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1981-05-12 第94回国会 衆議院 環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十二日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 中村正三郎君 理事 吹田  愰君    理事 野口 幸一君 理事 馬場  昇君    理事 岡本 富夫君 理事 中井  洽君       天野 公義君    玉生 孝久君       畑 英次郎君    森中 守義君       山本 政弘君    木下敬之助君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       北村 和男君         環境庁企画調整         局長      藤森 昭一君         環境庁企画調整         局環境保健部長 七野  護君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君  委員外出席者         国土庁水資源局         水資源計画課長 志水 茂明君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     幸前 成隆君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     伊藤 俊美君         建設省河川局河         川計画課長   渡辺 重幸君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   天野 公義君     平沼 赳夫君   池田  淳君     小川 平二君   玉生 孝久君     坂本三十次君   橋本龍太郎君     福永 健司君   畑 英次郎君     森山 欽司君 同日  辞任         補欠選任   小川 平二君     池田  淳君   坂本三十次君     玉生 孝久君   平沼 赳夫君     天野 公義君   福永 健司君     橋本龍太郎君   森山 欽司君     畑 英次郎君 五月十一日  辞任         補欠選任   天野 公義君     栗原 祐幸君 同日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     天野 公義君     ――――――――――――― 四月二十日  霞ケ浦水質保全対策の強化に関する請願(赤城  宗徳紹介)(第三三八〇号)  湖沼環境保全特別措置法早期制定に関する請  願(赤城宗徳紹介)(第三三八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森中守義君。
  3. 森中守義

    森中委員 一時間という非常に制限された時間をいただいておりまして、お聞きしたいことがたくさんございますけれども、そう悠長な質問もできません。したがって、大事なこと二、三項目に制限をしてお尋ねをしたいと思いますが、お話の中で多少長官の耳ざわりなこともあろうかと思いますが、そのことはひとつあらかじめ御了承願っておきます。  質問の第一でございますが、昭和三十一年でございましたか、水俣チッソ付属病院細川病院長から県の水俣保健所に対しまして公式な病状報告が行われ、ちょうど二十五年、言ってしまえば、熊本県及び現地におきましては怨念の水俣病二十五周年記念、こういうことが言われているわけです。  つきましては、ごく最近、患者の六団体の代表が県当局と長時間にわたる話し合いをしたようであります。この中で患者側は、依然として認定業務停滞をしている、詰めて言うならば不作為行為という違法状態が続いている、一体この責任をどうしてくれる、実はこういう主張をしたようであります。これに対しまして県側は、その事実を率直に認める、したがって自後の措置については国側と十二分に協議をした上で何分の善処をしたい、こういうことで当日は幕がおりたようでございますが、いま申し上げたように、県側が国と協議の上という、こういう内容の答弁でございますけれども環境庁の方に何らかの意思表明が行われているかどうか、まずそのことをお尋ねいたします。
  4. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 御質問に対して端的にお答えいたしますと、従来この問題はいろいろ折衝を重ねておりますが、いまの問題、患者側が県に言って県が国側とこの問題について折衝する、こういうふうに答えられたその折衝は今日まだありません。近く行われるものと思いますが、現在の段階ではない、こういうことでございます。
  5. 森中守義

    森中委員 熊本県及び鹿児島県で把握されている患者の総数が一万二千九十七名ですね。それで、処分が行われた者で認定された者が千七百三十一名、それから棄却された者が二千七百五十三名。これを差し引き計算しますと、依然として五千六百七名の人が未処分のまま残っている。これで、せんだって来言われている百三十人審査体制、この計算からずっとしていきますと、終局まで大体何年ぐらいかかりますか。
  6. 七野護

    七野政府委員 先生指摘のように、ただいま熊本県では百五十人検診、百三十人審査体制で現在鋭意取り組んでおるわけでございます。実はこれは関係閣僚会議、五十二年だと思いますが、そのときに認定促進に特段の努力をということでございまして、それ以後その体制をとったわけでございます。  当時、五十二年に滞留しておった人――滞留と申しましょうか、申請をし、まだ処分を受けていない人、未認定者のその後の推移を見てみますと、出し入れはありますが、その後三年何カ月の間に当時の未認定者は一応の審査は現在完了したというふうに私たちは見ております。  ただ、残念なことに、審査は済んでおりますが、そのうちに保留になった方がかなりございますので、先生指摘のように、熊本県に限りまして言いますと、現在四千九百名余の方が未認定者という形で滞留しているということが現状と思っております。
  7. 森中守義

    森中委員 これは数字が多少異動しているようです。一度環境庁で把握している正確な数字を整理して出してみてください。そうしないと、県側あるいは現地側報道関係等で言われている数字大分落差がありますから、できるだけ早い機会にきわめて正確なものを出していただきたい。
  8. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 ごもっともでございますので、それを、わかっておりますけれども、それは数字にすればいいことでございますから、できるだけ速やかに先生のお手元に私どもの方の責任ある資料を提出いたします。
  9. 森中守義

    森中委員 そこで、五十一年の十二月、熊本地裁判決で、認定業務停滞ということは一口に言って行政の怠慢であう、実はこういう地裁判決が出ている。このことについては、これは世間でも非常に騒がれたし、しかも、政府あるいは特に環境庁においては一段と留意をされておく必要があったと思うのですが、その後、先ほど指摘しましたように、必ずしも促進というものは促進に値しないような状況にある。ことに問題ですのは、たしか五十年でしたか、約一年ぐらい空白状態になりましたね。それから再開をされた。再開をしたときに、一回だけの診断によって棄却するようなことはしない、判断するようなことはしない、二回以上念には念を入れて診断をした上で処分を決める、こういうようなことが第一回目にあったようです。このことについては、現地患者側はもちろん、広く非常に好感を持って迎えられたわけですね。ところが、五十二年に当時の信澤環境庁事務次官次官通達によって大分軌道修正が行われた。つまり一回でよろしい、実はこういう趣旨通達であったというように思うのです。ところが、現在執行されている認定業務基準というものは、いわば次官通達基準にして行われている、その後ずっとまた停滞をした、こういうように一般的に評価されているわけです。恐らく長官がその個々の内容をごらんになっているかどうかわかりませんが、さらにこのことを急速に軌道に乗せていこう、一日も早くこの認定業務を完了しようという意思があれば、五十二年から四、五年経過しておるわけですから、もう一回次官通達の見直しということはお考えになりませんか。
  10. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 詳しいことは部長から答えさせますが、先生、これはお医者様が調べるのですから、お医者様が調べて認定できないということになりますと、患者側の方は、それは患者立場に立ってみればもっともだと思いますが、それはおかしいというので、もう一遍調べてちょうだいと後ろにつくわけですよ。だから、いつまでたってもこれから調べなければならぬ数はそんなに減らないということがあります。これが一つ。それから、一遍調べた人をもう一遍調べるということになりますから、だんだん認定はむずかしくなってくるわけですよ、診断が。これは当然のことですね。これは素人でもわかることですが、そういうことになってきて遅くなってくるということなんで、未認定患者といま調べている速度とでもって、これでは何年かかるという疑問がそこから生じてくるのは全く私も同感なんですよ。同感なんですが、いま申し上げましたような事情でございますので、まことに困っているという状態なんです。その中には、何回診てもだめだだめだと言うのだったら診てもらわない、そんな人には診てもらいたくないというような動きもこれは当然のことながら出てくるのでしょうね。私どもの方としては、それはまことに困るので、そんなことは言わないでくださいということを言いたいのですが、患者側としてはそういうことになってくるのでございます。  それから、いまの次官通達のやり直しということの気持ちはないか、こういうことでございますが、いまのところ私はないのです。ないのですが、その詳細については部長から答えさせます。
  11. 七野護

    七野政府委員 この水俣病認定につきましては、いまも大臣から御説明がございましたように、いわゆる医学的な判断に基づいてやっておるわけでございまして、まず基本的な考え方、これにつきまして昭和四十六年の次官通知以降明らかにしておるわけでございまして、その後、昭和五十年の六月以降でございますか、医学関係者専門家によりましていろいろの検討をいただきまして、五十二年に「後天性水俣病判断条件について」という部長通知を出しまして判断条件を示し、以後それに基づいて審査をお願いしておるわけでございます。私たちといたしましては、従来から行っております基本的な姿勢は毫も変わっておりませんし、四十六年に出しました次官通知以後、それから五十二年の新次官通知と言われているもの、この環境保健部長通知、そういうものを今後とも適切に運営をしていきたい、かように考えておりまして、それ以後、新しい医学的な判断要件の知見というものは特にないようでございますので、現在のところ、いま私が御説明申し上げました五十二年に出しました保健部長通知、これの判断条件に基づきまして今後とも鋭意進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  12. 森中守義

    森中委員 細かな内容を私聞いているんじゃないのですよ。つまり県の審査会検診再開をしたときに声明しているわけですね。二回以上でいこう、一回限りで終わりませんよ、こういうことをやった。ところが、次官通達によって一回限りというようにつまり軌道修正になったものだから、それで患者側では、非常に大きな問題があるし、実は入念に審査を重ねるべきものが、環境庁次官通達で、県が二回と言っていたのに、それを押さえ込んで一回としたのはどういうことなのかということが第一点。  ですから、これは、元来部長通達であったものが次官通達に格上げされたという経過がある。だから、今回はこの次官通達長官通達に格上げするという意味で、再検討余地はないのかというのが第二点。  それからもう一つは、四十七年から四十九年の二年間でしたか、熊大武内教授、この人はもともと宮川教授と同じように水俣病発生当時から手をつけた人ですよ。少し蛇足になりますけれども、この問題を国会に持ち込んだのは三十一年私が初めて、当時の神田博厚生大臣灘尾文部大臣としきりにこの問題をやったものですが、あのときを回想しますと、医学だけではだめだ、化学も必要だろうし工学も必要だろう、疫学も必要だろう、薬学も必要だろう、そういうきわめて広範な、いわば学識の粋を集めてこの問題に取り組もうじゃないかということで合意を得た経緯があります。そこで、その武内教授が先年退官をされて、ごく最近関係者を集めた講演会をなさった。この講演会の中で、的確な表現じゃございませんけれども、要するに、次官通達によって五十年の声明が否認をされた、つまり一回限りになった、こういうことで少し非難をされている。これはごく最近のことです。  それからもう一つは、武内さんが当時審査会会長でしたから、この会長立場からこの人は、階あるいは近所のさまざまな環境背景に置きながら、疑わしきは認める、そういう方針をとってきた、これがいまは全くないのだ、こういう意見を表明されているのですね。それから、いまの委員でいらっしゃる熊大原田教授ですね。この人も、もう一回引き受けてくれと言われたのだがなかなか腰が上がらなかった、こういう認定基準を基礎にやっていけば、とうていこれは患者の二十数年、三十年近いこういう状態に対応するというようなことにならないという、つまり人間的、医学的、道義的にも私はなかなか気が進まなかった、こういう見解を表明されていることがあります。ですから、そういうことをずっと整理してみると、次官通達というものが余りにも狭過ぎる、ある数点に、医学的な専門の分野にしぼり込んでやっているところに認定業務が遅々として進まない、実はこういう気がしてならないわけです。ですから、再検討余地次官通達長官通達にかえてみたらどうなのか。これはさっき申し上げたように、そもそも部長通達から次官通達に格上げをした。それではもう一回、再検討機会長官通達にかえたらどうなのか。しかも、その因果関係がいろいろあるわけですから、そういうものを背景に再検討してもらいたい、こういうわけなんです。これが第四番目。  それからいま一つは、いまチッソが五百二十億ですね。それから熊本県が県債発行が百二十七億二千二百万か、こういうように一認定ごと補償額がかなりかさんでくる。実はそういう財政的なものが背景になって、できるだけ患者をしぼり上げていけ、こういう方針なのかどうなのかというところにも大きな一つの疑問があるわけです。  こういうことをずっと要約してみると、どうしてもこの際に――環境庁が実は設置されたことも、今日のアセス問題が出ていることも、ある意味ではこれはやはり水俣発祥地であり、こういう悲惨な出来事を日本から消滅させようというところにあるわけですから、環境対策環境政策の原点に戻るならばそういうことは当然あってしかるべきであろう、こういうふうに思うのです。  これはひとつ長官から、非常に大事な問題ですから、長官通達をやるためにもう一回見直ししよう、もう一回作業を検討し直そうというお言葉を実はちょうだいできるならば非常に幸せだと思うのです。
  13. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 重大な問題ですから、私からお答えいたします。  第一点ですが、一回でもって決めるというのと二回で決めるというのを考えますれば、二回で決めるということの方が慎重だというふうに素人でもわかります。だからこれは慎重でなければなりません。苦しんでいる人を、君はそうじゃないとかそうであるとかということをそう簡単に決めるということはよくない。ですから、お医者様にやっていただくことではありますが、これはできるだけあらゆる知識を動員して決めなければならぬ。その意味で、慎重にやるということが二回に通ずるならば考えなければならぬことだと私は思います。  それから、それを、部長通達から次官通達になり、もっと権威あるものにするために長官通達にしたらいいだろう、こういうことでございますが、検討してみたいというふうに思います。それは一にかかって落ちこぼれのないように、間違いのないように慎重にするということなんですが、ただ、慎重にするということと早くやるということはしばしば一致しない場合がありますので、早くやりながら慎重にするというところに非常にむずかしい点があるということで悩んでいるわけでございますが、せっかくのお話でございますので、検討してみたいと思います。  それから、財政事情があってお金がだんだんかさんでくるから、患者認定を少しやめて、いま先生言葉をかりればしぼり上げていこうという傾向があるんじゃないか、それはあってはならないことであります。言うまでもないことで、これはお金がかかるということはなかなか容易でないことです。これは別途、お金の問題はどうするかという問題は、関係先生方を初めとして先生方も非常な心配のあるところでございます。けれども、そのお金がかさむから患者をいいかげんにしておこうということがあってはならない、これは言うまでもないことでございまして、私どもはそういう考えは毛頭持ってはおらないわけでございます。
  14. 森中守義

