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1981-04-10 第94回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月八日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  土地及び住宅問題に関する小委員      池田 行彦君    鹿野 道彦君      鴨田利太郎君    桜井  新君      中西 啓介君    中村  靖君      村岡 兼造君    小野 信一君      中村  茂君    伏木 和雄君      渡辺 武三君    瀬崎 博義君  土地及び住宅問題に関する小委員長                村岡 兼造君 ————————————————————— 昭和五十六年四月十日(金曜日)     午前十時五十三分開議 出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 渡辺 武三君       鹿野 道彦君    鴨田利太郎君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       羽田野忠文君    堀之内久男君       村田敬次郎君    井上 普方君       小野 信一君    山花 貞夫君       横山 利秋君    薮仲 義彦君       林  保夫君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    甘利  正君       柿澤 弘治君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         国土庁土地局長 山岡 一男君         運輸省海運局長 永井  浩君         運輸省船員局長 鈴木  登君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 犬井 圭介君         労働省職業安定         局長      関  英夫君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房総         務審議官    川上 幸郎君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     青山 正明君         林野庁指導部治         山課長     松本 廣治君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     星野 孝俊君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (宅地開発公団         総裁)     志村 清一君         参  考  人         (宅地開発公団         理事)     北川 博正君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   甘利  正君     柿澤 弘治君 同日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     甘利  正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅都市整備公団法案内閣提出第三四号)  本州四国連絡橋建設に伴う一般旅客定期航路  事業等に関する特別措置法案内閣提出第六〇  号)      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  住宅都市整備公団法案を議題といたします。  本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君理事有賀虎之進君、理事星野孝俊君、理事救仁郷斉君、理事久保田誠三君、理事櫟原利嗣君宅地開発公団総裁志村清一君及び理事北川博正君に御出席を願っております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 大臣がいらっしゃる時間が余りないようでありますから、まず大臣に物の考え方について伺いたいと思うのであります。  それは、持ち家制度公営住宅建築の問題であります。政府は、持ち家制度というものを推進をするということと公営建築借家方式とのつり合い、バランスをどう考えているのかという点であります。持ち家制度は、政府がどんどん推奨するために住宅貸し付けの大幅な拡大と貸付条件改善等を行いました。そして勤労者にも持ち家ができるようないろんな施策を展開をしたわけであります。そこでかなり勤労者層の、自分の家を持ちたい、自分土地を持ちたいという需要が増大をいたしました。そして結果として、持ち家を持ったはいいけれども長期のローンで、いま新聞でも取り上げておりますように、ローン苦しみの中に呻吟をしておる、こういう状況であります。持ち家がいいのかあるいは借家がいいのか、高い家賃なら持ち家の方がいい、ちょっと苦しんでも持ち家の方がいいという気持ちになるのは人情としてはやむを得ないところではあろうけれども持ち家を持てる所得層土地を買い、家を建てる、自分のものにするためには一定の収入がある層でなければならない。それを無理をして持ち家を持つことによってどのくらい生活に圧力が加わるか。場合によっては企業が倒産をして、直ちに持ち家ローンを払える可能性がなくなっておる人たち苦しみは一体どういうことになるのか。考えますと、持ち家を推奨する、推進するという政策がきわめて好意を持って実現されたにしても、それによって土地需要を増大し、そして公営住宅建設低下をしていく、こういう状況を私どもは憂えざるを得ないわけであります。  この法案は、すでに同僚諸君からいろいろ指摘をされておりますように、住宅公団の変質ではないか。住宅に困っておる諸君のために住宅建設するということで発足した公団が、今度のこの法律によって、結局は公営住宅建設すること、安い家賃の家を貸すこと、そういうことがないがしろにされていくのではないか、こういう不安は数字をもって同僚諸君がしばしば指摘したとおりであります。低所得層に対する住宅供給ということと、持ち家制度推進公営住宅建設戸数低下というものを大臣は政治的にどう判断をされておるのか、これはひとつ大臣から伺いたいと思うのであります。
  4. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  住宅に対する要望といいますか、いろいろと多様化してきておることは御案内のとおりでございます。私たちが三期五計の経験を踏まえて四期五計でお願いをしてある戸数につきましては、御指摘のとおり一見持ち家志向型のようにはなっておるかとも思いますけれども、いままでの経験を生かして、三期五計でできなかった面につきまして配慮してこの問題については取り組んだわけであります。特に都市化された大都市における勤労者方々住宅をいかにすべきかというところに問題点があろうかと思います。残念でありますけれども、トータル的には三期五計の目標数値は上回っておりますけれども公営公団関係につきまして落ち込みのあったことは事実であります。これは都市対策あるいは環境調整ができなかった、地方公共団体との話し合いというような問題があったわけでありますけれども、当然四期五計におきましてはそうした阻害要因を排除しながら、バランスとしてはそのような結果にはなっておりますけれども、一番困っておられる大都市における勤労者方々住宅については十分な配慮をこの中においてやる所存でございます。  いずれにいたしましても、数的な問題よりも質的向上を志向されておるいまの住宅環境の中で、質の向上を図りながら、都市化されている中で住まいに困っておられる勤労者方々については、示した数字にこだわらずに、都市対策あるいは環境調整等がつきますれば積極的に推進してまいり、低所得者層方々にもでき得る限りの低家賃で住んでいただく、なおかつ質の向上も図っていくという根本的な考え方には変わりないわけで、三期五計のマイナス要因を振り返りながら、四期五計につきましてはそうした考え方のもとに推進する所存でございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 大臣の庶民的、政治的感覚から伺いたいのですけれども、あなたは家賃勤労者の総収入ですね、勤労者ばかりでなくてもいいですが、総収入家賃との比率はどのくらいが適当だとお考えになって建設大臣をお務めになっておりますか。
  6. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 言われている一般的な表現で、家賃バランスはぎりぎりが三〇%とよく言われておりますけれども、でき得れば私は、もちろん収入によるのでしょうけれども、パーセントにつきましてはなおそれ以下にするような形で進めていくというような考え方を持っているわけであります。(横山委員家賃が総収入の三〇%とおっしゃるのですか」と呼ぶ)はい、三〇%です。これは一般的に言われる最高のものでございますけれども、ただそれはマキシマムでございますから、それ以下の……(横山委員「本気で言っていらっしゃるのですか、そんなばかな」と呼ぶ)ちょっと待ってください。ごめんなさい、ちょっと勘違いしておりました。取り消します。ちょっと数字的なことを……。
  7. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私から事務的なことにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。  昭和五十年の住宅宅地審議会におきますところの御答申で、家賃負担限度というものにつきましては、所得の階層に応じましてそれぞれ異なりますが、標準的な五分位に分けましたところの第三分位の方々で、四人世帯といったような標準のところをとりました場合、限度といたしましては二一%程度くらいを考えられておりました。  ただ、私どもが政策的に公営住宅あるいは公団住宅等供給いたします場合におきましては、その限度いっぱいということではなくて、その中におきまして適正な御負担をお願いするということで、現在公営住宅につきましてはおおむね一五%程度目途としておりますし、住宅公団賃貸住宅につきましては一六%程度のところを目標といたしまして供給しているところでございます。
  8. 横山利秋

    横山委員 総収入の一六%以下ですか。一六%以下なんですか、標準か。
  9. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま申し上げましたのは住宅立地条件規模また入られる方々家族構成収入等によりましてかなり差はあります。しかしながら、私ども目標といたしております公団住宅供給につきましては、先ほど申しましたように一六%程度のところを目途として供給するようにいたしているところでございます。
  10. 横山利秋

    横山委員 私ども若いころは家賃が大体一割、そういうことが通常の世界でありましたね。一割ですよ。また、家賃支出を一割以下にとどめなければよき文化的なホーム生活を送ることはできないと思っています。建設省公団関係家賃平均は、先般お伺いしたところ二万五千七百円、共益費が五千円ぐらいですかね、そうすると三万円ぐらいですね。そうすると何ですか、公団に入っている人たち収入は大体平均してどのくらいになることになるのですか。
  11. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公団に入っていらっしゃいます方々平均的な所得で見ますと、おおむね月額にいたしまして三十一万から三十二万円程度というふうな統計となっております。
  12. 横山利秋

    横山委員 そんなことありやしないですよ。あなたは逆算して、一六%だとそのくらいになるという計算じゃないですか。あるいはそういうことを要求するので、入居者はおれは収入はあるといって多少手心を加えて申告をしたかもしれぬけれども公団に入っている入居者平均三十一万円の収入者であるということは常識的に考えられないですよ。そうでしょう。手心を加えておる、そうしなければ入れないからということであるかもしれぬのだ。  それで大臣、どうなんですか。三十一、二万円というような収入では実際はない。しかしまあ三万円以上の家賃を払わなければならぬ。実際は三十一、二万円なんということはないですよ。そう考えますと、いま私が冒頭展開したように、持ち家持ち家と言って、公団もそろばんが合わぬ、空き家も多い、それから不要の土地を抱えておる、世間の非難を浴びた、まあ借家制度はやめてひとつ持ち家でどんどん建設省としては仕事をしようじゃないか、公団性格も変えようじゃないか、そして低家賃ではなくて公団がそろばんが合うようにしようではないか、そういう意図がありありとこの法案の中に見えるわけです。現に四期計画の中においても、建設戸数計画はとみに減っている。だから、安い家賃の家を供給しようという物の考え方建設省公団の中でどこかへ行ってしまった。何とかして公団のそろばんに合わせよう、そろばんに合わないなら安い家賃の家をつくるのはやめた、だからおまえさん方家をつくるなら自分勝手につくってくれ、つくるなら多少の援助はしよう、安い金利も貸そう、供給もしよう、自分たちでつくってくれ、公団がそろばんに合わぬ家賃で家をつくるのはほどほどにしたい、こういうことではないのですか。
  13. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先ほどは失礼しました。ローンの問題が出ましたので、私の頭にローンで大変苦しんでおられる方々がおられる、三〇%というような高いローンを使って苦しんでおられるという頭がありましたのでそういう数字が出たので、おわびをいたします。  御指摘のような向きが数字的にはあるかもしれませんけれども、私たちはさらさらそうしたことを考えるのではなくて、何としても三期五計の実績を踏まえて、でき得る限りの可能性のある数字をもって、都市化された中における勤労者方々住宅の質の向上を図りながら進めてまいるという考え方にいささかも変わりないわけで、その点につきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  14. 横山利秋

    横山委員 私の言っているのは、安い家賃の家をつくろうという気持ちは、法案の中にもどこにも書いてないのです。だからこのままでいけば、安い家賃住宅供給するのを建設省公団もあきらめたのか、もういやだと言っているのか。そういう気持ちがあるならあるで、法案の中のどこかに出てこなければならぬのだが、現行法では住宅困窮者ということが書いてあったが、今度の法案ではそれをなくしてしまった。あきらめたのかやめたのか、もうそろばんに合う住宅しか公団供給しないのか、こういう意味です。
  15. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そういうことは全く考えておりません。
  16. 横山利秋

    横山委員 それならなぜ法案に書かぬのか。
  17. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 健康で文化的という表現で質という問題が表面に出て、その点につきましては表現的には隠れてはおりますけれども、いささかも三期五計と考え方は変わっていないということははっきり申し上げられるわけであります。
  18. 横山利秋

    横山委員 委員長にも同僚諸君にも、いまの大臣のえらいさっぱりした言い方であります。安い家賃供給をするという趣旨はいささかも変わっていないというならば、あなたの言っていることと法案とはまるっきり違うんじゃないですか。現行法は書いてあるのになぜそれを書かないのか。こんな安い家賃の、住宅困窮者に対する気持ちが今度の法案の中に何にも書いてないのはどういうわけかと聞いている。それが現行法にあるのになぜ法案に書いてないのかという点について、あなた、多少はじくじたる気持ちがあるでしょう。どうもこれはまずいなという気持ちがあるでしょう。どうですか。
  19. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 なかなか辛らつな御指摘であるわけでありますけれども、一応家族世帯の変化、進歩、それから需要の変わりよう、また有効ストックも一応二百七十万、質という問題が表面に出てきた関係上、困窮者という表現を、なお引き続きあと五年というようなことを考えた上の表現であったかと思います。したがって、内的に基本的な考え方というものは変わっておらないわけで、表現力は拙劣であったかもしれませんけれども、もう少し大きく質的という問題を表現されたということで御理解いただきたいと思います。
  20. 横山利秋

    横山委員 大臣表現力が適切でなかったかもしれないということをおっしゃったことをこの際銘記をいたします。わが党は法案の第一条の修正を要求しておるわけでありまして、委員長を初め同僚諸君はいま大臣がおっしゃったことを記憶して今後御相談に乗っていただきたいと思います。  その次は、公団マンションと民間のマンションの問題で最近苦情が非常に続出しておるわけであります。私の手元にマンション問題で行動する会から寄せられました「マンション苦情相談事例一覧表」がありますが、これによりますと、京成サンコーポを含めて、販売業者は京成電鉄でありますが、驚くなかれ七十四件のマンション苦情が来ておるわけであります。この資料はすでに建設省へも東京都へも届けられておるというふうに聞いておりますから、恐らく実情をお調べになったのではないかと思います。  そこで、この問題について法的な問題が続出をいたしておるわけであります。  第一は、「既存マンション区分所有者権利保護救済」の問題であります。これは「建築基準法第六条、同法五十二条違反集合住宅改善」の問題であります。言うならば「建築用地に関する規定の不備から、業者申請時に一時貸借で許可を受け、建築後、当該貸借契約を解除する等の手段を用いるため、建ペイ率容積率違反となり、改築は勿論、大規模改修も不可能であります。」「建築業者分譲業者は将来の容積率緩和を見越して、設計及び建築を行い、ピロテイ部分分譲後に、区分所有者に無断で店舗、駐車場倉庫等として分譲もしくは賃貸、時には専用使用権の売却をしております。」  もう時間がありませんから、全部整理していきます。  第二番目が「検査済証の未交付物件に対する特別措置」であります。一つは、「建築確認申請後十数年を経過しても完了届提出されず、検査済証がなく、建築基準法第七条違反となっておりますが、区分所有者はその事実を知らされることなく取得し、管理するにあたって更に同法第八条違反を強いられ、種々問題を抱えながら居住しております。」このような「違法建築物が、一方では現行登記法上、合法的に登記できることによって、善意の取得者違反者におとしいれています。」  第三番目は、「建物に関する図書一式確保」、「建築基準法及び宅建業法の監督指導権をもつ各都道府県では、文書管理規程当該確認申請書類を廃棄処分しているケースが多く、業者が応じなければ、これ等設計図書類は入手不能であり、補修及び改修が不可能であります。」  それから「瑕疵欠陥改善命令」、「虚偽の申告による確認申請のチェック及び中間検査が実施されないため、発見されなかったコンクリート工事の不良、手抜き、鉄筋の露出、ベランダの落下事故、居室を通過するエキスパンションなど、消防法通産省令違反し大事故につながる危険性が極めて大きいものが多数ありますし、住むに耐えない状態のまま、瑕疵担保責任も果たされず業者に放置されている例は数えきれません。」  第五番目が「管理形態改善」、「管理規約管理委託契約などによって不当に不利益をこうむっている場合が多く、又、分譲時に締結された共有部分特定者に対する専用使用権人間関係を阻害しています。」  これは「既存マンション区分所有者権利保護救済」の問題でありますが、こういう問題について建設省はどういう措置をとっていますか。
  21. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  種々いろいろな御指摘でございますので、順次御説明申し上げたいと思います。まず第一点の容積率制限くぐりというような問題でございますが、建築確認建築計画段階におきまして適法かどうかを書面により審査しております。その段階で適法な建物でありましても、建築後にその土地の一部が売却されるあるいは借りている土地を返還する等で、その敷地の権利の一部が失われるような場合には容積率の制限などの規定違反するということに相なるわけでございます。これらの場合におきまして基準法上は法第九条による是正命令ということが出せるわけでございますが、マンションなどの場合におきましては、その性格上除却とかあるいは一部改築するといったようなことは非常にむずかしいことでもあります。したがいまして、建物買い主の方が現実に売買契約をされる段階におきまして十分な図書一式等交付を受け、自分権利関係を確認することができる、そういったような面につきまして建築指導部局宅地建物取引業指導部局との間で十分連絡協議をいたしまして業界指導すると同時に、買い主方々にも啓発をしてまいりたいというふうに考えております。  また、検査済み証につきましては、当然の事柄でございますが、建築基準法上の完了届提出されましてその完了検査がなされた場合に交付されるということで、完了届提出は義務づけられておるわけでございますので、今後とも建築主に対しまして完了届提出検査をするといったことにつきまして指導をしてまいりたいと思います。  また検査済み証につきましては、建物を売買されるときに区分所有者あるいは建物を買われる方々に対しまして交付する、あるいはまたその写しを差し上げるといったようなことで、将来問題を起こさないように、これも関係当局協議をさせていただきたいと思っております。  また建築に関する図書一式確保でございますが、年々の建築確認の件数は百数十万件といったような膨大なものになるものでございますので、各公共団体におきましては、現在おおむね三年から五年程度書類を廃棄するというのが実情でございます。ただいまお話がございましたように、共同住宅につきましては工事竣工図など関係図書一式を必ず交付する、あるいはまた管理事務所などで購入者が閲覧できるように指導しておるところでございますので、今後ともその強化を図ってまいりたいと思っております。  また、瑕疵欠陥の問題でございますが、基準法違反建築物につきまして従来からも努力しているところでありますが、今後とも特定行政庁につきまして十分指導するように努めてまいりたいと思っております。  また、共同住宅管理関係につきましては、管理規約あるいは管理組合の設立あるいは区分所有権に関する法律見直し等関係の省庁とも御相談をしながら現在検討させていただいておりますし、住宅宅地審議会におきましてもこれらの管理問題につきましての標準的な約款のようなものをつくって、業界なり関係方々にもお示しできるように現在検討しているところでございますので、この両検討の結果を踏まえまして私どもも適切な対応をしていきたいと考えているところでございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 要するにこれだけの建物をつくりたい、容積率の立場からこれだけの土地が必要である、けれども土地がないから隣の土地を借りて建物を建てた、建物を建てて済んでしまったらその借りた土地を返す、そうすると今度はこっちの建てる人がまたその土地を借りる、これは詐欺ですよ。一、二の例じゃないですよ、東京はもちろん名古屋でも私の知る限りそんなことがずいぶん行われておるのだ。これを住宅金融公庫住宅公団なり県や市役所は、ああ借りてきた土地でもいいですよ、持っていらっしゃい、何だったら教えてあげましょう、その辺は借りておきなさい、建ったら返せばいいじゃないかとは言わないにしても、にこっと笑っているわけです。建った瞬間に返してしまっている。これは住宅金融公庫住宅公団や県や市を詐欺にかけたようなものだ。将来とも容積率のために持っておらなければならぬものを、建てたらすぐ返してしまう、そしてまたそれを利用してしまう、それがみすみす詐欺だとわかっていながら詐欺にかかった県庁や市役所や住宅公団住宅金融公庫は、ああおれのところは詐欺にかかったがしようがないな、それで済んでおる。済んでおるのがおかしいと思う。しようがないとあなたは言っておるじゃないですか。区分所有者や市役所や県庁や住宅公団、公庫が十分注意しなさい、買った人は注意しなさいといっても注意のしようがないじゃないですか。建築基準法に明らかに違反をしておるということについて未然に防止する方法をあなたは何も言ってないですよ、どうしたらいいのですか。
  23. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 建築基準法におきます建築確認につきましては、その土地建物が法に適合しているかどうかということを確認するシステムになっておりまして、その土地につきましての権利関係が所有権あるいは借地等によりまして明らかにその人の使用に属しているということでありますならば、これは確認せざるを得ないわけでございます。その確認を受けた後でまたその土地を売却するとか返すとかいったような、いわば脱法的な行為というのは非常に残念でございますが、基準法上の確認の制度としてはそういうふうになっている。  そこで、いま申し上げましたのは、宅地建物取引業法等の改正によりまして関係図書一式等をお客様にきちっと交付して、その権利関係が明らかになるように、自分の買う土地がどこまでが借地権であり共有持ち分があるかといったことにつきまして確認をさせて、それで売買ができるようにというような制度の改正もなされまして、今後その面からの指導もあります。また、私どもも、私権との関係がありまして非常にむずかしいことではございますが、建築基準法の中におきまして敷地の登録といったものを考えていったらこの面がカバーできるのではないかということで現在いろいろと検討いたしておりますが、現段階ではまだ法の改正というところまで至っていないという点で、もうしばらくわれわれに研究をさせていただきたいと思っております。
  24. 横山利秋

