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1981-03-19 第94回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十九日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 森下 元晴君    理事 東家 嘉幸君 理事 原田昇左右君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君       植竹 繁雄君    桜井  新君       竹下  登君    近岡理一郎君       田中 昭二君    和田 一仁君       辻  第一君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    大西 昭一君         北海道開発庁計         画監理官    富士野昭典君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁長官官房         会計課長    大森 敬介君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     岡崎  豊君         運輸省航空局飛         行場部長    山本  長君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         会計検査院事務         総局第五局長  丹下  巧君         北海道東北開発         公庫総裁    新保 實生君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管北海道開発庁国土庁)、北海  道東北開発公庫〕      ————◇—————
  2. 森下元晴

    森下委員長代理 これより会議を開きます。  昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁国土庁及び北海道東北開発公庫について審査を行います。  まず、原国務大臣から北海道開発庁及び国土庁について概要説明を求めます。原国務大臣
  3. 原健三郎

    原国務大臣 昭和五十二年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査、立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費北海道開発計画費一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾漁港空港整備農業基盤整備等事業費であります。  これら開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計への移しかえまたは特別会計への繰り入れ措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については道、市町村などが実施に当たっているものであります。  昭和五十三年度の当初予算額は五千八百三十四億八千二百二十五万円余でありましたが、これに予算補正追加額三百七十七億七千三百十一万円余、予算補正修正減少額六億九千九百五十七万円余、前年度繰越額七千四百万円、予算移しかえ増加額千三百二十八万円余を増減いたしますと、昭和五十二年度総額は六千二百六億四千三百八万円余であります。  この総額のうち、前述のとおり開発事業執行のため、関係各省所管への予算移しかえ減少額が二千四百四十一億六千五百万円余ありまして、昭和五十三年度北海道開発庁歳出予算額は三千七百六十四億七千八百七万円余となります。  この歳出予算額に対し、支出済み歳出額は三千七百五十九億九千六百二万円余、翌年度繰越額三億八千九十万円余でありまして、その差額一億百十四万円余は不用額であります。  次に、各省所管別移しかえ及び繰り入れ状況を申し上げますと、移しかえた額は厚生省所管へ六千二百九万円余、農林水産省所管へ千八百七十四億五千七百七十万円、運輸省所管へ五億千四百万円、建設省所管へ五百六十一億千四百二十一万円余、通商産業省所管へ千七百万円、合計二千四百四十一億六千五百万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管国有林野事業特別会計へ百九億三千六百九十六万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ三百八十七億六千八百九十九万円余、運輸省所管空港整備特別会計へ四十六億五千九百六十三万円余、建設省所管治水特別会計へ八百三十一億四千五百七十七万円余、建設省所管道路整備特別会計へ千八百八十億六千八百二十五万円、合計三千二百五十五億七千九百六十一万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費八十六億八千七十一万円余、北海道開発計画費一億二千八百七万円余、北海道開発事業指導監督費四億四千九百九万円余、北海道開発事業の各工事諸費四百十一億三百八十八万円余、北海道特定開発事業推進調査費四千百三十五万円余、特別研究促進調整費千三百二十八万円余であります。  以上が昭和五十三年度北海道開発庁決算概要であります。  最後に、会計検査院昭和五十三年度決算検査の結果、庁用物品購入について不当事項指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾であります。  直ちに関係職員に対して厳正な処分を行うとともに、この種の事例発生を根絶するために必要な措置を講じたところであり、今後一層指導監督の徹底を図ってまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  次に、国土庁昭和五十三年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十二年度の当初歳出予算額は二千四十一億四千三十七万円余でありましたが、これに予算補正追加額九十九億二千八百九十三万円余、予算補正修正減少額三億四千三万円余、予算移しかえ増加額百九十七万円、予算移しかえ減少額千四十九億八千四百八十万円余、前年度繰越額四十七億七千二百六十五万円余を増減いたしますと、昭和五十二年度歳出予算現額は千百三十五億一千九百十万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額千七十億二千七百七十五万円余、翌年度繰越額四十四億五千百四万円余、不用額二十億四千三十万円余となっております。  次に、支出済み歳出額の主なものは、離島振興事業費四百億一千五百六十万円余、水資源開発事業費二百一億四千五百三十万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費百六十二億一千百万円、国土総合開発事業調整費七十八億六千九十一万円余、国土調査費七十億七千九百十二万円余、小笠原諸島復興事業費二十七億五百五十九万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十一億一千百三十四万円余、国土庁九十八億二千五百三万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越した主なものは、水資源開発事業費三十三億五千三百二十万円余、離島振興事業費七億八千四百八十一万円余等であります。  また、不用額の主なものは、防災集団移転促進事業費補助金六億七千三百三十一万円余、地域振興整備公団補給金四億八千六百六十七万円、土地利用規制等対策費補助金三億一千八百五十五万円等であります。  以上が昭和五十三年度国土庁歳出決算概要であります、  最後に、昭和五十三年度決算検査報告におきまして庁用物品購入について不当事項指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。指摘を受けた事項につきましては、今後この種の事例発生を未然に防止するため、より一層の指導監督に努めてまいる所存であります。  なお、不当となった額については、昭和五十五年五月十六日に関係職員から返還されたことを申し添えます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 森下元晴

  5. 肥後昭一

    肥後会計検査院説明員 昭和五十三年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件であります。  検査報告番号三号は、北海道開発局小樽開発建設部ほか十七部局において、シート等庁用及び事業用物品団体等職員と称する者からの不当な価格での売り込みに対して、適切な処置を講じないまま、その購入を繰り返し行っていたため、購入価額市販価格等に比べて著しく高価になっていると認められるものであります、  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  6. 森下元晴

