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1981-03-24 第94回国会 衆議院 科学技術委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十四日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 中村 弘海君    理事 小沢 一郎君 理事 椎名 素夫君    理事 塚原 俊平君 理事 日野 市朗君    理事 八木  昇君 理事 草野  威君    理事 吉田 之久君       前田 正男君    村上  勇君       与謝野 馨君    渡辺 栄一君       上坂  昇君    和田 一仁君       瀬崎 博義君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     下邨 昭三君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   田辺 俊彦君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  戸倉  修君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    金岩 芳郎君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      中島健太郎君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   和田 耕作君     和田 一仁君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 中村弘海

    中村委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する件について、本日、参考人として動力炉核燃料開発事業団理事長金岩芳郎君及び同理事中島健太郎君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村弘海

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 中村弘海

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  5. 日野市朗

    日野委員 過日、高知県の窪川町の町長リコール投票が行われまして、自由民主党は一生懸命これにはてこ入れをしたようでありますが、リコール成立ということになりました。この問題は、もちろん窪川町における原子力発電所推進をどうするかということがその背後にあったことは紛れもない事実であります。結局、窪川町の町民は、原子力発電所推進を積極的に行おうという現在の町長に対してリコール成立させたということであります。私は、この窪川町のリコール成立ということは、非常に重大な問題として受けとめてよかろうと思います。これは単にトピック性というばかりではなくて、国の原子力政策の進路というものに対して重要な影響を持っていると思うからであります。  そこで、このリコール成立について、関係する人々のいろいろな談話などが新聞等によって報ぜられているところでありますが、この結果について、まず科学技術庁として、この事実をどのように受けとめておられるかを伺いたいと思います。もちろん、科学技術庁長官原子力委員長でありまして、国の原子力政策心臓部とも言うべきところにおられるわけでありますから、まず、科学技術庁長官からこれについての御意見を伺いたいと思います。
  6. 中川一郎

    中川国務大臣 窪川町における原発賛否をめぐるリコール問題につきまして、あのような結果になったことは、科学技術庁長官のみならず、原子力を預かる責任者としてまことに残念であり、よくない結果であったという認識は持っております。  ただ、御承知のように、リコールの原因が原発賛成反対かだけではなく、非常に複雑な地方政治情勢も大きく影響したということ、あるいは途中でアメリカ・スリーマイルアイランドの余り根拠のない情報が流れたというような幾つかの他の要因もございまして、あの結果そのものが原発反対だったという単純なものでないということも、中身として言えるのではないかと思います。  しかしながら、あれだけの根強い反対があったということも事実でございますので、今後はさらに一層国民皆さん、特に原発立地地元皆さんには、原発必要性安全性地域振興ということの三本柱で十分納得理解が得られるように最善努力をする契機にいたしたい、こう思っております。ああいうことがあったから原発をやめるというような情勢ではなくして、エネルギー事情が厳しくなればなるほど、代替エネルギーとしての原子力発電必要性はいささかも動ずるものではない、こう思っております。
  7. 日野市朗

    日野委員 いまの長官の話を聞いておりますと、私非常に残念に思うのですが、だれが何と言おうとも、この窪川町のリコール最大問題点はやはり原発推進の是非であったと思うのです。それは、いろいろな地方事情があったとか、原発だけではないというような立言をしておられる自民党の某有力筋があることは私もよく存じているつもりであります。しかし、結果というのは非常に厳正なものでして、やはり最大問題点について地方民の関心は焦点が集まったというふうに見るのが至当であろうと私は思うのです。いろいろ複雑な地方事情もあったというようなことは、単なる言いわけにしか御こえないと思うのですね。やはりこれはちゃんと、原発に対するコンセンサスをこの地方では得ることができなかったということをきちんと踏まえた上で、今後の原子力推進なさる立場であったとしても、そういう事実をきちんと踏まえて、それを一つの石として受けとめることがなければ、これは国の原子力推進と表裏をなすその立地における地方住民、こういうものの関係をとらえられないと思うのですが、どうですか。そういう地方事情があったためにこれは負けたんだなどというのは、それは単なる町長選挙であるとかそれから議員の選挙であるとか、そういったものとは違うんだという根本的な認識を踏まえないと言いわけに聞こえてしようがないのですが、いかがでしょうか。
  8. 中川一郎

    中川国務大臣 ですから、私も重大に受けとめておるのです。ただ、中身について言えば、リコールだけで成立したものではないということも事実であって、事実だけを申し上げておるわけでございます。  特に、私参りまして、あの町長さんの街頭演説でも言っておったのですが、私がもし町議会の言うことを聞かなかったらどうなるのですか、あるいは町議会意思決定ということは町民意思決定に従ったまでであって、もしこれに従わなかったら町議会からリコールされるし、また町議会意思決定で行動すれば町民からしかられるし、私どうしたらいいのでしょうかということを言っておったのです。でありますから、私は、何が何でも町議会を受けて原発推進するんだということをあえてやった中身でもない、いろいろ事実関係は厳正に受けとめなければならない、こう申し上げただけであって、あれがリコール中身として原発関係ないことだ、だからどうでもいいんだということを申し上げているのではなくて、中身の事実関係はそういうことがあった、しかし重大に受けとめて、今後も安全性について国民理解が得られるように最善努力をしていきたい、ただ、あれがあったから原発をやめるとか、反省してこれをおくらせるとか、こういうことの判断材料にはならない、こう申し上げておるところでございます。
  9. 日野市朗

    日野委員 いまその最後に、あれがあったからといって原発の基本的な政策については判断材料にはしない、こういう意思表示ですか、いまあなたのおっしゃったことは。
  10. 中川一郎

    中川国務大臣 これを後退する方への判断材料にはしないということです。ただ、安全性理解していただくための大きな材料にいたしたい、結果を厳正に受けとめて、やはりもっと国民理解が得られるように最善努力をしなければならぬという契機にしたい、こう申し上げておるところでございます。
  11. 日野市朗

    日野委員 どうもよくわからないのですが、こういうリコール成立したというような事態は、安全性に対するいままでの説明が悪かった、こういうだけの認識しかお持ちでない、こういうふうに伺ってよろしいのですか。
  12. 中川一郎

    中川国務大臣 それでしかないとは申しませんが、そういうこともあったのではないかということで、これからもさらに安全性について理解が得られるように、これは日本だけがやっているのじゃなくて、世界じゅう賛否両論の中に推進をしなければならぬ。どこの国でも、エネルギー責任を持つ者としては代替エネルギー考えなければならぬということは否定する人はいないわけでございますから、その場合、経済的にも量的にも国民に一番大事なのは何かと言えば、代替エネルギー中心原子力であるということの認識を、町民のあの結果が出たからといって後退させるわけにはいかない、やはり責任ある者としては推進をしていかなければいかぬということはいささかも変わらないが、安全性についてはもっと努力をする必要がある、こう考えておるわけでございます。
  13. 日野市朗

    日野委員 いま長官も言われたとおり、原発については賛否両論、まさに賛成の方もあるし否の方も非常に強いんだということの認識はきちんと持っていただかなければならないし、原子力発電代替エネルギーとしての一つの重要な柱としてお考えになる立場としてはわからないではありませんけれども選択肢としてはもっと別の選択肢もあるんだということをきちんと踏まえて、むしろそちらの方をこれからも重要視していくという基本的な観点、そういう観点も必要であろうというふうに私は思います。この点についてはいかがですか。
  14. 中川一郎

    中川国務大臣 代替エネルギー必要性については、これは必要でないという人はいま世界じゅうにいないわけです。ただ、代替エネルギーとして何が一番大事かといえば、いまのところは原子力発電原子力エネルギーではなかろうか。ただ原子力エネルギーさえあれば何でもいいというものじゃなくて、やはり石炭もあればLNGもあれば、あるいはまたサンシャイン、自然エネルギー、この複雑といいますか広範な代替エネルギーがありますから、そういったあらゆるエネルギーについて努力をしなければいけない。原子力発電だけあればいいというものではもちろんございません。しかし、大きな柱になっているということだけは国民皆さん認識をしていただかなければいけない、並行してその他の代替エネルギーについても最善努力をしていきたい、こういう姿勢でございます。
  15. 日野市朗

    日野委員 通産省、お見えになりましたか。——いま私と中川長官との間でのやりとりをお聞きになって、何が問題になっているかはおわかりになっただろうと思いますが、窪川町のリコール成立について、通産省としてはその結果をどのように受けとめておるか、伺います。
  16. 戸倉修

    戸倉説明員 ただいま中川長官からもお話があったとおりだと私思いますが、窪川町のリコールの結果につきましては、いろいろ地元事情等があるという見方はございますけれども、私どもとしては、地元住民方々一つの御判断だというように受けとめております。  ただ、原子力発電行政を担当する者といたしましては、今後のわが国のエネルギー情勢考えますと、やはり原子力発電を積極的に推進していかなければならないというふうに考えておりまして、今回の例等考えまして国民の一層の理解協力を得るための必要性を痛感している次第でございまして、今後とも私ども安全性等中心といたしまして国民理解が得られるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 日野市朗

    日野委員 長官お答えといまの戸倉さんの答えを聞いていて、やはり共通項を感ずるのですね。それは、自分たち認識では原子力発電というのは安全なはずなんだ、安全性自分たち努力をしている、それに国民感情の方がついてこないのがけしからぬというように言っているように私には聞こえてならないのです。リコール成立という事実関係は発生したけれども、それはそっちの方が間違っているのであって、これからさらに安全性についてのPRを続けていくことによってそっちの方を直してもらわなければならない、このように聞こえるのですが、そのように受け取ってよろしいのでしょうか。お二人から伺いたいですね。
  18. 中川一郎

    中川国務大臣 私どもとしては安全であるという自信のもとにやっておりますので、安全性について理解が得られなかったことは残念であるというので、けしからぬとは言っていないのです。まだ努力不足ということを反省しているのであって、われわれの考え方と違うからけしからぬというような気持ちは毛頭ありません。謙虚に受けとめて、さらに一段の努力をしなければならぬ、こう考えております。
  19. 戸倉修

    戸倉説明員 原子力安全性につきましては、ただいま中川長官からもお話がございましたように、もうすでに世界的には二十年以上の経験がございますし、世界で二百四十数基の稼働実績もございますので、私どもとしては安全であるというふうに認識はいたしておりますが、ただ、地元発電立地の地点の皆様方に十分に御理解をいただけるように、これからも十分なPR等をしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 日野市朗

    日野委員 それじゃ通産省の方に伺いますが、窪川町でリコール成立した、これは厳然たる事実としてあるわけでございます。いままで立地を積極的に推進しようという努力を続けてきた町長さんはやめなければならぬわけですが、窪川町の四国電力原子力発電所設置の問題について、通産省はこれからどのように処置される考えですか。
  21. 戸倉修

    戸倉説明員 窪川町の経緯につきましては先生もうすでに御承知かと思いますけれども、昨年の秋に窪川町の地元の有志から町議会並びに町長に対しまして順子力発電所立地可能性について調査をしてほしいという請願書が出されました。これを町議会で採択をいたしまして、これを受けまして、町長四国電力に対して立地調査可能性についての申し入れをした、こういうのが経緯でございます。こういった経緯がございますので、私どもとしましては、今後の立地調査等を含めまして町当局の御判断を待ちたい。これからリコールに基づきましてまた新しい町長選挙が行われるという予定になっておるわけでございまして、今後の町当局の御判断を待ちたい、かように考えておるわけでございます。
  22. 日野市朗

    日野委員 通産省の方には四国電力の方から、ここに原子力発電所設置を行いたいということで、正式な意思表示ではないにしても、その打診はあるはずでありますし、恐らく通産省も、それはいいことだ、それはどんどん調査やなんかを町当局協力しながらやりなさい、いままでこう言っているわけです。この窪川町に原子力発電所設置をするということでいままで進み出してきた動きを、単にこれから新しく選ばれる町長相談をするというだけで、全く白紙状態に戻るのですか。それともここに設置をするという基本的な立場は変えずに、窪川町の新しい町長さんとこれからいろいろ交渉のテーブルを四国電力が持つことをいろいろな形でバックアップをしていくということになりますか。どっちですか。
  23. 戸倉修

    戸倉説明員 先ほども申し上げましたように、現在は立地をするとかしないとかというところまでまだいっておりません。町議会の方から立地可能性があるかどうかを調査してほしいということを四国電力申し入れた段階でございまして、この調査ができるかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたようにリコールの問題もございますし、町当局の御判断を待ちたいと私ども考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほどから申し上げておりますように、原子力発電立地を進めるに当たっては地元理解協力が必要でございますので、そういった事態状況ができませんと、実際問題としてはなかなか立地を進めるというふうにはまいらぬのではないかというふうに私どもは思っております。したがいまして、私ども地元民の十分な理解協力が得られるようにこれからも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  24. 日野市朗

    日野委員 そうすると、窪川町については通産省としてはブランクの立場で、全く白紙立場で臨むというふうに伺っていいのかどうか、そこいらをもっと明瞭にお答えできませんか。
  25. 戸倉修

    戸倉説明員 先ほど申し上げましたように、私ども原子力発電行政を預かっている立場からいたしますと、これから原子力発電を大いにやっていかないといかぬというふうに考えておるわけでございますが、その前提といたしましては、地元住民方々協力理解ということが大前提になりますので、そういった理解協力を得ながら進めていくというのが私どもの基本的な立場でございます。したがいまして、白紙先生おっしゃられるわけでございますけれども、そういった状態をできるだけ地元で醸成されるような形に持っていきたいという気持ちは持っておりますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、この経緯が町の方からの申し出によって四国電力立地調査をするかどうかということを受けているわけでございまして、そこの話を町がどう判断されるかを見た上で私どもこれからの対処方針考えてまいりたいというふうに考えております。
  26. 日野市朗

    日野委員 町の態度としては出たんでしょう、町民意思というものは。町長リコール成立させることによって原発は断りますよというまさに町民の直接民主主義による直接的な意思表示で、これは多数決の原理によればもう窪川町の原発立地は断念せざるを得ないのだ、こういうように見えますね。そうじゃありませんか。
  27. 戸倉修

    戸倉説明員 先ほども御説明申し上げましたように、町議会議決をいたしまして、その結果に基づいて町長申し入れているという事実がございますので、町としてそこのところをもう一度どう判断されるかという、厳密に言いますとそこの手続が残っているのではないかというふうに私ども考えております。
  28. 日野市朗

    日野委員 何もいまさらここでこんなことを言うこともないのですが、町議会とか町長は一応町民意思を信託されているという擬制に立っているわけです。フィクションに立っているわけです。しかし、そこで賛成反対があって、町民の大多数の意思はどっちかわからぬのだ、それではそのことについての投票というような形で今度のリコールが行われた。これは間違いのないところです。そこで直接的な意思表示が行われて、賛成反対反対の方に軍配が上がったのですから、これから町議会と協議を進めていくなんということは、どうも制度的に見て存立する基盤を失っているのではないか、そういうやり方基盤というのはもうすでになくなっているのではないか、私にはそういうように思えてならない。そうすれば窪川町はもうあきらめるということにならざるを得ないと思うのですが、どうですか。
  29. 戸倉修

    戸倉説明員 リコールそれ自体は、先ほど中川長官お話がございましたように、原発立地一つ契機になってリコール請求が行われた、これは事実でございます。ただ、手続としましては、議会請願を採択し、それに基づいて町長四国電力に対して調査申し入れを行ったということ自体は生きているのではないかというふうに私思いますので、そこを議会なり町当局がどういうふうに御判断されるかというもうワンクッションあるのではないかというふうに私は考えております。
  30. 日野市朗

