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1981-02-25 第94回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十五日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 伏木 和雄君 理事 渡辺 武三君       鹿野 道彦君    鴨田利太郎君       桜井  新君    谷  洋一君       登坂重次郎君    中西 啓介君       羽田野忠文君    堀之内久男君       村田敬次郎君    井上 普方君       小野 信一君    山花 貞夫君       横山 利秋君    薮仲 義彦君       林  保夫君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房総         務審議官    川上 幸郎君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         行政管理庁行政         監察局調査官  島田  正君         国土庁長官官房         審議官     安田 佳三君         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         建設大臣官房技         術参事官    沓掛 哲男君         建設大臣官房庁         営繕部長    高野  隆君         建設省道路局次         長       台   健君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       角田甲子郎君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁) 尾之内由紀夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  向井  清君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山根  孟君         建設委員会調査         室長      川口 東村君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     塩崎  潤君   鴨田利太郎君     正示啓次郎君   桜井  新君     武藤 嘉文君   甘利  正君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   塩崎  潤君     鹿野 道彦君   正示啓次郎君     鴨田利太郎君   武藤 嘉文君     桜井  新君   河野 洋平君     甘利  正君     ————————————— 二月二十四日  地代家賃統制令廃止反対に関する請願(瀬崎博  義君紹介)(第一一八一号)  同(中島武敏紹介)(第一一八二号)  同(中村茂紹介)(第一二三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君、同理事救仁郷斉君、日本道路公団総裁高橋国一郎君、同理事持田三郎君、本州四国連絡橋公団総裁尾之内由紀夫君、同理事向井清君及び同理事山根孟君に御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 きょう委員長に要望いたしまして、同僚諸君のところへ印刷物を配付させていただきました。同僚諸君とともに、ぜひきょうは、私がただ質問するということでなくて、お互いに政府、与党、野党とも考えたいという意味で資料を配付させてもらいました。  この五十四年度決算検査報告の中で、下の方にあります「すなわち、」以下から少しお目をとめていただきたいと思います。「すなわち、上記各事業主体では、五十三年度事業費三兆七千二百八億余円、五十四年度事業費二兆六千二百十七億余円で実施した事業のすべてが年度内完了したとして、出庫補助金五十三年度分二兆一千六百二十八億余円、五十四年度分一兆五千二百四十二億余円の交付を受けていたが、実際は、このうち、五十三年度分一万四千四百四十件(これに係る工事費等三千九百六十三億余円)、五十四年度分八千二百三十九件(同二千四百六十三億余円)の補助工事等年度内完了していなかった。しかるに、各事業主体は、これらの未完了補助工事等について法令年度末までに行うこととなっている予算繰越手続を執ることなく、当該工事等年度内完了したとする処理を行い、国庫補助金の全額(五十三年度分二千三百十三億余円、五十四年度分千三百八十七億余円)の交付を受けていた。」ということがあります。次のページで特徴的なものは、中ごろにございますが、「例えば五十三年度分では、五十四年十二月末に至ってもなお未完了となっているものが百二十一件見受けられた。」とあります。私は会計検査院の摘出した、これは五十四年度だけでありますが、従来の各検査報告、それに伴う建設大臣措置等をずっと歴年見返してみますと、これはたまたま検査院が行ったところが摘出された。検査院が行っていない市町村等になりますと、この種の事件、つまり三月末に工事完了していないくせに完了したと言って、そうして繰り延べ手続をとることなくごまかしたという件数は莫大もなく上がると感じられるのであります。  この点については、すでに建設省報告によりますと、五十五年十二月三日、五十五年二月十四日、それから四十九年、建設事務次官から何回も何回も通達が出ておるわけであります。かかることのないようにないようにと言っておるけれども、とんとそれがやまらないのは一体どう考えたらいいかという問題を提起したいと思います。  そこで、まず第一にお伺いをいたしたいと思いますのは、五十五年十二月三日付で建設事務次官から都道府県その他公共団体政府機関通達が出ておるのですが、その一番最後に「未竣功工事は、「補助金等に係る予算執行適正化に関する法律」等の法令に違背するものであるので、当省としては、今後未竣功工事が発生した場合には、補助金等交付決定を取り消し、その返還を求める等その態様に応じ厳正な措置を講ずる所存である」と書いてあるが、この交付決定を取り消したこと、その返還を求めたこと、その実績があるかどうかをまずお伺いしたい。
  6. 丸山良仁

    丸山政府委員 全部をつまびらかにしておりませんが、たとえば今回の検査院指摘を受けました高知県の下水道事業につきましては、五十五年四月十四日に補助金返還をさせていただいております。
  7. 横山利秋

    横山委員 私が聞いておるのは、ただ一件ぐらいのもので、高知等の特徴的なものはさておくとして、これは何通目になっているか知らぬけれども、これほど強硬な文書が出ておるのにかかわらず、厳正と言いながら具体的な何らの措置も、一罰百戒で一をやっただけであとほとんどやってない。役所としては注意文書を出せばそれで済むというものではないわけであります。  試みにもう一表の国庫補助事業というものがいま同僚諸君のお手元へ行きました。私のところの愛知県、青森県の竹中君、秋田県の村岡君、山形県の鹿野君、埼玉県の鴨田君、東京都の中村君、神奈川県の甘利伏木、新潟県の桜井、山梨県の金丸、長野県の中村、富山県の木間、滋賀県の瀬崎、和歌山県の中西、岡山県の林、徳島の井上高知県の田村、大分県の羽田野、われわれ建設委員のところでも本当にこういうことが続出しておるわけですね。私は建設委員として恥ずべきことだと思う。私はこの間愛知県に行って少ししかりおいた。しかりおいたけれども、一体どうしてこんなことになるのか。どうしてこれがやまらぬのか。繰り越し工事を申請をすればいいものがどうしてこうなるのか。何ぼしかられてもやっておる理由は一体何だといっていろいろあちらこちら聞いてみたわけです。そうしたら、一つはこういうことなんです。もし繰り越しを申請した場合には、来年度予算再来年度予算編成に差し支える、こういうわけです。これが、いい悪いは別として役人根性の一番中心になっておると私は思う。  きょうは大蔵省建設省国土庁にひとつここではっきり聞きたいのですけれども、そういうことが現実——体裁のいいことを言わないでくださいよ。現実にあり得るのか。繰り越し工事をしたから、どうせそんなものは決算処理をするのだから、次の年度翌々年度予算編成には、決算処理するから、繰り越ししたものはあかんといって予算を削るということが現実に存在しておるのか。そうでないとしたならば少しはカバーできると思うのだけれども、どうなんです。
  8. 丸山良仁

    丸山政府委員 予算で認められました補助金年度内執行することは先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれといたしましてもなるべく繰り越しを出さないように、必要があれば繰り越し手続をとるようにという指導をしているわけでございます。そういう考え方で進めているわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、たとえ繰り越しを出したからといって、建設省予算配分に手心を加えるというようなことはしてないわけでございまして、予算配分につきましては、当然その県の施設の整備状況あるいは人口、面積等いろいろの要素を勘案いたしまして予算配分しているわけでございますから、繰り越しを行ったからという理由予算を、翌年度予算ではなくて翌々年度予算になると思いますが、そういうものを削るというようなことはいたしておりません。
  9. 岡崎豊

    岡崎説明員 お答えいたします。  私、司計課長でございまして、現場の主計官をやっておりませんので、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、私の経験、私も主査、主計官をやっておりましたので、私の経験からお答えを申し上げます。  私ども予算査定をいたしますときに、当然決算の面、不用額あるいは繰り越し面ということにつきましても査定一つの目安と申しますか、よりどころということになるわけでございます。ただ、不用額あるいは繰り越しという場合に、その内容が毎年毎年同じような不用を出すとか、あるいは繰り越しでも非常に大きな繰り越し、過度な繰り越しというような場合にはある程度考えられるわけでございますけれども、その繰り越し内容あるいは不用内容が当然やむを得ない、あるいは公共事業等繰越明許、そういうものの理由に当然合致しているというものであれば、これはそれのみの理由をもちまして過度な査定をするというようなことはないものと思っております。
  10. 横山利秋

    横山委員 大臣はたしか市長をおやりになったことがあるのですね。そうですね。あなたの市長としての体験、建設大臣としていまの私の質問についてどうお考えになりますか。何もだれも繰り越しをしていいと言っているわけじゃないのですよ。繰り越しが妥当だ、いつも適当にやれと言っているわけじゃない。この種の決算を、三月末になって工事ができておりもせぬのにできたと称してやるということは万やむを得ざることがあると思うのですね、いい悪いは別として。市長としてそういうことをいつもお考えになったことがあるのじゃないか。あなたのところもこういううそつき決算報告をしたことがあるのじゃないかと思うのですよ。  ですから、私がいま問わんとすることは、いま大蔵省建設省、それぞれお答えになったけれども、繰り越しをすることによって翌年、翌々年度実行予算及び予算編成に影響させないから、繰り越しすべきものはきちんと繰り越せということについて大号令を一遍かけてもらいたい。これは大蔵大臣建設大臣の両方の連名で出してもらわなければこの種のものはなくならぬ、これが第一の問題です。どうです。
  11. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  会計検査院からの指摘、また、きょう改めて先生からの御指摘、まことに遺憾でございます。市長経験からいたしまして、私の市で私が市長時代は、この問題については私は確信を持って一切堂々と年度内執行をいたしましたし、繰り越しは、微々たるものについては、議会がなかなかやかましかったこともありますが、このようなことはいたしておりませんでした。これは一にかかってやはり自治体を預かる長の考え方の問題であろうかと思います。やはり国からいただく、県からいただく事業についての枠を何とか消化するということに努力することもさりながら、次年度予算獲得の影響を考えて、もしこそくな手段をもって予算繰越制度を遵守しなかったとするならば、これは自治体責任者として大変遺憾なことだと私は思います。私の経験から、これは当然、御指摘を待つまでもなく、建設省所管につきましては再度次官通達をいたしたこともこれあり、なお完全適正な事業執行をする、また、こうしたことが起こらないように、先生の御助言のように厳しい態度で指導してまいりたい、このように考えるものでございます。
  12. 横山利秋

    横山委員 私は、きょう厳しい主張もするけれども、むちだけではだめだ、心配をなくさなければいかぬ。実行予算及び予算編成に支障を与える、そういう感じが市町村担当者市長に至るまで全部徹底しているのだから、繰り越しをすると予算編成実行予算に差し支えるという印象が強いのだから、それをまず払拭しなければいかぬと言っているわけですよ。だから、厳正の問題は次の問題ですけれども、まずそれを処置しなければならぬ。そして、いま読み上げたように、五十三年度会計検査院が摘出しただけでも一万四千四百四十件、五十四年度には八千二百三十九件、これは会計検査院がやった注の1、2、この県だけですよ。他の県はやってないのだから、同様の事例でいくと少なくとも二万件近いものがうそをついている。うそとは何だというと、あえて私は言うのですが、これは公文書偽造ですよ。そうでしょう。そう思いませんか、大臣
  13. 丸山良仁

    丸山政府委員 おっしゃるとおり、厳密に申しますと公文書偽造でございます。
  14. 横山利秋

    横山委員 厳密に言わなくたって同じことだ。刑法百五十六条は「公務員其職務二関シ行使目的以テ虚偽文書クハ図画ヲ作リ又八文書クハ図画変造シタルトキハ印章、署名ノ有無区別シ前二条ノ例ニ依ル」として、一年以上の懲役があるいは「三年以下ノ懲役又八三百円以下ノ罰金」、これを適用したことありますか。しませんか。
  15. 丸山良仁

    丸山政府委員 その問題は建設省所管ではございませんから、存じません。
  16. 横山利秋

    横山委員 そうだろう。しかし、公文書偽造が年間二万件ずつ行われて、そして後の問題に発展するのですが、みすみす、これは公文書偽造ですよ。私がある自治体の人に言ったら、先生、それは自分ポケットに入れたわけじゃない、こう言うわけだ。ポケットに入れようが入れまいがこれは行使目的があるのだ。ただ自分作文をつくってポケットヘ入れておくわけじゃない。この作文をつくって、公文書を偽造することによってそれが効果があるということは、行使目的を持っているわけだ。まさに刑法百五十六条にずばりじゃないか。  会計検査院に聞きますけれども、会計検査院は三十一条で懲戒処分要求ができるのだ、三十三条で犯罪通告ができるのだ。それをやったことありますか。
  17. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまの公文書偽造についての懲戒処分並びに犯罪通告をやったことがあるかというお尋ねでございますけれども、検査報告にも述べておりますように、虚偽関係書類を作成したことということはここで十分に明らかにしておるところでございますので、捜査当局におきましては本院の指摘を十分承知していると思われますので、捜査当局犯罪捜査の端緒を与えるという意味では……(横山委員「何もやっておらぬじゃないか、会計検査院怠慢じゃないか」と呼ぶ一告発の意義ということからすれば、その目的を達したものと考えております(横山委員「何を言っているかわからぬ」と呼ぶ)おしかりでございますが、本院の、
  18. 稲村利幸

    稲村委員長 わかるように、大きい声で答えてください。
  19. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 検査院検査は、国などの会計経理に関しまして違法、不当な事態有無を帳簿、書類等に基づいて調査するのでございまして、このたび指摘したものに限りませんで、虚偽公文書作成とか同行使の罪に当たるのではないかというものに数多く接しておるわけでございますけれども、これについて一々通告なり告発なりをいたしておりますことは多大の労力を要することになりますし、現在の検査院の体制では不可能でございますので……横山委員「何が不可能だ。ちゃんとこれで懲戒処分要求文書だもの」と呼ぶ)犯罪通告になりますと、一々何万件というものについてその事態を明らかにして通告するというような手間がかかりますので、検査院の、会計経理をただして国民の前に明らかにしていくというこの本来の業務を全うしにくくなります。したがいまして、国民の期待に沿うためにも、検査報告で掲載したところでその責任を果たしたというようにとっていただければありがたいと思います。
  20. 横山利秋

    横山委員 会計検査院法三十一条「会計検査院は、検査の結果国又は公社会計事務処理する職員が故意又は重大な過失により著しく国又は公社に損害を与えたと認めるときは、本属長官その他監督の責任に当る者に対し懲戒処分要求することができる。」三十三条「会計検査院は、検査の結果国又は公社会計事務処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」と書いてある。ならないんですよ。これは公文書偽造ですよ。厳密に言わなくたってそうでしょう。あなた認めるでしょう、この三十一条、三十三条を。法律に「ならない」と。することができるじゃない、ならないんですよ。ならないことを、あなたの方は一件も処分執行してないじゃないですか。けしからぬじゃないですか。いまはないけれども、あなたの方も検査に行って、飯食ったりごちそうよばれたりマージャンやったり、いまはないけれども、そういうところにあなた方の厳しさがまだないんじゃないの。私は、何もいまさかのぼってこの一万四千四百四十件と八千二百三十九件を懲戒処分をしろ、あるいは犯罪通告をしろと言っているわけじゃないんですよ。ないけれども、ちょっとあなたの方もやり方が手ぬる過ぎる。こんなもの、私もずいぶんもらったんですけれども、建設省通達会計検査院検査報告処分通告云々と、書類が山ほどあるけれども実効がちっとも上がっておらぬじゃないですか。  もう一つ問題を提起いたしますが、この五十四年度で例を引きますと、二千四百六十三億円の補助工事年度内に完成していなかった。それを決算して、工事が完成したとうそついて、そしてその金はどうなったかというと、建設省あるいは国土庁、農林省には工事は竣工しましたと言う。それで県、市町村も、自分のところの単独の金があるんだから、それも工事が竣工したというふうに公文書を偽造するわけです。そして支払いが出る。多分それは出納官吏が預かっておるわけだ。多分というのは九九%ですよ。あと一%は業者に払ってしまう。そして、前者の出納官吏が預かっておるやつはその年度に、八月か九月か十月ごろになって完成したら払う。これは常識ですな。その間に工事設計変更がちょっとあって、一千万円かかるものが九百万円で済んだとしますね。そのときにはどうするか知っていますか。建設省どうですか。出納官吏が一千万円握っておって、工事が完成したとなってしまっている。それが九百万円で済んで、あと百万円はどうなるか知っていますか。
  21. 丸山良仁

    丸山政府委員 聞くところによりますと、ほかの工事に流用するというような事例があるということを聞いておりますが、そういうことが明らかになった場合には、補助金返還をさせる考えでございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 明らかになるはずがないじゃないの。どうやってあなたの方が調べるか。  それから今度は、一千万円が一千百万円かかったとする。そういうときにどうなったか知っていますか。
  23. 丸山良仁

    丸山政府委員 その場合には、もうすでに補助金が出ておりますから、県ないしその事業主体の負担で行っておると思います。
  24. 横山利秋

    横山委員 県及び事業主体あと百万円を出しているだろうというのですか。
  25. 丸山良仁

    丸山政府委員 はい。
  26. 横山利秋

    横山委員 不思議なことだな。どこからそんな金が出るんですか。
  27. 丸山良仁

    丸山政府委員 そういう、いまお答え申しましたような事例もあると思いますし、あるいは業者を泣かせるというような事態になっているかもしれません。
  28. 横山利秋

    横山委員 要するにその一千万円、工事完了した、銭は業者に払っちゃった、あるいは出納官吏が持っておる一千万円は、全く県知事も何もわからぬ、裁量権がゆだねられた河川部長なり建設局長裁量権を持っておる金ですな。そのサインか何か知らぬが、それでうまいことやれる金だね。それが犯罪温床、汚職の温床となっていることをお気づきですか。
  29. 丸山良仁

    丸山政府委員 検査院からもそういうようなおそれがあるということは承っておりますが、具体的事例としては承知いたしておりません。
  30. 横山利秋

    横山委員 検査院は、ここに指摘をして、この種の不当に補助金をこういうかっこうで裁量にゆだねられた金がどうなったか、後追い検査をしたことがありますか。
  31. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 お答えいたします。  すべてについてやっておるわけではございませんが、時間の許す限りやっていることはございます。ただし、現在までそのような事態を発見したことはございません。農林関係においてはそういう事態は、精算過大というようなことはある。そういう実態はありました。
  32. 横山利秋

    横山委員 どういう結果ですか。その金はどうなっておったという結果ですか。
  33. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 それは農林関係でございますので、ちょっとわかりませんですが、建設省関係においてはございません。
  34. 横山利秋

    横山委員 よくわからぬ。建設省関係ではその金がどうなっておったかという後追い検査の結果はどうです。
  35. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 ただいまどうだという具体的な資料は持っておりません。
  36. 横山利秋

    横山委員 やっておらぬということなんだな、結局は。それだけの、五十三年度国庫補助金二千三百十三億、五十四年度分千三百八十七億、その出納官吏の自由裁量になった金、あるいは業者工事が竣工しておらぬのに払っちゃった金、そういう金がどうなってどういう結末になったかということについては会計検査院は知らぬ顔をしておるというわけだ、結果は。そうでなければ、後追い検査をすればそれがどうなったかわかっておりそうなものだと思う。ということですよ。大臣、聞いておってもらってようわかると思うのですね。  それから、角度を変えて言うと、地方自治体の、たとえば県を例にとりましょうか。県議会は六月ですな。それからその次はたしか九月ぐらいですな。で、三億円以上の工事契約は議会の承認を得ることに地方自治法でなっているわけですな。そうすると、国の予算が四月から発効する。そして実行予算が下へおりる。それで仕事にかかる。横山株式会社と契約をする。三億円以上だからそれについては議会の承認を得るのが六月。用地買収その他でもめるとそれもできないから、九月県議会でようやく契約が承認されて、そして十月、雪が降ってきた。愛知県はそんなに雪は降らぬけれども、北国では雪が降る。そうすると十二月、一月は仕事ができぬ。二月もまあできぬ。そうすると三月。そういうこと自身、問題があり過ぎると思いませんかね。大臣、どうですか。そこに問題が何かありはしませんかね。
  37. 丸山良仁

    丸山政府委員 いま先生のおっしゃられたとおりでございまして、したがいまして、建設省といたしましては、特に積雪寒冷地帯につきましては早期発注に努めるようにしているわけでございます。それからもう一つは、用地問題等については、用地の先行取得ということを奨励いたしまして、なるべく用地は前年度に買っておくように、それですぐ工事にかかれるようにいたしているわけでございます。特に積雪寒冷地帯につきましては、今年度におきましては会計課長通達を出しまして、雪も多いことでございますから、正当な繰越手続をとって、四、五月の気候のいいときに事業を実施するように指導しているところでございます。
  38. 横山利秋

    横山委員 ここでひとつ両大臣にちょっと伺いたいことがあるのです。いま言ったようなことを土俵に踏まえて、この間河本さんが、いま不景気だからこの際五十六年度は上半期に七五%まで公共事業をやりたいと言いました。これは新聞でごらんでしょう。私はえらいことを言うなと思った。そうしたら、きょうの新聞で、大蔵省がそんなことできやせぬ、そんな来年度上期の公共事業で促進型などできやせぬ、こう言ってそれを打ち消しておるわけですね。そんな上半期に七五%までやることはとてもできやせぬと言っている。主管大臣の二人はことしの不景気で公共事業繰り上げについてどういうお考えでしょうか。抽象的でなく、具体的にどうするおつもりですか。河本さんがえらいことを言っているが、大蔵大臣はできやせぬと言っている。この点どうなんですか。
  39. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  新聞の関係については詳細まだあれしておりませんけれども、経企庁と大蔵財政当局との意見の違い云々につきましても、私はまだそれほどわきまえておりませんので、具体的なお話はできないわけでありますが、公共事業が特に地方経済に波及する効果というものは著しいものがあることは先生御案内のとおりでございます。したがいまして、この景気の落ち込みを、何とか国民経済に波及して国民経済がいま少し豊かになるような施行型に持っていくには、どうしても公共事業を相当活力ある方法で進めていかなければならないのではなかろうか、このように考えるものでございます。したがって、経済企画庁といたしましては、何とか公共事業執行によって景気の上向きを計画する、財政当局はいま財政再建の折であるので、その面につきましても十分な配慮が欲しいというようなことで、若干ニュアンスの違う意思表示があったかと思いますが、しかし、建設省所管大臣といたしましては、いずれにいたしましても昨年、一昨年の事例を待つまでもなく、経験を積んで、本年度におきましても何とか、昨年は上期に事業執行を抑制した結果経済に与えた影響も大きいということは事実でございますので、本年度上半期においては何とか許し得るならばでき得る限りの事業執行をやらしていただきたい、予算配分もしていただきたい、また、御指摘のような形も踏まえながら何とか状況に応じて予算執行を図ってまいりたい、このように考えているものでございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 原さん、御意見ありますか。
  41. 原健三郎

