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1981-04-14 第94回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十四日(火曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長代理 理事 森下 元晴君    理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君    理事 原田昇左右君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 春田 重昭君    理事 中野 寛成君       天野 光晴君    石田 博英君       植竹 繁雄君    近藤 元次君       竹下  登君    高田 富之君       田中 昭二君    岡田 正勝君       辻  第一君    田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         臨時行政調査会         事務局次長   佐々木晴夫君         行政管理庁長官         官房審議官   門田 英郎君         行政管理庁長官         官房会計課長  品川 卯一君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         防衛庁防衛局長 塩田  章君  委員外出席者         防衛庁人事教育         局人事第二課長 野口陽一郎君         外務大臣官房外         務参事官    松田 慶文君         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         大蔵省主計局主         計企画官    藤原 和人君         大蔵省主計局主         計企画官    藤井  威君         大蔵省主計局主         計官      小川  是君         農林水産大臣官         房審議官    井上 喜一君         自治省行政局行         政課長     田中  暁君         自治省行政局公         務員部給与課長 大塚 金久君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         会計検査院事務         総局第二局長  堤  一清君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     岡田 正勝君   山口 敏夫君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   岡田 正勝君     和田 一仁君   田島  衞君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁)〕      ————◇—————
  2. 森下元晴

    森下委員長代理 これより会議を開きます。  昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管行政管理庁について審査を行います。  まず、行政管理庁長官から概要説明を求めます。中曽根行政管理庁長官
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昭和五十三年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は百七十六億一千五百六十四万円余でありまして、支出済み歳出額は百七十五億二千九百六十五万円余、不用額は八千五百九十八万円余であります。  支出済み歳出額の内訳は、人件費七十一億六千百五万円余、事務費等十九億七千五百九十八万円余、統計調査事務地方公共団体委託費八十三億九千二百六十二万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、職員に欠員があったので、職員基本給を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  4. 森下元晴

    森下委員長代理 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長
  5. 佐藤雅信

    佐藤会計検査院説明員 昭和五十二年度行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 森下元晴

    森下委員長代理 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 森下元晴

    森下委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  8. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、最近行政改革の問題につきまして国民からほうはいたる世論が巻き起こってきておる、これに対して内閣総理大臣みずから、増税なき財政再建行政改革政治生命をかけるとまで言っておられる、こういう状況に際しまして、中曽根長官行政改革責任者といたしましてどういう決意で臨んでおられるか、まず御決意のほどを伺いたいと存じます。
  9. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政改革に対する国民皆様方の御関心期待は非常に大きいと思います。日本が終戦以来三十数年たちましたが、この間に行政につきましてはいろいろな実績もございましたが、高度経済成長以来非常に肥大化して、ぜい肉の多いところも目に見えますし、さらに八〇年代、九〇年代を展望した新しい行政需要というものも出てきつつあります。その上に、財政窮乏という問題が差し迫ってまいりました。こういう諸般の問題を解決するために、行政改革に対する期待が非常に強まっておるものと思われます。総理大臣も私も、この現下の最重要政治問題を解決するために真剣に取り組む所存でございます。
  10. 原田昇左右

    原田(昇)委員 行革をやる場合に、せっかく大規模な行革検討しようとする場合には、総論としては国民はぜひやれということであっても、各論に入りますと、自分のところに負担が降りかかってくるというようなことから、各論が反対ということになりがちでございます。いままでいろいろ各方面で行革必要性が叫ばれ、また内閣でも行革を取り上げてこられたわけでございますけれども、なかなかつまくいかなかった、これはやはりそういうところにあるのではないかと思うのです。  そこで、国民理解協力を要請し、そして行革の遂行を成功に導くには、どうしても明確な行革理念というものを国民に示して、理解協力を仰がなければならないと思うのでございますが、この行革基本的な理念について長官にお伺いしたいと存じます。
  11. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 基本的な理念といたしまして、要するに簡素にして効率的な政府をつくって、しかもこれからの新しい時代に即応できる行政体制を整備していく、そういうことであると思います。世に、小さい政府がいいとか安い政府がいいとか、そういういろいろな考え方もあるようでございますけれども、日本的に考えてみますと、簡素にして効率的な政府で、しかも新しい時代に即応できる行政の体系を整備する、そういうことではないかと思います。
  12. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いまのお答えで、結局簡素にして効率的な政府をつくり上げるということであるというお話でございます。まことに同感でございますが、八〇年代から二十一世紀にかけて、これからの政府役割りは何かということを基本的に問い直すことが必要ではないかと思うのでございますが、政府役割りを問い直すということは、帰するところ、政府民間との役割り分担をどうとらえるか、官業民業との関係をどういうように考えるか、あるいは市場経済において政府過剰介入をしているのではないかどうか、そういったことについて明確にすることが非常に大事ではないかと思うのでございますが、こうした検討につきましては、アメリカレーガン政権におきましてもイギリスサッチャー政権におきましても行われているわけでありまして、一つの世界的な潮流ともなっておると思うわけでございます。わが国行政改革検討においてもぜひ重視されなければならない分野と考えますが、長官のお考えについてお伺いしたいと存じます。
  13. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革理念は、また別の表現から申し上げれば、国家活力を回復するということであると思います。よく民間活力を回復する、そういう言葉が言われますが、単に民間活力だけではなくて、行政活力を回復することもございます。そういう意味において、総合的に国としての活力を回復するということも理念の大事な部分ではないかと思っております。  アメリカイギリスの例をお引きになりましたが、アメリカイギリスはおのおのスタグフレーション等々の困難に見舞われておりまして、それぞれの国情に応じた行革をやっていると思いますが、日本日本国情に応じた行革をやる必要があります。その中では、いまおっしゃいましたように、簡素にして効率的な、しかも新しい時代に即応し得る政府をつくる、あるいは国の活力全体を回復するというためには、中央と地方関係あるいは官業民業関係等々も当然見直さなければ、そのような政府はできない状態にあると思っております。
  14. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いまの、国の活力を回復するのだというお話でございますが、まことに同感でございます。  そこで、行政改革につきまして、また従来から小さい政府の実現ということが言われておるわけでございますが、国民人口に対する公務員の数ということからいきますと、日本はまだ小さい政府と言ってもいいのじゃないかという御意見もあります。しかし、この点につきましては、肥大化した行政機構がこのまま放置しておったらますます肥大していく。低成長時代に入った現在、日本の社会を展望いたしますと、人口高齢化の進展とか、あるいはエネルギー制約の問題、日本国際的地位向上に伴います国際摩擦など、行政役割りはなお大きいと思いますけれども、行政需要について正確に予測をし、そして行政の果たすべき役割りを審査していかなければならぬわけでございます。そこで、小さな政府になるかどうかという心配の面もかなり出てくると思うのでございますが、わが国行政機構とか定員につきましてはスクラップ・アンド・ビルドということで、総定員法とか定員削減計画ということでかなり成果を上げてきたと思うのですが、長官は今後、こうしたことを踏まえまして、行政機構とか公務員定員並びに給与の問題についてどういうように対処していかれるか、御所見をお伺いしたいと存じます。
  15. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それらは国の行政制度の中に含まれる大事な要目でございまして、恐らくただいまの臨時行政調査会におきまして真剣な討議がなされるものと期待されております。
  16. 原田昇左右

    原田(昇)委員 民間の中には、国はいま大きな借金をしょって、いわば破産状態に近いのじゃないか、こういうときに民間の企業であれば、人を減らす、給与のベースアップは一時ストップする、こういうことで考えなければならぬのじゃないか、国もそのくらいの気持ちでやらなければならぬのじゃないか、こういうことを言う人がありますが、これについてはどうでしょうか。
  17. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 簡素にして効率的な政府をつくって新しい時代にも即応する、国の活力を回復する、そういう面からいませっかく臨時行政調査会において討議しておられるものでございますから、私はこの際、意見の表明は差し控えまして、答申を待つという態度で終始したいと思います。
  18. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それでは次に、地方行政の問題でございますが、地方行財政状況を見ますと、人的にも財政的にもわが国行政の約六割を占めておるわけでございまして、その肥大化の傾向は大変顕著なものがあると思うのです。そこで、地方財政あり方職員数あるいは給与等につきましていろいろ従来から問題が指摘されております。私もかつてこの委員会で、宇野長官のときでしたか、地方行財政の問題について御質問したことがあるのでございますが、そのとき、地方公務員給与あるいは退職金等につきまして、少なくとも国家公務員並み考えるべきではないかということについてただしたところ、自治省としてもそういう線で指導をしておるのだという答弁がありましたけれども、その後どんなふうになっておるか、実情を聞かしていただきたいのです。
  19. 大塚金久

    大塚説明員 地方公務員給与につきましては、その給与水準を見てまいりますと、国家公務員を一〇〇といたしました場合の一般行政職ラスパイレス指数で見てまいりますと、昭和四十九年四月一日現在で一一〇・六、これが最高の時期でございました。その後、地方公共団体適正化の努力によりまして毎年漸次低下してまいりまして、五十五年四月一日現在におきましては一〇六・九という平均的な姿になっております。しかしながら、依然として国家公務員水準全国平均で六・九ポイント上回っているということは相当の高さであるということ、それから地方団体の中には、そういう六・九程度ではなくて国家公務員水準相当上回っている団体もあるということでございます。これらの団体につきましては、自治省といたしましても、これまで給与改定の見送りとか昇給期間延伸等によって給与水準適正化を図るというような考え方、さらに、もともとそういう給与水準が高くなっている原因である初任給の問題とか、いわゆるわたりの問題、それから運用による昇給期間の短縮などのいわゆる給与制度運用上の問題を改めるよう、再三にわたり指導してきたところでございます。特に最近、国、地方を通じまして行政改革財政再建が叫ばれており、とりわけ地方公務員給与適正化につきましては国民的関心が高まっている現状でございますので、昨年九月、特に具体的な適正化の内容を示して各地方公共団体指導したところでございます。  今後とも、そういう給与水準適正化、さらにその原因となっている制度運用を改めるということで指導を徹底してまいりたい、このように考えております。
  20. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いまの御答弁で具体的に給与が高いあるいは退職金水準が高いという場合に、どういう形で改めさせるのですか。たとえば交付税をその分だけ減額するとかいうことはとれないのですか。
  21. 大塚金久

    大塚説明員 給与水準、たとえば相当に高いところの改め方でございますが、基本は、給与行政といたしまして、たとえばすでに二割ぐらい国より高いというところであれば、国が給与改定をやった場合でも当該団体給与改定を見送るようにというような形での指導、それから、一般普通昇給というのは十二カ月で昇給するわけでございますが、それをさらに九カ月なり半年延ばして十八カ月にするとか、そういうような形での適正化のやり方、それから、先ほど申し上げましたように制度運用初任給が高いことがもともと一つ原因でございますので、入り口の初任給を下げる、これは直ちにすぐその年に効果が全体に生ずるということではございませんが、長期的には相当大きな効果があるというようなこと、さらに、いわゆるわたり、一般的には地位なり職務の上昇に伴って給与の昇格があるわけでございますが、職務の変更を伴わずに給与だけ昇格するというようなことをやめさせるというような形で、まず第一に給与指導基本を置いております。  それからもう一つ、財政問題でございます。私、財政局じゃございませんので、直接担当しておりませんが、給与水準の高い低いで直ちに交付税を減額するというような形はとっておりませんが、期末・勤勉手当について国の支給割合を超える場合、さらにそれと実質的に同じようなことをやっている場合については、特別交付税の省令に基づいて減額しております。  以上でございます。
  22. 原田昇左右

    原田(昇)委員 一般国民が直接お役所に接する機会というのは、やはり市役所の窓口なり町の役場の窓口が一番多いと思うのです。そしてそこで、果たして公務員が一生懸命やっておるかどうかというのは一番目に入るわけです。これは一般の人にとって、国家公務員であろうと地方公務員であろうと、そんなことはどうでもいいことであって、また、それもわからないと思うのですね。そういう状況において、国だけを取り上げて臨時行政調査会でおやりになるということでは、私は片手落ちだろうと思う。国、地方を通じての行政改革合理化というものを図る、そして地方公共団体行政合理化の問題も積極的に検討課題として取り上げていただいて改革案の策定に取り組むべきではないかと思うのですが、どうもいろいろお話を聞いておると、いや、地方のことは地方制度調査会か何かでやるのじゃとかいうような雑音も聞こえてくるわけでございまして、そんなことでは——もちろんそこでおやりになることも結構でございます。ダブっていただいても結構でありますが、ぜひとも臨時行政調査会は国、地方を通じての行政改革というものの基本的な問題について取り上げていただいて改革案を策定していただくということが必要じゃないかと思います。長官の御見解をこの点についてお伺いしたいと思います。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 原田委員の御見解に全く同感であり、そのように実施いたしたいと思います。
  24. 原田昇左右

    原田(昇)委員 そこで、先ほど自治省から御答弁があったのですが、私は、この前も退職金の問題で、算定基準国家公務員と違う、この点の是正あるいは上限をつけろ、こういう提案をしたのですが、それはどうなったのですか。もう少しその辺についてはっきり御答弁いただきたい。
  25. 大塚金久

    大塚説明員 地方公務員退職手当につきましては、給与一つでございますから、当然国に準じた制度運用をするようにというふうに指導しております。都道府県におきましては、東京都を除きますと国に準じた制度となっておるわけでございます。一都市町村におきまして国と異なる制度、御指摘のように一つ支給率、それから最高限度の問題、最高限度を定めてない場合もございますし、最高限度を定めている場合、国の限度を上回っている場合とございます。これについて昨年特別な指導をいたしまして、最近、適正化の動きが地方公共団体において高まってきております。まだ検討段階のもございますが、昨年度中にかなりの適正化を進められておる状況でございます。今後ともその適正化に努力してまいりたいというふうに考えております。
  26. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ぜひこの点については自治省指導力を発揮していただきたいと要望しておきます。  当然行革をやる場合に問題になるのでございますが、きょう臨時行政調査会新聞記事を見ますと、短期的な問題、長期的な問題が検討課題として決まったということが新聞に出ておりますが、この点について御説明いただきたいと思います。
  27. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 臨時行政調査会は三月十六日から発足いたしまして、ただいままで四回やっております。存続期間が二年間でございますので、この二年間の基本課題を早々に検討しなければならぬということで、ただいま鋭意検討中でございます。あわせまして、五十七年度予算に間に合わせるような緊急事項につきましても早々に審議事項を決定する必要がある、ただし、これはこれからの作業の土台になるわけでございますので十分慎重に時間をかけて検討すべきであるということで、実は昨日第四回の会議におきましても、委員会でその両方につきまして種々御審議をいただきました。次回あるいはその次あたりには、そのあたり検討事項の決定が一応見られるものと思います。きょう新聞で種々報じられておりますけれども、実はまだ確定段階ではございません。
  28. 原田昇左右

    原田(昇)委員 確定段階でなくても、大体どんな線でいくかということは出ておるのじゃないですか。
  29. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 まず基本課題につきましては、各紙とも一応出ております記事とほぼ似通っておりまして、行政のこれからのあり方検討する場合のビューポイントを三つに置く。すなわち行政機能を一体どこまでやるべきか、それからまた行政基本的制度、これをいかに考えていくか、あるいは今後あるべき行政体制、こうしたようなものにつきまして今後種々検討していこう。その具体的な肉づけとしまして細目にどうしたものを一応盛り込んでいくか、こうしたことにつきまして、ただいま委員会で御議論が行われている最中でございます。  また、緊急課題につきましては、基本的には三月十六日に鈴木総理が、五十七年度予算に影響を持ち得るようなものをつくってもらいたい。したがいまして、歳出削減を中心とするということにつきましては、問題意識、各委員の御意向はほぼ一致しているかと思います。その意味でもって、きょう新聞で種々報じられておりますけれども、相当程度正鵠を得ている部分があるということは一応言えようかと思います。
  30. 原田昇左右

    原田(昇)委員 そこで、短期的な課題として財政再建の問題はどうしてもやり遂げなければならぬ政策課題だと思うのですが、財政再建は、五十九年度までに特例公債依存から脱却することを基本方針として、ことしも二兆円の減額をするということでやっておるわけですが、五十七年度財政再建進め方について、第二臨調はどの程度中に入って行革をやるのか。基本的な考え方をこの第二臨調で決めるのだろうと思うのですが、どういうようにお考えになっておられますか。
  31. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 もちろん行政改革につきましては、総理もあるいは中曽根長官からも言っておられますように、直接直ちに財政効果を及ぼす部分というのはわりかし少ないわけでございます。しかしながら、端的に申しまして、現在の財政支出の中には制度化され構造化されております種々の経費が一応あるわけでございまして、たとえばよく例に出されておりますように、行政政策手段としましての補助金等につきましては、種々制度を伴いまして、一応相当経費を支出いたしておるわけでありますけれども、その背景になります制度そのものにつきましては、これは相当程度の改善を要する部分見直しを要する部分があるわけでございます。その結果として財政効果を持つ部分というのは多分にあろうかと思います。その意味で、いわば四十年代の高度成長期行政見直しまして、そこで結果として簡素にして効率的な政府を実現し、いわば財政効果をもたらすという部分がまた相当あろうかと思います。
  32. 原田昇左右

    原田(昇)委員 そこで、五十七年度の財政再建進め方というか、行財政改革成果として財政再建を進められるわけだと思いますが、国民に新たな負担増を求めることは極力避けて、まず行革歳出削減について全力で取り組まなければいかぬと思うわけでございます。これについて、特に歳出削減の面については、わが国歳出の大体三割以上を占めておる補助金について、十四兆五千億ぐらいありますか、これについて、基本的なメスを入れていかなければならぬのじゃないかと思います。このメスの入れ方等について、いままで聖域はないのだとかいろいろ議論が行われておると思うのですが、この点についてどういうようにお考えになっておられますか。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 補助金一般会計において十四兆五千億円、それから特別会計から出ている補助金が約十二兆、両方合わして二十六兆円というものが補助金として出ております。これらにつきましては、臨時行政調査会においていろいろ検討をした上でどういう判断が出られるか、われわれはそれを見守っておるという状態でございます。
  34. 原田昇左右

    原田(昇)委員 補助金については、たとえば義務教育国庫負担金が二兆一千億とか療養給付金補助が一兆八千億とか老人医療が三千三百億とか私立大学経常費補助金が二千八百億とか、いろいろことしの予算で見ましてもあるわけで、特に三Kの問題と教育の問題が非常に大きなウエートを占めておると思うわけでございます。これは第二臨調でいろいろ御議論なさると思いますけれども、法律に根拠を置くものとかそうでない部門、法律補助が約八割ぐらいありますか、こういったものを含めて見直しを行って、思い切ったメニュー化とか節減を図るということが必要だと思うのですが、その辺はどういうようにお考えになっておられますか。
  35. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 先生いまお述べになりましたとおり、法律補助が八割を超えておるわけでございます。これは当然その制度を背景に伴うものでございますけれども、そうしたものにつきましても、これは臨時行政調査会においては当然切り込みを行うのだということが委員の全体の意識でございます。その点につきましては、法律補助であるからといってこれを除外することなく、補助金制度全般について種々審議を行いたい、このように一応考えております。
  36. 原田昇左右

    原田(昇)委員 新聞等で二兆円カットしなきゃならぬ、あるいは二兆七千億というようなことが言われるのですが、私はこれは少しおかしいと思うのです。五十六年度予算審議の際大蔵省から提出された中期財政見積もりによりまして、二兆七千億の五十七年度は財源不足、要調整額が出る、こうなっておりますが、これは一般会計の伸び率をたとえば投資部門については一割以上も見込んでおるということを前提にしておるわけでして、ことしはちなみに一般会計の伸び率は四・三%に抑えたわけです。仮に四・三%に抑えると八千億ぐらいの財源不足にこの試算表で計算してみてなるのじゃないかと思うのです。仮に伸び率をゼロにすれば六千億ぐらいの余剰が出るということになるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  37. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 国の財政の状況につきましては、実は昨日委員会におきましても大蔵省から御説明を一応承りました。もちろんこの夏に予想されます第一次の臨時行政調査会のいわば緊急課題につきましての答申と申しますか、あるいは意見と申しますか、そうしたものの中では、財政再建の今後のあり方等につきましても論じられることになろうとは思いますけれども、いわば歳入歳出ともにいまのところまだ明確な数字が定まっておるというわけでも必ずしもない、このように一応理解をいたしております。もちろん基本的にこうしたような審議を行います場合にあってある程度の目標数値みたいなものを頭に置く必要は、今後の審議の段階にあって必要なのではなかろうかとは思いますけれども、具体的な金額をたとえば幾らに一応仮定するかというふうなことにつきましては、なお十分な審議がまだ行われていない段階でございます。
  38. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いまお話しのとおり、もちろん歳入についても全くの見込みですから、実際に予算編成のときに問題になるのだろうと思いますが、いずれにしても、どこを基準に補助金をカットしていくのかというところは非常に問題でして、各省が仮に前年並みということで五十七年度予算の調整をまずやるかやらないか、あるいは一割上げたところから二兆七千億調整するのだ、削減するのだ、こういうことなのか、非常にあいまいな議論が行われておるのじゃないかと思ってお伺いしたわけでございますが、いずれにしても、補助金の問題を整理合理化に取り組んでいくということについては、個別的に見ますと国民に大変な負担を転嫁する、あるいは地方負担を転嫁するということになりかねないわけでございますから、この点について非常に議論が起こってくるだろうと思うのです。そういう点について、今後手順としてどういうように進めていかれるのか、その辺について長官のお考えを伺いたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 高度成長で肥大化したいまの行政機構等をこの際縮減しよう、そして冗費を省いていわば減量経営をやろうというところでありますから、決して甘いことではな。いのであります。いかにこの犠牲と負担を公平に国民皆様方の間で分け合うか、いかにそれを公平に行うかということが大事なポイントになってくると思います。そういう点についてはわれわれもいろいろ研究をしておりますが、臨時行政調査会においても、その公正とは、公平とはいかなることであるかということで鋭意これから検討が進められていくであろうと思います。そういう面からいたしまして、減量あるいは公平なる負担の分担という面については聖域はない、そういう原則でかからなければいかぬと思います。そういうような考えに立ってわれわれも勉強していきますし、臨時行政調査会の答申も期待して見ておるという状態であります。
  40. 原田昇左右

    原田(昇)委員 乏しきを憂えず等しからざるを憂うということ、まさに長官のおっしゃるとおりだと思うのですが、そこで私はいまお聞きしたことを踏まえてぜひ考えていただきたいことを二、三申し上げますと、まず予算規模でございますが、予算の規模は高度成長時代大体GNP、国民総生産の一一%ぐらいだったのですが、だんだん膨張してまいりまして五十五年度、六年度は大体一八%ぐらいにまでふくれ上がってきておる。確かにこのまま放置したら大変なことになるわけでございますから、予算規模を一部産業計画懇談会あたりで提案しておるGNPの伸び率以下にしたらどうかという提案がありますが、これについてはどうお考えですか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それも一つ考え方であり、基準設定ということは、いかなる基準によるにせよ意味は出てくるだろうと思います。よく賃金決定等に際して生産性の範囲内で賃金の上昇を認めよう、そういう一つのドクトリンがありますが、予算編成についても何らかの基準を設定するということは過大な膨張を抑制する上においても意味が出てくるのではないかと思います。
  42. 原田昇左右

