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1981-04-22 第94回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二十二日(水曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 梶山 静六君 理事 辻  英雄君    理事 原田昇左右君 理事 後藤  茂君    理事 清水  勇君 理事 北側 義一君    理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    粕谷  茂君       岸田 文武君    桜井  新君       島村 宜伸君    田原  隆君       泰道 三八君    橋口  隆君       鳩山 邦夫君    林  義郎君       松永  光君    水平 豊彦君       宮下 創平君    粟山  明君       森   清君    渡辺 秀央君       上坂  昇君    城地 豊司君       藤田 高敏君    水田  稔君       山本 幸一君    渡辺 三郎君       武田 一夫君    横手 文雄君       小林 政子君    渡辺  貢君       依田  実君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁物価         局審議官    齋藤 成雄君         通商産業大臣官         房長      杉山 和男君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       高橋  宏君         中小企業庁長官 児玉 清隆君         中小企業庁計画         部長      木下 博生君         中小企業庁指導         部長      山崎  衛君         中小企業庁小規         模企業部長   村野啓一郎君  委員外出席者         大蔵省銀行局総         務課長     北村 恭二君         労働省労働基準         局賃金福祉部福         祉課長     石岡愼太郎君         建設省住宅局住         宅政策課長   伊藤 茂史君         国民金融公庫総         裁       大倉 真隆君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  影山 衛司君         参  考  人         (全国商工会連         合会会長)   辻 彌兵衛君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     桜井  新君   小川 平二君     岸田 文武君   伊藤 公介君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   岸田 文武君     小川 平二君   桜井  新君     植竹 繁雄君   依田  実君     伊藤 公介君     ————————————— 四月二十日  貿易摩擦回避に関する請願井出一太郎君紹  介)(第三二七五号)  同(小川平二紹介)(第三二七六号)  同(小沢貞孝紹介)(第三二七七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三二七八号)  同(串原義直紹介)(第三二七九号)  同(倉石忠雄紹介)(第三二八〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第三二八一号)  同(清水勇紹介)(第三二八二号)  同(下平正一紹介)(第三二八三号)  同(中村茂紹介)(第三二八四号)  同(羽田孜紹介)(第三二八五号)  同(宮下創平紹介)(第三二八六号)  電気工事災害防止に関する請願赤城宗徳君紹  介)(第三三六五号) 同月二十二日  貿易摩擦回避に関する請願(林百郎君紹介)(  第三四一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四二号)  商工会組織等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第四三号)  通商産業基本施策に関する件(日本原子力発  電株式会社敦賀発電所における放射能漏れ事  故)      ————◇—————
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、日本原子力発電株式会社敦賀発電所における放射能漏れ事故概要について、政府から説明を聴取いたします。田中通商産業大臣
  3. 田中六助

    田中(六)国務大臣 このたびの日本原子力発電敦賀発電所における事故につきまして、私どもは、通産省から職員を現地に派遣いたしまして、この徹底的究明に努力をしております。  日本原子力発電関係原子力発電所については、抜本的な点検をしなければならないというふうに考えておりますし、その結果を踏まえてこの問題に対処すると同時に、私どもといたしましては、大いに反省をして、国民の信頼にこたえるべく、原子力発電の発展に努力していかなければならないという決意でございます。  自余のことにつきましては、事務当局から御報告させます。
  4. 高橋宏

    高橋(宏)政府委員 概要につきまして、お手元の資料を、短うございますので、読み上げて説明させていただきます。  現在までの経緯及び調査状況は、次のとおりでございます。  まず、四月十八日に、日本原子力発電株式会社から当省に対し、次の報告がなされました。  一、同社敦賀発電所取水口付近一般排水路出口たなに堆積した土砂から、コバルト60が六十一ピコキュリーグラム当たり及びマンガン54が十ピコキュリーグラム当たり検出されたこと。  二、浦底湾放水口対岸付近に自生するホンダワラの分析において、最近の測定値に比較して約十倍程度コバルト60などが検出されましたこと。  そこで、同日、当省の職員を派遣し、立入検査を実施しました結果、一般排水口マンホール堆積泥のうち、放射能が最も高かったKポイント及び放射能が検出されたJポイントマンホール放射性廃棄物処理建屋内に存在していることを確認いたしました。  現在、汚染の経路、汚染物質の量などを推定するため、建物内における機器の配置、建物内部の構造、改造修理履歴などの総合的な観点から調査を継続しております。  なお、立入検査の過程で敦賀発電所から事情聴取したところ、昭和五十六年三月八日、放射性廃棄物処理建屋フィルタースラッジタンク室相当量放射性廃液がオーバーフローし、放射性廃棄物処理建屋内に流出した事実があることが判明いたしました。本件事故の詳細はなお調査中でございますが、今回の放射能漏れとの因果関係については、今後十分に検討を行う必要があると考えておるところでございます。  以上です。     —————————————
  5. 野中英二

    野中委員長 参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選、出席の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 野中英二

    野中委員長 次に、内閣提出商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案及び商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
  8. 上坂昇

    上坂委員 商工組合中央金庫法とそれから商工会法の一部改正案について、関連する問題について質問をいたします。  最近、ついに企業倒産が一万八千件を突破しております。大変な事態になっていると私は思います。景気冷え込みが非常に激しいということだろうと思いますが、この状態はこれからなお続くと見るのか。ことしの後半にはよくなるというような楽観論もあるようでありますけれども、どうもいまの調子ではとてもそういうわけにはいかないような感じがします。もう少しずつと冷え込んでいくとえらい事態になるんじゃないかと思いますので、その辺の見通しについて政府の見解をお聞かせいただきたい。
  9. 井川博

    井川政府委員 去る一月に政府は、五十六年度の経済見通し五・三%、物価見通し五・五%というふうな見通しを立てたわけでございます。しかしながら、いま先生お話もございましたように、国内景気停滞をしている、もちろんGNP自体としては大体五十五年度四・八%という実績見込みを達成しそうではございますが、これは主として輸入が減り輸出がふえているという外需主導型になっておる。他面、国内景気停滞している。こういうことではいけないということから、三月十七日、政府としては総合経済対策を策定いたしたわけでございます。  そうした経済対策、まだ一カ月でございますので、効果をあらわすというところまでいっておりません。着実な実施を図っているというところでございますけれども、そういうふうな総合経済対策を打って、しかる後五十六年度の経済をどう見るかということでございますけれども、私どもといたしましては、一方、物価が大体鎮静化というふうな状況にある、と同時に、大変おくれおくれになっておりました在庫調整につきましても大体めどが見えつつあるという時期に差しかかってきている、こういう状況がございます。ということになりますと、今後、低迷を続けておりました個人住宅なりあるいは個人消費といったようなものが次第に明るくなってくるというふうなことになりますと、景気も徐々に上がりカーブをたどるということでございまして、先ほど先生もおっしゃった、下期には上期よりもより上がっていくということで、年間五・三%の経済成長もほぼ達成できるのではないか、こういうふうな考え方を持っているわけでございます。
  10. 上坂昇

    上坂委員 いま、第二次総合経済対策が決定されてから一カ月余りなのでまだその効果がよくわからない一これからの問題、その辺は確かにそうかもしれません。  ただ、今度出されました第二次総合経済対策でありますが、第一次のと比較してみますとそう違わないのですね。大体似たようなこと、項目別に見るとほとんど同じなんです。そういうことを考えて、あの第一次対策をやった後でそれじゃ事態がずうっとよくなってきたかということになりますと、効果余り上がっていない。いろいろな気象条件とかたくさんありましたけれども、それでも昨年九月の第一次対策余りうまくいっていないと私は思うのです。そうしますと、去年の九月出したのと大体同じものを並べて果たしてうまくいくのかどうか、こういうふうに考えざるを得ないわけなんです。  これは昨年の景気対策項目をちょっと挙げてみすまと、「公共事業等の円滑な執行等」、二番目が「金融政策の機動的な運営」、みんな同じ。三番目が「中小企業対策の円滑な推進」、四番目が「住宅建設促進等」、五番目が「民間設備投資推進」、六番目が「エネルギー対策推進」、七番目になりますと「調和ある対外経済関係形成」、プラント輸出促進、みんな同じなんです。  そうしますと、同じことをやって、いまのようにひどくなってきてどうなるのか。九月五日に第一次総合対策が出てから中小企業倒産などが何とか減るようなかっこうになったか、物価はそれじゃ下がってきたか。下がるということはないから鎮静化したと言うけれども、どこまで鎮静したのかということになりますと、お米が上がったり何かしましてなかなかそうなっていない。そうなりますと、同じような対策をやって一体うまくいくのかどうかなと心配せざるを得ないわけであります。そういう点で中身が全く違うのかどうか、その辺のところもひとつ説明をいただきたいと思うのです。
  11. 井川博

    井川政府委員 おっしゃいますように、中身項目としては同じような項目になっていると思います。しかしながら、景気対策物価対策というのは特段の奇想天外な発想があるわけではございませんで、やはり財政金融対策なり個別の中小企業対策住宅対策というのをじみちにやっていくというところに意味があると思います。  九月と今回三月の対策項目は同じでございますけれども、たとえば公定歩合一つとりましても、当時は一番高い公定歩合九%でございました。これを八・二五、そしてその後七・二五と下げていくことが必要であるということでございましたし、今回はさらに一%下げて六・二五にする。それぞれの景気状況に応じて、同じ金融対策とはいえ、やはりそうした立ち至ったやり方をやるということでございます。  実は昨年の九月の総合対策は、従来の物価一本やりがら、一部景気についても心配が出てきたので、景気物価というふうな両並びということでやったわけでございます。今回についても物価重要性、したがって物価の安定が基本である、こういう考え方に立ちながら、内需停滞がさらに進んでいるというふうなことで、項目は同じでございますが、内需振興するためにより立ち至った施策を出した、こういうところに意味があるとわれわれとしては考えておるわけでございます。  御承知のように、第二次石油ショック後の先進各国経済運営、いま高い物価と失業、いわばインフレとデフレで各国とも悩んでおる中、わが国の場合にはそれらの中で一番いい成績を上げている。したがいまして、いろいろな石油影響というものがまいったわけでございますが、国際収支影響は脱却し、次の物価の問題についてもほぼ解決しつつある。そして最後段階景気の問題についていま日本経済は取っ組んでおるけれども、これについてもそうひどいことにならずに、順調な軌道に乗せられるのではないかというふうに考えているわけでございまして、経済対策中身項目自体としては、いま先生おっしゃったように同じような項目かもしれませんが、そのときそのときに適応した政府としての対策を策定したというふうに考えておるわけでございます。
  12. 上坂昇

    上坂委員 我田引水になったりしなければ大変いいと思うのですが、いまお答えになったような形で進んでいくことを私も望みたいと思いますが、心配でなりません。  そこで、物価鎮静化しているというようなお話だった。確かに鎮静化方向に向かってきたと思いますが、この対策の中で見ますと、電気ガス料金は当分の間据え置くというような対策が出ているわけであります。しかし、そんなことでどうなのかな。電気ガス料金ぐらいは庶民生活と非常に密接に結びついているけれども、そのほかのものについてはいろいろ、国際電信電話料引き下げであるとか国際航空運賃方向別格差の縮小であるとかというようなことを言っておりますが、こういうのは庶民生活には大変な関係はない。ところが庶民生活に一番関係のある国鉄運賃は、もう二十日から上がったわけですね。郵便料金はすでに大幅な値上げをしている。先ほど言ったようにお米は上がっている。一番国民生活関係のあるものは、公共料金を中心にしてどんどん上がっているわけです。ですから、物価はこれからまた上がるだろう、私はこう見るわけですね。そういうことを考えた場合に、この物価対策でできるのかなと思います。  たとえば野菜についての作付指導をやるとか生産、出荷をやるのだ、果樹についてもそういうことをやっていくのだ。これはいままでも農林省あたりでずっとやっていたことなんですが、さっぱりうまくいかない。こういうのがあるのですね。いま、政府指導した農業政策はやらない方がいい、民間ではそう言っている。たとえば、豚を飼ったらトントンでというのがあるわけです。牛を飼ってもモウからぬ、鶏飼ってももとケエラン、畜産なんかやったって全然だめなんだ。もう一回言いますが、豚を飼ったらトントンで、牛を飼ってもモウからぬ、鶏飼ってももとケエラン、全然だめなんです。何をやったってだめなんです。野菜はいっぱいつくれば豊作貧乏でしょう、全く方法がない。そんなのをここへ出してみて対策をやろうと言ったってだめだと私は思うのですね、しかも天候に左右されてしまうのだから。生活関連物資の価格安定のため、便乗値上げとか不当な価格形成は監視すると言うのでしょう。公共料金どんどん上がっていくのだから、運賃が上がるんだもの、ほかの物価は上げないわけにはいかないじゃないですか。これは決して便乗値上げでも何でもないのですね。こういうことを考えると、とてもだめだと私は思うのですね。石油輸入、備蓄の確保によって、灯油などの石油製品価格監視を強化する、消費節約推進するのだと言っていますが、消費節約なんて政府推進しなくたって、庶民所得がないのだから倹約せざるを得ないのですよ。そういうのがまた結局景気冷え込みにつながっていく。どうもそういうことを考えると、私は物価抑制というのはなかなかできないのじゃないかという感じがする。  そうなりますと、なお景気対策をやろうとしても、物価を抑えよう抑えようと思ってやるから、景気対策経済企画庁長官が一生懸命推進していても、景気の回復の方にはなかなかてこ入れができない、いろいろな形でほかの各大臣から制約を受けてしまう、そういうような感じがするわけでありますが、その辺の心配はどうですか、ありませんか。
  13. 井川博

    井川政府委員 最後先生がおっしゃいました、要するに物価の安定がなければ景気振興もなかなかできない、これが現在の状況でございます。したがいまして、今回の対策におきましても、目の前の大切なというか緊急の問題は、これは景気振興でありますが、その基本にあるのは、物価の安定が実現できないとどうにもならぬ、こういう考え方でございます。  いろいろな御批判がございますけれども、五十五年度につきまして政府が六・四%という見通しを立てておりましたのが、七%の上の方というふうになったことは、大変相済まない事態でございます。しかしながら、五十六年度の五・五%については相当程度自信を持っているという感じでございまして、なぜならば、五十五年度の消費者物価については、石油の予想以上の値上げというのが大変大きく響いたわけでございます。しかしながら、現段階における国際的な石油情勢は、御案内のように世界各国における石油値上げによる節減効果、それからもう一つは国際的に景気低迷しているということも関係ございますけれども、需要の低迷ということを反映いたしまして、需給は緩和をいたしております。そういう中で、少なくとも昨年に見られたような大幅な値上げが相次ぐというふうな想定をしなくてもいいのではないかということでございます。  もう一つ野菜の問題に先生触れられましたけれども物価基本というのは、供給を潤沢にして供給上の隘路をなくするということが最大の問題でございます。実は、五十五年度の後半において物価が予想したように下がらなかったもう一つ理由生鮮食料品にあるわけでございまして、野菜作付についても、従来多少余裕のある作付指導ということをやっていたけれども、今後は相当程度十分な余裕を持った作付指導していくということによって生鮮食料品から来る物価高ということを防いでいこう、こういう趣旨から対策にのせ、その実行をやっていこうというところでございまして、いずれにいたしましても、五十六年度の物価につきましては、五・五%の目標を十分達成するように政府としても努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 上坂昇

    上坂委員 物価がたとえおさまったとしても、所得がふえない、税金は上がるということで、実質所得がずっと減っているわけですね。今度の春闘で賃上げがどのくらいになるかわからないけれども、しかし、果たして物価を全部カバーできるか。そうなりますと、非常に疑問な感じがしますね。そして、いまの景気というのは、特に昨年の夏の冷害、それから今度の冬の豪雪害、これによるところの影響がいまにずっと尾を引いていると思うのですね。農家の収入が非常に減ってきて、もうどうにもならないという状況になっている。したがって、農家の人が品物を買う地域の商店等はかなり売り上げが落ちている。そういう形がありますから、物価がおさまらないところへもってきて景気冷え込みがひどい、こういうかっこうになっていると私は思うのです。  そこで、第二次総合景気対策でありますが、金融政策機動的運営を図る、市中金利引き下げ促進する、こういうふうになっておるわけでありますが、果たして機動性が発揮されているのかどうか。この金融機動性ということと、それから、いまなかなか機動性が発揮されていないというふうに言われておるわけでありますが、その理由について御説明をいただきたいと思うのです。  これは、経済企画庁で御説明をいただけるのか、大蔵省から来ている人にやってもらうのか、その辺はそちらの判断に任せます。
  15. 北村恭二

    北村説明員 金融につきまして機動的な運営を図っていくということは金融政策基本でございまして、私ども、そのために常に景気動向等を、あるいは物価動向等を配慮しながら金融政策運営してまいっているつもりでございます。  弾力的な運営が図られていないのではないかという御指摘でございますけれども、私どもといたしますれば、昨年八月、十一月、そして今回の三月と、公定歩合引き下げを時期を見て図ってまいってきておりまして、機動的な運営に努めてきているというふうに考えております。
  16. 上坂昇

    上坂委員 公定歩合は三回下げた、だから金融機動性弾力性は発揮をされた、いまのはこういうお答えだったのですか、もう一回。
  17. 北村恭二

    北村説明員 金融政策と申しましても、もちろん金利政策、それから量的な政策、いろいろあるわけでございまして、ただいま金利政策の中でも最も代表的なものとして公定歩合ということで述べさせていただいたわけでございますが、当然公定歩合引き下げに伴いまして、各種市中金利というものがそれに連動あるいは追随して下がるということでございますし、また量的な面で申し上げれば、預金準備率引き下げであるとか、あるいは実際の日銀の窓口指導であるとか、幾つかの点でそのときに応じた弾力的な運営を図ってまいってきているということでございます。
  18. 上坂昇

    上坂委員 この政府資料にも「政府系中小企業金融機関貸出金利について」という資料がありますが、ここでも、公定歩合引き下げと連動させて十分対策を立てるというふうになっているのですが、この前からの質問をずっと聞いておっても、余り連動していないのではないかというふうに言われておるわけでありますが、この点はどうなんでしょうね。いわゆる中小企業機関基準金利引き下げという形は一体どんなふうになっているのか、この点について説明をいただきたい。
  19. 木下博生

    木下政府委員 政府系中小企業金融機関基準となる金利につきましては、原則として長期プライムレートに連動して改定されることになっております。従来から長期プライムレート引き下げにつきましては、公定歩合引き下げが行われましてから若干時間がたって引き下げられるということが多うございまして、したがいまして、政府系中小企業金融機関基準金利引き下げられるまでの間には、若干日数を要していたことが多かったわけでございます。したがいまして、中小企業設備投資を特に早く促進していきたいというようなことも考えまして、今回の措置では、公定歩合引き下げに伴いまして、政府系機関の新規の設備資金の貸し付けにつきましては引き下げ後の金利を三月十八日までさかのぼって適用するという措置を講じたわけでございます。
  20. 上坂昇

    上坂委員 金利引き下げると設備投資が非常に、まあいまの状況では非常にということはないけれども、活発になってくる、これは理屈としてはわかるのです。だけれども、借りたものは返さなくてはならないからね。それから設備投資というのは、やはり売れる物をつくっていくというところにあるわけです。売れない物をつくるためにわざわざ設備投資をする必要はないからね。そうすると、いま国民の側は所得が減っていて、なかなか物を買えないわけです。だから商店街の品物が動かない。品物が動かないのに物をつくるはずがない。幾らお金を使いなさい使いなさいと供給したって、借りたものを返さないのなら別だけれども政府の金だからといって返さないわけにはいかない。しかも利子をつけて返すわけだ。そうしますと、なかなかうまくいかないのじゃないか、そういう感じがするのです。  そこのところで、ぼくはちょっと発想が逆になって、所得をふやして、そして物が動くようになったときに、物を生産する力、やりたいという意欲が出てくる、そこで安い金利、長期のやつを貸してやる、こういう発想でないと、お金を使いなさい使いなさいと言ったって借りられないのではないか。もういままで手いっぱい借りていますからね。倒産寸前である。しかも、いま中小企業はどうなっているかというと、大体パートをもう外しました。従業員はどんどん減らして、縮小している。そういう状況にあるわけですね。それで、大企業の方はこうした金利引き下げとかなんとかいうのが非常に生きてくるということが考えられますが、中小企業設備投資というのは一体どういうふうになっているのか、その辺に対する見通しをお聞かせいただきたいと思うのです。  それからもう一つは、大蔵省の方に聞くのですが、三月十八日までさかのぼって適用したり何かしていろいろやっている、それもわかりますけれども、今度の三月十八日のいわゆる公定歩合の一%引き下げというのは実は遅かったんだ。ある人によると、もう三カ月ぐらい前にやればよかった、少なくとも一カ月前にやらなければならなかったんだ、こういうことを言っているわけです。そうしますと、市中金利についても、公定歩合引き下げてから少し時間がたたないとだめなんだということでなくて、もう直ちに連動させていくような指導をしていかないと、私は、金利引き下げについても効果が出てこない、早くやらないとだめだ、こういう感じがしますが、この二つについてお答えをいただきたい。
  21. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  第一の点でございますが、少なくとも五十五年度は中小企業設備投資は非常に低迷をいたしまして、製造業で、対前年度比でございますが、一・四%のマイナス、それから商業でございますがこれが、一一・六%のマイナス、それからサービス業でございますが、これが対前年度比一・五%のマイナスというのが現在私どもがつかんでおります中小企業界の動きでございます。ただ、それをつかみましたのは二、三カ月前でございますので、その後実勢がどうなったかという状況につきましては、はっきりした数字がまだ出ておりません。  ただ、資金調達をいたします際の政府機関に参ります窓口の状況等から一応の推定をするわけでございますが、三月十七日の閣僚会議の決定、これの前後を比べますと、やはり相当な効果が一応出ております。  現在のところ、三月十七日以前、たとえばことしの一月から三月十七日までと、それから三月十八日以降のものを大体一日当たりでならして考えますと、少なくとも三割ないし四割の増になっております。したがいまして、これは閣僚会議で決定していただきました前倒し適用措置が一応中小企業者に心理的な影響を与えたのではなかろうかというふうに私どもは考えております。ただ、それも、いままで足踏みをしておりまして、金利が高いので見合わせておったというものが出てきたというものではないか。したがいまして、五十六年度のさらに前向きの積極的な設備投資というものがこれから出てくるかどうかについては、まだ予断を許さないという状況だろうと思います。
  22. 北村恭二

    北村説明員 お尋ねの第二点についてお答えさせていただきます。  先生もう御承知のとおり、公定歩合操作は日本銀行が、経済金融情勢の推移を慎重に検討した上で実施しているものでございます。先ほど申し上げましたように、昨年八月と十一月、公定歩合引き下げられました後、その効果の浸透ということを日本銀行としては見守ってきたわけでございますけれども、最近の物価とか景気、海外情勢といったような経済金融の動向を総合的に判断いたしまして、三月に公定歩合引き下げることが適当というふうに判断したわけでございまして、大蔵省といたしましても、引き下げの時期は適切であったというふうに考えております。  それから、公定歩合引き下げ市中金利との関係でございますけれども、ただいま申し上げましたように、公定歩合引き下げということが、最近の物価景気動向を踏まえまして、景気に対する配慮をさらに一歩進めることが必要だという判断の結果でとられた措置でございますので、各種の市中金利全般の低下がそれによって促進されるということが望ましいことは言うまでもないところでございます。  最近の市中金利の動向というものを見ますと、短期金利につきましてはすでに順調な低下傾向をたどっております。コール、手形、現先レートといったような短期金融市場金利というものは、公定歩合引き下げを受けまして大体〇・七五から一%前後の大幅低下を示しておりまして、現在七%前後の水準ということになっております。それからまた、短期プライムレートは三月二十三日より〇・七五%引き下げということが決まっておりまして、貸出約定平均金利は順調に低下をしてきております。  短期金利の今後につきましては、量的金融緩和措置というものもあわせてとられておりますので、全体として順調な低下傾向をたどるのではないかというふうに見ている次第でございます。
  23. 上坂昇

    上坂委員 この景気対策の主要な柱として、住宅建設に非常に期待を寄せていると思いますね。特に各界で、もう住宅建設を進めるということについては大きな期待を持っているわけですが、昨年の住宅建設と五十四年度を比べてみますと、御承知のように、戸数が五十四年度で百四十九万戸と言われております。それが百二十二万戸に五十五年度は激減している。一七%も減っているわけですね。ことしこの住宅建設が軌道に乗るかどうかということについて、私は非常に危惧するわけです。  というのは、先ごろ発表になりました地価の値上がりというのが非常に激しいわけです。それから建設費の単価、いろいろな面で、あらゆるところが非常に高い。住宅産業は百ぐらいの産業が関係をされるというふうに言われておりますけれども、ほかの物価が非常に値上がりをしているということで、果たして期待ができるかどうか、どのぐらいの伸びを見ておられるか、この点について御説明いただきたいと思うのです。  それからもう一点は、先ほど在庫調整が非常にうまく進んでいる、円滑になっているというふうに言われたわけでありますが、それは大変結構だと思うのです。景気対策の中で在庫調整がうまくいく見通しが出てくれば、その次に在庫投資ということも景気の上昇に大きな影響を持つものだと私は思うのです、それによって生産が非常に活発になるわけですから。この点についてはどんなふうな見通しを持っておられるのか、これらについてひとつ御説明いただきたい。
  24. 伊藤茂史

    伊藤説明員 御説明申し上げます。  お尋ねの来年度の住宅建設の見込みでございますが、私どもとしましては、現在の住宅事情からしまして、国民の皆さん方の中に潜在的には非常に強い住宅需要があるというふうに確信をいたしております。  先月の三月二十七日に閣議決定を見ました第四期住宅建設五カ年計画では、五カ年間に七百七十万戸という住宅建設の計画を立てておるわけでございますが、先生いまお尋ねの、五十五年は五十四年の百五十万戸ベースに対して百二十数万戸であるといったようなお話の場合の着工統計ベースでこれを見ますと、大体百四十数万戸ベースが潜在的な需要だということになります。私どもとしましては、経済が順調に安定成長の軌道に乗り、国民の潜在的な住宅需要がスムーズに顕在化すれば、百四十数万戸ベースの住宅需要は十分出てくるものというふうに確信をいたしております。その意味では、五十年代当初の百五十万ベースというものには及びませんし、四十六、七年ごろの百六十万あるいは百八十万といった着工ベースにはとてもなりません。しかしながら、百四十数万ベースには何とかなるだろうというふうにわれわれは考えております。  現在どういう状況にあるかと申し上げますと、五十四年から五十五年にかけまして建設資材の値上がりが相当ございました。二〇%近い値上がりでございますし、それから先生たびたび御指摘のとおり、所得というものが物価の上昇との兼ね合いで実質的には減だという状況が続いておるというようなこと、あるいは地価の値上がりが五十四年、五十五年と、これは国土庁の地価公示の指数でございますけれども、二けた台が続くというような状況、したがいまして、マンション価格あるいは建て売り住宅の価格にしましても、五十四年から五十五年にかけまして二割ないし三割上がるという事態があるということでございました。したがいまして、そういう事態ではやはり冷え込まざるを得ないというふうに考えております。  しかしながら、その後の状況を見ますと、建設資材も、先ほど御指摘ございましたように物価の鎮静の中で次第におさまってまいっておりますし、地価の値上がりの度合いも下がってきておる、物価の全体の鎮静も続くということでございますから、国民実質所得もこれからは徐々に回復するだろう。そういう環境のもとで、住宅建設につきましても今後は徐々に回復に向かうのではないかということを期待しております。  とりあえず、五十六年度につきましては、五十五年が百二十万戸台、百二十数万戸のベースでございますから、それから先ほど申しました百四十数万には一気にはいかないだろうということで、できるだけ全体の経済の順調な推移の中で、住宅建設もその中間段階ぐらいにはぜひともいかせたいというふうに希望いたしておるところでございます。
  25. 井川博

