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1981-04-16 第94回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十六日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 森中 守義君    理事 愛野興一郎君 理事 楢橋  進君    理事 三原 朝雄君 理事 渡辺 省一君    理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君    理事 田中 昭二君 理事 小渕 正義君       麻生 太郎君    今枝 敬雄君       太田 誠一君    北口  博君       久間 章生君    倉成  正君       藤田 義光君    保利 耕輔君       塚田 庄平君    細谷 治嘉君       鍛冶  清君    稲富 稜人君       小沢 和秋君    石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    弓削田英一君         建設省住宅局住         環境整備室長  中田  亨君         自治省財政局交         付税課長    能勢 邦之君         自治省財政局地         方債課長    持永 堯民君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       岩崎 雄一君         日本国有鉄道施         設局用地課長  高木 一匡君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   北村 義和君     今枝 敬雄君   八木  昇君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     北村 義和君   細谷 治嘉君     八木  昇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二一号)      ————◇—————
  2. 森中守義

    森中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に、通産大臣お尋ねいたしますが、産炭地域振興答申に基づきまして十年間の延長、こういうことになりましたが、昨年の予算編成段階におきまして、産炭地振興上重要な地方財政等の問題について大蔵原案の中ではカットされておりましたけれども復活等幾つかの成果を上げたことについて敬意を表します。  ところで、まずお尋ねいたしたいことは、この審議しておる産炭地域振興臨時措置法のほかに産炭地振興にとっては欠くことのできない重要な問題点があると私は思っております。  たとえば「福岡産炭地域の現状」という文書がございます。この文書の二十ページにこういうことが書いてあります。「最近、各種財政援助措置によって財政収支は大きく改善されつつあるが、これは五十一年度から措置された普通交付税における産炭補正に負うところが大きい。」こういう評価福岡県はしております。「しかしながら、特別な財政需要の要因が解消されたわけではないので、特別の財政措置が今後とも継続実施されない限り再び産炭地市町村財政が悪化することは必至と考えられる。」こう書いてあります。これから質問したいと思いますこの産炭補正について、福岡県はかなり大きな評価をいたしておりまして、今後もこれを継続してもらいたいという熱望を持っております。通産大臣もそのとおりお考えでありますか、お尋ねいたします。
  4. 田中六助

    田中(六)国務大臣 そのとおりでよろしいと思います。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 通産大臣もこの福岡県の認識のとおりだ、こういうことでありますので、具体的にお伺いをしてまいりたいと思います。  自治省審議官が見えておるようでありますが、いま問題になっておりますこの産炭補正というのは、五十年代に入ってから実施されたものであります。産炭地域振興というのは今日まで二十年もけみしております。そしてこれから十年間延長しようということであります。どうして一体二十年もたって——振興政策は十五年もたって、しかもこの産炭地振興臨時措置法に基づく財政援助措置等が、たとえば十条指定、十一条という問題は昭和四十年の初めに行われたのに、産炭地補正というのは十年おくれてやることになった理由はどこにありますか。
  6. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘のように、産炭地振興臨時措置法が設けられまして、各種産炭地振興のための、経済力回復のための特別な措置がとられてまいったわけでございますが、産炭地域市町村財政が、その後の経済情勢その他もあったかと思いますけれども、容易なことで回復をしない。特に、五十年代に入りましてからそういった財政力の困窮が顕著であるということから、自治省といたしましては、こういった産炭地振興に関するさらにより抜本的な政策が講ぜられるまでの間の一種のつなぎ的な措置ということで、いわゆる産炭地補正という制度普通交付税算定上設けまして、これによって市町村財政力のカバーをしてまいった、こういうぐあいに承知をいたしております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 産炭地域振興臨時措置法という法律に基づいて財政措置が行われるようになってから、十年間たってこういう普通交付税段階において財政措置をしなければならぬ、しかもそれが福岡県のこれによりますと高く評価されておる、こういうことでございますけれども自治省としては遅きに失したという認識はございませんか。
  8. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 自治省といたしましては、産炭地振興臨時措置法によるところの各種施策十分功を奏するということを期待しておったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、こういった特別措置ができてから約十年後において、特にそういった努力にもかかわらずなお財政力がきわめて衰退をしておるということから行ったわけでございます。そういう意味では、振興施策市町村財政力回復という点で、それまでの間に必ずしも十分な成果が上がらなかったという点は、私どもとしても考えなければならぬ点でございますが、五十年代に入りましてそういった措置をとることによって、先ほどお示しの福岡県の表にもございますように、市町村財政力支えをある程度果たしてまいったものと考えておるわけでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 私は法に基づく財政措置に期待をしておった。そして自治省としては、特別交付税等措置によって若干の支えをしてきたけれども、結果としては十分でないので普通交付税段階での財政措置に踏み切った、こういうことでございますが、そこでお尋ねいたしたい点でありますけれども、この普通交付税措置することは自治省令に基づいて行われておりますね。その自治省令を拝見いたしますと、五年間の省令、こういうことになっております。そして五年間は五十六年度、ことしで終わることになっております。そして最初は、ちょっと算式がありまして、一・〇ということでございますけれども、五十四年度には〇・七にする、五十五年度には〇・五にする、五十六年度、ことしは〇・三ですよというのが出発点でありました。ところが、この石特委員会なりあるいは地方行政委員会等でこの問題が問題になりまして、せっかくの財政援助というのが実を実らせるためには、五十四年度〇・七、五十五年度〇・五、五十六年度〇・三というのを当面〇・九でいこうという自治省令改正をいたしました。そういうふうに、私は本を読んで確認しているわけです。そうしますと、五十四年度、五十五年度は〇・七と〇・五であるべきものが〇・九で財政措置をしていただいたのでありますが、五十六年度は一体どうするのですか。省令ですからね、あなたの方の胸三寸にある。極端に言えばそういうことです。五十六年度はどういうファクターをお使いになりますか。〇・九でいくのですか、一でいくのですか、あるいは当初の予定どおり〇・三にするのですか。その辺はっきりしてください。
  10. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 先ほど申し上げましたように、産炭地に関するより充実した施策の改善が行われるまでの間のつなぎとして行ったものでございまして、当初の予定は御指摘のように五十四年、五十五年、五十六年にかけまして逐次算入率を減少せしめるということでございましたけれども産炭地市町村財政状況考えまして、五十四年に改正を行いまして、〇・九のまま五十六年度まで据え置くということで省令改正をいたしたわけでございます。五十六年度、すなわち本年度がそういう意味では省令最後年度でございますが、これに対してどのような措置を今年度算定においてとるか、こういうお尋ねでございますが、私どもの方としては、五十四年度にそういった考え方に踏み切ったこともございまして、本年度、五十六年度算定におきましては、五十五年度、五十四年度と同様の方式を維持して算定をいたしたいという考え方を持っておるところでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの法律がことしの十一月に切れるということでありますが、五十六年度現行法がまたがっていることは間違いないわけで、いまのお答えでは、五十六年度省令算式の〇・九というファクターを使う、こういうお答えであります。ところが、いま法律は十年間延長しようということをこの委員会で検討しているわけですよ。その場合に、この省令をどうするのか。これは一片の省令どころじゃなくて、産炭地振興にとっては福岡県が言っているように命である、糧であるような財政措置でございますから、先ほど大臣が言ったように、これなくしては困窮する産炭地市町村財政支えることはできない、こう評価されているわけです。どうお考えになっているのか、これから十年間どうするのか。言葉をかえて言いますと、五十七年度からだ。五十七年度のことを言うと鬼が笑う、こういうことじゃありませんよ。法律が十年間延長されることに伴って、これはきちんとしておかなければ、産炭地振興の実が上がらぬということになるわけであります。お答えいただきたいと思います。
  12. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 普通交付税におけるいわゆる産炭地補正は、先ほど申し上げましたように、普通交付税立場から申しますと、これはあくまでも暫定措置つなぎ的な措置ということで、ただ市町村財政状況も勘案をして、五十六年度までいまの〇・九、九割の算入ということで継続するということにしてきたわけでございます。当委員会におきまして、ただいま臨時措置法の十年間延長の法案を御審議いただいておるわけでございます。普通交付税の問題をこれに伴ってどうするかということでございますが、私どもとしては、先ほども申し上げましたように、かねてより、本来産炭地振興臨時措置法の体系におきまして強力な施策が講ぜられるべきであるということを期待しつつ、普通交付税においてそういったつなぎ措置を講じてまいったわけでございますが、今回の延長並びに予算措置等におきましても新たな措置が講ぜられております。  また、こういった措置の運用に伴いまして、産炭地域における広域的な発展のための計画といったようなものもこれからつくられてまいりまして、本来の目的でございますところの経済力回復という措置が講ぜられるわけでございますが、そういった動向、産炭地振興のための諸施策がどのように講じられるか、こういった動向なり、さらにあわせて、関係市町村財政状況、これはやはり全体的な財政の問題でございまして、これは自治省市町村財政全体の指導の責任を負っておるところとして大変関心を持っておるところでございますので、そういった状況も総合的ににらみ合わせまして検討をしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 審議官、抽象的にはそれでいいと思うのです、あなたの言葉で。ところが、それではいけないわけですよ。これは法律が十年延びるわけです。それで、通産大臣が言うように、この法律をやっていく場合の財政措置としての重要な柱であるこの問題については欠くことができないというのが通産大臣の言い分です。私もそう思っているのです。  そうなりますと、延長が決まった。その延長の中において、これから十年間、どういうふうな基本計画でいくのか、どういうふうな実施計画でいくのか、そういうものが決まった上で、特別会計で借金して配っておる普通交付税の厳しい総額の中において、どうやっていくかということをこれから決めるんだということでは、これはだめです。きちんと約束をしていただかなければいかぬ。幾らということは言わぬですよ。やはり続けます、こういうことを約束してもらわなければ、私は下がるわけにいかぬわけですよ。どうですか。
  14. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 産炭地市町村財政立場から申しまして、いままで講じてまいりました産炭地補正というものが相当の役割りを果たしてきたということは私もよく承知をしております。たびたび申し上げますように、より抜本的な本来の施策が講ぜられるまでの間のつなぎ的な策ということで行ってまいったわけでございますので、五十六年度までにつきましては、私も先ほど申し上げましたように、これを昨年、一昨年並みのやり方で実施するという考えお答え申し上げたところでございます。  しかし、五十七年度につきましては、現在の省令の上で五十六年度まで、こういうことになっておりますので、五十七年度以降どうするかということについては、これは率直に申しまして、私どもの方としても、本来ならば五十六年までということでございますけれども、新しい施策実施状況なり、特に市町村財政がいままでの補正に頼ってきた、仮にその補正を五十七年度以降行わないこととした場合にどういう財政上の影響を与えるのかというような点、そういった点も総合的に考量して、先ほど通産大臣からも補正継続を期待したい、こういうお答えがございましたけれども、ただいまの先生お尋ね趣旨等も踏まえまして、五十七年以降の産炭地補正の適用については十分検討してまいりたいというふうに思います。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 十分検討してまいりたいということでわかったような気がするのでありますけれども、近ごろ大蔵省が地方よりも国の財政の方が厳しいんだとしきりに言っております。産炭地事情はわかるけれども、それ以上に交付税総額が厳しいんだ。こういうことでは困るわけですよ。  私が質問しておる趣旨というのは、算式について一・〇というのが省令の常識でありますけれども経過措置として〇・七、〇・五、〇・三とやっておったのが、委員会等の要望もあって、これを〇・九という不安定なファクターで十年続けるということはできませんけれども、それを一・〇というような、きちんとした安定した算式にすべきだと私は思います。少なくとも同等あるいはそれ以上の財政支えというものを普通交付税を通じてやっていただかなければどうにもならない、こう私は思っております。審議官の答えをいただく前に、私の思っていることはそう受けとっているか、石炭部長に一言お尋ねしておきたい。
  16. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘のように、産炭地域地方財政、この問題がこの地域経済的社会的疲弊というものを回復する上に一つの重要なポイントになっておるという点は、私ども十分認識をいたしております。私どもも、御審議いただいております産炭地域振興臨時措置法によります十条あるいは十一条等の措置も講じ、さらにまた臨時交付金等措置も講じ、それで、本来目的といたしております地域経済的社会的疲弊経済生活基盤回復ということに遺憾なきを期すると同時に、また困窮いたしております地方財政、これをどのようにしていくか、この法律自身は、公共事業等基盤整備を進めると同時に、財政力の弱い地域を対象にしていくという組み合わせた考え方実施をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、昭和四十年代に入りまして終閉山がかなり集中して起こってまいったということが、特に産炭地域財政力疲弊ということを招いたわけでございまして、そういう意味で、四十年当時からこのような制度を続けていただいておるわけでございますが、今後十年間を延長してまいりますときに、これは自治省の御判断にかかっておるわけでございますが、産炭地振興が、この法律目的が達せられるということのために、自治省立場として、地方財政の方からの支援ということも、私どもお願いもいたしたいと考えておるわけでございまして、その点、冒頭大臣お答え申し上げた趣旨もそのようなかっこうで、もちろん財政の制約等々もございますけれども、その許す範囲で財政支援お願いをしたいというのが、冒頭大臣が申し上げた趣旨であると考えておる次第でございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省審議官、私は、今度の産炭地振興の十年というのはもう最後延長だと思うのです。いままで何遍か延長措置をとってまいりましたけれども、これが最後だろうと思うのですよ。この十年間に産炭地経済回復できるかどうか、産炭地住民生活が維持できるかどうかはこれにかかっておると思うのであります。そうだとするならば、大変重要なものについては、交付税総額は苦しいけれども、私が言うように少なくともいまの省令に基づく暫定措置、〇・九、算式は変えるにしても、それと同額あるいはそれにまさる財政措置をしていただかなければどうにもならない、せっかくの今日までの措置が水のあわになる、こう思いますので、清水の舞台から飛びおりる決意をしなくてもできることなんですから、ひとつ明快な答弁をお願いしたいと思う。
  18. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 たびたびのお尋ねでございまして、細谷先生産炭地域問題に対する深い御理解、あるいは地方交付税上の措置がいままで重要な役割りを果たしてきたという点につきましての御高説、私も十分拝聴いたしました。新しい施策等発展状況といったものも考える必要がございますが、そういった施策の推進を支える上で普通交付税上の措置が引き続き必要であるかどうかということにつきましては、そういった点を含めまして、ただいまの先生のたびたびのお尋ね趣旨を十分踏まえて、五十七年度以降、この補正の取り扱いについて私の方もよく検討してまいりたいと考えるところでございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの言葉を聞いておりますと、前向きのようでありますけれども、ところどころ気にかかる言葉が入ってくるわけですよ。ですから、私が言ったことを、そのとおりですとか、そのとおりでないというふうにお答えしていただいた方がはっきりしますから、そういうふうにお願いしたいと思うのです。私が言いたいことは、この産炭地振興法の十年間の延長に伴って、いま基本計画実施計画等が行われる、そういうものを見つつ、それから産炭地財政の実態、こういうものも勘案しつつ、今日までやってまいりました普通交付税等投資補正については、具体的に五十七年度以降措置します、そういうことを総合的に勘案して五十七年度以降措置します、こういうことが私の主張でありますから、この主張をお認めになりますか、お認めになりませんか、イエスかノーか、そのことだけ言っていただけばいいのです。
  20. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 地方財政全体の状況、特に地方交付税総額の確保という点につきましていろいろ私どもとして苦心を払ってきたところでございまして、その事情先生もよく御承知いただいておるところでございます。そういう状況の中で、私も、産炭地に関する市町村財政の問題がきわめて重要であるということはよく認識をいたしております。先生お尋ね、特に市町村財政立場からこの補正継続が必要であるという御主張十分認識をした上で検討いたしたい、こういうように考えます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも不満足でありますけれども、この問題は時間の関係もありますからこの程度でとどめて、矢野審議官言葉は文字どおり誠意ある国会におけるお答えだ、こういうふうに受け取って次に入りたいと思います。  石炭部長にちょっとお尋ねいたしますが、現在までこの法律が施行されている期間に、新しく石炭を出すことになりました幾つかの市町村についての法律上の指定等についてはどうなっておりますか、お答え願いたい。
  22. 福川伸次

    福川政府委員 この地域指定に関しましては、法律が制定されましてその当時、財政力指数それから石炭鉱産税状況等、いわゆる産炭地であるかどうかということを判断いたしまして指定され、その後一部、地域によりまして、たとえば生活保護率の見直し等々で若干の追加がございましたが、いま先生お尋ねの、新しく鉱山が開かれることに相なった、そのことに伴っての地域指定追加があったかというお話でございますれば、それは当初指定いたしましたところの地域のその周辺で新たに鉱山が開発されておりますので、そういう意味から言って、処女地と申しましょうか、新規の地域指定になったということはないと記憶しております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 前段で答えましたね、石炭を掘っているからその市町村指定だ。私が言っているのは二条指定じゃないのですよ、六条指定のことを言っているのです。それと、十条指定というのはこれは後でつけ加わったわけでありますけれども、私がお聞きしたいことは、釧路のような、日本でも有数の石炭を出炭しているところでも六条指定になっていないところがあります。たった一つですけれども釧路がその例ですね。釧路財政力指数というのが一つのあれで六条指定になっていないと思うのですけれども、十条指定であることは間違いないのです。  私がお尋ねしているのは、町村等財政力指数についてもあなたの考えておる物差しにもぴしゃっと合いながら、その後指定追加していないというわけでありますから、その後に石炭が現実に出るようになった、たとえば福岡県にはあります。三池郡の高田町あるいは山門郡の大和町、こういうところは石炭がその後出て、そして鉱産税がその市町村に入っていっているわけですよ。そういうところの指定はどうなっているか、六条なのか、十条なのかあるいは二条なのか、これをお聞かせいただきたいわけであります。
  24. 福川伸次

    福川政府委員 御承知のように、この地域閉山による著しい疲弊ということで六条で指定をいたしておることになっておりますものですから、ここで新たに石炭が産出されるということになったといたしましても、いまのところそれは指定の要件には入っていないものと考えております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 閉山したところ以外は六条を指定しないのですか。おかしいですよ。私が住んでいる大牟田は閉山してませんよ。閉山してませんけれども六条指定になっているのです。その隣にある高田町が今度は石炭が出ているのですよ。そこが変わってない。その向こうの方にある大和町というところも石炭が出ているのです。鉱産税が入っているのです。それも指定を変えてない。おかしいでしょう。閉山でなければならぬですか。閉山ならおかしいですよ。法律が発足して指定していったとき……。おかしいですよ。
  26. 福川伸次

    福川政府委員 どうも失礼いたしました。  これは特に象徴的に閉山になった場合の疲弊度が高いということで申し上げたわけでございますが、現在、石炭鉱業の不況により疲弊の著しい市町村指定するということになっておりますので、その疲弊度に応じまして六条地域指定をするということでございまして、そこの基準で考えたいというふうに思っております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 私が聞いているのは、考えたいじゃなくて、いま私が具体的に挙げたこの二つの町は十条の指定ですか、二条の指定ですか、六条の指定ですかということをお答えいただけばいいのですよ。
  28. 福川伸次