    ○原国務大臣 それは景気の落ち込みは予想されるし、経済企画庁長官のおっしゃるように、上半期に公共事業を集中してやるという趣旨には賛成であります。ただし、七五%ができるかできぬか、そういう細かいところは私にはわかりかねますが、上半期に集中して公共事業をやることが景気回復の一助になると考えております。
  42. 横山利秋

    横山委員 きょうの読売ですが念のために申し上げますと、大蔵省は、「”促進型”にするのは限界があるという考えを固めた。」「五十五年度の公共事業費は契約ベースで四%程度、金額にして六千億円前後が来年度に繰り越されることを明らかにしたが、来年度上半期の促進型執行に難色を示しているのは、この繰り越し分を加えると前年同期以上の契約額が確保できること、前半に無理をしないで、年度後半への余力も残したい——ためである。」と言っておる。けれども、政府・与党の中では促進型にすべきなどの声も依然として強い。「五十五年度の公共事業費は、一般会計、特別会計、政府関係機関などを合わせた契約ペースで十四兆五千百三億円。昨年春の物価対策で上半期の執行は抑制することとし、九月末までの契約率は五九・一%に抑えた。第三・四半期は一転して景気への配慮から前年同期額の三〇%増としたが、一月以降は”自然体”で推移したので、最終的には例年の二−三%より多い四%程度の未契約繰り越しが出ることとなったもの。大蔵省は、今後、年度末までの契約を促進するか、抑制するかの判断を現業官庁や自治体に任せているので、自治体などの対応の仕方によってはまだ流動的な面もあるが、結局、繰越額は六千億円前後にのぼるものとみている。」こう言っているわけですね。だから、勝手に七五にする、いや抑制すると言ったところで、現業官庁の、いまの地方自治体の、さきに言った六月議会、九月議会だとか、あるいは繰り越しのやり方についてのいままでどおりの、予算に影響があるというような話を依然として残しておったのでは、かけ声だけで、抑制型も促進型も政治家が、大臣が勝手にムードをまき散らしているだけで、現場を担当する人間には何ともならぬではないか。現場を担当する建設省国土庁や農林省がやる気になっていまのシステムを変えなければ、そんなことは絵にかいたぼたもちではないかというのが私の意見なんです。  そういう点で私はきょういろいろ問題を提起しておるのですが、両大臣はどうも促進型らしいけれども、促進型だとするならば、いまの予算執行のありようについて折り目をつけた、落差をつけたやり方をしなければならぬ責任があなた方にあると思うのですよ。そういう点について具体案がありますか。
  43. 丸山良仁

    丸山政府委員 いまの先生のお話でございますが、たとえば五十二年は促進の年でございまして、建設省の例で申しますと上半期に七四・一%の契約をいたしております。それから五十四年度は、この年は自然体でございますが、このときは六六・六%、それから本年度は上半期抑制ということで六〇%、こういう形になっておりまして、事務的には政府の方針が決まりました場合には最大限七五%程度の発注は上半期にできる、こういう実績があるわけでございますし、ことしは特にそれほど予算がふえてないわけでございますから、その執行には問題がない、このように考えているわけでございます。
  44. 横山利秋

    横山委員 まあそれには、いま二月でございますが、繰り越しの問題についてひとつもう一遍ポイントを移したいと思うのです。  大体、公共事業費というものは説明によれば繰越明許がほとんどそうなっておるという話でございます。繰越明許にあるにかかわらず繰り越しをしない、公文書偽造するということについてしばしば通達繰越手続をじろじろと言うだけであって、説得力のない通達になっておると思うわけであります。  もう一つ、財政法に繰越明許のない事故繰り越しというのがありますね。公共事業繰越明許が全部手伝っておるけれども、繰越明許のない事故繰り越しのやり方について考えるべき点がなかろうか、私が問題を提起する次の理由はこういう点なんであります。事故ということは全く予測せざる事故ではないか。そういうことではなくて、年度内に、単年度でやる予定であったものが用地の買収が非常に困難だ、住民の反対があった、そういうものによって事故繰り越しを適用することには法令上疑問があるではないかと私は思うのです。だから、財政法のもとの事故繰り越しでも事故その他やむを得ない理由によってという弾力性を法改正をするか、あるいはこの財政法による事故についての解釈を弾力的に解するかという点について検討をする必要がありはせぬかと思うのですが、大蔵省並びに建設省の意見を伺いたい。
  45. 岡崎豊

    岡崎説明員 お答えいたします。  先生の突然の御質問であれでありますが、ただいまの繰越明許並びに事故繰り越しそのものにつきましては、少なくとも私ども、繰越事務の手続の運用につきましていろいろの事例に遭っているわけでございますが、いまの制度を直ちに改正しなくてはならないというような話は私は聞いていないわけでございます。それぞれの運用によりまして十分に機能できるのじゃないかなという気がいたしておりますが。
  46. 横山利秋

    横山委員 つまり、事故という解釈を幅広く持つという意味ですか。
  47. 岡崎豊

    岡崎説明員 幅広くといいますか、繰越明許で国会の御承認を得ていない部分でございまして、その事業主体が、できるというわけで実際に負担行為をいたしまして、その後のやむを得ない事情が発生した場合ということでございますので、いろいろなケースがあろうかと思いますけれども、ケース・バイ・ケースでどうしてもやむを得ないというものであれば、当然制度上承認をするということになろうかと思います。
  48. 丸山良仁

    丸山政府委員 いま大蔵省から御答弁申し上げたとおりでございますが、建設省の取り扱いといたしましては、明許繰り越しが原則でございますけれども、用地買収あるいは住民との話し合いがつかないというようなものについて、契約したものにつきましては、事故繰り越しの手続をとっているわけでございまして、いまでも先生のおっしゃいますような制度を行っているわけでございます。
  49. 横山利秋

    横山委員 次は、両大臣、ひとつこういうことをお互いに政治家として考えてもらいたいと思います。  私も役所勤めの経験がある。それで、三月末に予算が余ってくるわけですね。余ってくるから空出張をやったり——これはちょっと失言だな、余分な金の使いどころを考えるわけです。  それで、役人は年度の初めは、上の号令を聞いて節約型、合理化型ですよ。それで、半年も十カ月もかかって一生懸念に予算を節約して、年度末になったらそれを大盤振る舞いだ。そして、いまの話じゃないけれども、工事が完成していないものも、そこへいって公文書偽造をしてめちゃくちゃになる。一方民間の方は、北国から言うと、北海道、東北地帯、北陸地帯では、雪が降っているときは仕事ができやせぬ。そして、一般的にも四月、五月というのは一番閑散なときだ。民間の役所の関係の工事というのは、二月ごろからわっと仕事が忙しくなって、四月、五月ががたんと落ちて、実行予算が上がってくるから年末に忙しくなって十二月というわけだものだから、常時抱えておる労働者と下請あるいは臨時、そういう弾力性を持たなければ仕事がどうしてもやっていけぬわけですね。  そこで、十数年前に、会計年度を四月から三月までを一月から十二月までに変えるという意見が東北地帯、北海道を中心にしてわっと上がりまして、私も大蔵委員の一人として一生懸命勉強したけれども、結局は小学校の入学まで一月一日にしなければならぬ、そんなことは日本の慣習からできぬということになって、会計年度を変えることは研究をやめてしまった。やめてしまったけれども、いまの役所から政府機関に至りますまで、工事量の年間平準化ということは、日本の経済、民間の工事能力等を考えても最もいま考えなければならぬ問題だ。それを邪魔しているのが、ちょっと言い方が語弊があるけれども、いわゆる厳格な意味の単年度主義、ここが工事量の年間平準化ということを邪魔していると思うのですよ。もちろん、いまの財政法なり会計法なりいろいろな点は、運用よろしきを得るならば決して邪魔しておらぬという言い方があり得る。あり得るけれども、私がいま言ったように、会計検査院指摘したように、現実はこういう問題なんです。そして役人根性というのは直らぬのです。大蔵省や本省を恐れてこういう問題はちっとも直さぬ。その点はひとつ両大臣とも思いを新たにして、日本経済を安定させる意味においても、民間産業を安定させる意味においても、労働者を常時確保する意味においても、たとえば出かせぎなんかそうですよ。三月で仕事が終わった、四月五月はありはせぬ、家へ帰ってしまうので、それを捕捉するのがまた困難だ。また三月に仕事がたまるから、ずっと仕事を出すから、毎年建設材料は三月ごろに一遍にざっと上がるのですよ。物価対策から見ても労働量の適正化からいっても、工事量の年間平準化ということは、特に公共事業費の多い建設省としては私は至上命令の問題だと思う。どうですか、何かいい知恵を出しませんか。
  50. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生の言わんとしておるところに実は私も同感なんです。自治体をお預かりして事業執行する上で、このぐらい迷惑のかかる会計年度はないのです。したがって、私はどうしたかといいますと、見込み執行いたしました。そしてつじつまを合わせる。それは小さい市でしたからできたのですけれども、大きなうねりの中ですと諸問題が山積して、この会計年度の変更、いわゆる暦年制度というのでしょうか、なかなかむずかしい問題が起きてくる。しかし、民間では会計年度を変えるということはすでに始めているところが多いのですね。したがって、官庁でもやってやれないことはないであろうかと思いますが、先生十分御存じのようにいろいろと障害があって、どの時点で、どのような環境で、どのような方法、手段でやっていくかというそのトータルプランをどのようにしていくかというところで行き過ぎていくのではなかろうかと思います。  制度の改革のむずかしさを痛感するわけでありますが、しかし、とにもかくにもいまある制度を有効適切に生かしながら十分な配慮をして、御指摘のような形でないように何とか、私たちは次官通達ということに甘んずることなく、積極的にいまの制度の中でどのようにりっぱな事業執行ができるかということに意を砕きながら、先生指摘の思いをもいたしながら、何とか制度改正の方にもだんだんいい知恵を働かせていきたいな、このようにも考えながら、いま先生の御質問を拝聴しておったところでございます。
  51. 横山利秋

    横山委員 気持ちはわかるけれどもいい手はないということでは困るのです。  会計検査院にお伺いいたしますが、会計検査院はこれほど毎年毎年怒りながら、それについて改善する意見は何もお持ち合わせないのですか。おれのところは怒るだけであって、どうしたらいいかというのはおれのところの商売じゃないと言ってしまっておるのですか。具体的にあなた方が一生懸命にやられながら、この種の問題が根絶できぬといってわいわいこんな分厚いものを出して、いけませんよいけませんよ、処分していなければ困りますよと言いながら処分もようせずに、犯罪通告責任を全うせずに、怒るだけで改善の方法について何らの御意見もあなた方は持ち合わせていないのですか。
  52. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 お答えいたします。  先ほどから先生もおっしゃいましたように、地元では年度繰り越しを避けたがるという風潮がございます。そして年度経過を意にしないという傾向がございますので、先ほど来の御審議のように、まず第一には地元の心配をなくしていただくということでございます。ただ、私どもの立場からいたしますと、会計法規を遵守して適正な、効率的な執行をやっていただくというのが根本でございますので、次にこれを徹底さしていただく、そして当局におかれまして、繰越手続のとられなかったものがございました場合には、先ほど御当局の方から御答弁がありましたように、適化法に基づいて厳正な処置をとっていただく。第一の処置といたしましては御当局にお願いして、私どもはその処置を見守りながら検査を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
  53. 横山利秋

    横山委員 少なくともこういうことはどうでしょうか。第一・四半期、いまは二カ月間の出納閉鎖期間があるわけですね。現場では一カ月ですね。地方自治体を例にとりますと二カ月、国も二カ月ですが、現場では一カ月間。一力月間は出納閉鎖期間だから、金は四月になっても五月になっても払ってもいいということになっておりますが、第一・四半期までは繰越工事を一定の枠で、特にいままでの繰り越しよりも余裕を見る。財政法その他の関係があるのだけれども、大蔵大臣それから建設大臣国土庁長官繰り越しを認可する基準を、第一・四半期までは特にめんどうを見るから、余りやかましく言わぬから、それまでは繰り越しについてはいままでやかましく言ったけれども言わぬよ。けれども、それは無条件とは言いません。何かの基準を設けて、第一四半期までは繰り越しについては大目に見るから、決してがたがた言わぬから、財務局長によく相談してくれ、大蔵省も財務局長に第一・四半期の繰り越しだけは十分めんどうを見ろというような行政措置はいかがですか。
  54. 丸山良仁

    丸山政府委員 先生がおっしゃるとおりでありまして、いまでも繰越手続さえとれば一繰越手続をとらないで第一・四半期に工事をするというのは現在の法令では許されておらないわけでございますから、現在の法令の範囲内でやるためには繰越手続をとってもらう。その場合に、繰越手続につきましてはもうすでにずいぶん簡素化されておりますから、要は公共団体の態度の問題でございますから、先ほど先生のお話にございましたように、それによって翌々年度予算が減るというようなことはないわけでございますから、そういうような点も周知徹底をさせて手続をとってもらって、四、五月の気候のよいときの端境期に仕事が残るようにするというような方向で今後は積極的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  55. 横山利秋

    横山委員 あなたがここで何遍出てきて何遍しゃべっても、地方自治体が議事録を全部見るわけじゃないんだろうな。そういう点だと建設大臣国土庁長官大蔵大臣のお墨つきというものは金科玉条のように守るものです。私がたとえば県へ行って市へ行って、大臣がここでこう言ったよと言っても、そうですか、だけれども実際はねと、こういうふうになっておるわけです。そこのところを遺憾のない措置をとってもらいたい、こういうわけなんです。  時間が参りましたが、要約いたしますと、私は両大臣にいろいろ申し上げましたが、これは言うまでもなくひとり建設省国土庁の問題ではありません。農林省もそうだし運輸省もそうだし、各省にまたがる問題だが、公共事業が一番多いから特に建設大臣が指揮棒を振ってもらわなければいかぬ。  私のねらいは、一つは年間工事量の平準化の問題です。年間工事量が平準化するためにはどういう施策が必要か。まあ、決算を一月一日からというのはやめてちょうだい。これは私も長年勉強したけれども、とてもだめだ。そういうことは別として、工事量平準化のための施策が日本産業のためにきわめて重要な問題であるから、各省と相談をしてこの問題に真剣にひとつ取る組んでもらいたい、これが一つであります。  それから二つは、かかる公文書偽造問題、これは明白に公文書偽造ですよ。実際は私が告訴してもいいと思っているんだ。けれども、それをするのが私の目的ではないから。かかる公文書偽造が堂々と地方自治体で行われておる。堂々と行われておるばかげたことをなくするための措置として、一つは、いま言ったように繰り越しを各省大臣がコンセンサスを持って、繰り越しは、予算に影響させないから必ず手続をせよというような方式。それから、かかる犯罪行為が行われて堂々とここに載っておる。会計検査院はこれを通告をしなければいかぬ、懲戒処分をしなければいかぬ。しなければならないと法律に書いてあるのに、ちっともせえへん。これは笑い物ですよ。ですから、処分は今後は厳正に——あなたも建設大臣も、ちゃんと通牒に出しておるのです。この通牒をもう一遍、あなたの方で出したものを読んであげましょうか。「補助金等交付決定を取り消し、その返還を求める」。厳正にやってもらいたい。こんなもの言ったってやれせんわとみんな思っておる。何がやるもんかと思っておる。それではこの文書は泣いていますよ。この文書、何通出ましたか。何ぼ言ったってそんなものはやれせんわと思っておるから、どんどんやりますということを今後はやってもらわなければならない。もし、これだけ言っておいて来年やらなかったら、私、これは食い下がりますぜ。  それからその次は、そういうことをしてなおかつ、出納官吏に自由裁量権が与えられた金、そしてもう何カ月もたって、一千万円裁量権が与えられていたものが五百万円で済んだとか、一千五百万円かかったとか、そういうものは犯罪温床になっていると私はずばり言っている。私は事実を二、三知っていますが、きょうは後ろ向きの話をするつもりじゃないから。今後は会計検査院もその後追いをやってもらわなければならぬ。一遍それを見つけたら、その金はどこへ行ったか、どう行われたかということを次の会計検査のときに検査をしてもらわなければならない。そこで歩どまりをする気持ちが私はわからない。それは明らかに公文書偽造のみならず、公金を勝手に使っておるわけですよ。ですから、明らかな犯罪問題だから、それを後追いして、徹底的にその後を追及してもらわなければいかぬ。そうやらぬというのはあなたの怠慢ですよ。等々の問題であります。  もう一遍私の要望に、両大臣会計検査院大蔵省、それぞれ所信のほどを聞かしてもらって、質問を終わります。
  56. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘よく承りました。当初申し上げましたように、このたびの問題につきまして、遺憾のことでございまして、事業の平準化の問題、また予算繰り越しの制度遵守の問題、またそうしたことから不祥事件が起きないように、厳しい態度で今後も臨むことを申し上げたわけであります。
  57. 原健三郎

    ○原国務大臣 先生の非常な御指摘、大いにごもっともな点が多いので、今後大いに勉強さしてもらって善処いたしたいと思います。
  58. 岡崎豊

    岡崎説明員 お答えいたします。  私ども、繰越事務全般の運営の立場にある者といたしまして、ふなれな会計職員の方々が気安く財務局の方へ参りまして繰り越しの御相談においでになれるように、相手の立場に立って指導をするようにということが一つ。それからもう一つは、繰り越しの事務をできるだけ実態に沿って簡素化をするようにということに今後とも十分努めてまいりたいと思います。
  59. 角田甲子郎

    角田会計検査院説明員 先生の御趣旨は十分によく体得いたしまして、今後の検査に当たりたいと思います。特に、後追い検査につきましては、前向きに検討さしていただきたいと思います。
  60. 横山利秋

    横山委員 ありがとうございました。  大臣、ちょっと私の申し上げたことで答弁が漏れたようでありますが、工事量の年間平準化については、各省の音頭を取って一遍検討してくださいよと申し上げたが、それも含まれておりますね。
  61. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 含んでおります。
  62. 横山利秋

    横山委員 では終わります。
  63. 稲村利幸

    稲村委員長 井上普方君。
  64. 井上普方

    井上(普)委員 大臣の所信表明に関する質問を行いたいと存じます。  まず、建設大臣にお伺いいたしますが、この所信表明を拝見いたしますと、最後に「特に適正な業務の執行と綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる考えであります。」こういうことがありますが、「適正な業務の執行」とは何でございますか。どういうことを指しておるのですか、お伺いしたいのでございます。
  65. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  「適正な業務の執行」とは、御案内のように厳しい財政事情の中で与えられた予算でございますので、むだのないように、有効適切な予算執行を図ってまいるということでございます。
  66. 井上普方

    井上(普)委員 そこで私はお伺いしたいのですが、いままで官庁用語として、あなたのおっしゃるむだのない適切な正当なる執行というのを、むだのないというところに特に重点を置きまして、効率的な運用という言葉が使われてまいりました。ところが、効率的な運用ということが、これが所信表明の中から姿が消えたのは、まあ私が見てみますとここ四、五年のことだろうと思うのです。それまでは建設大臣の所信表明には、予算の効率的運用ということが最後に重点的に言われておった。ところがここ四、五年の間に、所信表明の中に予算の効率的な運用を行うということがなくなってきておる。ここに、先ほども横山先生から指摘をせられたような問題も起こってくるのではなかろうかと思う。したがって、私は、いま大臣はむだのない適正な執行を行いたいとおっしゃいましたから、むだのない、すなわち効率的な運用、昔の言葉で言えば、むだのない効率的な運用をいかにして確保するのか、この点をお伺いしたいのです。
  67. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  歴代の大臣の所信表明について私知悉しておりませんでしたので恐縮いたしますが、私は就任以来、常に予算の効率的執行という言葉を言葉の上で申し上げておりますし、省内においてもその旨を伝えておるわけであります。ということはどういうことかといいますと、いままでのような予算の使い方じゃいけないということ、まあこれは経営的感覚で、財政困難な折は役所でも経営感覚を持ちなさいということが私の持論であります。与えられた一億の金を一億使うならばだれでもできる、それを、貴重な財源であるから、一億の金が一億二千万、三千万に生きるにはどうしたらいいかということを意味することでございます。先ほども横山先生から御指摘がありましたように、たとえば積雪寒冷地の事業については、それなりの地域環境をよく、いままでの経験から十分な予算執行ができるわけでありますから、情性に流れず、重点的にやる問題であるとか、あるいはそうしたときにはどのような時期を選んで、契約に基づいていって事業がいつの時期にできるかということ、そうしたことのちょっとした配慮によって、予算執行についても相当違った感覚で有効的に執行ができていくのではなかろうか、こんなようなことをあわせながら、所信表明には文字としては盛り込んではおりませんでしたけれども、そのような意味合いにつきましては、十分省庁内に意見につきましては通じているもの、このように確信する次第でございます。
  68. 井上普方

