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1981-04-23 第94回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二十三日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 木島喜兵衞君    理事 天野 光晴君 理事 佐藤  隆君    理事 渡辺 秀央君 理事 池端 清一君    理事 藤田 高敏君 理事 薮仲 義彦君    理事 横手 文雄君       逢沢 英雄君    越智 伊平君       菊池福治郎君    工藤  巖君       桜井  新君    笹山 登世君       田村 良平君    高橋 辰夫君       近岡理一郎君    津島 雄二君       戸井田三郎君    東家 嘉幸君       伊賀 定盛君    木間  章君       福岡 義登君    岡田 正勝君       栗田  翠君    林  百郎君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   仁平 圀雄君         国土庁長官官房         防災企画課長  城野 好樹君         大蔵省主税局税         制第二課長   大山 綱明君         国税庁直税部所         得税課長    冨尾 一郎君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       福岡純一郎君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       横瀬 庄次君         農林水産省経済         局保険業務課長 湯浅 昌治君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      小坂 隆雄君         林野庁指導部治         山課長     松本 廣治君         水産庁研究部資         源課長     木村 邦雄君         運輸省自動車局         整備部管理課長 小池 公雄君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     小俣 和夫君         建設省河川局防         災課長     川合 恒孝君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      近森 藤夫君         建設省道路局企         画課長     萩原  浩君         自治省財政局地         方債課長    持永 堯民君         自治省税務局企         画課長     渡辺  功君         消防庁予防救急         課長      山越 芳男君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   田島  衞君     石原健太郎君 同月十六日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     田島  衞君 同月二十三日  辞任         補欠選任   田口 一男君     木間  章君   渡辺  朗君     岡田 正勝君   栗田  翠君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   木間  章君     田口 一男君   岡田 正勝君     渡辺  朗君   山原健二郎君     栗田  翠君     ————————————— 四月十五日  新潟県の異常豪雪による被害対策に関する請願  (近藤元次君紹介)(第三〇三九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 木島喜兵衞

    木島委員長 これより会議を開きます。  まず最初に、去る十五日、異常気象による被害状況調査のため、本委員会から愛媛県に委員を派遣いたしましたので、現地に派遣されました委員から報告を聴取いたしたいと存じます。池端清一君。
  3. 池端清一

    池端委員 去る四月十五日、愛媛県における異常気象による柑橘類被害状況調査を行ってまいりました。  派遣団を代表いたしまして、私からその調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、木島委員長を団長として、自由民主党の逢沢英雄君、公明党・国民会議岡本富夫君、民社党・国民連合横手文雄君、日本共産党栗田翠君、新自由クラブの石原健太郎君及び私、日本社会党池端清一の七名で、ほかに地元選出議員越智伊平君、森清君、藤田高敏君の御参加を得まして、つぶさに調査を行ってまいりました。  当日は、松山空港から、県の東部中部に位置いたします越智郡朝倉村太ノ原地区東予上市地区及び周桑郡丹原町石経地区に参り、調査を行い、東予市役所におきましては、県当局及び関係団体方々から被害概況及び陳情等説明を聴取いたしました。  まず、今般の被害をもたらしました要因について申し上げますと、二月下旬は今冬で一番の寒気が日本付近に吹き出して、強い冬型の気圧配置となり、全国的に最低気温が平年より五度ないし十度も低い日が続いて、記録的な低温となったのであります。  愛媛県では、東部中部を中心に、二十六日から二十八日の最低気温氷点下四度ないし八度の日が続き、一日の平均気温氷点下二度ないし四度になるなど、厳しい寒波に見舞われたのであります。  このような、過去に例を見ない寒波は、当地方主要作物であります柑橘類に大きな影響を与え、木の幹が凍り、葉や小枝の水分が発散して脱水状態となり、その結果、褐色となった葉はたれて内側に巻き込んだ形となって生気を失い、幼木や高接ぎを行った木が枯れるなど、無残な状況をもたらしたのであります。  なお、県当局説明によりますと、調査時における被害総額は、約二百三十六億円にも上るという激甚な被害であります。  次に、現地からの要望事項の中から主要なものについて申し上げます。  第一に、所得低減農家経営資金及び生活資金   につき特段融資措置を講じられたい。  第二に、既貸付制度資金償還緩和等措置を   講じられたい。  第三に、改植、接ぎ木に要する苗木、穂木並び   に樹勢回復資材助成措置を講じられたい。  第四に、農業共済制度の充実を図られたい。  第五に、イヨカン、ネーブルオレンジ、ハッサ   ク等、いわゆる中・晩柑類地域別寒害適応   試験防寒栽培技術について積極的に対応す   る試験研究機能強化を図られたい。その他多くの要望がございました。  次に、調査の結果による所見を申し上げますと、今回の被災農家の多くは、温州ミカン園から転換促進事業による中・晩柑類の更新に積極的に取り組んできた先導的農家であり、今後長期にわたってその収穫を断念せざるを得ない状況に至っているのであります。これら被災農家の再生産意欲を損なうことは、今後の地域社会経済生活及び産地形成の上に深刻な影響をもたらすことが憂慮されるところであります。  このため、県当局市町村及び農業団体は、被災農家と一体となって、被害状況把握技術指導の徹底に努めるとともに、被害園追跡観測等総合的調査を行うなど、復旧対策に万全を期するため鋭意努力が重ねられているところであります。  被害を受けられた生産農家方々はすでに多くの経営資金の借り入れを抱えての被災であり、今後のミカン園経営回復に苦慮されているところでありますが、このような窮状を一日も早く解決するために、寒波回避について、大学等における試験研究適地適産の技術指導はもとより、今後の営農意欲回復、再生産に向けての特別な対策が必要であることを痛感いたした次第であります。  この際、政府におかれましては、被害地実態を早急に把握され、ただいま申し上げました要望についてその期待に十分こたえられるよう、特段の要請をいたす次第であります。  最後に、本調査に当たり、御協力をいただきました多くの地元関係者の皆様に深くお礼を申し上げ、報告といたす次第であります。  以上です。
  4. 木島喜兵衞

    木島委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。  なお、ただいま報告がありました派遣地等の詳細な要望事項につきましては、これを会議録末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木島喜兵衞

    木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔要望事項本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  6. 木島喜兵衞

    木島委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤隆君。
  7. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 融雪災害のことと、それから、いま御報告がございました寒波によるミカン等果樹被害のことと、大きく分けてこの二つについて質問をさせていただきます。  今冬の豪雪はまさに異常でございまして、災害救助法の適用であるとか自衛隊の災害派遣であるとか、あるいは被害中小商工業者への融資だとか、あるいはまた除排雪助成であるとか、折損木被害に対する新しい措置等、いろいろなことでこの委員会でも議論をし、それなりの成果を上げてまいりました。政府におかれても、いままでにない積極的な取り組みをしていただきました。ありがたいと思っております。  そこで、つけ加えて、どうしてもこの時期に申し上げておかなければならぬのは、雪が降っておるときは関心を持たれておりまするけれども、雪の被害というのは、雪が消えつつあるときにまた被害が起こるということであります。それが融雪災害であります。その融雪災害は、山にも、それからたんぽにも、それから川にも、海にまでも、水産関係ということになりますが、被害を及ぼしておるわけでございます。  そこで、まず第一点は地すべりの問題でございます。  山岳部の雪が、気温の上昇とともに急速に雪解け水として流れていくわけなんです。それが地面にどういうことになるのか、学説はさまざまでございますけれども随所地すべり災害というものが起こっておるわけでございます。新潟県は特にそういう被害が多いようでございますが、全国的に見ましても、都道府県別に見ても、豪雪地帯での地すべり危険個所というのは非常に多いわけでございます。しかも、この地すべりという問題が豪雪地帯以外でも全国的に大変な数字になるわけですが、その中でも豪雪地帯がまた大変だということなのでございまして、その危険個所に対する対策というものが一体どうなっているのかということをはっきりさせておかなければいかぬのでございます。  そういう意味で、私は関川村の現地を見てまいりました。あるいは長岡市とか新井市とか、そういうところにも随所に実は地すべりが起きているわけでございまして、これは建設省あるいは林野庁、各省庁にまたがる問題でございますが、最初建設省の方から、このいま申し上げたことについてひとつ意見を承りたい。発生機構、仕組み、非常に学説が多く、いろいろあるようですけれども、そういうことが解明されにくいし、対策工事等も困難なことが多いようでございますけれども全国的な実態、その中での豪雪地帯都道府県別実態、それから、いま起きている融雪災害そのものについての解明対策、これをひとつ承りたいと思います。簡潔に答えてください。
  8. 近森藤夫

    近森説明員 お答えいたします。  建設省の所管しております地すべり危険個所というのは、五十二年の調査では五千六百十六カ所になっておりますが、その後百六十一カ所が確認されておりまして、現在では五千七百七十七カ所というようなことになっております。面積でまいりますと約十五万ヘクタールになっております。  この中で、先ほど先生からお話のございました、特に地すべり発生のおそれのある豪雪県につきましては、二千六十カ所ぐらいであろうかと思っておるわけでございます。  この五千七百七十七カ所のうちで地すべり防止区域指定されておりますものが、五十六年三月で二千五百四十四カ所になっておりまして、面積では八万六千八百二十二ヘクタールになってございます。  豪雪県につきましては、このうち八百七十一カ所が指定されておりまして、面積でまいりますと三万四千二百二十四ヘクタールになっております。  当年の融雪関係します地すべり災害でございますが、非常に多うございまして、全国で二十八件の地すべり災害発生報告がなされておりますが、このうちの二十六件が融雪に伴うものということになっておりまして、平年の三倍程度ということになっております。これは融雪の進んでおるさなかでございますので、まだまだふえていくものと思います。  これに対しまして、私ども所管分といたしましては、緊急地すべりでございますとか、あるいは通常費による対応でございますとか、あるいは災害復旧と御一緒になりましての対応等が考えられるわけでございます。  以上でございます。
  9. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 とにかく、いま言われた数字は膨大なものでございます。そして、危険個所だと知りつつも、指定個所として指定をされているものといないものがあるということであります。ここがまた一つの不信、不安のもととなっております。こういうことをこの際解明をしていかなければならぬと思うのであります。  そのほかに、いま地すべり危険区域数字が出ましたけれども、急傾斜地の問題があるのです。急傾斜地は私の調べておるところでは六万四千カ所も全国にあるのです。この現況はどうなってますか。あなたの方でそれはわかりますか。——それでは、それは担当者が来ていないようですから後で教えてください。とにかくそれぐらい多くあるということです。危ないところが非常に多くあるということをひとつ明らかにしておかなければならぬと思います。  そして、これに対する対策というのは、たとえば関川村なんというところの地すべりというのは、何かこう山ごと動いたというか、どろどろにならないで、山がぐっと動いて、川の中に山がぷっとふくれた感じで、十メーターぐらい川底がぴゅうっと上がるのですね。斜面のところから山がそのままぐっと持ち上がったというか、まさに本当に山がそのまま動いたという形で、それが四百メーターにも及ぶそういうあれなんですけれども、この対策なんかは具体的にどうですか。これは林野の方になるわけですか。林野でやるわけですね。建設省と両方にまたがっているわけですか。それでは答えてください。
  10. 川合恒孝

    川合説明員 新潟県の関川村における地すべりにつきましては、実はその下を藤沢川という一級河川が流れておりまして、それが約三百メートルにわたって、いま先生申されましたように埋没してしまいました。これにつきましては早速県で、人家が約八戸浸水いたしましたので、仮堤防をつくって浸水を防いだという状況でございます。  なお、この本復旧につきましては、現在のところ、地質調査あるいは測量をやりまして、本復旧計画をしているところでございます。この計画がまとまり次第、現地査定を行いまして、藤沢川の改修に当たりたいと考えているわけでございます。  なお、すべり面につきましては林野の方でこの対応をするということになっておるわけでございます。
  11. 松本廣治

    松本説明員 御指摘の四月一三日に発生しました関川村の地すべりにつきまして、私どもといたしましては、直ちに係官を現地に派遣いたしまして、状況把握並びに対策工法指導を行ったところでございます。  先生指摘のとおり、地すべり円弧地すべりで、山腹に隆起したところ等がございますが、こういうところを含めまして、実際に一級河川を閉塞しているというような実態がございますので、建設省十分調整を図りながら、地すべり機構の徹底的な解明を図りまして、まず当省といたしましては、緊急治山応急にくい打ち工を早急にやりたいというふうに考えておりますが、二次災害防止に十分努めてまいる所存でございまして、そういうような応急対策の後、地すべり機構解明を図りまして、恒久対策を施してまいりたいというふうに考えております。
  12. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 これはいま、建設省あるいは林野庁現地県側町村側とも連絡をとって、こんなことに手なれてしまっているのを喜んじゃいかぬと思うけれども、とにかく非常に手なれていて、手の打ち方が非常に早いということで、現地は一応その点は理解しているわけですけれども、問題はこれでこの後どうなるかとか、こういうようなことがどういうふうにまた起こってくるのだろうかという、復旧作業とは別に、その不安を取り除く必要があると思うのです。  ところが、先ほど聞いた、あれだけ膨大な危険個所数の中で、危険だということをどうするか、そして本当に崩れる直前にどうするかということになりますと、知る手だてというのはやはり警報器によるかパトロールによるか、それ以外にはいまないのです。  ところが、たとえば新潟県なんか一番地すべりが多いところなんですが、警報器が一体どれだけあるかということを、時間がないから私の調べたのを言いますと、市町村で百五十九台持っています。県独自で四十台持っています。合計で百九十九台の警報器です。警報器でもいろいろな種類のものがあるのですけれども、百九十九台あるのです。それで、新潟県の場合は八百三十五カ所の危険個所で、そのうち指定個所官報に掲載した地すべり指定個所というものが三百五十七カ所あるのです。三百五十七カ所もあって、まあ危険だなとざっと思って危険個所としているのが八百三十五、官報に載せて、これは国の責任で何とか手だてしなければならぬというのが三百五十七カ所あるのに、警報器が百九十九台というのはどういうことなのでしょう。こんなことで、何があなた自然災害対策か、こういうことになるわけなのであります。国土庁長官も御出席でございますが、実態はこういうことなのです。だから、もう何ぼやっても限りがないぐらい、実はおくれていることは事実なのであります。私も、この危険個所、急傾斜地問題、地すべり、急傾斜地の土石流問題、こういうことは実は十三年間国会の中で毎年言い続けてきたのです。だけど、現状においてまたこういうことが起こっている。ところが、実際の事故が発生しないと新しい手だてができないのは、このたびの豪雪を見ても明らかなのであります。そういう意味で、この警報器、また役所側から言わせれば、そう言ったって予算がないんですという話になるのです。  パトロールはどうかというと、本当に何回もそうしてやられたところでは、地元の知恵で、たとえば新潟県であれば、地元町村、部落の人たちをある種の雇用契約というか委任業務というか、そういう形で随意随時パトロールをやらせている経緯があるのです。そういうものは全国的にどうなっているのかといいますと、「それは新潟県は多いから、新潟県はよくやっていますな」という調子で終わってしまうのです。しかし、これは全国的な問題であります。でありますから、そこらは一体どう考えているのか。予算が足りないからそうなっているのだとか、パトロールの問題はもっと真剣に考えなければならぬとか、どう思っているのか、建設省林野庁、一言ずつ答えてください。あなた方が考えてくれないと、これは進まぬです。
  13. 近森藤夫

    近森説明員 ただいまお話のございました警報器でございますが、事前に地すべりを察知いたしまして警戒避難対策をとるということにつきましては、これが最も適当な手段でございまして、特に先生からもお話がございましたように、先進県といいますか、新潟県におきましてはかなり内容が濃く配備をされておるわけでございますが、その他の県におきましては、地すべり災害が比較的少ないこともございまして、実態といたしましては十分でないことになってございます。  また、パトロール等につきましても、新潟長野におきましては非常に組織立った体制がとられておるわけでありますが、そのほかにおきましてはかなり対応が鈍いということになってございます。  今後、予算問題等もございますが、こういった面につきましては、十分に県、市町村等とも調整をしながら、積極的に進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  14. 松本廣治

