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1981-03-19 第94回国会 衆議院 科学技術委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十九日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 中村 弘海君   理事 小沢 一郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 椎名 素夫君 理事 塚原 俊平君    理事 日野 市朗君 理事 八木  昇君    理事 草野  威君 理事 吉田 之久君       今枝 敬雄君    金子 岩三君       高村 正彦君    佐々木義武君       齋藤 邦吉君    笹山 登生君       登坂重次郎君    前田 正男君       村上  勇君    与謝野 馨君       渡辺 栄一君    伊藤  茂君       北山 愛郎君    上坂  昇君       広瀬 秀吉君    斎藤  実君       和田 一仁君    瀬崎 博義君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     下邨 昭三君         科学技術庁計画         局長      園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     松原 青美君         外務大臣官房外         務参事官    佐藤 嘉恭君         郵政省郵務局管         理課切手室長  安藤 博之君         建設省計画局宅         地開発課長   清水 達雄君         建設省計画局地         域計画官    沢井 広之君         建設省道路局企         画課長     萩原  浩君         建設省住宅局日         本住宅公団監理         官       原  健彦君         日本専売公社営         業部長     小畑  弘君         日本国有鉄道経         営計画室計画主         幹       芝  逸朗君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  有馬 訓祥君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      永尾 勝義君         日本国有鉄道事         業局次長    折茂 伸平君         日本電信電話公         社業務管理局次         長       永野 泰昭君         参  考  人         (財団法人国際         科学技術博覧会         協会事務総長) 伊原 義徳君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     山田 耻目君   上坂  昇君     岡田 利春君   広瀬 秀吉君     中村 重光君   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     上坂  昇君   中村 重光君     広瀬 秀吉君   山田 耻目君     北山 愛郎君   大内 啓伍君     和田 一仁君 同月二十八日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     岡田 利春君   上坂  昇君     川俣健二郎君   広瀬 秀吉君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     広瀬 秀吉君   岡田 利春君     北山 愛郎君   川俣健二郎君     上坂  昇君 三月二日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     大原  亨君   上坂  昇君     野坂 浩賢君   広瀬 秀吉君     山田 耻目君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     北山 愛郎君   野坂 浩賢君     上坂  昇君   山田 耻目君     広瀬 秀吉君 同月三日  辞任         補欠選任   上田  哲君     田邊  誠君   北山 愛郎君     大原  亨君   上坂  昇君     川俣健二郎君   広瀬 秀吉君     大出  俊君   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     広瀬 秀吉君   大原  亨君     北山 愛郎君   川俣健二郎君     上坂  昇君   大内 啓伍君     和田 一仁君 同月十九日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君     今枝 敬雄君   登坂重次郎君     笹山 登生君   渡辺 栄一君     高村 正彦君   田邊  誠君     伊藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     伊藤宗一郎君   高村 正彦君     渡辺 栄一君   笹山 登生君     登坂重次郎君   伊藤  茂君     田邊  誠君     ――――――――――――― 三月十八日  新技術開発事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月四日  科学技術政策に関する陳情書外一件  (第一一一号)  放射性廃棄物海洋投棄反対に関する陳情書  (第一七〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際科学技術博覧会準備及び運営のために必  要な特別措置に関する法律案内閣提出第三〇  号)      ――――◇―――――
  2. 中村弘海

    中村委員長 これより会議を開きます。  国際科学技術博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として財団法人国際科学技術博覧会協会事務総長伊原義徳君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村弘海

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 中村弘海

    中村委員長 伊原参考人には御多用中のところ、本委員会に御出席くださいましてありがとうございました。議事の都合により、御意見質疑応答の形でお述べいただきたいと存じますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  5. 日野市朗

    日野委員 これから国際科学技術博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案について、若干の質問をいたしたいと思います。  この国際科学技術博覧会を開こうということになってから、まあ一種フィーバー状態になりまして、国会の中でも議員連盟というようなものができたりしたわけでありますが、恐らくその準備もある程度もうすでに進んでいようかと思います。ただ私たち、いままで万博であるとか沖繩における海洋博であるとか、幾つかの博覧会経験を踏まえているわけでありますが、万博にしても沖繩博覧会にしても、やっぱり若干の問題は残しながらこれが行われたという経過があったろうかと思います。また、特にこの科学技術博覧会、いわばこれは科学技術を問題とする博覧会でありますので、いろいろ配慮すべき点もまた特殊な観点から必要になってこようかと思います。  そこで、まずこの基本的な博覧会構想についてお伺いするわけでありますが、この博覧会国際科学技術博覧会協会という財団法人設立してあるようでありますが、それに基づいてその協会がそれの施行主体といいますか、博覧会主体的に運営していく、こういう方法をとっていかれるようであります。  それでまず、財団法人として設立をされたわけでありますが、この財団法人としては特に民法に基づいて設立をされた法人であって、それを規制するのは財団法人に関する一般法である民法ということとして理解をさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますね。
  6. 園山重道

    園山政府委員 お答えします。  そのとおりでございます。
  7. 日野市朗

    日野委員 この科学技術博覧会は、これは国家が行う事業としての色合いが非常に強い事業であろうと思います。一種ナショナルプロジェクトというような感じがするわけでありますが、これについて、国の側としてこの博覧会協会に対する指導とか監督というようなこともいろんな場面で必要になってこようかと思いますが、一般的に、国の側としてはどういうシステムを通してこれを指導監督をしていくということになるものでありましょうか。
  8. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  この博覧会実施主体につきましては、博覧会条約上におきましても、政府みずから行うもの、これは公式博と言っておりますが、それから政府が公認した団体が主催する公認博と、こういう二つに分かれております。今回の博覧会につきましては、先生指摘のように財団法人設立いたして、これがその主体となるわけでございますが、これは前の万博沖繩海洋博の例にならったところでございまして、やはり民間創意を生かすという立場からこの形が一番よいであろう。前例といたしましても、万博沖繩博につきましてそれぞれ財団設立されまして、みごとにこれを遂行されたということでございますので、今回もその方法をとったわけでございます。  財団法人でございますけれども、御承知のように今回お願いいたしております特別措置法というものにも規定してございますように、国からの補助等を行うわけでございますので、国といたしましては、この協会に対しましての指導監督、当然この補助金交付ということもいたしますし、また博覧会の中身といたしましては、会場の中に政府出展というのを行います。これは、この博覧会招請国としてふさわしい博覧会のいわば中心テーマをあらわすような政府出展というものを行うわけでございます。これは政府みずからこの政府出展建設運営を行うわけでございます。それから、やはり観客輸送その他当然関連の公共事業がございますので、こういったものにつきましては、やはり政府あるいは地方公共団体という形で行うことになるわけでございます。  したがいまして、今回の特別措置をお認めいただきました暁には、この法に従います諸般の準備等につきまして国は協会を支援いたしますとともに、この補助金交付等がございますので十分その指導監督にも当たっていく、こういう立場になろうかと思っておるところでございます。
  9. 日野市朗

    日野委員 いま指導監督必要性についてお述べになりました。私もそのとおりだと思います。特に科学技術という問題を取り上げますと、これは一国の将来また人類の将来、こういう点に非常に深い考慮を踏まえた運営がなされなければならないと思うわけであります。  それで、私が先ほど質問をしたのは、現実にこれは指導監督がいろいろな意味で必要になってくる、そういう場合、これはそういう事態はできるだけ予想されないような事態であってほしいと思うわけでありますが、博覧会協会が国の考えでいることと違う方に進んでいったり何かすると困るわけなんで、これは単に補助金を出す、助成をする、それからその周辺にある部門についてのいろいろな公共事業や何かを進めるというだけではなくて、どのような方法でこの指導監督を行っていくか、国の意向が反映されるものは単に政府出展ということばかりではなくて、この博覧会運営そのものについてどのように指導監督をしていくのかという、そのシステムの問題について聞いているわけです。
  10. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  おっしゃるように非常に重要な国を挙げての行事でございますので、当然私どもといたしましては、平素からのこの協会との意思疎通がまず第一であろうかと思っております。したがいまして、協会でいろいろ構想その他をお決めになるような場合におきましても、事前にいろいろ伺っておりますし、いろいろ御意見も申し上げております。したがいまして、この協会の先ほど申し上げましたこういう博覧会という行事を行いますために、民間創意を生かした機構というところのよいところを失わないように注意しながらも、やはり十分に意思疎通していくということが大事であろうか、こう思っておるところでございます。
  11. 日野市朗

    日野委員 その意思疎通の仕方なんですが、これはずばり言って、行政指導も行うということでよろしゅうございますか。
  12. 園山重道

    園山政府委員 まあそういう形になろうかと思います。
  13. 日野市朗

    日野委員 この博覧会は、そもそもの発端からすでに言われてまいりましたとおり、これは国民的な事業とするという観点がやはり必要であろうかと思います。この博覧会を成功させるという立場から見た場合、やはりこれはすべての国民のものにしていく、こういうことが必要であろうというふうに思います。それは単に国民参加をしていく、博覧会に行って見るとかいろいろな点で関心を持つということばかりではなくて、この博覧会運営をしていくということについても国民各層参加をしていくということが望ましいのではないかというふうに思うわけでありますが、現在発表をされております理事とか顧問の方々なんかを一応ずっと見せていただいているわけでありますが、いろいろ各方面からもずいぶん入ってきておられるわけでありますが、ややもすればウエートが企業人に偏っている、または学者に偏るというような傾向が若干ありはしないかということを私実は心配しているわけであります。やはり技術などを担っていくということになりますと、労働者団体とか農民方々というような人々も、きちんと協会そのもの構成の中に加えていくという観点をとった方がいいのではないかというような感じがするわけでありますが、いかがでしょうか。
  14. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のように博覧会は国を挙げての行事ということで、できるだけ各界方々参画していただくということが必要かと思っておるわけでございます。  現在の博覧会協会につきましては、この協会設立前に、国際科学技術博覧会推進協議会というのが設けられまして推進に当たってこられたわけでございます。当時のこの推進協議会の会長の土光さんを中心にいたしまして、各界方々が発起人になられて、さらにまた現在理事になっておられると承知いたしておるところでございます。したがいまして現在、御指摘のように経済界学識経験者それから地元関係者地方公共団体関係者関係公社公団あるいは報道関係者というようなことで、幅広い分野から選ばれていると承知をいたしておるわけでございますけれども、今後いろいろ具体化していくに当たりましては、さらに必要な方々というものの御参画をいただくということは考えていかなければならぬことじゃないかと思っておるところでございます。
  15. 日野市朗

    日野委員 その場合、私がちょっと例示をいたしましたが、労働団体とか農民というような人たち参加考えていかなければならないというような考え方はお持ちだ、こういうふうに伺ってよろしゅうございましょうか。
  16. 園山重道

    園山政府委員 協会構成につきましては、やはり協会理事会等でお決めいただくことでございますので、具体的にどういう方をということを私どもの方から申し上げるのはどうかという気がいたしますけれども、要はやはりできるだけ広く国民各界の御参画という形が望ましいことかと思うわけでございます。
  17. 日野市朗

    日野委員 いささかちょっとしつこいようで恐縮ですが、私が例示したわけですが、そういう労働者方々農民方々、これはもうこのごろは科学技術ということになりますと、やはり具体的にその科学技術をそれぞれ使って働いていく労働者であるとか、それから農業における科学技術的な進展もこのごろは非常に著しいものがありまして、こういう人たちがこういう博覧会に積極的にかかわり合っていくということの重要さというものを私は指摘をしたいと思うので、あえてこの二つ例示をいたしましたものは非常に必要だと思うのですが、その点についての考え方を、事務総長さんおいでになっておられますので、教えていただければというふうに思います。
  18. 伊原義徳

    伊原参考人 先生指摘のように、この博覧会国民のすべてに開かれたものであるということは非常に重要なことでございまして、博覧会経営基本方針の一つでもございます。そういう観点からいたしまして、この経営参加するための幅の広い国民各層からの支援ということについて、私どもも今後さらに、協会役員構成につきまして具体的な御提案ございましたら、十分検討させていただきたいと思っております。
  19. 日野市朗

    日野委員 では少し質問を変えてまいりますが、博覧会協会をこれから協会というふうに略称させていただきます。  協会設立をされて、もうある程度の仕事をずっとやっておられるようでございますが、現在までの進捗状況をちょっと、これは余り細かいところまでは私は答弁を要求するつもりはございませんが、概括的にいままでの仕事進展状況、そういったものを聞かしていただきたいと思います。
  20. 伊原義徳

    伊原参考人 私ども協会仕事は、一口に申しますと、博覧会準備をいたしまして開催運営をする、こういうことでございます。  この博覧会は御承知のように国際条約に基づく博覧会でございますので、まず国際的な手続が必要でございます。国際条約関係の組織といたしまして博覧会国際事務局というものがパリに本部がございますが、まずその手続を行うわけでございます。それから次に、どういう性格の博覧会にするかということにつきまして、テーマあるいは基本構想、こういったものを定める。それから会場をどこにするか、こういったことも当然定めるわけでございまして、会場が決まりまして基本構想考え方が決まりますと会場計画もだんだん詳細までを勉強いたしまして、それからいま一つ、そこの会場観客が来ていただくための輸送計画、こういったものがございます。さらにはこの博覧会の存在というものを国民皆様方に大いに御承知いただくための広報活動、これは国内だけでなくて国際的な広報活動、そういったものもあるわけでございます。  博覧会国際事務局手続、現状を申し上げますと、五十四年十一月二十八日に開催希望通告をいたしております。これは開催希望国際機関に要請してよろしいという閣議の御了解に基づいて希望通告をいたしたわけでございます。五十五年九月には博覧会国際事務局、これはBIEと略称しておりますが、そこから予備調査団日本に参りまして現地で準備状況調査いたしました。その結果を踏まえまして、五十五年十一月二十六日にはBIE総会におきまして開催期日の申請が承認されました。ただしこれは四カ月間の告示期間というものが必要でございまして、それがことしの三月二十六日で終わりますので、その時点におきまして日本の筑波におきますこの博覧会開催が確定する、こういうことになるわけでございます。その四カ月の告示が終わりまして、次のBIE総会で登録ということになるわけでございまして、これが五十六年四月二十二日に予定されております。  それから基本構想につきましては、昨年七月、各界有識者から成ります基本構想関係懇談会それから委員会を設けまして、基本的な理念あるいはテーマの展開、こういったものについて鋭意検討を進めたわけでございます。ことしの一月になりまして基本構想原案ができましてこれを公表させていただきました。ただいま関係方面の幅広い御意見をいただきまして、さらにこれをしっかりしたものにつくり上げていきたい、こういうことになっております。  会場計画につきましては、この基本構想を受けまして仕事を進めるわけでございますが、幸い昨年十二月に会場地が谷田部町に決定をいたしましたので、それを踏まえまして、有識者から成ります会場計画会議をことしの三月に設立いたしまして会場基本計画策定を進めております。  輸送につきましてはいろいろ問題がございますので、昨年九月に輸送対策委員会を設けまして、その下に勉強会的なものを、関係省庁の担当の方を中心にいたしまして具体的な問題についての検討をしていただいております。それに基づきまして現在輸送対策委員会で効率的な輸送対策策定を進めておるところでございます。  広報業務につきましては、まだ国際的に最終的にオーソライズされていないという段階でございますので国際的な活動は控えておりますけれども、国内的には、博覧会のニュースを昨年刊行いたしまして、ことしも第二号を出すとか、あるいは、たまたま神戸でポートアイランド博覧会というのがきょう開会式になるわけでございますが、このポートアイランド博覧会にも私どもの四年先の博覧会構想を展示をさせていただいております。その他いろいろな広報活動を進めつつあるわけでございます。  なお、政府の方でこの博覧会に御出展なさるわけでございますが、政府出展のための構想作成、その基礎的な調査につきまして科学技術庁から委託を受けておりますので、昨年の八月以来、研究会を設けましていろいろな構想検討中でございます。  概略、以上でございます。
  21. 日野市朗

