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1981-08-21 第94回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年八月二十一日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 木島喜兵衞君    理事 天野 光晴君 理事 佐藤  隆君    理事 渡辺 秀央君 理事 池端 清一君    理事 藤田 高敏君 理事 薮仲 義彦君       逢沢 英雄君    越智 伊平君       工藤  巖君    桜井  新君       笹山 登生君    高橋 辰夫君       近岡理一郎君    津島 雄二君       戸井田三郎君    中山 利生君       福島 譲二君    阿部喜男君       小林 恒人君    田口 一男君       渡辺 三郎君   平石磨作太郎君       米沢  隆君    渡辺  朗君       栗田  翠君    林  百郎君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  委員外出席者         内閣官房長官 瓦   力君         臨時行政調査会         事務局主任調査         員       吉田 俊一君         北海道開発庁総         務監理官    大西 昭一君         国土庁長官官房         審議官     川俣 芳郎君         国土庁長官官房         審議官     桑島  潔君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         大蔵省主計局主         計官      兵藤 廣治君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       横瀬 庄次君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         建設省河川局河         川総務課長   田中  実君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局防         災課長     谷口 雅宥君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省財政局財         政課長     持永 堯民君         自治省財政局調         整室長     亀田  博君         消防庁消防課長 野沢 達夫君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君     ————————————— 委員の異動 八月二十一日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     小林 恒人君   田島  衞君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     福岡 義登君   依田  実君     田島  衞君     ————————————— 六月六日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 木島喜兵衞

    木島委員長 これより会議を開きます。  まず最初に、異常寒波被害対策及び活動火山シラス対策事業等調査のため、八月六日から八日まで、宮崎及び鹿児島県に、また、昭和五十六年八月の北海道における大雨による被害状況調査のため、八月十六日から十八日まで、北海道に、本委員会からそれぞれ委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれの調査概要について報告を聴取いたしたいと存じます。渡辺秀央君。
  3. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 異常寒波被害対策及び活動火山シラス対策事業等調査のため、去る八月六日から三日間、議長承認を得て、宮崎県及び鹿児島県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、木島委員長団長に、自由民主党天野光晴君、日本社会党池端清一君、藤田高敏君、阿部喜男君、公明党国民会議薮仲義彦君、民社党国民連合横手文雄君、日本共産党栗田翠君、新自由クラブ田島衞君及び自由民主党の私、渡辺秀央の十名で、ほかに地元選出議員方々の御参加を得まして、現地実情をつぶさに調査いたしてまいりました。  第一日目の八月六日は、宮崎県庁において、知事及び県当局から被害状況等につきまして総括的な概況説明を聴取した後、直ちに川南町に向かい、町の体育館において川南町及び都農町の関係者から寒波被害について具体的な説明を聴取し、地元関係者と熱心に話し合いました。  次いで、川南椎原地区及び都農牧内地区の柑橘類の被害実情視察いたしたのであります。  第二日目の八月七日は、宮崎県から鹿児島県に入りまして、まず、霧島国立公園内の硫黄谷地区においては、噴気災害地すべり災害に対する応急処置状況等視察いたしました。  次に、県庁においては、知事及び県当局から桜島砂防及び特殊土壌等について総括的な概況説明並びに要望を聴取した後、桜島に渡り、野尻川の土石流除去作業現場黒神地獄河原土石流の拡散を防止するための導流堤金床沢治山砂防工事等視察いたしました。  その後、桜島港のターミナルビルにおいて、桜島火山活動対策協議会関係二市三町、すなわち鹿児島市、垂水市、桜島町、福山町及び輝北町から活動火山対策等について切々たる要望等を聴取し、地元関係者と懇談を行いました。  第三日目の八月八日は、鹿児島市内の常盤急傾斜地シラス対策工事現場視察いたした後、加治木町小山田の復旧治山工事及び隼人町西光寺川の都市砂防工事現場視察いたしました。  次に、両県の被災地及びその対応等について実際に視察いたしまして感じた点を申し上げますと、宮崎県におきましては、今冬の寒波被害を受けましたミカン園等視察いたしましたが、いまだに樹体勢力回復は完全でなく、また、芽、葉等に病気の発生も見られ、今秋以降の回復状況を見ないと今後の収穫見通しも立たない状況でございました。しかしながら、地元農家人たちがその回復に懸命に努力され、その表情も意外に明るかった点でわれわれも心慰められた次第であります。  なお、地元関係者から、今次冷害についての天災融資法及び激甚災害指定の迅速なる国の対応について感謝の言葉がありましたが、今後の問題としては、果樹共済制度の活用が必要であり、その制度への農家加入促進が一層望まれるところであります。  次に、鹿児島県におきましては、現在も噴火活動を行っている桜島の降灰、火山ガス山腹崩壊土石流及び県下特殊土壌対策等について視察いたしました。中でも、わずかな降雨量でも発生する桜島土石流対策については、河川下流における流出土石の排除だけではその根本的な解決とは言えず、むしろ発生源である山腹崩壊防止、すなわち治山事業が必要であると考えられますが、予算措置等の問題もあり、今後検討されるべき問題であると思われます。  また、軽石が海に流出して、漁船及び養殖ハマチ等被害を与えている問題がありましたが、これに対しては関係者の間でもその具体的解決策が見つかっておらず、関係機関等における今後の研究が待たれるところであります。  次に、県下特殊土壌対策についてであります。鹿児島市及びその周辺では、シラス土壌の急傾斜地の直下まで住宅が建ち並び、現在その崩壊防止事業が進められているところでありますが、その緊要性を痛感いたした次第であります。  最後に、本調査に当たって御協力を賜りました宮崎鹿児島両県を初め、地元関係者方々に深く謝意をあらわし、報告といたす次第であります。  引き続きまして、昭和五十六年八月の北海道における大雨による被害状況調査のため、去る八月十六日から三日間、議長承認を得て、北海道に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、私から調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、木島委員長団長に、自由民主党高橋辰夫君、日本社会党池端清一君、田口一男君、公明党国民会議岡本富夫君、民社党国民連合米沢隆君、日本共産党栗田翠君及び新自由クラブ田島衞君、そして私、自由民主党渡辺秀央のほかに、多数の地元選出議員の御参加を得まして、つぶさに調査を行ってまいりました。  まず、今般の被害をもたらした要因について申し上げますと、八月三日から六日にかけて北海道を縦断して南北に延びる前線が停滞し、この前線三陸沖を北上した台風第十二号が影響して活動が活発となりました。  この間、北海道中央部中心に一時間に二十ミリから三十ミリの強い雨が断続的に降り、特に四日と五日はそれぞれ日雨量が二百ミリから三百ミリに達する記録的な大雨となりました。特に空知南部知床半島の一部では、三日の降り始めから六日二十四時までの総雨量が四百ミリを超えたほか、全域にわたって百から三百五十ミリとなりました。年間平均降雨量の三分の一に及ぶ雨が二、三日で降ったことが、道史始まって以来の激甚な災害をもたらしたのであります。  次に、被害概況について申し上げますと、北海道災害対策本部を八月五日設置、災害救助法適用市町村は十二市町村に及んだのでありますが、特に、石狩川流域及び日高地方の一部の市町村では、甚大な被害をこうむったのであります。  調査時における被害状況の主なものを申し上げますと、人的被害につきましては、死者八名、重軽傷者十四名というまことに痛しましい事故となり、住家被害につきましては、全壊から床下浸水までを含めて二万六千九百八十四棟に上っております。  また農業被害につきましては、農地一千四百二十六・三ヘクタール、農作物の冠水、浸水等十六万一千五百三十三ヘクタールとなったのでありますが、農作物被害については目下鋭意調査を進めているところでありました。  土木被害につきましては、国の関係を除く、道と市町村関係で、河川二千九百二カ所、道路一千百三十五カ所、橋梁百五十一カ所、被害総額で六百十二億六千百万円となっております。  次に、水産被害が六百九十四件、被害額八億三百万円、林業被害が二千三百七十三カ所、被害額百九十七億一千万円、その他被害として、衛生施設商工業関係及び文教施設等被害額が三十七億四千百万円となっており、道及び市町村被害総額は一千百八十六億四百万円に及んでおります。これに、国及び公共機関被害額約四百九十三億一千八百万円を加えますと、全被害総額は、一千六百七十九億二千二百万円に及び、激甚な被害をこうむったのであります。  調査団は、第一日目の八月十六日は、道庁において道当局、気象台、開発庁、道警察及び札幌市より総括的な概況説明及び陳情を聴取した後、直ちに石狩町の石狩放水路及び伏篭川、発寒川、創成川の三川合流点茨戸地区視察、その後石狩川はんらんにより被害を生じた江別市並びに中小河川はんらんにより被害を生じた北村の現場視察いたしました。  翌第二日目の八月十七日は、産化美唄川等決壊により農耕地等の冠・浸水等被害を生じた美唄市、豊平川、奈江川等はんらんにより家屋浸水等被害を生じた砂川市、ペンケ歌志内川のはんらんにより市街地浸水等被害を生じた歌志内市、ヌツカクシ富良野川等決壊により町の七割が浸水被害を受けた上富良野町、市内中小河川はんらんによりニンジンタマネギ等農作物中心被害を受けた富良野市の現場視察いたしました。  次に、第三日目の八月十八日は、急傾斜地崩壊等により農耕地及び国鉄日高本線等被害を受けた門別町を視察いたしました。  以上、災害救助法適用十二市町村のうち八市町村視察いたしたのであります。  各被災地における被害状況を目の当たりにして感じた点を二、三申し上げますと、今次災害が全道に及び想像以上の大規模なものとなったのは、さきに申し上げましたとおり、北海道ではいまだかつて記録されたことのない大雨に見舞われ、従来石狩川を初めとして、その他の中小河川にこれに耐えるだけの備えが万全でなかった点にあろうかと思われます。また、比較的勾配の少ない石狩川周辺では、一たん浸水した内水が排水設備の不足から長時間にわたり農耕地等に滞留し、農作物等に甚大な被害をもたらしたようでありますが、その中でも特に小麦、ニンジンタマネギ等転作畑作物に大きな被害が出たことはまことに痛ましい限りでございました。  さらに、これらの農業災害につきましては、昨年の冷害に引き続いてのいわば追い打ち災害の形で被害を受けた点であります。  したがいまして、現在道及び被災市町村ではその復旧並びに被災者救済に懸命に努力されておるところでありますが、これに要する費用等で膨大な財政負担を強いられることは明らかでありますので、今回の災害対策につきましては、これらの点を十分考慮し、検討する必要があろうかと存じます。  なお、現地におきまして、北海道庁を初めとして各被災市町村から、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく激甚災害としての指定及びいわゆる北海道特例継続等、数十項目に及ぶ要望がありました。  最後に、本調査に当たって御協力をいただきました北海道庁初め地元関係者方々に深く謝意を表し、報告といたします。
  4. 木島喜兵衞

    木島委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  この際、お諮りいたします。  ただいまの報告に係る両派遣地からの要望事項につきましては、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木島喜兵衞

    木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔要望事項本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  6. 木島喜兵衞

    木島委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺秀央君。
  7. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 ただいま派遣委員を代表して御報告を申し上げましたとおり、今月の三日からの北海道集中豪雨台風等に関する災害は、私も現地視察をいたしまして、非常に痛ましい惨状でございました。この機会に、昨年の冷害と合わせてダブルパンチを受けた北海道道民皆さんや、あるいはまたこの災害で犠牲になられた方の御遺族、そして被災者皆さんに、まずもって心からお見舞いを申し上げる次第であります。  政府におかれましては、原国土庁長官が、異例とも思われる迅速な行動現地に飛んでいかれまして被災地視察されまして、敬意を表する次第でありますが、私は、北海道道民がどんなに慰められ励まされたか、その気持ちを察するに余りあるわけであります。政府当局におかれまして、災害に対しての迅速な対応と、そして今回示されました政府としての機敏な行動を、これからもぜひひとつ御期待を申し上げながらお願いを申し上げておきたい次第でございます。  なおまた、北海道災害の問題に関しましては後日改めて質疑を交わすという委員会の方向もあるようにも思われますので、その機会にまた北海道災害復旧に関しまして改めて質疑が行われるとは思いますが、この際一言だけ国土庁長官から、現地を見舞われましたそのことに関して、ぜひひとつ、この後の災害復旧に関しまして長官の御決意を承っておきたい次第であります。
  8. 原健三郎

    原国務大臣 新聞やテレビで報道されて一応は承知いたしておりましたが、現地視察して、その広大な地域にわたる非常に深刻な被害を目の当たりに見せてもらいました。また、私は自衛隊のヘリコプターをお借りして空から見せてもらいまして、ヘリコプターには好意的に現地の水の出ておるところを低空飛行していただいて、石狩川流域をずっと一面に見せていただきました。それで、要所要所において現地市長等からいろいろ細かい事情もお聞きいたしました。  そして現地方々に、非常に御心配もしておるし、大変な被害であるし、この機会をかりて慎んでお見舞いを申し上げる次第であります、なるべく一日も早くその復旧に努力いたしたい、そういうことを約束してまいりました。その意味においてどうぞ御安心を願いたい、帰って対策を検討し、もうすでに政府においても関係省庁対策連絡会議を二回にわたってやっておりますので、これを通して対策をやりますからということも言うてまいりました。  私ども、そうして万遺漏なきを期したい、こう思っております。
  9. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 大変御苦労さまでありますが、ぜひひとつ北海道皆さんのためにも万全を期していただきますように、災害復旧に対して、また後日の質疑に回したいと思いますが、お願いを申し上げておきたいと思います。  本題に入ります前に、私の考え方をちょっと申し上げてみたいと思うのです。  今日の行政改革、そして財政再建という問題はいわゆる至上の命題である、当然これは取り組まなければならない問題であり、国家としての使命的な課題であろうと思います。国政に参与しているわれわれとしてはもちろんそのことに対して何ら異議をはさむものではないのでありますし、当然理解をいたしておるつもりでありますが、しかし今日、いわゆる財政再建という課題を抱えながら、予算概算要求査定作業等の中で、仄聞する話により、あるいはまた新聞等のいろいろな情報等によって聞かされてくる問題点は、どうも理解できないことが幾つかあることを残念ながら指摘せざるを得ないのであります。  わが国の国体機構は言うまでもなく司法、立法行政という三権分立によってなされている。民主主義を理想とした地盤を形成し、今日まで戦後憲法を制定してから三十六年間、日本国体運営がなされてきた。いわゆる国の最高議決機関であるこの国会立法府、しかも、その立法府構成員である国会議員がみずからの提案として提出をし、審議をして決定をした、いわば議員立法という形になっている、この議員立法によって成立した法律に至るまで、行政府がいわば一方的に、行政の都合によることだけで、この法律に関して言うならばその他の法律一括価値判断というか、あるいはまた問題意識というか、そういう態度であるということをいままでの情報においては感ぜざるを得ない面がうかがえるのでありまして、まことにそういう面においては私は残念至極なのであります。国会軽視とある意味において言われても仕方がない、あるいはまた議員立法重要性という、この立法府の持っている最も大切な基盤というものを軽視していると言われても仕方のない一面が今日の段階においてうかがえる。  私は、それぞれの法律には言うまでもなく立法精神というものがあると思うのです。この立法精神、あるいはまた法律がよって出てくる歴史的な過程、あるいはまた社会的、政治的条件、環境、経緯というものがある、そういうものを踏まえて一つ法律が、行政ベースでなくて、立法府を構成する議員の中から提案されて生まれた法律に関しては、少なくとも行政府として一抹考え方がそこにあってしかるべきではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。  特に、今日言われておりまする地域特例法に関するかさ上げ幅の引き下げ問題においては、一括でこれら議員立法等考えていくというようなことが今日の段階においてうかがい知れるのでありますが、一体全体、政府として災害というものをどう見るのか、どう考えるのか、災害というものを政治の中でどういう位置づけをしようとしているのか、そういう基本的な考え方を持ってこれらのことが審議され、あるいはまた行政府において検討されていくべきではないのか。政治の一番の基本は、私は少なくとも愛情であろうと思うのです。そして、思いやりのある人間味豊かな政治ということが、政治をやっていく上において最も大切な心構えではないか。災害をこうむった地域に対して、政治がもし思いやり考えないというようなことがあったとするならば、この反動というものははかり知れないものが出てくる。そういう意味において、政府地域特例という問題に対する一般的なとらえ方の中での質疑ではなくて、その中でさらに、災害関係について一体どういうふうに考えておられるか、そして、災害地域特例というものに対してどう対処しようとしておられるか、立法府としての今日までの経緯にどんなふうな考え方を持っておられるか。  さらに、いま申し上げた政治原点というものを、時間がないので大変恐縮でありますが、ひとづかいつまんでその基本的な考え方をお聞きをしておきたいと思うのであります。
  10. 原健三郎

