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1981-04-07 第94回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月七日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 中村正三郎君 理事 吹田  愰君    理事 水野  清君 理事 野口 幸一君    理事 馬場  昇君 理事 岡本 富夫君    理事 中井  洽君       大野  明君    玉生 孝久君       橋本龍太郎君    新盛 辰雄君       森中 守義君    山本 政弘君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君  出席政府委員         環境政務次官  福島 茂夫君         環境庁長官官房         長       北村 和男君         環境庁長官官房         会計課長    廣瀬  優君         環境庁企画調整         局長      藤森 昭一君         環境庁自然保護         局長      正田 泰央君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君  委員外出席者         水産庁海洋漁業         部遠洋課長   岩崎 壽男君         水産庁研究部漁         場保全課長   川崎 君男君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       米村 紀幸君         運輸省港湾局計         画課長     藤野 慎吾君         参  考  人         (石油公団理         事)      佐藤淳一郎君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     新盛 辰雄君 同日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     岩垂寿喜男君     ――――――――――――― 三月二十八日  合成洗剤による環境汚染問題等の追求及び情報  提供に関する請願(河野洋平君紹介)(第二三  八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま運輸委員会において審査中の広域臨海環境整備センター法案について、運輸委員会連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会を開きます場合の開会日時等につきましては、運輸委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ――――◇―――――
  4. 山崎平八郎

    山崎委員長 公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
  5. 野口幸一

    野口委員 きょうは、私、鯨岡環境庁長官にぜひともお聞きをしたいというよりも、むしろ御決意と申しますか政治家鯨岡先生としての御所見を十二分に承りたい、こういう考え方をまず冒頭に申し上げまして、以下若干質問を申し上げたいと存じます。  近い将来といいますか、また遠い未来の人間と自然の関係はどのようになっていくだろうということは、私たちにとって避けることのできない問題だろうと思います。しかし、その問題はきわめて多岐にわたり、かつ非常にむずかしいし、また、見通しは持てても確実なる予測は立てられないという現状だと思います。それだけに、長官としても高い識見と経験豊富な政治家としての立場を十分にお考えになりまして、政党政派とかイデオロギーを抜きにして、人間自然環境、そういうものの共存について、ひとつどうあるべきかという卓見を伺いたいと思っておるところであります。  過日、この委員会におきましても、同僚議員並びに諸先生方からの質問の中にありまして、長官の御姿勢を拝見させていただきましたが、いまの長官のお立場があるのでありましょうけれども、どうもまだ本当の長官自身としての考えが表に出ていないのではないだろうかという気がしてなりません。たとえば、環境アセスメントの問題にいたしましても、湖沼水質保全課題にいたしましても、この際、思い切った立場を披瀝されて、環境行政の重要さというものを天下に示すべきである、こういう時期だと思うのであります。ややもすれば、環境庁という役所が、その他の省庁の陰に隠れてしまいまして、本来ならば環境庁というのはすべての省庁の上に立って、人間社会というものの構成をしていく際に一番重要な問題であるという立場からの指導的行政というのがなければならぬと思うのでありますけれども、実は残念ながらそのような状況にないようにうかがえてなりません。  日本のような狭い国土の中に一億数千万という人間が住んでおりまして、自然破壊の激しい現象がいま持続されているわけであります。この時点で、一体どうしてこれを防止することができるのか。あるいはまた、いま残っている原始的な自然を全部保存しても、決してこれもまた十分ではないと思うのでありますけれどもあと三十年ないし四十年たてば世界の人口が倍になる。もちろんわが国もその例外ではないと思いますが、そういう時代に入っていくのでありますから、これは八〇年代というよりも、むしろ二十一世紀に対応してといいますか、長官がたびたび口にされます地球的規模環境問題といいますか、そういうことで御発言になっておりますけれども人間のいわゆる対自然の関係重要性について、大臣の総括的な御意見をひとつこの際伺いたいと思うのであります。
  6. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 野口先生の御質問は余り大きい質問で、短い時間に申し上げることはとてもできませんし、また系統立ててお答えをすることも大変むずかしいのですが、私が考えておりますことを、断片的になりますけれども余り時間をとらないでお答えをしたいと思います。  私は、自然を征服するというような考え方は間違えていると思う。しかし、今日までわれわれはそういう間違えた考え方をとってきた。たとえば山に登った場合に、山を征服した、こう言いますが、あんなもの征服できるものじゃない。われわれは山に教えられているわけなんです。だから、自然に生かされているわけなんです。その自然を人間のあさはかな知恵で壊してしまうというようなことがあれば、その反動は必ずわれわれ人間に返ってくる、こういうふうに考えて、この自然というものはわれわれが先祖から受け継いだものですから、あとう限りこれを自然のままにわれわれの子孫に譲っていきたい、自然からわれわれは生かされているのだという考えに立たなければいけない、こう思っている。これは私は環境庁長官になったから言っているのではないので、私も山歩きが好きでございましたから、つくづくそんな感じがするのです。  それから、いま野口先生お話の中にもありましたが、いま五%ちょっと強くらいの経済成長をしませんと失業者がふえますから、そうなったら大変ですから、どうしても五%強くらいの経済成長をしていかなければならぬ。それは政府もそういう方針を立ててやっていることは御承知のとおりでありますが、考えてみると、五%ちょっと強経済成長をずっと続けていきますと、西暦二〇〇〇年になる前に日本経済は倍になりますから、この三十七万平方キロという必ずしも大きくない国土の中、しかも二割くらいしか可住面積のないというこの中で、これだけの経済を、いま先生言われたように一億一千六百万人の人がひしめき合ってやっているわけですから、これがこの倍の経済になったときに、質の変化があれば別です、ただ量だけでふえていったという従来のような考えでやっていたとすれば、そのときの環境というものはどうなるだろうかという心配が私はなされて仕方がない。  そこで、経済という活動、これは重要です。経済はますます発展していかなければならない。これはだれだって否定する者はない。しかし、経済というものはしょせんは手段であって、目的人間の幸せな生活ということにあるのですから、早い話が、お金はいっぱいたまりましたけれども病気になりましたとか死んじゃいましたというのでは、何のための経済なのか全然わけがわからなくなる。そこでわれわれは、その心配をして環境行政を厳重にやっていきたい、こう思っているのです。  それから第三番目ですが、私どもは、一生懸命国民の幸せを願いながら、何か大きな間違いを犯してしまったのではないかなという感じがしてならない。これは私自身のことでございますが、大きな反省をしているわけなんです。どういう間違いをしたかと言えば、やはり経済が大きくならなければ、もっとも終戦直後なんか特に貧乏でしたから、食べ物にしても着物にしても満足なものがなかったですから、それさえあれば幸せになるかと思って一生懸命になってやってまいりました。そのために経済がうんと動きました。消費なんかは王様だ、使い捨てだ。そうすれば工場がどんどん動くし、所得もふえるし、それこそ幸せだと思ってやってまいりましたら、とんでもないことになってしまいまして、精神的にも失われたものがたくさんあって、いままでのやり方ではだめなんだ、幸せというのはそんなものじゃないんだということがわかりました。そういう方針でやってきた私自身としては、間違ったことをしてしまったんじゃないかな、取り返しのつかないことをしてしまったんじゃないかなという感じがしてならないわけでありますので、もしそれが間違えていたとすればその軌道修正をしなければならぬ、こんなことを考えて、環境行政をお預かりして、皆様の御協力をいただいてやっているわけなんですが、考えてみると、一番悪い時期ではないか。油の問題にしても、エネルギーの問題にしても、もうとにかく大変でございますから。いつも言うように、私はブレーキですから、アクセルを一生懸命踏んでいかなければならぬときにブレーキなんか邪魔者だ、ブレーキなんか要らない、しばらくの間ブレーキこわれちゃえという考えたって、私はないわけではないと思う。経済に重点を置いて考えると、どうしてもそういう考えになりがちなんでしょうけれども、それは間違えていますと言ってもなかなかこの声が届かない。私が微力で申しわけない。もっと何か有能な環境庁長官ならやるすべがあるのかもしれませんが、私としては一生懸命やっているのですが、このアクセルを踏まなければならないときによけいなブレーキなんか要らないというその考えたって、私はわからないわけではありませんが、そういうことで、バイオリズムで言うといま一番下がったときで、とても大変だという考えがしているわけです。  最後に一言加えておきたいことは、いま野口先生からもお話がありましたが、だれが勘定してみましても、西暦二〇〇〇年のときには六十三億五千万人と言う。それ以下の人はいないのですね。そんな先のことわかるかと言う人がいるでしょうけれども、私は正確なことはわかりません、しかしその道の学者のだれが勘定してみても、そしてどこの学者が勘定してみても六十三億ぐらいにはなる。いま四十二億ですから、ざっと二十億はふえるわけです。それから、その先のことはもっとわからないのですが、西暦二〇三〇年から五〇年の間には百億になるというのですね。そうなりますと、大気の問題、水の問題、炭酸ガスがふえてくるというような問題、それから食べ物をどうするかという問題、南北問題はますます激しくなってくるだろう。これは大変な心配ですよ。  ですから、環境庁は、先生方の御協力をいただいて西暦二〇〇〇年の地球ということで心配をしなければならぬ。これは単に日本民族だけというのではなしに、世界の人類の問題だというようにとらえて、先進諸国の行動とともに――むしろ政治的には早い方でしょうね。いま、私のところの次官金子君はフランスへ行っておりまして、一両日中に帰ってまいりますが、OECDもこれを取り上げてそのための会議をして、特に日本からこの問題の懇談会の座長を務めた大来さんに来て説明をしてもらいたいなんというようなことでしたが、不幸にして大来先生はかぜを引いて行かれなくなってしまいましたが、原稿ができておりましたので、それを持っていって金子次官が代読したというようなこともありました。環境庁はおかげさまで十年になります。先生方の今日までの御協力に感謝いたしますが、この十年を記念して行事をしようと思います。その際には、すでに御承知のアメリカがつくりました「二〇〇〇年の地球」というあのレポートを作成した人に来てもらいまして、その人に記念講演を東京や大阪でしてもらい、あるいはラジオなんかに出ていただいて、日本学者と対談をして、国民皆様にこの心配を真剣に聞いてもらおうなんというようなことを考えているわけですが、どうも微力で申しわけないですけれども環境庁という役所は、大仰に言えば政治哲学に立脚する役所ですから、当面の行政ということから見ると邪魔つけな存在だなと思われる傾向もありますが、これこそが大事なことで、これを忘れてやっていたらば何回でも同じ過ちを繰り返す。われわれがこれを言うのは、一つには、あの悲惨な公害によって命をなくした人を忘れてないからです。それから、それによって体を悪くして、あと何年の寿命が、とにかく生きている間じゅう苦しまなければならない患者のいることを忘れていないから、私どもは再びそういう過ちを繰り返してはならない、こう思いまして一生懸命やっているわけです。  どうもお答えにはなりませんでしたけれども考えの一端を述べて御理解をいただきたいと思います。
  7. 野口幸一

    野口委員 私の方も質問の仕方が非常に総括的な言い方をしましたので、お答えにくかったのだろうと思いますが、長官がお考えになっておられる趣旨というものは、うかがい知ることがほぼできました。  ただ、残念なことには、これは日本政治全体がそうなんでありますけれども大臣が大体一年で交代をされる。特に環境庁なんかもそうでありますけれども、その行政の中枢の大臣が一年ぽっきりで次から次とかわっていく。このこと自体も、政治というものを本当に考える場合には決していいとは言えないと思うのであります。過日、私はオーストラリアへ参りました。オーストラリア大臣はすでに三年、四年と続けてやっていられて、昨年の予算を取るときにはこういうことだった、ことしはこの予算をこういうぐあいにしたい、一昨年はこうだった、そういったいわゆる歴年の経過の話を聞かされまして、恐らく日本大臣だったらそんな話はできないだろうなと思いましたが、事ほどさように日本政治というものがそういったしり切れトンボ型になっておりまして、鯨岡長官のように優秀な識見をお持ちの環境庁長官がずっと続けばいいのでありますけれども、なかなかそうもまいらない情勢だろうと思うのであります。しかし、少なくとも、長官が長い政治生活の中で、しかも一番大切だと言われているこの環境という立場に立っての長官をなさるわけでありますから、多少の問題点もあろうかと思いますが、この際思い切って所信を貫かれまして、そして後世に残る鯨岡環境行政というものをぜひともお出しになってやめていっていただきたい。やめる話を先にやるとぐあいが悪いですが、まあそうだろうと思いますから、ぜひともそういうことをしていってもらいたい。少なくともこの国会中にはいわゆる環境アセスメントを提案をし、湖沼水質保全法案も提出をして、そしてみずからがやはりその範を示していってもらいたいということを特にお願いをするわけでありますが、聞くところによりますと、これもまだまだ難航をいたしておるようであります。ぜひとも、せっかくの御努力お願いをしたい。この際につけ加えて申し上げておきたいと存じます。  そこで、お尋ねをいたしますが、これは言葉の解釈の問題でございますが、環境庁は盛んに「保全」という言葉をお使いになります。そこで、私どもは物を解釈する場合に、自然破壊保存かという言葉があるわけでありますけれども、その「保全」という言葉は、どうも自然破壊もしくは保存という立場から考えますと、真ん中にあるような気がしてならない。「保全」とは一体何なのか、その意味は環境庁としてはどういう理解でお使いになっていらっしゃるのか。あらゆる法案などにずいぶん「保全」という言葉が出てくるのでありますが、「保全」とは一体何か、この際ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 正田泰央

    正田政府委員 「保全」につきましては、確かにおっしゃるとおり保護保全保存の三つの概念ではおおむね真ん中あたりに位置するというふうにわれわれ行政世界では使っておりますし、あるいは学問の世界でもそういう見解が多いようでございます。  ちなみに整理いたしますると、保全というのは、簡単に言いますると、自然資源を利用しながらも目的といたしましては生態系を維持するという考え方、それから一歩手前の保護につきましては、自然を人為等の外圧や危険から守るという考え方、それから保存の方は自然の推移に任せることでありますが、そのままの状態で保持するために必要な場合には人為の介入を行うこともあるというのが、大体行政及び学説の通説ではないか、こう思っております。  したがいまして、現在、環境庁といえば、御指摘のように、自然保護に限らず環境保全環境保護あるいは環境保存、こういったような概念をいろいろ使っております。おりますが、おおむね産業開発との調整それから自然生態系の維持、そういうものとの関係において使っている概念がこの保全ということだろうと思っております。
  9. 野口幸一