    日野委員 基本構想までずっと作業が進んできているようでありますが、特に基本構想について若干伺っておきたいのです。  基本構想原案として公表されたわけでございますね。これは国際的な手続が済まないから一応原案と銘打ってあるのか、それとも実質的にいまだ成案ではない原案として受けとめたらいいのか、そこらはどうでしょう。
  22. 伊原義徳

    伊原参考人 基本構想作成につきましては、広く各界の御意見もとにして原案をつくったわけでございますけれども、さらに広く各界の御意見をお伺いして、いまの原案をさらによりよいものにしたいというのが私ども考えでございます。そういうことでございますので、いまいろいろ各方面からの御意見を承りつつあるところでございますので、それをもとにさらに手を加えていきたい、こう考えております。
  23. 日野市朗

    日野委員 もちろんこの点については科学技術庁の方にも原案を示して意見を求める、こういうことになりますね。
  24. 伊原義徳

    伊原参考人 作業段階も含めまして、それから原案作成後も、科学技術庁のみならず関係省庁の御意見もいま十分承りつつあるところでございます。
  25. 日野市朗

    日野委員 私も原案をずっと拝見をさせていただきました。私、こういう原案作成するということについては各方面意見を聞かれるということは賛成であります。もちろんそうでなければならないと思うのですが、ただ科学技術という場合、ややもすれば科学技術進歩というものはいいものだというふうに受け取られがちであります。科学技術そのもの中立なものだというように受け取る立場科学技術庁などにもずっと優越しているかのように思います。しかし、必ずしも科学技術というものが中立なものであり、人類進歩に役立つものとばかりは考えていないのでおりますが、私のような科学技術に対する反省を非常に含めた立場は、日本においてもまた世界においてもかなり市民権を得ているであろうと思うのですが、そういう立場についての考慮は、この原案の中の特に基本理念の中に盛り込まれているのでしょうか、いかがでしょう。
  26. 伊原義徳

    伊原参考人 基本構想では非常に幅広い考え方科学技術というものをとらえておるわけでございまして、たとえばこの基本構想、最初のところにも「昨今では、科学技術に対する不信、あるいは、これを否定する声さえあがっている」。こういう反省から始まりまして「しかし、科学技術人類への偉大な貢献を否定することができるであろうか。」こういうことで「二十一世紀へ向かう人類のあるべき姿を求めながら、科学技術についての新しいイメージを探求する」これが基本的な考え方でございます。したがいまして、単に従来の西欧近代科学技術、巨大科学技術だけがいいものであるという単純な考え方には立っていないと思うわけでございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 これはいまお読みいただいたように一応書いてあるわけでして、ただ、こういう論理も用意されておるわけです。一方的にいいものだとは考えない、ただ科学技術人類への貢献ということをさらに強く打ち出している、そのことからまたさらにいろいろな科学技術必要性ということを言われるわけなのですが、こういう科学技術博覧会をこれからやっていく、そしていろいろなアピールをしていく場合の根本的な思想というものは、やはりきちんと確立をされていなければまずいのではないかと私は思うわけです。科学技術に対する批判というものが非常に根強いことは、何もいまさら私ここで申し上げるまでもなく、かなり早い時期から指摘されていることですから、私としては、そういう立場に立って科学技術の持つプラスの面、マイナスの面、それをきちんと示していくことが必要だと思うわけです。これは、私としては、博覧会の基本的な理念に対して単なる私の注文をつけるということばかりではなくて、これからの協会運営のされ方、それから国のそれに対するかかわり合いというものに大きくかかわってくると思いますので、特にそこの点についてもう一度協会側の考え方、それから国の側がかかわっていく場合の根本的な考え方、それぞれ御両者から伺っておきたい。
  28. 伊原義徳

    伊原参考人 この国際博覧会はある意味では一つのお祭りでございまして、世界各国の方に御参加いただいて、来訪者が喜んで見ていただけるようなものにする必要があるわけでございます。そういう観点からいたしまして、基本的な考え方について深く検討いたしますとともに、具体的な展示といたしましては、難解でない、見てわかるもの、楽しいものにする必要もあるかと思うわけでございます。そういう観点からいたしまして、いま日野先生の御指摘の点も、どのように具体的な展示に組み込んでいくかというふうなことはいろいろ工夫が必要かと思うわけでございますし、さらには、世界各国の参加を求めるわけでございますから、いろいろな考え方をできる限り広く抱え込む、包み込む、こういうふうな運営にしなければいけないと考えております。
  29. 園山重道

    園山政府委員 大変むずかしい、哲学的問題でございまして、果たして満足なお答えができるかどうか危惧するところでございますけれども、この科学技術博覧会開催しようということが科学技術庁の中で発想されましたのはもう二、三年前でございまして、これは私より前の方々の時代でございましたけれども、伺っておりますところでは、御承知のような石油ショック以降、地球というものは資源有限の壁があるということで、これが人類に対して非常に重くのしかかってきておる、しかしながら、人類が将来に向かっての明るい発展というものを確保していくためにはどうしても科学技術の力を活用していくしかないだろうということが一つの発想の根本にございました。たまたま御承知のような筑波研究学園都市というのが、昨年度予定された四十三機関の移転が完了した、これからいよいよこれが本格的に熟成していくという時期をとらえ、世界的にも非常にユニークな研究学園都市というものの完成を祈念し、あわせて、人類がこれからの資源有限時代をどう切り開いていくか、そこに科学技術がどのように貢献できるであろうか、すべきであろうかということを、国内のみならず世界の人々とともに考えようということがこの基本にあったかと思うわけでございます。したがいまして、具体的な展示内容等につきましては、いま伊原総長のお答えにございましたように、博覧会として成功させるという面の配慮が非常に大事でございます。しかし基本的には、世界の人々、特に科学技術に関心のある人々が集まって、科学技術をいかに活用して資源有限時代を切り開いていくかということを一緒に考えるということがこの基本になっていくべきではなかろうか、このように考えておるところでございます。
  30. 日野市朗

    日野委員 おっしゃることの意味がよくわからないのです。というのは、質問の意味がおわかりになっていないのかなというふうにも思うのですが、じゃ、もう少し問題を具体的に煮詰めてみましょう。  科学技術展覧会というと、確かにすばらしいものが恐らく並ぶでしょう。従来であれば錬金術師のなせるわざか魔法かと思われるようなものが、科学技術の発達によって現実のものとして自分の目の前に示される、これはすばらしいことだと思います。それは非常に説得力のあることかと思います。しかし、それと同時に、そのことがもたらしているもの、たとえば公害というような問題なんかもございます。そしてまた、公害というような問題からさらに公害を抑える技術というようなものも展示されるであろう。恐らくそういうところまでは、いままでの科学そして技術面でのいろいろな成果の一つとして示され得るものであろうというふうにも思うのです。しかし、それから先にさらに見えないものがあること、これは私としては指摘せざるを得ないのですね。  たとえば、科学技術というものはもともとその国の体制というようなものから切り離しては考えられないものだという指摘がずっとなされておりますね。科学技術というのは体制から中立なものではなくて、一つの体制が科学技術の開発の方向、進歩の方向といったものを決めていくのだというような考え方がございます。私もこれはまさに正しいと思うのですが、場合によっては政治的な選択の方向すら科学技術というのは示していく、こういう認識は国の側でお持ちでしょうか。ここらの点について、最近技術者の側からする反省をも含めたすばらしい数多くの文献が発表されていることは、もうすでに科学技術庁としても御承知かと思う。こういう点もきちんと踏まえた方向でこの博覧会が行われていくのかどうか、こういう点について、そのうちに大臣にも伺いますから、ひとつお願いいたします。
  31. 伊原義徳

    伊原参考人 基本構想でいろいろな議論をいたしたわけでございまして、非常に幅の広い、また深い議論をいたしております。たとえば「世界には、それぞれの文化、それぞれの価値の体系にふさわしい多様な人間の生き方がある」というとらまえ方をしておりまして「固有の文化は、固有の価値の体系をもち、固有の科学技術を育てる。」こういう考え方をしておるわけでございます。そういう基本的な考え方、しかも、その各固有の価値体系のもとでのそれぞれの民族の科学技術というものが一つの場に展示されて、相互の理解と認識を深める。したがいまして、先進国だけでなくて、発展途上国からもぜひ多数の参加をお願いしたいと期待しておるわけでございます。そういうことでございますので、この博覧会の基本的な構想そのものが世界に広く通用するものであることが必要であると思いますし、現在の基本構想におきます考え方は十分その要請にこたえるものであると考えております。
  32. 日野市朗

    日野委員 確かに「基本理念」のところなんかを見ても、世界のそれぞれの文化に着目をする、価値の体系に着目をするというような点、これは評価すべき点でもあろうかというふうに思いながら私も実はこの点は読ませていただきました。しかし、それと同時に、ややもすればこれはリップサービスに流れてしまって、内実を持たないものになってしまうことを私は非常に恐れるのであります。たとえば、いま私が、技術というものは政治的な体制に導かれた方向に流れる可能性というようなことを言ったけれども、私は自分の意識の中に原子力と原子力エネルギーの活用というようなものについてそれを意識せざるを得ないわけでありまして、こういう一つの、たとえば原子力ということをいま念頭に置く場合に、現在国の側で進めている原子力開発に対する姿勢というものはこの展覧会の中に持ち込まれる、これは私は原子力についての展示をするななどということを言うつもりは毛頭ございませんから、そこのところは御安心いただいて結構なのですが、ただ、それについても展示の仕方があるだろうというふうに思うのですね。原子力万能論に基づいた展示をなされるのか、原子力に対するいろいろな反省をも展示していかれるのか、さらに、原子力以外の選択というものについてはこういう考え方があるということをも展示していかれるのか、そこいらの考え方というのは、展示一つをとってみてもこれは非常に大きな違いをもたらすだろうというふうに思わざるを得ないのです。  ずばり科学技術庁なんかの考え方としてはどうでしょう。いままで科学技術庁はかなり原子力の推進という立場から仕事をしてきておられるようでありますが、この展覧会についてもそのような態度を貫かれるのか。そういうことになれば、われわれもこの法案についてもいろいろ考えるところもあるわけでありますがね。それとも、原子力についてのマイナス面の指摘もきちんとなされるのか、原子力以外の方法としてこういうものが考えられるということの指摘もきちんとなさった展示をなさるつもりなのか、こういった点についていかがでしょうか。この点については、ぜひともこれは原子力エネルギーの開発に非常に力を入れていると言われている大臣の御見解もこの際伺っておきたいと思うのです。
  33. 園山重道

    園山政府委員 まず、私からお答え申し上げておきたいと思います。  具体的にどういう展示をするかということはこれからいろいろ検討して定めていく問題でございますので、現在具体的な構想、計画が固まっているわけではございません。  それから、原子力を引いて御指摘がございますと、これはエネルギー問題ということになろうかと思いますが、これは来年でございますか、アメリカのノックスビルでエネルギーをテーマにいたしました、やはり国際条約に基づきますところの博覧会開催されることになっておりますが、この博覧会国際事務局という機関は、同じようなテーマ博覧会が続いて起こったり、同時に起こったりしないようなことの整理を一つの大きな任務としております。したがいまして、私ども考えでおります今度の科学技術博覧会におきまして、エネルギーをメーンテーマ中心に置くことはできないことになってきたわけでございます。しかしながら、今回掲げております人間、居住、環境と科学技術とのかかわり合いという問題でございますので、やはり何らかの形でエネルギー問題というものを取り上げることになるだろうと思うわけでございます。  エネルギー問題を取り扱うということになりますと、特に原子力というのはいわゆる科学技術のいろいろな分野におきます成果をいわば集大成した科学技術そのものというものでございます。また、先ほどもちょっと申し上げましたが、石油ショック以降の石油にかわるエネルギー源として非常に有望であり現実的であるという位置づけでもございますので、このエネルギー問題を扱います場合には当然原子力も取り上げるということになろうかと思います。ただ、先生指摘のようにほかにもいろいろな方法があるということでございますれば、こういうものにつきましても科学技術的な面からどういうことが考えられる、あるいは原子力問題につきましても科学技術的に正確な理解を得られるようにするというようなことは十分考えていかなければならぬ問題と、このように考えておるところでございます。
  34. 中川一郎

    ○中川国務大臣 日野委員の御指摘はよく理解できますけれども、いま局長が答弁しましたように、今度はエネルギーが中心じゃなくて科学技術全般でございますから、エネルギーはその一部門にしかすぎない。しかも、その中での原子力の必要性あるいは実態等はあれしますけれども、これを政治的に利用しようとかなんとかということじゃなくて、あくまでも人間の居住と環境、こういう点に力点を置いていきたいと思いますし、そうなるのだろう。この問題は科学技術博覧会協会ですか、協会の方で案を立てますので、私の方が直接つくるわけではありませんけれども、そういった関心でながめていきたいと思っております。
  35. 日野市朗

    日野委員 私、先ほどの問いの中でも一部触れておきましたけれども、エネルギーそのものが今度はそう大きくは取り扱われないかのようにも答弁の中からは聞き取れるわけでありますが、ただ、事はエネルギーに限らず、現在の巨大化した技術というものに対する反省がずっと生まれていく、そして、原子力をさっきから例に引いていますから今度はエネルギーの問題についてその例の延長線の上で若干の意見として、述べておきますと、そういった巨大なものからさらに細分化したもの、地域的にも細分化したもの、たとえばソーラーシステムにしても、巨大発電所というような観点から非常に小さな発電所というものへ移行すべきだというような意見があることは、これは科学技術庁、これを真っ向から受けとめておられるか、その反論に対する反論のために検討しておられるかは別として、きちんとここらは勉強しておられるはずでありますが、そういったできるだけ小さいものへと移行していくという一つのトレンドは見てとれるところでありますね。それは必然的に政治体制としても分権化、さらにその支配を小さい区域に分轄していくというような方向を要請をしているんだというようなことについてもこれは御存じかと思います。そういった科学技術が事は科学技術のみにとどまらずに政治体制の面にまで問題としては発展していくんだという観点がきちんと明示されないと、私がさっき言いましたように、いや魔法のようにすばらしいものが次から次へと出てくるわ、これは結構ではないかというような印象で国民に受け取られる、こういうことを私は非常に憂慮するものであります。こういうことをきちんと国民に知らせる、チェックすべきところはチェックをしていく、これが科学技術庁の役割りとしては非常に重要な部分になっていくのではないかというふうに私は思います。  さっき私も指摘したように、この協会構成を見ておりますと、学識経験者ども入っておりますが、企業人が非常に多い。そうすると企業にとって利用しやすい科学技術というものに対する賛美のシンフォニーが鳴り響くような感じが私はするのでありますね。そういう点についてどういうふうにお考えになっておられますか。
  36. 園山重道

