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1981-06-03 第94回国会 衆議院 外務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年六月三日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君    理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石井  一君    石原慎太郎君       上草 義輝君    太田 誠一君       北村 義和君    小坂善太郎君       佐藤 一郎君    竹内 黎一君       中山 正暉君    河上 民雄君       林  保夫君    金子 満広君       瀬長亀次郎君    野間 友一君       田島  衞君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 塩田  章君         外務政務次官  愛知 和男君         外務大臣官房審         議官      栗山 尚一君         外務大臣官房審         議官      関  栄次君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省情報文化         局長      天羽 民雄君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      久保 邑男君         外務大臣官房外         務参事官    小宅 庸夫君         郵政省郵務局次         長       永野  明君         郵政省貯金局第         一業務課国際室         長       松田 欣治君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     上草 義輝君   金子 満広君     瀬長亀次郎君   田川 誠一君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     石原慎太郎君   瀬長亀次郎君     金子 満広君   田島  衞君     田川 誠一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国政府オランダ王国政府との間の文化協  定の締結について承認を求めるの件(条約第二  一号)(参議院送付)  日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化  協定締結について承認を求めるの件(条約第  二二号)(参議院送付)  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結  について承認を求めるの件(条約第三号)(参  議院送付)  小包郵便物に関する約定締結について承認を  求めるの件(条約第四号)(参議院送付)  郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締  結について承認を求めるの件(条約第五号)(  参議院送付)  郵便小切手業務に関する約定締結について承  認を求めるの件(条約第六号)(参議院送付)  日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国との間の郵便支払指図の交換に関  する約定締結について承認を求めるの件(条  約第一三号)(参議院送付)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  日本国政府オランダ王国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件及び日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣園田直君。
  3. 園田直

    園田国務大臣 ただいま議題となりました日本国政府オランダ王国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  オランダ王国は、地理的にはわが国から遠く離れておりますが、歴史的に見ますと、徳川幕府鎖国政策にもかかわらず長崎の出島を通じて流入した蘭学がその後の日本近代化に大きな役割りを果たしたように、両国間には古くから芸術交流人物交流等種々分野交流が行われてきた深い歴史的な関係があります。このような両国間の文化の面における伝統的、歴史的な関係にもかんがみまして、オランダ王国との間に文化協定締結することは、両国間の相互理解友好関係の一層の強化に資するものと考えられましたので、政府は、オランダ王国政府との間でこの協定締結交渉を行いました結果、ファン・アフト・オランダ王国首相の訪日の際、昭和五十五年四月二十二日に東京において、当時の伊東内閣官房長官外務大臣臨時代理として先方カウフマン日オランダ王国大使との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定内容は、戦後わが国締結した各国との文化協定と同様、文化及び教育の各分野における両国間の交流を奨励し、促進することを規定しております。  この協定締結により、両国間の文化交流が今後一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化協定について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国ギリシャ共和国は、ともに古い歴史と文化遺産を有する国であり、両国間ではこれまでも種々分野において文化交流が行われてきております。ギリシャ共和国は、従来からわが国との文化協定締結に熱意を示してきておりましたが、わが国としても、西洋文明の発祥の地であり、文化遺産に恵まれたギリシャ共和国との間の文化交流をさらに促進することは、意義の深いことであり、また、両国間の関係緊密化に寄与するものと考えられましたので、政府は、ギリシャ共和国政府との間の文化協定締結するため交渉を行いました結果、昭和五十六年三月四日にアテネにおいて、わが方長谷川駐ギリシャ共和国大使先方ミツォタキス外務大臣との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定規定内容は、同じく今国会締結のための御承認をお願いしておりますオランダ王国政府との文化協定と同様であります。  この協定締結により、両国間の文化関係基本的な枠組みが与えられ、ギリシャ共和国との文化交流が今後一層安定した基礎の上に促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  4. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 奥田敬和

    奥田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川田正則君。
  6. 川田正則

    川田委員 園田外務大臣には就任早々でありますけれども、次から次にむずかしい問題に直面しておりまして、本当に御苦労さまと申し上げたいわけでございますが、園田外務大臣といいますと、とにかく平和外交に徹する、人権尊重を第一義的に取り上げられる外務大臣ということで、ひとしく国民皆さん方期待をされているところであろうと思います。先般来の国会やりとりを見ておりましても、国民の側から見ますとさっぱりわけがわからないやりとりが多過ぎる、もっとわかりやすい外交を、あるいは国会の論戦をという声はずいぶん出ていると思われます。特にこのむずかしい段階を外務大臣として乗り切る、こういうことに対して、国民もひとしく期待をしているところであります。  そこで、私は、国民としてこの際ぜひとも外務大臣お話をお聞きしておきたい、これだけは国民として知っておかなければならないという問題二点にしぼって、御質問を申し上げたいと思います。  先般来、特にアメリカ問題ばかり出てきたような感じがするわけでありますが、四月の日昇丸衝突事件から始まりまして、総理の渡米、共同声明中身について、あるいはまたはえなわの分断事件があったり、ライシャワー発言があったり、ジョンソン発言があったりいろいろして、ミッドウェー、ワインバーガー発言というようなことで、焦点はいまほとんどアメリカの方に行ってしまっておるような感じでありますけれども、私は、ここで一番大切なのは対ソ問題ではなかろうかという気がするわけであります。  特にレーガン大統領が、例のアフガニスタンに対するソ連の侵攻に伴っていろいろな制裁措置をやられたわけでありますが、四月二十四日に突如として、ソ連に対する穀物輸出禁止を全面的に解除する、こういう声明がなされたわけであります。このことについては、レーガン大統領選挙公約であったとか、あるいはアメリカ国内農業法を通さなければならぬという国内事情があるとかいろいろ言われておりますけれども、そういう時点で、対ソ問題について園田外務大臣はこれからどのようにやられるのか、所信をお聞かせいただきたいと思います。
  7. 園田直

    園田国務大臣 対ソ関係についての御発言でありますから、対ソ関係にしぼってお答えを申し上げます。  わが国の重要な隣国の一つ、しかも、どのように考えてもわが国の安定、平和一こういうものに重大な影響力を持っておる一つの大きな国はソ連でございます。したがいまして、国際情勢が厳しくなってまいりましたが、外交問題すべては、大きく言えば東西問題と南北問題をどううまく処理していくかということが日本の生存の道であると考えております。  そこで、そのためには日本の平和と繁栄、安定、こういう問題はアジア及び世界の平和と安定の中に日本の平和と安定があるわけでありますから、一方的にソ連に対してもいたずらに対決を求める姿勢ではなくて、北方領土問題等非常に困難な問題もありますけれども、絶えずこれを解決する努力をしながら、一方には平和条約締結をし、真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが日本の平和でもあり、かつまた世界人類がことごとく望んでおる世界平和の基礎である、こう考えております。  現在のところ、残念ながら日ソ関係は厳しい中にあると考えておりますが、これは決して日ソ両方にとって好ましいことではないと考えております。現在の状況下においても、わが国の通すべき筋は貫く姿勢を引き続き維持しつつも、今後の対処ぶりを慎重に考えてまいりたいと思っております。
  8. 川田正則

    川田委員 そこで、さらにお伺いをしたいわけでありますけれども、このたび外務大臣は、総理とともに九日にヨーロッパの方に御出発になるわけであります。現在のヨーロッパの問題についていろいろ話し合いがなされるだろうと思いますが、アメリカの申し入れといいますか、アフガニスタンのときに日本も一緒になって対ソ経済措置といいますか、いろいろ行動をともにしたわけでありますけれどもヨーロッパ各国は、一方ではアメリカの話は確かに聞いているのですが、経済問題については全くアメリカと歩調を同一にしなくて、それぞれ経済的な対ソ関係はいままでどおりやっていたような感じでありまして、特に一昨年と去年の対ソ貿易額を見ますと、西ドイツは前年が三十億ドルであったのが四十四億ドル、フランスは二十一億ドルであったのが三十四億ドル、フィンランド、イタリア、オランダもそれぞれ対ソ貿易額が非常にふえているわけであります。  日本の場合は横ばいということでありまして、アメリカの言うことを素直に聞いて、ソ連に対していろいろ、オリンピックも辞退をしましたし、また経済的な活動も停止をしたというような状態の各国外交のしたたかさといいますか、アメリカとは一方でそういう話をしておきながら、ソ連とはまた経済的なよしみを通じている、そういうことについては非常に疑問に思いますし、このままでは、日本というのは優等生優等生と言われておりますけれども、そんなことで日本国益を守っていくことができるのであろうか。  もう一つは、アメリカに対する問題もそうですが、今回ソ連に対する穀物輸出を解除した、これも事前に日本に話があったとかないとかいろいろ言われておりますけれども、それは別問題として、アメリカでさえ突如として、向こう国内事情ソ連との輸出の問題について全面的に解除するというのはどうも信頼がおけないのではないか、そういうふうな気もするわけでございますけれども、今回ヨーロッパ外務大臣もいらっしゃって向こう各国の首脳とお会いになるわけでありましょうが、やはりその中で対ソの問題について、そういった問題にお触れになるでしょうか、それをお聞きしたいわけでございます。
  9. 園田直

    園田国務大臣 近ごろ、特に私が就任して以来日も浅いわけでありますが、次から次に日米の間に問題が起こっている。しかし、これは目の前に起こった一つ事件でありまして、関係が深ければ深いほどいろいろな事件が起こるのは予想されるところであります。したがいまして、こういう問題は日米がよく話し合って、理解と納得の上で一つずつ処理をしていくことが大事だと考えておりますが、いずれにしましても、総理がおっしゃいます平和外交、私が唱えておりました全方位外交、これは全く一つのものでありまして、これをやる基本というのは日米関係基本であり、日米安全保障条約日本安全保障基軸である、こういう点をまずはっきりしておきたいところでございます。  そこで、ヨーロッパ国々は、おっしゃるとおりいろいろ問題がございます。たとえば西独シュミット首相アメリカへ行って大統領会談をいたしました。その前には大蔵大臣外務大臣国防長官等が行っていろいろな打ち合わせをやっております。そして、自由主義陣営足並みをそろえることを主張しておりますが、帰ったらすぐ、おっしゃるとおりにブレジネフを西独に招待し、また西独からはゲンシャー外務大臣がしばしばソ連に行っておる。それから、フランスの新政権はわかりませんけれども、これもどうもいままで情報を収集したところによると、外交問題については前政権の方針を踏襲するというのが主のようであります。  これを要約して申し上げますと、やはり自由主義陣営というのは足並みをそろえて結束をかたくする、これが必要だと思います。しかし、それはソ連に対する抑止力を発揮して、そして平和を願おう、こういうのが本心であって、やはりソ連という国はアフガニスタン、ポーランドを見ても何をおやりになるかわからぬ。そこで、そういうすき間をつくらぬように足並みをそろえよう。しかし、そろえることは対決姿勢をとろうということではなくて、東西問題の主軸である米ソの間を対決から緩和の方向に持っていこうという底流があることも否めないことであると考えております。  そこで、総理のおっしゃる平和外交、私の申し上げます全方位外交、これは等距離外交ではありません。深い関係、浅い関係、いろいろございますが、そういうことで処理をする。したがって、今度の総理の御訪問は私もお供をするわけでありますが、そういうことについて会談やりとりの中に、ヨーロッパ全般としてどういう考え方を持っておるか、と同時に、個々の国々自分の国を守るためにどういう考え方をしておるか、こういうことも知りたいと思うところでありますが、なお近く行われるカナダのサミット、このサミットはやはり経済問題が重点になるわけでありますから、日本の対米経済問題は困難でありながらも進んでおりますが、ヨーロッパの方は必ずしもうまく話がついておるとは思えない。ヨーロッパの方ともよく話し合うことが大事だ、こういうことでヨーロッパを訪問される予定でございます。
  10. 川田正則

    川田委員 いまの外務大臣お話で、日米基軸として全方位外交に徹するというお話でございます。  そこで、私はもう一つお伺いしたいわけでありますけれども、確かに日本は西側の一員といいますか、自由陣営諸国一員でありますが、日米関係基軸という点に余りにもとらわれ過ぎていて、たとえば先ほどの対ソ穀物のようにすぱっと出し抜かれてしまう、そういうことが私は非常に日本国益に合わないような感じがするわけであります。  先般四月の二日に、当外務委員会奥田委員長以下理事皆さんで、マンスフィールド大使に来ていただきましていろいろ懇談をしたわけでありますけれども、そのときにマンスフィールド大使お話の一番目に出てまいりましたのは、世界において日米関係というのは非常に重大なことだ、アメリカ国民もそう思っている、日本が大切な国だということを八四%の人が思っているというようなお話をされていたわけであります。非常に日本には期待している。日本期待されている側になるわけでありますけれども、先般来の一連の問題やら何かから国民の冷静な目で見ますと、何かそこら辺に、アメリカ国民には期待されているわけでありますが、何かアメリカ一辺倒ということが、どうもいろいろな問題を起こしてもそれに日本がなかなか対応できていない、すっきりした態度でそれに受け答えしていないというような感じが、核問題を通じて全般的にあるような気がするわけであります。  そんなことで、園田外務大臣日米基軸にして全方位外交ということになりますと、いままでの外交と若干違うような感じがしないわけでもありませんけれども、その面につきましては、園田外務大臣は非常に重厚な外交をやられ、国民皆さん期待しているわけでありますから、とにかく日本国益を損なわないように大いにひとつがんばっていただきたいわけであります。  それから、最後にもう一つお聞きしたいのでありますけれども、先般外務大臣になられましてすぐいろいろな問題が起き、マンスフィールド大使、とお二人きりでお会いになられました。そのときの話の中身は、ラロック証言日本への核持ち込みの問題に対して、昭和四十九年のインガソル国務長官代理安川大使との誠実に守るといったようなことを再確認されたというふうに先般の連合審査会でもお話しされておりましたし、いろいろな機会にお話を伺っておるわけでありますが、園田外務大臣、私も中近東にお供をして、あの石油の大変なときにサウジその他と渡り合って非常に安定させていただいた、その手腕というのを私はそばにいてつぶさに見させていただいたわけでありますが、そういった外交に熟練している、そして政治歴においても大変な大政治家であると私は思っております外務大臣が、そういうインガソル安川大使との話の再確認だけで終わったような気がしないわけであります。  そのほかにいろいろな問題がありましたから、そちらの方向の話もされたのかもしれませんが、マンスフィールド大使もなかなかの政治家というふうに承っております。日米両国政治に熟練したお二人が、四十九年の相当昔の話の再確認ということだけではないような気がするわけでありますけれども、非常に失礼な物の言い方で恐縮でありますが、何かそこにあったのではないか。これはもう、私ども選挙区に帰りますと必ずそのことを聞かれます。ですから、そういった古い話の再確認ということだけでなしに、何かその辺にあったのかどうか、非常に微妙なことでありますから、こういう席ではどうなのか私もわかりませんけれども、もしありましたら一言でもおっしゃっていただきたいと思うわけでございます。
  11. 園田直

    園田国務大臣 マンスフィールド大使との会談では、前々から非常に忌憚なく話をしておりまするし、外務大臣をやめましてから一年半、この間もしばしば会っております。したがいまして、日本外交基本的な問題、私の基本的な考え方、これは知っておりますから、そういうことには言葉は余りわたっておりません。ほとんどありません。  問題は、現在目の前に横たわっておる原潜の問題、それからはえなわの問題等について私の方から率直に要求をし、あるいは努力をされるよう要請をいたしました。それから、いまの核の問題については、向こうの方から確認されたのではなくて、この問題はいままでどおり日米がやっておったが、アメリカの方はその約束をいままでどおり守りますという意思の表明があったわけでありまして、そのほかに重要なる国際情勢の分析について二人が話し合ったことは事実でありますが、これは他国に影響のあることでありますから、答弁は控えたいと存じます。
  12. 川田正則

    川田委員 時間が来ましたので、もう一つだけで終わらせていただきたいのですが、一日の参議院連合審査会の席で外務大臣は、私どももテレビを見ておりましてあっと思ったのですけれども、衆議院の連合審査会にないような意気込みで、ライシャワー発言に対してきわめて不愉快だということをはっきりおっしゃられたわけでありますが、特に強く不愉快の念を言われたのには何かわけがございますでしょうか。
  13. 園田直

    園田国務大臣 私が考えておりますことを率直に述べただけでございまして、発言は事実でございます。これが果たして現職の外務大臣として適当であったかどうか知りません。  ただ、アメリカの方ではこの発言に対して、その言葉の中で米国大国主義を出したのだという言葉があるが、あの言葉米国国民に対する言葉であるならば自分たちは憂慮する、これがライシャワー個人に対する御発言ならば別であるが、こういうことでありました。私の方ではライシャワー個人に対する発言である、こういうことでございます。
  14. 川田正則

    川田委員 終わります。どうもありがとうございました。
  15. 奥田敬和

  16. 土井たか子

    土井委員 去る五月十四日の内閣委員会議事録をきょう私は手元に持ってまいりましたが、この席で楢崎議員質問に答えて淺尾北米局長答弁があるのです。アメリカ日本にある基地の代替施設についての問題で、新規施設を提供する、施設内に新規建物工作物を提供する、そのために日本の方が経費負担をしていくということを答弁の中でおっしゃっているわけですが、これはこのとおりに理解していいのですか、どうなんです。
  17. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 そのお尋ねは、今回の共同声明とも関連して、その中にアメリカ軍施設区域に対する日本側援助について一層の努力をするということがございまして、それに関してのお尋ねでございまして、私が答弁したのは、アメリカ軍施設区域についての日本側援助と申しますか、日本側の支払いについては地位協定に基づいて行う、そこでその際に、例の大平答弁との関連で御質問がございまして、大平答弁というのは、代替施設について地位協定についての運用基準を決めたものである、したがって、新規施設区域を提供する、あるいは施設区域の中に新しい工作物を提供するということはその大平答弁運用基準適用外であって、これは地位協定に沿って行っていくことができるという答弁であります。
  18. 土井たか子

    土井委員 ちょっといまの御答弁は不明確なんですが、そうすると駐留米軍維持費について、新規建物とか工作物をつくることについても日本側がそれに対して経費負担をするということを局長自身お認めになっていらっしゃるのですか。
  19. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 これは従来もやってきておりまして、施設区域を提供するということは土地のみならず工作物を含むということであります。
  20. 土井たか子

    土井委員 従来もやってきておりましてと言っておりますが、どこに根拠を置いてそれがやられておるのですか。どこにそれをやってよろしいという根拠があるのですか。
  21. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 地位協定の二十四条を見ていただきますと、1のところで「日本国合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国負担すべきものを除くほか、この協定存続期間中日本国負担をかけないで合衆国負担することが」できる。これが一項でございまして、二項が「日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権をこの協定存続期間中合衆国負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが」できる。こうなっております。
  22. 土井たか子

    土井委員 条文をずらずらお読みになったばかりでありますが、いま局長ができるとおっしゃっているところの根拠はその二十四条のどこにあるのですか。
  23. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 地位協定の二十四条二項でございます。
  24. 土井たか子

    土井委員 二項についてはいままでずっと一貫した政府の解釈というのがあるのを局長もまさか御存じなくておっしゃっているはずはないと思うのです。私はここに調達庁が出しました「占領軍調達史」一九五六年発行の分厚い本を持ってまいりましたが、これを見てまいりますと、六百九十九ページ、第五章に「日米行政協定締結と駐留軍の調達」という部分がございまして、経費負担についての政府の解釈が述べられております。この政府の解釈を出すについては、外務省も入って施設庁が中心になって委員会をつくって、これに対する解釈を考えてこの中で述べられているわけなんですね。この解釈によりますと、当時の日米行政協定の二十五条の二項の(a)という場所がまさにいま局長がおっしゃった地位協定の二十四条の2の部分と内容は同一なんです。このこともすでに衆議院の審議の中で確認済みであるということは局長も御承知だと思います。  そこを見ますと、ここでは二つのことしか経費負担について認めていないのです。一つは借上料、一つは補償費です。それ以外の問題については何ら日本側がこれに対して経費負担をするということは認められていない。したがって、地位協定上このことは許されない。当時の大平外務大臣答弁というのは四十八年三月十三日に出ておりますけれども、実に明確にこれが政府の統一見解となって、その後当外務委員会においてこれをただすたびごとに、外務省としては当時の大平外務大臣答弁政府の統一見解として確認をして、そのとおりでございます、そのとおりに考えて運用いたしますとずっと言われ続けてきた二十四条2についての解釈があるのです。  いまここで申し上げますと、「地位協定第二十四条の解釈につきましては、」「原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する所存であります。」とはっきり書いてある。どうなんですか。これは政府の確定解釈と言っていいですよ。いま持ってきた一九五六年の調達庁発行の調達史の中身でちゃんと解釈が展開してある。この当時から今日に至るまでの確定解釈なんです。これを淺尾さん、ひっくり返そうというのですか。
  25. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 土井委員御承知のとおり、いまの大平答弁は、まさに読み上げられましたように、四十八年三月十三日の衆議院予算委員会において  「原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する所存であります。」こういう答えをしております。  しかし、ここで言っておりますのは、当時、三月の衆議院の予算委員会審議の過程において、三沢の飛行場、それから岩国飛行場の老朽隊舎の改修築でございますが、それについての経費を二十四条二項の規定によって日本負担するという政府の見解に対して、地位協定上かかる経費はできないのじゃないかという議論が出まして、いまの政府答弁が出てきたわけでございます。したがってそこで議論しておりますのはまさに、リロケーションあるいは老朽施設の隊舎が一例でございますけれども、そういう改修、改築との関連で既存の施設区域内においてそれにかわるものをつくる場合の指針でございます。新規区域内に工作物をつくるとか、あるいは新しく施設区域を提供する、これは代替とは違うわけでございまして、ここで言っているのはあくまでも代替についての運用の指針でございます。
  26. 土井たか子