    野口委員 私は、保全とは、自然の正常なる弾力的平衡の範囲内におきまして、最大の利益が得られるようコントロールすることである。技術的には、自然体系をできるだけ壊さないように保存をし、必要によっては壊れた構造の回復人為的に助けることによっていわゆる物の収穫量を制限することも含めている、こういう立場保全だと理解をいたしておりますが、その点についてはいかがでございますか。
  10. 正田泰央

    正田政府委員 自然というものを一つの物と考え、それから、労働及び生産という体系からながめた場合には、確かに先生のような概念規定が当てはまると思いますし、それで正しかろうと思っております。  私ども行政では、主として自然を人為的にコントロールすることを含んだ概念とまず考えておりまして、とにかく、生態系人間にとって最もいい状態に置くということ、それから自然を人為的にコントロールする、この二つの柱をもとにいたしまして、あるがままの自然の状態保存するというばかりでなく、あわせて回復あるいは先ほど先生がおっしゃった捕獲、収奪等の制限、こういうようなことを含んだもろもろのこと、こういうふうに考えておりますが、ほぼ似たようなことだと思っております。
  11. 野口幸一

    野口委員 そこで、そういったことを一つの底辺に置きまして、これから若干いろいろな問題を御提起申し上げ、質問をいたしたいと思います。  一つは、最近というよりも日本の場合はたん白質の不足を海産物で補っておりまして、世界的にもそのような傾向にあるわけでありますけれども、特に日本の場合はこの海の資源保全が重要な課題である、こういうことがたびたび言われておるのであります。これは概念的にちょっとお聞きをいたしますが、最近の漁獲量推移、それから国民一人当たりたん白摂取量、あるいは魚類による摂取率は一体どのくらいなのか、それから沿岸漁業海水汚濁等によって実害のあった状況はどうなのか、それから埋め立て等によって天然海岸破壊せしめたことによる漁業への影響はどのようなものになってきているのか、その他漁業振興に著しく影響したいわゆる環境的な問題点としては一体どういうものがあるか、ちょっと羅列いたしましたが、これらの点について少しくお答えをいただきたい。
  12. 岩崎壽男

    岩崎説明員 先生お尋ねの第一点と第二点をまずお答えいたしたいと思います。  わが国漁業生産量でございますけれども、これは従来非常に伸びてきたわけでございますが、五十年代に入りましていろいろ二百海里体制の国際的な定着化というような事態も起きまして、現在ほぼ横ばいでございまして、五十四年の漁獲量速報でございますが一千五十八万七千トンでございます。先生指摘のように、水産物国民の食生活、特に動物性たん白質食品供給に重要な役割りを持っておるわけでございます。これは五十四年の速報でございますが、国民一人一日当たりたん白摂取量は三十九グラムということになっておりますが、そのうち十七・七グラム、比率にいたしますと四五%が水産物による供給でございまして、これも五十一年にちょうど五〇%であったわけでございますが、現在四五%の水準であるということでございます。
  13. 川崎君男

    川崎説明員 御質問の後半三点についてお答えいたします。     〔委員長退席中村正三郎委員長代理者席〕  漁場保全立場から見て漁業公害等と言われるものを例示いたしますと、油濁とか有害物の排出、あるいは単なる排水、あるいは廃棄物の投棄、あるいは電源開発とか埋め立てダム等規模開発による影響、これはいきなり公害ではございませんが、二次的なものとして赤潮とか有毒プランクトンとか、そういうもので漁業被害を受けているということがございます。  水産庁におきましては、このうち突発的漁業被害につきまして毎年調査をしておりまして、これは都道府県から報告を受けておるわけでございますが、その数字を申し上げますと、五十二年度が百七十二件、被害金額七十一億円、五十三年度が二百十件、八十二億円、五十四年度が百七十件、二十五億円となっておりまして、五十三年度までは増加傾向を示していたわけでございますが、五十四年度は大規模な油濁事故もなかったということもございまして被害の総額が大幅に減少しております。こういう状況になっておりますが、この漁業被害の中身の大部分は油濁とか赤潮によるものでございます。  それから、御指摘埋め立て等による天然海岸破壊でございますが、埋め立て等が行われる浅海域沿岸漁業の重要な漁場でございまして、魚介類の産卵、成育あるいは海水自然浄化の面からも非常に重要な役割りを果たしていることは周知のことでございます。こうした天然海岸破壊されると漁業影響があるということは、また皆様承知のとおりでございます。しかし、このような影響を、先生質問のとおり量的に把握するということは、水産資源がいろいろな要素によって成り立っているということもございましてなかなか困難なことでございます。水産庁といたしましては、五十五年度から浅海域海岸海底形状変化に伴う影響調査という事業を組みまして、これらの影響程度等を解明することにしているわけでございます。
  14. 野口幸一

    野口委員 いまお答えをいただきましたように、わが国動物性たん白質摂取量が、最近魚によるものが若干減ってきておるという傾向はあるにしても、少なくとも四五%という数字を必要としているわけであります。それに対応してといいますか、そういう漁業振興のために努力をしなければならない立場にある政府の諸行政の中にあって、実は環境庁が、いわばどこに聞いてもいまのところわからないのでありますけれども環境破壊あるいはまた環境変化によりまして、いま申し上げましたいろいろな点、公害だとか、あるいは油害といいますか、オイルボールの問題だとかいろいろなものすべてを含めまして、その被害状況、いわばどのくらいの被害漁業全体にあるのかということをつかんでいらっしゃらない。そういう被害があるんだあるんだと言って、部分的にはあるんだけれども行政官庁として、特に環境庁としての把握がなされていない。部分的にはちょこちょこ言われるのでありますけれども、全体の把握ができていないという点に問題があろうかと思います。その点は、長官、どうお考えでございますか。     〔中村正三郎委員長代理退席、委員長着席〕
  15. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 先生、これは本局長お答えをすればいいのですが、きょうまだ来ておりませんので、私からお答えをいたします。  水質の問題とか、いろいろそれぞれのことで法律もできておりますし、御心配もいただいておりますので、水産庁の方とはそれについていろいろやっておりますが、おっしゃられるように、それら総合して、その汚れている状態とかそういういろいろなもろもろの障害が、たん白資源が減っていることにどう影響しているかということをこさいに水産庁の方と検討しているということはないのです。これは私の方よりは水産庁の方が勉強はしておられるんじゃないかなと思いますが、おっしゃられるように、私の方と綿密な連絡をとらなければならぬことは言うまでもないことなんで、自今いまの御指摘をもととして研究をしてみたい、こう思っております。
  16. 野口幸一

    野口委員 特にこの生産性の高い沿岸漁業に与える影響というものは、海水の汚染防止の緊急性を要するということで言われて、いろいろやっておられることはわかっておるのでありますけれども、これを一歩進めて、フィロソフィーと申しますか、国土保全計画のマスタープランというものが環境庁にはないと言っても差し支えないのじゃないか。総合性がない。したがって、部分部分における対応はやっておられるのだけれども、総合的な立場における環境庁立場というものをきちっと出しておられるのは、いま法律としては自然環境保全法というのが昭和四十七年にできただけではないかと思うのでありますが、いかがなものでしょうか。こういうものをお持ちでしょうか。
  17. 正田泰央

    正田政府委員 お答えします。  基本的な立脚点は、御指摘のように、自然環境保全法が国土を相手にする問題では一つございます。それに伴いまして、自然環境保全法に基づくところの自然環境保全基本方針というものを策定いたしておりますが、これは、名前はおっしゃるとおり、自然環境保全の基本計画というものではございませんが、基本方針という中に計画と同等の中身を持ったものが数年前にできておりまして、もちろんその後の社会的、経済的条件の変化から見まして、達成その他の点で若干問題がございますが、一応それにのっとってやっておるというのが現状でございます。
  18. 野口幸一

    野口委員 そこで、少し視点を変えて申し上げます。  さて私は、こうした背景にありまして、人間と自然との共存体制の維持について、行政府の理解を求めなければならぬという意味から、長官の御意見も承ってまいったわけであります。  さらにきょうは、これに関連するものといたしまして、動植物の育成保護、特にきょうは動物の育成保護といいましょうか、わが国における自然生態を保っている動物、法律でいいますと鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に関連をいたしまして、若干の質問を行いたいと思います。  そこで、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の第一条の解釈でありまするが、保護目的ではなくて、「農林水産業ノ振興ニ資スルコトヲ目的トス」と書いてありますが、この法の発想の次元は一体どこにあったのでしょうか。この辺のところを少しく御紹介いただけませんでしょうか。
  19. 正田泰央

    正田政府委員 この鳥獣保護法の第一条の制定経緯については、先生もよく御案内と承っておりますが、従来、昭和三十八年以前では、確かに狩猟の適正化というものが主眼でありまして、それを目的とした法律であったわけでございます。その後、鳥獣の生息環境の悪化、そういったような条件に伴いまして、鳥獣保護の必要性ということを強調いたしたものが、昭和三十八年のこの法律の改正でございます。そのときに、この第一条が新たに「目的」として追加された次第でございまして、この「目的」の中をごらんになっていただくとわかりますように、確かに、生活環境の改善と農林水産業の振興という目的に資するための手段という形になっておりますが、従来の狩猟の適正化ということは全然別個な、鳥獣の保護と繁殖、さらに有害鳥獣の駆除、危険の予防、こういったようなものを掲げ、特に鳥獣の保護繁殖を図ることに重点を置いた立法政策を実現したもの、こういうふうに理解している次第でございます。
  20. 野口幸一

    野口委員 当事者としてはなかなか言いにくいと思いますが、私どもこの法律を見ますと、一番大切な重要なことであります目的等の表現が、大体どこの法律でも一条に書いてあるのです。一条が一の一、一の二、一の三、一の四というように、その目的がどんどん追加されていって法律が変わっているというのはそんなにたくさんないと思うのでありますが、少なくとも鳥獣を保護しよう、いわゆる環境庁としての立場からの法律というのではなくて、従来やった狩猟関係の法律に、こういう時期になってきたのでいささか保護というものをつけ加えていった、後追いになってきたという形でこの法律そのものができているような感じがしてなりません。少なくとも環境庁が、先ほどから申し上げていますように、主体性を持ってやっていくとするならば、保護に重点を置いた法律というものが先になければならないと思うのであります。この辺の関係はひとつお考え直しをいただかなければならぬのじゃないか、そういう時期が来ているのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  21. 正田泰央

    正田政府委員 立法の経緯は先ほど申し上げたとおりでございまして、先生指摘のような御意見も確かにあったように聞いております。現行制度は、法律の目的、さらに法律の各条文の構造からいって、必ずしも保護を最終目的にしたものではないという点が言えるかとも思いますが、これはあながち鳥獣保護のみならず、環境庁発足当初の時期において各般の法律を吸収いたしたわけでございます。あるいは手当てしたわけでございますが、立法の過程においては、既定の法律の改善を図っていくという観点でできた法律の一本でございまして、その点では確かに新しい観点から全部つくり直したものではございませんが、そのときにおいて、過去の経緯を十分尊重し、また、わが国における狩猟制度の実態及び歴史というものを念頭に置いて、可能な限り考えたのがこの法律の中身と、こういうふうに御理解いただければありがたいと思っております。
  22. 野口幸一

    野口委員 それでは、その中身に入りますが、「狩猟鳥獣」という言葉が出てまいりますが、この「狩猟鳥獣」というのはどういうものですか、その解釈。
  23. 正田泰央

    正田政府委員 お答え申します。  法律の視点だけから申し上げますると、この法律の第一条ノ四「狩猟鳥獣」に定義がございまして、「狩猟鳥獣ノ種類ハ環境庁長官之ヲ定ム」。狩猟鳥獣の概念そのものについては本法に定義がございませんが、法律の意味するところ及び法律の定めているところは、第一条ノ四の二項におきまして、環境庁長官が定めている狩猟鳥獣、環境庁告示において示しておりますところの三十種の鳥類、さらに十七種の獣類、これが狩猟鳥獣の定義、こういうふうに私ども理解しておるところでございます。
  24. 野口幸一

    野口委員 そういたしますと、その狩猟鳥獣の品目表を見せていただきますと、鯨、イルカ類は載っておりません。鯨岡長官に鯨の話をするのはおかしいですが、鯨もイルカも実は狩猟鳥獣には入っておりません。この鳥獣法によりますると、第一条ノ四「狩猟鳥獣以外ノ鳥獣ハ之ヲ捕獲スルコトヲ得ズ」、つまり日本においては鯨、イルカはとってはいけません、こういうことに法律上なっておりまするが、この解釈でよろしゅうございますか。
  25. 正田泰央

    正田政府委員 先ほど御説明申し上げましたとおり、狩猟鳥獣は環境庁長官が定めることに相なっております。  そこで、狩猟鳥獣を定める場合の考え方でございますが、法律の目的にございますように、第一に、農林水産業への益及び害、そういったようなものの有無、さらに、狩猟の目的物としての価値、それから当然なことながら一番肝心なところの生息状況、そういったような動物本来の姿あるいは社会的経済的条件を勘案して長官が決めておるわけでございます。  そこで、鯨等の話になるわけでございますが、ここで言いますところの鳥獣保護上の戦といいますのは、やや学問的な意味では、分類学上の問題でございまして、まず当然なことながら脊椎動物、そのうちの綱であります鳥綱、それから哺乳綱、両方の綱が入ってくるわけでございますが、その中のすべての鳥獣を指すものではございません。たとえばこの立法の目的に照らしまして、まず典型的なものの第一は、野生でないもの、すなわち牛、豚、鶏などの家畜。それから、カナリヤその他そういったような、ペット、いわば人為的な管理のもとに置かれて、人間とその動物の関係において社会的に管理されているもの。さらには、一時的に人間の管理を離れた、のら犬とかのらネコとかといったものもございますが、そういったものも対象にいたしておりません。それから、もっぱら農林水産業に害を与えるだけの獣類、たとえばネズミでございますとか、そういったものは入っておりません。それから、鯨、オットセイ、いわゆる海獣でございますが、本法の考え方からいたしまして、それらにつきましてはあくまで水産資源保護法の方のところで規制及び保護を図っていくあるいは生産を図っていく、こういうような立て方で、現在のところはそういうものが入っておらない次第でございます。
  26. 野口幸一