    井上(普)委員 そこで私は、いまも横山先生が言われたような問題も多々あります。考えてみますと、予算につきまして、景気の刺激策として公共事業が大いに使われている、年間に前年度比三〇%以上もふやしたいというようなときがございます。そのときには一体どういうことが言われておったかといえば、公共事業は一遍穴を掘ってまた埋めて、また同じところに穴を掘る、そうすればいいのだというような感覚が、まだ私は建設省内には公共事業執行に当たっては残っておるのではなかろうか、こういう感を深くいたすのであります。  一例を挙げれば、三月の終わりになりますと仕事がどんどんと出る、道路は至るところ掘り返されておる、こういう事例はお気づきであろうと思うのです。これは効率的な運用とは言い得ないと思う。予算をとったんだから使ってしまわなければならぬというような感覚、これを私は払拭させていただきたいと思うのです。この点、いかがでございますか。
  69. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生指摘のとおりでございます。官庁仕事というのは年度末と十二月末に集中することは御案内のとおりでございます。これは会計年度の問題もございましょうけれども、長い情性からこうしたことが起こったかと思います。大変恐縮でございますが、私の市長時代は、この弊をなくするために役所内で協議会を設けまして、いま御指摘のありましたように、一度掘ったところを埋めてまた掘ってやるということでなく、年度当初に各関係部長を集めまして年度計画を立てさせて、一遍に仕事ができるような仕組みをやったわけであります。国の行政上の問題は、これはまたスケールが大きゅうございますのでなかなかその点むずかしいわけでありますけれども、でき得る限り先生指摘のような形で省庁内の合い議を重ねて、同じ仕事をいたすのに各局がばらばらで重ね重ねやって国民の方々に迷惑をかけないような方途については、これは各省庁間のコンセンサスを十分得る以外に方法がなかろうかと思いますけれども、なかなか長い間の習慣上の問題もあろうかと思いますが、先生指摘のような形で何とか指導してまいりたい、このように考えるものでございます。
  70. 井上普方

    井上(普)委員 何とか指導じゃなくて、この際抜本的にやっていただかなければならぬと思うのです。特に、前の国会におきまして私が指摘したことであり、景気刺激に公共事業が使われる、したがって今度は景気抑制のためには公共事業が減少せられる、そういうことになってくると、中小建設業界と申しますか、非常に被害をこうむってくるので、ここらあたりはひとつ考えていただかなければならないということを申し上げた際に、斉藤建設大臣は、次の当初予算を見ていただきたい、こう申したのでありますけれども、今度の予算を見ますと公共事業は前年度比で全然伸びていない、これであれば、物価は上がっておる、工事費は上がっておるのです。仕事量自体は総体的に減ってきたと考えざるを得ない。とすると、しわ寄せが中小建設業界にくることは必至であります。景気動向によって景気の浮揚策あるいは抑制策に公共事業を使うというのは、これはここ四、五十年来使われてきた手法ではあります。手法ではありますけれども、これによって企業の倒産等々がかなり起こってきておる。これに対する適切なる処置というものが考えられなければならないのだけれども、単に仕事の量が減るのですから、これをいかに公平に案分していくか、あるいはまた先ほど横山先生も言われたように、一年間に延ばしてやっていこうということの運用の必要性があろうと思うのですが、この点についてはどうお考えになっておられるのか、どういう方途をとられようとするのか、この点をお伺いしたいのです。
  71. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  さきの国会での質疑の問題に触れられて、公共事業の伸び率がゼロだという御指摘でございました。御案内のように、景気不況の中で中小企業の倒産、わけても建設業の倒産は昨年五千百件というような大変な倒産件数でございまして、景気環境の建設業に及ぼす影響の甚大さに、いま少しく事前の配慮があってよかったのではないかというように思うわけであります。  そうしたことから、当初抑制策をとったものを三・四半期に三〇%増、四・四半期には完全執行ということで財政当局の御理解をいただいたわけであります。それでもなおかつ、なかなか地方経済を支えている公共事業というものの活力というものがそう極端に波及効果をあらわしていないという現実を見たときに、そういう観点から先生は御懸念であったろうと思います。したがって、中小建設業にかかわる問題といたしましては、住宅問題であるとか、制度上の不況業種の指定をしていただくとか、金融の貸付制度をフルに活用していただくとか、あるいは中央においてはいままでのような大手施工型の事業でなく、分割発注を指導するとか、何とか地方の中小の方々に仕事を平準的にできるような方途を講じながら、指導をケース・バイ・ケースでやってきておるところでございます。まだその効果は顕著にあらわれてはおりませんけれども、先ほども御指摘がありましたように、何とか四・四半期の完全執行と来年度当初の事業関係において前向きで配慮しながら、これ以上中小企業の倒産が起きないような仕組みで指導もし、各関係について協議を重ねながら対処してまいりたい、このように考えているものでございます。
  72. 井上普方

    井上(普)委員 いま大臣の言われたことはほころびたところを縫い合わせるという姿であって、根本的な対策というのは講じていないと私は思う。事業量がうんと減ったのだから、それに対して一体どうすればいいかという真剣な討議が省内でも行われておらぬのではなかろうかと私は思います。この点いかがです、大臣
  73. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  事業量について省内のコンセンサスということでございますが、来年度予算、確かになかなか厳しい予算でありますけれども、われわれといたしましては精いっぱい財政当局の御理解をいただいて予算獲得をいたしたわけであります。したがって、歴年から見て御不満があろうかと思いますが、何とかいわゆる有効適切な予算執行に基づいて、拡大事業ができるような仕組みで有効適切に平準化を図りながら、気持ちだけでもと言うと語弊があるかもしれませんけれども、とにもかくにも努力し、がんばって徹底してやってまいる所存でございます。
  74. 井上普方

    井上(普)委員 ここは言葉の遊びじゃないのですよ。あなたはいま有効適切な事業をやって、年度内の平準化をやりたいとおっしゃいますけれども、具体的にどんなことをするのですか。有効なそして適切な方策というのは具体的にどんなことがあるのですか、お伺いしたいのです。
  75. 丸山良仁

    丸山政府委員 確かに先生がおっしゃいますように来年度予算は名目で公共事業費はゼロでございます。しかしながら、これに地方単独経費が八%伸びております。また、財投その他を合わせますと大体四%弱の伸びという形になるわけでございまして、われわれの見通しては建設デフレーターが四%弱という見通してございますから、実質事業量で本年度並み、こういうことになるわけでございまして、事業量そのものは今年度と来年度はほとんど同じである。  それからもう一つ執行の問題でございますが、先ほどから御議論のございましたように、なるべく上半期に集中して発注いたします。その場合におきましては平準発注という形で年度間に平準的に行いたい、このように考えているわけでございまして、この点につきましては予算が成立後直ちに次官通達をもって各県に指導する考えでございます。
  76. 井上普方

    井上(普)委員 いまのお話、大臣、この前の国会でのやりとりを思い出していただきたい。それでは、来年の公共事業の伸びというものを私は期待して待っている、そう申しましたら、あなたは伸び率については期待して待っておってくれ、そうおっしゃったのですよ。それが今度はゼロである。そしてゼロだと言って指摘されますと、地方単独事業がふえているのだとおっしゃる。一体地方単独事業というものはふえていますか。まだ地方の議会はいまやっている最中でしょう。そうでしょう。昔市長さんをされた方はよくわかるでしょう。単独事業というものは大体地方議会が九月で出すものじゃないのですか。ただいま出てきておるのは地方財政計画だけなのでしょう。地方財政計画というものはまさにペーパープランなのです。ペーパープランであって、御承知のように地方交付税が今度は伸び率が非常に下がって、地方交付税の、国の方が地方財政に借金しようという考え方なのでしょう。そこで単独事業ができますか。地方財政自体、数字を私は持ってきておりませんので、ここで申し上げるわけにはいきませんけれども、これはアバウトの議論として国が財政危機になっておるのだから、ひとつ地方交付税を貸してくれと言っている時期ではありませんか。そこへ持ってきて、地方単独事業を伸ばすのだというようなことは言うべくしてむずかしいことなのです。しかも地方は、もうすでに地方債の累計は国債残高よりもはるかに上回っておる時代でしょう。できやせぬじゃありませんか。財投が伸びだと言いますが、官房長官は四%伸ばした、こうおっしゃる。しかし財投という金もどういうふうに使われるかわれわれはチェックできない立場にある。こういうようなことを考えますと、いままでの予算執行を抜本的に変えなければならぬ、そして景気動向によって建設業に好不況が及んでくるようなこういうシステムを抜本的に変えていく。抜本的に変えるというより、弾力的に措置できるような方策をいま考えるべきじゃないかと私は思う。大臣、目の玉天井に向けていますが、一体どうです、できますか。能力ありますか。能力がないとおっしゃるならもう一つお伺いしたい。こういうようなことについて所信表明の中ではこうおっしゃっている。第五の建設業の振興につきまして、「建設業につきましては、請負契約関係の合理化こういうことをきっちりとおっしゃっている。具体的に何をやられるんです。お伺いしたいのです。
  77. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  中小建設業対策はいろいろな対策がありますけれども、その中の一つといたしまして請負契約関係合理化、こういう点につきましては、一つは適正な単価、それから適正な積算価格で発注する。それから、価格変動がありました場合も、発注する場合に直ちにそれが織り込めるような措置をとる。それから、現在、標準請負契約約款等の改定につきまして、異常に労賃あるいは資材の単価が上がった場合の対応策、あるいは契約いたしまして十二カ月たった後に三%以上工事額に変動があった場合の対応策等につきましても一応措置をやっておりますけれども、この特約条項というやり方がやや臨時の特例的なものでございますので、現在、中央建設業審議会等におきましても御審議を願いまして、できるだけ早くこの約款の内容を詰めまして、工事の発注につきましてはそれを織り込んだ契約をする、こういうことで対応してまいりたいと考えております。
  78. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、いまおっしゃっているのは特約条項の約款の改定ということだけですか。
  79. 宮繁護

    宮繁政府委員 基本的にはそれもやっておりますけれども、工事の発注に当たりましては適正な時価、適正な労賃、それから積算につきましても、適正なもので発注する、こういうことを、現在もやっておりますけれども、価格の変動等につきましては弾力的に対応できるようにいたしたいと考えております。
  80. 井上普方

    井上(普)委員 これは私は余り言いたくない事柄なんでありますが、千葉県におきましても御存じのように知事候補と業者との間に利権というような言葉が出てくる世の中になってきた。これを書いたかどうかは問題になっているのですけれども、便宜を図りますとか利権とかいうような言葉が出てくる時代であります。私は、この請負契約関係の合理化というのは、そういうようないまの請負制度そのものに対する抜本的な合理化を考えておるのかと思ったのですが、その程度ではなかなかこれは物事解決せぬのじゃございませんか。この間も朝日新聞の記者が大手土建業界の会合のところに盗聴器を入れて大問題になった。これ、何が行われているのか、盗聴器を入れて聞きたいということはどこにあったんだ。また、盗聴器を入れられて大騒ぎする、会議を直ちにやめてしまったというのはどこにあるんだろうか。大臣、あなた常識人として、どうしてそこまでやったのか、大手業者があの会合を聞かれたらぐあいが悪いことを言っておるのだろうか、どうでしょう。常識人として、何が相談せられて、ほかに漏れたら困るからこういうことに非常に神経質になるんだとお考えになりますか。大臣、どうです。
  81. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  非常にむずかしい御質問でございます。やはり人おのおの、グループおのおの、組織おのおの、それなりの秘密性はあろうかと思います。したがって、公開、非公開という言葉もあるくらいなんで、そのことをもって直ちに何かしらというような推測でなく、もう少しノーマルに、重要会談があったというように推察された方がいいような気がいたします。常識的にと言われますとそう答えざるを得ないわけで大変困るわけで、答えになるようなならないような答えになってしまいましたけれども、御理解いただきたいと思います。
  82. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、これはそう言わざるを得ぬでしょうけれども、実際は談合が行われておるのでしょう。仕事はことしはなにが出るが、大きいところはA業者、おい、これはおまえのところが本命だぞ、次の工事はB業者、分けどりしておるのでしょう。これは常識じゃありませんか。これこそ常識なんです。談合が堂々と行われておる。それが談合罪に当たる話し合いかどうか、私はそれは知らない。しかし刑法上の談合罪を見てみますと、これが適用が非常にむずかしくなってくる。それほどまでに談合ということが常識化された世の中になっておるからできないんだと私は思う。それは昭和の初めの朝鮮総督府の事件、あるいはまたこういうような談合罪でくくられたこともあります。しかし、あれ以来ないのです。何か牧野英一さんが「談合の合理性」なんという本を出して、私が見てみたら、業者の味方ばっかりしておって納税者の味方を全然してないようなことが平気で書いてある。それが常識化されてもう堂々と大手を振って歩いておるのがいまの談合の姿じゃないでしょうか。会計法及び予法令を見てごらんなさい。これは不利益を与えるものについては排除するという項目があります。やったためしありますか。これじゃいかぬというので、このごろ国会の中では談合罪をいかにして取り締まるかということで、独占禁止法でどうだろうかなんという意見まで出されるようになってきた。だからそこで私は言うのです。先ほど大臣が言うたむだのない効率的運営というのは、これにチェックを入れなければ効率的運営はできないのじゃないか。そしてまた、そのことが一面政治を清浄化するゆえんでもなかろうかと私は思うから言っている。そうでしょう。だってあなた、知事候補が堂々と利権を与えますなんてことを念書を書く世の中になった。その最たるものが公共事業に絡んでおる。ここらを直さなければ日本の民主主義は危うくなってくる。会計法ではちゃんと公開入札というのが原則になっておる。ただ例外措置として指名入札制度というのがあるにすぎない。ところが建設省の中で公開入札をやっておるところは何件ありますか。どうですか、官房長わかっていますか。去年何件ありましたか。十件くらいありましたか。
  83. 丸山良仁

    丸山政府委員 おっしゃいますように公開入札が会計法上の原則でございますが、公開入札をやるということになりますと、手続に非常に時間を要するとかあるいは事務的に煩瑣であるとかあるいは必ずしも的確な工事ができないというような問題がございまして、いま指名制度がとられておるわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいますように公開入札をした例はほとんどないと思います。
  84. 井上普方

    井上(普)委員 ところがあるんだな。大蔵省が直接住宅建設を入札させる場合には、全部公開入札をやっている。大蔵省は事務的に煩瑣であるとか手続がめんどうくさいとか、こんなことを言っていませんよ。だから、あなた方に公開入札を原則としておる予法令、会計法を守ろうとする意思があるならば、この中において原則に近づいた方法を考えられるべきじゃありませんか、どうです。
  85. 丸山良仁

    丸山政府委員 大蔵省にそういう事例があるかもしれませんが、建設省の場合には、直轄工事でございましても年間二万件に上る工事があるわけでございますから、これを公開入札制度でやるということになりますと、現在の人員ではとても無理だと考えるわけでございます。
  86. 井上普方

    井上(普)委員 全部やれと言っているのじゃない。その中でいかにして公開入札に近づけていくか。いままでのように、千葉県知事候補が利権とかいって公共事業に利便を与えるというようなやり方が各地に横行しておる。これをいかにして防ぐか、そして効率的な運営を図るかということがまず第一番であろうと思う。予法令予算の効率的運営を図るために出されている。これをやるのが原則なのだけれども、原則なんというのはすっ飛んでしまっている。だから、その入札のテクニックとしてこれに近づける努力をなさる必要があると私は思う。そういう御努力もなさらずに契約の合理化とおっしゃるのは、私はおこがましいさただと思うのです。大臣、いかがです。
  87. 丸山良仁

    丸山政府委員 確かに公開入札制度は望ましい制度だとは思いますが、先ほど御答弁申しましたように、事務的に非常にむずかしいということ、したがいまして、指名入札におきましても、疑惑を招くようなことがないよう、あるいは国損を与えることがないよう予定価格を厳正にやる、あるいはこれが漏れないようにするというようなあらゆる措置を講じて、予算適正化に努めているところでございます。
  88. 井上普方

    井上(普)委員 官房長、あなた役人としては優秀な人だ。役人としたらそういう御答弁をなさる。だから、私は大臣に聞くのです。あなたは政治家だから、昔市長さんをやったというけれども、政治家だと思うから私は聞きたい。こういう風潮、しかも原則としては公開入札、それがいま全然行われていない建設省行政、これに対してどうお考えになるか。また、これを直そうとするおつもりがあるのかないのか、それが効率的な運営、かつまた請負関係の合理化につながると思うのですが、どうですか。
  89. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  某県の事件、非常に残念だと思います。ただ、それをもって全部の云々ということでなく、私は自治体の長のモラルを信じたいと思います。  なお、請負問題につきましては、公開原則であるのにもかかわらず、いま慣習的に指名制度ということをやっているということで御懸念のようでございますが、これは長い習慣でそのことをもってよしとして続けてきておったことと思います。したがって、いま官房長が御答弁申し上げましたように、指名によって生ずるであろう不祥事の可能性を存分に配慮して厳正にやるならば、年間二万件というような膨大な事業を抱えておる建設省といたしましては、従来からの方法として指名をやむを得ずとして続けてきておることと思います。したがって、業界の方々のモラルの問題もあろうかと思いますが、方法、手段で厳正な措置をなされていけば、それほど御懸念のような問題は起こらないし、また起こさしてはならない。起こらないように措置することがまた行政能力でもございますので、先生の御意向は十分承知、配慮しながら、できればそうしたことも方法であろうかと思いますが、現在の制度を続けていくのも一つの方途として進めていく方がいいような感じ方をいたしておるわけでございます。なお十分な検討をさせていただきたいと思います。
  90. 井上普方

    井上(普)委員 あなた、予法令では、はっきりと公開入札が原則になっている。昔から例外のない原則はないという言葉がありますが、公開入札の方が例外になっているのですよ。だから建設省とすればこういう姿がいいとおっしゃるならば、予法令をなぜ直しませんか。これは大蔵省の管轄だとおっしゃるならば、建設省からひとつ指名入札制度を原則とした予法令に改正せよという建議をなされましたか。やったことありますか、どうですか。
  91. 丸山良仁

    丸山政府委員 予法令の契約の条項は建設工事だけではございませんで、あらゆるものに適用するものでございます。したがいまして、建設工事だけについて指名入札を原則としろというような申し出を大蔵省にしたことはございません。
  92. 井上普方

    井上(普)委員 金額の上ではどうですか。金額の上では公共事業の入札が一番大きいでしょう。物品の入札とかそんなのは、恐らく全体の金額からいけば千分の一、それくらいの数字になるのじゃございませんか。少なくとも百分の一は超えておりますまい。予法令はあなたのおっしゃるとおりなんです。しかし金額においてはどうなんだということを考えたならば、これは公共の建設入札が九九%、九八%を占めているのじゃございませんか。その中の大多数を占める契約条項の中で指名入札制度が例外規定として行われていて、これが原則になっておる。これは私はおかしいと思う。だから公共事業を最もつかさどる建設省としては、この予法令というのは、あなた方の立場に立ては時代に合わない、私らの立場は違いますよ。これは時代に合わない、だから直すべきだということを建議したことがありますか。ないでしょうが。それで指名入札制度が合理性があるのだとおっしゃっても、これは私はちょっと腑に落ちない。これはもし時勢に合わないし実態に合わなければ直さなければならない。それがあなた方の務めじゃないですか。それをやらずに、予法令の原則はあるけれども例外措置だけでいっておるというのは、私どもには納得がいきかねるのであります。だから請負契約のこのことについて抜本的に考えていく必要が出てきておるのではなかろうか。いま大臣は地方自治体のモラルについては、ほとんどの自治体は適正にやっておるだろう、こうおっしゃいますけれども、適正に果たして全体が行われておるか、私は大きな疑問を持たざるを得ぬのです。  一例を挙げれば、知事がかわったならば入札業者というのはがらりとかわる。私の選挙区でありますが、知事選挙で反対派の応援をしたというだけで四年間全然入札に加えておらぬというような権力的なやり方をする自治体の首長もおるのです。こういうことが行われておるから、だから権力という言葉も出てくる。公正に行われるべきが、これは国民建設省なんでしょう。あるいは自治体なんでしょう。それが行われていない実態があるから私は申すのです。大臣、いかがですか。この入札制度を本当に抜本的に改正しなければ政治の浄化ということも行われぬであろうし、また、そのことによって日本の民主政治それ自体が危機に陥ると思うがゆえに私は申しておるのです。真剣にひとつお考え願いたい。いかがです。
  93. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 真剣に考えさせていただきたいと思います。
  94. 井上普方

    井上(普)委員 武器輸出じゃないですが、いつまでに真剣に考えて結論を出してくれるのです。
  95. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  私の任期中、どこまで続きますか、とにもかくにも精いっぱい努力する所存でございます。
  96. 井上普方