    園山政府委員 科学技術の発展の流れと申しますか、それにいろいろな流れがあり、いろいろな変化があるということは御指摘のとおりでございます。いわゆる今世紀後半の非常に巨大科学技術進歩という時代から、いまいろいろともっとファインなものと申しますか、そういう技術に目が向けられておるということは確かに一つの傾向であるということは言えるかと思います。  しかし私どもは、私の考えますところでは、これは巨大科学を否定したということではなくて、やはり巨大科学によっていろいろと経済の発展その他進めてきて、さらに細かいものについても気を配らなければいけないという方向が出てきておるものだ、こう私は理解いたしておるところでございます。したがいまして、全体として見ましたときに、巨大科学だけに焦点が当てられるということは若干へんぱなものになるかもしれないと思います。しかしながら、だからといって巨大科学というものを完全に否定してそのファインなもの、細やかなものというところが主役として登場すべきであるということもこれはまた一方、多少へんぱであるということを免れないかと思うわけでございます。したがいまして、やはり科学技術の現在の流れ、将来に向かってどうなっていくか、どうあるべきかということにつきましてできるだけ全体的に正確なイメージの展開があって、それをもとに、見る人たちがいろいろ考える場にもなるということが望ましいかと思っておるわけでございます。したがいまして、そういう意味でいろいろこの計画に参画される方々、先ほどからの協会の御答弁にもございますように、いろいろな各界各層、各分野の方がお入りになって考えていただくということは有効なことではないか、こう考えておるところでございます。
  37. 日野市朗

    日野委員 こういった点については日本の科技庁は、また日本の経済体制、政治体制は非常に、ファインなとおっしゃったが、そういったテクノロジーに対して冷淡であるということを私は指摘しておかなければならない。私は、これは日本の将来にとって非常にゆゆしい禍根を残す問題ではなかろうかなと思うわけです。現にイギリスなんかでは、いろいろなテクノロジーの総合的な一つのサイクルの問題をめぐってかなりの実験が行われている。たとえばCATというような、これは自然エネルギーによる実験村なんというものがありますね。センター フォー オールターナティブテクノロジー、これの略でCATというものがあります。それから、そういった技術経営の面についてのかかわり合いがどうかということについては、運動としてCAITS、センター フォー オールターナティブ インダストリアル アンド テクノロジカル システム、これの略称になっておりますが、そういったものがどんどん外国において進められて、こういったものの活用、そして社会の体制の中にどのように定着をさしていくかという、実験といっては余りにも客観的な表現になるかもしれないが、そういう動きをきちんとわが国の科学技術庁としてもとらえていく、そういう姿勢が根本的にいま必要であろうと私は思っているのです。そういうことに対する配慮もきちんとやっていくのだということをここでお約束いただけましょうか。
  38. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  科学技術庁が冷淡であるという御指摘がございましたけれども、私どももやはりそういうあらゆる可能性というものについてしっかりした知見、経験を持っていく必要があるということはかねて考えておるところでございまして、先般来新聞等でも御承知いただいているかと思いますが、小さな風車を使いました風トピア計画というようなことで、風車がローカルエネルギーとしてどう使えるかというようなことを積み上げてきておりますし、また、来年度予算に計上いたしておりますところでは、地域エネルギーシステムの実証調査というようなことで、それぞれの地域におきます地熱、太陽、風力、バイオマス等のエネルギー源をまぜ合わせまして、ある種の地域のエネルギー需要に応じていくシステムが可能かというような実証調査をやるということが予算にも計上されておるところでございます。したがいまして、決して先生指摘のような冷淡というようなところがあるわけではございませんで、一方、エネルギーだけではなくて、最近非常に注目を浴びておりますライフサイエンス、組みかえDNAといった問題はまさに非常にファインな技術でございますし、こういった面につきましても非常に力を入れておるところでございます。したがいまして、今度の博覧会におきましても、やはり科学技術というものを考えるという意味におきましては、できるだけあらゆる分野にわたってそういった見る人の考える手伝いになるような展示が行われたらば非常に望ましいのではないか、こう考えておるところでございます。
  39. 日野市朗

    日野委員 今度は、基本理念なんかにもあらわれているわけですが、固有の文化、固有の価値の体系というようなことから、特に発展途上国あたりの参加というようなことを非常に強く意図された考え方が出されているようであります。私はそのこと自体非常にすばらしい着眼点だと思いますし、ぜひともこのことは進めていただきたいというふうに考えているわけなんですが、しかし、さらに立ち入って考えてみますと、第三世界とか発展途上国といわれる国とのかかわり合いについては、かなり神経も使わなければならないところが非常に多いのではなかろうかというふうに思うわけであります。  国連の発展のための国連技術会議というのがございますね。非政府機開会議であったけれども、ここで発展途上国の技術の問題についてかなり深刻な論議がなされているわけであります、そして、南北格差を解消するための技術は何かということについて非常に真剣な論議がなされている。このことについてはもうすでに御承知と思います。  その中でやはり問題になったのは、いまファインな技術という形で論じられましたが、私に言わしていただければ、オールタナティブなテクノロジーの問題がここで論じられているというふうに認識してよかろうかというふうに思うのですね。こういうところから参加を要望しますと、勢い技術的なものとして出てくるものはやはりオールタナティブなものになってくるだろうと思うのですね。そして片一方では巨大技術を壮麗に並べて、そして片一方の第三世界や何かから出てきたそうしたオールタナティブなものとの対比ということになりますと、余りにも格差があり過ぎるというような問題について、やはりかなり国際的にも問題が出てくるのではあるまいかという感じもするのですが、そこらについてどのような配慮かが必要だと思いますか、いかがでしょう。
  40. 伊原義徳

    伊原参考人 日野先生の御懸念の点が起こらないように私ども当然配慮しなければいかぬと思っておりますが、特に発展途上国につきましては、事前に私ども参加要請のために当該国に参りまして、私どもがどういう考え方でこの博覧会をやるのかということを十分御説明いたしまして、なるほどそれならば自分の国ではこういうものを出せばいいんだなということを十分事前に御理解いただく、そういうことの努力を大いにやりたいと思っております。  基本的に申しまして、現在の科学技術というのがたまたまギリシャに端を発します西洋の思想に基づくものでありますけれども、そのほかに、たとえば中国の科学技術の歴史あるいはアラブの科学技術の歴史などを見てみますと、それはそれなりに大変すばらしいものがあるわけでございます。そういういろいろな観点からいろいろな立場での参加が十分あり得ると考えております。
  41. 日野市朗

    日野委員 いま展示についてのいろんな違和感が出ないかという質問をいたしましたが、問題はもっと深いところにあろうかと思うのですね。さっき言いました国連の技術会議、UNCSTDの中でのいろんな論議を見てみますと、まず第三世界における技術というのはオールタナティブなものになっていかざるを得ないだろう、そしてそういうところで技術が進んでいっても、先進国の電子技術なんかが大量にそういうものと結びつけられていく、特にこのマイクロプロセッサーなんかが第三世界の中に持ち込まれたら、恐らく第三世界はそれに対抗できない、経済的にも政治的にも、場合によっては軍事的にも壊滅的な影響を第三世界は受けざるを得ないというようなことの指摘なんかも、ずっと識者によってされているようでありますが、そういう場合の第三世界といわゆる先進世界といいますか、そういうところの調整がどのようにあるかという、これからの政策的なものもきちんと提示をしませんと、この科学技術博覧会の本来善意で意図したものが逆の効果を生みはしないかというような非常な懸念を私は持つのですが、そのような懸念は考えられないのでしょうか。
  42. 園山重道

    園山政府委員 大変むずかしい問題であるかと思われます。したがいまして、先ほど伊原総長からのお答えがございましたように、十分事前の説明、意思疎通ということが必要であるかと思われます。基本的には、先生指摘のようにUNCSTDを初め、やはり発展途上国におけるオールタナティブ・テクノロジーあるいはアプロプリエート・テクノロジーということでいろいろな議論が行われておることを承知いたしております。しかしその基本というのは、私の理解いたしますところでは、先進国の二流技術を発展途上国に持ってくるということは絶対にいけないという論が片方にございますし、要は発展途上国がみずから科学技術というものを使いこなすと申しますか、みずからの科学技術をつくり上げていくということが基本であるというように思っておるわけでございます。  先生指摘のマイクロチップ、マイクロプロセッサーその他の問題につきましても大変議論が行われておるところでございますけれども、これも今後の問題といたしましては、やはり使う人が、使う国がそのソフトウエアというものを確立していかなければいけないのだ、しかも今後の科学技術者が非常に大量に必要としているのはこのソフトウエア部分にあるというようなことも言われております。     〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕 したがいまして、発展途上国がその国の開発発展のために科学技術をどう取り入れ、どうそしゃくし、どう使っていくかということが最も重要なことではないかと思います。その場合には、単に外からの科学技術を持ってくるというだけではなくて、やはりその国固有の文化として育ってきておる科学技術的な日と申しますかセンスと申しますか、そういったものを基本にして組み上げていくということが非常に重要ではなかろうか。したがいまして、今回の博覧会につきましても、先生指摘のようなぴかぴかした先進技術がその妍を競うというよりも、やはり文化に根差すところの各国固有の科学技術というものがそこに展示され、その中からお互いに今後の科学技術の発展、特に開発途上国における科学技術の活用というのはどうあるべきだろうか、どうしていけばいいのだろうかということをお互いに考える場ということになれば非常な成功だろうと思いますし、そういった点をよく事前に意思疎通をして、全体としてのこの博覧会の内容というものがそういう方向に向かっていくようにこれは努力をしなければいけないものかと思っておるところでございます。
  43. 日野市朗

    日野委員 じゃ、今度は別の質問をしたいのですが、科学技術についての不信というものを人類の歴史の中で一番最初に生みつけたのは、やはり殺人の技術になったということなんですね。人を殺すための武器、それから人を殺すための事業、そういったものが生み出されてくるというようなことがまず一番その根底にあったと思うのですね。それと、科学技術の発展というものは武器の開発とかなり表裏一体のような形で現在まで進んできているということも、これは争えないところだと思います。皆さんがしきりに賛美する原子力といえども、これは原子爆弾をつくろうという一つのモチーフがあったわけなんでありまして、そういった面から、この科学技術博覧会をやるなんという場合は、平和という観点がきちんと踏まえられていないとこれは大変残念な結果になるだろうと思いますし、そういう観点を踏まえていなければ私はこのような科学技術博覧会というものを本当はやってはいけないんだというふうにすら思うのであります。私、こうやって基本理念やら構想原案やら何やら、いままで博覧会のために出されたいろいろ文書等を見てみまして、そういった観点がややもすれば欠落しているのではなかろうかというような懸念を持つのですが、そこいらはいかがでしょうか。
  44. 伊原義徳

    伊原参考人 博覧会を開きます趣旨の一番基本にございますのは、世界の平和に対する希求でございまして、いろいろな政治体制の国がある世界の現状におきまして、あらゆる国がそういう政治体制の差とは別の立場で、一つの場におきまして各国がそれぞれの展示をすることによって各民族間の融和を図ろうということでございます。したがいまして、こういう国際博覧会をやるということ自身が世界の平和のために非常に大きな貢献になると思っております。  なお、今回私ども開催させていただきます博覧会テーマが「人間・居住・環境と科学技術」ということでございますから、そういうテーマから申しましても、きわめて平和志向の強い中身になるものと考えております。
  45. 日野市朗

    日野委員 平和という文字をいまさら事新しく基本理念や何かに盛り込まなくたってそれは当然のことである、こういう理解でよろしいでしょうか。この点については伊原さんにも、それから科技庁の方にも伺いたい。
  46. 伊原義徳

    伊原参考人 御指摘のとおりでございます。いまさらそういうふうに平和というふうなことを書き込まなくても、基本的にはこれは平和という考え方が根底にあるということでございます。
  47. 園山重道

    園山政府委員 私どももそのように考えております。
  48. 日野市朗

    日野委員 いままでずっと私、科学技術という意味、本質論といいますか、そういった問題に触れながら幾つかの質問を展開させていただきました。それで、必ずしもそれを納得するわけではありませんが、ある程度の御努力をいただける方向性については確認できたと思います。  ただ、この博覧会の持ち方としては、民間、外国、それから政府という展示がそれぞれ予定されているようでありますが、問題は、そういった展示に対していかなる指導性を協会なり政府なりが持ち得るかということになってこようかと思います。特に、ここでちょっと外務省の方に伺っておきたいと思うのです。いままでの質疑を外務省の方もお聞きになっておられると思うのですが、こういういろいろな話し合い、外国との間でのいろいろな話し合いに基づいて円滑に進めていきたい、それから博覧会を行う者としての思想的な問題も十分話し合いを通して理解してもらうのだというお話があったのですが、こういう細かいところまでの話し合いというのはすべて外交チャンネルを通して行うことになろうかというふうに思うのですが、そういう細かいところの話し合いまでできるのでありましょうか。
  49. 佐藤嘉恭

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  いままでの御答弁にございました基本的な考え方については外務省としても同様に考えておるわけでございます。  本件博覧会が正式に決まりました段階で各国に招請の手続をするわけでございますが、そのような機会を通じまして、あるいはまた大使館その他の外交チャンネルの場もございますので、政府委員、大臣等から御答弁がありましたラインに沿って外国政府あるいは関係当局の理解も求めていきたい、このように考えております。
  50. 日野市朗

    日野委員 要は、いかにこちらが考えていることが実現をされていくかという過程の問題になってまいりますが、いまここで私、より具体的に伺いたいのですが、展示の内容なんかについて、この博覧会の趣旨はこうなんだからこういう展示は困るのだというような断り方ができるのかどうか。たとえば、うちのジェット戦闘機はすばらしいよ、それについてる機関砲もこんなにすばらしいのだから、これは日本科学技術博覧会でぜひとも展示したいというような国が出てきた場合、いやそういうのは実は困るのだということが言えるのかどうか。
  51. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  外国との折衝等、基本的にはいま外務省からお答えになったとおりでございますが、若干具体的に申し上げますと、この博覧会開催するに当たりましては、先ほど来御説明しております博覧会国際事務局の承認を得まして、一般規則あるいは分類表というものをつくることになっております。それで、今回のテーマとしては「人間・居住・環境と科学技術」ということで国際的に出しておりますので、これに基づく分類表、つまり出展はこの分類表に基づいて行ってほしいという分類表をつくることにいたしております。したがいまして、テーマが「人間・居住・環境と科学技術」でございますので、御質問になりましたようなことはこの分類表に入れることは全然考えておりませんので、その点は御懸念のようなことにはならないかと思っておるわけでございます。
  52. 日野市朗

    日野委員 そういうものをもしも持ち込まれた場合どういうふうになるのか。一つのパビリオンが予定されると、その中に現実に、これはどう見ても武器だわいというようなものが持ち込まれてくるようなときに、これは外交関係としてきちんとお断り申し上げますということは言えるのか、それとも一つのパビリオンの中に持ち込まれてしまえば治外法権みたいなもので、それについては日本はもうとやかく言うことができないのではないかというような考え方もあり得るかと思うのですが、特にそこらについては、国際博覧会に関する条約との関係で外務省の見解もただしておきたいと思います。
  53. 園山重道

