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1981-04-09 第94回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月九日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木島喜兵衞君    理事 天野 光晴君 理事 今井  勇君    理事 佐藤  隆君 理事 池端 清一君    理事 薮仲 義彦君 理事 横手 文雄君       逢沢 英雄君    越智 伊平君       菊池福治郎君    工藤  巖君       桜井  新君    田村 良平君       近岡理一郎君    津島 雄二君       中山 利生君    羽田  孜君       福島 譲二君    毛利 松平君       山崎武三郎君    阿部未喜男君       伊賀 定盛君    田中 恒利君       福岡 義登君    渡辺 三郎君       岡本 富夫君   平石磨作太郎君       米沢  隆君    栗田  翠君       林  百郎君    田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    倉持 哲士君         国土庁長官官房         防災企画課長  城野 好樹君         文部省管理局教         育施設部技術参         事官      佐藤  譲君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       横瀬 庄次君         厚生省医務局指         導助成課長   小沢 壮六君         厚生省薬務局安         全課長     有本  亨君         運輸省港湾局倉         庫課長     橋本 信明君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     柴田己千夫君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      加藤 書久君         気象庁予報部長 清水 逸郎君         気象庁観測部地         震課長     山川 宜男君         建設省都市局街         路課長     松下 勝二君         建設省河川局河         川計画課長   渡辺 重幸君         建設省道路局企         画課長     萩原  浩君         建設省国土地理         院地殻調査部長 藤田 尚美君         自治大臣官房参         事官      池ノ内祐司君         消防庁技術監理         官       渡辺 彰夫君         消防庁消防課長 野沢 達夫君         日本国有鉄道運         転局列車課長  小野 純朗君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   田口 一男君     田中 恒利君   石原健太郎君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   田中 恒利君     田口 一男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤巖君。
  3. 工藤巖

    工藤委員 大臣には、国土の適切な利用を初め、地価対策過密過疎対策水資源交通体系地域開発など、各省庁にわたるきわめて重要な政策について、その企画、立案、推進の責任を担われておりまして、その職責、まことに御苦労さまでございます。  災害に関する施策につきましても、また同様に、関係行政機関との調整を行いつつ、先般御説明をいただいた災害に関する科学技術研究災害予防復旧国土の保全など、多岐にわたる項目について、総合的にこれを推進しておられることに敬意を表しながら、若干の質問を申し上げたいと存じます。  まず第一に、豪雪対策についてでございます。  昨年末、十二月の中旬から本年三月上旬までの豪雪災害は、三月十八日の国土庁調査によれば、なだれ、吹雪、雪おろしなどによって、死者が百十四人、負傷者を合わせますと約一千名、建物の全壊九十五、半壊百五十四、一部の破壊約五千五百、その他を含めてまいりますと、農作物、林木交通麻痺等被害などを考えてみますと、実に莫大なものになるわけであります。  毎年のように雪に閉ざされております北陸東一北、北海道などの各地域にとりまして、雪の克服こそ地域住民生活安定と地域開発最大の課題だと思うのでありますが、大臣の所見あるいは基本的な考え方を承りたいと存じます。
  4. 原健三郎

    原国務大臣 御説明には全く同感でございまして、私も豪雪地帯を実地に視察させてもらいまして、その被害の甚大なるを感じております。  ただ、被害が起きたから毎年それの対策を講じるというのでは、はなはだ策のない話で、今後は、富山県の知事が提唱しておりますように、豪雪被害都市建設というんですか、そういうことを積極的に進めたいということを、これはもう私と何回も話し合いました。そうすれば、雪が降って直ちにその対策をやるよりも、ふだんからその準備をしておいたらいいというので、同感の意を表しました。  どんなことをやるかと言えば、金はかかりますが、対策としては融雪装置をやる、あるいはその他、雪排除等のいろんな機械を購入してやるとか、いろいろあるんですが、中央とも連絡して、そういう対策をやろうじゃないかというところまで話を進めておるところでございます。
  5. 工藤巖

    工藤委員 大臣のおっしゃいますように、豪雪の無被害都市建設あるいは雪を克服するためのもろもろの対策というものがきわめて重要である、私もそう思うのでございます。  さて、このたびの災害につきましては、去る二月四日、豪雪対策本部において、除雪林業関係被害対策金融措置応急対策など、八項目にわたりまして、豪雪対策について講ずる措置を明らかにしたところでございます。また先般、災害弔慰金引き上げとか激甚災害を受けた森林復旧に対する特別の財政援助について、法案を可決したところでございます。そうでありますが、激甚地指定につきましては融雪を待って明らかにするとして、まだ行われておらないのでありますが、いつごろ行われる見通しであるか、伺いたいと思います。
  6. 原健三郎

    原国務大臣 今冬の、これは豪雪だけでなくて、降雪、低温及び暴風浪についての激甚災害指定について、被害額把握に努めまして、その把握も実際いたしました。それで、その災害が激甚なものと認められましたので、激甚災害指定政令を出したいと思っております。  四月十四日の閣議でこれを決定して、激甚災害指定政令を四月十七日に公布すべく、いま事務当局準備手続を進めさしておるところでございます。御了承のほどを願います。  もうちょっと詳しく申し上げますと、その政令指定する措置の内容につきましては、第一は、農林水産業共同利用施設災害復旧事業に対する補助率の格上げ、第二は、天災融資法による貸し付けの限度額引き上げと、第三は、森林災害復旧事業に対する補助等を予定いたしております。
  7. 工藤巖

    工藤委員 ことしの冬の豪雪交通が途絶して孤立した世帯が、国土庁の先ほどの調査によりますと約三千百世帯ということになっておりますが、交通路の確保というものは国民生活を守るための基本条件であろうと思います。  今回の災害におきまして、幹線道路交通が確保されておりまして、生鮮食料品などの供給にも支障がなかったというように聞いておりまして、関係者の御努力を多とするところでありますが、伺いますと、国鉄の場合は北陸本線が断続的に相当の期間、一番不通期間の長かったのは越美北線で、部分的には四十日不通になったというふうに聞いておるんであります。  国鉄の方に伺いたいのでありますが、鉄道除雪体制なりあるいは技術上の問題点というものがどこにあるものでございましょうか、それを伺いたいと思います。
  8. 村上温

    村上説明員 お答えいたします。  ことしの雪の被害国鉄不通になりまして、大変な御迷惑をおかけしたわけでございますが、例年の雪その他と比べまして、私どもとしても技術的にいろいろ問題点を勉強してまいりましたが、その結果考えられますことは、まずことしの雪は大変な量であった、異常な雪であったということが第一でございますけれども、そのほかに、沿線の環境が変わった、家が建ったり開けたところもたくさんあるということで、前に考えておったような機械をそのまま配置しておったのでは、雪よけが非常にむずかしいところがふえた。それから、大変な雪が降ったものですから沿線住民の方々が自分たちの家の雪おろしその他で追われるということもありまして、私たちが予想したほど人力による除雪というものの力が確保できなかったという点がございます。それから、設備面にいたしましても、雪の積もり方が早くてかつ雪が重たかったものですから、従来ラッセル車程度を考えておった北陸地域などはロータリー車でないと除雪が困難であるとか、あるいはもう少し流雪溝等設備が必要であったというような反省点がございます。  以上のような技術的な検討を進めて、新たな対策を立てていきたいと考えておるわけでございます。
  9. 工藤巖

    工藤委員 いまいろいろと反省点をおっしゃっておられますが、こういう反省の上に今後適切に対応していただきたいと思うのでありますが、北陸本線だけでの損害国鉄の乗客が乗らなかった、運休したということに伴う損害の額が一体どのくらいになっているだろうか、伺います。
  10. 小野純朗

    小野説明員 お答えいたします。  今冬の雪害で輸送を大変乱しまして、申しわけなく思っております。  今冬の雪による運休本数は、旅客で一万五千本、貨物で一万二千本、合計で二万七千本ということになっております。  それから減収額でございますが、旅客で約七十億円、貨物で約六十億円、計百三十億円でございます。  金沢局あるいは北陸本線というふうに中身を分類して現在計上しておりませんので、一応全体の額でお答えさせていただきたいと思います。
  11. 工藤巖

    工藤委員 除雪体制を整えるためにはいろいろとお金のかかることだろうし、施設もつくらなければならないことだろうと思います。いまのお話の中でも、古い機械は役に立たなかったとか、あるいは融雪溝がもっと必要だったとか、いろいろな反省点があるようでありますが、百三十億の損害といえば大きなものであります。防雪のために投資をして、そのための経費と、投資をしなかったために年々こうした被害が積み重なっていくということを考えあわせながら、適切にそうした防雪のための対策を前向きに講じていくべきだと思うのでありますが、こういうことについて検討の上対応してほしいと思いますが、いかがでございましょうか。
  12. 村上温

    村上説明員 雪に対する設備面あるいは車両面投資でございますが、過去、例の三八豪雪と言われました三十七年度の雪、それから四十八年、四十九年の豪雪経験から、雪害に対しては長期計画を立てまして毎年投資をすることにしております。決して投資が少ないわけではございませんで、たとえば五十年度以降で申しますと、おおよそでございますが、百ないし百五十億の投資を続けてきております。そういうところでございますが、今回の雪の経験もとにして、先ほど申しました技術的な点も見直しまして、さらに同じように投資を続けていくというふうに考えております。
  13. 工藤巖

    工藤委員 本来災害というものは、先ほど大臣もおっしゃったように、復旧よりもその予防体制が大切である、かくあるべきものだと思うのでありますが、自然現象による災害につきましても、こうした予防対策を第一に考えるべきだと思うわけであります。  先般御説明をいただきました本年度の予算につきましても、災害予防予算の中で雪関係のものを見ますと、国土庁豪雪地帯対策推進三億五千万、運輸省の空港の雪害対策七億五千万、建設省道路が大変大きくて約五百五十四億、国鉄鉄道雪害防止が八十七億となっているわけであります。国鉄におかれましてはさらに雪害防止対策を進めるべきだと考えておりますし、また雪に関する科学研究費でありますが、これを拾ってみますと、北海道開発庁で六百万と、科学技術庁で合わせて五千六百万、これだけしか計上されていないわけであります。  総括的に見て、どうも雪に対する予防対策費が少ないのではないか。さらに科学研究費に至っては、総体の中できわめて少ないように思うのです。これは、あるいは雪については研究し尽くされたということでこう少ないのか、あるいは雪の中の生活になれてしまってこうした状況なのか、雪に対する考え方にもう少し前向きに取り組むべきではないのか、こういうように思うのであります。  大変一般的な話でありますが、予防対策予算の面あるいは科学技術予算の面について、雪に対する対策をさらに充実強化すべきだと思うのでありますが、直接の一番大きな被害がありました国鉄さんの御見解、あるいは国土庁の御見解があれば承りたいと思います。
  14. 原健三郎

    原国務大臣 これは御説明全く同感でございまして、雪の被害があってからその対策経費を計上するのがいままでのやり方ですが、それももちろん必要ですが、予防対策をやる、あるいは予防のための科学的研究対策をやる等々が必要でありますので、来年度予算には、その点を相談して何らかの対策予算要求のときに出したいと思っております。
  15. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 雪害関係の五十六年度予算といたしましては、科学技術研究は、先生が御指摘になったほかに、文部省におきましてなだれに関する研究等というのが約八千五百万ございまして、総額で一億四千七百万でございます。  それから、災害予防に関連いたします雪害対策予算は、先ほどお話がございましたように、道路除雪等が相当多うございまして、合わせまして五百六十五億でございます。これらにつきましては年々充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。  なお、そのほか、単なる災害対策でなく、一般的な都市づくりの問題といたしましても、雪の問題というのをいろいろ考えなければならない、さように思っておる次第でございます。
  16. 村上温

    村上説明員 国鉄におきましても、先ほど御答弁申しましたように、設備投資一般につきまして大体百億前後、先ほど先生八十数億とおっしゃいました五十六年度の予算でございますが、そのほかに、地方でやります経費あるいは間接的に役立つ経費等を含めますと百億以上ということになっておりますが、さらに、そういう直接投資のほかに技術開発等も、雪とはっきり分けたものではございませんが、車両の改良、新しい設備研究などを進めてまいりたいというふうに考えております。
  17. 工藤巖

    工藤委員 いろいろ予算につきまして大変積極的なお話を伺いまして、今後に御期待を申し上げる次第であります。  雪の克服こそが、国土の約半分、人口の約二割を占める、毎年雪に悩む地域、そこに住む人々にとって大変大きな関心事であると思います。現代の車社会生活圏が拡大をしている、経済活動の範囲が広域化している、こういう時代において、雪の害を克服しこれを利用する方法というものがないか、雪害対策を含めて雪に関する現状や問題点見直してその対策を考える、そういう意味においても「雪白書」のようなものを考えるおつもりはないでしょうか。これはわが党の渡辺秀央議員がかねて提唱しているところでありますが、白書という表現が法に基づいて報告する白書と紛らわしいならば、「雪と国民生活」とか「雪を考える」といったようなやわらかい表題でもいいと思うのでありますが、そういうものをつくって、国民とともに雪の克服を考え、また、政府においても最大努力をしていくという姿勢を示すことはいかがでございましょうか、承りたいと存じます。
  18. 四柳修

    四柳政府委員 御提案のような御意見のありますこと、私どももよく伺っておりまして、大変恐縮でございますけれども、それでは手元にどれだけの資料があるだろうかということを当たってみますと、いままでの古い歴史に基づきます観測の結果の資料はございますけれども、やはり皆様方問題意識としておとらえになっておりますモータリゼーションですとか、あるいは生活様式の変化に対応してこの雪の問題をどう処理したらいいだろうか、そういう新しい観点での資料が非常に乏しゅうございます。たとえば地吹雪の問題をとりますと、私どもの方で五十三年度に青森県弘前大学にお願いした調査が公の資料として初めてでございまして、非常に限られております。  そういう観点で、実は五十四年度、五十五年度に豪雪地帯の二十四道府県につきまして「雪国カード」というかっこうで、市町村別にいろいろなことを聞きました。その結果を、前半の十二県分につきまして実は私どもの方の国土審議会特豪特別委員会に中間で御披露申し上げましたが、五十五年度分の残りがまとまったところででも、せっかくの御指摘でございますから、手持ちである資料だけでございますけれども、こういうものがあるとか、あるいは関係の文献でこういうものがあるとか、そういうことをまとめて、検討してみたいと思います。
  19. 工藤巖

    工藤委員 大変ありがとうございました。  さて、最後に豪雪地帯対策特別措置法でありますが、この十四条、十五条、特別豪雪地帯基幹道路を県が代行してつくる、あるいは小中学校建築に対する国の負担補助特例、こういうものの期限が来年の三月三十一日、今年度いっぱいで終わることになっております。当然これは延期すべきものだと考えております。  また、この際特別豪雪地帯指定基準というものを見直していってはどうだろうか。雪といいましても、このごろ例がありましたように大変水を含んだ重い雪もあります。したがって、単純な積雪量だけで基準を決めるというようなことにも問題があるのではないだろうか。あるいは地吹雪とかなだれの多発とか、あるいは降った雪が昼には解けて、夜になるとそれが氷になって、完全にアイスバーンになるというような地域もあります。こういったようなことなども考えながら、特豪地帯指定基準見直しなどを含めて検討してはいかがかと思うのでありますが、どうでございましょうか。
  20. 原健三郎

    原国務大臣 御説のように、この特例法昭和五十六年度末をもって期限切れとなります。でありますが、これらの問題については、特例法制定及び改正の経緯を踏まえて関係方面と十分協議いたしまして、その上で善処いたしたい、こう思って、いまそういう時点でございます。  詳細は事務当局からお答え申し上げます。
  21. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘は二点でございまして、一点は法延長のことでございますが、基本的方向大臣が御答弁申し上げたような形でございまして、御案内のように十四条、十五条という形でございますけれども、正直言いましてそれでいいのか、新しい御要請がいろいろありますから、そこら辺をどう判断するのかという点が一つあろうかと思います。  それから、後段の特豪指定の点でございますけれども、いままで何回となく改正をしてまいりましたが、これまた御案内のように、積雪の量と交通その他生活上の不便、この二つの観点でございましたが、最近いろいろ御指摘の点は、一つは、いわばエアポケットのように特定の地域だけが特豪でなくて、周りが特豪になっているところについて見て、もう少し資料見直しができないかという御指摘がございます。これは非常にむずかしいのですけれども、何らかそういった追加資料があるかどうか、できることならばそういった資料を見つけたいと思って検討しております。  もう一つは、いま例に挙げられました地吹雪等状況あるいは雪質の問題ですが、これはいかんせん、長い期間全国的な資料がないという点で、その地域だけを拾い出して指定するというところが難点でございまして、それも大変恐縮でございますが、検討させていただきたいと思います。
  22. 工藤巖

    工藤委員 以上で雪に関する質問を終わりまして、次は雨、治水事業に関して若干の御質問を申し上げたいと思うのであります。  毎年、台風の常襲地帯ばかりではなくて、集中豪雨による災害が大変多い。建設省資料によりましても、四十九年から五十二年までの間に死者が七百八人、そのうち土石流による死者が二百十一人、被害額約三兆円となっているわけでございます。  五十六年度におきましても約九千億の治水事業を進めようと努力しておられるのでありますが、治水対策目標あるいはまた整備率を見ますると、大河川の場合には戦後最大洪水を対象にして、その程度洪水ではこの災害を防げるということを目標に、整備必要量を算定しておる。一方、中小河川の方は時間雨量五十ミリ程度、この程度のものを目標にして整備を図っている。しかも大河川の場合は現在の整備率が五七%、水源砂防で四六%でございますのに、中小河川になりますとこれがぐっと低くなりまして、進捗率一七%、砂防で一三%、地すべり対策一七%というふうに、大変低くなっているわけでございます。  それで、この数字などをもとにしてちょっと伺いたいのでありますが、戦後の水害の傾向として、つまり大河川に対する整備が比較的進んでおり、中小河川がおくれているというようなところから、被害発生状況中小河川地帯に偏ってきているというような傾向があるかどうか、これはまた雨の降り方にもいろいろよるのでありましょうけれども、そういうような傾向がつまり河川整備の成果として見ることができるかどうか、この点をまず伺いたいと思うのであります。
  23. 渡辺重幸

    渡辺(重)説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の大河川中小河川関係でございますが、昭和二十二年、二十三年の大災害等に見られますように、戦後非常に大河川の破堤、はんらんというのが目立っていた時期がございます。その後、局地的な集中豪雨という現象全国各地で起こるようになりまして、中小河川災害というのが非常に顕著にあらわれてきたという事実はございます。  戦後三十数年にわたりまして、治水施設整備も着々とは進んでおります。したがいまして、わりに少ない雨に対しましては、大河川というものの安全度は確かに大きくなったというふうにわれわれも考えておりますが、ただいま先生の方から数字でお示しいただきましたように大河川につきましても、戦後最大洪水、この三十数年間に起こった洪水に対する対応というものも、大河川でまだ五七%というような状況にとどまっておりますし、また最近でも、五十一年に長良川の破堤とか、あるいは昭和五十年に石狩川の破堤とか、昨年度は六角川とか白川というところで溢水、破堤等災害が起こっておりますので、必ずしも大河川について安全であるとは言えないわけでございます。また、最近は非常に広域的に大きな雨が降るというケースが少ない気象現象もございまして、私どもとしては大河川につきましても非常に心配を持っておりまして、今後とも進めていきたいというふうには考えております。  しかし、御指摘のように、中小河川につきましては、局地豪雨の頻発に対応する時間雨量五十ミリメートル、これが当面の目標としてわれわれが取り組んでおるわけですが、それに対します整備率は非常に低いわけでございます。これは、要整備延長全国で七万三千キロというような非常に長い延長の改修をしなければならない関係もございまして、われわれとしては、大河川と同様に中小河川、特に都市河川等につきましては重点的に対応しているわけでございます。
  24. 工藤巖

    工藤委員 お答えがありましたように、私も、大河川災害防止については、破堤した場合の被害がきわめて大きいことから、これを重視して、五七%という整備率をもっともっと高めていってもらわなければならぬと思っております。  同時にまた、中小河川の方が上流の砂防から地すべり対策を含めまして大変進捗率が低い、そういうところに土石流等の被害も出るということで、この整備にかなり重点を注いでいただきたいと思うのであります。いまの状態で進捗率一七%という数字でありますが、このペースでいったなら、これがまずまずというところまでいくのに今後どれだけの年数がかかると思っておられますか、大ざっぱでいいですが、それを伺います。
  25. 渡辺重幸

    渡辺(重)説明員 非常にお答えしにくい問題なのでございますが、昨年の夏に第六次の五カ年計画の要求をさせていただきました。これは総額十三兆七千億という数字でございます。これは一年見送りになりまして、また来年度五カ年計画の改定を要求させていただくわけですが、もしこの改定五カ年計画が要求どおり認められた、このように考えますと、大河川につきましては五七%が大体八四%ぐらいまで上がるであろう。これは物価の上昇がないという前提のもとでございますが、都市河川につきましては、おおむね六十五年までに少なくとも五十ミリ対応ぐらいはやりたい、このような考え方で要求したわけでございます。  また一般河川につきましては、六十五年までかかってようやく三分の一程度進捗率になろうか、このようなことでございますので、五カ年計画がこのような形で認められたといたしましても、この五カ年計画を今後数回あるいは十回程度やっていかなければ当面の目標に達しないというようなことに相なろうかと思います。非常に適切な表現ができなくて申しわけございませんが、非常に前途が暗いというふうにわれわれは受けとめております。
  26. 工藤巖