    原国務大臣 渡辺先生の御質問、前段の方は、地域特例法について、議員立法であるが三権分立の立場からいってこれを軽々に行政府がすべきでなくて、一抹考え方があってしかるべきである、これは十分考えるつもりでおりますが、御指摘のような地域特例法議員立法であることは私もよく存じております。たくさんありますので、その改廃についてはいま直ちにどうするということはございませんが、私どもは、御趣旨の点を踏まえて慎重に検討していく考えでございます。  それから第二の点で、北海道災害は非常に重大であるが、災害関連地域特例、特に北海道についてどういう考え方を持つか、こういう二段階になるわけであります。この方については、大変な被害があっことは最前申し上げたとおりでありますが、災害復旧事業被災地復旧のために緊急に対処しなければならない、これはもう御承知のとおりである。そのために、地元地方公共団体に一時的にそれを負担させますと過重な負担を伴う特殊事情もあることは認めざるを得ません。また、こういう際に、参議院でもお聞きしたのですが、参議院では、病人が出ておるのに布団まで取り上げるのはどういうことかという非常に激しい、そういう点からいって国民感情から見ても考えるべきであるという強い意見が一昨日なされておるわけでございます。私といたしましては、一般特例と同一に取り扱うことには大いに問題があると考えております。  それならばどうするかということについては、関係省庁といま鋭意協議を進めておる途中でございますので、しばらくお待ちをいただきたい、こういうことにいたしております。
  11. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 大変親切な御答弁をいただきました。北海道の例を挙げておっしゃっていただいたわけでありますけれども、私が後半に申し上げた災害復旧ということは、いわゆる正常な国民生活をやってきたことが災害によってできなくなる、だからそこに政治思いやりを、あるいはまた政治の果たす役割りを具体的な形で果たしていかなければいかぬ、これが災害復旧であります。そうでしょう。そういう意味においては、今日の財政再建の問題という課題とは基本的に違うのではないか。基本的に問題の発生原因が違うのではないか。私はそういう意味においては、災害に関する地域特例、後ほどもう一つ大蔵当局にも御質問をいたしますが、いわゆる災害全般に関しては、地域のかさ上げ問題、金利の問題を含めて一括聖域として、エネルギーも聖域、防衛も聖域海外協力聖域だという考え方内閣にあるとするならば、災害はそれより以前の政治原点であるという考え方で、これこそ聖域にすべきではないかということを申し上げておきたい。その私の考えに対してどのようにお考えになられるか、ぜひ長官からもう一言お聞きをしておきたいと思いますし、さらにそのことに対する御決意を承りながら、その考え方で対処していただくように、要望を含めて質問をさせていただきたいのであります。
  12. 原健三郎

    原国務大臣 御説に賛成でございます。災害については特別扱いをするように私は主張する。といって、私だけで全部決めるわけでもございませんので、私自身はそういう考えで、当事者としては考えております。
  13. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 ありがとうございました。  そこで、大蔵省公文主計官がお見えでありますが、地域特例法の縮減、言うならば特例法かさ上げ部分の引き下げ、これに大蔵としては除外しようとしているものがあるかどうか。  それから、先ほど申し上げた災害の融資に対する金利についてどういうふうに考えるか。  それから、財政再建は期限は一応三年と聞いておりますが、そういう解釈でいいのか、あるいは期限はないのか。  それから、災害と一般の地域特例といってはおかしいのですが、災害以外の地域特例、これとの圧縮幅の程度についてどんなふうに考えているか。  時間も少ないので、ひとつ手際よく御説明を賜りたい。
  14. 公文宏

    公文説明員 いまお尋ねのありました点でございますけれども、御承知のように臨調の答申が出まして、その臨調の答申をいかに具体化していくかという政府全体の方針の中で、特に予算に関連があります事項につきましては、大蔵省が便宜取りまとめ、調整を行うというスタンスで、いま政府部内で作業をやっているところでございます。  地域特例の件につきましては、これもいま各省庁と協議中ということでございますが、先ほどから御質問ありますように、災害の問題をどうするのだ、災害についてはもう少し配慮すべきではないか、こういう御意見もございます。政府部内にもいろいろございます。しかしまた、一方では、この地域特例の問題は、個々の地域特例をどうするかということではなくて、地域特例制度そのものを国の厳しい財政事情の中でどう見直していくかという観点から取り上げるべきだ、そういう意味から申しますと、バランスをとって見直しをするという必要もある。そういうことから申しますと、例外を設けるのは望ましくないという意見もあるわけでございます。いろいろな意見がいま政府部内ではございます。それをただいま政府部内において調整中だというふうに御理解いただきたいと思います。  あわせまして、金利の問題につきましても、災害の問題をどう取り扱うかということでございますが、全くいまの地域特例の問題と同じような意味で、政府部内で目下検討中ということでございます。  それから、期間はどういうことになるかでございますけれども、これについては、私どもは、今度行革関連の法案として出そうとしておりますものは、一応財政再建期間中ということに限定をした内容で考えていきたいと思っておりまして、これも政府部内でいま詰めておるということでございます。  それから財政再建期間中ということにつきましては、これも今後の詰めでございますけれども、私どもはやはり特例公債脱却を目標としております五十九年度まで、つまり五十七年度から五十九年度を頭に置いておるわけでございます。しかし、繰り返しますけれども、政府部内でいま決定をしているという段階ではございません。  以上でございます。
  15. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 いわゆる三年の間圧縮していくということで考えた場合に、これは大変な混乱をもう来年から起こすと思うのですね。そういう意味においては、災害関係だけ考えてみても、豪雪地帯対策特別措置法、あるいはまた地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、あるいは特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法、つまりシラスですね。こういう問題を、災害に関してだけでも、地域特例の中のさらに災害特例として議員立法では考えてきている。中にはついこの間やったばかりの法律もあるわけです。そういうものに対しても、大蔵として、いま言うような財政再建であるということだけで、平均並びでとらえて一体いいものであるかということに対して、大蔵考え方はもう一歩踏み込んだ、あるいはいまの段階、概算要求や査定をやろうとしている段階でまだ大蔵が調整されていないということだとしますと、どうも哲学のない政治行政がなされていくということになるのでありまして、まことにもって国民あるいはこれらの地域人たちに不安を与えかねない。ましてや現在災害をこうむっている人たちにはもっと大きな生活不安を与えてしまう。そういう意味で私は、先ほどから申し上げているように、災害関係は別途であるということを大蔵としてもぜひこの際明確に方針として打ち出してもらいたい。  もう一回、主計官としてそのことに対してどう思うか、きょうは大臣も局長も、それから次長もみんな来られないというので、あなたがかわりに来ているのだから、あなたがかわりに答えてください。
  16. 公文宏

    公文説明員 地域特例の問題につきましては、先ほどから御議論のありますように、災害の問題を初めそれぞれ特定の政策目的を持って設けられているものでございますから、それぞれの事情考えていきますといろいろ考慮しなければいけないという御意見もあろうと思います。しかし一方、臨調の答申が示しておりますように、この際やはり地域特例制度全般を見直すべきであるという考え方に立ちますと、そこはやはりバランスをとって、それぞれいろいろ事情はありましょうけれども、例外なく考えていかなきゃいかぬという問題もあろうかと思います。  私どもはそういういろいろな意見の中で、政府部内でいま議論をしておるというのが実情でございます。
  17. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 時間がないものですからどうも突っ込んだ質疑ができないのですが、先ほどの長官説明の中でもありましたように、一つの具体的な例として、私は北海道の問題をちょっと挙げて申し上げたいと思うのです。  ともふく北海道関係においては、行政当局もよく御存じのとおり、すでに五十五年から五十七年にかけて三年の間に——以前は、四十四年度ぐらいのときには、およそ一〇〇%国が直接負担をしてきたような、そういう河川であるとか、あるいはまたダムであるとか、治山治水の関係等ではおよそ一〇〇%国の財政で負担してきた時期もあるわけですね。それを五十五年から五十六年、五十七年、三カ年計画で北海道は開発庁が中心になってこれを二二%縮減するという、みずから自助努力しているわけだ。北海道が、いままでの特殊な地域性から考えてそういうことを、北海道特例の中でただひたすらその恩恵に黙ってあずかっているということでなくて、一〇〇%負担をしてきた、それによってある程度の能力を持ってきた、持ってきたものは幾らか北海道自身も、道民負担をしよう、こういう意欲でやってきている。その意欲にさらに水をかけるような特例の縮減は、これは時間がないので一つの例を言っているのですが、もしも大蔵が、たとえば地域特例一括縮減をするという場合に、北海道民においては一三%プラス何%かということになっていくわけですね。これはこの二千億円になんなんとする大災害を受けた北海道、もっと被害は出ると思いますよ、これからまださらに。そういう中で、これは余りにもちょっと政治としてはいかがかという感じがするわけでありまして、ぜひこの件に関しての大蔵考え方に対して再考を促しておきたい、こう思うわけであります。  そこで、こういった地域特例を実施していくことになっていきますと、これは言うに及ばず、今日の段階ですでに概算要求をしている各地方自治体は、まだ圧縮幅は決まっていませんから昨年並みの概算要求ということで、あるいはまた、地方自治体にとっては予算編成上における国からの援助率を想定していま大蔵の方あるいは各省庁に概算要求をしているわけですが、もしそういうことで財政再建一括してやるということになると、これは地方自治体に大変な財政上の圧迫を与える、地方自治体の運営上大きな問題、行政上も大きな問題を与える、いわば地域住民に不安を与えていくということになるわけです。  豪雪関係においてはもちろんその一つであり、あるいはまた、それに絡む雪寒道路等の問題もその一つであります。雪寒道路は建設省の関係になっていますが、雪は災害である。公文さん、あなたは初めてかもわからぬけれども、ことしの災害対策特別委員会で「雪は災害だ」ということが決められているのです。これはもう国会審議の場で確認されているのですね。災害だということで考えていかなければならぬので、これを大蔵としても尊重しないというなら、われわれ与野党で大蔵省を相手にしてけんかをしなければならなくなる、こうなるのです。だから「雪は災害だ」というとらえ方を、これもぜひひとつ確認をしておいてもらいたい。  そういう中で、あらゆる面における財政負担が、言うならばこのままやっていくと大きく出てくる。そこで、地方自治体に対して財政負担を一体どういうふうに救済するのか。  私が聞くところによりますと、時間がないので言ってしまいますけれども、自治省はその財政負担を軽減するためにはここでまた起債を起こしてそれを軽減してやろう、こういう考えもあるやに聞いて、大蔵と話し合っているというふうにも聞いておりますが、私は自治省の考え方に賛意を表したい。もしやるとするならばそこまで、大蔵は三年間とおっしゃったのだから、いわば三年間は国の財政の中で地方自治体の財政基盤を揺るがさないように考えていくのが国としての当然の努めだと思うのです。そういう意味では自治省はひとつ大いに大蔵と話し合って協議をして、この地域特例の引き下げがもしあったとするならば、その問題に対する起債を新たに考えていくということをがんばってやってもらいたいと思うけれども、大蔵の答弁はいいから、自治省の気持ち、決意をちょっとお聞きしておきたいと思います。時間が来ましたので簡単にお願いします。
  18. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 地域特例かさ上げ幅を縮減するといたしますならば、現実にこれの適用を受けて実施しておりますところの地方団体にとりましては、これは事業実施に必要な財源が減らされるということでございます。したがって、それに伴いまして計画的な事業の実施の円滑性に支障を生ずるということになりますし、また地方財政全体としても財源がそれだけ少なくなるわけでございますから、これは大変重大な問題でございます。  自治省としては、それぞれ政策目的なりあるいは地方団体の財政に対する影響あるいは地域経済の影響、いろいろな点を考えて慎重に対処すべきであると考えておりますが、ただいまお示しのように、もしかさ上げ率の縮減がやむを得ないものとするならば、それによって影響の生じないように、財政再建期間中それに見合うものを起債で措置するということについては、これはまさに事業実施の円滑性を確保するという意味では重要だと思います。  しかし、さらにあわせて、その地方債につきましての元利償還の問題、これもやはり国庫において負担をしていただくということになりますれば、地方財政全体としても影響を生じないということになるわけでございますので、私ども目下関係省庁とその点につきまして協議を進めておるところでございまして、ぜひ地方財政に支障を生じないように、地方団体の事業の円滑な執行に支障を生じないように実施してまいりたいというつもりで、協議を進めてまいる所存でございます。
  19. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 時間が来ましたが、一般的な問題でなくて、ここは災害対策特別委員会でありますので、いわゆる災害に関する地域特例、この問題についてのことを主体に議論をするのがこの場だと思うので、私は実はあえてそういうことを申し上げているわけであります。もちろん一般的な地域特例に対しての言い分もいろいろありますが、しかしきょうの場合は災害に関する問題でありますから、あえて私は、雪の問題もそういう意味では災害である、雪寒道路の問題についてはさように考えて対処してほしいということ。  あるいはまた、議員立法でつくり上げた災害に対する政治のいわゆる温かみというか、その立法措置に関する行政府問題意識、そういうものが基本的に明確でないと何を話しても枝葉末節の話になる、そういう意味で私は、きょうは限られた時間の中でありましたが、質疑をさせていただいたわけであります。  国土庁長官におかれましては、先ほどお願いを申し上げましたとおり、少なくとも災害原点災害というものは政治的にはどういう位置づけをするのか、正常なる国民生活、市民生活をやっているものができなくなる、それに対して政治が手を出さないというならば、これは昔の専制政治、あるいはまた独裁政治、あるいはまたいわゆる封建時代の政治以外の何物でもない、基本的人権をうたっている日本国憲法の精神にももとるものである、今日の財政再建行政改革という問題はその原点を忘れたものであってはならない、こういう考え方で、長官からぜひ担当大臣として閣議において、全体の行革、財政再建に反対しているのではないのですから、担当大臣、長官としての大きな責任、そしてこのとうとい今日的な使命を考えていただいて、ひとつがんばっていただきたい。もう一言大臣の御決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 原健三郎

    原国務大臣 渡辺委員の非常に熱意のある決意のほど、十分承りました。災害については特殊事情もありますので、主張いたしたいと思っております。
  21. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 ありがとうございました。
  22. 木島喜兵衞

    木島委員長 この際、天野光晴君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。天野光晴君。
  23. 天野光晴

