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1981-04-15 第94回国会 衆議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十五日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 川田 正則君    理事 松本 十郎君 理事 高沢 寅男君    理事 土井たか子君 理事 玉城 栄一君    理事 渡辺  朗君       太田 誠一君    小坂善太郎君       坂本三十次君    竹内 黎一君       中山 正暉君    河上 民雄君       大久保直彦君    近藤  豊君       金子 満広君    野間 友一君       田川 誠一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 伊東 正義君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 塩田  章君         外務大臣官房審         議官      栗山 尚一君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省経済局長 深田  宏君         外務省条約局長 伊達 宗起君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      堂ノ脇光朗君         外務大臣官房外         務参事官    加藤 淳平君         外務大臣官房外         務参事官    松田 慶文君         外務大臣官房外         務参事官    小宅 庸夫君         外務大臣官房外         務参事官    長谷川和年君         大蔵省主税局国         際租税課長   真鍋 光広君         文化庁文化部芸         術課長     大谷 利治君         運輸省航空局監         理部国際課長  大金 瑞穂君         運輸省航空局監         理部監督課長  近藤 憲輔君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 平井磨磋夫君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   水田 嘉憲君         運輸省航空局技         術部運航課長  石井 俊一君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       末永  明君         海上保安庁警備         救難部長    吉野 穆彦君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 四月十三日  戦後ソ連地区抑留死亡者遺骨送還のため外  交交渉促進に関する請願田中恒利紹介)(  第二八四八号)  同(加藤紘一紹介)(第二九三九号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約批准等に関する請願外一件(森井忠良君  紹介)(第二八四九号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約早期批准に関する請願勝間田清一君  紹介)(第二八五〇号)  同外八件(河上民雄紹介)(第二八五一号)  同(高沢寅男紹介)(第二八五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関す  る千九百七十四年十月十六日にモントリオール  で署名された議定書締結について承認を求め  るの件(条約第一九号)  航空業務に関する日本国フィンランド共和国  との間の協定の締結について承認を求めるの件  (条約第二〇号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税の防止のための日本国政府とシンガポール  共和国政府との間の条約を改正する議定書の締  結について承認を求めるの件(条約第二三号)  千九百六十四年十一月二十七日にパリで署名さ  れた所得に対する租税に関する二重課税回避  のための日本国政府フランス共和国政府との  間の条約を改正する議定書締結について承認  を求めるの件(条約第二四号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  3. 高沢寅男

    高沢委員 このたび、アメリカ原子力潜水艦ジョージワシントン号衝突によって日本貨物船日昇丸が沈没する、その中で二人の行方不明者が出られているわけですが、この行方不明者というのは、大変残念ながらその生存の可能性は絶望的だと考えざるを得ない、こういう事態だと思います。  私は、この事件が起きて、大臣もごらんになっていると思いますが、いろいろな新聞の読者の投書欄、声の欄というところがございます、そういうところに、日米安保条約安保体制というものは一体何だったのか、日本を守ってくれる、こういう趣旨で来たはずであるが、その守ってくれるはずのアメリカ原潜によって日本の船が沈められる、あるいは日本人の生命が損なわれる、その際の乗組員救助についてもやってくれない、こういう実態の中で、結局日米安保体制というのは本当に日本を守ってくれるものではないじゃないか、そういう実態が明らかになったじゃないかというような趣旨の声が非常に多く出ておりますが、まずこういうことについての大臣の御所見を初めにお尋ねをしたいと思います。
  4. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  今度の事件というのは、日本にとりまして本当に遺憾な事件だったというふうに私は考えておるわけでございます。そして、この間マンスフィールド大使が来られましたときにも、いま先生のおっしゃったような、そういう対米感情が起こってくるということを私は非常に心配する、でございますから、この際、なぜ通報がおくれたのかというようなことやら、あるいは人命救助についてどういう努力をしたのかというようなこと、また事故の起きた原因再発防止という意味からも、事故の起きた原因ははっきり徹底的に究明してもらいたい、補償問題等、いろいろ話したのでございます。  いま投書欄の声を御紹介になりましたが、そういう声が国民の間に出てくることを私は心配をし、憂慮するものでございまして、一日も早く事態の解明がはっきり行われるということが必要だというふうに私は思うわけでございます。  本当の友好ということは、非は非、是は是としてはっきりする、その上にお互いの信頼関係を築いていくということが大切だと思うわけでございますので、私は、この際、原因通報がおくれた理由人命救助がどうだったかというようなことははっきりしてもらい、そして事後の対策、補償の問題を含めまして事後処置ははっきりやってもらいたい、それが日米関係信頼をまたつなぎ、築き、発展していくことだというふうに考えますので、私はその旨を大使に伝えたわけでございますが、国民の中にいまおっしゃったような声が出ることを本当に私は憂慮しておる一人でございます。
  5. 高沢寅男

    高沢委員 いま大臣のこの事件に対処する決意は一応表明をされたわけでありますが、私の見るところでは、この問題の真相を明らかにさせる、いまそれをアメリカに求めている、こういうことでされておりますが、ややともすると軍事機密というベールに包まれて、結局われわれの求めるような真相が明らかにならずにうやむやに終わってしまうというようなことを実は大変恐れるわけであります。この点は、たとえば金大中氏の問題をめぐる日韓関係でもそういう事態があったわけであるし、今度のこの日米関係でもそういうふうなことになりはしないかという、実は大変憂慮する気持ちを私は抱いております。この点については、たとえば金大中氏の問題が起きた場合の日本外務省当局韓国政府当局との間に、私の感じでは、何か非常ななれ合い的なそういうものが見られるように思います。日米安保条約、こういう問題になると、今度は日米政府当局行政当局あるいは軍の当局の間に、言うならばなれ合いがあるような感じがするわけでありますが、この問題についてはそうしたなれ合いはもう一切許されないということだと思います。  したがいまして、いま大臣の言われた、なぜこの事故が起きたか、なぜ通告に三十五時間もかかったか、なぜ船乗りの救助をしなかったか等々、また、補償措置はどういう責任ある措置をとるかということをできるだけ速やかにアメリカ側の責任ある答えをさせる、また、それに対する処置をさせるということについては、大げさに言えば私は、大臣気持ちとしてはアメリカ大使館の前へ座り込みをやるぐらいの、そのぐらいの決意や心構えを持って臨んでいただきたい、こう考えるわけでありますが、もう一度大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  6. 伊東正義

    伊東国務大臣 本問題が起きて日本通報があった直後、レーガン大統領も、あるいは国務長官も、あるいはワインバーガー、あるいは海軍長官その他の関係者筋が、非常に遺憾であったという遺憾の意を表明する書面なりあるいは口頭なりで連絡がございまして、大使が遺憾の意を表明し、陳謝のために私のところへ来られたわけでございます。アメリカ側も、このことについては非常に遺憾だった、調査はなるべく早く正確な調査をするということを日本に言っているわけでございまして、わざわざその中で、補償の問題とか責任の問題も真剣に取り組むのだということを日本信頼してくれという意味のことまで向こうは言ってきたわけでございます。  いま高沢さんのおっしゃるように、これは国民が納得しない説明を聞いてうやむやにすると言っても、国民の皆さんも承知しないでありましょうし、政府としてもこれをうやむやのうちに葬るというようなことは全然考えていないことでございますので、なるべく早く詳細な調査の結果がわかるように私は求めている次第でございます。  実はけさの六時ごろ、日本時間になりますが、大使ワインバーガー国防長官に会いまして、国内の様子あるいは国会審議様子を伝え、早急に調査の結果をよこしてくれということを国防長官にも向こうで言っておりますし、私どもも、きのうもまた大使館担当書記官を呼んで外務省から話すというようなことをやりまして、これは一日も早く事態が究明され、それも国民が納得するような説明でないとこの問題を解決に持っていくということはできないと私は思いますので、まず早急に事実をはっきりしてもらい、是は是、非は非とした態度向こうもやってもらいたい、日本もそういう態度で取り組むつもりでございます。
  7. 高沢寅男

    高沢委員 防衛局長が見えましたので、防衛局長お尋ねをいたしたいと思います。  今般の事件の起きた場所事件とはアメリカ原潜日本貨物船衝突沈没事故ですが、この起きた場所の鹿児島県甑島の沖合いの地点は、防衛庁が言っておられる海上防衛構想日本周辺数百海里、それから航路帯を設定すれば一千海里というあの区域の中に含まれるのかどうか。私は含まれるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  8. 塩田章

    塩田政府委員 元来、周辺数百海里といいますものは、別に地理的な線を引っ張った概念としてじゃなくて、防衛力の整備の目標としての概念でございますけれども、しかし、どういう考えをとるにしましても、今回のような近い区域周辺海域に含まれるということは当然であろうと思います。
  9. 高沢寅男

    高沢委員 そういたしますと、局長、これは一つの想定ですが、その地域においてちょうどアメリカ原潜ジョージワシントン号がいたわけですが、防衛庁が想定される海上防衛構想では、そういう区域の中で敵国からの攻撃があった場合、日本艦船を守る、それから日本を守っているアメリカ軍艦を守るというのが防衛庁考え方ですが、そうするとそこにいたジョージワシントン号というアメリカ原潜をある敵国攻撃から守るということを日本自衛隊はやるということになってくるのだろうと思うのです。その場合に、今度ジョージワシントン号の方は、敵国攻撃があった場合にはこれはこれで当然軍事能力を持っているのですから反撃をするということになると思います。そういたしますと、日本自衛隊はそれを守る、守られているアメリカ軍艦それなり戦闘行動をやる、これは当然の結果として日米共同戦闘行動がこの日本周辺数百海里の地域の中で行われるということになってくると思うのですが、これは日米安保条約発動の問題であるというふうに防衛局長はお考えかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  10. 塩田章

    塩田政府委員 日米安保条約発動は、御承知のように五条日本領域攻撃を受けた場合でございまして、いまお話しのように公海にあるアメリカの艦艇が攻撃を受けた場合にはこれには該当しない、私はそのように理解しております。
  11. 高沢寅男

    高沢委員 そういたしますと、日米安保条約の第五条の中に規定された攻撃を受けた場合の日米共同行動、この日本行動はあくまで個別自衛権発動である、こうなっております。いま防衛局長は、公海上のそういう事態日米安保とは別なものである、こう言われたわけでありますが、そうなるとますます、共同戦闘行動に出るとすればこれは私は集団自衛権発動ということになってくるのじゃないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  12. 塩田章

    塩田政府委員 日本が外国から攻撃を受けまして、安保五条発動して日米共同対処という事態になった場合には、まず自衛隊といたしましては、当然わが国防衛に必要な限度において防衛行動をとるわけですが、その場合に公海公空にも及ぶということはしばしば申し上げております。五条発動になりまして共同対処という事態になった場合には、自衛隊アメリカ艦船共同していわゆる共同対処行動をとるということは当然あり得ると思います。それはわが国防衛するために必要な限度において行われる行動でありまして、日本個別自衛権範囲内の行動であるというふうに私どもは理解しておるわけであります。
  13. 高沢寅男

    高沢委員 防衛局長、いま安保五条共同行動について触れられたわけですが、第六条は御承知のとおり、極東の平和と安全の確保のために在日米軍日本の基地、施設を使って戦闘行動に出動するということがあって、そこで極東区域とは一体何だということがずいぶん安保の関連で論議されておる。これはフィリピン以北、そして台湾、そして日本を含み、さらには韓国領域も含むというふうに極東区域というものの概念が確定されておりますね。  今回防衛庁が言われた日本周辺数百海里、そして航路帯を設定する場合は、グアムの方へ向けて、あるいはまたフィリピン以北へ向けて一千海里というような、しかもそれは単なる線でなくて面であるというふうな形になってくると、私は、この防衛庁海上防衛構想区域というのは事実上安保六条の極東区域と一致してくるということになるのじゃないのか、こう思います。  そういたしますと、極東区域戦闘行動については、それは日本自衛隊の出る問題じゃなくてアメリカが出る問題だというのが安保第六条。しかし、いまの御説明では、戦闘行動が現に起きた場合には日本自衛隊行動がそういう公海まで及ぶのも当然だというようなことになってくれば、内容上、結局極東区域というところで日米共同戦闘行動が展開されるということになってくる。これをあなたは個別自衛権発動の少し出た形だと、こう言われるけれども、私は、こうなればもう明らかにこれは集団自衛権発動であると内容的にはとらえなければならぬと思うのですが、この点は防衛局長見解、そしてまた同時に大臣の御見解お尋ねをしたいと思います。
  14. 塩田章

    塩田政府委員 極東範囲の問題につきましては外務省の方からお答えするのが適当と思いますが、いまのお話の中で六条事態五条事態が混同されているといいますか、ごっちゃになっているような印象を私は受けたのです。  自衛隊自衛のための行動をします、これはあくまでも日本防衛のためでございますから、日本攻撃を受けた場合、それは安保で言えば五条事態ですが、五条事態の場合に米軍が来援してくる、その場合に日米共同対処があるということでございまして、そのことといわゆる六条事態で、日本関係がなくて、極東日本以外の地域米軍行動するということとは別個の問題でございます。私が先ほど申し上げましたのは、安保五条事態日本自衛権の行使をするに当たって、アメリカが来援してきて共同対処することはあるだろうということを申し上げたわけであります。
  15. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答えいたします。  ただいまの防衛局長の御答弁に特につけ加えることはございません。第五条日本攻撃を受けた際に自衛隊行動するわけでございまして、その場合には、日本国防衛する限りにおきまして、その自衛の必要の限度におきまして、日本行動というのは個別的自衛権発動として領海、領域にとどまらず公空公海に及び得るものであって、その場合に日米共同対処をするということも考えられているわけでございます。ところが、極東と申しますのは日米両国共通関心を持っている、つまり、そこにおける国際の平和及び安全の維持ということで共通関心を持っている地域でございます。これにつきましては米軍行動することはあるとしても日本自衛隊行動することはない地域でございまして、六条の事態五条事態というのはやはり截然と区別をして考えるものだと思います。
  16. 高沢寅男

    高沢委員 予定の時間がありませんので、もう一問だけにしたいと思います。いまのお答えですが、しかし、米軍が第六条によって極東区域行動する、その極東区域というのは防衛庁がすでに設定されておる海上防衛区域と事実上一致しておるというような関係、そしてその一致している区域において日本自衛隊米軍艦船防衛するのだというこのことが、いまは条約概念上では別だと区別されておりますが、現実の事態では当然一つのことになってくるというのがこの安保の言うならば危険性の本体だろう、私はこう思うのであります。  そういう意味において、条約概念上はいかに別なものと分けたところで、実際は一つのものに重なってくるという関係の中で、かねがねわれわれの指摘しているいわゆる集団自衛権というものに個別自衛権というものがいつしかすりかわっていくということを私は憂慮してお尋ねをしているわけであります。この点についてはいま条約論お答えがありましたが、ひとつ外務大臣の、大臣の立場からの御見解お尋ねしたいと思います。
  17. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま政府委員からも申し上げましたように、五条事態というのは日本が不法な攻撃を受けているときの自衛権発動の場合でございまして、六条の場合とは截然と違っておるわけでございますので、いま高沢さんがおっしゃる、一緒になってしまうということはない、政府委員の言っているとおりだと私は思うわけでございます。政府としては毅然として個別自衛権というものを守っていくのは当然なことでございます。
  18. 高沢寅男

    高沢委員 この問題はなお今後もひとつ継続したいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  19. 奥田敬和

  20. 土井たか子

    土井委員 いま同僚の高沢議員から質問がございました米原潜当て逃げ事件について、引き続き少しお尋ねを進めたいと思うのです。  きのうまでの国会での質疑を通しまして、米国の調査待ちという趣旨が御答弁の中で再三再四にわたって出てまいっております。いま大臣からは遺憾の意の御表明があったわけでございますが、真相がいまだ究明されていないというかっこうできょうを迎えているわけです。しかし、どうなんでしょう、昨夜からきょうこの時間までの間に、アメリカ側から調査についての何らか新しい情報が届いておりますか、いかがですか。
  21. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 お答え申し上げます。  現在のところ格別新しい情報はございませんが、昨日安全保障課長在京米大使館書記官と会談した際に、すでに本件を調査するためにリッチ大佐という者が来日しておりまして、この人が現在事実関係調査を行っているわけでございまして、今後は日本のみならずその他の地域においても関係者とのインタビューを行い、調査をするということを聞いております。
  22. 土井たか子

    土井委員 そうすると、いまの御答弁からしてもそうなんですが、アメリカ側調査が長期化するという懸念も持たれます。これからずいぶん長い間かかるのじゃないか、そういうふうなことも考えられるわけですが、政府は、日本は西側の一員でアメリカにとってはかけがえのない同盟国であるということをいままでにも意思表示をされてまいりました。そういうことであるのならば、事故原因について早急な回答が寄せられるはずだというふうに国民は思います。今日までの対応の仕方からいたしますと、日米関係とはこんな脆弱なものだったのかというような疑念を持つ国民が多い。これは事実としてそうだろうと私は思いますが、外務大臣、こういうことについてどうお答えになりますか。
  23. 伊東正義

    伊東国務大臣 日本通告がおくれたことは私もおかしいじゃないかということで、向こうへ特に国民の納得のいくようにちゃんと調べてもらいたいと言っているわけでございますが、その通報がありました後は、大統領初め国務長官でございますとか、国防長官とか、皆遺憾の意を表明してきているわけでございまして、私はそれはそれなりに誠意を認めるわけでございます。  しかし、おっしゃるように、調査が非常に長引くということになりますと日本の中から不信感が出てくるという御質問、私もそのとおりだと思っておりますので、今週中とかそういうような日を切ったやり方はしておりませんが、再三にわたって東京ワシントンで催促しているわけでございます。もう少し様子を見まして、先生のおっしゃるように非常に長引くということでございますれば、中間報告でも要請する、特に日本側が疑問に思う点につきましては、中間報告を求めることも一つの手だと思っているわけでございます。  おっしゃるように、この問題の真相究明が非常に長引いて国民の間に対米感情非常に不信感がわくということになることは、これは日米両国だけでなくて、もっと広い意味から見ましてもはなはだ遺憾な状態でございますので、本当に一日も早く向こうから調査を出してもらうということについては私ども最善努力はしたい、そして、日米関係に傷を残さぬように、一回できた傷も早く治るように努力したい、こう思っております。
  24. 土井たか子

    土井委員 一日も早くという努力をさらに外務省としては最善努力として続けたいという御意思でございますけれども、いま国民側からいたしますと一番知りたがっていること、そして国民に知らせなければならないことは、少なくともなぜこういうことが起こったのかという問題だと思うのです。これに対しての回答は決して軍事機密とは私は思いませんけれども、どうでございますか。
  25. 伊東正義

    伊東国務大臣 私自身ここでそれがどういうことかということを想像お答えするのはいかがかと思いますので、それはやめますが、なぜ起こったのかということについて国民が納得する調査結果の説明をもらいませんと、いつまでたったって不信感は残ると私は思いますので、マンスフィールドさんに会いましたときにも、再発防止意味でもなぜ起こったのかということについては徹底的に原因調査して報告してもらいたい、これはまず第一に私が言ったことでございます。
  26. 土井たか子

    土井委員 続いて、なぜ通報がおくれたのか、なぜ人命救助が行われなかったのか、これは何としてもただいま国民の持っている素朴な疑問でございます。これに対する回答というのはこれまた軍事機密ではないと思いますが、いかがでございますか。
  27. 伊東正義

    伊東国務大臣 先ほどの理由一緒で、私は想像で申し上げるのはどうかと思いますから申し上げませんが、私がマンスフィールドさんに言った言葉は、いま土井さんがおっしゃったのと同じ言葉でございまして、なぜ起こったかということは、国民の素朴な感情からもそういう感じを全部が持つ。でございますから、なぜ起こったのかということの次には、なぜ通報がおくれたか、人命救助が十分されたのかされなかったのかということについて、国民に納得のいく説明がひとつできるようにしてもらいたいということを言いまして、その後で、補償の問題とかを含めた事後措置をちゃんとやることが、この問題を国民にわかってもらうような解決方法に導くことだから、事後措置をちゃんとやってもらいたい、そうでないと対米に悪い感情が必ず残るということを私は言ったのでございまして、いま土井さんがおっしゃったのと同じように、国民の素朴な感情からしてもそうだということを私は言ったのでございます。
  28. 土井たか子

    土井委員 大臣は、あくまで国民から考えて納得ができるような回答でなければ回答ということにはならない、そういうふうな趣旨も含めていま御答弁されているわけでありますが、先日の安保特別委員会で、淺尾局長の御答弁の中に、今回のこのジョージワシントンは兵器、原子炉ともさしたる損害がないという報告をすでに受けている、しかし、どこにいるのかについてはこれ以上アメリカ側に照会しないという御答弁があったようであります。  事故後、どこに行ってしまったのか、現在どこにいるのか、これをなぜアメリカ側お尋ねにならないのですか。これはやはり国民の疑惑からすると、その後どういうことになっているのかということの焦点の一つにただいまなっている、このことにおいては間違いはないと私は思いますが、いかがですか。
  29. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 一つには、アメリカ政府の政策として、原子力潜水艦の行動について公表しない、さらに、核の搭載の有無については否定も肯定もしないという方針でございまして、本件の原子力潜水艦そのものについても、通常の任務に従事していたということはアメリカ側から言ってきておるわけでございますが、私たちとして、この点について、やはり軍の属性と申しますか、特に核を搭載しているかもしれない原潜行動について一々アメリカ側に尋ねることはできないというのが立場でございます。
  30. 土井たか子

    土井委員 アメリカ側に対して尋ねることはできないとおっしゃるのは、こういう戦略核に関する原潜行動というのを尋ねてはアメリカ側に対して失礼に当たるということなんですか、それとも、アメリカ側との間に、こういったことが起こったとしても一切お尋ねはいたしませんという何かの約束事があるということなんですか、いかがですか。
  31. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 アメリカ側との間に約束があるわけではございませんけれども、従来のアメリカの政策からして、アメリカの原子力潜水艦の活動については一切公表しないという立場でございます。そういうことを踏まえて、わが方として照会しないということでございます。
  32. 土井たか子

    土井委員 大臣、今回は原子力潜水艦の活動については一切公表しないと言われながら、こういう事故が起こってしまった。被害者は日本ですよ。日本国民の中で、死者まで出る被害が出ているのです。事情が事情でございます。大臣、いかがお考えになりますか。この問題についてはやはりアメリカ側に照会するのが当然だと私は思いますけれども、いかがでございますか。
  33. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま淺尾君が言ったとおり、向こうで原子力潜水艦の行動その他についてはいままでも一切公表しないということになっておりますので、一々、どこから出て、どう行って、どういう行動をしてということは、従来も聞いていないということでございます。  私どもは、事故の究明ということにつきまして必要最小限度のことは何としても知って、国民の皆さんにも納得してもらえるような説明をしなければならぬわけでございますが、先生がおっしゃったことがないと国民は納得がいかぬかどうかということについては、これは私も問題があると思うわけでございます。なぜこういう事故が起きたのかということがはっきりすれば、私は国民の皆さんに納得してもらえるのじゃないかと思いますので、そういう配意で向こう事故調査を待っているわけでございますが、調査の結果を見て納得のいかぬことがございましたら、アメリカには、これはどういうわけでこうなんだということを当然私は質問するつもりでございます。
  34. 土井たか子

    土井委員 どこから出てどこに行ったかということについては一切言えないと言いながら、どこから出たかはもうわかったのです。それについては、アメリカ側がこちらに聞かせたという事情があって、昨日公にされている。そういうことからすると、どこに行ったかだって同じ意味ですよ。どこから出たかというのも機密であり、どこに行ったかというのも機密であるという意味で、どこから出たかということがいままでは伏せられてきたわけでありますから、その点が明らかになった以上は、どこに行ったかというのも同じ意味じゃありませんか、大臣、どうです。
  35. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いま私が土井委員の言われたことを正確に理解して言うと、アメリカ側がどこから出たかということを発表したというふうに言われておりますけれども外務省としてそういう発表が行われたということは、現在の段階で承知しておりません。
  36. 土井たか子

    土井委員 駐日米大使館から外務省は十日、アメリカ海軍当局のステートメントを受け取っていらっしゃいますかどうですか。
  37. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 十日の夜、アメリカ海軍のステートメントを受け取っております。
  38. 土井たか子

    土井委員 そのステートメントに付属文書がありますかどうですか。
  39. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 付属文書というのが新聞の報道でございますが、実はそのステートメントのほかに応答要領というのがございます。
  40. 土井たか子

    土井委員 その応答要領というものの中に、そういう部分に触れて書いてある部分がありますかどうですか。
  41. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 そういう御指摘の点はございません。
  42. 土井たか子

    土井委員 グアム島を基地としているかどうかという部分について書かれている部分がありますかどうですか。
  43. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ございません。
  44. 土井たか子

    土井委員 そうすると、新聞で公表されている部分といまの局長の御答弁は食い違いが出てまいります。  これは、委員長、資料要求をしたい。いま問題になっております、米海軍当局から外務省に十日に渡されておりますステートメント並びにいまおっしゃったそれに対しての応答文書、それについてひとつ提出方をお願いいたしますが、委員長、それを命じていただきたいと思います。
  45. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ステートメントそれ自身は御提出できます。応答要領それ自身は、実は口頭で参っておりまして、文書という形ではございませんので、ここへ御提出するのは、口頭の要領それ自身についてアメリカ側の同意もあるいは取りつける必要があるかと思いますので、その点については考えさせていただきます。
  46. 土井たか子

    土井委員 考えさせていただくと言ったって、それは一々アメリカ側との協議が必要な部分もあるでしょうけれども、文書一つすら国会に対して提出できないということでどうして国民の疑惑を晴らすことができましょう。最大限の努力をやりたいという大臣の御決意であります。大臣、いかがですか。そのことについては、やはり一つ一つ国民の疑惑に対して答えるという姿勢を持っていただかなければならない。それは大臣からの御答弁をお願いして、先に進みます。
  47. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 その応答要領について、これは口頭でございますので、御要望に応じて、訳して御提出いたします。
  48. 土井たか子