    園山政府委員 若干具体的に申し上げますと、先ほど申し上げた分類表というものを出します。それで参加国はどういう出展をするかということを事前に招請国、この場合日本でございますが、それに通知をしてくることになっておるわけでございます。この分類表と合っているかどうかという解釈に関しましては、疑義が生じた場合には各国代表、日本の代表それから参加国の代表が集まりました会議でそれは決定をすることになっておりますので、そもそものテーマ、分類表から非常に外れたようなものが出てきた場合には、これはお断りできるのではないか、こう思っておるところでございます。
  54. 日野市朗

    日野委員 外務省、いかがでしょう。
  55. 佐藤嘉恭

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  基本的にはいま計画局長から御答弁があったとおりでございますけれども、分類表、一般規則、それらはいずれも条約上の規定に基づきまして作成されるものでございます。したがいまして、この枠からはみ出るものについては当然所要の手続がとられるものというふうに考えますし、また、追って任命されるであろう政府代表の権限といたしましても、一般原則その他の手続に沿わないものについては一切政府代表において責任ある処置ができるといったてまえになってございます。
  56. 日野市朗

    日野委員 いま外国の問題について伺いましたが、博覧会の平和という目的をも踏まえた幾つかの理想というものを一つの基準にして、民間の展示についてもきちんとした規制を加えるべきものは加えていく、このように理解してよろしゅうございますか。
  57. 伊原義徳

    伊原参考人 民間の出展につきましても、事前に十分御相談をいたしまして、本博覧会テーマ構想に沿ったものにぜひしていただきたいという努力をいたすつもりでございます。
  58. 日野市朗

    日野委員 今度はちょっと協会の財政の問題について伺っておきたいと思います。  この協会というのは現在は金は全然ないわけで、借金で運用せざるを得ないような状況でございますね。必要な経費の捻出でございますが、現在どのようにやっておられますか。人的担保、物的担保——まあ物的担保はちょっとないかと思いますが、担保方法なんかどうしておられるか教えてください。
  59. 伊原義徳

    伊原参考人 博覧会協会は、確かに先生指摘のように物的な資産があるわけではございません。しかし幸いなことに、この博覧会準備をし運営をするために、国、地方自治体の御援助がいろいろ考えられておりまして、建設費につきましてはその三分の二が補助対象になっておりますし、残りの三分の一につきましても民間側の御援助を期待できる、こういうことかと思われます。  運営費につきましては、できる限り多方面からの御援助を期待してはおりますが、実際問題といたしまして、その相当部分は将来の入場料収入をもって賄う、こういう考え方でございます。これは過去二回の大阪の万国博覧会沖繩海洋博覧会におきましても同じような考え方運営が行われております。  したがいまして、協会といたしましては、いろいろな手段をもちまして自己収入の拡大を図りますとともに、足りない部分につきましては当面借り入れでもって賄う、こういうことにいたしておりまして、そのために十数行の銀行から成ります協調融資団をおつくりいただきまして、その銀行グループからの融資をいただいておるというのが現状でございます。
  60. 日野市朗

    日野委員 協調融資団をつくられても、やはり一応担保をつけなければいかぬ。保証人なんかつけなければいかぬのですね。これは仄聞するところによれば、いま土光さんが一人で保証しておられるということですが、間違いありませんか。
  61. 伊原義徳

    伊原参考人 この借り入れは信用ということになっておりまして、会長土光ということではなくて、国の計画全体を御信用いただいておるというのが実情でございます。
  62. 日野市朗

    日野委員 そうすると、特定の保証人がついているというものではないというわけですか。
  63. 伊原義徳

    伊原参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。
  64. 日野市朗

    日野委員 これから収入をどんどん増加させるように努力をしていかなければならないという話で、まことにそのとおりであろうかと思います。  ところで、この全体の財政計画というものはまだきちんと練り上がったものではないかと存じますが、この法案ですね、いま審議中の国際科学技術博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案、これによって切手だとか、たばこだとか、テレホンブックの広告だとかいうようなことがずっと並んでおります。一応大ざっぱで結構ですから、大体切手でどんなことをやる、それからテレホンブックでどんなことをやる、それから汽車の広告でどんなことをやる、一応概念的なことをちょっと御説明いただきましょうか。
  65. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、この特別措置法の中で特に三公社の援助のことを掲げさしていただいておるわけでございますが、概略申し上げますと、今回の博覧会についてどのような形、どのような金額でということはすべてこれから関係の向きと御相談のところでございますので、過去の例を引きまして若干御説明さしていただきたいと思います。  まず、専売公社でございますが、これはたばこの包装の一部に広告欄を設けまして、広告事業者がこの博覧会協賛広告、いわゆる博覧会のシンボルマークなどをつけました広告を掲載いたしまして、これによって得られた広告料収入を博覧会協会に寄付していただくというのがたばこでございます。  それから国鉄につきましては、国鉄のいろいろな施設の中の広告のスペース、たとえば電車の中づり広告といったようなものの一部の提供を受けまして、これも広告事業者がやはり協賛広告としてシンボルマーク等をつけた広告を掲載する。そしてその得られた広告料収入の一部が博覧会協会に寄付される。  それから電電公社の場合でございますけれども、これは最近若干事情は変わっているようでございます、万博の場合でございますが、五十音別の電話番号簿に広告スペースを新たに設けた、現在はいろいろやられておるようでございますが、博覧会協会にこの電話帳の広告スペースを提供していただきまして、博覧会協会がこのスペースを使った広告事業を行って、この収入から必要な公社への納入金額等を差し引いたものが協会の収入になったということでございます。  もう一つ郵便切手がございます。これは郵政省にお願いするものでございますけれども、寄付金つきの郵便切手を発行していただく。そうしてその寄付金分を博覧会協会に寄付していただくということでございます。  ちなみに、過去の例で申し上げますと、専売公社の場合は、たばこの場合、万博のときには四億八千二百万円、海洋博のときは一億七千五百万円、それから国鉄の分は、万博のときに九千二百万円、海洋博のときに九千万円、それから電話帳の広告につきましては、万博のときに六億一千八百万円、海洋博のときに五億六千六百万円というような金額が寄付金として協会に出されております。また、郵政省の寄付金つき切手につきましては、万博の場合が一億三千八百万円、海洋博のときが二億二千八百万円ということで、こういった金額をいただいておったということでございます。  今回につきましては、先ほど申し上げましたように、これから関係方面といろいろ御相談をするところでございます。全般的にいろいろ財政厳しいところもございますので、若干前例どおりいくかどうかということはございますけれども、私どもとしてはできるだけのお願いをしていきたい、こう思っておるところでございます。
  66. 日野市朗

    日野委員 私も手元にいままでの、オリンピックから札幌オリンピック、万博沖繩海洋博、ずっとそれぞれのところでどれくらいの収入があったのか、ちょっと見せていただいたのですが、だんだんこれは先細りみたいな形になって、時代が下ってくるに従ってそういったところの収益がだんだん減ってきているような感じも実はするわけでありまして、ここらは非常に創意工夫をそれぞれこらしながら、十分な対応を協会の方にも、また国の各方面の協力をも仰ぐように、せっかく法律案を通すのですから、私の方から要望をしておきたいというふうに思います。  それから、まだこれもきちんとした構想はまとまっていないと言われればそれまででありますが、これからいろんな施設をつくっていくわけですね。土地についてはこれは県が、自治体の側が準備をするのでありましょうが、その上にいろんなパビリオンをつくるとか、いろんな建物なんかをつくっていくというようなことになると、ある程度の資産というものが出てくるかと思うのですが、こういった不動産と言っていいのですか、こういったものは不動産として協会の方できちんと取得をすることになりましょうか。結局は保存登記なんかもして進めていくのかどうかというような問題になるかと思いますが、そこいらはどのように考えておられますか。
  67. 伊原義徳

    伊原参考人 過去二回の博覧会の例を考えましても、建物の大部分は仮設建物でございます。それは博覧会終了後取り払う、こういうことになるかと存じます。
  68. 日野市朗

    日野委員 ここへそういう建物なんかをつくる場合、この跡地は茨城県の方で工業団地というような形でこれは利用するというような構想がずっと描かれているようでありますが、そういうところにも、工業団地としても使うときに十分に有用であるというような建物を一応建設をして、それをある程度の価格で引き渡すというようなことも考えられるのではなかろうかというふうにも思いますが、そんなことなんかもお考えになっておられますか。
  69. 伊原義徳

    伊原参考人 先生指摘のように、跡地は工業団地として利用することになっておりますので、会場計画をいたします場合にも、工業団地との整合性と申しますか、たとえば道路をどういうふうにつくる、そういうふうなときにも、将来の工業団地用の道路と博覧会用の道路とが同じ考え方でいいというふうな、そういう会場計画にすることによりまして、いわばむだを省く、そういう考え方は当然必要かと思われます。  それから建物につきまして、もし後、利用いたします工業団地の企業側でその建物を使いたいというふうな申し出がございました場合には、この建物は補助対象であり、あるいは政府展示館の場合は政府の国有財産でございますから、そのそれぞれのケースに応じまして当然適切な会計上の措置がとられることになると思います。     〔椎名委員長代理退席、塚原委員長代理着席〕
  70. 日野市朗

    日野委員 それから収入の点では、恐らくいろんな売店なんかをつくり店舗なんかをつくって、そこの売り上げの中から一定の収入を協会としても得ていくというような方法も、これは万博であるとか何かでもとられたようでありますが、そういうことも恐らくお考えになっておられると思います。ただ、あのころそこでの物が非常に高かったなんという、これは万博協会の方でのピンはねがちょっときつかったんじゃないかというような話もその辺でささやかれたりなんかしたのですが、そういう点はどうでしょう。恐らくそういう売店をつくることになって、そこからやっぱり幾らかの金を吸い上げることになると思いますが、そういう従前の行事でいろいろあった批判なんかも十分御考慮いただけますか。
  71. 伊原義徳

    伊原参考人 過去の例におきましていろいろ御批判があったことは私ども承知いたしております。ただ協会立場といたしましては、資金計画上貴重な財源でもございますので、ただでというわけにもいかない。どの辺で折れ合うかというのが非常にむずかしいところでございます。たとえば、沖繩の場合は地理的な条件もございまして、期待したほど入場者が多くなかったというふうなことかも、店を出した方で赤字になったとか、あるいはそれを防ぐために値段をつり上げたので観客に御迷惑をかけたとか、いろいろあったかとも思います。これにつきましては、どういうふうな納付金を取るかということにつきまして条約上はっきり定めることになっておりまして、それはBIEの審査の対象になるわけでございます。したがいまして、決して不当な、非常識な金を取れるようなことにはなっておらないわけでございます。したがいまして、過去の例それから外国でもいろいろこの条約に基づく博覧会がございますから、それの例を参考にいたしまして妥当なものにいたしたい、そういうふうに考えております。  それから、たとえば外国のおみやげ的なものあるいは外国の固有の料理を出します食堂、こういったものにつきましては、単なる営業行為ではなくて一つの文化の紹介である、こういうふうな考え方もあり得ると思われます。したがいまして、単純な商行為ということ以外の見方も多少含みました対応が場合によっては必要かとも考えております。
  72. 日野市朗

    日野委員 私非常に心配しますのは、入場料の収入ですね。これはもう日本人もだんだん博覧会なれしてきたようなところがありまして、こういった国際行事なれといいますか、沖繩なんかの場合は当初の入場見込みを大幅に下回ったというような状況でありますし、あれは場所が遠かったのさというのも一つの考え方でありましょうけれども、必ずしもそうとばかりは言い切れないようなところがいろいろあると思います。科学技術ということになりますと非常にむずかしいものだというようなことから、どうせ見たってわかるものかというようなことで入場者が減ったら、これは大変なことだなというふうに思うわけです。それだけに、これは展示や何かについておもしろいもの、わかりやすいもの、ためになるものというようなことで御努力も願わなければならないのですが、現在約二千万人見込んでいるわけでありますが、二千万というとかなりな人数になります。大体日本国民であれば、子供まで含めて六人に一人ぐらいは入ってもらわなくちゃいかぬというような形になりますね。そうすると、この入場料の点でかなり実は私いま心配しているのですが、これが沖繩のように減ってくるというような事態も想定をしておかなくちゃいかぬと思いますが、いかがでございましょう。
  73. 伊原義徳

    伊原参考人 御指摘のように、入場者数が予想より少ないということになりますと、これは協会としては大変まずいことになるわけでございますので、できる限り多数の入場者を期待いたしたい、そのためにいろいろな調査もやっておりますが、現段階では必ずしも正確な入場者予測ができておるわけではございません。かつ、この入場者予測と申しますのが、いろいろな手法を用いてやりましても実際の仕上がりと必ずしも一致しない、たとえば大阪の場合、ある時点での推定で三千五百万でございますか、そういう推定をいたしましたところが、仕上がりが六千四百数十万ということになったというふうなこともございます。私どもはその予想よりも上向きの、予想よりも多い結果になることを非常に期待しておるわけでございますが、しかし入場料を定めますときには、かなりかたく予想を見積もって入場料金を決めさせていただきたいと思っております。なお参考まででございますが、神戸のポートピアにおきまして当初三カ月、三百五十万というふうな計画でスタートいたしましたのが、現在は千三、四百万来るであろう、前売り券の売れ行き状況その他から見て千三、四百万になるだろう、こういうふうな予想になっております。  私どもといたしましては、できるだけ広報活動を今後重点的に行いまして、かつまたその来たいという方を十分運べるような輸送対策も手当てをいたしまして、絶対赤字にならないような運営をいたしたいと思っております。
  74. 日野市朗

    日野委員 これからの財政の構想をつくられるには非常に苦労されると思うのですが、できるだけ収入はよけい上げなければならないということから、ひょっとするとこれは公営のギャンブルの団体からその寄付を仰ぐ、または民間のいわゆる大企業に協賛金を必要以上に仰いで、そういった民間に対するコントロールがきかなくなるというようなことなんかがあったりすると私は大変だと思うのですが、どうですか、ギャンブルからの収入というようなことは期待されておられますか。それから、民間の寄付というものは大体どのような構想で集められるという構想なのか。
  75. 伊原義徳

    伊原参考人 財源の一部といたしまして、公営競技からの資金の導入をお願いいたしております。これは過去二回の博覧会におきましても同様のことがなされたわけでございますし、私どもといたしましてはあらゆる方面からの御支援をいただきたいと思っておりますので、公営競技関係についていろいろお願いはいたしております。  それから財界の御支援につきましても、過去二回の博覧会でいろいろ自主的な御支援をいただいております。財界の場合二つございまして、一つは、まずみずからその出展をする。そのためにパビリオンをみずからつくり、中の出展物をみずから調達してそれを展示、運営していく、そういう面が一つございますが、これは協会の経理とは別の話でございます。そのほかに、施設参加という言い方をしておりますが、協会の建設費の一部を各企業が自主的に各企業の負担でもって施設をつくる、こういうふうなことをお願いしておるわけでございます。それが財界に非常に過重な負担になるという、それほどのことには決してならないと考えておりますが、しかしできるだけ積極的に御支援をいただきまして、せっかく開催いたします博覧会でございますから、皆さんが来て十分御納得いただけるような施設をつくらせていただきたいと思っております。
  76. 日野市朗

