運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-09-08 第94回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年九月八日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木島喜兵衞君    理事 天野 光晴君 理事 佐藤  隆君    理事 渡辺 秀央君 理事 池端 清一君    理事 薮仲 義彦君 理事 横手 文雄君       菊池福治郎君    工藤  巖君       桜井  新君    高橋 辰夫君       近岡理一郎君    津島 雄二君       東家 嘉幸君    中山 利生君       羽田  孜君    福島 譲二君       小林 恒人君    渡辺 三郎君       岡本 富夫君    栗田  翠君       田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  委員外出席者         北海道開発庁考         査主幹     緒方 啓二君         国土庁長官官房         審議官     川俣 芳郎君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         農林水産省構造         改善局計画部事         業計画課長   北村 純一君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     村山  昶君         農林水産省農蚕         園芸局農蚕企画         室長      近長 武治君         農林水産省畜産         局畜産経営課長 三浦 昭一君         農林水産省畜産         局流通飼料課長 日出 英輔君         農林水産省畜産         局自給飼料課長 高原  弘君         林野庁指導部造         林課長     谷口 純平君         林野庁指導部治         山課長     小沢 普照君         林野庁業務部業         務課長     松本 廣治君         水産庁研究部漁         場保全課長   川崎 君男君         中小企業庁小規         模企業部参事官 熊澤 正光君         建設省都市局都         市計画課長   田村 嘉朗君         建設省河川局河         川計画課長   岸田  隆君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局都         市河川課長   萩原 兼脩君         建設省河川局防         災課長     谷口 雅宥君         建設省河川局砂         防部砂防課長  近森 藤夫君         建設省道路局企         画課道路防災対         策室長     吉越 治雄君         建設省住宅局民         間住宅課長   伊藤 茂史君         自治大臣官房参         事官      鶴岡 啓一君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         日本電信電話公         社保全局長   菊地信一郎君     ————————————— 委員の異動 九月八日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     小林 恒人君 同日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     阿部喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  八月三日から六日までの間の北海道における大  雨による災害及び台風第十五号による災害につ  いて説明聴取  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 木島喜兵衞

    木島委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、八月三日から六日までの間の北海道における大雨による災害及び台風十五号による災害について、政府から説明を聴取いたします。国土庁川俣審議官
  3. 川俣芳郎

    川俣説明員 まず、八月三日から六日までの間の豪雨等によります、北海道におきます災害についての被害状況対策について申し上げます。  八月三日から北海道中部に停滞した前線活動により、道央中心として大雨が降り、また五日には台風十二号の影響も加わりまして、ほぼ北海道全域にわたって大雨が降ったわけでございます。  この大雨によりまして、死者八名、家屋の全半壊百二十六棟、床上浸水七千四百五十二棟、田畑冠水六万九千八百十五ヘクタール、浸水等を含めますと十六万二千ヘクタール等の被害発生したわけでございます。  このため、札幌市等十二市町村におきまして災害救助法発動され、避難所の設置、炊き出しその他による食品の給与等応急救助実施いたしましたほか、防疫活動等が行われたところであります。また、北海道庁を初め道内九十一市町村災害対策本部が設置されましたが、国、地方団体挙げまして、石狩川を初めとして各河川の増水に対する水防活動、施工中の石狩放水路緊急通水措置、自衛隊の災害派遣など万全の応急対策を行ったところでございます。  また、政府におきましては、八月六日及び十一日災害対策関係省庁連絡会議を開き、被害状況把握応急活動等に関する協議を行うとともに、原国土庁長官北海道開発庁長官団長とする政府調査団を派遣したところでございます。  石狩川を初め被害を受けた公共土木施設都市施設等については応急復旧工事を鋭意施行中でございまして、また、本復旧工事につきましても早期復旧に努めるべく、現在現地調査が行われているところでございます。  特に被害が多うございました国鉄関係につきましては、函館本線を初め道内三十二線に約九十億円の被害を生じたわけでございますが、鋭意復旧に努めました結果、特に大規模な被害を生じました日高本線、富内線、胆振線を除いて開通をしておるところであります。  農地農業用施設等被害額は約四百五億円、農作物被害額は約四百二十二億円に上っておりまして、九月下旬をめどに激甚災害指定をすべく現在作業中でございます。  そのほか、住宅被災者に対する災害復興住宅資金貸し付け中小企業機関災害復旧貸付制度発動普通交付税の繰り上げ交付等を行いました。  今後とも本復旧全力を挙げてまいる所存でございます。  次に、台風十五号による被害についての状況対策について申し上げます。  八月十六日に発生した台風十五号は、二十三日千葉県館山市付近に上陸した後、東北北海道を縦断したため、関東、甲信越、東北北部北海道等で強い雨が断続的に降ったのであります。  この大雨によりまして、死者、行方不明四十三名、家屋の全半壊百七十七棟、床上浸水六千八百六十七棟等の被害発生したのでございます。  このため、茨城県など六道県に県の災害対策本部、十六都道県の二百七十八市町村市町村対策本部が設置されたほか、竜ケ崎市、須坂市など六市町に災害救助法発動されたところでございます。  特に被害の大きかった小貝川の決壊につきましては、建設省におきまして現地対策本部を設置し、直ちに応急復旧工事を行い、すでに概成したところでございます。  須坂市の土石流被害につきましては、建設省におきまして直ちに担当課長を派遣し、被害状況把握復旧対策指導に当たりました一方、応急復旧工事に着手するとともに、緊急砂防事業年度内着手が現在検討されておるところでございます。  建設大臣国土庁長官被害現地に赴きますとともに、八月二十五日には災害対策関係省庁連絡会議を開きまして、被害状況把握、今後の措置協議を行ったところでございますが、今後も、関係省庁密接な連絡のもとに、復旧に万全を期してまいりたい所存であります。
  4. 木島喜兵衞

  5. 大坪敏男

    大坪説明員 八月三日から六日にかけての北海道における大雨による農林水産業関係被害状況と、台風十五号による農林水産業関係被害状況等につきまして御報告申し上げます。  お手元に関係資料を御配付申し上げておりますので、ごらんいただきたいと思います。  まず、左の方の「八月三日から六日にかけての北海道における大雨農林水産業関係被害状況」でございますが、八月三十一日現在でございますが、農業関係被害額は八百二十八億円でございます。  このうち農作物被害額につきましては四百二十二億円でございまして、作目別にこれを見ますと、麦類が二百十九億円、水陸稲が百億円、野菜が四十二億円等々となっております。  また、流失・埋没いたしました農地被害額は十七億円、農業用施設につきましては三百七十五億円、営農施設等につきましては十四億円と相なっております。  このほか、治山林道等林業関係被害が二百十九億円、また、施設漁具等水産関係被害が十三億円でございまして、農林水産業被害総額は千六十億円に相なっておるわけでございます。  このような被害状況に対処いたしまして、農林水産省といたしましては、被害状況早期把握のため、担当官等現地に派遣いたしましたほか、緊急の措置といたしまして、担当課長あるいは災害査定官等を数次にわたりまして現地に派遣いたしまして、農地農業用施設等につきまして、緊急排水応急対策実施、さらに災害復旧等実施等につきまして指導に当たらせたところでございますが、また、すでに緊急査定にも着手しているところでございます。  農作物関係につきましても、被災農作物手入れ病害虫防除徹底秋まき用麦等の種子の確保等営農技術面につきましても指導を行ってまいっておるところでございます。  また、農業共済につきましては、共済金早期支払い、麦の損害評価に関する特例措置、さらには既往貸付金についての償還猶予等貸し付け条件緩和措置につきまして、関係金融機関等に対しまして指導を行ってまいっているところでございます。  今後の措置といたしましては、農地農業用施設等災害復旧事業につきまして、すでに着手しております緊急査定早期完了に努め、復旧工事早期実施を図ることとしております。  さらに、今次災害につきまして、天災融資法発動及び同法についての激甚災適用並びに農地農業用施設についての激甚災指定を行うべく、目下政府部内において所定手続を進めているところでございます。  また、自作農維持資金融資枠確保及び限度額引き上げにつきましても、資金需要等を勘案しつつ、目下検討を進めているところでございます。  次に、台風十五号による農林水産業関係被害状況についてでございますが、九月七日現在での関係都道府県報告によりますと、被害総額は約千八百八十二億円となっております。  その内訳を見ますと、まず農作物でございますが、総額で千三十五億円、これを作目別に見ますと、果樹三百三十七億円、水陸稲二百七十七億円、野菜二百六億円等々と相なっております。  次に、農地農業用施設等でございますが、四百五十七億円、林野関係三百二十五億円、水産関係六十五億円という状況でございます。  今次台風十五号による災害に関します農林水産省としての当面の対応でございますが、八月二十六日、省内に、関係部局から構成されます台風十五号等災害対策連絡会議を設置いたしておりまして、関係部局の密接な連携のもと、円滑な災害対策実施に努めることといたしておるわけでございます。  また、被害状況把握現地指導を行うため、被災道県担当官を派遣いたしましたほか、圃場の排水対策農作物手入れ病害虫防除等技術指導を行いますとともに、すでに八月四日付をもちまして、既貸付金貸付条件緩和、また農業共済金早期支払いにつきまして、関係機関に対しまして経済局長通達を発しまして指導を行っているところでございます。  また、災害復旧事業につきまして、査定前着工の趣旨の徹底査定事務簡素化査定早期実施検討等も進めておるところでございます。  今後とも、被害状況早期かつ的確な把握に努めますとともに、被害状況に応じまして、資金面対策を含め適切な対策を検討してまいる方針でございます。  以上でございます。
  6. 木島喜兵衞

  7. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 それでは、さきの八月上旬の北海道豪雨と、台風十五号による建設省所管施設被害概要等について御報告申し上げます。  まず、北海道豪雨災害でありますが、八月三日から六日にかけて前線活動による記録的な豪雨があり、このため、北海道中央部中心にほぼ全道にわたり被害発生しました。  この災害による被害は、直轄災害二百十四億円、補助災害七百二十三億円、都市施設等三億円、合計九百四十億円余りとなっております。また、住宅被害は、全半壊等二百棟、浸水家屋二万六千四百五十七棟となっております。  次に、台風十五号による被害状況でありますが、台風十五号は、八月二十三日房総半島南部に上陸後、速い速度で関東東北地方を縦断し、北海道西部に達したものでありますが、このため、二十五都道府県の広範囲にわたり被害発生いたしました。  直轄災害五百四十二億円、補助災害千四百九十億円、都市施設等十億円、合計二千四十二億円余りとなっております。また、住宅被害は、全半壊等千百五十六棟、浸水家屋二万四千八百十七棟となっております。  以上、二つの災害につきましては、被害の激甚な地区に対し直ちに担当官を派遣いたしまして、被害状況調査復旧工法指導に当たらせるとともに、北海道については政府調査団としても職員を派遣いたしました。また、台風十五号による小貝川被害につきましては、現地災害対策本部を設置し、応急対策に万全を期した次第であります。  なお、両災害のうち緊急復旧を要する個所については、被災後直ちに応急復旧工事を施行し、被害拡大防止と交通の確保等全力を傾注した次第であります。さらに本復旧につきましても、現地準備ができ次第現地調査を行い、早期復旧に努めてまいる次第であります。  また、住宅被害については、直ちに住宅金融公庫を通じ災害復興住宅貸付業務を行っているところであります。  建設省といたしましては、今次両災害が激甚であったことから、今後このような災害発生を防止するためには、治水施設整備を初め、総合的な災害防止施策を積極的に講じていく必要があると考えておりますが、当面、来年度を初年度とする第六次治水事業五カ年計画の策定につきまして、今次災害実態にかんがみ、被災河川整備など、緊急に対策を必要とする事業の促進が図れるよう努めてまいる所存であります。
  8. 木島喜兵衞

    木島委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  9. 木島喜兵衞

    木島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋辰夫君。
  10. 高橋辰夫

    高橋委員 質問に先立ちまして、今回の災害においてお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表します。また、被災された各地域の方々に心からお見舞い申し上げます。  今回の災害におきまして、原国土庁長官がいち早く現地に出向いて調査をされ、さらにまた、災害対策特別委員会委員長団長とする調査団が、北海道災害に対してつぶさに現地を視察してくださいましたことに対して、深く敬意を表し、感謝するものであります。  ただ、今回の北海道のこの災害は、二カ月間に四回の災害、それも北海道においては観測史上例を見ない豪雨災害に見舞われた次第でございます。  七月五、六日の日高地方中心とした大雨災害死者一名、被害総額百五十七億円、八月三日から六日にかけての前線台風十二号による大雨災害死者八名、被害総額二千七百億円、八月二十一日から二十四日にかけての台風十五号と前線による大雨災害死者二名、被害総額八百億円、九月四日低気圧通過による大雨災害死者五名、被害総額は目下調査中というふうに言われておりますが、この北海道災害、わずか二カ月足らずの問の四回の災害を合わせますと、死者十六名、被害総額調査中のものを除いて三千六百五十七億円という、北海道にとりましては未曽有災害でありました。たび重なる災害現地の人々は茫然自失、経済的にも精神的にも立ち直りが困難な状態にあるわけでございます。特に今回の災害におきまして特色あるものは、農業災害、そしてまた治水治山の問題でございます。  私は、以下順次質問を申し上げていきたいと思います。  このたびの農業被害額は、判明しただけでも千数百億円に上る災害でございます。しかして、農家借入金は、連年の冷災害によりまして借入金五百万円を超える者が多い状態であり、平均でも百二十万円というふうになっておるわけでございます。そこで、天災融資法適用するのは一体いつになるのか。かつまた、被害額が大きいので、天災融資法かさ上げ激甚指定になると思うが、これは一体どうなっておるかを質問する次第でございます。  次に、自作農維持資金につきましては、先ほど申し上げましたように、たび重なる冷災害によりまして、もう借りても払えないような状態にあるわけでございますけれども、特例貸付限度額を設定していただけるかどうかについても御質問申し上げたいと思います。
  11. 大坪敏男

    大坪説明員 ただいま御指摘の今次北海道におきます災害、特に八月上旬の大雨による農作物等被害に対する天災融資発動の問題でございますが、本件につきましては、所定の基準を充足いたしますので、目下発動する方針のもとに所定手続を進めているところでございます。  また、同法につきましての激甚災適用につきましても、同様これを行う方針のもとに、政府部内におきまして目下協議中でございます。  そこで、先生お尋ね天災融資法につきまして激甚災害法適用があった場合の措置でございますが、御案内のように、天災資金貸付限度額は、これは一般について申し上げますと、北海道につきましては通常は二百八十万円でございますが、激甚災適用がございました場合はこれが三百二十万円に増額されるわけでございます。さらにまた、すでに天災資金の借り受けを行っている農家等につきましては八十万円の加算ということになるわけでございますので、一応そういった場合を想定いたしますと四百万円が限度となるということに相なっているわけでございます。またこの限度額でございますが、現在北海道庁資金需要調査から見ますと、十分対応し得るというふうに考えておるわけでございます。  また、次の自作農資金についての問題でございますが、融資枠の問題、また貸付限度額特例の問題につきましては、被害農業者等資金需要を十分に踏まえ、また北海道特殊事情というものもあるわけでございますので、これらも十分に勘案した上で、実態に即した適切な措置を講ずべく、目下検討中でございます。
  12. 高橋辰夫

    高橋委員 天災融資法自作農維持資金の問題につきまして答弁があったわけでございますが、北海道はこの五年間に災害冷害が六回も起きております。五十年の大雨台風災害、五十一年の冷害、五十二年の有珠山噴火、五十三年の集中豪雨、五十四年の台風、また昨年、全国的でもありますけれども、北海道は特にひどかったのでありますけれども、五十五年の冷害ということで、もう大変な痛手を受けているわけでございます。ただいまの答弁では十分対応できるというようなお話もございましたが、私も管内の全市町村を回ってみましたし、農村の方々とも現地でもいろいろなお話をいたしたような次第でございます。そこで、この天災融資自作農維持資金も結構でございますけれども、被災農家に対する制度資金等償還猶予措置を講じていただきたいと思いますが、これに対してどういうお考えかを聞きたいと思います。  それと同時に、そういう五年間で六回も災害を受けておる現状を十分把握した上で、思い切った長期低利金融措置が必要であると思いますけれども、これについてどういうお考えか、お聞きをしたいと思います。
  13. 大坪敏男

    大坪説明員 被災農家に対します、制度資金を含めました既貸付金償還猶予等貸し付け条件緩和の問題でございますが、本件につきましては、すでに経済局長通達をもちまして関係金融機関に対しまして指導を行っておるところでございまして、この線に従いまして、今後とも指導徹底を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、第二点の負債増高という実態を踏まえました金融なりの対策の問題でございますが、当面、現在の金融制度の中では自作農維持資金というものがそのための措置としてあるわけでございますので、先ほど申しましたような方針によりまして、自作農維持資金融資枠確保あるいは実態に応じますところの限度額引き上げ等措置につきまして十分検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
  14. 高橋辰夫

    高橋委員 答弁を聞きましたけれども、その程度じゃ農家災害から立ち直ることはでき得ない。六年で七回も災害を受けておるわけでございまして、本年酪農家負債というものも十分適切な措置をとっていただいたんですから、私は、それにかわるべき農家に対する思いやりのある措置を講じていただきたいと思います。  次に、農業共済金の問題でございますけれども、通常十二月に支払われております水稲共済金について損害の仮評価を行い、これをひとつ早期支払いをしていただきたいことと、また品質の低下したものについては減収として扱うよう損害評価特例措置をとる必要があると思いますけれども、これについてお答えをいただきたいと思います。  次に、規格外米政府買い入れでございます。この規格外米政府買い入れについては、昨年の冷害に準じてできるかどうかということについてのお答えをひとつ願いたいと思います。  次に、規格外麦価格差補てん措置でございますけれども、補てん金の残高が十四億円ということを聞いておりますけれども、この十四億円ではこのたびの災害には間に合いそうもないと思いますが、北海道転作奨励ということで麦に転作したのが大変多うございまして、その麦がほとんど壊滅状態にあるわけでございますが、そういうことで十四億円を増額できるかどうか、その可能性はあるかどうかについての御答弁を願いたいと思います。
  15. 大坪敏男

    大坪説明員 まず水稲共済の問題でございますけれども、本件につきましてはすでに経済局長通達を発しておりまして、被害が激甚な組合等におきましては、農家の要望に応じ、できる限り早期損害評価を行うよう、かつまた、その上で共済金早期支払いを行うよう指導を行っておりますし、この線に沿いまして準備が進められておるものと考えておるわけでございます。  また、今般の災害によりまする水稲被害につきまして、損害評価特例措置をどうするかという点でございますが、この点につきましても、すでに損害評価特例措置を必要とする道県につきましては、その旨早急に私どもの方に報告するよう求めておりまして、その報告を得次第、特別措置を講ずることにつきまして前向きに検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。  第二点の規格外米政府買い入れの問題でございますが、規格外米がどの程度発生するかにつきましては、やはり収穫が終わってみなければわからないという状況でございまして、現在詳細不明な状況でございます。したがってまだ結論を得てないわけでございますが、今後その発生状況を見ながら、必要があれば規格外米の取り扱いについて検討することといたしたい、かように考えておる次第でございます。  また、規格外麦価格差補てんの問題でございますが、本件につきましては、まだ農産物検査を終えたものは一部でございまして、要綱に従いますところの価格差補てん措置発動要件に該当するかどうか判断しかねているわけでございますが、ただ、先生指摘の基金の総額は確かに十四億円余でございまして、この金額の範囲内におきまして、今後検査結果が明らかになった段階で、実施要綱に従って適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、御指摘の積み増しの問題でございますが、実は本措置のための基金の増勢は五十二年度に行われたという実績があるわけでございますが、その際はあくまでも五十二年度限りの措置として行われた経緯がございます。そういう経緯等踏まえますと、今回の災害が激甚であるということについては十分認識はしているわけでございますけれども、積み増し自体は非常に困難であるというふうに考えているものでございます。  以上でございます。
  16. 高橋辰夫

    高橋委員 とにかく、規格外米あるいは麦の問題については、今回の災害事情を見ましてもその面積も非常に多いような状態でございますので、幾ら行財政改革の時代に入るとはいいながらも、ひとつ十分適切な処置を講じていただきたいと思う次第でございます。  また、今回の災害では特に野菜災害が多かったわけでございます。水稲はどちらかというと水につかっても非常に強いのですけれども、畑作物は大体水をかぶってそれが引いてしまえば、もうニンジンは根腐れ、あるいはジャガイモもそうでございますし、ビートも葉が全部死んでしまうというようなことで、かぶった地区の野菜等についてはもう壊滅状態でございます。  調査団団長委員長も、農作物の救済は共済と融資しかないんじゃないかというふうにも地元で言っておられましたけれども、特にこの野菜の共済制度というものは私は非常にむずかしいと思います。その年々の価格もあろうかと思いますけれども、少なくても災害に遭った野菜農家というものをひとつ救済する方法がないものか。これは国の方では五十二年度から野菜共済制度の基礎調査に着手しておるというふうに言われておりますけれども、例年どうも雨の降るあれが多くなってきておるわけでございまして、冒頭にも申し上げましたように四百ミリ、地域によっては五百ミリも降っておるわけでございます。  昭和二十九年だったと思いますけれども、台風十五号の災害で新冠町等は大変な被害を受けましたけれども、そのときは二百ミリ台であった。年々だんだん降雨量が多くなってきておるということになれば、こういった野菜の共済制度というものも急ぐ必要があるのじゃないかというふうに考えておりますけれども、これらについてどういうふうな考えをお持ちか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。  それから、今回の台風でもって果樹園が大変な災害を受けました。果樹には共済はありますけれども、中には共済に入ってないところも多くあるということをお伺いをいたしておるわけでございます。この果樹の倒木、損傷を受けておることに対して、改植更新というものが必要になってきておるわけでございますけれども、これらの災害の救済には、果樹に関係する行政上で救済できるものはしていただけるかどうかということをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  17. 大坪敏男

    大坪説明員 まず第一点の野菜共済の問題でございますが、先生御案内のように、野菜のうち園芸施設内で栽培されるものにつきましては、すでに昭和五十四年度から園芸施設共済の一環として対象としてまいっておるわけでございます。したがいまして、未実施ということで問題があるのは露地野菜についてでございますが、この露地野菜の制度化につきましては、昭和五十二年度から調査研究を始めているところでございます。現在キャベツ、白菜、タマネギ等六品目につきまして調査を進めているという段階でございます。また、このうちキャベツ、白菜及びレタスにつきましては、一応基礎資料の収集等も終わりましたので、本年度から試験調査に着手をしたという状況にあるわけでございます。  ただ、先生もただいま御指摘のございましたように、野菜、特に露地野菜の共済制度化につきましては幾つかのむずかしい問題があるわけでございます。たとえて幾つか申し上げますと、露地野菜は価格の年次変動が非常に大きいということもございまして、広範囲な災害によりまして収量がかなり減少した場合は、むしろ価格が高騰して、災害により収量が減少しても平年以上の収入を得る場合もあり得るということもありますし、また豊作で価格が著しく低落した場合には、災害を受けない場合よりもむしろ災害を受けて共済金支払いを受ける方が有利となるということもあるわけでございまして、こういった非常にむずかしい基本問題があるわけでございますが、引き続きまして、先ほど申し上げました六品目を中心として調査研究なり試験調査を進めまして、その結果等を踏まえて制度化について検討いたしてまいりたい、かように考える次第でございます。  第二点の、果樹の倒木、損傷等の樹体被害対策の問題でございますが、確かに、特に台風十五号による災害におきましては果樹の受けました被害が非常に多うございまして、早速現地に果樹担当の専門官を派遣する等、その実態把握に努めておるわけでございますが、現時点で把握いたしましたところによりますと、被害の主体は落果による果樹被害である、樹体被害の割合は小さいという点がございますし、また集団的な改植を必要とするような樹体被害発生地区は少ない、そういう状況にあるようでございます。このようなことから、当面改植を必要とする農家に対しましては、農林漁業金融公庫資金におきまして植栽資金の道もあるわけでございますので、こういった資金の融通等を通じまして生産の早期回復に努めてまいりたいと考えておるわけでございますが、なお引き続き、被害状況につきましては実態把握に努めてまいるというふうに考えておるわけでございます。
  18. 高橋辰夫

    高橋委員 原長官がお見えになりましたので、先ほど国土庁の報告をお伺いいたしましたが、長官におかれましてはもう相次ぐ災害で、大変陣頭指揮で現地にも入られ、あるいはまた災害復旧に対する適切な指示をされておることに対して、感謝を申し上げる次第でございます。  ただ、九月下旬までにはというようなことも聞いておりますけれども、激甚災指定が大体いつごろになるか、それだけ一つお伺いしたいと思います。
  19. 原健三郎