    原田(昇)委員 次に、国、地方を通じてまず公務員給与あるいは定員について歯どめをかける必要があると思うのです。  民間給与並みというのがどの程度の基準で民間並みということになるのか、あるいは春闘で民間のベースアップが行われれば、人事院勧告でそれに準じたベースアップが行われそれが四月から、例年のとおり繰り返しておりますけれども、こういった傾向に歯どめをかけて給与あるいは定員についてもう一回見直す、ベースアップもある程度抑制していただく、こういうことも必要になるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  43. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 いまの国家公務員あるいは地方公務員を通じます定員等の話につきましては、先ほどの先生の御質問の中に、いわば国、地方を通じてものを考えなければならないのではないか、こうしたような御指摘がございました。この点、全く同感でございまして、政府としての統一見解の中にもすでに、いわば国と関係のあります行政につきましては臨時行政調査会審議をする、このようなことに一応なっております。公務員の数あるいは給与等基本課題、こうしたものにつきまして、国につきましては当然のことでありましょうけれども地方につきましても、いわば国の行政との関連におきまして重要な事項につきましては当然一応取り上げてまいる、このようなことになろうかと思います。その中で種々基準等も御検討願えるものと考えております。
  44. 原田昇左右

    原田(昇)委員 この行革は本当に国民的な要望だということから、隗より始めよということでまず国会がみずから姿勢を正すということも必要だと私は思うのです。国会議員の歳費の問題あるいは共済年金の問題、あるいは国会審議においてたくさんの政府委員を動員して、政府関係者をここへ集めなければ国会審議が行われないというようなことでは、行政機構が簡素で能率的であるということに対しての協力する姿勢とは言えないのではないかと思うのですね。これはわれわれも大いに反省して国会みずからも姿勢を正す、そして国家公務員地方公務員の方々にもひとつ姿勢を正していただく、そういう姿勢のもとにこの行革を断行するということでなければいけないのじゃないかと思います。  中曽根長官が非常に御苦労なすって、今回これだけの世論に支えられて行革をぜひやろうじゃないかという空気になってきたことは、私は大変御同慶の至りでございます。われわれみずからも姿勢を正し、そして長官にひとつ存分にこの行革を断行していただくように、いままでの内閣ができなかった課題でございますのでぜひともこの行革の推進について長官の御奮闘を祈りまして、期待いたしまして、私の質問を終えたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の行政改革国民の異常な関心のもとに進められておりまして、結局肥大化した日本行政というものをみんなで改めて、そして引き締まった効率のよい国の立て直しをやろう、そういうことであると思います。一行政管理庁とか一鈴木内閣がやれるものではございません。やはり各党、各派の御賛成と国民全体の御協力なくしてはできないのでありまして、そういう面からもわれわれは謙虚に国民皆様方の声をお聞きして、またそのお力をおかりしたいと思っております。  そういう点から、今回はみんなで行革、みんなで世直し、そういうスケールの大きい考え方に立って世直しをやろう、みんなの手でやろう、そういう考え方に立ってぜひ進めさしていただきたいと思いますし、皆さんの御協力も仰ぎたい、そう思っておる次第でございます。
  46. 原田昇左右

    原田(昇)委員 どうもありがとうございました。
  47. 森下元晴

    森下委員長代理 井上一成君。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 私は、行政管理庁の主管の質疑に入る前に、一つ中曽根長官に伺っておきたいと思うことがあります。     〔森下委員長代理退席、越智(通)委員長     代理着席〕  先日、アメリカの原潜が日昇丸の当て逃げをして三十数時間放置をした、この事件は大変遺憾でありますし、私は許すことのできない事態であると思います。きょう、閣議でこの問題についての何らかの話が総理からあったのかどうか、あるいはこの問題を内閣の一員である行政管理庁長官、元防衛庁長官でいらっしゃった中曽根長官はどう受けとめ、どのように感想を持っていらっしゃるのか、ひとつまずは聞いておきたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の事件は非常に遺憾な事件でございまして、真相を究明して言うべきは言い、ただすべきものはたださなければならない、厳然たる態度を日本は持つべきである。一方において、日米安保条約におきまして日米関係の緊密な協力関係が必要でありますけれども、こういうような不幸な事件を適正に処理すること自体が安保条約をますます緊密な効率的なものにしていく理由になるであろうと思います。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 きょうの閣議では、総理から何かこの問題についての意思表示がなされたのでしょうか。
  51. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 きょうの閣議ではございませんでした。しかし、外務省では鋭化真相の究明に努めている由であります。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 私はそういうこと自体もやはりアメリカに対する日本の毅然たる姿勢というものが明白でない、こういうふうに思うのです。  外務省にこの際聞いておきますが、アメリカからの事情報告、そしてこれに対する対応について外務省として内閣に具申をしたのか、そのことについて外務省から問うておきます。
  53. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  外務省といたしましては、土曜日の正午に外務大臣がみずから在京米大使を呼びまして、ただいま先生御指摘のような原因の解明、状況の報告、今後の措置ということについて早急な措置を求めました。これにつきましては、昨日、本日と鋭意事務レベルで米側と接触しておりますと同時に、随時総理を含む内閣の首脳には御報告申し上げているところでございます。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 アメリカからの事情聴取について、ごく最近、一番新しい報告はいつ、どのようなことを受けられたのでしょうか。
  55. 松田慶文

    ○松田説明員 一番新しいのは、ただいま現在在京米大使館の担当書記官を安全保障課長が外務省に呼びまして、調査の中間報告と督促とを行っております。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 さらに防衛庁についてもこの問題を聞いておきたいのですが、防衛局長はいま御出席でしょうか。——それじゃ、後にしましょう。  それでは、行革基本理念について中曽根長官は、国の活力を求め、さらには簡素で効率的な政府をつくっていきたい、もちろん多様化に即応のできる行政であってほしいと。私は当然そのような方向を持つべきだと思います。非効率でむだな行政経費を削減する、そのような行政改革には賛成であります。が、しかし一方において、力の弱いというのでしょうか、声の小さなそのような部分が切り捨てられていくということについてはがまんがならない。福祉の切り捨てあるいは国の負担地方への転嫁をねらう行革であれば、それは認めるわけにはいかない。真に効率ある、多様化に即応できる政府行政という中曽根長官行革ビジョン、このことに相反すると私は理解するわけです。  そこで長官に、行革のビジョンの中に福祉国家理念は残されているでしょうねということを私はここで尋ねておきたいと思うのです。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 福祉国家理念は生かされていくべきものであると思います。  私、前から委員の皆さん等とも懇談しましたときに申し上げているのでございますけれども、高度経済成長の間に余りにも行政肥大化し過ぎた、ぜい肉がつき過ぎた、したがってこれをいま減量するという当面の急務の仕事があるので、その減量にいま全力をふるっているわけです。時代の流れから言うと、ケインズよさようなら、フリードマンよこんにちは、そういうような時代の流れではあるけれども、日本の経営が全部フリードマン方式でできるものとは思えないし、全部ケインズ方式でできるとも思えない。したがって当面の問題としては、この余りにもぜい肉のつき過ぎたものを減量するについてフリードマン理論を借りてくるという面があると思いますが、日本の固有の体質や日本の発展段階というものをよく冷静に注目しながら考えてみると、やはり下水道の充実であるとかあるいは都市の再開発であるとかストックの不足というものは歴然とまだあるのでございまして、そういう面から見れば、いわゆる混合経済的性格が日本には必要である。これは行革期間を通じてもその理念は死ぬべきではないと思っております。しかし、当面われわれがやらなければならぬことは、このぜい肉をそぐという意味において、外科手術にフリードマンさんを借りてくるという要素もあると思いますが、日本艇の体質や日本の特色というものを冷静に見詰めながらいくということは必要である、こういうふうに考えております。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 いま長官が混合経済という、いわゆるフリードマン方式ですべてを処理していくということも当を得ないし、さらにはケインズ方式を切り捨てていくということにもそれなりの難点があるというふうに理解をされている。それは私も非常にそのとおりだと思います。  そこで、先日、総理自身は、当面の歳出削減行革の第一義に据えたい、もちろん補助金の削減を中心に考えていこう、さらには公務員の削減については総定員法が有効に機能している、こういう消極的な意向をみずから示したと報じられているわけであります。その真意を、これは長官から承るのは間接的になるわけでありますけれども、総理との話し合いの中でそのような考え総理から伝えられたのかどうか。さらには、長官自身は地方定員給与についてまで第二臨調の答申では踏み込んでくれるであろうという見通しを明らかにしていらっしゃるわけですけれども、現況の地方の実態について十分長官自身は御認識を持っていらっしゃるのかどうか、この点についても尋ねておきたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 総定員法の問題について総理と深い話をしたことはございません。しかし、総理には概況は説明してあります。したがって、総定員法が効いていることは事実なのでありまして、昭和四十二年末の定員と五十五年度末の定員とを比べてみましても、中央におきましては約一万人弱減員になっておる、しかし地方においては七十数万人増員になっておる。もちろんこの中には警察とか消防とか教員とかあるいは学校、看護婦関係、必要不可欠のものもございますが、一般行政職の中でもたしか七、八万人ぐらいはふえておるはずであります。そういうような面を総理は指して言われたのではないかと思います。しかし、地方給与定員の問題も中央との関連において討議されるであろうと思います。  以上でございます。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 私は、地方定員が、というのでしょうか、地方は七十三万人の増である、このこと自体は、やはり行政それ自身が直接行政に多くの分野を求めているというか、むしろ国の間接行政はもっともっと効率化する部分もあるわけです。さらには多様化に即応する行政というのは、地方でのいわゆる直接行政の中で必要な部署があるということの一つのあらわれでもある、こういうふうに思うのです。  さらには補助金問題について、総理は一律カットの方法をとりたくないと言いながら、半面補助金カットには聖域はない、こういうことも漏らされているわけです。それで、社会保障関係補助金も含めて財政再建法により一括処理する、あるいは各分野で平等に犠牲を負ってもらうとの方針も示したのだ、こういうふうに言われているのですが、この辺がかなりあいまいだと思うのです。その辺については一体真意がどうなのか。また、各省庁に削減を任せるにしても、やはり何らかの一つの物差しというのでしょうか基準は必要だ、そういうふうに私自身も考えますし、長官自身もそのようなお考えを持っていらっしゃるように私は受けとめているわけであります。そういうことであれば、具体的にはどんな物差し、基準を長官自身は考えていらっしゃるのか。先日の新聞で、補助金を全体で一割削減すると一兆四千五百億円が捻出されるのだ、そういう方針を固めつつあるという報道がなされたわけです。具体的にどのようなやり方をするつもりなのか。また補助金の一括削減にはいろいろと、与野党を問わず、自民党の内部にも強い反対があるというふうに私どもは聞いているわけなんです。こういうことになりますと、声の大きいところでは削減がされないで、声の小さい、つまり冒頭に申し上げた、社会的に弱い立場にあるいわゆる老人や子供たちに対する給付などの大幅なカットにつながっていくのではないだろうかと私なりに危惧するわけであります。そういう点も含めて長官補助金カットに対するお考えをここで聞いておきたいと思います。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財政再建に関しましては、来年度の予算の編成等については、大型新税というものを念頭に置かないで、そして公債を削減しつつ予算編成を行い財政再建に資していくということと、補助金については聖域はない、その二つが総理並びに私から明示されておるのであります。補助金を具体的にどうするかということは、まだせっかく審議会が審議している最中でございますので、われわれから言うべき筋合いではございません。しかし、現実問題としては、補助金をどういうふうに処理していくかというところが大きなポイントになるであろうとは想像されます。それを一律でいくのかあるいはいろいろな加重をつくってやるのか等々の具体的なやり方につきましては、これが一番のいま関心を呼んでいる問題であり、また臨調でも御審議になる一つのポイントにもなると思いますので、われわれとしては臨調の結論をよく見守りたい、そう考えておるところでございます。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 行管庁長官として、もちろん臨調の答申ということの尊重、これはもうそれなりに当を得たお答えになろう。あるいは当然尊重しなければいけないわけですけれども、やはり具体的な行政の中での問題として、こうあるべきだとか、あるいはこういう点を是正していかなければいけない、いわゆる行政をいままで経験してきた、あるいは行政の中での効率のよくない部分、そういうことを処理していくというのでしょうか、それがぜい肉を切っていくのだということにもなるわけです。  私はここでちょっと具体的な質問に入っていきます。  補助金の削減に当たっての対策として、法律に基づく補助金、いわゆる法律補助を含めて全体的な見直しを図っていくということを考えていらっしゃるのか、あるいは補助金を目的別に整理統合するいわゆるメニュー方式、不要不急の補助金を整理していくなどの考えがあるわけなんです。具体的な内容は、地方財政法十条にいう「義務教育職員給与及び恩給並びに義務教育の教材に要する経費」、「義務教育諸学校の建物の建築に要する経費」、さらには「生活保護に要する経費」などについての国の負担分が明確にされているわけなんですけれども、これらの分野もその対象とされるのかどうか、こういうことなんですかまた、補助金のメニュー方式には、地方自治体との関係で言えば、事務の簡素化、地方の自主性の尊重などメリットもあれば、反面、熱心に取り組んでいるところもそうでないところも一律に一定の補助金の交付を受けるといういわゆる悪平等をもたらす側面もあるわけです。そういう点についてはどう考えていらっしゃるのか。いわば補助金削減に当たっての対策としての法律補助を含めた全体的な見直し、目的別に整理統合するいわゆるメニュー方式、この二点を私は挙げて、長官のお考えをただしておきたいと思うのです。
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それらの具体策につきましては、いま臨時行政調査会において至急せっかく検討しておりますので、われわれの方から意見の表明は差し控えたいと思っております。ただ、メニュー化等については総理も非常な関心をお持ちであり、また、補助については法律補助予算補助ともに対象となるべきである、そういう考えは持っております。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 補助金といえばたくさんの性格の異なったものがあるわけです。補助金の多くは地方自治体に対してあるいは地方自治体を経由して交付されている。いわゆる奨励的な補助金は別として、法律に基づく補助金、こういう制度に乗ったものがあるわけです。これらの補助金に対しては、国と地方自治体との財政上の秩序というものに原則を定めている地方財政法との関係から、国の一方的な都合、そういうことで削減をする。そういうものは負担金及び負担金に準じた補助金も含まれているわけなんです。だから、そういう意味での区分をどのように考えていらっしゃるのか、このことについても聞いておきたいと思います。
  65. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 補助金等と通常言われますものの中に、先生御指摘のとおり、いわば通常の奨励的補助金、それからたとえば負担金あるいはそれに類するもの、こうしたものが種々一応ございます。それらを合わせまして十四兆五千億というのが五十六年度の数字であるということでございまして、私ども臨時行政調査会でいま審議の段階でもって、たとえば財政再建と関連するもの、かつまた、いわば四十年代といいますかかっての高度成長期見直しを行うべきものとして、高度成長期を通じて急成長してきましたそうしたような補助金類を対象といたしておるということでございます。その場合にあって、先ほど長官から申し上げましたように、法律補助も、それから奨励的な補助金も、これはいずれも同様に一応見直しを行いたいということでございます。  先生御心配の、たとえば地方財政との関連といったようなことにつきましては、これはもとより前提事項でございまして、そうしたものにつきましては十分配慮しつつ、いわば制度的な改廃ないしは制度的な整序、そうしたものを通じまして、全体としての最も望ましい姿、そうしたようなものを臨時行政調査会において種々御検討を煩わす、また、そうしたようなことでもうて種々御審議をお願いするようなことで一応考えておるわけでございます。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 行政管理庁長官地方財政の実態というものを少し承知をしてもらわなければいけないのじゃないだろうか。地財法の十条に「国がその全部又は一部を負担する法令に基いて実施しなければならない事務に要する経費」あるいは十条の二には「国がその全部又は一部を負担する建設事業に要する経費」、さらに十条の三には「国がその一部を負担する災害に係る事務に要する経費」についての規定が設けられているわけなんです。十条の四には「地方公共団体負担する義務を負わない経費」についての規定もあるわけなんです。ところが、現在でも、この規定に反して、同法十八条にある「必要で且つ充分な金額」を地方自治体に支出をしていない。そこに超過負担というものが生まれてくるわけです。いわば国の負担地方自治体に肩がわりをさせられておる。ちなみに、大阪府下の市町村を例にとりますと、五十四年度で義務教育施設の建設事業、義務教育諸学校の教材費など九事業だけについてみても三百四十九億円、これは地方交付税総額の七・四%になるわけですけれども、それだけの超過負担を押しつけているというのが実態であります。その上に法律上の義務とされている補助金を削減するとなれば、国の財政再建というものはできても、地方はそのしわ寄せを受けて壊滅的な打撃を受けるのではないだろうか。事実私は受けると。そういう点については長官としてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、どういう配慮を加えていこうとなさるのか、この点についても十分聞いておきたい、このように思います。
  67. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それらの点は、いわゆる中央と地方との関係に関連することでございまして、臨調でこれから真剣な討議がなされると思われますので、意見の表明は差し控えたいと思います。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 行管庁長官としてその立場上なのか、私が地方に対する認識は十分お持ちでしょうねということを冒頭に、行革理念というものをお互いにはっきり確認をし合った上でこれを論じ合っているのですが、臨調の答申を待ちたいのだ、いまはしゃべるべきでないと。しかし、実態はこうなんですということについての感想というものはお持ちだろうと思うのです。私は、もう少し地方の実態というものを御承知いただいて、それに対しての長官自身のお考えというのでしょうか、そういうものを聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  69. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、知事会やあるいは市町村長会、あるいは地方制度調査会の御意見等もよく読んでおりまして、それらの御陳情もよく頭に入っております。したがいまして、地方の実情もある程度はよく勉強しておるつもりでございます。そういうものも踏まえまして、いろいろ検討を加えていきたいと思っております。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 地方自治体の実情もよく知っているのだということです。しかし、答弁の範囲内では十分な承知をいただいているのかどうか少し心配になるので、さらに私はあえて指摘をして質問をさしていただきます。  地財法の十一条の二、これは、十条から十条の三までに規定する経費については、地方公共団体負担すべき部分は、地方交付税法の規定に基づいて地方交付税の財政需要額に算入するということになっているわけですし、これは算入されるわけであります。仮に今回の行政改革で、いま私が指摘をした十条から十条の三までの事務に関する国の負担分を削減して、国の負担が各省庁間では確かに軽くなるわけですけれども、いま指摘をした地方交付税法の規定に基づく限りでは、それに相当する額を財政需要額に算入して交付税の交付金で上積みをしなければならないことになっているわけです。各省庁の負担金や補助金交付税交付金に置きかえるだけになるという部分もあるということですね。そういうことも十分御承知なのかどうか。さらに「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化する」のだという交付税法の一条、交付税の目的というのでしょうか役割りというのでしょうか、そういうことを明確にしている今日、地財法の十条から十条の三までに規定された、いま指摘をした、国の負担金を削減した場合にはそれに相当する交付税交付金の上積みが必要になるわけですけれども、いまの交付税は、国税三税の三二%という総額が六条に決められているわけです。仮に国が一方的に地方財政法に規定された国の負担金、補助金を削減した場合には、結果として、その削減分を、交付税の三二%という総枠が決まっているいまの仕組みの中からいけば、負担分は、交付税に上乗せをされる部分と、あるいは三二%の枠から外にはみ出す部分、これは地方団体に肩がわりをさせることになっていくわけです。負担金の削減、補助金の削減で非常に行革が進むのだという反面に、地方自治体における超過負担という余分な財政負担についての思いやり、配慮、あるいはこれに対する中央の取り組む姿勢というものがやはり明確にされていかなければいけないと、こういうことなのです。これは、臨調の答申云々じゃなく、国と地方との一つのつながりの中での現実的な問題を私は指摘をしたわけでありますから、この点について行管としての認識、考えを明らかにしてほしいと思います。
  71. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 補助金と、特にその中で負担金と言われるものにつきましての地方財政法上の取り扱い、あるいは交付税法上の取り扱いにつきましては、もちろん私ども十分承知をいたしております。今回の臨時行政調査会で、先ほど申しましたように、いわば高度成長期肥大化した行政あり方をこの際再検討しようということでございまして、いわば行政政策手段といいますか、行政手段としての補助金というのはやはりその簡素合理化を行う上での大変重要な項目かと、このように一応考えておるわけでありますけれども、当然国、地方を通じまして最も合理的なあり方というのを検討する、また、その適否といいますか、あるいは制度的な背景というのが種々ございますので、そうしたような制度的背景につきまして、この合理化そのものをいろいろと考える、制度合理化することによっていわばその補助合理化をもたらす、こうしたような改革を一応念じておるわけでございまして、いま申しました、国、地方を通じまして補助金制度、あるいはそのあたりのいまの財政の支出のあり方、こうしたものがいかにあるべきかということを十分議論をしよう、このような構えでいまいるわけでございます。  また、先生御心配のいまの地方の問題につきましては、さらに臨時行政調査会委員として地方制度調査会長の御参加も一応煩わしているわけでございまして、また専門委員の方々にもこうしたことにつきまして大変堪能な方がいらっしゃいます。そうしたような方々の御議論を種々いただくことによって、地方負担をそう増大することのないように重々配慮されていくものと、このように考えているわけでございます。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 第二次臨時行政調査会の中長期検討課題の中には、国と地方の機能分担のあり方、及び地方行政合理化が取り上げられておるわけであります。その中で、国の地方公共団体に対する監督、規制のあり方地方公共団体における組織、定員管理方式の見直し等、地方行政合理化課題一つになっているわけであります。問題は国の地方団体に対する監督、規制が多過ぎることにあって、これからの行革の方向は、できるだけ地方に権限あるいは財源等を移していって、むしろ国の監督、規制を少なくする、そういう方向に持っていくべきではないだろうか、そのことは直接行政でいわゆる多様化に即応のできる行政につながっていくと、こういうふうに思うわけです。そういう意味から、単に現行制度を前提としての、補助金を打ち切っていく、そういう発想では決してよくない。むしろ地方に権限を、さらにはそれに見合う財源を移譲していく、いわゆる地方団体の独立性というものを強化する、そのことによって補助金等を少なくしていく、そういう方向で検討すべきである、こういうふうに思うのです。また、地方公共団体における組織、定員、管理方式の見直し等、地方行政合理化は、あくまでも地方自治体がみずからの自主的な検討にゆだねるべき問題であるのではないだろうか。むしろこれは私の意見としては、第二臨調の答申の中に、そういう地方自治体の役割りというものをつぶしてしまわないように十分な配慮が必要である、こういうふうにも思うわけであります。地方自治体独自の行政改革というのでしょうか、効率のある行政指導していくこともまた国の行革の中に含めるべきであって、ただ単なる現行制度を前提とした補助金削減、それのみにとらわれていく発想というものはむしろ危険であるということを指摘しておきたいのであります。この点についての行管庁の考えを聞いておきたいと思います。
  73. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 国と地方公共団体との関係につきましては、先生言われるように、極力地方公共団体、身近なところでもって行政を進めていくということが基本的には望ましいことであろうかと思います。しかしながら、その前提といたしまして、この緊縮財政のもとにおきまして、できるだけ事務、事業の簡素、合理化が必要である。いわばその事務、事業につきまして、それ自体としてその合理性を検討し、その整理を行うべき余地がないのかどうかということがまず一応その前提になければならない、このように考えるわけであります。したがいまして、いまの国、地方関係の問題につきましては、まず事務の合理化を一応検討し、その中にあって国と地方公共団体との関係あり方、それを通じまして地方公共団体にゆだねられる事務につきましてのそのあり方が一応検討されなければならぬ。また、その受け手としての地方公共団体につきましても、これは地方自治の本旨に反しない範囲でもってその合理化が求められなければならない、このように考えているわけでございます。  また、いまの補助金お話につきましても、その中でいろいろと考えられるべき課題一つではございましょうけれども、それはそれといたしまして、補助金につきましては、先ほども申し上げましたように、たとえばその負担金等にかかわりますものにつきましては、すべてその背景に行政制度が一応つながっているわけであります。その制度そのものあり方、この時代にふさわしいかどうか、つまり制度そのもの合理化がまずその前提でなければならない、このように考えるわけであります。したがいまして、単に現行の制度を前提といたしまして、単純に補助率をどうこうするというふうな話ではございませんで、むしろいわば臨時行政調査会で今後の行政制度考えていく場合にありまして、その補助制度そのものが合理的であるかどうか、このあたりについての十分な検討が願えるものと、従来の委員会審議等を通じまして考えているわけでございます。
  74. 井上一成

