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1980-12-22 第94回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年十二月二十二日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君    理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石井  一君    石原慎太郎君       太田 誠一君    木村 俊夫君       北村 義和君    栗原 祐幸君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       坂本三十次君    竹内 黎一君       中山 正暉君    古井 喜實君       井上  泉君    勝間田清一君       河上 民雄君    田邊  誠君       大久保直彦君    林  保夫君       金子 満広君    中路 雅弘君       田川 誠一君 ————————————————————— 昭和五十五年十二月二十二日(月曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 川田 正則君    理事 松本 十郎君 理事 高沢 寅男君    理事 土井たか子君 理事 玉城 栄一君       石井  一君    太田 誠一君       北村 義和君    小坂善太郎君       近藤 鉄雄君    佐藤 一郎君       竹内 黎一君    中山 正暉君       井上  泉君    岡田 利春君       河上 民雄君    日野 市朗君       斎藤  実君    林  保夫君       金子 満広君    中路 雅弘君       小杉  隆君  出席国務大臣         外 務 大 臣 伊東 正義君         農林水産大臣  亀岡 高夫君  委員外出席者         外務政務次官  愛知 和男君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務大臣官房審         議官      山田 中正君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省経済局長 深田  宏君         外務省条約局長 伊達 宗起君         水産庁長官   今村 宣夫君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 十二月二十二日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     近藤 鉄雄君   河上 民雄君     日野 市朗君   田邊  誠君     岡田 利春君   大久保直彦君     斎藤  実君   田川 誠一君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     坂本三十次君   岡田 利春君     田邊  誠君   日野 市朗君     河上 民雄君   斎藤  実君     大久保直彦君   小杉  隆君     田川 誠一君     ————————————— 十二月二十二日  北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦の  地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す  る日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦  政府との間の協定有効期間延長に関する議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  一号)  日本国地先沖合における千九百七十七年の漁  業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共  和国連邦政府との間の協定有効期間延長に  関する議定書締結について承認を求めるの件  (条約第二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦の  地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す  る日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦  政府との問の協定有効期間延長に関する議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  一号)  日本国地先沖合における千九百七十七年の漁  業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共  和国連邦政府との間の協定有効期間延長に  関する議定書締結について承認を求めるの件  (条約第二号)      ————◇—————
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、わが国外交政策の樹立に資するため、関係方面からの説明聴取及び資料要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奥田敬和

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 奥田敬和

    奥田委員長 この際、日米政府調達問題について外務省当局から発言を求められておりますので、これを許します。深田経済局長
  5. 深田宏

    深田説明員 白米政府調達問題の解決について御説明申し上げます。  今般、長い間の懸案でございました本問題が解決いたしまして、十二月十九日に東京とワシントンとで書簡発出手続を行いました。  今回の解決に当たりましては、電電公社調達につきましてわが方が主張いたしましたいわゆる三段階方式を採用することで米側と合意が見られました。この結果、わが国電気通信設備の特性になじんだ調達方式確保することができたと考えております。また、政府調達協定につきましては明年一月一日より発効することとなっておりますが、同日より日米間におきましてもこの協定適用されることとなる次第でございます。  今回の解決案の基礎となりました三段階方式のもとでは、主要な機器、すなわちいわゆるメインライン機器協定適用対象とされず、公社はこれらの機器調達する場合には公衆電気通信設備特殊性を十分考慮した独自の内外無差別の競争的な手続を用いることとされております。  この三段階の第一は、汎用性のある一般資材でございまして、これにつきましてはガットの政府調達コード対象といたしまして競争人和を行います。その額は約十五億ドルとなります。  その第二は、すでに市販されてはいるが、公社のシステムとの調整を必要とするというたぐいの資材でございまして、これにつきましては公社企業提案要請を行い、提案のあったものの中からすぐれた製品を選択するという競争的調達手続により調達いたします。  その第三は、公社関係企業との共同研究開発を行う資材でありまして、これにつきましては共同研究開発への参入について競争機会を与え、すぐれた企業共同研究開発相手とし、実用試験等を経て調達いたします。  また、公社は、以上の調達手続を実施するに当たりまして、協定一般要件を遵守することといたしておりますが、ここに言う要件とは、具体的にはたとえば内外無差別競争的調達、実績の公表、規格を人為的に操作して参入を妨げないことなどを指すものでございます。  次に、今回の三段階方式政府調達協定、特に入札手続を定めた同協定第五条との関係を御説明申し上げますと、いわゆるメインライン機器に関する第二及び第三の手続におきましては、当初の調達に引き続くその後の調達におきまして、調達の都度、公示、入札する必要はございません。年一回購入計画を公表し、随時新規参入申請を受け入れ、これらの申請の中で既存の企業より有利なものがなければ、引き続き当初契約した企業から購入することが認められております。この手続は、入札手続を定めました政府調達協定第五条に定める手続とは異なるものでありますが、かと申しましてこれに背反するものではないということにつきまして、米側も同意いたしております。したがいまして、日米間では、公社が今回採用した手続を公正に実施してまいります限り、紛争が生ずるおそれはないものと考えております。  一方、米国では電気通信政府関係機関ではなく民間事業体となっており、かかる体制の相違から日米両国がそれぞれなし得ることにはおのずから差異がございます。しかし、米側は、米国電気通信市場内外無差別に開放するという方針を堅持いたしますとともに、相互主義の観点から米国市場開放性及び透明性確保するために必要な措置をとることを検討いたしました。日本側からの問題提起につきましても協議に応ずることといたしております。  また、米側は、これまで協定適用対象から除外されておりました一般役務庁自動データ処理電気通信局による調達を、新たに協定適用対象に加えることといたしております。  なお、本件措置はとりあえず三年間とられるものとされております。  第三国との関係につきましては、日米両国とも第三国電気通信市場を開放的なものとすることを希望し、協力してこれを勧奨していくことを申し合わせております。  なお、政府調達協定日米それぞれのオファー総額は、わが国は約六十億ドル、米国は約百十億ドルとなります。もっとも米国側では、数字の見直しの結果、これが百六十億ドルぐらいとなったというふうに説明いたしております。なお、ECは約百億ドルでございます。  最後に、本件解決の概略は以上のとおりでございますけれども、詳細につきましては委員会参考資料という形でお手元に配付してございますので、ごらんいただきたいと存じます。  以上で御説明を終わります。      ————◇—————
  6. 奥田敬和

    奥田委員長 本日付託になりました北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との問の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣伊東正義君。     —————————————  北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件  日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 伊東正義

    伊東国務大臣 ただいま議題となりました北大西洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件ではありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、一括して御説明いたします。  昭和五十二年五月二十七日にモスクワで署名されました北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び昭和五十二年八月四日に東京で署名されました日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間は、昭和五十二年末及び昭和五十三年末に署名された議定書によって延長されましたが、さらに昭和五十四年十二月十五日にモスクワで署名された二つ議定書によって一年間延長されました。したがって、両協定有効期間は、ともに本年十二月三十一日に満了しますので、政府は、ソ連邦政府との間にこの有効期間をさらに延長する議定書締結するため、本年十一月二十五日以来東京において交渉を行いました。その結果、本年十二月六日に東京において、わが方本大臣先方ポリャンスキー日ソ連邦大使との間でこの二つ議定書の署名を行った次第であります。  この二つ議定書は、いずれも二カ条から成っており、それぞれ右に述べました協定有効期間を明年十二月三十一日まで延長すること、両政府代表者は明後年以降の漁獲の問題に関して明年十一月十九日までに会合し協議すること等を定めております。  この二つ議定書締結によりまして、一方では、わが国漁船ソ連邦沖合い水域において引き続き明年末まで操業することが確保されることとなり、他方では、わが国は、ソ連邦漁船が明年においてもわが国漁業水域においてわが国の法令に従って操業することを認めることとなります。漁獲割り当て等実体的事項につきましては、両国水産当局間の書簡にその詳細が掲げられておりますが、今回の交渉の結果、明年のわが方漁獲割り当て総量として本年と同じく七十五万トンを確保し、他方ソ連邦に対する明年の漁獲割り当て量につきましても、本年と同じく六十五万トンを定めた次第であります。  この二つ議定書締結は、互いに相まって、日ソ両国の二百海里水域における円滑な漁業秩序確保するものであると考えております。  よって、ここに、これらの議定書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。  まことに申しわけありませんが、先ほど冒頭に「北大西洋」と申し上げましたが、これは、北西太平洋」の誤りでありますので、訂正させていただきます。どうも時差ぼけをしておりまして、まことに相済みません。よろしく御了承願います。
  8. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  9. 奥田敬和

    奥田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川田正則君。
  10. 川田正則

    川田委員 時間の関係で早速質問させていただきたいと思いますが、今回の漁業交渉につきましては、例年になく非常に早く妥結したといいますか、数字がまとまったというふうに聞かされているところでありますけれども、その点で外務省水産庁関係者皆様方の御努力については非常に敬意を表するところでございます。  そこで、お尋ねをしたいことがございます。  それは、何といっても交渉の焦点は両国漁獲量にあるわけでありますけれども、一九七七年から始まった交渉の中において、今回は四回目を数えるわけでありますけれども、この間にいま大臣お話しになりました日本クォータは七十五万トン、ソ連は六十五万トン、これらの消化率といいますか漁獲率、一体実際に全部消化しているのかどうか、これを水産庁お尋ねをいたします。
  11. 今村宣夫

    今村説明員 ソ連水域におきますわが国漁船割り当て消化状況は、昨年はトータルで七二%ということでございます。今年は一月以降十一月末までに約五九%になっておりますから、その進捗状況から言いますと大体昨年と同様であるというふうに考えております。一部の魚種につきましては割り当て消化率の低いものもございますが、当方の関心品目のスケトウその他、ツブでありますとか、そういう魚種についてはほぼ満額消化いたしているところでございます。
  12. 川田正則

    川田委員 いまのお話で、昨年は日本は七二%、ことしは現在時点で五九%、それぞれまだ幅があるような気がするわけでありますが、ソ連の欲している魚種イワシサバ類の六十五万トンの総量の中で占める量は五十万トンになっているわけであります。パーセンテージにいたしまして約七七%。ソ連は欲しているイワシサバを七七%もとっているわけでありまして、わが国の方は総量において七十五万トンの中で、一番欲しいといま長官が言われました満額とっているというスケソウダラ、これは二十九万トンでありますから、総量との比較をいたしますと三八%である。  そういうことになりますと、一般日ソ漁業交渉の場合はお互いに相互主義だということが言われているわけでありますのに、私どもから見ますと、何かちょっと相互主義にならないような気がするわけでありますが、この点について長官の御意見を承りたいと思います。
  13. 今村宣夫

    今村説明員 ソビエトわが国二百海里内での操業の状況でございますが、実はソビエトにつきましては昨年の一月から十一月までのマイワシサバ消化状況は七八%であったわけでございますが、今年の、一九八〇年の一−十一月までの消化状況は五二・四%ということで非常に消化状況が下がっております。トータルとして見ましても、昨年同月、十一月までは六二%とっておったわけでございますが、本年の十一月までの達成率は四六%ということでございまして、昨年まではまずまず日本ソ連との消化状況はほぼ同一水準にあったわけでございますが、ことしはソ連の、特にマイワシサバ消化状況は非常に悪いという状況にございます。これが今年の漁業交渉におきます一つ問題点であったわけでございます。  一方、日本の方の魚種につきましては消化率の低いものもございます。これはいろいろな理由によるわけでございますが、水域における漁場形成の変動でありますとか、あるいはたとえばイカのようにことしは日本水域内で非常にとれたものですからソ連の二百海里では余りとってくる必要はないというふうな、いろいろな状況が重なっているわけでございます。  しかし、スケトウダラにつきましては、お話しのように一九七八年には三十四万五千トンでありましたのが七九年には三十万トンになり、八〇年、八一年は二十九万トンという形に相なっているわけでございます。われわれとしては、そういう魚種別組成と申しておりますけれども、そういう魚種別構成改善につきましては従来も努力をいたしてきておりますが、今年につきましても一部魚種につきましてそういう改善措置を講じてきたところであり、今後ともそういう努力を重ねていきたいというふうに考えているわけでございます。
  14. 川田正則