    日野委員 私は全然納得できませんね。やはり町民が直接、原子力発電所は要りませんという意思表示をやったということの意味を重要に考えるべきであるというふうに思います。このような状況下において窪川町における原発立地ということはもはや断念すべき事態である、このように私は思います。それが民主主義、しかも直接的に表示された住民意思というものを重要視するゆえんであろうというふうに思います。  そこで今度は、いまのお答えにあったようにこれからいろいろ町やなんかと相談をして、さらに立地を進めるような言い方をしておられるわけですが、具体的にどんな方法をとっていこうというのですか。原発立地で私が非常に気に入らないやり方は、札束地権者漁業権者のほっぺたをなでて正常なモラルを麻痺させていく、そして健全な日本国民金銭感覚、いろいろな問題があります、環境に対する問題もある、自分の権利、自分の社会的に果たすべき役割り、そういったものを金でねじ曲げる、金で国民を堕落させていく、こういうやり方は全く気に入らないのですが、これから窪川町で立地推進するとすれば、恐らくはいままでよりもはるかに膨大な物量、金量を投下するということになっていくのじゃないかと思うのです。国の政策に要求されていくものは、裏づけされていなければならないものは、やはりきちんとしたモラルだと私は思うのですが、原子力委員長、こういうことについて見解を聞かせていただけますか。それから通産省、どうですか。いままでも、原発立地でもずいぶん札束が乱れ飛ぶということが週刊誌やら何やらの嘲笑の的になってきた、そういうことについてどう考えておられますか。
  31. 中川一郎

    中川国務大臣 もちろん札束でやるということはいけないと思います。あってはならぬと思います。ただ、言われておるようなことがあるのかどうか。私から見れば、地域住民理解を得るためにはやはり既設の発電所等について見てもらう、これが一番理解が得られる方法だと思うのです。そこで、バス等で隣接の伊方の発電所等に御案内する、これはあってしかるべきことじゃないかと思うのです。そこには節度がなければならないと思いますが、そういう努力はあっていい。  それから、先ほど来いろいろ議論がありますが、通産省から答弁がありましたけれども町議会はこれをやるべしという意思決定もあるし、あるいは地域住民からも、一万三千人の有権者のうち九千人は促進すべしという運動もあるし、一方町議会議決を受けて行動した町長リコールされる、町民意思が本当にどこにあるのか、なかなか簡単には言い切れないことであって、今後そういったやるべし、やるべからず、町長不信任案リコールされた、あるいは町議会議決はまだ残っておるというようないろいろなことを含めて、町民がこれをどう判断していくか決めることであって、政府がこれでもうやめたとか、いやまだ大丈夫だからやるのだということでなくて、今後民主的に町民がどう決めていくかということを見つつ、それに対応していきたい。われわれとしてはどうこうできるものではありませんので、気持ち原発促進であるけれども、今後のあり方については町民の動向を見て対処していきたい、こういう姿勢になっていくのだろうと思います。札束で殴るというような行き過ぎたことは厳に慎んでいきたいと思いますが、安全性についての認識を得るための努力節度を持ってやっていかなければならぬ、こういう立場でございます。
  32. 戸倉修

    戸倉説明員 ただいま先生から札束云々というようなお話がございましたけれども、いま中川長官からもお話がございましたように、仮にそういうことがあるとすれば非常に好ましくないことでございまして、私どもとしても地元住民理解を得るための努力はじみちにやっていかなければいけない、国といたしましてもいろいろなPR活動をやっておりますし、それから電力会社自身地元民理解を得るための努力も一層やっていかなければいけないということでございまして、社会的な常識の範囲内でそういうことは行うべきであると考えております。
  33. 日野市朗

    日野委員 長官、ちょっと言葉じりをとらえるようで恐縮ですが、こういう原発の賛否なんということになると、最終的に問うのは住民投票みたいな形になってきてしまうのです。住民投票、各地でいろいろ行われました。アメリカでも行われた。オーストリアでも行われている。そういうような形で、ほんのちょっとでも賛成だったら、ほれ見ろ、賛成だと皆さん言うのでしょう。少しでも反対の方が勝てば、ほら見ろ、反対だ、こう言うわけでしょう。結局、住民投票というものは非常に重さを持っているということの認識だけはこの際ぜひとも持っておいてもらいたいと思うのです。そしてそれと同時に、これは町民が決めることだとは言いながら——それは確かに形式論理から言えばまさに四国電力町民との間で決めることであるが、ただしそれについては国の原子力政策というものが重大な影響を持つ、しかもその原子力政策についてはモラルをもきちんと踏まえた国の指導が非常に重大なものになってこざるを得ない、このことは私ここできちんと指摘していきたいと思います。長官、私がいま言ったことに賛成ですか。
  34. 中川一郎

    中川国務大臣 賛成できる面もあるのでございますけれども、本当に町民原子力発電反対なら、議決をした議決機関である町議会町民意思と違う意思決定をした町議会リコールして、通ったというならこれは完璧なものだと思うのです。ただ議会で決まったことを執行した町長だけをリコールするというところに疑問の余地を残しておる。だから、原発町民意思として一切だめになったのだとあきらめ切れない余地を残しているわけです。そういうあきらめ切れない点も残しておるので、そういった点を今後町民がどう判断して、町議会がどう変わり、新しく選ばれる町長がどう判断していくかというのは、町長がそういったもろもろの経緯考えて決めていき、また今度できます町長町民が決めるわけですから、絶対反対町長ならば今度は反対町長町議会とどうしていくかという問題も残っておりますし、あるいは今度の選挙によって、いや、原発反対でない方を町民が選ぶかもしれないし、すべて町民が選ぶことであって、われわれはあの結果だけを見て原子力行政についてどうするという立場にはない、すべては今後町民がどうしていくか、理解と納得が得られるならば進めてまいりますし、そういったいきさつからして今後どうあってもだめだという町議会町長からの意思があれば、町民が決めた結果には従っていかなければいけない、努力はしていくが、これを無視してやるというわけにはいかない、こういうことになるのだろうと思います。
  35. 日野市朗

    日野委員 ここだけで論議をやれば相当長時間を必要とするのでしょうが、この問題はまた事態の推移を見ながら逐次論議するとして、これから町長選挙や何かも行われるでありましょうし、それから四国電力等の働きかけが一層強まるであろうというふうにも私は思うのですが、札束乱れ飛ぶ原発立地というものを私は現にこの目でも見ておりますので、そういう四国電力等の原発推進のためのアクティビティー、運動、そういったものについてはきちっと制約を課していく必要があると私は思うのです。さっきも私、札束乱れ飛ぶやり方反対する理由については幾らかのものを述べましたけれども通産省は、そういうことは厳に慎むように四国電力に対して指導するつもりがおありでしょうか。私、見ていますと、これはほかの原発の見学といって行きますと、大ぜいバスで連れていくのですな。そうすると、ちゃんと折り詰めがついて、そして夜の食事の時間なんかはもう大宴会になって、しかも原発というのは外面ばかり見ればぴかぴかしていかにもきれいですからな。しかも、非常にうまく周囲とマッチするようにデザインしてあって、詩情を漂わせるなんという原発なんですから、そうすると、何となくふらふらっと肝心なポイント以外のところで人間というのはごまかされてしまう。そういうことがよくあるわけですね。まず札束なんかを使う、物量に物言わせる、保守的なところでないところでふらふらっと暗示にかけてしまう。そういったようなやり方は厳に慎むような指導を通産でやりますか、やりませんか。
  36. 戸倉修

    戸倉説明員 地元住民の見学会につきまして、私ども詳細には存じておりませんが、先ほどから先生お話のございますように、地元住民を伊方原発の見学会に連れていっているという事実は聞いております。ただ、先ほども私が申し上げましたように、これは四国電力の方が公募して連れていっているというよりも、地元の要請に基づいて連れていっているというふうな話を聞いておりまして、先ほど長官からもお話がございましたように、既設の原発を見ていただいて、原子力発電所についての正しい理解を深めていくことは、それ自体私は有効なことだというふうに考えております。ただ、先ほども申し上げましたように、札束で云々というようなお話もございましたが、そういった限度を超えないような配慮というのは私どもは当然必要だと考えておりまして、電気事業の公正な運営という観点も含めまして、当然そういうことは限度を超えないように配慮をしていくべきだというふうに考えております。
  37. 日野市朗

    日野委員 あなたの考えはわかりました。そういう指導をしますか、しませんか、
  38. 戸倉修

    戸倉説明員 仮に限度を超えるというような事態があれば、私ども指導してまいりたいというふうに考えております。
  39. 日野市朗

    日野委員 いまの私の質問に対するあなたの答弁の全体から見て、原発に対しては日本はまだコンセンサスを得ていないなと私は思っているのですが、そういう認識はあなたにはどうもなさそうに思えるのです。そのことは通産省原子力エネルギーの開発そのものに一貫して流れている流れだというふうに思うわけですね。  特に、最近これは新聞等を通じて私は知ったわけでありますが、通産省では原発立地推進するというために電源立地円滑化研究会なるものをつくったそうですな。説明してください。
  40. 戸倉修

    戸倉説明員 お答え申し上げます。  昨年の十一月末に、御承知のように政府は石油代替エネルギーの開発目標というのを策定いたしまして、原子力発電につきましては昭和六十五年度に五千百万ないし五千三百万キロワットの原子力発電所設置する必要があるという目標をつくったわけでございます。この目標を達成するためにはいろいろな努力が必要でございまして、先ほどから御指摘の地元住民方々の御理解と御協力を得ていくというようなことは基本的に大事でございます。それ以外に、原子力発電所につきましては相当長期のリードタイムがかかっております。それから、電源立地がかなり遠隔の地になされるようになりまして、それの技術的な問題の解決等、いろいろ解決を要する問題があるわけでございます。  いま御指摘の電源立地円滑化研究会というのは省内の勉強会でございまして、主としてこれまでの電源立地にかかる許認可の円滑化、迅速化を図るという観点中心としてこれから省内で勉強会をしていこう、こういう趣旨の会でございます。
  41. 日野市朗

    日野委員 いままでも通産としてはこういった許認可の関係についてずいぶん急ぐだけ急いでこられたはずですな。これを短縮するという努力はずいぶんいままでもしてこられていると私は思う。さらにこれを迅速化する。何か二年ほどリードタイムを縮めるために許認可の手続に要する時間を短縮しようということがこれの主たるねらいのように私は思うのですが、そんな通産省の内部でできるようなことはいままでも十分やってきた。そうすると、ここのねらいはもっと別のところに、別の省庁の所管する事項をもっと急がせようというためにやっている仕事に思えてしようがないのですがね。そうすると、こんなことは通産でやってもらわなくたってよろしいですよ。他人のはかまの中に足を踏み込むようなもの。ほかの省庁が自分責任で、自分が最良と思う方法でやっていることにさらに通産省が文句をつけようとしている、注文をつけようとしている。よけいなことだと私は思うが、通産省立場としてどうですか。
  42. 戸倉修

    戸倉説明員 いま先生御指摘の二年云々という目標を掲げて別にスタートしている研究会ではございません。ただ、検討事項の中身は、通産省が所管しております原子炉等規制法あるいは電気事業法等の許認可もございますし、それからそれ以外の許認可等も当然関連してくるわけでございますが、そういったところを省くとか、そういうことではございませんで、いかにして全体の仕組みをうまく動くようにするかということを一度検討して、改善の余地があればそこを直していこう、こういう趣旨で発足をした研究会でございます。
  43. 日野市朗

    日野委員 ですから、通産の範囲でやれることというのは、通産の範囲でいままでだってやっているわけでしょう。それをさらに短縮を目指すというようなことは、私はよその省庁と非常に重大なかかわり合いを持ってくることだと思うのです。こんなことを通産だけで研究会だなどと称してやれることでは本来ないと思う。このことについてどうなんでしょう。科学技術庁あたりはこの点について非常に深いかかわり合いを持ってくるはずなんですが、どのように考えていますか。大体、科技庁は非常に侮辱されているような、軽んじられているような、そういう感じがしてならないのですよ。
  44. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 原子力発電の安全規制につきましては、科学技術庁原子力安全委員会の立場でダブルチェックを行っているわけでございます。その観点で申しますと、安全を損なうような、審査の内容を軽んずるような簡素化というのは一切やってはならないと考えております。ただし、手順等をうまくやることによって、実質を変えないで時間的に短縮するという余地は研究によってはあるかもしれません。
  45. 日野市朗

    日野委員 科技庁としては、通産がこのような仕事をやっているということについては何も申し上げる立場にはない、こういうことですか。
  46. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 御指摘のとおり、安全を損なうような簡素化は一切考えておりません。ただし、すべての官庁として、行政サービスを向上するという意味で、能率を上げるとかむだを省くということは自主的に研究しなければならないと考えます。
  47. 日野市朗

    日野委員 私、この窪川町の例を見て、また、通産がこのような研究会などを設置して原発の許認可の迅速化を図ろうとしておられることなんかを見て、これは原子力推進の国の全体のプログラムが非常におくれていることに対する焦りというようなものを強く感ずるわけなんです。原子力発電所推進というのが従来政府が掲げてきた目標から非常におくれている。いままでエネルギーの需給見通しなどではもうすでに二度ほど下方修正をやっているけれども、さらに大幅に下方修正をやらなければならない事態になっているのだろうと思うのですね。現に過日行われた原産会議の年次大会で稲葉秀三氏、この方が政府の目標なんというのは現実離れしている、とてもそんなものできるものではない、こう言われた。こういう現状にあることは間違いないのでしょう。いかがですか。これはどなたからでも結構です。
  48. 戸倉修

    戸倉説明員 原子力発電の開発目標につきましては、先ほど説明申し上げましたように、昨年の十一月末に、政府といたしまして、代替エネルギーの開発目標といたしまして昭和六十五年度までに五千百万ないし五千三百万キロワットを達成しよう、こういう目標を掲げているわけでございます。現状を申し上げますと、現在稼働中のものは二十一基で約千五百万キロワットでございます。それから建設中のもの、現在すでに計画準備中のものを含めまして三十五基、二千八百万キロワット、これまでのめどは完全についておりますが、残り二千三百万キロワットにつきましては、今後十年間にこれを達成しなければ供給目標を達成できないということでございまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたようにいろいろな手段を講じまして、現在原子力発電立地推進しているわけでございますけれども、今後とも安全性等にも十分配慮をいたしまして、地元住民方々の合意を得ながらこれを進めていくというのが基本的な態度でございます。
  49. 日野市朗

    日野委員 いまの答弁の中にもかなり苦悩の色がその道の者からすれば読み取れるような感じはいたします。  問題は、その技術的な面から国民感情の面まで、非常に大きな障害が原発については前途に立ちはだかっている、こういう事実をきちんと認識しなければいけない、そうしてそれが理由がないといって一概に退けたのでは、これはますます国民感情というものは政府政策の意図するところから離れたものになっていくだろうというふうに私は思うわけであります。この際、政府窪川町のような例を他山の石として、きちんと原発建設についての障害は障害として認める、そうして他の選択すべき方向があるとすれば、それをきちんと選択する方向に進んでいかなければならないだろうというふうに私は思うわけなのであります。  私は、総論賛成、各論反対というのは、これは反対なんだと思うのですよ。世論調査などを見ても、原発は一応は賛成だというのが六〇%台、しかし自分のところに持ってこられるのならば反対だというのは七〇%以上というような事態ですね。こういうような事態は、私はこれは原発反対という意思表示だと思うのですよ。そこらの認識はどうでしょう。科技庁長官はこの総論賛成、各論反対という見方についてどう考えておられますか。
  50. 中川一郎

