが必要だ。私もこれまで長く国会議論をして、私の経済的な基本の立場は、市場メカニズムを生かすことによって経済がスムーズに動くべきである。だからそれは競争原理だ。競争原理というのは常にイコールフッティングで競争をやるということでなければ不公正な競争になるということは間違いない事実なんですね。大臣、そういうふうにさっきもおっしゃいましたが、ここだけはちょっと確認をしておきます。
  297. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 その方が望ましいことは間違いありません。
  298. 堀昌雄

    ○堀委員 大変慎重な答弁ですが、それでよろしいでしょう。  そこで、実は今度酒類の問題を少し細かく調べてみました。細かく調べてみて象徴的に一つだけきょう皆さんのお手元に資料をお配りしたのですが、これは大蔵省の資料でありますけれども昭和四十年の清酒の原料米価格、六十キログラム当たり六千九百二十六円、これを一〇〇としまして、昭和五十四年の原料米価格は一万七千三百七十九円ということで、指数が二五〇・九、二・五倍に実は原料米が上がっておりますね。  それから今度は、最も近いものがビールなのでありますが、このビールは、国産麦芽は昭和四十年にトン当たり八万四千円であったものが今日は——横との比較の都合で五十四年で比較しますと、トン当たり二十七万七千円になっているわけですね。これは三三〇、三・三倍になっておる。  次に、輸入麦芽はどうなっているかというと、昭和四十年にトン当たり六万六千円であったもの、これを一〇〇としますと、五十四年が八万四千八百円、指数では一二八ですね。わずか約三割しか上がっていない。これはいま日本の農産物はすべて実は大変高い農産物になって、原料を海外に求める者は非常にコストが安くいく、こういうことなんですね。  横に生産者価格、税込みと、その税抜きのもあわせて出していただいて比較をしてみました。特級、一級とありますが、二級とビールを比較をいたしてみますと、この括弧の中に入っておりますところの税抜きの生産者価格、これが二級酒は昭和四十年に二百五十四円七十六銭でございました。それが今日五百九十一円五十六銭になっているのであります。三百三十六円八十銭この間に清酒の生産者価格は上がっている。これはもちろんいまの米が上がっているものだから、こういうふうに上がらざるを得ない、こうなっているわけですね。それでビールはどうかといいますと、昭和四十年に生産者価格が四十二円四銭だった。それが今日六十八円八十三銭で、その差は二十六円七十九銭しか上がっていない。ですから、大体いまの清酒は確かに税率の点ではビールよりは低いのですけれども、これだけ片一方は原料米が上がる。ビールの場合でも、国産麦芽を使えばいま米以上に上がっているのですね。昭和四十年からの十五年間に三・三倍になっているのですよ。ところが、片一方はわずか三割しか上がっていないから、輸入麦芽を大量に使用しておるビールというものは余り値段が上がらないで済むのだ、こういうことになるのですね。この現象は、単にビールだけでなくて、ウイスキーにもブドウ酒にもあるのですね。ブドウ酒というのは、私は、大体バルクで輸入したブドウ酒とまぜるだけかなと思っていて、国税庁の方に来ていただいて詳しく話を聞いてみると、いや、なかなかそうではなくて、これはもう干しブドウで輸入をしたり、搾汁で輸入をしたり、濃縮搾汁で輸入をしたりして、それにバルクも加わってできている。ウイスキーも、原料麦芽が輸入をされている、モルトも輸入する、こういうことですね。輸入をせずにやっているのは、実は清酒だけなんですね。だから、私は、この間その問題で参考人伺いましたら、大関酒造の長部さんが、私はいまカリフォルニアで清酒をつくっておりますけれども、カリフォルニアでは米が三分の一の価格で入ります。そこで、その清酒をつくっておるが、国税庁からはそういう酒は輸入しないようにしてくれ、こう言われている。どうですか国税庁、この事実をちょっと伺っておきたいのだが。
  299. 小泉忠之

