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1981-04-01 第94回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月一日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 渡辺 武三君       鹿野 道彦君    鴨田利太郎君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    登坂重次郎君       中西 啓介君    羽田野忠文君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       山花 貞夫君    横山 利秋君       薮仲 義彦君    林  保夫君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         国土庁土地局長 山岡 一男君         建設政務次官  住  栄作君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房総         務審議官    川上 幸郎君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  鈴木 昭雄君         環境庁水質保全         局水質規制課長 渡辺 一志君         会計検査院事務         総局第三局建設         検査第一課長  小川 一哉君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     星野 孝俊君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (宅地開発公団         総裁)     志村 清一君         参  考  人         (宅地開発公団         理事)     北川 博正君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  住宅都市整備公団法案内閣提出第三四号)      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置の件についてお諮りいたします。  土地及び住宅問題に関する調査のため小委員十二名よりなる土地及び住宅問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任並びに小委員会において参考人出席を求め意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 稲村利幸

    稲村委員長 次に、住宅都市整備公団法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査中、参考人として日本住宅公団及び宅地開発公団役職員から意見を聴取する必要が生じました場合は、随時出席を求めることとし、その日時人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君理事有賀虎之進君、理事星野孝俊君、理事救仁郷斉君、理事久保田誠三君、理事櫟原利嗣君宅地開発公団総裁志村清一君及び理事北川博正君に御出席を願っております。     —————————————
  8. 稲村利幸

    稲村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  9. 小野信一

    小野委員 最初に、大臣所見をお伺いします。  宅地開発公団設立される際に、私ども社会党はこれに強く反対いたしました。  その理由の第一は、住宅供給を円滑に行うには住環境機能を含めて住宅公団を総合的に拡充すべきであり、建物と宅地整備を切り離して二つ公団で行うことは不合理であり、しかも造成費金利等財政面からも不効率だ、こう考えたからであります。  第二は、すでに高い、狭いあるいは遠いという、公団住宅供給問題点が顕在化している中で、宅地開発公団は、公共住宅供給だけではなくて、宅地の切り売りを行う事業内容が含まれており、大都市圏において住宅に困窮する勤労者に、良質で低廉な公共賃貸住宅供給するために設立された住宅公団性格から著しく外れる。  第三に、新公団設立することは、新たな天下り機関をつくるだけで、しかも関連公共公益費負担金利等公団財政を圧迫し、入居者に高負担をもたらしている問題について何ら手当てがないということが主な理由でありました。  野党反対を押し切って設立された宅地公団は、自治体からは財政負担増理由に不評を買い、開発予定地住宅公団よりさらに遠隔地、しかも安い宅地という前宣伝もいつしか消えてしまって、一時は住宅公団宅地分を含めて宅地公団に移すことでその存在意義を見出そうとしましたが、行政改革という課題がクローズアップされる中で、真っ先に俎上に上り、今回住宅公団統合になったわけです。  改めて、一つには、野党反対を押し切って設立した公団が五年間で廃止されるという問題、二つには、わが国産業構造変化都市環境悪化の中で、都市住宅関連産業の育成が期待され、本格的な資本投下基盤整備を行う必要があるという課題、さらに大都市において住宅に困窮する勤労者に安い住宅供給するという、現在政府政策理念である自助勢力持ち家傾斜の推進の阻害になるのではないかという現公団性格変更しようとする、こうした要請に基づいて、宅地開発公団日本住宅公団への吸収、合併という形ではなくて、住宅都市整備公団設立となったとわれわれは考えるわけです。  昨年の都市開発法改正あるいは統合が決定した当初は、都市整備公団という名称が有力であったと聞いております。公団住宅の払い下げが話題となったことも、わが党の、われわれの主張が正しかったことを裏づける材料と考えております。改めて新公団法設立背景とその理由について大臣の御所見をお伺いいたします。
  10. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生指摘のようないきさつ宅地開発公団ができたわけであります。当時のいきさつにつきまして私もよく承知いたしております。  その後、五年、六年でまた合併というようなことで、御懸念の向きにつきまして指摘の面一々ごもっともの面もございます。ただ、私たちといたしましては、宅地開発公団の五年間の事績につきましては、それはそれなりにりっぱな仕事をやってきておるものと信じます。  ただ、宅地開発という面で早急に結論ができ得ないという事態の中で、今日の住宅都市整備公団というような形で新発足するわけであります。これは、御案内のように一応日本住宅事情が数的には満たされる、あるいは質的向上もある程度来ておりますけれども、しかも居住環境というものが都市化方向に向かっている、こうした総合的なバックグラウンドを考えたときに、やはりもう一度住宅宅地政策というものを見直す、都市化に対してどういうような方向づけをするかということ、国民方々ニーズ、特に都市化の中における勤労者方々住宅賃貸住宅の問題等々もこれあり、いささかおしかりを受けるような朝令暮改的なようではありますけれども時代の趨勢に応じて総合的に素早い対応をしてやることがわれわれとしては国民の要望に最も近くこたえる道であろう、このようなことで新公団発足に踏み切ったわけであります。  たまたま行政改革という面もございました。これも一つのアプローチになったことは事実でございます。あれこれ総合的に考えて、住宅政策宅地政策、そして行政改革というような面から、この問題につきまして新しく発足ということで御提案申し上げたわけで、せっかく御理解をいただきたいと思います。
  11. 小野信一

    小野委員 住宅局長にお伺いしますけれども、現在の住宅問題は、現状認識として全般的にはよくなっておらない。要するに住宅建設環境悪化方向にあるのではないか、こう考えます。この現状認識は、住宅宅地審議会の答申の中にも書かれておるように私は考えます。特に地価の高騰、ミニ開発公営公団住宅建設停滞、大きな財政資金を投入した住宅公団が高い、狭い、そして遠い等の理由で空き家が多い等が挙げられるからであります。その上に、住宅を求める国民の方は量よりも質を求める時代に入りました。改めて、現場を担当する局長は、今日の公団を取り巻く住宅環境あるいは需要者側の動向を考えた場合に、新公団設立というのは具体的にどういう要請があって、それにこたえようとするものか、現場責任者としての御意見をお伺いいたします。
  12. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  最近の住宅事情につきましては、五十三年の住宅統計調査あるいはまた同じ年に実施いたしました住宅需要実態調査等によりまして明らかでございますが、私どもが現在問題点といたしておりますのは、特に大都市地域におきます方々の中に最低居住水準を確保していらっしゃらない方が多い、あるいはまた四、五人世帯方々のいわゆる社会的流動階層方々に適切な賃貸住宅供給が民間において必ずしも十分でない、そういったようなことを問題といたしております。そういう意味で、現在日本住宅公団におきましては、大都市地域中心といたしまして良質住宅供給に努めているところでありまして、この点につきましては新しい公団になりましても変わりはございませんが、今後さらに住宅整備する中で、特に職住近接を図るといった立場から、都市整備と一体となって住宅供給を行う必要がある。あるいはまた宅地が必要であることは言うまでもございませんが、これらの宅地整備につきましても、より機能を広くして、効率的に仕事ができるようにするといったようなことが必要かと思っております。そういう意味で、このたび両公団統合いたしまして、住宅都市整備公団として総合的、一体的にこの課題を実施していくということが必要であり、また適切であろうというふうに考えているところでございます。
  13. 小野信一

    小野委員 ただいま局長から五十三年度の住宅統計調査による具体的な説明がありましたけれども、要するに昭和六十年度に達成しようとする最低居住水準、これは標準家族四人で三DK、居住面積五十平米以上、こうなっております。しかし、この最低居住水準に達しない世帯を見ますと、全国で一四・八%、三大都市圏で一八・一%、東京都圏で一九・九%、東京都で二二・六%になっております。特に持ち家借り家貸し家で比較いたしますと、持ち家で六・二%、借り家で二八%、こういう数字が出ております。したがって、これらの数字をもとにして考えてみますと、わが国住宅政策、特に公営公共住宅政策の基本は大都市圏中心的に行われなければならない、こういう分析が当然出てまいります。局長もまたそのように答弁いたしておりますけれども、今回の新公団によって、いままで全国画一的に行われてきた住宅政策公営公共住宅政策が、大都市圏住宅政策を進めるために具体的にどのように変更しようとしておるのか、変更になったのか、お聞かせ願いたいと思います。
  14. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 去る三月二十七日に閣議決定されました第四期住宅建設五カ年計画におきましては、昭和六十年度までに建設されます住宅戸数を七百七十万戸と見込みまして、そのうち公的資金によります住宅建設が三百五十万戸というふうに計画されております。これらを実施するに当たりまして、特に先ほど申しましたように大都市地域におきまして居住水準改善のおくれの見られる世帯方々に対しましては、それぞれ必要な施策を投入するということで、特に公的資金によります住宅建設大都市地域中心に実施していきたいというふうに考えております。  なお、この五カ年計画は、今後さらに地方住宅建設五カ年計画、さらには都道府県住宅建設計画というふうにいろいろな手続が進んでまいるわけでございますが、それぞれの計画の中におきましてそのような方向づけをいたしたい。また、これを達成いたしますためには、住宅のみならず、財政、金融、税制等、総合的な施策も必要でございます。これらにつきまして逐次私ども整備を図り、この計画の達成に努めていきたいというふうに考えております。
  15. 小野信一

    小野委員 大都市圏住宅解決わが国住宅問題の解決中心課題であり、それが焦眉の問題点であることはお互いに共通理解として成り立つはずです。しかし、新公団内容を見ますと、日本住宅公団法宅地開発公団法寄せ集めであって、その二公団解決できなかった問題が新公団によって解決されるように具体的に誘導され、法律案ができているというようになっておらないと私は考えるわけです。したがって、今回の新公団法行政改革によって指導される、そういう目的を持った公団であって、日本住宅問題あるいは特に大都市圏住宅問題を解決しようとする内容がこの中には含まれておらないのじゃないのか、具体的に法案の中にはそれが書かれておらないのではないのか、こう考えるのですけれども、具体的にそれならば大都市圏住宅解決のために新公団は前の二公団よりもこの部分で進んでいるのだ、解決するために具体的な法案を持っておるのだ、その点を御説明願いたい、こう思います。
  16. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  新公団におきましては、従来の住宅宅地対策にあわせまして総合的な居住環境づくり、こういう観点から都市整備という観点を加えておるわけでございます。でございますので、現在宅地開発公団等において行っております町づくり機能住宅公団統合させますと同時に、宅地開発公団機能として持っております関連公共施設整備を、宅地開発事業とあわせて行うことができます権限でございますが、これにつきましては宅地開発公団は三百ヘクタールとなっておりますのを百ヘクタールと下げておる。また住宅建設宅地開発事業関連となります公共公益施設整備に伴う地方公共団体財政負担軽減等に資するための関連施設整備事業助成基金等は、宅地開発公団から新公団に移しまして残しておく。それからさらには宅地開発公団が持っております地方鉄道または軌道等を行う権限につきましても新公団に付与いたしたい、このように考えているわけでございます。これらを総合いたしまして町づくり機能を拡充してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  17. 小野信一

    小野委員 私は、二つの前の公団によって解決のできなかった問題が、新公団によって解決されるようにこの法案がなっておるとはどう読んでも理解できないわけです。その最大の理由は、何といっても地価東京都圏あるいは三大都市圏とその他の府県では十対一ぐらいの割合になっておる例があります。したがって、最低居住水準を満たさない割合を見ましても、三大都市圏とその他の府県とでは大きな差があるわけですから、全国画一的な政策ではなくて、大都市圏とその他の府県とを分離した政策が当然行われる必要があると考えるわけですけれども局長、そのような方向で今後大都市圏住宅政策を、住民の要求解決するために進める御意向はないのでしょうか、お伺いいたします。
  18. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、大都市地域とその他の地域におきましての住宅事情かなり差があるように思われます。しかしながら、また一面、全国的に住宅を求めていらっしゃる方々も多いわけでございます。そういうような事情に対応いたしまして、大都市圏には大都市圏にふさわしい住宅政策を、また地方方々にはその方々ニーズに合ったような住宅政策をというふうに展開してまいりたいと思っております。  特に日本住宅公団宅地開発公団統合いたしまして住宅都市整備公団というふうにいたしますのは、両公団とも従来とも大都市地域を重点にその事業を実施してきていたところでございますし、今後も、新公団になりましても大都市地域中心にこれを実施するのは当然でございます。先ほど総務審議官からお答え申し上げましたように、この統合によりまして従来の住宅公団が行っておりました機能にいろいろな新要素を加えまして、これが総合的に実施されることを期待しているものでございます。
  19. 小野信一

    小野委員 次は、新公団法による目的であります。  第一条を見ますと、「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅及び宅地の大規模供給を行う」としております。現在の日本住宅公団法第一条は、「住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造集団住宅及び宅地の大規模供給を行う」、こう書いております。この目的を比較してみますと、私は明確にその目的変更を感ぜざるを得ません。新公団への国民の期待は良質、低家賃の賃貸住宅であり、その大量の供給のはずです。私はその任務後退を心配するのでありますけれども、この第一条「目的」の変更公団任務後退だと私は考えますけれども局長はいかに考え、いかに説明されるか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  新公団法の一条は、先生指摘のようにその表現を変えております。これは先ほど住宅局長からも申しましたように、わが国住宅事情住宅公団法が制定されました昭和三十年よりは大きく変貌いたしております。三十年時代住宅戸数の絶対的不足が非常に大事でございまして、この改善策としていろいろな施策が講じられたわけでございますが、この結果といたしまして、現在国民住宅に対するニーズといいますものは住宅規模、設備、環境等にわたり、非常に多様化してきた次第でございます。このような状況にあります住宅公団政策を適切に表現いたしますために、今回の新公団法の一条にございますように、「住宅事情改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅」を建設する、このように規定いたしまして、従来の規定と表現を変えた次第でございます。  住宅公団は、時代要請に応じましていままでいろいろと事業を行ってきたところでございますが、この役目につきましては今後も変わることはないと存じますし、新公団統合いたしまして以後もこのままの業務を引き継ぐということになっておりますので、供給対象を変えるという意思はございません。
  21. 小野信一

    小野委員 昨年、五十六年度の概算要求で、新公団設立目的の中で皆さんが、建設省が出した目的の中には、住宅に困窮する者として明記されております。そのことは皆さんが一番御存じのはずです。そして策定の最終段階では、住宅を必要とする勤労者のためにと変更になりました。住宅に困窮する勤労者から住宅を必要とする勤労者へと変わること自体、私は政府住宅政策の大きな変化を示すものだと考えますけれども、この法案最終決定段階では住宅を必要とする勤労者のためにという字句もそっくり削られてしまいました。  法案第一条は、その意味で大きな背景なり内容を持っておるのではないかと危惧するのですけれども、もしいま答弁のように最初から前二公団の精神を引き継ぐとするならば、私は、その目的予算概算要求段階で書かれておるような方向で明記されるべきものだと考えますけれども、そのことについて、だれがこのような目的変更を行ったものなのか、大蔵省なのかそれとも建設省皆さん自体なのか、その答弁を求めます。
  22. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  新公団法目的でございますので、いかにして現下の情勢に合わせまして適切に表現するかといいますことを、建設省事務当局はいままでずっと気を使っておったのでございます。でございますので、中間等の案におきましてはいろいろな表現を使いましたが、最終的には現下住宅事情等をあらわすのに現在の表現が適切である、こういう観点をもちまして先ほども申しましたような表現を使った次第でございます。
  23. 小野信一

    小野委員 法律は当然目的を明確にすべきものだと考えます。その意味では法律目的は厳密に明記されなければなりませんし、公団性格事業の全体をそのことによって規定していく非常に大切な条項だと私は考えます。その意味でこの法案の第一条は、私は法の設立要件あるいは設定要件からすもと不明確なものを持っておると言わなければなりません。改めてこの概算要求から法案決定までの変更について建設省大臣所見をお伺いいたします。
  24. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明いたしましたように、中間段階におきましてはいろいろ大蔵省と折衝いたす過程がございますので、わかりやすいと申しますか、表現を使っておった、しかしながら、これを法律的にいろいろ審議いたしましてぴたり適切に表現するにはどうすればいいか、そういうことになりますと現在の表現が一番よろしいということでこうしたわけでございます。  冒頭申しましたように、「住宅事情改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域」、このような表現、さらには健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住環境を有する集団住宅、このような表現をいろいろと加えまして、旧来の表現にかえたというような次第でございます。
  25. 小野信一

    小野委員 私の後に質問する先輩議員にこの問題については十分追及していただくことを留保いたしまして、次の質問に移ります。  この住宅都市整備公団法は、附則六条で日本住宅公団の解散が示され、同二十一条で日本住宅公団法の廃止がうたわれております。しかもこの法案七十条の条項のうちで、その大部分、六十五条は住宅公団法と同じであり、これに宅地公団法条項を少々加えたものだけであります。両公団法と明確に異なるのは、第一条の「目的」、第十八条の「役員」、第二十九条の「業務の範囲」、第三十一条の「投資」及び住宅公団法第五十条政府からの貸付金の削除だけであります。  このことからしますと、当然日本住宅公団法の一部改正でこの新公団設立されることが常識的に考えられるわけですけれども、なぜ新公団法設立に踏み切ったのか、改めてこの法の条文内容から説明願いたいと思います。
  26. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  新公団は、日本住宅公団宅地開発公団の基本的な性格を引き継ぎましてこれを統合いたし、新たに都市開発公園等業務を加えまして新しい公団をつくった次第でございます。  このように新公団をつくります場合には、従来の公団統合等でございますので、当然新しい公団法を制定いたしまして新公団をつくる、同時に旧来の公団を廃止するということでございます。これが一部改正によらず、新公団法によった次第でございます。
  27. 小野信一