    井上(一)委員 次に私は、中曽根長官にこの点について聞いておきます。  いま地方公務員給与水準国家公務員に比べて高過ぎる、そういうことが報道されております。ラスパイレス指数をもってそれが示されているわけです。そのことに関連するわけでありますけれども、国が地方団体や外郭団体職員を派遣する場合、現実問題として給与の二、三号アップあるいは役職への任命などを前提とすることが慣例となっているわけです。特殊法人を初めとする天下りの現況については、国民からも強い批判があるわけであります。私は、まずは国から関連団体等への派遣も含めて、いわゆる天下りというのでしょうか、あるいは適所へ配属されたと言いわけをなさるのでしょうか、何らかの形でいま申し上げたように給与の引き上げがあえて二、三号アップという形の中で現実に行われているというこの実態を実は明確にしなければいけない。職員の配置状況、そして派遣状態給与へのはね返りの実態、こういうものをひとつ明らかにしてほしい。  さらには、いま指摘をしたそのような優遇措置というのでしょうか、そういうものに対して、行革の中でこの問題についても検討をされるべきなのかどうか。むしろ地方と国との関係で、権限と財源が国に過度に集中しているために、このような職員の派遣、天下り制度が行われているのだ、こういう認識に立つわけでありますけれども、現状の実情と、それから行革の中でこのような問題についても検討を加えていくのか、さらにはこういう実態についての長官としてのお考えをこの際はっきりお示しをいただきたいと思うのです。
  75. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ラスパイレス指数の問題は、自治省におきましても非常に関心を持って、その平準化、是正方を個別的に指導していると思います。  それから、いまお話しになりました地方へ天下るあるいは異動する場合の給与の格差の問題は、地方給与が上がっている一つ原因にもなっていると思われますが、恐らくいまの中央と地方との給与の均衡の問題という観点から、調査研究の対象になる可能性は十分あると思います。
  76. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、私は具体的な実例を出して長官考えを聞いておきます。  現行の地方団体に対する国の支出金の中に、その目的、使途、効果がきわめてあいまいなものがあるわけなんです。行管としてはいろいろつかんでいらっしゃるであろうけれども、きわめてあいまいな、そして効果が何ら上がっていない、むだな支出金、これの一つの具体事例として自衛官の募集事務委託金、このことについて触れておきます。  これは金額は、五十三年度で予算額が一億二千八百七十八万六千円、決算額が一億二千八百二十八万六千円、さらに五十四年度で億二千九百六十九万四千円、これは五十五年度も五十六年度も何ら変化がないわけでありますが、自衛隊は全国に百九十四カ所の募集事務所を設けているわけです。この年間経常経費も含めて事務費等については後で聞きますが、多額の費用をここで支出しているわけであります。にもかかわらず、募集事務所の近隣の地方団体にも委託金を交付している。これは明らかに二重支出であり、税金のむだ遣いであると思うのです。たとえば募集事務所の近隣の市町村を経由して応募した実績は一体どの程度あるのか、あるいは全くそれらのことにかかわらない自治体もあるわけでありますが、そういうことに対する認識、この委託金の使途及び効果について行政管理庁としてはどう認識しているのか、まずは長官からお考えを承っておきたいと思います。
  77. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自衛隊は法律で認められている国の大切な機関でありまして、これを構成する自衛官の募集につきまして国が積極的に努力することは正しい措置であると思います。その一つの方法として、市町村等に委託費を出して、その協力を依頼するということもあり得べきことであるだろうと思います。私はそのこと自体が間違っているとは思いません。ただ、それがむだに使われているという場合は問題でありまして、これらについては大いに戒めていかなければならないと思います。
  78. 井上一成

    井上(一)委員 行管庁長官、私は自衛隊の募集それ自身に問題があると言っているのではないわけなんですね、いまも言ったように。国の支出金がむだである、こういうことは二重払いだ、こういうことを指摘しているわけなんです。いま大いに戒めたいというお答えでありますから、私は、特に金額の大小にかかわらず取り組む姿勢の問題であるということで、さらにこの点について質問を続けます。  私は事前に防衛庁にもこの問題について十分連絡をして、確かな数字を挙げなさいということを言っているのですが、いまやっと質問を前にして入ったわけなんですが、それもまた非常にあいまいな数字でありますけれども、地方連絡部募集事務所というものがあるわけですけれども、そこで募集業務をやっていらっしゃるわけです。このことについてはまず会計検査院に承っておきたいと思うのですが、いま審議をいたしております五十三年度決算、この中で、これらの、いわゆる防衛庁所管ではありますけれども、自衛隊地方連絡部募集事務所に関係する事務所経費等も十分な検査はなされたと思いますけれども、念のためにここで確認をしておきます。
  79. 堤一清

    ○堤会計検査院説明員 お答えいたします。  人員の関係で、地連に重点を置いて検査するというわけにはまいりませんけれども、それなりの検査をやっておりまして、五十三年度の決算に関しましては四カ所やっております。
  80. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁にお尋ねをします。  いま会計検査院から地連の検査については四カ所、どこを受けたということは別として、それぞれの事務所経費というものについて具体的に数字をもってお答えをいただきます。
  81. 野口陽一郎

    ○野口説明員 お答えいたします。  募集事務所の経費でございますが、自衛隊の人件費、庁費等につきましては、それぞれ陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の運営に要する経費としてそれぞれに計上されておりまして、地方連絡部あるいは募集事務所分というような区分けをいたしておりません。そういうことでございまして、地方連絡部の人件費や庁費がどのくらいになるかというような正確な数字をお示しすることが困難でございます。     〔越智(通)委員長代理退席、森下委員長代理着席〕  ただ、一つの方法といたしまして、自衛官の年間平均給与が三百七十万円でございます。これに、全国の地方連絡部の募集を担当している広報員約三千百人おりますけれども、これを乗じた経費が百十六億四千七百万円でございます。さらに、募集活動本来の経費といたしまして十億二千百万円、予算計上いたしております。これを合算いたしますと、百二十六億六千八百万円ということになるわけでございます。
  82. 井上一成

    井上(一)委員 地連で従事する職員が三千百人、そしていま平均賃金で概算して、募集経費含めて百二十六億六千八百万。市町村に委託費として渡す支出金は別にして、これだけ使われているわけなんです。防衛大学校、ごく最近はやめていく青年もおるわけです。きょうはそのことは別にして、五十年から五十三年まで、採用数が二万四千、二万一千、二万六千、五十三年度は二万一千、さらには五十四年度が二万四千人、五十五年度が二万五千人。そのことによって、自衛官に募集に応じたとしても、一人当たりの募集経費、これは五十万かかるわけです。莫大な経費を投じているという事実が出てきたわけです。これは効率ある行政なのか、非常に判断を要する一つの問題であるということを私は指摘をしたいと思うのです。防衛費の増強、そして反面、福祉の切り捨て、いろいろな意味で、行革の中でいろいろな分野で何やかやと言いながら、切り捨てていこうという面と、効率のよしあしにかかわらず、どないしても存続をさせていこうという分野。  もう一点指摘をしておきましょう。五十四年度、たしかいまの大蔵大臣が農林大臣のときに、いわゆる村落振興ということで、当時は、これは中曽根長官の研究会というのでしょうか、そういうグループの一員であったということに私は承っているわけですけれども、百億円の金を農林漁業村落振興緊急対策事業、国庫補助百億です。こういうものをばんと思いつきでつけているわけです。さらには五十五年度は、今度はそれが農業構造改善村落補助事業、こういうふうに変わって百億つけて、ことしは要求すらなかったと私は承知しています。全くもって思いつきあるいは力の政治、実態に合わない、そういうむだな支出がどんどんと片面で行われている、こういう実情をどのようにとらえるのか、どのように把握するのか。百億の国庫支出金、これは農林水産省関係ですよ。私はあえてここで渡辺現大蔵大臣の名前を挙げたわけです。こんなことをやっている中央の国の政治の仕組み、行政の仕組みに私は怒りを覚えるのです。こんなことこそ直していかなければいかぬ。五十六年に要求すらなかったという実態が、これはまさにもうお答えを示していると思うのですけれども、もっと私は行管長官として毅然たる態度で、さらには、こんなむだなことをしないように、やはり第二臨調の答申に期待をしたいのだというぐらいの決意のほどがうかがわれてもいいのではないだろうか、こういうふうに思うのです。ひとつ長官、私は具体的に一、二例を挙げましたけれども、大変くどい、押しつけた質問になるかもわかりませんけれども、やはり弱いところを切り捨てていくという発想では、行革というものの理念は失われますよ、こういうことを強く訴えたいのです。そのことを、やはり十分芯に置いて行革というものに取り組んでもらいたい。鈴木総理、そして長官政治生命をかけるのだという、何に政治生命をかけるのかということですよ。国民の幸せなんだ。そういうことを考えていくと、やはり私が指摘をしたこういう点もきっちりと踏まえていただかなければ、真の行革は相成らぬということを私は指摘をし、長官考えを聞いておきたいと思います。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革が弱肉強食であってはならぬと思いますし、また国家経費国民が汗を流して働いて得た税金を使わしていただくものでございますから、一銭一厘たりといえどもむだをやってはならぬと思います。  先般、予算委員会等におきまして、各党委員から補助金についていろいろ指摘がございまして、別の名前で登場してきたり、あるいは重複しているもの等々もございました。これらにつきましては精査をいたしまして、今回の臨調の改革におきまして、そういう禍根を絶つようにいたしたいと決心しております。
  84. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は、この際大蔵省に聞いておきたいと思うのです。  減税問題の引当金という形の中で議長裁定が出され、予算委員会においてそれが確認をされたわけであります。五十五年度の剰余金は一体どれぐらいを見込まれるのか、あるいは五十五年度に発行を予定している赤字特例公債のうちの未発行の額は、私は二千二百億と承知しているのですが、これについての年度内発行は予定どおり行われるのかどうか、この点についてまず聞いておきましょう。
  85. 藤井威

    ○藤井説明員 五十五年度の剰余金のお尋ねでございますが、剰余金は、歳出の不用、予備費の不用あるいは税収がどれぐらい入ってくるか、この三つの要因によって決まるわけでございますが、まず予備費につきましては、三月末で使用残が判明いたしております。使用残額九百七十九億円でございます。歳出の不用がどれぐらい出るかという点でございますが、現在出納整理期間中でございまして、最終的な計数が概略で把握できるのは五月末ぐらいになろうかと思います。税収につきましても同様でございまして、六月末ぐらいに概数が把握できると考えております。  特例公債の発行未済額、御指摘のとおり二千二百億円でございますが、これの処理につきましては、従来から出納整理期間中の特例公債の発行につきまして、税収の見通しあるいは歳出の不用がどういうふうになっていくか、そういうものを種々勘案しながら適切に処理してまいったわけでございますが、ことしにつきましても、いわゆる自然体で、そういうような要因を十分考慮しながら、今後自然体で決めていきたいというふうに考えております。
  86. 井上一成

    井上(一)委員 出納整理期間中に発行していくのだという、いわゆるさじかげんで——これは特例公債だから、私が指摘しなくたって、赤字見込みでなければ発行できないのですよ。そうでしょう。赤字見込みでなければ発行できないのだ。あなた方はいつも国会で、自然体でとか、そういうことを言っているわけだ。それは、いつ、どうするのだ。これは二千二百億発行した中での不用額、残り九百七十九億ですか、それだけ予備費が残って、三千億に近い減税引当金だ、われわれはそう理解をしているわけなんです。そうなんだなということを聞いているわけなんです。だから、二千二百億円の赤字公債を発行しなければ減税の引当金はないのですよ、剰余金がなくなるのだから。そうなんでしょう。それを聞いているわけなんです。答弁にならぬですよ。
  87. 藤井威

    ○藤井説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、五十五年度の剰余金の面で、歳出の不用額あるいは税収の収入が、あるいは税外収入を含めまして歳入の収入がどういうふうになっていくか、そういうことが現時点でまだ把握できませんので、それらの計数を見ながら自然体で処理していくというのがわれわれの方針でございます。
  88. 井上一成

    井上(一)委員 議長裁定という国会の最高の権威、これを尊重する、そういうことについては十分理解をしていますね。
  89. 藤井威

    ○藤井説明員 議長裁定は、文字どおり尊重する方針でございます。
  90. 井上一成

    井上(一)委員 減税引当金という形の中で、大蔵はやはり議長裁定を尊重し、そうしてこの剰余金の減税引当分を十分配慮していくべきである、こういうことを強く私から要望しておきます。  時間がありませんが、防衛局長お見えですか。まず、私はさっき冒頭に中曽根長官にも原潜の当て逃げ事件について感想を聞いたわけですが、防衛庁に聞いておきます。もし仮に立場が変わって、自衛隊がこういう当て逃げをする、そんな場合には、法的な制裁あるいは防衛庁としてはどういうふうに対処していくのか。いまの日本の潜水艦では、ひょっとしたら逆にこっち側が沈んでしまうかもわかりませんよ。わかりませんけれども、自衛隊がこういう事件を起こした場合には、法的な制裁はどういうことが加えられるのか、ちょっとその点を聞いておきます。
  91. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のように、もし当該潜水艦が日本の自衛隊の潜水艦であった場合のことを考えますと、今回の事件がきわめて重大な残念な事件であるということを痛切に感ずるわけであります。  もし自衛艦がそういう事件を起こしたとした場合にどういうことが考えられるかということでございますが、もちろん前提といたしまして絶対にそういうことがないということを平素十分戒めておりますし、そういうことは考えられませんし、また、考えた上でどういうことをするということを考えたわけでもございませんが、もちろん法規に照らして厳正な処置をとるべきであるというふうに考えます。  具体的にどういう条文でどうなる、もちろんそういうことは調査の結果なりその時点のいろいろな状況によって変わるわけでございますけれども、具体的にどういう条文でどういうふうな判断をするであろうかというようなことにつきまして、いまここで急にお答えできませんが、自衛隊といたしまして厳正な態度をもって臨むということを申し上げたいと思います。
  92. 井上一成

    井上(一)委員 私は、もし仮に自衛隊がこういう事件を起こした場合にはどうなのですか、三十五時間もほったらかしにしておくということ、あるいは人命救助の対応をしない、そんな具体的に今回起こったそういう問題を自衛隊であればこういう法規によってこういう処分がなされるのだということを聞いているのですよ。厳正にとか、きっちりとかではなく、どういうふうになるのですか、こういうことなのです。
  93. 塩田章

    ○塩田政府委員 事件の起こった後の連絡が遅いとか救助をどういうふうにしたかということが今回の場合きわめて、少なくとも目下、明らかでないわけでございますが、そういうふうなことは私ども、もしケースが自衛隊の場合、全く考えられません。そういうことはあり得ないと思いますが、なおお尋ねでございますが、やはり事件によって、ちょっと法律の名前は忘れましたが、海上の衝突に関する法律があると思いますが、そういった観点からの処分も当然あるでしょうし、それから自衛隊法に基づく処分も当然あるだろうというふうに考えます。
  94. 井上一成

    井上(一)委員 公海に関する条約十二条の一項ですか、そういう法律、あるいは自衛隊法、こういうことですね。  さらに、私は、防衛局長、この折だからちょっとあなたに注意をしておきます。  前回の委員会で私の質問で、アーミテイジ氏の来日は具体的に何か提案、話があったかということに、レーガン政権になって初めてのアジア訪問で、表敬的な訪問だというように、いま会ってきたところですがというような前段の前置きがあって答えられたように私は記憶しているのですけれども、すかさず翌日には、その会った内容等が大きく報道されているのですよ。国会の中で、委員会の中で審議があったら、きっちりした、素直な、正直な答弁をしていただかないと私は困る。後でわかるから、お互いに気分がよくないし、こんなことではやはりつまらぬことになりますよ。だから、このとおりだと思うので、やはりこういうことをきっちり答弁をしてもらわないと困る。  さっきから行革に絡んで自衛隊の問題も取り上げて、私どもはいわゆる一定の党の方針というものがありますけれども、現実という問題を踏まえての中での論議を仮にしても、自衛隊あるいは防衛庁にかかわる経費、むだな、効率の悪い、そういうことは十分戒めていかなければいけないということをここで指摘をしておきたいと思うのです。  余り時間がありませんので、さらに中央競馬会のことについて一点指摘をして、長官のお考えを聞いておきたいと思います。  中央競馬会はいろいろと問題をはらんで非常に複雑な仕組み、あるいはぜい肉を取らなければいけない点がたくさんあるわけですけれども、五十五年度に国庫に五百億円を第二納付金制度として納付したわけでありますが、特別積立金制度があって、五十五年度末ではたしか二千八百四十五億円の金額が積み立てられております。そこには現在資産として大多数が積み立てられているわけですけれども、現認としては、私の方に報告をいただいたのは五十二年度で三百十一億円、五十四年度で四百八十七億円、五十五年度で七百七十億円、これはまだ表に出ていない数字だということですが、これで間違いないのかどうか、これも確認をし——第二納付金で五百億を国庫に納付したわけです。私は、この中央競馬会の金を国庫に納付せよ、そういう意見をここで申し上げるのではありません。行管長官に、政府全額出資である中央競馬会の仕組み、天下りの温床、運営の実態、さらにはその取り組み、こういうことを十分承知なさっていらっしゃるのか、承知なさっていらっしゃるとするならば、ひとつ私に長官からお答えをいただき、さらにはこのいま数字を挙げて指摘をした現認を含めての特別積立金、これの運用と使途についての十分な考えを持っていらっしゃるのかどうか、さらには、いわゆる特別積立金の処分等については政令で定める、こういうことになっております、政令があるのかないのか、いろいろと中央競馬会に対する行管としての考えをひとつ聞いておきたいと思います。
  95. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央競馬会の実態等につきましては、昨年の八月以来特殊法人の一環として行管でも洗いまして、その内容についてはかなり深く見きわめてきておるつもりであります。また、先般大蔵委員会において社会党の委員からその実態につきまして事細かに質問、説明がございまして、大蔵大臣との間に例のテラ銭問答みたいなものがあり、私も拝聴しておりました。競馬会の実態につきましては今後とも引き締めていって、そしてむだのないように効率化していかなければならぬと思っております。  詳細につきましては、御要望によりましては政府委員から答弁いたさせます。
  96. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 突然のお話なので資料を持っておりません。ただ、先生の御指摘の点、今後いろいろ御意見を伺いながら適切に対処し、考えていきたいというふうに考えております。
  97. 井上一成

    井上(一)委員 それでは私はもう余り時間がありませんが、この競馬会のいまの問題についての資料と、それから答弁、さらには前段でさっき申し上げた、国家公務員が関連地方公共団体あるいは関連機関に天下っている、表現が悪ければ配置転換、あるいはそういう形の中でベースアップは二、三号アップの実態があると私は言ったわけですが、行管がつかんでいるそういう事実、そして人数、そして給与法のベースアップのそういう状態、私の方から指摘するよりもあなたの方から資料を出してもらったらいいと思うのです。二、三号アップということを必ずやっていますから、全然そういうことはないというなら私の方から出しますけれども、そういう実態を午後の冒頭に私に資料を出してください。そして、その分の質疑については留保して、私の午前中の質問を終えます。もし午後の冒頭でなければ、委員長、本委員会の一番最後でも結構でございますから私に提出してもらうということで、私の午前中の質問を終えます。
  98. 森下元晴

    森下委員長代理 この際、午後一時二十分まで休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  99. 森下元晴

    森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、井上一成君の質疑に関して農林水産省から発言の申し出がありますので、これを許します。井上審議官。
  100. 井上喜一

    井上説明員 お答えいたします。  二点ございましたが、まず第一点の、日本中央競馬会の各年度決算後の特別積立金のうち、流動資産対応額で次年度に固定資産化いたします金額を除きました流動資産についてお答えいたします。  昭和五十二年度三百十一億一千七百万円、約三百十一億円、昭和五十四年度四百八十六億五千万円、約四百八十七億円、昭和五十五年度七百六十九億三千六百万円、約七百七十億円でございます。  第二点の、中央競馬会法第二十九条第二項の特別積立金の処分の政令でございますが、現在政令は定めておりません。これにつきましては、特別積立金を処分をするということは具体的に取り崩すという意味でございますので、具体的に処分をする事態が発生いたしまして政令を定めることといたしているからでございます。  以上でございます。
  101. 森下元晴

    森下委員長代理 質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  102. 新村勝雄

    ○新村委員 最初に長官から。  すでに出ましたけれども、行政改革基本理念、これについて、政府は今回こそはということで本気で取り組んでいらっしゃるということはよくわかるのですけれども、それには関係方面、特に国民に十分な理解と納得がなければ成功はしないと思うわけです。従来、政府は、歴代の内閣がいずれも行政改革を唱えない内閣はなかったわけです。ところが実際に、その実効は余り上がっていない。たとえば五十二年十二月二十三日、閣議決定による行政改革の推進というものがあるわけなんですけれども、それらを見ても行政改革基本理念、大げさに言えば哲学というものが明らかにされていない。今回においても、金を減らし、人を減らし、仕事を減らせばいいのだ、そういう具体的なことしかないわけでありますけれども、もう少し基本的なあり方、特に行政あり方、そしてこの行政改革によって行政あり方が長期の歴史の流れの中で変わっていくのかいかないのか、変わるとすればどういう方向に変わっていくのかということについての御説明がほとんどないわけでありますけれども、それらについてまず長官から伺いたいと思います。
  103. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ここ十数年の流れを見ますと、たとえば第一次の臨調の答申等は、日本が発展、成長する戸口でつくられたものでございまして、大体そういう性格がかなり内容に盛られていたと思います。国土庁を新設するとか、あるいは内閣に総合的なマシンをつくるとか、そういうようなわりあいに成長期にふさわしいような内容がありました。しかし、また一面において、補助金の整理やあるいは地方出先機関の整理統合等も強調していたこともあります。しかし、石油危機以来高度経済成長はとまりまして低成長時代に入りまして、それからコンピューターの異常な発達に基づく情報化社会の出現とか、そういうさまざまな変化もございまして、それらの変化に対応するような行政機構、機能、体系を確立しなければならない。そういう意味で第二次の臨時行政調査会も発足いたしましたし、われわれは行政改革を行わんとしておるのであります。今次の行政改革理念や方向につきましては、井上さんに対する御答弁で申し上げましたが、ああいう筋に沿ってやっていきたいと思っておるところでございます。
  104. 新村勝雄