    小泉政府委員 国税庁ではそういう指導は行った覚えはございません。参考人の御意見お話は農林省の方のお話かと思いましたが……。
  300. 堀昌雄

    ○堀委員 酒の輸入はあれでしょうか、農林省に発言力があるのかしら、大蔵省に発言力があるのかしら、どっちがこれは主管ですか。
  301. 小泉忠之

    小泉政府委員 事実を申し上げておるわけでございまして、私どもはそういうものを輸入してはいけないというような指導はいたしておりません。
  302. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしたら、農林省どうですか。
  303. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 私ども農林水産省は全く発言権ございません。
  304. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。それではこれは今度長部さんにぜひ一遍輸入をしなさいということをすすめてみようと思うのです。ということは、私は、それでは安い酒の米を割り当てたらどうかという話が出てくるかもしれないけれども、これはもう現在それでなくても逆ざやになっておる米にさらに価格差補給金をつけてそして国民に飲んでもらうというのは財政上いかがか、こういうふうに思うのです。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、私はきょう農林政務次官に入っていただいたのは、あなたも政治家として、酒がこういう競争条件が全然違う。片一方は原料をどんどん輸入できる。多少国産も使ってはおりますけれども、主たる原料が輸入になっておる酒類と国産の米しか使えない清酒が、これから競争していってどうなるか。私は大体この生産量の経緯を見ておりますと、これはもうついに峠を越した、こう見ているのです。  私はかつて、昭和三十五年に当委員会で初めて酒の問題を取り上げて論議をしました。そうして当時は酒類業界はともかく縮小再生産、酒をできるだけつくらないで、そのことによって自分たちがうまく売れるようにしょう、こういう時期だったのです。それを私は、とんでもない、米はいっぱいあるのだ。いまのそのシステムは米がなかった戦時中のシステムではないか、システムを入れかえろ、どんどん米をやれということで、欲しい人にどんどん米を渡すようにいたしました結果、清酒の数量はかなりふえてきたわけです。それは私はなぜそう言ったかというと、清酒だけの競争じゃないぞ。ビールやウイスキーとこれから競争だ。その競争にともかく縮小再生産で勝てるか。ともかく米をしっかり出していい酒をより安く国民に売ることによって、清酒が生きる道はこれしかないと言って、しりをたたいてずいぶん米を渡しました。結果的にはずいぶんふえてきて、いま私が資料で拝見しておるところでは、昭和四十五年からの資料しかここにはないのだけれども、四十八年には四十五年の使用数量を一〇〇とすると一一四・六まで実は米の使用量がふえたのですが、五十四年は一〇〇を切って九六・三とダウンしている。このダウンは私はもう回復できないダウンだと思うのです。これから年々このダウンは先に行く。なぜそうなるかというと、世代がどんどん変わってきていますから、いま日本酒を飲む世代はやや老齢化へと、それからだんだんと減っていくという方向にあるわけです。若い人は日本酒を飲もうなんという人は大体余りないのです。ビールを飲むかウイスキー飲むか、あるいはしょうちゅうの変わったのを飲む人もいるでしょうけれども、これはリキュールのようなかっこうにして飲んでいるわけで、清酒は若い人にはなかなかなじまない。だからこれはよほど考えておかないと、これから急激な下降線に入るというのが私の見通しなんです。この清酒業界の見通しなんです。  それならこれは基本的に清酒に対する対策、要するにナショナルブランドの酒がともかくいろいろ農産物価格が高過ぎるとか税率が問題があるというようなことだけでどんどんどんどんだめになっていいのかどうかということは、これは私は大変検討しなければならぬ問題だ、こう思うのです。大蔵大臣どうでしょうか。
