運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-03-17 第94回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十七日(火曜日)     午後一時二十六分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 梶山 静六君 理事 辻  英雄君    理事 原田昇左右君 理事 後藤  茂君    理事 清水  勇君 理事 北側 義一君    理事 宮田 早苗君       天野 公義君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    島村 宜伸君       田原  隆君    泰道 三八君       橋口  隆君    鳩山 邦夫君       林  義郎君    水平 豊彦君       宮下 創平君    粟山  明君       森   清君    渡辺 秀央君       上坂  昇君    城地 豊司君       水田  稔君    山本 幸一君       渡辺 三郎君    長田 武士君       武田 一夫君    横手 文雄君       小林 政子君    渡辺  貢君       伊藤 公介君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君  出席政府委員         通商産業政務次         官       野田  毅君         通商産業省立地         公害局長    松村 克之君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君  委員外出席者         環境庁自然保護         局計画課長   中島 良吾君         運輸省海運局外         航課長     宮本 春樹君         運輸省船員局労         働基準課長   亀甲 邦敏君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      加藤 書久君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      新井 佼一君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         消防庁危険物規         制課長     椎名  泰君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     武田 一夫君     ――――――――――――― 三月十六日  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四二号)  商工会の組織等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第四三号) 二月二十八日  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律ガス事業法整合に関する請願  (山本幸雄紹介)(第一三九九号)  同(伊藤茂紹介)(第一四二九号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一四三〇号)  同(海部俊樹紹介)(第一四三一号)  同外二件(川田正則紹介)(第一四三二号)  同外三件(北村義和紹介)(第一四三三号)  同外一件(三枝三郎紹介)(第一四三四号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一四三五号)  同外一件(地崎宇三郎紹介)(第一四三六  号)  同(中路雅弘紹介)(第一四三七号)  同(中村重光紹介)(第一四三八号)  同(渡辺省一紹介)(第一四三九号)  同(佐藤文生紹介)(第一四七五号)  同(塩川正十郎紹介)(第一四七六号)  同(古屋亨紹介)(第一四七七号) 三月七日  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律ガス事業法整合に関する請願  (江藤隆美紹介)(第一五一〇号)  同(染谷誠紹介)(第一五一一号)  同外二件(山崎拓紹介)(第一五一二号)  同(小此木彦三郎紹介)(第一五三二号)  同(始関伊平紹介)(第一五三三号)  同(小沢辰男紹介)(第一五七六号)  同(近藤元次紹介)(第一五七七号)  同(大石千八紹介)(第一六三一号) 同月十一日  企業診断管理士法制化に関する請願辻英雄  君紹介)(第一七一八号)  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律ガス事業法整合に関する請願  (津島雄二紹介)(第一七一九号)  同(甘利正紹介)(第一七三三号)  同(加藤紘一紹介)(第一七三四号)  同(草野威紹介)(第一七三五号) 同月十六日  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律ガス事業法整合に関する請願  (大出俊紹介)(第一九九四号)  同外二件(石川要三紹介)(第二〇四七号)  同(小澤潔紹介)(第二〇四八号)  同(越智通雄紹介)(第二〇四九号)  同外一件(粕谷茂紹介)(第二〇五〇号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第二〇五一号)  同(櫻内義雄紹介)(第二〇五二号)  同外一件(島村宜伸紹介)(第二〇五三号)  同(市川雄一紹介)(第二〇六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月四日  小水力エネルギー開発の促進に関する陳情書  (第九七号)  都市ガス保安対策強化等に関する陳情書  (第九八号)  ローカルエネルギー開発に関する陳情書  (第一五三号)  電気工事災害防止に関する陳情書  (第一五四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石油備蓄法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号)      ――――◇―――――
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油備蓄法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取いたします。田中通産大臣。     —————————————
  3. 田中六助

    田中(六)国務大臣 石油備蓄法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明申し上げます。  石油備蓄法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  石油ガスは、全国の世帯の約六割、タクシーの約九三%で使用されているほか、中小企業を主とした工業用中小都市ガス用化学原料用等に幅広く使用されており、いまや年間千四百万トンの需要を持つ重要なエネルギー源一つになっております。今後におきましても、クリーンで取り扱いが簡便なことから、その需要の増大が見込まれているところであります。  一方、石油ガス供給について見ますと、輸入量輸入比率とも年々増大してきており、輸入先中東諸国に偏在している状況にあり、今後におきましても、こうした傾向が続くものと見込まれております。  このような状況のもとで、石油ガス安定供給を図っていくためには、石油ガス輸出国における不測のトラブル等によりわが国への石油ガス供給が不足する事態に備えまして、石油ガス備蓄を行うことが必要不可欠であります。  今回の石油備蓄法の一部を改正する法律案は、このような石油ガス備蓄重要性にかんがみ、石油ガス輸入業者に対し石油ガス備蓄を義務づけようとするものであります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  まず第一に、石油ガス備蓄対象に加えることとしております。すなわち、現行石油備蓄法では石油ガス備蓄対象になっておりませんが、わが国への石油ガス供給が不足する事態が生じた場合において石油ガスの安定的な供給確保するため、石油ガス備蓄対象に加えることとしております。この場合、備蓄義務者石油ガス輸入業者とし、石油ガス輸入業者が常時保有しなければならないものとされる基準備蓄量は、前年の石油ガス輸入量に対する割合がおおむね十日分から五十日分程度となるように算定されることとしております。  第二に、石油ガスも含め石油貯蔵施設等設置に対して助成ができることとしております。すなわち、日本開発銀行等石油貯蔵施設等設置に必要な資金を貸し付けたときは、政府から日本開発銀行等に対して利子補給金を支給することができることとしております。また、この利子補給金が支給できるように附則で石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の一部を改正することとしております。  なお、石油ガス備蓄確保を進めるに当たっては、安全、環境対策上遺漏のないよう十分な配慮を払う必要があることは言うまでもないことであり、この点に関しては、関係法令の厳格な運用等により万全を期してまいりたいと考えております。  以上が石油備蓄法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。
  4. 野中英二

    野中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟山明君
  6. 粟山明

    粟山委員 通産大臣にお伺いいたします。  エネルギー問題は、いまや申すまでもなく世界経済の面から最大の問題でもございますし、特にわが国にとっては今後の石油の動向、これが日本経済を左右することはもちろん言うまでもございません。  ところで、かつてのローマ・クラブの資源有限論から、また一次、二次の石油危機といった状況を踏まえまして、現在はいわば慢性的な石油危機、そしてそれによる経済危機といった状態であると思うのでございますが、一口に言って現在は、石油に関しましては短期的には楽観論、長期的には悲観論ということが言われております。特にわが国は五百万BD、いわゆる世界の一〇%というようなエネルギーを消費する国でございまして、しかもその大部分が輸入に頼っております。この辺で、今後の状況によってはわが国の進路がどうなるかわからないとさえ考えられるわけでございます。  エネルギー対策、特にその中の石油ということでございますけれどもエネルギー対策には何といっても、仮に昭和六十五年に政府計画のように五〇%が石油あとの五〇%はほかのもので代替できたという状況になったとしても、しかもなお石油が中心であることは間違いのないところでございまして、したがいまして、エネルギー政策としては、何といっても石油をいかに安定的に供給確保するかということが第一だろうと思います。第二は、代替エネルギーをはっきりと今後開発する。第三が、できるだけエネルギーを使わない、省エネルギー、こういう点だと存じます。第二、第三は別としまして、いま現在の石油ということになりますと、何といっても現在の石油供給源をもっと多様化する、あるいは量を確保するということが一つ。次に、石油をいま現在、本日の議題となっております備蓄、これをどうしてもやらなくてはならないと思います。第三は、自主開発あるいは国内石油天燃ガス、こういったものの開発ということが進められなければならない、私はそう考えるわけでございまして、通産大臣、御就任以来大変、中近東あるいは東南アジア、メキシコ、中南米と飛び回られまして御苦労なさっておられます。大臣の双肩に石油供給確保ということがかかっているわけでございますが、そこで最初にお聞きしたいのは、現状におきまして、これからの中長期の石油確保見通しはどうでございますか。これをまずお伺いしたいと思います。
  7. 田中六助

    田中(六)国務大臣 粟山委員にお答え申し上げます。  いま御指摘のように、日本石油依存率というものは、燃料の中での九九・八%、ほとんど一〇〇%輸入でございまして、こういうふうな依存をしておりますと、イラン・イラク紛争があったらぴたりととまるというようなこと、現実にはいま多少来ておりますけれども、やはり大きな不安材料となっております。したがって、少なくともいまから十年後には、昭和六十五年でございますが、油の依存率を半分にする、そのかわり代替エネルギーをまた半分にするという計画を着々進めておりまして、これは御承知のように、産油国が、資源というものは無限なものじゃない、必ずこれは枯渇するものだというようなことが最近は浸透しております。  したがって、量を産出するというよりも、価格を上げてそれを補うということが昨年暮れのバリ島のOPECの総会のときに見られ、その結果油を値上げしているわけでございますが、価格で補おうというような体制。いずれにしても増産はしないというようなことでございますので、私どもは、そういう現実を踏まえて油の依存率を五〇%、そして代替エネルギー、つまり原子力発電あるいは石炭あるいは天然ガス、地熱も太陽熱もあるわけでございますが、そういうような依存率を上げようということ、これらの根本にはもちろん、エネルギー安定供給省エネルギー、そして代替エネルギーという三本の柱を頭に描いて、これからのエネルギー対策をやっていこうというふうに思っております。
  8. 粟山明

    粟山委員 わかりました。  それで大臣、参議院の予算委員会お忙しいようですから、もう一つお聞きしたいのですが、石油供給は長中期的に見て何とかこれを日本の必要なだけは確保したい、できるという見通しとお伺いしておりますけれども、やはり日本の場合、遠くから持ってくるということが、ほかの国に比しましても非常にハンディキャップでございます。  そこで、できれば国内あるいは日本の国の近辺、さらにはよその国と一緒になっての開発自主開発といったような面ができればそれだけ有利であろうと思うのでございます。日本国内あるいは国の近辺、たとえば日本海、阿賀沖でございますか、あるいは常磐沖、さらには日韓大陸棚、そして尖閣列島、渤海湾といったようなところを日本でも進めておりますが、その辺に関する見通しはいかがでございましょうか。
  9. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私ども政府といたしましても、石油依存率を半分にするという、本音もたてまえも一致しているわけでございますが、石炭の方は、御承知のように二千万体制を五年後も十年後も計画をしておるわけですけれども、これとても実際は千八百万トンくらいしか出ておりませんし、これも心配になるのですけれども、鋭意二千万トン体制を確立するように努力しております。  それから石油につきましては、いま御指摘のように大陸棚はすでに始めておりますし、新潟、それから常磐沖あるいは尖閣列島といろいろなところがございますけれども、これも実はいまのところどこを見ても、あるいはどこをボーリングいろいろしましても、思うようにいっていない実態でございますけれども、やはり自立したものが必要だ。エネルギー分散輸入とかいろいろな方法がある、あるいは備蓄によってこれを補うとかいうようなこともございますけれども、やはり日本周辺に油が出るということになりますと、がらっと日本をめぐる世界情勢も変わってくることは受け合いでございますので、そういう点の探査あるいは開発あるいはボーリングというようなものを含めまして、いろいろ対策を練っている現段階でございます。
  10. 粟山明

    粟山委員 大臣お忙しいようですからもう一問だけ、ちょっといまの問題に関連してお伺いしたいのですが、自主開発等を進めるにつきましては、どうも日本の場合技術が非常におくれているというふうに伺っております。  海外での海底油田、あるいは石油ではなくても海底資源開発する技術、これにつきましては、いろいろな例を聞きますと、海外においてはその国の業者を保護するとか、あるいはその国で国家あるいは国営の公団のようなところが握っていて、なかなか日本業者その他が入れないという例を聞いております。それで、今後日本の国の近辺等開発する場合に、もう少し日本のそういう開発業者を育成する必要があるかと存じますが、その辺についてのお考えはいかがでございましょうか。
  11. 田中六助

    田中(六)国務大臣 具体的な技術の問題に関しておりますので、志賀石油部長からお答えさせていただきます。
  12. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、日本石油探鉱開発技術がおくれているのではないかという御指摘がございました。  確かに日本の場合に、アメリカであるとかあるいはヨーロッパの先進諸国に比べまして、石油探鉱開発に乗り出した歴史が浅いわけでございます。そういうことから申しまして、探鉱開発技術について従来ややもすれば確かにおくれていた面があろうかと思っておりますけれども、最近は、海外におきます探鉱開発の経験を得まして、かなり技術的に進んでまいったと思っております。従来、私ども石油探鉱開発技術につきまして、石油公団においていろいろな技術的な研究をやって、それに対して国が援助をしている、こういうようなことで、日本石油探鉱開発技術の進展に対しまして特段の努力を払ってまいっているつもりでございます。  なお、もう一つ問題は、日本石油探鉱開発技術のまさに人的な側面でございます技術者の数が、日本の場合に、たとえばメジャーに比べますと格段に少ない、こういう点一つ問題があるわけでございまして、そういった面につきましても、技術者の養成というものを公団その他を通じまして進めてまいりたいと存じております。
  13. 粟山明

    粟山委員 いまの技術問題は、私ちょっと申し上げたかったのは、技術の点だけではなくて、海底開発といったような面に対する国の一つの方針でございますが、海外の場合、いろいろな後進国で、その国の石油開発海底開発といった点について許可とかそういう面、あるいは民間に発注する場合でもその権利を国が非常にコントロールしている。アメリカですら、ある程度そういった方法をとっていると聞いておりますが、そういった点で日本のそういう業者が非常に競争力がない、むずかしいということを伺っておりますけれども、その辺、今後の海底開発といったような場合にもっと育成をし、同時に政府がある程度コントロールする必要があるのではないか、この点をちょっとお聞きしたいと思います。
  14. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘がございましたように、海外産油国におきましていろいろな規制がございます。その中で日本探鉱開発企業が進出をしていく、こういうことになっているわけでございますが、やはり基本は、そういった場合に日本が進んだすぐれた技術を持っているということによって、産油国としてもそういった点は無視し得ない、こういうことになってくるのではないかと思います。  日本の場合でございますと、周辺海域の点について若干申し上げますと、阿賀沖におきまして成功いたしまして、現在産出をやっておるわけでございますけれども、ああいった阿賀沖関係技術はまさに日本がやっているわけでございます。それから常磐沖につきまして、現在帝石とエクソンが開発準備を進めていると承知しておりますけれども、こういった常磐沖開発というような面に当たりましても、できるだけ日本技術を使っていってほしいという気持ちを私ども持っておりまして、帝国石油あたりもその辺を十分踏まえながら対応していると思っております。
  15. 粟山明

    粟山委員 それでは、本題の石油備蓄に入りますけれども、現在石油備蓄は、民間国家備蓄とどのぐらいになっておりますか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  16. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  最近の一月末の数字でございますけれども民間備蓄が約九十四日でございます。それから国家備蓄が約十日でございます。合計いたしまして百四日という形になっております。なお、国家備蓄につきましては、先生御案内のように、タンカー備蓄という形で保有している、こういう状況でございます。
  17. 粟山明

    粟山委員 そこで、日本の場合、産地から持ってくる輸送距離が非常に長いわけでございますし、持ってくる先が大分中近東に偏っているという面もありまして、同時に世界各国を見ますと、平均備蓄が百四十日ぐらいあるというふうにも聞いておりますので、現在の百四日をさらに伸ばす必要があるのではないかと思いますけれども、伸ばすとすれば大体何日ぐらいを必要とするか。特に国家備蓄を、やはりこれは相当大変な資金のかかることでございますから、しかもこの備蓄というのは、国民生活国民経済を守る面からやることでございますし、何としても今後国家備蓄を、民間に頼らない備蓄をもっとふやす必要があるかと思いますが、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  18. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  民間備蓄につきましては、九十日備蓄目標に四十七年度以来対策をとっているわけでございます。  他方、国家備蓄でございますけれども国家備蓄は一応三千万キロリットル体制にまで持っていきたいということで、石油公団が逐次作業を進めているところでございます。  三千万キロリットルと申しますと、これは五十四年の消費量ベースで大体四十日強ということでございまして、したがって、九十日プラス四十日プラスアルファということで、大体百三十数日分というような形にまで持ってまいりたいと思っているわけでございます。
  19. 粟山明

    粟山委員 もう一つ石油備蓄現状をちょっとお伺いしたいのですが、いま部長が言われたのは、大体タンカー備蓄をやっておられるということですが、備蓄基地計画、この現状はどうなっておりましょうか。
  20. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私どもといたしましては、国家備蓄について、恒久的な施設によって備蓄をやるということで公団が鋭意作業を進めておるところでございます。それまでのつなぎといたしまして、五十三年度からタンカー備蓄という形で国家備蓄をやっている、こういう状況であるわけであります。  そこで、恒久施設状況でございますけれども、これは、公団が現在までに八カ所の地区についてフィージビリティースタディーを実施しております。その八カ所のうち、むつ小川原地区についてはすでに着工を見ております。それから東苫小牧地区につきましては、地元との話し合いが終わりまして会社を設立するに至っておりまして、近く着工の運びとなる、こういうように存じております。そのほか、現在までにフィージビリティースタディーを実施いたしました福井臨工、上五島、白島といったような地区につきましては、現在地元におきまして、いろいろ地元の方の御了解をとるべくお話を進めているという状況でございます。  さらに候補地点フィージビリティースタディーを実施しようということで、最近三カ地点調査地点を追加いたしまして、現在フィージビリティースタディーに入ろうという段階でございます。
  21. 粟山明

    粟山委員 いまの備蓄基地の問題でございますが、やはりタンカー備蓄ではまだまだ大変不安定だと思いますし、これはやっとむつ小川原一カ所が着工し、あと東苫、そのほか五、六カ所がフィージビリティースタディー段階ということで、先ほどの三千万キロリッターですか、この体制に持っていくには相当むずかしいと思いますので、これはぜひもっと早くやっていただくよう進めていただきたい、こう考えます。  さて、LPGに移りまして、LPG備蓄を五十日と決めた根拠はどういうところでございますか。
  22. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  石油の場合に、先ほど申し上げましたように、民間備蓄九十日ということで、その増強に努めてまいっているわけでございますけれども、この九十日備蓄考え方でございますが、これは石油企業が経営のために必要な、いわゆるランニングストックが大体四十五日ぐらいではないかというふうに言われているわけでございますけれども、このランニングストック四十五日に備蓄といたしまして四十五日増強したらどうか、これが九十日目標の背景でございます。  それで、私どもLPG備蓄考えるに際しまして、LPG輸入業者実態調査したわけでございますけれども、私ども調査の結果では、LPG輸入業者の場合に、季節的に、あるいは船が入ったときとか、そういった影響がございまして、非常に在庫レベルに変動がございますけれども、大体ランニングストック五日ぐらいというように一応判断されたわけでございます。そこで、石油の場合の九十日備蓄と同じような考え方に立ちまして、ランニングストック五日に四十五日を備蓄してもらったらどうだろうか、こういうことで、六十三年度末五十日というような目標を一応立てたわけでございます。
  23. 粟山明