    ○原国務大臣 大変北海道災害について御心配、御心痛、また多くの被災者に対して心からお見舞い申し上げます。  それで、これは国土庁を中心として政府の方でいろいろ調査を進めてまいりまして、大体北海道各地からの状況報告も集まってまいりました。近くこれを激甚災指定にいたしたい、こう思っております。それは大体いつごろかと申しますと、二十日過ぎにやりたい、それは閣議を通して政令で公布いたしたい、こう思っております。
  20. 高橋辰夫

    高橋委員 農業関連の質問を続けたいと思います。農業関連と申しますけれども、実は軽種馬生産農家で、今回の災害で、ちょうど八月上旬のあの異常な集中豪雨ということで、刈って干してあるものは全部腐り、また冠水、浸水等によって牧草がだめになってしまいました。どうも軽種馬生産というものは農業としての取り扱いにされておらない現状でありますし、ところがその牧草地は農地法の適用になっておるということで、どうも軽種馬生産ということでそれを除外されておるというような傾向にも見られます。しかしながら、この軽種馬生産者の大半は実は農業者でありまして、それが軽種馬生産に変わったということになって、言いかえれば、いまの転作奨励ということからすれば、そういうことを前もってやったのが大半じゃないかということでございますけれども、今回の災害において競走馬が亡くなったということもございます。これは家畜共済で救済できますけれども、この被災地の軽種馬生産者は、越冬飼料に一体どうするかということで大変困り果てているというような状態でございます。非常にむずかしい問題ですけれども、この軽種馬生産農家に対して何らかの対策を講じられないかどうかということをひとつお伺いをいたすとともに、そういうことで、申し上げましたように軽種馬生産者は農家から転業した、いままでは畑をつくりあるいは米をつくっておった方がそういう軽種馬生産に変わったという事情をひとつ今後とも十分参酌していただきたいと思います。  次に、大変これはむずかしい問題じゃないかと思いますけれども、昨年は全国的な冷害によって転作の生産調整というものを緩和していただいた。端的に言いますならば、今度の北海道農業災害というものは、特に米の生産の中心地帯が冠水、浸水によって大きな災害を受けております。かてて加えて、昨年の冷害とことしの集中豪雨災害、そしてまた、北海道は他の府県に比べて五〇%に近い転作を強いられておるというような実情もございます。今回の災害というものを十分考えていただき、畑作物に比べても大変な被害をこうむっており、中には一週間以上も冠水をしておった水田がたくさんあるわけでございまして、今度はこういったことをひとつ温かい目で見ていただいて、何とかひとつ北海道に対する特別な軽減措置を講じていただけるかどうかということについて、御顧問を申し上げたいと思います。
  21. 高原弘

    ○高原説明員 ただいま先生からお話のございましたように、八月の豪雨あるいは十五号台風等で牧草類の浸冠水あるいは倒伏等による被害が生じておるところでございまして、こういう状況から、お話にございました越冬用の粗飼料の確保という点につきまして、畜産というサイドから、一つはやはり生育中の飼料作物の効率的な収穫調整あるいは収穫した飼料の有効利用、つまり収穫時期、天候等によりまして乾燥、サイレージ等に的確に利用していくというようなこととか、あるいは稲わら乾燥など不足いたします粗飼料を補てんするなど飼料資源の有効利用を、農協あるいは市町村等が畜産農家なり稲作農家との連携を保ちながらこういう面での流通の円滑化を図ってまいるとか、あるいは稲わらなりスイートコーンのからあるいはビートトップ等、いわゆる農業副産物の活用などにつきまして、畜産局長通達を発しまして指導を行っておるところでございます。  今後ともこういう点につきまして、道とも密接な連絡をとりながらこの指導徹底を図ることによりまして、粗飼料の所要量の確保という点には万全を期してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、先ほど飼料についての助成というお話があったかと思いますが、これは購入という点につきましては、費用の性格からいたしますとやはり経営資金というような性格がございますので、天災融資法発動された場合におきましては、一定の要件を満たすときはこれらの融資資金などの資金を活用することも適当であろうと考えますので、そのような方向で道などを通じまして指導をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  22. 近長武治

    ○近長説明員 お答え申し上げます。  御質問の趣旨は、来年度の転作の目標面積につきまして、今回特に被害の激しかった北海道につきまして、昨年の冷害に準じた目標面積の軽減措置を講ずるべきではないか、こういう御趣旨であったかと存じます。  先生御案内のように、水田利用再編対策につきましては、現下の米の需給事情、やはり基調としては過剰基調でございます。各地とも非常に困難な条件のもとで努力しておりまして、この転作の問題というのは日本の農業にとって避けがたい課題でございます。  実は水田利用再編対策は五十六年度から五十八年度まで三年間が第二期でございまして、そこで昨年第二期の目標がスタートする、こういう状況でございましたが、昨年は、先ほどの御質問の中でもお述べになりましたように、全国的かつ未曽有の大冷害でございまして、作況指数も八七というような状況でございます。そういう中で第二期対策を発足させなければならない、特にこの第二期対策は第一期に比べまして目標面積の相当大幅な増加というような状況がございました。かかる状況でございましたので、昨年だけの特例中の特例ということで、目標軽減という措置を講じたわけでございます。  したがいまして、今回の北海道を初めとする災害につきまして、農林水産省としてはいろいろな角度からの対策をいま検討しておりますが、この目標面積の配分につきましてはきわめて困難な問題である、かように考えておりますので御了解いただきたいと存じます。
  23. 高橋辰夫

    高橋委員 話を聞きましたら大変むずかしいことを言っておりますけれども、全国的な未曽有災害ならいいのであって、北海道の一地域じゃどうもだめだということであるのですけれども、私はその特例中の特例中の特例ということをひとつ望んでおきたいと思いますし、鬼にも涙ありというところじゃないかと思いますから、ひとつ今後において、北海道は五〇%も強いられておるのですから、そういうことからすれば北海道の水田農家は大変厳しい状態に置かれており、しかも先ほど言いましたように、ここ数年閥に六回も七回もの災害というようなことでございますので、これは収穫してみなければわからぬが、恐らく相当の被害量になるのじゃないかと私は思いますから、その点ひとつ温かい心の通った行政をしていただきたいということを申し上げておきます。  時間もなくなってきましたので、ひとつ端的に答弁を願います。  農地農業用施設災害についてでございますけれども、農地農業用施設激甚災害指定の見通しはどうか。  北海道は積雪寒冷地で冬が非常に早く来るわけでございますので、生活基盤である農地農業用施設復旧早期に行う必要があると思いますが、特に日高地方農地被害は最も大きく、早期査定早期復旧についての農林水産省考え方をひとつお聞きしておきたいと思います。
  24. 村山昶

    ○村山説明員 ただいま先生がおっしゃられましたように、緊急査定ということは私ども最大の課題にしておる次第でございます。  先ほど総括的なお話は申し上げた次第でございますけれども、若干具体的に申し上げますと、私ども八月三十一日から緊急査定に入っております。そして十月中には全部完了したいと思っております。  これは、北海道について見ますと農地で大体五百七十数カ所、農業用施設で千七百五十四カ所ということでございまして、約二千三百カ所以上ということでございます。その二千三百カ所以上の査定をこの間でやることについては非常に苦労が要るわけなんでございますけれども、これにつきましては全力を尽くしている次第でございます。  それから、査定に当たりまして、その間の中にどうしても若干おくれるところもあるわけでございます。これにつきましては、私どもは八月の二十七日に、とにかく査定が行われる前でもいいから査定前に十分着工をしておけ、そして緊急の作業をしておけ、しかもその間にいろいろと資料をつくっておけば後でちゃんとめんどうを見よう。それから、さらにまた、査定作業というのは設計書をつくるのが非常に手間暇がかかります。これもある場合には机上査定で間に合わせようとか、ある場合には積算を簡素化して持っていこうじゃないかというようなことも逐次指導しておる次第でございまして、先生指摘のような点でできるだけ最善の努力をしたいと思っておる次第でございます。  それから、激甚につきましては先ほど国土庁からお話がございましたが、私どもといたしましては、北海道の激甚につきましては、八月の二十七日に北海道知事から被害額の最終報告を受けた次第でございまして、それから直ちにその指定事務に入ったわけでございます。先ほど国土庁からお答えがございましたような点で、私どもぜひお願いしたいと思っておる次第でございます。
  25. 高橋辰夫

    高橋委員 今度は治水関係でございますが、今回の集中豪雨における石狩川水系の治水の惨状を見ました。特に石狩川の水系は三百十河川にも及ぶ中小河川がございます。しかも北海道は国土の二〇%を持っており、河川の数も大変多いわけでありますが、その中小河川をあえて私は原始河川、つまり河川改修もやられておらないのが多いわけでございまして、今回の豪雨災害におきましては、改修をやっておったところは非常によかったのでありますけれども、河川の改修が行われていない原始河川被害が非常に多かったのであります。  私は、ケネフチ川の溢水あるいは破堤等も見てまいりました。幌向川、大願川、美唄川、夕張川、ペンケ・パンケ歌志内川なんというのはそのはんらんによって砂川市が大きな被害を受け、あるいは北村もそういうはんらん、溢水でもって大きな災害を受けておるわけでございまして、今後計画改定もあろうというようなことも聞いておりますけれども、中小河川の改修についてひとつ北海道は思い切ってやってもらわなければならないと思いますけれども、それの見解をお伺いしたいと思います。  それから石狩川水系についてはいまやっており、また放水路が完成しておらなかったのを、それを切ってあの茨戸地区の水が引けるのが早かったという現場も見てまいりました。そういうことで、洪水の調節ダムあるいは治水対策等、それと太平洋に抜ける放水路について、何年も前からそういった問題が起きておるということを聞いております。今次の農業災害でも千三百億か千五、六百億だそうでございます。放水路をつくるのに大体千五、六百億かかるというのですから、それをつくれば一回の災害で助かるということになれば、これは先行投資をやることもいいのじゃないかと私は思いますけれども、この問題についてお願いをいたしたいと思います。  そういうことで、北海道の立場を十分考えた抜本的な治水対策考えるべきだと思いますけれども、これについての見解をお伺いいたしたいと思います。
  26. 玉光弘明

    玉光説明員 このたびの石狩川の大災害につきましては、大変雨量も多く、本川の水位が非常に大きかったということでございます。それに合わせまして、中流部にも雨が降りまして支川等がはんらんいたしました。また、純粋な内水も含めまして、この内水被害が非常に大きかったという現象でございます。  それにつきまして、いま先生指摘のように、治水事業が全国的に大変おくれておりますが、まず受け入れでございます本川筋の整備、それに関連しまして中小河川整備ということでやってまいっておるわけでございまして、このたびは本川筋では比較的はんらんも少なくて効果が上がったと思います。中小河川整備はおくれております。特に北海道はそうでございますが、今後ますます本川との整合性をとりながら促進してまいりたいと考えております。
  27. 岸田隆

    ○岸田説明員 先生指摘の放水路等含めた抜本的な治水対策考えるべきだ、こういう御指摘でございますが、現在の石狩川の改修工事は昭和四十年に策定されました工事実施基本計画に基づいて実施しておりますが、今回の出水をも含めまして総合的に検討した上で、この工事実施基本計画を抜本的に改定してまいりたい、かように考えております。  その中で、石狩川の支川でございます千歳川でございますが、これが石狩川本川の排水の影響を非常に受ける、また非常に大きな流域を持っておりまして、非常に低平地を流れておるということから、洪水や内水が長く滞留するという、きわめて複雑な条件をこの川は持っております。したがいまして、この千歳川を太平洋へ放水路で抜くということも一つの方法だと考えておりまして、この工事実施基本計画の改定を進めるに当たって、この計画も含めて十分に検討してまいりたい、かように考えております。
  28. 高橋辰夫

    高橋委員 時間がもうあれしましたから、二、三項目質問して終わりたいと思います。  内水対策でございますけれども、今度の災害の大半は内水における災害ではなかったかと思いますし、空知管内においても大変な災害でございました。施設は六十七ありましたけれども、機場のポンプの運転不能が十四、それから外水の上昇によって避難したものが三、外水等により浸水したものが十一ということになっておりますけれども、こういうことで、石狩川流域の内水対策について抜本的な見直しを行う必要があると思いますが、これに対してどうかということでございます。  それと風倒木の被害、森林災害について、激甚災害法に基づく森林災害復旧事業については、特定地域の被害が救済できるような基準の整備、これをひとつ、可能性の検討も含めて、復旧対策の万全を期するように検討していただきたいと思います。  それから治山事業について。日高地方は急傾斜沢ということで、ほとんどがそういう治山の必要があると思いますけれども、これらの災害復旧計画についてどういう考えかをお伺いをいたしたいと思います。  最後に、国鉄不通区間の早期復旧でございますけれども、日高本線、富内線、胆振線については、中には十一月だと言っておるものもありますし、あるいはいつになるかわからないということで、住民の不安が非常に大きくなってきておるわけでございまして、これも、もう北海道は冬を控えておるのでありますから、ひとつ早急に復旧していただくように、国鉄当局の見解をお伺いいたしたいと思います。
  29. 北村純一

    ○北村説明員 石狩川流域の内水対策につきましてお答えをいたします。  石狩川流域における既設の内水排除機場につきましては、今回の豪雨時における稼働状況被害実態等を早急に調査いたしますとともに、水田の汎用化に対処するためにも、受益者の意向を聴取いたしまして、施設の増強や改善の方向を早急に検討してまいる所存でございます。  なお、このために、従来の石狩川水系広域農業開発基本調査、これに加えまして、五十七年度には緊急排水対策基盤整備調査、こういう調査を予算要求しているところでございます。
  30. 谷口純平

    谷口(純)説明員 初めに森林被害状況について申し上げますと、今次台風十五号によります民有林の造林地等の森林被害は、昨日の九月七日現在で、十三の道県にわたりまして、相当程度の被害となっております。  特に被害が大きいのは北海道でございまして、十勝地方のカラマツの造林地が風によって倒伏するというふうな被害の態様が主体となっております。  次に、復旧対策についてでございますが、被害をこうむった森林の今後におきます復旧に当たりましては、特に森林病害虫の発生防止などに配慮いたしまして、造林補助事業などの諸制度の活用によって対処してまいりたいと考えております。  なお、御指摘の、激甚災害法に基づきます森林災害復旧事業について特定地域の災害が救済できるような基準の整備可能性につきましては、今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 小沢普照

    ○小沢説明員 山地の災害対策につきましては、まず緊急に対応すべきものにつきましては緊急治山事業、また林地崩壊防止事業等によりまして、緊要な個所から復旧の対応をしてまいりたいと考えております。  なお、長期的、全体的な問題につきましては、今回の災害実態を十分に踏まえまして、昭和五十七年度を初年度といたします第六次治山事業五カ年計画の策定におきまして、計画的な復旧治山また予防的な治山の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 村上温

    ○村上説明員 線路の不通で御不便、御迷惑をかけておりまして、おわび申し上げたいと思います。  御指摘のように、三線ともに大変な被害でございますが、橋梁の流失あるいは大切り取り崩壊等がございまして復旧に苦労しておりますが、本社あるいは技術研究所から専門家等も派遣いたしておりまして、鋭意復旧に努めております。一番早いところでは、九月十日に富内線の一部、振内までの開通を見込んでおりますほか、すべての線区について十一月いっぱいまでに何とか開通させたいと考えておりますので、しばらくごしんぼう願いたいと思います。
  33. 高橋辰夫

    高橋委員 緊急対策と恒久対策があるわけですから、特にひとつそれを十分勘案の上に、適切な処置を講じていただきたいことをお願いいたしまして、終わります。
  34. 木島喜兵衞

    木島委員長 桜井新君。
  35. 桜井新

    ○桜井委員 長官、御苦労さまでございます。  長官就任以来、長官のせいでもないのでしょうけれども、大変災害のおつきがよろしいようでございます。  昨年の秋の冷水害、ことしの冬の豪雪、そしてまた春の水害、北海道十五号、十八号の相次ぐ大災害、大変ありがたくない言葉であり現象でございますが、災害列島の名よろしく、相次ぐ災害に国民はさいなまれておるわけでありますが、その中で、長官を初め建設省農林水産省、それぞれ関係省庁のお役人さん方には、そのつど大変迅速に、しかも積極的に避難民の救済に御努力をされておるわけでありまして、この点国民も非常に感謝をし、また皆さんの御努力に大いに期待しているわけでありますので、どうぞ今次の災害に当たっても、さらに一層の御努力を御期待を申し上げておきます。  さて、せっかく皆さんが大変御努力をされておるわけでありますけれども、いまの制度の枠の中ではどうしても救い切れない問題が幾つかあると思うのであります。皆さんがそれぞれ河川農地あるいは個人個人の災害に至るまで御努力をされておる中で、どうしてもこういう点はぜひ改正すべきではないか、そして被害を受けておる立場からすれば、大きな地域の災害も、小さなほんの一、二件しか被害を受けなかった災害も、災害の程度が同じであれば、受ける側としては、つらさ、苦しさは同じであるわけでありますから、公平な行政というたてまえからいっても、そういう立場から救ってあげるべきだろう、私はこう考えております。  そういう中で、実はきょうは二つほどただしておきたいと思うわけであります。  その第一点は、災害の最中のことをちょっとお伺いしたいと思うわけであります。  先般の九月一日に、関東大震災にちなんで、国土庁を先頭に、関係省庁が防災訓練をやられたわけであります。毎年やっていらっしゃるようでございます。その中で、あの災害のことを忘れず、そしてああいう状態が起きたときにどうやって国民の生命、財産を守るかということで、それなりに頭をひねって努力をされていただいておるようでございますが、そういう中で、今度の災害、私の町は新潟県の六日町というところでございますが、信濃川の支流の魚野川でかつてない大洪水、大はんらんがあったわけであります。そのときに町じゅう、いわゆる旧六日町と言われる中心市街地全部が、これは川沿いにずっと左岸側にあるわけでありますけれども、両岸とも市街地が全部水害を受けたわけでございます。そのときに、ひどいところは私が埋まるくらいの浸水のあった所もございます。総じて大体一メートル前後だったわけでありますが、そういう中で、目の見えない人、あるいは病気の方、あるいは寝たきり老人、いろいろな立場の方もあるわけでありますが、見境なしに一斉に水が来たので、しかも日曜日の朝で、私は後でお見舞いに回ってみたら、若い夫婦なんというのは、実は布団が浮くまでわかりませんでしたというくらい、本当に急激な増水で、逃げる余地も対策もなかったような状態であります。  そういう中で、それぞれの地域でやはり一番先に心配をしたのは、いま私が申し上げたような自分で自分の身が自由にならない方、こういう方をどうやって救ってあげようかということ、それで町内の皆さんが自分の仕事もなげうって奉仕をした、そんな中で、病院に連絡をとろう、消防署へ連絡をとろう、こういうことでありましたが、残念ながら電話が全然通じなくなってしまった。どこへかけても電話が通じなくなったのです。ところが相手からは電話が入ってくる。——私は質問時間が十分間だそうでありますので、要点だけ提起をして御答弁いただきたいと思うのでありますが、担当の電電公社の菊地保全局長、それから担当理事であります稲見理事等にいろいろ詳しい情勢を聞きましたら、電話機が水につかるとそういう状態に、全部電話をかけていたのと同じ状態になるのだそうでありますが、約四百五十台くらい埋まってしまったために、一斉にこの交換機のところに行ったためにこういう現象が起きたのだそうであります。そのときにいろいろお聞きしたところが、受信と発信では全然装置が違うために、発信はできないけれども受信はできるのだ、こういうことだったそうでありますが、このことについても私は技術屋ではないから大変疑問を持っておりまして、納得できないのであります。しかし、それはそう言っておりましたので、これから勉強するとして。もう一つは、その後徐々にそういうところを全部切り離していくのだそうでありますが、浸水した電話を切り離していく過程の中で、一本でも復活できるところから、まず警察、消防署、病院、それから町役場、それから今度は公衆電話というような形で開通するような処置をとったのだそうでありますが、いかんせん、そういうところへどんなにそういうふうに電話連絡ができるようになっても、一番肝心な病人や目の見えない人、そういう人たちが水につかって苦しんでいるのを助けてきても、医者と連絡をとろうと思っても、消防署と連絡をとろうと思ってもどうにもならなかったのでありまして、私はそのことが、担当の電報電話局の職員やあるいはいま私が申し上げた担当の局長や理事が悪いと申し上げているのではございませんが、こういう現実の事態に対応してみて、どんなに防災訓練をやってみても机上の空論ではどうにもならない、そういう非常時のときにどうやって国民の生命、財産を救うか、特に自分で自由のきかない人たちをどう救うかということについては十分な配慮があってしかるべきだと思うわけであります。  それについて、やっぱり受信機の方も、何か六日町の場合を言うと、受話器をとったときに「どうぞダイヤルを回してください」という信号が出せる仕組みに二十五個しかなっていないのだそうでありますが、仮に二十五個でふだんは間に合うのだとすれば、非常時の場合に二十五個が一度にだめになるようなことでなくて、個々に分散をしておくというような措置を講じたり、それから町内町内に、公衆電話なんか水につかってしまえばドアがあかないのですからどうにもならない、使い物にならないのだから、それぞれの町内町内に責任者をあらかじめ防災体制の中で決めておいて、そこだけを通じられるようにすれば町内の人たちがいろんな連絡もとれるかと思うので、そういう配慮をすべきではないかと思っております。  まず担当の電電公社の理事さん、どんな状態でこうなったか、そしてこれについて、私からいろいろ申し上げておきましたが、いまもし仮に地震やまた同じような大洪水やそういうことが起きたときのことを考えて、どういう対応をされようとしているか、ひとつ御決意のほどをお聞かせ願い、そしてまた、国土庁長官川俣審議官も、ぜひひとつそういったことに積極的に御協力を願いたいと思いますので、御答弁をお願いします。
  36. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 台風十五号によりまして全国的に通信設備に被害を受けましたが、先生方の御指導をいただきながらいろんな対策を進めておるところでございまして、その意味では被害発生を最小限に食いとめることができたと思っておるわけでございますが、先生おっしゃいますように六日町につきましていろいろな問題がありまして、これを今後の教訓といたしましていろいろな手を打ってまいりたい。  先ほど発信が全然できなくて着信の方はできたというようなお話がございましたが、確かに、現在の技術的な観点から申しまして、冠水した電話が一度に使ったような状態になったということ、しかもそれを早く切り離すことが必要でありますが、現在の電子交換機はそういう機能はありますが、六日町の局はそういう機能がないということもございまして、御迷惑をかけた大きな一つの原因ではないか。そういうことで、早く冠水したお客さんを切り離し、一般のお客さんの電話がかかるようにするというための技術につきまして、これから検討を進めてまいりたい。これが一つございます。  それから、より抜本的には、新しい交換機に取りかえるということになりますと、自動的にぱっとそういう冠水したお客さんを切り離すことができまして通話を運ぶことができますので、それが一番いいのでありますが、これにつきましては、実は局舎上のスペースの問題でありますとか、それから投資の問題とかがございます。いま即答はできないのでございますが、この点もあわせて検討してまいりたい。  いずれにしましても、災害町に果たす通信の役割りは大変御期待をいただいているわけでございまして、今回の教訓を真剣に受けまして、お役に立てる通信確保ということに努めてまいりたい、こう思っております。
  37. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えいたします。  ただいま保全局長からハードウエア等を主にいたしましてお答えをいたしましたが、私からやや一般的なといいますか、ベースの考え方の方につきましてお答えをいたしたいと思います。  ただいま先生から、災害対策、なかんずく、電電公社は電気通信担当でございますから、電気通信機能の維持に関しまして基本的な考え方、それからさらには、それを具体的に確保するための個別の施策の考え方につきましても大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  いま一例として、先生お話にございました地域の実情と申しますか実態に応じて、たとえば一定の範囲の町内と申しましょうかそういう所に、町内会長さんのお宅ということでもいいかと思いますけれども、災害対策機関に準じたように、いざという場合優先的に通話の利用ができるような手当てをしておくということも、一つの案ではないかというお話をいただ.いたわけでございまして、私ども大変ありがたい貴重な御意見だと思っております。  つきましては、これは実際にやる場合はいろいろ関連する問題もございますし、市町村といろいろコミュニケーションを持たなければいけないという問題がございますが、基本的には、御趣旨に即しまして、また今回の単なる図上の議論ではなくて六日町の具体的な経験によってのお話でございますので、そういう経験を生かしまして、いざという場合に、これは千差万別の状態が起こると思いますが、より実効の上がる方策をつくりまして、現在私どもが持っておりますところの災害対策というものをより一層補完する、そういう角度で多角的に、しかしながら具体的に検討を進めて詰めてまいりたいというふうに考えております。  今後とも御指導をいただきたいと思います。
  38. 桜井新