    野口委員 いま解釈の仕方をお聞きしたわけではなくて、法文上の問題をお聞きをしているわけでありますけれども、いまそういった脊椎動物云々ということだとか、それは単に海産動物、海産物と同じといいますか、水産動物ということで、魚類というようなものと一緒にあわせて水産庁の管轄だとかいろいろな話が出てまいりましたが、これは環境庁で勝手に考えているといいますか、どういうふうに解釈しておられるのですか。対外的にそういうものと解釈しているという文書が外に出ているのですか。
  27. 正田泰央

    正田政府委員 ただいま御説明申し上げた点につきましては、先ほど先生指摘の解釈というものに重点を置いて説明申し上げたわけでありますが、つまりこの法律の規制する範囲はあくまで鳥獣でございます。鳥獣の中で狩猟鳥獣がある、狩猟鳥獣以外は殺してはいかぬ、こういう立て方になっていることは御指摘のとおりであります。  そこで、その鳥獣とは何ぞや、こういうことでございますが、この法律が予定し考えた鳥獣というのは、先ほど申し上げたように、たとえばペットなんかは入りませんよ、あるいはネズミなんかも入らない、おのずから法律が国民に規制する鳥獣という範囲を制限いたしている、その制限の段階で先ほど申し上げたようなものが全部外れているわけでございますが、これは鳥獣保護法の改正のころ、そういうような有権解釈と申しますか、法制局を含めました行政の面からの有権解釈が確立いたしておりまするし、さらにまた、現在もそういうような運用をいたしているわけでございますが、最近ではワシントン条約ができた暁に水産庁が科学当局と申しますか、貿易に必要な動物についてのいろいろな学術的判断をする科学当局ということでございますが、そういった地位における水生動物、水産動物、そういったものは水産庁の所管ということになっておりまして、この鳥獣保護法が予定している鳥獣ではない、こういうふうに私どもの方では有権的に解釈をさせていただいている、こういう考え方でございます。
  28. 野口幸一

    野口委員 それは環境庁ではそう考えていらっしゃるかもしれないけれども、一般国民が法律を見た場合に、そういう解釈ですよと、つまり鳥獣保護法によるところの鳥獣とは一体何かということになってくればこれ以外にはないのじゃないですか。それに関連して、たとえばこうなんですよというものが外に向かって出ていますかということを聞いているのです。出ていればいいのですけれども、そういうものは全然出ていないのでしょう。出ていないとすると、これを解釈すれば、「狩猟鳥獣以外ノ鳥獣ハ之ヲ捕獲スルコトヲ得ズ」ということは生きているわけですから、一般的解釈としたら、鳥獣といったらけものでしょう。けものだったら、けものの中にオットセイも入れば鯨もイルカも入るじゃないですか。それはとってはいけないのだ。ただし、いわゆる狩猟鳥獣に指定するものはとってよろしいのだということになりますと、裏を返せばそれに書いてないものはとってはいかぬということになるのじゃないですか。だから、日本の法律では今日では鯨もイルカもとってはいけない、そういうことになるのじゃないですか。
  29. 正田泰央

    正田政府委員 法律の条文だけを見ますれば、確かに先生のおっしゃるとおり、そういったものは出てまいりません。しかし、鳥獣という概念を、どの法律でもそうでございますが、確定する際に、おのずからたとえばペットなんかは入らないという概念構成であります。それから、そういう有権解釈で、この法律の基礎になっておりますのはもう何十年もたっておりますから、これはかつてのいろいろな基本通達とかそういうところで水生動物は含むような運用も解釈もいたしておりませんので、現在においてもそれにそのままのっとっている、こういうことでございます。そのことは、先ほど申し上げたように国内法の鳥獣に入っていないということで、一例を挙げればワシントン条約の科学当局として水産庁がやっているような姿にもあらわれている、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  30. 野口幸一

    野口委員 ちょっとすっきりしませんがね。やはり環境庁局長さんがお答えになる立場から言うならば、少なくとも鳥獣保護、つまり保護立場から自然環境破壊しないで守っていこうという立場環境庁というものは存在するわけですから、そうしますと、狩猟鳥獣類というものはもっときちっと繊細に、いまおっしゃったペットの問題もいろいろあるでしょうけれども、明らかに環境庁として一つの通達なりあるいは行政府の指導というものが当然あってしかるべきだと思うのですが、はっきり言って何にもなされていないわけです。だから、私から言わせると、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律となっているけれども、これは保護目的とした法律じゃなくなってしまっているんじゃないかというような気がしてならぬので、先ほど来そんな話をしたわけです。  その解釈は、確かにそれよりいま常識的になっているようです。というのは、過般、昭和五十五年五月三十日に長崎地方裁判所佐世保支部におけるイルカの捕獲に関係する裁判の判決の中に、判事がこういうことを言っているのです。「イルカを捕獲処理する業務は正当な理由がない」という主張に対しての検事の方の反論でありますけれども、「しかし、イルカは古来から諸外国の間を自由に往来し、国際的視野に立って配慮が寄せられているとはいうものの、所詮は漁業の対象となる水産動物に外ならず、」こう書いてある。ということは、逆に言うと、この人の解釈によりますると、イルカなんかは魚と一緒だ、「水産動物に外ならず、」と言い切ってしまっているわけです。こういう解釈で日本がイルカの対応をしているということは、大きな間違いだと思うのです。イルカをとるとかとらないという議論をする前に、環境庁がいわゆる鳥獣保護という立場から考えて、イルカとか鯨というものをどう見ているかというところに問題点があるんじゃないか。それでやってみて、これは絶対とるなというんじゃなくて、人間と共存共栄をしなければならないし、害になるとするならばこれは捕獲もしなければならぬだろうし、いろいろなことをしなければならないだろうけれども、しかし、法律上からはとってはならないということになっているにもかかわらず、実際は捕獲もされているし殺しもしているわけですけれども、どうも法律そのものが整備されておらぬような感じがいたしまするが、こういう考えを持つのは私だけでしょうか。長官、いかがでしょう。
  31. 正田泰央

    正田政府委員 いまのお考えの趣旨は、あながち先生のみならず、そういうお考えをお持ちになる方はこの法律をごらんになる中ではいろいろ確かにございます。しかし、くどいようでございますが、たとえばおかの方では、国有林と一般の森林は自然公園法その他であわせて保護する。海の方の問題については、先ほど申し上げたような趣旨で、水産動物と申しますか、あるいはかつての通達で出しておりますが、水生動物については、おのずから権威のある、あるいは専門の実施機関も持ち、また組織も持ち、それから従来の、特に広い範囲で規制とか保護を図っております水産動物だけを別枠にしてある。たとえば簡単に申し上げますれば、私どもの方の考え方といたしましては、日本の国内、おか、そういったものについてたとえば法規制あるいは自然保護を図っていく。それから海の中の何百海里先の自然につきましては、これは日本環境の問題として即時的にとらまえることはしない。現在、水産資源保護法で保存も数量の規制も行われておりますから、ここでもって一〇〇%そういったものが図られる、こういう考え方で整理されておるわけでございます。いまのところはそういう考え方で行ってきている次第でございます。
  32. 野口幸一

    野口委員 だから、いまのところはいまのところはということで局長おっしゃっていますけれども環境庁としては、もっとでかいところから全体に、いわゆる動植物、仮に今回は動物としましたが、動物はどういう立場保護しなければならない、人間と共存共栄を図らなければならないかという立場の大きなものからいわゆる保護というものを頭に置きまして、そして、ただしということでこういうものはこういう形でとっていく、あるいはある種族の保存を図るとか、いろいろなものがそこに羅列をされていって整備をされないといけないのじゃないでしょうか。片っ方の方は勝手に解釈をして、これは魚と同等でございますから好きなようにとります。これは簡単に言うならば、私の方は管轄外だからこれは水産庁の方、鳥獣保護の法律とはいまのイルカと鯨は関係ないから向こうです。向こうの方は反対に、昔から鯨もイルカもそのように扱ってきているのだからそれでいいのだということで、何か考え方というものがそこに底流としてあるような気がするのです。だから、本当言うと、日本環境庁が鳥獣保護という立場に立って、もっと大きな立場からの大前提たる法律というものがぜひともなければならないと思うのですが、こういう考え方は間違っていますか、どうですか。
  33. 正田泰央

    正田政府委員 先生の御質問の御趣旨、必ずしも私十分理解できなかった面がございました。基本的には、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、西暦二〇〇〇年の地球の問題、環境全体の問題、さらに環境庁発足当初の基本的な理念、それからワシントン条約を推進いたしました環境庁立場その他から考えまして、こういったものに無関心とか無縁というふうに考えておりません。当然今後も、野生動物全般、さらには特に絶滅のおそれのある問題、そういった問題に関心を寄せ、あるいは政府部内でいろいろな諸討議を行うことは当然なことと思っております。  しかしながら、先ほど申し上げましたのは、現在の法律でこれがいいとか悪いとかいうような黒白つけて言うような問題になりますと、そこまでまだ構造ができてないということで申し上げましたので、ひとつ御理解願いたいと思います。
  34. 野口幸一

    野口委員 私も、いま現在局長等が関連をしていろいろ施策を実施しておられる、たとえばこの前質問いたしましたが、トキだとかいうような問題について積極的に種族保存をやろうといろいろな施策をやっておられることに対して敬意を表しておる立場の者でありますし、決して現在のやり方、現在の法律の状況から考えてやっておられることに対してけちをつけるつもりじゃないのですけれども、もう少し環境庁というのは、先ほどのお話じゃありませんけれども、高い次元に立って、全体的なものを保護する、あるいはまた全体的なものを指導、育成をしていくという立場に立ったものの上にないと、どうも弱いのではないかという気がしてならない。たとえば、私はたまたま今度イルカの話をしようと思って法律を調べてまいりましたら、これは実は法律から見たらイルカと鯨はとってはいけないとなっているじゃないか、単純に考えたら。確かに法律を見ればそうなっているんですよ。イルカと鯨はとってはいけないことになっているのです。そうでしょう。鳥獣というのは鳥とけものでしょう。けものの中に入りませんと言って、じゃ学校へ行って鯨は魚と教えているところがありますか。これはやはりけものでしょう、哺乳動物ですからね。そうしたら、当然これは鳥獣保護の法律の中に入りますよ。そうでしょう。私はそう思うのですよ。そうしたら、この法律には一条ノ四で、「狩猟鳥獣以外ノ鳥獣ハ之ヲ捕獲スルコトヲ得ズ」と書いてあったら、この法律からいったら鯨もイルカもとってはいかぬということになるのです。そこで、聞いてみたら、いわゆる解釈はこうでございますとか、今日まではこうだとかいろいろなことをおっしゃるから、それならそれでちゃんと環境庁はきちっとしたものをお持ちになっていただかないと困るじゃないか。ただし、イルカの場合はこうだ、鯨の場合はこうだということは、国際条約とかいう前に、日本環境庁としては鳥獣保護に関する問題としてはきちっとした識見をお持ちになっていただかないと困るじゃないか、こういう考え方に至ったわけであります。  そこで、少しくイルカの問題を詰めて聞かせていただきたいと思います。  現在、イルカの捕獲量というものは年次別、地域別、目的別、つまりここ十年程度でよろしゅうございますが、どのくらいつかんでいるか。また、地域別にはどこでどのくらいつかんでいるか。それから目的別と申しますのは、漁業によって混入されて、つまり沖繩などによって入ってきたやつをそのままつかんじゃったというようなもの、それから有害動物として駆除を目的として捕獲された数字、すべて、イルカの捕獲量についてお聞きをしたい。
  35. 岩崎壽男

    岩崎説明員 イルカの捕獲量、年によって違いがございますけれども、たとえば昭和五十年では一万六千頭ぐらい、五十三年では二万一千頭程度でございます。それで、地域別でございますけれども、多く捕獲されますのは、一つは岩手県が一万二千頭ぐらい、それから静岡県が八千頭ぐらいでございます。それからまた長崎県は、現地からの報告によりますと、五十三年は千四百頭ぐらいであったという報告を受けておるわけでございます。  それから、捕獲目的別ということでございますけれども、捕獲の目的につきましては、一つは長崎県に見られますように、イルカによる漁業被害防止のために捕獲せざるを得ないというような場合でありますとか、あるいは静岡県、和歌山県、岩手県で行いますような、食用のために捕獲をしているという漁業の一環として行われるというような場合とがあるわけでございます。その具体的な数字はわかりませんけれども、いま申し上げましたような、たとえば長崎県の千四百頭ぐらいの場合はそういった被害防止のための捕獲であると考えられますし、その他の県のものについては食用のための捕獲というように考えているわけでございます。
  36. 野口幸一

    野口委員 では、イルカの捕獲量というのは、水産庁ではこの報告をお聞きしている限りにおいてははっきりつかんでいないというわけですか。
  37. 岩崎壽男

    岩崎説明員 ただいまのは概数で申し上げたわけでございますけれども、私どものつかんでいる数字で正確に申し上げますと、昭和五十年は一万六千二百六十五頭、それから五十三年は二万一千三百一頭でございます。
  38. 野口幸一

    野口委員 いや、その数字を細かく最後まで言ってくれというのではなくて、たとえば目的別というのがわからないということは、結局長崎方面では一千四百頭ですか、おとりになったのは、いわば一般のイワシとかそんなものを追うイルカがおる、イワシだけじゃない、マグロ、ブリ、ハマチですか、それを駆除するためにやったというのが千四百頭だった。そうすると、あとは食料に使うのだ、こういうことですか。
  39. 岩崎壽男

    岩崎説明員 そのように理解したいと思います。
  40. 野口幸一

    野口委員 そうすると、イルカを食料としてつかむとすると、これは魚類として、肉類は獣肉ですか魚肉ですか。
  41. 岩崎壽男

    岩崎説明員 漁業法によりますと、漁業は水産動植物の採捕または養殖を行う事業ということでございますし、生物学的にイルカは水産動物の方に入るというふうに考えております。
  42. 野口幸一

    野口委員 動物ですか。それでは、イルカというのはいま有害動物という感覚をお持ちですか、それともあくまでも有害動物という感覚はお持ちになっていらっしゃらないわけですか。
  43. 岩崎壽男