  7. 佐藤雅信

    佐藤会計検査院説明員 昭和五十三年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件でございます。  検査報告番号九号は、国土庁において、庁用ファイル等の不当な価格での売り込みに対して、適切な処置を講じないまま、その購入を繰り返していたため、購入価額市販価格等に比べて著しく高価になっていると認められるものでございます。  なお、以上のほか、昭和五十二年度決算検査報告に掲記いたしましたように、地籍調査事業実施について処置を要求しましたが、これに対する国土庁処置状況についても掲記いたしました。
  8. 森下元晴

  9. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 昭和五十三年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  10. 森下元晴

  11. 新保實生

    新保説明員 北海道東北開発公庫昭和五十二年度決算について、概要を御説明申し上げます。  当公庫昭和五十三年度事業計画は、当初、総額千五百億円の出融資うち貸付金千四百九十億円、出資金十億円)を予定しておりました。  これに対し、実績は、貸付金千四百五十三億二千百万円、出資金九億七千五百万円で、昭和五十三年度出融資合計は千四百六十二億九千六百万円となり、前年度実績に比較し、一一・七%の増加となりました。  これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金十億円、政府借入金六百二十億円、債券発行による収入四百三十四億九千百万円及び自己資金三百九十八億五百万円、合計千四百六十二億九千六百万円をもってこれに充てました。  次に、昭和五十三年度収入支出状況を御説明いたしますと、収入済み額は、収入予算額四百六十六億二千五百八十八万円余に対し四百四十六億六千四百八万円余、支出済み額は、支出予算額四百六十億四百九十二万円余に対し四百四十五億八千七百九十一万円余でありました。  また、昭和五十三年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等益金総額が六百二十四億二千九十四万円余、支払い利息事務費等損金総額が、滞貨償却引当金繰り入れ前で、五百七十三億三千五百十万円余となり、差額五十億八千五百八十四万円余を全額滞貨償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、昭和五十三年度末における資産負債状況を御説明いたしますと、主な資産は、貸付金六千十七億五千七十七万円余、出資金六十二億五百五十万円、主な負債は、政府借入金二千四百八十一億千四百二十万円余、債券発行高三千四百三十二億三千八百六十万円、滞貨償却引当金五十億八千五百八十四万円余であります。また、政府出資金は百八十一億円であります。  なお、昭和五十二年度末における貸付金のうち弁済期限を六カ月以上経過したものは三十億三千百八十万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・五%になっております。  以上、昭和五十三年度北海道東北開発公庫決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 森下元晴

    森下委員長代理 これにて説明の聴取を終わります。
  13. 森下元晴

    森下委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。
  14. 桜井新

    桜井委員 長官、御苦労さまでございます。長官には、災対、建設委員会と、相次いで同じような質問ばかりで大変恐縮でありますが、私は実は、この決算資料がございますね、これをずっと目を通していて非常に残念に思って、きょうはどうしてもひとつ長官にただしておきたいと思って質問をさしていただくわけであります。  長官御承知のように、ことしの冬の日本列島を襲った異常豪雪は、大変多くの惨事を伴い、大被害を伴ってきたわけでございますが、そういう中で、一応降雪も落ちついて一段落というようなかっこうではございますが、息つく暇もなく相次いで融雪時の災害が起きておるわけであります。私は前にもこのことは警告をして、第二、第三のこういった被害を起こさないようにということでお願いもし、長官も、この教訓を生かして災いを転じて福となすというようなことができるようにという御答弁もいただいたわけでございますが、実は先般も、新潟県の上越市の近くに牧村というところがございますが、ここで融雪対策に当たっておりました村の総務課長が亡くなられました。また、各市町村では相次いで私ども国会議員にいろいろな恒久対策を、陳情を寄せておるというのが実情でございます。  そういうことから考えて、私が少なくともいままで経験した例から言うと、特に今冬の異常豪雪から考えてみますと、環境整備が進んでおるところは、豪雪は大きくてもそれなりに何とか被害を最小限にとめることができた、用意のなかったところが非常に大きな被害を受けているということでござまいます、したがって、これの恒久対策ということがいかに大切かということはいまさら私が申し上げるまでもないわけであります。そういう中で、この決算報告書の百五十五ページから百六十ページまで国土庁予算消費の結果が出ておるわけでございますが、この中には、今度の豪雪については豪雪対策本部長長官が務められたわけでありますが、そういった主管官庁という観点からいたしますと、もちろん豪雪対策各省にまたがっていろいろな分野でやっておるわけでありますから、私もこれですべてだと申し上げるわけじゃありませんが、少なくとも主管官庁がもっと大型予算をとって、国土庁に相談すれば確かに効果があるのだというような対応をすべきだろうと思って見ておるわけでありますが、これを見ておりますと、百五十八ページの三〇五項のところにちょっと出ておるだけで、しかも山村振興離島振興とは比較にならない規模でございます。せめてもの幸いは、繰り越しや不用額なしに完全消費をしているというところに、強いて言えば長官以下職員の皆さんの前向きな姿勢がうかがえるということで、これは私も賛意を表して、敬意を表して、おきたいと思っておりますが、こういうことでは、第二、第三の犠牲者を出さないようにという、そして長官災いを転じて福となすというような姿勢でこれから前向きに取り組むと言われたこととはずいぶんかけ離れているのじゃないかと思うのですが、この際ひとつ長官の御所見をまずもってお伺いしたいと思います。
  15. 原健三郎