    井上(普)委員 どうも口先だけで言われると、あなた、昔から巧言令色少なし、という言葉がある。どうも今度の建設大臣は口はうまい。いかにももっともらしいことを言うけれども、実行できるのかなという不安が私にはあるのです。ほかには責任を持ちゃせぬ。ひとつこのことは本当に日本の将来を考えてお考え願いたい。このことを申し上げておきます。  先ほど来建設行政についてこういうことも述べられているのですね。これは二ページ目の真ん中辺。最初は財政関係についておっしゃられておるのだが、「国民生活に密着した施設の整備、国土の安全性の確保及び国土の発展基盤の形成に資する施設の整備を長期的視点に立って計画的に推進することとしております。」これは五カ年計画のことをおっしゃっておられるのだろうと思うのでございますけれども、その中に、まだこの後の方をずっと見てみますと、大臣、今度のあなたの所信表明というのは、私、感心しておることが一つあるのですよ。それは何かといいますと、ともかく国民生活に密着した公共事業を行うのだということを書いています。いままでですと、産業基盤の育成なんということを平気で書いてあったのです。これがなくなっただけ世の中よくなったのだなと思いますけれども、そこで私ひとつ、建設大臣、あなたが市長さんをせられておったときに、国で大問題になった事件があった。御記憶だろうと思いますが、われわれ富士山と言えば秀麗なる山、そして田子ノ浦と言えば平安朝の昔から歌に歌われたながめだった。ところが、田子ノ浦というのはヘドロの海と化し、田子ノ浦付近は悪臭ぷんぷんとする町になってしまった。これはあなたが市長さんのときです。やってしまった。もうもとに戻らないのです。快適な国民生活に密着したような建設行政をやるとするならば、これはあなたが建設大臣におるときにひとつ直すおつもりがありますか。どうです。
  97. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  国民生活に密着した施設、いま田子ノ浦のヘドロの話が出ようとは思いませんでしたけれども、これは長いあの辺の地場産業、製紙業の排水処理の問題から起きたわけで、実は画期的な国、県、事業体、自治体の四者で四等分してヘドロ処理、岳南排水路というものが昭和二十何年か、もう日本で初めての排水処理施設をやったんです。ところが、それが事業執行できないうちに、時代の変化から大きな問題になって御案内のようなことになったわけで、実は私が市長のときに製紙業の代表的会社と自治体と初めて公害協定を結びました。横浜で飛鳥田さんが結ばれた一年前でした。しかし、地方のことでございましたので余り話題にもならずであったわけでありますが、それほど厳しい姿勢で、私は市長のときに日本で最初の公害協約を自治体と一会社と結んで対処してまいったのですが、これは全体の問題としてヘドロ処理という問題が大きくクローズアップされて、全国的にも公害という問題が起きたわけであります。  さすれば、そうした考え方がございますので、何とか建設行政をおあずかりする身でどうしても私の頭にあるのは、国民生活の環境基準の向上、私は福祉を政治の信条としていままで来たわけでありますが、人的な福祉からいよいよ生活環境福祉にもう目を向けるべきだというのが数年来の私の考え方でございましたので、どうしても国民生活ということが頭の中にあって、徐々にではありますけれども、建設行政の中で国民生活の整備という問題が下水道の問題となり、公園の問題となり、治山治水の問題あるいは生活環境の整備ということにつながってきておるわけで、そうしたことがまだ不十分ではありますけれども、今度の予算につきましても、まだ御叱正をいただくかもしれませんけれども、厳しい財政の事情の中で公共事業とあわせて財政当局の御理解をいただいて、精いっぱいの努力をしてきたという自負心だけは持っておるつもりでございまして、限られた予算の中で、こうした問題についてもせっかく努力するつもりであります。口舌の徒と言われないようにしかと事業をやってまいる所存でございますので、ぜひ先生の御理解、御指導をお願いを申し上げる次第でございます。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 政治家は、とかく個人と政治家というものを分けて考える。言い分けをするのですが、大臣、あなた口舌の徒でないように努めたいとおっしゃいますけれども、どうもそんな気がしてならない。あなたは、ヘドロを、一番大きいのを出した紙会社の副社長さんじゃなかったのですか。だから、私は言いたくなかったのだけれども、あなたにもこの秀麗なる田子ノ浦をつぶした責任はある。だから少なくともこういう田子ノ浦を昔のように復元する努力をなさるというようなことをおっしゃるかと思ったのだけれども、ないのははなはだ遺憾であります。  それはそれといたしまして、これ以上言えばせっかく使い分けをされておる人に問題が起こってきますのでこのくらいにいたしまして、ともかくいずれにいたしましても、いまの日本の政治というものが、やはり考えてみますと汚職が起こっておるのです。これほど起こっておる時代は、元禄時代からこっちかけましてないのじゃないか。昭和元禄という言葉がありましたが、汚職も昭和元禄じゃないかという感を深くするのであります。その行き着くところはどうなるか。やはり政治の不信であり、民主政治の破壊につながってくると私は思いますがゆえに、あえて契約制度を抜本的に改正して、そして権力が、あるいは恣意が入り込む余地がより少ないような方法を講じていただきたい。そのことを私はお願いしておるのであります。  これは建設大臣ばかりに申して、国土庁長官に言わないのもちょっとぐあいが悪いので、国土庁の長官にお伺いします。  鈴木内閣というのは大平内閣の伝承だと鈴木さんは総理大臣になられた途端におっしゃいました。その大平内閣が誕生いたしました際に、田園都市構想というのを吹き上げられて、田園都市構想というのは一体どんなものだと言ったら、北斗七星みたいなものだ、こう言った。それで大笑いになったことはわれわれの記憶に新たなところなんであります。だから鈴木内閣としましては、今度はやはり田園都市構想というものが出てくるかと思いましたら、出てこない。国土庁の行政の中でそれが出てくるかと思いますと、これは二ページの前から二行目に「田園都市構想モデル事業を推進するなど」、こうあるのですけれども、田園都市構想モデル事業というのはこれはまた漠然として、ともかく北斗七星か宵の明星かわからぬような事業なんですが、具体的にどんなことをされるのですか、大臣
  99. 原健三郎

    ○原国務大臣 御承知のように、田園都市構想は大平内閣においてその哲学なり理念なりを打ち出されまして、具体的なことをお聞きする前に急逝されました。それで、われわれ国土庁としてもそれを受け継ぎまして、鈴木総理とも相談の上に、国土庁でひとつその田園都市構想を進めていこう、こういうところまで来ました。  それで、ことしも定住圏構想の中で田園都市構想を実現しようと思いまして、昨年夏ごろ全国四十都道府県に、各府県一カ所ずつそういうモデル地区を選定いたしました。どういうふうにやるかということは国土庁でこれを規定して、押しつけるというのではなくして各地方の、徳島にも一つ決まっております。いずれもその地方によって特色がある、たとえば医学を中心に進めてくれとか、うちの方では体育の事業をやってくれとか、私の方のモデル地区では特別の研究をやりたいとか、主として青年を中心としてそういうことを研究して、地方の市町村長並びに県当局とも連絡して国土庁と相談の上にいま進めておるところであります。  そのいわゆる田園都市構想、定住圏構想の予算として、ことしは新たにその予算も計上されて、これからいよいよ実を結んでやるということのようでございまして、まだその入り口にありますので、十分開花するところまでは至っておりませんことは残念でなりません。
  100. 井上普方

    井上(普)委員 田園都市構想というのは、いまの大臣のお話によりますと、地方自治体の独自の特色を生かすような事業をやらすのが田園都市構想なんですよ。いまあなたのおっしゃられたことだけでありますと、地方自治体が独自のといいますか、特色のある事業をやるのがモデル事業だというように受け取られるのですが、どうなんです。
  101. 原健三郎

    ○原国務大臣 必ずしもそういうのではございませんが、具体的に入ってくると、いま私が申し上げたように、地方の、どちらかというと過疎の土地に青少年が定着していただく、そしてそこに、その田園の中に住みよい町づくりをしていただく、それには地元における青少年の意向が非常に影響します。地方によっていろいろ希望も違いますから、それをよく把握して、そして自治体並びに県当局と国土庁とも相談の上に進めていく。それを、初めの土台をしっかりしないと田園都市構想が花開いて実るところまでいきませんので、そういう地方によって若干の違いがありますが、一律にこれをやります、これをやりなさいというようなことでなくして、まず地元の意見もよく聞いて田園都市の花を開かせていく、こういう考えでございます。
  102. 井上普方

    井上(普)委員 田園都市の花開くと言うけれども、それは流行歌にはありそうだけれども、田園都市構想の話とは私はほど遠いと思う。田園都市構想というのは、私、野党ですよ、批判した方なんです。しかし推測するところ、鈴木内閣はこれを踏襲しているんだから、私らが解釈してあげるのは不都合なのかもしらぬけれども、田園都市構想というのは、当時の大平さんの言い分からいたしますと、都市の持ついい機能をさらに発展させるんだ、同時に田園、いままでの田舎が持っておるいいところをひとつ発展さして、町の機能と田舎の機能とを合致させたような都市を今後つくっていくんだ、こう私は理解しておった。いまの話だったら、それじゃ地方の時代と言われる地方自治を伸長させるというだけの構想じゃございませんか。どうです。
  103. 原健三郎

    ○原国務大臣 私は角度を変えて、先生のおっしゃったそういう立場から考えると、同じことなんです。大体そういう構想でございます。
  104. 井上普方

    井上(普)委員 大分違うんです、これは。(原国務大臣「余り違わない」と呼ぶ)余り違わないことない。あなたのおっしゃるのであれば、地方自治体の独自性を発揮させるのが田園都市構想だとおっしゃるけれども、大平さんの言われた北斗七星とは大分違いますよ。
  105. 原健三郎

    ○原国務大臣 ちょっと事務当局から発言させます。
  106. 井上普方

    井上(普)委員 もういい、私はこれは政治家として聞いているんだから。これくらいのことは御答弁していただかなんだら、ちょっとぐあいが悪いですな。  いずれにしても田園都市構想というのはどうもわかったようなわからぬようなものでもあったし、そのうちに、いや定住圏構想と矛盾しないんだということを国土庁は言い出したし、自治省では中核都市にこれは合致するものだとか、何とかかんとか言い出して、うやむやのうちに続いて今度は田園都市国家構想なんといってえらい壮大なことを言い出した。そのうちにお亡くなりになって、言われた人が北斗七星の方に近づかれていった。しかし、やはりその方針を踏襲されるのでありましたならば、そういうことをおっしゃっている以上は何らか方針を出さなければならないと私は思う。  当時を考えてごらんなさいよ。国土庁は田園都市構想というのが出されると、いやうちの方が本家だ、あるいは建設省はうちの方が本家だ、いや実施するのは地方自治体だから自治省だといってなわ張り争いを盛んにやったものですよ。ところがいまになったら、自治省も建設省も田園都市構想を全然言われなくなった。あいさつにまでない。国土庁のごときも、これをずっと読んでみましたら、二ページの最初の一行目に「新たに田園都市構想モデル事業を推進するなど」と、これだけしかない。官庁というのは権力に弱いもので、総理大臣の意のままに、意に沿おうと思って何とかともかく自分の権限を広げたいのが役人の通例でありましょうが、これを見て、一体あれだけ大騒ぎした国土庁はどうなっているんだろうという感を私は深くいたしておるのであります。  いずれにいたしましてももう時間がございませんで、あと二分ほどなんでございますが、私、あなたに本四架橋の問題につきましても実は質問を用意してきておったのであります。これは次の機会に譲らしていただきますが、要は先ほど来も申しますように、公正な行政の執行をひとつやっていただきたい、そしてまた、公正な行政ができるような指導をひとつ建設省国土庁にやっていただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 稲村利幸

    稲村委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  108. 稲村利幸

    稲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  109. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設大臣がまだお見えになっていませんので、大臣が来る前にちょっとほかの問題を質問させていただきます。  道路公団お見えだと思うのですが、二月十一日に名神高速で玉突き事故があったわけでございます。三十三台、四人の方が亡くなるという大変痛ましい事故でございますが、事故の概要等は別問題にいたしまして、公団としてこういうようないわゆる降雪期において、道路安全走行を確保するためにどのような処置を講じたのか、その講じた内容について御説明をいただきたいと思います。
  110. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  二月十一日の二時十分にただいま先生から御指摘ございました三十三台の玉突き事故がございました。実は二月十日の十時二十分から気象予報によりまして五十キロ規制を彦根−関ケ原インターの上り下り両線におきまして実施いたしてございます。特に彦根−関ケ原間におきましては、地形的と申しますか、山脈の外れの伊吹山、それから鈴鹿山ろく、その間に平地がございまして、その区間に日本海側から寒気が押し寄せる、あるいは湿った空気が来るということで非常に雪の多いところでございまして、公団もかねてからこの地点につきましては雪氷時期に対する態勢を十分強化するというようなことで、彦根管理事務所におきましては除雪機械の十分な配置をいたしましたし、また、パトロールの強化、それから雪氷時期に対する対応、こういったものについて十分な施策を練ってまいったわけでございます。  それで、その後雪が降ってまいりましたので、十一時二十分から凍結防止のために薬液並びに薬剤の散布を彦根−関ケ原間について行っております。それから、なおまた雪が降ってまいりましたので、十一時四十分から除雪車を出しまして除雪の作業を実施しております。あわせてドライバーに安全走行をお知らせするために、可変情報板によりまして雪、五十キロ規制あるいは速度を落とせ、スリップ、こういったような情報を提供いたしまして、道路利用者に安全運行を喚起してまいったわけでございます。  その後、なおまた雪が激しく降ってまいりましたし、また、吹雪で視界が不良というような現地からの情報が入りましたので、警察御当局と御協議申し上げ、また警察からの指示をいただきまして、私の方ではいわゆるチェーン規制の情報板を開始したわけでございます。その時刻は二時十分となっておりますが、一応彦根インターの情報板には一時五十六分でその情報を流しておるわけでございます。  以上でございます。
  111. 薮仲義彦

    薮仲委員 要点だけ簡単にお答えください。  公団側として、いわゆるこういう積雪時の事故防止のためにチェーン規制をするということが当然行われる事態だと思うのですが、チェーン規制をする判断基準、どういう条件が来たらチェーン規制をするというのか。これが一つ。  それから、チェーン規制等の判断を行うときに、公団側は当然また警察との協議ということになると思うのですが、どちらが最初にこういう問題を発議しなければならないのか。あるいはこれはどちらかがやるんでしょうけれども、チェーン規制そのものは公団独自の判断でできるのか、それとも警察の判断にまつのか、その辺いかがでしょうか。
  112. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  チェーン規制に入ります状況でございますが、これは一応そういったような基準はございません。ただ、現地をパトロールいたしまして、これは警察交通隊も同じようでございますが、パトロールするということと、この区間におきましては気象観測所、いわゆる定点観測所と申しておりますが、三ケ所ございまして、そこに降雪時には要員を配置いたしまして、その観測員が時々刻々移り変わる気象状況あるいは路面状況、こういったものを管制室に連絡がございます。それと同時に、いま申しましたパトロールによる情報がございまして、それによって判断して、交通規制に入るかどうかということを警察と御協議申し上げるわけです。もちろん警察の方でもパトロールしておりまして、両者で御協議申し上げるわけでございます。  そして、ただいまの規制でございますが、規制につきましては警察の方で規制するということになって、公団はそれに対して情報板のスイッチを押すというような状況でございます。
  113. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの公団の御説明ですと、チェーン規制のいわゆる判断基準が必ずしも明確じゃないという御答弁ですが、警察はいわゆる降雪時のチェーン規制、特に高速道路を走行中の車に対してチェーン規制をしなければならないという判断基準はお持ちですか。
  114. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  初めに、チェーン規制ということの意味につきましてちょっと私の方で御説明をさせていただきたいと思いますけれども、実は道路交通法七十一条に運転者の遵守事項というのがございまして、これに基づきまして各県公安委員会が運転者の守るべき事項の一つといたしまして、雪氷時には滑りどめのタイヤをはくとか、あるいはチェーンを巻くとかというふうな措置をとってからそういうふうな場所は走行しなければならぬ、こういうふうな規制を定めておるわけでございます。そういう意味からいきますと、運転手の方々は道路が滑りやすい状態になりました場合には自主的にチェーンをはくなり、あるいはスノータイヤをつけておくなどして走行していただかなければならぬ、こういうふうなことになっておるわけでございます。したがいまして、今回の場合に行いましたチェーン規制と申しますのは、そういうふうな運転者が守るべき義務につきまして道路公団の方と協議をいたしまして、あるいはお願いをいたしまして、チェーンをつけて走行してくださいというふうな強力な指導をした、こういうことでございます。  なお、そういうふうな指導をする基準でごさいますけれども、一般的に高速道路等におきましては、二センチから五センチ程度の積雪があるような状況になりました場合には、道路公団の方と御相談申し上げまして、いま申し上げましたような電光表示板に出すとか、あるいは警察官が自動車を停車させてチェーンを巻きなさいというふうな指導をするとか、そういうふうな行為に移っておるということでございます。
  115. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設大臣、きょうは自治大臣を呼んでおりませんので、道路管理者という立場からいまの問題をお聞き及びだと思うのでございますが、警察はいわゆるドライバーの遵守義務ということで、ドライバーがチェーンを自分ではきなさい、簡単に言えばそういうことですね。そこに問題があると私は思うのです。今度、マスコミが言われるように、チェーン規制がもっと早ければあるいは適切であればこういう事故は起きなかった。チェーン規制したときに、その規制した後、十分後に事故が起きていますし、そして警察がインターのところで車をとめてチェーンを着装させる前に入ったところの車が全部起こしている。今度の車は全部チェーンを着装しておらない。それは私は、責任逃れとかなんとかということをここで言うわけじゃないのです。こういう事故を再び起こさないためにどうあるべきか。いまの警察のようなことを言ったのではいつまでたっても事故は直らぬと思うのです。なぜ直らないか。たとえば周辺地域の、さっき公団の方は積雪の量を観測点を持って調べております等々、あるいはこの辺は非常に降雪の地帯でありますということは何か。あるいは気象条件等を調べて、これから数時間にわたって雪が降る、あるいは道路上に雪が積もる可能性があるという情報を管理者は持っていなければならない。警察としても当然そういう情報を的確につかんで、それを高速道路上を走っているドライバーに伝える責任があると私は思う。ドライバーが勝手につけなさい、そんなことを私は言っているのではないのです。事故を再び起こさないために、いまもお話しのようにチェーン規制をしなければならない。強制的にでも何でもチェーンは着装させなければ事故が起きるのであれば、警察としてあるいは道路公団側として、事故を起こさないために着装させるべきです。そのためには、私はいまのようなことでは納得できません。やはりここで必要なのは、このような気象条件に際しましては、道路公団であれ警察であれお互いに協議をして、この程度の積雪であるとチェーンの着装の必要があるじゃないか、あるいは道路交通上スピードを五十キロに落としました。あるいはそこでもっと——私は静岡ですから、大臣も御存じだと思うのです、あの日本坂トンネルの大惨事、あれ以降日本坂トンネルの中は強制的に追い越し禁止になっているのです。スピードも強制的に落としています。あそこは追い越し禁止になっていますから、スピードを上げようとしても上げられないのです。いわゆるチェーン規制する前にスピードダウンも結構です。あるいはあの彦根、関ケ原のインターのあたり、あそこは強制的に追い越しをしてはいけませんよとか、何らかの具体的な措置をする。日本坂の例を見て、あれ以降あそこは安全を守らなければならないという意識をドライバー自身が非常に持っています。あそこの中でスイッチを入れますと、この中は安全走行を守って八十キロあるいは追い越しをしちゃいけませんとか、いろいろな情報が流れできます。そうすると、ドライバーの方ではそれをきちっと守ろうという気持ちになってまいります。こういう積雪寒冷の地域の高速道路上はドライバーに任せるのではなくして、危険が予測されるような事態になりましたら、確かに早くチェーンを着装させることは路面を傷めますから考え物ですけれども、まず基準を決めておいて、必要になったら双方で、この時点になったらチェーン着装をさせましょう、そしてまた、チェーン着装の必要な一番すれすれの段階で事故が起きやすいと思うのです。そういうときは、パトロールカーが途中にとまって点滅しましたというお話もございましたが、それではまだ弱いと思うのです。パトカーが先頭を走りますと、後の車はきちっと五十キロなら五十キロで走りますから、そのようなスピード規制もむしろ積極的にやって、事故の再発防止のために追い越し禁止であるとか、スピード規制であるとか協議をして基準を決める、判断基準を明確にする、そして事故の起きないように私はしていただきたい。いま基準がないのであれば、これから道路管理者である建設大臣の方から自治大臣の方とお話し合いをいただいて、こういう事故が再び起きないように、私も高速道路上を絶えず走行する者の一人として、ドライバーにぜひとも安全、的確な指示を与えていただきたい、こう思いますけれども、大臣のお考えを……。
  116. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先ごろの日本坂トンネルの事故の折、このたびの関ケ原の事故、薮仲先生、交通事故に対しての御懸念を非常にいただいて、いろいろな面で御指摘をいただいておりますことに敬意を表する次第であります。  日本坂トンネルの場合もそうでありますし、このたびもそうでありますが、道路管理者としては事故の起きない交通施設をやるということがまず第一点でございます。それとあわせて取り締まり当局の指導よろしきを得るということが、交通事故を防ぐ一番大きい手段であろうかと思います。このたびの場合も相当の配慮をしたであろうかとも思いますけれども、若干不十分な面があったことと、交通規制の前後に突っ込んできた自動車によるスリップ事故がああした大事故を起こしたわけで、その点の時期的な問題もこれからは検討の問題であろうかと思います。  なお施設の問題、情報収集、伝達、指導の問題について万遺漏のないようにこれからも協議を重ねて進めてまいる一方、これは警察庁、運転免許を与える方の所管であろうかと思いますけれども、私もドライバーなんですけれども、日本坂トンネルの後も私よく通っているのですが、やはり運転マナーが悪いということです。いま御指摘のような規制があってもなおかつ追い抜きをやるとか、スピード違反は後を絶ちません。したがって、免許証取得の折にやるのがいいのかあるいは交通違反に対する罰則を強化するのがいいのか、何とか道路管理者、取り締まりそれから運転者みずから、この三位一体となってこの問題は徹底して進めていかないと、日本の場合は交通事故がなかなか減らない。豪雪地帯の折でございましたけれども、建設省で基幹道路の交通規制を早く解除するために一生懸命で除雪車を配置してやっておるのですが、いわゆる無雪地方から来られたドライバーの方がどんどん突っ込んできて、違反続出で非常に迷惑を受けるという問題もあるわけで、施設と取り締まりとマナーと相まって、先生指摘のようなことを配慮しながらなお積極的に対処してまいりたい、このように考えておるものでございます。
  117. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はきょう、この事故を通じて再び事故を起こさないでほしいという願いを込めて問題提起をしたわけでございますから、どうかそれぞれ所管の官庁で御協議、検討いただいて、今回の事故の原因が那辺にあったのか、どうすればいいのか、そして安全走行が確立されるようによろしくお願いをする次第でございます。  道路公団の方、警察庁、ありがとうございました。結構ですから。  では私、本論の方の住宅問題、土地問題の方へ質問を移させていただきます。  まず最初に住宅問題からお伺いをしたいわけでございますが、建設省が五年ごとに実施なさっております住宅需要実態調査、これは五十四年の五月発表なさった資料でございますけれども、これによりますと、狭いとか設備の不良、家賃が高い、プライバシーが守れない等々の理由から、全国民の三八・九%、約四割近い方、一千二百五十六万世帯の方が住宅の困窮を訴えておる、こういう報告がなされております。しかもこれは前回の調査に比べますと、かえって住宅困窮世帯が二百五十三万ふえております。五年ごとでございますから、前回、五年前の調査からもちろん政府の施策で建てた住宅あるいは民間の自力建設等々で、トータルしますと約八百万戸住宅がふえた。八百万戸住宅がふえたのに住宅困窮を訴える方が約四割、三八・九%もいる。家は建ったけれども困窮を訴える方がふえたというのは一体どこに問題があるのだ。これは先般同僚の伏木委員指摘しました居住水準、居住環境、こういうことをもっと重視した住宅政策がこれからなければ、単なる戸数をふやせばいいということには大きな問題があるのじゃないか。ですから、いませっかく建設省がいろいろ施策を講じて住宅対策を立てても、やがてこれが国民の不満ということになって不満がふえていくのであったら何にもならない。決してそういうことではないと思いますが、やはり二十一世紀の将来にわたって最も好ましい住宅を建てるべきだと私は思うわけですね。ここで質の転換という問題が、私非常に重大な点だと思います。特にまた、総理府の住宅統計調査、これでは逆に二百七十万戸の空き家がありますよという統計も出ております。そうすると、空き家はある、家は建てた、でも住宅困窮を訴える方がふえているという問題は、今後の住宅政策、建設省の立てる計画、政策の中で最も大事な点として考慮していかなければならないと思うわけでございますが、この問題に対して四期五計の中でどのようなことを盛り込むというか、これを解消するために努力を払ったのかお聞きしたいと思います。
  118. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 まず私から若干事務的な事柄につきましてお答え申し上げたいと思います。  先生指摘の住宅需要実態調査によりますと、住宅に困っていると感じている世帯の数は四十八年の調査に比べて増加していることは事実でございます。しかしながら、この間に住宅の量あるいは質につきまして着実に向上が図られておるということも事実でございます。また、住宅に困っているとされる世帯のうち、何とかしなければならないほど困っていると感じていらっしゃる世帯は七・四%から五・五%と減少しておるわけでございます。また、その困っているとする内容につきましても、住宅の規模から日照、通風、住宅の設備あるいはまた住環境全般へとその範囲が広がりを見せております。こういったような点から見まして、私どもは今後はより質のよい住宅を求める国民のニーズに対応いたしまして、六十年を展望いたしまして最低居住水準未満の世帯の方々の解消を図り、また平均居住水準の達成を二分の一以上の世帯において行い得るような施策を講ずるということで、そういったようなことを基本といたします第四期住宅建設五カ年計画の案につきまして現在検討を進めておるところでございます。
  119. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  いま政府委員から数字的なことをお答えしたわけでありますけれども、先生指摘のように、確かに住宅バランスは数的には一応世帯数を満たしている徴候が出ております。ただ問題は、御不満があるような方々は、特に過密都市における質の向上に対するお訴えであろうかと思います。家族数、家族構成等々のバランスを欠く面から、住宅需要というものが質の向上に向かってきておるわけでありまして、その点につきましても十分配慮しながら、過密都市を中心に質向上を図ってまいる所存でございますし、四期五計の中にもそれを盛り込んで推進してまいりたい、このように考えておるものでございます。
  120. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではちょっと具体的な問題で伺います。  建設省が昭和五十年、鳴り物入りと言うとちょっといかがかと思いますけれども、いわゆるハウス55という計画を打ち出されたわけでございますが、どうやらこのハウス55計画も軌道に乗るという段階でございます。しかし、いま御答弁の中に国民のニーズにマッチするというお話があったわけでございますけれども、これからの住宅というものは国民の非常に多様化したニーズをくみ上げていきませんとむずかしいというか、かえってむだになる施策が出てきてしまうんじゃないかという感じがするわけです。  それに関連して、土地の問題は後で聞きますが、ハウス55、当初五百万でといううたい文句でスタートしたわけでございます。当時は住宅が八百万円台。六割ぐらいでできるということで非常に期待を持たれたこのハウス55でございますが、ここで出てきたものがどうか、三LDKで九百五十五万、こういう値段で公表されておるわけでございます。  そこで、このハウス55をこれからの建設省の住宅建設の中でどのような位置づけをするのか。せっかくここまで政府が開発資金を使った建物ですから、これをどう位置づけるのか、これが一つ。それから、これは一万戸つくって初めて生産コストが合ってきますよという問題ですが、この計画で見ますとまだはるかに下のオーダーで出ているわけです。この値段で供給が今後どの程度可能なのか。そしてまた、このようにコンパクトな建物が国民のニーズに果たして合うのかどうか。先ほど来言われておりますように、値段だけで国民の十分満足するような家と言えるかどうか。さらにはこれは上物だけです。上物に土地の値段を足すと一体どうなるか、これは大臣御承知だと思います。この首都圏、東京都内といいますか、平均的な平米単価はもう二十万ですから、坪にすれば六十万です。このハウス55を乗っける土地代というものを考えますと一体どうなるか。こういう点考えて、果たしてこれが国民のニーズにマッチする住宅として脚光を浴びることができるのかどうか。  一つだけ聞きたいのですが、ハウス55を乗せる土地の広さですね、どの程度で見ているのか、坪数だけちょっとお答えいただけませんか。
  121. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもが開発いたしましたハウス55の住宅を乗せる土地の御質問でございますが、皆様方御使用になられる方々の御事情によって違うかと思いますが、一応百平方メートルから二百平方メートルぐらいの間のところでいけるのではないかというふうに考えております。
  122. 薮仲義彦