    粟山委員 そこで、少しLPG需要面についてお聞きしたいのでございますが、現在、昭和五十四年で国内が約四百七十万トン、輸入が九百六十七万トンと統計に出ておりまして、さて六十年で、二千万トンの輸入、それから約五百万トンくらいが国内産というふうに伺っておりますけれども、将来の需要予測、用途別の予測は現状と大分違っているわけでございますか、それとも現状のパーセンテージが大体そのまま拡大するというふうに見ておられますか。
  24. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、五十四年度ベースでLPG需要というのは、いわゆる家庭、業務用が大体四割、それから工業用燃料、これは主として中小企業関係でございますけれども、これが二五%ぐらい、それから自動車用、タクシーでございますが、これが一二%ぐらい、その他化学原料用一一%、都市ガス用八%、この程度の構成になっているわけでございます。  今後の需要の動向でございますけれども、私どもの現在の一応の考え方、想定では、家庭、業務用はかなりLPGが普及しているのではないか。したがって、今後の家庭、業務用の需要の伸びというのは、相対的には従来のような高い伸びではなくて、伸びはやや鈍化するのではないかというふうに見ております。それから自動車用につきましても、従来に比べまして相当タクシー用に普及をしておりますので、伸びはそれほど高くはないのではないかというふうに思っております。それにかわりまして、たとえば工業用あるいは化学原料用、あるいは特に電力用であるとか、この辺がかなり伸びていくのではないかというふうに存じておりまして、そういったように需要分野によりまして今後の需要の伸びというものにかなり差が出てまいります。したがいまして、需要構成もそれに応じて現在の需要構成とやや違った形になってくるのではないかというふうに思っております。ただ、いずれにいたしましても、六十年度くらいまで見通した場合に、やはり家庭、業務用というのが大宗を占めるだろうというふうに思っております。
  25. 粟山明

    粟山委員 そこで、このごろのLPG、やはり価格も昔と違いまして石油に連動して上がってきているということはあるようでございますけれども、何といってもまだ石油に比べますと、中近東の国々でも捨てているといいますか、燃やしているというようなことも聞いておりますし、まだ製品としては石油より入手がしやすいんじゃないかというふうにも考えられます。そういった中で、石油の中でも中間留分、軽油、灯油、A重油といったようなところが現在品不足で困っている、そういった面でこのLPG需要を伸ばす意味からも、これといま言ったようなものとを置きかえるとか、そういうひとつ転換を図るというようなことについて通産省として何か指導をするとか、そういうお考えはありませんか。
  26. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、たとえば最近の石油製品の需要状況を見てみますと、御案内のようにC重油の需要が落ちておる、それに対して中間三品の需要が相対的に伸びておるということで、石油製品の油種間の需要の動向にはかなり差が出てまいっております。そういうようなことから申しましても、このC重油対策というのが一つ重要でございますが、同時に、先生がいまお話ございましたような中間三品の需要というものについて対応を考えていく必要があるのではないか、こういう問題がございます。  確かにその場合に、中間三品の中にはLPGに転換し得る分野というのがあるのではないかということも考えられるわけでございまして、そういった新しいLPG需要分野の開拓あるいはそれへのシフト、こういった点について、私どもとしては今後いろいろ考えていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
  27. 粟山明

    粟山委員 ちょっと政務次官にお伺いしたいと思いますが、このLPG業界、これから膨大な備蓄をしてやはり非常に資金も食うことでございます。また、国民生活にとっても大変重要な位置を占めるエネルギーでございますので、これの需給あるいは流通の安定ということは非常にしっかりしてもらわないと因るわけでございます。  これは通産省の資料で見たわけでございますが、現在輸入業者が十六社ございます。今度の石油備蓄法LPGを含めるのも、この輸入業者備蓄をするということでございます。ところがこの輸入問題については、いまの十六社以外にも大分新規に参入したいというところがあるように伺っております。ところが現在、五十五年度でございますが、輸入業者の中の専業三社については大変赤字が出ている。十五億から二十億も赤字が出ている。あるいは石油精製業者でLPガスをやっているところでは、会社全体としては赤字は出しておりませんけれども、その部門については赤字であるというふうにも聞いております。そうしますと、その原因は何かという点も一つ考えられるわけでございまして、聞くところによりますと、将来の需要を見越して、ぜひこれは新規参入したいということでどんどん外国と輸入契約をしてしまうとか、あるいは自分のところでタンクを持たなくてもよそのタンクを借りてそこに入れる、日にちがないから安売りをしてしまう、そこで過当競争が起こる。しかし、それによって価格が下がれば需要家にとっては相当うれしいことでもありましょうけれども、また物価に対しても好影響ということも言えますけれども、末端まではそれは響いてないというような現実のように伺っております。ことに備蓄というような国家資金をたくさん使って援助もしなければならぬ、これはひいては国民の金でございます。そういう面において、もう少しこの業界の需給安定、流通機構の安定を図る。単純に言えば、いろいろ問題もあろうかとは思いますが、行政的な指導をするとか、そういうお考えはいかがでございましょうか。
  28. 野田毅

    ○野田政府委員 いまLPG輸入業者について、流通問題を含めて、粟山委員指摘になりました問題点、御指摘のとおりだと思います。  確かにこれから小口の輸入業者がどんどんふえていって、そして流通秩序が乱れるということも困ったことでありますし、また備蓄をしてもらうわけでありますけれども大変な金がかかる、それにまた国もいろいろな形で財政的な援助をするわけでもありますし、いままさに御指摘のあったとおりだと思います。その点を頭に置いてこれからの行政の中にも反映をしてまいりたいと考えておるわけであります。
  29. 粟山明

    粟山委員 政務次官、お忙しいようでしたら結構でございます。もう少し細かい点、部長にまたお聞きしたいと思います。  そこで、価格の面ですが、いま五十五年度の輸入価格、これについては平均どのくらいになって、小売価格はどのくらいになっておりますか。
  30. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私の手元にございます資料で、五十五年度も途中でございますけれども、現在までのところの平均のCIF価格、ちょっと手元に数字がございませんので最近の数字で申し上げますと、昨年の十二月でトン当たり七万一千円でございます。それから家庭用の小売価格でございますけれども、これは五立米当たりでございますが、昨年の十二月で申しますと二千五百五十一円で、ことしの一月で申しますと二千五百五十四円、こういうような形になっております。
  31. 粟山明

    粟山委員 いまのお話のように、五十五年の末で七万何がしということで、五十四年ですと四万円ぐらいだったと記憶しております。急激にこれは上がっているわけでありますけれども、それにしてもこの小売価格、ざっとトンにしまして二十五万円くらいになりますか、この辺との差が非常に激しいわけでありまして、三倍強あるいはもっと、五十四年度くらいになりますと四倍以上の差があります。当然タンクをつくったりあるいは流通の過程で家庭用のタンクがあったり、いろいろな設備その他の金がかかり、それが小売価格に付加されているということはわかるのですが、非常に差があり過ぎるような気もするわけですが、その点についてはどうお考えになっていますか。
  32. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  この輸入価格の動きとそれから家庭用の小売価格の動きでございますけれども、これは確かにこの輸入価格、家庭用小売価格ともに値上がりをしているわけでございます。  御参考までにイラン革命当時の価格、五十四年の一月の価格と比べてみますと、輸入価格の方は大体二倍半になっております。それに対して家庭用の小売価格、これは大体五〇%アップくらいということで、輸入価格の値上がりに比べまして確かに家庭用の小売価格、絶対レベル自身が非常に高いわけでございますけれども、値上がりの仕方は、家庭用の小売価格の方が輸入価格の値上がりの幅に比べまして低い、こういう形にはなっておるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、輸入価格が七万円で、家庭用の小売価格はトンに直して約二十五万円ぐらいということでいかにも差が大きいのではないか、こういう御指摘でございますが、LPGの場合に灯油などの普通の石油製品に比べまして、このLPGの場合にはたとえば輸入業者自身におきましても冷凍タンクをつくって備蓄をするということで、備蓄コストというのはかなりかかります。さらに流通段階に入りましても、卸売業者にいたしましてもたとえば高圧タンクに入れなければいけない、あるいはその流通の過程で充てんといったようなプロセスも経なければいけないわけでございます。そういうことで、LPG固有の流通経費というのがかなりかかってまいります。ここは普通の石油製品と非常に違うところだと思っております。  もう一つは、特に家庭用のLPGについて申しますと、流通段階がかなり複雑多重になっております。また、この末端にまいりますほど小売業者というのは非常に零細でございまして、それだけ販売経費の割合というのが非常に多くなってまいります。そういったような、LPG固有の保安的な面を反映したような流通経費と、それから非常に流通機構それ自身が複雑多重になっている、こういったようなところからこのようなCIFと小売価格との差が出てくる、こういうように存じておるわけでございます。  この点につきまして、やはり基本は、この流通機構を合理化していくことが必要だというふうに思っておるわけでございまして、実は五十三年度以降、中小企業近代化促進法の構造改善特定業種に指定いたしまして構造改善を進めようということで、現在業界の方でもいろいろ御努力をしているところでございますし、私どもとしても、そういった動きに対して支援をしあるいは指導をしている、こういう状況でございます。
  33. 粟山明

    粟山委員 わかりました。これはこの流通機構、大変中間業者が多いようでございますし、非常に複雑である。しかも取り扱うこのLPガスというものは相当危険性も含んでいるものでございますから、事故も起こりやすい。それだけ零細業者がいけないというのではございませんが、何とかもう少し流通機構を整理するように、ぜひ御指導願いたいと思います。  さて、先ほどの政務次官に対する質問の続きにちょっとなりますが、いま石油業法によりまして輸入業者の資格がいろいろ決められていると思いますが、この点はいまどういうことで資格が決められているのでしょうか。
  34. 志賀学

    志賀(学)政府委員 石油業法に基づきまして、石油LPG輸入を行おうとする場合には届け出をしなければいけない、こういうことになっておりまして、現在石油ガス輸入業者になっていらっしゃる方は十六社あるわけでございます。この石油ガス輸入業者の取り扱いにつきまして私どもが常に念頭に置いておりますのは、やはり国民生活に非常にかかわり合いの深い商品でございますから、わが国へのLPG安定供給に資するかどうか、こういう観点からこの石油ガス輸入業者の扱いについていろいろ対応をしているわけでございます。  最近の状況を申し上げますと、海外におきまして、たとえば昭和四十六年ごろはクウェート、イラン、サウジ、こういった国々は日本に対するLPGの主たる供給国でございますけれども、そういった国におきましてはメジャーが一〇〇%LPGを支配していたわけでございます。それに対しまして現在におきましては、クウェートでは一〇〇%、イランにおきましても一〇〇%、産油国の国営石油会社が支配をしております。それからサウジにおきましても、約五〇%はペトロミンと申します国営石油会社が支配しているということで、産油国サイドの状況が非常に変わってまいっております。そういった供給国側におきましては、まさに一元的な国家管理というのが非常に強まっておるわけでございます。  そういった中で日本輸入をしてこなければいけないということでございますので、私どもとしては、余り小口の需要というのが日本にたくさんあるということになりますと、産油国との関係において交渉力その他においていろいろ問題が出てくる可能性もある。そういったことも踏まえて、日本へのLPガスの安定的な供給確保されるように、この輸入業者の扱いについては慎重に検討をしながら対応を進めているところでございます。
  35. 粟山明

    粟山委員 時間も少なくなりましたので次の質問に移りますが、実際の備蓄に当たりまして石油石油ガス備蓄では、危険性とか面積あるいは資金といった面で大分差があるかと思いますが、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  36. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、LPGの場合は、これを備蓄する場合に冷凍タンクに入れて備蓄をしなければいけない。しかも、この冷凍タンクにつきましては、技術的な制約から現在一基当たり大体四万トンぐらいが一応マキシマムというふうに言われております。そうなりますと、備蓄を進めていくに際して備蓄タンクをたくさんつくらなければいけない、こういったようなことがございます。あるいは一部気化したものについて再び液化をしなければいけないといったようなこともございます。そういったようなことで、LPG自身も高いということもございますけれども、いずれにいたしましても、石油の場合に比べてこの備蓄コストというのはLPGの場合にかなりかかるというふうに言われております。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕 いろいろな試算があろうかと思いますけれども、私どもの一応の試算では、カロリー当たりに換算いたしまして、石油に比べてLPGの場合には大体三倍ぐらいかかるというふうに一応私どもは試算をしております。
  37. 粟山明

    粟山委員 いまのお話で、カロリー当たりLPGの方が大体三倍ぐらいかかるということでございますが、今度のこの備蓄法におきまして、石油備蓄に対する助成とそれから石油ガスLPG備蓄に対する助成ではどういった点に違いがありますか。
  38. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  このたびのLPG備蓄に対する助成措置は、一言で申しますと、一応石油備蓄とほぼ同じような助成ということになっているわけでございます。ただ、石油備蓄の場合には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども昭和四十七年度から逐次九十日備蓄目標にいたしまして対策を進めてまいっております。  この民間備蓄に対する助成、これはいろいろございますけれども、その一つの大きな助成措置は、備蓄用の購入資金について石油公団から融資率九〇%の融資を行う。その場合に金利負担が大変でございますので、国から資金を出しまして石油公団に対しまして利子補給をやっておるわけです。それによって安い金利の金を購入資金として公団が融資をする、こういう仕掛けになっておるわけでございます。その場合に、石油備蓄の場合には、当初四十七年度から数年間でございますけれども二%の利子補給ということで出発をし、実施をしてまいったわけでございます。その後、石油備蓄につきまして逐次この利子補給幅を拡大してまいったわけでございますけれども、それに対しまして、現在御審議をいただいております予算案に盛り込まれておるわけでございますけれどもLPGの場合には、最初から三%ということで利子補給をやっていこう、こういうことになっております。また、これも現在御審議いただいております予算案に盛り込まれておりますし、また、ただいま御審議をいただいております法案にかかわってまいる対策でございますけれども、この備蓄施設に対して日本開発銀行あるいは石油公団、そういったようなところから施設融資をやるわけでございます。その場合に、石油公団あるいは日本開発銀行、そういった施設融資をする機関に対しまして利子補給を二%行う、それによって金利を下げる、こういうことになっているわけでございますけれども、実質的に見てみますと、恐らく今後民間備蓄のためのタンク建設というのは主としてLPG関係で多く行われるであろう、こういうふうに考えられるわけでございまして、そういう面からそういうことなどを総合して考えてみますと、LPG備蓄についての助成というのは、私どもとしては、総合的に申しましてかなり手厚いものになっているというふうに思っております。
  39. 粟山明

    粟山委員 ただいま伺いましたけれども、まだまだLPガスの方が備蓄には大変資金がかかる、コストがかかるというように思われますが、そのコストが、これは民間備蓄でございますから、先ほどお話がありましたように、中には大分赤字に苦しんでいるという会社が現況多いわけでありまして、これは義務づけられるわけでございますから、この備蓄にさらにコストがかかる、したがって苦し紛れにこれが価格に転嫁されていくというようなことがあると大変国民経済に影響するわけでございますので、そういうことのないようにぜひその点は御指導いただきたいと思います。  もう一つの点は、石油の方は国家備蓄が、設備もしある程度考えられておりますし、さらに備蓄基地をつくろうという計画で現在進めている。その場合、LPGには国家備蓄という考えはいまのところ全くないものかどうか。  その二点について伺いたいと思います。
  40. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初の御質問でございますけれども、私どもLPG備蓄対策考えるに際しまして、LPG備蓄コストというのがかなりかかる、それが小売価格にはね返っていくということをできるだけ抑制する、防止するという観点から助成措置をできるだけ手厚くしていこう、こういう考え方で対策を検討してまいったわけでございます。いずれにいたしましても、今後そういった国の助成というのが小売価格に適正に反映されるように私どもとして十分な指導をしてまいりたいというふうに思っております。また、助成措置につきまして、当面、私ども、先ほど申し上げたような対策を一応立てたわけでございますけれども、なお今後の状況の推移に応じまして、引き続いて検討をしてまいりたいというふうに思っております。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕  また、次の国家備蓄の問題でございますけれども石油国家備蓄は、先ほど申し上げましたように、民間備蓄が四十七年度から発足いたしまして、その後九十日を上回る分については国でやるべきではないか、こういう考え方から五十三年度より国家備蓄に踏み切っていったわけでございます。LPGにつきまして私どもの現在の考え方は、当面やはり石油と同じように、民間備蓄によって対応していったらどうかという考え方でございますけれども、将来の問題といたしまして、状況をにらんで、国家備蓄が必要であるというようなことであれば、その段階国家備蓄ということについても検討してまいりたいというふうに思っております。
  41. 粟山明

    粟山委員 そろそろ時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  42. 野中英二

    野中委員長 水田稔君。
  43. 水田稔

    ○水田委員 いわゆるわが国エネルギー政策の中で、全体として石油輸入依存度を下げていく、こういうことでありますが、その中でLPガスというのは、東京サミットやIEAの会議では石油と同様に、六十年度六百三十万バレル・パー・デーの石油としての中に含んでおる、こういうことです。確かに一つは、輸入する国を見ても、石油と全く同じホルムズ海峡を越してくるのが大半を占めておるし、また価格の点でもまさに石油に連動する、そういう性格を持っておるわけです。  ところが実際には現在は六〇%くらいがむだに燃やされておる、利用されておるのは三〇%くらいというまた違った面も持っておるわけです。そして、石油代替エネルギー開発導入促進法では、LPガスを石油代替エネルギーとは考えていないわけであります。  しかし、先ほども申し上げましたように、生産の状況なりいまの需要の状態なり、あるいはこれからの需給の動向などを考えた場合、一つは、いまエネルギーの需給見通しを見ても、「石油」下に「LPガスを含む」とあるわけです。ですから、このLPガスというものを、いわゆる石油代替エネルギーにはなり得ないけれども、違った要素を持っておるのですから、これを導入する方針とか、あるいはどういうぐあいにこれから全体の中で位置づけていくか、そういう方策をきちっと決めた上で、これは六十年には二千万トンの輸入という予想を立てておりますけれども石油の中であるのか、あるいは外であるのかというようなことについてもう少し、こういう新しい法案をつくるのであるならば、方策を決めた上で出すべきではないだろうかという感じがいたします。  基本的なことですが、大臣に、LPガスの位置づけということについてまずお伺いをしておきたいと思うのです。
  44. 田中六助