    天野(光)委員 関連ですから時間がわずかしかございません。本来なら、きょうのこの災害委員会には大蔵省は少なくとも大臣が出てくるべきものではなかったのか、事務当局の申し入れの仕方が悪かったのじゃないかというような感じがするのです。そこで、主計官に物を言ったってどうにもなりませんから、国土庁長官にひとつきちっと、政党政治家でございますからよくわれわれの言うことが理解できると思うのであります。  臨調答申、われわれが国会で選んだ臨調の委員のつくったその答申をわれわれは無視するんだと言っているのじゃないのです。それはできるだけ尊重することは間違いないのです。ただ、国会で議決した、議員提案で決めたもの、それを国会一言のごあいさつもなしに、やたらにやるんだなどと責任ある立場にいる者が発言をして、それが新聞に載ってきているような状態、これは許すわけにいきません。これは国会軽視どころではありません、国会無視です。国会無視を鈴木内閣がやるんならやるときちっと言明してやってほしいと思うのです。国会の意見を尊重してやるというならそれで結構ですが、いまの態度は国会無視じゃありませんか、軽視ではありませんよ。国会は厳然としてあるのですから、われわれ長い間かかって積み上げてきて、われわれの国民に対する考え方をまとめてつくったその法律案を、いわゆる官僚ファッショ的に、官僚だけでこれを考えて、こういうものはやめるんだなどという話は、しかもわれわれに一言も相談しないでやるなんということは許すわけにまいりません。ですから、これを担当しているのは国土庁所管が非常に多いわけであります。特に災害地域特例ではありません。その限界点をきちっとしておいてもらわないと、問題がもしもこのままの形で臨時国会に出てきますと、これは容易ならざる事態にならざるを得なくなりますから、この点を十二分に踏まえて、ひとつ国土庁長官はきっちりしていただきたいと思うのであります。われわれも解散はいやです。だけれども、解散だってやむを得ないというような事態にならざるを得ないのじゃないかと思いますから、そういう観点から、内閣それ自体は行政機関ですから、議決機関が提案して議決機関がつくったその法律案を、尊重してやりますと担当大臣が答弁しておきながら、それを一言のごあいさつもなしに、自分の方で臨調答申だから尊重しなければいかぬと、——尊重するのはそれは大変結構ですが、全部尊重できますか。まるまる全部のめますか。  ことに私が許せないのは、いま三年と言ったが、三年なら三年計画を全部出しなさいよ。臨調答申で三年間の行財政改革の基本をきちっと出して、四年目にはこうなるんだというきちっとしたものを出さないで、どこから考えたかわからないが、今年度の増税はしない、新税はつくらない、それだからゼロでいくんだと言う。それはその話もいいでしょう。しかしそれは、ゼロシーリングによる、ゼロ査定による来年度の予算編成をやるだけの問題をいまやっているとしか考えられない。だから、今年度はこういう苦しい思いはするが将来はこうなるんだというものを示す、それを全然示さないで、いま目の前だけでこういうことをやることは不見識きわまるものである。そういう観点に立って、担当大臣でありますから、きょうは本来なら総理にも来てもらいたかったのだが、原長官にその問題を持って返ってもらい、閣議できちっとひとつやっていただきたいと思います。体裁よくや何かではこれはおさまりのつくものではありません。  私、自民党ですが、けさ自民党の災害対策委員会でこれは決議しました。絶対に災害関係地域特例と同様に扱うというわけにはいかない、これは全然別個であるということでけさも決議の再々確認というのをやりました。それですから、その点十二分に踏まえていただいて、特に大切なことは、国会を尊重しないで、国会を無視するというような態度を鈴木内閣がとるということはこれは許せることではございませんので、その点担当大臣としてのきちっとした信念のほどをひとつお伺いさせていただきたいと思います。
  24. 原健三郎

    原国務大臣 天野先生の御意見、篤と了承しました。決してわれわれは国会を軽視したりあるいは無視する、そんな考えは毛頭ございません、大いに尊重する考えでございますが、御承知のような事情になってきまして、地域特例法議員提出でもあるし特に尊重しなければならないと思っております。そこで苦慮もいたしておるところで、その改廃については慎重の上にも慎重を期して結論を出していきたい、こう思っております。  それからもう一つの、災害については一般の地域特例と若干異なりますので、緊急を要するし非常に被害も大きいし等々ございますから、北海道災害については一般特例とは同一に扱うことに反対でありまして、ぜひもっと考えてもらいたいということを私は伝達して主張する考えであります。
  25. 天野光晴

    天野(光)委員 くどくなりますから私は終わりますが、ただ問題は、やはり担当する大臣がやむを得ないということになりますと行政府は一致することになりますから、それで、まことにやりにくいことだと思いますし、私も言いにくいのです。これは原長官だって中曽根長官だって一緒に飯を食っているわけですから非常に言いづらいことではありましょうけれども、国会という立場ではそうはまいりません。国会で一本の法律をつくるにしたって、これは野党との折衝からいって相当苦労してでき上がっている法律なんです。ことに災害は全野党が協力してできている法律である。その点、錯覚を起こしているのじゃないかと思うのです。自民党の三役にだけ言いつければ何でもできると思ってやっているのじゃないかと思うのです。それは筋違いですから、やはり筋はきちっと通さなければいけません。ですからこの問題をやるならば、野党の国会対策委員会なり野党の党首会談なりを先に開いて、こうやるのだという筋道をとるのが順序であると私は思います。  これは答弁は要りません。答弁は要りませんから、その点閣議でひとつ総理にきちっと申し入れをしていただいて、そういうような措置を講じて、臨時国会がスムーズに進むようにひとつ御配慮していただけるものであるということを期待しまして、私の質問をこれで終わります。
  26. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、池端清一君。
  27. 池端清一

    池端委員 今回の北海道における記録的な豪雨災害に際しまして、原国土庁長官団長とする政府調査団がいち早く現地視察されるとともに、被災住民を激励されましたことについて心から感謝を申し上げる次第でございます。  また、当員会におきましても、木島委員長を初め委員各位の皆さんには早速現地をつぶさに御視察いただきまして、これまた深く敬意を表するところでございますし、なお、この席をおかりいたしまして、被災されました道民皆さん方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  この集中豪雨問題については当委員会としては別途審議される予定もあるようでございますので、本日は今次災害地域特例、とりわけ北海道特例の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  先ほども御報告ございましたように、今回北海道を襲った四百ミリメートルを超す記録的な集中豪雨は五百年に一度の確率の豪雨であった、こう言われております。確かに記録的な大雨でございました。しかし、大雨だからしようがない、不可抗力なんだということにはまいらぬと私は思うのであります。備えさえあれば被害は最小限度に食いとめることができたはずであります。河川の改修や治山対策重要性が叫ばれてから久しいものがございますが、その対策がなかなかはかどっていないというのが今日の現状でございますし、とりわけ北海道についてはそのことが私は言える、こう思うわけでございます。  特に今度の災害が私たちに示した最大の教訓というものは、大河川に接続をする中小河川の治水対策、そして低地帯における内水排除の強化、こういう点がわれわれに示した最大の教訓だ、最大の問題点ではなかったか、こういうふうに思うわけでございます。もちろん北海道開発の歴史の浅さ、あるいは日本国土の二二%を占めるという広大な面積、いろいろな条件はございましょう。しかし、率直に言って、治山治水対策のおくれが今回の被害を大ならしめた、こういうふうに言っても決して言い過ぎではないと思うのであります。  私はこういうふうに理解をいたしておりますが、北海道開発庁の御見解を承りたいと思うのであります。
  28. 大西昭一

    ○大西説明員 お答えを申し上げます。  ただいま池端先生から御指摘のとおり、北海道の開発の歴史は明治以降わずか百十数年を数えるのみでございまして、府県に比べますと開発の歴史はまことに浅いわけでございます。  そういう中で、治水事業について申し上げますれば、たとえば石狩川についてもその改修に本格的に取り組んで約七十年ということでございまして、暫定断面ながらも、堤防が連続するというふうな状態にようやく最近なったわけでございます。これに引き続きまして、河道の整備あるいは堤防の完成に向けまして改修事業を積極的に進めるよう努力いたしておるところでございますが、そのさなかに今回の大災害、大出水を見たというふうな状況でございます。  またさらに、幹川につきましてもそういうことでございますが、その支・派川の、御指摘の中小河川等について見ますればその改修は相対的に立ちおくれております。また内水対策についても大変おくれておると考えておりますので、何と申しましても開発の最も基礎的な基盤はやはり治山治水というふうな問題でございますので、これらの事業を、厳しい財政事情にはございますが、今後積極的に推進するべく取り組んでまいる考えでおります。
  29. 池端清一

    池端委員 山を治め、水を治める者が国を治めるというのは、昔も今も変わらないと私は思うのであります。治水事業は膨大な資金が要ることは確かであります。経済効果が目に見えないために置き去りにされているという面もございます。特に高度成長時代は道路や港湾のような直接生産に結びつくという事業が優先をされて、とかくこの治山治水事業というものが軽視をされているということも事実だと私は思うのであります。  そこで、私は建設省にこの際お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、北海道内の河川の整備率、これはどのようになっておられるか。  また、いま開発庁から今後積極的に取り組むという姿勢が表明をされましたけれども、建設省としても今後どのように対策を進めようとされているのか。  今次災害の教訓に立って、ひとつその見解をお示しいただきたいと思うのであります。
  30. 玉光弘明

    玉光説明員 ただいま北海道河川の改修状況はどうかということでございます。河川の改修整備状況を表現するのは大変むずかしいことでございますが、いま私どもが一応の目標としておりますものにつきましては、大河川につきましては戦後最大の洪水に対処する、こういう目標を立ててございますが、これにつきまして北海道の場合は五〇%台の整備率でございます。また中小河川におきましては、この目標を内地におきまして時間雨量で五十ミリ相当という規模を対象にしてやっておりますが、これにつきまして整備状況は一〇%台というところにとどまっておるわけでございます。  今回の北海道の出水にかんがみましてその取り組み方でございますが、今後ますます治水事業をこれからも一層促進していく必要があると痛感している次第でございます。
  31. 池端清一

    池端委員 今回視察をされました各委員の方も、余りにも北海道河川の改修整備がおくれているということに、率直なところ、大きな驚きを持ったのではないかというふうに思うわけであります。いまなお原始的な姿をとどめている無数の中小河川、大変な多さでございます。これら治水対策のより一層の強化というものが緊急の課題になっていると思うわけであります。  私はいまこの治水の問題を一つ例に取り上げましたけれども、治山においてもまたしかりでございます。  そこで、私はいまいろいろな実態についてお尋ねをしたのでありますけれども、ここで、今日きわめて重大な問題になっております北海道特例の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。いわゆるこの地域特例と呼ばれる国庫補助の負担率の北海道特例の問題でございます。  私は、今度の災害というものが、きわめて不幸なことではございますけれども、その災害意味したものは、北海道における特例が今後とも必要であるということの、反面教師の役割りを果たしたのではないか、そういうふうに思うわけであります。特例存続の必要性をより一層証明したのが、残念なことではありますけれども今次災害である、こういうふうに言ってはばからないものでございます。甚大なる災害を受け、今後この復旧及び災害防止のために対策を緊急に進めていかなければならない、こういう状況下にあるとき、いま言われているような北海道特例をさらに引き下げるということは、先ほどもお話がありましたが、現にもう一三%の引き下げをいまやっている最中であります。それをさらに引き下げるということは、これはきわめて重大な問題である、こういうふうに考えております。  これについて、当面の主管官庁であります北海道開発庁としては、この問題についていまどう対処されているのか、その状況についてひとつ承りたいと思うのであります。
  32. 原健三郎

    原国務大臣 これは大問題でございますので、私からお答え申し上げたいと存じます。  北海道の特例については、御承知のように昭和五十五年から三カ年間でかさ上げ率の引き下げをやる、ここまではもうすでにやっておるところであります。現在も実施しておることは御指摘のとおりでございます。  これから先のことでございますが、これまで関係機関の十分な理解を得るよう努めてまいっているところであります。すなわちこれを特例の中から外して、このいままでのいわゆる引き下げを認めてくれるように、あるいはこれでもうそのまま特別なことをしないでもらいたい等々、いろいろ交渉中でございます。  今後もこのことを私の口からもよく言って、理解を得るように努力する考えでございます。
  33. 池端清一

    池端委員 いまさら申し上げるまでもないのでありますが、いわゆる北海道特例と言われるものは、国の三全総で明確に示されておりますように、国としての目的に即して設けられているものでございまして、単なる北海道地域の経済振興、そのための特例というのと全く性質が違う、単なる地域振興策ではない、国の目的に即して設けられている、そのことは三全総ではっきり示されている、こういうふうに私は思うわけでございます。  しかも、いま長官からも言われましたように、すでに昭和五十五年度から三年計画でかさ上げ率の引き下げを進めている、しかもそれは、臨調が言う財政再建期間中の特例措置ではなしに、恒久的な制度として先行的にやっておられるのであります。  こういうことに目を向けていくならば、今日さらに引き下げようという動きは、全く財政の論理だけが先行するめちゃくちゃなやり方である、こういうふうに言わなければならないと私は思うのであります。  そこで、原長官、先ほど十分理解を得るように今後とも努力をするというふうに言われました。ここで、国土庁長官としてではなしに開発庁長官として、この問題についてはあくまでも毅然とした態度を堅持して、いかなる抵抗、圧力にも屈しないで、今後とも所期の目的達成のために力いっぱいがんばるという決意のほどを実はお伺いをしたい、こう思うのでありますが、開発庁長官、所信はいかがでしょうか。
  34. 原健三郎

    原国務大臣 御説のように、いままでもすでにこのことは各関係者に私の口から直接伝達いたしております。でありますから、いま激励の言葉もありましたので、今後もその方針に従ってがんばってみようと思っております。
  35. 池端清一

    池端委員 鈴木総理大臣や中曽根行政管理庁長官は、行政改革政治生命をかける、こう言われたわけであります。私は原長官に、ぜひ北海道特例並びに災害特例の問題について、先ほど天野先生は災害地域特例ではないと言われましたが、私もそうだと思うのであります。ですから、これらの問題についてぜひ政治生命をかけてがんばっていただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思うのであります。  この北海道特例については、いま申し上げました一般的な特例のほかに、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法で規定をされておりますいわゆる災害特例もございます。この災害特例についても、先ほど来からお話がありますように、同様な態度を堅持して対処される、こういうふうに思うわけでありますが、これについても同様の態度であるというふうに判断してよろしいかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  36. 原健三郎

    原国務大臣 もちろん同様でございます。
  37. 池端清一

    池端委員 ぜひ、その姿勢を最後まで堅持をしていただきたいということを強く申し上げておきます。  次に、臨調の第一次答申の中では、公団、公庫、事業団等については貸付金の金利の法定制の弾力化ということがうたわれておるわけでございます。法定金利の弾力化ということは、結局は金利引き上げにつながっていくものであります。金利引き上げにその道を開くものであると思います。これもきわめて重大な問題でございます。  特に災害関係にありましては、天災融資法による災害資金、あるいは農林漁業金融公庫資金、災害復興住宅資金、中小企業金融公庫や国民金融公庫、商工中金等の災害対策資金貸付制度、こういうようなものがあるわけでございますが、これらの金利引き上げということになれば、まさに被災者皆さん方はダブルパンチを受けるということになるわけであります。特に北海道の農民は、昨年は大変な冷害という痛手を受けました。そして、ことしはまたこの大水害でございます。こういうダブルパンチ、トリプルパンチを受けることを手をこまねいて見ているということは、私は政治のとるべき道ではない、ここにはもうそういうことをやったならば政治不在と言われても仕方がない状況が生まれてくる、こういうふうに思うわけでございます。  このような被災住民に対して重ねての打撃を与えるようなこの金利引き上げの問題について、これはいろいろな省庁にまたがりますけれども、特に大きな被害を受けております農民、生産者の皆さん方の立場に立って、農水省としてはこの問題にどのように対処をされようとしているのか、その見解をお尋ねをしたいと思うのであります。
  38. 大坪敏男

    ○大坪説明員 ただいま先生御指摘の農林漁業に関しまする災害関係資金といたしましては、農林漁業金融公庫法に基づきます資金のうち災害に関するものがございますが、そのほかにも、自作農維持資金融通法に基づきます災害資金、さらには天災融資法に基づく経営資金があるわけでございます。これらの災害関連資金につきましては、災害によりまして授信力が著しく低下した被害農林漁業者に対するいわば救済資金的な性格を有するものと理解しておるわけでございまして、その貸付金につきましては低利かつ安定的な水準であることが望ましい、かように考えておるわけでございます。  したがいまして、今般問題になっております法定金利の弾力化につきましても、慎重な取り扱いが必要であるという認識に立って、政府関係省庁との協議を進めているところでございます。
  39. 池端清一

    池端委員 慎重に対処しているということでございますが、これは今日特に農民の側に立って見まするならば、災害救済の手だてというのは融資と共済制度、この二本柱しかないわけでございます。その中での融資、いわゆる借金でございます。この借金の金額はもう膨大になっている、負債は膨大な額に達しているわけでございます。これに金利の引き上げを図るというような追い打ちをかけるということは私はとうてい許さるべきことではない、こう思います。  いま慎重にというお話がございましたが、絶対そういうようなことはさせないという立場で、今後政府部内で話を詰めていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  災害関係の特例といたしましては、いま申し上げましたいろいろな特例のほかに、先ほどもございましたように、豪雪地帯の対策特別措置法あるいは特殊土壌地帯の臨時措置法、さらに地震対策の措置法と、いろいろな法律がございます。この法律に共通しているのは、ほとんどその多くが、先ほども御指摘がありました議員立法であるということでございます。このことは、今日までの幾多の災害を経験をし、被害を重ねて、その教訓の中から、先輩、同僚の議員皆さん方が多くの心血を注いで、そして制定をされた非常に大きな成果であるというふうに私は思うのであります。このことが災害対策災害復旧あるいはまた災害予防に大きな貢献をしていると思うわけでございます。ところが、これらの法律財政再建の名のもとにまさに十把一からげで切り下げるということは、これは国土と国民の生命、財産を守るという観点からも絶対に許してはならない、こういうふうに考えるわけでございます。  五十七年から五十九年までの三年間、財政再建期間中だけと言いますけれども、それじゃ、財政再建期間中にはことしの五六豪雪のような豪雪がないという保証が一体あるのでしょうか。大地震が起こらないという保証があるのでありましょうか。大雨、洪水がないという保証があるのでありましょうか。それはまさに神のみぞ知ることでありまして、残念ながら、私は、災害というものは忘れないで必ずやってくる、こういうふうに思うわけであります。そのためにも、これはまさに有事に備えるための重要な法律でございまして、先ほど申し上げましたように、先輩、同僚の皆さん方の心血がこの法律の中に注がれているのだということを十分認識をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございまして、国土を守る責任から、この問題について国土庁長官の改めての決意をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  40. 原健三郎