    薮仲委員 百平米としますと、平米二十万としますと二千万です。これの上に乗るわけですから二千九百万、三千万の建物になるわけです。果たして三千万のお金を使ってこういうコンパクトな、形の決まったような家を建てようとする気持ちが出てくるかどうか。三千万使うんだったらもう少し自分の気に入ったような設計をして、自分の住みやすいようにしようかなという気持ちが起きないかどうか等々を含めまして、先ほど私が指摘したようなこと、建設省はいかがお考えか御答弁をいただきたいのです。
  123. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもがハウス55を最初に企画いたしましたときの目標といたしましては、国民の方々に良質で低廉な住宅を供給するということで技術開発をしたものでございます。そういうような意味で、現在三つの系統のうちコンクリート系統のものが一応先発してスタートいたしておりますが、先生からも先ほどお話がありましたように、当初の発売価格は一応所期の目的を達しておるというふうに考えられまして、住宅金融公庫のコンクリート系の簡易耐火構造の一般的な、平均的な標準価格に比べますと、今回の価格につきましてはその大体七三%から七四%程度の価格となっておりますことから、国民の方々にも低廉ということにつきましてはかなり御利用いただけるのではないかと思っております。そういうような事柄がまた住宅産業界に対しても少なからず好ましい刺激を与えるというような面に着目いたしまして、今後の住宅政策にもかなり大きな刺激を与える、また推進ができるものと思っております。また、金属系の住宅につきましても、現在企業化の点につきまして申請をなされておりますので、順調に進みますならば五十六年中に発足できるという点も考えられようかと思います。  また、御指摘のとおり、これからの住宅は大量生産を通じて初めて安定するということがございます。そういうことで、一万戸程度の量になれば相当の安定が図られるかと思いますが、当面の企業としての目標は五十五年度千戸、五十六年度二千戸、五十七年度に五千戸程度を供給することを目標として進めておるというふうに聞いております。これも地域的に偏りがあってはいけませんので、当面は三大都市圏を中心として供給するというふうに聞いておりますが、さらにこれが広く全国的に使われるようなことになれば、先ほど先生がおっしゃったような意味での安定的な供給が図られるのではないかと考えておる次第でございます。  また、土地につきましては、御案内のとおりこの住宅問題は宅地の供給とその価格の安定ということが重要な事柄でございますが、関係省庁あるいは建設省内の関係局とも十分協力いたしまして、今後の住宅政策上住宅地の供給と、その価格の安定にもなお一層努めてまいりたいと思っております。
  124. 薮仲義彦

    薮仲委員 その話はわかるのですけれども、このハウス55というのは先刻御承知のように、設計段階から、そして建物については新建材を開発してというようないろいろな問題を抱えてスタートしたのです。いまきれいごとをおっしゃいましたけれども、その建設材料はとても開発できませんよ、床材料だってこれじゃ合いませんと言っておりた業者もいることを私はよく存じておるわけでございます。しかも、でき上がったものが土地の値段を含めれば三千万から五千万です。こういうものが果たしてどうなのか、一つの今後の住宅政策としてこういう方向はどうなのかということで問題提起したわけでございますから、これがいま御答弁のようにますます前進するならば非常に結構なことでございますけれども、私は最初に申し上げた問題、そして新しいハウス55の問題等は、これからの住宅政策はどうあるべきかという一つの大きな課題として研究をしていただいた方がよろしいんじゃないかな、こういう考え方はかえってまずいという考えも私は心の中で思っていて申し上げるわけでございますから、これを含んで今後の建設省の方向をお考えいただきたいと思うのです。  時間がありませんから次に行きますけれども、次の問題は、住宅対策の中で特にお年をとられた方、高齢者の方の対策ということは、これから住宅政策上非常に大事な点だと私は思います。もう御案内のように、日本の国は諸外国に比べて非常に早いテンポで高齢化社会に向かっているわけであります。総理府の統計、これは推計でございますけれども、昭和五十年代に総人口が一億一千百九十四万人、高齢者、六十五歳以上の方が八百八十七万人、比率が七・九%。五十五年、これははっきり出てまいりますけれども、いま推計としては高齢者が一千六十一二万人、九・一%。ここから七十年代になってまいりますと一千六百五十万人、一二・七%。やがては二千万を超えて一五・五%になりますという総理府の統計が出ているわけです。お年をとられた方が日本の総人口の中で占める割合が急激にふえてくる。しかも今度は厚生省の発表によりますと、これは五十五年六月五日現在で六十五歳以上の高齢者世帯が百六十五万九千世帯。これは五年前の五十年に比べますと五五・二%の増。さらにその中でひとり暮らしの単身世帯は五十年に比べますと九十一万世帯となり、四九%もふえております。こうなってまいりますと、いやおうなしに日本の人口構成が高齢化社会に突入するということはもう焦眉の急です。そうすると、私はやはりこれからの住宅政策の中に、日本の高齢者の方に対して温かい思いやりがあることが大事な政策の課題だと思います。特に御承知のように、家族で住んでいるお年寄りは結構です。一番冷たいといいますか、さびしい思いをしなければならないのはひとりで暮らしていらっしゃるお年をとられた方です。たった一人の、いわゆるひとり暮らしの御老人に対して民間のアパートは必ずしも気持ちよく貸そうという気持ちはございません。借家も同じです。今日まで公共的な賃貸住宅が約二百二十万余建てられた、こう言われております。しかし、その中で本当にひとり暮らしのお年寄りに対して配慮があったかどうか。皆無に等しいと思うのですね。ゼロとは言いません。しかしやはりこういう時代を考えますと、具体的な形でこれからお年寄りに対して施策が必要だ。しかも、もう一度総理府の統計を挙げて恐縮ですけれども、じゃお年寄りの気持ちになったらどうなんだ。お年寄りの気持ちによると、老人問題に関する世論調査、これも総理府の統計です。老人ホームの入居について、七五%の人は入りたくないのです。入ってもいいという方はわずかに一二%です。やはり老人ホームに行かないでひとりで生活あるいは家族と生活、こういう御希望をお年をとられた方は持っていらっしゃる。私は建設省としてこういう問題にこれからいやおうなく取り組まなければならないと思いますし、四期五計の中でも当然これは検討しなければならない。高齢化社会に対する住宅政策についてどうお考えがお伺いしたいのです。
  125. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生指摘のとおり、今後の高齢化社会の到来に伴いまして、単身老人世帯あるいは老人夫婦のみの所帯等老人世帯がふえますとともに、また、老夫婦と子供の世帯の同居志向というものも強まっていくと思われます。私ども住宅政策の面におきましては、従来から公営住宅につきましては老人同居世帯向けの特定目的の公営住宅の供給といったようなことを実施しておりますし、最近はまた単身の老人につきましても公営住宅に入居できるような措置を講じてまいったところであります。また一面、住宅金融公庫におきましてもこれらの方々と同居されるような世帯の方々に対しましては割り増しの貸し付けを行っておる。あるいはまた、住宅公団につきましても優先入居の方法等を講じております。今後ともこういったような方々がふえますし、また世論調査等におきましても子供さん方と一緒に住む、あるいはまたすぐ近くに住む等々の御希望が強くもなっておりますし、今後その傾向といいますか、数もふえていこうかと思いますので、それらに対しまして今度の第四期の住宅建設五カ年計画におきましても着実にこれを達成する中で、特段にこういった老人問題につきまして重点的に推進をしていきたいというふうに考えております。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大臣に政治的な御決意として伺っておきたいのですが、私は老後の住宅の保障というのは、老人福祉といいますか、社会福祉の上に立って考えますと、非常に温かい思いやりのある大事な施策だと思うのです。これは諸外国の例をとるのはいかがかと思うのですが、たとえばデンマークなどは公共住宅の一〇%はもう老人向けの住宅というふうにきちんと義務づけておるわけです。オランダでも六%、フランスは五%、こういう形でお年をとられた方の生活権といいますか、老後の保障を住宅の面から守ってあげる。そういう意味できょうはパーセントまでは要求いたしませんけれども、これからひとり暮らしの方、そういう単身の方のための公共住宅の設計等を含めまして、今後の政策の中でそういう面を強制的にこれぐらいは確保するという方向づけを検討するお気持ちがあるかどうか、その辺をお伺いしたいのです。
  127. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  高齢化社会を迎えるというよりもすでに高齢化社会に入っておるわけで、当然住宅政策の中で先生指摘のようなものはもう検討すべき時期ではなかろうかと思います。従来から一応そうした方々の建て増し等の融資についてはやってはおりますけれども、なおこの問題につきましては前向きで検討する時期であろうか、このように考えます。  問題は、日本の社会環境がひとり暮らしの老人、老夫婦、そのアフターケア、環境、健康いろいろなものを総合的に配慮しなければならない問題もあるわけであります。あるいはまた家族意識の問題で、同居家族を好む人と好まない人、どうもこのごろは核家族と言われて老人の方々を家庭から離すような風潮もあります。そうしたこともあわせ考えながら、とにもかくにも所管省としては老人対策につきましては前向きで、せっかくヨーロッパの事例もお示しくださいましたので、それらを参考にして対処してまいりたい、このように考えます。
  128. 薮仲義彦

    薮仲委員 これも事務的にどうのこうのと言うと大変むずかしい問題になりますから、大臣としていま私が提案するようなこと、これをどうお考えがお伺いしたいのですが、これは実際あるのです。東京の中野区が実施しております民間アパート活用方式、こういうのがございます。これはどういうのかといいますと、中野区では通常の社会福祉施設があるわけです。それだけでは十分でないということで、そういう法的な面での保護ではなく、法外保護というような形で、一人暮らしの御老人、お年をとられた方を、五十年度から区内にあるアパートを区が確保して、それが大体三万三千円から三万六千円ぐらいの家賃、これはもうアパートを設計、建設の段階から区が業者と話し合って、家賃もこのぐらいでどうだということを決めてつくるわけですが、そして、そのお年寄りの前年度の所得に応じまして、お年寄り一人平均四千五百円ぐらいで入居できるように区が実施しているわけです。こういうのは世田谷、杉並、練馬等でも同じようなケース、形は変わっておりますけれども、こういうことをやっているわけです。これも私は非常に好ましい考え方一つではないかと思うのです。いわゆる公共の建物にお入りいただくだけが問題じゃなくて、民間の中でお過ごしいただくことがどれほどお年をとられた方の精神的な安らぎになるか、かわいい子供の声を聞きながら生活できるということは、私は非常にいいことだと思うのです。そういう意味で、政治的な判断として国がこれを研究して、具体的な施策としてお考えいただく決意はないかどうか、その辺をお伺いしたいのです。
  129. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  非常に結構な制度といいますか、方策をやっておることをお示しくださいましたわけで、一つの参考として研究させていただきたいと思います。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 これももう時間がないので大臣にどんどん聞いていきますが、これは先ほど来、きょうの午前中も公共事業の問題がずっと出ておりました。私はその問題をあのような観点ではなくして、やはりこれからの景気政策上非常に大事だ、その一番根っこは何だろう。  御承知のように、政府は第二次総合経済対策ということで打ち出すわけでございますが、一つは金融政策の機動的運営、二番目が倒産の増大している中小企業対策、三番目が物価対策の強化、四番目が五十六年度公共事業の前倒し執行、こうなっているわけです。特に公共事業につきましては、先ほど来、七〇%以上を超える公共事業というものを前倒しすることが大事だということが大臣のお話にもございました。私もそうあってほしいと思っております。しかし、これは過去における五十二年、五十二年ごろの例を見ますと、政府が前倒しするぞ、こう声をかけますと、建設資材がじわじわじわじわ上がってくるわけです。いま現在、御承知のように住宅産業は不況です。建設資材はいま横ばいあるいは下がっているものもございます。これが前倒しするぞと言ったとたんに、骨材からあらゆる一切の資材がぐっと値上がりします。やはりこのような財政事情の厳しいときに、景気を浮揚させ、そして経済活動を活発にするのは、一にかかってこの資材の高騰を抑えるということが非常に大事だと思うのです。  これは何も建設省だけの問題ではないと思うのです。通産初め関係省庁、あらゆるところで力を合わせて、特に住宅産業は不況の折ですから、大臣としては、この建設資材の高騰については全力を尽くす、本年終わったときに、さすがあの大臣のお力で建設資材は上がらなかった。これだけ所期の目標を達成できたというような形で努力をいただきたいと思うのですが、この点、大臣いかがでしょう。
  131. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  昭和五十四年、五十五年度におきましては、御承知のとおりのOPECの石油価格引き上げ、また木材等の現地価格の上昇、さらには円安傾向等で、建設資材もかなりの高騰をいたしました。五十五年の年平均で見ますと約一二%も上がりました。しかし最近におきましては、お話のように落ちつきぎみでございまして、一部の木材とか小棒などは反落をしておるような傾向でございます。  元来この価格につきましては、市場のメカニズムを通じて形成されるわけでございますけれども、しかし、それはそれといたしまして、売り惜しみとか買いだめとか投機的な行動によりまして価格が異常に高騰することにつきましては、私どももこれを抑制しなければいけないと考えております。  建設省におきましては、各地方建設局ごとに、事業執行いたします各省の出先機関、さらには国鉄とか公団等の出先機関、また、労働省あるいは通産省等の労働、資材を担当いたしております各省の出先機関をもちまして公共事業施行対策地方協議会というのをつくっておりまして、ここでいろいろ事業の進め方についても相談し、資材、労働の安定的な供給確保等につきまして相談をもいたし、また、価格の監視等も行ってまいっております。  さらに、全国二十五の都道府県に各四十社程度のモニターがございまして、需給の動向とか価格の動向の情報を得まして、毎月これをやっておりますけれども、こういうものをもちまして、通産省とかあるいは木材につきましては農林省を初めとする関係省庁と緊密な連絡のもとに、価格の上昇の防止に努めております。  さらに、経済企画庁が世話役になりまして、これは関係各省のほかに公取委も入りまして、建設資材等の関係連絡会というのがございます。そこにおきましてもこの価格問題につきまして十分関心を持ちまして、先ほど申し上げました買いだめとか売り惜しみとか投機的な価格の上昇がないように、今後も十分監視をいたしてまいりたいと考えております。
  132. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま政府委員から具体的な方途につきましてはお答えしたとおりであります。政策的にどうするかという問題であろうかと思いますけれども、幸いに、景気環境の伴ったせいもありましょうけれども、建築資材等は一応鈍化の傾向を示していることは事実であります。  なお、景気刺激の上から四・四半期の完全執行、また、昨今新聞紙上に上半期相当前倒し、公共事業も積極的にということが出ますると、先生指摘のように、確かに日本のそうした経済界は敏感でございますので、これは早目に手を打たなければならないということで、先生御懸念で御指摘があったと思います。これはやはり、業界のモラルの問題もありましょうし、積極的に徹底して業界指導を所管省としてやらなければ落ちつかないと思います。これは、過去の例のように、やはり自分たちで自分の首を絞める、資材が上がって住宅、土地も手に入らなくなりますと、国民はみずからもって節約、投資ムードが沈滞いたしますとかえって業界そのものが影響を受けるということをよく知っておると思いますので、その点につきましてもよく業界に理解をいただくように行政指導をやってまいりたい、このように考えます。
  133. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかそういう点十分な配慮を持って進めていただきたいと思います。  それでは次に、宅地の問題をお伺いしたいわけでございますが、時間がありませんので、申しわけございませんが、要点だけ簡単にお答えいただきたいと思います。  宅地の供給ということでございますが、私が問題にしたいのは、建設省の四期五計の住宅建設の目標は立ったわけでございますが、約七百七十万戸、年平均百五十四万戸ということになろうと思いますけれども、やはり建物を建てるためにはその裏づけとなる宅地の供給が非常に重要だと思うわけでございます。住宅建設の五カ年計画と並行して、それに見合う宅地供給の年次計画といいますか、五カ年計画であろうと何であろうと、年次的な計画を立てて並行的にこれを推進しませんと、先ほどハウス55で言いましたように、土地が異堂に値上がりして住宅建設が進まないという事態になってまいります。やはり地価を安定させて供給するという施策が具体的になりませんと、かえってこれは絵にかいたモチどころか、行政が進まなくなってまいりますので、いわゆる宅地供給の年次計画を立てる、これが一つ。それから、それに伴って必要な土地をどの程度とお考えになっておるのか。三点目は、一戸当たりの必要面積を何平米とお考えで土地をお考えになるか。その三つを簡単にお答えください。
  134. 宮繁護