    中川国務大臣 これは間々ありがちなことで、行政改革でも総論賛成、各論になると皆反対。だから避けて通っていいというものではなくて、やはり総論が賛成であるならば、努力をして各論も賛成していただくようにやっていかなければいけない。特にエネルギー事情が非常に厳しくなってくればなってくるほど、原発必要性というものは非常に強くなってきているのだろうと思うのです。しかも、二十一基、千五百万キロワットの立地をしたところで、反対——初め賛成してみたけれども、やってみたらまずかったというところは一つもないのです。皆さんが納得していただいて喜んでいるのですから、入り口はなかなか厳しいけれども、入ってしまえば喜んでいただけるものだ。入り口で苦労いたしておりますので、この入り口について、立地について御協力をいただく、御理解をいただくということについてはさらに一層努力をしていきたいし、私は就任して、自来まだ短いのですけれども反対論も根強いが、国民の間には必要性、それから各論についても大分前向きな方向もあるのではないかと思っておりますので、余り悲観的な見方ではなく、自信を持って、ぜひ十年後、昭和六十五年には、エネルギー七五%を石油に頼っている依存度から五〇%に持っていくという、この大きな目標はぜひとも達成するように最大努力をしていきたい、こう思っております。これが国民にこたえる道である、こう信じております。
  51. 日野市朗

    日野委員 最後の質問になりますが、ずばりお答えいただきたいのですけれども、この窪川町についての原発立地については慎重に行う、この推進については慎重な指導をする、このことについてはどうですか、通産省、科技庁ともお約束いただけますか。
  52. 中川一郎

    中川国務大臣 これは窪川町だけではなくて、立地についてはどこでも例外なしに慎重に扱ってまいります。ましてや窪川町はああいう意見もあったことですから、さらに一段の慎重を期してまいります。
  53. 戸倉修

    戸倉説明員 私どもも、地元住民方々理解協力が得られるように十分これから努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  54. 日野市朗

    日野委員 終わります。
  55. 中村弘海

    中村委員長 八木昇君。
  56. 八木昇

    ○八木委員 私も二、三点、窪川町の問題を伺いたいのですが、私は二月一日と二日に窪川町に調査に行ってきましたけれども、非常に異例ずくめという感じを受けました。  そこで、御承知だと思いますけれども、昭和四十九年から五十年ごろにかけまして四国電力窪川町の隣町である佐賀町に原発立地考えたのでありますけれども、それが町民反対、あるいはそれを背景に町長町議会原発反対という態度を決定したために断念したという経緯がございます。したがって、その直後ごろの時期から佐賀町の隣町である窪川町にねらいをつけたのであろうと思うのでありますけれども窪川町民を積極的に愛媛県の伊方原発やあるいは福井県若狭湾一帯の原発に無料招待見学旅行というのをどんどんやり始めておるわけです。形としては何か窪川町の一部の有力者の方の希望とかそういうものに基づいてという形をとったかどうかそれは知りませんけれども、今日までの間に大体三千五百名、そういう招待旅行をやっておる。そういうことでありますけれども、したがいまして、もうすでに実際は四国電力が計画的に窪川町に原発立地しよう、このようなことで昭和五十年ごろからもう始めていたという事実が明らかであります。先ほど日野委員の質問に対して、何か行き過ぎのような事実があるとするならばというような通産当局のお答えでありますけれども、私はいま具体的にこれを指摘しました。最近になりますると、少しかっこうをつけなければいかぬということであったのでありましょう、五百円ずつ取ったそうです。福井県まで行くのですから、そしてもちろん旅館つきでございます。伊方の場合も旅館つきでございまして、それで大変な宴会がある。こういうことは許されないごとじゃないかと私は思うのです。  それからまた、電力会社が地方自治体に直接莫大な金を出す、あるいは漁業団体に対して法外な金を出す。それで、私が言うまでもないのでありますけれども、電気事業は完全なる私企業ではありません、公益事業であります。地域独占企業であります。そうして電力料金にすべてこれははね返ってくるわけでありまして、私はもう具体的に指摘をしたこういうことは許されないと考えるのだけれども、通産当局はどう考えるか、それについて今後どう指導するか。
  57. 戸倉修

    戸倉説明員 先生御指摘の内容については、私ども詳細には存じておりませんけれども先ほど申し上げましたように、電力会社が広報活動の一環といたしまして見学会等を催すこと自体は、私はこれは地元方々原子力発電所に対する理解を深めていただくという意味で、これ自体は私は結構なことではないかと思います。  問題は、酒食のもてなしをするとかいったことが仮にあるとするならば、これは度を過ぎるかどうか、これはやはり社会通念に照らして判断をしなければいかぬわけでございますが、私どもそういった詳しい事実についてはいまのところ伺っておりませんので、何とも申し上げられないということでございます。
  58. 八木昇

    ○八木委員 そういう事実を知らぬなどということは許されませんよ。これはもう天下周知のことでありまして、それで一窪川町に対してのみ、住民三千数百名も招待旅行をやるなどということは行き過ぎじゃないのですか。
  59. 戸倉修

    戸倉説明員 三千数百名という数字はいま先生から初めてお伺いしたわけでございますが、先ほどから申し上げでおりますように、私ども聞いておりますところでは、四国電力が招待したというよりも地元からいろいろ原子力発電所を見たいという御要望があって、それを受けて四国電力が御案内をした、こういうふうに聞いているわけでございます。  したがって、社会通念に照らして限度を超えたようなものは、先ほども申し上げましたように私ども適当ではない、行き過ぎた行為については指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  60. 八木昇

    ○八木委員 ほかに金の出どころがあるわけではないのでありますから、これは全部四国電力の支出なんですよね。一体電力会社のどういう費目にこういう支出というのは当たるのか私よくわかりませんけれども、これをいつまでもやっていてもしようがありませんけれども、結局、実際は四国電力とちゃんと連携が持たれた上で原発研究会というものがつくられ、そうしてその人たちが署名運動をやって、そうして町議会に持ち込み、そうして町長の側からいわゆる立地と環境調査をしてもらいたいと電力会社に持ち込んだということは紛れもない事実なんですね。そういうやり方というのを適当だと思いますか、あるいはこれまでにそういう前例というのがあるでしょうか。これはやはり電力会社がみずから事前調査というものをやって、そしてあそこに立地したらばどうであろうか、一定の事前調査をした上で自治体に立地並びに環境調査について公然と申し入れをする、そういう形であるべきものであると私は思うのですけれども、そこら辺についてお答えをいただきたい。
  61. 戸倉修

    戸倉説明員 電力会社が原子力発電所設置いたします場合に、やり方としては二つございます。一つは、地元町議会なり町が誘致の決議をする、あるいは立地調査をしてほしいという、窪川町の例もそういう例になるかと思いますが、そういう場合と、それから電力会社自体がある程度の予備調査をした上でぜひここにつくりたい、そういうことで立地調査に入りたいというふうな申し入れをする場合と両方ございまして、窪川町の例の場合は、誘致決議というよりも、とりあえず原子力発電所立地可能性があるかどうかを調べてほしい、こういうことを電力会社に申し入れたわけでございまして、そういう二段階構えといいますか、そういう例は余りないわけでございますが、大体は誘致決議に基づいて電力会社が調査に入る、こういうのが実態でございます。
  62. 八木昇

    ○八木委員 私は、きょう問題点を幾つか指摘するにとどめたいと思うのですが、実際にはもうちゃんと事前にしめし合わせた組織的な行動があって、そうしてその前段としては電力会社の招待旅行というものが行われ、私が先ほど申し上げたような筋書きでやられたということは明らかなんであります。  そこで、もう一点伺いたいと思うのですが、町長がこの立地について、あるいは環境調査について十月二十四日に四国電力申し入れをしたわけであります。翌々日もう直ちに四国電力の社長が記者会見をいたしまして、窪川町からの申し入れについては建設を前提に調査を即刻始めたいと思う、それから窪川エネルギー基地にし京阪神に送電したい、それから三点目には、原発窪川に三基つくりたいということを、もうすかさず町長申し入れのあった翌々日記者会見をして、四国電力の社長みずからが言っておるわけです。  私がきょう伺いたい点は、一体その原発というのは、四国に必要な電力を供給するために四国に原発をつくるのではなくて、売電目的で四国に原発をつくって、そしてしかも一つの町に三つもつくる、こういう指導がなされておるのですか。そういうことを適切であるとお考えですか。あるいは、東京周辺に原発立地の適当なところがないので、東京電力が東北電力の供給区域内である福島に、みずから消費しあるいは供給する電力のために原発をつくる、それは東京電力供給区域内に送電するということはありましても、いま申し上げるように、他の電力会社の供給区域に電気を売る目的で原発をつくるというようなことが許されるものですか、それについての見解を求めます。
  63. 戸倉修

    戸倉説明員 先ほど先生御指摘の四国電力の社長の記者会見で三基つくりたい云々につきましては、私どもそういう指導を別にした覚えは決してございません。これは四国電力の社長のお考えだろうと思います。  ただいま御質問の趣旨は、供給区域の範囲内で設置をし、そこで送るのが原則ではないかということだろうと思いますが、私ども考え方といたしましては、やはり四国電力の場合もそうだと思いますが、自分の供給区域の中につくってその供給区域に供給するというのが原則ではあろうと思いますが、御承知のように、原子力にしましても水力発電所につきましても、立地地点というのは非常に限られております。御承知のように、物理的にもある程度の広さ、それから冷却水が相当大量にできるようなところ、それから地盤的にも相当強固なところというような物理的な条件等もございますし、立地地点が日本でそうたくさんあるというわけではございません。したがって、先ほども御指摘のように、東京電力が福島とかそういったところに立地するのもそういった観点からでございまして、供給区域の中だけで発電立地を求めるということは実際問題としては不可能ではないかというふうに考えております。
  64. 八木昇

    ○八木委員 根本的には、電力会社がいまや九分割されておることの矛盾ということだと私は理解をしておりますけれども、それにしましても東京電力の福島原発の場合と逆なわけですね。いまの御答弁はそれをしも許されるというお考えですか。四国電力は損をしてまで原発をつくって関西へ供給するわけはありませんので、金もうけのために、他の電力会社の供給区域に電力を売るために原発をつくる、公然と社長が言っておるのですけれども、それは適切ですか。
  65. 戸倉修

    戸倉説明員 先ほども申し上げましたように、四国電力の社長の御意見がどういう趣旨であるかということは私ども存じませんが、一般論といたしましては、売電だけを目的にした発電所の立地というのは私ども考えていないわけでございます。ただ、現実問題といたしましては九電力間の融通というようなこともやっておりまして、こういった観点から、自分の供給区域に供給するためにまずつくるというのが原則でございますが、余った電力をほかの地域に融通するということは現実にも行われておりますし、今後ともそういう観点からの運用は必要ではないかというふうに考えております。
  66. 八木昇

    ○八木委員 さすがに新聞にそれが大きく載りまして反響がありまして、翌日四国電力の社長は、私の将来への夢を述べたまでだというふうに発言を修正しているのですよ。四国電力の社長もやはりそういうことは許されないということに気がついたのだろうと思うのですがね。それにもかかわらず、いまの通産当局の答弁はきわめてあいまいでありまして、了承しがたいのでありますが、それはさておきまして、いまの社長が二十六日に記者会見をしましたその翌々日、四国通産局長が記者会見をしておりますけれども、そのときの記者会見の内容を御存じでしょうか。私が現地から聞いてまいりましたもの、ここに資料もございますけれども、それによりますというと、四国電力の社長の前々日の発言を受けた形で、通産当局としても原発推進したい、具体的には窪川を指していると思うのですが、そういう記者会見をしておりますが、適切じゃないのではないでしょうか。
  67. 戸倉修

    戸倉説明員 御指摘の四国通産局長の発言でございますが、十一月二十八日に記者会見をしておりまして、翌日の新聞各紙に掲載されている事実がございます。この事実を確かめましたところ、現在、産業構造審議会の四国地域産業分科会というところで四国地域の産業ビジョンにつきまして審議中でございますが、それに関連した記者会見を四国通産局長がやっております。その趣旨は、エネルギー施設の立地をやはり地域開発の一つの柱として重視をしていきたいということでございまして、窪川町云々というようなことも直接触れた発言はございませんし、またリコール問題自体どうこうという発言ではございません。したがって、これは報道の仕方、いろいろございますが、四国地域の産業構造の高度化のためにやはりエネルギーというものを一つの重視するべき柱であるというふうに語ったというのが真実でございます。
  68. 八木昇

    ○八木委員 私があえて申し上げましたのは、通産当局の立場は、電力会社が事前調査をし、それから環境調査をやりまして、そうして環境レポートを通産当局に提出するという上に立って、しかも厳正にそれを審査する立場ではないのか。それが実際には、世間には、通産当局は窪川原発推進という態度を表明したとしか受け取れないわけです。そういう意味において私は申し上げたわけでございます。  そこで、中川長官に伺いたいのですが、いまの町長四国電力申し入れた翌日から、これはもう町長を信任するわけにいかぬというのでリコール署名運動が始まったわけですね。そうしてその三分の一以上の署名が集まって手続が終わった。そうしていよいよ町長解任か否かの住民投票の告示の日も投票の日も決まっていたわけです。その時点において早々に知事が乗り込んで街頭から訴えて回るとか等も問題だと思いますけれども中川長官が乗り込んで、一方の立場から行動したということは私は許されないと思うのでありますけれども、どういう御見解でございますか。
  69. 中川一郎

    中川国務大臣 私が参りましたのは、党から、科学技術庁長官として原子力安全性必要性地域振興等地域の皆さん認識をしていただくようにぜひ行ってほしいという要請がありまして参ったものでございます。私は公務員の立場もございますが、政治家としても原子力は国家、将来にとってぜひとも必要である、推進立場でございますし、いささかそういった点について認識も持っておりますから、お役に立てばと思いまして、街頭で二カ所、二千人と千人ぐらいであったかと思いますが、私の知れる範囲内での必要性安全性地域振興の実態についてお訴えをし、リコール成立しないことが私にとっては望ましいことでございますので、原子力行政をやっていく上にぜひとも理解をいただきたいという立場から住民に訴えてまいったところでございます。いけないといえばいけないのかもしれませんが、私としては間違ったことはしておらないと思っております。
  70. 八木昇

    ○八木委員 この窪川町が町民を挙げて、原発問題で賛否両論とある意味では非常な混乱をしておるという過程で、いち早く町長四国電力申し入れをしたというような事柄について、そうしてその申し入れがありますや、待ってましたとばかりに数日後には四国電力の副社長が窪川町を訪れて、承知いたしました、ありがとうございました、そうしてもう二日後には、早手回しに窪川原発調査事務所というものを窪川町に設け、所長以下の人事がぱっと発表されるというような事態について、住民投票の告示の日ももう決まっておるわけだし、そういう状況の中で、むしろ四国電力への町長申し入れを凍結するよう行政指導するなり、そういう立場で行動するのが長官としての立場ではないか。いわゆるこういう混乱について適切なる行政指導をする。たとえば町長から四国電力への申し入れがあった事項の推進については、直ちに事務所を設けるとかなんとかというようなことではなくて、そういう事柄についてはたとえば凍結をする等々の、本当に住民との話し合いと良識によってこの事態を解決するように助言もしくは行政指導すべきが科学技術庁長官立場ではないのかと私は考えるのですけれども、この原発促進の具体的行動に政府みずからが露骨に出て運動の前面に立つことは、地方自治、住民自治あるいは住民の自由なる意思決定政府が圧力をかけた、行政が圧力をかけたものであり、権力介入だと言われても仕方がないのではないか、そういう趣旨のことをマスコミも報道しておるわけです。いかがでしょうか。
  71. 中川一郎