    横山委員 大変苦しい答弁ですね。これは、私がここで質問してしまってあなたが自信のある答弁をしないということでは、逆説的に、私がこういう方法があるよ、うまいことごまかせということを宣伝する効果になってしまうということを私は大変心配するわけであります。議事録を見てあなたの答弁がはっきりしない、どういう方法があるかこれから勉強したいということをまだ言っておられたのでは、全国の地主や建築業者は、横山代議士いいことを質問してくれた、おれは知らなかったけれども、それならやろうじゃないか、いまのうちに早くやろうということで宣伝する機関になったのでは私は大変心外なんです。これは大臣、今お聞きのとおりですが、容易ならぬことですよ。役所や何かがみすみす詐欺に遭っておるのだ。これを何とかしなければいかぬ。  それから、不動産登記法でもそうであります。不動産登記申請書として、同法三十五条の規定のほか、検査済み証の控えの添付を要するものとして違法建築の二重チェック方式としなければならぬということが一つの問題なのであります。私はこの間法務委員会で、農地が知らぬ間に宅地になっておる。建設省にも来てもらったのですよ。ということはどういうことかというと、農地に土をまいてれんがを並べて、おい見に来てくれというと登記所が見に来るわけです。見に来て、これは農地じゃないだろう、農地じゃないな、けれどもいいかげんなれんがの置き方だな。ああそうかと言って土をもう一遍まいてれんがをざあっとやれば、どうだ宅地だろう、ああ宅地だ、それなら登記してくれと言って地目変更をやってしまったという例が多いのですね。農地ですよ。農地法違反ですよ。ところが、不動産登記法は現状を不動産登記台帳に正しく反映するということだから、だれが見ても農地じゃないということになれば、登記所の職員は農地法違反であろうがあるまいが、農林大臣が許可したかしないかはおれの知らぬことだ、おれはここが農地か宅地かを現認して宅地であったら宅地と書くのはあたりまえだということでやっておったと言うのです。それと同じように不法建築であろうがあるまいが、家をつくって見に来てくれ。家をつくったというと登記所がやってきて、ああ家はできておる、だからこれは不動産登記法によって建築物として登記すると言うのです。それで、これはおかしくはないかというわけで、農林省と建設省と法務省が、そんなばかなことが勝手に行われるか、しかも、ここの関係じゃないけれども、はなはだしきに至ってはいつ農地が宅地になったかということについて、四十三年ごろだ。四十五年に線引きが行われましたね。四十二年にさかのぼって宅地になったと登記をしたと言う。これはすごいことですよ。そこは七万円くらいの農地だったのですが、一遍に坪二十七万円で売れた。六百坪だというと一億二千万円ばっともうかっておる。真ん中に立った人に一千万円やったというのです。これはぼろもうけですね。それと同じように、建築基準法違反しておろうがおるまいが、不動産登記申請書類として検査済み証があろうがあるまいが登記してしまうという現状をどう考えるか。どうですか。
  25. 青山正明

    ○青山説明員 不動産登記法は、不動産の客観的な状況を明らかにすると同時に、その不動産に関する権利関係を公示するということが使命でございます。したがいまして、いま先生も御指摘のように、建築基準法違反建物でございましても、建物として存在いたします場合にはそれは取引の客体になるわけでございますし、その場合の対抗要件は登記であるということになるわけでございますので、不動産登記法のたてまえといたしましては、建築基準法違反でございましても登記をせざるを得ないということになるわけでございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 どうだね大臣、ぬけぬけあんなことを言われてあなた方よく黙っておるね、私は時間の関係上節約してずばっと言ったのだけれども、あんなこと議事録に残されたら、全く横山さんいいことを宣伝してくれたと言って、とにかく県庁からしかられようが公団からしかられようが早く登記してしまえ、法務省の民事局がああいう議事録を残してくれたらぱあっと登記してしまうぜ。これをどうするの。大臣、そんなことはいかぬとそこで言いなさいよ。そんなばかなことは許さぬ、おれは建設大臣だ、法務大臣が何と言おうとそんなことは許さぬぞ、こうすると言ってちょうだい。それは言わなければいかぬよ。私の質問が何にもならぬ。横山代議士はいいことを宣伝してくれたということになってしまう。
  27. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 なかなかむずかしい問題であるわけで、所管は所管で、法律的な問題につきましては法律的な問題として解決しなければならないことでありますけれども、御指摘のような問題が山積いたしておって私たちも苦慮いたしておるわけでございます。しかるべき具体的な方法でこれは当然取り締まるべきことであろうと思います。  なお、業界方々につきましては、特に昨今近代化につきまして業界が挙げてこうした問題に取り組んでいただくように私の方では強い指導をいたしておるわけであります。やはり内的な問題から、内的な業界そのものがみずから目覚めないとこうしたことについては大変御迷惑をかける。せっかく目的を果たして住まわれたマンション住宅がそうしたことで精神的な苦痛を与えるということについては、当然私たちとしては忍びないことでありまして、なお十分先生の御指摘を配慮というよりも肝に銘じて対処してまいる所存でございます。
  28. 横山利秋

    横山委員 私の質問に法務省は明快にしようがないじゃないか、こう言っておる、それに対して大臣は抽象的な話、これでは議事録を読んだ人は法務省の言うことがはっきりしているというふうに感じますよ。困る。それはひとつだれかはっきり言うことないか。はっきり言えるか。そんなことはいかぬ、建設省としては法務省と交渉してかかることのないように、勝手に登記されては困るということをはっきり言いなさい。これを言わぬと困る。
  29. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまの点でございますが、それぞれの法律にはそれぞれの目的がありまして、おのずから限界もあることだろうと思います。ただ、私どもといたしましては、問題は違法な建築をいかにして防止するかということでございます。そういうような点におきまして、建築基準法の的確な励行、また、具体的な第一線の建築主事の方々関係部局ともよく御相談いたしまして業界指導する、あるいはまた検査等につきまして違法、不適切なものがあればこれも是正に努める、そういうような面で今後とも努力をさせていただきたいと思っております。
  30. 横山利秋

    横山委員 大臣、それは私が納得しないのはわかるでしょう。それはだめですよ。法務省はきわめて明白に、違法建築であろうがなかろうが、現場へ行って石が並んでおれば登記するのが私の役目だ、こう言っている。建築基準法なんか私は知らぬ、こう言っている。そんなことを許しておいてはならぬですよ。絶対にいかぬですよ。  それで、この間、農地を宅地にする問題についてはこういうことにいたしますと、要するに見にいってこれは宅地になっておるということを登記所の職員が認めた、認めても農林大臣の許可書はと聞け、許可書ないと言ったら、それなら農業委員会でもらってこいと言え、農業委員会へ行かないものは登記所から農業委員会へ照会しろ、農業委員会も現場確認だけではいかぬぞ、これは県知事の許可書、農林大臣の委任事項である許可書がないままで県知事さんいいですかと聞け、県知事はそれに対して認めぬなら認めぬ、認めるなら認める、はっきりした明示をして農業委員会に渡せ、農業委員会はこれを登記所へ連絡しろ、それまでは登記してはならぬということにしろ、それじゃわかりました、その線で両省協議をいたしますと。いま協議をしているのですか。
  31. 青山正明

    ○青山説明員 しております。
  32. 横山利秋

    横山委員 そういうことを暫定的な解決としてやったわけです。だから、そのやり方はあなたの方でもできぬことはないですよ。そうでしょう。だから、検査済み証建築許可証、そういうものがないがいいかということの確認を登記所でやってもらう。それに対して県庁なり市役所なり公団なり公庫はきちんとした態度を明示する、それがなければ登記はしてはいかぬということに一応なるわけなんだが、それがなければというふうに絶対的な要件にするには、これは不動産登記法を改正してもらわなければならぬ。絶対的要件にするかしないかについてはもう一歩検討に値するけれども、しかしさしあたりの、当面の問題としては、こういう詐欺がぬけぬけと行われていることについて建設省と法務省とが協議をして遺憾のないようにしなければいかぬ。この点に賛成ですか。
  33. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 賛成でございます。
  34. 横山利秋

    横山委員 それならそれを至急やっていただきたい。  そこで、今度はこの要望の一つに、停止条件つき売買契約制度を採用してくれ、こういうわけですね。「イ 建築確認申請書及びその附属図書 ロ 建築確認通知書 ハ 検査済証 ニ 竣工図一式の全部を具備又は引渡さない場合は、物件引渡日より起算して「一年以内」購入者は、当該契約を破棄し、それまでに支払ったすべての代金の返還を受けることが出来るものとし、宅建業法第四一条に該当する保証委託契約者も連帯責任をもつものとする。」このようにしてくれ、こういり点はどうお考えでしょうか。
  35. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほどのマンション問題で行動する会からの御要望の中に、いま先生のお話のものがございます。それで、申し上げるまでもないことでございますけれども、一応契約をするかしないか、あるいはその内容をどうするかというのは当事者の自由ということになっておりますけれども、宅地建物取引業法におきましては、国が消費者の保護あるいは不動産の流通の円滑化というようなことで、かなりいろいろな事項で介入をいたしております。いま御提案の停止条件つきの売買契約制度につきましてはかなりむずかしい問題も含んでおるとは思いますけれども、一つの御提案として私どもで勉強させていただきたいと考えております。
  36. 横山利秋

    横山委員 まだたくさんあるのだけれども、これを言っておったら時間がなくなりますから、総合してマンショントラブルをどうするかということであります。公団の方は、公団に住んでおる人と公団という相手方がはっきりしておるからまだいいわけですね、やりようがあるわけです。ところが、民間のマンションは売ったらはいさいなら、それから第三の管理会社ができる、おれは知らぬ、おまえさんは前の人と契約したじゃないか、わしゃ知らぬよ、こういうことになるのですね。この七十幾つの事例、まことにいろいろある。瑕疵の問題、権利侵害の問題、管理のありようの問題、実にたくさんの問題がある。しかもこれらは、販売業者としてはかなり大手もあるが中小がある。施工業者も京成不動産を初めかなり大手がやっておる。ところが管理会社はまた全然別、こういうことのようですね。この種のマンショントラブルに対してどこが一体相談に応じてくれるのかということなんであります。県庁へ行っても市役所へ行っても都へ行ってもそこまでようせぬ、こういうわけですよ。法律違反しておればわしの方が文句は言うけれども、そうかといって原状回復命令がなかなか出せぬ、そこまでの権限がない、こういうわけなんです。だからマンショントラブルについて窓口を、準公共的機関あるいは地方自治体におけるマンショントラブルの苦情受け付け機関、どこかそういうものが法的な権限をある程度持つとか何かしなければいかぬ。あるいはまた、これはどうか知りませんけれども、この間不動産流通センターがえらい金かけてできましたね。そういうところに政府からきちんとした役割りを持たせるとか、もっともあそこはマンションに住んでおる人が入っておらぬから、マンションに住んでおる人としては、なんだあんなものは業者の団体じゃないか、こう言うかもしれない。何かマンショントラブルを受け付けて、調整してやってあっせんしてやって裁定してやるというような機構が必要ではないかと思いますが、その点はどうですか。
  37. 宮繁護

    宮繁政府委員 実は不動産の取引をめぐるいろいろな苦情の件数は毎年かなり多うございまして、昭和五十四年度では都道府県、それから建設省で受け付けました事案が約三万件ほどございます。その中でマンション関係が約一割の三千件というようなことでございます。ただ、御承知のとおり、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、当事者の民事上の問題につきましてどこまで行政が介入するのか、またしていいのかというような問題が実はございます。しかし、私どもとしましてはいろいろ苦情をお伺いしておりますと、どうも不動産業者のやり方が宅地建物取引業法に触れる疑いが非常に多いわけでございますので、そういう意味では宅地建物取引業の法律監督の立場におります私どもが、直接業者も呼びまして行政指導し得る立場にあるということでいまいろいろやっております。  それで、専門のそういう機関をつくってはどうかという御提案でございますけれども、現在は県とか市あるいは建設省の不動産業を扱っております課におきまして処理いたしておりますけれども、できるだけその業者が加入いたしております法人の担当者も呼びまして、協会等でございますけれども、一緒に処理するような方向でやっておるわけでございます。  なお、建設業法におきましては紛争の審査機関が別にございますので、そういうものをつくったらどうかということも研究もいたしておりますけれども、行政改革というようなことで、行政機関の中にそういうものをと言いますとまた大変むずかしい問題もありますので、何かいい考えがないかというようなことで、これも実はまだ勉強中でございますけれども、研究をいたしております。しかし、とりあえずは市町村の窓口あるいは都道府県の窓口あるいは建設本省におきまして、いま申し上げましたようにマンションにつきましても年間三千件くらいの苦情処理に当たっておるような状況でございます。
  38. 横山利秋

    横山委員 これは何とかしてマンショントラブルについての苦情処理機構をつくらなければいかぬと私は思うのです。普通の独立家屋なら地主、大家等、簡単なんですけれどもマンションに住んでいる人はたくさんの集合体でもあります。相手がはっきりせぬ。それでもって民間業者はいいころかげんにマンションをつくって、はいさようなら、後はおれの知らぬ管理会社がやっておる、こういう逃げ口上が続出しておるわけでありますから、この際ひとつそのやり方、苦情の処理の調整の仕方についてぜひとも検討を願わなければなりません。  次は、団地サービスであります。  団地サービスの五十四年度決算を見ますと、総売り上げが五百八十二億、前年度比百五億の増、実に大したものでありますね。この中で補修費が三百八十七億、その中で空き家修繕が一番多いというふうに私どもは捕捉をいたしております。空き家修繕の問題について一体どうなのかということを各地で調べてみました。東京の例を見ますと、退去をすると公団と団地サービスの両方がやってくる。両方がやってきて、退去する私に対して、横山さん、畳かえたな、そこを汚したな、ここをちょっとつくりかえたなというわけで、実際問題としては公団の人は退去者である私に、あなた、これだけ補修してもらわなければいかぬと言う、団地サービスから来た人は公団負担にかかわる分は幾らくらいかといって見積もりをする、こういう仕掛けだというのですが、そう把握していますか。
  39. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  空き家査定の所掌はあくまで公団の業務でございまして、公団の営業所の所属の管理主任が行っております。なお、その現場におきまして管理主任と株式会社団地サービスの職員が打ち合わせを行うことがございますが、これは株式会社団地サービスが空き家補修工事をその後続いてやるとか、そういう準備のための下見とかあるいは公団の団地サービスに対する現場説明のためのものでございまして、そのサービスの職員が査定に関与しているというようなものではございません。
  40. 横山利秋

    横山委員 公式にはその団地サービスの人は公団職員の補助員として来ている、こういう理解が公式だそうですよ。そうじゃなくて、団地サービスは補助員ではない、どうせ団地サービスで仕事をするんだから、おまえ、これどのくらいの見積もりかやってみろということなのかどっちなのか。補助員か、それとも見積もりをさせるために呼んだのか、どっち。
  41. 久保田誠三

    ○久保田参考人 やはりそうではございませんで、先ほど私が申しましたとおり、将来の補修工事を行わせるための下見あるいは現場説明のためのものでございます。
  42. 横山利秋

    横山委員 そうすると後者ですね。補助員ではないという話ですね。そうすると、団地サービスだけ呼んで、おまえ仕事をして公団に請求書を出すとしたら幾らくらいか見積もれ、こういうわけですね。これは必ずしも悪いと言っているのではないのですよ。悪いと言っているわけではないんだけれども、私の聞いたのは、補助員として呼んだんだという説明を受けておるわけです。これをおまえのところにやらせるとは決まっておらぬけれども、まあおれの補助として公団に請求するとしたら幾らくらいか見積もりの案をつくってくれというふうに私は聞いておるわけですね。そうでなくて、おまえのところでどうせ仕事をするんだから見積もりを出してくれということだけだとあなたはおっしゃる。そうですね。それならなぜ団地サービスだけ呼ぶのか。団地サービスが団地の空き家修繕については特徴的な能力、迅速性、安い、だから特定をしておる、こういうわけですか。
  43. 久保田誠三

    ○久保田参考人 補修個所は公団が決めるわけでございますから、そのための、将来団地サービスが実施するような場合のその下見をするというようなことになるのでございます。
  44. 横山利秋

    横山委員 委員長同僚諸君も、私の言わんとすることをおわかりだと思うのでありますね。私は、団地サービスが団地の空き家について知識も迅速性も、いろんな利点がある、だから団地サービスを呼んでおるというなら素直に受け取れぬことはないのです。ところが、私に対するある人の説明は、公団もなかなか忙しいから査定についての補助員として呼んでおる、こういう話を聞くものだから話がおかしくなってくるわけだ、補助員ではないのですか。ないのですね。うなずいておみえになるようだから、ないと理解をして話を進めたいと思います。  ただ見積もりをとるということだと、二人一緒に行って、公団の方は、横山さん、あんた出ていくならそこを壊したから直せ、直す金額は幾らだ、そうすると、そばにおった団地サービスが公団負担の分は私は二十万円なり二十万円だと思いますといって団地サービスから公団へ提起します。それてそれがOKとなる、こういう仕掛けたと思うのですね。  それにしても、団地サービスはえらいもうかっておるものですな。前年度比百五億円増で五百八十二億、補修がその中で三百八十七億、それで空き家修繕がきわめて多い、こういうふうに言われておるわけですね、退去する私は壊せば契約によって自分も修繕せにゃいかぬと思うけれども、一体退去者に対して負担をしてもらう基準というものはあるのでしょうかね、それから、公団負担すべき割合の基準というものはあるのでしょうかね。これがどうもまちまちで、公団及び団地サービスのそのときどきの事情によって、まあ適当なものだ、基準があってなきがごとしたと言われておるのですが、どう思うのですか。
  45. 久保田誠三

    ○久保田参考人 空き家査定について申し上げますと、居住者が賃貸住宅を退去する場合に、契約の約定に基づきまして、畳表、建具、その他の小修理に属するものは居住者が修理または取りかえをする、契約書十二条に書いてあります。さらに居住期間中に居住者の責めに帰すべき事由によりまして賃貸住宅を汚損したり破損したりした場合、公団に無断で賃貸住宅の原状を変更した場合、それぞれそれは居住者が直ちに原状に回復する原状回復義務が十三条に書かてあります。したがいまして、居住者が修理もしくは取りかえまたは原状に復しない場合は、必要な費用を居住者負担として請求しているところでございます。(横山委員「畳はどうなる」と呼ぶ)後で申します。  居住者負担分の修理費の査定に当たりましては、管轄する団地の管理主任が居住者の退去前にその居住者の立ち会いのもとで居住の住宅の専用部分につきましてあらかじめ点検いたしまして、住まい方が居住者によりましてさまざまでありますので、住宅の損傷の度合いに応じた補修、取りかえ、たとえばいま先生のお話ありました、畳にありましては新品に取りかえるとか、あるいは畳表の取りかえをするとか、裏返しなどをするとか、そういうものがあります。そういう取りかえなどを必要とする該当個所の数量とか面積を確定の上で、居住者の負担に属します補修などに要する費用を算定するものでございます。算定の後に、その補修費用について居住者の承認の印をいただきまして、これを確定しておるところでございます。  そうして、このような業務に当たりまして、管理主任の査定がばらばらにならないように、非常に一生懸命日常研修を重ねて努力しているところでございます。
  46. 横山利秋

    横山委員 時間がないので、具体的な例を数々持っておるのですが、言う時間がございません。  要するに私の言いたいことは、空き家修繕についてどうもはっきりしない。それから、団地サービスと公団の責務分担というものがはっきりしない。判こをついて承認をもらっておるというけれども、退去者はようわからぬから、そういうものかと思ってやっているに違いない。したがって、退去者の負担で直すべき工事個所の基準を明らかにして入退去のときに明示する。入居者負担による入居中の改善、補修工事に対し、そのとき使用すべき仕様を材料、銘柄等について明確にする。現状ではたとえ新品に入居者がかえたとしても、銘柄が違うからだめだ、おまえさん払え、もとへ返せと言われておる。それから、空き家修繕の補修基準について明確な基準を設ける。入居五年未満、五年から十年、十年以上の団地別、タイプ別の基準的な総工事費の目安表をつくって、管理事務所や営業所に常備をしてチェックをできるように統一的にする。  空き家補修工事の公正化を図る。施工、工程、工事監理については当局の指導基準をつくって、人的な指導、資格的なものを考えていくべきだと思う。住宅公団の空き家に限らず、公営住宅、公社住宅、民間住宅もあるので、この補修、公的再利用も課題になっておるから、これらの空き家住宅補修について基準を明確に指導すべきである。私が結論として言いたいことはそういうことなんであります。御検討を願いたい。  最後に、時間がなくなって、天下りを言うことができなくなって大変残念ですけれども、調べたところによりますと、きょうも新聞に載っておりましたから皆さんごらんになったと思うのですが、ここに政労協がつくった天下り白書というのがある、この中で建設省もあるいは団地サービスも公団も、天下りの状況が逐一書いてある。団地サービスに至っては、役員十四名中九名、部長、次長は六十八名中二十八名、課長は二百二十四名中十四名、合計二百九十二名中四十二名の天下り、このごろは支店長や現場幹部までが公団から天下る。一体、こんなことをやっておって団地サービスの諸君の積極的意欲が確保できると思うでしょうか。しかも天下りしてきたのが、最高幹部のみならず中堅幹部から下級幹部まで天下りがふえてきておるわけでありますから、しかもそれらは公団におったときの給料をそのまま引き継いでくるわけですね。同一労働同一条件じゃないですけれども、天下りのやつが同じ仕事をしておっても給料が多いんですね。こんなことはいかぬですよ。しかもここの中の幹部、名指ししてもいいのだけれども、渡り鳥だ。渡り鳥がやはりこの公団にもおるわけですね。そういう天下りがどんどん建設省から公団へ、公団から団地サービスへ、ほかの公団の子飼いの機関へ、おれらのところが出資しているのだから人を受け取れといってやっておって一体健全な運営ができるものだろうかどうか。  きょうは本当は南部さんにここへ来てもらって篤と私は言いたかったわけですけれども、時間がないものだから、改めて南部さんにも御意見を伺いたいのですが、一体、公団総裁をやっておった人が直接監督機関の団地サービスの社長さんをやられるということはちょっとおかしくはないですかね。建設大臣、おかしいと思いませんかね。自分の直接のところですよ、公団総裁が。そんなことはちょっとおかしいですよね、私はそう思います。しかも公団をやっているうちは飛ぶ鳥を落とす勢いだったけれども、空き家はふえるし、不用土地はふえるし、まあ不評判さくさくの政治情勢になって去った人が、公団の直接支配にあるそこの社長になられて、どんなことをやっていらっしゃるか知らぬけれども、私は余り感心したことではないと思うのですね。  私は団地サービスのこともいろいろ取り上げたかったのですが、とにかく公団の空き家修繕なり管理なり、いろいろなことをやっておる、たくさんの労働省がそこで働いておる。だから、一個の法人だとしたら下からの意欲をかき立てて、そして自分たちで団地サービスを発展させる気持ちがなければならぬのに、続々と公団の天下りが支配しておるわけですね。こんなことで団地サービスの健全な発展ができるでしょうかね。どうですか、大臣、どうお考えになりますか。
  47. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生御指摘の面、どう申し上げていいのですか、非常に考えさせられる問題多々でございます。これからの指標として十分強い指導をしてまいりたい、このように考えるものでございます。
  48. 横山利秋

