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1981-06-03 第94回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年六月三日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君       植竹 繁雄君    近藤 元次君       桜井  新君    竹下  登君       近岡理一郎君    小川 国彦君       田中 昭二君    辻  第一君       石原健太郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君  出席政府委員         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 小坂  忠君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         臨時行政調査会         事務局主任調査         員       谷川 憲三君         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 山口 健治君         林野庁林政部林         産課長     山口  昭君         林野庁指導部林         道課長     小沢 普照君         運輸省港湾局管         理課長     佐々木建成君         運輸省鉄道監督         局総務課長   橋本 昌史君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 平井磨磋夫君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         住宅金融公庫理         事       関口  洋君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     星野 孝俊君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     久保田誠三君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   上田  哲君     小川 国彦君   山口 敏夫君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     上田  哲君   石原健太郎君     山口 敏夫君     ————————————— 六月二日  昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十四年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (建設省所管住宅金融公庫)      ————◇—————
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君理事星野孝俊君、理事救仁郷斉君、同じく理事久保田誠三君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 國場幸昌

    國場委員長 それでは、まず建設大臣から概要説明を求めます。斉藤建設大臣
  5. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 建設省所管昭和五十三年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済み歳入額は、一般会計百九十七億八千五百万円余、道路整備特別会計一兆九千九百七十三億一千六百万円余、治水特別会計治水勘定八千九十六億二百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定一千四百二十億四千六百万円余、都市開発資金融通特別会計四百五十四億九千百万円余、等となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済み歳出額は、一般会計三兆六千五百三十七億七千八百万円余、道路整備特別会計一兆九千八百七十億一千五百万円余、治水特別会計治水勘定八千四十七億六千八百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定一千三百六十七億七千三百万円余、都市開発資金融通特別会計四百二十六億九百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分八百九十九億二千三百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第五次治水事業五カ年計画の第二年度として、河川ダム及び砂防の各事業実施いたしました。  このうち、河川事業では、直轄河川改修事業百二十五河川中小河川改修事業七百二十九河川実施し、ダム事業では、直轄四十三ダム補助百九ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄三百五十二カ所、補助三千九百一カ所の工事実施いたしました。  以上により、五カ年計画における進捗率は、約三五%となっております。  海岸事業では、第二次海岸事業五カ年計画の第三年度として、直轄十一海岸補助八百四十三カ所の工事実施いたしました、  また、急傾斜地崩壊対策事業は、一千四百四十八地区について補助事業実施いたしました。  次に、災害復旧事業につきましては、直轄では、五十二年災を完了し、五十三年災について復旧事業実施いたしました。補助では、五十一年災を完了し、五十二年父及び五十三年災についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第八次道路整備五カ年計画初年度として、一般国道等改良及び舗装等実施いたしました。このうち、改良においては三千九百三十九キロメートル、舗装においては四千五百二十二キロメートルを完成させたほか、一般国道において、指定区間一万八千五百六十八キロメートルの維持修繕工事直轄実施いたしました。  有料道路事業関係では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金貸し付けを行いました。  以上により、五カ年計画における進捗率は、約一七%となっております。  次に、都市計画事業につきまして御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第二次都市公園等整備五カ年計画の第三年度として事業実施し、国営公園として、七カ所、補助事業として都市公園二千五百六カ所の施設整備等実施し、五カ年計画における進捗率は、約五一%となっております。  下水道事業につきましては、第四次下水道整備五カ年計画の第三年度として事業実施し、管渠において二千三十六キロメートル、終末処理場において百三十八万人分の施設を完成し、五カ年計画における進捗率は、約四八%となっております。  次に、住宅対策事業につきましては、第三期住宅建設五カ年計画の第三年度として、公営住宅七万百三十四戸、改良住宅六千一戸、住宅金融公庫及び日本住宅公団関係六十四万三十戸のほか、農地所有者等賃貸住宅特定賃貸住宅等事業を推進いたしました。  次に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百四十七カ所の工事実施し、このうち二百六十八カ所を完成いたしました。  最後に、都市開発資金貸付事業につきましては、工場移転跡地地区及び都市施設用地四十九カ所の買い取りに対し資金貸し付けを行いました、  以上が、昭和五十三年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和五十三年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことはまことに遺憾であります。  指摘を受けました事項につきましては直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります、  以上が、昭和五十三年度建設省所管決算概要並びに決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  6. 國場幸昌

  7. 肥後昭一

    肥後会計検査院説明員 昭和五十三年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十五件、処置を要求した事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一一四号は道路災害防止工事の施行に当たり、ポケット式ロックネット設計と相違して施工したものであります。  これは、一般国道三十二号の香川県三豊郡財田町地内で落石による災害を防止するなどのために、落石防護棚や土どめ擁壁を設置したほか、山側の土砂崩壊のり面ポケット式ロックネットを新設する工事に関するものでありまして、このうちポケット式ロックネットは、土砂崩壊のり面の上部に施工したコンクリートアンカーブロックなどに取りつけて固定されるものでありますが、このブロックなどの施工が著しく粗雑となっているためにポケット式ロックネットの強度が設計に比べて著しく低下しているというものであります。  また、検査報告番号一一五号から一二八号までの十四件は公共事業関係補助事業実施及び経理が不当と認められるものでありまして、工事設計または工事費積算が適切でなかったり、工事施工設計と相違したり、国庫金を不正に受給したりしているものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、トンネル用照明器具仕様及び積算に関するものであります。  建設省が五十三年度中に施行したトンネル照明設備工事で設置している照明器具器具筐体寸法建設省電気工事共通仕様書で規定されておりませんので、まちまちになっておりまして、このために積算額が他団体のものと比べて過大となっている状況でありましたので、建設省において速やかに照明器具筐体寸法を検討して仕様書を整備し、大口需要としての割安な価格での調達ができるよう努めることによって積算価格適正化を期し、経費の節減を図る必要があると認められましたので、この処置を要求したものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  その一は、建設省が施行しております特定多目的コンクリートダム及び建設省補助を受けて各道府県が施行しております多目的コンクリートダム建設工事における工事費積算に関するものであります。  このダム建設工事積算に当たりましては建設省の定めた積算資料によっていますが、施工現場におきまして作業の実態を調査いたしましたところ、積算施工実態に合っていないものが見受けられました。  第一点は、ダム施工現場に設置しておりますコンクリートプラントの運転に必要な配置人員積算についてでありまして、近年、プラント電子制御方式などの導入により性能が向上し、操作室において集中制御ができるものが使用されておりまして、ブラントの編成人員積算人員を相当下回っておりました。  第二点は、コンクリート用骨材原石山から採取する際に使用いたしますダイナマイトとアンホ使用割合についてでありまして、近年、アンホの取り扱いが容易になったことなどから価格の安いアンホ使用割合が大幅に増加しておりました。  第三点は、コンクリート用骨材原石山から採取する際に爆破掘削によって発生いたします径一メートル以上の岩石を人力により小割りするための費用の積算についてでありまして、近年、騒音が低く、しかも能率的で経済的な油圧式ブレーカが普及したため、大部分はブレーカによる機械施工実施しておりました。  以上の三点につきまして、現行の積算資料の歩掛かりは適切でないと認められましたので指摘しましたところ、建設省では、五十四年十月積算資料施工実態に合ったものに改めまして、今後の積算に適用するよう処置を講じたものであります、  その二は、場所打ちコンクリートU型側溝ふた価格積算に関するものであります、  建設省関東地方建設局の各工事事務所が施行している舗装修繕及び歩道設置工事で場所打ちコンクリートU型側溝用ふたを多数使用しております。この側溝ふたは、建設省土木構造物標準設計で定められている標準規格鉄筋コンクリート製品でありまして、その価格につきましては、同局が定めた積算基準等では、各工事事務所がそれぞれ製造業者から見積書を徴してこれを参考積算するようになっておりました。しかるに、同局管内工事事務所積算に当たり採用しておりました側溝ふた規格ごと価格を調査いたしましたところ、相武ほか三国道工事事務所では、他の工事事務所価格と比べまして、特別の事由もないのに高価となっておりました。  したがいまして、本件側溝ふた価格につきましては、各工事事務所がそれぞれその価格を決定するのではなく、同局市場調査を行うなどして、適正な標準価格を定め、これによって各工事事務所積算できるよう積算基準等を改める必要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、関東地方建設局では五十四年十一月に積算基準等を改めて、側溝ふた価格同局において設定し、同月以降の積算に適用するよう処置を講じたものであります、  なお、以上のほか、昭和五十一年度決算検査報告に掲記しましたように、排水樋門等管理橋予定価格積算について処置を要求しましたが、これに対する建設省処置状況についても掲記いたしました。  以上が昭和五十三年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要であります。  次に、昭和五十三年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが説明を終わります、
  8. 國場幸昌

  9. 大津留温

    大津留説明員 住宅金融公庫昭和五十三年度業務計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約額は当初、住宅等資金貸し付け二兆四千七百九億九千七百万円、関連公共施設等資金貸し付け百六十五億円、宅地造成等資金貸し付け千九百八十億五千八百万円、財形住宅資金貸し付け四百億円、合計二兆七千二百五十五億五千五百万円を予定いたしましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約額を、住宅等資金貸し付け二兆八千七百五億一千九百万円、関連公共施設等資金貸し付け八十二億百万円、宅地造成等資金貸し付け三百三十億七千万円、財形住宅資金貸し付け百二十億円、合計二兆九千二百三十七億九千万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金貸し付け二兆八千二百三十六億七千四百七十六万円、関連公共施設等資金貸し付け六十九億四千百六十万円、宅地造成等資金貸し付け二百八億四千三百五十万円、財形住宅資金貸し付け百十八億九千三百十万円、合計二兆八千六百三十三億五千二百九十六万円となったのでございます。  資金貸付予定額は当初、昭和五十三年度貸付契約に係る分一兆四千七百四十二億円、前年度までの貸付契約に係る分八千七百八十五億六千百万円を合わせた計二兆三千五百二十七億六千百万円でありましたが、その後、財投追加及び前年度決算による改定等により、合計二兆五千八百五十六億九千二百八十三万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金二兆一千三百八億円、簡易生命保険及郵便年金積立金借入金七百四十八億円、財形住宅債券発行による収入七十八億五千万円、宅地債券発行による収入二十億円のほか、貸付回収金等から三千七百二億四千二百八十三万円余をもって、これに充てることといたしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸し付け二兆三千百九十七億二千八十四万円余、関連公共施設等資金貸し付け六十九億九千七百六十六万円、宅地造成等資金貸し付け四百二十五億四千百六十万円余、財形住宅資金貸し付け四十九億七千百七十六万円、合計二兆三千七百四十二億三千百八十七万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、七千百二十六億五千三百二十七万円余、率にいたしまして四二・九%増となっております。  また、年度間に回収いたした額は五千七百二十二億八百八十三万円余でありまして、前年度に比べますと、二千百八十四億三千五百二十六万円余、率にいたしまして、六一・七%増となったのでございます。  この結果、年度貸付残高は八兆三千七十八億三千四百二十八万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと一兆八千二十六億八千二百七十九万円余の増加となったのでございます。  貸付金延滞状況につきましては、昭和五十三年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は十一億九千五百四十九万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは八億三千二十一万円余でございました。  次に、住宅融資保険業務につきましては、昭和五十三年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千四百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千百六十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしましたものは一千百七十二億五千八百三十万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済み額は、収入予算額五千三百九十五億八千六百八十一万円余に対し五千二百七十億五千三百三十四万円余となりました。支出済み額は、支出予算額五千五百九十七億六千二百五十一万円余に対し五千四百八十八億四千八百七十四万円余となり、収入より支出が二百十七億九千五百三十九万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益六千百九十七億二千九百四十六万円余、総損失六千百九十五億四千三百六十一万円余となり、差し引き一億八千五百八十四万円余の利益金を生じました。この利益金は、住宅融資保険特別勘定利益金でありますので、住宅金融公庫法第二十六条の二第三項の規定により同勘定積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上をもちまして、昭和五十三年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。
  10. 國場幸昌

    國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  11. 國場幸昌

    國場委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します、東家嘉幸君。
  12. 東家嘉幸

    東家委員 住宅問題と、またそれに関連する問題等について質問させていただきます。  建設省住宅建設五カ年計画を策定されましたが、その七百七十万戸、一年間にしますと平均百五十四万戸になるわけですが、現在までの進捗率はどのようになっておりますのか、お尋ねいたします。
  13. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘の第四期住宅建設五カ年計画につきましては、昭和五十六年度初年度といたしまして昭和六十年度までの五カ年計画を定めたものでございまして、その総戸数を七百七十万戸と見込んでおるわけでございます。これは昭和五十六年度発足早々でございますので、今後の建設状況等を見なければわからないところでございますが、第三期の住宅建設五カ年計画昭和五十五年度までの五カ年間で総戸数八百六十万戸を見込んでおりました。現在までの詳細な数字はまだ出ておりませんが、おおむねの実績の見通しといたしましては約七百八十万戸程度となっておりますので、九十・数%といったような達成率になろうかと思います。
  14. 東家嘉幸

    東家委員 いまの住宅産業状況からいたしましても、大変厳しい経済環境にあるわけでございます。いまお答えになりましたけれども、では月別の進捗率そこらあたりからいったら、とてもじゃない、七百七十万戸、一年間にすれば百五十四万戸の達成なんということは、私は今年度においてはとても見込み薄だと思っております。たとえば住宅金融公庫の問題にしましても、新聞等にもよく出ております。「魅力薄れた?公庫融資」、そういうような融資に対し申し込み枠そのものが満たないわけです。そこらあたりは、どういうことでそういうふうな定員割れというような状況が起きたのか、あわせてひとつお尋ねいたします。
  15. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、昭和五十五年度の一年間の住宅建設戸数は、新築着工統計資料によって見ますと約百二十一万四千戸程度となっております。  御案内のように、土地価格上昇あるいは昨年の前半までにおきます建築費上昇あるいはまた住宅金融の高金利、さらには所得の実質的な減といったようなことがそのような原因となっていると私どもは考えております。  ところで、去る四月の二十四日から五月の二十八日までの間に住宅金融公庫の第一回の受け付けを行ったところでございますが、総戸数につきましては十一万戸を予定いたしておりました。申し込み総数につきましては、十一万三百月余の申し込みがございましたので、一応おおむね総数としては予定戸数に達しておるということが言えようかと思います。  ただ一部、一般住宅につきまして四千戸余り予定より下回っておりますが、これにつきましては、建て売り住宅購入希望者の方と一緒に募集をしておりまして、この方が相当戸数予定よりオーバーしておりますので、そのトータルを見まして、両方合わせまして十万二千戸の予定に対しまして十万二千四百戸程度の応募があったということで、一応まあまあであろうかと考えております。しかしながら、先ほど申しましたようないろいろな諸事情がなお住宅建設の動向には影響を来しておる。今後、各般の施策を講ずることによって住宅建築をさらに一層推進する必要があるというふうに考えておるところでございます。
  16. 東家嘉幸

    東家委員 住宅建設の不振というものが関連産業大変影響を及ぼしているということは御承知のとおりでございます。住宅産業というのは非常にすそ野が広いわけです。そのすそ野の広い住宅産業が落ち込むということで、今日、不況の最たる業種だと私は思っております。また、そうした住宅建設関連に従事する皆さん方のことを思うならば、これはどんなことがあっても建設計画実施していただきたいというふうに私は思うわけでございます。  なお、住宅に使用される資材。特にいままでの住宅というものは本質系住宅が多かったわけです。ところが、最近非本質系のものがかなり多くなってきた。ではそこらあたりの比率というものはどのようになっておりますか、お尋ねいたします。
  17. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えをいたします。  私の方の手元によりまして先ほど申しました着工新設住宅の統計によって昭和五十五年度の比率を見てみますと、総戸数が百二十一万四千戸程度でございますが、木造の住宅につきましては七十一万一千戸余でございまして、それに対比いたしまして非木造の住宅が五十万二千戸余となっております。この比率は、最近におきまして木造系の比率が大分落ち込んでいるというような傾向が出ておるところでございます。過去三カ年の実績等を見ましても、その木造と非木造との比率はかつては六十数%の木造比率であったものが、いま申しました五十五年度の数値で見ますと木造系が五八・六%というふうになっている状況でございます。
  18. 東家嘉幸

    東家委員 木造住宅の場合は、大工さん、左官さん、いろいろなすそ野の広い人たちによって建てられるわけです、非本質系住宅というものは、セメント住宅等々も言いますが、普通はとにかく組み立てをするだけの住宅というようなことで、これは確かにコスト的には安くつくでしょう、しかし、今日の状況からしまして、そうしたすそ野の広い本質系住宅というものを私はもっと建てなければいけないと思っております。そうした非本質系住宅に対し、どうも建設省の方は、これまた後で質問いたしますけれども、耐火性の問題、耐久性の問題というようなことで、ややもするとそちらの方に偏った方向に進めておられるような気がしてならないわけですが、そこらあたりはどういうふうに考えておられますか。
  19. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもといたしましては、木造住宅の占める割合あるいはまたそのすそ野の広さ等を考えまして、昭和五十二年度から五十五年度までの間におきまして、木造住宅の在来工法の合理化促進といったような事業実施してまいり、総額二億七千八百万円をもって構造の合理化あるいは部品化、断熱工事の合理化、不燃化、施工の標準化、耐久性の向上等の事業実施してきたところでございます。今後、これらの成果をもとにいたしましてさらに各種の合理化を進め、技術開発を実施し、その普及を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、昭和五十五年度から、地域特性に即しました良質な木造住宅の供給を図りますために木造住宅振興モデル事業実施しておりまして、五十五年度と五十六年度の二カ年間に九千八百万円の予算をもって各地域にふさわしい木造住宅の振興事業を推進しているところでございます。  なお、昭和五十一年度から実施しておりました新住宅供給システム、いわゆるハウス55の開発につきましても、私ども三つのグループに分けまして、コンクリート系あるいは本質系あるいは鉄骨系といったようなものについてそれぞれ企業化を進めるよう努めているところでございます。
  20. 東家嘉幸

    東家委員 本質系住宅についてもかなり関心があるようなことをお示しになりましたけれども、しかし、一般の建設業の関係の特に本質系住宅をおつくりになっておる方々はそのようには思っていないのです。どうも建設省の方は木材を使わない耐火性のこと、耐久性のこと等に力を入れ過ぎているというようなこと。耐火性等については、いま内部の部材等についても、これは燃えない住宅といっても、壁に張るものだってビニール系のものもたくさんあるでしょうし、家具も持ち込むでしょうし、だから、問題は、もっと外壁等において類焼を招かないような方法のことを考えて、そしてもっと本質系住宅を促進するように力を入れていただきたいと思うのです。  そういう耐火性、耐久性のことをおっしゃられますけれども、しかし、健康管理ということも私は必要だと思うのです。日本はいま長寿国世界一と言われます。なぜ長寿国になったか。これはもう皆さん一般の人にも知っていただきたいのですが、本質系住宅が居住性があるから食生活とあわせて日本は長寿国になったのだ。だから、あのセメント住宅の湿っぽいああしたものを奨励することじゃなくて、もっと健康のことも考える。そうした世界一の長寿国になったのは本質系住宅の居住性にあるのだ。これはヨーロッパあたりでそういう本が出ている。もう少し、そういう点について私はここでお願いいたします。あえてこのことについてはお答え願わなくても結構でございますが、ひとつどうかそこらあたりをもっと理解していただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、木材のことでございますけれども、林野庁の方来ておられますが、いま木材の輸入量というものはどのくらいの数量であるか、なおまた、その金額はどれだけであるかということをちょっと御質問いたします。
  21. 山口昭

    山口(昭)説明員 申し上げます。  昨年は輸入量は約四千三百万入っております。それから金額にしますと約一兆六千億ということになっております。
  22. 東家嘉幸

    東家委員 それと国産材。治山治水または緑というものが健康にどれだけ影響を及ぼすかということはもう言うまでもないことでございます。その日本の木材資源というもの、今日の国内の木材の需要の供給率と、輸入の量でも率でも結構でございますが、その利用率というものは何%であるかということでございます。なおまた、いま一兆五千八百六十二億円とおっしゃられますが、これだけの膨大な輸入に外貨を費やしているわけでございますから、国産材でもっと需要を賄うことができないのかどうか。たしか国産材の供給率は三〇%程度だと聞いております。あとの七〇%は輸入に頼っておる。じゃ国産材でこれから先もっと供給率を高めることができるのかどうか、大変これは将来の展望に立った場合、私は国民的課題だと思いますが、そういう供給率がどのくらい将来においてでき得るのかということ、このことについてお尋ねいたします。
  23. 山口昭

    山口(昭)説明員 申し上げます。  先生も御承知のとおり、木材業界は大変な不況でございます。これは一過性のものでございませんで恐らく基本的な問題を含むというふうに考えております。二つございまして、一つは住宅の需要が減ったということでございます。何とか回復する手はないかということでございます。もう一つは外材でございます。原木を買うことがむずかしくなってきておるわけでございます。とりわけ南洋材につきましては、インドネシアが売らないというようなことを言っておるわけです。それから米材も、アメリカ側が原木ではなるべく出さないということを申しております。そういうわけでございますから、これまでのように自由に買えるという環境ではどうもなくなりつつあるということがございます。したがいまして、私ども林野庁では、いま業界の方々にお集まりいただきましていろいろ御意見を聞いておるわけでございますが、大きく言いますと外材から国産材に円滑に転換をするということが必要かと思います。昭和三十年ぐらいから木を植えておりまして、現在ストックが一千万ヘクタールぐらいございます。これがいま伸びている最中でございまして、ちょっと息の長い話でございますが、二十一世紀になりますとこれが出てくるわけでございます。現在七割、三割という外材の比率でございますが、行く行くはこれが逆転をいたしますポテンシャルというか潜在力を持っているわけでございます。そういう意味で国産材を今後愛用しなければならぬという感じでございます。
  24. 東家嘉幸

    東家委員 心細い話でございます。外材はだんだん入りにくくなってくるということ。しかし、供給体制というものは、今日の山の手入れ、木材の手入れ等からしてむずかしいということをよく聞くのです。一応木材というものを育てようと思ったら間伐をやらなければどうにもならないわけです。間伐をやって初めて製品になるわけです。その間伐の進捗率はいま何%であるか。どれだけ間伐をやっているのか。なおまた、間伐をする場合は必ず林道というものをつくっていかなければいけない。林道がなくしてその切った材は出せない。そのような林道の進捗率がどのようになっているか。将来の輸入材と国産材との供給率は逆転するのだ、そういう重要なときに、将来に向けてどのくらいの進捗率を来しておるか。これは林野庁もいろいろと苦心しておられることと思いますけれども、林道の進捗率、なおまた間伐の進捗率、なおまた、どのくらいやれば国産材の供給力がどのくらいになる、それにこたえることのできる供給体制ができるのかどうか、どれだけのものがいまお尋ねしたことの進捗率によって達成できるのか、そこらあたりをお尋ね申し上げます。
  25. 山口昭

    山口(昭)説明員 申し上げます。  現在、間伐は民間におきましてはかなり低い率でございまして、二割ぐらいと思っておるわけでございます。林野庁としましても、これを引き上げるためにことしから間伐促進総合対策というものを実施しまして、何とか引き上げたいと考えておるわけであります。  それから、間伐しなければいかぬ面積でございますが、要間伐面積は百九十万ぐらいあると言われております。これを何とかこなさないと、なかなか森林が健康な姿で育たないということでございます。  林道の話につきましては、林道課長が参っておりますので、申し上げます。
  26. 小沢普照

    ○小沢説明員 林道の整備状況につきまして、お答え申し上げます。  林道の整備目標は森林資源に関する基本計画によりまして長期目標を定めておりますが、この総数は最終的には二十七万四千三百キロメートルというものを開設、整備の目標としております。  それで現在の整備状況でございますけれども、昭和五十四年度末におきまして開設延量は九万五千三百三十一キロメートルでございまして、達成率が三四・八%となっております。  以上でございます。
  27. 東家嘉幸

    東家委員 ただいまお答えの中に、間伐については約二〇%の進捗率である。林道に至っては三〇%強の進捗率である。そのような状況で、これから先、国産材の供給率をせめて五〇%以上までにというような時期に、とてもこたえることはできないと私は思うのです。一兆五千八百六十二億というような膨大な外貨を使っているわけです。国産材にもっと先行投資をしてやれば、資本を打ち込めば将来国の大きい財産となるわけですから、そこらあたりについてはもう少し林野庁も腰を入れて予算獲得に向けていただきたいと思います。  これは建設大臣にお尋ねいたしますが、住宅産業というものはこれから先も、千人当たり一戸と言われております。どんなに落ち込んでも、世界の水準からいたしましても百二十万戸は今後建てていかねばならぬ、そういうような将来を見通した場合に、どうか建設省の方も、その資材を供給する林野庁の役割り、民有林の役割りは大変大きいものがあるわけでございますから、そこらあたりについてもどうかひとつ建設大臣の方からも協力していただきたいということをお願いするわけです。特にまた、先ほど私は本質系住宅というものについて強調いたしましたが、いま大変不況なんです。もう製材所等は、ここ一年間約五%の、売り上げに対しての赤字を続けております。恐らく黒字の製材所はないでしょう。また、製材所そのほかを合わせての住宅資材メーカーというものは倒産の続出なんです。このようなことを続けておったならば、将来の住宅産業というものに資材を供給する立場の皆さん方、その役目を果たすこともできなくなってしまうのではなかろうかと心配をいたしております。その点について、建設大臣、どうか前向きな取り組む姿勢というものを、お考えがございましたならば、ひとつ御説明願います。
  28. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅政策につきまして、幅広い識見を持たれて、いろいろと示唆をいただきまして、ありがとうございました。特に、木造建築に対する卓見につきましては思わず耳を傾けたわけでございます。私たちの行政からいって、別に耐火性、耐震性、そうした面にばかり目を向けたわけではありませんけれども、過密都市における勤労者の方々の住宅政策といいますと、どうしても大きな住宅になっていくという形で、勢いそういうことになってきておるわけでありますが、そろそろ住宅構造の変化も一応バランスのところまできておりますので、そうしたこともあわせて進めていきたい、このように考えるものでございます。  輸入材の問題、国産材の問題をいかにするかということは、所管の林野庁からも説明がありましたが、木材を育てるというのは二十年、三十年かかるわけで、幸いに林野庁において二十一世紀という目標で一応のめどを立てておられるということで安心いたしましたが、先生おっしゃるように、まさに日本の国土、環境に合った住宅というものはやはり木材であろう、私もよく承知いたしております。日本の国民の健康保持のためにも、また長寿国として世界のよりよい指導的な国家とするにいたしましても、住宅問題というのは大きなウエートがあるであろうと思います。住宅政策とあわせて、そうしたことにつきまして各般にわたって関係省庁ともよく御相談申し上げて国民のニーズにこたえてまいりたい、このように考えるものでございます。
  29. 東家嘉幸

