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1981-04-08 第94回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月八日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 渡辺 武三君       鹿野 道彦君    金丸  信君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    谷  洋一君       中西 啓介君    羽田野忠文君       堀之内久男君    村田敬次郎君       小野 信一君    山花 貞夫君       横山 利秋君    薮仲 義彦君       林  保夫君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 犬井 圭介君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房総         務審議官    川上 幸郎君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  山下 正秀君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       角田甲子郎君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (宅地開発公団         総裁)     志村 清一君         参  考  人         (宅地開発公団         理事)     北川 博正君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 四月七日  本州四国連絡橋建設に伴う一般旅客定期航路  事業等に関する特別措置法案内閣提出第六〇  号) 同月一日  横浜市道高速二号線及び神奈川県道高速横浜羽  田空港線延長区間地下化実現に関する請願  (中路雅弘紹介)(第二五七六号) 同月三日  小規模住宅建設への大手住宅企業参入規制等  に関する請願北側義一紹介)(第二七八七  号)  同(平石磨作太郎紹介)(第二七八八号)  同(薮仲義彦紹介)(第二七八九号)  国民本位住宅政策確立等に関する請願(小沢  和秋君紹介)(第二七九〇号)  同(瀬崎博義紹介)(第二七九一号)  同(寺前巖紹介)(第二七九二号)  同(中島武敏紹介)(第二七九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅都市整備公団法案内閣提出第三四号)      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  住宅都市整備公団法案を議題といたします。  本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君理事有賀虎之進君、理事救仁郷斉君、理事久保田誠三君、理事櫟原利嗣君宅地開発公団総裁志村清一石及び理事北川博正君に御出席を願っております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  3. 堀之内久男

    堀之内委員 それでは、私の割り当てられた時間がわずか一時間でございますので、簡単に御覧間申し上げますが、また御答弁の方も要領よく短くお願いを申し上げておきたいと思います。  最初に、住宅都市整備公団法案提案に当たりまして大臣提案理由説明が行われましたが、その中で、両公団が今日まで住宅宅地供給及び健全な市街地の整備等をしてまいりました云々と述べられておられるところでございますが、これまでの両公団実績につきまして、それぞれの公団から御説明を願いたいと思います。
  4. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 住宅公団昭和三十年度に発足いたしまして、三十年度から五十四年度までの住宅建設につきましては百十八万戸を建設いたしております。それから宅地開発につきましては、昭和三十年度から五十四年度まで施行面積が二万六千ヘクタールということになっておりまして、そのうち一万五百ヘクタールがすでに事業を完成しているというところでございます。
  5. 志村清一

    志村参考人 宅地開発公団昭和五十年の秋に発足いたしまして、大規模ニュータウン建設宅地開発事業を始めたわけでございますが、五十一年に住宅公団から竜ケ崎ニュータウン事業引き継ぎまして始めさしていただき、五十二年には千葉県と共同施行北千葉ニュータウン事業に着手いたしまして、同年厚木ニュータウン、五十三年には関西の西宮市にあります名塩ニュータウン、五十四年には大阪府の和泉ニュータウン、同じく五十四年には東京都の八王子地区、この六カ所に事業を着手いたしまして、合計四千百ヘクタールでございます。
  6. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの住宅公団実績につきましては、住宅で百十八万戸と言われたようでありますが、これは計画戸数で、私が五十四年の実績で聞いたのは、実績は百八万戸じゃなかったかと思うのですが、まあそれはいいと思います。  その中で、よくテレビ等で、この前も報道されたところでありますが、保守管理住宅現況、さらにまた未入届住宅ですか、これは大体どれくらいあるものか。あるいは、この未入届住宅は別として、保守管理住宅で投資された金額建物土地、これについて概要をお知らせ願いたいと思います。
  7. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 昨年の十二月末現在でございますが、未入届住宅が五千七百六十一戸、保守管理住宅が一万九千三百二十一戸、それから仕掛かり中の住宅が五万三千五百五戸ということになっております。  五十年度、五十一年度に会計検査院からこれらの問題を指摘されまして、私どもこの対策をいろいろとやってきたわけでございますが、全体の流れといたしまして、いわゆる工事中の住宅から建物が完成いたしましてそして管理に入っていく、そして募集いたしまして、場合によっては未入居が発生するというような流れでございます。したがいまして、その全体の流れの中で私どもいろいろな対策を講じまして、あるいは募集活動の強化とか、あるいは見直しとか、いろいろな対策を講じました結果、たとえば未入届住宅につきましては五十三年度末が最高のピークでございまして、一万六千五百戸ございました。これが昨年末で約三分の一の五千七百戸ということになっております。  それからいわゆる工事中の住宅でございますが、これが五十一年度末十二万五千戸ございましたが、これを約半分以下に減らしまして、十二月末現在で五万三千五百戸ということになっております。  その中間のいわゆる保守管理住宅でございますが、これが五十二年度末に二万四千戸ございましたのが現在一万九千戸と、その中間だけが若干改善がおくれておりますが、これは前と後ろの方の改善指導してまいりまして、今後これらの保守管理住宅につきましても改善が進むとわれわれは考えております。  その保守管理住宅の五十五年三月末現在におきます一万九千三百四十七戸に係るいわゆる用地費工事費でございますが、これは千八百四十九億円ということになっておりまして、それにかかわります保守管理期間中の金利が百六十四億円ということになっております。
  8. 堀之内久男

    堀之内委員 保守管理住宅の方の現況並びに長期未入届住宅の御説明は大体理解をいたしましたが、この保守管理住宅はいま着々やっておられますが、最終的にこれがいわゆる入居者募集ができる見通し、大体いつごろの予定になるのか。先般のテレビで見ていると、まだとても下水道もできない、道路もできない、こういうような状況テレビをこの前見ましたけれども、これが将来どの時点で解決がつくのか、この点が一つ。  さらに、これも一時報道されたところでありますが、宅地として購入されて、相当大幅な土地土地ブローカーみたいな形で住宅公団もやられたようですが、それ自体において現在いまだに着工できるのかできないのか見通しの立っていない土地、あるいは近々にできる土地、やっと近々着工する土地とか、そういう面の仕分け、そして近々に着工できる土地はいざ知らず、まだいまのところそれぞれ地方公共団体協議中であるという土地、これについて概略金額等を教えていただきたいと思います。
  9. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 現在の約一万九千戸の保守管理住宅の今後の見通しでございますが、一万九千戸のうち、五十六年度中に一万戸の募集をやる予定で準備しております。残りの九千戸につきましては、先生も御指摘のように、公共下水道等のおくれからすぐ来年というわけにはまいりません。たとえば朝日ケ丘団地につきましてはあと三年くらい後に、五十八年度になります。そういったものもございますが、私ども少なくとも三年後までには現在の保守管理住宅につきましては管理開始ができるというように考えて、また、そのために努力をいたしたいと考えております。  それから長期保有地につきましては、五十年度の会計検査院検査報告指摘されたわけでございます。これが二十二地区、千五百八十九ヘクタールございます。現在これらの二十二地区のうち九地区につきましては、すでに開発着工をいたしたり、あるいは学校用地等公共団体からの要請がございましてすでに着手または処分いたしております。それから六地区につきましては公共団体との調整が大体つきまして、関連公共施設整備に着手したり、あるいは市街化区域に編入していただいたりして、公共団体と現在実施計画について詰めているところでございます。これはもう近く着工できることになります。その他の七地区につきましては、市街化区域への編入とかあるいは関連公共施設整備等につきまして基本的にまだ公共団体との間で了解に達してないものでございます。これらにつきましては、関係官庁等の御指導を受けながら、早急に地方公共団体と基本的な開発の方向につきまして協議を重ねまして、一日も早く事業に着手できるように努力したいというように考えております。
  10. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの未着工地域でありますが、現在協議中である、なかなか地方公共団体了解がついてないという地区が七地区だということですが、これは市街化区域であるのか調整区域であるのか。したがって、住宅公団がやろうとしても現時点ではできない地域なのか。調整区域であればこれはなかなか容易ではないだろうと思うのですが、そういう土地であるのかどうか、この点再度お尋ねいたします。
  11. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 七地区につきましては、六地区調整区域でございます。それから一地区は、これはいわゆる都市計画調整区域あるいは市街化区域区域外ということになっております。したがいまして、調整区域が七地区のうち六地区ということになっております。
  12. 堀之内久男

    堀之内委員 それで大体これは、救仁郷理事の方から現在までの状況をお聞きしたところでありますが、住宅公団の場合で不良資産というか、いままで十分活用できなかったという資産が、宅地までひっくるめて約一千八百五十億ぐらい。そしてまた当分着工できないという土地、これが大体ざっと六百億ぐらいですね。計二千四百億ぐらいというものが一応公団の手持ちとして残っているわけです。私は、今日まで住宅公団住宅供給という立場で果たされた力というか、実績は高く評価するものでありますが、いろいろと国民の間には、ああいうようにテレビで報道されたり新聞で報道されたりしますと、やはり全体的にはりっぱな行政を進められましても、ちょっとしたこういうことで国民不信を与える、私はそう思うのです。こういうことに対して、恐らくこれは民間であれば当然倒産ということが起こってくる。当然倒産ということですね。これを借りかえでいくということになりますと、これは大きな資金繰りというか、そういう問題で、大概な不動産会社ならば恐らくこれはもう経営不能に陥る状態だろうと私は思います。幸い住宅公団の場合はいわゆる親方日の丸といって、国の方からの財政金融措置があるから、一応は資産ではあっても不良資産として今日まで残っておるわけであります。  さらにこのことが住宅家賃にはね返っておるんじゃなかろうか。これが完成した暁には全部金利、倉敷、先ほど救仁郷理事からお話のありましたように、金利だけでも百六十四億ということですから、これは不良資産だと片づけるだけにいかないかもしれませんが、土地の方はある程度先行取得で、値上がりもしましたから、した値上がりでもうけます、いま買うくらいだったら……。その方はまだ理解するといたしましても、建った建物がいまだに活用できないということについては、相当公団としても、これは国民資産、財産を有効に活用できないという立場からは私は大きな責任があると思う。この点、家賃にこういうものがはね返っておるんじゃないかとか、きのうも何とか公団住宅協議会というのですか、たくさん書類を持ってきて陳情しておりますが、家賃を安くしろとかなんとかということでたくさん来ています。こんなのはどうでもいいと思うのですが、私はこういうことが現在入居者皆さん方不信感を与える、あるいはそれが家賃にはね返って、われわれがそれを肩がわりしておるんじゃないかというような形の不信を招いているんじゃないかと思うのですが、この点について総裁の御見解をお聞きいたします。
  13. 澤田悌

    澤田参考人 厳しい御指摘でございまして、先生お話もございましたように、公団二十五年の歴史を振り返ってみますと、私は客観的に見て公団は戦後の住宅供給について非常な功績があったことはもう高く評価していいと思うのでありますが、高度成長末期のいわゆる狂乱物価石油ショック等の大きい変化のあった時期等を経まして、社会情勢経済情勢あるいは住宅に対する国民のニーズというようなものに的確に適応できなかったという点については、これは深く反省を要すると私痛感いたしておるところでございます。その結果、御指摘のような未利用地のほかに、保守管理住宅、未入届住宅等の問題が起こっておるわけでございますが、これにつきましては、ただいま申し上げたような気持ちから、全社挙げてその改善努力を続けておるところでございまして、何せ不動産のことでございますから一挙に問題を解決するということはなかなかむずかしいのでありますけれども、ここ両三年かなりの改善を見つつあると存じます。しかしただいま申しましたような異常な情勢変化の中で生じた難問でございまして、残っておるものはなかなか難物もございます。しかし先ほど理事からも申し上げましたように、それに一つ一つ取り組みまして、その改善努力を続けておるところでございます。  公団資産全体の運用から申しますと、家賃にはね返るということはもちろんございますが、それが全体の中での繰り回しから考えますとそう心配したものではないと思うのでございますが、御指摘のように、こういう問題があることが入届者にいろいろ不信感を起こすというようなことはまことに申しわけないことでございます。そういう点の対策もあわせましてせっかく努力中でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  14. 堀之内久男

    堀之内委員 公団全体の資産から見ればそれは百六十四億の金利というものはささやかなものだと思うのです。しかし、せっかくりっぱな仕事をしても、やっぱり新聞テレビであれだけ一千八百億も九百億も不良資産があるということを言われると、内容を詳しく知らない国民というのは、住宅公団がこれだけりっぱな成績を上げても結局それに不信を持つわけですから、私はそれを指摘するので、これは全体で割れば、家賃に計算すれば何円か何百円か、あるいは何百円までいかぬかもしれませんけれども、それ以上大きくはいっていないと私は思うのです。だからせっかくのいい行政がそういうことで不信を受けないように、まあ総裁もそう言われますから、ぜひその点は今後十分配慮をいただきまして、積極的に今後ともりっぱな住宅提供という立場で進んでいただきますようにお願いを申し上げておきます。  次に宅地公団でありますが、先ほど総裁から一部の御報告がございましたが、約六年間かかって、あなたの方が人件費、事務費等入れて約三十三億使っておるわけですね。職員が約三百五十名、ほとんど住宅公団からの引き継ぎあるいは千葉ニュータウン千葉県からの引き継ぎ、いろんなところからの引き継ぎであったので、この六年間自前でやったというのはほとんどないわけですね。五十四年がいつかに大阪かどこかちょっと土地を買ったというだけで、まだ供給体制も、ことしの秋ごろから一部やるんですという説明をこの前開きましたが、私はこの六年間の実績にしてはちょっと少な過ぎる、成績がほとんど上がってない、こういうように感じますが、総裁どう思われますか。
  15. 志村清一

    志村参考人 宅地公団は五十年に発足いたしましてそろそろ六年近く、五年半になるわけでございますが、その間実績が十分上がってないではないかという御指摘でございます。私ども努力が足らずに御期待に沿えなかったことはまことに遺憾だと存じておりますが、片方、当委員会でも宅地公団法が成立いたしましたときに、三百ヘクタール以上の大規模ニュータウンをやるようにという附帯決議がございました。三百ヘクタールと申しますと、いわばゴルフ場が四つか五つ入るぐらいの大きさでございます。しかも大都市の周辺でございますので、用地取得土地利用調整というのが最もむずかしいところでございます。土地利用等につきましても、地元との調整その他大分時間がかかりますし、関連公共施設整備をどうやっていくかという御相談も十分なさねばならない。そういうものをしないで事業に着手いたしますと後で動きのつかぬことになる。さような意味で、大変懐妊期間の長い仕事でございます。  先ほども説明申し上げましたように、発足以来逐次、毎年一カ所ないし二カ所ずつふやしてまいりましたので、地区を六カ所ほどただいま手をつけておりますけれども、それが成果が上がりますのは、大規模仕事でもございますのでどうしても時間がかかるわけでございます。幸い厚木ニュータウンにつきましては施設用地等につきまして大分分譲ができましたし、また千葉ニュータウンにつきましても、千葉県と共同施行決定後におきましても若干の宅地供給をいたしております。それから私どもが始めました竜ケ崎ニュータウンも、今年の秋に宅地分譲募集をいたすことができるという段階になっておりますが、これからだんだんに成果を上げてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  16. 堀之内久男

    堀之内委員 宅地公団の場合はこれから実績があらわれるということですが、しかしこれは何でも用地買収というのが大体一番の仕事であって、幾ら三百ヘクタールでも用地買収がほとんどできておればいま少しスピーディーに、この時代に合うた形事業が進んだはずだ、こう思うのですが、これは幾ら論争しても平行線で行くだろうと思いますのでこれ以上は申しませんけれども、やっぱり役所的な考えというものがかなり職員にもあるのじゃないか。まあかかっただけゆっくりいってもそれだけで、後で費用は全部割ればいいんだという考え方から、国民要望というか、それ以前の問題があるのじゃないか、少し宅地公団の方に甘さが。範囲が六カ所であっても、三百五十名という職員を抱えておるわけですから、そういう職員の割り振りからいきましてもいま少しは、大体六年もたてば、石の上にも三年というのですから、いろいろな事業をやるのでも三年間の基礎ができれば四年ぐらいからどんどんやっていけば、民間がこんな悠長なことをしておったらつぶれちゃいますよ。間に合わぬ。最近おくれればおくれるほど土地が上がるからいいようなものの、土地の値段が下がってみなさい、あなたは当然これは首ですよ。いまは上がるからいいのですよ、日本の場合は。下がることになってみなさい。事業は下がるということも考えぬと、やはり資金の問題というのもあるわけですから、そういうことをよく考えてもう少し総裁指導力を大きく期待を申し上げておいて、次に入ります。  今回の新公団法案の中で、一つ業務範囲」で、両公団ともいままでは公有水面埋め立て事業があったわけですが、今回はこれが削除されております。これはどういう意味で削除されたのか。私はこれが両公団の一番の目玉じゃなかったかと思うのですが、削除した理由をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答え申し上げます。  今回、住宅公団宅地公団を廃止いたしまして新公団を設立するに当たりまして、住宅宅地供給都市整備を強力に推進するために、新たに都市の再開発事業等業務範囲に加えたわけでございます。一方、やはり業務を整理する必要があるという見地から、今後の必要性につきまして必ずしも強いとは見込まれないということで、この水面埋め立て事業施行を整理いたしたわけでございます。
  18. 堀之内久男

    堀之内委員 陸上宅地開発というのは民間デベロッパーでもできるのですよ。それは何も公団がやらなくても、あなた方が大きな組織をあてがいさえすればどんな不動産会社でもできるのが陸上宅地開発だと思うのですよ。しかし三大都市圏あるいは大都市圏で今後宅地を求めようとするならば、どうしてもそういう公有水面を埋め立てながらやっていかなければならない。これは公共的な機関である皆さん方の大きな目玉じゃないかと思うのです。いまの計画局長説明では私はどうも納得できない。こうした新しい都市開発も必要でしょう。しかしあなた方見でごらんなさいよ。いま買ってある土地は、千葉ニュータウンのようなやつでも竜ケ崎にしても、昭和四十八年か四十五、六年に買っておる、あるいは四十年に買っておるわけでしょう。だからあれだけのまとまった土地が買えたけれども、いまからそんなのが買えると思うのですか。これから新しい仕事をしようというときに、公団の将来を考えてやるときに、三百ヘクタールくらいの住宅団地をつくりますと言って簡単に買えると思うのですが、お答え願います。
  19. 宮繁護

    宮繁政府委員 三百ヘクタール以上の土地が買えるかどうかというその前に、ちょっと私言葉が足りませんでしたので、水面埋め立て事業関係につきまして補足的に御説明させていただきます。  新しい公団は独立してこの水面埋め立て事業は行わないことにしてございますけれども宅地の造成とかあるいはそれぞれの事業法に基づきまして事業施行する場合に、その施行区域の中に水面が含まれているような場合は、これらの事業の一環として埋め立て事業を行うことはできることになっております。  それから三百ヘクタール以上の土地買収についてでございますけれども、新公団発足いたしまして、かなり大規模用地の選定をやっておりますけれども、実はかなり都心から離れたところでございますと、まだ大規模なものも幾つか地元からの御要望もございますけれども、しかしかなり都心に近いところにおきましては、もはやそういうように大規模開発適地は少なくなってきておる、こんなふうに考えております。
  20. 堀之内久男