    ○桜井委員 大変前向きな御答弁をありがとうございました。また、そういった新しい受信機があるのであれば、危険な地域はいっときも早く機械の交換を促進するように、長官からもぜひ御指導願いたいと思います。  次は、先ほどもちょっと申し上げましたが、被害を受けた面積、その規模によって激甚法の適用等でいろいろ問題があるわけでありますが、災害を受けた立場の人にすれば、どっちにしたってつらいことは同じであるわけであります。しかもそれを救うためのいろいろな制度がある。あれば、やはりそれに何とかひとつ適用していただきたい。これは被災者のひとしい願いでございます。  そういう中から考えて、せっかく局地激甚災害指定基準というのがあるわけでありますが、いまの行政区、市町村単位になっておるために実はこれが該当にならない。当然全町に広げれば薄まってしまって該当にならぬと、こういうことがあるのですが、法律の中には山村振興法という、これも国土庁の担当の中にございますが、これは旧町村単位になっていますね。実情を比較的よくくみ上げていただくようになっておるわけでありますが、それ以上に、まさに最悪の事態である災害という非常事態に遭遇しておる、こういう人たちを救おうという法律があるわけでありますが、いま私が申し上げたようなことでせっかくのそれが適用されない、こういうことでありますが、長官ひとつ、審議官でも結構ですが、この際ぜひ、山村振興法と同じように特定ブロックの中で採択ができるような、親切な対応をしてしかるべきではないかと思うのです。ぜひ検討をしていただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  39. 川俣芳郎

    川俣説明員 お答えいたします。  山村振興法におきます山村が旧市町村の区域によっておるということは、私どもも承知をいたしておるところでございます。全国的にいいまして激甚な災害の場合には、いわゆる激甚災指定をいたすということになっております。また、全国的規模でなくても、いわゆる局地的に激甚な災害がございました場合には、実は昭和四十三年から局地甚災害指定基準というものを設けまして、先生のおっしゃるような、細かいところまでできるだけ手が届くような措置を講じておるわけであります。  ただいま御提案がございましたが、御案内のように指定基準におきましては、実際の被害額と、ある場合におきましては農業所得額、あるいは中小企業の所得推定額、ある場合にはその市町村の標準税収入といったようなものを比較の基準にいたしまして、そこで局地激甚災害指定するかどうかを判断することになっておるわけでございますが、たとえば市町村の標準税収入で比較をいたしておるようなものにつきまして旧町村単位で標準税収入をはじくということは、これはなかなか困難なことじゃないかというふうにも思うわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、ただいまのお話につきましては慎重な検討が必要なのじゃなかろうかというふうに考えております。
  40. 桜井新

    ○桜井委員 推定所得でということになっておるわけですが、それはむずかしいかもわからぬけれどもやれないことはないと思うので、せっかくある制度ですから、やはり被災者を救うという立場で、さらに一層ひとつ検討をしていただきたいと思うわけであります。  それから、中小企業庁からは、今次の災害はいま言ったように本当に瞬時の増水だったために、しかも日曜日の朝だったために、片づけ物も何もできなかったということで、商店街の被害等も非常に多いわけでありますが、どうぞひとつ地域産業振興、体質強化資金等を十分積極的に柔軟に適用してあげるように、対応を特にお願いをしておきます。  なお、魚野川はそういったことで目下改良中であったにもかかわらず大被害を受けたわけでありますから、どうかひとつ、建設省の方は、激特事業等でぜひ短時日に改良すべく、せっかく用地協力した皆さんの誠意におこたえをいただきたい、このことを御期待を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  41. 木島喜兵衞

    木島委員長 中山利生君。
  42. 中山利生

    ○中山(利)委員 私は、今回の十五号台風による小貝川堤防決壊に関連しまして、時間がありませんので基本的な問題について一、二お伺いをしたいと思います。  今回の災害につきまして、当日建設大臣、翌日には国土庁長官を初め政府方々が非常に敏速に的確な対応をしていただいて、これにつきましては地元の一人といたしまして心から御礼を申し上げるわけでございます。  今回の災害をめぐりまして天災、人災といった問題が起きております。私は、政府の方もここ十数年非常にこの堤塘の強化につきましては努力をされているということで、細かい点ではなかなか、私自身もいろいろと原因の究明等について考えてみましたけれども、人災とは言いがたいところがあるであろうと思うわけでありますけれども、しかし、大きな利根川水系の治水の基本政策という面から見ますと人災と言っても差し支えないのではないか、地元の人たちが人災説に素直に飛びついていくというところには歴史的な経過があったのではないかと思うわけであります。  それは、御承知のように利根川というのは昔は東京湾へ流れ込んでおって、江戸はたびたび水害に遭っていたわけでありますが、それを鬼怒川・小貝川水系につけかえた、そういういきさつがございます。それ以来江戸の方には大きな水害がなくなったわけでありますけれども、その半面利根川の左岸の方にたびたび水害が起きるということになりました。そして、ちょうどわれわれのところの小貝川と利根川の合流点のところで、利根町の栄橋というところで非常に利根川自体が狭くなった、そこで一たん流量を調整をして下流へ流してやる、その間利根川と小貝川の増水の時間的なずれを利用して、あそこを洪水調節の一つの場所としていたわけです。  そこから小貝川の上流に向かって約六キロ、現在の常磐線の鉄橋の付近までの間が非常に地盤が弱い。そして、江戸時代からたびたび大きな洪水を起こしているわけでございます。地元の人たちは、江戸、現在の東京の都民を救うためにあの辺をわざと弱くしてあるんだ、電気で言えばヒューズ、安全弁の役、あの小貝川の四キロないし六キロの地点に安全弁を設けているのだということを信じて疑わなかったわけでありますが、最近は二十五年の右岸の決壊以来水害がなかった。しかも先ほど申し上げたように、建設省が一生懸命あの堤塘の強化をしていただいたということで、一応あの堤塘につきましては地元の人たちも非常に信頼をしていた。  しかし、その二十五年以来、考えてみますと、一度も台風関東地方に上陸しなかったという奇跡的な条件のもとに決壊がなかったわけでありますけれども、今回は台風が上陸して、小貝川の上流にはほとんど雨が降らず、利根川の上流だけに雨が降って、あの程度の、予想された増水の中であのような形で、われわれの長い間の経験あるいは知識等を超えた決壊の仕方をしたということについては、改めて地元民も、昔の治水政策に対する不信というものを呼び起こされたというふうな形になっているわけでございますが、この点につきまして、基本的な問題、簡単で結構ですから、建設省からお答えをいただきたい。
  43. 玉光弘明

    玉光説明員 このたびの小貝川の破堤によりまして水害が生じまして、大変残念なことと思っております。また、被災者の方々に対しましては、心からお見舞い申し上げる次第でございます。  もとより、治水対策は、国の根幹的な施策でありますので、その推進には最善の努力を払ってまいったわけでありまして、小貝川の改修に当たりましても、できるだけの措置を講じてまいったわけでございます。  従来から、先生も御承知のように、下流のつけかえ案とか、背割り提案とかいろいろございまして、地元ともその改修を進めるべく交渉してまいったわけでありますが、残念ながらいろいろな反対に遭いまして、いまだ実現していないわけでございます。  また、この破堤に当たりまして、洪水時には水防団の方々には大変御熱心ないろいろな活動をしていただきまして、感謝する次第でございますが、地元の水防団の方々建設省の職員等が相当密に巡視、警戒に当たったわけでございますが、破堤の前にはこれといった異常も見つけられずに突然破堤した跡が見つかったわけでございます。通常の場合でございますと、破堤の際には何らか現象があるわけでございまして、異常な現象が見られるわけでございますが、この場合はそういう現象も見られずに、きわめて短時間の間に発生したものでございまして、こういう異常な経過から見ますと、今回の破堤につきましては、これまでの経験からはなかなか考えられないような事象の発生があったのじゃないかと考えているわけでございます。  これにつきましても、対策等鋭意進めているわけでございますが、今後とも基本的には、先生指摘のように、従来からも改修を進めてまいりましたけれども、今後これに関しまして、この地域で激特事業などを検討するとかいうことを入れまして、改修事業をより一層促進してまいりたいと考えているわけでございます。
  44. 中山利生

    ○中山(利)委員 いまお答えがあったとおりだと私は思うわけでありますが、この地元の人たちの不信感というのはなかなかぬぐい切れないと思います。いま言われましたように、原因の徹底的な究明、かつてない決壊の仕方をしたわけでありますので、ああいうことがなぜ起きたか、これからもああいう決壊の仕方があり得るのか、そのことによって、われわれ水防に関連しておるものはまた対策の立てようがあるわけでありますが、いまのようなことが突然これからも起きるということになりますと、いままで訓練をしてきました水防工法その他、対応策はすべて役に立たなくなってしまうということになるわけでありますし、この不信感を除くためにはやはり徹底した原因の究明が必要だろう。  もう一つは、いまちょっと言われましたけれども、あの六キロの間の両岸の堤防を少なくとも利根川の堤防並みに強化をしてもらう。そういうことで、昔の政策が残っていないんだということを事実をもって証明をしていただきたい。建設省が幾ら否定されましても、とにかくあそこが安全弁になって利根川水系が助かっているということは事実でありますから、ぜひこれを除いていただきたいと思います。現在も堤防の拡幅計画等いろいろあるやに聞いておりますが、地元の人たちからは、協力を惜しまないから、家屋の移転でも何でもやるから、一日も早くこの強化をやってほしいという声が強いわけでございますので、ぜひとも強力な推進をしていただきたいと思います。  それから、先ほど農林省から災害報告がありましたが、今度の三千ヘクタール余り被災地のうち、約三分の二が水田でございます。水没の時間が二昼夜前後、長いところで四昼夜ということでありますが、比較的短かったので何とか早生品種については助かるのではないだろうかと考えておりましたが、だんだん日時を経て検査をしてまいりますと、早生品種もほとんど売り物にならない、中晩生につきましては全滅といったような状態でございまして、今後も被害額が大変多くなってくるだろうと思います。これも、先ほど高橋委員からも話がありましたような、いろいろな最大の方途を講じて救済をしていただきたい。農林関係はとにかくもう来年のシーズンまでは対策の立てようがないわけでありますから、ぜひ政府による救済をお願いしたい。もちろん天災融資法とか激甚災早期発動を初め、あらゆる手段を講じて救済をしていただきたいと思います。  その際一番気になりますのは、臨調、財政再建の問題でありますけれども、これは平素の冗費を省いてこういう災害や緊急のときに国民を助けるというのが目的だろうと思いますので、目的と手段を取り違えないように、この災害につきましては最大の支援をしていただくということをお願い申し上げまして、実は建設大臣から一言決意を言っていただきたかったのですが、お見えになりませんので、申し上げるだけにいたしまして、私の質問を終わりにいたします。
  45. 木島喜兵衞

    木島委員長 渡辺秀央君。
  46. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 時間もございませんので、簡単に質問させていただきたいと思います。  災害関係において、この救済対策としては、言うまでもなく災害対策基本法、かつまた激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、こういうものに基づいた局地激甚、あるいは激甚災害というものに対する指定基準というのが設けられていることは御案内のとおりでありますが、先ほども若干同僚議員から質問もありましたけれども、この際、わが自由民主党としての立場等も踏まえながら、国土庁からこの問題についての決意をお聞きしておきたい、こう思う次第であります。  そのことは、いわゆる激甚災害指定基準も含めて、局地激甚災害指定基準、これに対する基準の緩和についての言うならば見直し作業をする意思があるかないか。  これはもう言うまでもなく、時間がありませんから簡単に第一項目だけ言いますが、公共事業に関しましても、すでにこの法律ができ、かつ指定基準ができて、四十三年一月一日から施行されております。すでに十五年近くを経過しようとしている段階で、各市町村におけるいわゆる財政状態というのは、相当なさま変わりをしてきておることは御案内のとおりです。そういう中で、市町村ごとの局地災害指定をする場合に、標準税収の一倍を超える金額という災害基準になっているということは、今後非常に問題を残していくのではないか。わが党としてもこのことについては再検討の段階に入っていきますが、政府としてこの問題に関してどんなふうな考え方を持っておられるか、もう一度確かめておきたいと思うのです。
  47. 川俣芳郎

    川俣説明員 局地激甚の指定基準が最初に定められましたのは、ただいまお話しのように昭和四十三年でございます。その後、本激甚災害指定基準につきましても御案内のように幾度か見直しをやっております。  また、ただいまお話しの公共土木施設等に関する局地激甚災害指定基準につきましても、実は四十六年に改正をいたしておるという状況がございます。これについて今後見直しをすべきではないかというお話でございますが、私どもといたしましては、基準が最近においてどういう適用状態にあるかということ、さらには地方団体の財政力の問題、あるいは現下の財政事情といったようなもろもろの問題を検討しなければならないというふうに理解をいたしておりまして、私どもといたしましては慎重にこの問題は扱うべきだと思っております。
  48. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 慎重にということが後ろ向きの慎重であってはならないので、前向きで慎重にこの問題は検討していくということをひとつぜひお願いを申し上げておきます。  もう一点だけ。中小企業庁が戻ってきていますね。いわゆる金利問題でありますが、災害金利に関しては、滑り出し災害貸し付けが八・三%とということになっておりますが、これが局地激甚に指定されると六・〇五あるいはまた三%というようなことであるので、それはよく承知しておりますけれども、しかし現実にこれらが指定されるのが来年の二月、あるいはまたその翌年の二月ということに大体なっていくわけですが、それまでの間における中小零細企業あるいは商店街の金利負担というのは並み並みならぬものがある。そこで景気状況等も踏まえて、いまの問題とも関連性もありますが、やはり滑り出し金利が八・三ということ、あるいはまた体質改善資金が七・六というようなことではなくて、せめてそれ以下で滑り出し金利が災害貸し付けの場合にはできるような措置を大蔵と話し合って、早晩この問題についても解決をすべきではないか。これはもう豪雪においても、あらゆる場合に言えるので、ぜひひとつ滑り出し金利の金利見直し、このことについて要望をしておきたいと思いますが、そのお考えがあるかどうか、お答えだけお聞きをして、次にかわりたいと思います。
  49. 熊澤正光

    ○熊澤説明員 ただいま御指摘のございましたように、災害復旧貸し付けにつきましては八・三%で、今回の台風十五号の関係につきましては八月二十六日に発動いたしております。そのほか、新潟県等一部の都道府県でございますが、特に新潟県の場合につきましては、中小企業体質強化資金助成制度にかかわります地域産業対策融資がございまして、その中の経営安定対策貸し付け、これにつきまして九月三日から低利融資の制度を発足いたしております。  その内容について御説明申し上げますと、今回新たに設備資金につきましても対象といたしたわけでございますが、金利につきましては、保証つきの場合には六・三五%、保証なしにつきましては六・八五%のものでございます。  その他の、それ以上の対策については現在特にまだ講じておりませんですけれども、先生の御指摘につきましては十分上司に御報告して、いろいろ対策に万全を講じたいと思っております。
  50. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 ありがとうございました。新潟県のことはそれで結構ですが、これは全国ベースとして考えてほしい、こういうことですから、よろしくお願いします。
  51. 佐藤隆

    ○佐藤(隆)委員 いままで出た問題と重複しますが、ちょっと詰めておきたいと思いますから、関連して一言。  中小商工業者、それから農業者であっても特に農産物の問題、これは税、それから共済、それから融資、この三つでいくよりいたし方ない、ただでやるようなお金はない、こういうことになっておりますから、災害の起きるたびに少しずつ手厚く配慮をしてやっていかなければならぬ、こう思います。それには知恵も必要だ、政治の思いやりも必要だ、それから特に共済の場合、保険等の場合は、農民で言うならば生産者の理解を得られなければこれは進まない、こういうことになるわけなんです。  そこで、果樹を中心とする農産物について特にこの共済の問題がなかなか大方の理解を得るに至っていない、非常にむずかしさがある、こういうことなのでございまして、このたびの広範な地域における果樹災害について、なるべく生産者が入りやすいような見直しというか検討をこの機会にしてやる必要があるのではないか、こう思います。新しい制度もことしから発足している経緯も承知しておりますが、やはりまた、このたびの経験に徴してひとつ考えてやってほしい、こう思います。  また融資の点でも、具体的に言うなら、さっき北海道の例で話も出ましたけれども、自作農維持資金災害枠の確保はもとより、ダブルパンチを受けているとかいろいろな問題がある中で、条件緩和措置はもとよりでありますが、貸付限度百五十万そのものについても検討する必要があるのではないか。まだ数字が出そろってそれではどういう措置を講ずるかという時期ではございませんので、ここでは具体的なこれ以上の詰めはいたしませんけれども、そういう面にわたって、もちろんハウスの問題もありますし、いろいろありますが、そういう点についてひとつ農林水産省で検討をされたい、これをお願いをいたしておきます。その答弁を一言いただきたい。  国土庁からは、これは答弁は要りませんけれども、税の問題について、中小商工業者がまた二月の確定申告時期において、これは国税当局も最近は大分まめにいろいろやってくださっておるということをよく承知いたしておりますが、なおまたさらにひとつ念を入れてお考えをいただきたい。また農業所得についても、果樹等についてはいろいろ問題がございます。そういうことも含めた税対策、税措置ということについて災害時の温かい配慮が必要だ、こう思いますので、それを国税当局に国土庁の方から伝えてください。  以上です。
  52. 大坪敏男

    大坪説明員 ただいま御指摘がございました果樹共済の問題でございますが、御指摘いただきましたように、その加入の実態はきわめて低位な状況にとどまっているわけでございます。  その原因につきましてはいろいろあろうかと思いますし、かつ、そのためには各般の制度改正も行ったつもりでございますが、昨年の制度改正を機会に一層加入を促進するため、農林水産省といたしましても、たとえば集団加入を行う場合におきましては、生産出荷団体に対しまして集団加入奨励金、これは本年度予算で申しますと約五千百万余でございますが、こういった奨励金を交付する、あるいは関係団体とも協力しながら、農家向けのパンフレット、リーフレット等の作成をいたしまして配布等を行い、制度をわかりやすく普及、啓蒙してまいるという努力もしておるところでございます。  また、先生指摘のように、基本的には果樹農家にとりまして魅力ある果樹共済の仕組みが必要かと思うわけでございまして、この点につきましては、先生指摘のように、昨年国会で御審議をいただきまして、たとえば共済掛金の無事故割引、半相殺方式の導入等々の制度改正も行ったわけでございまして、当面その成果を見守りながら、かつまた農家が加入しやすくなるように、長期的視点に立ちまして各般にわたって工夫をこらしてまいりたい、かように考える次第でございます。  また、自作農維持資金の問題につきましては、現在関係県から資金需要等につきまして提出を求めている段階でございますので、いずれそういった数字もにらみながら枠の確保、さらには限度額引き上げにつきましても、十分実態に即し適切な対応ができるよう検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  53. 佐藤隆

    ○佐藤(隆)委員 自作農を中心制度資金はそれでいいのですが、果樹の問題は、長期的視点に立ってなんてのんびりしたことではなくて、災害が起きたときでないと理解されにくいから、いままで理解していない人も災害のときには理解しやすい時期なんですから、生産者の理解がなければいかぬのだから、そういう意味で、ひとついままでやっていないところには、また、いままでもやっているけれども少しずつよくしていかなければいかぬのだから、しかもタイミングとしてはこういう時期にまた考えるということは非常にいいことだ、こういうことでお願いをしているわけですから、長期的視点ではなく、このたびの経験に徴して、いろいろな積算が出たところで新しい視点に立って直ちに取り組みをさせてもらいたい、取り組みます、こう答えればいいのですよ。  以上で終わります。
  54. 木島喜兵衞

    木島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  55. 木島喜兵衞

    木島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林恒人君。
  56. 小林恒人

    小林(恒)委員 午前中の開会冒頭で、もうすでに八月上旬における水害を中心とした状況報告がなされておりますし、特に北海道の場合、八月以降再三にわたって、台風の影響並びに前線の影響に伴う水害が多発をいたしているわけであります。すでに数多くの議論が先日の特別委員会の中でもされておりますし、できるだけ重複を避ける意味で、私は質問をしたいと思っているのであります。  まず、基本的にこの水害という問題を考えてみた場合、北海道道央部を襲った今回の水害、石狩川水系、三百を超える中小河川が存在をすることになるわけでありますけれども、これらに伴って抜本的な対策がどこまで進められてきているのかということについては、現在段階までの御説明の範囲では若干不明確な部分があるわけであります。特に札幌市、百四十万の人口を擁する都市でございまして、こういった大きな都市部における災害が今回非常に大きく発生をいたしました。したがって、石狩川水系の対策を初めとして、札幌市、特に東部地域における河川改修事業の進捗状況について、建設省の側ではどのように受けとめられておるのか。受けとめ方についてひとつ御見解を賜りたいと思っているのであります。
  57. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 御指摘の東部地区の河川についてでございますが、まず東部の河川の中で、豊平川へ合流いしたております野津幌川とか、厚別川とか、月寒川とか、比較的大きな支川がございます。これらのものにつきましては、主として築堤でございますが、改修が相当進捗しておるという理解をいたしております。  現在は、さらに、こういう大きな支川に流入いたします小支川としてたとえば北白石川とか米里川などというものがございますが、これらの支川の改修がややおくれておりますので、それらの支川と、それからこれらの水をさらに大きな支川へ排水いたしますためのポンプの設置、その辺がこれからの問題というふうに現状を把握いたしております。
  58. 小林恒人

    小林(恒)委員 札幌市をおおよそ二分いたしまして、一つは東部地域の災害、もう一つは北部地域の災害、こういった問題が今回発生をいたしております。ただいま建設省の側から、この東部地域に若干のおくれが見受けられるという御説明でございましたが、今日まで進めてきたはずの伏龍川総合治水対策事業の区域の中での工事のおくれ等によって、今回の河川のはんらん、住宅地への水のはんらんといったことなどが現状として出てきているわけです。あわせて、伏龍川の総合治水対策事業というものが五カ年計画の年度途中にあるわけですけれども、今回の災害と関連をいたしまして、たとえばテンポを速めるということなども含めて、考え方があるのかどうなのか。  それからもう一つは、伏龍川総合治水対策の中での建設省の側から見た基本的な考え方と札幌市の考え方と、若干食い違いがあるのではないのかなという気がしてなりません。それは石狩放水路にも象徴をされるように、工事途中の放水路の門をしゃにむにあけて放水をするという作業に相当時間要しなければならなかったという、このことによる被害の増大という問題なんかも現実には存在をするわけです。したがって、この伏龍川総合治水対策事業そのものの今後の進め方を踏まえて、都市部における治水事業というのはどう進めていくべきだと考えているのか、考え方を御明示を願いたいと思います。
  59. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えをいたします。  まず一般論としまして、都市部の河川についてどういう取り組み方をするかということでございますが、総合治水対策と申しますのはまさに河川の中の都市対策そのものだと私ども考えておるわけでございますが、当然遊水地をつくりましたり河道を改修しましたりするのとあわせて、流域に分散していろいろ保水、遊水機能を確保するというようなことを、河川を管理します者だけでなくてほかの方の御協力もいただいてやろう、それが一般的には河川の都市対策の基本的な考え方だと思います。  本伏龍川も、御存じのように昭和五十四年度から、その総合治水対策を必要といたします河川の中の特定河川、特に重要な河川として日本国じゅうで十二本ほどをそういう扱いにしておるわけでございますが、その一本にいたしまして鋭意河川改修をやってきたわけてございます。  先生の御指摘ではそれがおくれておったというようにおっしゃいましたですが、私どもの認識としましては、御指摘のありました石狩の放水路を含めまして精いっぱいのことをやってきた。それが、今回もおくればせながら緊急通水という形で役に立たせていただけた、そういう認識をしておるわけでございますが、いずれにしましても、今後伏龍川についてどう進めていくかということでございますが、何と申しましても、今回緊急通水はいたしましたが、この石狩放水路の効果が非常に大きゅうございますので、まずこれの通水を図ることを第一に考えております。さらに茨戸川に、たとえば伏籠川とか創成川とか発寒川とかいろいろ川が入ってきております。これの河道はやはり整備しなければいけない。それから上流部につきましては、いまモエレ沼という沼がございます。これを計画的に遊水池化いたしまして、それとあわせて、雁来新川という、いまのところ普通河川でございますが、逆に豊平川の方に流れることができる川がございます。これを改修して、豊平川との合流点に排水機をつけてポンプ排水をする、その辺の工事を中心にして、伏龍川の総合治水対策事業をやっていきたいと思っております。当然、総合治水対策河川でございますので、こういうこととあわせまして、先ほど一般論で申しましたような保水、遊水機能の確保ということを流域全体でいろいろお願いしなければいけないとも思っております。  以上でございます。
  60. 小林恒人