    岩崎説明員 イルカにつきましては二つの側面があるかと思います。ただいまも申し上げましたように、壱岐等でイルカが大量に来遊して漁民の生活の種となっておりますブリ等を大量に捕食する、そのための被害が生じている、そういったことを駆除しなければいかぬという観点から考えますれば、有害動物というような理解もできるわけでございます。他方、食用等に伝統的に利用されている地域での捕獲というものは、まさに有用動物を捕獲しているというふうに考えられますし、また漁場の探索等におきましてイルカつき魚群といったような形で、イルカの下に魚がいるといった形で漁業に利用する場合もあるわけでございまして、一概に有害か有用がということを割り切るわけにまいりません。その都度、事態に応じて有害の場合もあればそうでない場合もあるというふうに考えているわけでございます。
  44. 野口幸一

    野口委員 これも少しく検討をしていただかなければならぬと思いますけれども、私はまだ一つだけしか判決内容を書いてある書類、判決文を入手しておりませんのでわかりませんが、検察当局によりますと、イルカを捕獲するということは有害動物駆除のためということで、イルカを有害動物と解釈をして、とることに正当性があるという解釈をしているようなんでありますけれども、いまおっしゃいましたように、これは有害動物という解釈は私は確かに無理だろうと思うのであります。ところによっては有害になる場合もあるでしょうが、食料として食べている、あるいは魚類を誘ってきて――イルカそのものが追っかけるのでしょうが、それによって魚がよけいとれるという部分だってあるように聞いているわけでありまして、イルカに対する概念が、日本においては非常にさまざまな意見はあるけれども統一した見解というものはいまないような気がしてならないのであります。  そこで、イルカは一部の学者によりますと高等哺乳動物だと言う人もございます。日本においてはイルカそのものを一体どういう感覚で見ておられるのでしょうか。環境庁自然保護局長はこのイルカをどういう気持ちで見ておられますか。
  45. 正田泰央

    正田政府委員 まず、イルカが有害動物かどうかという問題につきましては、先ほど水産庁から答えたものが基本になろうかと思います。あくまで相対的なものでございますが、判決で言っておりますような当該地域において有害であったということは紛れもない事実でございますので、その範囲内においては法律問題としては有害であると言っているというふうに私は理解しております。
  46. 野口幸一

    野口委員 それでは、イルカのことをもう少し申し上げたいと思いますが、イルカの北太平洋における資源量、それから日本近海における資源量、それからイルカの捕獲の制限についてどういうものがあるか、聞かせていただきたい。
  47. 岩崎壽男

    岩崎説明員 北太平洋というと大分広い海域でございますが、そこにイルカがどのくらいいるかということについては、昭和五十三年以来日米加漁業条約等に基づいていろいろ調査をやってまいっておりますけれども、一応わが国の研究者によりますと、たとえばイシイルカは五百万ないし一千万頭いるというふうに解しております。また日本近海のイルカでございますけれども、バンドウイルカとかカマイルカとかリクゼンイルカとかいろいろの種類があるわけでございますが、いずれも日本近海では索餌というかえさをとる、あるいは出産のため冬、夏を中心に来遊しているというふうに言われておりまして、現在の資源量あるいは回遊経路ということは必ずしも明確にはなっておりません面があります。それで、五十五年度からいろいろ調査を行っているところでございますけれども、相当数の資源があることは確かだと考えておるわけでございます。  なお、イルカについての捕獲の規則があるかというようなお話でございますけれども、水産動植物の捕獲の規制等につきましては、漁業法あるいは水産資源保護法に基づきまして具体的な漁獲等の規制措置をいろいろ講じておるわけでございますけれども、イルカにつきましては、現在程度の捕獲量で資源に悪影響を及ぼしているという徴候もございませんので、特に規制をいたしておりません。ただ、特に日本で言うと犬吠埼より北のあたりでございますけれども、オットセイにつきまして、これは国際条約に基づいて海上猟獲を禁止をいたしております。オットセイの場合は普通銃砲で捕殺するわけでございますので、オットセイの捕獲、海上猟獲の規制を実効あらしめるという見地から、北緯三十六度以北の海域におきましては、銃砲を用いてイルカをとることは禁止をいたしております。
  48. 野口幸一

    野口委員 いま、私の聞こうとしたことをもう先におっしゃいましたからいいのでありますけれども、北緯三十六度以北、毎年二月から六月二十日まで、もりづつ以外のものでイルカをとってはいかぬという取締規則があるわけですけれども、毎年二月から六月二十日というのはイルカのどういう関係で――これはイルカじゃなくて、オットセイに対してこの二月から六月二十日というのがあるのですね。そうですね。そうしますと、結局オットセイに対応してイルカの制限というのは、これは間違えて撃つというのですか。イルカをとるつもりでオットセイをとったりするからという意味なんですか、それをちょっと……。
  49. 岩崎壽男

    岩崎説明員 先生指摘のように、禁止区域なり禁止期間というのは、オットセイの来遊地域及び来遊期間に合わせてございます。オットセイの場合銃砲で捕殺をいたしますので、やはりイルカをとるということでオットセイを捕殺してはならぬという見地からの規制でございます。
  50. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、イルカというものは現在どれだけとってもいい、いわば制限は何もないというわけですね。
  51. 岩崎壽男

    岩崎説明員 水産資源保護法等の規制措置という手段は講じておりませんので、その意味では先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ、イルカの捕獲自身は、かなり地域的な漁民の生活手段というような形あるいは被害防止のための捕獲というような形でございますので、非常に数量がふえるというような状態にはないというふうに考えております。
  52. 野口幸一

    野口委員 先ほどお聞きしましたときにイルカの資源量というものを言われましたが、私の聞いておりますところによりますと、日本学者とアメリカの学者との間にずいぶん数字の差がございまして、日本学者の言っている十分の一がアメリカの学者数字である。その辺は御承知でしょうか。
  53. 岩崎壽男

    岩崎説明員 先生のいまの御指摘の問題は、北太平洋全体の、特にイシイルカの資源量の推定であろうかと思いますが、日本の研究者によりますと、大体五百万から一千万頭いるのではないかということを言っておるわけでございますが、米国の研究者のあれを見ますと、九十二万頭ないし二百三十万頭くらいであろうということで較差があるわけでございますが、これは双方の資源量推定の食い違いあるいは資源量の計算方法の違いということもございますし、またアメリカの場合には、オホーツク海とかベーリング海の北部の方、それからアリューシャンの南の方の海域を入れてないという、海域のカバー率の違いもあるわけでございまして、いずれにいたしましても、日米両国で本年以降も資源調査を継続していこうというようなことになっております。
  54. 野口幸一

    野口委員 次に、いまイルカを調教して観光施設等でその遊芸を観覧に供しているところがたくさんございますが、その観覧をさせているところ、それからそれに使っているイルカの頭数等は環境庁でおつかみですか。どこでわかりますか。
  55. 岩崎壽男

    岩崎説明員 水族館等でかなりイルカが飼われているということは聞いておりますけれども、私どもの方では正確な数字は押さえておりません。
  56. 野口幸一

    野口委員 環境庁も知らないですか。
  57. 正田泰央

    正田政府委員 把握しておりません。
  58. 野口幸一

    野口委員 環境庁あるいは水産庁でもわかっていないかもわかりませんけれども、私個人が調べたところによりますと、四月現在で、七月オープンするものを入れますと二十八カ所、沖繩一、九州二、中国地方二、四国二、近畿六、中部地方六、関東六、東北一、北海道二、およそ全国にわたってイルカのこういう遊芸を目的としたものがやられているのです。四月現在で二百五十五頭だと言われておるのです。相当数のイルカが人間に対して遊芸を見せているわけです。こういう面が一つございますので、鯨、イルカ、特にイルカなんかに対する私どもの見方というものがずいぶん変化をしていくであろう。つまり愛護の気持ちというものが急速に増進していくのではないだろうか、こういうようなことが私も推察できます。  そこで、現在イルカを保護するということには環境庁の方も全然手をつけていらっしゃいませんが、現在イルカは乱獲とまではいっていないと思うのでありますけれども、法律的にも一部の地方では有害だということでどんどんつかまえられている。その他の地方では有害ではないけれども食料だということで食べている。どんどんつかまえられているわけですけれども資源量がいまのところ豊富だから構わぬじゃないか、こういう見解のようでありますけれども、この辺について局長の方はいかがなお考えでおられますでしょうか。
  59. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 野口先生局長それから水産庁の段々の話を承っていて、非常に興味のある問題ですし、また環境庁としては、種の断絶ということに対して自然が破壊されるという見地から重要視しているわけでございます。水産庁の方とすれば、食料としてそれがなくなったら大変だ、これは根絶しちゃったらもう生まれませんから大変だということで心配なんでしょうが、われわれの方としては、自然保護という関係から動植物の種の断絶のすべてを心配しているわけでございます。一部においては先生の御指摘のように漁師を困らせている。これは漁師は大変困るのでしょうから、これを捕獲するということはある意味では仕方がないかなと思いますし、また食料としてとっているところもあるのですから、それもある程度は仕方がないだろう。また一方で、先生が言われたように遊芸をして人間の心をなごませているわけですから、そういう点では大事にしていかなければならぬ。いろいろ多種多様でございますが、いずれにしても、イルカというものがこの世の中からなくなるというようなことがあっては、自然保護、種の断絶というところからきわめて重要な問題なので、それは重大な関心をもって見守ってまいりましたし、これからもそういうことに対しては適切な処置をしていきたい、こう考えているわけです。
  60. 野口幸一

    野口委員 大臣、概説的にそういうお答えをいただいても実にならぬと思うのですね。実は最後に申し上げようと思っておりましたので、後で大臣の見解を伺います。そのときにも申し上げますが、種族を保護する立場ということは当然でありますし、もちろん当然環境庁として考えなければならない課題一つでありますが、と同時に、先ほど申し上げましたように、水産資源というものの立場から考えますと、これはやはり食べなければいかぬわけですね、人間生きていかなければいかぬのだから。片一方では、漁業を圧迫しているような立場にあるイルカだったらこれは殺さなければいかぬ、これも正当性がある。これはわかるのですよ。そういったことはいわば例外措置なんですね。自然を保護する立場というのが前段にあって、例外というのはかれこれですよということを示してもらうような行政でないといけないのじゃないか。その例外が先に出てしまって、本来の方はどうなったんだと聞くと、まだたくさんいるから大丈夫です、こういうような説明ではどうにもならぬということをぼくは言いたいのです。だから、後でまた申し上げます。  そこで、今度は鯨に移ります。長官鯨岡さんですから恐らく昔は鯨捕りだったのかもわかりませんけれども、(「もう岡に上がったから」と呼ぶ者あり)岡に上がったからだめですか。  捕鯨について伺いますが、ことしもIWCが開催されると思いますが、この開催時期はいつごろですか。あるいはまた、世界的な反捕鯨運動の高まりの中で年々先細りと言われる捕鯨問題について一体どうお考えか、水産庁に伺います。
  61. 岩崎壽男

    岩崎説明員 国際捕鯨委員会のIWCは、科学委員会、技術委員会、それから年次会議という会議があるわけでございますが、六月の末から七月の末の一カ月間ぐらいの予定であるということでございます。  それから、御承知のように、現在捕鯨は、国際捕鯨取締条約ということで、いわゆるIWCの国際的な規制に即して行われているわけでございますけれども、いろいろ反捕鯨運動というのが主として動物愛護なり鯨を殺すのはかわいそうだという観点から行われていることは私ども承知をいたしておりますが、他方、鯨は古くから人間にとって有用な資源として利用されてきているわけでございまして、わが国でも弥生時代の貝塚の中に鯨の骨があるということもありますし、また、奈良時代に仏教渡来の際には、鯨は魚と同じように取り扱ったというきわめて伝統的な食品であるわけでございます。現在IWCでも、鯨の資源保存とその合理的利用というのがIWCの条約の目的それ自体でございまして、現在でも資源的に問題のある鯨は大部分捕獲禁止をされておりまして、現在捕獲ができるのは資源的に問題のない鯨であるということで、毎年度捕獲頭数を決めてその範囲内で捕鯨を継続しているということでございます。  捕鯨につきましては、そういった食用としての重要性もございますし、また地域の漁民の生活の手段でもありますし、またそこに従事しています雇用者の雇用の安定というような意味からも、捕鯨を維持継続することは重要な課題であるといま考えておりまして、私ども、IWCにおきまして科学的な立場からの資源論というものを展開をいたしまして、IWCの場等において引き続き捕鯨が維持できるように努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 野口幸一

    野口委員 外務省は、「捕鯨反対運動とわが国立場」ということで、捕鯨問題に関連をいたしましてこう言っておりますね。「IWC日本代表団や在外の日本関係機関へのデモ、抗議などが行なわれたりしています。しかしながら、このような考え方にはわが国としてはまったく同意できません。鯨資源を合理的に保存管理し、乱獲を防がなければならないことはいうまでもありませんが、やはり人類が利用すべき資源です。」だから、「わが国は、このようなわが国考え方を広く世界に認識、理解させるよう努めており、また、捕鯨国として鯨資源保存に最も関心と責任を有していることを認識しつつ、」「世界中のどの国よりも積極的かつ大規模に鯨資源調査研究を実施していることを強調したいと思います。」  「二〇〇カイリ時代の漁業 最近の対外漁業問題と国際協力」という、こういう冊子が出ておるわけですが、その前段に書いてありますように、全くこのIWCの考えておることと私どもとは相入れない、こういう意見なんであります。それじゃ、このIWCというのは強制的に入っているわけじゃなくて任意加入でしょう、だったらおやめになったらいかがなんですか。この辺はどうなんですか。
  63. 岩崎壽男

    岩崎説明員 IWCは、先ほど申し上げましたように、鯨資源の適正な管理と合理的な利用を図るという観点から、捕獲を禁止する鯨種を定めたりあるいは毎年の捕獲頭数を決めるということでございまして、そこで科学委員会あるいは技術委員会の討議を経ながらそういった決定を毎年やっているわけでございます。わが国としてはそれに科学的な立場に立った観点からいろいろな意見を言っているということでございます。ただ、実際のIWCの運営といいますか、そういう中で、もちろんいろいろな国が入ってきておるわけでございますが、その中で、やはり鯨の捕獲を即時禁止しようという形の主張を展開する国もあるわけでございます。私どもといたしましては、鯨が国際資源である以上、やはりIWCの場以外にそういった鯨の適正な管理なりあるいは合理的な利用を図る機関はないというふうに考えておりまして、そういう観点から、毎年度そのIWCの会議に出席をいたしましていろいろな科学的な検討を行っているということでございます。
  64. 野口幸一