    土井委員 即刻提出してもらうことを、ここで再度申し上げておきます。  さて、アメリカ側からいままでに確たる回答がないという状況からかんがみて、また種々の事情から判断いたしまして、日本側が現在までのところ掌握している調査結果から考えますと、今回は一〇〇%アメリカ側に非があるというふうに思われますが、大臣、どのように考えておいででございますか。
  49. 伊東正義

    伊東国務大臣 日本側調査は、たしか海上保安庁が生存者の方々から聞き取り調査をしているということだと思うわけでございますが、これは実は私の方も海上保安庁からまだもらっておりませんので、いまここで私の方からお答えするのはどうかと思いますが、いずれにしろ私は、日本側調査というものもちゃんとして、向こう側の調査とはなるべく早く突き合わすということで、両方で食い違いがある場合には一これはどうだというようなことで、ちゃんと国民の納得のいくように説明あるいは措置はするつもりでございます。
  50. 土井たか子

    土井委員 何だか歯切れの悪い御答弁なんですが、今回の事故で、日本近海にポラリス型原潜が少なくとも一隻はいたということが事実として判明した、これは紛れもない事実なんですね。換言いたしますと、日本周辺海域には米軍の戦略核原潜が配備されているという事実が明るみに出たということにもなる、こう考えてよいと思いますが、大臣、どういうふうにお考えですか。
  51. 伊東正義

    伊東国務大臣 今度の結果から見て、そのとおりだと私は思います。
  52. 土井たか子

    土井委員 政府としては、グローバルな戦略から見て日本アメリカの核のかさの下に入っている、この原潜で核のかさの機能は十分果たしているというふうな認識を大臣自身は持って、この問題に対しての対処をお考えになっていらっしゃるのか、その点はいかがなんですか。
  53. 伊東正義

    伊東国務大臣 日米安保考え方で、日本アメリカの核のかさの下でということ、これはそのとおりでございます。ただ、この一隻で十分なのかどうかという判断、これは私は軍事的専門家でございませんからその判断はできませんが、今度のことを見ましても、核の抑止力というものはアメリカ日本防衛のためにも考えているということがはっきりしている、私はこう思うのでございます。これ一隻で十分であるとかどうとか、そういうことは、私はまだここで申し上げるだけの能力がないものですから、その点は御勘弁を願います。
  54. 土井たか子

    土井委員 先ほどの御答弁から、そしてただいまの御答弁からいたしますと、日本周辺海域というのは核戦略にしのぎを削り続けている海域というふうに見なければならない。そういうことになってくると、海上自衛隊による周辺海域防衛というのは、幾ら抗弁しょうが、客観的に見まして米核戦略とドッキングしたものだ、日本が米ソの核応酬に巻き込まれる危険性はきわめて強いということにも当然その結論の帰結としてなってくるわけでありますが、この点はどのようにお考えになりますか。
  55. 伊東正義

    伊東国務大臣 五条の場合に、日本が不法な攻撃を受けた場合には共同して対処するということでございますので、五条に書いてあるとおり、いざ有事の場合は共同してそれに対処するということは、そのとおりだと思います。
  56. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁からすると、われわれからすると非常に不安と心配がつのる一方です。巻き込まれる可能性が非常に強いということを、今回はより一層国民としては感ずる大変な機会になるのじゃないか、このことを申し上げて、時間ですから、あと一問だけお尋ねをしたい。  けさ午前二時半から四時にかけまして、国民の中にはテレビの前にくぎづけになった人たちが多かったと思います。スペースシャトル、コロンビア号の着陸の場面であります。無事着陸したわけでありますけれども、片やこれで新しい宇宙時代を迎えたという認識の中に、このスペースシャトルが今後軍事的に利用されるという側面がございますことのために、一方で大変な不安があることも事実であります。宇宙条約からいたしますと、この軍事的利用を禁じているわけでありますけれども、このことについては大臣自身の御所見はどのようなものでありますか、お聞かせいただきた  いと思います。
  57. 伊東正義

    伊東国務大臣 宇宙船が帰ってきた瞬間も、私も見たのでございます。ほっとして、技術の進歩といいますか、あるいは新しい時代に入ったのかな、こういう感じを持って見ていたのでございますが、いま先生のおっしゃるように、これが本当に宇宙開発ということに平和裏に使われていくことが望ましいなということを私は直感して、そう  いう感じを持ったのでございます。
  58. 土井たか子

    土井委員 しかし、アメリカの計画からいたしますと、将来これを軍事的利用にするというふうなことだけははっきり出されているわけでありますから、平和的利用であるということが好ましいなとおっしゃるにとどまらず、大臣としては、これに対する何らかの御努力のほどが外務大臣としてあってしかるべきだと思いますが、それについてはどのようにいまお考えをお持ちになっていらっしゃるか、いかがでございますか。
  59. 伊東正義

    伊東国務大臣 卒然としての御質問でございますが、私は、世界が本当に平和でなければいかぬ、日本の体験から考えても本当にそう思うわけでございます。この間アメリカに行ったときも、米ソが全面的対決をするなんということになったら世界の終わりのようなものじゃないかということで、そういうことにならぬように米ソの平和関係の維持ということについて話し合えということも、私はヘイグ国務長官と話したわけでございまして、そういうことを願い、また、日本としてはそういう戦争というようなことが起こらぬようにすることが日本の外交の役目だ、また巻き込まれないようにすることがわれわれが人間としてやらなければならぬことだということを私は痛感するのでございます。
  60. 土井たか子

    土井委員 まださらに質問としては詰めていきたいと思いますが、時間の方が許してくれません。  以上で終わります。
  61. 奥田敬和

    奥田委員長 玉城栄一君。
  62. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初に、基本的な点で確認をしておきたいのですが、外務省が所管で多くの条約、各種の国際協定を締結しておられますね、そういう条約締結の目的というのは一体何ですか、ちょっと教えていただきたいのです。
  63. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  条約締結する目的は、国家問におきましてもろもろの交渉、関係が深まってまいりますと、一般国際法に基づいての規制というものに加えまして、条約を結んで国家間の交渉といいますか、交通といいますか、交流といいますか、接触というものを規制していくという必要性があるわけでございます。そのために、文化協定でございますとか、あるいは租税関係を二重課税防止するために決めるとか、あるいは航空関係を規制するためにやる、それぞれいろいろ目的がございますけれども、そういう両国間の関係を各分野にわたって規制するために条約を結ぶものでございます。
  64. 玉城栄一

    ○玉城委員 国益を守るということはやはり基本的な大事な問題だと思うのですが、いかがですか。
  65. 伊達宗起

    伊達政府委員 両国それぞれが自国の国益を守るという点において両国間で交渉してその妥協を図る、そして規制をするということでございます。
  66. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、今回の米原潜事件ですが、それについて今回の外務省の対応についていささか疑問があるわけです。     〔委員長退席、川田委員長代理着席〕  その前にちょっと大臣にお伺いしておきたいわけですが、これまでこの委員会で私、何回も皆さん方と議論もしてきたわけです。去年の三月、沖繩のホワイトビーチにおける米原子力艦船による放射能漏れ事故、あるいは六月、七月、八月、Fイーグルの三回にわたる事故、また去年の十一月には四日間にわたる山火事、ことしに入りまして、二月に伊江島におけるアメリカのヘリによる銃弾事件、あるいは先回の委員会でも申し上げましたアメリカの偵察機ブロンコ二機が民間空港に緊急着陸した事件等を見まして、その処理の仕方について、外務省が本当に国民サイドに立った対応をしているのかどうか、非常に疑問に思うわけです。  そこで、大臣に御就任になられましてからこれまで何回も申し上げておりますように、五三%基地を抱えている沖繩をぜひ一回は視察をされる必要があると思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  67. 伊東正義

    伊東国務大臣 沖繩県が区域、施設の提供の件数、面積等が非常に多いということで、沖繩県民の方々が、民生安定上といいますか、非常に特殊な苦労をしておられるということにつきましては、私、片方に国を守るという大きな目的との調整の問題で、本当に申しわけない、御苦労さんだなという感じを実感として持っておるわけでございます。いまお話がございましたが、私、国会中になるべく早い機会を見つけまして沖繩へ行きまして、この目で見、また、皆さんの話を直接聞いてくる機会をぜひ持ちたいと思っております。
  68. 玉城栄一

    ○玉城委員 ぜひ実現させていただきたいと思います。  そこで、この原潜の問題について淺尾さんに伺いたいのですが、一番最初にアメリカ大使館から知らせを受けたのはいつなんですか。
  69. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 四月十日の大体正午でございますけれども在京米大使館から、日本の商船が沈んだ事件があるけれども、それにアメリカの潜水艦が関係している可能性がある、現在アメリカ側において調査中であるというのが入ったのが第一報でございます。
  70. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、私、非常に疑問に思うのですが、十日といいますとこの外務委員会が開かれている最中なんですね。なぜこんな重大事件外務省はこの委員会に報告されなかったのですか。
  71. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 私もこの委員会におりましたけれども、その際のアメリカ通報は、あくまでもアメリカの潜水艦が関係している可能性があるということで、実際上関係しているかどうかわからない状況でございましたので、ここではお話ししなかったということでございます。また、現に私はこの場におりましたけれども、その際にはまだ私自身の耳には届いておりませんでした。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 では、あなたはいつ、何時ごろ聞かれたのですか。
  73. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 記憶に誤りがなければ一時過ぎでございます。
  74. 玉城栄一

    ○玉城委員 一時過ぎといいますと、この委員会は三時二十一分まで開かれておりますかね。といいますのは、去年の四月二十五日、アメリカのイラン人質事件の解放のときにちょうど委員会が開かれておったわけですね。当時大来外務大臣は、未確認情報ですがということで、審議の途中でこの委員会に報告されたわけです。ですから、そのことと対比しますときに非常に疑問に思うわけです。それは、アメリカとイランの関係についてならばそういう報告をし、日米関係についてはこの委員会では報告する必要はないという判断があったのかどうか。
  75. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 そういうことは全くございません。アメリカ側が、まだわからない、自分の方でも調査中だということでございますので、ここでお話ししなかったわけでございます。
  76. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはまずいですよ。この外務委員会でいろいろな条約の審議等についてはどんどん促進方を皆さん方は要請するわけですね。そういうことはどんどんやっておいて、こういう大事な事件についての報告は何一つしない、伏せておく。  大体これは、局長さん、本当に申し上げておきたいのですが、今回のこの事件に対して、それこそまさにアメリカ局長が先頭に立ってこの問題をやっていかないと、これは解決しないです。といいますのは、先ほど私、沖繩の問題を申し上げました。いわゆる条約で決められたことすら皆さん方の対応というのはなまぬるいし、あいまいにされておる。ましてやおっしゃるところの領海外の公海におけるこの問題に対応していくのは、外務省が先頭にならないと、一体だれが解決するのですか。それは淺尾さん自身の問題としてこの問題に対応していかないと、大事な問題は伏せておく、あるいは公海上だからどうのこうの、あるいはアメリカの政策はこうだから照会できない、そういう調子だったら、この問題は絶対解決しない。  ですから、私は、そういう弱腰の姿勢で果たしてこの問題が前進するのかどうか非常に疑問に思うし、国民の皆さんもその点について、特に外務省のこの一連の国会答弁を新聞等で見ますと、非常に事務的と申しますか、これでははなはだ問題ですね。どうですか、淺尾さん、ひとつ決意を伺いたい。
  77. 伊東正義

    伊東国務大臣 これは外務省に対する御批判でもございますので、私からお答えを申し上げますが、淺尾君が何も故意にそういうことを隠したというような、そんなことはあり得ないことでございまして、まだだれもわからぬ、どこが原因かわからぬということだったもので報告しなかったのだと私は思いますが、ただ、玉城さんがおっしゃるようなことで外務省が弱腰であるとか、あるいはどうも何かなれ合いではないかとか、いろいろの御批判が国会の論議を通じていろいろな委員会で出たことがございますが、毛頭そんな考えはございません。  これはそんなことで済ませる問題じゃないということをわれわれもよく知っておりますので、ひとつ事故の解明、事後の対策、補償の問題、そういうようなものには最善努力をして取り組んでまいるつもりでございますので、今後とも御激励を願いたい。一生懸命取り組んでまいるつもりでございます。
  78. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、この問題についてはアメリカ国民の中でも非常に怒りがある。なぜ人命救助をしなかったか、これはまさにアメリカの精神に反するのじゃないかという声が起こっているぐらいに向こうでも非常に問題視しているのに、わが国の船舶がやられ、人命がいままさに行方不明という非常な状態にあるという中で、やはり大臣とされても、それこそ本当に先頭に立ってこの問題の国民の納得のいく解決をぜひともやっていただかなくてはいけないと思うわけであります。  そこで、いかがですか、幸いに来月、日米首脳会談等もありますし、そのときにこの問題について何か物を申されるお考えはございますか。
  79. 伊東正義

    伊東国務大臣 議題についてどうということはまだ決まっておりませんので、何とも申し上げかねますが、その段階までにこの問題がどういうことになっているかということによりましても私は発言の内容は違ってくるかと思いますが、こういう問題を二度と起こさぬようにということは、どの段階かで、私は供をすることになれば向こう国務長官には必ず会いますから、これは私としてははっきりそういうことは申すつもりでございます。
  80. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、いま国内の調査の体制、外務省防衛庁と海上保安庁、この三者言い方がばらばらなんですね。ですから、この問題解決のためにもやはり調査グループというものをつくって一本化して、強力なわが国としての調査体制をつくった方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  81. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 国内においても外務省あるいは防衛庁、海上保安庁と密接に協議し、事態の把握に努めていく、それはまさに御指摘のとおりでございまして、私たちとしても及ばずながらそういう気持ちでやっております。ただ、その仕組みを新しくつくるのがいいのかどうか、その点についてはまだ検討に値する問題だと思いますが、事実上、関係省庁の間で連日密接な協力をしております。
  82. 玉城栄一

    ○玉城委員 私が申し上げていますのは、そういうことは当然やっていらっしゃると思うのですが、やはりそういう一本化した調査体制を、外務省防衛庁あるいは海上保安庁、あるいはそのほかに関係省庁があるかもしれませんけれども政府としてこの問題を真剣に取り組んでいくという体制をぜひつくるべきだ、このように思うのですが、大臣、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  83. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま玉城さんのおっしゃることも私はわかります。それで、これをどうやったら調査その他により効果的かということでございますので、国民の皆さんが注視していられる問題でございますし、これは形だけ整えるということではだめなのでございますから、どうやったら一番効果的にできるかということについては、関係大臣とも相談して調査してみます。
  84. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、対米交渉ということに関連してくるわけですが、実はけさのテレビニュースで見たのですが、自動車の件についてブロック通商代表が百五十万台三年間というような数字を挙げての報道がされておったわけです。その点、御存じであれば、どういうことなのか御説明いただければと思います。
  85. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  実はきのう、田中通産大臣と大来君と集まりまして今後の日程その他を打ち合わせたのでございますが、いま議員団が向こうへ行っていられますので、帰ってこられてから、いまおっしゃった概数の問題でございますとか、そういう具体的な問題について相談をしようじゃないか、そして総理に御報告しようというようなことを夕べ相談をしたのでございますが、アメリカ側からそういう数字がこっちへ言ってきてあるとか、そういうことは夕べの段階まではまだございません。
  86. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題につきましても、米側の姿勢というものはきわめて強硬であるという感じがするわけです。したがって、この問題についてそれこそ首脳会談前に解決の見通しをお持ちなのかどうか、その辺いかがですか。
  87. 伊東正義

    伊東国務大臣 首脳会談前まで時間が余りないので、両方ともよほど努力をしなければならぬ問題だと思うわけでございますが、夕べ集まった者としましては、議員団が行かれたその報告も聞いて、早急にその後の段取りを立てて、そして総理が行かれるまでには何とか大筋は決められて、総理が行かれたときはまた向こうから車ということで話が出なくても済むようにしたい、努力しようやということで夕べ三人でやったわけでございまして、われわれとしては何としてもそういうことでやりたいと思っておるわけでございます。
  88. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に。新しい政権ができまして初めての首脳会談でもございますし、したがって、新しいレーガン政権に対してという意味で、首脳会談の際にはわが国の憲法、非核三原則、そういう問題につきましてもじっくりとお話し合いをする必要があるのではないかという感じがいたしますが、大臣、いかがなものでしょうか。
  89. 伊東正義

    伊東国務大臣 私はこの間行って、防衛の問題とかいろいろな話を大分時間をかけてやってきたわけでございますが、総理がおいでになりまして、まあ防衛の問題などは当然出る問題でございますが、どういう範囲のどういう話をされるかということはこれからでございます。総理はいつも国会で、三原則の問題あるいは憲法、専守防衛の問題を話しておられるのでございますから、当然そういうことについては首脳会談で総理は話されるだろうと私は想像しておりますが、まだ決まったわけではございませんので、確たることは申し上げかねるわけでございます。
  90. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  91. 川田正則

    ○川田委員長代理 渡辺朗君。
  92. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 今回の米原潜衝突事故といい、またさきのソ連の原潜事故といい、日本近海あるいは日本周辺海域における軍事力の対峙している姿というものは大変なものだなと、いまさらながら思いをいたしたわけであります。  これについて二、三外務大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、もし事故直後に日本政府の方に連絡があった場合には救援できた、そして行方不明者を出さないということも可能であったのにという思いはお持ちではございませんか。
  93. 伊東正義

    伊東国務大臣 私も通報を受けたときに、なぜこんなにおくれたのだろうか、すぐに連絡をしてもらえば日本側としても打つ手はもっとあったのではないかなということは率直に感じました。
  94. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 海上保安庁から出しておられる「海上保安の現況」、これは五十五年八月版でございますが、毎年このような白書のような形のものが出ております。この五十五年度版を見てみますと、海難事故に対しましての救援体制というものは非常に高度化しておるし、機能も非常に向上してきているので、日本近海の海難事故であるならば九〇%以上成功率があるのだ、助けられるのだということをここでは非常に誇示して書いてあるのですね。ですから、いま大臣がいみじくもおっしゃいましたように、すぐにでも通報があれば一〇〇%に近い可能性でもって救援ができたのであろうと思います。  きょうはここに海上保安庁の方も来ていらっしゃると思いますが、その点、海上保安庁にも私、ちょっとお伺いしたいのです。このような事故でもし事故直後に通報があった場合、救援は可能であったというふうにお考えでしょうか。
  95. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 お答えいたします。  事故直後に通報がありましたらば、私どもの体制といたしましては鹿児島に海上保安庁の航空基地がございますが、そこから鹿児島の所属機が出動した場合には三、四十分で現場へ到着いたします。それから、串木野沖の巡視船が出動いたしますと、四時間程度で現場へ到着いたします。
  96. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、いまのような状況の中では救援の可能性は大いにあったということを再確認できるわけであります。それだけに、先ほどから言っておられますようにまことに残念な事態でございました。そしてこれに対してはいま、中間報告を求めたいとも考えている、米側に対してそのような気持ちを持っておられることをおっしゃいました。と同時に、調査の担当者はリッチ大佐お一人であるから時間がかかるであろうという観測も行われております。  そうすると、大臣、いま事故原因であるとか、なぜ人命救援の方がおくれたのか、ここら辺の問題について、もう申し込まれたのですか、中間報告でもいいから出せということは言われたのですか、それとも、これから言うつもりでいらっしゃるのですか、そこら辺をお聞かせください。
  97. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま調査報告を提出してもらうことを催促しているところでございまして、まだ中間報告を出してくれということは言っておりません。私は、事故原因の究明が非常におくれるという見通しがもし出てくれば、それならひとつこういう問題、こういう問題については中間報告をしてもらいたいということを言おうと思っておりますが、まだきょうの段階では言っておりません。
  98. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 どの段階になったら申し入れをされますか。
  99. 伊東正義

    伊東国務大臣 向こうでも、ワシントンでもワインバーガーさんに大使が申し込んでございますし、向こうもなるべき早く、いつまでもかかるのじゃないという意味のことを言っておりますので、私はいましばらく待っているつもりでございますが、それじゃあと何日間待ったらどうだということまでまだ決めているわけじゃありませんが、しょっちゅう連絡をとりますから、そこで中間報告をそれじゃ出してくれということを、いつどういう段階でか私はおくれるようであれば判断して言うつもりであります。
  100. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 政府としての態度は、事故再発防止、そして日米友好関係の維持、そういう観点から一日も早く事故原因を明らかにして国民の要求にこたえたい、これが公式な立場でございましたし、大臣もその旨言っておられる。一日も早く、こういう言葉を使っておられる。そうであるならば、私は至急に申し込みをされて中間報告も求められてしかるべきであろうと思います。これは要望いたしておきますので、御考慮ください。  次にお伺いいたしますけれども、このような日本近海における米艦船による衝突事件、こういうものは過去にございましたか、いかがでございましょう。
  101. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  私どもが調べたところによりますと、米軍艦船わが国の船舶との日本近海における衝突事故は数件ございます。  最近の事例で申しますと、五十二年十一月に穂高山丸という船が下田沖で米軍の輸送船と接触事故を起こしております。それ以前が昭和四十四年、四十三年、三十八年というぐあいに、いずれも公海でございますけれども事故を起こしております。
  102. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 そういう事故の場合に、事故が起こった、特にいま御指摘のあった四十四年の米国駆逐艦が日本の民間の船と衝突したというふうな事件、五十二年の下田沖での事件、こういうときには日本政府に対して救援を求むとか通告はございましたか。
  103. 松田慶文

    ○松田説明員 申しわけございませんが、ちょっと古い事例でございまして、ただいままでその当時の救援の状況についての資料は私どもの手元に来ておりませんので、調査が完了し次第御報告に上がりたいと存じます。
  104. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 その点はひとつ至急に調べておいてください。そうでないとやはり心配でございます。再発防止ということを言いながら、そういうふうな事態についてすら今日の時点でまだ明らかでない。そんなに何十年も昔の話ではございません。ですから、至急に調べておいていただきたいと思います。  次にお聞きいたしますけれども、過去のそのような事例のとき、米国艦船日本船舶の衝突事件があったという場合に、日本政府としてはどのような態度をとられましたか、これについてもお答えいただきたいと思います。特に米国に対してどのような態度をとられたか。
  105. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  これらの一連の事故につきましては、それぞれ、先生御指摘の救難のあり方の問題のほかに、補償がどうなっているか等々の問題もございます。それらを含めまして、ただいま過去の事例を網羅的に資料を整えているところでございますので、そろいました段階で御指摘の二点を含めまして御報告申し上げたいと存じます。
  106. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私も海上保安庁の出されたいろいろなものを急いでめくってみたのですが、そのような事例が載っておらないのです。私の見落としだったのかどうかわかりません。それから、人命救助の方は一体どういうふうに措置がとられたのか、これも明確ではない。私は至急にいまの諸点につきましての調査を行っていただいて発表していただきたいと思います。  さて、今回の場合は原子力潜水艦です。向こうの原子力潜水艦にどのような事故があったのかなかったのかわかりませんけれども、本当に何もなかったのであろうか。これは発表によればなかったということでございますが、もしあったというふうに仮定した場合、外務大臣、いかがでございますか、たとえば日本のすぐそばの、近いところのドックか何かで補修でもしなければ動けないような事態が起こった場合には、これは政府としてはどのように対応するべきでございましょうか、どのようにお考えでございますか。仮定の問題かもわかりませんが、あり得ることでございますし、現に起こっている。これについてはいかがお考えでございましょう。
  107. 松田慶文

    ○松田説明員 先生もおっしゃったとおり仮定の問題でございますので、どのような状況があり得るかなかなかむずかしいところでございますが、今回のケースにつきましては、米側は、損害は軽微であって推進機関及び兵器体系には何ら支障がない、すなわち自力航行が可能であったということを言っておるわけでございますが、これがたとえば原子力推進機関に損傷があったとかいった場合には、しかもそれがどういう場所でどういう形で起こったか、いろいろ複雑な状況がございまして、一義的には、公海であれば米海軍がみずからの責任とそういう事故に備えての平生からの対応ぶりを実現することになろうと思いますが、それが非常に日本の近くであるとかそういった問題でございますれば、放射能対策を含めての総合的な判断をその際にとることになろうかと思いますが、冒頭に申し上げましたとおり議論の前提となるべき条件が非常に漠としておりますので、これ以上はちょっと申し上げかねる次第でございます。
  108. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 確かに仮定の問題かもわかりません。だけれども、今回ポラリス潜水艦がそういう事故を起こしたことは現にありました。そして、いま信じられるのはアメリカ側がそういうふうに損害は軽微であったと言うことに依存しているだけであって、実際にどうなのかということは調査報告も出ておりませんし、中間報告もありませんし、ですからわからない。  大臣、そこでお聞きいたしますけれども、こういうような事態が実際に起こってかなりの損害も生じているというようなとき、米側の要請があれば政府としては修理、補修というようなことを引き受ける考え方はお持ちでいらっしゃいますか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  109. 松田慶文

    ○松田説明員 実質的な部分だけ御説明申し上げます。  米国の原子力潜水艦は、わが国への寄港を認めております。したがって、原子力推進機関を持っているという点だけでございますれば、事故の場合に何らかの形でわれわれがかかり合いを持つ、たとえば入港を認めるということは、放射能対策との関係は多々ございますが理論的にはあり得ようかと思います。ただし、核兵器を持った米国の艦船は、潜水艦であれ何であれ、非核三原則との関係わが国への立ち入りは認められません。
  110. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私、大臣にもう一度お聞きしたいのです。人道的な観点からもそれは認められませんか。
  111. 伊東正義