    横山委員 言いたいことが山ほどございますが、時間がございませんので質問を終わりますけれども、私の意図するところはおわかりだと思うのです。大臣が強い気持ちでどういうふうに措置をされるのか、楽しみにして質問を終わらせていただきます。
  49. 稲村利幸

    稲村委員長 中村茂君。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、いま開かれている国会は九十四国会でありますけれども、この九十四国会は住宅国会だ、こういうふうに位置づけまして九十四国会に臨んでまいりました。その理由は、いままで懸案になっておりました住宅基本法をこの国会に提案するということになっておりますし、また、五十六年度を初年度とする第四期住宅建設五カ年計画が新たに発足する、そういう上に立ってこの委員会で審議しております日本住宅公団と宅開公団の合併法案が出てくる。そういう状況の中で住宅政策の非常に重要な課題になっております土地問題、宅地対策、これにつきましては、この委員会におきましても土地及び住宅問題に関する小委員会をつくって真剣に取り組んでいこうということですから、まさに住宅国会だ、こういうふうに位置づけてまいりました。ところが、残念なことに、まず住宅基本法については出す出すと言っていながらもういつ出すのか全然わからないような状況になってきておる。私ども社会党はすでに住宅保障法案提出いたしまして、皆さんの方の住宅基本法と対応する形はできているわけでございますけれども、依然として住宅基本法についてわからない。そこで、住宅基本法について出すのか出さないのか。いままで大臣の答弁の中で皆さんの御意見も聞いてというふうに言っておりますけれども、出すとすれば、その前に私どもの意見をどういう方法で具体的に聞こうとしているのか、その点をまず大臣から明らかにしていただきたいと思います。
  51. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅基本法についての御質問でございます。  今国会に間に合うように出すというようなことで、大変強い御指示もございますし、私たちの方もそのための準備をいたしておるわけであります。住宅政策の長期にわたる基本的方向づけをする大切な基本法でございますだけに、毎回この問題については討議されるわけでありますけれども、それだけになかなか各党における御意見もまちまちのようでございます。与党である自民党においてもプロジェクトチームをつくってこの問題に取り組んでおりますし、先生御指摘のように、今国会に間に合うように早くやれという強い御指示もございますので、党の方にも早くひとつ成案を得るようにお願いいたしておるわけでございます。また、各党の御意見につきましてもいろいろ間接的に聞いておりますけれども、またそれぞれの成案をいただいて整合するところまでまいっておらないわけでございます。一にかかって自民党を初め各党の成案をいただきまして、私の方はもうはっきり今国会に提出するという方針には変わりないわけでありまして、何とか早い機会に成案を得て提出いたしたいという考え方はいささかも変わっていないことをはっきり申し上げるわけであります。何とか間に合わせるように努力いたしておりますので、先生の方の党におきましてもせっかくひとつ御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  52. 中村茂

    中村(茂)委員 御協力しろと言ってもどこからも話はないのです。  それで、大臣の話をずっと聞いていますと、何か政党レベルに任したような言い方に受け取ったのですけれども、それならそれでそれぞれの政党間で話して成案を得るように持っていく、こういう努力をしなければならないと思っているわけでありますし、そうだとすれば与党である自民党に、早くテーブルをつくれという要求を私どももしたいと思うのですけれども、そういうことでいいのですか。
  53. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、現在自由民主党におきましてもプロジェクトチームをつくって検討をいたしております。これらの検討の進みぐあい等を見て、私どもも自民党と調整も図り、また各党の御意見も賜り、総合的ないい基本法案にしたいと考えております。もちろんその過程において、私どもが努力するだけでなくて、一方各党間のお話し合いもあるかと思いますが、それはそれとして、建設省としてもそういったようなプロセスを経て成案を得たいと考えているところでございます。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 建設省が出す住宅の最も基本法ですから、まず主導権をとっていただいて、それで各党間の調整を図っていくという努力を強く要請しておきたいと思います。大臣、いいですね。
  55. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いいです。
  56. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、時間がありませんから簡単で、しかも要領よくお願いしたいと思いますが、宅地対策です。いままで私は何回か聞いているけれども、よくわからないのです。そこで具体的に納得のいくように、私の胸に落ちるように御説明いただきたいと思うのです。  まず建設大臣から宅地の需給見通しについて、そしてその対策、国土庁からその宅地の需給見通しに対する宅地供給促進対策、どういうふうにその需給に対応していくか、簡潔に、胸に落ちるように説明をお願いいたします。
  57. 宮繁護

    宮繁政府委員 最初に私の方から宅地需給の長期見通しにつきまして御説明したいと思います。  昭和五十六年度から六十年度までの前期の五カ年間の宅地の需要量は六万二千五百ヘクタールになっております。それから昭和六十一年度から昭和六十五年度までの後期五カ年間における宅地の需給量は六万七百ヘクタールになっておりまして、十年間の合計では十二万三千二百ヘクタールとなっております。これを供給面から見ますと、これまでの宅地開発の実績、それから宅地開発に関連いたします諸制度を基礎としまして将来を推計いたしましたのがこの基礎推計量ということでございまして、これが約十一万七千ヘクタールになっております。それから、今後新しい施策を展開いたしまして、相当な努力をすることによりまして見込まれる期待推計量が約六千ヘクタール、こういうことになっております。
  58. 山岡一男

    ○山岡政府委員 国土庁といたしましてそういう需給見通し達成等のためにどのような対策を考えているかということでございますが、御案内のように、土地は通常の商品とは異なりまして、需給動向に従いまして直ちに生産することもできないし、移動することもできないという性格を持っております。また、何かの策を講じようということになりますと基本的な権利にかかわる場合が多うございますし、また、予算を要するものが多いということでございます。したがいまして、土地対策ということになりますと、いわゆる特効薬というものはないんだ、基本的にはやはり従来からの各般にわたります総合的な施策を着実に、かつ効果的にやっていくということが必要だと私ども考えております。  したがいまして、今後の土地対策といたしましては、長期的には過密過疎を解消すること、国土の均衡ある利用を図ることということでございますが、当面の対策といたしましては、やはり引き続いて投機的な土地取引の抑制を図りながら宅地の供給を促進するということが重要だと考えております。  国土庁といたしましては、まず第一には、国土法によります届け出制の確実な励行、必要があれば機動的に規制区域を指定するということを前提としての地価の監視の励行等を促進いたしまして、投機的取引の横行を二度とは許さないというふうなことがまず第一だというように思っております。  それから、最近までにやっと三件すでに指定を見ましたけれども、国土法の本則の遊休地制度の活用、これを今後も進めてまいりたいと考えております。  それからさらに、五月から適用することを予定いたしておりますが、先国会で通していただきました農住組合制度、これを十分に活用してまいりたいと考えております。  その他線引きの見直し、開発許可の励行、関連公共事業の対策費の充実、再開発の促進等々、建設省等のお進めになります諸施策について応援をしてまいりたい。  それからさらに、来年度につきましては一つの節目の年であるというふうに考えておりまして、宅地並み課税の完全実施を含めまして、土地税制の適正化と長期固定化ということを目指して検討を進めるというようなことを、当面の対策として進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  59. 中村茂

    中村(茂)委員 長期需給見通しをいま建設省から説明になって、努力しても不足分が相当出てくる。それに対する対応としては、どうもいまの国土庁の説明では果たしてそれだけの土地が出てくるかどうか私は非常に疑問ですし、出てこない、こういうふうに断言した方がいいくらいな説明だというふうに思うのです。  そこで、委員長にお願いしておくわけですけれども、せっかくこの委員会に小委員会ができました。一日も早く小委員会を開催して、この委員会が責任を持って土地対策を確立して、勤労国民の多くの皆さんに低廉な宅地、また住宅供給できるような体制をつくることがこの委員会の責任のような気がいたしますから、小委員会を一日も早く開いて軌道に乗せるようにお願いだけ申し上げておきたいというふうに思います。  それから次に、公共賃貸に対しての質問ですが、第四期の五計が五十六年度から発足するということででき上がりました。ですから一期二期三期四期というふうに五カ年計画をつくってきたわけですけれども、この経過をたどってみますと、特に公共賃貸につきましては計画の実績が大体七〇%、その次の五カ年計画をつくるときにはその計画よりも下がった、七〇%の実績に基づいて大体計画ができる。その次の五カ年計画ではまたその計画の七〇%程度しかできない。その次の計画ではその七〇%に下がった実績で計画するということで、年々下がっていきまして、私は非常に残念でたまらない。  今度のこの合併のいま審議している法案を見ても、もともと公団というのは住宅に困窮している勤労者の皆さんに住宅を提供しようということで発足した。発足当時は公共賃貸というもの、これが重点だったのです。ところが分譲分譲というふうになってきて、今度の四次計画を見ても二十万戸、半々になっているんですね。だから、本末転倒のようなかっこうになってきている。ですから、私は、この際やはり原点に返って、公共賃貸というものをどういうふうにしていくかということを解決しなければ、特に大都市における住宅問題は解決しない、こういう考え方に立っております。  きのう竜ケ崎の宅開公団のニュータウンの開発状況を見せていただきました。その際にも説明を聞いて申し上げたわけですけれども、確かに宅開公団が発足したときに附帯決議をつけて、そういう宅地を開発していくんだけれども、その何%かは必ず公共賃貸をつくっていき校さい、こういう附帯決議をいたしました。ところが、きのう聞いてみると、土地だけは確保してあるがまだその計画はできていない。住宅公団の方も、それから県、市町村の方の公営住宅もどうも逃げていてそこへ乗ってこない、こういうお話でした。よく考えてみれば、あの土地公団がまず買って、買ってあったところに宅開公団ができてその土地を譲り受けているわけですね。そこへまた少し買って大きくしているわけなんです。自分土地を買ったときに人に譲っておいて、それで今度それを開発していったら公共賃貸はそこへつくらないという公団の姿勢も私は納得できません、いずれにいたしましてもみんなできれば十万都市になるわけです。十万都市ができて、七万五千もの人口を収容するというニュータウンをつくっていて、そこのところへ公共賃貸が一つも計画実施の方へ乗ってこないなんというニュータウン建設なら、そんなものは私はやめてもらった方がいいと思うのです。  ですから、まず総裁にその辺のところと、それから大臣に、現在公共賃貸というものは住宅全体の中で何%占めているのか、将来の方向として公共賃貸というものをどういうふうに持っていこうとしているのか、全体の中の考え方と将来に向かっての考え方をお聞きいたしたいと思います。
  60. 志村清一

    志村参考人 昨日は大変お忙しいところを私どもの現場である竜ケ崎を御視察賜りまして、大変ありがたく存じております。  あそこで本年の十一月に宅地の分譲計画いたしておることは御説明したとおりでございますが、これが三百戸足らずでございます。あそこはできますと全部で七万五千人、相当の戸数が入るわけでございます。一番最初の段階の約三百戸分の土地分譲に関して御説明申し上げたわけでございまして、それは賃貸がない、ことごとく分譲住宅である、かような御説明を申し上げたわけでございますが、竜ケ崎全体の問題につきましては、今後さらに検討いたしながら、賃貸住宅もよけい建つようにわれわれも努力いたしたいと思っております。  ただ、最近は国民の持ち家志向が非常に強くなりまして、集合の賃貸住宅を先行させましても必ずしも一般の方々がお喜びにならない。むしろ戸建ての分譲住宅を先行させまして、ある程度町が成熟した段階で集合の分譲住宅あるいは賃貸住宅建設するというケースに変わってきているように承知いたしております。ただ、私どもといたしましては、確かに建設委員会の附帯決議におきましても賃貸住宅を相当建てるように、こういうような御配慮がございましたので、各方面とも十分接触をとりながら、賃貸住宅が建ち得るように努めたいと思っておりますが、私どもの仕事はすべて地方公共団体と十分連絡をとって進めております。いささか手ぬるいというおしかりを受けるくらい十分な連絡をとっております。これは造成計画とか実施ばかりでございませんで、処分の計画につきましても関係地方公共団体の意向を十分聞いております。これらの関係地方公共団体の御意向、さらには、私どもは家を建てられる公団ではございませんので、土地だけを提供するわけでございますから、建設主体の御意向、さらには賃貸住宅需要度等、いろいろ土地によって違ってまいります。これらの土地状況に合わせながら、附帯決議の御趣旨に沿うように今後も努力いたしたい、かように思っている次第でございます。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕
  61. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 全住宅に占めます賃貸住宅の比率につきましては、五十三年の住宅統計調査によりますと、居住世帯のある住宅総数三千二百十九万戸でございますが、この全体の戸数の所有関係別の内訳といたしましては、持ち家が千九百四十三万戸、借家が千二百六十九万戸でございます。住宅総数に占める持ち家借家の割合は、それぞれ六〇・四%、三九・四%というふうに相なっております。さらに、この借家の内訳につきましての公営公団、公社等の公共借家、これが二百四十四万戸ございまして、全体の七・六%を占めております。これは四十八年の六・九%から七・六%というふうに、かなりの増加を見ているところでございます。また、全住宅に占める公共賃貸住宅の比率といいますのは、基本的には社会情勢の変化あるいはまた人口の社会移動、世帯増の傾向あるいはまた国民の需要動向といったようなものに従って、そのときそのときの事情に即しましたあり方が決まってくるのであろうかと思われますが、私どもが今後進めてまいります第四期住宅建設五カ年計画の最終時点、昭和六十年度を展望いたしました場合には、この公共借家を七・六%から七・九%程度まで比率を高めたいというふうに考えているところでございます。
  62. 中村茂

    中村(茂)委員 宅開公団のニュータウン、きのうも見て、果たして持ち家を先行させてあそこへだれが住むだろう、こういう感じを受けるわけですね。ですから、私はやはり賃貸も並行して建てて、それでいかなければ、あそこにせっかく建てても、どういう人があそこへ行って、買って住んでいくのか知らぬけれども、そういう姿勢で、どちらが先だとかどうとかじゃなくて、やはり並行的ということについて、これは答弁必要ありません。私の希望ですから、申し上げておきます。  そこで、いまの賃貸の比率ですけれども、この賃貸の中でも木賃アパートと言われるのが非常に比重が大きいわけですね。ですから、これからの住宅政策で賃貸というものを考えた場合に、公共賃貸をふやしていくと同時に、この木賃アパートというふうに言われる、住宅の中で一番部屋も狭い、施設も悪い、環境も悪い、ここのところへ建設省は相当住宅政策の力点を置いていく必要があるだろう、こういうふうに私は思います。これも答弁の必要はありません。  そこで、合併したわけですけれども、新公団になって幾つかの事業をやっていくわけでありますが、いま申し上げた大規模のいわゆるニュータウン、宅地開発、こういう中にも、必ず公共賃貸というものについては位置づけて取り入れていく、これが一つ。それから再開発をしていくわけですけれども、再開発の中におきましても、これはいままでの都市の再開発をして、そこへ店舗を入れる、事務所を入れる、こういうことではなしに、住宅の再開発、こういう考え方に立ってもらいたいと思う。そうして、その中に公共賃貸も必ず一定数入れていく。これについて、できれば法案を修正して法案の中へきちっと入れておけば一番いいと思うのですけれども、私のこの二つの考え方について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  63. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御指摘ごもっともで、同感でございます。特に過密都市東京を例にいたしますと、木賃アパートの改築、改造、近代化ということについては、なお用地問題等を含めていく以外に、防災という面からも私はぜひこれは積極的に取り組んでいかなければならない問題であろうかと思います。  また、公共賃貸の位置づけ、再開発の中の住宅ということについての位置づけにつきましては、御指摘につきまして私自身も同感でございまして、先生の御指摘いただいた面につきまして、十分な配慮を持って進めてまいりたい、このように考えるものでございます。
  64. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次に、二つの公団を一緒にしたわけですけれども、いままでの大臣の説明なり答弁で、一つは行政改革という方針の中で合併した。合併に基づいて中身が、特に都市の再開発を含めて住宅環境整備、住宅の質をよくしていく、こういう方向に質的にも若干変わってきた。それから公園等についても新しい事業として取り入れていく、こういう説明を聞いてきたわけですけれども、行政改革の一環としてやるということになれば、両方合わせて二十四名を十九名ということで役員を出しているわけでありますけれども、私は、これは多過ぎるじゃないか。もっと率直に言えば、いままでの住宅公団の方の十四名で十分できるじゃないか。これは宅開公団の方をみんな切れという意味ではありません。いずれにしても、総体として十四名で私はできるんじゃないか。しかも納得できないのは、お聞きすると、合併する場合に四分の一ずつ縮小していく、こういう方針だという。これは閣議了解だか閣議決定だか知りませんけれども、いずれにしても政府の方針でそういうふうに対処してきている、四分の一切ると十八名だ、しかし公園が事業としてふえるので一名ふやして十九名だ、こういう説明がありました。しかしよく考えて検討してみますと、宅開公団の方はまだできたばかりで、従業員数なり事業の量からして、役員もそういう比率からすれば私は多かったと思うのです。しかし一応四分の一。ですから行政改革の趣旨からいくと、そういうことで四分の一切っていずれにしても一緒にした、そこへ新しい事業が来たから一名ふやすという姿勢は官僚型対応だと私は思うのですね、大臣がこういうものを所管していく場合に、四分の一という考え方についても私は意見はありますよ。しかし、一応そういう方針で十八名になった。そこへ少しくらい仕事が来てもやはりその中で消化していく。そこのところは一名ふやす、そういう手法は、行政改革という中で合併させていくとすれば間違いじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  65. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 本来的といいますか、基本的な考え方とすればまさしくそのとおりであろうかと思います。民間でしたら恐らくそういう発想でやれ得るものと思いますけれども、しかし公的機関ということになりますと、なかなか責任分担問題というものが大きくのしかかってまいります。いわゆる株主に対する責任でなく、公的機関は国民に対する責任ということになりますと、どうしても石橋をたたいて渡るといういままでの形がなかなか払拭し得ない。ましてや全く精神的にも機構的にも新発足させていただくわけでありますので、私たちといたしましては、なおそうしたことで危惧のないような万全の措置をしていきたいということになりますと、行政改革の四分の一と、新しい機構についてどうしてもやはり新しい分野に一名ほしいということで御要望を申し上げているわけであります。多い少ないは仕事の内容で、これからの推移を見ながら、「以内」ということになっておりますので十分な対応が機能的にできるんじゃなかろうかと思いますので、これからの推移にまっていただくというような形で、とにもかくにも発足につきましてはいまの体制で、新しい考え方で責任を持ってやるという、責任をその分負荷するというような形で私は何とか発足したい。またそれだけの批判はあるわけでありますから、総裁以下各理事方々、役員の方々は十分な認識、意識を持たれて今後の運営について御批判のないようにやってまいりたい、そういうような面で指導してまいるつもりでございますけれども、なかなかむずかしい問題でございますが、とにもかくにも御提案の形でひとつ御理解をいただきたい、このように考えるものでございます。
  66. 中村茂

    中村(茂)委員 政治的にはわかるけれども、科学的に検討してみるとなかなかこれは納得できないですね。  それで、確かに「以内」というふうになっているわけですが、いまの大臣の説明は、「以内」になっているから、これから中身を検討して順に減らしていくように努力する、こういうふうに私に答弁したのですか、そういうふうに理解していいですか。
  67. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 「以内」ということはそういう意味も含めているわけで、とにもかくにもそれでスタートして事業をやる、事業の結果をもって当然能動的にそうした問題は対応しなければならない、このように私は考えているものでございます。
  68. 中村茂

    中村(茂)委員 省側の官僚の人たちは頭がいいから、これだけだと言えばちゃんと仕事を分けてしまって減らさないようにつくってしまう。だから、実際はもうきちっと検討して何名というふうに決めて、それで確かに何名か浮いできますわ。それは何年間かの暫定期間を置いてもいいじゃないですか、これまで持っていくのに。いずれにしてもこれは二年でも三年でもいいが、その間にここまで持ってくる、そういう理解に立ってもらわなければ、どうもそういうやり方について本末転倒のような気がするのですね。以内だからいい以内だからいいと言って、じゃいままでの法律を見た場合に、住宅公団の方は十名以上というふうになっていて十四名置いたわけですね。それから宅開公団の方は、十二名以内というふうになっていて十名置いたわけです。まだ発足してわずかですから、将来ふやしていくということでこれは十名にとどめておいたのでしょう。それで今度つくった法案は「以内」ということにしているわけですね。ですからどう考えてみても、そういう手法でいくとすれば、まず十八名ということにして、それでこの「以内」の中で年次的にやっていくとか、またはきちっとした数字で、その間暫定期間を置いて、そこへ縮めていくという措置をとるとか、何らかの方法をもう少し研究していただきたいというふうに私は思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  69. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御提案のその方法も一つの方法がとも思います。しかし、御案内のようにこれからの公園対策というものは、環境整備という面で、国民のニーズに対する非常に大きなウエートを持つセクションでございますだけに、旧来と違った感覚で進めていかなければならない大きな重要課題でありますので、あえて新しい分野に新しい理事ということにしたわけでございまして、先生の御指摘の面も全くごもっともでございますけれども、とにもかくにも発足に際しての大事なスタートでございますので、責任という意味合いから、また公園の持つ社会的意義、国民的意義ということから、仕事のウエートの上からこうしたことについては専任者を置いたということでありまして、それが一人プラスだったということでなく、組織の機構の中の一つのウエートのポジションというような意味合いでひとつ御理解をいただきたい、このように考えるものでございます。
  70. 中村茂