    原国務大臣 お答えします。  桜井先生から、もっと恒久対策十分予算を組んで抜本的対策をやれと、こういうお話でございます。桜井先生は、現地においても、あるいは災害対策委員会、あるいは建設委員会、またこのたびの決算委員会に、常に豪雪対策について非常に熱意を傾注されますことを、深く感謝し、敬意を表するものであります。いろいろいわゆる恒久対策をやりたいのですが、豪雪は、これは毎年来られては困るので、実際はなるべく来ない方がよろしいと思っているのですが、しかし、といって安心しているといつ来るかわかりませんし、はなはだ不確定要素を持っておるものでございます。予算的措置といたしましては、これは各省にわたっておりますので、私はかなりのところまでいっておるのじゃないかと思うのです。  それから、今度におきましても、一番これで資金量を食うのは何といっても除雪排雪、主な市町村道除雪等に対する費用、これが特別交付税などではとても解決できないというので、今度は特に予備費をこれに充当するという閣議決定もいたしておりますし、そうしたら、予備費はかなりありますので、ほとんどこれで賄えるものであると私どもは考えております。さらには、いまおっしゃられました、なだれ等によったりいろいろなことで亡くなられた方が、きのう現在でそのトータルを見ますと百十四名の多きに及んでまいりました。行方不明の方が一名あるし、その他けがをされた方がたくさんあります。亡くなられた方に対しては謹んで御冥福を折る次第であります。また、関係者に対してもお見舞いを申し上げたいと思います。今後とも、意のあるところを十分踏まえまして対策を講じていきたい、いずれ細かいこと等については、いま先生のおっしゃった御意見をよく踏まえましてよく検討していきたい、こう思っております。
  16. 桜井新