    井川政府委員 在庫調整が、先生は順調にというお言葉を用いられたのでございますが、御案内のようにそう順調ではございませんで、もう少し早く終わると思っていたのが、このところへ来て終わるめどがややつきかけたかな、そういう感じでございます。したがいまして、在庫というのは、御承知のように原材料在庫、製品在庫、そしてメーカー在庫もあれば流通在庫もある。したがいまして、全体のとらえ方は大変むずかしいのでございますけれども、一部の不況産業等々についてはやはり七−九月以降にも延びざるを得ない。しかし、全般的には四−六期でほぼ在庫調整終了というふうなかっこうになろうか、こういう観測をいたしておるわけでございます。  御質問の趣旨は、それが生産にいつごろどういうふうなかっこうになってくるのか、こういうことになると思いますが、先行きのめど、これもきわめて急カーブにどんどん需要が出てくるという問題ではございません。徐々に明るい方向に行くということでございますので、鉱工業生産はそこらあたりの状況を見ながら進んでいくということを考えますと、現段階も少しずつ対前期比、前月比プラスで推移をしておりますが、いまのような緩やかな情勢がこれから当分の間続くであろう。下期になりますと、景気の回復ということが目に見えてまいりますと生産の方もある程度活発になってくる、こういうことではないだろうかと予測をいたしておるわけでございます。
  26. 上坂昇

    上坂委員 住宅政策については、政府はずるいと思うのです。なぜかというと、本当は住宅の需要というのは国民の中には非常に強い。だけれども、持ち家住宅に重点を置くというのは間違いだとぼくは思う。いま所得がふえなくて、一千五百万円も二千万円もする住宅をこれから二十年間金を払っていく。四千万から五千万になってしまう。その間それじゃ給料はふえていくか。交通がこんなに激しくて、一たん交通事故で起こしてごらんなさい、もう払えなくなってしまう。退職金を担保にしたり会社から借りたり、みんなそういうことをやって持ち家住宅をつくっている、非常に無理している。しかも日本には家庭という言葉がある。家庭という言葉は、家と庭がついていないとだめなんだね。だから家庭と言う。そこに便乗して、みんな庭のついている家を持ちなさい、そういう宣伝をしている。自分の家を持つことはいいことだ、こういうやり方、これは間違いだ。本当は住みよくて、もっとうんと安い家賃で住める快適な公営住宅をどんどんつくるという形でなければならない、これが本当の住宅政策である。そうすれば、後で家を取り上げられてしまうのではないかという心配をしなくても大丈夫だ。一家じゅうがみんな一緒になって、ローンを払うのにもう夢中になって働かなければならないなんという状況はなくなるのだ。それをやらないで、そして持ち家住宅持ち家住宅なんてやるということは、非常にずるい住宅政策だと私は思っているのですよ。どうですか、そうじゃないですか。  そういうことじゃなくて、百何万戸つくるうちのどのぐらい公営住宅があるかわからないけれども、公営住宅の比率というものをうんとふやして、しかも、いまのように、くにからおじいちゃんだのおばあちゃん来たら、もう寝るところがないなんて、こんな公営住宅ではだめなんだ。そういう住宅に住まわせておくから、もっと広いところに行きたくなる。そこに便乗して持ち家住宅、自分の家をつくりなさい、こう言う。ずっと系統的に見ていくと、実にずるい住宅政策だと私は思うのです。もっと庶民生活を考えた住宅政策というものを進めてもらわなくてはならないのだけれども、そういう点で建設省はどういう考え方を持っているか、お聞かせをいただきたい。
  27. 伊藤茂史

    伊藤説明員 御説明申し上げます。  現行の住宅建設計画法に基づきまして、四十一年以来第一期から今回の第四期まで四回目の計画をつくっておるわけでございますが、建設計画法自体もそういう書き方になっておりますけれども政策基本としましては、国民の需要動向に応じてという一項が入ってございます。われわれとしましては、毎五年ごとに行われます住宅統計調査及び住宅需要実態調査というものをもとにいたしまして、そのときどきの国民の住宅に対しますいろんな需要というものを将来にわたって推測をするということを基本にしまして、必要な公的資金住宅の量というものを決定するということにいたしております。  第四期につきましては、そういう意味で、第一期からのずっと歴史的な経緯を追いますとどういう時期に当たるかと申し上げますと、つまり、大都市に大量の人口が流入をして、これは三十年代後半から四十年代初めでございますが、そういった時期を経過しまして、次第に大都市圏から出ていく人口と入ってくる人口が均衡するという事態に五十年以降なっております。こういうことが一点でございまして、世帯増というものが一時期の年間八十万ふえる事態から、現在は五十数万ないしは六十万程度ぐらいしかふえないという事態になっております。したがって、ストックを大いにふやすという圧力というものは減ってきておるということでございます。それと、若年層の世帯形成というものが数量的に減っておる。若年層の借家に入居します割合というものは、八割ないし九割が借家に入居しますから、若年層がふえる時期あるいは世帯数がふえる時期というのは、非常に借家の要る時期でございます。したがって、いまから振り返ってみますと、三十年代の後半から四十年代の初めはそういう時期であったということでございます。  ところが、現時点で国民の住宅の選択の動向を見ますと、大都市と地方では相当の開きがございますけれども先生がおっしゃいますように、最終的にはやはり持ち家を持ちたいという希望が強うございまして、三十代で持つ方、四十代で持つ方、あるいは退職して持たれる方、いろいろございますけれども、地方と大都市では開きがありますが、最終的には持ち家を持っておるということでございます。したがいまして、若い時分から計画的な貯蓄をして、本人が希望すれば持ち家を持つということも施策としては非常に重要ではないかと思っております。  したがいまして、大都市地域で非常に借家の期間が長いというところにつきましては、借家のストックを充実しよう、そしてその後で持ち家を持つ時期になればスムーズに持ち家が持ちたいという人に対しては、スムーズに持ち家が持てるようにしようという施策の努力をいたしております。  しかしながら、大都市地域では、御案内のとおり住宅価格は非常に高うございますから、戸建てをみんなが持つというわけにはとてもいかない、これは逆立ちをしてもできないわけでございますから、したがいまして、郊外マンション的なものが何とか持てるようにならないかというような施策を考えておる次第でございます。  しかも、四期の計画の時点では、ちょうど戦後のベビーブーム世代が持ち家を持つ時期、つまり三十代の後半から四十代にかかってまいりますので、これからは需要としては非常に持ち家需要が大きくなる時期、借家につきましてはストックを充実しなければならない時期、しかも過去のストックも相当たまっておりますので、そういったストックを活用しながら、さらに大都市地域を中心に公共借家のストックを充実したいというのが今回の四期五カ年のねらいというふうになっておるわけでございます。  以上でございます。
  28. 上坂昇

    上坂委員 建設委員会でないから、この辺でやめておきます。  総合対策物価対策の中で、地方公共団体にも協力を要請するという案、これは迷惑な話だと思うのだね、本当の話は。地方象団体はいまとても容易でないですよ。たとえば、特に去年の冷害、それからこの冬の豪雪害では、もう財政的に全くピンチになっておるわけですよ。協力なんかするどころでなくて、国からいっぱい金をおろしてもらいたいというのが本当のところですよ。特に東北なんか行ったら、みんなそうなっておる。節約なんていったって限度があってできない。稲作でどのぐらいひどい目に遭ったかというと、五千六十五億円の被害があった。農作物全体だと約七千億円の被害で、史上最高だ。ことしの豪雪で二十年、三十年の杉がぼきぼき折れていた。これはもう大変な損害で、いまだにまだわからない。福島県だけでも、いま会津の方の雪が解けないときに被害が二百億円を突破している。このまま雪解けが全部済んだら恐らく三百億円ぐらいになるだろう。これが東北全体ですから……。青森県なんかはいま出かせぎ者がどのぐらいあるかというと、全国推定で三十万二千人の中で大変な数になって、みんな三万、五万とふえているわけですね。特に夫婦の出かせぎ者が、青森県なんかでは三千組を超えている、こういう状況でありますから、青森県に人がいなくて、夫婦でみんな都会地に出てきてしまっているわけですね。それだけ県民所得というものは減ってしまっているわけです。そうしたら、税金だって県には入らないわけです。その地方自治体に対して政府がやるものに協力をさせる、何を協力するのか。どうもこの辺が私はわからないわけです。地方自治体が協力をするということになると、考え方だけは協力します、これだけではつまらない。何を協力させるつもりなのかお聞かせいただきたいと思うのです。
  29. 齋藤成雄

    ○齋藤政府委員 三月十七日の総合経済対策の中の物価対策につきまして地方公共団体の協力を求めております内容の例を申し上げますと、たとえば地方自治体で上水道を管理しておるとかあるい学校を持っておるとか、そういうような事業をやっている場合がございます。こういう問題につきましては、政府で今回決めました公共料金の取り扱いの考え方に基づいて徹底的な合理化を前提として、物価国民生活に及ぼす影響を考慮して厳正に取り扱うということが期待されるわけでございます。  それからまた、生活関連物資などにつきましては、政府といたしましても便乗値上げなどないように十分な監視を行っていくということにいたしておりますけれども、こういう問題につきましても地方自治体と一緒になって従来から監視をやってきております。そういう問題について引き続き協力を願うといったようなことが、地方自治体に協力を要請する内容の例でございます。  そういう意味で、三月十七日の経済対策考え方に沿って地方自治体のできるだけの協力を求めるということで、三月十七日の後、自治省の官房長物価局長と連名で公式には協力を要請いたしております。
  30. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、中身としては公共事業の前倒しというか、いま上期で七〇%以上にしろ、だからそういうことについて地方自治体も十分考えて、いろいろな公共事業があったらそれはどんどんできるだけ発注して、景気対策に資するようにせよ、こういうことですね。それから、たとえば農作物なんかについてもいろいろな対策がありますね。そういうものも政府考え方に沿って進めなさい、こういう程度で考えていいのですか。
  31. 井川博

    井川政府委員 先生のいまおっしゃいました公共事業は、物価対策ではなくて景気振興のところでございます。ただし、ここにつきましても同じように、地方公共団体に協力を求めるという考え方が入ってございます。  物価につきましても景気につきましても、御案内のように、行政というのは国と地方、車の両輪でございまして、片一方だけ走っても全体の効果が実現できないわけでございます。物価につきまして先ほど齋藤審議官が申し上げましたように、国と同じような考え方で中央、地方力を合わせてやると同時に、たとえば先ほどの公共事業につきましても、国の方が現在の景気状況から言えば公共事業の上期前倒し七〇%以上という考え方でやっておるので、地方もその考え方の趣旨をくんで同じような措置をやってもらいたいということでございますし、この件はすでに地方に通知を出しておるということでございます。
  32. 上坂昇

    上坂委員 そろそろ法案の方に入らなくてはいけないわけですが、商工中金の貸し出しの状況、それから貸し付けた資金の返済は円滑に行われているのか。  それから、中金としてのいわゆる会員ですね、事業協同組合とかいろいろな組合、団体がありますが、そういうものを中金の資金の動きから見て、これからどういうことが予想されるのか。  それから、商工中金の貸し出しというようなものの中には、いわゆるこげつきとか貸し倒れ、そういうものはどのぐらいあるのか。なければ大変結構でありますが、これは理事長の方からお答えをいただければありがたいです。  それからもう一つですが、団体への貸し付け、企業に対する貸し付け、この実態はどんなふうになっているか。  もう一つは、転貸しの実態なんですが、これらについての特徴といいますか、それらについてもお答えをいただきたいと思います。
  33. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  商工中金の貸し出しの特徴でございますが、五十六年の三月末におきまして、合計いたしまして五兆三千三百九十二億円の貸出残高があるわけでございますが、そのうちで長期資金が五九・一%、その内訳としまして、設備資金が二六・二%、長期運転資金が三二・九%でございます。したがいまして、短期運転資金は四〇・九%ということになっておりまして、五十五年度と比べましての特徴は、設備資金も長期運転資金も増加をいたしております。ただ、伸び率につきましては、設備資金の方が景況も反映いたしましてやや鈍化をいたしておりますが、長期運転資金につきましては、在庫調整資金、減産資金というような後ろ向き資金等もふえてまいりまして、伸び率がふえておるような状況でございます。  回収でございますが、ほぼ順調にまいっております。大体延滞債権の比率でございますが、五十四年三月が一・三九、五十五年三月が一・三九、五十六年二月現在では一・五七%とちょっと回収が鈍っておりますが、これは景況を反映したものかと思うわけでございます。  今後の貸し出しの見通しでございますけれども、景況が四−六月ごろからぼつぼつ底をつきまして、今後夏過ぎから伸びていくであろうということが予想されておりますので、設備資金につきましても、御承知のように、三月の十八日にさかのぼって実施をするというような措置もとっております。景況が安定をいたし、また設備資金に対する貸出金利引き下げられるということがはっきりいたしますと、設備資金も今後伸びていくのではないかというふうに考えておるような次第でございます。  それから、組合貸しと構成員貸しの状況でございます。組合貸しは、共同事業に対する貸し出しと運転資金の転貸融資両方があるわけでございますが、組合貸しは五十六年三月末におきまして五一・二%、構成員貸しが四八・八%、こういうふうな状況でございます。  この組合貸しと構成員貸しとの関係を見ますと、組合貸しの方も年々着実な伸びをいたしておるのでございますけれども、構成員貸しの伸びがこれを上回っているような状況でございまして、比率は、五十二年三月現在で構成員貸しが四二・七%、五十三年三月が四四・一%、五十四年三月が四六・八%、五十五年三月が四七・九%、五十六年三月が四八・七%というように多少増加をいたしております。  この理由でございますけれども、御承知のように、構成員貸しの方は設備あるいは長期運転資金というような長期資金が多いのでございまして、これが最近の景況を反映いたしまして長期運転資金等が伸びております。また、設備資金にいたしましても、長期資金というものは、金額の点におきましても、またこういう先行き景況が見通しの困難な場合、リスクの点でも、組合員を通ずる転貸融資にはなじまない場合が多いわけでございますので、こういう場合には構成員貸しは必ず組合の承諾をとるということを前提にいたしまして構成員貸しもいたしておるような次第でございます。  以上でございます。
  34. 上坂昇

    上坂委員 債券の問題ですが、リッショーとワリショー、リッショーの方が倍ぐらい多いと思いますが、今後の民間引き受けといいますか、これの状況というのはどんなことが予想されるのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。  というのは、いま債券の発行のウエートが資金調達の中で八〇%ぐらいになっているというふうに言われておりまして、これは仕事をやっていく上において非常に大きなファクターを占めると思うのですが、ただ、公社債がいろいろなのが市場に出回っておると思うのですね。したがって、消化をするのにかなり競争が起こってくる。あるいはそういう意味ではかなり経費もかかる。そういうのがコスト高にもつながる。こんなふうにも考えられますので、これから二十倍を三十倍にふやしていくわけでありますから、もっと消化に困難性が出てくるような感じがします。その辺の見通しについてお伺いをいたします。  それからもう一点、グリーンカードが実施された場合にはこの点ではどんなふうになっていくのか、その関係についてもお聞かせをいただきたいのです。
  35. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今後、商工債券の消化環境はなかなか楽観を許されないものが予想されるのでございますが、幸いにいたしまして、過去五年間の商工債券の発行残高の伸び率を見てみますと平均して十三・八%でございます。発券六行による金融債全体の伸び率が一二・六%でございまして、それを上回っておるのでございます。  その理由は、一つには、国が出資をしておる政府系金融機関であるという信用力をバックといたしまして、私ども全国に九十三の店舗網を持っておりますので、それを活用いたしまして一般個人の消化に努めておるということが一つでございます。  それから、私どもにおきましては、政府の方から約一〇%の引き受けをいただいております。また、中小企業事業団の共済部門あるいは退職金共済事業団の余裕金の運用、これが二五・六%でございます。それと市中銀行及び保険会社が中小企業政策に協力をしてやろうということで二二%というような引き受けのシェアをいただいておりまして、こういうふうなロットのまとまった消化ができる先が合計五七・七%、こういうふうになっております。こういう点につきましては、個人消化の場合よりも経費も少なくて済みますので、こういう消化機関というものは今後も維持してまいりたいと考えております。  それから、個人消化の場合には、グリーンカード制が実施され、今後総合課税にも移行するわけでございますので、商工中金の特に割引債に対する消化環境は非常にむずかしくなるということは事実でございますけれども、グリーンカードの導入というものはその他の預貯金等につきましても実施されるのでございますので、私どもとしましては、イコールフッティングの上に立ってがんばっていきたい。  その対策といたしましては、窓口の職員のレベルをアップいたしまして、たとえば税金の御相談に応ずるとか、あるいは貯蓄資産の運用でございますか、そういうものの御相談にあずかるとか、こういうふうな相談を親切に行いながら、職員のレベルアップをいたしながら消化に努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  36. 上坂昇

    上坂委員 もう一点お伺いしますが、激甚災害に対する融資事業があるわけでありますが、この商工中金でやっている激甚災害の際の融資については、激甚地域の指定の関係とどういうふうに結びついてくるのか。  それから、普通の災害の場合は災害資金でわかりますけれども、どの程度段階ですと激甚というふうに指定、商工中金でお金を貸す意味での指定が行われるのか、この辺についてお聞かせをいただきたい。  それから指定をされた件数、そういうものがあるのかどうか、要件と件数、この辺について御説明をいただきたいと思うのです。
  37. 影山衛司

    ○影山参考人 激甚災害につきましては、災害が起こりましたときに、御承知のように政府の方で激甚災害というのは指定があるわけでございまして、それに従いまして中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫と全く同一条件で激甚災害に対する融資を行っておるような次第でございます。  実績につきましては、後ほどちょっと……。  それから、豪雪融資も同じように、激甚災害並みに扱っております。
  38. 上坂昇

    上坂委員 じゃ、件数については後でお知らせいただきたいと思います。  商工会法関係についてお伺いします。  十三条の改正に係るただし書きの条項「定款で別段の定めをしたときは、この限りでない。」ということで会員の範囲を広げていくことになりますね。そうしますと、たとえば私は、商工会の発展を非常にこいねがっておる、そしてこれに対して協力したい、こういう意思のある人について会員になってもらうということだろうと思っているわけでありますが、このただし書き条項は大体どの辺に目標を置いておくのか、この点。  それからもう一つは、第三十条の一項の役員、それから三項の設立当時の役員の項目があります。三項の設立当時の役員ですと、会員、いわゆる商工業者でなければだめだ、こうなっているんですが、今度は会員の範囲が広がるわけでありますから、これからつくっていく団体の場合、もう最初から協力して、いわゆるいままでの商工業者以外の者が入っているという場合にはそういう人も役員になる資格を持つのではないか、私はこんなふうに思うのです。その辺の関係を御説明をいただきたいと思うのです。
  39. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 今回の商工会法の改正によりまして会員資格の緩和の問題をお願いしているわけでございますが、これは今回の改正を含めまして、今後商工会が地域の商工業の一層の振興、それから住みよい地域づくりのために働くという期待が一層増してくるわけでございます。これにこたえまして、適確に事業を遂行いたすことができますように商工業者の方以外の、従来は商工業者の方が会員でございますけれども、それ以外の方でも、先生御指摘のように、ひとつ商工業者の方と一緒になって地域開発に貢献したいというような方がおられた場合には、これも定款によりまして会員とすることができるというようにいたしたいと思うわけでございます。  ただ、無論商工会の組織そのものは、何といいましても商工業者中心のものでございますし、その業務もあくまでもその地域の商工業の総合的な改善発達ということが中心でありますので、余り商工業者の方々と縁の遠い方々に入っていただいてもいかがかと思うわけであります。したがいまして、これは定款に定めます場合に、いわゆる模範定款例ということで中小企業庁側も指導をするつもりでございますけれども、その指導の方針といたしまして、おおむね次のような方々を入れるということで考えております。  それは、地区内に営業所を持っております相互会社の方あるいは公社、それから青色申告会、商店会というような方々、あるいはその地域の商工業の若手の方で構成されております青年部の方、婦人部の方、こういったものの代表者の方々に入っていただくというつもりでございます。具体的には定款例によって定めますし、またその定款例の中で、理事会の承認を得て入れるということになろうかと思いますけれども、ただいま申しましたようなメンバーに入っていただくということで予定しているわけでございます。  それから、もう一つのお尋ねでございますけれども、設立当初の役員についてはどうかというお話でございますが、これはただいま申しましたように、今回の改正によりまして定款会員が認められるということに応じまして、設立当初でもその定款によります有資格者の方々は設立当初の役員になっていただくことができるというふうにいたしたいと思っているわけでございます。そのために改正法の中にも一部その規定を入れまして、先生御指摘の三十条三項でございますけれども、ここの現在の条文の「商工業者」とありますものを「者」というふうに改めるわけでございます。
  40. 上坂昇

    上坂委員 最後に、この政府系中小企業金融機関、これが全金融に占めるシェアというのは一〇%くらいだというふうに聞いているわけですね。したがって、その性格としては、いわゆる民間金融そのものに対する補完的な役割りを果たす性格を持っているのか、もっとそれにつけ加えて、いわゆる中小企業なら中小企業政策をずっと進めて発展さしていくという政策誘導的な役割りを持っているのか、このどちらに重点を置くという形になるか。もちろん両方一緒に進めなければならないんだ、こういうことになるのか、その辺についてひとつ御説明いただきたいと思うのです。  それからもう一つは、小企業等経営改善資金融資制度がありますね。いわゆるマル経資金でありますが、このマル経資金について商工会に非常に大きな権限を持たせている、あるいは商工会議所に大きな権限を持たせているのはそろそろやめるべきではないかという意見を私は持っています。  というのは、大体、商工会とか商工会議所というのは、やはり経営指導という面に力をどんどんこれから発揮してもらわなければならないのです。それが、本来国民金融公庫等がやらなければならないところのいわゆる融資事業に対する問題、そっちへ重点が置かれてしまうことになると、やはりこれはまずいのじゃないかと思うのです。ですから、商工会の会長の判がないと融資を受けられない、こういうような制度は改めるべきじゃないか、私はこういう考え方を持っているのです。その辺について御意見をいただきたいと思います。
  41. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  第一の点でございますが、現在三機関の残高が約十三兆円でございます。したがいまして、全体の約十三%でございます。  これの性格でございますが、先生御指摘のとおりでございまして、補完金融ということでやっておりますが、それにしましてもやはりある程度政策的な助成あるいは誘導という面も持っております。  これは量と質の両方の面で持っておりまして、量的には、たとえば年末金融対策あるいは年度末金融対策とか、そういった緊急事態に量的な補完を機動的に行うためにはやはりこういった三機関の活動が非常に重要でございます。それから、先ほど御説明がございましたが、災害等の場合が非常に有効でございます。  それから質的な点でございますが、これは一般の市中金融機関はいろいろな貸し付け条件がむずかしゅうございますが、それに対しまして実質的に非常に有利な条件で誘導をしていく、そして、量的にはもちろん十三%程度でございますが、民間との協調によりまして全体の質的な改善もやはり誘い水としてやっていこう、そういった意味を持っておるわけでございます。  なお、マル経資金につきましては小規模部長の方からお答え申し上げます。
  42. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 小企業等経営改善資金融資制度、いわゆるマル経制度でございますが、これはすでに十数年の歴史がございまして、非常に利用されているわけでございますが、これにつきまして商工会にそう強い権限を持たせるのはいかがかという御指摘かと思われますけれども、御承知のように、このマル経資金が導入されます前提といたしまして、商工会に置かれております経営指導員によります経営改善普及制度、経営指導、これがまずございまして、その制度を補完と申しますか、経営改善普及事業をより一層効果あらしめるために、小企業、これは非常に金融の面では恵まれてないそうでございますけれども、こういう方々にマル経資金をお貸しするということを始めたわけでございます。制度的に見まして、そういった経営改善普及事業の一環ということで実は進められておりますし、現在もその形でなされているわけでございます。したがいまして、経営改善普及事業を離れましてこのマル経資金の融資ということはちょっと考えられませんので、やはり商工会及び商工会におります経営指導員の指導と別物とするわけにはまいらないかと思います。今後とも経営指導の一環としてマル経資金を運用してまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、あるいは運用面でいろいろ問題がもしありとするならば、それは運用いかんの問題でございますので、これはそのケースに応じまして改善を図っていくべきものと考えておるわけでございます。
  43. 上坂昇

    上坂委員 いまのお答えですが、マル経資金の問題で、経営指導員が現実に指導している、これはそれでいいです。大切なことだから、これはやってもらわなければならぬ。ただ、一番最後に、商工会の会長なり何なりの判こがなければ全然受け付けない、こういうあり方については改めなくちゃいけないのじゃないか。そうじゃなくて、やっぱり内容の問題なんですから、それを商工組合中央金庫がきちんと審査をして、そこで決定するという方向に持っていくべきじゃないか。判こを押せば黙って通ってしまうようなやり方をやりますと、これは自然にボス的な傾向が出てくるおそれもあるわけです。この辺については今後十分検討して、改める方向に持っていっていただきたいというふうに思うのです。  特に大臣も非常にこれに詳しいわけでありますから、私がいま申し上げたようなことはやっぱりやらない方がいいのか、私はやるべきだと思っていますが、その辺について最後大臣から貴重な御意見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  44. 田中六助

    田中(六)国務大臣 委員の御指摘の点について、十分頭に入れて今後対処して検討していきたいと思います。
  45. 上坂昇

    上坂委員 終わります。
  46. 野中英二

    野中委員長 武田一夫君。
  47. 武田一夫

    ○武田委員 私、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案並びに商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をしたいと思います。  まず最初に、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして二、三御質問申し上げます。  この法律ができたのは昭和十一年でございます。この当時は、御承知のとおり三井、三菱等の財閥系の企業が非常に優勢でございますし、さらにまた、国策企業との対抗上、当時の中小企業というのは非常に力が弱いためにひとり立ちができないという状況にありまして、そのために協同組合を通してこそこうした中小企業が守られるということで、組合金融機関としての商工中金が発足したということは御承知のとおりでございます。しかしながら、それからもうすでに四十五年を経過いたしまして、日本の中小企業の中にもひとり立ちをして大企業と十分渡り合えるような力を持つものも出てきている昨今でございます。  こうしたわが国の中小企業の変遷を考えますと、昭和十一年当時とはずいぶん様相も違っている、こういうふうに思うわけでありますが、この組合金融そのものにつきましても抜本的に考え直すときに来ているのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。商工組合中央金庫の存立期間は法律によりまして五十年とされており、その期限が昭和六十一年に到来するということもあります。そういう点も踏まえまして、大臣から抜本的な考え方につきましての所見をひとつお伺いしたい、こういうふうに思うわけでございます。
  48. 田中六助

    田中(六)国務大臣 この商工中金の本来の目的は、やはり金融面から中小企業者を育成し組織化するということが大きな役割りだと思いますし、私どもは、こういう目的を踏まえまして、今後とも商工中金の融資の範囲の拡大とか、そういう中小企業を育成するということからあらゆる面の育成強化というものを頭に置いていきたいというふうに考えております。
  49. 武田一夫

    ○武田委員 商工中金というのは、これは文字どおり中小企業の育成を図るための強い味方として受けとめられておるわけでありますから、そうした趣旨に沿うように目的が果たせるような対応をお願いしたい、こう思うわけであります。  ところで、現在、商工中金というのは組合貸しと構成員貸しとをやっているわけでありますが、その比率はどのようになっているか、御答弁いただきたいと思います。
  50. 木下博生

    木下政府委員 現在の商工中金の融資の中に占めます組合貸しと構成員貸しの割合でございますが、組合貸しが五一%、それから構成員貸しが四九%ということになっております。
  51. 武田一夫

    ○武田委員 組合貸し五一%、構成員貸し四九%。構成員貸しが認められるようになったのは、たしか中小企業金融公庫ができた当時だと思うわけでありますが、最近の傾向として本来の組合貸しには非常に冷淡になってきたのではないか、そして構成員貸しの方のウエートが高くなっているのではないかというように見られているわけでありますが、そういうことにつきましてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  52. 木下博生