    田中(六)国務大臣 LPガスは御承知のように石油製品の一種でございまして、各国もそうでございますが、特に日本はLPガスの約七〇%を海外依存しております。したがって、わが国においても、この位置づけというものは十分考えなければなりませず、また高くても非常にクリーンであるというようなこと、それから日本に対して輸出しようというような国がかなりあるというようなことで、石油並びにLPガスの安定度が日本エネルギー事情に大きく左右することは確実でございますので、そういう点では、このLPガスの位置づけというものは石油同様に私ども慎重に考えると同時に、各国からこれを輸入し、日本においても多少コストは高くてもこれを輸入すべくあらゆる措置、あらゆる施設の完備、それからまた法律的にも高圧ガス取締法に基づく万全の措置を講じて、いろいろなそごのないようにしていきたいと思います。
  45. 水田稔

    ○水田委員 需給の推移を見ながら、いま大臣の御答弁があったような助成等、そしてまた導入のための方策というのをひとつ十分お考えいただきたい、こういうぐあいに思います。  この法案を見ますと、備蓄義務者はLPガスの輸入業者となっておるわけです。そして施設に対しては利子補給が二%、LPガスを購入する代金については三%の利子補給という助成措置を講じようとしておるわけです。LPガスを使っておる実態というのは、家庭のガスであるとかあるいは中小業者あるいはタクシー、いわゆる庶民の生活に結びついたものが多いわけであります。しかも、先ほどもちょっとお話が出ておりましたように、石油タンクというのは一枚でありますが、LPガスは液化するわけですから二重のタンクになる、建設費が大変高いものにつくわけです。そして石油備蓄については現在六・五%のいわゆる利子補給がついておるわけです。石油との比較においては三分の一くらい低い利子補給を考えておるようでありますが、一体なぜこういう差を考えられたのか。むしろ、先ほども申し上げましたように、一般家庭あるいは中小業者が主に使う、需要の動向を見ますとそういうようになっておるわけですから、差がついておるのはいかがかと思うのですが、この点はどういうことでしょうか。
  46. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  石油備蓄の場合に、四十七年度から九十日備蓄目標に助成が行われてまいったわけでございます。石油の場合には、発足当時は二%の利子補給から始まっております。その後逐次この利子補給幅を上げてまいりまして、現在御審議いただいております五十六年度の予算案におきまして、五十六年度の融資分について六・五%の利子補給をする、こういうような計画に実はなっておるわけでございます。石油公団から備蓄融資を行っておるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、要するに公団から融資をした融資時期によりまして、利子補給幅が二%から現在まででございますと五・五%という間に散らばっているわけでございます。  そこで、LPG備蓄の場合に、来年度が実は初年度になるわけでございますけれども、来年度、公団からLPGの購入資金を融資する場合に三%の利子補給をしようということでございまして、石油の場合には二%から始まったわけでございますが、それが三%から始まるということで、この点について石油に比べてLPGの場合に備蓄コストがかかるという点を私どもとして一応踏まえながら考えたわけでございます。  今後の利子補給幅をどうするかという問題が実はございます。石油の場合にも逐次融資時期を追って利子補給幅を上げてまいったわけでございます。私どもの気持ちといたしましては、LPGにつきましても、これは毎年度の予算折衝の問題ではございますけれども、逐次この利子補給幅を上げてまいりたいというふうに思っております。
  47. 水田稔

    ○水田委員 備蓄コストというのは即消費者の価格にはね返るわけです。  それから一つは、いま石油輸入しておる、LPガスも輸入しておる、そしていままで制度がなかったけれども備蓄するんだからということなら、普通の事業なら調査費がついて翌年度予算が幾らついて、そしてふえる。同じ事業をよその地区でやるときには、片一方調査費で初年度だから二年度はその倍くらい、そういうことは当然予算措置をやっておりますね。しかし、この場合は今度、石油備蓄とそれに付随するLPガスを同様なものとして扱うというんだから、今日現在の石油とLPガスのいわゆる利子補給率というのは、年度を追って事業をやるものとは全然違うと思うのですね。そういうことでは、いまの御説明では納得できません。  それからもう一つは、そのときの金利に連動するということであれば、たとえば今度また公定歩合一%引き下げをやりますね。そうすると、全部が、たとえば政府機関の融資を受けて、その金利がそのとき幾らだから、実際の金利が五%なら五%になる、その差額を補給するというのであれば、これはもうだんだんふえるということにならぬ。ふえる場合もあれば減る場合もある。ところが石油については、たとえばここでまた一%下がるのに利子補給が六・五%になるということになれば、大変安い金利になるわけですね。その点では、先ほどの説明ではどちらか、たとえば実際の金利負担が五分五厘になるとか五分になるとか、そういう意味でのあれなのか、二つの点を理解しかねますので、もう一遍御答弁を願いたいと思います。
  48. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  最初の御質問でございますけれども石油の場合に、逐次利子補給幅を上げてまいったわけでございますが、この考え方というのは、やはり備蓄量が増大するにつれて負担が大きくなる、その負担を軽減していこうということで逐次上げていった、こういうふうに理解しております。したがいまして、LPGの場合も、これは毎年毎年五日分ずつ上げていくということになってまいりますから、その累積量としてだんだん備蓄積み増し量がふえてまいります。それに応じて負担がふえてくるということで、私どもとしてはそういった備蓄量の増大をにらみながら、その利子補給幅を今後引き上げていきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、二番目の御質問でございますけれども、この利子補給と申しますのは、公団が市中の金融機関からプライムレートで借りるわけでございます。そのプライムレートで借りた資金について利子補給をやって、資金コストを下げて融資をすることになるわけでございまして、したがって、プライムレートから何%、たとえば六・五であればプライムレートから六・五%下げるという利子補給のやり方でございます。したがいまして、プライムレートが動きますと、実効金利は変わってまいります。これについていろいろなお考え方があろうかと思いますけれども、私どもといたしまして、この市中から借りる金利について利子補給をする。そのプライムレートというのは、それぞれの情勢に応じて変わるわけでございますけれども、そこのところは、石油についても従来そういうことでやってまいっておりますので、一応LPGにつきましてもそういうやり方でいこう、こういう考え方でございます。
  49. 水田稔

    ○水田委員 そこで、これは年々変わってくるわけですが、五十日備蓄を達成したときに、備蓄コストというのが消費価格にどういうぐあいにはね返っていくのか、その試算がありましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  50. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  将来の見通しについての試算というのはいろいろな前提が必要でございまして、かなり大胆に割り切らないとなかなか出てまいりません。そういうことで、一応エネルギー需給暫定見通しをベースに試算してまいりますと、六十三年度末で五十日分の備蓄を達成する、こういうことになるわけでございますが、この五十日分の達成時点におきまして、備蓄積み増し量といたしましては大体二百八十万トンの貯蔵が必要である、こういうことになるわけでございまして、それに要する備蓄用のタンクは、容量といたしまして大体二百八十八万トンというふうに試算されるわけでございます。こういったようなことを前提として、施設に必要な資金の金利であるとか、そういったいろいろな経費その他を勘案いたしまして試算をいたしますと、この備蓄達成時点におきまして全体の備蓄コストというのが八百四十億円程度ということに試算が出てまいります。これを輸入量のトン当たりに引き直してみますと、トン当たり三千六百六十四円ということに一応試算結果が出てまいります。  そこで、こういった備蓄コストの負担が小売価格にどういう影響を及ぼすかということでございます。この小売価格をどう見るかというところもいろいろございますけれども、私どもの一応の試算では、キロ当たり大体三、四円程度の備蓄コスト、小売価格に対する引き上げ要因としては一、二%というような試算がしてございます。
  51. 水田稔

    ○水田委員 先ほどの質問にも出ておりましたけれども輸入のCIF価格がトン七万円ちょっとなんですね。小売価格が二十五万円。これは魚とか野菜なんかの場合は、消費者の手に入るまでに腐るという心配がありますから、そういう目減り分も入れての計算をやるのでしょうが、どう考えても、三倍以上になるというのは、流れの中のどこかに問題があるのじゃないか。一つは、たとえばいまの輸入業者の基地から輸送する距離の問題があるのだろうか、あるいは魚転がしみたいに、業者間で、物はそこにあって、伝票だけで何回か転がっていって高くなる、そういうことはないんだろうかという心配をするわけですが、その点は、当局としては調査され、あるいは改善のための何らかの手をこれまでに打たれたかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  52. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  家庭用のLPG価格、確かに以前に比べましてかなり高くなっております。ただ、輸入通関CIFの値上がり状況に比べますと、これよりもかなり低い上昇にとどまっているということで、私どもの一応の判断といたしましては、家庭用のLPG価格についてのパフォーマンスと申しましょうか、そういったものについては、私どもとしてはモニターなどを通じて十分ウォッチしてまいっておりますし、今後もウォッチをしてまいりますけれども、一応のパフォーマンスの状況ではないかという判断はしております。  ただ、いずれにいたしましても、先生指摘のように、通関CIFが七万円だ、小売価格がトン当たり二十五万円だということで、いかにも差が大きいのではないかということでございます。これについては、一つには、LPGの特質からくる保安関係のいろいろな経費がかかるとか、あるいは灯油の場合と違いまして、充てんといったようなプロセスも必要であるとか、あるいは輸送するについても特別のタンクローリーを使わざるを得ないとか、LPGの性格から来るそういう側面というのは一つあろうかと思っております。  ただ、同時に、LPGの流通機構が非常に複雑であり、多重になっておるということがございます。そういったようなことから、私どもといたしまして、それの対策としてこの流通の近代化、合理化を進めるべきではないかという考え方に立ちまして、五十三年度から中小企業近代化促進法の特定業種に指定いたしまして、業界ぐるみの構造改善を推進するように指導してまいっておるところでございます。  現状について申し上げますと、現在までのところ、島根県、岩手県、高知県、この三県において構造改善にすでに入っておる。それからさらに、北海道であるとか熊本であるとか、そういった幾つかの地域におきまして構造改善の準備を進めているところでございます。なお、かなり多数の都府県において構造改善についての業界としての研究を現在進めているということでございまして、私どもとしては、そういった業界の動きについて、中小企業庁ともよく連絡をとりながら、できるだけの支援をしてまいりたい。そういうことを通じて流通の近代化を図り、小売価格をできるだけ安定させていく、こういうことで努力をしてまいりたいと思っております。  なお、交錯輸送の問題を先生ちょっとおっしゃいましたけれども、交錯輸送の問題について、これも確かに一つの大きな問題ではないかと思います。この点については、すでにある程度業界においても交錯輸送の合理化という動きが出てまいっておりまして、私どもとしては、そういった業界の動きについてこれをフォローし、必要に応じて指導していく、こういうことで対応してまいりたいと思っております。
  53. 水田稔

    ○水田委員 私が後で質問しようと思うものを先に答弁いただきましたが、輸入業者そして卸段階といいますか、そういう中におけるたとえば交錯輸送であるとかあるいは業者間の取引に何かあるのではないか。その点について、いま流通過程が複雑だという答弁があったのですが、複雑だという中で、通産省としてどういうところが問題かということをお調べになっているなら、その具体的な例を御説明いただきたいと思うのです。  というのは、たとえば国内産のLPガスが工場の単価でキロ十円ぐらいのときに、十キロのボンベが九百円で売られておったわけです。確かに九倍ではありますけれども、経費その他を見ると八百円の差なのですね。ところが七万と二十五万でいけば七百円と二千五百円、こうなるわけです。その差は千何百円になるわけですが、さらにその間の、率から言うと率は下がっておっても絶対額ではふえた形になっておるわけです。そういう点は、一つ輸入業者から卸くらいのそこらあたりの問題と、それから、いま答弁をいただいたのは、後で質問しようと思ったいわゆる小売というのは、現実には昔炭屋をやっておられたりお米屋さんとかそういう小さい業者がやられておるものですから、非常に何段階もの卸、小売があるのではないか。それは、いま答弁があったようにそれなりに共同化するなり、もう一つは、後で申し上げますが、安全性の問題からも近代化、共同化を進めてもらわなければならぬと思うのですが、前段の複雑な流通機構になっておるという問題で、問題点をきちっと把握せぬことには改善の方法がないわけですから、余りにもCIF価格と小売価格との差があり過ぎる。その点は、備蓄にかかる経費を税金で賄おうというなら、業者自身の自助的な努力と流通過程をきちっと改めるなら改める、そういうことも行政指導でやらせる、そして備蓄コストが消費価格にははね返らない、むしろ近代化することによって、あるいは流通機構を改善することによって、備蓄コストがかかってもなおかつそれより安く供給できる状態をつくるべきではないだろうか、こう思いますので、前のところを答弁願いたいと思います。
  54. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  LPGの流通業界について、私ども実態調査をいろいろやっております。その中で一番大きな問題点として私どもが見ておりますのは、先ほども申し上げましたように、流通機構が非常に複雑であるということ、特にまた末端になりますと非常に規模が小さい販売業者が非常に多い、取り扱い量も小さいということで、そういった点に大きな問題があるのではないか。CIFと小売価格との間の差が非常に大きいわけでございますけれども、そのかなりの部分は小売段階でのいろいろな経費、そういったところに大きな原因があると私どもは判断をしております。
  55. 水田稔

    ○水田委員 小売の段階は、いまも申し上げましたように、大変零細な業者が多いという問題もあって、幾つか進めておるという御答弁があったわけですが、実際には、流通過程の近代化と同時に安全性という二つの面を持っておると思うのです。  これは、いま二つか三つの県の例を御説明いただいたのですが、一面言えば物価対策、一面言えば安全対策という面から、できるだけ早い期間にこの事業を全国的に成功させなければならぬと思うのです。現状はいま御説明がありましたが、通産省としては、どの程度の時期にはそういうことがほぼ全体に実現できるとお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  56. 志賀学

    志賀(学)政府委員 五十三年度から構造改善に取り組んでいるわけでございますけれども、その方向といたしましては、たとえば充てんについて回転式の自動充てん装置の導入を推進するとか、容器についてできるだけ大型化を図るとか、導管供給の導入を推進するとか、知識集約センターを設置いたしましてコンピューターを導入してできるだけ販売の合理化を図る、あるいは保安等の面についても、たとえば教育であるとかそういった点を進めていく、こういったようないろいろな内容の計画になっているわけでございます。そういう意味で、先生指摘のように、構造改善というのは単に流通の近代化だけではなくて、保安という面からも重要であると私どもも認識しておるわけでございます。  そこで、先ほどもちょっと申し上げてしまったわけですけれども、現在までに構造改善計画を作成し、実施に入っておりますのが島根県と岩手県と高知県ということになっておりまして、北海道、静岡、熊本、沖繩、こういったところが現在業界において鋭意準備を行っておる。そのほか三十幾つの都府県におきまして、業界において検討が進められておるわけでございますけれども、構造改善計画と申しますのは業界挙げてということでございまして、この計画がまとまるまでにはある程度の時間が必要ではないかと思っているわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたような流通の近代化の必要性あるいは保安の問題、そういった点から申しまして、これは私どもとしても、全力を挙げましてこの業界のそういった動きに対して強力な支援をし、協力をしてまいりたい、できるだけ多くの都道府県においてできるだけ早く構造改善計画が実施に移されるように努力をしてまいりたいというふうに存じております。
  57. 水田稔

    ○水田委員 保安上の問題について、たとえば爆発事故というのは、都市ガスの場合もありますし、プロパンの場合もあるのです。これは本当に悲しいことなのですが、年々相当起きておると思うのです。その点については、消防庁、おいでになっていますか。——年間どのくらい都市ガスによるもの、あるいはLPガスによる爆発事故、そしてその被害の状況、わかりましたらちょっと御説明いただきたいと思います。
  58. 椎名泰

    ○椎名説明員 御報告申し上げます。  消防庁で、昭和五十四年中におきますガス火災によります件数でございますけれども、LPガスは、件数といたしまして、これはあくまでも火災になったものでございますけれども、四千二百四十九件ございまして、都市ガスが三千四百八十六件でございます。これによります死傷者の状況でございますけれども——この原因につきましてちょっと申し上げますと、LPガスの場合は、ほとんどが器具の取り扱い不注意というのが現状でございます。約九〇%ぐらいのようでございます。それから、LPガスによります犠牲者が百九名ほどになっておりまして、都市ガスによる死者が二十九名というような、これはあくまでも五十四年度の統計でございます。  以上でございます。
  59. 水田稔

    ○水田委員 いま消防庁から御説明いただいたように、LPガスの事故というのは、これは死亡がこれだけでありますけれども、私の知っておる範囲でも、全身やけどで、まあ助かったけれどもまさに人前には出られないという人もたくさんおられますし、不幸な事態が多いのです。これは、先ほど言いましたように、零細業者が多いということによって、十分な消費者に対するサービスですね。都市ガスの場合も、これも事故が起きていますが、都市ガスの場合は、そうは言っても、たとえば年に一回なら一回は器具の点検に会社が来るわけですね。きちっとやるわけです。私の家もプロパンを使っておりますけれども、何十年使っていますけれども、一遍もプロパンの扱いについて説明を受けたことはないですね。持ってきました請求書で金を払うだけということなんですね。それは無理もないと思うのです。  それからもう一つは、このLPガスの場合は、爆発のあれが二%から大体一〇%空気中に存在すると爆発する、わりに範囲が広いわけですね。家庭で使っておる人というのは、これは化学工場で働いておる人はそういう危険性というのを常に知っておりますし、資格を持った人が必ずついて指導しておるわけですが、一般家庭はそういう点はほとんど専門的には勉強していない人が使っておる。そこに危険性があるわけですね。これはLNGも同じでありますけれども、そういうことが事故につながっておる。ですから、LPGを家庭用に使う場合の安全基準なり業者の義務なり、それから、それは零細であるから実はできない、あるいは保安のために業者が経費をかけると利益が浮いてこないというようなことなどもあるのかもしれませんけれども、これは一日もゆるがせにできない問題。  二、三日前ですか、野球のプロ選手の奥さんが全身やけどで重体ということも報道されておりますように、これは都市ガスについても同じでありますけれども、余りにも危険なものを、全くそういうものに対する専門的な知識のない家庭でいま使っておる状態を、何とか対応策を考えなければならぬ時期に来ておるのではないか。あるいは、LNGなりLPG石油にかわって大々的に使おうということを言われるのであれば、それに対する対応策を、いままでとは違った観点で、一つ業者の近代化あるいは安全の指導なり、あるいは利用する側に対する業者の義務づけ等をもう少しきちっとやらなければ、不幸な事態がもっとふえてくるのではないかという心配をするのです。いかがでしょうか。
  60. 松村克之