    東家委員 先般、林野庁の総予算は何ぼだということをお聞きいたしましたら、五十五年度三千五百二十九億円、私はびっくりしたわけです。これだけの国土を守り、山林資源を育成していかなければならない、治山治水対策上も重要な役割りを果たしている、その予算が果たしてこんなことでいいのか。たとえば牛乳をつくるために補助金がどれだけあるのか、私も農政議員ですから、それを何もまけて対象にしようとは思っておりませんが、しかし、牛乳をつくるため一リッター当たり十五円何ぼかの補助金を出しております。牛一頭に対しての補助金十五万そこそこ、何と三千三百億円、牛乳をつくるための補助金、それと林野庁の予算がほぼ匹敵する。このようなことで、重要な住宅産業というものをこれから抱え、先ほども言いましたように治山治水の問題を含め、私はどうも納得いかない。そこらあたりについて、林野庁がもっと努力し、またそのことをよく各当局に訴えて、そして、この問題は国民的課題だと私は思うわけでございます。最後に、大臣、そこらあたりのことをどうこれから先、所管が違うところではございますけれども大変関連することでございますから、ひとつ簡単で結構でございますが、お尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
  30. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の言わんとするところをよく外しまして、関係省庁にも前向きで御相談申し上げ、せっかく努力する所存でございます。
  31. 東家嘉幸

    東家委員 どうぞひとつ閣議の方でもよくお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  32. 國場幸昌

    國場委員長 桜井新君。
  33. 桜井新

    ○桜井委員 いまほどは、わが党の東家先輩から大変厳しい不況続きの建築業界のことにつきまして総論的な質問、高邁な質問があったわけでありますが、私もせっかくの機会でありますので、建築関係のことにつきまして、少し各論的なことをお伺いしてみたいと思うわけであります。  構造的不況と言われる建築業界、そしてまた全般的な経済不況の中で、ある意味では牽引車的役割りも果たさせようということで、いろいろ官民挙げて御努力をしておるわけでありますが、意に沿うような結果がなかなか生まれないようであります。一方では、立地条件の問題もいろいろあるかと思うのですが、せっかく御苦心をされてつくられた建築が空き家になって、一体何をやっているのだという責めも避けられないのが現状でございます。  そういう中で、私は、いろいろマスコミ等でも議論もされ、あるいは関係業界でも議論をされていることでありますが、古い木賃アパートの建てかえを融資制度の拡大によって政策的に促進できないものかどうかということについて、少しお伺いをしたいと思うのであります。  最近の建築業界の不況は、いまも申し上げたように構造的なものと言われておりますが、深刻の度はますます深まるばかりでございます。これは土地高騰が最大の原因がとも思われますが、そういう中で、都心にありながら、その古さと狭隘さのためといってもいいかと思いますが、次第に古い木賃アパートでは入居者が減りつつあるわけであります。こういったものを建てかえ、近代化をすることが、地代の要らないきわめて効率のよい景気対策となるのではないかといろいろ議論のあるところであります。私は、まさにこれこそ今日の需要者のニーズに合った、職場の至近距離にあり、しかも近代住宅を提供し、一方これがそのまま不況対策につながるということで、一石二鳥の効果があると思うわけであります。そういう中で、いろいろ現状での諸制度の運用を皆さん御苦心されて幅広く努力をされているようでありますが、いまも申し上げたようになかなか建築意欲が高まらないでおるわけであります。そういう中で償還期限の延長や枠の拡大や、あるいはまた密集地域での木賃アパートの共同建築など、行政制度の改正などに特別の配慮を加えることこそ財政の効率的投資と思われるのでありますが、この点についていまの制度以上に一歩突っ込んだ踏み込み方をやるお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  34. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘ありましたように、大都市地域におきますいわゆる木賃アパートにつきましては、都市の防災の問題あるいはまた土地の高度利用の観点から、さらにはその質が非常に悪いというところから、それを建て直して居住水準を向上させるといったような諸般の観点から、その必要性は強まっていると思っております。  私どもも従来から、特定賃貸住宅建設融資利子補給制度といったようなものとか、あるいはまた住宅金融公庫融資日本住宅公団によりますところの分譲、そういったものを通じまして、この建てかえを促進しているところでございます。また、先ほど申しました利子補給につきましては、特に建てかえの場合には利子補給期間を五年間延長して十五年とする等、いろいろな改善措置を講じてまいっているところでございます。しかしながら、まだ私どもが考えておりますような成果が十分に上がっていないということも事実でございます。この点につきましては、これらの木造賃貸住宅を経営していらっしゃる方々の経営の努力、あるいはまたこれに関します資金的な措置、さらには従来入居していらっしゃった方々に対する措置、あるいはまた防災あるいは環境の面からする基盤整備、そういったような各方面にまたがる検討をしなければいけないという点がございます。  私どもも、特に今後の新しい第四期の住宅建設五カ年計画実施するに当たりまして、いまの問題は最重要課題の一つといたしまして、制度的にもいろいろ見直しをさせていただき、前進するような方途を検討してまいりたいと思っております。
  35. 桜井新

    ○桜井委員 大変前向きな姿勢で取り組む御答弁をいただいて、私もいささか安心をしたわけでありますが、その際、この構造不況から抜け出すための方途として、特に財政再建というようなことで予算カットの問題がいまいろいろ世間で問題にされているわけでありますが、その中でどうしても不況対策としてある程度緊急にやる必要があるかと思うので、ここ一、二年という期限を切っても結構でありますが、特に大都市圏の中の木賃アパートを改造する場合に、いま局長から申されたもののほかに、ある程度家主がその期間商売ができなくなるわけでありますし、また取り壊し等いろいろよけいな費用もかかるわけでありますので、そこら辺のことにも配慮した融資枠の拡大等もぜひひとつその中に入れていただきたい、そして何とか建築意欲を促進をさせていただきたいと思うので、これはお願いをしておきます。  次に、第二点でございますが、ことしの異常豪雪のことにつきましては、建設大臣からも大変な御配慮をいただいてきたところであります。何しろ昭和の初め以来最大の豪雪と言ってもいいくらいの豪雪であったわけでありますので、各地でいろいろな被害が起きているわけでありますが、たまたまことしは豪雪地帯特別措置法の十四条、十五条の見直しの年でもありますので、いろいろこのことについて当事者もいま対策を講じておるところでございます。そういう中で、住宅関連のことについて少しお尋ねしたいと思うのでありますが、お配りいただきました住宅金融公庫年報の五十四年版ですが、これを読んでいる中で二、三ただしてみたいことが起きたので、お聞きをしたいわけであります。  六十三ページには住宅相談のことが書いてございます。それから六十九ページには融資制度の改廃等についての報告が書いてあるわけであります。これらのことについて詳しく私もお聞きをしたいと思っておりますけれども、時間の都合上そういったことは後日に回すことにいたしまして、その中にありますには、たとえば北海道では防寒建築等促進法というのがありまして、防雪対策を特に重視をして対策を講じておるようでございます。あるいは防災対策等についても特別の方途を考えているようでありますが、私はそういう中で、豪雪地帯では特別建築費によけいな費用をかける、特に建築構造上耐雪構造にしなければならぬということもございまして、非常によけいな部材を使って苦労をしておる、こういうのが実情がと思うのです。  ところが、金融公庫の皆さんに聞いてみますと、この住宅金融公庫融資制度は三ランクに甲、乙、丙と分かれておりまして、そのほかに特別地区というのが認められて、事実上北海道を入れて五地区に分かれているわけでありますが、大都市中心の施策になっておるということで私が抗議を申し込みましたところが、それはそうではないのだ、いろいろ実態を調査してみると、そうは言っても、地方の方が実質的に建築費が安く上がっているので、きわめて現状に合った融資額なんだ、こういう反論を承ったわけでありますが、それはコストの面で言うと、あるいは都会と田舎という違いがありまして、機材等ではよけいな金がかかっても、内装その他でまた都会ほどに金をかけない面もあるので、そういった問題はあろうかと思います。しかし、耐雪構造で構造的によけいな費用がかかることはもちろんでございますし、同時にまた、冬季間全く屋内生活だけに閉ざされるということもございまして、部屋数の点からいっても、そしてまた部屋の面積からいっても、都会よりは、あるいは雪の降らない地方よりは相当大きな面積や部屋数がよけいなことが必要なわけでございますので、そういう点からいたしますと、いまのランク制というものがどうしても理解ができない。特にことしのような場合に、冬需要がおくれて、そして建築に取りかかる時期がおくれた、ただでさえ不況の中に一層雪害不況というものが加わってきた中で、新しく建築しようという皆さんも、もう五十万か百万よけいあればおれのところも何とか、あとは市中銀行からの借り入れでやれるのだがというような声も非常に強いわけでありますので、どうかそういう意味で雪国の耐雪構造、そして冬季間室内活動に幽閉されるというような観点から、融資対象面積を拡大することによって融資枠の特別上乗せをほかの地域と同じような扱いをすべきだと思うので、この点について、これは公庫の総裁でも住宅局長でも結構でありますが、御意見を承りたいと思います。
  36. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘ありました建築単価の問題でございますが、私どもも、従来から各地域におきますところの住宅建築費実態調査を行ってまいりまして、それに基づいて的確な建築費単価というものを考えてきているところでございますが、それにいたしましても貸付限度額がやはり少ないという問題が、いろいろと御指摘を受けているところでございます。五十五年度におきましては全国一律に五十万引き上げるという措置を行ったところでございますが、五十六年度は諸般の事情もありまして、そのまま据え置きとなっております。しかしながら、いま申し上げましたように、全体の建築費の増高等の実態を踏まえまして、今後その引き上げにつきましてはさらに積極的に考えたいと思いますし、また最近の個人の持ち家の建築につきまして見ますと、その平均が百十九平方メートルというふうになっておりまして、住宅金融公庫の一般の貸し付け住宅の規模が百二十平方メートルということで、その差が非常に近づいておりまして、逆にその制約があるためにもう少し広い住宅をという場合に貸し付けの対象とならないという問題も出てきているように思います。そういうことも勘案いたしまして、限度額の問題と同時に今後の貸付対象規模の引き上げといったことも大きな課題となると思いますが、何分にも財政事情もありますので、今後の私どもの予算編成における重要な検討課題というふうにさしていただきたいと思います。
  37. 桜井新

    ○桜井委員 ありがとうございます。いま御答弁いただいた中にも強調されておりますように、私も限度額を討議する中で単価のことで申し上げようと思っていない。それはいろいろ各方面にわたる整合性の問題も出てくるでしょうから、それは結構なんですが、雪国の特性ということから考えて、面積を広く認めていただくということで上乗せをぜひ御検討願いたい、こう思うわけであります。  さて、建築関係はそれぐらいにいたしまして、私は、きょうは建設省河川局の関係で二、三お伺いしたいと思うわけであります。  先ほど大臣の方から決算報告を聞かしていただきました、わが国は狭隘な国土であり、しかも災害列島と言われるように、国土保全、開発利用の非常にむずかしい国でありますが、その中を、全体としてよく努力されて環境整備も年々その実効の上がっておる姿を見せていただいて、私も、建設行政に携わる皆さんの御苦労に大いに敬意を表したいと思うわけであります。  さてそこで、資源、エネルギーの有限時代を迎えて、この狭い国土と乏しい資源とをいかに保全し有効利用するかという観点から、また治水事業第五次五カ年計画から六次への移行にかんがみて、幾つかただしたいと思うわけであります。  その第一点は、多目的ダム建設に当たり設置市町村に対する環境行政対策の見直しであります。最近わが国では、電源立地の確保には特に手をやいているわけでありますが、なかんずく、原子力発電所については格別であります、これにはいろいろの原因があることは御承知のとおりであります。その中の一つに、私の県のように、電気事業は発電地に余り恩典がなくて需要地や需要者の側に有利な条件が余りにもそろい過ぎておるということも一つの理由かと思います。たとえば電気税などは、まさに電力消費税的に取り扱われておるわけであります。また特に、先般の改正で、発電県の新潟よりも消費地の東京都の方が電力料金が安いというようなことが決まったわけでありますが、そこで、わが新潟県知事を先頭にしてこの改善策をいま強く要望しておるところでございます。  ところが、最近は、ひとり電気問題だけではなくて、水源地でもこれと同じような現象が起こっており、大変問題となっておるわけであります、東京、首都圏を初め大都市圏では、毎年渇水期には水不足に悩まされ通しであることは御承知のとおりであります。そのために、尾瀬沼分水のような、人類が絶対侵してはならないような限界に手をつけるような議論さえも飛び出すというような昨今でございます。そのために、水源を持っておる地域ではこのことについて大いに不満であり、反発しておることは御承知のことかと思うわけであります。  そこで、この現象がただ都会だけであるうちはまだしもでございますが、最近は地方にまでこれが及び始めておるわけでございます。たとえば多目的ダムによる水道事業で、水源地よりも下流の需給地の方が安い水道料金で水が飲めるというような逆現象が起きておるわけであります。これは大変なことでありまして、電源立地の二の舞にもなりかねないのではないかと私は心配しておるわけであります、  そこで、ダム建設に当たってはこの辺のことに十分配慮して、当然国土庁でもこのことは担当であられるわけですけれども、国土庁だけではなくて、建設担当省としての建設省も、このことについていまから十分対応の見直しを図って、電源立地の二の舞にならないような配慮をすべきと私は思うわけでありますが、このことについて河川局長の御所見を承りたいと思います。
  38. 小坂忠

    ○小坂政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のございました多目的ダムを私ども全国各地で多数つくりつつあるわけでございますが、いま御指摘のような水源地域対策、これがやはりダムの成否にかかわる一番重要な問題であるという認識は私ども十分持っておるわけでございます。また、その最大のポイントが、水源地域に住まわれる方々また直接水没なさる方々のその後の生活基盤がどう変化し、どう保障されるかということが最大の課題になっておるわけでございます。そういったことから、私どもも、従来ダム建設に当たりましては、十分それらに対して配慮を払いながらやらなければいかぬという心がけは持っておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、個々の問題をとりますと、まだいろいろ問題もあろうかと思います。ただいま御指摘の、たとえば上水道の問題等も、これも私どもの直接行います公共補償の範疇で解決できる問題もございましょうし、あるいは国土庁の所管いたしますいわゆる水源地域対策全般の問題として、その整備事業の一環としてこれをどう位置づけていき、下流の方々との対比で上流の方々が不利な状況にならないようにしなければいかぬというようなことを、関係省庁とも協議しながら、今後この問題に対処していきたいというように考えます。
  39. 桜井新

    ○桜井委員 いまほど局長から大変誠意ある御答弁をいただいてありがとうございますが、もちろん私も建設省だけで解決できるとは思っておりまんが、いまの水源地域対策特別措置法だけでは、まだまだとてもいま私が言ったような問題を個々に解決できない問題がございますが、当然これはダム建設の段階で措置すべき内容がたくさんございます。もちろん厚生省と国土庁との御相談、御協議の上で、ぜひひとついまのうちに善処をされたいと希望を申し上げておきます。  次に、母なる川としての生命を保つ意味から、維持流量を確保し、河川の機能維持のために、河川管理の見直しについてお伺いをしたいと思うわけであります、  日本人は、古来東洋人的発想で、たとえば三尺流れればもとのきれいな水になるという発想が根底にありまして、川ということについて余り関心を持っておらなかった。逆に、むしろごみなど汚いものは川に流せばみんなきれいになってしまうというような発想でいままで取り組んできたようであります。ところが、戦後の急速な産業の進展とともに、全く状況は一変し、いまや救いがたき重症と化していきつつあり、これらの河川、湖沼の環境保全の回復には河川局挙げて御苦心をいただいているところであり、このことはまさに私も感謝を申し上げているところであります。しかし、先般のアセス法についても、電気事業の問題がべっ視をされるようなことになったので、このことは私もいささか不満を持っておるわけであります。  さてそこで、冒頭申し上げましたように、資源エネルギーの有限時代を迎えて、母なる川として十分われわれのために生かし活用するために、水害から人命、財産を守り、河川に生息する生物の生命を保ち、農業、工業、水道、電力などに大いに利用するよう、効果のある投資をするようにすべきと思います。幾つかの方策があるかと思いますが、私はまず、防災対策と、川としての生命を守ることに最大の力点を置いてもらいたいと思うわけであります。  かかる観点から、一定の維持流量を必ず確保するよう洗い直しをすべきと思うが、このことについて御所見を承りたいことが第一点であります。  それから次に、河川にはその目的に従っていろいろな構造物があるが、多少経費がかさんでも、できるだけ自然に近い状態の構造とするよう格別の配慮をすべきと思います、たとえば、上流の砂防ダム建設や下流での砂利採取などで河床低下が起きて、そのために落差の大きい頭首工をどうしてもつくらなければならないということが起きておるわけでありますが、こんなとこには下流側に幾つかの落差緩衝用の床止め工というようなものをやることによって、この落差を縮めるような配慮をすべきかと思うわけでございます。また同時に、そういうときに魚道などの配慮も十分にいたしながら、自然に近い状態で河川の機能維持を図ることにより、いかに科学が進歩して遺伝子組みかえやスペースシャトルが飛ぶ時代といえども、人類生存上欠くことのできない豊かな大自然を子孫のために残してこそ、時代の要請にこたえる効率的な財政運用と言えると思うわけでありますが、このことについての御所見をお伺いしたいと思うわけであります。
  40. 小坂忠

    ○小坂政府委員 まず、先生おただしの第一点でございますが、先生のお話にもございましたように、私ども河川管理をする基本的な姿勢といたしましては、まず洪水、高潮等の災害を防止し、また河川が適正に利用されるようにこれを管理する、また流水の正常な機能が確保されるように管理していくというような、いわば結合的な管理をいたすことが必要であるというふうに考えまして、究極的には、公共の安全と公共の福祉とを究極の目的として河川を管理いたしておるわけでございます。  ただいま先生のお話のように、その母なる川が、最近の世の中全体の社会の変化に伴いましてそういう環境上の資格を失いつつあるということは、これは重大なことでございますので、私どもとしてもそれに重大な関心を持っております。  ごく最近でございますが、そういったような観点から、この社会環境の変化に即応した河川環境管理がどうあるべきかというようなことにつきまして河川審議会に「河川環境管理のあり方について」ということでただいま諮問をいたしておる最中でございます。近くその結果も出ようかと思いますが、その小委員会の中には学識経験者、特に先生の御縁の深い水産関係の専門家の方にもお入りいただいております。そういったことから、この審議会の答申を待ちまして、私どもとしては、新しい時代に即応するような河川管理の私どものあり方を定めまして、今後の河川行政の進展に資したいというふうに考えております。  それから第二点の、今後私どもが河川の中につくります構造物、特にいま御指摘のような河川の落差を伴います構造物をつくる際の魚族等に対する配慮、こういったことも、ただいま申し上げましたこの答申の中で当然またいろいろの御意見も出ようかと思いますし、私どもも、財政厳しき中ではございますが、そういったことも加味しながら今後の施策に反映させていきたいというふうに考えております。
  41. 桜井新

    ○桜井委員 ありがとうございます。ややもすると開発先行型の発想で、本省にいらっしゃる皆さんはなかなか大局的に物を見られておりますので仰せのとおりだと私も思っておりますけれども、現地へ行きますと、与えられた職務をどうしても遂行しなければならぬということが先に立ちまして、ややもすると開発先行型の発想になりがちなのがいままでだったと思うのです。  しかし、おかしな話を引用するようでありますが、アメリカのA・トフラーさんという人が「第三の波」という本を最近書いてベストセラーになっておりますが、あれなんかを読んでみましても、まさに新しい時代へ入っておるわけでありますので、いままでのこの環境整備事業についても視点を変えた発想でぜひひとつ御検討いただきたいと思うわけであります。  最後に、水利権のことについてちょっとお伺いしたいのでありますが、河川行政の中で一番むずかしい問題かと思います。現地の人たちは、いままで無届け慣行権であった水利権を整理統合して登録許可制にするために相当の御苦心をされてきていることは私も十分承知をしておるわけであります。しかしいまだにそういう慣行権でやっておるものもあり、それもすでに大正時代から使用しておる、あるいはまた正式に許可条件にのっとって文書化をされた水利権であっても、全く社会環境の変化で現実にそのこと自体が機能しなくなっておる。しかし、生活の知恵からいろいろ配慮をしながら、余りほかの漁業権者に対して権益を侵さないでもその目的を達する方法もあるのだけれども、水利権のむずかしさ、昔から水争いというのは大変なことをやったわけでありますが、そういったようなことに至れば大変だという現地の人たちの配慮から、ややもするとまじめさの余り、なかなかこういうことが思うように解決しないでいる問題もございましていろいろ苦慮されておるようでありますが、これだけ大きく、わずか三十六年間に敗戦のあの焦土の中から立ち上がって、まさに世界から攻撃を受けなければならぬほどの経済大国になったわけでありますから、それだけの社会的変化は必ず水利権の問題にだって影響があるわけです。そこで、こういう点、もっといろいろな意味から大局的にこのことを見直しながら、他の水利権者に対して余り権益を侵さないで済むようなことをたくさん私も承知しておりますので、そこら辺のことについてはぜひひとつこの際見直しをすべきと思うので、御所見を承って、御努力をお願いしたいと思うわけであります。
  42. 小坂忠

    ○小坂政府委員 水利権設定後に需要量が変わりまして水量に余裕が生じました場合には、水の有効利用の促進の見地から、その実態を把握しまして、減量申請をするように指導いたしておるところでございます。また、農業等の慣行水利権につきましても、あらゆる機会をとらえまして、その内容の明確化を図るよう指導いたしております。取水量の変更を伴わないような軽微な変更、たとえば取水口を若干移動することによって取れるようにするとか、そういったような軽微な変更のものにつきましては、処分の権限を地方建設局長に任せまして、事務の簡素化あるいは迅速化というようなこともいたしておるわけでございます。また、一般的に水利権の変更の許可につきましては、先生お話しのように、非常にいろいろな要素を考慮しながらやらなければいけませんので、関係する方々が大変多く、調整に暇取るというのが通常行われるわけでございます。しかしながら、いまお話しのように、貴重な水でございますので、私どもとしては早急にそのような調整を行いまして、冗長にわたるような事務の処理は今後一切行わないように指導したいというふうに考えております。
  43. 桜井新

    ○桜井委員 時間超過でありますので、これでやめさせていただきますが、大臣、いま私がわずか三十分間申し上げたようなことは、きわめてあたりまえなことを申し上げたつもりなのでありますが、なかなかあたりまえなことがあたりまえに実行できないようなむずかしい世の中でございます。しかし、これはどうしてもやはり守っていただくべきことだと思いますので、ぜひ大臣もこのことについて一層御督励をいただきたいと思うわけでありますが、御所見を承って、終わらせていただきます。
  44. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 開発関係から説き起こして、水への価値観について全く新しい視点からの問題提起でありまして、私も非常に勉強になりました。河川管理者としては、もとより防災権限だけでなく水資源というものの価値観というものをもう一回見直して、そうした面も含めてこの問題については心して対処したい、このように考えるものでございます。
  45. 桜井新

    ○桜井委員 ありがとうございました。
  46. 國場幸昌

    國場委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  47. 國場幸昌

    國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  48. 井上一成

    ○井上(一)委員 財政再建という厳しい情勢の中で、社会資本の充実、公共事業の促進、あらゆる面で建設省が御苦労いただいているということについては十分認識をし、その御苦労を多としたいと思います。  そこで、私は最初に、関西新空港について、このプロジェクトについてはいろいろいままでに議論があり、それぞれ運輸省の見解も承ってきたわけであります。きょうは建設大臣に。先般運輸大臣が四月の二十七日でしたか、地元に対して示された予備協議という形の中で一定の運輸省案が示されたわけであります。当然関西国際新空港の建設に伴う地域整備の考え方等についても示されたわけであります。これはもう建設省が深くかかわらなければならない問題でもありますし、当然いろいろと御相談があり、かつその上に立って運輸省の見解が地元に示された、こういうふうに私は理解をします。まず、予備協議に示された運輸省案について、いわゆる計画構想、新空港に対する取り組み等が示されているわけですけれども、建設省の事前に対する十分な協議が持たれていると思うのですけれども、そういうことはあったのかどうか、あるいは今回運輸省で示されている建設省関係について、これは合意が得られたのかどうか。さらには予備協議の段階には提示はされておらないけれども、まだ留保し、協議を続けていくべき問題事項を持っていらっしゃるのかどうか、その他関連して、運輸省案と建設省案の相違点あるいはいろいろな意味での議論を闘わせた問題点、そういうこともひとつお示しをいただきたい、お聞かせをいただきたいと思うのです。詳細については担当の政府委員で結構ですが、まず建設大臣に、運輸大臣から示されたこの予備協議のいわゆる地元提示案について十分理解をしてもらっているのかどうか、まずそれを聞いておきたいと思います。
  49. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 結論から申し上げますと、地域整備の考え方につきましては、説明を受けたという段階でございまして、協議ということには至っておりません。したがいまして、大臣同士では本当にアバウトな形で、こういうような形でということでありまして、担当の方でどの程度受けとめておりますか、具体的なことがありますれば御説明できるかと思います。  いずれにいたしましても、関西国際空港に関する関係にきましては、いま運輸省でせっかく予備関係について詰めているようでございまして、もちろん私たちも関心ないわけではないわけでありますが、具体的な問題についてはまだ協議というところまで来ておりませんので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  50. 井上一成

    ○井上(一)委員 具体的な問題は後刻詳細に受けます。  大臣、これは運輸大臣との協議は正式には持っていない、こういうことでございますね。
  51. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そういうことでございます。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 まず私は、これは運輸省が事業部門の主管である建設大臣に十分な協議もせずに地元にそういう地域整備事業面も含めて一定の案を示すということは、これは建設大臣、一般論としてでも、ちょっと地元の地域住民に対して安易過ぎるのじゃないか。軽視する対応じゃないか。やはりそういう事業と財政というものは両社になってその事業をちゃんと支えるわけですね。空港という大きなプロジェクトを支えるのは、やはり建設省大蔵省だと思うのです。その協力がない限りにはこれは成功しませんよ。建設大臣に運輸大臣からこういうことを示したいという報告があったけれども、それについての何ら協議がないということであれば、私は、これは地元の人たちに対してそんな協議なんというものは中身がないじゃないか、こういうふうに思うのです、大臣いかがなんでしょうか。こういう形での協議というのは本当によくないと思うのです。だから、建設省も加わった中で、あるいは建設省も十分に協力した中でそういうものは地元と協議をしていく、そしてそれがどういう形で満たされていくか、あるいは補足をされていくか、あるいは肉づけをどうしていくかというのは、それから以後の問題だと思うのです。だから私は、まず事業部門の建設省が十分にこれに加わってないということには、もう大変不満なんですよ。  大臣、事業の詳しいことについては担当から聞きますから、まず一つの物の考え方として、私の申し上げていることでいかがでございますか。
  53. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 どうでしょうか、この関西空港に関する建設省所管につきますれば、いわゆる道路であろうと思います、これにつきましては、空港の有無にかかわらず、すでに近畿縦貫和歌山線あるいは第二阪和あるいは湾岸道路の整備につきましては計画どおり進めておるわけでありまして、あと残っている問題は、新空港に直接のアクセスの道路の問題であろうかと思います、したがって、大方の問題としては、建設省所管については、一応の空港への関係については青写真ができているような考え方で、詰めた問題として協議について計画案を説明するという段階であったろうと思いまして、もちろんこれが具体化してきまする段階においてまた細かい詰めは当然あろうかと思いますが、そういうような形で、予備段階という表現がよろしいのでしょうかどうでしょうか、運輸省案としてのそうした進め方についての案の提示というように私は解釈しているわけでございます。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 予備協議の段階で、御承知のように運輸省はいわゆる交通施策の整備に関しての考え方を明示されているわけです。これは大臣も十分御承知で、大臣は承知なさって協議を受けて努力をしようということなのかどうか、それを聞いているのです。政府委員には具体的なことについては後で私、伺いますから、これは大臣に。
  55. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 それを含めて説明を受けたということであります。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 それじゃ運輸省の基本的な考え方と建設大臣の基本的考え方は、これは運輸省の案に建設省は協力する——説明を受けて、それに対して御意見があったのか、御意見を申されたのか、そこなんです。説明を受けて、その案に対してどういうような反応をお示しになられたのか、大臣としてはどう受けとめられたのか、そういうことについて私は大臣からお伺いしたいと思います。
  57. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 受けたというように御理解いただきたいと思います。説明を受けたということでありまして、なおこれだけの大事業でありますから、すぐ答えが出るはずがないので、説明を受けてわれわれはわれわれなりに内部で詰めなければならぬ問題もありましょうから、考え方を受けたというように御理解いただきたいと思います。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 考え方を運輸大臣から受けられた、感想はいかがですか、大臣。
  59. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 感想を言うタイミングはなかなかむずかしいわけでありますけれども、いま少しフランクに御理解をいただいて、いい、悪いということになってきますとなかなか問題が大きいだけに、やはり受けたというところで、それ以上のコメントはひとつ少し差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 受けて、何も具体的にこれをこうするああするという協議までは入らなくても、ああ大変むずかしい問題だなとか、ああこれは何とか協力して事業を推進しようとか、いや大変でっせと、やはり受けとめ方がお互いにあるわけです。そこらをちょっと聞いておきたい、
  61. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま先生が考えられたそのままでよろしかろうと思います。私も同じような考え方であります。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 いや、私は両方言っておるわけです。大変むずかしいな、これはしんどい話やでというのと、片一方では建設省もしっかり協力するからこの大事業をひとつ成功させようじゃないか、財政は厳しいけれども、うんと大蔵にも頼んで力を合わせてこの事業を成功させようという気持ちになったのか。いやこれはちょっとしばし待て、少しじっくり考えなければ大変なことですよというぐらいの受けとめ方をされたのか。大臣、これはどっちですか、私は両方言っておるのですから、私と同じ考え方と言われてもどっちで受けとめていいのかわかりません。
  63. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 やはり全く同じ考え方でいまのところは御理解いただきたいと思います。先生の考え方と同じような、同じですよ、ひとつ…
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 じゃずばり二つに一つ。大蔵に、きっちりこの問題は、この事業を成功させるために所管運輸大臣と一緒になって一生懸命がんばるというお気持ちを持っていただけたのですか。
  65. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そこまでまだ詰めてはおりません。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 大変やっかいな大きなむずかしい問題だというふうに受けとめられた、こういうふうに理解してよろしいですか。
  67. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 そのとおりで結構だと思います。
  68. 井上一成