  305. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは非常に重要な問題です。酒を飲まなくなったというのはいろいろありますが、一つは、値段がもうどんどん米の値上げで上がってきたということで、競争に負けてきたということが一つ。そこへもってきてビールのようなものがほとんどが麦芽ですから、長い間値上がりしなかったわけです。そういうようなことでビールが非常にふえた。ウイスキーもふえた。若い人はあなたのおっしゃるような傾向だということですから、私は今後の問題として、やはりナショナルのブランドとして酒を残すことはいろいろな面で非常に重要なんです。いま米の生産を制限をさせたり何かもしていますが、やはり日本の酒というのは外国人も、最近アメリカなんか行ってもサケなんという英語ができちゃっているくらいですから、私はやはりこれは量が余り減らないように、政府としてもいろいろな面で考えていくことは真剣に考えていく必要があるんじゃないか。あなたと同じ考え方です。
  306. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで大臣、選択の道は非常に狭いのです。いいですか、要するに原料を上がらないようにしてやらない限り、競争はますますむずかしいですね、これはまだ上がるのですから。上がり方が少なくなってきたけれども、まだ上がる非常にむずかしい。これが一つありますね。  もう一つ、それを抑えるだけでなくて少し下げてやるということになれば、これはまた大変プラスが出てくるわけですね。酒の値段がここで百円下がる、増税になったけれども百円下がるということになれば、これは一つの大きな話題になってくるわけですね。そうするためには、私はさっきちょっと申し上げたけれども、いまの国産の米を使ってそれに価格差補給金を出すなんという話はどうにもならないのですよ。  片一方、御案内のように対米貿易はいま非常にいろいろ問題があるわけです。そこで、どうぞひとつアメリカで酒米をつくってください。アメリカでつくった酒米を輸入する。これは三分の一の値段だから格段に安い。全部輸入するわけにいかないから、とりあえず日本の生産量の三分の一ぐらいをひとつカリフォルニアでつくってください、それをひとつ輸入しましょう。アメリカは喜びますよ。何しろアメリカのものを買うということはアメリカにとって大変いいことだし、喜ぶ。しかし、それは日本が米が余っているのにおかしいじゃないかと言われるかもしれませんけれども、これは競争原理の問題を目の当たりに全体の人に見てもらうためには大変いい機会だと私は思っている。そして、これは財政資金が全然要らないのだ、要するに輸入すればいいのだから。だから、いまアメリカに非常にいろいろ問題のあるところでアメリカに喜んでもらって、財政資金を使わないで安い酒ができるということなんですね。  農林政務次官、私は農林省で政府委員を入れるというからだめだと言ったのです。こういう話は政治家同士の話でなければ、役人の発想でこんな処理は絶対にできないです。ですから、あなたにここでそうしますという答弁までしてもらおうとは思いません、大臣もここにいないから。だから、ひとつ真剣にこの問題を大蔵大臣と協議をしてもらって、それで三分の一ぐらい入れなければ値段に影響しませんから三分の一ぐらい入れる。いますぐというわけにいかない、アメリカだって米はそう余っているわけじゃないのだから。それで、米国農務省か何かに日本ではひとつアメリカの安い米を輸入して安い酒を国民に飲ませたいと思います、ですからひとつつくってください、輸入します。これは伊東外務大臣、大喜びだな。これは今度アメリカへ鈴木さんが行くにはいい手みやげができたということになる。そうして、これはどこも問題ないのです。  主計局次長に入ってもらっておりますのでちょっと伺いたいのは、米が余ってしまって、一体過剰米の倉敷料だけは幾らですか。過剰米でオーバーランニングしている米の倉庫料、財政が負担している倉庫料は幾らですか。
  307. 吉野良彦