    日野委員 私ここで、特に財政上の理由から、寄付をしてくれるところに多くのスペースを割くというようなことにはならないようにお願いをしたいと思うのですが、特にこの点で民間の展示なんかで大企業にばかり偏ってしまうというようなことがあっては、これは大変だと思うのですね。この博覧会の趣旨にもずっとうたっているように、固有の技術とか固有の文化の表現とか、そういったものについても非常に多くの意欲を示しておられるわけでありますから、ここでちょっと伺っておきたいのですが、中小企業の展示とか、すぐれた個人の業績の展示とか、古来の技術の展示なんというものについては、どのような取り扱いをされるお考えであるか、伺っておきましょう。
  77. 伊原義徳

    伊原参考人 民間からの出展につきましては、いろんな分野からぜひ積極的な御参加をいただきたいと思っておるわけでございますが、やはり出展の経費の負担能力というところから申しましてどうしても大企業に偏りがちであるというのは、過去の実例はあるいはそうかとも思われます。私どもといたしましては、決して大企業だけに偏重するつもりはございませんで、中小企業につきましても積極的に御参加いただけるならばぜひ御参加いただきたい、そのための御説明なども十分いたすつもりでございます。ただ中小企業の場合は、やはり単独ではなくてグループというふうな形で、まとめてある床面積を使うというふうな形、あるいは共同でパビリオンをつくる、こういうふうな形にお願いするのではないかと思っております。そういうことでございますので、個人の参加という形は現在のところは考えておりません。  それから、昔からのいろいろな伝統技術的なものについての展示、これも博覧会テーマ、趣旨にふさわしいものがございましたら、いろいろな場で取り上げさせていただくことを考えたいと思っております。
  78. 日野市朗

    日野委員 これは将来の問題にもわたりますが、私の質問の意を十分おくみいただいて御努力をいただきたいというふうに思っているところであります。  ところで、私、この財政の問題で心配なのは、一体赤字が出たらどうなるんだというその赤字の処理の方法ですね。寄付行為については、残余財産の分配についてきわめて一般的な規定が寄付行為にあるだけであると承知しておりますが、果たしてこれをどうするのかという問題は非常に大きな問題であろうと思います。特に沖繩海洋博の場合なんかはかなり入場者数も少なくて、大分その点での苦労があったように思うわけなんですが、今度の国際科学技術博の場合、そういう事態でできるだけ苦労をしないで済むような方法——努力をすることは努力をすることとして、現実に赤字が出た場合のその処理方法というものについてどのように考えておられますか。これは将来の問題ではありますけれども、本当は財団法人設立を認めるときにはこれは十分な検討を加えておかなければならないところでありますので、一応の構想はお持ちであろうと思います。お聞かせいただきます。
  79. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように赤字が出るということは大変な問題でございますので、基本的に赤字が出ないように計画運営をしなければならないと考えておるところでございます。幸いにしまして、先ほどからのお話もございましたが、この協会運営につきましては一流の経営者の方々が非常に意欲的に参加していただいておりますので、万一にも赤字が出るということはないのではないかと思っておりますし、国の立場といたしましても、財政の非常に厳しい折でございますからいろいろ問題はあろうかと思いますけれども、これを成功させるようにできるだけの御援助をしなければなりませんし、また御指摘もございましたように、博覧会そのものが科学技術というものをテーマにいたしておりますので、できるだけ知恵を出しまして経費が少なくしかも有効であり、かつ多くの人に見ていただけるというものに何とかしていかなければならないものではなかろうかと思っているわけでございます。沖繩のときの御指摘がございましたが、私どもの伺っておるところでは、大阪万博の場合には百九十億余りの黒字、また沖繩海洋博におきましても十五億円の黒字が計上された、このように聞いております。したがいまして、協会と一緒になりましてできるだけの努力をしていかなければならないと思っておるところでございます。
  80. 日野市朗

    日野委員 お覚悟のほどは結構なんですよ。そういう熱意で取り組もうというのは結構なんですが、先ほどから聞いてまいりましたように、協会そのものは不動産というようなものを持つという種類のものでもございませんね、財団法人としては。そうすると、いざ赤字になった場合は責任財産がないというようなことが当然でてくるわけでありまして、国の側がこれだけ肩入れをして、これだけ多くの人の熱意を集めてやって、責任財産がありませんから借金は残ったもののお払いはできません、これでは問題としては済まないと思いますので、どういうふうにそのときには処理をされるおつもりなのか、方法としてどういうふうに考えているのかという根本的なところを伺っておるわけです。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 園山重道

    園山政府委員 万一にも赤字が出ないことを祈念いたしております。それで、万一にも赤字が出たらどうかということになりますと、その時点におきまして協会中心にいろいろ御相談いたしまして、各方面の御支援もお願いするというようなことも考えなければならないかと思いますけれども、現時点では、先ほど伊原総長もおっしゃいましたように、特に運営費等につきましては、入場者予測といったようなものをできるだけ精密にやりまして、しかも、かたいところでの運営ということをお願いして、絶対に赤字が出ないようにということを期待しておるところでございます。
  82. 日野市朗

    日野委員 この事業をなし遂げるためには自治体の側からのいろいろな協力というものが必要になってこようかと思います。また茨城県なんかも非常に積極的にこの博覧会に取り組む、そのためにいろいろな要望書なんかも上げているようでありますが、これが一たん始まってしまって、茨城県の方としては一応の見通しを持っていろいろな要望をし協力をするということを言っておられるのだろうと思うのですが、公共事業どもかなりやらなければならない点もあるし、それもやるということなんでしょうが、この博覧会の成否は国の方からのいろいろなバックアップがかなり必要になってこようかと思います。そういうことをやって自治体そのものに余り多くの迷惑がかからないようなことは十分考えておられると思いますが、いかがですか。
  83. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  この博覧会開催につきましての地方自治体、特に中心であります茨城県につきましては、いろいろ御相談をしているところでありますし、また、先生指摘のような要望を出しておられることも承知いたしております。基本的には、一昨年、この博覧会開催に向かって国際的な手続を進めるという閣議の御了解をいただきましたときに、いろいろ負担の割合等についてもお決めいただいておるところでございます。会場建設費、直接経費につきましては、先ほど伊原総長からもお話しございましたが、全体の会場建設費の三分の二を補助対象といたしまして、その三分の二は国が負担する、その財源につきましては関係団体で協議するということでございまして、これはその当時におきましても県当局とも十分御相談をしてきたところでございます。また、一般の関連公共事業につきましては、非常に財政厳しい折でございますので、国あるいは地方公共団体の特段の負担増ということをできるだけしないという基本原則でしております。しかしながら一般公共事業として道路、下水その他の整備が必要でございますので、こういったものにつきましては、一般的に法令によって定められている比率に基づく負担というのは県、地方公共団体にお願いしなければならないところでございます。しかし、全体的に先ほどから申し上げておりますように非常に財政厳しい折で、これは国のみならず地方公共団体でも同じかと思いますので、できるだけ知恵を出しまして全体の経費が少なくなるように、そして地方公共団体に過大な負担がかからないように、これは常に心していかなければならないことかと思っておるわけでございます。
  84. 日野市朗

    日野委員 これは当該県である茨城県に対する配慮としてはそう願いたいところでありますが、ただ、私もちょっと気がつくわけなのですが、当該県としては熱心に取り組もうということで一応フィーバー状態にあるわけです。ところが、隣接県のムードがどうももう一つという感じがいたします。隣接県にしてみれば、何だ、茨城県ばかりがいい思いをしてというような感じを持たれるのかもしれません。また東京なんかのように、いや、黙っていてもうまみが転がり込んでくるよというところもあるかもしれません。しかし、こういうのはやはり隣接の自治体あたりが一生懸命協力するという体制がきちんとでき上がらないとうまくないのじゃなかろうかという感じがするのでございますが、そういう面に対する対策を考えておられますか。
  85. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように、茨城県だけでなくて周辺都県の御協力が非常に重要だと思っております。このため、まず、博覧会協会理事さんには関東及び周辺の一都九県の知事さんに参画していただいておりますし、また科学技術庁といたしましては、この博覧会開催にゴーがかかりました時点で関係周辺都県の担当者にお集まりいただきまして、いろいろ説明をして御協力をお願いしたところでございます。また茨城県そのものも、関東地方知事会といった場を通じましてこの博覧会に対する協力を要請しておられるところでございます。  私どもといたしましては、この三月二十六日には具体的に国際的な手続もいわば確定したということになりますし、四月二十二日にはいよいよ登録という段階にもなりますので、より一層周辺都県の方々に対して密接な連絡をいたしまして協力をお願いするということを進めていきたいと思っておるところでございます。
  86. 日野市朗

    日野委員 時間ですので、これで終わります。
  87. 中村弘海

    中村委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  88. 中村弘海

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斎藤実君。
  89. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、国際科学技術博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案について、若干質問をいたします。  まず、この博覧会開催に伴う茨城県及び関係市町村、地元の負担についてお尋ねをいたしたいと思います。  科学技術博覧会の趣旨は私も十分に理解をしているつもりでございますが、構想によりますと直接経費七百五十億円、それから関連公共事業費約七千三百億円、これは政府答弁で明らかになっておりますが、合わせて約八千億円の費用を要する大事業でございまして、幾つかの問題点を提起いたします。そこでお尋ねをいたしますが、博覧会開催に伴う茨城県及び関係市町村の地元負担、これは一体どの程度考えておられるのか、まず最初に伺いたいと思うのです。  もう一点、博覧会の基本計画や資金計画はどうなっているのか、これがいま明確とは言わないけれども、ある程度政府の方でも積算なりあるいはある程度の数字は握っているだろうと思うのですが、これがはっきりしませんと関係者も地元もなかなか対応できないのではないか、こう考えるわけですが、いつごろこれは決まるのか、その点伺いたいと思います。
  90. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  この科学技術博覧会の経費に対します地元負担でございますが、基本的には、前の万博の例等に照らしまして会場建設費の一部について地元の負担をお願いするということにいたしているわけでございます。この件につきましては、一昨年十一月、この国際科学技術博覧会準備手続を進めるということを閣議了解していただきましたときにいろいろ方針としてお決めいただいているわけでございます。まず会場建設費につきましては、会場建設費総額に占める補助対象事業の割合を三分の二程度とする、それからこの補助対象事業に対する国の負担率は三分の二とする、それで残りは、万博の例等を参考といたしまして関係団体で協議するということが決められておるわけでございます。  御質問の全体の資金計画はどの程度か、いつごろ決まるかということでございますが、この一昨年の閣議了解をいただきますときに、基礎的数字といたしまして挙げられました数字は、会場建設費全体、これは政府出展も含めまして約七百五十億という数字が出されておりますが、これは今後さらに財政当局といろいろ詰める問題でございまして、全体の資金計画につきましては、五十七年度予算が決まります段階、つまりことしの末あるいは来年早々といったような時期に明確に定めなければならない、このように考えておるわけでございます。  それから関連公共事業についても、先生指摘のような七千数百億というような数字が当時出ておることは確かでございますけれども、これも閣議了解のときの基本的な考え方としては、御承知のように財政事情が非常に厳しゅうございますので、国及び地方公共団体による特別の財政負担を避けることが基本方針になっております。したがいまして、御承知のように会場、茨城県筑波研究学園都市でございますが、この周辺の道路その他についていろいろ既定計画がございますが、その所要のものについては若干の前倒しをお願いするということでこれを遂行していこうということになっておるわけでございます。これらの関連公共事業——道路、下水道等いろいろございますが、これらについては一般の公共事業として法令によって定められておるところの地元負担は当然お願いしなければならない、このように理解いたしておるところでございます。したがいまして、全体の計画としては、現在基本構想それから会場計画等が鋭意進められておりまして、関連公共事業については非常に時間がかかりますので、私どもとしてはできるだけ早く、ことしの夏ごろまでにでも全体の公共事業の計画を関係各省にお願いいたしましてまとめていかなければならない、会場建設等の資金計画については、先ほど申し上げた今年末ないしは来年早々に固める、こういうことになるかと思っておるところでございます。
  91. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これはぜひ鋭意努力をして、早目に決定をしていただきたいと思うのです。これは六十年ですから、五十九年あるいは五十八年というふうにせっぱ詰まってやられたのでは地元も大変だと思うのです。ですから、基本計画や資金計画はできるだけ年内にまとめていただくように御努力を願いたいと思うのです。  それから「国際科学技術博覧会の概要及び意義」の中で「会場建設費等直接経費 七五〇億円程度」と「程度」が出ておりますね。それから五十四年の十一月二十七日の閣議了解の中でも「会場建設費については、建設費総額に占める補助対象事業の割合を三分の二程度」、これは大分前ですからはっきりした数字はわからないとしても、この「程度」というのは問題でございまして、これは七百億台が「程度」なのか六百億台が「程度」なのか、この「程度」はどういうことになるのですか。
  92. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生挙げられましたこの金額については、先ほど申し上げたように七百五十億というのは一応の目安と申しますか、当時この博覧会開催の可否を検討いただくときの一応の目安で、これは万博の規模に対する今回の規模あるいはその後の物価上昇等を勘案してはじいたものでございまして、これはまだ目安でございます。閣議了解の方針で決められておりますのは、先生指摘のように補助対象事業を三分の二程度とする、これに対する国の補助は三分の二、こういうことでございまして、この率の三分の二程度と申しますのはやはり補助事業でございます。また会場建設等いろいろな事業が入り組んでまいるわけでございますので、これらをどこからどこまでを補助対象にするかというようなことは、現実にこの計画が確定してきた段階でないとなかなかできない、また、そういったときにこの事業が基本になるわけでございますから、金額ですっぱりと三分の二と切るわけにはいかないというような趣旨で「程度」とつけられておるものと了解いたしておりまして、やはり私どもとしては、この三分の二ということを基本として考えていかなければいけない、いわばそう大幅な余裕度があるというようなことを前提にして考えてはいけないのではないか、こう考えておるところでございます。
  93. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、国語大辞典によりますと「物事の高低・強弱・優劣などのほどあい。」「適当と考えられる度合い。」こうなっているわけです。私は、この「程度」という言葉を厳しく問題にする気持ちはありませんけれども、多少の余裕は見るという含みを持っているのかどうか。大臣、この辺どうですか。
  94. 中川一郎