    土井委員 淺尾さん、よく議事録を読んでください。いま問題になっているこの大平外務大臣答弁中身がそのうち政府の統一見解になって、「地位協定第二十四条の解釈につきましては、」と始まっているのですよ。リロケーションについてのいろいろなコメントをここで問題にしているわけじゃない。二十四条の解釈につきましてはこうでございますと言っているのが政府の統一解釈であり、確定解釈となって今日まで来ているのですから、これをねじ曲げたり、これを越えたりするようなあり方は許されないということが何遍となく確認されている。その都度何回もやっていますよ。  今度私、議事録を全部通して見てみた。これに関係するところをあれこれ全部当たってみたのです。そうしたら、外務省はときにふらふらふらつくことはあったけれども、結論とすればこの大平答弁以来二十四条の解釈、もう一つ先を言うと一九五六年のこの解釈以来一貫して、この二十四条に対しては先ほどから申し上げるとおり新設の問題に対して日本としては費用負担をすることができないという結論に到達して今日まで来ているんですよ。解釈上の問題なんです。おかしいじゃありませんか、淺尾さん。
  27. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほど私が申し上げましたように、当時の統一見解がなぜ出てきたかということから考えていただけば、代替施設ということでございます。もしそうでないとすると、この二十四条の二項で「施設及び区域並びに路線権をこの協定存続期間中合衆国負担をかけないで提供し」という項がございますが、それはできなくなるということでございまして、それは二十四条二項それ自身を否定することになるわけでございます。
  28. 土井たか子

    土井委員 その点については、この議事録を精査するといままで再三再四繰り返し繰り返し質問の中でも問題にして取り出して、そのたびごとに答弁として詰められて詰められて、ついに二十四条の解釈としては、新規施設について日本側がその経費負担するということは二十四条から見ると認められないことである。地位協定二十四条ではそういうことを言ってない。二十四条の中身を見れば明らかに、これはきょうここに持ってまいりました調達史の中で政府の確定解釈として述べておるとおりで、「第二条および第三条に定めるすべての施設区域および路線権の提出に要する経費」というのは、すなわち借上料と補償費それ以外にない。等という字もここに使われてないのです。明確に「(借上料と補償費)」というのが括孤書きできちっと書いてあるのです。これをわが方が負担をするということを言っている、これが確定解釈なんです。新たにそういうことを局長がおっしゃるのならば、これはいままでの解釈を変えるということになりますよ。いかがですか。
  29. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 それは、二十四条の二項を見ますと、もしそれを禁じているということであれば、一切新規施設区域なりあるいは施設区域内における工作物を提供するということはできなくなるわけで、条文と矛盾するわけでございます。たとえば五十三年六月六日の内閣委員会においても、大平答弁は、あくまでも代替、リロケーションあるいは改築、そういう場合の指針を決めたものである、こういうふうに述べておるわけでございまして、その点については政府答弁というのは一貫しているわけでございます。
  30. 土井たか子

    土井委員 それはそうじゃないでしょう。リロケーションについて問題にしているということじゃない。二十四条の解釈について問題にしているんですよ。その中では、リロケーション以外のものについて認めることができないということを詰めて詰めて、そして結論として当時大平外務大臣政府統一解釈として出してこられたのが先ほど読んだ中身なんです。リロケーション以外のものは認めない、それについて日本側経費負担しない、こういうことが二十四条の解釈としていままで統一見解としてあった。このことは当外務委員会においても園田外務大臣御出席のもとで、五十三年四月十二日の日にも取り上げられて問題にされていますよ。当時の中島アメリカ局長はそのことに対して、大平答弁を踏まえてやっていきたい、このように明確に答えられているのです。何回となくこういう場面がありますよ。淺尾さんがいままでの国会審議を無視したような形で二十四条の解釈を勝手にひっくり返すなんということは絶対許されない。いままでの確定解釈が厳然としてあるわけですから、怪しげなことをおっしゃらないでください。いかがですか。
  31. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 中島答弁もまさに代替とかリロケーションについて述べたものでございまして、新規施設区域の提供あるいは既存の施設区域内における新規の提供、これについては二十四条二項によってできるということでございます。この大平答弁というものはあくまでもリロケーションあるいは改築ということでございまして、その答弁については政府答弁は一貫し、またそれに基づいて毎年予算を組んで、かつ国会の御承認をいただいてやっているわけでございます。
  32. 土井たか子

    土井委員 どこに新規経費負担ができるなんという答弁があるのですか。議事録を勝手に変えてもらっては困りますね。この日の議事録のどこをどう読んでも、新規日本経費負担というものは可能でありますなんと答えているところはどこにもありませんよ。問題は、むしろ新規経費負担というものは認められないという前提でリロケーションについての論議が始まっているのです。     〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕 淺尾さん、議事録に対してのあなたなりの勝手な曲解をされたら困りますね。僭越至極というものです。いかがですか。
  33. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 地位協定をねじ曲げているという御指摘でございますけれども、従来いろいろな委員会で私だけでなくて申し上げているのは、まさにこの大平答弁というのは、すでにある隊舎を建てかえる場合に、その際に代替の範囲を出ないようにしようということを決めたわけでございまして、施設及び区域を新しく提供する、それについては二十四条の二項でやってきているし、またできるというのが解釈でございます。
  34. 土井たか子

    土井委員 それが解釈でございますとおっしゃるのなら、その解釈の根拠を示していただきましょうか。いままでそういうことを言った答弁なんというのはないんですよ。リロケーションについてだけは、これは解釈からいったらそんなものは出てこないのだけれども、残念ながら日本経費負担をするというところまであの大平外務大臣の統一解釈で具体的に出てしまったのです。したがって、それ以後はリロケーション以外の新規経費負担日本側としてはしない、できない、これが二十四条二項に対する政府の確定解釈であり、統一解釈であるという認識でいままでこのことに臨んできた。運用もそれからはみ出るものがあれば二十四条二項違反ではないかということがたび重ねて追及されているのがいままでの国会の論議なんです。いまさら変えた解釈を一貫した解釈だなどと作り事を言うなんというのはもってのほかと言わざるを得ない。そういう奇異な解釈というものは通用しません、いままで確定解釈としてあったわけですから。わざわざそういうことを言わなければならない事情があるのですか。  外務大臣、お聞きになっていてどうです。これは非常に大事な問題なんですよ。
  35. 園田直

    園田国務大臣 取り決めあるいは諸規則の解釈等については事務当局の方が確実であると思いますが、私の記憶からすると、私の前の二回の在任中にもいまの議論はされたと記憶をいたしております。私はそのときに、何月何日のどの委員会かわかりませんけれども、私の答弁した筋は、代替は認める、しかし新しい工事については、その古い工事がつぶれて代替の範囲を超えない程度でやるものは認める、こういうふうにわれわれは答弁してきたような気がいたしますけれども、解釈その他については事務当局の方が確実でありますから、もう一遍研究を願うことにいたします。
  36. 土井たか子

    土井委員 園田外務大臣の御記憶の方がはるかに確かなんです。確かなんですが、このリロケーションということについてはずんずん国会の中で詰められておりまして、実は代替施設の提供ということについてどういうことなのかというのも、日本側日本側の要請に基づいて特定の場所に提供しておりました施設区域を別の場所に移設する必要が出てきた場合、たとえば道路整備をそこについてやる、したがってそこにある米軍の施設とそれが抵触するために米軍と折衝を重ねて、米軍がよろしい、それじゃほかに移設をしようじゃないかという場合に、その場合の代替の提供をリロケーションと言う。非常に具体的に代替ということについても詰められてしまっているのです。いま外務大臣がおっしゃった代替という中身がさらに詰められている。  したがって、詰めて詰めて、二十四条二項の解釈については、いま外務大臣があらましおっしゃったことの線に沿って、いままで政府は一貫して二十四条二項解釈というものがあった。一回や二回じゃもちろん大臣御承知のとおりございません。何回詰めたかわからぬ。じりじり詰めていって、確定解釈というのが詰められて今日まで来ているとわれわれは理解しているのです。淺尾答弁というのはまさにそれと矛盾する。ひっくり返すようなものでありますよ、いままで詰めてきた政府の統一見解、確定解釈というものを。こういう怪しげな解釈が新たに出てくるというのは、何らかいわれがあるとしか思いようがないわけですよ。いまの大臣の御答弁からすると、淺尾局長理解答弁はちぐはぐであります。違ったことを言われている。どうですか。
  37. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 まさにリロケーションなりあるいは老朽した隊舎を新築し直すという問題が起きて、大平答弁が出たわけであります。したがって、大平答弁については、既存の施設区域の中にある建物、それの代替、あるいはたとえば都市化によってある一定の区域施設を統合する必要がある、その場合がリロケーションでございますが、そのリロケーションの際の運用の基準を決めたものでございます。二十四条の二項で先ほど申し上げました新規の提供あるいは施設区域内に代替でなくて新しく工作物等を提供するということは、この大平答弁の運用の範囲外である、これが従来から私たちが国会で申し上げてきたことでございまして、いま大臣が言われたことと私が申し上げたことは、その間に差異はないというふうに考えております。
  38. 土井たか子

    土井委員 それはまやかしもはなはだしいですね。いまの答弁を聞いていて、そんなことをすんなりとなるほどと思う人は一人もないはずですよ。これはひどい。運用というのは何によって運用するのですか。法によって運用があるのです。その法の解釈によって運用というのは決まっていくわけですよ。解釈をねじ曲げるような運用というものは適正な運用とはとても言えない。そんなことを勝手に行政側でやられるときには、法治国家の体裁は根底から崩れます。  二十四条の解釈についてはもう詰めて詰めて詰められている、それに従っての運用でなければならない。いまの運用というものは二十四条に矛盾しないと言われるときのその矛盾しないと言われる前提にある解釈というものは、園田外務大臣がお考えになって先ほど御答弁になった中身とまるで違うところを淺尾局長は言われるわけですから、運用によって解釈をひっくり返そうというのですね。
  39. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほど私が運用と申し上げましたのは、代替の範囲を定める際の運用でございまして、施設区域はそれじゃ無制限にできるのか、こういう御質問でございますが、これはもちろん無制限に実施するということではございません。日本施設区域を提供するかどうか、これは個々の事業ごとに日本側が自主的に判断するわけでございますが、その判断をする際には、安保条約の目的達成の上にそれが本当に必要であるかどうか、あるいはわが方の財政負担との関係、それから社会的、経済的影響その他の事情を総合的に考えた上、提供の可否を一件ごとに検討していくわけでございまして、具体的には毎年度予算の御承認を得た上、その施設区域を提供しているわけでございます。
  40. 土井たか子

    土井委員 私は施設の提供をここで問題にしているのじゃございません。一貫して経費負担の問題を言っているんですよ、二十四条で言うところの。施設提供は別のところの話じゃないですか。それとこれとを混同して、いたずらにわざと混乱を招くようなことを言わないでください。それはきちっと区別して考えるべきものです。経費負担について一貫した政府の確定解釈がある、これを変えるわけにはいかないですよ。変えるときには解釈を変えますと言ってもらわなければ困るのです。  先日の内閣委員会の淺尾さんの答弁を私は議事録を精査していて、こんな怪しげな解釈があったものじゃない、これはいままでの確定解釈と違った解釈を新たに出されているではないか、こういうことで、もう一度全部ひっくり返して関係するところの議事録を見てみたのです。果たせるかな、そうなんですよ。外務大臣、これは大変重大なことなんですがね。  なぜかというと、五月八日のあの日米共同声明の第八項に触れてまいります。第八項の中身では「在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、なお一層の努力を行うよう努める旨述べた。」と、こうございますが、事は、いままで一貫した地位協定二十四条のあの政府の確定解釈を、今度は解釈を変えて、新規のものについても日本側経費負担をする、こういう約束をアメリカ側となすっているわけなんですか。大臣、どうなんです。1大臣に聞いています。問題は解釈じゃないのです。
  41. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 第八項のいま御指摘の点については、その前段を読んでいただければ、日本国の憲法あるいは基本的防衛政策の範囲内でということがございますし、かつ、財政的負担について述べておることは、何もそこで日本側がこれから何をするという具体的な約束をしているわけではございません。施設区域の提供については二十四条の二項に基づき、かつ合同委員会の合意を得て、さらには予算で計上して国会の審議を通じて御承認をいただく、こういうことでございます。  先ほど土井委員経費の問題は別だというふうに言われましたけれども施設区域を提供する際には当然その経費が必要になってまいります。そのことをまさに二十四条の一項で「2に規定するところにより日本国負担すべきものを除くほか、」と言っているわけでございまして、施設区域の提供は経費なしにはできない、こういうことでございます。  それから、共同声明の中のそこで言っているのは、もう一つ考えられるのは労務費でございますが、労務費についてはすでに地位協定の解釈の限度いっぱい、これ以上できない、こういうことであります。
  42. 土井たか子

    土井委員 大臣、いかがなんですか。幾ら局長がるるおっしゃっても、二十四条そのものの解釈についてまことに怪しげな新しい解釈を前提として言われているとしか思いようのない説明が最近行われてきているのです。  そういたしますと、日米共同声明の第八項に言う、先ほど読みました「在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、」という中身については、従来の地位協定二十四条に対する解釈を変えてひとつやっていこうじゃないかというふうなことも政府としては検討されつつあるのですか、いかがなんですか。
  43. 園田直

    園田国務大臣 それはございません。
  44. 土井たか子

    土井委員 そうすると、大臣、先ほどからの淺尾局長答弁は怪しげな答弁と言わざるを得ないじゃないですか。どうもすっきりしない。その点は、大臣、どういうふうにお感じになりますか。
  45. 園田直

    園田国務大臣 御質問の中で私の記憶が出てまいりましたから局長と話をしたわけでありますが、時間がごくわずかの間にちらちらと打ち合わせたわけで、後で聞いてみますと、やはり私が言ったようなことで解釈をしているようではありますが、ちょっとした勘違いがあったような気もいたします。
  46. 土井たか子

    土井委員 大臣、これは勘違いでは済まされないのです。いままで国会で何回となくこれが問題になってきて、地位協定をめぐる一つの大きなポイントでもあったわけだし、日本側が米軍に対してどれだけ経費負担をするかという、事国民の生活からすると非常にかかわり合いのある一つの重要な問題なんですから、単なる勘違いやとり違いで済む問題じゃ決してないのですよ。  それでは確認をいたしますが、大平外務大臣が四十八年の三月十三日、衆議院の予算委員会で楢崎議員質問に答える形で政府の確定解釈をお出しになった地位協定二十四条については、いままでどおりに、「原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する所存」であるということをもう一度確認していただけますね。
  47. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま引用されました三月十三日の大平答弁「原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう」、これはそのとおりでございます。そこで言っているのはあくまでも代替、こういうことでございます。
  48. 土井たか子

    土井委員 そこで言っているのは代替じゃないのです。よく読むと、「代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する」こう書いてあるのですから。これはひとつ外務大臣、御確認を願います。従来どおり、政府としては確定解釈をしてきたその解釈を曲げることはない、その中で考える、このことを御確認願えますね、いかがでございますか。
  49. 園田直

    園田国務大臣 これは大平外務大臣が言われたことも覚えておりますし、私自身もいまのような趣旨でお答えしたこともありますし、かつまた、私の在任中にも具体的に一、二回問題があったような気がいたしますので、その政府の解釈には間違いございません。
  50. 土井たか子

    土井委員 しかし、くどいようでありますけれども、先日内閣委員会の席で共同声明の第八項について質問があった。それは淺尾局長も鮮明に覚えておられるとおり、この共同声明の第八項に関する問題として質問があって、それに対する答弁として、いままでのずっと一貫した、いま園田外務大臣に御確認をいただきました政府地位協定二十四条に対する確定解釈とは違ったニュアンスを出されてきているというのは、この第八項について、いままでにない新たな財政的負担日本としては請け負うということを意に秘めてこういう答弁をされているに違いないという趣がございます。この点については、外務大臣、いかがでございますか。
  51. 園田直

    園田国務大臣 淺尾局長答弁で若干の勘違いがあったと思いますが、共同声明第八項の穴をあけるために意図的に発言した間違いではないと存じます。
  52. 土井たか子

    土井委員 穴をあけるどころか、その穴を埋めてさらに強化していくということのための発言とわれわれは考えているわけであります。いかがでございますか。
  53. 園田直

    園田国務大臣 私はさようには考えません。
  54. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 私の内閣委員会答弁で御迷惑をかけておりますけれども、私も、地位協定の解釈について、新しい解釈をとって穴をあけるということではございません。先ほど来御答弁申し上げておりますように、大平答弁というものはそれを踏まえてまいります。その際に、先ほど来の繰り返しになりますけれども大平答弁の中で「先般来御説明申し上げたところでありますが」と、これがいわゆる岩国とか三沢の代替の宿舎が問題になっているところの答弁であるということでございます。
  55. 土井たか子

    土井委員 これは淺尾局長、幾ら言ってもだめですよ。この議事録について、私はずっと順序を追って読んでみたのです。三沢、岩国の問題については明らかにリロケーションの範疇に入る問題。それは別なんです。新規の、新築の問題についてはどうですかということにさらに論が移っていって、それについては経費負担は一切認められないという意味で確定解釈が出たわけでありますから。それとこれとを混同して、いまこの二十四条の解釈について解釈自身をねじ曲げるようなことをおっしゃるというのは潜越至極というものであります。  先ほどから、園田外務大臣局長との間で、地位協定二十四条の特に二項に対する理解、認識、解釈の上で違いが少しあるようであります。しかし、一官僚の物の考え方でいままでの国会に対してずっと培われてまいりました確定解釈をひっくり返されるようなおこがましいことが許されていいはずはない。外務大臣がきょう御答弁になったことを、ひとつ再確認をはっきりさせていただきましょう。再度このことについて確認をさせていただきます。よろしゅうございますね。
  56. 園田直

    園田国務大臣 いまの代替の問題については、私が発言したとおりで結構でございます。
  57. 土井たか子

    土井委員 そうすると、新規の、また新築に対する経費負担というのは、日本としては一切負担するわけにはいかない、こういうことにも相なるわけでありますが、それはそのとおりでよろしゅうございますね。——いや、もういい。私は大臣に向かって聞いているのですから。
  58. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほど来申し上げておるように、これは代替の範囲でございまして、新規の場合はできる、二十四条の二項ということでできるというのが政府の解釈でございます。
  59. 土井たか子

    土井委員 それはそんな問題じゃないということを先ほどの議事録を通じて私は御説明を申し上げた限りであります。  外務大臣、それについても大丈夫ですね。これは新規のもの、新築について日本としては経費負担というものは一切請け負うことはできない、こういうことになりますね。
  60. 園田直

    園田国務大臣 新規のことについては御発言のとおり勝手気ままにできるというものではありません。しかし、これは安保条約地位協定取り決めあるいは国会承認等もございますので、その枠内でやるべきことでございます。
  61. 土井たか子

    土井委員 大変含みのある御発言でございます。そうなってまいりますと、従来からずっとやってきた線が大分これはゆがめられて違ってくるという余地もいま出てまいりますよ。新たにそれは日米共同声明の第八項に基づいて考えざるを得ない問題となってきたわけでありますか。大臣、どうなんです。
  62. 園田直

    園田国務大臣 淺尾局長答弁に対するおしかり、私に対するいまの御注意等は、共同声明とは全く関係ございません。私が言ったのは、新規の事業。代替の問題はさっき言ったとおりでございます。新規の事業については勝手気ままに日本政府ができるものではありません、これは協定その他の枠内で、かつまた国会承認で新たにお許しを得なければできぬ問題であります、こういうことでございますから、決して共同声明の八項というのを考えた政治答弁ではございません。
  63. 土井たか子

    土井委員 第八項を大臣御自身がお考えになっていらっしゃらないかもしれないけれども、しかし第八項の中で、お互いが同意をしているこの共同声明の文書の中にこれに触れる部分があるわけでありますから、したがって非常に微妙な点を今後に残すという問題になってまいりました。非常にこれは大問題であると私自身は思っています。  さらに、これはいま大臣がおっしゃるとおり、日本が勝手にできるものじゃない。相手方があるという問題、国会承認しなければならないという問題、この二つの枠組みがあるわけでありますから、これはおいおい具体的にそのことに対しては追及をその場でいたしましょう。恐らく出てくるだろうと私は思っています。  大臣、非常に含みのある答弁をいまされました。しかし、その節は、二十四条についてすでに政府の確定解釈があるということをひとつお忘れにならないように。その解釈を曲げないと、いまおっしゃったようなことはできませんですよ。よろしゅうございますね。  さて、別の問題に少し移ります。  領海条約の十四条で無害通航について認めておりますが、ここには無害通航に対して三つのカテゴリーがございますが、そのとおりに理解してよろしゅうございますか。
  64. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 土井委員が三つのカテゴリーとおっしゃいましたのがちょっとあれでございますけれども、領海条約の十四条に無害通航権についての規定がございます。その四項に「通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」ということでございますので、土井委員がおっしゃいますのは恐らくこの「沿岸国の平和、秩序又は安全」という三つの要素をおっしゃっているのだろうと思いますが、そうでございましたならばこの十四条の四項に書いてあるとおりでございます。
  65. 土井たか子

    土井委員 それは違いまして、私の申し上げている意味は、十四条の中で無害領海通過については公海から内水へ、内水から公海へ、公海から公海へ、この三つのカテゴリーがございますねという確認なんです。そのとおりですね。
  66. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 同じ第十四条の二項に、「通航とは、内水に入ることなく領海を通過するため、内水に入るため、又は内水から公海に向かうために領海を航行することをいう。」ということでございます。
  67. 土井たか子