    川田委員 いま長官からお話ございましたように、確かに日本の欲している魚で一番欲しいのはスケソウダラ、年々漁獲量が下がってきているわけでございますけれども北海道に限らず欲しい魚が手に入らないということは非常に大変なことになるわけでありまして、消化率の低い魚種もある、いわゆる空枠といいますか、数字だけはきちんとなっていても実際はそれだけとっていない。まして日本の国の総量において昨年は七三%であるということになりますと、まだ二、三〇%は幅がありますし、その上に空枠があるということになれば、いま長官お話しなさいましたように来年以降の問題になるわけでありますけれども日本が一番欲しているスケソウダラ確保について全力を注いでいただきたいと思うわけであります。  私ども北海道の場合にいわゆるスケソウダラ水産加工にとりましては一番必要な魚種でありまして、この原魚がとれないために水産加工業はだんだんと工場を閉鎖しなくてはならない。現に釧路、根室、稚内、これらは不況地域に指定をされていて、国からの援助を仰がなければとうていやっていけないのが実情であるわけであります。まあ相手のあることでありますから、なかなか厳しい問題もあろうかと思いますけれども、このスケソウダラ確保については水産庁も一段と力を入れていただきたいわけであります。  特に関連して、アメリカとの魚の関係を見ますと、業界の内部では、日ソ交渉以上に日米交渉の方がむずかしいということが最近非常に言われてきております。特にブロー法案などの関係もあって、クォータもだんだん厳しくなる、入漁料もいままでの二・三倍以上払わなければ魚をとることができない。現に、底びき、小さな船でさえ一隻当たり七百万ぐらいの入漁料を払っているわけですけれども、二・三倍以上ということになれば千五百万以上入漁料を払わなければならぬということにもなるわけでありますし、またこれからは監視の目をきつくするために、オブザーバーを各漁船に乗せなければならない。この費用は全部日本漁船が持たなければならないということになりますと、水産日本という名前でいままでやってきておりましたのがだんだんじり貧になってくるわけであります。  そのほかに、水産庁長官の折衝で韓国漁船も一応落ちつきを見せましたけれども北海道漁民にいたしますと、百対ゼロということを言っているわけであります。わが方は全くゼロだ、何にも得るところもなしに、むしろ既得権ということで侵されっ放しだということを言っているわけでありまして、そういうふうに非常に厳しい。厳しいから——私は先日朝日新聞の記事を見てびっくりしたわけでありますけれども根室水産協会会長高本正一さんという方の記事が出ているわけでありまして、これを見ますと、日ソの魚の関係が非常に厳しいから、北方領土は四島返還でなくて二島でやるべきでないかということを言い始めているわけであります。御存じのように、政府は四島返還ということで一貫して今日まで来ているわけでありますのに、地元の方々から二島返還でいいのではないかという声が出るというのは非常に恐しいことだと私は感じます。  この中の記事を読んで見ますと、「何年かかっても四島が返ってくるまでがんばる、というのは格好はよいけれど、それでは根室市民は食って行けないのです。二百カイリ漁業専管水域の実施で日本漁船は四島周辺から完全に締め出されてしまいました。年に十六、七万トンあった水揚げが、ことしは十万トンを割る見通しです。八五%まで水産に頼る根室経済は、につちもさっちも行かないところへ追い込まれてしまいました。私は冷凍加工の会社を経営していますが、仕事がなくなるので十二月になると従業員を解雇しなくてはなりません。二島だけでも返ってくれば、」云々ということが書かれてありますし、現在政府が進めております四島周辺隣接地域振興対策事業なんかも非常に批判的に書いているわけであります。むしろ、橋や道路を優先的につくってもらっても市民生活は一向よくならない。  ですから、根室に限らず、北海道漁民人たちは、いま申し上げたような日ソ漁業交渉それから北太平洋日米関係韓国漁船と、だんだん生活が危なくなってきている。こういう現状では、こういうふうに北方領土二島返還でいいというようなことを民間が言い出すようでは、私は相手の国の思うつぼになるような気がしてならないわけであります。  こういう点で外務大臣の御意見をお伺いしたいわけであります。
  15. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いまの、新聞紙上二島返還論ということが出ているということを私も実は旅先で承知しましたが、私、この間根室へ行きましたときにいろいろな意見が出た中の一つ意見でございまして、それが新聞紙上に大きく取り上げられたということでございまして、私どもの考え方からすれば、あれは安保条約を廃棄して二島返還ということでいいじゃないかという御意見じゃないかと思うのでございますが、政府としましては四島一括返還というのが、国会でも何回も議決を経たものでございますし、日本の基本の不動の方針としてこれは堅持してまいるつもりでございます。  ただ、それだけでは足りませんので、私はこの前行きまして、四島周辺漁業をした人々の苦労もわかりますし、二百海里によって漁獲がある程度減ってきたということもわかりますので、ひとつ四島周辺人々がたくさん住んでいるあの地域に対して振興措置を考える必要があるのじゃないかということを総理にも申し上げたのでございまして、連絡会議もつくるということになったわけでございます。  内容は、おっしゃるように、その人が言っておられますように、単に道路をつくった、橋をかけたということでは十分でないということは私もそのとおりだと思うわけでございまして、あの中には新しく沿岸の漁場の開発をするとか魚礁をつくるとかそういうようなことも内容にしまして、水産で収入を上げていくという方法も考える必要がある、そういうことを一方しまして、四島返還というものは変わらざる方針としてソ連に対して主張していくというのが政府の考え方でございまして、ああいう意見があることを私も承知はしておりますが、政府としてはああいう意見はとらないということははっきりしているわけでございます。
  16. 川田正則

    川田委員 それでは外務大臣のお考えもわかりましたので、最後に、水産庁長官一つだけ善処をしていただきたいことがございます。  それは、いまお話しのように、だんだん魚がとれなくなってくるということで、日ソ漁業共同事業というのをやっているわけでありますけれども水産庁の指導で共同事業でやっていいという魚種を甲殻類、カニ、エビ類だけに限定してきているということについては、業界も大変困っているところでありますが、将来において甲殻類だけに限定をしないということをぜひ約束をしていただきたいわけであります。  このことについて水産庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  17. 今村宣夫

    今村説明員 共同事業全般の扱いにつきましては、昨年におきまして、私たちは一定の基準を設け、またソ連交渉に行く場合には事前に水産庁承認を得て行くようにということで、秩序を持って共同事業を推進するということに努めておるわけでございます。  本年におきましても、共同事業をどういうふうに推進するかにつきましては十分検討いたしたいと思っておりますが、スケトウダラにつきましては、一方において共同事業を推進したいという希望がある半面、これを共同事業に盛り込めば大変なことになるという意見もあるわけでございます。  私としましては、共同事業でスケトウをやっていくというふうなことになりますれば、現在二十九万トンの政府間のクォータに影響するおそれもなしとはしないという基本的な問題もございますから、この辺のことを踏まえて十分考えていく必要があるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  18. 川田正則

    川田委員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  19. 奥田敬和

  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいま議題になりました日ソ、ソ日暫定協定の内容に入る前に、外務大臣に二、三の問題についてまずお尋ねいたしたいと思います。  その第一点は、今日の日ソ関係は、アフガン問題以来、いわば冷たい関係にある、こう言われておるわけです。しかしながら、日ソ関係において、その日ソ関係の基本的な基盤というものは一体どこにあるのか、しばしば問題にもなっておるわけです。しかし、私は私なりで、いずれにしても外交関係を持っている日ソの基本的な関係の基盤というものは、過去の歴史的な経過の中で双方確認したそれぞれの条約やあるいはまたそれぞれの声明等の中にあるのではないか、こう思うわけです。したがって、この機会に、今日の日ソ関係の基盤というものは一体どこにあると外務省は認識をして対ソ外交を進められておるのか、まずこの点を明らかにしていただきたいと思います。
  21. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げますが、ソ連日本の隣国として、日本の外交の中で日ソ外交というものは非常に大切だということは私もよく承知しております。何とか友好関係が温かい関係日ソの間も進展していくということを私どもは希望しておるわけでございます。  ただ、特にアフガンに対する武力介入以来、また北方の日本の固有の領土である四島に対する軍備の増強というような問題、基本には領土問題があるわけでございますが、そういう事態でございまして、日本から起こした原因ではなくてソ連側が行いましたいろいろな措置によりまして日ソ関係が冷たくなっておるということでございます。  そういう現状のもとで日ソ関係をどうしていくかということを私どもは本当に配慮しているところでございますが、いまのような状態をそのままにして平和友好関係と言われましても、国民の感情をやはり逆なでするようなことが現実にあるわけでございますので、そういう態度はひとつソ連としても誠意を持って改めてもらいたい、その上で日ソの平和友好関係を結んでいこうじゃないかということを私どももグロムイコさんとニューヨークで話してまいったのでございます。  私どもとしましては、できるだけ温かい関係を結んで、隣人として、隣国として平和裏につき合っていくということを本当に希望しているというのが真意でございますが、現状は先生おっしゃったようにいろいろな国際情勢から冷たい関係になっておる、これははなはだ遺憾なことだというふうに思っております。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろんそのときどきの国際情勢でいろいろと変化も外交上ありますけれども、しかし何といっても日ソ関係の基本というものは日ソ共同宣言にやはり準拠しなければならない、このことだけは明確ではないか、こう思うわけです。  双方の認識はその点について一体一致しておるのかどうか、この点についてはいかがですか。
  23. 伊東正義

    伊東国務大臣 グロムイコ外相と会いましたときにも、日ソ共同出具言の原点に返ろうじゃないか、グロムイコさんも関係をされたので、あの中には領土問題もございますし、原点に返ろうということを私はグロムイコ外相にも提案を実はしたことがございます。その後、先生御承知のとおりのいろいろな変化がありまして、安保条約を破棄しなければ二島を返さぬというような話が出たり、田中総理が行かれたときに、戦後の懸案の中には領土問題が入っておるという言葉が出たり、その後はそれを否定するような話があったり、いろいろな経緯があったことは御承知のとおりでございますが、私どもは、やはりあの日ソ共同宣言をしたという、国交を回復したというあのときの気持ちに両方が素直に返れて、領土問題の交渉もしようし、というようなことになることを期待をします。  ただ、現実がその後非常に変化しておるということだけはございますので、そこに至ってないということでございます。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 アフガン問題以来、わが国は、対ソ経済措置として、新規協定交渉の無期延期、第二はソ連要人の入国ビザの停止、第三には新規輸出信用供与の凍結、第四には新規プロジェクトの交渉開始の抑制、第五にはココム禁輸の強化、この五点をとられておるわけです。しかし、その後この問題については若干の変化もあるわけでありますけれども、今後、特に八一年をすでに目前に控えていて、対ソ経済措置についてどう一体扱っていくのか、この点については今日の情勢等も勘案しながら弾力的に扱うという政府首脳の発言等も見受けられるわけです。この点率直にいまのお考え方をお聞きいたしたいと思うわけです。
  25. 伊東正義

    伊東国務大臣 対ソ経済措置につきましては、先生のおっしゃった中の一番の問題は信用供与の問題じゃないかと私は思うわけでございますが、この問題につきましては、実はケース・バイ・ケースでいこう、慎重に一件一件検討しようということで、その後、ヤクート炭の開発の追加ローンとか、あるいは第三次でございましたか極東の森林開発とか、そういう問題については信用供与をしようというようなことをやっているわけでございます。ゼロということじゃなくて、一件一件慎重に検討しようということで続けてきたわけでございます。  この問題につきまして、今般私ヨーロッパへ行きましたときも各国と話をし、アメリカの国務長官も来ておりましたのでいろいろ話したことがあるわけでございますが、私どもとしてはいままでやりました方針についてこれは間違っているというふうには思っておりません。今後もいまの状態で慎重に検討していこうというつもりでおります。  一方、私向こうへ行っておりましたときポーランドの問題とかいろいろ話が出たわけでございますが、国際情勢の変化等がどういうふうになるかということもこれは参考にしなければならぬことがございますので、いましばらくの間はいまの方針は堅持していくという考えでおるわけでございます。国際情勢の変化とかその他取り巻く情勢の変化がありました場合は別でございますが、しばらくいまの情勢を続けていこうという考えでおるわけでございます。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 いわばケース・バイ・ケースで弾力的に対応していく、こう私は受けとめたわけです。特に一九七九年の九月にモスクワにおいて第八回のソ日合同経済会議が開かれて、この中で合意された事項があるわけです。シベリア・極東のバイカル・アムール幹線沿線地域の森林資源の共同開発の続行、第三次KS協定、ボストーチヌイ港のコンテナ埠頭と石炭埠頭の建設第二期工事の着手、サハリンにおける紙パルプ工場の再建、第四点はアムールスク・パルプ製紙コンビナート第三期工事の建設、その他も若干あるわけでございますが、これらの問題がすでに合意されているわけです。  これらについては今後政府としてはどのように取り扱っていくお考えを持っているのか、この機会にお聞かせ願いたいと思うのです。
  27. 武藤利昭

    ○武藤説明員 ただいまお話のございました昨年の日ソ・ソ日経済合同委員会、私も顧問として出席しておりまして、ただいま先生から御指摘のございましたようないろいろのプロジェクトについて話し合いが行われたわけでございます。ただ、先生いま合意とおっしゃいましたけれども、なお検討することに合意するというような性格のものもあるわけでございまして、たとえばいま御指摘の項目の中にございますボストーチヌイの拡張工事でございますとかあるいは製鉄コンビナート等につきましては、先方と民間関係業界の間において話し合いは進められておりますけれども、まだそのプロジェクト自身について関係当事者間の合意と申しますか成案と申しますか、そこまでは至っていないというのが現状と承知いたしておりまして、関係業界の方のお話し合いが進みました段階におきまして、政府としてもその対応について検討するということになろうかと存じております。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 これからの国際情勢にもよると思いますけれども日ソ間においてはあらゆる面において交流が行われておるわけです。私は、やはり懸案事項解決するためにも、双方が頻繁に接触することがきわめて重要であろうかと思います。そういう意味では、特に広範な経済関係について日ソ間においても率直な話をする、そういう中で相互の認識を深めながら懸案事項解決に向かっていく、こういう積極的外交というものもまた一面忘れてはならないのではないかと思うのです。  そういう意味では、経済関係の閣僚がお互いに交流をするとか、いま一歩進めた積極的なわが国の対応姿勢というものが必要ではないかと私は思うのでありますけれども、この点についてはどのような見解ですか。
  29. 伊東正義