    森中委員 わかりました。いま長官の、再検討してみたいという意思を必ず実現させていただくように要望いたしましょう。  それから、今月の末から熊本県では六月県会に入るようです。この六月県会の主要な眼目というものは、チッソ補償県債を継続するかどうかという非常に重大な選択に迫られておるようであります。先ほど私の数字が間違っておるかわかりませんが、チッソ補償総額が約五百二十億、熊本県債として出しておるものが百二十七億二千二百万、こういう金額のようです。ところで、これはよく考えてみると、今日、行政改革、しかも財政の問題が非常に大きな課題になっている、こういうときに、地方自治法あるいは財政法というものから、私企業に対してこういう自治体の金を出すことがいいのか悪いのか、これは非常に問題がある。しかし、こういう措置がとられているということはいわば超法規的なものだと思うのですよ。しかしながら、熊本県側としては、県債発行するのはよろしい、けれども国が保証してくれるのかどうなのかということが定かでない。そのことがはっきりしておれば、これは県議会としてはある程度判断もできるでしょうけれども、せんだってのようですが、閣僚協議会か何か開かれた際に、財政事情の許す限り云々というようなことで余り正確な答えが盛られていない、このことに非常に疑問を持っているわけです。これはひとり熊本県に限らないで、いずれの自治体におきましても、二割自治、三割自治と言われるときですから、非常に窮迫している財政の中から県債発行ということは容易ならぬことだと思うのです。  そこで、もともと国が担うべきもの、企業が担うべきものを熊本県債という肩がわりをさせている、そういうことを考えていけば、県債がさらに継続されて出してほしいという意向がある限り、当然、県としては、その裏打ちは国でしてくれますねということになるのはあたりまえだと思うのです。このことについてどうお考えでしょうか。
  15. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 これは先生もうすでにお察しのように重大な問題でございまして、これから私ども考えていかなければならない、そしてそれは水俣だけの問題ではない、すべての問題にかかわる大問題でございます。したがいまして、私が環境庁長官としてだけここでお答えをすべきものではないと思いますが、PPPの原則というのが御承知のとおりありまして、これは国際的にみんなそうですが、原因者負担ですから、これはあくまでチッソに出してもらわなければならぬのです。チッソがもう少し慎重にやってくれればああいう悲惨な事態は起こらなかった。これはお金で解決すべき問題ではないのだ、人の命ですから。もしチッソがもう少し慎重であったならば、たとえ患者を出したとしてももっと数が少なく済んだのではないか、調べれば調べるほど私はその感を深くして残念でならないわけであります。  したがいまして、どんなに多額になろうとこれはチッソが負担しなければならぬものであるし、チッソもまたそう思っておるに違いない。ですが、いまチッソお金がないから、そこでチッソのある水俣のある県のお世話になってやっているわけです。県の方だって大変であるに違いない。いずれこの問題は、最後にはどうするんですか、今度はあのヘドロの問題もありますから、あれは五百億円ぐらいかかる、そしてその半分以上はチッソが持たなければならぬということになりますと、これまたお金が要るのであります。それもまた熊本県の方でとりあえず処置しておいてくれませんか。とりあえずはいいけれども最後はどうしてくれるのだという疑問が熊本県の方から出てくるのは当然のことであります。けれども、その問題はきわめて重要な問題としてわれわれは取り上げて考えておりますし、関係先生方も大変心配しておられることでございます。私がここで最終的には国が見なければならぬというようなことを申し上げる段階ではありませんし、またそういうことを申し上げる場所でもありません。また、いまそれを申し上げるということは適当でない。しかし、国も含めて、きわめて重要な問題でありますから、今後とも先生方の御協力をいただいて合理的な解決策を見出していきたい、こういうように思っております。
  16. 森中守義

    森中委員 長官のその御趣旨はきわめて妥当なものであって、何一つ反論をする余地はない。ただ、問題は、たしか五十七年三月まででこれは切れると思っているのです。ですから、今後さらに県債発行を求めるというような趣旨なのかどうなのか、その必要があるのかないのか。これはもう百二十七億きりでいいですよ、後はよろしゅうございますよ、こういうことであれば、県も何か言ってこないでしょう。しかしながら、実際問題としては、相当の認定業務が進んでいって補償額が積み上げられるということになると、そうもまいらぬのじゃないでしょうか。そこで、県とどういう話をされるのか。もう六月県会で決めなければならぬ、こういう立場のようですよ。しかも、知事は多少推移を見ながら決定をしたいんだという意向を表明しているようですけれども熊本県としてはこれは非常に重大な関心を持っている。しかも、御指摘のように、ヘドロ処理のための埋め立ての問題もあるというようなことになりますと、これは大変なんですよ。ですから、いま財政元年などと言われて折り目をつけようというときですが、さっき申し上げたように、自治法あるいは財政法に照らして、こういう国の措置が妥当なのかどうなのか。もちろん原因者負担という原則が、いまにわかに企業をぶっつぶしてもいい、こういうようなことでない限り、結局これも妥協の産物でしょうから、何かそこで熊本県にある種の見解などを表明されないとおさまりがつかないというように思うんですがね。  いま言われるように、この場所はそういう場所でない、それもある意味では私はわかる。長官単独の御意見で決定できるものではないでしょうね。しかし、もう一回閣僚協あたりに相談なさるとか、あるいは大蔵大臣総理大臣あたりとも相談なさってそろそろこれは結論をお出しにならないと、大変なことになるように思うのですが、何かそこに具体的におやりになろうというお考えはありませんか。
  17. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 先生いま言われたように、総理大臣はもちろんですが、大蔵大臣関係閣僚みんなが集まって、この問題について相談をしなければならないことは言うまでもありません。いままでのお金だってそうです。これからのお金もそうです。国は全然知りませんよと言えば、熊本県は困ってしまうでしょう。チッソお金があればいいのですが、チッソにはお金がないですから、一番困るのはこれは患者になってしまいますから、そんなことはできません。そういうことを踏まえて、とりあえず熊本県の県知事さん、県議会を代表するような方々とも相談をし、それを踏まえて、いま先生の言われたような関係者会議を開き、関係閣僚会議を開き、総理大臣大蔵大臣とも相談をして、これは来年度が始まる前に決めなければならぬことなんですから、国の方ではそうですが、県の方では六月の県議会までに何かめどがなければならぬということもわかりますので、鋭意努力をしてみたい、こう思います。
  18. 森中守義

    森中委員 それから、この機会ですから、企業についてとかくいま論ずる時間も余りありませんけれども、私が知る限り、余り正確でないかわかりませんが、チッソは関連企業を含めて二十三社ぐらい持っているようですね。それで一〇〇%出資のもの、あるいは八〇%出資のもの、五〇%出資のものというように、相当いわば財産を分離している。そういうものがそれぞれの決算期に企業集約してみると相当の利益を上げているというように聞いているのです。これは通産省の所管であるかわかりませんが、五百二十億の補償総額、しかも県債で百二十七億ある。これはチッソとはそもそも最初どういう取り決めになっているんでしょうか。つまり県債を出しているものは年々少しずつその収益金の中から政府が受け取って県に払う、こういう措置がとられているのですか。つまり、完全な債権債務といいましょうか、そういう債権債務関係はどうなっているのか、おわかりでしたらちょっと御説明願っておきたい。
  19. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 もし不十分でございましたら、後で部長の方から答えさせますが、どういうふうにチッソの会社が分かれているか、それは別といたしまして、現在、水俣にあるあの工場は、余り利益を上げていない。仮に利益を上げたとしても、それは補償金の中に入れられてしまいますから。そこで、工場は常に生産性を上げるために設備などを新しくしていかなければなりません。それから、機械なども修理していかなければなりません。そういう金が全然ない。そういう金は別に民間の方から借りてやっているということでございますので、とにかくPPPの原則と言ったって、自分に力がなければそれはできないことですから、どうか利益を補償の方に充てるということをしばらく勘弁してもらって、利益は生産性の方に使えるようにして、補償の金は全部しばらくの間めんどうを見てくれるというようにできないかというような交渉が、いまわれわれの方にも来ている段階でございます。忘れてならないことは、先生、私は原因者負担原則、あくまでチッソの責任ですぞということを、これはもう前提として忘れてならないことだと考えております。
  20. 森中守義

    森中委員 これで水俣関係を終わります。  最近、特にアセスは一応の決着ですね。閣議決定で国会に出された以降あるいはその前、環境政策について、新聞の論調はもちろん、それから全国の知事会が緊急要望をしたり、あるいは日弁連が前後四回か五回にわたりましてこのことについていろいろ見解の表明をするとか、あるいはまた、中公審の総会か何かでもかなり厳しい意見が出るとか、ごく最近は、学究が中心になって、全国の官学、私学なども含めたものでしょうが、十四大学の中で何かアセスを完全なものにしようという運動が始まったり、世間ではこれから先の環境行政をどうしていくのかという非常に強い関心が持たれている時代になりました。  そこで、具体的に細かく聞く時間がございませんが、昨年の十二月ですか、中公審の企画部会、それから企画調整局長の諮問機関だと言われるエネルギーと環境問題懇談会、こういう二つのものが報告もしくは提言を行っているわけですね。それで、いま申し上げたように、非常に揺れ動きつつある環境行政に対して、一体これからの環境行政をどうやっていこうというのか、少なくとも一提言、一報告、この内容というものは非常に見るべきものがあります。この二つのものがとりあえず集約されたものという理解に立つ限り、長官としては、これを政策ベースに何らかの形で採用されるのか。もしそうだとすれば、どういう手順でいつの時期までにこれをなさろうとするのか、その取り扱い上の問題をまずお聞きしておきたい。
  21. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 先生、いま御質問趣旨がもう一つよくのみ込めませんでしたので、もう一回、済みませんが……。
  22. 森中守義

    森中委員 要約しますと、要するに、アセスが一つの起爆剤になって、これからの環境行政がどうなるのだという世論の風当たりが非常に強い。こういう時期に、中公審の企画部会が報告をまとめた。それからエネルギーと環境問題懇談会というものが提言をまとめた。この二つの中に、さしずめ八〇年代の環境政策はこうあるべきだという、いわば一種の方向性が出ている。ですから、これを不問に付するというわけにいくまい。ですから長官としては、この二つの提言、報告というものを具体的にどういうように処理されているのか、それをお聞かせ願いたい、こういうわけです。
  23. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 一九八〇年代を迎えて、さまざまな条件変化の中で、環境政策は長期的、総合的視点に立って新たな展開を求められている。これが「一九八〇年代の環境政策を展開するための検討課題について」という中公審の企画部会の報告であります。このために中央公害対策審議会企画部会において、昨年三月から環境政策の長期展望のための基本的検討課題について調査審議をいただいて、十二月に先ほど申し上げましたような取りまとめがあったわけです。  この報告の内容を簡単に申し上げますれば、一九八〇年代の……(森中委員「それはわかっているから、どう処理されるのか」と呼ぶ)これは言うまでもなく、全面的にこれを受け入れて、これをあらゆる政策の中で取り入れていきたい、こういうふうに考えております。
  24. 森中守義

    森中委員 そうしますと、企画部会の報告と、それから懇談会の提言の内容は、少し趣旨が違うのです。つまり企画部会では、もはや環境と経済活動は対立すべきものではない、と。最近よく新聞等で言われる、青空もビフテキもという選択をすべき時代である、こういう言い方に終始しておる。それから懇談会の方は、非常に苦悩の後に、あれこれいろいろ考えてみたが、結局は、両立する努力はしなければいかぬけれども、結果的にやはり環境優先、こういうことに尽きるようですね。大分内容が違うのですよ。  ですから、私がお聞きしたいのは、要するに、環境と経済活動は対立すべきものなのか、両立すべきものなのか、この基本原則といいましょうか、あるいは環境の哲学とでもいいましょうか、こういうものが一本びしっと入ってこないと、時の政権によって政策が変わっていけば、非常に経済優先になって環境が後退をするとかいろいろな変動が起きてくるわけですね。今回のアセス法それ自体がそのことを有弁に物語っている。五十年の答申、五十一年から立法作業が始まって、外堀が埋められる、二の丸、三の丸が全部埋められて、ついに電源立地抜き。こういう時の情勢、政策に非常に大きな変化を伴うわけですね。ですから、両立すべきものなのか、対立すべきものなのか、その辺が一本きちっと出ておかないと大変なことになるということなんです。特に、両立とか対立とかという文言は余り適当じゃございませんけれども公害基本法の中にも、両立すべきものであるとか環境こそ優先すべきものであるという、そういう保障条項は実はどこにもないのですね。法律にすらない。そうなれば、やはり長官方針の中に一定のものがきちんとなくてはならないのではないかというような気がするのです。これが一本ないと、環境行政は常に揺れ動くという気がするのですね。どうなんでしょうか。
  25. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 御質問趣旨、よくわかりました。これは先生、私しばしば申し上げておりますように、これは両立すべきもの、対立すべきもの、どういうふうに言ったらいいのですか、対立すべきものとも言えましょうね。私は両立すべきものだと思います。けれども、私の立場は、環境の方に一歩も二歩も足を踏み入れて、それで対立的な考え方を多分に用いてやらなければこれはおさまりがつかないことになりましょうね。私はそういう考えでいままでもやってまいりましたし、これからもことさらそういう考えでやっていきたい、こう思っております。
  26. 森中守義