    中川国務大臣 この問題は、町民四国電力との間で民主的に話し合われて決められていくことなんです。そしてまた、町議会なり町長なりあるいはリコールなり、いろいろな町民意思を反映して行われるべきものであって、国がいささかなりともこれに公権力を持って介入すべきではない。ただ、正しい認識をしていただくという立場から町長選挙や市長選挙に国務大臣が応援に回ったり運動したりするということは、これは許される範囲内のことだと私は思っているのです。そういう範囲内で町民判断材料を提供する意味において私が行ったまでであって、私の力をもってして、公権力でもって何かをしようという意思ではありませんから、あくまでも町民が自主的に判断する。反対立場の人は反対立場で学者を動員したり政治家を動員したり、いろいろやって正しい認識を得ようという努力をしているのと同じように、町民の間からも正しい認識を得るために、党を通じてではございますけれどもぜひ来ていただきたい、こういうことでございましたので参ったわけでございます。また、知事さんとも話し合いましたが、知事さんは、四国開発の起爆剤にしたいのだ、安い電気を持ってくることが地域住民に仕事を与える最大のポイントだ、私は知事として四国を預っていく上においてぜひとも必要だということで先頭に立っているんだ——私は知事の立場理解できますし、われわれもまた日本全体の原子力推進する立場からお訴えするということは、地域住民判断材料として間違ったことではない、こう思って行動してきた次第でございます。
  72. 八木昇

    ○八木委員 時間がありませんからあと一、二で終わりますけれども窪川問題については、科学技術庁長官がこういう状態の中で乗り込んでいくというのはいかがかというふうに長官御自身もお考えになっておったんじゃないですか。当日二カ所で街頭演説をされたそうですが、現地の方から伝えられておるところによりますというと、私は科学技術庁長官として来たのではない、そうはっきり言われたかどうか知りませんけれども、要するに自民党の国会議員として来たというような趣旨のことを言われたように聞くのですが、そうですか。
  73. 中川一郎

    中川国務大臣 八木委員承知のように、一日に——三月一日ですか二月一日ですか、(八木委員「三月一日です」と呼ぶ)三月一日ですね、現地で大会をやるから、こういうことだったのですが、私、日程の都合がつきませんでお断り申し上げて、代理として政務次官にお願いするという予定でありまして、私は現地に行けないし、行かないで済むならよろしいな、こういう気持ちを持っておったことは事実なんです。ところが、例のスリーマイルアイランドに関連したある学者のパンフレットが出る等なかなか事態は容易じゃないという地元の要請も非常に強くなりまして、特に党からもありましたから、私が出ないで済めばいいなという気持ちはありましたが、現地に行って、私は科学技術庁長官として来たのではないということは言っておりません。紹介のあるままに、科学技術庁長官中川一郎ということで、立場にあるとかないとかいった気持ちはなく、私は科学技術庁長官として話をしてきたつもりでございます。
  74. 八木昇

    ○八木委員 科学技術庁長官がああいった状態の中で乗り込むということは、どう考えても適切でないと思うのであります。自民党の幹部の方が行かれるのは形式的に自由のようでありますけれども、それすらもやはり問題だと私は思うのであります。佐々木さんは元の科学技術庁長官でありますし元の通産大臣でありますし、櫻内さんも元の通産大臣でありますし、私は櫻内さんのお兄さんだと思いますが、中国電力の社長を長くしておられた方ですね、もよく知っておるのですが、そういうかかわり合いのある方があのように乗り込んでいっておやりになる。しかも予土線は廃止しない、これはもうあなた廃止できないのは初めからわかっておることでしょう、だれが考えても。四国の環状線の窪川から宇和島の間だけを線路を外してしまうなどということは、それはもう初めからできないことなんでありまして、テレビでも見たのでありますけれども、それを自民党の幹事長は、ここへ私が参ります以上手ぶらで来るわけにまいりません、手みやげを持ってまいりましたと言って、予土線はあくまでも存続をいたします。そうすると、もうわけもわからない奥さん、おばちゃん連中が喜んで手をたたいているという姿がテレビに映っておりましたのですが、そういうことはやはり長官も自民党の有力な幹部でありますから、厳に今後は慎まるべきであるということを要望いたしておきます。  もう一つだけ、これは通産当局に聞きますけれども、そのときに幹事長も言っていたんですけれども、ここへ原発ができたならば工場をどんどん誘致するというようなこともあわせて言っておられたんですが、原発の周辺にどんどん工場をつくるのですか。
  75. 戸倉修

    戸倉説明員 お答え申し上げます。  原子力発電所立地される地点というのはおおむね過疎地帯でございます。地元住民方々の御意見としては、やはり地域が発展するような方策をぜひ講じてほしいという御要望がございまして、御承知のように電源三法による交付金等を通じまして公共用施設等の整備をいたしますと同時に、いろいろな施策を講じて、地元の雇用あるいは振興に役立つような施策を考えていくということは私どもの基本的な方針でございます。どんどん誘致をするという先生のお言葉でございますが、現実にはなかなか進んでないのが現状でございまして、できるだけ地元の振興に役立つような施策を考えていきたいというふうに考えております。
  76. 八木昇

    ○八木委員 もともと原子力発電というのは、やはり比較的過疎地で、それから第一次産業等についてもそんなに重要な地域ではない、そういうところに現に立地をしておるし、立地をすべきものであるし、その周りにどんどん工場をつくるなどという方針じゃないのでしょう、そうだと私は思うんですよ。  まあそれは終わりますが、動燃事業団に来ていただいておりますので、東海村の再処理工場の事故について、これももう時間がありませんので、きょうは一点だけ、四つの事故が相次いだわけでありますけれども、その中の一つだけお伺いをしておきたいと思うのでございます。  溶解槽からの送液用ジェットポンプ不調の問題についてでございます。燃料棒被覆管のチップが詰まったのではというお話でございましたが、私調査に参りました際、まだ実際に何がどのように詰まっていたかということは確認をしていないということでございました。それは確認をされたかどうか、あるいは非常に確認がむずかしいというようなものなのかどうか、ちょっとお答えをいただきたい。
  77. 中島健太郎

    ○中島参考人 お答えいたします。  いまの御質問でございますが、確認がむずかしいかどうかという御質問でございますか。——場所がセルの中の、しかも溶解槽の中でございますので、確認が容易とは思っておりません。  それから、しかしあのときも御説明いたしましたけれども、スワーフバスケットというのがございますので、それを引き揚げることによって、いままでもどんなものがあったかということは見ているわけです。
  78. 八木昇

    ○八木委員 私が聞きたい点は、実際確認をしたか、それで、確認をした結果はお話のように、被覆管のチップではなかろうかとおっしゃったんだけれども、果たしてチップであったのか、それとも何かほかの物質が詰まっていたのか。いろんな説があるそうでございまして、核分裂生成物の中には燃え方が強いというと溶けにくい物質が残るという説もあるし、そういう物が詰まっておるという可能性もありましょうし、あるいは特に沸騰水型の場合腐食が激しいので、それが水あかというようなものになって燃料棒にくっつくというような説もあるそうでありまして、そういうものが詰まっていたのか、一体どうだったのかを説明願いたいわけです、
  79. 中島健太郎

    ○中島参考人 あのとき申し上げましたのは、原因としては三つ考えられるということで申し上げました。それは、一つは金属片でございますね。それからあとは、いまおっしゃいました不溶性の沈でん物あるいは水あかも考えられるということでございます。
  80. 八木昇

    ○八木委員 それでどうだったのですか。
  81. 中島健太郎

    ○中島参考人 いま確認中でございます。
  82. 八木昇

    ○八木委員 この事故が起こってからずいぶん日数がたつんですよね。もう何日たつのですか。何十日かたつのだと思うのですよ。確認はやっぱりむずかしいのですか。
  83. 中島健太郎

    ○中島参考人 最初に申し上げましたように、容易ではございません。
  84. 八木昇

    ○八木委員 どうも禅問答のようになってわからぬのですが、容易ではございませんというのは、容易ではないが確認できるのですか。いつ確認するのですか。それを確認しなければ原因は除去できないでしょう。
  85. 中島健太郎

    ○中島参考人 これも先生この間御調査にお見えになったときに申し上げましたけれども、詰まりというのはいままでもございました。しかし、その都度詰まりは除去いたしております。それから、詰まるであろうということを予想して、ジェットポンプも予備を設けてございますということですので、必ずしも確認しなくても、われわれとしてこれで十分やれると考えればよろしいというふうに考えております。
  86. 八木昇

    ○八木委員 その詰まった物を除去するということはできる、そして従来も詰まった場合にそれを除去して運転をしたということはわかっておるんですよ。ですけれども、詰まりの原因としてどういう物質がどういう形で詰まっていたのかということがつかめないというと、この間の事故は四つあるポンプのうち三つ詰まったんでしょう。そうすると今後もそういうことは起こり得るわけですよね。そうすると、まあ早い話が、そういうことでたびたびこの再処理工場がストップしていたんじゃ採算もとれないでしょう。ですからその原因を明らかにして、そうしてどのようにしてその原因を除去するかという点についての御説明がないと、結局これは基本的には設計上の問題じゃないか、こういうふうに考えられますので、それで聞いているわけです。
  87. 中島健太郎

    ○中島参考人 先生がお見えになったときの状態、ちょっといま確かめておりませんけれども、多分あのときはもう四つのうち三つは解除、開通していた状態であったかと思います。残りの一つにつきましても、一応調査いたしました結果、これは非常に原因がはっきりしておりまして、ジェットにやはり金属片がひっかかっていた、これは除去いたしました。こういうわけですから、金属片による詰まりということはもう確認しております。
  88. 八木昇

    ○八木委員 しかし、さっきのあれじゃ、あなた、実際に確認はまだできていない、非常に困難性があるけれども確認をするようにしたいという答弁だったのに、金属片であることは間違いありませんなんということがよく答弁できるんですね。  結局私が指摘したい点は、これまでもこの詰まり現象はたびたび起きておるわけですから、原因究明がしかもちゃんとされていない。今後も当然起こる、原因が除去され克服されていないのですから。これは設計上抱えておるところの問題ではないのかということを言いたいわけなんですよ、
  89. 中島健太郎

    ○中島参考人 私のいまのお答え先ほどのと矛盾するんじゃないかとおっしゃるのですが、先ほどから申しましたように、三つぐらい考えられるという中の一つははっきりしておりますということを申し上げたわけでございます、  それから、設計上云々でございますが、われわれいつも機会があると申しておるのでございますが、確かにあの再処理工場につきまして、基本的には技術は確立しておるけれども、安定運転、そして稼働率を上げていくという意味ではまだまだわれわれとして方法的にも装置的にも改良する余地はある、それはこれからも一生懸命やりましょうということを申し上げておるわけでございまして、設計的にどこか基本的に欠陥があるとは考えておりません。
  90. 八木昇

    ○八木委員 それでは一点、これは科学技術庁の方に伺いたいのですけれども科学技術庁の安全局は、この動燃事業団の東海村の再処理施設の使用前検査合格証を与えられたわけですね。結論のところの文章を読み上げますと、原子力施設検査官による検査を実施した、その結果はすべて良好であったので、昭和五十五年十二月二十五日合格証を交付した、こう書いてあります。ところが本格的な操業を開始して幾日もたたないうちに、次々に四つ事故が起きている。そして運転は全面ストップ、今日もその状態下にある。これはやはり問題じゃございませんか。国みずからが設備の再点検をしましたですか。すべきではありませんか。
  91. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 使用前検査を行いましたこの使用前検査の性格でございますけれども、これは原子炉等規制法に定められておりますように、そこで行われました工事が、運転の開始に先立ちまして設計及び工事の方法が認可されておりますが、そのとおりに行われているかどうか、これを確認するために行われるものでございます。それで、検査すべき技術上の基準というものが総理府令に決まっているわけでございます。そういう意味で十分合格しているという確認をしたわけでございますが、たとえばジェットポンプの故障のようなものは、これが故障しても安全上すぐ問題になるというものではございません。使用前検査に当たりましても、安全上問題になるところを重点的に検査しておるということでございまして、設備のすみからすみまでもすべて検査するというわけにはまいらないわけでございます。  それから、時間的な広がりにつきましても、検査時点で正常に作動し、設計どおりになっているということを確認するわけでございまして、これが将来ともずっとそのまま保っていけるかどうかということは、原則的な材質等の検査はいたしますけれども、いつまでも健全でいるということの確認は技術的にもできないわけでございます。むしろ、そういう故障などが起きた場合に安全性が保たれるような設計になっているということを事前に確認することによって安全性の確保をしているということでございます。  それから、設備の点検でございますけれども、今回起こりました数種類のトラブルにつきまして、動燃事業団の方に設備の完全さあるいは対策の仕方、これを総合的に考えるように指示しておるところでございます。
  92. 八木昇