    堀之内委員 そんな離れたところを買うというなら、これは何もあなた方に頼まなくても、ちゃんとそれ相応の自治体やあるいは民間がやっていくわけです。私はやはり京浜地区とか千葉、この付近を含んだ人口急増地帯宅地需要にこたえるといったてまえからいくならば、やはり東京湾を考えたりあるいは大阪湾を考えたり、ちゃんと神戸がポートピア81と言ってああいうのをつくったじゃないですか。そういうことが今後の公団の大きな務めではないか。一般のものができないものをやっていく、それが必要だと私は思うのですが、いまのお話によると、この項目がなくてもできるんだというならば、なぜそれならいままでのものにちゃんと公有水面事業をやると書いておったのですか。それなら最初から書いてなければ、削除したということは、当分めんどうくさいことはやらぬということにしか解釈——できることはできるけれども、消極的な土地政策ということになると私は思うのですが、これは局長じゃだめですから、大臣、どうお考えになりますか。大臣からお聞きいたします。
  21. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 局長から答弁がありましたように、宅地造成に関する埋め立て事業はできるということであります。役所のなかなか頭のいい諸君が考えたことでありますので、その点粗漏のないように、前の事業のことについては漏れなくできるような形になっているわけで、その点表現の違いがあったかと思いますけれども、大きな計画の網だというようにお考えくだすって御理解をいただきたいと思います。
  22. 堀之内久男

    堀之内委員 これは幾ら言っても明快な答弁はいただけぬようですから、私も大体これのいきさつは知っておるわけですが、はっきり言えばいいのに言わぬからいつまでも質問をしなければならぬわけです。それはいいとして、将来新公団になりましても積極的に公有水面埋め立てはやるんだ、できるものだということで私ども理解いたしまして次に入ります。  次に、もう一つこの中で、前の法律でもですが、鉄道、軌道事業ができるということになっておるようです。鉄道、軌道をどうして公団がやらなければならぬのか。これは日本国有鉄道がどういう状態にあるということはここで述べる必要なく、国民全体が知っておるわけです。それをあえて今回鉄道、軌道事業業務の内容として業務範囲の中にさらに入れた理由、大事な公有水面を野放しにしてこれを入れた理由をお聞きいたしておきたいと思います。
  23. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほども指摘がございましたように、新公団が行います大規模宅地開発はどうしても都心からかなりの距離のところに立地せざるを得ないような状況でございます。そういたしました場合に、現在ございます鉄道等を前提として、その沿線だけに土地を求めようといたしましてもなかなか困難でございます。したがいまして、新たに鉄道等の整備をあわせて行う必要がある場合がございますし、また、鉄道ができることによって良好な宅地として開発可能の適地もかなりあるわけでございます。しかしながら、この場合に宅地開発に伴います鉄道の整備民間主体に依存するといたしましても、民間の私鉄の方では私ども宅地開発にあわせまして鉄道の整備を行っていただけるという保証は必ずしもない。現に私鉄の拡充計画がございまして、それにあわせて宅地開発をやりましたけれども、私鉄の方でその後のいろいろな事情で増線ができない、複線ができないということで入届が滞っておるような団地もあるような状況でございます。そういう意味で、民間の企業で必要な鉄道等の整備が行われない場合におきまして、公団がみずから鉄道の整備運営を行いまして、大規模宅地開発の足の整備を行う、こういう必要があると認めましてこの鉄道建設を行うことにさせておるわけでございます。
  24. 堀之内久男

    堀之内委員 公団が鉄道、軌道事業を行うという理由についてはただいまの局長の説明で大体理解できます。しかし、これをやって、その鉄道、軌道の敷設のいろいろな経費、投資額ですか、こういうものを結局千葉ニュータウンなら千葉ニュータウン家賃というものに投資額としてかけるのかどうか、将来赤字が出たらどうするのか。恐らく公団運営ということになれば赤字は一〇〇%間違いないわけですから、そういう将来の運営というものについてどのような見解を持ってこの事業をやっておられるのか。設置しなければならぬという理由理解できますが、将来のいま申し上げた点について再度お尋ねをいたしておきます。
  25. 宮繁護

    宮繁政府委員 鉄道等の経営につきましては区分して経理いたしまして、この費用が入届者等の負担の増につながらないようにいたすわけでございます。ただ、公共輸送機関はどこの鉄道その他見ましても大変経営に問題がございます。そういう意味では今後のこの鉄道の経営につきましては、運輸省等ともいろいろ協議もしながら大いに勉強もし、また、経営の合理化その他につきましても最大の努力を払う必要があろうかと考えております。
  26. 堀之内久男

    堀之内委員 局長、それはあたりまえのことです。最大の努力をしなければだめだ。それはわかっておることだが、まだそこまで検討してないのかどうかわかりませんが、将来直営で運営しようとするのか、あるいはたとえば千葉ニュータウンの場合は北総鉄道株式会社があってその延長なんだから、将来何とかして北総に運営をお願いしようとするのか、その辺の基本的なことを私はお聞きしておるわけであります。この点をあわせてお尋ねしておきますが、さらに時間が余りありませんから二つ、三つ質問して、後で答弁をお願いします。  今回公団が合併されますが、役員は、理事は五名首切るということでこの法案はできておりますね。ところが、あと職員の問題はどのように考えていらっしゃるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  27. 犬井圭介

    ○犬井政府委員 御質問のありました鉄道の問題についてお答え申し上げたいと思います。  先生からも御指摘がございましたように、われわれとしても住宅開発に伴う鉄道の整備につきましては、国鉄も含めまして既存の鉄道事業者がこれを行うのが第一義的なことであるというふうに思っております。従来そういうことがございましたし、現に関西の千里ニュータウンには阪急とか北大阪急行が乗り入れる、それから泉北ニュータウンには泉北高速鉄道が乗り入れる、あるいは多摩ニュータウンには小田急とか京王が乗り入れるという事例がございます。しかし現に開発中の住宅地につきましては、既存の鉄道ではこれをカバーできないという地域がございます。将来そういう傾向がますます多くなってくると思います。御指摘のありました千葉ニュータウンにつきましても、確かに北総開発鉄道はございますけれども、これは現在小室と北初富の間を運行しておりまして、さらに北初富から高砂間の建設に取りかかろうとしております。これをさらに奥に延ばしてニュータウン中央から松虫へ鉄道を建設するという余力はちょっと期待できないのじゃないかというふうに思います。こういうような場合に、宅地開発と鉄道の建設が整合性を持って行われるという観点からいいますと、住宅開発の主体が同時に鉄道を建設するということが、住宅を利用する方のためにどうしても必要なんじゃないかというふうに思うわけでございます。  御質問のありました建設後どうするのかということにつきましては、現に千葉ニュータウンの宅開公団線につきましては、建設後は北総開発鉄道に運行の管理あるいは経営を委託するというようなお話もあるかというふうに聞いております。現に公団では鉄道を十分に運営するだけのスタッフは抱えていないと思いますし、一方既存の鉄道事業者のノーハウを利用するのは非常に有効なことかと思います。したがいまして、そういうお話が具体化した場合にはわれわれとしては前向きに対処してまいりたいというふうに考えております。
  28. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  職員の問題でございますが、先生の御指摘のように、両公団の統合に際しましては行政改革の趣旨を生かしたい、このように考えておりますので、職員につきましても役員と同様に、基本的な線といたしましては必要最小限にいたしたいとは考えております。しかしながら、具体的な考えといたしまして、両公団職員である方々につきましては、引き続き新公団職員とする方向で設立準備を進めておるところでございます。なお、統合によりまして総務、経理等の部分につきまして当然出てくる人員がございますが、新公団は、新たな業務といたしまして都市機能の更新を目的といたします都市の再開発、根幹的な都市公園の整備等業務を行いますので、この部門に振りかえてまいりたい、このように考えております。
  29. 堀之内久男

    堀之内委員 ここでたくさんの人が見ておるからみんなはっきり答えはできぬだろうと思いますが、しかし、私は住宅公団総裁に申し上げてみたいのですが、昭和四十六年ですか、一番建設戸数が多いのですね。建設戸数の一番多いのは八万三千六百、計画に対して約九十何%ですか。それから五十一年、五十二年、五十二年、五十四年となると三万から五万減っておるわけですよ。ところが職員はどうかというと、四十四年、四十五年、四十六年は四千六百、四千五百という形になっておる、そして建設戸数の一番少なかった年が最高の人数で五千百三十六名。あなた方の職員の給与が経費にかからないとは言えない。これは必ず家賃にかかるのですよ。つくるときは建築に四%、宅地に五・七%の経費をかけて、それを公団の運営経費に充てます、こういう説明です。家をつくらなくなったら何からこの経費が出てくるのですか、宅地造成がなくなったら何からこれを生み出そうとするのですか。だから、今後両公団の合併後におきましては相当思い切った政策をとっていかなければこれはできない。私だけが言うのじゃない。先日の野党のある先生でさえちゃんと言っておるじゃないですか。いい家が少なくなったのに職員だけは数がふえておる。この前もこのようにたくさん職員が見えておる。きょうはどうか知りませんが、この傍聴の方々も恐らく入届者ばかりじゃないと私は思う。職員が相当いらっしゃると思う、一日の傍聴人は職員が半分以上だと聞いておる。それくらい住宅公団というのは−があるのですか。よその各省が法案審議するときに……(発言するものあり)—————、私が質問するのに。要らぬことを言うな。——。  よその各省が、法案審議するときにみんな役人が来ますか。(「来たって悪いことはないじゃないか」と呼ぶ者あり)—————。(「取り消せ、いまのは」と呼ぶ者あり)だから私は、将来新公団の発足に当たりましては十分検討いただきまして、そのことは入届者家賃を下げることになるのです。だれが結局これを払いますか。そういうことを将来考えて、ここで答弁は要りません。答弁しろと言ってもこれは無理でしょうから、こういう要望があったということを大臣建設省の皆さん、両公団の最高の責任者は今後お考えをいただいておきたいと最後に御要望申し上げておいて、この法案についての質問は終わります。  次に、公団というと大体大都市圏住宅あるいは土地問題で一生懸命御苦労いただくわけですが、私のところのような田舎の地域住宅を建てなければいかぬわけなのです。これはこの周辺だけ家を建てるものじゃありませんので、これから建設省の都市局長あるいは計画局長にお答えをお聞きしておきたいと思います。  これは大臣も就任される前いろいろとお考えのあったことだと思っておりますが、私は昔の前歴から先に申し上げて、私の切実な体験だと思って聞いておいていただきたい。ここでやるとかやらぬとか、できなくてもいいです。私もいままで何回かやってきた。私は昭和四十四年一月に都城の市長に就任した。この都市計画法は四十二年六月十五日に公布されております。したがって、私は最初からこの都市計画についての一から十を末端でやってきた男なのです。だから建設省の説明によって、あるいはいろいろと御指導を受けてわれわれはやってきたわけでありますが、この都市計画法を施行された段階におきまして事実私どもが一番困ったことは、——委員長、雑言を取りやめさせてください。うるさいぞ。後で外でやれ、ちょっといま質問するから。(「いいじゃないか、理事が行ってやっていることを何だ」と呼ぶ者あり)聞こえぬところでやってくれ。  新都市計画法の場合はこの市街化調整区域の線引き、これが一番大きな花形で、しかも市街化区域にされた農地は五年以内に宅地並み課税を行う、これが大きな目玉だったと私は思う。ところが、四十六年でしたか四十七年でしたか、三月二十一日、一晩のうちにこの宅地並み課税は廃止するという法案が出ました。われわれ末端の行政責任者というのは、最初線引きをするときの住民の説得、説明というのが一晩でひっくり返って課税はしないということになったら、これはまず住民をペテンにかけたことになる。それはそれでいいと思う。しかし、その後の都市政策ということについては、われわれ末端の市町村長というのは、まことにささやかな庶民の住宅をつくる場合におきましても、市街化区域調整区域の間の土地の格差というのは御承知のとおり格段の開きが出てきた。余り差がなかったものが、大幅な差が出てきた。これは現実認められておると思う。そこで、今後の都市政策あるいは宅地化を進める場合においても、市街化区域内であれば建築基準法に適合しさえすればどんどん家が建つわけです。あなた方の理想とされた、理想的な環境のりっぱな町づくりをやるのだと言っておった最初の目的とは大幅にかけ離れてしまった。だから現実、私の都城市でも昔の土地そのままのところに家ができて、農道の小さいところ、排水路のないところにつくってしまって、結局行政がしりぬぐいをしていま排水路をつくったり都市下水路をつくったりしている。現実に都市局の方からはちゃんと一般都市下水路として大幅な予算を都城もいただいておるわけです。私は、市街化区域内を建築基準法だけで縛ってきた今日までの市街化区域のあり方について、昨年そういうことで新たに法案を通してことしからやるのだそうでありますが、しかし私は相当時期を失した、こういうように思っておるわけです。  そこで、先日国土庁が日本の地価公示をされましたね。各新聞が一斉にあらゆる記事を出しております。その中でも私が非常に関心を持ったのが四月一日の朝日新聞。この中で立教大学の水本教授がこの都市政策について、市街化区域線引きのあり方について御提言をなされております。大部分が私どもの考え方と全く相似ておるような気持ちもいたしますが、しかし、西ドイツの例を日本にとるのは無理だとしても、このことが早く行われておれば最初の線引きという問題においても十分な効果を上げたのじゃないか。それに宅地並み課税が並行しておれば実際には効果があったと思うのですが、それは国会の決議ということでありますからやむを得ないとしても、私はほかにまだ手の打ちようがあったと思うのです。  そこで、今回、市街化区域内の計画区域とか促進区域とかいうのをおつくりになりますが、私は市街化区域はそのままでできても、やはり限られた土地ですから、地主に売らせるという、地主が協力するという立法の強制力がないものに幾ら今後そうした政策をとられましても宅地の提供にはならないと思う。やはりある程度供給というものをふやしていかなければ需要は満たされない、したがって、地方都市の地価の高騰が大きい、こういうようにどの新聞も言っております。まさしくわが都城市の十二、三万のような都市でもここ数年間に三倍近く上がっておる、三倍ちょっと超えるかもしれませんが、約三倍。だから、この線引きのあり方というものについてもう一回、せっかくいろいろ出されましたが、この線引きをやったときは、基本的に宅地並み課税というものがなくなっておるわけですから、その時点でこの都市計画法は死んだものと同じだと私は思うのです。最初やりました目的、あなた方が最初計画された計画法というものはその時点で効力を失った、半減した。失ったというのではなくて、半減したと申し上げても言い過ぎではないと思うのです。そういう意味で、この線引きの問題について都市局長なり計画局長の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 升本達夫

    升本政府委員 大変重要な御指摘を賜ったものと伺わせていただいた次第でございます。  御承知のとおり、現在の都市整備をめぐる諸問題に対応いたしますためには、一つはやはり個々の開発行為につきまして十分な道路と必要な公共施設整備を図られるように進行させるという規制が必要であろう、これは御指摘開発許可で行われておる制度でございます。しかしながら、それだけではもちろん済みませんので、個々の開発地区を結ぶ市街地全体を通じた道路網の整備あるいは公園、下水道整備というものを都市単位で図ってまいらなければなりません。さらには、宅地と農地が混在するような土地利用、この混乱状態はやはり適切ではない。したがいまして、大筋から申しますと、宅地としての利用を進めるべき区域あるいは農地としての利用を保全すべき区域というのは、基本的な都市土地利用の大枠を設定する制度として必要ではなかろうか、こういう考え方でおただしのような線引き制度がとられたわけでございます。  線引き制度の運用に当たりましては、現実に都市施設の整備がなかなか進んでいないではないかというような問題もございますし、あるいは調整区域において余りにも規制が厳し過ぎるのではないかというような現実の運用面の問題があることは十分承知をいたしておりますけれども、この線引き制度自体の基本については、私どもは当然これからの都市整備に必要な制度として今後も維持し、発展をさせていかなければならないものというふうに理解をいたしておるわけでございます。  そこで、現実の運用面に当たって、おただしのような問題点にいかに対処してまいるかということでございますが、これは大きく二つに分けて対応を考えるべきではないかと思っております。  一つは、市街化区域内、線引きの内側におきましては、先生からもただいま御質問の中で出ました地区計画制度が大変おくれたという御指摘でございますが、そのような制度をさらに進展させることによりまして、もう一つ土地利用のコントロールを図っていくということが大切であろうと思っております。  それからもう一つは、調整区域におきましては、これは現在開発行為に一般的な規制が行われておりますけれども、法律の趣旨を超えない範囲内でその地域に合った運用ということを十分考えていかなければならない問題ではないか。根本には線引きの妥当性の問題がございます。これにつきましては、御承知のとおり昨年の九月に局長通達をもちまして線引きの見直し基準を発出いたしております。これが的確に各知事さんによって運用されることを期待している次第でございます。
  31. 堀之内久男

    堀之内委員 もう時間がありませんので、もう少し突っ込んでお聞きしたかったわけでありますが、そこで、市街化区域内はそれでいいとしまして、いまの調整区域というのは、いまあなた方は優良農用地を守ってお互いに農業の発展を図らなければならない、これは当然のことなんです。そこで、いまの調整区域というのは農林省が網をかぶせています農振地域、いわゆる農用地指定をしたところも入っておるわけなんです。ですからそれは必要ない、これは農林省サイドでなかなか転用は認めませんから。私がここで申し上げている調整区域というのは白地なんです。いわゆる農村の集落地なんです。私はもとは旧村の村長なんです。村長で、私がおった村は市街化区域も何もないわけです。私が帰るたびに相談を受けるのは、次男、三男の家をつくりたいけれどもなかなか許可がおりないという切実な声なんです。私は新都市計画法の施行を最初から末端でやりながら、しかも調整区域のど真ん中で、白地です。そういう農業地をやれと言うのではなくて、いまこれを調べてみると、市街化区域に対して調整区域は三倍、三百六十万ヘクタールというものが調整区域市街化区域が百三十万、こういうふうになっておりますから、調整区域というものを狭めてある程度これは考えるところが必要じゃないかということもひとつ要望を申し上げるわけです。  それらを論争しておりますとちょっと困りますので、前にこの線引きをやりますときは、農家の次男、三男の家は必ずできますという指導で線引きをやっていった。現実にいまやってみると、これが宮崎県の開発審査会の審査基準なんですね。これを見てみると、親と一年以上同居しておらなければ許可しない。どの法律を根拠にしてこれが出てきたのか。  その二番目は、「土地が、本家の存する既存の集落内」でなければならぬ。これはもちろんそれでいいと思う。私は集落内と、農用地ということは言っていないのですから、これは当然なことなんです。  それと、昭和四十五年何月何日でしたかな、この都市計画が決定された日以前に買った農地でなければならないというのですね。農家というのは三反歩、四反歩の広さを持っておるわけですから、それをあなた、家をつくるなら五アールあげましょうと言ったら、その土地はだめだという。五十年ごろ買ったものはだめだというのですが、これはどの法律を根拠として指導されたのかということですね。  それから、農家という定義ですが、宮崎県の場合は五反歩以上を持っておる者でなければ農家と言わない。だから、五反歩以下の方はこの家はできない。ところが、田舎には昔から学校の先生をしておって、退職したらそこに三反歩ぐらい買ってそこで余生を送るとか、そうすると次男、長男でもいいのですよ、そこに子供の家をつくらせようと思ったら、それはだめだ、農家でありませんということで許可にならない。ところが、われわれが言う農家というのは、一反歩以上を持つ、十アール以上を持つ者は農業委員会の農業委員の選挙権があるわけです。これだって、明らかに農業委員の選挙権を持つのは農家なんです。なぜ五十アール以上なければならぬと定義をつけて末端を指導しておるのか。こういうことがあるものだから、末端の農家はこの都市計画法で非常に苦しめられておるわけです。きょう、先ほども逓信委員会におりましたが、日田の市長をしておったのがあそこにおる。市長やその末端をやった者が事実この新都市計画法ができてから大変苦労をしておるわけでありますが、いま申し上げた点について明快に御答弁を願いたいと思います。
  32. 宮繁護