    小野委員 この説明も私にとっては納得のできるものではありません。七十条のうちに六十五条が日本住宅公団法法律をそのまま移行したものであります。新しい条項というのはわずかに四条ないし五条しかないのです。したがって、当然私は日本住宅公団法の一部改正でこれが行われることが常識的なものだと考えます。  改めて聞きますけれども昭和五十一年に日本住宅公団が名称を、支所を支社に変更いたしました。東京、関東、名古屋、大阪、福岡の五つを東京、関東、中部、関西、九州の支社に名称を格上げしたわけです。このときの費用はいかほどかかっておるのか、まずお聞かせ願いたいと思いますし、一部改正で行った場合の登記料を含めた費用と、新公団によってかかるその他の費用ではどれほどの差があるものなのか、改めてお聞きいたします。
  28. 澤田悌

    澤田参考人 担当の理事よりお答え申し上げます。
  29. 星野孝俊

    星野参考人 お答えいたします。  先生御質問のように、確かに過去において当公団の支所を支社に名称変更いたしましたが、そのときの経費につきましては、実は既定経費の枠内で措置できる程度のものでございましたので、特別にそのために予算要求をするとかそういう措置を講じませんで、既定の経費の枠内で措置したところであります、したがいまして、当時の記録を調べてみましたけれども、特にそのための経費として令達いたしましたものは支社の公印、それから看板の書きかえ、その程度の経費を約五百万ほど令達しておりますが、その他のものについては既定の経費の中で賄っております。
  30. 川上幸郎

    川上政府委員 先ほど御質問の新公団設立に要する費用でございますが、新公団設立に当たりましては、事務所の移転、庁舎の改修、公団住宅入居者等への広報等の費用が必要となりますが、この費用につきましては、行政改革の趣旨に沿いまして必要最小限のものにとどめるようにいたしたい、このように考えております。したがいまして、両公団の既定経費の枠内で賄う方針でございますが、具体的にはこの法律が成立いたしました後に財政当局とも相談いたしまして定めたい、このように考えております。
  31. 小野信一

    小野委員 同本住宅公団の名称変更、五つの支所を支社に格上げするだけで五百万プラスあるいはそれぞれの予算範囲で行った、こう言っておりますけれども、われわれの調査では、大体億単位の費用がかかっておるのではないか、こう言われております。今回の新公団設立に当たってはその費用の十倍を要するのではないか、少なくても十億単位の金が必要ではないか、こう計算されておりますけれども、もしこれらが日本住宅公団法の一部改正で行われるとするならばかなりの費用の減額ができるのではないか。皆さんから言わせれば、その程度の金は大した金額ではないと言われるかもしれませんけれども、機構改革、行政改革で費用がかかるようでは余り意味がないわけでありまして、その意味で、もしいま計算しておらないとするならば、改めて十分調査検討、計算の上、後ほど答弁を願いたい、こう考えます。  次に、新公団での住宅供給についての位置づけてあります。第三期五カ年計画で八百六十万戸の建設計画されておりました。第四・五計では七百七十万戸で、九十万戸の減少であります。しかも三百五十万戸は公的資金で建て、残り四百二十万戸を民間自力建設で期待しており、持ち家と借家の比率は七対三で、ますます持ち家比率の方が多くなっております。このわが国住宅建設傾向の中で、新公団住宅供給は具体的にどういう役割りを果たそうとしておるのか、建設省計画をお伺いいたします。
  32. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 今後の住宅政策方向といたしましては、昨年の七月に住宅宅地審議会の御答申がありましたが、この御答申の基本方向に基づき、また、これを受けまして先日策定されました新しい第四期住宅建設五カ年計画に従って実施したいと考えておりますが、その中で日本住宅公団につきましては、大都市地域におきまして最低居住水準住宅を確保できない方々に対しまして、公営住宅と役割りを分担いたしまして適正な家賃の賃貸住宅供給を図る。次に、社会的流動層と言われるような方々に対しまして、民間では特に不足を来していると見られます四、五人以上の世帯方々につきまして賃貸住宅供給する。また、この方々に対しましては、民間の賃貸用の特定分譲住宅供給を図る。次に、大都市地域で成長階層と言われる方々に対しましては、初期の負担の軽減を行う長期特別分譲住宅供給を図る。さらには既成市街地におきまして良好な市街地住宅供給を図る。さらにはこれらを通じまして居住環境改善等を一層進めてまいる。こういったような位置づけを行っておりますが、このような日本住宅公団の位置づけは、新公団になりましても変わることではなく、これらの課題に対処すべく引き続き実施していただくというふうに考えておるところでございます。
  33. 小野信一

    小野委員 抽象的でありますけれども、第四・五計で見ますと、公団建設計画は二十万戸、その中で賃貸十万戸、分譲十万戸と言われております。この賃貸住宅十万戸のうちには民営賃貸用特定分譲住宅も含まれておりますから、この住宅は当然公的管理が行われておりませんから、果たして公共賃貸住宅と言えるかどうか、私は疑問に思っております。むしろ公共賃貸住宅とは言えない、こう私は考えております。したがって、第四・五計の中で公共賃貸住宅計画は幾らに設定されておるのか、説明願います。
  34. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画におきます公的資金によります住宅は三百五十万戸とされております。その中で公営住宅、それから公団住宅のいま御指摘ありました半数、これらは公共の直接供給いたします賃貸住宅でございますが、それ以外に公庫住宅におきまして公社等が実施いたします賃貸住宅、さらにはその他の住宅の中にいろいろと雇用促進関係等々の公共の賃貸住宅等もございます。これらがまだ最終的にどの程度になるかの数字は確定いたしておりませんが、これらを通じまして第四期五カ年計画住宅需要に対応できるような建設を進めてまいりたいというふうに考えております。
  35. 小野信一

    小野委員 第四・五計の中では公共賃貸住宅十万戸、しかしこの中では先ほど申し上げましたように公営住宅公共賃貸住宅とは言えないような住宅が含まれておりますけれども大都市圏における地価の高騰、建設資材の高騰その他の条件を考えますと、大都市圏における住宅問題の解決は、当然公共賃貸住宅建設の大幅な増加によって解決されなければならないことは、だれもがわかっているはずであります。したがって、この賃貸十万戸は、確実にいままでのように公共公営賃貸住宅とは言えないようなものを除去して建設する、こういう方針を明確に顕示していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  36. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘ありました住宅公団賃貸住宅といいます中に、御指摘のように民営の賃貸用の特定分譲住宅がございます。それはそれなりに大都市地域における借家需要に対応するものといたしまして位置づけられるものだと思いますが、私どもといたしましては、やはり住宅公団の本来の賃貸住宅建設の促進をさらに一層図る必要がおると考えております。  御案内のように、最近におきましては用地の取得難あるいはまた関連公共公益施設整備につきまして、地元の公共団体との調整に難航する、あるいはまた、これらの住宅団地の建設関連いたします地域住民の方々との調整等に時間を要する等々の状況の中で、必ずしも所期の計画どおり建設されていない点はございますが、私どもといたしましては、これらにつきましては今後さらに関連公共施設整備費の拡大を図るとか、あるいはまた、宅地の円滑な取得のための先行取得等を進める。あるいはまた、地元の公共団体との協力をさらに強化する。さらにはまた、職住近接というような立場からの市街地住宅建設に力をいたす。そういったような各手法を活用いたしまして、御指摘のような本来の公団供給いたします賃貸住宅建設に努めてまいりたいと思っております。  また一面、住宅公団には六十万戸を超える賃貸住宅のストックがございます。年間約七万戸程度の空き家が生ずるといったこともございますので、これらのストックを活用いたしまして、国民方々ニーズに適切に対応するように努めてまいりたいというふうに考えております。
  37. 小野信一

    小野委員 公共賃貸住宅十万戸、これは民営賃貸用特定分譲住宅を含まず、確実に計画の中で遂行することを強く要望して、次の質問に移ります。  わが国での借家の水準は、アメリカ、西ドイツ等の欧米諸国と比較して四分の一程度ではないか、こう言われております。その一つ理由に、公営公団などの公的賃貸住宅建設が個人のニーズとは関係なく、二DKとか三DKとか、こういうふうに画一的に建設されることにあるんだ、こう分析されたり言われたりしております。もちろん公営公団住宅の不評によって、需要者のニーズにこたえようとして努力しておることは私は認めますけれども、まだまだ不評がある。この不評を払拭するような段階まではいっていないことは、率直に認めていただきたいと思います。この画一的な建設から、多様な要求にこたえる的確な対応のために、今後建設省ではどのような対策を考え、どのように住宅建設を進めようとしておるのか、その基本的な方針をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先生ただいま御指摘がありましたように、従来は戸数を確保するというような点を重点にしてまいりました等のことがありまして、規模の点につきまして必ずしも国民ニーズに的確に対応できたとは言えない点があったと思います。しかしながら、最近におきましては逐次その改善整備を図ってまいりまして、規模の大きいものをつくるようにしておりますし、また、国民ニーズが高度化し、多様化している状態にかんがみまして、中高層の住宅だけではなくて、その他の幅のある各種の住宅も同じ団地に建設するといったようなことによりまして、適切な対応に努めてきておりますし、今後とも私ども公団を指導いたしまして、そのような多様化するニーズに適切に対応するようにいたしてまいりたいと思っております。
  39. 小野信一

    小野委員 要望を申し上げておきますけれども、物を売るあるいはたくさん買っていただくという場合に、需要者のマーケットリサーチは非常に大切なことであります。私は行政が国民から評判悪い一つに、このマーケットリサーチの不足が大きな原因であろう、こう考えますので、その点を十分これから手法として取り入れていっていただきたい、こう考えます。  公団のある理事は、ある本に、需要者の意識構造変化公団建設が対応できなかったと率直に反省いたしております。その意味で、この問題を新公団住宅建設の大きな柱に設定していただきたいと考えます。たとえば、先進諸国の住宅の場合に、ワンフロアを固定的にしておかないで、需要者の方の所得あるいは家族数によって広げたり小さくしたり、いま防音、冷房その他の壁資材が十分発達して、それに対応できるようになっておりますから、それらに有機的に有効的に対応していただけるように希望いたしておきます。  総裁にわざわざ来ていただいておりますので、飛びまして総裁の御意見をお聞きいたします。  昨年七月三十日に住宅宅地審議会の答申が出ました。その一つの特徴点として、住環境水準が一つの大きな柱に取り上げられております。これは、住宅政策が単に住宅供給という範囲に限定されたものではなくて、都市整備観点からも住宅政策を考えなければならぬ、こういう意味でいままでの住宅政策の大きな転換を意味するものだと私は考えます。しかし、その前提となるのは、都市住宅の現実的な水準目標の設定が必要であると同時に、その水準と市民の経済負担、所得、負担のギャップをどのようにして埋めるかという方法論が私は最も大切なところだと考えます。総裁は長い間その任務を果たしてまいりましたけれども公団住宅政策の反省点を含めまして新公団はどのような方向住宅建設が進むべきか、改めて所見をお伺いいたします。
  40. 澤田悌

    澤田参考人 ごもっともな御指摘でございます。住宅公団二十五年余の歴史を振り返ってみますと、私率直に言って相当大きい功績を上げておると思いますけれども、高度成長末期の激動期を経て、経済社会情勢あるいは居住者のニーズ変化等に必ずしも的確に適応できなかったという点は私どもも深く反省すべきであると思います。そのために、御指摘されるような未入居でありますとか未利用地でありますとか、いろいろな問題を生じたのでありますが、私どもその問題の重要性をよく認識いたしまして、全社を挙げて努力いたしてまいりまして、相当成績を上げたとは思いますが、いまだそういう問題の完全な解消に至っていない点はまことに遺憾に思い、今後とも決意を新たにしてやっていきたいと思うのであります、  それで、ただいま問題になっております新公団との関連で私どもの気持ちを申し上げますと、新公団設立につきましては、総合的な居住環境づくりという観点から、住宅宅地供給都市整備等を総合的に推進していくための幅広い機能を持った実施機関を設立するものであるというふうに私ども理解をいたしております。それで、日本住宅公団といたしましても、住宅宅地供給、市街地の造成あるいは再開発というようなことを実施してまいりましたその実績と経験を有効に活用いたしまして、国民の御期待に沿うべく今回の政府の御方針に協力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 小野信一

    小野委員 総裁は年頭所感で率直に反省点を挙げまして、具体的にその改善を、理事を含めて公団職員に求めておるのを読ませていただきました。私は、あの意見を新公団にも率直に引き継ぎまして、その精神で解決していただきたいと考えます。  第一条に、「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する」と、公団供給する住宅とその環境を規定しております。この居住水準居住環境も社会経済あるいは所得の変化によって当然変化する、国民の意識の変化によってこれまた変化する、私はそのことが当然の推移だろうと考えております。したがって、新公団法第一条で規定しておるこの内容は、具体的にどのような水準を想定しておるのか、もし指数がありましたら具体的に答弁していただきたいと思います。
  42. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもが考えております「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅」というのは、先ほどもお答え申し上げました住宅政策の基本的な目標の中において実施されることでありますが、具体的には第四期住宅建設五カ年計画期間中におきましては、第四期住宅建設五カ年計画で示されております最低居住水準あるいは平均居住水準といったようなものを指標といたしまして実施してまいりたいと考えております。
  43. 小野信一

    小野委員 私は、公団国民住宅を提供する場合に、最低居住水準目的とする、それだけの建築物を提供するというのは、現在のわが国居住水準なり所得水準からいくとやはり立ちおくれを感ぜざるを得ません。少なくとも平均水準ぐらいを目的とした住宅を提供する時代に入ったのではないかと考えますので、この二つ目的を同時に達成するような行政なり手法を検討していただきたいと思います。  最後に大臣にお伺いいたします。  昨年審議会の答申がありました。私はその答申を読んで、住宅建設について行政の介入を非常に大きく取り上げていることに注目いたしました。具体的に、ナショナルミニマムの設定、確保、第二に計画的な投資と良質なストックの形成、第三に「良好な住環境の確保」、第四に「住宅市場の整備」、第五に「住宅生産・供給の合理化」、これらが提案されております。これから第四期住宅五カ年計画が実行に移されるわけですけれども、これらを成功させて国民の要望にこたえるために、大臣の決意なり審議会の答申に対する御感想を含めて所見をお伺いいたします。
  44. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  一時間にわたって先生の御質疑を拝聴しながら、住宅宅地問題の推移を振り返っていまさらながら肝に銘じたところでございます。先週の金曜日でしたか、新公団の御提案を申し上げまして、先生が代表して質問をされました。そのときには簡単にお答えしたわけでありますが、あれ等のやりとりを拝聴しながら、きょうまたそうでありますけれども、新公団が、宅地開発公団と一緒になって新しく発足するわけですけれども公団公団なりに、顧みて昭和三十年でございます、鳩山内閣の折に、日本住宅事情の余りの困窮さに政府でこの公団発足させて、当時、終戦直後四百万、絶対不足数の住宅戸数でありましたけれども住宅公団は現在まで約百万戸の公的資金住宅を建てております。それなりの功績があったかと私は思います。さすれば、新公団発足はどのような意味があるかといいますと、顧みて、やはり行政改革という面もございますけれども、ここで一つの転機を迎えて、先ほど先生の御指摘のように、良環境のもとで質の向上のある住宅国民に提供するという大きな課題に取り組まなければならない事態に来ておるということの現実認識を持って、何とか計画方向づけについて実施するということでなければならないと思うわけであります。いろいろと御指摘の面はありましょう。しかしそれは、それを乗り越えて、一つのきっかけとして、前向きで、健康で文化的な住宅提供という方向づけで進む、そうした考えのもとに、何とか国民方々ニーズにこたえられるような気持ちで、抱負を持って努力してまいりたい、このように考えるものでございます。
  45. 小野信一

    小野委員 以上で質問を終わります。
  46. 稲村利幸

    稲村委員長 山花貞夫君。
  47. 山花貞夫

    ○山花委員 まず冒頭、小野委員の質問の趣旨を受けまして、法案審議の前提にかかわることについて希望を申し上げます。  その内容は、きょうの質疑を伺っておりましても、示されている法案に書かれていない事項について、大変重要な幾つかの点についてのお答えがありました。そうした内容については、恐らく今後政令、施行規則等によって内容が明らかにされてくるものと思うのですけれども法案の充実した審議ということを考えるならば、そうした政令、施行規則の内容などにつきましても、少なくとも本法案審議の終わりまでには内容をできる限り明らかにしていただく必要があろう、こういうように考えるのであります。理由につきましては、以下の質問でかえたいと思うわけですけれども、たとえば先ほど川上総務審議官から、両公団統合、新公団設立のメリットということにつきまして幾点か話がありましたけれども、その中で、従来三百ヘクタール規模開発であったけれども、今回は百ヘクタール規模まで手をつけることになるので、非常に業務の範囲が広がるし、仕事がやりやすくなるということについてお話がありました。この点については示されている法案の中のどこかに出てくるのでしょうか。それともそういう点はどういう形で御説明が、業務の範囲が決まるのでしょうか。先ほど質疑を承っておりましてまず気になりましたので、その魚川上総務審議官にお答えいただきたいと思います。
  48. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  ただいまの先生の、直接施行の範囲を広げる件でございますが、新公団法の三十四条におきまして「道路法等の特例」、こういう表現を使っておりますが、ここで、公団はいろいろな業務を行う場合におきまして、「その業務建設省令で定める規模以上の宅地の造成と併せて整備されるべき公共の用に供する施設」、こういうふうに扱っておりますので、将来段階におきましてそのことは明記いたしたいと思いますが、基本的には現在三百ヘクタール以上が宅地開発公団の直接施行になっておりますが、これを百に下げたい、このように考えた次第でございます。
  49. 山花貞夫