    森中委員 これは長官、短時間で結論の出る問題でもないと思うのです。しかし、いま長官の決意ともいうべきものをお述べになりましたから、それを信頼したい。しかし、このことは具体的に政策の中で生かしてもらわなければいかぬ。  特に最近、いろいろな方向を見てみますると、たとえばベネチア・サミットの後、石油から石炭に転換するとか、東京サミットでも一緒ですが、こういうところでも一つの勧告が出てみたり、あるいはOECDでも同じようなことが言われている。いわば国際的な一つの潮流でしょうね。それから、国内における新経済社会七カ年計画ですか、この中でもやはりそれは言っておりますね。それから、昨年の十一月二十八日ですか、新しいエネルギーの需給計画の中にも、環境に留意しなければならぬ、こう言っている。ところが、それを決定的なものにしていないのですね。いずれも時代向きのものだから環境抜きにしてはいろいろなことが進められないという配慮のほどはわかる。しかし、これはあくまでも配慮であって、環境とはどういうものなのかということが非常に正確なものになっていない。ですから、いわば一種の歴史的な変動期とでも言うべきでしょうか、経済活動なのか、環境なのかという割り切り方も人によってさまざまですよ。私もいまそういう特定な任務についておりますが、そういう委員会で取りまとめをする経過の中にも、経済活動か環境か、どっちなのかなという非常に迷いがあります。けれども、先ほど指摘したあの悲惨な水俣に端を発する環境庁の設置、あるいは公害基本法の制定、以下相当数の法律の制定というものは、何といっても人間の生活をより文化的により豊かにするというところに帰着するわけですから、環境を抜きにしていろいろなことは論じられないというような気がするのです。要するに政策の中にどう生かしていくかということなんですね。  そこで、いままで長官のお気持ちはわかりましたが、さて政策の中に具体的に生かされてきたのかどうなのか、もう時間が余りなくなってきましたが、例示的に少し申し上げましょうか。私は、長官のその気持ちがいろいろな整合性の上に立ちながら、ぎりぎり決着においては環境だ、こういうおつもりでしょうけれども、一例を申し上げると、地熱発電、これは昨年の需給計画からいきますと相当力が入るのですね。大体六十五年で地熱を石油換算七百三十万キロリットルやりたい、こう言うのです。ところが、いままで地熱ということになりますと、主として国立公園などが大体立地的に選定されている。在来はきちんと、これはだめだ、こう言って環境庁は否定してきたようですが、一歩譲って、よろしかろうということで、環境庁の特定の局長と通産の局長が何か覚書を結んで、できるだけ形状変化を伴わないようにという幾つかの条件を付して国定公園等の地熱立地に踏み切られた、こういうことなんですね。これなどは経済活動と環境政策との整合の上に立つものなんですか、どうなんでしょうか。
  27. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 これもしばしば申し上げていることですが、非常にむずかしいことですが、簡単に割り切って私は考えます。経済というのは重要ですよ、経済がなければわれわれは生きていかれませんから。そして、油が今日のような状態になってくれば、油に依存しないで電気をどうやって起こすかということは大変なことです。けれども、それは手段であって目的ではないのです。われわれの目的は健康で文化的な生活を営むということなんですから、それによって二つのことを害されては困る。一つは人の健康、今、これが害されるというようなことであっては、これはどんなことがあっても私は賛成できない。その案には賛成できない。それはだれの命であっても、そしてたとえ少数の人の命であっても、健康であっても、それが害されるというようなことには賛成はできない、そういう立場に立ちます。それからもう一つは、わが国は幸いにして非常に自然の山河に恵まれているわけです。これはわれわれが先祖から引き受けたように、われわれは子孫にこれを受け渡していかなければならぬ。これをむやみに形を変えられては困る。この二つは、環境庁先生方のお許しを得て設置された目的ですから、それに反するようなことがあってはならない。  いまの地熱発電所の問題ですが、地熱発電所というのは油を使いませんから、これは非常にいいことだと私は思います。いいことだとは思いますが、国立公園として決めている一番大事なところをほじくり返すというようなことは私には耐えられないことであります。ですから、あの覚書は、詳細については私はいますぐ思い出せませんが、国立公園といっても一番大事なところがありますから、その一番大事なところを余りいじくるというようなことについてはわれわれは賛成できない。そうでないというようなところを、しかもそれも相当な配慮をして景観を害さないような形でこれをやるということについては、やみくもに全部反対するというものではない、こういう立場におるわけでありまして、あとはケース・バイ・ケースで、出てきたものに対してわれわれが考えていく、こういうことでございます。
  28. 森中守義

    森中委員 そのケース・バイ・ケースというのが一番問題で、要するに、この地熱発電につきましては、環境庁の自然保護局長、通産省の公益事業局長、この両者の間で、六地点についてはよろしかろうという覚書がある。しかしこれも、いまはしなくも長官が言われたように、ケース・バイ・ケースで見ていきたいというのが実は泣きどころだと思う。しかし、それが基本原則に触れるのかどうなのか。もちろん、基本原則というのは、法律できちんと定められたものでも何でもないわけですから、さっき長官の言われる決意以外にいまないわけですね。ですから、これも経済活動との整合の延長線上にあるのかなという気がするのです。  それからもう一つは、湖沼法のこの国会への提出がどうも望みない、もう二十日で終わるわけですから。一体これらは何なのか。いろいろ背景はあるようです。これを見ても、やるべきものが立法措置ができないという、これはやはり一押し二押し押されたなというような気がするのですね。それからいま一つは、NOxの総量規制、それから石炭のばいじん、こういう排出基準などは――少なくとも非常に技術革新が進んでいるわけですから、政省令としてつくられた時代のものじゃないのですね。かなり変化をしている。しかも、こういう政省令の基準改定というのは、明らかに長官の所掌事項、単独でできるわけです。これも行われていない。その背景は何なのかということになると、詰めて言えば、これも経済との整合性の上にどうも立っているのではないか、こういう気がするわけですね。  もっと重要なことは、今回電源立地抜きというアセス法になりながら――提案理由の説明は行われておりませんから、もちろん中身に入りません。けれども、六十五年で石炭の消費量は需給計画からいけば大体一億六千三百五十万トン、相当膨大なものですね。それが電源にどのくらい、火力石炭専焼にどのくらい使われるのか、四千五百万トンぐらいでしょうね。しかも、その電源の立地地点は全国で大体どのくらいなのか。五十六年度の電調審に付議される電源立地の件数、五十七年度に予定されるもの、大体六十五年までは通産省ではある程度握っているようです。これはどうなんでしょうか。ここを特に聞いておきたいのですが、電源立地を最初アセスの中に入れようという方針であった。だめになった。入れるということは、六十五年までに全国どのくらいの電源立地を見ておられたのか。できますならば、原子力地点、それから石炭の地点、あるいはLNG、それに水力、こういうもの別に大体どのくらいの地点を把握しておられるか、ちょっと教えていただきたい。
  29. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お尋ねのございました電源立地の予定地点でございますけれども、私ども把握しておりますのは、五十六年度と七年度の電調審予定地点ということで、電気事業法に基づく施設計画によるものでございます。  五十六年度の電調審上程予定地点というのは幾つかございますが、水力では、電源開発株式会社の徳山地点等四十一地点、出力で約九十七万キロワット。火力では、東北電力株式会社の東新潟三号機等九地点、約四百九十一万キロワット。この中には石炭火力が三百八十万キロワットございます。原子力では、九電の玄海三、四号機等五地点で、約六百六万キロワットというふうになっております。  また、五十七年度につきましては、水力では、関西電力の大滝地点等三土地点、約五十七万キロワット。それから火力につきましては、東京電力の東扇島一、二号機等二土地点、約八百四十万キロワット。この中には石炭火力が百七十万キロワットございます。原子力では、北陸電力の能登一号機など九地点で、千六十四万キロワットということになっておる状況でございます。
  30. 森中守義

    森中委員 いま長官お聞きのように、私の手元にも同じようなのがあります。相当膨大なものですよ。しかも、これは電調審五十六、五十七の二年度を指したわけですが、六十五年度までにはとてもじゃない。しかもなお、財界、電力業界がアセスから抜けという主張の中に、三十三の法律の対象になる、六十六の届け出及び認可あるいは許可というようなことで、相当しぼられているから、わざわざアセスに入れる必要はないじゃないかという主張が実はあったようです。しかし、これは実は逆に言うべきだと思うのですね。そのくらいいわば土地の形状に非常に大きな変化がある。しかも、汚染度等についてもはかり知れないものがあるから、それだけに法律を三十三も適用対象にしなければいかぬ、六十六の許認可あるいは届け出もしなければいかぬという、これ自体が電源立地のむずかしさを物語っていると思うのですね。ですから、今回どうしてこういうものが除かれたのかという非常に大きな疑念がこの辺にあるわけですよ。  いま私は二、三のことを例示的に申し上げたわけですが、こういったことでずっと整理してみると、結果的にどうも両立すべきものかあるいは対立すべきものかということが、両立よりも環境の方が大幅に譲り過ぎて、本来の環境の目的をやや後退させているのではないかという気がしてなりませんね。だから、下手するとこれは六〇年あるいは七〇年段階に逆戻りするのではないかという懸念を実はひそかに持つのですが、どうお考えですか。
  31. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 六〇年代、七〇年代のあの公害のように逆戻りしてはなりませんから、そういうことにならないためには、必ず責任を持って全力を尽くすつもりであります。経済と環境とは対立する場合もありますし、両立しなければならぬことでありますが、私の方としては、前段申し上げましたように、再びああいう過ちを繰り返さないために環境保全のために万全を尽くしていく、こういう立場に立っていくことは申すまでもないことですし、今後はいままでよりもそういう点に一層力を尽くしていきたいと思います。  電力の問題についていまお話しでしたから申し上げますが、電力がこの予定された御審議をいただく法律の中から抜けたことは、私としてはまことに残念で、まことに遺憾に思っているわけであります。しかしながら、それならなければいいかというと、私はそうは思わない。それでもこの権威ある国会の審議を経た信頼と権威あるルールをつくっておいた方がいいだろうと考えまして、電力が抜けたことは残念ではありますが、御審議をいただいているわけであります。  それで、忘れてならないことは、それでは電気事業にはアセスメントはないのかといえばないわけではありませんから、いままでもやっていましたようにこれもやらなければなりません。それから、その土地がある県に属すれば、その県に条例があればもちろんその条例に基づいてアセスメントもしなければならぬ、これは二重ですから。その県に条例がなければいままでのアセスメントをやらなければなりませんし、こういう機運になってまいりますれば、各地方自治体は条例をつくることに一生懸命になるでしょうから、条例ができればこれは二重にやっていかなければならぬ。こういうことになりますから、今度の法律から抜けたといたしましても――それは抜けたことは私は残念ですよ。残念ではありますが、抜けたからアセスメントをやらないでもいいのかというとそうではないということは、申すまでもないことかもしれませんけれども、ひとつ御認識をいただいておきたい、こういうふうに考えるわけであります。
  32. 森中守義

    森中委員 長官、せっかくの力説をお聞きしたわけですが、なかなかそうは受け取れませんね。いまはしなくも地方で条例をつくっているという話がありましたが、もちろんこれは二県一市、三つの条例にすぎない。あとはみんな要綱でしょう。ところで、地方でつくられている条例といい、あるいは要綱といい、環境庁から一定の標準を示したものではない。必要であるとするならば、その条例である程度とらえていこうとするならば、環境庁がきちんとした基準を示す必要があるのではないのですか。これもやっていないでしょう。しかもまだ三つしかありませんよ。それだけに、アセスから電源立地が抜かれたということは、これは地方にとっては非常に致命的な問題ですよ。苦労しますよ。ルールづくりだということが実は本命であったはずですから、これはいかに力説されても、長官のお気持ちはお気持ちとして心情的にはわかりますが、しかし、現実的に環境政策の展開という点からいけば、決して何人もこれで説得できるというものではないでしょうね。それもありましょう。  それからいま一つは、たとえばアセスの問題であろうと、先ほど例示的に申し上げた幾つかの問題ですが、経済との整合性が強過ぎやしないか、こういう私の発想による限り、公害基本法の一条の目的、環境庁設置法の三条の任務、これが果たして満たされているかどうかという問題じゃないですか。二者択一の時代じゃない、両立の時代だと企画部会は言う。懇談会は、そうじゃないんだ、必要なんだがこれはどうしても環境優先の政策をせねばならぬと言う。ここにも非常に大きなギャップがある。しかも、いま申し上げたように、長官の側で進めておられるのは企画部会の線ですね。両立すべきものだ。譲り過ぎるほど譲る。結果的に、政策の実態を見れば、繰り返すようですけれども公害基本法一条の目的にはまるのかどうなのか、環境庁設置法三条の任務が間違いなく遂行されているものに値するかどうか、値しない、こういうことだと私は考えるのです。  もう時間がなくなりましたから、これで終わりますが、またの機会もありましょう。実は三木さんが長官のころ、私も向こうの方で委員長でおつき合いしまして、非常に関心を持っている。そういう延長線上にこのことがある限り、いま少し、環境庁はなぜできたのか、設置の目的は何なのか、しかも、広く国家、民族にかかわりがあるという観点からすれば、長官のさっきの決意というものを具体的に政策の中に生かしてもらいたい。百万遍力説されるよりも、一つ一つ実行の中に移されるということじゃないでしょうか。そういう意味で、二者選択の時代なのか、両立の時代かということを、もう一度決意をお答えいただいて、質問を終わります。
  33. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 しばしば先生の御質問の中に出てまいりましたように、三木さんが環境庁長官をしておられたころといまとは、俗に言うさま変わりが激しい。あの当時は、環境問題というものに対しては、十分な警戒心といいますか、大変な問題が目の前に起きていたわけです。ところがいまは、油の問題に象徴されるように、このままやっていったらば日本の経済は壊滅的な被害をこうむる、何かいま経済的に考えなければならぬ、電源立地その他ございますから。そういうさま変わりをしてきただけに、環境庁としては、泣き言を言うわけじゃありませんが、まことにやりにくい状態、だから先生方の御協力をいただかなければならぬということでございます。  それで、基本法その他に合致してないじゃないかというお話でございますが、そういう御批判をいただくのは覚悟の上でございます。しかし、私は選択をします。もし電気を入れないならばこのアセスメントは要らない、あるいは電気をとられてもこの際これをやっていく、この二つしかないのですから、この二つの選択を迫られたときに、私は、電気をとられるということは決していいことではないと思うけれども、しかしながら、それでもやっておいた方がいい、この選択をとったわけでございまして、それなら何も要らないという選択は私のとらざるところでございます。その意味で、環境か経済かと言えば、もちろん両立しなければならぬことは言うまでもないが、私は常に一歩環境の方に踏み入って考えていかなければならぬという態度は、いままでもとってまいりましたし、これからもそういう態度でやっていきたい、こう思っております。
  34. 森中守義

    森中委員 承っておきます。またの機会もありましょうから、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  35. 山崎平八郎