    宮繁政府委員 市長さんとしての御経験から大変貴重な御意見を聞かしていただきまして、私ども大変参考になります。  この線引きの制度というのはいわば大変な制度でございまして、ほとんどの市町村において線引きの都市計画決定がなされており、また国民の合意のもとにそういった線引きが実施されておることは、何と申しましょうか、第一線の方々、都市計画担当者の方々を含めまして大変御苦労されたことだと思います。  この線引きの制度は、いわば日本土地利用の規制の上では画期的な制度だと私は思っております。根幹的な方向を決めたわけでございます。したがいまして、この実施に当たりましては、この根幹を維持する上ではかなり弾力的に対応もしないと、時代の要請あるいは国民要望にこたえられない点もあろうかと思います。ただ、その場合に、許可をする人の恣意的なあるいはそのときどきの考えで行われてはまた問題も生ずるかと思います。  そういう意味では、いま御指摘のこの調整区域の農家の次三男の方々の住宅を建築する場合の問題でございますけれども、これは私どもは一応都市計画法の三十四条第十号ロの要件に該当するということを考えておりまして、従来から開発審査会にかけた上で許可をするように実は指導もいたしております。ただ、その場合に、各県におきましては開発審査会にかけます場合に提案基準というようなものをつくりまして、各県におきまして、その地域の特性あるいは時代の変化等を勘案いたしまして基準をつくっておるわけでございます。  ただいま先生から御指摘がございましたのが宮崎県の基準でございます。それはそれぞれ地域の特性を踏まえてつくった基準であろうかとは思いますけれども、たとえば御指摘の農家の所有面積につきましても、ほかの九州の各県では大体十アールが基準であったかと思いますけれども、宮崎県は五十というような数字になっております。これが宮崎県の農業の特性なり地域の発展の動向等何らかの合理的な理由があれば結構でございますけれども、どうも私どもいま考えまするに、ほかの九州の各県の一戸当たりの農家の農地所有面積等と比べましても、特に宮崎県が大きいというふうにも受けとめられませんので、これらにつきましては県の考え方も十分聞きました上で指導してまいりたい。  その他、いろいろ御指摘がございましたような点につきましても、九州各県におきましてもいろいろな基準がございますので、それとのバランスというような点もあろうかと思いますけれども、十分県の方から事情も聴取いたしまして、合理的な線で基準がつくられるように指導してまいりたいと考えております。
  33. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま局長から大変前向きな御答弁をいただきましたので、これで一応質問を終わりますが、参考資料として、九州各県の開発審査会の基準ですか、こういうものをいただくことをお願い申し上げて、さらに宮崎県に対して、この審査基準等についていま少し適切な御指導を御要望申し上げて私の質問を終わります。
  34. 稲村利幸

    稲村委員長 堀之内君の発言中、不適当な部分がありましたようですので、速記録を取り調べた上、委員長において処置いたします。  木間章君。
  35. 木間章

    ○木間委員 過日からこの法案審議に当たりまして土地政策、住宅政策万般にわたっての格調の高い論議が続いております。私は実務の面から論議を展開しながら、さらにこの法案の持つ意味を深めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  昭和三十年に住宅公団が発足をいたしましてからこの二十年間、それなりに評価すべき点があったと思っておる一人であります。ダイニングキチンで住まいの様式に革命をもたらしましたし、また、ステンレスの流し台や水洗便所、その他多くの住宅備品、設備は都市の住まいのあり方をリードしてきたところであります。  また、六十万戸の賃貸住宅を含めまして、すでに百万戸以上の住宅建設を行っていることあるいは二千五百ヘクタールを超える宅地開発住宅の事情の改善、健全な町づくりに一定の役割りを果たしたと思っておるところであります。そうは言っても、問題をこれまたたくさん抱えておるのも実情ではないでしょうか。  そこで、私は先日、この法案審議するに先立ちまして多摩ニュータウンを訪れてみました。広大な丘陵地帯にニュータウン建設が進みまして、複雑な、都市と比較いたしますと、自然の地形を活用したといいますか、変化に富んだ光景は私ども地方に住む者としては異様なほどに目を見張るものがあったわけであります。反面考えてみますと、わが国もいよいよ高齢化社会に入りまして、この若い団地もやがては年老いていくのだろう、そういったときに、この新団地の持つ社会的機能といいますか、どうなっていくのだろうか、一抹の不安を同時に持ったところであります。  また、ことしは国際障害者年でありまして、いま中央、地方を問わず、また官民一体になってこれら身体障害者の社会復帰といいますか、私どもと同じような形での生活を送るべく、その一大国家事業が取り組まれておるところでもありますから、果たしてこのニュータウンがこれらの方々を素直に受け入れてくれるだろうか、以前から続いてきました従来の住宅でさえもどんどん改良、改造が行われておるところでありますから、こういった点について建設省あるいは住宅公団はどのように対応をされておるのか、あるいはこれからされようとしておるのか、またこれら公団住宅団地に住まっておいでになる皆さんの、老人の実態、母子の実態、身体障害者の実態を把握されておるのかどうか、お伺いをしたいと思います。  まず公団の方からお願いをいたします。
  36. 澤田悌

    澤田参考人 だんだんと公団の団地に対する入届者の方々が高齢になられるとか、身障者の方もおるのではないかとかいう御指摘、御心配、ごもっともと存じます。  具体的に公団住宅入居者のうち、老人、母子あるいは身障者というような方々の世帯の入届の実態につきまして、これはなかなか調べにくい点もございますので、的確に私どもつまびらかにしておるわけではありませんが、私どものやり方といたしましては、新規賃貸住宅募集に当たりましては、六十歳以上の老人、四級以上の身障者の方の世帯につきましては、一定の入届に対する優遇措置を講じております。募集戸数の一割の範囲内で一般の申込者よりも五倍の当選率になるように、そういう措置を実施いたしておるのでございます。この措置によりますと、老人、身障者等の世帯への配分戸数、たとえば昭和五十五年度において見てみますと、約三百戸近いものになるわけでございます。  それから、公団が賃貸住宅入居者を対象に、昭和五十五年度の居住者定期調査というのを実施いたしておりますが、それによりますと、世帯主が六十歳以上になっておられる世帯というのが五・四%の比率になっておりまして、これは五十年度の同様の調査が四・二%でありましたのに比べますと、次第に高齢化されているという実情がわかるわけでございます。私ども、こういう事実に即しまして今後も適切な配慮を加えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  37. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまは心身障害者の方々あるいはまた老人同居世帯等に関しますところの住宅政策上の対応といったような御質問であったかと思いますが、公団住宅につきましては、ただいま公団総裁からお答え申し上げたとおりでございますが、公営住宅につきましても、従来から心身障害者の方あるいはまた老人同居の方々につきましては特定目的公営住宅ということで、これらの方々の事情を配慮いたしました規模なり設計なり、そういったようなものを考えまして、また、ほかの方々に対しましてよりも優先的に入届いただけるようにということで逐次整備を図り、また、入居していただいてきておりますが、心身障害者の同居の方々につきましては、公営住宅につきまして約一万一千戸程度、老人同居の方々に対しましては約一万二千戸程度の公営住宅供給してきております。  また、公庫融資につきましても、心身障害者の方々あるいは老人同居の方々につきましては、規模の特例あるいはまた貸付限度額の引き上げ、そういったようなことによりまして対応をいたしてきているところでございます。
  38. 木間章

    ○木間委員 公営住宅、公庫住宅等については、建設省の方でのかねがねの努力もあるわけであります。しかし、公団住宅につきましては、どうも総裁の御説明では私はやられていない、このように判断せざるを得ません。  いままでの経過をちょっと見てみますと、昨年公営住宅法の一部改正のときに附帯決議もついたわけでありますが、たとえば老人、身体障害者等の受け入れについては福祉行政との連携を緊密にしながら改造などを行って、そして良好なコミュニティー形成のための入居が図られるようにと、このような附帯決議がついておりますし、さらに少しさかのぼるわけでありますが、老人福祉法が出た次の年でしょうか、公営住宅の運営については、老人向け建設についてという通達が出ておるわけであります。読み上げるまでもないと思いますが、「老人の生活に適するような良好な立地条件を考慮して建設すること。」あるいは「一般世帯と社会的融合が行なわれるよう配意すること。」あるいは「できる限り、老人の生活に適するよう」、このようになっておるところであります。同じような通達が心身障害者向けにも出されておるところです。昭和四十六年の通達でございますが、これは「心身障害者の通勤及び日常生活に便利な立地条件とすること。」これはきわめて大切なことであります。この局長通達が公営住宅にだけ適用されて公団住宅に適用されないのか。私もやがては六十歳、七十歳を迎えるわけであります。いま公団入居者は、確かにおっしゃるように老齢化人口は他の地区よりも低い、だからといってこのままでいいというものでは決してないと私は思います。  先ほども言いましたように、私どもの周辺は太古の昔から町づくりがされております。建設省ももちろんでありますが、国を挙げて大改造をやっておるわけでありますが、いまつくっておる住宅に、これからつくろうとする住宅にそれらがないというのは私はどうも納得がいかない。何をされておるのか。いろいろ先般来から議論があります。職員がどうのあるいは経営者がどうの、いろいろあるのですが、一体どこに目を向けておいでになるのか。どうも公団そのものの持つ中身に何かちょっと違ったところがあるんじゃなかろうか、私はこのように指摘せざるを得ないのであります。  ですから、これらについていま建設中の、つい先日完成したやつをもう一遍道路をほじくり返して、身障者向けのあるいは階段のない町づくりをされようとするのか。これからどうされるのか。もう一遍お尋ねをしたいと思います。
  39. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 総裁のあれを補足して申し上げます。  老人住宅対策といたしまして昭和四十七年から四十九年度まで、この当時、公団の賃貸住宅の主力が二DK、やっと一部三DKでございました。したがって、老人を含む多家族の方々がお入りになるには狭いということで、老人を含みます五人以上の世帯の方々のために、特別に老人同居型の住宅あるいは同居でなくて、子供夫婦と老人の夫婦が非常に近いところにお住まいになるペア住宅と申しておりますが、そういったものを三百二十七戸建設してまいりました。しかし、五十年度以降公団の建てます住宅の面積が三DKあるいはそれ以上のものも建てられるようになりましたので、現在では、五十年以降につきましては三LDKあるいは三DK、四DKというようなものも団地の中に一部づくりまして、そういう多家族の方々に対応できるような措置をとっております。  それから入届につきましては、先ほど総裁から御説明申し上げましたように、老人あるいは身障者の方々を含む世帯につきましては、倍率優遇の措置をとっておりますが、さらに一つのアパートの住宅を選ぶ場合に、老人あるいは身障者の方々が非常に生活に便利なように、一階とかあるいはエレベーターがとまる階とかいうようなところを優先的に選んでいただくというようなこともやっております。また、すでにお入りの方でもそういったお困りの方につきましては、住居変更等の措置につきましても特別に配慮しているところでございます。  それから、いろいろな構造上の問題につきまして先生指摘がございましたが、私どもも従来そういった老人あるいは身障者の方々が生活できるように、歩道の縁石の切り下げとかあるいは外回り階段につきましてはスロープを併設するとか、あるいはエレベーターのある建物につきまして、エレベーターのところまでは少なくともスロープで行けるとかいうような、そういったいろいろな配慮をしてきておりますが、これはまだ私どもも十分だとは考えておりません。したがって現在でもそういった既存の、すでに建った住宅でも必要のあるものから逐次そういった改修をできるだけしてまいりたい。また、今後建設する住宅につきましては、そういったことにできるだけきめ細かい配慮をして建設してまいりたいと考えております。
  40. 木間章

    ○木間委員 繰り返しませんが、これからも多摩ニュータウンは大々的に建設が行われるわけでありますから、町づくりそのものにメスを入れてやっていただきたい、このように御要望を申し上げておきます。  次に、家賃の問題にちょっと触れてみたいと思います。  先般のわが党の質問で資料要求をして、先ほどいただいたわけであります。短期間でありましたので、目を通すことはなかなか困難でありましたが、本来、法律というものは一読すれば大体全体がつかめる、こういう考え方で編成されなければなりません。ところが、この法案の特徴といいますか、住民生活に直接の関係のある、たとえば家賃のような問題についても、法ではまとめなくて、あるいは政令、省令、そういったものにどんどん委任をしております。昨年の公営住宅法の一部改正のときにも私は論議をしたのでありますが、本来法の持つ意味といいましょうか、私は、そうでなければならない。したがいまして、家賃の決定基準につきましても私ども議員にはわからない、逆に、議会の審議を経ないでどんどん役所ベースで進んでいく、こういう弊害が起こっておるわけであります。ですから、こういったかなめの問題につきましては、私は、もっと法本来のもとに立て直すためにぜひ要求をしたいわけであります。したがいまして、いろいろ議論にもなるわけでありますが、今度は新公団が発足しよう、その法制化をしようということでありますから、原則に戻って編成をしてもらいたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  41. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  住宅公団の現行の家賃の決定方法につきましては、建設省令で定めた基準に基づきまして実施しているところでございますが、その基本といたしますところは、建設費等を基本といたしまして、償却費とか、固定資産税とか、維持管理経費等々を計算いたしているわけでございます。この方式は新公団になりましても同じ方法で踏襲されるものと考えております。  御指摘は、その際、省令でなくて法律でといったような御趣旨かと思いますが、公団住宅の使用関係といいますのはいわば民事関係になるわけでございまして、そういうような断係から、たとえば借家法の適用もあるというふうに考えますと、私どもの方で省令で定めるこれらの基準といいますのは、公団業務運営が適正に行われるようにというような意味での内部的な定めであるというふうに考えるべきかと思います。したがいまして、法律で法定することが果たしていかがなものであろうかというような点を考えまして、この法案におきましても、家賃等の基準につきましては従来の住宅公団法におけると同様な扱いとさせていただいているところでございます。
  42. 木間章

    ○木間委員 法律は国民を拘束するものでありますから、同時にそういったすべてのものが法律そのものに明記されなければならない、それはあたりまえのことなんです。私も、以前地方自治体におりまして、市の条例、規則の制定等の仕事を三年余りやってきたわけですが、そのときの本省からの指導はそういったことでありました。その後の時代の要請が変わったんだ、こういうことのようでありますが、私は、とんでもないことだ、このように受けとめておる一人でもあります。なかなか交わらない議論でもありますから、この機会に改めて私の考え方を述べるにとどめておきたいと思います。次に、正直なところ、最近の住宅建設の推移を見ておりますと、賃貸住宅、分譲住宅の比率が逆現象を起こしをして、逆に分譲住宅に力点が置かれておるのも前々から指摘されてきておるところであります。まさに賃貸住宅は風前のともしび、これが今日の実態であろう。しかし国民の皆さんは、そうではなくて、賃貸住宅で生活をして生活の潤いを持っていこう、こういう気持ちが非常に高まってきておるのが昨今のまた実情であるわけであります。端的に言って、公団は独立採算主義といいましょうか、そういった形がどんどん強まりまして、賃貸部門を遠ざけておる。このことに対する公団の考え方をお願いしたいと思います。
  43. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 住宅公団住宅建設五カ年計画に従いまして住宅建設を義務づけられているわけでございまして、私どもは、その線について分譲住宅あるいは賃貸住宅建設を行っているわけでございます。ただ、現実に、先生指摘のように、最近賃貸住宅建設が非常に困難になっているという面がございます。これは、一つは賃貸住宅というものはどうしても立地のいい便利なところに建てなければならない。ところが一方、そういった便利なところは地価が非常に高い。したがって国民のニーズにこたえる家賃供給できる土地が非常に少ないというジレンマがございます。また、地方公共団体あるいは地元の周辺の方々との調整の問題でもいろいろな苦労があるわけでございます。そういったものをできるだけ排除しながら、私ども今後とも賃貸住宅建設を進めてまいりたいと考えております。ただそういった適地が少ないということから、私ども公団自身が土地を買って賃貸住宅を建てるのもそうでございますが、できれば市街地住宅というように地主さんと一緒になってやる、あるいは民営賃貸用の特定分譲住宅みたいに、地主さんが経営なさる賃貸住宅にこちらがお手伝いするというようなものも含めまして、今後とも賃貸住宅建設努力したいと考えております。
  44. 木間章

    ○木間委員 要約いたしますと、土地を立体的にやっていこうという考え方があるようであります。当然都市改造をこの新公団も大々的に取り入れていこう、名称もそのようになっておることから判断されるところです。  そこで、再開発事業について述べてみたいと思います。  今日まで不均衡な国土利用が地方では過疎現象をもたらしました。大都市では人口や産業の集中が進みまして、加えて計画的でない都市建設といいましょうか、こういったことが行われたために生活環境は一層悪くなり、今日の深刻な住宅問題を持つことになったわけであります、改造を加えて、そして勤労者が安心して暮らせるためには良好な広さと設備を備えた住宅、狭い道路を広くする、あるいは公園や緑をふやして子供の遊び場をふやす、こうした再開発事業であろうと思いますし、大いに推進すべきだろう、このように考えております。昨年のときもこの再開発事業に大々的に住宅建設を併設しなさい、特に賃貸住宅を、一定割合を法制化をしてやるような決意で行ってもらいたい、このように指摘をしたところであります。同時に、この再開発事業は住民の方々の意思を十分に尊重されていかなければなりませんし、また、計画立案の段階から民主的にやっていかなければなりません。そういった立場から、特に借家人、借間人といった零細権利者の居住権あるいは生活権を尊重することを中心に置かなければならないと思っておりますが、この点に対するお考えをひとつお尋ねしたいと思います。
  45. 升本達夫