    ○山花委員 いまお話がありましたとおり、これからの省令にかかわる部分であるということでありまして、お話を伺った中で、その他の具体例についてはなお今後いろいろお伺いしていきたいと思いますけれども、そうした大事な業務内容その他について今後の政令等によって決まる部分につきましてはもう少し具体的内容を明らかにしていただきませんと、この法案についての審議を充実させることができないのではないかと考えます。したがいまして、この点につきましては冒頭質問の前提として強く要請をしておく次第であります。(「要求だ」と呼ぶ者あり)要求をしておく次第であります。  さて……(「委員長、いいねそれ」と呼ぶ者あり)そうですね、その点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  50. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  現在いろいろ考えておりますが、公団法が通りました暁におきましていろいろな細かい事項につきましては各省でいろいろ御相談するという形式でございます、政令、省令の段階でございますが。したがいまして、現在いろいろと考えております基本的な事項はございますが、その細目につきましてはなお時間を要する、こういうことでございます。
  51. 山花貞夫

    ○山花委員 時間を要する事項についてもあるかもしれないということですけれども、しかし当然、先ほど答弁の中に出てきているような事項についてはすでに相談が終わっているんじゃないでしょうか。こういう問題については出すべきではないかと考えます。
  52. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  ただいま申しましたのは、細目の詰めにいろいろ時間を要するということでございますので、基本的な考え方等はお示しできるのではないか、このように考えております。
  53. 山花貞夫

    ○山花委員 それではいまのお答えで結論が出たとわれわれ受けとめまして、それをまた、細かい内容についてわれわれ伺った中で、今後の質問の中で審議の内容を充実させたいと考えます。——いまの点ちょっと相談をさせていただきます。
  54. 稲村利幸

    稲村委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  55. 稲村利幸

    稲村委員長 速記を起こして。  それでは、官房長より答弁をいたします。
  56. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 お答えいたします。  本法案を御審議いただきます場合に必要と認められる重要な規定につきましては、(「だれが必要と認めるのだ」と呼ぶ者あり)先生方がそうお認めいただく中身につきましては次回までに提出する考えでございます。
  57. 山花貞夫

    ○山花委員 本論に入って、内容に関する質問をさせていただきます。  まず初めに、附則第六条の関係であります。「日本住宅公団は、公団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において公団が承継する。」とされています。附則第七条につきましては、宅地開発公団について同趣旨の規定が設けられているわけであります。実は、この点も内容を個別にお伺いをすると大変むずかしい部分も出てくると思うのですが、全般的にはとにかく従来の両公団が解散して、新しい公団設立ということに伴う内部的なあるいは外部的な関係についてどのようになるかということについて、それぞれの関係者の強い不安があるわけです。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕 内部的なということになりますと、具体的には職員あるいは労働組合とそれぞれの公団との関係ということになりましょうし、対外的なということになれば、特に住宅公団の場合には団地に居住している皆さん、賃貸、分譲ともにと思いますけれども、その関係がどうなるかということです。この点につきましては、一切の権利義務の承継ということでありますから、いわば法律的には包括的な承継である、こう理解してよろしいでしょうか。ということになりますと、時間の関係から、内容につきましてもお尋ねしておきたいのですが、たとえば労働組合の関係ですと、基本的な職員との雇用契約、労働組合との労働協約、協定、覚書、労使慣行といったことが出てくると思いますし、団地居住者などの関係ですと、賃貸の条件、また、当事者としての地位の承継という問題も出てくると思います。この点について基本的なことをまずお伺いしたいと思います。
  58. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  一切の権利及び義務と申しますのは、主として資産、債権債務等にかかわります一切の事項でございます。具体的には、たとえば住宅公団の場合、土地、建物等にかかわります所有権、賃貸住宅入居者等との契約、それから分譲住宅、分譲宅地の購入者との契約、それから関公施設に関します契約、借入金、債務等入ってまいります。  お尋ねの、まず労働条件等でございますが、労働組合と締結されております労働協約は当然新公団に承継されることになる、このように考えておるわけでございます。なお、賃貸住宅の賃借人との関係、これも当然一切の権利義務でございますので承継されまして、新公団が旧公団より同様な趣旨におきまして引き継ぐわけでございます。
  59. 山花貞夫

    ○山花委員 いま伺った中で幾つかの代表的な個別事例を挙げてお返事をいただきましたけれども、一切の債権債務の承継と考えてよろしい。もう一遍確認いたしますけれども、包括的に承継する、こうお伺いしておいてよろしいですね。
  60. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  一切の権利義務の承継でございますが、先ほど申しました労働組合に関します関係におきまして、労働協約は当然承継されるということでございますが、労働慣行等につきましては、これはやはり公団と組合との間において尊重すべきもの、このように考えておる次第でございます。
  61. 山花貞夫

    ○山花委員 労使の慣行などにつきましても、法律的には債権債務の関係という形で整理されるものがほとんどであろうと思います。債権債務関係以上に規範的内容を持った部分につきましては、これは当然のことということになると思うのですが、いまお伺いしたことにつきまして、これは念のためでありますけれども住宅公団宅地開発公団それぞれにいまの点について確認的にお伺いをしておきたいと思います。
  62. 澤田悌

    澤田参考人 現在の公団と従業員との労働関係、労働条件については、労働協約等は当然引き継がれると思います。審議官から言われましたような労使の慣行についても、それが権利義務と関連されるようなものは当然引き継がれていかれましょうし、現在尊重するというようなことになっているものは同じ程度に尊重されるということになるものと考えておる次第でございます。
  63. 志村清一

    志村参考人 宅地開発公団の労働条件は、組合がございませんので、職員の意見を徴しながら就業規則で定めております。先ほど総務審議官からお答えがございましたように、一切の権利義務が引き継がれるわけでございますので、当然就業規則に基づく権利義務もそのまま引き継がれる、かように考えております。
  64. 山花貞夫

    ○山花委員 いま一つだけお伺いしておきたいと思うのですが、各公団の職場で働いている皆さんからしますと、いままで自分の働いていた公団が解散して新しい公団を新設——まあ一切承継されるから心配ないということであったといたしましても、そこで次に出てくる心配は、両公団に働いている方の労働条件はぴったり同じということではないようであります。  これもこの時点での御質問でありますので、細かい内容については差し控えておきたいと思いますけれども、基本的な問題として、今回の一言で言えば統廃合、そのことを理由として労働条件の切り下げを行う、こういうことはない、こういうように考えてよろしいでしょうか。統廃合を理由として、そのことを口実としてと言ったらいけないかもしれませんけれども、そのことによる労働条件の引き下げ等は行わない、こういうように理解してよろしいですか。
  65. 澤田悌

    澤田参考人 いまお伺いしていると何か問題点二つあるようでございます。  一つは、後に念を押されました、今度の統合を条件として労働条件の切り下げというようなことが原則としてあるかというと、これはないと申し上げてよろしいと思います。  それから前のもう一つ、これはお答えしなくてもいいのかもしれませんが、両公団の労働条件が違っておりはせぬか、それを統合の後どうするかという御趣旨のことがございました。これは基本的に大きい違いというのはございませんが、いろいろな細かい点でやはり違いがございます。これは労働条件がそれによって低下することのないように調整を工夫していく必要があろう、こういうふうに考えております。
  66. 志村清一

    志村参考人 両公団で労働条件に若干の相違がございます。これらにつきましては、統合前におきましても調整のできるものは調整したい、かように考えております。
  67. 山花貞夫

    ○山花委員 調整の手法ということになりますと、先ほどお話しをいただきました統合理由として労働条件を悪くすることはない、この大原則で今後労使の話し合いを進めていただくということを重ねて要望をしておきたいと思います。  次の質問に移りますけれども、実はわれわれは、さきの本会議における代表質問の際にも、本法案に対する基本的な考え方は明らかにしたとおりでありますけれども、たとえば個別の問題として、従来から特に住宅公団が抱えておりましたたくさんの難問について、これにほおかぶりしてと言ったら言葉が過ぎるかもしれませんけれども解決できないままで新しい公団設立ということに進んでいるのではないだろうか。その点の問題を感じないわけにはいかないわけであります。  いま、一般に公団をめぐって一番関心の持たれております問題といたしましては、先ほど小野委員の質問にも出ておりましたけれども、膨大な空き家の問題と、いま一つは裁判にまでなっている家賃の問題、後者についてはきょうの質問では触れないで、また改めて伺う機会があればと思いますけれども、そうした観点だと思います。  三年ほど前、会計検査院の指摘がございました。その内容について若干振り返ってみますと、要するに、「公的資金による住宅建設及び管理」につきまして、日本住宅公団公団住宅に関する問題として、まず第一に、新築の空き家が一万四千五百二十三戸ある。建設費は千四百七十九億四千九百四万円余である。第二に、住宅の用に供することができないまま保守管理されている未募集の新築住宅が一万七千五百三十二戸ある。建設費が千四百三十八億五千四百万円余である。第三番目に、すでに発注済みで未竣工の住宅が十二万五千百九十九戸ある。第四番目に、新築空き家や未募集の新築住宅を保有していることによって、これらの管理経費として五十一年度中に合計八億四千六百万円を負担している。次に、新築空き家についての五十一年度分の収入減相当額は計算上六十六億五千五百五十七万円である。未募集の新築住宅に係る完成後五十一年度までの金利相当額は四十七億六千万円余に及んでいるという指摘がございました。  当時は、こうしたものがありながらなぜ家賃の値上げをという形で議論された経過だったわけですが、今日もなおこの問題についてはどうなっているかということについて、われわれは大変強く関心を残しているところであります。この問題について、その後のいわば後追い検査はされたろうか、後追い検査の状況についてはどうなっているのかということについて会計検査院にお伺いしたいと思います。
  68. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院といたしましても、特記事項といたしまして公共の資金の使用が効率的でないというふうな事態を検査報告に掲記いたしたわけでございますので、こういうふうな事態、これは事柄が事柄でございますので、そう急な是正はいたせないといたしましても、その事後の状況につきましては大きな関心を持って調査をしております。  私どもがいま把握している数字でございますが、五十四年度末で、まず戸数について、入居募集はしたけれども応募者がないため空き家となっているいわゆる新築空き家は八千九百七十九戸でございます。それから、住宅の用に供することができないまま保守管理されている未募集の新築住宅は一万九千三百四十七戸でございます。それで、この建設費でございますけれども、保守管理住宅については二千三百三十六億余円でございますが、新築空き家については、実は空き家が各団地に散在しておりまして正確な数字は把握しておりません。したがいまして、いま申し上げました保守管理住宅の戸数と建設費相当額それから一月当たりの単価を出しまして推算をした結果でございますが、約一千八十二億円となっております。それから、五十四年度末で発注済みで未竣工の住宅は六万五千五百七十八戸、それから、住宅公団が新築空き家とか未募集の新築住宅を保有していることによって管理経費として五十四年度中に支払いました額は六億七千万円でございます。それから、新築空き家について五十四年度分の収入減相当額は計算上七十八億八百万円でございます。それから、保守管理住宅について完成後五十四年度末の金利相当額は百六十三億余円となってございます。  以上でございます。
  69. 山花貞夫

    ○山花委員 関連いたしまして、公団に見解をお伺いする前に、やはり当時問題となりました公団の長期の借入金がどのくらいで、支払いの金利が年間どのくらいになっているだろうか。また、問題となりました未利用地については、当時は千六百ヘクタールと言われておりましたけれども、その後どうなっているか。その取得費用はどのくらいで、その年間の金利はどのくらいになっているか。現状について、まず実情をお話しいただきたいと思います。
  70. 澤田悌

    澤田参考人 それぞれ担当の理事からお答えを申し上げます。——借入金の数字は、いま調べておりますが、もう一つの御指摘の長期保有土地の状況でございます。これは、検査院の御指摘は二十二地区、約千五百八十九ヘクタールが長期に未利用になっているという御指摘を受けたわけでございます。その後、鋭意その理由を調べ、改善に努力いたしました結果、現在におきましてはまだ今後非常に努力を要するというのは七地区ございますが、その他の地区につきまして、すでに処分が済んだもの、事業に着手したもの、事業の着手の見通しがついたもの、それから地方公共団体とも具体的に話し合いが進んでおるものというふうに、逐次ここ両三年間に対応策が進んでまいっておるのが現状でございますが、なお新公団になりますまで、一つ一つにつきましてその処理のめどを立てまして、対策を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  71. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 まず長期借入金と支払い利息でございますが、五十四年度末で長期借入金の残高が六兆三千四百十八億というふうになっております。これに対します支払い利息が四千四百六十億ということになっております。  それから、ただいま総裁からお答え申し上げましたが、五十年度の会計検査院の指摘でございました長期未利用地の二十二地区でございますが、これはもうすでに処分が済んだりあるいは工事に着手したりあるいは市街化区域への編入がもう済んで、公共団体と具体的な計画の設計に入っているというような地区、そういう地区がございまして、これからまだそういった公共団体とのいろんな調整を要する地区が七地区、面積で七百五十二ヘクタール、金額で五百九十五億円残っております。これについてはできるだけ一日も早く事業に着手できるように、公共団体と調整を急ぎたいというように考えております。
  72. 山花貞夫

    ○山花委員 いま全体お伺いしたわけですが、長年努力されてきたのだとは思いますけれども、努力の成果が見られたかということになりますと、なお問題を残しているということだと思います。  御説明いただいた中で見てみると、新築空き家につきましては五千五百四十四戸減っているということのようですけれども、保守管理されている未募集の新築住宅は従来に比べて千八百十五戸ふえている。加えて建設費の関係ですと、そのための建設費の増加が、未募集の新築住宅についてですけれども、八百九十七億八千七百万円ぐらいになります。その他、それぞれについて五十一年当時と比較をいたしますと、結論的に申し上げるならば、資金的にはかえって苦しく立っているというのが現状であります。  後段御説明いただきました長期借入金に対する年間の金利の支払いが、今日段階では四千四百六十億円というお話でしたけれども、五十一年当時の指摘は二千七百二十億円でありましたから、この金利負担増だけで一千七百四十億円という膨大な負担増になっています。  未利用地につきましても、若干は減っている、若干ではなくて大分減っているのかもしれませんけれども、資金的な関係で見ますと、取得金額、金利その他について見ればなお大きな問題を残している。  要するに、当時指摘されたものにつきましては、その後努力されたのだとは思いますけれども、資金的には悪条件がむしろ進んでしまっているというのが現状ではないかというように考えます。実はわれわれとすれば、そうした問題がまず解決される中でということを主張したいわけでありますけれども、こうした問題について、先ほど公団総裁からお話がありましたが、建設省としてはどのように対策に取り組まれてきたのか、これから取り組もうとしているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  73. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  いま公団総裁理事からお話がありました。会計検査院の御指摘をいただきました。当省といたしましては、五十二年に対策委員会を設けて一応方向、指針を決め、公団に強い指導をいたしたわけでありますが、なおその後御指摘のような状況で、大変遺憾に思っておるところでございまして、なお今度新たに、再び次官を長にしまして、空き家、未利用地の関係の問題について対策委員会を設けまして、御指摘の向きについて早期に解決を図るべく、具体的に一々挙げて解決策を強く指導してまいる所存でございます。  五十二年以来の結果につきまして、特に会計検査院に指摘されました二十二地区につきましてもいまお答えのとおりでございます。しかし、まだまだ監督官庁として不満足でございますので、この点につきましてもなお一層強い指導を具体的に対策委員会を通じてやってまいる所存でございます。
  74. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの大臣の取り組みについてでありますけれども、どうもこの法案の審議が始まるという時期の直前に何か第一回会合が開かれたということを伺っているわけでありますけれども、もっとこれまでの間、私も建設委員会の過去の議事録をずっと調べますと、その都度委員会全体の総意として注文がつけられているわけであります。  この問題については、家賃問題その他の関係もありますけれども、こうした空き家、未利用地問題につきましても幾度か指摘がありまして、先ほど問題となった時期の五十三年二月九日の委員会におきましては、「日本住宅公団の空き家及び長期未利用地の問題については、公団経営上重要な課題であり、速やかに解決すべきである。」という理事会の協議の内容、これはほかの問題たくさんありますけれども、これが建設大臣に向けまして、この会議におきまして報告されているわけであります。それからいたしますと、どうもこの取り組みが弱かったのではないかという気がいたします。  いま大臣からお話しいただきましたこの具体的な最近の住宅公団事業推進委員会、いつ設置されて、どのように会合がこれまで開かれて、メンバーがどうなっていて、今後の方向はどうなっているのかということにつきまして、建設省からお伺いいたしたいと思います。
  75. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  空き家問題、未利用地問題は、会計検査院に五十一年十二月に指摘を受けまして以来、まず五十二年二月に公団住宅問題対策委員会といたしまして発足いたしております。このときの構成メンバーは、次官を長といたしまして、各局長住宅公団の副総裁等を含んでおります。なお、この下に幹事会を置きまして、随時会議を開催いたした次第でございます。  なお成果といたしましては、未入居住宅、長期保有土地につきまして、一件ずつにつきまして詳しく公団から事情を聴取いたしまして、未入居住宅等につきましては、なぜそれが未入居であるかなどの理由をいろいろ勉強いたしまして、関連公共施設整備または家賃対策等種々の対策を講じた次第でございます。なお長期保有土地につきましても、同様に各地区別にいろいろ要因を分析いたしまして対策を立てた次第でございます。  それで、なお昨今新しく本問題の委員会をつくりましたのは、両公団統合を控えまして、この機会に従来の実績をなお一層推進いたしたい、こういうことで新委員会をつくりまして発足した次第でございます。
  76. 山花貞夫

    ○山花委員 会議をいつ行ったか、これからどうするかということについてもうちょっとお話しください。
  77. 川上幸郎

    川上政府委員 新委員会は三月二十六日に設置されまして、委員会の所掌事務といたしましては、先ほど申しましたように、住宅公団の空き家問題、それから未利用地問題その他新公団の移行に際しまして、新公団業務の適正かつ円滑な運営を図るための事項、こういたしております。なお、その組織といたしましては、委員長は事務次官、副委員長は技監、委員等は関係局長をもって構成いたしております。第一回目の会合といたしましては、一昨日にこの会議を持ちまして、以後は随時会議を開催いたしまして、六月ころまでに結論を出しましてその促進を図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  78. 山花貞夫