    ○井上(一)委員 じゃ大臣、これから私が政府委員の人と質疑をしますから、しばらく聞いておってください。  いままで運輸省での質疑の中では、広域、根幹的ないわゆる交通施策については国が整備をしていく、そして周辺地域の整備については、空港建設が進められると当然都市化が促進されるわけです。そういう意味では社会資本の整備が必要に迫られるわけですけれども、それらについては地方公共団体の努力でむしろ国が協力をしていく、こういう物の考え方に立っているという、国会の中ではそういう答えがあるわけなんです。これは建設省も同じ考え方ですか、念を押しておきたいと思います。
  69. 宮繁護

    宮繁政府委員 空港の計画の進捗に伴いましていろいろ詰めていかなければいけない問題でございますけれども、アクセス交通等で国が主体的に整備すべき根幹的な施設の整備につきましては、国の方で基本的な方向を取りまとめて責任を持って整備を進めていくべきだと考えております。
  70. 井上一成

    ○井上(一)委員 そういうものは国がやって、周辺整備についての事業は各自治体が中心になって主体的にやっていく、それで国が協力をする、こういうふうに答えているのですよ。その考え方には建設省は同感ですかと私は言っているのですよ。前半だけ答えたって、それはぼくが言ったことなんだ。それは同じなのかどうかということだ。質問の趣旨に沿って答弁をしてもらわないと…。
  71. 宮繁護

    宮繁政府委員 地方公共団体等からの要望もございますので、これらの点につきましては、そういう要望を十分考慮に入れながら検討を進めてまいりたいと考えております。
  72. 井上一成

    ○井上(一)委員 要望と言っても、必然的にもうそういうものはつくっていかなければならぬわけですよ、都市化が促進されていくという認識を持っていらっしゃるわけでしょう。もっとも具体的にいままで事務レベルで、運輸省を中心にして各省庁でのそういう問題についての協議なりあるいは調査なりが建設省も含めてなされたのでしょうか。
  73. 宮繁護

    宮繁政府委員 周辺の調査につきましては、昭和五十二年度から国土庁が中心になりまして関係省庁と進めておりまして、特に広域的、根幹的な交通施設についての整備をどうするかという調査を建設省が受け持ちまして、調査を進めておるところでございます。
  74. 井上一成

    ○井上(一)委員 それは五十二年度から国土庁、通産省、建設省及び運輸省、五十三年度から農水省も入っているわけですが、調査をされて、現在までの結果、どういう問題点が指摘をされ、それに対してどう取り組んでこられて、どういう対応をされたのか、そういうことについて報告してください。
  75. 宮繁護

    宮繁政府委員 五十六年度まで調査を進めまして、そこで取りまとめたいと考えておりますけれども、空港の位置、規模その他の計画の進展に合わせまして、道路の受け持つべき交通量はどのくらいか、それからそれに対応する根幹的な施設の整備のあり方はどうか、こういうようなことについて検討いたしておるわけでございます。
  76. 井上一成

    ○井上(一)委員 検討していることはもうわかっているわけなんですよ、さっきから言われているように。どういう問題点が出てきた、それに対してはどうするのだ、そういうことはいかがですかと聞いている。
  77. 宮繁護

    宮繁政府委員 詳細につきましては後刻資料等をもちまして御説明さしていただきたいと思います。
  78. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はそういう問題がここではっきりしてこない限り、このことについての質問は続けられません。だから、暫時時間は待ちますから、資料を提出してください。  大臣、いまお聞きのように、そういう事前の協議なり調査なりがあるわけなんです。それで大臣が運輸大臣から説明を受けた、いわゆる運輸省案と申し上げておきましょう、地元に提示した。アクセス関係については、将来、最終的な航空需要の達成時は別にして、いまの交通量に比べて道路では一・四倍から二・三倍、さらに鉄道では一・回ないし一・六云々、最終的には二・八倍ぐらいの道路交通量の増加が運輸省案には示されているのですよ。大臣、こういうことがちゃんと運輸省案に示され、大臣に報告があったわけですね。大臣は、さっきは、この建設云々にかかわらず、道路計画なり、いま建設省が取り組んでいることは順次進捗していっている、こう言う。それは、こういうことは予測せずに、現況の中での社会情勢の変化に対応できる、あるいは現況の社会情勢に対するアクセス。空港が建設され、それが最終の計画の時点では、道路需要では二・八倍、三倍近くなるというのです、そういうことが運輸省案で示されているのです。あなたは説明を聞いただけだ。こういうことが事務レベルの中でいろいろな議論があったとしたなら、当然建設省としては一定の案なり対応策が示されなければいけないし、これに対する建設省の考え方というものは明白になってこなければいかぬ。どうなんですか、大臣。
  79. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 その点がまだそこまで詰められてきていないというように私は理解しているのです、私自身が最近それを示されて説明を受けただけで、事務レベルで、ある程度の空港設置の場合の、いまの二・何倍かに交通量がふえるということは知っておりますが、それに対して対応をどうするかという具体論についてはまだ事務レベルでもいっていないと思います、調査そのものも結果的にはまだ結論を得ておらないので、いま局長はいままでの資料についてというようなお答えをしたと思うのですが、それ以上のことはちょっとお答えできないのじゃなかろうかと思います。いま進めている道路、それすらも古墳等々がありましてなかなか進められておらないときでございますので、まだ、そうしたこともあわせて運輸省の計画の進捗状況を見ながら関係省庁で詰めていくという段階であろう、このように私は理解しておるところでございます。
  80. 井上一成

    ○井上(一)委員 では、二・八倍になりますとか、そういうのを運輸省が勝手に地元へ示したのですか、数字的にこれだけは予想されるであろうということで、それに対してはアクセスはこういうふうに取り組んでいくのだ、あるいはいま大臣が言われた文化財云々、これは現在進められている近畿自動車道の問題だとかそういうことについてのお話だろうと思うのです。大阪湾岸道路あるいは第二阪和国道、こういう点についてのそういう問題は空港の建設とは切り離してでも現在進められているわけなんです。私が指摘をしたいのは、空港をそこに建設をするとなれば、これらの関連した取りつけ道路あるいは湾岸線の延伸、そういうことまで全部考えなければいけない。さらには二・八倍、三倍近くに道路交通の需要量がふえていく、そんなことを一つ一つ取り上げていくとたくさんあるのですけれども、そういうことが、この地元に示された案に書かれているわけなんですわ。それを建設省は何もまだそこまでは詰めてないのだとか、あるいはそれは運輸省だけの試算、考えなんだ、それならそれで私はいいと思うのですよ、これは建設省は何も関知しておりません、建設省はまだそういう想定は持っておりませんというなら。だからそこらがやはり知りたいわけで、それならこれは運輸省だけの案でございますか、大臣、それを私は聞いているわけです。
  81. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 その考え方についての事務的な詰めが事務レベルでどの程度まであったか、そこまで私は承知いたしておりませんけれども、やはり主管的な問題は所管である運輸省でそれなりの調査、計画を持たれて考え方として示されたのだろう、このように私は考えるものでございます。
  82. 井上一成

    ○井上(一)委員 じゃ事務当局に聞きます。大臣は、これは運輸省のいわゆる独自の案だ、こういう理解だ。事務当局の方ではこれについては、いま私が指摘したように、詳しい打ち合わせ、詰めた話があって、そういう結果こういうものが出たのか、いま大臣がおっしゃるように、建設省としてはそこまでの深い協議にも入っておらない、だからこれからの問題としては別だけれども、今日までの段階ではそこまでじゃないということなのか、どちらかお答えをいただきます。
  83. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほどから大臣がお答えいたしておりますように、運輸省から一応説明は受けました。しかし問題は、これからこの空港計画の進捗に対応いたしまして、関係省庁、もちろん財政当局もございますけれども、そういうところと緊密な連絡をとりながら、私どもの所管いたしております道路その他の整備の計画を詰めていくような状況でございます。
  84. 井上一成

    ○井上(一)委員 いままでは大臣も事務当局も十分な詰めがないわけですね。  で、いかがでしょうか。これは建設省だけというわけにはいきません。もちろん運輸省だけのサイドで進められる問題でもなし、大蔵省、財政的な問題もありますが、空港本体は別としまして、事業主体は建設省が主なんです、アクセス問題は。建設省が運輸省からただ単に受けたということだけでなく、もっと詰めた話のテーブルをつくってひとつ話を詰めようじゃないか、こんな甘っちょろい考え方では事業は進まないよ——運輸大臣の考えを修正したりあるいはどうこうせいと言うのじゃありませんよ。建設省関係の事業があるのですから、そういうことについてはもっと詰めた話をしなければいけないから、ひとつテーブルをつくらなければいかぬぞということで向こうに、聞くか聞かないか、あるいはそれが実るか実らないかは別として、逆に建設大臣から塩川大臣にボールを投げるというか、そういうことをやってあげるお気持ちはございませんでしょうか。これは推進せいとかやめておけとか、あるいはこうだとかいうことじゃなく、さっき言うように、非常にむずかしい、あるいはいままで何も詰めた話をしておらぬのだから、もっと詰めた段階で努力さえすれば案外うまくいくかもわからない、詰めてもないのですから。大臣、そういうお考えお持ちでしょうか。
  85. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 なかなかむずかしい質問をされるので表現に困るわけですけれども、関西国際空港の必要性は、私自身も現地へ行きまして関係知事さん方に陳情も受けましたし、いまの日本の国際的な環境からも十分承知しております。ただ、問題は、この事業計画執行、これからの進め方について、運輸省の所管の問題について私からそういうニュアンスのことについて、なかなかむずかしいように考えておりますので、さあどうでしょうか、これは。ここまで来たことでもありますから、折々にはそんな向きの意思表示をしてもいいようにも思いますけれども、こうした公の席でそこまで詰められますとイエスとも言いかねますので、やはりこれは運輸大臣、所管大臣がおりまして進めておる問題でございますので、それに関係する問題については十分積極的な御協力はいささかも惜しまない所存でございますので、そんなところでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  86. 井上一成

    ○井上(一)委員 本音で答えていただくということは、時の問題もあるし、非常にむずかしいということもある程度はぼくも理解しているのですが、いまおっしゃるように、片側では、関西新空港の必要性、これは航空審できっちり答申されているのですから、現空港との絡みもありますし、あるいは航空需要の問題あるいは日本における国際空港の問題、そのよしあしをここで私は尋ねているのじゃないわけです。流れとして、塩川運輸大臣が予備協議で地元に提示をされた、その中に、建設省関係のかかわる、むしろ建設省が主体にならなければいけないそういうものがあります。そのことについては、いままでは何ら十分な詰めもなかったし、言えば運輸省サイドのお考えであった。それもよくわかりました。これは大臣も事務レベルもそうだ。それで今後はどうするのかというのがこの後に続くわけですけれども、今後、いまの大臣のお答えでは折々にということですけれども、そんな折々に、あるいは協力を惜しまないとおっしゃっていらっしゃるのだけれども、運輸大臣からはお話があった、報告を受けた、じゃ建設大臣は部分的にしろ——私はむしろ大きな柱だと思っているのですよ。建設大臣は謙遜されて、まあ主体は運輸省だからとおっしゃっていらっしゃる。むしろ私は、建設省大蔵省がこれの成否を決めるというくらいに認識しているのです。運輸省が何ぼ偉そうなことを言ったって、偉そうなと言えばおかしいけれども、何ぼ進んだって、建設と大蔵がそれについていかなきゃこれは進みませんよ。だから、ひとつこれからの取り組みということを考えれば、建設大臣から運輸大臣に、協力というとどんな形での協力なのかということになりますが、そういうことについての、建設するしないというそういうことの問題じゃなく、どうあるべきか、どう対応すべきかというそれくらいのことの詰めはきっちりと——まだ閣僚会議までと私は申し上げてない。そういうことをすれば大蔵省は何と言うかわからぬから。建設省と少なくとも運輸省との中での話し合いというものは、大臣から運輸大臣に、申し入れというとおかしいですけれども、そういうアプローチをなさるお気持ちは持っていらっしゃるでしょうか、少しその期待もあるいは探りも含めてこれは質問をしているわけです。大臣、もう一度、日にちは何かきょうやあしたの問題じゃなく、まだしばらくは大臣ずっとしていただかなければいかぬのですから、だから、そういう意味では近い将来という範囲内においてでも結構ですから、いかがでしょうか。
  87. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 気持ちとしてというようなおただしでありますならば、理解いたします。
  88. 井上一成

    ○井上(一)委員 理解をしていただくということは、そういうこともひとつ行動をしていただける、そういうことも期待していい、こういうことでございますね。
  89. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 財政当局の問題もあり、財政再建という折々でございますので当然タイミングの問題もありましょうが、先生のただされている意味合いについて、その旨そのとおりと言ってもよろしいでしょうと御理解されたらよろしかろうと思います。
  90. 井上一成

    ○井上(一)委員 どうも大臣、答弁しにくい状況の中でお答えをいただいて、私もありがとうございましたということだけを申し上げておきます。  事務当局に重ねて聞きますが、いま大臣の意思が示されたのですが、事務当局は、もちろん大臣の意をくんで、調査報告はまだいただきませんけれども、今後の取り組みは運輸省だけのいわゆるひとり相撲にしちゃいけない、もっと建設省も加わった中でこの問題を詰めていく、そういう機会を持っていただく、取り組んでいただく、そういうことに踏み切っていただけますね。
  91. 宮繁護

    宮繁政府委員 大臣の御答弁の趣旨に沿いまして私どももこれから問題に対処してまいります。
  92. 井上一成

    ○井上(一)委員 申し上げておきますが、私は、地元の住民に対してはそれが親切であり、それが誠意であり、そしてそうすることが地域全体の合意の得られる一つの手法だ、こういうことなんです。大臣、そういう点は十分理解をしてくださいね。塩川さんだけのひとり相撲では、むしろこれは厳しい言い方をすれば不信を買うだけだ、そういうことです。  運輸省来ていますね。いまの質疑でわかるように、運輸省はひとり相撲をしているわけです、私のこの質疑を通して、運輸省の方は、本当に地元に対して相済まぬ、そういう十分な建設省とのパイプも、また、さらにこれは大蔵があるわけですけれども、そういうことにも十分パイプを通さずに、十分な話し合いも詰めもせずに地元に——一応第一回目の案ですから、これは大いに反省の上に立って、近い将来に地元協議はさらに続けられるわけですから、もっともっと事業当局も参加した中での案を地元に示していく、そういう考えを私はここではっきり答えておいてもらいたいと思うのです。むしろこんないわば運輸省だけのサイドでの案を地元に示して、とりあえずはこれで協議をさせていただいたのですということであっても、少しやっぱり事前の詰めが足らぬ。大いに運輸省は反省をして、これからしっかりやります、地元に対しては十分な対応をしていきますという約束をしていただかないと、これは話は進まぬ。運輸省、どうなんですか。
  93. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、私どもも、地元にお示ししましたのはいわば素案のようなものでございまして、これをたたき台といたしまして地元の地方公共団体ともよく協議させていただき、また関係の各省庁とも今後十分な協議、調整をさせていただいて案をまとめていきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  94. 井上一成

    ○井上(一)委員 これからはそうしてもらいたいし、地元に示したこの案については、少なくとも建設省サイドとの話し合いでは、勝手にあなたのところは書いておるわけだ。それがでたらめな数字だとはぼくは申し上げませんよ。運輸省なりの資料で書かれておるわけだ。しかし、それに対しての十分な対応、詰めがないから、これは大いに反省をしてもらわなければいかぬし、いま聞いていただいて課長にはえらい悪いけれども、本当は大臣にぶつけなければいかぬのだけれども、あなた、課長個人としてでも済まぬと、済まぬと言ったらおかしい、何も悪いことをしたのじゃないけれども、地元に対しての事前協議、予備協議が十分でなかった、やっぱりもっと考えて、資料をもっと豊富に提出してもらうべきであったと、ぼくはこういうふうに指摘しているわけです。いや、そんなことはない、そんなもの独自でやっても当然なんだとおっしゃるならそうおっしゃったらいいし、いや、そうじゃない、ぼくが指摘したとおりなんだというならそういう答えをしてください。ぼくは反省という言葉をいま申し上げましたけれども、運輸省は十分に反省してくれと、そしてもっと極端なことを言えば、大蔵省も参加をしてもらわないとこの話は進みませんよと、こういうことなんです。今後の取り組みを含めてもう一度…。
  95. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、素案を提供いたしましたという段階でございまして、今後十分協議を重ねてまいるつもりでございます。
  96. 井上一成

    ○井上(一)委員 このことについては、調査の資料を後刻もらって——これはきょういただけますね。そして、その点については質問を留保しておきます。  さらに、大蔵省に聞いておきます。  大蔵省は、少なくとも昨年の八月から、あるいはここ一年間の間に、財政事情も含めて、事態は変化をしていると……。運輸省が受けとめておる大蔵省の考え方、閣僚会議なんというものは、運輸省の責任で組織してもらいたいとか、地域整備については云々とか、さらに、空港全体の負荷量が少ないという面から、当面はそうなるのですけれども、道路一本を既定計画の進捗状況等を見て空港と結ぶのだと、非常に安易な、あるいは微々たる考え方で対応をしよう、そういう考え方があったわけです。これは運輸省が大蔵省の考えとして受けとめているわけです。私は保田主計官にあえて尋ねておきたいのですが、去年の八月時点でお考えを持っていらっしゃった、そういう大蔵の考え方は、いまは若干流動的であるのか、この考え方はもう変わらないというのですか。今日も同じ考え方で進んでいるのだ、あるいはむしろもっと厳しいのだという考え方なのか、この点について伺っておきます。
  97. 保田博

    ○保田説明員 お答えいたします。  昨年の八月でございましたか、先生の御質問に対して私お答えをいたしましたが、その後、運輸省から五十六年度予算の概算要求として提示されました空港計画案、しさいに検討いたしましたが、基本的には昨年の八月私がお答えいたしましたことと変わっておりません。
  98. 井上一成

    ○井上(一)委員 これはまたいずれ機会を改めますが、運輸省、大蔵省の考え方というのはいま主計官が言われるように八月と変わってない。建設省も協力をしていこうという段階で、さらには大蔵省にも十分な話し合いを必要とするのではないか、私はこういうふうに思うわけです。余り時間がありませんから、このことについては保田主計官の考え方を少しきょうは聞いておきたかったので、一応新空港については建設大臣並びに建設省の見解というものを私は承っておく、そして大臣の趣旨に沿って今後の進展を見守っていきたい、こういうふうに思います。現在までの調査資料については後刻ちょうだいをする、こういうことです。  さらに一点、私はここで建設省の見解を聞いておきたいのですが、これは大臣、実は関西新空港も、伊丹の現大阪国際空港の公害問題が大きな問題になって新空港の建設というものが進められてきたわけです。それで、現空港の周辺整備について、現在は航空機騒音による障害の防止等に関する法律、騒防法と略して言っているのですけれども、そういう法律があるわけなんです。この法律の中では、いわゆる周辺整備を推し進めていくわけですね、立ち退きをしたり、騒音対策の中での取り組みがあるわけです。今度はいわゆる跡地の問題についての取り組みなんです。具体的にはこれは、騒防法九条の三の一項で現大阪国際空港が周辺整備空港として指定を受けているわけですけれども、二項の中で、いわゆる生活環境施設や産業基盤施設等の整備についての事項が含まれてないわけです。立ち退きをし、歯抜け状態になった、そういう状況で周辺整備計画を立てていくときに、どうしても建設省との絡みというものは出てくるわけです。同じような法律があるわけです。これは特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法、特騒法、この法律の中ではちゃんとやはり生活環境施設とか産業基盤施設は含まれているのです。さらには関係省庁間の協力を呼びかけるというのでしょうか、求めているというのでしょうか、建設省とも協議し、同意を得ることを法律で明確に位置づけているのですが、最初に指摘をした現行の騒防法は、運輸大臣の承認だけでこの法律が運用されているのです。と申し上げることは、跡地利用についての都市計画、あるいは町づくり等についての配慮が欠けているという一つの問題点、私は基本的な問題として、いま同じ航空機騒音に係る騒音対策特別措置法という、特定空港周辺のこの法律となぜ中身が変わるのか、むしろ趣旨としては一つでなければいけない、こういうことから、現行の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、長い名称ですけれども、これにもやはり建設省がかかわる必要性があるということを指摘したいわけです。  大臣、この問題、すぐに法律を変える、そう簡単にはまいりませんけれども、そういう同じような航空機騒音ですから、立場は一緒ですから、やはり性格を同じくする法律は建設省もかかわっていくというお考えを持っていただいているかどうか、ちょっとこの点を聞いておきたいと思います。
  99. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのとおり、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これは昭和四十二年の制定法でございます。それから特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法、昭和五十三年の立法でございます。前者のいわゆる騒音防止法は空港関係の一般法というふうに考えておりまして、おただしのとおり、こちらの一般法におきましては、空港周辺整備計画を知事が策定されるときに運輸大臣の承認を得ることで足りるということになっておりまして、特定法の方は、騒音対策基本方針を定めようといたします場合に、運輸大臣及び建設大臣の同意を得るという形になっております。これは私どもの理解では、一般法によって一応整備計画が策定されますれば具体の土地利用についての計画並びに規制につきましては、御承知のとおり都市計画法の適用が当然あるわけでございまして、都市計画法の規定に基づきまして、都市計画決定権者である都道府県知事または市町村から都市計画法の手続によって十分配慮された上に土地利用の計画の点は確立される、その場合、必要に応じ建設大臣が協議を受け、御相談に乗るという手だてがあるわけでございますので、一般的な法制度としてはそれをもって足りるのではないか。ただ、先ほど申し上げました特定法におきましては、この障害が特に著しい場合にその対策について基本方針をあらかじめ立てる、その場合には特定の空港をあらかじめ指定してそれに関連するものについて対策を立てる、こういう形になっておりますので、そのような要請に当たる空港につきまして、特別に総合的な手当てを行う必要から立法がなされたものというふうに考えておりますので、この特定の指定がなければ一般の手続によって、都市計画をもってカバーするということで、十分対応できるものではないかというのが私ども考えておるところでございます。
  100. 井上一成

    ○井上(一)委員 実際は都市計画手法等いわゆる既存の制度の十分な活用で間に合うのじゃないか、そういうお考えなんですけれども、そうはいかないわけなんですね。そこに問題がある。私は、これは十分検討していただきたい、こういう意見なんです。具体的には、現在の大阪国際空港周辺問題、財政問題よりもむしろ航空機騒音対策サイドから、あるいは都市整備サイドから、そういう二つのものが交差していくわけですね。いまお答えになられた、そういうふうにきっちりと分離しながら既存の制度の中で運用がスムーズにいくということにはならないわけなんですよ。そういう実態をひとつ建設省も十分、まあ理解をしてもらうためには調査をしていただいて結構ですし、そういう実態を調査した上でこの問題に前向きに取り組んでほしい。大臣、こういうふうにお願いをするわけなんですけれども、いかがでしょうか。いま私が言ったように、都市整備サイドからの要請というかそういう必要、それから航空機の騒音対策のサイドからの要請、やはり二つが絡んできますので、建設大臣もこの問題についてはかかわってほしい、そしてそういう法の整備も十分検討して、充足をしていく、そういう方向で進んでほしいと思うのです。いま、こうするとかああするというお答えがここでいただけなければ、これは検討をしていただけるかどうか、そのことについて聞いておきたいと思います。
  101. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま局長から答弁いたしましたとおり、一般法、特定法、それぞれ既存の法律の運用で航空機騒音、都市整備に対応できるというお答えをしたわけでありますけれども、なお先生からは伊丹空港の関係することを頭に置いての対応についてのおただしであろうかと思います。どのように申し上げてよろしいのですか、一応そうした考え方ということについては、検討ということよりも具体的な問題として運用の方法については考えられ得るのかどうかということについて、あわせてひとつ、どういう表現でよろしいのでしょうか、検討させていただきたいと思います。
  102. 井上一成