    中村(茂)委員 以内ですから努力していただきたいと思います。  次に、公務員で退職した人の再就職、俗に言う天下り、そういうふうに天下った人、それから、または民間から登用するとか部内から登用する、こういうことで、その比率を少なくとも半々程度に持っていかなければいかぬじゃないか、私どもはこういうことを主張してきたわけですけれども、いまの大臣の方針は、その比率というか、天下り、登用、それをどういうようにお考えですか。
  71. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 最も好ましい方向は、確かに先生のおっしゃるように、民間から登用あるいは内部登用ということであろうかと思います、しかし現時点ですと、やはりどうしてもベテランというような形になってきますと、御指摘のような御批判を受けるような形についならざるを得ないということであったろうと思います。これまたやはり将来の問題として、だんだん公団も成長してまいりますので、その点につきましては十分部内登用ということは考えていくべきものである、このように考えます。  また、民間からの登用でございますけれども、これはなかなかむずかしいといいますか、人を得ることは大変なことであります。というのは、やはりこれだけの世帯の大きい公団でございますので、民間から登用いたしますと、相当のレベルの会社の重役クラスをお呼びしなければなりません。しかもベテランということになりますと、民間ベースだと相当高賃金をいただいている、ざっくばらんに申し上げますけれども。そうすると、公団に来て収入が減るという問題と、民間からやってきて公社、公団という公的な機関に入るということをやはりなかなか潔しとしない方々が多いわけで、その点につきましても民間の人材の登用ということはなかなかむずかしいわけでございます。しかし根本的な、基本的な考え方としては全く先生のお考えに同感でございまして、これまた公団のあり方、推移、またそうしたことについても幅広く人材の登用については考えるべきもの、そのように理解しているところでございます。
  72. 中村茂

    中村(茂)委員 特に住宅公団の方はもう年数もたって、その内部で相当熟練し、指導的な立場に立てる人も順次生まれてきていると思うのですね。ですから、部内の登用ということについても積極的な努力を強く要請しておきたいというふうに思います。  それから次に、第一条の目的の中で、いままでの公団法では「住宅に困窮する勤労者のために」、こういうふうに入居対象者というものを明確にしていたわけでありますけれども、今度の中にはその点がまことに不明確でありますが、どういう法律を見ても、その対象者というものを明確に法律というものはしているわけですね。公営住宅法を見れば「住宅に困窮する低額所得者に対して」、こうなっておりますし、地方住宅供給公社法によれば「住宅を必要とする勤労者」、こうなっておりますし、それから住宅金融公庫法によりますと「国民大衆が健康で文化的な」と、いずれにしても住宅を建てる場合には、そこの住宅に入る人たちはどういう人を対象にするか、お金を借りる場合にはどういう人たちをそのお金を貸す対象にするか、これは法律の一条できわめて明確にしているわけです。ところが、今回はそれが欠落しているわけですね。ですから私は、この第一条は欠落条文だ、こういうふうに思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。
  73. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  再々御説明しているところでございますが、私どもの認識といたしましては、住宅事情の変化に備えまして現時点にふさわしい目的を書いたつもりでございます。このために、地域限定といたしまして「住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域」、加えまして住宅の対象を「健康で文化的な生活を営むに足りる」良好な居住環境及びその集団住宅、このように詳しく書きまして、これが決してぜいたくな住宅ではないということを表現いたしまして、これによりまして従来の「困窮する勤労者」、このような概念は十分織り込めると考えた次第でございます。
  74. 中村茂

    中村(茂)委員 従来のそういう考え方が織り込めるなら、従来あったものを削る必要はないじゃないですか。もう一度。
  75. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  加えまして対象者といたします用語を「住宅に困窮する勤労者」、果たして困窮という言葉を現時点の住宅のニーズに合わせてよいかどうかという問題、それから勤労者と申しますと、これは定義がいろいろございますが、従来住宅公団法において考えておりましたのは広く一般国民大衆ということでございますが、これ以外にも別の法制におきましては雇用されておる者、これは狭く解される場合もございます。これらの点を勘案いたしまして、供給対象が国民一般と考えておりますので、特に目的にその旨を書かなかったということでございます。
  76. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、そういうものをあえて書かなかったというのだけれども、ここのところで、今度法律に基づいての省令事項についてどういう考え方を持っているかという資料をもらいましたね。この三十条の一項の中の(2)という中の4、ここのところでは「賃借人の資格は、現に住宅に困っている者であることこういうふうに皆さんの方で言っていますね。ではいまの条文はどういうふうになっているかというと、「住宅に困窮する」と、こうなっているわけであります。それから、この条文の中で皆さんが直そうとしている賃貸の条件等についてという中で、いままでのものについてはやはり該当賃貸住宅を、「住宅に困窮している」と「困窮」という字を使っているわけですね。これを第一条の条文から外してしまって、今度新しいものをつくろうとしている。今度は居住する者の条件なり賃貸する者の条件を省令でやっていくわけですから、一条のところにそういう対象者がなければここのところに何と書くのです。そして、皆さんの方でよこしたこの4のところには「現に住宅に困っている者」と書いてあるじゃないですか。これは「困窮」という字句が気に食わなければ「困っている者」でもいい。また「勤労者」という文句が気に食わなければ、それに該当する事項をきちっと入れればいい。いずれにしても一条に対象者がないという欠陥条文は、私ども認めるわけにはいきません。
  77. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私ども新しい公団が発足いたしました場合における賃借人なりあるいは譲り受け人の資格につきましては、現在の日本住宅公団法に基づきますところの施行規則と同様の趣旨の規定を設けることにいたしておるところでございます。したがいまして、いま先生がお読み上げになりました賃貸住宅の賃借人の資格としての問題につきましても、「住宅に困っている者」あるいは「家賃の支払ができる者」等々の事柄を、従来の日本住宅公団と同趣旨に盛り込むつもりでございます。
  78. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、省令の方へどういう趣旨のことを——趣旨趣旨と言うが、「困っている」というふうにするのかよくわからぬけれども、いずれにしてもこれは織り込まざるを得。ないのです。そうなってくると、いずれにしてもこの一条というのは欠陥条文ですよ。ですから、ここのところですぐ回答出ないにしても、私はここのところにはいずれにしても対象者をきちっと入れなければこの法案を通すわけにはいかない。時間がありませんから一応保留しておきます。よく研究してください。  それから次に、きのうも朝日ケ丘へ行ったわけですけれども住宅は五十一年の四月に工事が完成して、いま五十六年でちょうど五年たっていますね。それで説明を聞くと、下水がうまくいかないのでいま市役所の方に話をしていて、話が進んできてもう二年半たてば何とかいきそうだ。合計すれば約八年建ったものがそのままだ。お聞きすると、私どもが見に行くということで、あの付近のところは草むらでひどかったけれども、おばさん方を頼んで周りは二、三日かかってきれいにしたそうです。行ってみたら、なるほど周りは草を刈ってきれいだった。しかし人は一人もいなかった。しかも私どもがそこに行くときに理事さんの説明では、私どもにとって一番恥ずかしい公団住宅に御案内します。公団の役員の皆さんもそんなところへ連れていくのは恥ずかしい、こう思っている。つくってから八年たってやっと入れます。私はここへ行ってみて、駅にも近いし、確かにいいところだと思いますよ。恐らくあそこをいいふうに整備してやったら募集がいっぱい来るでしょう。いいところですわ。しかし、どんないいところだって建ってから八年間もたつような計画のずさん、これはもうだれが考えても許すわけにいきません。総裁、どういう責任を感じていますか。     〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 澤田悌

    澤田参考人 昨日は御視察いただきましてありがとうございました。  事実はおっしゃるとおりでございます。いろんなプロジェクトで見込み違い、見通しの悪さということがときに起こるわけでありますが、その中で、地方公共団体との関係等において著しい見込み違いをした例でございます。地元の千葉市もこの打開に本当に本腰を入れてくれるようになりました。今後工事時間はかかりますが、はっきり見通しが立ってきたわけでございます。  こういう見込み違いをやったということに対する責任は十分反省すべきである、今後こういうことのないように努力すべきことはもちろんであると存じます。
  80. 中村茂

    中村(茂)委員 口の先じゃなくて態度で示してください。次に進みます。時間がありません。  いずれにしても、今度合併して省令までずっとできるわけですけれども、骨子だけですから中身がよくわかりません。そこで、家賃とか分譲価格の決定方法は変わるんですか、変わらないんですか。
  81. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  新公団が発足いたしました場合におきましても、現在の日本住宅公団法の施行規則と同趣旨の家賃の決定方法あるいは分譲価格の決定方法の規定を設ける予定でございます。
  82. 中村茂

    中村(茂)委員 そうなると、家賃についても分譲価格についてもいままでの算出方法と全然変わってこない、こういうふうに理解していいですか。
  83. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、日本住宅公団の場合におけると同様の方法をもって新公団においても適用いたしたいと考えております。
  84. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、もらった中にいままでのと違うところがある。先ほど言った第三十条一項、(2)1のところで、いままででいくと、償却期間について、いまの旧法では七十年、一部四十五年となっているけれども、皆さんにもらったこれを見ると、「建設費を一定の償却期間中」と、「一定」というふうになっている。「一定」というのは七十年なり一部四十五年ということで、私どものところへ数字を書いて出すのはそういうことでなく、骨子というから「一定」というふうに言ったのか、そこのところをひとつ……。
  85. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先日お手元にお届けいたしました省令の資料につきましては、その骨子を示したものでありますために詳細を省略している点がございますが、私どもが考えておりますのは、先生御指摘のように七十年のものが原則でありますが、ものによりましては四十五年のものもあろうかと思います。この詳細につきましての基本的な考え方は、現在の住宅公団法の施行規則と同様に作成をいたしたいというふうに考えております。
  86. 中村茂

    中村(茂)委員 いままでと変わりないということを確認しておきます。  それから、いままで家賃の決定なり変更について、そこに居住している多くの皆さんとトラブルが起きてみたり裁判になってみたりいろいろしてきて、前に値上げになったときに、そういうことではいけないから十分意思疎通できるような組織なり内容について検討しなさい、こういうふうにお願いしておいたわけですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているのですか。総裁、いかがですか。
  87. 澤田悌

    澤田参考人 公団家賃の決定、家賃の変更等につきましては借家法の適用を受けておりまして、一般民間の家賃の変更と同じように、そのトラブルの際には借家法のたてまえによって解決されることになっておるわけでございます。また、公団はたくさんの入居者方々に大規模住宅を提供しておるわけでございますが、そういう実情に即して団地ごとにいろいろ入居者方々の御希望や御意見を伺いながら問題を円滑に進めていきたい、そのためには絶えず連絡を密にしてまいりたい、こういうような方針で実行してまいりたいと考えております。
  88. 中村茂

    中村(茂)委員 その点についてはまだ改めて他の機会でも強く要求していきたいと思います。  それから、本会議の時間が来ていますけれどももう一点だけ、ことしは障害者年です。入居する人についてはすでにやりとりが出て、皆さんの方で対応することになっておりますが、企業についていわゆる促進法があって、一・八%障害者の皆さんを雇用する、こういうふうになっているわけでありますけれども、いままで私どもが調べたところによれば宅開公団は〇・七七五%、住宅公団の方は一・六二%。一・八%に対して一・六二%ですから相当努力の跡は見えますけれども、いずれにしても障害者年でもありますし、法定でも一・八というふうに決まっているわけでありますから、その点の雇用の努力をしていただきたい。これは大臣に代表してひとつ……。
  89. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 障害者年を契機に、障害者の方々の雇用については万全の措置をするように指導してまいりたいと思います。
  90. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  91. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、暫時休憩いたします。  念のため、申し上げますが、本会議散会後直ちに再開いたしますので、御承知ください。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  92. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺武三君。
  93. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 まず大臣に、今後の住宅政策の基本的な考え方についてお伺いをいたしておきたいと存じます。
  94. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅政策の基本的な考え方でございますけれども、私たちは良好で文化的な生活を営み得る良環境づくりをすると同時に、安定した住宅環境のもとで国民が快適な生活ができるというような方向づけを基本に考え、また、特に昨今の過密化しつつある都市化現象の中で、特に大都市における勤労者方々住宅を重点に住宅対策を立てていくという基本的考え方で進めたい、このように考えておるのでございます。
  95. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その基本理念に基づいて、過去の住宅政策についてはどのようにお考えでしょうか。(「失敗でございました」と呼ぶ者あり)
  96. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 第一期、二期、三期と続けられた住宅政策でございます。一応公的あるいは民間と合わせてトータル的には計画を達し得たものと私たちは考えておるわけでありますけれども、いまも不規則発言がございましたが、公的住宅について、公庫関係は別として、目的数に及ばなかったことは非常に反省するところでございます。もちろん土地対策あるいは地方公共団体等との調整の問題、あるいは住宅を建てる上における社会資本の整備、関係方々の御理解への調整がおくれたという面もございますけれども、とにもかくにも一応の成果は上げ得たものと考えておりますが、四期五計ではそれぞれの過去のそうした阻害要件に対応するような形で進めてまいりたい、このように考えるものでございます。
  97. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも一応自己満足をしていらっしゃるようでございますけれども、実はもう過去何回となくいろいろな批判がされ、論議がされてきておるわけですね。特に今回の新公団、いまの日本住宅公団住宅そのものも、遠、狭、高、つまり遠い、狭い、それにしては家賃が高いではないか、こういう批判が非常に大きく出ておりまして、さらにはせっかくつくった公団住宅そのものがちょっと考えられないような、住宅はできたけれども下水道はできない、上水道も引けないんだということで二年も三年も空き家状態が続けられているというような実態が実はあるわけでございまして、そういうもろもろの過去の批判点が今度の新しい公団によってほとんど解消されていく、こういう確信の上に立っておられるかどうか、一度念を押しておきたいと思います。
  98. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 もとより新公団の発足はそうした御指摘の面を踏まえてそれを積極的に解消するということは確信を持って、というよりもやらなければならない責務であろう、このように考えるものでございます。したがいまして、過去の御批判につきましては深く反省し、新発足につきましては新総裁以下挙げて、また職員の方々の御理解もいただいて、いわゆる国民のとうとい税金を使っておるわけでありますから、そうした観点からもこの点につきましては確信、覚悟を持って対応しなければならないものであるというふうに考えておるところでございます。
  99. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 総裁にお伺いをいたしますが、そのような過去の批判、これはそれなりの計画をお持ちの上で実際には事業をお進めになっているわけですけれども、なぜそうした問題が起きたのでございましょうか。何か計画段階において欠陥があったのか、一体どういう方面、何か足らなかった面があったのか、それについて総裁としてはどういう御認識をお持ちでしょうか。
  100. 澤田悌

    澤田参考人 未入居住宅あるいは未利用土地の問題、いろいろ御指摘を受けております。一つ一つ事情を調べてみますと、それぞれ原因が違っておるものが多いのであります。私、そういう問題に取り組みまして両三年努力してまいっておるのでありますが、いずれにしても見通しが悪かったとか、経済情勢、社会情勢の変化に的確に対応できなかったとか、反省すべき点がたくさん出てまいります。しかしその具体的な対応措置をどうしたらいいかということになりますと、一つ一つ違っておりますので、そういう反省のもとで個々の事案を一つ一つつぶしていく、こういう努力を現在、全力を挙げてとっておるわけでございます。今後も続けてまいらなければならぬと考えております。相当の成果を上げたとは存じますが、まだまだ難問が残っておるというのはきわめて遺憾でございますから、なお大いに努力をしなければならぬと考えておる次第でございます。
  101. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いろいろの理由は確かにあったでしょうが、その理由がいわゆる不可抗力なものであったのかどうか、具体的にその手法が改善をされる要素があったのかどうか、その細かい問題まで分析をされ、理解をされていかないと、漠然と考えていると再び過ちを繰り返すという事態にならないかどうか、この辺はいかがでございましょうか。
  102. 澤田悌

    澤田参考人 たとえば未利用地につきましても、その現状、それに対する対応措置、見通し等、現在やっておりますが、担当理事から少し詳しく申し上げたいと思います。
  103. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 未利用地を例に引いていきますと、用地買収の面で非常にいろいろな障害が、これは土地の開発につきましてはいろいろな問題がございますが、その開発のいろいろな条件というものをわりに甘く見過ぎていたというようなきらいは確かにございました。それを現在いろいろな面、角度から総裁申し上げましたように一つ一つつぶしながら解決の道を探っているわけでございますが、先日来いろいろお答え申しておりますように、二十二地区のうち、まだ基本的な開発の方針についていろいろ協議を進めなければならない地区というのが七地区残っております。これにつきましてもできるだけ早く一つ一つの問題点を解決してまいりたいと考えております。
  104. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 たまたま未利用地を例に挙げておっしゃいましたけれども、未利用地の先の見通し等々が誤ったということもさることながら、せっかく建築が終わってもそれが供用できないというような問題、そういう問題には一つ一つ理由があると思いますけれども、それらが本当に不可抗力であったのかどうか、ここのところをもう少ししっかりしておけばこんなことにならなかったという点があるのではないかと私は思うのです。したがって、そういうことが具体的に認識をされていないと、再びそういうことが起こる可能性を払拭し切れないためにあえてお聞きしているわけです。いま現実に例があるわけですね。水道が引けてない、下水道が完備されていない、したがって建物は建てたが入居できない、こういうことが現実にあるわけですから、どうしてそうなってしまったのだろうか、再びそれらを繰り返さないために、そのよって起こった原因を十分把握されて、そういう再発事故が起きないような対策を立てておかなければならぬのではないか。それにはその原因がしっかりと認識をされていなければいかぬ、こう思いますので、その辺はいかがでございましょうか、こう申し上げているのです。
  105. 澤田悌

    澤田参考人 ごもっともでございます。われわれもその点はどうしてこうなったかということについては真剣に追及をいたしまして、一つ一つについては大体わかっております。(「共通したものは何だ」と呼ぶ者あり)共通したもので大きいのは——委員長、よろしゅうございますか。いま申し上げようと思ったので、御質問の先生にお答えするわけですから御了承願います。長期未利用地について例を挙げますと、市街化調整区域が解除されるであろう、市街化区域に近々なるであろうというような見込みで買いましたもの、これが最も例の多い見込み違いでございます。それから住宅で申しますと、地方公共団体との話し合いで、ああこれは大丈夫下水道はこういう時期にはできるというような、あるいは水道ができる、河川の改修ができるというような、そういう見込みを立てた、そういうものが見込み違いになったというようなことも例が多いことでございます。  それで、両三年総見直しを公団がやりました。相当の荒療治でございました。それ以後ほどんなところから持ってきても調整区域は絶対買わないとか、そういうかたい方針を決めました。それから、住宅を建てたけれども、入居の見込みに間違いがあるかどうかというようなことについても真剣な事前討議を行いまして、ここ両三年初めて計画を始めたというようなものについてはそういう間違いはできてこないと大体において私は確信いたしております。
  106. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 御答弁をお聞きして、実は大変驚いておるわけですよ。相当な年限がたって、ここ両三年ようやくそういう間違いが起こらぬようになってきたと言われますと、相当長期的にいわばずさんな状態が続いておった。言いかえるとそういうことになるわけですな。そういうずさんな計画のもとに続けてきてしまったからいろんな問題を生み出してしまった、気がついて一生懸命でやって、この二、三年は大分よくなってきた、こう総裁がおっしゃっているわけですけれども総裁みずからが過去のやり方というものについてはいろいろな非常に大きな問題があったということをお認めになった、こう理解をするわけですが、私は再びそういう過ちを繰り返さないために、その過去のことをここで追及しておっても始まりませんから、再びこれを起こさないということをしっかりと念頭に置いていただきたいと思うのです。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  とりわけ、入居者にとってはもろもろの失敗が損害となってやはりあらわれてまいりますね、あるいは金利負担となってあらわれてくる。そういうものは入居者に対する家賃というものに転嫁をされていかないかどうか。いや、別に処理するのだ、こうおっしゃるかもしれませんが、なかなかそれはすべてを転嫁するということもないでしょうけれども、ある一部は公団のやり方そのものの誤りから入居者負担を増加せしめてしまう、こういうこともあり得るのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  107. 澤田悌

    澤田参考人 御承知のように公団住宅分譲価格あるいは家賃というものは、その時点でかかりました経費を基準にして決められるものでございます。したがいまして、長期間トラブルがありますとその間の金利等も当然それに含まれてまいります。したがいまして、それは販売価格なり家賃によって回収されるというのがたてまえでございます。  一方公団は、どういう住宅をどういう価格で、どういう所得層方々に、どんな負担割合で供給をするのがいいかという、別途の角度からいろいろ苦心をして家賃等を決定しております。それで政府がまた二円当たり数万円という多額の補助をしておるわけでございます。それから公団全体の資金繰りの繰り回しの中で総合的に決定をいたすわけでございますので、単純に申せないわけでありますが、そういうものが既存の住宅の経費にかかるとか、そういうふうには考えておらないわけでございます。
  108. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 お伺いをしますと、確かにやり方のまずさというものによって出てきた損害、それがやはりどうも入居者に転嫁をされる、実際はこういうシステムですね。そうでしょう。いま総裁がおっしゃったように、建物を建てようとした、若干の見込み違いがあって工事が延びてしまった、その間やはり金利がかさんでくるので全部を計算をして、そして家賃を決定していくという段階においてはそれが転嫁をされていく、こういうことになるわけですな。それからまた、既設の住宅その他、このごろはプール計算がはやっておってならしが行われておるということもありますけれども、しかし現実にはそういうやり方のまずさというものが形になってあらわれてくる金額というものを、その入居者をして負担をせしめていく、こういう結果になっているのですね。
  109. 澤田悌