    工藤委員 大変どうも厳しい状態で、特に一般河川中小河川の場合、先の見通しがどうも立た、ないというお答えに等しいように思われるのであります。  災害の防止はきわめて重要であり、ことにいま上流の保水力に変化があります。水田が宅地化されてくる、あるいは畑作に転換される、さらに灌漑排水事業で水が流れてくる、都市の下水道が整備されてきます、中小河川に入る水量というものがどんどんふえてくる、こういう状況がありますから、いわゆる治山対策と含めながら、上流の方でこれをできるだけとめるという対策が一方では必要であろう。これの一番いいのはダムであります。ダムによって、これは中流、下流を含めまして水をそこで調節できるのであります。このダムの建設進捗率も、どうも当面目標としているものの三分の一だというふうに承知しているのでありますが、こうしたものの進捗もさらに図っていただきたいと思うのであります。  それで、ただいまお話のありましたように、今年をもって第五次治水五カ年計画が終わって、第六次に向かって構想を立てなければならない時期だと思います。われわれはこれに対して注目をしておるのであります。水資源の活用の面から見てもあるいは治水対策から見ても、水を治めるということには最大の熱意と決意を持って取り組んでいただきたいと思うのでございます。この問題については、建設省においてもしかりでございますが、関係機関を総合的に調整をとられる国土庁の長官、大臣におかれましても、治水事業には特に御配慮をいただきながら、この新しい五カ年計画策定について特段の御協力をお願い申し上げる次第であります。御所見をそれぞれ承れれば幸いであります。
  27. 原健三郎

    原国務大臣 御説全く同感でございまして、よく事情もわかりましたので、協力し、相ともに携えて対策を講じていきたいと思っております。
  28. 渡辺重幸

    渡辺(重)説明員 御指摘のとおり、われわれといたしましては、水害対策並びに水資源の開発につきまして、今後ますます積極的に取り組んでいきたいという決意を持っております。したがいまして、第六次五カ年計画の策定に当たりましては、河川局一丸となって、ぜひりっぱな計画をつくり上げるように今後とも努力いたす所存でございます。よろしく御支援のほどをお願いいたします。
  29. 工藤巖

    工藤委員 原大臣並びに建設省当局から、大変前向きなお話がありました。大変意を強くいたしておるところであります。  時間はまだございますが、わが党から関連質問がございますので、私の質問はこれで終わります。大変ありがとうございました。
  30. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 天野光晴君から関連質疑の申し出がありますので、これを許します。天野光晴君。
  31. 天野光晴

    ○天野(光)委員 工藤君の発言に関連して二、三お伺いをしておきたいと思います。  きょうの理事会で再来週小委員会を開くことにしてございますが、この小委員会の議題の中心になるものは、もうすでに関係当局は御承知のはずでありますが、具体的に二、三の注意を申し上げて、できることなら原案作成をしていただきたいと思います。  これは国土庁が中心になってやってもらうことになると思いますが、豪雪対策に関して二つの問題が議題の中心であるはずであります。  それは、一つは、いわゆる屋根の雪おろしにがかった経費に対する補助をどうするかという問題ですが、御案内のように、今国会で議決されました所得税の雑損控除というもので一部救済できるという考え方を持っておったわけでありますが、御承知のように、山村地帯では所得税を納める者は三分の一くらいきりないようでありまして、所得税を納める者は比較的経済的に豊かな者であるわけでありますが、この者には雑損控除という恩恵を与えて、所得税を納めない母子家庭、福祉家庭、いわゆる生活困窮者等の問題についてはそのままにしておくのは不都合ではないか、というのがこの委員会の全体の空気であります。そういう観点から、これに対する助成措置はどうしてやれば一番いいのか。事務的作業が非常に細かくなりまして容易でないと思いますが、この問題を小委員会は最終的に詰めて、できれば今国会中に解決をしたいという考え方でありますので、執行当局の熱意ある態度をもって、事前にこの問題を詰めて、小委員会で協力をしていただきたいと思います。そうでないと、小委員会で大ざっぱに決めてしまいますと、後でなかなかむずかしくなりますから、そういう点でこれを事前に勉強して詰めてほしいというのが一つ。  それからもう一つは、これはもう各党全部の主張でございますが、災害で亡くなった人にはいわゆる弔慰金を出します。おかげさまで今度五割アップしたわけでありますが、重傷を負った、けがをした人に対するお見舞い金は出していないので、これを何とか出さなければいけない。これも事務的には非常にむずかしいと思います。どの程度のけがをした者にはどの程度のお見舞い金を出すかという問題、これはなかなか容易でないと思います。  最初の問題とこの問題はいずれも厚生省所管になると思いますが、そういう点をひとつ、現在の法律でやればこの程度はできる、新しい法律をつくらなければやれないならやれないというふうに、この問題もきちっと検討しておいていただきたいと思います。現行法律で拡大解釈でできるというものならばこれは問題はありませんが、そこらあたり、この二つの問題は十二分に検討して小委員会の運営のお手伝いをやってもらう、協力してもらうということについて、国土庁が中心になってひとつ督励をしておいていただきたいと思います。それが一点。  それからもう一つの問題は、先ほど大臣からの答弁で、激甚地指定は十四日の閣議にかけるように努力をしておるそうでありまして、十四日の閣議で決定をされると思います。その段階において、いま四国九州のミカンが非常にやられておるそうでありまして、これも同じ気象状況もとでやられたものであると思いますので、いわゆる豪雪と同じ扱いをしてやるべきであるという考え方を私は持っておるのでありますが、この点につきまして、まず農林省の方で、現在災害をこうむっておるミカンの現状、被害額、あるいはまたミカン以外の果樹に対する調査はどの程度行き届いているのか、そしてそれに対して、話を聞きますと相当膨大なようでありますから、これもできることなら激甚地指定をせざるを得ないと思いますので、これは今度の閣議に間に合うのか間に合わないのか、その点ひとつお伺いをしたいと思います。
  32. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  最初の屋根の雪おろし経費、それから助成措置をどうするかということ、もう一つは、災害の死亡者には見舞い金を差し上げたが、重傷者にはどうするかということ、これは技術的にもいろいろ問題がありますし、ぜひ速やかに研究するように事務当局に指示いたします。そうして善処します。  第二の、ミカンの被害がある、それを激甚に指定するか、これは指定する方向で十九日には発表することになります。
  33. 天野光晴

    ○天野(光)委員 災害の実態について……。
  34. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 先般、実は四月の三日に統計情報部組織を通じまして、全国被害状況把握いたしまして公表する運びになったわけでございますか、昨年の十二月以降の暴風雨あるいは雪の被害と、それからその後に続きます最近の寒波によります果樹等の被害、これは事実問題として被害区分は技術的に不可能でございますので、これは合わせて被害公表をいたしてございます。  総体で農作物被害一千二十一億円ということでございまして、この中には五百億円ほどの作物それ自身の被害と、それからいわゆる果樹を中心とします樹体の被害が同額程度、五百億円、こういう状況になっているわけでございます。したかいまして、このうちいわゆる果樹の被害といいますのが、果実及び樹体を合わせますと七百七十八億円ということになっております。柑橘がそのうちのまたほとんど主体を占めるわけでございまして、特に最近の西日本におきます寒波によりまして、現在すでに樹上で越冬中の晩柑類等の凍結によりますす上がり、あるいは開花中でございました梅、あるいは幼果のビワ等がやはり凍害を起こす。加えまして、温州ミカン等を中心にしまして果樹にも樹体被害が相当大きな状況になっている。こういうことで、私ども、統計情報の調査と並行いたしまして、現地に係官を派遣いたしましてその実情把握もいたしておるわけでございます。  ただいま国土庁長官の方からお答えがございましたように、私ども雪害と同じ扱いでこれに必要な措置をしたい、こういうことで現在作業を進めているところでございます。
  35. 天野光晴

    ○天野(光)委員 大体のアウトラインはわかりましたが、自民党は十三日から調査に出張する予定になっているそうであります。この委員会からも恐らく現地の調査をするようになると思います。  ことに農林省当局によく申し上げておきたいのでありますが、いわゆる昨冬の豪雪災害に対する折損木の処置というものはこの委員会で勇断をもって始末をしたわけでございますが、開花時に寒冷でやられた、あるいは霜でやられたのとはわけが違いまして、樹体それ自体が寒さが強くて枯死したということになりますと、これは今度のいわゆる折損木の処置と同等である、私はそう理解できるのであります。桃、クリ三年と言いますが、ミカンは五年かかるそうでありまして、そういう点から、これから植栽しても五年間は収入がないわけでありますから、それらに対する処置はきめ細かくやらなければいけないと思うのであります。過去の慣例をとうとぶ官僚組織の中では思うようにできない面もあるかもしれませんが、これは私たち災害対策委員会で反対の方はないと思いますから、この点につきましてはこの委員会でも相当強力な発言もし、執行を強制するようなかっこうになると思いますので、折損木処置くらいのことは見れるようになるのかどうか、いまの農林省の考え方はどうですか、これから検討するというなら検討するで結構ですが、それはどうなっておりますか。
  36. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 果樹の今回の災害につきましては、当面必要とする対処につきましては遺憾なくこれを実施をしていくということと同時に、やはり長期的な目をもって、技術面あるいは経営面にわたりまして、今後とも長くこれへの取り組みをしていく必要があるというふうに考えております。  ただ、御案内のとおり、現時点におきます特に樹体の被害と申しますのは、さらにもう少し、私どもの専門家の目から見ましても、推移を見ませんと、果たしてどこまでが枯死し、あるいは萌芽されてくるのか、その辺の状況を十分見きわめる必要があろうというふうに思っております。したがいまして、私どもも、技術陣とも提携いたしまして、その辺の今後の推移を注意深く見守りながら、今後随時、必要な対応につきましては、申し上げましたとおり長い目で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  37. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私、関連ですからこれで終わりますが、農林省のその取り組み方ですが、いずれ再来週からの当委員会の小委員会でこの問題が相当強く検討されるようになると思いますので、できることなら小委員会で懇談をしてから、その具体的な対策の発表をしてほしいと思います。農林省で対策を発表したら、それでは不満足だからこうやれということになりますと、農林省自体が余りかっこういいものでなくなりますから、そういう点で、国民のためにやる仕事、政府も議会も一緒になってやりたいと思いますので、あるいは豪雪の折損木の始末とはちょっと内容において違うところもあるかもしれませんが、しかし、全滅になるか、その木が何とか芽が出てくるかということの調査をする、それはあたりまえのことでありまして、いわゆる調査が完全にできて、そしてその対策を講ずるときには、農民がややがまんできる程度の施策を講ずるようにひとつ考えておいてほしいと思います。  くどいようですが、先ほどのいわゆる豪雪対策の小委員会で取り扱う二つの議題につきましては、大臣の話ではこれから検討するなんというずいぶん気の長い話をしているようでありますけれども、そうではなくて、再来週からやるのですから二週間きりゆとりがありません。そこで、十二分にひとつ厚生省と連絡をとられて、この二つの問題はある程度委員会で簡単に解明できるくらいの詰め方をしておいていただきたいということを希望申し上げて、私の関連質問を終わります。
  38. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 渡辺三郎君。
  39. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 今回の豪雪の問題にしぼって私も御質問を申し上げたいと思います。  最初に国土庁に対してお伺いをしますが、豪雪地帯対策特別措置法、これは昭和三十七年に制定をされましたが、この法律の第二条第二項の特別豪雪地帯指定、その指定市町村の数を年次別に最初に明らかにしていただきたい、こう思います。
  40. 四柳修

    四柳政府委員 特豪指定市町村の経緯でございますけれども昭和四十六年に第一回で百六十七市町村、四十八年第二回で二十六、五十一年第三回で十六、五十四年第四回で七十二、合わせて二百八十一でございますけれども、そのうち合併等によりまして二つ減になりまして二百七十九、関係は十五道県でございます。
  41. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 建設省来ておられると思いますから、次に建設省にお聞きをいたしますが、いまの法律の第十四条、特別豪雪地帯における基幹的な市町村道で建設大臣指定をした道路の総延長、これはどのくらいになりますか。
  42. 萩原浩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  現在の指定延長は約百二十キロでございまして、一道十一県、二百七十九市町村に及んでおります。
  43. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この改築の進捗率といいますか、これは大体どのようになっておりますか。数字があれば数字でお答えをいただきたいと思います。
  44. 萩原浩

    ○萩原説明員 全国の市町村道、約九十三万キロほどございます。これの改良済みの改良率と申しますか、それが現在二六・八でございますが、これに対しまして豪雪地帯の市町村道は十七万八千八百八十キロございまして、改良率といたしましては二五・一%でございます。  一方、特別豪雪地帯におきます市町村道でございますが、これは六万一千八百キロほどございます。この改良率、完全にまだ数字をつかんでおりませんが、大体二三%程度ではないだろうか、これはサンプル調査によりましたものでございますので確実な数字ではございませんが、大体二三%前後ではなかろうか、こういうふうにつかんでおります。
  45. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 次に、文部省からお聞きいたしますが、同じ法律の第十五条、これによります文教諸施設整備の進捗状況、これを数字で明らかにしていただきたいと思います。
  46. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 お尋ねの特別豪雪地帯におきます小中学校の施設の実態でございますが、たとえば鉄筋鉄骨づくりの建物の率、よく鉄筋化率と呼んでおりますが、これで申しますと、全国の小中学校の鉄筋化率は八〇%でございますが、特別豪雪地帯における鉄筋化率は、これは五十五年度の数字でございますが、六三%になっております。  それからいわゆる危険建物でございますが、改築を必要とする面積の割合というのがございます。要改築面積率と言ったらいいかと思いますが、これについて見ますと、全国で全体の建物の二・五%が要改築面積でございますが、それに対して特豪地帯におきましては約五%ということで、かなり差があるということは認識してございます。
  47. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこで、いま建設省の方と文部省の方からそれぞれ現状をお聞きしたわけですが、そこで国土庁にお伺いをしたいわけですけれども、ただいまの十四条の道路関係あるいは十五条の文教諸施設関係、これは本委員会で私も前にもこの問題について国土庁考え方をお聞きをしたことがありますけれども、まだ当時は余り明確ではございませんでした。  この十四条、十五条については昭和四十七年から昭和五十六年度までのいわゆる時限条項であります。したがって、このままでまいりますと来年の三月三十一日にこの十四条、十五条関係の特別の補助は打ち切られる、現行法はこういうふうな形になっておるわけでありますけれども、いま申し上げました十四条の市町村の基幹道路関係や、あるいは十五条の小中学校の改築の現状を見ますと、これはとてもあと一年で全国水準に追いつくなどということは考えられない。ですから、法の制定当時はとりあえず十カ年間、豪雪地帯とそうでない地帯とのバランスをとるための一つ期間として、これが認定されたことそれ自体は間違ってはいないと私は思うのでありますけれども、現状からいいますと、いま言ったようなまだ依然として格差があるわけであります。したがって、これはもともと議員立法ではありますけれども、われわれも今後協議をしていかなければならない問題ではありますが、国土庁としてはどのようにこの十四条、十五条を考えておられるのか。あと一年しかありませんから、明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  48. 原健三郎

    原国務大臣 いま御説のとおり、本法律の第十四条、十五条の規定は本年度末で期限切れになることはよく承知いたしております。  それで、これをこのままで放置しておくというような考えはございませんので、これらの問題について、法制定のとき及び改正の経緯をよく踏まえて、皆さん方の御意見も委員会の意見も十分拝承して、そしてそれらの相談をまとめて、善処いたしたい、こう思っております。大体その方向でいきます。
  49. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 わかりました。きわめて明快な御答弁でありますから、この問題については了解をいたしました。  次に、もう一点国土庁にお聞きをしたいわけですが、豪雪地帯対策特別措置法によりまして豪雪審議会が設けられておるわけでありますけれども、いまこの審議会に対して政府の方から何か具体的な諮問が出されておりましょうか、その点お聞きしたいと思います。
  50. 四柳修

    四柳政府委員 御案内のとおり、特豪指定なんかの場合に、基準ですとか具体的な指定対象ですとか、そういうことを御検討いただくために審議会の御意見を伺う形になっておりますけれども、一応先ほど御答弁申し上げましたような経緯で、いままでの追加がございましたものですからその件につきましては諮問しておりませんが、先ほどちょっと別の方が御答弁申しましたように、一般的にその後の情勢変化につきましていろいろ御要望がございますし、もう一つは、ただいま御指摘のように、この法律の期間延長なりことしの豪雪反省しての問題点という形で、近いうちにできれば一遍、この特別委員会にいろいろ現状報告なり、御意見なりを伺いたいと私どもも考えておりまして、御指摘のような諮問とかそういう形ではございませんけれども、一応意見を伺いたいと思っております。
  51. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 言うまでもなく、ことしの場合には大変な記録的な豪雪でありますし、それだけにこの委員会でもしばしば雪の問題が中心に議論をされておる、こういう事態でありますから、もちろん指定基準改正の問題とかそういう具体的な諮問は行われなかったとは思いますけれども、ことしの豪雪一般について、審議会の持つ任務は当然非常に重大なものがあるのじゃないかと思うのです。この審議会の設置の目的の中にも広い意味でそれらが含まれておるわけでありますから、せっかく審議会がつくられておるわけでありまして、十分にその機能を活用していただくように、この機会に要望をしておきたいと思います。  次に、人事院の方にお伺いをしたいと思います。  寒冷地の手当法による豪雪加給の問題でありますけれども、第二条第六項の豪雪加給は、言うまでもなく三八豪雪経験からその必要性が生じて、昭和三十九年に設けられたつまり寒冷地手当の一部として支給をされる性格のものだ、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。三十九年にこれが設けられた以降今日まで、いまの条項によって支給された例はございますか。
  52. 長橋進

    ○長橋政府委員 支給した例はございません。
  53. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この法律の中身について少し解釈をお聞きしたいわけですが、法律の第二条六項に言う「内閣総理大臣が定める地域以外の寒冷地に豪雪があった場合」、これは具体的にはどういうことでしょうか。
  54. 長橋進

    ○長橋政府委員 寒冷地手当は支給地域区分が一級地から五級地になっております。したがいまして、ここで「内閣総理大臣が定める地域」ということになりますと、一応三級地以下ということになろうかと思います。
  55. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 最初の方のいわゆる「内閣総理大臣が定める地域以外の寒冷地」、この解釈はわかりました。そうすると一級、二級、三級が対象になる、こういうふうになろうかと思いますが、「豪雪があった場合」というその豪雪程度、これはどのようにお考えですか。
  56. 長橋進

    ○長橋政府委員 手当創設の時期におきまして私どもが考えておりましたおおよそのめどを申し上げますと、これは四級地以上との関係における手当でございますので、したがって豪雪程度ということになりますと、いわゆる級地の格づけに当たりまして積雪を使っておりますが、その場合に積雪によって格づけするとするならば、四級地以上の地域に相当するような豪雪があった場合ということを考えております。したがいまして、深さで申し上げますと、四級地の積雪による格づけは一メートル五十以上ということになっておりますので、いままでに一メートル五十以上の積雪があった場合というふうに考えております。それから、いまのは積雪量の面だけでございますけれども豪雪状況の一般的な把握といたしましては、かなり広範囲にわたりまして、しかも積雪期間がある程度引き続いた期間というふうに考えております。
  57. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 法律の中身の解釈はわかりましたが、これは豪雪の都度内閣総理大臣が告示をして支給するのかどうか。支給する場合に告示をして決める、こういうふうな性格の加給だと思うわけです。それで、三八豪雪以来幾たびか俗に「豪雪」と言われる時期があったわけでありますけれども、その間この条項は発動されなかった。しかしことしの豪雪はまさに三八豪雪を大幅に上回る道府県がたくさん出たと思うのです。しかし四級地、五級地についてはすでに寒冷地給、薪炭手当等出ておりますから、問題はいまおっしゃいましたように一級地から三級地まで、こういうふうな基準で見てまいりますと、今回の場合には当然何県か対象になる県が必ず出てくる、こういうふうに私は考えるわけでありますし、一部報道によりますと、人事院もその検討を開始されたかのごとくお伺いをするわけでありますけれども、具体的にどのような検討がいま進められつつあるのか、あるいはいままでの検討の過程で、まだ正確な、詳細な精査は出ていないかもしれませんけれども、おおよそこの地方は当然適用になるだろう、適用しなければならぬ、こういうふうな点があれば、その辺を含めてお答えをいただきたいと思います。
  58. 長橋進