    伊東国務大臣 核の問題につきましては、非核三原則というものは有事の際でも守るということを言っているわけでございますので、核兵器の場合は政府委員が言ったとおりでございます。人命救助ということであれば、三原則というものはそのまま守られるということにして、人だけの問題をどうするかということはまた別途考える方法は私はあると思うわけでございます。
  112. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間がありませんから、この問題はもうちょっと本当は突っ込んでいろいろとお聞きしたいと思うところでありますが、これは次に譲ります。  もう一つ、どうしても聞いておきたいなと思いますが、それは過去の衝突事故がいまも御報告がありましたように何件か発生した、そのときにおける補償の問題でございます。米国艦船日本の船舶の衝突、それに対する補償、これは何に基づいて、どのような形で補償がされましたでしょうか、お聞きいたします。
  113. 松田慶文

    ○松田説明員 米国の艦船わが国の船舶との事故につきます補償関連は、われわれの領海と公海とで扱いが違うわけでありますが、今回の事件のように公海におきます事件につきましては、米国の国内法に基づいて被害者との間のお話し合いがあって補償ということに相なることとなっております。
  114. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 その補償の場合は、安保条約に基づく地位協定第十八条、これに基づくところの民事請求権により処理されているのではないのでしょうか、その点、明らかにしてください。
  115. 松田慶文

    ○松田説明員 先生御指摘の補償の仕組みは領海内における事故について適用があることでございまして、領海外の場合には地位協定の適用ではなくて、米国の国内法に基づく措置がとられます。
  116. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 そうすると、いままで起こった、たとえば下田沖の問題も、これは領海外でこざいましたか、いかがでございます。それから、その前の米国駆逐艦が日本の船舶と衝突したのも、それは公海上の問題でございますか。
  117. 松田慶文

    ○松田説明員 そのとおりでございます。すべて公海上の問題でございます。
  118. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 では、領海内に起こった場合、このときにはそれは地位協定に基づいて行うということになりますですね。
  119. 松田慶文

    ○松田説明員 そのとおりでございます。
  120. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 報道によりますと、すでに補償の問題も向こうも窓口が決まり、開始されておられるようでございますが、その交渉はいまどのように進行中でございましょう。
  121. 松田慶文

    ○松田説明員 先ほどから申し上げておりますとおり、これは被害者の方々が弁護士を通じて米国政府、すなわち海軍当局と交渉されるわけでありますが、田川さんとおっしゃる弁護士さんが、被害者の方々、関係者の代理人に選任されまして、外務省にも御連絡をいただいております。他方、米側は、海軍当局へ接触する最初の窓口としては、在京米大使館がそのあっせんと申しますか、窓口になることを明らかにしてございます。したがいまして、今後、在京米大使館の担当官を通じて、田川弁護士との間に話し合いが進むものと考えております。
  122. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 よその国、たとえばNATO加盟諸国においても同じような事件が起こっているのではないかと思いますが、公海上において米艦船とそれらNATO加盟国の船舶の衝突事故が起こった場合には、何に基づいて、どういうふうな形で処理しておりますか。
  123. 松田慶文

    ○松田説明員 ただいまNATO関連の資料を手持ちに持っておりませんが、常識的に判断して、先ほどから申し上げておりますわが国の場合と同様、公海におきますれば米国の国内法で措置されるものと考えます。
  124. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間が参りましたので、残念ですが、この点につきましてもぜひひとつ至急に調べておいていただきたいと思います。そして、資料を発表してください。お願いいたします。  以上をもって終わります。
  125. 川田正則

    ○川田委員長代理 金子満広君。
  126. 金子満広

    ○金子(満)委員 アメリカの原子力潜水艦によって日昇丸が沈没させられた事件、起きてから六日目になりますが、米側からは具体的な説明調査の結果も来ておらない、こういうことはきわめて遺憾だと思います。この事件国際的にもきわめて重大な事件であり、わが国にとっては、日米安保条約との関連においても、また日本及びその周辺への核兵器の持ち込みという観点から見ても見過ごすことのできない重大な問題だ。  そこで、まずこの事件の、当然のことでありますけれども被害者は日本側の日昇丸であり、加害者は米側である、この点ははっきりしておると思いますが、伊東外務大臣、どうですか。
  127. 伊東正義

    伊東国務大臣 日昇丸の衝突事件について、米側から、米側の原子力潜水艦が関係をしていることは遺憾だということで遺憾の意を表明する、これは大統領まで遺憾の意を表明してきているというのが事実でございますから、どこがどういうことで原因になったかということはいまわからぬわけでありますが、そういう事件アメリカの原子力潜水艦が関係しておる、遺憾であるということで、大統領まで日本に遺憾の意を表明してきております。
  128. 金子満広

    ○金子(満)委員 ですから、加害者は米側であることはもちろんはっきりしているわけですが、そういう中で事件を引き起こした、そして遭難者をおっぽり出したまま逃げた、そうして通報も三十五時間も放置しておく、これは常識では考えられないし、こうしたやり方というのは理由のいかんを問わず許しがたい国際法の違反だと私は思います。こうした歴然とした事実があるにもかかわらず、つまり原因がどうであれこうであれ、ぶつけて、遭難した人はそのままほったらかして、通報もしないという、この行為自身についてなぜ政府は抗議をしなかったのか、遺憾の意を表したので誠意は認めるというような態度をとっているのか、この点を一言伺っておきたいと思うのです。
  129. 伊東正義

    伊東国務大臣 日本政府としましては、遺憾の意の表明があったということは向こう一つの誠意だとは思いますが、それだけで終わったとは思っておりません。もちろん、先ほどから各先生お答えしていますように、なぜ起こったか、なぜ通報がおくれたか、人命救助についてどういう努力をされたかということを、納得のできる説明をしてもらいたい、調査をしてもらいたいということを要求しておるわけでございますが、私どもはその結果を見まして、そしていまおっしゃったようなことも含めて、日本政府は一体どう対応するかということを決めようというふうに思っておるわけでございます。     〔川田委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕
  130. 金子満広

    ○金子(満)委員 北米局長は、先ほどもアメリカ原潜についてはいろいろなことは公表しないということになっているから聞かなかったということでありますけれども、そういうことをそのまま放置しておくと、アメリカ軍事機密の陰で日本国民の財産や生命が消耗品のごとく扱われるということになると私は思うのです。ですから、これは単なる衝突事件ということではなくて、きわめて重大なわが国の安全、そして生命、財産にかかわることでありますから、私は具体的な問題をお聞きしたいと思います。その点を明らかにしながら、政府見解を伺いたいのです。  まず、アメリカはいまのところでは何ぼ要求しても調査の報告はしてきていないのです。早いか遅いかわかりませんけれども、現在一週間になろうとしているのに、何もないわけですね。ところが、ここで日本側として、わが国政府としてその責任で調査もできるし、現にしているものがあると思うのです。その点でわかっていることは公表してもらいたいと思うのです。  その一つは、事件直後に現場にP3Cが飛来した、これはきょうの新聞にも出ております。そして、現場に飛んだ飛行機は、きょうの読売新聞によりますと、「在日米海軍司令部は」十日の「午後、この飛行機が、青森県三沢基地所属の対潜しょう戒機P3Cオライオンであることを確認した。」こういうふうに言っておるわけですね。米側がそれを言ってきておる。当然のことでありますけれども、フライトプランにはそれが記録してあるはずだと思うのです。運輸省も防衛庁もその点は当然確認しているので聞くまでもないわけでありますが、どうですか。
  131. 末永明

    ○末永説明員 お答えいたします。  先生いま御指摘の新聞報道につきまして、私まだ読んでおらないのでございますが、私どもといたしましては、その当時現場を飛んでおった航空機が特定されませんと、飛行計画の抽出ということは大変むずかしいというふうに考えております。
  132. 金子満広

    ○金子(満)委員 おかしな話ですね。わが国の領空の中を飛ぶ飛行機は当然キャッチしているはずですね。これは運輸省においても防衛庁においても、具体的に言えばその点では防衛庁も西部方面隊でこれはキャッチしているのだと思うのです。それをいまのような答弁では、だれもこれは納得できないと思うのです。そうしたら、日本の空は危なくてしょうがないじゃないですか。こういう点ははっきり答えてくださいよ。
  133. 末永明

    ○末永説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、飛行計画は計器飛行方式で飛んでおるのであれば提出されておると思います。ただし、その航空機がどこでどのように飛んでおったのかということを特定するためには、その航空機を特定して飛行計画を抽出しなければならないので、どの航空機であるかということが私どもにはわかっておりませんので、一般的に飛行計画の提出はあったというふうには思います。
  134. 金子満広

    ○金子(満)委員 おかしな話で、これは三沢から出たということも言っているわけですよ。だとしたら、その日の飛行計画の中に入っているわけだし、レーダーの中に入っていると私は思うのですよ。それがコピーしてあるはずなんですね。こういう姿勢がなめられるのですよ。どうしてあなた、これを公表できないのですか。これは防衛庁のレーダーにだって全部入っているはずですよ。なぜそれが公表できないのです。それがわからないということでこの事態を済ませようとするところに、私は重大な問題があると思うのです。あなたが答えなければ、これは引き続いて私は究明します。  時間がありませんから、この点を要求し、もう一つお伺いしたいのは、防衛庁関係者、海上保安庁の関係者は、十三名の救援された乗組員から事情を全部聞いているはずであります。そして、事情を聞き終わったから全部郷里に帰ってもらったのだと私は思うのです。だとすれば当然、直接救助したのは護衛艦でありますから防衛庁ですよ。その後、海上保安庁に引き継いだわけです。そこでいろいろのことを聞いていると思うのです。わが党とわが党の関係者もこれを全部聞きました。ほとんどの生存者から聞きましたよ。われわれが聞けるのだから、日本政府関係者が聞けないなんというばかげた話はないと私は思うのです。  そこで、一括してお聞きしますから、答えていただきたいと思うのです。  まず第一は、日昇丸の針路はどういう方向に向いていたか、速度はどのくらいであったか。そして、どこのところにぶっつけられたか、つまり下からか、左右どちらからか、後ろか前か、そのときの衝撃とか状況はどうであったか、こういう問題です。  第二は、これはきょう新聞にもたくさん出ておりますし、われわれがいろいろの状況を取材し聞いた中でも同じでありますけれども、たとえばこれはきのうの読売に出ておりますが、救命ボートで海上を漂流している時期、これはその日の九日の日没まで、その間漂流していると、周囲の海中からかなりの回数発射音を聞き、乗組員たちはその間抹殺されるとおびえていたというように言っています。そして「その音は「ドーン」といったあと、水中を高速物体が走るような「シュルル、シュルル」という音だった。この発射音は日昇丸が沈没後、その日の夕方まで続いた。」「この間、乗組員たちは「ひょっとしてこのまままっ殺されるのではないか」と不安を話し合っていた。」というように言っております。  また、わが党の赤旗の記者が取材した中でも同じことが言われています。片山二等航海士は、「最低二−三回、発射音のようなものを聞いた。救助がおくれたのは、悪く考えたら、死んでくれるのを待っていたのではないか。全員死んでいたら、これで終わり。ばんばんざい、ということになる。」こういうように答えていますし、今村春生機関士は、「夕暮れうす暗くなるまで飛行機の爆音が頭上でしていた。海中では潜水艦からロケットを発射するような、ドンドンという音がし、潜水艦のエンジン音も聞こえた。ロケットのようなものが海中から飛び出すのを見たという人もいる。」こういう中で不安を訴えているわけですけれども、こういう点についてあなた方政府側は同じ事情を聴取しているはずなんです。こういう点を聞いていると思いますけれども、まずはっきりさせておいてもらいたいと思うのです。これが第二です。  第三は、海上保安庁、きのう運輸委員会で、わが党の三浦議員に海上保安庁の「日昇丸の事故の概要」という文書を渡されました。これはとんでもない文書ですよ。よろしいですか。「鹿児島県下甑島の西南西三七海里付近において、米国原子力潜水艦ジョージワシントン衝突し、日昇丸は機関室に浸水後間もなく沈没した。」つまり日昇丸が向こうへぶっついて沈没したようになっているのです。  これは一カ所ではありません。結びのところはもっとひどいです。「また、該船乗組員からの事情聴取の結果、日昇丸が潜水艦と衝突した可能性があった」、これは一体どういうことですか、伊東外務大臣の最初の言明と全然違うじゃないですか。これは日本政府の本当に卑屈な姿勢を端的にあらわしたものと私は思います。     〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕  これは事実とも違うし、こういうことがやられておったのでは事実の解明なんかできませんから、こういう点で、海上保安庁はこれを撤回して書き直してもらいたいと思うのです。それとも、いまでもこういうように、事情聴取したら、日昇丸がアメリカの潜水艦にぶっついたのかどうなのか。とんでもないことだと思うのです。この点が三点目ですけれども、海上保安庁に伺いたいと思います。  以上の点、端的に答えていただきたいと思います。
  135. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 第一点の日昇丸の当時の針路、速力、それと衝突したときの状況につきまして申し上げます。  針路は二百六十六度、速力は約十一ノットでございます。  当たったときの状況は、救助された乗組員から聴取したところによりますと、九日午前十時三十分ごろ、左舷機関室付近にドーンという衝撃音を感ずるとともに船体が浮き上がるような感じを受けた後、機関室船底から海水が吹き上げてきて、約十五分ぐらいで沈没したということでございます。  それから、標流中にシューッという音を聞いた云々という件につきましては、私どもが聴取した中でも出てきております。  次に、衝突したときの状況の表現でございますが、それは特に日昇丸が衝突したということを意識して書いているわけではございません。AとBとが衝突したということで、どちらに責任があるとかいうようなことを意識して書いたものではございません。
  136. 金子満広

    ○金子(満)委員 だから私は申し上げているのです。どちらに責任があるかということは外務大臣がはっきり言っているじゃないですか。そのことがはっきりしないで、しかも、実際に事情聴取しているあなた方が、こういうような姿勢で日昇丸がぶっついたと書いてあるのですよ。これは意図がどうだとかこうだではなくて、活字になったらそれ自身一つの人格を持つわけです。ですから、これはきわめて不正確であるだけでなくて、間違いだから、いまの説明を聞けばなおさら間違いで、外務大臣の先ほどの答弁とも全然違っているのです。どっちがいいか悪いかじゃないのですよ、悪い方は決まっているのだから。こういう点は後で答えてください。  そこで、私は思うのですけれども、シュルシュルという音も聞いているというわけです。では、米側にこれを問い合わせてあるかどうか私は知りませんよ。とにかく、沈没した後、演習を続行したのか、あるいはほかの目的で何かをやったのか、そのことは乗組員からも出ているわけですから、こういう点を含めて、私はこれは外務大臣答えていただきたいと思いますが、アメリカの報告は来ないのですから、それで日本側で事情聴取し、日本側でわかることがいっぱいあるわけです。これを公表してもらいたいと思うのです。  そして、外務大臣は前に、中間報告ということを別の委員会で言われたときに、受け取ってみてわが方の調べと違っていたら云々というのがあります。わが方のものはだれも知らないのですから、皆さんは知っているかもしらぬですよ、しかし、日本政府が責任を持って、われわれの事情聴取ではかくかくしかじかというのが日本側の調べではっきりしておる、そして加害者は向こうだというのはわかるのですから、こういう点をまず明らかにしておく、そういうことでないと問題の解明にはならぬ。そういう意味で、日本側のこれまでの事情聴取やいろいろの調査に基づいた今日的な結果を、到達線を公表してもらいたいと思いますが、どうですか。
  137. 伊東正義

    伊東国務大臣 私、ほかの委員会で言ったのでございますが、そのときに言ったのは、アメリカ側の報告では、衝突の後に浮上して捜したが、霧と雨で見えなかったということと、飛行機も上空から捜したが霧と雨で見えなかった、努力はしたが捜すことはできなかったということが向こうから報告が来ているわけでございますから、こちらで生存者から海上保安庁がいろいろ聞いておられるのでございましょうから、そういう点で食い違いがあれば、これはわれわれの方の調査ではこうだよということを当然言って、その食い違いをただす必要があるということを私は御答弁したので、いまでもその気持ちでございます。  ただ、事故原因につきましては、これは真っ先に、再発防止のためにも、どういうことでこの事故が起こったかという原因は徹底的に知らせてもらわなければいかぬから、これは再発防止という意味でまず調査してもらいたいと、一番目に私は挙げたことでございまして、向こうもどういう原因でこうなったということは言ってくると思うのでございます。  ただ、さっき先生から御質問があった中で、私が申し上げましたのは、この衝突事故アメリカの原子力潜水艦が関係しているということははなはだ遺憾であったということで、大統領あるいはヘイグ長官、ワインバーガー長官から遺憾の意の表明があったということを申し上げたのでございまして、事故原因が具体的にどうだったかということについては、向こうから事情を調査した結果がこれから出てくる、こういうふうに思っておるわけでございますが、関係したことははなはだ遺憾であったという遺憾の意の表明があったことは事実でございます。
  138. 金子満広

    ○金子(満)委員 海上保安庁、この文書について。
  139. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 日昇丸が原子力潜水艦ジョージワシントン衝突したという表現につきましては、AとBとが衝突したということで、どちらの責任とかというようなことは全く意図しておりませんので、御了承願いたいと思います。(金子(満)委員「日昇丸がぶっついたというのは正しいのですか。AとBじゃないですよ」と呼ぶ)
  140. 奥田敬和

    奥田委員長 金子君、発言を求めてください。
  141. 金子満広

    ○金子(満)委員 これはAとBじゃないのですよ。「日昇丸が潜水艦と衝突した」と書いてあるじゃないか。AとBじゃない。だから、その点は間違っているのでしょう。それを聞いているのです。それだけなんです。
  142. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 「日昇丸が潜水艦と」というのは、日昇丸が潜水艦にぶつかっていったという意味ではございません。日昇丸と潜水艦とがぶつかったという意味でございます。
  143. 金子満広

    ○金子(満)委員 こういうことをするから時間が長くなるのですよ。いいですか、私はあなた方がつくったのを読んでいるのだよ。乗組員からの事情を聞いた結果、「日昇丸が潜水艦と衝突した可能性があった」と書いているのですよ。だから、これはA、Bじゃなくて、間違いだということをあなたは何で認めないのですか。事実このとおりじゃないのでしょう、どうなんです、それは。
  144. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 日昇丸と潜水艦とがぶつかったということでございます。
  145. 金子満広

    ○金子(満)委員 「と」じゃないのだ。あなた、これを持っていって見なさいよ。「が」なんだよ。こういうように、一度出したものをがんばるからいけない。日昇丸がぶっついたのじゃないのです、これは不正確でありますから改めますと言えばいいのです。それを何で言えないのですか。事は重大なんですよ。これはもう公になっているのです。どうなんですか。  委員長、これはよく答えさせてください、日本語なんだから。
  146. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 私ども先ほどから申し上げておりますような意図で書いたのでございますが、先生のおっしゃいますように読まれるという点につきましては検討させていただきたいと思います。
  147. 金子満広

    ○金子(満)委員 検討じゃないのだよ。あなた、何を言っているの。読まれるのじゃない、なっているじゃないですか。そういう姿勢がいかぬと言うのですよ。一時しのぎのことはだめなんです。私はもう時間がないからこの点はあれだけれども委員長日本語なんですよ、日昇丸がぶっついたのじゃないのです。この点は確認しておいてくださいよ。  外務大臣、この言葉にとらわれずに、日昇丸が潜水艦にぶっついたのじゃないのでしょう。
  148. 伊東正義

    伊東国務大臣 私の方は、原因の究明は外務省というのは直接はできませんで、アメリカにいま原因の究明をして早く持ってきてくれと言っているわけでございます。片や、日本側は海上保安庁で調査をし、生存者から聞いておられるわけでございますから、私どももそれをもらって検討して、そして向こう側と突き合わすと言っているわけでございますから、海上保安庁からもらいまして、まだ聞いておりませんのでよく聞いて、またの機会に御返答申し上げます。
  149. 金子満広

    ○金子(満)委員 では最後に一言。海上保安庁、これは重大な問題ですよ。いま外務大臣も言われるように、あなた方の調べたことを聞いてやると言うのだから、その調べる方がこの姿勢では、一体どういうことですか。言われているように、もぐっているものに、何で上に浮かんでいるものが行ってぶっつきますか。そういうわかり切ったばかげたことをまだ検討します、そんなことが日本の外務委員会で通ったらえらいことですよ。私はそういう点で取り消しを要求します。  以上で質問を終わります。
  150. 奥田敬和

    奥田委員長 田川誠一君。
  151. 田川誠一

    ○田川委員 外務大臣に二点お伺いをいたしたいと思います。  一つは、今回の事件で、駐日アメリカ大使を通じてレーガン大統領から遺憾の意が表されました。いまの共産党の金子さんのお話にも関連があるのですけれども、遺憾の意を表明したというのは、何の事柄についてアメリカ側が遺憾の意を表明したのか。幾つか遺憾の意を表明した理由があると思うのですね。たとえば、一番問題になります、アメリカの潜水艦によって日本の船が沈んでしまったということ、それから、先ほど外務大臣はおっしゃらなかったけれども、遭難した船員を救助できなかったということも含まれているのでしょうね、それから報告がおくれた、こういうことを全部含めて遺憾の意を表されたのですか、それとも、それらのうちのある部分について遺憾の意を表明されたのか、これについてお伺いをしたい。これは外務大臣にお伺いをしたい。アメリカ大統領の遺憾の意が表されたのです。これはとても大きな問題だと思うのですよ。一体何に遺憾の意を表明したのか。
  152. 伊東正義

    伊東国務大臣 遺憾の意の表明がありましたことは、商船が沈没し、その乗組員二名が行方不明となった衝突事故に米国の潜水艦が関係していたことにつきまして心から遺憾の意を表明しますということでございまして、この衝突事故に、先ほどから私、金子先生にもお答えしましたように、アメリカの潜水艦が関係したということについて遺憾の意を表明しますということでございます。この衝突事故関係したことについて遺憾の意の表明があったということでございまして、それから後、調査の進行とか補償の問題とか、いろいろ話が細かく出てくるのでございますが、遺憾の意の表明があったということは、今度の衝突事故につきましてアメリカの潜水艦が関係したことについて遺憾の意の表明があったということでございますので、私はそれから演繹しまして、その衝突事故の結果二人の人命が恐らく失われた、行方不明でございますが、行方不明になったことについて非常に遺憾の意をということだと思うのでございます。  それで、通報がおくれたとか、あるいは浮上して捜したけれども、それは見つからなかったというようなことは、マンスフィールドさんから私の方へ正式に来たものには書いてない。これはその前の段階でいろいろやりとりや何かがあり、また私の方からも話したということで出てきたことでございまして、ステートメント自身は、関係したことがはなはだ遺憾だということでございます。
  153. 田川誠一

    ○田川委員 わかりました。二点ですね。  アメリカの潜水艦が関係したから遺憾の意を表するというのはちょっとおかしいのじゃないでしょうかね。先ほどの話じゃないですけれどもアメリカの潜水艦によってそれが衝突して沈没してしまったということでないと、遺憾の意の表明にならないのじゃないですか。日本の船がアメリカの潜水艦にぶつかったら、これは日本側が遺憾の意を表明しなければならぬ。ですから、そのアメリカの文書がどういうふうに英語で書かれているかわかりませんけれども関係したというのは、アメリカの潜水艦が日本の船に触れて、それによって沈没したので遺憾の意を表明したのじゃないでしょうか。それが常識的な解釈じゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  154. 伊東正義

    伊東国務大臣 私は、マンスフィールドさんに会いましたときに、衝突原因をまずはっきりしてくれ、調べてくれ、二度とこういうことを起こしてはいかぬからということで、まず衝突原因を調べてもらうということを言ったわけでございまして、関係したから遺憾だったということを聞いて、私としては何もその原因がはっきりとしたということを断定するだけの資料を持っておるわけじゃないわけでございますが、人命が失われたということもありましょうが、すぐに大統領まで遺憾の意を表明してきたということは言わず語らずのものがあるのじゃないかなと、頭の中にすぐ出てきたことは確かでございます。しかし、断定的にどうだということは、向こう側の調査も待ち、日本側調査は海上保安庁にお願いしておるわけでございます。さっきの文書は、私初めてここで聞いたわけでございますが、両方突き合わせて、やはり国民から納得してもらわなければいかぬわけでございますから、そこは慎重に、また徹底的に究明をしてもらうというつもりでございます。
  155. 田川誠一

    ○田川委員 私、今回の事件ばかりじゃなく、日米関係にしても、外交関係、特に友好国との関係というのはフランクに、いわゆる腹蔵ない話をする必要があるし、それが友交関係にひびを入らせない一番基本的な問題じゃないかと思うのです。ですから、いま外務大臣が非常に抽象的に、言わず語らずのうちに云々と言われたこと、これはもっと明確にアメリカ側に言って差し支えないし、われわれの前でも一番はっきりしていることは、潜水艦によって日本の船が沈められたということなんで、こういう事故というのはやはりありがちなんですね。逆の場合もあるし、ですからそんなに慎重に言葉遣いをする、何か抽象的に言う必要はない。言うことがかえっていろいろな憶測を呼び、反米感情をあおる結果になるのじゃないでしょうか。  アメリカが遺憾の意を表明したということは、やはり、原因は何であるかわからぬけれども、少なくともアメリカの潜水艦によって日本の船が沈められた、原因はいろいろあるでしょうけれども、現実はだれが見てもそういう結果が現実としてあらわれたから、アメリカ側が遺憾の意を表したのじゃないですか、いかがですか。これはもう少しはっきりおっしゃっても決して差し支えない。ここをぼかしているからいろいろな不協和音が起こってきて、かえって問題をこじらしてくる結果になる。いかがですか。
  156. 伊東正義