    ○吉野(良)政府委員 突然のお尋ねで的確なお答えはあるいはむずかしいかと存じますが、うろ覚えで恐縮でございますが、過剰米の年間の保有経費、つまりこれには保管料と金利両方ございますが、トン当たり大体二万円ぐらいであったかと記憶をいたしております。
  308. 堀昌雄

    ○堀委員 それで量は幾らですか、二万円で金額の方を聞きたいのですよ。
  309. 吉野良彦

    ○吉野(良)政府委員 現在処理の過程にございますいわゆる過剰米の総量は約六百五十万トンでございますから、これは年々少しずつ処理の結果減ってはございますが、五百万トンといたしますれば、トン当たり二万円でございますから千億円ということになるかと思います。
  310. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵大臣、いまの話を聞かれて、片一方では財政は大変むだなことをやっているわけですよ。これはもう私はずっと昔に予算委員会で、まだこういうふうになる前に米の問題を実はやったことがあるんです。そうしてそのときに飼料にでもしたらどうかなんて言ったら、農林省の人はとんでもない、もったいない、そんなことにするために米はつくっておりませんなんて言っていたけれども、いまそういうことになってしまったんですよ。当時私にその農林省の人は、先生そのうちにミカンがこうなりますよということを言っていた。もうわかるんですよ、早くから。わかっていて手が打ててないんだな。過剰になってしまうんだ。私は日本の農業政策というのは全く何をやっているのだろうかと思って不思議でならないけれども、きょうは何も農業政策をやるつもりじゃないんで……。  だから、ひとつ志賀政務次官、これ真剣に一遍考えてくださいよ。それは食管をどうさわるかといっても、温室のままにして食管さわれっこない。現実に競争の問題がここに出てきて、それが事実になってはね返ってきたときに、これは何とかしなければいかぬという形になるんですよ。要するに何かの圧力が入ってこなければ、長いかたいシステムを変えるなんということはできっこないのです。私も一遍に変えろと言っているんじゃないんですよ。しかし、徐々に何とかしなければ、これでは財政再建なんて言って、ともかく国民に減税は御勘弁願いたいなんてことを渡辺さん言って、そうして一千億円というともかくむだな米の保管経費を使っているなんということでは、私は自民党・政府国民に顔向けできないという気がしてならない。だから、それは一遍にいかないから、そういうことのためにもひとつ輸入を真剣に検討してもらいたいと思うが、大蔵大臣、政務次官いかがですか。
  311. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 これは理屈はそのとおりなんですよ。私もこういう議論国会で行われるようになったということは大変な変わりようだと思っているんです。ただ問題は、それが社会党の中でもうまくまとまるかどうか。自民党の中は現実の問題としてなかなかまとまらない。ですから、本当に社会党の政審で決定をして持ってきてくれれば私はそれは真剣に取り上げますが、現実の問題としては外国からは輸入するなと、農産物の輸入はふえてけしからぬけしからぬとみんな言っているわけですよ、各政党とも。したがって、自給力を上げろ、国内でつくれ、しかしつくっても過剰は困りますよ、だから生産調整、水田利用再編をやってください、それはけしからぬ、つくりたいのにつくらしたらいいじゃないか、それで米価は守れ、こういう議論が実際問題として横行しているわけですね。ですから私は、本当にあるべき姿というのは、日本の経済というのは世界全体の中にあるんだから、堀先生のような意見が正論だと思いますよ。しかし、なかなかその正論がいろいろな条件の中に実行できないというのも現実なんです。  そこでわれわれとしては、せめて競争条件というようなものを同じくするために、米の値段というものを抑えて過剰生産を抑えようということで生産者価格というものはブレーキをかけている。これは事実ですね。消極的である、こういう御批判もあるかもしれませんが、現実というものはなかなかそう——正論とおりいけば一番いいんですが、それが残念ながらそこまで手が及ばない。したがって、ここで臨時的に生産調整、これも何千億という金をかけて米の生産をやめさせておるという状況の中で、たとえ五万トンでも十万トンでもカリフォルニア米を持ってこい、売らしてみろと言われてもこれはちょっと御勘弁、これこそ御勘弁をいただきたいと思うのです。
  312. 志賀節

    ○志賀(節)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大蔵大臣お話しになられましたとおり、堀先生の御意見まことに傾聴に値する御意見であると率直に存じます。従来の日本の農業政策のあり方はやはりそろばんを一〇〇%度外視しているような傾向がございまして、そのツケが徐々に回ってきておる、こういう気持ちが私は痛切にするわけでございます。今後の世界的な経済基調はいままでの上昇力のスピードが大幅にスローダウンしていく、そういう中では特に考えていかなければならないことでございますので、私は非常に傾聴に値する御意見として拝聴いたしました。  これからの日本の農業を取り巻く環境は事ほどさように厳しいのでありますが、同時に一方におきまして、国会決議をもって行われました自給力の確保ということもございます。そのような競争原理を働かせることをも考慮に置きつつ日本の農業の適正化、合理化を求める反面、自給力をまた強化していかなければならないという、いわば二律背反的な状況の中で、しかしこの二つながら達成しなければならぬ、こういう狭間に立っておりますので、どうかそういう面からも、堀先生からの今後の特段の御指導を仰ぎたいと思います。ありがとうございました。
  313. 堀昌雄