    澤田参考人 たてまえはおっしゃるとおりでございます。
  110. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その辺、みずからの業務がうまくいかなかったことが入居者に対して大変迷惑をかけるのだ、こういう認識をしっかりしておいていただかないと、少々まずくても、どうせ金利計算をして全部その家賃の中で最終的に回収をしていくのだからと、これではそのみずから関係しない居住者は、それが間違っていたかどうかは別として、すべてかかったものは金利負担まで含めて回収されていくわけですからね。その辺ではやはり相当しっかりした認識をお持ちになって入居者に対する迷惑を排除する。われわれから要求したいと思うのは、本来そういう誤った方法によって負担をかけた金額は全然除外をして、そして新しい家賃を決めていくべきではないだろうか。入居者には何も罪はないわけですから、たまたま見通しが誤ったとかいろいろな手違いによって工事がおくれた、それによる金利負担も全部加算していくということは、これは入居者から考えれば不合理ですよ、実際は。それだけやはり公団は責任を感じておらなくちゃいかぬ。だから私は、そういう事態があるからしっかりそれを認識をしていただいて、再びそういうことの起こらないようにする、それは国民に対する義務でもある、こういう認識をひとつしっかりと持っていただきたいと思います。  次に、時間がございませんから急ぎますが、もろもろの問題点はすでに討議をされてまいりましたから、なるべく討議をされてない問題を取り上げてまいりますが、先ほど来御説明がございました、住宅公団が取得をして長期未利用になっておる、このこと自身もいろいろな理由があろうかと思いますが、その中で特に、いま農林水産省等で担当しております例の保安林というものがございますね、これは住宅公団に限らず地方公共団体がいろいろの開発をしようとしましても、この保安林の問題は常に問題となって出てくるわけですね。  そこでお尋ねをしておきたいのですが、住宅公団が持っております長期未利用地の中で、現在保安林というものにかかわって工事がおくれておる、あるいはできない、こういうものの実態は一体どうなっておるでしょうか。
  111. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 現在、先ほど来申し上げております二十二地区の長期保有地の中で、大なり小なり保安林を持っておりますものが四地区ございます。ただ、その中で一地区だけが最後の問題として保安林の解除が当面の課題となっているということでございます。
  112. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは林野庁の方にお伺いをいたしますが、この保安林制度というものの経緯についてちょっとお聞かせ願えませんか。
  113. 松本廣治

    ○松本説明員 お答えいたします。  御指摘の保安林の経緯といいますか、対応の仕方でございますが、保安林は、御承知のとおり国土保全等の森林の公益的機能を確保するために、森林法に基づいて特定の森林を指定いたしまして、その機能を発揮させるように保全しているものでございます。そういう観点から、開発を進める区域からは除かれるのが通例でございますけれども、どうしてもその保安林を含めて転用するというような場合が出てくるわけでございますが、こういうような場合には、できるだけ保安林以外の土地を求めていただくということが原則でございますけれども、やむを得ない場合には、極力その保安林の持っております機能に影響の少ない区域を対象にいたしまして、保安効果を低下させないように代替施設等を設置することを前提にしまして、転用解除するというようなことにいたしております。このような趣旨を踏まえまして、今後実態に沿いまして措置してまいりたいというふうに考えております。
  114. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 きわめて一般論的にお答えになりましたけれども、実態はなかなかそうではない例がたくさんあるのです。何か林野庁の役人ががんばってしまって、がんとして聞かないという例も間々あるのですよ。その経緯をずっと調べてい、きますと、その指定は遠くさかのぼること明治時代、自来七十年も八十年もたっておって、指定をしたときの理由、根拠というものが大変薄れてしまっておる、あるいはもう必要なくなってしまっておるというようなものが依然としてあちこちに残っておるのですよ。それが、小規模の開発でほんのちょっとひっかかっても相当な理由になって、いや明治何年に植林のために補助金を出してあるのだからそれはだめだ、こういうお答えですね。それで、現地へ行って調べてもらうと、一体どこに何のために植林に金を出しているのかわけのわからぬような雑木林になっておるというのが間々ある。ところが一向に、現地も十分見ないままで、机の上で法律を盾にとって、確かに法律のたてまえからいけば非常に必要なものであり、保存されなければならぬものだというものが非常に多いと思いますよ、私は全部が全部だとは言っておりません。ところが、中にはそういうものもたくさんあるのです。いろいろ各地区で調べていきますと、水源の涵養だとか、土砂の流出を防止するのだとかあるいは崩壊を防止するのだとか、いろいろな理由が法律に定めでありますが、その一つ一つの該当条項を調べてまいりましても、七十年、八十年とたっているようなところで、大体理由とされている原因がもう消滅しておるのではないかと思えるような個所もあるのです。  さらに法律を見てまいりますと、実はどういうことが書いてあるかというと、「農林水産大臣は、保安林について、その指定の理由が消滅したときは、遅滞なくその部分につき保安林の指定を解除しなければならない。」第二十六条にちゃんと書いてあるのです。だから、「消滅したときは」ということは、本来林野庁ではそれは下から言ってこなければ、言ってきたときにこれから考えるのだということのようでございますが、実態はいろいろな問題がありましてなかなかそうはうまくいってない。せっかく申請をしても、実は法律がこうなっているからだめだというのが非常に多い。事実はこのようないわば土木技術というものがおくれておった時代に指定されたものですから、いまならば簡単なもっとりっぱな代替工事によってこの目的が達せられるというところも実際はたくさんあるのですよ。にもかかわらず、この法律が盾にとられてなかなか林野庁がうんと言わぬ。それによって工事が遅延をしていって、これまた金利がかさんで保、結果的には国民が迷惑を受ける、こういう仕組みに実際はなっているのです。  そこで私が申し上げたいのは、日本全国の保安林、砂防林、いろいろなものがたくさん指定されておりますが、一遍本当に全部再点検する必要があるのではないか。近年になってそういう指定がされ、まだ経緯も浅いというものは取り除いていただいて結構ですけれども、少なくとも明治時代に指定をされて何もしていないというような指定地域については、ひとつ早急に再点検をされて、より合理的な処理をされるということの方が本当ではないか、こう思うわけですが、いかがでございましょうか。
  115. 松本廣治

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、全部が解除、転用できないというようなものではありませんで、保安林の有する機能が非常に少ない区域というものも広い森林の中にはあるわけでございますので、そういうようなところをできるだけ活用していただくというようなことにしております。先生いま御指導いただきました保安林の指定理由が消滅したというようなものにつきましては、私どももそこに保全すべきものがなくなったとかあるいは森林でなくなってしまったというようなことを考えておりますが、そのほかに、先ほど申し上げましたように森林が持っております防災機能と同等以上に発揮できる代替施設ができれば転用できる、それも先ほど先生が言われましたような指定理由の消滅というようなことに一応該当するわけでございまして、そういうことを含めて対処してまいりたいと思います。保安林の維持管理に当たりましても先生の御指導を外しまして、そういうことが今後行政に十分反映できますように私どもも心がけてまいりたいと考えております。
  116. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 林野庁の方、あなたの業務を通じてよほどスピーディーにやっていただかないと、そこに仮に公団住宅ができますと、実際はそのこと自身がまた金利負担で居住者に迷惑がかかってくるのですよ。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕  それで、私も保安林の解除については一、二点検をしました。ところが、実際に私が現地を見に行って、なぜ林野庁がそこまでがんばるのかという理由がよくわからぬところが間々出てくるのです。だからこういうことをあえて申し上げているのです。それで、そういう場合の金利負担その他とうなっていくのだろうかと総裁にお尋ねすると、それはやはり計算をして単価を出して、最後には入居者が払うようになっているのです、こうおっしゃるのだから、すべて行政の怠慢というか、そういうおくれが全部国民に転嫁をされていっておるという実情ですから、特に心してやっていただきたい。特に明治時代に指定をされたというのがたくさんありますけれども、山奥のようなものは別として、周りがほとんど住宅地になってきて、その中に丘程度に残っているようなところもある。そういうものを重点的にでも再検討していただく、こういうことを要望をいたしておきます。  そこで今度は建設省にお尋ねをいたしますけれども、確かに都市空間の中に緑が非常に少ないということが言われておるのですね、ところが飛行機に乗って日本の国の上を飛んでみればおわかりのように、日本の国は飛行機の上から見る限り完全に緑に覆われておりますね。現実にわれわれが住む都市の空間には緑が大変少ないということが言われておるわけですけれども、私はこれはやはり為政者の責任であると言わざるを得ないのです。居住地の中にもっと緑を取り入れるような行政を行っていけばいいのであって、実際には緑は日本の国は豊富にある、居住地の中にないのだ、こういうことではないかと思うのです。  そこで、居住地の中に緑を取り入れようとすれば、当然ある程度の可住面積を拡大していかなければならぬ。そうなりますとまた保安林がひっかかってくるわけですけれども、そういう問題がございますので、建設省においても古い保安林指定その他が居住地近くにいろいろあるのを活用していく、そうして公園だとか緑地という整備と一体となった住宅建設を行うべきだと思っておるわけです。その辺建設省としてはいかがお考えでしょうか。
  117. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘のとおり、住宅建設を進めます場合には緑地、公園等の整備を図りまして居住環境を豊かにしていくことが必要であろうかと思います。私どもも五十三年度から関連公共施設整備促進事業制度を創設いたしまして、これらの整備にも助成をいたしてきたところでございますが、ただいまお話がありました保安林の問題につきましては、関係当局ともよく御相談をいたしまして、すでに保安林としての必要性の薄いもの等につきましては解除をしていただきまして、緑豊かな住宅団地づくりといったようなことにも心がけてまいりたいと思っております。
  118. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公団はこれに対してどう対処されますか。
  119. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 私ども住宅団地づくりあるいは宅地開発といったような中で、私どもの公共的な使命から、従来とも一般の場合よりも以上にそういった線あるいは緑の空間というものを大切につくってまいりました。先生御指摘のように、特にそういった保安林等の解除を受けてつくりますような場合には、当然従来保安林であった経緯からも、いわゆる防災的な配慮、それから緑の配慮というようなことは特に心がけてやっていきたいというように考えております。
  120. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは次に移りますが、もう一つ公団住宅家賃を引き上げておるのではないかと思われるものの中に、例の関連公共公益施設というものがございますね。関連公共公益施設整備のために、実はそれらがまた家賃を引き上げておる、こういうふうに思うわけですが、この関連公共公益施設整備の負担住宅公団では一体どうなっておるでしょうか。
  121. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 先生も御承知のように、私どもは関公の立てかえ制度等を持っております。そのほか、五十三年度から新たに住宅宅地関連公共施設整備促進事業を創設していただきまして、それによりまして五十五年度は国庫補助金として約三百億円を住宅公団のためにいただいておるというようなことになっております。しかしながら、実際にはそのほか学校の用地等いろいろな負担がございます。これが五十三年、五十四年度大体二月当たり百五十万程度であるというように私ども試算しております。しかし、たしか五十一、二年には百二、三十万ございましたので、それに比較いたしますと五十三、五十四年度は百五十万と、諸物価あるいはいろいろなことから申しますと、やはり促進事業の効果というものがそこに出ているんじゃないかというように私ども判断しております。
  122. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにしてもこれらの関連公共公益施設というものは、本来的には国なり地方自治団体なりが行うべきものなんですね。それが例の開発の過程においてどんどんデベロッパーに負担がかかっていき、そのデベロッパーは居住者に負担を割り当てていく、実はこういう経過があって、それが大変不当なほどの状態になってきた。そこで、当建設委員会でもそれらは放置することができぬということで、それらに該当するものを少しでも国が負担するようにということで、これらが年々上昇してきておるわけですね。ところが実際は、その実態いかんとこう聞くと、やはりおよそうまくいっておりますというお答えだろうと思いますが、それには大変な基準が設けてありまして、予算に合うように基準がうまくつくってあるのですな。だから、これだけの予算ならばこのくらいの基準にしておけばまあまあこれで消化できるんだろう、こういう考え方ですから、全体から見れば関連公共公益施設というものをまだまだこれからやっていかなくてはならぬ、こういう状態にあるのです。だから、私は予算との対比で別にお聞きをしたくはありませんが、そういう関連公共公益施設というものはまだまだこれからやっていかなければならぬと思うのですが、その辺の実態はいかがでしょうか。
  123. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘の関連公共施設整備促進事業につきましては、五十三年度に創設されましてから年々その拡大を図ってまいりまして、昭和五十六年度予算におきましては国費一千億円を計上しているところでございます。  御指摘のように、採択基準等につきましては、対象施設につきまして従来の一般的な国の補助対象基準、あるいはまた地域につきましても三大都市圏あるいは人口五十万以上の都市の通勤圏といったようなことで縛られておりますが、私どもといたしましてもこれらの事業の拡充を図りますとともに、逐次採択基準等につきましても今後発力して、より的確な団地形成ができるようにというふうに考えているところでございます。
  124. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、この問題は実は当初三百億の予算をもって発足していったんです。それはとても足らぬということで、その次の年度には六百億にした。たまたまその六百億にしたときに予算修正の問題が折衝されて、本来六百億という予算修正のときにさらに三百億を上積みするということを当時のおたくの河本政調会長は約束をしたのです、実際は。ところが、その約束は完全にほごにされまして、一年延ばされてその次の年に九百億にした、こういう経緯があるんです。そしてことしはどうかなと、こう見ておりましたならば、財政事情の問題もあったのでございましょうが、ただ単に百億の増加にとどまっておる。しかし、それは先ほどから申し上げておりますように、あくまでも関連公共公益施設の採択基準というものがあって基準の枠を変えないから、本来ならばもっともっとやってあげなければならぬ事業があるにかかわらず、それらはもう負担をさしてしまっておるというのが現実ですから、この辺はひとつしっかり御認識をいただいて、やはり予算の拡大についての努力、こういうものをやっていただかなければならぬと思いますが、大臣の決意をひとつお聞きをしておきたいと思います。
  125. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 関連公共公益施設につきましては、地価のコストダウンにも関係することでありまして、財政事情が許される限り御指摘のような形で進めたい、このように考えるものでございます。
  126. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それからもう一つやはりつけ加えておかなければならぬと思いますのは、遊水地の問題がございます。  雨水等の問題があって、やはり一つの住宅をつくるとこのごろどうしても遊水地を設けなくちゃならぬ。私、この補助制度をまだ十分につまびらかに承知いたしておりませんが、大変低い補助しかしてないというふうに思います。そこで、地方自治団体もその遊水地を確保するためにはこれは相当多額な費用が要るんですね、土地の問題、いろいろな工事の問題。そのために実は住宅が建てられないという地方自治体を私は知っております。だから、そういう面ではやはりこの遊水地というものもなおざりにできない問題だ、それらについての補助対象の拡大といいますか、補助額の引き上げといいますか、この辺についてはいかがお考えでございましょう。
  127. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答えいたします。  ただいまお話しの遊水地でございますが、宅地開発に伴いましてどうしても雨水排水を良好にしないと下流に問題を起こすというのが通例でございますので、河川管理の立場からそれに対処するいろいろな措置をしなければいかぬということになります。ところが一方、河川事業と申しますのは、これは百も御承知であろうと思いますが、下流の方から一定のスピードで上がってきておりますので、上流の方におきます宅開事業に即応するのがなかなかむずかしいという事情もございます。そこで、開発地内にその開発の影響によって増加いたします雨水の流下量を一時貯留して、それで下流の方に影響のないようにするというような指導をいたしておるわけでございます。それに要する費用、これは河川によって、いわゆる河川法上の河川におきましては防災調節池という補助制度がございます。それから準用河川がございます。これは市町村長の管理する部分でございますが、それにつきましては雨水貯留事業という名称になっておりますが、これも補助事業がございます。そういったもので対応するようにいたしておりますが、なお、いまのおただしの公団に関連いたします部分につきましては、ほとんど現在までは御要望のありますものについては補助いたしております。ただ、その補助率の問題でございますが、これはいろいろな横並びの経緯もございまして、私どもとしてはなお補助率を上げたいという希望は持っておりますが、特に準用河川の場合は補助率が三分の一でございますので、これを何とか上げたいという努力はいたしておりますが、まだ実現しておらないという現状でございます。
  128. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この河川の改修と、実際に住宅地につくられる遊水地の問題とは、これはなかなか同一には論じられない問題でして、その周囲に住まれる方々がすべて負担をしていかなければならぬという事情があるわけですから、一つの川が流れるその川の改修とは大いに質が異なってまいるわけですね。そのために、やはりそれだけの配慮というものがないと、これは住宅を持とうとする国民はたまったものではない。  以上いろいろ申し上げてまいりましたけれども、私は、すべて行政のあり方というものが、家を取得する方々に一つ一ついかに負担を多くかけているか、こういう問題につながり合っておるので、その辺をひとつ十分に認識をしていただいて、自分たちの仕事を通じて少しでも国民の住居取得者に迷惑をかけないように、こういう配慮が必要ではないか、このために幾つかの例を挙げながら実はただしてまいったわけでございます。  時間も参ったようでございますから、最後にお聞きをしておきますが、そういう観点から考えていきまして、今度のこの住宅・都市整備公団法、この目的が、先ほど来討論されておりますようにどうもやはりおかしいんではないだろうか。なぜその入居者の対象を外されたのか、いろいろ御意見がございましたけれども、私自身まだ十分理解ができておりません。ずっといままでの答弁を聞いておりますと、全体として、やはり勤労大衆のためにいろいろやっているんだ、こういう御答弁も出てきておるわけですけれども、実際にはその第一条の目的からその文言が削られてきてしまっている。削られたなら削られただけの明確な理由があるのだろうと先ほどからお聞きしておったのですけれども、どうもなかなか理解できない、これが現実なんです。だから、再度ひとつお答えを願いたい。
  129. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 目的の文言の問題、いろいろと御指摘があったわけでありますけれども、あくまでも表現表現として、内容的な問題は、住宅にお困りの方々、特に大都市における勤労者方々住宅、しかもあくまで健康で文化的で良質の住宅を提供するという基本的な考え方にいささかも変わりはないわけで、その基本方針に向かって、法案を通じた精神をもとにして、住宅対策に取り組んでいく所存でございます。
  130. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣のおっしゃるような気持ちはわからぬではない。しかし、漏れ承るところによると、そうではなくて、別の機会で声の大きい人たちががんばったために、本来入っておった目的条項が削られていった、こういう経緯を知るがゆえに、あえて聞いているのですよ。そんなことでこの目的を直してもらったんじゃ困るんだ、そういう誤った観念のもとで住宅政策が確立されていったんではいかぬのだ、こういう気持ちで聞いているのですよ。初めからあなた方がそう考えられてそう提案されているというならば、それはまあ結構でしょう。ところがそうではないはずだ。建設省ではちゃんとそういう対象になる方も入れておきながら、ところが、ある一部の声の大きい人にがんがんとどなられたら、いつの間にか消えていってしまったという経緯のもとに建設委員会に提案されているというのが実態ではありませんか。だからそうだとすれば、建設委員会でもどのように修正をしたらいかがでしょうか、こう言っているわけです。それについて大臣はいかがお考えでしょうか。
  131. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 プロセスはプロセスとして、しかとそういう向きを踏まえて御提案をいたしておるわけで、いささかも、文言の表現的なこと、形式的なことでなく、中身の問題で、御指摘のほどは十分配慮して進めてまいる所存でございますので、ひとつ御理解のほどをお願いする次第でございます。
  132. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 声が大きければ変わるということなら、ぼくはもっと大きな声を出してどなりますがね。それで変わるでしょうかな、変わらぬでしょう。声の大きい合いならそう負けやせぬ。だから私は、変えたなら変えたというはっきりした事情があればいいんだ、実際は後から理屈をくっつけようとするものだから非常に苦しくなってしまって、どうもぐあいが悪い。同じことであったならば何もそんなトラブルを起こす必要はないのですよ。そのままにしておけば済んでくることなんだ。ほかの関連法案にもいろいろ書いてある。あえて削られた。なぜ削られたんだろうか、どうも声の大きいやつがおったようだよ、こういうことになってくるとこちらは声を大きくせざるを得ないんだな。声の大きさによって修正されるならば幾らでも大きな声を出します。いかがでございましょうか。
  133. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 声の大小でなく、中身の大小でひとつ御理解をいただきたいと思います。
  134. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 何の中身ですか、それは。ちょっとよくわからぬな。目的の中の、住宅を必要とする勤労者のために、まあ何でもいいですわ、そういう文言が削られてしまった。これは中身も何もないですよ。中身なら、住宅を必要とする勤労者という中身と、ここに書いてある「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能」、この方がうんと中身が広いわけですからいいわけですか。そうじゃなくて、先ほどから同じだ、こうおっしゃっているんですよ。同じだからまあまあこういう文言に変えていったんです、こういう苦しい答弁をなさっておるんです。質的に違っていないはずだ、こういう答弁を繰り返してきておられるのですよ。ここへ来て大臣が中身が違うんだ、こうおっしゃると、これはちょっとまた問題が変わった方に発展していくわけだ。そうじゃないでしょう。
  135. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 中身のとり方でございますけれども表現の問題よりも、あくまでも住宅にかかわる問題について基本姿勢は変っていないということを申し上げているわけでございまして、その点につきましてはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  136. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間が参りましたので終わりますが、暫時頭を冷やして、最終までにしっかりしたいい結論を得るように努力をいたしましょう。  終わります。
  137. 稲村利幸

    稲村委員長 中島武敏君。
  138. 中島武敏

    ○中島(武)委員 法案の質問に先立って、公団の空き家問題について最初にお尋ねしたいと思います。  公団住宅の空き家問題は大問題でありまして、同僚議員が本法案の審議に当たっても指摘してきたところであります。この問題を放置すれば結局公団住宅に住まわれる居住者の家賃にはね返ることは明らかでありまして、国民も住宅公団のこのようなむだ金遣い、ずさんな管理運営にいたたまれぬ思いを抱いておるわけであります。  そこで私は端的にお尋ねいたしますが、現在のいわゆる空き家は未入居住宅五千七百六十二戸、保守管理住宅一万九千三百三十二戸、これは五十五年十二月末現在でありますけれども、これに間違いありませんか。
  139. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 そのとおりでございます。
  140. 中島武敏

    ○中島(武)委員 本当にそうなんですか。実は住宅公団から五十五年十二月末現在の入居の実態について、これは未入居率二〇%以上のものですが、その団地名、賃貸分譲別に資料を出してもらいましたけれども、私がことしの二月に行った調査によりますと、千葉県松戸市の梨香台団地、これは九百六十四戸中二百戸が未入居なんです。あいている。未入居率二〇・七四%。また同じく松戸市の牧の原団地も千七百八十七戸中七百五十戸、何とこれは四二%が空き家になっております。こういう団地をなぜこの未入居率二〇%以上の団地としてその資料に入れなかったのか。ずいぶんおかしいじゃありませんか。
  141. 久保田誠三