    野口委員 IWCの考えていることと日本考えていることとはずいぶん違うけれども、IWCを脱退する気持ちはないということですか。
  65. 岩崎壽男

    岩崎説明員 外務省のそのペーパーの中身は私もよく承知しておりませんけれども、恐らくIWCの会議におけるいろいろな議論の過程をそういった形で整理しているというふうにも考えているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、IWCは国際的な鯨の管理等について唯一の適切な機関であるというふうに考えておるわけでございまして、いままで先生おっしゃるようなことについて考えたことはございません。
  66. 野口幸一

    野口委員 それじゃ、いわゆるこの反対運動の中身については、日本立場としては、もちろん相入れられないという立場はそうなんですね、反対運動の中身については。
  67. 岩崎壽男

    岩崎説明員 捕鯨の反対運動ということは、主として鯨を殺すのはかわいそうであるとかそういう観点からいろいろ反対運動があることは私ども承知をしておるわけでございますが、他方、その鯨についてはわが国の伝統的な古い漁業として行われてきておりますし、また、鯨についての風俗あるいは習慣といったようなことから鯨を食べているわけでございますが、先生承知のように、こういった食習慣というものはある意味で宗教なりあるいは風俗、習慣というものに根差したものでございまして、それぞれの国民がそういったものをお互いに認め合うということが基本的なことではないかと思うわけでございます。国によっては確かに牛を食べないところもございますしあるいは豚を食べないところもあるわけでございます。そういった意味で、一つの価値判断を他に押しつける形の反対運動というものについては納得できない面があることは事実でございます。
  68. 野口幸一

    野口委員 私もそのことを否定するものではありません。けれども、私はきょうなぜ鯨の問題もイルカの問題もここへ出してきたかといいますと、基本的な物の考え方としての、実は水産庁にも言うのであって、環境庁にもお考えをいただきたいのですけれども、そういったことに対する確固たるものを、環境庁としては持っていられないような気がするのですね。外務省なんかもこう言ってはっきりしているのですけれども、いわば自然動物愛というものに対する保護、育成というものについて一番トップバッターとしてがんばらなければならない環境庁が、そういうものに対する一定の提言をきちっと出しておかなければならぬと思うのですけれども、それがないような気がするので、あえてこの問題を引きずり出しているわけであります。  特に、このIWCとの関係が、日本の場合、数から言うならば、捕鯨国というのは非常に数が少ないものですから、何か聞くところによりますと、この票決によるところの一票一票は、大国であろうと五千人ぐらいの国であろうと一万人の国であろうと同じように一票ずつだそうでありまして、これを票決されれば従わなければならぬという種類のものだということを聞かされておるわけでありますけれども、そういったものによって、しようがないから実はついていっているんだというようなことでは、これはいけないのではないだろうか。もちろん主張すべきは主張したということについて明らかなものを、やはり国としてもどの場で、ただ単なるIWCという場で発表しているだけではなくて、この動物愛護という立場からの大きな前提を前に出して、そしてその中にあって、先ほどの話でありませんけれども、例外措置としての捕獲という問題はかくあるべきだということの提言をすべきではないか。だから、これはもちろんそういう立場で言っておられるようでありますけれども、もう一つつけ加えて言いますと、こういうことを外務省は言っているのです。「世界中のどの国よりも積極的かつ大規模に鯨資源調査研究を実施していることを強調したい」、これは大規模にどこの国よりも調べているという事実で、どのような調書をいま水産庁はお持ちですか。
  69. 岩崎壽男

    岩崎説明員 鯨を合理的に利用していくためには、当然鯨資源の適正な保護、管理というものが前提となるわけでございまして、従来からわが国としましては、非常にいろいろな、たとえば年齢査定でありますとか妊娠率でありますとか、そういった形の生物調査を実施をしてきたわけでありますが、IWCといたしましても、やはり鯨のいろいろな調査が必要だということで、国際鯨類調査研究十カ年計画というのを実は策定をいたしたわけでございまして、五十一年度からはその計画については加盟国は協力すべきであるという決定もなされたわけでございます。したがいまして、わが国といたしましては、特に五十一年度からこの調査に特に捕鯨国として積極的に参画すべきであるということから、北太平洋及び南半球の鯨類の積極的な調査に乗り出したわけでございます。特に南半球、これは南氷洋でございますけれども、につきましては、この調査をやるために、日本のほかにいろいろな各国の学者調査の計画の会議をやりまして、そこで具体的な調査計画を立てまして、外国の学者も船に乗りまして実はかなりシラミつぶしに調査を行うということで、現在南氷洋におきます、大体一区から六区に分かれておるわけでございますが、かなりの部分を占めます三、四、五区につきましては、いままで調査を実施してまいったわけでございまして、また、北太平洋につきましては日本独自で調査を実施しておるわけでございます。これらの調査につきましてはIWCの科学委員会で高い評価を受けたということはもちろんでございますけれども、また南氷洋のミンククジラの資源は非常に健全でかなりふえているという事実等もわかってまいったということでございます。
  70. 野口幸一

    野口委員 そこで、そういうようないわゆる調査が実施されて、IWCなんかでその内容について評価されているというのならば、どうしてこのIWCにおける捕鯨の数量的な問題にそのことが反映されてこないのでしょうか。それはやはり反対運動とは相入れないものがそこに存在するからでしょうか。
  71. 岩崎壽男

    岩崎説明員 鯨につきましては、従来とっておったものが禁止されてくるという過程があるわけでございますけれども、現在日本がやっております捕鯨というのは、南半球におけるミンククジラと、それから北太平洋におきますニタリクジラ、マッコウクジラ、それからミンククジラということでございまして、これらについてのいままでの毎年の割り当て枠というものは、年により変化がございますし、どちらかといえば減少傾向にありますけれども、やはりこれはいろいろな科学的調査の積み重ねによりまして、私どもとしては、さらに舎利的な利用ができるような割り当て枠を設定すべきであるというような主張を、今後とも展開をしてまいりたいというふうに考えております。
  72. 野口幸一

    野口委員 だから、結論としては、種族保存については万全を期している、こういうことを言い切るわけですね。
  73. 岩崎壽男

    岩崎説明員 鯨につきましては、そういうふうに考えております。
  74. 野口幸一

    野口委員 そこで、総合的に最終的な問題として長官にお聞きをいたしたいと存じます。  例の長崎県壱岐と、それから最近では静岡県の伊東ですか、そこで外人が、日本の漁民が捕獲をいたしておきましたイルカを金網を破って逃がしたということで、日本の警察につかまりましたね。裁判の結果、有罪となる、そういう事件がありました。この事件について、先ほどもちょっとお聞きしましたが、イルカを逃がしたカナダ人の、伊東事件の場合はカナダ人なんですが、全く独善的な判断であり、その実行行為について弁護する気持ちは私どもも毛頭ありませんが、この問題は、考え方が違う、先ほどもちょっと言われましたが、国の事情が違う、よって来るわれわれのものがあるからだけ、それだけで解決をしていっていいものでしょうか。たとえば、わが国では鯨は昔から食っているんだから食ったって何も関係ないしというその概念は、絶対的にそういうものが底辺にずっとあって鯨というものを見ている。アメリカなんかではそうでないと仮にしますと、それの違いだから、その違いから来る問題だということだけで処理していいのだろうか。たとえばイルカに対しても、わが国におけるイルカに対する対応と、それからアメリカなりカナダなりが考えている物の考え方と、国情やあるいはまたその個人的な、独善的ではありますけれども、彼らの考えている思想というものの違いがあるから、よって来る原因がそこにあるのだから、これはもうやむを得ぬものなんだ、こういうことで処理をしてしまっていいのでしょうか。この点はどういうお考えでございましょうか。
  75. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 複雑な問題ですから一概に答えられませんが、私はやはり壱岐におけるイルカに対した漁民の方々の行動はそれなりに理解ができます。それをけしからぬといって、網を切っちゃって直接行動に出た、その人の行動はちょっと間違えていると私は思います。そして、その人たちがどうしてそういうことをやったか。それは特にその外国人の国が動物愛護の精神が強く、わが国が動物愛護の精神が弱いから、そういうふうに私は思いません。なぜかならば、外国だって、イルカはお魚を追っかけていきますから、それを一概に、捕獲して、それで必要なお魚だけ持って帰ってきて、イルカの方は死んでしまったものを海へほうり投げて捨ててしまうというようなことだってあるのですから、どうもわが国だけをいかにも動物愛護の精神が足らないように考えるのはいかがなものかと思います。  段々のお話を承っていてつくづくそう思うのですが、水産庁は、農林問題でも水産問題でもそうですが、油などと違いまして、毎年毎年うまくやっていけばまた生まれてくる、再生資源をやっているわけですから、お魚にしたって何にしたってみんな永続的にこれを利用しようと考えているわけで、それなりの研究をしてやっていっていただけることを私は信じて疑わないわけであります。  私の方は私の方で、学問的に、先ほども申し上げましたが、種の断絶ということがあってはならないし、それは油断していますと、ほかのことを言うようですが、先般私はケニアへ行って見てまいりましたが、サイという動物はいま七百頭しかいないそうです。それで、七百頭を割りますともう種の断絶というのは免れない。それ以下になるとどんどん減ってしまうということですから、まだ五百いるからいいとか、まだ三百いるからいいとかいうことは言えないということがあるそうですから、学問的にこれを研究して種の断絶を防いでいきたい、こう考えているわけであります。鯨は特にかわいがってもらわなければならぬですが、これはやはり頭数がイルカほどはきっとないのでしょうね。ですから、まだ大丈夫だ、まだ大丈夫だと言っている間に、断絶を免れることのできないほど減ってしまってからではこれはだめになっちゃいまして、われわれから五十年先、百年先の子孫が、かつて海に鯨という動物がいたんだそうだと写真で見せるようなことがありましては大変ですから、特に鯨の保護については水産庁にも努力してもらわなければならぬし、先生の鯨に対する愛護精神に対して心から敬意を表して、お答えといたします。
  76. 野口幸一

    野口委員 つまり、私がきょうこういう一連の質問をいたしましたのは、それぞれの各論の問題を例題として挙げてまいったのです。これはいまから言いますと、白状というわけではありませんけれども、真相を申しますと、イルカの問題もこうだ、それから鯨の問題もこうだ、これは単なる例題にすぎないのです。それで、なぜこういうことを言い出したかといいますと、一番初めに長官お願いをしたように、わが国環境行政は十年だったと長官もおっしゃいました。先進国の中で日本環境行政がどういう位置づけにあるかということについてもそれぞれ承っております。しかし、いま日本環境行政について世界に胸を張っていけ得る立場のものを持っていないと私は言い切ることができると思うのです。これは環境アセスの問題にしましてもまだできていないし、その他の問題についても、本当にりっぱな環境行政をしいていると言い切るところにまだいっていないのじゃないか。つまり、環境問題の総論という立場からいくとまだ仕上がっていない。仕上がっていない立場の中で各論がいろいろとございますね、たとえばイルカの問題とか、例を挙げて言うならばいろいろあります。水俣病の問題もそうでありましょうし、いろいろな問題も出てきますが、総合して環境問題に積極的に対処していく胸を張って言えるところの論拠は、環境庁自身としては持っていないのではなかろうか。先ほど言ったように、環境自然保護法ですか、それだけが唯一の頼りであるというような形の中だけで、行政全体に対する指導力といいますか発言力といいますか、そういうものが弱いのではないだろうか。だから、問題は、環境庁自身が、各省庁に対しても国民に対してもあるいは世界各国に対しても言い得るような大きな論拠というもの、たてまえというものをきちっとつくっていただいて、そして、その中にあって例外措置としてイルカはこうだとか鯨はこうだとか、あるいはまたその他の問題についてはこうだとかいうことの理論展開をしないと意味がないのじゃないだろうか、こう思うのであります。  そこで、これは昨年の五月二日の朝日新聞でありますが、長官もごらんになったかもわかりませんけれども、「なぜイルカなのか」こういう記事が出ております。このイルカの事件についてはこの新聞も決してほめているわけではありません。先ほど長官のおっしゃったように、そういう直接行為をすることは間違っているし、国情の違いとかいろいろな感情の違いからやっている。しかしそれにしても、ここに書いてあるように日本の方も反省が必要だ。なぜ必要かといいますと、ちょっとここを読み上げますが、確かにそういうことが言えると思うのであります。「壱岐のイルカについては「特別の事情」を説明することで納得されたかもしれない。」つまり、先ほどの特別の事情があるということで納得するかもわからない。しかし、「日本列島はまるで世界公害の見本市になっている。「列島改造」によって自然破壊の見本市でもある。最近も、かの「世界に冠たる」水俣病の熊本県・水俣湾での水銀ヘドロ処理事業について事実上のゴーサインを出した熊本地裁判決は、住民側の訴えを重視する安全第一の判決ではなかった。環境アセスメントの法制化でも、政府は公聴会から学識経験者を締め出して」やっているが、「日本のこうした後進ぶりは、政府の姿勢だけではない。」政府の姿勢だけではないというよりも、こういういわば環境行政全体そのものがまだまだ確立されていない。その中にあって各論といいますか、イルカの問題とかいろいろなことを言い出すと、それに対することをやっているじゃないか、こう言うだけではその論拠というのは非常に薄い、やっていることと言っていることとのギャップがあるじゃないかということになるんじゃないかということであります。  この新聞を読んでみまして私もなるほどそうだと思うのでありますけれども、最終的に申し上げますならば、さまざまな環境問題について、特に先ほど来申し上げております動物愛護という立場から言うところの自然保護の問題にしましても、関係法令等ももっと整備して、そして環境庁としての毅然たる姿勢を先に示してもらうような行政というものをぜひともお願いをしたい。その中にあって、イルカはこうだとかあるいは鯨はこうだとかという、いわゆる各論に対する処置というものをなされてはいかがなものか、こういうことを私はきょうは長官お願いをする質問をしたわけでございます。長官の御見解を伺います。
  77. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 お話の趣旨は私十分理解をいたしました。たとえば水産資源の問題等にいたしましても、これは水産庁でやっているわけなんですが、私の方は、再三申し上げましたように種の断絶ということを非常に恐れています。恐れていながらだんだん種の断絶は激しくなってまいりまして、これは油断のできない状態になっている。鳥の問題でもそうです。きょうは鳥の身、あしたは人間の身なんということでございます。魚だって同じことです。そこで、いま野口先生がおっしゃられたように、自然を保護するという基本の大きな網をかぶせて、その中で個々の問題を考えていくというような体制が必ずしも十分でないのではないかというお話は私なりによくわかりますから、よく検討してみたいと思います。ありがとうございました。
  78. 野口幸一