    ○堀委員 確かにいま渡辺大臣おっしゃったように、党内にもちろん問題があると思うのですね。しかし、私はこの前から戦後のシステムを変えようということを、どれもこれも言っておるわけですね。それを変えなければ財政再建はできないと私は思っているんだ、いま申し上げたように。過剰米の倉敷料に金利を含めて千億も金を使っているなんということをしながら、そして——それでは農民で税を納めている人は一体どのぐらいですか。いま専業農家と一種兼業農家でどれだけの人が所得者で、どれだけが納税者で、その納税者の一人当たりの平均納税額がどうなっているか、ちょっと主税局長答えてください。
  314. 高橋元

    高橋(元)政府委員 農業でございますが、五十四年度の数字で申し上げたいと思います。  所得者数が百四十四万人、納税者数が二十一万人、その割合が一四・六でございます。営庶業……(堀委員「いや、ほかはいいから、給与所得だけ……」と呼ぶ)給与所得者三千八百七十六万人中納税者はその八〇・七%に当たる三千百二十八万人、これが五十四年度の計数でございます。
  315. 堀昌雄

    ○堀委員 はい、結構です。平均納税額は、農業と給与……
  316. 高橋元

    高橋(元)政府委員 恐縮でございます。  五十六年の税収見積もりの数字を申し上げさせていただきますが、農業の平均の所得一人当たり百六十八万円、それから一人当たりの所得税額七万五千円でございます。給与所得者の場合には——一人当たりの課税の場合てございますが、課税でよろしゅうございますか。(堀委員「はい」と呼ぶ)課税される給与所得者の一人当たりの収入金額が三百四十八万円、それから税額一人当たり二十一万二千円でございます。
  317. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、一体日本の財政を支えているのは——もちろん法人税その他の税金もありますよ、しかし、まさに給与所得者が支えていると言ってもいいぐらい、所得税を支えているのですね。農業所得者は、いまお話のように、所得者はあるけれども納税比率一四%、それだけしか税金を納めていないのですよ。それだけ税金を納めないでいて、米をつくることによって要するにいまの三千万の納税者の貴重な税金を一千億も食っているのですよ。こんな不合理が政党内部の問題で解決できないなどということでは、われわれ政治家の恥だと私は思いますがね。大蔵大臣いかがですか。私は、これから党内を説得して、合理性のあるところ——それは、確かに農民の票もわれわれも大事にしていますよ、しかし国民全体の中で最も多数の者が犠牲になって、少数の者のためにいつまでもそのようなシステムを温存していくなどということは政治家としてわれわれが踏むべき道ではないと思うのです。ここは勇気が要るのです。私も勇気を持ってやりますが、ひとつ大蔵大臣や政務次官も勇気を持って、これは日本国民の将来のために、ここでひとつ踏み切ろうじゃないですか。皆さんの御見解を承りたい。
  318. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 私は、本当にこれはいい、立派な御意見であって、私もできることならぜひやりたいと思っています。ところが現実は、私が農林大臣のときに、米が余るから生産調整をやらせると言っても、値段は全然かまわないでただ物理的にやらせるのはむずかしいよ、余ると言っても余る米と余らない米があるので、余る米は毎年余っているわけですし、余らない米は余らないのだから。だから余る米は高くてもいいが、生産量の七割も売れない、そういう米の値段は下げるべきじゃないかといって銘柄格差というものを導入した。これはずいぶん反対があった。これは皆さん御承知のとおりですよ。各政党でもみんなずいぶん反対ありましたよ。しかし、これは、二カ年かかって、たった六百円だけれども実行した。これをもっと深めていけば余る米はつくらなくなるのですよ。売れる米だけつくるようになる。だから、こういうことはやはり一政党だけではできない。私は、一つにはやはり生産調整というものは、価格で、要するに売れない米を高く買うというのはおかしいのですから、だから差をつけていくというようなことをやれば、実際は生産調整の補助金も何倍にも役立つということなんです。それで、これはただ単に保管料だけの問題じゃないのですよ。その何層倍ですよ。ですからそういう点で、発想の転換というものが国会を通じてこのように真剣に議論されることは私は初めてじゃないかと思いますね。これはかなりドラスチックな意見ですからね。私は、しかしこういう意見が出てきて初めて本当にお互いに国会議員の国会議員らしい論議だと思って聞いております。したがって、一挙にはできないけれども、そういうような方向でやっていかなければ日本は沈んでしまう、私もそう思って大蔵大臣を引き受けておるわけです。
  319. 堀昌雄