    福川政府委員 いまお尋ね高田町と大和町、いま私もちょっと正確に記憶いたしておりませんが、早急に調べさせておりますが、私の記憶であれば、たしか十条の指定になっておると思います。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 私も、一つは十条の指定になっておると思います。というのは、補助率のかさ上げの対象になっておりますから、これは十条です。六条の指定でないことは間違いありません。もう一つの方は、これは二条でも六条でもないはずですよ。これは問題がある。言ってみますと、最初にやったとおりで大きな変化は起こっておりませんけれども幾つかの市町村産炭地や何かになっても全く知らぬふりをしておったというのが実態じゃないかと思いますから、それではやはり困るのじゃないか、こう思います。いかがですか。何かお答えがありますか、なければ次へ進みますが。
  30. 福川伸次

    福川政府委員 失礼いたしました。  高田町の方が十条の指定でございまして、大和町の方は二条の指定でございます。これは財政力指数等のいわゆる指定の基準に照らしまして、私どもとしても検討をいたしたいというふうに思います。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひひとつ検討して不均衡のないようにお願いしたいと思います。特に十条と六条ではかなり取り扱いが違います。二条の指定なんというのは、法律で二条の指定指定と言いますけれども、中身は何もないのですから、二条の指定なんというのは。中身のあるのは十条か六条しかないのですから、ひとつそういうことに落ちのないようにやっていただきたいと思います。  そこで、この問題に関連いたしまして、自治省審議官石炭が出ているところに対しては鉱産税というのが入ってまいります。しかし、石炭が二千万トン体制ということでありますから、金額といたしましては恐らく全国的に鉱産税というのは二十億程度でしょう。二十億程度でありますけれども、しかし数少ない、現実に石炭が出ておる産炭地市町村にとってはこれはもう大変な貴重な財源であります。  この貴重な財源について私がお尋ねしたいことは、先ほど普通交付税措置投資補正のことについて聞いたわけです。交付税というのは、その市町村が幾らもらうかというのは、基準財政需要額と収入額との差額が交付税になる、これが交付基準になるわけでありますから、先ほど私が質問したように、需要額を投資補正でふやしてもらうか、ふやしてもらったけれども収入額を上げてしまえばもとのもくあみ、交付税一つも入ってこぬ、こういうことになります。そうだとするならば、交付税を通じて財政支えてやるという場合には、基準財政需要額は動かしませんけれども、収入額について適当な減額措置をとってやりますと、その分だけ財政上の支えになることはもう明らかであります。  ところで、私がお尋ねしたいことは、そういう産炭地の実情から、理論上は問題点があると思いますけれども、私のかつての質問に当時の自治省の担当者は、交付税計算上は問題点があるけれども、実態上やむを得ずこれを措置しているのだ、こう言っているわけですがね。鉱産税は普通の交付税計算における基準財政収入額に対して〇・七を掛けておるのですよ。言ってみますと、〇・三分だけ交付税をよけいもらえるような仕組みに現在なっております。これはお認めになりますか。
  32. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 産炭地市町村における鉱産税の収入につきまして、基準財政収入額を算定するに当たり、普通交付税としてはお示しのように大変例外的な措置ではございますが、これをそのまま対象とせずに、〇・七五であったと思いますが、〇・七五だけを算入するという措置を講じております。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 私は〇・七と申し上げたのですが、〇・七五、たしかそうであったと思います。  いずれにいたしましても、例外的な措置、こういうものをいたしております。これは省令でやっておりますけれども、五十六年度以降、今後、法律が十年間延長されるのに伴ってどうしようとするのか、これも産炭地域の重大な関心事でございます。特に石炭が出ているところ、しかもいまエネルギー問題、そのエネルギー問題における石炭の位置づけというのがだんだん重要視されて、石炭火力発電所というのも増設をかなりのスピードでされようとする状況の中でありますから、大切な問題だと思うのであります。どうしようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  34. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 大変例外的な措置として講じておるところでございますが、鉱産税の収入というものはおっしゃるように金額はごくわずかでございます。基準財政収入額ベースでは二十億足らずというお示しのとおりの数字でございますが、しかし、それにもかかわらず、これが特定の市町村に集中しておるということから、こういった収入上の特例措置を講ずることは、これらの市町村財政状況から見てやむを得ないところと考えております。したがいまして、今後におきましても、当面の措置としては、この算入方法を変えるということは考えていないところでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 ありがとうございました。予想に反して、こちらの方は考えておらぬと言って、一番先のときはしきりに渋っておったのですが、これは両方とも欠くことのできない問題です。収入額の算入についてきわめて明快な言葉をいただいたのですから、同じように、繰り返しますけれども事業費補正もやっていただきたい。  そこで、時間も余りありませんので、もう一つお聞かせいただきたいと思うのですけれども産炭地域振興臨時措置法の十条指定に基づく十一条のかさ上げ方式については、この委員会でも特段の議論がございまして、現行法では標準方式のほかに特別方式という計算方式が後で追加されました。それだけではどうにもならないので、言ってみますと特定の公共事業を、六%以上でなければなりませんけれども財政的には結核の第三期状態にあるような、寝ておるような状態のところでありますから、特定の公共事業をやった限りにおいてはひとつこの補助率のかさ上げを適用しよう、こういうことになっております。特定の公共事業をやったら六%までという一つ段階と、六%から一割までという段階と、一割以上という標準方式の段階と、三段階に分かれております。  そこで、ひとつ石炭部長お尋ねします。その三段階のうち、ゼロから六%までの措置石特会計の原資によるのか、一般会計原資によるのか。この問題については、法律の標準方式、特別方式のほかに、改めて法律は設けないけれども法律改正したと同じような形でやるという、当時の通産大臣の答弁があるわけですよ。答弁をごらんになっているかもわからないけれども、答弁があるわけです。これについてどう扱うつもりか、お聞かせいただきたい。
  36. 福川伸次

    福川政府委員 いまお尋ねの点でございますが、確かにその実施率の百分の六、六%までの分につきましては、法律上のかさ上げ措置ではございませんで、私どもの方では石炭対策特別会計の方の予算をやりくりをいたしまして、その引き上げ率を二〇%から二五%の範囲で引き上げるという措置を予算上講じておるわけでございます。私どもとしては、本来この公共事業等の措置は、この法律によりまして、それぞれの事業所管の省庁においてそのような措置が講じられることが適切だと思っております。産炭地のこのような特別な事情を考慮いたしまして、私どもも、予算上石炭対策特別会計措置をいたしまして、その事業の実施が低い市町村につきましても、財政力が弱いというものについての助成を講じておるわけでございます。これは予算上そのようなかっこうでも執行ができますので、私どもとしても、今後ともこのような措置を引き続き実施していくということで財政当局とも十分かけ合い、最善の実施の努力をいたしたいというふうに考えております。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 私も奇妙に思っているのですよ。法律に書いてある十一条の六%から一〇%まで、一〇%を超えた分についての補助率のかさ上げ措置というのは、石特会計のいわゆる重油の関税の部分の原資じゃなくて、一般会計原資から出ておるわけです。ゼロから六%分については法律改正したと同じようにすると言っておりますけれども、原資は石特会計から出ておるわけですよ。これはおかしな話だと思うのですね。  しかも私が心配しているのは、いま十四兆五千億の補助金、これを来年度予算編成上どう減らすかという補助金カット問題というのが行革の中において出てきておるときに、とにかく、十一条の補助率のかさ上げというのが二つの原資になっておるということもおかしな話なんですよ。そうしますと、二つに割れておりますから、攻撃のかっこうの材料になって、弱点をさらけ出すのではないかと思うのでありますが、通産大臣、これについてどうお考えでしょうか。
  38. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私は、産炭地の社会的経済的な疲弊状況を完全に回復するという目的が私ども考えでございますし、この法律趣旨ではないかと思います。したがって、中が一般会計あるいはその他に分かれておろうがおるまいが、その趣旨は貫かなければなりませんので、カットする場合には、こっちをカットする、こっちは守るというような考えはなく、これの完遂に、あるいはカットするというようなことのないように私どもはやろうというふうに思っております。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 実態が実態でございますから、私が申し上げるまでもなく通産大臣御存じでありますから、がんばって努力していただきたい。  矢野審議官お尋ねしたいのですが、私は常々、この十一条の算式が三段階になったのは、そもそもかぎのかけ方が最初どうも正確じゃなかったんだ、こう思っておるわけですよ。あなたが担当している新産、工特地区における財政援助の問題あるいは首都圏、近畿圏、中部圏の財政援助の問題、これはまさしく産炭地と同じ方式であります。もう一つ地域振興政策としての援助措置というのは、離島振興の問題あるいは過疎地域の問題あるいは公害防止事業についての問題、同和対策の問題、こういうものは違った形でやられておるのです。  私は、こういうような経済が落ち込んだところのあれはやはり過疎地と同じような、あるいは離島と同じような方式をとるべきであったのではないか、こう思っております。けれども、今日まで十年間歴史を経過した中においてこれを変更するということは、やはり激変が起こりかねませんから、それはやはりせっかく軌道に乗りつつある産炭地域振興を進めていくために好ましくないことでありますから、今日この段階ではやむを得ないと思うのでありますが、残念ながら、いろいろ努力して補強をしてきましたけれども、弱点があります。  それはどういうことかといいますと、法律の九条に基づく産炭債というものが、県に対しては利子補給がございます。けれども市町村に対してはないのであります。ですから、産炭地の六条の市町村の人たちに聞きますと、地方債をどうやっていただいても、残念ながら現行法ではもうみんな借金でひっかかっているんです、自治省指導の枠を超えてしまうのですから、どう改めようともう借金、地方債を許可していただけないんです、こういうことなんです。あきらめてしまっているんですよ。そのあきらめは早い、何とか解決してやらなければいかぬと思う。  その方法は、いま申し上げた同和なりあるいは過疎の問題なり、離島の問題なりあるいは公害防止と同じような形において、地方財政法五条の規定にかかわらず地方債を許可してやることが必要だと思います。仮の名前、たとえば産炭地振興債、最後の十年間でありますからそういうものに踏み切らなければ、この弱点を補強することはできないと私は思っておるのでありますが、審議官どうお思いになりますか、お答えいただきたい。
  40. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘のように、産炭地に関する国の財政援助の特例措置につきましては、新産、工特やあるいは大都市圏に関する措置と同様に、市町村に対しましては財政力と事業量に応ずる補助率のかさ上げ、府県に対しましては地方債の利子補給、こういういわば同じパターンの方式で行われておるわけでございます。これはいろいろ御議論はあるかと存じますけれども、基本的には、産炭地域におきましても確かに落ち込んだわけでございますが、経済力回復ということを目標にしておるというようなこと、新産、工特等におきましても、若干異なりますけれども、やはり辺地、過疎などの場合とはパターンが異なるというようなことから、同様の方式をとったものと思われるわけでございます。  ただ、産炭地につきましては、お示しのように、そういった一般的な算式だけでは不十分であるということから特別算式が設けられ、さらに法律上の措置ではございませんけれども、実質的にこれと同様の措置でこれを補完していって、財政力というものに余り大きなウエートを置かないでかさ上げを行うという形になったわけでございますが、お示しのように、辺地、過疎債のような産炭債を設けるということにつきましては、先ほど申し上げましたような、やはり産炭地域振興制度の基本的な性格から考えて、もともと、本来経済力のない過疎地域等において立ちおくれた施設整備を行うための特別の地方債という形で設けたものとは、性格を異にすると考えておりますので、そういったものと同様な産炭債を設けることについては、私どもとしては考え方は持っていない、消極的であるとお答えをせざるを得ないわけでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお言葉の中に、過疎地等については財源がないのだ、こういうことなんですよ。産炭地はちょっと違うんだというけれども審議官産炭地の実情についてやや甘い見方をしているんじゃないか。過疎の地帯というのは、住んでおった人がいなくなっちゃって、その家は腐っていっている。産炭地の方も、そうじゃなくて、そのごみ、よどみというものが残っておるわけですから、あなたが言うような特別な財政事情というのがあるわけです。しかもそれは、借りようとしても、地方債を許可しようとしても二〇%という限界がありますから借りられない、こういう状況であります。  この問題について産炭地が望んでおることは、借りようとしても借りられない現行法に対して、九条による、地方財政法五条の規定にかかわらず地方債を発行することができる、そうしてその上で——返すときに元利償還について交付税で見てくれとまで私は言っていないのですよ、いまは。いまは言っていないのですけれども、少なくとも地方財政法五条の規定にかかわらず地方債を発行する、九条の問題ですよ。法律の九条の問題についていわゆる産炭債を発行するということぐらいは踏み切っていただきたい。これをひとつきょうは正確に答えることができないのなら、真剣に検討していただきたい。これを強く要望をして私の質問を終わりますが、言いたいことがあったらここで言ってください。
  42. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 細谷先生の御議論、私どもよく拝聴いたしております。ただ、地方財政法五条の特例を設けるということ、そういった地方債を認めるということはきわめて重要な問題でございます。私ども先ほどお答え申し上げたとおりでございます。この点もあわせて、そういった地方財政法五条の規定による地方債の問題もひとつ十分お考えをいただきたいと思うわけでございます。なおよく研究をいたします。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっと、お考えをいただきたいと言うけれども、私は考えてきちんと言っているわけです。あなたの方に考えてもらいたい、こう言っているわけです。  終わります。
  44. 森中守義

    森中委員長 塚田庄平君。
  45. 塚田庄平

    ○塚田委員 私どもの党としては最後の質問でございますので、若干いままでの質問と重複する点等もございますが、それは確認の意味の質問ということで、この際ひとつ正確に通産省の見解を承りたい、このように考えております。  まず大臣、今度、二十年間やってまいりまして法律がさらに十年間延長昭和四十六年に延長がありました。このときの延長は、いままで十年やってきたけれども、十分その目的を達成できなかった。そして特に今度は、産業基盤の整備あるいは企業の誘致あるいは地方財政援助の強化あるいはまた地域の環境の整備等を挙げまして、これらの問題を計画的に目的達成ができるように強力に推進しなければならぬ、こういう審議会の答申をいただいておるわけです。今度、さらに十年たちまして新しく出発する。  これは私見ですけれども、今度の出発は前の延長とは若干質的な相違を来しておるのではないか。そういう面において、私は単純延長ということについてはいささか抵抗を感じておるのですけれども、いずれにしても、単純延長にしましても、その単純延長を審議会はどのように受けとめているかということにつきましては十分御承知だと思います。そこで大臣は、今度の延長について実質的に単なる法の延長じゃなくて、こういう点とこういう点とこういう点をわれわれは従来とは違った観点からとらえて、しかも重要な決意で遂行していくのだという幾つかの点について、大臣の決意を込めた考え方をひとつ述べていただきたい、こう思います。
  46. 田中六助

    田中(六)国務大臣 過去二十年間の法律でございまして、いまから十年間の延長お願いしているわけでございますが、六条指定、二条、十条指定とかいろいろございまして、社会的経済疲弊が著しいという判定を下しているわけです。石の上にも三年と言いますけれども、これは三十年にわたる法律になるわけでございまして、過去のいろいろないきさつはございましても、今回の十年間というのは最後にしなければならない。したがって、過去二十年間のこの振興法の反省をやはりしなければならぬ。しかもその反省は、非常に微に入り細に入り分析した結果を踏まえてのことでなければならないと考えております。     〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕  したがって、それは私ども、中央の各省の連絡会をより以上緊密にし、また、地方の時代とかいろいろ言いますけれども関係道県、それから市町村といった地方の意向を十分尊重すると同時に、私がかねて考えておりますように、産炭地そのものの住民あるいは自治体の自主的な判断、それから協力、自助努力と申しますか、そういうものを十分勘案した上の決意、つまり政府並びに中央、地方のリードする主体性と地域住民との考え方が全く一致して、それが大きなエネルギーになっていくというようなものがなければ、端的に申しますと、法律を何年延長しても、ただだらだらといくだけではないかという懸念がございますし、ここには国民の金と申しますか全体の一つの大きな予算の裏づけというものがあるわけでございますので、私は、そういう地方の自治体の一つの動きと、中央の微に入り細に入った各省との連絡協議が合体した協力のもとに推進されなければならないというふうに考えております。
  47. 塚田庄平

    ○塚田委員 そこで、二十年間やってまいりました。それぞれ基本計画実施計画が立てられてきましたけれども大臣、この基本計画実施計画の実績というか、その計画自体の遂行状況というか決算というのを一体つかんでおるのかどうか。これは、大臣につかんでおるかと言うのは失礼な言い分ですけれども、一体当局はこの点について十分な確信のある資料を用意しておるのかどうか、この点どうですか。
  48. 福川伸次

    福川政府委員 御承知のように、産炭地域指定につきましては、石炭への依存度と経済的社会的な疲弊を象徴いたしますいわゆる財政力指数あるいは生活保護率といったようなものを指標にして地域指定いたすわけでございます。     〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕 さらにそれは、振興実施計画あるいは基本計画の中では、社会的な疲弊を解消するために必要な産業の振興あるいは産業基盤及び生活基盤の整備といったような方向を示しておるわけでございまして、このこと自身には定量的なものは出しておりませんけれども、参考といたしまして人口あるいは生産所得、工業出荷額等の計画値を示しておるわけでございます。しかし、これにつきましては、統計資料等にいろいろな制約がございまして、いま申し上げた工業出荷額、鉱業生産額等々あるいは生産所得といったようなものの統計につきましては、必ずしも私どもは最近時点に至るまでの数字をつかんでいないのが実情でございます。  もちろん、財政力指数あるいは生活保護率等々の状況は新しい統計が出ます限りにおいて把握をいたしておりますが、出荷額、生産所得等につきましては、統計の制約もございまして数値は若干おくれぎみでございます。  これは大変古いもので恐縮ではございますけれども、いま申し上げた工業出荷額、生産所得等々のものについて見ますと、おおむね八〇%程度の状況にいっているのではないか。五十七年度計画値を目標にいたしまして、現状等を趨勢的な形でつないでみますと七、八〇%程度の状況に来ているのではなかろうかというふうに判断できるかと思っておりますが、そこにはいま申し上げましたように、まだかなり統計上の制約がございます。  したがいまして、本来地域指定につきます社会的な疲弊あるいは経済的な疲弊状況の数値は、別途最近時点まで把握できますが、いま申し上げましたような産炭地振興経済的な諸指標というのは制約があるというのが現状でございまして、今後ともその把握には十分努めなければならないと思っております。
  49. 塚田庄平

    ○塚田委員 いま答弁をいただきましたが、これから十年、先ほど細谷君からの質問の中で、恐らくこれが最後になるだろう。私は、毎年毎年とは言いませんが、少なくとも二年ないし三年くらいで計画をフォローアップしていくことは必要なんですよ。そしてそのフォローアップのためには、やはり実績というものが常にその前にあって、それを見ながら将来を展望する、これがフォローアップのはずなんです。  ところが、いままでそういうことが十分なされておらない。いま私どもの手元にある資料の中では、昭和四十九年の実績、五十七年の計画、そして五十二年について若干の数値というか、これが並んでおるだけなんですよ。一体その他はどうしたのか、こう言いたいんですね。実施計画は生みつ放し。この二十年間でたしか三回改定があったはずですよ。その改定だって実績に基づいた改定ではなくて、ただ字面の羅列なんですよ。  読んでみますか。たとえば北海道のように、石炭の生産面においてこれから復興しなければならぬそういう地帯について、「今後も地域の基幹産業として現稼行炭鉱周辺の石炭資源の活用等により石炭鉱業の安定を図る。」この字面一片なんです。こんなことで本当に地域振興ができるかどうか。しかも実績は押さえてない。だから、これからはこういう反省の上に立って、少なくともこれから十年間については、二年くらいを限度にして実績を踏んまえて逐次フォローアップし、そして十年後にはこうだという確信のある計画推進をやってもらいたいと思うのですが、大臣はどう思いますか。
  50. 田中六助