    ○八木委員 運転を開始してから起こるいろんなトラブル、そういうものについては責任は負わぬなんというわけにはいかぬわけであります。いずれにしましても、私はもう一度総ざらい、再点検をすべきであるということを申し上げておきたいと思います。  きょう時間をちょっと制限されたものですからもう時間がなくなりましたので、一つ一つは違う問題なんですけれども、二つ一括して質問をいたしますからお答えをいただきたいと思います。  一つは、旭化成のウラン濃縮研究設備についてでございます。  これは通産当局にお伺いをいたしますが、昭和五十五年度の予算で通産関係の補助金が組まれております。実際にはもう三月末まであと何日間かですけれども、まだ何にもやっていないでしょう。それは一体どういうことになるのか。そしてまた、現地では御承知のごとく住民の人たちのいろんな反対の世論も巻き起こっておるわけでございまして、起工式をやるあるいは着工するというような場合、隠密のうちに、極秘のうちにやるというようなことは許されないと思います。やはり公然と明らかにして、やるならやる、こういうふうにすべきだと思いますが、政府が補助しておられるから、いつ起工式をやりいつから着工するのか、それから実際にはその予算はまだ全然使われていないわけですけれども、それはどういうことになるのか、以上をお答えいただきたい。  それからもう一つは、これはもう全然別の問題ですけれども、「むつ」の問題でございます。これは事業団はお呼びしておりませんから科学技術庁にお伺いをいたしますが、非常に大きな新聞の記事で報道されておりまして、これは全国版でありますけれども、九州方面なんかは東京あたりで報道されたものよりももっと大きく、しかも一面だけでなくて、中の面にもずっと記事が載っておるんであります。一点だけお伺いをいたしたいと思います。  船体のひずみの結果ではない、最初から図面どおりの寸法とは違う誤差があったと考えられるというふうに、翌日科学技術庁は記者会見をされてそういうふうな説明をされておるのでありますが、もしそうだとするならばこれまた大変ずさんな話であって、私ども了承できません。そしてしかも、そのことがことしの二月になってわかったというのでありますけれども、いずれにせよ間違いなく十月末までに修理は完了するでしょうな。この新聞記事のように、もう完了できないことはわかっておりながら、おくれるということについての申し出のタイミングをはかっていた、こういうことであるとするならばこれは大変なことでございますから、この点をお答えいただきたいと思います。  以上二点です。
  93. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 お答えいたします。  旭化成は、本年三月十日に県当局からの本モデルプラントの立地の同意書を受理いたしました。私どものモデルプラントに対する補助金に関しましては、地元のそういう同意を得たということで受理をし得る条件が整ったと思っております。現在鋭意補助金の交付の決定のための審査中でございます。したがって、鋭意的確な審査をしたいと思っておりますが、また旭化成側におきましても、現在着工、建設のための所要の準備を進めております。したがいまして、現在のところ本年度中に着工に至るということは物理的にやや無理かとは思っております。(八木委員「起工式もないですね」と呼ぶ)はい。  また補助金につきましては、これは電源開発促進対策特別会計法の十四条に基づきまして支出残額の繰り越しが明確に認められておりますので、私どもといたしましては、来年度に繰り越す本モデルプラントの的確な建設を進めるよう旭化成を指導してまいりたいと思っております。  また、地元との関係におきましては、これまでも十分に地元方々との話し合いを進めるよう指導してきたわけでございますけれども、今後ともその建設のプロセス、過程におきまして、十分に地元方々との間での合意を得て行うよう指導してまいりたいと思っております。
  94. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  まず、船体のひずみという問題でございますが、この点事業団及びメーカーに十分確認をいたしましたが、「むつ」の船体に経年変化によるひずみという事実はないということでございます。ただし「むつ」の建造時に設計図面と比較して許容範囲内での製作誤差があるということも考えられるということで、遮蔽の改修工事を行うに当たりまして再計測をやったところ、多少の製作誤差、もちろん許容範囲内の製作誤差があったということが二月の時点で判明したということでございます。これによって工事に支障が生ずるということはないということでございます。  次に、工期の問題でございますが、私どもは期限を、お約束を守るべきであるという考えのもとに、現在鋭意事業団並びにメーカーに強い要請を行っているところでございまして、何とかそのように工期は守るというふうにいたしたい、こういう方針で進んでおります。
  95. 八木昇

    ○八木委員 ちょっと時間を超しておりますけれども、新聞に数センチの誤差があったと書いてありましたが、やはり数センチですか。数センチだとするとそれはやはり大問題だと思うのですが——。
  96. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 正確に数字を記憶しておりませんが、許容範囲内での誤差があったということでございます。
  97. 八木昇

    ○八木委員 許容範囲内というのはどのくらいのことですか。それじゃぼくらにはわからない。
  98. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 一ないし三センチの誤差であったというふうに聞いております。
  99. 八木昇

    ○八木委員 一応これで終わります。
  100. 中村弘海

    中村委員長 瀬崎博義君。
  101. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まず、窪川の問題について伺うのでありますが、原子力施設の立地に当たっていろいろな利益誘導が行われることについて、五十二年四月の当委員会におきまして、当時の宇野科学技術庁長官がこう言われておるのですね。「特に私は他のことは言いませんが、「むつ」という純粋に科学技術的な存在のものについて私がいやしくも交換条件によってこの問題を解決するということは、将来の科学技術のためにも私はよくないということを申しておりますので、その点は私は瀬崎委員と同じではないだろうかと思っております」こういうことなんですね。当然、現在も自由民主党内閣ですから、この立場は継承されるとは思いますが、改めて中川長官のこの問題に対する見解を伺っておきたいのです。
  102. 中川一郎

    中川国務大臣 それで結構だと存じます。
  103. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういたしますと、このたびのリコール問題で、政府並びに自民党の方から、中川長官を初めとしてかつての長官であった佐々木さんや、あるいは通産大臣も務めた櫻内さんが乗り込んで、露骨な利益誘導。先ほども話が出ておりましたが、予土線は何としても存続させる決意である、こういうみやげを提げていく、こういうことが間違いであることは率直にお認めになりますね。
  104. 中川一郎

    中川国務大臣 科学技術庁長官中川一郎、そんなことを言った覚えはございません。
  105. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、政府・与党がこういうことを言ったという事実はテレビでも報道されているのですが、そういうこと自身に対するあなたの御見解を伺っておきたいわけです。
  106. 中川一郎

    中川国務大臣 私は、政党について批判する立場にはございません。中川一郎責任だけはりっぱに果たしてまいりたいと思います。
  107. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では重ねて聞きますが、あなた自身は、そういう利益誘導で原子力発電所立地を促進する、そういう考え方は間違いだ、こういうことだけは明言できるのですね。
  108. 中川一郎

    中川国務大臣 利益誘導というのがどういうものであるのか、何か聞いたところ——(瀬崎委員「交換条件と言ってもいいです」と呼ぶ)地域の立地整備促進ということは交換条件の中には入らない。これはもう法律でもいろいろと地域振興をやるということに決まっておるわけですから、地域振興は交換条件とは思っておりません。
  109. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だからいま私が具体的に言った、だれが言ったかは別にして、そういう国鉄ローカル線の存続を原子力発電所立地問題のおみやげにする、こういう考え方についてあなたはどう思いますか。
  110. 中川一郎

    中川国務大臣 私は事の真相を知っておりませんから、批判する立場にございません。
  111. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 非常にひきょうな言い方だと思いますよ。この「むつ」問題のときというのは、長崎新幹線を敷くとか敷かぬとかいう話があったときなんです。そういう問題をただしたのに対して、そういう交換条件は間違いだというかつての長官の明言はあった。あなたはそういうことに対してどういう意見をお持ちかということを聞いているのに答えない。これはちょっとひきょうだと思いますが、はっきりしてください。
  112. 中川一郎

    中川国務大臣 科学技術庁長官として、交換条件を出すことはあってはならぬということで宇野さんに賛成したまでであって、政党がいろいろやっておられることについて、私は共産党についてこうだああだと言う立場にはないのです。私は私の職務を最善を尽くしてやっていくという立場を離れるわけにはまいりません。
  113. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 通産省の方に伺いますが、電調審で原子力発電所立地を決める経緯をごく簡単に説明してほしいのですが——。
  114. 戸倉修

    戸倉説明員 原子力発電所立地手続を御説明申し上げますと、まず電力会社が電力の需要とか立地地点の特性とかを考慮いたしまして、地元方々の御理解を得ながら立地点の調査をして、立地点をまず選定をするわけでございます。その後におきまして電力会社は、環境に与える影響調査を実施いたします。これができますと、環境影響調査書というものに取りまとめて地元方々の縦覧に供するとともに、地元説明会等を行う、こういうのがございます。  一方、それと並行いたしまして通産省では、地元住民方々原子力発電所立地に関するいろいろな御意見を伺う場といたしまして、一次公開ヒヤリングというのを実施をいたしております。ここでは、電力会社から原子力発電所設置に関する事項について説明を行わせるとともに、住民方々からいろいろな御意見を伺う、こういうことでヒヤリングをするわけでございます。  そういった過程を経まして電調審に付議をされるわけでございますけれども、電調審に付議をする場合には、地元の都道府県知事の御意見を伺い、その同意を得るという形になっておりまして、その同意を得た後、関係省庁との調整を経て電調審に付議をいたしまして、電源開発基本計画に組み込まれる、こういう一連の手続になっております。
  115. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、重ねて聞きますが、その中でいわゆる住民の合意というものは何によって確認しているわけですか。
  116. 戸倉修

    戸倉説明員 いま申し上げましたように、直接的には、電調審にかける場合に、地元の御意見を代表する都道府県知事の意見を聞くというのがございます。それ以外に、いま申し上げましたように、一次公開ヒヤリングの実施、環境影響調査書の縦覧、それから説明会等を通じて地元方々の御意見を吸い上げる、こういう仕組みになっているわけでございます。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 電調審に立地申請された原子力発電所で、その後立地が取り下げられたとか、あるいは変更されたという例はありますか。
  118. 戸倉修

    戸倉説明員 これまでにそういう事例はございません。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 窪川町の住民リコールという手段を選んだ、この意味の一つとして、確かに第一次公開ヒヤリングをやるというふうな制度はとっているけれども、事実上これが住民意見を吸い上げる場ではなく、電力会社サイドの安全性などの宣伝の場に使われてしまっている。また、いま知事の同意書をつける、こう言ったけれども、その知事が同意書を出すに当たって、必ずしも民主的な手続を踏んで住民の総意をくんでいない、だからそういうものにゆだねるわけにいかない、こういうふうなこと、その他、縦覧とかあるいは説明会とかいろいろ言われても、結局これは電力会社あるいは通産省の押しつけだ、こういうことが今回のリコールという手段を選ばれた一つの背景ではないかと私は思うんです。  そういう点から見ても、もし率直にこのリコールの結果に学ぶというならば、電調審としても、まずこの住民意見のくみ上げ方、住民の合意の取り上げ方、この点についても反省をし、再検討すべきじゃないですか。
  120. 戸倉修

    戸倉説明員 電調審自体は内閣総理大臣が主宰をすることになっておりまして、経済企画庁が事務をつかさどることになっておりますので、電調審のあり方自体について私がとやかく申し上げることを差し控えさしていただきたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、都道府県知事の意見というのは一応地元の市町村長等の意見を聞きまして、それから関係の漁協等の意見も調整をした上で出されてくるわけでございまして、そこの意見地元住民方々意見を代表しているというふうに私ども考えておるわけでございます。それ以外に、ただいま申し上げましたように一次公開ヒヤリング等を通じて地元意見を聞くシステムはできているというふうに私ども考えておるわけでございます。  なお、先生御指摘のように、実際に立地調査に入ります場合に、地元住民方々の御理解がなければできないというのは、これは現実問題としてそのとおりでございまして、電力会社が立地調査に入ります場合にも、少なくとも町の議会の同意とかあるいは地元漁協の了解というようなことを現実には取りつけているわけでございまして、そういった形でも地元住民方々の御意思というのは十分に反映されているというふうに私は考えております。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そもそもその調査を、調査というのは最も初段階の調査ですら、それを認めれば、事実上立地に同意したものとして扱われて、以後いろいろ住民側が反対意思を表明してももう変更もあり得ない、こういう事実がある。ここからきているのではないかと私は思うのです。この点についても、もっともっとリコールの持つ意味というものを考え直す必要があるのではないかと思いますね。  先ほどの答弁を聞いていますと、中川長官は、九千人からの賛成派のあったことも考えなければいかぬというふうな趣旨のことを言われました。これが、一切の政権を握っている政党やあるいは政府の代表として長官みずから乗り込まれた、こういうふうないろいろな介入がなかった場合は、私はある程度、そういう賛成派がいらっしゃったことについてそれなりの重みも出てくるかと思う。事実上、ずいぶん強引な介入を政府・与党としてしてきたわけでしょう。一種の政治的圧力をかけたと言ってもいいいし、切り崩しを図ったと言ってもいいと思うのですが、その中でむしろ過半数の人々の反対が生まれた、このことの重みの方が私は大事だと思いますね。今回のリコールの結果の示すものとして、第一に、やはりここは非常に重視すべきだと私は思う。  それから第二は、当然いまの予土線の問題はもちろんのこと、各種の交付金とか補助金、こういう名目でいろいろなバラ色の開発その他が訴えられている。あるいは電力会社が金を使っている。こういうことに対して、地方自治そして民主主義を守る立場から住民がそういうものを拒否した、そういう審判を下したという意味でも、私はこれは非常に重要だと思う。そういうものは、この窪川には通用しなかったんですよ。  第三には、やはりスリーマイルアイランド事故あるいは再処理工場のトラブルなどが現実に起こっているわけでしょう。やはりこれに対する住民の不安の表明と受け取るべきだと思うのです。何かこのリコール期間中にTMI事故に関して確実でないような情報が流れたのが不利だったと言われたけれども、そもそもスリーマイルアイランド事故の内容そのものをここで論議しようと思いません。過去、私もしばしばこの委員会でその重要性を指摘し、また政府側も、また安全委員会の吹田さんなども、事の重要性は認められていることなんです。だから、そういう点で住民が持つ不安、これがやはりリコールに表明されている、こう率直に受けとめるべきだと私は思う。  それから四つ目は、町長町議会の決議を受けて調査を受諾しようとしたことに対して、リコール運動が展開されたといういきさつなんですね。これが、先ほど言いましたように、この調査を認めることが結果的にはもう立地承諾につながって、一たん承諾ととられてしまえば、自後電調審のどの段階でも、もう住民意思に基づく変更はできなくなってしまう、こういうことに対する住民の不安といいますか心配の意思表示ではなかったかと思うんですね。ですから、結果の受け取り方には、これは立場の相違はあらわれると思うけれども、やはりこういうふうな受け取り方も、当然私はあってしかるべきだと思うのです。やはり大臣としては、公正な立場で物を判断されるべきですから、最小限、事実は事実として、まず謙虚にこういう結果をいろいろな角度から見ていただきたいこと、決して一方に偏った立場推進するという立場からのみ見られるべきでないということ。  それからもう一つは、いかなる事態があっても、押しつけがましいことをすべきではない。先ほど住民が決定すると言われたのですから、それなら本当に民主的に住民に任す、こういうことだけははっきりここで表明しておいていただきたいと思うのです。
  122. 中川一郎

    中川国務大臣 結論から言うと、何といっても地域住民意思によって決まることであって、押しつけることはないということだけははっきり申し上げておきます。ただ、過程においていろいろ議論のある事実関係だけは申し上げさせてもらいませんと、たとえば町議会議決したことを町長がやらないとしたら、これは町長は勤まらぬわけですね。ですから、あそこの場合、本当に原発反対リコールをするなら、町民の代表である町議会が決めたことに対して町民リコールすべきであったのではないかという議論のあることも事実ですし、それから町長は、もともとは原発反対を半ば約束をして出られた方であって、しかも、賛成派というか原発推進派といいますか、そっちの方が今度はリコールの先頭に立っているという事実、非常に複雑なことであって、単に町民原発反対だということの盛り上がりだけによって決まったものでもない、いろいろ複雑な事情がある、こういうことを申し上げておるのであって、われわれは押しつけてやろうなんという気持ちはさらさらありませんから、あくまでも、少し民主的過ぎるのじゃないかというぐらい民主的にやっておるところでございます。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、次に動燃再処理工場の問題を伺います。  まず先に科技庁の方に、一応総点検を命じているようでありますから、総点検の内容といいますか、項目及び運転再開に至る科技庁サイドのプロセスをごく簡単に説明してほしいのです。
  124. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 最近、再処理施設におきまして各種のトラブルが発生したことにかんがみまして、二月九日に動燃事業団に対しまして各種の点検をすることを指示いたしました。指示の項目は、ハードウエア、ソフトウエアに分けまして、ハードウエアにつきましては、今回トラブルが起きたところの対策を徹底的に検討すること。ソフトウエアにつきましては、安全管理体制の総点検をすること、以上を骨子とする指示を行ったわけでございます。  現在、動燃事業団においてこの対策の検討が行われていると聞いておりますが、今後の手続といたしましては、その回答を待ちまして、慎重に検討した上で運転再開等の手順を考えていきたいと考えております。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その報告を受けるのは、大体いつごろの予定なのですか、
  126. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 まだ詳細を聞いているわけでございません。ハードウエアについての対策は大体そろった、ソフトウェアにつきましては現在進行中と聞いております。そういう意味では、そう遠くない先に報告があるものと思っております。
  127. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、具体的な事故、故障について伺いますが、一月十七日のいわゆる本格的な運転に入って以後、主要な事故、故障が四つあるわけですね。起こった順番に行きますが、最初は、溶解槽のジェットポンプの目詰まり問題であります。ジェットポンプが全部で四本あって、目詰まりはそのうち三本で起こった。その三本のうち、さらに二本はいろいろな操作をされて一応貫通をさせて、現在残っているのは一本だけである。この残っている一本については、ノズル部分といいますか、蒸気を噴射させる部分ですね、ここはバルジで、中が確認できるシステムになっているから、詰まっているものが金属片であることが確認できた、こういうことですね。一応それは信頼していきたいと思います。それで、その金属片というのは、使用済み核燃料のさやに当たりますジルコニウムを剪断するときに生ずるものであるというふうに言われていますね。そこで、実はこういう金属片がジェットポンプに吸い上げられないように一応の予防措置はしてありますね。溶解槽のうち溶解部の方にはバスケットが入れてある、そこにたまったそういう金属片をいわゆる溶けないさやのジルコニウムと一緒に定期的に取り出すというシステムをとっていらっしゃるはずですね。まずそういうシステムになっているかどうか、確認しておきたいと思います。
  128. 中島健太郎