    伊東国務大臣 本当の友人関係というのは、非は非、是は是とすることが本当の友人関係だということは私も同感でございます。それで、ステートメントの中には、後の方に補償の問題とか、あるいは責任の問題とか、そういう問題について自分の方も取り組むということでやるから、日本もそういう点は信頼してくれ、確信を持ってくれ、こういうようなことを書いてあるわけでございまして、文脈をずっと見れば、私はさっき、そう聞いた瞬間に以心伝心そう思った、こう言ったのでございますが、断定をすぐしていいかどうかということは、やはり事故原因調査報告というものを早急に出すと向こうは言っているのですから、私はそれを待って断定したい、こう思っているわけでございます。  文脈の気持ちは、私が述べたような責任、補償ということまでも向こうは取り組む、こう言っておりますし、あるいは遺憾の意を表明すると大統領まで言ったのでございますから、恐らくと、こう想像はするのでございますが、最後の断定だけは、私は調査を見てから結論を出し、政府としてどういう態度をとるかということをはっきりしたい、こう思っているわけでございます。
  157. 田川誠一

    ○田川委員 現場に居合わせた人がいないのじゃないので、われわれの同胞が現に現場に居合わせて、そして乗っていた船が沈められて、二人の行方不明者が出て、そして泳いだ人が現実にいるわけですね。ですから、そういう人がいなければ、いま伊東さんのおっしゃったようなことでいいけれども、現実に立ち会っている人間がいるのです。助かった人がいるのですからね。  なぜ私がこんなことを最初に伺ったかというと、日本人がアメリカ軍に助けられたのもずいぶんあるのですよ。日本周辺で、一身を犠牲にしてアメリカの海軍の兵隊が日本の船員を救ってくれたり、あるいは日本に駐留している米軍の中で日本人の災害を助けてくれたというような例もずいぶんあるのです。たまたま今度のこういう問題が起こった。私は、だからといって、今度の問題はいいかげんにしていいと言うのではなくて、こういう問題が日米安全保障条約の本質に触れるようなことにもなるし、もっと心配なのは、日本アメリカとの友好関係にひび入れが来るかもしれない、そういう要素にならないように政府国会も配慮していかなければならぬ、そういう考えから先ほどのことを申し上げたわけでございます。  そこで、もう一点伺いたいのは、今後こういうことが起こらないように、再発を防止するように努力しなければならないと外務大臣はしばしばおっしゃっております。全くそのとおりだと思いますが、再発を防止する、再びこういうようなことを起こらせないようにするにはどうやったらいいのですか、何かお考えがありますか。
  158. 伊東正義

    伊東国務大臣 私は海の知識は先生お答えするほどはございませんが、これは日本だけの問題ではない、相手がございますから、相手の方で十分いろいろな再発防止については考えてもらわなければならぬわけでございます。だから、今度のことはどういうところに手抜かりといいますか、何があってこういうことになったのかということをはっきりすれば、それに対する対策を立てる、日本側で何かとるものがあればとる、あるいは向こう側だけであれば向こう側がそこをちゃんとしてもらわなければ困るわけでございまして、原因というものがやはりはっきりわかったその上で対策を立てるということだと思うわけでございますので、いまここで田川さんから、何かあるか、こう言われても、私はちょっと、いますぐにお答えするほどの知識、能力がないものですから、御勘弁を願います。
  159. 田川誠一

    ○田川委員 技術的な問題ではない。事務的な問題ではないのです。両国の外交姿勢にあるのではないかと私は思うのですね。アメリカの将兵の中には不法者もおるし、りっぱな人もたくさんいますけれども、不心得の者もある。基地周辺の兵隊の中には、依然として日本を占領している当時の気持ちの者もあるし、それから、アジア人に対する一つの偏見を持った人たちもいるわけですね。そういうことをなくしていくというのは、やはり両国の指導者がはっきりとそういうことをなくしていくように努力していかなければいけないと思うのです。  私は外務大臣にいま具体的といいますか、そういう事務的な、技術的なことをお聞きしているのではなくて、こういう問題を再び起こさないようにするには、さっき玉城さんもちょっと触れておられましたけれども、五月にせっかく首脳会談があるのですから、両国の最高首脳部の会談の中ではっきりと、こういうような事件を再び起こさないことを誓うような話し合いをやはりしていくべきではないか。さっきあなたは言葉を大分濁していらっしゃったけれども、これはもう日米両国の友好の根幹に触れる問題、また日米安全保障条約にも相当な影響を及ぼす問題ですからね。ですから、どっちの責任だ、こっちの責任だということではなくて、こういう問題を再発させないように努力していくということ、これはもうぜひやっていくべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  160. 伊東正義

    伊東国務大臣 さっきお答えしましたのは、私がお供していけば国務長官と会いますから、必ず言いますということを私は申し上げたのでございますが、両国の国民あるいは民族といいますかの考え方の問題でございますとか、あるいはさかのぼればいろいろなことがあるわけでございますが、そういうことはいま水に流して、前に向いて日米の友好ということをやっておるわけでございます。こういうことが契機になりましてまた信頼関係に傷がつくというようなことになることが一番恐ろしいことでございますから、どういう方法が一番いいのかということは、田川さんはいま首脳会談で言うべきだということをお話しになりましたが、これは玉城先生からもそういうお話がございましたので、国会でそういう議論が出たということをなるべく早い機会に総理にも申し上げ、総理ともよく検討さしていただきたいと思います。
  161. 田川誠一

    ○田川委員 それに関連してもう一点、これは要望しておきますが、やはり想像されるような事件だとすると、現場の責任者というのを処罰しなければいかぬです。責任を明らかにするということが、再発を防ぐ一つの道だと思うのです。そういうことはひとつ日本側から、事態がいずれ明らかになるでしょうけれども、責任を明らかにするということをひとつぜひ忘れないでいただきたい。  それから、最初に申し上げましたように、こういう問題は単に感情やムードで片づける問題じゃないということと、もう一つ特に申し上げたいのは、先ほど来外務大臣が言われた是は是、非は非、そういう気持ちをお忘れにならないでいただきたい。特にこのような問題に対しては厳格にアメリカ側に対して態度をとっていただきたい。いままで見ていると、どうも及び腰のような姿勢が見られる。及び腰の姿勢が見られるということがかえって反米感情をあおっていく、こういう心配がございますので、この点をひとつ要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  162. 伊東正義

    伊東国務大臣 責任の問題を最初おっしゃいましたが、責任及び補償の問題については、これに取り組み、確立した経路を通じて迅速に処理されることについて確信していただきたいというふうに、ステートメントに責任と補償の問題を向こうからも言ってきているのでございますが、私の方からも、この問題については事後処置一つとしてちゃんとやることが大切ですから、これは向こうに伝えることは先生のおっしゃるとおりでございます。  それから、何か及び腰のように見えると言われましたのは、まことにもってこれは私の不徳のいたすところでございまして、もしそうであればこれは私の責任でございますが、そういう考えは毛頭ございません。  あるところで言ったのでございますが、、怒り立てることもそれはいいかも知らぬが、静かな声でも相手にはよく通ることもあるのだからというようなことを私は言ったことがあるのでございますが、これはいいことはいい、悪いことは悪いじゃないかということは私は厳格にやるつもりでございますし、事後処置原因の究明、これはちゃんとやってもらう。事後処置もちゃんとやりまして、日米関係に傷を残さぬようにというのがわれわれの国民に対する責任でございますから、私は最善努力をいたします。
  163. 奥田敬和

    奥田委員長 午後一時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十二分開議
  164. 奥田敬和

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百七十四年十月十六日にモントリオールで署名された議定書締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国フィンランド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件及び千九百六十四年十一月二十七日にパリで署名された所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府フランス共和国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件の四件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質議の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  165. 土井たか子

    土井委員 国際民間航空条約に関する議定書についてまずお尋ねをいたしますが、このいわゆるICAOの今回の改正について、日本はいつ署名をされたわけでありますか。
  166. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 本議定書については、日本政府は署名はしておりません。ICAO総会で採択されたわけでございます。
  167. 土井たか子

    土井委員 その採択されたのはいつでありますか。
  168. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 一九七四年十月十六日、モントリオールでございます。
  169. 土井たか子

    土井委員 この今回の改正点の中身を見ますと、主なるものは理事会構成国の国の数が変わるということらしゅうございますが、事実であるかどうか、そして内容はどういうものであるか、あらましの御説明を伺いたいと思います。
  170. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 今回御承認をお願いしています議定書は、ICAO条約五十条(a)の改正に関するものでございますが、ICAO理事会の構成国の数を三十カ国から三十三カ国に改める、そういう内容のものでございます。
  171. 土井たか子

    土井委員 三十カ国が三十三カ国になる。ごく最近、理事会構成国の選挙が改選のときを迎えてあったはずでありますが、それはいつでございますか。
  172. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 昨年の九月に行われましたICAOの総会でございます。
  173. 土井たか子

    土井委員 その九月のときに、すでにこれは選挙によりまして三十三カ国の理事会構成国が選出されたやに聞いておりますが、事実でありますか、どうですか。
  174. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 それで間違いございません。
  175. 土井たか子

    土井委員 そうすると、一九七四年という年にこれが採択された。日本としてもそれを承知しておるわけなんですね。中身とすれば、理事会国が三十カ国から三十三カ国になる。すでにそれはもう事済んでしまっておるわけですね、事実は。済んでしまってから後、国会承認を求めるというのは、これは一体順序としたらどういうかっこうになるのですか。
  176. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 この改正の議定書の発効要件でございます八十六カ国が批准を済ませましたのは昨年の二月十五日でございます。それで私どもといたしましては、その発効した後、可及的速やかに国会承認を求めるということで、今回提出したものでございます。
  177. 土井たか子

    土井委員 したがいまして、日本はまだこの案件については批准をしていない、そういうかっこうになるわけですね。それは事実でしょう、どうですか。
  178. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 法的にいたしますと、昨年のICAO総会の時点におきましてはわが国は批准をしていなかったということは事実でございますが、法理的には現在の理事会も一応条約上の正規の手続を経て構成されたものでありますので、わが国としてもこれに異を唱える根拠はなく、したがってまた実益もないというふうに考えておったということでございます。
  179. 土井たか子

    土井委員 とかく外務省答弁というのは要らぬことを答弁する。批准をしていないのですねという私は質問なんですよ。そういう言いわけを聞く必要はありません。批准をしているのですか、していないのですか、いかがです。
  180. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 批准はしておりません。
  181. 土井たか子

    土井委員 批准をしていないで、日本理事国でありますか、どうですか。
  182. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 日本理事国でございます。
  183. 土井たか子

    土井委員 この理事会構成国については三つのカテゴリーがあるということを私は承知しているのですが、日本は航空運送における最重要国というふうな認識をみずから持っていますか、どうですか。
  184. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 そのような認識を持っていると思います。
  185. 土井たか子

    土井委員 そのような認識があって、昨年改選時に日本としてはこの理事国としてまたさらに選ばれるという立場にもあったわけですね。そして、この中身について批准していないのです。外国から見たらこれに対してどういうふうな認識を持ち得るようになるでしょう、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
  186. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 御承知のように、ICAOの議定書の改正は一定の要件に従って改正を批准した国についてのみ発効するということがICAOの基本条約で定められておりまして、ただいま国会の御承認をお願いしております改正議定書につきましても、条約上はただいま申し上げましたようにこれを批准した国のみについて有効である、適用がある、こういうことになりますが、従来から私の承知しておりますところでは、ICAOにおきまして、批准未了の国につきましても、事実上決められたルールに従って理事会の構成でありますとか機関の運用というものは行っておるというふうに承知いたしております。したがいまして、今回の場合におきましても、理事国の数を三十から三十三にふやす、こういう定めでございますが、個々の国が批准しているかしていないかにかかわりませず、ICAOといたしましては理事国が三十三にふえたということで処理をしておる、それ自体は、従来のICAOの慣行に照らしまして適当なものであろうというふうに加盟国が皆考えておるわけでございます。
  187. 土井たか子

    土井委員 いいかげんなことですね、これは。  この改正議定書によって三十カ国が三十三カ国になるということが決められたのですね。決められたときは一九七四年なんです。そして、昨年改選期に選挙で選ばれたのが三十カ国から三十三カ国に事実はもうなっているのです。現状はそうなってしまっているのです。三十カ国から三十三カ国になるこの議定書について、日本はまだ批准をしていない。しかしながら、昨年の改選時には日本理事国の一国として選ばれている、そういう関係にあるわけですね。本来、ICAOのこの条約は批准した国についてのみこれを適用するというのが本旨なんです。これをやはり守っていくというのは、国際信義上私は大切だと思うのですよ。いままでこれに対して国会承認を得るという手続がおくれた理由はどの辺にあるのですか。
  188. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  一昨年までの段階におきましては、政府といたしましては、この理事国の増加というものがこの改正議定書に定められております八十六の締約国の批准によって発効するということになっておりますが、理事国の増加を規定するに際しまして、いろいろICAOの中でこの機会に理事国をふやすことが望ましいかどうかということにつきまして議論がありました経緯がございます。したがいまして、各国がどの程度この理事国の増加を受け入れるかということにつきましてわが国としましても若干様子を見た方がよろしかろう、こういう判断に基づきまして、一昨年まではこの改正議定書につきまして国会の御承認をお願いすることを差し控えて、ほかの国の受諾状況を見ておったわけでございます。  先ほど御説明申し上げましたように、昨年の二月、一昨年から昨年にかけまして各国の批准が比較的急速に進捗いたしまして、八十六という批准の要件を満たして発効する経緯になりましたわけでございますが、昨年の通常国会におきましては先生承知のように非常に多数の条約案件につきまして国会の御承認を得なければならないという事情にございまして、種々勘案いたしました結果、昨年の通常国会の時点におきましてはこの改正議定書国会に提出するということにつきまして見送らしていただいた、こういう経緯でございます。
  189. 土井たか子

    土井委員 どの条約国会承認を受けるために手続をとるか、この取捨選択というのは外務省にあるのです。一本ふえることによってそれだけ条約がふえるから差し控えさせていただいたという、そういう言いわけとも聞こえるような答弁というのは聞こえませんよ。これはやはり国際信義の上から言ったら非常に大事な中身だということを、今回少し見ていてつくづく考えさせられたのです。これは大臣、どうお考えになりますか。各国がどういうふうな批准状況になるかということを少しにらましていただいた、そうすると順調に批准が進んでいるので、やはりこれはやるべきかなというふうな気持ちにもなられた。しかし、先ほどお尋ねしたとおりで、日本は航空運送において最重要国だという自負を持っていらっしゃるのですよ。かつても理事国であり、昨年の改選においても理事国という体面というのがあるし、国際信義上の問題も日本の立場としては問われているのです。どういうふうにお考えになりますか。
  190. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま私、ここに座っていて、こんなことがあるのかなと思って聞いたぐらいでございまして、やはりそういうものは早期に国会承認をいただいて批准した方がいいと私は思いますので、今後そういうことのないように私は気をつけてまいりたいと思います。
  191. 土井たか子

    土井委員 しつこく追い打ちをかけるような物の言い方になりますけれども、これはもうすでに改選のときが来て、選挙が終わって三十三カ国になってあわてて国会承認を得るということに踏み切られたような気配が見えてならない、どうもその点は好ましくないですね、そういうことを一言私ははっきり申し上げておきたいと思います。  さて、改選時に三十カ国から三十三カ国になりましたが、三十カ国理事国があった当時は理事国の一国であったフィンランドが昨年の改選時に落選をいたしましたが、この落選したという理由はどの辺にあるのですか。衆議院の総選挙と同じで、落選をなぜしたかという理由を問いただされてもよくわからないという答えになるのかもしれないけれども、この点は少し理由があるだろうと思うのです。
  192. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 私ども承知している限りでは、昨年のICAO総会におきましてフィンランドとデンマークが立候補していたわけでありますが、最終的には北欧諸国のシートはデンマークが占めるということで、フィンランドは辞退したと承知しております。
  193. 土井たか子

    土井委員 デンマークとの兼ね合いでフィンランドが辞退した、そういうかっこうになっているわけですか。そうすると、そのフィンランドと日本との間の航空業務に関する協定が今回もう一つの航空条約としていま私たちが審議をしなければならないわけですが、この条約に先立ってちょっとお尋ねしたいのは、例の日米航空交渉の問題であります。  日米航空交渉は三年ぶりに四月六日から東京で開かれたのですが、その目的というのはどの辺にあったのですか。先日も当委員会での質問があったようでありますが、繰り返しになることを承知の上で、ひとつもう一度確認をしておきたいと思います。
  194. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  日米航空交渉は五十三年の交渉以来中断しておりましたけれども、その間、非公式な接触を通じまして米側からも、現状打開、すなわち私どもが長年主張しております不均衡是正について何がしかの前向きの態度をとるということが出てまいりましたものですから、これを契機として双方に可能な合意に到達しようという機運が盛り上がりまして、このたびの四月の交渉と相なった次第でございます。
  195. 土井たか子

    土井委員 いま不均衡という表現を使われたのですが、それは言葉を変えて言うと不平等と言ってもいいと思うのです。かねてより日米航空交渉でこの不平等を是正するということがわが国の側から言うと願望である。日米航空協定というのは、現在どういうふうな点がいわばこの不平等とか不均衡とか言われる点になっているのですか。
  196. 松田慶文

    ○松田説明員 大別して申し上げますと、不平等、不均衡という側面と、必ずしも不平等、不均衡ではないが問題があるという側面と事項は分かれようかと思います。  不均衡とわれわれが考えます点は、たとえば乗り入れ地点の数、扱い、以遠権の数及び扱い等々でございます。  そのほか、必ずしも一概に不平等、不均衡とは言えませんけれども協定の運用上問題があると考えられます側面といたしましては、指定企業の数あるいは輸送力等々についても問題があろうかと思い、交渉の対象にしております。
  197. 土井たか子

    土井委員 アメリカ側は、この交渉に当たっても日米航空協定が不平等な条約であるというふうな認識をはっきり持っていないというふうなことがとかく言われてまいっておりますが、それはどのようにお考えになっていらっしゃるか、そうして、アメリカ側がこれは不平等だと日本が指摘する点に対して不平等ではないと言っている点があるとするなら、その辺の説明の中身も簡単で結構ですから御説明を賜りたいと思います。
  198. 松田慶文

    ○松田説明員 米国は必ずしも私どもの主張、すなわち不平等、不均衡であるということを公式には正面から認めておりません。不平等という問題のとらえ方にいろいろな側面がございまして、米側は米側として、たとえば米側企業の収益と日本側の収益の比較、あるいは運びました乗客数との比較等々では結果がほぼ同じであるから、実態的には不平等でないという言い方もいたします。これに対しまして私どもは、それは結果として仕組みそのものに問題があるという提起をしております。  そういうわけでございまして、長年の対立でございましたが、米側は申し上げましたとおり以遠権及び地点等について柔軟な態度を示してまいりましたが、同時に、それは米国が現在持っております航空政策、すなわち自由な競争を促進しようという政策に日本側が理解を示すということとパッケージになっております。
  199. 土井たか子

    土井委員 それはこちら側の理解がどの程度向こうの気に入るかどうかという側面もあるのかもしれませんけれども、今回の日米交渉でアメリカ側からは具体的な提案があったやにわれわれは聞いておりますが、どのような具体的な提案がなされたのですか。
  200. 松田慶文

    ○松田説明員 今回の四月協議の前、一月に非公式協議を行いました段階で、日本企業の米国への乗り入れ地点の増大、以遠権の拡大、料金決定の新方式等々についての新提案がございました。それに基づき今回の交渉を行ってみたわけでございます。
  201. 土井たか子

    土井委員 アメリカ側は、いま言われたような大まかに言うとそういうことではあるように私たちも聞いておりますが、提案をしてまいりました中で、以遠権の問題、路線権の問題、その提案が日本側に受け入れられる、また日本側がそれに対して理解を持って協調していくということになれば、この日米航空協定のいわゆる不均衡、不平等というのが是正されるというふうに考えていいのですか、どうなんです。
  202. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、不均衡、不平等というのはかなりに主観的な判断を伴いますので、どういう解決がそういった問題を除去するかは、それぞれの立場、あるいは日本側の内部でもそれぞれの分野からの物の見方で多少違うと思いますが、総じて申し上げれば、今回の米側提案と、それに対応しております私どもの立場が整合され、妥協、合意が図られますならば、かねて私どもが言っておりました日米間の不均衡は大幅に是正される可能性がございます。
  203. 土井たか子

    土井委員 日本側の以遠権の主張というのは、具体的にどこからどこまでということを主張してきているのですか。
  204. 松田慶文

    ○松田説明員 必ずしも明確にどれとどれというふうには言っておりませんで、可能ならば、私どもは米国のすべての乗り入れ地点からの先以遠を期待したいと思っておりますが、この辺のこれからの交渉の成り行き等、どういう結末になりますかは、交渉途中でございますので、これ以上のしさいにわたりますことは御容赦願いたいと存じます。
  205. 土井たか子

    土井委員 さらにこれは交渉が続くわけでありましょうけれどもアメリカ側が提案をいたしました航空運賃、さらにチャーター便の自由化、この問題についてどのようなお考えを持っていらっしゃるのですか。これらが自由化されますと、わが国にどのような影響が出てくるというふうにお考えですか。
  206. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  まず、チャーター便の扱いにつきましては、私どもも従来の運用を若干緩和、自由化し、米側の強い要望を何がしか取り込む余地がございまして、その方向で話し合っております。  料金問題は非常にむずかしゅうございまして、わが国のよって立つところの公共料金制度、航空運賃を公共料金の一つと見て規制を加えるという方式と、米側の企業の自由な競争に基づく料金の低廉化の方向を追求するという施策との間にかなりの差がございますので、この調整を図るのが非常に大きな問題となっております。
  207. 土井たか子

    土井委員 調整が大きな問題になっている、それは事実に対しての説明なんでしょうが、そのことがもしアメリカ側の言い分どおりに通ったとすれば、わが国にどういう影響が出るのですか。
  208. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答え申し上げます。  チャーター運賃等の自由化が進みました場合には、一方において旅行者としての消費者に対する利益がそれだけ出てくるという面は、これは否定できないと思います。ただ、他方、運賃の自由化がありました場合に、これが不当な競争を引き起こす、あるいはその結果といたしまして安全性あるいはサービス水準の低下というものが出てくるおそれもなしとしないと思います。それから、企業が自由な判断で市場に参入いたすわけでございますから、他方、不採算路線についてはサービスの水準が低下してしまうというおそれもあろうかと考えております。  したがいまして、このようなデメリットをも勘案し、さらに自由化によってもたらされるメリット、このあたりのバランスを今後検討していく必要があろうかと考えております。
  209. 土井たか子

    土井委員 その問題は少し後で触れる点も出てまいりますが、いま現にアメリカでは国際航空運送競争法というのがありますね。この法律は、航空交渉でアメリカ側が少なくとも同等の権益を得るのでなければ、他国に新たな航空権益を与えてはならないということが基本として定められている。そういう立場からしますと、外国の航空会社がアメリカの航空会社の権利を制限するとか、競争上の不利益をもたらすというふうに具体的内容をアメリカの航空当局が判断すると、その国の航空会社の運航制限などの報復措置を必ずとることができるという中身にもなっている、こういうふうにわれわれは理解しているのですが、このことによりまして、日米航空協定の不平等を是正していくということが非常にむずかしくなったということが一部で言われていることも事実です。なおかつ、航空摩擦がこの法律のために生ずるのではないかという懸念さえも現実にあるわけですが、政府間の航空交渉を通じまして、こういうふうに懸念されたことはいままでに具体的にあったかどうか、日本としては国際航空運送競争法それ自身に対してどのような読みと認識をいままでに持ってこられているか、いかがですか。
  210. 松田慶文

    ○松田説明員 御質問の第一点、現在までの日米航空関係におきまして、米側がこの法律に基づき何らかの措置をとる、またはとったという事例についてのお尋ねでございましたが、その点は従来特段の問題点はございません。  第二段の、この法律によって行政府が立法府から航空交渉上のガイドラインを与えられております点が今回の航空交渉にどのように影響するかというお尋ねにつきましては、その点はかなり深刻な影響があろうかと思っております。すなわち、米側は運賃の自由化を含めまして自由な競争を志向するという大きな流れの中で各国との航空関係を設定していきたいと思っておりますし、その部分には、先ほど運輸省から御答弁がありましたとおりメリット、デメリット双方ございまして、私どもは是は是、非は非として取捨選択していくしか方法はございませんが、交渉が従前に比して複雑な様相を持ってきている点は先生御指摘のとおりかと存じます。
  211. 土井たか子

    土井委員 ここでの答弁はかっこうよく難なく何とか答えればいいという御気分でお答えになっていらっしゃるのでしょうが、本当に国際航空運送競争法に対して脅威をお感じになったことはないのですか。これで摩擦が生ずるということはいままで絶無だったのですか。現に私たちが恐らくはこの法律のためにこういうことになったのではないかとおぼしき事例を挙げろと言われたら、例のコンチネルタル航空の子会社であるエア・ミクロネシア、この会社が東京−サイパン間、大阪−サイパン間の増便と新設を問題にした節、日本側が大阪空港においては発着陸に対して御承知のとおりに制限がある、したがってこれを新設することはできないと拒否したことに対して、アメリカ側日本にさらに譲歩を迫る措置を講じたということが世上公然たる問題として取りざたされたのですが、こういう事情はありませんでしたか。
  212. 松田慶文

    ○松田説明員 御指摘のとおり、昨年のいわゆるサイパン・ケースにおきまして米側の乗り入れをめぐっての議論がございましたが、先ほどお尋ねのように、この競争法に基づいて米側が公式に報復措置をとるといったがごとき動きには全く至っておりませんで、米側といっても政府当局もあれば議会関係者も企業関係者も多々ある中で、あるいはそのようなことが話されたことはございましょうけれども政府政府関係ではそのようなことはなかったと承知しております。
  213. 土井たか子