    ○松村政府委員 お答えいたします。  LPガスが現在家庭用に非常に多く使われているわけでございまして、したがいまして、これらの液化石油ガスの消費先での事故を防止するということは私どもの業務になっているわけでございますけれども、現在私どもが行っております指導あるいは法律上の義務といったようなものを簡単に申し上げてみますと、第一に、液化石油ガスの販売事業そのものを許可制といたしまして、販売施設技術基準に適合するかどうか、あるいは販売の方法技術基準に適合するかどうか、あるいは経理的基礎等についての義務を販売者に課しているわけでございます。  第二番目に、消費先の設備につきまして、やはり技術基準を定めまして、これに適合するように定期的な調査点検を二年に一回以上行わせているわけでございます。また、一般消費者の保安知識を高めるために必要な事項の周知徹底を図っている。また、設備工事の確実な実施を図るために、一定の資格を持った者に工事を行わせることにいたしているわけでございます。  また、実際に使用いたしますLPガス用の器具等につきましては、技術基準を定めまして、これを検定いたしているわけでございます。さらに、LPガスについても着臭の義務を課しているわけでございます。  なお、最近におきまして実施いたしました改正点を若干申し上げますと、共同住宅等にガス漏れの警報器の設置を義務づけたわけでございます。また、地下街等に対しましては、ガス漏れ警報器のほかに器具の規格あるいは定期点検の期間短縮等の規制を強化いたしております。また、着臭の基準を強化しているわけでございます。  以上のような法律上の規制のほかに、一般の行政的な手段といたしましては、高圧ガス保安協会に補助金を交付いたしまして、一般の消費者への啓蒙あるいは新しい器具等の研究開発等を実施させているわけでございます。また、そのほかにガス漏れ警報器が一般に普及することを促進するために、開発銀行の融資の措置を講じております。  さらに、過去二年にわたりまして、全国二千万世帯の設備を総点検し、設備改善を進めている状況でございます。  以上のように、災害防止対策について、われわれといたしましては全力を尽くしているわけでございますけれども、なお、いま御指摘がございましたように、完全にこれらの事故を減少させ、絶滅させるということについては、まだそこまでの段階に至っていないという点については、私ども、なお将来、努力を続けていきたい、かように思っております。
  61. 水田稔

    ○水田委員 たくさん並べられて、そういう法律のもとで運営されておって、事故が起こるわけです。先ほど消防庁からの報告にもありましたように、ほとんどが使用する人の不注意による、と。不注意と言われても、本人はそれほどの専門的知識はないし、資格も持っていない人が日常的に使うのが家庭のプロパンでしょう。その点は、やはり都市ガスでも、いわゆる東京瓦斯とかあるいは東邦なりあるいは大阪瓦斯という大手なら、相当の保安の人を置いてやることができる。地方の中小はそれだけの保安要員をかけると、最小限、法律の義務の人数は置くけれども、それ以上の安全を考えた人間を置けば赤字になるから置けないと言う。それは都市ガスでも問題がある。そこへ持ってきて、プロパンの場合はさらに零細な業者が末端で扱っておるわけでしょう。卸より上は責任を持たぬわけですよ。小売業者がやっておるのですからね。  いま法律と言われたけれども、私がさっき言いましたように、私自身私のうちでプロパンガスを使って、その何十年という使用者に対して、プロパンガスのあれはこうですからこういうことというような指導は一遍も受けたことはないですよ。別に私のところへ持ってきておる人が悪いというわけじゃないですけれども、それが一般的な状態じゃないですか。そのことをちゃんと受けとめた上で、そういう事故が起こらない体制をつくるというのが行政の責任じゃないでしょうか。だから、それの一つ業者がやれるような条件をつくる。近代化するなら、その中ではぜひそれだけのことができるような、責任も持てるような共同化なり近代化というものもやってもらわなければならぬ。そして、もう少し実際にそういうことができるようにしない限り、使用量がふえればふえるほどこれから事故が起きるでしょう。  たとえば安全基準の問題でも、この間の豪雪のときに屋根の上からスコップ一杯の雪をほうるわけです。普通なら関係ないのですが、一杯の雪で安全基準に合ったガス管が折れて、そこからプロパンガスが噴き出す。降雪の量と起こった事故というのは相関があるというような統計的な数字が出ておるわけですね。そういう点では基準の問題でも考え直すべきじゃないかとも言えるわけですね。  その点もう一遍、安全基準の問題を含めて、私の申し上げたことに対してお答えいただきたいと思うのです。
  62. 松村克之

    ○松村政府委員 事故の防止につきましては、いま先生から御指摘がございましたように、法律に伴いまして各種の規制を行うといいましても、実際上事故を絶滅するということはなかなかむずかしいわけでございます。特に一般の消費家庭における事故につきましては、設備でございますとか器具の不良ということだけではございませんで、これを取り扱っている人たちの行動あるいは心理状態といったような非常に複雑な要素が絡み合っているわけでございますので、これを防止いたしますためには、これらの要素について逐一対策を講じていくということが必要であろうかと思うわけでございます。  先ほど申し上げましたように、液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律に基づきまして種々私ども規制をいたしているわけでございますけれども、それ以外に、いま御指摘もございましたように、一般の消費者に正しい知識を普及していくあるいは新しい器具等を技術開発していくといったような広範な対策が必要と考えられるわけでございますし、またそれぞれの地域における特性あるいは豪雪地帯等といったような特性を踏まえまして、さらに技術基準等の規制についてきめの細かい行政をやっていきたい、かように考えております。
  63. 水田稔

    ○水田委員 最後に、もう一つその点について伺います。  たとえば家庭に置いてあるプロパンのボンベというのは、あれは高圧ガス取締法に言う高圧なガスですね。高圧ガスというのは、ある一定の量以上は資格がないと扱えない。たとえばいま家庭には、十キロではむずかしいから五十キロボンベをどんどん入れておるわけですが、これは全く資格のない人が扱う、その中で起こっておる危険なんですね。それはいま消費者自身の問題もある。それは無理なんですからね。日本の全世帯のおじいちゃん、おばあちゃんから若い子供がさっとひねるわけですから、そこへ全部それだけの知識を教え込んでじゃないと使ってはならぬということになると大変なことですね。だけれども、それはいわゆる高圧ガスなんですからね。都市ガスは送ってきても圧はそれほどないですよ。そういうものが家庭にある。そして事故が起こるわけですからね。業者の側にもそれができるだけの条件をつくっていかなければならぬ。そして、今度は消費者側にそういう事故の起こらない対策を講じなければならぬと思うのですが、五十キロの場合でも資格なくて高圧ボンベを扱っても構わぬということですか。
  64. 松村克之

    ○松村政府委員 お答えいたします。  五十キロボンベあるいは二十五キロボンベといったようなボンベが家庭に置いてあるわけでございますけれども、これの保管あるいは維持につきましては、それを供給いたしました業者の方で責任を持って保管するということになっているわけでございます。
  65. 水田稔

    ○水田委員 私は、それはごまかしだと思うのですね。そんなもの、なくなって、おい、取りかえてくれと言うときだけしか業者は来ぬのです。ふだんはその家庭の人が管理しておるのですよ。それは私は法律の盲点だと思うのですね。だけれども、それを一々言えば、今度は全く使えなくなりますから、そこらあたり、きちっと事故の起きぬようにするための対応策というのを考えてください、もう答弁は結構ですから。  それからもう一つは、今度はLPガスをいわゆる輸入業者が保管する場合、たとえば四万トン、まあ四万トンタンクを置こうというのが大体の腹のようですが、四万トンのタンクを置いた場合の他との距離の問題ですね。たとえば公共の学校であるとかあるいは病院、あるいはまた民家との間は、現行の法律ではどれだけの距離があればいいということになっているのですか。
  66. 松村克之

    ○松村政府委員 現在の保安距離でございますけれども、可燃性ガスの貯蔵設備の保安距離につきましては、私ども設備基準というのを持っているわけでございますが、この設備基準の考え方といたしましては、もちろん災害が起こることを防止するのが第一でございますけれども、万が一に起こり得る最大の災害の発生を想定いたしまして、その場合でも第三者に対して人的な被害が生じないような距離ということを考えているわけでございます。そういった距離を計算上出しまして、事業所の境界線から内側にそれだけの距離をいわゆる保安距離として確保するということになっているわけでございます。
  67. 水田稔

    ○水田委員 いま申し上げたのは例としてです。四万トンのタンクを置いた場合は、学校、病院、民家との距離は何メーターですか、そういう質問をしたわけです。
  68. 松村克之

    ○松村政府委員 いま申し上げました保安距離でございますけれども、これをむずかしい数学の式に入れるわけでございますが、例といたしまして四万トン相当のタンクでございますと、境界線からそのタンクまでの距離が約百七十メーターというふうになっております。
  69. 水田稔

    ○水田委員 事故があってはならぬわけですが、その四万トンのタンクから、たとえば一トンなら一トン漏れてばっと燃える場合あるいは爆発した場合、これはどの範囲に被害が及ぶのですか。
  70. 松村克之

    ○松村政府委員 いま、四万トンのタンクで保安距離が百七十メーターと申しておりますのは、これは百七十メーター離れている場合には人的な被害が生じないという距離でございます。したがいまして、百七十メーター離れておりましても、たとえば窓ガラスが割れるといったようなことは生ずるかと考えるわけでございます。
  71. 水田稔

    ○水田委員 そうじゃないのです。たとえば漏れる場合もある、あるいは爆発というのは一番こわいので、そんなことがあってはなりませんが、そのタンクが爆発した場合に人間に被害を及ぼすその距離は幾らという想定ですか。  それから、時間の関係がありますからついでに伺いますが、いまの基準からいってその場合の防災の、たとえば消火栓とか噴き上げる噴水ですか、そういうような防災上の設備の基準というのはどういうものがありますか。含めて御答弁いただきたい。
  72. 松村克之

    ○松村政府委員 お答えいたします。  私の説明が不十分だったかと思いますが、四万トンのタンクの場合に、これが若干ひびが入りまして少量の漏れが生ずるといったような場合には、いま申し上げました百七十メーターよりは低いわけでございまして、私ども考えておりますのは、その四万トンのタンクそのものが全体的に破壊するといったような状況考えているわけでございます。  また、いま御質問がございました防消火設備能力についての点でございますけれども、高圧ガス取締法におきましては、防消火設備につきましては、液化ガス貯槽の温度上昇を防止するために、貯槽の全表面に噴霧、散水ができる措置を義務づけております。また、貯槽のいずれからも放水できるように消火栓を設置する。球形の貯槽等につきましては、支柱の断熱材の被覆等を行っておりますし、また防火設備といたしましては、固定式の放水銃あるいは移動式の放水銃さらに放水砲を義務づけておりまして、次に消火設備といたしましては、粉末消火剤あるいは不活性ガスの保有等の設備を設置させているわけでございます。
  73. 水田稔

    ○水田委員 こればっかりやっていると時間食うのですが、安全の問題ですからね。  私は、事故というのは、たとえばこれまでの海難事故を見ても、新潟へ流れ着いた船の場合でもありますし、あるいは私の地元では三菱石油の重油の流出事故というのが、あってはならぬことが起こるのです。ですから、その場合でも、装置というのは一〇〇%事故がないということは言えない、だからコンビナートというのはできるだけ民家から離してやっておるわけでしょう、あってはならぬことですけれども。それをLPGとかLNGとかいうようなものについては、大変危険なものですから、そういう点では最悪のときを考えた安全性ということを考えなければならぬ。たとえば、タンクが燃え出して、そのそばにある、上、三十メーターのところにある消火栓を持っていけと言ったところで、火の海になって、その消火栓は使えぬわけですね。そういう点は現実にあるのじゃないか。  あるいは、確かに保安規則の九条の三には「貯蔵設備または処理設備には、水噴霧装置またはこれと同等以上の防火上および消火上有効な能力を有する設備を設けること。」こうなっておるわけですが、実際にそうなっているかどうかは、大変おくれておると思うのです。だから、単にその言葉だけとかあるいは実際には少量漏れたときを想定して百七十メートルなら大丈夫という感覚なら、これが全部いったときには恐らく何キロという幅は生きておれないでしょう。だから、これからLNGとかLPG備蓄考えていくというなら、石油タンクも一緒ですが、そういう点ではもう少し安全というものに対して本当の意味での安全を考える、見直しをやるべきじゃないか、そういうぐあいに私は思うのです。ですから、何遍やっても同じですから、いまの状態で大丈夫ということは、それは局長も言えないと思うのですね。その点を一遍、もうこれ以上聞きませんから、その点での再検討をぜひ要望しておきたいと思います。いかがでしょうか。
  74. 松村克之

    ○松村政府委員 御指摘のように、安全という問題につきましては、これは一〇〇%ということは、もちろん、理論上はともかくといたしまして、現実には非常にむずかしいものでございまして、私どもは、それに近づくようにできる限り努力する必要があるというふうに思うわけでございます。特に、今後こういった法律趣旨等に基づきまして、LPG備蓄が進んでいくということを考えますと、私どもといたしまして、いま御指摘のありましたような点も含めまして、さらに安全のため、保安のための検討を続けていきたい、かように考えております。
  75. 水田稔

    ○水田委員 それでは、次は、LPG、LNG、それぞれ危ないものなんですが、これはローリーで陸上も運ばれるわけですね。この間の日本坂の事故のように、大変危険なものを積んだローリーがたくさん走っておるだけに、二重、三重の災害が起こってくるわけです。これからそういうものがふえてくるわけですが、この陸上輸送についての安全対策といいますか、そういう点では、どういうぐあいに対策がとられておるか、伺いたいと思います。
  76. 松村克之

    ○松村政府委員 LPGの輸送、特に陸上輸送の問題につきまして御説明いたしますと、LPGを陸上輸送する場合には、幾つか方法がございますが、主としてタンクローリーによる輸送が大宗を占めているわけでございます。そのほかにタンク車等の輸送も若干ございます。  これらの陸上輸送をする場合の安全対策につきましては、高圧ガス取締法に基づいて規制を行っていることは御承知のとおりでございますが、タンクローリーで輸送する場合について申し上げますと、ローリーの容器は、これは都道府県の知事に届け出のあった容器製造業者がこれを製造することになっております。また、製造した後は、通産大臣等が行う検査に合格したものでなければならないわけでございまして、また、当該容器につきましては、完成後定期的に再検査を義務づけているわけでございます。また、一方で、輸送業者につきましては、タンクローリーで石油ガスを輸送する場合には、以上の検査に合格した容器によって行わなければならないことはもちろんでございますが、さらに、この輸送をいたします場合に、事前に通産局長の確認を受けた道路、輸送する道路自体通産局長の確認を受けた道路を通行するということになっております。また、輸送をする場合には、移動監視者という監視者を同乗させまして、消火設備及び災害発生防止のための資材等を携行することが義務づけられているわけでございます。
  77. 水田稔

    ○水田委員 運輸省おいでになっておると思うのですが、陸上の場合は、製造するところ、保管する場所、移動する場合、危険物の場合は危険物の取り扱いの資格を持った者、高圧ガスなら高圧ガスの取り扱いの資格を持った者を必ずつけるということになったのですが、船の場合は、船員免許があれば、きのうまでマグロ船の船長であった者が小型タンカーの船長としていける。まさに危険物あるいは高圧ガスの問題についてはほとんど専門的な知識がないというように聞いておるわけですが、それは免許がないままに走っておるわけでしょうか。いかがでしょうか。
  78. 亀甲邦敏

    ○亀甲説明員 お答え申し上げます。  船の場合、まず船舶職員法という法律で船舶職員について一定の知識、経験を要求しているわけでございますが、それと別に、特にタンカーのような引火性の液体類を運送いたします危険物運送船につきましては、別途安全担当者という制度を置いてございまして、この安全担当者になる人につきましては、国が指定いたします特別な講習を受けて、そういう講習を受けた人でなければこの船舶を運航できない、こういう仕組みになっておりまして、これが船員法に基づきます船員労働安全衛生規則において定められております。
  79. 水田稔

    ○水田委員 それは製造設備なりあるいは陸上の資格と全く同じものを取得するわけですか。それとも全然違う講習を、どう言いますか、資格をとるほどではないけれども講習で済ますという、大体それよりレベルの低い講習ぐらいで済むのですか。全く同じものですか。
  80. 亀甲邦敏

    ○亀甲説明員 特に全く同じ資格というものではございませんで、こういう物を輸送する場合の基本的な知識というのは、船舶職員の試験を受ける際に要求されておるわけでございますが、それに加えて、特にこういう船舶に乗り組む人たちにつきましては、一定の講習を義務づけるということで、特にこれに試験をするとかいうことではございませんで、講習を受けることを義務づけておるということでございます。
  81. 水田稔

    ○水田委員 その点がやはり私は陸上よりも、たとえばLNGタンカー四万五千トンですから、船の運航も大事ですが、危険ということについては陸上の大量の基地と全く同じあるいは製造設備と同じような危険性が存在すると思うのですね。そのために、たとえばガスの特性その他をよく御存じないから裸電球を持って入って爆発する。これはガスの特性というものが十分に理解できていないから。そういう事故も現実に起こっておるわけですから、もう少し厳密な資格要件を備えたそういう資格をとらすような方向で考えていただかないと……。これは陸上もさることながら、特に今度のLPガスのいわゆる輸入基地を見ましても、ほとんどが一番海上交通の多い東京湾、瀬戸内海沿岸あるいは伊勢湾、こういうところへ入っておるわけですから、そういう点では、LPGとかLNGあるいは石油タンカー等についてはもう少し運輸省の方も、いわゆるこういう爆発物あるいは可燃物といいますか危険物の扱いについて厳重な指導をしていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。  それからもう一つは、これが港へ入って、シーバースなり岸壁に着いての場合ですが、これは両方でお答えいただきたいのですが、私が聞いたのでは、パイプを結合したそのシーバースの結合したところからおかが消防庁、いわゆる地方自治体の消防の責任、ここから先は海上保安庁ということですね。陸の方はいわゆる消防署があり、それから石油なりそういう扱いをするところはそれぞれ消防隊、自衛消防も置いてあるわけですね。接合した場合、たとえば海の上で事故が起こって燃えるとかそういうことが起こった場合、これは本当言えば陸の方が——法律上の問題ですけれども、陸上には消防法がありますけれども、海上には海上消防法というのがないわけですから、海上保安庁の所管ではあろうと思いますけれども、そこらに法の盲点があるのじゃないか。  それからもう一つは、陸上では、さっきお話があったような計算をして安全な距離というのがある。ところが、タンクがすぐ近く、五十メートルのところにあって、何万トンのタンカーが接岸して、そこで荷役をする場合は両方とも危険なタンクなんですね。しかし、そこではまさに片っ方海ですから、その法律の適用はないというような問題がある。ですから、接岸の荷役中の安全対策というのは、そういう点では法の盲点があるのではないか。あるいは実際運用上、恐らく協議会のようなものをそれぞれのコンビナートではつくってやっておりますけれども、もう少し整備する必要があるのじゃないか。そういう点はいかがでしょう。消防庁それと保安庁、両方お答えいただきたいと思います。
  82. 椎名泰