    原国務大臣 最前もお答え申し上げましたように、この地域特例についてはきわめて慎重に対処いたしたい、いま相談中であります。  それから第二の、災害関係特例法につきましては議員立法が多いこともよく承知いたしております。でありますから、これについては、災害復旧とか地方の負担が急激に増加するとか等々を考えて、両者を区別いたしまして、これは特別扱いをしてもらうようにいままでも言うてまいりましたが、これからもそれを主張する考えでおります。
  41. 池端清一

    池端委員 重ねて申し上げるようでありますが、この問題は、住民の暮らしにとっても国土を守るという点にとってもきわめて重大な問題でございます。財政の論理だけが先行するような、そういうことが許されてはならない性格のものでございますので、ぜひとも国土庁長官政治生命をかけてもこの特例存続の問題について最大の努力を傾注していただきたい、このことを心からお願い申し上げる次第でございます。  もう時間もございませんが、この機会でございますので、北海道災害の問題について二点ほど簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、被災住民が非常に要望いたしております激甚災指定の見通しは一体どうなっておるかということ。  もう一つは、国鉄の復旧の問題であります。とりわけ日高線、富内線は、いままで報告を受けたところによりますと、十一月中旬以降にならなければ開通しないという状況であります。あの地域における住民の唯一の足であります国鉄が十一月中旬以降にならなければ開通しないなんということになったら、これはもう大変な問題でございます。住民の生活の上にも地域経済の上にも重大な支障を来しておるわけでございますので、これの一日も早い復旧を望んでおるところであります。  この二点の見通しについてお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  42. 村上温

    ○村上説明員 線路の不通で御心配、御迷惑をかけておりまして申しわけございません。  先生御承知のように、七月に一度相当の雨で災害を受けまして、そして今回の大変な雨でございますので、相当ひどい災害を受けております。災害直後から復旧に全力を挙げてございますが、早く開通できるところから順次というふうに考えておりまして、日高本線につきましてすでに門別までは開通しております。富内線につきましても振内までは少なくとも八月いっぱいぐらいまでに開通したいと思いますが、富内線の振内以遠あるいは日高線の門別以遠につきましては相当の被害でございまして、一万立方メートル以上の土砂崩壊とか、海岸とがけとの間の非常に細いところを走っております線路がほとんど海に流されたとかという被害がございまして、一応十一月いっぱいぐらいはかかるのはやむを得ないと現在考えておりますが、全力を傾けまして一日も早く開通させたいと思っておりますので、ごしんぼういただきたいと思います。
  43. 原健三郎

    原国務大臣 もう一つ、大事な激甚災害指定をやるかどうかということでございます。大変な災害であることは私も現地を見て十分承知いたしております。速やかに災害復旧もやらねばならぬと思っております。ただし、まだ実際の被害状況が全部把握に至っておりません。ことに広大な地域にわたっておりますので、最終的な被害報告がまとまり次第検討することにしております。  しかし各委員皆さん方、参議院の方にもそういう要望が非常に強いので、その点は十分参酌して、前向きに検討する考えでおります。
  44. 池端清一

    池端委員 終わります。
  45. 木島喜兵衞

    木島委員長 この際、藤田高敏君より関連質疑の申し出があります。これを許します。藤田高敏君。
  46. 藤田高敏

    藤田(高)委員 きょうは関連質問ということで、官房長官なりあるいは大蔵省の少なくとも主管局長に出てもらって答弁を求めたいと思ったわけでありますが、緊急なことでもございまして出席ができてないようであります。先ほどからも質問がありましたが、近いうちに臨時国会が行革の問題を中心に開催される予定でありますけれども、法律案がかれこれ四十本ないし五十本近くなるようで、従来の国会運営のたてまえから言えば、各省単位に分かれてそれぞれの委員会において審議すべきものが、伝えられるところによりますと、これらの法案が財政特例に関する法案として一括して出される、そしてその審議も何か特別委員会を設置してやるように言われておりますが、こういう法案の出し方自体は、過去のわが国の国会審議の慣例、基本を完全に崩すものじゃないか。これはひとり災害対策特別委員会だけではなくて、国会全体の問題にかかわることだと私は認識するわけであります。これはいずれ、議院運営委員会なりそれぞれ国会対策上の問題として各党間の折衝にもなろうかと思うわけでありますが、こういう法案の出し方はどだい無理がある。先ほどから各委員質問にもありますように、災害対策特別委員会においても、特に災害対策特別委員会にかかわる特例法案等につきましてはこの委員会において慎重審議をすべきである、こういう観点からも、法案の提出のあり方自体に対して即刻再検討を加えるべきじゃないか。その意味においては、宮澤官房長官にも御出席願って、新聞の報じるところによりますと、過ぐる十一日に法案の出し方については政府部内で大方の了解を得たように伝えられておりますが、これは国会運営の根幹にかかわる重大な問題であるので、法案の提出のあり方自身について再検討すべきである。そのことについて政府の見解はどうかということをまずただしたいわけであります。  官房長官にかわるべき者が来ておれば答弁願いたいし、このことをまず申し上げておきます。
  47. 兵藤廣治

    ○兵藤説明員 お答えを申し上げます。  今回の臨調答申に基づきます法律事項につきまして、鋭意各省と折衝をいたしておりますところでございますけれども、これをどういう立法形式にいたしますかにつきましては、立法技術上の問題もございますので、個々の法律事項が具体的に確定をいたしました段階で、内閣法制局ともよく相談してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  48. 藤田高敏

    藤田(高)委員 実を言えば、これは大蔵省が答弁すべき性質のものじゃないですね。大蔵省はいまそういう方向で法案の準備にかかっておるようですけれども、法案の提出のなには内閣として出すわけですから、やはり内閣官房が来ないといけないと思います。ですから、これはきょう結論が出なければ、時間的な関係で私は保留します、議運との問題も出てきますから。  ただ申し上げておきますが、これは各省庁にわたる問題でしょう。従来の法律が四十本も五十本もあるとすれば、それぞれその法律にはその法律独特の目的と性格が言うまでもなくあるわけですね。中には恒久法もあれば暫定的なものもあるわけですよ。特にこの災害対策特別委員会にかかわるような法律は時限立法でほとんど出ておる。これは後でもちょっと申し上げますが、そういう長短相まじる、あるいは性格の違ったものが、それこそ雑炊式にまざる、こんなことになりますと、これは従来やってきた何十年来の慣行が一遍に切れてしまうわけですよ。こんな便宜主義的なことでやられるのだったら、これから各省単位の法律なんか出さないで、もうすべて通常国会も臨時国会も一本の法律でいいんだということになる。これはまさにファッショ形態の法律の提案の仕方だと思いますよ。こんなことはとてもじゃないが、われわれ所管の委員会としても許すことは断じてできない。  これは、先ほど言ったように議院運営委員会でもいずれ大問題になるだろう。しかし私は、きょうは緊急なこういう関連質問でありますから、宮澤官房長官が官邸におるようですけれども、出てこない。これは私どもが小者の質問だから出てこないのか、災害対策特別委員会を軽視しておるのか、それは知らないが、しかし、いずれ官房長官とも改めて相まみえてやるということを含めて、私は留保していきたいと思います。  したがって、この法案の提出のあり方自体に重大な問題を含んでおるし、わが党としては了承することはできない、災害対策特別委員会としても了承することはできないということを、法案提出の前に当たって、重大な警告と私どもの考え方を申し上げておきたいと思います。  二つ目の問題は、自民党の渡辺委員天野委員、わが党の池端委員、それぞれ共通の立場から主張いたしましたが、一般地域特例の問題も私は非常に重大だと思います。しかし、きょうは災害対策特別委員会ですから、特に災害特例のことを私は申し上げたいのですが、どうでしょう、災害関係の特例で、一般の補助率であれば二分の一を災害特例として三分の二にする、あるいは五分の四にする、こういうふうにかさ上げしているような法律は、たとえ今度の財政再建法、仮称ですけれども、そういう再建法で出してきて現在の三分の二の補助率を二分の一に下げても、災害が起こったら、いま北海道災害が起こっておるが、先ほど報告のあったような災害が起こったということになれば、二分の一の補助率に下げても、またもとの三分の二だったら三分の二、あるいは五分の四だったら五分の四の財政措置を講じてでも対策を講じなければいかぬのじゃないですか。災害が起こったらそういうふうにやるのはあたりまえですよ。従来だったって、法律があっても災害が起こったら財政的な特別措置を講じてきたわけですから、そういう点からいくと、これはきわめて具体的でありますが、災害発生すればそういう対応策を、行政府がどうであろうと、立法府はそれはいわゆる議員立法によってでもそういう対応をすると思うのです。  そういう観点から言って、原国土庁長官、大変御決意のほども披瀝されたわけでありますが、少なくとも国土庁長官としては、もう職をかけてでもいま出されようとしておる法案から災害特例だけは外す、国土庁長官のそれこそ政治生命にかけてでも外す、そういう異常な決意で取り組まれるかどうかということを私は重ねてお伺いをいたしたい。
  49. 原健三郎

    原国務大臣 御説の趣旨はよくわかりましたし、理解もできるととろでございます。ぜひ何とかして災害については別扱いをしていただくように、いままでもやってまいりましたが、これからも主張し続けていきたい、こう思っております。
  50. 藤田高敏

    藤田(高)委員 職をかけてまでということは御答弁ないようでありますが、少なくとも行政改革については総理が政治生命をかけてと——行管庁長官政治生命をかけてということは言わなかったようでありますが、体を張ってと言うんですが、原国土庁長官は所管庁長官としていま言われたようなことでありますが、いま少しやはり異常な決意でこの問題については取り組んでもらわなければならないと思うのですが、もう一度決意のほどをお伺いすると同時に、時間の関係がございますので、ひとつ端的に見解をただしておきたいと思うのです。  実は私は木島委員長の前に、わずか半年ほどでございますが、特別委員長をやったのでありますけれども、その間に東海地域の地震対策についての特例法を、実は私が提案者になって、ですから約一年前でございましょうか、つくった責任がございます。この特例法によれば、たとえば関係県に対して昭和六十年までに、それぞれの関係市町村なり県においてはこの趣旨に沿って地震対策、緊急対策を講ずるようにということで、われわれがそういう法律をつくった以上は、そういう地域に対しても政治責任があります。今度財政再建に関する臨時特例法でもしもその法律の条件が変わるということになれば、これはどういうことになるのか、大変な政治不信を生むことになります。私は一人でもそんなことには絶対賛成できないと思います。自分が去年委員長法律をつくって、そして昭和六十年まではこれだけのかさ上げをやって、小学校や中学校あるいは公立の施設はこういうふうによくして、もし地震が起こっても最小限度に食いとめるような緊急対策をみんなで寄ってたかってつくりましょう、こういう法律をつくっておいて、そしてどこがどういう形で出してくるか知らぬが、この特例法の既得権を侵害するような法律を出してきて、ああ、そうですか、財政事情が苦しいということはよくわかりますがということで、そのことに従うことができますか。そんな不見識なことは、立法機関としてもできないし、一人の政治家としてもできないと私は思います。どうですか、そんなことができると思って、きょう来られておる政府機関の皆さんはいまのこの臨時特例法を出そうとなさっておるのかどうか。  そういう点から言うと、災害に関する従来の特例だけは、少なくともいま出そうとしておる、準備しつつある法案の中からは外すということは最小の条件になるんじゃないか、こう思うのですが、きょう来られておる大蔵省あるいは自治省あるいは特に国土庁、これは長官がおられますので、長官にもそのことを含めてぜひ決意のほどを聞かしてもらいたい。私どもとしてはそういう不見識なことはとてもじゃないができないと思いますよ。一般の法と違って災害関係特例法というのは、期限を決めてここからこの間にというわけですから、特に政治的な責任というものは一般的なものよりも重いんじゃないか、こういうふうにさえ私自身は考えるのでございまして、そのことに対する各政府機関の見解をひとつこの機会に承っておきたいと思います。
  51. 原健三郎

    原国務大臣 最前からたびたび申し上げておりますように、災害に対しては特別扱いをしていただくようにいままでも主張してきましたが、今後とも主張する考えでおります。
  52. 公文宏

    公文説明員 御指摘がありましたように、災害の問題につきましては先ほどからの本委員会の御質疑でいろいろな御意見を承っております。それから、関係省庁の間でもいま議論を尽くしておるところでございます。  一方では、災害については特に配慮すべきであるということもございますけれども、また一方では、地域特例制度全体を見直すという考え方で推し進めていかなければいかぬという考え方もございます。そういう点を政府部内で引き続き詰めてまいりたいというふうに思います。
  53. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は関連質問ですからこれで終わりますが、いまの公文君の答弁は私はいただけないということだけははっきり申し上げておきましょう。いずれまたこの問題は——いま官房副長官がわざわざお見えになったようでございますので、伝令が飛んだと思いますから、できれば……(「前段の質問を聞いていないのだから、またこの次にしたらどうだ」と呼ぶ者あり)それでは、私はこれで終わります。
  54. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、薮仲義彦君。
  55. 薮仲義彦

    薮仲委員 最初に大臣にお伺いしたいのでございます。  お伺いというよりお願いを込めて最初に申し上げたいのは、このたびの北海道の異常とも言える集中豪雨による被害は、石狩川初め中小河川はんらん、さらには農業被害が判明すると同時に、その被害は増大して約二千億を超えるんじゃないかというようなことも言われております。被害に遭われました北海道の皆様に対し心からお見舞いを申し上げますとともに、この事態に対しましては、いち早く国土庁長官現地に赴き、つぶさにその実態を視察されたことに対し心から敬意を表するものでございます。  また、当委員会としましても、木島委員長を初め直ちに調査したところでありますが、この問題は後日集中的に審議されるということになっておりますので、本日は大臣に一言だけお伺いしたいことがございます。  一つは、北海道において被災された方々がいま一番不安に思うことは、臨調答申のこのさなか、災害復旧が万全に行われるであろうかどうか、この不安はやはり北海道の皆様にとってぬぐえぬ問題だろうと思います。どうか、この北海道道民皆さんの不安を払拭する意味におきましても、長官として、北海道のこの異常な被害に対しては万全の措置を政府として講ずるという御決意のほどを、また、激甚災害地域指定については当然いち早く指定されるものとは思いますけれども、いつごろまでに指定なさるのか、その辺のところを最初にお伺いしたいと思います。
  56. 原健三郎

    原国務大臣 御承知のとおり大変な北海道災害で、まことにお気の毒に存じております。  災害復旧については、政府は全責任を持って早急にこれを復旧したい、こういう決意現地を訪問したときにも述べてきたところでございます。  また、いまお尋ねのありました激甚災害についてはこれを早く決めたいと思うのですが、残念なことに、まだ被害実情状況が逐次報告されてきておる途中でございますので、そのトータルが出た時点において各省庁と会議を開いて決定する、こういう運びになります。しかし、私は災害担当大臣としてはきわめて前向きにこれを決定いたしたい、こう思っております。  いつになるかは、いわゆる災害報告が完了しないとできませんので、いま督促して早く知らしてくるように連絡しているところでございます。さよう御了承のほどお願いいたします。
  57. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、災害復旧については、臨調のさなかでございますけれども、どうか不安のないように万全を期していただきたいと思いますが、いかがでございましょう。一言だけ……。
  58. 原健三郎