    ○長橋政府委員 豪雪手当ということでございますので、したがいまして、その各地におきます豪雪状況把握するということがまず第一前提でございますので、したがいまして、現在、各地におきます豪雪状況、これは気象官署等からの資料をいただいております、それからさらには各県に置かれております豪雪対策本部からの資料もございますので、そういう資料をいただいて、いろいろ調査をしております。  したがいまして、豪雪手当でございますから、そういった自然的な状況把握するということはこれはもう当然のことでございますが、さらに、その手当創設当時と今日とを比べてみますと、やはり雪との関係におきます生活環境、そういったものの変化もございましょうから、そういう変化の状況でございますとか、あるいは今回の豪雪が三八以来の豪雪ということもございまして、国を初めといたしまして、関係者においていろいろと対策を講ぜられておりますということもございますので、やはりそういった面についても配慮をする必要があろうということで、そういう面からもいろいろ配慮をしておるということでございまして、現在のところはいろいろ慎重に検討しておるということでございます。  したがいまして、いまどういう地域を対象としておるかということはここでは申し上げかねますけれども、いろいろ対象となる県というものも念頭に置いた上で、いろいろ検討しておるということでございます。
  59. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 御答弁によりますと、これを支給するに当たってのいろいろな諸条件、これらが非常に広範にある、こういうふうに概括的には受け取るわけでありますけれども、単に最初にお答えいただいたような四級地、五級地——四級地並みの、あるいはそれ以上の豪雪、つまり言葉をかかえて言えば一・五メートル以上の積雪、こういうふうな点だけで見ますと、ことしの雪の場合には三級地、二級地あたりの県においてもそれをはるかに上回る、こういう状況が明らかだと思うのです。私ども、これはもちろん官庁でありませんからくまなく全部なんというわけにはまいりませんけれども、一部三級地の級地のところでどのぐらい降ったろうかというふうなことをずっと見てみますと、幾つかそれをはるかにオーバーしている地域がわかります。いまおっしゃいましたようなその他の諸条件もあろうかと思いますけれども、特に、こういう災害時における公務員の本来の任務、あるいは実際行っておる仕事から見ますと、雪の場合なんかは、民生安定のためのまさに不眠不休の活動をしなければなりません。自分の家の雪片づけとか屋根の雪おろしというものはほとんど二の次、三の次であって、場合によってはみずから母子家庭の奉仕を行ったり、そういうふうな非常に大変な任務を持っておるわけでありまして、それだけに、この三八豪雪経験にかんがみて、こういう加給制度が法律の中に盛られたのだと思うのです。せっかくある規定でありますから、これをひとつ十分に、前向きに検討していただいて適用になるように配慮をしていただきたい。それに対する考え方をお聞きしたいと思います。  それから最後に、もし調査がまとまって勧告が出されるとすれば、それはいわゆる寒冷地手当、薪炭手当などの支給と同じような時期にそれが勧告されて、支給されるというふうなかっこうになるのでしょうか。  最後の点はちょっと質問でありますけれども、前段の考え方と、それから最後の問題についてのお答えをいただきたいと思います。
  60. 長橋進

    ○長橋政府委員 お尋ねの第一の部分でございますけれども、今回の豪雪で現地の方がいろいろ御苦労なさっておる、そういうことにつきましては、私どもも十分認識を持っておるつもりでございます。したがいまして、この委員会におきます御質疑なども十分念頭に置いた上で、検討に当たりたいというふうに考えております。  それから第二の問題でございますけれども、一般の寒冷地手当でございますと、八月三十一日、基準日に支給するということになっておりますが、豪雪手当の場合につきましては、仮に支給するということになるとしますれば、別に通常の寒冷地手当の支給期日とは関係なしに、しかるべきときに支給されるということになろうかと思いますけれども
  61. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間がございませんので、あと農林省関係にお伺いをしたいと思います。  先ほど天野委員の方から、果樹の問題についてきわめて適切な御指摘がございました。私も、時間の関係もありますので果樹問題にしぼってお伺いをしたいと思うのですけれども、農業施設関係の助成について最初にお聞きをしておきたいと思います。  一つは、端的に、倒壊した果樹だな、これに対しての補助が、農林省といいますか、国としてあるのかどうなのか。  それから水稲育苗関係施設についてもお聞きしたいのですが、これは時間の関係できょうは省略いたします。これはいずれかの機会にまた聞かしていただきます。  それから補植用の果樹の苗木の対策、これらについての国としての補助、助成というものがあるのかどうか、最初にまずこれをお聞きしたいと思います。
  62. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 お答えを申し上げます。  災害で倒壊したりした場合の、たとえば果樹だなの問題、それから、その次に御指摘のございました補植用の苗木等の購入あるいは育成という問題も入ると思いますが、こういうものに対します助成制度というものがあるかどうかというお話でございますが、これは、たとえば今度の雪害等によりましてビニールハウス等が倒壊した場合も同様でございますが、いわゆる個人の施設でございまして、その復旧というのは原則としましてできるだけ有利な資金制度によって対処をする、一つ一つ助成の対象にするというのはきわめて困難だ、こういう状況でございます。  そこで、たとえば果樹だなの復旧でございますが、これは農林漁業金融公庫の中に果樹植栽資金というものの対象にいたしておりまして、これは六・〇五%で、しかも二十五年間の償還期限、十年間も据え置くというふうな、非常に特殊性を考慮した資金制度を設けておるわけでございます。  それから苗木等につきましては、いま申し上げましたような農林漁業金融公庫資金のほかに、さらに、現在検討し作業を進めております天災融資等の対象にもする、こうなりますと、さらに金利ももっと安くなるわけでございますので、これらの資金制度を十分に活用して、早期の回復に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  63. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 資金の融通措置としては、いま審議官がおっしゃったような内容もある、その他県段階あるいは市町村段階でも、これらの農家を救済するために、さらに国のそういう制度に上積みをしたような形で、いろいろ検討もされ、一部実施をされておるようでありますけれども、端的に果樹農民の声を聞きますと、今回私も豪雪地帯をずっと回っておりますけれども、これは勝手な言い分だというような言い方や見方もあるかもしれませんが、とにかく金はこれ以上借りられない、ここまで来ればもう返す能力はないんだ、何らかの形で少しでも助成をふやしてもらえないかというのが率直に言って痛切な声なんです。  ブドウなんかを例にとりますと、たとえば晩腐病の問題もあった。あるいは長雨、冷害、それからここ四、五年間のうちに二回も三回も豪雪があった。さらに記録破りの今回のような豪雪だ。現地を見ますと、リンゴにしてもあるいは桃にしてもあるいはブドウなんかにしましても、特にリンゴやナシや黄桃、さらには桃、これは太い元木のところから雪の重みで真っ二つに裂けているわけですね。当初はずいぶん農家総出で雪踏みなんかやったり、当初の時期ではそういう作業もやった。しかし連日連日降りまくるものですから、これはどうにもならない。そういうふうな形で、まさに大変な被害をこうむっているというのが現状だろうと思うのです。  自治体では、たとえば先ほど私が申し上げました果樹だなの施設復旧の場合に、県が三分の一とか市町村が六分の一、つまり合計して五割の補助、こういうように、倒壊果樹だなに対する助成として行っておるようであります。もちろん、これは先ほどの御答弁にもちょっと関連しますけれども、共同購入というふうな形を農協としてはとらせながら助成する、いわゆる個人個人にやるというふうな形はやはりとれない、こういうふうなやり方でもって助成をしておるようでありますけれども、それでももうどうにもならぬというのが偽らざる現地の声であります。したがって、これらに対して今後さらに十分な検討を加える必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに思います。いずれ小委員会などで議論の中の一部にこういう問題も加えられるでありましょうから、それに期待をするわけでありますけれども、ひとつ農林省もその辺については十分な前向きの検討をいただきたい、こういうふうに思っております。  次に、共済関係についてちょっとお聞きをしておきたいと思うのです。  まず最初に、果樹共済の加入の状況、これは樹体共済それから収穫共済がありますけれども、二年ではちょっと状況がわかりませんから、五十三年から五十五年あたりまでの三年間の樹体共済の加入率、それから収穫共済の加入率、それぞれ全国的に数字を示していただきたいと思います。
  64. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 果樹共済の加入率でございますが、御指摘のとおり収穫共済と樹体共済がございます。  収穫共済、物によりまして比較的高いものと低いものがございますが、総体平均して申し上げますと、五十三年の収穫共済でございますが、全国では平均的に二四・五%、それが五十四年、五十五年におきまして二六・六%、三割弱、こういう状況にございます。  次に樹体共済でございますが、これは全国的に最近ほとんど横ばい状況でございまして、七から八%、まだ一割に至らない、こういう状況でございます。
  65. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ちなみに、私は山形でありますが、山形県も相当果樹の多い地帯でありますのでこの収穫共済、樹体共済をずっと調べましたが、全国平均よりはやや加入状況がいいようです。しかし、樹体共済なんかの場合には逆に、山形の場合で例を引きますと、五十三年は一五・一%、五十四年は一二・五%、五十五年になりますと思い切って減って一〇・四%という状況なんですね。  先ほど審議官がおっしゃったように、収穫共済の方は大体四分の一程度あるいはそれを上回る程度の加入率でありますが、樹体共済については非常に悪い、一割に満たない、こういうふうな状況は一体どこに起因をしておるのか、これをやはりお聞きしておかないとうまくないと思うのですよ。
  66. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 御指摘のとおり、果樹共済の加入率が非常に低位にございます。その原因につきましてどう考えるかということでございますが、問題は大きく分けて二点あるように考えております。  一つは、御案内のとおり、果樹共済というのが本格実施に入りましたのが昭和四十八年でございまして、共済制度としましてはまだ非常に日が浅いわけでございます。私ども関係者に、制度の仕組み、内容等につきまして十分に推進、普及を図っておりますが、必ずしもまだ十分に理解をされていないという点が一点あろうかというふうに考えるわけでございます。  特に樹体になりますと、樹体それ自身が被害を受けるケースというのが、全国的に申しますと比較的少のうございますので、そういう意味で、農家の方が加入意欲と申しますか、そういう点でまだ不十分だというふうに言えるのではないかと考えております。  それからもう一点は、特に果樹農家の場合は非常にそれが多いわけでございますが、農家の間あるいは産地の間におきまして、非常に栽培形態なり技術に格差があるのが一つの特色でございます。そこで、制度の仕組みがどうしても、制度というものの性格から、画一的にならざるを得ない面が多いわけでございまして、そうなりますと、非常に技術水準の高いいわゆる優良農家にとってみると、メリットが比較的少ないというふうなことから、加入意欲にも支障が出てくるという制度上の問題も存在したというふうに考えております。
  67. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 たとえば具体例をことしのこの豪雪に照らして考えてみますと、果樹農家に対する救済策というのは、先ほど来言われておりますように融資の面、資金融通の面、はっきり言えばそういった面にしぼられる。あとは、特定の補助が国の関係で言えばあるわけじゃございませんし、先ほど私は都道府県や市町村合わせて五割の助成補助というふうに言いましたが、しかしこれも厳密に五割かといえば決してそうじゃありません。果樹だなの倒壊なんかにいたしましても、たとえばブドウの針金だけを対象にしたら市町村と県を合わせて五割だが、肝心のくいは除外されておる、こういうふうな状況もありますし、こういう状況の中で、それぞれの県では、ことしはくいなども対象にしなければもうどうにもならぬだろうというところまで、考え方を進めておるようでありますけれども、しかしいずれにしましても、資金融通の面で恩典があるというふうなことでありまして、頼りになるのは結局共済だというふうなかっこうになるわけです。  そうすると、共済はいま言ったように加入率が非常に悪い、いまおっしゃいましたように幾つかの理由は私も理解はできますけれども、ただこの法律の内容、共済の内容それ自体に相当の問題があると私は思うのです。  たとえば樹体で言いますと、百本の木のうちに十本以上は完全にやられていなければ対象になりません。千本あるところは百本以上は完全にやられていなければ対象にならぬ。しかもそれに加えて、一本一本で計算をしますと、その一本木の三分の二以上の損傷がなければ対象にならぬ。三分の二掛ける一〇%では、これはまた対象にならぬ、こういうふうに幾重にも抑えられておるわけでありますから、どうしても魅力がなくて入らないというふうな状況がいままであったのではなかろうか、こういうふうに思います。幸い一部改正がありまして、樹体、収穫、両共済とも中身が大分充実してきたようには思いますけれども、残念ながらことしの四月からの実施でありますから今度の豪雪には適用されない、こういうふうな状況なわけです。そういう意味で私は非常に問題があるように思います。  また、いま農林省から御答弁がありましたように、専業農家で、どんなに雪にやられようが、風水害でやられようが、農業でやっていくのだという意欲、情熱を持った農家に対して、非常に入りにくいような共済になっているところにまた一つの問題があると思うのですね。兼業農家とかいろいろな複合の場合にはある程度適用になる、しかし専業の場合にはなかなか入りにくい、適用されにくいというふうな欠陥を持っているのではないかと私は思うのです。  そういう現状の上に立って、ひとつこれは要望を含めて御意見もお聞かせいただきたいと思いますが、樹体一本一本についてさっき三分の二以上の損傷がなければというふうに言いましたが、率直に言って半分やられればだめなんですよ。リンゴの木がこのくらい太い、ちょうど成りごろのやつがある、これが雪で真っ二つになる、それを、これは半分ですから適用にならないなんという共済では私は話にならぬと思う。したがって、そういう点については逆に三分の一以上の損傷とか、せめて二分の一、半分にしなければだめだ、そういうふうに変えるべきだというふうに考えるのです。三分の二以上でなければだめだなんて、ばかげた話なんです。そういうふうな点も含めて、この果樹共済の内容が、ことしの四月から一部といいますか改善がなされるということはわかりますけれども、さらに今後引き続き、この内容の充実、改善に向けて思い切った前向きの姿勢をとっていただきたいと思います。  また、先ほど御答弁ありました農家に対する徹底した周知宣伝といいますか、周知方についてもさらに一層万全を期すべきではないか、こういうふうに思いますので、この点は質問、要望を含めて申し上げますので、一括してお答えをいただいて、ちょうど時間でありますから、私の質問を終わりたいと思います。
  68. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 果樹共済につきましては実はさっき申し上げたような問題があるということで、できるだけ農家の加入しやすいような形にしていくという含みで、昨年の国会で、お願いを申し上げまして、かなり大幅な改善、改正をいたしたわけでございます。  その中で、いま御指摘のように、たとえば全体として一割を超える損害がなければ支払いをしないというふうなものにつきましても、一定の額を超える、たとえば十万円を超える場合には共済金の対象にするというふうなことで、大規模農家がそのために支払いの機会について不公平にならないようにという改正も、その中の一環としていたしたわけでございます。  今度この新しい制度の引き受けが本年から始まるわけでございますので、私どもも農家の方とその辺の話し合いを十分にしまして、今後その点がさらに十分に利用されますように努力をしてまいりたいと思っております。  また、いま御指摘の、果樹一本につきましての樹体の被害が三分の二というお話がございましたが、私どもは長い経験から、この果樹の樹体につきましては、主枝以下の、主枝から派生する枝、いわゆる亜主枝の被害と申しますのは、翌年度以降の回復が十分に見込まれるという考え方に実は基づいておるわけでございます。それからまた、主枝の中でも相当部分が残っております場合には、その代替樹体を育成するまでまだ当分収穫も望めるということと、それから、この支払い割合をふやしますとそれに伴いまして掛金率がどうしても上昇せざるを得ないわけでございます。その辺等をにらみ合わせまして、この本格実施の段階では、従来は試験段階では全損だけといいますのを、分損を含めて、かつ、できるだけ掛金も低廉に抑えることをねらいながら、現在実施をし、ようやく本格的な動き出しが始まったという段階でございます。その辺もございますので、さらにそれの支払いの程度を、基準を低くするということになりますといろいろ問題がございますし、慎重な取り扱いが要ると思いますが、私どもとしては今後十分に実態をわきまえながら、この辺に対する改善の取り組みは不断に努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  70. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中恒利君。
  71. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、先ほども一部御質問がございましたが、二月末の寒気団による中・四国、九州、近畿等西日本を中心に押し寄せました寒波の被害、特にミカンを中心とする果樹の問題に焦点を置きながら、若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず、この寒波の被害の現状とその特徴点につきまして、御報告をいただきたいと思います。
  72. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今回の寒波被害状況でございますが、温州ミカンにつきましては、比較的低温に強い果樹だと言われておりますが、西日本各地に落葉なり枝の枯死等のいわゆる樹体被害が非常に大きいというのが一つございます。  特に地帯別で申しますと、九州南部、中・四国等で、局地的に低温が非常に著しかった地域被害も大きいということでございます。  それから中・晩柑類が、やはり柑橘産地各地でネーブル、イヨカン、ハッサク、ポンカン等の落葉なり枝の枯死等の樹体被害がございます。それから別に、普通ナツなり日向ナツなりサンポウカンなり、いわゆる樹上で越冬中のものにつきましては、果実そのものの被害も出ております。それから、近畿南部を中心に梅等で、ちょうど花の時期のものにつきまして凍死なり落花等の状況も出ておる、こういうことでございます。  これが五十六年産の収穫量にどの程度の影響があるか、また樹体被害が今後どう推移するのかという点につきましては、もう少し推移を見ませんと現時点で即断することはむずかしいというふうに考えております。  こうしたいわゆる寒波の被害といいますのは、過去におきましては昭和三十八年、かなり大きな被害がございました。続いて五十二年にやはり大きな被害があったわけでございますが、今回の寒波被害と申しますのは、やはり一連の気象条件の継続として起こったものでございまして、規模から申しますと、ちょうど五十二年に次いで、ほとんどそれに近いような形で、被害が発生しておるというふうに見ております。
  73. 田中恒利

    田中(恒)委員 先ほども、農林省の現時点での資料によると千二十一億、樹体と作物被害がほぼ五百億前後で相半ばをしておるわけでありますが、これについては天災融資法並びに激甚災害法の適用はいつごろになるでしょうか。重ねてはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  74. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今度の寒波被害に当たりまして、西日本各地から天災融資法の発動及び激甚指定につきましての要請がたくさん参っております。私どもも、これにつきましてはその必要があるという判断で、現在鋭意これを発動すべく作業を急いでいるところでございます。  その時期はいつごろか、こういうお話でございます。従来の例から申しますと、この雪の被害及びそれに続きます寒波等の被害と申しますのは、現実問題として被害把握が非常に遅くなるということと、それに伴います資金需要のめどがつきますのがかなり遅くなるということもございまして、従来の例から申しますと、四月の末になるというのが例年のことでございましたけれども、今回はそれよりもできるだけ早く実施をいたしたい、こういうことで、先ほど長官からもお話がございましたように、十四日の閣議をめどに激甚等の指定の作業を進めていくということでございます。私どもも、天災融資の発動を含めまして、それに合わせて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  75. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、この災害につきましては一定のルールのようなものが敷かれておるわけでありますが、それに基づいて、これから政府のとられる処置に関係をする数項目の点について、時間がございませんから中心点だけ質問をいたしまして、御返事をいただきたいと思います。  一つは自作農創設資金の枠を拡大をしてほしい、限度額引き上げてほしい、こういう要望がございます。天災資金もさることながら、今回の場合、転換など経営的に非常に多面的に今後の方向を打ち立てねばならない要素が多いと思いますので、自作農創設資金の枠の拡大、限度額引き上げの問題が一つ。  それから、果樹農家は畜産農家と同じように、先ほど来御質問がありましたが、大変な借金をいたしております。私の近くの町の農業協同組合の資料を見ましても、農協の貸付金の総額が七十六億であります。貯金の総額が七十三億であります。貯金よりも貸し付けの方が多い、こういうことになっておりまして、約千六百戸余りの組合員でありますが、一戸当たり四百五十万、しかも件数は実に一万件を上回る、こういう状態でありまして、先ほども御意見が出ましたように、特に今回の場合は冷夏、豪雪、寒波、一年のうちに三度同じような状況に追い込まれておるのでありまして、もうお金を借りるのはこりごりとは言いませんが、余りそう助けにならない、こういう気持ちが非常に強いわけであります。そういう意味で、助成などの問題が、後段いろいろお尋ねをいたしたいと思いますけれども、当面、これまでの借入金の償還延期をしてほしいという声が非常に強く起きております。特に果樹の植栽につきましては五年ということが通常言われておりますから、五年程度のこれまでの借入金の償還延期をしてほしい、こういう要望がございます。  さらに、先ほどもございましたが、果樹共済はきわめて加入率の低い共済でありまして、内容的にいろいろ多くの問題がありますが、それにしても果樹共済金の早期支払い、こういう問題は災害が起きた場合にいつも出てくる問題でありますが、これらの点につきまして農林省の方ではどういうお取り組みをせられておりますか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  76. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 御質問三点ございまして、まず第一点は、自作農維持資金の融資枠の設定あるいは条件改善なりを、こういうお話でございます。  自作農維持資金といいますのは、実は制度的な性格からしまして、天災融資等の所要の資金手当てをし、なおかつ、自作農の再建なり維持なりに必要な場合に、さらにそういう問題につきましても手当てをする、こういう仕組みになっております。したがいまして、天災融資法の発動を行い、かつ、現地の実情なりそれから農業者の資金需要なり、こういう点をよく踏まえまして適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。  それから償還条件等、すでに借り入れている金融につきましての条件改定の指導をというお話でございますが、これにつきましては、私ども実は、雪の災害の起こりました時点で、降雪及びその後に予想される異常気象も含めまして、関係の金融機関に対して、つなぎ融資なりそれから既貸付金で償還の困難な方に対します条件緩和等の相談に十分に乗るようにという指導通達を出したところでございます。  金融と申しますのは、どうしても金融機関と個別農家との契約でございますので、一律ルールというわけにはまいりませんが、特に農家ごとの実情をよく見て、必要なものにつきましては条件改定に積極的に応ずるということで対処をしてもらうべく、指導をいたしておるわけでございます。今回、寒波被害が起こりましたときに当たりましても、この点を十分に、再度口頭で、各農政局を通じまして、念のために、寒波被害についても同様の措置をするようにという指導を現にいたしております。  それから次に、果樹共済の早期支払いでございますが、これにつきましては、やはり今回の寒波被害が起こりましたときに、各関係機関及び団体等に対しまして、損害評価等をできるだけ早期にして早く支払えるものについては支払うように、またある時期を待つ必要があって、かつ、農家がその受領を必要とする場合につきましては、仮渡し等の制度も十分にひとつ活用するようにという指導をいたしているわけでございます。  昨年の冷害のときと同じように、今回の果樹の寒波被害に対しましても、これらの問題の浸透を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。
  77. 田中恒利