    小林(恒)委員 札幌市では、この計画とあわせて、第六次の五カ年計画の中で、この伏龍川総合治水対策は進められてきているわけですけれども、昭和五十四年度からおおむね十カ年計画で全体事業費約六百億、こういう予算規模で、今日まで二百三十六億程度の予算措置がされて作業が進んできたという経緯があるわけですが、まあここまでもできていなかったらもっと被害は大きかっただろう、こういう見方がないわけではありません。  しかし、これから先の進め方、先般のこの特別委員会の中でも議論になりましたけれども、災害を未然に防ぐという意味では、こういった作業が先行投資をされていかない限り、治水そのものがめどが立っていかない、こういった問題があります。したがって、残された年度の中で、たとえば今回の災害にかんがみてテンポを速めるという考え方があるのかどうなのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  61. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  私ども、やはり今回の二度の災害を経験いたしまして、いろいろ新しいことを勉強さしていただいたということは多々あるかと思うわけでございます。  ただ、先ほども申しました伏龍川を総合治水対策特定河川指定しましたということは、河川の方は当然全力を挙げて改修をやるわけでございますが、それにも増して、市街化が激しいためにどんどん治水の安全度が落ちてくる、だから河川の方では全力を挙げてもまだまだ安全度が上がらないので、流域全体の方の御協力をいただく川としよう、そういう意味で特定河川指定したということになるかと思います。  したがいまして、先生おっしゃいますように、大体十カ年で何とかめどをといいますものが、今回の災害を契機に早急にたちまち数年短くなってしまう、そういうことは、お金の面を除きましてもちょっとむずかしいのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、二度続けた災害でいろいろ勉強させていただいておりますので、全力を挙げて短くなるようには努力したいと思っております。
  62. 小林恒人

    小林(恒)委員 ちょっと前後して恐縮なんですけれども、この東部地区の認識を深めていただく意味で説明をしておきたいと思うのですけれども、札幌市百四十万の人口のうち、この東部地域と言われているところにはおよそ二十三万を超える人口が存在をする、こういう実態にありまして、それぞれ今日まで建設省を初めとする河川改修事業等も進められてまいりましたけれども、たとえばポンプアップをしなくてはいけないという実情などを含めて、三機つけるべきポンプが今日段階一機よりついておらなかったというこういった実態やら、あるいはポンプそのものが故障してしまって機能しなかった、こういったことなどに関連をして、相当部分で水害の幅を広げていっている、こういう実態があります。  こういった市街化区域の中で、さらにこれに付随をして進めなくてはならない下水道作業、汚水処理を含めて下水道工事というのが進められていくことになりますが、これは全域にわたってこういったことが言えるわけでありまして、いまの答弁ですと、ある意味で整合性を保つ意味では、急テンポで作業を進めるということはちょっと不可能なんだぞ、こういう実態のように説明をされるわけですけれども、内実的に言いますというと、都市化が進めば進むほど、この種災害発生をするたびに大量の汚水が河川に流れ込んでいくという大変な実情があるわけです。下水道そのものの施工体制というものについてはそれぞれ鋭意検討が加えられてきた経緯がありますから余りしつこく申し上げようとは思いませんけれども、もちろんこの石狩川の水系、こういったものとあわせて、都市部というところでの河川改修というのは、たとえば排水路を含めて検討を深めていかなくてはいけない部分なんだと思っているんです。この東部地域には相当数の排水路も存在をするわけですけれども、排水路も含めた考え方なのかどうなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  63. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  都市域で河川計画を立てます場合に、当然御指摘の下水からの排水が、河川に流入してきます水の量の相当部分になる、進めば進むほどなるわけでございますので、当然私ども、河川改修をやりますときには、それらから合流してくるものについて頭に置きながら改修はやっておるわけでございます。  ただ、仕事上の区分がございまして、これはごく大ざっぱに申しますと、大体集水面積が二平方キロぐらいで切れておるわけでございますが、それより集水面積が大きい部分は河川がやっておることが多うございますし、それより小さい集水面積の水路につきましては都市下水路の方で工事をやっていることが多いということだと思います。当然、ポンプ排水等につきましても規模の大きなものについては、どの個所でどのくらいの流量のものが入ってくるということは念頭に置いて河川計画を立てております。
  64. 小林恒人

    小林(恒)委員 宅地造成事業との関連もあってこれは要素が一つではないと思うのでありますけれども、たとえば十五号台風がもたらした中小河川のはんらんに伴って、住宅が押し流されたりあるいは宅地そのものが流失をするという、こういった惨状を呈する形になりました。少なくとも宅地造成等規制法、こういったものがあったり、あるいは都市計画法上の開発許可基準、こういったものなどがあったりして、それぞれに、住宅を建設し得る宅地造成といったものは、あらかじめ災害等に対応できるような、災害発生をしないようなそういう仕組みの宅地造成でなければならないわけですし、また都市計画でなければいけないのだと思っているんです。  ところが残念ながら、この札幌市の南区で、今回発生をいたしました河川決壊に伴って、表面づらはりっぱにつくり上げられていたはずの護岸がすっかり崩れてしまう、結果として川底までの深さの土砂が流出をしてしまうことになるわけですから、およそ四メートルに近い深さで床下の宅地が削り取られていってしまって宅地がなくなってしまった、住宅が壊れてしまったという実態があるわけです。こういったものの原因の一つは、対策としては、建設省の都市計画あるいは民間住宅を管理監督している官庁として、こういう実情にかんがみて、本来こういったことが起こらないような仕組みで計画をされていたのだとすれば、それに伴う基準が甘かったという見方になるのではないかとも思われますし、それからもう一つは、相当部分これは原状復旧をしていかなくてはいけないわけですから、復旧にかかわっての救済措置という問題、これは個人のことになりますけれども、三十件を超えるくらいこういった状況というのは存在をするわけです。こういったものに対する見方はどのようになっているのか。個々人にわたる災害復旧での救済措置というのは非常にむずかしい課題だとは思いますけれども、従来の基準そのものに適合しているという認知をされて市がそれなりの許可をし、住民というのは安心してそこで生活をしていたはずのものが、安心して生活ができないというこんな形になっているわけなんで、ここらにかかわっては細かな考え方を明示をしていただかなくてはいけないと思っているのです。この点についてはいかがですか。
  65. 田村嘉朗

    ○田村説明員 ただいまの先生の御質問のうち、都市計画に関連する部分についてお答え申し上げたいと思います。  御案内のように、都市計画上の制度といたしましては、市街化区域、市街化調整区域という土地区分で開発を規制し、かつまた、開発許可基準、都市計画法二十九条、三十三条、三十四条というふうな基準で規制をしているわけでございます。  今回の札幌土現都市計画区域について見ますと、台風災害状況はどういうことであったかということを私どもで調べましたところでは、今回の台風十五号による浸水区域のほとんど大部分は市街化調整区域でございます。しかし、一部市街化区域においても災害発生しているということは事実でございます。  市街化区域と市街化調整区域との区域区分の運用に当たりましては、おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域には溢水、湛水、津波等による災害発生のおそれのある土地の区域を原則として含めないということにしておるわけでございます。また、都道府県知事が個々の都市計画を定めるに当たりましても、治水担当部局とあらかじめ十分協議をして案を作成するということにしているわけでございます。この区域区分と治水事業との調整方針につきましては、昭和四十五年に都市局長、河川局長の通達をもって具体的に指示しているところでございます。また、建設大臣がこの区域区分の認可に当たりましても、河川局との事前調整、こういったものを行っているわけでございます。  しかしながら、今回の災害の経験を踏まえまして、河川改修の進捗と市街化区域の設定が十分調整されるように今後とも地方公共団体を指導してまいる、また私ども自身もそういう運営をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  66. 伊藤茂史

    ○伊藤説明員 御説明申し上げます。  個人の住宅資産に対しまして災害のために被害を受けたという場合につきましては、現在住宅金融公庫で災害復興住宅の貸付資金というのがございます。罹災時の価額でございますが、建物の価額の五割以上の被害を受けた場合には建設資金という形で八百四十万円、これは耐火非木造の場合でございますが八百四十万円、木造の場合には七百三十万円ということで、一般の新築の住宅に比べまして相当限度額も高うございますが、そういう恩典を与え、かつ利率も五・〇五という低利の融資をいたしております。  この際、先生いま御指摘の宅地に対する被害というものに対しましては、建物と同時に、宅地について被害があった場合ということで整地を要するということでございまして、先生指摘のようなケースもこれに当たると思いますが、そういうものにつきましては二百三十万円を限度としてお貸しする、これも五・〇五でお貸ししておりますが、そういうことで、個人資産に対しましては低利、長期の融資ということで、住宅対策としては対策を講じておるところでございます。  今回の災害につきましても、現に受け付けを開始しておりまして、多数の皆さんに御利用いただいておるところでございます。
  67. 小林恒人

    小林(恒)委員 時間がありませんからあと一つだけちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、宅地造成等規制法というのが昭和三十六年十一月七日に公布をされているわけですけれども、まず目的だけを読んでみても、先ほどのお答えのような形とはちょっと違うのではないのかなという気がするのです。少なくとも「災害の防止のため必要な規制を行なうことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。」という、この第一条の目的が本当に、中小河川のはんらんに伴って護岸が崩れただけではなしに、宅地、住宅ともに打ち流されてしまうということになると、これは造成そのものを認可した段階で、この造成等にかかわる規制法の目的に果たして十二分に合致をしていたのかどうなのかとなると、疑問符を打たざるを得ません。  こういった状況の中で実態はどうかというと、建設省の側では、災害復旧という立場からは護岸工だけは直すけれども、護岸工から二メーターないし三メーター、深さにして四メートル以上もあるような土砂流出については、個人のものだから一切責任を持てない、こういった事務折衝段階でのお答えよりほかには戻ってきていないわけです。これはまさに、この内容が一つは法に照らし合わせて不十分だったということと、あわせて、個人の生命や財産なんというのは十分に保護されるようなものになり切っていないのではないかと言わざるを得ません。そういう意味では、実情に照らし合わせた総合的な復旧対策、こういったものが進められるように特に要望をしておきたいと思います。  時間がありませんから、以上で私の質問を終わります。
  68. 木島喜兵衞

    木島委員長 池端清一君。
  69. 池端清一

    ○池端委員 私に与えられた質問時間は十五分でございますので、ひとつ答弁は簡潔にお願いをいたしたいと思います。  一つは、農水省に内水処理の問題についてお尋ねをしたいと思います。  私は前回の当委員会におきましても申し上げたところでございますが、今度の北海道における豪雨被害を見ますと、本流はよく持ちこたえたものの、支流が非常にもろかった、中小河川が大暴れに暴れた、そしてまた同時に、内水処理対策がきわめて不十分であった、このことがこの被害を一層大ならしめた、こういうふうに言っていいのではないかと思うのであります。  特にこの内水排水の問題でありますが、空知平野には十の町村に大小合わせて三十余カ所の内水排水機場が置かれているわけでありますが、今度の豪雨によってそのうち五つの機場が施設ごと水没してしまった、全く機能を果たし得なかったというのが実情でございます。  それはどこに原因があるかということでありますが、農業用の場合は、第一に、計画雨量というものが十年に一度の確率で計算されて設計をされている。ですから、一日の雨量が二百ミリを超すともうこれは機能喪失、全くパンクしてしまう。こういう計画雨量に大きな問題点があったのではないかというのが一つ。  もう一つは、空知という水田地域に設計された排水機場でありますが、現実には転作が行われている。もう北海道では四九・九%の転作であります。そういう状況の中で、従来は米に合わせて排水機場をつくっているわけです。ですから水深三十センチメートル、これは水に強いということでそういう設計になっているわけでありますが、現実には半分はもう畑なんです。こういう転作対策というものが全く無視されている、畑作対策が無視されていることが今回のこの大きな被害を生んだ、こういうふうに思うわけであります。  したがって、この段階では確かに農業用の場合は受益者負担という問題もございますので、そう簡単にいかぬということは私も重々承知をいたしておるわけでありますが、水害常襲地帯にとってはこの内水排水の問題、内水処理の問題が重大な問題になっておるわけでありますので、この際この内水排水機場、あるいは内水排除機場というのでありましょうか、これの抜本的な見直しを図る必要があるのではないか、このことを私は痛感しておるわけでありますが、これについての農水省の見解をお尋ねしたいと思うのであります。
  70. 北村純一

    ○北村説明員 お答えいたします。  内水排除等の土地改良の事業につきましては、都市近郊の一級河川に対します治水事業とは異なりまして、主として作物及び農用地等の被害を防止することを目的としておりまして、その事業費はまたその効用に見合うものでなければならないと規定されておりまして、さらには、事業費の一部が御指摘のとおりに受益者の負担を伴うという事業になっておりますために、今回のような記録的な異常降雨をも排除し得るような整備水準を確保いたしますことは困難であろうと思われます。  しかしながら、地域の特殊な状況、すなわち低平湿地であること、さらには特殊土壌、すなわち泥炭地その他であるといったこと、あるいは御指摘の大きな転作率を持っていること等の状況下におきまして、内水排除施設の機能の低下もまた進んでいることからいたしましても、恒久的な方向づけを含めて整備水準のあり方を早急に検討する必要があろうかと考えております。  したがいまして、現在、石狩川流域にございます既設の内水排水機場につきましては、今回の豪雨時における稼働状況被害実態等を早急に調査いたしまして、施設の更新、増強、改善といった方向を早急に検討してまいる所存でございます。  なお、このために従来石狩川水系広域農業開発基本調査というのを実施してきておりましたが、これに加えまして、五十七年度には緊急排水対策基盤整備調査を予算要求しているところでございます。
  71. 池端清一

    ○池端委員 わかりました。ひとつこれはよろしくお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。  次に、農地災害復旧について、これも農水省にお尋ねをいたします。  今回の災害によって、農地も激甚なる被害を受けました。その復旧はきわめて困難な状況にございます。たとえば当委員会で御視察をいただきました日高管内の門別町のごときは、山腹の崩壊によって大量の土石流が流入をする、あるいは流木が農地に流れ込む、こういうような状況で、農地は全くその面影をなくしております。まさに惨たんたる状況であることは、委員各位が御視察のとおりでございます。  ところが、農地災害復旧に当たりましては限度額というものが設けられているということでございまして、その全国平均では反当百五十八万円程度と聞いておりますけれども、北海道の場合はこれが非常に低いわけであります。たとえば、いま申し上げました門別町の場合は反当十六万三千円程度ということでありますから、全国平均をはるかに下回っている。これは一戸当たりの農地面積が北海道の場合非常に多いということの計算から出てくるものだというふうに聞いておるわけでありますが、実に全国平均を百四十二万円も下回るという状況であります。しかし現地に行ってみますと、とてもこの限度額十六万円程度で農地を原形復旧することはできない、最低でも五、六十万円かかる、何とかしてほしいということを地元の方々は痛切に訴えているわけでございます。したがって、この生産者の皆さん方の負担を軽減するためにこの際特段の配慮が必要だ、私はこう思うわけでございますが、農水省としてこの問題について具体的な方策を検討しておれば、その御見解をひとつ承りたいと思うのであります。
  72. 大坪敏男

    大坪説明員 ただいま先生指摘の門別町周辺の災害状況につきましては、私ども十分認識しているつもりでございます。  すでに農林水産省といたしましては、八月末に北海道庁ともその復旧対策について協議を行ったところでございますし、地域全体の総合的かつ迅速な復旧ができるよう、その方策につきまして検討している状況でございます。
  73. 池端清一

    ○池端委員 非常に奥歯に物のはさまったような答弁で、ちょっと理解しがたいのでありますが、私が申し上げました特段の配慮をこの際ぜひ講ずべきだということについて前向きに検討されている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  74. 村山昶

    ○村山説明員 基本的にはただいま答弁したとおりでございますけれども、私どもこういう農地復旧事業をいたしますとき、現地が地域ぐるみ被災をしているという実態を十分理解している次第でございます。したがいまして、私どものこのような復旧限度額、いま先生がおっしゃられましたようなことにつきましては、あくまでもこれは農地復旧するということについての復旧額というふうに理解しております。したがいまして、関係地域が非常に全体的に被災をしているという実情でございますので、その中には道路もございますでしょうし、水路もございますでしょうし、その他いろんなものがあるわけでございます。それぞれについての復旧計画を立てていきまして、農地そのものとしての復旧については、先ほど先生のおっしゃられたような範囲でおさまるように努力していく、全体的に皆様に御迷惑をかけないようにということで、総合的な復旧計画を立てていきたいというのが実情でございます。
  75. 池端清一

    ○池端委員 総合的な復旧計画を立てるということで理解をいたしましたが、ひとつこの問題について、本当に大変な状況でございますので、ぜひ実情御賢察の上、前向きの措置を講じていただきたいということを強く要望しておきます。  次に、先ほども同僚委員から御質問がございました昭和五十七年度の転作目標の面積について、今回のこの水害に被災された方については、昨年の冷害に準じた特例措置をぜひ講ずべきだということを私も強い要求として持っておりますし、これは北海道の農民のひとしく共通した願いでもあるわけでございます。  先ほどの答弁では、目標面積の変更はできない、こういう非常につれない答弁でありました。高橋委員は鬼の目にも涙ではないかというような、まさに言い得て妙、そういうようなことを言われたのですが、私も全く同感でございます。  去る九月五日、北海道空知に美唄市というところがございますが、この美唄市で約一千名の農民の皆さん方がお集まりになって、災害復旧を求める総決起大会が開かれました。これには各党の代表の方も皆御出席をされたわけでございますが、その席上、農民の皆さん方が訴えられたその叫びはまさに血の叫びにも似た、私はそういうふうに感じてきたわけであります。特に北海道の場合は、昨年の冷害、そしてことしの水害、そして減反に次ぐ減反の強化、さらには実質米価の引き下げといったようなことで、まさに踏んだりけったりというような状況でございます。したがって、今日のそういう状況考えるならば、この被災農民に対して少なくとも昨年の冷害にとったような措置を講じていくことが政治の任務ではないか、私はこう思うわけでありますが、いま一度農水省の見解を求めたいと思うのであります。
  76. 近長武治

    ○近長説明員 お答え申し上げます。  五十七年度の水田利用再編対策についての転作目標面積の御質問でございます。  先生お話しのように、五十六年度の転作の目標面積につきましては、全国で四万六千ヘクタールの軽減措置を講じているところでございます。  ただ、五十六年度につきましてこういう軽減措置を講じた事情といいますのは、一つは五十六年度から五十八年度まで、いわゆる第二期の対策がスタートしたわけでございますが、これは第一期に比べまして十数万ヘクタールという非常に大きな転作目標面積をふやしたというような事情、それからもう一つは、五十五年度の冷害は作況指数八七という全国的な未曽有被害であったというような事情に照らし合わせまして講じられた特別措置でございます。  御案内のように、第二期水田利用再編対策は三年分の目標面積をすでに定めてございまして、これは各都道府県にも国から通知してございます。それから、県を通じて市町村等への配分もすでに行われてございまして、現在それぞれ各地では非常に困難な条件のもとで転作に取り組んでいるというような実情でございます。したがいまして、以上のような状況でございますので、五十七年度の転作目標面積についての軽減措置というのはきわめて困難な問題ではないかというふうに考えております。
  77. 池端清一

    ○池端委員 全国的なものなら特例は認めるけれども、地域的なものなら認めるわけにはいかぬというその論理は、私は全く納得できないのでございます。しかも、北海道というのは御案内のように日本の食糧基地で、全国民の二六%の食糧を供給している、こういう状況のところで、まさに農業は壊滅的な打撃を受けたわけであります。したがって今回もそのような措置を講ずべきが当然だ、私はこう思うのでございますが、時間もございませんので私はもうこれ以上質問はいたしませんけれども、私、委員長にぜひお願いをしておきたいと思います。  昨年の冷害の際もこの問題は当委員会で大変な議論になった。相当時間をかけて例の特例措置というところまでこぎつけたわけであります。全国で四万六千ヘクタール、こういう軽減措置がとられた。したがってこの問題は重要な問題であり、なおざりにすべき問題ではないと思いますので、今後とも引き続き当委員会においてこの問題の議論を詰めていただきたい、このことを心からお願い申し上げておきます。
  78. 木島喜兵衞

    木島委員長 ただいまの池端君の提言は、理事会に諮って処理いたしたいと考えます。
  79. 池端清一

    ○池端委員 次に、国鉄当局にお尋ねをいたします。  日高本線の復旧の問題であります。先ほども、十一月中には全線開通ということをはっきり言われた。この間の委員会でも私にそういうことを土木課長さんは言われました。安心しておりました。ところが^現地へ行って札鉄局の発表を聞きますと、十一月はとっても無理だ、そんなことはできるしろものでない、十二月にずれ込むことはもう間違いない、あるいは年内開通は無理かもしれないというようなことを札鉄当局が発表しているんですよ。一体どちらをわれわれは信用したらいいんです。国会で言われていることと現地で言われていることが全く事実上違っている。これじゃ地域の住民は、あなたは盛んに十一月には間違いないと言っているけれども、一体国鉄は何をやっているんだ、現地ではできないと言っていますよ。一体国会答弁を何だというふうにあなたは理解されているのか。私は非常にその理解に苦しむわけですけれども、遅くとも十一月中の開通は間違いないとはっきり約束できますか。改めてお尋ねをします。
  80. 村上温

    ○村上説明員 長らくの不通で御不便をかけております。申しわけありません。  前回の委員会での先生の御質問に対して、十一月いっぱいというふうにはっきり申し上げましたが、その後、確かに予想しない悪い条件は二、三ございます。一つは、厚賀−大狩部間という海と丘の非常に狭いところへ大きい土砂崩れがありまして、当初のもくろみと違いまして、土砂を海に捨ててはいけない。これは漁業の補償との関係がございまして、そういうことで、やむなく線路を外して復旧工事をする。両側からトラック一台分の幅しかないというような悪い条件が確かにございます。それから静内の近辺ですが、道路と線路が並行で、一緒に崩れまして、そして道路はとりあえず一車線で仮開通をいたしましたが、線路の復旧をやると道路が再び不通になるおそれがあるからやめてくれ、こういうことで、その後道路の復旧を待っておった。道路の復旧が始まったところが、擁壁の崩壊がさらに見つかったということで、復旧に手間取るというような悪い条件もございます。それから天候の方も、八月の十三日、二十日に相当の雨があった、さらに追加で台風十五号、その後も決して天気がよくないということで、確かに非常に悪い条件が重なっておりまして、現地局が非常に弱気になっておることは事実でございます。  しかし、少なくとも本社の目標といたしまして、いまここで緩めるということは、ただでさえ苦しい工程というものをさらに苦しくするということだと考えておりまして、あくまで本社としては何とか十一月いっぱいには開通させたいという所存でございますので、若干言い方のニュアンスに差があるのは事実でございますが、御了承いただきたいと思います。
  81. 池端清一

    ○池端委員 確かに難工事であるということは私も十分理解しております。その上で申し上げているわけでありますから、ひとつその点は御理解をいただきたいと思うのでありますけれども、この日高本線というのはあの地域の住民にとっての唯一の足なわけであります。本当に地域の住民の生活の上でも地域経済の上でもこれは甚大な影響を与えているわけでありますので、非常に苦しいことはわかるけれども、むずかしいことはわかるけれども、ぜひ当初の目標どおり十一月いっぱいに開通させるということで最大の努力をしていただきたい、これを心からお願い申し上げておきます。  次に、時間がございませんのではしょって申しわけありませんが、有珠山の泥流対策の問題であります。  今回の豪雨によって有珠山の泥流発生というものが当初大変心配されたわけでありますが、今日までの関係当局の治山それから砂防事業等によって、幸い洞爺湖温泉街への泥流の発生というものを食いとめることはできました。これは今日までの御苦労に対して、私は心から敬意を表したいと思うわけであります。  しかし、御案内のように、心配されておりました有珠山の北側外輪山がついに決壊をいたしました。四カ所にわたって決壊をいたしまして、たとえば小有珠右ノ川という川がございますが、この川に多量の土砂が流出をいたしまして、すでに設置されておりました十五基の治山ダムは完全に全壊をしてしまったわけでございます。しかし、全壊をしたとはいえ、この十五基のダムがあったから巨岩や巨木をことで食いとめることができた、これが幸いをしたわけでございます。しかし、もう全壊をしてしまいましたし、今後とも崩壊の土砂量は三万ないし五万立方メートルにも達するのではないか、あるいはこれから流れ出す可能性のある潜在土砂は数十万立方メートル、また火口原内に堆積をいたしております土砂は最低でも百万立方メートル、きわめて膨大なものでございまして、抜本的な対策を今日急がなければならない状況に来ているのではないか、まさに一触即発の状況にあるのではないか、私はこのように考えるわけでありますが、ひとつ山の上の方を受け持っておられます治山の林野庁と、下の方を受け持っております砂防の建設省から具体策をお聞かせ願いたいと思うのです。
  82. 松本廣治