    松本説明員 確かに御指摘のとおり、地すべりのたくさんある県に照会いたしましても、実態は数が少のうございまして、実際に地すべりをやっている個所あるいは徴候がややあらわれたようなところには警報器をつけているような実態もございますが、確かにまだ不足をいたしておりますので、危険地対策といたしまして、一層強化を図るように私ども努力してまいりたいと思います。  パトロールも、新潟長野県につきましては、実際に早急に対応していただいているわけでございますが、ほかのところにつきましては、やはり十分でないというようなことが見受けられます。  私どもも、三月に、こういう豪雪に伴いまして、警戒避難体制確立というようなことで指導文書を出しているわけでございますが、なかなか実態はまだおくれているというようなことでございますので、さらに一層の指導をやりまして、整備確立を図りたいというように考えております。
  15. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 福島なんかは倍率でいくとわりあいいいんですよ。危険個所指定個所のあれでいくと、危険個所が九十一あって指定個所は四十五もある。倍率でいくといいのですよ。青森県なんかは一番悪いので、これは四十カ所危険個所があるけれども指定個所は八カ所しかないです。まあいろんな数字があるのですけれども警報器関係でいくとそういうばらつきが大変ある。パトロールということになると、いま言われたように新潟長野ぐらいのものだ、こういうことなんです。だから、防災行政としてこれは一考に値する、こういうことをここではっきりひとつ認識をしていただきたい、こういうことなんです。  長官からは一番最後に御意見を承りますので、そういうわけでひとつ、融雪災害の中で地すべり被害を受けたところはその復旧、それから二次災害が起きないように、復旧についても山の問題、たんぼの問題等いろいろございますし、あるいは住宅移転の問題の出るところも出てくると思います。そういう点、ひとつ関係省庁が力を合わせて早期に復旧し、不安がなくなるように努力をされたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、さっき海にもあると言いましたけれども、実を言うと、日本海沿岸域におけるイワシ融雪で死んでいる。何で雪と魚の死ぬのが関係あるのか私はちょっとよくわからぬのでありますけれども、マスコミは相当センセーショナルな報道をしているのです。朝日新聞なんかはえらいセンセーショナルな見出しになっているのです。「死魚ベルト 延々50キロ 漁業者死活問題と悲鳴 新潟沖などのイワシ大量死」、こういうことなんです。そして、中身を見ますと、融雪水が急に川から流れて海にいって、その冷たい水、融雪水でもってイワシが死んだのだ、こういうことなんですね。ところが、今度は、きのうあたりの一部の夕刊を見ると、いや、そんなことまでめんどう見られるかい、何でもかんでも雪のせいにしている、こういう書き方で、多少ひやかしっぽい書き方の記事も出ている。何が何だかわかりませんが、いずれにしても沿岸漁業者が、漁業ができない一つの理由として書き立てられ、そしてそう思い込ませられている中で、実際に漁業ができなくて生活に困っていることは事実でしょう。これについて水産庁、どうですか。
  16. 木村邦雄

    ○木村説明員 いま先生が御指摘になりましたイワシの大量死の原因でございますが、朝日新聞にも実は載っておりますが、これの原因といたしましては、昭和五十五年生まれといいますか当歳魚のイワシでございますが、これが日本海におきまして資源水準というのが非常に高かったわけでございます。その上に、本年度は寒流の南下が非常に強いためにイワシが沿岸寄りに寄っておったというところに、先ほどお話のございました新規に入ってくる雪解けの大量の陸水というものが流入いたしまして、河川水による塩分の低下でございますが、そういうものがイワシの大量斃死につながったのではないかということが、国の日本海区水産研究所並びに県の水産試験場の報告から出ているところでございます。  最近の状況でございますが、最近の状況につきましては、水温の上昇とともに斃死自体は起こっておりませんが、斃死魚の沈下といいますか、漁場の底に沈下しておるという状況がございまして、先ほどの御指摘にございましたように、特に新潟の下越地区から北の方、それから佐渡地域周辺におきまして、底びきを中心としまして操業ができないという状況になっておる次第でございます。
  17. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 それでどうしようというのですか。
  18. 木村邦雄

    ○木村説明員 それで、問題は操業ができないという状態でございますが、一番もとになります大量の斃死いたしましたイワシの量とか分布でございますが、その量と分布その他につきまして実は明確でないということで、今週の月曜、二十日から今週いっぱいかけまして、現在鋭意、日本海区水産研究所の指導のもとに、県の試験場が調査しておる次第でございます。私どもとしましては、実はその実態がどういう状態であるかということをいま注目しておる次第でございます。そういう状況でございます。  それからもう一点、その対策の問題でございますが、対策につきましては、実は二、三日前に地元災害対策本部というのを県漁連を中心としてつくりまして、本日第一回の会合を開くことになっております。したがいまして、その具体的な詰めをきょういろいろ検討なさるわけでございますが、実はその結果を私どもは待っておる次第でございます。それで、具体的な対策なりそういう問題につきまして、これからいろいろ県と水産庁の間で検討を進めてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  19. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 わかりました。そうすると、操業不能になっている、沿岸漁業の衰退にもちろんつながる、原因はいま解明をいたしておる、こういうことがはっきりしたわけであります。そして、県と一生懸命に連絡をとってやっておる、こういうことですね。一口で言えばこれからだという話ですが、これはやはり対応がもう少し早くならぬのかなということを私は考えるわけです。決してむちゃを言うわけじゃございません。しかし、融雪水によってどうなるかというような研究が、沿岸漁業構造改善事業を長きにわたって推進しておるこの日本の水産行政の中で、私どももこういうことが言われなかったからいままでわからなかったけれども、沿岸漁業と、それから川があって河口があってそして雪触け水が大量に流れてくるということは、これは言われてみればあたりまえのことでありますから、その研究が進んでなかったことは事実なんですから、これを貴重な経験として、ひとつその部分の研究を進めていただきたい。そして、操業不能、この種のものについては相当手厚い援助の手を差し伸べてやる必要があるのではないか、こう思うものですから、その二点を特に注文しておきます。それで、県側との折衝が終わったら、またその過程でひとつ個別に報告をしてください、それをお願いしておきます。  そういうわけで、いままで申し上げましたように、山にもいろいろあるわけですし、融雪災害としてはたんぼにもあるということをさっきも申し上げたわけでありますけれども、実を言うと、まだたんぼに雪の残っているところがたくさんあるわけであります。そういうところは苗代づくりもできないわけであります。そろそろその時期が目前に迫ってきているわけでありますが、その場合、雪をなるべく早く解かして苗代づくりができる、植えつけ作業が早く予定どおりに進むように、こういうことで、豪雪地帯というのは非常にこのことについて心配をしておるわけなんです。ところが、昔は黒っぽいべとを運んできてたんぼの雪の上にまいて、日光の力によって早く雪を解かしてという作業、あるいは客土とも重なるような、そういう場面もあったようでございますけれども、いまいろいろな形で科学技術が進歩してきましてやり方があるのですが、いずれにしても、この消雪促進事業は、これは融雪災害とは別なんですが、異常豪雪の後の措置としては災害対策の関連の仕事となるわけなんでございます。  そういう意味で、私が聞いているところでは、たとえば新潟県では総額二億六千万くらいかかるんだ、こういう話なんですね。そうすると県は半分ですから、いままでやってきたやり方でいくと一億三千万、これを何で見るのだろうかということになりますと、交付税でも無理だ、何でもかんでも無理だというなら特交かというような話にもなる。農林省では一体どう考えているのですか。何か特別な事業を考えられますか。
  20. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 融雪のおくれで農作業に支障が生ずるというふうな事態の弊害をできるだけ受けないような形で、何とか順調に進めていく必要があるということは御指摘のとおりだと思っております。  実は苗代づくり等につきまして、数年前までは通常の耕地における苗代づくりというものが非常に多かったわけでございますが、逐次これをいわゆる施設による苗代づくりにというふうな改善が進められてきておりまして、ひところに比べればそうした面での影響というものは少なくはなっていると思いますけれども、ただいま先生が御指摘になりましたように、地域によりますとそういった弊害が出てきているということも事実だと思っております。  これに対しましてなかなか決め手になるような対策というものはございませんけれども一つには、いま御指摘のように消雪剤の散布というのもかなり有効な手だてだということも事実でございます。これに対しまして、県におきましても、そのための指導なり手だてなりをいろいろと研究されていると私ども聞いております。ただ、この種のものを国が直接助成の対象にするというふうなわけにはまいりませんので、たとえば天災融資等につきましても、この種の消雪剤もその対象にするというふうなことも私どもはいたしておるわけでございます。  しかし、今後さらに、春の農作業を迎えましていろいろな局面が地域によって出てくるであろうと思いますので、私どもも、技術者も十分対応させながら、現地現地の実情につきましては、そういう中でできるだけ支障のない作業を進めていくのにどうしていったらいいかというふうなことで、指導につきましてできる限りの対応をいたさせたいと思っております。
  21. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 指導だけでなくて、手当てはどうなるか、私、その一点を聞いているのです。無理なら無理だとか、やれる見込みがあるから検討するなら検討するとか、簡単でいいですから言ってください。
  22. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 いま申し上げたつもりでございますが、直接助成の対象にするというふうなわけにはまいりませんが、たとえば天災融資融資対象に消雪剤等も含めるというふうなことは、私どももいたしておるわけでございます。
  23. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 期待をしておきます。  これは委員長におかれても、天災融資法の適用、法そのものではなくて、その中身に触れる部分でございます。ひとつこれは、できれば理事会ででもなおまた農林省の意見も聞いていただいて、そして農林省の思いやりのあるいまの言葉が実現できるように御協力を願いたい、こう思います。
  24. 木島喜兵衞

    木島委員長 わかりました。
  25. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 それから、ここで国土庁長官に、今日の時点における異常豪雪関連の締めくくりを一言申し上げておきたいと思うわけでございます。  先ほど来申し上げるように、人命、財産、国土はもちろんでありますが、それを保全するということは国の責任であるし政治の責任だ、こういうことなんです。  きょうは地すべりの問題を先ほど例に挙げたわけですが、やはり自然災害対策に万全を期していく、これは最も重要なことなんです。特にパトロールの効果は現実にきわめて大きいのです。そういう意味で自治省、きょうは消防庁からも来ていただいておりますが、消防庁来ていますね。時間がございませんから聞くだけ聞いておいてください。ひとつ地域消防団との関係、消防団組織を活用するとか、そういうことを検討してください。  そういうことで、融雪災害そのものについて、やはり国土庁長官から、この時期における関係地方行政庁に対してひとつ適切なアドバイスというか、通知をしてやってほしいと思うのです。特に、実はいまマスコミが非常に情報が過剰だというか、こういう言い方は悪うございますけれども災害が起きるとすぐマスコミに載る、マスコミに載ると同時に、学説というものがきわめて多く出てくるわけであります。これで国民大衆は混乱をするのです。そして、その結果はどうなるかというと、いや、あれは一部の学説である、いや、あれはこう書いたんだけれども見出しが大きくて、中身はそういうことを意味したものではないとか、これはつかみようのない話になってしまう。その結果はどうなるかというと、大衆はいよいよ不安になってくる。そして最後は政治不信になる。こういう順序になっているのです。そして、政府は何をやっているか、自民党は何をやっているかみたいな話になってくるのです。そういうパターンはやはりこの際改めようじゃないですか。なるほど情報もすぐ流してもらわなければいかぬ、学説も常日ごろ一つ意見、結論に統一できるなら、到達できるならそういう努力もいろいろしてもらいたい、しかしやれることはやはりやってもらいたい、こういうことを申し上げるのです。だから、この際、融雪災害についてひとつ万全を期せ、そして人命、財産の確保、国土の保全についてひとつ地方庁も協力してほしい、このことを国土庁長官名できょうでも通知を出していただきたいのです。これが必要なんですよ。  もう一つは、行財政改革は私どもは賛成であります。この際何がしかのけじめをつけなければならぬと思っております。しかし、自然災害対策というものは、先ほどの警報器じゃないけれども、やらなければならぬ点がたくさんあるのです。国民に約束しながら中身のない点がたくさんあるのです。そういう意味で行財政改革は進めるべし、しかし自然災害対策というものは国土庁がしっかりしておって、そしてすっきりしたわかりやすい結論を出す、この心構えが必要ではないか。  原長官にはもう釈迦に説法ではございますが、この二点について、通知を出すなら出す、それから心構えはそのとおりだ、こういうことを答弁してください。
  26. 原健三郎

    ○原国務大臣 佐藤先生にお答え申し上げます。  後段の、そういう対策についてのいろいろの心構え、全く同感でございます。  それから前段の点、いろいろお話がございましたが、融雪災害に際し起こってくる生々しいいろいろな現象について、御高説十分に拝聴いたしました。それで、いわゆるこういうことについて、去る二月の四日に、出水期を迎えるに当たって人命の保護を第一義とし、河川のはんらん、山やがけ崩れ、地すべり等による災害を未然に防止するよう、豪雪対策本部長名で、関係県知事あてに通達は一応出したところであります。また、農林水産省及び運輸省、建設省からも同様の趣旨の通達を出されております。しかし、いま佐藤先生から要望もございましたし、さらに万全を期するため、各都道府県及び関係機関に防災体制強化を図っていただくよう、再度このたび私から通達を出したい、急いで今明日にも出す考えでおりますから、御安心を願います。
  27. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 ありがとうございました。それではひとつ今明日に出してください。  そこで、時間がなくなりましたが、果樹の点について先ほど調査報告のございました点に関連をいたしまして、ちょっと質問をして、終わりたいと思います。  四月十七日付天災融資法の発動、それから激甚災害法の発動をした、これはわれわれが考えておったよりは少し早かったな、こう思っております。これはいいことであります。いいことでありますが、具体的な問題になりますと、被害実態、特に果樹の樹体の実態がどうであるかという点が、いろいろ技術的に、聞けば聞くほどまだ若干の時間がかかる、こういうようなことも言われているわけでございます。特に新芽の出始める時期が終わらないとわからないとか、いろいろな問題があるようでございます。しかしまた、梅雨前にだめなものはだめとして、植えかえるというようなことも必要だということも言われておるわけであります。だから、ある程度のところで見切りをつけて、どう対応するかというのが果樹農家の今日の悩みであるように思うわけでございます。そういう意味で、しかしそれにはやはり金がかかる、こういうことになるわけであります。そして被害はミカンがひどいようでございますし、またビワもありますが、雪国においては、たとえば新潟県の柏崎地方なんかはブドウもあるはずでございます。これは折損木であって寒波ということではございませんが、そういうのもあるわけであります。そういう意味で、果樹全体についてこの寒波豪雪に対してやはり対策を講ずる必要がある。  そして最後に、金のかかる点ということ一点にしぼって考えるならば、私はいろいろな資金があることを承知はいたしておりますが、何とか結論を早目に出して、いままでも、理由は別ですが、多少末端からの声も上がっておった自作農維持資金の融資枠の確保はもとより、今日百五十万になっている貸付限度ぐらいは早急に結論を出さなければいかぬのじゃないか、こう思うのです。そういういろいろなことについて農林省の考え方を聞いておきたいと思います。簡潔に答えてください。
  28. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 寒波豪雪等に絡む果樹被害につきましては、私どももすでに逐次打てる手を打っておるわけでございますが、なお今後の推移を見ながら、適切な対応をしてまいりたいというふうに思っております。  なお、いま御指摘のありました自作農維持資金の問題につきましては、私どもも果樹寒波等に対しこの種の資金の適用というのが非常に必要だという認識に立っておりまして、現在関係県ともそのための準備調査、下打ち合わせ等をいたしておるわけでございます。できるだけ早急に結論を出して、適用ができるようにしたいというふうに考えております。  なお、その際、御指摘のありました貸付限度の引き上げの問題でございますが、これにつきましても、過去において、大きな災害のときに、特定の地域で、どうしてもさらに追加の借り入れができないような農家がたくさんあるような地域に対しましては、特例として限度額を引き上げたという例はございます。今回のものにつきましても、その種のことが必要ではないかという考え方を私どももしておりまして、現在そういう実態がどこにどういうふうにあるのかということも調べておりますので、あわせまして適切な対応ができるようにいたしたいというふうに考えております。
  29. 佐藤隆

    佐藤(隆)委員 これで終わります。  いま言葉じりを決してとらえるわけじゃございませんが、果樹寒波という話がございましたが、豪雪寒波と両方についてひとつ考えてもらいませんと、果樹全般についての異常豪雪寒波、これは並行しておりますから、それをひとつ忘れないように、当然のことですが、念を押しておきたいと思います。  それから自作農維持資金の貸付限度については、やや私の希望的観測かもしれませんが、相当前向きな答弁であったように私は思うのですが、これは必ずやってほしいということを重ねて要望しておきます。  あわせて、このほかの各種融資制度について、果樹関係についてこの際見直す必要があるのではないか。この議論もまたいずれかの機会を得てやりたい、こういうことで私の質問を終わります。
  30. 木島喜兵衞