    田中(恒)委員 それぞれの項目につきましてはなお引き続いて御要請を申し上げたいと思いますが、ひとつ的確に事態の推移の中に対応していただきたいと思いますが、実は私ども、寒波の災害がひどいということで、社会党といたしましても、すでに宮崎県と愛媛県の現地の調査に参りまして、その実情をつぶさに見聞をし、現地の皆さんの御要望をお聞きをしながらまいっておるわけであります。  私自体愛媛県へ四月の四日に参りましたが、私も果樹地帯に育った者でございますが、行きますとまことにこれはひどい、そういう感を強くいたしました。農業構造改善事業で造成をされた果樹園が二十町歩団地、三十町歩団地、しかも、当該地域では最も果樹園として、ミカン園として理想的な南寄りの、しかも日射のよく当たるところが、今回異常な寒波集団の滞留によりまして、ひどいところではマイナス十度内外の気温、マイナス以下の時間が十時間から十二、三時間、大体果樹の木というのは、マイナス三度から四度ぐらいに下がりますと、木の中を走っておる水分が凍結をする、これが一般的に言われておるわけでありますが、今回は十度近くまで気温が下がって、しかも十時間内外続いた。このことで実は木がいわゆる真っ赤になっておる、全山まさに真っ赤になっております。あるいは葉がほとんど散ってしまっております。こういう状況が非常に全域的にひどいところは見られるわけであります。  そこで、当面、市町村も県も、特に関係災害農民はどうしたらいいのか、これは災害地どこでも同じでありますが、途方に暮れております。当面、農作物の災害でありますから、技術的にどういう方向へ指導すればよろしいのか、このことが緊急の課題なのであります。樹体の被害をどう立て直していくか、このまま枯れさせていくのか、生き延びさせていくのか、この技術指導が緊急の課題であると私は思うのです。  ところが現地へ参りますと、技術者の話を聞くと、一口で言うと、先ほど農林省の方から御説明があったように、事態の推移を見なければわからない、こういう状態なのであります。もう少し期間がたって、温度が高くなって芽が出て、それを切って調べてみて樹液がどういうふうに動いておるか、これを検査した後でないと、どういう方法をとっていいのかわからない、こういう実情なんですね。私はこの点もう少し、日本の国は広いので学者の方にもこういう面で相当研究されている方もおると思うし、農林省にも技術研究会議がいろいろ調べられておるわけでありますが、こういう技術指導を当面どうするのかということについて、中央段階でとるべき方策があると思うんですね。それを早急にとってもらいたいと思うわけですが、この点についてお考えをひとつお聞きいたしたいと思うのです。
  78. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今回の寒波の被害に当たりましては、まさに御指摘のとおり、私どもも当面技術指導に抜かりなく対応いたしまして、できるだけ被害を最小限にとどめていくことが何よりも必要だと考えているわけでございます。  そこで、春作及び夏作の場合の技術指導というのは一般的にすでに通達、実施をしておりますが、今回の寒波被害が起こりました時点で、さらにそれをきめ細かく徹底を図っていくという趣旨で、実は三月の末に一連の技術指導の対応の仕方につきましての通達を再度出しまして、現在それの指導徹底に努めているところでございます。  たとえば新芽が伸びてその緑化が終わるまでの間の剪定を控えるとか、それから落葉した木では特に樹脂病等の発生を何よりも防止するということで白塗剤を塗布するとか、あるいは肥培管理等につきましても細目のいろいろな方式等につきまして十分に注意事項の浸透を図ってまいるということで、現在これに対応いたしているところでございます。
  79. 田中恒利

    田中(恒)委員 いろいろ文書は出されておるのだと思いますけれども、事は災害でありまして、現地へ行くと技術者が途方に暮れておりますから、私は、むしろ中央の有能な技術陣営がスタッフをそろえて現地へ行きまして、被害地の関係の普及員なり農協なり市町村の技術員を集めて、地域の実情が違うわけですから一律に画一的なものは取り上げられないと思いますから、よく現地の技術者と相談をして、こういう方法が一番いいのではないかということで指導していく、あるいは合議の上決めていく、こういうことをやってもらいたいと思うんですよ。それをやることが、現地の技術者や関係団体や災害農民に対して非常に力強さを与えるわけであります。そういう面をぜひ考えていただきたい。  私は愛媛県ですが、愛媛県では寒波の総合的な技術対策班といったようなものをつくって、いろいろ関係者がそういう方向に力を入れようとしておりますが、これは大きな全国的な規模でありますから、中央の段階でぜひ何カ所かへ派遣をしてそういう処置をひとつとりていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 国の試験研究機関等におきます専門家の判断も十分に活用していくという御趣旨、ごもっともでございまして、私どもも、今回の被害に当たりましては、国立の試験研究機関においても、関係県等を通じます実態把握なり、その被害の解析等を行いまして、技術指導の中に十分に協力するという体制をしておりますが、特に現地にそういう人たちが行って現実に現場を見、それから技術対応というものにつきましても十分に相談に乗ることが必要だという御指摘、よくわかりますので、私ども十分その点も留意いたしまして、今後の推移を見ながら、必要に応じてそういうことも考えてまいりたいと思います。
  81. 田中恒利

    田中(恒)委員 それで、先ほども天野委員の方から御指摘がありましたが、今回の寒波、特に温州ミカンや中・晩柑類の災害の特徴は、何といっても樹体被害であります。木が枯れておるものもあるし、枯れかかっておるものもあるし、さらに蘇生していくものもある。さまざまでありますけれども、いずれにせよ、樹体被害でありますだけに、いけなくなったものについてはこれを撤去しなければなりません。そして、撤去した跡に新たにまた植えつけをしていくか、あるいは違った作物をつくるか、そういう選択になってくると思うのでありますが、そういう意味で、当委員会が中心になってまとめられました林木等に対する特別処置、これに類した何か方策をとっていただきたいということは、これは私ども並びに関係地区が一様に要請をしておる点であります。が、この点について農林省の方はどういうふうにお考えになっておりますか。
  82. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 今回の立木の被害につきましては、激甚法の一部改正という措置をとっていただきまして、これによってこれに対する対応をするということで、現在作業を急いでいるわけでございます。  このたびの果樹の樹体の被害につきましては、被害の態様なり、あるいはこれの復旧に対応する場合のそのタイミングなり、その判断なり、あるいはその仕組みなり、こうしたものが、実態もまた全く異なっておりますので、全く同様のような措置でということが必ずしも適当かどうかは問題がございますが、いずれにしたしても、果樹の場合につきましては、先ほども申しましたが、何といいましても、現在は技術指導等によりまして被害を最小限にとどめていくのと、もう少し推移を見ませんと、現時点では、被害樹の芽つきが果たしてどういうふうになっていくのか、そういう非常に微妙な段階でございます。したがいまして私どもは、十分に技術者とも連携をしながら今後ともその推移を見守っていきたい、その上でさらに必要な対応は、それはまたそれで考えていく必要があると考えております。
  83. 田中恒利

    田中(恒)委員 今度の果樹の災害は、一つは、ミカンが大変たくさんつくられまして、米と同じように生産抑制をしなければいけないということで、ミカンの転換を、ネーブルであるとかハッサクであるとかあるいはポンカンであるとかイヨカンであるとかアマナツカン、こういう中・晩柑類へ切りかえるやさき、あるいは切りかえてどうにか一人前になり始めた途端、こういう災害が起きたわけです。したがって、これらの転換については、すでに政府の方の温州ミカンの転換促進の事業に乗って、この災害に遭ったということになっておるわけです。そこで、災害跡にもう一度転換というか、転換の場合もあるし、重ねて同じ物をつくる場合もあるわけでありますが、たとえば高接ぎをしたり、あるいは新しく苗木を購入して植えつけたり、こういう事業というか、そういうミカン園の再生について検討しなければいけないわけでありますが、そういう場合に、農林省の予算の中にありますミカン園の転換促進事業、あるいはミカン園の整備の事業、あるいはこれに伴う利子補給の事業というものを被害地に対して適用していく、こういうお考えについてはいかがですか。
  84. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 御指摘のとおり、温州ミカンの将来の需要見通しのもとに、晩柑その他の作物に転換する事業を現在実施をいたしておるわけでございます。こういう時点における農家の災害でございまして、何とかひとつ対策よろしきを得て、一日も早く立ち直っていただきたいというふうに私ども考えておるわけでございます。  それで、いまの転換対策等のこれからの進め方及び現在の諸制度の適用の問題につきましては、現地ごとにその地域考え方も違うと思いますし、また被害状況なりも異っているというふうに思いますので、一律には申せませんが、こういった被害を受けた地帯につきましても、この際転換を図っていくというふうなものにつきましては、その要件に合うものについては、できるだけそういうものも有効に活用できるようにしてまいるという考え方で、それぞれの地域ごとに十分御相談に乗りながら進めてまいるということで、今後さらにやってまいりたいというふうに思っております。
  85. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは、今回の被害地の宮崎県の被害農民の意向調査であります。約二百三十九戸でありますが、五五%は柑橘を少なくしてその他のものにかえたい、あるいは柑橘を全部やめたい、こういう意向で、これは災害後ですからなおひどいのかもしれませんが、半分以上ですね。そして、このまま再び同じ柑橘を植えてやりたいと言っておるのが大体三三%、どうしていいかわからないというのが一三%、こういうアンケート調査もいただいておるわけですけれども、こういう状況でありまして、いずれにせよ傷んでしまって、後で芽が出てもとへ戻ればいいのですけれどももとへ戻るといいましても、どちらにせよ、二年か三年は収穫がすとんと落ちてくることはもう明らかでありますし、温州はある程度生き延びるのではないかと思っておりますが、中・晩柑は、私ども経験でも、今回ほどの冷温になりますとやはりこれは相当部分枯死するんじゃないかと思うのですね。そうするとどうしてもやり直さなければなりません。そういう場合に、本来の温州ミカンの転換促進事業を、この予算では、多分もうことしの分は予定がされておるのでしょうけれども災害対策として分野を拡大をして、災害被災地跡の転換の課題としてひとつ取り組んでもらう、こういう方面について強く検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、農林省は最近地域農政ということをよく言っておるわけでありますが、災害になりますと県なり関係市町村は最大限の努力を払うわけであります。そこで、たとえば樹体被害に対しては樹勢の回復ということが当面必要でありますから、樹勢回復に必要ないろいろな県単独の、たとえば肥料代を補助していくとか、あるいは技術指導に対する特別な助成をするとか、苗木代を補助していくとか、こういうものがすでに各県ごとには今回の場合ももう考えられておるはずでありますし、行われると思うのです。そういうものを積極的に進めておるところについては農林省が応分の援助をしていく、こういうことも考えられていいのじゃないかと私は思うのですが、この点についてはどうでしょうか。
  86. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 樹勢回復のための肥料なりあるいは苗木なり、いわゆる経営に必要なその他の資材等の購入に対する助成をいたすということになりますと、これは先ほども申しましたが、これまでのこれに類するようないろいろな災害を受けてきた方にも、これについては低利融資で応ずるということで、交通整理をしながらそれぞれ対応してまいっておるわけでございますので、この種のいわゆる個人の消耗資材を含めて、こういうものに対する助成を直にやっていくということはきわめて困難だと申し上げざるを得ないわけでございます。また、それによりますと、現在設けられておる災害のための融資制度も一体何のためにあるのかという、その辺の位置づけとも関係してくるわけでございますので、やはりこうした分野については、できるだけ現在あります融資の中で最も有利なものを活用していただきながら、樹勢回復あるいは施設復旧等に対応していただきたいというのが私ども考え方でございます。
  87. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は余り納得できぬのですがね。災害というのは地域的に態様が非常に違いますから、対応の仕方もバラエティーに富んでいいと思いますし、それから異常気象が昨年からずっと続きまして、いろいろな出来事が起きておるわけですけれども、特に先ほど指摘をいたしました異常気象に対応する農作物等の技術指導の対応策というものは、どうも手抜かりがあるような気がしてなりません。ぜひこれは、重ねて技術陣営を動員して、今回の寒波、豪雪などを参考にしながら、最も効果的な方法を改めて指導方針として打ち立てていただきたい、こういうことを特に御要望しておきたいと思います。  時間が参りましたので、この際委員長に御要請をして質問を終わらせていただきたいと思いますが、先ほど来のお話をお聞きしますと、理事会等ですでに御相談ができておるようでありますが、現地調査を当委員会としてぜひ実施をしていただきたい。しかも時期はできるだけ早い方がいいのではないかと思います。すでに春先になりまして、いろいろ変化の時期でありますから、今日の寒波災害の実情を当委員会としてこまかく御視察をいただいて、これからの方策に資していただきたいということが一つです。  それから、先ほど天野委員が御指摘になりました雪害に対する林木のいわゆる特別措置に類する方策を、この際小委員会などで御検討いただきまして、今回の寒波による果樹を中心とした樹体災害に対する、皆さん御指摘になりましたように、ぜひ何らかの特別な助成措置というものを打ち出していただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思いますが、委員長の方から御所見がございましたら承りたいと思います。
  88. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 ただいま田中委員からの現地調査及び樹体災害の特別措置に関しましては理事会に諮りますが、ことに前段の現地調査につきましては、なるたけ早急に調査できるように理事会で諮りたいと思っております。(拍手)  次に、薮仲義彦君。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も、当委員会で午前中から問題になっております、このたびの二月以後の西日本一帯の深刻な寒波に対する当委員会としての対応はもちろんのこと、当該の農林水産省の対応について、最初に何点かお伺いをいたしたいと思うのでございます。  昨年の冷夏、豪雪、そしてまた引き続いての二月の異常寒波、このように異常気象の農作物に与える影響というものは非常に深刻なものがあるわけでございますが、わが党もこの事態を深刻に受けとめまして、早速党の農水部会を中心にしまして、六日に愛媛県を中心とした現地調査をさせていただきました。現地の非常に深刻な状態にかんがみまして、党として早速昨日、亀岡農水大臣に対し八項目にわたる申し入れを行ったところでございます。それに対する農水省の見解を冒頭にお伺いいたしたいと思いますし、重ねて大臣には、先ほども御答弁ございましたが、激甚災害地域指定についての御決意をお伺いしたい、こう思っております。  最初に農水省にお伺いしたいのは、わが党が指摘しましたのは天災融資法の早期発動、それからこれは長官の方でございますが、激甚災害法に基づく地域指定、これを早急に進めていただきたい。  それから、天災融資資金、自作農維持資金の融資枠の確保、限度額引き上げ、金利の引き下げ、いわゆる貸付条件の緩和というのはさしあたってはどうしても必要な事柄でございます。  また、先ほど来指摘がございましたように、農家の方々は各種の制度資金の借入額が非常に多くなっております。こういうものは、連続的な被害を受けておりますので、皆様方の生計、生産意欲を非常に失わせる原因になっております。こういう点を考慮いたしまして、延納措置、金利の減免等、農水省を中心に各省庁に働きかけて、農家の皆さんの苦しい実情を軽減していただきたい。  さらに被害の実態についても、冷害というものは、先ほど農水省から被害実態が報告になっておりますが、さらに日を追うごとにその被害の実態というのは深刻の度を加えてまいります。そういうことからして、追跡調査というのはこれからも重ねて行い、共済金の支払いは急いでほしい、こういう要望もいたしてございます。  また、産地の復興のため改植あるいは苗木等の確保ということが非常に大事でございますが、こういう問題に対する助成、こういう点等含めまして、八項目にわたって農水大臣に申し入れをいたしてございますが、この点に関する農林省の見解をお伺いしたい。  先ほど来指摘がございましたように、当委員会で、あの雪害による折損木等の対策について時宜を得た対処の仕方というのが、どう林業者に生産意欲をわかしたか。その点にかんがみまして、このように被害に遭われた農業者の方の生産意欲、生計を守るためにも、適切な処置を特に要望するわけでございますが、大臣並びに農水省の対応についてお伺いしたいと思います。
  90. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、今冬の豪雪、低温等による農作物の被害の甚大、わけても柑橘類の被害の甚大なること、農水省からの報告を受けて私どもも驚いているほどでございます。  それで、その被害額把握を大体終えましたので、その災害が激甚である、激甚地指定することが適当であると考えまして、激甚災害指定政令を四月十四日の閣議にかけて、四月十七日にこれを公布するように、いまいろいろと手続準備を整えております。大体その順序でいく考えでおります。
  91. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 天災融資法の発動につきましてはできるだけ早期に発動いたしたいということで、現在鋭意作業をいたしておるところでございます。  また、自作農維持資金等につきましても、天災融資の発動を考え合わせながら、現地の状況なりそれから資金需要等十分に勘案いたしまして、適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。  また、各種制度資金の既借入金につきましての条件緩和につきましては、現在金融機関等に対しましてその指導の徹底を図っているところでございます。  また、農業共済金の早期支払いにつきましても、すでに通達等によりまして、できるだけ評価の調い次第支払うように、また必要なものにつきましては仮渡しをするように、こういうふうなことでその指導に入っているところでございます。  また、苗木なり穂木なりこうしたものに対します確保につきましては、できるだけ有利な低利融資を優先的に利用していただくということで、指導をいたしておるわけでございます。  その他、いろいろの御指摘等ございましたが、私どももそれぞれ、随時必要な措置につきましては、関係省庁とも連携をいたしまして、これに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 当委員会に設置されております小委員会等で、また細かい問題等はさらに詰めていくことになっておるようでございますが、その点も踏まえまして、農水省の十分な対応を重ねてお願いをする次第でございます。  次に、先ほど来の質問をずっと見てまいりますと、やはり気象という問題が災害に非常に大きなかかわり合いがあるわけでございます。そういう観点から、長官に御理解いただくと同時に、現在気象庁が大変鋭意努力して、気象観測、通報等に研究を重ねておることは、私は十分承知しそれを評価した上で、さらなる努力をお願いするという意味で、何点かお伺いをしておきたいのでございますが、これはもう当該の委員会等で指摘もされていることで、私が重ねてというのもいかがかと思うのですが、やはりこれは災害という立場から、長官にも御理解いただくためにちょっと申し上げたいのです。  気象庁に対する行政管理庁の行政監察があるわけでございますが、そこの冒頭に「気象に関する情報は、国民一般の日常的な活動に不可欠なものとなっていることはもとより、防災活動等の面で極めて重要な役割を担っており、その質的向上を図ることが社会的に強く要請されている。」等々ございますが、さらに「我が国は、その自然環境から、気象災害が」、気象災害という言葉が出ておりますが、「気象災害が生じやすく、毎年多くの人命損傷を余儀なくされているほか、家屋、公共施設等の被害額昭和五十三年度で約七千三百四十億円に及んでいる。このような背景から、気象庁の気象、地象及び水象に関する観測の成果や、これに基づいて発表される天気予報、注意報、警報等」は大事である、ということがここにうたわれてございます。そういう防災の観点からの指摘に対して、どうなったのかということをお伺いしたいわけでございます。  これは大臣もよく御存じでございますけれども、朝晩われわれがテレビを見ておりますと天気予報が出てまいります。そのとき、日本列島の上に静止衛星の「ひまわり」から送られてくる雲画像というものが載っかりまして、日本の天気はこうですよということが出てくるわけです。この行政監察の第一点の指摘はその雲画像について指摘されているわけでございますが、静止衛星「ひまわり」から送られてくるこの雲画像というものがどのような活用のされ方をしておるか、また、これがもっと有効に使われれば日本の気象というものはさらに精度が上がるんじゃないかという指摘があるわけでございます。  これは全部読みますと長くなりますから簡単に言いますと、静止衛星「ひまわり」から雲画像が送られてくるのは、気象庁の本庁に送られてまいります。本庁から全国管区気象台、五管区あるわけです。沖繩を入れて六カ所ですね。そこへ雲画像を送るときには、模写像を無線のファクシミリで送ります。これは観測した時点から五時間後です。雲の状況観測した時点から五時間後ですし、模写像であるので、ファクシミリで送っているものでございますから、画像が不鮮明である、非常に解析しにくいという点をここで指摘しているわけでございます。しかも、これを管区気象台が直接受ければ、もっと警報であるとか予報の精度が上がるでしょうという指摘なんです。  これは、ここでこういう指摘されているわけですね。ここで一番問題は、こうなっているわけです。重ねて言うのもなんですが、「地方予報担当官署においては、観測時から約五時間遅れで本庁から無線ファクシミリにより一日二回送画される雲画像、観測時から約四時間遅れで、気象衛星センターから本庁のアデスを経由して一日四回配信される雲解析図、及び雲解析結果に関する中央気象指示報などを利用しているにすぎない。」、時間的おくれがどういう影響になるかという例がここに載っています。  これは大臣に渡しておいてくださいと言ったからお持ちだと思いますが、これの七ページに、昭和五十三年六月十日から十一日にかけてのある地方県での雨量が出ています。三時間雨量が百三十五ミリメートル、十日の十五時から十一日十一時までの総雨量は三百四十七ミリメートル、これによって県内に大雨があって、床上浸水八戸、床下浸水三百七十一戸、道路損壊二十三カ所という大きな被害が出ているわけですが、このときにこの雲画像が送られてこないために、管区気象台がどのような予報を出したかといいますと、レーダーの探知範囲内では警報級の強い積乱雲が認められなかったから、十日の夕刻から夜半にかけての雨は寒冷前線の通過に伴う一過性の雷雨程度と見込んで、大雨の予想ができなかったんだというのです。ところが、実際は大雨が降って、これだけの被害が出ました。ここに問題があるわけですね。  私がここで指摘したいのは、「もしこれがリアルタイムで入っておれば、少なくとも五時間か六時間早く大雨洪水警報の発表が可能であった」、こうなっておるわけです。これが一つ。防災の見地から非常に大事なことです。数時間前に大雨洪水が的確につかめますよ、ということがここに指摘されているのです。  もう一つ大臣、これもちょっとここに出てくるわけですが、日本の気象観測のためにレーダーによって雲の状況観測しております。二十官署でやっておりまして、半径三百キロメートルをレーダーで調べております。ですから、ほとんど日本列島全部、レーダーで雲の状態はわかります。  それと同時に、この中にはアメダスという言葉が出てまいります。これは正式には自動気象計による地域気象観測網といいますけれども、雨の量とか風向きとか、そういうものが自動的に計測されて、データバンクに入ってまいりますよという、アメダスという施設が千三百十二カ所にあって、雨の量を的確に自動的に計測しております。これは大手町にある電電公社の電算機に入っております。  ところが、問題は、この気象レーダーでやった雲の像と雨量というものが、重なった形で資料として使っておりません。これをやはり、雨量を正確にするためには、レーダーでつかんだ雲の解析と雨の量を的確に使えば、もっと気象の精度が上がりますよ、という指摘がここに出ているわけです。  これもなぜ私が指摘するかというと、ここに具体的な例が出ている。これは十一ページですが、昭和五十四年七月十六日、ある県のある町において、「十六時に一時間雨量百五ミリメートル、十五時から十八時までの三時間雨量百九十ミリメートルに達する大雨があった。」、ところが、気象台ではこの予報ができなかった。大雨の予報ができず、警報がおくれたわけでございます。  そこでどういうことが指摘されているかといいますと、ここが大事だと思うのです。この例を気象庁が後で解析してみると、「観測時刻のレーダーエコーだけでなく、観測時刻間のエコーの時間的積算を行って、五キロメートルごとの雨量の相対的分布を推定し、これとアメダスによる雨量実況分布とを組み合せることにより、アメダスの観測網にかからない局地的な大雨の存在と、その雨量の絶対値を、かなりの精度で推定できることが検証されている。」、いわゆる雨量についてはもっと精度が上げられますよ、という指摘がされているのです。  いま言われましたように、一つは雲画像をもっと地方管区の気象台にダイレクトに入るようにしなさい、しかもそれは余りお金がかかりません。また、いま言ったように、レーダーとアメダスを気象庁の電算機の中に一緒にインプットしてそれを解析すれば、雨量についてはもっと精度が上がってくるんじゃないですか、という指摘なんです。  私は、これは気象庁としても当然のことであり、それなりの対応をして努力していらっしゃると思うのでございますが、行管から指摘されるということは、気象庁としては非常に残念なことだと思うのですが、われわれが災害対策委員として考えますと、こういう問題についてはもっと早い段階で対応していただきたい。そういう意味で、直接所管の大臣じゃございませんが、防災という見地から、私は長官にも、気象庁をバックアップして——大蔵省等は予算要求の段階てはいろいろ問題があるかもしれませんが、起きた災害に比べれば、こういうものを設置をして、被害を少なくとめることの方が大事じゃないかと思います。  そういう意味から、国土庁長官として、気象庁め精度を上げるということについては心を配っていただきたいと思いますし、気象庁もこれに対しては十分対応していると思うのでございますが、こういう指摘については、いつごろまでにこれを実現するというお考えなのか。われわれは、防災という気持ちの上から、気象条件の精度を上げてほしいという願いがございますので、その努力について御答弁をいただきたいと思います。
  93. 原健三郎