    木下政府委員 組合貸しと構成員貸しの割合でございますが、先生御指摘のように、従来は組合貸しの方がウエートが高うございまして、たとえば十年前の四十六年三月末では組合貸しが六四%、構成員貸しが三六%ということでございました。その率が構成員貸しが徐々にふえる形で変わってまいりまして、現在は先ほど申し上げましたような率になっておるわけでございます。  先生御指摘のように、商工中金の貸し付けは協同組合等の組合の組織化を金融面から進めるという考え方でございますから、基本的には組合貸しが中心になるべきものでございますけれども、実際には貸し付けを希望する資金の中身等から考えまして、組合の組織化を推進する上で直接構成員に貸した場合が適当なケースもございます。たとえば長期資金、設備資金とか長期運転資金というような需要の場合に、組合を通さないでやった方が適切な場合もございますので、組合の承諾を得た上で構成員に対して貸しているわけでございます。
  53. 武田一夫

    ○武田委員 ただ、組合金融に対する情熱が失われているのではないか、そういう批判これあり、今後の対応は十分考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、これ以上もし構成員貸しがふえるということになりますと、中小公庫と同じ性格のものになって存在意義というのがどうなるのかという点が指摘されるわけであります。この点についてはどうお考えですか。
  54. 木下博生

    木下政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、商工中金はあくまでも組合の組織化を金融面から助成するという意味合いを持って設立され、そのような運営がなされてきたものでございまして、現在でも約二万六千の組合を構成員といたしまして、その組合に対する融資あるいは組合の構成員に対する融資を行っているわけでございます。したがいまして、融資のやり方も長期資金に限らず、短期資金の融資もしております。  それで、構成員貸しの場合でも、最終的には形の上では一企業に対する貸し付けという形にはなりますけれども、組合の活動を育成強化するというために構成員に貸しているという考え方でやっておるわけでございまして、中小企業金融公庫等のほかの政府関係金融機関とはやはりその機能を異にしているというふうに考えております。
  55. 武田一夫

    ○武田委員 組合といっても最近は、たとえば一企業が貸し付けを希望しますと、それじゃ関係業者を数社集めて組合をつくりなさい、そうしたら構成員貸しとしてお貸ししますというようなパターンが多くなっていると私は聞いているわけです。そのために大企業のダミー会社などがその中に入り込んで貸し付けを受けているということもあり得る、またそういう事実もあるんだというふうに聞いているわけでありますが、こうなりますと、この点は非常に問題になってくると思うのです。その点はどのようにお考えになっているわけでしょうか。また、そういうことを放置していいものかどうか、対応などお考えであればお聞きしたいと思うわけです。
  56. 木下博生

    木下政府委員 商工中金は、先ほど申し上げましたように、中小企業者を主要構成メンバーとする協同組合等の組合あるいは組合員に対する融資を行っているわけでございまして、法律的には、その融資の対象がすべて中小企業でなくてはならないということではないわけでございます。しかし、商工中金の設立の目的がかようなものでございますので、中小企業を組織面から育成するというような形で融資を行っておりますので、一部上場企業というような大企業に対する融資はできるだけ控えるようにした方がいいということで、そのような運営を商工中金も行っておりますし、それから通産省、大蔵省の方からもそのような指導を行っているわけでございます。  先生御指摘のダミー会社でございますが、一部上場するような大きな企業のいわゆる分身となるような会社に対しましては、一部上場企業という大きな企業に対する融資と同じような内容であるからということで、これはできるだけ控えるような運営を商工中金は行ってきております。したがいまして、そのいわゆるダミー、大企業から実質的な支配を受けているような企業の場合には、それを控えるような形で融資が行われているということでございます。
  57. 武田一夫

    ○武田委員 昨年ですか、参議院のこの委員会で商工中金の貸し付けについて問題が提起されましたね。岩手県の例でありますが、ここでは限度額以上の融資の問題と大企業融資の問題があった、こういうわけであります。  そこで、この国民金融公庫や中小公庫などは、貸付対象については資本金とか従業員数など規模が限定されているわけですが、商工中金の場合はどういうふうになっているわけですか。
  58. 木下博生

    木下政府委員 商工中金の場合には、先ほど申し上げましたように、中小規模の事業者の活動を育成するために、その組織金融として融資を行っておりますので、組合によりましては大企業が入り得る組合もございます。そのような場合には、そのような組合が商工中金の構成員となり得る場合には、たとえば中小規模の企業者の数が三分の二以上あるというような組合の場合にのみ商工中金のメンバーとなれるという形になっておりまして、法律的には、そのようなメンバーになりました場合にはその組合及び組合員に対して融資ができるという形になっておりますので、ほかの金融機関とは扱いが少し異なっている面はございます。ただ、目的はあくまでもその中における中小企業の融資を進めるということにありますので、その組合の組織的な活動が円滑にいくような意味で、その組合の中に存在する大企業に対しても融資を行っているケースもあるということでございます。
  59. 武田一夫

    ○武田委員 限度額をオーバーする融資については、総代会が認めればいいという規定になっている、こういうことで、その数が非常に多いことが零細の企業経営の方々の一つの批判の的になっているということもあるわけであります。さらにまた、以前は中小企業であったけれども、いまは大企業にのし上がった企業にも相変わらず融資を続けるというような問題、こういうことに対しても本来の目的から逸脱しているのではないか、こういうことであります。  そこで、この総代会の決議があれば限度額以上貸し付けられるということですけれども、総代会というのはどのようなメンバー構成になっているのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  60. 木下博生

    木下政府委員 現在、商工中金の総代は全部で百二十五名おりまして、これは商工中金のメンバーである組合から選挙によって選ばれております。選挙で選ばれます方法は、各県ごとにそれぞれ何名ずつか人数を決めまして、その県ごとに選挙をして総代を決めているわけでございます。
  61. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、限度以上の貸し付けの場合は逐次総代会を開いてそういうものを決めている、こういうことになるわけですか。
  62. 木下博生

    木下政府委員 融資限度につきましては、個々の企業の場合に現在一億五千万、それから組合貸しの場合にはその十倍という形で一応限度が総代会の決議によって設けられておりますけれども、個々のケースについてその限度を超えて貸します場合には一々総代会の決議を経る必要はございませんで、本店の決裁を得ればいいというようなことになっております。
  63. 武田一夫

    ○武田委員 それでは次に、商工会あるいは商工会議所の問題について質問をいたします。  わが国の中小企業というのは、御承知のとおり事業所数で五百八十万ということで、全事業所の九一%、従業員数で三千四百三十万、全体の八一%という、文字どおり日本の経済というのはこういう方々によって支えられているわけであります。特に従業員数が工業等で二十人以下、あるいは商業、サービス業で五人以下という、いわゆる小規模企業というのがまた非常に多い。事業所数で八〇%、従業員数で三二%という小規模企業によって日本の経済の大きな活力の源泉になっているということも、これは日本の一つの大きな特色でございます。  ここで小規模企業の方に目を向けてみますと、特に地域経済振興に非常に貢献しているということであります。私は宮城県、東北でございますが、東北などはその最たるものでございまして、こういう日本の経済基盤を支える主要な役割りを果たしている、こうした企業に対する対応というのは非常に重要だと思います。しかし、残念ながら、こうした企業の多くが経営面で非常に厳しい立場に置かれている。特に昨今のこうした異常気象等々によりますとこれは非常にもろいものでありまして、こういう方々に対する対応こそ、今後の日本経済一つの活力となる大きな要因だと私は思うわけでありますが、経営技術の改善等々の面において今後の対応に力を入れていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、商工会という存在、市町村にありますが、そういう商工会の果たす役割りも非常に重要である、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、まず第一番目に、商工会自体の内部機構の充実がこれまた一つの大きな重要な課題だと私は思います。  そこで、実際仕事に携わる職員の問題についてひとつ伺いたいのでありますが、やはり優秀な人材を確保したい、これが一番大きな課題だと思うわけでありす。私たちは地元でいろいろと見ますが、現在経営改善普及事業の実施に当たりましては、商工会が重要な役割りを果たしているわけでありまして、経営指導員あるいは補助員、記帳専任職員、そして記帳指導職員という、そういう方々が非常に御苦労なさっている。こういう方々にわれわれは非常に敬意を表しているわけであります。しかし、身分保障の面で十分でないということが言われているし、われわれが直接現場に行って感ずることはその点でございますが、特に記帳指導職員の身分というものの十分なる保障、待遇というものをお考えになっているのかどうか、今後考えていただけないものかどいうことについて、ひとつ当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  64. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 先生御指摘のように、地方の商工会におきましては、経営指導員の方々あるいは記帳指導員の方々、非常に御活躍をしていただいているわけでございます。こういう方々が安んじて仕事をしていただけるというように、われわれも従来から努力してまいったわけでございますが、現在、経営指導員の数、これは商工会地区だけで申しますと四千八百六十八名、あるいは補助員につきましては三千四十五名、記帳専任職員につきましては二千六百四十四名といった数字がございますが、こういった方々はそれぞれ国及び県の人件費補助の対象になっておりまして、その額も逐年改善されてまいっております。経営指導員の例でまいりますと、現在大体国家公務員並みというレベルに達しておりまして、俸給、諸手当等も昔と比べますと非常に改善がされているわけでございます。  先生特に御指摘の記帳指導員でございますが、これは従来は、いわゆるパートタイムのかっこうで日給制で働いていただいておったことがございます。昭和五十年度でまいりますと、これが一万四千八百人ほどおるわけでございますけれども、ただ、この方々は巡回していろいろ記帳指導なさる、その業務の形がだんだん常態化してまいりまして、やはりパートでは非常にやりにくい。また、身分といいますか、待遇の面でも十分でないということになりまして、現在こういった記帳指導員の方々を常勤化するように措置をいたしております。毎年相当な人数をパートの記帳指導員から記帳専任職員という形にいたしておりまして、現在、これは五十六年度の予算ベースでございますけれども、全国で三千七百二十人ほどの記帳専任職員を設置いたすことができるようになっております。これにつきましては、いずれも国及び県からの人件費補助がいくことになっているわけでございます。
  65. 武田一夫

    ○武田委員 記帳指導職員は、アルバイトあるいはまた税理士さんをおかりしているときもあるとか、いろいろとケースがあるようですが、大体、いま商工会の方に行きますと、いわゆる専従職員としまして、きちっと職員の中に入れているわけです。しかしながら、この方々には人件費というのが認められていないわけで、事業補助費として一人当たり三十四万円、こういうものが来る。私が行ったある商工会では三人いまして、百二万円来る。しかしながら、いま給料をどのくらいやっているのかというと、月平均八万六千円。そうすると四カ月分しかこれでは賄えない。あとの八カ月どうするかというと、手数料でやる。手数料でやって辛うじて平均すると八万六千円。これはボーナスなどを加えますと大体百六十万くらいのお金を一人当たり差し上げているようです。そうしますと、こういう方々のその八カ月分をかせぐために手数料となりますと、これは結局商工会に入っている会員の皆さん方の負担を多くしてしまう。人件費を上げるとなると、当然そうした商工会の経費の中で手数料あるいはそういう使用料等々のものを当ててやられることになって、給料が上がるたびにそういう手数料が上がるということになると、これは会員の方々だって大変な負担になってくるであろう、こういうふうに思うわけでありまして、私は、そういう専従化しまして職員となっている者については、いわゆる経営指導員等々の身分と同じような保障をしてあげるべきではなかろうか、それがやはり商工会の内部の充実となり、それが経営指導あるいはまたその他の本来の仕事に一生懸命力を入れることのできる大事な一点だと思うのでありますが、そういうお考えをお持ちでないか、そして今後そうした方向に持っていく考えはないか。ある、ない、これだけで結構です、ひとつお答えいただきたいと思うのです。
  66. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 記帳専任職員につきましては、先ほど申し上げましたように、従来のアルバイトの形では非常に身分も不安定でございますので、現在常勤化しているわけでございます。常勤化の結果といたしまして、身分上は、経営指導員の補助員というのがございますけれども、大体そういった程度の人件費は少なくとも補助できるということになっておりまして、御指摘のように、こういう方々の経済的な身分保障につきましては、今後とも十分意を尽くしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  67. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつよろしくお願いします。  次に商工会の組織の強化の問題につきまして、組織率が全国平均で六六・九%、必ずしも十分とは言えないということでありまして、なぜ加入率がもっと高まらないのかという問題であります。  特にちょっと業種別に見てみますと、サービス業が非常に悪いのですね。大体建設業が六九・六%、それから製造業七〇・七%、小売業が七一・六%、サービス業が五七・四%、平均が六六・九%であります。これは、加入しないというためにはやはりその理由があると思うのですが、なぜ加入しないかということについて、また加入を促進させるためどうしなければならないというふうにお考えになるか、私はその二点をまずひとつお聞きしたいと思うのです。
  68. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 現在の商工会のいわゆる組織率でございますが、御指摘のとおり六六・九%という段階でございます。今後とも努力をいたしましてこの率を高めたいと思っておるわけでございます。  また、先ほど業種別の御指摘がございましたように、業種によりましては非常にばらつきがございまして、たとえば御指摘のサービス業等は五七%台でございます。こういったものをもっと高めなければならないということでございますが、結局組織率を高める一番大きな手段といたしましては、商工会のその地域におきます活動をさらに活発にいたしまして、地元の商工業の方々の今後の発展の中核となるという形で活躍していただく、それに伴いまして、たとえばそれに従事しておられます方々の社会的評価ももちろん上がるわけでございますし、またいろいろ情報等々もたくさん入ってくる、そういうものを共有できるということもございまして、メリットもだんだんふえてくるということでございます。非常にじみちな活動ではございますけれども、そういった地元、地域の経済に密着いたしました活動を今後とも続けていただくということによりまして組織率は次第に上がってくるのではないかということを期待しているわけでございます。
  69. 武田一夫

    ○武田委員 私は、やはりはっきりしたメリットがないといけないと思います。  それからもう一つは、やはり任意加入という問題もございますね。そこで、まずメリットの問題で、たとえばサービス業の方々がなぜ入ってこないかというと、これはこれなりにやはり環境衛生同業組合となっていく、それで全部何でもできるわけです。これは商工会さんお呼びでなくともいいのです。ですから、あえて二重に入る必要もない。こういうことで、どちらかというと向こうさんの方が非常に丁寧にいろいろなことをやってくれる、そういうケースの方が多いというふうにも聞いています。しかもまた、経営改善普及事業にしましても、商工会に加入していなくてもこういうことはやはりしてやらなくてはいけない、こういうことになりますと、何で入っているんだ、こういう一つの素朴な疑問もやはり感じざるを得ないわけでありますから、いま答えは求めませんが、そこへひとつ何らかのメリットになるものを考えてはいかがでございましょうか。特に二十人以下あるいは五人以下という小さな企業に対してそうしたメリットを考える、たとえば五人以下の場合に社会保険がどうとか労災保険がどうとかいろいろな問題があるようです。というのは、こういう方々というのは勤める方々もそういうメリットがないためになかなか思うように入ってこない。こうなりますと経営者だけでなくて、そこに働く方々も一つの大きな問題として心配があるわけですが、そういうものをひっくるめまして、私は今後、こうした一つ商工会に入ったメリットというものを明らかにわかるような、そういう態様をひとつ研究してほしい。これは要望だけしておきたいと思います。  それから、任意加入という問題で、これも加入促進一つの障害になっているようであります。というのは、事業所が急増している地域がたくさんあるわけです。ところが営業所とか出張所等がたくさんございまして、全体で言うと事業所が千あるけれども、そのうちの半分ぐらいがそういうのがある。これがその地域の中で大きな一つのパーセントを占めているとなりますと、こういう地域の商工会の方々は非常に苦労している。これは任意加入であって、こういう方々も特に入る必要がないということで加入してこない。中には地域との融和あるいは友好ということで入ってくる企業の方々もいるのは私は知っておりますが、多くは入ってきません。こういう方々に対しても、何かそういうふうな一つの加入促進になるような方向をひとつお考えいただきたい。これも要望でございます。特にどうこうという答弁はいただきません。そのことをひとつお願い申し上げます。  次に、事業の範囲の拡大ということで、今回いろいろとここで問題を提起されているわけでありますが、福祉事業をやるということであります。この福祉事業というものの中身としてどういうものを具体的にお考えになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  70. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 今回の改正によりまして、商工会の事業に「社会一般の福祉の増進に資する事業」を加えるということをお願いしておるわけでございます。  その内容でございますけれども、その「社会一般の福祉の増進に資する事業」と申しますのは、住民の福祉に直結いたしました各種の事業、たとえばその地域におきます祭事、お祭りでございますとかあるいは住民の教養を高めるための講習会、講演会の開催でございますとか、あるいは住民のためのレクリエーション活動とか、あるいは美化運動、緑化運動、それから社会福祉施設への寄付といったようなものを頭に置いておるわけでございます。  こういったことによりまして、商工会が地域の経済的な側面はもちろんでございますが、それのみにとどまらず、社会的、文化的な側面において重要な役割りを果たすことができるわけでございまして、それがひいてはその地域の魅力の増大でございますとか、あるいはその地域への人口の定着といったことをもたらすわけでございますし、それが回り回ってまたその地域におきます商工業のより一層の改善発達につながるだろう、こういうことを期待しておるわけでございます。
  71. 武田一夫

    ○武田委員 そういうことをしますと、かなりの経費が必要なんですね。ボランティアの活動に期待するというようなことをちらっと聞くのでありますが、寄付もありあるいは緑化運動これあり、その他お祭りあり等々になりますと、それなりの商工会としての財源というのはどこから持ってくるのか、営利を目的としてはならない商工会の持ち金はどこから出てくるのか。これは質問を後日にしたいと思うのですが、特に人口急増地域などにおきましては、今度大きなスーパーマーケットが入ってくるとなると、そのための打ち合わせ等々に百万から七、八十万もかかって、その金の出し入れだけでも大変だというようなかなりの経済的な負担がこれあり、そういうものをどのようにしていくのかという心配一つ。  それからもう一つは、本来の商工会の目的から、どうもそちらの福祉事業という方向にウエートがかかり過ぎて、肝心の業務というものの停滞といいますか、そういうものがありゃしないかという心配です。それでなくても、われわれの地域などよく見ますと、商工会は、「特定の政党のために利用してはならない。」という規定もあるにもかかわらず、かなり政治好きな理事さんとか幹部の方が多いのですね。ですから、こうなりますと、政治好きな方が多い、理事もふやす、しかも福祉事業となりますと、密接な関係が出てまいりまして、われわれは非常に働きやすくなったということで喜んでおるグループがあるとか、こういうことも言われておりまして、そのとばっちりが、本来の経営指導等々の業務指導に差しさわりを及ぼさないかという二つの心配を私は持っていますが、そういう懸念はないのか。もしあったとしても、それはこういう方法でそういうふうな方向には持っていかないのだという方策、この二点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  72. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 まず、御指摘の社会一般の福祉増進の事業を入れた場合の経費をどうやって賄うかという問題でございます。  これにつきましては、先生も御指摘なさいましたように、一部は商工会の青年部、婦人部といった活動的な層によりますいわばボランティア活動ということも期待されますので、それほど直ちに大きな資金を要するというわけではないと思います。  また、あくまでもこの社会一般の事業といいますのは、商工業の総合的な改善発達にあわせて実施する事業でございますので、早く言いますと、各地の商工会の実力に応じてやっていただくということで十分かと思われますけれども、たとえばそういうもののために会費を上げるといった対策も考えておるところもあるようでございますし、また補助金や会費以外に、たとえば各種の事業の事務代行をやるというようなことで代行手数料等の収入を、これは営利を目的としない範囲で当然そういった収入を期待できるわけでございますけれども、こういったものをもって社会一般の事業に充てるということは十分可能でございますので、そういった面での財源によりましてこの社会一般の事業を遂行していただければよろしいかと思うわけでございます。  もう一点、政治的な中立性の問題でございます。これは法律にもございますように、商工会は、「特定の政党のために利用してはならない。」という規定がございますので、これは法律の当然の監督、法律の厳正な執行ということによりましてその条件は実施されなくてはならないものでございまして、今回の目的の拡大といったこととはそれはもちろん関係がないわけでございます。
  73. 武田一夫

    ○武田委員 時間がないので次に移りますが、要するに本来の業務が滞りなく遂行できるような対応の十分なる指導、監督を私は要望しておきたいと思うのです。  ところで、会員資格緩和の問題ですが、会員の加入の中に信用金庫についても加える予定である。金融業者を加えるという目的は特に何かあるのか、この点。  それからもう一つ金融機関の公共性から言いまして、たとえば預金の獲得競争のあおりを受けたりして、商工会そのものへの社会的影響性というものの心配はないのか、こういうものに対してどういうふうに対応していくか、この二点についてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  74. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 今回改正をお願いしております一つのポイントといたしまして、商工会の会員資格を従来の商工業者から広げまして、定款で定めればその範囲で会員にすることができるということでございますが、これは今後商工会が各地におきまして地域経済に密着してさらに大きな活動をするということのために、地元商工業者の方々に非常に密接な方々、こういう方々の意見も十分反映できるようにしようということでございまして、その具体的な範囲につきましては、その目的にかないますように今後指導して、特に模範定款例等によりましてそれを具体化していくわけでございますけれども、その中で具体的なものと申しますと、たとえば相互会社でございますとか、あるいはこれは各地域にございますが市町村の公社でございますとか、あるいは商店会といった方々も予定しているわけでございますけれども、それに並びまして信用金庫というアイデアもあるわけでございます。これは特に金融機関だからという意味ではございませんで、その地域におきまして商工業の改善発達等を中心といたします商工会の今後の役割りに十分貢献していただくことができる立場の方という意味で、そういう考え方も出ているわけでございます。特に金融機関という意味ではございませんけれども、その地域の今後の商工会の活動にいろいろな援助もいただけるし、また意見も反映させていただくことができるであろうということでそういうことになっているわけでございます。  預金獲得競争等々を刺激しないかというお話でございますけれども、実は商工会議所はもうすでに法律によりまして定款会員の制度が認められておりまして、これには銀行も入っておりますし、信用金庫も入っているわけでございますが、信用金庫が入ったからといって特にその商工会議所地区で預金獲得競争が激化したということもちょっと聞いていないわけでございますし、また、もし特別な地域におきまして信用金庫等を入れることが問題だというようなことが仮にありますれば、その商工会におきましては、定款に基づきまして、理事会の承認を得てそういった方々に入っていただくというのが現在の模範定款例の考え方でございますけれども理事会の審査の段階においてしかるべくそういうものをスクリーンすることができるというふうに考えているわけでございます。
  75. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、最後に、労働省おいでになっていただいているので、一問御質問いたします。  中小企業の従業員の福祉の問題でありますが、中小企業退職金共済制度の普及状況というのはどうなっているか、またその制度の強化拡充という問題につきましてどのように取り組んでいるか、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  76. 石岡愼太郎

    ○石岡説明員 まず、中小企業退職金制度の普及状況でございますが、現在中退制度に加入しております企業は約二十二万企業でございます。事業所統計調査を用いまして労働省で推計を行ったところでは、対象企業の約一〇%が本制度に加入していると考えている次第でございます。  これを規模別、産業別に見ますと、一人から四人の規模の企業では、その企業のうち約五・五%の加入率と相なっておりますし、サービス業を見ますと、サービス業のうち本制度に御加入いただいている率は六・四%ということで、特に零細企業及びサービス業におきまして本制度の普及がおくれているというふうに考えている次第でございます。  したがいまして、中退制度の加入促進につきましては、いま申し上げましたように、この制度を含めて退職金制度の普及が比較的おくれております中小零細企業、サービス業に本制度の計画的な普及促進を強力に推進する必要があると労働省では考えておりまして、この方針に基づきまして、中小企業退職金共済事業団は昭和五十五年度を初年度といたします加入促進五カ年計画を策定いたしまして、その実現に努めているところでございます。  この計画の推進を図るために、五十六年度におきましては、小規模企業が多い地域を加入促進重点地域として指定いたしまして、当該地域におきましては関係行政機関との加入促進打ち合わせ会議説明会、戸別訪問、ダイレクトメールの実施、各種広報媒体の活用等を集中的かつ綿密に実施する措置を進める予定にしておりますが、このほか従来から行っております一般的な広報活動も強力に進めまして、中小企業の退職金制度の加入促進を図り、労働者の福祉の増進を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  77. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、残余の質問につきましては後日の一般質問でさせていただくことにしまして、終わらしていただきます。
  78. 野中英二

    野中委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  79. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横手文雄君。
  80. 横手文雄

    ○横手委員 私は、本法律案の改正の質問に先立ちまして、地元福井県の商工中金の構成組織であります中小企業中央会あるいは商工会その他の団体を訪ねていろいろと希望と意見を聴取してまいりました。  そこで、どこでも聞かしていただいたのは、本法の議論に先立ちまして、ことしの豪雪において政府中小企業向け融資に大きなお力添えをいただいた、特に中小企業向け三公庫の支店長を初め職員の皆さんが全力を尽くしていただいた、おかげさまで助かりました、ありがとうございましたということを言っておられましたし、今度質問に立たれるなら、ぜひ大臣初め中小企業庁長官関係者の皆さんにそのことをお伝えくださいということでございましたので、冒頭お伝えを申し上げる次第であります。  そういった中で、中小企業を対象とする三公庫の一つに商工中金が入っておりまして、今回この法改正が提起をされておるわけでございますが、三公庫といってもそれぞれ生い立ちも違いますし、その背景も違うわけでございますが、中小企業の皆さん方が同じような形で見ておられる。そこで話題になってまいりますのは、ほかの国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫に比べて商工中金は金利が高い、こういうことをおっしゃるわけであります。  いただいておりますこの資料を見ましても、なるほど組合に対する貸し付け、それは、いわゆる三年までの場合に限って言いますと通常金利ということになっておるわけでございますが、組合員向けということになりますと高いわけであります。  したがって、この金利を何とか他の二公庫並みに下げてもらえないだろうか、そういう努力をしてもらえないだろうか、こういう希望が非常に強いわけでございますけれども、まず冒頭に大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  81. 田中六助

    田中(六)国務大臣 政府機関中小企業者向けの金融機関でございますので、中小企業育成あるいは助成という観点から、三機関とも等しいような金利体系が必要ではないかと思っておりますけれども、御承知のように、他の金融機関は財政投融資、財投資金からの金が出ておりますけれども、商工中金は、商工中金債と申しますか、そういうコストの高い点がございまして、したがってそれがどうしても金利に反映するわけでございます。私どももこの点は十分頭の中にありますし、できるだけ安い金利でということで、この実行のためにはもちろん営業努力もありましょうし、また、政府出資の増額というようなことも考えて、これからもそういう金利の低下、低利な金利というようなことに努力していかなければならないというふうに思っております。
  82. 横手文雄

    ○横手委員 重ねて大臣に念押しをさせていただきますけれども、御指摘のような背景のもとで、そして御指摘のような金利体系だ。しかし、だからといって商工中金が割り高になってもやむを得ないということではなくして、これを他の二行並みに金利引き下げていく、そういう形で今後努力をしていく、こういうことでございますね。
  83. 田中六助

    田中(六)国務大臣 まさしくそのとおりでございまして、鋭意、私ども金利低下について一生懸命努力して中小企業の育成に邁進したいというふうに思います。
  84. 横手文雄