    土井委員 そんなにきれいごとで政府政府の話し合いというのはいくのですか。つまり、実情を踏まえての話し合いではないということにもなりますね。いま申し上げたコンチネンタル航空は提訴しているのですよ。なぜ提訴したかというと、その根拠は、いま問題にしているかの国際航空運送競争法なんです。この法を根拠にして、日本については東京−ニューヨーク便を運航停止するように求める提訴をしているのです。なぜこういう提訴が可能であったかというと、米民間航空委員会がこの中身に対して不当な扱いであるという認定をしたから提訴できているというかっこうにもなっているのです。こういう実情は政府間のお話の中では全く度外視されているのですか。全く関係ないのですか。
  214. 松田慶文

    ○松田説明員 エア・ミクロネシアが日本乗り入れを求め、そのことの関連で提訴するケースがあったことは御指摘のとおりでありますが、米国政府は、CABが日本側と交渉するということでこれを抑えまして、交渉の結果、米側の乗り入れが認められた段階で提訴を却下しております。  私が申し上げておりますのは、そういった米側の内部で企業ごとの動きはともあれ、政府間で公式な場において報復云々ということを米側が申し立ててきているということには至っていない、このように申し上げている次第でございます。
  215. 土井たか子

    土井委員 大分御答弁のニュアンスが変わってきたのですが、そうすると、いまの御答弁からしてももう一つ言えることは、いまの国際航空運送競争法によって、航空交渉をする上でアメリカ側はこれを一つの有力な手段に使うということはありますね、これは言えるでしょう。
  216. 松田慶文

    ○松田説明員 お言葉ですが、私は一貫して同じ姿勢で答弁しているつもりでございますが、米側がこの法律に基づいて云々とおっしゃいますけれども、これは米側の国内法で、立法府が行政府に対して一つの指針を与えたものでございます。それに対して外国がそのとおりにしなくてはならぬということはないのでありまして、私どもは私どもの航空政策、外交政策を持っておりますので、その間の整合を図らなくてはならない、調和を図らなくてはならないという意味で、向こうのポジションが単に行政府の裁量以上に立法府による縛りがかかっております点で、先ほど先生御指摘のとおり向こうの立場は強い、それにとらわれる側面があるだけに交渉はむずかしいということは、まさに御指摘のとおりだと私も考えております。
  217. 土井たか子

    土井委員 したがって、そういうことからすると、こういう航空交渉を通じて、国際航空運送競争法というものが果たす役割り、それについて懸念をされたことがありませんでしたかというふうなことをお尋ねしたのに対して、さっきは、いままでは全くないという御答弁、えらい自信ですね。大変な自負心と自信を持って交渉にお臨みになっていらっしゃる。だんだん、一貫した御答弁ではあるけれども、そういう点からすると空気とニュアンスが違ってきた。アメリカ側の立法府だの行政府だのとおっしゃるけれども、行政府が航空交渉について政府間交渉ということで臨む場合に、立法府が制定したこの法律に強く覊束されるという立場は否めない、それだけやはり影響があるということをお認めになっているわけであって、航空交渉の席でこの法律による向こう側のやり方というのが交渉についても影響を与えるし、われわれの出方というのもそれによって考えなければならない部面があることも事実であろうと思う、これは否めないでしょう。
  218. 松田慶文

    ○松田説明員 そのとおりでございます。
  219. 土井たか子

    土井委員 それで大阪空港はだめ、そこで、アメリカ側の先ほど提訴しようとしたことを抑えて、CABが日本とさらにこのことに対しての交渉を重ねるということに対して骨を折られたという経過もお話しになりましたけれども、結果としてどうなったのですか。大阪空港はだめで、そのかわりにどこかの空港ということに現在は話は落ち着いているのですか。
  220. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答えいたします。  昨年の九月に行われましたアメリカとの話し合いにおきまして、コンチネンタル航空に対しましては、名古屋空港に対して私どもが運航開始が可能であると認めた時期から乗り入れを一定便数認めるということにいたしております。
  221. 土井たか子

    土井委員 その運航開始が可能であると運輸省としてお考えになっていらっしゃるときというのは、一体いつごろなんですか。
  222. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答えいたします。  私どもといたしましては、具体的な時期についてはもちろんアメリカ側にも明示しておりませんし、またはっきりいつからはよろしいということはここでも申し上げられません。と申しますのは、当然のことながら、これは空港の物理的能力であるとか、あるいは環境条件その他の諸制約を判断いたしまして、また地元の御意見も伺った上で、可能となった時期から乗り入れを認めるという考えでございます。
  223. 土井たか子

    土井委員 しかし、これと引きかえにと申し上げてはなんですけれども、この話と同時に進んだ問題として、日航のカーゴーが週二便シカゴ空港に乗り入れられるという権益も日本としては認められている、こういうかっこうになっているはずですが、これは事実ですか。
  224. 大金瑞穂

    ○大金説明員 御指摘のとおりでございます。
  225. 土井たか子

    土井委員 この点は、いつから乗り入れる予定になっていますか、また、現に乗り入れているのですか、いかがですか。
  226. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答えいたします。  日本航空のシカゴへの乗り入れの時期は、コンチネンタルが名古屋に乗り入れられることになった時期と同時期でございます。現在はまだ乗り入れいたしておりません。
  227. 土井たか子

    土井委員 わかりました。そうすると、これはまだいつという時期は未知数であるというふうに考えていいわけですね。条件を整えていくのはなかなかむずかしいだろうと思いますが、名古屋についての可能性というのは、諸条件が整うまでというのはなかなかむずかしい問題だと理解しておいてよろしいですか。
  228. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  名古屋空港には現在一応CIQの施設がございまして、国際線の就航は可能なようになっておりますが、滑走路の長さを現在短縮いたしまして水路関係の整備等を行っております。したがいまして、この辺が何年か後になりますと完成いたしまして、全体として二千七百四十メートルができ上がるわけでございますが、その時期が来ないと国際線が十分に飛ぶことはむずかしいのではないかと考えられます。  それからまた、今後の需要の動向もございますし、環境問題もいろいろと起こってまいっております。また、一部地元におきまして便数の増加に対する反対の動き等もございまして、この辺の事情をよく勘案して判断してまいる必要があろうかと考えております。
  229. 土井たか子

    土井委員 現に名古屋空港の滑走路は千二百メーターのはずですね。何メーターですか。
  230. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 全体として二千七百四十メートルの滑走路がございますが、滑走路の下に川が流れておりまして、これをただいま改修中でございます。したがいまして、現在二千三百六十一メートルで運営をいたしておりまして、ことしの八月には二千五百五十メートルまで復活いたします。その後、河川の切り回し等いろいろやりまして、ちょっと時期が確定いたしませんが、最終的には二千七百四十に戻す予定でございます。
  231. 土井たか子

    土井委員 最終的に二千七百四十メーターに戻すとおっしゃっておる時期は、空港整備計画の中でちゃんと組まれている計画内容だと思いますが、いつを目安にこの問題に臨んでいらっしゃいますか。
  232. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 ただいまのところ、水利の問題等がございまして、水利権の問題等が絡んでおりまして水路の切りかえの時期がちょっとはっきりいたしませんが、五十八年度以降になるだろうと考えております。
  233. 土井たか子

    土井委員 なぜいま私がこういうことを聞くかというと、これは不平等な問題と必ずしも私は思わないのですけれども日本に対しての乗り入れの国際空港が三つ、東京、大阪、那覇ですね。アメリカに対して現に日本側から乗り入れている空港は総計十一だろうと思いますが、その点について、アメリカ側日本の空港をさらに開港していくようにという要望があるやにも聞いております。たとえば、名前を挙げれば名古屋なんというのが指示されている空港として聞こえてくるように思うわけですけれども、そういうアメリカ側の要望に日本としてはこたえることができるのですか、どうなんですか。
  234. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。  名古屋の空港の諸問題につきましては、ただいま答弁があったとおりでございまして、直ちに米側のみならず他の国々への便数の増を含む開放は困難があろうと思いますが、それ以外にも若干わが国としては国際空港として条件を持っており、米側その他からの御要望があれば考慮してもよいという空港がございます。ただ、それが相手側の航空利益、先方の見る利益と合致するかどうかは今後の別の問題でありますが、物理的には若干存在することは存在いたします。
  235. 土井たか子

    土井委員 その若干存在するとおっしゃるのは、具体的に言うとどういう空港なんですか。
  236. 松田慶文

    ○松田説明員 一、二の例を申し上げますと、たとえばすでにもう国際空港としての設備を持っております福岡、鹿児島等でございます。
  237. 土井たか子

    土井委員 名古屋については、幾ら期待をされてもいま聞かせていただいたような状況があるということを私は承知いたしておりますし、特に、大阪国際空港の問題を取り上げて、私は再三、再四この国会でもそれを問題として取り扱ってきた公害対策ということもございますから、内陸部の特に人家の密集地帯に空港があるということの意味からすると、名古屋においても悩みは同じだろうというふうに私自身は考えるのです。  しかし、片や来るべき日に名古屋はオリンピックの会場ということで立候補もされているのです。八八年でしょう、恐らく。そうなってくると、名古屋空港を国際空港にしていただきたいという要求も恐らくは国際的に出てくる可能性もあるのですね。そういうことに対して運輸省としては、それは絶対受けられない、いやチャーター便ぐらいは考えよう、また、いや国際空港化する必要もあるのじゃないか、いろいろな考え方があるだろうと思うのですが、どういう心づもりをいま持っていらっしゃいますか。
  238. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 施設面につきましては先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、滑走路の完成を待つ必要がございますし、それからまた、環境問題とか、あるいは地元の一部の反対運動等もございまして、なかなかその便数をふやすことも必ずしもままならぬという状況もございますので、その辺もよく勘案して判断をさせていただきたいと考えております。
  239. 土井たか子

    土井委員 何だかよくわからぬ答弁なんですがね。それは勘案させていただきたい、何を勘案なさるのですか。それは空港の機能という点で、国際的に国際空港化しなさいというような方向での希望があれば、その希望に沿っていろいろと対策を勘案するという意味での御答弁なんですか、どうなんですか。
  240. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 そのとおりでございまして、現にCIQの施設等も拡充整備をやりつつあるわけでございまして、近く規模にして二・五倍の施設も完成する予定でございます。ただし、それ以降のさらに一段の国際線の拡充ということになりますと、地元のいろいろな事情もございますので、その辺を勘案させていただきながら今後検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  241. 土井たか子

    土井委員 アメリカ側からの要求の中では、いろいろ出ます中に空港のアクセスということが出てきているようであります。  大阪国際空港ということになると、現に決められております発着陸の回数、便数より以上にこれをふやすわけにはいかない、減らすことがあってもふやすことはできない、これが運輸行政の上では至上命題であるということだろうと思うのですが、そうなってまいりますと、アメリカ側からの要求ということも一つは勘案しながら今後運輸行政を進めざるを得ない。運輸交渉の節は、アメリカ側に対して、こういう措置日本として構じているわけであるからという、理解を求めるという点もなければならない。  そういうことを考えていきますと、関西新空港の今後のあり方というのは大変大きな問題だと私は思っているのです。関西新空港というのは、私は賛成、反対をここで問題にして論ずることはちょっと横に置いておきますけれども、事実を事実として少し押さえておきたいと思う意味で御答弁を願いたいと思うのですが、泉州沖というのが航空審の答申どおりにいま考えられております。この泉州沖に考えられている政府案の空港計画、当初計画についてだけで結構ですから、何期かに分けてこの計画は具体的に工事をお進めになるはずでありますので、その一期工事と申し上げていいでしょう、一期工事というのはいつを目安に、どれだけの規模をお考えになっていらっしゃるかをひとつお答えいただきたいと思います。
  242. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 関西国際空港の建設につきましては、先生承知のとおり現在種々の調査をいたしておりまして、また計画を固めますこと、あるいは環境調査をやること、それから地域整備の計画を立てること、このようなことをやっておるわけでございますが、その点の完成を待ちまして地元と協議をさせていただいて事業にかかるという段取りになっておりますので、まだ着工の時期ははっきりいたしておりません。希望的には、五十年代の終わりごろから始めまして昭和六十年代の中ごろまでには第一期をつくり上げたいというふうに考えておる次第でございます。全体の規模は六百ヘクタールぐらいを考えておるわけでございます。
  243. 土井たか子

    土井委員 六百ヘクタールの中で主滑走路というと四千メーターと聞いておりますが、これを一本考えられているというのが一期工事の内容だというふうにわれわれは承知をしているのです。こういう空港の規模とこういう中身で、いまの大阪国際空港というものを廃港に持っていくということが可能ですか、どうなんですか。航空審の答申では、国際空港について、大阪国際空港の廃港も含めてこの問題に対処するということをちゃんと確認しておられるのですが、どうなんですか。
  244. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 伊丹の空港を廃止するかどうかということにつきましては、新空港の完成、供用を待ちまして判断することになっておるわけでございますが、とりあえずは伊丹の代替になる規模の飛行場ができればよいのではないかということで第一期の計画を考えておるわけでございます。
  245. 土井たか子

    土井委員 とりあえずは代替というのはどういう意味ですか。とりあえずは代替という中身について、少ししっかりとお答えいただきたいと思います。
  246. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  第一期につきましては、現在の需要を満たすに十分な施設があればとりあえずのところはよろしいのではないかと考えておるわけでございます。六百ヘクタールで十三万回ぐらいの運航が可能でございます。
  247. 土井たか子

    土井委員 いま大阪国際空港は何万回なんですか。
  248. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 純粋の能力的には十五万回以上あるのではないかと考えられておりますが、現実には種々の制約がございまして十三万回程度となっております。
  249. 土井たか子

    土井委員 そうすると、これは新空港ができてもいまの大阪国際空港のキャパシティーを上回るということは考えられない、空港の能力からしたら同程度であるということを考えておいていい、したがいまして、乗り入れについて新たな増便を関西に対して求められてもそれはその時点においても無理である、こういうことを確認しておいてよろしいね。
  250. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 環境アセスメント上、現空港が存在することを前提として二十万回の計画をいたしておりますが、その辺の、現空港を廃止するかどうかということにつきましては開港を境にして判断をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  251. 土井たか子

    土井委員 いまのは問題発言になりますよ。環境アセス上、現有空港というものが稼働しているということを前提としてという考え方で臨まれるということになると、これは航空審答申並びに住民に対して運輸省自身がいままで説明されてきたことと違うのです。問題になりますよ。
  252. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 現空港が存在することを前提にして環境アセスメントをやっておるということは、その方がよりシビアであるという意味で、それでも問題を起こさないかどうかという点を検討しておるという意味でございます。
  253. 土井たか子

    土井委員 これは、環境アセスの問題になると所を変えて私は環境の方の委員会でじつくりやりましょう。いまの答弁は、私はむしろ逆だと思っています。それはいま逆のことをお答えになっていると私はあえてここで結論だけを申し上げて、それはそれをもって他の委員会で申し上げます。しかし、少なくとも現有空港が持っている能力より以上のものを新しい空港に第一期工事が完成時においても求めることは無理であるということだけは、きょうの御答弁ではっきりいたしました。ひとつその点を念頭に置いて、今後航空行政なんかについても私たちは考え方を進めさせていただかなければならないなという気がいたします。  さて、日米航空交渉の中で非常に大事な一つのポイントはこの点にもあると思うのですが、国際航空について昭和四十五年十一月二十日の閣議了解というのがございまして、「国際定期航空については、原則として、日本航空が一元的に運営する。」ということになって今日に至っているわけなんですね。十年前と今日では国際情勢も大分変わってまいっております。航空界においても事情が変わってまいっております。一社制という原則は改められてよいのではないかという声もちまたに多々ございます。どのように運輸省としてはお考えですか。
  254. 近藤憲輔

    近藤説明員 ただいま先生の御指摘がございましたように、昭和四十五年の十一月の閣議了解でわが国の航空企業の運営体制が決められておりまして、この中で国際航空につきましては日本航空が原則として一元的に運営する、こういうことになっております。国際航空路線の運営につきましては、航空機、地上支援施設等非常に巨額な資金を必要といたしますし、また多くの人材を必要とするというふうなことでございまして、こういった事情を背景にいたしまして、わが国としては一社に集約する必要があるということでこのような閣議了解が定められまして、今日に至っているわけでございます。  このような航空企業の運営体制につきましては、現実におきましても苦しい経営環境あるいは激しい国際競争下にあるわけでございまして、このような現状におきましていま直ちに当面これを変更する状況にはないのではないかというふうに考えております。
  255. 土井たか子

    土井委員 そうすると、相変わらず日航の独占制を認められるというふうな態勢で事に臨まれるということでありますけれども、この四五年十一月二十日の閣議了解の中には、独占運営の弊がないように自戒するというようなことが盛られているやに私たちは承知をいたしておりますが、幾らこういうことが盛られましても、独占は独占なんですよ。日航の独占なんです。独占運営の弊がないように自戒すると言ったってこれはなかなかむずかしい問題だと思います。  アメリカ側から見ると、アメリカ側はどうなんですか、国際航空については航空会社、カーゴーも含めまして四社、それが現に問題になっているこの航空会社の数だと思いますが、そのように理解しておいていいですか、どうですか。
  256. 大金瑞穂

    ○大金説明員 御指摘のとおりでございます。
  257. 土井たか子

    土井委員 さらにふえるという可能性はありゃしませんか。
  258. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答えいたします。  ただいまの四社という数字は、現に運航しておるのが四社でございまして、それに加えましてユナイテッド航空の指定がなされております。これはまだ運航はいたしておりませんが、これを加えると五社でございます。それからもう一社、TWA、トランス・ワールド、これは指定はございますが、運航はいたしておりません。
  259. 土井たか子

    土井委員 そういうかっこうなんですね。日本としては見直しをしないで、国際航空については日本航空一社で臨むという姿勢をかたく変えない。  そこで、ちょっとお伺いをしたいのですが、日米航空交渉においても日本代表が出ておるわけでありますが、政府交渉の中で日航の方々も中に入っておられることを私たちは知っております。何人中、政府代表が何人で、日航の代表がその中に何人入っておられますか。
  260. 松田慶文

    ○松田説明員 日本側政府交渉団は、外務省及び運輸省から構成されておりますが、それ以外にオブザーバーとして日本航空の代表二名に会議に参加してもらっております。米側は、多数企業がございますので、その連合団体から二名出てきております。
  261. 土井たか子

    土井委員 日本側から出ているのは二名ですか。二名じゃないと思いますよ。もっと数が多い。
  262. 松田慶文

    ○松田説明員 そのときどきの交渉によって形態が違うかと思いますが、私が日本政府代表として臨みました四月の交渉におきましては、向かい合った前列が交渉団でございまして、その後ろには別に、日航ももちろんいますが、外務省、運輸省等々を含めまして事務方がいろいろなことで控えております。それは日米双方そのとおりでございますが、代表団を構成しておりますのは、会議のテーブルに向かい合っております代表団は、申し上げたとおり日航は二人でございます。
  263. 土井たか子

    土井委員 その二人以外の後ろに控えておられる数というのは多かったのじゃないですか、いかがですか。
  264. 松田慶文

    ○松田説明員 後ろに控えておりますのは三人おりまして、合計五名でございます。
  265. 土井たか子

    土井委員 それも事実とちょっと数が違うようではありますけれども、それはその日によって数が違っていたのかどうか、その辺はつまびらかじゃありませんが、しかし、いずれにしろ、これは政府交渉であるのに、日航からも二人が代表ということでその場に臨まれるわけでしょう。  先ほどアメリカの国内の法律だということで、それは政府間の問題ではない、民間航空の問題であるからというふうな意味も含めて御答弁をされました国際航空運送競争法なんかにつきましても、政府交渉の中に民間航空会社の代表も入っているじゃないですか。そういう点から言えばそういうふうに振り切られる節というのは当たっていないと思いますよ。だから、そういうことから言うと、その御答弁趣旨というのは、どうも私はためにする方便だとしか聞きようがない、そのように申し上げたいと思うのですが、民間航空会社の代表が政府の交渉になぜ出てくるのですか。どんな資格で出てくるのですか。
  266. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  資格はオブザーバーでございまして、発言権は持っておりません。また、このような形で企業代表が参加いたしますのが通例の航空交渉のあり方でございまして、日米航空交渉にのみ日本航空が来るのではなく、従来から各国と多々結んでおります協定のための航空交渉も同様の扱いとなっております。
  267. 土井たか子

    土井委員 そういうことを幾ら言われても、出方は、日本日本航空一社である。アメリカ側は四社を代表する、二名と先ほど言われたから二名である。代表といっても、ある特定の社を代表する人と、民間航空会社の立場を代表する人とではあくまで違いが出てくると思うのです。この点はやはり日米航空交渉の席でアメリカ側が常に意識せざるを得ない問題なのじゃないですか。いろいろ不均衡とか言われる問題はほかにもたくさんあるけれども日本が一社であるという点くらい明確に不均衡である問題はないと申し上げてもいいと私は思う。  全日空から国際線に対して要望というのは出ていませんか、どうなんですか。
  268. 近藤憲輔

    近藤説明員 私どもは正式には聞いておりませんけれども、全日空の内部にそういう希望があるやにはかねがね聞いております。
  269. 土井たか子

    土井委員 日本の航空権益の問題に対して国際的に、特にアメリカを相手にした日米航空交渉の中で、不均衡を是正するとか不平等を是正するとかいうふうな問題に対処するためにも、日本としては、一社独占が国際航空会社として存在しているというこの厳然たる事実は、何としても、いつまでも永久不変の問題としてやっていくというわけにはいかないことだろうと思うのですよ。いずれかの日にはそれ自身を是正しなければならない、そのことは非常に大切に考えられるべきだと私は思いますが、運輸省としてはどういう認識ですか。また外務省はその点をどういうふうにお考えになりますか。
  270. 近藤憲輔

    近藤説明員 私どもは未来永劫この体制でいいというふうには考えておりませんけれども、当面直ちにこれを見直す状況にはないというふうに考えている次第でございます。
  271. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。  航空行政につきましては、第一義的には運輸大臣の所管として原則が決まり、閣議の段階で各省庁の意見を述べることになろうと存じますが、現状におきましては、この閣議了解があり、運輸省もまたこれを変える意思がないという御政策である以上は、外務省としてもこれにフォローするというのが考え方かと存じます。
  272. 土井たか子

    土井委員 なかなかかたいですね。やはり独占ということに対して運輸省自身が、そのかたくなな認識とかいろいろな取り扱いというものが変わらない限りはどうにもならない。日航とは切っても切れない縁だと言えばそういうことでもありましょうし、運輸省の高級官僚の行く先がその辺にもあるということとも関係があるのでしょうから。したがいまして、その辺は切っても切れない縁だというのは、外国の国際航空会社から見れば奇異に感ずるぐらいに、実はその問題は日本の場合あるだろうと思うのです。国際交渉の場所では、まず日本の国内是正ということをやる側面なくしては、外国との交渉についても正面切ってぶつかることはなかなかむずかしいということを私自身いつも考えます。特に今回もそのことに対して痛感させられざるを得ないという感じがいたします。  それで、あと一点、これは政治的判断ということも一つは背後にあるかもしれませんから、外務大臣のお考えをちょっと聞かしていただきたいのは、朝鮮民主主義人民共和国が日中航路に対して領空を開放するという旨を国際機関に意思表明しているというニュースがわれわれの耳にも入ってきているわけでありますが、この問題についてどういう見通しが現にございますか。その点、もしありとするならばお聞かせをいただきたいと思います。いかがですか。
  273. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答えします。  せっかくの御質問でございますが、外務省では、いま私も後ろを向いてみんなに聞いたのでございますが、まだそういう情報は聞いていないということでございます。
  274. 土井たか子

    土井委員 昨年、国連の下部機関、きょうまさに問題にしておりますICAOから運輸省に、朝鮮民主主義人民共和国は、日中航空路の飛行距離、所要時間短縮のために領土上空を開放するという意向を明らかにしたという旨が伝えられているはずでありますけれども、運輸省としては御存じですか、どうですか。
  275. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答えいたします。  私どもは、新聞等では見たことがございますけれども、そういう情報は聞いておりません。
  276. 土井たか子

    土井委員 そうすると、ICAOから運輸省には正式に入っていないのですね、そのように確認していいのですか。
  277. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答えいたします。  恐らく正式に入っていないと思いますけれども、あるいは私がたまたま承知しておらないのかもしれませんので、調査の上、御報告申し上げたいと思います。
  278. 土井たか子

    土井委員 そうしてください、そうでないとお伺いしても無意味になりますから。  それはそれとして、最後に、フィンランドとの間の航空協定について一点だけ確かめたいと思うのです。  フィンランド側から東京に向かっての航路は開放されますが、日本側からフィンランドの方に向かって飛ぶということに対しては、この協定を締結したからといってすぐに実行に移すということではない、こういうこともわれわれは聞かされていますが、実情はそうであるかどうか、そうして、それはいかなる理由であるか、この点をちょっとお答えいただきたいと思うのです。
  279. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えいたします。  フィンランド側は日本に乗り入れることを非常に強く希望いたしておりまして、昭和五十八年以降乗り入れたいという希望を表明しております。現在の取り決め上は、五十七年四月以降乗り入れることができる。他方、日本側は、日本とフィンランド間の航空乗客の需要状況、また日本、フィンランド関係、そういうものを勘案しまして、さしあたりは乗り入れる意向はないという態度でございます。
  280. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁で御意向のほどは確認できたのですが、できる限り早い機会にそういうことについてもまた協議を重ねられる御用意があるかどうか、これはいかがですか。
  281. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えいたします。  この点につきましては、航空当局者間の協議を通じて話し合っていくというふうに私どもは聞いております。
  282. 土井たか子

    土井委員 最後に、これは全般の問題なんですが、航空運賃について、かつて当外務委員会でも私はお尋ねをしたことがございますが、アメリカ西海岸から日本へ飛ぶ場合と、東京からアメリカの西海岸へ飛ぶ場合と、為替レートがどういうことになるかによってその中身が違ってまいりますけれども、ずいぶん運賃の上で差が出てまいります。たとえばそのときにはアメリカの西海岸から日本へは五百二十ドル、一ドル二百二十円という当時の為替レートで換算をいたしまして十一万四千四百円、こういうことになるのですが、東京からアメリカの西海岸へ飛ぶ場合は十五万三千九百二十円を日本円で支払わなければならない、差額が三万九千五百二十円と、少し開き過ぎるような差があったわけなんです。その後、政府としてはいろいろと改善策をおとりになったはずでありますが、現状はどうなっているかという説明をお聞きして、質問を終えたいと思います。いかがですか。
  283. 近藤憲輔