  31. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は、先刻佐藤委員の方からも質問がありましたが、先般の寒波襲来によるミカンを中心とする柑橘被害の問題について、質問をいたしたいと思います。  具体的な質問に入ります前に、総括的に要望いたしておきたいと思いますことは、本日の委員会の冒頭におきまして池端委員の方から、先般四月十五日ですか、愛媛県のミカンの被害現地調査をやっていただいたわけでありますが、この報告の中に盛られた現状認識、そしてまた、地元生産農民が国の施策に対していま強く要望いたしております幾つかの事項、そういったものは早急にそれぞれの所管省庁において適切な措置をとってもらいたい、これは一括して要請をいたしておきたいと思います。  なお、前後いたしますが、私自身愛媛の出身でございますが、せんだっての現地調査に対する委員各位の御努力に対しまして、謝意を表しておきたいと思います。  さて、私は、時間の関係もございますので、そのものずばりでお尋ねをいたしたいのです。  今度の被害の特徴は、先ほどの報告にもありましたけれども、比較的冷害には強いと言われておる温州ミカン自体が惨たんたる被害を受けた。なかんずく、温州ミカンから中・晩柑類改植をするということで、御案内のネーブルやハッサクあるいはイヨカンといったものについて、政府の奨励しておる方向に沿っていわば営農をやってまいりましたそういう作物なり、そういう農家が甚大な被害を受けたところに一つの特徴があろうと思います。果樹そのものの被害状況から言いますと、これまた先ほどの報告ではございませんが、これはしばらく時間を見て、経過を見なければいけない現状下にあろうかと思いますけれども一つには、この種の柑橘類が、木全体が枯死するという状態が起こってくるのではないか、あるいは地上から三分の一くらいまでは何とかもってもそれから上はだめだとか、あるいは半分くらいまでは何とかいくがそれ以上の枝葉はやられるとか、もしこの五月以降芽が出るにしましても、樹体そのものが非常に弱っておるので、正常な収穫状態になるまでには最低二、三年からひどい場合には四、五年かかるのではないか、とさえ言われておるような状態にあるわけであります。  こういう中で、被害農民の立場から言いますと、いわゆる現在の既存の制度によって救済をする、なかんずく融資制度によって救済をすることも大事ですけれども、それ以上に金を借りる余裕がない、金を借りてもそれを返済する余力がない、何らかの形で、補助対象的なものによって、今日のこの事態なり急場を切り抜けるような手だてがないものだろうかというのが、関係農民の率直な意見であり要望だと思うのです。  そういう点から申しまして、一つお尋ねいたしたいことは、いわゆる高接ぎとか改植を行った園地復旧のための再助成など、特別の助成措置を講ずるお考えはあるかどうか。これが一つであります。  二つ目の問題は、それとも関連をいたすわけでありますが、これは先般の、たしか四月九日の本委員会の審議の中でも出てきたかと思うのですが、先般激甚法の一部改正、いわゆる冷害、豪雪による森林木の被害に対して救済をするという新たな補助金制度ができましたけれども、そういう制度を何らかの形で適用することができないものか。ぜひそうすべきだと思うのですが、その後、国土庁なりあるいは農林当局において検討してまいっております経過を含めてひとつ見解を示してもらいたい、こう思うわけであります。
  32. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今回の豪雪寒波に伴います果樹の被害、特に西日本を中心にしましての寒波による樹体の被害が非常に大きく懸念されているわけでございます。  ただ、これにつきましては、私ども、先ほども申し上げたのですが、できる限り直ちにとれる措置につきましては対応していく、こういう考え方のもとに、すでに天災融資、あるいは激甚指定、あるいは共済の早期支払い、あるいは既借入金の償還条件の緩和の指導等をいたしているわけでございます。  ただ、樹体がどうなるのかというのが非常に微妙な段階でございまして、そのために、ごく最近でございますが、私どもは、特に激甚地に国の試験研究機関の専門家もチームで派遣いたしまして、現地で現場での県の専門家と合議をしまして、現地診断もし、技術の対応も考える、こういうふうなこともいたしたわけでございます。  現在報告で受けておりますところによりますと、なお予断を許さない、もう少し推移を見守る必要はあるけれども、当初考えていたよりは、大部分のものは新芽が吹きあるいは吹く状況になっている、こういった報告も受けているところでございます。しかし、さらに五月の中ごろまで見ませんとこの辺は確たることがわかりません。その辺を見守りませんと、またどういう対応をすべきかということも十分に煮詰まらないということで、関係県もそれから関係の団体も、その辺の推移を見守りながら意思を集約したい、こういう考え方に立っているようでございます。  したがいまして、ただいま御指摘のありましたような問題につきまして、いまここで私どもがこういうふうな施策を考えているということを申し上げられる段階にはございません。  ただ、一般的に申しまして、高接ぎなり改植なりの復旧のための再助成のような手だてが講じられないかというお話でございますが、現在、私どもは、転換事業ということで生産過剰を解消していくという目的のためにその種の助成事業を設けてやっておりますけれども、これはあくまでもそういった政策目的のためでございまして、いわゆる災害復旧制度ではございません。災害復旧制度といいますのは、現在、天災資金なりそれからまた災害を受けた果樹の植栽なり高接ぎなりをするための長期低利資金制度もございまして、こういうものを活用していただいて十分に対応していただく、こういう仕組みになっているわけでございます。  しかし、いずれにしましても、十分にまた推移を見きわめながら、随時適切な対応は私どもも考えていきたい、こういうふうな構えでいるところでございます。
  33. 藤田高敏

    藤田(高)委員 いまの答弁は二つだと思うのですね。  一つは、被害を受けた柑橘類が枯死するような状態が多く出た場合は別だろう。しかし、いまの事態では何とか新芽が出てくるのではないか。いわば木自身が枯死するということを前提にしない、むしろ再生できるのではないかという期待感の強い前提に立っての答弁だと思うのです。しかし、やはり政府対応としては、被害を受けた園地は、五分の一になるのか三分の一になるのか知りませんけれども、相当多くの樹体が現在ひどくやられておるわけですから、完全に枯死しなくて仮に芽が出たとしても、正常な収穫期を迎えるまでには、場合によっては二年、三年かかるという事態をも想定をして、そういう事態が起こった場合にはどうするかということを、今日段階で一つの施策として方針が打ち出されなければならぬのではないか。そういう観点で、あえてその点についての対策をもう一度お尋ねいたしたいと思うのです。  それともう一つは、既存の融資制度を中心とする災害対策によって今回の場合も対応していきたい、こういう後段の説明であります。  しかし、私が先ほども言ったように、既存の制度の枠の中だけで対応し切れないという、そういう異常事態に対処する新たな政策なり、新たな制度なり、新たな発想というものが当然あってもよろしいんではないか。なるほど、そういう点ではこれは、農林行政にかかわる災害問題でありましょうけれども、やはり先般の激甚法の一部改正に盛られたようなそういう物差しで対処するということが今回の場合にぜひ必要ではないかと思うのですが、その点についての見解をいま一度ただしたいと思います。
  34. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今後どのような事態に立ち至るのかという点につきましては、現時点で申し上げられる状況にないわけでございますので、それに対し国の対応はすべてここまでだというふうなことを申し上げる段階にはないというふうに思っておりますが、既存の制度も実はいろいろな事態に対応できるような制度が備わっているわけでございます。  いまお話のあった融資制度につきましても、自作農維持資金、天災資金、果樹の植栽資金、それぞれの資金目的に応じた制度が仕組まれておりまして、これによってかなり対応が可能になるというふうに私どもは思っておるわけでございます。  したがって、支障なく営農を続けていってもらうために、その事態に応じどういう対応が必要かということが集約いたされませんと、具体的に現在こういう構えで考えているというふうなことを申し上げましても、これはどうにも生きた施策にはならないわけでございますので、私どもは、十分にひとつ関係県や関係の団体とも意思統一を図りながら、今後の事態も十分に見きわめながら、しかも最小限にとどめるような技術指導も行いながらその事態に対応していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 藤田高敏

    藤田(高)委員 この点については、現段階ではこれ以上の論議をやっても進展がないように思います。ただ、私が前段に申し上げたような観点から、関係当局においても、その対策について新しい制度で救済する方法がないものかどうか、こういう積極的な立場で鋭意ひとつ取り組んでもらうことを強く要望しておきたいと思います。と申しますのは、いま少し時間をかさないと新たな対応策というものが出てこないという時間的な要素もあるようでございますから、その点は、そういったことを含めて要望いたしておきたいと思います。  次の問題は、先ほど答弁のありましたことにも関係するわけですが、既存の制度によって今回の被害を救済をしていく。その一つとしては天災融資法、及び激甚災の指定はもうすでに発動を見てこれを中心とする対応に取りかかっておるわけでありますが、この天災融資法の適用に関連をして、二つばかり要望とお尋ねをいたしたいのです。  その一つは、すでに天災融資法で借り入れしておる借入残のある者に対する優遇措置であります。いま一つは、今回の災害によって新たに借り入れを行うものの支払い条件の緩和の問題であります。  私の聞くところによりますと、すでに借り入れをやっておるものについては、その支払い期限が現在天災融資法の場合に七年になっていますが、これを二年ばかり繰り延べるというような検討が進められておるやに聞いておるわけですけれども、これは私の見解を先に申し上げておきますが、二年、三年ということで争うわけではありませんけれども、新規の借り入れをする場合に据え置き期間を三年にするということが、これまた先ほどの二年繰り延べの問題とも関連をして検討が進んでおるやに聞いておるわけですけれども、これとの見合いにおいても、また先ほど私が触れましたように、仮に新芽が出て実がなるにしても正常な収穫時期を迎えるまでには最低二、三年はかかるのではないかというようなことを考えますと、この既存の借入者に対する繰り延べ期間は三年くらい繰り延べるようなことが必要ではないか。また新しく借り入れする場合は、据え置き期間を三年にいたしましても支払い期間は四年間でやる、いわゆる七年間でこの支払いをやるんだということになりますと、せっかく据え置き期間を三年間つくっても、四年間の間に借り入れたものを返していかなければならぬということになりまして、これは借り入れた農民の側にしてみれば大変な負担になるのではないかと思いますので、この天災融資法の支払い条件については、据え置き期間三年、支払い期間七年ということで、十年間の支払い条件にするような対策がぜひ必要ではないかと思うのですが、私の見解を含めて当局の見解を聞きたいと思います。
  36. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 天災資金の借入金がすでにある方に対して、新たに今回、天災資金の償還に充てるための必要な額ということで、これは本来の額に個人ですとさらに八十万円を加算をして貸し付けができるという制度になっております。この点を十分に運用を図ってまいりたいと思っております。  それからもう一つは、すでに借り受けている天災資金で償還期が来ているものについて、新たにさらにまた借り入れるに当たり、それが従来のルールの範囲内では支払いができないというふうな場合には二年の範囲内で償還条件を延期し得る、こういう制度になっております。これはもちろん制度一括の話ではございませんで、個別ごとに、農家ごとにそういう事情にある方に対しそういう対応をするわけでございまして、私どももこれに対しては十分に弾力的な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。  さらに、この二年を三年にできないかあるいは据え置き期間以外に、償還期間ももっと延ばせないかというふうなお話がございました。御主張は承りましたけれども、何と申しましてもやはり制度でございますので、その他の制度との整合性なり、これまでの災害への適用との兼ね合いなり、いろいろございます。長ければ長い方がいいことは確かでございますけれども、その辺はおのずから限界がございまして法律の仕組みになっているわけでございますので、現在決められております条件をできるだけ私どもは弾力的に運用する、こういう行き方で対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 藤田高敏

    藤田(高)委員 いま答弁がありましたように、貸付限度額は今回四百八十万、重複被害者に対しては八十万上乗せになるわけですから、五百六十万だろう、こう思うわけですけれども、いま私が申し上げたのは、ミカンの被害を受けておる農家の現状から言えば、冒頭にも申し上げたように、金は借りたいけれども、これ以上借りたのではその支払い能力に限界がある、こういう立場の人が多いわけですから、そういう現状を考慮するときに、前段私が言ったような運用上の配慮というものは当然あってもいいんじゃないか、こう思うわけでありまして、特に新規に借り入れする場合、せっかく据え置き期間を三年つくっても、この借入額を四年間で返してしまうということは、現実の問題として農家にとっては非常に負担が大き過ぎるんじゃないか。やはりそこは、延べ払いじゃないですけれども、せめて七年くらいの支払い期間にするということが災害対策としても必要になってくるのではないかと思うのですが、そのあたりの見解については、他の制度との整合性と言いますけれども、たとえば他の自作農創設資金であるとか、近代化資金であるとか、営農関係の資金には、それぞれのやはり制度それ自体の特異性というものがあるわけですから、こういう一〇〇%災害オンリーの災害対応するための制度そのものは、もう少し従来の制度の運用について弾力性があってもいいんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、いま一度その見解をただしておきたいと思います。
  38. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 資金制度につきましては、御指摘のとおり、実はそれぞれの資金需要と目的に沿った条件設定がされているわけでございまして、たとえばいま御指摘の天災融資でございますが、これはいわば肥料、農薬等の経常的な経営資金を特に災害を受けた方に適用する、こういう制度でございます。それから自作農維持資金は、これは特に使途を明定せずに、かつ長期の資金として、やはり災害を受けた方に適用するそのための制度で、また果樹植栽のように非常に償還に時間のかかるものにつきましては、それに応じた条件によって適用するための、これまた災害のための特別の資金制度でございます。  そういうふうなことになっておりますので、天災融資それ自身が決して融資としてのオールマイティーの役を果たすわけではございませんで、いろいろの目的に応じた資金需要に適切な融資制度を適用していく、こういう考え方で構成されておりますので、それぞれの方々に最も適切な、有利な資金を利用していただくというようなことをあわせて私ども指導もしてまいりたいというふうに考えているわけです。
  39. 藤田高敏

    藤田(高)委員 あとは、質問をすることも含めまして、どうせ、われわれこの委員会におきましても小委員会で、いま私自身が質問していることについて立法機関としての検討も続けることになっておりますから、一応今日段階の意見として私は強く要望いたしておきたいと思います。  この既存の制度の問題に関連して、先ほど佐藤委員の方からも質問がありましたが、自作農創設資金の災害資金の限度額の引き上げの問題ですね。これは現在百五十万になっておりますが、昨年七月以降の冷害が起こりましたときの対応策としては、特例措置として、北海道に対しては自作農創設資金の借入残高にプラス百二十万、東北六県に対しては二百五十万の引き上げ、こういう措置がとられてきておるわけですが、今回の場合も、当然限度額の引き上げにつきましては昨年の冷害時に対応したものと同じような条件を適用すべきだと思うのですが、これはもう当然の措置としてとるべきだと思うのですが、どうでしょうか。  そしてまた、この自作農創設資金の枠の設定等については、これは他の災害資金との関係もそうですけれども被害を受けた現地の需要に見合うだけのものを当然これまた設定すべきだと思うのですが、そういう用意は十分あり得るかどうか、これも念のためにお伺いをしておきたいと思います。
  40. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 自作農維持資金につきましては、今回の雪害及び寒波に関連をいたしまして、災害のために特別の融通がつくようにする必要があると私どもも考えておる次第であります。  なお、貸付限度の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、冷害のときにも実施をいたしたことがございます。その場合にも北海道と東北とはまたおのずから別の扱いをいたしましたのも、その地域の借入状況等の実態に応じて適切な対応をいたしたわけでございます。  今回も、私ども、ただいま県当局にお願いして、県内のその辺の借入状況なりいろいろ調査をしていただいておりますので、そういう点をよく見きわめながら、必要な地域については必要な対応も考えていきたい、こういうふうな考え方のもとに現在作業準備を進めておるところでございます。
  41. 藤田高敏

    藤田(高)委員 大変回りくどい答弁なんですが、私の方はきわめて具体的なことを言っておるわけなんで、必要な地域に対しては必要な対応なんて言わないで、昨年の冷害だったら冷害並みのことをやるのかどうか、こういう趣旨のことを聞いているんだから、たとえば、原則的にはそういう対応をしたいというくらいの答弁をしてもいいじゃないですか。どうですか。
  42. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 本来、原則は百五十万円というのがあるわけでございまして、資金需要そのものは、これは限りなく個人ごとにばらつきがあるわけですが、その中で一定のルールを設けているわけです。それを、特に特例を開くということは、そういうもので現にどうしても借り入れを必要とする方が実態としてすでに限界があるために借り入れられない、そういうのに対してはやはり必要資金の融通がつくようにしていく、こういう趣旨でございますので、一律にどういう災害だから幾らにする、そういうことではなくして、地域ごとの実情に応じた適切な対応をしたいということを実は申し上げたつもりでございます。同じ冷害であっても、北海道と東北の扱いが違うのもそういう趣旨だということもあわせて申し上げたかったわけでございます。
  43. 藤田高敏

    藤田(高)委員 先ほどの現地視察をしました報告にもこの問題が具体的な要望事項として載っておりますように、自作農維持資金それ自体の限度額の引き上げということは、この資金制度それ自体をいままで活用、利用してきた農民の立場からいっても、これはもうぜひ必要だ、そういうことから要望事項に出ておると思うのでして、問題は、二百五十万の額の引き上げをやったからといって、支払い能力がない、自分から見てどうしようもないという者は借りないと思いますよ。しかし、少なくともそういう限度額は今回の被害に対しては二百五十万までは引き上げる用意がありますよ、政府としてはそういう対応をやってでもこの被害農家の現状を救済するためにやっていきますよ、そういう姿勢というものは当然あってもいいんじゃないか、そういう意味合いから私は強く要望しておるわけでして、そのあたりをいま一度、できるものであれば明確に答弁を願いたい。
  44. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 どの地域にどれだけの額の枠が必要かということをいま現地調査をしていただいておるわけでございまして、いまここで何万までならというようにあらかじめ決めてかかって物事を考えているわけではございませんので、必要な額の設定をしたい、こういうことで調査をお願いしているわけでございます。
  45. 藤田高敏