    原国務大臣 復旧については万全を期すことはもちろんのことでございます。
  59. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、いよいよ本日の委員会の本論の方に入りたいのでございますが、きょうは官房長官の出席をお願いしておきましたが、お見えいただけないということで副長官がお見えでございます。かわって副長官にお伺いをしたいところでございますが、最初にお伺いいたしたいのは、最高の議決機関はこの立法府であるわけでございまして、副長官もやはりわれわれと同じ国会議員でいらっしゃるわけでございまして、その立場に立って行政府にいらっしゃるということも含めて、お伺いしたいわけでございます。  いよいよ、この臨調答申に沿いまして、行財政改革の実現のために、行財政改革に関する基本方針の大綱が二十五日に閣議決定されるというような運びになっておるということを伺っておるわけでございますが、それに先立って、先般官房長官が記者会見の席で、行革法案は数十本の法案を一本化して提案したいという御発言があるようでございます。その柱は、厚生年金の国庫負担率引き下げ、四十人学級の抑制、公的保険事務費の国庫負担停止、補助金の地域特例の廃止・縮小、貸付金利の法定制弾力化等々が大きな柱となって、その閣議決定がなされるということになっておるわけでございますが、まず、先ほど来天野先生も御指摘のように、私も国会議員として席を置いて、一つの法案あるいは一つの法案の中の一部分を修正するのも、各御専門の先生方が現地視察し、あるいは今日までの経験あるいは識見を駆使して、これが国民経済に、国民生活にどういう影響があるかということを真剣に討議して成立しておるのを知っております。それを今回のように、四十数本あるいはそれよりもっとふえるだろう法案を一本化する。なぜ一本化しなければならないのか、なぜ一本化なさるのか、私はその点、一本化した理由をまず政府のお立場からお伺いしたい。  なぜ私がそう申すかと言うならば、御承知のように衆議院には十八の常任委員会があるわけです。もちろん特別委員会もあるわけでございます。その常任委員会あるいは特別委員会において真剣に論議されるべき筋合いのものが一つ委員会審議される。これは明らかに議会制民主主義委員会中心に国政に参画しているわれわれに対する大きな、ある意味では侮辱といいますか軽視というか、先ほどの天野先生の話じゃありませんけれども、無視に近いような感じすら抱くわけでございます。一本化なさった理由は何なのか、その点をまずお伺いしたいのです。
  60. 瓦力

    ○瓦説明員 お答えをいたします。  薮仲先生御案内のとおり、わが国の財政事情はきわめて大きな課題をしょって今日に至っておりまして、先般臨時行政調査会から第一次答申という形で御指摘をちょうだいしたわけでございますが、その御指摘されたことに向かいまして、法律改正事項につきましては目下大蔵省でお取りまとめを願っておる段階でございます。これを踏まえましてさらに法制的に検討を加えて、法律形式の問題を含めまして政府としての方針を決定してまいりたいということで、今日鋭意取り組んでおるわけでございますが、どういった形で国会の方にお願いするか、もちろん立法府を尊重してまいるという政府の立場はきちんとしておるわけでございますし、そういった意味合いにおきまして、いま大蔵省中心にしてこれらの課題について鋭意検討を進めておる段階でございます。  一本化という問題につきましては、新聞等にそういう表現もございますが、一つ立法趣旨を踏まえていくという方向につきましては、財政当局もそういうことを踏まえつつ御研究をいただいておるようでございます。しかし各委員会経緯もこれあるわけでございますし、国会の方にゆだねるまでにまだ検討を要していかなければならぬ課題がありますので、今日までの段階、検討しておる模様を御報告いたしまして、お答えにかえさせていただきたいと思うわけでございます。
  61. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの御答弁は私の質問に的確にお答えになっておらないのです。なぜ大蔵省にそのような取りまとめをお願いなさったのかということを聞いておるわけであって、財政的な事情であるからということで大蔵省に取りまとめをお願いする必要はさらさらない。しかるべき委員会にしかるべき法案修正の部分を提案なさればいいことであって、大蔵省に取りまとめをお願いすることなど必要ないという立場で私は質問申し上げたのであって、それに対してもう一度明確な御答弁をいただきたい。  なお、私、これは瓦副長官に聞くのは失礼かと思うのですが、ではなぜ私がこういうことを言うかと言えば、たとえば先日天野先生とずっと九州方面を視察させていただきました。その中から得た感想として、われわれがきょうこの委員会で、今度地域特例の法案が今度臨調答申の中で見直しになったが、では副長官、あなたにこういうことは大変失礼かもしれませんけれども、国土庁が抱えている地域特例の法案を全部ここで名前を挙げてその経緯がすべておわかりですかと、私がもしもこう言ったときに、これは大変失礼な質問なので、質問はしませんけれども、仮に私がそういう質問をしたら一体どうなるか。あるいは一本化とおっしゃる四十人学級、ここにいらっしゃる木島先生は確かに文教ではベテランですからことごとくおわかりになるかもしれない。しかしそうでない方は、四十人学級と言われて一からまた勉強し直さなければならないかもしれない。単に委員を難じかえればいいという問題ではないと思う。あるいはまた、副長官、たとえばこの災害委員会でボラ、シラス、こう言ったら何になるか。農水の委員会だったらこれは魚かもしれませんよ。しかし災害委員会に来るとボラ、シラスというのは魚じゃないのです。アカホヤ、コラ、これは何ですかと副長官に私は聞きませんけれども、この一つの言葉にしても、ボラ、シラスと言えば農水の委員会でいけば魚なんです。ホヤと言えば海産物なんです。でも災害委員会でわれわれが審議するときは、これは特殊土壌であって、また全然事情が違うのです。  いま官房がお出しになろうとする一本化というのは、そういうような法案の出し方ですよ。政府皆さん方が本当に苦労してそういうことをお考えになったということについては、そのいろいろな事情は一応わかりますよ。でも、本当の国会審議という立場になればどだい無理だと私は思うのです。そのやり方は国会軽視であり、そういうことはあってはならないのではないか。  私も新人、一年ではございません。三期目の国会議員です。三期の間にいろいろな法案を審議しましたけれども、今日まで先輩の方がその法案成立のためにどれほど苦労なさったか、いろいろな方からお伺いして、本当に立法府の法案審議重要性、そしてその権威、責任の重さというものを私は痛切に感じております。このような一本化という形で法案をお出しになること自体、本質的に私は間違いだと思う。便宜主義に過ぎると思う。このことは改めていただきたいと思うわけでございますが、これ以上副長官に言うのも大変御迷惑な質問じゃないかと思っておるわけですが、私がこう言うだけではなくて、この問題はいろいろなととろで火を噴いてくると思います。しかも、もしも本当にそういう形で法案をお出しになるのだったら、これから毎国会鈴木内閣は一本の法案だけお出しになればよろしいということになるのか。ということは、国会に対する重大なある意味では挑戦にもなりかねない問題だと思うわけでございます。そういう意味を含めて、この法案提出のやり方については再考を促したい、私はこのように思うわけでございますが、お答えできる範囲内で結構でございますからお答えいただきたいと思います。
  62. 瓦力

    ○瓦説明員 お答えいたします。  各委員会で今日までいろいろ御検討いただいてきた歴史もございますし、またお扱いになる法律もございますが、先ほどお答えいたしましたように、臨調の精神に沿いまして、大蔵省中心としていま御検討をいただいておるところでございます。また、法制的な見地からもさらに検討をいただきましてその体制をつくり上げるわけでございますが、目下のところ財政当局を中心にして御研究をいただいておる、こういうことでございますので御了承を賜りたい、かように存じます。
  63. 薮仲義彦

    薮仲委員 了承はいたしかねますけれども、これ以上言うのもいかがかと思いますので、大変御苦労さまでした。  では、いよいよこの委員会の本論の方に入らせていただきたいと思うのでございますが、いま問題になっております地域特例の廃止あるいは縮小という問題でございますが、これについて各省庁の見解を伺っておきたいのです。  いわゆる地域特例と言われる財政措置というものが、今日までその地域あるいは災害復旧のために当然私は必要であったと思うのでございますが、自治省、国土庁はどういうお考えであるか、簡単で結構です。必要と思ったか思わなかったか、その点いかがでしょう。お答えください。
  64. 亀田博

    ○亀田説明員 地域特例はいろいろな制度がございますので、それぞれ創設の経緯なりあるいはその目的とするところが少しずつ異なっておるわけでございますから一概に申し上げるわけにもまいりませんけれども、地域特例制度は、地域の特殊性なりあるいはその地域が持っております社会的、経済的諸条件等にかんがみまして特別の措置を講ずる必要があるとして制度化されたものでございまして、現在においてもその必要性に大きな変化が生じているものではないという認識をいたしております。
  65. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 国土庁関係地域特別につきましては、制度の趣旨、発足の経緯地域実情等さまざまな要請があるわけでございますが、すべてを画一的に取り扱ってよいものかどうかは慎重に検討を要すると考えております。したがいまして、臨調の答申の趣旨も踏まえながら現在各省庁と協議、調整を行っているところでございます。  なお、災害関係につきましては、特に災害復旧については、被災地に対します緊急の対応措置でございまして、地方公共団体におきましても、一時的に過重な負担がかかってくるという事情もあるわけでございまして、一般の場合と同一に扱うことには問題があるというふうに考えておりまして、これはまた、現在関係省庁協議、調整を行っているところであります。
  66. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土庁の御答弁は、担当官庁でありながら余り歯切れがよろしくないので、非常に残念でございます。  それはそれとして、財政当局、大蔵省に同じことをお伺いしたいのです。  今日まで予算をつけていらっしゃった、それはやはり必要と思っておつけになったと思うのでございます。大蔵省、臨調答申云々の以前までは、この地域特例というのは必要と認めたから予算措置を講じたと思うが、いかがか。
  67. 公文宏

    公文説明員 地域特例制度につきましては、先生からいま御指摘がございましたように、私ども財政当局といたしましても、それぞれの政策目的を持っていままでの制度が運営されてきているということについては当然認めているわけでございますし、それなりの効果は十分あったというふうに思っているわけでございます。  しかしながら、地域特例というのは、いわば通常の国と地方との負担割合を変えまして特に国として特別な助成をするという制度でございますので、社会経済情勢が変わるとか、あるいは国の財政事情が変わる、地方も含めてでございますけれども財政事情が変わるということとの関連で、見直しということが起こり得るというふうな考え方でおるわけでございます。たまたま臨時行政調査会の答申の「財政再建期間中現行の嵩上げ率を引き下げる。」というのは、そういうことでございます。
  68. 薮仲義彦

    薮仲委員 答弁なさる方は質問以外のよけいなことはお答えいただかないようにしていただきたい。臨調答申以前のと、私はちゃんと断り書きをつけたはずです。  それでは自治省、国土庁にお伺いしたいのでございます。  いわゆる地域特例、離島振興や特殊土壌、いろいろございます。地震の災害に対する財政特例等もございますけれども、特例の措置というのはなぜ行われるかと言えば、もう御承知のように国土の均衡ある発展あるいは特殊な事情、その地域の財政事情が非常に窮迫しておる、財政力の弱い都道府県、都はございませんけれども、そういう地域のために何とか財政的な援助をやって、財政力の弱いところも問題解決のために国が応援してあげましょうということであります。ですから、もしもこの財政特例を切りますと一番どういう地域に影響が出るか。自治省どうでしょう。財政力の強い自治体か、それとも弱い自治体なのか、どっちでしょう、簡単に。
  69. 亀田博

    ○亀田説明員 地域特例がさまざまでございますので一概に申し上げることはできないであろうというふうに考えてございますが、実際の影響の問題を考えますと、それぞれの当該地方公共団体の財政規模に占めます地域特例のかさ上げ額の問題でございますとか、あるいは縮減する場合のカットの幅のいかん等によりまして、本当に一概に申し上げられないところでございますけれども、一般的に申し上げますれば、財政規模の小さいような、あるいは財政力の弱いようなところに影響は多いのではなかろうかというふうに推察をされるところでございます。
  70. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土庁、どうでしょう。
  71. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 国土庁が持っておりますいろいろな地域特例関係法律がございますけれども、これが、財政力が豊かな団体あるいは財政力の乏しい団体のいずれに影響があるかという点につきましては、それぞれの事情があるわけでございますけれども、ただいま自治省から答弁がございましたように私どもも考えております。
  72. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはもう少し歯切れよくお答えいただいて結構なんです。いろいろな計算式、私も計算をしてもらいました。これは地域特例の特殊性から、おわかりのように財政力の弱いところに一番影響がかかってくるのは当然なんです。ということは、鈴木内閣の臨調の答申を尊重してということはどういうことかと言えば、財政力の弱いところをさらに苦しめるということになるのじゃないのか。こういうことがあっては私は断じていけないと思うのが一つ。  それから、時間がありませんからこの問題をちょっとおいて、地域特例の中でも、いわゆる離島あるいは山村あるいは過疎地、そういう地域的な振興、あるいは首都圏、中部圏等の都市部の振興というような問題を抱えた法律もございます。山村が大事か、都市が大事かということを私は論ずるわけではございません。それぞれの問題を抱えております。また、この地域特例の中には御承知のように特殊土壌、先ほど申し上げたシラス台地等の問題、あるいは私が住んでおります静岡県のような東海大地震の危険にさらされている地域、いわゆる災害防除、防災上の見地から地域特例が施されているところもあるわけでございます。これは地域が大事か、防災が大事かということを私は論ずるわけではございませんけれども、やはり防災という見地からいきますと、当委員会でも先般あの鹿児島のシラス台地を視察してまいりましたが、それじゃ、財政窮迫の折だ、だからあのシラス台地はたとえば三年間は事業をおくらせる、それまで災害は待ってくれるかどうか。ということは、この災害という問題の解決のために私は政府の見解をお伺いしたいのですが、財政が豊かだったらやりましょう、財政が窮迫したら必要ありません、こういう政策なのかどうか。たとえばこの地域振興という問題、あるいは災害という問題を含めまして、金があるからやるよ、なかったら必要ないよ、そういう考えでこの問題を取り上げられたら重大問題だと思います。ですから、財政が豊かだったらやる、財政が窮迫したらやらないというお考えなのか。  また、もう一点は、こういう地域特例を廃止することは財政力の非常に弱いところにもろに影響が来るわけでございますから、それでもこれをおやりになろうとするのかどうか。また、災害のように待ったなしの問題に対して、財政事情がこうでございますからこれはほっておきますというような態度をおとりになるのかどうか。  これは非常に重大な問題でございますので、長官からその辺のお考えをお伺いしたいと思います。
  73. 原健三郎

    原国務大臣 お答えします。  これは、お説のことはよくわかるのでございます。ですが、事実上はいろいろな法律がたくさんありまして、なかなか一概に私がどうしましょうと言うわけにもいきませんので、各省庁の関係も多いし等々これあり、御趣旨の点はよく踏まえましてまた慎重に検討を進めていく、本日のところはその程度でお許しを願いたいと思います。
  74. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、わが県において一番問題になっております大規模地震特別措置法、これは先ほど来御指摘がありましたように、おおむね五カ年間で対策事業を終わらせなさい、対策事業を進めなさいというもので、これは大臣も先刻御承知のとおり、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づいて、いわゆる第一次の承認として五十五年十二月二十二日対策事業が決定されて、いよいよこれから第二次の対策ということになってくるわけであります。総額で三千五百六十九億。これが静岡を初め六県にかかわる地震防災上の措置でございまして、始まってわずか一年、いよいよ来年度は、今度問題になっております財政特例に一番問題の多い部分に事業が広がっておるわけでございます。  大地震のときには、御承知のように避難地、避難路、緊急輸送道路あるいは防潮堤、そういう事業が着実に実施されておりますけれども、それは通常の公共事業の補助率と何ら変わらない。それを、いよいよ今度の臨調の答申の中で問題になさった、よくも問題にしたものと私は不思議に思っておるのでございますけれども、大臣、臨調が特例を廃止しようなどという今度の問題は何か。  昨年のあの法案の審議、大臣も御承知のように、財政特例法を通そうとしたとき、財政当局がどう言ったか。県などを対象にするのだったらこの法案は通しませんよ、市町村だけですよ、財政特例は。県といったって非常に財政力の弱い県もあるけれども、むしろ市町村の方が大変だ。だから、市町村の財政特例は通すだけでも通そうといって、この当該委員会で通したいきさつがあるわけです。  いわゆる市町村の事業とは一体何なのか。小中学校のいわゆる耐震補強工事あるいは福祉施設、消防施設、これはもうある意味では県は一切関係ない。もろにかかってくるのは市町村の事業です。それを切ろうというこの発想、根本的にどうかしているのじゃないかと私は思うのですね。一回静岡に住んでごらんなさい。御前崎が九ミリ上がった、下がった。県民にとってはその不安の中で生きていかなければならない。あんなところに住んでいるからだということは、いかに財政当局だっておっしゃらないと思う。  私は、この間桜島視察した。本当に大変だなと思った。有珠山のあの被災地も見てきた。大変だなと思った。静岡県も大変だけれども、大変なところはたくさんある。こういう生命や財産にかかわる問題を、財政の問題だけで論ずるような鈴木内閣ではないと私は信じておるわけでございます。  この地震、特に第二次の事業を承認なさる所管大臣として、問題になるのはいま申し上げたように市町村が財政特例を受けているのです。県の事業ではない。そういうところに切り込んでくるというこの考え方は、断固大臣として阻止をして、静岡初め六県の県民が、国は万全な地震対策を講ずるから、県民も協力し、国土の保全、生命、財産の保全のためにがんばってください、そういう姿勢が、政府にあるいは政府にあって初めて国民の政治不信は払拭されて、なるほどと賛同を得られると思うのです。こういう姿勢がないのだったら、私はこの審議というものは断固反対と言わざるを得ません。  私は、行政改革そのものはすべきだと思う。しかし事柄が、このような問題を余りにも無責任というか、何ら現地の実態も知らずに切り込んでくるようなやり方に対しては断じて許せるものではございませんので、その点について最後に大臣の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  75. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨の点は私もよく了承しているつもりであります。  地震防災対策強化地域財特法というのがありまして、それによって補助負担率のかさ上げ措置がとられておることは、御承知のとおりであります。その対象も、大規模な地震の発生が予想される東海地域においては、緊急に実施される社会福祉施設あるいは小中学校の整備に限るというふうに特例的に、重要なことを法律にはうたっておるのでございます。したがって、私といたしましては、災害と同じように、一般の特例と同様の取り扱いを行うことには問題がある、行うべきものではないという趣旨にのっとって、現在関係省庁協議、調整を行っておるところでございます。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  77. 木島喜兵衞