    桜井委員 ことしの正月の豪雪以来、長官には本当に熱心に取り組んでいただいて大変ありがとうございます。いま私が申し上げたこの五十三年度決算の結果は、長官が直接長官として指揮されて取った予算ではありませんので、その点については了解いたしますが、長官おっしゃるように、こんな大豪雪異常豪雪による災害が毎年あってもらっては困ることは長官のおっしゃるとおりでありますが、しかし、また雪が全然降らないで渇水期ばかりでも困るわけで、そこら辺がなかなかむずかしいところなんです。  そこで、いま申し上げたように、山村振興離島振興も、あるいはいつ来るかわからない、あってもらいたくない地震対策にしても各般にわたっておるわけでありますが、国土庁としてもかなり大型予算をとって積極的に取り組んでおるわけでありますから、そういうような観点でひとつ、ただでさえ狭隘で、しかも資源小国と言われるわが国がこの狭い国土をいかに有効に利用するかということがわが国国土政策の最大の眼目でなければならぬ、こう思っておるわけであります。豊かな水がある豪雪地帯、これはソ連から見れば本当にうらやましい限りの国土であります。そういう意味でこれが活用のためにぜひ克雪対策にひとつ大いに力を入れていただきたい。まずもってこれはお願いしておきます。  さて、そこで、これもそうでございますが、前二回の質問でも私申し上げたのだけれども、これまた五十二年、五十三年、そして先般いただいた五十四年の決算書を見てみますと、建設省の方でも林野庁の方でもこういう点がどうもあいまいだというような気がするので、この冬一番大きな惨事は何といってもなだれによる死亡事故でございました、そういう観点から、なだれ防止のことについて前回いろいろ申し上げましたので、ここで時間を費やして私がくどくど申し上げることは避けさせていただきますが、その後約一カ月を経過しているわけであります。かなり積極的になだれ対策についていろいろな調査研究をこれからやりながら、そしてまた、これが対応策、新しい事業の柱を立ててほしいと私は要望してきたわけでございますけれども、現在このことについてどの程度の対応をしておるのか、どういう方針で進んでおるのか、これは柴田審議官ひとつお願いします。
  17. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 なだれ防止対策につきましては、先生からたびたび御指摘をいただきまして、恒久対策としてどういうことをやったらいいか、私ども頭を悩ましている次第でございます。これまでも恒久的対策といたしましては、なだれ防止林造成事業などが行われてきたわけでございますが、今回の豪雪の経験を見ますと、なだれ原因等もいろいろむずかしゅうございまして、ながなか一遍に対策を立てるわけにはいかないというふうに考えるわけでございます。     〔森下委員長代理退席原田(昇)委員長代理着席〕 防災集団移転なり、あるいはがけ地近接移転なり、そういうようなものにつきましても検討を進めますとともに、さらになだれ防災対策というものを関係省庁との間で密接な連絡をとって、できるだけ速やかに新しい対策としてどういうものをやったらいいかということを検討して、それから、どんな事業の手がかりと申しますか事業を手がけていったらいいかということを考えまして、そういうものの調査研究を進めながら、できるだけ早く事業手法を決めまして事業化に進んでまいりたい、そういうつもりで進めているところでございます。
  18. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  早速五十六年度からこのことに本格的に取り組む姿勢を話していただきまして、大変心強く感じておりますが、実は私の手元には毎日のように地元からそういったことで要望が出てきておるわけであります。地方自治法第九十九条二項に基づいてこういう意見書も出てきております。「政府におかれましては、豪雪地域で最もおそろしい、なだれによる災害防止に関し、法令の整備をされ、その対策を速やかに施され、この地域の恒久的な民主安定を図られるよう強く要望いたします。」こういう文句。それからまた、地方新聞で三日も連続で、なだれ対策について恒久的な対策を立法化してくれ、こういうことで言ってきておるわけであります。何回か申し上げているように、これは新潟県だけに限らず豪雪地帯全部でありますが、地元人たちなだれの実態というものはほとんど大体把握していると思うのですよ。そういうことでありますので、いま審議官説明にあったような、いろいろな関係省庁と協議をしながら対策を立てていただきながら、少なくともこの際、五十七年度予算に——私がいま申し上げたように五十二年、五十三年、五十四年度予算を見る限りにおいてはそういう点で非常に不満足な予算でございます。決算結果がそう出ているわけでありますが、そういう中からこれを教訓として、ぜひこの五十七年度予算編成には、道路や鉄道は自分たちの施設や機能保全のため、あるいは林野庁がやる治山森林保護という立場だけでなく、直接人家、人身を守るためのこのなだれ防止対策事業というものにぜひ柱を立てていただきたいと考えますが、もう一度審議官の覚悟のほどといいますか、意気込みを聞かしていただきたいと思います。
  19. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 できるだけ御趣旨に沿うように、せいぜいがんばってまいりたいと思います。よろしく御指導のほどをお願いいたします。
  20. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  それでは次に移らしていただきますが、冒頭、長官にお聞きをしたわけでございますが、たくさんの死亡者を出しておるという意味ではまさに雪との闘いであります。克雪戦争であります。そういうことで、この特豪法の指定を受けておる豪雪地域に住む住民は、本当に雪が降り出すと消えるまで神経を休める暇がないわけでございます。そこで、実はこれも建設省防災課長に私はかねて警告をしておったのでありますが、いま融雪期で、融雪に伴ういわゆる水害、それからいろいろな災害がこれからどんどん、たとえば融雪がおくれると農地の方では作付ができないということで冷害、減収という問題も起きてまいります。いろいろな後遺症が出てくるわけでありますが、そういう中で特に、当面これから本気に起きてくる融雪水による被害、これを何としても未然に防止していただきたいと私は思うのです。そこで、災害対策本部の本部長である長官から、国土庁の方針として建設省に再度、河川局長なり建設大臣なり、あるいは長官対策本部長の名前で通達を出してもらえれば一番ありがたいのでございます。  冬の間でも水が流れていわゆる河状が維持できておるところは比較的問題がないのでありますが、冬の渇水期には全く川が雪の下に埋まっちゃって河状すらもわからないようなところ、これが山の融雪が始まってきますとどんどん水が落ちできます。そして、川の用をなしていないものだから、南風が吹いたり雨が降ると、大体川の位置と思われる雪の上を一挙に走り出してくる。これはちょうどなだれのあわ、表層なだれと同じようにどこへ飛ぶかわからないわけです。それを心配して、実はこの十四日に、新潟県の牧村ではそういった川の状況を何とか克服しようということで、消防車を出して、その川の真ん中をずっと消防ポンプであけて歩こうとしたわけですね。どうしてこんな下手なことをやったのか。私はそのために警告をしたのです。第二、第三の犠牲者を出さないようにということで警告をしたのもそういうところにあったわけですが、お気の毒にとうとう私が心配した惨事がまたここに繰り返されてしまったわけでありますが、まだこれから起きないという保証はないのです。地域人たちは大体みんなわかっているのです。どの川がそういう危険があるかということはみんなわかっておるわけでありますから、せめてそういうところへは市町村や県あるいは建設省が機械を繰り出していただいて、事前に川のしんを雪を掘り割ってやるというようなことを、ほんのわずかのところがあいていれば、あとは水が自分でやってくれるのです。そういうことでありますので、これはもう一度通達を出していただきたいと思いますが、柴田審議官でも長官でも結構ですが、ひとつこのことについての対応を御返事いただきたいと思うのです。
  21. 原健三郎

    原国務大臣 御説のことは、私もまことに重大事だとよく存じております。それで、この融雪時における災害防止対策については、二月四日、豪雪対策本部長から、私の名前で関係都道府県あてに、その対策を十分留意してやるように通達を出しておきました。それからその次には、二月十日に建設省の河川局長から関係地方建設局長、関係都道府県知事あてに、融雪出水時の防災のため防災体制の強化に万全を期するようにと通達を出すようにいたしました。  それで、御指摘の事故は、地元消防団等で防災活動を実施しておる際に発生したものであり、私どもは深く哀悼の意を表するものであります。今後、建設省関係省庁と連絡をとりつつ、融雪時の防災対策に万全を期してまいりたい、こう考えております。  細かいことは審議官から詳細お答え申し上げます。     〔原田(昇)委員長代理退席、森下委員長代理着席〕
  22. 桜井新

