○渡辺(朗)
委員 吉田議員の後を受けまして、お尋ねをいたしたいと思います。
総理が訪米からお帰りになりまして、その後一連のさまざまな
事態が起きました。これにつきましては、実は内外の新聞にも大きく報道されております。中には、その論調の中で、こういうことによって
日米間の亀裂が生じるのではあるまいか、あるいは
信頼関係が揺らいでいくのではあるまいか。そしてまた、外国の新聞を見ておりましたら、こういうことすら言っていて、私はまことに残念に思いました。それは、
日本の記者クラブかどこかでの
お話のときに、総理に向かって、うそつきという言葉すら使われた、一国の総理に対してそのような言葉が使われるというのは、これは珍しいことだ、そんな
記事が海外の新聞に出ている。まことに残念に思います。
私は、総理は非常に苦労しておられると思う。そうであるならば、ここでそういう言葉が使われるような、あるいはそういう
記事によって
日本の国のイメージがダウンするというようなことになっては断じてならないし、私は、率直な
意見をもっともっとおっしゃっていただいて、悩んでおられる——いまも質問者でございました吉田議員とも、実はどのような姿勢で御質問をしていこうか、
協議したのです。そのときに、せめてここでいまの虚構の上に虚構を重ねていくような御返答をいただくのではなくて、
国民とともに、いまむずかしい問題にぶつかっているのだから、一緒に
考え、一緒に悩んでいるそのお姿をぜひひとつ示していただこう、これを示していただくことによって、言えないこともあるだろうし、われわれはそれは理解しようというような
話し合いも実はしてまいりました。
そういう気持ちで、いま
日本の
国民が政治に対して不信感すら持ち始めている、非核三
原則、
日本国民の悲願です、これが揺るぎ始めているということをはだで感じています、こういった問題に対して、総理あるいは
関係閣僚の方々の率直な御
意見を聞くことによって、
国民の中に真実を、あるいは一緒に悩んでいく、
考えていくその姿勢を打ち出していただきたい、こういう
立場から質問をさしていただきたいと思います。
さて、第一番目に、私、どこからこういう
国民の不安感、不信感がいま出てきているのであろうかということを
考えるとき、
一つには、
わが国の非核三
原則、
日米の事前
協議制、こういったものにつきまして
日本と
アメリカの解釈の仕方が違っているから、そこから出てきているのじゃあるまいか。違っているのを無理につじつまを合わせようとすること、これがほころびるところに不信感が出てきたのではあるまいかという気持ちを私は持っております。
たとえば
アメリカ側のラロック発言、あの問題が起こった後、そしてまた、今日の核持ち込み問題がいろいろ論議されている、このことにつきまして、総理は、
アメリカ側の元高官による核持ち込み発言、そういったものについてはあくまでも伝聞に基づく一私人の発言として扱っておられる。そしてまた、ラロック発言に関連して当時のインガソル国務
長官代理が示した見解、これを確認したから、事前
協議については改めていまさら確認するつもりはないのだということを繰り返し言っておられます。
しかし、インガソル国務
長官代理が当時の安川大使でございましたか、それにお示しになった見解、この中身を読んでみますと、これは佐藤・ニクソン
共同声明の第八項を引用しております。その八項では、
日米安保条約の事前
協議について、実は私、大変気になる言葉がございます。この解釈については、これはむしろ条約
局長か
アメリカ局長に先にお尋ねをしたい。後で総理にも御見解をお聞きしたいと思いますが、この事前
協議について八項のところを引用して、こういうふうに書いてある。
「
総理大臣は、」佐藤
総理大臣は、「核兵器に対する
日本国民の特殊な感情及びこれを背景とする
日本政府の
政策について詳細に説明した。これに対し、
大統領は、」当時のニクソン
大統領は、「深い理解を示し、」そして「
日米安保条約の事前
協議制度に関する米国
政府の
立場を害することなく、」ここでございます。「沖繩の返還を、右の
日本政府の
政策に背馳しないよう実施する旨を
総理大臣に確約した。」たとえばここでなぜ「米国
政府の
立場を害することなく、」という言葉が挿入されてきているのか。
ここら辺は、英文で読んでみると——私は英語は余りよくわかりませんから、
アメリカ人に読んでもらいました。そして、口語体に訳してもらいました。ここは「ウイズアウト・プレジュディス・ツー・ザ・ポジション・オブ・ジ・ユナイテッド・ステーツ・ガバメント」という言葉になっています。これを訳してもらいましたら、ちょっとこの解釈じゃないのですね。
というのは、私、
外務省に聞けばよかったのですけれども、この間から
共同声明の訳文を見ても、
日本向けに訳しなさるときには水増しになって訳されて出てくるような場合が往々にしてあります。ですから、
アメリカ人に一遍聞いてみました。そうしたら、確かに佐藤総理はこう言っておられるのです。
日本国民が核兵器に対する特殊な感情を持っているということをるる説明しておられる。わかりましたとニクソン
大統領は言った。だけれども、それはそれとして、
自分の
立場を変更することなく、いいですか、
自分の
立場を変更することなく、事前
協議に対しては臨んでいきますよというふうな理解になってくるわけです。これをどのように御解釈になりますか。
アメリカ局長でも、伊達
局長でも、どちらでも結構です。