    ○堀委員 まあひとつ、きょうは問題提起でありますから、ここでどうこうというのじゃないのですけれども、お互いがやはり勇気を持ってやらなければ、わかっていることができないなどということはもうわれわれは恥ずかしいと思わなければいかぬ問題だと思います。  次は、これもちょっと大蔵大臣がこの間おられなかったからもう一つやっておきたいのは、酒税法施行令第十一条というのがありまして、ここに級別問題というのが書かれているのです。そこで清酒特級、規格、「品質が優良であるもの」、清酒一級「品質が佳良であるもの」、二級「清酒のうち、特級及び一級に該当しないもの」、こういう決まりになっているのです。いいですか。そこで、ウイスキー特級とかブランデー特級というのはモルトとかブレンド原酒が幾ら以上あるものは特級だ、量が減ってきたら一級だ、うんと減ったら二級だ、こういう仕組みになっているのですから、このウイスキーやブランデーの特級、一級というのは合理性がある。科学性があるのです。政務次官、もしあれでしたらもう結構です。ありがとうございました。  そこで、よく人をごまかすやつを舌先三寸という言葉を使いますね。これは特級、一級舌先三寸で決めているのだな。ごまかしているという意味に使うわけじゃないのだけれども、これは全くそのとおりなんです。これは合理性もないし、こんなことでうんと税金の格差があるのですよね。だから、同じ清酒でありながら、皆さんのお手元に出してもらったように、五百九十一円、六百七十円、七百六十六円と、特級と二級の間には生産者価格で百七十五円二十六銭差があるのです。これはやはり米の品質にもよるし、それから米をついてできるだけしんの部分でつくるというような問題もあるのでコストに影響があるのはわかるのですが、しかしともかくもいまのこの製品価格はもう大変な差があるわけでして、これは税金の差なんですね。この前、参考人からこういう意見が出ておりました。いまの清酒の特級、一級、二級というのをとりあえず並みと上とに二つに分けてもらえないか。特と一級を上としてその他を並みにしたらどうか。私は、並みという表現はよくないから、要するに並みのところはただ清酒というのが並みだ、それで上に上級清酒というのをつくるなら上級清酒、清酒と上級清酒の二つに分けたらどうか、それで特級と一級をまぜて平均税率を出してそれでやったらどうかという提案が参考人からございました。私は話を聞いていて——私は大体従価税にしてやったらどうかと思っているのですが、そんなことはなかなか急にいきませんからね。これは一つ考え方だな、こう思うのですね。そこで、渡辺さん、これはそんなにむずかしい話じゃない。税金を減らせという話でもなければ、要するに、合理的にひとつやろうじゃないか。いまの制度がある以上すぐ清酒だけ一本というわけにいくまいから、ひとつこの際は清酒と上級清酒と二つのランクに分けて、いまの二級は清酒にして、特級、一級を上級酒にして、税率は、ことし決まったものはしようがないけれども、できたらこの国会酒税法の中でこれを修正案にして特級、一級のものの平均税率にして処理するというくらいのことをやってもいいんじゃないかと私は思っているのです。ひとつ大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。国税庁、時間がありませんからもう結構です。政治家の話を聞いておけばいいですから。
  320. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 それも一つの案だと私は思います。ただ、一挙にそこまで踏み切れるかどうか。特級と一級というのは値段が違う。税率も違う。したがって、税金が減らなくするためには一級を皆特級の税金をかけてしまう、これはとても上がり過ぎてだめ。じゃ特級のものを一級のところに持ってきちゃったらこれまた税が足りなくなる。だから真ん中にしたらどうだという御意見だと思いますね。そうすると、特級は減税になってしまう。一級はさらにいまよりも増税になる。そこらに矛盾があるわけですね。また、二つにすると、今度の上級酒と二級酒の間の格差が一挙に開くわけですね。現実の問題として本当に酒の値打ちにそんなに差があるのかどうなのか。ここらも問題が出てくる。したがって、これは非常に貴重な御意見ですが、ちょっと結論を出すのには時間が足らない、そう思っております。
  321. 堀昌雄