    桜井委員 何か時間の方が窮屈だそうでありますので、審議官のなには、またひとつ相対でやらせていただきます。  さて、もう一つどうしてもこの際ただしておきたいことでございますが、私は当選してまだ一年たたないわけでございますけれども、幸いこの決算委員にさせていただいておりますので、五十二年、五十三年の決算書を繰ってみておる中で痛切に感じたことでございますが、今冬の豪雪にちなんで、豪雪対策特別措置法の効果の問題についてちょっとお伺いをしたいと思うわけでございます。  少なくとも豪雪対策特別措置法ができた以上は、それなりの直接目的的な効果が幾つか上がってこそ、初めてこの法の精神が生かされると思うわけでございますが、どうも私が見る限りにおいては、実際果たして特豪法というものが生かされているのだろうかどうだろうか、こんなことを考えますと、十四条、十五条が辛うじて地域の人に喜ばれておるけれども、あとのことは全く空文化をしてしまって生かされていないのではないか、幸いなことに、これは五十七年に日切れ法案として改正をしなければならない時期を迎えておりますので、私はこの際、そういう観点から徹底的に洗い直す必要があるかと思って、二点ほど申し上げたいのです。国土庁の返事を聞いてからと思いましたけれども、時間の方が窮屈だそうでございますので、一挙にしゃべらせていただくのでありますが、その中で、この見直しをやる際に、ぜひひとつ私は二点見直していただきたいと思うことがある。  そのことは、いわゆる基本計画というものを立てなさい、こういうことになっておりますが、その中に民生の安定向上ということと、地域豪雪地帯に適した産業の振興対策を図れ、こういう二項目があるかと思うのでありますが、その中の一つとして、これまた融雪に関係のあることでありますが、先ほどちょっと触れたように、融雪期を迎えて雪の消え方が遅いと、豪雪地帯の農業は大変なことになってしまう。そういうことで、ことしもわが自由民主党も消雪対策に万全を期そうということで、珪カルとかカーボン散布剤とかいうものを地域一帯に散布をするためにいろいろな対策を立てておるわけでありますが、これは残念ながら豪雪対策として、雪国対策として特豪法の恩恵を受けてやっているのではなくて、全く農林省の別の制度の中で、辛うじてそれに便乗して制度を認めてもらうようなかっこうになっているのです。私は昨年の九月からこのことをいろいろ研究してきましたけれども、どうしてもいままでのこの事業の牛には、どの決算書を見ても見当たらない、それで辛うじて農林省と打ち合わせをして、地区再編農業構造改善事業の中で何とかこの対策対応してもらう、こういうことでありますが、せっかく特豪法というのがあるのですから、せめてその基本法にうたわれている内容が具現できるようなことをちゃんとやるべきだ、こう思いますので、これが一点。  それからもう一つは、おたくの方でこれもやっておるのでございますが、決算書にも出ておりますように、積雪寒冷都市モデル街区整備事業というものをやられておりますね、ところがこれがまた、雪国に住んでおる者の目から見ておると、どうもせっかくやっていただいておるのにこんな言い方をするのはきわめて私も恐縮なんでありますけれども、もうちょっと地域の実態を把握して、生きた制度はできないものかと思っておる中に、これまた今冬いろいろ問題があったのであります、地域のいろいろな自然環境を利用しながら克雪をするわけでありますが、雪国では表面水、つまり大きな川に流れておる水を活用して流雪をするということが一番効果があるわけでありますが、市街地の中にこれを取り入れるということにいろいろ問題があるので、建設省の制度をつぶさに調べたら制度があるのです。制度はあるのでありますが、これを一つの区画整理事業的な考え方でセットをするということはなかなかできないようでありますので、これはひとつ特豪法の精神に基づいて基本計画の中に取り入れて、私はこんな名称を考えてみたのでありますが、市街地表面水利用無雪道確保事業とでもいうようなことを考えて、せっかくの特豪法でありますから、生きた実効が上がるように、この目切れの機会に見直しをしていただきたい。そして私ども決算のときにまた同じことを皆さんに訴えなくてもいいようにぜひやっていただきたい。このことについて国土庁の方の御答弁をいただきたいと思いますが、四柳局長からひとつ。
  23. 森下元晴

    森下委員長代理 この際、暫次休憩いたします。     午前十一時十八分休憩      ————◇—————     午前十一時二十二分開議
  24. 森下元晴

    森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  四柳地方振興局長
  25. 四柳修

    ○四柳政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、現在の豪雪地帯の法律では、目的でも基本計画でも、いずれも、どちらかといいますと雪害の防除、その他積雪により劣っております産業等の基礎条件の改善、そのための施設の整備といいますか、そういう形のポイントが置かれていまして、今回の豪雪、拝見いたしますと具体的な問題として、三十七年にできた法律でございまして、その後の生活条件あるいはいろいろな諸条件の改善に照らし合わせまして、第一点で御指摘のような農業の振興あるいは地域の産業の振興という点で、その後の条件に合わないもの、あるいは個々の施策として手が届かないもの、こういう点があるのではないだろうか、こういう御指摘でございます。私どももいろいろ拝見しまして、いまの制度の状況では必ずしも十分ではない点があるのではないかという感じもい、たしまして、その点につきましては御指摘の後段にございましたこの特例措置の期限切れにつきましても、実はこの法律、議員立法でございますけれども国土審議会の関係の特別委員会でもいろいろ御議論いただいております。そういう場での御議論によりまして、いわば法律なり計画なりの見直しの過程の中で何か新しい知恵が出るかどうか検討してまいりたいと思います。  それから第二点のモデル街区の問題でございますが、御指摘のように、私どもの方も、三年間六地区この仕事をモデル事業としてやってまいりました。一地区一億円弱の事業費でございますけれども、実は、大変恐縮ですけれども、今冬の豪雪の関係地域状況を見ましても、地区の方々が非常に御熱心のところは、雪の少ないうちに融雪溝等を御利用なさいまして早目に除雪をなさっておるものですから、非常に市街地がきれいでございます。同じ施設をやりましたところでも、まあ雪がたまっているところで、ほかよりはましというところもございます。この仕事をやる場合に、御案内のとおりそれぞれの地区の事情なりあるいは町並みのつくりぐあいなり自然勾配なり水の取りぐあいとか排水ぐあいとか、いろいろ問題があろうと思います。私どもの方も、いまやっている一億円弱のモデル事業、それが全国的に即モデルになるとは思いません。やはりその前後の水の取り方なり捨て方あるいは関係地区の住民の対応とか都市計画との関連とか、そういう形で、まだまだ前後に検討すべき問題があろうかと思います。その点につきまして、実は御審議をお願いしておりました五十六年度予算でその前後のことを検討したいモデル事業の計画の調査費を計上しまして、その点につきましての対応、その中での、たとえば建設省の河川あるいは農業用水との対応、そういったことも十分検討してまいりたいと思います。(「定足数が足らぬぞ」と呼ぶ者あり)
  26. 森下元晴