    升本政府委員 第一点のおただしでございますけれども、現在の都市環境の改善のため、また、住宅の立地の改善という観点から、再開発事業は大変重要な事業だと私ども考えておりまして、そのために、前通常国会におきまして、再開発事業の促進を図るための再開発法の改正をお願いした次第でございます。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕  おただしの、賃貸住宅供給を再開発事業で大いに促進すべきではないかという点でございますが、現在の再開発法もすでにその考えに立脚をいたしておりまして、御承知のとおりでございますが、住宅不足の著しい地域における市街地再開発事業都市計画においては、都市計画上ふさわしい場合には、住宅不足の解消に寄与するよう、住宅の戸数その他住宅建設の目標を定めなければならないという条項が法律の本条に掲げられてございます。これに従って実際の運用を図ってまいる所存でございます。  具体的には、住宅供給を主要な目的といたしますいわゆる住宅供給型の再開発事業につきましては、一般の市街地再開発事業に対する助成、補助よりはさらに厚く補助いたしておりまして、そのために、全事業費に対する補助の割合から申しますと大体二〇%程度が補助になります、したがって、それに相応する出来形が安くでき上がるというような措置を講じている次第でございます。さらに昭和五十六年度、本年度においては集会室等の生活基盤施設の整備に要する費用も補助対象に含めるという手だてを講じて、その推進を図ることにいたした次第でございます。  今後ともこの賃貸住宅供給促進につきましては、再開発事業の実施に当たって、特にその立地を十分吟味をいたしまして、また需要を勘案いたしまして、適切な住宅供給事業が実施できるように配意をいたしてまいりたいというふうに考えておりますし、この考えに沿って施行者を十分指導してまいりたいと考えている次第でございます。先生からは、建設割合を法制化しろということでございましたけれども、そのようなたてまえで推進いたしております。運用に当たっては、法制化に準じたような実効が上げられるように努力をいたしてまいりたいと考えております。  それから第二点のおただしでございますが、再開発事業施行に当たって、借家人、借間人等のいわゆる零細権利者の居住権、生活権を尊重すべきではないかという御指摘でございました。この点についても現行の再開発法は十分配慮をいたしておるたてまえになっております。具体的には、借家権者につきましても、従前からの借家権者については再開発事業によって新しく建てられる住宅の中に借家権を当然取得することができる。仮にその家主さんが新しい建物に入らないというような場合には、施行者が家主にかわって借家権者に建物を貸すようにする。これも法律上認められた当然の権利というふうに御理解いただきたいと思います。  それから、さらに借間人も含めて関係権利者として再開発事業事業計画あるいは権利変換計画、管理処分計画というようなものに対して御意見を賜るというようなたてまえにいたしておりまして、事前段階での調整に十分御意見をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。  さらに、借家人等が新しい建物に入られる場合に、住宅の床の単価が上がりますから、どうしても面積的に不足が生ずるという場合がございます。その場合に増し床を確保したい、あるいは優先分譲をこの際受けたいというような場合には、政府関係金融機関から低利融資等の措置がとられるようなことが講じられております。  さらに昭和五十五年度から、たとえばこういう零細な権利者の非常に多い市街地再開発事業については、一定の割合で廊下や階段等の共用通行部分の一部も補助対象にするというような手だても講じておりまして、これらによって比較的零細な権利者の方々も増床あるいは優先分譲の床が取得できるように諸般の手だてを講じさせていただいたところでございます。
  46. 木間章

    ○木間委員 いま建設省の方から、再開発法の事業を行う場合に住宅に一定の目標を置きながらやっていくのだ、法制化しないまでもそれに匹敵するような姿勢で臨むのだ、このようにおっしゃられました。先ほどは良好な住宅、賃貸住宅をこれからも努力をしていくのだという御答弁もあったわけでありまして、これを総合いたしますと、やはりこの再開発事業には公団住宅をのせていく、そして賃貸住宅をのせていく、これがきわめて必然性を持っておろう、また、今日国民の皆さんもそのことを望んでおるわけであります。  そこで、新公団が発足する、いま法案審議をしておるわけでありますが、この法案の中にこの一定の目標を挿入されたらいかがなものか。私はやはりそういったきちっとした形の中で事業を進めていかなければならないと思いますが、公団の方のお考えを再度お尋ねしたいと思います。
  47. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 若干、私の方から答弁させていただきたいと思います。  いま都市局長から御答弁申し上げましたように、新しい公団が発足いたしまして、再開発事業を積極的に実施していきたいと考えておるわけでございますが、その際、なるべく住宅建設と並行いたしました再開発の実施というような方向でいきたいと思っておりますし、また、再開発事業だけでなくても、職住近接あるいは土地の高度利用という観点から、市街地住宅であるとかあるいは両開発の市街地住宅、さらには特定住宅市街地総合整備促進事業といったようなものを、いろいろとその地域にふさわしい方策でもって実施してまいりたいと思っております。その際、再開発事業を行うという場合には、その施行地区が含まれる区域のいろいろな事情がございます。したがって、その地域の特性によって内容が決定されるのであろうかというふうに思われますので、再開発を実施する場合の住宅建設割合を法制上明定するということは、かえって再開発事業が円滑に実施されない面もありますので、御趣旨の点を実際の運用においで積極的に実施するというような方向で指導をいたしてまいりたいと考えております。
  48. 木間章

    ○木間委員 この新公団は、同時に区画整理事業も行われるわけであります。国の資金援助でこの区画整理事業が行われるわけでありまして、その結果、良好な宅地づくりができてくるわけであります。今日、首都圏で一万八千ヘクタールの未利用宅地がある、近畿圏でも六千三百ヘクタールが眠っておるというのが先般来から問題になってきたところであります。当時の論議の中で、建設省は何とか手を打ちたい、こうおっしゃっておいでたわけでありますが、いまの段階でどのように手を打たれておるのか、打たれておればお聞かせ願いたいと思います。
  49. 升本達夫

    升本政府委員 区画整理事業施行済み地の未利用宅地について、その宅地化促進策といたしまして、私どもは、やはりこの区画整理事業のでき上がり後にこれが直ちに、できるだけ早い時期に宅地化が促進されることがもとより大事なことでございますので、これを促進いたしますために、昨年の十二月に課長通達をもちまして全国の都道府県部局に通達をいたしました。  その内容は、一つは、まずその保留地の処分に当たって、できるだけ早くその処分された土地に建築行為が行われるということが望ましいわけでございますので、できれば保留地の買い取り者に対して建築計画を提出させるというようなことを考えて措置すべきではないか。それから必要に応じまして地方公共団体あるいは住宅公団、地方住宅供給公社というような、公共的な住宅供給主体にできるだけ優先的に分譲するというようなことを考えるべきではないか。それから第二点といたしまして、地区内の権利者の方々あるいは保留地を購入される方について、住宅建設するための金融、税制措置、こういった諸般の措置について必要な情報を的確に提供するというのも自治体の仕事ではなかろうか。それから第三点といたしまして、やはり区画整理事業施行地区を通じて宅地利用を推進いたします前提といたしまして、たとえば学校でございますとか、病院、店舗、集会所といった公益的な施設の整備が進行することが必要ではないか、そのようないわゆる地区利便施設というものをできをだけ誘致していくというような手だてを考えるべきではないか、このようなことを掲げまして、早期の宅地化を指導している次第でございます。
  50. 木間章

    ○木間委員 公団はこれから区画整理事業をやられるわけでありますが、この事業が完成した後の土地について、地権者にまた戻されるわけでありますから、そのときにどういう対応をされていくのか、いま建設省が過去の問題でいろいろ苦渋されておりますが、首都圏の場合におきましても約六年、七年も建設事業が進むくらいの量なんだ、こういう指摘もしたところでありますが、その公団のこれからの対応について、私はやはり法制化をすべきでなかろうか、このように提起申し上げる次第であります。そういった点についての新公団の決意をお聞かせ願いたいのであります。なお時間がだんだん迫っております。たくさん申し上げたいこともありますので、答弁は簡略にお願いいたします。
  51. 宮繁護

    宮繁政府委員 公団が区画整理をやりました場合に、公団の所有地につきましては当然住宅も建てますし、学校、病院等も建っていきますのでかなり早く市街化いたしますけれども、地主さんの持っております土地につきましては、いまお話のように、非常に市街化のテンポが遅いわけでございます。ただこの場合に、先ほど都市局長からお話がありました一般の区画整理に比べますと、公団の区画整理施行地につきましては、学校その他利便施設等も建ってまいりますので、かなり速度は早い傾向にはございます。しかしそうは申しましても、いままでこの民有地の未利用地の利用促進につきましては、建設省である私どもも含め、公団も必ずしも十分な対応をしておらなかったのではないかと反省もいたしております。今後におきましては、公団はただ単に自分の所有する土地について住宅を建てるとか、あるいは更地分譲につきまして住宅を建築するように義務づけるというだけではなくて、民有地につきましてもやはり住宅建設促進の観点から十分に取り組んでいただかなければならないと考えております。  ちなみに、昭和五十六年度から住宅公団におきましては、新たに地区環境整備事業というのを実施することにいたしまして、その一環といたしまして民有地の所有者に対します住宅建設等につきましてのコンサルタント的な事業も行う、あるいはまた都道府県の住宅行政担当部局とも協調連絡しながら住宅展示場等の開催を行う、こういうことを行いまして民有地部分の建築の促進を図るように十分指導してまいりたいと考えております。
  52. 木間章

    ○木間委員 遠島狭は住宅の代名詞のようで、大変国民のニーズと離れておるのは御承知のとおりであります。これらを解決するにはこの再開発事業住宅を上乗せをする、特に賃貸住宅を大幅に取り入れていく、あるいはまた、区画整理事業でできた宅地はどんどん住宅地に、しかも早い速度で利用させていく、ぜひそういう決意で臨んでいただきたいと思います。  次に、仄聞するところによりますと、今年度の予算編成に先立ちまして公園事業を担当させる新公団をつくる気持ちがあったとか、それが大蔵省との折衝の中でなくなりまして、その結果、これから発足しようとするこの新公団に公園担当の役員を一名ふやして、十八名から十九名で発足されるやに聞くわけであります。いま行政改革が叫ばれておるときでありますから、どんどん新公団をつくることは絶対に許されてはいけない、私はこのように考える一人でありますし、また、そのような安易な考え方でやっていくのはけしからぬ話であります。  そこで、この公園担当の役員もふえたわけでありますが、このようなあいまいな考え方でこの公園事業はできるのかどうか、決意をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 升本達夫

    升本政府委員 新公団業務の中に公園の整備業務を加えていただきました。公園につきましては、御承知のように第三次の五カ年計画を今年度スタートさせるということで御審議お願いする予定をいたしておるわけでございますが、その中で、国民のニーズの変化に立脚しまして、広域的な公園事業に対応します国営公園の整備というのが大変大きなウエートを占めるものというふうに考えております。これを整備促進いたしてまいります場合に、できるだけ利用者の御協力も得られるものは得ていきたいということで、国営公園の中の有料施設については財政投融資を期待をいたしまして、これによって建設費を利用者から逐次回収するというような手だてを講じさせていただくことにより、国営公園の整備、さらには全体としての公園の整備を促進してまいりたい、かように考えた次第でございます。この場合に財投を利用できる機関として、御承知のように機関の性格上限定がございますので、新公団はまさにそれに適した公団であろうということで、この国営公園の有料施設整備業務公団業務に加えていただいた、こういうことでございます。  なお、あわせまして、地方自治体における都市公園の整備につきましても、一定の条件のもとにこれを公団が積極的に受託をして整備を推進していきたい。これは御承知のように、都道府県段階、市町村段階を通じまして公園の整備の要請は非常に強うございますけれども、その整備を受け持つ技術者等あるいは組織が大変未熟だという状況にございます。したがいまして、こういう状況にかんがみまして、受託をして公団が公園の整備をしていくということを公団仕事に加えていただいた、こういう次第でございます。  以上のような次第でございますので、私どもは、新公団の新しい業務として大変重要な業務でもあり、かつ全体の公園整備という観点から重要な仕事と思いますので、責任者を配置していただいて的確な実施を推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  54. 木間章

    ○木間委員 行政管理庁も来ておいでになるわけでありますが、時間がありませんので私の指摘だけを申し述べたいと思います。  十八条では役員の定数を決めておるところでありますが、私は副総裁の二人は多いと思います。国鉄や電電公社も一人で十分運用されておりますし、また、「理事十四人以内」とありますが、十四人をもって下がるわけでありますから、今日、行政改革が叫ばれておる折でありますから、十人も十四人以内です。十二人も十四人以内でありますから、ぜひそういった考え方で臨んでいただきたいと思います。つまり、定数いっぱいを任命するということはどうしても避けてもらいたいと思うのであります。  また、監事は最低二人を要すると思いますが、「二人以内」になっておるわけです。一人というのはあっていいものかどうか、一人の判断だけでどんどん進むわけでありますから、やはり最低二人だろう。このように十八条の関係では私の考え方だけを述べておきたいと思います。  第二十四条に「役員の兼職禁止」をうたっております。この文案を見て、逆にどんな人がなれるのだろうか、私なりにいろいろ考えてみたわけであります。つまりいま言われておるように、役所の方々の再就職といいましょうか、天下りといった方が端的なんですが、どうもそういったレールがこの中に敷かれておるから今日このような状況を醸し出しておる、大変うがった見方でありますが、私はこのように見るわけであります。そこで、なぜ多くの方々が天下っていかれるのか。これは単に建設省だけの問題ではないのでありますが、私の方の要請がおくれまして他の官庁の御出席を得られなかったのでございますが、建設省の方の御判断をお尋ねしたいと思います。
  55. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 公団の役員につきましては、適材適所主義で選定すべきものと考えているわけでございます。しかし、いま先生から御指摘がございましたように、いわゆる天下りが多いではないか、こういうことでございますが、公団業務住宅対策一つをとってみましても国の施策と非常に重要な関係があるわけでございまして、国家公務員からある程度は役員としていくのが適切ではないかと考えているわけでございます。  それから、民間からの登用ということにつきましては、昭和五十四年度の閣議了解につきましても、民間からなるべく登用するようにというような趣旨の決定があるわけでございますけれども民間から優秀な人材を求めるということにつきましては、やはり一流会社の重役の方においで願わなければならないということになるだろうと思うわけでございまして、その場合には、公団の役員が非常に給与が高いというような御批判を受けているわけでございますが、民間の一流会社に比べますとまだ非常に低いわけでございまして、なかなかおいではいただけない、こういう点もありますし、またもう一点は、公団の役員につきましては原則六年、こういうことになっておりまして、六年間民間からおいでいただきましてお帰り願うということになりますと、やはり帰られてからつくポストがないというようなことで、優秀な人材においで願えないというような事態があるわけでございますが、閣議了解のこともあるものでございますから、われわれといたしましてはなるべく民間の方あるいは内部登用につきましても十分配慮してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  56. 木間章

    ○木間委員 どうも官房長の答弁は私は納得できないわけであります。本来公団、公社等の仕事は役所の仕事なんです。国営の仕事であったはずなんです。それをいろいろな理由をつけてどんどん公団、公社の仕事に切りかえられておる。もともと特殊法人が設立されたときの考え方というのは、公務員にない自立性といいましょうか、あるいは弾力性といいましょうか、そういったいい面をぜひやってこれからの国民のニーズに対応していこう、こういうことの歴史があったはずであります。ところが、時間がたってまいりますと、やがては独立採算主義といいましょうか、つまり安上がりの行政、裏返しに言いますと、国民の側からは負担が伴う事業にどんどん置きかえられてきた、私はこのように指摘せざるを得ないのであります。ですから、そのような事業をどんどんおふやしになる、いま一方は先ほどうがった言い方と言いましたけれども、一定の年月を全うされた官庁の方々がどうも別のレールでそこへはまっていかれるようなと私は率直に申し上げざるを得ないのであります。そこで、いま直ちにこの天下りの枠を、現在おいでる方々をどうのこうのということではありませんが、やはり漸減させるべきではないだろうか。そして広く民間の英知を集めるあるいは内部登用を図って職員の皆さんに激励を与える、このことはきわめて大切でないだろうか。そのことを怠りますとKDDのような、またかつて公団がいろいろうみを出しましたね、ああいったようなものが起こってくるのは必然的なものでないだろうか。したがいまして、この再就職組の一定の枠組みといいますか、基準みたいなものをひとつつくられたらどうでしょうか。
  57. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 御趣旨はまことにごもっともでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、閣議了解によりましても全特殊法人を通じまして、いわゆる天下りにつきましては半数以内にとどめるように目標を立ててこれから漸減をしていく、こういう形になっておるわけでございますから、建設省所管の特殊法人につきましてもその閣議了解の趣旨に従ってやってまいりたいと考えているわけでございます。
  58. 木間章

    ○木間委員 先ほど天下りの持つ意義は管理面でも大変能率が上がっていいんだ、こうおっしゃられておったわけであります。従来の住宅公団の機構図の中に管理部というのがあります。ところが、この関連特殊法人の中に住宅管理協会というのが実はあるわけであります。同じ住宅管理するのに二つの役所といいますか、担当があっていいものかどうか。そのことが公団の持つ意味とは違ってくると私は思っております。つまり屋上屋を重ねておる、このように指摘せざるを得ないのでありますが、こういったことについての見解をお願いしたいのであります。
  59. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えします。  公団住宅でありますから公団みずからが管理するのが当然でございますが、しかしながら団地によりましては非常に遠隔地の団地もございます。それから高層住宅等につきまして、エレベーター等の、それから夜間も使うとか特殊ないろんな装置もございます。電波障害防除施設の問題もあります。そういう特殊なもの等を含めまして、必ずしも公団がやるにふさわしくないあるいは地理的にもふさわしくないというようなものにつきまして、このたび全国的な組織として従来のものも改組等をいたしまして住宅管理協会を設立し、維持管理する、つまり住宅公団のいわば身がわりのようなものとして仕事をしていただいているというものが住宅管理協会であります。
  60. 木間章

    ○木間委員 役員の皆さんの天下りと連動してという言い方はちょっときついとは思いますが、私はあえて連動してと申し上げますが、中間管理職の皆さんがこれまたどんどん中枢に天下りあるいは出向という形で張りつかれておるわけであります。そしてしかもそれが持ち回り的になされておる。これは幾つかの資料でも出てくるわけであります。特に公団本社九部のうち六部がそういう形で今日占められております。そうしてまいりますと、逆に各省庁の仕事が縦割りに入ってきまして、公団本来の持つ使命とは違った方向で、やりにくくなっておる、そして閉鎖的な組織を醸し出しておる、このように私は断ぜざるを得ないのであります。こういった点についても、これから新公団がどうされていくのか、私はもっともっとメスを入れてもらいたいと思いますが、お考えをお尋ねしたいと思います。
  61. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 部長、課長等の中間管理職につきましても、やはり内部から登用して職員の士気を上げることが非常に重要なことだと考えておるわけでございます。しかし、いま先生指摘のように、一部の職員につきましては建設省あるいはその他の省庁から出向しているわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、やはり公団の職務が国の政策と非常に密接な関係があるわけでございまして、国との連絡その他の関係もございまして、一部の職員につきましてはそのようなことも必要だと考えております。しかしながら、最近では次第に部長等につきましては内部登用の方向で努めておるわけでございますし、これからもその方向を強めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  62. 木間章