    土井委員 したがって、いまの御説明からすると、私の言ったことと合致するのじゃないですか。
  68. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 恐れ入りますが、もう一度先生のおっしゃったことをおっしゃっていただきたいと思います。
  69. 土井たか子

    土井委員 もう、こういうことに時間を費やさせないでください。  公海から内水へ、内水から公海へ、公海から公海へ、こういうことがこの十四条の二項で決められておりますが、そのとおりですね。
  70. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 そうだと思います。
  71. 土井たか子

    土井委員 核を積載しない潜水艦が日本の領海に入ってまいります場合、この領海条約の決めているような無害通航のありさまで通航いたしておりますか。
  72. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 核を積載しない艦船が領海条約に決めてあるような態様で日本の領海を通っているかという御質問だと思いますが、核を積載していなければ、当然のことながらそのような態様で行われるものは無害通航であると認められます。
  73. 土井たか子

    土井委員 無害通航であると認められますというのは理屈の上の話なんですが、そのようになっているのでしょうね、現実も。
  74. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 そのようになっていると申しますか、無害通航権の行使と認められるわけでございます。
  75. 土井たか子

    土井委員 地位協定五条を見ますと、港に出入りすることはアメリカの艦船に対して認められているわけでありますけれども、核積載の艦船は例外であって、これは認めることができないというのがその解釈となるわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
  76. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 核装備の艦船については、まさに艦船の装備そのものに着目した問題でございますから、事前協議の対象になって、日本政府が常にノーということで入れない、こういうことでございます。
  77. 土井たか子

    土井委員 そうすると、地位協定第五条で、その港に入るというふうなことを核積載の艦船についても認め得ない、ただ核積載をしていない艦船については潜水艦もすべてこれは認められる、こういうことになるわけなんですね。
  78. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 潜水艦を含めて一般のアメリカの軍用船が核を搭載していなければ地位協定五条で入る、こういうことでございます。
  79. 土井たか子

    土井委員 そこで、いま地位協定五条では核を積載していなければ入ってくることができるということを認められているわけですが、潜水艦の場合、核を積載していない潜水艦はすべて浮上して航行して入ってきていますか、どうなんですか。
  80. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 潜水艦は、領海条約によりますれば、領海を通航する際には無害通航権の行使としてやる場合には領海上を浮上して航行しなければならないと定められております。
  81. 土井たか子

    土井委員 そのとおりですから、地位協定第五条の確認を先ほどいたしまして、その地位協定第五条で入ってくる核積載をしていない潜水艦については、すべて浮上して領海を航行して入ってきているということを確認されているのですね、どうなんですか。
  82. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほどの条約局長答弁と関連するわけでございますが、地位協定は核を積んでない船舶を対象にしているわけでございます。そこで、潜水艦も必ず浮上しなければならないという義務は負っているわけではございません。
  83. 土井たか子

    土井委員 いま、何とおっしゃったのですか。まるでおかしなことをいま御答弁になりましたよ。もう一度答弁してください。
  84. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 潜水艦は浮上をして領海を通航するということでございます。
  85. 土井たか子

    土井委員 そうでしょう。そうすると、第五条で日本の港に入ってくることが認められているわけですから、その入ってくるときに領海に入れば浮上して入ってこなければならないというのが潜水艦に課せられておる義務じゃないですか。したがって、潜水艦は浮上して入ってきていますね、こう聞いているのです。それを確認されていますか、こう聞いているのです。どうなんですか。
  86. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 地位協定五条は、アメリカの艦船が日本施設区域あるいは港に入る、こういうことでございまして、それが浮上するか、もぐっているというその態様まではそこで規定しているわけではございません。
  87. 土井たか子

    土井委員 おかしなことをおっしゃいますね。その第五条によって港に入ることを認めている、こういうことでありますから、入ってくる間には領海を通航しないと入ってこれないのです。そこで、領海条約でいうところの潜水艦に対しては浮上するという明記の義務がございますから、そのとおりに、入ってくるときには潜水艦は浮上して入ってきているでしょうね、そのことを確認されていますか、こう聞いているわけでありまして、よく私の質問を聞いて答えてくださいよ。
  88. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 それは確認しておりません。
  89. 土井たか子

    土井委員 さあ、大変です。それはもう怪しげな話ですよ。核積載をしていない潜水艦について確認してない、もぐったままで入ってきているかもしれない、こういうことなんですね。
  90. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 領海条約との関連では、先ほど条約局長答弁したように浮上するということでございます。ただ、地位協定では、浮上して入れとも、それからもぐって入れとも、そういうふうには規定しておりません。しかし、領海条約との関連から論理的な帰結としては、それは浮上して入ってくるであろう。ただ、その浮上して入ってくるか、あるいはもぐっているのかということは地位協定で規定してないということでございまして、われわれとしては現実にすべての潜水艦が浮上しているのかどうかということまで確認はできてない、こういうことをさっき申しました。
  91. 土井たか子

    土井委員 これは怪しげな御答弁ですね。そうすると、核を積載しているか否かにかかわらず、潜水艦については全部潜航したままで日本の港に入ってきているかもしれない、こういうことなんですね。わからない、さっぱり、そこのところは。そういうふうに理解をいたしておきます。
  92. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 やはり入港してくるわけでございますから、領海の中をもぐってくるということは実際問題として考えられないし、また領海条約からいいましても、潜水艦は領海に入ったら浮上してこいということでございますから、浮上して入るのが常態であろうと考えます。
  93. 土井たか子

    土井委員 伊達さん、領海というのは十二海里もあるのです。ずっと潜航したままでやってきて港に近づいたときに浮上するということは、同じ浮上でも浮上の仕方としてあるんですよ。だから、いまのはどれだけ言ったって理屈なんです。そして、先ほども確認しました。果たしてどういう態様で入ってきているかということは、正直に言えばよくわかりませんということなんでしょう。そうでしょう。そういうことなんですよ。潜航したままで港まで来ているのかどうかということはわかっていないのです。そういうことがきょうの答弁では確認できているのです。まだ何かおっしゃりたいのですか。
  94. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 一言。浮上してくるか、来て実際にそうやっているのかどうかちょっと確認しようがないということは、北米局長が申し上げたとおりでございます。ただ、浮上して入ってくるべきものであるということ、これははっきりしているのだろうと思います。
  95. 土井たか子

    土井委員 べきは結構だと先ほどから言っているんですよ。だから、理屈の問題を言うと、領海に入れば浮上しているというふうに考えられます、こういうことになるだろうと思うのですが、事実そのとおりかどうかということは確認していないという話なんだから、それは幾ら聞いたってわからないの一点に尽きるでしょう。まあ、いいかげんなものであります。  さて、あと一問だけ私は外務大臣に対して質問がございますが、どこにいらしたのですか。
  96. 稲垣実男

    ○稲垣委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  97. 稲垣実男

    ○稲垣委員長代理 速記を起こして。  次に、高沢寅男君。
  98. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま外務大臣がちょっと所用で外されておりますから、見えましたら外務大臣お尋ねしたいと思いますが、その際、また土井委員から一問、大臣にお尋ねをしたいことが残っておりますので、その節お願いいたします。  それで、大臣の来られる前に、これは条約局長なのか北米局長なのかよくわかりませんが、このことをお尋ねしたいと思います。  一九七八年の五月三十日、国連の軍縮特別総会で当時の園田外務大臣日本を代表する一般討論の演説をやられたわけであります。この演説の内容でございますが、そこで非常にはっきりと非核三原則が日本の国是であるということを出しておられます。これが国連の総会の一つの国際的な公式な議事録になっているわけでありますが、その中で非核三原則をこういう英語で表現しております。  「ザスリーノンニュークリアプリンシプルズオブノットポゼシング」持たない、それから、「ノットマニュファクチャリング」つくらない、「アンドノットパーミッティングジエントリーインツージャパンオブニュークリアウェポンズ」つまりこれは日本への核兵器の持ち込みは許さない、認めない。この「ノットパーミッテイングジエントリー」のエントリーという英語は、要するに入ること、入ることを許さない、認めない、こうなっておりまして、いろいろイントロダクションがどうだこうだという議論になっているわけですが、この園田大臣の国連という場で公式に日本政府を代表して演説をされたその演説が、国連の総会の議事録として国際的に権威ある記録になっておる。その中にはエントリーという英語で表現されている、こういうことであります。  私は、このエントリーという言葉日本政府が持ち込みという言葉を表現する場合の公的な英語の使い方であるということを確認をしたいと思うわけですが、その点はそういうふうに理解してよろしいでしょうか。これは条約局長か北米局長かよくわかりませんが、ひとつ外務省の立場としてお答え願います。
  99. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 本来、使いました国連局長が一番いいかと思いますけれども、確かにいま高沢委員御指摘のように、この国連総会においてはエントリーという言葉を使っております。それが日本政府の公的な見解であるかどうかというお尋ねでございます。したがって、国連総会に関しては、このエントリーというのが世界に広く広まっている言葉であるのは事実でございます。
  100. 高沢寅男

    ○高沢委員 それでは、いま外務大臣が見えましたが、私の質問の終わる最後に土井委員からなお一つ大臣にお尋ねしたいことがあるということですから、そういうふうに扱いたいと思います。  そこで、大臣、あなたは一九七八年五月三十日の国連総会で非核三原則の日本の立場を非常に明確に演説された、そして、持ち込みを認めないというこの持ち込みが、英語ではエントリーという言葉で表現されている。これは国連総会の公式な議事録にもその言葉で記録されておる。いま淺尾局長から、国連総会という場における、したがって、日本のそういうエントリーという言葉がもう国際的にも周知され、また認められておる、こういうお答えがあったわけですが、そうすると、大臣、イントロダクションの解釈がずいぶんいろいろあってライシャワー発言以来いろいろな混乱になってきているわけでありますから、むしろこの際直截簡明に、エントリーはいけません、それは事前協議の対象でありますよというふうな形で、改めて日米間でそういう合意をされたらもう一切疑問の余地がない、こう私、思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  101. 園田直

    園田国務大臣 淺尾局長がどういうお答えをしたか聞いておりませんでしたが、御承知のように私、英語は堪能でありませんので、イントロダクション、イントロデュース、権威ある字引を引いてみますと、入る方の語感が強いようで、入るとか搬入とか持ち込み、私の使ったエントリーというのは、出たり入ったりするという感じの語感があるように書いてございます。そこで、私の演説でございますから、条約は入ることが大事でありますからイントロダクションという言葉を使っているわけですが、演説ですから入るだけでは調子が悪いから出たり入ったりということでエントリーとやったわけで、他意はないわけであります。私は同じだと思っておりますけれども、いまのこういう時期にイントロダクションをエントリーに変えるということは、お話はよくわかりますけれども、もう少し十分検討させていただきたいと思います。
  102. 高沢寅男

    ○高沢委員 大臣、出たり入ったりと言われましたが、入るものがあって初めて今度は出ることが成り立つわけでありますから、したがいまして私の気持ちとしては、こういうあいまいな余地を残さない言葉としてエントリーというのは非常に適切な言葉である、こう考えますので、何か来る十九日マニラでヘイグ長官とも会談をされるというようなことでありますから、私はそういう際には大臣から、ひとつエントリーでいきましょうやというようなお話をされたら、非常に事柄は、わかったと相手も言うのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 園田直

    園田国務大臣 近ごろ大分追い詰められまして、何か言うと政府の見解不統一だとか、やれ、あいまいだとか、リップサービスをやって後で後退したとか書かれますが、この点は正直に言っておきますが、いま御承知のとおりに問題が次から次に起こっておりまして、潜水艦、はえなわ、次は核と、こういうふうに起こっております。むしろ私は、外務大臣としては日米関係理解と信頼を深めることがいま大事でありまして、しかも今度国務長官と会うのは私は初対面でございます。どういう方か知りませんが、写真から見る感じではなかなか向こう意気の強そうな方のような気がいたしますので「初対面からそういう話はなかなか通用しない、これはやはり理解と納得の上で出てくることでございますから、いまの先生のおっしゃったことは胸に入れておいて、折あらばということでお許しを願いたいと思います。
  104. 高沢寅男

    ○高沢委員 大臣は剣道の達人ですから、最初に会ったときの気合いですね、気合いで明らかに相手がこれは面をとられた、あるいは小手をとられたというふうな一本をぜひとっていただきたいということで、この点は大臣の御活躍に期待をした一いと思います。  そこで、もう一つ関連をいたしますが、これもわれわれとしては大変心配な動きであるわけですが、六月二日の自民党の各部会とか特別委員会の合同会議で非核三原則問題についてずいぶん議論が出た。その議論の中で、三原則はもう二・五とかあるいは二にしてしまえとか、あるいはまた、いままで事前協議がないからアメリカの核は入っているはずはないのだという政府の答えは明らかにうそだ、もう当然入っているんだ、だから認めるべきだというような議論がずいぶんあったやに聞くわけであります。  先般二十九日の連合審査の中で、大臣は三つの対応のことを述べられましたね。そういうふうに三原則を二原則にするとか二・五にするというふうな行き方が一つ、それから従来どおりに三原則を堅持するという行き方が一つ、もう一つは三原則にさらにかたい鉄の輪をかけていくという行き方が一つ、この三つがあって、政府としては従来の三原則を堅持するということで行くのだとお答えになったわけですが、よもや従来の三原則を崩していくというようなことがまず第一にあってはならぬというふうに私は考えるわけです。まず、この点についての大臣の御決意をお尋ねしたいと思います。
  105. 園田直

    園田国務大臣 いろいろ意見があることは新聞等にも書いてございまするし、この前の与党の合同会議でもそういう意見が出たようでありますけれども、しかし、それは一つの意見としてあっただけだそうでございます。この三原則の堅持については、総理も私も言葉までそろえて言っておるわけでありまして、三原則はいかような場合でも堅持します、こういうことは間違いございません。
  106. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま堅持の決意について聞かせていただきまして、私はそれを高く評価いたします。と同時に、われわれからすれば、その立場に立ってさらにこの三原則をかたくしていくということについての御努力をいままで繰り返し繰り返し要望してきているわけですが、先ほどのエントリーという言葉もその一環として、将来の課題ではありましょうが、ひとつ大いに御努力を願いたい、こう思います。  さて、そこで次へ進みまして、先ほど触れた国連総会のときの大臣の演説の中では、そういう日本の非核三原則という立場を明らかにしながら、いわゆる核軍縮を進めなければいかぬということについても、非常に重要な内容について触れておられるわけであります。そこで、いまのこの段階における核軍縮に向かっての進み方というものが非常に大事ではないかと私は思います。  最近核戦争の危険性というものが非常に切迫をしておるということについては、われわれは決してこれを甘く考えるわけにはいかぬ。いままで戦後三十数年間核戦争という事態なしでやってきたのだから、これからだってまさかあるまい、これからだってそんなことは心配ないというふうにはとても考えられない、もしかすればというような危険性を心配せざるを得ない情勢になってきているというのが最近の動きだと思います。そうすると、この動きの中でその危険性を確実に取り除いていくための格段の御努力政府の立場でお願いをしたいと私は思いますが、その関係で、実はいわゆる核のかさ論ということについて若干大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。  アメリカ日本に対して核のかさをかけて、言うならば日本を守っておる、こういう立場をとっております。しかも、それは核のかさをかける権利があるのだというような言い方までアメリカはしておるわけでありますが、日本政府の立場としてはそのアメリカの核のかさによって守ってもらっておる、こういう立場をとっておられます。  それでは、このかさというものによって一体何を防ぐのか、こういうことを考えてみれば、普通かさは雨を防ぐわけでありますね。そうすると、核のかさによって防ぐ雨とは何だというと、つまり核攻撃の雨が降り注いでくるのを防ぐということでもって核のかさをかける、こういう一つの論理立てになっておると思います。それでは核の雨というのは一体どこから来るのだ、現実にはそれだけの核能力を持っている相手と言えば結局ソ連ということになってくると思いますが、今度はソ連の側に立ってみれば、アメリカ日本の上にかけている核のかさというものは自分の方へ核の雨が降ってくるというふうな危険性や一つの脅威を感じて、それに対して自分たちも対応措置をとらなければいかぬということでお互いの核のかさなりあるいはお互いの核のやりを準備するというような体制になって、それがエスカレートしていくというのが現段階じゃないのか。  そして、いまのこの状態を、その危険性を外していく、これを除去していくということのために、いまや日本政府はソビエトに対して、それからアメリカに対して、この問題に関して格別な決意を持った御努力が必要な段階ではないかと私は考えるわけであります。  そこで、従来国連等の場においても核軍縮のいろいろな提案等がありましたが、そういう提案などの中で一番直接に核戦争の危険性をなくすための方法論としては、核を持っている国と言えば実際はいまは五つの国であります。その五つの国の中で特にアメリカソ連というのが現実に非常に強い力を持っているわけでありますが、この両者がお互いに自分の方から先に核兵器は使わない、こういうことがもし話し合われ、そして約束が成り立つならば、相手が使わなければこっちから使うという対応措置も当然必要がないわけでありますから、そうなってくればいまの核戦争の危険性、切迫感というものはずっと緩和できると私は思いますが、日本政府のイニシアチブとしてアメリカに対し、ソ連に対して、ひとつお互いに自分の方から先に核攻撃はしない、核兵器は使わないというようなことの取りつけをされる、そういう御努力はいかがか。  この一点に限ってたとえばブレジネフ・鈴木巨頭会談をやる、あるいはこの一点に限ってもう一度レーガン・鈴木巨頭会談をやる、そのために外務大臣がたとえばグロムイコ外務大臣お話しになるというようなこと、私はいまやこういう思い切った一つの行動が必要じゃないか、あっていいのじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。     〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 園田直

    園田国務大臣 申すまでもありませんが、基本的な基盤というか、先生方は非武装中立という立場、われわれは日米基軸にしていこうという立場、根本的に相違がございます。しかしながら、願うところは、手段は違うがやはり米ソの対立をなるべく緩和をして戦争を起こさせない、平和を招こうという点では一致すると考えるわけであります。  もう一つ一致する点があると私は考えます。いろいろ議論がありますけれどもアメリカの核のかさに日本が守られているということは非常に誤解を生みやすい言葉でありまして、アメリカの核のかさの抑止力に依存している、こういうことで、したがって、もし日本に核の雨が降ってきた、それを追っ払うためにアメリカの核が発揮する、こういうことは現実問題としてはもうあり得ないと思うのです。一方から核が来たからそれを追っ払うために核を使うのじゃなくて、核の今日における状態は、力と力の均衡の関係から、力ではなくて一つの理想、一つの理念、一つの道理というもので世界が動くようにしていこうという各国努力の過程だ、こう思うわけであります。  したがいまして、私は、国連総会の演説の中にも核軍縮その他を訴えて、その根本的な問題は相互信頼を確立することだということを言っているわけでありますが、そこで核軍縮というものを日本が訴える、そしてASEAN、非同盟の国々と力を合わせて努力する、これは日米外交基軸とする日本の立場を損ねるものではない、したがって当然この努力はするべきであると考えております。  かつまた、この米ソが核についての緊張を緩和する、だんだん減らしていく、あるいは相互に話し合うという機会はあれかしと私も祈っているわけでありまして、それについて日本総理がどのようになさるか、これは非常に大きな責任があるとは考えますけれども、この席で、総理がブレジネフとどうされる、レーガンとどうされるということを私がお答えすることは外務大臣としては越権でございまして、どうもあいつは何のつもりでおるのだろうと言われちゃかないませんのでそのお答えはしませんけれども、先生の御意見はよく私は胸にしみるほど考えておりまして、結局はそういう方向世界が動いていかなければ人類の悲劇は免れないとは思います。
  108. 高沢寅男

    ○高沢委員 大臣の御決意、御所見は私も全く同感でありまして、具体的には、それを一つの行動に出していく第一歩をどこから出していくかというふうなことになってくると思います。しかし、総理としてとられる行動を外務大臣からここで触れるわけにいかぬというお答えも、それはそれでわかりますけれども、それならば外務大臣が、たとえば当然国連総会にも出られると思います、国連総会の場所へはグロムイコ外相その他各国外務大臣も恐らくそろうと思うわけでありますが、そういべ場で、いま申し上げたような方向に向かってひとつ思い切った、それこそいろいろな個人外交、これは非常に必要な個人外交でありますが、そういうものを展開していただくというふうなことが、これは大変あれですが、園田外務大臣はそれは実は最も得意とされる分野じゃないか、こう私は思うのでありますが、その点についてはいかがでしょうか、ひとつ御決意を聞かせていただきたいと思います。
  109. 園田直

    園田国務大臣 お話の趣旨は十分理解をいたします。
  110. 高沢寅男

    ○高沢委員 それから、これも外務大臣お尋ねをいたしたいことになりますが、例のジョージ・ワシントン号の当て逃げの問題であります。  これについては、先般の日米首脳会談のときにアメリカ側から中間報告の説明があった。その後の動きとして、つい最近ニュースに出てまいりましたが、あのジョージ・ワシントン号のロバート・ウォール艦長がアメリカ海軍によって処分を受けた、この艦長の資格を永久に剥奪された、厳しい処分だと思うわけでありますが、そういうふうなことがニュースで報道されました。何となく私の感じとしては、アメリカ側は、もうこれだけ艦長を処分したのだ、したがってもうこの事件はこれで一件落着だというような考え方を持っているのじゃないかというような実は感じがするわけであります。しかし、こちらの側からすればもちろん補償問題もありますし、それからもともとこの事件が起きて以来、政府が公的にアメリカ側に問い合わせをされた。なぜこの事件が起きたか、なぜ救助しなかったか、なぜ通告がおくれたか、いわゆる三つのなぜ。この三つのなぜがあの中間報告の段階では何ら解明されていないという問題が残っているわけでありまして、こうした問題の最終的な決着をいつごろまでにどうやってアメリカとの関係で取りつけをするということを、外務省としてあるいは外務大臣として御決意がどこにあるか、この機会に聞かしていただきたい、こう思うわけであります。
  111. 園田直