    ○堀委員 いまここで酒税法改正しろって言ってもそれは無理だからあれですけれども、私も参考人意見を聞きながら——大体舌先三寸てこんな税差をつけるなんというのは全く合理的でないと思っている。そういうことをしているから実は酒がますます売れなくなってくるので、だから、私はやはり税制面でも少し考えてやらなければだめだと思っているのです。そういう意味で、きょうは二つ宿題を出しますので、これは本当に真剣に検討してもらいたい。  三つ目は、これは国税庁の方です、大臣よくわからないと思うから。私がかつてここで酒の問題をやって二十年になるのです。当時泉間税部長のときに当委員会で酒の問題を取り上げました。それから二十年。その二十年の間ちっとも変わらない問題が幾つかあるのですが、生産者は酒の場合多数にあって弱いものですから、競争が働きますとともかく一本つき、二本つきというのがある。一箱十本の箱に一本つけます、二本つけます。それは現実にあるのです。現実にあるということを国税庁は承知していますか。
  322. 小泉忠之

    小泉政府委員 景品の問題につきましては、従来から業界自体が公正競争を実現するということで公正競争規約というものをつくりまして公正取引委員会の認可を受けて実施いたしております。それの実施状況になるわけでございますが、そういった景品につきましては、過大な景品は業界としても差し控えるというような公正競争規約になっておりますので、現品でもって景品をつけるということはないような雰囲気が醸成されつつあるということで、私どもといたしまして、個々のケースについてはまことに申しわけないのですがつまびらかではございませんけれども一般的な情勢としてはそういった現品つきというものはなくなりつつあるというふうに考えております。
  323. 堀昌雄

    ○堀委員 役所というところはもう二十年前も同じようなことを言っているのだ。私は本当はそういう答弁が大体気に入らないのだ。調べておりませんからわかりませんならいいのだけれども。調べるのなら調べてもらわなければ、そんなだんだん減っているなんて言って、具体的な事実を答えられるのですか。実は何本つきがあったけれども現在はここまでになりましたといって国税庁答えられますか。答えられないでしょう。
  324. 小泉忠之

    小泉政府委員 一般的なそういう現品がついた景品というものはないものと考えております。しかしながら、いろいろな事情がございまして、たとえば新製品を出すといった場合にこれを見本として出す、そういったような場合はあろうかと思います。
  325. 堀昌雄