    山崎委員長 野口幸一君。
  36. 野口幸一

    ○野口委員 私は、琵琶湖の問題について若干質問をいたしたいと存じますが、その前に、いま長官がお答えになっている言葉が多少気になりますので、そのことをまずお聞きをいたしたいと存じます。  それは、環境アセスメント法案の提出に関連して、大臣が電源立地その他の抜けたことは残念だ、こうおっしゃいますが、法律を提案をするのは環境庁じゃないのですか。環境庁が、大臣が残念だというようなものを出すのですか。その辺はどういうお考えでそんな残念だというような言葉が出てくるのですか、お答えをいただきたい。
  37. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 これは先生よく御承知で御質問ということとも思いますが、私が考えたとおりのものを出せるというものでもない。やはりこれは議会政治ですから、先生にも先生の所属する政党があるように、そしてまた、そういう政党が政権をとった場合にはやはりその政党の中から出てこなければなりません。私の場合でも、私の考えたことこれでどうでしょうかということで所属政党にも相談をして出すわけですから、それが議会政治ですから、私が考えたことは多少手直しされました、そのことは私にとっては残念に思いますと、これは何ら矛盾してないと思います。御理解をいただきたいと思います。
  38. 野口幸一

    ○野口委員 多少じゃなくて、新聞論調すべてが骨抜き法案だと言われているのですね。骨も抜かれてしまって魂のないようなものをお出しになったようでありますが、私どもそれを審議するつもりは全然ございません。あえて申し上げておきますが、そんな法律を提出なさる環境庁長官のお気持ちが私はわからない。少なくともおのれの信ずるところ、環境アセスメントはかくあるべきだという確信を持って、長い時間をかけて法案をおつくりになったようでありますし、いろいろの障害はある、あるいはいろいろなことがあるということは私どもも承っておりますが、しかし、少なくともそれを乗り越えていく環境庁長官でなかったら、先ほどの話ではありませんけれども、経済と環境とは両立するどころか、環境は全くなくなってしまって、いまや環境庁不要論さえ世の中に出ているような始末であります。そのような骨抜きの法案を出したこと、出そうとする姿勢そのものを私は疑わざるを得ないのであります。長官の本当の政治家としての真意というのは一体どこにあるのか、あるいはまた、この前からたびたび私ども質問をいたしました際にお答えになっている長官言葉とはうらはらにこの問題が結果づけられているような気がしてなりませんが、その辺はいかがな心境にいらっしゃるのですか。私は、少なくとも政治家鯨岡としては、辞表をたたきつけてでも環境庁長官というものの立場を守ってもらわなければならぬと思うのでありますが、その辺の御心境はいかがですか。
  39. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 それは、まことに潔い行動は私は大好きですよ。そういうのは大好きですが、国政を預かるということになりますとそう簡単にはいきません。これは選択です。その選択は、骨抜きと言われようが何と言われようが、転ばぬ先のつえという、大事なある事業を起こすとそれによって出てくるだろう影響をあらかじめ予測するということがいかに大事なことであるか。それがなかったから、どのくらいわれわれは後で悔やんだか。このことを国会の中で御審議をいただく。国会で御審議をするということは、国民が見ている前で審議しているのですから、その前は国民の見ている前でやっているのじゃないですから、そのことが私は大事だと思う。それができないならば、それは考えなければならぬ。けれども、ここで先生方に、骨抜きであろうが何であろうが、とにかく御審議がいただけるということになったことは、私は一つの前進だと思います。その選択を私はとったわけでございます。電気がないならば要らない、そんなものはやめたということは私のとらざるところです。それがあるいは深いみたいに、さっぱりしているように見えるかもしれませんが、それは国政としてはやるべきことではない、こういうふうに考えて、いま御審議をいただこうとしているわけでございます。
  40. 野口幸一

    ○野口委員 大臣としてはそういう返事しかできないのでありましょう。その心境はお察しいたしますが、少なくとも、先ほど来おっしゃっておりますように、環境優先という言葉は人間生活を守る以上どうしても大事なことなんだ。それをあえて、いろいろな苦難の道があろうけれども、乗り越えて示すことが環境庁の使命じゃないでしょうか。それでなければ、他の行政官庁と同じような形で、なれ合いの話し合いの中で出てくるような環境庁だったら、恐らく環境庁なんて必要ないのじゃないでしょうか。だから、そこで環境庁不要論というものが出てくるのじゃないでしょうか。  だから、少なくとも私が申し上げたいのは、従来、鯨岡長官が私どもの質疑に当たっても姿勢を示されました。まことにりっぱなことをたくさんおっしゃっておられます。私はそのことを多としてまいったのであります。ところが、出てまいった法案は、出てまいったといいますか出ようとしている法案といいますか、その内容をちょっとお聞かせいただきますと、全くそのことがうらはらな関係になっているではないか、それ自身に矛盾を感じられないのかということを私は申し上げているのであります。  だから、あえてこの問題は、私どもとしましては、電源立地問題を、少なくともそれ以上のものを社会党の案としてお出しをして皆さん方に御審議を願おうとしているわけでありますから、政府が手直しされる前の法案ですら私どもは不満であったわけでありますから、それがなおさら骨抜きになればもう何をか言わんやということになりまして、私どもはそのものについて審議をするという気持ちにはなっておりませんけれども、少なくとも環境庁長官は、私は本当に就任なさるときから鯨岡さんという人柄にほれ込みまして、この人が長官になったら、少なくとも従来から問題になっている環境アセスはきれいに整理をしてまかり通ってくるであろうと御期待を申し上げておったのが、まことに残念、こういうことを言わざるを得ないということであります。だから、お答えをしようにも長官としてはここの場ではできないでしょうから結構ですが、少なくとも環境庁はもっと毅然としたものをお持ちになって、そして法案の御提出をなさることをお勧めいたしておきます。いまのようなものは私どもはいただけません。  そこで、大臣に別の角度から、先ほど申し上げました琵琶湖の問題についてお尋ねをいたします。  琵琶湖の問題は、再三再四にわたりまして私ども初め皆さん方がこの委員会でも質問をしておられますが、大臣にまずお伺いをいたしますけれども、琵琶湖というものについての認識でありますけれども、これはこの前の私の質問でも大臣にお聞きをいたしましたが、とにかく日本一の湖であり世界で三番目に古いと言われている湖が、ここ数年来、淡水赤潮に悩まされて年々水質の悪化を来そうとしている現状にある。環境庁長官としては、この琵琶湖の現状というものをどういう角度でどのように把握しておられるのか、どういう視点でもってこの琵琶湖を見ておられるのか、それをひとつ概括的にお答えいただきたい。
  41. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 野口先生、琵琶湖の問題にお答えする前に、もう答える必要はないと言われましたが、あえてお願いを兼ねて申し上げておきますが、確かに環境庁不要論が一部にある。それは何かというと、お考えいただきたいのは、先生方の御支援をいただいて一生懸命になって環境庁ががんばっているから、そして、先ほど申し上げるように、いまの情勢は環境を言う情勢じゃない、経済を言う情勢だ、これは見方によってそういう見方もあると思いますよ。そういう情勢の中で環境庁ががんばっているから環境庁不要論が出てくるのであって、環境庁が何もしないでいれば環境庁不要論が出てくるわけがない。ここのところをどうぞ御理解をいただきたい。  それから、いまお願いしている法案、これはいま議運や政党の国対の方でいろいろ御心配をいただいているところで、これは御承知のとおりでございます。それは審議する必要ないというふうにいまおっしゃいましたが、どうかひとつそんなことを言わずに御審議をいただきたい。というのは、これは生まれてきたのですから。なるほどそれはおっしゃるとおり虚弱体質かもしれませんよ。虚弱体質でも、育て様によってはこれは丈夫になるかもしれません。しかし、生まれてこないのじゃこれはどうにもならないので、また、そういうような虚弱体質じゃ審議する必要ないなんということになると、ますます環境庁不要論になってまいりますから、委員長にもお願いしておきますが、どうかそう言わずに、ひとつ一日も早く御審議をいただけますようにお願いをいたしたい。国民の前で、こんな虚弱じゃ困るじゃないかという御審議をいただいて、私がそこで苦しむという状態が国民に見えること、これが私は必要なことだと思いますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。  そこで、琵琶湖の問題ですが、あの琵琶湖は一千三百万人の水がめなんですから、私は第一番にそのことに重点を置きます。あれが汚れてきたらば京阪神の人たちが大変なことになりますから、これ以上汚すことはできない、こういうふうに第一番目に考えます。第二番目は、やはり琵琶湖というのはわれわれが誇りにする景観を誇っているわけですから、あの景観を守っていかなければならぬというふうにも考えますが、まず第一番に一日も忘れてはならぬことは、千三百万人の京阪神の人々の飲料水の水がめである、これを汚してはならぬ、こういうふうに考えております。
  42. 野口幸一

    ○野口委員 私ももうこの問題に入ろうと思いましたが、また大臣が変なことを言いますから一言言います。  環境庁の不要論がなぜ出てきたかということは、大臣意見と全く逆です。そんないいかげんな法律しか提出できないような環境庁だから要らないのじゃないかということで、環境庁不要論が出ているのです。そういう間違った認識で環境庁不要論が出ているとおっしゃると、これは私どもいただけませんから、あえてもう一言申し上げておきます。  琵琶湖ですが、琵琶湖を水源とする上水道のろ過用の薬品代というものは最近とみに高くなりまして、昭和三十年代はきわめてわずかでありましたけれども、四十年代に入りまして一立方当たり三円、それから五十年代には七円、昨年はとうとう十円を超えちゃったのです。いわゆる水道用としてのろ過するための薬品代でございます。そのように、いわば琵琶湖そのものの汚染度というのは、残念ながら今日新しい局面を迎えるというほど進行している。一部には横ばいだという数字も出ておりまするが、全体的にながめますと、これはもう全く進んでいると言わなければならない。赤潮の発生はその一つであります。そこで、滋賀県としても、琵琶湖の富栄養化防止条例などを実施したり、あるいは総合政策としての琵琶湖ABC作戦などを考えまして、積極的にやっているわけです。このことは環境庁も、たびたび御視察等もいただいておりますし、実情はよくおつかみのはずでございます。  そこで、今日まで、いわば平たく言うならば県民の犠牲においてという言葉を使いましょうか、県としては相当な金を使ってこの水質保全に努力してきた。県民もそれに協力をした。恐らく、合成洗剤の追放などという問題に当たりましても、これは単なる条例ができたから守ろうじゃないかというんじゃなくて、県民自身がこの琵琶湖の水をきれいにしようという自発的な――自発的など言うよりも、むしろ積極的に協力をしているという立場が今日この成果を得る結果になっているんじゃないかと思います。そういうように県民もみずからが努力をしておりまするが、国として琵琶湖の水質保全向上について一体どのような施策が今日までとられたのであろうかということをながめてみますと、余りないように思われるのですが、具体的な事例がございましたならば、どういう施策を国としてこの水質保全のためにやったのか、そして、今日までどのくらいの金を水質保全に使ったのかということがわかっておりましたら、この際、一応参考までにお聞かせをいただきたい。
  43. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 琵琶湖の水質保全のために、これは一般の水質汚濁防止法で当然いろいろな施策を講じておるわけでございますが、特に琵琶湖につきましては二つの問題があろうかと思います。一つは富栄養化問題、一つは総量規則を導入するかどうかという問題、この二つがあろうかと思います。  前後しますが、総量規制を入れるかどうかという問題につきましては、私ども必要な調査を行っておりまして、できる限り早く総量規制を導入したいということで検討している段階でございます。  富栄養化問題につきましては、これはもう条例で独自の措置を講じられておられるわけでございますけれども、私どもといたしましても、燐、窒素の水質目標というものは、すでに燐については作成しておりますが、これを窒素まで広げ、さらには環境基準を設定するというところまで持っていきたい、かように考えております。  そのほか、これは必ずしも私どもの所管ではございませんけれども、琵総法の総合計画に基づく諸事業を実施している、こういうことでございます。
  44. 野口幸一

    ○野口委員 数字の点はお示しになりませんでしたけれども、あえてここで再質問いたしませんが、少なくとも総量規制の問題にしましても、これは当初昭和五十六年度に実施をするお約束じゃなかったでしょうか。ところが、いま五十六年度に入っておるわけでありますけれども、まだその具体的な実施の段取りが不十分だということでありましょうか、まだ未実施のようでありますけれども、この辺の経過は一体どうなっておりますか。
  45. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 予算のことを申し上げませんでしたが、たとえばこの総量規制につきましては、五十五年度から約四千万の予算を計上しておりまして、流れとか水位等の調査をしておりますが、いま御質問にございました時期につきまして、五十六年度内に総量規制を導入することを目途にそういう予算も計上している。いずれにしましても、繰り返しになりますが、五十六年度を目途に総量規制を導入したいということで検討を急いでいるところでございます。
  46. 野口幸一

    ○野口委員 重ねてお尋ねいたしますが、それじゃ、五十六年度に必ず総量規制は実施するということで承っておいてよろしゅうございますか。
  47. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私どもといたしましてはそのつもりでおりますが、これは関係省庁との協議もございますので、政府として必ずというふうに御質問でございますと、そこまではあれでございますけれども、私どもとしては五十六年度に導入したいということで検討しているところでございます。
  48. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、決定的な琵琶湖の破壊あるいはまた汚染ということにならないように、その前段における対応策が必要だということはだれでも常識としてわかるわけでありますが、国としては、いわゆる前段の防止策としてどのようなものが存在するかということは、特に琵琶湖に関連をしてどのようなものをお考えでございますか。
  49. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 御質問趣旨、ちょっと私よくわかりかねるのでございますが……。
  50. 野口幸一

    ○野口委員 琵琶湖の場合、決定的な破壊であるとか決定的な汚染にならない先にやらなければならないことがあるだろうと思います。だから、それはどういう観点で、国としてはその前段の防止策というものをお持ちなのか、お聞きをしたいということです。水質汚染。
  51. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 汚染につきましては、その汚染の原因があるわけでございますから、その原因の対策が基本の問題だろうと思いますが、一番大きい問題は、生活排水の問題あるいは農林漁業の問題等が、いわゆる排水規制以外の問題としてはあろうかと思うのでございますが、その中でも生活排水対策ということになりますと、やはり下水道の整備促進が一番大事な問題だろうか、かように考えます。
  52. 野口幸一