    ○中島参考人 そういうシステムになっております。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃあ、そのバスケットのメッシュといいますか網の目はどのくらいの大きさですか。
  130. 中島健太郎

    ○中島参考人 約三ミリでございます。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、その詰まっているジェットポンプのノズル部分の直径というのは、私もここで見せてもらいましたが、ざっと七ミリぐらいあるのじゃないですか。
  132. 中島健太郎

    ○中島参考人 一番細いところは約五ミリでございます。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 五ミリでもいいのでありますが、予防措置としてセットされておりますバスケット、つまり網ですね、この目が三ミリ、だから普通なら三ミリ以上の大きい金属片は出ないはずなのに、そこから出たものが五ミリの直径のところに詰まるのでしょう。これは大変矛盾なんですね。何かその装置に少し問題があるように思うのですが、いかがですか。
  134. 中島健太郎

    ○中島参考人 バスケットと溶解槽とのすき間が一つ考えられます。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 このバスケットでそういう異物がジェットポンプに吸い上げられないようにしてあるはずなのだけれども、やはりここに一つの弱点といいますか欠陥が、今回のこの事故からあらわれてきているわけです。  それから次に、ではそういう金属チップの発生を未然に防ぐために、剪断工程で何か新しい工夫をするのかどうか。あるいはまた、現在バスケットを入れてあるのですが、すき間から漏れるのでしょう。ここに改造を加える予定なのかどうか、いかがですか。
  136. 中島健太郎

    ○中島参考人 剪断機の方の改良は現在のところ特に考えておりません。  それから、それがバスケットの中に入らないでこぼれるといいますか、そういうものについては、さらにセッティングをよくするような方法を講じたいとは思っております。しかし、もう一つ申し上げますと、すでにそういうところに詰まっても取りやすいというためにバルジをつけ、それから今度また改良してさらに取りやすいようなタップもつくっております。そういう形で対処できるというように考えております。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの対処の仕方は、この溶解槽の方では非常に対処がしにくくて、結局ひっかかったときに取り除きやすいようにするだけ、こういうことなんですね。  それからもう一つは、いろんな目詰まりを起こしている原因が三つ述べられている。一つは金属片、それからあとは不溶性沈でん物、つまりフィッションプロダクト関係ですね。それから水あか。貫通は一応したけれども、あと二本詰まった部分については、ジェットポンプの上のノズルの部分ではなく、いわゆる下のもっとパイプの太いサクションパイプ部分で詰まった、こういうことなんですね。それで、この部分の直径はたしか三十ミリくらい、つまり三センチ、ずいぶん太いパイプなんですがね、その方の調査も進んでいるようでありますが、先ほど来まだはっきりしないような話だけれども、金属片でないということだけははっきり言われているんですね。そうじゃないんですか。
  138. 中島健太郎

    ○中島参考人 先ほどお話ししましたように、いま現在確認中でございます。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、そのサクションパイプの部分、下の方の太い部分に詰まったもの、もしこれも金属片がまじっているとすれば、三センチのところに詰まる金属片だから、当然それよりもはるかに狭い五ミリのノズルのところでまたこれは詰まるはずなんですが、そういうことが起こらずに貫通したということは、金属片以外のもの、だから残るところは不溶性沈でん物か水あかしかない、こう思うのですが、いかがですか。
  140. 中島健太郎

    ○中島参考人 金属片と、それ以外の不溶性の沈でん物、それと水あか、両方まざったものだけとは思っておりません。やはり金属片も一つの原因になるだろうと思っております。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応それは是認するとして、そのサクションパイプがずうっと溶解槽の貯液部の中に突っ込まれているわけですが、そこからパイプの先端の間はどのくらいあいているのですか。
  142. 中島健太郎

    ○中島参考人 約十五センチでございます。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、それは金属片がまじっているかしれないけれども、不溶性沈でん物、水あかもまじっていることはまず確実、それが吸い上げられて詰まるということは、そのあいているそこの十五センチの部分には、少なくともそういうものがたまっていなければ吸い上げられない、こういうことが言えるのじゃないですか。
  144. 中島健太郎

    ○中島参考人 これは必ずしもそうは言えないと思うのです。といいますのは、ジェットそのものはかなり流速もございますので、真下まで来てなくてもそういうふうに吸い上げるということは起こり得ると思います。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、少なくとも何らかのものが下にたまっていない限り、通常の状態、流動的な状態のときに、そんな三センチのパイプが詰まるような不純物がパイプの中に詰まるはずがないと思うし、詰まるとすればパイプのどこかにそういう非常に流通を悪くするような欠陥があるのではないかということが推察されるのですが、どうでしょう。
  146. 中島健太郎

    ○中島参考人 これは中の状態というものが非常に確認しにくいものでございますので、余りいまここであれこれ推定するのは差し控えたいと思っております。
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 推定はしないとおっしゃいますが、さらにわれわれからして矛盾を感ずるのは、その一番底には、そういうどろとわかりやすく言いますが、どろがたまらないように直径七センチほどのパイプがつけてあって、そのパイプの中にどろが落ち込んで、それが溶解部の一番底に置いてあるスワーフバスケットのところに落ち込むようになっているはずなんですね。普通ならばこのサクションパイプが挿入されている貯液部の底には、そういうどろめいたものはたまらないはずなのに、詰まっているということは、たまる。この辺は何か構造上の欠陥がある、こう見なければならないのではないですか。
  148. 中島健太郎

    ○中島参考人 ですから、これはやはりもう少し中をよく確認した上で考えたいと思っております。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところが、その確認がなかなかできない、こう言うのでしょう。矛盾するじゃないですか。どうして確認する。
  150. 中島健太郎

    ○中島参考人 いろいろの方法考えておりますけれども、それから先ほどもちょっと推定を差し控えたいと申し上げたのでございまして、われわれとしましても、先ほどから申し上げておりますように、こういう詰まりというのは予想してスペアを設けておるということであります。しかし、そうは言っても、先ほどから言っておりますように、より安定運転をするためにはこれは一つの改良すべきテーマであろうというふうに考えております。     〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕
  151. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど安全局長が、ハードの面についてはほぼ対策が整っているようだ、こう言われたけれども、ちっとも整っていないわけですね。こういう点、常によく監督官庁としての責任を果たしてほしいと私は思うのですね。こういうわけで、溶解槽の全体構造そのものがやはり改良の対象になると私は思うのです。  次に起こりましたのが、プルトニウム蒸発かんでプルトニウム溶液が酸回収工程に混入した事故ですね。このプルトニウム蒸発かんの加熱開始が当日の二十時だというデータをもらっています。その一時間半後に、つまり二十一時三十分ごろに突沸現象が、つまり突然沸騰する現象が起こって、そのことは見せていただきました測定チャート、記録にもはっきりあらわれているわけであります。このことは、どれだけのプルトニウムが凝縮液受け槽の方に入ったかは別にして、とにかくプルトニウムが受け槽の方に入った可能性そのものは示すものではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  152. 中島健太郎

    ○中島参考人 一般的に、突沸であるからといって、にわかにそれが有意な量が上に行ったかどうかということは——(瀬崎委員「いや、可能性の問題を私は言っている」と呼ぶ)可能性としてはございます。
  153. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その場合、当然主制御室で測定記録がとられているわけですから、もちろん運転の責任者を初め相当数の人があのチャートは見ているわけですね。ですからその時点、つまり二十一時三十分の時点で、いまおっしゃったように、プルトニウムが本来行ってはならない受け槽の方に行った可能性があるんだから、その受け槽から次の工程にうかつにその液が送られないように、たとえそれがインターロックになっていなくても、手動においてもそこで閉めてしまって、簡単に作業員があけられないようなそういう指示、あるいはそこにきちっと札でもつけて、プルトニウムが入っている可能性があるから特に分析結果を慎重に見るように、こういう注意をそこでやっておれば、その後の第二次的なミスの方は起こらなかったと私は思うのですが、いかがでしょう。
  154. 中島健太郎

    ○中島参考人 あの特別なケースにつきましては、そのとおりと思いますね。
  155. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうでなかったら、何のために測定記録をとっているのかわからないわけですよ。だれが見ても、われわれ素人が見ても、明らかに突沸とわかるような液面変化が出ているわけですからね。ところが、そういう処置がとられていなかった。じゃ、そもそもああいうチャートに、液面かぴゅっと極端に変化して突沸、突然沸騰現象をあらわした場合に、担当者並びに運転の責任者がどういう処置をとれというふうに運転作業基準といいますか、よくマニュアルと言われるものでは決められているわけですか。
  156. 中島健太郎

    ○中島参考人 いまの御質問は、ああいう突沸が起こった場合にどういう処置をとればいいかということだと思います。(瀬崎委員「あらかじめマニュアルに決まっているんですか」と呼ぶ)これはちょっといま私確認しておりませんけれども、たしか決まっていたというふうに思っております。
  157. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 決まっていたとしたら、その手順がそこで踏まれていたら問題はないわけなんです。私がこれをやかましく言うのは、あなた方の新聞発表並びに新聞記事等を見ても、全部受け槽から後でミスが起こったというふうに書いてあるわけなんですね。つまり、分析結果を見てバルブをあけなければいけないのを、分析結果を待たないで作業員がバルブをあけたのがミスだ、こう言っているのだけれども、そもそもちゃんと測定記録には突沸現象、プルトニウムが受け槽に入った可能性を示すデータが出ているのに、しかも、そのことについてどう処置すべきかをマニュアルが決めているのに、そのマニュアルどおりの操作が行われてない、むしろここの方に問題があるのじゃないかと思うのです。その点で確認をしたいわけなんです。私の言っていることが当たっているかどうかだけもう一遍確認しておきたいと思います。
  158. 中島健太郎

    ○中島参考人 まず最初の方の、私いま確かめてないがと申し上げたのは、後で確かめます。  それから、いずれにしましてもいまおっしゃったことはそのとおりでございます。
  159. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 はっきりしていることは、せっかく主制御室に一応の測定機器があって、測定結果の記録があらわれて異常が示されているにもかかわらず、その異常に対処する措置がその場でとられていなかった、これは確認されました。  次に突沸、突然沸騰を起こした原因について、これがまた科技庁、動燃の説明が二転三転をしたわけでありますが、一応最終的な説明としては、本来は蒸発かん内の温度が百度に達してヒドラジンの入ったフィード溶液の給液を開始すべきであったけれども、百度に達する前に給液を開始してしまったこと、それからさらにこの給液のスピードが速過ぎたためにこの蒸発かん内の温度を下げてしまった、こういうことがヒドラジンがかんの中に残って硝酸と異常反応を起こす原因になった、こういうことなんですね。  そこで、この作業基準の方で手動でやることになっている、私も手動のメーターを見せていただきましたが、手動でやることになっているのですから、一体何度になったら、つまり百度なら百度以上になったらこの給液を開始しなさいとか、あるいは給液の量は一時間当たり幾らにしなさいというふうな規定が当然作業基準になくてはならないと思うのですが、その点はどうなっていますか。
  160. 中島健太郎

    ○中島参考人 作業手順では、まずどういう状態になればフィードを開始しろということは書いてあったのでございますが、その状態のときに、あれはスチームのバルブ開閉によって温度が一定になればということになっていたのですが、確かに温度そのものについての明示はなかったということでございます。  それからもう一つ、そのフィードする、給液する速さ、その速度までは明示してなかったということでございます。ただし、前にも申し上げましたけれども、それで過去五年間は無事に運転は続けられたわけでございます。
  161. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 五年間無事にと言われますけれども、結局は作業基準も決めないまま、運転員の勘と経験に頼って操作器の横のメーターを見ながらやっておったということじゃないかと思うのですが、こういう非常に危険で、しかも初めての高度な技術に対して、そういう辺があいまいだということが今回わかってきたことも、私は一つの貴重な教訓ではないかと思うのですね。  それからもう一つは、この前これはすでにはっきりしていることですが、自動制御装置があって、かん内のそういう突沸現象等に対しては自動制御が働くようになっているのだけれども、今回程度のことであると働かないというシステム、これも問題だ。  それから、たまたま今回は液面のチャートにはっきり異常があらわれているのだけれども、そこで手が打てなかった場合、分析所の分析結果も大事だけれども、たとえそれがなくても自動検知でプルトニウムが受け槽に入ったことを示す装置、こういうものも当然なくてはいけないと思うのですが、それも現在はないわけですね。こういうあらゆる面を総合しますと、この蒸発かんの部分についても装置上も幾つか足りない部分が多々あるという気が私はするのです、つまり、作業基準の方も決められていない、空白部分がたくさんあって、運転員の勘と経験に頼っておった。これも事実。それから一方、装置としても多重防護で一つがだめでも二つ目で食いとめるという考え方でいくならば、そういう多重防護システムにはなっていなかったというふうな点でも装置の改良も必要、こういうふうに私は思うのですが、いかがですか。
  162. 中島健太郎

    ○中島参考人 まず、作業手順でございますけれども、私は作業手順というのは、何もかも書くのが必ずしもいいとは思っておりません。それから、運転員の勘と経験に頼るということは、これは非常に重要なことでもあろうと思います。つまり、運転員はやはり自分の仕事についてそれだけの腕を持っているんだというような誇りも持っているわけでございます。     〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味で、必ずしも全部一から十まで書くというようなことは必要ではないというふうに考えております。また事実、あの基準でいままで五年間ノートラブルできたわけでございますが、残念ながらこの前ああいうことが起こりましたので、いま先生おっしゃいましたような温度を明示するとかあるいはフィードレートを明示するとかいうふうには改定を加えたわけでございます。  それから後の問題でございますが、いずれにいたしましても、分析をしなければならないものを分析しないでやるというのが一番間違いでございます。そういうふうに考えておるわけでございます。
  163. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、ふだんよりも分析結果を重視しなければならない事態でしたね。つまり、突沸現象が起こったことだけは操作開始後一時間半でわかっておるわけです。分析というのはそこから何時間も後の話ですね。そこで手も打たないで、いや分析すべきものをしないで送ったのが悪かった、これではちっとも私は反省になっていないと思うのですよ。だから私が言うのは、それであってもなお装置上どこかで発見できるようになっているのが本当の多重防護じゃないかと思うのですが、これは一遍、再処理工場を運転する理念の問題にかかわりますから、副理事長に答えていただきたいと思います。
  164. 金岩芳郎