    ○横手委員 それでは、影山参考人にお伺いをいたします。  いま大臣の方から重ねてこの金利の問題について、その方向をお示しいただいたわけであります。私は、金利というものは黙って下がるものではない、それなりの処置をしていかなければならないというぐあいに考えております。  まず考えられるのは、商工中金内における事務経費を合理化して、そして何とか需要者の皆さんの御期待に沿えるような金利体系をつくっていくということが考えられるわけであります。あるいは、この商工中金の場合には利益ということは余り考えられていないことでございましょうけれども、もし利益があるとするならばそれを削ってさらに金利を下げていく、こういう社内的な努力ということがまず考えられるわけでございますけれども、その点について、商工中金のいわゆる一般事務のコストが一体全体どうなのか、他の同じような金融機関に比べてそのコストはどの位置にあるのか。そして二番目の、利益を還元するといいましょうか、そういった道があるのかどうか、このことについてまずお示しをいただきたいと思います。
  85. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  中小企業の皆さん方の金利負担の軽減につきましては、私どもは私どもなりに努力をいたしておるつもりでございまして、また今後ともその努力を続けてまいりたいと思っております。  お尋ねをいただきましたまず経費節減の努力についてでございますが、常日ごろ事務の合理化あるいは経費の節減あるいはコンピューターによるオンライン化、機械処理化等を進めてまいりまして、相当程度経費の節減を行っておるのでございまして、昭和五十四年度の経費率を見ますというと一・一八%となっておるのでございます。効率化には特に努力をしておられます都市銀行、地方銀行、信託銀行等の全国銀行の平均の経費率というものが二・〇三%でございますので、これに比較しましても、一生懸命努力をいたしておる結果があらわれておるのではないかというふうに考えておるのでございます。  それから利益の関係でございますが、このように効率化の自己努力に努めておりますけれども、御承知のように、元来、調達原資の約七七%を金融債に依存いたしておりますために調達コストが非常に高く、また一方、貸し出しの面におきましては、この前の石油ショック以降からずっと続いております低成長及び不況時等の対策といたしましての緊急政策融資あるいは既往長期貸し出しの金利引き下げというところで得べかりし利益も吐き出しておりまして、この結果、調達金利貸出金利のバランスを失することが多いというのが実情でございまして、これは五十三年度、五十四年度と厳しい収支が続いて、私どもといたしましては五%は民間出資の配当を確保いたさなければいけないのでございますが、この五%の民間出資分の確保がなかなか大変である、こういうふうな実情であるわけでございます。
  86. 横手文雄

    ○横手委員 そうしますと、一般の金融企業に対して事務経費がきわめて低い、事務コストがきわめて低い、こういうお示しがあったわけでございまして、その努力に対して心から敬意を表する次第であります。これからもさらにがんばってもらいたいと思いますが、しかし、お示しのような数字でございますし、あるいは利潤の問題にいたしましてもお示しのようなことであるとするならば、この方面からの金利引き下げというのは、努力はするにしてもそう大きく期待ができない、こういうぐあいに考えられるわけであります。  そうしますと、商工中金が貸し出しをしておられるその原資といいましょうか、そこにメスを入れなければ、現実の問題として顧客に対する金利引き下げはほぼ不可能だ、こういう気がいたしますけれども、その点についてはいかがですか。
  87. 影山衛司

    ○影山参考人 今後、金利引き下げをいたすにつきましては、やはり自己努力のほか、調達原資となっておりますもののコストの引き下げをやっていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  88. 横手文雄

    ○横手委員 商工中金の貸し出しの原資、これは多くの種類があるわけでございますけれども、まず一つは無配当である政府の出資金、先ほどお触れになりました会員からの五%配当の出資金、さらには預金、そして約八割を占める金融債券、こういうのが貸付原資の総枠の構成であるというぐあいに承知をしておるわけであります。  そこで、これらの問題について、いま参考人は、この原資をいかにして安い調達コストにするか、これが生命線でございますと言っておられるわけでございますので、この点についてひとつ具体的に考えていかなければならないというぐあいに思うわけでございます。  預金の拡大の問題について、いま中小企業の会員の皆さん方からも預金として預かっておられる、こういう点もあるわけでございますけれども、さらに大企業からも、特にその保証をしておる親会社からも預かっておられる。しかし、さらにこの預金を広げていくという観点に立ちますと、その中小企業の親会社にも預金をお願いできるような道をつくっていくということも大変大事なことじゃないか。あるいは非営利法人の預金の拡大、こういったものも政府にお願いをしていかなければならないことではないか。あるいは金融債券につきましてもできるだけ割引債券を政府の方で引き受けてもらう、こういったようなことが具体的に必要になってくるのではないかという気がいたしますけれども参考人の御見解をお伺いしたい。
  89. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  一般預金は調達原資の中で約二三%、一兆三千億円の残高があるわけでございますが、この預金は金融債に比較いたしまして大変コストが安いわけでございます。しかしながら、私どもの方は原則として組合及び構成員からの預金の受け入れに限られておりまして、一般からの預金はとれないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、歩積み両建てにならない積立定期でございますとかあるいは手形の支払い準備等の流動性預金の増強に努力をいたしておるのでございます。  先生御指摘の中小企業の親会社からの預金の受け入れでございますが、これは法律上、表から明文の規定で親会社から預金を受け入れてもいいよという規定はないのでございます。ただ、法律の二十九条ノ二で債権保全預金ができるということが規定してございまして、その観点から、保証人あるいは割引手形の振出人であるところの親会社から受け入れば行っていいということでございます。五十六年三月末で二百十七億円のそういう意味での親会社からの預金残がございまして、これは預金の中の一・八%でございます。また、非営利法人からはこれは受け入れられるのでございまして、四百四十八億円、三・七%の預金残高ということになっておりますけれども、私どもといたしましては、今後の課題といたしまして、預金の受け入れ先を親会社も含めましてさらにどこまで拡大をしていくかということは、六十一年問題をも踏まえまして大きな課題であろうかと考えるわけでございます。  また、政府引受債の中で割引債のシェアを高めたらどうかという御指摘でございます。現在政府に引き受けていただいております商工債券のうち、利付債と割引債の比率は七三・六対二六・四というような割合になっております。大分引き受けていただいておるわけでございますが、何と申しましても、利付債に比べまして発行利率も非常に安いコストでございます。私どもといたしましては、勝手な言い分かもわかりませんけれども政府の方から事情の許します限り、また一年ごとに安定的に乗りかえと引受増をしていただいて割引債の割合を高めていただきますと、大変ありがたいとは考えておるのでございます。
  90. 横手文雄

    ○横手委員 参考人、どうもありがとうございました。  そこで、中小企業庁にお伺いをいたします。  いま参考人の方から述べられましたように、この商工中金の金利引き下げ中小企業者の皆さん方の期待にこたえていく、そのためにはいわゆる社内的な努力も今後してまいります。しかし、それが目に見えて下がってくるということのためには、貸出原資の中を洗い直さなければ大変むずかしい問題だ、こういう指摘がなされて、具体的に幾つかの問題が提起をされたわけでございます。このことについて、まず全般的に中小企業庁としてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  91. 木下博生

    木下政府委員 ただいま影山理事長の方から御説明ありましたように、商工中金の金利をできるだけ安くして中小企業の方々に利用していただくということのためには、調達資金コストをできるだけ下げる必要があるわけでございまして、そのために政府といたしましても、従来からいろいろな形でそれを可能ならしめるような措置をとってきております。  その一つは出資金の増大でございまして、現在商工中金千二百二十二億円のうち約七割の八百三十九億円を政府出資という形で出しておりまして、これは言ってみれば配当も取りませんので、ただの金ということで、コストの引き下げに役立つわけでございます。  それと同時に、商工債券につきましても、政府が引き受けることによりまして、商工中金としてはその引き受けのコストもかけずにその資金を使えるようにするということで、従来から政策融資を進める際に必要な資金ということで引き受けをやってきております。その金額が約四千六百億円ぐらいになるかと思います。  それ以外に、中小企業事業団とかというような中小企業関係の事業団が商工債券を引き受けるというようなことでやはり協力してきておりまして、そのような資金を商工中金の方へ出すことによって全体としての資金コストを下げるように持っていくように努力してきております。
  92. 横手文雄

    ○横手委員 そういうことで御努力をいただいておるわけでございまして、それが今日のこの金利体系をなしておるこういう要因であろうと思うわけでございます。  さらに、この金利を、先ほど大臣の御答弁で、他の二公庫と金利を合わせていく努力をしていくという御答弁をいただいたわけでございます。そうなりますと、今日までいろいろな形で中小企業庁としても商工中金のために力を尽くしておられるわけでございますが、いまも申し上げましたように、さらに金利を下げていくということのためには、もう一歩踏み込んでいかなければ現実の問題として金利は下がってこない、こういうことになってこようかと思うわけであります。  そこで、これはもういろいろな方法があると思いますけれども、こういう時期でございますので、新規に制度をつくるというのも大変むずかしいことかもわかりませんけれども、いまお触れになりましたように、政府出資金というのは配当がゼロでございます。つまり、ただの金でございますので、これは大変助かる。全体の金利引き下げるために大変有力な武器だというぐあいに思います。これの増額が必要ではございませんかということが一つ。  それからもう一つは、皆さん方の御指導をいただいて、きょうもこの法律改正の中に出ておりますけれども、会員の出資口数をふやしていく。いま御指摘のとおり七十数%が政府の引き受けている政府出資金だということでございますが、これを伸ばすということと同時に、会員の出資数もふやしていく、そういった御指導も必要であろうと思うわけであります。  さらには預金の拡大ということで、先ほど参考人からお触れになりましたように、中小企業の親会社、現在保証してもらっておるところは預金のお願いもしておるのですけれども、いわゆる取引関係のあるところにまでこれを伸ばしてもらう。そうすると調達資金のコストは大変下がります。こういうことですね。  さらには、いま御指摘のとおり非営利法人の預金、こういったものの拡大を中小企業庁として積極的に努力をしていく。  さらには、貸付原資の八割近くを占めておりますところの金融債券、これが政府引き受けもたくさんあるわけでございますが、先ほど参考人の方からは利付が七四、割引が二六というような数字をお示しになったわけでございますけれども政府の方がこの割引を引き受ける枠は一応あろうと思いますが、それを拡大すると同時に、この引き受けはほとんど割引債券の方に引き当てる、こういった具体的な措置をとられるというのがこの商工中金の金利引き下げていく目的にかなう道だというぐあいに思うわけですけれども、具体的にどういう指導をしていかれるのか、その見通しはどうなのか。これによって確実に金利が下がる方向に歩み出します一こういったものをお示しをいただきたいと思うわけでございます。
  93. 木下博生

    木下政府委員 まず、政府の出資でございますが、これは御案内のように、五十六年度予算では前年より十五億円ふやしまして百十億円の出資をいたすことにいたしております。それと同時に、商工中金の方も、メンバーの組合からの出資を前年度より五億円ふやしまして、三十五億円ふやすというようなことで進めることにしておりまして、政府それから商工中金のメンバーともども協力して、できるだけ安い資金コストである増資を進めていくようにやっておりますし、中小企業庁といたしましては、今後も引き続き政府出資の増大については検討を進めていきたいというふうに考えております。  それと同時に、先生からいま御指摘のございました預金のことでございますが、親会社からの預金の受け入れにつきましては、理事長の方からも御説明がございましたけれども、一応商工中金法の中に預金の受け入れできる先が限定的になっておりまして、その関係で、親会社からはその債権の保全というような見地からの預金の受け入れを現在やっておるわけでございます。これを今後もう少し範囲を広げるかどうかにつきましては、商工中金全体の性格の問題にも絡んでまいりますし、それから全体の金融制度との問題もございますので、十分検討を続けてまいりたいというふうに考えております。  それから、非営利法人からの債券の引き受けにつきましては、先ほど申し上げたようなことでございますが、今後もそういう事業団におきまして余裕金が出ましたときには、同じような中小企業関係の仕事をやっている事業団の場合には、できるだけ多額の商工中金の債券を買うというような形で協力してもらうように……(横手委員「非営利事業団の預金」と呼ぶ)それから、非営利法人、いま申し上げましたような事業団の持っております余裕金があります場合に、債券を買わずに短期に預ける必要がありますときには、現在でも預金をしておるわけでございますので、これについてもできるだけ商工中金を利用するというような形で指導してまいりたいというふうに考えております。  それから政府関係の、政府が引き受けます金融債でございますが、いま先生から御指摘がありましたように、割引債それから利付債、その引き受けの割合は、現在でも割引債の三に対して利付債の七ということで、全体の商工中金の債券の発行の割引、利付の比率とほぼ同じような比率で政府は引き受けをしているわけでございます。これにつきましては、利付債につきましては期間の長い安定した資金を借りられるというメリットがございますし、それから割引債の場合には、先生おっしゃいましたように、利子が低いというメリットがございますので、こういう点の組み合わせを考えながら引き受けをやっておるわけでございます。  ただ、今後の政府の引き受け方針といたしましては、金利を安くするという意味では、先生おっしゃいましたように割引債をふやすということも考えられるわけでございますが、安定的に資金が商工中金に入ってくるというような見地から考えまして、今後その割引債、利付債の割合をどういうふうに持ってくるかという点は大蔵省とも十分協議してまいりたいと考えております。
  94. 横手文雄

    ○横手委員 繰り返し申し上げておりますように、この商工中金が中小企業の皆さん方に喜んでいただける、そういった意味で、さらに他の二行並みの金融体系に持っていくためには、いま御答弁があったようなことが具体的に進んでいく、そこに初めて道が開けてくるというぐあいに考えておりますので、ぜひその方向で御努力をいただきたいということを重ねてお願いを申し上げておく次第であります。  なお、この商工中金法は五年後には延長問題、これをどうするかという問題が起こってくるわけでございますけれども、現在のところ、政府としてどういうぐあいにお考えになっておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  95. 木下博生

    木下政府委員 商工中金は昭和十一年に設立されまして、法律によりまして一応五十年ということになっておりますので、いま先生御指摘のように、五年後にその五十年目が参るわけでございます。  商工中金は、従来中小企業の組織化を金融面から支援、促進する専門金融機関といたしまして、中小企業金融において重要な役割りを果たしてきたわけでございますけれども政策融資の面においても、また中小企業金融公庫や国民金融公庫と並んで中小企業の経営の安定のためにも大きな効果を上げてきたわけでございます。  今後も、経済成長率の鈍化というような経済情勢の変化を反映いたしました金融構造の変化はあると考えますけれども中小企業が抱えております資金調達の問題は容易に解決するものではないと考えられますので、中小企業の組織化の促進金融面から支えていくという商工中金の役割りというものは引き続き大きなものがあるというふうに考えております。  一方、商工中金をめぐります経営環境というのは厳しさを増すことが予想されておりますし、中小企業の資金需要に円滑に対応するための資金量の確保というのも、先生いまおっしゃいましたように、相当の努力が必要であるかとは考えます。それからまた、今後の中小企業のニーズに沿った良質な資金の供給を行うためにも、さらに商工中金としても努力が必要ではないかというふうに考えております。  こういう点を踏まえまして、組織化政策推進など、商工中金の特殊性を十分生かしながら、今後の商工中金の運営の改善発達について十分に検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  96. 横手文雄

    ○横手委員 御指摘のとおり、今日まで商工中金が果たしてきた中小企業に対する役割りはきわめて大きく、今後さらにその役割りが期待をされるというぐあいに思うわけでございまして、中小企業団体の組織化のためにもこれは大変必要なことだ、こういう御指摘でございます。私もそのとおりだと思います。  ただ、商工中金の場合には、その相手先が中小企業団体、これを商工中金に加盟をさしていく、こういうことでございますが、今日の中小企業の加入率は五一%、こういうことでございます。まだまだ中小企業団体の加入率は低い。私は、この中小企業団体の中にはすでに眠ってしまっておるような団体もあるわけでございますので、これが一〇〇%ということは不可能なことだというぐあいに考えておりますけれども、五一%というのはちょっとまだ努力が足りないのじゃないかという気がいたします。加入率を上げる、こういった問題について中小企業庁としての指導方針、こういったものをお聞かせをいただきたいと思います。
  97. 木下博生

    木下政府委員 商工中金で調べたところによりますと、いま先生おっしゃいましたように、商工中金の所属資格団体の数は全国で大体五万二千ぐらいあるのじゃないかというふうに考えられておりまして、そのうちの二万六千ということでございますから、おっしゃいましたように五一%の加入率ということになっておるわけでございます。  既存の組合におきましては、商工中金の融資の必要を認めている組合と、それから商工中金に所属してその金を借りる必要がないと考えている組合といろいろあると思いますので、そういうような組合の比率といたしましては、五一%ぐらいのところに上がりました現状では、今後もそのウエーは余り大きく変わるまいかというふうに一応見通されているわけでございます。  一方、新設の組合でございますが、中小企業の組織化も過去において相当進んでまいりましたので、近年は大体毎年千から千三百ぐらいの新設の組合ができてきておりまして、その新設の組合の中で、それじゃ商工中金にどれぐらい加入する組合があるかといいますと、大体八割程度が商工中金に加入しているということでございますので、積極的に組合を組織してそれで活動をやろうという組合の八割ぐらいは商工中金に入っているというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。  ただ、政府といたしましては、先生御指摘のように、今後も商工中金に対して、できるだけ加入できる資格を持っている組合の加入を促進させるように一層努力するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  98. 横手文雄

    ○横手委員 次に、いわゆるマル経資金のことについてお伺いをいたします。  このマル経資金は、大変中小企業から喜ばれておるわけであります。特に、私は質問に先立ちまして、福井県内における中小企業の皆さん方が、今次豪雪のために政府中小企業庁がとられたこの対策について心から御礼を申し上げますということでございましたということをお伝え申し上げたわけでございますが、その中の一つに、長官がお見えになったときに、マル経資金の枠を、皆さんの前で、よしわかった、一億その枠を広げる、こういう約束をいただいた、大変うれしかった、こういうことを言っておられるわけでございまして、そうなりますと、このマル経資金というものは大変喜ばれておるわけでございます。  しかし、以前は、政府が用意したマル経資金の総額は年度末において使い残しがあったというようなことでございますが、今日ではほぼ九十数%まで利用されておるという実情のようでございます。したがいまして、五十六年度においても、貸付枠は五千三百億ということで伸ばしてもらったわけでございますが、これで皆さん方の御要望に十分にこたえることができるであろうか、こういう危惧があるわけでございます。その点に対する政府としてのお考えをお聞かせいただきたいということ。  と同時に、そもそもこのマル経資金が始まりましたのは、中小零細企業に対して無担保、無保証でお貸ししましょう、そのかわり中小というよりも零細企業に限ります、商業、サービスの場合には従業員二人、工業の場合には従業員五人、こういう限定がなされていた。しかし、それでは需要に満たなくなってきたということで、第二マル経ということで、多少たがは強くしながらも、商業、サービスの場合には五名、そして製造業の場合には二十人、こういうことで第二マル経的にふくれさしてもらっておるわけであります。  そこで、現地をいろいろ回ってみますと、今日第二マル経と言われるこの範囲内までをマル経の原則的な対象とする、そして今日の第二マル経と言われるその枠組みを、サービス業は十人、そして製造業は四十人、こういうことで現在の倍のところまで広げてもらえないか、こういう要望が非常に強いわけであります。ただ、私は、この運用を間違うと、本来スタートしたときの目的と違うところへ金が流れてしまって、救われない人たちがまた置き去りにされてしまう、またその人たちのために別につくってあげなければならない、こういうことが起こったのではこれはどうしようもないというぐあいに考えるわけでございますけれども、しかし、そこは枠のはめようによって運用が可能ではないか、こういう気がするわけでございます。この点についての政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  99. 木下博生

    木下政府委員 まず、最初のマル経資金全体の枠の問題についての御答弁をさせていただきます。  マル経資金ができました当初は、その枠が小さかったこともございまして九〇%以上の利用率があったわけでございますが、過去五十二年、五十三年、五十四年と七〇%台でわりあい低い利用率だったわけでございます。ところが、昨年は、いま先生の御指摘がありましたようにマル経資金の利用がふえまして、九四%というようなことで、五千百億円の枠に対して四千八百億円弱の利用があったという状況でございます。  この理由につきましては、五十五年度に入りまして小企業者等を取り巻く経営環境の変化、あるいは市中金融機関と比較した金利の面での有利性という点を考えまして利用が非常に高くなったということではないかということでございます。したがいまして、五十六年度におきましてはその枠を、過去三年間五千百億円で横ばいであったものをふやしまして、五千三百億円まで拡大したということでございます。それで、この枠の拡大につきましては、前年の実績と比べますと約一〇%の増大ということになるわけでございますし、金融環境は最近、昨年に比べましてやや緩和基調にある、それから全般的に金利水準も引き下げ方向にあるというようなことがございますので、これらを勘案いたしますと、一応今年度予算で考えております五千三百億円で十分ではないかというふうに考えております。
  100. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 先生お尋ねの中の後半の部分でございますが、マル経資金の適用範囲をもっと広げられないかというお話でございます。  たとえば製造業については従業員四十人、商業、サービスについては十人以下ぐらいまで拡大はできないかというお話がございましたが、先生非常に周到にお触れになりましたように、このマル経資金制度ができましたときには、その名に示すがごとく、小企業対象ということで始まったわけでございます。小企業と申しますと、製造業でいきますと従業員五人以下、それから商業、サービスの場合には二人以下といった最も零細な層を対象にいたしまして、こういう人に対しましては、いわゆる小規模企業のうちに入っているわけでございますけれども、この小規模企業につきましては最も中小企業の中でも弱体な、しかし非常に数も多いという層でございまして、これに対する小規模企業対策が非常に叫ばれた時代にこのマル経も導入されたわけでございます。当初は小企業で始まりまして、また、先生がお触れになりましたように、途中で一部、小企業ではないが金融等の面で非常に問題の多い小規模企業も含める、その枠も一部入れるという方向で改善がなされたわけでございます。したがいまして、現在は小企業と小企業ではないが小規模企業に属するものと両方が対象になっているわけでございます。金額的な枠は後のやや大き目の企業については少ないわけでございますけれども、いずれにしましても対象が小規模企業に対する資金制度というふうになっているわけでございます。  そこで、これをさらに拡大できないかというお話でございますけれども、小規模企業に対しましては、先ほど申しましたように、中小企業の中でも最も弱体な、かつ、その育成と申しますか、不利の是正を図るべき必要性がございます分野でありますために、小規模企業に対しましての各種の施策、特に経営指導を行っているわけでございますが、このマル経資金制度も経営指導の一環として導入されておりまして、経営指導の補完といいますか、その実が上がるということの目的で導入されたものでございます。したがいまして、この小規模企業の枠を超えましてそれを適用することになりますと、やや制度を変える、むしろ制度を大幅に変えるような要素も入ってくることになるわけでございまして、現在そういった形に制度を変えることは困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、無論そういった小規模企業ではないが、ややそれよりも大き目の中小企業につきまして金融面等々の手厚い対策が要るということにつきましては、これは当然だと思われるわけでございまして、従来から金融面、特に中小企業向け政府金融機関の融資等々によります対策が行われてきたわけでございまして、今後ともそれを充実していくという方向で対処すべきではないかと思っているわけでございます。
  101. 横手文雄

    ○横手委員 時間が来てしまいましたので、また次の機会にその議論は譲りたいと思いますが、最後に、商工会法の法改正問題について幾つかの点を御質問申し上げますので、ひとつまとめて御答弁をお願い申し上げたいと思います。  今回の改正の一つであります会員資格の緩和に伴いまして、一部商工会で御心配がございます。社会の福祉に関する事項、こういったようなことがその目的の中に入れられた。したがって、その会員資格の中にもそういった枠が設けられたわけでございますが、商工会議所と違いまして、商工会の場合には町や村の商店街の皆さん方が主として集まっておられるわけでございます。言うならば、金魚ばちの中に金魚が入って仲よくやっているうちはいいけれども、そこへナマズが入ってくるようなことになりはしないか。そして、いつの間にか金魚ばちの中がナマズに占領されてしまって、われわれがつくり上げてきたこの商工会が他の方向に向いていってしまうのではないだろうか、そういう心配をしておられるわけであります。これは、定款ではそれらの問題について歯どめをしますということの指導はなされているようでございますけれども、それはあくまでも指導のことであって、法律はこういうことで決められてくる。この法律が決められるときの議論の中には、そのことについては心配なくやりますと、こういうことが繰り返し述べられておるけれども法律ができてしまうとやがて法律はひとりで歩いていく、そして後になって約束が違うということになってきたときに、もうどうしようもないようなことになってしまうのではないか、こういう危惧を持っておられるわけでございまして、したがいまして、会議所の中にあります、あわせて「社会一般の福祉の増進に資すること」、こういうことで会議所並みの資格を与えてやろうということで、その意味としてはわかるけれども、その先のことが大変心配でありますと、こういう声をよく聞くわけであります。私も、その御心配は当然のことではないかというぐあいに考えておりますが、そういった歯どめをどうするのかということ、特に会員資格の緩和に対する歯どめ、こういったものを一体全体どうしていくのであろうか、こういう御心配なのであります。  たとえば、町で商工祭をやる。いわゆる商工祭と言われるお祭りをする。商工会が中心であるけれども、しかし、その主催者団体の中には区長会だとかあるいは老人クラブだとかあるいは青少年スポーツクラブだとか、こういうことで一緒に並んでくるわけであります。これは商工会の行事なのか、あるいは社会一般の福祉の増進に係る行事なのか、こういう議論が出てくるわけであります。これが社会一般の福祉の増進に係るということになると、その人らならば会員の資格が出てくる。こういったところから、やがてそれが変なことになってくるのじゃなかろうか、こういう具体的な心配等もなされておるわけでございますけれども、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいということでございます。  それからもう一つは、現在経営指導員が配置をされて、非常に小まめに指導をしておられます。そして商工会員の皆さん方から喜ばれておるわけでございますけれども、この指導員の人たち、あるいは補助員の人たち、こういった人たちは、その賃金は国と県からそれぞれ折半で保障をされておるわけでございます。しかし、実際に商工会が払っておる人件費その他の問題につきましては、場所によって違うのでございましょうけれども、全国平均をとりましても、直接人件費だけでもこれを上回っておるという事実、あるいはその他の間接費を入れますと、地域によっては三分の一ぐらいが持ち出しだ、こういうような地域もあるわけでございます。国と県からその補助金をもらっておるということは大変大事なことだけれども、実際にやっておるのはその地域、町村の発展、育成のためにいろいろやっておる。したがって、その町村からも人件費相当分ということでもう一さじ入れてもらう、こういう道はないのであろうかと、こういうことがよく聞かれるわけでございますけれども、この点について御回答をいただきたいと思います。
  102. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 お尋ねは二点ございましたが、最初の会員資格の問題でございますけれども、今回の改正によりまして、従来の会員資格を拡大いたしまして、定款で定めれば商工業者でない人も入れるという改正をお願いしているわけでございます。  これは、当然ながら、今後商工会が地域経済に密着いたしましてさらに大きな活動をしていくということの一つの条件といたしましてそういった会員資格の拡大を考えているわけでございますが、当然ながら商工会の性格が今後全く変わってくるというものではございませんので、あくまでも地域の商工業者が自主的につくります団体でございます。定款会員を設けますゆえんも、この中核たる商工業者に協力したり、またはすることによって非常に商工会の活動に意義があるという方々に限り入れたいというつもりでございますので、無制限に広げるというつもりは持っておるわけではございません。商工会の目的にかなった範囲で入っていただくというつもりでございます。  したがいまして、そういった歯どめをどうするかということでございますが、これは、法律が成立しました後、模範定款例というような形で十分に中央から指導もいたしますし、また、その模範定款例の中で、この定款会員で認められる範囲を最初からきちっと書き分けて限定列挙したらいかがか。さらに、そういった新たに会員資格を獲得します方々も、実際に商工会に入っていただくためには、地域の実情によっていろいろ問題があると思いますので、その商工会理事会で十分審議をしていただきまして、その承認を得て入るというような形をとれば、全然縁もゆかりもない方が入ってきて商工会運営が乱されるという心配はないだろうと思っているわけでございます。  実は、現在も模範定款例で、もうすでに商工会法ができましてから各地の商工会の定款を指導しておるわけでございますが、これはこの二十年間ほとんど変わっておりませんで、一たん指導方針が確立しますと、相当長期にわたりましてこれが指導できるという手段でございますので、そういった定款例を使いまして歯どめをかけてまいりたいと思うわけでございます。  それからもう一点、経営指導員等が活躍いたしておりまして、いわゆる補助対象職員の方々の経費、また活動費といったものにつきまして、現在、国及び県からそれぞれ一対一で補助をさしていただいているわけでございます。しかしながら、御指摘のように、実際問題としましてはそれでは賄えない要素が多くて、たとえば自主財源で賄っている場合もございますし、またその所属しております市町村からいろいろ補助を受けているという例が多いわけでございます。  これをいわば義務づけといいますか、制度化したらどうかというお尋ねでございますが、やはり市町村それぞれに事情がございまして、これを一律に義務づけるのはいかがかと思うわけでございます。今後商工会が発展いたします場合に、やはり地元の行政とよくタイアップして進めていく必要もございますし、そういった意味から補助金をいただくということは大変歓迎されるべきことかと思われるわけでございます。現に相当数の市町村から商工会の方に補助をいただいているケースもございますし、今後も商工会の仕事の発展のためにそういった補助をいただけるならば、それは非常に歓迎すべきことかと思っております。ただし、制度的に義務づけるというのは現状ではいかがかと思っているわけでございます。
  103. 横手文雄