    宮繁政府委員 御指摘のように住宅の五カ年計画が新しく改定になりますので、その裏づけとなる宅地の需給長期見通しについて現在作業中でございます。いままでは宅地の需要の方の見通しは、マクロの数字でございますがありますけれども、供給とバランスさせたような見通しがございませんでした。これは大げさに言えば世界で初めてとも言えるかと思います。大変むずかしい作業でございますけれども、現在大体煮詰まってまいっておりまして、ことしの三月下旬にはお示しができるかと思います。いま住宅宅地審議会の学識経験者の御意見等も伺いながら作業を進めております。  数字的には、前期の五カ年と私ども呼んでおりますけれども、五十六年度から六十年ぐらいまでの間の必要量が、既成市街地の工場敷地等が宅地に変わるものも含めまして、それから山林、原野等が新しく住宅市街地になるもの、これらを合わせまして大体六万二、三千ヘクタールじゃないかと考えております。これを現在までの宅地の供給の実績その他から勘案いたしまするに、全国ベースでは過去の供給の実績をやや上回る程度でございますけれども、やはり首都圏におきましてはかなり厳しい状況でございます、しかしながら、いろいろな施策を展開することによりまして何とかいま推計いたしております需要に見合う供給が可能ではないかと考えております。  それで、ちょっといま手元に資料がございませんけれども、一戸当たりどのくらいの面積かということでございますが、これは戸建て、それから共同、マンションのようなもの、それぞれ違いまして、戸建てにつきましては百五十平米前後になろうかと思いますし、マンションでは五十平米前後になろうかと思います。しかし、これも地方によりまして大変面積が、現在建っております平均的なものでも違っておりますので、そこらも十分勘案しながら進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  135. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは、局長のいまの御答弁にありましたように、住宅宅地審議会等で出た数字ということでしょうけれども、これはまだ整合性のないものだというところで、そこでは必要量が六万六千百ヘクタール、供給量が五万九千五百ヘクタールということでちょっと足りませんよと、しかしそれは最終的に、いまのお話のようにすり合わせますというお話、そのとおり伺っておきます。それはそれとして、このいわゆる六万二千でも三千でも、その六万ヘクタール以上の土地を、じゃいま政策をもってとおっしゃいましたけれども、具体的にはいままでの建設省のデータ、時間がありませんからこちらでお話しさせていただきますと、大体区画整理によっての土地の提供、民間の供給、公的供給、こういうようなことを建設省はいつもオウム返しのようにお答えになってくるわけでございますが、確かにこの区画整理あるいは公的な面あるいは民間供給ということでこの目標が達成できる、あるいはどの程度の比率でこれを供給させようとしているのか、その比率等をちょっとお伺いしたいのですが。
  136. 宮繁護

    宮繁政府委員 いまお話しのように宅地の供給の方法にはいろいろな手法があるわけでございますけれども、やはり計画的にいい住宅市街地をつくっていくということが肝要かと思います。そういう意味では、公的な供給、それから区画整理によります宅地の造成、それから民間のデベロッパーによります計画的な団地開発、こういうような三つが大きな手法でございますけれども、大体の目安で申し上げますと、公的な供給が十数%、それから民間の供給がやはり一番大きくて四五%程度、それから区画整理が四〇%程度になろうかと思いますけれども、まだいま詰めておるような段階でございますので、三月にはお示しができるかと思います。
  137. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、残念ながら時間が参りました。最後に問題提起という形で両大臣からお伺いをして終わりたいと思うのです。  いま需要供給に見合った約六万ヘクタール近いものを出しましょうということになるわけでございますが、年平均にしますと一万二千を超える土地の供給を手当てしなければならない。ところが、五十三年度の供給量の実績は八千六百ヘクタールでしかございません。これに対して建設省は、新市街地が主だ、こうお答えになりますけれども、既成市街地からその不足分を供給できることが果たして可能なのかどうか。そうなってきますと、この点で私が何点か前から指摘しておりますけれども、一つは、先般来問題になっております区画整理をやった地域がいまだに有効に利用されない、住宅のために使われておりませんよ。これについても建設省建設省の言い分があるわけでございますけれども、やはりこの一万八千ヘクタール眠っておりますという問題も、昭和四十九年の計画も含めて云々という話があります。しかし、やはりこのように区画整理ということが供給の大きな柱になっている以上、区画整理をやった土地が眠っておりますということを、これからは何らかの誘導政策で、うちが建てられるように考えていかなければならないのではないか。  それから、毎々問題になりますように、やはり三大都市圏にあります農地、これに対して宅地並み課税といいますか、わが党は選択的宅地並み課税、農業をおやりになりたい方は農業を続けられるように、しかしそうでない方のためには土地を提供していただくという誘導政策が必要でしょう。こうやって土地の供給ということが地価の安定につながる。これは、きょう時間がないので非常に残念でございますけれども、さきの委員会、さきの国会でも問題になりました国土利用計画法の問題にも絡んでまいるわけでございますが、いまの国土利用計画法が現在の土地の値上がりに有効適切に作用しているとは言いがたい。確かに届け出等は役に立っておりますと言いますけれども、あの列島改造当時の土地の投機的な値上がりと実態が違います。いまは実際土地を必要だという実需によっての、実際の需要によって土地が値上がりしております。そうなってきますと、やはり国土利用計画の中で、一つはあの発動要件、投機的なあるいは異常に上がるという二つ要件がありますけれども、前から論ぜられているように、一つでも発動できるというようにしたらどうだ、あるいはまた、それが問題あるならば、この国土利用計画法をもう一度見直してみて、そして土地の供給に役立つような方向に具体的に考えていかなければならないのじゃないか。そしていまのような土地の値上がりにこの国土利用計画法そのものが役に立つ、いまの時代に役に立つような法改正というのがどうしても必要であり、宅地を供給できるような体制をつくることが建設、国土両省に与えられたこの住宅宅地問題解決の一番根っこにある問題であろうと私は思うのでございます。  きょうは結論を急ぎましたので大変恐縮でございますが、やはりこの宅地の供給という問題、地価の安定がこれからの大事な問題でございますので、両大臣のその辺の御決意を伺って終わりたいと思います。
  138. 原健三郎

    ○原国務大臣 宅地供給についての御説、私どももきわめて同感であります。何とか宅地を供給いたしたいといろいろ考えておるところですが、いまお申し出ありましたいわゆる選択的宅地並み課税をやる、これはやはり一つの方策として非常にいいものだと思います。ただし、これをそれじゃ直ちにやりますというところまでは、これは公明党の政策として出ておりますので、私どもこれを研究しております。でございますが、果たしてこれでいけるかいけないか、いま研究しておりますが、今後ともこの研究や検討を続けていきたい、こう思っております。  それからもう一つおっしゃいました投機的取引により地価の上がる場合、投機的じゃなくても地価が上がったときにはやらなければ、規制しなければどうしても効果が上がらない、これもたびたび御議論になる点でございますが、この法制を改正するかあるいは国土法について改正するか等々、これは問題があります。それでこれをいろいろ今後検討したい。いまのところはこれをやる考えはございませんが、将来の課題といたしたいと思っております。
  139. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  住宅政策は一にかかって土地対策であろうかと思います。先生指摘の一々がごもっともであるわけであります。現在の宅地需要をどのように満たしていくかということに問題があるわけであります。農地山林を開発する問題もありましょう、あるいは遊休地の有効利用もありましょう。既存の市街地の高度利用もありましょう。また、先生の御指摘のように区画整理の中でいまだに住宅として転換できてない土地もあります。こうしたことにつきましてはさらに、特に区画整理の中で住宅の建ってないというのは中心がないということじゃないかと思います。したがって、公共関連施設をまずつくる、促進する、また、商店街をつくっていただくような方途を講ずるというようなことで、これはわりあい早く提供可能ではなかろうかと思います。  なお、今後の課題として長期的計画をしなければなりませんし、民間、地方公共団体の御協力をいただきながら計画的に前向きで推進してこの問題に対処していきたい、このように考えるものでございます。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  141. 稲村利幸

    稲村委員長 渡辺武三君。
  142. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 一般質問も回が重なっておりますから、私はなるべく重複を避けてお尋ねをしてまいりたいと存じます。  まず第一に、わが国の国家財政が最近窮迫をいたしまして再建を余儀なくされておる厳しい時代を迎えているわけでございますが、そういう中におきまして建設大臣みずからも、社会資本の整備というものは国民が快適な生活を享受できる豊かな住みよい国土を建設することだ、こうおっしゃっているわけですが、それ自身も実は大変に厳しく抑制をされるような時代になっております。したがって、国民生活を充実するその基盤となる社会資本の整備、これを図ることを任務としていらっしゃる建設大臣、こういう厳しい状況の中で今後どのように対処しようとしていらっしゃるか、まず冒頭に御決意をお伺いしておきたいと思います。
  143. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  社会資本の充実は私たちにとって焦眉の重点課題でございます。ただ、問題はその整備のための財源確保をいかようにするかということであるわけであります。先生御案内のように、今年度の財政事情から公共事業は伸び率ゼロというような査定をいただいたわけでありますが、だからといって消極的になるということでなく、何とか実効ある予算執行によって社会資本の整備を図ってまいらなければならないかと思います。幸いに財投等の運用によって伸び率は前年度事業並みの事業執行ができるものと考えておりますので、それはそれなりに、苦しい中ではありますけれども、何とか社会資本の充実にマイナス的な事業執行でなく、前年並みに事業執行はできていくのではなかろうかと思います。  なお、重点的に申し上げますれば、所信表明で申し上げましたように、やはりまず住むところ、住宅であろうしあるいは環境整備であろう、下水道の問題あるいは河川あるいは公園、五カ年計画はそれぞれあるわけでありまして、この面を重点にして、なお関連諸般につきまして、厳しい中であればあるほど有効適切に事業執行ができるようにせっかく努力してまいる所存でございます。
  144. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 財政が厳しいから、つまりは伸び率を一律に抑えていくとか、一律的に抑制をしていくという方向が間々とられやすいわけでございますけれども、御承知のように、わが国の社会資本の整備というものは、道路をとりましても住宅をとりましても下水道をとりましても、国際比較で見ればきわめて実はおくれておるわけですね。経済成長だけは確かに国際比較をすれば相当順調に伸びておると言いながらも、残念ながら社会資本の整備は諸外国に比べてきわめて劣後にある。そういう情勢を背景として考えるならば、たとえ厳しい財政事情の中であろうとも、やはり人間生活をより豊かにしていくための基礎となる、こういうふうに大臣も認識していらっしゃるわけでございますから、その辺はより一層心して、一律抑制という厳しい段階の中でも特にその辺を大臣みずからが強調されながら、国民生活の向上のために一層の御努力をお願いしておきます。  そこで具体的な問題に入ってまいりますが、建設工事そのものに伴う労働災害が非常に多いというふうに聞いておりますけれども、一体現状はどうなっておるのか、お答え願いたいと思います。
  145. 宮繁護

    宮繁政府委員 御指摘のように建設工事に伴います労働災害は非常に高い率でございます。これは建設産業そのものの特殊性にもよろうかと思います。御案内のように屋外の総合組み立て産業でございますので、生産する生産物はもう全部一つ一つ異なっておる、そしてその現場で専門工事業者を集め、労働組織を現場ごとにつくり上げていくというようなことでございますし、また、高所の作業が多いとか移動する大型機械を使うとか重量物を取り扱うとか、いろいろな事情もございますけれども、大変労働事故が多うございます。昭和五十四年度調査におきますと、死傷者数が十一万六千四百八十七人、うち死亡者が千四百四人、これは労働省の調べでございます。全産業の死傷者に対しましては約三四%、死亡の方は約四六%。建設業の就労者が全産業の就労者に占める比率は約一〇%でございますのでかなり高い率でございます。ちなみにこの十年ぐらいの動向を見てみますと、死傷者の数は大体十万台で推移してまいっておりますけれども、ここ二、三年は十一万人ぐらい、死者の方は幸い、四十年代の後半が二千人ぐらいでございましたけれども、最近二、三年は千四百人ぐらい、こういうふうな推移を示しております。
  146. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設労働災害が多い理由といたしまして、いま局長のおっしゃいましたように屋外作業だということあるいは建設業の特殊性といいますか、さらには若年労働者が少ない、つまり労働者自身が高齢化しているというようなことが言われているわけでございますけれども、こういういわば労働災害が多いとされる原因について、建設省としてはどのように取り組んでおられますか。
  147. 宮繁護

    宮繁政府委員 いまお話しのように、若年労働者の確保難あるいは労働者の高齢化の問題が事故の発生にもつながっていると思います。と同時に、やはり建設業にとりましても魅力のある職場づくりを行いまして、若年労働者を確保することも必要でございます。何よりも業界の自助努力も必要でございますけれども、建設省といたしましてはこのような努力を積極的に支援するということで、経営基盤の強化を目標にしました中小建設業の体質改善、近代化と呼んでおりますけれども、これに取り組んでおります。さらにまた、共同で研修所を持つとか共同で職場の若者の研修を行うというようなこともやっていただいておりますし、ごく最近では建設業に入職しました後でどういうふうに処遇あるいは昇進を受けるのかというようなパターンを示しまして、将来像を描くことも必要だろうということで、モデル就業体系というようなものの確立の作業を進めておるところでございます。
  148. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 建設労働災害を防止するという上で、いわゆる元請業者の果たす役割りが非常に大きいわけでございますが、私がいろいろ調べてみるところでは問題なしとしない点がいろいろございます。そのような点につきまして建設省はどのような指導をしていらっしゃいますか。
  149. 宮繁護

    宮繁政府委員 御指摘のとおり、この建設労働災害の防止のためには元請業者責任を持たせまして、その指導の徹底を図る必要がございます。現在、まず業者を指名いたします場合にも、労働の安全管理の状況を十分考慮に入れまして業者の選定を行っております。なお、元請・下請関係合理化指導要綱というようなものがございまして、これによりまして元請が下請を選定する場合にも、こういった労働の安全管理の状況を十分点検するように指導をいたしておるわけでございます。それから工期、工程あるいは施工方法の設定につきましても大変重要でございますので、建設労働者の災害の防止あるいはまた健康管理の上からもそういった無理な工期、工程、施工方法を排除する。また、休日の確保等につきましても現在十分やるようにというような指導をいたしております。それからこういった点で災害をしばしば起こしますような業者につきましては、指名を停止するということもやっております。それから安全管理対策の内容としましては、管理の体制と労働者に対します安全教育、こういうような点につきましても徹底を期していただくように指導をいたしておるような状況でございます。
  150. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実は私は以前にも意見として申し上げておいたと思うわけですけれども、つまり建設工事工事費の積算に当たっては、安全面の対策費というものがどのような状況で入っておるのかをお聞きしたことがあると思います。ところが往々にしていわば単価が低く抑えられる傾向にございますから、その安全対策費が安全対策に使われずに食われていってしまうという実情がある。したがって、私は安全対策費というものを別枠計上方式にしたらどうだ、そしてしっかり安全面を見ていけ、こういうふうに申し上げてきたと思うのですけれども、その別枠計上方式、直ちにはなかなかむずかしいと思いますが、どういうふうに検討なさったのか、その辺をちょっとお聞かせください。
  151. 丸山良仁

    丸山政府委員 昨年のちょうどいまごろ先生から御意見をいただいたわけでございますが、建設省といたしましては五十五年度、本年度からでございますけれども、土木工事の積算に係る仮設関係の積算方法の改善を行いまして、工事の安全に係る重要な項目は指定仮設または条件明示として契約内容に明示することにいたしまして、その変更があれば請負代金額を変更することによって工事の安全な施工が図られるよう改定したところでございます。いわゆる業界が要望いたしております安全対策費の別枠計上を本年度からいたしております。また、直轄工事のみならず、県工事その他につきましても同様の措置を講ずるように指導しているところでございます。
  152. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それは大変結構だと思いますが、この統計による死傷者、労働災害というものを数字の上では見ていきますが、果たしてこれが正しいかどうかについては実は私は大変疑問があるわけです。  それはどういうことかといえば、実態をいろいろ調べていきますと、現実にその建設業のうちでけがをしたのだけれども、建設省がうるさいからあるいは安全競争している成績に関係をするからということで、ややもすると全然関係のない他の場所でけがをしたごとく処理をされる場合が往々にしてあるわけですから、そういう実態をひとつ十分に把握を願っておいて、そして安全という面はやはり第一に考えてもらわなくてはいかぬ、人命をとうとぶということ、これは基本でございますから、ややもすると人命が軽んぜられるような方向で処理をされてしまったのでは働く者にとってはたまったものではないわけでございます。したがいまして、そういう面には特に注意をして、親企業、元請企業等の指導に当たっても、特にそういう面に御配慮願いたいと思います。  続きまして、中小企業の建設業者に最近倒産が多いと聞いておりますけれども、その辺の現状はどうなっているでしょうか。
  153. 宮繁護

    宮繁政府委員 お話しのように最近かなりの中小建設業者倒産事件がございます。それで、昭和五十五年におきます一年間の倒産の総件数は五千九十七件となっておりまして、これは前年に比べますと件数で約一三%弱、負債金額で見ますと一七%強の増という状況でございます。それで、昭和五十二年が最近では一番倒産件数が多かったわけでございますけれども、それに次いで五十五年は多かったわけでございます。  内訳を見ますと、原因別では不況型の倒産件数の割合が増加してまいっております。このほかにいろいろ原因があるわけですけれども、この不況型の倒産件数が五十五年下期には五七%になっております。一方、業種別ではやはり建築関連の業者の倒産が増加しておりまして、最近では三分の一ぐらいがこのような建築関連業者の倒産数というような状況になっております。
  154. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そのような倒産を防止するために建設省といたしましてはどのような具体策をお持ちでしょうか。
  155. 宮繁護

    宮繁政府委員 倒産の原因でございますけれども、五十五年は住宅建設の落ち込みを初めといたしまして民間の建設活動が低迷をいたしておりまして景気が悪い、そういうこと、それから今年度、五十五年度上半期に公共事業執行が抑制的に行われてきたこと、それからもう一つ大きな原因としましては、建設業はその約九九%が個人業とか中小零細企業でございまして、その経営基盤が非常に脆弱であります。一方、業者の数はこの十年間に三倍にもなりまして、いまや四十九万近いような数でございます。そこで過当競争も非常に激化しておる、こういうような状況が今日のような事態を招来したものと考えております。  そこで、私どもの対策といたしましては、第一に当面の対策としましては、金融対策としまして倒産関連特例保証制度の適用につきまして、建設業が不況業種に指定されておりましたが、それが昨年の十二月いっぱいで切れることになっておりましたのを、この三月まで延長の指定を中小企業庁にお願いしてやってもらいました。この指定を受けますと、受注高の減少しております業者につきましては、保証額が二倍になるとかあるいは険料が三分の二になるというようなメリットがあるわけでございます。  なお、政府関係の中小企業金融機関の中小企業倒産対策貸し付けというのがございまして、これは別枠でかなり金利も低いというような制度がございます。これの利用につきまして業界の方に周知徹底を図ってまいりました。また、公共事業執行に当たりましては、今年度の第三・四半期から積極的にその執行を行う。それで第四・四半期につきましても年度内の消化に努めるように、すでに各県、公団等を指導してまいっておるところでございます。  なお、第二に中小建設業者に対します受注機会の確保を図る措置といたしまして、発注標準の遵守をいたしまして、大きな業者が小さな仕事に入ってこないようにするとか、あるいはできるだけ分割して発注しまして中小建設業者の受注の機会を多くするとか、あるいはまた共同請負制度の活用、こういったような措置を講じてまいっております。  また、この建設業の脆弱な体質を改善することが一番基本的に重要でございます。これはかなり中長期的な視点から振興策を講じる必要がございますので、現在のところはこの請負契約約款の整備あるいはまた元請、下請関係の改善措置とかあるいは建設業の近代化モデル計画というのをつくりまして、業界総ぐるみで近代化をやっていただく、こういったような施策も総合的に今後も一生懸命展開していきたいと考えております。
  156. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 当委員会も実はほんの二、三年前までは中小建設業振興小委員会でしたか、これを設けて鋭意検討を続けておったわけでございまして、なるべく中小の企業に対して公共事業の発注をふやしていくように、こういう方向を示しておったわけでございますが、実態はどうも必ずしもそううまくいっていないんではないだろうか。つまり仕事はやっておるけれども、それは受注をした大企業の下請、そこで幾分かのピンはねをされながらも苦しい操業を続ける、こういうのが実は非常に多いわけでございまして、実際に直接発注を受けるというものは比率にすると大変低いのではないか。まあ発注する側にすれば信用度、工事のできぐあい、いろいろな面で問題はあろうかと思いますけれども、問題があるからより安全な大企業に発注をしていけば、そこで全部監督をしてくれて下請へ出されるだろう、こういう安易な考え方ではなくて、積極的な振興策ということになれば、当然やはり建設省みずからがそういう方向を生み出していかなければならないと思うわけですが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  157. 丸山良仁