    ○井上(一)委員 余り時間がありませんが、あと下水道の問題についても聞いておきたかったのです。  下水道の問題については、第四次計画、あるいはことしから第五次、そういうことで十分取り組んでいらっしゃるわけですけれども、まだまだ面的に整備が充足されていかない。あるいは補助対象事業も、これは前々から私は指摘をしておるのですが、口径六百ミリ以下については対象にならない。そんなことでは、末端の処理場は建設されたりあるいはいろいろなことで整備はされていく中ですけれども、やはり自治体の負担というものが大きい。こういうことについて、むしろ国は実情に合った、もっとその補助対象を、口径を引き下げて対象の枠を広げていく、そういう取り組みを考えていくべきではないだろうか。達成見通したとか普及率等、それはそれなりに向上を図らなければいけませんけれども、枝線を補助対象の枠に入れていくという前向きの姿勢が欲しいわけです。この点についても聞いておきます。
  103. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのとおり、現状におきまして下水道の補助対象となります工事の範囲でございますけれども、一般都市・合流式の場合におきましては、口径六百ミリ以上のパイプ、またはそのパイプが受け持ちます下水の排除面積が一ヘクタール以上のものということになっております。したがいまして、このどちらかの要件に当たれば補助対象にされるという形になっておるわけでございますけれども、私どもこの補助対象となるものの範囲が、現状において自治体の財政状況その他から十分であると思っておるわけではございませんけれども、ただいまおただしのように、今年度新たに発足をいたします第五次の五カ年計画におきまして、現状における下水道普及率三〇%を四四%まで広げたいということを第一の主要目標にいたしております。限られた国費を、この事業費を少しでも伸ばすこと、普及率を高めることに全面的に充当いたしたいという考え方に立ちまして、この五カ年計画実施に対します助成策を考えておるわけでございます。したがいまして、国の財政事情、自治体の財政事情を踏まえて、現状のところは、ただいま申し上げました補助対象範囲をもって下水道整備の促進を図ってまいりたいと考えているわけでございまして、補助対象率の引き上げにつきましては、今後国の財政事情を十分勘案させていただきまして、今後にわたって検討してまいりたいと考えております。
  104. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、いまも指摘したように、下水道の整備は必要かつ大切な事業でありますから、生活環境保全だとか水質保全の上でやはり重要課題に取り上げていただかなければいけない。しかし反面、中小都市では、面的整備をしていこうと思えば地方自治体独自の単独事業になりがちであって、そのことが地方財政を圧迫していく。そういうことでは事業の推進が円滑にいかない。むしろそういう実情を踏まえて今後の対応をお願いしたい、こういうふうに思います。  さらにもう一点、少し地域的なことになりますけれども、大阪府の北部における道路事情、交通体系というものが十分整備されておらない、あるいは交通量に見合う整備がなされていない、そういう中で交通渋滞がもうそれこそ一日じゅう続いている、そういうことなんです。何らかの解決策をここで打たなければ、大阪北部の都市交通というものは全く麻痺状態になってしまう。そんな中で建設省の受けとめ方、現状の認識、さらには今後の対応等についてお答えをいただきたいと思います。
  105. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 お答えをいたします。  大阪北部の混雑についてのおただしでございますが、先生御指摘のように、朝夕の通勤時間に池田市内を通ってみれば直ちにわかるように、大変な混雑であります。また、いわゆる淀川の右岸と申しますか高槻周辺、これももう一日じゅう渋滞しておる、こういう状況を十分私どもも認識をいたしております。  それから、問題がもう一つありますのは、阪神高速の池田線が御承知のように豊中から大阪にかけての渋滞が著しい。これは一つ理由があるわけでございまして、大阪からたとえば神戸に参りますのに、豊中まで阪高で行ってそれから名神を使う、わざわざ遠回りをする方が若干でも近いというようなことがありまして、そういった混雑もあるわけでございます。したがいまして、いろいろの対策を考えておりますが、最後に申し上げました点につきましては、この六月の二十七日に阪高の西宮線が開通をすることになっておりまして、いま申しました豊中経由の交通、これは大体推定では二万三千台ほどカットできるのではないかと思っておるわけでございます。  それから、池田周辺の混雑につきましては、これは先生御承知のとおり、阪高の池田線を、いまの西宮線ができるという前提のもとに、池田市の木部町まで延伸をするという計画にいたしておりまして、五十六年度から新規採択をいたしたところでございます。  その他もろもろの府道等につきます混雑緩和につきましては、十三−高槻線であるとか、ああいう新設道路を含めましていろいろやっておりますが、何分にも予算が二年続けて伸びていないということもございまして大変厳しゅうございます。私ども一生懸命努力してまいりたいと存じております。
  106. 井上一成

    ○井上(一)委員 いま池田周辺あるいは淀川周辺、まあ池田周辺については若干の進捗があるということですが、淀川右岸周辺についての千里丘−寝屋川線、これは具体的な一例ですが、こういう路線等について、あるいはこの周辺等についての取り組みはどういう状況なのでしょうか。
  107. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 淀川右岸でいま主にやっておりますのは、大阪 高槻−京都線、それから茨木−寝屋川線、それから街路でやっておりますが、十三−高槻線、こういったところかと思うわけでございます。数字で申し上げますと、五十六年度はこれらの路線つきまして約十六億の事業費を入れておるわけでございますが、何分にもまだ残事業がきわめて多い。たとえば、大阪−高槻−京都線につきましては事業費全体で百二十三億というような状況でございます。  その点から見ますと、やはりこの道路事業を着実に伸ばしていかなければいけない。特に近畿の場合は、昔からの歴史の資産がございますから、当初は道路網が相当整備されていたわけでございます。その歴史の上に安住をしていたというと大変語弊がございますが、こういったものでしばらくの間はよかったわけでございますが、最近の需要には全く足りないということでございますので、これは予算の問題でございますからなかなかうまい知恵があるわけでもございませんけれども、一生懸命努力をいたしたいというふうに思うわけでございます。
  108. 井上一成

    ○井上(一)委員 それぞれの自治体が苦労をして道路整備を、あるいは地域の整備を行っていくわけなんです。さしずめ、そういう事業が効果をもたらすためにも、やはり道路というのは途中でとぎれてしまうとその道路は効果が十分出ないわけでありますから、そういう意味では、いわゆる国道一号線なら国道一号線に通ずることによって、その周辺の交通事情というのは緩和されるし、あるいは道路体系は整備されていくわけなんです。千里 寝屋川線についても大半が完成を見ている。しかし、淀川を越えて国道一号線につながる道路がまだ十分な見通しがない、こういうことでは、せっかく建設を進めてきた一つの事業が死んでしまうのじゃないか。だからこれを生かすためにも、早い時期に十分な見通しを立ててこの事業を進めていくべきである、こういうふうに思うのです。このことについては建設省は早急に見通しを立てこの事業推進を図るべきだというふうに考えるのですが、どうなんですか。
  109. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの都市計画街路、千里丘 寝屋川線でございますが、摂津市内の大阪−高槻線以北の区間、区画整理施行地区内につきましてはすでに完成を見ているわけでございまして、これから引き続く淀川を架橋する計画につきましては、現在その取りつけ区間を含めまして大阪府で所要の調査を行っている段階でございます。この計画の実現に至りますまでには、大阪府におきます取りつけ道路部分の概略設計、それから一部区間の用地測量、これの進行を図りまして、今後橋梁構造の基本型式の選定等、所要の調査を行いながら、その結果を待って事業化を検討いたしてまいりたい、できるだけ早く事業化の運びに至りたいと考えております。
  110. 井上一成

    ○井上(一)委員 一日も早い事業着工を要望して、質問を終えます。
  111. 國場幸昌

    國場委員長 春田重昭君。
  112. 春田重昭

    ○春田委員 私は、建設省決算に当たりまして、きょうは三点にわたりまして御質問申し上げたいと思います。  第一点は行政改革の問題でございます。第二点は住宅金融公庫の問題、第三点は公共下水道の問題でございます。  まず第一点の行政改革の問題でございますが、総理の諮問機関でございます第二臨調の行政改革は、七月初旬の中間答申に向かって作業が進められているわけでございますけれども、大臣はこの第二臨調の行政改革についてどういう御所見をお持ちなのか、まずお伺いしたいのです。     〔委員長退席、東家委員長代理着席〕
  113. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 第二臨調の答申を待つまでもなく、これは現内閣の政治重要課題でありまして、行政改革、財政再建はわれわれといたしましてはどうしてもやり抜かなければならない問題である、このように考えるものでございます。
  114. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、行政改革の目玉は、補助金の削減、カットでございます。その補助金カットにつきましては、目安として一〇%カット等の案が出たこともございます。この案は公式発言ではないとしても、いずれにいたしましても補助金カットは避けて通れない問題でございますが、補助金カットについては建設省としてはどういう御所見なのか、お伺いしたいと思うのです。
  115. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 補助金の問題について、各般にわたって膾炙されている問題でございますが、私といたしましては補助金を一律視して対処する問題ではないのではないか、このように私自身は考えておりますけれども、これからの課題として臨調がどういうような答申を出しますか、この問題についてはまだ結論を得ていないわけでありますが、事建設省に関する限りは、同じ補助金といたしましてもいろいろと問題が発生いたしますので、他の一括補助金という問題と同じような次元で考えるべき性格のものではない、このように私自身は考えておるわけでございます。
  116. 春田重昭

    ○春田委員 最近、農水省に続きまして建設省補助金削減につきましては反論とか非常に消極的だとか、そういう総論賛成だけれども各論反対ということでちらちら新聞で報道されているわけでございます。当然、私たちも、一律カットという問題については種々問題もあると思います。しかし、行政改革の最大の目玉の補助金カットをしなかったならば行政改革はできない、断行できない、こういう面でどうしても補助金カットはやらざるを得ないと思うのです。いまの大臣の御答弁では、どうも補助金カットについては、ちょっと建設省では厳しいのじゃないかと私は受けとめたのですけれども、一律カットは反対なのだが、要するに建設省自身が検討し、また臨調でも、そういう補助金カットをしなければならないという答申が出た場合はそれに従う、こうとっていいのかどうか。頭から、補助金カットにつきましては、いわゆる景気の問題とかまたは社会整備の資本投下のためにもこれは必要であるから、非常にむずかしいというお考えなのかどうか、その辺もう少し整理して御答弁いただきたいと思います。
  117. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 現段階で非常にむずかしい御質問でございます。ケース・バイ・ケースで補助金の問題については対応しなければならない問題ではなかろうかと思います。建設省関係の補助金ということになりますと、やはり地方自治体に与える影響もこれあり、一つ一つのことを踏まえて、出たからすぐ従うということではなく、それなりの意見を申し上げて、修正でき得るもの、理解していただけるもの、あるいは別の角度から対応していただくものと、いろいろあろうかと思いますが、この問題、まだまだそう結論を急ぐことでなく、われわれはあくまでも、というとちょっと強過ぎるかもしれませんが、やはりノーマルな形で、従来から行っておる事業、量というものについては少なくともその投資効果あるいは経済効果、有効性をあわせて考えるべき問題ではなかろうか、このように考えておるものでございます。
  118. 春田重昭

    ○春田委員 特に最近、建設省は、第二臨調の方に建設省としての意見といいますか、何かそういう参考みたいな意見を具申されたと聞いておりますけれども、その内容につきまして御説明いただきたいと思うのです。
  119. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 去る五月の十九日に臨調の第一特別部会に参りまして、私から、建設省予算の現状、社会資本の整備の必要性、それから道路整備事業、本州四国連絡橋事業下水道事業住宅対策、この六項目について御説明したわけでございますが、そのうちの補助金につきましては、まず第一点は、建設省が持っておる補助金のうちの九九・八%までが公共事業費に関係のあるものでございまして、一般で言われているような補助金といささか性格が異なるということ、それからもう一つは、公共事業費に対する補助金でございますから、その交付先の九九%までが公共団体及び公団、公庫等に対する補助金でございまして、そういう性格から申しましても、一般の民間における補助金とは違う、こういうことを申し上げたわけでございます。  それから、この補助金をカットいたしました場合の影響といたしましては、まず第一に、公共事業の整備に対する国民の要望は非常に強い、しかるにこの二年間公共事業につきましては予算はゼロ、こういう形になっておりまして、これを引き続きカットされることは困るということを申し上げたわけでございます。  それからもう一点は、公共事業の地域経済に及ぼす影響でございますが、たとえば高知県あるいは岩手県等の地方の県におきましては、県民総支出に占める公共事業費の割合が二〇%を超えているような状況でございますから、これを削減いたしました場合には地域経済に及ぼす影響が非常に大きい、そのような点を十分配慮された上で臨調の答申を出していただきたいということを御要望申し上げた次第でございます。
  120. 春田重昭

    ○春田委員 確かに、公共事業影響度といいますか、効果は、ただいま御説明のあったとおりでございます。しかし、公共事業という大義名分の中で、公共事業だから補助金のカットはできない、いわゆる合理化ができないとなれば、私は問題があると思うのです。やはり公共事業の中身を見直して検討して、むだがないかどうかやる必要がある、こう思うのです。  そこで、公共事業補助金の問題に入る前に、建設省としてはいわゆる公共事業補助金額、この推移が最近二、三年でどれぐらいになっているのか、まずこれを御説明いただきたいと思うのです。
  121. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 五十五年と五十六年度の両年について申し上げたわけでございますが、補助金等の予算額は、五十五年度は三兆四千八百八十二億円でございまして、建設省予算に対する比率は七五・三%になっております。それから五十六年度予算におきましては、三兆五千二百九十八億円でございまして、建設省関係予算に対する比率は七六・四%、前年度に比べて四百十六億円の増、こういう形になっております。  なお、建設省関係予算全体では七十六億円のマイナスになっておりますが、補助金が四百十六億円ふえておりますけれども、これは直轄事業等を減額いたしまして、地方の要望の強い補助金あるいは生活環境に影響のある住宅都市公園あるいは下水道等の補助金に回した、こういう形になっておるわけでございます。
  122. 春田重昭

    ○春田委員 建設省からの資料が私の手元にありますけれども、ちょっといまの説明と額が違うんですね。補助金等といっても、いろいろな補給金や交付金や負担金がございますが、純然たる補助金の額は、私の手元では五十四年度が三兆一千二百八十二億円、それが五十五年度は三兆一千六百九十六億円となっておりますが、これで間違いないですか。
  123. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 補助金だけをとりますとそのとおりでございますが、私が申し上げました数字は、そのほかに補給金等を入れております。
  124. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、建設省としては、いま行革の最大の柱であります補助金カットにつきまして、これだけの額があるわけです、三兆円以上の補助事業があるわけでございますが、この補助金の、一〇%でなくしても何%かカットしなければならない、補助金カットは避けられないということで独自で検討しているかどうか、見直しているかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  125. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先ほども申し上げましたように、建設省関係の補助金は主として公共団体に対する公共事業費の補助金でございます。したがいまして、これをカットするということになりますと、公共事業費の規模を少なくするか、あるいは地方の負担を増加するか、このどちらかでございます。したがいまして、われわれといたしましては、現段階ではどれをどうすべきであるという検討はいたしておりませんが、臨時行政調査会からの御答申がございましたら、その趣旨に沿って検討いたしたいと考えております。
  126. 春田重昭

    ○春田委員 まあ第二臨調の中間答申を待つまでもなく、過去いろいろ検査院から、いわゆる国損までいかなくても、不適正な補助金であるとか、むだな補助金でありますとか、そういうものが指摘されているわけでありますけれども、そういう面の検討はされているのですか。
  127. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 建設省関係の補助金につきまして、われわれはむだな補助金があるということは考えておりません。しかしながら、その執行につきましては、いま先生から御指摘のございましたように、会計検査院からも指摘を受けておるわけでございますから、そういう点につきましては十分配慮し、あるいは公共団体等を指導いたしまして、いささかもむだのないように最善の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  128. 春田重昭

    ○春田委員 それでは検査院の方にお伺いしますけれども、検査院で過去建設省検査をなさっているわけでございますけれども、特に五十二年度から五十四年度の三カ年にかけて、建設省補助事業の中で不当金額というものが掲記されております。まず、この不当金額の件数と金額につきまして御説明いただきたいと思います。
  129. 肥後昭一

    肥後会計検査院説明員 お答えします。  不当事項につきまして、五十二年度は十四件、補助金六千二百二十一万円、五十三年度は十四件、二億一千四百三十八万円、五十四年度が十八件、一億九千百五十五万円でございます。
  130. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、不当事項以外に、処置要求事項とか改善処置済み事項というもので、やはり不適正な補助事業であるという形で指摘されておりますけれども、これもあわせて、合計で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
  131. 肥後昭一

    肥後会計検査院説明員 処置要求事項改善処置済み事項、これを合わせまして、五十二年度は一件、一億六百万円、五十三年度が一件、六千七百万円、五十四年度が一件、一億六千万円でございます。
  132. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま検査院の方から報告いただいたわけでございますけれども、先ほどの不当事項といま説明のありました処置要求ないし改善処置済み事項の金額、全額むだとは言いませんけれども、むだを含めた不適正ないわゆる補助金といいますか、これを合算いたしますと、五十二年度では一億六千八百二十一万円になります。五十三年度は二億八千百三十八万円、五十四年度は三億五千百五十五万円という形になります。このむだを含めた適正でない金額といいますか、こういう言い方をしますけれども、この金額は、会計検査院が検査した国庫補助事業の中の補助金と比較した場合、何%に当たるか。検査院そのものは一〇〇%検査できませんので、大体八%前後なんです。したがって、その検査した中でいわゆる補助金相当額はどれくらいあるか、それに対してどれだけがいわゆる不適正な金額が、これを比率で出しますと、五十二年度は〇・〇七%、正確に言ったら〇・〇七六%、五十三年度は〇・〇七二%、五十四年度は〇・〇九%と私の試算からなるわけです。これが検査院の指摘したむだ遣いを含めた不適正な金額の指摘率、こういうふうになるわけです。わかりますね。  そこで、この三カ年間の平均をとりますと〇・〇七七%になるわけです。これが補助金のむだ遣い指摘率であります。建設省としてのいわゆる補助事業は、先ほどお話があったように五十四年度が三兆一千二百八十二億、五十五年度が三兆一千六百九十六億、さらに五十六年度におきましては三兆一千九百五億円という形になっております。したがって、この約三兆二千億に〇・〇七七%を掛けますと、大体二十四億円のむだを含めた不適正な補助金というものが出てくるわけですが、建設省はこの金額についてはどういう見解を持っていますか。
  133. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 このような不当事項指摘を受けたことはまことに残念だと思っております。  これらにつきましては、補助金の返還あるいは手直し工事を行わせるとかいうことで処置はいたしておりますが、検査院に指摘された後で処置をしたからといって免れるものではないと考えております。  したがいまして、これからは、先ほども御答弁申し上げましたように、なお一層指導を強くして、いささかもむだのないような執行を図るように強力に指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  134. 春田重昭

    ○春田委員 だから、私は、こうしたむだを含めた不適正な補助金を見直していくのが今回の行政改革じゃないかと思うのですよ。当初から、要するに公共事業というものは地方団体に与える影響が大きいし、景気に与える影響が大きいからなかなかカットができないようなお話でございましたけれども、私はいわゆる一律にカットするのではなくして、こうしたむだな補助金は当然見直してカットすべきだ、こう思うのです。  申し上げるまでもなく、この補助金という問題につきましては、建設省だけでなくして農水省等にもかなり出ておりますけれども、五十二年度の件数と金額を見ますれば、五十二年度では件数につきましては全体で六十一件不当事項検査院から指摘されているのです。その中で、農水省の二十九件に次いで、建設省は十四件ということでナンバーツーなのです。金額にしても三番目になっております。五十三年度におきましては、全体の不当件数六十七件のうち、農水省が三十五件、続いて建設省が十四件、金額ではトップになっております。五十四年度につきましては、全体九十九件不当事項指摘されておりますが、トップの厚生省の三十八件に次いで建設省が第二位、金額はトップ、こういうような形になっているわけですね。いずれにいたしましても、建設省のいわゆる公共事業というものは非常に補助事業が多いわけでございまして、こうした指摘がされているわけです。その上、補助事業以外にもまだまだ建設省関係の事業というものはいろいろな問題がある。たとえば住宅公団、遊休地や空き家のむだという問題がありますし、また、地元の発展という面もあるかもしれませんけれども、本四架橋等の三本の橋を一遍にかけるという問題もありますし、こうしたものをやはり洗い直していかなかったならば行政改革、補助金カットはできない。だから、必要論だけをどんなに声を高くして叫んだとしてもだめだ、やはり必要悪も見直していかぬといけない、私はこういうことを言いたいわけです。そうしなければ、建設省補助金カット、これは説得力がないと私は思うのです。こういう点で大臣の御所見を伺いたいと思うのです。御所見といいますか、決意を伺いたいと思います。
  135. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 当初申し上げましたように、行政改革、財政再建については、これは当然やらなければならない問題であるということを申し上げました。なお、第二臨調の答申が出ますれば、それを尊重することにやぶさかではありません。その時点において、やはり公共事業その他についてそれなりの対処をしなければならない、このように考えるものでございます。ただ、その結論が出る前のわれわれの対応する考え方として、やはり社会資本の充実という国民生活に直結したいわゆる道路、公園あるいは河川の問題、こうした大きな問題を抱えておりますし、そしてまたそのことが国民的ニーズでもありますので、何とかその要望にこたえるためには、われわれはわれわれなりの監察を所管としての使命感を持ってやらなければならないということもあるわけで、その点の行政改革、財政再建とのバランスの問題であろうかと思いますが、やはりわれわれはわれわれなりに与えられた使命感を持ってこれを達成するということの意欲は失いたくありませんし、そのことにつきましては、せっかく関係の方々に御理解をいただいて、前向きで対応するということが信念でございます。当初申し上げましたように、いずれにいたしましても最重要課題である財政再建あるいは行政改革については、われわれはそのことについていささかもとやかく言う立場ではありませんが、とにもかくにも基本的な問題として、いま官房長からも話がありましたような心組みでやるべきことではなかろうか、このように考えるものでございます。
  136. 春田重昭

    ○春田委員 私は、何も公共事業を否定するものではないのですよ、大臣、公共事業公共事業という言葉で論議したら、公共事業影響度というか波及というか、私はそれは当然理解しているわけです。これは必要なのです。ただ、公共事業の中でも、そういう公共事業という大義名分の中でもっとその中身を検討すればそうしたむだもある、不適正な金額もある、こういうことは第二臨調で言われるまでもなく、建設省独自としてやれば、ある程度こういうものは削減しなくてはいけないな、カットしなければならないなどいう、いわゆる行政改革、補助金カットに対する建設省独自の前向きの姿勢はやはり出すべきだ、私はそれを言いたいのです。公共事業そのものを否定しているのではないのですよ。そういう点でどうか大臣、御理解をいただきたい、こう思うのです。  さらにもう一点。言いにくいことでございますけれども、建設省関係は未竣工工事が非常に多いわけです。これは五十二年度、五十四年度を通じても件数で二万二千六百七十九件、金額にして三千七百億円が指摘されているわけです。この件は相当過去からも問題になっておるわけです、一部形式犯で実害がないという意見もございますけれども、建設省だけではございません、農水省もそうでありますが、非常に常習化している。ここに私は問題があると思う、検査院も昭和三十年ですか検査報告指摘していますけれども、二十七年ぶりの会計報告だとなっておりますが、その後、昭和四十一年以降二回、文書でも注意していると聞いておりますし、口頭でも何回も注意している。これにし対して建設省の対応は、通達を昭和四十一年、四十三年、四十四年、四十八年、四十九年と、本当に隔年、毎年ずっと出しておるわけですね。しかし効果は全く出ていない。その結果五十三年度、五十四年度検査報告指摘されているわけです。通達だけでこの未竣工のいわゆる事故、事件といいますか、指摘というのは直っていないわけです、これに対して建設省としては抜本的に考える必要があるのではないか、こう思います。この点についてはどういうお考えですか。
  137. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 未竣工工事につきまして五十二年度、五十四年度会計検査院から指摘を受けましたことは、われわれ非常に申しわけないと思っている次第でございます。  いま先生からお話のございましたように、何回も指導はしてまいったわけでございますが、これがなかなかなくならなかったわけでございます。したがいまして、検査院が昨年秋に指摘されましてから次官通達を出すとともに、土本部長会議あるいは土木部の管理課長会議を招集いたしまして、厳正に注意をしたところでございます。したがいまして、幸い現在までのところ五十五年度事業につきましてはこのような事態はないということを聞いておる次第でございますが、もし万一こういう事態が生じました場合には、その態様に応じまして、厳正な措置をとってまいりたいと考えておる次第でございます。
  138. 春田重昭

    ○春田委員 いままでもそうした通達を出しながら一向に効果が上がらなかったわけでございますので、今後の建設省の内部監査を十分やっていただきたい。とともに、やはり検査院も二十七年ぶりに思い出したみたいにやるのではなくして、過去に何回か指摘したと言っておりますけれども、やはりこうした常習化という問題につきましては厳しく監査する必要があるのではないか、こう思いますので、検査院としても今後厳しい報告をするように要望しておきます。  行管庁にお尋ねいたしますけれども、第二臨調の中間報告に対して、会計検査院が毎年いろいろ不当事項やいろいろなものを指摘していますね、こうしたいわゆる検査報告をどう反映していくのか、考えておりますか。
  139. 谷川憲三

    ○谷川説明員 私、臨時行政調査会の事務局の主任調査員でございますが、先生いま申された点につきまして臨調の場でどういうふうに取り扱われているかということは、私の方からお答えできると思いますが、臨時行政調査会あるいは第一特別部会の場で、現在までのところ、具体的に会計検査院の指摘事項に基づきまして、こういう指摘があるからこうすべきである、こういう議論が出た例はございません。これは検査院の指摘事項が主として運用面での不正、不当の指摘であるというのに対しまして、臨時行政調査会では補助金等の制度あるいは仕組み自体についての議論が主体となっている、こういうことからかと存じております。しかし、運用面での問題が多いということが制度自体の問題につながる、こういう場合もございますので、このような観点から、参考となるべき事項がございましたら、今後事務局といたしまして審議の参考に供していきたい、こういうふうに考えております。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 会計検査院としては毎年検査報告を出しまして、各省にいろいろそうした不当事項処置改善事項等を示して、それで各省がそれに対応しているわけでございますけれども、私は、検査報告を出すだけではなくして、今回の第二臨調というのは絶好の機会だと思うのです。そういう面から検査院としても積極的に前へ出て、そして第二臨調には協力すべきだと思うのですけれども、検査院の立場としてどうですか。
  141. 肥後昭一

    肥後会計検査院説明員 お答えします。  会計検査院としましてもたしか一名職員を臨調に派遣しておりますし、それから前院長も顧問として行っております。それからまた、臨調から要求されました資料などは全部提出いたしまして、その際に、御希望があればいつでも説明に伺うということを言っておりますので、われわれも十分協力したいと思っております。
  142. 春田重昭

    ○春田委員 臨調の事務局の方に申し上げますけれども、検査院としてはそういうふうに積極的に協力するということでございますから、ただ検査報告の本をもらってそれでよしとせず、どんどん会計検査院の方に来てもらって各省のむだなところをどんどん吸い上げて反映していく、これが一番最短な道じゃないかと思うのですよ。そういう点で大いに会計検査院の協力を得て進めていただきたいと要望しておきます。それでは、時間の関係で補助金等の問題につきましては終わりたいと思います。  第二点は住宅金融公庫の問題でございますが、公庫は五十六年度第一回の申し込みを最近締め切ったと聞いておりますが、その申し込み状況につきまして概略御説明いただきたいと思います。
  143. 関口洋

    ○関口説明員 私どもは四月二十四日から五月二十八日まで本年度の第一回の募集を行ったわけでございますが、その結果について御報告させていただきますと、一般住宅等の建設資金貸し付けにつきましては募集枠十万二千戸に対しまして応募された方は十万二千三百八十七戸、高層住宅の購入資金につきましては募集枠八千戸に対しまして七千九百九十二戸、こういう状況に相なっております。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 一般住宅申し込み状況が十万二千三百八十七戸という御説明がありましたけれども、これをさらに分析して一般住宅建て売り住宅に分けて、予定数がどれだけで申し込み数がどれだけ、こういう形で再度御答弁いただきたいと思います。
  145. 関口洋