    藤田(高)委員 寒波によるミカンの災害というものを、あなたは審議官ですか、審議官というのは現場を直接見られておりますか。見られてないとすれば事実認識において少し甘いのじゃなかろうか。それはあなたにどの程度の報告が来ておるかわかりませんけれども。その点では、雪害にしても冷害にしてもあるいは今回の寒波にしても、こういう異常な気象状況の中で受けた災害というものは、基本的に同じような姿勢で受けとめる必要があるんじゃないか。そういう立場から言えば、昨年の冷害に適用した自作農維持資金の適用条件というものは原則的には今回のミカンの寒波に対しても適用する、そういう姿勢でいくんだというぐらいなことは当然のこととして答弁できるんじゃないでしょうかね。この点について、大変くどいようですけれども、強く私は求めたいと思うんです。
  46. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 気持ちの問題としましては、私どもは、今回の災害というのはやはり非常に大きな災害だというふうに認識しておりますので、できる限りの措置はとりたい、こういう構えで臨んでいるわけでございます。
  47. 藤田高敏

    藤田(高)委員 もっと的確な答弁が次から次へ出ると思って期待をして質問したんですが、そういうことにもならなかった向きもありまして、質問すべきことが大分残りましたが、時間の関係もありますので、あとは一括して質問をしたいと思います。ただ、前段の問題につきましてはどうぞひとつ昨年の冷害並みの対応をする、そういう方向で諸準備を急いでもらいたいということを強く要請しておきます。  まず、共済金の早期支払いの問題については、先ほどもちょっとそれに類したことの答弁があったようでございますので深く触れませんが、必要に応じていわゆる共済金の仮渡し、再保険金の概算払い等の実施については早急に行うべきだと思いますので、この点はぜひ善処してほしい、こう思います。  次の問題は、被災農家に対する各種の公共事業ないしは各種の単独事業の実施についてでありますが、これまた、従来から東北地方を中心とする豪雪あるいは冷害の場合もそうですけれども対応してまいりましたように、特に今回の場合は、被害状況を勘案してできれば公共事業の特別枠を設定する、そうしてそういった公共事業を被害地重点主義で配分していく、なかんずく、五十六年度の公共事業についてはこれを前倒し施行をしていく、そういうことによって、現実的には被害農民がこれから生活資金に困るわけですから、現金収入の道を開くためには救農土木事業と申しますか、これは公共事業だけでなくて市町村や県が実施する単独事業ですね、そういうものも含めて特に救農土木事業というようなものも起こしていくべきではないかと私は思うのですが、これは農林省あるいは国土庁あるいは自治省、こういったところにそれぞれ関係しようかと思うのですが、このことについての見解をただしたいと思います。  それと、時間の関係がありますので一括して申し上げますが、被災農家に対する課税上の特例ですね。これまた、いままでの災害時においては当然のこととしてやってきたことでありますが、農林省としては国税庁や自治省に対して被害農家の実態に即した減免の措置がとられるように要請すべきだと思いますが、これはどうでしょうか。国税庁並びに自治省においては、従来もやってまいりました所得税あるいは市町村民税を中心とする地方税についての支払い期限の延長、徴収の猶予、税それ自体の軽減もしくは免除、こういうものについて税制上の特別措置を図るべきだと思いますが、この点についての見解はどうだろうか。  いま一つの問題は、この課税上の特例とも関連をいたしますが、特別交付税の交付の問題であります。災害復旧の対象になるべきものに対しては的確に対応して、特別の財政需要に係るものとして措置すべきであると思うのですけれども、この問題については、これは事務的なあれでありますが、この特別交付税はたしか年内と三月ですか、二回に分けて交付するという現行制度になっておると思うのですけれども、これまた、特別交付税についても今回の災害の問題については特別の配慮を行うと同時に、その交付についても早期に行うべきであると思うのですが、そのあたりの見解を聞かしてもらいたいと思います。
  48. 原健三郎

    ○原国務大臣 公共事業の前倒しを行うようにしてこういう被災農家対策をやるべし、こういう御意見でございましたが、そういう考えにおきまして、過般の閣議におきましても、政府で、上半期における公共事業の契約の割合を全体の七〇%以上にやるべし、こういうことを決定したところであります。そして、これがだんだん被災農家も対象になっておるという趣旨でございます。  さらにまた、今度の低温等による農作物被害に対しましては、激甚災害指定政令を四月十七日に公布いたしたところであります。  またさらに、今後とも、ミカンを初めとする農作物被害に対しましては、農林水産省や関係省庁とも密接に関連をせしめながら、その対策に万全を期したい。  最前からいろいろお話がありました御意見もよく拝聴いたしましたので、政府としては、そういう被災農家に対して手厚い、きめの細かい対策に万遺漏なきを期したいという決意で、準備を進めておりますから、よろしく御了承のほどをお願いします。
  49. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 農業共済金の早期支払いにつきましては、三月二十日付をもちまして、被害の激甚な組合につきましては、農家の要望に応じ極力仮渡しを行うように、また支払いそのものもできるだけ早期に行うように、体制を整えて実施するようにといった指導通達をいたしたわけでございますが、さらに、今月の中旬の十日と十四日に開催されました都道府県の担当課長会議、それから連合会の参事会議等におきましても、重ねてその点を指示をいたしたところでございます。
  50. 持永堯民

    ○持永説明員 いわゆる救農土木事業についてのお尋ねでございますが、従来から、農作物被害が生じました場合におきましては、地方債を措置いたしまして、救農土木事業を実施しているわけでございます。  今回のミカンの被害の問題につきましても、関係地方自治体におきましてそういった救農土木事業を実施する必要があるという判断をいたしまして、まさに、実施しようとする場合におきましては必要に応じまして地方債を措置してまいりたいと考えております。  それから、特別交付税につきましては、御承知のように、御発言がございましたように、当然のことながら、災害実態に見合いまして特別の財政需要を見込み、特別の配慮をするわけでございます。ただ、御指摘ございました交付時期の問題でございますが、これは十二月決定と三月決定ということになっておりまして、特別交付税の交付を早くするということはなかなか事務的にもむずかしいものがあろうかと思います。ただし、資金繰り等で関係の自治体が大変お困りになるようなことがございますれば、融資その他含めまして、資金繰りの面については何らかの措置をするということで対応してまいりたいと考えております。
  51. 冨尾一郎

    ○冨尾説明員 国税の関係についてお答えいたします。  先般の異常気象によりますミカン作農家の被害につきましては、私ども十分承知しておりますので、この課税に当たりましては、被害実態に即して課税ができるように努力いたしたいと思います。  一般に、農業所得の課税に当たりましては、農業所得標準というものによりまして申告をしていただいておりますので、この農業所得標準の作成に当たりましては、被害実態を十分にしんしゃくをいたしまして、被害を受けた農家の実情を反映した農業所得標準を作成いたすようにいたしたいと考えております。  いずれにいたしましても、今回の異常寒波による被害につきましては、十分に実態把握した上で、これを五十六年分のミカンの農業所得標準の上に反映をさせて、適正な課税が行われるように努力いたしたいと考えております。  なお、御質問にございました延納措置その他についてでございますが、農家のミカンの樹体が被害を受けたという場合には、災害を受けた事業用資産の損失に当たりますので、これにつきましては、損失が生じました場合には三年間の繰り延べができることになっておりますし、そのほかにも、本年の所得の減少が予想される場合には予定納税の減額措置、さらに一時に納税ができない場合には、一定の申請をしていただきまして延納という措置もとれることになっておりますので、これらの措置をあわせて活用いたしまして、被害農家の実態に即した課税をというように、私どもとしても努めてまいりたいと考えております。
  52. 渡辺功

    渡辺説明員 地方税の減免措置等についてのお尋ねでございますけれども藤田委員よく御存じのとおりでございまして、災害被災者につきましての減免措置につきましては「災害被害者に対する地方税の減免措置等について」という通達によって対処しております。しかしながら、これも御高承のように、今回の災害の時期が時期でございますので、五十五年度につきましてはすべての地方税はもう納付済みという状況でございますから、五十五年度分については地方公共団体も減免について法律上も手の打ちようもありませんし、また、そういうことが行われているということも聞いておりません。  むしろ、御指摘は五十六年度の地方税の問題ではないか、こう思います。ミカンがなって、それが通常の収穫が得られないという五十六年度の問題というふうに考えますが、この問題については、一般原則にのっとりまして、担税力に応じて減免措置を行うということになります。しかし、その場合に、各地方団体は、事柄が災害に起因するものでございますので、ただいま申し上げました災害減免通達の趣旨に従いまして、被災農家の実情に応じて減免措置をすることになると考えますし、私ども、そういった点についていろいろ問い合わせがありましたら適切な措置を講じてまいりたい、指導してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  53. 藤田高敏

    藤田(高)委員 終わります。
  54. 木島喜兵衞

  55. 岡田正勝

    岡田(正)委員 今回の寒害につきまして、大変速やかに対応をしていただきましたことにつきましては、あらかじめお礼を申し上げておく次第であります。  さて、時間の関係がありますので早速質問に入らしていただきますが、まず第一点は、今回のこの寒害の全国的な被害、その中で広島県の被害というふうに分けていただきまして、簡単に御説明いただきたいと思います。
  56. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 四月の三日に統計情報部組織を通じまして調査したものを公表いたしたわけでございますが、これによりますと、十二月中旬以降の降雪の被害も合わせまして、全国で一千二十一億円というのが農作物及び樹体の被害でございます。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕 このうち果樹の関係が七百七十八億円でございまして、その主体は果樹である。果樹の中にはもちろん雪のものも入っておりますが、樹体関係を中心として、大きなものは西日本の寒波によるものというふうに考えております。  次に広島でございますが、広島県におきましては全体で百十七億円という数字報告されております。そのほとんどは温州ミカン、ネーブル、オレンジ、ハッサク等中・晩柑類の樹体被害と果実の被害でございまして、その関係の果実関係が百十四億円ということになっております。
  57. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。  そういう被害に対しまして、農水省はどういう救済の手だてを講じておられるか、大まかなところをお示しください。
  58. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 これまで講じました主要な状況を申しますと、四月の十七日に雪害及び寒波、あわせまして天災融資法の発動をいたしたわけでございます。  それから同日で、激甚災害法によります激甚災害指定も国土庁にやっていただいたわけでございます。  また、共済金につきましては、できるだけ早期に支払うようにという指導を、すでに通達及びあらゆる会合を通じましていたしておるわけでございます。  また、すでに償還期に来たものにつきまして、災害を受けたために返済ができないというふうな方々につきましては、金融機関に対しまして、できるだけ窓口でその相談に乗って、貸付条件の緩和等の措置対応をするようにという指導もいたしておるところでございます。  また、いま何よりも必要なのは技術指導だというふうに思っておりまして、技術者も動員しながら、これへの対応をいたしておるところでございます。
  59. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、先ほどからのお尋ねの中ともダブるのでありますが、自作農維持資金、この関係におきまして、これも災害でありますから、その融資枠の拡大という問題について、先ほどからいろいろと御質問があったわけでありますけれども、昨年の北海道やあるいは東北の冷害の先例もあるわけでありますから、これに対して当然適切に対応したいというお言葉は聞いたのでありますけれども、われわれの理解といたしまして、先例に劣らない対策を講じようと思っておる、個々のいわゆる借りる資金というのは、これはもちろんまだわかる時期ではございませんから、そういうことは答弁できないと思いますが、北海道あるいは東北の昨年の冷害に対する措置に劣るようなことはないというふうに理解をしてよろしいかどうか、その点のお答えをいただきたいと思います。
  60. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今回の災害につきましても、被害額なり実態はそれぞれまた違いますけれども、やはり昨年の冷害のようにかなり大きな災害になるというふうに私ども認識をいたしておるわけでございます。そういう意味を含めまして、御指摘のような貸付限度の特例なり、それから災害枠の設定なり、こういうものに対しましても十分におこたえができるような対応をしたい、こういうことでいま調査を進めておるところでございます。
  61. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。十分わかります。  そこで、一つだけ確認をしておきたいと思いますが、これは広島県の方からもすでにお願いをいたしまして、了解を得ておるというお話を聞いておりますが、被害農家がいままで借り受けています制度資金の償還を猶予するということもひとつ考えていただきたいということに対しては、農水省におきましては、よろしい、考えようということになっておると聞いておりますが、いかがでありますか。
  62. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 融資は、御案内のとおり金融機関と農業者の間のいわば契約でございますので、これを制度的に一律に国が決めるとか、そういう性格のものではありませんが、ただ現実の問題として、非常に償還が困難な方というのは災害のときにはたくさん出るわけでございまして、そういう方に対しては、十分に金融機関が、その実情に応じて償還条件の緩和等の措置をとるようにという指導を強くいたしておるわけでございます。これまでの災害につきましてもすでに金融機関はそうした面で十分な対応をいたしておるようでございますので、今回も、私どもは、同じような対応を金融機関にしていただくように指導をいたしておるところでございます。
  63. 岡田正勝

    岡田(正)委員 広島県の場合は、晩柑類被害というのが大きいのでありますが、この被害を受けました晩柑類改植、さらに高接ぎ等に対しまする災害助成、並びに柑橘以外のものに転換する、こういう必要な経費につきましての助成をどう考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  64. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 現在ございます制度は、温州ミカンの生産調整過剰解消ということで、それを他の作物に転換していく、こういうための助成制度あるいはそれに伴う融資制度ということでございます。したがいまして、今回の災害を契機にいたしまして、温州ミカンからその他の作物へ転換していこうというふうな方々につきましては、この事業を十分に活用をして制度適用していくということは可能でございますが、ただ、いわゆる晩柑で被害を受けた方々につきまして、その高接ぎなり改植なりを助成する、こういうふうな制度はございません。
  65. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこなんです、一番問題になりますのは。生産調整の必要があるから、余りたくさん全国ででき過ぎておる温洲ミカンは、これを他のものに転換することについては、それに対する助成とか融資とかいうのはこれは政策的に助成をする、これもわかるのであります。ところが、温州ミカンではなくて、中・晩柑類でありますと生産過剰にはなっていないのだから、たとえ寒害を受けたからと言って、それについてこれはいかぬというのでほかの種目に切りかえよう、転換しようと思っても、どっこい、それは生産過剰になっていない、中・晩柑類生産過剰ではないからそれに対しては助成融資もありませんよというのは、これは災害という観点からはちょっと外れてはおらぬでしょうか。通常の場合ではありません。災害を受けた中・晩柑類をつくっておる農家が、これはいかぬ、こんなことがまた続くかもしれないと考えて他のものに切りかえようとする場合、それは生産過剰品目ではないから中・晩柑類はだめだよというのは、災害という観点から見たら、へえ、そんなことが通用するのかなという感じがいたしますが、いかがでありますか。
  66. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 少し申し上げ方が適切でなかったかもしれませんが、災害を受けた方がさらに高接ぎをし、あるいは植栽をしていくというふうなためには、災害制度として果樹植栽資金というふうな長期の農林漁業金融公庫の資金があるわけでございまして、十分にその活用を図っていただきたいというふうに考えているわけです。
  67. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこですが、これは、そういう金融の制度があるといたしましても、災害でも何でもないときに、自分の営農の方針からひとつ中・晩柑類の分をほかの種目に切りかえをしよう、転換をしようというときにはそれはできるわけでありますが、災害を受けた場合における特別の配慮というのは全然なされぬのかどうかということですね。そこのところをもう一度はっきり聞かしてもらいたいのです。
  68. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 ただいま私が申し上げました果樹植栽資金といいますのは、これは普通の場合の中・晩柑類等の改植には適用される制度ではございませんで、災害のときだけに適用される特別の融資制度でございます。
  69. 岡田正勝

    岡田(正)委員 了解しました。私の勘違いでした。  それでは、次に質問いたしますが、被害を受けましたこの晩柑類改植用の苗木及び接ぎかえ用の穂木等のいわゆる共同育苗というものを始めたい、これに対する助成措置というのはいかがなりますか。
  70. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 木全体が枯死をいたしまして改植を必要とするものがどれだけ出てくるのか、また高接ぎを必要とするものがどれだけ出てくるのか、いろいろ今後の推移を十分見きわめる必要があるというふうに思っております。現時点では、まだ県なり地元からも具体的に、こういう分野だけ改植なり高接ぎが必要になり、かつこれを共同育苗法という形で、そういうものを設置する必要があるというふうな考え方にまで、まだ見きわめられない情勢にあるようにございます。十分その辺の推移を見た上で検討いたしたいというふうに思います。
  71. 岡田正勝