    木島委員長 次に、米沢隆君、
  78. 米沢隆

    米沢委員 先ほどから議論になっておりますように、政府は、さきの第二臨調の第一次答申を受けられて、二十五日の閣議におきまして、行政改革の大綱の一つとして、いま問題になっております公共事業の補助負担率の地域特例の廃止、縮小を挙げ、その推進方を閣議決定すると伝えられておりますが、具体的にはどのような決め方をされるのか、お伺いしたいと思います。
  79. 公文宏

    公文説明員 地域特例につきましては、いま政府の部内で見直しの中身について検討中でございます。  臨時行政調査会は、その答申の中で、地域特例につきましては、財政再建期間中、補助率のかさ上げの見直しを行う、こういう答申をいただいておるわけでございまして、政府としてはその趣旨を踏まえて、それぞれ関係省庁、それに私ども大蔵省も含めて相談をしておる。したがいまして、いまの時点で、たとえばどの程度の引き下げになるのか、あるいはどういう対象を考えるのかということにつきまして、政府部内での結論はまだ得ていないということでございます。
  80. 米沢隆

    米沢委員 いや、そこはわかっておるわけです。私がお尋ねしておるのは、二十五日の閣議で、この地域特例の廃止、縮小を一つの項目に挙げて、これから推進していこうと決めるんでしょう。決め方について、たとえば二十五日の閣議までにいまおっしゃるような交渉が進んである程度のまとまった案としてそこに出てくるのか、それとも、ただ頭だけ出して、あとはいまから相談するのだというような決め方をするのか、その点を聞いておるわけです。
  81. 公文宏

    公文説明員 本件につきましては、臨調の答申が出まして以来、政府の中では鋭意検討しております。できるだけ早く結論を得たいという気持ちでいまやっておりまして、一つのめどとしては、いまちょっと先生がおっしゃいましたように、二十五日の行政改革大綱の決定の時期を一つのめどとして、それまでに政府部内で調整ができれば中身も決めていきたいという考え方で進んでおるわけでございます。
  82. 米沢隆

    米沢委員 そこで問題になりますのは、公共事業にかかわる地域特例というのは一体何を指すのかという問題ですね。私は、解釈いかんによってはその対象が広くもなれば狭くもなると思うのです。いま交渉中で、交渉が煮詰まったものが地域特例、煮詰まらないものは地域特例とみなさないというのは、それはまたおかしいのですね。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕 少なくとも、こういうものを地域特例とするという前提がまずあって、それにひっかかる法律は何であるということがわかって、それから各省庁と議論をしていくというのが筋なのであって、そういう意味で、いまの動きを見ておりますと、地域特例とは一体どんなものを指すのかというその点に関して、解釈が各省庁で全然違っておるんじゃないか、私はそう考えるわけでございます。  現に、八月五日に大蔵省が各関係省庁に示したと言われます地域特例法律等のリストアップを見ますと、これには三十六本の法律が記載されてあります。ところが、これに対して自治省等は、見直しの対象としてリストアップしたものは二十一本と言われておりますね。その他いろんな理由があって、これは出さないとかこれは出すとかというような、各省庁の思惑なり解釈の仕方によって地域特例法律の取り上げ方が違うんだと思いますが、こういう調子でやられると何かおかしいという感じが私はするのです。  したがって、大蔵省と自治省に聞きたいのだけれども、地域特例は一体何を指すのか、どういう解釈をしてその法律を探そうとしておるのか、その点を聞かせてもらいたい。
  83. 公文宏

    公文説明員 仰せのように、地域特例をどう考えるかということにつきましてはいろいろな御意見があろうかと思います。それではまとまりかねるわけでございまして、私どもは、その地域特例のまとめ方のベースとして、考え方のベースとしてはこういうふうに考えておるわけでございます。  地域特例と申しますのは、特定の地域において、関係の地方公共団体に対し、通常の国の負担または補助を超えて補助率のかさ上げ等特例的な行政措置を講じているもの、そういうものを地域特例というふうに観念をして整理をしていこう、という考え方をベースにしていま議論しております。つまり、特定の地域、それから通常の負担率、国と地方との負担割合が決まっておるところに特に特例的に助成をするというもの、それから相手が地方公共団体であるというのが一つの要件だということで、いま整理をやり始めております。  ただ、これにつきましては、いろいろな御意見あるいは考え方というのが当然あろうかと思うわけでございます。
  84. 亀田博

    ○亀田説明員 地域特例の範囲の問題につきましては、ただいま大蔵省の方から答弁があったように、おおむねそのように考えておるわけでございますが、補足いたしますと、地域特例という用語は法令で定まったものでもございませんし、すでに確定した概念でもないというふうに私どもも理解をいたしております。さらに、現実の問題といたしましても、法令に基づくものでございますとか、予算等で定められているもの、あるいはそれぞれが重複して同一地域に適用されるもの等多種多様でございますので、現在関係省庁との間におきましてその範囲の確定を協議いたしておるところでございます。
  85. 米沢隆

    米沢委員 各省庁で地域特例のとらえ方、解釈の仕方をそれぞれやって、これがおれたちは地域特例の律法だと思うという形でやっていきますと、少なくともこれでは議論はかみ合いませんね。そういう意味で、まず、もし地域特例について見直しをやろうとするならば、少なくとも各省庁間で解釈の定義をあらかじめぴしっとしたものにして、そしてその基準に合うものについて議論をしよう、こういう形にしてもらわないと、結果的には逆に取り扱いについて不公平が生じると思う。  先ほどからよくおっしゃっておりますように、行革は少なくとも一律方式がいいだろう、うまくやっていくためには横並びでやっていかないと、この省庁は甘い、こっちの省庁は辛いというととじゃおかしいわけですね。結果的に解釈がはっきりしないということになりますと、積み残しを生じたり、あるいは全然触れずじまいで終わったりする。そういうことになりますと、まさに公平感がなくなってしまうわけですね。そういう意味で、議論をされるのは結構でありますが、少なくともその場合には、地域特例の解釈についてはっきりしてからの議論にしてもらいたい、私はそう思っておるわけです。  そこで、八月九日付の毎日新聞によりますと、「財政再建臨時特例法案として一本化される対象にリストアップされている行革関連法律」と言って、「補助金地域特例廃止・縮小」の欄に十九本の法律が記載されておりますね。十九本記載されておるのです。としますと、最初大蔵省が示したのが三十六本、自治省が二十一本だという。そしてこの八月九日の段階では、この毎日新聞の記事が代表的な法律だけとったのか、それとも十九法案をそのまま載せたのか、これは私もわかりません。しかし、十九本の法律が記載されているところを見ますと、最初大蔵省が三十六本、自治省が二十一本と言って、何か財政再建の臨時特例法案には十九本がしぼり込まれてきておる、こんなふうに受け取らざるを得ないのですけれども、実際大蔵省が示しております地域特例法等のリストの中で、政令にゆだねたもの、北海道、沖繩あるいは固有名詞が載った法律は除外されておりますね。除外されてこの十九本が出てきておるのですよ。となりますと、もうすでにしぼり込み作業が始まって、やり玉に上げる法律地域特例法はほぼ少しずつしぼり込むという過程に入っておるように見えるのですけれども、実態は一体どういうことになっているのですか。一括して公平にやりたいと言いながら、一方ではもうしぼり込み作業が始まっている。これはどういうことなのですか。
  86. 公文宏

    公文説明員 新聞報道による対象法律十九本の点につきましては、ただいま私は承知はいたしていないわけでございますけれども、まず私どもの立場でたたき台として各省の御検討をお願いしたのは、先ほど先生がおっしゃったように三十六本でございます。しかし、その中には政令で処理できるものというものも入っておりますから、実際に法律で処理できるものはそこからまた少なくなるわけでございます。  それから、自治省の方でお考えになっている本数と違う点があろうかと思いますが、自治省の方のお考えは、市町村分の特例につきましては除外したいという前提で整理をしておりますので、その点の食い違いがあるのではないかと思います。
  87. 米沢隆

    米沢委員 ところで、地域特例の抑制と言ったり、地域特例の廃止あるいは縮小と言ったり、いろいろ言葉が違うのですね。最初はただ地域特例を見直すというのか、そういう言葉で始まったのですか。最終的には廃止、縮小というふうに言葉が整理されてきておりますが、当初は地域特例については少なくとも一律にかさ上げ分を減額するというところから始まって、いま廃止、縮小という言葉に変わってきておるということは、たとえば政策目標を達成するためにいろいろ法律がありますね、それを実現するために財政特例を決めていますね、そういう意味では、財政特例の方を一律にいじるというよりも政策目標に優先度をつけて、こっちについてはもう絶対財政特例はいじらない、こっちについてはいじります、一律財特をいじるという方向から政策目標を区分けして、これについてはいじらない、こっちについてはいじる、そういうことで解決するという方向が煮詰まっておるような感じがするのですが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
  88. 公文宏

    公文説明員 まず地域特例の問題をどう見直していくかという内容の問題でございますが、これは基本的には私どもは臨調の答申を踏まえていこうということでございます。臨調の答申につきましてはもう御承知でございましょうけれども、終期の到来する分につきましては廃止を含め抜本的な見直しを行うということがうたわれております。それ以外のものにつきましては財政再建期間中に現行のかさ上げ率を引き下げるということでございます。この臨調の答申の趣旨を踏まえていま鋭意詰めておるということでございます。  それから、それぞれの地域の特例の実情に応じてあるいは政策目的に応じて地域特例の見直しの仕方を変えるかどうかという点でございますが、この点につきましては、一方ではいろいろな点を配慮すべきであるという御意見もありますし、やはり地域特例制度全般を見直していく必要があるという考え方からしますと、バランスをとって一律例外なしにやってやるべきだという意見もありまして、この点を政府部内で検討しておるという状況でございます。
  89. 米沢隆

    米沢委員 結論は得ていないけれども、考え方によったら、たとえば災害等については除外するという決め方もあり得るということですな。
  90. 公文宏

    公文説明員 災害の取り扱いにつきましては、いまの時点で政府部内での結論は得ていないということでございまして、いろいろな御意見があるわけでございますけれども、それを政府部内で煮詰めていきたいというのが現状でございます。
  91. 米沢隆

    米沢委員 問題は、この災害復旧にかかわる公共事業あるいは防災にかかわる公共事業、この地域特例について法律を調べてみますと、私の知る限り六本ありますね。公共土木施設の災害復旧事業費の国庫負担法、これはいわゆる離島法初め三つの小笠原、奄美大島、それから沖繩、北海道が特例を受けていますね。それから、農林水産業の災害復旧事業費の補助の暫定措置法、これは沖繩が地域特例を受けていますね。公立学校の施設の災害復旧事業費の国庫負担法、これはいわゆる離島法と奄美と小笠原と沖繩が地域特例を受けていますね。それから特殊土壌の法律、これが、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の施行令で地域特例が認められておりますね。それから地震防災対策強化地域財特法、それからしいて言えば地すべり等防止法、このあたりも防災関係でしょう。恐らくこの六つのものがありまして、その六本の法律の中でそれぞれ地域特例を掲げておるのだが、災害復旧あるいは防災に関する公共事業に関する法律で、それ以外にありますかね。これぐらいですか。
  92. 公文宏

    公文説明員 お尋ねの、災害に関連した地域特例をしいておる法律が幾らあるかということでございますが、災害と申しましても、たとえば地震のようなものの防災的なものをどう考えるかとか、いろいろとり方にも問題があろうかと思います。しかし、いずれにしましても、いま先生が御指摘になったような範囲にとどまるのではないかというふうに思っております。  なお、細部はちょっと詰めさせていただきたいと思っております。
  93. 米沢隆

    米沢委員 そこで、概算でも結構ですが、ちょっと聞かせてもらいたいのは、たとえばこの災害復旧や防災の公共事業にかかわる法律に基づいて、地域特例分としてかさ上げした分が過去に一体どれぐらいあるのか。そんなに大きな、これを削ってまでやらねばならないというたような数じゃないと私は思うのだけれども、地域特例でかさ上げした分、数はわかりますか。
  94. 公文宏

    公文説明員 かさ上げ額の正確な数字につきましては、実はいろいろな法律が重複しておったりしまして、正確なその数字をつかんでおらないわけでございますけれども、おっしゃるように、全体から見ればそう大きな額ではないと思われます。
  95. 米沢隆

    米沢委員 先ほどから、災害に関連するものについては地域特例を何とか勘弁してくれやという話があるわけですが、いま大蔵省の方から答弁がありますように、行革を推進していくという気持ちみたいなものでは、災害についても切った方がいいなどということになるかもしれませんけれども、少なくとも数字的にはそんなに大きな金額ではない。逆に、そこで救われる人間の気持ちの方を考えた場合には、先ほどから何回も委員がおっしゃっておりますように、災害復旧あるいは防災対策、その分についての地域特例ぐらいは絶対残すべきだという感じがするのでございます。その辺、長官、私にも一回決意のほどを聞かせてもらいたい。
  96. 原健三郎

    原国務大臣 最前から申し上げておるように、災害復旧とかあるいは防災対策、これについての地域の特例、これは普通のものとは大分その趣旨が違っておりまして、緊急にやること、人情等々を考えましたら、特別扱いをすべきものである、こういままでも言うてきておりますし、これからも私は大いに各方面に向かって主張していきたい。ただ口で主張するだけではなく、その目的を達成いたしたい、こう思っておる次第であります。
  97. 米沢隆

    米沢委員 そこで、私は宮崎県でありますが、宮崎県でいつもお世話になっておるのは特殊土壌地帯対策ですね。御承知のとおり、この特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法、この法律は結局五十七年の三月三十一日で期限切れになるというものですね。したがって、趣旨から言うたら見直しがなされるという対象になるわけです。同時に、後進地域の財特法の施行令で特殊土壌の災害防除法も、どうも地域特例一つとしてみなされてやり玉に上がる。そういう二面からやり玉に上がる可能性のある法律なんですけれども、残事業あたりは一体どうなっていますか。いま第六次計画が進行しておるということでございますが、あと残った事業はどれぐらい残っていますか、国土庁。
  98. 桑島潔

    ○桑島説明員 残事業につきましては、第六次計画の実績及び実績見込みの事業費が約一兆三千億円になっておりまして、これは計画どおりおおむね進んでおるわけでございます。  ただ、残事業は、五十七年度以降につきましては、関係県の見積もり等によりますと一兆三千億を超える、おおよそ一兆六千億ぐらいの数字に、今後仮に五十七年から五カ年と考えますと、そのぐらいの数字になっております。
  99. 米沢隆