    野口委員 もう少し時間があるようですから、最後にちょっと申し上げますが、イルカの捕獲量については、私どもの調べでは一九七四年、昭和四十九年に二万一千九百五十頭、それから一九七八年、昭和五十三年では二万一千三百一頭ということで、毎年大体二万頭前後コンスタントにつかんでいるような状況であります。ところがこれは漁業としてつかんだ、つまり食料としてつかんだというような数字でありまして、害獣駆除として捕獲したものは入っておらないようであります。といたしますと、イルカの捕獲量というものが明らかになっていない、それから資源量もこれまた現在のところでは明確なものはない、こういうことになりますと、イルカは保護しなければならないあるいは一定の捕獲の制限をしなければならないのかどうなのかということについても考えなければならないのではないだろうかという気もいたします。この辺については、環境庁並びに水産庁の方で、現在のところこれは必要ないという結論が出るならば出るで結構でありますけれども、もう少し確たる数字をお出しになって、イルカの捕獲量と資源量というものとの対応を明らかにしておいてもらいたいということを、私の質問の補完的な部分として申し上げておきたいと存じます。  それから、先ほど局長の御答弁の中にありましたが、国土保全計画のマスタープランというものを持っているかという質問に対して、そういうものに類したものを持っているとおっしゃいましたので、これは後刻で結構でございますから、私の手元にお届けをいただいて見せていただきたいということをお願い申し上げます。  以上で私の質問を終わります。     ―――――――――――――
  79. 山崎平八郎

    山崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件調査のため、本日、参考人として石油公団理佐藤淳一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  81. 山崎平八郎

    山崎委員長 質疑を続行いたします。新盛辰雄君。
  82. 新盛辰雄

    新盛委員 私は、これから問題になってくるであろう新大隅開発計画全般にわたっていろいろと政府考え方等を聞かせていただきたいと思います。  この新大隅計画というのは、これまで継ぎはぎだらけのある意味では致命的な欠陥を持ったまま事が推移しているというふうに言われております。昭和四十六年十二月に鹿児島県が計画をしました第一次試案発表に対して、当時現地のすさまじい反対運動が起こりました。その内容は、石油コンビナートをつくる、世界最大級の石油精製、石油化学、食品コンビナートを立地しよう、二千七百三十ヘクタールの埋め立て計画を主体にしているわけであります。これが四十七年八月廃案になりました。それから九年も経過しているわけでありますが、その間幾つかの経過を経て、再び鹿児島県が新大隅開発計画第二次案をつくりました。この経過の中で、地域開発調査会研究協議会という、ある意味では現地で賛成側の方に回っている皆さんを主体にして、いろいろとその後の新大隅計画の練り直しを図った模様でありますが、五十一年六月に発表されました第二次案は、当初の計画を大きく下回りまして、埋め立ては半分の千百六十ヘクタールに縮小をしました。そして石油化学を外して今度は石油精製、日産百万バレルを三十万バレルに修正する、かわりに臨海部におけるこれからの石油備蓄という関係で五百万キロリットルから約一千万キロリットルの備蓄計画を立てられたのが第二次案であります。このもらい公害心配しました宮崎県との調整などいろいろございました。この交渉も長年難航したのでありますが、五十五年の十二月、新大隅開発計画という形で新しく発表されましたけれども、内容はすべて第二次案とほとんど変わりはないという状況であります。そしてその間には、五十三年十月に志布志港の改定計画を策定しました。いわゆる新大隅計画のなし崩し着工ではないかと、現地では公有水面の埋め立て問題についての訴訟を起こして、現在係争中であります。  そうした面から、まず運輸省の港湾局にお尋ねをいたします。  台風銀座と言われております志布志湾の状況、また異常な風力と波浪、あるいは台風時における避難の状態、こうしたことを見てみますと、港湾の拡大改定、そうしたことにおける状況調査というものを、運輸省第四港湾建設局、昭和四十九年三月、委託先は日本海難防止協会の台風対策基礎調査委員会、こうした機関を通じて調査をされているわけでありますが、まずこのことについては御存じでしょうか。
  83. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 港湾局計画課長でございます。  そういった調査報告書があることは承知いたしております。
  84. 新盛辰雄

    新盛委員 最近の巨大化するタンカーあるいはそれを係留する施設、港湾、さらには湾内における船の航路の確保、安全、そうしたことについてこれまですでにいろいろな問題点が出されております。たとえば最近「油濁の海」という本、これは元海上保安庁に勤務された田尻宗昭さんがお書きになった。現在は東京都公害研究所の次長をしておられますが、水島の溝とか鹿島の人工港については大変問題があるという指摘をしておられます。私も読ましていただきましたが、これは非常に問題がある。そういうことにさらに輪をかけるように志布志の状況は悪いのじゃないかと思うのでありますが、その状況についてどう把握していらっしゃいますか。
  85. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 いまの第四港湾建設局の報告書にも若干触れてあるところであり、その後私たち、志布志港の港湾計画の改定作業の過程におきまして、いろいろそういった現地の自然条件等について調査をいたしておるところでございます。  さて、第四港湾建設局の四十九年三月のレポートの内容につきましては、先生もあるいは御存じかもしれませんけれども、要は、都井岬というみさきが周辺にございますが、都井岬の風資料とか、あるいはまた都井岬沖の波の観測を目でもって目視観測を行いまして、そうしてそういった状況から一定のデータの整理をいたしておるところでございます。それで、ペーパーの内容には、今後の検討課題としていろいろと配慮すべきことというようなことが幾つか述べられているということかと理解をいたしております。  さて、その後に私たち、先ほど申し上げました志布志港の港湾計画を改定をするということに先立ちまして、四十八年から志布志港内といいますか、その沖合いに枇榔島という島がございますが、そこに波高計を設置いたしまして、そして直接その港湾の計画に必要な基礎データを収集をするということで調査をいたしますと、一定のデータが得られておりまして、その結果によりますと、たとえば波高二メートル以上といったふうなやや高目の波の出現する確率といいますか、それは五%ぐらいで、それほど際立って高いということはないというふうなことを確認をいたしまして、志布志港の港湾計画を現在のような形に定めたという経過でございます。
  86. 新盛辰雄

    新盛委員 それほどの波浪はなくてという、あるいは波高あるいは風波について一応条件的には備わっているということなんですが、では、なぜこの五十三年の十月に確定しました例の旧港の拡張改定工事、これで第二埠頭の陥没事故が起こったわけですね。約三千立米土砂流出をしました。これは昨年の十月、中型台風で崩れてしまったわけです。その損害規模一億円というふうになっています。もはやこういう現実に改定工事をしてすでに進めておられるのに、なぜこういう小さな台風でもって崩れるのか。それはサンドポンプ方式あるいはケーソン工法のやり方、工法上の欠陥があったのか、あるいは地域的な条件が悪かったのか、あるいはまた、その皆さんがつかんでおられる原因というのは一体何であったのか、このことはひとつ明確にしていただきたいと思うのです。これはもうまさに国税の浪費じゃないか、こう言っておるわけでありますが、どうですか。
  87. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 ただいまお話しのように、昨年の九月十一日ですね、十三号台風によりまして施工途上のこの港湾に一部被災が生じてございます。お話しのように、埠頭の先端の護岸の水たたきのコンクリートが被災をいたしましたことと、それから施工中の沖防波堤のケーソンが若干スライドをしたといったふうな被災でございます。これはもう一にその台風十三号によるものでありますが、いずれにいたしましても、施工途上の問題でございをして、特に防波堤の場合は、先端部といいますか、一番先端はどうしても弱点になるものですから、最終的にはきっちりとブロック等で巻いて補強するわけでありますが、そういう施工途上でありますためにそういったことができていないというふうなことからそうなっておるところでございます。
  88. 新盛辰雄

    新盛委員 皆さんは技術者でしょう。私も多少昔かかわり合いがあるから言うのですが、毎年台風という時期になりますと、この位置は台風銀座と言われている場所なんですよ。だから、こうした工法がどういう工法であったかは別にしまして、崩れ去ってしまうという状況を想定するのも、これは一つの施工者としての当然の義務ですよ。それが毎年恐らく、いかに皆さん方がどう理屈をつけようとも、こうして現実にこの工事を施工して直後に流されてしまった、こういう欠陥のある港の拡張工事というのは、今後やはり何か工法を変えておやりになる――七十ヘクタール埋め立ててやろうという県の申請は、これは新大隅開発のなし崩しじゃないかと現地では言っているのですから、それ見たことか、みんなそう言っておるのですからね。これからどうされるのですか。
  89. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 施工途上とは言え、そういった手戻り的なことが発生するということを、私法していいというふうに思っておりません。可能な限り施工の方法なり、それから施工の工程計画におきまして、そういった被災の起こらないような工法をとっていかなければならぬということは私たち基本的に考えておりまして、現地の実情に応じた工法を考えておるところでございます。  ただ、私法していいという意味で申し上げるのではございませんけれども、海上工事を行います場合に、施工途上におきましては、ある程度のこういったことというのは、一〇〇%完全に避け切ることができないという側面があるというところはひとつ御理解賜りたい、かように思っております。よろしくお願いいたします。
  90. 新盛辰雄

    新盛委員 それはいま皆さんがおやりになっていることについて現実に事が発生しているのですから、だから、これから先そういう不測の状態というのは起こり得るのかどうか。それは予測はできませんとおっしゃるかもしれませんが、現実に第二埠頭の工事をやっておられるのでしょう。陥没事故ですよ。いわゆる三千立米のものが流出してしまった。こういう条件というのは一いままで全国各地でそういう港湾事業をやっておられるでしょうけれども、例はないでしょう。だから、こうしたことに対して、これから先形成される志布志湾港というのは、これは欠陥じゃなかろうか。もう立地条件的に問題があるんじゃないか。南東に向いている、いわゆる台風の風下に入るわけですよ。だから波はもろに来ますよ。そういう条件を少しも――ただ通り一遍でおっしゃったって、いまからのわれわれが言う新大隅開発の問題について皆さん不安をお持ちになるだろうと思うのです。そのことを指摘しておるのですよ。どうなんですか。
  91. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 私たち、自然条件の厳しいといいますか、予想されるような地域におきまして、まず外側の防波堤を先行させるということを基本的な考え方といたしておりまして、現時点におきましても、志布志港の整備をそれぞれやっておりますけれども、まず沖の防波堤を先行させるというやり方でいま進めておるところでございまして、今後はそういったことを通じて、いま先生直接御指摘の、何といいますか、港内の埠頭のそのような陥没といいますか、被災というようなものを極力避けるような施工の段取りを考えていかなければいかぬ、考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  92. 新盛辰雄

    新盛委員 それじゃ、この稼働率を、先ほど少し説明がありましたが、九九%と見ているんですね、このでき上がった姿の中でね。いわゆるこの港内における風速十五メートル、そしてまた波高二メートル以上を示す、そういう状況にありますが、大体波高二メートルと決めているのもこれは問題があるんですけれどもね。一・五メートル以下だろうと思うんだが、その中で九九%、三百六十五日の中でそういう稼働率が見られるというのはどういう根拠ですか。皆さんのこの調査書の中に出ているのだから、第四港湾建設局がつくった資料の中に。これは間違いじゃないのですか、どうですか。
  93. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 ちょっと恐縮でございますが、いまの九九%とおっしゃっている意味がちょっとわかりかねでおりますが、私たち、港湾計画を立てます場合に、港内の静穏度を五十センチ以下にする、そういったものの確率が九五%になるような防波堤の配置といいますか、そういったようなことで港湾計画を立てておるというのが現状でございまして、一般的にそのようなやり方をいたしております。
  94. 新盛辰雄

    新盛委員 海上保安庁が指針しております「大型タンカー用バースの安全性に関する指導について」、御存じですね。昭和四十九年三月二十日に出されているのですが、その中には「荒天による荷役中止およびパイプ切離し基礎については、風速十五メートルまたは波高一・五メートル以下とすること。」こうなっているのです。しかし、この計画をされる条件は風速十五メートル、波高二メートルのもとでつくっておられるわけです。そして台風が来て待避をするときに、いま現実大型タンカー等が入ってきたとしますと、これは待避能力はないでしょう。恐らく入ってきた船は近くの佐伯湾――佐伯湾だって往復所要日数が少なくとも四日はかかりますよね。こういう待避のところも定かでない、しかも船の稼働率というのは低下していくことは間違いないと思うのですよ。だから、そういうことも想定して計画をし、あるいは工事計画として実行しなければならないはずのものなんですが、それがなされてないというのはどういうことなんですか。
  95. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 先生いまお話の中に出ました風速十五メートル、波高二メートルという基準は、タンカーの場合の基準であったかと記憶をいたしております。先ほど私が五十センチ未満の確率が九五%になるようにと申し上げましたのは、特に公共港湾と申しますか、志布志港の例のような、どんな船でも受け入れるために計画する場合には、より小さな般用のことも考えなければならぬといったような側面もこれありいたしまして、いま申し上げたような数字を計画上の基準といたしておるわけでございます。  さて、一般的に港内に停泊しております船が台風等に見舞われました場合に、やはりそれは港外に待避することが一般的でございまして、各港、港の実情に応じまして、関係者との協議のもとに一定のルールのようなものをつくっておりまして、そして必要なところへ、安全なところへ待避をするという形を通じて、大型船の台風時の安全対策としているというのが一般的でございます。
  96. 新盛辰雄