    ○野口委員 私の質問が悪かったのかもしれませんが、少なくともいま琵琶湖は、後で質問をいたしますが、琵琶湖総合開発の十年目を迎えて、新たな延長を県当局は国土庁あたりにお願いをしているようでございますけれども、少なくとも、この琵琶湖の総合開発によって、琵琶湖の水というのは一体どんな現状になっているのかというようなことをお考えになったことがございましょうか。あるいはまた、先ほど総量規制の問題が出てまいりました。もちろん総量規制もこの水質保全を図る上の重要な問題でございます。しかし、それだけではなくて、琵琶湖の水を守るという観点から考えましたときに、いま実施されておる琵琶湖の総合開発の特別措置法というものが、琵琶湖の水質保全のためにどのような影響を与えているだろうかということは、環境庁としてお考えになったことがございましょうかということを私どもとしては聞きたいのであります。
  53. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 琵琶湖の水質が環境基準に比べましてよくないことは申し上げるまでもないわけでありますが、そのためにいろんな施策を講じまして、五十三年度と五十四年度を比べてみますと横ばいのような状態でございます。  そこで、琵総法の効果ということでございますけれども、これも御案内のように、あの中に下水の整備あるいは屎尿処理場の整備というような事業があるわけでございまして、その種のいわゆる開発というよりはむしろ水質保全のための施策を推進するというねらいもあるわけでございますので、そちらの方の事業の推進を私どもとしては期待しておるわけでございます。
  54. 野口幸一

    ○野口委員 まことに残念なことですが、環境庁として余り関心を持っておられないと言っても過言ではない。つまり、この十年間琵琶湖の総合開発が実施されて、そして事業面においてはまだ全体の四〇%程度しか工事は進んでいないということなんですけれども、しかし、今日までの琵琶湖の総合開発の一連のいわゆる関係工事が、琵琶湖の水質保全についてあるいは水質の変化についてどのような影響を与えているのかということについてのお調べがないようであります。まことに残念でございます。  というのは、延長するかしないかということについて議論をする場合に、いままでのこの十年間に琵琶湖の水質保全という点について、先ほどおっしゃったように、なるほど下水道の整備だとか屎尿処理の問題だとかいろいろなことについては多少の進展のあることは認めますが、しかし、それとはうらはらに、港湾整備だとかいろいろな面の今日までの状況を見てみますと、水質保全だけを考えますならば、プラスになっている部分は非常に少ないと言わざるを得ないのが現状ではないだろうか。少なくとも、延長するという形を仮にとるとするならば、これから先はいわゆる琵琶湖の水質保全という立場に立っての、開発という言葉が法律にありますから、琵琶湖総合開発ということになれば、水質保全ということとちょっと矛盾したことがあるかもわかりませんけれども、少なくとも水質保全というものに視点を置いた法の延長でなければ意味がないのじゃないかということを私は申し上げたい。  とするならば、その前段に、琵琶湖の水質が、その工事を実施することによって、いわゆるこの法律の十年間の経過によってどのような変化を来しているのかということは、環境庁としてぜひともつかんでおいてもらわなければならないのじゃないでしょうか。どうですか局長、その辺のところはおつかみになっておられますか。
  55. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 汚染の原因にはいろいろな要素があるわけでございまして、私どもその汚染の――汚染といいますか、水質の推移は当然知っておるわけでございますが、琵琶湖総合開発計画に基づくいろいろな事業だけをとらえまして、それがどういう影響を及ぼしているかということについての把握というのは、大変むずかしい問題だろうかと思います。いろいろな汚染原因がございますので、なかなかその一部を取り出すということはむずかしいかと思うわけでございます。  しかしながら、いずれにせよ、私どもは、先ほども申し上げましたように、五十六年度には総量規制まで入れなければいかぬというような事態にあるわけでございまして、そういう意味からも、いろいろな事業が汚染をさらに増加させるというようなことであっては、それは大変な矛盾でございまして、決してそういうことであってはならぬというふうに考えておるわけでございます。
  56. 野口幸一

    ○野口委員 その辺でその辺の話は終わりますが、これは一般論としまして、従来から、汚濁追随型というような環境政策から、計画重視型といいますか、従来の人口増加、生産活動などによるごみ、産業廃棄物、汚濁水などといったフレームがどうなっていくかという予測を立てて、それの後追いをするような方策を検討しているというのではなくて、少なくとも今後は、生活や生産要因の多様化、あるいはまた社会的価値観が変動する社会情勢にありまして、フレームとその内容環境保全という目的でどうするのか、こういった形で対応策を考えなければならぬのじゃないだろうか、こういうことになるわけですが、そういったものに対する現在の環境庁考え方というものは一体いかがなものでしょうか。
  57. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 段々と小野水質保全局長から答弁をいたしましたが、琵琶湖の総合開発というのは、先生、これは水が汚くなっていいということではないですから、水はあくまできれいにしておかなければならぬ。ところが、だんだんと汚くなってまいりましたから、そこで、総合開発というのは、とにかくあの水をきれいに保つということが先決でなければならぬ。そして、十年がいま終わろうとしていますが、四〇%ぐらいまでしかそれができていないですから、局長から答えましたように、歓楽街を初めとしてあそこの周りに住みつく人が前から見ればずいぶん多くなってまいりました。そこで、その人たちのために、簡単に言えば下水を整備しなければならぬ。それから、農業の水がいままで入ってきましたが、それは少量だったのでしょうか、そんなに影響してなかったのですが、これが影響するところが大きくなってまいりましたから、農業の排水、肥料が地面からずっと湖の方へ流れ込んでくることを防ぐというようなことの全体が総合開発として盛られてこなければならないのじゃないかということです。  先生お話を承っていて私感じますことは、まずわれわれとしてはあの水をいかにきれいに保つかということで、このところ私はそれはとめてきたと思いますよ。何にもやらなかったらばもっとふえたと思いますけれども、これはとめてきたと思いますが、それでも、これではだめなんで、先ほど先生が冒頭に申されたように、これを飲み水にするためにかかるお金がだんだんとふえてきたということは、とめてきたと言いながらも、やはりその意味では汚くなってきたと言えるのでしょうから、それをしないためにこれからの計画はそこに重点を置いて決めていかなければならぬ、こういうふうに私は考えておるのです。
  58. 野口幸一

    ○野口委員 必ずしも私の質問と合っておりませんけれども、あえてそれは無視しますが、たとえば来年の三月で十年になるわけですが、琵琶湖の水のいわゆる利水の点から考えますると、一体どれだけ琵琶湖の水を将来ともにお使いになろうとしておるのかという点から考えますると、今度は逆に、下流の大阪府を初めその他の府県の御要求が毎秒四十トンということでございますから、それを仮に達成させるということになると、渇水期においては水面が二メートルまで下がる、こういう状況がある。ということになれば、それに対応する施策としての開発事業といいまするか、それに対する工事を実施しようとしておるわけなんですけれども、そうしますと、水そのものは四十トン送れても、水の質はそのことによって非常な悪化を来す、こういうのが、先生方といいまするか、琵琶湖を研究していらっしゃる方々の諸説の中にもあるわけでございます。しかし、先ほどの電源立地の話ではありませんけれども、経済的に毎秒四十トンというのはどうしても必要なんだ、こういうことになってまいりますると、これは県としてもこれに対応する施策としての対応策というのは考えなければならない。そこで出てきた問題が、この琵琶湖総合開発特別措置法という形でもって琵琶湖の周辺にいろいろな施策を行おう。林業を初め農業、田園等の整備、あるいはまた周辺のダム、あるいは砂防工事、あるいはまた湖辺の漁業に関する補償問題、あるいはまた魚族保存の問題だとか、いろいろなものが総合的に出てまいりまして今日の施策が行われているわけでありますけれども、しかし、水質そのものは利水というものの立場から考えますと決してよくならない。全体の水が悪くなる。減るわけでありまするからよくならないということであります。そうなりますと、結局、利水という立場と水質を保全するという立場は必ずしもいわば並行しない、つまり両立しないと考えられるのでありますけれども、その点に対する環境庁の水質保全というお立場考え方はいかがなんですか。そういうことはお考えになったことはございませんか。
  59. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 問題は、水質という問題と水量の問題ということに帰着するのかと思いますが、私ども環境基準を設定しあるいはいろいろな排水規制をする場合には、そういう水量というものがどうであるか、水量を決めるのは必ずしも私ども環境庁ではないわけでありますけれども、そういうものを前提として、そうして環境基準に合うような諸規制なり諸事業を進める、こういうことであろうかということでございまして、確かに水質と水量が非常に重要な問題で、関連があることはそれはそのとおりでございまして、関係省との協議事項にもなりますけれども、よく相談して、いやしくも水質がそれによって悪くなるということのないようにしたい、かように考えております。
  60. 野口幸一

    ○野口委員 これはもう常識論といたしましても、たとえば河川の汚染を防ぐために一定の水量を保つということは常々考えられておるように、琵琶湖としましても、その水質を保っていくためには一定の水量というものを保たなければ無理だということはおわかりのとおりだと思うのです。  ところが、いま仮に、後ほどお聞きをいたしますが、いまの場合では毎秒四十トンという要求に対して、琵琶湖総合開発というのが設定されてそれに対応しようとしているわけでありまするけれども、私はこれを肯定する立場ではございません。ございませんが、しかし、将来、先ほどの長官の話などにも出てまいりまするように、恐らく経済というものを無視した環境政策というものはないんだということもありますように、大阪の人口が先行きどういう形でふえていくかということを考えますときには、未来永劫に毎秒四十トンという水量がそれ以上は絶対あり得ないということは必ずしも考えられないのじゃないだろうか。そうなりますと、四十トンはいまの状態であって、また先行き二十年、三十年たって、今度は五十トンだというようなことになりはしないか。これは先行き、行き着くところはどこまで水を取ればということになってしまいますと、これは琵琶湖の水質問題じゃなくて用水そのものも枯渇をしてしまうということになります。これは環境庁の問題じゃないかもわかりません。わかりませんが、そうなりますと、水質問題というのは全くぼかされてしまいまして、その用水問題だけにいわば視点が移ってしまうというようなことさえ考えられるわけであります。  ところが、今日国土庁等で考えられておりますところの計画によりますると、毎秒四十トンというのが大体当面いわば水需要を満たすに足る数字だ、こうおっしゃっておるのでありますけれども、私ども調査をいたしますると、必ずしもそういうようになっていないし、また、それだけの水が必要だということを私どもには感じられないのでありますけれども、そういった点で、以下、若干国土庁の関係の方々にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  議論がちょっと飛びまして申しわけないのですが、そこで、関連いたしましていろいろとお聞きをするわけでありまするが、いま申し上げましたように、琵琶湖の水を利用して、先ほどのお話ではありませんが、飲料水その他にお使いになっている下流府県が琵琶湖に対してどのくらいの利水量を求めていらっしゃるかという点についてであります。  総合開発の立法の趣旨によりますと、利水目標として毎秒百八十五立方メートルを淀川枚方地点において確保できるようにしたい、こういう話でありますが、この開発の目的といいますか、それの確保塁、絶対量といいますか、毎秒百八十五立方というのは今日変化がございましょうか。あるいはまた、どのようにこの百八十五の数字というものの算出について今日時点でながめておられるか、現状についてひとつお聞かせをいただきたい。
  61. 志水茂明

    ○志水説明員 お答えいたします。  淀川水系に依存しております都市用水の需要は、最近の安定経済への移行、それから水利用の合理化、こういったものの進展等によりまして、確かに一部鈍化の傾向にあります。しかしながら、長期的にこれをながめますと、生活水準がやはり向上していくし、産業もやはり発展をする、それから農業の近代化等によりまして今後もやはり水需要は増大していくものと予想いたしております。さらに、現在におきましても取水をしております都市用水の中でも不安定な取水量、すなわち水があるときには取れるし、なければ取れない、非常に不安定な取水量が毎秒約二十立方メートル余りございまして、この安定化を図っていかなければならない。こういったような観点からながめてみますと、現在の琵琶湖の開発水量、最大毎秒四十立方メートルを確保することはもちろんでございまして、ほかの水資源開発施設につきましても建設を促進していかなければならない、このように考えております。  なお、現在水資源公団が実施しております琵琶湖の開発事業につきましても、一応上下流の合意のもとに現在順調に事業が進んでおりまして、すでに漁業補償等につきましても基本的には解決を見ている現状でございます。
  62. 野口幸一

    ○野口委員 私が聞いていますのは、淀川の枚方地点において確保しようとしている百八十五立方というその利水目標は、数字的に今日も変わりはないかということです。
  63. 志水茂明

    ○志水説明員 百八十五立方メートルといいますのは、現在までに河川のいわゆる維持流量も含めましてすでに取っております既得の水、これらを含めまして一応現在毎秒約百四十四トンございますが、その上に琵琶湖の開発水量四十トンが乗ってまいりまして百八十四、先生の御指摘は百八十五トンになっておりますが、百八十四トン、これには変わりございません。
  64. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、この法律ができまして以来今日まで九年たっておりますが、この間に、琵琶湖の水そのものを取水をされまして下流府県においてこれを利水されているわけでありますけれども、この十年間の平均取水量というのは、いま申されました淀川地点においての量というものはわかっておりますか。大体毎秒何トンずつお使いになっておるか。
  65. 志水茂明

    ○志水説明員 年度ごとで若干の差はございますけれども、水道用水、工業用水合わせまして最大取水量が大体七十数トンくらいになっております。(野口委員「立方に直して……」と呼ぶ)失礼いたしました。毎秒七十数立方メートルでございます。
  66. 野口幸一

    ○野口委員 それから、これから先行き十年、仮に大阪の人口が現在の人口よりも一・五倍ないし一・七倍増加をする、あるいはまた工業生産高が現在よりも約倍近くふえるという大阪府の水資源の利用計画といいますか取水計画といいますか、そういうものの計画表の中にありますところの需要見込みの推定量というのは一体幾らになっていますか。
  67. 志水茂明

    ○志水説明員 水資源開発促進法に基づきまして、淀川水系におきます現行の水資源開発基本計画におきましては、昭和五十五年度におきまして水の用途別の新規需要の見通しといたしまして、五十五年度過ぎましたけれども、水道用水が毎秒約四十二立方メートル、工業用水が毎秒約二十三立方メートル、農業用水が毎秒約二立方メートル、合計毎秒約六十八立方メートルということになっております。これに対しまして供給の方は、当面、毎秒約五十一立方メートルを確保するということで、琵琶湖開発事業それから日吉ダム、こういったものの事業が現在鋭意進められているわけでございます。現行の水資源開発基本計画が、先ほど申しましたように、目標年度五十五年度にすでに達しておりますので一現在私どもといたしましては、関係省庁、関係府県と協議しながら、この計画の変更につきまして検討を進めているところでございます。本水系に係ります都市用水の需要は、先ほど来申しておりますように、長期的にはやはりふえていく、このように予想しておりますし、現在でも、取水している都市用水の中にも不安定な取水が毎秒約二十立方メートルということになっておりますので、こういったものに対しては早期な対応が必要であると考えております。
  68. 野口幸一