    原国務大臣 御高説のほどはわかりました。過般、参議院の予算委員会におきましても、渋谷委員からよく承りまして、担当大臣は運輸大臣ですから、運輸大臣からも答弁がありました。そのとき私もよく聞いておりました。  いまおっしゃったように、非常に欠陥があって、行政管理庁からいわゆる注意を受けるほどでございました。これは速やかに各地方の気象台へ中央で入ったデータを送るようにすれば、非常に効果があることは御承知のとおりであります。私どもも早くそういうことをやりたい、やれればいいものであろうと思っております。  聞いてみますと、この施設をやり、それを完備するのに莫大な経費が要るそうでございまして、それがいまのような財政状態では大蔵省の方に難問があると思いますが、御趣旨の点はよくわかりましたので、せいぜい尽力してみたいと思っております。
  94. 清水逸郎

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  気象庁といたしましては、いま御指摘の「ひまわり」の画像を地方の主要な気象予報担当官署に設置いたしまして、雲の画像を直接受信することができる、そういう施設をなるべく早く整備するように、目下努力中でございます。  それから、ただいま御指摘地域気象観測網による雨の測定と、気象レーダーによりまして、上空に分布しております雨粒の状況とを組み合わせて、予報精度を上げるようにという件につきましては、これはかねてから大切なことであると承知いたしまして、そのような研究を続けてまいりました。  その結果、現在、気象レーダーでは、雨の分布をアナログといいますか、写真のような形で受け取っておりますが、それを数量的なものに変換いたしまして、レーダーの画面というのはある瞬間の値をはかるものでございますので、それを雨という一時間の積算した量と比較して一致させるためには、レーダーの情報を一時間積算する必要がございます。そのような研究を積み重ねまして、現在、そういうことをやると確かに御指摘のように天気予報に有効であるという結果がはっきりいたしましたので、今年度からまず、そのレーダーの写真のような情報を数字に変換する装置を順次展開いたしますことになりまして、現在それに着手いたしたところでございます。  そのようにして、今後こういう情報を有効に利用いたしまして、御期待にこたえるようなよい情報をつくりたいと努力中でございます。
  95. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、気象庁のまじめな努力を大いに期待しておりますから、しっかりとやっていただきたい。  同時に、私は、いま申し上げたコンピューターであるとか、そういう科学技術によるデータだけではなくして、天気予報というのは、もっとそういう部分だけではない解析の仕方があるのじゃないかという点を指摘しておきたいのでございます。  私も静岡でございます。いろいろ海岸に住む漁師の方あるいは農家の方、いつも晩霜でやられて、その人たちもまいっておるわけでございますが、こういう方々と話し合ってみますと、やはりそういう方は、御自分の生活実感の中からある程度気象というものについて知恵を持っていらっしゃる、知識を持っていらっしゃる。私は、いま申し上げたような科学的な解析も必要でありますけれども、やはり天気予報というものは、ある意味ではもっと人間味のあるといいますか、ローカル的なものといいますか、その地域の地勢ですね、海に面する、山に面する、いろいろな地理的な条件等を加味した、雲の位置あるいは風の向き、そういうものによって、機械では解析できない、より正確な気象条件というものをつかんでいらっしゃる方が数多くあります。これは各地方気象台で、そういうところにも目を向けられて、その地域にある、昔からの言い伝えとかそういうものを、今度は逆に科学的に解析をして、それを気象予報の中に生かしていくということが私は非常に大事ではないか、機械にばかり頼って、それが絶対とは言い得ない部分が相当あるのではないか、もっと人間味が必要な部分が、この千変万化する気象条件の中にあるような気がしてなりませんので、そういう点の考えは気象庁にないのかどうか、これが一点。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕  それからもう一つは、やはりいまの予報は県単位の予報が主に出てまいります。たとえば東京都、神奈川県、静岡県という形で出てまいります。  そこで私は、将来の希望でございますが、この行管の指摘の中に成果がどうのこうのということが出てまいりますし、それが一部指摘されておりますが、私はそういう意味で取り上げるのではなくして、たとえば私の住んでいる静岡県でも、浜松の方、西部、静岡中部、沼津の東部と、静岡県全体の天気を言いましても、東、中、西では全然様子が変わります。晴れ後曇りという予報を出されても、たとえば西部と中部は晴れ後曇りでした、しかし東部は晴れ後雨でしたというと、東部の人は気象庁の予報は余り当たらなかったという感じを持つのは、これはやむを得ない。しかし、県全体とすれば確かに六割以上、七割近い精度で当たっていたかもしれない。でも、やはりこれから要求されるのは、むしろ局地的な、ローカル的な天気というのが非常に生活の中に要求されてくるのじゃないか。それと同時に、山間部、平野部、海岸部とでは天気の様子は変わっておりますが、そこまでやれとは言いませんが、できるところから、少なくとも県内一本ではなくして、ローカルニュースの中に織り込めるのであれば、東、中、西とか、山間部、平野部、海岸部というような形で、それがどこまでできるかはこれからの気象技術によるところが大だと思いますけれども、少なくともそういう努力をして、局地的な天気がわかるようにしていただきたい、これが二つ目。  三点目は、特にこれからの災害の中で、いつも言われておりますけれども、いまこれはもう災害の問題になっております。静岡は晩霜でいつもやられます。五十四年もひどい晩霜で、被害が約九十三億三千八百万、この晩霜予報が的確に予報できれば、農家の方ももうちょっとましな予報をという気持ちがあるかもしれません。しかし、農業者は、これも天災ですと言って雄々しく立ち上がってがんばっておられますけれども、やはりわれわれの側から言うと、晩霜であるとか雨量についてはもう少し精度のある予報を、先ほども指摘しましたけれども、欲しいなという感じがいたします。こういう点、簡単で結構でございますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  96. 清水逸郎

    ○清水説明員 お答えいたします。  最初に御指摘の、言い伝え等のこれまでの経験を予報に利用できないかという御指摘につきましては、たとえば遠州灘で波の音が西から聞こえるときは天気が続くけれども、東から聞こえるようになると天気が変わるという、そういう伝えがございますが、たとえばそういうようなものは非常に長年の経験の集積でございまして、現在の気象学から見てまことに正しいことわざであると思って、もうすでに、こういうようなものは気象の毎日の予報の中にある意味では取り入れられているものでございます。  言い伝えの中には、場所による特殊なこともございますので、最後に御指摘の、その地域の問題ということに関連して、今後はそういうものも十分調査をいたしまして、利・活用するようにいたしたいと存じております。  それから二番目に御指摘の、地域的な、もう少しきめの細かい予報をもっと出すべきではないかという御指摘につきましては、気象庁といたしましても、その点、実はこれまでは、たとえばシベリアから冷たい空気が吹き出してくるとか、低気圧が移動するとか、そういうふうにきわめて大きい現象をまず正しく予報することが天気予報としては第一歩であると心得まして、これまではそういうような点に努めてまいりました。  それに対して、ただいま御指摘の点は、確かに、そういう大きい現象が支配いたしますときに、各地にございます地形によってそれぞれの場所に違った現象が起こる。そういう点はそれぞれの土地にとりましては非常に大事なことでございますが、何分にもその変化は非常に多岐にわたっておりますので、これまでもなかなかそこまでは手が回らなかったというのが実情でございます。  そういうような問題に対しまして、最近いろいろと、先ほども指摘のありました気象衛星とか、地域気象観測網とか、レーダーとか、そういうようないろいろな施設をつけていただきましたので、そういうものによって得られる資料を十分組み合わせまして、さらに地形の問題というものを十分念頭に置きまして、そういう地形の周りにはどういう空気の流れが起こるかというようなことを中心に、それにいろいろな情報を組み合わせまして、今後、御指摘のようなきめの細かい予報ができるように現在研究を重ねておりまして、そういうものが実現できるように努力いたしておるところでございます。  同じようなことでございまして、霜につきましても、何分、たとえば先ほど御指摘のお茶畑のようなものは、山の上から下まで非常に広く分布している、そのどこに霜が起こるかというような細かいことになりますと大変むずかしい問題でございますが、県の領域についてどこまでそういうことが言えるようになるか、私ども、そういう地形との兼ね合いで、気象の情報をできるだけ細かく出せるようにいたしたいと努力いたしているところでございます。  以上でございます。
  97. 薮仲義彦

    薮仲委員 あと、時間が大分なくなってまいりましたので、これは簡単にお答えいただきたいのです。  これは大臣にも心にとどめておいていただきたいのですが、よく、非常の場合にテレビのスイッチを入れて気象情報を聞きなさいということがあるわけです。気象通報を聞いていなさい、ラジオの気象通報によって台風の進路等をよく理解しておきなさいということが言われます。  ところが、われわれ静岡は台風のよく通過するところでございますが、通常テレビが放送されている。NHKは十二時で終わる。民放はそれ以上遅くまでやっておりますが、台風が参りますと、延長してずっと放送は続けられております。現在の気象庁が発表します気象は、大体六時、九時、十二時、十八時、二十一時、こういう五回にわたって気象の予報が出されるわけでございますが、これがある時間に放送されるということになると思いますけれども、要は、午後九時から明け方の六時までは、台風でもない限りない。これはこれでやむを得ないと思うのです。  そこで、私は二点お伺いしたいのですが、いわゆる台風時、私も四十九年の七夕豪雨、床上浸水で自分が被害を受けた方でございますから、あのとき生活実感として知っているわけでございます。ちょうど参議院議員の投票があって、うちへ帰って休んで、夜中の二時ごろ、一挙に水がだあっと畳を吹き上げて噴いてくるわけです。あれこそ、寝耳に水とはこのことだと思うほど、一挙に床の上まで水が上がってきます。そうしますと、当然送電線が切れて真っ暗になります。テレビは受像いたしません。さあカセットラジオがどこにあったのかなんていったって、水が急激に上がって間に合わない。そのとき不思議に生きておりますのは、電話回線だけは切れてない。  そこで、私は今後気象庁にお願いしたいのは、これはちょっといやみに聞こえて申しわけないのですが、きのうもちょうど私の家に気象庁の方がお見えになった。では、東京と静岡の天気予報を聞いてみましょう。一七七にぽんとかける。東京は大体一時間おくれぐらいで入ってくるのですけれども、きのうはどういう間違いか、気象庁の方もちょっとお困りのようでございましたけれども、夕方の五時二十七分ごろ「五時半発表の気象庁の」と、こう出てくるわけで、ちょっと早いなと思ったのですがね。それは気象庁の方もお困りで、直されるでしょうから突っ込みませんでしたけれども。それで、今度は静岡、ぽんと入れて聞いたわけです。夕方の五時半ごろでございますが、静岡地方気象台正午の予報が入っていますね、六時間前のです。これは毎日そうなんです。六時間気象が変わらなかったらそれでいいのかもしれませんけれども、やはりわれわれに生活実感として必要なのは、リアルタイムでどういう気象が変化しているのかというのが知りたいと思うのです。気象台に聞けばいいでしょうといっても、台風のとき気象台にかけたら全然電話は通じません。一七七は通じます。ところが、そこに流れてくる予報というのは、数時間おくれの予報が流れてくるわけです。そこでわれわれも、あのときは水がどんどん入ってくるわけです。このぐらいまで水につかってくる。そのとき子供を連れてうちを逃げるべきか、逃げざるべきかという判断は、自分が判断しなければならない。テレビを見ようにもテレビは全然受像ができないわけです。そのとき一番必要なのは何かといいますと、電話で台風の予報を聞くことですが、聞いたら大分前の話で、現状と違うわけです。  やはり私は、異常事態のときに情報というものを正確に知ることが住民の心理状態に不安を与えない、また適切な避難行動もとれるという意味合いから、気象庁が今後もう少し電電と話し合って、異常気象のときにはリアルタイムで情報が入ってくるようにできないか。いま台風はたとえば静岡県の中部の上空を通過中ですとか、あと何時間後には雨が少なくなりますということがわかれば、われわれは逃げるべきか逃げざるべきか、そこで判断できる。それが今後の雨量についての判断ができない、もっとふえるのか減るのか。そういう意味で私は、電電と気象庁とのもう少し密接な関係というのを研究していただきたい。いますぐやれといっても無理でしょう。でも、住民に正確な情報を与えることは非常に大事だということが一つ。  もう一つは、テレビやラジオで気象予報はしておりますよ。それはそれでいいのですが、われわれというのは、人から与えられる情報というのはそれでいいかもしれませんが、でも、もっと現代人が必要なのは、自分が必要なときに必要な情報が欲しいのです。遊びに行くにしてもあしたの予定を立てるにしても、自分が必要なときに必要な情報が欲しい。そのとき六時間前の予報を言われたのでは、気象庁に対して余り気持ちよい印象では受けとめられないですね。やはりいまの、一時間前の予報はこうだ、あしたはこうですよというのがあれば、ああ、そうかということで、それがたとえ当たり外れがあろうとも、国民のニーズとして要求してくるのは、もっとリアルタイムの情報じゃないかなと私は感ずるわけです。これは今後の努力として私はやっていただきたい。もう少し災害時それから必要なときには適切な情報が欲しい、この指摘一つ。  それから、これは海上保安庁お見えだと思うのですが、これは海上保安庁にちょっとお願いでございます。当然気象庁と話し合っていらっしゃると思うのですが、いま気象庁と海上保安庁とは、五十マイル以遠の洋上の情報については協定を結んでいただいているようでございますが、五十マイル以内も、異常な事態、必要なときには欲しいということがあります。やはり陸地における雨量等のために沿岸気象状況というのは大事なときがあります。そういう必要を気象庁が判断したときには、海上保安庁の方もそれに御協力いただいて、適切な情報をいただくような御努力を願いたいと思うのでございます。  以上の二点、時間がありませんので簡単な御答弁で結構ですから、部長と保安庁からお答えいただきたいのです。
  98. 清水逸郎

    ○清水説明員 お答えいたします。  一七七番の電話の件は、気象庁といたしましても、これは重要なものと思って現在対処しておりますが、これの内容は、御指摘のとおり、現在一日五回発表するのに対応して一般には出しております。ただ、その発表時刻の点はいささか、そのときのあらかじめの手順がちょっとありまして、誤差があった点はお許しいただきたいと思いますが、災害の起こりますようなときには、現在でもこれはかなり頻繁に情報を更新いたすように努力いたしております。  たとえば御指摘の七夕豪雨のときにつきましては、七日の場合には、普通一日五回であるのをこの日は十一回更新いたしております。それから、八日につきましては十二回内容を改めております。まあ昨日のように天気のよい場合は、これはもう一般的な情報で御理解いただけると思いますが、災害のときには、このようにできるだけ細かく情報を更新いたすように努力いたしております。  それで、さらに今後は、そういうものの内容を、先ほど御指摘の線に沿って、きめ細かい内容に改めたいと思っております。
  99. 加藤書久

    ○加藤説明員 海上保安庁におきましては、ただいま御指摘の五十海里以内の巡視船による通報体制につきましては、業務に支障のない範囲で極力協力する方向で、現在気象庁と協議中であります。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、いま申し上げた点、時間がなくて駆け足のような指摘でございましたけれども、十分その辺のところは研究努力をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最後の質問でございますが、駆け足の質問になりますが、大臣、これはちょっとさかのぼった事件で恐縮でございますけれども、昨年愛知県大府市で化学薬品の火災がございました。あのときに、いわゆる消火に非常に困難を来したということが、あそこで指摘された大きな課題なわけでございますけれども、消すまでに十九時間かかったとか、消し方がわかるまでに、何が燃えているのかがわかったのに六時間かかったとか、いろいろとそこで指摘がございました。  そこで、私がここで申し上げたいのは、化学薬品、こういうものが倉庫で火災を起こしたときに、消火態勢というのが非常に困難なケースがあるわけでございますが、これがまた地震のときには、東京消防庁の報告によりますと、関東大震災など過去の大地震の出火原因を調べたが、学校、研究室などで保管中の化学薬品が落下転倒して混合発火し、関東大震災、あるいは宮城県沖地震の出火原因のトップとなっていたという調査報告をまとめているとあります。やはり地震防災の見地からも、この化学薬品に対処するということが非常にこれは大事な視点であろうと私は思うわけでございます。  そこで、きょうは、もう消防庁はこの事件に対処して消防法の政令改正等を行い、七月一日からいよいよ施行されるようでございますけれども、なおかつ、私は何点か不安な問題がございますので、きょうは大臣に御理解いただき対処していただきたいという気持ちから、駆け足で質問しますので、御答弁は簡単にお願いいたしたいのですが。  先般の愛知県大府市のこの火災、これはもう簡単に申し上げますと、丸全昭和運輸という会社の東海倉庫営業所に保管されていたものが、いわゆる溶接のアセチレンによって出火したというケースでございますが、有毒ガスが発生するのではないかといって非常に問題になったところでございます。  この事故に対して、運輸省お見えだと思いますが、運輸省は、いま運輸省の所管の法律であれに対してたとえば規制する、取り締まる、指導することが、現在の運輸省の持っている倉庫業法でできるかどうか。できるかできないか、簡単に。また、できるとすればどういう点ができたのか、おっしゃっていただきたいのです。
  101. 橋本信明