    金岩参考人 お答えします。  いまおっしゃった点、確認事項、これはやはり人の判断も重要ですが、何かそれを助けてやるという意味で方法はありますが、私は自動というのも、私も自動を昔から手がけましたけれども、これは相当慎重にやりませんとそれのまたバックアップが要る、それからそれのメンテナンスをどうするという問題がございます。しかし、今度のやつについては一つの助ける方法としまして、あそこへ信号ランプをつけることにしまして、このステップは済んだかどうか、済んだ、もういいぞ、それを確認してやるということによって助けていくということで、本人の技能もある程度認めるし、そういう補助をするということで助けていきたいと思っております。
  165. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、三つ目に残っているのが、酸回収精留塔の蒸気ラインへの硝酸の混入問題でしたね。これは精留塔に蒸気を送っている酸系統のパイプのコイル、ステンレス合金でSUS三一〇ELCという材質でつくられているものです。このパイプに小さな穴があいてそこから硝酸が混入して、スチームトラップのところで、ここは炭素鋼ですが、穴があいて硝酸の混入した蒸気が漏れておったということから発見されて、その蒸気を分析してみたら硝酸が現に出てきた、こういうことでしたね。では、もし炭素鋼の部分に、スチームトラップの部分に穴があいていなかったら一体どうなっているのだろうかということを私たち考えるわけなんです。つまり本来、こういう問題は何らかの測定機器によって発見されなければならないのだけれども、結局人の視覚、目によって発見されたという結果ですね。そうなると、もっともっと肝心のパイプのコイル部分の穴が大きくなっている、漏れがひどくなっている、もっと違った形の故障というか、事故という形であらわれてきたんではないか、こういう心配をするのですが、いかがでしょう。
  166. 中島健太郎

    ○中島参考人 先生おっしゃいます蒸気系統に硝酸が入ってきた問題でございますが、その時点での作業マニュアルで申し上げますと、蒸気系の凝縮液を受けるタンクがございます。そこには、ガンマプロテクションというのはこれは常時見ておるということでございまして、ガンマが有意に出ればプロテクションが働いて蒸気をすぐとめてしまうというシステムになっております。  それから、そのタンクの中の成分分析、酸があるかどうかということ、これは一週間に一遍であったわけでございます。あと記録を調べますと、発見したのが二月の六日だったのでございますが、二月二日の日にサンプルを取って調べておって、その値は異常はなかった。それから精留塔の運転は、その当時はとまっておりまして、二月の六日に動かしたわけでございます。そういう意味では非常に早く発見したのでございますが、それから、いま言ったようなガンマ、これは常時見ておるわけですから、プロテクションつきですから見ておるわけでございますが、さらに今回にかんがみまして、付加するものといたしまして、PH計をさらにつけるというふうにいま考えております。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 SUS三一〇ELCというこの材質のパイプは、この間視察に行ったときに、耐用年数十年と聞きましたね。それがこんなにも簡単に腐食して穴があいてくる。こうなってくると、この材質そのものが問題ではないかという気がするのですが、いかがですか。
  168. 中島健太郎

    ○中島参考人 いまのところわかっておりますのは、いわゆるコイルとかいう部分の肉厚については有意な減肉は認められておりません。そういう意味ではあの材質は適当なものであったというふうに考えております。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、どこで穴があいているのですか。
  170. 中島健太郎

    ○中島参考人 穴があいているのは溶接部でございます。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 溶接部だとすると、ほかにも溶接部分があるわけなんで、その溶接部が全部いいのかどうかという点検も必要になってくるのじゃないですか。
  172. 中島健太郎

    ○中島参考人 そのとおりでございまして、それはいたしております。
  173. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この溶接については安全審査上も相当重視されている部分なんだけれども、それがいとも簡単に今回酸に対して腐食をしてしまったということから見て、場合によっては、これは溶接部分の安全審査の見直し、さらに材質も再検討が必要じゃないかと思うのですが、そういう点については科技庁どうです。
  174. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 一般に、安全を保つために溶接が非常に重要なことは御指摘のとおりでございまして、これは安全対策上あるいは工事方法の認可に当たりましても、厳重にチェックしているところでございます。なお、本工程は直接安全性関係あるところでもございません。もちろん今後溶接部分の対策をどうするかということは、きちんとした回答を待って今後の方針を決めていきたいとは思いますけれども、このことが再処理工場の安全対策に基本的に関係する部分とは考えておりません。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、何が起こっても全体の安全に影響しないからやり直しもしない、見直しもしない、そういう科技庁の姿勢そのものがやはり問われると思うのですよ。  時間の関係がありますから、最後に、四つ目のブロア、換気用の排風機の電気設備が故障した問題に入ります。  これは、ブロアの電圧測定に当たった技術者が測定器を誤操作したためにショート状態を引き起こした。盤内遮断器並びにその上流側にある遮断器が切れると同時に、電磁開閉器が溶融といいますか、溶けたような状態を引き起こして壊れてしまった、こういうことでしたね。問題は、どんな測定の誤操作をやったのかについて、科技庁も動燃事業団側も当初は電圧を測定するのに電流計を使ったからだ、テスターの電流レンジを使ったからだ、こういう説明だったのです。これはそこにお見えの小泉さんもそういう説明をされているわけです。ところが途中から、あれは間違いであったということが科技庁から報告されてきて、抵抗測定レンジではかったのでと、こうなってきましたね。他の部分もそうなんだけれども、事故原因についてなぜこんなに説明がくるくる変わるのか、まずここを伺っておきたいのですね。科技庁どうですか。
  176. 中島健太郎

    ○中島参考人 なぜそう言ったか私もちょっと知らないのでございますが、何分にもあれは一種のテスターを使ったと聞いております。そのテスタの中がかなりの大電流が流れちゃって、どういう使い方をしたのかが後でメーカーを呼んで精密に調べてわかったと聞いております。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 第一、動燃自体も電気関係の技術者もたくさんいらっしゃるところなんでしょう。それが自分のところでどういう誤操作をしたか確かめられないで、横河電機に見てもらって初めてわかる、そんな権威のないことで一体どうします。そもそも抵抗測定レンジで電圧をはかったとしましょうか、はかった相手は四百ボルトですね。そうしますと、これは瞬間的にまず測定器、テスター自身の線が切れてしまうのです。その上、遮断器は二つとも切れているんですよ。そういう状態で、なお電磁開閉器自身が破損して八分間も電源が切れた状態になってしまった、こういうことなんですね。そういう点からいいますと、端子盤の構造あるいは電気回路全体の構造が欠陥だ。測定が間違いでなくたって、場合によったらショートという状態は起こると思うのですが、起こったら二系統あるうちの一系統全部電源が切れるのでしょう。こういう構造、私も現場を見せてもらっていないから何ともよう言わないのだけれども、不思議でならないですね。一応規格どおりにつくってあると言っているのだけれども、それでもこういうことが起こっている。こういう回路構造全体についても問題があるのじゃないかと私は思っているのですが、あなた方はどう思っているのですか。
  178. 金岩芳郎

    金岩参考人 お答えしたいと思います。  いま先生御指摘のように、あそこで短絡を起こしてなぜ切りかわらなかったかということじゃないかと思います。これは確かに、まずは測定者のミスによりまして、あそこは結局は相関短絡を起こしましてそのアークが延びて隣のところまでいったのです。そういうことで、遮断器は働いたのだけれども切りかわらなかった。これはその切りかえを上にあるスイッチの開閉器等の補助接点がやるわけなんですけれども、その開閉器が溶着してしまった。これは先生承知と思いますけれども、ロードカレントを切りかえる電磁開閉器と、それから短絡を保護する遮断器とシリーズにやっているのですが、電磁開閉器が切りきれなくて溶着した。ですから、その接点を使って切りかえたところがこれはやはり考えが足りなかったと思います。これは、結果としましては、上の遮断器によって働く、あるいは小さいカレントのときはマグネットスイッチで働く、いずれかの遮断器が切れたときに切りかわるように補助リレーで切りかえるというふうに変えました。当時は規格のとおりにいったとみんな思っておったんでしょうけれども、そういう見直す判断の技術の足りなさということを反省しまして、そういうものの技術者の養成、それからよく注意をさせたいと思います。それからついでに、これを参考にしてほかの同様のところの点検もいたしまして直しました。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 普通やらない測定をやったらしいのですが、大体抵抗測定の場合は測定器に内蔵されている電池ではかるわけですから、そもそも一般的にモーターに送電しているような状態のときに、そのまま抵抗なんてはかれないわけでしょう。これは電気技術者なら常識なんですね。だから私は何ぼ説明されても、そういう間違いが起こったということが信用できないのです。何か言いわけめいて聞こえる。しかも抵抗測定の場合ですと、一たんはかるリード線といいますか、あれをショート状態にしてゼロオームを確認してからやりますから、なおさらのこと果たして抵抗測定器で使用状態のまま電圧をはかったりするだろうか、こういう疑問が率直にあります、あなた方どう思っているか知りませんけれども。と同時に、たまたま使ったテスターがデジタル・マルチ・メーターとかいうものらしいですね。したがって交直の電圧、電流及び抵抗と五種類がはかれるようになっている。その五種類とホールドキーを含めて六つのキーがピアノタッチで、最近のトランジスタラジオですか、ああいうものと同じようになっているらしい。そこで押し間違いやすかったというのです。そこまでわかっているんなら、こんな大事なブロアがとまったら風圧でなくなるわけですから、警報器まで鳴るんですから、そういう測定に何でこういう間違いやすいマルチメーターを使わしたのか、これがまず疑問なんです。  それから、二人でわざわざ測定に行っていらっしゃるんでしょう。それなら当然のことながら、こういう測定器を扱う場合のマニュアル、作業手順というのは別にあって、まず当番の人がキーを押す、もう一人の人が確認する、何かそういう手順がきちっと定めてあってはかるようになっているのじゃないかと私は思うのですけれども、そういう電圧測定に関する作業基準といいますか作業手順は一体どうなっておったのですか。
  180. 金岩芳郎

    金岩参考人 続いてお答えします。  いまの御指摘の方は、目的は電圧をはかろうとしてそれで便利なということでテスターを切りかえてやったのです。これは目的は抵抗をはかろうとしたのではなくて、電圧をはかろうとしてそれで操作を間違えたわけです。ですからこれは操作なりその辺の扱いを、少しあわてていたのかどうかわかりませんけれども、もう少し落ちついてやらなければいけないと思います。しかし、さらに私現場へ行って作業の状況を聞きましたけれども、少し注意が足りないというのは、回路は四百ボルトなんです。まさに低圧なんですけれども、低圧だからといって少し気楽といいますか、注意が足りなかったと思いますので、四百ボルトといえども危ないのですから十分注意をしてやるように注意しました。  それから、そういうところの測定には余りいろいろな種類をはかれるメーターじゃなくて、電圧をはかるなら電圧計、電流をはかるなら電流計となるべく単体のものをはかるようになお注意するようにということを係の者に、監督する立場の人間に図らせました。ですから(瀬崎委員「マニュアルはつくってあるのですか」と呼ぶ)そういうマニュアルも、聞きますと、ワットをはかろうとしてそれでやったというのですから、技術者であれば、どういうことをやるか、それくらいのことは、どうやってはかるかは当然わかるはずなんですから、マニュアルになる手前の作業であったと思います。ですからそういうものの作業者が少し安易に考えたんじゃないか。むしろそういう気構えなり何なりの心構えの注意をさらにやっていかなければいけないと思っております。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 時間が来ておりますから、なんですが、全体を通じて言えることは、あなた方の話は、起こらないはずのいわば故障 トラブル、事故が起こっているということなんです。そのはずが私は大変問題だということを今回の一連の教訓が示していると思います。だから、すべてミスとは私は言いません。装置の方のミスもあると思うのですが、それに対して二重三重のカバーがどうできるか、これをソフト面からもハード面からも十分見直しておくのが今回の一番大事な点だと思うのです。  そういう点から言うなら、科学技術庁の方も安易に考えてはいけないと思うのです、先ほど、総点検を命じて報告を上げさせてチェックすると言うのだけれども、チェックするあなた方の姿勢先ほどのようにそもそも頼りない。それで、いまから五年前に、あのいわゆるウラン試験中に起こったプルトニウム蒸発かん事故について清成理事長は「ウラン試験なるものは この試験を通じていろいろな設計上の点あるいはその工作上の点のふぐあいを発見して 徹底的に補修して、完全なものにしてホットテストに入りたい」こう言っているのですよ。ところが、一連のテストの結果、完全なものになっていないということがはっきり示された。また、当時の生田原子力局長はこう言っておるのです。「こういう問題を発見いたしまして、それを解決していくということにウラン試験の目的があるわけでございますので、このウラン試験の間にこういうのが出てまいりまして」「出るべきものが出てしまって、その対策が十分講じられるということは、まさにこのウラン試験の目的にかなったもの」こう言っているのですが、出るべきものが全部テスト中に出ていないこと、その対策が十分でないことを示している。そういう意味で、私は、本格運転をこのまま続けるのではなくて、もう一遍テスト過程に戻すぐらいの気持ちで見直しをやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  182. 金岩芳郎

    金岩参考人 御指摘の趣旨については、十分慎重にこれからやっていかなければいけないと思います。  なおしかし、いろいろな安全の方についてはかなりもう迷惑をかけない、心配のないようにしておりますけれども、装置自身につきましての安定性というかそういった面では、こういう経験を積み上げながら、どういうものは取りかえのことを考えるとか、予備にやるとか、点検の方法なりをどういうふうにするかというような工夫はさらに重ねていかなければいけないと思いますので、十分そういうことに注意しながら仕事はやはり進めていって、さらにステップアップできるものだと思っております。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それと、五十六年度の再処理施設の予算内容をみますと、政府資金というのは電源特会から十八億円だけ、あとは再処理料として八十トン分百八億円、その他民間資金、借り入れ等を含めて八十七億円、この再処理料八十トン分が一番大きな財源になってきたわけですね、もしも、いろいろな見直しのために停止期間が長くなって八十トンがうまくいかない場合、では、その埋め合わせはどうなるのですか、資金の面で。
  184. 中島健太郎

    ○中島参考人 先生のいまの御質問は五十六年度でございますね。確かにわれわれも、再処理料としましては予算上は八十トン計上しております。われわれとしても、あの施設そのものがやはり正常に安定的に動くということをこれからも一生懸命やっていきたいと思っております。それで、仮に何かでそれが達成できなかったとしましても、これは予備費も取ってございます。そういうところで処置できるのではないかと思っております。
  185. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では最後に、根本的な仕組みの問題かと思いますから大臣に伺っておきたいのです。  先ほど、大臣がちょっとお留守の間も含めて、再処理施設が初歩的な問題を含めてきわめて未熟である、そちらからの御答弁もそのことを認めていらっしゃるわけです。ですから、今回の一連の事故については相当慎重な見直しをやはり必要とすると思うのです。  ところが一方、財源的に見ますと、再処理工場の建設、操業に二百十三億要るうちの約半分、百八億は再処理料で賄おうとしているのですね。安定的に運転してこれを確保したいとおっしゃるけれども、一方ではまた、この再処理工場を安定的、継続的に運転することは困難だとも言われているわけなんです。困難なのに安定した運転を当てにしてこの資金を手当てしている。これは非常に矛盾だと思うのです。ですから、そういう点では、この再処理施設が実験プラントとして実験、試験に徹する、パイロットプラントに徹する、安心してそれができるようにするという点から考えると、こういう再処理料に依存して運転が行われること自体にも問題があろうと思うのです。これは大臣としても、本当に初めての技術開発に取り組む、しかも非常に危険なものであるという前提を置くならば、こういう再処理施設運転の資金のあり方についても少し再検討されるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  186. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先ほど動燃から御説明いたしました操業予備費につきましては、十八億を用意しているわけでございまして、何とかこの範囲で五十六年度の操業を確保いたしたい、このように考えている次第でございます。
  187. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その範囲でのことでしょう。まあいいです。  終わります。
  188. 中村弘海