    園田国務大臣 原潜の艦長並びに見張り当直士官の処分、これは海軍側としてしたものであって、今後これはまた軍法会議で最後の結論が出るわけでありますが、しばしばいろいろこの問題で話し合いまして、この問題でアメリカがこれで決着ということを考えておるとは私は思いません。また、そうじゃないと言える自信もございます。したがいまして、いまおっしゃいました補償を初めいろいろの問題はなるべく早くこれを解決するように、米側も努力しておりますし、私の方も努力をいたしますが、何月何日までということはなかなかはっきり申し上げられません。
  112. 高沢寅男

    ○高沢委員 そういたしますと、先ほど、十九日にマニラでヘイグ長官とお会いになる、その話が出たわけですが、では、ここではこの原潜問題については当然ヘイグ長官と、一体いつまでにどうするのだという、アメリカ側のそういう対応をきちんと詰められると思いますが、この点はいかがですか。
  113. 園田直

    園田国務大臣 国務長官とのマニラにおける会談というのは、昼食をしながら相当時間かけて話すつもりでありますから、当然向こうの方からもそういう話が出てくると思いますし、私もそういう話はするように考えております。
  114. 高沢寅男

    ○高沢委員 わかりました。それじゃ、そこでひとつきちんとした責任ある対処の仕方を取りつけていただきたい、こう思います。  そこで、きょうは防衛庁がおいででございますから、あと、今度は防衛庁にお尋ねをいたしたいと思います。  例の日本の周辺の海空域の防衛体制の問題であるわけですが、去る二十九日の連合審査のときに、この点を私は、南の方、こちらの方はいろいろその区域についての報道があるが、北の方や西の方はどこまでということがないがどうなんだというふうにお尋ねをして、当時塩田防衛局長から、それは特定したここまでというようなものではないのだ、要するにそういうふうな一つの海空域における日本の防衛の能力整備というか、そういうような考え方で出した周辺海空域という考えなんだ、こういうふうなお答えがあったわけですが、きょうの質問のスタートとして、そういう考え方でいいのか、もう一度まずお尋ねしたいと思います。
  115. 塩田章

    ○塩田政府委員 そのとおりでございます。
  116. 高沢寅男

    ○高沢委員 そういたしますと、これは具体的にそこでどうこうするものじゃないのだというお答えだとすると、いわば日常ふだんの、いわゆる平時の状態というようなことで、南東方面ならばグアム島なり、あるいはフィリピン以北の方向へ向かって、航路帯で約一千海里、それからそうでないところにおいては周辺数百海里、こういう海空域のところでふだん日本の自衛隊のたとえば護衛艦、軍艦がそこをずっとパトロールで回るとか、あるいは日本の航空自衛隊の飛行機がそういう海空域をふだん飛んでいるとかというふうな、そういう関係は日常やるのかやらないのか、あるいは現在やっているのかやっていないのかというふうな関係はいかがでしょうか。
  117. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず海上自衛隊から申し上げますと、訓練は別としまして、海上自衛隊の平時の任務としましては、監視と災害派遣ということになろうかと思います。  監視につきましては、情報収集という観点から、日本海、東シナ海及び北海道周辺につきまして、海上自衛隊の航空機による監視を行っております。大体どの程度かと言いますと、東シナ海それから北海道周辺につきましては大体二日に一遍ぐらいの割合で飛行機を飛ばしております。それから日本海につきましては毎日でございますが、日本海を東と西に分けておりますから、そういう意味では交互にということになろうかと思います。それから護衛艦による監視につきましては、津軽海峡と対馬海峡につきましては護衛艦を遊よくさせております。  もう一つの任務であります災害派遣につきましては、これは海上保安庁等の要請に応じてできる限り遠くまで災害派遣について御協力を申し上げておりますが、一番遠くまで行った例といたしましては、沖繩の航空隊のP2Jがフィリピンの東方海域まで捜索に出たケースがございます。  それから、平時の中で特殊な場合としまして、実際には発動したことはございませんけれども、自衛隊法八十二条による海上警備行動という場合がございます。  それから、航空自衛隊の平時の任務としましては、対領空侵犯措置ということを実施しております。その地理的な範囲を申し上げますと、これも別に区域が決まっているわけではございませんけれども、いつかお答えしましたが、実際上防空識別圏の範囲程度のところで行っている、こういうことでございます。
  118. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま非常に具体的な御説明がありましたが、海上自衛隊の航空機、具体的にはP2Jとかだと思いますが、いまの自衛隊の計画ではいずれP3Cも入ってくるわけですね。それがまたそういう任務につく。このP3Cの場合にはさらに足が長い航空機になるわけでありますから、それが巡回する区域が、今度は相手のソ連から見て、あるいは朝鮮民主主義人民共和国から見て、自分の領海の軒先すれすれまで日本のP3Cが来るという事態になるのかどうか、そこまで回る区域を設定するのかどうか、この辺の関係はいかがですか。
  119. 塩田章

    ○塩田政府委員 P3CでもP2Jでも、日本海、東シナ海の方面で行きますと、いずれにしても両方とも相当な航続距離があるわけでございますから、その点はP3Cになったから日本海でどうなる、東シナ海でどうなるというものではございませんけれども、いま御指摘の日本海なり東シナ海なりで相手方との関係で具体的にどこまで行っているかということについては秘密事項にさしていただいておりますが、実際問題としましてはやはり防空識別圏という例のADIZの区域がございますが、それと余り変わらない範囲の中でコースを決めて哨戒飛行を行っている、こういうことでございます。
  120. 高沢寅男

    ○高沢委員 これは以前現実にあった事件ですが、アメリカのレーダーを積んで索敵するEC121が朝鮮の沖合いで、朝鮮に言わせれば領空に入ったというあれで撃墜される事件がかつてありましたけれども、対朝鮮、対ソ連関係日本の自衛隊の航空機がそういう危険性のあるところまで接近するということは、私はよもやあるはずもないし、またあってはならぬ、こう思うわけでありますが、この点もう一度、そういうことはないのだということで確認していいかどうか、いかがでしょうか。
  121. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように、一定のコースを決めて哨戒をさせておるわけでございますが、実際問題としましてADIZの範囲の中でやらせておる、こういうことでございます。
  122. 高沢寅男

    ○高沢委員 次に、そういうふうな行動をしているときに、海の上でたとえばソ連の艦船に出会う、あるいはソ連の飛行機に出会う場面が当然あると思いますが、そういうものに出会ったときの対応はどういうことなのか、この機会にお尋ねしたいと思います。
  123. 塩田章

    ○塩田政府委員 ソ連の船であろうがどこの船であろうが、平時におきましてはいずれも友好国でございますから、別に何もするわけではございません。情報収集というような意味から写真を撮ることはございますけれども、それだけでございまして、別に何もしておるわけではございません。
  124. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、ただお互いに手を振ってすれ違う、こういうふうなことであるわけですか。  それから、それに関連して防衛局長が、そういうふうな周辺海空域を設定したのはその防衛をできるだけの能力を整備するのだ、そういうものとして出したのだ、こう言われました。そうすると、現在ある防衛計画大綱、これはこれから五六中業等々を経てだんだん整備されていくと思いますが、そういういまある防衛計画大綱と、周辺の海空域をカバーするために必要だと塩田局長が考えられる装備との相関関係はどんなふうになりましょうか、この機会に教えてもらいたいと思います。
  125. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまもお話がございましたように、周辺数百海里、航路帯を設けた場合約一千海里というのは、海上防衛力整備の一つの目標として考えておるわけであります。具体的には「防衛計画の大綱」に定める線を整備目標としていま努力をしておる、こういうことでございます。  しからば「防衛計画の大綱」に定める線と現状とでどれだけの差があるのかということを申し上げてみますと、五十五年度末現在の勢力に比べまして、対潜水上艦艇でいいますと「防衛計画の大綱」では約六十隻となっておりますが、現在は五十五隻でございます。潜水艦は十六隻となっておりますけれども、現在は十四隻であります。海上自衛隊の作戦用航空機が大綱では二百二十機となっておりますが、現在は約百八十機ということでございます。質的な面は別としまして、数量的に申し上げれば以上のような差がある、こういうことでございます。
  126. 高沢寅男

    ○高沢委員 これもけさの新聞による報道ですが、ハワイの事務レベル会議に臨まれる防衛庁の臨み方として鈴木総理から指示された、こう出ております。その中で、一つは、いまの日本の財政再建等々のことで防衛だけ別枠でどんどん伸ばすわけにはいかぬという立場をちゃんと持って臨め、こう指示された、もう一つは、周辺の海空域との関連で海上、航空の能力はやはり拡大する方向で考える、こういうふうなことも指示されたと聞いております。  この問題の根本的な考え方ですが、やはり自衛隊といえども、いまの財政再建と別枠のものであり得るはずがないのであって、したがいまして、航空なり海上に特別の増強措置が必要であるという場合には、残る陸上については縮減の措置が必要である。私たちは自衛隊の存在を認めない立場ではあるけれども、あなた方と同じ認める立場に立って考えても、現在のこういう状況の中では、陸上自衛隊も腹いっぱい食わせて、さらに海上、航空には、腹いっぱい食った上に特別のメニューもつけてやるということはとうてい成り立つはずもないし、またあってはならぬ、こう考えるわけであります。これからの防衛力整備の基本的な構想というようなものでもって防衛庁としてはどういうふうにお考えになっておるのか。あれもこれも全部欲しいのだというようなことはとてもだめだと思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 塩田章

    ○塩田政府委員 ハワイ会談に当たっての総理からの指示につきましては、実はきょう帰りまして早速部内の会議を開いて、きのう総理に会われました次官から状況をよく承って、みんなで検討することにしておりますが、一つは、いまの財政の問題を恐らく総理から指摘されたと思います。これらは私どももよく承知しているつもりであります。  一つは、いまお話のあった海空の増強ということを考えた場合に、陸は縮減せざるを得ないのではないか、こういう御指摘でございますが、要するに海空の増強と言います場合に、私ども先ほどから申し上げておりますように、いずれにしましても「防衛計画の大綱」という線を目指して努力をして、いまからまだかなりの期間がかかるわけでございます。ですから、増強と言ってもそれを超えた増強ということではないわけです。「防衛計画の大綱」の線に向かっての整備をいま進めておりますが、これを逐次進めていくことになるわけでございまして、そういう意味におきましての増強であるわけでございます。  一方、陸につきましては、「防衛計画の大綱」では十二個師団と一個機甲師団、あるいはそのほかのいろいろな「防衛計画の大綱」で定めております部隊は大体編成できておるわけであります。ただ、充足率が足らないとか、火砲が古いとか、戦車の定数が足らないとか、そういった問題はもちろんありますが、大綱の定めておる部隊の数量的な面では一応そろっているわけでございます。したがいまして、陸につきまして今後そういう意味での大幅な海空のような増強は考えていく必要はない、中身の装備の近代化あるいは抗堪性、継戦能力、こういったものの充実を図っていけばよろしいと一応考えられるわけでございます。  そういうことを念頭に置いて、最初に御指摘のあった財政ということも当然念頭に置いて、五六中業の計画の中でいまから一年かかって策定するわけですから、その中でよく考えていかなければいけないと考えております。したがって、いまここで海空増強だ、だから陸は縮減だ、こういうふうに短絡的に申し上げないで、五六中業の作成の中でそういった問題は財政事情もよく踏まえた上で、しかし「防衛計画の大綱」の線に到達できるような方向努力していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  128. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま私もお答えを聞きながら、防衛局長からこの問題で陸は減らして結構ですというふうなお答えは、これは考えてみれば無理があったかと思いますが、そうなりますと、こういう問題は結局最終的には総理あるいは閣議における各国務大臣の政治的な決断の問題になると思います。したがって、この点で外務大臣外務大臣というお立場のみならず、この場合国務大臣という立場で、海空がどうしても必要だというならば陸は少し遠慮しなければいかぬというような弾力的な対応がどうしても必要だと思いますが、その点についての大臣の御見解をお尋ねをして、あと土井委員の残った一問の方へ移りたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  129. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの問題は議論されている最中でありまして、まだ私が国務大臣として発言するのは早いと思いますが、私は総理の指示をされたことを支持いたします。
  130. 高沢寅男

    ○高沢委員 それでは、土井委員に交代いたします。
  131. 奥田敬和

  132. 土井たか子

    土井委員 問題は一問だけに尽きるわけでございますが、御案内のとおり、例の金大中氏事件に対する取り扱い、そして裁判過程に対するいろいろな対応というのは政治決着に違反しないという御説明を外務省としてはずっと一貫して続けてこられたわけであります。先日、金大中氏死刑判決の第一審、第二審の判決全文を市民運動のグループの方々が入手されまして、それを私は持ちまして四月十日に当外務委員会でその判決全文を提示いたしました。  中身は、判決理由の初めから終わりまで真っ向から政治決着に抵触するものでございます。まさに日本での言動が問われたかどによって死刑が判決された、こういう形になっているのがこの第一審、第二審の判決全文の内容でございましたが、その後外務省に対しまして、特に伊東前外務大臣に対しまして韓国側にこの判決文がどういうものであるかということを問いただすというお約束をいただいたままであります。私自身ハングル語が読めませんものですからいろいろな方々にも当たり、そしてよく事情をわきまえた方々にも当たってみまして、この判決文自身が本物に間違いないということもそれぞれの方々から感触として私は得ているわけであります。  さらに、四月二十二日に当外務委員会でそのことをお尋ねした節、いまだに韓国側から何の返答も得ていないということでございました。外務大臣、重ねて、この問題はうやむやにして済むことではないと私自身は思っております、すでに判決全文はお手渡ししてありますから、それに従って韓国側に対する問いただしを具体的に進めていただかなくてはなりません。作業はどの程度までいっておりますか、それからどういう返答がそのうち返ってきておりますか、これを少しお聞かせいただけませんか。
  133. 木内昭胤

    ○木内政府委員 市民団体の方々が入手されました判決文につきましては、韓国の外務部に私ども照会いたしました。それに対する韓国側の正式な回答は、韓国政府、司法部を含めまして、どのような経路でそういうものが出たか一切関与しておらぬ、また今後もそういった判決文を出すつもりは毛頭ない、かように関与していないものにつきまして韓国としては一切コメントする立場にないというのが先方の回答でございます。
  134. 土井たか子

    土井委員 そうすると、これは暗にこの判決文は本物であるということも含めての対応ぶりであるということがどうもうかがい知れるわけであります。したがって、事は、それをお伺いした以上私たちも、そうでございますかで済ましてしまう問題ではなくなってまいります。中身の取り扱い方、したがってその事情聴取などについても、内政干渉ではない限りやらなければならない。特に政治決着が日本の政席の責任においてなされたと  いう経過もあるわけでありますから、そして現に金大中氏は無罪、全くシロの状態ではないわけでありますから、そういうことからすると、事件はまだまだ係属中であると言わざるを得ないわけであります。  外務大臣、韓国側とのいろいろな話し合いの場というのが今月中は取りやめになりまして少し延びるようでありますけれども外務大臣としてそれまでにできる限り早くこの問題に対しての対応をしていただくことを私は切にここで申し上げたいと思うのですが、いかがでございますか。
  135. 木内昭胤

    ○木内政府委員 ただいま政治決着との絡みでの土井委員のお考えを披瀝されましたが、私どもとしましては、たびたびこの委員会で御答弁申し上げておりますとおり、判決理由要旨に示された考え方、これにのっとって対処しておるわけでございます。
  136. 土井たか子

    土井委員 余り意味のない御答弁はなさらない方がよろしゅうございますよ。これは判決文そのものを見た場合に、政治決着に違反しているか違反していないかというのは文面を見れば、そしてその文面が理解できる能力さえ持てば、これは真っ向から政治決着に抵触しているということはだれでもすぐわかるのです。しかも、先ほどの御答弁からすると、これはどういうルートで日本に渡ったかということに一切関与していない、御丁寧にそういう御説明向こうからあるわけでありますが、この判決文そのものに対して、むしろ逆に言うと、これは本物であるということをお認めになった発言であるとも受けとれる。そういうことからいたしますと、事は、いまのままで、そうでございますかで引き下がるべき問題じゃなかろうと私は思うのです。向こうさんのおっしゃることを御無理ごもっともと聞くばかりが能じゃない。日本は主権国家でございます。対等の立場に立って、韓国とはいろいろなことに対してやはり外交的な行き方を日本として発揮してもらわなきゃならぬ。そういうことに対していままで答えていないですよ。外務大臣、そういう意味も含めまして、ひとつ韓国側とも話をしていただくということを申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。
  137. 園田直

    園田国務大臣 いまの問題は韓国側とよく話し合うように努力をいたします。
  138. 土井たか子

    土井委員 終わります。
  139. 奥田敬和

    奥田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇————— 午後一時三十五分開議
  140. 奥田敬和

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際情勢に関する件について質疑を続行いたします。玉城栄一君。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 まず最初に、米空母ミッドウェーがあさって横須賀に入港するわけでありますが、きわめて常識的に核を積載していると思われるわけでありますが、その核の有無について確認をされるまで入港延期を要請されるおつもりはないかどうか、お伺いをいたします。
  142. 園田直

    園田国務大臣 核の持ち込みにつきましてはしばしばお答えしておりますとおり、米国マンスフィールド大使から、向こうの方から発言をされて、この問題についてはいままでどおり約束を守る、こういうことがあったわけでありますので、その後地元の市長さん方の御意見等も伺いましたが、すでにフィリピンを出発をしてこちらへ進行中でございますので、ここでとめても効果はないと存じますので、いまさらどうこうと言うつもりはございません。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 過日、参議院連合審査会外務大臣は、わが国としてもアメリカ世界戦略に貢献をしているというような趣旨のお答えをしておられるわけでありますが、沖繩の場合、御存じのとおり安保条約に基づく軍事的な機能というものを一手に引き受けていると言っても過言ではないと思うわけであります。在日米軍基地の五三%が沖繩に集中していることはもう御案内のとおりであるわけであります。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 したがいまして、アメリカ世界戦略にわが国として貢献する、その世界戦略の中には対ソ戦略あるいは核戦略とか、朝鮮半島だとか、あるいは東南アジアとか、あるいは中東情勢とか、そういう中で沖繩の場合安保条約に基づく軍事的な機能が非常に不安がある中で、大臣がそのように、わが国としてもそういうアメリカ世界戦略に貢献するのだというふうな位置づけをされるということになりますと、非常にまた不安が拡大するわけであります。大臣とされてどのようなお考えでそういうことをおっしゃられたのか、その点、沖繩の米軍基地との関係でおっしゃっていただきたいと思います。
  144. 園田直

    園田国務大臣 平素の私の申し上げている考え方、あるいはいまの時節からいって、不適当な言葉だったと存じます。ただし、私が言ったのは、その前後を見ていただくとおわかりになりますように、アメリカ戦略の一環を担当しているということではなくて、日本があたかもアメリカから守ってもらっているだけでそれでアメリカにいろいろ文句をつけられるかと言わぬばかりの話がありましたので、何も守ってもらっているだけじゃありません、自由主義陣営の結束に協力をしております、こう言えば誤解はなかったと思いますが、戦略上の一環という言葉は確かに物騒な言葉であって、私も後で、平素に似合わない物騒な言葉を使ったな、こう思っております。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣の御発言、特に沖繩の場合非常に敏感に、ただでさえ不安がある中に、沖繩の軍事的な米軍基地の役割りがさらに世界的な戦略の一環として位置づけられているということをわが国の大臣が国会でおっしゃったということになると、これはもう想像以上の不安が拡大するわけでありまして、決してそのようなことをおっしゃっていただきたくないし、またそうあってはならない、このように思うわけであります。  それで、ライシャワー発言以来、核の不安というものがさらに沖繩の場合は一層拡大しているわけであります。昭和四十七年の五月十五日、沖繩が返還されたわけでありますが、核抜き返還であった。しかし、その核抜き返還、まさにこれは虚構ではなかったか、当時から地元ではそういう不安感、疑惑は非常にあったわけであります。そういう中で、ラロック証言とか今回のライシャワー発言、それに伴う国会の論議、マスコミの報道等で、やはりそうだったのかという不安感は地元に非常に拡大しているわけであります。御存じのとおり、沖繩の県知事の西銘さんも、沖繩にはやはり核が持ち込まれている可能性が非常に強いというようなことすらおっしゃっておられ、現在の、あるいは復帰後の在沖米軍基地の実態をずっと見ますときに、やはりそうだったのか、やはり虚構であったのか、やはり裏切られたのか、そういべ不安が非常に拡大しているわけであります。その点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  146. 園田直