    ○横手委員 時間が参りましたので、最後に御希望を申し上げておきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、この法改正に伴って会員資格の緩和、それが社会一般の福祉の増進、先ほどお祭りのお話もいたしましたけれども、そういうことで定款で決められていても、法律に基づいてわれわれは入る資格があるじゃないか、こういったような争いが起こってくるのじゃなかろうかというような心配もしておられるようであります。先ほど金魚ばちの話をいたしましたけれども、金魚ばちの中に最初はオタマジャクシぐらいのつもりで入ってきた、その程度ならいいじゃないかと思っておったら、やがてそれがオタマジャクシじゃなくてナマズの子だった、そして大きくなってきたときにどうにもならなかった、こういうようなことも懸念しておられるようでございます。スタートが大変大事だと思いますので、そういった歯どめ等について十分な御指導とその定款の徹底等についてお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  104. 野中英二

    野中委員長 宮田早苗君。
  105. 宮田早苗

    ○宮田委員 商工会の組織問題、それから商工中金法の一部改正の質問に入ります前に、関係のございます景気問題、諸情勢についてまず質問をいたします。  と申しますのは、第二次石油危機に端を発しました景況に対しまする景気の調整が予想外にずれ込んでおるわけでございます。当初五十五年内に終了という見方もございましたが、一−三ないしは四−六にまた改められたという面もありますし、これがまだまだおくれるのじゃないかというふうにも言われておるような状況でございます。  そこで、公定歩合引き下げを初めといたします景気総合対策を、政府は、先月の三月十七日に正式にお決めになったわけでございまして、その対策といたしましては、五十六年度のわが国の経済を実質五・三%にする、これを中心にいろいろな対策が立てられたわけでございますが、実情は大変厳しいものがある、こう思います。  政府も、もちろんこの点を認めた上での決定でございますだけに、それぞれに対しましてまず質問をいたします一つは、五・三%達成のためには民間に対する期待が非常に大きいということであります。しかし、この民間の需要の伸びが意外に弱いのじゃないか、こういうふうに思います。また、生産自体も相当に落ちておると思いますが、これに対しまする対策、何か考えがございましたらお知らせ願いたい、こう思います。
  106. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 御指摘のように、最近の経済動向を一口に申し上げますと、物価は大変落ちついてまいりましたけれども景気は実需の停滞を背景といたしましていまだに生産活動の基調が力強くない、特に背景には基礎素材産業を中心とする在庫調整のおくれがあるというふうに指摘できるのではないかと思います。したがいまして、先ほども御指摘いただきましたように、三月十七日に経済対策閣僚会議におきまして総合対策を講じていただきまして、景気の維持拡大を図るというのが当面の一番大きな目的になっておるわけでございます。  手段といたしましては、当然ながら金融政策、公共事業の前倒し、中小企業対策住宅建設あるいは民間設備投資振興、いろいろ考えられておるわけでございますが、これは、これらを通じまして民間の需要の早い回復を図りたいと考えているからにほかならぬわけでございます。ところが、ごく最近になりまして商品市況に下げどまりが感じられるとか、あるいはわずかながらでございますけれども鉱工業生産が伸びてきておるとか、ものによりますけれども在庫調整がある程度進んだとかいう、いままでになかったような動きが少し看取される状態になってまいりました。  これは、先ほど御指摘のように、昨年からずいぶん長い間景気の不況が続いておりましたので、その長い間の努力がようやく底を打ったのではなかろうかと私ども見ておるわけでありますけれども、産業界がこのように景気の先行きにつきまして自信を回復し始めますと、これから先は経済活動が、それは緩やかではあろうと思いますけれども、着実に上向いていくのではなかろうか、こう期待しておる次第でございます。
  107. 宮田早苗

    ○宮田委員 そうなってもらいたいものだと思います。  いま御答弁の中で、特に素材産業がというふうにおっしゃいました。もちろん今日の素材型産業といいますか、大変に落ち込みが大きいと言われております。たとえばアルミ地金の問題とか石油化学、塩ビを含めてだと思います、紙パ、その他素材型の産業が極端に悪い。ただいまおっしゃいましたように、在庫調整のおくれが非常に目立っておるということも言われておるわけでございますが、この一連の素材型産業に対する対策、この点についてお考えがあれば聞かしてほしいと思います。
  108. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 素材型の産業が、御指摘のように実需の停滞とか、輸入品がふえてきておるとか、こういう環境のもとに生産活動が停滞しておるというのは、私ども、そのとおりだと思う次第でございます。したがいまして、先ほど申しましたような七項目を中心とする景気回復対策というものが前面に打ち出されまして、これによりまして国内の民間需要、内需が次第に回復してまいりますと、漸次こういう素材型産業にも日が当たってくるのではないかということが基本的にはございますけれども、同時に、この中で、たとえば業種にはよりますけれども、資金の供給を円滑化するとか、あるいは現在特安法を適用しておる業種につきましては、その特安法の適用し得る範囲の中で計画を延長するとかいうふうなことを考えながら、在庫調整の進展を待ちまして、景気の回復を待望いたしまして、その中で自律的な回復をまず望んでおる次第でございます。  ただ、こういう景気循環的な回復の期待のほかに、原因の中には構造的要因もあるやに見受けられる次第でございまして、これについては別途の対策が必要かと感ずる次第でございます。
  109. 宮田早苗

    ○宮田委員 いま答弁の中でちょっとおっしゃいましたように、この素材産業の落ち込みの大きな原因の中の輸入問題というのが最近非常に大きな焦点になっておるわけでございますが、この輸入の原因、いままでは輸入はしていなかったアルミあたりがアメリカから急にたくさん入ってくる、そういうことに対する原因をどう見ておいでになるか、この点もちょっとお聞きしておきます。
  110. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 たとえば、アルミ精錬あるいは石油化学あるいは紙パルプなどに挙げられますように、素材産業の中で最近日本に輸入がふえてきておるという御指摘がございます。これは一口に言いますと、日本の産業が国際競争力を相対的に落としてきておるということにほかなりません。  その原因は、何と申しましても石油価格が大幅に上昇した、業種によりましては、電力に大きく依存しておるところでは電力料金が大幅に上がった、あるいは紙パのような場合におきましてはチップが原材料として使われますが、この値段が非常に上がったというふうなことでございまして、原材料、エネルギー価格が大変上がって、国際競争力が減殺されてきた。一例を申しますと、たとえばアルミの場合でございますけれども、これは五十五年に約百八十万トンの供給力を見ておるわけでございますが、この中で七十万トン輸入されておる。百十万トンの国内の生産レベルを推持しておりますので、この七十万トンは開発、輸入も含んでおりますが、約四〇%ということになります。あるいは石油化学につきましては、東南アジアは日本品が輸出市場先として非常に優越した地位を持っておったのでございますが、この輸出が急激に減ってまいりまして、逆に国内的には、たとえば塩化ビニール樹脂で、五十五年は前年に比べまして二・一倍、アクリロニトリルで二・一六倍、その他の誘導品で一・数倍というふうなことで急増しておるような状況がございます。
  111. 宮田早苗

    ○宮田委員 そういうことが大きく関連をいたしまして、中小企業の経営が極端に悪化をしておるのじゃないかと思います。その結果、倒産も非常に多くなっておるということなんです。  先日の民間調査機関が発表いたしました五十六年の倒産件数で、三月が千五百九十八件ですか、負債総額が三千七百九十七億、過去最悪を記録したというふうに発表しております。そして、五十五年全体で倒産件数が一万八千二百十二件ですか、負債総額が二兆八千六百二十三億、大変な規模になっておるわけでございます。中でも中小企業、素材産業部門の在庫調整のおくれが原因ということが言われておりますだけに、もう一つは資金繰りということも言われておるわけでございますが、このような状況に対しまして政府はまずどう分析をなさっておりますか、その見方といいますか、その辺からお伺いをいたします。
  112. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたような倒産の高水準についてでございます。  今後の見通し等でございますが、いまのところ定かでございませんが、とにかく三月十七日の景気対策効果というものが着実に出てまいりまして、それを足がかりといたしまして、いわゆる倒産の高水準の背景というものがある程度明るい方向に進展するということを私どもは期待をしておるわけでございます。  そのためには、先ほど来お話がございましたように、中小企業景気に一番関係ございますのはやはり個人消費支出でございまして、金額的にも非常に大きいわけでございますが、これの周辺部分と申しますのは、物価との相対関係というのが非常に大きゅうございます。したがいまして、価格の安定ということから、個人消費支出というものがある程度明るい糸口がつかめればという一つの期待を持っております。  それからもう一つは、やはり設備投資でございまして、これは中小企業設備投資が約五割含まれておりますが、この分が非常に停滞をしておるということが、全体としての設備投資の足を引っ張る原因にもなってまいりますので、先般来特にここに焦点を合わせた総合対策が決定を見たわけでございます。  その後の実績を見ますと、若干ではございますがプラスの方向金融機関の窓口での感触が出てきておりますので、これがまだ年度初めでございますので予断は許しませんが、一応着実な積み上がりを見せるとすれば、設備投資の乗数効果というものは非常に大きゅうございますので、それによりまして中小企業の周辺景況そのものもよくなる一つの希望を持てるのではなかろうかという気がいたしております。  また、中小企業設備投資自身は、先ほど申しました物価の抑制という点では、やはり生産性の向上によりまして個人消費に関連のある物価がオーソドックスな形で抑制されるということにもつながってまいりますので、そういった意味でも一つのいい循環が期待できるのではなかろうか、このように考えております。  それから、中小企業自身の景況の点で、特にコストアップということが非常に問題になりまして、それがまた需要に対する非常に大きな影響にもなってくるわけでございますので、そういったことで現在の物価の落ちつき、それから投資コストの金利の低下、あるいは住宅金利の低下といったあたりが一つのきっかけになりまして、少しでも明るい環境というのが早急に形成されることを期待している次第でございます。
  113. 宮田早苗

    ○宮田委員 何しろ、いまのような状態が夏まで続くのじゃないかというような風評もあるわけでございますので、ただいまおっしゃったような対策をさらに小まめにやっていただきたいものだ、こう希望するわけでございます。  ところで、昨年の冷夏、さらには豪雪の影響について地域別にかげりの内容が違う、このような状況もあらわれておるわけでございますが、まず地域別に最近の動向、これはどういうふうになっておるか、聞かせてほしいと思います。特に素材型産業につきましては、北海道とか中国等が大きく落ち込んでいるようでございまして、極端に地域差があらわれておるというふうに言われておるわけでございますが、一体この原因は何であるかということについても一緒にお知らせ願えれば幸いだ、こう思います。
  114. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 私どもがことしの三月の時点で、各通産局長に管内の状況を報告させたことがございます。このときには、御指摘のように、冷害、豪雪というふうなことでございまして、それぞれこういう影響を非常に大きく受けました地域においては、それ相応の経済的な打撃が多かったわけでございます。ところが、その後の調査によりますと、だんだん各地のかげりが全国的にずっと広がってまいった、こういう傾向を一概に持っておるわけでございます。  ただ、そういうふうな一般的な影響の中でも、とりわけ基礎産業をたくさん抱えております地域とか、あるいは建設関連あるいは繊維産業に関連する地場産業をたくさん抱えておる地域とか、中小企業の非常にむずかしい業種と申しますか、たとえば昨年の夏に冷夏の影響で後遺症を受けたような地域とか、あるいは冬になりまして豪雪の影響が残っておりました地域、たとえば東北とか北陸なんかがそうでございますが、こういうところでは総体的にもう一段と停滞色が深かった、こういうふうな調査を結果として得ておる次第でございます。したがいまして、基礎素材産業につきましては、こういう景気動向を背景としながら各地におしなべて在庫調整のおくれが、目立ってきておるという状況がございまして、私ども、これは冒頭申しましたような原油価格の高騰とか、あるいは内需停滞とか、あるいはまた円高とか海外景気に伴う輸出の減とか、こういったものが複雑に混合いたしまして、その景気のまだら現象を生じておった、こう思っておる次第でございます。
  115. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、中小企業倒産防止と、それから倒産に伴う問題の円滑な処理を図るために、商工会あるいは商工会議所に倒産防止特別相談室を創設する。そのために予算も計上されておるわけでございますが、この内訳として商工会議所が何カ所ぐらい、商工会が何カ所ぐらいになるものか。主として地域にいろいろ偏るという面もあるのじゃないかと思いますが、地域的にはどう考えられるかということなんです。  そして、こういう問題が持ち込まれた場合、この相談を受ける側の人はどういう立場の人か。もちろん商工調停士ということではございましょうが、これら個人では、受けても処理の問題についてはちょっと問題があるようでございまして、相談を受けてこれに対する対策を立てる場合、どういう機関で検討するものか、そういうことについての一連の説明をひとつしていただきたいと思います。
  116. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生御指摘のような非常に高水準の倒産を背景といたしまして、目下の中小企業対策はいわゆる景気対策であり、それはまた倒産防止対策であるというような認識でいろいろな施策を総動員いたしまして倒産対策の手当てをしておる段階でございますが、御承知のように金融の面での倒産対策貸付制度の活用、あるいは保証の面での倒産関連特例保証制度あるいは倒産防止の共済制度の普及、こういったあたりを特に焦点を合わせまして充実強化を図っておりますが、それとあわせまして、いま御指摘のございました倒産防止の特別相談事業というものを五十四年度から実施をいたしております。先ほどお話にございましたように、現在五十五年度は百二十一カ所でございましたが、これを五十六年度に百六十一カ所に増加することにいたしております。  総合対策でこの点も実は前倒しでやろうということになりまして、いろいろな準備段階を五十五年度から図ったわけでございまして、五十六年度に入りまして、すぐその設置と申しますか配分を実行できるような段階に現在来てございます。そして、倒産防止の機動的な運用、倒産に瀕している中小企業が駆け込んでいける、それを受けざらとして十分機能するような受け入れ体制の整備を図っておるというようなことでございます。  その相談の一番窓口になります特別相談室が地域的な偏りがあるのではないかという御質問でございますが、現在倒産防止相談室を設置しますときの考え方をかいつまんで申しますと、人口十万人以上、そして事業所数が五千以上の都市の商工会議所、そして企業倒産が比較的多発している地域の商工会議所、これをまず第一の重点に置いております。  それから、特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づき指定されておりますところの不況地域所在の商工会議所、こういうところも十分念頭に置いて配分をいたしております。  さらに、商工会地区でございますが、これは主要な都道府県の商工会連合会というところに設置することにいたしております。そして、その連合会が相当範囲にその県内の商工会の地区をカバーできるような方式で商工会段階は考えておるところでございます。  それから、いま先生御指摘の第三点でございますが、いわゆる商工調停士だけでは不十分なのではないかということでございまして、結論から申し上げますと、かなり専門的な手当てが必要でございますので、現在弁護士あるいは公認会計士等の専門家の協力をその都度得ております。相談室に持ち込まれましても、いわゆる調停士だけでは処理し切れない面がもちろんございますので、現在は商工調停士のほかに、いま申し上げましたような専門的な立場の方々の御協力を得まして、そこで相談の受けとめ、そういったものを組織的にやっておるということでございまして、原則として商工調停士が処理に当たりますけれども、それはあくまでも中心的な存在でございまして、法律的専門事項につきましては弁護士、それから財務内容の分析等につきましては公認会計士等の専門家の協力を得てワークしている、こういう現状でございます。
  117. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、商工会についてお伺いをいたしますのは、この法律が制定されて約二十年を経過しておるわけです。この二十年間の変動というのは非常に激しいわけでございますが、本来、改正が何回もあってしかるべきではなかったかと思いますが、一度もこの改正というものはございませんでした。この二十年間、なぜ改正をする必要がなかったものか、また、しようとしてもされなかったものか、こういう点について理由は何ですか。
  118. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 商工会法昭和三十五年にできまして以来現在まで、改正は、非常に細かな改正はございましたが、主なものは三十六年に連合会をつくるという内容の改正があっただけでございます。以来、大きな改正はございませんでした。  これは、一つは、商工会が三十五年に法制化されまして以来、事業といたしまして小規模事業者に対しますいわゆる経営指導等を中心といたします業務の充実に非常に専念をしてまいりまして、たとえば事業目的等々につきましては必ずしもまだそれを広げるという段階に至らなかったことが原因ではないかと思うわけでございます。  しかしながら、最近に至りまして、いわば実力もついてまいった。それから同時に、地域におきます商工会の存在あるいはその活動が非常に認識されるようになりまして、今後の地域経済一つの担い手という形の期待が非常に強まってきたというのが今回の改正の背景になるわけでございます。  そこで商工会側、これは県に連合会がございますし、さらに全国的に全国連合会があるわけでございますが、全国連合会の方でも、昭和四十九年ごろから法律改正問題を正面から取り上げまして研究会を始めたという実情がございます。いろいろ審議の結果、昭和五十五年、昨年でございますが、商工会法の改正小委員会を設置いたしましていろいろ詰めた結果、われわれの方にいろいろ希望を言ってこられたわけでございます。われわれといたしましては、そういった客観的な情勢の変化あるいは商工会そのものの実力及び意識の発展というものを踏まえまして、今回改正案を提出させていただいた次第でございます。
  119. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は、昔から商工会の役割りというのは非常に大きいものがあるという認識を持っておるものだから、そういう質問をしたわけでございます。  といいますのは、やはり高度成長期に物質本位のことがずっと続いてまいりましたし、住民とそれからそういう商店、企業との結びつきというのが非常に離れつつあった、これが結果として商工会のそれぞれの活動から、つなぎとめるという言葉はおかしいですけれども、それが案外いい役割りを果たしていた。だから今度の改正の中にもこの点が盛り込まれておる、これは至極当然なことと思いますが、魅力ある地域づくりとか、多面的に寄与するため、この商工会の目的としておるわけですが、「商工業の総合的な改善発達を図ること」に加えて、「社会一般の福祉の増進に資すること」を追加されておるわけです。  この「社会一般」とはどういうものを指されておるものか、ちょっとお聞きしたい、こう思います。
  120. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 御指摘のように、最近、地域経済重要性、これが再認識されてきておるわけでございますし、また商工会がその地域経済の中で非常に重要な役割りをしている、特に経済の側面にとどまらず、社会的、文化的側面で非常に期待をされているという実情にあるわけでございますが、そういった実情を踏まえまして、従来はいわば「商工業の総合的な改善発達を図る」そのむしろ付帯的な事業として、たとえば伝統芸能保存のためのお祭り、祭事、そういったものとか、あるいは住民の教養向上のための各種の行事、あるいはレクリエーション活動、美化、緑化運動等々、そういったことを、今後は、その地域の「商工業の総合的な改善発達」とあわせまして、正面の目的としてこれを取り上げてやることができるようにしたい、それによりまして、先生御指摘のような地域の魅力をさらに高める、あるいは地域への人口の定着をさらに進める等々の効果を得まして、それがまたさらに、ひいては地域の経済の一段の発展に結びつく、そういう効果を期待しているわけでございます。
  121. 宮田早苗

    ○宮田委員 いまおっしゃいましたようなことだと私も思いますが、ただ、要望をしておきたいのは、商工業者が、その商工業者の発展のためということだけでなしに、地域といかに融和を図るかということ、それから伝統的な芸能というものを残すとかということで、お祭りのいろいろ計画、またそれの御心配をなさっておるということについて、案外に献身的な努力がその中に加えられておるということを見逃すわけにはいかぬと思うわけです。そういう問題については、十分にこれからも配慮していただかなければならぬと思うのです。  そこで、商工業に携わっております業者の発展向上のための調査研究というものが必要と思います。さらには、ビジョンづくりというものが、これは十一条関係ですか、取り上げられておるわけでございますが、具体的に商工業者の個人個人の発展向上ということについては、これはよくわかりますし、それは可能だと思いますが、総合的なビジョンということになると、そこに案外に商工業者というのはそれぞれの立場というものに重きが置かれております業者だけに、なかなかうまいぐあいに、何といいますか、かみ合わないという面もあるんじゃないかと思うわけでございまして、そういう面の調整ということを特に考えなければならぬと思いますが、そういうことについて、非常に抽象的な質問になると思いますが、何かお考えがありましたらお聞かせ願いたい、こう思います。
  122. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 今回の改正でお願いしております点で、「商工業に関する調査研究」を商工会の事業につけ加えることとの関連でございますけれども、商工業に関します調査研究と申しますのは、たとえば、短期的にはその地域の商工業の景気動向でございますとか、あるいは消費者の需要の動向を調べるといったことがあるかと思いますし、また非常に長期的な目標のもとにおきまして、将来のその地域の商工業のビジョンを検討するといったいろいろな問題を含むことになると思います。  それで、先生の御指摘のように、特定の事業なり何なりにとらわれずに、その地域全体を見渡して、かつ、その個々の業種等との調整を図りつつというお話がございましたが、商工会はその地域の総合的な経済団体でございまして、特定の業種等に偏らない立場から物が見れるということもございますので、御指摘のような点も踏まえまして、この調査研究をその地域の全体の立場から、かつ、非常に長い目をもってこの検討が進められるよう期待しておりますし、またそのように指導してまいりたいと思っているわけでございます。
  123. 宮田早苗

    ○宮田委員 そうして商工業に関する施設の設置ということになるわけでございますが、これは商工会館等を指すものと私は思います。やはり一連のいままで申し上げました質問を、またお答えになりましたそれぞれの問題をスムーズに処理し発展させるためには、どうしてもこの商工業者が集まります城というのは当然必要になると思うのです。  ところが、城がないばかりにやることができないというようなところがたくさんあるわけであります。最近は無理に無理を重ねて城をつくるということが起こっておるようでございますが、一体商工会で、この城、会館を持っておりますところがどのぐらいあるものか、お調べでございましたら、およそでよろしいからお知らせ願いたいと思います。  さらにそれと並行して、やはり城づくりには十分な御援助の手を差し伸べてもらわなければならぬ、こう思いまして、そういう援助の仕方等についてもより工夫をしていただきたいということをお願いをする次第です。
  124. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 各地の商工会におきましては、現在、先生のいわゆる城であります商工会館をというものを持ちつつあります。現在、商工会は全国で二千八百六十ございますけれども、そのうち商工会館をみずから持っておりますのが千五百四十二カ所でございます。これはまさしくその城と申しますか、商工会の事務所でありますと同時に、経営改善普及事業の推進を図るための研修室というようなものも持っておりますし、また地元の商工業者の方と相談するような相談室あるいは利用していただくための資料室、それから産品の展示室というようなものまで持っている例が多いわけでございます。  この商工会館の建設につきましては、従来から国の補助制度を使って建設をお手伝いしているわけでございまして、先ほど千五百四十二カ所自己所有と申し上げましたが、そのうちの八百二カ所がそういった国の補助対象になっているわけでございます。これは国と申しますか、国と県、両方の補助対象でございまして、それぞれ国四分の一、県四分の一という補助率になっております。  今後もこういった補助は引き続き充実してまいりたいというのがわれわれの念願でございますし、また本年度から、単に個々の商工会商工会館のみならず、県連合会の会館の方にも補助の道を開いているわけでございまして、こういったことを通じまして商工会の活動の中心、いわばセンターとなります商工会館の充実を図ってまいりたいと思うわけでございます。
  125. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後でございますが、ひとつ要望しておきます。  今度の目的が改正をされたということで、商工会議所と商工会が同じような形になったのではないかと思います、目的に関する限りですよ。そうしますと、商工会議所と商工会が十分連携をとることによって、その地域と地域との結びつきというのが非常に強くなり、ひいてはそれの発展というものの大きな原動力になろうかと思っておるところでありまして、商工会だから、商工会議所だからということでなしに、十分に連絡がとれるようなことになりましたので、これからは連絡をとるような指導の方法ということを考えてほしい、こう思っておるところです。  さらには、最初の質問を振り返って、せっかく大臣がおられますから要望しておきたいのは、素材産業の問題がいま非常に悪くなっておるわけでございまして、これから対策をしていただかなければなりませんが、ただ問題は、輸入をすることによって採算という問題あるいはコストの問題ということが案外に考えられがちです。ところが、余り輸入をするということによって、国内でのそれぞれの資源また設備がなくなってしまう、裸になるということが先々いかに問題になるかということを考えなければならぬと思います。そういう面は十分に配慮していただかなければならぬと思うわけでございまして、この点については後日お伺いしようと思いますが、特に、輸入だけに頼るということでなしに、国内での体制ということも十分に考えていただき、裸になることなしにこれから発展、展望が開かれるような措置をそういう問題については考えていただきたいということを特にお願いをしておきます。所感があればちょっとお聞きしたいと思います。
  126. 田中六助

    田中(六)国務大臣 素材産業の不況というようなことで、非常に国内の素材産業関係が落ち込んでおります。これは在庫調整ども進んでおりませんし、不況のゆえにそうなっておるのであって、生産がフルに活動されて、在庫調整が進んで、在庫が積み増しになっておるということではございませんので、原因、結果ともども違った方向にあるわけでございますので、輸入によって素材産業に活力を与えるというようなことはなく、十分国内の体制を整備並びに調整した上での素材産業対策を設けていきたいというふうに考えます。
  127. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  128. 野中英二

    野中委員長 小林政子君。
  129. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、今回の商工組合中央金庫の改正法案、これは商工中金の債券の発行限度額、これを自己資本の二十倍から三十倍に引き上げて資金の調達の強化を図る、こういうことで、組合に対する金融の円滑化を図る、こういう立場から改正が行われているということを承知しております。  商工中金のところで、貸付資金の現状とその構成というものはどうなっているのか、まずそこからお伺いをいたしたいと思います。
  130. 木下博生

    木下政府委員 商工中金の貸付残高は約五兆三千億円ぐらいになっておりますけれども、その資金の内訳を御説明申し上げますと、商工債券の発行による残高が約四兆三千億円ということで、総資金量からいきますと約七〇%ということになります。貸出残高との比率はもう少し高くなりますけれども、総資金量の内訳は約七〇%ということでございまして、その商工債券の中での利付債と割引債の割合は七対三ということでございます。  それから、債券以外の資金調達といたしましては、預金が約二〇%、資本金が二%、あとは内部留保なんかの資金ということになっております。
  131. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、貸付資金のうち債券の割合というのは約七〇%以上ということで、全体の資金の四分の三を占めている、こういうことですね。
  132. 木下博生

    木下政府委員 さようでございます。
  133. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に、債券の中で利付債と割引債との比率というのはいま七対三ということでございますけれども、この推移というのは一貫してこのような状況で行われてきていたものなのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  134. 木下博生

    木下政府委員 現在七対三でございますが、従来からもほぼ同じような率だったと考えております。
  135. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまお伺いをしたことで明らかになりましたことは、貸付資金についてその七〇%が債券の発行に依存をしているという点が一つはっきりといたしましたし、また、その債券の発行の約七〇%は利付債であって発行利回り七・九%の資金の調達というようなことでございます。片や一方、一般の金融機関の資金調達、これを私ども調べてみますと、一年ものの定期預金金利公定歩合引き下げ前は七%で調達をされておりましたけれども、商工中金の調達資金の方が金利が約〇・九%近く高くなっている。これは、中小企業向け貸出金利が高くなるということは、貸し付け原資そのも分の調達が債券で行われておりますので当然のことではないだろうか、このように考えられます。  貸付原資を債券の発行に頼るという資金調達、これはどうしてもコストが高くなるというのは常識から言っても当然のことだというふうに思いますし、中小業者から私どものところにも電話が入りまして、何とか商工中金の金利をもっと引き下げてほしいという連絡が何度も入ってきております。     〔委員長退席、辻(英)委員長代理着席〕 こういうことを考えますと、この金利問題あるいはコスト高の債券の貸付原資への割り当てということなどについて、今後具体的にどのような体制で臨まれようとされているのか、まず基本的な姿勢をお伺いをしておきたいと思います。
  136. 木下博生