    伊東国務大臣 なるべく頻繁にやることが相互の理解を深めるゆえんだという、おっしゃることはよくわかります。ただ、さっき言いましたように、冷たい関係になった原因がソ連側の行為に基づくものだというのがわれわれの考え方でございますから、そのことは全然別にしまして片っ方だけはというふうにはなかなかいかぬ問題もございます。  ただ、ケース・バイ・ケースということを申し上げたのでございますが、実務的には相談してやっていこうというようなことで、向こうからも担当の人が来たりこちらからも輸銀関係者が行ったり、そういうことはやっておるわけでございますが、いわゆるハイレベルの人事交流というのはいまやっておらぬということでございまして、そういうことにつきましてはここ当分いままでの方針を貫いていこうというのがいまの考え方でございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 アフガン以来同じ対ソ経済措置をとっている西欧諸国、特に西ドイツ、フランス、それに対してわが国の最近の貿易傾向を見ますと、日ソ間の貿易総量はいわば停滞をしている、こう言わざるを得ないのではないかと思うわけです。しかし、反面、西ドイツあるいはフランスにおいては大型プロジェクトの商談が成立をしているというきわめて特徴的な傾向もあるわけです。  大体同じ経済措置をとっている西欧諸国とわが国の対ソ貿易についてどういう変化が起きているのか、これは数字が明らかに示すと思いますけれども、その点についてひとつ御説明願いたいと思うのです。
  31. 武藤利昭

    ○武藤説明員 最近の数字はことしの一月から八月までの分について統計を入手しておりますので、ことしの一−八月の対ソ貿易を昨年の一−八月と比べる、また昨年の一−八月、これはまだアフガン事件以前でございますが、これをまたその前年の一−八月と比べるというような形で御説明いたします。  本年の一−八月の対ソ貿易の数字でございますけれども、これはドル建てあるいは各国通貨建て、いろいろございますが、ドル建てで申しますと、米国は、輸出が六四・二%減、輸入が四四・七%減、合わせて六一・二%減ということになっております。西独は、輸出が二二・四%増、輸入が九・一%減、合わせて六・九%増というような数字、それからフランスは、輸出が三八・二%増、輸入は一〇三・五%増、つまり倍増ちょっとしているわけでございますが、合わせまして六七%増というようなことになっております。ちなみに、この間日本は、輸出が一・一%増、輸入が五・三%増、合わせて二・八%増というのが実績でございます。  ところで、アフガニスタン事件以前の昨年一−八月の数字を一九七八年と比べますと、対ソ貿易の増加の傾向はすでにあらわれておりまして、たとえばフランスは、ことしが昨年に比べて三八・二%増と申しましたが、昨年は一昨年に比べまして五二・二%増ということになっております。同時に西独につきましても、輸出が一五・三%増というような数字が見られます。日本は、昨年の一−八月は一昨年に比べまして七・九%増ということになっております。  したがいまして、このアフガニスタン事件以後の対ソ経済措置につきまして、それが各国の対ソ貿易の実績にどのようにあらわれているかということが、一部はただいま申し上げました数字からうかがい知ることもできるわけでございますが、それが果たしてアフガニスタン事件に伴う対ソ措置だけであるのかどうかというようなこと、たとえばそれまでの各国の対ソ貿易増加のためのいろいろの努力、手段というようなものもどこまで関係しているかというようなことになりますと、なかなかはっきりは申し上げかねるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、西欧の場合にはアフガニスタン事件以前からソ連に対する貿易はかなり伸びていた。そしてアフガニスタン事件以後若干、たとえばフランスの数字に見られますとおり輸出は少し落ちている。ただ輸入の方は、フランスは昨年の一−八月が一昨年に比べて三八・八%増だったわけでございますが、これは一〇三・五%増と、非常に輸入はふえている。これは、たとえば天然ガスをソ連から買っている、その値段が上がったというような要素もあるようでございまして、そのような貿易の量の問題と、それから輸出入品目の価格の問題、いろいろ関係する要素が多いわけでございますので、正確に申し上げることは困難でございますが、数字としてただいま御報告したようなことになっております。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間の関係上、内容に入らしていただきたいと思います。  率直に申し上げまして、四年目を迎えたこの日ソ、ソ日暫定協定が今回は短時間で交渉が妥結をした、話し合いはきわめて実務的に行われたと、こう承知をいたしておるわけです。この今次交渉を総括をして、一体わが国はこの協定についてどういう評価をしているか、率直にお聞かせ願いたいと思います。
  33. 武藤利昭

    ○武藤説明員 本年の交渉は、すでに新聞等で御承知のとおり非常に短期間に終結いたしまして、二週間、実質は十日ぐらいでございますが、十日ほどで完了いたしたわけでございます。私どもの印象といたしましては、この二百海里時代に入ってからの日ソ漁業関係というものが、すでに四年間の実績を経まして、一応の安定化を見たということがあるのではなかろうかと思います。  たとえば、二百海里時代に入ってからも、当初のころは日本側が実績主義を主張し、ソ連側は等量主義を主張したというようなことが昨年までは続いていたわけでございますが、ことしはソ連は等量主義というようなことは申しませんで、最初から七十五万トン、六十五万トンの総枠につきましては一発回答で両方合意し合ったというようなことがあるわけでございまして、そのような四年間の実績を踏まえた漁業関係の安定化ということが第一点。  それから第二点は、いまの制度が、これはいまさら申し上げるまでもなく、相互乗り入れと申しますか、日本ソ連の二百海里の水域の中でとる、ソ連日本の二百海里水域の中でとるというような、相互的、互恵的な関係になっているということもまた、このような枠組みのもとにおいてわりあいに早く交渉が妥結するに至った原因の一つではなかろうかと存じます。  それから三番目。これは果たしてはっきり申し上げられるかどうか存じませんが、私どもの印象といたしましては、やはりソ連側の交渉当事者の交渉スタイルと申しますか、余りいままでのように長い時間をかけて切った張ったの交渉をやるというよりは、手っ取り早く実務的にどんどん交渉を進めていこうというような、交渉の態度にも従来と若干変化が認められますし、一つには、ソ連がかつてのように日本だけを漁業交渉相手にしているという時代ではなくなりまして、世界じゅういろいろな国と漁業交渉しなければならない、先方の関係者も忙しくなっておりまして、日本だけとの間に長い時間をとっているわけにもいかないというような、いろいろな要素があったと存じますが、冒頭に申し上げましたとおり、そのようなことで安定的な漁業関係に入っているという印象を受けております。
  34. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体今次交渉で、日ソ間の漁業協定については、漁場や漁獲を含めて、いわばこの枠組みというものはほぼ固まってきたと、こう理解をされておりますか。いかがですか。
  35. 今村宣夫

    今村説明員 私の考え方で申し上げますならば、ただいま外務省から御答弁がありましたように、日ソ関係は非常に安定的になってはきておりますけれども、完全に安定したというふうに私は理解をできないと思っております。相手の態度も非常に実務的、効率的であることも確かでございますし、また当方といたしましてもそれに即応するような態度で交渉に臨んでおりますけれども、そしてまた、今度の交渉につきましては昨年と実質的内容は全く同じという形で決着を見たわけでございますが、今後の問題としましてはやはりいろいろな問題を含んでおると思っております。  その一つの問題は、ソビエトイワシサバ漁獲量は今年はきわめて落ちておるわけでございます。これに対してソビエトの言い分は、日本の二百海里内における操業条件ですね、水域、期間等がきわめて厳しい、したがって、われらはイワシサバがとれないのであるという主張をいたしておるわけでございますが、当方としては、いや、それはソ連漁獲努力が足りないからであるということで反論をいたしておるわけでございます。恐らくソ連は次の交渉においてはこの辺の点を相当勉強して取りかかってくるというふうに思っておらなければいけない問題であろうと思います。  したがいまして、日ソ関係は安定化の方向をたどりつつあることは確かでございますけれども、完全にこれで枠組みが安定したというふうに考えることは危険を伴うのではないかと私は考えておるわけでございます。
  36. 岡田利春

    岡田(利)委員 今次交渉の中でもソ連側は主要魚種であるマイワシ及びサバについては漁場の拡大等についても要請された、こう交渉の過程では言われておるわけであります。そこで、ソ連側がいわば主要魚種に指定をしているマイワシ及びサバわが国は当初これを分離して数量を提案いたしたわけですが、最終的には一括昨年同様の量で協定をするということに落ちついたようであります。  このマイワシの資源状況を一体わが国はどのように認識をしておるのだろうか、確かにマイワシは生産がずっと上がってきたわけです。多獲性魚種でありますから、ある一定の放物線を描くというのが普通学者間における通説であります。最近のわが国マイワシの生産状況を見ても今日いわばピーク時を過ぎて下降ぎみの段階に入っている、こう見なければならないのではないか、また、こう見るのが常識ではないかと私は思うわけです。そうしますと、このマイワシの資源状況で下降線が進んでいけば、ソ連のいわば主要魚種であるマイワシの量についてなかなか期待ができないということが毎年毎年強まっていくのではないか、こう私は資源論的に考えておるのであります。  そういう意味で、確かに相手方はマイワシサバが主要魚種でありますから、資源状況いかんによっては日ソ漁業漁獲の内容についても変わうていかざるを得ない、こう言わざるを得ないのでありますけれども、この点についてはいかがですか。
  37. 今村宣夫

    今村説明員 交渉の過程では、ソ連はスケトウダラは危機的状況に瀕しておる、こういう主張をいたしますし、当方といたしましては、マイワシサバの資源状況は楽観を許さない、特にサバについてはそうであるという相互の主張をいたすわけでございますが、マイワシにつきまして私たちが現在理解をいたしておる資源の状況につきましては、結論的に申し上げますと、ここ二、三年は従来程度の水準を維持するというふうに考えておるわけでございます。サバにつきましてはいろいろな条件がございますが、なかなかイワシと同様の資源状況であるというふうには考えておりませんけれども、当分の間は現状程度の比較的高い水準を続けていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、両魚種を合わせて総合的に判断いたしますと、最近年の漁獲量水準は資源の再生産にそれほど悪い影響を与えるものではないのではないかというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  38. 岡田利春

    岡田(利)委員 ソ連側は今回の交渉で等量主義を持ち出さなかった、先ほど説明があったわけであります。しかし、ソ連側としては六十五万トン、七十五万トンの関係は、ある非公式な面での説明等を仄聞いたしますと、これはやはり等量主義の原則を貫いて、だがしかしソ連日本はきわめて隣接地域にあって、特に日本の零細漁民はその漁場を必要としている、したがって六十五万トン、七十五万トンの差の十万トンはそういう面についての配慮であるということも耳に入ってくるのであります力したがって、当初ソ連が主張している等量主義の原則というものは、国際的なソ連漁業交渉の内容等を見ても、原則としてはやはり等量主義という立場に立っておるのではないか、こう言わざるを得ないのでありますけれども、この点の認識はいかがですか。
  39. 今村宣夫

    今村説明員 五十二年の日ソ、ソ日交渉においては、ソ連は等量主義を非常に主張したわけでございますが、昨年及び今年につきましては等量主義ということを、特にことしについては余り言っておりません。言っていないから等量主義を放棄したのだというふうに理解をしていいとは私は思っておりません。  しかしながら、まあ要するに自己の関心の強い魚種をどうするかというところが交渉のポイントでございますから、そういう意味におきまして日本としましてはスケトウでありツブでありカニであるというところでありますし、ソ連としましてはイワシサバだということでございます。そういう意味合いにおきまして実質的な内容を目指し始めたということは確かに言えることであると思います。  したがいまして、等量主義が影が薄くなったということではないかと思いますが、今後のソ連の出方につきましては、先ほど申し上げましたような問題もございますから、どういうふうな論理の展開をするかにつきましては、これは必ずしもわかりませんけれども、ただ身動きが非常につきにくくなっておるということは確かでございます。私もクドリャフツェフに申し上げたのでございますが、昨年あれだけ交渉をやって、昨年から今年の状況の変化を考えれば、ほとんど状況の変化はないということを踏まえて考えると、お互いに身動きをする余地はないのではないかということを言ったわけでございます。  そういうことの観点からいきますと、日本イワシサバクォータを分離するということもなかなかむずかしゅうございますし、そうかといってソビエトの言う水域の開放ということもこれはなかなかできる話ではございません。したがいまして、結論的には昨年と同様ということに落ちついたわけでございまして、今後とも恐らくソ連は資源の自分にとっての有利なる活用ということに重点を置いてくると思いますので、そういう意味においては、従来のようにただ単に形式的な等量主義ということの主張はそれほど強いものではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  40. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど川田議員の質問に対して、特に日ソ、ソ日の漁獲の遂行率について説明があったわけであります。  率直にお尋ねしますけれども日ソ、ソ日の協定している漁場の中で、魚種によって空漁場というものが双方に存在しているのかどうか、空漁場でないとしても採算がとれなくて結果的に空漁場と同じであるという魚種が存在しているかどうかという点について承りたいのが第一点。  第二点は、双方の協定している出漁隻数、協定の隻数が完全に操業しているのかどうか、操業していないとすれば、日本側ソ連側どの程度協定隻数と実績数値が違うのか、この点を御説明願いたいと思うのです。
  41. 今村宣夫