    ○新村委員 余りよくわからないのですけれども、長期的に見た場合に、行政あり方というのは、これは資本主義の初期からずっと見てみますと、最初の自由競争、資本主義の勃興期、自由競争が本当にほとんどそのまま、その形で運営されておった時代には、国というのは夜番をしていればいいのだ、いわゆる夜番国家というようなことが言われた時代もあるそうでありますが、それ以来、資本主義が高度になる、あるいはまた一面では資本主義の危機というようなことがあって、恐慌というような時代もあったわけでありますけれども、そうなってまいりますと、自由放任の競争社会に任じておくわけにいかぬ、資本主義そのものがいろいろの矛盾を露呈すると同時に、また資本主義そのものを放置しておいたのではいわゆる弱肉強食ということになって、弱者は非常に不利な立場に置かれる。そういう弱者を守るという一つの見地から、あるいはまた資本主義の強化というか延命というか、それを図るという観点もあって、行政の機能、経済社会における行政の機能というのが非常に重視されるようになってきたし、また必要が生じてきた。そういう意味で、近代資本主義国家というのは経済社会に対する行政の介入というか、ある意味では管理というか、そういうものが非常に強化をされてきたわけでありますけれども、それがここのところちょっとその方向を変えざるを得ないというようなことでこの行政改革が提唱されているのか、あるいは、いままでの基本的な方向、まあ本質論については変わりはないけれども、高度成長時代のいわゆるぜい肉を落とすという、そういうきわめて一時的な、便宜的な方向でこれがやられるのか、そういうやや中長期的な観点からの行政改革、すなわち今後の行政あり方、それがどういうふうに変わっていくのか、そういった点でのお考えはいかがですか。
  105. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いわゆる夜警国家論というようなものが日本にいま該当するとは思いません。しかし、分析理論としては、夜警国家論であるとか、さまざまな議論が出てまいると思います。がしかし、政策論として出てくるのは、みんないわゆるポリシーミックスというような、いろいろ複雑な要素を組み合わして立体的に構成したものが政策論としては出てきておるのだろうと思います。その政策論を形成していくために過去の経済体制そのほかを分析して分析論が出てきて、その分析理論を根拠にしながら政策論が形成されてくるというのが実態ではないかと思うのです。  日本の体質等を考えてみますと、後進国から出発いたしまして、先進国に追いつこう、いわゆるキャッチアップを一生懸命やってきまして、十数年前にようやく経済的にはキャッチアップができたと思いますが、社会的にあるいは社会資本的にそれができているかどうかはまだ疑問の要素もあります。もちろん部分的にはもう到達したものもございますけれども、全体的に見たら西欧国家から比べればストックがまだ非常に少ない状態ではないかと思います。また、その間にいろいろキャッチアップするためにエンジンをふかして出過ぎたところもあるし、肥大化し過ぎたところもあるし、あるいはいわゆる福祉国家という思想からそれが乱用されて、それが政治的ないろいろな選挙そのほかのかげんで特に肥大化したという要素もなきにしもあらずであります。これは人間がやることでありますから過ちが起こるのは当然でございますが、それらを全部踏まえまして、日本がどういう姿で今後長期的にいくのが正しいかという根本的理念や、わが国家、民族、生活の体質を分析しながら、その基本的な軌道を外さないように弊害をためていくというのが正しい考え方ではないかと思うのであります。そういう観点に立って、けさ井上さんに対する御答弁を申し上げたのでございまして、そういう意味で御理解願いたいと思うのであります。
  106. 新村勝雄

    ○新村委員 行政肥大化というお話がありましたけれども、そして同時に福祉的な面での肥大化というようなお話もありましたけれども、そういたしますと、今度の第二臨調の発足の過程あるいはまた顔ぶれ等から見まして、従来の路線を変更していわゆる資本主義的合理主義をそこに貫徹していこう、そのことを通じて経費の節約あるいは人員の節約を図ろう、こういう考えが何か感じられるわけであります。第二臨調の会長が財界の巨頭であるというようなことがありまして、それらを通じていわゆる資本主義的合理主義、これをやはり行政にも貫徹していこうというお考えがあるのかどうか、その点はいかがですか。
  107. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 資本主義的合理主義というものはないと思います。経営合理主義というものはあるだろうと思います。資本主義的合理主義というと、利潤追求を中心にしていまのような効率化とか冗費を節約するとか、いろいろなそういうものがあると思うのであります。その中にはまたある意味においては自由放任的な思想も入っておりますが、行政というものは国家統治の機構及びその機能に関するもので、国家統治という面については外交も防衛もあるいは社会福祉も教育も全部包含されておるわけでありまして、その中には非経済的要素もかなりあるわけであります。そういうものを全部総合しながらどういうふうに効率的な政府をつくっていくかということが課題でありますので、資本主義的合理主義という考えでこれをやっておるものではございません。
  108. 新村勝雄

    ○新村委員 いや、それはそういう手法なり考え方なりがあるかどうかということを伺ったのであって、資本主義社会と国家権力は違いますので、もちろんこれは同じじゃないのですけれども、いまの国あるいは地方団体は会社であればとっくに破産しているとよく言われるわけでありますけれども、その思想はやはり経済合理主義をもっと行政にも取り入れろということなのですね。そういう考えがあるかどうかということを伺ったわけであって、決して国と資本主義社会を同じに見ているわけではないのですけれども、経済合理主義で行政も律していこうとするのかということを伺ったわけですけれども、その点はいかがですか。
  109. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 経営合理主義ということが部分的に取り入れられるだろうと思います。
  110. 新村勝雄

    ○新村委員 国家の機能というか使命というのは、やはり資本主義をあみ程度管理するという面があると思いますね。それと同時に、国民各階各層の弱い部分行政の力を通じて補強していくという機能があると思います。それからまた、きわめて常識的なことでありますけれども、財政の最大の機能はやはり所得の再配分ということがあります。そういった近代国家基本的な要請である所得の再配分であるとかねあるいは弱者の救済であるとか、それらを抱合するところの国全体としての均衡ある発展、特に所得の面における均衡を確保するというようなことからすれば、これは経済合理主義あるいは経営の合理化とは全く違った概念というか違った観点から考えなければいけない面がかなり多いわけですけれども、それらを忘れて、単なる経営合理主義というものだけを先行させるということになると、行革が弱者切り捨てになるという心配があるわけでありますけれども、その点については十分なる配慮と、それから絶対そうならない、あるいはまた福祉国家としての後退をいささかも許さないという御決意があるかどうか伺います。
  111. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 経営不合理主義的な要素は余り目につき過ぎて肥大化しましたり乱費が多かったり、そういう面から経営合理主義を採用してこれを直そうというのは、部分的にそれが採用されているということであると思います。やはり行政というものは統治機構の下請をやっておるようなものでございますから、必ずしも経済合理主義のみで貫かれていいものではない、むしろそれに反するようなことも行われるのは国家として当然のことで、そういうことに対する広い視野と、それから見識を持たなければ国家の統治はできないだろうと思います。
  112. 新村勝雄

    ○新村委員 いま長官の言われた見識、いわゆる政治哲学というか、それをもう少しはっきりと国民に知らせて、こういう考え方で、こういう方向でやるのだという基本的な路線が明らかでないと思うのですけれども、この点についての明確な指導理念を今回の行革基本に据えないと、国民に本当に支持される行革にはならないのではないかということを申し上げたわけであります。一口に申し上げると、行政特に近代国家行政というものは、むしろ経営の合理主義とは反する面が非常に多いと思うのです。むしろ経営合理主義とは反対のことをやることによって国民全体の福祉を図っていく、あるいは所得の再配分をやっていく、こういう面が非常に多いと思うのです。ですから、そこらを十分確保しながら、しかもむだを省いていくということでなければならないと思うわけです。そういうわけで、よく言われるぜい肉、よく長官も言われますけれども、いわゆるぜい肉というものは一口に言ってたとえば一、二の例を挙げてお答えをいただくならばどういうことであるのか。
  113. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 よく言われますように、補助金のむだ遣いとか、あるいは社会党の皆さんも御指摘になったように、二重の補助金とか、あるいは名前の移しか又の補助金が出てくるとか等々が、やはりそういう中に入るのではないかと思います。
  114. 新村勝雄

    ○新村委員 本当の意味のぜい肉を徹底的に落としていただく、しかし、ぜい肉と思って大変な実際の筋肉は切らないように特にお願いをしたいわけです。  それで、行革をこれから進められるわけですけれども、その前に、その前提となる一つのものがあるのではないかと思うのですね。それは政界、官界の浄化、自粛、それから金権体質の一掃、それから最も貴重な国民の税金をいかに有効に使っていくか、財政資金の有効な使用、こういうような行政基本的な問題あるいは心構え、これを確立をしていかなければいけないと思うのです。  これに関連して、特に長官に御見解を伺いたいのは、ロッキード事件に端を発したいろいろの一連の政治の疑惑ないしは腐敗があったわけですけれども、これらに対して政界が厳しい反省をいたしまして、そのためには資金の効率的なしかも公正な使用を確保する意味からも、それからまた、政官界の粛正というか自粛を図るためにも、会計検査院法の改正をすべきである、こういう国会決議、委員会における決議が三回ですか、両院の本会議における決議が実に五回あるわけですね。それで、会計検査院からもこの問題について具体的な改正の要綱を、ぜひこれは実現をしてもらいたいということを政府にすでにもう要請がされておるわけであります。そして、福田総理以来歴代総理も、この問題については積極的に前向きに対処します、こう約束なさっておるわけです。ところが、依然としてこれが国会提出のめども全く立っておらない。いつ成立するのだかしないのだか全くわからないという状況にあるわけでありますけれども、この問題は行革一つの前提をなす重要な課題ではないかとわれわれは考えておるわけです。それからまた、国会が本会議においても委員会においてもたび重なる意思表示をしておるにもかかわらず政府が全く動かない、こういう状況長官はどうお考えですか。
  115. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点は内閣官房長官におきましていまいろいろ調整努力中でございますので、その成果を見守ってまいりたいと思う次第でございます。
  116. 新村勝雄

    ○新村委員 内閣の副総理格の長官でございますので、しかも、これは政治の基本にかかわる問題でありますので、もう少しこの問題についての長官のお考え、こういう法改正は必要があるのか、ないのか、それからまた、国会の明らかな決議という意思表示がたび重なって行われたにもかかわらず政府がおこたえにならないという、そういう事態をどうお考えになるか。
  117. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御決議は尊重さるべきものと思います。ただ、それを具体化するという際に、介入というものがどういう効果を及ぼすか、規制とか介入とかというものはよく正義あるいは福祉の名前において行われることが多いのでございますけれども、実際それが行われる段階になると、弊害を及ぼしてくる。そういう弊害がまたかなり目に余るものも出てきておる。こういう意味において現在行革がまた叫ばれている。そういうような背景もございまして、恐らく官房長官が調整に苦慮されているのは、その規制とその関係をどういうふうにしたらいいかというところにあるのではないかと、そう想像しております。
  118. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題については、この委員会でも、もう時間にして数十時間、あるいはもっとであるかもしれませんけれども、論議し尽くされたことであります。しかし、幾ら論議をしたって実効が上がるものじゃないのでありまして、政府がその決意で臨んでいただかなければどうにもならないわけであります。この間のこの委員会でも、官房長官はこういうことを言われているのですね。この問題は大臣の判断じゃなくて、むしろ役人に聞かなければわからないのだ、こういうようないまの官僚機構ないしは政府行政に対するあり方、取り組み方、これにきわめて疑問を抱かざるを得ないような発言もあったわけでありますけれども、いまやもうこれは官僚の段階で議論をするという時期ではないと思うのですね。総理あるいは内閣各閣僚諸公が最終的な政法判断をすべき段階にもう来ていると思うのです。こういう問題を何年討議してみたって同じですよ。しかもいま行政改革をしようとしておるきわめて重大な段階で、これはやはり行政あり方あるいは行政改革の重要な柱の一つになると思うのですけれども、この問題を素通りして行革に本当に取り組めるかどうか、これをわれわれとしては疑問なきを得ない。そういう点での長官の政治判断をぜひ早い機会にお願いしたいと思いますけれども、いかがですか。
  119. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見はよく理解できますが、せっかく官房長官がいま調整作業中でございますので、これを見守りたいと思います。
  120. 新村勝雄

    ○新村委員 鈴木内閣の副総理格というか、政治方針なりあるいはあり方なりを左右をするお力を長官はお持ちであるはずでありますね。ですから、官房長官に任せておくということももちろん必要でしょうけれども、それだけではなく、日本の政治のあり方、あるいはいろいろ問題になっておる金権体質あるいは政界、官界のあり方、これらを改めるためにも、ひとつ一大決意を持ってこの問題には対処をしていただきたいと特にお願いをいたします。  次に、行革の問題であります。  行革については臨調にすべてを任してあるからということをよくおっしゃいますけれども、そうおっしゃるだけではなくて、長官としてのお考えをできるだけ具体的に示していただきたいわけであります。  これから行革を進めるに当たって、行革を阻害をする要因にはどういうものがあると思いますか。
  121. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革を阻害する要因と申しますと非常にむずかしい問題でありますが、われわれの努力の不足あるいはPRや理解、御認識をいただくそういう努力の不足等々もまず基本的にあると思います。また、一面においては、自分たちの利害が損なわれると、それが不当に損なわれるという誤解から反対運動が起きて、それが阻害の原因になる。そういう問題もありましょうし、あるいは、できた案自体が非合理的な案であるがために、そういう阻害要因がさらに加重されて大きくなる、そういう問題もあると思います。
  122. 新村勝雄

    ○新村委員 行革、これは事新しく行革ということを言わなくても、行管では、いわゆるぜい肉、全くむだな部分を排除をして資金の効率的な運用ということは、常に心がけていらっしゃるわけでありますし、今回の行革とは必ずしも関係なしに常時勢力をされていると思います。  そこで、いままでいろいろ問題になっておることの一つに高級官僚の天下り、もう一つはいわゆる渡り歩きという問題があるわけですが、この問題は、その考え方をもう少しはっきりしておきませんと、地方団体との関係もありますし、行政あり方あるいは公務員あり方として今後とも無用な議論を繰り返すことになると思うのですけれども、いわゆる天下りあるいはポストを転々とすることについての長官基本的な考え方はいかがですか。
  123. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いわゆる官庁が自分たちの安住を目指して植民地みたいに機構をつくっておいて、自分がそこを退職したらそのつくっておいた植民地みたいな機構に就職する、そういうのを意図的に行われるのを天下りというのではないかと思いますが、そういうことはよくないと思います。
  124. 新村勝雄

    ○新村委員 先ほども議論がありましたように、地方団体公務員給与が、いわゆるラスパイレス指数が国よりも高いというようなことを言われましたね。これは、事実そういうことがあると思います。あると思いますけれども、地方団体職員には、特に市町村の職員には中央官庁のようないわゆる天下りあるいは渡り歩き、こういうことは全くできないのですね。六十なら六十で申し合わせの退職をすれば、それでもう生涯の公務員としての仕事が終わるわけです。あと、どうしても就職したいということになれば、これはどこかの会社の嘱託にでもなるかあるいは守衛にでもなるかという道しかないわけです。そうなりますと、給与はもちろん半減されます。あるいは三分の一ぐらいになるかもしれません。ところが中央官庁においては、依然としていわゆる天下りが、高級官僚におきましてはほとんど全部の方が、全部とは言いませんけれども、非常に多くの方が天下りをなさっておる。しかも、それがポストを次々に転々として動いていらっしゃる。しかも、そのたびに高額の退職金を支払われておる。こういう事態ですね。それこそ隗より始めよでありまして、中央の役人の皆さん方が自粛をしなければ、地方団体給与が高いなどと言うことは、これはもうとてもおっしゃられた義理ではないと思うのですね。  こういう点について、いま定義をおっしゃいましたけれども、定義ではなくて、天下りということ自体が公務員の人事管理の体系あるいは給与体系からして、あるいはまた今後の政治のあり方という点からしてどういうふうに位置づけられるべきものであるか。いいのか悪いのか、悪いわけじゃないでしょうけれども、これを今後の中央の人事管理あるいは給与体系の中で位置づけをどうするのかということを、やはりこの際はっきりしておかなければならないと思うのですが、その点、長官はいかがですか。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央官庁等において公務員であった者がその関係する特殊法人等に再就職するというようなことは、よほど厳格に適正に行われなければ誤解を受けるし、また必ずしも妥当でないことが起こる、そういうように思いまして、いまこれは人事院規則その他でかなり厳しく監督しておりますけれども、現在ある状態をこのまま放置していいとは思いません。
  126. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、これは全面的にそういうことをやめるということではないのですか。好ましくないというお考えですか、それとも現状程度のことは今後ともやっていくということですか。
  127. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これらは臨時行政調査会で御議論なさることであると思いますので、私の個人的意見の表明は差し控えさしていただきたいと思いますが、現状を是認する考えはございません。
  128. 新村勝雄

    ○新村委員 臨調にすべてお任せするということ、これは時期が時期ですからそうおっしゃるのでしょうけれども、行管ではいままでもそういう事態をずっと扱っていらっしゃったわけですよ。行管というのはいま忽然とあらわれたわけじゃなくて、そういうことを含めた行政の管理をその主管事項としていままで長官以下多くの方々が努力されてきたわけであります。そういう中で天下りということが広範に行われ、現在も行われておるということでありますが、現在の長官の心境として、この天下りということに対する評価を伺っているわけです。
  129. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 人事院規則でもこれを規制され、あるいは内閣の訓令あるいは閣議決定、閣議了解等におきましても常にこれを正しく規制し、あるいは是正しようと努力してきているところでございまして、その線上でさらに努力していかなければならない、そう思います。
  130. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、この事態は余り好ましいものではない、特に必要ある場合を除いては避けるべきだというのが長官のいまの御答弁だと思います。そうしますと、それを監督されておる行管としては、行管の役人さんが天下りされたという例はいままでありますか、ありませんか。
  131. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行管の職員が天下ったという例はないと思うのです。この前の辻事務次官が国民金融公庫のたしか副総裁になりましたが、これは行管庁とはそう関係がない国民金融公庫で、むしろ大蔵省系統の機関でございます。これは行管庁なるがゆえにというよりも、私の感じとしては、根は大蔵省から来た人であるので、どうもそういう系統をたどって行ったのではないかという感じがいたしますが、あるいは間違っているかもしれません。
  132. 新村勝雄

    ○新村委員 行管から天下りがないとおっしゃるのですね。本当ですか。
  133. 門田英郎

    ○門田政府委員 当庁の昭和五十五年度中に離職した職員で特殊法人に再就職した、先生のおっしゃる天下りというお話でございますが、ただいま長官がお答え申されましたとおり、国民金融公庫の副総裁に就職いたしました辻前事務次官一名でございます。  なお、昭和五十二年十二月、福田内閣時代行政改革の閣議決定で、できるだけ民間から特殊法人の役員に登用するようにという方針が決められまして以来、したがいまして昭和五十二年度以来三年間、この数字を申し上げますと、特殊法人の常勤の役員に就任した者は計五人でございまして、内訳は五十三年度に三人、五十四年度に一人、五十五年度に一人、計五人でございます。
  134. 新村勝雄

    ○新村委員 長官先ほどないとおっしゃいましたけれども、あったわけですよね。御心境はいかがですか。
  135. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 勉強不足でありまして、まことに遺憾の意を表します。
  136. 新村勝雄

    ○新村委員 中央官庁の高級公務員の方々はきわめて優秀な方だと思います。それはだれも認めるところです。しかし、生涯をというか定年までですけれども、その官庁に国家公務員として奉仕をしようという意気に燃えて就職をされて、そして定年あるいは定年に近いということになればそこで一応その方の使命は終わるわけです。しかも、その後の生活についてはほぼ完全な保障があるということであって、その方の生活上の不安は全くないわけです。それにもかかわらず、いろいろと場合によっては、先ほど長官がおっしゃったように、天下りの先まで考えて配慮されていろいろな団体をつくられるというようなことも巷間伝えられておるわけです。そうしてそこに天下りをする、あるいはそこを転々として動かれるということは、これは国家公務員全体の人事管理という点からしても、あるいは別の面から、給与体系の確立という面から言っても決していいことではない。そういうことが全然なければそれが最高だと思うのです。しかし、特に特別の知識、技能を要するあるいは特別の経験を要するというポストについてだけこれはきわめて例外的に認められるべきものであると思うのですけれども、それが現在はそのらちをはるかに超えて運用されているということはきわめて遺憾だと思います。しかも、こういうことを申し上げることは必ずしも妥当ではないと思いますけれども、給与等においてもちょっと納得しがたい高給だと思います。現在の事務次官が手当を入れて九十二万三千四百円なのに対して、特殊法人の総裁はほとんどこれを超えておるわけです。事務次官というのは一般職の役人の最高でありますから、これを超えるということ自体が給与体系の上から言って適当ではないと思うのですけれども、それらの点はいかがですか。
  137. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生御指摘の特殊法人の役員の人事の問題は、これは各主務大臣及びその官房長官の所管でございまして当庁の所管ではございませんけれども、役員の大事につきましては五十四年十二月の閣議了解で民間人の登用と半々にするという目標が設定されておりますので、現在そのようになっているというふうに考えております。ただ、この際、人材登用の面から、全くそういうことがなくなるか、全くいけないかというふうな点も考えられますので、なかなか実際上むずかしい点があろうかと思います。ただ、その運用につきましては、常に適正な運営、あるいは先生がいま御指摘になりましたような、たらい回し的な異動というふうなものは、これもまた適切に考えて処置していくということが必要かと思います。  それから、ただいまの給与の問題でございますが、これも直接には当庁の所管ではございませんけれども、特殊法人の役員の給与は、やはり民間の企業の役員との性格の類似等もございまして、そういうものとの均衡上定められるというような点もございます。そういうことで、ただいま先生が御指摘のような点はあろうかと思いますけれども、これもまた適切に配慮されるべきものであるというふうなことが先ほども申し上げましたような閣議決定にも盛られておりますので、十分に今後そういう点は注意して運営していくということに心がけたいと考えております。
  138. 新村勝雄

    ○新村委員 特殊法人の役員の給与は所管の大臣が決めるとおっしゃいますが、そうしますと、やはりこれは統一性がなくなると思うのです。行管あるいは内閣等でそれを統一的に指導するのが適当ではないのかと思いますが、それらの点と、それから民間の企業との均衡ということでありますけれども、これは、特殊法人の役員というのは公務員ではないでしょうけれども公務員に準ずる立場にあるわけですから、公務員給与体系に準ずることが必要ではないかと思うのです。ところが住宅公団の総裁にしても道路公団の総裁にしても国鉄総裁にしても国の指定職の最高よりも高いということでは、ちょっと納得がいかないわけです。今後この問題について、これもやっぱり臨調ですかどうかわかりませんけれども、そこに一定の統一性というか政府としての見解がなければいけないと思うのですけれども、その点は長官はいかがですか。
  139. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公務員やあるいは特殊法人の給与体系というものはやはりバランスを得て適正に行われる必要があると思います。それらの問題については総理府あるいは内閣官房において適正にこれを見直したりしておるのではないかと思います。
  140. 新村勝雄

    ○新村委員 それから組織の問題ですけれども、特殊法人の場合には意思決定機関というのはないわけで執行部だけですね。その執行を所管の大臣が監督をする、こういうことですか。そうしますと、総裁、副総裁、理事というようなものがあるわけですけれども、最高責任者としての総裁あるいは会長と、あとはその命を受けて執行に携わる各部局の長、その下僚、こういう構成でいいのじゃないかと思うのです。総裁、副総裁、理事というような組織の流れの系統は権限の上から言ってどういう意味を持つのか。
  141. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特殊法人にいろいろな性格のものがございますけれども、ただいま先生のお話の総裁あるいは副総裁、理事というような系列になっているとか、総裁のいない特殊法人ももちろんたくさんあるわけでございますけれども、これは執行部の中においてそれぞれの機能分担があるというふうに考えられます。特殊法人の業務を遂行するために各理事等の執行部がそれぞれ機能分担してその職務の遂行に当たるということになっているのだというふうに考えております。
  142. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、総裁、副総裁あるいは理事、これは名前が違いますけれどもいずれも執行部ですよね。理事とはいっても、これは国あるいは地方団体の議会の議員とは違うわけですから、執行部ですね。そうしますと、これは見ようによってはポストをつくるためにこういういろんな副総裁なり理事なりというものをつくったという見方もできるわけです。総裁あるいは会長が一人いてあとその下に部課長がい札はそれで十分仕事はできるわけだと思います。そういった点で特殊法人のこういう役員の構成もやっぱりこれはまるっきりのぜい肉ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  143. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 通常の組織におきまして、やはり会社などでも取締役会、執行部があるわけでございますが、特殊法人にもやはり理事が数名おるというのが普通でございます。その上に特殊法人によりまして副理事長、理事長あるいは副総裁、総裁といったような組織をとっていることがそれぞれあるわけでございます。また、特殊法人というのは、いま百八でございますか、非常にたくさんございますが、協会といったようなものにはそれに応じた職種があるということでございまして、大きさによっていろいろでございますけれども、やはり理事が複数いて執行部を形成し、機能分担して任務を遂行していくというのが通常の形かと考えられます。
  144. 新村勝雄