    米沢委員 いまおっしゃいますように、これは来年の三月三十一日で法律は切れるのですが、ぜひとも延長を図らねばならぬと私たちは考えておりますが、事業量でも、五十七年度から六十一年度までの事業費として見積もったのでもおっしゃるように一兆六千億もあるわけですから、少なくとも法律が切れてこの残事業だけが残るということではおかしいわけで、そういう意味で、国土庁としてこの法律の取り扱いについて一体どういうような見方をされておるのか、延長を含めていまからどういう処置をされようとされておるのか、その点を聞かせてもらいたいと思います。
  100. 桑島潔

    ○桑島説明員 お答えいたします。  基本的には大臣がたびたびお答えしておるとおりでございますが、御指摘のようにこの特殊土壌法がこれまで大きな役割りを果たしてきておりますし、先ほど御答弁申し上げましたように非常に残事業も残されています。そういった意味では、私どもは、これから関係省庁とよく相談いたしまして、この特殊土壌法の今後のあり方を詰めていきたいというふうに思っております。  さらに、この法律自身は議員立法でつくられた法律でございますから、国会のきょうのような御議論につきましても十分承りたいと思いますし、また、きょう一時半から特殊土壌の国土審議会がございますので、そちらの意見等も十分踏まえまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  101. 米沢隆

    米沢委員 大臣にぜひこの法律の延長方について努力してもらいたいと思うのですが、決意のほどをちょっと聞かせてもらいたい。
  102. 原健三郎

    原国務大臣 御期待に沿うように延長に努力いたす考えであります。
  103. 米沢隆

    米沢委員 そこで、時間もありませんが、先ほどから出ておる一般的な地域特例、これは自治体はまさに大わらわという感じですね。知事さん初め各市町村長さん、寄るとさわるとこの地域特例の話が出るように、大変なものだという感じがするのです。  それで、一般的な地域特例についてもいろいろな議論はありますが、きょうは災害関係ですから災害だけに触れましたけれども、自治省としてもっと、最初は、地域特例がもしなされるとするならば自治体が困らないように特別地方債でも発行させて、それを全額、元利償還金は暫定期間が過ぎてから払い戻すのだというような勢いのいい話が出ておりましたが、このごろ自治大臣も少しずつ物わかりがよくなって、余裕のあるところは受けてもいいというような話に変わってきつつあるのですが、自治省、一体方針はどうなっておるのですか。
  104. 亀田博

    ○亀田説明員 先ほども自治省の方から答弁をいたしたとおりでございまして、地域特例の縮減は地方財政に及ぼす影響がきわめて大でございますので、地方財政への影響とか、あるいは事業の円滑な執行の問題、あるいは地域経済への影響等を十分考慮すれば慎重に対処しなければならないと考えておりますし、そういう意味から申し上げますと、仮に縮減分を地方債で措置するといたしましても、その元利償還金につきましては国庫によります手当てがなされるべきであろうというふうに考えておるところでございます。
  105. 米沢隆

    米沢委員 この地域特例を廃止したりあるいは縮小することによって少なくとも災害復旧工事がおくれる、できない、あるいは防災事業がおくれる、その結果また新たな災害を生む、こうなりましたら、これは逆に政治がつくった人災だというふうに非難されるのは必定だという気が私はいたします。したがって、災害復旧、防災の面についてはまだまだかさ上げをしてもらいたいぐらいであって、実際はこういうのを切り下げて、結果的に、あああのときやっておればよかった、ああいうものができたものだからちょっと進んでおりませんでした、したがって災害はこんなに大きくなりました、というような議論が将来においてなされないように、国土庁長官災害に関する地域特例についてはぜひ除外するように努力をしていただくことを再度お願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  106. 池端清一

    池端委員長代理 次に、栗田翠君。
  107. 栗田翠

    栗田委員 初めに、臨調の事務局に伺いたいと思います。  臨調の答申で地域特例の見直しとかかさ上げ分のカットが言われているわけですけれども、なぜこの地域特例がこの対象になったのかということをまず聞かせていただきたいと思います。
  108. 吉田俊一

    ○吉田説明員 公共事業における補助負担率については、地域政策上の必要から各種の特例措置が講じられているわけでございますが、これらのうち、時限立法であるものは、立法の趣旨から見て、終期到来時には存廃を論ずるのがたてまえだと思っております。これまでもそういった観点から論じられてきたわけですが、結果から見るといずれも延長されてきている実態がございます。そこで、最近の厳しい財政事情にかんがみて、時限法本来の趣旨を再確認する意味で、終期到来時には厳しく見直す、これが答申で言っている「終期到来時には廃止を含め抜本的な見通しを行う」という趣旨でございます。  あわせて、時限法でないものを含め、厳しい財政事情にかんがみ、財政再建期間中かさ上げ率の引き下げを行うことを要請したわけでございます。なお、答申では引き下げの幅までは触れてございません。これにつきましては政府部内において調整されるものであり、現在調整中であると承知しております。  以上でございます。
  109. 栗田翠

    栗田委員 時限立法の本来の趣旨にかんがみてとおっしゃいますが、継続されるときにはまた継続されるだけの理由があってされているわけです。それから地域特例の場合、それぞれの法体系があり、またそれぞれの目的を持ってつくられているのであって、これを一律に、臨調答申などという形で手直しをしていくということが一体許されてよいのかどうかという問題があります。  こういう法体系、目的、また成立過程、議員立法が非常に多いわけですが、さっきからこれが問題になっていますけれども、そういうことをすべて無視して見直しやカットをせよということを臨調の答申は考えているわけですか。
  110. 吉田俊一

    ○吉田説明員 確かに地域特例にはそれぞれ成立に至った背景、経緯があるわけですが、臨調としては、現下の厳しい財政事情の中で、財政再建期間中、それぞれ応分の負担の引き下げをお願いしたいというのが趣旨でございます。  具体的な中身につきましては政府部内において調整を図っていただくという考え方でございます。
  111. 栗田翠

    栗田委員 応分の負担の引き下げと言いますが、聖域も残っているということがはっきりしているわけでございます。軍事費などはむしろふえる形になっていますし、そういうことで、応分という考え方自体が非常に問題があるわけです。  大蔵省に伺いますけれども、その地域特例という言い方で一律にカットしていく考え方なのか。私はカットすること自体許せないと思っていますけれども、それぞれの目的に沿って具体的な勘案をしていく作業をしているのか。どうなんでしょうか。
  112. 公文宏

    公文説明員 地域特例につきましては、いま御指摘がありましたようにそれぞれの政策目的を持って設けられたものでございますから、そういう意味におきまして、もし見直すとすれば、そのいろいろな特殊性を考慮してやるべきだという御意見もあろうかと思います。  ただ、一方では、現下の非常に厳しい国の財政事情の中で、国と地方の負担のあり方を見直していくべきである、個々の地域特例制度ではなくて、地域特例制度全般を見直していくべきであるという御議論もあるわけでございまして、そういう観点に立ちます場合には、その地域特例制度全般について、できるだけバランスのとれたといいますか、例外のない見直しをするという必要もあるのではないかということでございます。私どもはそういう両様の意見を踏まえながら、政府部内でいま検討中だということでございます。
  113. 栗田翠

    栗田委員 両様の意見を踏まえながらと言いますが、二十五日には大綱が発表される段取りになっているわけです。そうして、新聞報道またニュースなどによりますと、もうかなり具体的な中身が取りざたされている実態です。ですから、両様を踏まえてという答弁をいまここでされるのではなく、大蔵省の中で煮詰めていらっしゃる検討の過程で、もうかなりのところまで出ていると思いますけれども、そういうものをここで方向としてある程度話していただくべきだと思いますし、議員立法などでつくられている地域特例を私たちが問題にしていくのは当然でありますから、マスコミがそういうことを報道するけれども議員にはさっぱりわからない、こんな状態に置かれているというのは国会無視だと思うわけです。どういう方向で検討されているのか、またその根拠はどういうことなのかをもう一度伺いたいと思います。
  114. 公文宏

    公文説明員 たびたび申し上げておりますように、現時点におきましては、この地域特例制度の見直しをいかに取り扱うかについて政府部内では結論を得ていないということでございますので、その内容について申し上げるのはいかがかということでございます。  ただ、臨調答申の趣旨を踏まえて作業をやっております立場で申しますと、地域特例につきましては、特定の地域において、通常の補助負担率が決まっておるそういう事業について、通常の補助負担率を超えて国が特別に助成をしているもの、相手は地方公共団体ということでございますけれども、そういうものを地域特例であるというふうに観念をいたしまして、そういう考え方を土台にして政府部内での検討が進められているということでございます。
  115. 栗田翠

    栗田委員 先ほどから幾度も出ておりますけれども、それでは災害に関する特例をどう考えるのかという問題があるわけです。災対法によれば「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」とうたっているわけで、組織及び機能のすべてを挙げて防災に万全の措置を講じていくということなんですね。ここまで言われているけれども、しかし、財政が厳しいから同じようにカットしていくのだ、そういう解釈に立っているのかどうかということですが、いかがですか。
  116. 公文宏

    公文説明員 私どものいまの政府部内の作業は、地域特例につきまして、その個々の地域特例制度の当否を云々しようという考え方でやっているわけではございません。ですから、それぞれの政策目的があるわけでございますが、そういう政策目的に沿った地域特例制度の趣旨は生かしながら、しかしなおかつ、国の厳しい財政事情のもとにおいて地域特例の特例の程度と申しますか、かさ上げの程度というものを見直していこうという考え方に立っているわけでございまして、そういう考え方で申しますと、災害の問題も含めて見直しの対象になっているということでございます。  ただし、それはそれといたしまして、政府部内におきましても災害の問題は特に考慮を払うべきだという御意見もあります。その辺はいま詰めているということでございます。
  117. 栗田翠

    栗田委員 先ほどから地域特例の定義についても問題になっております。大蔵省はいまお答えのあったような定義を幾度かおっしゃっておりますけれども、法制局あたりはその定義は定かでない、こう言っていらっしゃるわけで、ここにも第一の問題があるわけです。災害関係地域特例に入るのかどうかというその一番基本的なところからまだはっきりしていない、こういう状況になっているのが実態だと思うわけです。  ところで、いま個々を勘案しながらということをしきりにおっしゃっていますけれども、各省庁に伺いますと、また省庁それぞれの持っていらっしゃる地域特例について御意見があるし、率直に言えば、かさ上げ分カットをしてもらいたくないという御意見が非常に強いというのが率直なところですけれども、こういう各省庁の具体的な意見、実情などを聞く機会というのを大蔵省はつくっていらっしゃいますか。
  118. 公文宏

    公文説明員 地域特例の見直しの問題につきましては、御承知のように、七月十日に臨時行政調査会から答申をいただきまして、その後、政府としては十七日に、この答申の趣旨を最大限に尊重して実施に移すべきものは移すという旨の閣議決定をしているわけでございます。その時点から私どもの作業は始まっているわけでございまして、その間にたとえば総理からいろいろ各大臣に対して御相談があったというようなこともございますし、また一方では、私ども事務方でも、この問題は毎日お互いに議論を続けているということでございます。
  119. 栗田翠

    栗田委員 お答えになっているのが事務当局なものですから大変質問しにくいのですけれども、各省庁の意見を率直に聞いて、本当に民主的な勘案をしていくべきだと思います。  ここに長官が来ていらしゃいますけれども、先ほどから御決意を幾度も披瀝しておられますけれども、この地域特例、私はこれは全部見直しなどすべきではないと考えておりますが、ことは災害委員会ですから、災害にかかわる地域特例については本当に職をかけても見直しをさせないで守っていくという、大臣のお気持ちをもう一度伺わせていただきたいと思います。
  120. 原健三郎

    原国務大臣 最前からたびたび申し上げておりますように、災害に対する地域特例については、過去において、現在までも、すでに各方面において、これを特別扱いするようにということを主張してまいっております。今後もそれを主張して、ただ口先で言うだけでなく、これを実現する方向に向かって努力を惜しまない考えでおります。
  121. 栗田翠

    栗田委員 主張だけでなく実現の方向でやるとおっしゃいましたので、ぜひともその方向でがんばっていただきたいと思います。  地方自治体へのしわ寄せ、カット分を補う方向ということで、自治省などと大蔵省が話し合っていらっしゃるということです。起債ということが案として出されているということですけれども、大蔵省はその辺をどう考えていらっしゃるのか。  それから、特に起債がされた場合、あと元金、利息をどういう方向で補っていくのか。そこらの見通しはいかがですか。
  122. 公文宏

    公文説明員 地域特例の見直しは必然的に地方財政に与える影響も大きいという問題を生ずるわけでございまして、私どもは、この地域特例の見直しと並行して、事業の円滑な執行がどの程度影響を受けるのか、あるいは地方財政に対する影響がどうなのかというようなことを検討しているわけでございます。  基本的にはやはり、国の財政事情もこれありまして、見直しを進めたいと思っているわけでございますけれども、できるだけ事業の執行あるいは地方財政に対する影響を小さくしたいと考えておりまして、いま御指摘がありました地方債措置につきましても、一つ考え方だということで検討しております。  地方債の場合には元利償還をどう考えるかという問題があるわけでございますが、これは、私どもは基本的には、元利償還が出てまいりました時点での地方財政全体の中で、そのことが地方財政の円滑な運営に支障があるかどうかという点から判断していきたいと考えているわけでございます。
  123. 栗田翠

    栗田委員 支障があれば補っていく方向で考えていると解釈していいのですか。
  124. 公文宏

    公文説明員 大蔵省は自治省と相談をいたしまして毎年地方財政計画をつくり、あるいは地方財政対策を講じていっているわけでございます。毎年毎年の地方財政の運営が円滑にいくかどうかということについては常に配慮しているわけでございまして、今後もそういう考え方で自治省と相談していくということでございます。
  125. 栗田翠

    栗田委員 次に、地震財特法の問題について伺います。  これは昨年できたばかりの法律で、しかも整備計画が決まったのが去年の十二月二十三日、ことしになってやっと動き出しているわけです。  私は静岡県ですから、特に地震問題では県を挙げて取り組んでいる中にいるわけですけれども、特にここ数日の報道を見ますと、御前崎がまた隆起し始めているとか、それから東海地方に幾度か地震が起きて、この間は新幹線が大分混乱するということさえあるわけですから、こういう実態を見てみますと、地震は近いかもしれないというような県民の気持ちがひしひしと感じられるわけですパニックになってはいけませんけれども、十分な防災は考えていかなければならないし、あす起きても不思議ではないと言われるこの地震の対策ということで大規模地震法もつくられたし、財特法もつくられて、やっと動き出したというわけです。国民の生命や財産を守るという意味でこの特例は非常に重要だし、財政難だから何年か先に計画を延ばすということのできる性質のものではないと思います。  ところで、国土庁に伺いますけれども、地震対策緊急整備五カ年計画、あと三年しか残っておりませんけれども、三年で一体この計画は完成するような進捗状況なのでしょうか、どうなのでしょうか。
  126. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 お答えいたします。  財特法に基づきます地震対策緊急整備事業の進捗状況でございますけれども、これは現在調査をしておる段階であります。  暫定的に集計をいたしましたところでは、五十五年、五十六年の二カ年度間で、約三千五百億の総事業費のうち千二百億ほどが消化されるんじゃないか。したがいまして、三五%弱程度の進捗状況になっておると思っております。
  127. 栗田翠

    栗田委員 まだ三分の一ぐらいという状況で、なかなか残る期間に完成できないのではないかという感じがする状態です。しかも、これから耐震診断などが終わって学校だとか社会福祉施設だとかの建て直しがやっと本格的になってくるといういまの実態ですから、ここのところでかさ上げ分をカットされるということは非常に大変な打撃になるわけですし、生命、財産を守っていくという立場からいっても非常に問題があると思います。  それで、国土庁長官に伺いますけれども、ことしの初めの予算委員会の不破質問でも、長官は地震関連の質問にお答えになりまして、「まことに切実に緊迫している事情がよくわかりまして、のんきなことをしておられないということを痛感いたしました。」というふうにお答えになっていらっしゃいますけれども、この地震財特法について、絶対に手直しなどさせずに、生命、財産の安全を守っていく立場でがんばっていくという御決意のほどを伺いたいと思います。
  128. 原健三郎

    原国務大臣 最前からもお答え申し上げているように、この法律は地震防災対策強化地域財特法、こういう法律でございますが、これはもう言うまでもなく、普通の災害対策と同様に地震防災についても緊急を要するし、重大なことでございますので、これについては社会福祉施設、小中学校の整備等に限ってことに力を入れておる法律でございます。でありますから、一般の特例と同様に扱う内容だと私もいままでも主張しておるし、現在もしておるところでございますが、今後といえども、そういう主張を続けていって、ぜひ御期待に沿いたい、こう思っております。
  129. 栗田翠