    ○椎名説明員 お答えいたします。  船舶に関しましては、予防規制上の問題につきましてはこれは船舶安全法に基づいて行われてございまして、陸上においては消防法が当然対象になるわけでございます。先生先ほどおっしゃったように、接合部分から陸上の部分は消防が対象になる、係留されている船舶につきましては、消防対象物、防火対象物と言っておりまして、あくまでも消防活動上の対象になっているわけでございます。したがいまして、消防は、その係留中におきます船舶に災害が起きた場合にどのように活動するか、これは消防計画等に盛り込まれておりまして、一たび災害が起きたならば、化学自動車、高発泡作業車、高所放水車、原液消防車あるいは消防自動車等、救急車あるいは消防艇も含めまして一体として防御に当たる。そしてさらには、そこに組織されております、コンビナートの場合は、そこの自衛消防隊等も合わせまして防御活動をする体制になっておりまして、また、日ごろもそのような訓練をしているわけでございます。
  83. 新井佼一

    ○新井説明員 ただいま消防庁の課長の方から説明したようなやり方でやっております。
  84. 水田稔

    ○水田委員 たとえば東京湾でタンカーと外国船ですか、衝突しましたね。あれは海の上ですけれども、燃えてしまうまであれほど、小さい船でもとにかく手がつかないわけですね。実際に燃えてしまうまでどうにもならぬ。日本で起こった大きなものというのは皆そうなんです。いま実際にコンビナートへ入っておるタンカーを見まして、何万トン、二十万トンとかそういうことは言いませんけれども、たとえば四、五万トンのものでも、事故が起きたときに対応できる体制が陸と海できちっとできておるかどうか、私は疑問に思うのですが、その点はいかがですか。
  85. 新井佼一

    ○新井説明員 お答えいたします。  いま、船の問題かと思いますが、一応船舶の火災につきましては、船舶安全法に基づきまして所要の消防設備の設置がなされておりまして、乗組員の手で応急消火が可能なようにされております。  また、海上交通安全法というのがございますが、これは東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の三海域に適用されている法律でございますが、その特定の航路を航行する大型タンカー、LPG船、LNG船等に対しましては、一定の能力を有する消防船の配備を義務づけております。また、タンカー等の危険物荷役に際しましては、当庁といたしまして、一定の能力を備えた消防船を配備させる等の指導を行っているという状態です。  さらに、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律がございまして、これに関しましては、火災船の船長、バース管理者等に対しまして、消火等の応急措置を講ずることを義務づけるということを行っている、それが現状でございます。
  86. 水田稔

    ○水田委員 「一定の」というのは、どの程度のものなんですか。たとえば、四万五千トンのタンカーがどの程度のあれがあれば対応できる、たとえばそれが一挙に火を吹いたときに、あるいは爆発したときに対応できるだけのものが陸上、海上を通じて私はまさにないのではないか、そう思うのですが、いかがですか。「一定」というのはどの程度のものですか。
  87. 新井佼一

    ○新井説明員 ちょっと必ずしも正確じゃない面があるのですが、先ほど申し上げました「一定の」と現在申しておりますのは、たとえばVLCCのタンカーが火災を起こした場合、二つのタンクが燃えた場合を想定しておりまして、VLCCであれば六万トンのタンクの火災について対応できる消火能力、それを「一定の能力」と言っております。
  88. 水田稔

    ○水田委員 その点はその程度にしておきます。私は、それほどのものができておるとは——いままでの事故のときの対応を見ておると、全く手がつかない、それがいってしまうまでは仕方がないというのが大半の例であります。  それで、時間の関係もありますから、航行の安全の問題について、東京湾、瀬戸内海、明石海峡あるいはまた伊勢湾、特に航行の激しいところでありますが、ここの通航量、そして海難事故の状況を海上保安庁の方からお答えいただきたいと思うのです。
  89. 加藤書久

    加藤説明員 お答え申し上げます。  海上保安庁の方では、現在港則法という法律で、特に船舶交通のふくそうする港につきましては交通安全を図っているわけでございますけれども、そのうちの特に船舶交通がふくそうしている港につきましては、入出港届というものを出しまして船舶の出入港の状況を把握しているわけです。  それによりますと、たとえば昭和五十四年で全国の特定港への入港船舶数が約百十五万隻でございます。そのうち東京湾、伊勢湾、瀬戸内海という三つのふくそうする湾内の港につきましては約七十四万隻ぐらいの入港隻数がございます。全国の約七割ぐらいの船が入ってきているということでございます。これは大体ここ数年間、状況は横ばいと言っていいかと思います。  次に、そういう三大湾におきます海難の発生の状況でございますが、昭和五十四年について言いますと、全国で二千百四十五隻のいわゆる要救助海難という海難が発生しておりますが、そのうち東京湾、伊勢湾、瀬戸内海につきましては、約三分の一の七百七隻の海難が発生しております。この海難の発生状況につきましては、大体ここ数年、横ばいないし漸減という状況にございます。
  90. 水田稔

    ○水田委員 その海難事故の、三つの湾の中でタンカーというのはどのくらいありますか。
  91. 加藤書久

    加藤説明員 タンカーの事故につきましては、二千百四十五隻のうち七十六隻です。そして、そのうち三海域では七百七隻の全体の要救助海難のうちタンカーの事故は四十四隻ということで、大体六%前後でございます。
  92. 水田稔

    ○水田委員 これはいわゆる船の出入りが、たとえば東京湾なんかは恐らく船の数からいえば一分間に一隻くらい入っておるのじゃないかと思うのですね。そういう点では、特に東京湾、瀬戸内海というのは、船の航行という点では過密状態と理解してよろしいですか。
  93. 加藤書久

    加藤説明員 過密であるかどうかというのは、定量的になかなか言いにくいのでございますけれども、それを事故の発生件数で見ますと、先ほど申し上げましたように、東京湾あるいは瀬戸内海につきましても、最近は減少の状況にございます。
  94. 水田稔

    ○水田委員 ただし、これだけ起こっているという事態は、タンカー等について危険が存在しておる、こういうふうに理解せざるを得ぬですね。よろしいですか。  それでは、ついでにこの問題に関連して便宜置籍船の問題をひとつ聞いておきたいと思うのですが、タンカーの国際的な事故の状況を見ますと、リベリアとかパナマといった俗に言う便宜置籍船による、大きな事故というのはほとんどそういう船によって起こっておるわけです。その状況は、便宜置籍船ということで数字をつかまえるのか、あるいは外国船ということになるのか知りませんが、日本に出入りする船の、いわゆる日本の船による出入港あるいは外国船がどういうぐあいになっておるのか、その中で特に石油なりあるいはLNGなりLPG、そういうタンカーが、日本籍と俗に言う便宜置籍船とどういうぐあいになっておるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  95. 加藤書久

    加藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、昭和五十四年で特定港へ入港いたしました船の隻数が約百十五万隻でございますが、そのうち外国船は約六万隻ぐらいの状況にございます。そのうちタンカーというのは、ちょっと数字がございませんです。
  96. 水田稔

    ○水田委員 実は実態がよくわからぬようであります。ただし、率から言いますと、俗に言う便宜置籍船の事故というのは、たとえば日本法律によって船の検査もできないわけです。乗っている船員の資格も、日本の船員法によって資格を取ったものでないわけです。そして地理不案内ということもあります。  たとえば新潟の沖で座礁しましたジュリアナ号ですか、これがいわゆる便宜置籍船、リベリアのタンカーだったわけですね。たしか私の聞いておりますのでは、LPGの四万五千トンのタンカー三十隻の中にも、日本でつくって日本のものであるけれども、何隻かは外国に籍を置いて運航しておる。これがこれだけ錯綜しておる日本の、特に東京湾とかあるいは瀬戸内海、伊勢湾に入ってくるのは、これから石油備蓄あるいはLNGの備蓄をやる場合に、そういう点だけは安全という点から何とかならぬものかという気がして仕方がないわけです。  もちろん、それは海運業界というのが、そういうものも使わなければ収支が合わないという問題もあるでしょうし、全部を日本のもので運べということになれば、貿易外収支の点での、また別の面での国際摩擦が起こるかもしれない。いろいろな問題がありますけれども、少なくとも原油とかあるいはLNGとかLPGというきわめて危険なものを非常に狭い海域へ持ってくるタンカーというものは、安全という点から何とか考えなければ、これから事故はゼロということにはなり得ぬわけですから、そういう中で危険性を持った船の出入りというのはある程度の規制を考えていくべきではないか、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  97. 宮本春樹

    ○宮本説明員 お答えいたします。  原油輸送等に従事する船舶の安全の問題について御質問でございますけれども、確かに国際海運界におきまして、便宜置籍船の安全の問題あるいは環境汚染の問題あるいはそこで働いている船員の福祉といいますかソシアルライフといいますか、そういうものが一つの問題点として提起されておることは事実でございますし、また先生がただいま御指摘ありましたように、世界の海運界、特に先進海運国の国際競争力状況からしまして、ある程度そういうものを利用せざるを得ないという現状もあるわけでございますが、特にそういう便宜置籍船の航行の安全の問題、そういうことにつきましては、国際的にそういう条約をつくりまして、便宜置籍国といえどもできるだけ統一した国際基準のもとに一定の安全基準を守るようにしようではないか、あるいは環境基準を守るようにしようではないか、そういうことが一つの機運になっておりまして、IMCOとかそういう国際機関の場で統一的な条約をつくりまして、リベリア、パナマ等の便宜置籍国もそういうものに入る、そういうことを進めておる状況にございます。したがいまして、国際的な基準の面で統一を図って、安全とか環境とかあるいは船員のソシアルライフとか、そういうものは国際的に統一していこう、そういうことで安全の確保を図っていこう、そういうことでございます。  ちなみに、わが国の便宜置籍船と言われるものがどの程度あるかということにつきましては、正確な数字は、実際のオーナーと置籍国との関係でございますので必ずしも明確でございませんけれども、大体千数百万トンあるのではないかと言われます。  わが国が使っております日本籍船及び外国用船を含めまして、大体わが国は六千万総トンの商船隊を自分が保有するなりあるいは用船するなりして使っておりますけれども、その中で千数百万トン相当のものが便宜置籍船と言われており、そのうちの約半数がタンカー等である、そのように理解しております。
  98. 水田稔

    ○水田委員 石油備蓄の白島、それから上五島をお伺いしたいと思ったのですが、時間が余りありませんので省略いたします。来ていただいた方には大変申しわけないと思うのですが……。  志布志湾の石油備蓄の問題について、環境庁にひとつお伺いしたいと思うのです。  これは大隅の開発ということで、一号、二号地が工場用地、そしてそれがなかなか進まない中で、石油備蓄で三号地ということで県が進めて、石油公団調査地点に指定して調査に入ろう、こういうことであります。この地点は御承知のように白砂青松の地で、十四キロにわたって砂浜があり、そしてその沖合い一キロが国定公園の特別地域に指定されておるわけです。  一つは、日本の海岸というのは、これまでに大変な工業開発の中で大事な海浜というのが失われてきた。その中では貴重な場所でありますが、中には、そんなことを言っておるよりはむしろ石油備蓄が大事だ、あるいは工業開発が大事だということで国定公園を解除しろというような意見もあるやに聞くわけですが、一体環境庁はどういう御見解でおられるか、まずお伺いしたいと思います。
  99. 中島良吾

    ○中島説明員 御説明申し上げます。  具体的な計画をまだ承知しておりませんので、最終的な判断をすることはちょっといまのところできかねますが、志布志湾の安楽川以南の海岸につきましては、日南海岸国定公園に指定されておりまして、景観保護上非常に重要な地域になっております。したがいまして、大規模な埋め立ては国定公園の景観保護上非常に問題があるというふうに考えております。  なお、このために安易に国定公園の区域の一部解除といったようなことを行う考え方は持っておりません。
  100. 水田稔

    ○水田委員 もう一つ環境庁にお伺いしたいのです。  そういう問題がありまして、この間の知事選挙のさなかにはいろいろなことが言われておるわけです。その中で一つは、それならば環境庁の手の届かぬところで、一キロの海までが特別指定地域ならその線のところから沖は環境庁手が出ないじゃないか、こういう説もあるやに聞いているわけです。  そうしますと、これは白砂青松と同時に自然の海が見えるということでの国定公園の指定でありまして、借景が全然だめになるわけですね。そういう動きがあるということですが、たとえばそういう場合にはもう環境庁は手が出ないのか。あるいは届けだけでいいという説があるのですが、そうしますと、まさに国定公園に指定している意味がなくなってしまうということになるわけですね。事実上は国定公園の特別指定地域へ手をつけるということではないけれども、つけると同じような結果になる。そういう場合に、環境庁としてはその国定公園を守るためにいかがな手だてをお考えになるか、お伺いしたいと思うのです。
  101. 中島良吾

    ○中島説明員 御説明申し上げます。  御指摘のような沖合い一キロメートル以遠につきましては、自然公園法上の規制対象外の地域でございます。したがいまして、法律的には、環境庁は一キロ以遠につきましては物を申すことができないというのが法律的な解釈でございます。  しかしながら、御質問のようなケースが具体的になるかどうかについては若干疑問を持つものでございますけれども、具体的な計画が明らかになりました上におきまして、環境保全上もしくは景観保全上の観点から十分に判断をして、県当局と話を進めてまいりたいというふうに思っております。
  102. 水田稔

    ○水田委員 県当局は何が何でもやろう、こういうわけですね。その場合に、環境庁はそこから先は手が出ぬということになると、どういうことになるのですか。やむを得ぬということになってしまうわけですか。その場合、やはり国定公園というものを借景を含めて守っていくという立場なら、何をするかを考えるべきだと思うのです。何ができるか、何をすべきか、その点をお伺いしておるわけですから、お答え願いたい。
  103. 中島良吾

    ○中島説明員 この場合は公有水面埋立法に基づきまして、たしか五十ヘクタール以上に及ぶ免許を国が与える場合には環境庁長官の意見を求めなければならないという条項があったと記憶しております。その時点で恐らく環境庁といたしましては、公園の保護なり自然環境の保全なりという観点から意見が言えるというふうに考えております。
  104. 水田稔

    ○水田委員 意見が言える程度では自然が守れるものではなくて、むしろ自然がどうあろうとも開発を強行しようという雰囲気に現実になっておるんじゃないですか、いろいろ情報を私たち読んでみますとね。その中で環境庁が国定公園を守るために何をすべきか、何ができるのかということです。法律の条項では意見を述べるということになっておるが、意見を言ってだめだと言っても、それは主務官庁が意見を聞いただけでやってもいいわけでしょう。協議が調わなければ判が押せないという問題じゃないでしょう。その点、やはり環境庁の決意の問題を聞いておきたいのです。
  105. 中島良吾

    ○中島説明員 これは具体的に計画をまだ承知しておりませんので、どのような影響が出て、それに対応してどういうふうな判断をしていくかということにつきましては、いまの段階ではお答えできる材料を持っておりません。
  106. 水田稔

    ○水田委員 改めてまた環境委員会でやらしていただきたいと思います。  時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いしたいのですが、私がいろいろ安全性の問題を申し上げたのは、実は石油備蓄なりあるいはLPG備蓄なり、そういうことがエネルギー対策として国家の大きな柱なんだ、少々のことはしんぼうしてやれというようなことになったんでは大変だから、あえて周辺問題のことをたくさん申し上げたわけです。したがって、このLNGについても、いまの輸入業者の基地というのは大変航路が錯綜した中へ入ってきておる。そして、改めて新しい備蓄基地を求めるにしても、私は、一つは安全性の問題を大きな検討の柱にしていただきたい。もう一つは、単に量が確保されたらいいじゃなくて、少なくともエネルギー対策というのは消費者の問題を常に頭に置きながら、いわゆる備蓄だけできればいいということでなくて、消費者の立場も考える。もう一つは、そういう危険なものですから、事故がないにこしたことはないけれども、あることも考えなければならぬから、新しい共同備蓄の基地等をつくる場合は、少なくともその地域の住民との合意、コンセンサスを十分とるような、そういう総合的な配慮の中にこの問題を進めていただかないと、いいように進まないんじゃないか。その点について大臣にぜひ要望もしたいし、大臣の決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  107. 田中六助

    田中(六)国務大臣 石油並びに石油ガス備蓄につきましては、日本経済社会の発展上、民生の安定ということも含めまして非常に必要なことでございます。しかし、私どもが考慮しなければならないのは、いま委員が御指摘のように安全性と、それからそれがどういうふうに処理されるかということについての処置につきましても、十分国民の皆様の意を反映したものにしなければならない。したがって、そういう観点を十分わきまえて、これが万全を期した措置というようなことを考えつつ進んでいきたいというふうに思います。
  108. 水田稔

    ○水田委員 終わります。
  109. 野中英二

    野中委員長 後藤茂君。
  110. 後藤茂

    ○後藤委員 同僚の水田委員が本法案の中身につきましては詳細に質問をいたしましたので、私は、その周辺の点につきましてひとつ御質問を申し上げてみたいと思います。  せっかく大臣もお見えでございますので、まず最初に、これから開かれますオタワ・サミットあるいは六月に予定されているかと思いますけれども、OECDの会議と前後いたしましてIEAの会議があるやに聞いております。東京サミットあるいはベネチア・サミット等におきましても、エネルギーサミットと言われるほどエネルギーの問題が大変重要な政治課題になってまいりました。今度のオタワ・サミットはレーガン政権が誕生いたしまして初めてのサミットでございますので、アメリカの政治的意向というものが相当反映してくるのではないか。同時に、特にいま大きな問題になっております経済摩擦、とりわけ自動車摩擦等が政治的なサミットの中心議題になっていくのではないかと思いますけれども、最近のエネルギ−の状況を見ておりますと、これまたサミットにおきましてもエネルギーが重要な課題であることは論をまたないと思います。  そこで、サミットに臨むに当たりましての政府考え方、またOECDの会議と前後いたしまして開かれますIEAの会議に臨む政府考え方をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  111. 田中六助