    今村説明員 日ソ双方にとりましてそれぞれの水域において漁獲量を達成していない魚種は、日本にもございますしソビエトにもございます。日本で言いますればカレイでありますとかメヌケでありますとかマダラとかいうふうなものは相当にとり残しておるという状況でございますが、一方ソ連の方におきましてもスケトウダラ、イトヒキダラ、サンマ、イカナゴというふうなものはほとんど漁獲をしていないという状況にございます。  操業の状況でございますが、ソビエトは隻数全部が来ておるという状況ではございません。そういう実態も踏まえて、ソビエトは今度隻数を自主的に切るというふうなかっこうに相なっておるわけでございます。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから、まあいいでしょう。  そこで、四年目の暫定協定になったわけであります。一年間協定であります。これが長期協定化はわが国の切望であって、常にいままでも長期協定化を要望してきたわけですが、今回も暫定協定になりました。これを長期協定化するための国際的な環境は、どういう環境が成立した場合に日ソ、ソ日間のいわば漁業協定は長期協定化できると判断されておりますか。この判断について承りたいと思います。
  43. 武藤利昭

    ○武藤説明員 今回の交渉におきましても、従来同様日本側といたしましてはその協定の長期化ということを強硬に主張いたしまして、法律専門家グループにおきましても、数回の会合におきまして日本側はその主張をいたしました。私とクドリャフツェフ団長との間でもひざ詰め談判をしたわけでございますが、残念ながらことしはソ連側の壁を突き崩すことができなかったというのが現状でございます。  その間先方がるる申しておりましたことは、この日ソ、ソ日漁業協定の基礎となっているソ連側これは暫定措置である、したがって日ソ協定も暫定的なものでなければならないということ、そしてそれはまだ国連の海洋法会議の結論が出ていないからであるということを申しておりまして、その話の節々から、海洋法会議の方の結論が出れば、ソ連側としても、ソ連側の法律の仕組みもまた変わるであろうし、日ソ漁業協定についても長期化の可能性があるようなことをほのめかしてはいるわけでございますが、その程度でございまして、確たる見通しを申し上げることは困難でございますけれども、少なくとも先方がそういうことで、海洋法会議がまだできていない、そしてソ連の国内法がまだ暫定的なものであるということを理由にしておりますことは、そのような状況が変わればまたこの協定も長期化への道が開けるものと私どもといたしましては判断いたしております。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 農林大臣が退席されるようでありますから、一問だけ承っておきたいと思うのです。  わが国漁業に関して、内外状況というものはいま非常に大きく変化をしてまいったわけです。私はそういう意味で、特に国内漁業関係を考えても、今日の漁業法は施行されてもう三十年経過をいたしておるわけです。しかし、現行漁業法ではどうも不十分な内容がずいぶん目立ってきている。  一々例を挙げてもいいのでありますけれども、たとえば定置網の問題をとらまえてもそうですし、あるいはサケは索餌魚種ではない、こう言うけれども、実際問題つることができる、こういう現象も最近岩手沖に出てまいりましたし、あるいはまたイカについても、つるのではなくしてこれは流し網でとる、こういう新しい漁法も開発されてきておるわけであります。それ以外もずいぶんありますけれども、そういう意味ではもうそろそろこの辺でわが国漁業法の再検討をする必要が.あるのではないか。  特にまた漁業も省エネルギー時代に入っているわけです。単にこれは船舶の、漁船のエネルギーの消費を下げるというだけではなくして、漁法自体において省エネルギー的な漁法で対応する、こういう必要性も今日私は出てまいったと思うのですね。そういう意味では、私はこの見直しは必要であるという認識をいたしておるわけです。  まして海洋法会議進捗状況も、私なりで判断しますと、早ければ来年の十一月ごろには条約草案が合意に達するのではないでしょうか、多少問題はまだ残っておりますけれども。そうしますと、その先を見越したいわゆる新しい経済水域が予想されるのでありますから、そういう点も展望した漁業法の見直しが必要である、こう思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  45. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 日本水産業をめぐる情勢認識につきましては、ただいま岡田委員御指摘のとおり私も認識をいたしておるわけでございます。だからといって、すぐ漁業法を改正する必要があるかどうかということについては、農林水産省といたしましても昨年の五月から水産問題研究会というものを設置をいたしまして、そこを中心にいたしましてあらゆる角度かちの検討を進めておる次第でございます。この研究会の結論が出、しかもどうしても実施した方がいいという合意ができれば、これはもうぜひとも改正という考え方を持たなければいかぬな、こう思っておりまするが、現在のところは水産問題研究会の検討を待っておる、こういうところでございます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 あと二問ほど御質問したいと思うのですが、これは日ソ関係と離れますけれども、先般佐竹漁業振興部長が北海道漁業関係者を集めていろいろ懇談をいたしたわけです。この席上において、日韓の漁業協定は三年後に期限切れが来るわけでありますが、しかし三年後に期限切れが来ても、日韓の漁業協定あるいはまた今次結ばれた日韓の漁業の合意の内容についてはこのまま延長されるということを説明をし、ずいぶん北海道の業界内では問題が出てきておるわけであります。  私は、三年後の状況は、この間国際漁業環境というものはさらに変わってくると思います。あるいは海洋条約がもし成立すれば、今度は新しい経済水域として二国間で協定をしなければならないという新しい事態もすでに予定されておるわけでありますから、こういう認識は基本的に誤っていると私は思うのであります。これは政府方針なのかどうなのか、この際明確にしていただきたいと思うのです。
  47. 今村宣夫

    今村説明員 私は、日韓漁業協定といいますか、今回の取り決めの過程でも北海道に申し上げたわけでございますが、二百海里は現在世界の天下の大道でございますから、日韓の間でも二百海里を引ければこれにこしたことはない、こういうふうに思いますが、現在の状態で日韓漁業協定をやめまして二百海里が引けるかどうかということについては、きわめて困難な状況にあるということは御高承のとおりであります。したがいまして、三年間の暫定的な取り決めということでああいう対処をいたしたわけでございます。  したがいまして、三年間の期間に日韓の間で二百海里が引けるような状態になれば、私は二百海里が引ければ引けばいいと思いますが、三年の間にそういう状況が来るかどうかということの見通しにつきましては、これは現段階では見通すことができないわけでございまして、そういう状況を三年の後のその時点でどう判断するかという問題でありまして、二百海里を引かないであれがずっと生きていくというふうにも思っておりませんし、また二百海里を引き得るような状況になれば、当然あの取り決めはやめるべき問題であるというふうに考えております。  このことは、私が向こうの水産庁長あるいはまた外務部の局長と話しましたときにも、この日韓の話し合いのベースは現在の日韓間の状況をベースにしておるものであって、この基本的な基礎が変更されるような場合にあっては、当然この取り決めも効力を失うものであるということを、これは外交上の一つの事情変更の原則に基づくものであるという話はいたしておるところでございます。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 外務大臣、日韓の関係で陰の声として出てくるのは、やはり竹島問題なんです。竹島は今日わが国では実効支配をしていないのであります。北方領土とまさしく同じであります。日中間における尖閣列島は、わが国が実効支配をしておるのであります。島一つの問題でありますけれども、これは半径二百海里がつくのでありますから、今日の国際関係では非常に重要な課題であります。ずいぶん北方領土の問題については最近政府は熱心であるけれども、韓国に対する竹島問題の解決については不熱心と言わざるを得ないと思うのです。しかも、やはり今日の日韓の漁業関係の中にもこの問題が根っことして、岩盤として一つ横たわっている、これを見逃すことはできないと思うのですね。だから、非常に政府の対韓の漁業関係交渉については腰が定まっていない。だから、今回の取り決めについても私は承服ができないのであります。  いわば、この問題について、日韓でしかも経済協力をし、最も友好関係にあるというわが国が、具体的に国民がわかるような問題解決についての努力、姿勢が見られない、こう言わざるを得ないのでありますけれども、この点について大臣のお考え方をひとつお聞きしたいということが第一点であります。  もう一つは、ちょっと問題が離れますけれども、時間がありませんから続いて申し上げますが、昨年の十月十九日に、台風二十号で韓国のイカ流し網漁船が四杯、実は遭難いたしておるわけです。一杯は行方不明であります。三隻は釧路沿岸に座礁いたして、しかも六十七名の人が死んでおるわけであります。この座礁船は一年たってもそのままで、西港の建設についても事業を変更しなければならない事態が発生をいたしておりますし、また航路についても非常に支障があるという問題があります。あるいはシシャモの漁業についても、この座礁船があるために非常に不便を感ずる、こういう問題が依然として一年たっても日韓の間で解決できないのであります。  これは、そのめどがあるのか、一体どういう解決努力を払っているのか、この点も、前の問題、大きな問題と小さな問題、二つ一遍の質問で恐縮でありますけれども、御答弁願いたいと思います。
  49. 伊東正義

    伊東国務大臣 私から答弁しまして、補足的に局長から答弁しますからあしからず……。  竹島問題、先生おっしゃったように、韓国との間に紛争の問題として残っておることは確かでございます。この問題につきましては、平和的に話し合いをして解決するということの両方の交換公文があるわけでございますが、その後平和的な話し合いの解決ということが実現しておらぬ。毎年日本からはあの周辺漁業問題等をめぐって抗議をしていることは確かでございますが、両国の間でまだ平和的に話し合いがつかぬということにつきましては、はなはだ私どもも遺憾なことだというふうに思っております。  北方の領土の問題、尖閣列島の問題、それと竹島の問題ということがいろいろ議論になりました。尖閣列島の問題は、日本が確かに事実上支配をしているということでございますが、北方領土と竹島はそういうことになっておらぬ。平和的に話し合いをするというだけの交換公文はあるわけでございますが、それが実現してないということははなはだ遺憾だというふうに思っております。
  50. 木内昭胤

    ○木内説明員 先ほど御指摘の沈没船につきましては、これが依然として未解決であるということにつきまして非常に遺憾に思っておりますが、基本的には釧路の市と韓国側船主との間のお話し合いと存じております。しかし、それだけでは問題が解決いたさないわけでございまして、私どもとしましては、韓国側当局者に鋭意この問題の早期解決について引き続き働きかけております。  聞くところによりますと、ごく最近の情報でございますが、若干進展がございまして、従来の韓国側の韓国零細漁船船主に対する融資措置というようなことだけでは事柄が進みませんので、もっと積極的に資金的に韓国側において負担をするという動きが出てきております。この点につきましては市当局と韓国側とさらに詰めていただく段階ではないか、かように心得ておる次第でございます。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
  51. 伊東正義

    伊東国務大臣 岡田委員にちょっと申し上げますが、先ほど領土の問題で御質問がありまして、尖閣の問題は事実上支配をしておりますし、もともとこれは日本の領土だということがはっきりしておりますので、その点補足して御説明申し上げます。
  52. 青木正久