    近藤説明員 日米間の国際運賃につきましては、かねてから為替レートの関係がございまして格差が生じておりまして、これまでに日本発運賃につきまして一七%の往復割引措置を実施しているところでございます。しかしながら、円高ドル安傾向が定着しておりまして、現実になお一〇%から一五%ぐらいの方向別格差が生じております。このために、去る三月十七日に決められました「当面の経済情勢と経済運営について」という中でも、引き続き国際線運賃について方向別格差縮小に努める、こういうことがうたわれておりまして、運輸省といたしましてはこれにのっとりまして、米国発運賃を引き上げ、日本発運賃を引き下げるという方向でさらにこの格差の縮小を図るように航空会社を指導いたしておりまして、現在JALを初めとする関係航空会社間でIATA等の調整手続が進められているところでございます。さらにそういう方向で近く縮小措置を図っていきたい、かように考えております。
  284. 土井たか子

    土井委員 終わります。
  285. 奥田敬和

  286. 高沢寅男

    高沢委員 私は、ただいまの土井委員質問に続きまして、今度は日本・シンガポール租税条約の改正議定書、それから日本・フランス租税条約改正議定書、この二件についてお尋ねをいたしたいと思います。  初めにお尋ねいたしますが、わが国とシンガポール、この両国の間の貿易のバランス、これはいまどういう情勢になっておるのか、過去数年の趨勢及び今後の見通し、展望がわかれば、そういうことも含めて貿易の現状を御説明いただきたいと思います。
  287. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  わが国とシンガポールの貿易は最近年々増大の一途をたどっておりまして、一九七九年のわが国とシンガポールの貿易額は、日本からの輸出が約三十億米ドル、それから日本へのシンガポールからの輸入が約十三億米ドルという額になっていまして、これは一九七一年に比べますとわが国の輸出が約五倍、それから輸入が約十・五倍となっております。したがいまして、趨勢的にはずっとふえる傾向にあるということが言えるかと思います。  両国間の貿易につきましては、このように恒常的に日本からの出超の傾向にございますが、これはシンガポールの政府もシンガポールの経済の構造からして当然であるという態度をとっておりまして、本件について向こうからわが方政府に対していろいろ是正を求めているという動きはございません。  ちなみに、一九七七年について見ますと、シンガポールから日本への輸出は約九億ドル、日本からの輸出が約二十億ドル、それから七八年はシンガポールから日本への輸出が約十億ドル、日本からのシンガポールへの輸出が約二十六億ドル、こうなっております。
  288. 高沢寅男

    高沢委員 現状の総体としてのあれはわかりましたが、これはおわかりになるかどうか、シンガポールからわが国へ輸入する品物、これは当然食糧、原料というような性格のものが多いと思いますが、もう一つ、石油製品というのが向こうからこちらへ来る品物の中の主なものになっております。わが国の場合には、石油に関しては主として中近東から原油を入れて、日本の国でそれをまた精製してそれぞれのガソリンとかあるいは軽油とかいう製品にして使用しておる、こういう状態ですが、シンガポールからそういう石油の製品を入れるということは、これはやはり日本とシンガポールとの貿易のバランスの問題を考えて、本来なら原油を入れて日本で精製すればいいところをあえて、シンガポールの産業が石油精製というのが大きな産業であるから、したがってその製品を入れておる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  289. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 シンガポールにはブクム島という島がございまして、ここが相当昔から石油の精製基地になっておりまして、日本に対しては約十六年ぐらいシンガポールから石油の製品を輸出するという貿易のパターンが続いておりまして、これは日本の石油精製業を補完するというようなかっこうでシンガポールから石油の精製品を輸出するということになっております。
  290. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、これはむしろ日本が原油を入れて、そして日本で精製してというふうな形ができる以前から、シンガポールと日本とは石油製品を入れる、こういうふうな貿易のパターンがあったというふうに理解してよろしいですか。
  291. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 その件につきましては、改めて調査の上、詳しくお答え申し上げたいと思いますが、発端的には、実は日本から石油精製業者がシンガポールに進出しまして、丸善石油でございますけれども、そこで自分で精製して日本に製品を持ってくるという話がございまして、その後、日本の業者は手を引いたのでございますけれども、こういった経緯がございまして、シンガポールから石油を精製して製品を日本に入れるというようなことは続いております。
  292. 高沢寅男

    高沢委員 いま貿易の現状についてお尋ねいたしましたが、続いて日本とシンガポールとの間の資本取引、この関係の現状をお尋ねをいたしたいと思います。  貿易では、当然それに伴う外貨の支払い、受け取りのそういう収支がありますが、資本取引の場合でも、こちらから投資が出ればそれだけの外貨が出ていくし、その投資の収益が入ってくれば外貨の収入があるわけですから、そういうふうな資本取引の関係における収支は現状のバランスはどんなふうになっておるか、お尋ねしたいと思います。
  293. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 シンガポールに対する日本の民間投資は最近ずっとふえておりまして、一九八〇年三月末現在では累計約八億米ドルという額に達しておりまして、これは日本の投資先としては第九位、シェアは約二・五%でございます。また、シンガポールから見ました場合に日本は米国に次いで二位の資本輸出国でございまして、シンガポール全体で見ますと約一五%というふうになっております。シンガポールは一九六五年独立以来、外国から資本を誘致する策をとっておりまして、近年はシンガポールの政府が技術、資本集約的な産業を高度化しておりまして、政府としてももっと日本の資本に進出してほしいという態度をとっております。
  294. 高沢寅男

    高沢委員 ただいまの御説明日本の資本が向こうへ出ている姿はよくわかったわけですが、今度はシンガポールからの投資の収益が日本に対しては外貨の収入として入ってくる、その姿は現状ではどうなっておりましょうか。
  295. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 お答えいたします。  わが国国際収支統計は日銀の統計月報で出ておりますけれども、その中で国別統計が発表されています。しかしながら、その中はいずれかといいますと大項目に分かれておりまして、いま問題になっていますシンガポールは、いろいろ分けた中のその他諸国という中に入っておりまして、具体的な数字は国際収支統計上はわからないということになっております。
  296. 高沢寅男

    高沢委員 わからないというただいまの御説明であるわけですが、これは素人なりに考えて、日本と世界各国との間のそういう外貨の出入りというふうなものがあって、それが一つ地域にあるいは全体にというふうに当然集計されていくわけだと思います。そうすると、日銀統計にはその他で出ておるからわからぬということですが、日銀統計がそういうふうに積み重ねるもとのものは大蔵省なりあるいは日銀当局はお持ちではないのかどうか、その辺をちょっとお尋ねしたいと思います。
  297. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 当然のことながら原簿はあるわけでございますけれども、御承知のように、国際収支統計というのはやはり連続性の中で見ていかなければいかぬということでずっと連続しまして、地域割も決めましてずっとやってきております。そういった意味合いにおいて、いまの日銀の国際収支統計のとり方の中では、たとえばシンガポールを取り上げては分析されてない、統計は出てこないということになっております。ただ、たとえば国の中でもアメリカであるとかカナダであるとか、大きい国につきましては個別で出ておるのでございますけれども、たとえば近隣先進国でありますオーストラリアとかニュージーランドあたりは、これと南アフリカを加えたところで一本になっておるというふうなことで、そういうことで残念ながら現在では数字が出てこないということになっております。
  298. 高沢寅男

    高沢委員 その出てこない理由なりいきさつはわかりました。しかし、私は、先ほど来の貿易状況の御説明でもかなり日本とシンガポールの間は輸出入とも大きな数字になっておるとすれば、こういうふうな相当の貿易額を持つ国の場合には、過去の連続性はあるにしても、今度は新たにこのシンガポールという国を出して、それの収支がどうかという統計のとり方も何か変更する機会にはあってもいいのじゃないか、こう思いますが、それは要望として申し上げておきます。  それから、シンガポールの経済の発展は相当目覚ましいものがある、こういう御説明であったわけですが、シンガポールといえば何といってもアジアにおける交通の要衝であるし、それからいろいろな東南アジア方面における国際金融活動というのもシンガポールが一つの拠点になって行われておる、あるいはまた、いろいろな情報関係というものもこのシンガポールが集中するセンターになっておるということからすると、面積なり人口は比較的に小さな国ではあるけれども非常な重要性を持っている、こういうふうに見るべきだと思いますが、この国の経済の今後の発展の展望、見通しですね、この日本・シンガポール租税条約の今後の運営ということにも関連いたしまして、そういう将来への展望もこの際お聞きしておきたいと思います。
  299. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 先生御指摘のとおり、シンガポールは東南アジアにおきます民間航空を含めた交通、金融、情報関係、こういった商売の上でも非常に重要ないろいろな与件が完備しておりまして、またアジアにおける一つのセンターというようなことになっております。こういったものがシンガポールの経済が発展する一つの重要な要因となっておるわけでございますけれども、こういった発達した与件に支えられましてシンガポールの経済というのも過去年平均一〇%くらいの率で成長しておりまして、私たちの見るところでは今後も安定的に成長するものと思っております。
  300. 高沢寅男

    高沢委員 今度のこの改正議定書による新十五条ですが、芸能人の関係の条項があります。それで、この条項が、いずれかの締約国の政府または地方公共団体の公的資金により賄われるそういう芸能人の活動、それによる所得には課税しない、こういうことになるわけですが、全体としてこの芸能人の関係日本とシンガポールとの間のお互いの往来の現状というものがどういう姿になっておるか、それをまず御説明をいただきたいと思います。
  301. 加藤淳平

    加藤説明員 お答え申し上げます。  日本とシンガポールとの間の人の往来でございますが、五十五年の出入国管理統計によりますと、まず日本からシンガポールに参りました出国者と申しますのは十二万四千六百九十九人でございますが、このうち芸能人の数というのがどの程度になるか、これは必ずしもはっきりと把握できないわけでございます。ただ、政府レベルの文化交流によりまして五十五年度に参りました数と申しますと、昭和五十五年度に渡辺貞夫ジャズセクステット関係十三名という派遣者がシンガポールに派遣されております。それから、シンガポールの方から来られた入国者の数でございますが、これは全体が一万八千三百四十六名でございました。しかしながら、この中で興行を目的とする在留資格によりまして入国した人は、全部で三十人という数でございます。
  302. 高沢寅男

    高沢委員 いまと同じ問題について、日本とフランスの関係もこの機会にあわせて御説明をお願いしたいと思います。
  303. 深田宏

    ○深田政府委員 お答え申し上げます。  フランスとの関係でございますが、これはなかなか日本どの間に競合する面が多うございまして、大変むずかしい状況でございます。  貿易を申しますと、昨年について見ますと、日本からの輸出が約二十億ドル、輸入が約十三億ドルでございまして、日本側の出超幅が七億ドルちょっとということになっております。これはほかのECの国と比べまして特に日本側の方が出超幅が大きいということで、アンバランスということはもちろんございませんけれども、フランス側ではこれを非常に気にいたしておりまして、先生御存じのように昨年来も元駐日大使のミソフさんを貿易大臣の特別顧問ということに仕立てまして、二度ほど日本にやってまいりました。いろいろな形で日仏通商関係の改善ということで双方で協議をいたしております。しかし、問題は残っておるということでございます。  経常収支全般を見ますと、やはり観光その他の面で日本からの持ち出しは多うございましてバランスをいたしておりますし、また、資本収支と申しますか、双方の直接投資を比べてみますと、日本の方が約三億ドルぐらい、先方が四、五千万ドルということだと存じますが、日本の投資の方が大きいということでございます。  細かいことはいろいろございますけれども、御質問に応じてお答え申し上げます。
  304. 高沢寅男

    高沢委員 ただいま日仏の貿易あるいは資本の取引の関係の御説明をいただきましたが、ただいま私、お聞きしたのは、芸能人の往来、この関係日本とフランスの関係がどうかということをこの際あわせてお聞きしたいのです。しかし、いまの御説明、後のフランスにも関係しますからいいですが、そのフランスの芸能人の関係をあわせて御説明いただきます。
  305. 加藤淳平

    加藤説明員 芸能人の関係で、フランスへの出国者の昭和五十五年度の数は十四万五千三百三十九人でございますが、これも中にどれだけ芸能人が入っているかということははっきりとわかりませんが、政府レベルの文化交流ということで国際交流基金が派遣した芸能グループは、五十五年度におきまして七団体、百三十五名でございます。  それから、フランスからの入国者の方でございますが、これは昭和五十五年度の出入国管理統計では二万五千八百五十五名でございますが、このうち興行を目的とする在留資格の付与者は四百九十二人でございました。
  306. 高沢寅男

    高沢委員 ただいまは数字的に明らかに掌握できる数字の御説明があったわけであります。私は常識的に考えて、日本とシンガポールは別といたしまして、日本、フランスとなりますと、ずいぶん外国からいろんな芸能関係の人が日本へやってくる、またそれに対してこちらからも行くというふうなことがあろうかと思いますが、そういう関係日本のいわば芸能界というものに対して相当の影響を及ぼしておるということは無視できないだろうと思います。  私も多少はそういう芸能関係の人でおつき合いをしている人たちがありますが、これらの人たちがわれわれ政治家に向かって何とかしてもらいたいといつも必ず問題にすることは、一つは入場税の問題であり、あるいは一つは、そういう芸能関係の人というのは言うならば自由人という立場ですから、老後の年金の問題であるとかというふうな社会保障関係、もう一つは、彼らの言葉によれば外タレという外国タレント、これが非常にたくさん日本へやってまいりまして、それでいろいろな公演をする、あるいはテレビやラジオ等々にも出演をするということでもって、言うならば日本の芸能人の仕事をする場所がそれだけ狭められるというようなことを非常に訴えられているわけであります。これらの実態あるいは問題点をどういうふうに認識されておりますか、この機会にお尋ねをいたしたいと思います。
  307. 大谷利治

    ○大谷説明員 御説明申し上げます。  外国からのタレントがどのくらい入っておるか、これは先ほどのお話のような数を私どもも聞いておるわけでございますが、それが具体的にどういう影響を及ぼしておるかということにつきましては、音楽関係団体の方等からお話は伺っておりますけれども、具体的に統計的にどういう形であるかというふうなところまではつまびらかにいたしておりません。  私ども文化庁、芸術、文化を振興する立場という観点から見てまいりますと、海外からのすぐれた音楽家あるいは芸術家が日本でその技量を公開されるということは、国民の需要でもあり、わが国の芸術の刺激にもなるということで、有意義な面が大変多いというふうに考えておるわけでございます。  それで、実際日本の芸術家の方々に支障が及ぶということにつきましては、いま先生のお話もございましたが、こういう芸術の活動というのは本来自由にあるということが望ましいというふうに思っておりまして、国がそういうところへ何らかの形で介入していく、言葉が変でございますけれども、介入していくということはできるだけ少ないことが望ましいということでございまして、まず第一には海外から来られる方も、こちらで呼ぶ方があるわけでございます。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 そういう方と日本の芸術家の方々のところでまず第一義的には御相談いただけるということが一番望ましいことだろうというふうに考えておるわけでございますが、芸術、文化を振興するという立場からまいりますと、日本の芸術家の方々が海外のすぐれた芸術家に太刀打ちできるような、あるいは伍し得るような形の力をつけていただくという観点で、私どものたとえば芸術活動に対します財政的な援助等々、わが国の芸術水準を高めていくという幾つかの施策を行っている、これが文化庁あるいは文部省の立場でございます。  この問題そのものにつきましては、いま先生もお話がありましたように、出入国管理だとか、あるいは音楽家の方々の集まり、組合と申しましょうか、そういった関係で法務省、労働省といったところとも大変かかわりの深い問題であろうというふうに考えておりますので、そういった関係省庁の方々の御意見も伺ってまいりたい、そんなふうに考えておるところでございます。
  308. 高沢寅男

    高沢委員 ただいまの御説明は、私もそれは確かにそのとおりだと思います。こういうふうな芸能関係、芸術関係というものはお互いに交流することでお互いの水準が上がるし、あわせてそれはそうした国と国との間の国民の相互理解も進むというふうなことで、それを何か国の法律なり制度で制限を加えるということはなかなかできないことである、これはよくわかります。ただ、いま私が申し上げたような、そういう困った立場にある人たちがそれを嘆いておるという実態があることもまた事実であります。したがいまして、そういう点においては文化庁の立場、文部省の立場としても、それぞれの立場の人の意見もよく聞いて、その意見もくみ上げて、どういう対策があり得るかとなりますとなかなかむずかしいと思いますが、今度は、それらの活動が先ほどから言われている海外へ出ていくときの国による支援であるとか、あるいは日本の国内でそういう芸能活動、芸術活動をやるのに対するいろいろな助成であるとかというふうな面を大いに積極的に進めていただきたい、これはひとつ御要望として申し上げておきたいと思います。  次に、新条約の第十九条ですが、これで、シンガポールももちろんそうですが、東南アジアその他の国から日本へ留学に来る学生とか、あるいは事業習得者、こういう人たちの受け取る報酬に対する租税免除のラインを三十六万円から六十万円に引き上げる、百四十二万円から百八十万円に引き上げるというようなことになっているわけであります。私は、この線を引き上げるということはその該当者に対しては非常にありがたい措置だ、こういうふうに考えるわけでありますが、ただ、今回の引き上げの線で、果たして日本に来ている留学生やそういう人たちが、いろいろ部屋代を払うのもなかなか日本は高いと言われる、食費も高いと言われる、生活費も高いと言われるというような状態の中で、十分だというふうに考えていいのかどうか、その辺は一体御判断はいかがでしょうか。
  309. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 お答えいたします。  先生承知のとおり、租税条約の目的は、経済交流を円滑化し促進するという目的と同時に、文化あるいは技術面の交流も促進していって、友好的な関係をさらに緊密にしていくといった目的も含まれておるわけでございまして、その点が租税条約の条項として含まれているわけでございます。先生御指摘の点がまさしく学生条項という名のもとに呼ばれております条項でございまして、この点に関しては、それぞれ目的とします教育であるとか、あるいは訓練、そういったものを相手国といいますか、出かけていった先で習得するに際しまして、所得上、税金上の問題ができるだけ起きないように配慮してまいろうという趣旨でございます。  そこで、まず分けてお話し申し上げますと、学生及び事業修習生というものにつきましては、従来の三十六万円から六十万円に引き上げようということでございますけれども、まずこれらの方々については、海外から、自分のこれまで居住していた国から送ってくる送金分についてはこれは一切所得とはかかわりなく見るということでございますし、あるいは自国あるいは受け入れ国が奨励金等を出す場合にはそれも所得考えないということでございます。したがいまして、多くの場合には学生の目的で入国するわけでございますから、特別の許可を得ない限りは、これは日本で働き、人的役務を提供して所得を得るということはまずないわけでございまして、それで十分だというふうにも考えられ、事実OECDのモデル条約ではそれだけでいいじゃないかというふうな規定ぶりになっておるわけでございます。  しかしながら、私ども条約例では、できるだけそうではありますけれども、何かの機会にあるいは研究面で多少手助けをして所得を得るとかという話があったような場合、もちろんこれは一々許可が要ることと思いますけれども、そういったことがあった場合には、たとえばそれが従来であれば三十六万円、月三万円程度、今回では月五万円程度までのものであれば、およそ税金の対象とはするまいということで、いわば予備的な意味合いで設けたということでございます。  それからもう一つの百八十万に引き上げました事業習得生の方の話でございますけれども、これらは多くは技術を習得するわけでございますから、日本でほとんど会社の寮とかなんとかで宿泊したり、あるいは工場を視察したり、教室で勉強したりということでございまして、国税庁の取り扱いでは、そうした滞在費、宿泊費であるとか、食費であるとか、資材の購入費であるとか、そういったたぐいのものは滞在実費ということで所得にはカウントしないということにしておりますので、百八十万円というのはそれの外だというふうにお考えいただいて結構だと思います。そういった意味合いで、私ども耳にしています限りでは、特段のトラブルとか問題とか要望とかいうものはないと承知いたしております。  ただ、いずれにしましても、先生御指摘のとおりいろいろ諸物価も上がっておりますし、できるだけ機会をとらえて、まず今回の六十万とか百八十万、これまでの一番高い水準にさや寄せしたわけでございますけれども、その他の条約もそういうふうに引き上げてまいりますし、諸事勘案しながら、この増額等も将来においてはまた考えていかなければいかぬのではないかというふうに考えております。
  310. 高沢寅男

    高沢委員 私のよく聞く話では、特に東南アジア方面から日本へ来ている留学生の人たちは、本国からのそういう送金とかいうふうなものではとても足りないというところで、どうしてもいわゆるアルバイトをしなければいかぬというふうな実態が非常に多いということでございますが、そういうアルバイトをするという場合、いまちょっと言われた目的外のそういうことになるわけでありますから、そういう場合の手続の仕方、それからそういう手続をしていろいろアルバイトで生活費をかせぐという場合の仕事は、どんなような仕事がそういう留学生の仕事として非常に多いケースであるのか、そういう実態がわかりましたらひとつ説明をお願いしたいと思います。
  311. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 学生ビザで入国した場合、就職して報酬を得ることはできませんが、法務省入国管理局に資格外活動の許可を申請しまして、この許可がおりた場合には役務を提供して収入を得るということができることになっております。実は昨年、シンガポールからの留学生につきましてそのような資格外活動をしたケースはございませんが、従来あった例としては、英語の教師とかあるいは同様のことをして収入を得た者があると承知しております。
  312. 高沢寅男

    高沢委員 フランスの条約の方へ移りたいと思いますが、新条約の第三条で、日本国及びフランスの国の定義、これが従来のそれぞれの国の領域の外側に位置する一定の水域まで含むというような改正になっておりますが、この趣旨や目的はどういうことか、お尋ねしたいと思います。
  313. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました新条約の第三条一項(a)におきます「日本国」あるいは「フランス」の定義につきましては、従来の旧条約では、領海の外側の一定の水域につきましては特に規定はございませんでした。しかし、今回はこれを設けました理由は、第一に、フランスが一九七九年にインドネシアと締結いたしました租税協定の中でそういう方式を採用したわけでございまして、そのフランス側の希望が強く表明されて、日本側としてもこれが非常に合理的であるということから同意いたしたわけでございます。その理由は、領海外の一定の水域につきまして各国が主権的権利あるいは管理権、管轄権を持っているということは、新しい最近の国際法上の確立した原則になってきておりまして、このことは海洋法条約会議でも次第に認められてきているということがございます。  それからまた、第二の理由としましては、このような条約の中でこのような規定をする先例が最近ふえてきておりまして、アメリカとカナダの条約、あるいは西独と韓国条約といったものの中にもすでに先例があるということから、わが国としてもこれを採用しても差し支えがないというふうに判断されます。  それからまた、第三番目の理由としましては、領海外の一定の水域におきまして資源開発を行うということはすでに現実の問題となっておりまして、そういう問題につきましても条約の中で規定していく、特に二重課税防止条約の中では規定していくということが望ましいというふうに判断されたからでございます。
  314. 高沢寅男

    高沢委員 フランスとの議定書に伴う新十二条の2Aで、国や地方公共団体あるいは中央銀行などの取得する利子、あるいはまた日本輸出入銀行、フランスの場合には外国貿易銀行の直接、間接の融資の利子あるいは貿易延べ払いの利子、こういうものは日仏お互いに課税を免除するというふうなことが規定されているわけでありますが、この中の、たとえば日本の国がフランスの国からどういうふうな形で利子を得るのか、あるいは日本の地方公共団体、東京都とか大阪府というものが一体どういう形でフランスから利子を得るのか、輸出入銀行とかならよくわかりますけれども、その辺の概念がよくわかりませんので、御説明をお願いしたいと思います。
  315. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 端的に申しますと、国の場合は主として外貨準備の運用の利子等が入るのではないかと思います。それから地方公共団体の場合には、多くの場合、海外で預金とか債券を保有するということはまずあり得ないことでございますから、ある意味では抽象的な意味合いがあるのです。  さらに具体的に申しますれば、たとえば地方公共団体が外国で債券を発行するという場合に、たとえばフラン建てというような外貨建てで出す場合には、あらかじめ返済用の金額を少したとえばフランスの銀行に積んでおくとか、フランスのある種の流動性の高い債券を購入しておくということが観念上あり得ようかと思うわけです。その場合の投資益、利子とか配当とかが入ってくる、特にこの場合は利子でございますが、入ってくるというふうに思います。
  316. 高沢寅男

    高沢委員 よく理解できる日本輸出入銀行というふうな場合には、受け取る利子というのは一体どのくらいあるのでしょうか、たとえば日本とフランスの関係で、どのくらいありましょうか。
  317. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 実は、個別の投資収益については、これまた申しわけないのですが、つかめておりません。ただし、たとえばフランス向けの延べ払いの輸出実績を見てみますと、残高が大体二百六十億円というふうな数字になっております。これはちょっと時点が古くて恐縮でございますが、五十四年九月末ということでございます。(高沢委員「それから利率を出せば大体わかるということになるわけですか」と呼ぶ)そうなります。
  318. 高沢寅男

    高沢委員 もう私の決められた時間が終わるのでありますが、次の質問予定者の玉城さんに若干のお許しをいただきまして、これから大臣に二、三の質問をして、終わりたいと思います。  シンガポールとの関係、当然ASEAN、東南アジアとの関係ということになりますが、先般、鈴木総理と外務大臣一緒にASEANをお回りになって、日本は平和に徹して軍事大国にならぬ、こういう立場をまた改めて鮮明にされたということであります。この日本の立場に対してのASEAN諸国あるいはシンガポールの対応はどうであったか、この機会にまたもう一度お尋ねしたいと思います。
  319. 伊東正義