    木下政府委員 商工中金の貸付金のうちの財源としましては、先ほど申し上げましたように債券が七割を占めているということでございまして、そのために一年ものの割引債と五年ものの利付債がございまして、そういう比較的長い期間の資金を原資といたしまして貸し付けを行っておりますが、貸し付けを行っております内訳として、短期の貸し付けが約四割を占めているということもございますために、どちらかというと金利の高い金を使ってそのような四割の短期資金あるいは六割の長期資金の原資を賄っているという状況になっておりますために、先生御指摘のように、貸付金利が比較的高目になる可能性もあるという状況でございます。  ただ、中小企業の場合には、一般市中金融機関から借ります場合の金利と比較しまして、商工中金としましては貸し付けに当たっての利ざやをできるだけ少なくするという努力も行っておりますので、実質的な意味では十分安い、しかも安定した資金を供給できるような体制になっていると思います。それで、そのような商工中金の活動に対しましては、政府といたしましても、出資金を毎年増大するというようなことあるいは債券を引き受けるというようなことをやりまして、できるだけ全体としての資金コストを安くするように助成をしていっているということでございます。
  137. 小林政子

    ○小林(政)委員 商工中金の政府資金の比率がこの五年間どのように移り変わっていっているのか、この五年間の推移をまずお伺いをいたしたいと思います。
  138. 木下博生

    木下政府委員 出資金と政府資金の使われている比率と両方に分けて御説明申し上げます。  まず、出資比率でございますが、政府の出資比率はどちらかというと高目になるような傾向でずっと推移しておりまして、五十二年三月末は六三・三%、五十三年三月末は六四・六%、五十四年三月末は六七・一%、五十五年三月末は六七・八%、五十六年三月末は六八・七%という形で少しずつふえてきております。  それから、政府資金の割合でございますけれども政府の引受債の割合はどちらかというと落ちていく形になっておりまして、その政府出資の資金と政府引受債あるいは政府からの借入金を合わせました額でいきますと、五十二年三月末は一五・一%だったものが現在は、五十六年三月末はずっと落ちてきて八・八%というかっこうになっております。  以上でございます。
  139. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、これが合っているかどうかちょっとわかりませんけれども、ここに書かれている政府資金の依存度推移というところを見ますと、これは五十年三月三十一日現在で一九・一%、五十一年三月三十一日現在で一七・二%、五十二年三月三十一日現在で一五・一%、五十三年三月三十一日現在で一二・五%、五十四年三月三十一日現在で一〇・七%、五十五年三月三十一日現在で九・一%、こういう五年間の推移が出ておりますけれども、これは明らかに年々少なくなってきている、低くなってきているということが言えると思いますし、結局総資金全体の中に占める政府の出資金の割合というのは現行では一〇%弱で、九一%はもう自己調達で貸し出しをやっているんだ、こういうことがここに言われていると思うのです。  私は、この点についていろいろと理由はあると思います。理由はあると思いますけれども、この問題について政府出資をさらにふやしていくというようなことも非常に重要な内容になっているんではないか、このように思いますので、その点ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  140. 木下博生

    木下政府委員 先ほど、政府の引き受けている割合について御説明申し上げました。ただいま先生おっしゃいました比率、私どもの持っております数字と全く同じでございますが、ただ一つ補足さしていただきたい点がございますのは、政府関係機関、たとえば中小企業事業団とかそういう中小企業政策関係をやっております事業団が余裕金を持って商工債券を引き受けておりまして、その金額を足しますと、従来に比べると若干落ちておりますが、ほぼ二割くらいの金額までいくということは言えると思います。  ただ、全体といたしましては、商工中金の貸出金利ができるだけ低利に中小企業へ流れるようにするためには、政府としては今後もできるだけ出資をふやすなりなんなりという形で助成を続けていきたいと思っております。政府出資が五十六年度百十億円増額されましたけれども、このような出資金は金利全体のレベルを下げるのにも役立ちますし、また政策融資を進めていく手段としても使えるというようなことでございます。したがって、今後も財政事情の許す限り政府出資をふやしていくという形でやっていきたいと私どもは考えております。
  141. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に、政府資金で商工債券の利付債を買う割合はどのくらいになっているのか。これは私が調べたところでは、五十六年三月末の数字を見てみますと、利付債は三千三百九十四億七千万円、一年ものの割引債の方は千二百十六億六千万円。いわゆる利付債は七三・六%、割引債の方は二六・四%ということになっております。政府は、商工債券を引き受けてはいます。だが、しかし、四分の三はいわゆる利息の高い利付債を引き受けているのであって、結局利息の安い割引債の購入をすれば金利はもっと引き下げられるんではないだろうか、このように思われますし、割引債の購入についてもっと多くこの割合をふやしていくということはきわめて当然のことではないだろうか、このように思いますけれども、この問題については全国中小企業団体中央会からの強い要望でもございます。  こういった点から、この利付債を政府が買う割合というものを今後どうされていこうとしているのか、こういう点もお伺いをいたしたいと思います。
  142. 木下博生

    木下政府委員 利付債と割引債との比率につきましては、先生おっしゃいましたように、政府の引き受けております比率も七対三の割合、それから商工中金全体の発行残高も大体七対三の割合というようなことになっております。  それで、利付債につきましては金利は高うございますが、そのかわり五年ものでございますから長期に安定して資金を確保できるという面がございますし、逆に割引債の方は金利は安うございますが、期間は一年ということで一年で償還されるという性格のものでございます。したがいまして、この両者を組み合わせて、商工中金といたしましてはできるだけ低利であり、しかも安定した資金を確保するというかっこうでやってきております。  政府といたしましては、財政資金でこの利付債、割引債を購入しているわけでございますが、金利という面だけから見ますと、おっしゃいますように、できるだけ割引債の率を高めるということが、金利引き下げるという面からはその方がよろしいかとは思いますが、ただ、財政資金を使って長期安定的に商工債券を引き受けるという見地からどういう割合でやっていったらいいかという点につきましては、今後、いまおっしゃいましたような点も含めて十分考慮に入れさしていただきまして、大蔵省と十分検討させていただきたいと思っております。
  143. 小林政子

    ○小林(政)委員 ともかく、もちろん資金も安定した資金で、しかも金利も、政策金融なんですから、やはり他の銀行に比較してこれが余り高いというようなことは、これはもう本当に政策金融としての役割りを果たさないと思うのです。ですから、金利引き下げという点からも、私は最後大臣にひとつお伺いをいたしたいと思いますけれども政府の出資をふやして安い金利で貸し出しができるというようにするためにも出資を増額すべきではないか、あるいはまた、利付債よりも割引債をさらにふやしていくという方向を強めていくということがとても大事だというふうに考えますけれども大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  144. 田中六助

    田中(六)国務大臣 資金コストを低めるために、したがって、それはイコール利率を下げるということになるわけでございますが、私どもはできるだけ政府出資というものをふやしてそういうふうにしたい、したがって、五十六年度は百十億円の政府出資を増加しておるわけでございまして、その趣旨には沿っておると思います。  それから利付債券につきましても、割引債との関係で、私ども十分小林委員のお考えも勘案して政策の執行に当たりたいと思います。
  145. 小林政子

    ○小林(政)委員 次は、私は商工組合中央金庫の理事長さんがお見えでございますので、お伺いをいたしたいと思います。  今回の改正は、団体の出資口数を現行の五万口、五百万円を出資総口数の百分の一に引き上げて商工中金の自己資本をふやし、さらにその財務体制の強化を図るということでございますけれども、結局、現在の出資限度五百万が一挙に百分の一ということで三億八千三百万円に引き上げられるということになりますが、各組合に対してこの増資の要請というものはどのようにおやりになられるのか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  146. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  私どもが増資を行います場合に、民間の所属組合に対しまして引き受けをお願いする場合のやり方でございますけれども、これは総枠についてはお願いを申し上げますけれども、やはり相互扶助の理念に照らしまして各組合の方で自主的にお決めいただくということで、そういう自主的な立場を尊重しながら、また組合のそれぞれの負担能力に応じた引き受けとなるように御相談もいたしながら、無理のないところでやっているような次第でございまして、今回の出資限度の引き上げは、従来は五万口で五百万円を超えるものは一々主務大臣の認可を得なければいけなかったのでございますけれども、今度はその必要がなくなるということでございます。
  147. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、組合の方にお話をお聞きしましたのですけれども、商工中金への出資及び増資の要請について、組合の商工中金の利用額に応じて行われているというようなことも言われておりました。これはそのとおりですか。
  148. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  利用額も一つの考慮要素ではございますけれども、そういうものもあるいは負担能力も勘案しながらお決めいただくということでございます。
  149. 小林政子

    ○小林(政)委員 組合の利用額には、組合貸しと構成員貸しの両方を入れることができると思いますけれども、これを合わせた形で組合の利用ということになっているのかどうなのか。  あるいはまた、構成員貸しの比率というのは年々ふえているというお話もお聞きしましたけれども、現在どのぐらいになっているのか。  構成員貸しの比率が増加するということについてはどのようなお考えをお持ちでございましょうか。私は、商工中金本来のあり方から見て、構成員貸しがどんどんふえていくというような傾向というのは若干問題があるのじゃないか、このように思いますけれども、以上三点についてお伺いをいたしたいと思います。
  150. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  出資につきましては、組合の方の私どもに対する利用の状況一つの勘案要素でございます。いろんな要素を考えまして負担能力に無理のないようにやっていきたいと思っておりますし、現在もやっておるわけでございます。  それから、第二の御質問でございます構成員貸しの比率の推移でございますが、五十二年三月末現在では四二・七%でございましたが、五十三年三月四四・一%、五十四年三月四六・八%、五十五年三月四七・九%、五十六年三月では四八・七%と、こういうふうな割合になっておりまして、毎年少しずつ増加をいたしております。  この商工中金のあり方としてそれでよいのかというお尋ねでございますが、組合貸しの方も、比率から申しますと落ちておりますが、絶対額で申しますと着実な伸びを示しておるのでございますが、ただ、構成員貸しが伸びておりましてこれを上回っております関係上、比率が増加をいたしておるのでございます。  その理由は何かと申しますと、設備資金でございますとか長期運転資金とかいうような長期資金が増加しているのがその理由でございます。この長期資金は、金額の点につきましても、また、先行き見通しが困難な景況を前提といたしましてのリスクの点でも、組合を通ずる転貸融資にはなかなかなじまない場合が多うございまして、直接貸しが必要となるのでございます。また、メンバーの中小企業の皆様方も、商工中金の直接融資を受けたいという需要も非常に多いわけでございます。ただ、この構成員貸しの場合におきましては、必ず組合の承諾した者に限るということになっております。  また、例を挙げて申し上げますと、たとえば組合の構成員の中に業績が悪い企業が出てきたような場合に、これに対する長期資金を直接貸しをいたしましてその立て直しができた場合には一組合組織自体の維持強化にも役立つというような効用もあるわけでございまして、構成員貸しは、御承知のように昭和二十六年以来組織金融の重要な一環として認められてきたのでございますが、以上申し上げましたような事情によって構成員貸しも認められておるのだろう、こういうふうに考えておるのでございます。  しかしながら、商工中金の使命のかなめとなりますものは、何と申しましても組織金融、すなわち共同事業及び転貸事業に対する融資でございます。私どもといたしましては、この際、組合金融と組合組織の原点に立ち返りましてそのあり方を検討し、また組合の新しいニーズというものをくみ取りましてさらに前進をさせてまいりたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  151. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま、構成員貸しの比率の推移ということでお話がございまして、五十六年三月四八・七%という数字が出されましたけれども、この動きをずっと見てみますと年々ふえているわけですね。恐らく近く五〇%を超すでしょう。  私は、組織を対象とする商工中金のあり方から考えて、こういう状況というものはちょっと問題が出てくるのではないか、少なくとも組織金融が柱ということでできている商工中金でございますので、もしそうでなくて個人貸しばかりがどんどんふえていくことになれば、商工中金の存在理由という点で、中小公庫でも十分ではないかとか、あるいはまた一般の金融機関で個人で中小企業にも貸していますので、そういうことでも十分ではないか、こういうようなことにも発展する可能性だって出てくると思うのです。やはり設立当時の対象はあくまで組織金融という——それは構成員貸しがわずか入っていても、これはいろいろな事情があってやむを得ないものだというふうには私も思いますけれども、しかし、半数を超えるような構成員貸しという方向が強まるということについては、私どもは今後重大な関心を持って見詰めていきたい、このように考えております。いかがでしょう。
  152. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の点、まことにごもっともな点があるわけでございまして、それでありますからこそ、先ほど申し上げましたように、商工中金の使命のかなめあるいは柱となる組織金融、またひいては協同組織の促進というものを原点に立ち返って検討して、さらにこちらを伸ばしていきたい、こういうふうに申し上げたような次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  153. 小林政子

    ○小林(政)委員 また出資の問題でございますけれども、自分たちの組合の組織の資本金を超えて増資を要請されているというようなところはありませんか。
  154. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  自分の組合の資本金を超えて商工中金へ出資をしている組合があるかということでございますが、全国で出資をしていただいております二万六千三百三十八の組合の中で百八十ぐらいはそういうのがあるかと思うわけでございます。
  155. 小林政子

    ○小林(政)委員 組合にとってもやはり資本金というものはいろいろと必要なものでございますし、それを全額あるいはそれを超えて商工中金に出資をするというようなことは、これはいろいろと意見が出ているのです。ですから、自分の組合の資本金を上回る出資という点については、これは厳に戒めるべきではないだろうか、このように思っておりますが、いかがでしょう。
  156. 影山衛司

    ○影山参考人 お答え申し上げます。  原則として考え方先生のおっしゃるとおりでございますけれども、組合によりましては組合及び組合員がなかなかうまくいっておりまして、負担能力もしっかりしたところもございますので、そういうところは例外的にお願いと申しますか、自主的に出していただいておるような例もあるのでございます。原則的なお話といたしましては、ごもっともと思うわけでございます。
  157. 小林政子

    ○小林(政)委員 いずれにいたしましても、出資の問題については、自分の組合の資本金を上回るというような問題だとか、あるいはまた構成員貸しの比率がどんどんふえていくというような問題についても、厳に歯どめをかけていくということがとても大事ではないかというふうに思いましたので、この点について今度は政府の方からお答えをいただきたいと思います。
  158. 木下博生

    木下政府委員 お話のように、商工中金は、協同組合などの組合への金融の円滑化を図るということがその目的になっておりますので、そういう組合組織の強化を金融面から援助するという意味での商工中金の機能は従来も果たしてきたし、今後も果たさせていくように持っていかなくてはならないものだというふうに考えております。  ただ、経済情勢の変化によりまして、組合の組織化に役立つ場合でも構成員貸しというような形で貸すことが適切な場合も場合によってはあるのかもしれませんし、そういう状況で従来から構成員貸しの比率が少しずつふえてきたという面もあろうかとは思います。ただ、御指摘のように、今後とも組合金融という原点に立ち上って商工中金が運営を続けていくように指導してまいりたいと考えております。  それから、組合の資本金自身を超えて出資する場合について御質問がございましたけれども、組合の資本金自身は組合の活動状況と必ずしも一致しない場合もあろうかと思いまして、そういう場合に組合の資本金よりも商工中金に対する出資金がふえたというケースもあろうかと思います。私どもとしては、組合自身の活動が健全に行われるためには組合自身の自己資本をできるだけふやすような努力をやるように指導してまいりたいと思いますが、ただ、組合自身の資本金を超えた出資が行われたといって、それだけをもって直ちに組合の健全性において問題があるということは必ずしも言えないのではないだろうか、かように考えております。
  159. 小林政子

    ○小林(政)委員 そういうことを言われますと、私もちょっと反論したくなってしまうんですよね。実際問題として、幾つかの組合の中で人数も少なくてやっている組合があるんですね。そういうところの資本金というのはそんなに大きい額じゃないですよ。それを超えるような出資が現在商工中金から要請されている、こういう問題も出てきているのですから、やはりそこらのところははっきりさせてもらいたいと思います。
  160. 木下博生

    木下政府委員 先ほど理事長の方から、二万六千の組合のうち百八十くらいじゃないかというお話がございましたが、本来的に申し上げますと、先生おっしゃいましたように、組合の資本金を超えるような出資金を出すというのは正常なものではないということは言えるかと思います。したがいまして、私が申し上げましたのはちょっと言葉が足らなかったかもしれませんが、商工中金として出資を求める際は、一応その組合の活動規模等を考えて、それに応じた出資を求めていくべきでありまして、先ほど御指摘になりましたような資本金を超えて出資するようなケースはあくまでも例外的なものであらなくてはならないか、かように考えております。
  161. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間がないので先へ進みます。  今回の法改正によりまして、今後市街地再開発組合が商工中金の所属資格団体として追加されることになったわけでございますけれども、商工中金の対象となる市街地再開発組合、これは具体的に現在どのくらいあるのでしょうか。  また、いま挙げられている中小商工業者の三分の二以上を占める組合、これが商工中金の対象となる組合数だと受けとめてよろしゅうございますか。     〔辻(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  162. 木下博生

    木下政府委員 ただいま市街地再開発組合としてすでに事業を終えてしまったもの、あるいは現在事業を行っているもの、あるいは計画中のもの全部合わせまして、私どもの知り得た範囲では七十三くらいあるかと思います。  その中で、今回の商工中金の融資の対象となり得るような商業再開発を行うようなものは、過去にあったものあるいは将来計画しているものを含めまして五十二くらいあろうと思います。ただ、現実に工事中あるいは事業計画の認可を受けたものは全部で十五くらいでございまして、その中で今回の改正で言っております中小企業者の数が三分の二以上あるものは十一くらいあると考えております。
  163. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間の関係でちょっと省きますけれども、私は、東京の二十三区の中のある一つの組合を聞いてもらったわけでございます。  そうしますと、市街地再開発組合ということで構成されたその団体の中に大きなスーパーがまじっている。こういう場合に、このスーパーは、市街地再開発組合については一般的には借家といいますか、建物を借りているということで直接組合員には入っておりませんけれども、今後できるビルの中には入るということが決定しているわけなんです。その場合に、面積とか事業量だとかいろいろそういうものを調べてみますと、相当の組合の数ではありますけれども、面積の点で言うと約半分をそのスーパーが占めてしまうのですよ。私は、大企業といいますか、こういうところに商工中金の融資はすべきではない、このように考えておりますけれども、いかがでしょう。
  164. 木下博生

    木下政府委員 市街地再開発事業を市街地再開発組合でやりますときには、当然その都心部のごみごみしたところを全部取り払って大きなビルをつくるわけでございますので、容積というか面積的には非常にふえてくるわけでございます。そのふえてくる面積を使って、そこに住んでいた人たち、そこで商工業を営んでいた人たちがそこに入ると同時に、その残った部分を利用させて全体としての資金を賄っていくという考え方でやっているわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいましたように、各地で行われております市街地再開発事業の中にスーパー等の大企業が入っているケースもございます。それで、市街地再開発組合に対する融資は、その市街地再開発組合及びその組合のメンバーに対する融資となっておりまして、法律的には、大企業がそのメンバーに入っている場合でも貸せる場合がございます。  しかし、商工中金といたしましては、従来からその企業が一部上場になるような大きな企業である場合には、そういう企業に対しては金を貸さないという形での運用をやっております。したがいまして、私どもとしては、商工中金の融資先は主として従来からそこで活動をしている商店の人たち、サービス業を営んでいる人たちということになろうかと考えております。
  165. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、大企業等に対して商工中金が融資をしてやるということは、商工中金本来の性格からいってもおかしいんじゃないか、私はこのように思っております。こういう問題については、ただいま法律にはないけれども一応行政指導でということでございますけれども、厳に歯どめをかけていただきたい、このことを強く要望して、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  166. 野中英二

    野中委員長 渡辺貢君。
  167. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 今度の法改正に当たりまして、その基本となる商工会組織等に関する法律の目的、第一条、この第一条の中では「主として町村における商工業の総合的な改善発達を図る」、同時に「小規模事業者のための事業活動を促進するための措置を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」そういう意味では、商工会の果たしていく役割りは大変大きいと思います。同時に、その性格からいって、国民経済のみならず日常的な国民生活とも深いかかわりを持っている、このように考えております。  きょうは、全国商工会連合会会長の辻さんがお見えでございますので、初めにお尋ねをいたしたいと思うのです。  実は、会長の辻さんと安倍先生の書いた「日本の零細企業」という本を読ましていただきました。中小企業の実態について大変熱いまなざしで、みずからの体験を含めて叙述をされておりまして、そういう点では改めて認識を深め、同時にいろいろの角度から学ぶところが多かったわけであります。たとえば、中小零細企業の社会における重要性という問題を説いていく、また絶えざる自己革新が必要であるというような論述もございます。同時に、今日、日本の社会の中で農業と並んで中小零細企業の場合に後継者問題が大変大きな問題になっておりますが、この書物の中では、全国の商工会の青年部長さんのアンケートをとっていらっしゃるわけです。この中で、なぜ自分が跡を継いでいくのかというアンケートがございましたが、そのポイントについて御説明をいただきたいと思います。
  168. 辻彌兵衛

    ○辻参考人 お答え申し上げます。  先ほどは、私のつまらない本に対しまして過分な賛辞をいただきまして、大変恐縮に存じます。また、それをお読みいただきまして、私ども中小零細企業者並びに主としてその零細業者の組織体であります商工会に対しまして、先生が大変深い御関心と御理解をいただいておりますことを、大変心強く、お礼を申し上げたいと思います。  ただいま先生の御質問にございましたように、私ども商工会は、二十年前に商工会法によりまして組織化されたわけでございますが、地域内におきます商工業者は御承知のようにきわめて零細な規模の業者が多数でございます。われわれは、個々の力だけではどうしても商工業者としての経営その他において十分な活動ができない。これを、その前にできておりました商工会議所法によって救われない地域に商工会という組織をつくり、そうした零細な業者を組織化によって救ってやろうという温かい御配慮によって、この商工会法というものは生まれたものと私どもは理解をいたしております。  したがいまして、私どもは、この地域における経済的な活力と申しますか、やはりそういったものを引き上げていくのには、私ども自身がまず一生懸命になって地域の力をつけていかなければならないというふうに何よりも考えておるわけでございまして、商工会がやっております小規模事業者に対します指導事業というものも、まさにそのような考えのもとに行われておりますことは御承知のとおりでございますが、それと同時に、私どもは組織を挙げまして、この地域の経済の活性化と申しますか、そうしたものを引き上げていくことが、私ども商工会がこの地域のために働き、またそれが同時に私どもが生きていく道でもあるというふうな理解のもと商工会の運動を続けておるわけでございます。  また、第二点の青年部につきましては、青年部というものは、私どもの二重の意味の後継者であるというふうに理解をしております。一点は、私ども個々の企業の後継者であると同時に、またそうした地域を守っていこうという私ども商工会組織の後継者であるという二重の意味において、私どもはこの青年部の諸君に、大きな期待を持っておるわけでございます。  以上、お答えいたします。
  169. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま会長さんからもお話がございましたが、若い方々が後継者として零細企業を担っていく、それぞれ大変決意があろうかと思うのです。会長さんも申し述べていらっしゃいますように、みずからの仕事についての自覚を持ちながら取り組んできているのだということだと思います。これは若い後継者だけではなくて、中小零細企業のほとんどの方々がそうだと思うのです。それぞれ大変な努力をしていらっしゃる。この本の中でも、企業らしい企業とかあるいは生業的な企業、生活と企業とは一緒なんだ、生活そのものだというふうな論述もございますけれども、私も、ある意味ではそうだと思います。  そうなると、大事なのは、個々の業者の努力あるいは商工会としての連帯した相互協力、そういうものとあわせて、今日の社会、経済情勢の変化の中で国の商工行政がきわめて大切である、このように考えるわけです。そういう点で商工会としての努力、自主的な会の性格から、これ以上は限界があるというふうに思うのです。当然、そうなると行政として全商工業者に対しどういう立場から行政を行わなければならないかという問題になってくる、このように考えます。とりわけ一年間に一万八千件を超える企業の倒産、負債の増加など、自助努力だけでは解決できない、つまり社会、経済的な変化、外的な要因が大変多いわけであります。  そういう点で、とりわけ中小企業施策を進めていく中小企業庁が、どのような観点でこうした問題に取り組んでいくか、大変大事だと思うのですが、中小企業庁設置法の第一条の中では、いま申し上げましたような中小業者の努力、経済活動、そういうものが公平な立場から事業として発展できるように中小企業を育成し、そして全体としてわが国の経済の発展に寄与できるような施策を進めていく必要がある。つまり、公平の原則というのがこの中でも強調されているわけです。つまり、あまねく普遍的に政策を及ぼしていかなければならないという立場だと思うのです。  そこで第一点は、今日商工会の対象になる業者の数と組織されている数、それから商工会議所の対象地区内の業者の数と組織されている数について、まずお聞きをいたしたいと思います。
  170. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 お尋ねの、商工会地区及び商工会議所地区におきます商工業者数とその会員数、したがって組織率、この問題をお答えいたしますが、商工会地区におきましては、これは五十五年七月の統計でございますけれども、商工業者数が百六十万四千、これに対しまして商工会のメンバーが百七万三千でございます。したがいまして、組織率が六六・九%でございます。  それから、商工会議所地区につきましては、これは五十五年の三月現在の統計でございますけれども、商工業者数が四百一万六千、これに対しまして商工会議所の会員数が百十一万四千、したがいまして、組織率が二七・七%でございます。
  171. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いまの組織の状況が明らかになったわけでございますが、両者を全体として総計してみると、組織率が三八・九%ですね。そういう現状でもあります。そういう点で、今日の置かれている中小企業の実態を正しく認識をされながら、ぜひ中小企業庁としての積極的な、全体を俯瞰した取り組みを強く要望をいたしたいと思います。たとえば商工会の活動としても、単に一業種がどうであるというだけではなくて、その持つ地域的な性格から言っても、中小企業庁政策一つである地場産業の振興と深く関係してくるのではないか、このように考えます。  たとえば昨年度から発足をいたしております産地指定の問題では、埼玉においても川口の銑鉄鋳物、また秩父における絹人絹織物など国の指定になっております。同時に、県単として、県内にある建具であるとかあるいは機械、捺染あるいは被服、桐だんすなど、それぞれ県単の事業として産地の指定を行っているわけなんです。この場合に、協同組合なりあるいは地域の商工会だけでは当然十分に実態を把握することがなかなか困難である、新しいビジョンを策定することもむずかしいということで、市町村やあるいは県の行政も一体となって新しいビジョンづくりに取り組んでいるわけなんですが、これは昭和五十六年度以降の通産省の中小企業施策としても一つの重点になってくると思うのです。その全体と、そうした中で商工会がどういうふうな位置、役割りを果たしていくのか、御説明をいただきたいと思います。
  172. 木下博生