  53. 土井たか子

    ○土井委員 あと五分くらいしか時間ございませんから、大変恐縮なんですが、私はまとめて質問を申し上げますので、大臣の方から率直な御見解をひとつ承ることにさせていただきたいと思います。  今回の日ソ、ソ日の暫定漁業協定交渉というのは、昨年に比較いたしますと大変違いまして、非常に短期間で交渉がまとまったということでございます。これはいいことであるというふうに考えなきゃいけないと思うのですが、これにはいろいろな理由があると思われます。たとえばアフガン問題以降、対ソ非難が非常に多い国際情勢の中で、ソビエトソビエトとして日本との友好関係というものに非常に配慮をされたということがその背後関係にあるのではないかというふうなことも、一部で取りざたされているわけであります。  きょうは、ニュースでももう先刻われわれは存じているところでありますけれども一般の国民が内容に対して非常に大なる関心を持っております予算の内示の日でございます。今回の予算の中で、増税と、もう一つは、アメリカ側からのいろいろな注文によって、防衛費の増額というものがなされている。これが一つは予算の内示の目玉になっているという認識が一般国民の間にもあるわけでございます。私たちの立場からいたしましても、実は内示のございます前に、その点十分なる論議をすることが本旨ではございますけれども、本日は残念ながら条約の審議でございますから、こういうことに対する質疑はいたしません。  ただし、大臣、防衛費を増額するだけでは対ソ関係というものは改善されない。これは言うまでもない話でありまして、むしろ対ソ外交というものは、片やわが国から考えてまいりましたら、いまほど重要なときはないということが考えられなければならないと思います。  時あたかも大臣は非常に御苦労されまして、中国からヨーロッパに足を運ばれました。ソビエトのポーランド介入が起こり得るかもしれないというふうなニュースが報じられている中で、そのようなことになれば、デタントが根底から覆されることは言うまでもございません。ヨーロッパがこれに対してどういうふうな考え方で対処を進めようとしているかということは、外務大臣とされては先刻はだで感じていろいろおくみ取りの上御帰国になったと思うので、そういうことについての会談の中身で一体どういう感触をお持ちになり、そして、もしソ連のポーランド介入という事態が起こるというふうなことがありとするならば、また、西欧諸国はそれをそう見ているのかどうかというふうなことを前提に、外交的、政治的、経済的制裁措置というのを、この西欧諸国はどのようにとろうとしているというふうに、大臣としては察知をなすっているか、日本がそれに対して協力できるのかどうか、そういう点を一つお尋ねをしたいと思うのです。  もうあと一つは、最近これも大きな問題として取り上げられている、国際情勢の中での関心事でございますが、インドを訪問されましたブレジネフ・ソ連書記長が、御案内のとおり、ペルシャ湾岸地域の安全保障のための、内容は五項目から成る不介入条約を、日本を含めまして西欧諸国、米国、中国に提唱されているようであります。アフガンに軍事介入をしたという前歴がございますし、ポーランドに対してもそういうことがいま一部で憂慮されつつあるような状況でございますために、この不介入条約を提唱すること自身がどういう意味を持つのかというのは大変問題になってくるだろうと思うのですが、外務大臣とされては、ソ連提案の不介入条約をどう評価していらっしゃるか。わが国とすれば、もしこういうことに対しての提唱を受けるということであれば、これに対してどういうふうな対応をお考えになっていらっしゃるか、この辺をあらましお聞かせいただきたいと思います。  最後に、もうすでに中国を初めとしてヨーロッパ諸国にも足を運ばれ、精力的に、年が明ければアメリカというふうに、大臣の外に向かわれる日程というのがどんどん進められていっておるわけでございますけれども、非常に御苦労されているその中で、大臣ソビエトに対して、訪ソという日程が具体化されているようにわれわれはいまだ聞き知っておりません。大臣とされてはこのことに対しての御予定がおありになるのかどうか、来年の日程の中にはこの問題も含めてお考えになっていらっしゃるのであるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。  以上、四点にわたると思いますが、お考えをお聞かせいただいて、私の質問にしたいと思います。ありがとうございました。
  54. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  順序は少し変わるかもしれませんが、その点はあしからず……。  ヨーロッパに参りましての感じでございますが、デタントとか軍縮ということにつきまして、ヨーロッパの人々は本当に生活そのものにそれが入っているという感じを強く持ったのでございます。  それで、ヨーロッパの首脳の考え方は、何とかしてソ連がポーランドに軍事介入することを避けたい、そういう事態が起こらぬようにしたい、それには、ポーランドの国内が食糧に困っているということであれば食糧の援助をしようとか、あるいは警告を発して、そういうことになるとひどいことになるということで、ポーランドの中の人にもよく認識してもらうのだとかいうことで、何とか軍事介入がないようにしようということに非常に熱心だという感じに受け取りました。  もし万一軍事介入があればという前提でございますが、それは実はNATOの外相会議でも相談をしたのでございますが、具体的な措置はそのときは何も決まっていない。具体的な措置についてはNATO駐在の各国の大使で詰めておく、もし介入があればNATOの外相が集まってすぐにそれを議題にして相談するということをしようといような話し合いができたということを聞いたのでございます。  それで、この具体的な措置につきましては、ヨーロッパの首脳に私会っていろいろ聞いたのでございますが、具体的にこうだということを言った首脳はなかったのです。ただ、事前に日本とも十分に相談をしたいということは、ほとんどの首脳が言ったのでございます。  たまたまアメリカの国務長官が来ておりまして、会いたいということで会ったのでございますが、私は国務長官に、決まっても日本としてできることとできないことがある、だから事前によく相談をしてもらいたい、連絡してもらいたいということを言ったわけでございまして、いまのところ具体的措置については何も決まっていない、なるべく介入がないようにヨーロッパとしても努力をする、措置をするような場合には事前に日本へも十分連絡をするということでございました。  それから、対ソの問題で、防衛費の増強だけで問題は解決しないのだとおっしゃった、私も、それはそのとおりだと思います。これは総合安全保障ということを考えれば、石油の問題もございます、食糧の問題もございますし、あるいは開発援助のこともございますし、総合的に物を考えなければいかぬということでございますので、その点は先生と考え方は一緒でございます。  それで来年の外交日程に訪ソを考えているかということでございますが、いま決まっておりますのは、来年の一月、総理にお伴してASEANに参ります。これは決まっております。その後できるだけ早く、アメリカの新政権ができれば、日本側の考え方を理解してもらうようにアメリカへ行って関係者に会うということをしたいという希望は持っております。日程は決まっておりません。ソ連との関係で訪ソの問題は、これはいまのところまだそこまで考えるということには至っておりません。  それからブレジネフ書記長のああいうインドの議会においての演説でございますが、これはいろいろなことが推察されるのでございますが、西側は、ヨーロッパを歩きましても、実はどこの国でもあれをまじめに取り上げて議論をするということにはしておりません。  恐らく私は、ああいう演説をされたということは、アフガンや何かへ入っておるわけでございますので、アフガンとかあるいは、ポーランドはまだ介入はございませんが、アフガンとかポーランドに対する世間の目をそらそうということもあるいはあるかもしらぬ。あるいはアフガンに入ったことは第三世界に対する介入でございますので、第三国ソ連に対するイメージが非常に悪いわけでございますから、それに対するイメージアップを考えたかもしれませんし、あるいは国際的な孤立というようなことじゃないのだ、インドにおいて、非同盟の国へ行って、ああいう話をするということは、非同盟と協調するのだというようなことを示されたのじゃないかと思いますが、中国が入っておりましたり、いろいろな関係国が入っておるということから見まして、まだあれはわれわれ何も連絡がございませんし、真剣に取り上げる問題としてはそこまでは至ってないというふうに私どもは考えております。  それから条約が早くできましたのはまことに結構でございますが、私はその背後に先生がおっしゃったようなことがあるかないかはちょっとわかりませんが、日ソ関係漁業というものはもう実務的になってきているのだ。大体数量も一発回答で決まっておりますし、枠組みができている。あるいは交渉相手が変わったということもございますが、そういうことで、実務的に早くという空気になっているのじゃなかろうか。日本ソ連に対して対ソ経済措置をとっているから、そのためにそれを宥和するためにああいうことをやったのじゃないかということは、私どもは考えておらぬということでございます。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  56. 青木正久

    青木委員長代理 斎藤実君。
  57. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私は、日ソ、ソ日漁業協定延長議定書に関連いたしまして、外務大臣お尋ねいたしたいと思います。  先ほど日ソ関係について、外務大臣から、大変冷え切っている、アフガン問題その他四島に軍事基地をソ連が設定をしているということについて御答弁がございました。外務大臣根室へ行かれて現地の声を十分お聞きになって、また国連でも北方領土返還について演説をされた、私は高く評価をしているわけです。私はこの四島返還問題、国会でも何遍も議決されましたし、国内的にも大変世論が盛り上がってまいりました。千八百万人の署名もこの間は提示をされましたし、日本の外交の中で日ソ関係がきわめて大きな政治課題であるということは大臣も認識をされていると思います。  それでこの領土問題につきまして、もう何遍も何遍も論議されましたが、わが国は固有の領土だ、ソ連解決済みだ、これは一貫して並行線をたどっておるわけです。確かに返還運動については返還要求の環境づくりあるいは国論の統一というものが必要だろう、あるいは粘り強い国際環境の環境づくりということも大事でしょう。しかし私は、ここで政府は、この四島領土問題の手詰まり状態を一体具体的にどう打開するという気持ちを持っていらっしゃるのか。長期的にはこうする、短期的にはこうする、あるいは中期的にはこうするという政府の国民に対する具体的な方針と構想というものをまず打ち出して、それで国民の支持を得るということが私は大事だろうと思うのですが、大臣、いかがですか。
  58. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  この問題は、私は、領土問題という性質上、やはりちゃんとした国論に基づいて、それを息長くあらゆる場合に主張して、たとえば、これはソ連でございますが、ソ連に、領土問題を解決するということが日ソ間の本当に平和友好のもとになるのだということをやはりわかってもらうように、あらゆる機会に主張していくという性質のものだろうというふうに考えるわけでございます。そういう意味で、この間国連でも、世界の世論にもひとつ訴えよう、こういう問題があるのだということを世界の人にも知ってもらうということも一つの方法だということで、私は演説をしたわけでございます。  ただ、そう言っているということによって地元の人が、先ほど話が出ましたように非常に苦しい立場に立つのだということでは、これはいかぬわけでございますので、私は、この間根室に参りましてそういう意見も聞いて、これはやはり北方領土に隣接する地域の、特に漁業者、またそれによって生活をする人々もあるわけでございますので、そういう人たちに対しましては、片方で国民の総意として主張するからには、地元の人の迷惑あるいは精神的な挫折感といいますか、あるいは経済的な収入の減というようなことにつきまして、国として、やはり全国民として考えるということが必要だということを総理にも申し上げまして、あの地域の振興政策をやろう、両方合わせましてひとつ息長くこれは主張して、何らかの機会を何とかしてつかみたいというのがわれわれの考え方でございます。  実現していないことははなはだ申しわけないのでございますが、私は、世界のいろいろな情勢も関係しましょうし、これはいろいろ複雑な問題がございますが、最後は日ソ間で決める問題でございますので、知恵をしぼって取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  59. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣、いま根室地域の振興について答弁されましたが、この北方領土隣接地域の安定振興対策各省連絡会議の設置が行われましたね。このことについては、現地の根室周辺の町村あるいは北海道の道民は非常に期待をしているわけですが、これは予算措置につきまして一体どういう具体的な予算を考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  60. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答えしますが、これは外務省の予算ということじゃなくて、たとえば水産庁の予算でございますとかあるいは農業関係の予算でございますとか、あるいは建設省とか運輸省とか、それこそ各省で考えなければならぬ問題でございますので、それでそういう連絡の会をつくったということでございます。  地元からも実はいろいろな要求が出ております。五十五年度の実績に比較しまして、いろいろなアイテムについてどのぐらい増してもらいたいというような要望ももらっておるわけでございますが、これは今度の、きょうから内示のあります予算でございますので、その中でいろいろ各省が考えられることでございますので、私どもの方からいまこういう予算ということを具体的には申し上げかねますが、地元からの要望が出ておりますので、そういうものにつきまして、ひとついままでよりも少しでも充実したものをという考えでおるわけでございます。
  61. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣根室地域の振興について非常に熱意を持っていらっしゃいますので、私は敬意を表するわけですが、えてして会議をつくりっぱなしで実効が上がらないという例がよく見受けられるわけでありますので、どうかひとつ大臣、本腰を入れて、もう名目的な形式的な会議ではなくて、本当に領土問題に真剣に取り組んでいくんだという姿勢をひとつこの際示していただきたい、要望申し上げるわけでございます。  さて、北方領土の日の設定について各方面から強い要望があるわけでございますが、大臣、この北方領土の日の設定についてどうお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  62. 伊東正義

    伊東国務大臣 この問題は、総務長官が主管でいろいろ検討をされております。私も相談を受けまして、賛意を表しておきました。何日がどうなるかということは、いまここではわかりませんが、そういうことを決めて北方領土というものについて国民の関心を新たにするということは私は賛成ということを申し上げました。
  63. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ソ連のコスイギン前首相が十八日に死去をしたというふうに伝えられているわけでございます。コスイギン氏は久しく首相の地位にありまして、わが国においてもなじみが深い方でございますが、私は、コスイギン首相が死去されたということについて、日ソ関係に影響があるのかないのか、その辺の判断をお聞きしたい。  もう一点は、日ソ関係の重要性にかんがみまして、伊東外務大臣が葬儀に出席をする気持ちがあるのかどうか、お尋ねをしたい。
  64. 伊東正義

    伊東国務大臣 前首相のコスイギンさんが亡くなったのでございますが、これは現職の総理でもございませんし、これによって日ソ関係に特に影響があるというふうに私は考えておりません。何もそういう影響はないのじゃないかと思っております。  葬儀参加の件ですが、実は大平総理が亡くなった合同葬儀のときにポリャンスキー大使が参列をされたわけでございます。そういうことも頭に置きまして、いまだれがということは、いつ葬儀とかいうこともまだ決まっておりませんので、現地の大使に連絡して、各国の様子もあり、あのときは特派大使が来なくて、ポリャンスキー大使が参列されたということも頭に置いて参列を考えるようにということを、いま向こうに連絡しております。
  65. 斎藤実

    斎藤(実)委員 目下来日中のソ連の消費者協同組合中央会のスミルノフ会長と全国農業協同組合中央会の藤田会長及び日本生活協同組合連合会の中村会長との間で長期協定が結ばれたというふうに報道されているわけですが、この協定は、冷え切った日ソ関係の修復の一助になると思うわけでございますが、この日ソ友好関係にどういう影響を与えるか、お尋ねしたい。
  66. 伊東正義

    伊東国務大臣 われわれは新聞で見るだけで、具体的に公式な連絡とかそういうものはない現在でございますので、これについていろいろどういう評価をするかということは別でございますが、公的なものは何も関与していない、民間の団体がいろいろおやりになるということでございまして、私は、それなりにおやりになることは、それをおやめなさいとかそんなことを申すつもりはないわけでございます。
  67. 斎藤実

    斎藤(実)委員 外務大臣、中国から北海道に領事館を設定したいという申し入れがあったというふうに承知をいたしておりますが、その後の経過はどうなっておりますか。
  68. 伊東正義

    伊東国務大臣 中国の領事館は札幌にもうできております。
  69. 斎藤実

    斎藤(実)委員 コンブの採取に関する民間取り決めは締結されていないわけでございますが、これはどういう理由締結されないのか、明年以降のコンブに対する見通しを伺いたいと思います。
  70. 伊東正義