    ○山花委員 いま伺うと、きょうから新しい月ですが、先月末につくって一昨日開いたというあたりがどうも経過的にどろなわ的ではないか、そういうような気がしてなりません。いまずっと出てきた問題につきましては、結論的には問題の新築空き家、未募集、保守管理住宅などにつきましても、三万二千戸が二万八千三百ということですから一割くらいしか減っていないということでありますし、未利用地につきましては若干対策が進んだようでありますけれども、資金的には従来よりももっと厳しい状況が出ておるということでありますし、この問題は、いまどろなわ的にと失礼な言い方をしたかもしれませんけれども、そこで議論をする、従来のようなことをやっておったのでは、三年たったところでもう一遍同じ問題が蒸し返されるということになるのではなかろうか。抜本的な問題解決のための御努力を、大臣に対しても、両公団これからまた新しくなろうとしておりますけれども、していただくことを強く要望しまして次の質問に移ります。  残る時間に公団賃貸住宅の家賃、共益費、とりわけ共益費の問題を中心に伺いたいと思います。  粗づかみということで初めに一言お伺いしておきたいと思うのですが、家賃が高い、共益費がどうも値上がりするという声があちこちで聞かれます。現在家賃が一番高いというのはどのくらいになっているんだろうか、共益費、家賃とは別に徴収されるものですけれども、一番高いのはどれくらいになっているんだろうか、平均はどれくらいなんだろうか、この点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  79. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  現在の家賃の最高、最低、それから大体の平均額というものを申し上げます。  五十六年四月一日現在の最高、最低の家賃は次のとおりでございます。最高家賃は月島一丁目の三LDK、これは約七十七二一一平方メートルですが、これが九万七千七百円、所在地中央区の月島一丁目でございます。それから最低家賃は、名古屋市の守山区にございます団地、これは当然一Kという小さいもので、十二・一三平米で五千百円でございます。ただし、これは継続家賃ですから値上げをいたした後のものでございます。なお、この最高家賃の月島一丁目の団地につきましては、やはり交通至便な場所にあることとか比較的住宅規模も大きいこと等を勘案いたしますと、まあそのようになるのではないかというように考えられるわけであります。  また、平均家賃につきましては、五十六年四月一日現在のものにつきまして目下集計中でありますので、手元に正確な数字がございませんが、昨年の五十五年四月一日現在のものについて調べた資料によりますと、二万五千七百円となっている状況でございます。  なお、共益費につきましては、最高、最低に分けまして、一般団地で、大阪の鳥飼野々二丁目が共益費六千三百円、それから最低が東京の桜堤の六百十四円。大阪の方は管理開始が五十四年の十二月という新しいものです。東京の桜堤は三十四年三月という古いものでございます。それから市街地面開発、こういう特殊なものでございますが、大阪の西長堀にございますが、これは共益費が六千五百玉十円、管理開始が三十二年十二月。それから横浜の砂子の市街地でございますが、五百二十円となっております。  こういうように、最高の一般団地でございますが、百九十戸という小規模団地でございますが、汚水三次処理施設があるなどで高くなっているというような状況もありますし、それから最低の桜堤につきましては、給水、汚水施設がなく、主として一般清掃とか公共料金に限られている。それから市街地面開発の面長堀につきましては、一般の共用部分の維持運営経費に加えまして単身者用の共同浴室、そういうようなものがありますので高くなるということがございます。さらに砂子の部分は、市街地につきましてはやはり共有部分がほとんどなくて、共用の電気だとか配水管等の清掃というようなことに限られているわけであります。
  80. 山花貞夫

    ○山花委員 先ほどの御説明に傾斜家賃のことをつけ加えていただきますとまた変わってくると思います。  家賃が高い、共益費につきましても次第に高くなっている、こういう問題の中で、ごく最近でありますけれども、水質汚濁防止法に基づくいわゆる総量規制によりまして公団賃貸住宅の共益費の値上げに影響が出てくるという問題があるようであります。私が伺った団地では年間百万単位で、そのかかわりで共益費の負担増があるというようなことなのですが、この点はなかなか住民にはわかりにくい問題となって、従来の自治会あるいは住民との説明会などでも議論されてきているようであります。  そこで、総量規制の問題について、環境庁いらしていただいておりますでしょうか、短い時間で結構ですから、法による規制の仕組みと環境庁の削減計画、これを受けました東京都の削減計画、そしてそれを受けてことし新しい制度ができて住宅公団の団地が適用になるかどうかということについて、概略御説明をいただきたいと思います。
  81. 渡辺一志

    渡辺説明員 お答えいたします。  水質の総量規制は、多数の汚濁発生源が集中する広域的な閉鎖性水域におきまして、その水域へ流入する汚濁負荷量を上流圏等の内陸部からの負荷あるいは生活排水に伴う負荷等を含めまして、全体として一定量以下に削減し、水質改善対策を一層推進するために制度化されたものでございます。  本制度におきましては、対象水域ごとに内閣総理大臣が定める総量削減基本方針に基づきまして、関係都道府県知事が総量削減計画を策定し、この計画に基づきまして汚濁負荷量の総量の削減を図ることとしてございます。これら汚濁負荷量の総量を削減するためには、指定地域事業所に対しまして総量規制基準を適用しまして、そこから排出される汚濁負荷量を規制することとしてございます。また、その実効を担保するために、汚濁負荷量の測定及び記録を義務づけてございます。  さらに、こういった規制対象以外の汚濁発生源に対しましても必要な指導、助言等を行うことによりまして、関係者一同が一致協力して汚濁負荷量の削減に努めることとしております。特に生活排水対策としましては、下水道の整備等の事業の促進に期待するところが非常に大なるものがあるわけでございます。  それで、この制度は現在東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の広域的な閉鎖性水域におきまして実施されております。関係都道府県におきましては昨年総量削減計画を策定しまして、現在その推進に努めているところでございます。  なお、指定地域事業所に対する総量規制基準あるいは汚濁負荷量の測定記録等の適用は、新増設の事業所については昨年七月一日から適用されております。それから既設の事業所につきましては本年七月一日から適用をされまして、本制度が五十九年度の目標年度に向かって本格的にスタートすることになってございます。  それから公団関係の処理場につきましては、大体浄化槽が主体かと思いますが、浄化槽につきましては五百一人槽以上が本制度の適用を受けることになってございます。
  82. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの御説明を受けまして公団の担当の方に伺いたいと思うのですが、この総量規制に関連する公団の方のいわば準備といいますか、それはどういう方向で行われてきたのか、また、新しく総量規制がスタートするに当たりましての設備その他につきましてはどういう方向を考えているのか、あるいはそれによる管理費のアップはどうなるのかという問題について御説明をいただきたいと思います。
  83. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えします。  本年七月一日から今回公団の対象となります団地は全団地千一のうちの百四十九でございますので、そういうものにつきまして必要な計測器を整備するなり、その他につきましてはそういう設置の準備を進めてまいりましたし、それからそういうことにかかわります共益費の増額とかという問題につきましても、PRをよく行うようにという指導を内部において行ってきている次第でございます。
  84. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのような形で準備を進められて経費がかかってくると、やはりこれが共益費という形ではね返ってくる、住民の負担になってくる、この問題があるわけてあります。こうした共益費の変更変更といってもいまの情勢ですと増減の減はないのでありまして、必ず増額ということになると思うのですが、その手続といいますかルールといいますか、どんな形で現状行われているのかということについて御説明をいただきたいと思います。
  85. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  今回のような施設の設置等につきましては、たとえば千戸ぐらいの団地になりますと平均約九万から十万ぐらい施設にかかりますので、二月にすると九十円から百円ぐらいになりますか、そういうような問題がありますが、共益費の値上げにつながるかつながらないかという問題につきましては、その共益費は総額を大体三年ぐらいを見込んで考えておりまして、各年ごとに収支計画なり収支の状況を住民の皆様にお知らせしているわけです。そういう中で、しかし足りなくなった場合には、その三年計画をまた変更するというようなことがございます。それはケース・バイ・ケースによるわけでございます。  今回のような問題につきましては、やはり共用部分である維持管理経費でございますので、それを共益費から拠出することになりますので、その総量規制に対応する水質測定の費用を支弁することになるわけですが、共益費全体の決められた運営に支障を来すような場合は改定をいたしまして、いま決めてあるような内容にすぐさま支障がないような場合は、その年度はそのまま据え置きというような運用をいたしております。  なお居住者に対しましては、改定値上げに際しまして改定運営計画書を配付いたしまして、必要に応じて説明会を開くなど、居住者の御理解を極力得るように努めているわけでございます。  なお、五十六年度改定が多かったわけでございますが、その改定につきましても極力説明を行いまして、今度の総量規制に伴います特にアップのことにつきましてよく説明して、御了解が得られたものと考えております。
  86. 山花貞夫

    ○山花委員 要するに独立採算的な団地ごとの共益費については、繰り越しがある場合にはストレートに全額はね返るということではないのであって、すべてということではないけれどもしかしはね返るところもある、こういう御説明だったと思うのですが、はね返ってくるところにつきまして、ある団地のこれまでの経過などいろいろ伺っているわけでありますけれども、全般的にいま御説明ありましたとおり極力御説明して了解を得るように努力しているというお話でありましたけれども、その点について蛇足かもしれませんけれども、従来の居住者との関係で一番大事な公団の対応の一つの場面だと思いますので、その点についての努力を強く要望する次第であります。  そうしたことは、実は共益費問題だけではないということでありまして、過日の代表質問でもわれわれが指摘したところでありますが、従来から公団入居者との関係というものが、決して友好的ということではない場面がたくさんありました。特にその中で、公団の居住条件の決定などにつきましてはそういう面が強かったのではないかとわれわれは考えています。特に住宅公団の場合には、借家法の適用を受けるにいたしましても、その管理する住宅の数から考えれば、どうしても公団入居者が協力する、話し合う、理解し合う、そうして住宅の管理、環境改善のために努力するということが必要なのだと思います。われわれといたしましては、こうした賃貸条件の変更とか日常的な維持とか管理などにつきまして、公団入居者が協力してそういうことの相談を行うことができるような協議の機関を設置するのがよろしいのではないかということを従来から主張しているわけであります。そうしたことも含めてぜひ、これからの問題として、居住者との関係につきましてはより改善を図るということでの御努力を最後にお願いをいたしたいと思います。  公団総裁から言いまの問題についてお返事をいただきたいと思いますし、最後に大臣からもこの点について御所見を伺いたいと思います。
  87. 澤田悌

    澤田参考人 私常々申すのでありますが、公団住宅入居者方々はわれわれの大事なお客様でございます。公団皆さんとの関係が円滑にしかも楽しく運営されるということが最も大事でございます。御指摘のような点、従来は住宅供給に追われておる、あるいはここ数年はいろいろな問題の見直しに追われておるというようなことでございますが、今後は百万に及ぶ住宅供給しましたそのストックの維持管理ということにもっと充実した努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  88. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いろいろと問題点の御指摘がございました。今後の運営いかんにかかわる問題であろうかと思います。特に公団入居者とのかかわり合いは、毎日住まいされておられる方々が楽しくなごやかに住むということが条件でございますので、その点につきましても、公団側も、総裁以下職員の皆さんが挙げて入居者に対する態度等々につきましては関与すべき問題があろうかと思います。話し合いもよろしいであろうし、それぞれの交流もよろしいでありましょうし、常にお互いが心を開いて、せっかく住んでおられる方々環境等々もあわせでりっぱな住まいづくりのために、公団ももちろん職員挙げて努力いたしますが、入居者方々も御遠慮なくそうした問題につきましては直接的に話し合われて、りっぱな皆様方の住まい、環境をつくって、りっぱな住宅で楽しい生活ができるように、われわれもせっかく指導を強めて努力してまいる所存でございます。
  89. 山花貞夫

    ○山花委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  90. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  91. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上普方君。
  92. 井上普方

    ○井上(普)委員 両公団合併する、一緒にするというのはどんな御利益があるんですか、どんなメリットがあるんですか、ひとつお伺いしたいのです。
  93. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ずばり言って、総合的に機能的に有機的に先生方御指摘住宅都市対策ができるということに尽きるのじゃなかろうかと思います。長い間の公団宅地の方は六年目でございますけれども、昨今の諸先生方の強い御要望あるいは国民方々ニーズを踏まえて、統合することによって機能的、総合的、また住宅関係、宅地関係も非常に変わっておりますので、行政改革を機会に一つの契機として発足するということに尽きるのじゃなかろうか、このように考えます。
  94. 井上普方

    ○井上(普)委員 じゃなかろうかというようなそんな頼りない建設大臣の言明じゃ困る。この法律はあなたが出してきているんでしょう。自信と確信がなくて、効果が上がるのじゃなかろうかというような、そんな頼りない答弁はよしていただきたい。  そこで、私はお伺いするんだが、その機能的総合的にやれということは五年前にわれわれ言うた。この建設委員会で強調した。そのときに当時の建設省幹部あるいは建設大臣住宅公団総裁は、これは二馬力で働いていただく方が効果が上がるんだ、こうおっしゃっている。これは五年前の話。ところが、今日になって機能的あるいは総合的にやらなければならぬと言うが、それでは五年前にやってみたけれども間違っておった、こういうことをお認めになった上での発言ですか、どうなんですか。
  95. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 新公団発足につきましては、実効が上がることについては自信を持って対処をしてまいりたいと思います。  それから、五年前、六年前の当時のことにつきましては私も聞いております。しかし、やはりこれだけ激動、変化の激しい折でございますので、その時点ではその時点で御指摘も正しかったであろうし、受け答える方も受け答える方で自信を持って対応したと思います。しかし、やはり時代変化にわれわれは対応してやるべきということでございますので、自信を持ってひとつ御協力をお願いするわけであります。
  96. 井上普方

    ○井上(普)委員 激動的になってきた、変化があった、具体的に社会的にどういう変化があったんですか、激動があったんですか。どういうことなんです。言葉の上だけでは話にならない、具体的にお話し願いたい。
  97. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 この数年来の地価の値上がりは極端なものがございます。それから住宅需要も世帯数と戸数とのバランスの問題もございます。それから質を向上しなければならないという事情もございます。それから都市化の問題もございます。あれこれ総合的に考えて、やはり五、六年前といまと全く違うような様相を帯びておるということ、したがって、責任ある立場で公団公団なりに、宅地公団宅地公団なりにやってまいっておりますけれども、監督官庁としてはやはり一緒にして機能的な活力を出す方がよろしいという結論になったわけであります。
  98. 井上普方

    ○井上(普)委員 地価の値上がりの一番激しいときはいつでしたか。四十八、九年、五十年には地価は安定したと当時も言っております。それから質の向上を図らなければならないというのは、第三期五カ年計画でも言っております。五年前といまのあなたのお話では、客観の条件は何ら変わっていないのであります。ここであえて公団二つ一つにしようというのは、私は納得できない。少なくとも五十年の際には二頭立てでいくのが機能的であり、しかも実効があるんだとおっしゃっておられた、ここに議事録がありますよ、お読みになっていただいて結構。その当時と比べて客観的変化がないにもかかわらず、ここで合併するというのは私には納得できない。ただこれらの効果は、二十四人の理事を十九人に減らす、五人減らす、ただこれだけのことじゃございませんか。私は、実効が上がるとおっしゃることについては納得ができない。いかがでございます。
  99. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から御説明ございましたように、住宅問題につきましても井上先生非常にお許しゅうございますけれども、昨今の住宅不足の状況、または国民住宅に対するニーズが量から質へというようにかなり変化しておるのではないか、このように考えておるわけであります。加えまして、新公団町づくりという観点から住宅宅地対策を総合的に行う。さらに都市施設としましての公園も加え、または業務型の再開発、こういうようなことで一つ公団にしたいということでございます。
  100. 井上普方

    ○井上(普)委員 役人さんのあなたのおっしゃることは何の理由にもならない。人間が住みましたならば公園も必要になってくるというのは当時から言われたことなんです。そのために宅地開発公団には鉄道もつくらすんだあるいは公園もつくらすんだ、住環境のいいのをつくらすんだということで宅地開発公団発足した。そしてまた住宅公団の方を見てみますと、やはりこういうような公園をつくらなければならない、あるいは住環境をよくしなければいけないというので盛んにその当時もおっしゃっておった。何ら客観的な変化はない。にもかかわらず、ここで二つ公団合併しなければならないというのは、いわゆる行政改革と称することをやってかっこうだけを示そうという姿にほかならないと私は思う。わずかに理事を五人減らすだけじゃありませんか。これで効果が上がると言うんだったら、効果が上がる実数、戸数なり宅地を一体どれだけふやすのか、具体的に教えていただきたい。
  101. 川上幸郎

    川上政府委員 新しい公団づくりは、都市住宅の総合的秩序に基づきまして総合的な町づくりを行う、こういうことをねらいといたしております。  ただいま井上先生から理事の問題等の御質問がございましたが、公団業務といたしましては新たに公園の整備、国営公園の有料施設の整備、または地方公園の委託、さらには業務型の再開発、これらを行いまして総合的に効率的な町づくりというのを行っていきたいと考えておるわけでございます。
  102. 井上普方