    ○新村委員 これはきわめて高給を受けていらっしゃる方々ですよ。しかも、その役員のほかに部課長という幹部あるいはその下の下僚がたくさんいらっしゃるわけでありますから、こういうのはまさにぜい肉ではないかと思うのですけれども、こういった点もやはり臨調検討される問題だと思いますので、十分御検討いただきたいと思います。  それから、中央官庁の職制の簡素化でありますけれども、長官いかがでしょうか、現在の内閣総理以下二十名の大臣で構成されておるわけですけれども、かつては省庁の統合というようなことも議論に上ったことがありますけれども、そういうことはお考えになりませんか。
  145. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政機構の改革問題は、第二臨時調査会においてこれから審議されるという情勢でございますので、私の意見の表明は差し控えさせていただきたいと思います。
  146. 新村勝雄

    ○新村委員 長官のお考えをどうもお伺いできないので困るのですけれども、それではひとつ伺いたいのですが、いままでの行革成果、これは先ほど申し上げたように歴代の内閣が皆行革を言っていらっしゃるわけです。歴代の総理行革をおっしゃらなかった総理は一人もいないほどであります。たとえば、昭和五十二年十二月二十三日閣議決定の「行政改革の推進について」というのがありますが、これには「中央省庁、部局等の改革」とあって、その中ごろに「当面、建設、国土両省庁を一国務大臣が所管することとし、」こうありますね。ところが、現在建設大臣、国土庁長官、それぞれ別の方が就任していらっしゃいますけれども、これはやはりこのときこう書いたけれども、全く実行できなくて終わったわけですか。
  147. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの御指摘の点は、これは内閣の人事の方針の問題でございまして、当時そのようになっていたというふうに記憶いたしますけれども、その後現在のようになっているということでございます。
  148. 新村勝雄

    ○新村委員 これは人事の方針あるいは総理の方針でしょうけれども、建設、国土を同じ一人の国務大臣がやるということを閣議で決定しているわけですね。ところが、それが実行されていないというのは、長官、これはどういうのでしょうかね。
  149. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内閣の人事は総理の権限でございまして、総理の御見識によってやることでございます。どういう人材が閣僚に任命されるか、どういうことを長所としているか、そういう面で人材配置の妙を得ておやりになっているのだろうと思います。
  150. 新村勝雄

    ○新村委員 いや、そういう人事とか人材配置の妙ということではなくて、これは行革一つの方針として、建設、国土は一人の国務大臣がやるという方針を政府みずからが出しているわけです。そうすると、これは昭和五十二年ですから、このときの総理は別の総理ですね。どなたですか、福田さんですか。ですから、現在の総理はそういうことは構わぬということなんですか。閣議決定というのはその内閣だけ有効なので、後は内閣がかわれば全くほごになるのですか。
  151. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま御指摘の点、当時はそうなっていた、これは福田内閣の人事の方針でそうなっていたというふうに理解できるのではないかというふうに考えております。
  152. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、閣議決定というのは、そのときの総理のときだけが有効で、後はもうほごになる、そういうことですか。
  153. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 閣議決定にもいろいろなものがあると思います。それで、当然内閣の継承性で承継ぎれるべき問題も多くあるわけでございますが、ただいまのような問題は、現実の問題として、当時そうなっていたのが現在はそうなっていないということに理解しております。
  154. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、このときは、福田内閣においては、こう書くべきだったのですね。閣議決定というのは重要な政策決定ですから、総理が変わっても当然承継されるべきでしょう。総理が変わったから閣議決定がほごになるということはおかしいですよ。だからこのときには、福田内閣においてはとここに入れなければおかしいですね。そうでないと、政策の継承性あるいは行政の連続性、継承性というものがなくなるわけですけれども、それはいかがでしょうか。
  155. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 いま先生の御指摘になっている問題は、五十二年当時の内閣の人事の方針として、当面の方針としてそういうふうに決められているものというふうに理解しております。
  156. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、中央にもかなりぜい肉があるのじゃないかという点です。たとえば大臣が二十人いる。必ずしもこれは多いということを一概には言えないと思いますけれども、そのほかに政務次官という方がいらっしゃるのですね。大臣、次官の間に政務次官という方がいらっしゃる。かつては政務次官というのはなかった時代がかなり長くあったと思います。政務次官というのは、これはぜい肉じゃないですか、長官いかがですか。
  157. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現在の議院内閣制におきましては、政務次官は非常に活発な活動をしておりまして、やはり大事な存在ではないかと思います。
  158. 新村勝雄

    ○新村委員 かつて政務次官がなかった時代がかなり長くあるわけだし、こういうふうに根本的に行政あり方が問われている時代に、政務次官がどうしても必須のポストであるのかどうか、これは検討の余地があるのじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  159. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ともかく議院内閣制を続けて政党政治を続けている間は、やはり政務次官は非常に必要であると私は思っております。
  160. 新村勝雄

    ○新村委員 議院内閣制を代表して、議院の中から大臣が出ていらっしゃるわけですから、それで十分だと思いますね。しかし、これはここで議論してもしようがないので、その疑問だけを提示しておきます。  次に、過去の行政改革で、時の政府が約束をされているわけですね。閣議決定というのは、ある意味では国民に対する約束ですね。それが守られていない面が非常に多いわけです。これはたくさんありますけれども、この中で総括的にお伺いしますけれども、行革に対する閣議決定はこれだけじゃないと思いますが、五十二年十二月二十三日閣議決定の行革、これが結果的にどの程度実行されておりますか、何点ぐらいになりますか。
  161. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの五十二年十二月二十三日の「行政改革の推進について」という閣議決定に当たりまして、先生いろいろ御指摘ございましたように、またその閣議決定は広範に及んでおりますので、一つ一つここで御説明する時間もございませんけれども、おおむね地方事務官を除いて何らかの形で各項目については手がついているというふうに私どもは考えております。
  162. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題については、時間がありませんので、後でまた詳しく伺います。  それから、時間がありませんので大蔵省の方はお帰りをいただいて結構です。  次に、行革の中の重要な部門として地方団体の問題があるわけですけれども、地方団体の中で、その組織の中ですでに任務を終わっているものがあると思いますけれども、それらについての統配合のお考えがどうなっているのか、それをまず伺います。
  163. 田中暁

    田中説明員 先生御指摘の点は、恐らくはいまの地方公共団体の中にございます各種の行政委員会の中で任務が終わったものがあるのではないかという御指摘であろうかと存じます。  確かに、この点につきましては、第十七次の地方制度調査会におきましても、「社会経済情勢の変化と地方行政の総合的、能率的運営の観点を踏まえ、その制度あり方について引き続き検討を行う必要がある。」という指摘がなされておりまして、現在の第十八次の調査会におきまして引き続き審議されることとされているところでございます。  この問題につきましては、地方公共団体行政組織の根幹に触れる重要な問題でもございますので、われわれといたしましては、その結果を待ちまして、適切に対応をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  164. 新村勝雄

    ○新村委員 それからもう一つ重要な点で、権限の移譲、配分という問題があるわけですが、行革が金減らしあるいは人減らしということであれば、中央と地方との事務の再配分ということが重要な一環になると思いますけれども、それらについての基本的な方針を伺いたいと思います。
  165. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 お話しの地方に権限を移譲するという問題でございますが、これはもう先生の御指摘をまつまでもなく、非常に国と地方公共団体との事務配分の問題で重要な問題だと私ども考えております。  特に、その事務、事業につきましては、許認可整理の一環として、かなりいままでも進めてまいりました。許認可整理法案、過去八回ばかり国会にお願いして成立させていただいておりますけれども、そういうものの中にもただいまの権限移譲を含むようなものも含まれておりまして、こういう点も今後とも一層推進していくのがよろしいかと思います。この問題はかなりむずかしいややこしい問題が絡まってまいりますので、今後とも検討し、勉強させていただきたいというふうに思っております。
  166. 新村勝雄

    ○新村委員 終わります。
  167. 森下元晴

    森下委員長代理 田中昭二君。
  168. 田中昭二

    田中(昭)委員 まず、第一次臨調から今度の臨調が始まりまして、行政監理委員会の最終提言がなされております。その中でいろんなことが言われておりますが、まず長官、この第一次臨調の経過から反省しまして、どういう問題が最終提言に載っておりますか、御存じでしょうか。
  169. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 監理委員会の皆さんは、長期にわたりまして日本行政体系を見詰めてまいり、特に第一次臨調成果を推進するためにも努力されてきたところでございます。最後に御提言をなして解散したわけでございますが、その御提言の中には、われわれとして努力すべきところを怠っておったり、あるいは日本行政機構の欠陥としておるところを指摘されておったり、非常に貴重な参考とすべき意見が含まれておると思います。
  170. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、その提言の中で、この行革を推進する推進機関、そういうものが必要である、その中には関係閣僚のほか政党及び民間人の代表を加えるべきではないか、こういうふうな意見がありますが、これに対してどう思われますか。
  171. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そこで行政監理委員会というのができまして、先般まで大槻文平さんが委員長代理をして、民間委員によってこれを監視し推進するという措置がとられてきたのでございます。
  172. 田中昭二

    田中(昭)委員 ちょっと勘違いしておられます。今度の臨調の出発に当たって、いわゆる今度の臨調の答申を受けて行革を進めるその推進機関が必要であるというのが最終提言の中に入っているわけですよ。ですからその——わかりましたでしょうか。お答えいただけますか。
  173. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度の第二臨調の答申の最終段階におきまして、これをどういうふうに推進するかは恐らく御提言があるのではないかと思います。この監理委員会が残されました最後の提言は、いま審議しております第二臨調におきましても相当参考にされて審議の対象になるのではないかと思います。
  174. 田中昭二

    田中(昭)委員 行管長官として、そういうものが今後の臨調の中で話し合われるとすれば、ここに最終提言にあるように、ぜひ野党並びに民間人を入れて、きちっとした姿で推進してもらいたいと思います。  次に、政府行革推進本部でございますが、このメンバーは大変有力なメンバーでございます。しかし、運営のいかんによっては第一次臨調の失敗を繰り返すのではないか。ということは、第一次臨調でも行政監理委員会のいろいろな意見政府行政改革本部に答申されて、そこで意見が大変薄められてしまった、中身がなくなってしまった、こういうことが言われておりますが、いかがでしょうか。
  175. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回は内閣、党一体となりまして行政改革推進本部というものを異例につくりまして、この答申を踏まえて強力にする体制を整備いたしました。これを活発に動かしまして万全を期してまいりたいと思っております。
  176. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは、私も先ほどから申し上げましたように、政府、党の有力なメンバーがお入りになっておることは疑いのない事実でございます。それをどうと言うのではありませんけれども、その姿そのものが、やはり国民から見ますと、過去にいわゆる行革本部をつくってやられたけれども実際はできなかったという面が多いということは、いろいろなところで報道もされておりますし、長官自体も、いままでの臨調についてはどうであったと御発言が先ほどあっておったわけですが、問題は、これを国民の立場から見れば、いわゆる与党と政府の独占的支配が強くなるだけであって、その弊害は全部国民が受ける。いわゆる第一次臨調のときにその答申が実施されなかったのも、政府行政改革本部が最大のがんであった、こういうことをその当時参与しておった人たちも言うのですけれども、いかがでしょうか。
  177. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この前の行政改革本部は大体事務次官以下レベルの機構で、そして行政管理庁長官がそのトップに立ったというもので、大体役人集団の集まりであったように思います。したがって、内部のもたれ合いみたいな現象も起こりまして、なかなか進むことができなかったのだろうと思います。その弊害にかんがみて、今度はトップダウンでいくということで、閣僚と党の首脳部が中心になってトップダウン方式で進めようという形で、新しい身構えで前進しようとしておるところでございます。
  178. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、事務次官以下の官僚の皆さんがそんなに力がないとは思いません。もちろんそういうもたれ合いもあったかもしれませんけれども、それは故大平さんも予算委員会で言っておったようですね。行革を進めようとしても役人の力の方が強い、そういう本音とも言えるような発言を故大平さんはしておりましたが、結局そういう役人の上に立つ政治家がそのようなことでは、まただめじゃないですか。
  179. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ですから、総理も今度は政治生命をかけると異常な意気込みでやろうとしておるのであります。
  180. 田中昭二

    田中(昭)委員 だから、政治生命をかけるとか潔いアドバルーンは私も聞いております。報道で見ております。問題は、本当にその事務次官以下の役人の考えも、もしももたれ合いみたいなものがあれば、長官としては断固その壁を打ち破って進めていくという御決意ですか。
  181. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本公務員は世界的に見ると非常に優秀であると私は思います。世界的にも日本公務員とフランスの公務員というのはベストツーの中に入って非常に優秀であると言われておるところで、非常に勤勉でもあり、あるいは先見性にも富み、また最近は国際的視野も非常に広くなってきて、調整能力も進んでおるようであります。しかし、公務員の中にはいいのもあるし、悪いのもあるし、一生懸命やっておるのもあるし、新聞ばかり読んでいるのもある、そういうようないろいろな現象もあって、国民の皆様から見るとまだ足りぬと思われるところもある。また、行革自体は、役所を最初から敵に回して、これを敵視したような小さな根性でうまく成功するものではありません。これは、政治家も役所も一体になり、国民の皆さん、各政党とも手をつないで、みんなで行革、そしてみんなで世直しをやろうというような、みんな打って一丸となってやるという根性でなければできるものではありません。そういう面から、やはり和の精神といいますか、これで強力に行革を進めていくことが適当であると思っておるのであります。
  182. 田中昭二

    田中(昭)委員 みんなでやろう、協力してやろうとか和の精神で、その精神でつぶされてしまったらどうしますか。よく報道でも言われますように、お役所、霞が関が云々というふうなことを言われますが、そこでは長官がおっしゃるようには事は運ばないということがしょっちゅう報道されておるわけですね。今度の五十七年度の予算編成についても増税なしの歳出カットだけで、それで増税はしないということを長官総理も約束されたようでございますけれども、その辺は、霞が関から見れば、役所側から見れば、そうやってあなたがおっしゃる和の協力、みんなでやろうということでやってみてもできなかった場合には、歳出カットがそれだけのものができなかったら、その分は結局は増税をしますよという、いわゆる増税のための呼び水論というような話もありますけれども、五十七年度は歳出カットだけで、そういうことは絶対できないようにできますか。
  183. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内閣で一たん方針を決めれば、それは断固としてこれを貫かなければならぬと思います。国民皆様方から見れば、日本公務員は非常に勤勉で先見性もあり、よくやっていると思いますが、国際比価から見たら確かにいい方に入ります。しかし国内比価で見た場合には、民間に比べて生産性が非常に低い、こう言われているところはまさにまだそういう点がございます。特に公共企業体等と民間の産業とを比べてみると、能率やらそのほかの面において格段の差があると指摘されておるところでありまして、やはり日本の国内レベル、国内比価を中心にしてその勤勉や生産性も考えなければならぬのは、国内の政治家として当然のことでございます。そういう厳しい国民の目もございますから、国民の代表である政府は、その意を受けて、やるときには決然とまたやらなければならぬと、われわれはかたく肝に銘じておる次第であります。
  184. 田中昭二

    田中(昭)委員 問題は今度の臨調の成り行きでございますが、今度の会長の土光さんが鈴木総理から、五十七年度は増税を避ける、そういう約束を取りつけて、手形をもらって会長を引き受けたというようなことを私は聞いております。そういう報道もあります。増税なしで行革の確約を取りつけたという報道もなされておりますが、長官はそのことについてどういう御感想をお持ちでしょう。
  185. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 土光さんからそういう強い御要望がございまして、総理も私もその線で全面的に努力してまいります、そう申し上げた次第です。
  186. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、間もなく七月には臨調の答申が出るわけでございますが、過去の経過から見て、答申が出たものについては大体長官もその都度できるものからやっていく、閣議決定でもしてやっていくというふうな御決意を述べられておるようでございますが、これは間違いございませんか。
  187. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 答申を拝見いたしまして検討の上、全面的にこれを努力すべきものは努力していく、そう思っております。ただ、私は臨調の皆さんに三つのお願いをしてありまして、一つは、官民協調でおやりください、それから第二番目は、やれば可能である、そして国民の皆さんから見たらよくやった、そういう可能性のある案をお出しください、そういうこともお願いをしてあるのでございまして、そういうことを期待しておるわけでございます。
  188. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、具体的には臨調でいろいろな答申がある、その中で五十七年度の予算関係するものとすれば、その中の一つでございますけれども、いわゆる歳出カットの中では補助金が問題になっております。この補助金についても答申があるわけでございましょうが、問題は、この補助金については五十七年度歳出を削ることはもちろん当然でございますけれども、今年度、五十六年度においても、いわゆるけしからぬむだな補助金は法的措置を含めて措置すべきであると私は思いますが、いかがでございましょうか。
  189. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま五十六年度予算が成立いたしまして、関係法案を国会で努力している最中でございます。したがいまして、本年度予算をどうするかということは慎重に検討しなければならぬと思います。
  190. 田中昭二

    田中(昭)委員 私の質問にまともに答えていないのですけれども、それはまた後でするとしましょう。  問題は、いまの補助金の問題で財界の行革五人委員会の提言というのがあっております。その中でいわゆる補助金の整理等がいろいろ言われておりますが、問題は、私は必要な補助金は切ってもらっては困るという立場なのです。どうですか長官、これは当然のことですけれども、ぜひひとつ長官から補助金については、必要な補助金は切ってもらっては困る、こういうふうに臨調に言ってもらいたいのですが、いかがでしょう。
  191. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本を代表する各界の最高の見識を持っていらっしゃる方におなりになっていただいているわけですから、干渉がましいことは申さない決心であります。
  192. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、むだな補助金については、実はこういうものをいままで与党と政府が一体になって野放しにしておったということが国民から見れば大変な政治不信を醸し出す一つ原因になっておる、こういうふうに私は思うのです。さらにまた、さきの行政改革の失敗、これは政権党と官僚の力比べで政権党が敗れたものではない、そういう意見がありました。問題は自民党の大方の人たちがこの行革にとって大事なところで官僚側についてしまうからだ、こういう過去の行政改革に携わった方の御意見がありますが、これはどうでしょうか。
  193. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう要素もなくはないと思いますが、そればかりではないと思います。
  194. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、与党議員と官僚が持ちつ持たれつという関係で、最後は役所の行政改革にかけなければならぬ部門というものを守ってしまう、与党議員が行政改革の対象になる部門を支持するという、いわゆるなりふり構わずの行動をとるところに問題がある、こういうふうに言われますけれども、それもお認めになりますか。
  195. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革に対する反応というのはさまざまな態様があると思いますが、そういう現象もなきにしもあらずであると思います。
  196. 田中昭二

    田中(昭)委員 政権党の議員さんの日常活動は大変政治色の強い動き方をする、いわゆる莫大な補助金の分捕りが日常の行動の基準である、こういうふうにも言われますが、これも少しは認められますか。
  197. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 少しは認めざるを得ません。
  198. 田中昭二

    田中(昭)委員 ところで、官僚の強力な行政力に対する弊害批判というものがあるわけですが、農水省や建設省、そういうところの補助金窓口になった高級官僚の方が選挙に出ると異常なまでの得票をする。その得票の経過から見てみても、これはもちろん参議院選挙等でよくあらわれるようですが、選挙の得票と補助金が大変絡まっておる、こういうことも言われますが、これはどうでしょうか。
  199. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 必ずしもそうとばかりは言えないのではないかと思います。やはり候補者の見識とか、あるいは、自分たちが考えて、こういう政治をしてもらいたい、それを実現してくれる人はこの人だ、そういうような人間性や能力に対する評価から票が大量に出るということがあると思います。
  200. 田中昭二

    田中(昭)委員 しかし、ここでこういうことを言っておりましても、いずれ、いまから国民の意識が向上しますと、こういう問題はぼろぼろ出てきますよ。長官、私、言っておきます、一つ一つあれはできませんから。  そこで、ある人は、自民党が安定多数の勢力を得た、絶対多数を得たために行革はやりやすくなった、こういうふうに思われておりますが、これはどうでしょうか。
  201. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その議論は反射的に考えると、自民党が少数ならばできない、少数ならばできないということは野党が多数ならばできない、反対解釈するとそういうふうになりますが、必ずしもそういうものではないのじゃないか。要するに理のあるところ、国民の望むところを正しく遂行すれば国会の各党も協力していただけるのではないかと私は思います。
  202. 田中昭二

    田中(昭)委員 しかし、先ほどから私ずっと述べてきましたものは長官も大体お認めというか、そういうこともあろうというふうなことをおっしゃったのですが、そうなってきますと、いまの問題は、いわゆる自民党の勢力が大きくなったからやりやすくなったのではなくて、逆にそうなったからできないのだ、こういうふうに言われます。いわゆる行革の敵は実際は自民党の味方の中におるのだ、こういうふうなことを言われることを考えますと、私はいままでの経過から見てそうなんじゃないかな、行革をやるやると言っても、結局は先ほども言ったような政権党のいろいろな補助金にまつわる動き、そういうことを考えれば最終的には与党の人たちが行革の敵になってしまう、そういう現象が起こってくる。いわゆる行政改革の敵は政権党の中におるというこの指摘に対してどう思われますか。
  203. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは一種の勘ぐりではないかと思うのです。国民の要望することについては、国民の要望によって代表者として出てきている国会議員の皆さんは与野党を問わずそういう国民の要望を実現することに力を尽くしてくださっていると思っております。
  204. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃ角度を変えまして、これは政府全体の問題としまして補助金の整理等について、五十四年度末でしたか、五十五年から四年間で件数を四分の一削減をする、そういうことがございましたね。これも長官うなずいておられますから御存じだと思いますが、五十五年、五十六年においては、全体の補助金の数から見ましてもわずかなことしかできておりませんね。一応数字だけで申し上げますと、全体の補助金の件数が、もちろん廃止したものと新設したものがありますから、五十五年では百二十六件、五十六年では百九十二件、二年間で大体三百二十件程度ですね。そうしますと、五十七年、五十八年とあるわけですけれども、これはとうてい達成できないし、また、問題はそういう件数だけじゃなくて、金額の上においては減るどころかふえておる、こういうことでは、私は補助金については政府のこういう約束事というのはまやかしである、こういうふうに国民に言われても仕方がないと思いますが、これもお認めになりますか。
  205. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 最近の行革計画の閣議決定に盛り込まれました補助金の計画につきましては、そのとおりに実施しているところでございます。補助金の新しいものが新年度にふえるということは、これは事業として必要な部分にふえているということだというふうに考えております。
  206. 田中昭二