    伊東国務大臣 各国で首脳会談があったわけでございますが、日本防衛の問題につきまして特に意見が出たところはなかったのでございます。  シンガポールでは、首脳二人の会談ではなくて、われわれも参加した会談のときに、向こう外務大臣からたしか日本防衛について、日本はもっと防衛力の強化をすべきではないかという意味の意見が出されたことがございました。しかし、これに対しましては、日本個別自衛権でやれること、やれないことがあるのだということで日本の立場を説明したということがございました。  それからインドネシアでは、政府からは何も出ませんでしたが、民間の青年団と私が会合したとき、日本防衛力が余り大きくなると前のことを思い出すようなことがある、これは気をつけてもらいたいというような話が青年団の諸君からございました。ここでも、日本はもう個別自衛権だけで、国を守るだけだという説明をしたことがございます。  そのほかのところでは、フィリピンでも、タイでも、マレーシアでも、インドネシアでも、民間との団らんでございまして、政府からは何も出なかったわけでございます。シンガポールだけは、もっとやるべきではないかという意見が出ましたが、あとの国々では、日本防衛に対する考え方を説明したことに対しまして了解したということでございまして、特に意見はなかった。どちらかと言えば、日本はひとつそういう立場を守ってもらいたい、そして経済的な力があるのだから、経済的な協力とか、あるいは政治のためにもっと働いてもらいたいとか、あるいは文化的な問題、技術の協力、そういうことでひとつASEANと一緒に手を握ってやろうじゃないかというような話が出たのでございます。
  320. 高沢寅男

    高沢委員 鈴木総理が内閣を担当されて最初に回られたのがASEAN諸国、アジアということになりますので、今度、五月の日米首脳会談で、鈴木総理あるいは伊東外務大臣も同行されて、それらのアジアを回られた中から得た何物かを日本は代表してアメリカレーガン大統領その他の人々と話をされるということも、私どもとしては当然あるだろうと思うのです。そういうASEAN諸国、東南アジアで得たものをアメリカとの会談で出していくのだという何かポイントがありましたら、ひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  321. 伊東正義

    伊東国務大臣 当然総理は、ASEANを回られた感想、お考えを述べられると思います。  いま言いましたように、日本はASEANの態度を支持するということで非常に緊密な友好関係にあるわけでございますので、今後とも、軍事面ということではなくて、経済の問題とか技術の問題で協力をする、あるいは政治的には、ASEANの態度を支持してインドシナ半島の平和を何とか実現するようにするとかいうような日本とASEANとの考えを当然述べられるはずでございますし、ASEANを回りまして、アメリカがベトナムで手を焼いて、あれ以来アジアに向ける関心の度が前よりも少し薄くなったのではないか、アメリカはやはりもっとアジアに目を向けてもらいたいという要望がASEANの各国から出たわけでございますので、アメリカにアジア重視をやってもらうということをASEANの諸国が言っていたということも当然総理からアメリカに伝えられるというふうに思っておるわけでございます。  六月にマニラでASEANの外相会議がございまして、たしかその次、十九、二十日でございましたか、拡大外相会議、豪州とかカナダとかの外相、私も出る予定でございますけれども、ヘイグ国務長官も、ぜひこれには出たい、アジア諸国の外相とひざを突き合わせてアジアの問題を話したい、こう言っておるのでございまして、私は非常に結構なことだ、こう思っております。
  322. 高沢寅男

    高沢委員 終わります。どうもありがとうございました。
  323. 青木正久

    ○青木委員長代理 玉城栄一君。
  324. 玉城栄一

    ○玉城委員 日本国とフィンランドとの航空協定並びに国際民間航空条約改正議定書、そして日本とシンガポールとの租税条約改正並びに日本とフランスとの租税条約改正、以上四件を一括して若干の質疑をさせていただきたいと思います。  最初に、フィンランドとの航空協定でございますが、これは来年四月以降フィンランドは東京乗り入れということなんですが、はっきりしためどづけは大体されているのでしょうか。これは運輸省ですか、外務省ですか、どちらでも、お伺いいたします。
  325. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えいたします。  フィンランド側は、最初は昭和五十七年、来年の四月ごろからの乗り入れを希望いたしておりました。しかし、その後、機材調達のおくれもございまして、明後年の前半にヘルシンキ−東京間週一便運航を開始するという希望を表明してきております。
  326. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっとわかりませんのでお伺いしたいのですが、日本側はヘルシンキからいわゆる以遠権でヨーロッパの三地域に乗り入れるということなんですが、フィンランドは東京どまりということです。これは向こう側の希望でそういうふうになっているのか、その辺はいかがでしょう。
  327. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、両国の付表の路線を比較いたしますと、日本側の路線はフィンランド以遠、  ヨーロッパ内三地点まで行けることになっておりますが、他方、フィンランド側の路線は東京どまりということになってございます。  これは、東京とヘルシンキの両都市の航空輸送市場としての規模といいますか、あるいは価値と申しますか、こういったものを比較しました場合には、その差は大変大きいものがございます。当然東京の方がその市場の価値が大きいわけでございまして、今回、航空協定を締結いたして相互に乗り入れの権利を与え合うわけでございますが、この場合には相互の権益の実質的な均衡というものを図る必要があると考えております。  このような観点から、両国の路線にかような差ができてくるのはいたし方ないことでございますし、また、この路線の性格というものを考えてみますに、これは日本とヨーロッパとの間の連絡路線という性格を有するものでございますから、ヘルシンキ以遠、ヨーロッパ内の諸地点への運航というものは必須ではないかと考えております。このような観点からいろいろ議論をいたしました結果、両国政府間で合意に達しまして、このような付表路線の交換ということに相なったものでございます。
  328. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの点ですが、合意に達しておるわけですからフィンランド側も異存はないということになるわけですが、何かいろいろお話を伺っておりますと、日本側はこの協定について渋々といいますか、そういうような感じも受けるのです。フィンランド側は積極的で日本側は消極的だというようなこともあるわけですか、どうなんですか。
  329. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えいたします。  フィンランド側が航空協定の締結の申し入れをしましたのはすでに十年前からでございまして、確かに先生の御指摘のとおり、フィンランド側としましては非常に強い希望があった。他方、日本側からいたしますと、先ほどの答弁にもございましたとおり、欧州への連絡路線的な感じ場所にフィンランドがあるということでございます。また、日本側としましては非常に多くの国から航空路線が乗り入れておりまして、許容限度を超えることになるということから、成田空港ができてからこれを開設する意図があるという希望を表明しておりました。そういう次第で、最近になりましてようやく日本側の方からこれに応じていったという関係にございます。
  330. 玉城栄一

    ○玉城委員 去年もこのフィンランドとは文化協定を結びまして、両国関係は次第に緊密の度を増してきておる。今回、こういう航空協定が締結されるわけですが、最近の日本とフィンランド間の関係を、概略で結構ですが、どなたか御説明いただきたいと思います。
  331. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えいたします。  最近の日本とフィンランドとの関係は次第に緊密化していく傾向にございまして、これは一つには、人の往来の関係から見ましても、昭和五十二年には日本からフィンランドを訪れた数が四千百四十二名でございましたが、これが五十三年になりますと四千九百五十三名、それから五十四年には五千八百七十二名というふうに、着実に増加しております。また、フィンランドに在留します日本人の数は、昭和五十五年十月現在で二百四十五名というふうになっております。  他方、人の交流、要人の訪問の関係を申しますと、昭和五十三年に三木元首相がフィンランドを訪問しておられますし、五十四年には安井参議院議長、森山運輸大臣がフィンランドを訪問しております。そして昨年でございますが、岡田衆議院副議長も訪問されましたし、また、経団連の代表団もフィンランドを訪問しております。また、先方からは昭和五十二年にコルホネン外務大臣、五十三年にソルサ首相、五十四年にはサールト運輸大臣、昨年にはソルサ国会外務委員会委員長などが日本に来ている。  一般的に申しまして、フィンランドの日本に対する感情は非常に良好でございまして、わが国から見ましてもフィンランドは北欧における安定的な勢力でございまして、中立政策を標榜して世界の平和のために貢献しているというふうに考えておるわけで、全般的に両国関係は非常に良好であると考えております。
  332. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、わが国とこの国とはずっと古い通商航海条約というのがございますね。いま御説明もございましたけれども、次第に緊密の度を増してきているという両国関係にあるわけです。一九二六年、通商航海条約が両国で締結されまして、五二年には交換公文で確認をされているわけですね。両国間の現在のそういう関係からしまして、こういう条約の改正とかそういうことの必要性はないのかどうか、その辺いかがですか。
  333. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答えします。  先生御指摘のとおり、日本とフィンランドの間には戦前のかなり古い通商航海条約がございまして、これをサンフランシスコ条約が発効しますときに、日本とフィンランドの間でストックホルムの日本の在外事務所を通じまして効力を再確認する交換公文を行っておりまして、そして現在に至っているわけでございます。ただ、通商航海条約の内容を見ますと、今日でも特に非常に不都合になっている個所はないというふうに了解しておりまして、両国間の通商航海関係を規制する条約としては、当面このままで差し支えないというふうに判断しているわけでございます。
  334. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、ICAOの国際民間航空条約についてお伺いをいたしますが、このICAOでハイジャック問題について何らかの対策等がなされておれば、その概要をちょっとお聞きしたいわけです。
  335. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 お答えいたします。  昭和五十二年のダッカのハイジャック事件の後、ICAOはハイジャックを防止するために特別の理事会を開催いたしました。また、その後引き続き行われました第九十二回の通常理事会におきましてもその問題を検討したわけでございますが、その結果、現在ハイジャックの防止に関連してICAOのスポンサーのもとに結ばれた二つの条約がございます。一つはハーグ条約、もう一つはモントリオール条約と言われておりますが、このハーグ条約とモントリオール条約に対する加盟を各国に呼びかけるということが第一。それから第二に、各加盟国の空港におきますコントロール、検査でございますが、これを抜本的に強化するということを各国に呼びかけました。そして、これは国際民間航空及びその施設に対する不法行為の防止という名前のICAOの決議となりまして、コンセンサスで採択をされております。
  336. 玉城栄一

    ○玉城委員 この航空協定に関連しまして、先ほどちょっと外務省の方からも御説明があったのですが、成田の供用に限界等いろいろあるということですが、日本に航空協定締結申し入れが大分あるというふうに聞いているわけです。それで、まだ結ばれていないところがあるという状況ですが、これは運輸省になるわけですか、ちょっと教えていただきたいのは、その際にどの国を優先してやっていくのか、そういう航空協定締結への今後の方針といいますか、その点をお伺いいたします。
  337. 深田宏

    ○深田政府委員 詳細は運輸省の方から御説明いただきたいと存じますけれども、私ども承知しておりますところでは約三十カ国、二十九と数えられると思いますが、三十ほどの国から申し入れがございまして、それにつきましてはもちろんその国との間の交通量等々の問題もございましょうが、またそれらの国との一般的な関係等諸般の事情を考慮して、ケース・バイ・ケースということで一つ一つ対処していくということでございます。
  338. 大金瑞穂

    ○大金説明員 ただいま外務省から御答弁のとおり、私どもも同様に考えておるところでございますけれども、若干補足をさせていただきますと、締結申し入れ国とわが国との間の航空輸送需要が直行路線を開設するのに適当な程度あるかどうかという点でございますか、あるいはその国に対してわが国の航空企業が乗り入れ計画を有しているか否か、さらには、先ほど先生の御指摘がございましたように、その相手国がハイジャック関係の諸条約に対してどういう姿勢を示しておるかというような点、さらにはわが国国際空港の空港能力の問題もございますので、このあたりを配慮いたしまして今後も適宜その締結交渉を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  339. 玉城栄一

    ○玉城委員 その二十九カ国のうち真っ先にといいますか、予定している国はどこの国でございますか。
  340. 深田宏

    ○深田政府委員 お答え申し上げます。  現時点では、優先順位はいろいろ検討はいたしておりますけれども、この際、特定の国の順序を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  341. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、成田空港の燃料パイプライン建設の現在の状況、それから完成予定はいつごろをめどにしていらっしゃるわけですか。
  342. 水田嘉憲

    ○水田説明員 お答えいたします。  成田空港のパイプラインにつきましては、現在空港公団が鋭意工事を進めておるところでございます。合計計画延長は四十七キロあるわけでございますが、そのうち三十八キロメートルにつきましてすでに埋設工事が終わっておるところでございます。今後、残りにつきましても、公団において早期完成を目指してがんばっておるところでございます。  完成の見通しでございますが、残りの区間で約三・三メートルの直径の隧道を掘るというふうな部分もまだ残っております。そういうものも含めまして、五十八年の十二月ぐらいになりますと工事が完成し、パイプラインそのものは供用できるのではないかというふうに見ております。
  343. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは運輸省の方に伺いたいのですが、鈴木総理がASEANを訪問されまして人づくりプロジェクト構想をお約束されて、その関連で沖繩に国際協力事業団の付属機関としての国際センターの設置ということが計画をされているわけです。したがいまして、これはこれからある程度時間がかかっていくわけですが、将来の問題として、ASEAN五カ国、あるいは太平洋地域、あるいは中国の上海とか南の広州などとの間に、申し上げている沖繩との需要があるときに、そういう航路開設ということも当然考えられてしかるべきではないかと思うわけですが、運輸省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  344. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の東南アジア、中国等の地域と那覇との間の現在の直通の航空便と申しますのは、那覇と香港の間に日本航空が運営しておるだけでございます。しかしながら、香港あるいは台北で乗り継ぐことによりましてこれらの地域とも比較的便利に往来できる航空路線網がございます。また、那覇と香港の間は、先ほど御説明申し上げましたように日本航空が直行便を飛ばしておりますが、このほか、那覇と台北の間にも日本アジア航空あるいは中華航空、ノースウエスト航空、こういった航空会社が定期便を運航しておるところでございます。  そこで、御指摘の地域と那覇とを直接結ぶ航空便を設定するという問題でございますけれども、これには日本航空が那覇に寄航する場合と、同時にその相手国の航空会社が那覇に寄航する場合の二つがあるわけでございますが、いずれの場合にも、先生の御指摘にございましたように、十分な輸送需要が存在するということがその路線の経済的な運営には当然の前提として必要となってまいるわけでございます。また、その相手国の航空会社が那覇に乗り入れる場合には、その前提として、相手国との間の航空協定の付表の路線上に那覇という地点を追加する必要が当然あるわけでございます。現在日本締結しております航空協定上、那覇の地点を有しておりますのは、ただいまの地域の中ではタイのみでございます。したがいまして、ほかの国の場合には、協定の付表を改正することについて先方と合意をすることが必要な手続となって出てまいるわけでございます。運輸省といたしましては、これらの地域と那覇との間の直通航空路の開設という問題につきましては、お話がございましたような沖繩着発の輸送需要が今後どの程度増大するのか、このあたりを見きわめまして、また航空会社の希望等も勘案いたしまして慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  345. 玉城栄一

    ○玉城委員 この航空協定に関連しまして最後に一点。ことしの一月、北京において日中間の航空問題を協議する事務レベル会議が開かれたわけですが、その際、日本側東京経由ニューヨーク便を認め、中国側は日本航空機のカラコルム越えを認めたと伝えられているわけですが、その事実関係というか、経過を御説明いただきたいと思います。
  346. 大金瑞穂

    ○大金説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、本年一月、中国との間で航空当局間の協議を開催いたしました。主要な議題は、中国側の日本以遠、太平洋を越えまして米国への路線の運航開始の問題でございましたけれども、その場合にただいまのカラコルム越えの航空路を日本側が飛行できるかどうかという問題もあわせて討議をされたわけでございます。一月の協議におきましては、この問題について最終的な合意に達するには至っておりません。ただ、中国側は日本側の航空企業がカラコルム越えのルートを運航するにつきましてかなり前向きであるというような印象を私どもとしては受けております。  中国との航空当局間協議は、今月中に次回協議を開催する予定でございますので、その場におきまして本問題は再び討議されることになるものと考えております。
  347. 玉城栄一

    ○玉城委員 これが実現しますと、日本−ヨーロッパ間は相当短縮されるわけですが、二回目の協議は今月ですか、そこでほぼそれが確定をしていくというように理解していいわけですね。
  348. 大金瑞穂

    ○大金説明員 ただいま私、手元に詳細な数字は持っておりませんけれども日本とヨーロッパの間を結びます場合に、主としてヨーロッパの南部、たとえばギリシャでございますとか、南欧につきましてはカラコルム越えのルートを利用することによりましてかなりの短縮になるものと考えております。  次回協議は、まだ日程は確定いたしておりませんけれども、恐らく来週東京で協議を開催することになろう、現在中国側と具体的な日程について詰めをやっておるところでございまして、私どもはこの問題が次回協議で解決されることを希望いたしております。
  349. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、租税条約について伺っておきたいのです。  今回のこの改正議定書によりまして、源泉地国においても一〇%を超えない率で課税することができるというふうになるわけでありますが、この理由を御説明いただきたいのです。
  350. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 お答え申し上げます。  今回の日シ条約の改定によりまして、これまで源泉地国で非課税となっておりました使用料につきまして一〇%の税率でもって課税するということにいたしたわけでございます。その理由といたしましては、前回条約改定をいたしましたときにシンガポールサイドに源泉徴収制度がまだ存在してなかったということによりまして、シンガポールサイドとしては使用料について課税するに及ばないということでございましたので、非課税といたしたわけでございます。  その後、シンガポールサイドにおきまして源泉徴収制度ができた。また、その制度ができたのと相前後いたしまして、日本以外の主要先進国との条約におきましても、相次ぎまして使用料についての制限税率といいますか、一〇%以上の税率で課税する条約例がシンガポールサイドにも出てきております。そういうことで、今回の改定交渉におきましてシンガポールサイドから日本に、使用料についてこれまでの非課税から課税に変えてもらいたいという話がございまして、私どもとしても、シンガポールのように非課税としております例はほとんどないわけでございまして、一般条約例に従いまして一〇%という税率で今後使用料について課税するということにいたしたわけでございます。
  351. 玉城栄一

    ○玉城委員 現在、シンガポールから日本に支払われる使用料の件数、金額、日本からシンガポールに支払われる件数、金額の状況と、この改正によってどういう増減が生じてくるのか、その二点をお伺いいたします。
  352. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 まことに恐縮なんですが、しかとした計数がございません。私どもの独自の数字ではなくて、ほかの白書等から取り出したおぼろげながらの数字でございますけれども、そういうことで御了解いただきまして、ちょっと御紹介申し上げたいと思います。  科学技術庁が出しております外国技術導入年次報告を見てみますと、その中にシンガポールからの技術導入という項目がございます。それを見ますと、五十年代に入りましてから、五十年、五十一年、五十二年、三年間にわたりまして一件も実例がございません。五十三年に至りまして装身具関係で一件のみ技術導入があった例がございます。こういうことから見まして、シンガポールからの技術導入はまずほとんどないのじゃなかろうかというふうに考えております。  日本からシンガポールにどの程度技術を提供しておるかということでございますが、これは独禁法に基づいての届け出義務、届け出制度とのかかわりで計数がとれるわけでございます。それによりますと、日本からシンガポールに技術援助をするとして独禁法六条に基づきまして届け出があったものは、五十四年におきましては十七件でございます。五十三年が十件でございますから、大体十数件あるいは二十件程度ということで推移するのではなかろうかと推測されます。
  353. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、この交流基金によって、もちろんシンガポールも含めましていわゆる東南アジア等への芸能関係の公演のための申し込み等がどういう状況にあるのか、その点はどんなふうに把握していらっしゃるわけですか、これは外務省の方になりますね。
  354. 加藤淳平

    加藤説明員 お答え申し上げます。  交流基金に対しましては、民間の芸能グループから経費の一部助成に対する申請がときどき出ております。本年度につきましては二件の申請が出ておりまして、現在、その助成をするかどうかということについて検討中と聞いております。
  355. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、日本は現在三十数カ国とこういう租税条約締結していると聞いておるわけですが、公的資金による芸能関係者やスポーツ関係等の活動について租税免除となっている国はほかにどのくらいあるのか、同時にASEAN諸国とはどういう状況にあるのか、並びにインドネシアとは租税条約関係はどのようになっているのか、あわせてお伺いします。
  356. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 国または地方公共団体の公的資金によって全面的あるいは実質的に賄われるような芸能人と申しますか、芸術家の所得に関するものにつきましては、そういった条項が初めて導入されましたのは昭和四十五年の対マレーシア条約でございます。その後、これまで結んでおりますところはフランス、フィリピン、ルーマニア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、すべてで八件でございましたか、になっております。  そういうことでございまして、ASEANということで申しますとマレーシア、フィリピン、シンガポールということでございまして、タイは非常に早い段階で結びましたので、それは入っておりません。それから、インドネシアはまだ結んでおりませんので、入っておりません。そんなことでございます。  いずれにしましても、芸術家を政府資金をバックにして派遣する、あるいは派遣を受けるというようなケースにつきましては、やはりそれはできるだけ課税しないということが恐らく文化交流を進めていく上で非常に有益なことだと思いますものですから、今後とも機会をとらえまして、これまで入ってない条約については、こういった条項を合意ができたものから入れていくようにというふうに努力したいと思っております。
  357. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、日本とフランスとの租税条約関係しまして一点伺っておきたいのですが、日本とフランスとの経済関係、貿易関係ですね、特に日本車の輸入規制、三%だったですか、そういうことと、このいわゆる自由貿易主義の原則との関係について、どなたか御説明をいただきたいと思うのです。
  358. 深田宏

    ○深田政府委員 日本とフランスとの通商関係につきましては、いろいろむずかしい点がございますことは先生承知のとおりでございます。ただいま御指摘がありました自動車の問題につきまして、フランス政府がここ数年来、行政指導によりましてフランス市場における市場占拠率三%というめどを立てまして日本の車を抑えておるわけでございますが、これはいろいろな協定等に違反しておる差別的な措置でございますので、日本政府としましては、在仏大使を初め、あるいは東京等で累次抗議を行っております。残念ながらこの抗議がまだ効果をあらわしておりません状況でございます。  一般的にフランスとの関係ではそういうむずかしい問題がたくさんあるわけでございますが、一言だけ申し添えますと、他方、両国間の産業協力を促進しようというような新しい動きもございますこと、これまた先生承知のとおりでございまして、常日ごろの両国間の対話を積み重ねまして、鋭意通商関係の改善に努めたい、このように考えております。
  359. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  360. 青木正久

    ○青木委員長代理 野間友一君。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
  361. 野間友一

    ○野間委員 国際民間航空条約の改正議定書についてまず質問したいと思います。  最初に、手続上の問題なんですが、先ほども論議がありましたが、一九七四年の十月にICAOの二十一回総会で議定書が作成された。八〇年の二月十五日にこれがすでに発効しておるわけですが、これはつくられてから約六年以上たってようやく国会承認を求めたということになっておりますが、なぜこんなにおくれたのか、その理由を明らかにしていただきたい。
  362. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘がありましたとおり、この改正議定書の発効は非常に長期間、五年四カ月を要したわけでございます。これはこれと類似の改正議定書理事国の議席の拡大でございますが、たとえば第一回が一年一カ月、第二回が一年十カ月と、これに比べまして大変な長年月を要したということでございますが、これは一つには理事国の拡大を行うまでに多少の議論がございまして、そういう結果を踏まえまして三十カ国が三十三カ国に議席を拡大したわけですが、その後、私どもといたしまして各国の批准状況を見て、何といいますか、出足が非常に悪い、遅いということですので、各国の批准状況を見守っていたということでございます。  それで、先ほど政府委員の方からもお答えいたしましたが、最終的に八十六カ国の発効要件を達せられましたのが昨年の二月ということでございましたので、その後に一番最初に開かれた通常国会であるこの国会に提出をして御承認いただきたいということにしたわけでございます。
  363. 野間友一

    ○野間委員 先ほども話がありましたように、実際にずいぶん長い間かかっておるわけですね。しかも、もう昨年に発効しておるわけでしょう。発効してから、八〇年の九月、二十三回総会の選挙で理事会の三十三の構成員の一としてすでに選出をされて、条約も実際現に動いておるし、また物の本によりましても、この理事者と申しますか、理事国の仕事というものは年じゅうある。現にわが国の代表も理事国の一員としてすでに活動しておるわけですね。  お聞きしたいのは、その際に、批准前の行為、これは一体どういうことになるのか。外務省からのこの説明書を見ますと、発効した場合、「批准した国について効力を生ずる」こういうように書いてありますね。そうしますと、これが二月に発効した。ところが、わが国は批准する前にすでにこの新しく発効した条約に従って活動しておるのか、あるいはこの外務省説明にあるように「批准した国について効力を生ずる」ということになりますと、これは一体どういうことになるのか、矛盾がありはせぬかと思いますが。
  364. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 ただいま先生の御指摘がありましたとおり、ICAO条約の規定に従いますと、この条約の改正は九十四条(a)に従いまして、改正議定書を批准した国だけに効力が生ずるということには一応なるわけでございます。  しかし、他方、この規定をこうした理事国の拡大というような組織的な規定にそのまま適用いたしますといろいろ不都合も生じますので、そういうことを勘案いたしまして、ICAOではすでに昭和三十六年の改正議定書、これはその当時理事会を拡大したわけですが、その改正議定書が発効した後の第十四回ICAO総会におきまして、改正議定書未批准国も理事国として立候補ができる、それからまた、改正議定書未批准国も選挙に際し投票権を行使することができる、こういうことが勧告として承認をされております。制定以来、このやり方がいわばICAOの中での慣行として確立をしております。  こういうことですので、昨年の理事会で日本が立候補し、かつ投票権を行使したことは、この勧告に従ってやったことであると解しております。
  365. 野間友一