    ○木間委員 時間も余りありませんので繰り返しませんけれども、ぜひその天下り幹部のみならず中堅の皆さんも、いまこそえりを正していただきたいのと同時に、建設省におかれましても、今日の行政機構の見直しといいますか、あるいは内部の皆さんの勤労意欲をさらに増幅させるためにも、ぜひえりを正してもらいたいと思います。  最後にお尋ねいたしますが、この関連企業に団地サービスがあります。先般多摩ニュータウンをお訪ねしたときに、賃貸住宅入居者がかわられますといろいろ補修その他をやられるようでありますが、この団地サービスの行っておられる事業について、競争相手があるんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  63. 久保田誠三

    ○久保田参考人 公団住宅の修繕、補修等につきましては、非常に各種たくさんあるわけでございますが、そういうものにつきましては、日常の速急性とか、よく物事を知っているとか、そういうことを考えますと、通常それに詳しいような組織、入届者の利便のための施設あるいは住居補修とか、そういうものをせっかく円滑かつ急に応じてできるような体制を整えていくことが望ましいわけです。  そういうこともありまして、三十六年でしたか、ほかの銀行店舗とか倉庫とか、そういう業務を行えるとともに、団地サービスをつくりまして、そういうことも行えるような組織をつくったわけですが、これは一定のそういう即効性等、あるいはその現地に詳しい等ということを考えまして、団地サービスに一定の枠で、随契措置等のこともありますが、その他についても一般の業者を配しているというわけではございません。
  64. 木間章

    ○木間委員 私はとんでもない間違いをやっておられると思うのであります、先ほどの質問の中で、本来公社、公団事業は国の仕事であろう、それがいろいろ理由をつけてどんどん細分化されて今日のようなピラミッド型をつくっておるわけであります。そして、そこの経営者はかつての上司であり仲間である、そういう皆さんで事業が運営されているわけであります。そしてその業務内容は、というよりも、全く競争相手のいない独占形態をとっておるというのがただいまの答弁でも明らかになっておるところであります。  そこで、最後に、私ども国民には納得のできないような運用が、本省、そして公団、公社、関連企業、特殊法人、こういう形で組織図ができ上がっておるわけであります。いま国民のニーズは、まさに行政改革を何とか行ってもらいたい。私ども地方では、市町村の公共事業に関しましては、たとえば消耗品を購入するにいたしましても全部競争入札もしくはいろいろそういった手だてをやっておるわけでありますが、どうも中央の方は逆現象が起こっておって、納得ができないわけであります。そこで、これらの問題について大臣の決意をひとつお聞かせいただきまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  65. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 先ほど来先生の御質問、御指摘等々を拝聴して、非常にごもっともな点が多々あることを感銘深く拝聴いたしておったわけであります。  もとより公団事業そのものは、公の立場から国民住宅対策であろうかと思います。したがって、そこの中から醸し出すものにいささかなりとも国民の批判を受けるようなものが生まれ出てはいけないと思います。したがいまして、役員の問題あるいは職員の問題あるいはいま御指摘のような関係につきましては、十分な配慮をもって指導しなければならないものだというように痛感した次第であります。  建設省におきましては、公団関係対策委員会を五十二年につくりまして、なおその後本年度も新しく発想をするということで発足させた対策委員会等々もございます。いま先生から御指摘の面につきまして、あらゆる角度から十分な調査等しながら、御指摘のものにつきましてもせっかく検討いたしまして、いささかなりともそうしたことで国民の疑惑を受けないような形で進めてまいりたいと思います。とかく役所仕事になりがちなこの種事業事業団というものについては、やはりそれなりのメスを入れなければならないときではなかろうか、このように考えます。  いろいろと御指摘をいただきましたことを感謝申し上げ、前段申し上げましたような形で、これからも強い指導をしていく所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  66. 木間章

    ○木間委員 大臣も強い指導をしていく、こういうことであったわけであります。ぜひ大臣には長い間建設大臣をやっていただきまして、私どもと一緒に見きわめていただきたいと思います。ぜひそういった決意でこれからも意欲を持って担当していただきたいと申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。  御苦労さんでした。
  67. 中村靖

    中村(靖)委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  68. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林保夫君。
  69. 林保夫

    ○林(保)委員 ただいま御提議になっております住宅都市整備公団法案につきまして質問させていただきます。  個別問題に入ります前に、今日、第二臨調の発足そのほかを踏まえまして、総理のあの姿勢、各閣僚の皆さん方のあの姿勢から言いまして、行政改革が大変大きな、国民的な課題にもなっておると思います。私どもの党もいち早くその対応を整えまして、ぜひりっぱな成果を上げるよう期待しておるのでございますが、本法案はそのモデルケースにもなるような感じが実はしておるわけで、私ども、そういう面からもぜひその成果が上がるよう期待したいのでございます。これらの新しい情勢も踏まえながら、なおこの新公団法案にかけます大臣の御決意を、基本的な姿勢としてまず承っておきたいと思うのでございます。
  70. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 新公団に対する認識と決意ということでございます。  御案内のように、当初先生も御指摘のように、行政改革を含めて、日本の財政の面からも歴史的な転換といいますか、内容変化をきわめなければならないときであろうと思います。それはどういうことかといいますと、世界経済環境の非常な変化から日本もそれを避けて通れないというような形、具体的にはオイルショックという大きな引き金もあったでしょう。それと、やはり戦後三十有余年たって、日本の財政事情もいろいろな意味で、過保護という言葉は行き過ぎかもしれませんけれども、いろいろな面でそこを来しておる。ただし、だからといって、私は社会資本の充実が進んでいるとは思っておりません。なるがゆえにこそ私たちはさらに良環境の環境づくり、広義の国民生活福祉というものの充実、言いかえれば社会資本の充実でございましょうか、そうした観点から取り組まなければならない時点において御案内のように都市化現象が起きておる。住宅事情は、一応まあまあ数的にはよろしいのですけれども宅地の問題、あらゆる難問題を控えて、行政改革という面からとのうらはらで一つのきっかけとして新公団にかける期待は大きいわけであります。したがって、いろいろな事情を踏まえて、新しい観点から住宅宅地対策行政改革とともに進めていくという基本的な考え方のもとにお願いをいたしておるわけであります。  これは民間ですと、大きな困難に当たりますと一口に減量経営というような問題が簡単にできますけれども、国家機構の中で公的資金をいただいて公の仕事をしているという非常に錯綜した組織、バックグラウンドがありますので、そうしたことをあらゆる角度から考えながら、この新公団にかける期待というものは私たちだけでなく、いわゆる住宅にお困りの方々も何とか新しい観点から認識していただいて、私は御理解がいただけるのではなかろうか、このように考えているわけでございます。諸先生方のせっかくの御理解をいただいて、問題点を指摘されながら、そうしたことを乗り越えて、法案法案として、内容的にもりっぱなものをつくって国民のニーズにこたえよう、このような覚悟で御提案を申し上げているところでございます。
  71. 林保夫

    ○林(保)委員 りっぱなものをつくらなければならぬ、その趣旨には大変賛成でございますが、ただいま大臣がおっしゃった中でちょっとひっかかる問題があるのです。民間だから減量経営ができるのだ、お役所にはできぬのではないかというような、ちょっとそういうニュアンスがあったのでございますが、大臣民間であるいは地方公共団体で大変御苦労なされ、また経営の面でも腕をふるわれた方でございます。国民のお金だからこそ減量経営をしなければならないのだと、むしろ発想を逆にしていただかないと困ると思うのです。言葉じりをとらえるようでございますけれども、ひとつその点を。
  72. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 ちょっと誤解をされたようであります。民間ですと民間資本で簡単に減量経営で取り組みができますけれども、公的な機関でありますのでいろいろの問題が非常に錯綜していて、一遍に、たとえば懸案の、役員が多いから減らせ、では職員はどうするんだ。公の機関であればあるほど簡単に減量ができないということ、ましてや事業目的が国民の一番困っておられる住宅問題ということでありますので、非常に厳しいということを前段に申し上げて、だから避けるのではなくて、なお一層厳しい姿勢で何とか新公団を運営していきたいという覚悟のほどを申し上げたわけで、誤解のないようにひとつよろしくお願いいたします。
  73. 林保夫

    ○林(保)委員 了解いたしました。  それで、この両公団統合のいきさつでございますが、例の昭和五十四年十二月二十八日の閣議で、行政の全般にわたり簡素化、効率化対策を進める、またこれが対象になり、五十六年十月をめどに統合することにしたと理解しているわけでございますが、これと今度の第二臨調との関係、私どもから見ますと、従来にない新しい行政改革の提起が、総理大臣以下あるいは国民規模で出ていると思いますが、その差異について大臣はどのようにお考えでございましょうか。あのままの、前の決定の精神どおりでおやりになられていいとお考えになるのですか。それともまた新しい視点でもう少し考えなければならないとお考えになっているのか。いまの場合認識がかなり変わっていると思います、蛇足かもしれませんけれども
  74. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 第一次の時点と第二臨調の場合は視点も考え方も総合的にすべてが違った発想で進めるべきものと考えております。したがって総理も相当の決意でありますし、相当という以上の決意でありましょう。あるいは行管庁長官もそうでありますし、われわれもさきの参議院の予算委員会で閣僚もすべてそのことに協力するという信念を吐露いたしたわけであります。先ほど来申し上げましたように、民間でさえもやるんだ、やれるんだ、ましてや公の仕事に携わるわれわれは、全く違った視点、考え方、構想のもとにもっと厳しい姿勢でこれに取り組まなければなりません。またやり遂げなければならない、このような覚悟を持っておるところでございます。
  75. 林保夫

    ○林(保)委員 そのとおりだと思います。国民的な心境から申しますと、新しい、ああいうふうな総理の政治生命をかけてやる、こういう大変大きな情勢変化があったと思うのでございます。第二臨調の中間答申が七月に出る。もしここで十月発足をめどにしてこの公団があいまいもことした方針を従前どおり引き継いでいくといたしますとすれば、もう一遍第三臨調ぐらいにかからなければならないんじゃないだろうかという心配もされなくはないのでございますが、その辺のところ大臣はきっちり踏まえてもちろん御提起になったものだと思うのでございますが、今度の公団と前の二公団、まず第一点は、簡素化という点でどういうメリットがあるのか、お伺いしたいと思います。
  76. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 十月発足で内容的にいろいろ細かく詰めていくわけであります。当面のメリットといいますと、余りはっきりしたものを明確に申し上げる段階ではないわけでありますが、とにもかくにも六年前でございましたか、皆さん方から御指摘をいただいて、いろいろと批判があって、二頭で発足したような形、ざっくばらんに申し上げて。しかし私たちは私たちなりにその時点においては正しいと思っておるわけでありますが、時代の変化ということで、当時指摘されたような形で進むという関係からいたしまして、やはり一つの方向づけというものに変わりがあったということ、そのことによってやはり具体的なメリットといいますと、二頭立ての馬車よりも一頭立て、要するに機能的に、有機的に非常に動きいいのじゃなかろうかというようなこと。それから内的にはやはり役員も、理事でございますけれども、また職員の方々もこうした第二臨調、行革、財政事情ということを踏まえて、われわれは新しい考え方で進まなければ国民のニーズにこたえられない。御指摘のように未入届住宅、未利用土地がたくさんあるというようなことも、新発足によって全く心も何もかも変わって発足できるという精神的なメリットもあろうかと私は思います。  事務的なメリットは、これは具体的に機構の問題でありましょうから、これからどういうセクションをどのようにするかということは、当初からやるのも一つの方法であろうと思いますが、やはり宅地住宅と係を一つにするわけでありますから、機構的な問題はこれからだんだん能率的といいますか、機能的に詰めていくような形になっていくと思います。  具体的に一つ一つにつきましては、御質問がありますれば政府委員からお答えいたしますが、大まかな感じとして私はそのようなことを考えて進めるという所存であるわけでございます。
  77. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣の御決意をもう少ししっかり聞きたいと思うのです。大変恐縮ですが、もう一つ二つお答えいただきたいと思います。  先ほど二頭立てより一頭立てがいいという御意見でございましたが、私どもの党もかつて一頭立てを主張いたしまして、二頭立てには反対したのです。それなのにまた今度は裏を返したような見解が出てくる。これは私はちょっとおかしいんじゃないかと思いますが、くどいようですけれどももう一度一言、なぜ一頭立てがいいのかひとつお聞きしたいと思います。
  78. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 その当時私はここにいなかったわけでありますが、プロセスをいろいろと聞きまして、住宅宅地問題が社会的にも国家的にも非常に重要課題ということで、当方といたしましてはやはり両面からこの問題を解決した方がよろしいということから分かれて発足したというように承知いたしているわけであります。その当時、先見性があると言えばそうでしょう、皆さん方はやはり一つの方がいいということで大変主張されたようでありますが、結果的には今日を迎えますとそれもまた正しかったかと思います。しかし、当時責任者として、担当省とすれば、建設省は建設省なりにこの方がよろしいという考え方に立ったわけで、ひとつその点は御理解をいただきたいわけでございます。  なお、決意ということでありますけれども、これだけ社会環境が変化して、なおかつ都市化の中で国民住宅に対する要望というものは厳しいわけであります。先ごろのアンケートでも、東京大阪住宅に困っているという方々が、東京で四二・三%、全国で三八・九%ですか、というアンケートも出ておるわけであります。したがって、御提案申し上げる以上はそれなりの決意を持って、とにもかくにもそうした困った方々に対する住宅の需要に応ずることは当然のことながら、法案に盛り込まれておりますように、また目的にもうたってありますように環境整備、良環境のもとで良質の住宅をというようなことが柱になってお願いをいたしておるわけで、申すまでもなく強いかたい決意で進めるということについてはいささかもたじろぐものではございませんで、積極的にやってまいる所存でございます。
  79. 林保夫

    ○林(保)委員 前提条件でもう一点ですが、これは大臣に最後にお聞きしたいと思うのでございますが、いまも同じでございますし、五十四年十二月のいわゆる大平行革の際の決意も、簡素化と効率化をやろう、こういうことから来ていたと思います。  事務当局にお答えいただきたいのですが、簡素化を具体的にどう新公団で実現されるのか。もう一つございますが、まず第一点お答えいただきたいと思います。
  80. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  まず組織の問題でございますが、先ほど大臣が申しましたように、役員につきましてはおおむね四分の一を減じまして二十四名を十九名といたすわけでございます。  それから各部の構成でございますが、各部につきましては、現在の宅地開発公団日本住宅公団の部がございますが、これを再編成いたしたいと思いますが、最大にその効果が上がりますような効率的な組織にいたしたい、こういうことで進んでいるわけでございます。  なお、新公団業務型の再開発、公園の整備等を行いますが、これらを既存の人員等を最大限に活用して効果的な事業の執行を図りたい、このように総合いたしまして事業の効率化、簡素化を図りたいと考えるわけでございます。
  81. 林保夫

    ○林(保)委員 いま簡素化の御説明がございましたけれども、これに伴います経費の面でどのくらいの節減を見込んでおられますか、事務当局の見解を伺いたいと思います。
  82. 川上幸郎

    ○川上政府委員 直接に出てまいります経費は理事の五人分の減でございます。これにつきましては、算定いたしますところおおむね一億一千万ぐらいと考えられますが、何と申しましてもこの簡素化の理由は、既存の組織と定員とを使いまして新しい事業でございます都市開発業務、それからまた公園の整備業務等を行うことでございますので、その辺の得るところ大である、このように考えるわけでございます。
  83. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一つ効率化の問題があるのです。これも詰めたいのですが、各論でやらしていただきたいと思います。  大臣お聞きのように、私もこの建設委員会でじっと先輩委員の皆さんのお話を聞いておりまして、効率化という視点でメモをとっていったんですけれども、出てこないんです、率直に言いまして。それからまた簡素化という、これは閣議の決定でございますしね、国民が政治を預けているところが簡素化をやろう、合理化をやろう、そのための合併だ、こういうことなんでございますが、大臣、大きな視点で、新公団がどういう形でこの国民的あるいは閣議決定の要請を踏まえて発足するのか、もう一度ひとつくどいようですけれども、御決意を承りたいと思います。
  84. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 機構的な問題は形の上で出てくると思います。内的な面で、精神面で大きな効果を私は期待するわけであります、それにはやはり総裁初め理事が全く新しい考え方で、強い指導のもとに職員とともにやっていただきたいということであります。具体的に一々どうすれば効率的かについて申し上げるということはなかなかむずかしいわけでありますけれども、いままでのようないわゆる親方日の丸、公的資金、何か惰性のような形であってはならない。いままでも一生懸命やってきたことは事実であります。百万からに及ぶ住宅需要に応じてそれなりの功績があったと思います。しかしそれじゃもう追っつかないんだ、もっともっと積極的にやはり不合理を追及し、不採算面についても摘出する、いろいろな面でやっていくという形によって効率性が出てくると私は思います。またそれだけに、所管省としてもきつい指導をして、いままでのようなお任せでなく指導してまいりたい。したがって、新しい事業促進対策委員会も新しい観点から設けまして、これから本委員会指摘された諸先生方の一つ一つのものについて具体的に詰めて、公団建設省ともに挙げてその責任を全うしていきたい、そういう面でひとつ効率化ということを図るということでいささか時間をかしておいてほしいと思いますし、また継続的な国会でございますので、その都度、都度そういう面でも御指導と御指摘をいただければ幸いではないか、このように考えるところでございます。
  85. 林保夫