    ○関口説明員 一般住宅の方について申し上げさせていただきますと、いわゆる個人建設ということで予定しておりましたものが十万戸に対しまして応募されました方は九万五千五百七十戸でございます。一方、この枠の中には先生御承知のとおり建て売り住宅という枠がございますが、これにつきましては、二千戸という想定に対しまして約三倍の六千八百十七戸の申し込みをいただいております。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 この一般住宅とマンションの二部門で申し込み予定数に対しまして応募が不足したわけでございますけれども、公庫としてはこれをどう分析しておるのですか。
  147. 関口洋

    ○関口説明員 まず一般住宅の方から申しますと、先ほど申しましたように、通常土地を先行的に取得して、それから改めて家を建てるときに公庫資金を御利用いただくという意味での個人建設融資は十万戸に対しまして若干下回っておりますが、土地つきの住宅を購入するという建て売りの方は三倍の申し込みということに相なっております。これをどう見たらいいのかということでございますが、これにつきましては、私どもは、いわゆる住宅需要というものが非常に切実な問題になっておりますので、応募される方がどちらかというとすぐに入居できる土地つき住宅の方を志向されてきたのではなかろうか、これがこういう結果を招いた、かように思っております。  それから、そのほかに高層住宅が、八戸でございますが、若干下回っておることについてどう思っておるかということでございますが、実は募集するものは高層住宅、俗にマンション融資といわれておりますが、このほかに類似のものといたしまして団地住宅という制度がございます。この団地住宅というのは、原則としましてかなりまとまった住宅計画的に建設するという方々に対する資金の融通措置でございますが、これと高層住宅が並行的に動いておるわけでございます。それで分析をいたしますと、いわゆる高層住宅の購入資金から団地住宅の方にかなりシフトしてきておるというふうに考えます。  その理由でございますが、これはいろいろ見方があろうかと思いますけれども、あえて断定的に言わせていただければ、いま盛んに言われておりますようにこれから居住環境の整備したものに対する国民の住宅需要が強まる、そういうものを反映しておるのではなかろうか。いわゆる団地住宅という場合には大きいもの、小さいものございまして、それによって施設の整備状況は変わりますけれども、そういういわゆる居住環境を整備して一体的、計画的な開発を行うのが団地住宅の使命でございます。やはりそういうものを選好されるように変わってきているのではなかろうか、かように考えております。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 第一回の申し込みで五十六年度住宅建設を予想することはむずかしいわけでございますが、いずれにいたしましても一般住宅の場合は十万戸で九万五千五百七十戸。予定数に対しまして申し込みが足らなかったわけですね。マンションの場合も予定数が八千戸で、申し込み数が七千九百九十二戸ですから。しかし、全体的にはやっと予定数に申し込み数が達したということでございます。過去の数字をとってみますれば、昨年は年間を通しまして申し込み予定数が三十一万七千戸で三十八万二千戸の申し込み状況になっておりますし、五十四年度は三十三万戸に対しまして四十四万四千戸、五十三年度は三十三万四千戸の予定に対して四十二万九千戸ということでかなり上回っておるわけでございます。今年の第一回に関しましては大体横ばいということで非常に厳しい状況。依然として昨年から引き続きこの住宅建設につきましては下降の現象があると言えるのではないかと思うのです。ということは、また一面では現行制度のある程度の見直しも必要ではないかという考え方を私は持っておるわけでございます。  そこで、いまお話があったように、住宅の場合には、大別すれば大体高層住宅と一戸建てがあるわけです。ところが高層住宅の場合には第一回で八千戸、また一戸建ての場合には大体十万戸の申し込みということで、比率からいっても相当の差があるわけで国民大多数の方たちは一戸建ての住宅を志向しておる、こう言えるのではなかろうかと思うのです。  そこで、公庫の融資制度の中に建て売り住宅の場合の譲渡価額限度というものが定まっております。東京特別地区で二千九百万、そして東京地区、これは郊外になると思いますが、二千五百万、大阪、名古屋特別地区で二千四百万となっておりますが、この数字はいまも変わっておりませんか。
  149. 関口洋

    ○関口説明員 東京特別地区で二千九百万ということ以下の数字につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
  150. 春田重昭

    ○春田委員 建て売り住宅の場合、この敷地面積というのは大体どれくらいなんですか。
  151. 関口洋

    ○関口説明員 建て売り住宅はいわばある意味で計画的な開発の一環でございますが、これにつきましては、敷地につきまして、一区画の敷地が戸建の場合百平米以上ということで、五十三年度からそういう基準のもとに融資いたしております。
  152. 春田重昭

    ○春田委員 百平米ということは坪にして三十坪でございますが、東京特別地区、いわゆる二十三区プラス若干、横浜が入るようでございますが、この二十三区で、三十坪の土地つきで、大体二階建てになると思うのですが、二千九百万でできるかどうかという問題。私は大阪に住んでいるわけでございますが、大阪、名古屋というのは全体でなっているわけですね。東京の場合はいわゆる特別区と郊外と分けておりますけれども、大阪、名古屋の場合は一緒になっている。ところが、大阪の場合も、都心また都心の周辺で三十坪の土地つきで二千四百万でできるかどうかとなったら、これは疑問です。現時点では恐らくこの価格ではできないと私は思っておるわけでございますが、この点、公庫としてはどうお考えですか。
  153. 関口洋

    ○関口説明員 東京と大阪と一律に議論するのはなかなか困難でございますので、お許しをいただければ大阪の例で御説明をさしていただきたいと思いますが、大阪の場合は、東京と違いまして、比較的近いところにも御指摘のように一戸建てが建っております。そこで、こういう建て売り住宅、言ってみれば、先ほど申しましたように敷地の下限を百平米とし、これに譲渡価額の限度、大阪の場合大体二千四百万でございますが、それの枠内でおさまるものということになれば、数がしぼられてくるということは事実でございます。しかしながら、先ほど申しましたように、全国で見れば大体私ども予定しておったもの以上に、三倍の枠を上回っておりますし、さらに五十四、五十五の実情について申しますと、いわゆる三大都市圏の占めるシェアの六割前後ということで、かなり三大都市圏が高い。そういう意味から申しますと、絶対に対象にならないものを基準にしておるということはない、かように考えております。先生の御指摘、あるいは大阪の近郊都市の中で実情をお調べになられて、百平米で二千四百万というのは無理だ、こういう御認識をあるいは持たれておるかもしれませんが、私どもがなぜそういう制限を設けておるかということでございますけれども、これは私どもは、平たく申しますと、一般庶民の方がたとえば建て売り住宅を購入される場合に資金の融通をするということでございますので、購入される階層のいわゆる俗に言うローンの負担率、こういうものを考えまして、いわゆる世上やかましく議論されているようなローン地獄を招かないというようなことで考えてまいりまして、いま申しましたように、二千四百万という限度を設定したわけで、それを見てそれぞれの供給事業者の方で供給に努力をしていただきたい、かように考えております。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 いまの公庫の理事の後段の方は、政策金融であるから余り高うしてもいけないような話に私は聞こえたわけでございますけれども、これは当然建設省の指導によってこういう形が出ているわけでございます。そうしたら本省の建設省にお尋ねをしたいと思うのですが、大臣は静岡だと思うのですけれども、どうですか、東京特別地区で三十坪で建て売り住宅で二千九百万、大阪の真ん中で建て売り住宅で三十坪で二千四百万、確かに政策金融制度だとは思いますけれども、現実の売買とはちょっとかけ離れたような感じがするわけです。指導する立場の建設省としてどうお考えですか。
  155. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私からちょっと事務的にお答えさせていただきたいと思いますが、譲渡価額の限度額につきましては先ほど先生から御指摘がありましたとおり、東京の特別地区で二千九百万円になっておりますが、これは建築費の増高等を考慮いたしまして五十六年度に二百万円から三百万円程度の引き上げを行ったものでございます。また、私どもが公庫という政府機関を通じまして国民の住宅のニーズにこたえるために、先ほど公庫の担当理事から御説明申し上げましたように、国民の住宅取得能力も考え、また住宅価格の実情とも照らし合わせまして、長期、低利の政策金融としての運営を適正に行おうと考えているものでございます。  また、戸建ての住宅につきましては、ミニ開発等を防止する点からの規模の面も考える必要があると思います。  なお、今後、都心部におきます住宅は、土地の高度利用といったようなことも考えまして、中高層共同住宅であるとかあるいはまたタウンハウスといった集合住宅を中心として、良質な住宅供給を進めてまいりたいというふうに考えて、おります。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 大臣、どうですか。
  157. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 具体的な問題について局長から答弁がありましたけれども、過密都市における住宅事情というものは、御指摘をまつまでもなく非常に取得環境が厳しくなっております。また、求められる方々も、いわゆる需要構造の変化もありますが、低所得者あるいは若年層の方々というようなことで、これからの対策としてはそういう面も踏まえて対応していかなければならないのではなかろうか、このように考えるものでございます。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 先ほどの政府委員説明では、東京のど真ん中、大阪のど真ん中が無理じゃないかということで、高層住宅でもお願いしたいというように聞えるわけですね。ところが、先ほども言ったように、第一回の申し込みではマンションは八千戸なんですよ、一戸建てが十万戸なんですね。十人に一人しか高層住宅は希望していない。一戸建ての方を志向しているわけですよ。だから、東京、大阪の方はマンションに住んでいただいてそれ以外の方は一戸建てにお入りください、全体でバランスがとれますからという考え方では困るのです。これは現実の価格に全然合っていないわけです、  これをさらに限度額を上げたら、現実の売買価格もまたぐっと上がるという現象が出てくるかもわからないけれども、一つの方法として、百平米以上ということでやっておりますから、この百平米というのは考える必要があるのじゃないか。若干緩和する必要があるのじゃないか。何ぼにするのかとなったら、またミニ開発の問題が別の次元の問題として出てきますので、そうした問題もありますが、余りにも現実離れした譲渡限度価額になっておりますので、東京、大阪についてはきめ細かくもう一回考える必要があるのじゃないか。大阪、名古屋が二千四百万になっておりますけれども、名古屋というとまたがたっと減っちゃうわけですね。また、大阪でも、大阪市内と周辺部、大阪でも端の方へ行くと時価も相当違うのです。そういう面で大阪の場合も東京と同じように特別地区と郊外と分ける必要があるのではないか。とにかくきめ細かく現実に沿った金融公庫の政策を出すべきじゃないか。そういう提案を投げかけておきますので、さらにそちらの方で検討していただきたい、こう要望しておきます。  時間がなくなりましたけれども、最後に公共下水道の問題を一点だけお尋ねしたいと思います。  先ほど同僚委員からもお話があったとおり、公共下水道というものは生活環境保全、水質保全の面で非常に重要なことでございます。ところが、現実には普及率は全国的に三〇%なんですね。公共下水道の国の助成はどういう形か私調べてみましたならば、補助対象率というのがあるのですね。それからまた、補助率というのがそこにさらに加わっちゃうわけです。これは御存じのとおりです。ところが、公共下水道におきましては、この補助対象率は現在七五%です。この七五%ですけれども、これは第五次の事業がことしから、五十六年から六十年まで五カ年計画があるわけでございますが、この補助対象率というのは大体年度ごとに若干でも上がってきているわけです。第一次は昭和三十八年から始まったわけでございますが、このときは七一%、第二次のとき七一・二%、第三次は七四・七%、第四次は七五%、そして第五次は七五%ということで、全く補助対象率は第五次に関しては横ばいになっているわけです、財政が厳しいということでそうなったと思いますけれども、この補助対象率が七五%ということで、いわゆる地元の負担率が非常に高くなってきたわけです、補助率がさらにあるわけですね。たとえば管渠の場合、これは昭和四十九年から十分の六という形になっているわけです。現在もずっと変わっておりません。したがって、この補助対象率に補助率をかけた場合に、大体国の助成というのは半分になっちゃうわけです。残りは全部地元のいわゆる区とか、大阪で言えば大阪府、市町村の負担になるわけです。そういう点で、先ほど道路局から話があったように、線的な整備はできるけれども、幹線の整備はできるけれども、いわゆる枝管の整備ができない、面的な整備ができない。こういうことで、地元の市町村の相当な財政圧迫の原因になっているわけでございますので、この補助対象率、そして補助率を見直して、公共下水道が非常に今後大事になってまいりますので、この拡充のためにもこの見直しを早急にしていただきたいと要望しておきます。  これについての御答弁をいただきまして、私は質問を終わりたいと思います。
  159. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのとおり、下水道の場合は補助対象率に対しまして、一定の補助対象事業部分につきまして補助率を掛けたものが国費として投入されるわけでございます。そこでただいま第五次に至りますまでの各累次の五カ年計画におきます補助対象率、補助率については、おただしのとおりに進行してまいりました。本年度からスタートいたします第五次におきましては、残念ながら補助対象率につきましては、これをさらに広げるという段階に至らなかったわけでございます。これは御指摘のとおり大変厳しい国の財政状況下、しかも下水道の普及率は現在三〇%という大変低位にとどまっておる状況を踏まえますと、やはりこれから少しでも国費は、事業費の増大、普及率の拡大に資するように充当せざるを得ないということでございまして、その二者択一の関係でやむを得ず今回は事業費を拡大する方向に国費をフルに使わしていただく、こういうことで五カ年計画予定したわけでございます。したがいまして、補助対象率につきましては、私どもといたしましても必ずしもいま現状十分と考えているわけではございませんので、将来にわたりまして国の財政状況等勘案しながら検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 補助対象率も広げて、さらに補助率も十分の六を変えていただきたいと思います。要望しておきます。  終わります。
  161. 東家嘉幸

    東家委員長代理 小川国彦君。     〔東家委員長代理退席、越智(通)委員長代     理着席〕
  162. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、建設省決算関連いたしまして、先般来埋め立ての問題についていろいろな角度から取り上げてきたわけでありますけれども、やはり埋め立てというものは国民の国土を、特に国民の海を埋め立てて土地として利用していくわけでありますが、往々にしてその土地利用が非常に利権的な土地利用になって、本当に国民のためにこの土地を利用していくという観点が非常に乏しいわけであります。そういう点では、この埋め立て行政のあり方というものをいろいろな角度からただしていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります、  そこで、実はいま、たまたま京成電鉄という首都圏の中の大手の電鉄会社がございますが、御承知のように大変な放漫経営、乱脈経営の結果、相当な赤字、二千二百三十億円という借入金、千八百億円というような債務保証、こういうような状況の中で、再建のめども立たないというような状況が一つあるわけであります。ところが、この電鉄の経営不振を理由としまして、その所有しております谷津遊園、いろいろなバラ園とか児童遊園施設とかいうようなもので二十二・八ヘクタールというかなりな面積に上るこの遊園地が、電鉄不振の解消のためということで住宅公団に売られようとしているわけであります。  この問題に関連して、まず、この売られようとしている谷津遊園の中に九千三百二十六平米という国有地がございます。これは千葉県習志野市の谷津三丁目一八九一の五一九というところにありまして、土地は海に没した海没地で、水面下一・五メートルというところでありまして、売り払い年月日は昭和四十一年五月二十六日で、移転登記が昭和四十八年十二月十七日、こういうことになっております。最初に大蔵省の方に伺いたいのですが、この土地はどういう利用目的ということで払い下げが行われたか。それから売り払いから登記まで七年余りの経過を要しているのですが、なぜこうした期間を要したのか。それから埋め立てということは条件に付しておるのかどうか。それから払い下げ目的というものも明確になっているのかどうか、その点をまず最初に伺いたいと思います。
  163. 山口健治

    山口(健)説明員 御指摘の谷津遊園の土地につきましては、もともとこの土地は海浜地、干がたでありまして、水深が一・五メートル以上ある、そういうところでございますので、京成電鉄の方から、だんだん首都圏の人口がふえてきたので、一大レクリエーション場としてこの土地をすでにあります谷津遊園を拡大する用地として使いたいということで申請がなされたわけであります。ただ、そのまま干がたを使うことは不可能でありますので、その目的に沿って一貫した土地利用、造成を行って、一般大衆の憩いの場としてレクリエーション用地にするという利用計画の目的のために売り払いしたものであります。  なぜ七年間も期間があったのかということでございますが、最初かなり大きな面積のことを申請されてきたのでございますけれども、われわれ聞いたところによりますと、地元の漁業権補償問題がなかなか調整がうまくいかないということがございました。それで結局、調整のつかなかった分については国有地の払い下げができなかったわけでございますので、そういう経過があったものですから非常におくれてしまった。結局漁業権の補償問題の調整がついて埋め立てができたのが約九千平米だったということになっております。  その売り払いに当たりましては、埋め立て造成を条件として契約を締結しておりまして、特にその際、将来何に使うという用途指定のような縛りはかけておりません。  以上でございます。
  164. 小川国彦

    小川(国)委員 用途指定の縛りはかけていないということでありますが、払い下げ理由とか払い下げ申請の目的、そこにはどういうふうに書かれておったわけですか。
  165. 山口健治

    山口(健)説明員 当時会社から提出されました事業の目的及び事業計画書を簡単にお読みいたしますと、まず事業の目的でございますが、「最近京葉工業地帯の造成工事が進捗し進出会社の工場建設も着々完工しつつありますが、一方習志野市船橋市には大規模な住宅公団の団地が完成しつつあります、このような工場地帯や住宅団地の中心地に当社の谷津遊園地がありますが今後人口増加が必至の首都圏東部地区の一大レクリエーション場として本申請し十五万坪を埋め立て既設の谷津遊園を拡大強化することを目的とするものであります。」これが事業目的でございます。     〔越智(通)委員長代理退席、委員長着席〕 計画書といたしましては、「本申請地区状況は普通財産の土地でありますが、現況は海浜であり水深一・五メートル以上ありますので、一般土地と同様に直ちに計画通りに利用することは不可能でありますので、所定の目的通り一貫した利用土地を造成して一般大衆の憩いの場所として利用するものであります。」大体そういう趣旨のことが書いてございます。
  166. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、大蔵省としてはこの土地の払い下げは、一つは工場地帯が多くなって工場労働者が多くなった、工場が多くなった、言うなれば環境も悪くなってきている、そこにまた習志野や船橋のような住宅公団による大規模な住宅団地ができてきている、そういうところであるから谷津遊園のような緑の、いまおっしゃったような一般大衆の憩いの場所としての遊園地をつくるならよかろう、こういう観点から御許可になったわけでございますね。
  167. 山口健治

    山口(健)説明員 大体いま先生おっしゃったことだと思いますけれども、当時も特に具体的な利用計画が他になかったということもあったと思います。
  168. 小川国彦

    小川(国)委員 この正式な払い下げ面積と払い下げ価格はお幾らになっておりますか。
  169. 山口健治

    山口(健)説明員 払い下げ面積は九千三百二十六平米でございます。売り払い価格は千九百五十八万四千五百六十二円となっております。
  170. 小川国彦

    小川(国)委員 九千三百二十六平米、約一ヘクタール近い用地でありますが、これを千九百六十万円という平米当たりにすると二千百二円、坪当たりにしても六千円、契約が昭和四十一年で登記が四十八年でございますが、代金決済はいつ行われたのでございましょうか、
  171. 山口健治

    山口(健)説明員 本件の代金決済は昭和四十一年の五月二十六日に行われております。
  172. 小川国彦

    小川(国)委員 少なくとも大蔵省が国有財産を払い下げますときに、その土地が何に使われるかということはかなり厳密に審査なすって、目的が明確でない形での払い下げはあり得ない、やはりその目的が本当に国民の生活向上に寄与するものであるというふうな判断というものが一つ国有財産の払い下げ規則なりあるいは考え方の根底にあると思うのですね。ですから、その点では、この時点ではともかく皆さんの方が、埋め立て造成の上、遊園地として利用する、一般大衆の憩いの場所として利用する、こういうことは明らかにもう遊園地用地であるから平米当たりにしても非常に安い価格、二千円という非常に安い価格で提供したのはそういう大衆の憩いの場所である、こういう考え方が観点におありになったのじゃないですか。
  173. 山口健治

    山口(健)説明員 国有財産の処分あるいは払い下げにつきましては国有財産法あるいは国有財産特別措置法以下、その政令等によりまして一定の条件が課されているわけでございますけれども、本件につきましては大体先生のおっしゃったような趣旨によって行われたのではなかろうかと私も推察いたすわけでございます。
  174. 小川国彦

    小川(国)委員 なかろうかでは大変困るわけでありまして、これは河内閣のころかわかりませんが、歴代の大蔵大臣の中では田中大蔵大臣のときが一番国有財産の払い下げが多かったそうですけれども、それは別にしまして、いずれにしても大切な国民の共有の財産を払い下げるわけですから、その目的というものは皆さんの方に文書の中に明確に残っているわけでございましょう。
  175. 山口健治

    山口(健)説明員 御質問の文書の中にはっきりそういうものが残っていますかということにつきましては、先ほど私が読み上げました会社から提出された払い下げ申請書類、これの事業目的あるいは事業計画審査をして、それに基づいて払い下げを行っていますので、一応この会社のつくられた書類が正しいということで審査をして判断したものと思います。
  176. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、遊園地としての申請目的なり事業計画が妥当なり、こういうことで払い下げられた土地は当然その目的どおり使われていかなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、今般住宅公団がこの土地を買収して公団住宅を建てたい、こういう確認書を交わしたということでございます。これは契約書にまで至っているのでありますか、それとも確認書の取り交わしという段階でとどまっているのですか。
  177. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 まだ契約には至っておりません。契約の前の、いわゆる双方で売買の方向で検討しようということの確認書でございます。
  178. 小川国彦

    小川(国)委員 この住宅公団の買収予定は、面積はどのくらいになりますか。
  179. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 二十二・八ヘクタールでございます。
  180. 小川国彦

    小川(国)委員 買収予定価格はお幾らでございますか。
  181. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 これはお尋ねではございますが、対民間とのいわゆる契約的なことでございますので、正確な数字はちょっとお答えしかねますが、少なくとも平方メートル当たり十万円は超しているという程度で御勘弁願いたいと思います。
  182. 小川国彦

    小川(国)委員 建設省と運輸省の方がおいでになっているのでちょっとお伺いしたいのですが、ここの土地はいま海面下一・五メートルの土地ということなので当然埋め立てをして遊園地として利用せよ、こういうことを大蔵省が払い下げのときに言っておるのですが、この埋め立ては、たとえば江戸川の河口のオリエンタルランドのところであれば河川管理をしている建設省、それから船橋港とか千葉港とか港湾区域であれば運輸省かごの埋め立ての認可を与えるのでありますけれども、谷津遊園については埋め立て認可をいずれの役所が与えたわけでございますか。
  183. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  先ほど大蔵省の方から御答弁がございましたように、谷津遊園のいま御指摘の土地につきましては、国有財産ということで、いわば土地としての扱いを受けておるわけでございまして、公有水面埋め立てによって取得した土地ということではございませんので、公有水面埋立法上の手続とは直接関係がございません。
  184. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、大蔵省の方では、これを、埋め立て造成の上、遊園地として利用する、これは普通財産の土地だが現況は海浜であり、水深一・五メートル以上あるので一般土地と同様に直ちに計画どおり利用するのは困難なので、所定の目的どおり一貫した利用土地を造成して、ですから埋め立てして土地造成をせよ、こういうことを言っているのですが、これは一般には土地をこういうふうに造成する場合には、埋め立て許可を得るかあるいは開発行為の許可を得るか、何らかの法的な許可行為が必要であったのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  185. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 公有水面埋立法の適用がございますのは、公共の用に供する水面というものが対象になっておるわけでございまして、いま御指摘の谷津遊園の埋め立てと申しますか、盛り土と申しますか、土地を造成をしたといいますのは、そういう意味の公共の用に供する水面というものではなくて、いわば国の財産ではございますけれども、私所有権の対象になっておる、いわばたまたま海没地になっておるものについて物理的に盛り土をして土地化したということでございまして、もともと公有水面ではございませんので、公有水面埋立法の適用は少なくともございません、そういう意味でございます。
  186. 小川国彦

    小川(国)委員 大蔵省の方はどういうお考えだったのでしょうか。
  187. 山口健治

    山口(健)説明員 大蔵省といたしましては、払い下げ申請書に書かれてきた計画及びその事業目的等は先ほどお読みしたとおりでございますけれども、一応そういう書類を見て、また話を聞いて、その段階で、これは正しい、間違いないということを審査をして払い下げの手続に踏み切ったものと思いますので、そこのところ、つまりその開発許可あるいは埋め立て許可等がどうなっていたかということにつきましては、うちは所管官庁ではございませんので、ちょっとこれ以上私が発言することは差し控えさせていただきます。
  188. 小川国彦

    小川(国)委員 本来なら、大蔵省が埋め立てて利用せよと言っているのですから、どういう国有地が埋め立ての条件が満たされているか、これは当然監督しておかなければならないことでありますけれども、じゃ、その問題は後ほどの調査に一歩譲ります。  少なくとも平米当たり二千円、いかな昭和四十一年であっても、総額で千九百六十万というのは大変安い価格だというふうに思うわけです。今回、住宅公団が、先ほどのお話で大体二十二・八ヘクタール、平米当たり十万円は下らないということになりますと、これはもう大変な額になるわけでありまして、ざっと考えても二百五十億ぐらいのものになるわけであります。そうすると、大蔵省が払い下げた平米当たり二千円から換算してまいりますと、払い下げた価格の六十倍で住宅用地として売る、こういうことになってくるわけであります。この土地の利用については、いろいろ周辺の住民からもあるいは関係の自治体からも、遊園地として残せ、そもそもが首都圏の中のレクリエーション地帯である、特に関係市の習志野市などは、これはレクリエーションゾーンとして残してもらいたい、これが住宅公団に売られるようなことになれば、団地増でいろいろと悩んでいる都市計画の中で、今後は上下水道の計画から、教育計画からみんなここにつくらなければならない、それはとてもできることではない。そしてあそこは、御承知のように民間のバラ園でありますけれども、世界で有数のバラ園になっていて、種類も一千種以上のバラが植わっている。そして経営自体から見ましても、年間相当な人が出入りしまして、毎年二億円の黒字になっているところなんです。ですから、まさに大蔵省が払い下げた目的どおり、遊園地としては沿線住民、地域住民から非常に喜ばれる施設。私どもも休日には家族連れで参りますけれど、いまのバラの季節になりますと大変きれいなバラが咲いておりますし、入園料も安く、しかもジェットコースターやそういう遊園施設もいろいろある、あるいはプールもある、こういうことで、過密化している首都圏の中では大変良好な遊園地としての機能を果たしているのじゃないか。  ところが、それが今回、いかな電鉄会社の赤字といいながらも、その電鉄会社が一方においては浦安にオリエンタルランドというのを三井不動産と一緒につくっている。そこに新しく客を吸収していくためにはここを当然売る。電鉄の赤字二千三百億あるいは千七百億の債務保証、大変な負債を持っているところで、とでもこの遊園地を売ったところでその赤字の補てんにはならないというふうに考えるのでありますが、結局はオリエンタルランドとの競合の問題がある。それからオリエンタルランドというものを既成事実化していく。それにはこの谷津遊園地で働いている人たちを全部引き受けるから、こういう理由ですね。電鉄の赤字とここの従業員を引き取る、こういうことを理由にして、銀行と結託して、銀行の債務返済のためにやるのではないかというようなこととか、オリエンタルランドと結託した陰謀ではないか、組合の人たちはこう言っているのです。  せっかく大蔵省が平米当たり二千円で払い下げたところがわずか十四、五年で六十倍で、しかも平米当たり十万円以上で売られることはどう考えても行政のあり方として許される問題ではないのではないか。しかも、この遊園地のあり方については、千葉県もまだこの問題については何ら相談を受けてないということでありますし、習志野市においては、先ほど申し上げたような理由で反対を表明しているわけです。もちろん従業員の方々も、植物園あるいは動物園、これはみんな植物や動物が好きな人たちがそういうものを大切にして、それだからこそ多くの人に愛されて、こういう遊園地では珍しい黒字経営になっているわけですね。そういう理想的な遊園地をそうしたいろいろな利権や陰謀のために宅地に変えていく、こういう実態を私は大蔵省としてもこのまま見過ごすべきではないのではないか、こういうように考えるのですが、この点いかがでございますか。
  189. 山口健治