    伊東国務大臣 貝殻島周辺のコンブ漁につきましては、亡くなりました高碕さんが大水の会長時代に民間協定でずっとおやりになったわけでございますが、あれはたしか二百海里の問題が起きたときを契機にして中止になった。その後、大水じゃなくて、北海道水産会が窓口になりまして民間のということで交渉しておるのででざいますが、向こうから出てきている条件が、領土問題とか、それに関連した裁判管轄権とかそういうことがないようになっておりまして、領土問題と直接関係するものですから、なかなかそういう民間協定も簡単にはできないよということで、北海道水産会もそういう案はのむわけにいかぬというので、ことしもたしか三回ぐらい交渉されたのでございますが、来年もまた交渉することを約束してことしは終わったわけでございます。  そういう基本的な問題が新しく出てきたということで、非常に難航をしているというのが現状でございます。何とか早く民間の話し合いで貝殻島周辺のコンブ漁ができるようになることを期待していますが、そういう新しいむずかしい問題が中に入ってきたというのが現状でございます。
  71. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次が北方水域韓国漁船操業の問題についてでございますが、これは長年北海道漁民が被害を受けて困っておった問題でございますが、この韓国漁船の操業の解決について具体的にどういう措置をとられたのか、伺いたいと思います。
  72. 伊東正義

    伊東国務大臣 水産庁長官がこれは最も熱心にやりましたので、水産庁長官からいま答弁させてもらいます。
  73. 今村宣夫

    今村説明員 日韓漁業関係のうち特に北海道沖の韓国船の操業問題は、ここ数年の非常に大きな問題であったわけでございまして、今般、韓国との間で話し合いが決まりまして一応の決着を見たわけでございますが、一つの点は韓国の操業水域の取り決めでございます。この北海道のオッタートロールのラインから外へ出ていけということが日本の主張であったわけでございますが、韓国として日本のオッタートロールのライン全部から出ていくということはできないということで、話し合いの結果、主要漁場につきまして、主要期間、韓国船がそこで操業しないという取り決めをいたしたわけでございます。  それから、同時に、韓国の操業隻数をどうするかという問題でございますが、韓国も最初は二十五隻ぐらい来ておったわけでございますけれども、だんだん減しまして、現在常時操業十九隻ぐらいになっておりますが、これを今後十七隻にする、しかも千トン以上の船はないようにするということにいたしたわけでございます。  北海道につきましてそういう規制を設けるとうらはらの関係としまして、日本は済州島周辺の一定地域につきまして以西底びきについて自主的に規制をする、こういうふうな取り扱いとしまして、政府間の書簡で本問題の処理をいたしたわけでございます。     〔青木委員長代理退席、川田委員長代理     着席〕
  74. 斎藤実

    斎藤(実)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。
  75. 川田正則

    川田委員長代理 林保夫君。
  76. 林保夫

    ○林(保)委員 本日、審議になっております日ソ、ソ日漁業協定交渉が非常に円滑にいったことは、国民的な立場からも大変うれしいことだ、このように思います。しかし、なお今日の国際情勢、さらにはソ連政府日本政府の姿勢からいって、来年果たして同じような円滑な妥結ができるかどうか、どうも保証がないように思われてなりません。そういった視点で二つの点について率直に御意見を聞いておきたいと思います。  水産庁長官にお伺いいたしたいのは、水産庁も御指導なさっておりますところの例の民間ベースによる日ソ漁業の共同事業、私どもから見まして、大変高い協力金を払ってソ連船の捕獲物を高値で買い取るなど不利な条件でやっておる、このように考えられるのでございますが、その実態はどうなっておるか、まずこの点の御意見を聞きたいと思うのです。
  77. 今村宣夫

    今村説明員 民間ベースの共同事業でございますが、これは民間ソビエトとのお話し合いによりまして、政府協定とは別に、ソ連水域内に入漁いたしまして漁業を行う、同時にこれについて入漁料と申しますか、そういう金を支払うということでございます。  これにつきまして従来は相当無秩序に行われておったわけでございますけれども、昨年、こういうふうな無秩序なソ連への接触ということは決して国益に即さないということから、私どもといたしましては、一つは、ソ連交渉をします場合には水産庁長官のオーケーをもらってからやってもらいたい。それから、同時に、いろいろ問題がありますひれ魚類につきましては共同事業について申し入れをやらないようにしてもらいたいという二つの線をルールといたしまして、そういう原則に従って交渉をし、一定数量の共同事業が行われたわけでございますが、御高承のとおり、その経営採算は必ずしもいい状況ではございません。  今後の共同事業をどういうふうに取り扱うかにつきましては、なお私どもとしましても十分考えたいと思いますが、日本から無秩序に共同事業の申し入れをすることは、結局ソ連に足元を見られまして高い入漁料その他を取られるということでございますから、この辺のところは非常に秩序を持って当方として接触していく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  78. 林保夫

    ○林(保)委員 民間の皆さんはみずからの採算、しかしなおこれが軒並み採算割れであるという実態でございますが、せっぱ詰まってやっているだろうと考えられます。水産庁としては一体どういう方針でこれを指導しておられるのか、基本原則があればひとつこの機会に明示していただけたらありがたいと思います。
  79. 今村宣夫

    今村説明員 共同事業についての基本的な考え方でございますが、一つは、共同事業が、日ソ両国間の政府協定によりますソ連の二百海里の水域内のわが国漁船の操業実績の維持に悪影響を及ぼさないものでないといけない。  第二は、共同事業が、各国の二百海里水域の設定等によりまして影響を受けておる漁業者の経営の改善に役立つような内容でなければならない。  それから共同事業の内容が公正であり、かつ日本側に不当な負担を課するものではない。  それから関係漁業者において十分な意見調整が行われておること、ということを基本的な考え方として対処いたしておるところでございます。
  80. 林保夫

    ○林(保)委員 その原則に照らしまして、今日は一体どういう状況にあるのでございましょうかという点が一点と、それからもう一つの点では、ソ連以外の国に払う入漁料ソ連との入漁料の決め方によって大きく影響しておる、このように理解しておりますが、その点はいかがでしょうか、水産庁長官の御意見を承りたいと思います。
  81. 今村宣夫

    今村説明員 現段階において見ますれば、私は、今年度の共同事業につきましては、この基本的な考え方に即しておるものというふうに考えております。  それから、ソビエトとの共同事業の話し合いによりまして非常に高い入漁料を支払っておることがほかの各国にはね返って、各国の入漁料が非常にそれによって高くなっておるということは、いまのところないというふうに理解をいたしております。
  82. 林保夫

    ○林(保)委員 これから始まるのでございましょうが、一層強い御指導をお願いすることといたしまして、第二の点に移りたいと思います。  言うまでもなく、ソ連との関係は、昨年のアフガニスタンの情勢、それと逆に日本からの経済制裁と同時にオリンピックの不参加の問題、私も実は先月あちらへ参ってきたわけでございますが、大変厳しい情勢になっておると思います。それに加えてポーランドの情勢、大臣御苦労ですが西欧地区をお回りになって、はだで感じてきておられる、このように考えます。そういった点で、先ほど来も出ておりましたが、実務的な今回の漁業交渉の結果は、日ソ外交の上でプラスだと私は思います。  しかし、これをそのまま延長できるものかどうか、まずこのあたりから御見解を伺っておきたいと思います。つまり、例外であるかどうか、こういうことでございます。
  83. 伊東正義

    伊東国務大臣 こういう協定が早くできたということは、私は望ましいことだと思うのです。決してこれはマイナスになるなんていうことは私はないと思うわけでございますが、来年以降どういうふうにこれが進むのか、あるいは長期協定ができるような事態になるのか、その辺のところは、いまの時点で、ことしこうだったから来年はこうだというような予測をすることは、まだ時期としてはそういう予測はできないというふうに私は思っております。
  84. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで、今回五カ国を訪問されましたが、その際ソ連の軍事介入に対する制裁措置を西欧諸国と協議しなければならぬほどポーランド情勢は緊迫しておったかどうか、この点の認識を、簡単で結構ですが、承っておきたいと思います。
  85. 伊東正義

    伊東国務大臣 現在は若干鎮静化しておるというふうに私は見るわけでございますが、参りました当時、フランス、イギリス、それから順々に回っていったのでございますが、最初回った国ほど厳しい見方をしておりました。ブラッセルに参りましたとき、NATOの外相理事会があったのでございますが、そこで各国でいろいろ討議があったと私は思うのでございますけれども、その後に会った各国の首脳はそういう判断ではなくて、何とか介入をしないような努力をひとつするのだというように言い方が変わってきているということはございました。しかし、ヨーロッパは、これがあったらデタントの崩壊だ、軍縮という問題もなくなる、非常に冷たい時代が来るということを憂慮しておったことは事実でございます。  私どもは身をもってそういうことを体験してきたのでございますが、ただどういう措置をとるかというようなことについてはNATOの外相理事会でも決めてはいないということをはっきり言っておりました。
  86. 林保夫

    ○林(保)委員 どういう制裁措置をとるかという具体的なあれは決めてない、こういうふうなお話でございますが、ここに十二月十八日付の日経新聞がございます。アメリカが強硬な対ソ制裁案を、ポーランドにソ連が介入した場合にやるというのが新聞報道になって日本政府に伝えられた、このように出ておりますが、この点の確認はいかがでございましょうか。
  87. 武藤利昭

    ○武藤説明員 新聞の報道があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、ポーランドに対するソ連の介入があったとき西側としてどういう措置をとるかということにつきましては、まだNATOの中でも検討段階ということでございまして、まだ結論には達していない、いろいろな案についていろいろ相談をしているというのが現状というふうに承知いたしておりまして、新聞報道に出ておりますことが正確であるのかないのかという点につきまして直接お答えすることはお許しいただきたいと存じます。
  88. 林保夫

    ○林(保)委員 ということは、すでにかなり御相談なされている、こういうふうに理解したいと思いますが……。  なお一点、大変大事な問題だと思います。従来はECとの協調を主として日本政府は経済制裁をとった。ところが、今度のポーランドの場合はNATOとの連絡と、先ほど来たびたびお話が出ております。とすると、NATOは軍事ベースの話でございます。その辺を日本として、外務省として、はっきりと整理して対応しておられるかどうか、承りたいと思います。
  89. 伊東正義

    伊東国務大臣 私もその点は一番注意した点でございます。NATOとは日本は直接関係はないわけでございまして——あれは軍事的な機構でございますので。私どもは、国務長官にも話し、ECの外相等にも話したのでございますが、事前にいろいろ連絡協議ということであれば、それはECの代表とか、何カ国がですね、そういう形で日本としては相談をするということはあり得る、NATOと相談するということはわれわれは全然考えてない、ECあるいはアメリカということで話し合いをするということをはっきり申したわけでございまして、そこははっきり割り切っているわけでございます。私もそこは向こうで最も注意したことでございます。
  90. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣のお考え了承できるわけでございますが、しかしなお、大臣が訪欧なさっているときに、NATOの閣僚理事会、外相会議が開かれまして、マスキー米国長官提案の、いわゆる厳しい対ソ制裁措置が討議されました。そのときに大臣とそれからマスキー国務長官が会われるのはこれまた当然のことでございますが、その際、いろいろわが国の対ソ制裁措置などについて向こう側から同調するような要請があったやに聞いております。その辺の真相並びに仕分けはどのようになっておるか、承りたいと思います。
  91. 伊東正義

    伊東国務大臣 国務長官から、NATOの外相会議では具体的措置は何も決まらなかった、各国のNATOの大使の間で相談をする、もし介入があればNATOの外相が集まって相談をするというような報告がございました。そして、そのときに、アフガニスタンに対する経済措置の問題でございますとか、あるいは介入があった場合にアメリカは一体どう考えているのかというようなことにつきまして、口頭で話があったことは確かでございます。  私は、その場合に、もしもそういう事態になれば、アメリカなりECなりが日本と連絡はひとつ十分にしてもらいたい、日本としてもできることとできないことがありますとはっきり言って、口頭でいろんな話があった中身でも、その中で、そういうことを言ったってそれは日本はできないというようなことをはっきり言ったこともございまして、お互い話し合ったことは確かでございます。しかし、内容等につきましては、何も決まったものじゃ全然ございません、これから話し合いをするんだということでございました。
  92. 林保夫

    ○林(保)委員 先ほど武藤局長のお話の中で、あるような、ないような、わからぬお話がございましたのですが、アメリカ側が提示しました対ソ制裁案の中には、ソ連がポーランドに介入した場合、つまり、いざというときでございます、漁業協定を破棄するような強硬措置が含まれているように理解しております。  そういう事態をどのような形で回避するかも本漁業協定の審議に当たって大変大事な問題だと思いますので、ひとつその辺について水産庁長官の御見解を承りたいと思います。用意があるのかどうか、そしてまたそういう場合に対応してどういう指導をこれからやられていくのか。
  93. 今村宣夫

    今村説明員 ただいま外務大臣が申されたような状態でございまして、私どもとしましてはそういうことを聞いておりませんし、したがいまして、そういう事態に備えてどうするかということも現段階においては考えていないところでございます。
  94. 林保夫

    ○林(保)委員 ぜひそのようにありたいものだと思いますけれども、情勢は大変厳しいと思います。  時間がございませんので、最後に一言大臣に承りたいのでございますが、先ほど来質疑がいろいろ出ておりますように、漁業関係はどうやらうまく事務的にいけそうだけれども、その他の問題は大変むずかしいという御認識だろうと思います。国民的な立場から見ましても同じような認識でございますが、しかしなお、これをこのままの形でほっておくわけにはいかぬと思います。多くの手段があろうかと思います。  私もソ連へ参りましたときにいろいろな議員ベースの話、政府間での話、そしてまた円卓会議も早くやろうじゃないか、こういう提案があったことも事実でございます。対立点もはっきり出ております。その間に処して、特に来年、外交方針として対ソ関係をどのようにこれから対応しながら、そして改善に持っていくかの御所信を承りたいと思います。
  95. 伊東正義