    ○林(保)委員 御経歴上も一番よくわかっていらっしゃる大臣でございますので、そういう面の督励をぜひお願いしておきたいと思いますが、ちょっとその点がまだはっきりしないような感じが強うございます。  ところで、今度の両公団を統合し、新公団を設立する、これは行革でやむを得ずやったんだということであってはどうにもならぬと思います。やはり先ほどおっしゃられましたように簡素化のほかに効率化、さらには大きな国民期待にこたえるという側面がなければならぬと思うのでございますが、都市政策、住宅政策、宅地政策の上で一体どういうメリットがあるのか、どういうことをやろうとしておられるのか、事務当局で結構でございますが、その一番のねらいどころを具体的に御説明願いたいと思います。
  86. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  先生指摘の今後の住宅宅地都市対策におきます新公団の役割りということで順次申し上げてまいります。  まず、住宅対策の面でございます。最近のわが国の住宅事情といいますのは、もう先生御存じのとおり、質、量、両面において確実に改善を見せておりますが、大都市地域等においては、自力では最低居住水準を確保できない階層に対応が必要である。また、四、五人以上の世帯用の賃貸住宅の不足等に対します対応、成長階層を中心といたしました持ち家需要についての対応、住宅建設と住環境整備の一体化への要望に対応等の住宅政策上の重要課題がありまして、これを効果的に推進していくためには、今後とも住宅の直接供給ということが必要かと考えるわけでございます。  次に宅地の面でございますが、宅地供給につきましては、地価の安定及び良好な市街地の形成に留意しながら、計画的な宅地開発の推進等の諸施策を一層総合的かつ強力に推進する必要があると考えるわけでございます。  次に都市対策でございますが、大都市の枢要な地区におきます都市機能の更新、防災対策必要性の増大等の都市問題に対応いたしますためには、都市の再開発を中心といたしました諸施策を広域的観点から総合的に実施する必要があると考えるわけでございます。加えまして、都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園の整備を強力に推進する必要があると考えるわけでございます。  新公団は、以上述べましたような要請にこたえますため、今後とも日本住宅公団宅地開発公団が行ってまいりました住宅宅地供給と、健全な市街地の整備を推進いたしていくこととしておりますが、高度化、多様化しつつあります国民のニーズの動向を踏まえまして、良好な市街地住宅供給、それからタウンハウス等住宅供給形式の多様化、適正な価格による良質な宅地供給等を一層推進いたしますとともに、大都市地域の既成市街地では、都市機能の更新を主たる目的といたします都市の再開発を新たに行い、加えて国営公園内の有料施設の建設管理地方公共団体の委託に基づきます根幹的な都市公園の整備等を行うことに上って、国民生活の安定と福祉の増進に寄与いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  87. 林保夫

    ○林(保)委員 各論に入ります前に、長年御苦労なさった公団の両総裁おいでいただいておりますが、本当に御苦労であったということでございましょうが、どういう面で御苦労なされたのか、それから今度新公団にかける御期待を、それぞれに反省を込めてひとつ承らせていただきまして、私どももこれからしっかり勉強させてもらいたいと思いますので、ひとつお話しいただきたいと思います。
  88. 澤田悌

    澤田参考人 自分が苦労したということを申し上げるのも面映ゆいのでございますが、私、住宅公団に就職いたしましてちょうど三年半になります。当時は御承知のように全体に経済情勢社会情勢住宅事情等が大きい曲がり角に来たときで、公団がたくさんの問題を抱えた時期でございます。と同時に、公団がそういう問題についての非常な反省期に入ったときでございます。したがいまして、それ以来の公団努力は、いろいろな問題の解決のために全力を尽くすということ、そのためには建設中の住宅についての全面的見直しというような荒療治も実はやったわけでございます。それから長期未刊舟地の問題、未入居住宅の問題等について、今日まで建設省の御指導を得て全力を挙げて努力して、いささか改善の方向に向かっていると私自身も思うのでありますが、なおいろいろ問題が残っております。そういうむずかしい問題について、現在いろいろと方向づけをいたしております。短期間に解決できる問題でないのもいろいろございますから、そういうことにして、新公団ができますときまでにできるだけの整理と方向づけをいたしまして、高い理想を持って発足されることになっておる新公団に引き継いで、りっぱな公団になってもらいたい、かように考えておる次第でございます。
  89. 林保夫

    ○林(保)委員 澤田総裁にもう一言承りたいのでございますが、いまその方向づけをまた新しく御努力なさっておられるということだが、それならそれをそのまま延長したらいいのであって、なぜ一緒にしなければならぬかという理由でございますが、総裁、どのようなお考えでございましょうか。
  90. 澤田悌

    澤田参考人 一緒にしなければならない根本理由は、二つあるものは一つの方がいいということだと私は思います。
  91. 林保夫

    ○林(保)委員 総裁お話、わかるような気もいたしますけれども、なお、さきに分けたこともございますので……。  今度は宅地公団総裁にその辺の事情をひとつ。
  92. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  私ども、三百ヘクタール以上の大規模ニュータウン建設大都市の周辺で行うようにという使命を与えられております。先ほども申し上げましたように三百ヘクタールというと相当大きな面積でございまして、土地の利用の転換がきわめてむずかしくなっておる大都市の周辺では、用地取得が非常に問題の多いところでございます。幸い、私ども仕事をいたしました個所につきましては、地元公共団体等から積極的に御協力を賜りまして、一緒に町づくりをやろうということで進んでおりますのでどうにか用地取得も進んでおりますが、これからの問題としては、地価対策を絡めまして用地取得が非常に大きな課題かと思います。  これまた御承知だと思いますが、われわれニュータウンでございますので、単なるベッドタウンでないというふうな方向を地元も希望いたしておりまして、そういう方向でいきますと住宅用地が四〇%程度になってしまう。そのほかは関連のいろいろなものがございまして、いわば売れる土地が非常に少ない。質のいい町になりますけれども、質がよくなりますとある程度値が張ってくる。このバランスをどう考えるかというのが私どもこれから検討しなければならぬ課題で、ただいまも勉強しているところでございます。  なお、私ども新たな公団といたしまして一生懸命新規個所の開拓に努めたわけでございますが、五十四年度末で約四千百ヘクタールのニュータウンの計画に手をつけたわけでございまして、五年間何をやっていたんだという御批判もございますが、これはこれなりにある程度の意味があったのではないか、かように考えております。  しからば、われわれ仕事をやってどんな問題があるかというふうなことでございますけれども、先ほど申し上げましたように、ニュータウンであるからにはベッドタウンだけでなくて、いろいろな施設も持ってきてほしい、こういう希望が地元から非常に強くございます。その意味で、新公団で再開発あるいは業務用の再開発というふうなことも新しい権限として与えられてまいりますと、再開発ニュータウン建設をリンクさせていくことも今後可能ではないか。しかし、これはお互いたくさんの人がおることでございますから非常にむずかしいと思いますが、だんだんそういうことも考えられるのではないかというふうな気がいたしております。  以上でございます。
  93. 林保夫

    ○林(保)委員 本当に御苦労されたのだと思いますが、まあ成果が上がらなかったじゃないかというて批判があるという、志村総裁御自身でお話しでございますが、先ほど来お話しのように長い時間で見なければ成果のほどはわからない。何か途中で打ち切りになってしまって非常に残念なんじゃないだろうかという感じもするのでございます。  なお、一言承っておきたいのは、本委員会附帯決議して三百ヘクタール以上、こういうものを指定された。一体幾らぐらいなら実際に御苦労されておやりになってやり得るのか。私ども国民立場からいくと、もっともっと小さいこともやってもらいたいし、なお大きいのをやってもらいたいという希望がございますので、御体験を踏まえて率直に、どういうふうにしたらいいのか、新しい公団の方向を決める意味でもこの機会にひとつお漏らしいただきたいと思います。
  94. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  大体百ヘクタールぐらいございますと、一住区約一万人ぐらいの人が住みまして、そこで小学校を中心にした一つのコミュニティー形成ができるわけでございます。さような意味で、今回の新しい公団におきましては直接施行と申しますか、道路とか河川とか公園とかいう仕事ニュータウン開設に関連のある仕事について公団自身が直接に施行する、公共団体等の権限をしばらくかりまして直接施行できるという方向づけをお出しいただいたようでございますが、百ヘクタール程度であれば一つのコミュニティーが形成できる。同時にもっと大きなものも考え得るならやってもいいけれども、百ヘクタールぐらいまでもできるということは一つあっていいんじゃないか、かような感じがいたします。
  95. 林保夫

    ○林(保)委員 事務当局はそれについてどのように、新公団はどういうふうな対応を考えておられますか、承っておきたい。
  96. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  ただいま宅地公団総裁から大規模宅地開発につきましてのお考えがございましたが、新公団におきましては当然その住宅用地建設、これもございますので、当然規模は下げましてもいいのではないか、このように考えているわけでございます。
  97. 林保夫

    ○林(保)委員 民業との関係もございますので、一概に小さく小さくしてしまうわけにはいかぬと思うのですが、事務当局の腹づもりは一体どのくらいまでお考えになっておられますか。
  98. 川上幸郎

    ○川上政府委員 宅地開発規模でございますが、先ほど申し上げました百ヘクタールといいますのは一住区一万人ぐらいでございますが、これはやはり公共施設を直接施行いたしまして町づくりとして行う場合、この場合には、先ほど申しましたように百ヘクタールが適当だろう、こう考えるわけでございます。ただ、住宅団地といたしましてそれ以下のものがあっても支障がない、このように考える次第でございます。
  99. 林保夫

    ○林(保)委員 私どもは効率化という点あるいは成果を上げるという意味では、そういうことをむしろ具体的に、観念論でなくて、こうやるんだということを実は見せていただきたい、こう思って審議に入っているわけでございますので、これからの問題かもしれませんけれども、両総裁の貴重な御体験を踏まえて、それを大事にしながらひとつ新しい対応をぜひやっていただきたいと思います。  当初私どもは、この公団都市整備公団として統合されて新しく出直すというふうに聞いておったのですが、住宅が頭についた、これは大事な問題なので、とやかく言う筋はございませんが、その経緯について御説明いただきたいと思います。
  100. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、昭和五十四年十二月、建設大臣日本住宅公団宅地開発公団とを統合する、新公団を設立いたすということをお決めになりましたとき、このときには都市整備公団の名称を使ったのは事実でございます。しかしながら、このときの考えといたしましては、当然に今後の住宅都市政策におきましては総合的な居住環境づくり、こういう観点から住宅宅地供給都市整備を総合的に行う。このために住宅都市整備につき幅広い機能を持つ実施機関を設立する、こういう発想がおありになったわけでございます。  これを受けまして建設省内部におきまして、五十五年一月に省内に事務次官を長といたします都市整備公団設立準備委員会をつくりまして、新公団業務、機能、機構等の具体案を検討したのでございますが、この過程におきまして、先ほど申しましたような構想を考えますと、当然両公団が受け持っておりました住宅宅地の大規模供給を今後ともに継承いたすわけでございますし、あわせて都市整備を図るということでございますので、名称といたしましては住宅都市整備公団がいい、このような結論になったわけでございます。
  101. 林保夫

    ○林(保)委員 新公団の仕組みあるいは法律案の内容についてでございますが、スタートから順番に見てまいりまして、まず第一条が大変変わっているなということでございます。従来の公団法ですと「住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模供給を行うとともに、」ということがございまして、過般来本委員会でも御質問がございましたように、「住宅に困窮する勤労者のために」というのが包含されてかどうか、大きく変わっておりますが、この時代の認識というのですか、あるいはどういう意図を持たれてこういうふうに変えられたのか、その辺の御説明を願いたい。
  102. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、住宅公団法と表現を変えましたのは、当時と現在との住宅事情の差異、国民のニーズの変化、これらも勘案いたしまして現在のような表現を考えたわけでございます。新公団法の表現といたしましては、「住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域」、「その他の都市地域」もございますが、このような地域限定を置きまして、加えまして「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な」「居住環境を有する集団住宅」といいますように、現在のニーズに合わせて決してぜいたくではない住宅供給する、こういう趣旨を書きましたので、あえて供給対象を加えなかったというわけでございます。  なお、内容につきましては、現在住宅公団が行っておりますものと全く同じでございまして、変化を考えておるわけでは決してございません。
  103. 林保夫

    ○林(保)委員 では一体どのような所得階層あるいはどのような程度の困窮者を対象にしてやられるのか、はっきりとひとつ御説明いただきたいと思います。
  104. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  新しい公団が設立されましても、その供給いたしますところの住宅は現在の日本住宅公団供給いたしておりますところの住宅と同じ対象を考えておるわけでございます。したがいまして、基本的な考えといたしましては、特に大都市地域におきまして、御自分の力では私どもが考えております昭和六十年を目標といたします最低居住水準を達成することができない、そういったような方々に対しまして必要な住宅供給する。あるいはまた、四、五人世帯を中心といたします都市の中堅勤労者の方々につきまして、民間の賃貸住宅供給が十分でない実情にございますので、これらの方々に対しまして必要な規模の良質な住宅供給いたしたい。またさらには、いわゆる成長階層と申しております。そういったような方々に対しまして、長期にわたりまして低利率の資金を供給いたしまして分譲住宅供給する。さらにはまた、民間の力をも活用さしていただきまして、民間の方々が賃貸住宅を経営されます場合に、これも中堅の勤労者の方々を対象といたしまして、その経営者の方に賃貸住宅としての住宅供給していただく、そういったようなことを考えているわけでございます。
  105. 林保夫

    ○林(保)委員 成長階層の定義は一体何でございますか、御説明いただきたいと思います。
  106. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  いわゆる成長階層と申しましたのは、一般的に住宅の事情というものは、その世帯の成長あるいはまた収入の増加、そういったようなものによりまして住みかえを行うあるいはまた買いかえをするといったような住宅上の変化があるわけでございます。私どもが考えております成長階層と申しますのは、一般的に都市に住んでおられる多くの方々はいわゆるサラリーマン階層の方であるわけですが、そういったような方々は年々自分の勤続年数が伸びるのに伴いまして所得の上昇もあるわけでございます。そういったような方々が一般的には、たとえば住宅金融公庫等の融資の状況等を見ますと、平均的に三十六、七歳程度のところで住宅融資を受けておられますが、そういったような年齢構成の中である程度所得がふえていくというようなことを考えまして申し上げたものでございます。
  107. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一つ。ただいまお話しの中堅勤労者という定義はどのように……。
  108. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもの公的な資金によります住宅供給で、特に直接供給をいたしておりますのは公営住宅、それからいま住宅公団供給しております住宅公団住宅、そのほか地方の住宅供給公社の住宅といったような種類があるわけでございますが、公営住宅につきましては、おおむね所得階層でいいますと、五分位で分けました場合の三三%程度以下の所得の方々に対しましてこれを供給するといったようなことを一つの目安とさせていただいております。それでまた、住宅公団供給いたします住宅は、公営住宅と役割りを分担いたしまして、三三%程度から五〇%程度までを一応の施策対象というふうにいたしております。もちろんお入りになる方々の所得は若干幅がありますが、施策の目標としてはいまのようなことを考えておりまして、これを中堅の勤労者の方々というふうに表現いたしたわけでございます。
  109. 林保夫

    ○林(保)委員 私よくわかりませんので教えていただきたいのですが、これらは政令あるいはそのほか何か法令上明記されて基準を設けるものなんでしょうか。これからどういうふうにこの点は扱われるのでしょうか。いずれにしても公平にやらなければいけませんので、公団の性格上。その視点からお答えいただきたいと思います。
  110. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 公営住宅につきましては、法律に基づきまして一応の所得制限が課されておりますので、この点はいわば法定されていると言うことができようかと思います。住宅公団住宅につきましては、法律上明記された具体的な基準というものはございません、あくまでも公団の目的に照らしまして、いま申しましたような施策の方向づけをしたいというふうに考えているわけです。ただ、この点につきましては、昨年の七月に住宅宅地審議会からの御答申がありましたが、この御答申の中におきましても今後の公的住宅につきましての方向が示されてございます。そういったような方向等をもとにいたしまして、施策の行政としての指導の方向を申し上げた次第でございます。
  111. 林保夫

    ○林(保)委員 この点は実施段階で厳重にひとつ公平を期すように、恩恵を受ける者、受けない者とでは大変大きな差がある。これは住宅でございますので、衣食と違いまして生涯関係いたしますので、またしっかりひとつ詰めさせていただきたいと思います。御要望にとめておきます。  もう一つは、第一条にございますように「住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域において」、こういうふうになっておりますが、大都市地域はわかるにいたしましても、「その他の都市地域」とは一体どの範囲までを指すのでございましょうか、御説明願いたいと思うのです。
  112. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  新公団法の一条に規定いたします「住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域」の意味でございますが、これらを含めまして、昨今の住宅の戸数面の充足状況、居住水準の状況、住環境の状況等の諸要素から、住宅事情の改善を図ることが特に必要な区域でございまして、地域といたしましては、首都圏の既成市街地、近郊整備地帯、都市開発区域とこれに隣接する区域、それから近畿圏、中部圏についても同じでございます。加えまして、政令指定都市の通勤圏、それからその他の都市地域といたしまして、通勤圏内の人口が大体三十万人以上の都市、このようなものを考えている次第でございます。
  113. 林保夫

    ○林(保)委員 全国の市のうちで大体どのくらいがひっかかるのですか、そういう基準から申しますと。先般住宅公団が出されました統計を見ましても、まあ大きい、あるいは都市に集中しておりますけれども、全く顔を出していない県がある一方、大変伸び率の高いところがあって、これまた余り公平ではないんじゃないだろうかという感じを禁じ得ないのですが、
  114. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  ただいま数につきましては資料を持っておりませんが、三十万と申しますと大体県庁の人口程度でございますので、県庁都市に次ぐような都市、このようなものが全国的には入ってくるのではないか、このように思う次第でございます。
  115. 林保夫

    ○林(保)委員 お許しを得て、これ、採決される前までにちょっとその資料をちょうだいしたいのでございますが、どういう都市が入るのかということ、あるいは県別、市別、町別、ぜひひとつお願いいたしたいと思います。
  116. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  提出いたしたいと存じます。
  117. 林保夫

    ○林(保)委員 さきの農住法案、同じような形で大きなところばかりやって、地方の都市でもあるいはやってもらいたいという要望があったことは本委員会お話し申し上げましたけれども、同じような問題がやはり出てくるだろうと思いますので、どうかひとつそこらあたりを、国家資金を使うわけですから、ぜひ踏まえていただきましてしっかりした対応をやられますよう御要望しておきたいと思います。  それから、先ほどもお話がありましたが、能率化の中で理事が九人減るのだ、こういう御説明がありましたが、理事の担当分野はどういう仕分けで御担当になりますか。御説明いただきたいと思います。
  118. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  先ほど申しましたのは、役員全体といたしまして住宅公団宅地開発公団の合計数二十四名から五名減る、こういうことを申し上げた次第でございますので、まず報告させていただきます、  それから、次に理事十四名の事務分担でございますが、基本的な考え方といたしましては、従来から行っております住宅宅地供給、健全な市街地の整備等業務を引き続き行いますために、これを担当いたします理事を置きますとともに、新たな業務でございます都市機能の更新等を主目的とする都市の再開発、それからまた、根幹的な都市公園の整備等業務を担当する理事を置きたいと思います。加えまして支社等も、この理事の機能におきまして事業をやりやすくいたしますために、支社に理事を置きたい、このように考えているわけでございます。
  119. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がありませんので先へ進ませていただきたいのですが、法第二十九条にあると思うのでございますが、四項に、地方公共団体の要請によって仕事をやるということが出ておったと思うのでございますが、むしろ公団の新しい役割り、期待から申しまして、向こうの要請を待つのではなく、公団独自の判断で、建設大臣監督のもとに、こういうところはこういうことが必要なんだということで、前向きに、公団地方公共団体協議して、了解を得なきゃいかぬでしょうけれども、そういうふうにむしろ積極的な権限を持ち得るように改めてはどうか、こう思うのでございます。  そのほかの項目、いろいろ聞きたかったのでございますが、区画整理事業、新住事業あるいは再開発事業とか新都市基盤事業住宅街区事業、どうも権限強化は全くなくて、この法律によりますと羅列されているだけであって、従来と全く変わらない。こういうことではせっかく大臣も私も期待しております公団が十分機能しないんじゃないだろうか。その一つの例としていま申し上げた、たとえば二十九条の四項などがございますが、その点について事務当局はどのようにお考えでございましょうか。
  120. 升本達夫