    ○野口委員 いまお示しになりましたように、五十五年度の調査でありますが、昭和六十五年、十年先の水需要について、大阪府は総人口を九百十五万人、工業出荷額、これは五十年価格ということでありますが、大体二十・五兆円と見込んで算出いたしております水の需要量から見ましても、現在の琵琶湖総合開発によって要求されている毎秒四十トンというのは必要ないのではないか、こういう計算に相なるわけですが、この辺はどのようなお考えを持っておられるわけですか。
  69. 志水茂明

    ○志水説明員 先ほど来申し上げておりますように、現在、関係の府県それから関係省庁ともいろいろ協議をしておりますが、先生の御指摘のようなことにはならなくて、私どもとしては、この琵琶湖の開発、最大毎秒四十立方メートルというのはもちろん必要でございますし、それ以上のものも六十五年までには開発していかなければいけない、このように考えております。
  70. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると、将来の水需要量の勘定は、いわば琵琶湖そのものだけに依存をしておる形で計算されておられるわけですか。将来の水需要の不足は全部琵琶湖でやろうというわけですか。
  71. 志水茂明

    ○志水説明員 先ほど申し上げました水資源開発基本計画で淀川に依存する全体の水需給はどうかということを検討しているわけでございまして、琵琶湖だけからそれらをすべて賄うということではなくて、まだほかにも、先ほど申し上げました日吉ダム等もございますし、その後いろいろ新規のダム等も予定をされております、こういったものを含めまして、全体で考えていくことになりますが、少なくとも琵琶湖につきましては、従来の最大毎秒四十立方メートルというのはぜひとも必要である、このように考えているわけでございます。
  72. 野口幸一

    ○野口委員 そういう点からいきますと、現在の琵琶湖総合開発の工事が約四〇%しか進捗していない、つまり毎秒四十トンを確保するためにはいわば一〇〇%総合開発事業がなされなければ供給できない、こういうことになるはずであります。そうしますと、今年度末における状況として四〇%しか進捗していないということは、先行きこの琵琶湖総合開発というものをどのように進めていこうと国土庁ではお考えなのか。いま滋賀県は延長を要求しておるようですけれども、それについて一体どのようなお考えをいまお持ちでございましょうか。
  73. 平野侃三

    ○平野説明員 琵琶湖の総合開発事業につきましては、先生指摘のように、これまでの進捗状況から見まして、計画期間内、本年度でございますが、所期の事業を完成することはきわめて困難であると考えております。そこで、国土庁といたしましては、現在滋賀県が進めております総点検作業の結果による意向を受けまして、財政事情等も総合的に勘案して、具体的な検討を行うことといたしておりますが、現在すでに事務的には滋賀県及び関係省庁と事前の検討作業をいたしているところでございます。
  74. 野口幸一

    ○野口委員 だから、その検討作業の結果どういうものを想定しておられるのか、どういう考え方で臨もうとしておられるのか、その辺のところをお聞かせいただきたい。延長はどういう形で認めようとしておられるのか。それはもちろん国会の問題でありますからなにですけれども、国土庁としてはどういう考えを持っているかということをお聞かせいただきたい。
  75. 平野侃三

    ○平野説明員 滋賀県からは、原則として現計画の事業内容を完成するために必要な期間の延長を行うとともに、社会情勢の変化、地域実態の変化に応じまして所要の修正を図ることを要望してきているわけでございますが、国土庁といたしましても、現下の財政事情等も踏まえつつでございますけれども、残事業の完成を基本といたしまして、関係省庁と事務的な検討を進めているところでございます。
  76. 野口幸一

    ○野口委員 残事業というのは、現在手をつけている事業という意味ですか。それとも、当初から計画しましたすべての事業という意味ですか。
  77. 平野侃三

    ○平野説明員 琵琶湖総合開発計画で十八の事業が決められておりますけれども、その事業の内容でございます。
  78. 野口幸一

    ○野口委員 私は、先ほど来御質問申し上げておりますように、私どもは、いま下流府県において毎秒四十トンをどうしても確保しなければならぬのだとおっしゃる数字的根拠についてまだお互いに詰め合わせをしなければならぬと思っておりますし、決してそれが絶対的な量だとは思っておりませんが、仮に、おっしゃるように、四十トン確保が絶対使命だということになりますと、逆に言いますと、琵琶湖総合開発は、いままでの進捗状態が四〇%だということは、残り六〇%をどうしてもやってもらわなければならぬという発想になります。ところが現在では、経済の状況だとか予算の状況だとかで余り大したことは――残事業をやるんだと言っておられますが、そうしますと、国土庁の基本的な考え方としては、あくまでもこの琵琶湖の総合開発事業、当初計画いたしました十八事業というものは絶対に完成させるんだということでございますか。どうなんですかそれは。その辺のところの決意のほどを伺いたい。
  79. 平野侃三

    ○平野説明員 先ほど申し上げましたように、基本的には残事業の完成ということでございまして、この十年間におきます社会情勢の変化あるいは地域実態の変化等もございますので、そういう状況も勘案しながら検討しておるところでございます。
  80. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、私どもから考えますならば、少なくとも、今日までの琵琶湖の総合開発事業に伴う諸工事は確かに利水というものについては一定の進展といいますか、そのための事業は進んだと思います。しかし、先ほどから私ども指摘しておりますように、水質保全という立場からは余り進んでいない。むしろその工事を行うことによって汚染をした部分だってあるわけでありますから、琵琶湖の総合開発というものが延長されるという想定に立ちます場合に、環境保全優先ということをぜひとも入れてもらわなければ、この延長ということに私どもはすんなりと賛成をすることができないという気持ちにいまあるわけでありますが、この点について国土庁は、今後のいわゆる法の延長によって琵琶湖の総合開発の事業計画そのものを見直す考えがあるか、あるいはまた、水質保全というものに重点を置くという立場に変えようという気持ちはあるのかないのか、その辺のところはいかがなものですか。
  81. 平野侃三

    ○平野説明員 琵琶湖総合開発特別措置法と琵琶湖総合開発計画でございますが、琵琶湖の自然環境の保全と水質の回復を図ることを目的として策定されておりますので、現計画におきましても、水質の保全、回復を図るための事業を最重点の一つとして実施しているところでございます。滋賀県からは水質の保全、回復に資します事業の補充追加を要望してきているところでございますけれども、国土庁といたしましては、十分琵琶湖の閉鎖性水域の水質の重要性というのは認識しておりますので、現下の財政事情等も十分考慮しながら、なおかつ各関係省庁とも慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  82. 野口幸一

    ○野口委員 そういうお答えは当然出てくるとは思いましたけれども、具体的にはおっしゃるようにはなかなか進まないのですね。たとえば毎秒四十トンということを確保するという立場に立ちましての工事というのは、水質保全というものとは相反するような現状というのはしばしば出てくるわけでございますが、しかし、この後、十年の経過をして、もう一度十年という経過の上に立って十八事業全体を見直したときに、この点についてはもう少し力を入れなければならない。あるいはまた、環境保全あるいは水質保全という立場からは、もう少しこの工事の内容について検討を加えるということについては、どうしても県としてもやりたい、やらなければならぬ、こう思っている部分もございます。したがいまして、国土庁として、これは後ほど御協議をなさると思うのでありますけれども、琵琶湖総合開発特別措置法の延長に当たっては、特に琵琶湖の水質保全という立場を強調をした、あるいはまたそれを特に重視をした延長であり、また事業の変更であってほしいということを、私からも重ねてお願いをするわけであります。  その点について、特にもう一度国土庁にお願いをいたしますが、この十年間の経過の中を顧みて、事業内容そのものについて検討すべき点というのは、国土庁として指摘することがありますか、ありませんか、その辺をお聞かせいただきたい。
  83. 平野侃三

    ○平野説明員 先ほども申し上げましたように、この特別措置法におきましても、自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図るというのが重要な柱の一つでございます。そういう意味におきまして、この総合開発計画では下水道の事業あるいは屎尿処理施設の整備というのを重要計面の中に組み入れまして、鋭意その事業を推進してきたところでございますが。これらの事業につきましても、残事業の整備にさらに推進してまいりたいと考えております。  また、滋賀県から御要望のございます先ほどの水質保全あるいは回復に資する事業等の中で、たとえばいわゆる農村下水道等の要望もあるわけでございますが、それらのものにつきましても、関係省庁と今後さらに慎重に詰めながら結論を出してまいりたいというふうに考えております。
  84. 野口幸一

    ○野口委員 さらにそれに関連をいたしましてお尋ねいたしますが、昨年の国会、第九十一回だと思いますが、私が質問をいたしまして、当時の大臣が前向きに検討をいたしますと言いましたものの中に、湖沼の水質監視と悪化防止のために、さらにまたそれらの対策の研究のために、国立琵琶湖研究所なるものを設けてはどうかという提言を私がさせていただきました。それに対して、先ほど申しましたように、前向き検討ということを大臣が約束されたのでありますが、この前向き検討というのはどのようなぐらい前を向いたか、その前向きぐあいを詳細にお聞かせをいただきたい。
  85. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 琵琶湖に研究所を設けるということでございますけれども、私ども承知しておりますが、滋賀県独自に研究所をつくられる計画があり、いまその設置に当たられているというふうに承っております。したがいまして、去年の先生の御質問の、国がつくるべきであるということではないわけでございますけれども、滋賀県でそういう計画を進められているということでございますが、私どもといたしましては、国立公害研究所があるわけでございますけれども、ここでは基本的ないろいろな研究をやっているわけでありますが、この滋賀県の研究所に対しまして、私どもといたしましても、技術のみならず人材の交流も含めまして、いろいろな必要な協力を十分に行ってまいりたいと考えておるわけであります。
  86. 野口幸一

    ○野口委員 それじゃ、国は何かしようと思ったけれども、滋賀県で独自にやるから私のところは遠慮する、こういう意味なんですか。
  87. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私どもいろいろと検討いたしましたけれども、やはり滋賀県に国立の研究所をつくるということは、いろんな予算なり組織、いろいろ問題がございますので、これはむずかしいということでございます。
  88. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、仮に、滋賀県が独自に琵琶湖研究所なるものをこしらえられた場合におけるところの、国の援助といいますか、環境庁としてはどういう形でそのものを守り育ててやろう、育成してやろうという気持ちがおありなのか。先ほどおっしゃったように、ただ人材交流と研究テーマの交換だとか、内容的なものはその程度にとどまるわけですか。その程度しかお考えになっていらっしゃらないのですか。
  89. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 いつのことでしたか、この話がありまして、われわれはひとつ前向きに検討してみようということをお答えをいたしました。いま局長から話がありましたように、国立公害研究所、あれは霞ケ浦のそばですから、霞ケ浦の方のことも研究をしながら、あそこで、国立の研究所で湖と沼の問題についてこれから鋭意検討していこう。しかし、日本最大の湖である琵琶湖の周りに、滋賀県が非常な意欲を燃やしてこの研究所をつくろう、こういう御意向もあるようですから、それはそれで国の方でどういう援助をしたらいいのか、滋賀県の方と十分連絡をとりながら、所期の目的を達成できるようにやっていきたい、いまそのように考えている段階なんです。
  90. 野口幸一

    ○野口委員 大臣の方から明確にそういうようにお答えいただきましたから、当該県と十分ひとつ意思疎通をしていただいて、仮に、国立琵琶湖研究所ができないとするならば、滋賀県が意欲的にやろうとしている琵琶湖研究所に対して、格段のひとつ御援助をいただきたい。これは決して琵琶湖独自の問題だけではなくて、わが国の湖沼における水質の問題等も含めて重要な研究課題であろうし、また、先ほど来問題になっています淀川水系の水を確保するという立場に立って、琵琶湖というものの位置づけ、あるいはまた近畿一千三百万人の水がめとしての位置をどのような形で今後継続することができるのかということについて、ぜひとも深い研究が必要だろうと思うのであります。  話が前後いたしまするが、そこで、研究所の問題はそれで片づけさしていただきますが、先ほどの話にちょっと戻ります。  国土庁の方ではもちろんお考えであるとは思いますが、大阪市における、あるいは大阪市を中心とする近畿のこの水需要計画というのは、最近ちょっとお聞きしますところによりますれば、和歌山県の紀ノ川からも水を取ってこようとか、あるいはまた、水の利用についての内容について、リサイクル使用といいますか反復使用といいますか、そういうような形の中での問題点だとか、あるいはまた大阪の上水道というのは非常に古くて漏水が非常に激しいということもございまして、それらの対策だとか、いろんなものを含めた見直しというものをしなければならぬ時代に来ているんじゃないかと思いますが、この問題について、最近、特に琵琶湖だけに依存するという意味ではなくて、そういった淀川水系だけの問題ではなくて、その他に水資源を求めていこうとする検討が行われておるように伺っておりまするが、それはどのようなものでありましょうか、おわかりになっておりますれば、少しお聞かせをいただけませんか。
  91. 志水茂明

    ○志水説明員 地域の水需要に対応いたしますためには、基本的には水源施設の開発を進めていく必要があるわけでございますが、特に近畿地域におきましては、水資源の有限性といったようなことも考慮する必要がございまして、需要側におきましても、先生のいま御指摘のような節水だとかそれから各種用水の合理化、こういったものを進めているところでございます。特に最近では、水需要が、先ほど申し上げましたように安定経済への移行、こういったようなことに伴いまして、上水道の有収率が非常に向上しておりますし、それから工業用水でも回収率がずいぶん向上いたしてきております。こういった点がございまして、結果的に水需要が鈍化の傾向にあるわけでございますが、現在私ども検討しております段階では、ある程度まだ有収率、回収率、こういったものは向上していく余地はありますけれども、かなりの点までこれが進んでおりまして、さらにこの上生活水準が向上し、産業が発展し、あるいは農業の近代化、こういったものが進んでまいりますと、やはりこういう考慮をした上でも水需要はふえていく、このように考えておるわけでございます。
  92. 野口幸一