    田中(六)国務大臣 わが国といたしましては、東京サミット以来エネルギーの問題については非常に強い関心を持っておると同時に、七カ国の主要国もこれを議題にするということを続けてきておりますので、オタワ・サミットでもエネルギー問題がやはり大きな課題になるのではないかというふうに予測しておりますし、IEAの会議はもちろんエネルギーが中心でございますので、この問題が討議されると思います。  わが国の腹構えといたしましては、あくまでエネルギーの安全性の確保、それから省エネルギー代替エネルギー確保、この三本の線は、現在もそうですが将来も変わることがないと思いますし、そういう基本概念からそれぞれの会議に臨むと思います。IEAにおいては、OPEC諸国に対してもいろいろな反省を求めることでしょうし、オタワ・サミットにおいても、OPEC諸国がいろいろ値上げをしないように、つまり産油国と消費国がうまく話し合っていくことが世界経済のためでございますので、そういう観点から討議されると思いますし、去るIEAのパリ会議におきましても、私も出席いたしましたけれども、それぞれの備蓄を促進すると同時に、備蓄した油を相互に、足らないところを譲り合うという互譲の精神、そういうものも含めまして、できるだけこのエネルギー世界経済の安定、ひいては世界の平和と繁栄に通ずるような対策、措置、腹構えで臨みたいというふうに思います。
  112. 後藤茂

    ○後藤委員 オタワ・サミットにおきましても、エネルギーが大変重要な政治課題になると考えております。  東京サミットで一九七九年、八〇年、八五年の石油輸入目標値が決められて、これを受けてIEAでも七九年、八〇年の上限値、八五年の目標値が決められたことは御案内のとおりでありますが、八一年、八二年、八三年、八四年の石油輸入目標値についてもこれから話し合われていくのではないだろうかというように私は考えるわけです。  その際に、当初は八五年下限六百三十万バレル・パー・デーということになっているのですが、最近の状況を見てみますと、これは省エネルギーの努力あるいは脱石油の努力が実りまして、実勢ではどうでしょうか、後で数字を御説明いただきたいのですけれども、現在五百二、三十万いっていませんか、五百十万、二十万ぐらいでしょうか、そのくらいの実勢にある、これをこれからどういうように見通しを立てられているのか。政府としてはやはり上限値を高くしておく方が、もし何か大変な事態に立ち至ったときも安心であるという安全保障の観点から、高いにこしたことはないと思われていると思いますけれども、私は、ある程度実勢に近づけていくということを考えていっていいのではないかと思いますので、最近の石油輸入状況というものについて御説明をいただき、同時に、それを一つのベースとして、これを一体どう理解をしながらこれからのIEAの会議に臨んでいかれるか、長官の方から御説明いただきたいと思います。
  113. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 まず最初に、最近の石油輸入状況でございますが、率直に申し上げまして五十五暦年の数字は統計が出てまいったわけでございます。パー・デー・ベースに直しますと五百万バレルと五百十万バレル・パー・デーの間、むしろ五百万に近い方で落ちついたわけでございます。なお詳細、若干まだ統計が出ていないところもございますので、抽象的な表現でございますが、おおむねそういう見当で推移したというふうに理解をいたしております。  そこで、年度ベースに直した場合にどの程度の数字になるかについては、まだ若干日にちがかかりますけれども、恐らく当初私どもが予想いたしました五百四十万バレル・パー・デーよりは相当下回る実績になると考えております。  これは、いま後藤先生が御指摘になりましたように、たとえば省エネルギーの徹底あるいは燃料転換といったようなことが大変プラスいたしまして、そういう大変好ましい結果になったと判断いたしておりますけれども、もう一つの要素といたしましては、昨年の夏は大変冷たい夏、いわゆる冷夏という問題もございまして、発電所におきます石油の消費が相当大幅に減ったという問題もございますし、それから原子力発電所の稼働が大変よかったという問題もございます。また、大変な豊水であったというような自然に恵まれたところもあったわけでございます。したがいまして、五百四十万バレルから相当大幅に落ち込んだということが、果たして構造的にそういうことになったのかどうか、あるいは一時的な、言ってみると天佑神助に支えられたのか、こういったことの見きわめをもうちょっと時間をかけてやる必要があるのではないかという考え方をしておるわけでございます。  そこで、六百三十万バレル・パー・デーという中期的な目標をどう踏まえていくかという問題になるわけでございますけれども、いま申し上げたように、現在の石油消費が減ったことをどうとらまえるかについて、はっきり言いまして、私どもまだ、完全に構造的に定着したというふうに言い切るだけの自信もないものでございますので、若干暫定的な見通しにならざるを得ないと思いますけれども、いずれにいたしましても、六百三十万バレル・パー・デーの考え方がもうそろそろ検討すべき時期に来ていることは、内心そういうふうな気持ちでおります。  ただ、六百三十万バレル・パー・デーというものが国内的に申し上げますといろいろな各種の計画のベースになっておりますし、それから国際的に見ましても、先ほど後藤先生がお示しになりましたように、東京サミットあるいはそのサミットの後のIEAの閣僚会議等で国際的な整合性を持ってつくられた数字でございますので、その辺との調整をやらない限りは、単独に日本だけで、あるいは単独に通産省だけで判定をするということもまた問題があるのではないかということでございまして、これからオタワ・サミットにかけまして、たとえばIEAの一般の理事会等におきましてそういうディスカッションが続けられていくのではないかなという気持ちを持っております。     〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕  ただ、繰り返しになりますけれども、単に六百三十万バレル・パー・デーというものが決められたからそれをあくまでも死守していくという考え方は硬直的であり過ぎるのかな、こういう気持ちは持っております。
  114. 後藤茂

    ○後藤委員 確かに、冷夏、長雨あるいは豊水、さらには原子力発電の稼働率が非常に高かった、こういう一過性的な面があったことは事実だろうと思います。しかし、私は、六〇%を占めております産業用の石油消費というものが大変な省エネ効果を来していると思う。それだけ、逆に言えば石油をがぶ飲みしておった産業構造であって、脱石油といいますか、省エネ効果が非常に期待をできるような産業構造であった、こういう点も言えるのだろうと思うのですが、このことにつきましては、相当構造的な要因をはらんでいると見ていいんじゃないだろうか。単に一生懸命がんばり、自然条件に恵まれたということを超えた、構造的な面というものは評価していいのではないだろうかということが一つ。  それから、石油というのはこれは戦略商品でございますから、あるいはまたOPEC、産油国等もありますし、また消費国におきましても疑心暗鬼の面がありながら、それぞれの相手国の展開を探りながら、数字等につきましても、目標値等につきましても出していかなければならないことはわかるのです。けれども、もう少し素直に、構造的な面に入ってきた、と同時に、またわが国石油に大きく依存をしてきた構造を変えていく非常にいい機会であるという観点から、みずから六百三十万バレルという一応のサミットでの目標値というものをもう少し下げる努力があっていいのではないか。ほかの国のカードを見ないでこちらから何も切り札を出す必要はないではないかという意見もあるかと思いますけれども、ほとんどすべてを外国からのエネルギー依存しているわけですから、むしろ化石燃料というこの大変重要な燃料を、みずからより消費をしていかないという姿勢を世界に明らかにしていっていいのではないだろうかという実は気がするわけです。私は、そのことがまた、かえって国益にも従っていくのではないだろうかと考えますし、さらにまた代替エネルギーなり新エネルギー開発に対する開発努力についても、もっと目を向けていくのではないか。  いま言われましたように、年度末で締めていかなければわかりませんけれども、仮に五百十万バレルぐらい、そしてこれはあと四年くらいでこの六百三十万というところにいくわけですけれども、年度でならしていってみたとしてもそこまではいかないようにしたいし、いまの産業構造なり消費構造から見たらいかないのではないだろうかという単なる見通しではなくて、いかしてはならないという観点から、これからのIEAの閣僚会議なりオタワのサミット等に対してもそういう確信を持って臨んでいっていいのではないか。まずそのことが自分自身に対する規制にもなっていくのではないかと考えますので、これは長官、一言で結構でございますから、重ねての質問になって恐縮ですけれどもお答えいただきたいと思います。
  115. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 私どもエネルギー政策の根幹を一言で申し上げますと、石油に過度に依存し過ぎた構造を変革するということだと思います。そういう意味で、いま後藤先生が、昨今の石油消費の低落が構造的に定着したのではないか、こういうふうに表現されましたことは、私どもは、私どもがとってきました政策が大変うまくいったということを後藤先生にほめられたのではないかという気が内心するわけでございますけれども、余りそれに甘えまして、そうばかりも言っておれないということもございますので、もうしばらく時間をおかしいただいて、本当に構造的に定着したか、あるいは若干一過性のものもあったかということも見きわめたい。そう長い時間ではないと思います。年度末で集計してみますと大体判明してくると思いますので、その時点におきまして判断をしたいと思いますが、基本的な考え方は後藤先生の御意見と全く同感でございます。
  116. 後藤茂

    ○後藤委員 二、三カ月後にこうした重要な国際会議が開かれていくわけです。それに対するわが国の心構えというものをしっかりしておかないと、六百三十万バレルになった、えらいことだと言ったあの時期と、よくよくわが国の消費構造を尋ねていってみると、確かにがぶ飲みしていた面がいっぱいあるわけですから、そういうことから、二、三カ月後に行われてまいりますこれら一連の国際会議においてわが国の基本的姿勢をしっかり踏まえておけば、あとは外交交渉ですから、経済外交の中でわが国省エネルギーへの努力のあかしが出てくるだろう。せっかく国際的には省エネルギーの優等生と見られているわけですから、これが一過性的な性格のものでなく、またもとに返ったというような形にしていかない努力をこれからもぜひしていただきたいと思うわけです。  それと関連いたしまして、長期エネルギー暫定見通しの点についてお伺いしたいと思います。  これは過去を振り返ってみますと、この見通しは五十年に策定されましたか、それから五十二年そして五十四年と二年置きに見直しの作業が進められているわけです。そういたしますと、仮に二年ローテーションといたしますと、これは五十四年の八月でしたでしょうか、したがって、ちょうどことしの八月ぐらいが一つの見直しの時期に当たっているのではないか。条件がほとんど違ってない、五十四年に立てたときの見通しとあらゆる条件がすべてその当時の見通しどおりであるということであるとすれば、このままの暫定見通しで進んでいけばよろしいかと思いますけれども、しかし幾つかの問題がございますね。  たとえば原子力発電等にいたしましても、これはそうは簡単に、この見通しどおりには私はまいらないだろうと考えるわけです。あるいはまた石炭確保にいたしましても同じことが言えるだろうと思います。それからまたLNGにいたしましてもその点が指摘できるわけでございますから、この原子力なりあるいはLNGなり海外石炭確保というものも情勢が非常に変わってきている。あるいは大臣の所信表明に対する各党のそれぞれの質問の中におきましても、たとえば石炭液化についても、答弁ではこれからも大丈夫だというような意味の答弁。これは、五十六年度予算にも計上されているから悲観的な見通しというのは立てにくいことはわかりますけれども、私は大変むずかしいだろうと思うのです。こういう新エネルギー開発というものに対しては、相当なリードタイム、時間とそれから資本を要するわけですから、ちょうど二年ローテーションの改定期に来ているのではないかと思われるエネルギーの長期エネルギー需給見通しにつきまして、大臣、どうでしょうか、見直し作業というものに入っていかざるを得ない段階にいま来ているというように理解をされていらっしゃるかどうかということをお伺いをしたいと思います。
  117. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 長期需給暫定見通しにつきましては、御指摘のように、過去おおむね二年間の間隔をもって改定が行われてきたわけでございまして、たまたま二年ということになりますと、前回が五十四年の八月でございますので、そういう意味ではことしの八月というのは符牒は合うわけでありますけれども、私がいま一番心に考えておりますのは、もし改定をするということになりますと、いま先生がお述べになりました、たとえば原子力でございますとかあるいは石炭、そういった個々のエネルギー源につきましての改定の問題よりも、むしろこの暫定見通しのベースになりました石油輸入目標をどうするかということの方に焦点が当たっているのではないか、こういう感じがするわけでございます。  これは、先ほどもお答え申し上げましたとおり、六百三十万バレル・パー・デーという東京サミットでの合意をベースにいたしまして、十年先、十五年先の見通しを立てたわけでございますので、この見通しが変わってきますと、当然に改定しなければいかぬという問題になってくるわけでございまして、個々のアイテムよりはむしろ輸入石油の見方をどう見るかという考え方によって改定を考えるべきではないか、こういうことを考えておるわけでございます。  そこで、先ほどもお答えをいたしましたとおり、もうしばらくこの六百三十万バレルの問題につきましては検討の時間をいただきたいと思っておりますので、それまで改定作業考えないということでございまして、仮に六百三十万バレル・パー・デーが変わってきたらどうなるかということになりますと、当然に全体の需要問題、エネルギーの全体の需要量をどう判定していくかということと絡まってくるわけでございますけれども、いわゆる石油以外の代替エネルギー開発につきましては、余りこれを改定をする気持ちはないという感じでございます。これは、むしろ努力目標として余り変更しない方がいいのではないか、こういう考え方を基本的には持っておる次第でございます。
  118. 後藤茂

    ○後藤委員 輸入石油六十年度三億六千六百万キロリットルということは、私はこれは少し変わってくるんじゃないかというように思いますし、いま長官がお述べになっておられますように、まだはっきりしていない不確定要素もたくさんあるわけですけれども、これからまた改定作業に入って、これは非常に大きな重要な問題ですから、いまからやはりこういったそれぞれの基礎になる数字の検討段階に入っていくべきではないかというように考えておりますので、このことは要望しておいてみたいと思うのです。  それからもう一つ、これとの関係で、私いつも大変初歩的な疑問で恐縮ですけれども、疑問に思いますのは、かつて私たちがエネルギーの問題を扱っておったころには、弾性値が一%以上であったわけです。これが少しでも下がるということになると倒産をする、失業者が出てくる、経済的には混乱を起こすというように言われておった時期があったわけです。これをいま振り返ってみますと、そうではないわけですね。  そこで、この弾性値ですね、どうも諸外国と比べてもわが国の弾性値というものは大分高く位置しているのではないだろうかというように考えます。この弾性値は五十二年度から五十六年度で〇・七七ぐらいにきておったんでしょうか、それから六十年から六十五年が〇・七五、これはいまの実勢から考えてみましても、これからの産業政策、わが国経済の構造を考えてみても、ちょっと高い。過ぎると言ったら言葉が過ぎますけれども、高いのではないだろうか、もう少し下げておいて十分に経済運営というものは成り立っていくのではないだろうか、私、個人的にはそういうように考えているわけです。いや、そうじゃない、やはり弾性値というものは相当高いところに置いておかないと、これからの経済の成長率というものは非常にむずかしくなっていくんだということなのか、この弾性値の点につきまして、長官、どんなお考えを持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  119. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 暫定需給見通しにおきましては、いま先生お述べになりましたように、最初の五年間は弾性値〇・七七、その次が〇・七五、それからその次の五年間が〇・七二という数字をはじいたわけでございます。  その根拠といたしましては、たまたまドイツでサミットが行われましたときに、各国の弾性値をどう見るかという議論がございまして、おおむね〇・六六というような数字が各国の一応のコンセンサスとして出たわけでございまして、サミット加盟国七カ国のエネルギー構造を当てはめますと、日本の場合は〇・七七程度になるということから、需給暫定見通しではそういう数字をとったわけでございます。  率直に言いまして、弾性値が高いということは、やはりエネルギーの消費効率が悪いということでございますので、これはできるだけ下げていく方が望ましいということでございます。  それから、昨年のベネチア・サミットにおきましては、このエネルギー全体の弾性値、七カ国の弾性値を〇・六に下げようということが合意されたわけでございまして、ボン・サミットのときよりは若干弾性値の目標は下がったわけでございます。  したがいまして、私どもは、できるだけ弾性値を下げていくという考え方をとりたいということでございまして、まあこの一、二年振り返ってみますと、特に石油の弾性値はむしろマイナス弾性値になっている。これはたまたま結果的にそうなっただけの話かもしれませんけれども、いずれにいたしましても、一番大きな弾性値となっております石油の弾性値がこの一、二年急速に低下しているということは、エネルギーの全体の弾性値を引き下げる方に相当いい影響を与えているのではないかというふうに考えておりますので、先ほど来御意見のございますように、長期的な石油輸入目標というものをある程度下げていくということになりますと、当然需給暫定見通し考えました弾性値というものは下げざるを得ないだろう、こういうふうに考えております。
  120. 後藤茂

    ○後藤委員 これは経済企画庁の方のことになるかと思いますけれども、いま長官がお答えいただきました点を今度は新経済社会七カ年計画に当てはめてまいりますと、いままでは新経済社会七カ年計画から数字合わせ的な性格を持たして、いまのエネルギーの暫定見通しというものがつくられてきておったんではないだろうか。逆に今度は、その実態から、また新経済社会七カ年計画の問い直しというものがあっていいのではないかと思うわけです。この成長率とエネルギーの需給見通しとの関係というものを長官はどういうようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  121. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほど私が、六百三十万バレル・パー・デーの変更につきまして国内的な調整も要すると申し上げましたのはまさにその点でございまして、私どもが需給暫定見通し考えます際にベースになりました成長率は、七カ年計画の成長率をベースにしたわけでございます。その際の弾性値が、先ほど申し上げましたように、最初の五年間が〇・七七、その次が〇・七五、その次が〇・七二というふうにはじいたわけでございまして、最後の〇・七二は七カ年計画とは直接関係はございません。したがって、七カ年計画におきます弾性値は〇・七七ないし〇・七五ということで決めたわけでございます。  そこで、石油の消費を減らした場合に七カ年計画との整合性をどう保っていくか。基本的な考え方は、弾性値を引き下げることによって石油輸入量が減ってまいりましても成長は十分達成できる、こういうような考え方に整合性を統一したいという気持ちを持っておるわけでございまして、したがって、石油の消費量が下がったらそれだけ成長が減るというような考え方でございますと、うかつに六百三十万バレルを変えるわけにはいかないということでございますので、いま御指摘の弾性値というのは、そういう意味では大変重要なキーポイントになっているのではないか、こういう考え方を持っております。
  122. 後藤茂