    園田国務大臣 けさほど沖繩の知事さんがおいでになりまして、きょうまた、委員会の途中ではございますが、短時間お許しを得て、議会の方ともお会いするようにいたしております。沖繩の方々の経緯からいたしまして、非常な不安を与えたことはまことに残念でありまして、この不安を解消するようわれわれは努力すべきであると考えておるわけであります。したがいまして、核に対する疑惑の中で、大体政府の方針は、記憶とかまた聞きとかいうものは、いままでのアメリカ側からのしばしばの発言によって、これはアメリカ側の言うことを信用する。ただし、いろいろな写真であるとか実物であるとか、何かおかしいということがありましたならば、それをよく検討して、そして米軍と何らかの方法で住民の方の不安が解消できるようなことを講じなければならぬと考えております。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣もただいまおっしゃられましたが、おととい沖繩の県議会が全会一致で決議をいたしました。これは県議会だけでなくて、沖繩の市町村議会がそれぞれこの核問題についての決議をどんどんやっている最中であるわけです。  この県議会の決議に二つの項目があるわけでありますが、「核兵器とう載の艦船、航空機の寄港及び領海領空通過を含む非核三原則を厳正に堅持すること。」それから二番目に「昨今の核兵器持込みの疑惑を究明し、その実態を国民に公表すること。」こういう二つの柱の決議をしております。これから大臣もお会いになっていただくということでありますが、この決議について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  148. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 私からまず御答弁いたしますけれども、第一の点については、私たちとしては、今回のライシャワー証言があったのは事実でございます。しかし、マンスフィールド大使園田大臣に、先方から、ライシャワー証言ということを踏まえて、アメリカ政府の事前協議、特に核の持ち込みについての方針にはいささかも変わりないということで、四十九年のラロック証言の際にインガソル副長官が安川大使に出されたという書簡を引用しております。したがって、政府としては核の持ち込みが行われているというふうには考えていないわけでございます。  第二の点の、それでは核搭載艦あるいは核の持ち込みについて拒否しろ、こういうことでございます。これはもちろん、事前協議の対象になる核の持ち込みについて、政府は従来からすべてその持ち込みはノーであるということで、その点についてはいささかも変わっていないということでございます。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまのお答えで、二番目の、疑惑を究明し、その実態を国民に公表しなさいということで、いろいろな疑惑がいま問題になっているわけでありますが、その点についてはいかがですか。
  150. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いわゆる疑惑の中に二つ種類がございます。一つは、ライシャワー証言あるいはエルズバーグ証言というような伝聞とか記憶に基づくもの、これについては、すでに先ほど申し上げましたように、政府としてアメリカ政府の主張というものを信用しておりまして、それによって核の持ち込みが行われたということは考えておりません。  第二の、各委員会で提起されました具体的な物証をもってお示しになりました点については、核の持ち込みが行われているというふうには考えておりませんけれども、その物証を挙げて御提示になった点については、一部すでに対米照会を行っておりますし、さらに、その他のものについては、現在各委員から提出された資料をもとに政府部内において検討しておりまして、その結果、対米照会を必要とするものについては照会する、こういうのが方針でございます。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 特に沖繩の場合は疑惑が非常に濃厚であるわけです。  そこで、施設庁の方にちょっと伺っておきたいのですが、沖繩返還後十年になろうとしておるわけです。この間、施設庁として、沖繩の場合、リロケーションも含めて米軍にどれぐらいの施設をつくり、総額どれぐらいの経費をかけてきたのか、その概要をちょっと報告していただけますか。
  152. 久保邑男

    ○久保説明員 沖繩においては、四十八年度から五十年度までの間に約九百三十二億程度のリロケーションを行っております。この内容につきましては、住宅、隊舎等雑多でございまして、いま手元に資料の持ち合わせがございませんが、何十件と申しますか、いろいろな種類のものをやっております。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、弾薬庫関係について、これまでの建設の状況をちょっと御報告していただきたいと思います。
  154. 久保邑男

    ○久保説明員 復帰後の弾薬庫関係の建設でございますが、年度別、場所別に申し上げます。  まず、嘉手納飛行場において四十九年度に、那覇海軍航空施設の返還に伴ういわゆる移設工事としまして、弾薬庫二十五棟、面積約五百四十平方メートルを建設し、また五十年度におきましては、那覇空軍・海軍補助施設の返還に伴う移設工事としまして、弾薬庫十一棟、約六百八十平方メートルを建設しております。次に、嘉手納弾薬庫地区でございますが、昭和五十一年度におきましては、那覇空軍・海軍補助施設の返還に伴うリロケーションとしまして、弾薬庫八棟、面積約千四百九十平方メートルを建設し、五十二年度におきましては、嘉手納弾薬庫地区の一部返還に伴う移設工事としまして、弾薬庫二棟、約三百七十平方メートルを建設しております。  弾薬庫につきましては以上でございます。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいまおっしゃいました合わせて四十六棟、この中にはもちろん、午前中もちょっと質疑があったわけですが、新築というものは含まれないわけですね。
  156. 久保邑男

    ○久保説明員 先ほども申し上げましたが、私どもで建設しましたのは、いわゆる施設の返還に伴う移設工事、通常リロケーションと申しておりますが、それに伴って先ほど申し上げました各施設に年度別に建設しておる次第でございます。
  157. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間もございませんのでなんですが、この四十六棟の弾薬庫の機能、中身ですね、これはどういう状況の弾薬庫であるのか、ちょっと説明していただけますか。場所を限って、嘉手納、辺野古、これはどういう弾薬庫なのか、そして、前のものはつぶしたわけですからね、前の弾薬庫はどういう機能を持った倉庫であったのか、その辺ちょっと説明していただきたい。
  158. 久保邑男

    ○久保説明員 先ほどから申し上げましたように、復帰後つくった弾薬庫が四十六棟ございまして、その全部につきましていま私、手元に資料を持ち合わせてございませんが、いわゆる嘉手納弾薬庫地区につくりました十棟、五十一年度八棟と五十二年度先ほど申し上げましたとおり二棟でございますが、それにつきまして申し上げますと、鉄筋コンクリートの通常いわゆる覆土式というものでございますが、おおむね大きさは、幅が約八メーター、それから高さが約四メーター、奥行きが約二十四メーター、フィートになっておりますので、換算しておりまして端数は省略しておりますけれども、そういう規模のものでございます。  なお、コンクリートの厚さと申されましたが、ちょっと手元に資料がございませんし、弾薬庫の性格から、すでに私どもが建設して提供しているものでございまして、ちょっと申し上げるのもどうかと思いますので、御容赦願いたいと思います。  なお、いずれも数年前に建設して提供したものでございまして、その後の使用状況等につきましては、私どもは掌握しておりませんので、御容赦願います。
  159. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、知りたいのは、どういう弾薬をその弾薬庫の中に入れてあるのか、その辺はいかがですか。
  160. 久保邑男

    ○久保説明員 いわゆる弾薬庫としてつくったものでございまして、中に入っている弾薬については、どういうものが入っておるか承知しておりません。ただ、先ほど説明した全部の棟数、四十六棟になりますが、その中には、照明弾とかいわゆる小火器、たとえばピストルだとか、そういう非常に小さなものも含まれているということをつけ加えさせていただきますけれども、入っておる弾薬の内容につきましては、私どもの方では承知しておりません。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 玉城栄一

    ○玉城委員 議論されております米軍側のナンバーで、これは辺野古ですか、一〇九七、それから嘉手納の場合、四〇〇九、ほかにも類似した弾薬庫がありますけれども、この弾薬庫はいまおっしゃった四十六棟の中には入っているのですか、入っていないのですか。
  162. 久保邑男

    ○久保説明員 いま申されましたナンバーでございますが、ナンバーにつきましては私ども詳細に掌握しておりませんけれども、辺野古弾薬庫地区の弾薬庫は、私どもの方で、いわゆる日本国政府で建設したものではございません。  以上です。
  163. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは外務省の方がおわかりなんですか。いま御報告のあった米軍独自でつくっている弾薬庫、これが言われておるところの核が貯蔵されているのではないか。いろいろな米側の出している安全基準と照らし合わせても、ここに核が貯蔵されていることはまさに間違いないというふうに言われているわけですが、その点はいかがですか。
  164. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 この点について、一日の参議院の連合審査において御指摘がございました辺野古の弾薬庫、それから嘉手納の弾薬庫については、いま施設庁からお話がございました点も含めてわが方で調査ができる限りやりまして、そこでもなおわからない点についてはさらにアメリカ側に問い合わせるという方向で現在検討中でございます。  ただ、先生が言われるのが五十年当時であるとすると、たとえば建物の一〇六〇、これは単に空き箱だけ入っているとか、あるいは一〇九七は小火器用弾薬が入っている、それから四〇〇九は航空機用の弾薬が入っている、同じく四〇一四はエンジンテスト台及び訓練用機材が入っているということを、すでに五十年の十二月十六日の内閣委員会で当時のアメリカ局長から御説明済みでございますが、恐らくこの前の御質問はそれ以降の状態だろうと思いますので、その点については先ほど申し上げたようなことで、まず内部で検討し、必要があればアメリカ側に照会する、こういうことでございます。
  165. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので。これは五十年ではなく、現時点において辺野古の一〇九七、それから嘉手納の四〇〇九、それから四〇一一、四〇一二、四〇一四、四〇一七、アメリカ国防総省の出しております核兵器の防護のための安全管理基準及びその企画に照らしてきわめて核が存在しているという建物になっているわけでありますが、この点しっかりと調べられて、そういうことが解消されないと不安は除去されないわけですから、米側にきちっとその実態、どういう倉庫であるかということをちゃんと調べて、公表されますか。
  166. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 疑惑にこたえるためにも、私たちとしてできるだけのことはしたいと思います。
  167. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、これも例の沖繩返還のときに七千万ドルの核撤去費用というものを予算化されて米側に支出をされたわけですが、その使用状況はその後どうなっているのですか。たとえば、当時核が存在していた核倉庫、そういうものも撤去されたのかどうか、その辺いかがですか。
  168. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 ちょっと突然のお尋ねでございますので、これは調べまして御返答いたします。
  169. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に移りたいのですが、大臣、ちょっと御説明をさせていただきたいのです。この間参議院での連合審査のときにも大臣がお答えになっておられた非核三原則につきまして、たとえ緊急であってもノーだということをおっしゃられた。そして、そういう形でなし崩しにされることはという意味からいって、緊急であっても核の持ち込みについてはノーということをおっしゃっておられた。本当にそのとおりだと思うわけであります。  そこで、この問題に関連しまして、沖繩で、実は離島の民間空港に米軍機が緊急という名目でときどきおりてくるわけです。これは軍用機でありますから、爆弾とかそういうものを搭載しています。御存じのとおり沖繩は国鉄はありませんし、離島の民間空港というのは住民の足でもありますし、駅みたいなものであるわけです。同時にまた、いま観光ということで非常に観光客も多い。そこへ突然軍用機が緊急だと言っておりてきまして、爆弾の入れかえをやったりする。こういうことが非常に困るということで、この問題は私、沖特でもこの委員会でも取り上げまして、沖特の場合では、総務長官も、そういうことは好ましくないという御答弁もあったわけであります。  そこで、これはちょっと外務省の方に伺っておきたいわけでありますが、五月の二十四日にまた同じく沖繩の宮古島の民間空港にCmmハーキュリーズという輸送機がおりてびっくりさせているわけでありますが、その辺の事実関係をちょっと御説明いただきたいのです。
  170. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 ただいま御指摘の点は、五月の二十四日午前十時過ぎ、米側の輸送機Cmmハ一キュリーズ一機が電気系統の故障により宮古空港に緊急着陸し、その後、同機、先に着いた飛行機でございますが、同機の故障修理のためCmmハーキュリーズがもう一機宮古空港に着陸したというふうに承知しております。事実関係は以上のとおりでございます。
  171. 玉城栄一

    ○玉城委員 このC130Eハーキュリーズという輸送機、これは輸送機ですから核の輸送もできるのですか、いかがですか。
  172. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 私、ちょっと軍事専門家でないのでわかりませんけれども、これは輸送機ということでございますので、主として兵員、貨物ということでございまして、そこに核が搭載可能かどうか、そういうことがこの飛行機の性能上できるかどうかについては、私自身としては承知しておりません。
  173. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはだれに聞けばわかるのですか。それは非常に大事な問題なんですね。この事故でおりたときに、核弾頭、いわゆるミサイルの弾頭が積まれていたということも言われているわけです。どうなんですか、このC130Eハーキュリーズというのは、そういう核の輸送はできる飛行機ですか、できないのですか。
  174. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 ここで確信を持ってそういうことができないということは申し上げられないわけでございますが、玉城委員御承知のとおり、仮に核弾頭を持ってそういう飛行場に入るということであれば、事前協議の対象になるわけでございます。
  175. 玉城栄一

    ○玉城委員 さっきも申し上げましたとおり、これは緊急という形でああいう小さな島の民間空港にこういう飛行機がおりてきまして、このときは五百キロの爆弾を空港のエプロンで入れかえ作業をしたり、こういうことが許されるのかどうか、地元では非常に大きな不安があるわけですね。  同時に、先ほど申し上げましたとおりOV10ブロンコという飛行機がありますが、韓国からフィリピンまで行ぐ場合、航続距離が二千四百キロということで、どうしても韓国から宮古、宮古からフィリピンと、この宮古島におりなくてはならない、燃料補給しなくちゃならない、そういうことがあるわけですね。ですから、そういう民間空港に燃料補給という形で定期的といいますか、必要に応じてどんどんおりられるということになりますと、OV10ブロンコにしましても、軍用機ですから偵察とかそういうこともできるわけですね、そういうことがあってはならない、これは民間空港の基地化の一歩手前である、そういうふうに受け取らざるを得ないと思うわけです。大臣、こういうことはいかがですか、許されないと思いますがね。
  176. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先般当委員会あるいは他の委員会において、玉城委員その他の委員から宮古の空港にOV10が飛来しているという御指摘がございました。外務省としては、アメリカ側に対して国会での議論を紹介すると同時に、宮古空港への米軍機の着陸は必要最小限に限ってほしいということを申し入れました。これは五月二十四日及び三十日でございます。  しかし、このOV10あるいはC130が宮古空港に着陸したのは、先ほど申し上げましたような緊急やむを得ない場合ということだったわけでございまして、委員御承知のとおり、地位協定によりまして施設区域のみならず日本の空港に米軍が入るわけでございまして、それを一切否定することはできないわけでございますが、御指摘の点がありました、まさにそういう民間空港が施設区域と同じように使われるということは好ましくないということでございまして、私どもとしてはその点についてアメリカ側に申し入れをしておりますし、また今後もそういう点はアメリカ側に対して申し入れるのにやぶさかではございません。
  177. 玉城栄一

    ○玉城委員 この件で昨年、米軍将校が二人、宮古島の平良市役所と石垣島の市役所に来まして、燃料補給のためにぜひ今後使わしてくれという交渉をやっているわけですが、米軍人が地方自治体の役所の窓口に来てそんなことを交渉することはできるのですか。
  178. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 アメリカ関係者が宮古の空港使用に関して自治体を訪れたというお尋ねでございますが、もし仮にそういう事実があったとしても、安保条約地位協定の運用について現地レベルで調整を行うということも可能でございまして、すでにそういう事例もございます。若干性格は違うかもしれませんけれども、たとえば騒音防止その他において、地方自治体と米軍あるいは施設庁等が入りまして調整を行っている例がございますので、法律的にはそういうことは禁止はされていない。ただ、具体的にアメリカの軍人がどういう目的でそこを訪れたかということについてまで、私たちはその内容までは承知しておりません。
  179. 玉城栄一

    ○玉城委員 私、この件で申し上げたいのは、そのように事前に米軍関係者が交渉したり、あるいは燃料補給ということで民間側の燃料補給会社と事前契約をしていたり、そういう中で民間空港に燃料補給という形でおりてくる、これは恒常的な使用というふうに受け取らざるを得ないわけですね。民間空港は、さっき申し上げましたとおりそういう離島住民にとっては非常に重要な拠点であるわけですから、そこにそういう軍用機が突然おりてきたり、そういう不安な状況をつくり出すということは決して好ましくない。  必要最小限ということをおっしゃいますけれども、たとえばさっき申し上げましたOV10ブロンコにしても、必ずここにおりなければならない、そういう恒常的な使用というものがもう想定されているわけです、現にすでに過去にも何回かおりているわけですから。そういうことは許されないと思うわけですが、大臣、こういう状況というのはいかがですか。
  180. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 民間空港を軍事目的のために恒常的に使うということは、地位協定の精神からもそれはわれわれとしても首肯しないところでございます。ただ、何らかの緊急目的で一時的に着陸するというのは地位協定上許されているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、特に宮古の空港については委員から再三の御指摘もございます。そこで、私たちとしてはアメリカ側に必要最小限度の使用ということを申し出て、その点についてはアメリカ側も了解しているわけでございますが、さらに今日の国会の論議を踏まえて、アメリカ側に対して同じような趣旨で申し入れることは、私たちとしてはやぶさかではございません。
  181. 玉城栄一

    ○玉城委員 必要最小限度と言うけれども、さっきの緊急の、大臣がお答えになっておられた、なし崩し的にこういうことをされては困るということなんです。そういうことは必要最小限度であっても非常に困る。こういう危険な、核を搭載しているかもしれぬようなものが突然あんな小さな空港におりてきて不安をもたらすようなことはあってはならないということを私は訴えているわけです。大臣、いかがですか。
  182. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 地元の不安、あるいはその空港が特殊な目的に使われるのではないかという疑惑があれば、それは私たちとしても心しなければならないということでございますので、民間空港の使用についてはまさに必要最小限度にしろということをアメリカ側に申し入れ、今後もそういう態度で臨むつもりでございます。
  183. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは大臣にお伺いしたいのです。伊東前大臣に、私は本委員会でも沖繩の米軍基地の問題とかいろいろ取り上げまして、やはり大臣とされてぜひ沖繩の視察をされるべきではないかというお話を申し上げましたら、ぜひ行きたいということで、先月の十六、十七日、たしかそうだったと思いますが、行く御予定であったわけですね。そしていろいろ県民の生の声も聞きたい、いろいろな基地の実情も見ておきたいというお話であったわけですが、それがああいうことでおやめになられたわけですね。  それで園田外務大臣におかわりになったわけですが、大臣の御日程として、ただいまこれからマニラであるとかあるいはヨーロッパであるとか、大変お忙しいと思いますけれども、さっきからのいろいろな核の不安の問題とか、米軍基地が非常に集中的に存在しているとか、いろいろな問題があるわけですね。やはり園田外務大臣としても適当な時期に沖繩を一回は、一回と言わず現地を視察するなりいろいろな意見をお聞きになるということはぜひ必要だと思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  184. 園田直

    園田国務大臣 沖繩を視察することについては、御発言の線に従いましてなるべく早くその機会を求めるようにいたします。
  185. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間でありますので、これで終わりますが、大臣、そっけないような御答弁でなくて、もっと誠意のある、百十万の県民がいろいろな不安を持ち、またおっしゃるような基地を一手に引き受けているといいますか、そういうことでいろいろな苦悩もあるわけですから、現職の外務大臣とされてぜひとも一回は行かれて視察をし、意見をお聞きになっていただきたい。そのことを強く要望して、質問を終わります。
  186. 奥田敬和

    奥田委員長 渡辺朗君。
  187. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 きょうは園田外務大臣にいろいろお聞かせいただきたいと思っております。特に、実際問題として内外ともに大変な時代だということが国民の実感でございます。近日中にもミッドウェーは横須賀に入ってくるでありましょう。こういった問題もありますし、それから国際的にもつい最近バングラデシュでああいうふうな事件がございました。あるいはイラン・イラクでまだ戦闘が続いているであろうと思います。さまざまな問題が日本の周辺にある。ここにおいて新たに外務大臣としての重責を負われた。これからの日本外交のかじ取りをしていかれる外務大臣に対しまして、きょうは園田外交の真骨頂あるいは基本方針というのをひとつ聞かしていただきたいと思っておりますが、それに先立ちまして、先ほど問題になりました領海条約のところで、私も興味を持ってちょっと領海条約を読んでみました。これを先に聞かしていただきたいと思います。  領海条約は、昭和四十三年六月に条約として公布されておりますが、この中身を見ると、もうすでにそのときにはわが国の国是とも言うべき非核三原則は策定をしていたわけであります。そうすると、領海条約を調印、批准する際にこういうものが加えられてしかるべきではなかったかと私は思うのですが、その文言あるいは条項はついておりません。これはどういうわけでございましょうか。条約局長なりしかるべき関係者の方に、先にちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  188. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  この領海条約は、確かに昭和四十三年五月に国会の御承認を得まして、それから加入書の寄託、それからわが国についての効力発生ということで、七月にわが国について効力を発生したわけでございます。そのときにおきましてわが国の非核三原則というものがどのような形をとっていたのか、いつの時点で確立したかということとの関連におきましては、わが国の非核三原則と申しますのは、国会での御論議を通じて徐々に形成されてきたというふうに考えておりますので、この条約の加入ということと時を一にして、その署名の際ないしは加入の際にわが国としての立場を表明するということができなかったものだと思うわけでございます。  かつまた、このわが国の非核三原則と申しますのは一つの政策でございますから、別にこの領海条約との関連でなくとも政策として採用し得るものであると思いますので、必ずしもこの条約の批准ないしは加入の際にわが国の非核三原則を明記しなかったからといって、わが国の非核三原則の政策が国際的に通用しないというようなことはないと思います。
  189. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 まず、徐々に形成されたというのは、これは何だかいつの間にやらできてしまったような感じでございまして、そういうものではなかったと思います。これは議事録を読みましても、日取りは四十三年四月十七日でございます。領海条約審議の際の外務委員会において、当時の外務大臣三木さんがはっきりとここで、「ポラリス潜水艦その他核兵器を常備しておる軍艦の」わが国領海の「航行は無害通航とは考えない。原則としてこれを許可しない権利を留保したい」ということを言っておられる。たしかそうですね。
  190. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 具体的にその条項に関しましては、確かに四十三年四月十七日に無害通航とは認めないという、ただいまお読みになりました政府見解をお出ししているわけでございますが、これは別に領海条約の批准の際にそういうことを書いておかなければならないというようなものではなく、わが国の無害通航に対する見解というものはわが国独自でとり得るものであると思います。
  191. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 それじゃ条約局長、もう一遍お聞きしますけれども、やはり留保条件でもつけておいた方がよかったとお思いにはなりませんか。たとえばこの領海条約を見ましても、コロンビアであるとか、あるいはその他の国々がいろいろ留保をつけておりますでしょう。たとえば外国軍隊の通過や何かに対して自国の憲法上の手続云々というような、コロンビアなんかの条約は留保条件がついております。これはやはりつけておいた方がよかったとはお思いになりませんか。
  192. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 これは一般国際法を法典化したものでございますから、それぞれの国がそれぞれの考えからいろいろな解釈宣言でございますとかいうものをつけていると思いますが、日本の場合つけなかったわけでございまして、つけておいてもよかったのかもしれませんし、しかし、つけなかったからといって、わが国一つの立場というものが害されるものではないと考えております。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
  193. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私、やはりつけておいた方がよかったと思うのです。というのは、その後いままでの審議を通じても、無用の混乱やら解釈の違いやらいろいろなものが出てきておりますから、そういうものを避ける意味でもつけておいた方がよかったのではないかと私は個人的には思います。  ただ、ここで大臣にお聞きいたしますけれども、大臣は非核三原則の問題は国連の軍縮総会であるとかその他の機会において常に声を大にして国際世論にも訴えておられる、私は大事なことだと思うのです。ましてや、いま核積載船の通過が問題になる、こういうときに当たりまして、海洋法会議は中断しております。海洋法会議再開の際なんかにも、日本を代表してこれらの問題についての基本的見解をきちっと言っておくことは大事だと思いますけれども、いかがにお考えでございましょう。
  194. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 海洋法会議におきましても、もちろんそのような日本側考え方を表明する機会があるだろうと思います。     〔青木委員長代理退席、稲垣委員長代理着席〕 中断されているとおっしゃいましたが、実際上ちょっと審議のテンポが遅くなった一というだけでございまして、別に中断されているわけでもございません。したがいまして、いずれその機会が来れば行うことも考えられると思います。
  195. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 次に進みます。今度は大臣からぜひお聞かせいただきたい。  日本基本的立場は西側の一員ということであります。その際に、西側といいましてもたとえば米国あり、あるいはヨーロッパあり、ASEAN諸国もあるいは入るかもわかりません。そうした中において、極という言葉が正しいかどうかは別といたしまして、いま日米欧という三つの極を考えた場合に、これらの三つの関係はどういうふうに位置づけたらいいだろうか、西側の一員ということは、わかるようで何だかよくわからない。基本的な姿勢について、特にこれからヨーロッパにもいらっしゃるわけでございますから、ひとつお答えをいただけたらと思います。
  196. 園田直