    田中(六)国務大臣 御指摘のように、ローリングレビューと申しますか、実行したらすぐそれを分析してまた次に行くということ、つまりフォローアップということは、私ども、十年間というと長いようでございますけれども、あっという間にたつ可能性も十分ございますので、その点は委員おっしゃるように、これからそういう点を踏まえて検討していきたいと思います。
  51. 塚田庄平

    ○塚田委員 時間もありませんので、次へ移ります。  今度の答申の中で重要な問題の一つは、広域的な発展計画をつくるのだ、これは道県の段階でつくるという答申がありますね。これはやはり今度の十年間延長の中で一つの大きな特徴的な点じゃないか、こう思います。そこで今度の答申、新しい出発に際して、もちろん基本計画を直ちにつくりますね、それに基づいて実施計画をつくりますね、それから各自治体の協力を得て広域的な発展計画をつくる。まずこの三つ、発展計画それから実施計画基本計画を直ちにつくるかどうか、これをひとつ答弁願いたいと思います。
  52. 福川伸次

    福川政府委員 いま御指摘のような手順でつくることになるわけでございますが、基本計画及び実施計画を策定いたします場合に、関係地方公共団体の意見を十分吸い上げて、それを基本計画あるいは実施計画に反映させることが重要だと考えます。したがいまして、手順といたしましては、関係道県が関係市町村の意見を聞きながら、それぞれ地域発展計画の素案をつくっていただく。それは私どもキャッチボール方式で、私どもの意見も参考にしていただくように述べ、また、道県は関係市町村の意見を十分吸い上げていただくということでつくることになろうと思います。それを基本計画及び実施計画に反映させまして、基本計画及び実施計画ができますれば、今度はそれをもとにして、実施上のプログラムというような性格のものとして地方公共団体が地域発展計画をつくっていく、こういうことになっております。  関係道県によりましては、この地域発展計画の素案づくりにすでに着手しております。御承知のように、新法は十一月からでございますが、事前準備といたしましてすでにその準備を始めております。したがいまして、私どもとしては、なるべく早く、また特に場合によりましては、来年度の予算要求にも絡む事項もあろうかと思いますので、そのことも念頭に置きながら、関係道県の地域発展計画の素案づくりをなるべく急いでお願いしたいと思っております。今後、法律が成立をいたしました場合には、十一月から新法の方になりますけれども、なるべく早く、遅くもこの年度内には基本計画あるいは実施計画をつくる。さらに直ちに地域発展計画に反映させていくという手順で、できるだけ早く進めるように関係道県と連絡協調をいたしたいと思っております。
  53. 塚田庄平

    ○塚田委員 実は昭和五十七年度の予算要求はもう始まっております。いままではサマーレビューというのがありまして、大蔵省あたりでは夏からということだった。いまはスプリングレビューと言いまして、急いでおります、これは行革との関係があると思いますが。どうもそういうテンポからいうと、まあ今年度いっぱいで基本計画実施計画では、少なくとも一年間はむだになるんじゃないですか。そうなるんですよ。  それから各地域発展計画と言いますけれども、たとえば北海道を例にとりましょう。北海道には閣議決定された開発計画というのがあります。これは、北海道には十四の支庁がありまして、ずっと吸い上げてきて、そして閣議で決定しております。恐らく広域的な発展計画は閣議決定事項じゃないと思うのですけれどもね。そうしますと、北海道の例をとりますと、開発計画というものはやはり重みを持つ。その中から産炭地、広域的な問題をピックアップしなければならぬわけですよ。これは大変な作業だと思うのです。それは可能かどうかということさえ私は疑うのです。閣議決定される、されないは別にしまして、各道県においてもそれぞれの開発計画があると思うのです。これは閣議決定はないと思います。北海道は開発法に基づいた閣議決定ですね。そういうことが二重三重に重なってくる。しかも予算要求はスプリングレビューで、早く、そういう中で作業の手順として間に合うように一体どうやるのか、私は不思議でしようがないのですけれども、その点、大臣の確信のある答弁をいただきたいと思うのです。
  54. 田中六助

    田中(六)国務大臣 実施計画、あるいはいろいろな三つの計画を私どもは次々に展開していかなければなりませんけれども、これは口でそういうことを言っても、口で言うだけでなく、これを本当に実行に移さなければなりませんし、実は表向き出てない面もございますのは、各省の連絡会議というものは何回やったというようなことは出ておりませんけれども、すでに非常に頻繁にやっておるわけでございます。したがって、これらの諸計画についても過去の二十年間を十分反省して、先ほども申しますように、これから先の十年間というものがあっという間にたつ可能性が十分考えられますし、それからもう一つは、私がいつも心配するのは、原重油関税から来る石炭勘定関係でございますけれども、これとても、予算の財政再建とかいろいろなことがございますので、余り乗っかっていろいろ行くということについての懸念もございますし、計画を緻密にやって、先ほど委員指摘のように、つまりレビューというものを常にやっていくということを心がけて、緻密な計画実施していきたいという決意を強く持っております。
  55. 塚田庄平

    ○塚田委員 いま大臣の答弁がありましたので、そういう決意が実際に実行できることを期待しながら、時間もありませんので次の質問に移りたいと思います。  さて、広域的な発展計画でございますが、これは地域の実情に応じて目標を設定したり、あるいは発展の方向を設定する。各地域の特殊性がありますから、それぞれ異なった方向だろうと思います。そうして今度の答申の中で、十年間を待たなくても一定の水準になったら、悪い言葉で言うと卒業、あるいは足切り、こう言う人もいますけれども、そういうことでどんどん一般的な対策にゆだねていく、こういうあれになっておりますけれども、卒業基準の指標を一体どこに求めておるか、それをひとつ御答弁願いたいと思います、これは恐らく何遍も質問されておると思いますが。
  56. 福川伸次

    福川政府委員 産炭地域の九地域幾つかの経済生活圏に分けまして、それぞれの地域の特性を発揮させながら、その経済的社会的な疲弊を解消していこうということでございまして、御指摘のように「産炭地域振興対策の目的を達成したと評価される経済生活圏に属する市町村については、必要に応じ経過措置に配慮しつつ、一般的な対策に委ねることにより自立的かつ恒常的な発展への道を歩ませるべきである。この場合の評価は、地域指定の基準を勘案し、地域振興の実態を端的に表わす内容のものによってなされるべきである。」という御答申をいただいておるわけでございます。  この指定の解除の基準、考え方は、今後産炭地域振興審議会で御審議をいただくつもりでございますが、私どもいま考えております点は、地域指定のときの基準、端的に申しますれば財政力指数を中心にして考えたいというふうに思っておるわけでございます。もちろん、地域によりまして地域の特性を発揮する形で、振興施策の内容というのはそれぞれ違った形で出てまいりますが、私どもとしては、この答申の趣旨にもありますように「端的に表わす」ということから、いま考えておりますのは、財政力指数を中心にいたしまして、それで全国としてこれを一律の指標としてとりたいというふうに思っております。  もちろん、地域指定の中には六条地域あるいは十条地域、二条地域といった違いがございますが、経済的社会的な疲弊の著しい六条地域、これの回復がなされたかどうかというのが、その地域発展計画を一般の地域開発政策にゆだねていいかどうかということの基準になろうかというふうに思っておりますので、私どもとしては、現段階では六条地域におきます財政力指数、もし必要があれば生活保護率等若干補整的な要素は必要になろうかという気もいたしておりますが、一応財政力指数を中心にいたしまして、全国一律の考え方で対応をいたしたいというふうに考えております。
  57. 塚田庄平

    ○塚田委員 いまの答弁で、まず六条指定を中心にする、つまり六条から外れるところを卒業させていくというのですね。二条、十条、こういうものを、平均値じゃなくてまず六条を中心にしてこれを卒業させる。まあ六条を卒業というのはおかしいのですが、そこを見るのだということですね。その際に財政力指数というのが一つの指標になるということですが、私は不満ですね、この財政力指数一本で、一本というか、これを中心に見るということは。  もちろん財政力指数も必要です。だけれども、もっと見なければならぬようないろいろな問題があるんじゃないですか。たとえば鉱工業の集積度はどうですか、あるいはまた生活保護率はどうであるか、あるいは人口はどうなったか、あるいは求人倍率はどうか、やはり幾つかの指標を総合的に判断する体制でなければ、ただ財政力だけで卒業かどうかということでは、実際問題として私は少しラフではないかと思う。これだけでは判断のできないところが特に北海道あたりありますよ。天北とかあるいは留萌とか、何で判断するのですか。中間都市はない、そう考えますと、単に一つだけじゃなくて、やはり三つないし四つくらいの指標というものをきちっと定めなければならぬのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  58. 福川伸次

    福川政府委員 いま私も若干舌足らずであったかと思いますが、それぞれ経済生活圏には六条市町村、これが必ず入る。それで、自治省でいまお進めになっておられます広域市町村圏の考え方、あるいは建設省がお進めになっておられます地方生活圏の考え方、これを組み合わせて考えていきたいということでございまして、私どもも、産炭地域経済生活圏の考え方といたしましては、自治省でお進めいただいております広域市町村圏を一応最小の単位としてこれを複数組み合わせていく。そしてそれぞれの地域特性を発揮する形で、この発展計画をつくっていただくということを考えておるわけでございます。したがいまして、その中にはただ六条市町村経済的社会的疲弊の一番著しい六条市町村が必ず入るということで考えておるわけでございまして、いま言葉が適当かどうかわかりませんが、卒業という、地域指定の解除という場合には、その経済生活圏全体として卒業するかどうかということで考えたい。  したがいまして、経済生活圏の中に六条の市町村、そのほかに、周辺に二条あるいは十条という市町村がございますが、一つ経済生活圏として地域発展計画をつくりました場合には、その中をまた幾つかに割って、たとえば二条あるいは六条で財政力指数がよくなったから解除するということを考えるのではございませんで、その一つ経済生活圏の中に属しております六条市町村が全体としていいかどうかということを判断いたしまして、そしてその周辺の二条、六条も含めまして全体として経済生活圏として地域指定を解除する方向で考えるかどうかということにいたしたいと思っておるわけでございます。  それから、いま委員指摘のように、財政力指数だけで考えるというのは少し実情を無視しているのではなかろうかという御指摘でございます。地域指定のときは財政力指数鉱産税の負担割合ということで、ここで考えたわけでございまして、私どもも、一つ考え方として、一応端的にとれば、経済的なあるいは社会的な疲弊財政力指数に反映されてきているということを考えておりまして、これを一応中心にいたしたいとは思っておりますけれども、しかし、あるいは地域により、あるいはとれる統計の制約等によりまして、御指摘のようなたとえば生活保護率でありますとか、あるいは失業率の状態というようなものも補整の項目として検討はしていかなければならないというつもりでございます。  若干舌足らずであったかもしれませんが、中心的な指標は財政力指数に置きたいと思っておりますが、それ以外の指数は一切排除するということではございませんで、補整的な考え方としてほかの指標ということも、統計の制約あるいは地域の実情等を見て検討をいたしたいというふうに思っております。
  59. 塚田庄平

    ○塚田委員 というのは、北海道の例をとって言ったんですけれども、どうですかな、北海道の場合を例にとりまして、大体経済生活圏というものを具体的に幾つくらいの圏域を考えておるかということですね。  それから、時間もありませんから、さらにつけ加えて質問をいたします。  たとえば天北とか留萌などは過疎化しておりまして、広域的な発展といってもなかなかむずかしい。しかも企業誘致はない。そういうところに一体どういう発展の形態というのを考えておられるのか、あるいは指導していくつもりなのかということについて、どうもこの辺になってくると、振興法の根幹から少しそれるような、つまり天北あたりはどうも単なる振興法だけでは振興できないいろいろな要素がある。こういう場合に、一体何を加味してこれらの地域発展を図るのかということについて、ひとつ御意見を承りたい。
  60. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど委員もお触れになりましたように、経済生活圏の設定につきましてはできる限り地元の自主性を尊重して、北海道庁が関係市町村の協力を得て原案を作成していっていただくというのが好ましいと思っておりますが、地理的な状況から見ましたごく大ざっぱな感じといたしますと、天北、留萌一後志あるいは釧路といった地域は、やはりそれぞれ一つの独立の終済生活圏と考えて、それぞれの経済生活圏の発展の方向を見出していくということがいいのではなかろうかというふうに思っております。石狩地区につきましては、いろいろの結びつきの状況からこれを一つにするのがいいか、あるいは二つに考えるのがいいかという点が一つあると思いますが、私どもとしては、二つ程度に分けて考えるというのも一つの方向ではなかろうかということで、道あるいは地方の御意見を伺ってみたいというふうに考えております。  それから、いま御指摘のように、天北あるいは留萌といった地域というのは、他の地域との連関といってもなかなかむずかしい点があるのではなかろうかということは、北海道の実情からいいまして、私どもも、そういうことを問題意識として十分認識をすべきものというふうに考えております。  もちろん、企業誘致というようなことで、鉱工業の集積を高めるということで、工業の導入ということだけを必ずしも考えるわけでありませんで、たとえば酪農を中心とするような農業、高次の加工食品工業、沿岸・沖合い漁業、木材加工、観光開発といったような地域の特性を生かしていくということも、これまた一つ考え方ではなかろうか。したがって、二次産業のみに力を入れるということではなくて、一次産業あるいは三次産業、サービス産業等も含めて多様な産業開発を進めていくということが必要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。私どもも、今後関係の道あるいは市町村といった方たちの御意見を伺いながら、これらの方向を考えたいと思っておりますが、いま考えるといたしますと、そういうのも一つの検討の方向ではなかろうかというふうに思っております。
  61. 塚田庄平

    ○塚田委員 さて、その場合ですが、農林業や漁業あるいは過疎地における港湾、道路、これの整備などについては特に各省の協力が絶対必要なんですよ。これは私が申し上げるまでもなく、産振法における助成というのは、各省が計画したいろいろな事業の上に乗っかっていくわけですね。各省が計画しなければ乗っかりようがないわけですよ、もとがないわけですから。そういうことから言えば、やはり各省の事前の協議とか、いま大臣は次官会議をしょっちゅうやっているんだという話ですが、場合によっては関係大臣の本当に腹を割った協議というのを持たなければ、この協力体制というのはできないと思うのです。  というのは、私の口からはなんですが、もう十年、二十年たっていますから、各省ではこういった産振法というのはだんだん頭からなくなっているわけです、こんなことを言っては失礼かもしれませんが。だから、改めて各省の関心を高めるためにも、特に当省においてどういう措置をとらなければならぬか。大臣、ひとつ過去の経験からいって、これから協力体制を取りつけるための具体的な措置というか、あるいはそういう対策をお聞かせ願いたい。
  62. 田中六助

    田中(六)国務大臣 各省の連絡会議、あるいは市町村、道県知事との協議、それからそれぞれ中央、地方の事務レベルでいろいろな会合あるいは協議をやっているのは事実でございますけれども、御指摘のように、だんだんなれというものがあって感覚が麻痺して、実態の分析とかあるいはローリングレビューというようなものに欠けていくおそれも十分ございますので、私どもそれはこれから反省すると同時に、ときによっては、各事務次官とかいう一番ハイレベルにせずに、やはり各省の大臣が十分協議するという場もつくってもいいというふうには思っております。
  63. 塚田庄平

    ○塚田委員 では、次に移ります。  私は北海道だから北海道ばかり言うようになって大変あれですが、北海道は御承知のとおり若干九州とは異なった様相を持っております。それは産炭地振興については、後向き対策もさることながら——こういう言葉が正しいかどうかは別にしまして、まあそういう言葉を使いましょう、前向き対策、生産面についての対策、これとの結びつきがどうしても必要なんです。あるいはむしろ生産面の対策から産炭地域振興を図っていく、こういうことが北海道の場合は絶対に必要だと思うのです。それは同僚の岡田議員からも恐らく指摘があったろうと思いますけれども、これからの新しい新鉱開発の問題等も絡んでそういった問題が当然議論されなければならぬ。あるいは七次対策ではこの点が十分議論されるものと思いますけれども産炭地振興という見地からいって、これらの結びつきについて一体どう考えておるか。  あるいは予算上、これも余り言いたくないことなんですが、石炭勘定の配分状況等を見ますと、案外そういったことになっておらない。たとえば生産面については、九・北はフィフティー・フィフティー、二分の一ぐらいずつ、鉱害については全く一〇〇%九州、その他の問題についても七〇%くらいは向こうじゃないですかね。これは大臣笑っておりますけれども、私は、そういう数字を言うのじゃなくて、いま言った生産面とそれから産炭地振興面、恐らくこれから予算の配分等についても非常に厳しいと思うのですが、そういう面について、これらの問題についての確信のある方策がなければ、逆に大蔵省あたりから押し切られる可能性が出てくるのじゃないかと思いますので、これは財源の問題とも絡んで、何だ、石油財源を何も鉱害に使う必要はないんじゃないかというようなことが言われては大変なことになりますから、その辺の確信のあるところを大臣からでもひとつお伺いしたいと思います。
  64. 田中六助

    田中(六)国務大臣 まさしく御指摘のように、石炭勘定はアフターケアにウエートを置いているのじゃないかという御批判も強くございます。これは長い間の批判で、私どもも十分反省しなければならないと思っておりますけれども、やはり鉱害対策とかその他の対策につきましても、そういうものを整理しなければ前進できない部分もございますし、といって、それにばかり埋没もできませず、そういう点、有資力、無資力の鉱害関係についても十分整理をしていかなければならないというふうに思っております。  前向きの面におきましては、石炭日本の国内の生産量をどうするということを、はっきりまた七次答申で一つの数字が出るわけでございましょうから、新鉱開発とかその他、いずれにしてもエネルギーの問題が強く打ち出されなければなりませんし、前向きの面についても、限られた予算の中で私ども指摘のように考えていかなければならないという考えは十分持っております。
  65. 塚田庄平

    ○塚田委員 前向き前向きで、前向きの話ばかりやっているとまずいですから、さっきちょっと言いましたけれども、鉱害については北海道ゼロ、これは鉱害がないと考えておりますか。
  66. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いや、鉱害は筑豊や常磐その他だけではなくて、やはり北海道も石炭を掘るわけでございますし、それは鉱害はつきものだと  いうふうに思っております。
  67. 塚田庄平

    ○塚田委員 鉱害があるのに予算はゼロというのはどういうわけですか。
  68. 福川伸次

    福川政府委員 御承知のように、石炭鉱害につきましては臨鉱法で復旧をいたしておるわけでございます。現在の体系によりますと、もちろんいま大臣が申し上げましたように、北海道の場合にはかなり山林あるいは原野あるいは海底を掘っておるわけでございまして、したがいまして、臨鉱法の対象となるような鉱害はいまのところは顕在化していないというのが私ども考えでございまして、したがいまして、いまのところ鉱害関係のそのような予算は計上はいたしておりません。しかし、私法上の鉱害ということにつきましては、これは石炭を採掘しておるわけでございますから、それについての鉱害はあり得るわけでございます。しかし、効用の阻害になるような形での鉱害というのはいまのところ起こっていないということでございまして、北海道につきましては鉱害関係の予算は計上がされていないということでございます。
  69. 塚田庄平