    ○中川国務大臣 「程度」というのは、そこに示した三分の二なら三分の二を中心にして前後に若干の動きはある、しかし三分の二をそう大きく離れることはあってはならないという二つの縛り、若干の余裕と三分の二という縛り、両方を満足させることしかできなかった当時の決め事といいますか、決定事項としてそういう言葉を使ったのだと存じます。
  95. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 こういうなかなか厳しい財政状況でございますので、やはりいろいろな状況を勘案して多少の含みは持っているというふうに理解をいたします。  ことしの一月に財団法人国際科学技術博覧会協会がまとめました基本構想原案によりますと、予測入場者数二千万人、会場面積百ヘクタール、こうなっているわけですね。この数字は今後の計画策定の際にふえる可能性があるのか、あるいはこのままでいくのか。いかがですか。
  96. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  まず入場者数でございますけれども、これは御指摘のように約二千万人ということが目安の数字としていま置かれております。しかし、どれだけ入場していただけるかということにつきましては、やはりそのときの状況によって変わってくるわけでございますが、協会として運営立場からいいますならば、できるだけ正確に入場者数を予測しなければならないということでございます。しかしながらこれはなかなか困難な仕事でございまして、入場者を予測いたしますのにいろいろな手法があると聞いております。現に協会におかれましてもいろいろな手法を使って入場者数の予測をしておられるわけでございますけれども、これは時点が変わってまいりますと、だんだん開催時期が近づいてきますとふえるとか、計画がはっきりしてきますと変わるとかいろいろございますので、いまの時点から明確につかまえるということはなかなか困難でございます。しかしながら、科学技術博覧会ということで筑波研究学園都市で開くということ、それに伴う会場の面積あるいは輸送状況等総合的に勘案いたしますと、現在二千万人というのは一つのいい線であろうということで、これが目安に置かれておるところでございます。万博のときあるいは沖繩博のときにも予測数字とプラスマイナスで非常に変わっておりますので、なかなかむずかしい問題でございますが、できるだけ正確に把握できるように今後も努力が必要かと思っております。  もう一つ、会場面積百ヘクタールにつきましてのこれが変わる可能性いかんということでございますが、この点につきましては、特に一昨年十一月の閣議了解におきまして約百ヘクタールということをお示しいただきました。この会場用地につきましては、県が責任を持って取得するということでございますので、これに従いまして県として約百ヘクタールということで土地買収、取得いたしておられますので、これが大幅に変わるということはこれからなかなかあり得ないだろう、こう思っておるところでございます。
  97. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私、会場建設費が三百五十億、これは大きく変わらないという答弁ですからそれはそれでいいとして、この三百五十億で変わらない場合には、この支出の内訳はどういうふうにとらえているのか、伺いたいと思うのです。
  98. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  この三百五十億という数字は、先ほどから申し上げておりますように今後詰めていかなければならない数字でございますので、いまこの数字が確定と申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、私どもとしては大体目標の数字としてこれを置いておるわけでございます。  御質問の支出の内訳ということでございますけれども、これは現在博覧会協会におきまして会場計画を詰めておられるところでございます。実際に会場の建設工事、作業に取りかかりますのは五十七年度からと考えておりますので、五十六年度中にこの会場計画を確定していかなければいけないわけでございます。したがいまして、これがまだ明確に構想が描かれておりませんので、何に幾らということを明確に申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、大体前の万博等の例によりまして大まかなところを申し上げますれば、全体の約三分の一、三百五十億といたしますならば約百二十億とかそういったものが基礎施設、いわゆる敷地の造成でございますとか、場内道路あるいは下水道といったようなものの建設に使われる。そうして残りが、それぞれ三分の一ずつくらいがいわゆる展示施設、サービス施設、管理施設というところに配分されることになるだろう。展示施設と申しますのは、これは博覧会条約に基づく特別博覧会でございますので、外国の展示館というのは協会がつくらなければなりませんので、その外国の展示館といったようなものが展示施設になります。それからサービス施設と申しますのは、場内の交通施設でありますとか、駐車場でありますとか、食堂でありますとか、そういったものが三分の一、それから残りの三分の一が管理施設といたしまして、協会の本部でありますとか、ゲートでありますとかあるいは情報通信の施設といったようなものに使われるだろう、このように考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、もう少し会場計画が固まってまいりましたならば、その辺が御説明できるかと思っておるところでございます。
  99. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 科学万博会場建設費三百五十億の中で、補助対象事業に対する国の負担率は三分の二でございますな。したがって、三分の二掛ける三分の二ですから九分の四になりますね。これでいきますと、国費は約百五十五億で、三百五十億の中の四四%になるわけですな。大阪の万博会場建設費五百二十二億に対して国費は二百五十億で、国費の割合は四八%でございまして、それから見ると四%も低いわけです。科学技術庁が初めて、これはその責任において広く国民にアピールをして大成功させようということで大変に力を入れておるわけです。そういうことからいきますと、もう少しこれを万博並みにしてもいいんではないか、そうすることによって地元負担も多少助かるし、補助対象事業の広告あるいは寄付等についても助かるのではないか。いろんな財政事情もわかりますが、国家的な事業ですから、ひとつこの点、大臣、御答弁いただきたい。
  100. 中川一郎

    ○中川国務大臣 実は、一昨年この科学技術博覧会誘致の問題のときに、大蔵省では財政厳しいときだからということで非常に難色を示した経緯がございまして、しかしそのときは、みんなで努力し合って経費を節約して、しかも中身のいいものを、こういう経緯もありまして、余り大いばりで大蔵省に地方の負担軽減、もっとたくさんの金をと言えない経緯もございますけれども、地方が困っても困りますから努力はいたしてみたいと思いますが、そういった経緯もあってのことであるということも申し添えさせていただきます。
  101. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは全国から万博に集まるし、それからやはり相当の公共事業なり、あるいはそこで大きな建設が行われるわけでございまして、言ってみればこれは大きな景気浮揚の目玉だろうと私は思うのです。ですから、これは少しアップしていただいて——国全体の景気を浮揚する大きな材料だろうと私は思う。それによって税収もふえるわけですから、こういう沈滞したムードの中で、この科学万博が大きな導火線となって景気浮揚に役立つというふうに私は見ているわけです。大臣、せめて万博並みの四八%に、これからまだ日にちがあるわけですから、ひとつ大蔵大臣とも交渉されて、内閣きっての実力者の中川大臣ですから、ぜひ努力していただきたい。いかがですか、大臣。
  102. 中川一郎

    ○中川国務大臣 必要性はよくわかりますが、経緯もありますことですから、それを踏まえつつ最善の努力をしてみたいと存じます。
  103. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 閣議了解では「残余については、万国博覧会等の例を参考として、関係団体で協議するものとする」こうなっているわけですね。残余については、会場建設費三百五十億円の九分の二で七十八億円、これが地元負担。これは全部茨城県の負担となるのか。あるいは大阪の万博のときに、国が三分の二を負担、地元地方公共団体が三分の一で、そのうち大阪府及び市で十分の九を負担している、その他の京都とかあるいは名古屋とか、周辺の府県で十分の一を負担しているわけですね。ですから、これは一茨城県の負担というのは私は厳しいと思うし、周辺の隣接した県にも多少の負担を願うということも考えてもいいのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、国の負担率三分の二といたしまして、残余については、万博等の例を参考として、関係団体で協議するということになっております。私どもは、やはりこれをどういう形で茨城県あるいは先生指摘のように周辺地方公共団体等にお願いするかということは今後御協議申し上げていかなければならぬ問題と思っております。いずれにいたしましても、やはり率だけではなくて、実際にそれが金額として幾らになるのかということがはっきりいたしませんと、なかなか御協議いたします場合にもうまくいかないということでございますので、先ほど申し上げましたように、三百五十億という一応の数字はございますけれども、これは今後財政当局と十分詰めまして、五十七年度予算の時期におきましては全体の規模が固まりますので、その資金計画を確定いたします段階までに関係都県及びもちろん自治省等とも御相談をいたしまして、茨城県だけに過大な負担にならないように、また関係の県が御負担いただけるような妥当な額ということでこの御相談を詰めていきたい、こう思っておるところでございます。
  105. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この博覧会運営費の規模はどの程度見込んでいるのか、運営費の収入と支出の主な内訳は何かということです。二千万人を一応予定しているわけですが、一人当たりの平均入場料はどれくらい見込んでいるんですか。これは特定事業収入、沖繩海洋博の例でございますが、海洋博ではこの特定事業収入は全体五十七億ですね。その中でほとんどがやはり寄付金なんですな。そういうことを含めて、主な内訳はやっぱり入場料なんですね。この入場料をどの程度見込んでいるのか伺いたいと思うのです。
  106. 伊原義徳

    伊原参考人 入場料につきましてはまだ最終的に幾らにするということは決めておりませんで、大阪、沖繩の例、さらには現在開かれております神戸のポートピアの例などを参考にして決めさせていただきたいと思っておりますが、先ほど御指摘のございました公営競技の関係もいろいろ御協力をいただきたいと考えております。したがいまして、全部を入場料収入で賄うということではございません。それと、四年先の話でございますので、その間の物価上昇がどういうふうになるかということもございます。その辺も十分考えまして、比較的かたいところで入場者予測と組み合わせまして入場料収入というものを予測し、それをもとに合理的な運営をいたしてまいりたいと思っております。
  107. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私がなぜこういうことを申し上げますかというと、やはり適正な入場料というのは私は大事だと思うのですね。それと、やはりサービスだとかあるいは快適な会場だとかあるいは輸送だとかといういろんな要素が絡んでいましてね。ですから余り高いとこれ問題だろうし、それから、行ってみたらひどかったという口コミもこれまた大きな影響を受ける。その中で運営費の大部分はやはり入場料ですから、これはひとつ適正な入場料を決めていただきたいと思うのですね。  それから次に、関連公共事業の総枠、中身について伺いたいと思います。これは鉄道、高速道路、県道、市町村道あるいは鉄道の駅前広場、バス駐車場、まあいろいろ問題があるわけですが、この関連公共事業の総枠や中身はいつごろ決まるものでしょうか、伺いたいと思います。
  108. 園山重道

    園山政府委員 関連公共事業につきましては、先ほど申し上げましたように、一昨年の閣議了解の時点におきます方針としていわゆる既定計画の枠内である、当然これは一部の前倒し的なものは入るわけでございますが、ということになっておるわけでございます。したがいまして、そのときの既定計画の経費を集積してみると、御質問にもございましたような七千三百億というような数字も出たわけでございますが、今後これはやはり輸送対策等を中心にいたしまして関係省庁に十分お願いをしておるところでございますし、関係省庁も非常に積極的に御検討いただいておるところでございます。御指摘のように、何分にもあと四年ということでございますので、この計画はできるだけ早く決めたい、こう考えております。  現在この博覧会開催手続的な問題というのは、この来週にも国際的には確定いたしますし、四月には登録という段階になりますので、そういう時点になりますと、前回の万博あるいは海洋博の例にならいまして関係閣僚会議というようなものも設けていただくということになっております。そういうつもりでおるわけでございますので、こういう関係閣僚会議といったような場でできるだけ早く全体のこの関連公共事業の計画をお決めいただきたいと思っておるところでございまして、できますれば五十七年度概算要求に入りますような、この夏時点までにもひとつお決めいただけたらと私どもは思っておるところでございます。
  109. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 関連公共事業は、万博あるいは沖繩海洋博と違いまして通常の補助率で行うということになっているわけですが、通常の補助率でいきますと、国道は四分の三、地方道は三分の二、公共下水道は十分の四、河川は四分の三、公園は二分の一、これが国の補助率なんですが、これを昭和五十七年、五十八年、五十九年度の実質三年間で行うということは、地元の財政を大きく圧迫すると思うのですね。この地元の公共団体の財源対策について建設省はどう考えておりますか、御答弁いただきたいと思います。
  110. 沢井広之

    ○沢井説明員 お答え申し上げます。  建設省の所管事業のうち、この博覧会に関連すると見込まれます事業は、先生先ほど申し述べられましたように高速道路、一般道路、街路、駅前広場、下水道、河川等の整備でございます。それで、この総額につきましては、現在博覧会協会等で進められております会場計画でありますとか輸送計画の具体化を待って早急に検討したいというふうに考えてございまして、いまの段階では総額としてどの程度のものになるのかということを明確につかんでおりませんので、ただいま御指摘のような問題につきましては、事業規模等を把握した上で検討してまいりたいというように考えてございます。
  111. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ計画等を早急に検討されて、地元負担が多くならないように十分御努力いただきたいと思うのです。  次に、輸送対策でございますが、これは御案内のように開催場所の茨城県は関東地方の中で最も交通基盤の整備がおくれているところでございます。輸送対策は科学万博開催に当たりましてきわめて重要でございまして、茨城県を縦断する国道は、海岸沿いの六号線と栃木県を境として走っている四号線の二本だけなんですね。五十キロの間隔がありますが、その間を埋める幹線道路としては、現在常磐高速自動車道路の建設が進められているわけです。また鉄道についても、国鉄は海岸線沿いの常磐線と栃木県境を走る東北線の二本だけなんです。首都圏の五十キロ圏をとると、鉄道網の間隔は他の関東地方の各県では八キロから十キロであるのに対して茨城県では四十五キロ、こういう実情なんですね。これは博覧会場へ直接鉄道が入っていった大阪の万博と比べて大きな差があるわけです。そこで道路、鉄道を中心とした関連公共事業に金がかかるということがきわめて大きな課題になってくるわけでございます。  そこで、道路についてお尋ねをしますが、幹線道路となる日本道路公団の常磐高速道路、埼玉県三郷市から福島県いわき市、全体延長百七十七キロ、昭和六十年の科学万博までにはどこからどこまでの間使えるようにするのか、伺いたいと思うのです。昭和五十九年度に供用を開始する予定の柏と流山の間三・五キロは、用地は買収済みでありますが、環境問題等で未着工なんです。この問題の解決が長引けば科学万博にも影響が出るのではないかと私は心配しているわけです。さらに、昭和六十年度に完成予定の日立南−日立北の十九キロは、十三カ所で合計十キロのトンネル工事という難工事があるわけです。これが科学万博まで間に合うかどうか。さらにもう一つは、関連公共事業の枠が七千三百億となっているわけですが、このうち常磐高速道路の分はどの程度見込んでいるのか、伺いたいと思うのです。
  112. 萩原浩

    ○萩原説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘の常磐高速自動車道、現在全区間につきまして整備計画が決定されて、鋭意工事を施行中でございます。現在予定されておりますところは、柏と谷田部の間二十キロにつきましては五十六年四月に開通の予定でございまして、五十六年度中にはさらに谷田部から石岡まで、これが二十四キロございますが、開通をいたします。本年度中にこの両区間四十四キロが開通をいたしまして、それからさらに順次開通を図りまして、三郷から日立南間百五キロメートルを六十年度の科技博までには供用させたいということで、鋭意事業推進を図っているところでございます。  その間におきまして、先生指摘の流山−柏間におきまして環境問題でトラブルが出ておるということでございますが、確かにそのとおりでございます。現在用地はほとんど買収済みでございまして、まだ未買収の地域は八千平米、約三千坪足らずという非常に小部分でございますが、これが非常に細分化されておりまして、その中で環境問題でいろいろ御異論のある方がおられるということでございます。この環境保全対策に対しましては、いま地元及び関係地方公共団体等といろいろ協議を行っておるところでございまして、できるだけ早い機会に着工をいたしたいというふうに考えておるところでございます。いま鋭意努力をいたしております。現在までのところ、五十八年度末までにはこの区間も供用を図ることができるのではないか、またそれを目標にしていろいろ努力を重ねておるというところでございます。  この次に、日立南と日立北の間でございます。これは確かに先生指摘のように、できれば日立北まで科技博開催までの間に開通させたいということでいろいろ努力をしてみたわけでございますが、先生もおっしゃいましたように、ここは地形が非常に急峻でございます。トンネル、橋梁の連続でございまして、鋭意工事着工はいたしておりますけれども、何さまトンネル工事といいますのは土の中を掘る工事でございますので、土がどうなっておるかというのは、工事中に不測の事態も起こり得ることでございます。現在までのところ鋭意事業を進めましても、残念ながら科技博開催までにはちょっと開通は困難ではないだろうかという予測を立てておりまして、日立南までを供用を図るということに考えておるところでございます。  最後に、工費の点のお話がございましたけれども、現在、三郷から日立南の間、五十六年度以降大体千七百億円の工費を見込んでございます。そのほかに三郷−石岡間、現在四車線で築造いたしておりますが、科技博に備えまして六車線化する必要があるのではないかということを検討いたしております。もし六車線にいたすとすれば、さらに六十億の費用が必要でございますので、大体二千億弱の工費になるということでございます。これに対しまして五十五年度は六百億円強の事業費をつぎ込んでございます。現在のペースで建設費をつぎ込んでまいりますれば財源的には三カ年で完成できる、こういうものでございますので財源的な問題は余り存しない、自立南までの間は開通ができるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  113. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 常磐高速道路は万博のための関連公共事業の中に入るのか、あるいは通常の道路整備計画の中での国費としてこれはおやりになるのか。いまの答弁ですと日立南までは万博開催までには通す、日立南までのいままで施工してきた金額とこれから予想される金額、合わせてどれくらいになるのか伺いたいと思います。
  114. 萩原浩