    丸山政府委員 中小建設業対策につきましては、いま計画局長から申し上げたとおりでございますが、発注する場合におきましても、中小企業に対しましては積極的にやっているわけでございまして、たとえば直轄工事の場合、これは工事の規模が大きいものですからなかなか思うようにまいらぬわけでございますけれども、やはり分割発注あるいはジョイントベンチャーというような形で中小になるべく多く持っていくように行っておりまして、昨年度、五十四年度の実績では四五%程度が中小、五五%程度が一億以上の大企業、こういう形になっております。  なお、都道府県、市町村等工事につきましては、それが非常に工事の規模も小さい関係上、中小企業が入りやすいということで、これは五十三年度の実績でございますが、六六・二%が中小企業、残りが大企業というような形になっておりまして、全体では約五四%程度が中小企業に行っているということでございますが、この比率をなるべく上げていくようにいたしたいと考えております。
  158. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 数字を聞いておると大変中小に発注が多いとおっしゃるわけですけれども、ぼくは実態はそうではないんではないだろうか、それは数字のとり方いろいろありますから、件数でおとりになればそういうことになるかもわからぬが、工事金額でとったら一体どうなるのだろうか、いろいろな分析の仕方はあろうかと思います。しかし実態をわれわれが見ておる限りでは、たとえば河川の改修にいたしましても、相当大きな河川を三つ、四つの大手企業が受注をし、それをさらに細かい下請が従事をしておるのが実態ではないかというふうに見ているわけです。したがいまして、そういう実態を十分に把握をされて、しかもそこには先ほど言いました安全の面にもあるいは単価の面にもいろいろな問題が多く内蔵しておるわけでございまして、もう少し建設省みずからがそれらに対応していく必要が多分にあるというふうに私は見ておるわけです。一々きょうは指摘をいたしませんが、何ならば具体的な事例を幾らでも挙げてもよろしゅうございますから。そういう事態は確かにある、こういうふうに私どもは認識いたしておりますので、さらにそういうことのないように大いに指導を強めていただきたいとお願いを申し上げておきます。  それから最近、海外に対する建設工事の発注が大分ふえてきておると思いますが、その辺の実態についてお聞かせください。
  159. 宮繁護

    宮繁政府委員 仰せのとおり、最近建設関係の業者の海外活動は非常に活発になってまいってきております。昭和四十七年度の受注額は四百六十七億円でございましたが、五十四年度にはこれが五千六百九十三億円と十二倍以上の伸びを示しております。海外法人分の受注を加えますと、六千億円の大台を突破したような状況でございます。  地域的に見てみますと、近年は中近東での受注が非常に目覚ましく、ここ数年の傾向としましては、東南アジアと中近東で全体受注額の九〇%近くも占めております。ただ、イラン、イラク等でもかなり大量に受注しておりますけれども、ああいう紛争が起こりまして大変心配しておりまして、一日も早く解決されまして、また工事が進められることを祈っておるような状況でございます。なお、わが国から派遣されております海外建設工事関係者は、大体いま申し上げましたように東南アジア、中近東が中心でございますけれども、約七千名にも達しております。  しかしながら、わが国の海外建設事業は、欧米の諸国あるいは韓国等と比較いたしましてもやや受注額が少ない。これは一つには海外進出の歴史も浅く、また海外建設工事に関する情報の不足でありますとか、海外工事の契約等を熟知した人材不足、あるいはまた工事受注の先駆的な役割りを果たします建設コンサルタントの育成がまだ十分でない、このような問題がありまして、解決すべき課題も多うございますけれども、いまのところはかなり順調に海外工事は伸びておると言えるかと思います。
  160. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 具体的にお聞きしたいと思いますが、いま海外工事を受注いたしておる国はどのくらいあるのでございましょうか。  それともう一つは、建設アタッシェが大使館に配属されておるところと配属されてないところとありますが、どの程度の国に配属されておるのか。それと実際に海外工事をしておる国との関係はどうなっておるのか、この辺をお聞かせください。
  161. 宮繁護

    宮繁政府委員 非常にたくさんの国で工事をやっておりますけれども、特に多額の受注をいたしております国を御参考までに五十四年度で上位から十番くらいまで申し上げますと、イラクが二千三百六十二億、サウジアラビアが五百六十一億、香港三百九十一億、マレーシア二百二十七億、シンガポール二百十四億、インドネシア百九十億、リビア百八十一億、ボリビア百七十一億、フィリピン百五十六億、タイが九十八億、大体が東南アジア、中近東の国々でございます。  それからアタッシェ、現在十一名派遣をいたしておりまして、アメリカ、フランス、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、ブラジル、イラン、イラク、サウジ、ケニアの十一カ国でございますけれども、本年度は中国とコロンビアの二カ国に派遣する予定をいたしております。いずれも海外におきまして情報の収集とかあるいはまた向こうの政府の技術援助等の御相談を受けるとか、あるいはまた建設業の海外進出等につきましてもお世話をしておるというようなことで活動をいたしております。
  162. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 御説明を聞いておりますと、わが国は貿易立国ですから、資源皆無の国としてやはり海外にいろいろな活動を求めて発展をしていかなければならぬ。しかし最近は、一つの産業が発展をしただけではいろいろ貿易摩擦が生じてまいりますから、各般にわたる活動が必要になってまいるわけでございますけれども、現実には、日本がいま海外で建設工事を受注している国々は大体五十カ国程度あるのではないか。それに比較をして建設アタッシェが派遣されているのはわずかに十一カ国にすぎない。しかも、いま局長もおっしゃいましたように、諸外国に比べて日本はまだまだ少ないのです。少ない理由としては、海外におけるいろいろな情報不足もあるのです、こういう原因を挙げておられるわけですけれども、そういう原因を挙げておられるのに比較をして、実際に対応していらっしゃる対応策というものはやや矛盾をしているのではないだろうか。五十カ国にも工事が受注されておるにもかかわらず、アタッシェが派遣されているのはわずかに十一カ国しかない。こういう状況の中ですから、今後それらを育成強化といいますか、アタッシェを増派するとかあるいはコンサルタントを育成強化していくのだとか、いろいろな方策が考えられると思いますけれども、今後どういう方向で進もうとしていらっしゃいますか。さらには、建設省の中における建設省組織としてのこういう国際部門に対する対応は一体どこでやっておられるのか、その辺もあわせてお聞きしたいと思います。
  163. 宮繁護

    宮繁政府委員 いまお話しのように、海外工事をやっております国に比べましてアタッシェの派遣の数が少ないわけでございます。これは外務省の方にも毎年お願いもしておりますけれども、実は関係各省ともアタッシェの要望が非常に多いというような状況もございまして、そこらのさばきもあるようでございますが、お話をいたしましたように、ことしはやっと二カ国認めていただいた、毎年は一カ国かまたは派遣なしという状況が多かったわけでございますけれども、おかげさまで二カ国が実現したわけでございます。  このような、長期に外交官として大使館に派遣する以外に技術者の派遣もかなりやっております。調査団としまして毎年大体百五十名ぐらいの技術者、あるいは技術者でない経済の専門家、法律の専門家等も派遣しておりますし、それから調査団のほかに個人で技術指導のためにも派遣というようなことで、毎年百名以上の者が派遣をされております。  なお、こういった海外建設活動を一層拡大するためにいろいろなことを進めておりますけれども、一つは、先ほども申し上げましたように情報の収集、連絡体制の強化、それから内にありましては海外用の人材の養成、あるいは先ほどもちょっと申し上げました海外建設コンサルタントの育成、こういった点に多くの課題が残されているわけでございます。現在、情報収集、連絡体制の強化策といたしましては、発展途上国における経済基盤施設調査とか海外建設計画調査を実施いたしておりますほかに、アタッシュの増員等も今後さらに続けていきたいと考えております。  それから、国が一億円を出資いたしまして海外建設促進基金というのを設けておりますけれども、この基金におきまして、入札の前の調査をいろいろしなければいけませんので、これに対する低利の融資制度とか、民間の建設業者の海外用の人材養成のための各種の研修とかあるいは海外建設データバンクの整備等、総合的にもそういう施策を展開いたしております。  このほか、海外建設コンサルタントを育成するための研修の実施をいたしております。また、コンサルタントが海外へ出やすいような税制措置についても改善を進めております。  また、この海外建設工事関係の金融の問題につきましては輸出入銀行等にもいろいろ改善方をお願いしております。  なお、輸出保証保険の拡充等も現在までのところ図ってまいっております。  こういったような施策を今後も取り組んで拡充強化に努めてまいりたいと思っております。  私どもの内部組織といたしましては、国際課というのがございまして、ここに課長とか海外協力官等がおりましてこれらの仕事をやっております。ただ人数等が非常に少なくて苦労をかけておりますけれども、かなり少数精鋭主義というようなことで仕事を進めてもらっておる状況でございます。
  164. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 海外建設促進基金というのは私も聞いて知っているわけですけれども、これはつまり発展途上国における建設プロジェクトに対する調査だとか、受注活動を促進するために設けられておると聞いておるわけですけれども、そういう目的に対して国の出資が一億だ、こうおっしゃっているわけです。目的考えてみますと、この一億という金額は余りにも少ないような感じがするわけですけれども、この基金を拡大する計画はございませんか。
  165. 宮繁護

    宮繁政府委員 いまのところ、国から一億、業界からたしか二億だったかと思いますが拠金をしていただきまして、その運用益でそういう事業をやっております。私どもも、実はこの基金の拡大については非常に関心を持っておりますけれども、今日のような財政の状況でございまして、なかなか問題もあろうかと思いますけれども、何とかこの基金のさらに一層の整備強化につきましては今後も努力を続けてまいりたいと考えております。
  166. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 会計検査院調査によれば、相当な金額が不正に使われているという事実もたくさんあるわけでございますから、少なくとも大切な仕事だと思うので、こういう有効な仕事をするというものに対してはやはりもっと思い切った出資を考えていくということが必要ではないか。実際に合理的に使われているかどうかについては、会計検査院報告を見ると、どうもそうでない金額がある。それが五百万や六百万じゃないはずなんですね。相当な金額がそういうふうになっているという指摘も受けているわけですから、もっとやはりシビアに考えていただいて、本当にわが国に利益を与えるというものについては、もっと思い切った発想をする必要があるのではないか。  この件については、最後に大臣にお伺いしておきたいと思いますけれども、わが国の国情から考えまして、建設業についても、これからの海外活動というのはいわば国際協力、経済協力、技術協力の推進という面、あるいは建設業界の安定的な発展という面から考えましても、大変力を入れていくべきことではないだろうか、こう考えるわけです。したがって、そういう観点で、いま海外建設促進基金を拡充する必要があるのではないかということを御質問しているわけですが、それらの点について、これからの建設業の海外活動について建設大臣としてどういう見解を持っておられるか、お聞きをしておきたいと思います。
  167. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  わが国の建設業界の海外活動につきましては、先生指摘のように、これから特に発展途上国、中近東等を対象に、わが国の建設業界の安定的な発展のためにもぜひ振興策を積極的に進めていかなければならない問題ではなかろうかと思います。  なお、わが国といたしましては、グローバルな環境の中で特に東南アジア、中近東は欠かせない友好国として、これから国際的にもきずなを深くしていかなければならないというような条件もございます。あるいはまた、これら発展途上国の経済社会環境もおくれておる、社会資本の充実もおくれておるというような状況になお協力するにいたしましても、日本の土木建築技術というものは非常に世界的にも嘱望されておるわけで、そうしたことを大いにこれらの国に生かしていただくという面においても非常に適切なことではなかろうかと思います。先生の海外活動への御指摘については改めて敬意を表しますと同時に、何としてでも日本の建設業界の安定的成長を図る上からも、これからも積極的に海外活動を続けていくような振興策に努めてまいりたい。ただ、残念ながら、いま御指摘のような基金の問題も少額でもありますし、あるいはアタッシェの問題も五十カ国のうち十一カ国しか派遣していないとか、いろいろと問題点はあろうかと思いますが、一つ一つ問題点を解決していきながら、この問題に対処していく考えでございますので、今後とも何かと御指導を賜りますように、また、そうした向きで建設省もこれからも積極的に取り組んでまいるところでございます。
  168. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 他省との関係もございますから、建設省だけではなかなか進まない面もあろうかと思いますが、建設省だけで進め得る問題、つまりは担当の部署ですね、これを充実強化する。現在、聞くところによれば、国際課ですか、一つの課だけを設けて、非常に人数も少ない、こうおっしゃっているわけですから、そういう大臣の決意、方向、実際に建設省だけがとり得る対策というものがこれまた矛盾しておったのではいけないわけですから、そういう面ではやはりその関係課の強化、それを具体的にどうするか。行政改革との関係もありますからむずかしいでしょうけれども、仕事は十分強化をされる、拡充されるという方向でやはり措置をしていただきたい。要請をしておく次第でございます。  次の問題に移りたいと思います。  先ほどもお話が出ておったと思いますが、現在の建設資材の価格水準の状況あるいは今後の見通しについてはどのようなものでしょうか。
  169. 宮繁護

    宮繁政府委員 建設資材の価格の動向でございますけれども、御承知のとおり五十四年、五十五年当時は、石油価格がOPECによってかなり引き上げられたとか、あるいは現地におきます木材の価格が高騰しましたとか、船積み運賃の動向、円相場あるいはまたダンプカーの積み荷の規制等が行われまして、これが骨材の価格にはね返ったとか、いろいろな状況がございまして、昭和五十五年度では年平均で建設材料の卸売物価指数を見ますと、前年に比べまして約一二%も上昇いたしました。月別で見ますと、五十五年五月がピークでございましたけれども、それ以後ずっと鎮静をしてまいりまして、ことしの一月では前年の一月に比べまして一・一%の上昇、それから二月になりますと、これは二月の上旬の数値でございますけれども、前年に比べまして一・三%下降というようなことでございまして、大体こういった建設資材の価格は落ちつきを取り戻してきたと考えております。木材とか小形の棒鋼につきましてはかなり反落しておる。特に主要な建設資材でございます小形棒鋼についてはかなり下落してまいりまして、数量カルテル等が認められておるというような状況にまでなってきております。  今後の見通しといたしましては、景気の動向がどうなるかということでございますけれども、私どもが推定いたしております五十六年度の建設の投資額は、またこれは中間推計でございますが、大体五十三兆程度ではなかろうか。それで、前年度であります五十五年度に比べますと、約六・五%程度名目で伸びるのではないか、実質では三%ぐらい伸びるのではないかというような見通しを立てておりますけれども、これは建設資材につきまして価格を引き上げるほどの需要増にはつながらない。そういう意味では、今後の海外要因とか、いろいろ国内の経済情勢が絡んでまいりますけれども、価格はそれほど上昇するとは考えられないというふうに思います。
  170. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現状ではたしか、総体的に見れば横ばいという傾向になっておろうかと思いますが、物によっては、セメント、コンクリートを中心にしてやはり値上がりはしておるのではないか。さらには、今後の原油の値上がり等々によってこれらが騰貴をしてくるおそれというものは十分あるわけでございますから、そういう情勢に対して建設省はどのように対応するお考えでしょうか。
  171. 宮繁護

    宮繁政府委員 資材の価格も市場のメカニズムを通しまして決定されていくわけでございますけれども、買いだめとか売り惜しみあるいは投機的なやり方によって異常に価格が上昇するということは何としても抑えなければならないと考えております。私どもは、建設資材の需給の動向と価格の動向を把握するために、各地方建設局ごとに公共事業施行対策地方協議会というのを設置いたしておりますけれども、これは関係各省とか公団等の出先が入っておりますし、通産省、農林省等の資材関係の担当省庁の出先も入っております。ここで会議をやりまして、価格動向、需給動向の把握その他に努めておりますけれども、この機能を通じまして十分価格の監視も行ってまいりたい。また、全国で二十五の都道府県を対象にモニターから資材価格の需給状況とか価格の動向とか在庫の実態等についても毎月情報を集めておりまして、それらの把握あるいは機動的に対処できる体制をつくっております。なお、通産省を初めといたします関係省庁とも緊密な連絡をとりながら、価格の動向について十分注意いたしまして、需給の安定に対処してまいりたいと考えております。
  172. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実は、そのような建築資材の高騰で、いわば請負契約をした場合に、工事の途中においてそれらが上がってくる。したがって、コストアップのために出血してしまう。それらを補うために、五十五年度でしたか、ある程度物価にスライドするような方向の措置がとられたと思いますけれども、それらは五十六年度は一体どうされていくつもりなのか。さらには、いま公共事業に対する請負約款でしょうか、この改正の審議が進められているというふうに聞いておりますけれども、現在の改正審議の状況について御説明を願いたいと思います。
  173. 宮繁護

    宮繁政府委員 五十五年度におきまして異常な、また予想されないような建設資材の上昇がございまして、臨時、異例の措置として特約条項を適用するということで、精算払い的な考え方を導入いたしまして、価格の異常な上昇に対してその全部を建設業者がかぶることのないような措置をとったわけでございます。現在、そういった価格、賃金等の変動に伴います請負代金額の変更がどうなるかということは、現行の公共工事の標準請負契約約款では二つの条項がございまして、一つは、契約を締結して十二カ月たちましたときに、残りの工事の代金額が三%以上変動した場合に行う、これはスライド条項と呼んでおります。もう一つは、インフレ等特別の事情によって賃金とか物価に著しい変動が生じた場合には、請負代金額が著しく不適当となりますので、そういう場合には当事者で協議をして代金額の変更を行う、こんな規定がございます。  現在、お話がございましたように、中央建設業審議会では、最近におきます建設業を取り巻くいろいろな環境の変化にかんがみまして、これらの規定の改正の審議をお願いして審議を進めていただいております。現在のところ、審議会におきましては、いわゆる先ほどお話し申し上げましたスライド条項の中で三%の数値、これは足切り率などと言っておりますけれども、この三%の数値についてこれを引き下げる。それから二つ目は、新たに特別な要因によります一部の建設資材の価格変動があった場合には、これに対応して請負の代金額を変更できる旨の規定を設けたらいかがなものであるかというような方向で検討が進められておりまして、近く審議会の結論が得られる運びになっております。それで、これができました場合には、これの導入について五十六年度において検討を進めてまいりたいと考えております。
  174. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この辺の実態も実は問題がいろいろあろうかと私は思います。元請が受けて下請に出すというような場面では、往々にして分析をされてきたもろもろの単価の積み上げ項目、それらがまずは一つ、二つ、三つと犠牲にされていってしまう。そして、結果的には出血を覚悟で仕事を続けさせてもらうために仕事をやらなければならぬ、こういう状況が間々あるわけでございます。そういうことと先ほど来言っております中小建設業者の振興策とこれまた相矛盾するものが実は存在をしておるわけでございます。もう少しその辺は合理的に監視をしていく必要があるんではないか。特に元請が下請に出す場合の実態というものは、常に建設省として把握をしておって適当な指導をしていかないと、やはり力の弱い中小企業では泣く泣くそれをやらせられるという実態が各所にあるわけでございます。  この辺は実例自身を私も知っておりますけれども、一々指摘をいたしませんが、もとをひとつしっかり直していただいて、もともと建設省の発注単価はなかなかシビアでございまして、労務費なんかも相当安く見積もりがされておるし、いろいろ見ていきますと、私どもが積算をしていきましてもこれでやれるのかなというようなことも実はあるわけでございますから、なるべく合理的に、安全が十分守られて手抜き工事が行われないような、結果として国民のマイナスにならないように、生活安定に役立つような方向での努力を今後も続けていただきたい、こう思うわけでございます。  さらに大臣にお伺いをいたしますが、国民生活や経済発展の基盤を整備する公共事業執行というものは、本来は安定的に行われていくべきものだというふうに考えますけれども、ややもすると発注が非常にアンバランスになっておるわけですね。そして、年度末に集中をして発注をされるという例も間々あるのでございます。そこで、先ほど資料が配られておりましたけれども、年度で締め切ってみたらまだ完成しない工事がたくさんあった、こういうことにもつながっておるわけでございますから、もちろん経済政策の一環として発注をおくらしたり早めたりするという操作もあるでございましょうけれども、これはやはり本業である建設省はこのくらいの工事量を発注すればどの程度の作業残が出るであろうということは当然わかると思いますし、また、そんな短期間に無理をして工事をさせれば当然粗悪なものができてしまう、こういうことを十分頭の中に入れて、そして安定的に発注ができていくように、公共事業執行というものがそうアンバランスにならないような方向を考えてもらわなければ困ると思うわけですが、この点についてはひとつ建設大臣の所見を聞いておきたいと思います。
  175. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  公共事業にかかわる諸問題について、先生指摘のとおりでございます。長い間建設行政を積み重ねていながら、毎年毎年こうした問題が指摘されるということにつきましてはなはだ遺憾に思うところでございます。これは会計年度の問題もございましょうし、国の大きな建設行政という、大まかな中のアンバランスという問題もありましょう。もとより監督官庁としての行政指導上の欠陥もなしとはしないと考えております。何とか年度平均化を図って、安定的な公共事業が平準化して行われるような方途をさらに詰めて、毎年毎年御指摘のような形が少なくとも早い機会にないような形でやっていかなければならない、このように考えるものでございます。  わけても、昨年来財政再建の厳しい折であればあるほど、こうした問題につきましては的確に、長い間の御指摘を再び受けないような形で、こうした機会に積極的にやってまいらなければならないかと思います、実行面といいますと、長い習慣上の問題等々がございまして、どこまでやれるかということについていささか考えさせられる面もございますが、とにかく御指摘のような御質問にこたえる意味からも実行の面で対処してまいりたい、このように考えるものでございます。
  176. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 最後に、二点ほど私がいままで当委員会において指摘をし、それぞれ局長から検討をいたしますと御返事をいただいておるものについてお尋ねをしていきたいと思います。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕  まず第一は、公物管理の問題でございますが、これは十年ほど前、当時大津留官房長時代だったと思いますけれども、建設省所管である国有財産、里道とそれから水路があるわけでございますが、これが当時は管理が都道府県に移管をされて、そして建設省は何らそれに対して管理費も払っていなければ掌握も十分でなかった、そういう問題点があったわけですが、それが土地台帳の上では線が入っておるだけで、地番も何にも明示されていない。ところが、現在に至るもそれがそのまま温存されておるわけでございまして、一般国民は赤線だ青線だと言われても何が何だかわけがわからぬ。家を建てようと思ったらそこの下に赤線があるので家は建たないんだと言われてびっくりする、こういう状態が間々見受けられるわけでございますね。  そこで、その過程で私は、早くそれを整理をして、そしてもう整理がつかないはずだから都道府県、市町村に無償交付をしてしまったらどうだ、そうすればもっと有効な利用ができるではないか、こういうふうにも御提言を申し上げてまいりました。しかし残念ながら、いまだに私の要望は実現をしておりません。現状はそのまま放置をされておるという状態でございますから、どういうふうに検討され、どのような方向に進んでおるか、これが一つ。  それからもう一つは、これは建設業法の問題でございますけれども、あの別表に二十八ございます。これにどうして問題が出てきたかと言いますと、たとえば住宅公団等の補修業務を行う場合、パイプ業あるいは塗装業といろいろ指定されておりますが、補修業務というものは一人の人が出かけていってパイプを修繕をして、ついでにそこのちょっとはげた塗装を塗るということであれば比較的安い工賃でその補修が完了するわけですけれども、どうもそういうことが許されていない。二百万とか三百万以下の工事は自由にやれるんだとおっしゃいますけれども、現実はなかなかそうではない面もあるようでございまして、さすれば建設業法の別表に付加をして補修業というものを入れたらどうだ、こういう御提案も申し上げました。そのときの局長の御答弁は前向きに検討してみましょう、こういう御答弁だったと思います。その検討の結果は一体どうなったのか。検討という言葉は大変いい言葉でございまして、大津留官房長が検討すると言われてからすでに十年、二十年たっても三十年たっても検討で済んでいけば非常に安いわけでございますけれども、影響はやはり国民は受けているわけでありますから、この辺をひとつ十分にお答えを願いたいと思います。
  177. 丸山良仁