    ○野間委員 そうなればなおさら、この構成された理事国の中で特に日本は大変重要な位置、役割りをいままで果たしておったと思いますが、その点についての答えをお願いしたいと思います。
  366. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 日本は昭和四十三年の選挙以来、カテゴリー(1)と申しますが、航空運送で重要な地位にある国というカテゴリーから立候補して選出をされております。といいますのは、このカテゴリーに立候補したからでございます。そういうことですので、そういう考え方に立ちまして、確かに改定議定書の批准はまだ終えていないけれども、可及的速やかに国会の御承認を得て批准する、そういう前提のもとにただいま申し上げました理事会の慣行に従いまして本件には対処してきた、こういうことでございます。
  367. 野間友一

    ○野間委員 いや、私がお聞きしておるのは、この改定前のときから日本はいろんな面で非常に重要な位置を占めた理事ではなかったのか、そういう位置づけについて聞いておるわけです。
  368. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 先生御指摘のとおりだと思います。
  369. 野間友一

    ○野間委員 しかも八〇年、昨年の二月に発効した。重要な位置にあるとするならば、もっと速やかにこれを批准するのが、国会承認を求めるというのが当然政府のとるべき責任ではないか、こう言わざるを得ないと思うのです。しかも、この条約は提出しようと思えばすぐにできる、こういうたぐいのものでしょう。いかがですか、なぜそんなにおくれたのですか、その理由はどこにあるわけですか。
  370. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 私どもといたしましては、昨年の通常国会に本改定議定書を提出することも考えたわけでございますが、ほかに優先度の高い案件がたくさんありました。そういうことも考えまして、かつこの国会へ提出する条約を決定しようとする時期におきましてはまだ改定議定書自身は発効していないという状況におきまして、残念ながらこの批准について昨年は見送った次第でございます。しかし、これではもちろん先生御指摘のとおり問題がございますので、発効後最も近い通常国会という意味における今国会に提出して御承認をお願いしている次第でございます。
  371. 野間友一

    ○野間委員 いや、発効したのは八〇年ですが、七四年に作成されておるわけです。しかも日本は大変重要な位置にある、そういうものが積極的に国会承認を求めるというのは当然じゃないですか。こんなにおくれた理由は一体どこにあるのか、先ほどからいろいろ言っておられます。ほかの国がどういうふうに批准しておるのか、そういう推移を見ておったとかということがありますが、こういう傍観的あるいは消極的な態度でなくて、積極的に承認を求める、世界の中でも非常に重要な位置にあるわけですから、日本としてはもっと早い時期に求めるのは当然であって、そういう政府の行為自体が大変国会を軽視したと言わざるを得ないと私は思うのです。こういうことは当たっておると私、思いますけれども大臣、いかがですか。
  372. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 先生御指摘のとおり、各国の動きを見ていたという面が確かにあるわけでございますが、実際問題として、この改定議定書に対する主要国の動きを見てみますと比較的遅かった、しかも、最近の第二回の理事国の拡大が実現してから、まだ余り時期がたっていなかった、そういう諸般の情勢を考えまして様子を見ていた、こういうことでございます。
  373. 野間友一

    ○野間委員 要するに、政府の都合のよいようなものはどんどん出してくる、都合の悪いものは出しおくれるとか出しそびれる、これはいままでずっとあるわけですよ。  そこで、大臣、先ほども論議がありましたし、私も思うのですが、七四年に作成されましたですね。しかも、日本は非常に重要な位置にある。しかも、八〇年の二月にすでに発効しておる。いままで何回か改定が行われましたけれども、こんなにべらぼうにおくれたことは一度もないわけです。人の顔色を見てあれこれするようなばかげた態度でなくて、国会を本当に最高機関として重要視するなら、もっと早い時期に出すべきであった。これは国会軽視につながると私は思うのです。こういう認識について、いかがですか。
  374. 伊東正義

    伊東国務大臣 さっきも土井さんから御質問があったのでございますが、私もその間の事情を詳細知らぬでおりましてまことに申しわけないのでございますが、私もここで聞いておりましてもっと早く出した方がよかったじゃないかと感じておるのでございまして、こういうことが今後ないように十分気をつけます。御審議をひとつよろしくお願い申し上げます。
  375. 野間友一

    ○野間委員 必要なものはもっとどんどん出してくださいよ。過去の経過を見てみますと、六一年の六月のときには六二年に国会承認、七一年のときには七三年に国会承認、一年ないしは長くて二年、こういうことになっていますね。非常に異常なんですね。人の顔色を見ておったというような趣旨答弁がありましたけれども、特におくらせる、おくれたという特別な理由が何かほかにあるのじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  376. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 ほかに特別の理由はございません。
  377. 野間友一

    ○野間委員 では、この議定書の持つ意味についてお伺いします。  外務省からもらった説明書には、この評価について「ICAO加盟国全体を公平かつ適切に反映することが困難となったため理事会の構成員の数を増加する必要性が認められるに至った。」とか、そういう評価のようですが、政府なり外務省はこの議定書にはどういう評価を持っておるのか、まずその点からお聞きしたいと思います。
  378. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 ICAOは、国際民間航空に関します国連の専門機関であります。したがって、その理事会におきまして世界の各国が広く代表される必要があるわけです。それで、ICAO憲章におきましてはいろいろ基準を設けまして、それにより理事国の選挙方法を規定しているわけですが、加盟国も拡大いたしましたし、特に開発途上国の方からの希望もありまして、ほかの機関におけると同様、理事国数を拡大したいという動きがICAOにもあったわけでございます。しかし、他方、こういう執行機関というものは無制限に拡大するばかりがもちろんいいということではございませんので、その辺を勘案して三十カ国から三十三カ国に拡大したこの改定議定書は、わが国としては非常に高く評価していいものと思っております。
  379. 野間友一

    ○野間委員 いま読み上げました「公平かつ適切に反映することが困難となったため理事会の構成員の数を増加する必要性が認められるに至った。」というのは、外務省の公式の評価だと思うのです。  それから、もう一カ所こういうのがありますね。「我が国は、当初よりこの議定書趣旨に賛成しており、この議定書締結することは、ICAOにおける国際協力を増進する上で有益であると考えられる。」そうすると、当初から要するに議定書趣旨には賛成しておる、したがって、おくらせたことについては格別の他意はないということを言いたいわけですか、どうですか、その点。
  380. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 全くただいま先生が御指摘になられたとおりでございます。
  381. 野間友一

    ○野間委員 最初はベルギーの提案として三十六というのが、その後三十三の提案ということになったやに聞いておりますが、それはそうですか。
  382. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 昭和四十九年のICAO総会でベルギーが提案したこと、先生が御指摘になられたとおりでございまして、その当時ベルギーは理事国数を三十三カ国とするか三十六カ国とするか、そういう形で問題を提起したものというふうに承知しております。
  383. 野間友一

    ○野間委員 提起としては、早急に、また段階的に三十六にすればどうなのか、最終は三十三というふうなベルギーの提案、これはICAOにおける条約審議のときのいろいろな文書の中で出ておりますが、少なくとも当初から理事国を増加することについては賛成だったということ、しかも積極的に、公平かつ適切に反映させることが大事だということが言われておりますが、そうでなくて、当初は理事国をふやすことにわが国は非常に消極的で、反対をしておったのじゃないのですか。この説明書にはきれいなことが書いてありますけれども、逆じゃないですか。
  384. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 私もただいまここに過去の詳しい資料は持ち合わせておりませんが、日本が反対をしたということはないと承知しております。
  385. 野間友一

    ○野間委員 反対でなければ、ふやす必要はないと非常に消極的ではなかったかということについてはいかがですか。
  386. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 先ほど申し上げましたとおり、二回目のICAO理事国の拡大、二十七から三十になってからそれほど長い期間をたたず、たしか二年か三年かたってベルギーがこの提案をいたしましたので、初めは少し慎重に検討したいという考え方もあったかと思います。
  387. 野間友一

    ○野間委員 慎重に検討したい、二十七から三十になってからわずかしかたっていないから。それだけですか、ほかにありませんか。
  388. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 ほかにはありません。
  389. 野間友一

    ○野間委員 運輸省、来ておられますか。——石井さんにお聞きしたいと思いますが、「航空振興」という雑誌の七五年の二十八号、これに間孝審議官が「ICAO総会に出席して」と題して書いておられますが、これは御存じだと思いますし、間さん自身がこの総会に御出席をされたということは間違いありませんね。
  390. 石井俊一

    ○石井説明員 お答えします。  私は、そのことは存じておりません。
  391. 野間友一

    ○野間委員 これを見ますと、自分も「二十一回のICAO通常総会に代表団の一員として出席する機会を得た」と言うて、その総会の状況、模様について書かれておりますが、では外務省、間さんも御出席されていましたね。
  392. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 間さんは運輸省から代表団の一員として参加しておられたと承知しております。
  393. 野間友一

    ○野間委員 運輸省は、理事を三名ふやす、三十名から三十三名にふやすということ、これについてはいま外務省は、当初から賛成だ、ただ二十七から三十になったばかりだからというようなことはあったように話がありましたけれども、運輸省はこれについてはどういう評価をされておったわけですか。
  394. 石井俊一

    ○石井説明員 先生の御質問でまことに恐縮でございますけれども、私、純技術的な運航課長として参りまして、そこら辺の国際関係については恐縮でございますが存じ上げておりません。
  395. 野間友一

    ○野間委員 それでは、運輸省については別の機会に改めてお聞きするとして、この「ICAO総会に出席して」というのを見てみますと、先ほど言われた一年半前に二十七カ国から現在の三十カ国に増加したばかりであるということと同時に、  「および理事国の増加がかえって理事会運営の能率低下を招くおそれがあることを論拠に、本提案には消極的である旨の意見を述べた」こう書いてあるわけですね。つまり、代表団の一員として行かれた間さんが、いまあなたが言われた理由のほかに、理事の数がふえると運営の能率低下を招くからこれは消極的だという意見を述べたということが書いてあるわけです。あなたは先ほどこれは言いませんでしたね、どういうことですか。
  396. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 お答えいたします。  どういうふうな発言をしたかということは、ちょっと調査してみませんと私の手元には資料がございませんのでお答えいたしかねますが、先ほど私も御説明いたしましたとおり、この種の理事国あるいは専門機関、執行機関の拡大問題のときには必ず、どれぐらいの大きさにすることが加盟国のいろいろな異なる利益を代表するために適当であるかという問題と、もう一つは、その拡大によって執行機関の有効性、活動の能率が落ちないか、この二つの点を当然勘案して大局的に日本政府としてのとる立場を決めるということだと思いますので、先ほどもその点を申し上げたとおりでございますが、しかし、この問題のベルギーの提案がなされたときには、昭和四十九年でございますけれども、第二十一回ICAO総会、日本代表団はこの決議を採択するときに賛成しております。
  397. 野間友一

    ○野間委員 ですから、あなたは隠そう隠そうとするわけですが、いま私、読み上げたようなことで、日本の代表団は非常に消極的であった。ところが、この中にも書いてありますが、「発展途上国を中心とする多数国はこの改正案を積極的に支持し、さらに増加分は第三世界の国から選出されるようカテゴリー別の割当数をも改めるべきであると主張した。」こういうことで、その後もずっと書いてありますが、要するに日本は、ほかの国もありますが、消極的であったけれども、途上国を中心とする多数国は積極的に支持をしたので云々という表現がありますね。つまり、そういうようないきさつであって、最初からことさらこれに賛成するというようなことではなかったのでしょう。  私はなぜこういうことを聞くかといいますと、この説明書はうそじゃないかということですね。そうでしょう、だって、これには大変りっぱなことが、ふやすこと自体が公平かつ適切に反映されるとか、あるいは当初からこの議定書趣旨に賛成している、こういうことがはっきり書いてある。これは国会へ出しておるわけですね。ところが、いま申し上げたように、これらの改正をする際の日本政府のとった態度というものは決してそうじゃない。非常にあいまいな態度をとっておった。最終的には賛成したということはそのとおり、だから出しておるわけですけれども。だから、率直にそういうふうに言ったらいいものを、こういう説明書を、これは国会に出した以上はわれわれはこれを信ずるわけですが、これは一つのうそが書いてあるのじゃないですか、どうですか。
  398. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、この当時の第二十一回ICAO総会で最初にベルギーの提案がなされたときに、まだ各国の立場がいろいろと異なっている段階で日本代表団が具体的にどういう発言をしたかは、調査をしてみなければちょっとわかりませんので、この点は御容赦いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、日本代表団といたしましてはこのベルギー提案を支持し、この決定案がICAO総会に提出されたときにはこれに賛成していたわけでありまして、したがって、ここの説明書に書いてありますとおり、わが国としては当初からこの議定書趣旨に賛成したものというふうに考えております。  それからまた、国会承認をいただきたいと考えておりますのもここに書いてあるとおりでございまして、この議定書締結して、理事会の拡大についての日本政府の立場をはっきりしておくということがICAOにおける国際協力を増進する上で必要であると考えているからでございます。
  399. 野間友一

    ○野間委員 それはごまかしですよ、実際に。経過を書いたものを見れば明らかなんです。本当にかっこうばかりつけていい顔をしようとしますけれども、こういう経過についても実態を率直に述べるのが国会での審議の一番重要な問題じゃないですか。理事がふえたら、何で運営が混乱するのですか。混乱するものをなぜ承認してきたのですか。  しかもこれは、十、十一、十二でしたか、数は不正確かもわかりませんが、A、B、Cのカテゴリー、そして要するにCカテゴリーの理事がふえる、つまり、第三世界の、途上国の理事がふえる、そのことが非常に都合が悪いから消極的で、しかも理事会の中では運営がうまくいかない、そういうようなことがあるから、七四年に締結されて、そしていままで放置しておった、こう言わざるを得ないじゃないですか。それ以外には合理的におくらせる理由はないということがいままでのいろいろな経過から明らかだと私は思うのですね。あなたは違うと言うと思う。いかがですか。
  400. 小宅庸夫

    ○小宅説明員 この改定議定書国会への提出がおくれましたのは大変遺憾なことだと思っておりますが、その理由はすでに御説明申し上げたとおりでございまして、この改定議定書に対しましては、ただいまも申し上げましたとおり、開発途上国を中心とするICAO加盟国の拡大というものを正確に理事会の構成に反映させるという趣旨に合致するものと考えますので、私どもといたしましては、当初から趣旨に賛成しており、したがって国会の御承認を早くいただきたいと考えているわけでございます。  また、三十カ国から三十三カ国への拡大によって理事会の機能が阻害されるとか、そういうふうには考えておりません。
  401. 野間友一

    ○野間委員 そうしたら最初から積極的に賛成しなさいよ。積極的に提案しなさいよ。それでは、これは運輸省の間審議官はうそを書いておる、こう言わざるを得ないと思うのですね。きょうは答弁の用意をしておりませんので、後でまた、いつか機会を求めてやりますが、そういうことにならざるを得ないと思うのです。こういう国会をペテンにかけるようなことは許すべきじゃないと思います。  そこで、次に進みます。これはぜひ大臣にも聞いておいていただきたいと思うのですが、国際民間航空における飛行中の機内の生命とかあるいは健康の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、政府委員にお聞きしたいのは、国際航空というのは非常に足が長い、非常に距離が長いわけですね。しかもその際に、汽車あるいはパスのように、健康を損ねたという場合にはすぐにとまってお医者にということにいかぬわけですが、機内における人命とかあるいは健康に関して何らかの国際的な取り決めはあるのかどうか、これは運輸省あるいは外務省、どちらでも結構ですから、お答えいただきたい。
  402. 石井俊一

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  現在、私どもの了承している範囲では、これらに関する取り決めは先生御指摘のとおりございません。  ただこれは、IATAと申しまして国際航空運送事業協会の中のマニュアル、あるいはわが国では日本航空の運航実施規程の中に、まずこのような急病人が出たときには先任の客室乗務員は直ちにこれを機長に伝える、機長はこれに基づきまして機内に医者あるいは看護婦の方がいらっしゃらないかどうかをお聞きする、また、仮に医者あるいは看護婦の方がおられないときには、直ちに客室乗務員が所定の方法に従いまして応急対策をとる、と同時に機長は、無線電話等によりまして連絡できる範囲の地上のステーションに連絡をいたしまして助言を求める、また、その緊急事態の態様によりましては直ちに近くの飛行場に緊急着陸を要請するというふうになっております。  また、ICAO関係の附属書の中にも、医療品を備えよ、あるいは客室乗務員に必要な訓練を施せ、あるいはまた国際空港には必要な医者並びに医療関係の体制を整えよということが決めてござ  います。
  403. 野間友一

    ○野間委員 これは国際的な約束事の取り決めがぜひ必要ではなかろうか。一つはいま言われた機内での生命あるいは健康に関する緊急的な措置の問題、それからもう一つは空港における緊急の措置、これは医師の体制も含めてする必要がある。  確かに、各エアラインの中でいろいろそういうのがあるかもわかりません。しかし、あったとしても、必ずしも義務づけではないわけで、国際的に、たとえばそういう国際空港の中での緊急体制、あるいは機内での医師あるいは医薬品というようなものの体制、これは医師の数が非常に不足しておるからなかなか一遍にはいかぬと思いますけれども、何らかの方法で生命や健康を守るというような取り決めなりそういうものが必要ではなかろうかと私は思うのですけれども、その点について、外務大臣、いかがですか、これは政治的な問題だと思いますので。
  404. 石井俊一

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のとおり、そのような条約が存在すればというふうには考えますけれども、現実の問題といたしまして、緊急事態に対しましてはいま申しましたようにICAOの附属書の中にそれぞれ規定されてございますし、また、旅客の安全等に関しましては機長が最終的な権限を持っておりまして、旅客の安全を確保いたしますために、客室乗務員等と協力しながら、必要な際は各国に緊急着陸を要請して必要な措置をとるということになっておりますので、これは人道上の問題でございまして、私ども運輸省当局といたしましては、技術的には過去の例からも徴しまして、特にここで条約云々ということはなくても十分旅客の方の安全は確保できるというふうに考えてございます。
  405. 野間友一

    ○野間委員 外務大臣、お聞きいただきたいと思うのですが、実はこの三月二十一日に私は、大臣と同じ日ですが、ノースウエスト・オリエントでシカゴまで行ったのです。成田空港を離陸して間もなく、私の三つばかり前の席に乗っておったタイ国の五歳の坊や、それはタイ国の五歳の坊やというのは後でわかったのです、三つばかり前の席におりました東南アジア系の坊やというふうに当時私には映ったのですが、断末魔の悲鳴に近い叫びを上げたのです。機内ではあわてて、薬はないか、タイ国語がわかる人はいないか、医者はいないかとか、いろいろ放送しておりました。そのうちにスチュワーデスが前の方に連れていったのでどうしたのかなと思ったのですが、やはりタイ語のわかる人はいないかとか、薬はないか、医者がいないかとかやっておるわけですね。ところが、ないわけです。  シカゴへ飛行機が着いたときに、機内放送で、タイ国の五歳の坊やが不幸にして亡くなった、したがって、防疫の検査に入るからそのままおれという放送があって、初めて私、びっくりしたのですけれども、これもやはり国際的な取り決めがあれば、たとえば医者を乗せるとか、この場合には親もおりましたけれども、タイ語のわかる人を探しておりましたので言語の障害もあったと思うのですね。  しかし、考えてみますと、成田を立ってわずかしてからそういうような事態が起こったわけですね。これはもとにも引き返さなかったし、十一時間半ぶっ続けでシカゴまで飛ぶのですから、助かる命も助からぬ、当然の話だと思うのです。ですから、各エアラインがそれぞれの何か取り決めをしておったとしても、私はこれでは足りないと思うのです。スチュワーデスも、もともとは看護婦としての資格なりあるいはそういう知識のある者ということが要求されたようですけれども、いまはそうでないようですね。  私はぞっとしまして、これは考えてみましたら、確かに十数時間ぶっ飛ばすわけですから、一定の航続距離以上を旅行する場合、しかもそういう国際的な旅客の場合は、何らかのそういうものを取り決める必要があるのではないかと私、痛切に思ったのですけれども、この点について大臣、いかがですか。
  406. 伊東正義

    伊東国務大臣 私もいま初めて伺って、ああ、そんなにたくさんの旅客の中に衛生のわかる人を乗せてないのかなという感じがして、いま運輸省の方に聞いたのでございますが、普通の場合は機長の判断で生命に関係があるということであれば、どこか最寄りの飛行場に降りてということをするはずだということでございますが、しかし、太平洋を飛ぶということになると、最寄りの飛行場といってもなかなかない。  現実の問題としてはそうでございますので、その場合にどうしたらいいのか、おっしゃるように必ずそういう人を乗せろということの何か協定をするのか、どうやったらそれを救えるのかということは、私、いまここですぐ判断をしてこうしたらいいと言うわけにいきませんが、これはいまお話を聞いてみますとぞっとするような話でございますので、運輸省の方とよく相談をして検討をしてみます。
  407. 野間友一

    ○野間委員 恐らくいま、シップドクターというのですか、船のドクターだって一応そういう義務づけがあるにしてもなかなかそろわないということで、そうそう簡単にいかないと思うのですけれども、少なくともそういう緊急の場合に備えての措置国際的な取り決めも含めてぜひ運輸省と御相談をしていただいて、いま大臣答弁があったわけですけれども、その趣旨に従ってひとつしかるべく措置方をお願いしたいと思います。  時間がありませんので、あと租税条約についてまとめて一つだけお聞きして、お答えいただきたいと思います。  先ほどからもいろいろ質問がありましたが、シンガポールとの租税条約で、使用料の問題ですが、課税率が一〇%、こうなりまして、シンガポールにとりましては不利益、不平等な免除規定が十年間ずっとまかり通っておった。先ほど、源泉徴収の制度がなかったから云々という答弁がありましたけれども、しかしこれはもう以前にできておるわけですね。だから、その時点でシンガポールからそういう改定をしてくれということがなくても、積極的にこちらの方から提起をして、不利益、不平等なこういう取り決めを取っていくというのが日本のとるべき態度ではなかったかと思いますが、その点についての見解と、それから配当とか利子を含めて規定率がありますが、非常に安いわけで、これもやはり応分に引き上げると申しますか、積極的にシンガポール方とさらに詰めて話をされた方がいいのではないかと思うわけです。  それから、投資保証協定の点について、これは鈴木総理がASEAN諸国を訪問して、いろいろとこの取り決めの申し入れをされまして、交渉を早期に開始すべきである、こういう合意に達したという新聞報道もあるようです。しかし、いろいろ調べてみますと、現地では日本の経済支配を非常に懸念して、ASEANではこれを慎重に扱う必要があるとか、あるいは経済進出を大変恐れておるというようなことがあれこれの中に出ておるわけです。したがって、こういうことをやりますと、経済主権の確立の問題や、あるいはいま途上国が自立の方向にずっと動いておるわけで、それに逆行するものではないかと私は思うわけですが、その点についてまとめて幾人か関係政府委員からお答えいただきたいと思います。
  408. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 投資保証協定に関しましては外務省の方からお答えいただくとしまして、使用料及び利子、配当についてお答えいたしたいと思います。  おっしゃいますように、使用料につきましては、先方で源泉徴収制度を導入した際にこちらから積極的に、それくらいの心構えが必要ではないかということは、お説ごもっともだと思います。しかしながら、日本とシンガポールとの租税条約は、一番最初に結びましたのはまだシンガポールが自治州の時代でございまして、最初は三十六年、続きまして改定が四十六年、今回が言ってみますと五十六年ということで、十年ごとにやっております。それで源泉徴収制度が導入されましたのは一九七七年でございます。それから今回の条約に入っておりますけれども、先方の経済拡大奨励法というのが改正がございまして、それが導入されましたのが一九七九年、恐らくはシンガポールサイドとしては、こういった一連のものを取りまとめたところで全般にわたってレビューし直して、新しい条約としてまた十年なり十五年なりもつ条約にしよう、こういった意図があったのだと思います。私どもとしても大体そういう形でやっておるということでひとつ御了承を願いたいと思います。  次に、利子及び配当でございます。シンガポールでは、配当につきましては源泉徴収といいますか、そういった制度がございません。これは税のやや技術的な話ですが、シンガポールというのはインピュテーションという制度をとっていまして、法人へかけた税金はそのまま個人の段階で調整するという制度をとっています。日本の相当程度の分は個人と法人とは別の税体系になっておりますが、シンガポールの場合には全額法人にかかったものは個人のところで調整するという制度でございまして、本来的に配当に課税する制度がないということなものですから、この点もシンガポールの事情でございますので御了解願いたいと思います。  それから、利子につきましては一五%の軽減税率をやっておりますけれども、これは私どもの一般条約例でございまして、シンガポールが諸外国と結んでおります条約も、大体このあたりの水準にあるというふうに御了解いただきたいと思います。
  409. 長谷川和年

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  ASEAN各国との投資保証協定に関しましては、政府としてはASEAN各国に対して今後投資を拡大していくことは、日本の経済発展のみならず、関係のASEAN各国の経済社会の発展に資する、こう考えておりまして、また先方もこういった観点から日本の投資がふえることを歓迎しております。こういった投資をふやすこと、あるいは投資がいい環境でその効果を発揮するように措置をとることが必要でございまして、こういった観点からASEANの各国と投資保証協定を結ぶということになっておりまして、ASEANの各国もこれを歓迎しております。  ただ、先生が御指摘のようないろいろな問題もあると思います。私たちとしては、こういったことも十分考えまして、協定の交渉に当たりましては先方の意向も十分反映するように努めてまいりたいと思っております。
  410. 野間友一

    ○野間委員 時間も参りましたので終わりますが、結局、それでも投資保証協定の場合には何らかの取引というのは大体どこでも問題になっておるようだし、各国の国民といいますか、そこの人間の中ではいろいろとそういう問題が提起されておる。しかも、ASEAN各国の政府自身も非常に慎重な姿勢を崩していないということもいろいろと言われております。その点、ちょっと違うわけですけれども一つつけ加えまして、私の質問を終わりたいと思います。
  411. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会