    山口(健)説明員 先生の御質問というか御意見は大変貴重な御意見であるとは思いますけれども、われわれ国有財産行政に携わっている者といたしましては、御説、御意見はごもっともであるとしても、じゃ具体的にどうするかということになりますと、やはり、その契約書に法律的に何かとり得る手段がはっきり書かれてございませんと何もすることができないわけでございます。  で、本件については、先ほどちょっと申し上げましたように、用途指定をつけてございません。仮に用途指定をつけたといたしましても最高十年ということになるわけでございますので、ちょっと法律的には、先生の御趣旨は非常にごもっともであるとしても、手が打てないのではないかというふうに私は感ずるわけでございます。
  190. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、これは当該の住宅公団にもちょっと御意見を聞いてみたいと思うのですが、皆さん方、これは当然今後行政訴訟をもって争われれば——大蔵省が土地を払い下げるのに払い下げ目的というものがあってそれで払い下げたところが、みだりにいろいろな決定的な理由でない状況でもう目的変更していって大変高い暴利の対象になっていく、そういうようなところを住宅公団が取得して宅地化していく。しかも、沿線住民なり関係自治体の反対があったらとてもできるところじゃない。しかも、大蔵省のいまの課長さんの答弁はきわめて不満なので、申請目的と事業計画を持って払い下げた土地が勝手にこういうふうに変更されていくことが、法律的に手段ができないということで手が打てないでこまねいていていいのかどうか。これは大蔵省建設省住宅公団もやはり全体的な立場でこういう問題を厳しく考えていかなきゃいけないのじゃないか。まず買い手に当たる住宅公団は、一体この点、そういういろいろな反対とか問題点を押し切っても進めようという考え方を持っておるのかどうか、いかに首都圏での宅地供給が困難であるからといっても、こういう関係自治体と相談もなしに一方的にこういうところの払い下げ目的に反した方向にこの宅地利用ということを進めていかれるのかどうか、その点いかがですか。
  191. 澤田悌

    澤田参考人 本件の土地につきましては、本年の一月ごろでございますが、所有者である京成電鉄株式会社からこの土地を買い取ってくれないかという申し入れがございまして、自来、住宅公団は、その土地の取得について、内部的にも検討を進めてまいりますとともに、所有者と交渉を重ねまして、この四月になりまして両者の間で地元公共団体等との事前協議を前提といたしまして土地の売買について基本的に合意に達したという経過ございます。  御承知のとおり該当地は住宅用地といたしましても良好な立地条件を備えておるわけでございまして、公団といたしましても、この土地を取得して国民のための住宅建設に活用してまいりたいと考えておるわけでございますが、ただいまも申しましたように、本件土地の取得及び土地利用計画の策定に当たりましては、地元習志野市はもちろん千葉県とも十分協議いたしますとともに、その意向を尊重してまいるべきものと考えておる次第でございます。
  192. 小川国彦

    小川(国)委員 ちょっとこれは建設大臣に伺いたいのですが、日本の首都圏の都市計画というものを見てみますと、コンクリートブロックに囲まれた都市計画というのですか、非常にその点では日本の都市計画の貧弱さというものを感じるわけです。たとえばモスコーとかワシントンとかは非常に都市計画が進んでいる。モスコーなどにおきましても、人間の住むところが千平米あればすぐその隣に千平米の公園がある、またその隣に千平米の住宅地があればその隣に千平米の公園がある。ですから、都市が升の目のように四角に切られていて、一画に住宅地があればその周りは全部公園、一つの宅地宅地が公園あり住宅地あり、公園あり住宅地ありと、こういうようにできておりまして、人間が酸素を吸って炭素を吐く、隣の公園が今度はその炭素を酸素に変えていく、そういう意味で人間の住む面積と同じ面積だけ公国緑地というものをつくっていっているわけです。私は、モスコーの都市計画を見て、大変すばらしい都市計画である、こういうように考えているわけでありますが、妄念ながら日本の都市計画というものはそういうものがございませんで、かつて東京市長後藤新平のときにそういう都市計画の提言がなされたそうでありますけれども、残念ながら東京では用いるところとならなかった。戦後もそういう都市計画のあれに至らなかった、そういうことで、日本では残念ながら、コンクリートブロックの中に公園がぽつんと一つ申しわけのようにある、こういう都市計画であるわけですね。そういう意味では日本の都市の緑化計画、都市計画というものはもっと考えられなければならない。  そういう意味から言えば、この当該の問題の土地なども、船橋、習志野といいますともう大変な首都圏の通勤圏で、朝夕のラッシュは大変。たとえば西船橋の電車に乗る人の七、八〇%が生命に危険を感じるというくらい団地がふえて通勤の過密ダイヤの中で大変なところなんです、そういうところに民間企業のものとはいいながら国有地の払い下げの中でつくられてきた良好な、まさに大蔵省の払い下げの目的どおり憩いの場所としてできてきた緑のオアシス、こういうものを一私企業の思惑の中で二千円のものを十万円以上で売る、こういうような形で処分されていく、まさに払い下げ目的に反した形での転用、利用がなされていく、こういうことは非常に好ましいことではないのではないか。住宅公団を監督指導する立場の建設大臣としてどういうふうにこの問題の今後の推移をお考えになるか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  193. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 都市における緑地と住宅環境という問題でまさしく目的とするところは、また計画とするところは、先生の御指摘のとおりであろうかと思います。日本の都市計画をいま少しく住宅事情というもののバランスを考えながら早期に計画的にやってまいりますればいまのような過密都市における住宅環境というものはこれほど悪化しなかったと思いますが、いまそれを問うてもいたし方ありませんので、せっかくわれわれは都市における緑地を含めての都市計画をいま進めておるところでございます。  たまたまこの谷津遊園の話は、私は実は新聞で知ったわけでありますが、谷津遊園といえば、御指摘を待つまでもなく、私も本当に戦前のことでございますけれどもよく頭にあるわけで、その環境がどのように過密化しておるかということについていまちょっと昨今の状況がわからないわけでありますが、でき得るならばやっぱりそのままの形でいくことが一番よろしかろうと思いますが、所有者の都合でたまたま公団へというお話し合いがあって、私は、やむを得ない仕儀であったにしろ、たまたま相手が公団であったということに少しでも安らぎを感じているわけであります。もしこれがどうしても事情があって他に譲られるような形で利益を追求するのみで分割等々で壊されるならば私は大変心配するわけでありますが、これから煮詰める問題でありますので、公団でどのような形にしていきますか、所管省といたしましては、何とか地元の公共団体、地元の方々の御意見を聞きながら、公共施設あるいは少しでもオアシスを残す、また、それに関連して住宅との整合性をどのようにしていくかということをやはり大所高所から考えて、もし契約が成っていくとするならば、そんなことも考えて指導してまいりたい、このように考えるものでございます。  とにもかくにもこうしたりっぱな緑地といいますか憩いの場が、住宅事情の困難性があるにせよ、いろいろな問題で問題点を提起されて御心配をされることについて、はなはだ恐縮するわけでありますが、事公団と地元の関係でございますので、十分なコンセンサスを得ながら進めていくことについて、懸念もいたしますし、期待もし、直接的な問題になってきますればその面でも指導してまいりたい、このように考えるものでございます。
  194. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣の都市計画上の考え方というものはわかりましたが、私は、買われるのがたとえ公団であっても、すでに八千世帯というような大変な世帯をここに持ち込まれるわけでありますから、朝夕の通勤ダイヤはさらにふえるであろうし、それから環境悪化になることはもう明らかなんです。それよりも何よりも一番問題なのは、遊園地ということで国有地を払い下げて、それをたとえ公団であろうとも、宅地に、しかも六十倍もの価格で売っていくと、こういうことを見逃すわけにはいかないのじゃないか。この点はもう一度大蔵省にただしたいのですが、皆さんの方は、売ってしまえばそれまでよということで、その土地がこういうような不当な形で転売されていこうと、そういうことに対する管理、監督、指導というものはないのかどうか。歯どめがないからそれまでのことと言ってしまえば、大蔵省は、その当時出された申請目的とか事業計画というものは、インチキのものであっても認めてしまうのか。あるいはそういうふうにして許可したものがこういうふうに多額なもので転売されていっても、それに対しては大蔵省として何らそれをただすということのお考えがないのかどうか。これは大蔵省の国有財産払い下げ全体の問題に関する問題ですから、この点の考え方を伺いたいと思います。
  195. 山口健治

    山口(健)説明員 ただいまの先生の御質問は非常にむずかしい問題でございますけれども、現在そういったたぐいの問題を解決する法律的な措置といたしましては、国有財産法第二十九条に用途指定という規定がございまして、国有財産を払い下げた場合に、一定の期間その用途を付さなければならない、こういう規定がございます。細かいことは政令あるいは通達等で定めているわけですけれども、現行制度では一番長い用途指定期間であっても十年ということになっております。  国有財産はそもそも二つに分かれまして、国が直接事務あるいは事業の用に供しているもの、これを行政財産と申しておりまして、それ以外のものを普通財産と言っているわけでございます。国有財産を大蔵省が民間に払い下げる場合には普通財産でなければ払い下げができないということになっておりまして、行政財産であっても、それが役所の方で使わないということになった場合に初めて普通財産の方へ分類を変えまして、普通財産として払い下げる、こういったてまえになっております。この普通財産というのは国有財産ではありますけれども、国としては私法上の立場で払い下げる。したがって、国有財産法あるいは国有財産特別措置法あるいは財産法、会計法、そういう法律、法令に基づいて払い下げをするわけですけれども、法律的な契約者としての立場というのはあくまでも私法上、民法上の立場でしかないということに現行法制全体がなっておりまして、こういう基本的な立場から考えますと、たとえば非常に長期間、あるいは極端に言えば永久に、私的な契約に基づいて売った土地を一方が用途を永久に制約してしまうというようなことは、いまの制度ではとてもできないのではないかという気がするわけでございます。したがって、先生の御意見はもっともな点も多分にございますので、今後の立法論として大いに参考にさせていただく、そういうふうに思います。
  196. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、大蔵省は怠慢だと思うのですね。私の意見を今後立法論の参考にしてもらう必要はないので、現実にあなた方が、いまおっしゃるように国有財産を払い下げるときには、大蔵省はこの申請書を持っているのですから、審査決定書があるはずだと思うのです。あなた方はこれをどういうふうに審査して決定したのかということですよ。ただこの申請、事業の目的と事業計画があったから許可したのじゃなくて、その申請目的書と事業計画書があるなら、あなた方の当時のだれがどういう形でこれを審査して——審査決定した決定書が残っているはずですよ。それには、これをこういう目的で使わせるからこそ払い下げるのだということが明確に残っているはずですね。それから同時に、二十九条の用途指定をやってないというのは、あなた方の怠慢です。たとえ十年で期限が切れるものにせよ、こういう国有地の払い下げをこういうので出てきたら、これは遊園地で使いなさいと、こういうふうな六十倍もに宅地で転売されるということはいま常に予想されることなんですから、当繁用途指定をすべき責任というものがある。それも怠っている。  さらに、先ほど伺ったこの埋め立て造成をするというのが、公有水面埋立法によらなくても、あなた方が埋め立てをするということを条件にしているならば、一ヘクタールの土地の埋め立てなんですから、これは当然これだけの土地を動かすということになれば、私は、開発行為の許可が必要だ、そういうことなしに土地を動かすことも造成することも現行法上不可能だと思うのです。そうすれば、当然それの確認もあなた方はしてなければならない。いつ埋め立てが行われているか、現在この隣接地の埋め立ても行われていまして、ここのところをやっているのか隣接地を埋め立てるのか、売るために埋めているのではないかという疑惑もあるのですが、そういうところであなた方は、この埋め立てがいつどういう形で行われたかという完工検査はやっていますか。やってないと思うのですよ。それをやっているとすれば、それはいつどういう法的手続で確認をしたのか。  ですから私は、なぜ用途指定をしなかったのか、それから審査決定の稟議書はあるのかどうか、確認決定書は、それからこういういま申し上げた埋め立ての手続はどういうものを踏んできたのか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
  197. 山口健治

    山口(健)説明員 お答え申し上げます。  本件につきましては、契約は千葉財務部長とたしか京成電鉄の社長との間で行われていると思います。その詳しい書類は千葉財務部の方にありまして現在私の手元にございませんので、ちょっと詳しいことはわかりかねる次第でございます。  それから、現実に埋め立てをしたということを確認した上でやらなければいけないのではないかということにつきましては、それは財務部が検査をして埋め立てが行われたという確認をして払い下げを行ったという記録がございます。
  198. 小川国彦

    小川(国)委員 いまあなたの方では詳しい書類は千葉財務部にあってわからないと。こういうことでは私ども納得できませんので、京成電鉄の社長から千葉財務部長にどういう申請書が出されて、そしてそれに対して皆さんかどういう理由でこれの認可を与えたのか、それから当然埋め立てをして検査をしたと——皆さんが、三ついう一・五メートルも下の、公有水面ではない、私的水面だそうですけれども、そういう水面を払い下げるからこそ、埋め立てて利用せよということは埋め立てて遊園地として利用せよと、こういうことでございますよね。そうすれば、当然その埋め立てがいつ行われてどういう検査をしたか、しかも、その埋め立てをせよという目的は遊園地の土地利用のためであるということもはっきりしてくると思うのです。ですから私は、詳しい書類が千葉財務部にあるとすれば、皆さん方の方から、大蔵省としてはこの土地の払い下げに当たってはどういう検討をしてこれを行ったのか、それから、いま申し上げた埋め立てについてはいつどういう開発行為の許可によって埋め立てを完了したのか、それを書面の上で私は明確にして提出を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  199. 山口健治

    山口(健)説明員 ただいま先生の御要望になった点につきましては、大蔵省所管の分野についてはもちろんわれわれ直接調べまして、それから大蔵省所管でない埋め立て等につきましては、関係省庁といろいろ調査をして協議した上、何らかの形で先生に御報告申し上げたいと思います。
  200. 小川国彦

    小川(国)委員 何らかの形とおっしゃいましたが、どういう形でございますか。
  201. 山口健治

    山口(健)説明員 何らかの形と申し上げましたのは、たとえば先ほど先生文書でとおっしゃいましたので、文書にするかどうか、あるいは口頭でよろしいのか、あるいはこういう委員会の場でやるのか、国会議員さんとして先生のところに持っていくのか、その辺は先生の御意見も伺った上で形式等については決めたいと思います。
  202. 小川国彦

    小川(国)委員 あなたの答弁、まじめじゃないですよ。私は、文書で答えてほしい、こう言っているのですよ、それにあなたが何らかの方法でと言うから、それは何だともう一遍聞き直した。私は文書で求めたい。個人でこの問題の見解をあなたに口頭で聞く必要はないので、少なくとも大蔵省を代表して来ているのだろうし、われわれも地域住民なり、国民を代表して聞いているわけなんで、個人的にあなたに回答をもらう必要はないのですよ。しっかりとした公文書で、大蔵省はどういう見解を持って二の土地を払い下げたのか、これを文書で答えてもらいたい、こう言っているわけです。
  203. 山口健治

    山口(健)説明員 それでは公文書で先生に御報告したいと思います。
  204. 小川国彦

    小川(国)委員 この点については、委員長の方で速やかにひとつお取り計らいをいただきたいと思います。
  205. 國場幸昌

    國場委員長 はい、承知しました。
  206. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に住宅公団に伺いますけれども、私ども、きょう実は国鉄当局にもおいでいただいておりますので、本来ならば京成電鉄の電鉄としての運営の問題についても、鉄道監督局といいますか民営鉄道局に十分ただしたかったわけであります。残念ながらその時間がございません。ただ、私どもは膨大な電鉄の経営の赤字というものは経営者のきわめて乱脈な経営なり、怠慢な経営があったし、それには鉄道監督局がもう少し、電鉄会社のやっている膨大な土地買いとかデパート経営の失敗とかそういうような数々の実態、そういうことから百十万人も運んでいる京成電鉄がいま大変な経営状況に逢着しているというようなことがありますが、その問題は鉄道行政の中で責任を持って指導してもらわなければならないと思いますけれども、そういうしわ寄せがこうした健全に行われている国民のオアシスを破壊するというようなところに持っていかれてはいけないのではないか。そういう点でこういうところを大切にしていかなければならない、こういう地域住民なり、国民の気持ちが非常に強いと思うのです。そういう点では、最後に住宅公団に伺いたいと思いますが、関係自治体との協議、関係住民の意見の尊重、そういうものを前提としてこの問題に対処する考え方というものを明確にしていただきたいと思います。
  207. 澤田悌

    澤田参考人 いまおっしゃいました御趣旨はよくわかるのでありまして、公団は、住宅建設地として良好な条件の土地でございますが、これを買い取ってくれないかという御希望にこたえて検討をいたしておるわけでありますが、それには、先ほども申しましたように、地元地方公共団体との協議、それによってそういう地元公共団体が満足するということが前提でございます。これにつきましては、十分に地元と協議してまいりたいと考えております。
  208. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります、
  209. 國場幸昌

    國場委員長 中野寛成君。
  210. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 きょうは、地方自治体や住民の当面している問題について、比較的多くの項目についてお伺いをしたいと思いますので、時間の都合もございます、端的にお答えをお願いしたいと思います。  まず最初に、都市形態の変化に伴いまして鉄道の高架化が各地で進められているわけであります。しかしながら、その負担区分について自治体から、または住民感情も踏まえて、幾つかの要望が出されております。いわゆる建運協定に関することであります。昭和四十四年九月一日に、このいわゆる建運協定、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定というのが成立をしているわけであります。その内容の中で、いわゆる公租公課相当額というのを一〇%というふうに見ているわけであります。しかしながら、最近の高架下の公共的利用に対する需要といいますと、自転車駐車等の激増、著しく増加しているわけであります。また一方では、地方公共団体における財政的な負担、これにたえられない状態ということもあるわけであります。むしろ自転車駐車等につきましては、ある意味では鉄道の利用者が自転車でそこへ乗りつけるケースの方が圧倒的に多いわけでありますから、その分については鉄道側に設置義務を課すということ等も踏まえて新たな検討が必要ではないだろうか、このようにも考えるわけであります。この一〇%、いわゆる建運協定の中身を見直す時期に来ているのではなかろうかと考えるわけでありますけれども、その建運協定及びその中身がなぜそのような形になったかの経緯と、今日見直すべきではないかという私の意見に対して、御所見をお伺いしたいと思います。
  211. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの建運協定でございますが、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定及び同細目協定につきましては、細目協定を昭和四十四年九月に結んでおるわけでございまして、これに基づきまして、地方公共団体等が高架下を利用する場合の使用料は、高架下貸付可能面積の一〇%に相当する部分までについては公租公課相当額により利用できることとされております。  そこで、この一〇%という面積の限定がどう出てきたかというその理由を問われたかと思うわけでございますが、まずこの一〇%という基準が定められました根拠は、連続立体交差事業の行われる区間は、一般的に都市の中心部に位置することになりますために、都市の中心部におきます現在の土地利用の一般的な状況、それからそういった地域柄における公共的利用の需要の状況というものを見込みまして、また他方、この連続立体交差事業に対する鉄道側の費用負担、この割合を定めておるわけでございますが、この割合を定めます考え方といたしまして、高架下の貸し付けに対する受益は一般的に鉄道側が持っている、したがってその受益に相当するものとして鉄道側の費用負担割合を定めているという考え方がございます。したがいまして、こういった費用負担自体にそういう定め方をしていることとの兼ね合い等を総合的に判断をいたしましてこの一〇%という枠が設定されておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  そこで、現在の都市の状況からいって、この一〇%の範囲では都市側としての利用の需要に対して不十分ではないのかという御指摘でございましたけれども、確かに私どもも、この一〇%の枠がきわめて限定的に解釈されているといたしますと、おただしのような問題があろうかと思うわけでございますが、先ほど申し上げました建運協定におきましても、一〇%は原則、しかし一〇%を超える部分につきましても、地方公共団体等が公共の用に供する施設を設置をするときは、鉄道事業者は支障のない限り協議に応ずべきことというふうにされておるわけでございまして、また実際の運用におきましても、一〇%を超える部分についてかなり公共利用が行われているというのが現在の実態でございます。したがいまして、この基準を一〇%を動かすということもさることでございますけれども、やはりただいま申し上げました協定の趣旨を極力踏まえまして、公共団体側で公共目的がある限り、それに応じた高架下の利用が十分行われるように鉄道側と折衝をし、必要なスペースを確保するという方向でまず努力をすべきものというふうに考えておる次第でございます。
  212. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 いきさつはわかりましたが、なぜそれが一〇%であるかということは、また改めて御説明いただきたいと思います。  もう一つ、連続立体交差化事業事業費の負担割合、これが企業者が私鉄の場合には七%、国鉄の場合は一〇%、こういうふうになっているわけであります、しかしながら、むしろ鉄道そのものも大変公共的な意味を持つ事業ではありますけれども、しかしそれだけの土地に多くの道路と交差しながら敷設をされているわけでありますし、新しく都市計画等にのっとって立体交差を進めようとするその原因者がたとえ地方自治体であったとしても、双方のメリットというふうなものを勘案いたしますと、この負担割合というのはむしろ企業者に大変有利な状態ではないのだろうか。国の財政事情ももとよりでございますけれども、地方財政というのも大変厳しい状態、そういう中で自治体の希望も、そしてまた住民感情も、立体交差が進んでいるけれども、あれを鉄道がわずか七%しか負担していないのかということで、むしろびっくりするぐらいの状態であります。むしろ住民の感覚的な面から言えば、折半かなというくらいの気持ち、その方が強いと思うのであります。この面につきましても、たとえばホームの延長でありますとか、その他企業側の都合による部分についてはもちろん企業が負担をするわけでありますけれども、しかしながら今日の実態から考えますと、いわゆる負担割合も含めて、先ほどの公租公課相当額のことも含めまして、やはりこのことも洗い直すべきではないかと考えるわけであります。いまの御答弁では、これはあくまでも下限であって、実際には折衝の中でそれを上回る負担というふうなものがあるのだということでございますけれども、やはりそれにはずいぶん自治体は苦労をしているわけであります。よほど企業者に理解がないとそれはできない。むしろ営利を追求する企業の立場としては、そういう態度をとるということは当然だと言っても過言ではないと思うわけであります。そういう意味で、むしろもっと総括的に建運協定そのものをもう一度洗い直して、そしてこの負担割合というものを見直していくべきではないか、その時期に来ているのではないかというふうに強く要請をされているところでもあると思うのです。改めて双方についてお聞きをしたいと思います。
  213. 升本達夫

    升本政府委員 連続立体交差事業の費用負担の問題につきましては、ただいまおただしの建運協定の成立が昭和四十四年でございまして、まずその定められた背景といたしまして、国鉄の財政再建問題ということがございます。したがいまして、この協定の一番最後に、附則にもその点が明記をしてございまして「この協定は、連続立体交差化事業を円滑に実施するための暫定協定とする。」ということで、この暫定協定という趣旨は、国鉄の財政再建問題というのが現実の問題として存在する以上は、当分の間はこのような費用負担方法もやむを得ないのではないかという割り切りがあったというふうに理解をしているわけでございます。したがいまして、おただしのように、地方自治体側からしますと、この事業の性格からいって、いま少し国鉄もしくは企業者側の負担を求めたいということもあるかと思うわけでございますが、ただいま申し上げました事情によりまして成立いたしております協定でございますので、ここのところは、この費用負担問題については当分の間このような形でいかざるを得ないのではなかろうかというふうに判断をいたしております。  しかしながら、先ほど来おただしの高架下の利用の問題につきましては、これは先ほどお答え申し上げましたように、一〇%というのは一つのめどでございますので、この高架下の利用度が公共目的からしまして大変増進しているというような現状下におきましては、この一〇%部分の拡大、都市側の利用面積の拡大という方向で努力を積み上げていくというのが当面の私どもの努力目標ではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  214. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 運輸省いかがでしょうか。
  215. 橋本昌史

    ○橋本説明員 お答えいたします。  連続立体交差事業につきましては、先ほど都市局長からお話がございましたが、すでに鉄道の敷設されておりますところに、新たに自動車交通の利用がふえたというようなことから高架化するというのが通常でございまして、これは都市計画事業として施行するものである、鉄道はどちらかといいますとこれに協力する立場にあるというふうに考えております。したがいまして、高架化のための費用の負担につきましては、鉄道側は鉄道が受けます受益相当分を負担するという考え方に立っておるわけでございまして、われわれはその考え方が妥当なものだと考えております。  それで、一般的にその連続立体交差事業というのは、工事に着手しまして完成するまでには非常に長い年月を要するものでございますから、現在結ばれております協定につきましても相当長期間にわたって運用する必要があると思いますので、現時点においてこれを見直すということはいかがなものかと考えております。
  216. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 建運協定が結ばれて後、この連続立体交差の事業というのはまだそれほど多く実現していないという声もあります、長くかかるといういまの御答弁もございました。しかし、長くかかることの理由というようなものも、これは十分考えなければならないと思います。現在の都市機能をより一層効率的に発揮していくためには、本当はこれは長くかかってはいけないもの。むしろ必要性に応じるといいますか、住民からの要望等が出てきた、むしろそれは積極的なその声に応じてできるだけ早急に取り組まれなければ、あかずの踏切がいつまでたっても続いている、そして、そのことによってずいぶん大きな時間と燃料とその他の要素のむだが生じていく。こういうことが多いわけであります。いま本当に都市機能が麻痺をするような状態に陥っているきわめて重大な理由の一つがここにあるのではないか、このようにも考えるわけであります、そういう意味では、もっと明確で、そしてもっとその負担について住民の納得のいく方策というものが中身として検討されなければならないと思うわけであります。こういう趣旨にのっとって基本的にこのような姿勢で改めて御検討いただけないだろうか、私どもとしては強く要請をしたいと思いますが、建設省にこの問題についての最後のお尋ねとしてお尋ねしたいと思います。
  217. 升本達夫