    ○塚田委員 きれいな答弁しましたけれども、実際は違うのですね。四十七年に全国調査をやっているのですよ、つまり認定行為をするために。これは鉱害復旧の基本調査を全部やっております。そして全国にわたって十五県、実に岩手県から山形県そして宮城県、もう全部です。恐らくあれは、昔亜炭があったんじゃないでしょうかね。十五県。しかし、肝心の生産県である北海道が全然ゼロ認定ということについては、私どもは常識的におかしい。というのは、その後実はずいぶん鉱害と見られる災害が起きておるのです。  たとえば五十五年十二月、ついこの間ですね、夕張南部地区において自然発火があった。これはズリがずってきて、そして若干宅地造成に似たようなかっこうになっているわけですね。そこへ火がついたわけです。これがだあっと燃え広がる可能性を帯びてきた。大夕張というところがありますけれども、場合によっては大夕張病院のほぼ下までいくということで、大夕張病院の撤退というか、退避も考えなければならないという事態もあったのですよ。これは市並びに道の協力の中で鎮火に努めた、こういった事態があります。これもやはり十分な調査のいっていない証拠じゃないかと思うのですよ。  あるいは赤平豊里地区、こういうところでは市道、これは坑道ですからこれの陥没がある、あるいはまた民有地の陥没がある。  あるいは白糠町では雨が降ってズリが流れる。そして水路を閉鎖するということで、洪水になるというような事態も実はあったのです。  いろいろ調べてみますと、一体だれがやったのか、あるいはどこに原因があるのかということについては微妙なところがあると思いますよ。現にたとえば栗山あたりでは道有林がズリで燃えている、こういう事態もあるのですから。いずれにせよ鉱害あるいはそれに類する——あるいは発生者責任の原則から言えばそんなものはおれは構わないんだ、それは発生者がやるべきだ、こう言って振り返ってみないのかどうか。つまり北海道においてもずいぶんこの種の問題は大なり小なりある。しかし、どうもこの鉱害調査の結果ゼロというのが出ているんですから、予算が全然来ていないという中で、結局は当該住民あるいは市あるいは道、その負担に終わるというのがいままでの例なんですけれども、これは一体どうですか。
  70. 福川伸次

    福川政府委員 いま例にお挙げになりました三件でございますが、これはいま非常に微妙な問題があるがという御指摘でございましたけれども、いまお話しの、元北夕炭鉱の社宅でありましたものを買収して改築しようとしたところ、それがズリ山であったために火災が発生したという事故は確かにございました。  これは四十二年の十二月に、国有地でございましたものを北夕炭鉱が払い下げを受けて、そしてズリ、石炭等が混入いたしました土を使用して造成して、炭住を建設をして、そして閉山とともに売却をする。火災は、この中古の住宅を解体して焼却しようとしました際に、浅部にありましたズリあるいは石炭に引火したということのようでございまして、私ども通産局の調査によりますと、これはズリで造成された宅地にそういう人為的な行為が加わったもので、石炭の採掘との因果関係というのはないのではなかろうかというのが、私どもの調査でございます。  また、赤平につきましての元豊里炭鉱の御指摘がございました。これも通産局の調査によりますと、一応市道に冠水等の効用阻害は認められていない。また、宅地について確かに亀裂はあるけれども、それは効用を阻害するような形の亀裂にはなっていないといったような判断をいたしたようでございます。  それからもう一点御指摘の、白糠のズリ山のズリが流出したといったようなこともたしか五十四年の十月に発生をいたしておりますが、これも、白糠町の報告によりますと、その原因は土砂崩れによる土砂の流出であって、近くにあるズリ山というのは異常はなかったという報告のようでございます。  また、いろいろ御指摘のような問題は確かにあろうかと思いますが、私どもも、五十七年の七月に期限が参ります臨鉱法の延長問題の検討にいま取り組もうとしているところでございまして、現在も全国の鉱害量調査を実施いたしておるわけでございます。特に北海道におきまして、そういう鉱害復旧の申し出というところはいままで私どもは受け取っておりませんので、被害者の泣き寝入りというようなことはないと存じますが、今後のこの臨鉱法の延長問題に絡みまして鉱害量の調査をするというようなことで、鋭意取りまとめ中でございますが、私どもも、その点につきましては引き続き調査は十分慎重に行っていきたいと思っております。
  71. 塚田庄平

    ○塚田委員 私の言ったのは一、二の例なんで、これに類するいろんな災害が続発をしている、続発と言ってはちょっと語弊がありますが、ぼつぼつ起きております。私の言うのは、やはり調査を徹底してやってほしい。たとえばいま赤平の豊里の例、これは被害がないからと。陥没したのは間違いなくこれは坑道なんですよ。あの下に豊里のあれがあったんですから。そういう観点で疑って調査をやる、これは鉱害じゃないかと。いや、これは歩くのに差し支えないから大丈夫だという表面的なあれじゃなくて、そういう調査を徹底してひとつ近く全域にわたってやってもらいたい、こういうことを私は要請しているわけです。答弁要りません。  さて、特定事業について今度新たに十一億というのがついたのですが、端的に言います。その補助率は一体国、道、市町村、これ別にどの程度になるのか、御答弁願いたいと思います。
  72. 福川伸次

    福川政府委員 今度の特定事業促進調整額、これについて補助率がどういうふうになるかということでございます。  これは調整的な制度でございますので、この対象になります幾つかの施設について、明確にこれが幾らの補助率だということをあらかじめ決めてかかるというものではございませんが、対象にいたしております事業、たとえば農林水産業の振興あるいは教育、文化、福祉等の施設の整備、こういうものにつきまして、これは補助基本額というのがございまして、これについて国庫補助がそれぞれの所管省庁から出ているわけでございます。その補助に対しまして、地域の特性を発揮するために、必要な事業を誘導するためにそこにさらにその調整額を付加することによりましてこれを促進をしていこう、こういうことを考えておるわけでございます。  これは、現在ございます施設についての補助率が物によっていろいろ異なっておりますので、なかなか一律に何%ということは申し上げかねますが、いま申し上げました特に教育、文化、福祉等の施設の整備というものの国庫の補助額の平均的な割合は、大体三〇%程度のものが多いと思っております。  私ども、これは予算を要求いたします段階関係市町村からの要望等を取りまとめまして、どのような事業をするかということで積算をいろいろつくったわけでございますが、一応地元等の要望を伺いまして、それを集計し十一億の積算をつくったわけでございますが、それに基づいて実際の配分をいたしますときに幾らになるかと申しますのは、各広域発展計画等の内容によりまして変わってまいりますので、いまこれが幾らになるかということは明確にはお答えできないわけでございますが、いま申し上げました大体三〇%程度のものが多いといったような施設について申しますと、これの補助額が補助基本額に対しましておおむね五〇%を超える程度の形にはなり得るのではないかというふうに積算のときは考えておったわけでございます。今後、各道県の広域的経済生活圏によります発展計画に基づきまして、施設の整備等の状況を見て配分をいたしてまいりますので、若干変わることがあることは御了承いただきたいと思います。
  73. 塚田庄平

    ○塚田委員 部長、時間がないからそこにいてください。  三〇%が大体五〇%になる。二〇%かさ上げになるわけですね。国と道県は一体どうなのかということなんですよ。国と道県の協力度合いはこの際どういうことになるのか。時間がないから端的に言います。国は逆に市町村のそういうかさ上げ分を若干背負わなければならぬでしょうね。あるいは道県がいままでゼロだった、これも若干背負わなければならぬというかっこうになるんだろうと思うのですけれども、この点確認をしたいと思います。
  74. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど申しましたように、おおむね三〇%程度の例で申しますと、この新しい調整額制度、これで、いままでの例で申しますと二〇くらいになりますが、私どもとしては、それぞれその地元の発展ということでございますので、道県の協力を求めたいというふうに思っておるわけでございまして、大体その辺、国の調整額とほぼ同程度のものを道県にお願いをしたいというふうに思っております。
  75. 塚田庄平

    ○塚田委員 そこなんですよね。道県がおれはいやだと言ったらどうするんですか。いままでゼロであったのがこの費目が出たために、たとえばゼロから一五%改めて負担しなければならぬ。国は五〇%から六五%、これは国のやるあれですから国はいいでしょう。道県が負担するのはいやだ、こうなったらどうですか。こういう問題が道県のこれからの協力体制に響いていくのですよ。だから、せっかくつくったこの調整額は、長い目で見ると逆の効果になってくるのではないか、そういう一面が一つあるということ。  それからもう一つは、市町村にとってはこの調整額というのは非常に期待された額なんです。むしろ少ないくらいだ、こういう声が上がっております。極端なところは単独事業にもつけてくれないかなんという声さえあるのですから。いま言った道県の協力を得なければならぬ、片方また市町村はさらに増額をあるいはかさ上げを希望する、そういうはざまに立って通産省としては一体どういうことを考えているのか、もっと具体的に、いやこうするんだという方策があったらお聞かせ願いたいと思います。
  76. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、今後の産炭地域振興施策の展開に当たりまして、地方の自主性を尊重し、その活力を生かしていく、そういうことを一つの基調とし、それから地方と国との協調体制をつくって、密接にこの振興施策の展開を図っていこうというのが、今回の振興施策一つの方向であろうと思います。  私ども、この予算を要求するに当たりまして関係市町村関係道県といろいろ御相談をさせていただきましたが、私どもとしても、市町村の協力を得ながら今後道県を中心に地域発展計画をつくっていただく、その道県の協力というのがこの一つの大きな基調になっておるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、地方の自主性をも尊重し、国との調整を図るという意味で、私どもとしては、ほぼ同額のものを道県に御負担を願い、それが着実に実行される、道県の主体性をも発揮しつつ、着実に実行され、効果を上げていくということを期待したいというふうに思うわけでございます。  それからまた、十一億という予算につきましてお触れになられましたが、これは今年度初めてついた調整的な制度でございまして、これを弾力的に運用いたしますことによって今後の新しい産炭地域振興施策一つの軸ができるのではなかろうかというふうに思って、私どもも、この予算には大臣以下努力をいたしたわけでございますが、今後、その産炭地域振興施策状況等を見ながら、この予算をどのようにしていくのか、また財政状況をにらみながら、この予算の今後の確保については努力をしてまいりたいと思っております。
  77. 塚田庄平

    ○塚田委員 もう時間が来ましたので再度繰り返しますが、これはお金の問題ですから道県のこれからの協力体制を得なければならぬ、したがって、いままでないところに、おれは負担するのはいやだというようなことのないようにひとつ調整をしてもらいたい。そうしなければ、せっかくのこの十一億は、長い目で見ると結果として死んでしまう、こういう事態になりますから、この点ひとつお願いします。  同時に、大臣、これはたしか同僚議員からの質問の中で、この調整額の対象事業は大体三十二という答弁があったはずです。三十二といいますと、現在の補助率のかさ上げが大体十七ですから、これは実際上はプラスされますね。そうすると五十ですわ。余りばらまき主義はやめてください。これは恐らく希望はあるのだろうと思いますけれども、やはり重点的に効率的な使い方をするのが、せっかくの十一億ですから、そういう方向でひとつやっていただきたいというのが私の要請でございます。  さて、時間もございませんので、最後にもう一度大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、きょうの新聞を見ますと、自民党の首脳は、今度の行革ではまず第一に何といっても補助金が問題になる、その場合、いま補助金には一般財源から出すもの、それから特会から出しておるものと、この二つありますね。一つは十四兆幾ら、一つは十二兆二千億ぐらい。しかし両方とも今度は例外じゃないんだ、つまり特会の方もばさばさ切るよ、こういう新聞の記事がきょう載っておりました。  そうなりますと、私もやはり心配なのは、せっかくことしから十年間出発する石炭の問題、あるいは代替エネルギーの特別会計等について削減の手が加えられるということになれば、もう計画はめためたになっちゃいますので、これはひとつ大臣、先ほども細谷君の質問に対する決意の表明がありましたけれども、この十年間の出発点に当たって、これらの諸問題についてどう対処していくか、あるいはどういう決意で臨むか、この点、もう一度決意披瀝を得たいと思います。
  78. 田中六助

    田中(六)国務大臣 行財政改革の旗印のもとに、まず財政面で補助金のカットということが提唱されておりますけれども産炭地振興法の十年の延長というのは過去の二十年間から割り出した時間でございますし、この振興が、社会的経済的にも非常に疲弊の強い地域あるいはそれをカバーするという観点から、補助金のカットにそれが適用されて、大きく削除されるということは絶対ないように、むしろ私どもはこれを糧にして、社会的経済的な疲弊を埋めなければなりませんので、逆のことでございますので、その点は十分頭に置いて対処していきたいというふうに考えております。
  79. 塚田庄平

    ○塚田委員 期待して、質問を終わります。
  80. 森中守義

    森中委員長 田中昭二君。
  81. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、きょうは産炭地の問題と国鉄の再建ということについてまずお尋ねをしていきたいと思います。  産炭地振興と国鉄の再建も無関係ではないという立場に立ってお尋ねをするわけですが、まず、いまの国鉄の状況はこのままの状態ではいけないし、もちろん再建を図らなければならないという前提には立っております。しかし、このたびの特定地方交通線の問題につきましては、いわゆる地方のローカル線を廃止するということでございますが、この廃止の地域のローカル線については、いまや八〇年代は地方の時代とも言われるときでございます。この地域のことを考えますと、わが国のいわゆる中央集権的な、中央に大変国民サービスの集中した、そういうことと比較しますと、いわゆる交通関係の公的サービスも大変乏しいし、少ないとも言えるかと思います。  そういうことを考えますと、このたびのローカル線の廃止は国鉄の基本的な使命にも反しておるのではないか、こういうことでは国民の賛成も得られない、私はこういう立場に立たざるを得ないわけであります。そして再建とはいいますものの、こういう状態では、基本的にも根本的にも国鉄の赤字の転換にはならない。ということになれば、結局国鉄の再建もならない、こういうことになるわけでございますが、この点についてまずお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  82. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 お説のとおり、ローカル線の廃止だけでは国鉄の再建はできないというように考えております。五十四年度の赤字は八千二百十八億円ということでございますが、そのうち地方交通線の赤字は三〇%ちょっとでありまして、残りの約七割は幹線から出ておるというのが実情でございます。  したがいまして、幹線の合理化をやっていくということが今回の再建計画の中でも最重点事項でございまして、そのための各種の近代化施策を推進するということにいたしております。ただ、幹線は収支の実態からながめてみますと、赤字の実額こそ大きいのでございますけれども、収支係数という点からいいますと一二九ということで、つまり百円の収入を上げるのに百二十九円の経費にとどまっているという状況でございますので、これは収支改善を行う場合に手の届く範囲だというようにわれわれは考えております。三十五万人体制を実現するための合理化とかあるいは増収努力というものを積み重ね、精いっぱいの努力をすれば、収支を均衡させ、幹線については自立することは可能だというように考えておるわけでございます。  これに対しまして、地方交通線は赤字の実額こそ少ないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように三割ちょっとということでございますが、収支係数で見ますと四一五ということで、なおかつ現在輸送量が減少を続けておりまして、大量輸送という鉄道特性を発揮し得ない状態でございますので、懸命の努力をいたしましても、なかなかこれはなくせない赤字であるというように考えておるわけでございます。特に、六十年度までに転換対象となります輸送量の極端に少ない線区、これは大体三千キロちょっとぐらいあるというように見ておりますが、これについて申し上げますと収支係数が七五〇、つまり百円の収入を上げるのに七百五十円のコストがかかっておる、こういう実態でございます。  したがいまして、なおさらのこと、経営上は問題があるということで、いま国鉄の考え方といたしましては、最終的に国鉄の収支の均衡ということを目指しておるわけでありますが、そのことを実現する上におきまして、バスへの転換ということを含みます今回の地方交通線対策を進めるということは、やはり経営的に見ましてもきわめて重要な課題だというようにわれわれは考えておるわけでございますので、その点、御理解をいただきたいというように思います。
  83. 田中昭二

    田中(昭)委員 国鉄の経済面からの説明がいまあったわけでございますが、いま説明された方も九州にお勤めになったし、大体地方の状態というのは御存じかと思いますが、やはり中央におってそのようなことだけでは、なかなか地方、特に私は、産炭地振興を図ろうという立場においては納得はできないのです。  もう少し具体的に申し上げますが、福岡県に勝田線というのがございます。これは戦前は政府の一大目標に沿って発展をし、戦後も国鉄の志免鉱業所としての重大な使命を持って地域とともに発展してきた、こういう特殊な事情のある名誉ある勝田線でございます。それが今度第一次、最初に廃止になるということは、産炭地域振興の上からも住民に強い反対がございますが、考え直してもらうことはできないのでしょうか。
  84. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 勝田線が、かつていま先生おっしゃいましたように、国鉄の志免炭鉱関係の人と物、物というのは石炭がほとんどでございますが、石炭の輸送を中心にいたしまして地域発展に寄与してきたということは、御指摘のとおりでございます。ただ、昭和三十九年六月三十日に閉山いたしておりますが、その後残念ながら輸送量が減少の一途をたどっておりまして、現在は、最盛時に比べまして旅客輸送量は約二割というような状態でございます。勝田線の場合は、炭鉱閉山とモータリゼーションというものが重なった結果こういう現象が生じ、特に大きな影響が出ているわけでございますが、これに似た現象というものは全国各地に現在起こっておるわけでございます。つまり何と申しましても、モータリゼーションによります利用形態の変化というものが国鉄の上に大きな影を投げかけておるというのが現状でございます。別の言葉で言えば、世の中が変わってきたんだというふうに考えざるを得ないように考えております。  いま必要なことは、こういう厳しい現実を受けとめて、それに適応しながら国鉄が全体としての機能を果たしていくことではないかというように考えております。そのためには、経営の重点化を図っていくということが必要だというよべに考えておるわけでございまして、今回の地方交通線対策はこのような考え方に立ってつくっておりまして、間もなく着手いたします新しい再建計画一つの柱でございます。  具体的にいま先生からお話がございましたが、勝田線がバス転換路線に該当するか否かにつきましては、現在慎重に各種の調査を進めておりまして、まだ確定的なことを申し上げられる段階ではございませんが、一般論として述べさせていただきますと、輸送量が、先ほどのような事情で、モータリゼーションが主体でございますが、そういう事情で極端に減少し、鉄道特性を発揮し得なくなっております線区につきましては、もう長年地域の足として機能し、親しまれてきたものをバスに転換するということは、われわれとしてもまことに忍びないものがあるわけでございますけれども、国鉄再建という角度から、あるいはもう少し地域の公共交通というものを効率化していくという国民経済的な観点と申しますか、そういうような角度からもやむを得ない措置だ、このように考えておりますので、何とぞそういう趣旨について御理解いただきたいというふうに思います。
  85. 田中昭二