    ○萩原説明員 現在まで常磐高速道路の三郷−日立南間につき込みました建設費については、ちょっと現在資料を持ち合わせてございません。大変申しわけございません。  なお、関連公共事業の定義でございますけれども、私どもは関連公共事業というものを組み立てる場合には、この関連公共事業というものの中に入ったものは科技博の開催時までに完成すべく万全の努力を払うということで関連公共事業として指定されるものであろうというふうに考えます。したがいまして、現在の鋭意着工中の常磐高速自動車道も、日立南の間までは当然関連公共事業として責任を持って科技博までの間に開通させるものであるというふうに考えておる次第でございます。
  115. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それじゃ、いままでがかった金額あるいはこれから日立南までかかる金額、合わせて関連公共事業だ、その金額が七千三百億から引かれて、残りがまた地方自治体その他が関連公共事業として使う金額だというふうに理解をしてよろしいですか。
  116. 園山重道

    園山政府委員 先ほど七千三百億という数字があるということを申し上げたわけでございますが、これは一つの試算の数字でございまして、明確にどこからどこまでということで正式にいわばオーソライズされたような数字ではございませんので、この辺は先ほど来申し上げておりますなるべく早い時期に関連公共事業の計画をお決めいただきます時点で、どこからどこまででおおむね幾らというものが出てくるかと思います、したがいまして、七千三百億というものが確定的なオーソライズされた数字ではないということを御理解いただければと思っております。
  117. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 建設省の方に、先ほど申し上げました数字ですね、後でまた調べて提出をしていただきたいと思います。  それから、国鉄に鉄道についてお尋ねをします。  この科学万博の入場者を二千万人と想定をしているわけでして、これをどう輸送するかということは、道路と鉄道でそれぞれ一千万人を輸送するということが検討されているわけでございますが、現在の国鉄の常磐線の状況は、上野、土浦、水戸方面の中距離電車は、上野駅の機能によりましてフル運転しても一時間に七本が限度だというふうに言われている。その混雑率は二〇〇%だ。大変な混雑なんです。そこで、現在上野から取手までの間を走っている快速電車を取手どまりではなくて土浦まで延ばすべきだ、これは現地の非常に強い要望なんですね。その理由は、昭和六十年の科学万博に来る人は快速電車が取手駅で乗りかえを余儀なくされるわけです。これが解消されて最寄りの駅で下車できることと、取手の九〇%、牛久の七五%・土浦の四五%が東京へ通勤しているわけでして、この中距離電車の通勤混雑を解消することにもなるのではないか、こう私は思うのです。この点について国鉄はどう考えていらっしゃるのか伺いたい。
  118. 芝逸朗

    ○芝説明員 お答えいたします。  現在の常磐線には快速線と緩行線の二本の複線がございまして、いわゆる快速線上に、特急電車等とそれから土浦まで参ります中距離電車と取手まで参ります快速電車の三種類の電車が走っております。それで、まず科学博覧会輸送対策といたしましては、現在は中距離電車が下り二時間帯で三本しかございませんが、これと急行電車合わせまして約六千人の定員の輸送力を約三倍強の二万人くらいにふやしまして輸送したい、この定員二万人によりまして期間中約七百万人程度の輸送を行いたいと考えております。  それでは、先生指摘の取手でとまっている快速電車を延ばしたらどうかというお話でございますが、これは御承知のように現在の快速電車は直流用の電車を使っておりますし、取手以遠の電化は交流電化になっておりますので、このままの電車では入らないという要素がございます。したがいまして、快速電車を取手以遠に延長するためには、交流電化を直流電化に変更するかあるいは快速電車を直流電車から交直両用電車にかえることのどちらかをとる必要があると思いますけれども、前者の方につきましては、観測所の問題その他がございまして、昭和三十六年に一応国鉄といたしましては交流電化をせざるを得ないということで交流電化を行っております。したがいまして、もう一つの直流電車を交直両用電車に置きかえたらどうかというお話でございますけれども、これは、現在対象になっております電車が約二百両弱ございますが、一両約七、八千万円かかると言われておりますので、百数十億の経費がかかるということがございまして、国鉄の現在の財政事情及び先ほどからお話に出ております閣議了解の御事情もございまして、現在のところ科学技術博覧会までには国鉄は対応するということにはならないのではないかというふうに考えております。  したがいまして、基本的には、科学博覧会輸送対策といたしましては、中距離電車の増発で約三倍の力をつけまして七百万人の輸送を取手以遠に行いたい、残りにつきましては現在ございます快速電車と緩行電車の輸送力を使いまして取手までは十分に力がございますので、取手以遠の輸送力を科学博覧会協会輸送対策委員会等でも検討していただいているところでございます。  以上でございます。
  119. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かに直流を交流に切りかえるということは費用も莫大にかかるということも知っています。しかし、科学万博が大成功して、しかも通勤の混雑も緩和されれば国鉄の利用者もふえるわけです。私はこの程度の費用は捻出できると見ているのですが、東京に通勤する客が混雑緩和される、しかも万博も利用するということになれば一挙両得なのですね。これは赤字から脱却する大きなヒットになるだろうと思うのです。ぜひ検討していただきたい。  それから、輸送計画全体の中で、地下鉄千代田線、現在我孫子とまりで運転されておるわけですが、この混雑率は六〇%で比較的すいているわけです。昭和五十七年には取手まで延長されるというふうに聞いておるわけですが、これをもう少し活用する計画はありませんか、いかがですか。
  120. 芝逸朗

    ○芝説明員 お答えいたします。  先生指摘の緩行線は現在我孫子まで運行を行っておりますけれども、我孫子−取手間の延長を昭和五十年代に完了する予定でいま工事を進めております。この我孫子−取手区間が開業しました、緩行を完成いたしました後の輸送計画につきましては、現在帝都高速度交通営団との関連もございますので検討を進めておりますけれども、基本的には、現在国鉄と営団が相互に乗り入れております営団千代田線と常磐緩行線の直通運転を行いたいと考えております、なお、先生指摘のように、現在この緩行線の輸送力は朝二時間帯で約一万五千人ございますけれども、お客さんは四千人程度、朝のラッシュの帰りでございますので、その程度のお客さんしかありませんので、輸送力は非常にあいております。したがいまして、国鉄といたしましても、この緩行線の輸送力と、先ほど御議論がありました快速電車の取手までの輸送力の両方を何とか十分に活用する方法考えていきたいなと考えておるところでございます。  以上です。
  121. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、法案の第三条関係では寄付金つき郵便切手の発行による援助を挙げられているわけですが、郵政省は、博覧会準備資金に充てることを寄付目的として寄付金つきの郵便切手を発行することができることになっておるわけです、  郵政省に伺いますが、何円の切手に何円の寄付金をつけるのか、何種類でどのくらいの期間売り出すのか、計画があれば伺いたいと思うのです。オリンピック東京大会では、二十種類、五円切手に五円の寄付をつけて昭和三十六年から三十九年まで四年にわたって六回発行しているわけです。十億五千五百万円販売して九億六千三百七十万円の寄付額を受けているわけです。札幌オリンピックのときにも寄付金を一億八千三百三十万円受けている。大阪の万博では、十五円切手に五円、五十円切手に十円の二種類の寄付をつけて、一カ月で一億五千万円、寄付額は一億三千八百五十七万円、そういう多額な寄付を受けているわけです。寄付金つき郵便切手の種類や枚数をふやして販売期間を長くとれば、それだけ寄付金も多くなるわけでございまして、切手の愛好家はたくさんおるわけですから、いろいろやり方を考えれば相当な寄付金も集まるのではないかと思うのですが、どの程度の寄付金収入を見込んでいるのか、発行の種類あるいはどれくらいの期間でやられるのか、伺いたいと思います。
  122. 安藤博之

    ○安藤説明員 お答えいたします。  郵政省では、先ほど先生指摘のとおりに、今回の科学技術博覧会にちなみまして寄付金つき郵便切手を発行しまして、その寄付金を博覧会準備あるいは運営に必要な施設に充てる資金にする考えでございます。  一応発行を決定いたしまして科学技術庁と協議を終わりましたが、その発行枚数あるいは寄付金の額、種類、発行期間その他につきましては、いま具体的な計画はまだ立てておりません。今後いろいろ関係の向きとも十分協議しながら決めていくことになるわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、過去の寄付金つき切手の発行例その他を十分しんしゃくしながら、またこれの販売可能数なども十分勘案いたしまして、発行の具体的計画を立てたいと存じております。
  123. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 全く考えていないというわけですが、それじゃ専売公社に伺います。  この法案の第四条第一項では、日本専売公社は、博覧会準備資金に充てることを寄付目的として、製造たばこの包装利用の広告事業に援助する、こうなっておるわけです。今回の科学万博では、たばこの広告はどういうやり方で行うのか、たばこの銘柄、販売地区、本数あるいは予想されている寄付金額はどれくらいなのか、伺いたい。
  124. 小畑弘

    ○小畑説明員 お答えいたします。  今回の広告つきのたばこの銘柄、販売数量、期間というふうにお尋ねでございましたが、私の方いまいろいろ検討いたしておりますが、まだ具体的にどの銘柄をどの地区でどのくらい売っていくという成案は得ておりません。  なお、過去三回広告つきのたばこを売ったわけでございますが、これはいずれも全国規模で売っております。これからいろいろ検討しなければいかぬわけでございますが、一口当たりの数量とか、それを何カ月で売るか、それに広告料として幾らいただくかというふうなこと、いろいろな要素がございますので、その辺のところを見定めながらできるだけ早く成案を得たいと考えております。
  125. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 国鉄の施設を利用した広告事業、これは国鉄の一車両二十八面ある中づり広告から国鉄の業務用八面の中の一面を科学万博協賛広告用に提供して、一定の経費を差し引いて寄付をするということになっていますが、この国鉄の中づり広告の計画、何本やるのか、あるいは東京付近の電車を考えているのか、全国の規模として考えているのか、構想があれば伺いたい。
  126. 折茂伸平

    ○折茂説明員 お答え申し上げます。  国鉄の広告事業として科学技術博覧会にどのように御協力申し上げるかということでございますけれども先生おっしゃいましたような具体的な細かい計画の中身につきましてはまだ成案を得ておりません。ただし、いままでも東京オリンピックとか沖繩海洋博など国家的な事業につきましてはいろいろ御協力させていただいたわけでございますが、そのときは、博覧会協会からの御協力要請をいただきまして、それによって国鉄の協賛広告というものを取り決める、そしてその取り扱いにつきましては今度は国鉄が具体的に協議を進めまして、広告媒体を決めて、その料金を国鉄が割り引く。その上で、その割り引いた料金を博覧会協会の方へ納入するというような手続をとっておりまして、今回の科学技術博覧会の件につきましても、過去の例その他諸要件を十分勘案しながら、できるだけの御協力を申し上げたいというふうに考えております。
  127. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、いま私が申し上げた法律事項によるものが補助対象外の広告寄付百十七億の中の一部なのですね。そのほかに特定事業収入として公営競技団体からの資金援助も受けなければならぬ、ですから、百十七億といいますと大変な金額です。しかも、こういう経済状況の中で閣議決定をされて、これは国策として科学技術庁の長官が先頭に立っておやりになるわけです。いま伺いますと、郵政省も専売公社も国鉄も何にもまだ——法律事項ですよ、法案を提案してここで審議をしているのですから、ある程度の前向きな答弁をしてもらわないと、私どもとしてこの法案を審議する意味がないわけです。何を聞いてもわからない。大臣、いまお聞きのとおり検討中だとか、これはもう何にもわからぬわけです。しかも、特定事業収入あるいは広告寄付で百十七億という予算の計画があるわけですから、これに対して何にもお答えにならぬ。私は非常に心外です。こういうことではこの法案の審議上納得できない。大臣、ひとつ各省を督励して早急に計画を立ててもらわないと、せっかくのこの法案が、科学技術庁から押しつけられたとか、いまの答弁ではなかなかその気にならぬと思うのです。ぜひひとつ強力に要請をしていただきたいと思うのです。  それから、いままでの例で、モーターボート、競輪、オートレース、中央競馬、これらにずいぶん要請をして資金援助を受けているわけですが、大臣、この計画を進める上においてこの各公営競技にどういう要請をされるのか、伺いたいと思います。
  128. 園山重道

    園山政府委員 ちょっと私から申し上げさせていただきたいと思いますが、まず郵政省初め各公社にいろいろ資金をお願いする法案を提出しているわけでございますが、これの具体的内容につきましては、先ほども申し上げました全体の資金計画を固めるまでに私どもの方からいろいろ計画を出しまして、どのくらいお願いしたいというようなことを申し上げて、郵政省初め各公社に具体的な計画をお願いすることになるかと思っております。それぞれ国を初め財政厳しい折でございますのでいろいろむずかしい問題もあるかと思いますが、できるだけ資金計画を明確にいたしまして、これをつくり上げる段階におきまして私どもの方からお願いをいたしたいと思っておるところでございます。  また、公営競技資金につきましても、過去、万博海洋博におきましても相当な資金をいただいておるわけでございますので、今回もこれらの資金が有効に活用できるようにお願いをしていきたいと思っておるところでございます。
  129. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 委員長にお願いしますが、広告事業による援助の計画が全然ないわけです。ですから、委員長の権限で、電電公社あるいは専売公社、郵政省、これらについていつころまでに成案を得るとか原案をつくるとか、この委員会の開会中をめどとしてひとつ各省庁に提出されるように要望したいと思います。よろしゅうございますか。——以上で私の質問を終わります。
  130. 中村弘海

    中村委員長 吉田之久君。
  131. 吉田之久

    ○吉田委員 今度、一九八五年、昭和六十年に開かれます国際科学技術博覧会のことにつきまして、いろいろ法案を提出され、また各般の準備が進められておりますことは大変喜びにたえないところでございますが、しかし、いま斎藤委員の御質問を聞いておりましてもつくづく私もそう思うわけでありますけれども、何か万般にわたる計画の詰めと申しますか、詳しい数字とかそのスケジュールと申しますか、そういう点がまだほとんど確定していないというような気がするわけでございます。  私は特に長官に申し上げたいのですが、事科学技術博覧会のことでございますから、この博覧会開催に至る万般の準備等につきましては最も科学的であってほしいと思うのです。それがなされるところにこの博覧会の一つの重要な意味があると思います。そういう点では、過去に万博あるいは海洋博等が行われておりますが、少しマンネリ的な気配があるのではないかという点をいささか心配するわけでございます。  そこで、この「科学万博−つくば’85」の開催準備進捗状況についてもう少しお尋ねをしてみたいと思うのです。  まずは、ちょうどこれから満四年で始まるわけでございますけれども、四年前のこの時期において大体この程度の準備と申しますか、このような雰囲気で十分なのかどうか。たとえば万博の場合あるいは海洋博の場合、四年前の法案審議の状況の時点においてはその間の準備状況はどの程度であったのか、まずこの辺からお聞きしたいと思うのです。
  132. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のようにあと四年ということでございますので、私どもも全力を挙げて準備を進めていかなければいけないと思っております。万博沖繩に対して準備状況がどうかという御質問でございますが、一々具体的な比較という資料はいま持ち合わせておりませんけれども、全体といたしまして、私はおくれておるということではないと思っております。ただ、御承知のように財政一般に非常に厳しい時期でございますので、できるだけ前広に準備をし、計画を固め、作業を進めていくということが必要であろうかと思っておりますので、その点につきましては今後とも十分努力をしていかなければいけない、こう思っておるところでございます。
  133. 吉田之久