    ○久保田参考人 梨香台につきましては、当初九百五十八の管理戸数に対しまして未入居戸数が百十戸でございます。一度でも入ったものは、未入居団地と言いますが保守管理とは言っていないわけであります。牧の原につきましては、ちょっと資料を持ち合わせておりません。
  142. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これはあいているのですよ。いまあなたが言われたのは梨香台の方だけですけれども、そこの住宅は未入居率——未入居率というのは何ですか。要するに一番最初に入った、それは入居率になるわけですね。現実にあいているかどうかということは、これはかかわりないわけですか。
  143. 久保田誠三

    ○久保田参考人 失礼いたしました。未入居率といいますのは、現実に募集をして一度も入居がなかった率を言っております。
  144. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それじゃお尋ねするが、一回入った、入ったけれども出て空になっちゃっている、これは公団は調べているのですか。
  145. 久保田誠三

    ○久保田参考人 公団では年間七万戸に上ります空き家見込みの住宅入居者を募集しておりますが、御指摘のような再生き家と呼んで特別に管理区分するとか募集している住宅はございません。現在全国で千団地を超える住宅管理をしておりますが、団地ごとの立地とか規模家賃などの事情に髪もございましてその需要にも差が生じておりますが、申し込み区分によりましては大変倍率の高いところもあるし、低いところもあるというようなことでございます。そのような状況でございますが、御指摘のような意味で住宅を区分して、特に特別な集計を行っているというようなことはいたしておりません。
  146. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは大問題だ。一度入った、それで入居率を統計する、その後出てしまってどうなっているか、これについてはわからない、統計もとっていない。これはどう考えられますか。重大問題になるよ。  一説によりますと、その未入居率の何倍ものいわゆる再生き家があるという説も耳にしているのです。そんなずさんな運営管理をやっていていいのでしょうか。真剣にこの問題に取り組むというのであるならば、私は単純な未入居率というだけじゃなくて、再生き家になっているものをきちんと調べなければうそだと思うのです。対策委員会をつくっても実態がわからなくて何対策ができるのですか。私はこの点では要求したい。それは一度入って出て二、三カ月入らなかった、そういうことを問題にしているのじゃないのです。一年も二年も三年もいわゆる再生き家になっている、これを全部調べ上げなければ本当の対策は私は立たないと思う。その点では住宅公団はそういうのをすぐ調べて資料を提出してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  147. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅公団におきましては、ただいま担当理事からお答え申し上げましたとおり、年間に約七万戸程度の空き家が発生し、これを適当な期間ごとに取りまとめましてまた新しい入居者を募集するというようなことで、逐次回転をしているというのが通例であろうというふうに思います。しかしながら、また一面御指摘のような、募集をいたしましても一度入った住宅に対しましてかなり長期の期間について空き家になっているというようなものがあるといたしますと、未入居として統計はしておりませんでも、そのような未入居に類するような実態ということになろうかと思います。私どもも、ただいま事務次官を長といたします公団住宅等の事業促進委員会を設けましていろいろ検討を始めたところでございます。御指摘のような点も検討課題の一つとして取り上げ、今後の対策を検討し、指示をしていきたいと思っております。
  148. 中島武敏

    ○中島(武)委員 住宅局長の答弁はわかりました。  公団はすぐこういうのを調査するべきだと思うのです。そして建設省にできている公団住宅等事業促進対策委員会に提出をして、そこでよく検討してみるということが必要なんじゃないでしょうか。公団としてはどうですか、総裁
  149. 澤田悌

    澤田参考人 公団の六十万戸を超える住宅について、転勤その他転入、転出、ただいま申しましたように七万戸でこれが回転をいたしておるのが実情でございますが、条件のいい団地につきましてはその再入居について大変な倍率でまいりますが、条件の悪い団地、特に未入居がまだ残っておるというような団地に関しましては回転がおくれる傾向が若干ございます。そういう場合に御指摘のような問題が起こるのかと思いますが、ただいま局長がお答え申し上げましたように、これは実態を把握いたしまして建設省と十分対策を考え、今後そういう問題が起こらないように、これが普通の空き家が何%とかいうものであれば流通回転の段階においてそう心配することはありませんが、累積するというような傾向が出てきますと問題でございますので、その実態を把握いたして対策を立てたい、かように存じております。
  150. 中島武敏

    ○中島(武)委員 しっかりやってもらいたい。  それじゃ法案の質問に入ります。時間の関係から住宅・都市整備公団法の第一条と第二十九条にしぼって質問をしたいと思います。たくさんのことをお尋ねいたしますので、私も質問はなるべく簡潔にお尋ねするつもりでおりますが、答弁の方も簡潔にお願いしたいということをあらかじめお願いいたします。  まず第二十九条の業務の問題についてお尋ねします。  市街地再開発事業がうまく進まない理由というのはいろいろとあると思うのですけれども、最大のネックは何でしょうか。
  151. 升本達夫

    升本政府委員 先生御承知のとおり、再開発事業は施行地区内の既存の建築物をすべて除却して、全く新しく公共施設と中高層の建築物を一体的に整備する事業でございます。したがいまして、地区内の関係権利者の生活環境あるいは権利形態が一変されるというのが通常でございます。こういった性格の事業でございますので、各権利者に事業後の生活に対する不安あるいは共同化に対する抵抗感が多く存在する、それから関係権利者の数が多い、権利関係も複雑であるということ、それから第三点といたしまして事業の円滑な完成を期するために事前の調整に大変期間を要しているという点がございます。  以上が主な理由でございますが、強いて最大のネックと申し上げると第一番目に申し上げた点かと思います。
  152. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今度新公団は業務用の再開発ができるようにされておりますが、この任務をなぜ新公団の任務とされたのか、その理由をお尋ねしたいと思います。
  153. 升本達夫

    升本政府委員 大都市地域の現状にかんがみまして、この地域の枢要な部分について再開発が必要であるということについては大方のお認めをいただけるところであろうかと思うわけでございます。この場合に、再開発事業はただいま申し上げましたように大変手間のかかる仕事でございます。この仕事を現在の要請に合わせて実施をいたしてまいりますためには、可及的に多くの機関が参加することが望ましいのではなかろうか。広義の再開発におきましては民間の権利主体の行うものもございますが、公共的な性格を持つ機関も必要な部分を分担して、再開発の実施に努めなければならない状況にあろうかと思うわけでございます。新公団は、住宅供給、宅地の供給とあわせまして都市の整備についてもすでにいままでかなりの実績を持っているわけでございます。このような機関をさらに活用を図りまして、この機会に再開発の仕事の重要な一翼を担ってもらうという必要があろうということで、新しく再開発事業の実施主体、住宅供給とかかわりのない部面におきましても再開発の事業ができるような機能を授権させていただきたい、かように考えている次第でございます。
  154. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは率直に言いまして、新しい公団を発足させますと、新しい公団にはその能力があるでしょうか。
  155. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のように住宅公団は数々の団地の開発を手がけてまいりましたし、計画についての実績も十分有しておりますし、また、市街地の立地におきます住宅供給事業についても、計画づくりから実施の段階まで相当の実績を有しておるわけでございます。再開発事業におきましても、その事業によって供給される建物の目的の差異は若干あろうかと思いますけれども、事業の進行あるいは計画のつくり方その他については共通するものが多かろうというふうに考える次第でございます。
  156. 中島武敏

    ○中島(武)委員 業務用の再開発を行うところとして、いま局長の答弁にもありましたが、東京、大阪、名古屋等の大都市の既成市街地等の枢要な地域において行う、こうされているわけですが、この枢要な地域というのはどんなところのことを言うのでしょうか。たとえば東京で地名を挙げればどういうところになりますか。
  157. 升本達夫

    升本政府委員 法律上の条文の表現といたしましては枢要な地区という言葉は使っておりません。条文の言葉で申し上げますと、大都市の既成市街地等のうち、「特に一体的かつ総合的な市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区」、こういうふうに言っておりまして、私ども簡略に枢要な地区と呼んでおりますのは、法的にはそのような表現をいたしておる地区でございます。したがいまして、これを簡単に申し上げますと、かなりの広がりを持って再開発を必要とすると認められる状況にある地区という程度の理解を私どもはいたしておる次第でございます。  そこで、具体的には先般来御審議をお願いいたしました再開発法の改正によりまして、新たに都市再開発方針を知事の義務としてお認めをいただいたわけでございますけれども、この再開発方針によって定められる再開発を要すべき地区を念頭に描いておりますが、もしくはそれに準ずるような地区というふうにお考えいただいてよろしいかと思います。具体的な地名につきましてはその段階で明らかに申すべきことだと思いますけれども、常識的に申し上げますと、たとえば現在一部事業を実施しかけております江東の木場地区、それから隅田川の河畔の地区の一部というようなところが当然にそのようなところへ入ってこようと思いますし、あるいはまた周辺の区部におきまして住宅の密集している、あるいは街路網が非常に貧弱なところというようなものも当然そのうちの一部に入ってまいろうかと思うわけでございます。
  158. 中島武敏

    ○中島(武)委員 東京におきましては鈴木知事のマイタウン構想が次第に具体化しつつあります。去る三月三十日に都計審におきまして「東京市街化区域および市街化調整区域の整備・開発・保全の方針」が決定されました。その中の一つとして「既成市街地の再開発の方針」が決定されております。すなわち、再開発を行うところとしてどういうところを挙げているかといいますと、都心部としては有楽町駅前地区、副都心部としましては新宿、渋谷、池袋、上野、浅草、錦糸町、それから都心、副都心周辺部及びその他区部として赤坂、港南、大川端、江戸川橋、飯田橋、西大久保を挙げております。そのほか赤羽駅西口、大井町駅、西大井町駅、新小岩駅、荻窪駅周辺地区、さらに三軒茶屋、下北沢周辺、荒川沿岸、江東デルタ地帯を挙げておるわけであります。  この新公団はこの法律にも書かれているとおり、再開発をやるという場合には地方自治体の要請を受けて、あるいは待ってこの再開発の事業を行うというようにされているわけですね。そうしますと、この新しい公団東京都知事から、いま挙げたようなところを再開発するということを決めているわけですが、要請があればこれらの再開発を引き受けるという用意があるわけでしょうか。
  159. 升本達夫

    升本政府委員 先ほど申し上げました法律上の条件に当たるような地区でございますれば、都知事の要請を受けて再開発事業を実施する用意があるわけでございます。
  160. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは一言で言いますと、東京の場合で言えばマイタウン構想のお手伝いをする、あるいは促進をする、あるいは実行部隊として大いに新公団が活動するということがわかるわけであります。  私、もう一つ関連して伺いたいのですけれども、都市計画道路、これは実にたくさんの路線を決定しているのですけれども、この建設が進まない理由はなぜだと考えておられますか。
  161. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のとおり、特に大都市におきましては都市計画街路の整備が大変おくれておる状況にございます。その理由というお尋ねでございますが、やはり最近の急速な市街地の拡大という事象並びに道路交通需要が大変著しく増加している事象が片方にございまして、片方に財政上の制約という要因もございます。このようなことから私どもが期待をいたしておるほどにはかばかしくは進捗を見ていないという状況でございます。
  162. 中島武敏

    ○中島(武)委員 道路問題というのは、いまも答弁がありましたが、余り明確に言っていらっしゃらない点もあろうかと思うのですけれども、一番問題なのは、私が直面していろいろと思うのですけれども、そういう道路をつくられては困る、こういう権利者の人たちが市街地再開発と同じように非常に抵抗感を持っておられる、あるいは反対運動に立ち上がるということが非常に多いのです。そういうのを現在の買収方式で進めようと思ってもなかなか進まない。私はいろいろなことから聞いているのですけれども、こういうのはやはり再開発方式に変えた方がいいのじゃないかという意見が検討されているそうですけれども、どうですか。都市局長なんか、見ていてこれは買収方式じゃなかなかうまくいかぬぞ、やはり再開発方式なんかを導入できるところは導入したらよいというふうには考えられますか。
  163. 升本達夫

    升本政府委員 市街地の現状にかんがみまして、再開発を要する地区には二通りの要因があろうかと思うわけでございます。一つは、確かに御指摘のように街路網の整備等の公共施設が非常に不足しているために、非常に危険であるという状況あるいは交通麻痺が起こっているというような状況、もう一つは、街区、ブロックの中の建築物建築状況が悪い、非常に密集しているあるいは木造が多いというようなことで大変危険性が高い、あるいは十分なスペースがとれていないという状況がございます。この両方の要因によって再開発の必要性が論じられているのではないかと考えるわけでございます。したがいまして、おただしのように道路を拡張するあるいは新設する必要性から再開発事業ということも一面あり得るかとは思います。しかし、それのみの目的を持って再開発事業が実施されるというふうには私ども考えておりません。その地区の状況全般を見て、再開発の必要性があるところに事業が実施される、その結果として道路が整備されるということになるのではなかろうかと思っております。
  164. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは重ねてお尋ねしたいのですけれども、必ずしも再開発で道路がうまくいくというものでも——そういう部門もあると思うのです。採算がとれればそれもよろしいということになろうかと思うのですけれども、そうでない場合もある。新しく公団ができて、そういう場合に知事が要請して、ひとつ何とか頼む、こういうようなことがあったときには新公団はこういうところにも出かけていくわけですか。
  165. 升本達夫

    升本政府委員 あるいはお尋ねの御趣旨が道路等の整備費の費用のかぶりの御心配がという感じもいたすわけでございますが、再開発事業として実施いたします場合に、それによって道路が広がるあるいは新設される場合のその改造費あるいは新設費、これは当然公共事業費の方から支出をいたします。それを受けまして、再開発事業者がそれを費用の一部として全体の再開発事業を完遂するということになりますので、道路築造のための費用が権利者にかぶって、御迷惑をかけるということにはならない仕組みになっておろうと私どもは考えておる次第でございます。
  166. 中島武敏

    ○中島(武)委員 要請があったら行きますか。
  167. 升本達夫

    升本政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、法律の条件に合う地区でございまして、要請があれば出動が考えられようかと思います。
  168. 中島武敏

    ○中島(武)委員 再開発というのは非常にむずかしい問題なのですね。過去のいろいろな経験からいっても、これは評価の問題もありますけれども、私らが見るところ、これはうまくいったと思えるところというのは本当に数えるほどしかないと言ったら言い過ぎでしょうか、あるいは見解が分かれるかもしれませんけれども。  もう一つお尋ねしたいのです。  都市局長、再開発をやりまして、その権利者がそこに権利変換して入居する、これは一体どの程度なものでしょうか、全国的に、率からいいますと。
  169. 升本達夫

    升本政府委員 昭和五十四年度までに完了いたしました再開発事業四十九地区の平均でございますが、従前の権利者数の約四六%が再開発事業後の、要するに権利変換を受けて施設建築物に入居しておられます。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕 この数字は若干低いようでございますが、この関係権利者の中では、当然に交換の権利をもらわれる方以外にも、たとえば保留床を優先分譲を受けて新たに所有者として入られる方あるいは地区外に、再開発住宅に入居されるというような方もあるわけでございまして、その分はこの四六%のパーセントに入っておらないわけでございますから、事実上前の権利者が同じような形でその地区に住まわれるそのパーセンテージはもっと上がろうかと思います。
  170. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もうちょっと聞きたいのです。  それは最初の場合でありまして、一たん入った、入ったけれども結局そこでは商売にならないとかいろいろな理由で出てしまう場合がありますね。私らが聞いているものでもそういう人が非常に多いのです。そういう点では定着率といいますか、関係権利者でそこにずっと長年定着してやっておられるというのをお調べになっていたら教えてもらいたい。
  171. 升本達夫

    升本政府委員 残念ながらそれにお答えできる統計数字を持ち合わせておりません。これはあるいはその点もお調べ申し上げるべき筋かもしれませんけれども、私ども考え方といたしましては、再開発事業でできました建築物の部分にお入りになるかどうかというのは、権利者の全く自由な選択で決めていただくことになるわけでございまして、したがいまして、入られた以上は、これは一般のビルにお入りになる、一般の高層住宅にお入りになった方といわば同じような関係で入っていただいているものと私は理解しております。したがいまして、いまのところお答え申し上げるべく用意した数字はございません。
  172. 中島武敏

    ○中島(武)委員 五十何%の人が当初の段階でよそに出なければならない。それは自由だということを言われるわけですけれども、言葉を悪く言えば入れない、追い出される、こういうことにもなるわけです。——いや、そうじゃありません、そういう御見解であることは先ほどの答弁からわかっておりますが、しかしその後もまた定着できないということになるわけでして、その辺は非常に問題のある一面、大変重要な一面を持っていると思うのです。  それからもう一つこの問題でお尋ねしたいのは、都心部あるいは副都心部で新しい公団が業務用の再開発をやる、同時に住宅再開発もおやりになるわけですね。しかし、ちょっと常識的に考えると、都心、副都心部なんというのはそこに住宅をつくりましても相当な価格になってしまうのじゃないかというように私は思うのです。職住接近だ、そこへ住宅をつくるのだ、大変結構です。結構ですが、大変なことになるのじゃないだろうかと思いますので、近く手がけられる可能性の大きい大川端の再開発、ここに公団住宅をつくる、あるいはこれを賃貸するあるいは分譲するという場合に一体どれぐらいになるものか、あるいは都心ではどれぐらいになるものか、副都心では幾らになるものか。あるいはまた、先ほど私の言いました三月三十日の都市計画審議会で決められております、ここははっきり住宅をつくるというふうに述べられておるのですが、江戸川橋、飯田橋、西大久保あたりですね、この辺でやったら一体どの程度分譲あるいは賃貸価格の住宅ができるのか、この点をお尋ねしたいのです。
  173. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 私どもがやる予定にしておりますのが大川端地区でございます。ここは私ども土地を一部取得しておりますが、これにつきましては本年度東京都が再開発という立場から基本方針、基本計画をお立ていただく、それに従って私ども住宅を建てていくというような形になります。したがいまして、どういった住宅をどの程度入れるかという基本方針、あるいは学校の問題、道路、橋の問題、いろいろな問題がございますが、そういう点についてまだ東京都から計画を聞いておりませんので、私どももいまのところ試算をしようがないということでございます。しかし、一般的に考えますと、百平米程度住宅でございますと恐らく三千万は超すのだろうというように考えております。
  174. 中島武敏

    ○中島(武)委員 百平米分譲で三千万は超すというようなお話ですね。賃貸にすればどうなるかということは計算すれば出てきますね。現実問題として新公団は十月一日から発足をする。それで、大都市のいま言ったようなところでもどういうつくり方をすればどうなるのかというようなことについては、実際これからやる事業ですから、もう当然いろいろな試算があってしかるべきだと私は思うのです。恐らくずいぶん高くなると思うのです。いま三千万は下らない、三千万は下らないで四千万の方にいくのかあるいは五千万の方にいくのかわかりませんけれども、やはり公団が発足する前からきちんとそういうような検討を加えてしかるべき問題だというように私は思っているわけです。どっちにしましても、いまの東京平均から見ましてもうんと高いものができる。果たして一体だれがここに入ることができるのだろうという気がするわけですね。  それから、都市局長にちょっとこの問題の最後に伺いたいのですけれども、私が再開発法のときに質問をしましたところが、東京二十三区内で言えばその三割から四割を再開発する。上田参議院議員がそれに要する公共投資は幾らかということをお尋ねしましたら、十一兆円という答えが返ってきました。これは公共投資だけですから、主として道路、下水なんかも入るかと思いますけれども、そういうものに対する投資なのですね。民間の投資は一体どれぐらいになるというふうに試算をしておられるのか、それを伺いたい。
  175. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのとおり、東京都二十三区内で何らかの形で再開発を必要とするであろう地区の面積の二十三区全域に対する割合は、私どもの調査では大体三〇%に当たる区域の広がりだろうというふうに推定をいたしておりまして、この地区に投資されるべき公共投資の額が十一兆円というふうに申し上げました。  そこで、ただいまおただしの、しからば民間の投資額がどのくらいになるかということでございますが、これはその地域の土地利用状況でございますとか公共施設の整備状況等、いろいろ条件がございまして、具体的にどういう事業をそこへ実施していくかによって大幅に変わります。したがいまして、精密なお答えはできかねるわけでございますけれども、仮に公共用地の割合を四〇%、それから容積率を三〇〇%と置きまして試算をいたしてみますと、この全域について投下されるべき民間資本は四十三兆円程度という数字になります。
  176. 中島武敏

