○伊東
国務大臣 お答え申し上げます。
いま御質問になったように総理がロング米太平洋軍司令官と会われ、私もその後に会ったのでございます。その後には、十八日でございますか、マンスフィールドさんにお会いしたというようなことでございますが、総理からも私からもロング
長官に話しましたこと、これはその前から何回もアメリカ側に伝えておるのでございますが、本事件は本当に遺憾なことだ、特に二名の行方不明者が出ておる、人命が失われたということで非常に遺憾なことである。ついては
国民が疑問に思っておること、なぜこういうことが起きたのだろう、あるいは通報がおくれたのだろうか、あるいは人命の救助につきましてどういう努力をされたかということについては
国民がどうもわからぬ、納得がいかぬのでございますので、こういうことについてなるべく早く真相を
調査の上知らせてもらいたい、またこの事件が日米の信頼
関係に暗い影を落とさぬように将来しなければいかぬ、それには補償の問題でございますとか、そういう事後処置をはっきりきちっととってもらいたい、これをうやむやにするとか、そういうことになれば日米
関係に悔いを残すということで実は何回も向こうへ話しておりまして、ロング
長官にもそのことを話したのでございます。
その際にロング
長官から、大体三十日くらいかかるではなかろうかという話やら、あるいはこの問題の結果によっては
責任者の問題も出てくる、そういうことになれば、審判か裁判かは別にしましてそういうところに証拠を集める、そういう場面が出てくる、それに予断を与えるようなことを中間的に言うことはどうかと思う、補償については
調査とまた別個に早急に迅速に解決するように話し合いをするというような話があったのでございます。それで総理も私も、この問題が長引く、そして真相がわからぬというようなことになれば、日米安保
体制あるいは非核三原則というところまで議論が波及するおそれもあるし、日米の信頼
関係が損なわれるということになりますので、三十日という
調査であれば遅過ぎるじゃないか、その前に日米首脳会談というものも行われる
予定でありますので、日米首脳会談の前までに大体の
調査の結果が通報できるということにはぜひしてもらいたい、できればもっと早く中間
報告を求めたいということを、また私
どもから要請したのでございます。ロング
長官に会いました二日後にマンスフィールドさんと会ったわけでございますが、大使はそのときレーガン大統領の鈴木総理あての親書を持ってこられまして、大統領としても非常にこのことを遺憾に思っている、自分個人としてもこのことについては大きな関心を持っているのだ、日米の首脳会談前に双方が十分満たされるような結果が出ることを期待しているのだという内容の親書を持ってこられたのでございます。そしてその際に、中間
報告ということは、裁判になりますか審判になりますかこれは別でございますが、後の問題に予断を与えるようなことになるので、アメリカとしては法律の手続に従って厳正な公正な
調査をやりたい、その結果出てきた真実は日本側にそのまま伝える、決してこれをうやむやのようなことにはしないということを確認し、大統領もこれについては遺憾の意を表明し、自分としても十分関心を持っているという親書をよこされたのであるから、自分らの
調査の出るのを信頼して待ってもらいたいということでございましたので、その向こうの誠意を
評価をいたしまして、日本としては日米首脳会談前に日本側の期待する
調査結果が通報されることを期待しまして、いま日米
関係が損なわれるというようなことがないようにということでアメリカの
調査を待っているというところでございます。