    木下政府委員 中小企業庁がやっております産地中小企業対策について現状を簡単に御説明申し上げますと、中小企業庁といたしましては、円高により輸出が減少しあるいは輸入が増加するというような理由で、非常に集積度の高い業種を持っている産地を振興する必要があると考えまして、五十四年七月に産地中小企業対策臨時措置法というのを制定したわけでございます。その法律に基づきまして、現在まで百九十八の産地を指定いたしました。  指定いたしますと、具体的には、先生おっしゃいましたように、都道府県が中長期的視野に立ってその産地のビジョンをつくる、それからまた、産地組合がみずから策定する振興計画に沿って実施する新商品の開発等の事業に対して助成を行う、それから産地中小企業者がその振興計画に沿って行う事業に対して金融、税制上の特例措置を講ずる、そのようなことで産地の振興策を図っております。  それと商工会との関係については、小規模企業部長の方から説明を申し上げます。
  173. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 ただいま産地対策について申し上げましたが、その産地対策、それからさらに産地対策から発展いたしまして、地場産業の振興という問題にも取り組んでいるわけでございますけれども商工会はそういった地域におきますいわば総合的な経済団体でございまして、地域経済の将来のために非常に大きな貢献をなし得る立場でございます。  そこで、いま申しましたような各種の振興政策の中で、なるべく主体的なといいますか、主要な役割りを果たしてまいりたいと思っているわけでございまして、特にそのために相当長期を見たその地域の商工業の将来ビジョンといったものを大いに勉強していただきたいとわれわれ思っておるわけでございます。本年度、予算的にも若干の措置がございまして、そういったビジョンを各地でつくり得るという体制になってきておるわけでございますので、そのビジョンを十分検討の上、すでに行われております産地対策、それからこれから展開いたします地場産業対策、そういったものに十分な協力をしてまいりたいと思っているわけでございます。
  174. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 そういう変化に十分対応できるような積極的な指導と助成が必要であると私も考えておりますので、一層努力をしていただきたいと思います。  今回の法改正の中で、ほぼ三点あると思いますが、一つは、目的の中で、福祉活動など社会活動に、広い視野に基づいた活動ができるという、これはある意味では、すでに昭和三十五年発足以来あるいはそれ以前からもやられていることが、大枠としては追認されたというふうに私は考えるわけです。  あと改正の二点である会員の問題、つまり当該地域における対象業者の二分の一以上をもって会員構成の要件とする、こういう規定があるわけなんですが、今度の改正によっては、いろいろな角度から指摘もされておりますように、金融機関の一部が入るとかあるいは同業組合などの代表者が入るなど、ある意味では十分な要件を備えていない方々が会員になる、こういう規定である、改正であると考えるわけなんですが、こうなると、商工会の持っている横の面的な住民との接点やあるいはさまざまな歴史的な発展を見た場合に、逆に縦から入ってくるものが強くなってくるのではないか、こういう危惧を私は持つわけであります。そういう点で、この改正に当たって、その後の定款の変更など十分な配慮が必要である。この点について……。  それからもう一つは、施設を持ち、運営することができる。これは確かにセンターなどが必要でありましよう。この場合に、法の上で商工会は営業活動ができないというふうな規定がありますけれども、たとえば食堂であるとかあるいは結婚式場であるとか、そういうものを施設の中に併設して運営するのだ、あるいは純粋にセンター的な商工業者の活動の中心の役割りを果たすのだ、いろいろ解釈があろうかと思うのですけれども、その二点についてお答えをいただきたいと思います。
  175. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 最初の会員資格の問題でございますけれども、今回の改正で従来の会員資格を拡大いたしまして、定款に定めれば商工業者以外の者も入れられるようにするという改正をお願いしているわけでございますけれども、これはたびたび申し上げたかと思いますが、これによりまして、従来の商工業者中心の団体であります商工会の性格が変わるものとは毛頭考えておりません。商工業者中心の団体であることは今後とも変わらないわけでございまして、そういった中核的な商工業者に十分協力をし、将来の商工会の活動に十分参与していけるような方々を限定的に入れるというのが今回の改正の趣旨でございまして、それにつきましては模範定款例によりましてかなり厳格にその辺を限定いたしたいと思っておりますし、またその模範定款例によりまして定款を各商工会で定めるわけでありますけれども、その中でも、理事会で十分その審査をしてそういった方々を入れるというような方法をとったならばいかがか、少なくとも商工会の従来の性格が変わるものでないというふうに考えておるわけでございます。特にこの点は、先生もちょっとお触れになりましたけれども、今回の改正によりましても、従来の商工会の設立要件、すなわち地区の商工業者の二分の一以上の賛成をもつて設立するという要件は変わっておりませんし、また、その場合の二分の一の計算におきましては、従来と変わらずやはり商工業者がその分母、分子を占めるという計算方式を維持しておりますので、それによって性格が変わるものではないと思うわけでございます。  それからもう一点、その商工業に関する施設の設置、維持という規定を今度入れていただくわけでございますけれども、これは従来から商工会が営々としてつくってまいりました商工会館あるいはそれに付属しております各種の施設、そういったものを十分に設置、維持できるようにするためのいわば追認の根拠規定でございます。これにつきましては、当然ながら商工会本来の仕事、すなわち小規模企業者に対します経営指導等にもちろん優先的に使うわけでございまして、あるいはそれに関連いたしまして、各地の商工業者の方々の集会とか研修とか、そういったものに使っていただくわけでございますけれども、その余暇にほかの目的にお貸しするということも、当然これは考えられるわけでございます。そこで、今回使用料の規定を入れましたのは、そういった施設を運用いたしまして、対価が収入源ともなり得るような措置を考えているわけでございます。  御指摘のように、商工会は営利団体ではございませんで、営利を目的として事業してはならないわけでございますけれども、事業の結果として収益があるということは、別にこれは否定されるべきことではございませんし、本来の非営利団体の性格に背くものでもございません。こういった施設の使用料もまた商工会の自主財源の一つとしてカウントできることを期待しているわけでございます。
  176. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま御答弁がありましたけれども、やはり地域において経済力の強い方が参加をされるというふうになりますと、人口の小さな市や町においては、力を持っていらっしゃる方が全体をリードするという傾向が非常に強いわけなんですね。ところが、法の目的からいっても、小規模事業者を主として地域的に組織していく、そういう商工会の目的、総則の大原則からいっても、会員の資格についてはかなり厳密に対応しなければならないと思うのですね。  たとえば、日本商工会議所などを見ましても、先ほどの御答弁でも明らかになっておりますように、中大都市部における商工会議所会員の組織率というのは二十数%である。しかも、代表されるのは永野会頭さんですね。そうすると、永野重雄さん、この方が全部の中小業者も含めて発言をする。その発言の内容というのは、全く新日鉄というか、大企業というか、そういう観点の発言しかほとんどしないわけでありますけれども、これが中小企業の実態であるというふうになってくると、地域では大変矛盾も生じてくるわけなのです。そういう点で、十分な指導と配慮が必要であるということを指摘しておきたいと思います。  さて、この改正に続いて具体的な活動の内容を含めて質問をいたしたいと思うのですが、商工会の事業の中で大変ウエート、比重が大きくなってきているのはマル経資金の運用問題であります。  昭和四十八年以降、特にこれの中心的な事業活動に据えられているわけであります。きょうは国民金融公庫の総裁の大倉さんがお見えでございますので、最初にマル経資金の現在の貸し付けの残高、それから昭和五十六年度の運用の計画についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  177. 大倉真隆

    ○大倉説明員 五十五年度におきます貸し付けの残高は、五十二万七千件、金額にいたしまして六千三百十億円ということになっております。  なお、五十六年度は、資金計画といたしまして五千三百億円の貸付規模を予定させていただいております。
  178. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 件数も金額も大変大きいと思いますし、それが零細企業にとっては資金の面でも非常に大きく役立てられているというふうに、現状を見ながら私も痛感をいたしております。  国民金融公庫全体として見た場合に、その発足の趣旨からいっても、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることが困難な国民大衆に対して、低利の事業資金の供給を行うことを目的とするというふうに国民金融公庫法でも述べられているわけですが、特にマル経資金の場合には逆ざやですね。金利の問題は逆ざやになっている。それだけ国のかなり積極的な施策の性格、内容を持っているというふうに思いますが、同時に、一般の貸し付け等を含めて、国民金融公庫の場合に、中小企業が大体主体でありますけれども、総体はどのくらいになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  179. 大倉真隆

    ○大倉説明員 ただいま、経営改善貸し付けを含めまして、私どもの言葉で申しております普通貸し付け、これはいわゆる事業資金貸し付けとお考えいただけばよろしいと思いますが、五十五年度の残高で申し上げますと、件数で二百四万九千七百四十件になっております。また、金額では三兆八千三百五十三億九千六百万円ということになっております。  また五十六年度の貸し付けの計画といたしましては、ただいまと同じベースの普通貸し付けにつきまして、金額で二兆五千九百九十八億円を予定いたしております。
  180. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 それだけの大変大きな貸し付けの残を持ち、五十六年度についても二兆数千億円ということでございますが、こうした国民金融公庫の業務を遂行していく上で幾つかのポイントがあろうかと思うのです。  本年の三月十三日に、国民金融公庫総務部長の名で、各支店長あてに総々第一〇六号という通達が出されております。その表題は「昭和五十六年度業務運営方針及び支店業務運営の重点目標の策定について」というふうになっておりますが、それは間違いございませんか。
  181. 大倉真隆

    ○大倉説明員 おっしゃるとおりでございます。
  182. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 この通達の中では、重点の目標として三つ述べられております。  一つは、今日の社会的要請にこたえるため、業務活動の積極的な推進を図らなければならない。二番目に、環境変化に適応した融資・管理体制の確立。三番目に、創意工夫をこらした業務サービスの展開が必要である。  この三つが五十六年度の業務方針の中心に据えられていると思うのですが、そのとおりでございましょうか。
  183. 大倉真隆

    ○大倉説明員 ただいま御指摘になったとおりでございます。
  184. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 そこで、ここに通達の写しと申しましょうか、原本のコピーがあるのです。  私、この通達を読んで、大変積極的な国民金融公庫としての姿勢とあわせて、若干の危惧を感じたわけなんです。というのは、三月十三日にこの通達が出たわけですが、ちょうどそのときは、政府として第二次の総合経済対策を決定しなければならないという時期、三月の十七日に決定されているわけです。金利の問題であるとか、あるいは物価の抑制あるいは公共事業の前倒しなど、国民生活の安定、物価の抑制と景気の両にらみというようないろいろの角度から御検討があったわけなんですね。  ところが、この通達の第二番目の「環境変化に適応した融資・管理体制の確立」という中で、こういうことが大分強く指摘をされているわけであります。  最近の経済事情の変化等を反映して、延滞口債権がふえてきている。この延滞口債権がふえてきているので、金融機関としての効率的な面から十分な管理体制が必要である、こういう叙述になっているのですが、この延滞口債権の全体に占める比率と、その延滞口債権というのはどういうものなのかということについてひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  185. 大倉真隆

    ○大倉説明員 先ほどお答えいたしましたときの普通貸し付けというものと同じベースで申し上げますと、これは五十五年九月末でございますが、全体の件数に対しまして延滞口の件数が二・七%ちょっと上回る、金額で二%をやや上回るという大きさになっておりまして、これは十年前に比べますと金額では約一・七七から二・七というふうな増加でございます。——失礼いたしました。ただいまのは件数でございます。金額では〇・九五から二・一というような増加になっている、これが実態でございます。
  186. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いまの数値によりまして、若干ふえているということは事実だと思うのですが、しかし、とりわけ中小企業倒産やあるいは思わざる倒産による連鎖的な影響、同時に政府の統計でも明らかでありますけれども、五十五年度の消費者物価の上昇は八%弱であります。政府計画をはかるに上回っている。しかも、中小零細企業が対象とする勤労者世帯など、国民の消費生活は実質賃金がマイナスという中で需要も低下している。こういうものがこうした状況にも反映をしている、こういうふうに考えるわけなんです。ですから延滞口債権が若干増加をした。だから、金融機関としての効率的な体制をとってややもすれば先走って切ってしまうんだ、そういう点を大変憂えるわけなんですが、そういうことではなくて、十分中小業者の実態を見ていただいて、そして適切な指導がほしい、こういうように思うのです。延滞口債権の場合でも、約二カ月ぐらいの分です。ですから、都市銀行などで言っている不良債権だから切ってしまうという性格でないというふうに私は理解しておりますし、そういう点で選別的な融資ではなくて、ぜひその実態に即応するような国民金融公庫としての積極的な対応と申しましょうか、機能を十分に発揮していただきたいということを強く要望申し上げたいと思うのですが、この点について総裁の御意見、御感想を承りたいと思います。
  187. 大倉真隆

    ○大倉説明員 ただいまの御指摘について幾つかの角度からお答えしなくてはならないかと思いますが、一つは、この業務運営方針の二番目に書いてございます、いまお手元にお持ちのようでございますが、そこで「とくに、最近の経済情勢の変化等を反映して、延滞口債権の増加が顕著となっている」これは実情を述べたものでございますし、その理由につきましては、まさしくおっしゃいましたように、最近の厳しい経済情勢の変化というものが中軸にあるということを認識した上で書いておると御理解いただければ幸いでございます。それに引き続きまして、後の部分で「金融機関としての健全性、効率性」という問題が出ておりますが、原資の圧倒的大部分は国民の皆様の貴重な郵便貯金でございますので、金融機関としての健全性の基礎が揺らぐというようなことがあってはならないということを、原点に返って指摘している部分でございます。  それから効率性の問題でございますが、これは後ほどお答えいたしますように、それがすなわち選別融資というふうなものにつながるという認識は全く持っておりませんので、ここで申しておりますのは、延滞口債権がふえてまいりますと、やはりお客様と個別にきめ細かく実態を御相談し、どうやってこの問題を解消していくかということに力を注いでまいりますから、どうしても業務量がふえれば担当の人間がふえざるを得ない。そういたしますと、今度は肝心の次々にお申し込みになってこられますお客様への対応につきまして、非常に重点的に効率的にきめ細かく対応していかないと、従来と同じようなやり方ではなかなか時間がかかってしまうとかいう問題が出てまいりますから、われわれの事務運営の効率化というものが、どうしてもこういう新しい情勢に対して必要なんだ、融資についても管理についても必要なんだという点を強調しているのがこの部分でございます。  御指摘の最後にございました、国民金融公庫本来の使命を忘れるなということは、これは全く御指摘のとおりでございまして、先ほどお述べになりました公庫設立の基礎が、そもそも通常の民間金融機関からはなかなか円滑に資金供給を受けられない方々、また実態としまして、経営規模としては非常に小規模零細な方々、その方々に対してきめ細かく必要な資金の融通に応ずるというのが基本的使命であるという認識は、全く渡辺委員と同じだと私、思います。  その意味で、この文章も最初から通読していただきますと、常に私どもに課せられた政策使命の達成を目指すのだ、それが原点だということを繰り返し書いておりますので、決して、一般の民有機関について言われますような意味での、小さなものを切り捨てるとか、財務体質の優良なものに限るとか、そういうことを私ども業務運営の方針にしているというのでは全くございませんので、その点はひとつぜひ御心配なく、私どもの従来からの業務運営を一層御支援いただければ幸いだと思います。
  188. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ただいま総裁からきわめて適切な御答弁があったわけでありますが、いずれにいたしましても、いま中小企業は大変な苦境にあることは事実でございます。そういう点で中小企業に対する行政の統括をしていらっしゃる通産大臣あるいは長官から、そういう点も含めてひとつこの問題でのお答えをいただきたいと思います。
  189. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのような厳しい情勢下でございますので、政府系の三機関、これにおきましてはまさしく中小企業者の期待が非常に大きいわけでございまして、そういった意味から、本来の政策金融機関としての機能と役割りというものを十分果たしていただくように私どもも期待しているわけでございます。
  190. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ちょっと時間がなくなりましたけれども最後一つ指摘と要望をしておきたいと思うのです。  最近、朝日新聞の政治部の次長をやっていらっしゃった広瀬ざんという方が「補助金と政権党」という本を書かれた。大変売れているそうでありますが、この中に、都市における中小企業問題として、無担保融資問題というのが書かれております。直接的には商工政治連盟の問題が俎上に上っているわけでありますが、われわれの調査によりましても、全国商工政治連盟の事務所と全国商工会連合会と電話は全く同一でございます。中身等については触れませんけれども、広い中小業者の実態というものを見た場合に、会と政治連盟が全く同じ事務所で同じ電話番号でというようなこと、日常的な業務としてもそれがやられているというのはやはり好ましくないというふうに考えるわけです。  そういう点からいきまして、個々の役員の方々の政治活動、これは信条は自由でございます。しかし、何かの会としてまとまって、しかも名前だけ変えてということになるといろいろ問題が多いと思うのです。補助金を見ましても、これは中小企業庁自身の昨年の七月の調査、ある商工会の経営の実態を見ますと、年間約二千七百万円の予算である、そのうち国あるいは県、市町村の補助金が七〇%くらい占めている。ほぼこれが典型的な例であるというふうになっております。そういう点を見ましても、ぜひ政治的な公平を保った活動、またそのことが逆に中小業者の活力を、いろいろの角度から論議をし、そして合意に達する、そういう中で活力を引き出すことができる。ひいては、それが日本の国民経済の発展にも寄与することができるというふうに私は考えております。  その点を最後に述べまして、質問を終わりたいと思います。
  191. 野中英二

    野中委員長 後藤茂君。
  192. 後藤茂

    ○後藤委員 最初に、商工会法改正案につきましてまず御質問を申し上げてみたいと思います。  大臣から提案理由説明をお聞きいたしました。また今度の改正案を調べてみましたが、私の認識不足かもわかりませんけれども、それほど重要な改正案ではないように思うわけです。  この今度の商工会改正案、その一番のねらいといいますか一番重要視されている部分というのは一体どこにあるんだろうか。商工会が魅力ある地域づくりに多面的に寄与できるよう、商工会の目的として「社会一般の福祉の増進に資すること」を追加する、これが今度の改正案の一番の目玉かな、私はこういうように承知をしているわけです。そういう認識でいいかどうか、まず最初にお伺いをしてみたいと思います。
  193. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 今回の商工会法の改正の主眼でございますけれども、これは提案理由でも申し述べましたように、商工会が魅力ある地域に多面的に寄与できるようにその目的を改めて、「あわせて社会一般の福祉の増進に資すること」を加えるという点が第一の点でございます。  第二、第三、第四、いずれもそれに関連したものでございまして、それぞれ意味はございますけれども、やはり御指摘のようにその目的改正が一番大きいかと思われるわけでございます。
  194. 後藤茂

    ○後藤委員 そうしますと、私の認識がそう大きく変わっていないようであります。  さて、そうしますと、「社会一般の福祉の増進に資する」、これは一体どういう中身を持っていくのだろうかということについて、私自身もう一つ理解ができない点が多いわけですが、せっかく会長さんお見えになっていらっしゃいますので、この商工会の全国連合会の運営をされておられまして、商工会の組織運営を進める中でいま一番問題として抱えておられること、特に日常的な業務は別です、やはりこの点はひとつ法律を変えていただかないと商工会運営についてどうもうまくやっていけない、こういうような角度からお考えがおありかどうか、この点をお伺いをしておきたいと思います。
  195. 辻彌兵衛

    ○辻参考人 お答え申し上げます。  商工会は、先生も御承知のように、地域における小規模企業者のための経営改善普及事業と申しますか、こうしたいわゆる経改事業を目的として法律がつくられたわけでございまして、私どもが今回の法改正におきまして「社会一般の福祉」というものをつけ加えていただきたいと申しますのは、おまえたちはそうした指導事業も十分できないのに人さんのことまでやるのは少し身分不相応じゃないか、こういう御心配もあろうかと思います。  商工会が発足いたしました当初は、役場のすみっこに机を一つか二つ置きまして、いわゆる当時普及員と申しておりました指導員と補助員が二人ぐらいで細々と仕事をやっておったわけでございます。そして十年ぐらいたちまして、皆様方のおかげでやっと商工会一つの組織体としての体をなすようになりまして、それから現在のような地域の問題がだんだんと自治体としても大きな課題になってきたわけでありまして、私ども地域とともに生きていく中小零細企業者としましては、やはり先ほども申し上げましたように、地域の経済的な活性化といいますか地域の振興といいますか、そういったものを私どもはみんなで考えなければいけない。  しかし、それと同時に、私どもは、地域の住民の皆さんが私どものお得意さんでございますし、その人たちのニーズにこたえるような商売のやり方を当然考えなければ、私ども自身では生きていけないわけであります。地域とともに生きていく企業というような言葉が最近は出ておりますけれども、私ども自身は、地域と離れて自立していくことはできない零細小規模な業者の集まりでございますので、何と申しましても地域の皆さんの幸せということは、当然また私ども自身の利益にもつながっていくわけでありますし、そういった考え方から、ようやく最近になりまして、まだ指導事業においても決して十分とは考えておりませんけれども、そうした実力もまだ不十分でありますけれども、地域の皆さんのそうした地域課題にこたえていかなければならないということを切実に感じております。  また、商工会自身がそれだけの実力があるなしにかかわりませず、そうした住民の方のニーズあるいは自治体の皆さんのそうしたニーズにこたえていかなければならないような時代になってきておるということを私どもはつくづく感じておるわけでございまして、その意味から、今回の法改正におきまして、一般の地域の皆さん方の福祉の向上ということに私ども組織を挙げてお役に立ちたい、こういう願いを込めた一つ改正案でございます。
  196. 後藤茂

    ○後藤委員 商工会議所法には「社会一般の福祉の増進に資する」ということがあるわけですが、二十年たったので商工会議所と肩を並べてこういったことも必要だという気持ちはわからぬではないわけです。しかし、お聞きしますが、商工会議所の方の「社会一般の福祉の増進に資する事業」というのはどういうことが考えられており、どういうことが実施されておったのか、それが商工会法の方にはこれがないために大変苦労している中身というのは一体どうなのか、この辺を時間がございませんので簡単にお伺いしたいと思います。
  197. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 商工会議所法には、目的といたしまして、「社会一般の福祉の増進に資すること」また事業にもその表現があるわけでございます。  これは、いわば先輩格のそういった事業がなされているわけでございますが、これもその地域住民の福祉に直接関連するような行事が多うございまして、たとえば祭事でございますとか住民の教養の向上のための各種の行事、それからレクリエーション活動、地域の美化、緑化といったものが従来商工会議所地区で行われております社会一般の事業でございまして、そういったことが実は商工会の場合でも付帯的には行われておったわけでございます。  むしろ、いわゆる目的達成業務ということで従来からなされていたわけでございますけれども、あくまでもこれは偶然といいますか付帯的な段階でございまして、今後その商工会が地域の重要な働き手となっていくというためには、そういった社会一般の事業を正面に据えまして、直接それに取り組んでいくという姿勢が必要ではないかと思うわけでございます。もしそういった方向に進むならば、その地域のたとえば人口の定着というような、あるいは魅力の増大といったことを通じまして、その地域におきますより大きな経済発展、商工業の総合的な改善発展も求められるものだというふうに考えられるわけでございます。
  198. 後藤茂

    ○後藤委員 付帯的事業としておやりになっていることで、私の認識では、いままでもやっておられる、それほど差しさわりがないのではないだろうかと実は考えておったわけでございまして、今度の改正の一番重要な一つである「社会一般の福祉の増進に資する」ということが、いまお答えになった程度では、それほど鬼面人を驚かせるわけではないですけれども、この重要な改正の中に入ってくるほどのものではないのではないかと実は考えておったものですからいまの御指摘を申し上げました。  もう一つ、今度定款会員ができ上がってくるわけですけれども、これは何をねらっていらっしゃるのでしょうか。この中身について、これはまだ具体的にというのは出ないかもわかりませんけれども、教えていただきたいわけです。
  199. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 先ほども申しましたように、商工会が今後その地域の経済活動の主体となり、住みよい地域づくりのために大きな力を果たす、大きな役割りを果たすということになってまいりますと、従来にも増してより適確にその事業を遂行するという必要がございまして、そのためには従来のメンバーのほかにも、そういったことに十分貢献していただける方々のお力もかりたい、手を取って同じ目的に進んでまいりたいということが一つの希望でございます。その意味で、従来、商工業者に非常に近い立場にあられた方々あるいはそういった法人、団体といった方々も、いま申しましたような目的に沿う限りにおいて入っていただいた方が、何かと今後の業務遂行に好都合という点があるわけでございます。この点は、商工会議所も実はそういったメンバーを持っておるようでございますけれども、今後商工会の持ちます大きな役割りに十分に商工会の力が発揮できるような力を持っておる人たちをそのメンバーとして加えたいというのがその気持ちでございます。  実際問題といたしました場合には、定款によりまして、かつ、これにつきましては目的の範囲を逸脱しないように、模範定款例によりましてこれは中央からも御指導を申し上げるわけでございますけれども、そういった定款によりまして、地域の実情に従って明確にするということでございます。
  200. 後藤茂

    ○後藤委員 商工会関係するような法人なり組織というのは、具体的にはどういうものが構想されているのか。  それから、商工会模範定款例というのがここにあるわけですが、この模範定款例の方は変えないで法律の方が変わってくるわけですか。いまの二点をお答えいただきたい。
  201. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 その地域にあります商工業と密接な関係のある法人なり団体なりあるいは個人ということになりますと、たとえば生命保険の総合会社でありますとか商店会といったもの、それから市町村で最近よく開発公社というものをつくっておりますが、こういう方々、こういう法人または団体、あるいは青年部、婦人部といった従来からも商工会の応援団体であった方々、こういうものの幹部の方々を入れるように考えてまいりたいと思っておるわけでございます。  模範定款例と私が申しておりますのは、今度の法律改正の機会に全面的に改めまして、その中で会員の資格等々を書くわけでございます。
  202. 後藤茂

    ○後藤委員 先ほど例示的に言われておりました中で、個人というものも入ると了解していいわけですね。
  203. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 従来、商工会側とも相談しておりますのは法人、団体が多いわけでございますけれども、たとえば青年部、婦人部といった組織の幹部の方々は、当然個人としてお入りいただくことになると思います。
  204. 後藤茂