    ○松本説明員 ただいま御指摘の小有珠の右ノ川の上流部は国有林が担当いたしておりまして、従来から下流と連携を図りながら工事をやっておりますが、今回御指摘の源頭部の決壊につきましては、内側にとりあえず土どめの導流堤をつくりまして、くぼ地に土砂を導流したいということでございますが、その下部につきましても浸食谷に床固め等を敷設しまして、とりあえず緊急治山事業実施したいと考えております。その後、恒久対策につきましては十分現地を検討しながら逐次進めてまいりたい、こう存じております。
  83. 近森藤夫

    ○近森説明員 お答えします。  外輪山の決壊によりまして、相当多量の泥流が発生いたしまして、流下いたしたわけでございます。建設省所管になります一号の砂防ダムがございまして、このダムによりまして全量が抑止されたというような状況でございます。ですが、上流の状況等を勘案しまして、今後の降雨によりましてさらに泥流の流下の危険があるというようなことになってございますので、本年度におきましては砂防ダム二基を追加いたしまして、また一号ダムにたまりました土砂を掘削いたしまして、全部で四万五千立方メーター程度の貯砂容量を備えたいというふうに思っておりまして、これによりまして下流の人家連檐地区の安全を図りたいということになっております。  また、外輪山の決壊につきましては今回の豪雨と火山活動の地殻変動に伴うものでございまして、抜本的な対策が非常にむずかしいというようなことになってございますが、これにつきましても、学識経験者を中心といたしました検討会がございますので、ここで十分検討していただきまして対応してまいりたいと思っております。  よろしくお願いします。
  84. 池端清一

    ○池端委員 最後に、長官にお尋ねもし、またお願いも申し上げたいと思うのでありますが、最初に申し上げました内水排水の問題であります。  これは長官も北海道に行かれたとき、もう各地の陳情会場でこの話が出ておって、私も同席しておりましたから長官も十分事情は理解されておると思うのであります。確かに受益者負担その他のいろいろな問題等もございますけれども、水害常襲地帯ではこれは切実な問題になっておりますので、この問題の対策についてぜひ、長官は北海道開発庁長官でもございますので、そういう立場でこの問題についての所信というものをお伺いをしたい、こう思います。  もう一つは、いま申し上げました有珠山の問題でありますが、まさに一触即発という状況で、きわめて危険な状況でございます。歴代国土庁長官は皆さん有珠山を御視察においでになっている。櫻内国土庁長官、田澤国土庁長官、中野国土庁長官、ところが原長官だけはまだ一度も現地を見ておらぬ、こういう状況でありますので、私が何ぼここで口を酸っぱくして言ってもぴんとこないと思うのでありますけれども、大変な状況にあるわけでありますから、ぜひ御視察をいただきまして、この泥流対策について抜本的な対応を国土庁としても考えてもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  85. 原健三郎

    ○原国務大臣 有珠山に大変な被害がありますこと、よく存じております。すでに二百五十億ぐらいの国費を投じて対策をやってきました。対策をやったところがやはり、それは非常に減っておりますが、また大変な最近の被害でございまして、まことにお気の毒に存じております。その対策を今後とも十分やる決意でございますが、現地は私は残念ながらまだ行く機会がございませんでした。ただいま来るようにという御要望でございますので、国会が九月の末に開かれますのでその関係もございますが、なるべく御期待に沿うように行って、ぜひ現地を見てもっと積極的にさらに対策を十分やりたい、こう思っております。
  86. 池端清一

    ○池端委員 内水の問題は……。
  87. 原健三郎

    ○原国務大臣 内水の問題につきましては、最前からいろいろ申し上げましたように、私も現地へ行きまして主として聞いたことは、内水対策を何とか積極的にやってもらいたい、こういうことでございました。私もそれは同感でございます。  今後、関係省庁において内水対策について検討することにしております。私としては関係省庁と連絡を密にして対策に遺憾なきを期してまいりたい。これも積極的にやる考えであります。具体的にはいま調査の最中でございます。
  88. 池端清一

    ○池端委員 終わります。  どうもありがとうございました。
  89. 木島喜兵衞

    木島委員長 岡本富夫君。
  90. 岡本富夫

    ○岡本委員 午前中に引き続き災害についての質問をいたします。  この石狩川水系、当委員会で私も一緒に視察をさせていただいたわけですけれども、四十年に流水量が九千三百五十トンと想定されて五カ年計画を立てられた。ところがその後、五十年にその九千三百五十トンというような基本計画についての見直しがあった。今回はまた河口で一万一千トンに達するような水害があったわけでありますけれども、この石狩川水系の治水対策の見直し、これからの計画、これについてひとつお答えを願いたい。
  91. 岸田隆

    ○岸田説明員 お答えいたします。  石狩川水系の現行の工事実施基本計画は、昭和四十年に新河川法に基づきまして策定されました。石狩大橋、基準地点でございますが、基本高水を九千三百トンといたしておりまして、これに基づきまして現在改修工事を実施しているところでございます。五十年に非常に大きな出水がございまして、したがいまして、それを契機にこの工事実施基本計画の見直し作業をしておりましたが、さらに今回未曽有の降雨に基づきます出水があったわけでございます。  今回の出水に関しましては、その降雨の状況、それに伴います洪水のはんらん状況、あるいは河川への実際の流出量等につきまして詳細な調査実施中でございます。  現在までの調査におきまして、そのピーク流量は現行の工事実施基本計画におきます基本高水のピーク水量、毎秒九千三百トンを上回りまして、一万トンを上回るというふうな流量が推定されております。したがいまして、この出水をも踏まえました総合的な検討を実施した上で、工事実施基本計画を改定していきたいと考えておる次第でございます。
  92. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、私は、この北海道石狩川流域を調査さしていただきまして感じたことがある。それは、この石狩川というのはもと三百六十キロ、信濃川に次ぐ全国第二の川だった。それが建設省の公式の発表を五十三年度で見ると二百六十八キロ、すなわち百キロほど短くなっている。というのはどこに原因があるかというと、ショートカットして、そしてどんどん川を変更しておる。この川を変更して——変更というのは大きな変更じゃありませんけれども、短くして、するとそれだけ水量が速くなる。この水量が速くなったところに対して、支流の水が本流に流れない。特に今度の状況を見ますと、逆に今度は逆流しているような状態である。これは物の道理でありまして、ショートカットしてどんどん水が速く流れると、そこへ支流から行かない。ここの計算ができていなかったのではないか。  自然の川というのは、ずっと蛇行しているわけですね。蛇行しているから、支流の水が全部入ってうまくいっている。これをショートカットして、ばっと一直線にしてしまうから、支流の水が入らない。これが大きな原因であったのではないか。この反省の上に立ったところの計画の見直しでなければ、また同じことが起こるのではないか。こういうふうに考えるのですが、これは国土庁はどう考えるか、一週聞いてみようかね。国土庁、答える人はおりませんか。——じゃ、建設省にひとつ答えていただこう。
  93. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  いまショートカットの問題が出ましたけれども、これはずっと昔は、治水工事をやらない間は堤防がなくてみんなあふれていたわけでございますが、その土地を有効に使うということでだんだん堤防をつくるということが始まったわけでございます。  いまおっしゃいましたように、昔は川が長かったわけでございますが、だんだんショートカットしまして、早く出そうということは、早く水を出して安全を保とうという成果でございますが、ただし、これをやったから支川が整合をとれないということはございません。計画におきましては、本川のショートカット後のいろいろな水利的な計画に合わせまして、それに合流する支川のタイミングも合わせまして計画をつくっておるわけでございます。  ただ、毎回申し上げるとおりでございますが、支川の改修は大変おくれております。北海道についても大変おくれておりまして、その上に、このたびは五十年の雨量を一・五倍も上回るというような大雨が降ったわけでございまして、支川があふれ、内水問題が大変大きな問題になったわけでございます。この災害にかんがみまして、私ども支川の改修というものは非常に重要だと考えておりますし、今後ますます促進してまいりたいと思います。ただし、これも本川自体もまだ完全ではございませんので、その改修、それから機能等あわせまして、支川が整合性がとれたように促進してまいりたいと考えておるわけでございます。
  94. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは物の道理ですからね。本流が流れが非常に速くなってくると、支流の水が入らない、これは物の道理なんです。したがって、その点を考慮した今後の計画の見直しをやらなければならない。特に、今度委員長も一緒に行きましたけれども、札幌の付近もいままでは蛇行しておったやつを真っすぐ出したわけでしょう。そういうことで、ショートカットというのは、これを全部悪いとは言いませんけれども、必ず支流の水量を計算してそうしてやらなければならない、これを特に私は今度行ってみて感じたのです。ここだけではなしに、後でお話があると思いますけれども、長野県のあたりもそうだ。したがって、自然に余り逆らった計画というものは、必ず自然に今度は報復されるということをひとつ考えて今後の計画をやっていただきたい、これをまず要求しておきます。  次に都市計画、この中においてこういった集中豪雨のときにどうするか。そこを通っている河川がそれだけの水をのみ込めない、こういうことでありますから、雨水貯留施設というのですか、こういうものをこれから整備をしていかなければならぬのじゃないか、こういうように私は考えるのですが、この点について、いかがですか。
  95. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  確かに都市内におきましては、従前のように川の幅を広くするというだけの改修工事では万全ではないのではないかということで、御指摘のように雨水貯留施設等の事業も始めてございます。この事業は、御存じのように昭和五十三年度からいわゆる事業として認め始めまして、全国でいいますと現在までに六カ所、すでにそういう施設ができておりますし、現在十八カ所ぐらい工事をやっております。北海道につきましても現に一カ所手がけておりますが、これは実際は学校の庭とか公園とか、すでにあります公共用地を使わしてもらって水をためるという事業でございますので、なかなか自分だけのペースでこれは進まないという隘路があるのですが、できるだけふやしていかなければいけない事業だと考えております。
  96. 岡本富夫

    ○岡本委員 私、ヨーロッパであっちこっち回りましたときに感じましたことは、公園なんというのは道路よりも低くなっているのですね。日本の公園は道路より高い。ですから水はみんな舗装した道路へ流れる。しかし外国では公園へ水をやっておる。それで、公園というものは道路より低くして、そしてこれを雨水の貯留地にするとか、こういう都市改造をこれからやっていかなければならないのではないか、こういうふうに私は提案をするわけです。  それからもう一つは、並木があっちこっちにありましたけれども、それがどんどん倒れていた。それはなぜかというと、舗装してしまってそこに水が行かない、したがって根っこが非常に小さいわけですね、だから倒れる。そういうことで、今度の災害でも、それがまた水をとめたり、あるいはいろいろなものをとめたりする原因になっておるわけです。こういった問題について、一つは浸透性舗装道路といいますか、舗道を水が入るようにするとか、これをひとつ考えてもらいたい。  いまお聞きすると、全国で何カ所かやっていると言いますけれども、そんなわずかなことではなかなか今度の災害のようなものに対応できない。もう何遍も起こっているわけですから、ひとつそういうことで早急に都市改造も考えていく。これは土地を買うことは要らぬわけです、現在あるやつを改造するのですから。金がないから行政改革というのですが、これは土地を買ったりすることは要らぬわけです。そういった面もひとつ考えていかなければならぬと思うのですが、これは提案ですが、いかがですか。これは河川局だけじゃないのだ、都市局もあるのだよ。
  97. 吉越治雄

    ○吉越説明員 お答えいたします。  道路の透水性舗装の普及の問題でございますけれども、これにつきましては、車道での採用は問題があろうかと思います。これは支持力等の問題がございます。いま先生お話しのように、並木の水あるいは最近やっております車道と歩道の間の生けがき的な植栽帯の水の供給、そういったものを兼ねまして、歩道の一部に粗い舗装を打ちまして、舗装のところから水を浸透させ、樹木を涵養するというような意味で、試験的に都市内で実施しているところでございます。  いまお話しのような、車道に水を浸透させて涵養するというような意味からの大々的にということにつきましては、多少その支持力等の問題がございますし、それから目詰まり、そういった問題がございますので、もう少し研究させていただきたいというふうに思います。
  98. 岡本富夫

    ○岡本委員 札幌なんかは結局、せっかくある下水がオーバーして、下水のところからどんどん水が出ておるわけでしょう。要するに、側溝へみんな集めてそこへやるものですから、だから許容量をオーバーしてしまう。したがって、やはり分散をしていくというようなことも考えなければならぬと私は思っている。ひとつその点についても考慮に入れて今後の国土計画をやっていただきたい、こう思うのです。  今度参りまして特に感じました中で、砂川市、ここの市長さんや皆さんが特に要求しておりましたことは、ペンケ歌志内川の河川改修、これはペンケとパンケというのがあるのです。初めはわからないで困ったのですが、よく聞いてみると、パンケ川とペンケ川、この二つがあるわけですが、このパンケ歌志内川の余剰水をペンケ歌志内川の方に新水路をつくって流せば、砂川市の中心が非常に助かるのだという陳情があったわけですけれども、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  99. 玉光弘明

    玉光説明員 先生いま御提案のございましたペンケ、パンケの歌志内川がございまして、下流側の下の方がパンケと言うようでございまして、それを上流のペンケに合流させるという計画でございまして、新しい放水路を計画されております。  北海道庁におきまして検討中でございまして、今後建設省におきましても、北海道庁とこの改修を促進するように十分協議してまいりたいと思っております。
  100. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから、同じく砂川市で、石狩川流域にあるところの低地帯ですか、ここは工場あるいはまた住宅、いろいろなものがありますけれども、先ほど話があったけれども、内水排除、この施設が大体六カ所でしたか、この要望もあったわけです。先ほど内水排除については力を入れるという長官から話があったから、これはひとつ安心をしておきますが、やっていなかったらこれはちょっとまた問題になる。  次に、国鉄総裁、来ていますか。——総裁は廃止になる線に乗ってみたり暇なことをやらぬで、やはり国会へ出てこないといかぬね、これは要求してあったのだから。  それで、この日高本線、これは先ほど池端先生からも強い要求がありましたけれども、十一月いっぱい、これはちょっと無理ですよ。これはぼくらも行ってみまして、現地でもなかなか無理だと言う。先ほど本社の方で、そういう気持ちでなければおくれるからというような話でありますけれども、漁業補償問題をもっと考えて、——これはただあそこの土を道路を通ってトラックで運んでおるのでしょう。そんなわずかなことでできるわけはないですよ。ぼくも現地を見たが、そんな簡単なものじゃない。したがって、(「雪の降る前にやれ」と呼ぶ者あり)雪の降る前、確かにそうだ。総裁みずから一遍向こうへ行って、廃止になる線に乗っておる暇があるなら、ハッパをかけなければだめですよ。札幌だけに任しておいたのでは、とてもこれは無理です。中には、このままほっておいて廃止してしまうのではないかというようなうわさも出ておる。この日高地域からは池端先生だとか高橋先生だとか優秀な人が出ておるわけですよ。わが党にも野村君というのがいる、ここのところ落選しておりますけれども。こういうところでありますから、これは総裁がぜひ行って現地調査して、そうしてなるべく早くやる。漁業補償もなしに安くやろうというような考え方がいまのところ国鉄にはある。だから、いま赤字になっているけれども、お金を出してもひとつ極力早くがんばってもらわないと、雨が降ったり雪が降ってくるとこれはできなくなる。これをひとつ国鉄から答弁をいただきたい。
  101. 村上温

    ○村上説明員 御指摘ございましたように、確かに非常に苦しい工程ではございます。特に海に土を捨てない、これは決してお金だけの問題ではなくて、やはり地元との話がございますから、そういうことで難航しておることは事実でございますが、十二月に入りますと雪とかあるいは気温の問題、それから波が非常に高いというようなことで工事はますます苦しくなる、年が明けて春までの間非常に工事がむずかしくなるということで、実は天候の方も災害以来予想をはるかに上回る悪い天候で、後から土が崩れるというような状況もあって、確かに工程を苦しくしておるわけではございますが、少なくとも目標をいま繰り下げるということではますます苦しくなると思いますので、ぜひ全力を尽くしたいというふうに考えておりますし、現地へもぜひ幹部の方にも時間がございましたら行っていただいて、ひとつ推進いたしたいと思います。
  102. 岡本富夫

    ○岡本委員 必要があれば幹部の方に行ってもらうという、これは総裁を一遍引っ張っていかなければあかぬよ。それだけ要求しておきます。  それで、被害農地を農林水産施設災害復旧事業として速やかに査定を行い、復旧を図られたい、これは二十日に閣議決定ということですから、了解しておきます。  それから、天災融資法適用して早期に貸付限度引き上げを願いたい、これは先ほど四百万まで貸し付けできるのだということでありますから、これも了解しておきます。  あと大分あるのだけれども、時間がありませんから、先ほどお話がありましたように、明年度の転作地目標面積の配分、これはもう無理だというような答弁があったわけですけれども、これは排水ポンプが転作用にできていない排水ポンプですね。水田用の排水ポンプのまま転作をせいというのですから、これはちょっとぐあいが悪いですよ。ですから、この水田用の排水ポンプを一般の排水ポンプにやり直す、そういうようにして初めて作地面積を配分するならしてもいいけれども、これができなかったら、これはちょっと全国的に同じような配分ではぐあいが悪いと私は思うのですよ。この点についてひとつ農林省、もう一遍……。食糧庁と両方からだよ。
  103. 北村純一

    ○北村説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、従来の農地の排水につきましては、三十センチの水田の湛水を許容いたしました形での排水対策事業であったわけでございます。しかしながら、今回の水田利用再編対策を踏まえまして、いわゆる水田の汎用化と申しまして、畑に転用いたします場合にはそういった三十センチの湛水は許容するわけにまいりませんので、いわゆる無湛水ということで、必要な排水しなければならない水量につきましてはより多く見積もらなければならない、いわゆる整備水準を高めていかなければならないということでございますので、現在すでに緊急の排水対策特別事業、それから圃場整備事業、それから一般の灌漑排水事業というような事業の中で、そういった水田の汎用化対策のための緊急の排水対策実施しておるところでございます。  さらに、先ほども御答弁申し上げましたが、今回の石狩川水系の災害にかんがみまして、緊急に排水対策につきましての整備調査をやるという要求をいたしておるところでございます。
  104. 岡本富夫

    ○岡本委員 調査をしましてと言うが、これは調査しなくったって、こんなものはわかっておるのですよ。各市、各町へ行ったら、どこがいままで水田対策でこういうポンプを使っておったか、すぐにわかる。あなた、こんなもの一々調べに行かなくったって、報告させたらすぐわかるわけです。そして、それをこの転作目標と連動させないといかぬと私は言うわけです。これは連動させますか、どうですか。
  105. 近長武治

    ○近長説明員 水田利用再編対策につきましては、先生御案内のように、現在、全体として米が非常に過剰な基調でございます。したがいまして、やはり全国的にそれぞれの地域でみんな困難な事情がございます。米作地域は、やはり自分の地域は将来とも稲作としてやりたいという気持ちがございます。それから、転作が他の地域よりはやりやすいのではないかと思われているような、たとえば西日本のような地域でも、いや、自分のところこそやはり稲作でやりたいという気持ちがございます。また、北海道は御案内のように水田面積からすれば全国トップクラスでございます。生産性も非常に高いというようなことで、北海道北海道としての稲作適地としての主張がございます。また従来水田で米をつくっていたわけでございます。  転作というのはほとんどが畑作になりますので、それをかなり計画的に転作に向くように、各種の土地改良事業を農林省挙げて精力的に取り組んでおります。  そういう状況を踏まえまして、実は転作目標面積を配分する際にもいろいろな要素を加味いたしまして、なるべくそれぞれの地域の中で、困難な中でも転作に取り組みやすいようにというようなことで配分してきているつもりでございます。  今回の水害の問題については、近来まれに見るというような状況でございますし、現実としてはなかなかむずかしい状況だということを私ども承知しております。ただ目標面積の配分の問題につきましては、昨年いろいろな御議論の上で、第二期対策のスタートであるというような状況、それから目標面積が一期と二期との間に十数万ヘクタールという非常に大きな伸びをやらなければならないような事情というようなことで、私ども北海道の事情も十分に承知しておるつもりでございますが、国全体として米の需給事情がこういうようなことでございますので、目標面積が減ればそれだけやはり過剰という形で、また将来に禍根を残すというようなこともございますので、なかなか困難な問題でございます、と先ほど来再三お答えしているような次第でございます。
  106. 岡本富夫

    ○岡本委員 だから、その目標の配分に当たって、また目標が出るのならば、私の言うのは排水ポンプを転作用の排水ポンプに直さなければならぬ、こう言っているわけですよ。それでなければぐあいが悪いわけです。その点、もう一遍……。
  107. 北村純一

    ○北村説明員 水田利用再編対策に当たりまして、私どもの公共事業部門の方では緊急排水対策特別事業というのを起こしまして、その前段といたしまして要整備調査というものを行っておるところでございます。  その要整備調査はどういう調査かと申しますと、現在市町村別に配分されております転作面積の中で、畑として使いますいわゆる乾田とそれ以外の面積とを調べておるところでございまして、御指摘のように、乾田面積が転作面積に見合う分だけなければこれは転作できないわけでございますので、その辺の要整備量を把握いたしまして、その要整備量に見合うポンプをつけるなり何なりといった事業を起こすべく計画をして実施しておるところでございます。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に、これだけ一つ聞いて終わりたいと思うのです。  今度の災害によってたんぼが冠水した、そのために規格に外れるような米が出てくるだろう、その特例規格外米の買い入れについて価格を決定するようにということの質問に対して、先ほど収穫が終わって必要があればその価格を決めるということだったが、これはだれの必要によって決めるのか。政府の必要かな、それとも住民の皆さんの必要なのか、これが一つ。  それからもう一つは、麦の方は非常に困難であると言うけれども、米をやって麦はやらぬ、そんな不公平なことがないように、麦もひとつ考えてもらいたい、この二つをお聞きして薮仲君にかわりたいと思うのです。
  109. 大坪敏男

    大坪説明員 まず第一点の規格外米の買い入れの問題でございますが、本件につきまして必要があればと申し上げた趣旨は、農家経営の実態から見まして経営の安定上必要があるかどうかという判断と、もう一つは、やはりこれは食管としての買い入れでございますので、そのたてまえといたしまして、どうしても食糧としての流通というのが前提でございます。そういった諸般の情勢を考えまして、必要があればということを申し上げたわけでございます。  また、第二点の麦の価格差補てんの問題につきまして、補てん自体につきましては規格外麦の出方を見ながら検討させていただくということを申し上げたわけでございます。ただ問題は、現在基金が十四億あるわけでございますが、北海道からの御要望では積み増しをしてもらいたいということがあるわけでございますが、現下の厳しい財政状況のもとにおきましては積み足しは非常にむずかしい問題である、という趣旨のことを先ほど御説明申し上げた次第でございます。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういう答えはちょっと困るなあ。十四億で間に合わなければ、ひとつ今度は予備費で何とかやかましい大蔵省に交渉するとか、あるいはまた、食糧庁の関係で必要があれば買う。これは規格外の米でも、前にカドミの米なんかも買い上げて、そうしてのりに回しておったでしょう。やろうと思えばやれぬことはないのですよ、やらぬでおこうと思えばそれはできないかもしれませんけれども。その点もひとつよく検討してもらいたい。  これで、私は次の薮仲君にバトンタッチします。
  111. 木島喜兵衞