    田中(昭)委員 答弁にならぬような答弁はやめなさい。私は長官に聞いているのですから。  補助金についてはいろいろ議論もしてみたいと思いますが、もう長官も御存じかと思いますから。次は、先ほど私言いましたけれども、むだな補助金は切りなさい、これは長官、御異存ございませんね。
  207. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 異論ございません。
  208. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで長官、これはぜひ頭に入れて善処してもらいたいのですが、昨年十一月、五十六年度予算が確定する前にこの場で亀岡農林水産大臣に、大変にむだな補助金があるということを私がいろいろ指摘しまして、けさほどから出ておりました補助金の問題も出しました。それで最後に大臣がおっしゃるには、実は自分もここ十何年間のうちに七百回ですか、農民と対話もしたから、補助金の中には効果がなくて、そして零細な、いわゆる効率的でないものがたくさんある、だから補助金をもらうことを農家が拒否するという会までつくっておるということまで御存じのようでございました。そういう補助金は農家をだめにしてしまう、麻薬的な性格を持っておる、これも大臣はお認めになりました。そういうことだからそういうことのないように就任と同時に農林水産省の各局長さんにもそれを指示したのだ、こういうふうに言われました。ところが、五十六年度予算ができ上がってみますと、ことしになってからの予算委員会等でも指摘されましたように、うちの委員も指摘しましたように、またほかからも指摘がありましたように、その補助金がまた衣がえして、全然改まらずに補助金がまた計上されておる、こういうことでございますから、補助金の削減等については役人だけに任せるのではなくて、長官みずからが——これは一遍亀岡大臣に確認してみませんか。ここでは詳しくは申し上げておりませんけれども、そういうことについて長官として、同僚の大臣ですから、確認していただけますか。
  209. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 田中さんが申されることですから間違いないので、何も改めて確認する必要はないです。そのとおりであると私は信じております。
  210. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、私が申し上げたいのは、そういういわゆる補助金の削減等については、それは確かに大臣がやりますと言ってもできない事情もわかります。わかりますけれども、結局強力な筋の通った政治家の決断が要るということを申し上げたいわけでございますから、そのことについては、長官もぜひひとつ重大な決意で当たっていただきたいと思いますので、その決意をお聞きしたいと思います。
  211. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度の行革に当たりましては、思いを新たにしていままでの惰性を破って厳正に実行いたしたいと思います。
  212. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、もう少しこの行管自体の問題について話を進めたいと思いますが、補助金のすべてについて洗い直すということは、大蔵省、そして各省庁に任せてもいまのような結果になりますから、臨調の答申の前に、行管庁そのものがすべての補助金について、いままで指摘もあったわけでございますから、特にそういう面について洗い直してみるつもりはございませんか。
  213. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この案をつくるのは臨調でございますから臨調を見守っておりますけれども、下働きを命ぜられる場合も多いと思いますので、いままで市町村会あるいは市町会、知事会等からもこの補助金をやめてほしいというような御意見もございますし、また、本国会におきまして野党の皆さんからいろいろ御指摘になったり資料を提出された補助金群もございますし、こういう点はすべて参考にいたしたいと思います。
  214. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは長官からでなくてもいいのですが、きょうの新聞によりますと、行管庁の臨調に提示した原案の中に、補助金については、いわゆる緊急課題についてはまず歳出削減の中心である補助金の整理の具体的な方法として、ここに四つ挙げてあります。この四つはこの順序にやってもらいたいということですか、どういうことですか。
  215. 佐々木晴夫

    佐々木政府委員 臨時行政調査会では、存続期間が二年間でございますので、その二年間に何を検討すべきかといういわば調査審議事項をただいま検討をやっております。  それからもう一つは、五十七年度予算に向けましてこの七月に答申すべき事項につきまして何を検討すべきかということで、ただいま一応その検討項目を御検討願っている最中でありますけれども、補助金の問題につきましていろいろと検討の視点があり得ようかと思います。その検討視点としまして、たとえば巷間、一括整理だとか、それぞれ個別の洗い直しとかいろいろありますので、たとえばそうしたものが現在議論になっておりますのが先生御指摘のお話ではなかろうかと思います。いずれにしましても、このあたり議論は実はまだ委員会段階でも必ずしも論議が熟しておりません。なおしばらく委員会委員さんの御議論を一応見守ってまいりたい、そのように思っております。
  216. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は委員の問題について言っているのじゃなくて、行政管理庁が原案を提示したわけでしょう。その中に、緊急課題補助金の削減についてはこういう方法がありますということがあるわけでしょう。それは新聞に報道されていることですからいいです。  問題は、それでは行管庁が今度の行政改革に当たりましていろんな動きがあったということが、私、まだ納得がいかないわけです。不思議でならないのですが、まず最近の行財政の改革に対する動き、特に財界から等の動きについてある行管庁の幹部の方が「大変不気味な感じを受ける」というのは長官、財界はいまの一部分をとれば、歳出カットは補助金を整理すれば予想以上の歳出カットができる、はっきり数字は二兆円とかというようなことは言われますけれども、そういうことのようです。しかし、そういうことでいわゆる歳出カットだけで仮に二兆円の歳出削減ができるとするならば——このような財界の意見に対して「財界はとてつもないような財政再建策を検討されておるようです……」となっておりまして、「想像妊娠だと言われるかもしれないが心配なんです」これが一つですね。  それから財界の歳出カットで二兆円ぐらいは、そういう多くの——「財源探しとはいえ、第二臨調でそんな多額の財源を突き出されたのでは、面目まるつぶれだ。第一、そんな荒療治をされたのでは、各省庁や圧力団体はもとより、これと結びつく自民党から猛反発を食ってしまう」こういうことを言っておるというふうに報道されております。これはどういう意味ですか。
  217. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私はそれを読んでおりませんが、いろいろなうわさやら憶測やらデマが乱れ飛ぶ時代でありまして、私は悲観も楽観もしておりません。
  218. 田中昭二

    田中(昭)委員 うわさは、おもしろ半分に言ううわさと本音に近いものが漏れていくということがあろうと思うのですよ。しかし、これはここで長官と私の二人だけですからこれで済むのですけれども、後ろにおられる方なんか、本当にそういう気持ちでおられるのじゃないですか。ですから、その辺のことをよく長官に知ってもらっておって、せっかく歳出カットをして小さな政府にいわゆる肩がわりしようというときに、そういう話が具体的になってくるとそれをとめるような行管庁であってはならぬ、こういうことを私は申し上げたいわけです。  先日からの報道によりますと、行革に反対した役人さんについては、そういうことをやったことについての監察も実施する、そしてその結果本当であれば官僚の配置転換も行うということを閣議決定されておったということですね。これは長官がおっしゃったことですから間違いございませんね。
  219. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは閣議決定というようなものではないと思います。閣議で私が発言いたしまして、いままで挫折した例を見ると、ややもすれば官庁の中でそのエゴイズムから自分のシェアを守ろうとか、あるいはポジションを維持しようとか、勢力圏を維持していこうとか、そういうようなところから官庁エゴイズムで業界団体に火をつけたり、あるいは政治家に工作したり、そういうことで挫折した例がなくもない。今回はそういう官庁エゴに基づく反対運動等は許すべきでない。もし悪質な者がある場合には行管庁としては監察をして、そして当該大臣に通報するし総理にも上申をする、そして適切な処置をしてもらう。そういう発言をいたしたのであります。その後、専門委員との懇談会でそのことに触れまして、適切な処置という場合には、悪質なものについては、それは配置転換するとか職場を変えるとか、そういうこともあり得る、そういうことも言ったのであります。これはわれわれ異常な決意でこれに臨んでいるという決意を示した次第なのであります。
  220. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう心配が実はまた現実となってきているという報道もございますから、具体的には臨調委員ですか、専門調査官といいますか、専門委員会といいますか、そういう方に各省庁の代表の人が非公式に陳情しておるというようなことを御存じの上で、長官はそういうことを時期を見て述べられたのではないか、こういうように思いますが、違いますか。
  221. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一般的にいままでの挫折の例を見まして、今度その轍を踏むまい、そういう気持ちがいたしましたので、われわれの異常な決意を示すために申し上げたのでございます。
  222. 田中昭二

    田中(昭)委員 これも先のことになるかと思いますが、第一次臨調の経過から見ましても、いわゆる行革を進めていくための民間組織による監視委員会が必要ではないか、こういう意見もあるわけでございます。特に先ほど私言いましたように、政府と与党とのいわゆる独占支配的なそういう気配がする行革推進本部というふうなことになれば、そういうふうに見られておるようでは物事は順調に進まないと思いますから、そういう答申を受けた場合にどういう手順でどういう実行をしていくかということについてのやはり監視機関といいますか、チェックする機関といいますか、そういうものが必要ではないかと思いますが、それについてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  223. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 アメリカでフーバー委員会ができて非常な成功をおさめたときには、各地にボランティアの市民委員会が発足して、この膨大なる市民委員会の世論の力でこれが成功したということを本で読んだことがございます。今回、日本行革につきましても、世論がこれだけ高まっているということは非常にありがたいことでありまして、この高まりがさらに強く、正しくなることを願っておるものであります。しかし、政府・与党といたしましては、われわれ全力を尽くして対策本部まで、今度推進本部までつくったわけでございますから、この推進本部を一〇〇%動かしまして、党を挙げ、内閣を挙げてこれを遂行していく、そう考えております。
  224. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、いまのチェックシステムについても、やはり行革を成功させるためには国民協力といいますか、意識の向上といいますか、いまおっしゃったアメリカのフーバー委員会についても、過去の例からいいまして最大の敵は国民の無関心であったということが言われておるようでございますから、そういう意味においても、ぜひひとつ国民のいわゆる民間人のそういうものをつくっていただきたいと思いますが、ここでお約束できますか。
  225. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 民間人のそういうものをつくる必要ありやなしや、これは検討いたしたいと思いますが、やはり内閣が責任を持っておるわけであり、自民党も与党として内閣を支えているわけであり、また国会における各党の皆様も行革には御賛成でありますので、こういう勢力が一体となって行革を推進していきたい。政党は国民各層を代表する力でもございますから、各政党が一致協力すればできないはずはない、そう思っておるので、民間の方々に監視するとかあるいは激励するとかという団体をわれわれの方でお願いするというのはちょっと行き過ぎではないかという気がいたしております。
  226. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、長官のいままでのいろいろな御発言の中で私ちょっと気にかかることで、確認といいますかお尋ねをしておきたいと思います。  大分前のことのようですが、これは臨調の土光会長から答申をいただくということだろうと思いますが、答申を待っておるという意味で、何か土光さんからのラブレターを待つだけだというような意味の御発言をなさっておるようでございますが、これは御記憶ございますか。
  227. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 記憶はあります。それは何か平易な会で、ラブレターという意味は、答申をつくってそれをいただく、早くそれをいただくように恋焦がれている、そういう意味でわかりやすく申したのだろうと思います。
  228. 田中昭二

    田中(昭)委員 大変率直で、その答弁を私も多としますが、大変いいものを待っておるという心境をそういうふうにおっしゃったと思いますが、実はこのラブレターということで、お役所の中で使われている言葉の中でちょっと違ったものが存在しているということをきょうは御披露しておきますが、私がいま言おうとする、役所の中でラブレターという意味がどういうように使われておるか、御存じですか。
  229. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 知りません。
  230. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃ具体的に簡単に申し上げますと、会計検査院から役所に資料の照会があるわけです。検査のための事前資料照会だろうと思うのです。その照会が来たことが、どこと言いません、どこと言ってもいいのですけれども、ここにはその人がおりませんから。そういうことが言われておるということを、私は一つのそういうことを知った上で、行政管理をよくやってもらわなければ困るな、こう思うからいま申し上げているわけですが、その検査院から資料照会がある、それを受けた役所の担当官はラブレターが来たと言われておるのですが、これはどういう意味か推察できますか、長官
  231. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そんなような逸話があるなんて思いも寄らない、いま初めて聞いたところで、よくわかりません。
  232. 田中昭二

    田中(昭)委員 現実にあるわけでございまして、これはどういうことかと言いますと、私その本人からあるときにいろいろ話の中から聞いたわけですから御披露しておきますが、検査院から資料照会があります。そうすると、その資料をもらった担当官は、その資料を処理するために、その目的とするところに高い旅費を使って出張いたします。出張いたしますと、それなりの問題点がある。その問題点を検査院に回答するわけですが、検査院とすれば、もう全国の膨大な検査個所についてはやはりその担当官の方が専門でございまして、検査官ではわからないところがあるということのようでございます。ということは、事実はそういう流れをくむわけですけれども、問題は、その資料照会、事前の照会があることが、自分たちが役人として出張もできるし、いろいろなそれに関連した利害といいますかおもしろみがあるということで、その資料照会を待っておる。その資料照会が来れば大変喜々としておる。だからラブレターだと言うことだそうでございますから、長官はそういうことを御存じないということであれば、行政の中にはそういう、普通の国民から見れば、また検査を受ける者の立場から見れば考えられないようなことが行われておるということを指摘をしておきます。  そこで最後に、長官の日ごろからの発言の中で、いわゆる特殊法人の民営化の問題でございますが、何か長官はずっと前からたばこ専売については民営化すべきであるというような御持論をお持ちだそうでございますが、これはどういう考えからでございますか。
  233. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 すべて特殊法人をどうするかということは、臨調でいま改めて検討を加え始めようとしているときでございますので、意見は差し控えたいと思います。
  234. 田中昭二

    田中(昭)委員 これはあなたがずっと前からいろいろなところでおっしゃった一つの物の考え方ですから、ここで言ってもらってもいいと私は思いますけれども、ただ時期が悪いということのようでございますから、それじゃ、それまでにしておきます。  次に、長官のこのたびの臨調に対します取り組みの中で、今後一番重要視していかれようと思っておる点はどういう点でございますか。
  235. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 簡素にして効率的な政府をつくって、そしてこれから将来にわたって日本行政機構あるいは機能というものが十分に働いていくように即応していくということでございます。
  236. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、今後の日程といいますか、今後の行革推進本部そして臨調等の会議日程等についてどういうふうな見通しがございますか。
  237. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 推進本部は二十日に第一回の会合を開きましていままでの経過を報告し、また今後の対策についていろいろ相談をする。それから臨調の方は、七月半ばごろまでに第一次答申をいただきまして、それを有効に政治に反映するように努力してまいる。その後は、第一次答申の内容はどういうことであるかということにかかって政治日程等が決められていくであろうと考えております。
  238. 田中昭二

    田中(昭)委員 以上で終わります。
  239. 森下元晴

  240. 岡田正勝

    岡田(正)委員 いままでの行管庁の歴史と五十三年度の決算を踏まえまして、当面問題となっております行革全般につきまして質問を申し上げたいと思うのであります。  長官は、この行革の問題に非常に真剣に取り組んでいらっしゃる。その姿を見まして、最近とみに次の総理・総裁ではないかという呼び声も非常に高くなっておりますし、長官答弁を聞いておりましても、何となくいままでよりはめり張りが大変よく効いてきているように思うのであります。そういう長官期待を込めて質問をいたしますので、ひとつ明快な御回答をいただきたいと思う次第であります。  ただいま私が長官のお手元に差し上げました、三月二十三日にわが民社党が土光臨調会長とさらに宮澤官房長官を通じまして政府に申し入れをいたしました行革に対する申し入れ書がございますが、その後段の方にわが党が考えております行革に対する基本的な考え方、具体的な考え方を三項目と四項目に分けて書いてございます。これについてはもうすでに早くからごらんになっていらっしゃるものと思いますが、これについての御感想をまず承りたいと思います。
  241. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この申し入れは拝見いたしました。第一項に特に「われわれは鈴木内閣がその決意に立って行財政改革の断行に取り組むならば、わが党としても全力をあげてそれをバック・アップするものである。」こう断定されているところ、非常にありがたく思います。それから、予算について「五十七年度は、二兆円の国債減額を実現する」以下の三項目、それから次の「補助金の大幅整理」以下の四項目、われわれもおおむねこういうような考え方が正しいのかなと、第二次臨時行政調査会においてもこれらのお考えはかなり有効な参考意見として取り上げられるのではないだろうか、こう考えております。
  242. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。非常によくわかりました。  そこで、先ほどの質問の中にもございましたけれども、長官行革に取り組む決意をあらわす一つの表現といたしまして、この行革の問題について抵抗する役人どもは処分する、こういう明確な態度を閣議で発言をなされたそうでございますが、具体的にはこれはどういうことを指さしておるのでありましょうか。
  243. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 かつて車検問題が表へ出ましたときに、整備会社あるいは整備振興会等々で署名運動とか反対運動が勃然と起きたことがありました。そのときに塩川運輸大臣は自動車局長を呼んで、役所がやったのではないだろうな、もし役所がやったということになるとこれは大変なことである、もし万一そういうことであるならば断じてやめろと自動車局長をしかりつけたそうであります。だれがやったか私わかりませんが、しかしそういう結果、そういう反対運動が急に冷えて雲散霧消とまでは言いませんけれども、いままでと様子が変わってきた。私はそういう実例を見まして、閣議でも、塩川運輸大臣はこういうことをおやりになった、この勇断に対しては私は敬意を表する、そういうふうに申し上げたのであります。
  244. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、そのことに関連をしてお伺いをしたいのでありますが、その長官決意のほどをもうちょっとびりっとくるようにはっきりさせたいと思いますので、そういう抵抗というものがありました場合、どういう形でこれをチェックなさるのか、そしてどういう基準でこれを処分しようという腹があるのか、そのことにつきまして突っ込んでお伺いしたいと思います。
  245. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本公務員諸君は非常に忠実でありまして、上司の言うことはよく聞くと確信しております。したがって、閣議でああいうことを私は念のために言いましたけれども、ああいうことは実際起こらないだろう、そう確信しております。
  246. 岡田正勝

    岡田(正)委員 これはこれ以上申し上げるのはむだだと思いますので、次に移らしていただきます。  さてそこで、長官鈴木総理と同じように、この問題については私は政治生命をかけてやる、こういうことを断言なさいました。まことにりっぱであります。感銘しておるのでありますが、その長官のおっしゃる政治生命とはどういうものなのか教えてください。
  247. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自分の政治生涯の値打ちの一切をかけてこれにぶち当たってみる、そういう意味であります。
  248. 岡田正勝

    岡田(正)委員 さてそこで、長官の御意思にかかわりなく、もしうわさされるような七月内閣改造というようなことがありました場合、もしもですよ、長官内閣を去られるということがあったらそれでおしまいよというお考えですか。いすにかじりついても、総理に直談判をしてでも行管長官として残ってやり遂げようという御決意であるかどうか、その点を承りたいと思います。
  249. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 改造があるかないかもわからないうちにそういうことを発言することは不適切であると思いますが、私はともかく土光さんのようなりっぱな清潔な無私の、そして国家に最後の御奉公をしようとするお方に御出馬を願った責任者でありますから、そして土光さんと心中すると申してきたのでありますから、その覚悟でやらなきゃならぬと考えております。
  250. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。大変りっぱな決心です。ぜひやり抜いていただきたいと思います。  さて、そこで、このごろよくマスコミにおきましても、国会の中におきましても、もう寄るとさわると行革ということが話題に出るようになりました。だが、案外、なぜ行革をしなければ大変なのかということが余り明確になっていない感じがいたしまして、この運動がしりすぼみになる可能性もないとは言えない。中には、無責任な人の発言によりますと、何をがたがた騒いでいるのだ、五十六年度末に八十兆円の国債がたまったからといったとて、こんなものはインフレになったら飛んでしまうわい、一々赤字があることに目くじらを立てる必要はないというようなことを公言する人すらおるような現状でございます。  さて、そこで、国。民の皆さんによくわかりますように、なぜあなたは行革が緊急であり、かつ重大な問題であると考えたかという長官の御認識のほどをこの際御披露いただきたいと思うのであります。
  251. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で申し上げれば、戦後三十数年たちまして、日本の国の行政に弛緩が生じ、そしてこの辺で思い切った改革をやらないと国全体の活力を失う、そういう事態に入ってきたので速急にやらなければならぬと考えた次第であります。
  252. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、されば、あなたが行革が緊急かつ重大であることの問題の意識をお持ちになっておる上で、ここで明確に答えていただきたいのは、長官考えていらっしゃる行革の範囲というものはどの辺まででございますか。
  253. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは法律によりますと、国の行政制度並びにその機能ということでございます。したがいまして、中央、地方の機構、中央、地方関係、あるいは人間、定員の問題、あるいは官業民業との関係、それから特殊法人、あるいはさらに行政監察機能の問題、あるいは情報公開からプライバシーの問題、あるいはさらに個別的問題としては高齢化社会、情報化社会等々という、新しい時代に即応して行政をいかに備えておくか、こういう問題等が包含されると思います。
  254. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは、長官のお考えの中には地方行財政の改革ももちろん含んでおるのだ、いまのお答えでそういうふうに聞こえますが、間違いございませんか。
  255. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中央との関連においてそれは取り上るべき問題であると思います。
  256. 岡田正勝

    岡田(正)委員 さて、そこで長官にお尋ねをしたいと思いますのは、この行革がずっと進んでまいりまして、たとえば五十七年度に増税なしの節減案が出たといたします、仮定をいたします。その場合、補助金その他の方に大きなしわ寄せがいくと思いますが、そのいきました財政緊縮のあふりが財政投融資計画の方へしり抜けになってごっそり移ってしまうという可能性がないとは言えません。しかして案外この財政投融資問題については、国会においても余り詳しく時間をかけては論じられておりません。こういうようなところへしり抜けになるおそれがありはしないかという杞憂があるのでありますが、長官はどうお考えになりますか。
  257. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、比喩的に言えば、今度の行革は、みんなで行革、みんなで世直し、そういう考えでやるべきであると思っております。世直しということは実効性のある、効果的なことでなければならぬので、見せかけなことは許してはならないと思います。
  258. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それではちょっと念を押しておきますが、一般会計予算等にあらわれてくるあるいは機構改革にあらわれてくる分は国民の皆様にもよく目に映りますけれども、財政投融資計画の中に入ってしまったらなかなかもって国民の目には映りません。そういうしり抜けになることは長官として断固として抵抗するという御決意があるものと見てよろしゅうございますか。
  259. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨時行政調査会の皆さんがどういうふうにお考えになるか、どういう答申を下さるかによって判断をいたしたいと思いますが、見せかけの行革はいけないと思っております。
  260. 岡田正勝

    岡田(正)委員 次に、いまの臨調でございますが、臨調から出てまいりました答申は完全実施をなさいますか。いかがですか。
  261. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調皆様方にお集まりのときに正式にお願いをいたしまして、先ほど申し上げましたように、官民協調でおやりください、それからわれわれが汗を流して努力すればやれる、しかも国民の皆さんからはよくやった、そういう可能なる、しかも画期的な案を出してください、そういうふうにお願いをしているのでございまして、そういう答申を期待していますし、それが出てくるならばこれは全面的に取り上げて実行したいと思います。
  262. 岡田正勝

    岡田(正)委員 いまの三つの、長官臨調にお願いをされましたことは、日本語ではよくわかります。汗を流せばやれる、これはわかります。それからいま一つは、国民からよくやったと言われるようなものにしてください、これもよくわかります。  一番気になりますのは、官民協調でやってくださいということですね。これはいかがですか、実際に可能と思いますか。
  263. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん可能であると思います。
  264. 岡田正勝

    岡田(正)委員 その可能というのは、答申をつくる作業が可能とおっしゃる意味ですか、あるいは行革を推進することが可能という意味ですか。どっちに分けておっしゃいましたか。
  265. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは答申が実行されるということを頭においてつくられなければなりません。したがって、おつくりになるときも、またつくられた案が実現されるという見通しについてもいまのようなお考えでお願いいたしたいということであります。
  266. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ちょっとこの問題は、しつこいようでありますがもう一度お尋ねいたします。  この行財政改革をするということについて一番先に痛みを感じる人はお役人ではないのでしょうか。いま長官がおっしゃいました官ではないのでしょうか。こういう点から考えますと、その答申案をつくるのについて完全な官民協調が得られると長官はお思いになりますか。
  267. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは行管当局から申し上げることではございませんが、自民党の中で話していることで、私も自民党の党員、政治家としてときどき話を聞くのですが、やはり第一に政治家が政治レベルでまずやることをやらぬといかぬのじゃないか。だから、第一に痛みを感ずるのは政治家でなくてはならぬ、そういう議論が自民党やわれわれの周辺にございます。そういうような実践垂範が行われた場合には官の方も喜んでやるのではないかとも考えられます。これはわれわれの周りにあるそういう議論を御紹介して申し上げる次第でございますが、やはり物事には筋道というものがあるのではないかという気がしております。
  268. 岡田正勝