    森下委員長代理 桜井君、最後、締めくくってください。
  27. 桜井新

    桜井委員 では、保留しておきましょう。
  28. 森下元晴

    森下委員長代理 この際、暫時休憩をいたします。     午前十一時二十七分休憩      ————◇—————     午前十一時五十二分開議
  29. 森下元晴

    森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、午後一時まで休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  30. 森下元晴

    森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。井上一成君。
  31. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、質疑に入る前に特に委員長に、午前中よりわが党は、委員会審議に当たっては定足を十分足るに配慮していただきたいということを強く要望しておきました。貴重な時間、私に与えられたすべての時間を質問することは、きょうのこの状態では非常にむずかしいと思いますので、一定の答弁をいただいて、残った質問については留保したい、こういうふうに思います。  まず、国土庁所管の決算審議に当たりまして、日ごろからわが国国土を適正に利用して、快適な豊かな地域整備を図っていくということに御努力をいただいております国土庁長官を中心とした関係各位に、まずは私はその労をねぎらいたい、こういうふうに思います。  さて、最初にお尋ねをしたいのは、一九八八年のオリンピックを名古屋に誘致する、そういう動きがあり、すでに韓国のソウル市との競争ということになっておるわけですけれども、客観的な情勢として、非常にわが国でのオリンピック開催が有望視されておるという今日の状況、さらには中部圏の総合開発、あるいは周辺の府県、市町村等の地方都市と大都市との整備開発の見地、あるいは政府閣僚の一員としての国土庁長官、あらゆる観点から、もしこれが決定された場合、国土庁として当然整備事業推進を図らなければならないわけであります。そういうことを踏まえた中で、この名古屋オリンピック誘致に対する今日の動きに対して、国土庁長官としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  32. 原健三郎

    原国務大臣 ただいまお話のありましたように、オリンピック競技大会が開催されますことは、まことに喜びにたえないところであります。それは国際親善にも寄与するし、スポーツの振興にも大いに意義のあることだと考え、その推進にわれわれはいままでも尽力してきたところでありますが、今後とも大いに賛意を表して尽力いたしたい、こう思っております。  それから、開催が決定されるのはまだ後でございますが、恐らく名古屋に決定されました場合には、関係施設の整備が非常に大事であるし、それがまた周辺地域の開発振興にも十分役立つものと思っておりますので、いまお話のありましたように、整備事業の開発等を含めて各関係省庁調整を十分やって、積極的にやって進めたい、こう考えております。     〔森下委員長代理退席原田(昇)委員長代理着席
  33. 井上一成

    ○井上(一)委員 国土庁長官にちょっとお尋ねしますが、「ともそう平和と友情の火」というキャッチフレーズがあるのです。これをお聞きになったことがありますか。御承知でしょうか。
  34. 原健三郎

    原国務大臣 聞いたような、まだ聞かぬような、はっきりしないのですが……。
  35. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは名古屋オリンピックのキャッチフレーズなんですよ。それで、さっきお答えの中で、推進をし、そしてそれに関連する事業については努力をしたいという長官のお答えですけれども、特に国民的関心がまだ薄いのではないか、こういうことなんですね。キャッチフレーズすら、大臣も御承知をいただいていない。下からの盛り上がりというものがもう一つまだぴんとはね返ってこない、まあいわば市民不在とまではいかなくても、市民と一緒に誘致をし、市民と一緒に取り組んでいこうということへの取り組みが行政として不足しているのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、長官いかがでしょうか。
  36. 原健三郎

    原国務大臣 お説のとおりで、まだ実際は、地元の意欲もあるし、政府の方もそれを実現したいと了承を与えて進めておるところですが、御承知のように、まだオリンピック委員会本部から名古屋にしようという決定が至りませんので、その熱意がまだ十分でないことははなはだ残念でございますが、決まりましたらそれは全国挙げて政府も民間も一緒になり、名古屋も一緒になりまして、このオリンピックを盛大に日本において開催するようにやることは当然であります。そういうふうに盛り上がってくることを期待いたしております。
  37. 井上一成

    ○井上(一)委員 このことの決定は九月ぐらいになろうかと思うのですけれども、決定を待ってというお答えですけれども、むしろ積極的に受けざらづくりに対する取り組みをすることが誘致につながっていくと思うのですね。あるいは誘致することに対して若干疑問があるならばその疑問点を明らかにしていかなければいけない、とりわけ国土庁の主管とする環境整備づくりなんというものは、これは事前に十分練っておかなければいけないと思うのですね、青写真というのでしょうか。そういう取り組みはいかがなものでしょうか。こういうことでございます。
  38. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 まだ必ずしも正式に決まったわけではございませんので公式な動きはいたしておりませんが、仮にオリンピックが開催されることになりました場合、関係施設の整備、特に選手団を初め関係者と観客の輸送等に関する諸施設の整備が非常に重要な問題であろうかと考えております。先ほど申しましたとおり、まだ正式決定でございませんので必ずしも公式な動きではございませんが、私どもといたしましては、名古屋を中心とします東海地域の交通根幹施設の基礎的な施設の整備状況と今後の整備計画の調査、あるいは予想される利用客の動向の調査を始めたばかりでございます。
  39. 井上一成