    岡田(正)委員 次に、今回の寒害で非常に樹勢が衰えておることは、もう間違いのないことであります。そこで、多発を予想されます病害虫の駆除ということについては、当然平年度よりはずいぶん多量の農薬を必要とする、余分な農薬を必要とするわけでありますが、こういうものに対する助成措置はいかが相なりますか。
  72. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 災害のときに、いわゆる経営上の肥料あるいは農薬のような消耗材の助成ということがしばしば問題になりますけれども、この種のものはいわば個人の通常の経営上に必要なものでございまして、こういったものに対して助成をいたすというふうなことはこれまでもございませんし、個人助成としてはなかなか困難でございます。  そこで、たとえば先ほどから話題になっております天災融資制度というものは、そういったものを特に災害を受けた場合に低利で貸し付けの対象にする、こういう制度がそのためにできておるというふうにも言えようかと思います。十分にその活用を図ってまいりたいというふうに考えております。
  73. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。広島県の場合は特に他の地区と変わっておりまして、温州ミカンの被害よりは中・晩柑類被害の方が非常に甚大であります。そういう特殊な地域であり、しかも被害金額というのは全国七百七十八億の中で百十四億を占めるというような、非常に被害甚大、激甚災を受けた地域でもありますので、農水省といたしましても、この対策については、これからさらに五月期に入っていかなければ最終的なことも判明しないでありましょうけれども、ひとつ十分なる対策を立てていただきたいと思うのであります。  それで、この災害予算というようなものは、これはもう御存じのとおり、こんなものを議会が否決いたしましたら不信任と全く同じことなのでありまして、だれもこれを否定する者はおりません。ひとつ勇気を出して、農民の要望につきまして前向きに十分取り組んでいただきますよう重ねて要望を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  74. 池端清一

    池端委員長代理 木間章君。
  75. 木間章

    ○木間委員 私は、この五六豪雪と市民生活の各般にわたりまして、この機会に発言をし、そして議論を深めたいと思うのであります。  その先に、今度の五六豪雪につきましては、いち早く、政府、各省も、そしてまた、衆議院、参議院とも、災害対策特別委員会委員長以下各委員におきましては、被災現地を訪れられ、そして今国会中にいろいろの諸制度を見直す、そういった中では新しい制度もつくって、積極的に被害の救済に対応されたことに対しまして、この機会をかりて、雪国の一人として敬意を申し上げるところであります。  そうは言いながら、まだまだ国民生活全体の中には数多くの問題が残されておるのであります。時間はきわめて限られておりますので、私も簡潔に質問を申し上げ、各省庁の答弁も簡単にお願いを申し上げたいのであります。  まず初めに、文部省の方がお見えになっておると思いますが、二月二十日の建設委員会でも取り上げられたところでありますが、この豪雪時に対するいわゆる小中学校の建物の除雪事業に対する補助制度、あの法制度の発動をされたのかどうか、そして今日の現状をお尋ねしたいのであります。
  76. 福岡純一郎

    福岡説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生お話にございました、今度の豪雪によります公立の小中学校の建物等の除雪事業に対します補助につきましては、昭和三十八年に制定されましたいわゆる公共施設除雪法の適用を受けるというふうに考えておりますので、現在豪雪指定の政令を公布するように、関係省庁と協議中のところでございます。  また、今回の豪雪によります小中学校の建物等の除雪事業の実態につきましては、現在調査を進め、集計を進めているところでございます。
  77. 木間章

    ○木間委員 政府におきましても、この五六豪雪につきましては、すでに激甚法の発動あるいは天災融資法の発動も行われておるところでありまして、被災地の自治体におきましては、一日も早くこの手だてをされるように望んでおりますので、早急にこの制度の活用を要請しておくところであります。  この機会に、いま一つ、積雪寒冷地帯における学校施設の問題についてお尋ねをしたいのであります。  つまり、積雪寒冷地域の学校建築につきましては、義務教育諸学校施設費国庫負担法、この中で、いわゆる面積当たりの加算あるいは建築単価の加算の加給制度が実施されておるところであります。これをよく調べてみますと、一級地、二級地、そしてその他の地域ということで、きわめて大ざっぱに区分をされておるやにうかがい知れるところであります。ところが、今日、自治省を初め各省庁におきましての積雪寒冷地帯に対する対応につきましては、あるいは六等級制、八等級制と、かなりきめ細かく対応されておるところでありますが、まずこの文教施設に対する区分のあり方について、私は、現実の実態の中に照らして大きな隔たりがあるんじゃなかろうか、このようにかねがね思ってきたところでありますが、この区分の持ち方についての文部省の考え方をお尋ねしたいと思います。
  78. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 義務教育諸学校施設費国庫負担法におきまして、いま先生お話しのとおり、積雪寒冷地区分は一級、二級とその他に区分されているところでございます。この指定基準は、それぞれ平均気温であるとかあるいは積雪量であるとか、そういうことで当然決まっているわけでございますが、地方交付税法の場合の級地の区分と違いますのは、私どもの方は、当然ながら施設の区分でございます。施設についての問題でございます。  それで、積雪寒冷地においてなぜ寒冷地補正として面積を加算するかといいますと、これは積算の上では、一般地域と比べまして、たとえば渡り廊下ですね、これも吹き抜けではなくて、すべて屋根から窓全部を包んだものとしての渡り廊下、そういうものが一般地域に比べて絶対に必要であるということ、それから冬季間には雪に閉ざされるわけでございますから、児童生徒が休み時間等に、プレイスペースと言っておりますが、児童等が体育をするというような場所が少ないというようなことで、こういうものも一般地域に比べて多くとる必要があるというような、そういう事情をしんしゃくいたしまして、一級地におきましては大体一四%程度、二級地はその半分でございますが、七%程度の面積の加算をしているわけでございます。  これはそういう施設の点でやっているということでございますので、たとえば渡り廊下を積雪のぐあいによって六等分にするとか、そういうことはちょっと実際問題として実情に合わないということで、これは経常経費に対する補正と違う点ではないだろうかというふうに考えております。  この制度は、昭和二十八年、現在の法律以前の法律のときから施行されておりますので、約三十年近くこういうふうにやってきておるわけでございます。おおむね、この級地区分そのものについてこれを変えるべきだというような御意見はいままでのところは出てこなかった、いわば安定している制度として私どもは考えていたところでございます。
  79. 木間章

    ○木間委員 いま課長の方から、安定しておるというふうに御発言もあったわけですが、私はそれはノーと言わざるを得ないのであります。  と申し上げますのは、今度の五六豪雪に際しまして、特に富山、石川、福井、この地域は全県的に雪に埋め尽くされたのは御案内のとおりであります。この制度の欠陥からでしょうか、たとえば富山県の場合に限って申し上げてみますと、この区分から申し上げて本当の山間地といいますか、すぐ山の下は二級地等に合致をするわけでありますが、あと、富山市にいたしましても高岡市にいたしましても、全く無縁地になっておるところであります。つまり温暖地帯と同じような形になっております。勢い、学校改築あるいは新築をする場合に暖房設備を設けることができない。つまり、もし設けようとするならば市単事業でやらざるを得ない。つまり超過負担でやっておるのが今日の現状であります。この北陸の豪雪地域が、あるいは全国的にも国土の二分の一を超える豪雪地帯がこういう形で処理をされておるということは私はなかなか理解ができない、このように思っておるところです。  いまも御発言があったように、三十年以前の制度が今日続いておるところに私は問題があるんじゃなかろうか。特に、一般家庭におきましても現在では暖房が整い、あるいはまた、いろいろの消費施設につきましてもそのような状況下の中で、今日、富山県の小中学校は三カ月から四カ月間絶えず教室には暖房を入れなければならない、また新築、改築する場合には先ほども言いましたように集中暖房といいますか、それらの設備をやっておるわけでありまして、私は、この制度につきましては、他の官庁の諸制度と同じようにきめ細かくやられる必要があるんじゃなかろうか、このように思っておりますが、それはいまの文部行政運用の中でなじんでおるんだ、こういうことでは私は納得できないのでありまして、御決意を含めて、もう一度答弁を求めたいところであります。
  80. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 ただいま申し上げましたのは、先生も御指摘がございましたように、国庫負担法に基づきまして行われている寒冷地補正における積雪寒冷地の区分の問題でございまして、これは、いまも申し上げましたように基準面積にかかわる問題でございます。それだけが、法律といいますか法令に決められた直接の効果でございます。  いまお話のございました中央暖房装置に対する補助対象にできるかできないかの問題、これは別の問題として私どもは考えておりまして、確かにいままで前年度までは、中央暖房装置に要する経費について補助対象にするかしないかの区分を、この積雪寒冷地にあるかないかということで区別をしてきたわけでございますが、いまお話しのございましたように、最近の中央暖房化の実態といいますか実施の状況を見ますと、必ずしも積雪寒冷地であるかどうかということで判断をすべき問題ではないだろうということもございまして、これをもう少し対象地域を拡大する必要があるのではないかというふうに考えた次第でございまして、現在検討中ではございますけれども、たとえば北陸のようなところで積雪寒冷地に入っていないところであっても、中央暖房をする場合にはそれを補助対象にするという方向でことしから検討していこうということで、その方向につきましては、つい最近でございますが関係課長会議がございまして、その席で私からその方針を申し上げたところでございますので、そういう方向で検討させていただきたいと思います。
  81. 木間章

    ○木間委員 この国庫負担法には面積的なものと平方メートル当たりの基準単価の面とがありますので、適確に現状に即したような制度化を求めておきたいところであります。  また、この機会にいま一つお尋ねをしたいのでありますが、この豪雪に際しましては、それぞれ雪から守ろう、こういったことで、建物の除排雪が果敢に行われてきたところであります。新たに改築、新築をしようとする建物の屋上には消雪、融雪の工事が国庫補助対象として可能なわけでありますが、現在すでに完成しておる学校施設につきましては実はこれらの方途がありません。これもいまの法律との関係から、建築基準単価の中の加算でありますから、既存の建物についてはないように見受けられるわけでありますが、しかし、御承知のとおり別の方法もあるとは言いながらなかなかこの発動も至難なようであります。したがいまして、この積雪地域につきましては、すべからく既存建物に対する消雪、融雪の装置をつけたい、つけるべきだという地域の要請も高まっておりますが、これに対する文部省のお考えをただしておきたいと思います。
  82. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 消雪設備の工事の補助対象化の問題でございますが、これは先生いまおっしゃったとおりでございまして、義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づいて公立学校整備費の事業をやっているわけでございますので、この法律はあくまでも建物の建築工事について補助を行っているという制約がございまして、建物の建築工事がなくて、全く別個にいろいろな諸工事が行われるというものにつきましては一般的に国庫補助制度がございませんので、いまの既設校でこれだけやるという場合の補助対象化というのは、現在のたてまえを超えることになりますので、大変困難でございます。  しかし、豪雪地帯から強い御要望がございまして、こういうものについてもできるだけ補助対象にしてほしいということがございますので、これも、本年度の補助執行に当たりまして、できるだけその御要望に沿おうという観点から、従来は消雪設備の施工の範囲というものをかなり限っていたわけでございますけれども、ことしからは学校のキャンパス内に行われるものについてはほとんど全部、できるだけ広く対象に含めようという方向で検討してございまして、現に各市町村計画中の工事もいろいろヒヤリングをしているわけでございますが、その中ではほとんどの部分が何らかの工事をしていただくということでございますので、補助対象になるのではないかというふうに考えている次第でございます。  何分、たてまえというか制度の制約がございますので、大変むずかしい問題だということでお答えせざるを得ないわけでございます。
  83. 木間章

    ○木間委員 制度の制約がある、こういうことでありますが、それは三十年以前に今日のこのようなことを想定せずにできたもの、私は端的にこのように申し上げるわけであります。したがいまして、いませっかく見直す時期も迫っておる、すでに対応しておる、こういうことでありますので、ぜひそれらも含めて、これからの新しい制度をつくっていただくように要請をしておきたいと思います。  次に、道路付属物の災害復旧関係について建設省にお尋ねをしたいと思うのでありますが、先般、この豪雪地帯に対する市町村道の除排雪の事業につきまして予備費の支出等をやっていただきまして、心から敬意を申し上げておるところでありますが、その雪が消えていま見ておりますと、全県的にあるいは全域的にかなり広い分野で、道路の付属物が災害を受けておるわけであります。たとえばガードレールあるいは道路標識、カーブミラー、街灯等々があるわけでありますが、この復旧について今日どのように建設省はお考えになっておるのか、所見があれば承りたいと思います。
  84. 川合恒孝

    川合説明員 今冬の豪雪によりまして道路の付属物関係が相当被害を受けているというこの実態につきましては、現在調査中でございまして、確たる数字は持っておりませんが、この付属物の中でも特にひどいと思われますガードレールにつきましては、公共土木施設国庫負担法の対象とするということで方針を決定いたしまして、現在その手続を進めているところでございます。
  85. 木間章

    ○木間委員 ガードレールについての今日の対応を披瀝があったわけでありますが、先ほど言いましたように、そのほかに道路標識等々たくさんあるわけです。特に富山県の場合には道路標識だけで六万本今日配置をされておりますが、私は全部について手直しをしなければならない、このようには申し上げませんが、しかし、今度の豪雪は一度ならず二度ならず、しまいには緊急避難と申しましょうか、道路付属物を押しつぶしての除雪、排雪にならざるを得なかったところであります。したがいまして、各豪雪地域の市町村では、いまその復旧に大変困惑をしておるというのが現状であろうと思います。  ですから、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この法制度ができたのも、先ほど文部省の方からお話があったようにかなり以前です。昭和二十六年にこの法が制定をされております。したがいまして、今日の車社会を想定しなかった、できなかったという現状下でこの法が制定をされたものでありましょうから、勢いこれらについての対応は私はできていない、このように申し上げざるを得ませんし、今日の建設省対応もそのように私は受けとめておるところであります。  したがいまして、雪国は例年降雪を見ますし、そしてまた十八年か二十年に一回は大災害を受けるところでありまして、いまようやく雪に対しても災害メニューの大きな一つとしての対応をされたわけでありますから、この機会にこれらの道路付属物諸施設についての対応を求めたいのでありますが、重ねて答弁をお願いをしたいと思います。
  86. 川合恒孝

    川合説明員 道路付属物に対する災害復旧事業につきましての国庫負担法の対応ということでございますが、従来、この取り扱いにつきましては維持の範疇に属するということで、負担法の対象になっておりませんでした。しかし、今冬の豪雪に伴いましていろいろ大きな災害が出ているということでございますので、特に、現在のところ非常に大きなウェートを占めておりますのがガードレールというか、さく類でございます。この分につきまして、今度特例といたしましてこれを取り扱ったという処置をしたわけでございます。あとの付属物関係は、現在のところまだ報告は受けておりませんが、この原因が、除雪のための車で起きたものであるかというような問題もございますので、今回は特に、自然的な外力によりますガードレールにつきましての処置をとったという次第でございます。
  87. 木間章