    ○井上(普)委員 そうすると、この公団というのは、地方公園をつくったりあるいは国営公園というのをその仕事の上にくっつけた、それだけですな。  そこでお伺いするのは、住宅公団につきましてはいろいろと論議がある。過去におきましても盛んに論議が行われた。先ほど小野君あるいは山花君からも住宅公団のあり方について指摘があった。私もこのことについては再三申し上げた。計画したその戸数さえよう建たないような住宅公団、これは一体どうなっているんだと思って私は調べてみた。資料をもらってみた。そうすると、こうなっているのです。  昭和四十三年は、計画戸数が六万九千戸。これは六万九千戸できた。四十六年を見ますと、八万八千戸計画して八万三千戸。これからはもうとても間に合わない、仕事ができないというので、五十二年のごときは三万五千戸にしたけれども、これまた足らない。三万二千戸になってしまった。五十四年は四万戸計画して、三万五千戸しかできない。一時の半分じゃありませんか。ところが、片一万人員は一体どれくらいふえているのかと思って見ますと、どうです、ひどいもんだ。四十三年当時は四千人、五十四年では五千百人、三割ふえているのです。職員が三割ふえて家を建てる数は半分以下、これは一体どうなっているのです。(「管理だ」と呼ぶ者あり)管理とおっしゃいますけれども、管理というのは、その当時大体八十万戸あった。わずか二十万戸しかふえていないのです。これは一体どうなっているのですか。どこに問題があるのか。これを解決せずに、いたずらに合併しただけでは解決にならないと私は思う。ずらっと見ますと、住宅公団には建設省の有能なる若手のお役人を続々と投入いたしまして、これまた実績を上げようとする御努力はわかる。御努力はわかるけれども、こんな実態で一体何をしているのだ。人員は三割ふえて、建てる戸数は半分以下だ。しかも建てた家は水がない、下水道がない、道路がない、入るに入れないような家ばかりつくっている。ばかりと言ったら失礼だけれども、そういう家をつくって、そしてのうのうとしておる。これは住宅公団の体質に問題があるのだろうと思うのですが、どうです、大臣
  103. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 まことにそのものずばりの御指摘でございます。私もそれには気づいております。したがって、総裁にも責任を感ぜられて、ひとつ対応するようにきつく申し上げました。  ただ問題は、いろいろと経過がございまして、やはり片方では住宅が欲しい、片方ではなかなか住宅ができない、環境の調整がつかない、公益施設もできない、しかしだんだんふえてきますれば管理要員も要るというようなことで、建設戸数と職員の数とのアンバランスについては、総裁に言わせればやはりやむを得ない措置であったということでありました。したがいまして、新公団発足の折にもこうした面につきましても十分配慮をして、ひとつ思いを新たにして出直すべきだというようなことで、せっかく指導をいたしておるところでございます。戸数と従業員数のアンバランスということにつきましては、せっかく職員も一生懸命やってくだすっておりますので、私としては余り取り上げることはないと思いますが、対策委員会にも申し上げたのは、やはり民間企業であれば、つくった住宅を空き家にしておくなどというばかなことはできないので、会社を挙げて、諸君のみんなで売って歩くぐらいの気構えでなければいかぬなというようなことも対策委員会の諸君には申し上げているわけでございます。やはり企業努力、公団努力でみんなでひとつこの問題については取り組んで、午前中も質問のありました職員の労働条件の低下などということはさらさら考えておりません。そうしたことも含みまして、みんなで責任を持ってりっぱな公団運営をなして、せっかく国民方々が、良質のいい住宅をたくさん建てて、そして入りたいという希望があるのですから、その目的に向かって邁進する、また努力する、指導する、このような考え方で対応してまいりたい、このように考えるものでございます。
  104. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣、そういうことは再三歴代大臣は言われてきた。ここに私は五十年当時の議事録を持っている。そうすると、当時の南部住宅公団総裁はどう言っているかといいますと、公益公共施設というものの関連事業も、これも国が金を出してくれるようになった、非常に国の御努力によって制度を変えていただいたので、必ず私ども計画戸数六万戸は十分に行う決意でございますし、自信もございますと書いてある。これは五十年のものです。ところが、実際に後から聞いてみますと四万戸、六万戸の計画を立てて四万戸、三分の二しか家が建たない。こういう実態で一体どうなっているのだ。それは、あなたのおっしゃる推進委員会とか何とか委員会というのをつくったということは聞いていますが、私は結論を聞いていないのだ、どんな結論が出たのか。それは、最初公団というのは、官庁の長期の計画を、これを建てていく、片方で借金はどんどんできるし仕事はうんとできる、民間と官庁とのいいところをひとつ取り合わせて仕事をするのが公団仕事だ、特徴だと私ども理解するし、そういう説明をいままでされてきた。二十年、二十五年たって、もう住宅公団は老化しているのじゃないですか。もうぼろぼろになっているのじゃないですか。現に職員のこの五千百人のうち、管理職は三分の一近くあるという話ですが、どうなんです、
  105. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答えいたします。  私ども住宅公団における管理職は七百五十七人でございまして、全職員数は先生おっしゃられるとおり五千百二人でございますから、管理職のパーセンテージは一四・八%、こういうことでございます。
  106. 井上普方

    ○井上(普)委員 その管理職というのは管理職手当を渡しておる方々であって、係長とか主任とか、そういう役付は三分の一近くあるのじゃございませんか。そこは間違っていますか。間違っていれば間違っているとおっしゃっていただきたいと思います。
  107. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 先生おっしゃられるとおりでございまして、管理職手当をもらっている管理職でございます。係長以上は約三十数%ございます。
  108. 井上普方

    ○井上(普)委員 こういう実態になっている。私は係長とかそんなのは管理職かと思ったが、違うらしい。三分の一近くもそんな役職についている。これで仕事をやらせている。しかも仕事ができない。  宅開公団はどうなんです。宅開公団の実態は、役付はどれぐらいの比率なんです。
  109. 志村清一

    志村参考人 私の方は大分役職が多いのでございます。職員が、定員が三百五十九名でございますが、課長以上が大体一五%、それから係長代理を含めますと、両方で四六%でございます。
  110. 井上普方

    ○井上(普)委員 偉い人がよけいかかって仕事をしているのだけれども、そんなに偉い人がかかって仕事ができるのだろうか。おたくの方は三百数十名で、できたのが新しいからそれは問わぬといたしましても、住宅公団さんどうですかな、こういう役所はほかにありますかな。推進委員会とかなんとかいうのをつくって一生懸命研究したところで、こんな役職の多い役所はどこかにありますか。
  111. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  今回大臣によりましてつくりました推進委員会は一昨日の発足でございますので、これは成果は今後に上げたいと存じております。
  112. 井上普方

    ○井上(普)委員 昭和五十二年から住宅公団についての検討委員会建設省内部でつくっているはずだ。そこの検討の結果どうだったのです。
  113. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  前回の検討委員会は、午前中にも申し上げましたけれども、次官を長といたしまして局長以上で構成いたしまして、住宅公団の空き家、未利用地の解決促進に力を注いだ次第でございます。それで、成果といたしましては、午前中からいろいろお話が出ておりますが、建設省の各局、たとえば関連公共施設でございますと道路とか河川とか下水道とか、これらを整備いたしまして、かなり未利用地は解決いたしまして、それから未入居住宅につきましても促進を図った、このように成果を上げておると考えておる次第でございます。
  114. 井上普方

    ○井上(普)委員 私が聞いているのは、検討委員会においては、当然これだけ役職の多いような役所はおおよそなかった、これはどうして起こったのだろうか、これを一体どうすればいいだろうかというぐらいの検討は行われたのでしょう。それはやっていないのですか。
  115. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  当然、委員会におきましてはそれが起こりました原因等をまず考えまして、これを解決するためにはいかなる方策を講じたらいいか、こういうことを中心に議論した次第でございます。たとえて申しますと、未利用地でございますとなぜそれが未利用地となっておるか、このためには関連公共施設整備が重要である。それからまた空き家等におきましては、その空き家の立地におきます規模が不十分ではなかろうかということで、たとえば二戸を一戸にいたしますとかということで成果を挙げております。
  116. 井上普方

    ○井上(普)委員 聞いたことだけ答えてください。こういうような管理職、五千人もおって管理職が三分の一もあるということは、一体正常な役所の姿だろうかどうかということは検討したのかしないのか。恐らくしていないのだろう。それで答えられないのだろう。
  117. 川上幸郎

    川上政府委員 委員会は、空き家、未利用地等につきまして鋭意精力的に力を注いだ次第でございます。
  118. 井上普方

    ○井上(普)委員 そうすると、根本的に住宅公団の体質それ自体にメスを入れることは建設省はやっておらぬということですな。
  119. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  住宅公団がいかにあるべきかということにつきましては、私が申すのはなにでございますが、当然住宅局、計画局、関係各局で十分いろいろと勉強をされまして、公団にいろいろと指示をいたしておるところでございます。
  120. 井上普方

    ○井上(普)委員 そうすると、私はいまのを承ると、これはどうも常識だ、役職がともかく三分の一もおるというようなこういう会社だのあるいは役所というものはおよそ少なかろう。民間の企業をやられておった大臣、どうです。この姿がいいのか悪いのか御検討になる、ここらあたりに問題があるのではないかと私は指摘しているのだ。いまの話を承ると現象面だけだ。未利用地であるとか、入らない住宅をなぜ建てたのだろうか、そういうようなことを解消するためだけの検討委員会じゃなかったのか、根本的にどこに問題があるのか、それにメスを入れる検討をやってないと言っても過言じゃないじゃないですか。ただ人員のことだけ聞きましてもこうだ。それで二つを一緒にしなければ仕事ができないなんというのは、私はどうも納得いきかねるのですが、大臣どうです。あなたも常識人として考えてごらんなさい。
  121. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 結論から先に申し上げますと、だから一緒にして、新しい視点、観点から出直すということになるのじゃなかろうかと思います。  最初先生指摘のように、もう二十何年たつと確かに公団そのものの百万戸の建設という使命は、達したと言っては語弊があるかもしれませんけれども、一応の形は成っていると思います。したがって、だんだんふえてきた人的要素というものは、そこまで建設省が口を入れるということよりも、公団自身で、中で職員の方々あるいは理事方々と話し合って、自主的に体制を図っていただく方が民主的ではなかろうかと私は思います。二十何年も一緒にいますれば、だんだん役職につけざるを得ない、つけていく、また、公団の性質上も、つくった家の管理等もふえてきますので、これは人員のふえるのはやむを得なかったと思います。役職もふえる、人員もふえる、しかし戸数は減る、社会的条件がなかなかむずかしいわけであります。それだけに、われわれも一生懸命やりますけれども、おしかりばかりでなくひとついい知恵をかしていただいて、せっかく発足する、国民住宅勤労者住宅を建てるという大義でやっておりますし、公のお金を使ってやっているのですから、われわれも自戒自省してやりますけれども、よろしく御指導のほどをお願いいたしたいわけであります。
  122. 井上普方

    ○井上(普)委員 御指導した。五十年当時の議事録を読んでいただいたらわかる。宅地開発公団というのは新しくつくるよりも、住宅公団の中で解決した方がいいのじゃないかということを私ども野党は強調した。あるいはまた、もう一つの方法とすれば、住宅公団宅地部を宅地公団合併さして、そして二つの、宅地宅地としてやっていく、住宅は専念して家を建てていく、あるいは再開発住宅公団にやらすということをわれわれは御注意申し上げてある。提言してある。目が見えなかったと言えばそれまでの話。先の見通しがなかった、教えてくれというときに、われわれは五年前から教えているのですよ、指導しているのですよ。そんなことで仕事はできませんよとわれわれは言っているのです。ところがあなたの方は、これでやれば二馬力で——当時の南部総裁は何と言ったか。二馬力でやる方が仕事はできるのです、こういった。五年たたぬうちに二馬力——宅地開発公団なんというのはまだ宅地の分譲もやっていないのでしょう。途端にぺしゃんこになって、二つを一緒にした方が機能的で総合的で仕事ができますなんというのはどうも私には承れない。大臣は、新しく大臣になったのだから白々とそんなことを言うけれども、私らから見れば、そういうような提言をし、私らそのために反対しているんだ、宅地開発公団をつくるときには。いまになっておっしゃるのは私らには納得できない。それだけの実績が上がらなかったということをはっきりとここで明言し、過去は私どもは間違っておりました、建設省は間違っておりましたということをおっしゃって、ここでひとつ考えていただきたいというならいい。いまのように、時代変化がございました、客観情勢は何ら変わっていない、それを理由にしてこういうことをおっしゃるのは、国民をごまかす手段としか言えないと私は思う。悪かったことは悪かった、間違っておったことは間違っておったということをはっきりと申されて、この公団をひとつ認めてほしいというのであればわれわれも考えざるを得ぬけれども、いまのような理由でどこに国民に納得せしめる理屈があるのですか。  このごろ行政改革とかいうことがはやっておる。けれども国民に対する行政サービス、これを低下さしてはいけないというのが大前提なんです。これで二つを一緒にしたことは、新しい観点からこれをやっていきたいといいますか、それで新しい観点から新しい公団ができるそうです。その新しい観点というのはどんなことなんです、建設省は、いまの大臣の御答弁によると、建設省がくちばしを入れるよりも、住宅公団の中で民主的に機構の立て直しをやる方がいい、こうおっしゃる。しかしこれを提案してきているのはあなたでしょう。そしてまた、建設省というのは公団を指導監督し、その任務があるはずです。それを放棄しておるのですか。だから、この新しい公団をつくるというので、新しい公団をつくるけれども、新しい観点からこの住宅——まあ住宅公団の方が大きいのだから、住宅公団をどういうようにして改革するか、改造していくか、その見通しはおありなんですか、この点をお伺いしたい。
  123. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  井上先生が御指摘ございましたように、宅地開発公団をつくりますときは、大規模な健全な市街地の造成、これを図りますためには地元市町村の財政負担の軽減を図りながら別途の組織をつくった方がいいのではないか、こういうことで宅地開発公団をつくったわけでございます。宅地開発公団は現在までに着々事業にはかかっておりまして、かなりの地区につきまして着手しているわけでございます。これを今回新公団統合いたしますのは、行政改革を契機といたしておりますが、先ほど何度も申しましたように、やはり新しい住宅都市政策といいますものは総合的な居住環境づくりという観点から住宅宅地供給を一緒にやつ年万がいい、これにあわせまして公園等都市施設もあわせ整備させ、業務的な再開発も行わせたいのだ、こういう観点からでございます。
  124. 井上普方

    ○井上(普)委員 公園なんというのは、住宅公団はいままで全部つくってきているのですよ。へ理屈を言ったって通用せぬよ、ここでは。公団なんというのは公園をつくる、総合的な都市施設をつくる、大きな団地をつくったらつくるのがあたりまえの話だ。いままでサボっておったのはその能力がないからなんだ。あたりまえの話なんだ。それをいまさら事新しく麗々と申す。ただ鉄道については公団が専用的にやれるようにはなっている、それだけじゃないですか。ほかにありはしない、大きな問題は。あなたは重箱のすみをつつくようなことばかり言っている。いいよ。  そこで大臣、ともかく新しい観点から新しい仕事をやってもらうんだとおっしゃいましたが、機構改革をするという意味だろうと私は思う。住宅公団がこのままでいいとはあなたもお考えになっておらぬと思う。今朝来二人の委員からの質問を聞いて、あなたも小野君の質問を聞いて考えさせられるところがあったとおっしゃった、これはだれだってそうなんです。ただ二つ一つにしたらいいことになるだろうという漠然たるお気持ちで言われておるんじゃなかろうと思う、提案せられておるんじゃなかろうと思う。これにはどういうように直し、そうすればどういう効果がある、こういうことをはっきり言っていただかなければ私らは納得できかねる。大臣の御答弁を願いたい。
  125. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先ほどちょっと誤解があったようでございまして、公団の自主的ということは人事の関係でございまして、これは理事と職員の方々と話し合うという面について申し上げたわけで、事業そのものにつきましては、所管省でありますから監督指導するのは当然のことでございまして、その点、誤解のないようにお願いをいたします。  それから、先ほど来申し上げておりますけれども、新しい観点からということは、確かに一つの出直しによっていろんな視点がかかわってくると私は思います。五年、六年の変化がないということ、井上先生の方から見ると確かに先見性がなかったと言われてもやむを得なかったかとも思いますけれども宅地公団発足当時の、所管省における公団皆さん方はやはりそれなりの自信を持って向かっていったわけで、その結果についての論拠につきましては、やはり先生の方のお考えと出す方の考え方にそれぞれの違いがあろうかと思いますが、結果論から言えば、御指摘につきましてもあながち全然反対というわけでなくしかしあれこれの経過を踏まえて新しく出発するということでございます。もとより新しく出発する以上は、五年前に御指摘をいただいたそういう面も踏まえ、反省をして新発足するわけでございますので、ひとつ新しい観点から御指摘、御指導を賜ればありがたい限りでございます。  とにもかくにもやはり機能的、また、私は有機的という言葉を使いましたけれども、当時は御指摘のような形であったであろうと思います。しかし、結果としてやはり一つの形態の中でお互いに連携を持ってやるということ、それほど宅地問題、住宅問題が急務であるということじゃないでしょうか。また都市化の中で、皆さん方御指摘のように、低家賃の公的賃貸住宅を建てるというような問題、土地問題が隘路だということもおわかりだろうと思います。したがって、そうした面も有機的に機能的に新発足で新しい思いでやるという気構えでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  126. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは大臣、結果が悪ければやはり責任を問うのはあたりまえの話。あなたは結果を見て言われてもぐあいが悪いというような話をされるけれども、そのときに、私だけじゃない、全野党がちゃんとそれを言った。その結果がともかくやはり野党が言うのが正しかったんだなということになってきたんだから、われわれは先見性を誇る意味ではございませんよ。ただ住宅公団勤労者のためにたくさんの家を建てて、高くて狭くて遠いというような問題を解消してもらいたい、このためにわれわれは言っている。しかし、ともかく機能的、有機的な運営をこれからやるというけれども合併後の公団の組織は一体どうするんです。これは何か新機軸でもお持ちで合併されるのか、ただ単にくっつけるだけなのか、そこのところはどうなんです。
  127. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  新公団の組織でございますが、まず役員といたしましては、現在住宅公団に十四名、宅地公団に十名、二十四名おりますが、これを約四分の一減しまして、新たに公園業務が追加になりますので、一名ふやしました十九名にいたしたい、このように考えておるわけでございます。  なお、各部の構成等につきましては今後詰めてまいりたい、このように考えております。  支社、出先機関等につきましては、従来の業務の継続性、対外的な問題がございますので、現在のまま据え置きたい、このように考えております。
  128. 井上普方

