○沢田
委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております
自動車事故センター法の改正について、反対の
立場から討論をするものであります。
今回
運輸省が、
交通事故を
原因とする一般的に言われる
植物人間、
重度後遺障害者の
方々に救済の手を差し伸べることは、情において理解しないものではありませんが、特に
交通事故に起因する
人たちのみを
対象とすることは当を得たものでないと存じます。
以下、
幾つかの理由を明確にして反省を求めるとともに、将来に大きな禍根を残すものとして反対するものであります。
一つに、これらの
対象の人々は全国的に三十五万人とも言われます。国民的政策の中に解決を図るべきものであります。特にまた、
保険を原資とする
方法について大きな疑問を抱くものであります。
この
入所施設は、事故
センターが行うのでありますが、今日の増税なき
財政再建を至上命令とする中で、特に鈴木首相も政治生命をかけると言っているこのときにおいてかかる先駆け的な行為を行うことは、政府みずからが口で言うことと行動が全く背馳するものであり、許されるものでないと存じます。まさに行革逃れの温存であり、そのそしりは免れないものと存じます。
一たん
給付が行われ、完全に終結した事案に対し、
現物給付とはいいながら、同一の原資に基づきさらに
保険給付を行うことは理解に苦しむところであり、なぜ時効が設定されたのであろうか、二重
給付は今後の
保険行政に大きな影響を与えるものと思います。
棚橋
審議官は当初
答弁に当たって、
自動車の
原因者
負担の原則に立って説明されましたが、このことはまさに二重
給付であります。その後
大臣の
答弁では政策としての対処であると言っております。政策であるとすれば一般財源に依存すべきであり、かかる矛盾の法改正は許されません。一たん終結した案件に、いかなる名目を問わず
給付を行うことは法体系上にも疑問を残し、これを認める場合、その事件終了後に再請求の道を開くことに通ずるのであり、その実行例をみずからが示すものであると言い得るものと思います。
事故
センターの現状は、
補助金に寄生する依存団体であり、現状においても二十六億の補助、税金を食い、七億近い赤字を出しており、将来ある団体とは認められません。現在置かれている人々を憎んで私は言っているのではありませんが、言うならば今日の政治的ゆがみの象徴であるともいうべきでありましょうし、まことに同情にたえません。他の同種同況にありまする障害者に対する不公正を招くことになり、公正を最たるものとして
政治課題となっておりまする今日、望ましい形態とは言えないのであります。
高級官僚の天下りが社会から大きな
批判を受けているとき、この団体の助長は望ましいことではなく、みずからえりを正すときにかかる法改正は撤回すべき性格のものでありましょう。
厚生省が、この種の病態にある人々に対し今日まで何ら手をつけられていなかったことは、政府の無策を象徴するものであり、かかる微温的
措置によってごまかそうとする自民党政府に大きな反省を求めるとともに、怒りさえ覚えるものであります。
この種の
施設が、万一全国何カ所かの増設を考えれば、
保険料の値上げにはね返ることは必至であります。四千二百万人に対する形を変えた大増税になることでありましょうし、この形態は老人保健法などに示されるように、いわゆる
原因者
負担の体質を強めることになると思います。健全運営に対する保障も全くない団体であることは嘆かわしいと思います。
保険金の剰余金の
還元方法については、現在の
給付の
改善を第一に置き、二千万円を増額するなら増額すべきでありましょう。あるいはまた、
保険料を引き下げることにすべきであると思います。
今日、
原因は別として、常時
介護を要する重度一級障害者の
方々で病床にあるもの及び同
家族は大きな不満を起こすことになると存じます。運輸エゴ以外の何物でもないと思います。国民的合意を得る必要があるものと考えます。
以上のほか、
附帯決議や総括
質問の中でこの法の矛盾、不明瞭な点なしとしません。ただ、ささやかな
植物人間への思いやりと
家族の解放感のみを見て全般的、国民的
行政の立ちおくれを見逃すことはできません。行革も恐らく事故
センターはどうなのだという禍根を残すことになるでありましょう。
政府、
運輸省の冷静にして大局に立った判断に立ってこの実行により慎重であり、また政府部内の統一を図り、思いとどまることを期待し、まず障害者の
実態を把握し、総合的に研究、
施設対策が国民的視野に立って福祉
行政の大きな分野として取り上げられることを期待し、反対の討論といたします。(拍手)