    ○後藤委員 私が最初、会長にもちょっとお聞きをいたしましたけれども、別に商工会の活動で小規模零細企業の指導も十分にできていないのにという失礼なことを申し上げているのではないのです。ただ、商工会というのは大きな全国規模の連合会を持っておりますけれども、大体町村単位。といたしますと、人口もせいぜい三万以下、二万前後という規模であろうと思うのです。そうすると、商工会がいま定款会員をふやしていろいろな知恵をかりていこう、そして地域における地域経済の発展なり、商工会がその活動を通じてそれぞれの加盟組合員の親交を図っていこうという気持ちはわからぬではないのですけれども、いまの実態からいきますと、少し荷が重い考えではないだろうかと私には思えるのです。  最近は、コミュニティーという言葉が非常にはやっております。各自治体におきましてもコミュニティーセンター等がつくられている。私は、これからの地方の時代ということを考えていきますと、さらにまた多様なニーズに対応いたしますサービスあるいは製品をつくっていくことを考えていきますと、商工会が小規模商工業者の事業の改善なり発達の組織としてもっとやるべきことがあるだろうと思いますし、同時に、いろいろな知恵をかりていくのは何も会員にしなければならない、あるいは役員にしなければならないということはないだろうと思うのです。地方自治体がありますし、いろいろな組織があるわけですから、むしろそういう人々とのコミュニティーの方を考えていった方がいいのではないかという基本的認識を私は持っているわけです。  したがって、この定款を変える中に、特に個人をどういうことを念頭に置いて入れていかなければならないのか。もし、そうした創造的発展を常に大局的にとらえていくような人が今度役員にいることが大変結構だ、理事に入ってくることが結構だとすれば、ちょうど行政の中で審議会等を設けていくように、そういう人々をコミュニティーづくりの中で消化していけばいいのじゃないか、何でもかんでも全部商工会がやっていくことはできない相談ですから、本来の商工会の小規模商工業者の経営改善なり指導に徹していくべきではないかという気が実はするわけですので、まだ、こうした「社会一般の福祉の増進」あるいは定款会員を変えていくということまでにわかに入る段階にないのではないか、私の認識はそういう認識なものですから、この辺で描いておる対象がどうも十分に熟していないように思えてならない。  これまたお聞きしたいのですが、社会一般の福祉の増進のための事業というのは、いわば無限定の事業ということに等しい言葉だろうと私は思うのです。「社会一般の福祉の増進」というものは、大変あいまいな概念だろうと思うのですね。これが目的に入ってくる。一体何だということになると、まあいいこと、世の中に役に立つことなら何でもいいじゃないかというような読み方ができるのじゃないか。たとえば文化活動、先ほどもちょっと触れておられましたけれども、文化活動の名のもとにこれまた政治活動なり政党活動等の影が入ってくるということはないだろうか。あるいはまた講師等の選定の場合に一体どうだろうか、こういうような心配が私にはされるわけです。  とりわけ商工会法の第六条、これは商工会議所にも縛りがかかっておりますが、第六条の第三項で「商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」こういうように縛りがかかっております。私は、大変大切なことだと思うのです。特に補助金が三百数十億ですか、大変な補助金、国の資金というものが使われていきながら小規模零細企業の指導あるいは振興がやられておるわけですから、本来の目的の中にもっと返って、その中で真剣に取り組んでいくべきではないだろうか、こういうように考えておりますので、「社会一般の福祉の増進」、大変無限定な事業、これが入ってきた積極的な理由というものに対して、恐縮ですけれども、もう一度ひとつ簡潔にお答えをいただきたい。  また、私がいま申し上げているような心配は全くないんだ、これは運営の中で十分に配慮してやっていくというお考えでございましょうけれども、そうした面の歯どめはどういうようになっているのか、お聞きをいたしたいと思います。
  205. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 今回の改正の主眼でございますその社会一般の目的を入れるということの背景でございますけれども、いわゆる地方の時代と申しますか、地域経済の早く言えば内発的と申しますか、外からの経済力の導入によって成長するということでなしに、その地域に内在しております力を引っ張り出すということが今後の地域開発あるいは地域の経済振興一つ方向かと思われますが、商工会がその中心的な役割りを果たす力は今後とも持ち得ると思いますけれども、やはりその場合にはその地域と密着した、特に地域の経済的な要素はもちろん、文化、社会といった要素と密着した動きをする必要がありますし、またその方が有効に働くのじゃないかと思うわけでございます。そういった、いわば時代の流れに沿って商工会の目的も改めていってよろしいのじゃないかと思っているわけでございます。  そこで、たとえばその結果として商工会のメンバーが従来と大幅に変わってくるというようなことがあっては、実は商工会の本質を失うということになるわけでございまして、今回定款によりましてそういった商工業者以外のメンバーを入れられると形の上ではなりましても、再々申し上げておりますように、新たに定めます模範定款例によりまして、そういった本来の目的にかなったメンバーに限定いたしたいというのがわれわれの気持ちでございますし、またこれは定款例に書くつもりでございますけれども、各商工会の中の理事会におきまして、商工業者以外の会員を加える場合については十分な審査をするということによりまして、御心配のような全然異分子が入ってくるあるいはたとえば六条三項に違反する事態が起こるようなことにならぬよう、これは十分にわれわれも指導いたしたいと思いますし、商工会の方々の十分な自覚をお願いしたいというつもりでございます。
  206. 後藤茂

    ○後藤委員 これは大臣にお伺いしたいのですけれども商工会法律ができまして二十年、先ほども会長から御指摘がございましたように、まだまだやりたいことがいっぱいあるし、それに対応する制度なり体制なりというものが十分でない面がたくさんあるだろうと私は思うのです。  にもかかわらず、こういう何か抽象的な無限定な事業までも加わってくる。本来やらなければならぬというものの事業がぼけてきはしないだろうか、あるいは今度定款を変えまして個人も入ってくるというようになりますと、先ほどの御答弁では審査を厳しくなんて言っておりますけれども一つ一つ商工会の審査までできるものじゃないと私は思うのです。やはりボスが入ってくる、あるいは本来の商工業者の利益というものを十分に理解しない人々等が、その地域における商工会理事であるとか言って大変肩書きを欲しがって入ってくるということだってあるだろうと思うのです。しかも、やれショーだとかお祭りだとかあるいは美化、緑化運動だとか、それまでをもちろん私は商工会、やっちゃならぬということはちっとも言いません、大いにやるべきだと思いますけれども、それがなぜ主体になっていかなければならないかということについては、どうも大臣、ちょっと理解できないのです。もっと本来のことを、商工会ができたときのあの初々しい目的をもっともっと掘り下げていってやっていく、まさにそういう段階ではないだろうか。どうも今度の改正の中でそういった積極的な理由というものが読めない気が私はいたしますので、大臣のお考えはどうだろうか。今日の商工会が持っている問題をいろいろ考えてみた場合に、しかもこれから地方の時代ということで、地方経済というものの中核として商工会が仕事していかなければならぬというためには、もっともっとやらなければならぬことがほかにありはしないかというように考えますので、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  207. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 ちょっと私の言葉が足らなかったのであるいは誤解を招いたかと思いますが、個々に審査すると申しましたのは、これは役所なり何なりが審査するのではございませんので、各商工会におきます理事会によります審査でございます。  それから、個人を定款会員として加えるということでございますけれども、これはいままでのところ、個人として加えますものは青年部、婦人部の幹部に限るということで、大体商工会の方とお話がついているわけでございます。それ以外の不特定多数の個人という方のことは頭に置いてございません。
  208. 田中六助

    田中(六)国務大臣 商工会が発足して以来の本来の使命というものは、これはいつまでたっても精神は変わってはいないと私は思います。ただ、次世代に臨んでのいろいろな考え、それから国民のニーズの多様化、それからパーティシペーションと申しますか、多くの人が参加するというようなこと、それから地域の振興中小企業振興といういろいろなものが加味されていきますと、現状の法律の内容でいいかどうかということは当然迫られてくる、時代の必要性がこのようにしておると思います。  しかし、私どもは、この商工会の本当の生まれた精神を、浅く広くということじゃなくて、やはりそのバックボーンになるものはあくまで深く深く掘り下げていって、その地域の必要性に応じて参加の時代あるいは地方の振興中小企業の発展というようなことはあくまで考えていかなければならぬというふうに思っております。
  209. 後藤茂

    ○後藤委員 念を押して大変恐縮ですけれども法律ができる前からこういった組織というものがあったわけです。そこに法律ができていく。しかし、全国の商工会を見ておりますと、非常に頭の下がる活動をされているところもたくさんあります。しかし、内在的には非近代的なものを持っているところもあるやに聞いているわけです。それだけにやはり、初心忘るべからずという本来あるべき仕事というもの、そしてここで「社会一般の福祉」というようなことは、私たちがこう想像していってみても、会長さん、どういうような面をお考えになっているかわかりませんけれども、二万程度の町村で考えられるものというのは大体想像できるわけです。それが法律まで改正をしていって、それを入れていかなければこれからの商工会の活動というものが一歩も前進をしないのだとは言わないでしょうけれども、そういう状況ではないだろう、もっとやるべきことがあるだろうということで、実は念を押しているわけです。  たくさんお聞きしたいことがあるのですけれども、時間がありませんからもう一つ。  これからの地方の時代、地域発展のため地域経済の中核になってプランニングもやっていくだろう、あるいは長い歴史発展を踏まえていきながら、その地域の経済のあり方というものを、ビジョン等もつくっていくということになるだろうと思うのですけれども、ただ、いまの町村における商工会あるいはそういったことに情熱を持っている人々が一番困っているのは、とりわけ中核たるべき中小企業の皆さん方が困っているのは、やはりすぐれた人材が足りないということじゃないだろうかと私は思います。あるいはまた、情報は相当に提供される状況にあるわけですけれども、その情報を受けて分析をして、そして組み立てていきながらビジョン構成していくという能力は、商工会にはまだないのじゃないだろうか。じゃ、県の連合会なりあるいは全国連合会の方でそういった人材と体制というものがあるかというと、私はそうではないだろうと思う。にもかかわらず、これからの地方の時代に、商工会にそうした地域における経済発展のためのビジョンづくり等の要請というものも大変強まってくるのではないか。こういった問題をどのようにこれから処理していこうとしているのか、これはひとつ会長さん、簡単で結構でございますからお答えいただきたい。  もう一つ、せっかくそれぞれの地域の状況に合わせてビジョンをつくっていこうとする意欲を持ってやっている。しかし、御案内のように、国土庁にはモデル定住圏構想というのがあります。あるいは自治省等には新広域市町村圏計画等がある。あるいは建設省におきましても新地方生活圏整備計画事業等があるわけです。あるいは農村地域定住促進対策等が農林水産省にあるわけですね。各省が縦割り行政の中で競ってこういった、二十万くらいでしょうか、三十万くらいでしょうか、それぞれの地域の定住圏構想というものをつくろうとしている。こういった中央からつくられてくるもので掃き捨てられてしまっていくという悲哀を持っていはしないだろうか。本来ならフィードバックして、そういった地域の小さな創造的なビジョンなりプランなりというものが中央に上がってきて初めて中央の計画というものはつくられていくべきだろうと思うのです。たとえば、今度通産省が計画しているテクノポリス構想なんかにしたって、そうそう地方の商工会と十分に練りに練っていきながらやっていくというような状況にはまだいまないだろう。こういった中央でつくられていきます計画と、商工会がその地域に根差した地域経済というものを考えていく構想との乖離を、どのようにはだでお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  210. 辻彌兵衛

    ○辻参考人 お答え申し上げます。  大変むずかしい御質問でございますけれども、大変大事なことだと思っておりまして、私ども商工会がこれから歩んでいきます道は、まさに先生の御指摘になりましたような役割りを担っていかなければならないと思います。  私どもは本来の商工会の仕事をもっとやるべきだ、「本来の仕事」というふうに先生おっしゃいましたのは、いわば指導事業であろうと思います。私どもは、この指導事業の重要性についてはもう十分承知いたしておりますが、先ほども申し上げましたように、現在私どもやっておりますことが決して十分だとは思っておりませんし、またそういった足らない面を、広域指導センターとかあるいは専門指導員制度とかいったようなものが次々国の施策として行われるようになりまして、補完をしていただくようになっておるわけであります。  何と申しましても、先生の御指摘のように、私どもは各単位商工会、町村単位では対応し切れない、地域振興についても広域的な点から考えていかなければならない、たとえば大型店対策であるとかそういったことについても、当然単位商工会だけでは対応ができない問題もたくさんあると思いますし、また御指摘のようないわゆる定住圏構想等につきましても、定住圏構想の中へ入る町村はいいですけれども、それから外される地域の町村はさらに過疎化が一層深刻になるというふうなことであってはならないと私は思いますし、いわば商工会地域というのはそういったおそれが多分にある地域であるというふうに理解しております。そういう意味であるだけに、私ども商工会が本当に真剣になって地域の活性化を図っていかなければならないということを特に感じております。  したがって、そうした広域的な対応をしていくにつきましても県連の指導力、先生の御指摘がございましたように、県連あるいは全国連がそういった問題に対応できるような人材を持っておるかと問われますと、大変残念ながら自信のあるお答えはできませんけれども、私たちなりに一生懸命に努力いたしまして、そうした期待にこたえられるような人材の養成、陣容の整備に一層努力をいたしてまいりたいと考えておりますので、この上とも御理解と御支援、御鞭撻をいただければありがたいと思います。
  211. 後藤茂

    ○後藤委員 いま問題提起をいたしましたのは、ともすればやはり中央志向型のこれまでの傾向ですね。特に補助金団体の場合はどうしても権力志向なり中央志向になりがちなんです。つまり、地域を見るということを言いながら、地域を見ないで中央ばかりを見ていくという傾向が強い。しかし、そうした地域の皆さん方の声というものが十分にフィードバックされて、そして中央の計画がつくられているならいいですけれども、そういうことじゃなしに、現実には一方的に中央でつくられていく計画というものがひとり歩きをしていく状況ですから、もっと商工会がこうした地域におけるビジョンづくりなり、地域における商工会振興なりというものに対する力をつけるためにはどうしていくのかということの方が先決じゃないですか。お祭りだとか美化運動だとか、それも結構ですけれども、それよりももっと商工会が持つべき力というものをどうやれば持てるんだ、人材の確保はどうしていけばいいんだろう、あるいはまた補助金に多分たくさん頼っておりますけれども大臣の提案理由説明の中においてだって「商工業者の自主的組織」である、つまり自主的組織であれば、やはり自主財源というものを豊かにしていかなければならぬ。そのことによって中央に対しても権力に対してもやはり物が言える。そして私たちが長い歴史の中で商工業を営んできたんだ、これを大切にしていけということによって大企業の進出に対しましても十分に抵抗もし、あるいは発言もし、建議もすることができるんだろうと思うのですね。そういう考え方に立った商工会の組織運営というものをひとつぜひ進めていただきたい。また政府の方としても、そういう角度からひとつこれからの行政の指導というものをやっていただきたいなということを要望として申し上げておきます。  それからもう一点、商工会は第七条で、「商工会の地区は、一の町村の区域とする。」ということになっておりますね。もちろんただし書きがありますけれども、私はどうもこれに実はひっかかるわけなんです。  どうですか、これからの地域経済を考えてみましても、あるいは中小商工業の振興発展を考えていきましても、二万前後の町村を一つの区域といたしまして、そこを一つのサービスエリアとしての活動では余りいい知恵が出てこないのじゃないだろうか。私たちが子供のときに学んだ地理の教科書なんかでありますと、私たちの生活圏というのは大体一つの河川流域を中心としてやっておる。それがどういうことからか自治体というものが、勝手に自治体の行政区画をしたわけじゃないでしょうけれども、そういう区画になる。そして、それに対応する商工会というものがあるわけですね。私は、これからはそうした区域が、一つの町村に一つ商工会ではなくて、もっとグループ化、ブロック化していっていいのじゃないだろうかという気がする。これは商工会議所と違って商工会には県連合会がある、これがそういった広域的役割りをするのだというお答えをされるかわかりませんけれども、私は、もう少しグループ化を考えていいのじゃないだろうかという気がいたします。この法律から読める分については、大変地区に対しては制約要件がある。この点に対する政府の見解をお聞きしたいのが一つ。  それからもう一つは、先ほども組織率の問題が出ておりましたけれども商工会議所のあるところでの特に小規模零細企業の組織化が非常に弱いといいますか、おくれていると思うのです。これは本来、商工会議所に小規模事業というものはどうもなじまぬだろうと私は思うのです。どんなにそういった面のめんどうも見ていくのだ、指導もしていくのだと言っても、なじまないだろうと思うのです。  そこで、これからの指導としては、もちろん商工会議所にそういうものをやらせていくのだということが指導に今日の法律からいけばなっているのでしょうけれども、私は、商工会議所のあるところにおいても、こういった商工会的な指導、助成あるいは振興策を講じていくような組織があっていいのじゃないだろうかという気がしてなりません。もちろん既存の商工会議所との調整はやっていかなきゃならぬと思いますけれども、こうした商工会議所のあるところにおける小規模零細事業者に対する商工会法が持っておる目的、理念というものをどのように浸透させていこうとされておりますか。この点についてお伺いします。
  212. 村野啓一郎

    ○村野政府委員 まず、地区の問題でございますけれども商工会はその地区の総合的な経済団体でございまして、地方自治体のやっております商工行政と実はうらはらな関係に立つこともございまして、町村を一つの最小単位の経済圏と考えてそれに設置されている。すなわち、商工会は原則として町村を地区としているわけでございます。  御指摘の点は、今後の経済事情の変動によりまして、そういった狭い単位だけで物を考えるのは十分でない、もっと広い範囲、いわばブロック的な考え方をしたらどうか、そういう見地からの今後のプランづくりをしたらどうかというお話でございますが、御指摘にもございましたように、県連合会という組織はまさしくそういった指導をする立場にあろうかと思われます。県連合会の存在理由は、個々の商工会の今後の運営、発展を一番適確に指導する立場にあるわけでございますから、そういった連合会システムを十分利用しまして、組織そのものは現在のままでありましても、機能においてはブロックとして動くということは今後とも期待できるものだろうと思われます。  また、これは国の立場からも指導しているわけでございますけれども、実は県の連合会の単位にもその指導機能を持たせまして、広域指導センターという新しい考え方も五十五年度から打ち出しているわけでございます。複数の商工会地区にまたがります広域指導センターを県連の一つの組織としてつくっておりまして、ここで狭い経済圏を越えた立場からの指導あるいは専門的な事項にわたります指導等を行おうとしているわけでございまして、こういったことによりまして、これから徐々にではございますけれども、御指摘のような形でのブロック的な見地からの指導なりあるいは経済活動をしてまいりたいというわけでございます。  もう一点、商工会議所地区の問題でございます。これは、組織率等々につきましては数字であらわれておりますように、商工会地区とは大分差がございます。主として商工会議所が非常に大都会でありまして、商工会議所の指導の対象となります小規模企業の方々も非常に多い、しかも改業、廃業等も非常に数が多くて、なかなか把握しにくいといったことがございまして、従来からもいわゆる経営指導の面につきましては、商工会地区に比べて十分でないという声もございますし、思い当たる点もあるわけでございます。  商工会議所としましては、この点につきましては非常に努力してまいっておりまして、たとえば経営指導員の配置と同時に、小規模企業振興委員というような制度も導入いたしまして、よりあまねく指導が行き渡るような体制にもしてございます。やはり非常に広い地域でございますので、組織率等々につきましてはどうしても見劣りするかと思いますけれども、中でやっております経営指導の事業等につきましては商工会とそう遜色のないと申しますか、商工会と並んだ実績を残しておるわけでございますので、われわれ、その小規模企業の経営改善普及事業の見地からいたしますと、商工会商工会議所、相並んでその努力をしていただいているというつもりでございます。
  213. 後藤茂

    ○後藤委員 これは要望にしておきます。  つまり、行政単位で縛るということには無理のあるところが、こういった事業についてはたくさんございます。したがって、規模、業種において縦割りにあると同じように、規模を地域的に考えていって、そして問題は、そうした小規模事業者の生業的なりわいをしておる皆さんが、これからの非常にむずかしい時代に生きていくために、そしてまたそのことが地域経済の発展に大きく資するという立場からどういう組織であるべきだということを考えていただきたい。そして、そのために、もしいまの商工会法なりあるいは商工会議所法等がどうもかさぶたとして困るとするならば、これは改正をしていくべきじゃないだろうか。商工会議所のあるところにおいての組織率の低下、そしてそこの皆さん方が一番悩んでおりますことに対して、手の届くような指導ができるような組織というものはどうあるべきなのか、そのための法律はどうあるべきかというところにもう一回論点をしぼって、ひとつ検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それからまた、広域的にやるということは、それだけ人材をより豊かにすることにもなるわけなんです。何回も申し上げておりますように、町村においてはどうしても過疎化していこうとする。ですから、それを見るに見かねて中央の方がおためごかしにプランをつくって押しつけていく、ますます地方のよさというものが殺されていくわけですから、こういった点を十分に配慮して、今回の法改正に直ちに間に合うわけじゃございませんけれども、次にまた法律の改正なり構想なりというものを十分に聞かしていただきますように要望しておきたいと思います。  もう皆さん方がお集まりになっておりまして、早く終わらぬかという御指摘の方が大変多いと思いますが、ただ一点、商工中金が残っておりますので、商工中金のことにつきまして二、三お伺いをしておきたいと思います。  まず最初に、総貸付金に占める設備資金、長期運転資金、短期運転資金の割合は一体どうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  214. 木下博生

    木下政府委員 五十六年三月末の貸付残高五兆三千四百億円でございますが、そのうちに占める設備資金の割合が二六・二%、長期運転資金が三二・九%、それから短期運転資金が四〇・九%でございます。
  215. 後藤茂

    ○後藤委員 これは日経に出ておりました官房総務課長の山田さんが「中小企業景気動向」にちょっと書いておられるのを読んでおったのですが、中小企業設備の年齢は五年以上経過したものが八五%を占めておって非常に老朽化している、こういう指摘を山田さんがなされているわけです。しかも、もちろん景気の動向がどうもはっきりしないから設備投資意欲というものが生まれてこない、このことも一つあるでしょうけれども、同時に資金調達難ということも大変大きな背景になっておりまして、老朽化しておるのが八五%以上占めておりながら設備投資意欲というものが出てこない、そういうことも、この設備資金が二六%というお答えがございましたけれども、それに反映をしているのではないだろうかと思うのです。  そこで、二、三ちょっと関連することをお聞きしておきたいと思うのですけれども、商工中金の資金調達に占める債券割合ですね。この債券発行の割合は八割くらいと見ていいのでしょうか。その八割のうちの大部分が、つまり三分の二くらいになるのかな、七対三とかと言っておりましたけれども、これが期限五年ものの利付債券というような説明であったでしょうか。
  216. 木下博生

    木下政府委員 債券発行残高全体は四兆三千億円くらいでございますが、商工中金が現在持っております資金量に対比いたしますと約七割でございます。ただ、貸出残高五兆三千億円と比較いたしますと約八割近くということでございまして、この中に占める利付債と割引債の割合は、いま御指摘ございましたように七対三の割合でございます。
  217. 後藤茂

    ○後藤委員 そこで、設備資金が二六%、長期運転資金が三二%、短期運転資金が四〇%。短期が比較的多いというその背景をどういうようにごらんになっておるのか。本来、やはり商工中金というのの資金調達のあり方が債券発行になっておる。債券発行というのは一年ものと五年ものもありますけれども、大体が長期資金の調達のための役割りを果たしていっているのじゃないだろうか。つまり、商工中金の資金貸し付けというものは長期資金になじむものなのだという認識を持っておってよろしいかどうか。
  218. 木下博生

    木下政府委員 商工中金は金融機関としての性格からいたしまして、協同組合等の組合の組織活動を金融面から円滑化してそれを推進するという性格のものでございますので、必ずしも商工中金の貸付資金が長期資金にあるべきものだということとは言えないかと思います。むしろ、中小企業金融公庫が貸しております事業が長期資金中心の設備貸し出しあるいは長期運転資金の貸し出しをやるということでございます。  ただ、過去におきましては、先ほども申し上げました短期資金の比率より少し低かった時代も、そのときの資金需要によって違っていたこともあったかと思います。
  219. 後藤茂

    ○後藤委員 出資金の面を見ましても、四十五年前に商工中金ができたときには政府と組合とが五対五であった。最近では七対三になってきている。今回口数を上げるわけですから、その機会に組合のつまり財政規模に合った出資にしていくべきじゃないだろうかというように考えるのですけれども、一口でもこれは発言は平等であるということになりますと、そう口数を上げるということに対する意欲があるいはわかないかもわかりません。とりわけ出資金の利回りは配当五%ですか、それに対して利付債が利回り七・九あるいは割引債が七・六というようになりますと、むしろ出資金の方はしり込みをしていって、そして債券を消化することによって責めを果たそうという方向に動くのではないかというように考えるわけですけれども、この出資金をもっと組合の方の財政規模に合ったような形でふやしていくための努力というものについてはいかがでございましょうか。
  220. 木下博生

    木下政府委員 商工中金ができましたときに、おっしゃいましたように、政府民間との出資割合五対五であったものが現在七対三になってきておるわけでございますが、商工中金が組合金融機関であるということでございますので、組合自身が組合のメンバーである中小企業の相互扶助機関であるし、また商工中金はそういう組合がメンバ一になりましてお互いにまた助け合っていくというような機能を営んでいるわけでございます。したがいまして、私どもとしてもそうですし、それから商工中金の方もそうでございますが、従来からそういう組合組織を活発化させるための融資でございますので、当然組合の出資もふやしていくような形で組合に要請してきております。  ただし、中小企業をめぐる情勢は非常に厳しゅうございますし、組合の財政状況も必ずしも十分なものとは言えないということでございますので、商工中金といたしましては、従来からも組合のその負担能力に応じあるいは組合が商工中金から利用している割合等を勘案いたしまして、できるだけ組合に出資を多く出してもらうようにお願いしているわけでございます。  今後もこういう方針は続けていきたいと考えております。
  221. 後藤茂

    ○後藤委員 今度の改正法の中で、市街地再開発組合が行う事業に対しても融資の対象になったわけですけれども、この都市再開発法というのは四十四年に成立されておりますね。それから約十一、二年たって、いま入ってきたその理由というのは一体何なんでしょうか。
  222. 木下博生

    木下政府委員 都市再開発法は四十四年にできまして、そのときにも都市再開発事業を行います商工業者に対する融資をどうしたらいいかという点は考えられたわけでございますけれども、そのときには実際に市街地再開発組合のメンバーとなる商工業者が協同組合等をつくっている場合もありますし、協同組合等をつくって、もし必要であるならば商工中金から融資を受けるということで十分に融資機能を果たし得るのじゃないかということが考えられたわけでございます。  しかし、実際に運用いたしますと、そういう形ですと市街地再開発組合自身に対する融資も十分に行い得ないということもありまして、こういう市街地再開発事業が活発になってきました現段階におきまして、市街地再開発組合をこの資格組合に追加したいということになったわけでございます。
  223. 後藤茂

    ○後藤委員 この市街地再開発というのは、大体がどこでも点開発のように私は思うのですけれども、この間、これは建設省の意向のようですがマスタープランをつくりまして、都市再開発が点開発になっているということはどうもロスが大きい、効率的でない、したがって、点開発から面開発へというようなマスタープランを建設省がつくっているようです。これが新聞等にも報道されております。  そうすると、これから商工中金も点開発の融資対象にしていくということに一歩踏み出したわけですけれども、建設省が提起しておりますように、これからの都市開発というのはやはり面開発というものが中心になっていかなければならぬのじゃないか。もちろん点開発もそうしたマスタープランあるいはブループリントがありまして、その中の一点であると言えばそうだろうと思いますけれども、しかし、もっと面開発の中の点というような理解をしていったらいいだろう。そうすると、商工中金がこれからせっかく一歩を踏み出していって、そして建設省の方においてはこれから面開発について全力を上げていく。先ほど商工会の問題でも指摘をいたしましたように、どうもその辺の整合性というのですか、こういうようなものが欠けているように思いますので、こういったものに対してどう考えているかということが一つ。  それから、時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、商工中金というのは数少ないかたかな法案なんですね。しかも、これはあと五年ぐらいで一応見直ししなければこの法律は終わるわけですから、そういたしますと、五年後には商工中金法というものが改正になってくるのか、新たな装いをこらして出てくるのかわかりませんけれども、私は、先ほど貸し出し資金のあり方についてもお伺いをいたしましたが、商工中金というのは長期資金にウエートをかけていくべきものなのか、それとも短期資金にウエートをかけていくべきなのか、あるいは商工中金ができた四十五年前と今日とは大きく違ってきているわけですから、これからの政府系の制度金融としての三機関の雄であります商工中金が、どのような中小企業金融というものを支えていくべきなのかということに対しては、一年や二年の準備、努力では私は足りないんじゃないだろうか、いまからこの問題に対しては検討に入っていくべきだと思います。こういう点に対しましてはどのような準備を考えておられるか、この二点をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  224. 野中英二

    野中委員長 時間が来ているので簡明に答えてください。
  225. 木下博生

    木下政府委員 都市再開発を点じゃなくて面でやるべきだというお考えは、建設省も当然同じような考え方でやっていると思いますし、私どもも全く同感でございます。  それで、都市再開発事業を認可いたします際に、建設省としては十分そういう点を検討して行うと思いますので、そういう認可された市街地再開発事業につきまして商工中金が融資するという形で、点の開発を面の開発に協力するように持っていくというふうに私どもとしても運用していきたいと考えております。  それから五十年問題でございますが、昭和六十一年に一応五十年の期限が参りますが、もちろん法律上は認可を受ければそのまま事業を続けることができるようになっておりますけれども、当然経済情勢も変わっておりますので、そういう点を踏まえまして商工中金の今後のあり方について十分検討していきたいと考えております。  ただ、組織金融というか、組織自身を金融面から強化、補完していくという必要性は中小企業分野においては今後も続くと思いますので、そういう点を考慮しながら、先生おっしゃいましたように、短期資金、長期資金のあり方等も含めて検討いたしたいと考えております。
  226. 後藤茂

    ○後藤委員 終わります。
  227. 野中英二

    野中委員長 以上で両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  228. 野中英二

    野中委員長 これより両案の討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  229. 野中英二

    野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  230. 野中英二

    野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  232. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る二十四日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会