    木島委員長 薮仲義彦君。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が限られておりますので、私は三点お伺いしますから、御答弁いただく方は明快に、きちんと要点をお答えいただきたいと思います。  三点と申しますのは、一つは小貝川、第二点は長野県の須坂の鉄砲水、三点は、私の地元静岡県の久能海岸、この三点をお伺いさせていただきます。  まず、茨城県のいわゆる利根川水系の支流、小貝川の決壊の点からお伺いいたしますが、私は、治山治水というのは政治の根幹といいますか、要諦であろうと思うのでございます。特に治水対策の最もかなめといいますか、代表は河川の堤防であろうと思うのであります。その生命線とも言うべき堤防の決壊は、建設省にとっても重大な事態であろうと思いますし、国民の側から見ても、あの一級河川建設省、国の直接監督下にある河川の堤防が決壊するということは重大な事柄であろうと思います。しかも、この小貝川は過去において三回も堤防が決壊しておる。そのうち二回は水がオーバーフローしておる、越水しておるわけです。越えています。あとの昭和二十五年のものは、今回と同じように計画高水位まで来ないうちに決壊したわけですが、その原因はわからぬ、これが建設省お答えでございます。  今回の問題は、先ほど指摘しましたように、国が管理する一級河川での決壊である、しかもそれは計画高水位以下で決壊をしてしまった。一番こわいのは、なぜ壊れたかという原因がわからない。原因がわかって対策をとるならばこれもなるほどと思いますけれども、計画高水位以下で破堤してしまった。これは現在の堤防の技術では致命的な問題であろうと思いますので、私はこういう点にかんがみて、以下三点について質問しますので、お答えいただきたい。  一つは利根川、いわゆる小貝川につきましては、利根川本流のバックウォーターの影響で、今回破堤しました地点は非常に危険な個所として、当然建設省も要注意の個所であったと思います。それで、このバックウォーターの影響を低減するために、しかも小貝川の水位を下げるために河道のつけかえを行い、合流点をもう少し河口側へつけて、バックウォーターの影響と水位を下げて治水計画を立てようとなさった。しかし、今回は都市化が進んでおるのでつけかえは断念した、合流地点を河口側に持っていくのはやめた、築堤を補強するという方法をとられるようでございますけれども、つけかえをしないで築堤を補強するだけで再びこのような事故を起こさないという自信がおありなのかどうか、これが第一点。  第二点は、もうこうなってまいりますと、治水という問題は河川局だけでは処理し切れないのではないか。先ほど同僚の岡本委員指摘したとおり、最近の北海道あるいは今回の小貝川にしましても、都市型の大きな水害といいますか、そういう問題を起こしております。都市化が進んで水についてのいわゆる貯留能力、遊水能力、保水能力がなくなってきた。都市化が進んだから一挙に水が出るんだよ、だからこうなったんだでは、これは絶対済まない。こうなってまいりますと、治水対策というのは、そこに流入する水の量を計算して、都市化についてはどうあるべきか、農地の転換についてはどうあるべきか、総合的な見地に立って治水対策を確立しなければならぬ。河川局が単なる河道の改修や築堤の補強だけでやろうとする段階ではないと思う。都市化あるいは農地の転換について、治水上から開発の限界量はここまでじゃないか、このような観点で都市構造というものを考えなければならない、治水対策考えなければならない事態に入っていると思います。単に年々計画の高水流量、いわゆる高水位を直していく、見直すというだけではなくて、総合的な治水対策をとるべき段階に入ったんではないか。この点についてどう考えるかが第二点。  三点目は、いまだに今回の原因がわからない、これは非常に残念なことであるし、また当然であるかもしれませんけれども、こうした事態を起こしたことにかんがみまして、計画高水位についての見直しは当然として、一万数千と言われる全国の大河川から中小河川に至るまでの危険個所を総点検をして、そして危険個所については重点的に行う、そして、このように建設省がかなえの軽重を問われるような、いわゆる堤防の決壊などという事態は断じて建設省の責任において起こしては相ならぬと思います。総点検と同時に、危険個所の早急なる対策を立てるべきであると思います。  以上の三点、いかがでございましょう。
  113. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  残念ながら小貝川は今回破堤したわけでございますが、御指摘のように過去三回破堤したわけでございます。これにつきましていろいろな治水対策が行われましたけれども、今回、つけかえ案等をやめまして本堤の補強に移ったということでございますが、これが大丈夫かという第一点の質問でございます。  御指摘のように昭和十四年に増補計画を立てまして、これによって放水路案というものをつくったわけでございます。これによって地元と交渉してまいりましたが、なかなかうまくいきませんでした。その後二十四年の改定計画におきまして背割り堤案というものを起こしまして、これも下流の方に本川沿いに小貝川をつけかえる計画でございまして、鋭意地元と交渉したわけでございますが、なかなかうまくいきません。  昨年十二月に至りまして、利根川の水系の工事実施基本計画を改定するに至りまして、諸般の状況をいろいろ検討いたしまして、現在の堤防を補強する計画を採用すべきであるという結論に達したわけでございます。これはいろいろな社会的条件、経済性等の比較、それからまた移転家屋の戸数だとか、それのいろいろな問題等、それから技術的にも小貝川の下流の堤防を拡築することで技術的にもいけるというようなことを考え合わせまして、現在の堤防案に踏み切ったわけでございます。これを促進すれば十分いけるという確信を持っているわけでございます。  第二点目の総合治水対策等でございます。流域全体で遊水地等も考えながら治水を考えるということでございまして、御指摘のとおりでございます。すでに都市河川等におきましては、いろいろな河川で流域の持つ保水、遊水機能等を確保しまして、流域整備計画を確立しまして、治水事業をやっていくという事業を始めております。これと同じような考えに立ちまして、その他の河川につきましても、流域の持つ保水、遊水機能を十分確保して、治水事業、堤防等の治水施設等の補強と相まって治水の根本的な対策を図ろうという考えを持っております。  それから危険個所の点検でございます。御承知のように、昭和五十年九月に長良川の決壊事件がございまして、それ以降点検してまいりまして、早急に補強すべき個所につきまして鋭意やってまいっておるわけでございます。これにつきまして、今回の小貝川の破堤原因につきましては鋭意調査中でございますが、その結論を見まして再度点検をするかどうかというのを十分検討してまいりたいと考えておるわけでございまして、そういう危険個所の点検によりまして、それを整備するということによりまして、堤防をより一層安全なものにしていきたいという考えでございます。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは時間がございませんので、当該の委員会でもっと突っ込んで質問をさせていただきます。その問題は以上で終わります。  次に、これは大臣にお願いでございますが、大臣には北海道その他各地へと、災害の都度緊急に行動されて視察をなさっておることに対して、敬意を表する次第でございます。  先ほどわが党としても、今回の十五号並びに北海道の集中的な豪雨等々の被害余りにも甚大でございますので、申し入れを行ったところでございますが、まだ台風の危険性は終わっておりません。そういうことにかんがみまして、今後とも長官の御尽力をお願いしつつ、この点について一つだけお願いするわけでございます。  先ほどもわが党の副委員長の多田参議院議員から大臣に篤とお願いがあったわけでございますが、あの長野県の須坂市の鉄砲水で、あっという間に十名のとうとい生命が失われた。一瞬どうしていいかわからないというほどの惨劇を受けたわけでございますけれども、このことについて当該の地方自治体としては、あらゆる努力を人命尊重という立場からやりました、こういうことを申しておられるようでございます。これはひとり須坂市だけでなく、いまは須坂市の例を一つ申し上げてお話しするわけでございますが、当該の地方自治体においては、全力を尽くして財源の許す限り、あるいは特別交付金の取り崩しまで行って災害復旧全力を尽くしておるわけでございまして、いま地方自治体が望んでおりますことは、長官初め国の温かい配慮、それを全国各地で最も望んでおるわけでございまして、どうか大臣の、そういう財政的な地方自治体に対する特段の配慮をお願いしたいと思うのでございます。その点、大臣、いかがでございましょう。
  115. 原健三郎

    ○原国務大臣 お答えします。  長野県のあの鉄砲水によって多数の方々が犠牲になられた。深く弔意を表する次第であります。お見舞い申し上げます。  非常に地方自治体は財政上窮屈な中で御奮闘しておる、決意もお聞きになったそうでございますが、私どもとしましても、このままほうっておくというような気持ちは毛頭ございません。ぜひ自治省とも相談して、特別交付金その他においてちゃんと後始末をさせてもらって御安心を願うようにいたしたいと考えており、早速交渉に当たりたいと思っております。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 大変力強い御答弁をいただいて、さぞや全国の自治体の皆さん方も喜んでいらっしゃると思いますので、どうか今後とも御尽力をお願いする次第でございます。  それでは次の問題、最後でございますが、私の地元久能海岸、これは国の直轄の海岸ではございません。しかし、なぜ私がこの質問をするかといいますと、ここは主要地方道、静岡久能清水線という道路がこの堤防の上を走っておる。これは国道昇格ということが内々決定しているやに伺っております。これは非常に重要な道路でございます。しかもなぜ私がこの問題を指摘しますかといいますと、ここは災害の都度、台風の都度、すぐ破堤して壊れてしまう。決壊する。御承知のように昭和五十四年度の災害でもやはり壊れた。五十六年度も壊れた。今回の台風十五号でも六百メーター近く破堤を来しているわけでございます。しかも今回破堤したのは、四十六年の災害のときに改良復旧した個所が二カ所も壊れておるわけです。五十四年災害災害復旧をしたのに今回壊れたということは、地元にとっては非常にショックでございまして、国が責任を持って助成してこの海岸工事を行っている以上、もう少し堅牢なものを、災害の都度壊れるような堤防であっては困るという気持ちを私も持っておるわけでございまして、このように災害復旧が終わったのに壊れる、また終わらないうちに次が壊れていくという非常に困った状態を、この辺、建設省がもう少し真剣に乗り出して、十日には現地査定ということのようでございますけれども、この主要地方道のいわゆる海岸の築堤をもっとしっかりしていただきたい、こう思いますけれども、この点を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  117. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 御指摘の久能海岸は、近年非常に砂浜の後退が著しゅうございます。それで、御指摘のように非常に被災頻度が高くなってございまして、特に五十二年、それから五十四年の災害につきましては、改良費を加えまして、災害復旧助成事業として五十二年災についてはすでに完成しておるとおりでございます。また五十四年災につきましては、現在五十七年完成を目標にいたしまして鋭意工事をやってございます。  先生指摘のことしの災害につきましては、三月の風浪によりまして大きい被害を受けたわけでございます。また、台風十五号によりまして五十六年、ことしの三月に災害を受けた個所に接続いたしまして二カ所、それから五十四災の区間でも二カ所、計四カ所が被災してございますが、先ほどお話がございましたように明後日、十日には緊急査定を行う予定をしてございます。  私たちといたしましては、これらを含めまして、改良費を加えて今回の災害復旧助成事業実施しなくてはいかぬだろうということで、現在検討してございます。
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 私、これで終わります。どうか久能の災害復旧には万全を尽くしていただきたい。
  119. 岡本富夫

    ○岡本委員 済みませんが、先ほどちょっと忘れていたので、一問だけ……。  現地へ参りましたときに、日高のコンブが非常に被害をこうむっているということで、陳情に来ておりました。あの日高のコンブについての対策、あるいはまた、その後どうなっているか、これを一つ聞くのを忘れましたから聞いておきます。これは全道の三〇%がこの日高のコンブらしいですね。水産庁かだれか来ていませんか。
  120. 大坪敏男

    大坪説明員 今回の北海道災害におきまして、水産関係では、コンブの養殖につきましてかなりの被害が出たということを承知しているわけでございますが、当面やはり、漁家経営安定という観点では、漁業共済の措置が重要だと思うわけでございまして、加入しておる漁家もいるわけでございますので、この漁業共済金早期支払いにつきましては、責任期間が大体来月の中下旬には到来するという状況でございますので、責任期間が終了後直ちに共済金を支払うという方向で、目下指導しているという状況でございます。
  121. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもありがとうございました。
  122. 木島喜兵衞

    木島委員長 横手文雄君。
  123. 横手文雄

    ○横手委員 私は、民社党を代表して、八月初旬に襲ってきた集中豪雨、さらに追い打ちをかけるように襲った台風十五号によって、未曽有の大災害を受けた北海道地方の問題について、各政府機関に御質問を申し上げます。  政府としてもいち早く災害対策関係省庁連絡会議を開催をされ、原国土庁長官団長として現地調査団を派遣をされ、その対策を講じておられるところであり、また、本委員会も調査団を派遣をされたのであります。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕 わが民社党としても独自の調査団を編成をし、去る八月十一日、十二日に被災地を視察してまいりました。  開闢以来の大災害と言われるだけに、被害の大きさは大変なものであり、胸の痛む思いでございました。この災害のために不幸にして亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げると同時に、被災者に対し心からお見舞いを申し上げるものであります。  これら被害状況復旧とその救済のため、わが党は、政府がなすべき具体対策を決定をし、過日政府に、この対策に対して速やかに実行されるように申し入れをしてきたところであります。本日は、私はその申し入れに沿って、以下各項目ごとに順次御質問を申し上げます。  なお、けさほど来多くの方が質問に立たれました。したがって質問が重複をする部分がたくさんございますが、党としての確認をしておく必要もありますので、御答弁をお願いを申し上げる次第であります。  まず、国土庁であります。  今回の大雨被害がきわめて甚大であることにかんがみ、激甚災害指定を早急に行う、国として災害に対する復旧、救済の姿勢を明らかにする必要がありますが、その実情の掌握の状況激甚災害指定の時期について明らかにしていただきたい。
  124. 川俣芳郎

    川俣説明員 北海道大雨被害状況につきましては、けさほど資料で御説明申し上げたとおりでございます。  それで、激甚災害指定の関係でございますけれども、けさほど来大臣も御答弁申し上げておりますとおり、農地農業用施設等災害復旧事業特例及び農作物等被害に対する天災融資法特例、この二項目につきまして激甚災害指定が可能と見込まれますので、九月下旬を目途に政令の公布をすべく作業を進めておるところでございます。  なお、本日、中央防災会議の主事会議を開いておりまして、そこでこの件を検討しておるような次第でございます。
  125. 横手文雄

    ○横手委員 万全を期していただきたいと思います。  次に、建設省にお伺いをいたします。  今次災害早期復旧を図るために、緊急査定を行うとともに、災害復旧事業をできるだけ単年度で実施すべきと考えておりますけれども、その査定状況あるいは復旧事業の見通し等について明らかにしていただきたいと思います。
  126. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 ただいまのお話の件でございますが、北海道災害につきましては、特に冬季が早いということで、私たちを含めましていろいろと心配をしておるわけでございます。  現在災害復旧事業の仕組みは、直轄の災害につきましては、道路は一年で、河川は直轄河川は二カ年、それから地方公共団体のいわゆる補助災害につきましては三カ年で復旧をすることとなっております。ただこれは全体の、たとえば北海道補助災害四千数百件ございますけれども、この全体を三カ年でやるということでございまして、すでに、たとえば応急工事につきましてはもう実施済みあるいは実施中でございますし、本復旧につきましても、緊急なものにつきましては初年度に実施をするということで対応をしていきたいというふうに考えてございます。
  127. 横手文雄

    ○横手委員 どこの地域を回りましても、このところ相次いで襲ってまいります災害のために、二次災害あるいは三次災害、そういった問題に対して各地域大変心配をしておられるわけであります。一日も早く復旧する、それが地域の住民の人たちが安心して生活をしていける、そのことをまた国に対しても大きく期待をしておられることは御案内のとおりでございます。どうか誠意をもって行っていただきたいと思います。  さらに、政府は、「昭和五十六年八月三日から六日までの間の北海道大雨による災害に対して講じた措置及び今後の対策について」ということを、長官の調査団派遣後だと思いますけれども、災害対策関係省庁連絡会議で明らかにしておられるわけでございますが、この第五項目に「治山・治水・内水対策」と掲げて、「被害実態を踏まえ、河川の改良復旧、激特事業を検討していくとともに、今後とも治山治水事業を推進していく。なお、今回の災害の特性に鑑み、内水対策について調査検討する。」、こういうことを明らかにしておられるわけでございます。その内容についてもけさほど来明らかにされておりますけれども、私はこれは今日まで、先ほど来指摘がされておりますように、それぞれ計算をし、専門的に立案をされてきたけれども、しかしそれが甘かった。治山治水の事業が甘かった。甘かったというよりも、自然災害はもっとすごかった、私はこういうぐあいに受けとめるべきではなかろうか。自然はわれわれに対してもっと厳しいということを示した災害であったろうと思うわけであります。  そこで、次の二つの点についてお伺いを申し上げます。  その一つは、現行の石狩川水系工事実施基本計画が前提としてきた最大流水量を今回の大雨が上回ったということに、大きな災害の原因があったわけでございます。したがって、この基本計画を根本的に見直し、堤防をかさ上げするとともに、より抜本的なことは、以前から話題になっておりました、石狩川に流出する千歳川の流域変更、つまり太平洋岸に対して千歳川の流域変更をする、このことを具体的な日程に上げることが必要だということを今回の災害は教えたというぐあいに思いますけれども、いかがでございますか。
  128. 岸田隆

    ○岸田説明員 石狩川の改修工事は、昭和四十年に策定されました現行の工事実施基本計画に基づいて事業実施しているわけでございますが、今回未曽有豪雨に基づきます出水によりまして、これを根本的に見直す必要が出たわけでございます。したがいまして、今回の出水も含めまして総合的な検討を実施した上で、この工事実施基本計画を改定してまいりたいと考えておる次第であります。  また、先生指摘の千歳川の治水対策でございますけれども、この河川石狩川の支川でございまして、本川の排水の影響を大きく受ける、また支川としては非常に大きな流域を持っておりまして、かつ非常に低平地を流れております関係から、洪水とか内水が長く滞留するというきわめて複雑な条件を備えている河川でございます。したがいまして、太平洋への放水路計画というのも一つの方法と考えておる次第でございまして、この石狩川の工事実施基本計画の改定を進めるに当たりまして、この中でこの放水路計画を含めて総合的に検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  129. 横手文雄

    ○横手委員 各地でそういったことに対して話が出ておりましたし、地元の方では以前からこの問題について大変大きな関心を持っておられた。国家百年の大計の上に立った基本的な治山治水対策について、ひとつその構想を進めていただきたいというぐあいに思う次第であります。  いま一つは、内水排除施設、つまりポンプアップの問題であります。先ほど来議題になっております。私が参りましたときにも、このことが大変地元の関心として出ておりました。その中で幾つかの御指摘もございました。せっかくのポンプアップが壊れていたとかいうようないろいろな苦情もあったわけでございますけれども、これに対して、大きな成果であったという評価もたくさん聞きました。あれをつけてもらったおかげで湛水を早く排水することができた、こういったことで、このことに対して大変感謝をしておられたわけであります。それだけ大きな力を発揮しながら、しかしなお何日間も冠水が続いて被害を大きくしたということは、残念ながら、この施設の能力をはるかに超える降雨量であったということであろうと思う次第であります。  先ほど申し上げましたように、石狩川のこの河川計画の際の、われわれの想像を超えるような降雨量があったということを見せつけられた今回、この内水排水の問題についてもその設備能力を大きく超えたものだった。先ほども申し上げたように自然の力はすごかった、こういうことがここでも見せつけられたような気がするわけであります。それだけ地元の皆さん方が期待をし、そして一部で大きな力を発揮したこの能力そのものを、その自然の教えに対してわれわれはもっと大きなものでこの自然災害を迎え撃っていく、そしてわれわれの生活を守っていく、これが当然のことであろうというぐあいに考えるわけでございますが、この点について、この能力アップのために今後ともに大きな力を尽くすべきだというぐあいに考えておりますけれども、いかがでございますか。
  130. 北村純一

    ○北村説明員 お答えいたします。  石狩川流域における既設内水排除施設につきましては、ただいま御評価いただきましたとおり、今回の大雨でも、その被害を最小限に抑える機能を果たしてきたところでございます。  しかしながら、今回の想像を絶する豪雨に襲われる事態にかんがみまして、そのポンプの稼働状況被害実態を早急に調査いたしますとともに、水田の汎用化に対処いたしますためにも、施設の増強や改善の方向を早急に検討して、整備を促進していく必要があろうかと考えております。  このために、従来の石狩川水系の広域農業開発基本調査に加えまして、五十七年度に緊急の排水対策基盤整備調査を予算要求しているところでございますが、あわせまして、従来の既設の制度、すなわち灌漑排水事業、明渠排水事業排水対策特別事業、また圃場整備事業等の中でも鋭意対応してまいりたいと考えております。
  131. 玉光弘明

    玉光説明員 治水事業の手順としまして、まず本川筋の受け入れをしっかり整備して、それにつながる中小河川整備してまいります。その次に、いわゆる内水の処理というものがつながってくるわけでございます。これは、一つができなければ全然やらないというものではございませんで、本川がある程度の能力があれば支川もある程度の能力の改修が進められる、支川がある程度上がれば内水対策もある程度手がつけられるというような段階的なものでございます。  そこで、内水の処理の方法でございますが、これはいわゆる低平地にたまる水、山から来る水を横にずらせまして河川に入れていくという方法と、ポンプで排水する方法、それからある程度湛水を許容して、もう余り被害が起こらないという土地利用を考えながらやるというような、三つの方法が考えられるわけでございます。  こういう方針に基づきまして、建設省としましては、いまのところ治水施設整備状況が大変悪うございまして、大河川とか中小河川の外水対策にかなり力を入れたわけでございます。しかしながら、内水対策としましても、特に地域的に国民経済上大変重要な地域につきましては、建設省におきましても積極的にポンプをつけて内水排除をしてまいったわけでございまして、この石狩川流域にも十カ所以上のポンプ場があるわけでございます。そういうことで、そういう考え方に基づきながら、今後とも一層内水対策について力を入れたいと考えておるところでございます。
  132. 横手文雄

    ○横手委員 いまも申し上げましたように、いろいろな地域に行ったときに、地域の方々から、このポンプアップに対する評価というものをたくさん聞いたわけでございます。それだけに、この災害を食いとめるために、地域の皆さん方の力になったことは事実でございますので、そういったものは、いまおっしゃったようにいろいろな問題があろうと思いますけれども、われわれはこの自然災害に打ちかっていく、それが人間の知恵であろうというぐあいに考えますし、威力を発揮するものなら今後ともにこれをさらに強化していく、このことについてさらに御尽力をお願いを申し上げる次第であります。  次に、自治省にお伺いを申し上げます。  先ほど申し上げましたこの連絡会議の資料の中の四番目、「被害者等に対する援助」の(4)の中で、「地方財政上の措置」という項目がございます。「被害状況、財政状況把握した上で、実情に応じ、普通交付税の繰上げ交付、地方債の許可、特別交付税措置等を検討する。」、こういうぐあいに書いておられるわけでございます。「検討する」ということは、実施が前提であろうというぐあいに私は考えるわけでございますが、その点について自治省のお考えをお伺いいたします。
  133. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  まず、当面の対策といたしまして、普通交付税の繰り上げ交付につきましては、八月三日から六日の豪雨災害に関係しまして道内九十一市町村に対しまして九十億三千五百万円、それから台風十五号の関係がその後出ましたので、二十三市町村に十五億一千四百万円をそれぞれ繰り上げ交付を実施しております。  なお、今後、現在各省と関係地方公共団体との間におきまして災害復旧事業査定等も進んでおりますので、その報告等を受けまして、災害復旧事業債等の地方債の配分を行いますとともに、十二月と三月に行います特別交付税の算定に当たりましては、被害状況それから関係市町村の財政状況等を十分勘案しまして、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  134. 横手文雄

    ○横手委員 地方債、こういった問題については、各自治体の要請に応じて自治省がこれにこたえていかれる性質のものであろうというぐあいに思うわけでございますが、この中に記してあります「地方債の許可」、この問題については災害復旧事業債、つまり元利償還の地方債の許可あるいは特別交付税の上乗せ、こういったようなことも前提としてあるというぐあいに確認していいわけですね。
  135. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  136. 横手文雄

    ○横手委員 自治体の皆さん方、大きく期待をしておられますので、ぜひこたえてやっていただきたいと思う次第であります。  次に通産省、中小企業関係について御質問を申し上げますが、同じ「4 被災者等に対する援助」の中の(3)の「中小企業者関係」、「被災中小企業者に対し、政府系中小三機関災害復旧貸付け制度を発動したほか、今後、被害実態を踏まえて、激甚法の適用を検討する。」、こういうぐあいに述べておられるわけであります。私は、中小企業の人たちは大変困っておられるだろうというぐあいに考えます。ところが、中小企業者の場合には御案内のとおりきわめて弱い立場にあるわけでございますので、貸付金利の引き下げあるいは据え置き期間の配慮あるいは既貸し付け償還猶予、こういったようなもの、きめ細かい対策中小企業対策として立てていくということが親切であろうと思うわけであります。北海道としてもこれらの対策について考えておられるようでございますけれども、中小企業庁として具体的にこの中小企業被災者に対していかなる救済措置をとってこられたのか、あるいはとろうとしておられるのか、そのことについてお伺いいたします。
  137. 熊澤正光