    ○木間委員 雪国の雪が消えた後の対応というのは、たとえば路面に横断のための歩道のラインが引いてあります。あるいは、府県ごとにさまざまなアイデアをこらしてのスピード制限等々の道路標識もなされております。雪国の経験では、雪が消えますと、再度このラインの引き直しから実は始まるわけでありまして、そういった意味では、今度の五六豪雪は、道路の標識のみならず、付属物全体についての手だてがいま要求されておるところであります。また、この国庫負担法を見ておりますと、第六条では「適用除外」として一カ所の工事費用があるいは都道府県においては十五万円、市町村については十万円に満たないものはやらない、このようにもなっておるところであります。確かにポール一本は十五万なり十万はしないわけでありますから、私は、この法そのものが今日の雪を想定していない、また車社会を想定していないということは先ほど言ったとおりであります。また、この法の第二条では、災害の定義を行っております。今日の災害基本法ではすでにメニュー八品目を列記しておりますが、この法では残念ながら五項目しかとらえていない。暴風、洪水、高潮、地震、その他、このようになっておるところでありまして、私は、もともとこの負担法そのものが、今日的な状況から見ますともう時代的に合っていないのではないだろうか、このようにも伺っておるところであります。いまガードレールについては何とか前向きにやっていこうという御決意のようでありますが、この法全体を照らして、あるいは新しく織り込むなり、あるいは新制度をつくるなりしながら、この豪雪に対する問題の処理を求めたいのであります。時間的な制約もありますので、このことを雪国の一人として強く要請を申し上げておきます。  それから、同じく建設省に申し上げたいのでありますが、雪寒道路法の関係でございます。  先ほど言いましたように、今次災害に際しましては積極的に取り組みをいただきまして、予備費の支出等もお骨折りをいただいたところでありますが、まだまだ残念ながら、市町村道でも、生活道路と私どもは表現しておりますが、すぐ横の小路等については手だてはされていないようであります。つまり同じ市町村道でも、市町村の中の幹線道路といいましょうか、国道、県道に接続する道路についての手だてはされたわけでありますが、市民生活に最も関係の深い生活道路についての対応はまだできていないところであります。  そこで、この雪国の悩みといたしまして、何とか無雪害都市づくりを進めようということもいま大きな課題になっております。たとえば流雪溝を設けるとかあるいは消雪工事を進めるとか、これらの工事にいたしましても、雪寒道路法では生活道路が対象になっていません。したがいまして、市町村道の中でも幹線的な道路については機械除排雪ができるわけでありますが、しかし路地裏については機械も入らない、道路の幅員等々の制限もありまして車が入らない、そういったところには積極的に流雪溝なり消雪工事を進めるべきではないだろうか。しかし、いかんせん、これらが国庫補助対象になっていない実態があるわけであります。ですから、私は、車の入るところは入るところで機械に対する助成事業でやっていただく、車の入らない路地裏等については消雪、融雪の工事をやっていく、そのためにも国は財政的にめんどうを見る、こういう雪寒道路事業の運用をやってもらいたいと思いますが、これに対する所見をお尋ねしたいと思います。
  88. 萩原浩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  先生からただいま御指摘いただきましたように、市町村道におきます流雪溝であるとかあるいは消雪パイプの整備というものは、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づいて補助させていただいているところでございます。したがいまして、この法律の目的が道路交通の確保ということに一つはございます。  御指摘の裏通りの生活道路の問題でございますけれども、これは沿道の家屋の屋根雪処理というものが非常に大きな比率を占めるものでございます。したがいまして、地域全体の除排雪としてとらえる必要がございますので、屋根の構造であるとか、家屋の配置、道路の構造、それらを含めた雪に強い町づくりという観点から研究をする必要があるのではないか、こういうふうに考えております。  私どもも、建設省の中にそういうプロジェクトチームをもちましていろいろ検討を開始していこう、こういうふうに考えているところでございますが、この点につきましては、国土庁におかれましても、モデル事業として各地で実態があるようでございます。そこら辺を参考にしながら、もう少し大規模に事業を進めていけないかどうかということで、別の観点から考えているところでございます。
  89. 木間章

    ○木間委員 時間が参りました。まだ申し上げたいところもございますが、正直言って、今度の五六豪雪をお互い経験いたしまして、三八豪雪の経験が必ずしも生かされていない。ですから、今度こそきちっと対応をしておかないと、いつ災害が来るか、来たときにお互いにあわててはいけないわけでありまして、いま、文部省にいたしましても建設省にいたしましても、それなりの前向きの姿勢が見られるわけでありますから、高く評価しながら、次の災害に備えての万策をぜひ打ち立てていただきたいことを訴えまして、私の限られた時間の御質問を終わらせていただきます。  どうぞ、これからもがんばってください。よろしくお願いします。
  90. 池端清一

    池端委員長代理 横手文雄君。
  91. 横手文雄

    横手委員 きわめて短い時間でございますので、私は一点だけお伺いを申し上げたいと思います。  今回の豪雪によりまして多くのところで被害が出てまいりました。そして、それなりの対策がとられてきたわけでございますが、その中で、自動車の販売業者のところにも大きな被害をもたらしたのでございます。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕 特に、ここの場合には商品がいわゆる露天に並べてあるわけでございますので、積雪は商品にもろにかぶってまいります。したがいまして、その被害も大変大きなものになってしまいます。  そこで、特に私が御質問を申し上げたいのは、これは年末の雪でございましたので、それぞれ正月に向けて新しい車を買う人たちもたくさんおられたわけであります。そこで、あるお客様が自動車を買われる、そして代金が納入をされる、その自動車を、販売業者がまだお客様のお手元に届けずに、自分のところでお預かりをしていた、そこへ雪が来た、これが福井県で約百台と聞いております。これの除雪をいたしましてお客様に届けなければならないわけでございますが、このうちの三十台はついにお客さんのところにそのまま新車としてお届けすることができなかった、したがって販売業者は新しくほかの車をお客さんのお手元に届けなければならない、こういう現象が起こったわけであります。これは仕方のないことでございましょう。そういったときに、実は税金の関係についてであります。  御承知のとおり、自動車を新しく買いますと重量税、自動車税、取得税、この三つの税金がかかるわけであります。したがいまして、購入をするときにはその三つの税金を納めて購入をいたします。そしてナンバープレートがつけられる。これがだめになってしまった。だから新しい車をお届けしなければならない、こういうことに相なります。そうしますとまた税金が三つかかります。そこで、お届けすべき自動車がだめになったわけでございますので、ナンバープレートを外します。登録を抹消するわけです。そうしますと、自動車税と取得税は返ってまいります。したがって、新しくお届けする自動車については税金がかかりますけれども、前の車を廃車したときに返ってきた自動車税と取得税をそのまま乗せますので、これはパーパーということになります。ところが、重量税だけは返ってまいりません。そうすると、お客さんにその販売業者は新しいお車をお届けするとき、すでに代金をいただいておるわけでございますから、新しくまた重量税をもらうというわけにまいりません。そうなりますと、必然的に販売業者がその税金分を負担してお客様にお届けしなければならない、こういうことが起こってくるわけでございます。  冒頭にも申し上げましたように、商品は露天にさらしてあるわけでございますので、販売業者は他の業界以上に被害を受けた。一方では除雪の補助についてお願いをしたり、あるいは運転資金が行き詰まってしまった、だから特別の融資を認めてもらいたい、あるいは限度額を上げてもらいたい、こういうことで一生懸命になっておるわけでございますけれども、一方ではそういうことで税金の二重取りがされておるようなことが起こってくるわけでございますけれども、この点について運輸省、この事実関係と、それから考え方についてまずお伺いを申し上げる次第であります。
  92. 小池公雄

    ○小池説明員 お答えいたします。  事実関係につきましては、同様なことを私ども承っております。  運輸省の考え方、こういうことでございますが、私どもは、陸運事務所におきまして、重量税法第十一条によって検査証等を交付いたします場合に、重量税につきまして納付の確認を行っているわけでございますが、御質問のような二重取り云々、こういうような税制上の問題につきましては、どちらかと申しますと、私どもよりはむしろ税務当局の考え方によっていただきたいと思うわけでございます。  ただいまお話にありましたような事案につきまして確かに私ども要望を受けておりまして、私どもも、自動車販売業界を所管しております立場から税務当局と相談いたしたわけでございますが、何分現行法上は困難である、こういうことでございます。
  93. 横手文雄

    横手委員 さらに、したがってこの自動車はもうお客さんにお渡しするわけにまいりませんので、一遍ナンバープレートを外して、新しいのをお届けする、そのときには重量税をその業者が持つ、こういうことなんですね。しかし、この自動車を完全に廃車するか、あるいは手直しをして、新車としては売れないけれども、中古車ということでもう一遍起き上がらしてこれを販売する。そのときに再び税金が三つかかるわけでございますが、これは重量税も同じように取られるシステムになっておるわけでございますか。
  94. 大山綱明

    ○大山説明員 お答え申し上げます。  一たん廃車されまして、また新たに車検を受ける、そういう場合には、その時点において自動車重量税をお払いいただくということになろうかと存じます。
  95. 横手文雄

    横手委員 この点について業界の方々から運輸省に対して再三の陳情が行われたということを聞いておりますし、いまその御説明もあったわけでございますが、運輸省としては、これはまことに理に合わないことだということで、税務当局にも何遍かけ合ってもどうしようもないことでございました、こういうことなんでございますか。
  96. 小池公雄

    ○小池説明員 お答えいたします。  私ども、重量税の納付の確認ということを行っております場合に、いかにもお気の毒な場合がある、こういうことで御相談申し上げているわけでございます。
  97. 横手文雄

    横手委員 お気の毒な状況であるということだけなんでしょうかね。運輸省としては、直接うちへ来られてもということかもわかりませんけれども、しかし、業界の皆さん方にしてみれば、わが業界の監督官庁は運輸省である、だから困ったことがある、あるいは矛盾したことがある、そういうときには運輸省を窓口にして陳情を繰り返していく、これは当然のことであろうと思うわけであります。そういうことで繰り返し陳情がなされておるというぐあいに思うわけでございますが、それに対応する運輸省の考え方はどうなんですか。
  98. 小池公雄

    ○小池説明員 お答えいたします。  この重量税の還付の問題は、今回の災害時に限らず、確かにかねてから関係業界に声があるわけでございますが、その還付を一体どのように行うかというような方法論について問題点が多々ございますし、また税法の法理論との関係がございましてなかなか前へ進まない、こういうことでございます。
  99. 横手文雄

    横手委員 大蔵省にお伺いをいたしますけれども、いま運輸省からも述べられたようなことなのでございます。  廃車をする自動車に対して税金をかける、そしてほかの自動車税、それから取得税、これは地方税ですが、廃車する場合に、乗っていなければ条例によってこれを日割り計算で返すとかいうことのようでございまして、何遍も申し上げておりますように、せっかく売った車がだめになった、そして新しい車を届けなければならない、そのときに、一遍税金を払ってもらったわけでございますので、これからの分を乗りかえてそれで終わりにしましょう、こういう便宜が図られておるわけでございますが、重量税に限ってそのことが行われないということは、一体全体どういうことなんでしょうか。
  100. 大山綱明

    ○大山説明員 事実関係は、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、自動車にはいろいろな税がかかっております。自動車税、軽自動車税、自動車取得税、重量税等々でございますが、それぞれの税にはそれぞれの性格がございまして、たとえば自動車税、軽自動車税でございますと、これは保有に対してかけるという税でございます。したがって、所有権者にとっての保有という事実がないという状態になりましたら、これはもう税金をお取りする理由がなくなるわけでございますから、その保有していた期間だけ税金をいただく、こういうことになるのだろうと思うのでございます。  それからまた、取得税についても、地方税でございますけれども、何か自動車に瑕疵があるというようなことで、取得という事実が解消されるというようなことになりますとそれをお返しする、こういうような法制をとっているということかと存じます。  国税である重量税でございますが、これは私ども権利創設税というちょっとめんどうくさい、ややこしい言葉で呼んでおりますが、これは、自動車が車検を受けることによって走行が可能になるという法的な地位あるいは利益を受ける、こういう点に着目してかけられる税である、こんなふうに私ども税理論上は整理をいたしております。したがって、車検を受けることによってそういう法的な地位が生ずるわけでございますが、こういう法的地位を得た以上は、という言葉遣いをいたしますとややきつい表現でございますが、そういう法的な地位を得た以上は、そこで一たん税金をちょうだいいたしますというのが自動車重量税でございますものですから、一たんそういった法的な地位を取得されましたらもうお払いをいただく、したがってお返しはできないということでございます。  類似の税として登録免許税というのがございますが、たとえば家を登記などなさいますと登録免許税をお払いいただきますが、これなんかも同じような性格の税でございまして、その直後に雪が降って家がつぶれたとか火災が起きたとかいう場合にも、お返しをするような制度にはなっておらないわけでございます。  こういった税の性格から申しまして、私ども、いま御指摘のような事態は大変お気の毒だという認識は持っておるのでございますが、お返しするような制度を仕組んでいないのでございます。御理解をいただければありがたいと思います。
  101. 横手文雄

    横手委員 残念ながら御理解をというわけにいかぬのでございますが、それでは、この矛盾は一体どういうことなんでしょうね。この車がそういうことで商品にならなかった、廃車した。これは完全に壊れたわけじゃない、新車としてお買い求めになったが、新車としてお届けすることができなかったということなんです。したがって、これは一たん工場に帰りまして、そのゆがんだ部分を直して、また新しく新車として売れるのかどうか、あるいは中古車で売るのか、その中間で売るのか、これはいろいろのルートがあるだろうと思いますが、同じものにもう一遍税金がかかってくるというこの矛盾はどういうことなんですか。
  102. 大山綱明

    ○大山説明員 ただいま御指摘の点でございますが、損傷の程度が余り大きくないような場合には、あえてそれを廃車をしていただく必要はないのだろうと思います。したがいまして車検はそのままにしておく、したがって自動車重量税も一たんお払いいただいたままにしておく、そういった状態で、また工場か何かに入れて直してそしてお出しいただく、そういう場合には二重取りということはないのでございまして、したがって、そういった軽度の損傷であっても廃車をなさるかどうか、これはディーラーの御判断だと思いますけれども、廃車をなさらなければ自動車重量税を二度ちょうだいするということにはなってないわけでございます。
  103. 横手文雄

    横手委員 自動車販売業者はこの車をお客さんにお届けすることができない。したがって新しい自動車をお届けしなければならないわけですね。これは新車です。そのときに新たにナンバープレートをもらう。登録をするわけです。そのときにまた三つの税金がかかってくるわけですね。廃車しなければ自動車税も取得税も返ってこないのであります。そうですね。だから、おたくの御指摘のように、すぐ直すのならそのままにしておいて新しい車をまた買ってもらえばいいじゃないか、こういうことにならない。そうすると、その人はまた三つの税金を払わなければならないことになるわけです。それではどうしようもないですから、これを一たん廃車にするわけです。そして、自動車税と取得税はこちらの分からこちらへ乗りかえて、そしてお客さんにも新しい値段といいましょうか、その税金をつけた値段でもってはもらわない、もうすでにお金をもらっておるわけでございますので、そのままお届けする、こういうことなんですね。自動車重量税だけが残って、そしてもう一遍修理して立ち上がらしたときには再びこれがかかる、こういうことになるわけなんです。そういう矛盾があります。
  104. 大山綱明

    ○大山説明員 ただいまの御指摘の点で、自動車税、自動車取得税が、いまのような若干の手直しでもいいような場合に、廃車をしなければ返ってこないのかどうか、その点について、私、地方税でございますので必ずしもつまびらかにいたさないのでございますが、むしろそういうような制度になっているといたしますれば、そういったものに私どもの自動車重量税の方が逆に引っ張られるというのはいかがかなという感じが、感想としていたすわけでございます。  繰り返しになりますけれども、自動車重量税の場合には、手直しをすれば済むというものでございました場合には、廃車をなさらずにそのままの形で、それは新車を求めるお客様に売るわけにはまいらないかもしれませんが、いわば中古的なものとして別の方にお売りになるならば、同じ車について二度取られるということは発生いたさないのではないかと思います。新しい車をお渡しになる場合に、新しい車について自動車重量税がかかるという事実はそれはそのとおりだと思いますが、若干の手直しをすれば使えるというようなものについて、廃車をして出直しをしていただくというようなことには私どもの法制だけから申しますとなっておらない、それがあるいは地方税の方の制度から引っ張られてくるかどうかについては、私、実は不勉強でちょっとよく承知していないところでございます。
  105. 横手文雄

    横手委員 大変大事なことだと思いますので、運輸省にもう一遍お聞きをいたします。  いま私が申し上げたようなこの事実関係ですね。この車がもうだめになったんです。しかし、これはお客さんにお届けするばっかりだったのです。ところが、雪にかぶって新車としてお渡しできない、だからそのかわり新しい車をお届けをするわけです。もうすでにお金をいただいておるわけでございますから、したがってこれの税金分は、これを廃車しなければ取得税あるいは自動車税というものはこちらからこっちへ乗せることはできない、こういう事実関係、それはそういうことですね。
  106. 小池公雄

    ○小池説明員 お答えいたします。  税制については私ども所管外でございますが、自動車税につきましてはその保有にかかっておりますので、廃車しました残りの分が返ってくる、こういうことになっておろうかと思います。ですから、登録しましてから抹消までの間に何日か、月がわりがありますとその分は課税される、こういうことになっておろうかと思います。  取得税につきましては、その取得にかかわるものでございますが、その取得からたしか一カ月以内に、いろいろ不ぐあいがありまして返品されるような場合がございますと、その場合には取得税は還付される、こう聞いております。
  107. 横手文雄

    横手委員 大蔵省、お聞きのとおりなんですよ。ですから、これは一カ月たったとかそういう日にちはもうないわけでございますので、ほとんど間隔がないというぐあいにお考えいただければいいわけです。これをお届けすることができないからこっちの車をお届けするわけです。これを廃車しなければ、お客さんにもう一遍税金を三つとも持ってもらわなければならないわけでありますね。いいですか。この金はすべてもう支払いが済んでおるわけですから。そうですね。これがだめになったものですから、新しいお車をお届けする、そうすると、もうお金が済んでおるのですから、お客さんにしてみればかわりの自動車が来るだけのことでございます。この登録をそのままにしておきますと、新しい車をお客さんにお届けするときにまた三つ税金をいただかなければならないことに相なります。それではどうにもなりませんから、これを一たん締めまして、そして、取得税とそれから自動車税についてはこの分をこちらに乗せて、そしてお渡しをするわけであります。ただ重量税だけが動いてこない。だから、これを販売業者が持たなければお客さんから二重取りになりますから、販売業者が持ってそのお客さんにお届けをする、こういう事実なんですね。ですから、少しぐらい傷んだのだったら、登録を抹消せずにそのまま置いておいて、また売れればいいじゃないかという発想とは全然違うということなんです。この点についてどうです。
  108. 大山綱明