    岡田(正)委員 私が大変気になっておりましたことをずばりとお答えをいただきましてありがとうございます。そのとおりです。まず隗より始めよでございまして、政治家がまず改革を行っていかなければなりません。そのことにつきまして、自民党の党内においてもいろいろと声が出ておる、その声を聞いておるということでありますが、その一部分だけでも、政治家自身の改革の問題についてどのようなことを長官はお聞きになったかあるいはお考えになっていらっしゃいますか、その切れ端でもいいですから御披露願いたいと思います。
  269. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは行政各部の問題でなくして立法府の問題でございますから、そこまで私がいろいろ申し上げるとこれは塁を離れ過ぎた話になりますから、この際差し控えたいと思います。
  270. 岡田正勝

    岡田(正)委員 では、次に移らしていただきます。  臨調がいま懸命な審議をなさっていらっしゃるわけでございますが、この臨調の作業というのはフリーだというふうに聞いておりますけれども、一部から聞こえてくる声によりますと、いやそうではないらしい、枠をはめられておるのではないかということを聞くのであります。枠をはめているのか、拘束しておることがあるのか、完全にフリーなのか、その点を明確にお答えください。
  271. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さきに私がお願いを申し上げましたこと以外は完全にフリーであります。今回臨時行政調査会法を成立させるときにも附帯決議をおつけいただかなかった。この前のときには附帯決議がございました。今回おつけいただかなかったのは、相当見識の高い方々が委員におなりいただくのであるから、完全にフリーハンドで自由な御判断を仰ぐようにお願いいたしたい、そう野党の皆様にも申し上げて御快諾いただいた次第なのでございまして、完全に自由な意思で国家的見地に立って御判断願えるものと確信しております。
  272. 岡田正勝

    岡田(正)委員 次に、七月には恐らく臨調から増税なしで五十七年度予算をこう組んでいただきたいという中間答申が出てくるであろうと期待をいたしておりますが、その場合に、増税なしで五十七年度の予算に反映ができるであろう節減額というのはどのくらいを期待をしていらっしゃいますか。もし問い方が悪ければ、どのくらいを予定をしていらっしゃいますか。腹づもりをお聞かせください。
  273. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだその辺の数字は申し上げる段階に至っておりません。
  274. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、ちょっと長官、私は不審に思うのですが、いま国を挙げて、しかも責任者であります鈴木総理も五十七年度は増税なしで予算を組むという決意を発表していらっしゃいますことでもありますから、臨調の答申待ちであって、それまでは一切政府は何にも考えぬ、こういう意味でございますか。
  275. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 臨調臨調でいろいろ御議論なさいますが、政府政府として臨調からいかなる答申が出た場合でも即応できるような勉強だけはしておかなければなりません。七月中旬に答申が出まして概算要求をいつするか。昨年度は七月二十九日にいたしました。七月半ばとしても二週間くらいしかありませんから大変忙しい調整作業があるわけです。あるいは情勢によっては二十九日というのを八月に繰り下げるかもしれませんし、あるいはさらにさかのぼってさきへやるかもしれません。ともかく、七月前後というものはどういう案が出てきても直ちに有事即応で各官庁が調整作業をやれるような勉強だけは先行してやらしておかなければなりません。そういう意味で、先般の閣議におきましても、総理からもそういうお話があり、私からもそういうふうにお願いを申し上げた次第でございます。
  276. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それが本当だろうと思います。ということでなければ私は政府は怠慢であるというふうにむしろ言いたいのであります。  そこで重ねてお尋ねをいたしますが、政府が答申が出たときに即応できるように勉強して体制は整えつつある、これはよくわかるのです。そうなければなりません。そこで、だれもが予想することができますような補助金行政経費人件費あるいは財産売却その他のことにつきまして、大項目別には五十七年度予算に反映すべき節減額がそれぞれどのくらいにはなるであろうなというぐらいのことは当然勉強していらっしゃると思うのであります。その点をぜひひとつこの際御披露いただきたいと思うのであります。
  277. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般の閣議でそういう御指示が総理からもあり、私からも時間を限った話をいたしましたので、大蔵省はもとより各省庁において自分の担当している分について勉強は開始され始めていると思います。わが行政管理庁におきましても、全般のスケールについてやはりそういう勉強をしなければなりませんので、そういう勉強を開始するように言っておる。ただし、これは表へは出すべき問題ではない、御用命があった場合に参考資料として出すということも含めて中で自分たちだけで勉強しておくことである、そう思います。
  278. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは確認をしておきたいと思いますが、臨調が中間答申をお出しになる、それより前に政府としては一応の対応策、いわゆる対比できるような対応策というものは当然こしらえていらっしゃるものと理解をしてよろしゅうございますか。
  279. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう腹づもりで勉強せよと指令が出たところで、われわれはそれを期しております。
  280. 岡田正勝

    岡田(正)委員 大蔵省お見えになっていますか。次に、財政再建特例法の関係補助金のカットの問題について関連をして大蔵省にお尋ねをしたいと思いますが、財政再建の特例法の提出を考えているかいないか、そのことについてお答え願いたいと思います。
  281. 小川是

    ○小川説明員 お答えいたします。  財政再建法についてのお尋ねでございますが、まずその前提となりますのは、政府におきましていろいろな各方面にわたりまして行政改革あるいは歳出削減等の努力をいたしまして、その見直しの結果いかなる措置を講ずることになるか、その措置の内容によりまして、法律改正を要するのであれば、そのときになって初めて、どのような形で立法を行うか、法律技術的な面も含めまして検討をするということでございますので、いまこの段階で財政再建法を提出するとか策定するとかということを申し上げる段階にはないということを御理解いただきたいと思います。
  282. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ちょっと意外な感じがするのでありますが、いままで新聞にはずいぶんと、これは党の関係でありますけれども、安倍さんの言葉その他大蔵大臣の言葉等が載っておりまして、財政再建特例法をもって一括処理しなければならぬようになるであろうという意味のことは、もうすでに新聞を通じて国民の常識と相なっておりますが、答申が出てからでなければそのことについては検討しない、そうですか。間違いありませんか。
  283. 小川是

    ○小川説明員 昨年の秋ごろも新聞紙上等では財政再建法といったようなことがいみいろ話題に上っておりました。しかしながら、各種の措置の検討の結果、今国会には特別に財政再建法という形での法律の御提案はいたしておりません。ただ、各種の見直しの結果、歳入面におきましては、財源確保のための電電公社の納付金であるとか、あるいは中央競馬会の特別の納付金であるとかお願いをいたしました結果、これらが立法技術といたしましても、特例公債と合わせまして財源確保のための法律という形で御提案できるということになりましたので、今国会に御提出している次第でございます。それと同じような意味におきまして、まず何よりも、いかなる措置を行うかという検討が先行いたしまして、その上で立法技術の問題が来るというふうに考えておる次第でございます。     〔森下委員長代理退席、越智(通)委員長代理着席〕
  284. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それではもう一度念を押しておきますが、今国会に出されておるところの財源確保法、略称で言っておりますが、競馬の上がりやら、あるいはいまの電電公社の納付金の問題やら、赤字国債の問題やら、性格が遣おうが何であろうが、何もかも一緒くたにして提案をするというまことに横着きわまるこの提案の仕方は、私は頭にきておるのです。そこで、今度臨調の答申が出たときにどういう態度で出されるのか、新聞では財政再建法というような、これは略称でしょうけれども、そういうもので一本化して、一束何ぼでひっくくって出してくるというようなことがしきりに喧伝されておったが、あれはうそ偽りである、あれは新聞社が勝手に推定したことである、大蔵省は現時点においては毛頭考えていないと受け取っていいのかどうか、もう一遍答弁してください。
  285. 小川是

    ○小川説明員 お答えいたします。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、私どもの立場といたしましては、まず何よりも、いかなる立法措置を必要とするような内容のものがあるかということが決まりませんでただ財政再建法というような法律を提出するというようなものではないと理解しております。したがいまして、冒頭申し上げましたように、現段階で特に財政再建法といったような名称のものを考えているというわけではございません。
  286. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは、もう一度だけ確認をしておきますが、自民党の安倍政調会長が財政再建特例法等を考えてとおっしゃっていることは、あの人のひとり言であるというふうにこちらは受け取ってよろしいですな。政府は知りませんな。これは長官いかがですか。
  287. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政党政治家は、ある程度の予測、先見性というものを個人的見解として言う立場にもあり、そういう意味においてある種の見通し、ある種の予測というものを表明したのではないかと思いますが、政府ともなりますと、これは国民に対して直接公約する非常にきつい立場にあるものであります。したがいまして、あくまで慎重にやらなければならぬので、立場が違うと思います。
  288. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは、今度は具体的なことをお尋ねをいたしたいと思います。大蔵省でありますが。  補助金のカットという問題は、いずれにしても逃れることができない一つのテーマではないかと思います。その場合、補助金のカットの方法はどういう考え方をしていらっしゃるか。さらに、カットには聖域があるのかどうか。さらには、このカットでどの程度の額を見込んでいらっしゃるか。すでに作業を始めていらっしゃると思いますので、お答えをいただきたいと思います。  なお、この際一括して質問を申し上げておきますが、五十六年度予算におきまして、いま非常に問題になっております補助金が出ておりますが、補助金を根拠別といいますか、それに分けてみますと、法律補助予算補助というのが大体八対二ぐらいの割合であると思います。さらにこれを対象別に分けてみると、地方公共団体向けとその地向けというようなことになろうかと思いますが、もう五十六年度予算は自民党が圧倒的多数をもって強引に両院を通過した後でもございます。とうの昔にこれのそれぞれの金額と件数と、単に算術的な割り算でありますが、一件当たりの平均補助金額というものは当然出ておると思いますので、その点もこの際御披露をいただきたいと思います。  いま一つ、零細補助のカットということをよく聞くのでありますが、これについて、われわれにはわかりません。どのくらいの金額をもって零細補助と称しておるのか、大蔵省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。  以上、一括してお答えください。
  289. 藤原和人

    ○藤原説明員 お答えいたします。  最初に、今後の補助金整理の考え方、方法についてのお尋ねでございますが、目下のところ、五十七年度の具体的な方針を決定しているわけではございません。したがいましてまだ白紙の状態でございますけれども、財政再建を進めるためには指摘のように補助金の整理につきましても一段と積極的に取り組んでいかなければいけないということは申すまでもないことだと思うわけでございます。  そこで補助金の中身をいろいろ見てみますと、補助金の多くはそれぞれ法律なり制度なりに基づいているものでございまして、これを大幅に削減をしようということになりますと、どうしてもそこにございます制度自体にメスを入れていく必要があるのではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、補助金の全部につきまして全く機械的、一律に削減するということはなかなかむずかしいのではないかというふうにも考えるわけでございますけれども、他方、補助金整理の実効性を上げるという観点からいたしますと一律的な手法というものも有効な手段であるということは否定し得ないという面もあるかと思うわけでございまして、このような点をいろいろ加味いたしまして、どのような方法が最も効果的かというような観点につきまして今後さらに私どもといたしましても検討を進めてまいりたい、こう考えているわけでございます。  それから、二番目の御質問は、聖域があるかないかというお話でございますが、補助金の整理を進める場合におきましても、当然のことでございますが聖域を設けることなく、あらゆるものを対象として削減方策を検討していくことが肝要であると、かように考えておるわけでございます。  それから、五十七年度の予算編成で補助金カットによってどのぐらいの財源を見込んでいるのかという御質問でございますが、補助金の整理につきましては従来から積極的に取り組んでまいってきておりまして、五十六年度は、整理合理化計画に基づきまして、廃止二百九十二件などのほか、減額などを加えまして千六百八十八億円の整理合理化をしたわけでございますが、来年度につきましては先ほど冒頭に申しましたとおり具体的な方針が決まっておりませんので、補助金カットによって幾ら浮くかといったようなことにつきましては現在まだ申し上げる段階ではございません。  それから計数につきましての次の御質問でございますが、最初の御質問が法律補助予算補助に分けて件数、金額、一件当たり平均幾らかというお尋ねかと思いますが、五十六年度で、補助金の件数は全部で三千五百十五件、金額にいたしまして十四兆五千六十六億円でございます。そのうち法律補助と言われておりますものが千二百六件、金額では十一兆九千四百八十二億円、予算補助が残りでございまして、件数が二千三百九件、二兆五千五百八十四億円でございます。一件当たりの平均といいますのは、補助金の中には一本で二兆円もの補助金もございますし、片や非常に少額のものもございますので、単純に割り算をいたすことがどれだけ意味があるかという問題はございますけれども、単純な割り算をいたしますと、法律補助が約九十九億円、予算補助が十一億円というぐあいになっております。  それからさらに、地方公共団体とその他に分けて同じ数字をという御質問でございますので申し上げますと、地方公共団体向けの補助金が件数として二千二百六件、金額では十一兆四千九百九十七億冊、これも単純に計算をいたしますと、一件当たり約五十二億円、その他の部分が件数が千三百九件、金額が三兆六十九億円、一件当たり平均二十二億円というようなことになっております。  それから最後に、零細補助金の基準は何であるかというお尋ねでございますが、零細補助金につきましては、政府部内におきまして零細補助の基準を設けまして、これに該当するものは極力廃止をしたり統合したりするということで進んでまいっておりますが、現在の基準といたしましては、都道府県に交付するものにつきましては五百万円未満、市町村に交付するものにつきましては五十万円未満のものということで処理をしております。
  290. 岡田正勝

    岡田(正)委員 長官にちょっとお尋ねをいたします。  ただいま私が質問をいたしました問題でございますけれども、補助金カットの方法につきましては、国会に審議をお願いする方法としては、財政再建特例法というようなもので出すしか方法がない、審議の期間等もあってそうするべきであるというふうにお考えでしょうか。それが一つです。  それからいま一つは、この補助金のカットの方法というのは、もうとにかく目をつぶって一律幾らカットというやり方がよろしいと思っていらっしゃるかどうか、その二点についてお答えください。
  291. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その手続、それから形式等につきましては、臨調答申が出ましてからじっくり考えて、そしてどういう方法でやるのが一番適切であるかということを考えてみるべきであると思います。
  292. 岡田正勝

    岡田(正)委員 自治省は来ていらっしゃいますか。自治省にお尋ねをいたしますが、先ほど来の質疑の中でおわかりであったと思いますけれども、地方自治団体の問題につきましても、この臨調ではやはり行財政改革というものを考えて、答申の中に含めるような雰囲気でございます。  さてそこで、自治省としては、地方自治団体の固有の問題についても、臨調から答申があれば、それを受けてどう対処しようと考えていらっしゃるか、お答え願います。
  293. 田中暁

    田中説明員 御指摘の点につきましては、予算委員会におきまして政府の統一見解が出されておりまして、第二臨調におきまして具体的にいわゆる地方固有の問題を調査、審議の対象とするかどうかという問題につきましては、臨調委員として地方制度調査会の会長が参加されていることでもございますので、地方自治の本旨を尊重する中で適切な判断が行われるものと考えている次第でございます。  答申でこのような問題に言及されるような場合におきましては、これは申すまでもございませんけれども、直接に地方公共団体を規制するという内容のものではないわけでございまして、答申内容の実現につきましては地方公共団体の自主的な判断にまつべきものでございますが、自治省といたしましては、この答申内容を十分尊重いたしまして適切な助言、指導を行ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  294. 岡田正勝

    岡田(正)委員 さらに自治省に重ねてお尋ねをいたします。これは行管庁の方にも関係がございますので、できましたら両方からお答えをいただきたいと思いますが、どうもうわさに聞きますると、財政の改革だけではない、機構の改革だけではない、組んだ予算をいかに適切に執行しておるかという問題を、国で言うならば行政監察、そして地方で言うならば監査委員がしっかりやってもらわなければならぬのでありますが、御承知のとおり、地方自治体では監査委員のできる範囲というのは会計の監査であります。財政の監査であります。行政の監査ができないというところに、いろいろな問題が地方自治団体において持ち上がっておるのでありまして、このことについていわゆる総本家としての自治省は、この監査委員の権限強化、すなわち具体的に言ったら行政監査も含めるという地方自治法の改正の問題について一体どのように取り組んでいらっしゃるか、それをお答えいただきたいと思います。この問題については長官の方からもお答えをいただきたいと思うのであります。  さらに長官にいま一つお尋ねをしたいと思いますのは、行管庁におきましては行政監察の体制をお持ちになっておるわけでありますが、多少気に入らぬことを申し上げるようでありますけれども、世間一般のうわさというものは、国が行っております行政監察というのは、お互いに仲間じゃないか、まあまあひとつ仲よくやろうというようなことで、いつ何時にどういう問題で行くからよろしく頼むというような、まあちょっと口の悪い感じで言いますならば、お願いしますと言わんばかりの行政監察ではさっぱり値打ちがないではないか、もっと行政監察の権限を高めるべきではないかという意見がありますが、それについていかが思われますか。  以上です。
  295. 田中暁

    田中説明員 行政運営の実情に対します厳しい住民の批判にこたえまして、公正で能率的な行政を確保するということは、地方団体につきましても一日もゆるがせにできない緊要事であると考えておるわけでございます。地方制度調査会におきましても、このような見地から、第十七次及び第十八次にわたりまして審議を重ねられてまいりました結果、地方公共団体の監査委員が行います監査の内容を、現在の財務事務に対します監査にとどまらず、機関委任事務を含めまして広く行政事務一般について監査の対象にするようにという内容の答申をいただきましたので、政府といたしましても緊急に答申内容の実現を図る必要があると考えまして、このような内容を含みます地方自治法の改正を今国会に提出すべく、現在各省庁と鋭意折衝中でございます。
  296. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方自治法の改正問題は、いま内閣において各省庁との間で調整をやっておる最中でございますので、われわれはそれを見守っていきたいと思っております。  なお、国の行政監察機能あるいは監査機能の強化ということは、実際に行政管理庁をやらせていただいて非常に私も痛感しております。勧告権というのがありますけれども、歓告しても、聞いたよと言ってポケットに入れられてしまったらそれでおしまいであります。会計検査院の場合は、処置要求権とかあるいは事によったら懲罰を要求する権利まであります。そういうようなことも参考にして、国全体の行政監査というものをどういうふうにするか、研究してまいりたいと思います。
  297. 岡田正勝

    岡田(正)委員 ありがとうございました。非常に明快なお答えをいただいて大変喜んでおります。この行革というのは、すさまじい抵抗のあらしが吹くと思います。そういうときに、昔の軍隊ではありませんが、すべてのものが軍旗を中心に進んだものであります。言うならば、長官はその旗手の役目ではないでしょうか。どうぞ最後まで一念を曲げずに、不退転の決意をもってますます前進されることを心から期待をいたしまして、質問を終わります。
  298. 越智通雄

    ○越智(通)委員長代理 次に、辻第一君。
  299. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、行政改革の問題についてお尋ねをいたします。  いま国民は、国民本位の民主的な行政改革を心から願っております。それは行政の全分野からむだと浪費をなくし、利権と汚職、腐敗を一掃し、簡素で効率的な行政機構をつくり上げること、これを強く望んでおります。それと同時に、大衆増税なしの財政再建を望んでいるところでございます。  ところで、鈴木総理は最近、行政改革政治生命をかけると述べておられます。また、長官政治生命をかける、このように述べておられるようでございます。また、土光第二臨調会長も並々ならぬ決意をされているようであります。しかし、政府、財界の行革構想というのは、拡大する軍事部門は聖域化して触れない、そして財界本位の行政改革であり、国民福祉部門の削減を取り上げようということであります。大蔵省は、社会保障や教育などの削減リストづくりを始めている。そして、このような状況に対し、私ども日本共産党は、このような国民の願う行政改革に逆行する方向には強く反対をするものであります。     〔越智(通)委員長代理退席、東家委員長代理着席〕 日本共産党は、真の国民本位の行政改革の実行は、わが国政治の民主化にとっても、財政の民主的再建にとっても緊急かつ重要な国民課題であると考えております。その具体的提案を一九七三年第十二回党大会の民主連合政府綱領提案における提起など早くから明らかにし、政府に対しても一九七七年十二月の党首会談において宮本委員長が要望したことを初め、繰り返し強く要求をしてまいりました。もともと、真の意味での安上がりの政府国民本位の簡素で効率的な行政機構の実現は、科学的社会主義の基本理念に属するものであります。  日本共産党は、さしあたっての必要な具体的課題と政策として、軍事部門、国民弾圧部門を例外とせず、全行政機構、外郭団体を総点検し、大胆な簡素化、効率化を図ること、行政の公開と国民の監視、参加を強め、民主化すること、特権官僚制を打破し、全体の奉仕者としての公務員役割りを発揮させること、地方自治拡充のための行財政制度改革を実施することなど、憲法の平和的、民主的原則を貫く行政改革の方向を総合的に提起をしてきたところでございます。われわれはこのような見地を貫き、引き続き国会の機構、運営の民主化も含め、国民本位の行政改革実現のための具体策を一層深めて提起していきたいと考えているところでございます。  当面私どもは、国民本位の行政改革の実行によって二兆円以上を目標とする経費節減を行い、行政の簡素化、効率化を進める国民的計画要綱を四月八日に提案いたしました。その主な柱は、一つは、補助金制度を抜本的に見直し、むだを削る。第二は、政府行政機構の効率化、簡素化を図る。三番目に、特殊法人など外郭団体の統廃合を進め、業務と機構を民主化する。四番目に、公共事業のむだと不正を徹底的になくす。五番目に、軍事・国民弾圧部門を削減、縮小する。この五本の柱でもって提案をしてきたところでございます。共産党の考えをまず述べて、それから質問に移りたいと思います。  鈴木内閣は第二臨調初の会合で、総理は、「政府は、調査会の意見については最大限に尊重し、あらゆる努力を傾注して、その実現を図ることを約束する。」云々こういうふうに申されました。第二臨調の答申をまるでそのまま実施するような約束をしておられるわけであります。第二臨調では行革基本方向はおろか検討課題さえ決まっていない段階で、行政最高機関であります内閣が、八〇年代行政基本方向がかかっている重大問題について、第二臨調の方向が明らかになっていない段階でその答申をそのまま実施するようなことを約束するのは大変不可解な態度である、私はこう思うわけでありますが、この点について長官はどうお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  300. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず第一に、今度の行革は財界本位の行革ではありません。国民本位の行革でありますので、この点は改めて申し上げておきます。  第二に、第二臨時行政調査会発足に当たりまして、内閣総理大臣及び私からごあいさつを申し上げました。それが文書で配ってあります。そのごあいさつに盛られていることがわれわれが聞きたいところであるというふうな内容も込めてありまして、そこで調査会の審議が開始された次第でございますので、ただやみくもに、何にもお願いもせずに臨調審議が始まっているというものではございません。
  301. 辻第一