    ○野口委員 いまお答えいただいたのですが、そうしますと、基本的にはもう最終段階といいまするか、そういったいろんなものを総合的に全部やってもまだ足りないんだというか、不足する時期が到来するということを予測されているわけですか。
  93. 志水茂明

    ○志水説明員 淀川水系だけで考えますと、先ほど申し上げましたような有限性、こういったものがあるわけでございますが、さらに下水処理水の再利用だとか、こういった新しい観点からの水資源開発といいますか、こういったものも総合的に取り入れ、それからさらに、先ほど紀ノ川の話が出ておりましたが、具体的にまだどうするというところまでいっておりませんが、周辺の関連河川の開発も含めまして全体的に検討していきたい、こう思っております。
  94. 野口幸一

    ○野口委員 もう一度聞きたいのは、そういうことを総合的にやっても何十年か先には水が総合的に足りなくなる、いろんなことをやっても足りなくなるというような見通しがいま立っているんですかというのです。
  95. 志水茂明

    ○志水説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、現在、長期計画といいますか、これが三全総にいたしましても何にしても一応六十五年度を目標にしました計画になっておりまして、その後の状況等につきましてはどういうぐあいになってきますか、ちょっと私どもとしても細かい推定はできませんけれども、確かに水は有限でございますので、このままの調子でいけばいつの時点かは先生御心配のような点になろうかと思いますが、そういったことにならないように、下水処理水、こういったものはこれからどんどんふえていく形でございますし、こういったものの利用、あるいは海水の淡水化といったようなこともございますし、これらは経費の点その他でいろいろむずかしい点がございますが、やはり今後の研究課題だろうと思っております。
  96. 野口幸一

    ○野口委員 いや、私が心配いたしますのは、足りなければ取ればいいあるいはまた用水をふやせばいいということで、どんどんいろんな開発をしていかれるということについて心配をするわけですけれども、むしろ、節水を初めとする、水を使ういわゆる使用の立場に立っての規制というものを十二分に行う、あるいはまた、高度の反復利用等をしたものを行うことによって、水そのものを使わないように、それ以上のものを用水として必要としないように施策というものを持っていかなければならないのじゃなかろうかというのを私は主張をする立場であります。  そういうことで、若干心配になりましたので、お考え方は、足りなければどんどんもらうんだというようなことではないんだとおっしゃっていますから、私どもはそのような考え方を御期待申し上げる次第でございます。しかし、これは国土庁の所管のことではございませんから、恐らくそういう意味では違った方面ではまた別の考え方をお持ちの方もいらっしゃるかもわかりませんけれども、少なくとも、私ども環境委員会として、水というものを保つあるいはまた水の質というものを保全をしていかなければならぬという立場からの考えとしては、いまの水でも少ないのじゃないかと思われるぐらいでありますから、これ以上いわば淀川水系に水を求めていくという考え方を将来ともお持ちになるということは全く考えも及ばないことだということを、あえて御警告申し上げておかなければならぬだろうと思うのであります。  さらにまた、現在言われておりますところの毎秒四十トンの問題にしても、私は、それだけの必要はない、むしろ、先ほど申しました節水を初め上水道の漏洩防止だとか、あるいはまた反復利用だとか、いろんなことを啓発していただくことによって、琵琶湖の水をこれ以上取るということについては考え直していただくことも必要ではないのだろうか、そういう点でいま申し上げているわけであります。  また、それに関連をいたしまして申し上げておきたいことがございますが、いずれにしましても、滋賀県民としましては、先ほどもちょっと話をいたしましたが、琵琶湖の水をきれいに保とう、あるいは気持ちとしては少しでもたくさんの水を下流府県の皆さん方に御利用していただこうという気持ちがあることは、県民としてひとしく同じであろうと思うのであります。しかし、それには莫大な維持費といいまするか県民の負担が必要になってまいります。将来ともにこの県民の負担というのは受益者負担という形で強いられると思いますけれども、建設省、きょうはお見えでございますね、昨年の九十一国会でも建設省の答弁として、この問題については慎重に詰めていくというようなお考え方をお示しになりました。この水資源の確保について、いわゆるそれを持っている、湖沼を持っているところあるいはまた河川等を持っている府県の住民に対する負担という問題を、どのような考え方で軽減をしてやっていこうと考えていらっしゃいますか。その辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと存じます。
  97. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 先般の国会で、特に再処理の維持管理費の問題について御答弁申し上げたわけでございますが、下水道の維持管理費の問題につきましては、生活する上におきましてある一定水準以上の処理をしていくという問題につきましては、本来的には下水道を利用いたします使用者が負担していくというのが原則でございまして、現在のところ下水道の整備水準が非常に低くて、二次処理を中心にいたしまして下水道の整備促進に当たっておるわけでございますけれども環境基準等が設定されておりますところとか、あるいは琵琶湖のように閉鎖性水域で富栄養化の問題が問題になるところにつきましては、二次処理だけでなくて三次処理の問題も出ようかと思います。しかしながら、現在の整備水準から申し上げますと、この前も申し上げましたように五%程度でございますので、まず二次処理をいかに面的に広げていくかということが大切でございまして、この二次処理におきましても、富栄養化に関係いたします窒素、燐の問題は二〇%から四〇%程度の削減が可能でございますので、まずそれを先行いたしまして、その状況を見ながら三次処理を考えていくということになろうかと思います。その場合の維持管理費の問題がこの前から問題になっておるわけでございますけれども、現在のところ、わが国におきまして三次処理を具体的にやっております個所が、五十五年度末に動いておりますところが四カ所程度でございまして、水量的にもまだそれほど多くございませんので、いまのところはっきりした方針というものは固め切っておりませんけれども、三次処理が必要な地域におきまして、三次処理に要する費用の負担、これがその地域の特殊事情によるものか、あるいは先ほど来出ておりますように、水資源開発等によりまして水利用上の問題から考えるべき問題か、あるいは環境保全といった公共性の問題もございますので、公共団体といたしまして検討すべき問題ということなのかどうかという問題は、三次処理の問題がまだそれほど進展いたしておりませんので、一年たってまだはっきりしないのかとしかられそうでございますが、いまのところまだはっきり詰め切っておりません。
  98. 野口幸一

    ○野口委員 一年たったわけですけれども、滋賀県あたりは、特に、先ほどから何遍も同じことを言っているのですけれども、水の質を何としても守っていかなければ、下流の方々の飲料水でありますから、そういった意味で三次処理というのはずいぶん前向きに考えておりまして、もうすでに三次処理も始まっておるところでございます。したがって、先ほどのことにも関連いたしますが、琵琶湖総合開発特別措置法がさらに延長されてということになれば、これらの問題も、当然、三次処理機関を増設するという形で、水質保全という立場からの一つの事業としてぜひとも加えてもらいたい。それでなければ、総合開発法を延長する意味がないではないかとさえ私どもは思っておるわけでございますが、そういう点になりますと、それは施設でできるのでありますけれども、仮にできましても、それを維持管理するために、受益者負担という形の中で県民が、余分な金と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、他府県に見られない金額以上のものを持たなければならぬではないかということで、特にこういう地域にあっては、ぜひとも特別な御考慮をまずもってやっていただかなければならぬのじゃないか、この点、もう一度お考えを述べていただきたいと思います。
  99. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 先ほど来出ておりますように、琵琶湖は近畿圏の千三百万の人たちの水がめということでございますので、非常に大切でございますが、下水道整備をいたしましてそれを維持管理していくという問題も、そこへ住む人たちが負担すべきという問題もあろうかと思いますが、水資源開発その他によりまして受益を受ける、そういう問題につきましては、どの程度受益を受け、地域としてそこに住む以上どの程度負担しなければならないかという問題、これは十分慎重に詰めていきませんと具体的に出ない問題かと思いますが、今後の三次処理の動向を考えながら検討していく必要があろうかと思います。  三次処理の問題につきましても、従来非常に多額な費用がかかると考えられてきておったわけでございますが、その後の技術開発によりまして、幸いにも二次処理に対して数割という形でできるだけ低廉に三次処理ができるというような情勢が若干見えてまいっておりますので、そういった技術開発を踏まえながら、三次処理の問題はだれが負担すべきかといった問題、そういった地域性も踏まえながら検討していきたいと思います。
  100. 野口幸一

    ○野口委員 それの一つの方法として、水系ごとによる水質管理基金、これは仮称ですが、そういうものを設けて、国、関係自治体、あるいは事業者などが拠出しまして、水質保全のための高次処理等に積極性を持たせるというような考え方が一つあると思うのですが、これについてはいかがな考え方をお持ちでしょうか。
  101. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 先ほど来の御議論と同じ性格の御質問だと思いますが、突き詰めていきますと、受益者負担と汚染者負担、この二つの原則といいますか考え方をどう調整するかという非常にむずかしい問題だと思います。  たとえば、琵琶湖について申し上げますと、昔はきれいだったわけでございますが、最近は汚れているということであるから、それは琵琶湖の周辺の人たちが負担すべき問題じゃないかという議論もあろうかと思いますが、そうは言っても、いろいろ努力しても汚れたので、それをさらにきれいにするのはむしろ受益者負担の問題ではないかという議論も一方であるわけでございまして、そこをどう調整するか。実は、湖沼対策につきまして中公審の答申がございましたが、その中公審の中でも、この問題はなかなかむずかしい問題だけれども、よく検討するようにというようなことが言われておるわけでございますが、突き詰めていきますと、そういう非常にむずかしい問題でございますが、これをどうするか私どももよく考えてみたいと思います。
  102. 野口幸一

    ○野口委員 考えてみたいというだけではなくて、積極的にプロジェクトチーム等をおつくりになって御検討いただかなければならぬだろうと思う。この問題は、単に琵琶湖だけの問題ではなくて、水質保全をしていくために積極的な方法の一つとしてぜひともお取り上げいただかないと、将来ともにこの問題は各所に起こってくる問題だと思いますので、環境庁としても前向きに御検討いただきたいということをお願いしておきます。  そこで、これは大臣ですが、連休前に同僚議員の質問に答えて、連休明けには湖沼等の水質保全法といいますか、湖沼環境保全法といいますか、仮称でございますが、これの特別措置法なるものをお出ししたいということで、非常に胸を張っての御答弁がございましたが、いまだに音さたがございませんが、これもアセスと同様に、環境庁の主張が貫けないでよそからいろいろ横やりが入って、これは長官に言わせれば残念どころか出すに至らない状況で今日つぶれているのか、その辺の真相をこの辺で伺わせていただきたいと思います。
  103. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 真相をお伝えいたします。  アセスの方は、大ぜいの方の御心配をいただいて国会に提出する段取りにまで至ったことは感謝にたえないところであります。湖沼の方は、いまアセスと同じかというお話でしたが、同じと言えば同じようなことでございます。建設省、農林省等とも連絡をとらなければならぬ、これはお察しのとおりでございます。建設省の方も農林省の方も話を詰めてまいりましたが、通産省の方へ参りましたら、通産省というのは企業の育成について努力する省庁であることは言うまでもありませんが、そこで、工場などから出てくる水の量、汚れぐあいというものは基準がありますからこれはいいのですが、排水の量について、私の方は瀬戸内海の総合法を前につくっていただきましたが、この瀬戸内海の総合法の中で日量五十トンということに決めております。そこで、日量五十トンと決めておりますが、瀬戸内海は工場が多いですから、湖沼全部を考えてみると瀬戸内海ほど工場が多くないから、これは倍にして、まず百トン、五十トンと言いたいところだけれども百トンというぐらいにしてもいいのではないか、こう思いまして、百トンでどうだろうということで話をしているのですが、とても百トンなんて言われたのではたまりません、それではこれからできる企業というものがもうできません、かくては経済に大きな支障を来して経済が混乱をいたしますという心配が通産省の方にあるようでございまして、そこで、そのことについて心配している連中がいろいろ話し合うと、通産省の方はとても五十トンどころか百トンでもだめで、まず千トン、二千トンというようなことを考えるわけです。千トン、二千トンなんか言われたのでは、これはどうにもならない。そこで、いまの段階ではそういう話をしている段階でございます。もう連休も明けました。いま、これは何とかして物にしてというようなことを言いたいところですが、それはちょっと言えませんね。これはどうしても千トンでなければだめだとか五百トンでなければだめだというのであれば話が詰まらない。これはアセスとそこのところが違うのでありまして、アセスは、国民の前で、ひとつ先生方にどんな御議論でもしていただいて、たとえば私が窮地に追い込まれるようなことがあっても、それによってアセスの重要性がわかるのですから、ぜひひとつ御審議をいただきたいと思うのですが、これは千トンなんかにしてしまったのでは、これは出しても、これは基準ですから、国民の理解を求めると言ったって、それは求めなければなりませんけれども、出す意味がない、こういうことで、いまのところは、絶望ではありませんが、そういう交渉をしている。どういうわけで千トンなんて出てくるのか、そこのところが実はわからないのです。それが実情でございます。
  104. 野口幸一

    ○野口委員 中公審の答申から、それでは、その法の、いまおっしゃった問題を含めて、ずいぶん外れたものになろうとしている、そういう心配でとにかく出さないんだ、こういうことなんですか、簡単に言うならば。
  105. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 私は必ずしもそういうふうには受け取っておらないのです。それは皆さんが基準について一生懸命努力しておることはわかるのですが、それにもかかわらず、先ほどから先生御心配のように、琵琶湖を初めとして、閉鎖性のためか、湖沼の水質がきれいにならない。それならば、そこの湖沼のある県の知事さんに計画を立ててもらう、これが今度の法律の基本の考え方でございますから、これがいけないと言っている人はだれもいないのです。しかし、ただ知事さんに考えてもらうといっても、何も示さないで、知事さん考えてください、そんな無責任なことはできませんから、そこで、工場なんかが水を出すような場合には、何トン以上のものはこれは許可制にしなければいかぬ、それ以下のものはやっていてもいいけれども、それ以上のものは許可制にしなければならぬ。そういう幾つかのものを決めなければならぬ。決めておいて知事さんに任せなければいかぬ。その決める物差しが前段申し上げましたようなことで決まりませんので、これでは知事さんに頼めない。そういうことで停滞しているので、答申にありました趣旨が貫けないということではないのであります。
  106. 野口幸一