    ○中島(武)委員 民間投資四十三兆円というのはきわめて巨大な投資だと思うのですね。再開発法を審議するに当たりましても私は言いましたが、各業界からいろいろな提言がなされて、そして再開発法の改正が行われるという経過をとっておりますが、いままた新しい公団が業務用を含めてこの再開発に乗り出すということになるわけです。だから、一面から言いますとこの問題というのは、いわば民間の大資本にとっては大都市の再開発というのは二十一世紀へ向けて生きる道として大変な重点に置いている問題だと思うのです。建設省考え方としても私はこのことを否定しないと思います。しかも、知事の要請を待ってということではありますけれども、新公団がこういう部面に大いに乗り出していくというのが今度の法案の一つの大きな問題じゃないかというように私は思っております。  それで、いま東京大都市を考えてみますと、実は枢要の地、いわゆるそういうところにおける再開発も必要でしょうけれども、しかし東京なんかで言えばあすにも地震が来るかもしれない。ところが、木造密集地帯というのは東京なんかの場合にも非常に広範囲にあるわけです。そういうところで一たん火事が出れば一体どうなるのか、死者が何人という試算もやられておるわけであります。再開発をするという場合にはむしろそういうところこそ再開発をして、そして人命を守らなければいけないのじゃないのかというように私は考えるわけであります。そしてまた、せっかくここに公団をつくるというのであるならば、そういうことをむしろ任務とするべきなんじゃないのか。ところが、再開発法のやり方でやりますから、採算とれなければとてもじゃないけれども手が出ない、そういう仕組みになっている。その点から、この新公団のやろうとしているところについて、率直に言うと私は大変遺憾に感じておるわけであります。  時間の関係もありますものですから、ちょっと先へ進みます。  公団法の第一条に関連をして伺いたいのです。これはこの間うちの審議からよく問題になっておりますように、公団法の目的から「住宅に困窮する勤労者のために」を削除している、このことに関連して私は伺いたいのですが、まず大臣に聞きたいのです。勤労者の公共賃貸住宅に対する最近の大変な入居希望、これはどんなふうに認識をし、考えておられるかということについて大臣の見解をお尋ねします。
  177. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 勤労者賃貸住宅への入居希望につきましては、いささかも希望が減っていないというように考えております。しかもいままでと違って、数的な問題よりも質的な面で皆さん方の御要望が非常に多いということを知っております。特にさらに一層過密化しつつある大都市におけるニーズについて強い御要望があるということ、したがいまして、四期五計の中においてもバランスにおいては数的には御批判もありましたけれども、そうした面につきましても十分な配慮をもって対応するような心組みであるわけでございまして、何とか都会地に住む方々の御要望については十分承知をして対応するという考え方でございます。
  178. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは私から申し上げるまでもないのですけれども、いまマンションの契約率というものを一つとってみましても大変な落ち込みようなんです。昨年の十二月、それからことしの一月、もう五〇%を切っているという状況なんですね。しかも分譲マンションの価格というのが、これは東京都の平均ですけれども、五十五年分譲で二千六百九十三万円、これは面積の平均は五七・三平米ですが、大変高騰してしまった。もうちょっと勤労者は手が出ないという状況になっている。それから、もう言わずもがなですけれども、大変なローン地獄、社会問題にもなるような状態であります。それから住宅の着工件数、これも大変な落ち込みようであります。その一方で、賃貸の空き家に対する募集は物すごく殺到している。これは公団総裁よく知っておられるところだと思うのですけれども、場所によりますと六千倍というような倍率を数える場合さえあるわけです。これは何か。私は率直に言いますけれども、これは政府持ち家主義の破綻じゃないか。いま勤労者が本当に求めているものというのは、なるほど質の問題もあります。それは当然であります。しかしもっとたくさんの量の問題、しかも賃貸住宅でなければ手が出ない、これも本当のところじゃないのかと私は思うのです。そういう点から言うと、四期五計で公共住宅は、三期五計に比べてもいま大臣言われましたけれどもずいぶん減っているわけですよ、率直に申して。公営住宅で十二万五千戸減っていますね。公団住宅で十一万戸減っている。これについて大臣はどう考えるのか。つまり今度新しく新公団法をつくられましたが、第一条、「勤労者のために」、これは消えてなくなっているということとの関係で、私考えると、この新しい公団住宅の方から、全面撤退じゃないかもしらぬけれどもだんだん撤退していくんじゃないのかという危惧の念を消すことができないわけです。三期五計よりも四期五計の方がずっと減っているじゃありませんか。大臣、これはどうなんですか。
  179. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 確かに数的な面ではそういうことになっておるわけでありますが、先ほど来申し上げましたように、勤労者方々も質的な面を意外に御要望なさっておられる。問題は都会地のことでありますけれども、いま有効ストック二百七十万戸あるわけであります。したがって、一応数的には満ち足りたお住まいになっておるわけで、いま御指摘のような形で希望者が何百倍というところはやはり近くていいところへというニーズがあるわけで、さすればそういうところに何とか公的賃貸住宅を建てようとすると今度は土地の問題で行き詰まるという形、そういう総合的な駐路を克服しながらやっていきますと、いままでの一期、二期、三期五計でやってきた実績を踏まえて、どうしても私たちは実質的数字として、数字的には減ったと言いますけれども、先ほど内容的と申し上げましたのは、実のある方法でやってまいりたいということを考えておるわけであります。  先ほど先生、再開発の問題で非常に識見のある御指摘をいただいて、大変ありがたく感じながら承っておったわけでありますが、たとえば木賃住宅の問題あるいは市街地再開発の問題、そうしたことを総合して、何とか都会における賃貸住宅の問題は解決する一つの要素になるであろうと思います。そうしたことを総合的にやってまいるわけでありまして、午前中も御指摘がありましたけれども表現の違いはあっても、内容的にはいささかも困っておられる方々への住宅配慮には欠くるものはありませんということをはっきり申し上げたわけで、せっかく御理解のほどをお願いを申し上げる次第でございます。
  180. 中島武敏

    ○中島(武)委員 二百七十万戸のストック、こう言われる。しかし、最低居住水準にも満たないものも全部数えられてのこれは二百七十万戸なんです。私は質をよくするということについて何も否定的な見解を述べているのではありません。質はよくしなければならぬですよ。これは後でもちょっとお尋ねしたいと思っておりますが、しかし、同時に量の上だって満たしていないじゃないですか。最低居住水準にも満たないもの、そういうものも全部数え上げて、絶対数はもう足りたんだ、この認識で進んでよろしいのかということですよ。私はこれは本気に、そうじゃないと、大臣首を振っていらっしゃるからそうじゃないのだ、こういう御意見なんでしょう。それだったら閣議決定、四期五計、これはもうやり直ししよう、よしもう一遍やり直して、ちゃんと勤労者が望むような賃貸も大いにつくる、それくらいの気持ちはありませんか。
  181. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そういうことを含めての上の四期五計でございまして、ひとつ誤解のないようにお願いをいたします。私たちあくまでも居住水準も上げ、そうした良環境のもとでりっぱな住宅に住んでもらうという計画設定につきましては少しも変わっていないということをはっきり申し上げる次第でございます。     〔村岡委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 中島武敏

    ○中島(武)委員 しかし、一言言っておきますけれども大臣、そういうふうに答弁してくださっても、じゃ数はどうするんだ、この問題はやはり疑惑は解消しないと思うのですよ。そこは本当にしっかりしてもらわなければ困ると思うのです。  それじゃ、大臣の強調される質の問題について私、お尋ねします。  さっきも私、再開発の住宅だとか都心、副都心におけるものだとか、その他のことについて聞きましたけれども、相当な家賃になる。これを抑えるという意思がおありかどうか、また、おありだとするならば、どういう方法によってこの家賃を抑えるか、この問題について伺いたいと思います。
  183. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅公団建設いたします賃貸住宅につきましては、最近の地価の上昇、建築費の値上がり等、また、一方は住宅の質の向上を図るための規模の拡大、設備の改善等を図っていっておりますので、その原価は年々高額化の傾向にあることは御案内のとおりでございます。このような現状にかんがみまして、私ども従来から国からの利子補給金等によります金利負担の軽減、特に両開発、再開発等の住宅につきましては四・五%程度まで金利負担を軽減するという措置をとっておりますし、また、傾斜家賃制度の採用あるいは住宅宅地関連公共施設の整備促進事業制度の活用と、またその拡充、それから特定住宅市街地総合整備促進事業制度等の活用に努めてまいりましたが、今後とも、新公団になりましてもこのような措置の拡充強化等に努めながら、その家賃負担の軽減を図ってまいりたいと思っております。
  184. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間ですから終わりにしなければならぬと思うのですが、私、最後に伺いたい点を簡潔に幾つか言って質問を終わりにしようと思います。  一%利子補給を公団住宅に対してやれば、現在一万三千円ないし一万四千円家賃を下げることができる。私は、これからの住宅に対して、本当に勤労者大臣が言っているように住んでもらおうというのであるならば、これくらいの措置はとるべきじゃないか、これについて政府はどういうふうに考えられるか、これが一つです。  それからもう一つは、これからの新設の団地だけじゃなくて、既設の団地についてやはり同じように質の改善ということを図っていく必要があると思うのです。そういう点で私が聞きたいのは、せっかく団地に入ってもなかなか狭くて、そして親戚から人が出てきても泊まっていってくれと言うこともできない。そういう狭さを解消しなきゃいけない。ぼくは場所によっては宿泊施設なんかもちゃんと用意をするというようなことが公団として必要なんじゃないかというふうに思うのです。こういう点についてはどう考えられるか。  それから古い団地になりますと大変高齢化して、団地がだんだん、こんな言葉使ってはなんですけれども、スラム化していくという方向が出てくるのです。ですから、私は六十五歳なら六十五歳を過ぎて、なおかつ若い夫婦がいるというようなところには二戸貸しをして、スープの冷めない距離でそれこそ一緒に食事ができるとか、そういうことも考慮に入れなきゃならないのじゃないだろうか、あるいはまた、さっき促進事業費の問題も言いましたけれども、これも建設省関係だけじゃないですか、いまやっているのは。学校とか保育園とか幼稚園とかというような文部省や厚生省関係のところには出されていないのですよね。やはりそういうところに対象を拡大していく必要があるのではないか。あるいはまた、こういうことの何らの恩恵も受けないために、非常に高い家賃に入らなきゃいけないという団地が今日なおかつ残っているのですね。そういうところに対して、これは遡及適用というのか、あるいはまた遡及適用しやないにしても何らかの方法でもっと手段を講じるということが必要なんじゃないでしょうかね。それらについて、私は、さっき大臣が答弁しておられるような観点から言うならば、新設、既設を問わず、これくらいのことはやるべきなんじゃないのかということを考えます。その点について答弁を求めて、私、質問を終わりにしようと思います。
  185. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  まず第一点の利子補給でございますが、御案内のとおり現在五%を基準といたしまして、特別なものにつきましては四・五%の利子になるように利子補給を行っておりますし、また特定住宅市街地総合整備促進事業制度におきましては、国の出資を行うことによりまして土地の保有期間中における金利をゼロということにするように運用いたしております。もちろんこの点につきましては、今後私ともさらに検討していく必要があろうかと思いますが、現段階では国の財政状況等も考えますと、この運用をもっていい住宅を適正な家賃供給するように努めていきたいと思っております。  また、既存住宅改善につきまして、いろいろな方法があろうかと思います。これは一つは集会所等の整備等も図っておりますが、そういったものを整備する中で、ただいま先生御指摘のようないろいろな御提案等も検討してまいりたいと思いますし、また、将来につきましては、居住していらっしゃる方々との御相談の中で既存住宅の質の改善を図るための改築ということもあり得るであろう。また、現在テラスハウス等につきましては同意をいただきながら増築をしておるところでありますので、こういったような方法等も拡充してみたいと考えております。  また、高齢者の方々がお住まいになっておりますような住宅で子供さんと御一緒に住むというようなことにつきましては、住宅公団の方でもいわゆるペア住宅というようなことで二戸貸し等も運用しておるところでございますので、今後実態に即応して対処してまいりたいと思います。  それから。最後に促進事業費の関係でございますが、御指摘のとおり現在の促進事業費につきましては、いわゆる公益事業、すなわち学校、幼稚園等の施設につきましては対象となっておりませんが、文部省関係の方でも御予算を準備していただいておりますし、必要なところにつきましては的確に補助していただくように運用しておるところでございますし、また必要に応じまして国土庁の調整費等の活用の道もあろうかと思われます。現在、促進事業費につきましては私どもの方で所管しておりますものですから、建設省所管事業ということに限られておりますが、いま申しましたような各省の御協力もいただきまして、住宅団地あるいは宅地開発等におきます関連公共公益施設の整備については、なるべく国の方でめんどうを見ていって、少しでもその開発コストの引き下げにつながり、また事業の促進にも資するように図ってまいりたいと思っております。
  186. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いまそれぞれの御質問につきましては住宅局長からお答えいたしたとおりであります。先生の本日の御指摘の面につきましては十分配慮して対処してまいる所存でございます。
  187. 中島武敏

    ○中島(武)委員 終わります。
  188. 稲村利幸

  189. 柿澤弘治

    柿澤委員 住宅・都市整備公団法の審議に関連して質疑をいたしたいと思います。  今回、住宅公団宅地開発公団の統合が行われて、その目的の中に都市整備というものが含まれたことについては、私どもは大きな前進だというふうに考えております。その点は率直に評価をしたいというふうに考えておりますが、ただ、この公団の事業の中で都市整備の事業というものがどのくらいのウエートを占めてくるのか、その辺についていささか危惧の念がないわけではない。その辺を中心にお伺いをしたいと思っているわけでございます。  住宅建設の促進という点を考えますと、現在の状況住宅を単独で取り上げたのでは、これはもう整備が追いつかない時代になっている。これは二月建て住宅についてもそうですし、住宅公団が従来やってきたように都市周辺に新しい土地を購入をして住宅を建てていくということでは、遠、狭、高という、ある意味では時代のニーズにマッチしない住宅を建てる以外にない。その意味では、住宅問題が都市整備という観点の中で、その一環としてとらえられなければ今後事業が進まないという時代になってきているというふうに私どもは認識をしているわけでございますが、その点についてのまず大臣の御意見を伺いたいと思います。
  190. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御意見に全く同感でございます。これからの土地政策というものは、もちろん住宅は柱であろうと思いますけれども、そうした総合的なプランの上に対策を立てていくものと考えております。
  191. 柿澤弘治

    柿澤委員 その意味で、これからの新公団の都市整備という大きな視点の中での住宅建設の促進という事業に大いに私どもも期待をするわけですけれども、それでは具体的に新公団として都市整備にどういう手法で取り組もうとしているのか、その辺についての見解を伺いたいと思います。
  192. 升本達夫

    升本政府委員 住宅公団は、ただいままで御承知のように市街地の再開発に関する事業も住宅供給の手法の一つとしてやってまいりました。しかしながら、先生御指摘のように、現時点ではなかなか住宅サイドからのアプローチだけでは十分な都市整備、都市改造の役目を果たしがたいということから、新しく今度新公団に機能を付与していただくことを考えております。  それは従来、再開発事業にしましても区画整理事業にしましても、住宅公団が行えることになっておりますものは、住宅公団供給する住宅建設あるいは宅地開発、これに関連する限りにおいてそれらの事業を施行できるという形になっておりましたのを、今回もちろんそれも引き継ぎますが、それに加えまして、新たに住宅、宅地の供給関係がなく、大都市、都市の再開発、都市機能の回復、改善、このような見地から行う再開発事業あるいは区画整理事業についても、同様に新公団の施行権限の対象にさせていただくという手法をもちまして、御指摘のような都市整備、再開発事業に邁進をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  193. 柿澤弘治

    柿澤委員 住宅建設関係のない都市機能の向上等に関する再開発というお話がありましたけれども、その場合、都市機能というのはどういう意味でお使いになっていらっしゃるわけですか。重要なポイントから順に挙げていただきたいと思うのです。
  194. 升本達夫

    升本政府委員 重要な順序からとおっしゃられますと、私ちょっと確信を持ちかねますが、いわゆる都市機能ということの中に包摂して私ども考えておりますのは、円滑な交通の維持、それから同じようなことになるかもしれませんが、業務活動が順調に行われるような機能、それから居住環境の整備改善、居住環境の維持、それから防災構造化といいますか、防災機能、おおむねそのようなところが大きな要素かと思っております。
  195. 柿澤弘治

    柿澤委員 重要と考える順序で挙げてくださいと申し上げた理由は、いまのお答えの中にも私ども若干疑問を感ずるわけですが、交通、業務活動、居住環境、そして四番目が防災だ。これは重要な順序ではないとおっしゃるかもしれませんけれども、頭の中にある順に挙げていくと、いまの建設省のお考えでは自動的にこうなるのです。実は、いま中島委員のお話を聞いておりまして、防災の重要性というのを取り上げておられました。この点ではまさにイデオロギーの差はないということを私どもつくづく感じたのですけれども、いまの順序は逆にすべきではないでしょうか。
  196. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そういう質問をいただくことは大変ありがたいことであります。住宅・都市整備公団の意味合いというものは、そうしたもっと深い、幅の広い目的もあるわけであります。住宅主導型で住宅が前面に出ておりますけれども、何としてでも特に東京の都民の方々を災害から救って差し上げたいというのが私の念願であります。私、党の地震対策特別委員長をやりまして地震立法を手がけた一人といたしまして、余りにも東京方々が東海沖地震等々について御認識がないということ、したがって、建設省を挙げて防災対策の都市計画を含めて住宅問題に取り組んでおるわけで、そういう面から言いますれば、まさに先生御指摘のように、防災というものをまず挙ぐべきものであろうかと思います。しかし、大きい意味で住宅政策というものが非常に関心のある問題でございますので、つい住宅・都市整備公団というふうに住宅が先になったわけでありますが、意味合いとしてはいささかもどちらがということではなくて、しかしやはり安心をして住める防災都市でなければいかにりっぱな住宅を建てても皆さんが平和で快適な生活ができないわけで、御指摘については大変敬意を表します。
  197. 柿澤弘治

    柿澤委員 建設大臣東京都民の命を救ってくださるということで救世主のように思いますけれども、それは防災についての都民の認識が低いのではなくて、やはり担当の省庁の中でその点についての認識がいままで低かったということではないかと思うのですね。ですから、それを都民の認識の低さというふうにおっしゃられますと、私も都民の一人でありますから、その点大臣の御認識にいささか疑問を呈せざるを得ないわけですけれども、これを幾ら口を酸っぱくして言っても、建設行政の中での防災のウエートというものはなかなか上がってこない。いまお話がありましたけれども、交通というのはもちろん通勤の交通もありますけれども、道路交通その他業務交通というものが非常に大きなウエートを占めている。その次は業務活動だ。三番目に居住というのが出てくるということで、やはり産業活動優先の都市構造をお考えになっているのじゃないか。その点で、住宅・都市整備公団がいわば産業活動を円滑化するための、一つの基盤整備公団になってしまうという懸念をいろいろな方が表明をされているのも、多分そうした従来の惰性的な考え方が根強く残っているからじゃないかというふうに感ずるわけです。その点は全くそうではないというふうに建設省の事務当局の方もおっしゃっていただけるのかどうか、その辺を重ねてお伺いをしておきます。
  198. 升本達夫

    升本政府委員 住宅公団の業務はそのまま新公団の業務内容になるわけでございまして、名称も住宅・都市整備公団ということでございますから、従来からの住宅公団の使命はそのまま引き継ぐわけでございまして、それに加えて、都市整備という要請から新たな業務を実施をさせていただくということでございますので、従来の使命に加えて新たな業務を行う機関が設立されるというふうに御理解をいただきたいと思っております。
  199. 柿澤弘治

    柿澤委員 私の質問に答えていないですね。その新たな事業の都市整備の目的は何か、主たるねらいは何かという意味で先ほど四つお聞きしたわけで、その重要性をどうお考えになるかという点を聞いているわけです。
  200. 升本達夫

    升本政府委員 私が先ほど都市機能の内容の御説明を申し上げましたのは、全くその重要度という観点を除外をいたしておりまして、都市機能には非常に複合的な要素があるものであろう、その場合に、私として余り御説明になじみにくいものを事前に御説明を申し上げたという結果がそのような順序になったものと御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  201. 柿澤弘治

    柿澤委員 それでは、整備の緊急性という意味ではどうですか。
  202. 升本達夫

    升本政府委員 一概に、直ちにどの事業が最も緊急を要するかというのはむずかしい判断であろうと思います、しかしながら、現時点におきましては大都市あるいは特定の地域について地震その他の災害の危険性が迫っているというのが一般的な認識かと思います。それに対応するべき施策あるいは事業ということが緊急度が高いものという理解をしております。
  203. 柿澤弘治

    柿澤委員 防災についての緊急度が高いという御答弁がありましたから、その辺をこれから公団の業務を配分をする場合もしくは事業計画を立てる場合に、いまの都市局長のお話をぜひ一つの基準というか、指針として実行していただきたいというふうにお願いをしておくわけでございます。  この目的の中に、「都市地域において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境」とありますけれども、「健康で文化的」とかいう美辞麗句の前に、先ほど建設大臣がおっしゃいましたように、やはり生命と財産の安全を守る、これが何より優先されなければならない課題であろうと思うわけです。政府の責任は、「健康で文化的な生活」を国民に保障する以前に、まず安全を保障する、この点が夜警国家以来の最低限の責任であろう。その点について、防災の問題というものを都市政策の中で重視をする対応をぜひとっていただきたいと考えております。  そういう意味でこれからの事業の内容をお伺いをしたいわけですけれども、市街地再開発の事業で現在検討の対象になる、公団がまず最初に手がける計画を立てておられるところはどういうところでしょうか。
  204. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまのおただしの再開発事業を、従来からの住宅供給に関連するもの以外の、新しく都市機能更新のために行うべき再開発事業というふうに受け取らせていただきますと、これは十月一日発足を予定されている段階でございますので、今年度において具体的な事業に手をつけるという段階までは考えておりません、今年度は発足初年度でございますので、調査の段階というふうに御理解をいただきたいと思います。したがいまして、具体的な場所についていまここで名前を挙げられるところまで熟したもくろみを持っているというに至っておりません。
  205. 柿澤弘治

    柿澤委員 調査の段階ということですけれども、私ども伺ったところでは、たとえば新宿の副都心わきの密集地帯の再開発とか立川とかいうような腹案といいますか、一応の計画、予定のようなものがあるようですけれども、それはおありになるわけでしょう。
  206. 升本達夫

    升本政府委員 調査の対象個所として一応私どもが現時点で考えておりますのは、おただしのように、たとえば立川の市街地の一部でございますとか、あるいは川崎市の市街地の一部でございますとかいうようなところを考えているところでございます。
  207. 柿澤弘治