    ○井上(普)委員 わかりました。  そうすると、いまのお話では、現在ではともかく二つ業務はそのままにしておいてくっつけるだけ。理事というんですか、役員というんですか、ともかくその役員二十四名を四分の一減らしたいと大きなことを言うけれども二つくっつけて十九名にした、これだけじゃないですか。  推進委員会というのをつくっているそうだが、おととい開いたというんですか、ともかくおととい初会合を開いた。これで推進できるんですか。いままでの住宅を建てられない、人間はふやしたけれども戸数が減ってしまった、こういう内情が一体どうすれば解決するかという視点に立ってこの二つ合併しようということでなければならないと思う。何だ、ただ二つを一緒にくっつけたらいいわ、それだけじゃないですか、大臣。それをともかく機能的にあるいは有機的に業務を執行してもらうんだ、こうおっしゃるけれども、推進委員会はおとといやったんですよ。これは初めてですよ。そしてそのやった結果が、今度は公園業務がくっついたんで一人の理事はふやします。何をやるんですか。これをくっつけただけじゃないですか。ただ理事を二十四名あったのを十九名にし、五名減らしたというだけじゃないですか、大臣
  129. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  先ほどのお答えが不十分だったと存じますが、先ほど先生に御説明いたしましたおととい初会合を開きましたのは空き家、未利用地等の対策の委員会でございます。  新公団設立につきましては、行政改革を契機といたしまして五十四年十二月に決定されて以来、五十五年一月に省内に事務次官を長といたしまして都市整備公団設立準備委員会といいますものをつくりまして、その具体的内容がどうあるべきかを検討した次第でございます。なお、内容につきましては、先ほど先生から御指摘もございましたが、公園につきましては地方公園の委託それから国営公園の有料施設の建設、これらの業務も新たに行うわけでございます。
  130. 井上普方

    ○井上(普)委員 公園業務は委託を受ける。ともかくこのごろ地方自治体からこういうような公園をつくるのにまでわざわざ中央の役所が委託を受けなければならないというのはおかしな話なんです。まあそれは後で問題にいたしましょう。  しかし、去年からか、その準備委員会というのをつくって、準備委員会というのは何を検討したんです。何をやったんです。
  131. 川上幸郎

    川上政府委員 委員会で検討いたしましたのはただいま法案に提出いたしてございます内容でございまして、新公団がいかなる業務を行うべきか、町づくりのために住宅宅地を総合的に行う、これらを中心にいたしましていかに機能的に行わせるかということにつきましていろいろ議論いたした次第でございます。
  132. 井上普方

    ○井上(普)委員 それじゃ結論は出したんだ、結論を出したから法案ができてきたんだと思う。だから効率的に仕事ができるには一体どうすればいいか、こういうことの検討もなされたと思うのですが、その結論はどうなんですか。
  133. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  午前中にも申し上げましたが、住宅都市対策を総合的に行う場合におきましていかにいろいろな機能を付与するかということでございます。たとえて申しますと、新公団におきましては、先生指摘ございましたが、宅地開発事業につきまして鉄軌道業を行うというのはもちろんでございますが、関連公共施設の直接施行、これは先ほどちょっと申しましたが、三百ヘクタール以上でありましたものを百ヘクタールに下げるとか、それからまたは関連公共公益施設の立てかえ施行等につきまして範囲を拡大するとか、それから新たないろいろな事業手法、たとえば住宅地につきまして特定住宅市街地総合整備促進事業等、これらをいろいろ検討した次第でございます。
  134. 井上普方

    ○井上(普)委員 新しく機能を与えるというのは、はっきり言って鉄道だよ。鉄道が住宅公団にはつくれなかったのだが、これをやらすということだけのようだな。ほかに公共公益事業をやらすのだ、立てかえ施行をやらすのだと言うが、これは、五十一年からこんなことはできているのだ。まだ金の面が少ないだけの話。住宅公団はそれはいままでできておったはずだ。こういうようなことを考えてみますと、どうもこのたびのは根本的にメスを入れてないように思われてならない。現実にいまの組織で、いまの陣容でやっていくんだが、これについてそういうことで果たして期待どおりのものができるとお考えになっておるのか、お答え願いたい。この惨たんたるざまを見てごらんなさい。計画戸数はこのように、大臣もごらんになっておるのだろうと思うのだが、計画の四割しかともかく家が建たなかったというような年もあるのです。一時は八万八千戸も建ったのが、ことしはちょっとよくなって三万五千戸できたという。人員はと言えば二割か三割かがふえている。このような状況で建設大臣はもう少し考えなければならぬとお考えになりませんか。私は、ここへ来て住宅公団のことを言えば、一体何をやっているんだというのが先に立つのです。建設省住宅公団を何とかしなければならぬといってあの有能な連中をどんどん押し込んで、そしてともかくやろうとしたんだろうけれども、一向に改善されていない。そのうちに人事は天下りだ、こうなって、ずっとおられる諸君との間にいざこざが生じてくる。こういうようなことが起こっておるじゃございませんか。あなたがいま人事の面においてもこれは自主的にやっていただきたいんだ、こうおっしゃられる、まことに結構な話なんです。結構な話なんだけれども、これで仕事ができるような体制ができるのか。問題はそれなんですよ。いまのままの姿ですぽっと一緒にしたところで、先ほど来から言うように理事を五人減らしただけ、これは何のための合併なんですか。私には納得できない。反省がなければならない。ここらあたりの御答弁をお願いしたい。
  135. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御指摘の面は一々ごもっともであるわけであります。だからこそここで体質改善も図らなければならない。新しい視点で都市対策もやらなければならない。宅地住宅という問題を新しい観点からスタートさせるという心組みである発足だというようにぜひ御理解をいただきたいわけでございます。ちなみにいまの大勢は、民間でもそうでありますけれども、しにせのある百貨店がスーパーと相互協力するというような情勢、あるいは有数な電機メーカーで会長がみずからまた第一線へ戻ってやるという相互統合時代の総力戦の時代なんですね。したがって、先生の言うとおりなんです。だからぜひこうしたことを先生方の御指摘を踏まえてとにかく発足させなければならない。国民住宅需要に応じなければならない、環境整備もしなければならない、大きな問題を抱えて総力を挙げてやるという、ただそれだけの意味合いからも私はぜひ新公団発足については御理解をいただきたいわけであります。  なお、欲を言いますれば、理事公団の職員の方々も、建てる戸数は減っても職員の方々はこれだけふえているんだ、管理者もふえているんだということで、みんなで総力を挙げていい知恵を出し合っていい出発をさせていただきたい、このように考えますし、また具体的なことにつきましては、いろいろと今日までの間に諸懸案について討議が行われておるわけでありますけれども、見た目にはただ二つを一緒にしただけじゃないかと言われますが、中身の機能的な問題はこれからの問題でございますので、ぜひひとつ次の目標のためにせっかく御理解をいただきたいわけであります。
  136. 井上普方

    ○井上(普)委員 心組みを新しくするというのは結構なことです。それから、中身はこれからなんだとおっしゃる。あなた、第三者であればそれはおっしゃるとおりだと私は言うのです。あなたに指導監督する義務があるんですよ、建設省には。中身はこれからだと言うんだから、中身を見せていただいてわれわれ審議しようじゃありませんか。いまのあなたのおっしゃり方であれば白紙委任くれと言うのと同じじゃないですか。中身を見せていただきたい。心組みはわかりました。ともかく新しい心組みでやるんだ、新しい気持ちでやる、それはそうしてもらわなければならぬ。しかし中身はこれからだとおっしゃる。中身はどういうように改革するのかひとつ見せていただきたい。これを見せていただかぬとこんなのは何のために二つ一緒にするんだ、理事が、役員が五名減るだけじゃないか、何の行政改革ですか。理事の数が多いからちょっと減らしたんだろう、これくらいのところで、しかも合併の費用が先ほど聞きますと何か十億単位で要るというんでしょう。これが本当の行政改革なんですか。行政改革なんというのはこんなんじゃだめですよ。中身を見せてください、中身を。それから審議しようじゃありませんか。われわれが五年前に指摘したとおりになってきておるんだ。あなたいまスーパーと百貨店が一緒になるというような時代だ、こうおっしゃる。大きいことはいいことだとおっしゃる。ウドの大木という言葉もあるんだ。住宅公団なんというのはウドの大木になっているんじゃないですか。現にあなた、二千五百やら三千のときにはうんと家が建つ準備ができた。四千五、六百人から五千人になったら家が建たなくなった。そうでしょう。ウドの大木なんです。だからひとつその中身を、私らは小回りのきくのもいいだろうと思う。一緒にするということについて、大きいことはいいことだと言うけれども、私らは納得いたしかねる。中身を示していただきたい、中身を、そうでなければこれは私どもは審議できない。
  137. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の言われていることであるので、新発足してウドの大木になる可能性があるという御指摘であればあるほど、大木にしないためにもひとつ新発足については御理解をいただいて、せっかくこういう場でございますので……。  ただ、中身のことについては、これは事業目的がはっきりいたしておりまして、いわゆる住宅宅地政策都市政策、公園をつくるということでございます。これは具体的事業計画がございますので、ひとつこれも御理解いただいて、認めていただかなければなりませんけれども機能的な問題は、やはり合併して現在ある組織を一緒にしていくわけですから、とにもかくにも、当面理事が減っただけじゃないかと言いますけれども、やはり大きな組織が二つあるのですから、そう一遍に合わせてこれこれということではなくしたがって、当初の予算につきましても、二けた台、十何億とかという経費もかかりますけれども、これは都市合併でも何でもそうなんで、一番最初はどうしても整理統合のために費用はかかります。しかし、経常経費はこれから長期的に見ていけば、私はその点についても削減はできるのではなかろうかと思います。  要は、いかに住宅対策、宅地対策都市対策をやるかということに尽きるわけで、どう申し上げていいのか、わかっていて御質問なさっているのでなかなか答えづらいのですけれども、ひとつまた御指導を仰ぎに参りますので、どのようにすればウドの大木にならないかということで、せっかく御教示を願いたいと思います。
  138. 井上普方

    ○井上(普)委員 ウドの大木にならないようにじゃないんだよ。もうなっておると言う。だからこんなに家が建たなくなっているんでしょう。それの改革案を持たずにこいつを合併さすというのは私ら理解できない。それをともかく示していただかなければ、私はこれ以上の審議もできぬので、委員長にお願いしたい。次の審議までに具体案をお示しにならなければ、私はこれ以上質問することできないので、時間は保留さしていただいて、これで質問を一たん中断さしていただきます、
  139. 稲村利幸