    田中(昭)委員 納得するわけにはいきませんが、いま聞いておりますと、時の流れ、政治の流れといいますか、政策の転換の中でこういう問題になってきたというふうなお話もあったわけですけれども、そういう事態を引き起こした政治の責任といいますか、そういうものも片方にあるということで納得できないわけでございますが、ただいまおっしゃったようなその変化の後に対する、地方住民からすればいわゆる押しつけ的な一方的なことでは、先ほど言ったよべに、国鉄再建になるのだろうかなという心配があると同時に、私はもうならないと断言してもいいのではないかというような気が残ります。  そこで、閉山になった鉱業所でございますが、これはもう大臣も御存じのとおりと思いますが、志免鉱業所はもともとは明治二十二年から、先ほど言われておりましたように戦後三十九年に閉山したわけでございますが、この間、わが国の国策遂行のために大変な貢献をいたし、その国策遂行の残骸といいますか、遺物といいますか、それがボ夕山であるわけでございます。  いまそのボ夕山一つだけでも約十万坪程度のものでございますが、こういうものを閉山と同時に直ちに取り除いて、そして跡地については地域住民に返すのが政府の当然の責任であり国鉄の責任である、こういうふうに私は言わざるを得ないわけであります。いわゆるボタというのは産業廃棄物というふうに地域住民は言っております。ボ夕山は私企業ならば当然その私企業がそこで責任を持って処理するわけでございますが、この志免のボタは現在でも大変好ましくない環境を残しております。そういうことを考えますと、国鉄、政府ともに責任を持ちながらそれを処理すべきが当然ではないか、こういう地域の強い要望がございますが、いかがでこざいましょうか。
  86. 高木一匡

    ○高木説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、この志免炭鉱は三十九年六月閉山になったわけでございます。その当時、ボダ山も含めまして総体としての面積は約百三十万平米という膨大なものでございます。その後、閉山後の処理状況といたしましては、一昨年の五十四年度末までに百三十万平米のうち約七十五万平米を処分してございます。したがいまして、現在約五十四万平米というものが残っておるわけでございますが、そのうちボタ山が正確に言いますと三十一万四千平米というものでございまして、あとは残っております職員の宿舎等を中心としてあるわけでございます。  いま先生のお話にございましたように、私どもも、何とかこの跡地につきまして処理を考えなければいけない、ただし、その際はその後の使い方を地元の御意向を聞きながら総合的に処理する必要があろうということで、五十三年六月に福岡県と関係町村、あそこには須恵、粕屋、志免、また勝田線の先に宇美町というのがございますが、こういった関係町村と一つの場を持ちまして、鉱業所跡地の全体の利用計画というものを御相談申し上げたいということで、いままでいろいろ協議を進めてまいったわけでございます。  ただ、ボ夕山に限って申し上げますと、かなり膨大な立米のボタがございまして、この跡を使うにしてもこの処理ということが必要でございます。一体的に、全部一時にやるということにつきましては非常に困難性があるわけでございます。何とか利用計画を求めながら解決したいということでございますが、ただいま申し上げましたように一括して、一遍にこれを処理するということのむずかしさがありますので、地元市町村としてもとりあえず現在、須恵、粕屋、両町にまたがる部分について屎尿処理場としての利用計画を立てたいということでございます。私ども、その分につきまして実現できるような形でいま事務処理を進めておるところでございます。
  87. 田中昭二

    田中(昭)委員 せっかく答えるんだったら私の聞いたことを答えてください、先走って答弁してもらうと、後聞けなくなるから。私は、そういうボタをすぐのかせと言っているんです。これが、もとの鉱業権者が私企業であって現在無資力になっておれば、政府がちゃんとやってくれておるのです。国鉄はいま有資力じゃないですか。まだ無資力じゃないでしょう。だから、まずボタをのかせ、こう言っているんです。ボタをのかすことに関連していままでやってないことばかり並べてみても仕方ないじゃないですか。  そこで、通産省にお尋ねしますが、ボ夕山があって、地域振興に何とかして活用できるものがあるならばそのボタを処理しておる、いわゆる処理事業として工業団地等の造成を行っておると聞いておりますが、その事業の実施状況と今後の計画を伺いたいと思います。
  88. 福川伸次

    福川政府委員 私ども関係いたしますところで申し上げますと、地域振興整備公団が工業団地の造成のためにボタを処理するケースがございます。現在、全国で申しますと、ボタを処理いたしまして造成した団地は六十六団地でございます。これはボタを他の場所から持ってくることによって造成いたしましたもの十三団地が含まれるわけでございますが、それ以外はそのボタをそこで処理をいたしまして団地を造成している、こういうことになっておるわけでございます。このほか、いまお尋ねの問題につきまして、国鉄あるいは地方公共団体が、その跡地の利用計画ということについて、明確な、しっかりした計画がございまして、また経済的に合理性があるということでございますれば、私どもとしても、何らかの形での施策を検討いたしたいというふうに思っております。地域振興整備公団も、今後もこのような事業は引き続いて実施をしていく予定でございます。
  89. 田中昭二

    田中(昭)委員 だから、いま私が言いましたように、やはりボタ山の処理の責任はそれぞれの原因発生者にあるわけですから、もう一回国鉄はそのボタについてどういう基本的な考えを持っておったのか、ひとつ簡単に答えてください。
  90. 高木一匡

    ○高木説明員 先生指摘のとおり、ボタ山につきまして整理がおくれておるわけでございます。ただ、私ども正直申し上げまして、この五百七十万立米の措置につきまして、ボタ自体の捨て場所等含めまして、やはり関係する県等とも御相談申し上げながら解決していく必要があろうかと考えておりますので、私ども誠心誠意、今後解決に当たりたいと思っておりますけれども、持っていく先、あるいはその経費等につきましても、私ども、そう簡単に結論は出ないということで、大変悩んでおるわけでございます。今後ともいろいろ関係市町村の御協力を仰ぎながら、ボタ山の解決には努力してまいりたいと考えております。
  91. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少しはっきりしてもらいたいですね。あなたの話の中で、ボタ山、それからその周辺のいわゆる跡地ですね、この問題について触れられましたが、私はまずボタを聞いておるわけです。そうしますと、このボタ山について直ちにのけるという考えはなかったんですね。  さっき何か関係町村から云々という話があったけれども、三十九年廃山と同時に関係市町村とどういう具体的な接触をしたのか、それはいつなのか。その折衝の結果、どういう国鉄と関係市町村の接触があっておるのか、具体的なものをお聞かせください。
  92. 高木一匡

    ○高木説明員 明確な、これを処分するという国鉄単独の計画は固まってなかったということは事実でございます。ただ、おっしゃるとおり、閉山当時、すぐさまそれをどかすという形までの熟した計画、それに関連する計画はなかったということも事実でございます。したがいまして、今後起こってくる事柄として、私どもは、いま現在、市町村等との、協力を仰ぎたいということでお話し合いを持って解決していきたいと考えておるわけでございます。
  93. 田中昭二

    田中(昭)委員 政府にお尋ねしますが、ボタをすぐのかす計画は何もなかった、こういうことですけれども、これは国として、行政を預かる者として、私企業に対しては、先ほど言ったように、ボタ山の処理については政府の応援も得てやっておりますね、そういう立場から見ると、少しやはり国鉄の怠慢をしかってもらっていいんじゃないですか、どうですか。
  94. 福川伸次

    福川政府委員 私どもとして、ボタ山の処理というのが、危害防止上非常に支障があるような場合でございますと、現在も私どもの立地公害局の方で、補助金制度をもちまして市町村での処理ということに助成をいたしておりますが、本来であれば鉱業権者が、このボタの危害があります場合にはこれの処理をするというのが当然であろうと思っております。  私どもとしても、先ほど申しましたように、地域振興整備公団の工業団地ということがございますが、そのほかでもいろいろな跡地の利用計画というものは、考え方としてあり得るだろうと思います。これは各省庁にかなりまたがることにはなりますけれども、私どもとしても、やはりその鉱業権者がその跡の利用ということを含めまして、危害の防止には万全を尽くしていただきたいと思っております。
  95. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一遍国鉄に聞きますが、このボタ山なり跡地なりをいまからでも急いで処分することは、私は国鉄再建の一助になると思うのです。わずかなことになるかもしれませんけれども、「千里の道も一歩から」です。そういうことをきちっとやらぬでローカル線だけ廃止するというのは、全く理屈が合わぬじゃないですか。十万坪にも上るボタ山を利用しようと思えば利用もできる。そのほかの跡地も残っておる。そういうことについては十四、五年間ほったらかしにしてきておったということならば、いま直ちにでも国鉄再建を考えるならば、再建の一助になることを考える。そういうことを考えるには有能な国鉄職員がおられるのだから、それをやるのかやらぬのか、それだけ答えてください。
  96. 高木一匡

    ○高木説明員 ボタ山の処理につきまして、ボタ山の処理ということだけでございますと、私ども非常に膨大な経費だけでなくて、やはりその捨て場所等の問題がございます。したがいまして、そのボタ山の開発等含めまして、それと関連するボタ山の処理といったものも、関係町村との協議を進めなければならないというふうに私ども考えておりますので、ボタ山の処理そのものについての責任は私ども痛切に感じておるところでございます。先生おっしゃいましたように、ボタ山の跡地が開発されないで終わっているというところが問題であろうかと思います。開発するためにどういう利用の仕方が一番いいのかということで、関係町村と十分協議を進めながら、ボタ山の処理については私どもの責任ということで、跡地開発につきましては地元等の意向を十分くみながら進めていきたいというふうに考えております。
  97. 田中昭二

    田中(昭)委員 当然やらなければならないことをやらぬでおってどうするか、いまからでも、遅いけれどもすぐやれ、こう言っているのですよ。そういうことを聞くと、もう本当に今後のことが思いやられます。  このことについて最後に……。いままでの経過の中でも、このボタ山、そして跡地については、国鉄のいろんな考え方、いわゆる宿舎の用地にするとか、博多に新幹線が来たときには新幹線の車両基地にするとか、いろいろな計画を持っておるということを国会でも大分言われておるけれども、結果的には何もできない。全部できない。すなわちこれは、その問題処理についての言い逃れであり、結局地元では、国鉄はうそをついているのじゃないか、まやかしじゃないかということで、ここ十数年間一歩も進まないということでございます。これについて、ひとつ政府からそれなりの決意でもお聞きできればと思いますが、いかがでしょう。
  98. 田中六助

    田中(六)国務大臣 ボタ山の措置につきましては、私どもも長い間考えておったことでございまして、景観を阻害することもさることながら、これを放置しておくことは、流出などのいろいろな鉱害もございますし、これからも十分対処していこうと思います。数多いボタ山の処置でございますので、予算面においてもいろいろな苦労もございますけれども、私どもは必ず鉱害のないように、これをりっぱに処理していくという方針を固めていきたいというふうに考えます。
  99. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後までボタのことになって大変恐縮ですが、今後八〇年代、石炭が見直されていくという中においても、やはり物をつくり出すと同時に、つくり出した後のことを考えなければならない。これは今後当然必要なことであろうと思います。そういう意味で見ますと、このボタ処理が大変な問題になっておるということが、先日いろんな形で報道されておりました。現在このボタの処理で、いわゆる捨て場がもうなくなっておるというようなことが報道されておりますが、今後の石炭の見直しに関係してこのボタ処理について政府はどういうお考えをお持ちでしょうか。
  100. 福川伸次

    福川政府委員 従来、ボタの処理につきましては工業団地の造成、宅地の造成、さらにまた農地の鉱害復旧等への利用をいたしますと同時に、公有水面の埋め立てというものに利用いたしてきたわけでございます。最近、一部九州におきまして、公有水面の埋め立てということにつきまして、そこに制約が出てきておるという事例は委員指摘のとおりでございます。今後発生してまいりますボタをどのように処理していくかということは、石炭鉱業石炭企業の一つの問題になるわけでございますが、このボタの利用につきましては、そういったいろいろな地方公共団体等の制約がございますけれども、それを抱えております地方公共団体と十分連絡調整をしながら、また企業は企業なりに、いま申し上げた工業団地あるいは宅地造成そのほか可能な限りの捨て場の確保に努めてまいりたいと思っております。
  101. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう考えですけれども、現実に捨てる場所がないということになりますと、政府としては、石炭の生産ということについて何か具体的な指導方向といいますか、指導するための準備というものもなさっておりますか、どうでしょうか。
  102. 福川伸次

    福川政府委員 最近、九州地方の公有水面埋め立てに制約が出てまいりました企業は、いまそのボタの処理のために支障のない形で海洋投棄というようなことを計画し、実施に移しておるわけでございます。今後、そういう環境問題等にも十分配慮しながら、地方公共団体との連絡をとりながら、できれば団地造成等々にそれを利用するということで、その活用方法を考えてまいりたいと思っております。従来ございますボタ山の安全の確保という点につきましては、これまた十分その関係道県と調整をとりながら、補助金等を活用しながら処理をしてまいりたいと思っております。
  103. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、石炭の見直しということで、いまのボタのことも含めて、沖合い人工島をつくって、そしてその人工島は石炭火力発電、石炭貯蔵センター、いわゆるコールセンター等に最も有望である、こういうことが政府で進められておるようでございますが、これについて通産省としてお聞きになっておれば、その大要についてお聞かせ願って、終わりたいと思います。
  104. 福川伸次

    福川政府委員 運輸省におきまして、御指摘のような構想を御研究になっておられるということは、私ども承知をいたしております。この構想は、水深の比較的浅い沖合いに半円形の防波堤を設けまして、そこで比較的静かな海域をつくり、そこに大きなバージを浮かべて、その上にエネルギー関連施設を設ける、あるいは石炭火力発電所等も含めました石炭基地をつくる、こういう壮大な構想を御研究になっておられるわけでございます。  私どもも、このような構想が技術的あるいは経済的に可能なのかどうか、この問題点を今後詰めていく必要があると思いますし、運輸省も現在これの検討をしておられるわけでございます。そういう沖合い人工島についての港湾整備計画の調査ということで始められたわけでございますが、今後あるいは石炭基地の形成ということになりますと、これもまた新しい角度から一つの研究をしていかなければならない御構想であろうと思うわけでございます。  私ども通産省といたしましても、これまた海洋開発に役立つ、あるいはエネルギーの新しい時代への対応に貢献するというようなことから、今後運輸省とも連絡をとりまして、これをどのように検討していったらいいのか、あるいはまたどういう地点にこのような構想を実施していくのがいいのか、その辺の経済的、技術的可能性等を十分研究していかなければならないと思っておるわけでございます。私どもとしても、一つの示唆に富む構想といたしまして、これの実現が可能であるかどうか、十分研究に取り組んでいきたいと思います。
  105. 田中昭二

    田中(昭)委員 終わります。
  106. 森中守義

    森中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時二十二分開議
  107. 森中守義

    森中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小沢和秋君。
  108. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず最初に、石炭部長に一言お尋ねしたいのですが、先ほど産炭地振興臨時措置法のこの二十年間の実績ということを尋ねられて、計数的にははっきり押さえていないけれども、七、八〇%くらい達成したというふうに言われたように思うのです。私は、自分自身が産炭地の一角におる者として、とうていそういうような感じを持つことはできないわけですね。どこら辺を指してそういうふうに言われたのか、まずお尋ねしたいと思います。
  109. 福川伸次

    福川政府委員 塚田委員の御質疑の中で、この産炭地振興の程度がどういうふうになっているかということでございまして、これは産炭地域振興基本計画の中の参考の表の中で、工業出荷額あるいは林業の生産額、生産所得等の指標が、五十七年度計画値が出ておるわけでございます。たとえば工業出荷額を例にとりますと、昭和五十七年度計画値は十二兆九千五百五億円ということになっておるわけでございます。それで昭和四十九年度の実績が六兆七千八百六十一億円ということでございまして、これを趨勢線で四十九年度と五十七年度を引き延ばしてみたわけでございます。それでいたしますと、昭和五十二年の計画値が九兆三千億、こういうことになるわけでございまして、これに対しまして五十二年度の実績が八兆一千億、こういうことでございますので、当時の四十九年から、いつの実績をとるかは一つの御議論があるかと思いますが、五十七年度計画目標に向かいまして四十九年度の実績を趨勢線で引いてみた計画値に対しまして、昭和五十二年度の実績は八割程度、したがって、その後工業センサス等がかなり時間がおくれるものでございますから、はっきりした新しい数字をつかむのに時間がかかっておるということで、私ども今後その点の改善には努めなければならないということは、大臣お答えしたとおりでございますが、そういう意味で、大体八〇%以上くらいの水準のところに毎年の出荷額等の数字が走っておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  110. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それは、当局としては一番それが都合のいい数字かもしれませんけれども、実際に失業の状態とか、あるいはまた財政力指数で見てみても、あるいはまた筑豊の暗いイメージの代表だと言われるような炭住とかボタ山とか、こういうようなものを考えてみても、七、八割方はもう復興しつつあるというようなことは、余りに楽観的過ぎるのではないかと私は思うのです。そのことをまず一言申し上げたいと思うのです。  次に、大臣に一言お尋ねしたいと思うのですけれども、二十年たったと言っても、全体としてこの産炭地の立て直しということはまだまだ遅々として進まないわけであります。その一番大きな原因は、やはり国の取り組みというのがもう一段強められなかったところにあるのじゃないか。たとえば財政的な面で見てもあるいは中核企業を張りつける努力といったような点で見ても、私は、国としての反省点は多々あるのじゃないかと思うのです。それを今後どう克服していく決意か、いままでの反省も含めてお尋ねしておきたいと思うのです。
  111. 田中六助

    田中(六)国務大臣 いままでの産炭地振興対策はどうにもなってないというようなお言葉でございますけれども、やはり二十年間の来し方を考えますと、必ずしも小沢委員指摘のようなことでもないのじゃないかという気もいたしております。と申しますのは、個々別々の市町村の実態を見てみますと、道路にいたしましても下水道、上水道その他の施設にいたしましても、十分とはもちろんいきませんけれども、やはりかなり改善された面もございます。ただ、これは各町村個別のことでございまして、私に言わせると広域的な点で非常におくれておる、社会的経済的にやはりまだひずみが多い。これを何とかしなければならぬ面もございます。したがって、各町村単位のものじゃなくて、もう少し広域的にこれを考えていったらいいのじゃないかという点が非常に反省されますので、こういう点について、これからの十年間につきましては十分考えつつ努力をしていきたいというふうに私は思っております。
  112. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 結局、具体的な反省という点では、広域的に総合的に振興していく努力が足りなかったということに尽きておって、私自身が指摘をした財政面、あるいはまた中核企業を立地させるための努力といったような点については全く触れられなかったわけですが、そういうような点についてはそれでは反省する余地はない、もう十分な努力をしてきたという考え方でいらっしゃるわけですか。
  113. 田中六助

    田中(六)国務大臣 反省する余地はないというのは極端なお言葉ではないかと思います。私どもはやはり大いに反省して、それを主眼としてやらなければならぬと思うのです。私が広域的な点でと言ったのは、もちろん内容は財政的あるいはその他のもの全部加味して、部分部分をミクロ的なものじゃなくて、マクロで見るところに欠けておった。それはもちろん、財政指数の問題とか各個別のものがございまして、それを無視しろというのじゃなくて、広域的なという意味はあらゆる面を含めておるわけでございます。
  114. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは、具体的にその産振法の問題について幾つお尋ねをしたいと思うのです。  今回の法の改正というのは十年間の単純延長ということになっておりますけれども、内容としては、運営などについてブロックごとの創意を生かすということを重視しようというような点で、若干の改善が図られるというふうに私もその点は考えるわけであります。しかし、こういう程度の改善では、これまでの二十年間をそのまま延長したという程度から余り多くを出るように期待することはできない、そういうことじゃなかろうかというふうに考えるわけですけれども、今度のこの延長ではこのようにぐっと質的に改善がされて、この十年間を文字どおり最後の十年間にできるという確信というのは、どの辺の改善があるからそういうことが言えるようになるわけでしょうか。
  115. 福川伸次