    ○熊澤説明員 お答えいたします。  被災中小企業者に対します救済対策としましては、先生指摘ございましたように、政府中小企業金融機関によります災害復旧貸付制度を、台風十二号関係につきましては八月六日と八月十日、台風十五号関係については八月二十六日に発動いたしております。  この制度は、貸付限度額引き上げ、貸付期間及び据え置き期間の延長等を内容といたします特別融資制度でございまして、通常の融資に比べまして簡易、迅速に融資が行われるように措置いたしております。また、被災中小企業者の実情に応じまして、既往貸付金償還猶予につきましても弾力的に取り扱いができるように措置いたしております。  以上でございます。
  138. 横手文雄

    ○横手委員 金利関係はどうなりますか。
  139. 熊澤正光

    ○熊澤説明員 金利の関係につきましては、先ほど御指摘ございましたように、激甚災害法指定ができますれば六・〇五とか三%に引き下げができるわけでございますけれども、私ども現在得ておりますところによりますと、その指定要件でございます管内の中小企業所得推計額には達していない状況でございまして、残念ながら引き下げには至っていない現状でございます。
  140. 横手文雄

    ○横手委員 私は、本年のあの豪雪のときに、特に私の選挙区でございます福井県の中小企業者のためにこの委員会で発言をし、そして、政府としても多くの中小企業対策をとっていただいたわけでございます。地元の皆さん方は、この豪雪で中小企業が密集する福井県には大変なことが起こるということを憂慮されたわけでございますけれども、政府の適切な処置によってこれを免れたということで大変感謝されました。したがいまして、私は、次の委員会のときにそのことを、大臣並びに中小企業庁長官に対して、地元の中小企業者の御礼の言葉でございますと申し上げたことを覚えておるわけであります。  御指摘のとおり、なるほど激甚法の指定、それは一定の枠があるということを私は承知いたしておるのであります。しかし中小企業、たしか一割以上だと思いますけれども、そうですね。たとえば百軒の中小企業者があった、その中で八軒がほとんど全滅であった。十一軒やられたら六・〇五%の金利で借りられたのに、八軒しかつぶれなかったからこれは通利でございます、こういうことに相なるわけであります。ところが、被害を受けた中小企業にしてみれば、八軒だったのか十一軒だったのかは関係ないのであります。まさに私の家は一〇〇%やられたのであります。こういう中小企業者に対して、その法の枠はあるにしても、たとえばことしの豪雪のときに福井県でとってもらいましたが、調査が済むまで待っていたならば中小企業は死んでしまうわけであります。幾ら損害が出たのかということを調査する、その間に中小企業は死んでいくのであります。死んでしまってからその法の適用をされたのではどうにもならないということで、あの豪雪のときにはこれをみなして、そして六・〇五ですか、特にひどい中小企業に対しては三%のこういった制度を発動してもらって、中小企業が生き長らえたという事実があるわけであります。こういった問題について中小企業庁としてのいま一歩突っ込んだ御答弁をお願い申し上げたい。
  141. 熊澤正光

    ○熊澤説明員 地域によりましては中小企業体質強化資金の活用制度もございますけれども、北海道庁の場合には、道の単独事業といたしまして、災害復旧特別貸付制度で六・二%の融資をされております。現在三億円の融資規模と伺っておりますけれども、これの拡大等について私ども現在道庁ともいろいろ相談いたしておりまして、必要に応じて政府機関等の融資等につきましても御協力いたしたい、かように考えております。
  142. 横手文雄

    ○横手委員 中小企業体質強化資金というものを地方自治体がとればその半分は国が援助していく、こういったような制度のことであろうと思うわけでございますが、北海道としてはこれをいわゆる県単、これは道単と言うのでしょうか、そういうことで行っておる。そして、中小企業に対してはそれらの安い金利が流れるような方策がある。こういうようなことの説明でございますが、北海道としてもそういったことで真剣に取り組んでおられる、そして弱い中小企業者に対して復旧のための手を差し伸べておられるということは大変結構なことであり、敬意を表するわけでございますけれども、これらと相呼応して、中小企業庁としても今後必要に応じて、北海道と十分連絡をとりながら、激甚法の問題もさることながら、中小企業対策について、金利を含めて万全の体制をとっていく、こういう決意であると伺ってよろしいわけですね。
  143. 熊澤正光

    ○熊澤説明員 北海道庁とも十分連絡をとりまして、実効ある措置がとれますよう努力いたしたいと思っております。
  144. 横手文雄

    ○横手委員 次に、農林水産省関係について御質問を申し上げます。  まず、第一点は天災融資法発動でございますが、これは冒頭の質問の中で、いわゆる激甚災害指定と同時に、この天災融資法発動についても今月いっぱいでこれを行う、こういう御答弁をいただきましたので省略をいたします。  さらに、自作農資金等につきましても、先ほど来触れられておりますように、北海道は水田利用再編政策による米の減反率はどこよりも高いわけであります。したがって、農家の皆さん方はこの方針に基づいて転作をした、ところが今回は、その転作をした作物がことごとく被害に遭ったというところに大きな悲劇があると言わざるを得ません。したがいまして、農家経営も大変な苦しい状態にあるということは想像にかたくないわけであります。差し迫って自作農維持資金等についての融資、こういったものは、地域の皆さん方に大きな要望として起こってきておることを私どももよく承ってまいりました。これの融資枠確保すると同時に、現在の借入高、こういったことを十分考慮しながら貸付限度額特例措置を設ける、こういったことが必要だと思いますけれども、いかがでございましょうか。加えて、他の制度資金既貸付金に対する償還猶予等措置も講ずべきであろうというぐあいに考えますが、あわせて御答弁をお願いを申し上げます。
  145. 大坪敏男

    大坪説明員 八月上旬の北海道における災害に対します自作農維持資金の問題でございますが、資金枠の確保並びに融資限度額引き上げにつきましては、現在、被害農業者の資金需要、さらには北海道のいろいろ抱えております特殊事情等も踏まえまして、実態に即した適切な措置を講ずべく目下検討中でございます。  また、第二点といたしまして、既貸付金についての償還猶予等貸付条件緩和措置でございますが、すでに八月末に経済局長通達を発しまして、関係金融機関に対しましてその方向で措置するよう指導したところでございまして、引き続きこの線に沿って指導徹底に努めるところでございます。
  146. 横手文雄

    ○横手委員 それでは確認をいたしますけれども、この自作農資金融資枠確保あるいは、この現在の貸付残高等を見ながらということでございましょうけれども、場合によっては貸付限度額特例を設置する用意がある、こういうことで理解してよろしいわけですね。
  147. 大坪敏男

    大坪説明員 自作農維持資金限度額引き上げかと思いますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、被害農業者の資金需要あるいは北海道特殊事情というものを総合的に勘案しながら検討中でございまして、方向としては前向きに対処いたしたいと考えております。
  148. 横手文雄

    ○横手委員 さらに、今回の水害は、稲作にとってちょうど出穂期の直前でありました。私も農家のせがれでございますので、稲が出穂直前に、むしろ穂が出た後よりも、出穂直前に冠水をした、あるいは台風に遭ったというものの被害がいかに大きいかということは、子供のころから見てよく知っておるわけであります。したがいまして、この実りに対する悪影響が予想され、未成熟米の収穫が心配をされるわけでございますが、まだ刈り入れが行われておりません。もしそのような事態が起こったときに、政府は昨年の冷害の例にならって、規格外米政府買い入れ特別措置をとる用意がある、こういうことでございましょうか。あるいは、麦については刈り入れの真っ最中でございましたので、これまた品質の低下は免れません。規格外麦価格差補てん措置の必要があります。これも先ほど来述べられていたことでございますけれども、確認の意味でひとつ明快に御答弁をお願い申し上げます。
  149. 大坪敏男

    大坪説明員 まず第一点の、規格外米政府買い入れ問題でございますが、先生指摘のように、今回の相次ぐ災害によりまして、規格外米の相当量の発生が懸念されるわけでございますが、その数量自体につきましては、収穫が終わって初めてわかるという状況でございますので、現在のところ、その数量の把握には至っていないという状況でございます。したがいまして、今後発生状況をにらみながら、必要があれば規格外米の取り扱いについて検討するという方向で対処いたしたいと考えておるわけでございます。  また、第二点の規格外麦価格差補てんの問題でございますが、現在、農産物検査を終えたものはまだ一部でございまして、全体として、関係の要綱があるわけでございますが、要綱上価格差補てん措置発動する要件を充足するかどうかにつきましては、まだ判断する段階に至っておりません。したがいまして、今後検査の結果等が明らかになった段階におきまして、実施要綱等に基づきまして適切に対処してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  150. 横手文雄

    ○横手委員 先ほど来、各先生方から強くこの点について御要請があったところでございます。私の方からもあわせてこのことを再度申し述べておきたいと存じます。  さらに、堤防決壊その他によって、たんぼに土砂が流入をしてきております。これは当然公費によって排除されるのでございましょうけれども、これと同時に、刈り入れの終わった麦わらがまた大量に流れ込んでいるところがあります。土砂まじりであります。とてもどうにもこうにも手がっけられないといったような事実を見てきたわけでございますが、これも当然土砂を含んで、土砂と一緒に流れてきたものでございますので、これも一緒に公的に除去されるものだというぐあいに考えておりますし、地元の皆さん方もそのように願っておられるわけでございますが、この点について確認だけさせてもらいたいと思います。
  151. 大坪敏男

    大坪説明員 先生指摘のように、地域によりましては、土砂と同時に多量の麦わら等雑物が農地に流入するという事態が起こっているわけでございますが、御指摘のように麦わらの排除は、こういった場合には土砂の排除と一体の作業でもございますので、これらの排除につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づきまして、従前の効用が回復できるよう対処してまいりたい、かように考えております。
  152. 横手文雄

    ○横手委員 よくわかりました。  最後になりますが、二点、畜産関係で御質問を申し上げます。  御承知のとおり、北海道日高地方における基幹産業である軽種馬、つまりサラブレッドの生産にも被害発生をいたしておるところであります。今日までこの軽種馬生産も畜産経営とみなしてこられた政府方針に合わせて、今回の災害復旧の対象となるというぐあいに解釈をしておりますが、そのとおりでよろしゅうございましょうか、確認をいたします。  それからもう一つ、この災害によって畜産の越冬飼料の不足を心配をしておられる声がたくさんございました。政府として、これの量の確保とあわせて、被害畜産家に対して政府操作飼料を低価格で払い下げるなどの処置が必要であろう、もしそういった越冬飼料が枯渇したというようなときには、こういった緊急の対策も必要であろうというぐあいに考えておりますが、その二点について御質問申し上げます。
  153. 三浦昭一

    ○三浦説明員 最初の第一点目でございますが、御質問の御趣旨は軽種馬生産が今回の災害対策の対象になるかという御趣旨だと思いますが、災害対策という面におきましては、軽種馬を生産する農業者も他の作目を生産する農業者と基本的に異なるところはない、したがいまして軽種馬生産に関する被害につきましては災害対策の対象になるというふうに考えております。
  154. 日出英輔

    ○日出説明員 お答えいたします。  越冬用飼料の関係でございますが、これにつきましては、先生お話しのとおり、非常に心配だという声もございます。そこで、具体的にどのく弔いの数量を必要かという御要望がありますれば、特別売却というやり方で量的確保につきましては検討してまいりたいと思っております。  ただ、政府操作飼料の低価格での払い下げの問題でございますが、これにつきましては、実は現在、特にこの問題は大麦でございますけれども、政府操作飼料につきましてはすでに実はトン当たりで七千円程度の財政負担をやっておりまして、これ以上に財政負担をしてやるということはなかなかむずかしいという問題がございます。やはりこういった畜産農家の再生産資材の問題につきましては、借入資金についての助成措置等で対応していただくということになるのではないだろうかという、この点につきましては、いままでにも実はやっていないという実情がございまして、大変むずかしいということは申し上げなければならぬと思います。
  155. 横手文雄

    ○横手委員 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますけれども、しかし、この畜産越冬飼料の問題については現地の方も大変心配をしておられました。なるほど現行価格に政府が補助しておられることは承知をいたしております。しかし、この際、被災畜産家に対しては、その飼料等について枯渇をした場合に何らかの救済措置をとってやるというのは、私は大変大事なことだというぐあいに考えておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。  以上、多くのことについて申し述べてまいりました。地域の皆さん方も、復興に対していままなじりを決して立ち上がっておられるところであります。そしてまた、政治に対しても大きな期待を寄せておられます。私ども、各政府関係と一体になって地域の要望にこたえていかなければならないというぐあいに考えておりますので、各省庁の積極的な施策を御期待を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  156. 池端清一

    ○池端委員長代理 栗田翠君。
  157. 栗田翠

    ○栗田委員 私はきょうは北海道の水害問題、それから小貝川決壊に伴う問題、静岡海岸問題など、質問させていただきたいと思います。  当委員会の調査北海道に参りまして、被害の甚大さに大変心を痛めております。被災された方には心からお見舞い申し上げます。  そこで、最初に石狩川計画高水流量の見直しの問題でございますけれども、これは先ほど岡本委員の御質問があって、見直しが検討されているというお答えが出ております。もう少しこの点を詰めて私は伺いたいと思っているのですけれども、最初これは毎秒九千三百トンの流量で計算をしていたものが、五十年の災害で一万一千トンに見直した、ところが今回の出水ではそれをまた上回るような状態であるというような御答弁が先ほどあったと思います。  ところで、五十年災害のときの一万一千トンというのは、これは何年に一度という確率、何年の確率で計算されたものでしょうか。
  158. 岸田隆

    ○岸田説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘の、五十年の災害のときに見直して一万一千トンにしたというふうな御指摘がございましたが、先ほどそういう答弁をしたつもりではないのでございます。大変失礼ですが、ちょっと訂正させていただきますが、石狩川の現行の工事基本計画は四十年に作成されたものでございまして、これの基本高水が基準点の石狩大橋で九千三百トンでございます。五十年の災害、これがかなり大きな出水が出まして、被害がございましたので、これを契機にこの基本計画の見直し作業に入っておったわけでございます。そこへもってきて、その作業がまだ完了しておりません途中の段階におきまして、今回の未曽有豪雨によります災害を受けたわけでございまして、したがいまして、今回その見直し作業をさらにもう二度根本的に見直そう、こういうことでございまして、一万一千トンという数字が出ておりますのは、今回の出水の記録が、実はまだ詳細には調査中でございますけれども、実績の資料等によりますと、現段階での調査結果といたしまして一万トンを上回る、あるいは数字として一万五百トンとか一万一千トンとか、そういう数字が若干言われておりますけれども、これはまだ詳細な調査検討の途中の段階でございまして、そういった数字でございますので、ちょっとその辺を御訂正させていただきます。
  159. 栗田翠

    ○栗田委員 これは八月七日の朝日新聞の「異常豪雨の教訓」という記事でございますけれども、これを見ますと、「五十年の洪水で流量は約七千二百トンと、それまでの記録を更新。これに安全度を見込むと百年確率で一万一千トンを想定しなければならなくなった。そこで石狩開建でずっと基本計画の見直し作業を続けていたが、最近になって、百五十年確率で流量一万三千トン程度を想定した変更計画案を完成、」、ところが、今度の雨でまたそれを上回る状態になったので手直しが必要となっている、ということが書かれているのですけれども、この辺の記事のこの中身ですね。これについて、いま見直し作業をしていらっしゃる内容とあわせて、どうなんでしょうか。
  160. 岸田隆

    ○岸田説明員 五十年の見直し作業でいろいろ検討しておりますが、そのときの実績の流量は八千六百トンぐらい、これははんらんしております洪水を、はんらんを戻しましてそして計算した実績の流量でございますが、それをもとに五十年のときの見直し作業をいろいろ計算しております。これにつきましてはまだ最終的にわれわれとしては数字が確定しておりませんで、途中の段階でございまして、あるいは北海道開発局の方で検討しております途中の段階の数字としてはあったかもしれませんが、われわれ建設省河川局どいたしましての最終的結論ではまだ数字が出ておりませんので、その点についてはちょっとその数字についてお答えいたしかねると思うのでございます。
  161. 栗田翠

    ○栗田委員 いまそのようなお答えなんですけれども、もしこの記事のようなことが開発庁の方の中間的な検討の中で出ているとしますと、現在の築堤というのは九千三百トンを基準にやっているわけで、一万三千トンをさらに上回るような状態になるとしますと、これはかなり堤防を高くしなければならないか、または堤防だけかさ上げしたのでは済まないのかもしれませんから、遊水地その他の計画というのをしていかなければならないことになるのではないだろうかと思うわけです。ですから、この数字を見まして、私はこの見直しというのはかなり大変なことだなあと思っているわけなんですね。  いまはっきりしたお答えがございませんので、それ以上のことをここで詰めるというわけにもまいりませんけれども、しかし、こういう内容になっていきますと、のろのろしていますと幾度も幾度も水害が起こるという可能性も起きてくるという心配も出てくるわけでございます。それで、何としてもこれは急いで築堤をしていかなければならないし、もう一つは、その見直しを早急にやっていきませんと、北海道の石狩流域の皆さん方は大変なことになる、こういうふうに思うわけですが、早期見直しということについてはどのくらい進んでいらっしゃるのでしょうか。
  162. 岸田隆

    ○岸田説明員 先生指摘のこの見直し作業は当然早急にやるべきことでございますが、現在、まず今回の災害実態把握という点を重点に進めておりまして、これの実態把握いたしますれば、それを踏まえた総合的な検討を実施するわけでございます。  この河川の基本計画をつくります作業はかなりいろいろな計算を進めます。もちろん電子計算機で多数のケースについて計算するわけでございまして、どうしても物理的な時間がかかることはやむを得ないと思いますが、そういう制限はございますものの、われわれの努力のできる限りを尽くしまして、早期にこの見直しを進めたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、その見直しの中におきまして、先ほど堤防の話がございましたけれども、五十年のときに一部作業してございますので、その点から推定しますと、今度の見直し作業といいますか、規模はかなり原計画を大きく上回るであろう、いままだ調査の検討の途中の段階でございますが、五割程度を上回るのではなかろうか、こういう推定もつくわけでございます。したがいまして、それの基本高水の配分につきましては、単に堤防といいますか、河道改修のみならず、ダム群によります洪水調節、あるいはまた、放水路あるいは遊水地、もちろん河道掘削、築堤強化といった河道改修は最重点でございますが、そういった多面的な処理を考えまして、そして総合的に治水対策をやっていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  163. 栗田翠

    ○栗田委員 五割を上回るといいますと、本当に大変なことになるというふうに思います。  それで次に、江別市の美原とか江別太が破堤をしているわけですけれども、これはたしか暫定堤だと思います。それで、完成堤になっていればかさ上げも二メートルというふうに伺っていますが、暫定の場合五十センチであった、こういうことでよけい破堤を早めていると思います。特に、地元の方たちのお話を伺いますと、この美原の堤防などは、プラス五十センチというのも沈んでしまって、実際にはもっと低かったのではないかというような声がかなりあるわけです。完成堤になっていれば少なくとも本川では被害を出さなかったと思いますので、そういう意味で激特事業を早急に決めて、水害常襲地域であります江別のこの地区を完成堤としてつくっていくことがいま必要だと思うのですけれども、この激特事業を早急に進めていくという点についてはどんなふうに検討していらっしゃるでしょうか。
  164. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  御指摘のように本川の右岸側が破堤した個所、江別市内でございますが、そのすぐ上流に岩見沢大橋というのがございまして、そこで計画高水位を七十センチ上回る出水となったわけでございまして、この辺の堤防の高さは計画高水位より上の五十センチを目標として暫定堤防ができているわけでございまして、これを越水して破堤したわけでございます。  この地域につきましては、五十年の災害を契機にしまして左岸側を前回の激特で補強しまして、この目標が計画高水位プラス五十センチでございます。しかし、余盛りがございましたのでそれで越水を免れた。右岸側も従来からハイウォーター・プラス五十センチを目標に改修を促進してまいってきたわけでございまして、ほぼこの高さがあったわけでございます。しかし、これを上回る水位になったわけでございまして越水したという経緯でございます。  この災害にかんがみまして、このたび越水した地区を含めまして、左右岸ともでございますが、激特事業等も検討しまして、早期に改良を図りたいと考えているわけでございます。
  165. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、石狩川水系の治水対策の抜本的見直しとして、何を考えていらっしゃいますか。
  166. 岸田隆

    ○岸田説明員 先ほどもお答えいたしましたけれども、石狩川の工事実施基本計画の改定を抜本的にやりたい、今回の出水を踏まえまして総合的な検討をした上で、この工事実施基本計画を改定したいと思っております。かつ、この改定に際しまして、この基本高水の配分につきましては、技術的可能性あるいは経済性及び社会的条件を十分勘案しながら、河道改修あるいは放水路、ダム群、遊水地等によります処理を多面的に検討してまいりたいと考えております。
  167. 栗田翠

    ○栗田委員 その点で、もう一つどうしても重点とするべきだと思いますのは、支流の改修をあわせて行うこと、これは非常に大切なことだと思います。これはいままでの質問者の皆さんもいろいろ御質問になっていらっしゃるわけですけれども、支流をあわせて進めませんと今回のような被害を起こすということが経験上わかってきたわけでございます。特に、たとえば支流、支川の方の改修がいかに進んでいないかという一つの例で、石狩大橋の計画高水位は八・七五、そしてそれに二メートルのかさ上げがされて十・七五メートルの堤防ができているというふうに伺っております。ところが、上流の支川であります千歳川のたとえば根志越という地域、これはあふれ出て被害を出しているところだと思いますが、ここのところの計画高水位はどのくらいですか。いまお持ちですか。
  168. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  根志越のハイウォーターレベルでございますが、九メーター八十九センチでございます。
  169. 栗田翠

    ○栗田委員 これに一メートルかさ上げして十メートル八十九の堤防の高さになっているそうですね。ところが、この地域で測量してみましたところが、左岸の低いところでは堤防そのものが九メーター七十五とか九メーター四しかないところがあるのだそうです。そうしますと、計画高水位が九・八九ですね、ところが堤防そのものが九・七五とか九・四しかないというわけですから、これはあふれるのがあたりまえで、しかも本流の方がしっかりと完成しているわけですから、支川の方が大きな水が出たときにはなおあふれることになるわけです。こういう実態がございます。これはテレビなどでも報道されていたと思いますけれども、こういう実態を見ていきますと、さっきの石狩水系の抜本改修の観点として、あわせて支川を同時に改修していくというところに力を入れる必要が大変あると思いますけれども、いかがですか。それをぜひともやっていただきたいと思います。
  170. 玉光弘明

    玉光説明員 ただいま御指摘の根志越個所につきましては、この地域も軟弱地盤でございまして、徐々に下がっております。軟弱地盤におきましては、下がりますとどこでもすぐ手をつけるというわけにはまいりませんが、この地域では五十六年度に、御指摘のとおりハイウォーター九メートル八十九に対しまして余裕高を一メートルとりまして、十メートル八十九で築堤を実施する予定でございました。御指摘の千歳川につきましては、基本的には暫定堤防としまして、目標をハイウォータープラス一メートルということで、暫定的に施行するという計画でございます。  それに関連しまして、支川の改修も整合性をとれということでございまして、まさにそのとおりでございまして、本川の堤防に合わせまして、それができますと次に支川の堤防というところにつないでいくわけでございますが、このたびまだその改修途上にあったというわけでございます。
  171. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、伏籠川の総合治水事業の問題ですが、これは町内会から陳情書が出ております。この中身を見ますと、雁来新川をモエレ沼ごと一級河川にしてほしい、そして国直轄で急いで事業をやってほしいという要望や、それからモエレ沼の改修を遊水池効果を出せるように直ちにやってほしいということ。聞くところによりますと、ここは最近ごみを捨てたりしているそうで、そういうことがあっては遊水池効果が減りますから、そういう意味でもさらに遊水池として使えるように進めてほしいということと、それから雁来新川から豊平川へ行く接点に排水機場の新設をぜひともしてほしい。これは二十七トンのものをぜひということが陳情として出ているわけでございます。これらの計画がいまどのように進んでいるかということと、特に五十七年度を含む早期着工並びに事業の促進、早期完成ということが強く要望されておりますが、そこらはいかがでございましょうか。
  172. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のそれぞれの事業は、全体といたしましては、伏籠川の総合治水計画特定河川事業の中にすでに組み込んでおるわけでございます。  具体的には、まず一番目の雁来新川、モエレ沼を直轄事業、いわゆる直轄区間にしろという御指摘でございますが、五十七年度より直轄区間とすべく財政当局の方へ要求をする予定にしてございます。それから、それぞれの施設計画関係でございますが、モエレ沼は現状は自然遊水池でございますが、あれにしかるべく公共投資をいたしまして、計画的な遊水池化を図るべく考えてございます。  それと、御指摘の二番目になります雁来新川から豊平川へのポンプでございます。いまのところ開発局の計画は、排水量が毎秒二十トンということではないかと思いますが、ポンプを設置すること、これも計画の中に織り込んでございます。着工の時期につきましては、確定したものではございませんが、来年度直轄区間への編入が成就いたしますれば、早期に実質の工事にも着手しなければいけないと考えております。  以上でございます。
  173. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、茨戸放水路の問題で伺いたいと思います。  これは緊急通水をしたわけで、漁民との間では補償の話があって通水してなかったものが、今度の水害で急遽漁協と話をして緊急に通水した、こういうことだと思います。これによって土砂がかなり流れ出している問題もあり、直接かどうか知りませんが、アワビの被害も出ているということで、補償はきちんとしなければならないと思います。  それで水産庁に伺いますけれども、この補償をめぐる交渉ですが、これはどんな段取りで進んでいるかということを伺いたいと思います。  また、もし被害が出ておりましたら、そういうこともおわかりになっていたら伺いたいと思います。
  174. 川崎君男