    稲村委員長 はい。  次に、薮仲義彦君。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、新公団法案に入る前に、大臣建設大臣としての住宅宅地に対する基本的なお考えについて、まず何点かただした上で質問させていただきたいと思うのです。  大臣は、先般の本会議でも、住宅基本法を建設省としては今国会に提出をする、そういう努力をいましておるということでございました。一部のマスコミ等では断念したかのような記事も出ておりますけれども、ここでまず冒頭、大臣は今国会にこの住宅基本法を提出する決意が変わらないかどうか、その辺から御確認をしたいのですが、いかがでしょうか。
  141. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 基本法につきましては、毎回申し上げておりますように、今国会に間に合わせるように一生懸命で努力しております。  ただ、住宅基本法は、国民住宅の長期的政策に対する基本的な問題でございますので、自民党は自民党なりに、各党は各党なりにいろいろと御意見がございます。したがって、それぞれの党でおまとめ願ったものを整合していい基本政策を立てたいということでありますだけに、若干時間がかかっておりますけれども、何とか御意見をいただいて、いつも申し上げておりますように、今回とにもかくにも出したいという心構えだけは変わらないで進めておるところでございます。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、大臣のその決意を前提としてお伺いしたいわけでございますが、やはりこの住宅基本法、わが党も過去に何回かだしましたし、現在も住宅基本法の必要性をずっと訴え続けておるわけでございます。そこで一番大事なのは何かと言えば、国民に対する住宅の基本的な方向として、国が、そして地方自治体が持つべき責任分担というものを明確にしていかなければならないし、国民に提供すべき居住環境というものはどうあるべきかということをここで一番明確にしていかなければならない。また、それを多くの方が期待しているところだと思うわけでございます。  それを前提にして、私、この住宅基本法は当然そういうことも検討の課題として入っていると思うのでございますが、この国と地方自治体の行わなければならない基本的な目標、そしてどの程度の水準にするのか、もしも大臣のお考えがございましたらちょっとお伺いしたいのでございます。
  143. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 基本的な考え方につきましては、法律的な問題は先ほど申し上げましたとおりであります。いま都市化都市化と言われておりますけれども、何といたしましても日本の国三十七万平方キロの中に一億一千万、二千万の方々が住んでおられます。この方々が、地方、都会を問わず、平均的な良質住宅に住まいすることがもう最終目的であろうかと思います。それにはやっぱり建設省だけでなく、地方自治体の協力も得なければなりません。  一番問題の阻害要因、ネックは宅地問題でございます。したがって、宅地の長期見通しというものをまず設定する。これは今度十年計画建設省で一応見通しを立てますが、これに関連して、地方においても中期、長期見通しを並行してて立ていただく。これは竹入委員長さんからも御質問がございまして、私は全く同感でございます。やはりこれは地方都市を問わず御意見もいただいて、整合性のある宅地対策を立てることに尽きていくと思います。  具体的な、どの程度が平均水準であるということにつきましては、細かいことになりますので局長から答弁させますが、とにもかくにもいま困っておられる方々、特に先ごろのアンケートもありましたけれども東京で一応住宅で困っていると言われる方が、どういう視点から言われたのか、四二・三%ですか、大阪が四三・二%でございますか、全国平均で三八・九%の方々は、一応住宅へ入っておられるけれども不満足ということでしょうか。そういうことを考えたときに、やはり都市地方、平均を見ながら整合性のある、均衡のある住宅対策をやっていく。それには先ほど申し上げましたように、建設省地方自治体、皆さんであわせてやる、また、民間のデベロッパーの方々にも御協力をいただかなければならない、このような基本的な考え方で進めてまいりたいと思います。
  144. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは少し具体的に聞いてまいりますけれども建設省は、先般住宅宅地審議会の四期五計の答申を得ているわけでございますけれども、これについて、具体的に何点かお伺いしたいわけでございます。  今回の答申は、「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基本的体系について」、これがその骨子でございます。そこで一つは、すべての世帯最低居住水準、いわゆる四人家族の場合は三DK、住居専用面積が五十平方メートル、これを確保する。もう一つは、半数の世帯が平均居住水準、四人世帯で三LDK、八十六平方メートルを達成することを目標に掲げている。どういう内容かといえば、住宅の質的な改善を図る、住宅環境というものを質的に改善していくというのが四期五計の一つの大きな目標だと思うのです。  そこで、この四期五計の間に三百五十万戸の住宅を建てますよ。公営住宅が三十六万戸、公庫住宅二百二十万戸、公団住宅が二十万戸、その他が六十万戸で、この達成をいたしますということになっているわけです。一番の問題は、建設省方向づけの中で一つ大きな点は持ち家と賃貸との比率でございますけれども、三期五計から四期五計に来るに従って賃貸がだんだん低くなった。今回の四期五計ですと七、三という比率になって賃貸住宅が非常に低くなってきている。これは住宅基本法の観点でどうお考えか。私の考えは、公的資金をもって建設すべき公営あるいは公団住宅というのは、いま四期五計で目標にした最低居住水準に達しない世帯は少なくとも解消するというのが必要だと思うのです。その他の公庫の融資等では持ち家ということも当然出てくるかもしれませんけれども公的資金で建てるものについては賃貸をふやすべきだ。逆にだんだんと減ってくるのは一体どういう理由だ。ベビーブームが持ち家を持ちたいのだと建設省は言うけれども、それといま住宅で困っていらっしゃる方の問題点とは本質的に違うと思う。建設省に言わせると、ベビーブームの方がちょうど持ち家になるからこれに合うようにやったのだ、戦後の第一次ベビーブームの世代が六十年ごろには持ち家志向の強い三十代から四十代になるから、四期五計はそういう方向に持っていった。それは絶対違うと私は思う。なぜ賃貸を減らしたのが、まずその辺の建設省の考えを聞きたい。
  145. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 第四期住宅建設五カ年計画におきましては、先生指摘のように持ち家と借家の割合が大体七対三ぐらいになっております。この要素といたしましては、一つには大都市に対する流入が昭和四十年代と比較いたしまして安定をしてきたということ、それから、いま先生から御指摘がありましたが、第一次の戦後のベビーブーム世代の方々が三十歳代の後半に入ってまいります。そういうような方々が現在いろいろな住宅に住んでおられますが、その中でも最近の傾向を見ますと、持ち家の方へ移っていかれる方が相当数いらっしゃる。それからまた、今後急速に中高年齢化してまいりますが、そういう中で四十五歳以上あるいは五十歳以上といったような年齢層の方々世帯数が非常にふえてまいる、こういった方々も従来の趨勢値でまいりますとやはり持ち家を持って彩られるということが多く出ております。そういったことを背景にいたしましてこのような計画を立てたものでございます。  また一面、私どもが六十年度を展望いたしまして計画しております目標は、最低居住水準未満の世帯方々がこれをクリアするといいますか、それ以上の住宅に移り住むことができるような政策を展開する、その際には最大限の努力をしていただいてもなおかつ自分みずからでは最低居住水準を達成することができないという方々に対しましては、先ほどのお話にありましたように国、公共団体あるいは公団等を通じまして、公共賃貸住宅中心とする低廉な家賃の良質住宅を用意するというようなことで達成をいたしたいと思っております。その際、今後の趨勢を見ました場合、先ほど申しましたような戸数の割合で十分達成できるものと考えて五カ年計画を策定したところでございます。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと参考人にお伺いしますけれども公団の持っている賃貸住宅で標準的に多いのがたとえば二DK、これが四三%ぐらいだと思うのですけれども公団の二DKの平均的な家賃、それから建設省にお伺いしたいのは、これは資料として当然お持ちだと思うのですが、県営住宅、市営住宅の二DKの平均家賃、それから民間の二DKの平均家賃を教えてください。
  147. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 私どもが現在管理しております賃貸住宅で二DKが一番多うございまして、四三%を占めております。それから二DKの家賃、これは五十五年度の家賃でございますが、最高が東京の笹塚駅前でございまして七万二千九百円ということになっております。最低が九州にございます小石団地というところで九千三百円ということになっております。二DKの全国の平均をいたしますと、五十五年度で大体二万七千円から二万八千円くらいというように考えております。
  148. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公営住宅につきまして、いま先生から御指摘がありましたような二DKについてということでは家賃の統計が実はいま手元にございませんが、一般的に中層耐火の公営住宅というふうに見てまいりました場合に、五十五年度に供給されました家賃は、予算の単価でございますが、大体三万四千円程度、これが第一種の公営住宅でございます。第二種につきましては二万四千円程度というふうになっております。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 県営、市営住宅の二DKの最高、最低、それから標準、平均的な単価、これがもしもいま私の質問時間中にわかるのだったら調べていただきたいと思います。それから、民間はわかりませんか、つかんでいませんか。——つかんでいなければつかんでいないで結構です。——じゃ、わかり次第教えてください。  私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、いまの局長答弁は、それなりの理由はわかるのです。ただ、私は前にも大臣に申し上げた。たとえばいま首都圏でマンションを購入しましょう、いま二千四百万を超えております。そうすると、勤労者、サラリーマンがそのマンションを購入するということは、御自分の所得の限界をはるかに超えている。  なぜ住宅基本法の必要性を私が言うかといいますと、少なくとも「健康で文化的な最低限度の生活」というのが憲法二十五条でうたわれているわけでございますから、衣食足って礼節を知るといいますけれども、少なくとも住までいかなければいかぬと思うのです。いま持ち家を持てば結構ですと局長おっしゃるけれども、それは局長はそれなりの所得を持っていらっしゃるから持ち家を持っても大丈夫でしょう。平均的なサラリーマンの方が土地を買って家を建ててローンを払っている。毎日のようにローン地獄という記事が出てくるじゃありませんか。建設大臣建設省のその方針が国民生活を大きく左右することを知ってほしいということを私は何回も申し上げた。というのは、この多くの方が持ち家を持った、そしていままで働かなかった奥さんが働きに行く、そして親子二代にわたってというような話が出てまいりますけれども、それでは余り文化的な生活とは言えないと私は思うのです。私は大臣にお願いしたい。住宅基本法をつくって、国、地方自治体、そしてもちろん御本人の努力と相まって、少なくとも快適な住宅環境だけはだれしもが享受できるような日本住宅環境をつくってほしいというのが、多くの方の望んでいらっしゃることだろうと私は思うのです。もしも地価が安定して、良好な低廉な賃貸住宅があれば、決してわざわざ自分の生活費の大半を、あるいはローン地獄と言われながら高い家を買おうとはなさらない。賃貸でも十分快適な人生が送れるのだったら賃貸志向というのは私はあろうかと思うのです。そういうことをやった上でさらに持ち家が必要だというなら私はわかるのです。先ほど大臣の御答弁のように、まだ少なくとも三割を超える方が居住環境に不満足でございます。だから公的な立場で、そんなローンで苦しまないで快適に生活できる最低限度の保障を、大臣一つの大きな方針として、建設省の方針として国民の皆様に提供していただくことが国民にとって安心できる生活が確立できることになると思うのです。私は持ち家志向ということは否定しませんけれども、少なくとも賃貸というものにもう少し重点を置いていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  150. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御指摘のように、皆さん方が同じような環境良質住宅に住むということにつきましては私たちの目的とするところでありますし、従来から取り組んできたところであります。先ほど四期五計の住宅について持ち家と賃貸との割合が云々という御指摘がございましたけれども、あれは総合的なことであって、やはり都市住宅については公的家賃の賃貸住宅を十分配慮するということにいたしておりますので、その点につきましては応ぜられるのではなかろうかと思います。  ただ問題は、大都市における宅地の問題にわれわれはひっかかってしまうわけであります。したがって、今度の新公団につきましても、そうした面も含めてでありますけれども、何とか遊休地の有効利用とか、あるいは都市の再開発をして土地を出すとか、あるいは農地の計画的な開発とか、あらゆる手段、方法を講じて宅地対策に取り組んでいるわけであります。したがって、先生がおっしゃっているところをそのまま私たちも受け継いでやる方針には変わりないわけでありますけれども、いろいろな阻害要件を排除しながら、御指摘のような方向で問題解決を図ってまいりたい、このように考えるところでございます。
  151. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣の御答弁はよくわかるのですが、私どものところに建設省の資料があるのです。「公営住宅及び公団住宅建設実績」、いわゆる公営住宅公団住宅が五十一年から五十六年まで建てましたという実績でございますが、たとえば五十一年に公的資金を使って建てたのが五十九万二千戸です。そのうちいわゆる賃貸住宅の比率はどうかといいますと一六%。以下年度別に申し上げますと、五十二年が一三・九、五十二年が一二・六、五十四年が一三・三、五十五年が一三・一、五十六年の計画は一二・八です。大臣の御答弁とはうらはらに、建設省計画自体は賃貸がだんだん減ってくる実態にあることは事実です。これは大臣の今後の、ただいまの御発言によっての努力を私は期待しながら、時間がありませんから次の問題に参ります。  いまの大臣の御答弁の中で、宅地が大変とおっしゃった、私もそのとおりだと思います。私はここで二つのことを申し上げるけれども大臣はそれについてはいかがか。  一つは、私もいろいろ地主さん、家主さんに聞いてみました。そうすると、いま古い時代、まあお父さん、おじいさんぐらいからのたな子さんがいらっしゃる。きょうは日本で一番大きな家主さんの日本住宅公団がいらっしゃるのだけれども住宅公団とだな子さんの問題だけじゃなくて、小さな一軒の家主さんとたな子さんも同じような問題がある。大臣、これはやはり一つの大きな観点として見ていただきたい。公団との問題だけじゃなくて、一軒の家主とたな子さんの問題を解決すれば、そこに新しい宅地の提供の可能性がある、私はこう思うのです。なぜかといいますと、いま木賃アパートに入っていらっしゃる。ところが、なかなか建てかえをできないし、たな子さんとのトラブルがあってできない。しかし、私はやはり現在の借家法というのは尊重すべきだと思うのです。いわゆるたな子さん、借家人の方の生活しなければならないという権利は絶対に損なってはいけないと思うのです。守るべきだと思うのです、しかし、と同時にやはり地主さん、家主さんの建てかえたい、快適な住宅に直したいという気持ちも尊重してあげなければならぬ。そこに公的な資金を導入するなどして、家主さんがいまいるたな子さんのよりよい生活環境をつくるために、いまの土地に新しく建てかえませんか、それを利用しましょうと言って、家主さんとたな子さんが本当に合意できて新しい公的な家が建てられる、そういうものをもしも建設省が誘導してやるのでしたらば、いわゆる市街化区域といいますか、大都市圏にある遊休地でいつも建設委員会でつつかれてます。それも必要かもしれませんけれども、こういう身近な問題から誘導政策を講じて、日本住宅公団みたいな大きな家主ばかりに目を向けないで、小さな家主さんをより理解していく方向が私は大事な観点だと思うのです。そうすると宅地を買う必要はないのです。土地の値段が安くなれば、そしてたな子さんといわゆる家主さんの間に、公的資金を導入しましょう、家賃は安くしてあげますよ、そういうふうなことをしてあげれば一つの大きな問題解決にはなるし、低層住宅を中高層の快適な住環境に変えることも私は可能だと思うのです。大臣、これはひとつ建設省として、新しい住宅供給方向として、借家人の方の権利は絶対に損なわないような好ましい解決方法を考える必要があると思うのですが、どうでしょう。
  152. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありましたように、木造の賃貸住宅でも施設、設備が古くなり、老朽化しているものも相当の数ございます。これらにつきましては、私どもは特定賃貸住宅に対しますところの利子補給事業というものを実施しておりまして、民間の金融機関から借りられた方々に対しまして五・五%になるように、国と公共団体が協力いたしましてこの事業を進めることとさせていただいております。  さらに、いまお話がありましたように、これを従来の借家人の方々のために制度を充実する必要がございますが、現在でもたとえば再開発事業におきますところの再開発住宅であるとか、あるいはまた総合的な町づくりを行います場合に従前居住しておられた方々のための賃貸住宅とか、そういったものを低廉な家賃で供給するような制度もあわせ行っております。これらを実施する段階におきましてさらに充実をさせて、御指摘のような施策を推進してまいりたいというふうに考えております。
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はそんな利子補給とか古い政策は知っているんですよ。それでは十分な成果を上げていないから言っている。私は大臣に言っている。大臣は少なくとも民間の経営者としての経験もお持ちだし、いわゆるお役人のように既存の法律の中でしか物事を考えられない体質じゃなくて、先ほど大臣答弁の中で、新しい公団は古いのをやめて新しくやるんだから理解してくれとおっしゃった。私はまだ賛成か反対か決めていないけれども大臣がいままでのようなしがらみから抜け切れないのだったら私は反対せざるを得ない。本当に国民のために宅地住宅供給する決意があるのだったらわれわれは賛成します。しかし、あのような既存の法律で何にもできないのをまた踏襲するのだったら、断じてそんなのは認めるわけにいかない。私が申し上げるのは、このような実態を新しい角度で調べてみて、いまの都市部における宅地供給の阻害要因が何であるか。いまの家主さん、地主さんが喜んで土地を提供して、しかも低廉な家賃にできるように新しい感覚で施策大臣にやっていただきたいと思うから私は申し上げるのです。これはわが党はセミパブリックという党の政策を掲げておりますけれども、党利党略でこんなことを私がきょう質問するのじゃなくて、宅地住宅供給一つ方向として、やはりこういう眠っている古い地主さん、家主さんの家を建てかえていくというこのセミパブリック方式というのを一つの方法としてどうしても検討していただきたい。もう古いものはやめるというのだったら、新しい大臣のやってみせるという決意で私は御努力いただきたいのですが、いかがでしょう。
  154. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 全く同感でございまして、私も就任以来よくそのことは事務当局には言っておるわけです。要するに農地をつぶして宅地にするという考え方でなく、特に過密都市下における農地はむしろそのままおいておいて、もうこれは防災の関係の緑地になるわけです。したがって、いまある民間の木賃アパートも含めて、これを高層化するという構想に何とか方向転換しなければならないということは再々言って、その方向に向かってせっかくいま検討を進めておるところでございます。利子補給だけでなく、まさに御指摘のとおりでございまして、民間関係につきましても、これは単に住宅の問題ではなく緑地の問題、環境整備の問題、一番大きい問題は東京における地震対策、防災において、これはもう木造建築の建物のあるところは、アパートを含めて何とか早く高層にして、そういう面からも進めていただきたい、進めなければならない。これは薮仲先生からもいつかそんなこと教えていただいたわけでありますけれども、全く同感でありまして、そうした向きで、前向きで進めさせていただきたいと思います。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは局長もいろいろ言いたいことあると思うのですけれども、これは一つの例として、新聞記事です、読売の。「マイホームあきらめた?!公団空き家、空前の応募」、これをたとえば建設省に、これこうじゃないかと言うと、いやそれは募集した戸数が二月、二戸へ何万と集まったから倍率が高いのですと答弁返ってくるのはわかっているのですがね。私はそんな答弁求めているのじゃないのですよ。いわゆる良好で低廉で、本当に住環境として好ましいところには、一戸あいても二戸あいてもわあっといくのです。逆に、幾らつくったって入らないところ、さっきからだって、さんざんいままで指摘されたじゃないですか。建てたって人が入らないですよ。入りたいところにはこうやって、これは二戸、二戸の数でしたということではなくして、低廉で住環境のいい、快適な住居にはどなたも賃貸住宅に入りたいのだ。快適じゃないから入らない。その点は局長、基本的に国民ニーズというのをつかんで、法の範囲は結構です、行政官ですから当然ですけれども、しかし、これからいろいろ質問しますけれども、いまの住宅宅地施策を本当に解決するのだったらどうやったらいいのかと、少しダイナミックに考えないと建設省国民生活の足を最も引っ張りますよ。特に住宅局長、あなたの政策がしっかりしないと、国民生活住宅ローンで疲弊して、恨みつらみが住宅局に集まりますよ。しっかり本腰を入れて、国会の委員会答弁だけでいいとするのじゃなくして、私は本腰を入れてこの住宅問題に取りかかっていただきたい。これは重ねて要求しておきます。  次に、きょう国土庁が地価の公示をおやりになったのですけれども、私は地価公示法という法律、こういうのは知った上で質問しますから、法律どおり条文を読んでいただく必要はさらさらございません。  この地価公示というのは一体何のために国の予算を使って、十数億、二十億近いのでしょう、十九億くらいかかるのじゃないですか。地価公示は毎年四月一日になさる。一体これでどこに役に立ってどうなるのかという問題点、と申し上げるのはなぜかというと、この地価公示が出ますと、マスコミの皆さんが悪いということは私は申し上げません、マスコミの取り上げ方は、実際の価格と違いますよ、余りにも乖離しておりますということが一斉にばあっと出るわけです。確かに私も自分の都市を考えてみて、国土庁の御努力は歩といたしますけれども、われわれ庶民の生活実感と国土庁の調査とは余りにも乖離があり過ぎるな、一体金をかけて何のために何の必要でこんなことをおやりになるのか、国民生活にどれほど役に立っているのかという点で疑問があるわけですが、その辺いかがでございますか。
  156. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示はなぜやるのかということでございますが、やはり国民皆さん土地取引等に対しまして正常な価格の規範を示すということが一つ目的でございます。地価公示法が制定されます際にいろいろと御議論があったわけでございますけれども、たとえば同じような土地に対しまして同じような宅地建物取引業者の店頭価格を見ますといろいろ差がございます。それから、実際の取引を見ますと、いわゆる買い進みもありますし、売り惜しみもございます。さらに、売り急ぎもございます。それらの取引の中で、やはりそういうふうな買い急ぎとか売り進みを除外をいたしました、正常な、売り手と買い手とが全く対等であった場合の、望ましい価格というものを規準としてお示しをしたいというのが地価公示のねらいでございまして、地価公示の中でいつもパーセントしか新聞に出ませんけれども、実際の地価公示は、先生御案内のとおり、いろんな標準地の条件を示しまして、そこの値段を鑑定しておるものでございます。鑑定いたしますに当たりましても、周辺の取引事例を参考といたすと同時に、やはり収益還元法、造成原価法などを加味いたしまして、責任ある鑑定士が二人以上で鑑定をするというふうなものでございます。  効用はどうかということでございますが、これは、公示法に示すところによりますと、まず一般の土地取引については指標としていただきたい、これは訓示規定でございます。それ以外のものといたしまして、たとえば公共事業で用地を買収する場合には、その公示価格を規準としなければならない。それから、やはり国土利用計画法等でいろいろな価格の介入をいたしておりますけれども、その場合の価格審査の基準にいたしましても、この公示価格に準拠しなければならない。それから、土地収用委員会が収用裁決をいたします。そういう場合も、公示価格との関連を明示をして裁決をしなければならない。それから、不動産鑑定等に当たりまして、鑑定評価の規準にしなければならない等々幾らでも効用があるわけでございまして、私どもそれらの分野で相当効果を上げておるというふうに思っております。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの局長の御答弁は、地価公示法一条「この法律は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与することを目的とする。」そういうことなんです。一条を読んだだけなんです、そんなことは聞かなくたっていいというんだから。  それはそれとして、この第二条のところにこう書いてあるのですよ。「前項の「正常な価格」とは、土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいう。」というのですよ。いま局長答弁になった、正常な価格というのは、ここで言う「土地について、自由な取引が行なわれる」その価格ですよ。少なくとも実情とあんまり乖離してはまずいのです。乖離してはまずいと、これは法律にだってある。  では、いま局長答弁の中で、公共の事業の用に供する土地の取得価格の算定の場合、これに準則しなさいということになっている。だったらば、いま建設省が買った土地あるいは地方公共団体が買った土地、国土庁が公示した値段よりみんな安く買っていますか、高く買っていますか、どちらでしょう。
  158. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価公示価格は、標準地の先ほど申しましたような各種の条件を全部入れまして、そういう条件の場合にこの地点は幾らというものを公示しておるものでございます。したがいまして、それとの関係をつけるという場合でございますが、先ほどから規準規準と申し上げましたけれども、私どもの申し上げておる規準というのは、のり準という字を使っております。これもたびたび申し上げておるので先生御案内と思いますけれども、やはりその規準という意味は、地価公示法にも書いておりますけれども、標準地との間に、どういうわけでここは高いのだ、どういうわけでここは安いのだということを関連づけて説明することを規準とするというふうにしておるわけでございます。したがいまして、たとえば、ある標準地の地価が十五万円と出ておりましても、その周りを全部十五万円で取引してくださいと言っておるわけではないわけでございまして、それと比べまして倍の値段が当然だということであれば、その倍の値段が地価公示と規準した価格であるわけでございます。  したがいまして、地価公示に準拠して公共用地を買っていただくということをお願いしておりますけれども、個々の取引につきましては、やはりそういうふうな鑑定評価などを規準とされまして、たとえば建設省地方建設局の用地部等に参りますと、のり準価格という言葉が使われております。その規準価格によって取引されておるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 御説明はそれぐらいにしておいて、私は、せっかくこれだけの予算を使っておやりになる。ただ、いつも指摘されますように、この調査なさる点が毎回変わる、これは私一つ問題だなと思うのです。たとえば道路に面して、同じ地域であっても道路の方から日が差してきて玄関に日が当たるお宅と、玄関が背中になるお宅では、本当の道路一本、五メーターあるいは十メーター離れただけで値段はがらっと変わる。この調査地点を毎回毎回お変えになるということ、それなりの理由をもって説明なさるでしょうけれども、やはり特定の調査した地点というものが、継続してどういう経年変化をするかということも重要な地価安定に寄与することと私は思いますし、もうこの問題はやめておきますけれども、せっかく公示なさる以上、この公示価格というものが国民生活国民経済に非常に役立つ、非常によろしいものだと言われるような結果を生むように、今後一層の努力をきょうは要望しておきます。  それはそれとして、国土庁は土地の値上がりというのは大体どの程度が適正、ということはおかしいのです。本当は上がらない方がいいんです。むしろ下がってもらいたい、鎮静化の方向へ行っていただきたい。今度はある程度鈍化しているということを、誇らしげにはしていらっしゃらないでしょうけれども、私は満足はしてはおらぬのです。私のところだって二けた上がっているのですから。一二%台くらいです。特に地方都市の県庁所在地のところはどんどん上がっているのです。それはそれとして、土地の値上がりというものがどの範囲ならば少なくともやむを得ざるとお認めになるか、簡単に言えば物価上昇の範囲内ならばいいとお考えなのか、そういう点での指標として国土庁はどの程度の地価ならばやむを得ずとお考えになっているか、いかがでしょう。
  160. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私どもどの程度の値上がりならばよろしいというような話につきましての公式見解は持っておりません。ただ、一昨々年でございますか、私どもアンケート調査をいたしました。特に大都市圏中心でございましたけれども地価の上昇について皆さん今後どう思われますかという趣旨の調査をいたしました。その中で、地価の上昇が最近続いておるけれどもどの程度までならば許容できるとお考えですかという問いに対しまして、約六〇%の方々が消費者物価の範囲内程度というお答えがございました。これは一つのメルクマールになるのではないかと考えておるわけでございます。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、本年度は確かに、地価上昇率全国平均九・六、昨年の上昇率一〇・〇よりは下がっております。しかしいまおっしゃったように、消費者物価上昇率と言いますと大体八・〇ですから、それよりも一・六%上回っておるわけでございますから、これは大変な上昇、国民経済を非常に苦しめる大きな要因になっておるわけでございます。長い御答弁は結構ですからぽんぽんと簡単にお答えいただきたいのですが、この地価の上昇というのは、原因としては一体どういう点をお考えでございますか。
  162. 山岡一男