    ○橋本説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、火災の後に、この事件の教訓にかんがみまして港湾局長通達を発しまして、事業者に、毒物または劇物を保管する場所にはその旨の表示を行うとともに、その種類及び数量を常時把握しておくように、こういうことで指導をしてまいっております。  しかしながら、保管場所に特別な構造、設備等をしつらえるかどうかというようなことにつきましては、これは営業倉庫に限りませず、メーカーの倉庫、ユーザーの倉庫等に毒物、劇物があるわけでございますので、特別に倉庫業法によって営業倉庫のみを対象とするということは私ども考えてございません。申し上げるまでもございませんが、毒物劇物取締法は営業倉庫を含めすべての倉庫にかかってございます。
  102. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少しすぱっと明確に答えればいいのですよ。倉庫業法によって、もう少し言えば第四条では、保管する物品の種類が決まっております。これでは八類まで物品を分けておって、七類に「危険物」というのがあります。「危険物」という指定物品については倉庫業法でできるのでしょう。毒物、劇物、化学薬品については何ら法的に規制はない、ただ通達だけでしょう。法律に基づいて取り締まり規制ができるかできないか。いまの毒物、劇物、化学薬品を倉庫業法で取り締まることができますか。できるかできないかについてもう一遍。
  103. 橋本信明

    ○橋本説明員 営業倉庫に限ってということになりますと、これは若干むずかしかろうと考えております。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 それで結構です。  厚生省は、いまの中で出てきた毒物劇物取締法を持っていらっしゃるが、今度の事故に対して何か法律に基づいて指導監督、あるいは今後改めなさいということができるのか、あるいは毒物劇物取締法で違反したケースがあったのかどうか、その点どうでしょう。
  105. 有本亨

    ○有本説明員 お答えします。  厚生省の方では毒物劇物取締法を所管いたしておりますけれども、ただいま先生の御指摘の営業倉庫につきましては、現段階では一般的な規制がかぶっているだけでございまして、特段の届け出義務その他の規制はかぶっておりません。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大臣、よく聞いておいていただきたいのですが、毒物劇物取締法は確かに毒物、劇物を製造する段階、販売する段階については非常に厳しい規制がかかっておりますし、取扱責任者等が明確になっておるわけでございますが、一たん製造の手元を離れまして倉庫に入ったとき、いまのように規制の網が非常にかけにくいというお話があった。  消防庁は今度、非常に消しにくい物について現行消防法の九条の二、これを政令改正なさった。簡単で結構ですから、骨子はこういうことをこういうふうにしましただけ、お答えいただきたい。
  107. 渡辺彰夫

    渡辺(彰)説明員 消防庁におきましては、大府の火災の教訓にかんがみまして、消防法施行令の一部を改正いたしました。本年の一月二十三日であります。それによりまして、消防活動に重大な支障を生ずる毒物、劇物について届け出の義務を課すことを内容とした改正を行いました。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは消防庁に法の趣旨からお伺いしますけれども、消防庁からいただいた資料にございますが、別表第一の二で、いまの消火に非常に支障を来すものを指定しました。十五あるわけでございますが、シアン化水素、シアン化ナトリウム、水銀、セレン等々でございますが、たとえばこれが一カ所の倉庫に保管されて、現行消防法でこれを規制することができますか。一カ所の営業倉庫に保管してある、届け出はした、消防法でこれに対して何か指導できますか。
  109. 渡辺彰夫

    渡辺(彰)説明員 お答えいたします。  地方消防におきましてはどのような毒劇物が収容されているかということが明らか、になるわけでございますから、それなりに事前に適確な消防活動ができるような警防計画その他を組み、あるいは査察等において支障がないように、そういう仕組みになっている、このように理解していただきたいと思います。
  110. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、私、時間がありませんから最後にまとめて御質問いたしますけれども、いま申し上げましたように、私が何を指定したかといいますと、いわゆる消防法というのは、火が出た、出火した、それを消そうということです。いまおっしゃった消防法の九条では、消火に非常に差しさわりがあるものについて、ここでは物品で火災を発生した場合に、その拡大が速やかであり、もしくは消火の活動が著しく困難となるものというところで、九条の二の中の指定物品の中に、いま化学薬品を入れられたのです。これは消防法の十条では「危険物」に入っています。その「危険物」の方は全然いじってないのです。運輸省の持っていらっしゃる倉庫業法は、さっき申し上げた倉庫を指定するときに、第七類で指定しておりますのは「消防法第二条の危険物及び高圧ガス取締法第二条の高圧ガス」に該当する品物については、この倉庫を指定するようになっているわけです。ですから、この第七類の消防法で言う「危険物」の中に該当する品物ですと、倉庫業法でも網がかかってくる。しかし、今回の消防法の中では「危険物」の方はいじっておりません。いわゆる消火しにくいというところで、消防庁は苦労してここにお入れになった。この努力は私は多とするのですが、いまなぜこんな簡単なようなことを申し上げたかといいますと、この化学薬品というものが、危険物に指定されているものとそれから指定されていないものとあるわけでございます。この指定されていないものの中で、いろいろなものが複合してまじりますと、化合して加熱したり、あるいは水をかけたときに困るとか、この間も問題になっておりましたいわゆるシアン化ソーダ、あれに酸が入っていて、水をかけますとそこに青酸ガスが発生して、付近に危険じゃないかというので消さなかった。いわゆる化学薬品がいろいろな形で混合して、たとえば加熱して化学反応を起こしたときにどうなるのかわからない、どういう中和剤を用いたらいいのか、あるいは水をかけていいのか、水をかけては悪いのか、どういう消し方があるのかということについて、この化学薬品それぞれに関して私はマニュアルが違うと思うのです。  そこで、問題は何か。いま消防庁では苦労してこのように指定しましたけれども、これが仮に一つの倉庫に入ったからといって、それを分離しなさいということは法のたてまえ上不可能です。そこで私が申し上げたいのは、化学薬品の中で一緒に置いておけば、あるいは混在すれば危険だというようなもの、これらについては、倉庫業法あるいは厚生省の御意見等も承って、こういう化学薬品とこういう化学薬品は消し方が別です、あるいは化合すると非常に複雑な反応を起こして消火が困難ですというふうなケースを、さらに一歩踏み込んでいただいて、防災上これらについて倉庫を分けるというのが、いまの消防法では非常に困難であろうかと思われますので、大臣等は、防災の見地から、消防の所管の自治省あるいは運輸省等との協議の中で、この化学薬品については、少なくとも保管のあり方について、消防技術も含めて分類する必要があると私は思います。  いろいろ御苦労いただいて七月一日から施行されますけれども、一緒に入れても非常に法的な網がかかりにくい現況にございますので、この点、時間がございませんので、大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 原健三郎

    原国務大臣 いまいろいろお話を承りまして、その事情はよくわかりました。  やはり私どもは、災害防止の立場から、化学薬品のいろいろ種類のあることも、これを分類して各倉庫において保管しなければならぬということもわかりましたので、これは私一存でもいけませんので、運輸省、消防庁その他の関係省庁と相談して、御期待に沿うように努力してみたいと思っております。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  113. 池端清一

    ○池端委員長代理 米沢隆君。
  114. 米沢隆

    ○米沢委員 私も、異常寒波による農作物の被害対策についてお尋ねをいたします。この問題は、先ほどから再三取り上げられておりますから重複するかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。  御案内のとおり、近年における世界的な異常気象のもとで、昨年は冷夏、長雨、台風十三号、十九号、豪雪等々天災が相次ぎました。ことしに入りましてからも、降雪、異常寒波の襲来等の被害によりまして、農家はきわめて深刻な危機に直面いたしております。  最近における昭和五十五年十二月中旬以降の降雪、寒波等による農作物の被害状況を農水省からいただきました資料で見てみましても、被災地域は東北から九州に及び、その被害総額は一千二十一億円にも上っており、今後この被害総額は果樹を中心にさらに増大するものと見込まれております。  私どもの宮崎県におきましても、さきの二月下旬の異常低温は、明治二十八年に次ぐ寒さだったと言われ、県の沿岸地域を中心といたしまして、果樹、野菜に三月二十二日現在で約九十億に達する被害が発生し、さきの農水省の資料によりましても、愛媛県、徳島県、広島県に次ぐ被災県となりました。中でも、昭和五十四年度より進めております温州ミカンミカン園転換促進事業に沿って、高品質、高級柑橘への改植や高接ぎ等を行ったミカン園が壊滅的な打撃を受け、その大部分が枯死状態となって、一昨年来の価格暴落に次ぐ痛手をこうむったミカン農家の打撃は、生産意欲を失うほどまことに深刻であります。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、まず第一に、先ほどから何回も質問になっておりますけれども、これはミカン農家だけではなく、すべての被災農家の念願であります天災融資法の早期発動の要請の点でございます。すでに発動要件はそろっていると思われますが、現在どのような作業が行われているのか。四月の末をめどに発動されるやに聞いておりますけれども、正確にはいつごろに発動されると思っていいのか、まずお答えいただきたいと思います。
  115. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 天災融資法につきましては現在鋭意作業を進めておりまして、激甚の取り扱いは、国土庁でスケジュールを立てておられますが、それに合わせて発動をすべく、私どもとしては現在その準備を進めているところでございます。
  116. 米沢隆

    ○米沢委員 国土庁の方で激甚災害法の適用等を考えられておるということでございますが、いままで調査なされた数字等でも、ほぼ激甚災の適用もあり得るであろう、こういうふうに予測されるわけでありますけれども、いつごろをめどにその発動がなされるのか、はっきりしてもらいたい。
  117. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  このたび、いわゆる宮崎県その他四国各方面で柑橘類の甚大な被害のあったことを、私ども農水省から情報をいただきまして、すでに篤とその被害額等は把握いたしております。それで、それに従いまして、結局その災害が非常に激甚なものであると考えまして、激甚地指定をいたします。  その激甚災害指定をいつやるかということでございますが、目下のところ、四月十四日の閣議にこれを出しまして決定していただき、地域指定をいたします。それで四月の十七日にこれを公布いたしたい。そういう手だてで、いま各般の準備を進めておる次第でございます。
  118. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、先般私も宮崎県の被災地を視察してまいりましたが、その際、たとえば宮崎県の児湯郡の都農町、川南町の二町にまたがる尾鈴農協というのがありますが、その農協のミカン被災農家の借入金の状況を仄聞いたしますと、御承知のとおり、温州ミカンから中・晩柑橘類への改植とか、あるいは高接ぎ等とかでいろいろと金の入り用が多くございまして、借入金の内容も、たとえば農林漁業制度資金あるいは証書借入金、当座貸し越し等を合計いたしまして、一農家当たり約千三百万から千四百万ぐらいの借財があるわけでございます。今回の被災により、また新たな資金需要が重なって、天災資金のみでは間に合わない、そういう農家がたくさん出てくるのではないかと考えられます。同時に、制度資金そのものにつきましても、限度額いっぱいにもう借り切っているという農家もあるわけでございまして、したがって、この際お願いしたいことは、今後、意欲のある農家に対する立ち上がり資金について特段の配慮をしてほしいという問題でございます。  そこで、まず自作農維持資金の災害融資枠の確保、拡大等について、当局の見解をちょっと伺っておきたいと思うのです。
  119. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 自作農維持資金と申しますのは、実はその資金の趣旨から申しまして天災融資のような経営資金とは違うわけでございまして、いろいろな今回の災害に伴い必要になる資金等を借り入れて、かつ、いろいろこれから償還をしていかなければいけないというふうな借入金の実態なりをよく踏まえた上で、その農家をどういうふうに立ち上がらせていくのか、自作農を継続していくのかという観点から、必要とする場合におきましてこれの適用をしていく、こういう制度でございます。  したがいまして、いまの時点でいつというわけにはまいりませんが、私どもは、この適用につきましても、現地の被害の実態なり、それから農家の資金需要なりを十分踏まえまして適切に対処をしていきたい、こういう考え方でおります。
  120. 米沢隆

    ○米沢委員 それでは、自作農維持資金については、それぞれの実情等を勘案しながら、その枠の確保等については努力をしていただく、こういうお答えとして聞いてよろしいですね。  次に、自作農維持資金の貸し付け限度額引き上げの要請でございます。  先ほどから申しておりますように、いろいろと制度資金そのものは目的があるかもしれませんけれども、農家として借りる金としたら、中に入ったらどういうふうに使うかというのは、立ち上がっていくための資金として使っていくわけでありますから、そう色を分けて、これはこの分だからこれにしか使えないというふうな使い方はしないと思うのですね。  そこで、先ほどから申しておりますように、制度資金にはいろいろございまして、そういうものを大分借りた農家がたくさんあるわけでございます。したがって、今回のようなときに天災資金で間に合わない、したがってどこからか金を借りたい、その場合、自作農維持資金からお借りしたいけれども、どうもそっちの方も限度額いっぱい金を借りておる、したがってあとこれぐらいしかないとこう言われたら、間に合わないという農家があるわけですね。  そういうことで、ぜひお願いしたことは、いままでの貸し付け残高を通算して残りこれしかないからこれしか貸せないという、そういうかたくななことではなくて、特段の配慮をいただけるような措置をぜひやってもらいたいということ。もう一つは、できれば限度額を上げてもらうか、あるいはまた、この際特段の配慮によりまして、この限度額、個人百五十万ということになっておりますが、ここらをちょっと上げてお貸しする、そういうような配慮ができるかどうか。ぜひやってもらいたいと思うのでありますが、いかがですか。
  121. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 自作農維持資金につきましては、実情を十分把握の上で適切に対処してまいりたいということを申し上げたわけでございますが、ただいまの借入金の実態、それに伴います資金需要、それが本当に借りられるかどうか、その辺の状況につきましても、現地の状況を十分勘案いたしまして、適切な対応をいたしたいと思っております。
  122. 米沢隆

    ○米沢委員 それから公庫資金等の制度資金のすでに借りておる、貸し付けの方からは既貸付金の償還条件の緩和措置をとってもらいたいという強い要請もあるわけでございます。  御案内のとおり、二月二日付での経済局長の各関係機関への依頼文書ですね、被災農林漁業者に対しつなぎ融資及び既貸付金の償還猶予措置等を図られるようという依頼文書につきましては読ませていただいたわけでありますけれども、これは日付が二月二日でありますから、その後にこういう大寒波が起こって新たな被災状況ができておるわけでありますから、この文書以上にもっと強力な御指導はできないものかどうか、その点聞かせていただきたいと思うのです。
  123. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 二月二日には、豪雪及びその後に予想されます異常気象等一連の問題を考えまして、必要な融資に対します償還条件の緩和なり、つなぎ融資等の措置をとるようにという指導をいたしたわけでございまして、もちろん今度の寒波も当然これに入るわけでございますが、なお、私どもとしては、今回の寒波災害というものを迎えまして、最近でございますけれども、さらに、関係の府県に対しましては、農政局長を通じまして、あの通達はもちろん寒波も当然に対象にするものであるから、改めてその点もよく考えて十分に指導してほしい、ということの注意を喚起した次第でございます。
  124. 米沢隆

    ○米沢委員 農林省としては、注意を喚起し、具体的に各関係機関に直にいろいろ折衝されたり、農家の立場に立っていろいろ要請されたりするのは、どこがやるのですか。
  125. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 金融は、言うまでもないことでございますが、金融機関と農家とのいわゆる契約でございます。したがいまして、いまの趣旨が十分に生きないといけないわけでございます。  ルートといたしましては、地方農政局を通じ、府県を通じて、農業系統団体であれば系統の信用農業協同組合、さらに、農林漁業金融公庫に対しましては別途私どもの方から直接公庫に対し、支店の窓口等においてそういう相談に応ずるように、こういうことで従来から趣旨の徹底を図っております。
  126. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、共済金の早期支払いという要請でございます。  共済に加入されておる皆さんが、こういう事態に立ち至ってできるだけ補償をいただきたい、これは人情でございますが、でき得る限り早期査定をしてもらいたいということと、でき得る限り、概算払い等を時間をかけずに支払っていただくようにぜひ御努力いただきたい、こういう要請があるわけで、むべなるかなという感じがするのですが、この点いかがでしょうか。
  127. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 農業共済金につきましては、今回の寒波に対しましては、三月二十日付をもちまして、早期評価、早期支払いをするように、また特に、現地の要請から仮渡しが必要な事態に対しましては仮渡しの対応も十分に考えるように、こういう指導をすでにいたしております。
  128. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、たとえばミカンなんかにつきましては七月か八月くらいでないと評価ができない、したがって評価される段階で概算払いはしていただくと思うのでありますが、最終段階での本支払いみたいなものですね、この点について、例年だったら大体十二月前後が収穫時期ですから、それから査定をされて、実際は来年の一月から二月ぐらいになるのですが、これを年内にすべて支払って、越冬資金ぐらいやれるような段取りにはならないものでしょうか。
  129. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 温州ミカンを例にして申し上げますと、普通は、まず収穫共済の方はいずれにしましても損害評価ができないと支払いができないわけでございます。損害評価には収穫期の現地調査なり出荷資料が必要になるわけでございまして、そういうところから、通常は二月の初旬くらいになるのが例でございます。  そこで、今回の場合におきましては、そういう時期を待たずとも必要なものにつきましては仮渡しもするように、こういう指導をしているわけでございますが、仮渡しと申しましても、摘果が完了しまして、果実がある程度肥大してくる時期を見ませんと、収穫がどれだけあるかということは現実問題としてわからないわけでございます。その時期を待って仮渡しをやるということになりますと、現地の状況によって違うわけでございますが、八月ごろにはそれも可能になると私ども考えておりますので、そういう地域につきましてはそういうような対応もしてまいりたいと考える次第でございます。
  130. 米沢隆

    ○米沢委員 次は転換事業、いわゆる温州ミカンの転換促進事業に関連しまして御質問したいわけであります。  実はこういう再々にわたる被災に遭いまして、温州ミカンをやって、現在でもやっていらっしゃる皆さんが将来に不安を持つ、したがってこの際もう減反に踏み切ろうということになりますならば、転換事業の補助制度は適用されることになるわけですね。
  131. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 温州ミカンは近年生産過剰でございまして、長期的な需要の見通しに即して、他作目へ転換をする事業を現在実施いたしているわけでございます。  そこで、国としましては、温州ミカンの伐採それから他作目への転換等に要する経費について助成いたしているわけでございます。  ただいま御指摘のような、今回温州ミカンが非常に被害を受けて、こういう機会に他の物に転換をしていきたいという場合には、申し上げたような措置を適用して、その促進を図っていきたい、かように考えます。
  132. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、すでに転換事業にのっとって、温州ミカンから中・晩柑橘類への改植をしたり、高接ぎなどをやっていらっしゃったそのものが今度またやられた。したがって再度中・晩柑橘類を新植したり、あるいは改植したいという希望があった場合、一回は転換事業で認められてやった、やったけれどもそれが今度全滅した、もう一回やりたいというときには、これは転換事業上扱いは一体どうなるのか、再適用してくれるのかどうか、この点をお尋ねします。
  133. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 現在実施しております転換対策事業と申しますのは、これは災害を予定しての、関連しての制度では実はございません。あくまでも温州ミカンを他作目へ転換していく、こういう制度でございます。したがいまして、一度改植、転換されたものが災害でやられた場合にさらにまた改植と申しますと、いわばこれは災害復旧になるわけでございまして、それを現在のこの制度の対象にするということは現時点では私ども考えておりませんし、そういう制度を予定しているものではございません。  ただ、今後の推移を見ながら、果たして改植がどれだけ必要になるのかどうか、そういう状況につきましては、十分事態の推移を見守った上で、私どもも対応を検討してまいりたいと思います。
  134. 米沢隆

    ○米沢委員 ぜひそれは、再適用できるようなかっこうで御検討賜りたいと思います。  それから、御承知のとおり、宮崎県ではこの地区については国営の美々津開拓パイロット事業というのをやっております。今回の寒波によりまして、同じようにこの開パ・ミカン園、この開拓パイロット事業にのっとってやっているミカン園がやっぱりやられておるわけでございます。  そこで、先ほどの質問とちょっと重複しますけれども、ミカン育成の意欲が今回の被害等を通じで低下しまして、できればミカンをやめて他の作物に転換をしたい、こういう人がかなりおられます。  そこで、こういう場合、開拓パイロット事業というのは何か土地の利用についてうるさいのだそうでございまして、ミカンを植えるから農用地を開発した、したがってミカン以外はだめだ、こういうような何かむずかしいのがあるのだそうでございまして、ミカンをやるつもりでやったけれども、将来が不安だからやめて、できれば今度は他作物に移りたい、そういうときに、土地の利用の計画変更、そのあたりをやってもらいたいという声もたくさんあるのです。そのあたりは御検討いただけるのでしょうか。
  135. 柴田己千夫

    柴田(己)説明員 ただいま先生お話しになりました美々津地区の農用地開発事業は、昭和四十六年度に着工いたしまして、五十五年度末で面工事、いわゆる農用地を造成します工事はほとんど完了いたしておるわけでございます。今後も、実施に当たりましては、県あるいは市町村あるいは農協等、そういう関係機関と十分連絡をとりながら、事業を推進したいと思っております。  また、営農作物につきましては、農家の御意見を中心に、農業改良普及所だとか、あるいはそういう営農指導の機関等の指導もよく受けまして、また一方、自然的な立地条件もよく考えて計画したわけでございます。  しかし、ミカンにつきましては、先ほどから先生お話しのように、今回の異常気象によりましてかなりの被害を受けたということを私どもも聞いております。このことによりまして、温州ミカンから他作物へ変更したいという御意見があるような場合には、県とかあるいは地元市町村等とよく相談をいたしまして、そういう意見を十分尊重した上で対応をしていくように指導してまいりたいと思います。
  136. 米沢隆