    新盛委員 五十三年十月に鹿児島県が発表しました「志布志港港湾計画改定大綱」というのに、防波堤計画とか航路、泊地計画、その内容が微細に書いてあります。これは小型の漁船だとかあるいは船だとかおっしゃっていますが、最大対象船舶一万五千トン級、航路幅員二百五十メートルという、いわゆる本港区の航路についても計画としては出ているのですね。それに対応する港でなければならぬわけでしょう。だから、いまおっしゃったような状況でいきますと、現実に避難をする期間はかかる。そしてまたタンカーで運んでくる。仮に何を運んでくるにしましても、その稼働率というのはまさに大変な減少になるのじゃないか。三百五十日だとすれば二百日だ、百日になるかもしれない。これは台風が六月以降すっと来るのですから、その間じゅう稼働ができないのですからね。経済性という問題にもつながるのですよ。そういう状況を踏まえてそのことを指摘しているのですから、このことについては明確に工事施行上の問題として、工事施行との関連があるのですから、計画をただ進めていけばいいというものじゃないのですよ。こういう欠陥を前もって予知してそのことを補うというならいいのですが、それがそうなっていないというのはやはり問題がありやしないか。だから、こういう計画については新大隅計画の一環としてただ継ぎはぎの形で計画をされたのじゃありませんかと、結論はそういうことです。どうですか。
  97. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 若干繰り返しになって恐縮でございますが、計画に当たりましては、先ほど来申し上げておりますような考え方のもとに計画を立て、そして施工に当たりましては、残念ながら今回手戻りは起こりましたけれども、このようなことのないような工法ないしは工程でもってやっていかなければならぬ、かように考えております。  さて、志布志港の計画につきましては、私たち志布志港に当面要請される課題に応ずる形で港湾の計画を策定をし、その計画に基づいて現在事業を進めているということであることを御理解賜りたいと存じます。
  98. 新盛辰雄

    新盛委員 もう時間がありませんから、そのことだけにこだわるわけにはまいりません。  ただ一つ、運輸省に聞きますが、経済団体連合会が四月二日に沖合い人工島という運輸省の委託で五十五年六月に調査されまして、海岸から三キロから十キロのところに人工島をつくる、これは石油、石炭備蓄、発電所、こういうものをやがてつくろうという、まあ要請があったのは国家プロジェクトでやったらどうか、いわゆる開発の一環であります。このことについては新聞で見ただけですから、技術的に困難性がある、漁業補償の問題もある、環境問題も起こってくる。こういう人工島をつくるにしても、その規模によりけりですが、最低七千億はかかるんだ、とてもできっこないのじゃないか、運輸省はそういう見解を漏らしておられるのですが、港湾技術の面から見ましてこのことについてはどう判断しておられますか。
  99. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 この構想につきましては、正直申し上げまして、現在私たち検討中ないしは勉強中の問題でございますので、余り明確に結論めいたことを言うのはいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、わが国の臨海部におきまして土地利用の状況が非常に稠密になってきているということにかんがみたときに、海域の高度利用を図りながら、またさらに臨海部の環境保全を図るというふうな観点で、今後の港湾のあり方についての課題として技術的な検討を進めていっているものでございまして、今後もこれの検討を進めていきたい、かように考えているところのものでございます。
  100. 新盛辰雄

    新盛委員 続いて石油公団――その前に通産省のエネルギー備蓄関係についてお尋ねしたいと思います。  現在国家備蓄計画として進めておられることについては、資料もいただきましたので、内容についてはもう省略をいたしますが、これからおやりになる備蓄計画について特に、地下方式、半地下方式あるいは洋上タンクの備蓄、まあいろいろございますね。いまの沖合い人工島の問題も関連があるのですが、いまの計画、第三次フィージビリティースタディー、いわゆるFSプロジェクトの中で、志布志、新潟の東港、さらには男鹿のプロジェクト、この三つが第三次ということになっていますね。中でも男鹿プロジェクトは用地面積約百ヘクタール、備蓄量五百万キロリットル、新潟東港プロジェクトは約百から百四十ヘクタール、備蓄量二百万から三百万キロリットル、志布志は用地面積百二十から二百二十ヘクタール、備蓄施設容量が五百万から一千万キロリットル、こういうふうになっているのですが、これは間違いないのですか。
  101. 米村紀幸

    ○米村説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
  102. 新盛辰雄

    新盛委員 それで、この備蓄の方法等について、FSというのを六月ごろに結論を出すということになっているようでありますね。これまで屋久島とか馬毛島とかあるいは金沢港とか、まだございますが、第二次計画でおやりになりましたね。その中で、屋久島とか金沢港は立地条件が悪かった、経済性が伴わないということで、一応、計画変更だか何だかわかりませんが、備蓄方式について変更があったように聞いているのですが、その理由はどういうことでしょうか。
  103. 米村紀幸

    ○米村説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいましたとおり、屋久島と金沢港につきましては多少難点があるということで、いまプロジェクトを進めることは見合わせているわけでございますが、尾久島は御承知のとおり大分遠隔の島でもございまして、建設工事その他を進める上でもいろいろ問題があるというような状況もございました。  それから、金沢港の場合には、予定していたような用地規模がとれないのではないかというような点もございまして、総合的に判断しまして、少し見合わせて、さらに検討を続けた方がよろしいのではないかという状況になっております。
  104. 新盛辰雄

    新盛委員 ここでやりとりしていますと時間がございませんから、なぜこうなったかという資料をくれませんか。いわゆる立地条件が非常に悪いとか、あるいは水深の問題、その他いろいろありましょう。施工上の能力の問題等もございましょうから、それを資料で提示してください。いいですね。  それで、これからの問題でありますが、各備蓄方式、いろいろございますね。まず通産省としては、地下方式を選ぶのか、陸上、洋上、そして半地下方式、いろいろございますね。主力はどこに置かれようとしておるのですか。
  105. 米村紀幸

    ○米村説明員 お答え申し上げます。  国家備蓄につきましては、先生御案内のとおり、五十三年度からスタートしたばかりでございまして、まだ日もたってないわけでございます。私どもといたしましては、三千万キロリットルの油をできるだけ早い時期に積み増しをしたいということで、石油公団の方で鋭意努力しているわけでございますが、結論的に申し上げますれば、どういう方式であれ、地元において受け入れの御意向がありまして、かつ安全面、技術面においても問題がないというところでありますれば、一日でも早くできるところからやっていきたいというのが本音でございまして、いろいろの方式をいま検討しているところでございます。
  106. 新盛辰雄

    新盛委員 ずばりお答えいただきたいのですよ。それはいろいろな方式を地元の皆さんの希望に応じてということですけれども、いま現に、愛媛県ですか、菊間町で横穴水封式の実証プラントをやっておられるでしょう。これは二万五千キロリットルの状況を見てですね。これが一応秋に完成するという予定ですね。だから、この結果を見て、地下備蓄基地がこれから可能だとすれば、その方向に向くというふうにわれわれは推測するのですよ。そしてまた、いろいろこの方式には、横穴水封式とかあるいは横穴巻立式だとか、縦穴巻立式、いわゆる岩盤を利用して備蓄する。洋上の備蓄はタンカーでもって現にもうやっています。あるいは陸上の備蓄については、これは民間ですけれども、私の鹿児島県の喜入基地が世界最大のものがある。それを超える今度の備蓄計画なんですよ。だから三千万キロリットルの備蓄体制をおつくりになるそのやり方として、それぞれ区分しておつくりになるのですが、何が最も正しいかということについては、その採算性を考えて計画は立てるべきなのであって、そのことが――地元の皆さんの要望ももちろんあるでしょう。景観の問題がありますから、後ほど環境庁にお聞きしますけれども。そういう状況と、また洋上の場合、漁業補償の問題が発生しないように、あるいは横穴式の場合だって、岩盤がしっかりしているところをどう探すか、こういう問題もあるわけですからね。そういう中で、これからの備蓄体制として、半地下方式とかあるいは地下方式とか、そういうものに主力が向けられるのじゃないだろうか。これほど公害の問題とか環境の問題でうるさくなってくればそういうことになりはしないかという気持ちがわれわれはするのですよ。その是非の問題は別ですよ。どうなんですか、どっちに向いているのですか。
  107. 米村紀幸

    ○米村説明員 お答え申し上げます。  国家備蓄に関する限りで考えますと、三千万キロリットルの油と申しますのは、貯油率の問題がございますので、器としては四千万キロリットルあるいはそれを若干上回るぐらいの規模のものをつくっていかなくてはならないだろうと思われます。そうしますと、約十カ所ぐらいの場所が必要になってくるわけであります。そういたしますと、いま私どもが手がけております、先生いまおっしゃいましたような洋上備蓄の方式、それから地下備蓄の方式、半地下による方式、結論的には全部それぞれの地域に応じて最も適切なものを進めていかなくてはならないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  108. 新盛辰雄

    新盛委員 参考までにお聞きしますが、この一キロリットル当たりの採算性の問題でどの程度お考えになっているのですか。われわれ、洋上方式でいきますと、一キロリットル当たり大体三万円前後、こう踏んでいるのですよ。これでそのヘクタールと備蓄量とを考えていけば、およその金額は、国家財政の規模というのは出てくるわけですね。だから、補償の問題等もありましょうけれども、それを入れて一キロリットル当たり三万円前後となっているのですが、そうですか。
  109. 米村紀幸

    ○米村説明員 お答え申し上げます。  五十三年度にスタートいたしました第一次の調査段階での検討地点につきましては、おっしゃいますとおり、キロリットル当たり三万円程度という結果が出ております。
  110. 新盛辰雄

    新盛委員 次に、石油公団の皆さんに参考人でおいでいただいていると思いますのでお聞きします。  エンジニアリング振興協会という機構がございますが、この機構の目的は何であるかということをお聞きしましても時間がありませんので、結論から申し上げますと、これから第三次のFSをやられるその内容について、技術的に経済的に、そして現地の意向というもの、そのことを加味し、さらに何よりも現地の気象条件、こういうことについて重きを置かなければならないと思うのですが、この調査目的、いわゆる内容を簡潔に教えていただきたい。
  111. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 いわゆるFSの調査目的につきましては、第一次的には、地元の地方自治体からの御要請を受けまして、石油公団が適地可能調査をやるわけでございますが、このいわゆるエンジニアリング振興協会には石油備蓄に関連する事業をやっております相当高度の技術を持った企業の会員を擁しておる団体でございますので、第一次のFSから継続して実施をお願いしてまいっておるわけでございます。  それで、何しろ非常に短い期間でやる調査でございますので、大体の粗見当をつけるということがこのFSの目的でございまして、これで大体いけそうだということになりますればさらに詳しい調査を追加してやっていくという仕組みでございます。今度の大隅の志布志につきましても、重点は、先ほど御議論がございましたような運輸省なり各省の集積された相当のデータがございますので、それをもっぱら活用いたしまして、足りない面をできるだけ新たな費用を投じてやるということでございますので、概査的な調査内容が目的になっておるわけでございます。
  112. 新盛辰雄

    新盛委員 その主たる調査目的は、鹿児島県側から要請があるのはいわゆる出島方式ですね。出島をつくってその中へ半地下方式の備蓄タンクを設けるという前提になっているのです。そのことは御存じですね。  それで、具体的に聞きますが、私きょう、その場所の海図を持ってきたのです。つくられようとする二百三十ヘクタールの個所ですね、約七十万坪であります。海岸から約一キロ沖。大体予定される個所を引いてみましても、どの位置に置きましても、水深の高低というのは大変なものですね。六メートルから十メートルです。そして、今度おつくりになろうというタンクの地上部分が水面から約四メートルから六メートルというのですよ。これは平波のとき、静波のときです。ところが、一たん台風が来ますと十五メートルから二十メートルを優に超す。そうすると、この地上に見え隠れするタンクは全部すぱっと波の下に入る。これでは一千キロリットルも備蓄するタンクを押し流してしまう、こういう危険性が素人なりに考えても出てくるのですが、どうですか。この地図を見てください。
  113. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 この地域につきましては、先生が御指摘になったような地形にあり自然条件にあるということはわれわれも心得ております。その前提に立って、果たしてうまくやれるのかどうかということがまさにわれわれの関心の最重点項目でございまして、その辺がまさにこのFS、並びにさらに足りなければ今後の調査を追加していく、その間にもいろいろ問題があろうかと思いますけれども、この気象条件、海象条件に適合して経済性としてやり得るかどうかということが調査項目の非常に重要なポイントであろうか、こう考えております。
  114. 新盛辰雄

    新盛委員 そして、立地条件すべてにわたって環境庁からの厳しい規制があって、ここは国定公園なんですね。国定公園の中で備蓄をするためのFSの調査ができるのは恐らく初めてじゃないですか。だから、それだけに現地の反対も強いわけです。  それで、技術的な問題はまた次回におくとしまして、この出島方式というのは約七十万坪のものをつくっていくのですね。つくった上に、海底の下にまた穴を掘って、そして二十メートルぐらい海底を掘っていく。そしてその上を土砂でもって埋め立て、十メートルぐらい出しますね。海面が出てきます。その上にまた五、六メートル、タンクの上が出てくる。こういうことは日本の港湾技術をもってしても恐らく全く前代未聞のことでありまして、青函の海底トンネルをつくっている皆さんは、おれたちは大丈夫だ。私も技術者ですから皆さん方がおやりになることに信頼をしますよ。しかし、これはかつて見ない問題でありまして、だからこのことについては、ただ地元の要請要請ということだけじゃなくて、地元の皆さんだってまだこの地域における開発を石油備蓄という形では御存じないのですよ。一号、二号の用地の拡大と、さっき申し上げました千百六十ヘクタールですか、そういう中の総合の一部として出てくれば新大隅開発の一部として受け取るのですが、ここだけでも漁業関係者を含める問題提起を図らなければならないのでありまして、現地ではこの間選挙が済んだのですが、あの選挙の結果は結局は賛成派の方がよかった。しかし、この間、鯨岡長官にもそのことを申し上げたのだけれども、現実三五%から三六%の皆さんが反対の方に意思を表明した。特に、この東串良地域の皆さん方のそういう粘り強い反対の意思というのは強いのです。だから、これはひとつ慎重にやっていただきたいと思うのですが、どうされますか。
  115. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 先ほど政府側から御答弁がございましたように、石油公団は、三千万キロリットルの油の入る基地を早急につくれという御命令がございまして、それを実現するといたしますと、苫小牧とかむつ小川原のようないわゆる平地にタンクをつくるということのみをもってしては、とてもこの日本列島の中では適地はございません。したがいまして、やむを得ず洋上備蓄とかあるいは地下備蓄とかいろいろな新しい技術を取り入れながらやらざるを得ないというのが実態でございます。  したがいまして、従来方式以外の新しい岩盤備蓄にいたしましても、これは新しくまた国家基準をつくらなければいけませんし、それから洋上備蓄につきましても、これはまた新しい基準をつくらなければいかぬ、そういうことを踏まえながらやっているのがこの国家備蓄の実態でございまして、この志布志につきましても、いろいろな問題があることを私も十分承知いたしております。しかし、なおかつわれわれがFSをやらなければならないゆえんのものは、その三千万キロを実行するためにはそういう地点も一応調査せざるを得ないということでございまして、問題意識を持ちつつやらざるを得ないわれわれの立場もございますので、その点は御了解を賜りたいと思います。
  116. 新盛辰雄