    ○川崎説明員 お答えいたします。  茨戸川の洪水被害防止のための石狩放水路の開設に伴う漁業被害補償問題につきましては、従来から、開設事業施行者である石狩川開発建設部と石狩漁協との間で、石狩町が間に入りまして協議中であると承知しております。  ただ、今回の八月三日からの豪雨に伴いまして、御指摘のとおり緊急の必要があり、未開削部分の開削を行いまして、八月六日に放流開始をされ、さらに台風十五号に伴いまして二十三日にも放流が行われた。そのために、茨戸川の汚泥が相当量海に放出されたと見られております。  今回の放流に伴います漁業被害につきましては、現在石狩川開発建設部側と石狩漁協側でおのおの調査中でありまして、現在の段階では被害額等もわれわれ把握はしておりませんが、ただ付近の海岸に、ホッキガイとかエゾガイとかこういうような貝の死骸が打ち揚げられたと承知しております。
  175. 栗田翠

    ○栗田委員 これは緊急の場合ということで漁協も了承して通水したものでありますから、そういう意味でも、その補償をしていくときにはきちんとやっていくこと、これはぜひとも要望したいと思います。  それから次に、東米里地区の問題ですけれども、この地域からも陳情書が出ております。この地域といいますのは市街化調整区域でよく水の出るところですけれども、市街化調整区域に指定される以前、つまり昭和四十八年以前に家を建てている人たちもおりまして、そういう意味では人家が水害に遭うので、水害があっては非常に困る地域です。それから、上流の市街化区域の開発が急ピッチで進んでいて、放置できない状態である。そういうことからも、何としてもその内水排除を急いでやってほしいという切実な要望が出ているわけでございまして、山本地区に十二トンの機場を新設してほしい、それから月寒排水機場、いままで五トンのものを十五トンに増設してほしいという陳情が出されておりますが、これらについてはいまどんな計画がございますか。
  176. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  御指摘の東米里を中心といたしますいわゆる札幌東部地区で、今回二度あるいは三度にわたりまして内水被害がありましたことは、私どももよく承知しております。これは決してほっておいたわけではございませんで、先ほど治水課長答弁いたしましたように、まず本川の堤防強化が必要でありましたので、厚別川その他の本川強化をやっておちまして、順次小支川、その次に内水対策という時点で水害が起きたわけでございます。  したがいまして、御指摘の山本地区でございましょうか、それと月寒地区、月寒地区の方は五トンのものがついているわけですが、いずれかの時期にそれぞれ内水対策をしなければいけない場所であることは、十分認識しておるわけでございます。  ただ、今回は全道的にこのような被害になりましたので、それぞれいま御指摘の二カ所をいつからということは、もう少し時間をいただきまして検討させていただきたく思いますが、大きな川、あるいは支川とのつなぎ方等も十分頭に入れまして、間違いないものにしたいと思っております。
  177. 栗田翠

    ○栗田委員 ぜひとも早期に着手していただきたいと思います。  次に、準用河川早期査定の問題で伺いたいと思います。  市管理の川であります南ノ沢川、これが橋の近くで護岸が流されて、土のうを積んだままになっております。これは台風十五号によるものですが、崩れた護岸が川の中にすべり落ちていて非常に危険な状態になっていますけれども、国の査定官が来るまでは手をつけられないということで、そのままになっている場所でございます。こういうふうにして手をつけずにおりますと、いかに危険なことになるかというのは、同じ豊平川上流の野々沢川で、八月三日から六日の例の集中豪雨で山の土砂が大量に流されてきて、深さがあと三十センチというところまで川を埋めてしまっておりました。それを放置しておいたところに十五号の台風が来まして、そのために土石流があふれ出て、六戸の住宅が破壊されたという例もありまして、ほっておくと非常に危険だ、三次災害も起こりかねないし、冬になるしという問題がありますが、この早期査定の問題で国の査定官が来るまで手をつけられないのか、それともどのような要件であったら先にやっていってもよいのか。市としては、できることならば先にやりたいのだけれどもという強い要望がございますが、いかがですか。
  178. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 御指摘の札幌市の野々沢川あるいは南ノ沢川でございます。  野々沢川につきましては、八月の上旬の豪雨によっておっしゃいましたような土砂の堆積を生じたわけでございますが、札幌市当局としてはその土砂を除去するという準備をしていたやさきに、八月二十二日からの台風十五号でさらに大量の土砂が流れてまいりまして、はんらんをしたものであります。それにつきましては、すでに翌日からこの堆積土砂の除去を行いまして、すでにこの除去を完了してございます。  それから南ノ沢川、先ほどの土のうを積んで護岸をしているというのも、これも台風十五号による決壊によります応急復旧工事をしたわけでございまして、現在その応急工事で対処をしているところでございます。こういった応急工事につきましては、現地当局の判断でどんどん必要なものについてはやっているのが実態でございます。  先ほどの野々沢川につきましても、それを準備しているやさきにそういったことが起こったわけでございます。したがいまして、応急工事につきましては、必要なものにつきまして直ちにやるというような指導を今後とも従来同様にやっていきたいと思っております。  北海道のこれらの災害査定につきましては、すでに第一陣は八月三十一日から現地査定に入ってございます。現地準備が整い次第、こういった個所の査定全力を尽くしたいという考え方でおります。
  179. 栗田翠

    ○栗田委員 もう一言伺いたいのですけれども、いまの査定の問題ですけれども、先に片づけてしまいますと、実態がどうであったかわからない状態になるわけですね。けれども早くしたい、この場合に方法はないのでしょうか。
  180. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 おっしゃいますように、やはり災害復旧費という事業費を必要な金額を確定をする必要がございますので、工事を施行する前の状況を測量あるいは写真で撮るとかいうふうな記録をやはり残しておきまして、そうしておいて、必要な応急工事を施行するというふうな方法をとってございます。
  181. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、激甚災指定の見通しその他を伺おうと思いましたが、皆さんもう質問なさっていらっしゃいますので、私はその点は省きたいと思います。  農業被害の問題でも、天災融資法発動とか減反の目標の見直しの問題、共済の問題、規格外米の買い上げその他、いろいろございましたけれども、これはダブりますので省きます。  ぜひとも、災害の中に苦しんでいらっしゃる農家の方たちのために、できる限り心のこもった対策を立てていただきたいと思います。  次に、利根川支流の小貝川の決壊をめぐる問題で伺いたいと思います。  一級河川として長良川、多摩川に次いで決壊しておりますけれども、長良川決壊の後、総点検をしたはずでございます。総点検の結果、一体危険個所は何カ所あったのかということ、またどういう要件のところを危険個所と考えていらっしゃるのか、それから小貝川は入っていたかどうか。この三つについてまずお答えください。
  182. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  御指摘のように、五十一年長良川の決壊がございまして、それ以降、堤防の点検をいたしたわけでございます。危険個所と申しますけれども、言葉の意味はいろいろとれるわけでございますが、これにつきましてもいろいろな段階がございます。それによって、緊急に要するものとそうでないものというふうになるわけでございますが、緊急に要するものとしましては、一応私どもの方では全国で一千カ所ぐらいを考えておりまして、これをおおむね十年ぐらいで手当てしようというふうな考えでまいったわけでございます。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕  その総点検の考え方でございますが、漏水の個所、堤防の漏水の問題、地盤の漏水の問題等、従来そういう経歴があるかどうかということ等を調べまして、そういうふうに緊急個所というふうに位置づけしたわけでございます。  御指摘小貝川の破堤した区域も、一応緊急に手入れをするという個所には挙げておりまして、この地域では従来から漏水の——地域一般でございますが、小貝川の下流部分でございます。これにつきましても、従来から漏水個所ということで漏水防止工法、これは実際には止水矢板を打つ工法でございますが、これを実施してまいりまして、ほぼ五十一年ぐらいにこの事業を終わってまいりましたので、この破堤個所付近につきましては漏水防止工法もやっておりますので、今後洪水護岸を施工するというような計画をとっておったわけでございます。それがまだ実施段階にあって、実施されておりません段階でございます。
  183. 栗田翠

    ○栗田委員 このような漏水しやすい個所、過去にしたところ、こういうところなどが危険個所として一千カ所指定されているというわけですけれども、そうしますと、そういう危険な場所というのは常によく承知して監視もしなければならないし、洪水などがありそうなときには特に監視を強める必要もあると思うわけでありますが、そういう監視の体制というのはどんなふうになっているのですか。
  184. 玉光弘明

    玉光説明員 直轄河川区域につきましては、国直轄で管理をしておりますので、建設省の出先でございます工事事務所がございます、その出先に出張所というものもございます。それで区域を全部担当しまして、出張所の職員を主体に日常見回るようにしております。  また、出水時におきましては、それぞれの個所に警戒水位というものを設けておりまして、それに水位が近づきますと、地元の水防団の出動をお願いして堤防の見回りをやっていただくと同時に、建設省の職員もあわせて密に河川巡視を行うようにしております。
  185. 栗田翠

    ○栗田委員 その日ごろの監視体制、出張所でやっていらっしゃるということなんですけれども、実はその人数が最近ずいぶん減らされておりますね。  利根川の下流工事事務所の例を挙げますと、本流河口七十六・五キロメートルから八十六・五キロメートルまで十キロメートルの間と、それから利根川との合流地点から七・一キロメートルを対象にしているそうですが、十年前と現在とを比べますと、河川巡視員四名が三名に、それから工手職員二十二人が八人に、全体で、言ってみれば、巡視をしたり常に堤防の手入れなどをして、堤防をよく知っている人の数が半分以下に減っているわけです。また、利根川工事事務所の取手出張所の人員を見ますと、十五年前七十五人だったのが五年前二十四名、現在十二名に減っている。こういうことはやはり、最も堤防の状態をよく知っている人が非常に数を減らされていて、草を刈ったりちょっとした穴を直したりということをしながら堤防をよく見ている人たち、こういう人たちの数が減らされているということで、いまおっしゃった危険個所の監視という点でも私は大変問題があるのではないかと思います。  同時に伺いますが、北海道の開発庁管内でこの河川担当の行(一)の技術職員、それから河川監視員、河川工手の数は十年前と比較してどんなふうになっておりますか。
  186. 玉光弘明

    玉光説明員 小貝川のこの地域を担当しております出張所は、建設省利根川下流工事事務所の取手出張所と申します。国家公務員の定員削減に基づきまして建設省の職員も削減を余儀なくされておりますが、その出張所の職員総数は、昭和四十六年四月には四十八名でありました。これが昭和五十六年四月には二十三名となったものでございます。  その中身でございますが、河川巡視につきましては、従来より、先生は十年前四名で三名に減ったとおっしゃいますけれども、私どもの調べでは十年前の四十六年から河川巡視を担当している職員は三名で、変わりはございません。同じ人数でずっとやってまいっております。  その他の職員でございますが、これが昭和四十六年時点におきましては、工事の監督をする人が四名でございまして、草刈り工事をする人が十八名、二十二名であったわけでございます。その後諸般の事情によりまして、草刈り工事等を効率的にやるために請負化されるということになりまして、また、定員削減の事情もございまして、工事監督を含め八名に減らされておりまして、これで従来どおりの業務をやっているわけでございます。  以上のようなことで、定員は減らされましたが、河川巡視員の数は同じでやっておりますし、出張所長、それから技術係長等も一人ずつ前からおるわけでございまして、こういう人たちの活動で十分行われると考えておるわけでございます。また草刈り工事につきましても、最近は一年に二回刈るようになってまいりまして、かなり手入れが行き届いてきたというふうに考えておるわけでございます。
  187. 栗田翠

    ○栗田委員 北海道の開発庁、お願いしてありましたが、いらっしゃいますか。
  188. 緒方啓二

    ○緒方説明員 お答えいたします。  河川事業に従事する職員の数のお問い合わせかと思いますが、十年前の四十六年の七月一日とことしの七月一日現在で対比して申し上げます。  行(一)系のいわゆる技術系職員でございますが、四十六年七月一日四百八十名、五十六年の七月一日四百七十一名、このような経過になってございます。それから、河川監視員でございますが、これも十年前の同一日で比較いたしますと、四十六年が七十二名、五十六年が八十六名でございます。それから、河川工手でございますが、これも同じ期日で比較いたしますと、百六名に五十九名ということになってございまして、合計いたしますと、六百五十八名の直接河川工事に当たる職員の数が、十年後の現在六百十六名になっておるというような状況でございます。
  189. 栗田翠

    ○栗田委員 余り減っていないというおっしゃり方のようですけれども、河川工手職員が四十七名減っているわけですね。  それで、さっきの小貝川の方ですが、利根川下流工事事務所でもこれは工手職員などは減っているわけです。それから北海道の開発庁管内、十五年前と比べてみますと、これは四十年と五十六年を比べますと、局全体で一万一千七百六十七人いたのが九千九百人に減っている。そして、行(一)職員が六千四百十八人が六千百九十九人と二百十九人程度の減り方なのですが、行(二)関係、これは河川だけではありませんけれども、五千百二十人が三千四百七十五人と約三〇%減っているわけです。  いろいろ私は現場の方の話も聞きましたけれども、いま河川巡視員なども比較的机に座る仕事が多くて、許認可の仕事などが多くて、工手の職員というのが実際には堤防の細かいところを直したりしているし、それから職員であればここが悪いと言えばさっと駆けつけていくことができる。外注に出しますと、これはなかなかそうはいかないで、まとまって出さなければならない。だから漏水などによる危険などに常に目を配っていること、そして特に堤防を本当によく知っている人たち、こういう人たちは減らすべきではないという強い要望も出ておりまして、建設省の全建設の労働組合が、そのような決議を今度の小貝川の決壊問題で出しております。そういうことで、ぜひともこれは、堤防をかわいがる人たち、いつも状況を知っている人たち、そういう人たちを大切にしていく必要があるのではないかと思うのです。  大臣に伺いますが、北海道の開発庁長官もしておられますけれども、北海道ばかりではございませんけれども、大きな機械化された仕事と同時に、常に、細かいようですが草を刈ったりそこらを見たりしながら、しかも堤防をよく知っていて危険個所に注意を集中している人たち、そういう人たちは大切にして、数もできる限り減らさないようにしていくべきではないか、ふやしていくべきではないかと思いますが、防災の観点からいかがでございますか。
  190. 原健三郎

    ○原国務大臣 防災の観点から申しますと、御説のとおりでございます。やはりそういう細かいところに留意して万般手配をしたいと思っておりますが、何分現時点では行政改革とか財政再建とかいう大きな局面に至っておりますので、御趣旨はよくわかりますが、善処はいたしますが、必ずしも思うようにいかない実情もございます。
  191. 栗田翠

    ○栗田委員 国土庁長官としてぜひその点は主張していただいて、がんばっていただきたいと思います。  あわせて、水防法による体制とそれから河川法によります洪水対策の体制との問題でございますけれども、水防法ですと、知事の指揮によって地方自治体と住民がいざというときに堤防へ駆けつけるわけです。河川法になりますと地方自治体と国の関係で、国の職員は一度知事を通して動員要請を受けて駆けつけるという、形式的にはそうなるわけですね。ここらはやはり水防法による住民それから水防団、これももちろん必要でございますが、河川管理者が一番よく川を知っているわけですから、そういう点ではぜひともやりやすいように、ここらの体制をうまく確立していく必要があるのではないだろうか、こういうふうに考えております。この点についてはいま質問いたしませんけれども、検討課題としてお考えいただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので、もうあと一問だけやらせていただきますが、静岡海岸、通称久能海岸の問題でございます。これはさっき薮仲委員質問されておりましたけれども、実際最近次々によく壊れまして、復旧被災とイタチごっこになっております。特に五十二年ごろから決壊がひどいわけですが、五十五年には五回も崩れ、ことしになってからも今度の十五号台風を入れて三回崩れているわけです。  そこで伺いますけれども、五十二年から五十六年までの事業費の中で、災害復旧に使われたものと関連事業として助成されている助成費、それぞれどのくらいかということをちょっと伺いたいと思います。
  192. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 静岡海岸につきまして、五十二年から五十六年、今年度までの災害復旧費は約十七億、改良費の金額は約十七億、合計約三十四億でございます。
  193. 栗田翠

    ○栗田委員 五十二年から五十六年、十七億と十七億ですか。きのう伺わせていただいたのでは違っているのですが、それから静岡県が出しているのでもちょっと違いますが、同じ額になっておりますか。もう一度ちょっと答えてくださいますか。五十二年から災害復旧二十三億、助成十四億というふうに伺ったのですが、いかがですか。
  194. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 先生おっしゃるのは、恐らく五十二災とか五十四災、そういった金額だと思いますが、毎年度投入と申しますか投資している金額につきましては、五十二年から五十六年までは災害復旧費が十七億、助成費、それからいわゆる海岸事業費、これらを加えまして約十七億ですから、過去五カ年間に三十四億を投資する予定になっております。たとえば、五十四災等はまだ五十七年度まで工事をやらなくちゃいけませんから、その点で数字が……
  195. 栗田翠

    ○栗田委員 そうですか。——つまり災害復旧費は非常にかかっているわけです。できることならば、復旧に多額の投資をするのでなく、防災に先手先手にそれを使えば、それだけ有効な使い方ができるということです。特に静岡海岸のたび重なる被害を見ますと、壊れては直し、壊れては直しということの繰り返しになっておりまして、これではある程度まとめて先に投資してやってしまった方がはるかに有効だということをつくづく感じているわけなんです。  それで、一つは、これは県からも要望書が出ているのですけれども、第三次海岸整備五カ年計画の中で離岸堤をつくることになっておるのですが、物価がだんだん上がってきまして一年間に一基つくれない、〇・七基分ぐらいしかいま予算がなくなってきてしまったということで、せめて一年間に一基ずつは離岸堤をつくれるようにしてほしいという陳情が出ております。私、実際いまの被害を見ておりますと、これは〇・七基などということよりは、ある程度予算を投入しても離岸堤を一年にせめて一基ぐらいずつはつくっていく、こういう速度でやっていった方がよほど投資の効果はいいのではないかと思いますが、その点が一つ。  それからもう一つは、今度の堤防の被害を見ましても、新しい工法でやったところが壊れておりませんね。異形ブロックを斜めに積み上げまして、波が当たっても根元の砂が全部持っていかれないような形に、新しい工法を使ったところは残っておりますが、この効果についてどのようにお考えになるかということ。  この二つをあわせて伺います。
  196. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 まず最初の、災害復旧をするだけでなくて、その前の防災対策に力を入れたらどうかという御趣旨かと思いますが、御承知のように海岸保全施設につきましては、いわゆる海岸事業といたしまして鋭意努力をしているわけであります。最近につきましても、昭和五十一年度からの第二次五カ年計画、それから昭和五十六年度、今年度からの第三次五カ年計画というふうな海岸事業五カ年計画等をもちましてやっているわけであります。  ちなみに、第二次五カ年計画では総事業費五千八百億円を投入いたしたわけであります。今年度からの第三次五カ年計画では九千三百億円の投資を行うということで鋭意努力をしているわけであります。  おっしゃいますように、われわれといたしましても、離岸堤を毎年一基ぐらいの事業をやりたいというわけでありますが、そういった投資配分の中で、今後とも促進に努力を重ねていきたいということでございます。  それから、技術的な工法を御指導いただいたわけでございますが、おっしゃいますブロック堤につきましてはまだ全国でも余り数はないのでございますが、特に静岡海岸につきましては、駿河湾という水深が非常に深い湾を通して波が押し寄せてくるということで、その波のエネルギーが失われないままに海岸に到達するという、技術的には非常にむずかしい海岸でございます。それで、できるだけ波の反射を吸収するといいますか、波のエネルギーを吸収するような工法を考えまして、従来の直立堤にかえましてブロック堤をいま施工しておる最中でございます。しかし、それだけでは防げないものですから、前に根固めブロックあるいは消波堤、それから行く行くはおっしゃいましたような離岸堤というふうな、各種のものの総合的な効果を期待いたしまして、静岡海岸を保全しようということで進んでいるわけでございます。
  197. 栗田翠

    ○栗田委員 そうしますと、少なくとも静岡海岸については新しい工法を使った堤防というのは効果があると考えてよいわけですね。もしそうであれば、今後の改修はそれをお使いになるのでしょうか、静岡海岸に関しては。
  198. 谷口雅宥

    谷口(雅)説明員 災害復旧事業を主体にやってございますものですから、徹底的に破壊されましたようなところにつきましては、ブロック堤を今後とも採用していきたいというふうに考えております。壊れていない海岸堤防につきましては、それを補強するというふうな方法でやりたい。
  199. 栗田翠

    ○栗田委員 それでは、最後に大臣に伺いますけれども、いま私、静岡海岸の問題などでも申し上げたのですが、災害復旧より防災に力を入れること、それがはるかに効果があると思いますし、離岸堤の問題でも静岡市がこういう陳情を出しております。「当初 一基一億三千万円程度とされていたが、諸物価の値上りにより昭和五十六年度においては、一基一億八千万円が必要であり、現状のままでは今後の事業の推進に重大な影響がある。したがって、昭和五十七年度以降においては、毎年最低一基が完成できる事業費を配分されるよう要望します。」、こういう切実な要望が出ているわけでございます。  これは直接は建設省でございますけれども、防災という観点からも、ぜひ大臣に御発言いただきまして、復旧にお金をかけるよりは防災にかけていくという方向で、厳しい財政事情であればなおのこと、そこのところをぜひとも強力に御発言いただきたいと思いますし、防災に予算をかけるべきである、このことについてのお考え、御決意なども伺いたいと思います。
  200. 原健三郎

    ○原国務大臣 防災にもう少し力を加えるという御趣旨は賛成でございます。このごろでは医学でも予防医学というのが非常にはやっているというようなわけで、同感でございます。それで、そういうふうにいたしたいと思いますが、日本では御承知のように、災害の起こってしまったときには一生懸命になってやるのですが、あらかじめ起こるか起こらぬかわからないのを予防的にやろうじゃないかと言っても——これはどうしたのか、日本国民の性格か何か知りませんが、だんだんあなたのおっしゃるような機運を助長して、ぜひそういう予防的防災対策をやるようにすることはきわめて大事であると私も思っております。治山治水、砂防等についても、今後関係省庁と連絡を密にして防災事業を一層積極的に進めていきたい、そして御期待に沿いたいと思っております。
  201. 栗田翠

    ○栗田委員 これで終わりますけれども、大臣、起こるか起こらないかわからないところもそうなんですが、現地を御存じないと思いますが、静岡海岸の場合、防災をしませんと必ず起こるのです。これはいまの状態でどんどん崩れていますからね。早くやった方がよほどいいわけですね。そういうところなので特にと、こうお願いしたわけでございますが、いかがでございますか。ぜひお力を入れてください。よろしゅうございますか。お答えをいただきたい。
  202. 原健三郎

    ○原国務大臣 御趣旨のほどはよくわかりました。その御趣旨に沿うて努力していきます。
  203. 栗田翠

    ○栗田委員 それではこれで終わります。
  204. 木島喜兵衞

    木島委員長 これにて質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会