    ○大山説明員 少々の傷みの場合であるかどうかということは別にいたしまして、結局この場合、問題は、自動車重量税あるいは自動車税、自動車取得税、その税の性格の違いということでお答えせざるを得ないのだと思います。完全に廃車をいたします場合には二重になるということは先生指摘のとおりでございまして、私どもそれが税制として適切かどうかということは、運輸省からもいろいろお話がございましたり関係者の方からも御陳情がございましたので、検討いたしましたのでございますが、やはり自動車重量税というものの性格上、一たん車検を受けられますとそこで新たな法的な地位、道路を走行し得るという法的地位が発生するんだ、そこに着目して税金をちょうだいするのだというこの税の性格からいたしまして、これにつきまして還付なりの措置をとることはできないものだということでございまして、内部でもいろいろ議論いたしましたけれども、その点は税の性格ということで御理解をぜひともいただきたいと思う次第でございます。
  109. 横手文雄

    横手委員 私は、もう時間が参りましたのでこれでぼつぼつ締めなければならないのでございますが、災害対策という形で特例的なものがつくれないものかどうかという気もするわけでございます。これは豪雪だけではございません。台風の場合もあり得ることなのでございますので、そういった気もするわけでございますが、そういう点を含めて、大蔵省の御見解を最後にお伺いいたしますが、いまこれを廃車しなければ新しい車をお届けできない、届けようと思ったら自動車税も取得税もまたもらわなければなりませんので、だからこれを一たん切ります、このことについては御理解をいただいたと思うわけですね。すると、これを一遍廃車して、そしてお客さんに渡して、これはもったいないわけですから、もう一遍立ち上がらせたときに、再びこの同じものに同じ税金がかかってくるということに対して、大蔵省は矛盾だとお思いになりませんかどうかということが一つ。  それから、いろいろ検討したけれどもいまのところはということでございますけれども、これは、私は、矛盾は矛盾として、そういった不合理なものに対しては今後改正をしていかなければならないということは当然のことだと思いますが、その点についての大蔵省としての御見解をお伺い申し上げたいわけであります。
  110. 大山綱明

    ○大山説明員 再度の繰り返しになって恐縮でございますが、私どもも内部でもいろいろと検討をいたしたのでございますが、やはり車検を受けるということによって一たん自動車が道路を走行するという法的な地位を取得する、そこに着目をした税であるということからいたしますれば、事実そういう法的地位が一たんは得られたものであるというものについて、災害とかそういった事実があるからと言ってそれをお返しするとかいうことにいたしますと、ほかの税目への影響するところも大きい。具体的には、先ほど申しましたような登録免許税の中に、たとえば家の登記をいたします、これが翌日に災害でつぶれたという場合にどうするかということ等々、いろいろ関連する分野も多うございますので、私どもとしてはなかなか踏み切れないというのが内部での議論の結論でございました。  再度繰り返し同じような答弁をいたしまして恐縮でございますが、現段階での私どもの検討の状況はさようなところでございます。
  111. 横手文雄

    横手委員 時間が参りましたのでどうしようもないわけでございますが、直接自動車業界をめんどう見ておられる運輸省としても、業界の立場から見ても、これはまことに不合理なことだという見解で税務当局に足をお運びになっているという事実があるわけでございまして、それだけ業界の皆さん方から見ればこれは何としても納得のできない問題だ、こういうようなのがまだこれからも続くことだろうというぐあいに思います。  きょうのところは大蔵省として期待をしたような御答弁がいただけておりませんけれども、私どもはこの問題についてさらに引き続いて大蔵当局に迫ってまいりたいと思いますので、さらに検討をしていただきたいというぐあいに思います。  終わります。
  112. 木島喜兵衞

    木島委員長 林百郎君。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、豪雪となだれによって人命が失われている問題、しかも豪雪というような特殊な条件のもとで作業を強制されまして、そのためになだれに遭って人命が失われているという問題について、労働省や国土庁また警察庁にもお尋ねしたいと思うのです。  去る三月二十五日、富山県中新川郡立山町の関西電力の黒部川の第四発電所で、発電所の取り入れ口の前面堆積土砂の除去工事に携わっていた労働者が、なだれ落ちた雪に巻き込まれて湖水に落ちて死亡するという事故が発生したわけなんで、昨日実は写真をお渡ししておきましたけれども、これは労働省としてもいろいろの通達を出しておるにもかかわらず、それが全く無視されている。ことに関西電力というような大企業がそういう通達を無視して、われわれが災害対策特別委員会でこういう雪害についていろいろ論議しているにもかかわらず、大企業はそういうようなわれわれの心配を無視して、自分の利益だけで仕事をしているということのために、労働者の命が落とされているという問題について質問をしたいと思いますが、このことについては、労働省は、私の方からもお知らせしておきましたが、事実をおつかみでしょうか。つかんでいるならその大略を説明していただきたいと思うのです。
  114. 小俣和夫

    ○小俣説明員 お答えいたします。  ただいまの災害の件でございますが、現地局から一応の報告は受けております。  その概要は、いま先生指摘のように、取り入れ口スクリーンの斜面に堆積いたしました雪が、取り入れ口の下部の流木あるいは堆積土砂を取り除く作業をしている労働者に当たりまして災害を起こした、亡くなられた、こういうことで聞いております。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 労働省は、ことしの豪雪で五十六年二月十七日に通達を出しているようです。各地に異常な大雪をもたらしておる、今後なだれによる災害等大規模な災害発生するおそれが十分考えられるので、三十二年十月二十四日付基発第八百十号「雪崩災害防止について」により指示したところであり、その徹底に努めるようにすること、ということがありまして、関係事業場に対する指導、業界・団体等に対する要請、さらには監督・指導の実施等管内の状況に応じ措置を講じられるよう、これら災害防止に万全を期するようにしてもらいたい、ことになだれについては「雪崩の発生のおそれのある地域の事業場に対しては、気象情報に十分注意するとともに、危険が予想される場合の監視・通報組織、避難方法等についてあらかじめ定めておくよう指導すること、特に危険が予想される地域における建設工事については、危険な時期における作業の中止を指導するとともに、関係発注機関に対しても、工期の延長措置等を要請すること。」、それから、そのためにそういう危険な「雪崩発生のおそれある地域内にある事業場又は寄宿舎において冬期作業を行い又は冬営を行うものを調査、は握し、努めて現地に臨みこれに対し監督指導を行うこと。」、こういう通達が出ておるわけですが、この通達が各事業関係者へ貫徹するような方法はどういう方法をとられたわけでしょうか。そしてまた、監督官を現地のこういう危険な工事をしているようなところへ派遣されたんでしょうか。
  116. 岡部晃三

    ○岡部説明員 なだれによる労働災害防止の問題につきましては、その絶滅を期するということで、先生ただいま引用せられました昭和三十二年の通達を初め、ことしも大降雪という状況にかんがみまして、再度徹底方について通達を行ったところでございます。この通達に基づきまして、各都道府県の労働基準局あるいは現地の監督署におきましては、管内の実情を踏まえまして監督・指導の実施等各種の行政指導を鋭意行ったわけでございます。  たとえて申しますというと、長野労働基準局管内の大町労働基準監督署におきましては、管内の建設業者、林業業者等に対する文書警告あるいは個別の指導も行っておりますし、あるいはまた県、市町村の発注機関に対する協力要請、あるいはまた各種広報の実施等を行っております。それから、富山労働基準局高岡署におきましては、建設業者に対する指導の実施、それから安全パトロールの実施等々を行っているところでございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 労働安全衛生規則の五百二十二条によりますと、「事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行なう場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。」とあるわけですね。従事さしてはならない。それから、やっている場合には中止を命ずることもできる。こういうようなこともあるわけなんです。  いま大町の方を言ったんですが、これは富山の魚津の方の労働基準監督署の管内なんで、係官がここへ行ったのかどうかですね。ということは、関西電力はすでに以前冬に七件も、そのうち黒四ダムの関係は三つほど事故が起きているわけですね。それで、関西電力の下請の島崎組としては冬の間に七件もの墜落死亡事故が起きているわけなんですが、こういう前歴があり七人もの人が死んでおるそういうところで、ことにことしのような豪雪の場合は雪を除去してやらなければならない、あるいはそのような危険な仕事をしている場合にはこれをさせないようにしなければならないというのに、これをさしているということについて、労働基準監督署としてはそれでこの通達が行き渡ったと言えるんでしょうかね。係官を見にやらしたんですか。前に死亡事故が七件も起きているわけですからね。
  118. 岡部晃三

    ○岡部説明員 本事故の現場につきまして、その当日労働基準監督官が行っていたわけではございませんが、ただいまのような作業中止等の、私どもいわゆる緊急措置命令と申しておりますが、これにつきまして、本年の豪雪につきまして、たとえば新潟局管内では三件の緊急措置命令を出しており、また長野局管内でも一件なだれの危険ということで中止命令を出しておるというふうなことで、そのときどきに応じまして機動的に行政措置を行っているところでございます。  本件につきましてはまことに遺憾な事故でございますけれども、何しろ非常に限られた数の労働基準監督官でございますので、他の業務も多く抱えておって、本件につきましては、その現場にたまたまおらなかった、そういう状況でございます。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 限られた人員だというのですが、たとえば大町の基準署と魚津の基準署には監督官が何名いて、その監督下に入る担当事業所は何カ所ぐらいあるのですか。
  120. 岡部晃三

    ○岡部説明員 お尋ねの長野局大町監督署は、監督官の数は三名でございます。それに対しまして適用事業所数は四千四百四十二カ所、適用労働者数は四万二千六十四名でございます。また、富山局魚津署は、監督官の現員が四名でございまして、適用事業所数は四千八百三十六カ所、適用労働者数は四万五千三百二人でございます。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 国土庁長官、人ごとじゃないんで、ちょっとお尋ねしますが、行政の簡素化とかなんとか言っていますが、いま事故の起きたところで、基準監督官が四人で担当事業所が四千八百三十六、これでは、四人で四千八百三十六の事業所を監督するには、一日に三事業所ぐらい見て歩かなきゃならない。これはとても無理ですね。行政簡素化もいいのですが、こういう人命を守るとかあるいは労働者の生命を守るというところの監督官というものは、むしろこれをふやして、こういう事故が起きないようなことをする必要があるんじゃないかというように私は思うのですけれども、減らすところはもっといろいろありますので、あなたと私とは見解が違いますが、たとえば自衛隊なんか何で毎年あんなにふやしていくのか、あるいは公安調査庁なんか何であんなにふやすのかわかりませんが、こういうところについては将来これをむしろその責任を果たせるように充実をしていかなければ、こういう事故を防ぐことはできないわけなんですが、閣僚の一人としてどうお考えになりますか。
  122. 原健三郎

    ○原国務大臣 私も労働省におりましたのでよく存じておりますが、労働基準監督官の数は、労働者や事業所に比して非常に少ないことはよく存じております。監督を強化するためには、もうちょっと人員をふやすことが必要だと思いますが、御承知のとおり、いまいよいよ行政改革の最中でございますので、ふやすことができなくても、少なくともこれ以上減らさないくらいのことはぜひやらなければならぬと思っております。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう消極的な考え方で、四人の監督官で四千八百三十六の事業所を監督するなんというのは、とても不可能だと思うのです。  そこで、これは写真をお渡ししてありますが、これは関西電力の発電の水の取水口、ダムに入っているところのその取水口で、材木だとかそのほかの雑物を排除する潜水夫の上になだれが落ちてこないように、それを避けるためのさくを結うわけですね、そのさくを結う作業をしている間に上からなだれが落ちてきて、作業員の一人がダムの中に沈められて死んでしまった。こういうことなんですけれども、こういうのは、発注者も、そういう事業をやらせるについて下請に十分な注意をする必要があると思います。  これは基準局にお聞きしますが、たとえば労安法の第三条に「注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。」、こういう規定があるわけですね。それから二十一条の2に「事業者の講ずべき措置等」として、「労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。」、こうあるわけなんです。  この場合は、こういう労働安全衛生法があるにもかかわらず、関西電力の現場監督人がいて、当時富山県の方の気象報告ですと、富山の方は全県に風雨、波浪、融雪、洪水、なだれ注意報が出ておるわけですね。黒四ダム付近には雨が降っているわけですね。上市町のその日の降水量は十二ミリメートル、長野地方気象台でも、全県に風雨な一だれ注意報があって、大町市の日報に一日の降水量は十二ミリメートル、こうあるわけなんです。  ところが、この関西電力の事業監督者がそこにいまして、これは名前も言ってもいいんですが、長谷川という監督人がいて、作業員が、きょうは危ないから、上からなだれが落ちてきそうだからといって、コンプレッサーなどにシートをかぶせていると、その関西電力の長谷川という現場監督人が「何をしているんだ、シートをとってやれ」と言うんで、仕方なく潜水夫は潜水した。潜水夫がダムへ入りますと、その潜水夫の上になだれが落ちてはいけないから、なだれ防止の作業をしなければならないわけですね。要するに、関西電力が「おまえたち何をやっているんだ、急いで仕事をやれ」というような催促をしている。ところが作業員は、当時の気象情報を知っていますから、当日は降雨がある、それから富山県ではなだれ注意報も出ている、長野県でもなだれ注意報が出ている、仕事をやめようとするときに、関西電力の現場監督が来て「お前たち何やっているんだ、やれ」と言って、仕事を急がしたということは、多くの人が聞いているわけですね。こういう場合に、関西電力の法律的な責任あるいは道義的な責任、そういうものはどういうようになるのですか。労働省にお聞きしたい。
  124. 小俣和夫

    ○小俣説明員 お答えいたします。  ただいまの御指摘の件でございますが、現場の労働者に関西電力の監督員がそういう話をされたという事実は、調査の時点では確認されておらないということが一つでございます。  それから、私ども、労働安全衛生法というのは、直接労働者を雇用いたします事業者に対する規制を主といたしております法律でございまして、御指摘の第三条の三項は、発注者に対しまして安全や衛生的でないような作業条件を付さないようにということでございまして、危険な条件を発注者が積極的に付さないことを第三条で望んでいるという規定でございます。  したがいまして、御指摘の点、現在そういう事実が認められておらないということが一つでございますし、法律的にいきますと、発注者については労働安全衛生法の範囲内では法違反というような問題は生じていないということでございます。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、あなたの方は、監督官をこの作業現場へ派遣して、そしてあらかじめ注意をしていたのですか。あなたの方が手抜かりしているのではないですか。それは人数が足りないと言えば、私の方も一応の納得をしますがね。そうしておいて、関西電力が事業を督促したということはまだ私の方は聴取しておりませんと言う。あなたの方で行ってみたのですか、現場監督がそこにいるかどうかということを。それを聞かしてください。これは魚津の監督署です。
  126. 小俣和夫

    ○小俣説明員 監督官は、事故の生じた後に現地調査に行っておりますが、関係者からの事情聴取をしている範囲でのことをお伝えしたわけでございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、どういう状態でそういう作業が行われているかということを監督官は見ておらないわけでしょう。たとえば安衛法の五百二十二条によれば、「事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行なう場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。」とあるんですよ。仕事をさせてはならないとあるんだ。それをあなたの方は見もしないでおいて、いや、関西電力の方で過失があったかどうかわかりません、そんなことが言えますか。
  128. 小俣和夫

    ○小俣説明員 私ども申し上げておりますのは、労働安全衛生法は事業者、いわゆる本件の場合でございますと、島崎組が労働安全衛生法によります規制の義務を履行する当事者であるということと、それから監督官が現地で現在まだ調査を調書その他で続行中でございますので、島崎組に対して嫌疑があるとかないとかということを申し上げる段階ではまだございません。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、人が一人死んでいるのに、ちっとも労働省は責任を感じない、そんないいかげんな答弁をしているなら、私は、せっかくさっき原長官に、基準監督官をもっとふやせと正義の情熱を持って言ったのだけれども、だんだん消えてくるね。  これは、「注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。」、「労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。」、注文者もやはり共同の責任があるんですよ。島崎組なんて地方の一土建業者だけの責任じゃないのですよ、これは。それを使っている関西電力にも責任があるんですよ。安衛法を見れば、至るところにそれがある。民法にも七百十五条にありますよ。だから、まず、それは島崎組を徹底的に調べることは結構ですよ、そういうなだれの危険がある、雨が降るという注意が出ているのに、島崎組がそういう労働者を使ったということに対してですね。しかし、それについて関西電力が「何をおまえたちはやっているんだ」と言ってくる。作業員は、もうコンプレッサーにシートをかけて「きょうはやめよう、危険だから」と言っているときに、長谷川という監督官が来て「何をやっているんだ」と言ってくる。これはもうたくさんの証人があるんですよ、私たちが現場調査をさせましたら。  それでは、これは、いまはあなたの方で調査していないにしても、将来はこの点を厳格に調査するつもりですか。あなたの方の決意を知らせてください。そんないいかげんなことでは、関西電力なんて大企業は、幾ら役所の方で通達を出したって、そんなものは踏みにじって、何をやったって構わぬ、どうせおれたちの大電力会社は政府に手が出せるものか、こう言われたらどうするのですか。
  130. 小俣和夫