    園田国務大臣 西側の一員という言葉は誤解があるかもわかりませんが、自由主義陣営の中の一員、こういう意味に御理解願えれば結構だと思います。
  197. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 西側の一員というのは自由主義諸国の一員である、そうすると、自由主義諸国の結束あるいは連帯といったものを強化していくことについて、日本としては積極的な役割りを果たすということも含めた西側の一員ということでございましょうか。あるいは日本には特殊な制約があり、したがってできること、できないことを仕分けして何か違った仕事をするのだという分業みたいなことをお考えでございましょうか。
  198. 園田直

    園田国務大臣 自由主義陣営の中の一員として日本ができる役割りの分担をすることであると存じます。日本はまだヨーロッパアジアアメリカを一体に結束することに主役をやるだけの地位にもないし、またそれだけの責任を負うべき立場にもない、私はそう思います。
  199. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 それでは具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  いま大きな問題は、対米的な信頼感の再構築といいますか、あるいはいままであるならばそれを固める、と同時に、私は、ソ連に対する日本外交姿勢を明確にしなければならない時期がいま来ているのではなかろうかと思います。さきに大臣が就任されましたときに、五月二十日か五月二十一日であったかと思いますが、初の記者会見におきましても、日本対ソ制裁の先頭に立つのはおかしい、日本が力んでみても、米国は通告だけで対ソ穀物禁輸を解除したりしているというような発言もしておられる。私は、大臣が日本外交姿勢として対ソ関係の修復を考えていらっしゃる一つ姿勢のあらわれ、あるいはシグナルとして受け取ってよろしいのかなと思うのですが、いかがでございましょう。
  200. 園田直

    園田国務大臣 日本は自由主義の側の一員として足並みをそろえる。それから、しばしば言いますとおりに、日米外交日本外交基軸であり、かつまた、日米安保条約日本安全保障の土台であります。しかし、そのようにして足並みはそろえるけれども、その目的というものは、足並みをそろえ結束をかたくしてソ連対決しようということであってはならない、あくまで世界の平和を願い、東西問題、米ソの対立を緩和するというのがやはり世界平和を願う一国としての責任であると考えております。  したがいまして、ソ連という隣国、しかも大国、しかも日本には影響力が非常に大きいわけであります。だが、一方には北方領土を初めいろいろな困難な問題があります。現下の情勢では、日本ソ連関係は必ずしも良好ではなくて、厳しい方向をたどりつつあります。そういうことを念頭に置きながら、日本足並みをそろえるのは、ポーランド、アフガニスタン、いろいろと問題を起こす隣国でありますから、これが問題を起こさないように抑止力を発揮しつつ、時間をかせぎ、平和を願う、こういう基本でありますから、やはりソ連との間もいろいろ困難な問題がありますけれども、結束をかたくして一方に引きずり込まれないようにしながら、ソ連との友好関係もできるだけ進めていくべきだと考えております。
  201. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 御存じのように、ただいまヘルシンキ会議、全欧州安全保障会議、これの五年後の見直しがいろいろ行われております。その中で中心は、こういうふうにひび割れした世界の中で相互に信頼感をどうやってつくり出すか、いわゆるコンフイデンスビルディングの問題であろうと思います。東西の両方からどうやって歩み寄らせたり、あるいはまたひび割れを少なくするかということに世界が非常な関心を持っておる。そこに外務大臣は行かれるわけであります。これに対しまして日本の大臣として何らかの信頼感醸成措置を、極東においてあるいは世界的なレベルでお考えでございましょうか。  端的にお聞きいたしますが、たとえばアフガニスタン問題が起こりました。その後、制裁措置日本としては講じられております。その制裁措置なるものは、今後強めていかれるのか、なし崩しに薄めていかれるのか、一定の時期、ある条件が来たらやめるということになりますでしょうか、ここら辺についてはどのようなお考えでいらっしゃいますか。
  202. 園田直

    園田国務大臣 ヨーロッパヘお伺いをしていろいろ御意見を承るわけでありますが、もちろんこの中には、世界共通の失業、インフレ等の経済問題、景気の回復、いろいろありましょう。しかしやはり、いまの複雑な厳しい国際情勢に向かっておのおのの国がどういう考え方をしておるか、こういうことを承ることも一つの仕事だと考えております。  ヨーロッパと一言に申しましてもなかなか複雑でありまして、たとえば西独を考えてみましても、西独アメリカの新政権に対して国防大臣、大蔵大臣外務大臣と、次から次へとアメリカを訪問、最後には首相のシュミットさんが訪問をして会談しておるわけであります。これはやはり、自由主義陣営足並みを乱すまいという結束、と同時に、やはり東西問題の一番大事なところである米ソを厳しい対立に持っていきたくないということがあるようでありまして、その証拠には、帰ったらすぐソ連からブレジネフ氏を招待するとか、あるいはまた西独から絶えず外務大臣等がソ連に行っているというようなことから見ましても、やはり大体考えることは、各国とも足並みを乱すと大変なことになるから足並みは乱すな、しかしながら、足並みは乱さない中に何とかして国際情勢対決から緩和への姿勢を考えたい、米ソの問題でもなるべく話し合いの方に行くようにという念願が一貫して流れておる、こう思うわけであります。  そこで、制裁問題というのは、米ソが力と力をもって対決しようというときに、日本が先頭に立って力でどうこうしようということではその目的は達せられない。しかしながら、それならば自由陣営と足並みを乱してよいか、これもできないわけでありまして、まさに一面的な単純な考え方じゃなくて、多面多様的な考え方をしなければならぬ時期でありますから、ポーランド、アフガニスタン等に対するそれぞれの態度は、やはり自由主義陣営のそれぞれの国の立場を理解しながら、これと足並みをそろえていくことが大事であると考えております。
  203. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いまのお言葉を聞いて大変心強く思ったのでありますが、足並みを乱さずに緊張緩和への歩調を進めていこうという御姿勢を持っておられるということについては、大いに私も期待をいたします。その延長線上に、たとえば本年秋に国連総会がございますけれども、恐らく外務大臣御出席されると思いますが、そういうときには日ソ外相会談でもお開きになるというようなお心ではございませんでしょうか。お気持ちはいかがでございましょう。
  204. 園田直

    園田国務大臣 国連総会には必ず出席をして、年来の私が訴えてまいりましたことをさらに訴えたい。と同時に、米国ソ連を初めできるだけ多数の国に、特に非同盟中立の国々との外相会談は、時間の許す限り、国内でお許しになる範囲で最大限やって帰りたいと思っております。
  205. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、私はこれから幾つかお尋ねいたしますけれども、簡潔で結構でございますから、お考えを知らしていただきたいと思います。  つい最近は、韓国の外相との会談が予定されていたようでございますけれども、それが延期になりました。これはどのような理由からでございましたでしょうか。特に極東における韓国情勢あるいは朝鮮半島全体の情勢、その中における両外相の話し合いということはそれなりに大変大きな意味を持つものであろうと思ったのでありますが、延期されたということで一つの懸念を持っておりますが、その点はどのような理由でございましたでしょうか。
  206. 園田直

    園田国務大臣 御承知のような事情で、急に私、外務大臣に指名をされたわけであります。したがいまして、他の国の外相との会談その他は前大臣のときに日程が決められておったわけでありますが、ここで変わってまいりましたのは、私が就任しましてからヨーロッパヘの総理の旅行にお供することに予定を変更したわけであります。そこで、ヨーロッパお供をして、最後のイギリスで私はお許しを得て引き返して、ASEANの外相会議に出席をする、こういうことに大体方針を決めておるわけでございます。  したがいまして、前外務大臣のときに予定をされ、決められた外相会議というものが、一つアメリカの国務長官が中国に行かれるときに、日本日本の外相と国務長官と会うという約束が日にちまで決まっておったわけであります。日本と韓国の外相会議も、これも決まっておったわけでありますが、以上のような日程の都合でどうしてもお会いすることができませんので、まずアメリカの国務長官には実情を説明をして、そしてどうしても日程の都合上日本でお迎えすることができない、できればフィリピンのマニラで、同時に出席するわけでありますから、その際ゆっくりお話ができればということを申し上げたわけでありますが、米国の方でも非常に気を使われて、日米外相会議の延期というものは、いろいろ問題が起こっている、それの影響で延びたわけではなくて、日本外務大臣の日程の都合上延びたわけであって、そして両方相談の上、マニラの拡大外相会議で昼食をしながらゆっくり会うというふうに決めたということを米国では発表されました。  韓国に対しては特に気を使いまして、私は韓国の外務大臣とはこれまた初対面でございます。そこで、前大統領の場合と今度の新しい全斗煥大統領の場合とはいろいろやり方も変わっておりますし、また一つ方向をつくらなければならぬ時期であると考えておるわけでありまして、礼儀上からいっても、初対面のときに時間をかけてゆっくりお話するのが礼儀であると思うし、私の希望でもある。しかしながら、こういう日程の都合上、予定どおりにやるとなれば、これはごく短時間、かっこうだけの会談になるから、とりやめますとは言わずに、いかがなものでございましょうかという相談を韓国にはしたわけであります。  そして、韓国と日本と両方で相談の結果、それでは私の方もゆっくり話したいから、この際は両方合意の上で延期しましょうということで延期をして、改めて日にちを設定をして、ゆっくり礼儀も尽くし内容も実の入った話をしましょう、こういうことで、これは韓国の方にもよく了解を得ておるところでございます。
  207. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いま大臣のお言葉の中に、ASEANの外相会議出席の問題が出ました。これは私どもの憶測でございますけれども、恐らくASEANの外相会議においての大きな関心事の一つは、中国とベトナム国境における紛争も近ごろあったようでございますし、これが一体どうなるのか、これは日本国民の心配でもございます。あるいはまた、カンボジア代表権の問題がどうなるであろうか、ここら辺につきましては、大臣、どのようなお考えで臨まれる所存でございましょう。
  208. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの中国とベトナムとの国境紛争については、非常に心配をいたしております。私は就任後直ちに両方の国に、国境紛争というものは話し合いと相互理解の上で解決をされたい、武力をもって紛争を起こされることは、これが不本意に拡大をして、そしてアジアの平和に影響するところが大きいから自重されたいという意味の申し入れをいたしたところでございます。  そこで、ASEANの会議は、これもまたアジアの外相会議はもちろんのことでございますが、御出席の外相の方々とはなるべく時間をつくってお会いして意見交換をするつもりでありますが、カンボジア問題その他についてはASEANの友好国の国々と相談をして、そして足並みをそろえながら国際的な影響力が発揮できるような最善の方法を見つけたいと考えておるわけであります。  なお、いま御発言なさいましたカンボジアの問題では、私がジュネーブの難民会議で、出席しまして以来カンボジア国際会議を提唱いたしましたが、当初はなかなか各国の同意を得られず、特にASEANの方ではなかなか理解が示されなかったところでありますが、その後時日の経過とともにアジアの諸国も理解を示されまして、アメリカの方でことしの夏、カンボジア会議を開こうという段取りになっておるわけでございます。  そこで、この会議については二つ意見がありまして、一つは、ベトナムやソ連が参加しない国際会議を開いても無意味ではないか、こういう意見と、いや、ベトナムやソ連が出てこなければ最終の解決は無理かもしれないが、一遍に解決を望まずして、出席する国が出席をして国際影響力をだんだん大きくしていってやろうという説と、二つに分かれておるわけであります。私は後の方に賛成をしておりまして、ASEANの国々と相談をしてできるだけこの国際会議は開こう、そしてベトナムやソ連が参加できるような雰囲気をつくろうじゃないか、と同時に、国際的に影響を与えるように一つのアピールもしようじゃないか、こういう意見を持っておりまして、そういう相談をし、私もそのカンボジアを中心とする会議には無理をしても出席をさせていただきたいと思っておるわけであります。  なおまた、その会議内容についても、これはジュネーブ会議のときにも起きた議論でありますが、問題は、ベトナムが悪いという意見と、ベトナムの犯罪あるいはベトナムが悪いということを強調するよりも、今後どうやればインドシナ半島に平和が来るかということを重点にしていこうじゃないか、人を責めるよりもお互いのなすべきことを相談をしようという二つの意見があるわけであります。私はこれも後者の方に同意をしているわけでありまして、そういう趣旨のもとにこのカンボジア会議には出席をする。それを前提にしてASEANの方々及び出席の外相とは相談してみたいと考えております。
  209. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 基本的な方向を示していただいてありがとうございました。  後ほど今度はヨーロッパの方へ向かわれるわけでありますが、ヨーロッパ諸国、これは単にヨーロッパだけではないと思いますが、世界じゅうがいま大変注目している共通の問題は、中東和平だと思います。これにつきまして、さきの鈴木総理レーガン大統領共同声明の中にも中東問題が触れられておりますし、そこからまた日本役割り分担の問題も出てきております。いまのイラン・イラクの紛争の状況なり、PLOあるいはまたイスラエルとシリアとの状況、こういった問題を見るときに、一体日本としては何をなすべきなのか、この基本姿勢がないと、ヨーロッパに行っても共通の土台といいますか、そういうところで話し合いをしていくということがむずかしいのではあるまいかという懸念がございます。その点、大臣いかがお考えでございましょうか。
  210. 園田直

    園田国務大臣 ヨーロッパ各国ではいろいろお話をしたいことがあるわけでありますが、私は各国総理の首脳者会談と一緒に、外相会議もそれぞれ申し入れをしているところでございます。そこで、われわれは身近でございますからインドシナ半島の紛争というのを非常に重視しているわけでありますが、ヨーロッパの諸国もこれに関心はありますけれども、われわれがもっと関心を持たなければならぬのは、ヨーロッパの諸国がアフリカ問題というものに非常に関心を抱いておるわけで、アフリカに関心がないということは日本はエゴイストじゃないかと言わんばかりの気持ちがあるわけであります。しかも、このアフリカ問題をどううまく解決していくかということは、これはひいては友好関係、経済関係等にも響いてくると存じます。  そこで、その中間で中東の問題でありますが、中東の問題では、まだアメリカの国務長官とはお会いしていない、初めてでございますが、私は前回就任中にアメリカに言ったことは、中東問題においてはアメリカと同一歩調はとれない、とらない方が中東の平和を願うために解決策としては万全であると思う、こういう話をしておったわけでありますが、やはり中東問題については、私の見るところではこれはなかなか複雑でありまして、単に国益だけではなくて、宗教、国益あるいは国境、いろいろな問題が絡んでおります。絡んでおりますときに大事なことは、一方の方に立場を入れることは非常に危険である。悪いけれどもアメリカが不本意ながら中東の平和のために努力しながら多数の国々から敵視されておることも、一つの参考にしなければならぬ。  かつてのイギリス、フランス、こういうものはアフリカをどちらかというと植民地にしておった国でありますが、これは現地の人々の意見を聞いても、いまは非常にうまくいっておって、フランスの前大統領などはしばしばここに行っております。英国その他もここにしばしば行っておる。そこで、中東問題については日本ヨーロッパ諸国と意思を疎通してやる方が無難であって、そこに一つの道を探し、かつまた日本のやるべき立場を尽くすとともに、アメリカに対しても真のパートナーとして中東に対する諸問題について真剣な意見を申し述べてやることが中東問題に対する日本の責任である、こう考えておりますので、ヨーロッパから帰りまして、そしてサミットその他が終わったらなるべく早い機会に、四回目になりますが、中東にお伺いするつもりでおります。
  211. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 もう一つ二つだけお尋ねをさせていただきたいと思います。  今度行かれるヨーロッパ六カ国、これはすべてポーランドと非常に関係のある国々でございます。しかも資金も提供し、今度のポーランドの状況の中では大変困惑している。そうすると、大臣が行かれますと、恐らくこれらヨーロッパ諸国からは経済援助協力方を強く訴えられるのではなかろうかと思います。これに対する基本的な姿勢はどうでございますか。
  212. 園田直

    園田国務大臣 ポーランドについては、先生御承知のとおりに西独は特に関係が深いわけであります。テレビその他の電波の状態からしても、それから電話等でも西独とは即時通話ができて、われわれが考えておるような雰囲気ではなくて、自由主義とソ連の方の衛星国という関係じゃなくて全く近隣という感じで、私が東欧諸国を訪問したときも、ゲンシャー外務大臣は毎晩のように私の行く先に電話をして、各国外務大臣と連絡をとるという状況でありますから、ポーランドについてはドイツの意見もよく聞いてみたいと思います。  ポーランドの紛争というのは、単に東西問題だけで解決しようとしておりますが、問題はおっしゃるとおり食糧を初めとする経済問題がああいう一つの紛争の起こりでありますから、これについてはよく事情を承った上、総理の御意見を承りながら、ポーランドに対する援助というものも日本は知らぬ顔をして済まされるものではなかろう、制裁その他よりもそっちの方が大事じゃないか、私はこう考えております。
  213. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間がなくなりましたので、最後にもう一つお聞かせいただいて質問をやめたいと思います。  それは、フランスでこれからまた首脳会議をお持ちになるわけでありますが、ミッテラン大統領当選後、フランスがムルロアにおける核実験を停止したというニュースがありました。ところが、一転してまた再開ということになったようでございます。従来、日本政府としては、いかなる政府であろうとも、南太平洋地域で実験を行うという場合においては常に抗議してきたと思います。今後そのような態度でこの問題に臨まれるわけですか。それからまた、フランスに行ってどのようなお話し合いをされる所存でございましょうか。
  214. 園田直

    園田国務大臣 核実験の問題は、今度のヨーロッパ訪問は別個に切り離しまして、終始一貫、日本はどこの国に対しても核実験には反対して、これをやめてもらいたいということをやっておりますから、これはそのまま貫くべきであると考えております。  フランスの新政権はまだなかなかわかりませんが、国内政策は違う、しかし外交方針は前政権外交方針とほとんど変わらぬ、こういうことでありますけれども日本フランスは大分違っておりまして、日本みたいに性急じゃございません。日本政権ができると、その日から、その朝からわんわん、外交政策はどうだ、どこの問題はどうだ、何はどうだと聞かれるし、聞かれる方も何か返答しなければならぬということでいろいろ問題があるわけでありますが、フランスの方では御承知のとおりに、本当に外交政策をきちんと決めるのは半年ぐらいかかっております。前政権もその前の政権もじっくり腰を据えて基本方針だけ示して、インタビューやその他外国との会談等を見ましても、具体的なことには触れておりません。必ず半年ぐらいじっくりやってからいろいろな具体的なことを示して、そこで初めて大統領外交問題に対する会見が行われる、大体こういう筋のようではありますけれども基本的には余り変わらぬ。  かつまた、ドイツの首相シュミットさんがレーガン大統領といろいろ話しております。これはたてまえその他ありまして、一つ自由主義陣営の結束、もう一つは東西問題その他でありますが、これはもう大体想像できる問題でありまして、私が一番聞きたいのは、シュミット首相レーガン大統領に新政権に対する感想、見通しをどのように言ったかということが一番知りたいところでありますが、いまのところまだ電報ではわかりません。こういう点はさらに突っ込んで西独では承る。  残念ながら、一番大事なフランスはASEANの外相会議のために私、出席できませんけれども、やはりフランス大統領もちょうど選挙の真っ最中でありまして、果たして総理が行かれてうまく会えるかどうか心配しておりましたが、幸いフランスの方も非常に関心を示されて、楽しみにして待っておる、いろいろな問題で意見を交換したい、しかし選挙の最中で選挙の陣頭指揮を総理大臣がやっておるから、総理大臣と鈴木総理大臣のお話の機会はないかもわからぬが、大統領総理大臣とゆっくりお話ししたい、こういうことでありますから、深く期待しておるところでございます。
  215. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間がなくなりました。大変丁重な御返答をいただきましてありがとうございました。御活躍を期待しております。     〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕
  216. 奥田敬和