    伊東国務大臣 私どもも、ソ連というのは有力な隣国でございますし、日ソ外交というのは重大だということはよくわかっておりますので、何とかもっと温かい関係を続けたいという希望を持っていることは確かでございます。ただ、冷たくなりました原因が、北方領土の軍備強化の問題でございますとかアフガンの問題、そういうことでございましたし、ポーランドの情勢がどうなるか、これはわかりませんが、そういう日本だけの問題あるいは国際的な問題等が原因になっているわけでございますので、そういう情勢等も頭に置いて考えなければならぬ問題がございます。     〔川田委員長代理退席、委員長着席〕  まず、ソ連のいまのような態度は、善隣友好、こう言うのであれば、善隣友好でやれるようにみずからの方もちゃんと反省してもらわなければ困るじゃないかということでいまのような関係にあるわけでございますので、それが改まるかどうか、国際情勢がどうなるか、いろいろなことを頭に置いてこれは考えなければいかぬ問題でございますので、いまは当分いまの状態かなというようなことを思いますが、しかし何とか温かい関係をというのも頭の中にあるわけでございます。これからその問題に真剣に取り組んでまいるつもりでございます。
  96. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一点だけ。  御趣旨了承いたしましたが、政府間で事務的なベースの話し合いをしようという働きかけがソ連からきておるかどうかの一点だけ承りたいと思います。
  97. 伊東正義

    伊東国務大臣 事務レベルの協議というのはあるわけでございまして、今度はやるとすれば向こうへ行ってやるわけでございますが、この間グロムイコさんに会ったときも全然話が出なかったわけでございまして、まだ外交ルートを通して向こうからやろうというような連絡はございません。
  98. 林保夫

    ○林(保)委員 せっかくの御努力を期待申し上げます。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  99. 奥田敬和

  100. 金子満広

    金子(満)委員 今回の漁業協定締結及び前国会で決議されました北方領土問題等の解決促進に関する決議を念頭に置きながら、若干の問題で質問したいと思うのです。  前国会の決議の中では、隣接地域の安定対策という問題で決められておるわけですが、その後政府の中には連絡会議というのができた。連絡会議の主な仕事、いまやろうとしている基本的な点だけ最初にお聞きしたいと思うのです。
  101. 伊東正義

    伊東国務大臣 連絡会議をつくりますとき、私は根室から帰ってきて総理にもお願いしたわけでございますが、実は官房長官をしておりますときに地元の市町村長が見えまして、いろいろな陳情、地元対策ということを言っても、一体どこが窓口だかわからぬ、甲に行けば乙へ行け、乙へ行けば丙に行け、こう言われてわからぬから窓口を決めてもらいたいという話がございまして、私、官房長官をしていたときでございますが、やはりそれは北海道開発庁じゃなかろうかということで窓口をそこと決めたことがございます。  しかし、これは窓口だけではいけませんで、いま先生御質問あったように、これは各省に関係することでございますので、各省があの地域のいろいろな問題をひとつ取り上げて、予算の問題ももちろん一つ大きな問題でございますが、そこへ持っていけばあそこの問題の処理が窓口として機能するようにということで連絡会議ができたわけでございますので、さしあたっては地域振興の予算の問題が重点になるというふうに私どもは思っております。
  102. 金子満広

    金子(満)委員 これは御承知のことですが、二百海里の漁業専管水域が実施されて以後、特に関係漁民の中では、水揚げはもちろん減ってくるわけだし、その地域に及ぼす経済的な打撃、これも深刻だ、そういうところからこういう問題が出てきているのだと思います。たとえば、根室のことは大臣、先刻御承知のとおりだと思いますけれども、とにかくこの二百海里以前は十六から十七万トンも水揚げがあった、いまは、去年は十万トンになってきている、こういう状態ですね。しかも根室の経済の八五%が水産に依存している、こういう深刻な事態だと思うのですね。こういう中で、先ほど連絡会議でいろいろやるという中で、地元北海道からのいろいろの要請、陳情があるということが言われましたが、報道されているところによれば、北海道庁がまとめた計画というのでは、漁業振興とかあるいはまた根室港の整備、国道、幹線道路の改修等々で百八十億円程度のことが言われているのですが、来年度の予算の中でこういうものがどういう形で処置をされるか、この点、結論的なところだけ伺っておきたいと思うのです。
  103. 伊東正義

    伊東国務大臣 私からお答えするのが適当かどうか問題でございますが、北海道開発庁長官がお答えになる問題でございますが、いまおっしゃったような要望が出ていることを私どもも知っております。その中で重点的にどれを考えていくかというようなことで恐らく取り組まれると私は思うのでございますが、何しろこれは数字で出る問題でございますから、きょうから始まる問題でございますので、地元の人が、ああ、世話してくれたんだなと思うような数字が不十分でも出なければいかぬというふうに私は思っております。
  104. 金子満広

    金子(満)委員 いろいろ報道されている内容で事業がたくさんあるわけですけれども、やはり一番基本にならなければならないのは水産振興対策だと思うのです。これは議論の余地はないと思うのですね。道路をつくるとか橋をかけるとか、いろいろそういう関連事業を興しますと、これで失業者を吸収するというようなことが言われますけれども、これはいわば邪道なんですね。道路をおかにつくるよりも、根室はもちろんのこと、関係隣接地域が要求していることは、魚をとる道を海の中にあけてくれという点が中心だと思うんですよ。ですから、道路をつくる、あれをつくる、これを整備するということだけで済む問題ではな  い。  したがって、その点についてはっきり水産振興を中心に据えるのだという立場からこの予算措置もとらなければならないし、これからのいろいろの問題にも対応していかなければならぬ、こういうように思うのですが、その点はいかがですか。
  105. 伊東正義

    伊東国務大臣 水産長官がおりますのでそちらでお答えした方がいいかと思いますが、おっしゃるようにあの地域の一番の問題は水産なんです。でございますので、いろいろな対策の中で地元の人が希望するのは、私はやはり水産振興関係が一番の希望だろうというふうに思います。
  106. 金子満広

    金子(満)委員 そこで具体的な問題ですが、先ほどもちょっと話が出たようですが、貝殻島のコンブ漁の問題ですね、これはたしか七七年からとまっていると思うのです。七六年には九百六十四、これは製品重量ですから乾燥重量でとっているわけですね。それ以後、全然とれなくなってきている。現状はなかなか民間ベースで打開の道がないということも言われているわけですが、これはやはり打開しないと、この関連の漁民というのはあの地域で五百世帯、船が三百二十九隻あるわけですね、これが全然仕事にならないわけです。  ですから現状を解釈するのではなくて、現状をどう打開するか。それで北海道水産会にこれを任せておいても、それだけでは政府の責任がこれで全うできたということではもちろんないので、政府自身としてもこの打開策をどう考えるか。つまり現状の困難がしかじかである、したがってこのような方向で打開策を講じたいというのがあれば、ひとつ承っておきたいと思うのです。
  107. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまの御質問の点は、従来民間での協定ということでやっておりましたので、われわれとしましてはやはり民間協定が続くことを希望します。いろいろな経緯で大水から今度は北海道水産会ということになったのは先生はもう御承知のとおりだと思うのです。亡くなりました川端さんが中心にやっておられたのでございますが、去年から新しく向こうから領土問題絡みの内容が出てきましたので、去年それからことしも交渉しましたがなかなかうまくいかぬ。来年もまた早期に交渉するというところまで来ているわけでございます。  われわれとしましても、民間がやっておられるのだからほっておくということではなくて、向こうへ行って金沢君というのが専務でやっておりますが、いろいろ実は相談も受けながらやっております。われわれとしても、何とか早く民間協定ができてコンブ漁関係の人の生活が安定するということは本当に希望しますので、今後も、北海道水産会に任せるということではなくて、われわれも陰で相談にあずかり、何とか早くつくりたいということで努力をしてまいりたいと思います。
  108. 金子満広

    金子(満)委員 確かに、関係者にとってはこれは死活の問題なんですね。三年もとれないということは重大なことになるわけで、いまも大臣は、関係者民間団体に任せるだけではなくて何とか打開の道を講じたいということでありますと、これは私は昨年モスクワに行きましてカメンツェフ漁業相にも会いましたし、先般また東京日ソ両党会談をやった際にもこの問題を出したわけですけれども政府としてもこの問題、ただ関係水産会の相談に乗るということだけではなくて、やはり国家間の問題ですから正面から交渉するようなことも考えたらどうかということも、北海道関係者の中では出ているわけですね。その点はいかがですか。
  109. 伊東正義

    伊東国務大臣 先生のおっしゃるところまでまだ中で相談はしておりません。私、申し上げましたように、あくまで民間協定がいい、しかしぼってはおかぬ、後ろから当事者のよい相談相手になるということを申したのでございますが、相談相手でなくて正面に出てひとつ選手になってやれということでございます。その点は農林省ともよく相談をしなければいかぬわけでございますが、いまの段階でそこまでやりますというような返事をするところまでまだ中で相談をしておりませんので、この問題は民間北海道水産会、農林省、みんなでよく相談をします。
  110. 金子満広

    金子(満)委員 私は政府が直接やれということを言っているわけじゃありませんで、関係業界とソ連関係団体が交渉をやっておるわけですね。政府間では漁業協定その他のときにもこういう問題が全然話に出ないということなのか。私は話に出てもいいと思うのですけれども、その点は今度話は出なかったですか。長官、どうです。
  111. 武藤利昭

    ○武藤説明員 今回の交渉日ソ、ソ日漁業協定の暫定延長ということの交渉でございましたので、このコンブの話は実際問題としていたしませんでした。(金子(満)委員「間接的にも」と呼ぶ)間接的にもいたしませんでした。
  112. 金子満広

    金子(満)委員 それではこれを打開するためにできる限りの努力をしてもらうということと同時に、墓参の問題について現状と打開の方向をお聞きしたいのです。  戦後三十五年たったわけですが、沿海州、シベリア、樺太、それから歯舞、色丹、択捉、国後、ここにはたくさんの日本人の遺骨が埋まっておるわけですが、その墓参の問題の現状はどうなっておりますか。
  113. 武藤利昭

    ○武藤説明員 墓参につきましては、いわゆる北方領土、それから南樺太、本土、沿海州、いろいろ地域があるわけでございますが、中でも一番問題なのは御承知のとおり北方四島への墓参でございまして、これも御承知のとおりの経緯がございまして、かつては身分証明書で墓参が認められていたわけでございますけれどもソ連側の方から北方四島への墓参に来る者は日本の旅券を持ってこいというような要求が出てまいりまして、それで北方四島への墓参が実現しないという事態がここ数年続いていたわけでございます。  その後におきましても引き続きわが方といたしましては、墓参の交渉ソ連側といたしますときには、北方四島も認めるようにという主張をしているわけでございますけれども、最近ソ連側は、あすこの北方四島の対象区域、これは外国人の立入禁止区域になっているというような理由でわが方の要請を拒否している、したがって、ここ五年間引き続き北方地域への墓参が行われていないということでございまして、私どもといたしましては、その現状はきわめて遺憾だと考えているわけでございます。  ただ、そのほかの地域につきましては、ソ連本土につきまして、あるいは樺太につきまして数カ所について申し入れを行い、数カ所について認められて、墓参が実現しているということでございます。もっともわが方が要求しております場所の中でも、たとえば外国人立入禁止区域という理由でアルチョムとかウラジオストクとかという区域につきましては認められていないわけでございますけれども政府といたしましては、今後とも引き続き墓参を希望される方の御希望ができるだけ実現するよう強力にソ連側に働きかけていきた  い、かように考えております。
  114. 金子満広

    金子(満)委員 三十五年前に四つの島から引き揚げてきた人の数は一万六千名と言われているわけですね。すでにその中で五千名は亡くなっているわけですよ。そして、これまで日本政府の発行する証明書で墓参ができた時期があった、これは御承知のとおりです。それ以後、領土問題が絡んだということと、それからただいま四島は外国人の立入禁止区域になった。これはたしか一九七八年ではないかと思いますけれども、立入禁止区域になったということになると、今度はビザがどうのこうのではなくて、もう理由のいかんを問わず墓参はだめだ、こういうことになるとこれは非常に大きな人道問題だと思うのですね。いまそういう中で、北海道でもそうですけれども、もうだんだん年とってくるわけです。一度でいいからお墓参りに行きたいという切なる願いがあるわけで、これをどう実行させていくか、実現していくかということは、政府にとっても大きな仕事だと思います。だから、向こうが拒否したからだめだというのじゃなくて、こういう点では関係者の意向を入れるだけではなく、当然これは国民的な世論としてもこの墓参は実現しなければならない。  こういう点で、何によって打開するか、この辺を外務省その他関係省からも伺いたいのですが、現状はこうですと解釈してしまって、あとはにっちもさっちもいかないから来るべき日を待つということでは、これは関係者が納得しないだけではなくて大変なことになると私は思うので、その点をもう一度伺っておきたいのです。
  115. 武藤利昭

    ○武藤説明員 いまのお話のとおりでございまして、先方は外国人立入禁止区域だと言っているわけでございますが、私どもといたしましては、そういうことであるとしても人道上の見地から特別の許可といいますか特別の配慮をするということはできるはずだからということで、毎年粘り強く交渉しているということでございまして、外国人立入禁止区域になったから最初からあきらめているということでは毛頭ございません。あくまでも人道的見地から、仮にソ連側としてそのような地域にしているとしても、特別の配慮をするようにということで交渉いたしている次第でございます。
  116. 金子満広