    中村委員長 吉田之久君。
  189. 吉田之久

    ○吉田委員 初めに、長官にお伺いを申し上げます。  三月十五日の朝日新聞の「論壇」に「非武装無抵抗で国は守れる侵攻にも、“根拠”が要る点を逆用」、私たちはこの意見を読みまして、しかも最後にその意見を述べている人が科学技術庁の無機材質研究所総合研究官であったということを知りまして、実は唖然としたわけであります。  時間がございませんので、その中身をかいつまんで申し上げますと「今の時代には、武力の行使には必ず正当性の主張が必要であり、その根拠を国連憲章におかざるを得ない。ソ連といえども、まさにこの時代潮流に従わざるをえなかったことを」アフガンの侵攻のときに示している。こういう書き出しから始まりまして、国連憲章の大原則を盾にとる限り、いかなる小国に対しても大国は武力侵略はし得ないはずである。また「議員、国民が腐敗せぬ限り、われわれは無防備でも、外敵をはねつけ得るはずである。」こういう論調であります。  これが何らかの団体に属するそういう方々の御意見であるとするならば、自由なる言論の国でありますから、私はそれはそれでいいと思うわけでありますけれども、いかにも科学技術庁のこの職にある人の論旨としては非常に不似合いな、また私どもとしては何とも納得しがたい、果たして科学者として冷静な分析によって物事を判断し得る適格者であるかどうかというような点に非常に疑問を感ずるわけでありますけれども長官はいかがお考えでございますか。
  190. 中川一郎

    中川国務大臣 職員の個人的な見解というものは自由でございまして、これをとやかく言える立場にはないわけでございます。  ただ、中身を読んでみまして、非武装中立論の中身とはこんなものか、まことに実態と合わないナンセンスな意見でしかない、こういうふうに私は思います。技術者というものはああいった意見を持つのかなというふうなことで、まあ勉強にはなりましたが、まことに実態とはかけ違った判断をしているな、こう思っております。
  191. 吉田之久

    ○吉田委員 長官みずからがナンセンスな意見だといまおっしゃるわけでございますから、私どももこれ以上何をか言わんやでありますけれども、どのように読んでみても、一つの仮説と推論とそして独断によって論議を展開しているにすぎない。そういう性格の持ち主が、もちろんその人の思想や言論は自由でありますけれども科学技術庁の無機材質研究所の総合研究官として適格なのかどうか。これは一般論として、国民はやはり首をかしげると思うのですね。科学技術の最先端を行くべきそういう科学者が、いかに専門外の領域の意見を展開しておられるとしても、そういうきわめて非現実的な判断、分析で科学を処していかれると、これは私は重大な問題だと思うのです。そういう点について、何らかの指導をなさるお気持ちはありますか。
  192. 中川一郎

    中川国務大臣 専門の分野においてあのような偏見やナンセンスな意見を持ったらこれは大変でございますが、私の承知しているところ、専門分野ではそれほどかけ離れた偏見性は持たないということでございまして、その点はむしろ専門外であるために知識が行き届かずにああいう考えを持ったものだ、こう思っておりまして、もし専門分野でそういう点があったとしたら、十分そういうことのないようにしていきたいと思いますが、いまのところはそういうことはないようでございます。
  193. 吉田之久

    ○吉田委員 人間というのはやはり一貫した、共通したバランスというものを持っておるはずでございまして、専門の方ではきわめてバランスがとれておって、専門外では全くナンセンスに近いような意見を開陳されるというようなことは、私どもとしては非常に危惧を感ずるわけでありまして、この問題をこれ以上指摘しようとは思いませんけれども国民に対して、科学技術そのものに対するあるいは科学技術庁に対する信頼を根底から覆らせるようなその種の発言や意見の陳述というものは、やはりかなり注意してもらわなければならないのではないか、こう思うわけでございます。  それから、きょうも窪川町の問題につきましていろいろ質疑がかわされておりましたけれども、私はこの際、電力会社としてもあるいは電力労連としても、そうした電力に携わっております労使の名誉にかけても、あの窪川町の町長リコール問題の際に、電力の側から、まあ言うならば札びらで住民のほおをたたき回った、すべては全力に物を言わせて立地調査賛成させようと仕組んだような、そういう認識があるとするならば、私は事実とは全く異なっているということを申し述べたいと思うわけなんです。  それで、実は私もあのとき現地に参った一人でございますけれども立地調査を依頼した町長あるいは電力側に対して、中傷、誹謗、デマ宣伝が大変渦巻いておりますので、その辺のところを明らかにしなければならない、またあらぬ誤解や疑惑があってはならない、こういうことで、同盟が各地方フロックから代表をそれぞれ選びまして、約十数名が窪川町に行っております。そしていろいろと現地で事の説明に当たっている事実はあります。しかし、この同盟の諸君らが窪川町に参りましていろいろそういう活動を行っておりますいわゆる資金でございますけれども、それは全部同盟の連帯基金から出されているものでありまして、きわめて明朗な資金であります。  また、当時、特にリコール選挙運動中に現地窪川町の方からも、この際四国電力はできるだけ窪川町に来ないでそっとしてほしい、むしろわれわれはきわめて冷静にこの是非を判断したい、こういう要請もありました。電力の側も、あるいは労使ともにそういう窪川町の住民意思というものを尊重して、それらしき活動は全然行っておりません。ところがいろいろと誤り伝えられまして、いかにも選挙を金にあかし権力にあかして誘導しようとしたかのうわさあるいはそういう意見が流布いたしております。私どもは、こういう間違った認識がありますと、今後の電源立地のためにもあるいは立地調査のためにもやはり非常に障害をもたらすと思いますので、この点につきまして特にその点をはっきりいたしておきたいと思います。  長官は、そのようにお考えいただけますでしょうか。
  194. 中川一郎

    中川国務大臣 私も現地へ行って、短い時間ではありますが現地の空気にも触れてまいりましたが、かなり白熱したリコール運動あるいは反対運動であったようでございますけれども札束で物事を処理したとか、あるいは私たちが行った分まで何か利益誘導に来たというような、実態とはかけ離れた宣伝が行われたことも確かだろうと思います。また、中身が言われるような中身でなかったことを信じております。私、調査したわけではありませんですが、そのような実態はなかったものと思います。  あとは通産省が電力会社の指揮監督をいたしておりますので、通産側からも補足をして実態について御報告いただきますけれども、私どもはそういった実態はなかったと確信をいたしております。
  195. 戸倉修

    戸倉説明員 私どもも、先ほど申し上げましたように一般的に財力、全力といった形で住民意思を買うというような形は非常に好ましくないということでは一貫しておりまして、現実に窪川町でもそういった事実はないと確信はいたしております。先ほど申し上げましたように、私どももこれから、政府それから電力会社とも、地元住民方々理解協力が得られるように、じみちなPR活動が必要だというふうに痛感をしている次第でございます。
  196. 吉田之久

    ○吉田委員 特にいま通産省の方からのお答えの中にもありましたが、およそ企業というものはそれ自身PRや広報活動というものは不可欠のものであります。ましてわが国の将来の電力の需給を安定させるために、この原子力に関しまして正しい認識国民方々に持ってもらおうとするその努力というものは、評価されなければならないと思うのです。したがって、百聞は一見にしかずということで、いろいろこういう電源立地の問題等が生ずる可能性のある地域において、その住民たちが好んで現地調査に行こうということは非常に結構なことでありまして、もちろんそれを迎え入れるに当たりまして、それはあくまでも常識的な正常なものでなければならないと思いますが、今度のことでそういういわゆる原子力をよく知ろうとする正常なる研修会に何か水をさすような、あるいはそういう研修会自身が萎縮をするようなことがあっては、国の将来にゆゆしい問題だと思うわけでございます。したがってその点重ねて、間違ってもそういうことになりませんように、通産省の方の御意見をもう一度お聞きしたいと思います。
  197. 戸倉修

    戸倉説明員 私どもといたしましても、地元皆さんに正しい原子力発電所理解を持っていただくということは大変重要だというふうに考えております。先ほども御質問にお答えして申し上げましたけれども、そういった意味で見学会等も社会的な常識の限度を超えない範囲内で行うということは、電力会社の広報活動の一環として一つの方策であろうというふうに考えております。  なお、私ども政府といたしましても従来広報活動をいろいろやっておりますけれども、五十六年度予算におきましては、立地の初期段階におけるPR活動を一生懸命やろうということで政府の広報活動費を充実をいたしますとともに、地方自治体が行う先進地域の調査あるいは広報活動に対しても所要の助成措置を講じていこうというふうに考えておる次第でございます。
  198. 吉田之久

    ○吉田委員 長官通産省の方に双方にお聞きしたいのですけれども、今度の町長リコール問題、それがあのような結末に終わりました。それはそれなりに一つのかみしめるべき事実だと思いますけれども、同時に、このリコール投票というものが必ずしも正しく原子力賛成反対かを反映している投票にはならないと私は思うわけであります。特に、現地へ参りましたら、原子力立地調査には反対ではないんだ、あるいは原子力そのものにも必ずしも反対ではないんだ、しかし町長リコールなんだから、おれはあの町長は好きじゃないからリコール賛成なんだ、こういう方が確かにございます。そういう方がすべてだとは言いませんけれども、多分にそういう個人的な好ききらいの要素が投票に入ってくると思うのです。したがって、今後ともこの原子力立地をめぐって当然賛否は激しく論議されることはあり得ると私は思いますけれども、もっと原子力そのものを誘致することに賛成反対かという問題を明確にしたそういう投票ならば行われてもいいと思いますけれども、いわゆる議会の決議に従ってそのとおり立地調査の要請をした町長に、おまえは立候補のときの公約と違うではないか、裏切った、だからけしからぬ、同時におれたちは原子力に断固反対なんだ。一方それに対立する側は、立地調査だけだから別に原子力をそのまま全面に持ち込むと言っているわけではないじゃないか、議会主義に従って行動した町長がなぜ悪いのだ、こういう反論になります。これは次元が違うと思うのです。かみ合った論議になっていないと思うのです。そういうことで、今後この立地の問題が地方自治体のそういう住民運動とも絡んでまいりまして非常に複雑に展開するということは問題だと私は思うのです。その点につきましていかがお考えでございますか。
  199. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のように、今度の窪川町のリコールが通過をしたという結果についてはかみしめるものほかみしめなければいかぬことは十分承知いたしておりますが、どうも単なる原発反対ということに焦点がしぼられたかというと必ずしもそうでないという実態、特に対立関係にあったグループが、原発とは離れてこの際この町長を落とすことがということになってしまって、結果としては、投票の結果全部があたかも原発反対意思表示である、その仕分けがつかないというところに確かに問題がありまして、われわれとしても、国民皆さんに実態とかけ離れた認識であのリコール問題が目に映るということは本当に遺憾だとは思いますが、しかしながら、制度、仕組みからいっていまのところ仕組みを変えるというわけにもまいりませんし、これは非常に複雑な、私の担当以外の地方自治の問題でございますから、われわれにはわれわれの何とかもう少しすっきり区別できるような仕組みはないかなという気持ちは持っておりますけれども、いまの段階でどうにもならないというのが実情でございます。しかしながら、今後ああいった問題を扱うに当たっては、われわれも予想外のことがあるものだということを十分念頭に置いて対処していかなければいけない、非常な貴重な経験になったと思っております。リコール運動派も、リコール賛成派の本物の革新といいますか反対派は陰に隠れて、むしろ賛成派の人をリコールの先頭に立てるというまことに巧妙な作戦でもありまして、われわれもその実態を日を追うごとに知って、えらいことだなということでございます。今後非常な教訓としてこれからまた検討していきたい、こう思っております。
  200. 戸倉修

    戸倉説明員 窪川町のリコールの結果につきましては地元のいろいろな事情が反映されているというような見方もございますが、いま中川長官からもお話がございましたように、リコール投票の結果については窪川町民一つの御判断ということで今後の教訓にしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、私ども原子力発電行政を預かる立場からいたしますと、わが国をめぐる国際情勢から考えまして、今後原子力発電を積極的に推進していくという立場考えてまいりたいというふうに考えておりまして、そのためにも一層国民の皆様の御理解と御協力を得られるような努力を続けていかなければならないというふうに考えております。  なお、先生御指摘のございました住民の意向の反映でございますけれども窪川町のような形で町が二分されるというのは非常に不幸なことではないかというふうに考えておりますが、発電所の設置につきましては、第一次公開ヒヤリングの実施等を通じまして地元住民方々の御意見を伺う場も私どもつくっております。また、環境影響調査ができますとそれを縦覧に供しまして地元方々説明会を催すというようなこともございます。また、電調審にかける場合には地元の都道府県知事の御意見を伺うというような形で地元住民方々の御意見を反映させる場ができているというふうに考えておりまして、現在のところ、住民投票のような形で白黒を決するということは、原子力発電所にかかわる固有の問題ではございませんし、また地方自治制度全般にかかわる問題でございますので、必ずしも妥当ではないのではないかというふうに私は考えております。
  201. 吉田之久

    ○吉田委員 けさも御質問されました委員の方からも、今後むしろ電力会社があらかじめ予備調査をして、そして適当と思われるところに電力会社から申し入れることの方がこういう自治体にいろいろな混乱を持ち込むことにならないのではないかという御意見がありました。私もそのような気がするわけでございます。きょうの日本経済新聞を拝見いたしますと、原発の適地調査再開のために、五十七年度から通産省が新しい方針を出して立地の手詰まり打開のために一つ努力を試みようとなさっているようでありますけれども、いま申しましたような意見も含められまして、今後できるだけ住民意思はあらゆる機会に聞かなければなりませんけれども、ただそれが地方政争の具ともろにかみ合っていくような形を避けながらあくまでも冷静に公正に判断できる、そういう電源立地の進め方と住民の対応の仕方、その辺を確立していかれるべき時期に来ているのではないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  202. 戸倉修

    戸倉説明員 先生御指摘の点に関しましては私も全く同感でございまして、住民方々の十分な御理解を得るという努力をこれからも一生懸命やりまして、電源立地の円滑な推進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、御指摘の本日の日経新聞の記事でございますが、五十七年度から云々というのは、私どももどこから出た記事か存じ上げないわけでございますけれども、従来から通産省におきましても概括的な調査費というのをとっておりまして、これは電力会社がやるほどのりっぱな調査ではございませんが、地元からの御要望があればこれに沿って概括的な事前調査等はできる予算はございます。念のために申し添えておきます。
  203. 吉田之久

    ○吉田委員 以上をもちまして、きょうの質問を終わります。
  204. 中村弘海

    中村委員長 次回は、来る二十六日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十分散会