  217. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、核兵器の問題と関連して、外務大臣に若干の質問をいたします。  いま日本列島は陸も海も空も核列島になっているのじゃないかといったような疑惑に国民は包まれておるし、とりわけ横須賀の核空母、それから岩国のMWWUIの核部隊の問題、さらに沖繩の嘉手納基地、特に米空軍第四〇〇弾薬整備隊、ここにアメリカの最新型のB61という核爆弾が持ち込まれたといったような疑惑に包まれておる。これは外務大臣がとりわけどうしても解明しなければならない問題じゃないかと思います。  そこで、いまの嘉手納の弾薬整備隊に搬入された問題と関連して、去る二十二日、衆議院本会議で不破議員が質問した中で取り上げられたもので二十二日の現地の新聞はほとんど全面を埋めておる。嘉手納町議会は臨時に町議会を招集して、核兵器の撤去、非核三原則の厳正実施、真相究明、この三つを決議して、さらに県議会は去る一日臨時議会を開いて、これまた超党派でいま申し上げた内容の決議をして、多分代表団に外務大臣はお会いになったと思います。  そういった中で、いまもお話がありましたヘイグ国務長官に今度会われる。そのときにただすべきなのは、核問題をただして国民にわからせるということがいまの核の疑惑を解明する一番手近なことではないか。それをまた国民は願い、新外務大臣に非常に大きい期待を持っていると思います。そういう意味で、十九日というように新聞報道されておりますが、お会いになったときに、国務長官にぜひそういった点をただしてほしいと思いますが、いかがでございますか。
  218. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま御提案になりました具体的な、たとえば嘉手納のB61に関する整備計画、これはすでに委員会で取り上げられておりまして、私たちの方で現在調査中でございます。したがって、こういう点について大臣がヘイグさんと会われたときに取り上げるという問題でなくて、われわれとしてはできるだけその前に、いまのB61の問題を初めとして委員会で具体的な物証でお示しになったものについてまず内部で検討し、アメリカ調査ということで、B61あるいは山田弾薬庫についてはすでに調査を照会しておりますので、その前に回答を得るように努力したいと思います。
  219. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務大臣に聞きたいのですが、せっかく国務長官に会われるので、いま日本国じゅうで大きな問題になっている核問題をテーマにしないということはないじゃないか。  具体的に申し上げますと、いま局長は目下調査しておるということを言っておりましたが、はっきり七五年二月二日から八日までこのB61という核爆弾が、補修しなければいかぬのでということで少なくとも五日間は置かれています。それが現実なんです。アメリカの核政策はあるともないとも言わないというのが政策なんだが、いわゆる沈黙なんです。この沈黙がこれで破られたわけなんです、入れてありますと。そうであるとすれば、せっかくお会いになるいいチャンスでありますから、国務長官に、そべいった点があるからどうなんだということだけは言ってもらう、正しく国民にわからして国民に安心感を与えるということが大事じゃないかと思って大臣にお聞きしたのですよ。いかがですか。
  220. 園田直

    園田国務大臣 核の問題についてはしばしば私からも事務当局からも答えておりますとおりに、マンスフィールド駐日大使から私に向こうから発言があって、いろいろ問題があるがいままでどおりアメリカは約束を守るという趣旨の発言があっておりますから、われわれとしては、アメリカはわれわれと決めた事前協議というものをちゃんと守っておる、こう思うわけであります。したがいまして、いろいろな疑惑については、先ほども事務当局から言いましたとおりに、記憶であるとかまた聞きであるとかいうことを一々取り上げてこれを照会するということは考えておりません。  しかし、写真であるとか、あるいは間違いない資料が出てくるとか、あるいは現実に何かある、こういう場合には、これはやはりそれぞれ何らかの方法をもって日米両方が話し合って納得のいくようなことをしなければならぬと考えておりますけれども、マニラにおける国務長官との会談は、そういうことをやってそこで解決するはずもありませんし、これは当然日本の外務省とアメリカの国務省との間の話、あるいは場合によっては日本の防衛庁とアメリカの国防省との話でありますから、マニラでこれをことさらに取り上げる、また取り上げてそこで解決するべき問題でないと考えております。
  221. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私の申し上げましたのは、確実な証拠は、アメリカのいま申し上げました第四〇〇弾薬整備隊、これがいわゆる週間整備計画、英文は二十二日に各閣僚に渡しましたからおわかりだと思いますが、これは一週間にどのようなことをやったということを書いて、しかもサインは、アメリカ空軍曹長ウィリアム・C・フィック、これはスケジュール作成係で、もう一人は米空軍少佐ノーラン・R・ピーターセン、これは整備監督官なんですが、これがサインして、最後に隊長のデービッド・ホレンボーグ米空軍中佐が承認するという、はっきり米軍の資料なんですよ。ですから、アメリカは核があるともないとも言わないという沈黙政策はこれで破られておる。少なくとも五日間は嘉手納弾薬倉庫にありましたということをはっきり言っておるので、このぐらいは確かめてほしい。それが国民にこたえる道だ。  いまアメリカは沈黙、あるともないとも言わない、日本の国是は非核三原則。確かめない、明らかにしないということで、まるでうそをつかれておるのじゃないかという非常な疑惑に包まれておる。いわゆる沈黙とうそとの二重構造みたいなかっこうになっているが、その壁を突き破ったのがこの公文書なんですよ。アメリカは日にちも書いて、少なくとも五日間は弾薬倉庫に置いてありましたと言っておるわけなんです。ですから、もしこれを確かめないとすれば、日本政府は三原則の厳正実施じゃなしに、これを容認するということになると思うのだが、私は、この点は自主的に自信を持って新外務大臣がヘイグ長官に会ってお話ししてもらいたい、重ねて要望したいと思いますが、いかがですか。
  222. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いわゆる整備計画がある、サインをしてある、そこでそれは核が持ち込まれておるというふうにきめつけられておりますけれども、私たちはやはり事前協議がなければ核の持ち込みはないというふうに信じております。  しかし、そういうふうに具体的に文書あるいは物証をもってお示しになりました点については、やはり国民の疑惑を晴らすという必要から、この整備計画の文章について、それはどういう性格なのか、あるいは内容の意味するものは何かということをアメリカ側に現在照会中でございます。
  223. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはアメリカに照会中といっても、今会期は六日で終わるとなると、いつまでも照会中ということになるが、この場合期限を切って、十九日に外務大臣がお会いになるでしょう、だからせめて東京からお立ちになる前にこの真相が明らかになれば、外務大臣はヘイグさんに言えるわけなんですよ、どうも確かめたところ、あると。だから、淺尾北米局長、それまでに約束できますか、できませんか。できないとすれば、国会が済んだらもうそのまま解明しないということになると思うのだが、それまでにできるかどうか、お約束できますか。
  224. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 国会の有無にかかわらず、こういう問題についてはできるだけ入手したいということでアメリカ側と話をしております。しかし、相手のあることでございますので、私が六月十九日までに回答を入手することができるということを断言することはできませんが、なるべく早くアメリカ側の回答を得るように目下努力中でございます。
  225. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、最後に大臣に要望したいのですが、いま局長が言われたように、大臣は十八日に立たれるのですか、お立ちになる前に督促してこの真相が究明され、具体的に七五年にどうも持ち込んでいたようだということになれば、ヘイグ長官にその点をただして疑惑を晴らすように努力してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  226. 園田直

    園田国務大臣 一連の核持ち込みの疑惑に対してこれをどうやってぬぐい去るかということは、われわれの責任だとは考えております。しかし、われわれはあくまで日米の相互信頼関係において、事前協議をしないで、条約や取り決めを破ってアメリカが持ち込んでおるということは考えないわけで、核持ち込みを前提にしてアメリカ交渉するわけにはまいりません。しかし、いろいろな疑わしき問題があれば、これはいろいろ話し合うことは必要であります。したがいまして、それを三日以内とか四日以内とか期限を切ってやれとおっしゃっても、これは事務当局が言ったとおりなかなかむずかしい問題でありますが、全力を挙げて努力はいたします。
  227. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に要望ですが、いま、あと三日、四日ではできぬとおっしゃる。この問題が出されたのは二十二日の本会議なんですよ。あと二日、三日じゃないわけです。いまだに照会中ということではいけないので、国民の持っている核兵器が日本に持ち込まれているという不安、恐怖、おののき、これをどうしても解明しなくちゃいかぬ。それはやはり真相を究明する以外にないと思います。そういった意味で、外務大臣は腹を据えてヘイグ長官にも当たってほしいということを要望して、私の質問を終わります。
  228. 奥田敬和

    奥田委員長 野間友一君。
  229. 野間友一

    ○野間委員 きょうも朝から核の持ち込みの問題でいろいろ質疑がありました。この問題はいまの政治上の最大の課題だと私も思いますし、沖繩あるいは岩国、横田、それからミッドウェー、横須賀ですね、さまざまな疑惑がいま深まる一方だと私は思います。そこで私は、そのうちの岩国の米軍基地、いわゆるMWWU、これらの問題について少し質問をいたしたいと思います。  最初に、五月二十一日の参議院の外務委員会で共産党の立木議員が、このMWWUについて、これは核兵器を投下部隊に給付または積みかえ部隊に返還するまで三十日以内の貯蔵を行うということ、あるいは空中投下用核兵器の整備、組み立て、試験の任務をMWWUは帯びておるということ、さらに組み立て作業所があるというようなことを、いわゆる核教範を引用しながら質問をいたしました。その中で園田外務大臣は、これについてはいまの問題をよく問い合わせて調べます。こういう回答をされたわけでありますが、その後の調査の経過あるいは結果どういうことになっておるのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  230. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま御提起になりましたまずMWWUそれ自身でございますが、これは私がかつて予算委員会で答弁いたしました、いわゆるコマー証言が出て、MWWUが核専用部隊ではないかというお尋ねがございました。それに対するアメリカの回答は、このMWWUというのは核を整備する能力を有する部隊であって、貯蔵あるいは搭載する責任は有しない、そういう整備をする能力を持っている部隊が岩国にあるということと核の存在とは別であるという回答を得ているわけで、これは国会で御報告したとおりでございます。その後、立木委員から御提起のありました建物の問題、あるいはその他委員会で核作戦教範というものが御提示になりました。その点について、現在私たちの手元においてそのいただきました資料を吟味して検討しておりまして、さらにその結果、必要であればアメリカ側に照会するというのが現状でございます。  なお、蛇足になりますけれども、岩国の建物一八一〇、一八一一、これについては五十一年の段階でも同じような疑問が提起されました。その際にアメリカ側から得た回答は、これらの建物は海兵航空団第一武器隊の執務室及び同武器隊による弾薬取り扱い訓練を実施する場所として利用されている、さらにいずれの建物にも兵器は貯蔵されていないというのが五十年二月の十三日及び十九日に在京アメリカ大使館からの回答でございますが、今回またこの建物についてあるいは組み立てについての疑問の御提起がございましたので、先ほど申し上げましたように、現在わが方においてその資料を十分精査して、必要があればさらにアメリカ側に照会するというのが現状でございます。     〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
  231. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、その教範に基づいて、現在外務省では実態等もかかわっていま検討中というふうに聞いていいわけですか。
  232. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 私たちとしては、核の持ち込みがあるという前提ではございませんけれども、そういう点について御質問がございましたので、教範について十分調査し、それとの関連で建物についても、そこで教範との関連はどういうことになっているかということを現在研究しているところでございます。
  233. 野間友一

    ○野間委員 教範を読むと、一目瞭然なんですね。実は私が訪米して入手したものなんですが、五月の二十一日に立木質問がありまして、もうすでに六月になっておるわけですね。これも、先ほどの話ではありませんけれども六日には終わるわけですね。もちろん国会が終わっても、これはもう回答を速やかにするのは当然としても、早急にひとつ、しかるべく回答方を重ねて要望しておきたいと思います。     〔松本一十一委員長代理退席、委員長着席〕  関連してお聞きするわけですが、この同じ教範の三百十八ページになりますが、核兵器組み立て班、これを常時定数いっぱいに、かつ最高の稼働状態で維持しておくというようなことの記載、あるいは敵が核能力を持つと考えられる場合はMWWU部隊が空中投下用核兵器を飛行場近くに維持する、またこれら兵器は分散する、こういう記載が実はあるわけですね。そこで岩国に、これらの教範と照らして検討してみますと、いまあなたが引用された建物一八一〇、一八一一ですが、まさに、この離着する滑空路のすぐ近くにこれがある。同時に、問題はこの周囲に関連する建物がたくさん存在する、これは明らかだと思うのです。つまり、教範にありますMWWUというものは、この飛行場近くに維持し、またはこれを分散するのだということが、いま言いました一八一〇あるいは一八一一と、そしてその周辺にある建物、これらとの関連でここに分散をしておるのではないかという疑いが非常に強い、こういうふうに私は思うのです。  そこで聞きますが、その周辺の建物としては、一八五〇あるいは二〇〇六、一八七〇、それから七一、同じところですね、それから二〇一二、こういうものがあります。これが、MWWUの使用する一八一〇あるいは一八一一とどのような関係にあり、MWWUが使っておるのか、あるいはそうでないのか、この点についてはどう理解しておりましょうか。
  234. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほど申し上げました、すでに疑問の提起された問題については、お答えしたとおりでございます。  いま御提起になりました問題について、その建物がMWWUとどういう関係にあるのか、現在私は承知しておりません。しかし、いま野間委員が言われましたことも含めて、まず部内で検討し、必要があれば対米照会する、こういうことにしたいと思います。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
  235. 野間友一

    ○野間委員 一八五〇という建物、その存在は御存じでしょうか、どうですか。
  236. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 一八五〇について、それがあるのかどうかについては、私は承知しておりません。
  237. 野間友一

    ○野間委員 外務省は知らぬわけですね。これはいままで国会でも論議になかった建物です。これを現地でいろいろ調査もしておりますが、正体不明の建物、こう言われるしろもので、しかも一八五〇というその建物を特定して国会でもあるいはその他でも論議になったことはただの一度もない。しかもこれが大変なしろものではなかろうか、私はこういう疑惑を持っておるわけですね。  いま、局長はこれらの存在を知らないというお話がありました。私、ここに米軍の作成しました地図を持ってまいりました。これらの当該部分だけを別にコピーしておりますので、これをお渡ししたいと思います。  これは、ここに作戦に関する記載個所がありますが、ドローイングナンバーがFI四六—一—八〇、作成日付が八〇年の八月十三日、ゼネラル・レイアウト・マップ、こう書いたところがありますね。ここに記載がされております。したがって、これは米軍が作成しました地図で、可能な限り入手できる、そういう限度で一番新しいもの。これは、私、赤で囲んでおると思いますが、この図面で初めてこの一八五〇という建物の表示があるわけです。この図面で初めてこれが出てきた。現地の平和委員会や原水協の関係者の人たちも、これについて初めて一八五〇というものがわかったのだということを言っておるわけであります。     〔青木委員長代理退席、稲垣委員長代理着     席〕  ここで問題は、いま申し上げましたこの周辺の関連する建物というのはこういうことなんですが、いま一八一〇あるいは一八一一、このちょうど北、距離を測りますと約三百メートル前後のところに一八五〇の建物、これがあるわけですね。そして、この道路でずっと巡回しておりまして、さらに北へ参りますと二〇〇六を中心とした一群の建物があるわけです。さらに一八五〇のすぐ東には一八七〇、七一、これがありますね。さらに、それから一八五〇、一八一〇、一一、この三つの群のちょうど中間点あたりに二〇一二という建物があるわけですね。  これは平和委員会やあるいは原水協の調査によりましたら、この検問所から入りまして、まず一八七〇あるいは七一、ここを起点といたしまして、ずっとこの二〇〇六、これを通りまして、さらに一八五〇、こういうところをずっと巡回するというのが日課のようです。先ほど教範を使いまして申し上げたように、飛行場の近くに核は分散する、こういう教範、そして現実に現地でいろいろと動きを見ておりますと、私どもの疑いは一八一〇あるいは一一が組み立て所である、ちょうど教範と同じようなものがそっくりそのものがあるわけですが、恐らくここで組み立てて、そのほかいま私が指摘したようなところ、ここでコンポーネンツを分散しておるのではなかろうか、こういう疑いを非常に持つのです。  調査の対象として特に私が指摘しておきたいのは、この一八五〇という建物であります。いま局長に同時にお渡ししました資料の中で、一八五〇を大きくしたもの、それがあると思います。これを見てみますと、この一線の土盛りですが、この長さが約百メートル、ちょうど南北ですね。高さが約三・六メートル、あるいは四メートルかもわかりません。それからこういう直線の土べい、土盛りと、そしてそれにコの字型のこういう土盛りがしてありまして、この中に一八五〇の建物がある。外から見ますと、この土盛りより平屋の建物の屋根がかすかに見える程度にすっぽりとこの建物が隠れておる、こういう状況であります。  しかも、私たちの調査でわかったことは、ここは日本人が全く接近できない、こういう場所であります。中には従業員がおりますけれども日本人の従業員でも近づくことはできない場所です。それから、もちろん避雷針が立ててありますね。それから監視が非常に厳しい、こういうところであります。恐らく私たちの推測では、この一八五〇の建物に弾体、核物質、もしコンポーネンツを三つに分けるとすればその中心部分ですね、この弾体の部分が、ここは半地下か何かわかりませんが、ここにあるのではなかろうかという疑惑は非常に強いわけです。  これは先ほど申し上げたように平和委員会や原水協の調査、あるいは私たちの調査、それから教範、こういうものとあわせ考えてもここは大変疑惑に包まれたところであって、やはり岩国に核があったのだということは一層強まったという感じがしておるわけであります。いませっかく教範のいろいろな検討を進めておる、こういうことであります。  また外務大臣は前回の六月一日の連合審査のときに上田耕一郎議員に、立入調査を検討したい、こういうお答えをされております。これは十数年前、交渉当時、伝染病の発生源が米軍立川基地ということで国民に不安が高まった、そこで米側と話し合い、立入調査を実施し成果を上げたことがある、そういう趣旨でよく話し合いたい、こういうふうにお答えになりましたね。  この点について、いまちょっと所用で出ておられましたけれども声が大きいから聞こえたと思いますが、いま申し上げたように、単に一八一〇あるいは一一、これだけではなくて、この周辺に非常に疑惑に包まれた建物があり、しかも調査の結果、そこは常に巡回している、そして作業がなされておる、日本人は接近できない、監視が非常に厳重である、避雷針もある、土盛りでごっぽり囲まれたところに、これは一八五〇でございますけれども建物がある、こういうのも含めて、いま国民がこれだけ大きな核に対する不安を持っておるわけですから、やはり園田大臣が言われたように立入調査をぜひ早急にやっていただきたい、こう思うわけであります。六月一日にはこれを約束されました。具体的にどういう方法でいつごろやられるのか、これをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  238. 園田直

    園田国務大臣 上田耕一郎さんの質問があったことも事実でありますが、そのときの私の答弁では、前の黒柳さんの質問をお聞きになってもわかりますとおり、日本米国関係は、基地または軍艦その他の中で立入検査ができないことはよく御承知のとおりでございます、しかし、立入検査はできないが、日米関係であるから話し合いで見に行くことはできるかもわからぬ、そういう意味で何とかよく話してみましょう、こういうことで、立入検査をやるとか強制調査をやるとかという意味ではございませんから、この点は御理解を願いたいと思います。  そこで、この問題はいつやるか、どういうふうにやるかは米側とよく理解と納得がいかなければならぬ問題でありますから、これは十分検討していきたいと思います。
  239. 野間友一