    福川政府委員 いま小沢委員指摘のとおりに、いろいろな過去の反省をどう評価するかということでございますが、いま大臣からも御答弁申し上げましたように、その答申の中でも触れられておる点でございますけれども、それぞれのその市町村の位置づけと役割り、これを一つの圏域の中でどういうふうに考えていったらいいかという検討が必ずしも十分でない。したがって、振興事業間の調整、優先度の決定とか、計画面あるいは整合性の面でやはり反省すべき点があったということを答申の中でも御指摘を受けておるわけでございまして、私どもも、それは尊重して今後対応してまいらねばならないというふうに考えております。  これまで、特に最近の過去十年間、昭和四十年代の半ばを中心にいたしまして相当大規模な終閉山が起こったわけでございまして、その間それの非常に大きな影響がありましたために、各地元市町村も当面のその疲弊を、どのように終閉山の影響を考えていったらいいだろうかということに終始し、必ずしもまだ十分それぞれの位置づけをやっていく余裕もなかったということも、事実であっただろうというふうに思うわけであります。  いまいろいろ委員からも御指摘がございましたが、今後私どもとしては、この限られた財政状態の中でそれぞれの地元の関係者の創意工夫を生かしていくということが一つの前提で、それをもとにいたしまして広域的な発展を目指す。地方の自主性を尊重しながら、それぞれの地域の特性を生かしていく計画をつくっていく。それで地元のそのような創意と、それからまた地元でつくりました地域発展計画、これを国全体の振興基本計画あるいは実施計画に反映させていくために、地方あるいは中央との連携体制を密にしていく。こういうことでこの運用を図って、御指摘されておるような従来の問題点を解決していきたいというふうに思っておるわけでございます。  従来、終閉山が非常に集中的に、過去十年の間の半ばぐらいまでに起こってまいったわけでございますが、ある程度、その終閉山というのも一つ山を越えまして、いろいろな基盤的な整備というのも、これまでの十年の間にある程度進んでまいっておるわけでございますので、今後その上に、いま申し上げましたような地元の自主性、創意工夫を生かした計画をつくり、それを地方が意欲的に、なおかつ国もそれを支援をしていく、こういう体制をつくることによって、この十年の間に、先ほど御指摘がありましたように、従来の生活保護の状態あるいは失業の状態、地方財政力の状態といったようなものの改善が図れることを期待しているわけでございます。  地域の特性を発揮するということのために、これまで当委員会でもいろいろ御指摘がございました特定事業促進調整額というような予算措置も講じまして、運用面での改善を図っていくということによりまして、政策手段そのものは単純延長ということでこの法律の御審議をお願いいたしておりますが、運用面におきましては、いま申し上げましたような思想それから手法の改善といったようなもので、今後この産炭地域振興施策の効果を上げていくということで努力をしたいというふうに考えております。
  116. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、そういう広域的な計画を立ててやる努力、あるいはまた、工業だけでなく農業とかあるいは都市的な機能も強化していこうとか、そういうようなことは、それはそれとして結構なことだと思っているのです。  しかし、特に今後十年間単純延長しても、よほど取り組みを強めないとむずかしいと思うのは、いまのような経済が全体として低成長という中では、たとえば工場の立地が全体の中ではやはり核になるのじゃないかと思うのですけれども、筑豊などに対する企業の進出状況というのを見てみますと、四十二年ごろから四十六年ごろまでは大体毎年四十社前後が立地してきている。それが四十七年二十二社、四十八年三十一社、このごろまではまあまあとしても、いわゆるオイルショックがありました四十九年ごろからはもうさま変わりして、四十九年十三社、五十年四社、五十一年十三社、五十二年三社、五十三年十二社、五十四年二十一社、五十四年はやや上向いたとは言うけれども、こういうような状況になっておるのですよ。ましていわゆる中核企業というようなものはとても簡単に来そうな状況にはない。  そうすると、いま言ったような点が見通しが非常にきついということになりますと、それ以外のところをいろいろよくしようということで工夫しても、一番肝心なところではやはり悲観的というか厳しい見方をせざるを得ないのじゃなかろうか。それだけに、ここに積極的に工場を立地させるための国の努力というものが、いままでとはもう一段質的にも違った努力を必要とするのじゃなかろうかというようなことを感ずるわけです。その点については、今回の場合、手法の上ではいままでと変化がないのじゃないでしょうか。
  117. 福川伸次

    福川政府委員 いま福岡県の産炭地域への進出企業数がございましたが、昭和三十八年度から五十四年度まで三百五十八企業が進出をいたしております。  確かに、企業の進出というものが景気の動向に左右されるという点は、いまお述べになられました数字にも端的にあらわれていると思うわけでございますが、この企業の進出、もちろん今後産業の誘致ということが経済的あるいは社会的疲弊回復する上の中心であるという点は、私どももそのような認識を持って、従来からも工業団地の造成あるいは進出いたします企業に対する融資制度の充実ということで考えてきたわけでございます。  産炭地全体について見ますと、三十七年度から五十四年度で三千七百三十六社進出し、そのうち公団の方が関与いたしまして土地を造成しあるいは融資をした企業というのは千五百五十四社ございます。私どももこの間に十万人の雇用創出ということを図ったわけでございますが、今後このような企業の進出を図っていくということにつきましては、もちろん企業が進出しやすいいろいろな状況をつくる、環境を整備する、基盤整備ということが一つの大きな重要なポイントであろうということで私ども考えておるわけでございます。  そのために、それぞれの道県がそれぞれの環境を整備いたします。たとえば道路でございますとかあるいは工場団地、住宅団地、そのほかいろいろな環境の整備をそれぞれ地元が市町村の意見を尊重しながら、それぞれの地域の特性を生かした形で、有機的な連関を図る計画をつくっていくということで、それぞれの状況をよりよい形に発揮させていくということが、一つの重要な柱ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  また、地域振興整備公団の融資事業等もございますので、従来からも、もちろん、企業の進出には公団等が中心になりまして関係道県、関係市町村と緊密な連絡をとってやってまいっておりますが、これからも、そういう企業の進出ということを念頭に置きながら、関係省庁の間であるいは関係道県、関係市町村との間で十分連絡を密にして企業が進出しやすい状況をつくり、またその必要な情報の提供に一層努力をしていく、こういうことで企業の投資の促進を促していきたいというふうに思うわけでございます。  企業の設備投資というのは企業の判断で決めることでございますし、その後の企業経営ということも、企業の責任において、十分合理的になおかつ効率的に展開されなければならないものでございますので、そこに行政が直接どの程度まで関与するかという点には限界があろうかと思いますが、進出しやすいいろいろな状況を整備し、それを的確に企業に提供をする、それから進出するために必要な資金面での助成をする、こういうことでございまして、手法自身といたしましては、御指摘のように従来の手段を活用してまいっていくわけでございますが、従来かなり基盤整備の方も進んでまいってきておりまして、終閉山も従来のように急激に起こるという事態はしばらくは考えられないわけでございますので、従来のその改善の跡ということも効果を発揮してくる。  先ほど申しましたような関係道県、関係市町村、さらには公団等々の協調体制を密にし、また関係省庁との連携をより緊密にすることによりまして、今後の企業の立地の促進ということを促していき、なお今後、経済成長率からして、従来のような高い設備投資は確かに期待できませんけれども、この産炭地の条件が改善をされておるということの認識を十分企業に持ってもらいまして、関係者の間で企業の進出の努力を促していくということにすべきではなかろうか。その点につきましては、私どももまたいろいろな所要の努力をしてまいりたいと思っております。
  118. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、ブロック計画の問題でお尋ねをしたいと思うのです。  今度の場合、国が基本計画実施計画を立てて推進すること、この点ではいままでと変わりはないにしても、地元の県を中心にして広域的な幾つかのブロックに分けた計画をつくって、緊密に絶えず連携をとりながらその実現を図っていく、地元に対応する計画を持たせて推進していくというところが、いままでと比べると一歩前進という点だろうと私は思うわけです。それで、先ほどから伺っているとキャッチボール方式でいくんだというお話があったんですが、キャッチボールといっても、まずどちらから球を投げてそれが主導権を握って仕事をやっていくのかということが非常に大きな意味を持つと私は思うのです。その点では、今度のそういう発想からするならば、まず地元から球が投げられる、それをあなた方が受けてこれは全国的な立場から見てどうだこうだと言って返す、そういうようなところで進んでいくというように私は理解しているんですが、その点でいいかどうか。
  119. 福川伸次

    福川政府委員 いま委員の御指摘のとおりに、もちろん、こういう法律ができる、したがいまして、今後の方向はこういうことなんで、関係道県が関係市町村の意見を聞いて、まず地方からボールが投げられるということを私ども考えておるわけでございます。私がキャッチボールと申し上げました表現があるいは誤解を招いたかもしれませんが、キャッチボールをして責任転嫁をしようと言っている意味ではございませんで、私どもも、よりいいものを相互に連絡をとりながら練り上げていくという意味で申し上げたわけでございます。  したがいまして、ここでまず申し上げたいのは、地方地域発展計画の素案をつくる、こういうことで、それを集約いたしまして産炭地域振興基本計画あるいは実施計画に反映させていく。また、それは国全体としての立場での整合性が保たれる形になるわけでございますので、それはもちろん地方地域発展計画が反映されておるわけでありますが、それをまたベースにして地域でさらに今度は具体的に実施をしていくわけでございまして、これからまた毎年ごとに各省庁の仕事に——道県からの要請を各関係省庁が受けとめましてそれを実施に移していく、また、それは国の立場として関係省庁との間の連絡を密にする、こういうことでございますので、どちらからまずボールが投げられるべきかということは、投げてもらいたいという意思はこの法律ができることがまず一つのシグナルになると思いますが、投げるボールは、御指摘のとおりに地方からまずそれをつくってやっていただく、もちろん、その場合には私どもも連絡調整を十分密にしながらやってまいりたい、かように考えております。
  120. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほど、北海道の方についてはブロックの区分などについてもうかなり具体的に考えておるかというお尋ねがあって、いろいろと考え方もお話しされたようです。私も地元の県に立ち寄ったりしたときにはいろいろ考えども聞くのですけれども、その辺についてのある程度の構想ができておったら、筑豊についてはどういうようなブロック区分を考えておるということをお示し願いたいと思います。  それから、発展計画については、いまのところはまだそう具体化しているという状態ではないと思います。一般的にいって今度の場合は、先ほども言いましたように、工業だけでなく農業だとかあるいは都市的な機能ということで、福祉とか教育とかそういうような施設をどうするとか、そういうようなことを地元の方でどんどん自主的に考えてくれというふうに、その絵をかく段階では多分言われるんだろうと思うのです。  その点で一言お尋ねしたいと思いますのは、先日、参考人の御意見を私たち伺ったわけであります。そのとき福岡の小林副知事がお見えになっておりまして、地元の方で、いま福岡と北九州を起爆剤にしたいということでいろいろ構想を練っているということで、私もそれは大変興味がある。特にいま国鉄のローカル線の廃止ということが大きな問題になっておりますけれども、いま申し上げたような福岡、北九州などを起爆剤にして筑豊にその影響力を及ぼそうということになりますと、ローカル線をどうしても今後存続させる、さらにはもっと積極的に活用するという立場から、先行投資という点で、たとえば臼井と桂川の間は短絡をさせるとか、ここは複線電化をしてほしいとかいうようなことを、いろいろ困難はあるだろうけれども、自分たちとしてはそういう構想も持ちたいというようなお話だったわけです。  先ほど言われましたように、地元がイニシアチブを発揮していくことを望んでいるというんだったら、こういうような構想もどんどん出してもらって、その実現のために国としては積極的に援助をしていくという立場に立ってもらいたいものだと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  121. 福川伸次

    福川政府委員 第一のお尋ねの点は、筑豊をどのような経済生活圏で考えておるかということでございました。この筑豊地域につきましては、現在自治省の方でお進めになっておられます広域市町村圏が七つございます。それから、建設省の方でお進めになっておられます地方生活圏と言われますものが四つございます。私どものとりあえずの考え方といたしましては、この自治省でお進めになっておられます広域市町村圏、これを原則といたしまして最低単位に考えて、単数あるいは複数組み合わせていく、こういうふうに考えられるわけでございます。  建設省の方のが現在四つと申し上げましたが、七つの広域市町村圏が建設省の方の地方生活圏でいま四つに集約されておるわけでございますが、私どもも、幾つかこの広域市町村圏を組み合わせて考えるというふうにいたしたいと思っております。その場合に、やはり経済的社会的疲弊を解消しようということでございますので、ここで六条の市町村というものがその中に含まれる形でこれを考えていきたい。そして地域特性を発揮しながら、その圏域の発展の中で六条市町村疲弊を解消していくということをねらいたいというふうに考えておるわけでございます。  いま福岡県の筑豊地域の場合にこれをどのような形でつくったらいいかという点が、私どももいろいろ勉強をし、考えている点でございます。それは福岡市あるいは北九州市といったかなり工業集積度の高い経済活動を行っている地域、その活力が内部の方に徐々に波及していくという進行の過程をたどっているように思うわけでございます。したがって、これを内陸地方とどのように組み合わせて考えるのがいいのか、あるいはまた、内陸地域としてある経済生活圏として結びつけて考えていったらいいだろうかという点につきまして、実は私どもも、いまどちらの道をたどった方が適当であるのかという点を、地方、県の意見を聞きながら考えていかなければならない問題だということでございまして、その辺はまだ私どもも、こちらの方がいいという結論を得るには至っていないわけでございます。  それから、いま国鉄のローカル線の廃止ということを含めまして、地方にイニシアチブをとらせるということであるならば、いろいろなその実施上の諸問題についても、関係道県あるいは関係市町村の意見を尊重しながら、国としても支援すべきではないかという実施上の問題点について御指摘があったわけでございます。  私どもも、先ほど申しましたように、地方の方からボールが投げられるということで、地域発展計画につくり上げていくことを考えておるわけでございまして、この地域発展計画の素案をつくっていっていただくという場合には、私どもも、この地域の実情に応じた交通体系のあり方というのが非常に重要なポイントになるというふうに思うわけでございます。これが御指摘のような企業の進出ということにもつながる問題でもありますし、あるいはまた、ある程度核として発展した経済活動が波及をしていくことにもつながる問題であるわけでございます。  こういう計画をつくっていった場合に、今後輸送需要がどうなるかということが一つ考え方のポイントになるわけでございます。したがいまして、今後のこの輸送体系の中で予想されます輸送需要、これはもちろん国鉄再建という政策との調整を要するわけでございますが、その中でこの総合交通体系のあり方、輸送体系のあり方というのをどういう手段で組み合わせていくのがいいのか、あるいはまた、その組み合わせることによっての輸送需要というのは、それぞれ鉄道、道路あるいは港湾といった輸送の需要をどのように算定をして、それが国鉄再建の考え方に合うのかどうかということを十分調整をし、組み合わせて考えていかなければならないというふうに思うわけでございます。  これはまた関係所管省のいろいろなお考え方がございますので、私どもも、関係道県が地域発展計画を御検討になり、つくっていかれる過程で、関係省庁の持っております政策体系との調整ということにつきましては、道県と関係省庁とで十分話し合い、御調整も願いたいと思いますし、また私どもも、関係省庁の間での連絡調整ということについても十分意を用いていきたいというふうに思っております。
  122. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうも最後の点が余りはっきりしないわけですね。結局地元では、国鉄ローカル線の存続、活用を前提にした発展計画をつくりたい。もちろん、輸送手段としてはそれだけじゃなくて、この前からお話が出ておりますように、筑豊の場合で言うと、筑豊圏内については道路の整備はかなりできたけれども、それを福岡や北九州につなぐところがネックになっておる。それは私もそう思っておるから、多分そこを改善しろというような計画ももちろん出てくるでしょう。  しかし同時に、いま申し上げているようなローカル線を積極的に活用しなければならないというのとあわせて、交通手段を一層改善していくということが出てくると思うんですね。だから、それについては国の方がそれを受けて、基本計画実施計画の中に織り込む、あるいは最大限それを尊重して考えていくということになるのか。そういう話が出てきたけれどもどうですかというので、運輸省やら国鉄やらに、ただ、こう言ってきてますよと言って、あなた方が相談をするように取り計らうのかということでは、決定的に違ってくると思うのですね。だから、そこのところをはっきりさしていただきたいわけです。
  123. 福川伸次

    福川政府委員 この総合輸送交通体系をどのように考えていくかというのは、御指摘のように地域発展計画とまさに密接に絡むわけでございます。いまお話がございましたように、関係道県が市町村の意見を聞いて、それでいろいろな地域の特性を出しつつ、その地域経済活動、あるいは文化的な諸活動の将来図をつくっていくわけでございます。また、住宅その他の計画も出てくると思います。そういうことになりますと、その地域全体としての輸送交通体系はどういうのが望ましいのかという点は、関係道県の間でも当然御議論になり、またそれをつくる過程で関係省庁あるいは省庁の出先機関等との御調整が十分あり得るというふうに思っておるわけでございます。  したがいまして、私ども、どういう輸送手段が一番適切であるのか、これをたとえば新線の建設でした方がいいのか、あるいはそれぞれ期待されます業態のあり方、それの輸送の状態、あるいは住宅の形成のあり方、いろいろな要因を考えて、その望ましい交通の手段のあり方というのを考えなければならないというふうに思うわけでございます。  現在、もちろんそれぞれ道路、鉄道あるいは自動車輸送等々、御所管の省庁がそれぞれの政策の意図を持ってやっておられるわけでありますが、いま申し上げましたような、どういうのが一番合理的であり、かつ効率的であるかという計画を、関係の道県が地域発展計画の中で織り込んでいく。こういうことになってまいります過程で、私どもも、それが十分合理的であるならば、関係省庁も御納得をいただけるものと思いますし、それはいろいろ各省庁との政策の調整は要する問題でございますが、その地域発展計画というものが全体の政策体系の中でも望ましいということでございますれば、私どもも、関係省庁とは積極的な意見の交換をし、また必要があればお願いをしていくようなかっこうで対処してまいりたいと思っております。
  124. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうもまだ納得いきませんね。この前、政令が出るまでは、ローカル線は廃止すべきでないということで、関係者が非常に積極的に動いていただいたと思っているのですよ。しかし、いまのお答えからすると、政令が出たからちょっと態度があいまいになってきたのかなという危惧の念を持たざるを得ないわけですね。地元の方としては、あくまで国鉄ローカル線の存続と活用を前提にしないと発展計画は思うようなものはできないし、ぜひそういうものをかきたいと言っているわけです。だから、それが出てきたらどうするのですかということを端的に答えてください。
  125. 福川伸次