    升本政府委員 新公団が新しい事業を実施いたしてまいりますために必要な権限が、十分付与されてないのではないかという御趣旨のおただしかと存じます。  御承知のとおり、今回の新業務に加えていただきましたのは、再開発事業あるいは区画整理事業、これは従前住宅公団が実施をいたしてまいりましたのは、住宅宅地供給とあわせて実施いたします場合というふうに限定をされておりました。今回御審議お願いしております新業務におきましては、一応そういう事業と切り離して、大都市におきまして、特に再開発の場合でございますと、一体的かつ総合的に市街地の再開発を促進すべき相当規模地区の計画的な整備改善を図るため、必要な市街地再開発事業ができる。住宅宅地供給と一応切り離して、市街地の枢要部門の再開発事業を実施する機能が与えられるということでございますので、新公団としては特に新たな業務を行う権限を与えられたものというふうに考えておるわけでございます。この場合に、法定の再開発に基づく再開発事業であり、区画整理法に基づく区画整理事業でございますから、当然に強制力を持って実施ができる、施行主体になり得るわけでございますので、事業実施のためには十分な授権がなされたものと私どもは考えておるわけでございます。  そこで、第二点のおただしの、しからば自治体の要請を受けるということはいかがなことかという御指摘でございましたけれども、再開発事業は市街地の整備、再開発でございます。いわば町づくりそのものでございますので、その町づくりについては、第一次的に責任を負っております地方自治体がこれを関知できないということではぐあいが悪いのではなかろうか。そのプランニングにおきましても、あるいはこれに関連する街路等の公共施設の整備につきましても、自治体が責任を持ってやるたてまえになっております。これらの法制度との兼ね合いを考えまして、自治体の要請を受けて公団が実施できることといたしたものでございまして、これは現行の地域振興整備公団あるいは首都高速道路公団、阪神高速道路公団等が実施いたします事業につきまして、同様な措置がとられておるところを参考にいたした次第でございます。実際の運用に当たりましては、公団が積極的に必要な再開発地域について実施ができるように、十分に自治体と連絡を密にして実施をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  121. 林保夫

    ○林(保)委員 時間が来ましたので残念ですが、これから新しい公団への引き継ぎ業務、大変大事だろうと思います。そしてまた、これから本当に国民のニーズということを言われる以上は、やはりいまの九万七千円から八千円もするような家賃では、ちょっとこれは一体だれが入るんだろうか、こういう問題にもなります。三千七百万という分譲もあるように資料では出ておりますけれども、そこらを含めまして、そういう家賃なりあるいは分譲価格の立て方も、ひとつこの際抜本的に検討しなければならぬのじゃないか。本当はそれを質問いたしたかったのでございますが、時間がございませんので、ひとつ大臣にそれらの点を含めまして、また、いろいろ聞いておりますと、新築空き家がいっぱいあって、しかも入りたい人も待っておる。どうもPRが足らぬのじゃないかというような面も感ぜられなくはございません。その辺のところをスムーズに、しかもまたりっぱな公団に引き継ぐんだ、こういう形での大臣の御見解を、そういう細かい点を含めましてちょっと承っておきたいと思います。
  122. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 いろいろと問題点につきまして御指摘、御指導いただきましてありがとうございました。もとより新公団の発足は、そういう意味合いを含めてそうした阻害要因、障害を乗り越えて、全く新しい観点で出発したいという覚悟でございますので、問題点につきましてはあくまで追及を受けながら排除して、そしてりっぱな公団運営をやってまいる決意でございます。  ありがとうございました。
  123. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。終わります。
  124. 稲村利幸

  125. 瀬崎博義

    瀬崎委員 質問に先立って委員長お願いしたいんですが、若干の資料がありますので、質問の必要上配らしていただきます。  もともとこの宅地開発公団は、日本住宅公団宅地開発部門から宅地開発業務を切り離して、これに大規模開発ができる機能を与えて設立したものであったわけですね、わかり切った話でありますが、  そこで大臣に伺いますが、四十九年の四月五日、当時の三木首相は、衆議院の本会議におきまして、「日本住宅公団の拡充をもってしては、機構上膨大になり過ぎて、能率的ではないということ、さらに、日本住宅公団には、別途、住宅供給という大きな任務を背負わされておりますので、これに専念せねばならぬ」、こういうふうに明確に宅開公団設立の理由を述べていらっしゃるわけですね。このことは大臣十分御承知だと思いますが。
  126. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 承知いたしております。
  127. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういたしますと、今回政府が出してまいりましたこの両公団統合提案というのは、まさにいま大臣が承知しているとおっしゃいました政府の方針、つまり公団の機構を膨大にし、非能率にする措置、こういうことになるわけですね。これは、これまでの政府の方針には反することになるのじゃないですか。
  128. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 認識の相違かと思いますが、そういう当時の総理の御発言等々踏まえて、全く新しい次元、観点からスタートするというような思考変化でございまして、その点につきましては御理解をいただけるものと思います。
  129. 瀬崎博義

    瀬崎委員 冗談を言ってはいけませんね。当時宅開公団をつくろうとした政府に対して、そういうことは本来住宅公団業務の中に入っているんだから、そちらの方を改正すれば十分できるではないか、新たな公団をつくる必要は毛頭ない、これは野党一致しての意見であったわけなんですね。これに対して政府側は、それでは機構が膨大になり過ぎて非能率になるから、そしてまた公団には別途住宅供給という特別な任務があるから、こう言って無理やりつくったのが宅開公団であったわけなんです。今度またくっつけるというのでしょう、その当時の表現をかりれば当然機構は膨大になる、非能率になる、こういうことになるのでしょう。だから、政府の方針がここに二つ出てきた。われわれはどっちを政府の真意と受け取るべきか、こういう問題が出てくるんですね。はっきりとお答えいただきたいと思います。
  130. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 その当時のバックグラウンドと現在のバックグラウンドの違いではなかろうかと私は思います。当時は、やはりそれなりの要求を満たすための機構として、両面からやるということについて効率的な面を持って、当局は自信を持って発足をしたと思います。もちろん機構が大きければいいというものではなし、大きければまたよどむ場合もあるわけでありますが、その当時はその当時として自信を持って発足したと思います。ただ、たびたび申し上げておりますように、この五、六年の世界的経済事情、国内事情、社会環境の変化等々これあり、当時は指摘された面、また批判を受けた面ということを思い改めるというよりも、そうした時点にきたということ、言いかえれば、結果的には先生方の御視点は先見性があったと言えば言えるかもしれません。しかし、その当時は、政府は政府として自信を持って、両面においてやる方が国民のニーズにこたえられる一番いい機構、制度であるというようなことで発足したと思います。したがって、私は、どちらがいいという観点でなく、それはそれとして、過去は過去としてやはり新しい次元で発足するという、そういう社会環境、社会情勢になってきたということで、私は前向きで御理解をいただいて、やはり新公団につきましては、新しい考え方のもとに進める問題であるというように理解してお願いをし、また、そうした決意を持って進めるという覚悟であるわけでございまして、その点につきましては、五、六年前の事情といまの事情とのいろいろな相違もありましょうけれども、せっかく御理解いただきたいと思います。
  131. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういたしますとこういうことですか。こういう公団を新設するとかあるいは統合する、さらにもっと大きく言えば政府の政策とか方針というものは、その時点その時点の必要性に応じてやっていることであって、五年、六年先のことは見通していないのだ。そうなりますと、では、いまはいまのニーズに応じて統合があった、これが五、六年先になりますと、また変わればこれは分離する、こういうお話でしょうか。それは矛盾ですよ、そもそも。
  132. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 どう言ってよろしいのでしょうか、ケース・バイ・ケースで、長期的計画のもとにやはり基本計画を変えないでいくという場合もあります。しかし、周りが、環境が変化しているのですから、やはりそれに対応することについては、私はいささかもちゅうちょしてはならないと思います。ある場合には朝令暮改のこともありましょう。あるいはがんこにまで基本計画を変えない場合もありましょう。これはやはり国民のための政治、国民のための行政でございますので、国民のニーズに対応して変化があってもよろしいのじゃなかろうか、私はこのように考えますが。
  133. 瀬崎博義

    瀬崎委員 どうもこれは朝令暮改のたぐいの一つのようでありますが、それでは、この宅開公団の組織はどんなものであったか、わかりやすくするためにいま資料を配らせていただいたわけであります。  まず役員、これは十人いらっしゃるわけですね。総裁志村さんが建設省事務次官御出身、副総裁が小林さん、首都圏整備委員会事務局長御出身。それから、理事の武田さんが建設大学校長出身。後藤さんが大蔵省理財局次長の出身、井沢さんが建設省河川局防災課長の出身。北川さんが経企庁長官官房参事官の出身、中野さんが建設省道路局地方道課長出身。菅川さんが運輸省大臣官房情報管理部長出身。佐藤さんが国土庁地方振興局長出身。猪瀬さんが皇宮警察本部長御出身、この方は監事ですね。十人が十人全部政府の天下り、こうなっているんですね。  ついでに、では部長以上の方々はどうか調べてみたら、これが全部で十三人いらっしゃいますね。お一人を除きまして、これまた全部政府または政府関係機関からの天下りというか、御出身。一人違うと言ったのは、千葉都市計画事務所長の出身という方がいらっしゃる。しかしこれも事実上官庁御出身ですね。  つまり、役員も部長以上も全部官庁出身組で占めている。果たしてこれが独立した公団だと言えるのでしょうか。私は率直に言って、これは政府高官の天下り用公団ではなかったか、こういうふうに言われても仕方がないと思うのですが、大臣いかがですか。
  134. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 御指摘のような大事につきまして一々指摘されますと、そういう考え方も成り立つかもしれません、でも、やはり公団そのものの発足の事情、目的、事業内容からいって、こうしたベテランをスタッフにそろえるということが最も早道と言うと語弊があるかもしれませんけれども、やはり最も対応するのに便利といいますか、有効適切であるというような形でこうした組織体、大事になったかと思います。民間からという御意見もあろうかと思いますが、やはり公的機関でございますので、その点についてもなかなか配慮があったのではなかろうか、またやむを得なかった措置と、私はそのように考えるわけであります。
  135. 瀬崎博義

    瀬崎委員 片一方で閣議了解として、少なくとも役員の半分以上は天下りが占領することのないようにということを決めておきながら、新しくつくった公団の役員は一番やりやすいわけですね。ここでまた逆に一〇〇%天下りで占めてしまう。これはどう説明しても理屈に合わない話じゃないかと思うんですよ。しかも早道と言われましたけれども、午前中の質問に対して志村総裁が、成果がおくれておったことについておわびの言葉を述べていらっしゃるぐらいですから、私、重ねては言いませんけれども、ベテランをそろえたとおっしゃったにしても、遅々として事業は進まなかった、これもまた事実であります。  さらに、宅開公団には課長代理の数が非常に多いんですね、住宅公団本社は五百八十一人中に二十九人、つまり一般職員二十人に一人の割りなのです。ところが、宅開公団の本社は、職員百四十八人中三十人が課長代理、つまり五人に一人の割合になってきているんですね。本社段階を比べますと、住宅公団より宅開公団の方が一人多い、こういう状況なのです。私は、それがいいか悪いかといま言っているのじゃない。客観的な事実を報告しております。これを比率に直しますと、課長代理以上のポストを一般職に比べてみた場合、宅開公団は三八%、住宅公団は二一%、こういうことになるわけですね。なぜ宅地開発公団では一般職員に対する役員とか部長とか課長、課長代理、こういう管理職の比率がこうも高くなったのか、その理由をおっしゃっていただきたいと思います。
  136. 志村清一

    志村参考人 私ども管理職あるいは役付の人数は非常に多うございます。たとえて申しますと総務部の総務課でございますが、課長一人に課長補佐一人、係長一人、職員は男子一人でございます。と申しますのは、われわれの方では、いささか口幅ったいのでございますが、頭脳集約的な作業をやっておりまして、私どもでやらなければならぬ仕事以外はなるべくほかのところにお任せをするということをやっておりますので、どうしても役付とかあるいは管理職の数が多くなる、かように存じております。
  137. 瀬崎博義

    瀬崎委員 逆に言ったらトンネル機関だったということを告白されているようなものじゃないですか。その点やはり日本柱毛公団の方は、いわゆる実際に仕事をする部門、これを持っているだけ、私は存在意義が非常に高いということが言えるのじゃないかと思うのです。率直に言いますけれども、先ほど部長以上についではお知らせ申し上げました。課長、課長代理のポストについて言っても、この場合天下りとは言いませんが、官庁出身あるいは出向組がずいぶんと多いわけですね。政府機関からの迎え入れということになってくると、前のポストとのつり合い上、どうしても何らかの新しいポストを用意せざるを得ない、こういういきさつがあったということを否定し切れますか。
  138. 志村清一

    志村参考人 私ども公団は、総員で職員の数が三百五十九名でございます。五千何百名もおる住宅公団とは大分数が違いますが、できるだけ少数で、私どもでなければできない仕事を私どもがやろう、ほかへ任せられることは任せよう、こういう私の方針でございました。そのために先ほど来ございましたように管理職の数が多いとか、役付の数が多いとかということになっておりますが、これは考え方の相違かと存じます。
  139. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうだといたしますと、もちろん新公団はわれわれは反対でありますが、だれが総裁になるかわからないけれども、もしあなたがそういう総裁を引き受ける場合には、ただいまの方針、つまりできるだけ業務を下請けさせ得るものは下請に出してしまう、少数精鋭でやっていくんだ、こういう方針でやられますか、仮定の話ですが。
  140. 志村清一

    志村参考人 仮定の話はお答えができかねるわけでございますが、私ども公団が解消して新公団になりましても、しばらくはやはりその部門はそういう形でやっていくというのが当を得た方法じゃなかろうかと思います。
  141. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに、両公団予定されている統合に当たって、職員はそのまま統合するというお話がこの間から出ておりますが、具体的な内容は一体どうなるのだろうか、これはちっとも示されていないわけなんですね。こういう状態では職員の方々も大変不安だし、私どもも責任を持ってこの審議をしていくわけにいかぬのです。  たとえば、宅開公団側の管理職をそのまま住宅公団側の管理職にプラスしたのでは、これはもう現住宅公団よりもはるかに管理職比率の高い、かつ複雑な機構になってしまう、つまり、行政改革には逆行するのではないか、こういうふうに思えるのであります。もしも管理職数をある程度しぼっていく、そうして極力機構の簡素化を図る、こういうことになりますと、これはいやおうなしに降格人事というふうなものも生まれてくるのではないかな、こういうことも考えられるのですね。こういう点については一体どういう方針をもって臨もうとしていらっしゃるのですか。
  142. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  合併に際しまして、新公団の組織を行政改革の趣旨に合致した簡素なものとするということは至上命題でございます。しかしながら、いままで再々御答弁いたしましたように、日本住宅公団宅地開発公団職員であった人たちの雇用関係といいますのは新公団において承継されますので、決して不当に条件を低下するというようなことはいたさないわけでございます。管理職の数等につきまして、組織も含めまして今後関係官庁と詰めるわけでございますが、基本的には降格を行わない、かつ新しい需要に応じまして組織等を勘案し、また将来の長期的な展望等を踏まえましてやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  143. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう一般的、抽象的な言い方では非常にわれわれはわかりにくいのでありますが、ということは、つまり降格人事は一切行わないということになるならば、必要なポストというものはやはり新公団において用意する、こういうふうに理解していいわけですね。
  144. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  新公団の組織につきましては、先ほど申しましたように、今後関係官庁と協議いたしますが、管理職のポストと申しましても格のポストというものがございますので、当然見合いのポストというものは確保いたすということでございます。
  145. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに宅地開発部門だけは、予定された統合後、現在の住宅公団の本社とは別の新たな事務所に移して業務を行うというふうな情報も聞くのでありますが、そういうことも考えているのですか。
  146. 川上幸郎

    ○川上政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問、新公団の本社につきましては統合いたしますが、宅地開発部門のみにつきまして新たな事務所を設けますという趣旨は私どもよくわかりませんが、つまり現地機構につきましては現在の機構を尊重しながら事務の円滑化を期したいと考えているわけでございます。
  147. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣、いまも聞いていらっしゃいますように、一たんつくった組織の合併は、具体的な段階になるとなかなか困難な問題を伴うわけですね。あるときは、住宅公団がこれ以上大きくなるのは機構が膨大になり過ぎて非能率だからという理由で新公団を新設する、五年たつかたたないかで今度は行政改革だと言って両公団が合併する、これは余りにも行き当たりばったりではないかと思うのです。それとも鈴木内閣のいまやろうとしている行政改革は、中身はどうでもいいんだ、あるいはまた、この間までどういう方針を出しておったか、どんな答弁をしておったか、こんなことはどうでもいい、情勢変化ということで逃げるんだ、要は特殊法人の数だけ形式的に減らせばよい、こういうことをもって行政改革だという考えなのかどうか、このことだけ聞いておきたいと思います。
  148. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 そのことは全く当たっていないと思います。これだけ財政事情、また、膨大化した行政を、とにかく血のにじむようにみずからもって肉を切ってやろうとしておるのでして、その点につきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います、したがいまして、五年前は五年前、いまはいま、住宅公団昭和三十年に発足したのですから、やはりそのものも体質的に改める時期ではなかったかと思います。たまたま宅地開発公団は五年でありますけれども、そうしたことを考えあわせてやはりこのことについてはやってまいらなければなりません。先生も先ほどは反対だとおっしゃいましたけれども、ぜひ五年前に顧みて、やはりおれたちの言うことが正しかったのだ、合併は賛成だというような、前向きで御理解をいただけたらよろしいのではなかろうかと思います。
  149. 瀬崎博義