    ○堀委員 間税部長、それじゃ私が事実を挙げたらあなた責任とりますか。こういう事実がこことここでこういうふうにある。あなた、ないと言ったのだから、国会でないと言ったら、私は事実を挙げるから、それじゃ責任とるということになりますかね。ちょっとそこのところ、あなた、はっきりしてください。私は何にも証拠をつかまないでこんなことを公の場で言わないですよ。いいですか。証拠を持っているから言っているわけだ。それを、あなた、いま、ございませんと言ったのだ。そんなことないですよ。証拠があるのだから。きょうは時間があとないからこれでここまでにしておくけれども、ともかく、大蔵大臣、私は景品つけたってそんなに悪いと思っていない。それはつけることは競争原理で仕方がない。それを消費者に還元しろということを当委員会で何遍も言ってきているわけだ。二本つけたということは要するに二割引きになっているわけだから、二割全部出せとは言わない、一割引きにして消費者に渡しなさい。そうするのなら私は二本つけようと三本つけようと競争原理だからこれはやむを得ないと思っているのだ。だけれども、つけない方がいいけれどもそれは無理だから、つけるのなら消費者に還元しろということを何回も言っているけれども小売市販は全然そういうことをやらないのだな。だからこれも実は競争原理の問題が働かない仕組みになっている。私はかつてから小売市販の免許をどんどん出せ、しっかり競争をやらせろと言って、いま小売はずいぶんふえているのですよ。にもかかわらずこの問題がまだ消費者に還元がない。第一点。  もう一つの問題は、マージン酒類業務の中でともかく日本酒が一番多いのですよ。国税庁、そうでしょう。
  326. 小泉忠之

    小泉政府委員 清酒とほかの酒類と比べてでございますか。
  327. 堀昌雄

    ○堀委員 そうです。
  328. 小泉忠之

    小泉政府委員 率としては高いと思います。
  329. 堀昌雄

    ○堀委員 だから要するに清酒はそういう意味では非常にうまみのある商品になっている。そうして業者数が多いものだからまあそこでいろいろやっていまのリベートがどんどん出てきている。私はかつて直税と間税とで両方で一遍調べてみろといったことを提案してみたけれども大蔵省はやれないのだな。これもおかしいです。だから、私はそういう意味でもうちょっと酒類行政というのはフェアにやってほしいという気がするのですよね。リベートを出したらそのリベートのうちの半分は消費者に還元しますということがきちんとなるなら、私は別にリベートを出していかぬと言わないわけだ。それは競争だから仕方がない、競争力のないところは出さざるを得ないのだろうから。そこまで出していかぬと言わないのだけれども、全然消費者に還元がなくて全部小売の末端のところへ集積されるということではどうも公正を欠くと思うので、その問題もひとつ大臣、政治家の立場で——質問したらああいう答弁しか返ってこないわけだ。私は、何も間税部長に恨みがあるわけでも何でもないからどうこうする気はないけれども、しかし、私の立場からしたら、ばかにされた答弁だなという気がするんですね、率直に言うと。だから、そういうことのないようにするためには、大臣、この際この流通問題を真剣にひとつ——これは、ナショナルブラントをわれわれがいろいろと配慮してやろうというのにかかわらず、そういう末端の小売機構があったのでは、ここでストップして、われわれのそういう、大変勇気が要ることで、いろいろやろうとしたって生きてこないのですよ。これはやはり上からさっと流れるようにいかない限りこの問題は画竜点睛を欠くということになりますので、これも含めて、大臣、ひとつ真剣に対応を考えてもらいたい。お願いいたします。
  330. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 確かに、卸屋から小売がおまけをもらっても、酒を安く売ってもらった人は余りいないかもしらぬ。ただ、料理店なんかの場合はかなり競争があるんですよ。私のところには那須とか塩原、観光地がいっぱいありますが、やっぱり、聞いてみると直接卸屋でなくて小売屋を通して買っていますが、そこではサービス競争がある。ただ、それじゃ旅館とか何かが、ただでもらった酒だからその分だけ安くして売っているかどうか、そこらのところは疑問ですね、これは。しかし、末端でやっぱり競争はされておるということは言えるだろうと思います。しかし、小売屋がそういう料理店の競争がなくてその分もうければ、当然帳簿の上で売り上げただけ立って仕入れがないんだからよけい利益が出る、そうすると税金で半分いただく、そこらのところになってしまうわけですね。だけれども、どういうふうにしたら何とかうまく還元できる方法が実務的にあるか、非常にこれはややこしい話ですが、せっかくの御提案ですから、検討さしていただきます。
  331. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日水曜日午前十一時理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会