    金子(満)委員 その点で一番新しい交渉はいつやったか。それからこの交渉は年一遍というのでは私は大変だと思うのですね。もっと密度を上げて交渉はいろいろな形でやるべきだ。次の交渉をどういう方向でやるか、その点もこの際伺っておきたいと思います。
  117. 武藤利昭

    ○武藤説明員 最近の交渉につきましては、去る六月でございましたか日本側から申し入れを行いまして、八月、ソ連側から一度一応の回答があった。一部については認め、一部については認めなかったということでございますが、認めない部分につきましては、その後わが方からたしか二回にわたりまして繰り返しまたその再要求をしたというのが現状でございます。
  118. 金子満広

    金子(満)委員 魚の問題からコンブの問題、墓参の問題、この地域はたくさん問題を抱えているところでありますが、そういうものの中の大きな問題の一つに領土問題というのがあることはもう御承知のとおりだと思うのですね。いろいろいままで議論はずっとされてきていることですが、非常にはっきりしていることは、日ソ間に平和条約がないということ、締結されていない、これは明白だと思うのですね。そして国境の画定、つまり領土問題というのは平和条約によらなければ解決しないわけですから、そういう点では未解決の問題であるというのは当然だと思うのです。  そこで、若干これは大臣の見解を承っておきたいと思うのですが、現実的対応という形で根室水産協会の高本会長のことが先般新聞にも出ておりました。この根室新聞の世論調査では、あの地域でさしあたり二島返還、歯舞、色丹で返還をまず実現する、これが返還されただけでも根室地域水産業界は大いに立ち直りの力になるのだということを言います。とにかく五二%が二島返還で、さしあたりこれでやっていくということが出ておるわけですが、政府の方はこういう点について、それは問題にならぬ、あんなもの何だ、こういうような態度なのか、そういう点も耳を傾けるのか、その辺大臣の見解を承っておきたいと思うのです。
  119. 伊東正義

    伊東国務大臣 先生御承知のように、三十一年の共同宣言のときにもその領土の問題はいろいろあったわけでございますが、その後ソ連は、安保条約を廃棄しなければ返さぬというようなことを言い出したのも御承知のとおりでございます。田中総理が行かれて、第二次大戦後の懸案の事項の中には領土問題が入っている、向こうもこれは口頭でございますが認めるというようなことがあったり、その後否定をしたりということで、いろいろな経緯があったわけでございます。  今度、私は帰ったばかりで詳細はわかりませんが、二島返還を言われた場合に、やはり安保条約を廃棄してということが前提にあるのだろうと私は思うのでございますが、そういうことについては、政府としては、国会の御決議もあり、国民の総意は四島返還なんだということもはっきりしているわけでございますので、二島返還論というものはとらない。しかし、根室の近所に住んでおられる方で漁業で本当に苦労しておられる方については、さっきから言いますような振興対策を考えて、片一方ではあくまで四島一括返還ということを国是として、国民の総意としてがんばるんだというのが政府の態度でございますので、いまの安保条約を廃棄して二島返還論というのはわれわれは全然とらざるところだということでございます。
  120. 金子満広

    金子(満)委員 最後に一言ですが、私は、歯舞、色丹は、サンフランシスコ平和条約で放棄した千島の中に含まれてない、北海道の一部だ、これはもうはっきりしているのですから、そして領土問題の最終決着は平和条約でもちろんやる。その前に日ソ両国間で、この二つの島を返す、しかしここは軍事基地にしないというような中間的な条約をこちらから提起するということも一つの方法だろう。こういうようにしていまの局面を打開して、しかも国民の要求にこたえていくということも追求しなければならぬ。もうてこでこねてもあの根室の世論は間違っているというようなことでは局面の打開はできない、こういうことを考えているわけで、時間がありませんからこれは主張のしつ放しで終わりますけれども、その点を考慮していくことが大事だ、これを強調して終わりたいと思います。
  121. 奥田敬和

    奥田委員長 小杉隆君。
  122. 小杉隆

    小杉委員 本会議の時間が迫っておりますから、また、各党から質問が出されておりますから、ごく簡潔に質問をしたいと思います。  伊東外務大臣、ヨーロッパ歴訪でお疲れのところと思いますが、ひとつ日ソ関係についてお伺いしたいと思うのです。  アフガニスタンの侵入に関連して、アメリカ、ヨーロッパ、日本は経済制裁措置をとったわけですけれども、最近、フランス、西ドイツなどは必ずしも歩調を合わせない、むしろその経済制裁からだんだん脱落しているという状況の中で、日本だけが非常に生まじめにこの経済制裁を行ってきているわけでございます。今度もしポーランドに侵入があった場合に、ヨーロッパ諸国が日本に対して対ソ制裁に足並みをそろえることを強く求めているというふうに伝えられておりますが、一体ヨーロッパ各国の受けとめ方、要するにアフガニスタン問題に対する受けとめ方とポーランド問題に関する受けとめ方で若干認識に差があるのではないか。伊東外務大臣はヨーロッパへ行きまして、アフガニスタンは共産圏への侵入ではなくて第三世界に対する侵入だから大変重大であると言ったのに対して、欧州各国はむしろそういうとらえ方ではなくて、ポーランドの方が、同じ陸続きでヨーロッパ内のことで直接軍事的な危機をもたらすものだということで、非常に深刻な危機感を持っているというふうに伝えられておりますけれども、ヨーロッパ各国のこの受けとめ方、アフガニスタン問題とポーランド問題に対する受けとめ方、どのように認識しているか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  123. 伊東正義

    伊東国務大臣 アフガニスタンに対する経済措置の問題でございますが、私も向こうへ行っていろいろ議論したのでございます。  それで、政府ベースの信用供与ということで、日本はケース・バイ・ケースでやるんだということでやったわけでございます。向こうが問題にしました電磁鋼板でございますとかアルミの問題等について議論したのでございますが、向こうは、政府ベースの信用供与はしてないんだ、そういうことは一切ない、民間ベースの問題だということで、若干議論のすれ違いがあったことはございます。  今度のポーランドの問題でございますが、さっきどなたか先生にお答えしたのですが、欧州は、ポーランドに入ったらデタントの崩壊だということで非常に真剣に受けとめていることは確かでございます。アフガニスタンの問題について私がこれも重大じゃないかと言いましたのは、歩調をそろえてやらなければだめなんだということを結論として言ったわけでございます。やるなら歩調をそろえてやる、でなければ効果がない。それから制裁の軽重の問題でございますが、アフガニスタンもやった、それでもなおかつ、いろいろな制裁、経済措置をとったのにまたやったということで措置を強くしなければいかぬのだというような言い方をして、向こうはどっちが重い軽いという議論はしなかった。二度やるということはやはわ厳重にやらなければいかぬ、こういう表現をしたのでございます。私は、歩調をそろえなければだめだということの前提に、先生おっしゃったようなことを言ったわけでございます。
  124. 小杉隆

    小杉委員 時間がありませんから続けて質問いたします。  NATO諸国と日本とはおのずから違うと思うのです。アメリカやNATO諸国と完全に歩調を合わせるということは、私は日米関係を基軸にするという点においては同意しますけれども、しかし日本は欧米とまた違った立場にある。たとえばシベリア開発にしても、きょう議題になっているこの漁業協定にしても、お互いに直接的なかかわり合い、経済的な相互依存という点があるわけですから、西側の一員であるという点を強調する余り、そうした現実的ないわゆる経済的な関係を置き忘れてはいけないと思うのです。  そういう点で、私はやはりもっとソ連とか東欧諸国との対話ということを外務大臣は心がけるべきじゃないかと思うのです。先ほど来の答弁によりますと、今回の冷え切った関係は挙げてソ連側の態度にある、そしてソ連側が何らかの行動を示さない限りわれわれとしては対応できないという趣旨の御発言がありましたけれども、そういう側面が非常に強いわけですけれども、それでは、ソ連の国会議員団の訪日も断わったりあるいは事務レベルの会議もまだ見通しが立たないというようなことで、現状のまま放置しておいていいのかという点、非常に心配なわけです。  最近ヨーロッパ諸国の首相とか外相が、この一カ月間ポーランド問題が非常に緊迫してから再三東欧諸国、チェコとかポーランドとかいった国に出かけていっていろいろな情報を収集したり対話をしているわけですけれども、そういう欧州諸国の態度に比べて日本の外交姿勢は少しかたくな過ぎるのではないかと考えられるわけです。やはり危機が深刻であればあるほど、そういう国々との対話のパイプを太くして情報をできるだけたくさんつかんで的確な判断をしようとする態度が必要ではないだろうか。そういう点から言うと、ヨーロッパの方がむしろ柔軟性があってしたたかさを持っているというふうに私は考えざるを得ないわけです。  たとえばソ連の出方を待つと言いますけれどもソ連にはソ連の論理と立場があるわけですから、このまま放置していって必ず向こうが軟化して出てくるということは絶対あり得ないわけですよ。たとえばアメリカと日本との条約、それに最近は中国を加えて日米中という三つの構造の中で極東地域の脅威が非常にふえたということを北方領土をつくった一つ理由づけにしております。し、またアフガニスタンの問題についても、これはアフガン政府の要請に基づくのだということで、自分たちの行動は正当であるということを盛んに主張しているわけですね。  そういう点でこれはやはりそうじゃないんだというところ、こちらの論理というものをもっと相手にぶつけてみないことには、すれ違い、すれ違いでただこのままみぞが深くなっていってしまう.ということではいけないと思うのですが、どうも外務大臣の答弁を聞いていると、何か傍観して待つというふうに思えてならないのですが、その点、御見解を伺いたいのです。  ちなみに、私も先般の日ソ円卓会議に出まして大変奇異に感じたのは、日本の大使館からだれ一人として傍聴に来ようとしていないのですね。ソ連側は外務省から連日若い書記官が来て情報収集、傍聴をしていろいろ日本側の言い分をメモをとったりしているのですが、日本の公館の方々はだれ一人情報収集にすら来ない、こういうかたくなな態度で果たして日ソ間はどうなってしまうのだろうかという危惧を持ったわけですけれども、そういう点も私は、もう少し多角的に取り組む必要があるのじゃないか、今度だって伊東外務大臣は欧州五九国をあれだけ回ったのならば、ちょっと足を伸ばして、ソ連なり東欧諸国にもやはり足を運んで話してみる努力も必要だったのではないだろうかというふうに思うのです。  そういうことと、今後ソ連へ出かけていってやはり話をしてみる、ソ連訪問のスケジュールはまだないと言われましたけれどもソ連あるいは東欧諸国との対話のパイプを持つ気持ちがないかどうか、それをぜひ聞かせていただきたい。
  125. 伊東正義

    伊東国務大臣 先生おっしゃったことを非常に私どもも苦慮していることは確かなんです。どうやってきっかけをつかんで温かい関係にしていけるか、これは日ソ二国間だけの問題かあるいは国際的にいろいろな情勢の変化も考えられるのでございまして、私どもはそのきっかけというものを実はいろいろ考えているところでございます。先生の御意見は御意見としてよく承っておきます。  東欧諸国等につきましては、私どもも、できるだけいろいろな対話をするとか情報をつかむとかいうことは実はいろいろなことをやっているわけでございます。ただ、ハイレベルの交渉その他はいまのところまだやっておらぬということでございます。先生のおっしゃいましたことは一つの御意見でございますから、よく承っておきたいと思います。
  126. 小杉隆

    小杉委員 それでは最後に、アメリカとかNATOという大西洋地域と、日本ソ連あるいは中国、東南アジア、こういった太平洋地域とはおのずから利害が違うわけですから、西側の一員という側面ばかりを強調して極東地域における日本という立場を忘れていってはいけないと思うのですね。ですから、いままでの外交姿勢がともするとアメリカに非常に密接につながっている、確かにそれは大事だと思いますけれども、EC諸国とかアメリカばかりでなくて、やはりもう少しこの極東地域における日本の役割りとか立場というものを考えた自立した判断ができるような外交姿勢を持つべきではないかということで、外務大臣の見解を伺って終わりたいと思います。
  127. 伊東正義

    伊東国務大臣 おっしゃいますように、日本日米関係が基軸なわけでございますし、経済、政治に理念を同じくするヨーロッパでございますとか、それの一員であることは間違いございません。そういうことでやっておりますが、だからといって、ほかの国とは敵対するとかそういうことを考えているわけじゃないのでございまして、できるだけどの国とも平和友好関係を続けていきたい、保ちたいというのが外交の基本でございます。  先生おっしゃったように、いろいろな対ソ関係措置等が問題になった場合に、必ずしも全部一緒、百のうち百が一緒ということじゃないと私は思う。その点はこの間国務長官のマスキーさんにもはっきり言ったのです、日本ではできることとできないことがある、先生おっしゃったように特殊な事情があるのだ、北方領土の問題なんというのは西欧にはありませんし、また大西洋と太平洋では違うこともございますから、その特殊性ということは当然頭に入れて考えなければならぬということで、その点は国務長官にもはっきり私は言っております。ただ、西側の一員として大体のことについては歩調をそろえていく考え方だというのがわれわれの外交の方針でございます。
  128. 小杉隆

    小杉委員 終わります。
  129. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  130. 奥田敬和

    奥田委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  まず、北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  131. 奥田敬和

    奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 奥田敬和

    奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 奥田敬和

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  134. 奥田敬和

    奥田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十二分散会      ————◇—————