    ○後藤委員 この成長率の問題につきましても、先進諸国と比べますと、日本の場合には少し高いように思います。そういう意味で、どうも数字合わせ的な面が感じられるわけですけれども、両方の観点から、つまり先ほど、弾性値が一%以上でないとどうにも日本経済がえらいことになるんだというような発想をかつては持っておったわけですけれども、その辺の発想が、生きた経済実態からどんどん転換をさせられてきている。その観点からいきますと、新経済社会七カ年計画におきましてもいまの弾性値と連動させて、これは長官のところの仕事でないかもわかりませんけれども、再検討されていかなければならぬところに来ているのではないだろうか。そういう意味で、いまの長期需給暫定見通しの点につきましてはひとつ積極的に、国民が十分に理解をし、そしてまた脱石油省エネルギーというもの、これからの新エネルギー開発等に対する国民の合意、コンセンサスを得ていくような方向をとっていくための見通しを立てていただきたい。  それと関連いたしまして、これは毎回「暫定」という言葉が使われてきているわけです。この「暫定」という言葉を使わなければならない理由なり背景というものを、一言で結構でございますけれども、なぜ「暫定」という言葉がここに毎回入ってくるのか。確かに計画を二年口ローテーションぐらいで変えるのだから、余りはっきりした見通しというのでは面映ゆいということがあるのかどうか。大変幼稚な質問でございますけれども、この点につきましてお聞きをしたいと思います。
  123. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 あえて「暫定」という表現を使っておりますのは、石油の情勢につきまして大変流動的な要素が多いということでございます。やはりエネルギー構造を考えた場合、現在までのところ最大のアイテムは何といっても石油でございますし、また今後十年間あるいは十五年間を見通しましても、少なくとも五〇%は石油がウエートを占めるわけでございますので、その石油につきまして、これは国際的に見てどこの国でも同じことだと思いますけれども、確固たる見通しを立てにくいということで「暫定」という言葉を使わしていただいている、こういうことでございます。
  124. 後藤茂

    ○後藤委員 では、やはり石油というものが非常に流動的なので、これからも見通し改定作業に入っても、まあ仮に今年度見通しをまた立てる改定作業をしたとしても、やはり「暫定」というものをつけざるを得ないというようにお考えになっていらっしゃるかどうか。  これと関連いたしまして、法案との関係もあるわけですけれどもLPG輸入石油枠に入っているわけですね。最初五十二年度の実績を一つのベースにしてこのLPGの伸び率を想定いたしましても、相当大きく伸びていくように想定をされているわけですけれども、これは今後輸入石油枠から外すというようなことは考えないで、あくまでも輸入石油の中にLPGというものは含んで見通しを立てていくのか。それとも、確かに随伴ガス、まあ消費の三分の二は輸入LPGになっているわけですけれども、これは一つの独立した項目として、LNGあるいは石炭等と同じように別枠で考えていっていいのではないか。幾つかの意見があるだろうと思いますけれども、長官は、この輸入石油の中に加えて決められていることについてどういうようにお考えか、お伺いしたい。
  125. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 まず第一点の、今後見通しを改定することがあった場合に「暫定」という言葉を使うかどうかという点につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、現段階におきましても、石油情勢について確固たる中長期の展望をすることは大変むずかしいという判断をいたしておりますので、どうしても暫定見通しにならざるを得ないと思います。ただ、余り暫定見通しということばかりで不確定的なことばかり申し上げておりましても申しわけないということもございますので、昨年の国会で成立さしていただきました石油代替エネルギー開発導入促進法の中で、代替エネルギー供給目標をつくるという規定を入れさしていただいたわけでございまして、この供給目標だけは確固たるものにいたしたいということでございまして、昨年の十一月に閣議で決定さしていただいたわけでございますので、ベースになっております長期の見通しにつきましては、エネルギーバランスについては「暫定」という言葉をしばらくは使わしていただきたいと思いますけれども、少なくとも供給目標に関しましてはもう確固たるものにしていきたい、これが一つの私ども考え方でございます。  それから第二点の、LPGにつきまして石油の枠に入っていることについてどう思うかという御指摘でございますが、これは後藤先生もよく御承知のように、東京サミットで各国の石油輸入枠を決めました際の国際的な石油情勢を申し上げますと、どうしてもイラン革命後のいわゆる第二次石油ショックで、消費国がそれぞれ石油というものは余りむちゃくちゃに買わないようにしようということをベースにして決めた数字でございますので、言ってみますと、消費国間の、表現は悪いのでございますが、カルテル的なものでございまして、これ以上お互いに買わないようにしましょうということがそのベースになったわけでございます。したがって、できるだけ買いあさりを避けようという意味であの数字が決められたわけでございまして、LPガスにつきましては、同じように主として海外で産出されるものでございますので、その分を別枠にいたしますと石油の購入の上限が大きくなり過ぎるのではないか、こういう考え方が働いたわけでございまして、あの当時は、LPガスは石油枠の内数ということが決められたわけでございます。私どもは、当時は、石油の量をいかにしてたくさん確保するかということに専念した時代でございましたので、何とかLPガスを石油枠の外枠にしたいということで努力をしたわけでございますけれども、七カ国及びIEAの会合等におきまして、足並みをそろえて先進国はそういう扱いをしようじゃないかということで、まあそれに従っておるということでございまして、いまの石油情勢から言いますと、LPガスをあの中に内数に入れておっても実害はないのかなという感じはいたします。ただ、現在需給が大変緩んでおりますのも、果たして定着したのかどうか、また再び石油がタイトになってくることもあるのではないかという危険性もございますから、一応各国の合意に従ってLPガスを石油の内数にしておこう、こういう考え方は当分続いていくのかな、こういう感じを持っておる次第でございます。
  126. 後藤茂

    ○後藤委員 私がこの問題にちょっと触れましたのは、これは私の見解が違っておれば御指摘をいただきたいのですけれどもLPGというのはもともと産油国で六〇%以上捨てられておった、それを回収していきながら使っていくということになるわけですけれども、そうすると、準代替エネルギー考えていいのではないかというのが私の感じなんです。そういう準代替エネルギー的な理解ということをやれば、当然それの確保に対しての措置というものも、原子力、LNG、石炭等と同じように考えられてくるのではないだろうかという気持ちを持つものですから、したがって石油代替エネルギーの導入計画といいますか、の中に、やはりLPGに対しましても加えていく、もしくは、加えないにしてもそれと同じような対策を講じていっていいのではないか、こういう一つの私の考えがあるものですから、いま長官にこの点についてお聞きをしてみたわけですが、いかがでしょうか。
  127. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 LPGにつきましては、もう先生もよく御承知のとおり、石油の原油の精製過程において発生するガスでございまして、単独にLPガスということはあり得ないわけでございます。したがいまして、石油を扱ったことによって生ずる製品的なものでございますから、LNGとかあるいはその他の、まあ化石燃料ということで石油と同じようなものかもしれませんけれども石油以外でも採取し得るものとは違うということもございますので、やはりこれは石油と同じ扱いをするというのがいまのところ国際的な考え方でございます。先ほどお答えいたしましたように、需給が大変タイトなときは石油石油ガスを別建てにしてほしいというのが率直な私どもの希望でございましたけれども、先ほどお答え申し上げましたとおり、石油の精製過程において初めて発生してくるガスだということになりますと、石油と同じ扱いをされてもまあやむを得ないのかな、こういう考え方でございます。
  128. 後藤茂

    ○後藤委員 それでは、次に移らしていただきたいと思うのですけれども、これも私は、今度の五十六年度予算編成の中でどうもはっきりわかりにくい新しい制度が一つ生まれているわけですので、この電源立地促進交付金制度の創設につきましてお伺いをしてみたいと思うのです。  今度の五十六年度予算で電源立地促進策として、一つ原子力発電施設等の周辺地域交付金というものが創設をされております。それから二つ目は電力移出県等の交付金、さらに三つ目として水力発電施設等交付金というのが創設をされているわけですけれども、この中で原子力発電施設周辺地域交付金というのが、どうも私にはもう一つ理解がしにくいので、このことにつきまして、ひとつ政府の方で、どういうお考えでこの原子力発電施設等の周辺地域交付金というものを創設をなさったのか、最初にそのことをまずお伺いをしながら、一つ一つ詰めさせていただきたいと思います。
  129. 石井賢吾

    ○石井政府委員 最初におきます電源種別のコスト差というものが非常に大きく開いておりまして、代替エネルギーの中心的な課題として今後開発に取り組むべき一番重要なものは原子力発電であるという認識を持っておりまして、それはいま申し上げましたように、電源各種別の中できわめて低廉な電力を得られるということでございます。  原子力の場合、電力の供給安定ということと同時に代替エネルギー供給確保する。それは同時に電力料金の安定に資するという意味におきまして、代替エネルギーの中で一番力を入れて推進すべきであろうというふうに思っておるわけでございます。そういう意味におきまして、原子力発電の立地推進というのが当面大きな課題でございまして、これが先ほど申し上げました、コストがきわめて低廉であると同時に大量の代替エネルギー確保することが可能であるということと、今後のエネルギーサイクルの確立を考えますと、いわば準国産のエネルギーということにもなるわけでございまして、そういったメリットを十分に生かした形で今後の代替エネルギー開発、特に原子力発電の立地推進を行っていくべきだろうというふうに考えておるわけでございます。     〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味におきまして、時間、コスト、量、こういったことを考えまして、今後の代替エネルギー開発促進の一つの大きなテーマとしまして原子力発電を立地推進していきたいと考えておるわけでございますが、御案内のように、一応現在二十一基運転中でございまして、さらに現在電調審を終え建設中のもの十一基、さらに準備中のもの三基ございまして、全体として約二千八百万キロワット弱のものが一応めどがついておるわけでございますが、さらに六十五年度におきまして五千百万キロワットの原子力発電立地を確保するという観点からいきますと、現在の立地難航の状況からいたしますと、単に電力会社のみに任せるのではなくて、政府としてもこれを支援していきたいというふうに考えておるわけでございます。  そもそも電源立地の場合でございますと、一般の産業施設と変わりまして、雇用吸収効果あるいは増大効果、そういうものが余りございません上に、特に原子力発電所の場合にはそういういわば地域振興効果と申しますか、地域の経済振興に稗益するところがきわめて少ないという意味におきましても、全般的にその立地の難航が現実化いたしておるわけでございます。  そういう意味におきまして、第一に電源種別のコスト差が非常に大きくなってきておりまして、原子力が今後の電気供給の安定及び料金の安定の上から言っても、ぜひとも推進しなくちゃいかぬという一つの課題にこたえる必要があるという一方におきまして、電源立地地域におけるメリットというものがきわめて薄い、そういう点から、その両面をにらみ合わせまして、原子力発電地域におきます地域住民の福祉の向上あるいは雇用確保事業に資するような交付事業制度を設けたらどうかということで、今回原子力発電施設立地について施設交付金制度を設けることとしたわけでございます。
  130. 後藤茂

    ○後藤委員 言わんとするところがわからぬわけではないんです。ただ、原子力だけを取り出していく、それに第一順位をつけていく、それに対して交付金をそこだけ取り出してやるという積極的理由が実は私にはよく理解ができないわけなんです。  たとえば、政府には各種審議会があるわけですけれども、その各種審議会の中で、原子力発電については何物にも先駆けて第一優先順位をつけていくべきである、こういうような何か答申があるのか、あるいはエネルギー関係の閣僚会議がございましょうか——長官ありますか。そういう閣僚会議の中でこういう決定がなされてまいるのかどうか。つまり、原子力がこれからのエネルギー源として第一順位に置かれなければならないという現行法制上の裏づけが一体どこにあるのか、こういうことをお聞きをしておきたい、疑問がいっぱいありますので。いま御説明で、こういうエネルギー需給を考えていく場合に、原子力というものは実態はいまこうで、こういうように進めていかなければならない、そのためには電源立地を急がなければならないという御説明と、こういう交付金を置かなければならないというつながりが私には理解ができないものですから、そうした各種審議会等における答申の中で、これは第一優先順位で、あらゆる点でこの予算的、制度的対策を講じていかなければならないというようなことが出てきておるのか、あるいはまた、閣議の決定の中に入っているのか、あるいは法律的根拠はどこにあるのか、これをお示しをいただきたいと思うのです。
  131. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 法律的な根拠は特にございません。  そこで、私どもエネルギー政策の基本にいたしておりますのは、先ほど来御説明いたしましたように、一昨年の八月につくりました長期需給暫定見通し及びそれをベースにいたしました代替エネルギー開発導入促進法に基づきます供給目標、これがベースになっておるわけでございます。  そこで、先ほど後藤先生からもお話のございましたように、あの計画を改定しなければいけないという後藤先生の御指摘の中に、原子力発電所の五千百万ないし五千三百万キロワットというのはとうてい達成できないのではないか、したがって見通しを改定したらどうだというような御示唆があったわけでございますけれども、そういう御示唆がたくさんあることも事実でございます。特に、あの需給見通しの中におきます原子力発電所の位置づけについて、本当にやれるのかという御疑問があるわけでございまして、私どもは、総合的なエネルギーバランスを考えました場合に、いまの需給暫定見通し及び供給目標を達成しなければならぬという国家的な課題を負っておるというふうに実は感じ取っておるわけでございます。  そこで、後藤先生もおっしゃったように、原子力発電所が一番危ないぞ、いまのバランスからいったらなかなか達成しにくいんじゃないかという声にもおこたえするためには、原子力発電所に傾斜した何らかの政策インセンティブを与えることが必要ではなかろうか。これは、言ってみますと、そういったエネルギーバランス及びそれに基づく供給目標は、特に後者の場合は閣議で決まっているわけでございますので、原子力発電所にウエートをかけていくという考え方は現在の内閣の一つの方針であるというふうに私どもは判断しておるわけでございまして、その判断に基づいて、先ほど担当部長から御報告いたしましたような政策インセンティブをとっていきたい、こういう考え方をとっている次第でございます。
  132. 後藤茂

    ○後藤委員 長官、電源開発促進法の第二条を見ますと、「「電源開発」とは、水力、火力又は原子力による発電のため必要なダム、」云々とこうあるわけですね。それから発電用施設周辺地域整備法、これを見ますと、今度は発電用施設とは、原子力発電施設、火力発電施設、水力と逆になってきているわけです。これは別に優先順位の高いところから置いているとは私は思わないのですが、ことほどさように、理解としては私は並列的だと思うのです。  いま、内閣の方針としては優先的な扱いというように言われておりますけれども、水力にいたしましても火力にいたしましてもあるいは原子力にいたしましても、こういうように電源開発促進法においては水力、火力、原子力、発電用施設周辺地域整備法においては原子力、火力、水力と、こういうような書き方がなされているわけですけれども、並列的な中で何でこういう、周辺地域整備法というものもあるのに、今度の場合、あれは予算補助としての交付金でしょう。つまり法律に基づかない——いま第二臨調が、昨日から発足をいたしまして、補助金というものはひとつこれはなたをふるっていきたいという、土光さんも相当な意欲を持っていらっしゃる。ところが、今度の五十六年度予算ではこういうものが法律に基づかないで出てきているわけですね。このことが私はちょっと理解ができないのです。これは後で電気事業法等とも関連してまたお聞きをしてみたいと思うのですけれども、なぜ唐突に出てくるのか、このことがいまの御説明では理解ができない。つまり、この項目が上がってきたという理由にはどうもならないので、再度御質問をして大変恐縮ですけれども、そこのところをもう一度。これは短くて結構でございますから。
  133. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 電源開発促進法の記述とその後の法律の記述が違っておるじゃないかという御指摘はそのとおりでございまして、これは法律の沿革的な問題に起因するものだというふうに考えております。  そこで、先ほど私が、今回特に原子力に限定して政策インセンティブをとることにつきましての法律的な根拠はないというふうに申し上げましたが、特に原子力を取り上げたという意味での法律的な根拠はないという意味でございまして、今回の特別交付金の制度はあくまでも電源三法をベースにする考え方でございまして、そういう意味では法律的な根拠を持っているということでございます。特に原子力だけを取り上げたというのは、内閣の方針というふうに御理解をいただければありがたいということでございます。  これ以上説明をいたしますと長くなりますので、一応省略いたします。
  134. 後藤茂

    ○後藤委員 説明をしてもらった方がなおわかりにくくなるのじゃないかと思って実は私、お聞きをしたわけですけれども……。  長官、この三十億二千七百万の使い方ですね。基本単価表というのがありまして、住民の場合には三百円から九百円、企業の場合は七十五円から二百二十五円、これがずっと積算をされてこうなっているのだと思いますけれども、この配分といいますか使い方は、一戸当たり三百円から九百円と、企業には契約電力当たり七十五円から二百二十五円を地元に交付しようとするもの、そしてこの交付金を電気料金割引に使うか、それとも公共施設の建設に活用するかは県の判断による、これは「エネルギーフォーラム」に解説が出ておったわけですけれども、こう理解してよろしいんでしょうか。
  135. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先に法律の根拠を具体的に申し上げますと、私どもは、電源特会法一条二項に言う発電所施設等の立地の円滑化に資する財政上の措置として政令で定めるものということで本交付金を構成いたしておるわけでございまして、法律の枠組みにおいて政令でその具体的な根拠を設定するという考え方に立っておるわけでございます。  それから第二に、使途でございますが、いまおっしゃったように、個々の住民及び企業に対します給付金の交付かもしくは雇用確保に資する諸事業に対しまして、都道府県知事の裁量によって、そのいずれかの方法でその交付金を使用することができるというふうに考えております。
  136. 後藤茂

    ○後藤委員 自治省お見えになっていらっしゃいますか。——そうしますと、その配分の裁量は地方自治体の、特に知事だと思いますけれども、知事の権限にゆだねられてくるというような交付金が転がり込んでくるわけですけれども、所管省の通産省と自治省との間に、おまえのところに金が行くぞ、どうぞ御自由にお使いくださいということになっているのでしょうか。その予算折衝の過程での協議といいますか、こういうものはあったのでしょうか。  それからもう一つ、あるところの知事は、これは料金を減額というのですか三百円から九百円、それで使うところもあれば、あるところにおいては、いまのこの解説を読んでみますと、公共施設の建設に活用するというところにうちの方は使いたいんだ、あるところは料金割引ですか、この方に使うんだということになるのでしょうか。自治省の方の指導は、どういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
  137. 津田正