    ○野口委員 さらにお尋ねいたしますが、内容について若干お聞きをしておる段階での質問でございますが、必要な施策を網羅されているのでありますけれども、それに対するいわば担保といいますか保証といいますか、そういうものがどうもはっきりしていない。つまり、水辺の保全などすべての発生源対策あるいは環境保全面における具体的対策というものが欠けているように思われますが、この点についてはいかがなものか。  さらにもう一つ、現行法との整合性の問題につきまして、はっきりした明文が書かれてないようであります。したがって、知事などが機関委任、既存制度の運用に縛られまして、ストップあるいはまたアレンジをしようと思ってもできないのではないだろうか、この法律ではどうもそういうことがむずかしいのではないだろうかと言われております。  三つ目には、規制も現行の水質汚濁防止法に近い規制にとどまっているというのでは、これも余り意味がないのではないだろうか。  それからまた、肝心のこの対策に対しまするところの財源措置がはっきりしない。つまり、国の資産でありますから全部国が負担をするというのか、あるいは地方財政上の措置を必要とするのか、全く判別に苦しむ表現だということに私どもはいまお聞きをしているわけでありますが、そういった点が私どもはちょっと、いまお出しにならないわけでありまするから、あえてここでそんなに詳しくなにする必要はないと思いますが、いま私どもは危惧いたしております点はその点がございます。  それから、もう一点、立ちました点で申し上げます。  これは建設省にお伺いをいたしますが、河川法との関係についてこの法律とのやりとりがあったようでございますが、その点は、どういう点でこの湖沼等の水質保全法との関連があり、かつ、そのことについて異議を申し出られ、どのような観点でこの問題をどのような形に修正といいますか提案される際に考えてもらいたいということをおっしゃったのか、その辺のところの経緯をひとつ建設省の方からもお伺いをいたしたい。
  107. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 それらの問題は、ずうっと詰まってまいりましたので、御質問でございますから関係者から答えると思いますが、私の承知しているところでは、それらの問題は全部皆さんが理解をして話がついた。ただ一点、先ほど申し上げました工場から出てくる排水の量の問題で、余りに、このくらいの違いならいいですが、こんなに違っちゃっているのですね。これでどうにもならないというところがいま詰まっている、これさえ解決つけばいいということでございますので、その点を御了承の上、いまの質問についていろいろ答えを聞いていただきたいと思います。
  108. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 五項目について御質問がございましたが、総括的にお答えいたしたいと思います。  湖沼法案と申しますが、この湖沼法案につきましての私どもの基本的な考え方は、現在は水質汚濁防止法、これですべての公共水域についての排水規制をやっておるわけでございますが、湖沼につきましては、これは御案内のように大変汚れやすくまた汚れているということで、何らかの特別措置が必要であるというまず基本的な考え方があるわけでございますが、その場合に、いろいろな施策をすべて総合して実施する必要があるということを考えるわけでございます。  いろんな施策と申し上げましたが、大きく言って二つに分かれまして、規制面、もう一つは事業の推進面、この二つに分かれるわけでございます。  規制面につきましては、これはまず第一に、いま大臣からもお話がありましたが、一つは許可制の導入。いろんな努力をしても、新しい非常に汚濁量の多い企業が新しくニューエントリーで入ってくるということになりますとこれは大変だということで、それについて一定の基準を設けまして許可制をしくという問題がございます。もう一つは、若干細かいことで恐縮でございますが、いま水質汚濁防止法で排水規制をしております施設につきまして、一定の規模ですそ切りしているところがございます。たとえば浄化槽でございますが、病院もそうなんでございますが、そのすそ切りを少し下げたいという点がございます。もう一つは、これはたとえばいまの排水規制に必ずしもなじまないといいますか適用されてない畜産排水、畜舎あるいは養殖施設でございます。これについて一定の構造なり管理の基準をつくりまして、それを守ってもらう、こういう制度でございます。それから、必要な湖沼については総量規制を導入することができるようにしたい。この四項目が規制の強化面でございます。  事業の推進面でございますが、これは下水道の整備とかあるいは屎尿処理施設の推進とか、あるいはしゅんせつ事業とか、いろいろございますが、これは建設省その他の所管でございますけれども、これもできる限り傾斜配分していただくということで、それを一つの知事の立てる計画の中に組み込みまして、そこで総合的に進めていく、こういうのが基本的な考え方、これは中公審の答申がそういうことだと思いますが、そのとおりの原案で案をつくりまして、各省と折衝したわけでございます。  一つ、いまお尋ねの湖辺の自然環境保全対策でございますが、これにつきましては、都市計画その他のゾーニングの問題、調整の問題がございまして、独自の湖辺の自然環境保全対策といいますか、これはやはり問題であろうかということで、既存の制度等を活用していただくというふうにするということと、それから、それに伴いまして、当初湖沼環境保全ということで打ち出したわけでございますが、環境というと非常に広いわけでございますが、やはり水質が一番大事でございますから、水質保全ということで、名前もそういうことでございますが、全体の考え方もそういうふうに統一したということでございます。この水質保全に統一するということ、それから、湖辺の自然環境対策というものを独自のもののゾーニングといいますかこれをやらないという二点が、実は建設省との関係の大きな問題でございまして、これはそういうふうに整理しようではないかということで了解はついておるわけでございます。河川法の関係はそういうことでございます。  それから……(野口委員「現行法との整合性は」と呼ぶ)現行法は、水質汚濁防止法の排出規制一本の規制でございますが、それでは不十分だということで、いま申し上げましたような四つの項目についての規制の強化、それから同時に、いろんな事業を進めていく、これを知事の立てる計画の中に取り込みまして、これを全体として進めていくというところが水質汚濁防止法との違いといいますか、それにプラスされる湖沼対策の内容ということでございます。  そこで、財政措置の問題でございますが、これはなかなかいまの財政事情のもとで、たとえば補助率を引き上げるとかいうことはきわめて困難な問題でございます。私どもとしましては、これは毎年毎年の予算の際の折衝事項だと思いますけれども、ただ、いろいろな事業の推進面が一番大事   下水道その他でございますが、いま建設省もおられますけれども、私どもは全体の予算の枠というのはよくわかっておりますが、その中でできる限りこの湖沼、特に政令で指定しましてそれについての措置を講ずるということにしておるわけでございますが、そういう指定された湖沼についてできる限り予算の枠の範囲で傾斜配分をぜひお願いしたい、かように考えておるわけでございます。  総括的にお答えいたしましたので、あるいは落ちているところがあるかと思いますが、そういうことでございます。  ただ、さらに、これは大臣からお答えがあったわけでございますが、経緯を申し上げますと、建設省との関係はそういうことで調整をし、また、畜産排水、養殖施設ということになりますと農林省でございます、これも調整がつき、それから関係各省ほかにいろいろございますけれども、通産省を除きまして調整がついた、こういうことでございます。  通産省関係は、いま大臣もお答えいたしましたが、許可制につきましてどういう規模のものについて許可制をしくかということでございますが、私どもは、瀬戸内海の法律では五十トンということになっておりまして、それと整合性の保たれる範囲であるべきであるということでございますが、通産省の方では、大臣がお答えしましたように非常に高いレベルのことを言っておりますので、とてもこれでは水質保全という観点からはのめないということで、ずっと難航している、こういう状況でございます。
  109. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  河川法におきましても、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持されるようにというのが第一条の目的に書いてございまして、水質の保全につきましては環境庁と同じ考え方を持っております。したがいまして、湖沼法の協議におきましても、基本的な考え方は河川局とは変わっておりませんで、十分協議をした結果、環境庁の現在考えておられます案に収束したということでございまして、先ほど環境庁長官がお答えになったとおりでございます。
  110. 野口幸一

    ○野口委員 それに関連して、河川の環境整備を図るために河川法の改正をやりたいという気持ちがおありのようですが、その河川法の改正をしようとする趣旨、その内容を若干お聞かせいただけませんか。
  111. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  最近、河川の周辺環境というのが、非常に都市化が著しいとかあるいは土地の利用が高度化されてきたというようなこともありまして、河川に対する環境の保全という要望が非常に高まっております。したがいまして、われわれとしては、従来にも増して治水、利水と調和のとれた良好な河川環境を確保するということが非常に重要な責務となってきているわけでございます。したがいまして、建設省では、去る三月、河川審議会に河川環境管理のあり方について諮問申し上げました。現在審議をいただいているわけでございますが、この審議の御結論をいただきました上で、制度改正の検討を含めまして、河川環境管理のあり方について今後取り組んでまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  112. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると、仮にその河川法の改正案というのは次の通常国会ぐらいになるわけですか。いまの国会はもう会期がございませんが、提出の予定時期はいつごろだということですか。
  113. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 河川審議会の方には、ことしの秋ごろまでに御答申をいただきたい、このようにお願いを申し上げているわけでございますが、答申が制度の問題についてどのような形でお答えいただけるのか、そこがはっきりいたしておりませんので、この段階で河川法を改正するということは申し上げかねますが、答申が出ましてからその答申を踏まえて対応したい、このように考えておるわけでございます。
  114. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、先ほどの湖沼の環境保全法といいますか、仮称のこの法律に関連いたしまして、対策に関する財源措置がはっきりしないという問題を申し上げましたが、これは局長からそれなりの御答弁をいただきましたが、下水道なんか、特に静止水域に関係する地域における下水道の布設に関する補助率の引き上げというような、一定の地域を限度としたこれらに対する対応策の中におけるところの国の援助といいますか、財政措置といいますか、そういうようなものは特にお考えになっていらっしゃいませんか。その辺はこの法律に関連して建設省でいかがなお考えを持っておられますか。その辺を少し突っ込んでお聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
  115. 幸前成隆

    ○幸前説明員 お答えいたします。  琵琶湖総合開発特別措置法の延長の問題につきましては、まだ御協議を受けておりませんが、私ども、下水道の補助率につきましては、これまで過去、補助率の引き上げに努めてきたところでございまして、下水道の補助率は、現在におきましては公共下水道が三分の二、流域下水道四分の三、処理場の場合でございます。他の公共事業に比べましてそう遜色のない補助率であると考えておるわけでございます。今後検討してまいりたいとは思いますが、現在の財政事情のもとでは、私ども、この補助率を他の事業に比べまして劣ることのない補助率であると考えておるところでございます。
  116. 野口幸一

    ○野口委員 それではもう一度、繰り返すようですが、つまり、こういった湖沼法等の法律ができても、具体的にはそれに対する特定の手だてといいますか、たとえば、いま申し上げましたように、下水道の建設等について促進をしていこうというためにその補助率を少しでも上げてやろう、いわゆる法の趣旨にのっとった対策というものは、建設省ではそういう面の措置というものはございませんか。あるいはそれを検討しようとされておりますか。いかがですか。
  117. 幸前成隆

    ○幸前説明員 お答えいたします。  下水道整備に当たりまして、湖沼の保全に関しまして私ども非常に重要な問題であると考えてございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在、第五次の下水道整備五カ年計画を五十六年度からスタートさせておるところでございます。この中で、湖沼保全関係につきまして重点的な配分を図ってまいりたいとは考えでございますが、補助率につきましては現在のが適正なところであろうかと考えでございます。
  118. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると、補助率以外の措置については、たとえば促進の問題について枠をもっと広げてそれに割り当てていくとかいうようなことについては考えていこう、こういう考え方ですか。
  119. 幸前成隆

    ○幸前説明員 配分に当たりまして、重点的な配分を考えてまいりたいということでございます。
  120. 野口幸一

    ○野口委員 わかりました。  もう時間がございませんので、まとめた話を申し上げますが、最後に国土庁にもう一度お伺いをいたします。  琵琶湖総合開発が実施されまして十年という年月がたちました。また、来年の三月、恐らく九十六国会ぐらいになるわけですか、明年の通常国会で延長に関係をして審議が行われまするが、これに関係いたしまして私が非常に心配をいたしまするのは、いわゆる今日の財政事情だということで、財政事情という影響下にあって総合開発がどのような形で延長されるのか、県民はきわめて注視をいたしておるところでございます。つまり、今日手をつけられている事業が中止になってしまうんじゃないか、あるいはまた中途半端で終わられるんじゃないだろうかという心配もさることながら、いままでやられた事業というのは、私どもから見まして、治水、利水というのが主点であった、水質保全という点には余り大きなものをいただいていないのではないか、こういう見方をしているわけであります。そうしますと、延長をどのような形で現在国土庁あたりが受けとめられておりますか知りませんが、そのあり方によっては、私どもとしては、琵琶湖全体の問題を将来に対して非常に危惧しておる、あらゆる面で心配をしているというのが実情であります。  したがいまして、最後にお答えをいただきたいのは、いま滋賀県から、総合的にどういう点について視点を持ってこの延長問題について、先ほどもちょっとお答えございましたが、要求があり、国土庁は現在のところではどのような考え方でこれに対応しようとしているのかということを、総合的にきちっとある程度――まだ法案が出てない前でありますからお答えにくいかもわかりませんけれども、少なくとも今日の時点で非常に危惧をいたしておりますので、できる限り詳細にその辺の企画内容をお聞かせをいただきまして、私の質問を終わりたいと思いますが、国土庁よろしくお願いします。
  121. 平野侃三

    ○平野説明員 滋賀県からは、琵琶湖総合開発の改定に関しまして、現在琵琶湖総合開発計画に盛られております残事業の完成を基本の原則といたしまして、その間にいろいろな社会情勢の変化等がございますので、その辺を含めて検討した結果として要望が出てまいっておるわけでございます。もちろんその中に自然環境の保全と水質の回復を図るための事業というものも最重点に挙げられているわけでございまして、国土庁といたしましても、それらの事業を含めまして現在関係省庁と協議を進めているところでございます。もちろん先生指摘のようにきわめて厳しい財政事情の中でございます。しかし、水資源開発あるいは治水事業等を含めましたこの総合開発事業の完成は、中途段階で放棄するという内容のものでございませんので、財政事情等も踏まえつつやるわけでございますけれども、残事業の完成ということに関しましては当然の内容であろうというふうに理解いたしております。
  122. 野口幸一

    ○野口委員 以上で質問を終わります。
  123. 山崎平八郎

    山崎委員長 次回は、来る十五日金曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十六分散会