    栗田委員 大変力強い決意をおっしゃっていただきましたが、ぜひともがんばっていただきたいと思うわけです。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕  実例をたくさん挙げたいと思いましたが、時間がなくなってまいりました。たとえば清水市などでは五年間の地震対策事業費三百二十三億七千八百万円、ところが市の負担分がこの半分以上かかるということなんですが、その市の財政規模は一年間で、ことしの一般会計で三百八十四億ですから、全事業費が一年間の市の財政規模そっくりぐらいになってしまう、こういうことで、これは清水市ばかりでなく、他の市町村でも同じ状態です。ですから、いかに苦しいかということをよくわかっていただきたいと思うわけです。  次に、文教省に伺いますけれども、これは直接財特とは関係ないのですが、やはり地震対策として、いま学校の耐震度の点数を五百点一般よりもかさ上げをして決めていると思います、木造建築の場合ですけれども。それを現在財政難だからということで耐震点数を、いままでの一般五千五百点を四千五百点に、千点下げるというような声がしきりに聞こえております。そういうことになりますと、地震強化地域もそれにつれて、いまの六千点から五千点に下げられていくということも起こるわけですけれども、五千点以下になりますと、改築する学校はほとんどないという実態になりまして、予算をカットされると大変みんなはっきりわかって問題にしますが、その対象をさりげなく狭めていきますと、実際には予算をカットしたのと同じ実態になるけれども、うっかり気がつかないということがよくあるわけです。だからここはやはり注意を喚起しておかなければならないし、またそういう点数の引き下げ方というのを問題にしなければならないと思いますけれども、文部省、こういうことについてはどういま対処していらっしゃるのですか。
  130. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 ただいまの小中学校の危険建物の改築基準でございますが、いわゆる耐力度点数の千点引き上げの問題でございます。これは昭和五十二年の第二次補正予算の当時から、毎年一年ごとに限って臨時措置として千点引き上げてきているわけでございますが、五十二年から、まあ五十三年から本格的に始まったわけでございますけれども、五十六年度まで四年間実施してまいりました。その結果、老朽建物の改築は大変促進されたわけでございまして、その環境整備も順調に進められているわけでございます。  この措置の継続につきましては、先生もただいま申されましたように市町村からも大変強い要望がございますし、それから四年間継続してやってきているわけでございますので、市町村ではこれを前提にして整備計画も立てられている実情でございますので、私どもとしては、ぜひ市町村のこの整備計画が実現するように、そういう方向でこの千点引き上げの措置は継続して行われるような方向で、五十七年度予算の要求に向けて検討しているととろでございます。
  131. 栗田翠

    栗田委員 あわせて文部省に伺いますが、四月の災害対策委員会でこの地震対策関係で私から伺いまして、鉄筋校舎の改築に当たって旧校舎の解体費用を国が見ることを検討していくというお答えがありました。これについても、財政難だから検討をやめるという方向にまさかならないだろうと思いますが、どんな方向でやっていらっしゃいますか。
  132. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 いわゆる改築に伴います解体費の問題でございますが、従来は木造建物がほとんどでございました関係で、解体費がきわめて僅少であったということで補助の対象になってきていないわけでございますが、最近、いまお話しのようにだんだんに鉄筋、非木造校舎の建物の改築ということが起こってまいりまして、それにはかなり大きな解体撤去費が必要となるわけでございます。それで、公共事業関係のほかの類似の事業につきましては、いわゆる支障物件の解体費というものが補助の対象にされているものがかなりございまして、そういうことで、また、これからはその鉄筋校舎の改築ということが多くなってくるだろうということもございますので、そろそろそれに対しても補助対象を考えるべきだということで検討しているわけでございまして、これも五十七年度予算に要求していくような方向で検討しているところでございます。
  133. 栗田翠

    栗田委員 次にもう一つ文部省に伺いますが、小学校、中学校などの校舎を初めとしまして、地域特例の手直しがされますと、予算的に大きな影響が地方にあるわけですけれども、本当は文部大臣に伺いたいわけですが、いらっしゃいませんので、この地域特例を手直しさせないという立場に立ってといいますか、この手直しについてやっぱり文部省としてもそれをさせていかないためにがんばっていただきたいと私は思うのです。さっき大蔵省が、各省庁の意見を聞くということをおっしゃっていましたけれども、事務当局としてお答えになりにくいとは思いますけれども、率直なところ、そのことについての御意見、御決意をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  134. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 これは現在政府部内で検討中のものでございますので、私のごときがお答えすべき問題じゃないかもしれませんが、私ども文部省として検討しておりますのは、もちろん地震防災対策として各省並びの問題として、共通の問題としての問題がございますが、そのほかに、児童生徒の安全の面で、地震防災対策強化地域の老朽校舎をそのままにしておきますと非常に問題がある、そしてその改築やら補強は特に緊急を要する問題であるというように考えておりまして、補助率を引き下げれば引き下げ分はそのまま地方公共団体に転嫁される、そういう問題が直接に起こってくる、こういう点を強く強調しているところでございます。
  135. 栗田翠

    栗田委員 時間がなくなりましたので、あと消防庁それから建設省にまとめて伺いますが、消防関係でも、地震財特法とかそれから消防強化法の地域特例として過疎、離島、沖繩、人口急増、地震など、いろいろ該当しているわけです。それについて、やはりいま文部省に伺ったような立場で伺いますけれども、消防庁としてもがんばっていただきたいと私は思うのですけれども、そのことの御決意を伺いたいということ。  あわせて建設省ですが、北海道へ私もこの間の災害調査に行きまして、災害のひどさに本当に胸を痛めました。あわせて河川の改修がおくれているということをつくづく思います。改修がもっとされていたら災害はあれほどひどくなかったのではないか。そこで、なぜおくれているのかという話をしていく中で、やはり開発の熟度が非常に進んでいないという北海道の特徴だとか、人口密度が薄いために広い地域の改修が困難だとか、いろいろな実情が出されましたので、その北海道特例というものの必要性をひしひしと感じているわけでございます。  消防庁それから建設省ともに、さまざまな災害から国民の生命、財産を守っていくために、この特例を何とか守っていっていただきたいと思いますので、それについてのお考えを伺いたいと思います。
  136. 野沢達夫

    ○野沢説明員 消防施設整備事業につきましても、ただいま先生が御指摘ありましたようなもろもろの地域特例がございます。それぞれ事業の円滑な実施に効果を上げているわけでございますが、消防施設の場合は特に事業主体が市町村である、したがって財政的な影響が大きいであろうということ。それから、防災という非常に基本的な施設整備ということでございますので、消防庁といたしましては、こういった地域特例の基本的な仕組みは維持されるのが適当であると考えております。  しかしながら、いろいろ今後の情勢、他の事業の取り扱い等を見ながら、私どもとしては慎重にこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  137. 田中実

    ○田中説明員 先生御指摘のように、このたびの北海道の豪雨災害はかつて例を見ないほどの非常に激甚なものでございまして、この復旧を緊急に行うのは相当な財政負担となることが予想されております。北海道におきます災害復旧に関する地域特例につきましては、災害発生が偶然的な事情によって起こり、予想できないような財政支出を余儀なくされることだとか、あるいはその災害復旧事業が非常に緊急であるということにかんがみまして、これらのことを十分認識しつつ、臨調の第一次答申を踏まえまして現在政府部内において協議しているところでございますが、いま申しましたような事情を十分考えながら協議に努めてまいりたい、このように考えております。
  138. 栗田翠

    栗田委員 それでは私はこれで終わりますけれども、各省庁のこういうふうに言っていらっしゃることを大蔵省も十分にお聞きになっていただきたい。また、政府はこれを十分くみ上げた対処をしていただきたいと思います。  また、国土庁長官もがんばるとおっしゃっておりますが、各省もこういうふうにみんな言っているわけですから、それに力を得て本当にがんばっていただきたい。どうしても地域特例の見直しはさせないという立場で、ぜひがんばっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  139. 木島喜兵衞

    木島委員長 この際、林百郎君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 関連質問でございますので二問だけお聞きしたいと思いますが、最初に国土庁長官、これは同僚議員からもすでに質問があったのですが、今度の臨調の性格ですね。憲法では、言うまでもなく前文には、国民は国会を通じて国政を行うということで、そして四十一条には、国会は国権の最高機関であるとなっている。いま臨調がいろいろあれこれ言っていることについては、この国権の最高機関であり国民の行為の代表である国会が、それぞれ苦心惨たんし、ある場合には修正をしたり、ある場合には議員立法をしたり、ある場合には附帯決議などして、そういう国会の国民に対する責任の積み上げとして法律ができているわけですね。それが、何か臨調なるものが出てきてあれやこれやとくちばしを入れて、しかも臨調のメンバーを見ればみんな企業の責任者であって、会社がどうしたら利益を上げることができるかということで生涯を貫いてきたような人が、こういう国政の問題で国民の生命にかかわるような問題、あるいは国土の改修に関する決定的な問題にかかわるそういう地域特例の問題、あるいは地震に関する強化地域の特例に関する法律というようなことにまでばさばさ口を入れて、そして、この臨調の方針に従って来年度予算はこれを隠れみのにして予算を組むというようなことは、これは議会制民主主義を全く無視した非常にファッショ的なやり方だと思うのですよ。四十五の法律が関連しているというのですね。先ほどの同僚の質問にもありましたけれども、何かそれを一本にして、そして国会が苦心してつくった四十五の法律について行政的な措置で左右することができるなんということは、これは全く行政立法府に優位することであって憂うべき事態だと思うのですよ。しかもそういうやり方に対して、事もあろうに総理大臣が「臨調の声は天の声であり地の声である」なんて、まるで古典的な言葉を引っ張り出してきて国会へ圧力を加える。はなはだしいのは「神の声だ」と言ったとか言わないとか……。そんなことになったら国会は要らないことになってしまうのですね。  それで、原国土庁長官は「いや、私は閣議で物を申します」と言うけれども、物の申し方にも申し方ようがありまして、ひとつ迫力のあるような、そういうファッショ的ないまの政府のやり方について、自民党の中ですら批判があるのですから、あなたは腹を据えて物を言ってもらいたい、これが一問です。  あと技術的な問題ですが、先ほどから激甚災の問題があるのですが、これはことしの問題で来年度の問題じゃないのですが、これはいつからいつの豪雨について、そして、すでに特定して指定されている地域があるのかないのか。長野県のテレビなどでは、長野県はもう激甚災の適用を受けましたなんて言っているが、内定をしているのかどうかですね。期間はどこの間の期間の災害になるのか、それで地域はすでに具体的に決まっているのか、これは事務当局で結構です。  いまの政治的な問題、臨調の問題については、国土庁長官はひとつ腹を据えて、先ほどからも、職を賭してでも議会制民主主義を守るためにあなたは物を言えということが、激励の意味で、激励の意味と、半面では、あなたがどういう態度をとるか心配なものですから物を言っているわけですが、(笑声)ひとつその辺のところを腹を据えた答弁をしてもらいたいと思うのです。
  141. 原健三郎

    原国務大臣 林先生から大変激励の言葉をいただきました。  災害だとか防災対策については、閣議等において大いに腹を据えて発言する、そういたしたいと思っております。
  142. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 激甚災の指定関係についてお答えいたしますが、実は本日の閣議で、五十六年六月二十二日から七月十六日までの梅雨前線による豪雨の災害激甚災害として指定いたすということに相なっております。(林(百)委員地域の点についてはこれからですか」と呼ぶ)  地域は、農地等の災害復旧事業等にかかります激甚災害については全国でございます。それから、岡山県真庭郡湯原町の地域につきましては、中小企業関係で局地激甚指定をいたすことになっております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一問。これは自治省と国土庁にも関係してくると思いますが、この地域特例関係しまして、過疎地域ですね。今度の災害も過疎地域が非常に多かったと思うのですが、この過疎地域は、自治体の財政の六割から七割を交付税で賄っているわけなんですね。交付税と過疎債あるいは辺地債もあるわけですが、この地域特例に関連して、一般財源の削減すら実施されるということがもっぱら言われており、地方自治体としては非常に憂慮をしているわけなんです。この交付税についても、ことに過疎地域の交付税についてもゼロシーリングが適用されるのか、あるいはこれはそれぞれの地域の特殊性に応じて、必ずしもゼロシーリングというようなことで一般的な方針を決めるというわけにはいかないではないかというので、弾力性を持っておるのかどうかが一つと、それから、過疎地域に対する地域特例で一律的に一〇%カットというようなことになりますと、これは交付税のゼロシーリングがもし行われるとすれば、それに加重されて新たな負担が加わってきますので、財政力の弱い市町村、自治体につきましては、これは大変なことだと思うのですね。これがどうなるのか。ことに財政力の弱い過疎地域などのやむを得ない公共事業についても、地域特例の一律一〇%カットが対象になるのかどうか。  それから、失ほど栗田議員質問されましたのですが、地方財政は赤字で、地方財政計画にも自治省は非常にあれこれ苦心惨たんしているわけですけれども、そういう場合には、テレビの放映など聞きますと、起債で手当てをするということも考えておるというのですが、その起債も、これが地方自治体が償還しなければならない起債ということになりますと、公債比率も相当高まっておりますので、これは大変な負担になると思いますので、こういうような財政力の弱い過疎地域に対する起債についてはやはり特別な償還方法について考慮しなければならないと思いますが、こういう場合、発行される起債の償還については特別な配慮がなされるのかどうか。先ほどの栗田議員質問でも一般的な回答はありましたけれども、さらに突っ込んだ御返事をいただきたい、こういうように思うわけです。  以上です。
  144. 持永堯民

    ○持永説明員 まず第一点の地方交付税の問題でございますが、シーリングとの関係でのお尋ねでございますけれども、地方交付税につきましては、これは御承知のように地方の固有財源であるということもございまして、いわゆる概算要求の際のシーリングの対象にはなっておりません。対象外の経費でございます。  それからなお、過疎地域の交付税というお話でございますけれども、これは交付税総額が決まった段階で具体的にそれぞれの経費に配分するわけでございますけれども、いま申し上げましたように、全体としては、シーリング対象外でございますから、過疎地域に配分される交付税につきましても当然そういう形になろうかと思います。  それから、地域特例のカット分に対する手当ての問題でございますけれども、起債で手当てをいたしまして、その後の元利償還について何らかの措置がないと、特に過疎地域、財政力の弱い団体では大変窮屈になるという御指摘でございますが、私どもといたしましては、仮に地域特例が縮減、カットされましてそれを地方債で措置をするということになった場合におきましても、その元利償還については国が補てんをしていくという考え方でもって現在大蔵省とも折衝しておる段階でございますので、決して過疎地域市町村が地方債の元利償還に困るようなことにはならないようにしてまいる所存でございます。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 結構です。     —————————————
  146. 木島喜兵衞

    木島委員長 この際、天野光晴君より発言を求められておりますので、これを許します。天野君。
  147. 天野光晴

    天野(光)委員 各党を代表して申し上げます。  第二次臨時行政調査会の答申の実施についてでありますが、災害対策の特殊性、緊急性から見て、当委員会として意思表示が必要と考えますので、委員長において何らかの措置を願います。
  148. 木島喜兵衞

    木島委員長 ただいまの発言については、早速、理事間において御趣旨を踏まえて協議することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 木島喜兵衞

    木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事の先生方、ちょっとこれへお集まりください。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  150. 木島喜兵衞

    木島委員長 速記を始めてください。  この際、委員長より一言申し上げます。  ただいまの理事間の協議によりまして、次のとおり申し合わせましたので、御報告いたします。     第二次臨時行政調査会の答申の実施に関する申し合せ           昭和五十六年八月二十一日          衆議院災害対策特別委員会  災害対策の特殊性及び緊急性にかんがみ、政府は、第二次臨時行政調査会の答申の取扱いにあたり災害関係対策については、現行制度を遵守すべきである。   右申し合せをする。 以上であります。  なお、本件の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  政府においても、本申し合せの趣旨を体し、遺憾なきを期するよう要望いたします。  この際、原国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土庁長官原健三郎君。
  151. 原健三郎

    原国務大臣 私といたしましては、本委員会のただいまの申し合せの趣旨を体し、対処してまいりたいと考えております。
  152. 木島喜兵衞

    木島委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十八分散会      ————◇—————