    ○辻(第)委員 そのように申されましても、まだはっきりした臨調としての方向だとかそういう基本的な検討課題が明らかにされていない段階でそういうように申されるのは、私どもはやはり理解ができない、こういうことでございます。  次に、鈴木内閣が安心して臨調答申を実施すると約束をされたのは、臨調の答申の基本方向がどのようなものであるか、そのことがよく御存じであるからに違いありません。今度の行政改革は、いま、財界主導ではない、このようにおっしゃいましたけれども、それはやはり財界主導の行革であると言われております。これがいまの日本の支配的な考え方ではないでしょうか。  事実、内閣が任命した臨調の構成は、土光会長初め、財界出身が三人、その他、元大蔵事務次官、元自衛隊統幕議長、それから行政管理庁長官の諮問機関であります行政管理基本問題研究会の座長を務めてこられた学者など、財界、官界出身者が多数を占めております。それだけで多数決で答申できる、このような仕組みにもなっているわけであります。したがって、これまで財界が出してきた行革の方向や、大蔵省の「歳出百科」、基本問題研究会の研究報告書などを見れば、その方向はおのずから推測をされるわけであります。  その基本は、一つ国民サービスの切り捨てであり、大企業への規制の緩和であり、さらに治安、外交防衛、経済協力などの聖域化であろうと思います。不正、腐敗の構造には全く手をつけていないというのが現状であります。委員の選定に当たってこれらのことを承知済みであろうと思うわけであります。  そこで、特に財界からこれまで示された各種の行革についての意見、提言の中の幾つかの点について、長官も同様の意見なのかどうかお尋ねしたい、こういうように思うわけでございます。  一つは、日経連の桜田会長が代表世話人をしておられます産業計画懇談会、これがことし二月に「驚くべき行政の現状と改革の方途」という意見書を発表されているわけでありますが、その中で、大企業への各種規制行政の骨抜きの主張があるわけであります。たとえば、各種許認可や行政指導について、次のがその書いてあることですが、一、二年程度そのポストを温めるにすぎない官僚が業界を指導することの意味を猛反省する必要がある、こういうところがあるわけであります。政府の従来の行政措置というのは大体財界寄りであったのですが、その中には国民の批判や国会の追及に押されて、大企業の横暴を部分的に規制するものも含まれています。ところが、先ほどの主張というのは、そうしたものについて非難をし、業界がやることは正しい、行政が口を出すな、まるでそのような言い分ではないでしょうか。長官はかつて通産大臣を務められました。当然各種業界に対する指導についても責任を負う立場におられたことがあるわけでありますが、こうなりますと、長官をも非難をしているというようなことにもなろうかと思うわけでありますが、財界のこのような独善的な主張について、それが当然の主張だとお考えになっているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  302. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 辻さんのいまのお話を承っておりますと、はなはだ遺憾ながら見解を異にしておりまして、何か独断と偏見に満ちあふれているお話のように承りました。人民政府哲学から見るとそういうふうにお考えになるのではないかという感じがいたしております。  今度の臨調委員の構成にいたしましても、いわゆる財界側から出ている方は三人で、あとは地方制度調査会あるいは新聞の長老あるいは労働界あるいは学界あるいは婦人、そういうような各層から出ておるのでありまして、決して財界偏重というようなことはございません。  それから、いまの産計懇の意見にいたしましても、これはあそこにおられる方々のお考えが、ハイエックとかあるいはフリードマンとか、そういう思想哲学をもって現在の行政をながめているお方々が実際問題を解明して出てきた一つの御意見でございまして、それが全面的に全部正しいとは私は思いませんけれども、しかし、現代の積弊をためるためには傾聴すべき議論も、理念的にかなりある。アメリカのレーガンさんや、あるいはイギリスのサッチャー首相が考えている基本にも通ずるものがある、そういうように承ったところであります。
  303. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので一々反論ができないわけでありますけれども、やはり私はこのような財界の独善的な主張というものは許せないと思います。  次に、国民のニーズが行政を膨張させ、むだと浪費をつくり出したという議論でございます。五十二年七月の経団連の行政改革推進に関する意見に述べられ、最近ではことしの二月、先ほどの産業計画懇談会が発表しておりますが、そこには、国民のニーズを満たすための財政措置等がむだと浪費を生み出したと断定し、むだをなくすためにはこれを改めることだとし、当面農業、健保、教育を挙げています。国民のニーズというのは、政府役割りの拡大を正当化させるこじつけとまで言っているわけであります。ここのところは私は許せないと思うのですが、長官はこの意見と同じような考えなのかどうか、お尋ねします。
  304. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 辻さんの御議論を拝聴していますと、東京都で美濃部さんがおやりになったようなばらまき福祉が一番いいのだ、そういうふうに逆に聞こえます。  やはり、適正な行政というものは、人間のみずから立ち上がろうとする活力を維持させながら、しかも困った人はみんなで手を差し伸べて救っていく、根本は人間の生きている活力を目覚めさせるということだろうと思うのです。身体障害者のリハビリテーションやそのほかの原理もそうであります。生きている人間の活力ぐらいとうといものはないのであります。そういう基本哲学が行政体系にも反映するというと、一部にはハイエックのような思想も出てくるわけであります。  そういう意味におきまして、規制を解除するとか、なるたけ自由な自活的な九を回復しようとする動きを何か悪と感ずるというのは、逆から考えると、もたれ合いとか甘えとか、それを是認するような考えに通ずるのではないかとすら考えられる次第でございます。
  305. 辻第一

    ○辻(第)委員 国民の切実な要求にやはりこたえる努力をしなければならない、それが政府の当然の責務であろうと私は思います。軍事費だけはどんどんと増強させ、そして大企業に奉仕するところはさらに土持ちをする、そのためには国民の切実な要求を切り下げていく、このような方向は私はやはり政府としてとるべき態度ではない、こういうふうに考えるわけでございます。  また、国会の審議について非難をしていることであります。私は、冒頭に述べましたように、国会の機構や運営の民主化も含めて、国民本位の行政改革を実現すべきである、このように述べたところでありますが、しかし経団連の意見というのは、国会対策の必要から、行政府が資料収集や答弁準備で時間を要し、行政事務がふえ、行政不在となっているとして、行政府との関係を問題にし、最近の行政改革推進五人委員会の提言では、議会に対する行政の過大な負担を解消する、このように言っているところであります。現在でも、大変むだな行政、不正腐敗の追及を国会でするにいたしましても、政府の資料提出はきわめて不十分であります。議会の審議による監視をさらに弱めようとする、そうならば一層むだや乱脈がはびこることは目に見えております。  このような議会軽視の主張について長官はどのように考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  306. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国会は、憲法上国権の最高機関でございますから、絶対に軽視してはなりません。しかし一面において、議会の審議が過剰に流れたり、あるいは党利党略的等にかりそめにも流れて国民に過剰な御迷惑をおかけすることは、私たち自戒しなければならないと思います。
  307. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほどからずっと御答弁を聞いておりますと、やはり財界の考え、主張、そういうものに大変同じような考え方であります。私は財界主導型の行政改革という念を深くしたわけでありますが、次に移りたいと思います。  国民行革期待をしていることは、第一に、不正腐敗の構造をなくすことである、こういうふうに考えるところでございます。たとえばKDDの問題、それから鉄建公団、住宅公団、それからKDDにつながって郵政省ですか、こういうふうに政官財の癒着というようなことをもとにしていろいろな不正腐敗の構造というものができ上がってきているわけであります。当然その中には莫大な官公需なんかを中心にした不正腐敗も含まれているわけでありますが、こういうものは各種の行政機構補助金などと違って、一片の正当性を持たない、むだの最たるものであろうと思います。しかるに、財界の行政改革案にはもちろんのこと、事務当局が第二臨調に提出された検討課題でも、この点は全くといっていいほど欠落しております。ただ、きのうでしたか、情報公開の問題、オンブズマンの問題あたりが少し問題になったようですけれども、ほとんど欠落をしている、これが現在の行革の本質の一端を示すものではないかと考えます。鈴木行革では、そして長官は、この不正腐敗の構造のどこにどのようなメスを入れていこうとしておられるのか、あるいは全くそういうものにはメスを入れないでいこうとしておられるのか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
  308. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政府委員をして答弁せしめます。
  309. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度長官答えてください。後は政府委員に任せます。
  310. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままでいろいろお話を承りましたが、やはり根本的認識の相違があるように思いましてはなはだ遺憾千万であります。私たちは、やはり全国民的立場に立ちまして、国民皆様方が御支持くださる公平、普遍妥当な考え方行革を進めようと思っておりまして、一部の人たちに迎合しようという考えはありません。やはり行革というものはある程度苦痛を伴うものであり、甘えやもたれを排するという厳しい現実がくるものである。それをわれわれみずからがしょい、また国民皆様方にもがまんしていただくというのが行革の本質にあると私たちは思うのでございまして、何も甘いことばかり言って国民に迎合するのが政治家の職分ではない、そうみずから戒めてやっておるところでございます。  したがいまして、今後出てくるあらゆる問題につきましても、いかに公平に、公正に負担を分け合うか、そういうことが一番大事な点であって、そして、しかもその苦しさ、嵐の中を突破すれば明るさが出る、希望がよみがえる、そして国全体に活力が見違えるようによみがえってくる日本にしたい、そういう考えに立って実行してまいりたいと思っております。  以下、政府委員答弁せしめます。
  311. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまのは私がお聞きしたこととちょっと違うのですね。不正腐敗の構造をどうするのかということであります。その点について、はっきりとお答えをいただきたいと思います。
  312. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは、いままで総理も私も御答弁いたしましたように、いろいろな措置を講じ、あるいは政治資金規正法の改革であるとか、あるいは国会でいろいろな決議をしたり、あるいは、総理においては倫理委員会をつくろうというお考えもあったり、あるいは選挙法の改正をしたり、ともかくあらゆる努力をしながら、その改革を持続してやっておる最中なのであります。
  313. 辻第一

    ○辻(第)委員 行政改革と関連をしてきっちりとやっていただきたい、このことを要望して、さらに次へ移ります。  いま言いました不正腐敗の構造は非常に複雑に絡み合っておるわけであります。先ほども申しました政財官の癒着、それから多額の公共投資の政府支出等の仕組みの中にも内在をしておるわけです。公共事業は現在の費用からうんと安くやっていける、極端な場合は半額でもやれるのではないか、こういう意見もあるわけであります。ところが、下請価格の実態や、あるいはことしの予算委員会でわが党の寺前議員が指摘をしましたように、実態に合わない労務単価の算定などを見れば、これはうなずけることでもあります。こういう点について根本的にメスを入れなければ、本当にむだをなくすことはできない、結局弱い者いじめの行革としかならない、こういうふうに思うわけであります。  公共事業のむだの構造を示す一つの実態を示したいと思います。  ところで、長官は毎年会計検査院の検査報告をよく読んでいらっしゃると思うわけでございますが、念のためにお聞きをしたいと思います。本当に十分にお読みになっていられるでしょうか。長官もう一言。
  314. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十分に念入りにとは申しませんが、一応は読んでおります。
  315. 辻第一

    ○辻(第)委員 検査報告では、この三年間に補助事業を除く政府や公社、公団の工事のうち積算の誤りによって工事費が高くなったものが八件九工事について不当事項として指摘をされているわけであります。この八件について見ますと、適正とされた価格に比べて最低四・二%から最高二四・一%も高くなっているのです。最高金額では三億二千百二十五万円も高くなっている。検査院の指摘は積算誤りについてだけ指摘をしているわけでありますが、その入札状況を調べてみますと、もっと重要な問題が浮かび上がってくるわけであります。これらの工事はすべて指名競争入札で、入札者は三社ないし十社です。大部分は五社で入札が行われていますが、入札回数はそれぞれ一ないし四回、こういうことです。  第一に指摘すべきことは、最初の入札から最後の入札まで最低価格を投じた第一位の入札者は全く変わっていない、こういうことがあるわけです。二番とか三番とか四番とかいうのは入れかわっているわけです。ところが最低価格を投じた第一位の入札者は何回入札しても全部一位、こういうことですね。それから一工事だけならともかく、すべての工事の入札において一位の者が不変、こういうことは公正な入札ではあり得ないことである。談合であらかじめ落札予定者が決められたということを示すものではないでしょうか。こうした点にメスを入れない限り、公共事業のむだはなくならない、こういうふうに思うわけでありますが、どのように対応をとられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  316. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 談合入札等の件でございますが、これは世の中でもいろいろ言われている問題がございますが、この実態等を把握することもなかなかむずかしい点もございますが、公共事業の契約が適正でなければいけないということは論をまつまでもないことでございます。政府としては従来から毎年予算執行等を通じまして遺漏なきを期しているわけでございます。公共事業を含めまして広く行政のより一層の適正な運営というものを確保する方策につきましては、これまた各方面の意見も取り上げながらと考えております。場合によっては臨時行政調査会でも御議論いただけるのではないかというふうに期待はしておりますけれども、具体的な審議事項についてはこれから決まることでございますので、その結果を待ってわれわれも具体的な態度は決めていきたいというふうに考えております。
  317. 辻第一

    ○辻(第)委員 会計法では一般競争入札が原則となっています。大きな工事ではほとんどが少数の指名競争入札で行われております。談合を容易にしているということであろうと思います。指名競争とする理由は、どこでも信用や経験や技術力のある者に工事を行わせるためだとしているわけですが、それぞれこうした条件によって数十社の指定業者をランクごとに定めております。指名数社でなければ責任ある工事ができないというものではないと思います。実態を調べ、指名競争を採用する要件を厳しくするなど談合防止のための改革が本当に必要ではないかというふうに考えるわけです。  さらに、入札額を見てみますともっと問題なんですね。たとえば五十二年度指摘の国鉄の仙台基地南土工、この工事では二億二千万の工事全額になったわけでありますが、適正額はそれより二千三百十四万低い額であります。一一・八%も高い価格で落札をしています。これは五社の指名入札です。最終入札時の各社間の入札額の開きはわずか二百三十万円なんですね。落札額の一・〇五%でしかないわけであります。  次に、それぞれひどいものを明示しますと、五十三年度の国鉄東北幹愛島地区スラブ軌道、これは六億七千九百万でありますが、七千百七十五万円高過ぎて、一一・八%高の落札になった。最終入札時の入札額の開きはわずか八十万円ですね。〇・一二%。五十三年度の本四架橋公団門崎高架橋などの工事では、これは二十七億六千万という大きな工事でありますが、何と三億二千百二十五万円適正価格より高いのですね。一三・二%高の落札であります。これは入札額の開きは一千万円ということです。〇・三六%です。また、五十三年度の水資源開発公団幹線水路第六工区その三(第二期)工事というので見てみますと千百八十一万円高い、一〇・一%高の落札で、入札額の開きは百二十万円、〇・九三%ですね。それから五十四年度の鉄建公団阿佐、海部−宍喰軌道新設他工事では二千百八十一万円高く、二四・一%高で落札をされている。そしてその入札額の開きは二百万円で一・八五%です。積算ミス、九つの工事のうちで五つが一〇%以上も予定価格が高くなっています。そして各社の入札額がその誤った予定価格と一%前後の開きしかないのですね。こういうことは予定価格が漏れていない限りあり得ないことだ、こういうことであります。こういう実態こそ真っ先にメスを入れなければならない。本当にむだや浪費をなくし不正腐敗をなくしていくということが行政改革にとって大変重要な課題であろうというふうに思うわけでございます。積算ミスの内容はいろいろあるわけでありますが、たとえば加算すべき割り増し人員を乗じてしまっている、足し算でしなければいかぬのを掛け算にしてしまったり、一つでよいものを総延長の数字で計算をしたり、人員を二倍にしながら作業量をもとのままで計算している、こういうことですね。経験を積んだ大手企業が何社も全く同じ誤り計算をするなどということは絶対にあり得ないことであります。にもかかわらず、先ほども言いました二十七億六千万円の工事が、それは本来適正なのは二十四億三千八百七十五万円ということで、三億円も高くなっている予定価格に各社とも一千万円以内での違いしかない。こういう入札をするなどというのは、だれが見ても予定価格の漏れは明らかであります。  特に強調したいことは、大なり小なりこれら八件九工事のすべてについて同じことが言えるということであります。これらの入札は別に特別のものではないわけです。他のすべてにわたってこういう事態が蔓延していることを疑うに十分な実態であります。一体本気でこういうことを改めていく気があるのかどうか、このことを最後にお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  318. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 入札に際しまして談合や不正があることは許してはなりません。適正な、正しい価格で入札が行われるように今後とも監督監視を強めてまいりたいと思います。
  319. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 井上一成君。
  320. 井上一成

    井上(一)委員 午前中に私から指摘をして留保した点についての答弁を改めて求めます。
  321. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 御指摘のございました、国の公務員が特殊法人あるいは地方公共団体に転出した場合に給与が場合によって二、三号アップするのではないか、こういう実態を把握しているかというお話でございました。御指摘のような事例があるいはあるかもしれませんが、当庁としてはその実態をよく把握しているというわけではございません。この問題につきまして、国の給与体系あるいは特殊法人の給与体系、先ほどもちょっと触れましたけれども、そのほかいろいろな年金の問題等も関連することも考えられます。そのような状況でございますので、先生御指摘のような点がいま直ちに不適当であるかどうかということは即断しかねますけれども、今後とも特殊法人とのあり方検討する際には十分に考慮に入れることにいたしていきたいというふうに思います。
  322. 井上一成

    井上(一)委員 何を言っているのですか、あなた。私は、国から地方公共団体に下っていった場合に二、三号アップがなされている、あるいは地方公共団体でなくても関連機関に行く、そういう事実があるということを指摘したわけです。全体的なものとして掌握をしているのか、こういうことをまず一点は聞いている。そういう事実に対して行管庁としてはどういう認識を持っているのか。これは中曽根長官に、国からその職員が一時的に、私は天下りという言葉が適切かどうかは別として、いわゆる関連機関、都道府県、市町村あるいはそういう準公共機関に、職務がえ、配置転換、いろいろあるでしょうけれども、かわっていく場合に給与が二、三号アップされているのですよ、こういうことは好ましくないじゃないか、片側で地方公務員給与が高い高いと言いながら、国からおりていくのはこういう実態があるじゃないか、それについて全体の実情を掌握しているのかどうか。掌握していなければ掌握をしてもらいたいし、そしてそういう事実に対して行管庁としてはどういう認識を持っているか。これは行革の大変な問題ですからその中に入れるということはさっき私は答えをいただいたと思っているのですけれども、長官からひとつこの点について答えてください。
  323. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 恐らく井上さんの言われていることは正しいと思います。国から地方へ出ていくという場合に、係長が課長になったり、あるいは課長補佐が課長になったり、一格上がるとか給与が上がるとか、そういうことは恐らく行われているだろうと想像されます。そういうことで、また人材を地方が欲して人をよこしてくれというようなことも十分あり得る。特に、土木部あたりなんかではそういう例が多いし、それから地方あたりもそういう傾向があります。ですから、言われることは正しいと思いますが、大体これは自治省の所管の仕事でわれわれの方から直接手を突っ込んでみるということはできません。今後自治省に対して、その調査が果たして行われているかどうか、またわれわれがそれを把握しなければならぬ問題もありますから、大いに研究してみたいと思います。
  324. 井上一成

    井上(一)委員 いま長官から答えがあったように、ひとつ担当の方で十分な把握をしていただいて、後刻報告を願いたい。  ただ、ラスパイレス指数だけで地方公務員給与水準を国と比較する場合にそういう実態があるということも、地方自治体では優秀な人材を求めるために若干の賃金ベースが部分的に上がる、そういう実情も承知をしてもらいたい、こういうことです。余り時間がないのですが、何か長官が大蔵委員会に五時から出席をされるということをいま聞いたわけなんです、せっかくの審議の時間なんですけれども。  さらに、朝からの質問の中で、今回の行革理念の中にいわゆる福祉国家理念は残されているかという質問に、残されているというお答えがあったわけです。臨調の中長期検討課題はいまのところ項目を並べたという段階でありますし、まだまだあいまいな面もあります。しかし、一つの流れとしては小さな政府をつくっていこうではないか、そういう流れがあるわけです。そこで、小さな政府それ自体は、むだな行政は慎まなければいけないし、朝から長官が言われた行革理念は私も子とします。ただ、何でもかんでも小さな政府だったらいいのだという認識に立ってもらうと困る。それはなぜなのかというと、これからの高齢化社会に対応していくわが国行政あり方というものは福祉国家を目指すのだということであれば、それに即応、対応していくためには必要な部門はどうしても維持していかなければいけない、こういうことなんですね。その点については、もう一度ここで長官から、いわゆる福祉国家を目指す、その高齢化社会に対応するわが国行政あり方というものは、その理念は一に捨て切らない、残すのだ、このことをもう一回ここで確認をしておきたいと思います。
  325. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行革につきまして二つ申し上げてみたいと思います。  これは申し上げたことでもありますが、一つ財政再建のためのみに行革があるのではない。行革には行革独自のドクトリン、哲学というものがあるので、それは非経済的な世界である防衛であるとか、教育であるとか、あるいは外交であるとか、そういう部面も包含している統治行為の機構及び機能という問題が行革の対象になるべきである、そういう考えに立って行革を進めていく。ただし当面の状況は、財政が窮乏して公債が年度末には八十二兆にもなるという状況であるから、この財政問題を片づけるということも反射的には出てくる。そういう認識が第一であります。  それから第二は、日本の社会体質あるいはあり得べき国家構造の性格として、私は混合経済的なものが持続さるべきであるという認識を持っております。しかし、ここ十数年来の高度経済成長の中で、余りにも肥大化したり冗費が多くなっている点もある。これを減量化するためにフリードマンがいま必要なのであって、フリードマンオンリーですべてが片づくという問題ではないのである。ただ、混合経済という基本には福祉国家の思想が明らかにありますが、経済の成長に伴ってかなりの自然増収が出てきた、それが大盤振る舞いになったりして、ややもすればこの過程において福祉国家の思想が乱用されたり、あるいは堕落した福祉国家観すら出てきていると言えなくもない様相もある。そういうものは是正されなければならぬ。ならぬけれども、日本国家構造の性格からすれば、イギリスアメリカのように完熟した、ストックの十分な社会と違って、まだまだ社会的資本を貯えなければならぬし、あるいは社会的制度等においても整えなければならぬところもありますし、科学技術やそのほかの面におきましても大分おくれているところもあるのでありまして、そういう意味においてはやはり混合経済的思想で日本の政治というものは持続さるべきである、そういう基本認識を持っているということを申し上げておきます。
  326. 井上一成

    井上(一)委員 私も長官のその認識に期待するところがあるわけです。ところが、なぜ肥大化し、機能が麻痺していったかということは、政策的な、余りにも政治的な配慮が底流にあったと思うのです。けさほどからも農林行政においで指摘もしました。ここでイデオロギー上においての行革というものは全く慎まなければいけない。あるいは社会思想だとか哲学とかいうものだけで行革は取り組めるものではない。フリードマンが必要であるといういまの発言、しかし、フリードマンオンリーでないという、そこをやはり私たちも求めていきたいと思うのです。フリードマンのその流れそれ自体がレーガン大統領の目指す小さな政府であるとする、そういう考え方に対しては、けさほども指摘がありましたけれども、いわゆるケインジアンの流れをくむサムエルソン教授、これはノーベル賞をもらわれた優秀な経済学者ですが、強く批判をしている。これは何なのか。福祉の切り捨てになってしまう。不平等の復活につながるのだ。このことを胸に置いて行革というものに取り組んでもらわなければ私は困ると思う。それをここでしっかりと確認をしておきたかったわけなんです。だから私は、むだな行政はどんどん直していかなければいけないし、そういう意味では、ただ意識、そういう意思、何でもここで小さな政府を唱えておればそのことが財政再建になり、そのことが行革なんだという、まさにそういう意識の問題じゃないと思うのですね。行革というのはやはり現実に立った上で、政治家としての将来はどうあるべきなんだ、どういう社会をつくっていくのかというわれわれが求める福祉国家、それを目指して行革は取り組んでもらわなければいけない。だから随所に具体的な事実を挙げてむだを指摘していきたいわけですけれども、時間もありません。そういう意味で、さらに次の委員会で私はいまの国、地方行政がいかにむだであるか、そして地方における直接行政で真に国民に接した中でどんなことをやっているのだ、そういう事実関係を明らかにしながら、やはり行管長官のいま言われた混合経済の中でわが国の福祉国家を守っていきたい、そういう視点に立って行革に取り組んでもらう意気込みをさらに私は確認をし合っていきたいと思います。  きょうは五時という時間が約束の時間でありますから、大変残念ですけれども、これは決算審議の中で所管の長官がいらっしゃらないということになれば、これは質疑になりません。しかし大蔵との兼ね合いもありますから、私は、フリードマンオンリーでない、いわゆるサムエルソンの批判も、そして福祉を切り捨てない、不平等の復活につながらない、そういう行革を求めての取り組みを強く要望して、とりあえずの質問を終えます。
  327. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 次回は、来る十七日金曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会