    ○米沢委員 今回のこの被災がある面では局地的であったかもしれませんが、そこの局地を抱える市町村にとっては、やっぱり被災農家に対してできる限り安い金利のものを世話したい、こう思われるのが当然だと思います。そこで、たとえば県とか市町村単独でその利子補給を上乗せして末端金利を安くしてあげたい、こういう措置をとられたときに、やっぱり問題になるのはその地方自治団体の財政の問題だと思うのです。  そこで、自治省の方が来ておられると思いますが、このような県単資金や市町村単位の利子補給金等を別個に上乗せして末端金利を安くしてあげようという、こういうときでありますから特段の配慮でやろう、そういうものに対して、特別交付金の算定基礎等に加えてもらいたいという声が、自治団体を中心にして、こういう被害があるたびごとにあるのでありますが、御検討いただいておるでしょうか。
  137. 池ノ内祐司

    ○池ノ内説明員 地方団体の冷害対策に伴いますいわゆる特別の財政需要につきましては、現在関係省庁よりその被害状況の報告をいただきまして、その農作物の被害額に応じまして特別交付税を配分するということになっております。  と申しますのは、地方団体が行います冷害対策といたしましては、ただいまお話がございましたように金融対策に重点を置く団体もございますし、あるいは被害農民の就労対策に重点を置く団体もございます。そういうことで冷害対策の内容がこれは種々にわたりますので、一応配分の基礎といたしましては、ただいま申し上げましたように被害額に一定の割合を掛けたということで配分をすることにいたしております。  今回の冷害と申しますか、ミカンに伴う冷害でございますが、これにつきましても、関係省庁から被害額を報告いただきまして措置をしたいというふうに考えております。
  138. 米沢隆

    ○米沢委員 それは従来からやっておられる制度ですか。
  139. 池ノ内祐司

    ○池ノ内説明員 これは、いわゆる災害、冷害に伴います特別交付税の配分の基準でございます。
  140. 米沢隆

    ○米沢委員 大臣が戻るまでもう一つ質問したいのでありますが、こういう被災というのはおてんとうさま相手の農業ですからしょっちゅうあるわけでして、そのたびごとに苦労なさっておられるわけであります。今回現地調査に行きまして、被災の直後でしたから感情的にも高まりがあったのかもしれませんが、農業に対する将来への意欲、あるいは何をしていいかわからないという、大変せっ詰まった意見がたくさん出されました。  そこで、今回この農家を激励し、将来にわたって意欲のある農業をやってもらいたいという、そういう意味での技術指導あるいは経営指導、そういうものについて農水省はどういうふうに御指導なさろうとしているのか、ぜひ聞かしてもらいたいと思います。
  141. 矢崎市朗

    ○矢崎(市)政府委員 意欲を持って経営転換等をしながら今後の営農に取り組んでおられる農家の方々が、こうした寒波被害を受けて大きな打撃を受けたということは本当にお気の毒なことだというふうに思うわけです。  しかし、災害といいますのはなるべく未然に防止し、また起こった場合にも最小限にとどめる努力は必要でございますが、今後もそういう事態がないとは言えないわけでございますので、さらに私どもとしては、技術面での日ごろの指導、加えて経営面の指導というものにつきましても、今後とも一層取り組んでまいる必要があるというふうに考えているわけでございます。  そういうことで、かねてから技術指導につきましては私ども意を用いておりますが、今回のような寒波被害を迎えまして、さらにきめ細かい徹底を図っていく、こういう努力もいたしておるわけであります。  なお、低利資金等を十分に活用しながら、そういった被害を受けた柑橘農家ができるだけ早期に経営が安定し立ち直っていくように、私どもも万全の努力をしてまいるつもりであります。  なお、果樹につきましては、かねてから果樹農業振興基本方針がございまして、需要見通しの上に立って計画的な転換促進を図っていく、こういう路線の上で現に指導をいたしております。  私どもは、今後とも、地域の実情を十分よく把握しながら、こうした面も十分に指導をし、その中で農家の発展及び経営の安定が図ってまいられるようにということで、一層努力をしてまいる所存でございます。
  142. 米沢隆

    ○米沢委員 最後の御質問でありますが、このような被災を受けまして収入がとだえる農家がたくさん出てまいります。個々の農家にとりましても、先ほど話をしましたように離農に追い立てられるというそういう契機にもなりかねない、そういう被災状況でございまして、特にミカン園なんかをやっていらっしゃる方は、枯死寸前のミカン園を放置して、今度は生活費用を捻出するために出かせぎに行かねばならぬかもしれない、こういう話さえ出ております。こういう災害がまいりますと、先ほどの話にありましたように、就労対策みたいなものが地方自治団体にとりましても大変重要な課題になってまいります。  そこで、できればこの就労対策一つとして救農土木事業、この前に通りました農業土木あたりの前倒しでやってもらいたいとか、あるいはかねて懸案のものをこの際土木事業として地方自治団体がやるから、その際は自治省も地方債をちゃんとめんどうを見てやるとか、そういうかっこうで、就労対策に力を入れる自治団体について大きなバックアップをしてもらう、あるいはまた、農土木事業等々を前倒しでやったり、あるいは自治団体が単独でやるものについてそれなりのバックアップをしてやる、そういうことが大変必要になってくるんだと思います。そういう意味から、閣僚の一人として国土庁長官にぜひそのあたりを責任をもってやるようにハッパをかけてもらいたい、これが真情でございます。その点大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  143. 原健三郎

    原国務大臣 この間も閣僚会議において決定いたしましたのですが、昭和五十六年度の公共事業等の施行については、上半期末における契約率が七〇%以上になることを目途として、前倒し施行を図ることが決定いたしました。各事業ごとの具体的な施行方針については現在検討中でありますが、そういうことを閣議で決定いたしまして、これをもって進んでいきたい。また、農林水産関係の公共事業でも、従来の経験から地元農家に密接に関連しており、農家の就労確保に役立ててやるようにいたしたい、こういうことを決定いたしたところであります。その線に沿うて御期待に沿いたいと思っております。
  144. 米沢隆

    ○米沢委員 いまのは公共事業の前倒し等の一般的な議論でありますが、特に被災地の被災の多かった地域につきましては、特段の御配慮をいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  145. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 栗田翠君。
  146. 栗田翠

    ○栗田委員 私は、震災対策についてきょうは質問させていただきたいと思います。  まず最初に、五十六年度の予算も決定いたしましたけれども、この予算の中で震災対策関係予算というのは幾らになるのでしょうか。
  147. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 お答えいたします。  震災対策関係予算として、四十七年度以来私どもがまとめているものがあるわけでございます。それは、地震予知関係あるいは調査研究・訓練等の防災対策経費あるいは施設設備整備その他、地震再保険等その他といったような、四つのものに分けてまとめているわけでございます。  この震災対策関係予算という分け方に従いますれば、五十六年度のものは六千九百五十一億円になっているのでございます。  ただ、震災対策関係予算といいます場合に、わが国は地震国でございまして、全国どこで地震が起きるかわからない。それから、地震のための事業と一般の公共事業との間になかなか区分けがしにくうございます。したがいまして、施設設備整備というものを予算として見ます場合には、公園事業、街路事業等については全部震災対策関係予算として掲げる、こういうような区分をしているわけでございます。そういう区分に従ったものでございますが、それによりますと、先ほど申し上げましたとおり六千九百五十一億円でございます。
  148. 栗田翠

    ○栗田委員 私が伺う内容をあらかじめ御存じで御答弁があったような感じがいたしますが、五十六年度予算、いまの震災対策関係予算として見ましても、前年度に比べて二十九億減っておりまして、これからいよいよ震災対策を強めなければならないときに、この予算が減っているということ自体ゆゆしいことだと思います。  そしてもう一つ、いまおっしゃいました四十七年以来の区分の仕方ですけれども、この予算の区分の仕方にかなり問題があるのではないかというふうに私は思います。それはなぜかといいますと、予算といいますのは、やはり毎年どれだけ必要な計画が進行しているかということを予算を見てわかるような状態でないといけませんで、ただ膨大な額が計上されているからよいというものではないというふうに考えるわけです。  いまもすでに少しお話がありましたけれども、たとえば五十六年度の六千九百五十一億、約七千億近い震災対策予算のうちの三分の二を占める街路事業予算は、全国の街路事業すべてを含めて震災対策予算にしているというふうにおっしゃっておりました。これは中身を見ますと、いかに全国的に震災が予想されて、また広く考えれば震災に関係があるとはいえ、日本じゅうの街路事業を全部震災対策予算に計上してしまって、それが七千億近い予算の三分の二にも当たって、いかにも震災対策費が多いというふうに見えるということ、このことは私は問題だと思います。  たとえば今年度の街路事業の中身を見ますと、これは街路、区画整理、再開発調査、全部入っているわけですね。そして、もう少しこの明細を見ますと、たとえばモノレールを整備する費用なんというのも街路事業に入っていますけれども、モノレール整備なんというのはどう震災対策関係あるんでしょうか。
  149. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 大変厳しいお尋ねでございますが、予算の区分けの場合には往々にして分け方がそうなる場合があるわけでございます。  確かに、いま先生が御指摘になりましたように、震災対策予算として全国の街路事業、公園事業を全部これに挙げるというようなことが、果たして震災対策そのものずばりの施策かどうかというような点には、若干疑問なしとはしないという点は御指摘のとおりでございます。  ただ、ここで申し上げたいのは、たとえば東海地震のように、現実の地震というものが問題になっておりましてそれに対して施設整備をしなければならない、こういうことにつきましては、別に、昨年議員提案をもって成立させていただきましたいわゆる地震財特法に基づきまして緊急整備事業計画というものを決めておりまして、この緊急整備事業計画で掲げられている事業につきましては、これこそまさに震災対策というようなかっこうになっているわけでございます。  ただ、全国どこでいつ地震が起きるかわからない、その地震が起きた場合に避難路あるいは避難地として街路、公園というのは最も大きな役割りを果たす、そのようなことで、これを震災対策関係予算の中のものとして計上させていただいているところでございます。
  150. 栗田翠

    ○栗田委員 最初に幾つか問題点を挙げさせていただきまして、震災対策予算というものをもっと整理してわかりやすく、しかも実際に役立つように考え直していただきたいという提案をしたいと思います。いまの街路事業の中で一つの例としてモノレールを挙げましたけれども、連続立体交差なんというのも全部入っています。これも余り震災には関係なくて、むしろ震災のときにはこんなものがあったら危ないんじゃないかというものであるわけでして、こんなものまで全部つぎ込んでいるかと思いますと、今度は、たとえば災害対策用器材の整備予算の中で、消防設備十三億というのがあると思いますが、これはどういう中身になっていますか。
  151. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 いまお話のありました「施設設備整備」の中の「災害対策用器材整備」の消防庁計上、消防施設整備費補助の十三億は、これは強化地域の分だけでございます。強化地域に特につくっております貯水槽等の分だけでございます。
  152. 栗田翠

    ○栗田委員 そうしますと、いまの街路事業の考え方でいきますと、消防設備も全部日本じゅうのものを入れていいわけなのですね。ところが、この場合には入っていない、つまり決め方がアンバランスだということであって、ある種のものは全部ひっくるめて入れてしまって膨大な予算が計上されている、ある種のものは強化地域だけに限って非常に限られた範囲のものが入っている、これを全部合計すると幾ら幾らというふうに出ますけれども、こういう合計というのは何の意味もないような気がいたします。むしろ、どの範疇に属するもの、どういうものを震災対策予算とするかというふうにしませんと、せっかく作業をして合計しても意味がないと思うわけでございます。  ほかに水増しの例として挙げたいものは、たとえば先ほどの「災害対策用器材整備」の中で、海上保安庁の船艇建造費なんというのも入っています。広く言えば、たとえば離れ島で地震が起こって逃げられないとき、船で運ぶとか食糧を運ぶということにはなるかもしれませんけれども、海上保安庁の船艇建造費なんというものまで震災対策予算に入るのはどうかなと思いますし、それからまた、「その他」の中で「建築物耐震化等」というのがあります。耐震化の方はよくわかります。学校とか病院とかはいろいろ耐震のために予算を使うわけですから、まさにこれは震災対策予算になると思いますが、「耐震化等」の「等」に入っているものは何でしょうか。
  153. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 これまた、申し上げるとしかられるかもしれませんが、厚生省の災害救助等経費、それから、建設省の震災構造物の復旧技術の開発経費などを入れております。
  154. 栗田翠

    ○栗田委員 厚生省、建設省などだとおっしゃっていますが、災害救助等の経費で、たとえば弔慰金なども全額突っ込んであるわけですね。地震というのは災害の中で大きなもので、政府がこれほど力を入れていらっしゃるのかとも思いますけれども災害は地震だけではございません。その弔慰金全部が震災対策予算の中に突っ込まれているわけです。ですから、こうなりますと水増しというそしりは免れないわけでございます。率直に言えば、こういうふうなかなりいいかげんな合計の仕方がされていて、恐らくこれは、各省庁が基準を持たずにそれぞれ申請してきた額をみんな合計して、震災対策関係予算というふうにしているのだと思いますけれども、もう少しきちんと基準を決めて、中身を整理する必要があるのじゃないでしょうか。そして、予算がふえた、減ったということを見れば、どれだけ地方自治体、住民などが要望している震災対策設備などがふえてきたか、計画が進行したかということがわかるような状態にしなければいけないと思います。  それからもう一つは、やはりどれを震災対策予算と考えるかという、その考え方及び対策の計画がきちんとしていないところにこういう状態が出てきているのだと思いますけれども、こういう内容を整理する必要はお感じになっていらっしゃいますね。
  155. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 確かに震災対策関係予算とばかり言い切れないものも入ってございますけれども、反面、道路事業費、特に橋梁の補修等、あるいは高潮対策事業費によります津波のための防波堤の建設等、こういうものはこの六千九百億の中に入っていないのでございます。これは、四十六年に大都市震災対策要綱がつくられたわけですが、それ以来の時系列的な比較もある関係上、このままになっているわけでございます。  本来の震災対策予算としてどれだけ予算が伸びたか、減ったかというものを厳密に見ますためには、一つには、地震予知関係というのはまさに震災対策だと思うのでございます。  もう一つは、先ほど申し上げました強化地域指定された地域におきます、地震対策緊急整備事業計画として上がっているものの、施設別の事業費がどれだけずつ毎年消化されているか、そういうようなことだと思うのでございます。  わが国は地震国でございます関係上、どこで地震が起こるかしれない、それから地震のための事業は同時にほかの目的も持つわけでございまして、これを震災対策のためのみということで、すべてそれらに関連するものを計上することは、非常にむずかしいのではないかと思うのでございます。すべて、いまの施設整備事業費、緊急事業整備計画によりますときの施設整備事業費を挙げるのはよろしいのでございますが、全国的に地震対策関係だけの事業費というのがどれだけかというのを挙げていくのは一非常にむずかしいのではないかと思うのでございます。  確かにこの震災対策関係予算についてはいろいろ御批判いただいたような点はあるわけでございますが、予算の区分には往々そういうことがあるわけでございまして、たとえば物価対策費というような場合に、国有鉄道に対する助成が全部物価対策費というように区分をするような場合もあるわけでございまして、そこにおのずと限界があることは御了解をいただきたいと思うわけでございます。
  156. 栗田翠

    ○栗田委員 むずかしさはわかりますけれども、しかし見てわかるような予算の中身、みんなが要望して計画がどれだけ進行しているかがわかるような予算の計上の仕方、そしてもう一つは、震災対策の計画を国土庁がきちっと持って、その計画に沿ってつけられた予算を計算していくこと、こういうことが必要だと繰り返して私は申し上げたいと思います。  水増しだけを問題にしているのではありません。必要なものが入っていない部分も問題でございます。それから、非常に幅広くとったものと狭くとったものとアンバランスがある、これも問題でございます。  そういう意味では、もう少し整理して実際に役に立つ予算の計上の仕方、計算の仕方をしなければ国民のための震災対策にならないと思いますが、この点で国土庁長官の御感想を伺いたいと思います。
  157. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  地震の予算について、その基準を決めてきちんと中身を整理するようにという御意見でございまして、国土庁で計画を立てて実際に役立つようにすべきであるという御意見、大いに参考にして考えてみたいと思っております。
  158. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、大規模地震法に沿ってつくられました財特法に触れて、二点ほど質問させていただきたいと思います。  静岡県では、東海大地震に備えまして、県独自の耐震基準などを決めて、耐震診断をしてまいりました。一つは、学校についてはかなりの部分を県の耐震基準で診断をしてまいりまして、先ごろ国の耐震基準も発表されているわけでございますが、こういう中で、たとえば小中学校の改築すべき分、補修すべき分などがございますけれども、五十九年度までに改築しなければならないという非木造校舎は百七十二校、二百七十七億円、補強が二百六十四校、百八十億円ぐらいだと概算で出されているわけでございます。その他、木造の改築も三百五十億円以上あります。  この財特法によります小中学校の建てかえ、補強などについては、国の補助は二分の一ありますし、残りの二分の一についても、交付税だとか起債だとかのいろいろな措置が講じられてはいるわけです。しかし、実情を見ますと、それでさえも、自治体が予算が非常にないために、すぐにでも建てかえなければならない小中学校の建てかえを、先に延ばさざるを得ないというような実態が出てきております。私はその実態を一つ例を挙げて申し上げまして、それについてなるべくできる限りの対策を国としても持っていただきたいし、そうするべきではないかということをいまから申し上げたいと思います。  これはほんの一例ですけれども、小笠町の例を挙げて申し上げますと、この小笠町は最近小学校、北小、東小、南小の三つの小学校を建てたばかりでした。そして、五十五年には総合体育館を建てまして、これがもう四月には開設されるという状態でございますから、毎年毎年小さな町としては大きな事業をやってきたわけです。こんな中で、建てかえるつもりのなかった岳洋中学校というのがあったわけですが、比較的新しくて、町はそういう必要を感じておりませんでしたところか、この地震の問題で耐震診断をやりましたら、静岡県内で岳洋中を建てかえずしてほかに建てかえるところはないなんて言われるぐらいに地盤が悪いのだということになりまして、これは早急に建てかえなければならないということになったわけです。いま町当局は頭を抱えております。それは、いろいろな手当てがされて補助その他も出ているのですけれども、その上に思わぬ支出がかかっているということです。  一つは、町負担の全部の事業費のうちの七・五%負担しなければならないという分があります。それはそうですが、それ以外にこういう心配をしているのですね。鉄筋の校舎があって、そしてそのそばに平屋建ての一棟がありました。この平屋建ての方は耐震診断でいうと建てかえなくていいのではないかというのですね。ところが、鉄筋校舎を全部建てかえますと、敷地の関係上、いろいろな設計の形が変わっていく関係上、健全である部分も取り壊して建てかえなければならない羽目になる。ところが健全なものに補助金がつかなかったとすると、実際には全部を建てかえるのだけれども、持ち出しが出てくるという、これが一つの心配でございます。だから、こういう場合に、結局耐震のための建てかえをする影響で全部建てかえなければならないとき、健全な部分でも手当てはできないのだろうか、これをひとつ伺いたいと思います。  それからもう一つは、鉄筋の校舎の取り壊し費用が莫大なものがあります。これは補助がついておりません。この負担が非常に重いということです。  それから、建てかえますと、しばらくの間、仮校舎を建てて子供たちをそちらで勉強させなければなりませんから、仮校舎の建築費がかかります。これもなかなかばかにできません。  そうしますと、ざっと合計しまして一億五千万ぐらいは用意しなければならないのじゃないか、頭が痛くて、地震の点からいえば直ちに建てかえるべき危ないところだけれども、結局は五十九年くらいまで延ばそうか、いや余り延ばしたのでは申しわけないから無理をして五十八年に何とかしようか、しかし何とかならないものだろうか、こういう声があるわけでございます。  これは、私は例として小笠町を挙げましたけれども、恐らく静岡県下の各自治体とも同様な悩みを抱えていると思いますが、いまの三つの点について、その対策はないものだろうかということを伺いたいと思います。
  159. 佐藤譲

    佐藤説明員 お答えいたします。  まず第一点、岳洋中学校の件でございますけれども、耐需診断を行いまして危険校舎になる、ただし健全な部分が一部残っている、こういった場合に、この健全部分が建築計画上、機能上、学校として非常に使いにくいとか、あるいは全体面積のうちのわりに小部分に当たるとか、こういう場合につきましては、当然その学校として使われる建物という考え方をしなければいけませんので、考えられると思います。  それから第二点でございますけれども、取り壊しの費用でございますが、いままで大半の小中学校の建物の改築計画では、木造の建物を改築したいというのが大半でございます。木造の建物の取り壊しというのはわりにお金がかからない。それから、非木造の建物でも年々若干はございますが、これは大変特殊な部分で、わりに数が少ないということで、一応その制度を改めまして補助をするというようなことは考えられません。ですが、今後、木造建物の解消というのが、まあ八〇%程度鉄筋コンクリートになったとかいうことで相当進んできたとか、あるいは静岡県の今回の場合のように取り壊しをする鉄筋コンクリートの建物が非常にふえてくる、これが想定されるわけでございます。地方自治体の負担というのも大変になってくるのではないか、こういうことが想定されますので、この件につきましては今後検討していきたい、こう考えております。  第三点でございますけれども、仮校舎のためのプレハブの校舎、これについて予算の補助対象にならないかというお話でございますが、これは義務教育諸学校施設費国庫負担法の規定からいいますと大変むずかしい話である、こう考えられます。  以上でございます。
  160. 栗田翠