    ○津田説明員 お尋ねの新しい交付金の問題につきましては、現在私どもとしましては、通産当局からそのねらいなり趣旨なりそういうことは承ってございますが、先生指摘の具体的な手続、内容、そこいらはまだ通産当局でもなお固めておるようでございます。そういう意味におきまして、その詳細ということについてまで、まだ御相談をしておるような状況ではございません。  しかし、いずれにしましても、エネルギー政策全体の問題としまして、立地促進という趣旨に沿いつつ、地域の産業の振興あるいは地域の住民の福祉に、適法に適切に使えるように私ども今後相談してまいるつもりでございます。
  138. 後藤茂

    ○後藤委員 地域住民の福祉というのがいま言われているわけですけれども、これはほかの補助金と性格が違いまして、この電源立地の当該市町村に生活をされている方々が大変生活に困っているとかというようなことではないわけですね。これがなければあしたから困るということではないわけです。そこへ自治省としては、どうでしょうか、公共施設の整備というものに使われるということは、これはまあ電源立地の対象県あるいは当該市町村というものはそのぐらいあっていいじゃないかということで、それぞれの法の整備が行われているわけですけれども、その電力料金の割引に使われるということが地方自治体の行政を進めていく上において、やはり格差といいますかあるいは差別といいますか、こういったことを起こしはしないかということを私は危惧するのです。これは答弁が要りませんから、その点だけ申し上げておきたいと思います。  そこで、いま公益事業部長が御指摘になりました。なるほど電源開発促進対策特別会計法の第一条の第二項に「発電用施設設置の円滑化に資するため」、うまいこと書いてあると思うのですけれども、あらゆる法整備というものができているものだなと思って読みながら改めて感心をいたしましたが、しかし、この施行令の中を見ますと、第一条で、「電源開発促進対策特別会計法第一条第二項に規定する財政上の措置で政令で定めるものは、次に掲げる措置とする。」という第一条があるわけです。この中に一から八まであるのでしょうか、そして八の項目にはまだ細かくずっと出ているのですけれども、大変な長文の相当細かい、勝手につかみ金を出すようなことをやってはならぬぞということからでしょうけれども、こういう施行令の中におきましては、それぞれ「次に掲げる措置とする。」ということがずっと出ているわけなんです。この中のどこに該当するのでしょうか、公水量業部長
  139. 石井賢吾

    ○石井政府委員 五十六年度予算案が成立いたした段階におきまして、これの実施のための所要の政令改正を今後いたすということになるわけでございまして、現行の政令上それができるということになっておるわけではございません。
  140. 後藤茂

    ○後藤委員 現行の政令ができてない、予算だけは先につけてやろう、しかもこの政令は国会の論議の対象外ですか。  大臣、この政令の問題というのは、これは法律の根拠というものからどんどん逸脱していくんじゃないだろうかと思う。やはり電源開発促進対策特別会計法で指摘されておりますように、「発電用施設設置の円滑化に資するための財政上の措置」というものは確かに出てきておるのです。出てきておりますけれども、どうも無理があるのではないか。こんなことを言ってどんどん政令を勝手に改正をしていって、そして時の政府考えているように次から次にできていくというのなら、私は、法律での縛りというものがなくなってしまいはしないかという実は心配をするのですが、大臣どんなものでしょうか。
  141. 田中六助

    田中(六)国務大臣 政令は法律を母体といたします。しかしこれは閣議決定で、国会に一つ一つ諮って決めるというものではございません。その点が違うと思います。
  142. 後藤茂

    ○後藤委員 確かにそうだと思いますが、やはり政令は法律というもの、法の精神というもの、これから逸脱することは許されないと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  143. 田中六助

    田中(六)国務大臣 やはり政令の母体でございますので、その法律の精神をゆるがせにすることは、それこそその法の精神に照らして逸脱している点があると思います。
  144. 後藤茂

    ○後藤委員 そこで、この根拠になってまいりますのは、発電用施設周辺地域整備法だろうと思うのですね。これの第七条に、「政令で定めるところにより、」云々ということが出ておりまして、「整備計画に基づく事業に係る経費に充てるため、交付金を交付することができる。」となっているわけです。その整備計画というのが第四条にあるわけです。この第四条を見てみますと、どうもいまのような配分というものは縛りがかかっているように私には読めるわけです。つまり、電気料金の料金割引というようなものが、この中では読めないと思うのですね。ですから、こういった整備計画を、どんどん施行令まで入っていって、そして先ほど部長が言われたように、その政令だけ読めるように変えていくのだということになっていくと、ちょっとこれは越権というか問題が出てくるのじゃないかと思えてならないのです。  これはもっと言えば、電気事業法で第十九条に「供給規程」がございますね。この中で、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」つまり、総合原価主義がここでうたわれておりまして、「特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでない」ということが電気事業法には出てきているわけです。特定の者に対してですよ。この場合は特定の者になるだろうと思うのですが、不当な差別的取り扱いなのかどうか。つまり、いやこれは正当な差別的取り扱いというのが今度のこの交付金だというように答弁なさいますか。ちょっとそれは三百代言になってくると思うのです。  私は、これを出しちゃいけないとかいいとかということを申し上げているのじゃなしに、こういうように電気事業法の根幹にかかわっていくということに風穴をあけて、時の政府が恣意的に財政補助をしていくということが果たしていいことなのかどうか、私は非常に疑問を持つのです。だから、この点について、政令に譲る部分を時の政府の判断だけにさせてはならない。まして原子力というものは、国民のコンセンサスを得ていかなければ立地はむずかしいのです。仮に三百円から九百円ぐらい一世帯当たり出したから原子力発電所の立地がどんどん促進する、そんなこと、どなたもお考えになっていないと思いますね。  長官、どうですか、これをつけたからもうこれからは心配要らない、長期エネルギー需給暫定見通しで言っている五千二百万から五千三百万、こういうものも六十五年には十分に実現できるような道がこのことによってつくということではないでしょう。私は、たかりの構造をより強めていくことになるだろうと思うのです。水力にいたしてもあるいはLNGにいたしましても、それからこれからのLPG備蓄にいたしましても、あるいは新幹線だとか、もっと言えば高速道路だとか、いろんな社会的な施設がつくられるところは、そこに生活している人々に対する個別的な実利のメリットはないが、原子力発電所についてだけは三百円から九百円の実利メリットがあるんだということは、これはなぜなんでしょう。長官、この点について、どうでしょうか。
  145. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 まず、法律と政令の関係でございますが、ひとつ後藤先生にぜひ御理解をいただきたいと思っておりますのは、先生は、今回の私ども考えております措置が電気料金の割引というふうに理解をしておられるんじゃないかと思いますけれども、私どもは、電気料金の割引とは決して考えてないわけでございます。じゃ何だということになりますと、立地を促進するための特別な交付金ということを考えておるわけでございまして、電気料金の割引ということになりますと、御指摘のとおり、電気事業法との整合性の問題が出てまいります。したがいまして、私どもは電気料金の割引ではあり得ない、こういう基本的態度を持っておるわけでございますので、その点はぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  146. 後藤茂

    ○後藤委員 そこで、私は、この「エネルギーフォーラム」で解説している、これはあちこちでも——恐らく通産の解説だろうと思うんです、署名者がございませんからわかりませんけれども。この中で最初に私が指摘したのは、つまり「交付金を電気料金割引きに使うか、あるいは公共施設の建設に活用するかは県の判断による。」こういうようにしていることは、どちらでやってもこの交付金は使えるわけでしょう。いま割引ではないというように御指摘になりましたけれども、私は、長官、それだとまた矛盾を起こすんじゃないかというように思えてならないですね。もう一度ここのところは、これは間違いなんでしょうか。だから私、最初そのことで確認をしてみたわけですよ。
  147. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 その雑誌に書かれておることは、先ほどお答えがございましたように、二者択一の方法でございまして、都道府県知事がどういう使い方をするかにつきましては知事の判断によって決められるということを書いてあるわけでございますけれども、それはそのとおりでございます。ただ、その一つに、都道府県知事が全体として公共の福祉のために使いたいという場合はそれでよろしいんですけれども、個人に交付金を与えるという場合はあくまでも個人に交付金を交付するということであって、電気料金の割引に使うということを都道府県知事が判断するということは何もないわけでございまして、その二者択一というのは、その交付金を個人に差し上げるというふうに判断をするか、あるいは全体として地域の振興に使うか、この両方の択一という意味でございまして、あくまでも料金の割引という考え方はとってないということをぜひ御理解をしていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  148. 後藤茂

    ○後藤委員 そこは理解ができないんです。つまり、ここにも基本単価表というのがこうやって出ているわけですからね。確かに交付金という一つのトンネルですか、これを通れば、これは要するに料金の直接割引でない。知事からこう出てくる。しかし、もし知事が、よし、わかりました、当該市町村に対しては三百円から九百円、周辺市町村に対してはその二分の一、こういうようにやりましょう。これは結局は、長官がいまお答えになった形にはならないでしょう。まことに素直に、素朴にこれを読めば、具体的に森山家が三百円なり九百円を払うべき料金を払わないという形になるわけでしょう、結果的には。料金は払っている。しかし別にこれが来る。これは何で来たんですか。いや、これは原子力発電のための交付金として来ました。そうすると勘定科目ばかり違ってくる。しかもこれは電源特会でこれまた総合原価に入ってくるわけでしょう、幾らか知りませんけれども。こういうことがいま、やみからやみとは私は申し上げませんけれども——原子力開発というものは非常に重要な課題なんでしょう。国民の合意を得ていかなければできない問題でしょう。しかも国会の論議を全然経ないで、法律事項じゃないわけです。法律事項であってみたりなくてみたり、いまの答弁を聞いておりますとよくわからない。しかも電気事業法というものはある。それにも抵触してくる問題だろうというように、ずっとこれを読んでみまして、私、頭が悪いかわかりませんが、どうも理解ができないんです。  ですから、交付金なんであって料金の割引じゃないんだというのは、長官はそれで済むでしょうけれども、それじゃ当該地域へ行ってごらんなさい。あるいは周辺地域のもう一つ周辺地域に行って、いや、皆さん方には行かないけれどもあそこに行くのは交付金でありまして、電源特会法の第一条の第二項の「発電用施設設置の円滑化に資するため」に出されていくものですという説明をしたとしても、料金の割引としかとりませんよ。そういう素直な理解というものがここでなされていかなければならぬじゃないですか。私は、どうもやはりこれには疑義があるんです。言わんとするところが私が理解できないんではなくて、これをやっていけばますますたかり構造、甘えの構造というものをよりつくっていく。なぜここだけにしなければならぬか、当然出てきますよ。それに対する歯どめというものは全くないだろう。私は逆に、歯どめがないんならないでいいんです。なるほど、今度の三月の電力会社の収益を見ておりますと、一兆円近い収益を上げている。いろんな要因があるでしょう。したがって、少々の負担は大丈夫ということなのかどうか。ちょっと長官の先ほどの答弁をお聞きをいたしておりましても、恐らく長官は私が指摘する点と同じ疑問をお持ちじゃないか、こういうように思いますので、もう一度そのことについて……。  法律について賛成、反対は別です。しかし、やはり法律に基づいてなされていくべきであろう。しかも冒頭申し上げましたように、予算措置を講ずる補助金というものはやはりやめていくべきではないかという観点に立っておりますから、もっと別の方法を講じていくべきではないか。そして、もしいまのように、ただ交付金であって割引ではないんだ、こういうようにしていくんなら、発電用施設周辺地域整備法と、せっかくこういう法律がある。しかもその第四条で「整備計画」というのがあるわけです。この中で処理すればいいじゃないですか。どうでしょうか。
  149. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 最初に一つお断りしておきたいことは、いま後藤先生が、今回の措置について法律的な根拠がないと言ってみたりあると言ってみたりした、こういう答弁があったというふうに御指摘がございましたけれども、私が冒頭に申し上げましたのは、特に原子力に限って選択をしたということにつきましての法律的な根拠はないということを申し上げただけの話でございまして、この制度自身につきましては、先ほど公益事業部長から申し上げましたとおりの法律的な根拠を持っておるわけでございます。  そこで、いま先生からお話のございました交付金かあるいは電力料金の割引かという問題になりますし、これは大変大事な問題だろうと実は私も思っております。  もとの議論に戻って恐縮でございますけれども原子力発電所の立地の問題につきましては、これは私ども国家的な最大の課題だというふうに受けとめておりますし、内閣におきましてもそういう方針を出しておるわけでございまして、しからば今度の交付金を出すことによってその問題が達成されるかという御指摘に対しましては、正直に言いまして、今度の制度が五千百万ないし五千三百万を達成する最大の決め手になるとまで言い切る自信はございません。しかしながら、私どもはやはりエネルギー安定供給の責任を持っている立場からいたしますと、従来の政策パターンだけで五千百万ないし五千三百万キロワットの原子力発電所ができないということも事実でございます。ここに何らかの新しい政策インセンティブということを考えていく必要があるのではないか、こういうこともまた私どもに課せられた課題ではないかということでございまして、これが最大の決め手とは申しませんけれども、何らかの措置を講じない限りは、先生も御心配になったように、原子力の五千百万は大丈夫か、五千三百万は大丈夫かという声が世の中に満ち満ちておるわけでございますので、それに対して私どもは何らかのチャレンジをしてみたい、私どもの掲げました目標というものをできるだけ達成していきたい、こういうことの念願のあらわれの一つというふうに御理解をしていただきますと大変ありがたい、こういうふうに思う次第でございます。
  150. 後藤茂

    ○後藤委員 人情論をここで論議しているのではないのです。こういうものはやはりきちっとしておいた方が、後々の問題にもならないだろうと思うのですね。確かに政策的インセンティブをこの原子力に与えている。しかし、私は、先ほど法律を読みまして指摘をいたしましたように、その上下がないと思うのですね。あるいは代替エネルギーにいたしましても、原子力、LNG、石炭というものが並列的にあるだろうと思うのです。予算の額が多い少ないは別ですよ、あるいは内閣がその中でより積極的に進めているか消極的かということは別です。しかし、これからもしこういうような突破口を開くのなら、長官、これからは政策料金を取っていくんでしょうか。そうしますと、電気事業法の根幹に入ってまいりますよ。あるいはサービスエリアにいたしましても、独占の問題、開発の点につきましても、あるいは全国全部そういったところについては交付金を出せばいいじゃないか、つまり交付金という名の割引料金にすればいいじゃないかということに入っていきますよ。それでもいいというのなら、私は別にそのことがいけないとかいいとかということをきょう議論を申し上げようとは思っていないわけなんですが、ただ、そういうところにずっと波及効果が大きいですよ。そこまでお読みになって、なおかつ法律事項じゃなしに政令事項をいじることによってこの問題を解決しようとしておっても無理がありはしませんかということを申し上げているわけです。これは、原子力発電が推進できるとかできないとかという以前の問題です。もっとこのことに対してはきちっと答弁ができるようにしていただきたいと思うのです。私は、いま御答弁いただきましたことに対して理解ができないのです。したがって、この問題に対してはまだ納得ができませんので、委員長、保留をしておきまして、次回にまたこの問題について質問をさせていただきたいと思いますので、少なくともこういった重要なことに対しては、反対、賛成は別ですが、このことはなるほど、わかる、当然だというような理解がとれるような御答弁をちょうだいをしたいと思うのです。このことは、本当を言えば触れたいことがいっぱいあったわけですけれども、時間が来ましたので、最後に一点だけちょっと申し上げておきたいと思います。  省エネルギー法律のときにも私は指摘をしておいたのですけれども、電源の施設というのはピーク時を想定をしながら発電所の建設をしていくわけです。特に最近では夏に冷房等が使われてまいりますので、ピーク時が旧来と違って非常に大きくなってきているわけですね。これもどの資料だったかで調べてみますと、月平均の電力需要を一〇〇とした場合に、八月が一一七で五月が八八、その差が二九ある。その八月の一一七のうちの二七・七%が冷房用になっている。もしこれを六十五年度までの電気冷房による電力需要増加を見込んでいきますと、千四百万キロワットくらいになるというんです。そういたしますと、いま長官が心配されておる現在の原子力発電が稼働している規模と大体同じくらいなものが、冷房用にこれから使われるというような資料があるわけです。一方、ガスは月平均が一〇〇、そのうち一月が一三六、ピークで一番高くなります。八月が七二でその差が六四、約倍が一月に使われる。逆に言えば、ピークよりも八月は減ってきているわけです。したがって、このガス冷房に対する普及というものをやっていくべきじゃないか。これは今度の五十六年度予算では予算措置が講じられております。大変結構だと思うのですが、もっと積極的にこのことについて進めていくべきじゃないか。しかも電気事業者に対しても、このことは強く責任を持たしていくべきだろうと思うのです。電源開発に金を使うのか、あるいはガス冷房の開発のために金を使うのか。つまり、これは財政の配分の問題ですから、振りかえの問題ですから、こういうことにしてなるべくピークの上限を低くしていく。平均施設というものはできませんけれども、平均に近い施設をつくるためにぜひ努力をしていただきたい。  このことはひとつ御答弁をいただきたいのと、通産省がいま資源エネルギー庁を建設されているようですけれども、そのすぐ近くに第五合同庁舎もつくられているという。この冷暖房のエネルギー源は何を計画されているのか、お伺いしたいと思うのです。
  151. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先生指摘のとおり、電力とガス、ちょうど需要のピークが季節的に逆の関係にございまして、そういう意味におきまして、いま夏季冷房需要が電力に集中して負担がかかっておるという現状考えますと、いま先生指摘のように、ガス冷房の活用によって多くのメリットが生まれてくるのではないかというふうに思っております。  一々言うまでもないわけですが、電力、ガス両事業における設備稼働率がきわめて向上いたしますし、ピーク対応用の設備をむだに持つ必要もなくなる。それから今後、都市ガスが特にLNGを大量に導入してまいりますと、夏季電力ピーク対策石油火力をたくわけでございますから、そういう意味におきましては代替エネルギーの促進効果がきわめて大きい、多くのメリットがございます。そういう意味におきまして、先生指摘のような五十六年度からガス冷房普及のための超低利融資の対策を講ずるということのほかに、投資促進減税の対象にこれを取り上げまして大いにこの推進を図っていくと同時に、特に小型冷房用の技術開発につきましては、三年計画をもって小型ガス冷房機器の技術開発を進めていくという積極策も講じておるところでございます。  御質問の、通産省を含めました第五合同庁舎の冷房につきましては、現段階におきまして、ガス、灯油ともに併用できるボイラーを設置するということで現在考えておるところでございます。
  152. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が参りましたので……。ただ、先ほど言いましたように、いまの交付金の問題につきましては、なお次回、まだこのLPGの法案、石油備蓄の審議がございますので、ぜひひとつ明快に御答弁をいただける機会を与えていただきたいということを最後に御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  153. 野中英二

    野中委員長 次回は、明十八日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会      ————◇—————