    ○野間委員 お言葉ですが、この中で、十数年前のいま申し上げた立川の米軍基地に対してとられた措置、話し合って立入調査を実施し、成果を上げたことがある、そういう趣旨でよく話し合いたい、これは黒柳質問に対する御答弁ですね。そしてこれをそのまま上田耕一郎議員の質問に対してお答えになっている。ですから、そういう前段の趣旨からすれば、確かにいきなり強制的にということまでは大臣は考えておられないかもわからない。しかし、少なくともそういう答弁をされておるわけですから、ぜひ約束を守っていま申し上げた数々の疑惑を晴らしていただきたい、真相を明らかにしていただきたいと重ねて要求をしたいと思います。  なお、この点について、時間がありませんのでさらに質問を進めますが、実は五月二十八日付の朝日新聞の朝刊の漫画で「フジ三太郎」というのがあります。これに「日本に核はない!」と鈴木総理が一生懸命汗をかいて答えておりますが、その後、「アリマース」と言ってGIが核を引っ張ってきた。「余の辞書にはない」というナポレオンのあれがこれに出ておりますけれども、いま現に実は岩国の基地の中で、下士官がここには核があるのだと言ったということが私たちの調査の結果明らかになりました。  これはいま具体的な名前を挙げることはいろいろな問題がありますのでちょっと差し控えますけれどもアメリカの第一海兵航空団所属の下士官であります。この人は二十年前から岩国に数回勤務してきた人です。航空機の整備が任務のようであります。ミッドウェー、航空母艦の積載機の整備も経験した第一線の兵士です。実はこの人が八年前から親しくしておる日本の女性、これは岩国にいま居住しておりますけれども、この女性にこの事実を打ち明けた。その事実といいますのは、実は岩国には核が三つに分けて置いてあるのだ、こういうことを言ったわけであります。私たちはこの米兵にも会いまして、実在の人物で名前も全部特定されておりますが、いまはこれは申し上げるわけにはまいりませんけれども、いきさつはこういうことです。  いま申し上げた女性が、ジョンソン元国務次官の証言などが載っておる新聞を見せながら、ここに広島や長崎に落ちたような核爆弾があると言われておる、きっと日本人はアメリカ人を恨みに思うからきょうは町に出たら大変だ、こういうことを言ったわけですね。そうしますと、その下士官が手ぶりを交えてこう言った。それについてはおまえたちは全く心配しなくてもよい、あれは三つのものがあって初めて一つになる、一つ一つは遠くに離して置いてあり、それを一つにして初めて使えるようになる、アメリカ本土から持ってくるのは遠いのでずっと前からここに置いてあるが、分けてあるから全く心配ない、こう言ったのです。録音に入れてあります。それで、そんなことを言って大丈夫か、こういうふうに女性が心配しますと、ライシャワー元駐日米大使、この人だってしゃべっておるじゃないか、こういうことで、半ば冗談かもわかりませんけれどもこう述べた。こういうことを私たちは調査の結果明らかにしておるわけですね。  そうなりますと、確かに私、いま引用しましたのは、刑事訴訟法上は伝聞に該当するかもわかりません。しかし、これが単なる風聞とかあるいはうわさではなくて、非常にリアルな話しぶりですね。ジョンソンの発言の新聞があった、それできょうは町に出るな、いやそうじゃないのだ、三つに分けてあるのだ、そしてアメリカから持ってくるのは遠いからここに三つに分けて置いておるのだ、こういうことまでリアルに言っておる。このことは、やはり教範の中での、核は飛行場の近くに分散する、整備するということ、それから先ほど挙げました地図上のいろいろな動き、これは、二重フェンスの建物も実は三カ所あるわけです。そして、この中での人の出入りなり作業程度、ぐあい、そしていま申し上げた下士官の発言、こういうようなものを考え合わせて、総合して考えてみますと、やはり岩国に核がある、核兵器があるという疑いはますます濃厚になってきた、こう言わざるを得ないと私は思うのです。  先ほど瀬長議員が、四〇〇MMSのB61を米軍の資料で指摘をいたしました。これはもう次から次へと、単に通過や寄港だけではなしに、陸上で、いわば基地、こういうところにまで、日本の本土、沖繩もそうですね、日本が使われている疑いがありますので、先ほども園田外務大臣が言われたけれども、やはり国民のこういう疑惑をどうしても晴らさなければならぬ。確かにおっしゃるように一時的なじんま疹でないわけですね、実際に。ですから、こういう不安を一掃するために、あれば厳しく物を言わなければならぬ、安保条約上の措置をとらなければならぬ、これは当然でありますけれども、これらも含めて踏まえて、ぜひ適切なる措置を早急にとっていただきたい、私は調査を要求したいと思いますが、再度外務大臣答弁をいただきまして質問を終わりたいと思います。
  240. 園田直

    園田国務大臣 私が委員会で十三年前の話をいたしましたが、この場合も日米関係で立入検査、基地調査はできないから、日米関係で話し合いで、視察ということで中を見せてもらう、こういうことでやった経験がありますからと、こういう前提を置いて、そこで何らか方法を考えてみましょう、こう言ったわけであります。  次に、いまの米国に問い合わせる、あるいは事実を確かめるという問題でありますけれども、これは、いまおっしゃいましたことは参考になりますが、やはり人がどう言った、こう言ったということで、日米関係向こうから約束は守っていると言うものを、そうじゃないという証拠にはわれわれとしてはするわけにはまいりません。  それからまた、出されました資料、こういうものも非常に的確な資料ではありましょうけれども、その資料が手に入ったから核があるという証拠にはならぬわけであります。しかし、疑えば疑う種にはなるわけでありますから、そういう点も十分検討をして、事務当局とも相談をして国民の疑惑を晴らすような適切な処置はしたいと考えます。
  241. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  242. 稲垣実男

    ○稲垣委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後三時三十三分休憩      ————◇—————     午後三時五十一分開議奥田委員長休憩前に引き続き会議を開きます。  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件、日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の郵便支払指図の交換に関する約定締結について承認を求めるの件、日本国政府オランダ王国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件及び日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件の七件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  243. 土井たか子

    土井委員 日本国ギリシャ共和国日本国オランダ王国との間の文化協定、この二つの文化協定を一括して質問を申し上げたいと思います。  文化交流に関する政府姿勢一つはお伺いしたいわけでございますが、この二つの文化協定締結するに際しまして、こういうこともお含みおきの上でこれからのこれに処するお心構えをお聞かせいただきたいのです。  それは、年々国際交流基金に対する出資金が減っていっております。特に、国際文化交流関係の予算というのがここのところ年々日本は減っていっているわけであります。五十二年以後、少し数字として出していただきまして、その後づけを見ましても、ずっとこのところ減っていっているわけですね。こういうことも含めまして、今回この文化協定締結するに当たりまして、国際交流というものは大変大切だという立場でこれに対処するお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  244. 天羽民雄

    ○天羽政府委員 ただいま土井先生御指摘のとおり、残念ながら国際交流基金に対します出資金は、確かに五十億から二十五億、二十五億から十億と減っておる点は御指摘のとおりでございます。片やその他の財源によりまして、現在のところ横ばいよりは少しは上に向かった財政支出をいただきまして、何とかがんばっておる次第でございます。こういう状況におきまして、今後ともなかなか厳しい財政状況下、大きな飛躍は財政的には求められないかと思いますけれども、できるだけこの与えられた条件のもとにおいてがんばっていきたいということで、右との関連におきまして、いま先生の御指摘のありました日蘭、日ギリシャの文化協定でございますが、署名はされておりましたけれども、今回ここでもって御承認を得られれば両国間の文化交流を一層安定化できるということでもって、何とか御承認方をお願いしたいと思う次第でございます。
  245. 土井たか子

    土井委員 あと一問、総括的に外務大臣の御所見を承って私は終わりにしたいと思うのですが、この五月二十五日からローマで国際記念物遺跡会議の総会が開かれております。そこにもちろん日本からも文化関係者や建築史家などが出席するということであったわけですが、この種の国際会議に参りますと、いつも決まって外国から指摘される問題があるようであります。  それはどういうことかといいますと、どうして日本は、武力紛争の際の文化財の保護のための条約、それから世界文化遺産と自然遺産の保護に関する条約、この条約に調印しながら、いつまでたっても批准しないのかという声なのでございます。この中身は詳しく申し上げるまでもないと存じますけれども一つは、武力紛争の際の文化財の保護のための条約。第二次世界大戦で世界各国の多くの文化財を失うという結果になりました。このことの猛省の上に立って、一九五四年、ハーグで調印をされまして、ただいま六十九カ国が批准をいたしております。すでに一九五六年、日本も調印をいたしまして、その節発効いたしておりますが、調印以来二十七年間たなざらしになっておるのです。中身は、条約の前文で、いかなる国民に属する文化財に対する損害も全人類の文化的遺産に対する損害を意味するということを表明いたしておりまして、そして各国が自国内にある保存すべき文化財を国際登録する、同時にそこには攻撃目標になるような軍事施設を配置しない、こういうことを公約する。一方、他の国々もその文化財に向けていかなる敵対行為もとらないことを約束する。万一違反して破壊すると、それ自身、人類に対する犯罪行為とみなされる。文字どおり文化財の赤十字を内容にした条約なのでございます。ところが、これについて日本は批准を見送った二十七年間であったということが一つは言えるわけであります。  もうあと一つ世界文化遺産と自然遺産の保護に関する条約、これは一九七二年の十一月のユネスコの総会で採択されておりまして、当時の総会の議長は元駐仏大使、当時の外務省の顧問をされておりました萩原徹さんでございました。日本が総会議長の役を仰せつかって、このユネスコの総会で採択されたのがただいま申し上げておる条約中身なのでございます。すでに五十三カ国がこれに批准をいたしておりますが、日本はいまだにこの条約についても批准の気配がございません。  中身は、締約国に対しまして守るべき文化遺産と自然遺産をユネスコに報告する、世界遺産の一覧表に登録するということを義務づけておりまして、登録文化財の保存策には国際的な援助が受けられる、活動資金としてユネスコに世界遺産基金が設けられるということになっております。締約国はそこにユネスコ分担金の一%を拠出しなければならないということになっているのですが、聞くところによりますと、わが国の場合は、年間約四千万円ぐらいの支出が予想されるということが一つの原因にもなって、批准が見送られておるということもちまたに聞こえてくる声でございます。大臣、いかがでございますか。  最近、国会の内外で防衛論争は非常に盛んなのでありますが、しかしこの論議は、軍備の増強問題に焦点が当てられて、それは見送るべきであるか、認めるべきであるかということが常に焦点になっておるのですが、人命とともに本来守っていかなければならない国土の美しい自然やこういう文化財というものの保全対策が余り深刻に考えられてきていない、まことに憂慮すべき問題だと私たちは受けとめております。  軍拡競争の果てに起こる環境破壊、世界の破壊ということを食いとめることのためにも、文化財を保護するということを積極的に受けとめて、もっと努力を積み重ねていかなければならないのじゃないか。この二条約に対する批准を日本としては迫られておるのじゃないか、こういう思いがいたしますが、こういうことも含めまして、きょう審議をいたしまして、やがて採決されるであろう文化協定に処する大臣の御所信のほどをひとつ承って、私は質問を終えたいと思います。
  246. 園田直

    園田国務大臣 文化財を保護するということは、その国だけではなくて、世界のすべての人々に対するその国の責任であるとさえ感じております。かつまた、日本文化財というものはなかなか貴重な文化財が多いわけでありまして、御発言の趣旨はよくわかります。ただ、二つの条約がおくれました理由は、一つは、主として文化財が集中している奈良、京都、この地区が空港だとかなんだとかというところから距離が余り離れてない、こういう現地の実情、それから後の方の条約は、このための国内法との調整、分担金等の問題等でおくれていることだと存じます。しかし、文化財の保護というのはきわめて重要な問題でありますから、これについて私もつい関心がここまでいっておりませんでしたが、いま承りましたので、重大な関心を払って、困難はありましょうとも、各省庁とも協議の上前向きに締結の可能性について検討したいと存じます。
  247. 土井たか子

    土井委員 終わります。
  248. 奥田敬和

    奥田委員長 高沢寅男君。
  249. 高沢寅男

    ○高沢委員 私は、郵便関係の五条約についてお尋ねをいたしたいと思いますが、これは事柄の性格上、お答えは主として郵政省の方にお願いをいたしたいと思います。  まず、万国郵便連合、UPUが五年に一回大会議をやる。そこで、郵便連合の一般規則、それから万国郵便条約、その他こういうものの改定をされて、そしてこの加盟国は少なくも一般規約と郵便条約については定められた時間までにこれを承認を終わらなければいかぬ、こういうふうな形になっています。それで、今回も国会にこれが提案されているわけでありますが、百六十二カ国という多数の加盟国の全体が、そういう時間までに間に合って承認手続が果たして完了できるのかどうか。もしそういう手続が完了できなかった国は、今度は国際郵便関係の業務が具体的にはどうなるのか、こういう関係を、将来の問題もありますので説明をお願いしたいと思うのです。
  250. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 お答えいたします。  ただいま高沢先生から御指摘ありましたとおり、UPUの大会議において採択されます連合の文書といいますのは、各文書につきましてそれぞれ定められた日、すなわち今回の国会にお出しいたしました五つの文書に関しましては本年の七月一日に発効する。発効いたしまして、次回のUPUの大会議で新たな文書を採択し、それが発効する日まで有効である、こういう定めになっております。で、いずれの国が承認をしない場合におきましても、これを承認した国に対してはその新しい協定が発効する、効力を有する、こういうことになっております。したがって、この新たな文書が発効いたしますと、その発効日以降、ことしの七月一日以降は新たな文書のみが適用されることになります。当然の結果といたしまして、現行の文書といいますのは何らの手続なしに失効する、こういうことになります。したがって、国際郵便の関係におきましては、その同日までに発効をして、新たな文書を締結してない国に対しても新しい文書が実際は慣行として適用される、こういうことになっております。  これはたとえばわが国の場合で申しますと、郵便法とか為替法、振替法等に条約に別段の定めがある場合にはその条約の規定がそのまま国内的に法律の特例として適用されることになりますが、これは新たな協定文書を締結しなかった国に対してもそういうことになるわけでございます。したがって、わが国が七月一日までに新たな文書の締結をしないような場合にはその該当する条約が存在しないということになりますので、実際外国との郵便業務を行う場合、業務上に支障を生ずるということもあり得るわけでございます。ですから、七月一日までに発効しておくことが望ましいし、かつ、従来実際上の慣行としてそういう形で郵便関係が続けられてきた、こういうことでございます。
  251. 高沢寅男

    ○高沢委員 次へ進みまして、一般規則の第百二十四条にUPUの財政関係が定められておりますが、それで若干お尋ねしたいと思います。  これによりますと、一九八一年から八五年までの各年の年次経費の上限額は幾ら幾らと皆決められておりますが、この年次経費は結局どういうふうな経費の内訳になるか、その御説明をお願いします。
  252. 永野明

    ○永野説明員 お答え申し上げます。連合の年次経費の内訳でございますが、UPUの国際事務局に現在百三十五名の職員がおりますけれども、それの人件費、それからこの事務局の運営にかかわりますその他の経費、すなわち物件費から成っておるわけでございます。  人件費の内訳といたしましては、基本給与とか地域手当あるいは家族手当、社会保障分担金等、国際連合の共通制度によります給与、諸手当が内訳になっております。  それから物件費といたしましては、UPU事務局の庁舎の維持管理費あるいは事務用品、機器類の購入費、旅費、通信費その他若干の項目がございますが、そのようなものが内訳になっておる次第でございます。
  253. 高沢寅男

    ○高沢委員 同じく百二十四条の財政のところで、加盟国の分担金の出し方が今度は言わば前払いという方式が出ておる。一方では従来スイスの政府が立てかえ払いをするという運用があったのが、今度はそういうことはしないようになる。この相互の関係はどういう事情でそうなるのか、御説明をお願いします。
  254. 永野明

    ○永野説明員 連合の経費につきましては、創立以来スイス政府によって立てかえ払いをするということでまいったわけでございますけれども、今回両条約を審議するに当たりまして、スイス政府から近年の連合の経費の増大に伴いましてこれがスイス政府にとって重大な財政的な負担になってきておるということから、立てかえ払いの制度を廃止しましてほかの国際連合の諸機関等においてすでに採用されております分担金の前払い方式を採用してもらいたいという要望が参りました。UPuといたしましては、この要望を取り入れまして、前払い方式に変えていくという条約改正を行ったということでございます。
  255. 高沢寅男

    ○高沢委員 もう一問お尋ねしたいと思います。  万国郵便条約の中に、国際郵便に関する勘定の決済等に今度はSDRを用いることができる、こういうふうな改正がなされたわけですが、従来の決済はどういう通貨を使い、どういうやり方をしてきたのか、今回SDRを使うということはどういうことでそういう改正が行われたか、その説明をお願いしたいと思います。
  256. 永野明

    ○永野説明員 お答え申し上げます。  万国郵便連合の条約によりまして、この連合が用います基準貨幣は一定の金の純分量に基礎を置きます金フランとするという条文が憲章の第七条に従来から規定されております。これを各国の相互間の決済に用います場合に、現行の万国郵便条約の八条に、これに相当する額ということでこのような規定がございます。「各加盟国は、自国の通貨でできる限り正確に金フランの値に対応する相当額により、料金を定める。」ということで、各国とも自国の通貨を金フランに換算をして決済いたしておったわけでございますが、国際通貨基金、IMFでございますけれども、この第二次協定昭和五十三年に改正され、発効したわけでございます。これによりまして、IMFの加盟国は自国の平価の価値を金によって表示しないということをこの協定の改正で合意したわけでございます。そこで、UPUといたしましては、一昨年のブラジルで開催されました万国郵便大会議におきまして、万国郵便条約等において使用します貨幣単位は憲章に定める金フランとするわけでございますが、この金フランはIMFの計算単位であるSDRに換算可能なものとすることが決められまして、勘定の決済にSDRを使用できることにしたということでございます。これをUPU条約の第八条に改正として盛り込みまして、今後はこれによってやっていくということになったわけでございます。
  257. 高沢寅男

    ○高沢委員 どうもありがとうございました。以上で終了いたします。
  258. 奥田敬和

    奥田委員長 玉城栄一君。
  259. 玉城栄一

    ○玉城委員 国際郵便関係条約五件、あわせて簡単にお伺いいたします。  一点目は、わが国の分担等級は五十単位等級であると伺っているわけでありますが、年額どのくらいの額になるのか。それから、主要国の分担額はそれぞれどの程度になりますか。  二点目に、連合一般規則百七条一項において、連合の書類に使用する言語として、新たにドイツ語、中国語、ポルトガル語及びロシア語が加えられているわけでありますが、その理由と、日本語がこういう国際機関の用語として認められない理由が何かあるのか。  三点目に、この一般規則百四条の四項の「国際連合の作成する表において恵まれていない国とみなされる国」とはどういう国か。現行規則の「国際連合が指定する経済的に最も開発が遅れている国」という文言が新規則のように改正された理由。それから、現行規則で、アフガニスタン等二十五カ国が指定をされた国となっていたわけでありますが、新しい規則によってもそれはそのとおりなのか、その辺、変わるのか。  以上、UPU関係三点、お答えをいただきたいと思います。
  260. 永野明

    ○永野説明員 お答え申し上げます。  わが国の分担等級に基づきます年額でございますが、昭和五十六年度予算ベースでは、一九八二年分のUPUの経費につきまして計算をいたしますと、約一億三千四百万円ということになっております。  それから、わが国と同じ五十単位を分担している国を申し上げますと、米国、カナダ、フランス、英国、西ドイツ及び中華人民共和国、これにわが国を加えまして七カ国でございます。次に多い分担として二十五単位を分担している国は、オーストラリア、ブラジル、スペイン、インド、イタリア、ニュージーランド、ソ連、この七カ国となっております。  二番目の、UPUの文書なり会議等で用います言語の関係でございますが、現在のUPUの規則で、連合の書類に使用される言語といたしましては、フランス語、英語、アラビア語及びスペイン語が認められております。ところが、一九七四年のローザンヌの大会議の決議に基づきまして、uPUの執行理事会において、各言語の使用国数とか、使用人口とか、あるいは国際機関のほかの例というようなことを考慮しつつ検討いたしました結果を受けまして、今般のリオデジャネイロの大会議におきまして、特に重要な基本的な書類に限るという条件つきで、ドイツ語、中国語、ポルトガル語及びロシア語の使用が認められたということでございます。  それから、書類の作成のために日本語を使用することにつきましては、一般規則の第百七条の一に規定がございまして、「連合の負担する費用が増加しないことを条件として、」認められているわけでございますが、以上申し上げましたような言語と異なりまして、連合が費用を負担する言語としては認められていないということでございます。  結論的に申し上げますと、わが国の費用負担ということであれば、日本語は文書にも用いられ得るし、会議にも用語としては用いられるということでございます。
  261. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、日英郵便支払指図交換約定について二点お伺いしておきたいと思います。  イギリスは、万国郵便連合の郵便為替約定には加入せずに、郵便小切手約定には加入しているわけですが、その払い出し業務を実施していない理由はどういう理由なのか、それが一点。  二点目に、本約定締結により日英間に年間どれぐらいの件数及び金額の支払指図の交換が予想されるのか、主としてどういう人々がこの約定により送金の利便を受けることができるのか。  以上二点、お伺いいたします。
  262. 松田欣治

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  イギリスがUPUの為替約定に入っていない理由でございますが、外国のことでございますので、その国の事情をすみからすみまでわれわれ熟知はしておりませんけれども、聞くところによりますと、イギリスでは国内の為替業務がUPUの条約で決められているあるいは予想されている業務と全く違う、つまり国内業務に親しまないというところからこの条約に入っていないということのようでございます。それから、小切手約定の方も、払い出し業務そのものがイギリスの振替制度の払い出し業務とかなり形が違っているというところから、UPUで定めます小切手約定によりましてはこの払い出し業務ができないという説明のようでございます。  第二点でございますが、今回日英の郵便支払指図約定を御承認いただきますと、私どもの目算といたしましては年間大体一万二千件程度、これは過去イギリスと日本との間で古い条約がありましたときの最大の年間の数字でございますが、大体同じくらいの数字があろうかと思っております。  それで、ちなみにそのときの利用状況の中身を申しますと、日本からイギリスヘあてる送金の利用目的の主なものは、書籍の購入代金、これが多いようでございます。大体六六%でございます。そのほかには各種の会費、それから入会金、こういうものが一〇%程度。それから留学をいたします学生さんの学費の送金、生活費の送金、これが九%程度となっております。大体こういう傾向は続くのではないかと考えております。
  263. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  264. 奥田敬和

    奥田委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件及び郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件の四件を一括して採決いたします。  各件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  265. 奥田敬和

    奥田委員長 起立総員。よって、各件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の郵便支払指図の交換に関する約定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  266. 奥田敬和

    奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国政府オランダ王国政府との間の、文化協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  267. 奥田敬和

    奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  268. 奥田敬和

    奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 奥田敬和

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  270. 奥田敬和

    奥田委員長 次回は、来る五日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会