    ○井上(一)委員 国土庁は、関係省庁から、政府機関から何か相談があり、あるいは何らかの協議がこの名古屋オリンピックについて関連して持たれたようなことがおありでしょうか。
  40. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 さきに五十五年十一月二十二日に、この名古屋オリンピック招致に関する検討のための各省連絡会の一員として参画はいたしておりますが、その後、それの推進のため、特に連絡会議等は組織されておりませんので、参画はいたしておりません。
  41. 井上一成

    ○井上(一)委員 国土庁長官、こういう大きな、ビッグプロジェクトを取り組む場合には、財源的なものが十分保証されなければならぬと思うのです。とりわけ、そういうことを申し上げると、なんでございますけれども道路、下水道あるいはそれにまつわる地域環境整備、そういうことで、国土庁長官は誘致に関心を持って取り組むということでございますけれども、財政的な負担を地方自治体、地元に——いま財政再建が強く叫ばれておる折ですから、かえって国民にこの誘致によって負担をかけるというのでしょうか、かけ過ぎるというのでしょうか、それが負担がはね返ってくる、こういう印象を与えてはいけない。そういう意味では、そういうことはいたしませんというのでしょうか、やはり政府が責任を持って関係機関と相談をして、国民には余分な負担はこのことにおいてさせないという、そういうお考えを持っていらっしゃるか、ここでひとつただしておきたいと思います。
  42. 原健三郎

    原国務大臣 これは私自身がどうするというよりも、昭和五十五年十一月二十一日閣議了解事項には、文書になって残っております。その線に沿って、やることは了承しておるし、これに決まったならば大いに、りっぱにこれを完成さしたい、こういう趣旨でございますが、一応の了解事項としては、「第二十四回オリンピック競技大会を名古屋市・東海地域が招請することを了解する。」という了解事項になって、そして「なお、政府としては、現在、最優先課題として財政再建に取り組んでいることにかんがみ、オリンピック競技大会の開催に当たっては、簡素を旨とし、別紙に掲げる基本的姿勢に立って今後の財政再建に影響を与えることのないよう対処していくこととする。」こういう文句にしてあります。そして別紙というのが一、二、三、四、五とありまして、とは言いながら、第二の方には、「新設する施設の将来にわたる管理・運営については地元の責任と負担を主体として行われるものとすること。」こういうふうにだめを押してあるし、その他、第五には、「国の所要経費は将来にわたり既定経費の合理化により賄うものとし、特別の措置は一切講じないこと。」として、大分厳しく網を張ってあるのですが、とにかく、やることには賛成であるし、名古屋で大いに招致することを了解しておるのです。一応こういうことになっておりますが、正式に決まりましたら、またそれから——このとおりいくかいかないか知りませんが、そういうことにいまのところはなっておるというわけであります。
  43. 井上一成

    ○井上(一)委員 長官、わざわざお読みをいただいてどうも。  私はそういうことをよく理解をしているわけなんです。だから、オリンピックは大いに結構だ、ところが金を出すのは非常にシビアなんですね、長官。厳しいわけですね、そんなことがあるから市民は非常に不安を感じるわけですね。そのオリンピックを招致することが自分たちの負担がより重くなるのじゃないか、そういうことは片面では、このオリンピック開催に関心を薄めるというのでしょうか、より積極的なものがそこになくなるというのでしょうか。そこでぼくは長官に、まあ政府としてはそういうことを一応発表しているわけなんですけれども、決して国民に負担を押しつけないのだ、あるいは国が十分な財源を補てんしていくのだ、そうでないと、このオリンピックなんというものは非常に関心が薄らぎますし、あるいはそんなことは逆に国民の負担を、いわば、非常にオーバーな表現かもわからぬけれども、そのために増税も必要なんだというようなことになりかねませんので、ひとつその辺の点は、国土庁長官として、国土の、いわゆる中部圏の整備、大都市と地方都市との整備、そういうことも踏まえた中でこのオリンピックというものは私は生かされていかなきゃいけない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。さっきも言ったように、市民不在のオリンピック招致にならぬように、十分市民にも納得してもらえるように、あるいは優柔不断の政府姿勢でなく、きっちりとしたものを政府は打ち出していくべきだ、こういうふうに考えるのですが、もう一度ここで念を押して尋ねておきたいと思います、(「与党がやっているときは定足数を言って、そうでなくなったら今度は言わないというのはおかしいと思うのです」と呼ぶ者あり)
  44. 原田昇左右

    原田(昇)委員長代理 不規則発言は禁じます。
  45. 原健三郎

    原国務大臣 いま御趣旨の点は、私もよくわかりました。まだ実際にこれを開催するまでには七、八年もありますので、その御趣旨を踏まえて、まだ一応の了解事項から正式に閣議決定までの距離もありますし、時間的余裕もありますから、御趣旨の点を踏まえて善処していきたいと思っております。
  46. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは委員長にちょっと申し上げたいのですけれども、いま定足数の——私の方は政府とこういうやりとりでやっておりましたので、定足数が足りないという与党自民党からのお話でございますから、どうぞ定足数を満たす御努力をお願いします。
  47. 原田昇左右