    ○栗田委員 いまのようなお答えでございますが、仮校舎の部分についても実際には支出するわけですから、特に緊急を要する地震対策の場合、そういうもののために建てかえが後へ後へと延びて、万一その間に地震が起きて子供たち被害があったというようなことのないように、今後とも引き続き対策を考えていただきたい、こう思います。  続きまして、公的医療機関の問題ですが、財特法では、公的医療機関には特別補助がついておりません。しかしその第三条では、地震対策緊急整備事業計画の中に入っております。どのような特別措置があるのでしょうか。
  161. 小沢壮六

    ○小沢説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、財特法におきましては、公的病院の病院整備関係につきましては、いわゆる補助のかさ上げの規定はございません。  ただ、病院というものが発災時におきまして医療の中心になる、それからまた身体的に不自由な方が入っておられるということで、その整備というものは重要な事業であるということで、計画の中にその整備計画を盛り込むというような位置づけがされておるわけでございます。  そういった形で計画の中に盛り込まれるわけでございますが、私どもとしては、補助のいわゆるかさ上げというものはございませんが、五十五年度から、医療施設施設整備費補助金というので病院整備、これは地震だけではございませんが、救急医療でございますとか、僻地医療でございますとか、そういったものの整備全部をあわせた補助金でございますが、それの中で地震帯、いわゆる指定地域内の公的医療機関につきましては補助をするということで実施をしておるところでございます。
  162. 栗田翠

    ○栗田委員 その中身でございますけれども、たとえばこういう問題が起きてきました。  静岡県の蒲原病院などは、地盤が悪くて、活断層、富士川断層がすぐ近くを通っているために、岩盤のしっかりした地盤の土地を買い求めて建て直しを具体的に計画をしてきましたけれども、財特法ができるから恐らく三分の一ぐらいは補助があるだろうということを前提にして、初めは大変期待を持って計画を立てていたそうです。ところがそれが全くなかった。  いまおっしゃいました医療施設施設整備費補助金交付要綱に沿った補助制度といいますと、金額としてはずいぶん少ないわけですね。国が補助するのは全事業費の二十分の一くらいにしかならないと思います。こういうことのために、もっと補助枠を広げて建てかえられるようなそういう努力をしてほしい、そうでないとなかなかできないという声が上がってきているわけです。  いま耐震診断をしてみまして、計画として出ているのは公的医療機関で改築が二十八、補強二十七、あと追加もあるかもしれませんが、こういう状態でございます。この中で五十五年は清水厚生病院に予算がつきましたけれども、五十六年度以降どのような計画が上がってきているのでしょうか。
  163. 小沢壮六

    ○小沢説明員 五十六年度以降の病院整備の計画でございますが、昨年にいわゆる財特法に基づきます全体の計画がまとめられたわけでございますが、その際は、病院につきましては耐震診断基準がまだ明らかにされていないということで、単年度分の計画だけが掲上されてきておるわけでございます。  したがいまして、その将来計画につきましては、いわゆる財特法に基づく計画という形ではまだ正式にお話はお伺いはしていないということでございますが、私どもの承知しておる限りでは、当面五十六年度につきましては静岡県から二病院の御要望があるというふうに承知いたしております。
  164. 栗田翠

    ○栗田委員 こちらでつかんでおりますのは、五十六年度蒲原共立病院と焼津市民病院、それから五十七年が県立総合病院、富士市立病院、富士宮市立病院、五十八年が掛川市立病院、湖西市立病院、日赤静岡病院、五十九年が清水市立病院と沼津市立病院、大体こんなふうに案が出てきているようであります。こういう意味では、より対象を広げた補助をぜひとも考えていただき、また努力をしていただき、つけていただきたいということをお願いしておきます。  それで、もう一つ続けて伺いますけれども、いま厚生省がやっている補助制度ですと、病棟の補助が実質的には病棟建てかえの補助金が一〇%しかついていないわけですが、これはどういう考え方に立ったものでしょうか。
  165. 小沢壮六

    ○小沢説明員 病院に対します補助の基本的な考え方として、前提としてまず御説明させていただきたいわけでございますが、私どもは、病院に対する補助制度というのは、いわゆる社会福祉施設とか学校等に対する補助とは違いまして、もともと根っこの補助制度がないというとおかしいのですけれども、基本的にはその病院事業といいましょうか、病院の整備というのは診療報酬で独立に賄うべきであるという考え方に立っておるわけでございます。  したがって、民間の医療機関でございますと医療金融公庫による融資でございますとか、公的医療機関でございますと基本的には起債で賄うというのが原則というふうに考えておるわけでございます。  ただ、医療機関で特に公的な使命を果たさなければいけない、特殊な使命を果たさなければいけないというような病院につきまして、その特殊な部分、がんの診療でありますとか救急でありますとか僻地とか、そういうものにつきまして特別の補助をするという考え方に立っておるわけでございます。  今回の地震に関する補助制度でございますが、先ほども申し上げましたように、一つは、その病院そのものが発災時において非常に大きな役割りを果たすということで、診療棟についてはまずこれは全部対象にしなければならないだろうというのが一つ考え方でございます。  それから二点目の考え方といたしまして、これも先ほど申し上げましたが、病院に入っておられる方が身体的に非常に不自由な方々であるということで、その病棟につきましてもそのうちの、全部補助すればよろしいのでしょうけれども、全体的な予算上の制約とかそういうものもございますので、やはり重症の方々が入っておられる割合に応じまして補助を考えさしていただくというような考え方で、現在病棟の三分の一を対象にするということでやっておるわけでございます。
  166. 栗田翠

    ○栗田委員 これは厚生省だけの問題ではなくて、むしろ震災対策として国全体が考えなければならないし、国土庁などは強力に主張していただきたい中身だと思うわけですけれども予算の限界もある中でいろいろつけているという部分もあり、また十分につかない面もありますが、もう一つは、たとえば病院は診療報酬があるからその域内で採算を合わせて何とかやっていけ、こういう考えもあるわけでございます。けれども、地震のための建てかえということになりますと、新しくても建てかえなければならないというときも出てきて、診療報酬云々だけでは解決できない部分があります。  それから、病院の果たす公的な役割り、特に震災などの場合には、公立病院はもちろんのことですけれども、個人病院でも宮城沖地震のときなどはずいぶんけが人を収容して医療に当たったわけでして、そういうことから考えれば、公的病院はもちろん、個人病院に対しても公的な役割りというのを重く見なければならないというふうに思うわけです。  しかも、いまお話がありました病棟の補助が一〇%というこの考え方の中には、動けない重病人の病棟は何とかつぶれないようにするということなんですが、重病人の病棟がたとえば一階にあって、二階以上が弱かったらやはりつぶれちゃいますし、また、ほかがつぶれてそこだけ残っても逃げるわけにはいかないし、もしつぶれたりしたとき動けない病人を救出するということを考えても、病棟全部がちゃんとしていないとこれはできないわけですし、また、逃げ出せるようなそれほど正確な予知ができるかどうかということもわからない。  こう考えてまいりますと、やはりこのような公的な役割りを持つ医療機関のようなものに対しては、財特法でも予算をつけていくことも考えなければならないし、それから、厚生省の補助も枠を広げていっていただけるようにこれは考えるべきだと私は思います。財特法は議員立法でございますけれども、その中でやはりこういう点を考えていかなければならないということを私は強く申し上げたいと思うわけです。  長官に伺いますけれども、いまの点お聞きになっていらっしゃいまして、病院には財特法では補助金がついていないで、そして厚生省の補助制度でわずかについているという、この点について今後ぜひとも主張していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  167. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 確かに、地震対策事業としていろいろな事業を積極的に取り上げます場合に、その補助率が高い方が望ましいわけでございます。しかしながら、それにはまたおのずと均衡があるわけでございまして、それらの調和を図って、先年この財特法というものができたというふうに考えているわけでございます。  財特法のねらいは、一つには、地方公共団体の負担の軽減でございますが、もう一つには、事業費の確保という面があるわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、緊急事業整備計画というものをつくりまして、その中に掲上をしたものについては国も責任を持って遂行していくというような、事業費の確保という点があるわけでございます。その点につきましては、「医療法に規定する公的医療機関で地震防災上改築を要するもの」というのが事業計画に載っておりますので、それらの事業費の確保には大きな役割りを果たすということが言えると思うのでございます。  ただ、補助の問題でございますが、この財特法の制定に当たりまして、議員立法ではございますが、事務方同士でもいろいろその前に各省で議論をしたときも、確かにこの医療の問題あるいは水道の問題、こういう問題については、それが料金をもって経営をする事業であるところから、補助というものがなじむかなじまないかというのが大きな議論になったわけでございます。  確かに、いまの病院に対する補助というのも、一般的には病院は診療報酬で経営をしていくべきものである、しかしながら、僻地診療とかあるいは特殊医療とか、あるいはこういったような地震のための特別に必要な設備等につきましては、診療報酬で賄い得る限度を超えるといいますか、収入をもって賄い得る部分でないというようなところから、若干の補助の制度ができているわけでございます。この地震関係の補助につきましても、特殊医療あるいは僻地医療と同じようなたてまえでやっているわけでございまして、その限りでは妥当でないかと考えるわけでございます。
  168. 栗田翠

    ○栗田委員 その限りでは妥当だとおっしゃるのですけれども、もう一度同じことを繰り返しますが、新しく建てた病院でも、調べてみたらすぐ近くに活断層があったといったような場合、これは病院の責任ではありません。そうなって耐震診断をして建てかえなければならない、これはいわゆる診療報酬で賄っていく範囲を超える場合があるのではないかと思うのです。しかし、たくさんの人たちの診療を行って病棟にも大ぜいの人たちを置いている、こういう公的医療機関の場合などは、そのことで被害が生じたらばやはり責任を負わなければならないわけですから、私の言っている趣旨はそういう趣旨でございます。  ですから、妥当だといまおっしゃいましたけれども、考慮の余地があるし、妥当ではないのではないか。予算の枠というものがあるから、いろいろ優先順位とか何かが決まっていくわけですけれども、しかし、今後やはり検討し配慮していく部分ではないかと思いますが、いかがですか。
  169. 小沢壮六

    ○小沢説明員 現在の基本的な考え方につきましては、私、それから柴田審議官の方から御説明申し上げましたとおりでございますが、地震対策というのはいずれにしても重要な事業だと考えますので、まず、現在の考え方を改めていくというのはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、全体の事業枠を今後とも確保するように努力をしていくということで、地震対策に力を注いでまいりたい、このように考えます。
  170. 栗田翠

    ○栗田委員 それでは、次に、首都圏の震災対策で伺いたいと思います。  昨年の九月に、地震予知連絡会の関東部会の報告が出されております。「首都及びその周辺の地震予知」というパンフレットになってこれが出ておりますけれども、この報告を見ましても、首都圏の地震対策を非常に重視しております。「首都及びその周辺にはわが国総人口の約四分の一に達する膨大な人口が密集しており、また政治、経済の中枢機能が集中しているが、この地域は同時に地震多発地帯に位置し」云々と、その位置の重要性をまず述べておりまして、「特に、近年における大都市の著しい脆弱化のため、たとえ中規模の地震であっても甚大な災害をもたらす可能性が益々増大してきた。従って、東京における地震対策は極めて重要」であるということをこの報告は述べております。このような中で、「予知のための資料は確かに蓄積されていることは間違いないが、実用的予知を実現する長期的戦略のもとで、すみやかに観測の一層の強化をはからなければ、将来東京は「地震予知の空白地域」としてとり残されるおそれがあろう。」ということまで言っておりまして、特に首都圏の震災の場合には、関東大震災のようなああいう大型の地震というよりは、当面一番危険性があるのは「首都及びその周辺の直下に発生する中規模地震である。」ということが言われているわけでございます。  恐らく、関係の各省庁では、この報告に沿って一層観測体制などを強化し、努力をしてきていらっしゃると思いますので、当面どのように観測体制を強化なさるのか、今後の計画をどんなふうに持っていらっしゃるのかという点で伺いたいと思います。  まず国土地理院に伺いますが、たとえば国土地理院について書かれているのは、地震の前に最も期待される前兆は地殻の変形及びそれに付随する諸現象である、それで、国土地理院が水準測量及び辺長測量によって首都及びその周辺の広域にわたる地殻変動の測量を繰り返してきているけれども、今後さらに工夫、充実が要望されるということを述べられているわけですが、地理院としては、首都圏の震災対策として今後どんなふうに充実をしていらっしゃる御予定でしょうか。
  171. 藤田尚美

    ○藤田説明員 説明いたします。  国土地理院では、現在、東京及びその周辺において、上下変動検出のための首都圏精密基盤傾動測量を年間千六百平方キロメートル、水平変動検出のための首都圏精密変歪測量を年間十二点実施しております。  今後、上下水平とも繰り返し周期を二年としまして、事業量増を図り、観測密度を高めたいと考えております。特に首都圏精密変歪測量につきましては、事業量の一層の増強を図る方向で検討中でございます。
  172. 栗田翠

    ○栗田委員 それでは、同じく気象庁に伺います。  首都圏の直下型地震に対する観測強化の対策をどう考えていらっしゃるのか、お答えください。
  173. 山川宜男

    ○山川説明員 御説明申し上げます。  先ほど先生が御指摘になりましたように、観測強化はともかく、予知のために一歩でも近づくことが目的だと存じますけれども、最近社会から非常に注目されております先生指摘の直下型地震につきましては、海洋型の大規模地震と異なりまして、その発生状況もまだ明確につかめておりません。したがって現実の予知は非常に困難な状態でございます。  それで、現在のところは、業務的に予知する段階になっていないわけでございます。このため、気象庁といたしましては、観測と既存のデータを十分活用いたしまして、大学等関係機関とも密接に連絡して、可能な限り努力をいたし、予知技術が開発された段階で予知を業務に取り入れることとしているわけでございます。  当面観測強化の対策といたしましては、最近の地震予知に対する社会の要請が非常に強うございますので、配置いたしました体積ひずみ計の観測精度を一段と向上するための努力をしていきたいと思っているわけでございます。
  174. 栗田翠

    ○栗田委員 科学技術庁に続けて伺います。  深井戸を最近三本掘られまして、地震観測の能力も高められていらっしゃいます。特に、いま言われているように、首都圏を予知の空白地帯とするなという予知連の提言を受けて、どう努力していらっしゃるのか。特に科学技術庁の場合は予知推進本部に当たっていらっしゃるわけですから、そういう立場からも計画を伺いたいと思います。
  175. 倉持哲士

    ○倉持説明員 御説明申し上げます。  先生からの御指摘もございましたし、気象庁の方からも答弁がございましたように、首都圏の地震予知というものは現在非常にむずかしい状態でございます。したがいまして、現在の地震予知の技術水準では予知体制整備は非常に困難であるというのが現状かと思います。  このため、私どもの所管しております国立防災科学技術センターでは、先ほど先生の御指摘もございましたように、首都圏を取り巻く三地点、岩槻市、下総、府中、この三カ所に基盤に達します三千メートル級の深層観測井というものを整備いたしまして、微小地震、傾斜の観測を行っているところでございます。これまで、この施設によります観測と、またすでに周辺に設置してあります地震観測施設、こういうものによりまして、首都圏を初め関東、東海地域の地震活動について多くの知見が得られるようになってきております。たとえば、プレートのもぐり込み構造についてもおおよその推定ができるようになってきているというようなことが言えるかと思います。  さらに、同センターでは、地震が比較的多数発生いたします茨城県の南西部をテストフィールドといたしまして、いろいろな観測機器によりまして、直下型地震の予知手法の開発を進めているところであります。今後は、これらの観測研究の成果、進展、それから地震予知連絡会等におきます専門的な検討を踏まえまして、首都圏の直下型地震の予知研究を一層進めてまいりたいと思っております。
  176. 栗田翠

    ○栗田委員 時間がなくなりましたので、具体的な首都圏の対策一つだけ伺わせていただきたいと思います。  東京都の防災会議が、五十三年五月に東京区部における被害想定を発表いたしました。この想定によりますと、東京都を五つのブロックに分けてそれぞれの想定を出しておりますけれども、そのうち第三ブロックが最も火災による焼失率が高いと言われていて、四四・九%に当たっておりますけれども、ずば抜けて高いところになっております。特にその第三ブロックの区の中でも中野区がそのトップを占めて、六五・七%焼失する地域になっているわけですけれども、なぜこんなに焼失率が高いかというと、道路が狭くて消防自道車が入れないところが非常に多い。普通ポンプ車で三五・四%、道路の長さに対してですが三五・四%が不可能、小型消防車でも二四・二%が入って消火活動するのが不可能だということで、大変焼失率が高いわけです。こういう状態に対して、消防署が非常に努力をしまして独創的な対策を講じているということがわかりましたけれども、消防庁に伺いますが、どういう対策が講じられているのでしょうか。
  177. 野沢達夫

    ○野沢説明員 御説明申し上げます。  道路が狭隘な場合は、御指摘のように消防ポンプ自動車の通行が非常に困難になりますので、消防活動に制約を受けますが、一般的には、あらかじめ比較的小型な消防ポンプ自動車を配備したり、あるいは小型動力ポンプを併用していくとか、ふだんから消防水位を考えましてホースをあらかじめよけいに積んでおく、いろいろ対策を講じておりますが、ただいまお話がありました中野区の方では、電信電話公社とか東京電力とかいうところに電柱の移設を要請いたしまして、それについて話がついて近く取り除かれる、取り除くというよりは移設されるというような計画があるように聞いております。
  178. 栗田翠

    ○栗田委員 いまお話がありましたとおりですが、一つは電柱の移設、中野区の中の野方署の関係する地域ですけれども、消防署が調べましたらば、狭い道路でも電柱をちょっと動かしただけで消防車が入れるところがたくさんあって、無造作に道路の角に電柱が立っていて、それを三十センチ動かしただけで入れるようになるとか、ちょうど道路の狭くなったところにぽんと電柱が立っているのを、十センチ動かせば通れるとかというところが何カ所かあるわけです。調べたら、九十五本電柱を動かせば、消火不能な地域の七〇%に消防自動車が入れる、こういう状態だということが調査されまして、東京電力と消防署が直接交渉をして、五十六年度で十七本移設をさせる約束を取りつけたというわけです。  それから、いまはお話がありませんでしたけれども道路のすみ切りというのも考えていて、とがった道路の角をちょっと切っただけでも相当通りやすくなって、このすみ切りの方は電柱の移設よりもっと効果があるということですけれども、わずかな面積だけですから、たとえ私有地をすみを切って買い上げても、金額的にそれほどではないということです。特に電柱の場合などは、この交渉をしたときに電力会社が言いますのには、いままで防災上の立場で電柱の位置を考えたことはなかった、なるほどそう言われてみたら、今後立てるときには通りやすくするように、十分考えて立てたらずいぶん違いますね、という話もあったということなんです。これはお金は余りかかりませんし、さほど大変なことではない。特に新たに立ててもらう場合なんかは配慮してもらえばいいわけですが、移設する場合でも一本三十万あれば移設できるということで、いまの財政難の中で道路の拡幅などをやる、これも必要ですけれども、それができなくても、こういう創意に満ちたやり方で、かなりの改善が図れるというよい例だと私は思います。  このような例が出てきておりまして、これは消防庁のもとにある消防署が、住民の防災の立場に立って大変な努力をしてつくり上げてきている成果でございますけれども国土庁長官に伺いますが、ぜひともこういうすばらしい考え方を、一中野区だけではなく、全都それから全国に奨励していただいて、全国の電力会社やまた電電公社などが電柱を立てるとき、防災の観点で立てるように奨励をしていただきたいということ。それから、現在消防署が自分で交渉して移設を要望していますけれども、国の方からも電力会社に協力を要請することができればなおそのスピードは上がるわけですから、そういう意味でもぜひともやっていただきたいということ。  それからもう一点は、すみ切りの問題では自治体が独自の予算をつけて土地の部分の買い上げをしているようですけれども、こういう点はやっぱり防災の観点で、今後制度化して、補助金などもつけていくことができればずいぶん効果があるのではないかと思いますが、こういう点いかがでございましょうか。
  179. 原健三郎

    原国務大臣 なかなかいいアイデアをお考えいただきまして、大いに参考になりました。その電柱等について、これから国土庁の内部でもよく話をまとめまして、各省庁の間に連絡をとって、そういう防災対策を、経費もかからずに効果のあることは非常に結構なので、そういうことも考えてやりたいと思っています。
  180. 栗田翠

    ○栗田委員 すみ切りの方はいかがですか。
  181. 松下勝二

    ○松下説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、都市防災対策の重要性はよく認識しておりまして、消防活動困難区域といったようなところにつきましての、都市計画の決定された街路について、この整備を進めているところでございます。今後とも予算の範囲内で、制約がございますが、できる限りの整備に努めてまいりたいというように考えております。  ただ、区画道路といった細街路につきましての、いまおっしゃった局部改良等の小規模な事業につきましては、これはやはり、道路管理者である地方公共団体固有の事業であるというふうに私どもは認識しておるわけでございます。
  182. 栗田翠

    ○栗田委員 終わりますけれども災害防止の立場では余りかたいことはおっしゃらずに、やはり国を挙げて努力をするということで、大きな予算をつけることだけに目をつけずに、そういう制度化ということはぜひとも進めていただきたいものと思います。  それでは、これで質問を終わります。      ————◇—————
  183. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  異常気象による被害状況について、本委員会から委員を派遣し、その実情を調査するために、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 木島喜兵衞

    ○木島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十九分散会