    升本政府委員 協定の見直しにつきましては、先ほど来御答弁申し上げました事情を踏まえまして、片やまた、おただしのような自治体の要請というものも配慮いたしまして、できるだけ当面、高架下利用の要請の増大等も含みながら事情の調査、協議を進めるということを含めまして、総合的な観点から今後検討課題としてまいりたいと考えております。
  218. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 せっかくお越しいただきましたが、運輸省の方、結構でございます。ありがとうございました。  続きまして、既設公営住宅改善事業についてお尋ねいたします。  住宅についてはもう先ほど夫もお話がございましたけれども、平均いたしまして量的な充実がある程度図られてきて、いま、量より質へという時代を迎えたと言っても過言ではないと思います、しかし、質的な改善についてはまだなかなか遅々として進まないというのが実態でもあろうと思うのであります。よく家庭内暴力その他の教育的な問題も指摘をされますけれども、それは住宅事情というものがきわめて大きな要素となっていることはたびたび指摘をされているところでもございます。  そこでお尋ねをしたいわけでありますが、一事例として大阪府の事例を取り上げさせていただきたいと思います。  いわゆる二戸を一戸にまとめていく、もしくは二DKを三DKにするために一部屋ふやしていく、こういう改善事業が行われているわけであります。これは国の最低居住水準を満たすために行われているというふうに申し上げてもいいわけであります。そのために、たとえば大阪府の場合には、現在の府営住宅ストックが十二万戸、三寝室以上の住宅は現在四割弱であります。一方四人以上の世帯は約六割あります。そういう意味で、国の最低居住水準を満たすためには三寝室以上の住宅を六割以上としなければならないわけであります。そういうことで昭和六十五年度を目途にして約一万八千戸の増築事業実施予定しているわけでございますが、ちなみに、それを実現しようと思えば、五十六年度、今年度千五百四十戸、来年度千八百戸というふうなスピードでやっていかなければ間に合わない。しかし、国の事業補助の総枠が、残念ながらまだきわめて狭く限られているというところから、この千五百四十戸のうち千戸が対象として内示されているにすぎない状態であります。しかしながら、国で決めた最低居住水準を守ろうとして努力をしているわけでありますが、その努力の目標に国の施策としての補助制度がついていかない、こういうのが実態であります。そこには明らかに矛盾が生じているわけであります。このことについてどのようにお考えでありましょうか、お伺いいたします。
  219. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまのお尋ねの既設公営住宅改善事業につきましては、昭和四十九年度からこの事業を創設いたしまして、公営住宅の居住水準の向上を図るため鋭意事業を進めてまいりまして、昭和五十五年度までには約二万戸近くの住戸改善を行ってまいりました。昭和五十六年度予算におきましても、対前年度一六%増の七十六億七千七百万円の予算を計上しておりまして、これによりまして事業の円滑な実施を図りたいと考えております。  御指摘の大阪府に対しますところの予算の配分でございますが、五十六年度の当初配分につきましては、ただいま申しました総予算のうち、七十億九千百万円を当初配分といたしまして全国に配分したわけですが、その中におきまして、大阪府に対しましては御指摘のとおり約一千戸分の量となっております。御要望は千五百月余りの御要望があります。  今後は、私ども、全国におきますところの事業の進捗状況等見ながら、また若干の留保等もしておりますので、これらを勘案いたしまして、最終的な配分の変更、追加も検討さしていただきたいというふうに考えております。
  220. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 一つは、いま申し上げましたけれども総枠の問題、と同時に、この内示といいますか決定が、当初のものとプラスアルファの部分と分けられて、そしておくれるわけです、そういたしますと事業としては大変やりにくい。だから、まあ欲張った言い方かもしれませんけれども、早く、たくさんというのが、これはだれしもが考えることであります。おくれることによって実はいろいろなそごも起こっているということが事実です、加えて、中層増築事業につきましては単年度方式がとられているわけでありますけれども、住民との話し合い、設計、工期というようなものを考えますと、とても一年で終了するというふうなものではないわけであります、おおよそ二年近くかかるというのが常識かと思います。短くても一年半ぐらいかかってしまうというようなことを考えますと、たとえば債務負担行為にいたしましても二カ年の制度化というふうなものが必要でありますし、そして決定の早期化というふうなことがとりわけ要望をされるわけであります。また同時に、いわゆるすべての住民が一緒に要望するということであれば、これまた非常に事業がやりやすいのですが、このたぐいのものは、家賃が上がるならいまのままでいいよというふうに、きわめて強く抵抗する住民がいることも事実であります。そのようにいたしまして、やはり移転のことも考えなければいけない。何から何まで国に要望することは酷でありますが、しかし国策にのっとって行われますこの事業、そしてそれはきわめて大切な事業でもあります。移転料の補助対象化等も強く望まれているところでございますけれども、これらのことを含めまして、補助の制度のあり方、時期、このこと等も含めていまの御答弁につけ加えていただきたいと思います。
  221. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、比較的規模の大きい中高層居地の既設公営住宅改善事業につきましては、最近、入居者との話し合い、あるいはまた設計の問題、また工期の問題等がございまして、全体的に長引く傾向にあるのは御指摘のとおりでございます。このため、私どもといたしましては、事業実態等を見ながら、今後たとえば二カ年にわたります国庫債務負担行為の制度化ということも検討する必要があろうかというふうに考えておるところでございます。  また、ある程度移転料につきましても考えておるところでございますが、これらにつきましても、今後の改善工事事業量総枠の拡大、そういったようなものとあわせて検討させていただきたいというふうに考えております。
  222. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大阪を事例にとりましたのは、私自身も大阪に住んでいるということもありますが、この事業は大阪から始まったと言っても過言ではない事業であります。そういう意味で、大阪がどれだけ進むかということが、一つは全国的なバロメーターの意味も果たすと思うわけであります。しかしながら、その最も国の方針にのっとって積極的に取り組んできた大阪でさえ、この実態であります。  そういうことを考えますと、いま検討課題としての御答弁がございましたけれども、はっきりと時期を明言はできないまでも、その見通し、そしてもう少し具体的に突っ込んだ姿勢についての御答弁を重ねてお題いをしたいと思います。
  223. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありましたように、既設の公営住宅改善事業といいますのは、居住水準の向上には非常に大きな役割りを果たしております。御存じのとおり、相当古い住宅のストックが多いこと、またそれらの規模が一般的に小さいことから考えましても、早急に実施しなければいけないというふうな状況にあると理解いたしております。財政上の事情もありまして、いろいろと住宅関係の予算の伸びも非常にむずかしくなっておりますけれども、その中におきまして、いま申しましたような改善事業につきましては特段の努力を払ってまいりたいというふうに考えておりますし、その予算枠の増加の中で各種の制度の改善も図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  224. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 より一層の御努力をお願いしたいと思います。  続いてもう一つ、住環境の改善については、先ほど来も御指摘ありましたけれども、この環境改善の対象団地の規模というのは、現在百五十戸以上とされているわけです。これにつきましては、現在の住宅事情の実態等を勘案しながら、そろそろ五十戸以上に戸数緩和ができないものだろうかというふうなことと、もう一つ、二種公営住宅につきましては、費用はかかる、しかし入ってくる家賃はどうしても制限をされている、このことについては、実際に公共負担において大変苦労が多いわけでありますが、この補助率引き上げ等についての御検討はいかがでございましょうか。
  225. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、既設公営住宅の環境改善事業につきましては、現在は原則として百五十戸以上の団地というふうになっております。しかしながら、これらの環境の改善ということは非常に要望も強いことでもありますし、また私どもが今後の住宅政策を進めていきます上で、住環境の整備ということも重点課題の一つとなっておることから、これも予算上のいろいろな問題がありますが、対象団地の戸数要件の緩和につきまして十分検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。  なお、先ほどの既設公営住宅改善事業につきましての第二種公営住宅補助率の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、これらの住宅は一般的に古い住宅が多うございまして、その既存の家賃は、最近建設されますところの新規の住宅の家賃に比べて相当低いというようなこともございます。また、一種住宅と二種住宅と、かかります費用は現実には同じでありますので、一種と二種との間もある程度のバランスのとれた差があるというようなことから、また現下の財政状況といったようなことから、直ちに補助率を引き上げるということにつきましては困難な点もあるわけでございます。ただ、やはり住戸改善をいたしました結果、ある程度家賃が上がる、そういった意味での経過措置といいますか、激変緩和といったようなことにつきましても、われわれも十分検討しなければいけないことだと考えておりますが、なおこの問題につきましては、もう少し時間をかしていただければと思っております。
  226. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 住宅問題につきましての最後の質問を大臣にさせていただきたいと思います。いままではお金のかかることについてお尋ねをいたしましたが、次の質問は、お金がかかるというのではなくて制度の改善の問題であります。  この公営住宅については一種と二種の区別があります。同時にそれぞれに収入基準が入居者に対しては設けられております。しかしながら、大都市と地方都市等によっては、民営家賃との地域格差なんかを調べてみましても、東京区部の指数を一〇〇といたしますと、たとえば大都市は八〇・一、全国平均で六四・八、地方はそこから推しはかっていただけるかと思います。これだけの差があるわけでありますが、この公営住宅についての収入基準は地域差は全くないわけであります。そして大都市部分については国民所得等についても比較的高い。それからもう一つは、サラリーマン家族が多いわけであります。ですから収入について、別に大蔵省相手ではございませんので、その税制上の問題についてとやかく申し上げようとは思いませんけれども、しかしながらサラリーマン家庭が多いということになりますと、どうしても、言うならばごまかしといいますか、弾力性がない、そのまま収入が見られてしまうわけであります。しかし、そういう中でこの一種住宅収入基準が今日のような五万五千円を超え九万五千円以下であるというふうなことではもう実態に合わない、むしろ生活保護世帯でないと一種住宅でさえも入れないというふうな実態があるわけであります。その中でどうなりますかというと、たとえば大阪でも空き家率が回ないし一〇%ぐらい生じてくる、結局その該当者がなくなってくるわけであります、これをもう少し引き上げていただくと、その部分についての希望者は大変多いわけであります。ですから、たとえば地域差を設ける、それが国で一律にできないとするならば、むしろそれを都道府県にある程度収入基準の設置を任せるとか、何か一工夫されることによって住宅政策というのはずいぶん実態に合い、進んでくるのではないだろうか、もうこれについてもそろそろ見直しが必要ではないかというふうに思うわけであります。ずいぶん物価も上がりました、いろいろなものが上がりました、しかしこの収入基準だけはずいぶん長年そのまま据え置かれているわけでありますが、いかがでございましょうか。
  227. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御案内のように、公営住宅は低所得者の方々を対象に住宅供給をするという公営住宅法の基準に基づいてやっておるわけでございます。  先生の御指摘のように、まさに環境が非常に変わってきております。われわれもその向きを別に等閑視しておるわけではありません。収入基準の見直しということにつきましては、二年目ごとに見直すようにいたして、五十四年でございましたか見直し、五十六年に見直すようにただいま財政当局等と調整を図りながら考えてまいりたい、このように進めておるところでございます。
  228. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは、ことしじゅうに見直されるということでございますから、十分実態を御勘案の上、納得のいく結論が出ますように要望をしておきたいと思います。  続きまして、道路に関するお尋ねをいたします。  一つは、先ほども同僚議員から触れられましたけれども、大阪北部の問題ですが、阪神高速道路大阪−池田線、空港から木部までの延伸計画が立てられました。あの上流の一庫ダムの完成とあわせまして、今日まである程度その開発計画が抑えられておりましたけれどもその枠も外れ、より一層大きな規模の開発も予定されているようであります。そうなりますと、この事業の重要性というのはますます大きくなっております。しかしながら、この計画は果たして計画どおり進むだろうかという疑問が地域であります。もう一つは、これだけで解決できるだろうかという疑問があります。その見通しについてお尋ねいたします。  同時に、もう一つ、今度は大阪南部の問題ですが、近畿自動車道和歌山線のアクセス道路の整備について、これは道路局と都市局では呼び方が違うようでありますけれども、道路局の呼び方で申し上げますと、泉大津−美原線、久米田停車場−牛滝山線、貝塚中央線、都市局の呼び方でいくと、同じ道路が松原−泉大津線、磯之上−山直線、そして貝塚中央線となるようであります、しかし、これらにつきましては、幾ら近畿自動車道を整備されましても、このアクセス道路の整備がなければ、地域住民、たとえば先ほどの話題になりました関西新空港の問題にいたしましても、進まないということになってくるわけであります。これらのことにつきまして、このアクセス道路の整備について、国としては地方任せということではなくて、やはり十分な配慮というものが必要ではないだろうか、こう考えるわけでありますが、この点についてお尋ねをいたします。
  229. 升本達夫

    升本政府委員 阪神高速道路大阪 池田線の延伸につきましてお答えを申し上げます。  おただしのとおり、現在の大阪−池田線の終点でございます豊中市の蛍ヶ池西町から池田市の木部町まで七・四キロメートルの区間を延伸することといたしておりまして、この間の国道百七十二号の混雑緩和を図ろうとするものでございます。阪神高速道路公団が五十五年度事業実施のための調査を始めまして、本年度、五十六年度から事業に着手する予定でございます。これに先立つ手続といたしまして、都市計画決定の手続が大阪、兵庫の両府県におきまして進められておりまして、すでに本年の二月十七日、両府県の都市計画審議会の答申を得まして、大阪府では二月二十五日、兵庫県では三月十三日に都市計画決定の告示を行っております。以上のような段取りでございまして、現在のところこの区間の完成予定昭和六十二年度になっております。極力それまでの間の整備促進を図って、実現を期したいと考えております。
  230. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 次の問題は。
  231. 渡辺修自

    ○渡辺(修)政府委員 近畿自動車道和歌山線のアクセス道路についてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。  確かに名前がちょっと違っておりますが、都市局と道路局でそれぞれ都市計画の人口集中地区とそれ以外というようなことで分けて仕事をやっているわけでございます。  道路局分について申し上げますと、おただしのありました三つの路線につきましては、ただいま五十六年度で八億二千万ほどの事業費を入れておるわけでございます。これも大阪府下の府道の事業費の二〇%強というようなことではあるわけでございますが、三本合計いたしまして全体で十七キロ余りでございまして、最近非常に事業費が上がっておりまして、まだ残事業といたしまして二百四十億ぐらい残っておる、こういう状況でございます。単純に今年度の八億二千万で割りますと二十九年分残っておる、こういう状況でございます。ただし、しかしながら近畿自動車道の和歌山線これ自体も文化財の調査その他がいろいろございまして進捗難航はいたしておりますものの、これができましたときには、アクセス道路として、おただしの線はどうしてもつくらなければいけないわけでございます。地元関係者の御協力を得ながら、極力能率的な施工というようなことで、厳しい予算ではございますが、努力してまいりたいと思っております。
  232. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまの南部のアクセス道路の都市局所管分でございますけれども、先生おただしの松原−泉大津線につきましては、都市局所管区間八キロメートル、一部供用済みでございますが、残余の部分につきましても極力近畿道の和歌山線の供用開始の時点までに間に合わせるように努力をいたしたいと、最重点で考えております。  それから磯之上−山直線、それから貝塚中央線につきましてもできるだけ早い時期に完成を見るべく努力をいたしておりますが、これの方はちょっと着手がおくれておりますために、進行は必ずしも松原−泉大津線ほど順調にはいっておらないのが現状でございます。極力努力をいたします。
  233. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 せっかくの御努力をお願いいたします。  次に、下水道整備五カ年計画についてお尋ねをしようと思ったのですが、時間がございませんし、なお同僚議員からのお尋ねもございました。何とか総枠を確保することにひとつ大臣も大いに御努力をいただきたいと思います。  行革、財政再建その他の問題もあって、大変心配をされておりますし、伸び率も実際のところ本当は五十六年度初年度としての当初予算の額、いわゆる一兆八千億、このことから換算をいたしますと、五十七年度以降の伸び率は一三・五%でなければこの当初計画は実行できないはずであります。こういうことを考えますと、財政再建のために伸び率がゼロだということになったら、これはいよいよ大変致命的な打撃を受けることになるわけであります。そしてまた、おまけに下水道事業というのは住民の受益者負担制度との絡みがあるわけであります。自治体が事前に約束をし、そして受益者負担金を取り、そして事業はできない、こういうことになりますと、これは大変大きな政治不信を招くことにもつながるわけであります。そういう意味で、これはもう端的に補助対象範囲の改善が図られなかったこと等重要な問題があるわけでありますけれども、一にかかってこの予算をいかに獲得するか、もしできなければその計画変更をどのようにするのか、そしてそのことによって自治体と住民との間のそごをいかに防ぐかということにかかっていく、このように申し上げても過言ではないと思うわけであります。一言、大臣からその御決意をお聞きしたいと思います。
  234. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいま先生御指摘のように、下水道事業は国民の要望も強いし、受益者負担という制度上の問題から、いろいろと自治体そのものも板ばさみになって困っておられると思いますが、それはそれとして、御案内のような財政事情ではありますが、とにもかくにも諸般の事情をわきまえながら、せっかく計画にそごをしないように努力してまいりたい、このように考えるものでございます。
  235. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 最後に、建築基準法に関する制度改革について御検討をお願いしたいと思うのであります。  かなり小さな問題でありますが、実はこれまた自治体が大変頭の痛い問題であります。建築基準法四十二条二項によります道路位置指定につきましては、地方自治体が行政指導として行っておりますように、側溝部分を含めて二メートル三十五センチを中心線からとるようにというふうに、むしろはっきりと法改正をすべきではないのかということであります。同時に、その二メートル三十五センチの部分については、道路法の道路に指定をする、そして管理の適正化を図っていくということにしなければ、行政指導で行っておりますので、その部分を引いたとしても、公道部分に手をつけるわけにはいきませんけれども、なお私有地部分については、その居住者が上に工作物をつくったり、またブロックを乗せたりというふうなことで、建築基準法が目指している生活道路の確保や町の形態を整備することに少しも役に立っていない。場合によっては側溝部分にまで構築物が出っ張ってくるということで結局でこぼこができてくるという実態があるわけであります。こういうことは明確にしていただきませんと、行政指導だけでは常に住民と自治体とのトラブルのもとになるわけであります。このことについて私は、みなし規定がありますけれども、そういう中途半端なあいまいなものではなくて、むしろこの際はっきりとしていただきたい。このことは私は、この際はっきり御確約いただける内容ではないかと思うのでありますけれども、これも決して国にお金が要るわけではありません。制度上の問題でございますし、同時にまた、しっかりとした町づくりを進めていく上で不可欠の要素である、このように思いますので、あえて強く要望してお尋ねをいたします。
  236. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘の建築基準法第四十二条第二項によります道路位置指定と申しますのは、先生も御案内のとおり、本来建築物は都市計画区域内におきましては幅員四メートル以上の道路に二メートル以上接しなければならないというふうになっておるわけでございますが、この基準法の制限が適用されるに至りましたときに、現実に建築物が立ち並んでいるというような場合におきましては、特定行政庁が指定したものにつきましては幅員が四メートル未満のものでありましても道路とみなしまして、そのかわりに道路の中心線から左右に振り分けて二メートルずつ後退した線を道路の境界線とみなして、将来沿道の建物が建てかえられる際に所定の境界線まで後退するということで四メートルの道路ができ上がることを期待して制限をかけておるものでございます。そういうようなことでございますので、現段階におきましては四メートルの幅員があれば安全上、防火上あるいは衛生上支障がないというようなことで考えているわけでございます。そういうことでございますので、一部いろいろな特定行政庁におきまして行政指導を行っておられますが、建築基準法が建築物の最低基準に関する制限を行っておるというところから、これを直ちにまた制限を付加するということは非常にまた混乱を招くというようなこともありまして、慎重ならざるを得ないという点があるわけでございます。  また、御案内のように、こういったような道路位置指定つきましては、相当の建築物がそういったような規定によりまして公道から引っ込んだところに建てられておる、何とか防火上支障がないという状況になっているのが現状でございますので、これをまた直ちに私道から公道にするといったことも道路管理の問題あるいは道路の構造基準の問題からもいろいろと問題があるということで、私どもといたしましては、せめてこの程度の基準を全うして、先ほど申しましたような基準法の本来の目的が達成されるようにということで指導しているというのが実情でございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  237. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 時間が来ておりますので終わりますが、しかし、この施行令第百四十四条の四の一項五号、ここには、道路位置指定の道路については「道及びこれに接する敷地内の排水に必要な側溝、街渠その他の施設を設けたものであること。」というふうに側溝等の設置義務の規定が明確にあるわけであります。しかし建築基準法上の側溝の設置義務の明文の規定はないわけであります。いまいろいろな今日までの経緯については御答弁がありました。しかし、これらの規定の内容の違いによって、これをやります現場では実際にもう全国的に大混乱が起こっているのです。トラブルのもとになっているのです。場合によっては行政訴訟にまで行ってしまうのです。そういうことを考えると、これは若干の手直しによって、むしろ国がきちっと名文化してくれることによってそのトラブルが解決できるのです。私の申し上げている意味がわかっていただいているかどうかわかりませんが、むしろこのことは緊急に、十分に、前向きの御検討をいただいてしかるべきではないか、このように思いますけれども、再度お尋ねをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  238. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま先生御指摘の点は、ただいま申しましたような道路位置指定によりますところの道路の有効幅員が四メートル確保され、そしてその両サイドに適切な側溝が設けられることを期待されるということであろうかと思うわけでございます。  私どもといたしましても、そのような有効幅員の四メートルの道路が確保されることが望ましいことは承知いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、自分の土地を提供いたしまして、そして四メートルの幅員の道路位置指定をしてもらうということでも都市内部においてなかなか大変なことでありますし、基準法が最低基準を示した法制として実施されており、また、これが昭和二十五年以来三十年余にわたりまして定着していることから、直ちにこの法改正をすることは容易ならざることであるということでもございますので…(中野(寛)委員「定着しているのではなくて、問題が起こっている」と呼ぶ)行政指導の問題につきましては、いろいろと現地の事情に即した公共団体のお立場での御指導があろうかと思いますが、私どもといたしましては、直ちにいま建築基準法令を改正することがどうかということにつきまして、もうしばらく検討させていただきたい、結論はちょっとむずかしいのじゃないかというふうに考えております。
  239. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは改めて要望を申し上げることにして、終わりたいと思います。
  240. 國場幸昌

    國場委員長 辻第一君。
  241. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、公団が団地サービスに経営させている賃貸住宅団地内の有料駐車場の料金について質問をいたします。  五十三年度の、会計検査院が改善要求の指摘をしております、そこでは、利用料金の公団の算定基準の減価償却費と修繕費が実態よりも著しく高く見込まれているということであります。会計検査院の報告を見てみますと、簡単に言いますと、減価償却費を年額約一億三千七百万円としているわけでありますが、会計検査院の計算によりますと約八千百万円であります。結局その間に五千五百万円の開差があるということでありますし、もう一つの修繕費相当額で計算をしておりますのは、年額約四億五千三百万円と算定されているわけでありますが、これは建設費に百分の十八を掛けているのですね、そうしますと四億五千三百万円になるのですが、会計検査院が四十七事業年度から五十三事業年度まで七年間を調べた平均実績修善費率というのが百分の六・一七ということなんですね。そうしますと年額一億五千五百万円。これで見てみますと何と三倍ですね。検査院の計算では一億五千五百万円なのが、団地サービスでは四億五千三百万円、こういうことになっているわけであります。これを合計してみますと、三億五千三百万円も高くなっております。団地サービスが利用料金の基準額から調整減額した分、こういうものを考慮しても一億四千五百万円が団地サービスの言うならばもうけ過ぎという事実が明らかになっております。  このように団地サービスの駐車場料金が高過ぎるということは、以前から国会でも何回も問題にされてきたということでありますが、このようなずさんな算定基準で今日まで来た、そして五十二年度の会計検査院の指摘を受けたということであります。こういうふうに高い高いと言われておったのにこんなずさんな算定基準でやっていった公団の責任は、私は大変重大である、このように思うわけでありますが、検査院の指摘後どのように改善をされたのか、できるだけ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  242. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えをいたします。  株式会社団地サービスに対します駐車場用敷地等の賃貸料につきましては、会計検査院からの御指摘の趣旨に即しまして、五十五年の四月一日から改定を実施いたしたところでございます。  その改定の内容を簡単に申しますと、五十四年三月三十一日以前に貸与いたしました住宅用地の賃貸料につきまして、一台当たり三百円または六百円となっておりましたものを九百円に改定いたしました。それと、さらに、この賃貸施設用地及び賃貸施設そのものの賃貸料、いわば駐車場に使いますものには、団地内の住宅用地である場合と、それから施設の用地として初めから分けて使う場合と、それから施設を公団がつくってそのまま貸す場合と、三種類ありますが、後者の施設用地及び賃貸施設の賃貸料につきましては、管理開始当時の賃貸料に物価上昇等に応じました変動率をそれぞれ乗じまして得た額に改定いたした次第でございます。
  243. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまのことはわかりました。  それでは検査院の指摘では、いまの問題よりもさらに利用料金の算定基準のうち減価償却費と修繕費について問題にしているということであります。  この報告の指摘の一番しまいのところに「賃貸料に係る関係通達及び利用料金算定基準を実態に適合するよう整備し一賃貸料の適正を図る要があると認められる。」、こういうふうにあるわけでありますが、その点についてはどのように改められたのか、お尋ねをいたします。
  244. 久保田誠三

    ○久保田参考人 団地サービスの利用料金算定基準につきましては、五十三年の決算の会計検査院の修繕費相当額等につきましての御指摘もありまして、また相当期間にわたります団地内駐車場の経営実績からいたしましても、さらにまた利用料金決定の現状からいたしましても、見直すべきときに至っておりますので、検査院の御指摘の点を含めて、制度全体の見直しについて、目下鋭意改正の方向で検討いたしておるところでございます。
  245. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま改定中であるというような御返答をいただいたわけでありますが、こちらから申しますと、償却費はすでに十年になっているのですね、それから修繕費はまだ改定されていない、こういうことだと思うのです。その他の点についても改定される意思があるだろうと私はいま想像をしているわけでありますが、それでは検査院の方、お越しでしょうか。——ちょっとお尋ねをいたします。  あの指摘では、算定基準の中には実態と遊離しているものがあるということで、「賃貸料に係る関係通達及び利用料金算定基準を実態に適合するよう整備し、賃貸料の適正を図る要があると認められる。」さっき私が言ったことがあるわけですね。それで検査院としては算定基準を改めることも求めておられるのではないか、私はこのように思うのですけれども、検査院の御見解をお伺いしたいと思います。
  246. 肥後昭一

    肥後会計検査院説明員 お答え申し上げます。  検査院が出しました処置要求の一番の目的は、賃貸料を改定して、住宅公団が欠損になっている賃貸料、それから団地の環境整備費、これを増大しろ、それが目的でございまして、その目的のために利用料金算定基準というものも変える場合もあるでしょうし、そのほかの関係通達を変える場合もある、そういう意味で書いてあるわけでございます。
  247. 辻第一

    ○辻(第)委員 報告の一番しまいにははっきり書いていますね。「利用料金算定基準を実態に適合するよう整備し、」このことはそのとおりですね。それで私は、検査院が指摘をされた、そしてその中に「利用料金算定基準を実態に適合するよう整備し、」こういうように書いてあるわけでありますから、本当に検査院の指摘にまともに対応されるのなら、謙虚に受けとめて一刻も早く改善しなくてはならないというふうにお考えになったのなら、もっと早くこの基準の改定がなされるべきであるというふうに思うのであります。ところが、報告が出されたのが五十四年の十二月ですね。それからでもすでに一年半たっておるわけであります。そしていままだ改定中ということですね。こういう問題。  それでは、目下改定中ということでございますが、そうなりますと、その指摘以後新しく駐車場を建設された、そこの料金を決定する基準もこれまでの基準でやられたということですか。当然そういうことだと思うのですがね。
  248. 久保田誠三

    ○久保田参考人 基本的な算定基準については目下再検討いたしているわけでございますが、その前の、先生にもお出しいたしましたけれども、公団の賃貸料の部分はすでに九百円と直していますので、その部分は当然はね返りとして直る部分になるわけです。その他の部分は近傍の賃貸料等を勘案しながら決めておりますが、基本的なルールにつきましては目下鋭意検討中で、おくれてまことに申しわけないと思っていますが、なるべく早期に直したいということで……
  249. 辻第一