    福川政府委員 いまの地域発展と輸送需要というのは、確かにうらはらの問題でございまして、地域発展していけば輸送需要も確かにふえていくという要因があろうと思うわけでございます。ローカル線の問題の経緯につきましても、私どもも私どもなりのできる範囲で努力はいたしたつもりでおりますが、今後そういう計画が出てまいりました場合には、地域発展と輸送需要というものが密接に絡み合って出てくるということでございますので、それが望ましいということでございますれば、私ども関係省庁と十分話し合いをいたしたいと思っております。
  126. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、次に行きたいと思います。  計画ができたとして、それを裏づける財源措置などについて国が積極的に努力をしていただかなければなりません。そういう立場から、まず十一億円の特定事業促進調整額といいましたか、これについてお尋ねしたいと思うのですが、これもいままで再三議論をされてまいりましたけれども、もう今日の段階ならば、どういう事業を対象としてどういうようなかさ上げをするということについてほぼ成案を得ておる段階ではないかと私は思うのですけれども、それが決まっておればお示しを願いたいと思うのです。  それから、特に疲弊の著しい市町村にこれを交付するということになっておるのですけれども、この基準もすでに考えておられるとすれば、筑豊などに当てはめてみたらどういうことになるのか、それもおっしゃっていただきたいと思います。
  127. 福川伸次

    福川政府委員 特定事業促進調整額制度についてのお尋ねでございますが、私どもとしては、これは六条市町村を対象にいたしまして、これらの市町村関係道県の作成いたします経済生活圏の発展計画に基づいて行う事業、その事業のうちで広域的な共同施設の建設、それから地域特性に応じた市町村の機能分担を高めるための基盤整備、三番目に教育、文化、福祉等のレベルアップを図るための施設の整備といった事業を行う場合に、これらの事業のうちで国庫補助事業として採択されております、政策的にも推進されておるそういうもので、広域的な地域特性を発揮していくために役立つような形でこの補助事業をさらにかさ上げ、補足していくということで考えたいと思っているわけでございます。  まだ正確に決めているわけでございませんが、いま申し上げた三つの施設の中で概要を申し上げてみますと、第一の広域的な共同施設の例といたしましては、広域水道あるいは広域的な水資源の開発あるいは広域的な医療施設といったようなものを考えたいと思っております。二番目の市町村の機能分担を高めるための基盤整備の事業といたしましては、たとえば土地改良事業あるいは林業振興施設、漁業振興の施設といったものを考えたいと思っております。三番目の教育、文化、福祉等のレベルアップを図るための施設の整備といたしましては、たとえば公民館とか老人の福祉施設とか青少年の家とかいったものを対象にいたしたいと考えております。  それから、特に疲弊した市町村を対象として交付するということだがどうだということでございますが、私どもとしては、特に疲弊の著しい市町村という意味は、振興のおくれております産炭地域の六条市町村を対象にすると考えたいと思っております。
  128. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それはわかりました。  五十六年度からこの調整額がスタートしたというので非常に期待も大きいのです。しかし、じゃいまからどういう事業をやろうかということで地元でいろいろ考えたりしているということになると、非常に期待が大きいのに、年度が終わるころに、今年度に限ってはお金を使い切らないというようなことが起こらないかという点をちょっと懸念するのですが、市町村などからどんどん相談が来て、そういうような懸念はないという状態がいまから見通せるというような状態になっているか、現状をお尋ねしておきたいのと、それから、今後もこれに対する期待が非常に大きいだけに、恐らくずいぶんだくさんのいろいろな要求が長期的には殺到してくるのじゃなかろうか。  そうすると、当然それにこたえていかなくてはならない。そうすると、いま財政危機だというようなことが言われますけれども、この金額を、そういう要求にこたえるためにも積極的にふやしていっていただかなければならないと思うのです。その見通しがどうかということです。いま第二臨調が発足をした。それから、去年この新しい調整額をつけるということのために年末ぎりぎりまで皆さんが大変な苦労をなさったというようなことやらを考えてみると、この点はよほど努力していただかなければいけないと思います。  しかし、こういうような法律と仕組みが少なくとも内閣の意思として、法案として出てくるという状況になったからには、そういう困難の中でも、政府の責任において、今後もそういうような要求にこたえるという点では意思統一があると期待をしているわけですが、その点はどういうふうな見通しでしょうか。
  129. 福川伸次

    福川政府委員 第一点のお尋ねは、この調整額についての支出の準備が適切に行われるであろうかというお尋ねであったと思います。  私ども昨年、これは答申をいただく前でございましたが、概算要求を八月末に出すということでございまして、当時審議会等の議論を踏まえまして、あらかじめ要求を出したわけでございます。その後論議を詰めていただきまして、一応その方向でよかろうという御判断をいただいたわけでございましたが、要求をいたしましたその時点で、関係道県から一応の考え方を聴取いたしまして、考えておられる計画を、その時点での概要を一応取りまとめたわけでございまして、これはそれぞれの考え方、基準に基づきましての制度でございますから、それなりの内容を当時の要求額としてはつくったわけでございます。  幸いにして、その要求どおりにこの調整額は予算が成立をいたしたわけでございますが、もちろん、実際の支出をいたします場合には、今後の地域発展計画ということの中でその位置づけが明らかにされるということが必要であるわけでございます。したがって、たとえばいろいろな準備がおくれてしまって、御指摘のようにこの調整額が使えなくなってしまうということがないかということでございますが、もちろん、いま福岡県など他の産炭地域関係道県も、今後の地域発展計画の作業の準備にすでに入っておられると私どもも承っております。  最終的にはそういう計画ができて、その位置づけが明らかになることが必要でございますけれども、私どもも、できるだけその作業も並行させながら、この調整額の事業というものを明らかにして、それでいろいろ各方面の期待の寄せられております予算でもございますので、なるべく早目に準備をして、いまの地域発展計画をつくっていきます作業と並行いたしまして、いま御指摘のような懸念のないように、適切に運用してまいりたいというふうに思います。  それから第二点の、今後この予算の確保がどうであるかということでございます。  委員御高承のとおりに、予算は単年度主義でございますから、明年度の予算がどういうふうになるかということは、もちろん、いまの時点で申し上げられる段階にはございませんけれども、私どもとしても、今後十年間でこの産炭地域疲弊を何とか解消をいたしたいということで考えておるわけでございまして、今後、各道県がつくっていきます発展計画の内容あるいはその事業の実施の効果等を考えまして、産炭地域の広域的な発展を図るという観点に立ちまして、今後の予算については、私どもも十分努力をしてまいらなければならないというふうに思っております。
  130. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ちょっと話が前後するかもしれませんが、先ほどのお答えの中で幾つか具体的に、こういうような事業を対象にするというお答えがありましたけれども、あれは例示というふうに言われたので、今後具体的に市町村などがやりたい事業が出てくれば、またそれに応じて相談をしていくという趣旨に理解したが、それでいいかどうか。  それから、国庫補助事業というように限定をされたのですけれども、国庫補助事業ということになると、非常に切実であっても市町村単独ということで、しかもほかにも影響が及ぶというようなケースというのもあり得るのではないかと私は思うのですが、そういうようなことは相談をする余地が、いまの答弁ではなくなってしまうのですけれども、どうでしょうかね。
  131. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど申し上げましたのは例示ということで、施設につきましては、これから私どもも、道県の考え方あるいは地域発展計画を見ながら、そこは御相談をし、検討いたしてまいりたいというふうに思うわけでございまして、今後、先ほど申し上げましたように、発展計画の内容とか事業の実施効果等を勘案いたしながら、産炭地域の広域的な発展を図るという観点に立って、その必要性は検討いたしたいというふうに思っております。  それから、第二点の国庫補助事業ということに限ってこの予算を使うということを私ども考えているわけでございます。と申しますのは、この六条の市町村、これが非常に疲弊の著しいところでございますけれども、それぞれ必要な公共事業、基盤整備ということにつきましては、それぞれの省庁におきまして国の補助を受けて実施をしている、そういう重要度の高い事業、これをさらに加速をする、こういうことで考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、したがいまして、私ども考えとしては、国全体の立場から行われております公共事業等の中で、それを産炭地であるために特に加速をしたい、地域の特性を発揮するために特に加速をいたしたい、こういうものを考えていく。それが国全体の施策との調整を図り、産炭地域振興に役立つことではなかろうかということでございますので、私どもとしては、現在のところ、国の補助を受けて実施する場合を対象に考えておるわけでございます。
  132. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 自治省の方がお見えになっていると思うのですが、おりますね。先ほど午前中にずいぶん議論をされた問題です。交付税の中の産炭地補正を五十七年度以後も存続すべきだという点についてなのです。この点については大分議論をされましたし、私も、含みとしてはかなり前向きだというようには感じたので、いろいろ質問をしようとは思いませんけれども、ただ、現状について一言確かめる意味お尋ねをしておきたいと思うのです。  いま筑豊の市町村財政力指数などを見ると、一番悪かったのは〇・三ぐらいの時期だったのが、いま〇・三四ぐらいにまでわずかばかりよくなったように思いますけれども、これは、よくなったと言っても、全国的な平均が〇・六幾らというふうにいっている状態から見れば、全くお話にならぬ水準ですね。しかも、そのわずかばかりよくなったように見えるというのも、この産炭地補正などが力があって、こういうように見かけ上よくなったという結果が出たということじゃないかと思うのです。その点で、産炭地の自治体の財政は、いまでもそういうような突っかい棒を外したら非常に深刻な状態だということについては、あなた方の方ももう十分御認識をいただいていると思うし、そういう中で今後十年間に、先ほどから議論されているようなこの産炭地振興の事業をやり上げようということになれば、また市町村財政的には相当に苦労しなければならない。この辺は十分におわかりになっていると思うのです。そういう立場に立ってひとつ検討していただきたいと思っているわけですけれども、答弁者がかわっているから、あなたからも一言だけその点をお答え願いたい。
  133. 能勢邦之

    ○能勢説明員 いわゆる産炭地補正につきましては、五十七年度以降の問題、五十七年度以降も継続すべきではないかという強い御意見、この委員会でも他の委員からもたびたびいただいておりまして、そういう強い御意見があることもわれわれ十分承知をいたしております。  この補正の基本的な性格については、先生御案内のとおりかと存じますが、地方財政という観点から、鉱業人口の減に伴う産炭地域市町村交付税の基準財政需要額の落ち、激変を緩和しようということ、それから産炭地振興の諸施策成果が出ることを期待しながら、いわばそのつなぎというような考え方で五十一年度に設けて、五十六年度まで適用してまいったということでやってまいった補正であるわけです。  この補正の果たしてまいった役割りということについては、お話のありましたように私どもも十分承知しておるのでございますが、五十六年度は従来同様やってまいりまして、五十七年度以降どうするかということにつきましては、これはたびたび御説明申し上げておりますが、産炭地振興関連施策の今後の状況、なかんずく、先ほどもお話がございましたブロック計画と申しますか、発展計画、そこに盛り込まれる国や地方団体の施策の内容、さらにまた、お話がございましたような市町村財政状況といったようなものを十分勘案いたしながら検討し、結論を出してまいることにいたしたいということで御了解いただきたいと思います。
  134. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では次に、足切りの問題ですが、これもいろいろ議論をされてきましたから私は簡単にお尋ねしたいと思うのですが、基準が現在までの議論の中でもうすでに確立したのかどうか。私が理解をしているのでは、ブロック全体でその評価をしていく、そして最も端的な指標ということで財政力指数、それに生活保護などの状況を加味する、大体こういうようなお話であったように思うのです。  それで、確認する意味お尋ねしたいと思うのですが、このブロック全体で評価するという場合に問題なのは、一番おくれた市町村でも、たとえば全国平均並みの財政力指数に達したかといったようなことでそのブロック全体が卒業をするかどうかということを決めていくことになると思うのですけれども、そういうように理解をしてよろしいでしょうか。
  135. 福川伸次

    福川政府委員 委員の御指摘のとおりに、経済生活圏、この中には、先ほども圏域の設定の考え方で御説明申し上げましたように、六条市町村が必ず入るということを考えておりまして、その圏域全体の発展の中で六条市町村疲弊を解消させていく道を探りたい、こういうことで考えておるわけでございまして、いま全体で考えるというお話がございましたが、その経済生活圏の中にあります六条市町村、複数あればその複数の六条市町村、二条地域などではある程度よくなっているところがあろうかと思いますが、一番疲弊の著しい六条市町村一つ生活圏の中に属しております六条市町村を、複数あればそれの全体を見まして、その指標としては財政力指数、これは指定をいたしましたときが〇・七二というのが当時の考え方でございましたが、その圏域に属しております六条市町村を全体として見て、おおむね〇・七二という水準に達するかどうかということを総合的に考えたい。  あと考慮いたします基準としては、委員の御指摘のとおり財政力指数一つの基軸的な指標と私ども思っておりますが、それだけに限らず、生活保護率とか、場合によっては雇用失業状態といったことも加味して考えたいというのが現在の考え方でございまして、審議会からは端的な指標とするようにということを言われておりますので、いま申し上げましたような考え方で審議会にお諮りをして、この基準を明確な形に練り上げていきたいというふうに思っております。
  136. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それはわかりました。  次に、労働省の方に失対事業の問題でお尋ねしたいと思うのです。前回、参考人から意見を伺ったときにも、福岡県の小林副知事などは、筑豊では依然として失業が非常に深刻であって、失対事業は継続していただかなくちゃならぬという強い希望を述べられたわけであります。筑豊のいまの状態から見れば、当然続けなくちゃならないというふうに私も考えているわけですけれども、との点できょう特に一つお尋ねしたいと思うのは、いわゆる特定地域開発就労事業に、中高年の措置を受け終わって、そして就職口がほかにもどうしてもないというような人が入れないでおる。この特定地域開発就労事業が行われているところでそういうような措置を受け終わった人が出たら、これは入れていただかなくちゃあの法律の精神から見てもおかしいのじゃないかと私は思うのですよ。この点どうでしょうか。
  137. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 先般の小林副知事のお話、私も伺っておりましたけれども、失対諸事業についてはなお継続の必要があるというふうに私は聞いておりました。失対諸事業といいますのは、緊就、開就、それから特開事業ですが、一般失対については、今度の研究会の報告も出たことでもあるし、そういう方向でいかざるを得ないだろうが、失対諸事業については継続の必要があるというふうに伺っておったわけでございます。  それはそれといたしまして、いま御指摘のございました特開事業につきましては、これは先生も御承知のように失業者を事業に吸収をしてやっていく、そういう形で失業対策をやっていく。こういう点につきましては、一般失対にも典型的に見られますように、どうしてもその事業に就労者が固定をしてしまう、いわゆる滞留が長期化してかえって就職の促進にならない、こういう問題をいつも抱えておるわけでございます。そういう意味では、この特開事業についてもやはり同じように滞留問題、六十五歳になるまではかえってなかなか就職しないというような問題も実はあるわけでございまして、中高措置が終わりましたからといって必ずこれを特開事業へ入れるということが、本人たちの今後の就職にとって常にそれでいいかどうかという基本問題も一つございます。  しかしながら、事業の趣旨といたしまして、やはりこういう中高措置をやりまして何とか一般民間への就職の努力をしたけれどもどうしても就職できなかった、そしてまたその地域が非常に雇用情勢も悪いというようなところにおきまして、特にそれが地域の開発可能性のある事業で、かつそういう事業を実施する市町村実施能力というようなもの等を考慮しながら現在までやってきたわけでございますが、しかし、最近におきます筑豊地区の市町村財政状況は依然として厳しい状況もございまして、率直に言いまして、六十五歳で一応その特開をやめられた方の補充についてももうなかなか受け切れないというような市町村も出てきておる、あるいはまた、事業枯渇問題もいろいろ出てきておるわけでございます。特開事業の仕組みの中で、適切な開発可能性のある事業の選定がなかなかむずかしいというような問題も出てきておるわけでございます。  そういう意味で、単に失業者が多数滞留しておる、あるいは中高年の手帳切れがたくさん出た、こういうことだけで特開事業をふくらませていくというわけにはなかなかいかない事情もあるわけでございます。そういう意味で、この中高措置終了者について特開事業で受けとめていくことについては、そういうそれぞれの地域における市町村財政事情、事業枯渇問題等々も十分考慮しながら慎重に対応しなければならぬ事情もあるという点も、ひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  138. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 またそこに入れると滞留するというようなお話があるのですけれども、しかし、その中高の措置を受けた人にしてみれば、ほかに仕事はないかということで安定所に行って、長い間、半年でしたか、一生懸命誠実かつ熱心に求職の活動をずっと続けておって、しかも結局就職できないということでその半年の期限が切れたという人たちでしょう。だから、この人たちは本当に何とか仕事を見つけなくちゃいけない、生活できない、そういうような人たちがこういうような状態になっておるということなのですから、私は、本人のためにもならぬようなことをいま言われたけれども、本人のためを考えるならば、これは一刻も早く、そういう一般の仕事がないなら、ここに入れてでも働かせて生活の道をつくってやるという以外にないのじゃないかと思うのです。そして一般の仕事がどんどんあるようになれば、その人たちはそっちへ移っていけばいいわけですから、ない以上、私は、そうしてやらなくては法の精神に合わないのじゃないかと思うのですよ。  実際田川では、この措置切れの人が八十一名いて、今度六十五歳になったということでやめられた人の補充として三十六名入られたそうですけれども、この差ですね、これだけの人たちは入ることができないでおる。しかも問題なのは、一年間をとってみるというと、病気だのあるいは亡くなられるだのというようなことで、六十五歳でやめるという事情以外に減っていく方がいるのですよね。だから、地元の人たちはせめてその分だけでも入れてもらいたい、ところがその分も入れないで、六十五歳でやめた人の補充だけしか認めない。だから、全体として見るとだんだんだんだん減っていく。国の方は五千人の枠ということで現状維持ということになっているのに、実際には就労者はそういう形で年を追って見れば地元で減っていくということになっているわけですね。だから、せめてそういう病気でやめたとか亡くなったとかいうような方の、いわゆる自然減というのですか、このぐらいは見てやって、入れてほしいということは、これは私は無理からぬ話じゃないかと思うのですよ。  それから、時間もぼつぼつ気になるような状況ですから、もう一つお尋ねしたいと思うのは、市町村が、この特開事業の欠員補充にしろ、なかなか入れたがらないというようなお話をいま部長はされたわけです。確かに市町村財政事情、きついと思うのです。だから、持ち出しになるようなことだったら、自分たちとしては余り歓迎できないということだと思うのです。だから、私は前々から言っていることですけれども、この特開事業などの事業単価をもうちょっと上げるということが必要、しかしそういうことを言っても、五十六年度になったばかりじゃないかということもあります。  そこで、私これは石炭部長にもお考えいただきたい点でもあるのですけれども、せっかく産炭地でこういうような失業者の人たちに働く機会を与えるというのであれば、資材費などが不足をしているために仕事がこの程度のものしかできないということで非常に制約があるわけですから、何らかの形でもうちょっと資材費を実質的に上積みをするような措置を、たとえば特定事業促進調整費などから出すようなことは無理かもしれぬけれども、その辺いろいろ工夫する余地がないかどうか、ひとつぜひ研究していただいて、もっと地元の方で仕事がやりやすいような点を両方で知恵を出し合って努力していただきたいと思うのですが、その点どうか。これは通産省の方にもお尋ねしたい。
  139. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 現在の特開事業の就労の枠につきましては、事業を実施する側といたしましては、就労者の方がいろいろ希望しておられる、それを願っておられる事情は私どもも十分承知をしております。承知しておりますが、先ほどから言っておりますように、実施をする市町村の側の財政事情というもの、それからまた、こういう特開事業の事業の仕組みの中で、補助率であるとか単価であるとか、また事業の選定の仕方、それから人力施行をしたいというような仕組みの中で、適正な事業の選定というものでなかなか苦慮いたしておるわけでございます。  そういう中で、現実問題として、市町村と県とがいろいろ打ち合わせ調整する中で、現状そういう六十五歳でやめられる方については何とか努力をして補充しましょうという形で運営しておるわけでございまして、そういう御意見、御指摘があることは私ども承知しておりますが、そういう現状の中で非常に苦慮しながらやっておるということで、このやり方についていま変えるということについてはなかなか容易でない現地事情もございまして、その点については慎重に対応せざるを得ないと思っておるわけでございます。  また、事業費の単価の引き上げにつきましては、これは私どもも年々その単価の引き上げについて努力をいたしておりまして、本年度につきましても、事業費単価の八%の引き上げが行われた、こういうような事情にあるわけでございます。
  140. 福川伸次