    ○小俣説明員 現在、現地局署で調査をなお厳重に進めているところでございます。  ただ、先ほど申し上げました労働安全衛生法におきまする発注者に対する規制というものは、先ほど法律で先生お読み上げいただいたように、ああいう規定でございますので、私どもの労働安全衛生法では、直接的に労働者を使用いたします事業者に対する規制を主として行っているということを申し上げたわけでございまして、関西電力がけしからぬかどうかという問題は社会的にあるかもしれませんが、その点を私どもの法律の方で規制しているわけではないということを申し上げているわけでございます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 民法の七百十五条には、「或事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者ハ被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」と、民法にもこうあるんですよ。関西電力が逃れることはできないんですよ、民法上から言っても。そういうこともお知りですか。それとも、あなたの方の通達が無視されていることについて、関西電力も共謀して無視したかどうかということを、国会でこれだけ問題になったのですから、今後お調べになる意思があるのですか。それはもう向こうへやっておくのですか。島崎組という七、八十人の人を使っている土建業者だけに聞いていくだけなんですか。そこら辺をはっきり聞きたいんですよ。そうでなければ、どんな通達をあなたの方で出したって、大企業はどうにでも逃げていけるではないですか。  やはり労働省は、もっと労働者の安全のために、大企業がそれを無視するような疑いがある場合は、徹底的にそれを調査するのが労働省の任務じゃないですか。企業者の側に立つのが労働省じゃないでしょう。どうなんですか。
  132. 小俣和夫

    ○小俣説明員 いまの御指摘、私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたのは、法律的な問題といたしましては、労働安全衛生法に違反とか、そういうような問題が発注者には生じないということを申し上げているわけでございまして、労働災害防止する上で、発注者に果たしていただかなければならない役割りというのは、非常に重かつ大でございます。したがいまして、今度の災害の原因をいま現地局で十分調査いたしておりますが、その内容によりまして、発注者を含めて強く要請は当然いたしていくということでございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 私がこう言うのは、この黒四ダムの工事で、島崎組が関西電力の仕事を請け負ってから実は死んだ人が三人おり、事故が七件も起きているんですよ。そういう前歴があるのに、またこういう危険な仕事をして人が一人死んでいる。しかし、労働省では、関西電力の責任は問いませんということでは、これは直りませんよ。ことに、ことしのような特別な豪雪があってそういう危険がある場合、それを除去してやらなければならないというときに、島崎組の作業員の言うのには「関西電力からせかれてそれでこういう仕事をした、それでなだれが落ちてきた」と言うんですからね。これを労働省がそのままにしておくというわけにはいかぬと思うんですね。  参考までに警察にお聞きしますが、警察は、この問題について過失致死か何かで捜査をしていると聞いていますが、いまどういう捜査をしていますか、お答え願いたいと思います。
  134. 仁平圀雄

    ○仁平説明員 警察といたしましては、現場の実況見分を初めといたしまして、工事請負業者だけでなく、関西電力黒部第四ダム発電所職員等につきましても、工事作業の状況とか事故防止状況等、ただいま御指摘のような事項につきましても事情聴取を行っているところでございまして、事故原因の究明、刑事責任の有無につきまして鋭意捜査中というところでございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 労働省、わかりましたか。警察の捜査では、黒四ダムの発電所の関西電力の現場監督者の方にも、こういう死亡事故が発生したことについて何か責任があるかどうかということを、刑事的な観点で捜査しているわけですよ、結果はどうなるにしても。それを、労働基準監督署の方であるいは労働省の方で、それは安衛法に関係ありませんから、安衛法関係で何ら責任を追及するとか、取り調べだとか、あるいはその死亡事故にどういう関係があったかとか、私の方は関係しません、そういうことですか。それとも、今後少なくとも民法上の責任は、あなた方は専門じゃないから、それはいずれ弁護士が損害賠償のときにやるでしょうけれども、しかし道義的な責任、あなた方の通達が無視されているということについて関西電力に注意するなり、あるいはその事実関係を、そのときの事情をお聞きになる意思はありませんか。
  136. 小俣和夫

    ○小俣説明員 労安法違反云々ということにつきまして先ほどお答えしたわけでございますが、先生いま御指摘の点について調査を進めているということにつきましては、当然関西電力の関係者を含めて、災害原因の究明を私どもの役目としていたしておりますし、また、その結果、私どもの通達その他が無視されたということが明らかでありますれば、その点についての強い要請等は行うことは当然でございますが、すでに事故の起きたごとについて、発注者には要請はされているということでございます。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 長官最後にお聞きしますが、こういう私がいま言ったような事柄が、なだれに関係して起きているわけですね。労働省もそれなりの通達も出したり、現場にこれを徹底するように十分注意しろと言っているわけですね。だから、大企業をこういう災害から逃させることのないような、国土庁としても、豪雪やその他について今後いろいろな措置を講ずるでしょうが、そういう政府の行政的な目をくぐって、大企業だけが法治国としての人権を無視した行為をしないように、国土庁としても、国土と人命を守る行政庁の立場から十分な配慮をしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。それをお聞きして、私の質問を終わります。
  138. 原健三郎

    ○原国務大臣 御説、人命を守るということは、何も大企業だけではなくて、中企業も小企業も同じように、区別せずに、人命を最優先に第一義として尊重すべきものである、私はそういう方針でいきたいと思っております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  140. 木島喜兵衞

  141. 山原健二郎

    ○山原委員 寒冷によるミカン被害の問題について、短い時間ですが、質問をいたします。  愛媛県の実態につきまして、本委員会調査をされたことにつきまして感謝します。同時に、私どものところにも愛媛県からいろいろ被害実態並びに要請文も来ております。同時に、私の県は隣の高知県でございますが、県の方からの通知によりましても、たとえば温州ミカンが八三・一%の被害であります。土佐ボンタンが八九・一%、ポンカンが九七・九%、イヨカンが一〇〇%、ユズが七〇・八%と、被害の内容については時間の関係で申し上げませんが、こういう異常な被害を受けておるわけです。  それからもう一つ、果実を見ますと、一つはビワがございます。このビワというのは、室戸岬に至る室戸市の黒耳のビワと呼ばれておりまして、黒い耳と書いてありますが、非常に優秀なビワでございます。これが三十一ヘクタールありますが、これはもう一〇〇%壊滅状態になっております。この黒耳のビワというのは実は非常に大事にされておるものでございまして、国道の拡幅の場合にもあるいは鉄道の敷設の場合にも、このビワ地帯を避けるというような配慮のなされておるところでありますけれども、それが全滅に近い状態にあるわけです。こういう実態で、結局天を仰いで慨嘆をするといいますか、かつて中国には「メーファーズ」という言葉がありましたが、どうしていいかわからぬという、こういう状態が起こっているわけでございます。  この寒波被害一つの原因は、オレンジあるいはグレープフルーツ等の自由化の波に押されまして、寒波に弱い、危険性の高い品種への転換が行われたということ、ネーブルオレンジとかあるいはイヨカン、ハッサクあるいはわせ温州というふうなかっこうになっているわけでございまして、そういう意味で非常に寒さに弱いわけですね。  たとえば私の県などは、太陽を受けるところに根づいた状態ですから、根も浅いということで、寒さに弱いけれども、やむを得ずそうせざるを得ない状態に農民が置かれているわけでございますが、これが今度の異常な被害を受けたわけでございまして、こういう場合にどういう対策を立てるかということを、これは農林省にお伺いをしたいのですが、たとえば転換なり転作が現実に進むような責任のある施策というものが必要ではないか、また改植経費あるいは樹勢の回復のための肥料、農薬あるいは土壌改良への特別な助成などというものが当然考えられていいのではないかと思いますが、この点について現在どういうお考えを持っておるか、お伺いをいたします。
  142. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 一連の異常気象の中で、今回の寒波によりまして、柑橘を中心として果樹に大きな被害発生しておるわけでございます。  私ども、これに対しましては逐次打てる手を実施していく、こういう趣旨で、天災融資法の発動なり、あるいは激甚災害法の指定なりも実施いたしておるわけでございます。高知県もやはり激甚指定地域になっておるわけでございますが、さらに、共済金の早期支払いなり、あるいはすでに借り入れをしております貸付金につきましての償還条件の緩和指導なりというのもいたしております。  現在、特に樹体につきましては、非常に専門家でもなかなか見きわめるのがむずかしい状況がございまして、そのために、私どもも、現地に専門家をグループで派遣いたしまして、現地診断もやり、これにどう当面技術的に対応していくのがいいのかというふうな検討もいたしておるわけでございます。もうしばらく状況の推移を見ませんと、適切な対策措置というのはなかなか見きわめられない、非常に微妙な段階にございます。そういうことで、県なり、団体なりも、その辺の推移を十分に見きわめて、その上で、私どもも、そういった関係地元とも十分に意見調整をしながら、随時必要な対応もこれからも考えてまいりたい。  こういうふうなことで、打てる手を打ちつつ、さらに推移を見きわめて必要な措置もとっていく、こういう考え方でおるところでございます。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 努力をされておること、また現状の実態把握に努められておることもよくわかります。ただ、本当にこの異常な被害状況から見まして、これまでとられました対策、天災融資法あるいは激甚災害法によりまして、これはもう結局借金ということになるわけで、それだけではいかぬのではないかという声があるわけなんです。特に温州ミカンの転換によりまして品種更新をした場合、これがほぼ全滅的な被害を受けているわけでございますから、もう一度やり直すということも必要でございまして、それに対して何らかの政策的な体制をとる必要があるのではなかろうか。政策問題になってまいりますからこの場所で簡単にお答えになるわけにはいかないと思いますけれども、それが非常に要求されておるということは事実でございます。  それからもう一つは、いわゆる放任園の問題でございますが、これが今後周辺農家の田畑やあるいは樹園地に病虫害などが広がるおそれがあり、また全体の問題になってくる可能性もございます。その意味で、豪雪対策で森林被害にとられましたように、被害樹の撤去とか回収のための特別な制度も必要ではないか、たとえば長期低利の融資問題などを含めましてそういうものが探求されていいのではないかと思いますが、その辺はどういうふうにお考えになっているでしょう。
  144. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 現在の柑橘中心の果樹の状況を私どもも当初非常に心配をいたしまして、ほとんどのものが枯死あるいは枯死に近い状況になるのではないか、実はこんなふうな懸念も持っておったわけでございます。  それで、決していまはそれに比べれば心配する必要はないということを申し上げておるつもりではございませんが、その後の事態の推移を見ますと、大部分のものは何とか芽吹き始めておるし、また芽吹く状況になっているというふうな専門家の現地の知見もございます。そういたしますと、そのまま残し得る果樹はできるだけ残して収穫に結びつけていくというのが適切でございますし、それから、枯死という形でどうにもならないものにつきましては、これは確かに改植を進めることも必要でございますが、その辺の事態が、どれだけのものが本当に枯死をし、どれだけのものがどういう手段で生き残っていくのか、そういうあたりの見きわめというのが非常に大事だろうというふうに考えておるわけでございます。  御指摘のようにいろいろな必要性等につきまして私どももよく承っておりますが、何をおきましても、そこのところを見きわめませんと、現地も、本当に焦点をしぼって、こういう措置をこれだけやってほしいというふうに、現時点ではなかなか焦点がしぼり切れないということを関係県も申しておりまして、ここは私どもも一緒に、十分な技術指導を加えながら、そこら辺の推移を見きわめ、先ほど申し上げましたとおりよく話し合いをして必要な措置はとっていきたい、どういう性格のものが最も生きたものになるのか、そこのところはひとつ十分今後の推移を見た上で検討いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  145. 山原健二郎

    ○山原委員 今後の推移につきまして十分御配慮していただけるものと思います。また、私どもも今後の動きについて注意をしていきたいと思います。  果樹植栽資金というのが比較的利用しやすいという声がございまして、もうすでに御質問があったと思いますけれども、この利率が六・五となっておりますが、この利率を引き下げてほしいという要求が、これは和歌山の方からも出ておりまして、この点について伺いたいと思いますが、そういうことの要請にこたえるようなお考えがないでしょうか、あるいは検討してみるおつもりはないでしょうか。
  146. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 果樹植栽資金と申しますのは、これは災害を受けたものに対し、改植をし、あるいは高接ぎをする場合にのみ実は適用される制度でございまして、果樹の特性を考えて十年間の据え置きというふうな、ほかの資金から比べますと非常に特異な長期資金になっているわけでございます。  利率の設定につきましても、他の災害金融制度、これは農林関係のみならず、その他のものを含めてそういったバランスの上に実は形成されておる利率でございまして、これ自身直ちに引き下げるのが適当というふうなことは申せませんが、今後の推移を見まして、また資金需要がどれだけあるのか、それから、それに対し適用した場合に金利問題がどう影響が出るかというふうなことも、今後の問題としては確かに絡んでくる一つかもしれないというふうに考えております。  この時点で私どもまだその辺の対応も決めておるわけではございませんけれども一つの御指摘として留意いたしたいと思っております。
  147. 山原健二郎

    ○山原委員 いまの点につきましては、なおそういう要求が強くあるということを申し上げておきたいと思います。  最後に、果樹共済と樹体共済の問題ですが、この加入状況、先ほど果樹共済についての早期支払いのお話が出ましたので、その点については触れませんが、早期支払いと申しますと大体いつごろが目安になっているのかということが一つと、加入状況について御報告をいただきたいということと、加入者が非常に少ない、昨日農林省においでいただきましたら、徳島県は非常に加入率が高いわけですが、どういうわけか私の県などは非常に少ない一ということを聞きました。その状況と同時に、やはりこの制度を変えまして、皆が入れるような共済制度にすべきではないかと思いますが、この点について最後に伺っておきたいのです。
  148. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 果樹共済の加入率が非常に低いという御指摘、私どもも非常に残念に思っておりまして、収穫共済につきましても率といたしますといまだ二七%、これは全国平均でございまして、地域によってずいぶん差はございますが。また、樹体共済になりますと一〇%弱というふうな非常にまだ低い状況にございます。  その原因でございますが、一つは、制度が発足しましたのが四十八年からでございまして非常に新しい制度なものですから、まだ十分に浸透していないということもございます。しかし同時に、特に樹体の場合でございますと、樹体が大きく被害を受けるような災害というのがそうしばしば実はございませんで、そのためになかなか積極的に加入意欲というものが出てこないというふうな現状もあるようでございます。  しかし、今回のこうした大災害を受けて、これを契機として本当に共済の必要性というものを認識していただいて、大いに加入の促進が図られるように進めてまいりたいと思っております。  同時に、制度面での魅力がないのではないかという御指摘も、私どもいろいろと検討をいたしまして、できるだけ現状に沿った制度に改善をしたいということで、実は昨年、果樹関係を中心としまして国会で法律改正もやっていただきまして、ずいぶんと実は改善をいたしたわけでございます。  その一つとして、樹体関係につきましても、かねてから、農家単位で一定の率以上に出ない場合には支払いの対象にしないという制度が、大きな専業農家にはどうも不利に働くというふうな声もございまして、その点も考慮いたしまして、単に率だけでなくして、一定額を超えればこれも支払いの対象になるようにしようというふうな改正もいたしたわけでございます。その辺の改善も踏まえて、今後は加入促進が大いに図られていくのではないかと私ども期待しておりますし、またそのように進めてまいりたいと思っております。  それから早期支払いのめどでございますが、この点につきましては担当の課長の方からお答えをさしていただきます。
  149. 湯浅昌治

    ○湯浅説明員 一般に、果樹共済の共済金の支払いは、収穫期に損害評価をいたしましてその後になりますので、温州ミカンで申しますと、早くても一般的には二月ごろからということになりますが、非常に災害が判然としております場合には、大抵摘果、実をとりますが、その摘果する時期を過ぎたころ、といたしますと大体九月前後になりはしないか、これは仮渡しが早い時点でそのぐらいではないかというふうに考えております。
  150. 山原健二郎

    ○山原委員 なお、今後の被害状況の正確な把握の上に立ちまして、これを一つの教訓として努力をしていただきたいと思います。  時間が参りましたので終わります。  委員長、どうもありがとうございました。
  151. 木島喜兵衞

    木島委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十一分散会      ————◇—————