    柿澤委員 その辺は先ほど私どもが力説をし、局長も緊急度という意味でお認めになった防災との関係はどういうことになるのでしょうか。私どもは、新宿の副都心周辺も必要でないとは言いません。立川も必要でないとは言いませんけれども、果たしてそれがこれからの都市再開発の緊急のテーマなんだろうかというふうに考えていくと、どうもそうではないような気がするわけです。確かに新宿の副都心でビルが林立しているわきにバラックが並んでいる、かっこうは悪いかもしれません。だからそれを再開発する。しかも地価が高いですから再開発のメリットはある。しかし、それはいわば顔の中にあるほくろを取る美容整形みたいなものだ。そうではなくて、さっき私が申し上げましたように、現在の大都市の、たとえば東京で言えば、大地震が来たときに命の危険を冒さなければならないというような非常に危険な木造密集地域をどうやって解消していくか、そういう意味では病根はまさにそこにあるわけです。それに切開手術をするための公団であるならば、これは本当の意味で都市を健康にするための名医であり、外科医であると思うのですけれども、ほくろを取って美容整形をしようといろんなら十仁病院で結構なんで、新たな公団などつくる必要はない、そういうふうに思うわけです。その辺の重要度の認識をもう一回確かめておきたいと思います。
  208. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のとおり、たとえば東京の江東地区で申しますと、これは東京都がかなり前から六拠点構想によって調査を重ね、事業も実施をしつつある段階でございます。あるいは東京の都心の数カ所につきましても東京都独自でかなりの調査が進んでいる地区もございます。したがいまして、私どもは、そういうふうな調査の結果を何も排除する趣旨はございません。調査の段階でございますと、それらの調査結果も十分活用のできることでございます。しかしながら、また公団としても独自の調査もまた必要であろうということから、いままでの調査結果のまとまりが比較的薄くて、かつ重要な地域と考えられるところをとりあえず調査地点として予定したというにとどまるわけでございまして、いずれの段階でどこから事業を着手するかというのはまた別論になろうかと考えております。
  209. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、公団としても、東京都で調査をしているものの中でこれから公団が積極的に引き受けていくものがあれば事業としてはやっていきたい、こういう御趣旨と受け取ってよろしいわけですね。  それからもう一つ、ことしの予算では都市再開発事業二億円の調査費、これが唯一の予算化された経費なわけです。従来やっている事業にプラスアルファですね。この二億円の調査費というのは大体何カ所くらいの調査が可能な経費なんでしょうか。
  210. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 調査段階、いろいろな段階がございます。非常に基礎的な調査の段階から実施計画に近い調査までございます。今回の場合にはその熟度によりまして実際にやることになろうかと思いますが、できれば私どもとしては、まだ完全に個所セットしておりませんが、数カ所程度は調査したいと考えております。
  211. 柿澤弘治

    柿澤委員 特定市街地の従来やっておられた再開発事業に加えてこれから新規に調査をされる。数カ所というお話が救仁郷理事からありましたけれども、その数カ所の中に商業業務地域の再開発だけでなくて、不良密集住宅地域の再開発計画の調査も地点として含めていただける、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  212. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 従来の住宅型再開発と申しますか、そういった再開発の調査費も二億円ございますし、先生御指摘のように、今度の二億円につきましては業務型しか使わないんだということでなくて、臨機応変に、必要に応じて使ってまいりたいと考えております。
  213. 柿澤弘治

    柿澤委員 私がくどくど申しますのは、公団が発足しようとするところですから、そういう意味で市街地再開発の目的があくまでも商業業務地域、いままでの駅前再開発的なものに傾斜していってしまうということであると、われわれが期待した都市再開発の目的からどんどんずれていってしまう。もちろん工事着工の難易度から言いますと駅前再開発型が容易であり、そして経済的な利益といいますか、メリットが大きい。しかし経済的なメリットを追求して都市再開発をする時代はある意味では終わって、むしろ良好なといいますか、安全な居住環境を都市住民に提供するという方にウエートを置いていただく、これが公団の業務目的として絶対に必要条件だと考えておりますので、その点を強調しているわけでございます。初年度といえども何とかそういう趣旨の調査地点を御選定いただきたい、この機会に、どことは言いませんけれどもお願いをしておきたいと思うのです。それによって、着工はなかなかむずかしいにしても、再開発のモデルをそういう地域の人たちにたとえば示していく、先ほどからお話が出ておりました、従来から手がけている木場の特定住宅市街地総合整備促進事業、これは大きな都有地の空閑地があっての事業ですから、これは順調に進んでいくでしょう。しかしその先にある問題は、たとえば同じ下町であっても墨田区の向島地区のような本当に狭い道路の中に木造住宅が密集している、こういうところをどうやって改良していくか、そこが都市再開発の最大のポイントだと思うわけです。ですから、むずかしいことは重々承知しておりますけれども、あえてそういうむずかしい問題に調査でも取り組んで、こうなればよくなりますよ、それに対して国は、公団はこういうお手伝いができるんですよということを地域住民にモデルとして示していく、計画として示していく、それによって説得をし、ある意味ではその地域の方々の、いままでの小さな地権にしがみついている考え方というものを何とかして改めていただくことが必要ではないかと思うのです。そういう点でも新公団の再開発にかけるある意味での教育効果といいますか、教育という言葉を使うと地域の住民の方にはおこがましいかもしれませんけれども、教育効果という面もぜひ重視して、活動をそちらの方へ向けていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  それから、いまお話がありました木場の問題ですけれども、防災拠点づくりということで都市公園の整備事業等をやっておりますけれども、どうもいままでのテンポではなかなか完成までに時間がかかるのじゃないかということで、地域の皆さんも非常に不安に感じているわけですけれども、この辺について、さらに事業を促進をするために新公団が何らかの積極的な役割りを果たせないか、その点についてはいかがでしょう。
  214. 升本達夫

    升本政府委員 木場につきましては、先生御承知のとおり特定モデル事業を実施中でございます。このような事業主体として住宅公団がかかわってまいったわけでございます。新公団が引き続きかかわることになろうかと思います。  それから、その周辺の地区の整備につきましては、これは再開発事業という単独の事業をもって必ずしも全部実施する必要はないわけでございまして、広義の再開発事業に当たるような諸事業を併合しながら行っていくということで目的を達し得るものと考えておりますので、そのようなこれに類似の事業、たとえば不燃化促進事業のようなものによって権利者の御同意、御協力を得ながら進めるというようなことを総合的施策として再開発を考えております。これからの計画の策定の仕方によりまして新公団がかかわる部分がかなり出てまいろうかというふうに考えておる次第でございます。
  215. 柿澤弘治

    柿澤委員 時間の制約もありますので、公団には直接関係ありませんけれども、宅地供給といいますか、住宅問題の一環として二つほどお聞きをしたいと思います。  一つは、最近新聞等でも報じられておりますけれども、宅地の値上がりというものは宅地供給の不足によるんだという意見があるけれども、必ずしもそうではない、全国でも土地区画整理事業をやりながら、それが宅地として販売をされずに所有者の手元に眠っているものが非常に多いということが建設省の最近の調査でも判明をしたと言われております。三十六年から四十九年度中に東京圏で認可した区画整理事業二万九千ヘクタールについて調査したところ、住宅が建っていたのは一万一千ヘクタールだ、まだ完成していないものや公共用地を除いても七千ヘクタールが完全に遊んでいる。そして建設省の宅地需給長期見通しで、五十六年度から六十年度にかけて東京圏で必要量とするのは一万五千ヘクタール、不足額が千四百ヘクタールということになっているわけです。七千ヘクタールが遊んでいるということになると、千四百ヘクタールの不足額を大幅に上回る数倍の土地が、区画整理事業をされながら転売をされずに値上がりを待って遊んでいるという状態、これは一体どういうことなんだろうか。区画整理事業に関しては国費がかなりの割合で投入をされている、その国費が有効に使われずに、ある意味では土地の値上がり益を待つ地主の皆さんに対するサービスになっちゃっているということで、本来の目的を果たしているんだろうかという疑問が出てくるわけですけれども、その辺についての実態と、もしそうであれば何らかの改善策はないのか、その点についての建設省の対応策をお聞きしたいと思います。
  216. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、首都圏の地域におきます区画整理事業の地区の現状でございますけれども、新聞報道によりまして一万八千ヘクタールは未利用地で残っているではないかという指摘がされたわけでございますが、この中にはまだ工事中の部分も含まれておりますし、それから全体がグロス計算になっておりますから、これをミディアムグロスの計算に置き直してみますと七千ヘクタール程度のあきが出ている、こういう結果になっております。御指摘のとおりでございます。  これの活用方法でございますが、確かに区画整理事業には、一定の基準に合うものにつきましては国費も投入し、あるいは公共団体の費用も入っておりますけれども、それと同時に、御承知のとおりに区画整理事業は基本的には各地主さんが減歩負担をして、それで市街地を整備していくということでございますので、いわば相乗り的な性格を持った事業ではないかと私ども考えております。このような性格上、この事業を実施してでき上がった宅地を、さあそれでは何年後に必ず供給しなければならないという義務づけをするというようなことは、ただいまの事業の性格からいってちょっと無理ではなかろうか。また反面、私どもとしては区画整理事業によって市街地が形成されることが何より大事であろうというふうに現時点では考えております。したがいまして、そのようなことも土地権利者に対する一つのインセンティブというようなこともございますし、直ちに区画整理事業について、そのでき上がりの宅地利用の強制ということはむずかしいのではないかというのが私どもの現状の考え方でございます。  しかしながら、この住宅、宅地状況下において、そのままで済ましておくということは適切ではないというのは御指摘のとおりでございます。私どもは、区画整理事業済み地についてはできるだけ早期の宅地化、土地利用が進展いたしますように、諸般の誘導策をやはり考えていかなければいけないのではないか。一番基本的には宅地の造成だけではなくて、やはり公益的あるいは利便施設的なものの誘致というもの、それから保留地の処分に当たって住宅を早く建てる、建築物を早く建てるというような誘導策、このようなことが必要であろうかと思います。また、必要に応じまして権利者に対して税制あるいは低利融資等の助成策についての情報を提供する、あるいは建築計画についての御相談に応ずるというような、積極的な努力を地方公共団体に現在お願いをしている段階でございます。
  217. 柿澤弘治

    柿澤委員 もちろん土地区画整理事業については、地権者といいますか権利者の権利も十分に配慮しなければいけませんけれども、いまの建設省の調査でも、三十六年から四十九年に実施したもののうち七千ヘクタールが眠っているということですから、四分の一が眠っている。しかも三十六年の一番最初に実施したものが残っているとすれば二十年、四十九年から見ても十年近く眠っているわけで、その辺がやはり三年とか五年とかいうことならある程度納得するでしょうけれども、納税者の立場から見てもこれは納得できないんじゃないかと思うのですね。すぐに、できたら翌年売りなさいということは無理だとしても、その点についてのある程度の常識的な限界というものがやはりあっていいんじゃないか。市街地をつくるのが目的だとおっしゃいますけれども、市街地的な道路ができても、区画ができても家が建たなければ市街地にならないのですね。家のない市街地なんというのはあり得ないわけですから、そういう点でやはり利用の促進が区画整理事業をこれ以上実施する前提条件じゃないか。それでなければ国民の税金のむだ遣いと言われても仕方がない面があると思うのです。その点はぜひ具体的な改善をお願いをしたいと思います。  それからもう一つ、宅地並み課税ですけれども、これについては私ども宅地並み課税をぜひやるべきだ、C農地についても骨抜きにしないでやってほしいということを考えておりますが、建設省のいまの取り組方をぜひお伺いをしたい。
  218. 宮繁護

    宮繁政府委員 市街化区域内の農地につきましては、私どもはやはり社会や文化や経済の発展に即応して土地の利用の転換が図られていかなければならないと考えております。そういう意味では、できるだけ社会的摩擦を少なく、スムーズに都市的な土地利用に転換できる方策を、いろいろな手だてを実施していく必要があると思いますが、その中でもいま御指摘の市街化区域の農地に対します課税の適正化につきましては、特に宅地需給の逼迫いたしております大都市地域の市街化区域については、一つは土地の有効利用を促進する見地から、もう一つは課税の公平を図るという見地から、これは同じ市街化区域の中にあります宅地との課税の公平、あるいはまた調整区域にあります農地がほとんど宅地化できないわけでございますから、それらとの間の公平を図る見地から、ぜひ実効のある実施を図ってまいりたいと考えて、いま鋭意検討いたしておるような状況でございます。
  219. 柿澤弘治

    柿澤委員 鋭意検討ということですけれども、もう少し具体的に、いつごろまでに検討は終わるのですか。
  220. 宮繁護

    宮繁政府委員 政府の税調におきましても、この宅地並み課税につきましては、「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、」ということで答申が行われております。それで、これの主管省は自治省でございますけれども、国土庁と私どもと自治省で、仮に長期に営農するというような場合にはどの程度の年限にすべきか、どういう手法でそれを確認すべきかという点についていま検討を行っておりまして、これは本年の十二月段階に決定が見られることになろうかと思います。
  221. 柿澤弘治

    柿澤委員 長期に営農の意思がある方々について農地としての課税をするということは、私どもも合理性があると思いますので、その点については条件をつけていただいても結構ですけれども、それ以外のものについては実施の方向でぜひ御検討いただきたい。お願いをしておきます。  それから、現在の住宅公団入居者に対する家賃の収納の問題について、私どもも外部からいろいろと意見を聞いておりますので、その点についての公団の対応方針をお伺いをして、最後の質問にいたしたいと思います。  家賃の収納については、現在、住宅公団では特定の金融機関だけに家賃の収納を認めておりまして、その範囲はかなり限られております。従来より少しずつ広がっておりますけれども、都市銀行、地方銀行、相互銀行までが対象になっておりまして、信用金庫その他の中小金融機関は完全に排除をされている。私、これは一つの大きな問題だろうと思います。地域の中で、地域金融機関として住民に密着した活動をしていく中小金融機関の役割りというのは、これからますます大きくなると思うのですけれども、その点で、中小金融機関の一部を排除しているようでは、住民密着型、地域密着型の住宅公団とは言えないというふうに思うのです。それについては、昨年、住宅公団側でも信用金庫を対象機関に原則としてしましょうということで態度は決定されたようですけれども、実際に審査をする段階になっていろいろ基準を設けて、近くに既存の金融機関があったらだめだとかいうようなことで、なかなか対象金融機関が選定されない。業界の中では、これはどうもペーパーサービス、リップサービスだけではないかという心配も出てきているわけですけれども、その点については、方針を決められた以上、できるだけ早急に信用金庫その他にも収納の窓口としての役割りを与えるように何とか努力をしていただきたいというふうに思うわけです。私も、この点については東京都の住宅供給公社の取り扱いを調べてみたのですけれども住宅供給公社については全信用金庫について窓口を開放しております。そういう意味では、住宅供給公社でできてなぜ住宅公団でできないのか、この辺は説得的な説明というのはないのではないかと思うのですけれども、その点について今後の御方針を伺いたい。
  222. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  先生ただいまお話がありましたように、公団では家賃等の収納業務につきまして、都市銀行、地方銀行及び相互銀行等に委託を行ってまいり良したが、昨年の十月に内部規定を改定して、制度上信用金庫にも家賃の収納業務を委託できることにいたしまして、目下個別団地について委託先の検討を鋭意行っております。なお、現在七十七の銀行に取り扱いを委託しており、原則としてこれらの銀行のいずれにおいても家賃等の取り扱いができることになっております。したがって、近辺に公団が委託している銀行が所在している場合には、これらいずれの銀行においても家賃の取り扱いができることになります。その場合、しかし滞納家賃については特定の銀行店舗を定めてそこで支払っていただくことになっております。これが現状であります。  そこで、先生のいまの御指摘の点についての御答弁になりますが、公団といたしましてはこれらの現状を踏まえて、結局は公団入居者へのサービスということが非常に大事でございますので、そのサービスの観点から、必要に応じ信用金庫を含めまして家賃等の取り扱い銀行等を追加することについて、先生の御趣旨を体し十分検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  223. 柿澤弘治

    柿澤委員 これで最後にいたしますが、大臣建設省の方にもお聞きいただきたいと思うのですけれども、いままでの公団考え方ですと、一店舗あればいいじゃないか、公団に一つの銀行が入っている、そこを収納の窓口にすればあとは要らない、こういうことですが、私どもよく聞くのですけれども、そうすると一種の独占ができちゃうわけですね。その周辺でその店舗しか収納の窓口として認められていない、あぐらをかいていても預金者はみんな来るということで、競争原理が働かない。その点で言いますと、私どもは、あくまでも一団地について近くに最低二店舗以上のものが収納窓口としてあるというのがある意味では望ましい状態なのではないか。  それから、一つのものが認められてほかのものが認められないと、自動振りかえ等が認められないわけですから、預金の募集に行ってもおたくは住宅公団家賃の収納機関じゃないからしょうがないや、こっちは収納機関だからそれじゃこっちへ預金をしましょうということで、住宅公団の選定が民間の金融機関の競争条件に物すごい差をつける。ある意味では競争条件をゆがめるもとになるわけです。  そういう点から考えますと、できるだけ幅広く競争条件を均一にするというのが国の機関としての役割りじゃないか。それで手間暇がかかるという話があるかもしれませんけれども、私どもは窓口がふえたからといってそんなに大きな手間暇かかかるとは思えない、これはNHKでも電話料金でもガス料金でもみんなやっているわけです。国の税金でも東京都の公金収納でも、みんな末端の中小金融機関まで全部開放しているわけですから、住宅公団だけがそれによって過大な負担をこうむるということはないというふうに思っておるわけでございますので、その点、民間の金融機関の競争条件を公団のそういう窓口選定でゆがめる、しかも一つあればいいじゃないかということで独占的な機能を付与することは、あくまでも原則として避けるべきだというふうに考えますけれども、その点について、建設大臣建設省の御意見を伺って、その方向で指導していただくことをお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
  224. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま住宅公団の担当理事から御説明申し上げましたが、日本住宅公団におきましても信用金庫を対象上する方向で現実にやっておりますし、また七十を超える委託の金融機関があるそうでございまして、これらの金融機関についてはいずれを御利用いただいてもいいということでございます。ただ、滞納の場合だけが集計等の事務の問題がありまして、特定の銀行を指定しているようでございますが、ただいま先生の御指摘がありましたような点につきまして、さらに公団とよく相談し、適切な指導をしてまいりたいと思っております。
  225. 柿澤弘治

    柿澤委員 大臣、いかがですか。
  226. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 具体的なことにつきましてはいま住宅局長からお答えがあったとおりでございまして、こうしたことは入っておられる方々の便利さというものをまず重点にして対応しなければならない問題ではなかろうか、このように考えるわけでございます。  それから、先ほど来先生から御指摘がございました都市の防災と住宅の問題、一番モデル地域として白髪がございます。二十四万人の方々が住まいとともに防災面で、いま東京都が事業主体でやっておるわけで、木場の問題、亀戸、大島、小松川、両国、いろいろとございます。一挙両得と言うと語弊があるかもしれませんけれども住宅を解決しながら防災、防災を解決しながら、不燃化しながら住宅問題を解決するという大きな問題があるわけで、私たちは、せっかく新しい公団ができて、「都市整備」、その上に「住宅」という名前がついておりますが、そうした観点から特に過密都市の問題を解決したいと思っておるわけでありますが、都民の方々もまず自分たち環境整備、人命と財産を守る上からも、せっかくひとつ御理解をいただいて御協力を賜りますように、先ほど来いろいろと御指摘いただきましてありがとうございました。
  227. 柿澤弘治

    柿澤委員 よろしくお願いいたします。  終わります。      ————◇—————
  228. 稲村利幸

    稲村委員長 この際、本州四国連絡橋建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。斉藤建設大臣。     —————————————  本州四国連絡橋建設に伴う一般旅客定期航路   事業等に関する特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  229. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいま議題となりました本州四国連絡橋建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  本州四国連絡橋建設により、本州−四国間の交通輸送が円滑化され、関連地域における生活利便の増大と経済発展が図られることとなりますが、一方、これに伴いこの地域の交通輸送に重要な役割りを果たしております一般旅客定期航路事業等については相当の影響を受けることが予想されております。  政府としては、このような影響に対処するため、本州四国連絡橋建設に伴い影響を受ける一般旅客定期航路事業の再編成、当該事業を営む者に対する助成及び離職者の再就職の促進等に関する特別措置を講ずることにより、当該一般旅客定期航路事業等に係る影響の軽減を図ることとした次第であります。  以上が、この法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、運輸大臣は、本州四国連絡橋供用後の一般旅客定期航路事業等の再編成についての基本方針を定めるとともに、架橋ごとに影響を受ける航路を指定するものとし、当該指定された航路で一般旅客定期航路事業等を営む者が事業規模の縮小等を行おうとするときは、実施計画を作成し、運輸大臣の認定を受けることができるものといたしております。  第二に、本州四国連絡橋公団は、認定を受けた実施計画に従って事業規模の縮小等を行った者に対し、一般旅客定期航路事業廃止等交付金を交付することができるものとするとともに、本州四国連絡橋の供用に伴い離職することが見込まれる労働者の退職金の支払いに係る資金の確保を図るため、事業主と退職金支払い確保契約を締結し、これに関する業務を行うことができるものといたしております。  第三に、海運局長または公共職業安定所長は、認定を受けた実施計画にのっとって離職した者であって、一定の要件に該当すると認定した者に対して、求職手帳を発給し、就職指導等を行うとともに、当該手帳所持者がその有する能力に適合する職業につくことを容易にし及び促進するため、国及び都道府県は、当該手帳所持者または事業主に対して各種の給付金を支給するものといたしております。  また、手帳所持者である雇用保険の受給資格者または船員保険の失業保険金の支給を受けることができる者であって、一定の要件に該当すると認めるものに対して、保険の延長給付を行うことができるものといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  ただいま法律案の提案理由等を御説明申し上げましたが、この法律案が対象としている一般旅客定期航路事業等とは別に、本州四国連絡橋建設が港湾運送関係等の雇用に及ぼす影響についての問題があります。  この問題につきましては、先般、港湾運送事業者の事業の実態によっては雇用に対する影響が予測されるという港湾労働調査委員会の中間報告が出され、これに基づき、必要に応じ立法措置を含め、その対策のあり方を関係者間で協議することとしているところでありますので、本法律案の説明に際して一言申し添える次第であります。
  230. 稲村利幸

    稲村委員長 以上で趣旨の説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会      ————◇—————