    ○山岡政府委員 むずかしい理屈は抜きにしまして、状況といいますか、パターンで分類いたしてみますと、やはり地価の値上がり率の高いところ、上位のものはほとんどが効用の増ということでございます。たとえばすぐ前に駅ができた、そのために都心との距離が非常に短絡をしたというふうな、その土地の品位、品質、品等が他と比べて上がるという値上がりが一つでございます。  それから、一般的にじわじわと上がっておりますのは、やはり実需を背景といたしまして買い進みが主な原因だろうと思っております。  それからもう一つ、最近では影をひそめておりますけれども土地の値上がり要因には、私どもが一番困る要因が一つございます。いわゆる投機的な土地取引でございます。土地を商品のように使いまして、転がしてもうけるという一つの値上がりでございまして、四十七、八年当時には一番上の方の値上がりは三倍になりました。平均でも全地域、全地目で三〇%上がりました。二年連続いたしました。そのときの原因はまさにそういうふうな投機的な土地の取引でございました。  最近の原因は、やはり効用増、それから需要を背景といたします買い進み、この二つが原因だというふうに考えております。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設省、特に地価の値上がりについて、原因として何か御意見ございますか。
  164. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま国土庁からお話がございましたけれども、やはりもう一つ地価の動向を見る場合に、経済の状況との関連があろうかと思います。たとえば昭和三十年から四十八年、国土庁の資料でございますけれども地価は毎年平均一九%上がりました。それから昭和三十年から五十五年までには平均して一五%上がっております。それで、この地価の水準を見ますと、どうもやはり経済の成長率と一番関連があるようでございます。ここ数年間を見ますと、一番関連がございますのは通貨の増加量あるいは固定資本形成と申しますか、要するに住宅投資、民間の設備投資、公共投資、これらと非常に相関関係を持って地価が動いておるのではなかろうか、こんなふうに考えております。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま国土庁の局長の御答弁の中の、まず、たとえば快適な土地ができたからそこへ買う人がふえてくる、これはある程度やむを得ないと私は思うのです。二番目の実需があるから、需給のアンバランスから値段が上がるという問題があるわけですが、これは先ほどからおっしゃっているように、国土庁は農住組合法とかいろいろ言うけれども、それによって土地の提供が必ずしも十分なのかどうかは、前々から指摘しているように私は十分ではないと思うのです。ただ、私はあとの二つの点でちょっと問題を感ずるのですが、三番目の投機的取引とおっしゃるのだったら国土利用計画法を発動なさればいい。いつもおっしゃるのに投機的な取引がないから国土利用計画法が発動できないという御趣旨の御答弁があるのですから、いわゆる土地の値上がりと投機的な取引、この二つの要因を満たせば国土利用計画法を発動できる、そうすればこれは鎮静化できるわけです。あと問題は、実需が云々ということでは抜本的な対策は必要でしょうけれども、私がここで問題にしたいのは、実需とおっしゃるけれども、たとえば住宅の着工、ざっとですけれども、五十四年度百五十万、五十五年度百二十万、五十五年度は三十万戸住宅建設が減っている。しかも建設業界は例を見ないほど最近は不況という問題を抱えている。ならば地価が鎮静していいはずです。なのに逆に地価が高騰するというのは一体どういう理由なのですか。毎年冬になれば問題になる灯油の問題だって、需給が、いわゆる供給側が十分であれば値段は下がってくるというのが通常の経済原則。いまは家は建たない。建たないのに土地が上がるというのは、これは何らかの対策が必要な段階ではないかなと私は思うのですが、簡単に御答弁ください。
  166. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最初の御質問でございますけれども、国土利用計画法十二条に定めます規制区域指定の要件の中には、投機的な土地取引があり、かつ、そのために地価の高騰があるという場合に規制を発令するということになっております。先ほど来申し上げておりますように、四十七、八年当時にはまさにそういうものが横行いたしましたが、現在のところは規制区域の指定事前詳細調査、主なところは各月ごとの調査をいたしておりますけれども、そういうふうな土地を転がしてもうけるというふうな土地売買は行われていないというふうに私どもは見ておるわけでございまして、規制区域発動の要件にはないわけでございます。絶えず監視を励行いたしまして、そういう状況が起きましたならば直ちに発動できるように規定も整備いたしておりますし、予算も取っておりますし、そういう指示もいたしております。いざという場合にはいつでも適応できる体制でおるわけでございます。ただ、そういう状況にないということでございます。  それから、やはり住宅着工は確かに落ちております。しかし、土地の需要と申しますのは、やはり土地には懐妊期間と私ども言っておりますけれども、二年なり三年なり、物によっては四年なり五年なり、そういうふうな製品として出るのに時間がかかる場合がございます。マンションも、きょう買った土地にあしたできるというものではございません。そういう意味で、そういうふうな懐妊期間を持った土地の需要と供給という関係でございますので、やはり着工戸数の増減だけでそういうようなものが直ちに推しはかれないのではないかというふうに思うわけでございます。過去五十一年から五十二年くらいまでずっと二百五十万件くらいで土地の取引が推移いたしましたけれども、その次の年からやはりいろいろな制度の改善等もございまして二百六十五万件、二百七十五万件というふうに土地の取引がふえてまいりました。五十五年度は、最近統計ができましたが、二百六十万件、やや減りましたけれども、過去の水準から比べれば高い取引が行われておるわけでございまして、それらのものはやはり需要に対して強いプッシュをしたんだというふうに私ども思っております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 局長、後で御自分の御答弁なさった会議録をお読みになってください。私の最初のあれには、土地の投機的な取引があって、この公示価格、ことし一年の値段が上がった理由の三点目に挙げていらっしゃる。いまの御答弁とちょっと自語相違しているように思いますけれども、きょうは法案をちょっと聞きたいものですから、それはやめておきます。  ただ国土庁に要望しておきます。きょうは長官が来ていないからあなたに申し上げておきます。  国土庁に国民が期待するものは何か。国土庁は土地の鎮静化という重要な国民の期待を担っておるわけでございますから、どうか土地の鎮静化について、いま御答弁がありましたが、消費者物価の上昇を上回ることは異常なわけでございます。決して正常な地価の上昇ではございません。上昇しては困るのです。鎮静化であり、むしろ下がってもらいたい。その御努力をこれからの国土庁の行政努力で、来年またこのような委員会のときに、かく下がりましたと地価公示ができるように御努力をお願いいたしておきます。  それでは、この住宅都市整備公団の問題についてちょっと入らせていただきます。  先ほど来ずっと御質問がありまして、多少関連でございますが、住宅公団から宅開公団が分離するときにわが党も反対しました。野党全部反対でした。じゃ大臣、宅開公団というのは行政改革を抜きにすれば今後とも置いておいた方がいいのか、それとも行政改革という観点ではなくして、さらに効率よいために行政の簡素化、建設大臣の考えとしても、宅開公団はそのような閣議決定を待たず当然合併した方がいいのか、大臣としては宅開公団は置いておいた方がいいとお考えなのかどうか。いかがでしょう。
  168. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 私といたしましては、両面の次元から合併した方がよろしいという結論に達しておるところでございます。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 わかりました。  行政改革の一環として特殊法人の整理合理化ということでございますが、今度二つの法人が合併をいたしまして一法人で新しくスタートをするわけでございます。やはりこれは行政改革の一環ということでございますから、それに伴ってなるほど行政が簡素化された、先ほど来御質問がございましたように、人員はふえたけれども行政は簡素化されないで、むしろ停滞しておりますよという指摘があったのではまずいと思うのですね。  それでは、この合併によって、役員構成は本来四分の一に減らすという閣議決定を新しく一人ふやした、これはまた質問させていただきますが、それはそれとして、役員構成あるいはそこへ勤めていらっしゃる人員等どういう変化が、二公団が一公団になりまして役員数ではこう、それからそこに勤める職員の数ではこのようになって、かくかくしかじか行政改革の実を上げられましたということを聞きたいのですが、時間の関係で、役員数と職員の数が合併することによってどういう数字になるのか、ぽんぽんと四つお答えください。
  170. 川上幸郎

    川上政府委員 役員数につきましては、現在両公団の役員二十四名を十九名というふうにいたします。  それから職員につきましては、公園業務都市開発等の新たな業務を付加されますが、両公団合併時の定数を基準にいたしまして今後詰めてまいりたい、このように考えております。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 詰めておりますというんじゃなくて、減るんですか、ふえるんですか、そのままなんですか。
  172. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  当然両公団の職員の現在おります方々をそのまま承継いたしますので、現在おります方はそのままやっていただきたい、このように思っております。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ人員は減らないわけですね。これはまた、先ほどの同僚委員の御質問で詳細が出てくるわけでございますから、そのときにお伺いしましょう。  いまの住宅公団と宅開公団の組織図をいただいたのですけれども、いろいろとたくさんあるのですね。十三と二十一で三十四、組織図にいろいろあるわけですが、これは少し整理統合してもう少し簡素化するのですか。組織図なんかもちゃんと提出していただけるのですか。
  174. 川上幸郎

    川上政府委員 お答えいたします。  基本的な考えといたしましては、その両組織は、合併いたしますと総務、経理等の共通部門は不要になりますのでこれは整理いたします。しかしながら、新しい需要として起きてまいります再開発等の業務もございます。これらを勘案いたしまして法案成立の暁におきまして関係方面と詰めてまいりたい、このように考えております。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が参りました。残念ですけれどもまとめてお伺いします。これは時間がありませんから、簡単にお答えください。  一つは、住宅公団から今度新しい公団になるわけでございますけれども住宅公団の趣旨は、「住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のため」という大きな目的が今度は変わったわけでございます。「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能」、私は、この住宅不足ということ、それから困窮する勤労者、この基本的な精神というのは変えてはならないと思うのですけれども、この「目的」の中にこの精神を十分くみ取っていらっしゃると思うのですが、この点まずお伺いしたいと思う。  それから第二点、これは日本住宅公団先ほど来ウドの大木なんてひどい御指摘もございましたけれども、私もそれはあながち、全く当たらない言葉でもないなと思っておる一人でございます。なぜかといいますと、会計検査院からも指摘されました。行管が来ているのならちょっと御答弁いただきたいのですけれども、行管も「国有財産利用メス」、「公団の“空き家”にも」、ここにこう出ていますね。そうすると、会計検査院から指摘されて、今度は行管に指摘されて、本家本元の建設省がわざわざ委員会をつくって住宅公団をこうやって監査しなければならない、こういうことは私法していいことではないと思うのです。建設大臣としてこれは大きな責任問題だと思うのです。私、こういう行政のむだを整理する意味で、他の行管、会計検査院が、建設省の中にわざわざ人をやってやること自体行政のむだだと思うのです。こういうことじゃない、本当にもっと国民のための、国民ニーズに合った快適な住宅を提供できる生まれ変わった公団にするように、大臣がきちっと指導監督を厳重にしていただきたいと私は思うのです。  そして、ここに管理委員会というのがあるのですね。これは大臣も大分責任があろうかと思うのですけれども、いままで五百億のむだがあるとかいろいろ指摘されております。これは少なくとも大臣がその年度の予算の執行について監督するお立場にある。管理委員会もあるわけです。これは公団総裁も悪いけれども大臣、管理委員会が有効に機能してないと思うのです。有名人ばかり、肩書きや何か集めているけれども、何ら国民生活を守ってない、役に立たない、こんな管理委員会、えらそうな方がたくさんいらっしゃるけれども。私は、もっと責任ある管理委員会になるようにきちっと大臣からも要望しておいてもらいたい。こんなむだな土地を買ったり使わない住宅を建てたりすることに予算の執行を許可した大臣並びに管理委員会の責任は私は大きいと思う。この改組並びに、この管理委員会の中には確かに東京都の副知事、大阪の市長さんが入っていらっしゃいます。大変失礼なことを申し上げるかもしれませんけれども、そういう方だけではなくして、本当にこの公団公営住宅に入っていらっしゃる方の声も尊重すべきだと私は思うのです。むしろそういう声が反映するような委員会の構成になさってはいかがかと考えます。いろいろむずかしい事情もあるかもしれませんけれども、私は、現に入っていらっしゃる方の声がその場で反映するような対応の仕方というのをお考えいただきたい、こう思うわけでございます。この点、大臣のお考えを伺いたいと思うのです。  それで、最後に大臣に、いままでいろいろこの日本住宅公団とか宅開公団の問題が指摘されました。大臣のその経営的な感覚から言うならば、私はこの際、建設省の中にもそういう促進の委員会もおできになったので、合併する前に、いま住宅公団が抱えているいわゆる不良な債権、いろいろ問題のある遊休土地、あるいは建てても入れない住宅、あるいは住宅建設戸数が停滞しているとか、こういう問題を一切解決の方途を立てて、合併する前にそのマイナスの部分を清算して新しいスタートをさせなければ、新しい公団はできましたけれども、過去の重荷を背負っていくのでは、ちょっと総裁をおだてて言えば、総裁が思い切ったことをできないし、またこういう委員会指摘されることになりかねませんので、いままでの残滓といいますか、困っている部分はすっきり解決の方途を出して、大臣のおっしゃるように新しい公団をスタートなさってはいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。
  176. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 第一点の、目的の中に困窮者の住宅云々でございますけれども、これは当然、表現は違っておりますけれども、新公団目的の中に十分含まれておるというふうにお考えおき願いたいと思います。  それから、公団のあり方について会計検査院から指摘を受けたということ、所管省としていかがかということでありますけれども、私にとっても他から指摘を受けたということは、監督官庁として大変遺憾に存じておるところでございます。会計検査院から指摘を受ける前に、所管省として当然この面につきましてはなお十分な管理監督をすべきであったろうと思います。それにつきましては、御指摘のように管理委員会の責任、運営という問題にも言及されまして、あわせて今後の問題として、検討というよりも前向きで責任ある運営をしていきたい、このように考えるものでございます。  なお、省内に事業促進委員会をつくったわけでありますけれども、つくる前にも私からも言ったことは、新発足については、民間であれば不良資産等々は処分して出直すというのが普通なんです。したがって、公団発足につきましても、でき得るならば遊休土地の処分あるいは空き家の問題についても、民間に払い下げるとかいろいろな方法があるであろうから、そうした面もひとつ考えたらどうかということは一応指示はいたしてあります。これは法律問題にかかわる問題と、先ほど来ありますように、公的資金で運営されております体質の問題もございますので、マイナスでというわけにいきませんし、余りプラスというわけにもいきませんし、その点のバランスがなかなかむずかしいと思いますが、方法論として、でき得ればそうした方法で進みたいというように考えておるところでございます。  基本的な問題としては、たびたび指摘がございますように、公的資金積もり積もって六兆三千億円、利息が四千四百六十億円ということを考えたときに、やはりここで改めて監督官庁としても、また直接公団といたしましても、職員挙げて、公団挙げて、この問題は国民に対しても相済まないことでありますので、何とか皆さん方とよりよい合意を得て進めてまいりたい、このように考えるものでございます。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  178. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、来る八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会