    福川政府委員 特定事業促進調整額の考え方でございますが、広域的な発展に……(小沢(和)委員「それは一つの例です」と呼ぶ)それで、いま私どもの方も、これは地方の負担が特に多い場合、これを軽減して事業の促進をしようということで考えたわけでございます。  いまお話しのように、開発就労事業、これは現在三分の二の国庫補助でやっておりますし、地方公共団体の負担額及び地方債の元利償還に対して地方交付税の補てんといったような助成もかなり手厚く行われているわけでございまして、地方公共団体の負担自身は必ずしもそれほど多くないのではなかろうかというふうに思っているわけでございます。  したがいまして、開発就労事業を特定事業促進調整額制度の対象とするということにつきましては、私どもとしてはむずかしいのではないかというふうに考えておりますが、なお御所管の労働省の方と必要に応じまして御相談はいたしたいと思いますが、この制度自身に乗せるということはむずかしいと思います。また何かほかにいい制度があるかどうか、よく労働省の御意見は伺ってみたいと思います。
  141. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは最後に、建設省の方がお見えになっていると思いますので、炭鉱住宅の改良の問題でお尋ねをしておきたいと思います。  炭鉱住宅がいまなお筑豊の地域で約三万戸からあるわけですが、これの老朽化がますます進んでおる。私が先ほどいただいた県の資料を見ますと、驚いたことですけれども、明治、大正時代に建てられた炭住が一七・七%もある。戦前に建ったということで見てみますと、六割ぐらいが戦前に建った炭住ですね。本当にどの炭住も老朽化して崩れかけている。これを建てかえる、改良するということは、もう非常に緊急の課題だと思うのです。  ところが、いつもここで問題になるのですけれども、いや、予算は組んであるけれどもお金が余っているのですよというようなことで、地元の方の話がまとまらないからどうにもならぬのですというようなお話が繰り返されているのですけれども、筑豊では、そういう話がまとまらないというようなことで、このままどうしてもほうっておけないような状態ではないかと私は思うのです。そこで、この機会に、炭住の実態なども早急に調べていただいて、特にネックになっているのは個人持ちの炭住が進まないということなんですが、私は、去年それについてもある程度は進んだ例もあるじゃないかというようなことも指摘して、そういう事例も研究してもらいたいということも申し上げたいのですけれども、その後研究していただいたか、また、そういうような調査をこの機会にしていただけるかどうか、その点を建設省の方にはお尋ねしたいと思います。  それから、もう一つ、これは担当は建設省かどうかちょっとよくわかりませんけれども、宮田町の貝島の炭住の改良事業が始まりました。ところが、その一方では、貝島炭鉱の清算が進んで、もういまある土地を全部売り払ってしまわなければいけないという問題が起こっているわけです。そうすると、改良住宅を建てるために用地が今後年次的に必要になるということがわかっているのに、財政状態などの制限があって、いまのままだったらまず必要な部分だけ買って、あとはほかの人が買ってしまうかもしれぬというような状態になりますね。これは今後またその人たちから買い戻すということになれば当然ずっと高くなる。こういうようなところについては、用地の先行取得などについてもどうしても援助していただく必要があるのじゃなかろうか、その方が結局国の負担も少なくて済むのじゃなかろうかということを考えますが、この点について、これはやはり建設省でしょうか、お尋ねをしておきたいと思うのです。
  142. 中田亨

    ○中田説明員 お答え申し上げます。  炭住改良の問題でございますが、先生承知のとおり、炭住改良につきましては、従来から、建設省といたしましては、住宅地区改良事業を中心にしまして逐次事業を進めてまいりました。また昭和五十三年度には、住宅地区改良法の採択要件に適合しないような小規模なものについてもこの事業を行うということで、小規模炭住地区の改良事業というものを始めたことは御承知のとおりでございます。地元でもずいぶん御努力願いまして、その結果逐次進んできておる、ある程度の成果は上がっておるものと考えております。  ただ、まだ非常に古いもの等で相当残っておるということも御指摘のとおりでございまして、特に御指摘のございました個人持ちの炭住、これは地元の合意形成といったものが非常にむずかしいということもございまして、なかなかむずかしいというのも御指摘のとおりでございます。これらにつきましては、いま地元でそれぞれ意見調整等図っておりますので、そういった実態も十分これから聞きながら、個別に指導してまいりたい、できるだけ円滑に今後進むように指導してまいりたいというふうに考えております。  それから、宮田町のお話がございましたが、宮田町は非常にたくさんの炭鉱住宅を抱えておりまして、なかなか全体を一気にできないという事情も御指摘のとおりのようでございます。ただ、私どもの事業の制度のたてまえからいたしますと、事業の計画がきちっと立っていないものについて、あらかじめ私ども制度の範囲内で先買いについて補助するというようなことはなかなか困難でございますので、事業計画の地元の詰めを見ながら、何かいい知恵がないか、いろいろ御相談してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  143. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  144. 森中守義

    森中委員長 太田誠一君。
  145. 太田誠一

    ○太田委員 産炭地振興法延長の問題もずいぶんここで討議をされまして、もはや聞くことも底をついたという感じもいたしますけれども最後幾つかの点で確認をとりたいと思いまして、質問をさせていただきます。  まず、今度の産炭地域振興法の振興策のこれからの方向について、これまでと違う点は、広域的な発展を図る、つまり市町村の枠を超えて考えなければいかぬのだという方向が明確に打ち出されてきた点であるというふうに思うわけであります。これは産炭地、とりわけ筑豊地域経済というものが実は政府の支出に大変大きく依存をしてしまっている、ほうっておけばこれは十年たとうが二十年たとうが、相変わらず政府に依存をしているという体質がなくならないわけであります。そしてこの問題を解決するためには、広域的な経済全体の構造を変えていかなければいけない。市町村単位という小さな枠で経済構造を変えるということは、実際問題としてはむずかしいわけでして、いわゆる自立的な成長のメカニズムというものをここでつくり上げなければならないということになるわけであります。  しかも一方的に中央の官庁で作文をしてそれを押しつけたところでだめだ、むしろ地元の自発的な計画といいますか、各市町村、そして地元の経済界がみずからの責任においてこの地域開発の問題に取り組む、あるいは自立的成長メカニズムというものを開発していくという課題に取り組まなければならないということになるわけであります。そういう一つの避けられない方向をここで産炭地振興政策は求めていかなければならないわけでありますけれども、まず、こういった経済生活圏別の広域的発展計画の策定と実施に対して、具体的に政府はどんな指導をしていくつもりなのか、そこのところをお尋ねしたいわけです。
  146. 福川伸次

    福川政府委員 今後の産炭地域振興政策の展開に当たりましては、いま太田委員が御指摘になられましたような思想で、これから私どもも鋭意取り組んでまいらなければならないと考えておるわけでございます。  いま、今後地元に対してどのような指導をしていくつもりかというお尋ねでございました。答申でもいろいろ言われておりますように、今後の展開に当たりましては、従来の対策の推進の反省を踏まえまして、地元の自発的かつ主体的な努力を基礎としていく、こういうことが必要であるわけでございます。私ども、今後実施計画をつくるに当たりましては、その地元の発展計画、これを十分練り上げた、関係者の創意工夫の盛り込まれたものであり、かつまた、地元の関係者が十分協力し合っていくような実施プログラム的なものでなければならないと思っているわけでございます。  したがいまして、今度発展計画をつくっていただく場合に、まず地元の関係者が十分いろいろ英知をしぼって考えて、一致協力して知恵を出していただく、その上に立って地域振興の手順、これをどのように進めていったらいいのか、さらにまた、実施すべき事業の優先度、これを決定をし、それでまた市町村等が的確に事業を進めていくということが必要であると考えているわけでございます。これから関係道県が関係市町村の意見を聞いてイニシアチブをとりながら、地元の自主性を尊重していく、こういうことでございますので、いま申し上げましたように、それぞれの事業が効率的かつ的確に実施できる方向で、各地元の自主性が発揮できるような形でこの事業を進めていくというようなことで、私どもも連絡を密にしながら、中央の関係省庁のベースあるいは地元のベースを含めまして、いま申し上げましたような点で指導をしてまいりたいと思っております。
  147. 太田誠一

    ○太田委員 いま中央には各省連絡会というものがあると伺っております。これは通産省のイニシアチブでもって各省に呼びかけて、産炭地の問題を総合的に取り扱おうということだろうと思うのですけれども、いわゆる経済構造を転換するなどというのは、口で言うのは簡単でありますけれども、実際には通産省ひとりの力でできるわけではないわけでありまして、そういう機構というものを有効に使っていかなければいけない、そういうものをもっと積極的につくっていかなければいけない。中央にこういうものがあるということはわかっておりますけれども、特に地方レベルでもって産炭地域振興目的とした各省連絡会といったものは設置をされておられるのですか。
  148. 福川伸次

    福川政府委員 中央におきましては、産炭地域振興関係十四省庁が集まりまして、連絡体制を強化していくということで、四十九年に設置されて以来、その都度必要に応じて開催されてまいりました。  地方につきましては、いま委員お尋ねでございますが、大規模な終閉山がありました場合に必要な対策を協議するということで、その都度招集。したがいまして、現在の運用では、大規模な終閉山があった場合に、地方として何ができるかという臨時的な形で、この地方の連絡協議会をやっておりましたのが実情でございます。
  149. 太田誠一

    ○太田委員 大規模な閉山が行われるたびに連絡会を招集するということでありますけれども、実際には、冒頭申し上げましたとおり、経済構造を広域的に転換をしていこうというときには、むしろ永続的な、あるいは定期的な各省連絡会というのが必要になると思いますけれども、これまでの各省連絡会の考え方とは全く別に、ここで新たに各省連絡会をつくるということをぜひ御検討をいただきたいというふうに思うわけであります。いかがでしょう
  150. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、産炭地域振興基本計画あるいは実施計画を的確に実行していくためには、もちろん、地域発展計画を基礎にいたしまして、関係省庁の連絡、あるいはまた関係地方公共団体との連絡がきわめて重要であるという点は御指摘のとおりでございます。  いま申し上げましたように、従来は、終閉山ということのためにどのような応急的な措置があり得るかというようなことを中心に議論をしてまいりましたが、これからは、先ほど委員も御指摘のように、また当委員会でも御指摘をしばしばいただきましたように、今後これを広域的にやっていくということのためには、もちろん、地域経済構造の改革というのはいろいろな面の積み重ねでございますから、事業所管省の出先機関あるいは地方公共団体などが一体となって取り組む体制づくりが必要であるという点は、御指摘のとおりであると存ずるわけでございます。  従来、緊急の対応策を講ずるために開催されたケースが多かったわけでございますが、今後、こういった広域的な発展計画志向を一層強めていくという必要性から、これからも、中央のみならず、地方におきましても、関係機関の連絡協調体制を図るために、地方での連絡体制をもう少し有効に働けることにするように、再編成あるいはより運用の改善といったようなものに機動的に対応できるように、私どもも検討を進めてまいりたいと思います。
  151. 太田誠一

    ○太田委員 そのような地方レベルでの各省連絡会というのが新たに編成をされるとします場合に、経済生活圏というものの範囲が、たとえば筑豊なら筑豊地域だけでこれをつくるということになりますと、これがまた大変限界が出てくるということになると思います。先ほどのどなたかの質疑でございましたけれども、筑豊経済生活圏については、福岡市あるいは北九州市との関連において、どうやって筑豊地域というものをこれらの周辺の大都市に対して開くかということが眼目になると思うわけであります。そのことも含めて、各省連絡会というものも編成をしていただくことをぜひお願いをしたいわけであります。  私は、各省連絡会の再編成ということは恐らく通産省の従来のお考えの中にあったと思いますけれども、この際、もう少し具体的にそのイメージをはっきりしたいわけであります。特に、筑豊地域のみならず、長崎にしましても——もし九州でこういう各省連絡会というようなものを編成されるとしたらば、ブロック出先機関というものが対象になってくると思いますけれども、どういうところがその対象になるか。  たとえば九州地方建設局でありますとか、もちろん、福岡通産局が中心になってやられるでしょうけれども、あるいは財務局も含まれるでしょうが、そういう各省の出先機関のみならず、県はもちろん中心になってやらなければいけないわけでありまして、自治体として、筑豊あるいは旧産炭地であります粕屋郡の市町村のみならず、北九州市は産炭地ですからこれは問題なく入りますけれども福岡市であるとか、そういうところも含めた連絡会というものをつくられる意思がおありかどうかというところを聞きたいのです。
  152. 田中六助

    田中(六)国務大臣 太田委員お答えを申し上げます。  私どもがこれからの十年間の産炭地振興考える場合に、具体的にいま述べられております北九州市あるいは福岡市、そういうもの、ちょうど人間の体で言えば有機的にこれは機能しなければなりませんし、この両市だけではなくて、中央からの出先機関はもちろん、地元の市町村あるいは県、そういうものを全部加味した、北九州市あるいは福岡市だけではなくて、周辺の市町村の首長も入れた機能を全部網羅して、この開発あるいは産炭地振興の対策に当たるという考えでございます。
  153. 太田誠一

    ○太田委員 そういう方向でやっていただくことは大変結構でございます。  もう一つ、いわゆる臨鉱法の延長問題というのはこれから出てくる問題でありますけれども、筑豊の産業構造というものを見ていったときに、特に政府の果たしている役割りというのは非常に大き過ぎる。特に固定資本形成の五〇%を政府が担っている。  この中身の大半は恐らく鉱害復旧事業であろうと思うわけでありますけれども、鉱害復旧事業に過度に依存をしているということは、これから筑豊経済というものを考えたときに、毎年毎年三百億に近い金が仮にここに従来どおりに吸い込まれていくとしますと、もしこれが十年たって、産炭地振興策というものをほかに考えていても、ここに余りにも大きなウェートが行き過ぎているということによって、十年たっても相変わらず同じ体質である、大変消費的な色彩の強い筑豊地域でありますけれども、十年後を目指してお金の使い方を考えるとすれば、もう少しこの鉱害復旧事業というふうなものも弾力的に、前向きな目的考えながら使用することはできないだろうかというふうなことをいま考えるわけであります。もちろん、住宅が傾いたのをどうこうするというのは仕方がありませんけれども、たとえば農地の問題なんかでも私はもう少し弾力的な使い方があるのではないかというふうな気がいたしております。  そして特に産業構造を転換するという場合に、企業立地がどちらかというとただいま停滞をしているわけであります。そしてまた、購買力が流出をしているというところも見られるわけであります。そういうものを解決するための非常に効き目のある薬というのは、実際私はないと思うわけです。  一つには、すべての筑豊地域が工業誘致といいますか、企業を誘致してそれで発展を図るということではなくて、ある地域は住宅都市としてやる、ある地域は観光都市としてやるというふうな、それぞれ地域ごとに役割りを分けていかなければならないと思うわけであります。その中で共通をしてどうしても必要だと思われるのは幹線道路といいますか、道路の整備あるいは水資源の問題であろうと思うわけであります。ぜひとも交通網を充実させるという問題には取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。  それで、最後に、いままでお聞きした広域的な取り組み方という問題とは全く別に、ちょっと気になっている問題がございますので、質問をさせていただきたいと思いますけれども、昨年の夏に集中豪雨がありまして、そのときにボタ山の一部が流出をしたということがあったわけであります。  それで、これはどこということではありませんけれども、一部の地域でそれに対する負担を地元でせざるを得なかったというような事情があるということも伺っておりますけれども、こういう場合に、そのような災害対策ということについて、いま通産省どういうふうに手当てをしておられるか、そこをお伺いしたい。
  154. 田中六助

    田中(六)国務大臣 ボタ山の処理、そういうものにつきましては臨時石炭鉱害復旧法に基づいてこれに対処しております。
  155. 太田誠一

    ○太田委員 そういうことでしょうけれども、無資力主体の場合には、これは通産省が手当てをされるというふうに聞いておりますけれども、有資力の主体、たとえば国鉄の場合などで、実は十分に手当てをされてないというふうな例も聞かないではありませんので、そういうことがないように、その場合は通産省が監督官庁になられるわけですね、ぜひ再度注意を喚起していただきたいと思うわけであります。
  156. 田中六助

    田中(六)国務大臣 もちろん鉱害には有資力、無資力、両方ございまして、私どもは、その点については十分、無資力の点はもちろんでございますけれども、有資力につきましても、それぞれの租鉱権あるいは鉱山主と申しますか、そういうものを十分究明して、鉱害対策には当たっていっております。
  157. 太田誠一

    ○太田委員 ありがとうございました。(拍手)
  158. 森中守義

    森中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  159. 森中守義

    森中委員長 これより討論に入るのであります。が、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 森中守義

    森中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  161. 森中守義

    森中委員長 この際、本案に対し、楢橋進君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。中西積介君。
  162. 中西績介

    中西(績)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。まず、案文を朗読いたします。     産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、今後十年間に確実にその目的を達成するため、産炭地域振興諸対策を強力かつ計画的に推進するとともに、特に、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 経済生活圏を定めるに当たっては、地方公共団体等の意向を十分勘案し、地域社会の調和のとれた浮揚が可能となるよう合理的な範囲を設定するとともに、当該地域発展計画の策定及び実施に対して適時適切な指導を行うこと。  二 国の産炭地域振興基本計画及び同実施計画については、経済生活圏の発展計画との整合性を勘案しつつ必要な見直しを行い、その計画性と実効性を確保すること。  三 産炭地域指定の解除に当たっては、経済生活圏ごとに地域社会としての発展が可能と認められる合理的な評価基準によることとし、適切な経過措置を講ずること。  四 産炭地域振興対策を着実に推進するため、必要な財源を確保し、関係各省庁の当該地域における事業採択に格別な配慮を加える等諸施策の充実に努めるとともに、中央・地方における関係各省庁間及び関係地方公共団体等との連絡協調体制を一層緊密化すること。 以上でございます。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、審査の過程及び案文によりまして御理解をいただけるものと存じますので、詳細の説明は省略さしていただきます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  163. 森中守義

    森中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  楢橋進君外五名提出の動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 森中守義

    森中委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  165. 森中守義

    森中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 森中守義

    森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  167. 森中守義

    森中委員長 この際、田中通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣
  168. 田中六助

    田中(六)国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、万全を期する所存でございます。      ————◇—————
  169. 森中守義

    森中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石炭対策に関する件、特に第七次石炭対策に関する問題について調査するため、参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 森中守義

    森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  参考人の意見聴取は二回に分けて行うこととし、参考人の人選、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 森中守義

    森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会