    ○辻(第)委員 それはわかりました。当然ですけれども、指摘後もこれまでの基準でやっておられたということだと思うのですね。こういうふうに会計検査院から指摘を受けた、そのような問題、これを本当に謙虚に、誠実に改善していくという御努力や態度が非常に少なかった、言うならば怠慢である、私はこのように思うのです。この点について建設大臣、どのようにお思いになりますか、御見解を伺いたいと思います。
  250. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 団地サービス執行についていろいろと問題点があり、会計検査院から指摘されたようでございますけれども、この問題につきましては、なおよく、事は算定基準のようでございますが、そうしたものを総合的によく団地サービスを指導監督するように公団に指導してまいりたい、このように考えるものでございます。
  251. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣、もう一言、今後そういうふうにやっていただくということですが、いままでの現実、これに対してどのようにお考えになりますか。これから改善していくということじゃなしに、この事実について。
  252. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 時間的な経過もこれあり、いままでのところにつきまして確かに御指摘を受けたわけでございますので、大変遺憾といいますか、これからそうしたことのないようにひとつやってまいらなければならない問題として、一つの事実として受けとめて指導してまいりたい、このように考えます。
  253. 辻第一

    ○辻(第)委員 私はやはり住宅公団の態度は怠慢であった、こういうふうに思います。ですから、本当に今後も十分な御指導をされたいというように思います。  ところが、私どもはこの問題を調べてお尋ねをしたいということで、その算定基準などをいただきたいと要請をしたわけでございます。ことに私どもが欲しかったのはその算定基準であったわけでありますが、五月二十一日から二度ほどいただきたいと申し入れをしたわけでありますが、なかなかいただけない。そしてもう私はいただけないものかなと思ってあきらめておりましたが、実のところはきのうの朝いただいたというのが現実でございます。どうして算定基準をそんなに決算委員会委員にお渡しいただきにくいのか、その点お聞きをしたいと思います。
  254. 久保田誠三

    ○久保田参考人 先生から御要求のありました資料につきましては、何分駐車場を経営しておりますのが株式会社の団地サービスでございまして、一般の株式会社としての企業でございますので、そういう利用料金の算定基準などにつきましては、会社企業の内部事項に関するものであると思いまして、その提出を控えさせていただこうと考えていたわけでございますが、さらにその後もいろいろの検討をさせていただきました結果、株式会社団地サービスはその設立の趣旨並びにその経営につきまして、公団がやはり当初から深くかかわりを持ったものである、さらに団地内駐車場が公共的性格を持つものであることなどをいろいろ考えまして、判断に若干の、まことに恐縮でございましたけれども、時間を費やしたわけでございまして、しかしながらやはりお出しするのが相当と私、判断いたしまして、非常に遅くなりましたけれども、提出さしていただいたわけであります。  なお、いろいろの原価等内容につきましては、ちょっとまだ家賃等の問題と同様の扱いをさせていただきますので、基準につきましては、モデルの計算でやらしていただいて出させていただきました。まことに恐縮至極に存じております。
  255. 辻第一

    ○辻(第)委員 とにかくお出しはいただいたわけでありますが、これまでおっしゃることは、いま最初におっしゃった団地サービスは民間会社であるから原価構成にかかわるようなものは明らかにしがたい。とんでもない。団地サービスというのは公団がつくられた、まさに公団の分身と言ってもいいような、そういうものじゃないでしょうか。それが民間会社、そんなことを言えば、公団や公社が皆そういう下請の会社をつくって、それが全部民間の会社だと言えば、一切もうそれでシャットアウトされる、そういう論理になるじゃないですか。私は許せないというふうに思うわけであります。まさに公共的使命を持っておる。それから運営を適正にするためにはチェックをしなくちゃならないし、また普通の民間会社のように競争しているわけでもないでしょう。独占的にやっているというようなものなんですよね。ですから、その原価が明らかになったからどうこうというようなものじゃないのですよ。私は、それ以外にいろいろと御理由があるのだろうとまた思うわけでありますけれども、時間がありませんので、今度こういう問題は、われわれだけではなしに、本当にそこの団地の住民が要望をすれば出されるぐらいにオーブンにされてしかるべきである、私はこのように思います、そのことを強く要望して、次に移っていきたいと思います。  きのういただいた基準のモデルでありますが、それを見てまいりますと、修繕費というのはもうすでに明らかになっているように、検査院も明らかになされたように、百分の十八です、実際は百分の六・何がしというようなことで、もう三倍ほど高く取っていらっしゃるということです。それから、これを十分検討したかどうかと言われるとちょっと何なんですが、ぱっと見た感じで言いますと、管理諸経費、一般管理費といういわゆる管理的な経費というのが二つ算定をされておるわけであります。これを合わしてみますと二千四百六十四円。管理諸経費というのが千八百三十三円、それから一般管理費は六百三十一円、合わせますと二千四百六十四円になるのです。これで全体の大体三五・五%です。総計が六千九百三十六円になる。三五・五%。たとえば八百台ほどの団地の駐車場で見てみますと、八百台掛けますと、百九十七万千二百円になるのです。そうすると、八百台の駐車場と言いましても、これは一々出入りをチェックしたりする人も要りませんし、駐車場をつくってしまえばそんなに傷むものでもありませんし、毎日見張りをしなければならぬものでもありませんし、何にこんな経費がかかるのか。八百台。それは団地の中ですから、本当に一つの一角に全部あるということじゃありません。ばらばらあるのですけれども、しかし百九十七万も何がかかるのか、私はきわめて素人ぽい計算ですけれども、これは納得できません、ですから、先ほどの修繕費の実態なんかを見てみても、この管理の経費なんかもきわめてずさんなものではないか、そのようにいまの時点で想像をしているわけであります。こういう点を見てみましても、本当に一刻も早くもっともな管理基準をつくられるべきである。いま鋭意御努力中という話ですけれども、本当にそういう、こんないま私が申し上げたような頼りない基準で、それが一番中心的な基準になって、あと近隣、近傍の駐車場の駐車料金や団地の立地条件等を勘案の上均衡上必要があると認められる場合には基準額に対し二〇%の範囲内で調整増減できる、こういうことがあるということもわかっておるわけでありますが、その一番土台になる基準がこんなあいまいな形でやられて、それで決められたら、団地の住民たまったものじゃないですよ。ぼくはそう思いますが、それはどうでしょう。  いまそういう問題があって、奈良で言いますと、中登美団地というのが去年駐車場がつくられたのです。それからその隣にあります平城第二団地でしたか、そこにも駐車場がつくられた。ところがそんなに変わらないのに平城は五千円だった、中登美は六千円だ、こういうことですね。近隣は、奈良の二十カ所ほど調べてみましたが、青空駐車のところ、上の覆いのないところは大体五千円ですね。そういう状態なのに六千円になるということなんです。ところがきのうお尋ねをいたしましたら、いやいや安いどころではないのですというようなお話を聞いたのですけれども、私はとてもそんなことで納得できない。きょうはそれを一々なにをする資料も持っておりませんし、基準から類推して物を申しておる、あるいは近辺の状況から物を見て物を申しておるわけで、それ以上申し上げませんけれども、ここでお答えをいただくというわけにもいかぬと思いますけれども、後日私は詳しく、十分私も納得するし地元の住民も納得するような御説明をいただきたいということをこの席で申し上げたいと思うわけであります。  重ねて申すようでありますけれども、この公団住宅の駐車場の料金算定基準は本当にずさんきわまるものであり、指摘をされた後の態度も怠慢である、こういうことも含めて厳重な注意と申しましょうか、ここで申し上げておきたい。一刻も早く改善をし、納得のいけるような料金にしていただきたい。  それから、もう一言言えば、どうもこのころ五千円とか六千円、そんな単位になっているのと違いますか。後の調整ということもあるでしょうけれども、もう少し、二百円刻みというわけにもいかぬでしょうけれども、五百円刻みにでもして、少しでも安くできるものなら安くしていただきたい。このことを一つつけ加えておきたいと思います。  次に、鶴舞団地というところがあるわけでありますが、そこに汚水処理場があったわけでありますが、近々、本年じゅうに奈良市の公共下水道ができ上がって供用開始される計画になっています。これが供用開始をされますと、この汚水処理場は不要になるようであります。  この汚水処理場の跡地をどうするのかということの問題でありますが、ことしの二月に、住宅公団関西支社管理部長さんだったと思うのですが、奈良市との間で協議があったのですね。このことが先日の奈良市議会の企画建設委員会で明らかになったのですが、そのような事実があったのかどうか、もう一度御確認をしたいと思うのですが、どうでしょう。
  256. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お尋ねの鶴舞団地の汚水処理場用地につきましては、公共用下水道に一刻も早く変えていただきたいわけですけれども、その跡地の利用につきましてはかねてから奈良市の方から公共施設用地に提供してくれないかというのが関西支社の方にあったようでございます。先生から御指摘がありまして、早速そういう問い合わせもしてみたのですが、確かに二月ごろも奈良市と協議はしておるようでございます。それだけでございまして、それ以上のことはないようでございますが、また御質問に応じまして……。
  257. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、どういう内容のことが話されたのかお尋ねしたいわけでありますが、その中で一番中心的なことは、その跡地の一部を道路用地に提供というか分けてくれというか、そういうお話があって、それを内諾されたのかどうか、その点については御存じでしょうか。
  258. 久保田誠三

    ○久保田参考人 その辺のところは関西支社には問い合わせましたが、その辺の細かい点につきましては、ただ一般的に公共施設用地としての話し合いをしているのだというだけで、道路用地云々の話は現在までのところ私の方は存じておりません。
  259. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまおたくでおつかみのところはそういうことのようですが、私が聞いておるところでは、奈良市の建設部長がはっきり道路用地を提供してもいい、お譲りしてもいいというような内諾を得たというようなことを私は聞いておるわけであります。そういうことから、市から県へ一定の話が進んでいるということも聞いておるわけで、もうすでにそういう段階に来ているのです。もちろんその話だけじゃなしに、跡の利用の問題についてはいろいろあっただろうと思うのです。  ところが私のいま言いました道路用地というのはどういうことかと言いますと、この跡地の一部、そこのところに、鶴舞団地からごく二百メートルくらいのところにパークサイドセンターというのができて、そこにニチイが出店をする、そうしますと、交通対策として駐車場が必要だ、ところがその駐車場の予定地に十分な道がない、そういうことでバイパスが必要だ、この跡地の一部を提供してもらえればそこへ一方通行のバイパスをつくってというような話なんですね。  ところが、このニチイの出店計画に対しては地元で多くの反対があるのですね。鶴舞団地の住民の人も住環境が悪化をするし、教育環境も悪化をさせるということで、同団地の住民は反対の意向を表明しておられます。千七百六十六名の署名で奈良市議会に請願をされたり、また五月三十一日、団地の自治会総会でもこの跡地を児童館や図書館や子供の遊び場などに活用してほしいという要望をしておられる、こういうことも含めてニチイは来てもらってはかなわんということなんですね。  話がちょっとなになんですが、もともとあの鶴舞団地というのは団地の真ん中にかなり広い市道が通っているのですね。奈良市でも有数の交通量なんですね、ちょっと調べてみますと、バスが一日に二百九本あそこを走るのですよ、バスだけでも。通勤のバスみたいなものなんです、自動車で見てみますと、平日で大体六千九百八十二台、日曜は七千三百四十三台、これは去年の五月ですけれども、これだけの車が通る、その公団の真ん中をそういう物すごい交通量の市道が走っておる。私もときどき行きますけれども、いまでも騒音で、もう近くの団地の窓のところ、入り口でお話ししようと思っても、私ちょっと耳が遠くなっているのか、さっぱり聞こえぬくらい、騒音だけでもそんななんです、夏なんか窓をあけてられへんですね。いまでもそういう状態、それから渋滞が起こります。そうなりますと、排気ガスの問題とか、いまでもそういうところなのに、そのすぐ隣のところへニチイが来て交通渋滞を一層起こす、あるいは交通事故が起こるだろうし、あるいは排気ガスの問題も起こるだろうし、騒音の問題も起こる、さらに言えば、教育環境も悪くなる。こういう問題で、団地の人が反対をされておる、こういう事情があるわけであります。このような状況の中で、この跡地の利用についてはやはり住民の要望や意見を聞く、十分尊重して、そして住民本位の利用計画を立てられるのが道筋である、このように私は考えるのです、  その少し前に、ひとつお聞きをしたいのですが、汚水処理場の用地費だとか建設費については家賃の原価に算入されておると思うのですが、どうでしょうか。
  260. 久保田誠三

    ○久保田参考人 されております。
  261. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで、この汚水処理場というのは、言うまでもなく住民にとって欠かせない重要なものですね。ところが、これはこれまで悪臭がたちまして、夏はまた、それこそこの汚水処理場の近くのところの人は窓があけられない。汚水処理の不十分な汚水処理場のにおいというのは何とも言えませんな。私も何とかこの汚水処理場のにおいが減るように努力してくださいと何回も住民の方と一緒に交渉に行きました、御努力もいただいて、それはかなりましになりました。喜んでおるのですが、こういう喜びも悲しみもにおいも一緒にしてきた汚水処理場で、しかも家賃にずっと繰り込まれてきた、これは長いことそこに住んでおられる団地の人にしてみれば、密接不可分の関係というような気持ちでいやはると思うのですよ。それで、跡地になれば、児童館だとか遊び場だとかそういうものをどうしてもつくってほしい、それでなくても団地の中の環境が悪くなってきているのですから、そういうものをしてほしいというような要望が何回も出されてきているのですね。こういうことでありますので、どうか跡地の利用については住民の要望、意見を聞く、それを尊重して住民本位で利用計画を立てていただきたい、このことを私は要望するわけでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  262. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  この汚水処理場の跡地につきましては、先ほど申しましたように、奈良市から、当該団地を含めました地域住民を対象とした公共施設用地として提供を受けたい旨の要望があったと聞いております。したがいまして、公団としても、そういう点につきまして十分検討してまいりたい。  なお、その住民の御意見でございますが、できるだけ居住者の希望を考慮しながら検討してまいることは当然のことだと存じます。
  263. 辻第一

    ○辻(第)委員 しつこいようで悪いのですけれども、すでに余り聞かぬうちに話をしてしまっておりますが、ひとつそういう点も今後よろしゅう頼みます。  それからもう一つ。住民が本当にいい環境で暮らしたい、これはもう切実な要求です。それが、ニチイが来れが間違いなしにいまよりひどくなるということは言うまでもないことなんですね。そういうことに土地の一部、自分のほんまの小指かもうちょっと親指ぐらいと思っていると思います、それをわざわざ切り取ってそこへ提供して、後、自分らが苦しまなければならぬというのは耐えられへんことやと私も思うのです。  それから公団自身も、住宅の環境を本当に守っていくという立場からも、ニチイ駐車場への進入道路建設用地として奈良市の言いなりになって御提供なさるということについては控えていただきたいと私は強く強く要望をするわけでありますが、その点についての御見解を承りたい。
  264. 久保田誠三

    ○久保田参考人 先ほども申しましたとおり、その道路の点につきましては、きのうきょう、私らが関西支社の方にいろいろ問い合わせている段階では耳にしておりませんが、先生のそういうお話を聞きましたので、よく関西支社に対して情報を得て、いろいろ調査してみたいと思います。
  265. 辻第一

    ○辻(第)委員 いや、情報を得て調査してみたいということもそうですけれども、もしそういう話が今後進んであるとすれば、そういうものはやらないでほしいということを要望しているわけでありますが、その点について、調査だけではなしに、御見解をいただきたい。
  266. 久保田誠三

    ○久保田参考人 先生からお話がありましたニチイの点につきましては、関西の方にも問い合わせましたところ、支社といたしましても関知してない、そういう態度でございまして、存じてないわけです。そういうことでございまして、奈良市と協議しているというだけで、いま先生がおっしゃいましたような道路でなくて、施設じゃないかと思います。別の公共的な施設のように話を聞いていて、道路問題というのは全然聞いてないのです、調査いたしましたところ、ニチイさんの何とかという話は全く出ませんので、そういう意味で私、いまのところはそういうことはないと聞いていますし、今後そういうことがあるかどうか、さらに調査してみまして、先生の御意思も承りましたので、支社の意見も聞いてみたいと存じます。
  267. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま言うたような状況でございますので、ニチイが直接関係はないと思いますけれども、市がそこへバイパスをつくるという一番の話はそのこと、ニチイが駐車場をつくる、バイパスをつくっていくかどうかということが本当の基本的な問題なんです。その点については市役所の建設部長が関西支社さんとちゃんとお話をして内諾を得ていると数日前の委員会ではっきり言明しておりますので、大分関西支社の人はうまいこと言ってはるのやと思いますが、うまいこと言われぬようにしっかり調査をして、私の要望をぜひ取り上げていただきたい、このようにお願いをする次第でございます。  本当に公団や団地サービスがそこにお住まいの人の立場に立って、これまで以上に御奮闘、御努力をいただきたい。強く要望して、私の質問を終わります。
  268. 國場幸昌

  269. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 初めに、住宅金融公庫の方にお尋ねしたいのであります。  けさほど来の議論を通じまして、どうも鉄筋コンクリートづくりの高層住宅は国民の好みに合わないものになりつつある、そういう議論が進められまして、私も全く同感なのでありますが、一方、民間の木賃アパート、これは全国で四百五十万ないし五百万世帯分ぐらいありまして、東京の場合ですと、二十三区内に百万世帯分ぐらいあるそうです。しかし、その狭いのと家賃が割り高、設備が悪いということで、極端な場合、五〇%ぐらいの入居者しかいないという場合もあるようであります。しかし、そういった木賃アパートの経営者の方がいざ建てかえようと思っても、現状ではなかなかお金が借りられないし、金利も高い、何かよい方法はないものかと模索しているようであります。  そこで、公庫ではなぜ個人の賃貸住宅の場合に不燃構造とか簡易耐火構造の建物に融資をしないのか、耐火構造のものだけしか融資の対象としていないのはなぜか、その辺の御説明をしていただきたいと思います。
  270. 関口洋

    ○関口説明員 お答えさせていただきます。  私どもは、賃貸住宅に対する融資の場合には、たとえば土地担保賃貸というような形で融資いたしておりますが、これは土地所有者が賃貸住宅を経営するという場合に必要なお金を融資するということでございますが、お建てになる場合にやはり土地柄を見ましてできるだけ高度利用をお願いしたいというところから、木造の賃貸住宅というものには融資を控えておるというのが実情でございます。これはあくまでも賃貸住宅というのは立地が限定されます。と申しますのは、賃貸住宅に入居される方の職業だとか年齢その他を見てみますと、やはり職場に近いところでなければならぬ、そういうことになれば比較的いわば市街地の中心部に近いところに限定をしたい、かような考えからいま御指摘がありましたような運用をしておる次第でございます。
  271. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 しかし、市街地の中心部のそういったところに木造の老朽化した木賃アパートがいつまでもそのまま放置されていいとは考えられませんし、また、場合によっては五〇%もの空室がある、かえって利用効果が悪いような結果になっておるわけであります。しかも、民間住宅の家賃というものはなるべく安いことが望ましいので、耐火構造の鉄筋コンクリートの高層住宅、いわゆるマンションとかああいうものは建設費が莫大にかかりますから家賃も高くなってしまうわけであります。  そこで、建設省にお伺いしたいのですけれども、もっと安くて耐火性もあってがんじょうな建物というものを考えられ得るのじゃないかと思うのでありますけれども、こうした方面にはどう取り組んでおられるのか、御説明いただきたいと思います。
  272. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいまの御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、在来工法の合理化も進めるとともに、品質の向上あるいはさらにコストダウンが期待できますような工業化住宅等につきましていろいろと技術開発も進めその普及を図ってきておりますが、特に最近におきましては、いわゆるツーバイフォー住宅といったようなことにつきましてもその普及に努めておりますし、また、いわゆるハウス55という新住宅供給システムの開発プロジェクトを実施いたしまして、五十五年から一部企業化を実施しているところでございます。そういうような意味で、今後とも新しい工法なり品質の良好な住宅につきましての技術開発と普及につきまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  273. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ちょっと申し上げにくいのですが、私が聞きましたところでは、ハウス55計画で開発された住宅というものは、コンクリートパネルか何かでつくる建物らしいのですけれども、価格的に無理があってなかなか全国的には普及しないのじゃないか、そういうようなことを聞いておるのであります、ところが、五十三年十二月に浦安で行われた建物の火災実験では、骨格が木造であっても鉄筋コンクリートづくりに準ずる耐火性を持ち、しかも半額の工費でできる工法が確認されたと聞いているのでありますけれども、建設省ではその辺どう判断されているのか、御説明ください。
  274. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど申し上げましたハウス55開発プロジェクトと申しますのは、現在まで開発されましたのは金属系のもの、コンクリート系のもの、本質系のものといったようなものがあるわけでございますが、現在はコンクリート系の複合パネルを用いた住宅につきまして企業化が図られておるところでございます。私どもが承知しております限りでは、その価格につきましては相当低廉であるというところからかなりの需要があるというふうに聞いております。ただ、何しろ企業化を始めたばかりでございますので、工場の位置が一地域でありますところから、現段階ではまだ特定の地域にしか供給できない状況でございますが、今後さらにその普及が図られることによりまして全国的な普及もできようかと思いますし、また、他の二種類の住宅につきましても今後の企業化を進めるプロセスにおきまして開発普及がされるものと思っております。  第二段の、五十二年の十二月に二日間にわたりまして千葉県の浦安市でいわゆるツーバイフォー工法の火災実験が行われたわけでございますが、これらにつきましては、実験結果といたしましては、概略を申し上げますと、相当の延焼遅延効果がある、また、物によりまして火災につきましての耐火性もかなり高いというふうな結果と聞いております。
  275. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 その実験に付された建物の場合は、アメリカあたりでは百五十年も前からそうした工法が取り入れられて、最近もずいぶん西部海岸地帯を中心に普及していると聞いておりますけれども、耐火性以外にはどういうメリットがあるのか、御説明ください。
  276. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもが聞いております限りでは、ツーバイフォー工法といいますのは耐震性につきましてもすぐれている点があるというふうに聞いております。
  277. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 こういうすぐれた工法があるわけですから、何も長い研究期間を費やしたり国からの研究費を出さないでも、こうした工法をどんどん取り入れて普及されていったらいいのじゃないか、こう考えるわけであります。そしてまた、当然公庫あたりでも貸し出しの対象にしてよいと考えるわけでありますけれども、公庫の方ではこういった工法をどう評価し、どう対応されようとしているのか、御説明ください。
  278. 関口洋

    ○関口説明員 先生のお話のツーバイフォー工法住宅でございますが、ただいま住宅局長からのお話もございましたように、いわゆる防火性能あるいは耐火性能と申しますか、そういうものにもすぐれ、それから壁工法でございますので耐震性能にもすぐれておるし、それからまたもう一つ、建築の生産性の向上に役立っているのじゃないかというような点、さらには、最近言われておりますようないわゆる接地型の連続建ての住宅、こういうものにも向いておるというようなところから、私どもとしましては、一般的な取り扱いといたしまして、建築単価面で不燃構造として優遇いたしておりますし、またさらに、ただいま申しましたような連続建ての住宅、いわゆるタウンハウスと呼ばれているものでございますが、こういうものを建てることも推奨してまいりたいということで、そういう場合はモデル団地住宅ということで昭和五十年から建設資金融資なりあるいはそのつくられた建物を購入される方に対する貸し付けにつきましても優遇する、こういうふうな配慮を払って運用しておる次第でございます。
  279. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 くどいようですけれども、そうしますと、賃貸の住宅も連続式の場合はどんどん融資対象に取り入れていく、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
  280. 関口洋

    ○関口説明員 ただいま申し上げましたものは、いずれも個人建設と申しますか、いわゆる持ち家としての貸し付けということで実施しておる次第でございます。
  281. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 私は、先ほど申し上げた木賃アパートの建てかえなどにも大変効果を発揮するのじゃないかと思っているのでお尋ねしているのですけれども、なぜ賃貸の場合にはだめなのか、考えておられないのか、御説明ください。
  282. 関口洋

    ○関口説明員 賃貸を対象にしない理由でございますが、賃貸住宅は、一番の問題点といたしまして、先ほど申しましたように、つくられる場所の土地利用上の要請にこたえるものであることが必要でございます。そういう意味で、できるだけ土地の高度利用に資するという意味から耐火構造のものに限っておるわけでございますが、もう一つ、耐火構造のものに限っておる理由といたしましては、後の維持管理の問題がございます。持ち家の場合ですとそれぞれ所有者の方が維持管理に当たられるわけでございますが、賃貸住宅につきましては、先生御案内のとおりに賃貸住宅の経営者が維持管理に当たることになっておりますが、そういう点を考えますと賃貸住宅について木造のものまで貸し付けを広げることはいかがかというふうに、いまのところ考えております。
  283. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、市街地の中心部分に木造の古い、老朽化した賃貸住宅があるような場合は、大変火災の危険なども考えられますし、また空き室が多いということで、市街地の利用効率も悪くなっているわけであります。いま公庫の方のお話ですと、ああいった理由で、賃貸住宅の建てかえにはこういったすぐれた工法であっても融資の対象にできないというようなお話なんでありますけれども、大臣はそういった点どのようにお考えになって、今後どのように進めていかれるお考えかをお聞きしたいと思います。
  284. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ちょっと私の方から少し事務的にお答えさせていただきたいと思います。  先ほど住宅金融公庫の担当理事からもお答え申し上げましたが、現在大都市地域におきまして公庫が融資いたしております賃貸住宅は、なるべく土地の高度利用あるいはまた良質なものというようなことから中高層の耐火建築物につきましての融資を行っているところでありますし、また私どもといたしましても、できるならば都市の防災の面あるいはまた環境の面、高度利用の面といったようなことを考えまして、利子補給の制度あるいは住宅公団によりますところの賃貸用の分譲住宅の制度等を活用してその促進を図りたいというふうに思っておるところでございます。ただ、先生御指摘のツーバイフォーのようなもので、その性能が従来の木造住宅より非常にすぐれているというような点につきましては、御指摘のとおりであります。しかしながら、それはそれとして、連続建てとして適切な場所あるいは用途、そういったようなこともあろうかと思いますので、われわれ、今後の住宅の普及、整備という観点から、このツーバイフォーはツーバイフォーなりに、どのようなところに立地し、建設を進めることがいいか、さらに検討を進めさせていただきたい、考えさせてもらいたいと思います。
  285. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 局長から事務的にいまの法律に基づく枠については御報告がありましたが、いまのところ木造の賃貸についての措置についてはなされていないということでございますが、もう少し一般論として広げて、やはり過密都市と防災問題、都市計画の問題、あるいは避難地、避難路をつくるというような大きな枠の中で一つの方法論というものも検討し得る可能性もあろうかと思います。これは一般論として申し上げますが。したがって、どの点までそういう金融措置がなされ得るかということは、一つの課題として、御提言として受けとめて研究してみたいと、このように考えます、
  286. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 質問を終わります。  ありがとうございました。      ————◇—————
  287. 國場幸昌

    國場委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため  一、昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和五十三年度政府関係機関決算書  二、昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  四、昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和五十四年度政府関係機関決算書  五、昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  六、昭和五十四年度国有財産無償貸付状況計算書  七、新村勝雄外四名提出、会計検査院法の一部を改正する法律案  八、歳入歳出の実況に関する件  九、国有財産の増減及び現況に関する件  一〇、政府関係機関の経理に関する件  一一、国が資本金を出資している法人の会計に関する件  一二、国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件 以上各件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が本委員会に付託され、審査または調査のため現地に委員を派遣する必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会