    原田(昇)委員長代理 井上一成君、発言してください。その点は了解しました。
  48. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、定足数を満たすための努力をしていただけるということに了解をいただいた、すぐにそのように計らってください。  さらに私は次に、近畿圏の整備の問題に触れて、関西新空港の問題について、ひとつ国土庁長官にお尋ねしたいと思います。  まあ、質問に入る前でございますが、航空審の答申を尊重するということは、もちろん前提条件、当然でありますけれども、念のために航空審の答申を尊重するという長官からのお考えをここで確認をしておきたいと思います。
  49. 原健三郎

    原国務大臣 お説のとおり航空審議会の答申が出ておりますので、もちろんそれを尊重する、政府もそういう考えであるし、私どもももちろん政府の閣僚の一人としてその方針で進みつつあります。
  50. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、予備協議という運輸大臣の発言があったわけです。それで国土庁長官は、予備協議とは一体どういう意味を持つのか、どういうものなのか、どういうふうに理解をされているのか、ひとつ長官からお聞かせをいただきたいと思います。
  51. 原健三郎

    原国務大臣 お説のとおり、私どもも聞いております。地域整備については予備協議をやりたいという、それをやる考えでございます。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 それは運輸省から依頼があったのでしょうか。——私は、予備協議については運輸省からそういう相談があったのでしょうかと、こういうことを国土庁長官に聞いておりますので、国土庁長官から答弁を求めます。
  53. 原健三郎

    原国務大臣 事前協議をするという意向は運輸省から聞いておりますが、正式に文書その他は来ておりませんが、大体そういう方針でやっております。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 それはいつごろだとお聞きなんでしょう。
  55. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 特に何日にだれからだれということではございません。私ども事務的に、かねてから運輸省の新関西国際空港計画の地元への提示の段取り等についていろいろと御相談にあずかっておるわけでございますが、今月あるいは先月末あたりからだんだんとそういう話を承っておるというような程度の問題でございます。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 いや、いつごろにその予備協議をやろうということを運輸省から聞かれたのですか。
  57. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 できるだけ早くということしか私どもは伺っておりません。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 たしか運輸大臣は四月か五月に地元との予備協議に入りたいという意向を正式に発表されているのですけれども、できるだけ早くというのは四月、五月という意味なんでしょうか。
  59. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 四月、五月という話も承っておりますし、できればさらにそれよりも早くという話も私どもは伺っております。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 国土庁は、そういう四月、五月に予備協議に入りたいという運輸省の意向、それにいま今日で十分対応できるのでしょうか。
  61. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 運輸省の方で予定していることを伺っておる限りにおきまして、運輸省の方では予備協議と称する地元への案の提示の中身といたしまして、一つは空港計画の建設案、一つは環境影響評価に関する調査結果の概要、もう一つは周辺地域の問題として、特に空港の建設あるいは開港に当だって直接必要な根幹的な交通施設等についての運輸省なりの考え方を地元にお示しをして御意見を聞きたいというふうに伺っております。  その限りにおきまして、私どもこの交通施設に関する調査につきましては、直接これを所管しております建設省それから運輸省等とこれまで基礎的な調査等は若干いたしておりますので、運輸省が地元に示したいとおっしゃる限りにおいての内容につきましては、関係各省と十分意見調整はできるものと理解いたしております。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 国土庁の周辺整備計画案というものはお持ちでしょう、でき上がっているのでしょう。それはその予備協議の中で提示できるのですか。
  63. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 周辺地域整備と一言に言いましても、正直なところ広範多岐にわたる問題がございます。先ほど申し上げましたように、空港の建設と運用に当たりまして直接必要な関連施設の整備の問題、あるいは空港が立地することによりまして生じます地元地域の社会的、経済的な変動に関して対応すべき都市施設の整備その他の整備の問題、あるいはこれを機会に地元地域を初め近畿圏の将来の発展振興を確保するための周辺地域整備等、広範にわたる問題があるわけでございます。その意味での周辺地域整備ということにつきましては、必ずしも国の方だけで決定するものと私どもは理解しておるわけではございません。当然その多くにつきまして地元の創意と工夫による計画づくり、またその実施に当たって国の協力という問題があるわけでございますので、おっしゃるような早い時期に周辺整備全般について国の方針を示せるかどうかという点については若干むずかしい問題があると理解いたしております。
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 先ほども指摘したように、定足数を充足させてください。
  65. 原田昇左右

    原田(昇)委員長代理 目下努力しております。続けてください。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに、それでは国土庁としてのものを示しなさい、国土庁地元に示す整備案というものを用意しているのか、そしてそれはどういうものなのか、たくさん、いまこうだこうだと……。国土庁はどういう周辺整備案を持っているのか、それは予備協議に間に合うのか、その二点についてきっちりお答えをいただきたいと思うのです。
  67. 伊藤晴朗

    ○伊藤(晴)政府委員 はっきり申し上げまして、いま私が申し上げました広範多岐にわたる問題すべてについて、周辺整備計画という形でまとまったものをお示しする用意はいまのところございませんし、また早い時期にそれを示すという点も正直なところむずかしいかと思います。それはくどいようでございますが、やはりその多くが地元公共団体等の施策にまつものがあるわけでございまして、私どもといたしましては、むしろこういった地元に対する予備協議等を通じまして、関係方面の御意向等も承りながら固めてまいりたい。目下風土庁といたしましてはそのための準備あるいは基礎となる諸調査を関係各省と一緒にやっておるという段階でございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  68. 原田昇左右

    原田(昇)委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  69. 原田昇左右

    原田(昇)委員長代理 速記を始めてください。  暫時休憩いたします。     午後二時十三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