    丸山政府委員 いわゆる法定外の公物の管理の問題についてお答えをいたしますが、先生指摘のようにもう十年来の問題でございまして、私どもも非常に申しわけないと思っておるわけでございます。この問題につきましては、建設省大蔵省、自治省並びに地方公共団体に入っていただきまして研究会をつくりまして検討したわけでございます。そのときに、いま先生のおっしゃられましたように、管理能力が国あるいは都道府県にないわけでございますから、市町村にただで下げ渡して管理してもらったらどうかというような議論をやったわけでございますが、市町村の側といたしましては、金をつけてただでもらわなければ管理ができない、こういう意向でございまして、先生御承知のように道路にいたしましても河川にいたしましても、たとえば市町村道あるいは準用河川等につきましてはほとんど補助がついてないものがあるわけでございまして、それよりも下の里道、水路につきまして国から補助金をつけてその管理をしてもらうということはなかなか大蔵省の方が応じられない、こういうような議論がございまして、現在のところ正直申しましてお手上げという形になってしまっているわけで、まことに申しわけないと思っているわけでございますが、御勘弁をいただきたいと思います。
  178. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほどお話がございました修繕工事等を請け負う業者のために新しく建設業の許可業種を設けるべきではないかというお話でございますが、御承知のとおりでございますけれども、重ねてもう一度答弁させていただきますと、補修修繕工事は建設業法上の建設工事に該当するために、それを請け負うことを業とするものは軽微な工事のみを請け負う者は除きまして、建設業の許可をとらなければならないことになっておるのは御高承のとおりでございます。しかし、現実にはお話がございましたように、補修修繕工事は請負代金額が二百万円、建築工事については六百万円でございますが、そういった未満の軽微な工事が多く、補修修繕工事を請け負う大部分の業者にとっては、そういう意味では許可は不用であると考えております。一方、許可を必要とするような大規模な補修修繕工事を請け負う業者は、たとえば住宅等の建築物の補修修繕工事でありますと、建築工事業あるいは大工工事業の許可をとることによりまして一般的にこの補修ができるわけでございます。新たに現行の二十八業種のほかに補修修繕業を加える必要はないと考えておるというのが担当者考えでございますけれども、私は最近こういった二十八業種につきまして、いろいろな方面からもう少しふやしたらどうかというような御意見や御要望もいただいております。それで近い将来、いずれこの問題につきまして、これはやはり学識経験者あるいは現在の業界の皆さん方の御意見も承る必要がございますので、建設業の審議会におきまして御検討いただきまして、いま御提案ございました御意見を十分検討の中に入れまして判断をしてまいりたいと考えております。
  179. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 第一の問題は、市町村に管理をさせようとするから金をつけてくれなければ困ると言うのですよ。ただで上げるから処分も含めていいようにしなさい、こうすれば、必ず分筆をしたり合併をしたりして有効に使うと思うのです。だからもう一回考えてもらいたいということと、第二の問題点は、往々にして個人がそういうふうに補修業者にお願いをしてやっていただくということは、それはできると思うのです。ところが、個人はなかなかよくわかりませんから、どうしてもやはりその管理者に依頼をする。すると、管理者の方はどうしてもやはり後で問題が起こったら困るというのか、正式な免許を持った業者に発注依頼をしてしまう、こういう事情があって、したがって私は途中でも申し上げましたように、中小建設業者の振興にもいろいろ問題が出てきておる。ややもすると、独占的に行っておる団地サービスが独占をしてしまうということもある。だから筋としてはやれるようになっておると言っても、実態はそうではないので、その辺を、実態との違いを十分認識をされて前向きにひとつ検討をお願いをして、質問を終わります。
  180. 稲村利幸

    稲村委員長 甘利正君。
  181. 甘利正

    甘利委員 私は、宅地対策についてお尋ねをいたします。  線引き後十年の間に、宅地対策につきましてはいろいろ言われたわけでございます。今日言われておりますことは、第一に、民間あるいは公的機関によるところの新市街地の開発、第二には、税制の改正、第三には、線引きの見直し、第四には、少しむずかしゅうございますが、公共施設は国で、このように言われておるわけでございます。そして、これらの対策につきましては、対策の小出しては効果が上がらない。すべての対策を一挙に浴びせかける、このようにしなければならないわけでございますが、そして、今日三大都市圏において宅地の供給が円滑にいっていない。  次に、地価が急騰している。私の地域では、初めて家を買おうとされる方は千五百万円ぐらいで買いたいとおっしゃいます。売る方は二千五百万円いただかないと無理だ、このようにおっしゃるわけでございまして、地価の急騰から一千万円のギャップがある。これはもう事実でございます。  次に、おおむね十年以内に市街化を図るべきとする具体的な施策が実施されていない。このような地域が市街化区域の中に非常に多いということでございます。したがいまして、建設省通達を出された。その通達には、私が申し上げた一と三が前文として書かれておると思います。当時一読しただけですから、間違っていたら訂正していただきたい。しかしながら、一と二につきまして、地価高騰については余り触れておらないと思いますが、地価が高騰していない、かえって安くなっていればその通達も要らなかったのではないかというふうにも考えるわけでございます。  そこで通達が出されたわけでございますが、この通達の宅地とは、一般市民の住宅用地が主であるのか。それとも学校、研究所、企業等の用地も含まれているのか。そしてもし含まれていない、余り含まれていない、一般市民の住宅ということについて建設省は主として配慮しているんだ、そうであるとするならば、線引きの決定権を持っておる知事はこの通達を受けて、住宅用地の不足のための通達である、このように理解しておるかどうか。これは知事に聞けとおっしゃるかもしれませんが、聞いてもいいのですが、局長さん方はどういうふうにお考えになっているでしょうか。  次にもう一つ。私、線引きに十年間ばかり関係しておるわけでございますが、私の勘では、何かこれは国が基準を示して要請をする、知事が線引きを行う、そして市町村が腹を決める。市町村が腹を決めなければ意味がない。知事がやらなければ建設省はどうしようもない。しかし建設省は基準を示して要請をする。占領軍当時の通達でございますと、イット・イズ・ホープ、こう書いてありますと命令ということでございますが、そうはなかなか行かないようでございますが、こんなふうに私は考えておるのですが、率直な御答弁で結構でございますから、間違っている点を御指摘を。
  182. 升本達夫

    升本政府委員 お尋ねの第一点の、昨年九月十六日付で発出いたしました都市局長通達の中で、宅地と言っているその内容については住宅地に限られるのか、それ以外の宅地も台なのかという御質問でございましたけれども、宅地という言葉に特に限定をいたしておりません使い方をいたしております場合には、住宅地に限られたことではございません。しかしながら、この通達を発出いたします前提となる考え方がおただしのように前文のところに掲げてございまして、現在の線引きが行われた後の市街化区域内の現状、それから特に住宅宅地需給の実態を踏まえて、良好な住宅宅地の円滑な供給に配意しつつ、市街地の計画的整備を一層推進することが必要であることにかんがみ今回の通達を発出したという趣旨でございますので、この趣旨を踏まえて各知事さんが線引きの見直しを運用していただくことを期待いたしておるわけでございます。  それから第二点のおただしでございますが、これは御承知のとおり都市計画法の法制度といたしまして、市街化区域、調整区域のいわゆる線引きの権限は都道府県知事にお願いをいたしております。知事の判断でお決めいただくわけでございますが、その場合に知事は関係の市町村の意見を十分聞いて定める、こういったてまえになっておりますので、今回発出いたしました通達はあくまでもその知事さんがそのような判断をされる場合の基準になるものをお示ししたということでございます。
  183. 甘利正

    甘利委員 大体同じ考え方であったわけでございます。  次に計画局長さん、三大都市圏の大規模開発について、三年内着工というような確実性を確認しながら十分窓口を開きなさい、そして相談に乗りなさい、このように知事に要請をしておられるわけでございますが、私は大変心配するわけでございますが、当時線引きが行われまして大規模開発が持ち込まれたときに、大体の県が線引き以前に県に持ち込まれたものをこの対象にし、それ以外のものについてはかなり窓口は厳しかった、このように理解してよろしいのではないかと思うわけでございます。なにゴルフ場があったじゃないかというけれども、これは別の問題ではなかろうか、こんなふうに思っておるわけでございます。したがいまして、どうでしょうか、せっかくの通達ではあるけれども、受ける側の知事としては人口増を伴わない学校とか研究所とか企業の何かの機関、こういうものに窓口を開きたいけれども、大変な負担を負うところの住宅宅地の開発についてはまず窓口がかなり厳しいのではないかというふうに私は思いますが、こういう点につきまして局長さんの御見解をいただきたい。
  184. 宮繁護

    宮繁政府委員 御指摘のように、都道府県におきましては住宅団地等が出てまいりますと、水の問題とか学校の問題等で大変頭を痛めておられるのも事実でございます。それで、そうは申しましてもやはり国民の宅地、住宅に対します需要は非常に根強いものがございまして、それが地価の高騰にもつながってまいっておりますので、私どもはとりあえずはこの宅地需給の逼迫しております三大都市圏におきましては、良好な住宅用地の確保を図るという観点から、何とか大規模開発につきましては、立地の条件のいいところあるいは市街化区域の市街化に支障のないようなものであれば開発許可を適正にするように、こういうように通知してお願い申し上げておるわけでございますけれども、一部の都道府県におきましてはやはり人口増は困るんだ、学校とか研究機関とかであればいいんだけれどもというようなお話もございます。しかし、もう先生も御承知のとおり、昭和三十年代、四十年代まではそれぞれ九州とか東北からたくさんの人々が都会へ集まってまいったわけでございますけれども、現在はそういうことではございませんで、神奈川県で生まれた方が神奈川県にお住まいになる。したがって、神奈川県の人口もふえるわけでございます。確かにそのために公共施設の整備あるいは財政支出が大変でございますけれども、しかし住宅を求める方のためにはやはり何とか公共事業の整備もお進めいただきまして、開発もやっていただきたい。それで、国の方におきましても、御承知のとおり人口急増の市町村等につきましては、学校であっても消防施設でありましても、また交付税の問題でもあるいは関連の公共施設の補助の問題でも一生懸命やっておりますけれども、公共団体から見れば確かにまだまだ不十分だと思います。私どももそういう面につきまして今後も一層努力もしますけれども、知事さんにも十分そういう点私はお願いをしたいと思っております。
  185. 甘利正

    甘利委員 次に、都市局長さん、私の承知している限りでは、やはり三年以内に着工の確実性という前提に立って、第一に地権者による区画整理、第二に公共団体、公団、公社による区画整理、第三に民間開発者による開発、区画整理。ところが一、二については格段の条件もついておりませんが、民間デベロッパーに限って、その開発がその市の利益につながる場合は市街化区域に入れなさい、こういうことじゃなかったろうかと思うのです。ちょっとあやふやですが、なかったろうかと思いますので、そう思うという前提に立ってお尋ねするわけでございますが、民間開発業者にだけはその開発が市へ利益をもたらす場合と条件をつけるというのはどうなのか、この際、民間開発についてはこのエネルギーを一〇〇%使うのが必要ではなかろうかと思うわけでございまして、市に利益をもたらすということになりますと、さっき神奈川県の場合に自然増ということをおっしゃっておりましたが、その数字について議論するものじゃございませんが、場合によっては個人住宅の団地よりは研究所、学校等が利益をもたらすというふうに解釈されるのじゃなかろうか、そして結論はどうしてもそっちの方へ傾いてしまって、住宅用地の確保の通達には若干心配があるのじゃなかろうか、こんなふうに思いますが、いかがですか。
  186. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの点は、通達の中で新しく市街化区域に取り込むべき区域はどういう範囲かということを示した項目の中で掲げてあるところでございますが、まず区画整理事業が三年以内に行われることが確実な区域、それから地方公共団体、住宅公団等のいわゆる公的機関が開発事業を実施することが確実な区域、それから三番目に「民間開発事業者による計画的な開発事業が行なわれることが確実な区域で」その後に先生が挙げておられるところの表現は、「都市の健全な発展と宅地の実供給に資すると認められる区域」ということでございまして、確かにこの「都市の健全な発展」という文言の解釈の仕方でございまして、あるいは先生のいまおただしのような問題も出てこないとはもちろん言い切れないかもしれません。しかし私どもがこの通達を発出いたしました趣旨といたしましては、市街化区域、調整区域の区分け、いわゆる線引きというのは、その都市の将来にわたる発展動向をよく見定めて都市全体として健全な発展になるように、そういう視角から線引きが行われるべきものというふうに考えておりまして、線引き制度の当然のことをここに言わせていただいたにすぎないというふうに理解をしております。  しからばなぜ地方公共団体、公的団体の方にそのような表現がないのかというおただしがあろうかと思いますけれども、これは自治体にいたしましても住宅公団にいたしましても、制度論上当然そういうような要請を踏まえて行うべき実施主体でございます。言わずもがなというような感じで省略をさせていただいたにすぎません。自治体がやります場合でも住宅公団が行います場合でも、いずれの場合でも都市の健全な発展と宅地の実供給に資すると認められる開発事業に限られることは同様でございますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
  187. 甘利正

    甘利委員 次に、線引き十年後の今日、この問題でございますが、線引きは農地を転用利用と農用利用に二分したわけでございます。  そこで、転用利用区域においては、それは臨時措置ではあるかもしれないけれども、農用利用の道が順次開かれている。たとえば生産緑地法がその一つでございます。農住組合法もその一つでございます。それから、ややこしいけれども、農地相続税の特例、これは二十年間の農業継続というものを条件としておりますから、逆にとるならば、これもまたそのように解釈をされるわけでございますが、このように転用利用に方向づけられたところに農用利用の道が逐次開かれている、暫定だとおっしゃればそうかもしれませんが、このように理解してよろしいでしょうか。どうですか。
  188. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘の点は、市街化区域内の土地利用につきまして昭和四十九年六圧から施行になっております生産緑地法による生産緑地制度、あるいは前国会でお認めいただきました農住組合法によります農住組合の施行地区内の農業、農用地地区というものを御指摘になっておられるのだろうと思うわけでございます。いずれも御指摘のとおり、暫定的な期間を限って農用地の利用を認める制度でございます。
  189. 甘利正

    甘利委員 それでは次に、転用利用の道の閉ざされているいわゆる市街化調整区域、この調整区域において法制定後そのままである、ただ一つ、調整区域内の線引き以前の宅地について一定の条件のもとに建物を建てることが許されたということではございますが、これは農地に転用利用の道が開かれましたというわけにはまいらないということでございます。そこで、調整区域においても転用利用の道についてさらに検討すべきではなかろうかと今日の情勢下においては思うわけでございます。この検討がなされないと、調整区域内の集落は生活の先細りというものに襲われる可能性がないと断言できないわけでございます。したがいまして、法二十九条、三十四条、この二条については綿密な再検討をなされるべきものであろうと私は思いますが、どのようにお考えでございますか。
  190. 升本達夫

    升本政府委員 市街化調整区域内の土地利用につきましては、御指摘のとおり開発行為に関する制限規定が都市計画法に盛られておりまして、その諸規定に従って認められる場合認められない場合、いろいろございますが、農用地、農業用の土地利用に付随するたとえば建築敷地としての利用というようなものにつきましては、当然一定の範囲内で開発行為は認められるということになっております。  このような開発制限を一般的に見直すべきであるという御指摘であると思うわけでございますが、私どもの理解といたしまして、都市計画法のたてまえは、やはり市街化されるべき土地は市街化区域に取り込む、それでも取り込み切れないところは、調整区域であっても一定の制限、限定内で開発行為、開発許可を認めていく。特に二十ヘクタールという一定規模以上のまとまりのある開発行為であれば、これは特に土地利用云々を問わず開発許可をとり得るというようなたてまえにいたしておりますので、調整区域内における土地利用転換が全く封ぜられているというふうな状況とはかなり違っておるのではないか。現実の運用のよろしきを得れば、現行の制度をもって十分開発の必要性に応じ得るのではなかろうか。これを全面的に見直しあるいは全面的に制度を変えるということになりますと、これは現行都市計画法によります線引き制度自体をかなり大幅に考え方を変えるということにならざるを得ないかと思うわけでございまして、ちょっと現状においてはむずかしい御意見ではないかというふうに承らせていただいております。
  191. 甘利正

    甘利委員 次に、いままでの市街化区域の転用の実態についてひとつお尋ねしたいと思います。  十年以内に市街化を図るべき区域としながら、市街化を図るべきとする具体的な施策がなされていない区域が非常に多いのではないか、このように私は思うわけでございます。そこで盲地というような言葉が出たわけでございます。四メートルの公道に接面していないところは、いかに市街化区域であり、どのように宅地並み課税がかかっても恐らく当局は建築の許可は許さない。これは盲地になってしまっておる。そして公道に接面するところに多くの宅地開発がなされたので、農業排水路は分断されて農地としての役にも立たない。農地的に盲地であり、それから宅地的に盲地である、こういうところが、こういうところばかりだとは言いませんが、結構多いのではないかと私は思うわけでございます。そういう点を考えて、私は農住法案のときには規模制限、団地制限それから農地の制限は大幅に緩和すべきだということを申し上げたわけでございますが、それはそれといたしまして、どうなんですかね。小さい規模の区画整理をどんどん奨励させて、そして接面する道路くらいは模様によったら国で見て、まあそうも言えないですが、国で見てもいいくらいの迫力で、そして農地利用を続けよう、農業利用を続けようとするならば、両方役に立ちますから、農排水くらいは見てやる、このくらいのところまで突っ込んでいかないと、いままでの——これからのは条件をつけておやりになりますからね。あのときに条件をつけておかれればよかったのですが、仮の線引きで、区画整理をやるというところだけを市街化にどんどんしていけばそういうことはなかったのですが、そうじゃないでしょう。広範な地域をやっちゃったからそういう盲地ばかりできちゃったということでございますから、この対策についてはひとつ十分おやりにならなければいけないのじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  192. 升本達夫

    升本政府委員 区画整理を活用すべきではないかという御指摘については、私どもも全く同意見でございます。私どももそのような考え方でこれからの土地利用の転換、市街地の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。  先ほど来申し上げておりましたように、市街化区域に新たに取り込む地域については、区画整理を条件としてこれから的確に運用してまいりたいと考えておりますが、残念ながら、すでに市街化区域になっております地域の一部、かなりの大きな部分に御指摘のような状況があることも私どもよく熟知をいたしております。これらについては何らかの形で、小回りのきくような形で区画整理をどんどん実施していくというような体制に持っていきたいものというねらいを定めまして、せっかく検討をいたしておる段階でございます。
  193. 甘利正

    甘利委員 きめ細かな御努力のほどをお願いいたします。  質問を終わります。
  194. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、明後二十七日午後零時二十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時散会