    瀬崎委員 きわめて無責任な話で、それだったらそれで宅開公団をつくるという方針を出した五年やそこら前の政府の方針、あれは非常に見通しがきいてなかった。第一、情勢が変わったとかなんとか言うけれども日本社会情勢経済情勢も政府の政策や方針によってまたつくられていく、あるいはまた、政府自身がいろいろなそういう見通し、やれ五カ年計画だ、七カ年計画だと出しているわけですね。そういうものも見通しに誤りがあった、つまり新公団を無理やりにつくった、そのときの方針が間違いでしたと反省をされるのならわれわれまたそれは考え方もあります。その点いかがですか。
  150. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 間違っていたとはやはり考えられないのです。先ほど総裁も言いましたように、三百ヘクタールの都市開発を考えながら四千ヘクタールに及ぶ土地手当てをやり、五年ということについてそれなりの実績があるわけでして、ぜひ間違ったという表現は、ひとつ誤解しないでいただいて、やはり前向きで、せっかく五年前に先生がそれだけの先見性を持たれたのですから、その時点で考えていただいて、あの当時はおまえたちの言うこともよかったけれども、やはりおれたちの言うことも正しかったぞというようなことで御理解いただいてくだされば、もしここで先生余り反対されますと、五年前に先生言われたことも何かつじつまが合わなくなるような気がするのですけれども、ぜひ大所高所から先生も、おれの言ったとおりになったじゃないかということで、五年前は五年前としてひとつ前向きで御理解をいただきたいと思います。
  151. 瀬崎博義

    瀬崎委員 われわれの言わんとするところははっきりとあなた方、われわれの主張が正しかったのかもしれないという趣旨のあれをされた。それならそれでわれわれが協力できるようにまず政府としてやるべきことをやってくださいよ。わざわざ私がこういう資料まで示したのは、役員、部長一〇〇%天下り、こういう公団の実態をまず改革して、少なくとも住宅公団と統合して国民から見て意義がある、こう言える姿にまずすっきりしてもらったらどうでしょう。このまま天下り公団をくっつけると私はお荷物になると思う。この点はどうですか。
  152. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 人事関係のことでございますので、いまある方々の職をそのまま云々ということについては、私はなかなかむずかしい問題であろうと思います。とにもかくにも発足する、そして今後の問題として、こうした問題は追及され指摘された面について改めていくというような形で御理解をいただけないものかなと思うわけであります。やはり方々は方々なりにそれなりの職責を持って今日まで来ておるわけでありまして、これを直ちに行政改革という人的な面で整理統合するということはいささかなじまないような気がいたします。せっかく理事もいることでもありますし、まあ職員はそのままで、とにもかくにもやっていくんだという前向きの姿勢でやっておりますので、その点につきましても、ぜひ御配慮を賜りたいと思います。
  153. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一方の日本住宅公団を中心とする天下り問題もしばしば本委員会では指摘されておるところなんですね。私も去る五十四年十二月七日の本委員会で質問したことがあります。  そのときに提示した資料が二枚目の下の方にあるのです。現在どうなっているかというのが上の方であります。建設省から住宅公団へ、住宅公団から団地サービスへ、この天下りルートですね。これをごらんいただきますと一目瞭然のように、政府から住宅公団への天下りというのは、問題になりました五十四年十二月も、それから今日時点も役員ポスト十四中十一人が、建設省が多いのでありますが政府からの天下り、こういう状態は変わっておりません。それから住宅公団から団地サービスへの天下り、この部分については五十四年当時十六人の役員中九人が天下りであったのが、現在は二入減って七人になっております。一見微々たる改善のように見えるのでありますが、中身をごらんいただくとわかりますように、一つは前にはなかった非常勤の会長というポストをわざわざつくりまして、ここへ生命保険会社の会長さんを据えて、これが民間入りというふうにしているのでしょうね。きわめて苦肉の策と思います。もう一つは社団法人厚生福祉会からお入りになっておる。この二点だけなんです。だから、実質的には私変わっていないということになるのじゃないか、こう思います。  特に、この前の委員会で問題になったのが団地サービスの秦重徳前社長です。この方は社長の退職時に六千万円の退職金をもらった、この人は社内天下りで相談役になって、今度は週三日出勤で四十五万円の月給だ、こんなことが世間の常識で通用するのかという話を申し上げました。これは当時の新聞にもずいぶん出ました。  こういうことに対して、では当時どういうお答えが政府からあったか。当時の渡辺建設大臣は、「このような事実を指摘されました以上は、ひとつ十分事実を検討いたしますと同時に、今後万全の監督ができますように指示をいたしたい、こういうふうに考えております。」さらに、「いまお話しのような問題につきましては、やはりこれだけ行政改革が叫ばれておるときでありますから、本当の意味におきまして実効の上がるようにわれわれ努力してまいりたい、」こうおっしゃっているのです。ところが、いまごらんいただいたとおりちっとも変わっていないわけなんです。こういう点について大臣は、まずこういう問題がいま国民の求めている行政改革なんだということなんですが、努力すると言いながらやられていない、この責任をどうお感じになりますか。
  154. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 その当時の大臣発言をいま聞きまして、それがまだそのままだということであるならば、はなはだ遺憾だと思っております。
  155. 瀬崎博義

    瀬崎委員 このときは同僚の中島武敏議員もこの問題を取り上げていまして、それには澤田総裁もお答えになっているのです。澤田さんはこう言われていますね。前に公取委員長をやっておったから自分も天下りの中に入れられているのだろうけれども、もともとは天下りの役人じゃない、一人の経済人の目で見るせいかもしれませんがという前置きはありますが、「もう少しバラエティーのある人員配置の方がベターではないか。また、公団も二十年余たちましたから、下からもだんだんと人材が育ってきております。そういうことももう少しよけい考えていいのではないかというようなことを、私個人としてはいろいろ考えておるわけでございますが、まあ人事の問題でございますから、なかなか思うようにもいかない面もございます。」こうなっているのですね。同じく渡辺建設大臣は、「有能な民間人の起用及びそれぞれの事業体内部の人材の登用につきましても、今後とも十分配慮してまいる必要がある」、こう言われているのです。  そこで率直に澤田総裁に伺いたいのですが、いろいろ努力したいし、内部から育った人を登用したいと言いながらなかなか思うようにいかない面があるとおっしゃっている。思うようにいかない面とは何を指すのか、率直におっしゃっていただきたい。
  156. 澤田悌

    澤田参考人 ただいまお読み上げになりました以前の私の回答、いまでもそのとおり思っておりますが、外部からの登用、外部からの人事というのはなかなかこれも思うようにいかない、私自身はなはだそう思っておるわけでございまして、午前中も政府委員の方から話がありましたが、要するに安月給で総裁をやらされて、そして国会に来て答弁しなければならぬというようなところにはなかなか民間人は来ないと思います。よほど口説かないと出てこない。これは残念なことですが非常にむずかしい。しかしあきらめてはいけないと思います。  それから内部の登用は、士気の高揚の点からいっても非常に大事でございます。しかし、新しいああいう機関をつくったときはなかなかそういう人材をそろえることができませんから、経験のある官庁方面から人材が入るということは、これはやむを得ないことだと思います。しかも相当年月がたっても、なお政府との関係その他である程度の官庁出身者が入るということもこれはうなずけるのでありますが、当時申し上げましたように、公団も二十五年たっております、プロパーの人材も育っておりますから、できるだけもう少し内部登用ということに各方面で心がけることが必要ではないか。しかし、いろいろな惰性もありますのでなかなか思うようにいかないという点は御推察いただけるかと思うわけでございます。
  157. 瀬崎博義

    瀬崎委員 御推察を願いたいという話がありました。だから、その推察も含めて大臣にお答えをいただきたいのでありますが、一応政府側もやはり内部の人材の登用の必要性をちゃんと国会で答弁しているのですね。ところが事態はそうはいかない。その推察の中には私は政府側の壁の厚さも含まれているのではないかというふうに推察するのですが、あるいは当たってないかもしれません、大臣のお考えとしては、なかなかそこがうまくいかないのはなお現在でも、設立後二十五年たったこの住宅公団でも、しかるべき人材が内部から育っていないということに原因があるとお考えなのか、それともそれ以外に阻んでいる障害があるとお考えになっているのか、どちらですか。
  158. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 内部人材の昇格ということが一番大きな問題であろうと思います。まだそれがなかなか顕著に行われないということは、惰性という面もありますけれども、一口に人材と言いましてもなかなか御案内のようにむずかしいわけです。特に公的機関であればあるほど民間と違って人事面は非常にむずかしい。これは恐らく政党でも人事ということがなかなかむずかしいのと同じことでして、そう簡単に第三者が見るようなわけにはいかないのです。それは先生が共産党の委員長になられるということもなかなかむずかしいようなもので、なかなかむずかしいわけです。したがって、やはり適材適所で、内部登用が一番いいのですけれども、外部からというとこれはなかなか、午前中もちょっと話が出ましたけれども、その面では、さあ公団理事といいますと、指摘ありましたように国家資金をいただいて六兆円からの事業をやっておる大変な会社と言っては語弊がありますけれども民間から来られるというとやはり重役、専務、副社長クラスでしょう。となると、やはり収入の面もがたっと減るでしょうし、なかなか来たがらない、しかも任期もございます。そうすると、どうしてもその面は、安易と言われればそうかもしれませんけれども、便宜的にそうしたつながりのある人を選ぶ。また、登用についてはなかなか問題点がありますが、そうした問題は総合的に配慮しながら、いま少しく長い目で御配慮賜りながら漸次改善していく問題ではなかろうか、このように考えるものでございます。
  159. 瀬崎博義

    瀬崎委員 特殊法人の組織の問題と政党の組織の問題を同次元で論ずるという暴論ですりかえる、これはまことに大臣として不見識だと思います。また公党に対する一つの中傷でもあろうかと思うのです。  そうしますと、率直に言って、結局わかっちゃいるけど人事の面の改革はなかなかむずかしいのだというお話に尽きるわけです。せっかくいまあなた方の論法をとりまして、すべてが出直しだ、再出発だ、新公団期待してくださいと言われたものの、事この面に関しては国民期待しているような改革はまず進みません、こう言われているのと一緒じゃないかというふうに私には聞こえたのですけれども、どうでしょう。新公団になれば、先ほど申し上げましたこの天下りの実態、宅開の方は一〇〇%天下り、それから住宅公団の方は十四ポスト中十一人が天下り、こういう事態は必ず改まるという約束はできるのですか。
  160. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 人事そのものの刷新ということについて顕著なものはお示しできないかもしれませんけれども、私はやはり精神的な問題ではなかろうかと思います。一つの発足によって、理事初め職員の方々も全く新しい考え方のもとに、国民の御要望にいかに応ずべきかという責任感を持たれるというところに私は大きなメリットがあるのではなかろうかと思います、たとえ話をして誤解があろうかと思いますが、たとえば民間あたりは倒産あるいは会社更生法で発足すると、やはり同じようなスタッフで行きますけれども、全く見違えるような形でほとんど再建していくわけであります。そういうたとえは大変誤解を受けるかもしれませんけれども公団も同じように公団のあり方についてあらゆる角度から御指摘をいただいております。したがって、この辺で一つの出直しという意味からも体質改善を図らなければならないことはもとよりのこと、精神的な面で目に見えざる大きなメリットがあるのではないか。また、私はそれを期待し、いままで以上に監督官庁としても対策委員会を設けて的確な指導、厳しい指導をしてまいるということであるわけでありまして、いま少しく中期、長期的な目で見ていただきながら、いろいろな目で御指導していただきたい、このように考えるものでございます。
  161. 瀬崎博義

    瀬崎委員 次に問題になっております住宅公団の空き家、未利用地問題なんですが、まず会計検査院にお尋ねします。  会計検査院が問題提起だけして後ほったらかしということは万々ないと思いますが、指摘した事項についての後追いあるいは会計検査院としてできる改善のための努力、どうなさっていますか。
  162. 角田甲子郎

    ○角田会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院といたしましては五十年度、五十一年度に特記事項といたしまして、長期利用地の問題、それから保守管理住宅の問題について指摘をいたしたところでございますけれども、その後も重大な関心を持ってできる限りの追跡調査をいたしております。
  163. 瀬崎博義

    瀬崎委員 追跡調査以外のことでどういう努力をしているのかということを聞きたかったのでありますが、まあいいです。  それでは、一応会計検査院が追跡調査をした結果、事態がどのように変わったのか、またどういう評価をしているのか聞いておきたいと思います。
  164. 角田甲子郎

    ○角田会計検査院説明員 お答えいたします。  検査院が現在把握しておりますのは五十四年度末の状況でございますが、五十年度検査報告に記載いたしました長期間使用できないと見込まれる用地二十二地区につきましては、事業に着手したり事業に着手するめどのついたとされております地区が十三地区、現在なお事業着手の見込みの立っていない地区が九地区ございます。  それから、五十一年度検査報告に記載いたしました、新築住宅入居募集をしましたが入届者が確定していない、いわゆる新築空き家でございますか、これが一万四千五百二十三戸ございましたが、これに対しては五十四年度末現在で八千九百七十九戸、それから住宅の用に供することができないまま保守管理されておりますいわゆる保守管理住宅が、五十一年度で一万七千五百三十二戸ございましたが、これは五十四年度末で一万九千三百四十七戸となっております。  それで、ただいま五十四年度末の状況を申し上げましたが、数字的には減少しておりますけれども、まだ顕著な改善があったと言える状況ではございませんので、今後なお建設省、住宅公団等の改善努力を注目していきたいと思っております。
  165. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは顕著な改善になっているとは言えないということなんですが、その改善されない理由の問題なんです。ここがはっきりしなければ実際今後とも変わらないと思うのです。国民期待しているのは、両公団一つになるかどうかということではなくて、問題は、そういうことがもし今後私の言っているように役立つならいいですよ、変わらないならこれは国民期待外れに終わると思うのです。文字どおりいま顕著な改善はないと言われた、そういうことが改善されるかどうか、ここが期待なんです。またそれが本当の行政改革だと思うのです。  そういう意味でお尋ねするのですが、言われた今日まだ解決していない長期利用地の中で、建設省があっせんして住宅公団に買わせた土地はどことどこですか。
  166. 櫟原利嗣

    櫟原参考人 住宅公団からお答えいたします。  いまお話のございました建設省から御要請のあった地区、いわゆる放出物件と称しておりますが、それは長津田地区、祝園地区、それと野田山崎地区の三地区でございます。
  167. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま三つ挙げられたのですが、当時建設省はどういういきさつでこれを公団にあっせんしたのか、また、その見通しはどういう見通しを持っておったのか、これは建設省の方に聞きます。
  168. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  当時、各地域民間デベロッパー等が大規模宅地開発予定地として土地を買い上げたわけでございますけれども、このことがいろいろ問題になりまして、その間建設省と住宅公団あるいは土地を所有いたしております民間デベロッパーとの話し合いをいたしまして、公団の方に譲り渡しをしていただいて、公団の方ではこれは開発ができるんではないか、実はこういう見通し建設省の方からお世話した、こういう事情がございます。
  169. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まことに無責任な話で、結局公団の見込み違い、こういう話になっているわけでしょう、大体、たとえば野田山崎にいたしましても東急不動産所有で、一部は市街化区域ですが大半が調整区域、値段は四十七ヘクタール四十二億七千三百万円、こういう価格だった。当時の状況は線引き変更不可、こういう実情にあったわけですよ。また長津田について言えば三菱地所所有で、これも全部が調整区域、二十九ヘクタールを値段六十一億六百万円で公団は買わされている。これもまた線引き変更不可の土地。それからもう一つ、間々田ですか、塚本総業所有、これは調整区域、農振地域で、二十八ヘクタールを十九億九千八百万円で買わされておる、ですから、これはもともと大企業の保有地ではあったけれども、大企業としてもすぐには開発できない、あるいは相当長期にわたって開発できない、言えば不良資産みたいなものなんですね、メリットの余りないもの。これを建設省があっせんして公団に渡した、こういうことなんですね、これが結果的にはいまでも尾を引いて解決に至っていないのですから、むしろこういう点については建設省自身が責任を負うべき問題だと私は思うのですよ。大臣いかがですか。
  170. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほど申し上げましたような経緯で住宅公団がこの土地を購入したわけでございます。もちろん建設省にも責任はございます。それからそれ以後建設省の方もかなり努力をいたしまして、これらの土地につきましては具体の事業計画を立てる、また都道府県、市町村等とも十分な協議をする、こういうようなことでかなり時間を要しましたけれども、先ほど御指摘の間々田につきましては事業着手の見込みがつきました。また、野田山崎につきましても五十七年度には着工できるかと思っております。長津田につきましても県、市とも大体の話し合いが進んでおります。かなりの時間、長期保有ということになりました点は遺憾でございますけれども、これからは建設省といたしましても十分責任を感じて、一日も早くこれらの土地が着手の見通しがつくように努力をしてまいりたいと考えております。
  171. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかも、当時この保有地のあっせんの中心的役割りを果たしたのは当時の高橋計画局長ではなかったのですか、
  172. 宮繁護

    宮繁政府委員 ちょっと一つ、先ほど先生の御質問に答えました中で、間々田を放出物件と申し上げましたけれども、これはそうでないようでございます。  それから、当時だれが中心になってこの放出が行われたかということでございますけれども、これはやはり建設省全体の責任だと私は感じております。
  173. 瀬崎博義

    瀬崎委員 当時すでにこの高橋計画局長が、情勢変化があれば再び放出を要請することだってできるんだ、こういう発言まであったくらい、つまり中心にいた人なんです。そしてその高橋さんが、つまりこの未利用地、空き家問題解決のための対策委員会委員長をやっているわけでしょう。自分がやっているうちには全然これが解決できなくて、この対策委員会が解散しているわけですね。そんな対策委員会だから責任を持って事の処理ができなかった。今度また対策委員会をつくるわけでしょう。  時間がないからまとめて申し上げますが、さらに、当時つくられました対策委員会の中には大塩洋一郎氏とか、それから堺徳吾氏なども入っているわけで、こういう人たちが対策委員会対策をよう立てないで、そしていまその公団に天下りしているわけでしょう。普通だったら解決できなかったんだからむしろ責任を問われるべき立場にある人が、逆に公団理事におさまれるんです。これはまさになれ合い人事もいいところだと思うのです。こういう点が私は大きく国民不信を買っていると思うし、そういう状態でいま新しく対策委員会をつくったからって、これはもう全然国民期待できないと思いますね。大臣、こういうことどう思われます。
  174. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 前段につきましては反省をいたします。  新しい委員会につきましては、全く新しい考え方で私の責任において発足いたしたわけで、そうしたことがゆめゆめないようにひとつ指導してまいる所存でございます。
  175. 瀬崎博義

    瀬崎委員 最初の天下り問題で大変時間をとったために、残念ながら残余の質問たくさんありますが、これはまた同僚委員からお願いをしたいと思うのですが、要は、われわれが言いたいことは、本当の行政改革だというのなら、先ほど来問題になってきた天下り人事、この問題をまず改革する。それから、もう十年近く問題になってきた長期利用地とかあるいは空き家の問題、これに対して本当に国民に利用してもらえるような抜本的な対策を政府も打ち出す、公団も実行する、こういうことがちゃんとできるという保証のもとにこういう行政改革案を出すべきだ、形だけ行政改革です、こんなことは許されない、われわれはこのことをはっきり申し上げて終わりたいと思います。
  176. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、来る十日午前十時三十分理事会、午前十時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会