    新盛委員 それで、ここに関係の通産大臣でもおれば聞きたいのですけれども、そういうことの技術的な調査をされまして、やはり民意も反映しなければならない。そのことを考えていけば、現実これからのこういう巨大な備蓄計画というものに対して、法律も石油備蓄法ができたのですから、われわれも決して備蓄をせぬでもいいということを言っているのじゃないのですけれども、そういう形の中で、この地域だけは、国定公園の中でもございますし、また現地の皆さんも反対しているのですから、ぜひひとつそこのことは心に置いてこれからのその結果を、大体六月ごろとおっしゃいますので、何か作為的に、ある政治家の圧力によってとかそういうことにならないようにお願いしておきます。  次に、漁業関係者の条件についてお聞きしますが、水産庁からも漁場保全課長が来ておられるようですから。この地域の東串良を中心にした関係個所は、もう御存じのように特産品であるチリメンジャコ、いわゆるバッチ網漁業によって生計を立てておられる方々があるわけですね。そういう漁獲をもって生計を立てておられる方々は、こういう開発によって事態が変わってくるわけです。開発と漁業保護、これについて水産庁、どうお考えですか。
  117. 川崎君男

    川崎説明員 お答えいたします。  この地域、鹿児島県の志布志湾関係大漁協で、五十三年の統計によりますと、一万八千トンぐらいの水揚げがなされている。あと指摘のありましたチリメンジャコをとっているバッチ網でも千七百トン程度の漁獲を上げているというところでございます。こういうふうに沿岸というのは漁業の非常に重要なところでございますので、水産庁といたしましては、こういうような計画につきましては、漁業に対する影響を最小限にするための対策が講じられるとともに、地元関係漁業者の理解と納得を得て取り進められることが必要じゃないかと考えております。
  118. 新盛辰雄

    新盛委員 確かに、現地の実情というのは、漁場がまず消失をするのじゃないか。そしてまた海流の変化によって、島ができることによって魚介類への影響が大きく出てくる。あるいはまた浅海、近い海の植物、プラントの消滅につながる。魚介類の産卵場あるいは生育場の消失につながる。また、工事が発生をしますと、工事中の海水汚染による漁業への影響は欠きに大。最近、漁業補償、漁業補償ということで、すべて金をばらまいてしまえばすぐ事が解決するというわけにはいかないのです。日本の食糧問題を大所高所からながめなければならない段階ですから。そういうことに対して、ただ一概に漁民の納得を得てという、漁業補償で札びらでほおをたたく方式は、もはやいまのこうした厳しい状況下にありますだけにできないと思うのです。そういうことに対して開発側の石油公団はどうお考えですか。
  119. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 われわれの備蓄基地は、当然のこととして港湾の建設も伴いますので、必ず漁業補償が出てまいります。これにつきましてはいろいろ問題があることは私たちも承知をいたしておりますけれども、現実の解決方法といたしましては、やはりその土地土地に応じました補償の方式というものがローカルのルールとしてございまして、ある程度やはりそれに沿っていかざるを得ないというのが実態でございまして、この是非についてはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、われわれは早急に事態を解決して前に進まなければならないという面もございまして、その点につきましてはなかなか理想どおりにいかないというのが率直な感じでございますが、とにかくわれわれはできる限り誠意をもって事に当たるということを私は基本にして考えておりますので、御理解をいただくということがお金の問題よりもまず先決する大きな問題だろう、こう考えております。
  120. 新盛辰雄

    新盛委員 それで、そういうところが難関だ。だから、その反対の人たちをごり押しに、いわゆる県がお進めになるから、これは県議会が決めれば、そのとおり民意を反映したという種のものではない。このことはひとつ念頭に置いていただきたいと思う。そして、こうした計画をされる場合に、これだけ小型底びき網だとか、まき網、刺し網、バッチ網、定置、はえなわ、釣り、いろいろとあります。これは一万八千トンの漁獲を上げておられるわけですから、そういう方々のいわゆる生計を破壊することのないように、いまの段階で私はもう第三次はおやめになったらどうですか、もっと別のところをお探しになったらどうですか、こう言いたいのですが、それはいま調査に入っておられるのですから、六月の結論を見て、これからまた議論をしたいと思います。  そこで、環境庁長官、長いことお待たせしましたが、最後ですから。  この間、予算分科会でやりとりをしましたが、実はどうも私どもすっきりしないのです。長官は景観を侵さなければ、開発というのも至上のものである、しかし、だからといって、この自然保護あるいは白砂青松のこの国定公園を破壊するようなことをしてはならないんだ。これは環境庁は一貫して主張してこられましたね。しかし、今度の出島方式については、ちょっと条件つきというか態度がぐらぐらっと変わっているやに思われるのですよ。このことについて、実はいち早く地方議会ではこんな議論がされています。国定公園指定解除は一本筋ではないんだ。これは解除せずとも、普通地域あるいは特別地域というのがありますが、これは普通地域の場合は知事の届け出で、五十ヘクタール以上の場合は環境庁の承認を得なければならない、打ち合わせをしなければいけない、あるいは自然環境保全審議会に語らなければならない。しかし、特別地域の場合は知事の許可で二十ヘクタール以下はできるのですよ。それ以上のことについてはまた環境庁と相談をしましょう、こういうふうに区分けがしてあります。そういう中で、解除せずとも、三号用地、いわゆる二百三十ヘクタールの埋め立ては可能だ、このことを地元の知事は鮮明に示唆されているのです。これは正しいのでしょうか。まずそこからお聞きします。
  121. 正田泰央

    正田政府委員 事務的なことでございますので、先にお答え申し上げておきますが、いま御紹介のありましたケースはいろいろございますが、基本的には確かに指定解除の問題は現在は考えられないと思っておりますが、現行法の枠、つまり自然公園法という法律の枠、この中では先生いま御紹介になったとおりのシステムがいろいろございます。たとえば特別地域、浜に密着してつくるという場合には、二十ヘクタール以下の許可は本来知事の権限でございますが、二十ヘクタール以上の場合は環境庁長官に協議しろというような仕組みにはなっております。
  122. 新盛辰雄

    新盛委員 長官、これまで志布志湾の港湾計画改定が出されまして、運輸省が一部認められて、大規模の――大規模までいきませんが、いま護岸工事が行われておるということで、環境庁の中島自然保護局計画課長さんのお話がございます。どうしても国定公園がこんなふうにしてなし崩しにやられたのではどうしようもないというので、この発言に対して、あるいは長官が断固として、やはり国定公園は国定公園であるし、環境保全のためにこれを解除する気はない、そういうことをおっしゃれば、地元の特に政治力のある人たちが、いや、閣僚の首や一役人の首ともはすげかえてもやる、やれるんだという、こういう暴言まであるのですね。これは選挙目的にやったのだから、われわれも目くじら立てる必要はないんで、ただ、そういうふうな言い方をされたのでは、お役所考え方環境庁方針も、長官として立つ瀬はないと思うのですよ。私はこういう面から、いまアセスの問題で自民党内部でもいろいろと議論があるようでありますが、後退に次ぐ後退でアセス法案を出してもらったのでは困るのですよ。だからそれよりも、いま現実こういう志布志湾開発という問題の中でその焦点がしぼられてきていると思うのです。だから、このことについてぴしっと、これは長官の方からぜひひとつ決意を聞かせていただきたい。政治生命をかけてというところまでいけばなおいいのですが、まあ後々いろいろあると思いますから、このことについては、私は、いまのアセス法案を出すとか出さないとかの問題ではなくて、いまここでハードルは環境庁、そのことをみんなが見守っているという気がしてならないのです。長官、いかがでしょう。
  123. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 このことについてはきわめて明瞭なんです。私の考え方は少しも変わっておりません。  先生承知のとおり、国定公園は、環境庁長官関係都道府県の申し出によって審議会の意見を聞いて区域を定めて指定した。知事さんの申し出によってこれは決めたのです。そして国定公園になっているのです。国定公園というものは、自然環境保全法の第二条の基本理念に基づいて、すなわち、これは申し上げるまでもないことですけれども、念のために申し上げておきますが、「自然環境保全は、自然環境人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、広く国民がその恵沢を享受するとともに、将来の国民自然環境を継承することができるよう適正に行なわれなければならない。」というその理念に基づいて、この志布志のすぐれた自然の風景を保護し、その適正な保護が図られるように、国や地方公共団体や公園の利用者はそれぞれの立場からこれを努めなければならぬ、それが責務である、こういうふうに明瞭になっているのです。ですから、具体的に、あの白い浜があって松林がずっとあるというところを壊して、そこへ備蓄の基地をつくったり工場をつくったりということにするのならば、改めて公園の指定を解除してもらいたいということを言ってこなければならぬ。その意思はない、こうなる。その意思がないならば、そこの辺をほじくり返すことは困ります。これは明らかなんです。そうでしょう。そうすると今度は、あれは公園の指定は海のところ一キロなんですね。その一キロの外の方に出島方式というものを考える、こういうことなんです。  そこで、先生もそう言っておられましたが、私も全く同感なのは、わが国の事情から備蓄基地がつくられなければならぬことは、どこへつくるかは別として、どこかへつくらなければならぬことはもうこれは否定できない。しかも、陸地だけではとてもできないから、海の中へつくらなければならぬとか、半地下式、いろいろ考えておられる、その御苦労を多としますが、いま申し上げたようなところの沖合いの方に島をつくるということで、それで、私は科学者じゃありませんからわかりませんが、備蓄の基地ができるのかできないのか、そして景観を害することがないのかどうか、それはまだ何にも話はない。そんなことでやったらどうかということだけで、専門家もよくわからないようなことですから、われわれとしてはわからない。ただ、聞くところによると、遠くの方から見ると、瀬戸内海や松島みたいに、どこか島がある、そばへ行ってよく見ないと、それが石油の基地であるかどうかわからないぐらいのものにこしらえることができるんだと言うから、それはおもしろいものができそうだな、そんなものができたらどんなことになるのかなあと思っているだけの話で、ただ興味本位に考えているだけの話で、まだ何にも出てこないですから、出てくれば、海上の関係がどうなるのだろうとか、まあお魚の方は直接私の方の仕事ではないですけれども漁業補償の問題はどうなるのだろうかとか、そういうことに対して地元住民はどう考えているのだろうかとか、そういうようなことはまだ全然わかりませんから、ただ私どもは、そういう計画が具体的にどんなものだろうといって、われわれに相談が早く来ればいいな、こう思って待っている、こういうことでございます。
  124. 新盛辰雄

    新盛委員 それでわかってきましたが、興味本位の程度で、出島方式、半地下方式というので、環境上の見てくれば余りそう損なわなければなあ、そう思っただけのことで、長官としては、それはまあ感想として、そういうことを進めておられるが、私のところに相談が来ないので――もし相談が来たとして、これはもう現実に半地下とか出島、一キロ沖、こうなったにしましても、地図を持ってきましたが、このとおりそれは見てくれの問題じゃないですよ。現実に環境が汚染される。だから、これは興味本位という程度にしか認識しておられないけれども、本質は、いま冒頭おっしゃっておられるように、いわゆる自然環境破壊するようなそういう施設をしてはならない。そしてまた現実に、こうした国家要請に基づくものではあるけれども、現地の皆さん方も、新大隅開発関係の写真を持ってきましたが、これはこういうふうに反対しておられるということを実証して申し上げているのじゃないのですが、実はこの計画を進められる中で、賛成派が、ちょうどこのFSの事前調査隊員が来たときに、物すごくその日にただ賛成賛成の立て看板を立てたというのです。これはその地域の皆さんですが、反対の方の皆さんの運動の形態であります。  だから、非常に心配しておられるのですよ。長官は私どもを守ってくれる、守ってくれるのならば、その上から、これからどういうふうにしていくんだというその心づもり、生活の基盤、そういうものについて、これから具体的になっていった場合に、いろいろと反対をされるのは反対でしょうし、また賛成もあるでしょう。しかしこの賛成の方々も、現にこんなふうになるとは思っていないのですよ。だから、このことについて、民意の反映というのはどうすればいいか、このことを私どもとしては非常に心配しておるのであります。  だから、この中島さんがおっしゃったこともあなたがおっしゃっていることも一貫して変わりはない、こう受けとめてよろしいのですね。
  125. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 中島さんとおっしゃいましたけれども、それはよくわかりませんが、私がいままで言っていたことは一貫して変わりありません。
  126. 新盛辰雄

    新盛委員 ここに自然保護局の計画課長は来ていらっしゃいますか。
  127. 鯨岡兵輔

    鯨岡国務大臣 わかりました。それは私のところの課長ですから、これはもう彼の言ったことは私の責任ですから、変わりありません。
  128. 新盛辰雄

    新盛委員 変わりありませんね。  長官の非常に心強い御見解をいただきましたので、これから後、FSの調査結果によってそれがねじ曲げられた形の中の立地条件可能ということじゃなくて、もっとみんながわかりいい、これは絶対的に安全が保たれるし、あるいはまた、現実に環境を侵さないというような形の中にあれば、私は、九九%そうはならないと思うのです。最初からこれは三菱がとりかけたのですよ。ところが三菱は見て、これほど欠陥だらけの計画はないとして手を引いたのですよ。そういう経緯もあるのです。それをこの地元の方で、一部の皆さん方からと言えば語弊がありますから、いま県議会としての意思――知事を通じてやってきておられるけれども、これは計画にそごを来すんじゃないかと憂えているのは私一人じゃないと思うのです。先行き非常に心配しているから、私は技術的な問題からこうしたいろいろな条件を申し上げたので、ただ頭から反対とかなんとかと言っているのじゃないですから。国家の要請です。しかし、そういう現実に不可能なことはおやめになっていただきたい。これはいわゆる可能性調査ですから、可能性調査ということは、可能にするためにやらなければならぬでしょう。  このことについて、最後に公団の方からひとつぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  129. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 いま御指摘のあった点を十分にわきまえまして、検討させていただきます。
  130. 新盛辰雄

    新盛委員 終わります。
  131. 山崎平八郎

    山崎委員長 次回は、来る十日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十分散会