    ○吉田委員 私も物理的に四年前のこの状況の中で、まあまあこの程度のことで過去もそうであったのだろうかというふうにも思うわけでございますけれども、しかし、わが国の経済条件というものがかなり数年前の状況とは変わってきていると思うのですね。万博にしても沖繩博にしても、まさにわが国の高度経済成長の最盛期にあったわけなんです。いまの事情はそれとはかなり異なってきております。だから、そういう各般の状況の変化ということも十分考慮に入れて、十分早目に完全な準備に取りかかっていくことが大変大事なことではないかと思うのです。  そこで、たとえばたばこあるいは電話帳あるいは国鉄等の三公社によってなされる協力援助、そのことで見込まれる収入の額等につきましても、先ほど日野さんの御質問に対する答弁を聞いておりますと、万博沖繩との比較、大体横ばい状況と申しますか、規模の大小にもよりますが、若干低減しているような気がするわけなんですけれども、この辺の見込みでございますね、この種の協力収入は、いわゆる金額の策定の仕方によって、政府の督励と三公社の協力の熱意によって多少どのようにでもなるのじゃないかと私は思うわけなんです。たとえばその広告の期間を長くするとか、あるいは割り当て依頼をうんとふやしていくとか、あるいはそう無理しないとか、その辺のところがかなり結果に大きな影響をもたらすのではないかというふうな気がするのです。  そこで、ぜひ聞いておきたいことは、この詳しい数字の細目を大体ことしのいつごろにお決めになるのか、あるいは来年にお決めになるのか、あるいはこの種の広告等のいろいろな実施がただ一年度だけやられるのか、きわめて一過性のものなのか、あるいは状況によっては二年、三年持続的に事前から続けていくものなのか、その辺のところをもう少し御説明いただきたいと思うのです。
  134. 園山重道

    園山政府委員 御質問の三公社あるいは郵便切手等によります御支援につきましては、先ほども申し上げましたけれども、結局ことしの末、五十七年度予算を策定いたします時期に全体の規模が固まり、必要な資金が固まってくるということでございますので、ことし末あるいは来年早々には全体の資金計画を固めなければならないと思っております。したがいまして、当然その時点で国からの補助が幾らでありますとか地方公共団体の負担がどうでありますとか、あるいはいま御指摘の三公社あるいは郵便切手等による資金が幾らということを決めなければならないわけでございます。したがいましてそれまでの間に、この御審議願っております法律、お認めいただきました暁には、関係省あるいは関係公社と十分御相談をいたしまして、先生指摘のように、やはり私どもの方であるいは博覧会協会中心といたしまして全体の資金計画の構想が固まり、こういうことでございますのでこういった御支援をお願いできないかという御相談を私どもの方から申し上げなければならないかと思っておるわけでございます。したがいまして、そういった御相談を経て、最終的に決まるのはことしの末あるいは来年早々の資金計画確定の時期ということだと思っております。  また、実際に広告等のやり方あるいは切手の発行の回数あるいは年限といったようなものにつきましても、私どもといたしましては、できるだけの御協力をいただけるようお願いをしなければならぬと思っておりますけれども、それぞれ厳しい財政事情等でいろいろ問題を抱えておられるということも承知いたしておりますので、正確な必要性を踏まえてひとつお願いに上がらなければならないなと思っておるところでございます。
  135. 吉田之久

    ○吉田委員 大体の時期、あるいは科学技術庁主導型でいろいろ数字を算定し、依頼していかれることにつきましてはほぼ了解いたしますけれども、特に、先ほども質問がありましたが、入場料をどのくらいに設定するかという問題でございます。私は、こういう博覧会というものは、その性格から申しましてもできるだけ多数の参加を求める、そこに意義があると思うのです。それから、参加者の数のいかんにかかわらず、投下される設備費その他はほぼ一定の額だと思います。したがって、そういう点から考えましても、できるだけ参加しやすい条件を与えるということ、それは特に具体的に青少年に夢を与え、また科学技術に触れる、そういう得がたいチャンスを与えるという意義も含めまして、できるだけ青少年向きには安く入場できるような、そういう試みがなされることが非常に大切だと思うのです。先ほどの斎藤委員への御答弁では、まだ物価上昇のこともこれあり、いまここで決めることはなかなか困難だという御答弁でありますけれども、私はそれは科学的ではないと思うのです。物価上昇がないとするならばいまの時点でほぼこれくらいの数字が適当かと思います、四年後にそれは物価上昇があればそのときスライドすればいいわけでありまして、その辺が不確定だからまた決められませんというのは適当な答えだとは思わないわけなんです。万博の場合あるいは海洋博の場合、あるいは今度のポートピアの場合、そういうものと比較して、一般の入場料をどのくらいにしようと考えているか、あるいは団体の場合にはどうするか、特に小学生や中学生についてはどうするか、ほぼその辺の考え方のあらましをせめてこの機会に長官からお答えいただければありがたいと思うのです。
  136. 伊原義徳

    伊原参考人 入場料につきまして、確かに先生指摘のように、現時点で物価上昇がないとすれば幾らかということを決められるではないかという御指摘、まことにそのとおりでございますが、先ほど計画局長からも御答弁ございましたように、全体の資金計画との絡みもございますので、実はまだ幾らということが決められていないというのが実情でございます。できるだけ早く決めなければいけないと思っております。  ちなみに大阪万博では、たとえば普通入場券大人八百円、子供四百円ということになっておりまして、平均入場料五百八十円、沖繩海洋博では、普通入場券が大人が千八百円で子供が千円というふうになっておりまして、平均が千五十円、こういうふうなことになっております。ポートピアでは、大人が二千円、小中学生が千円ということになっておりますので、この辺がかなりの参考になるかと思われます。
  137. 吉田之久

    ○吉田委員 大体経済と物価の推移の中でこの辺の過去の事例はよくわかりますけれども、特に先ほど私が申しましたような趣旨も含めて、今度の、この時点で科学技術博覧会が開かれるとするならば、沖繩博やあるいはポートピアよりは高くはならないでしょうね。
  138. 園山重道

    園山政府委員 先ほど伊原総長から御答弁があったとおりでございますが、先生指摘のように、今度の科学技術博覧会というのは、やはり将来の科学技術を担ってくれるような青少年ができるだけ多くこの場に来てもらいたいという希望を持っているわけでございます。したがいまして、過去の例で、ただいま伊原総長からお話がございましたが、万博沖繩のときには、大人とそれから十五歳から二十三歳、それから十五歳から四歳というような区分をいたしております。今度のポートピアにおきましては、大人と高校生、中学生・小学生というような分類をしておられます。こういったところも今後の入場者予測等の数字を踏まえまして、実際に青少年にできるだけたくさん入っていただくためにはどういう割り方をするかというようなこともいろいろ考えなければならぬかと思っております。したがいまして、そういう線も踏まえまして、協会の方で今後の作業を進めていただくことを私ども期待いたしておるところでございます。
  139. 吉田之久

    ○吉田委員 在来の通念から申しますと、大人と子供の分類、そして子供の場合は四歳から十五歳でございますか、中学生までということなんでしょうね、それが過去の一つの常識であったと思いますけれども、この科学技術博というようなもの、やはり科学に一番興味、関心を持っており、また将来重要な支えになりますのは青少年でありまして、したがって私は、高校生や大学生というものの参加をいかに積極的に求めるか、これは一般成人とはまた違った意味が特に科学博の場合にはあると思うのですね。この点で何らかの新しい考慮をなさろうという御意思があるかどうか、この辺をお伺いします。
  140. 園山重道

    園山政府委員 全く先生指摘のとおりでございまして、私どもも、何とか青少年で特に科学技術に非常に意欲と適性を持っているような人を科学技術に誘引するというようなことがこの博覧会で非常に重要な役割りであろうと思っております。したがいまして、青少年に対してできるだけ多く見てもらうためにどういうことが必要であろうかというようなことをいろいろ協会中心考えていただいておるところでございます。  一つは、先生指摘のような入場料金についての配慮ということもございますし、それから、この中身そのものが青少年に非常に興味を持つようなものにしなければいけないということで、協会考えておられます基本構想等の中でも、青少年からのアイデアの募集でありますとが、あるいは科学者と青少年の対話というような構想も浮かんでおられるようでございます。  また全体といたしまして、できるだけこの博覧会の観覧を学校行事として修学旅行に組み込んでいただくとか、そういうようないろんな手段を講じていかなければならない、その中の一つとして当然入場料に対する配慮ということも位置づけられるかな、こう思っておるところでございます。
  141. 吉田之久

    ○吉田委員 特に長官にお願いをいたしておきます。博覧会というのは一種のお祭りだと私は思うのです。したがって、普通の博覧会でしたら、子供が親にせがんで親子が一緒に行くとか、親が近所のつき合いで行くときに必ず子供を連れていくとか、そういう雰囲気であったと思いますし、それはそれなりにうなずけると思うのです。しかし、今度の科学技術博、特に二十一世紀に向かってわが国や世界がどう生きていくか、それを支える科学技術は何であるかというようなことが問われるこの博覧会であると思いますから、やはり高校生や大学生がみずからの意思で、しかもいい意味で学校ぐるみで、これこそが最高の見学対象であり、また一つの研究室であり実験室だ、こういう気持ちで参加できるようなそういう条件を与えることは大変意味があると思うのです。これはいままでのいろんな例を破って、特にこの博覧会がその性格を持つ以上はその辺に大きく目を向けてやるということ、その辺の格段の配慮を特に、ひとつこれはぜひ長官からお答えいただけませんでしょうか。
  142. 中川一郎

    ○中川国務大臣 吉田委員指摘のように、科学博は国民全般の認識を高めていただくという意味で意義があるわけでありますが、なかんずく青少年あるいは学生さん等、将来に夢を託する人に大いに勉強し、関心を持ってもらいたいということが目的でございますから、そういった観点から入場料についてもぜひ特別の配慮をするようにひとつ指導してまいりたい、こう存じます。
  143. 吉田之久

    ○吉田委員 次に、外国への招請でありますけれども、これは当然外交ルートを通じてなされると思うのですが、特にわれわれの苦々しい経験としては、あの大阪万博のときに中国の参加しない問題等がございました。今度のつくば’85の場合には、朝鮮民主主義人民共和国等に対しまして事前に十分な外交ルートを通じての招請等がなされるものと思いますけれども、たとえば一つの国の例を挙げただけでありますけれども、世界じゅうが体制を超えて本当に気持ちよく参加できるようなそういう環境づくりというものは、もうそろそろなされるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  144. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  外国への招請につきましては、この四月に予定されております博覧会国際事務局BIEと言っておりますが、この総会におきまして正式な登録をいたすことにしております。この登録が受け付けられますと、そこで国際的に参加招請をいたすわけでございますが、これは外交ルートを通じてやるということになっておりますので、いずれ外務省との御相談ということになってくるかと思いますけれども、外交関係のないところに招請というのはなかなかむずかしい問題であろうかと思っております。この辺は外務省ともよく御相談をしていかなければならぬこと、こう思っております。
  145. 吉田之久

    ○吉田委員 それから、この万博開催されるときのアクセスの問題についてお伺いしたいと思うのですが、二千万人を春から秋の間に集めるとするならば、最盛期におきましては一日に二十万人ぐらい運ばなければならないのじゃないかと思うのです。ピークは恐らく土曜日、日曜日だと思いますが、しかもその二十万人は午前中に移動しなければならない。もちろん夕方には全部引き揚げてくることだろうと思います。二十万人といえば、一つの田舎の大きな都市でございますね。そのくらいの人口を動かす条件が完備されているかどうかという点が少し気になるわけなんですが、この筑波研究学園都市が東京から近いところにあることはそれで非常に助かっていると思うのですけれども、しかし私鉄関係が非常に弱いですね。ほとんど国鉄とあとは自動車道だけでございます。この辺が若干不安な気がいたします。先ほどの質問のように、日常の通勤あるいは通学の客との複合問題も考えられなければなりません。思い切ってこの際、ひとつこれも科学的に緻密な分析を行って、国鉄による輸送量はほぼどの程度あるいは自動車はどう、あるいは自動車の中でもマイカーで行くのはどのくらい、あるいは観光バスはどのくらいと、もう少しかたくつかんでいかないと、その時点において非常に混乱が起こることはわれわれとしてはおもしろくないと思うのですね。その辺についてさらに詰めた検討をなされるのかどうか、お伺いいたします。
  146. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のとおり、入場者観客輸送問題、非常に重要でございまして、御指摘のように鉄道は常磐線あるいは建設中の常磐自動車道というのがメーンのアクセスになるかと思っておるわけでございます。これらにつきましては、関係省庁にお願いをいたしまして、できるだけ常磐線の増強でございますとか、あるいは自動車道の完成、さらにはこういった常磐線あるいは自動車道から会場地へのアクセスの道路の建設等、いろいろお願いをいたしておるところでございます。  先生指摘のように、常磐線につきましても、これは増強といいましても、先ほど来御答弁もございましたけれども、なかなか困難な問題がある。取手以遠について特に問題があるということがございます。したがって、東京からのバス輸送の問題でありますとか、あるいは常磐線各駅あるいは自動車道のインターチェンジから会場までのアクセスということは相当綿密な計画を立てなければいかぬということで、現在博覧会協会関係省庁及び専門の方々にお集まりいただいてこの輸送問題の検討が行われているところでございます。  当然、乗客を円滑に運搬し、快適に見ていただけるというためには、まさに御指摘のようないろいろな科学的な考え方というものを使っていかなければいかぬと思っておりまして、これから入場者予測、単に何人来るというだけではなくて、どういう経路を使ってどういう形でおいでになるかというようなこともできるだけ綿密に詰めまして、そのための対策に万全を期していくということをいよいよ詰めていかなければいかぬ、こう考えておるところでございます。
  147. 吉田之久

    ○吉田委員 次に、今度博覧会が開かれますのは筑波研究学園都市でありますけれども、厳密に申しますとこれは谷田部町でございますね。私は、筑波研究学園都市という町づくり、それは非常にすぐれた現代の要請でもあると思うのですけれども、これだけの都市が構想されながら、しかもいわゆる自治体としてはまだ六つの町と村からできておる一つの広域運営にすぎないと思うのです。国として、この筑波研究学園都市を一つの新しいコミュニティーとして名実ともに完成した地方自治体として形成していこうとするのかしないのか、もしもそういう考え方を当然お持ちであるとするならば、それはぜひとも一九八五年までになされていいのではないか。  また、これだけの国際的な博覧会が開かれるのに、その受け皿の一つとして、県はしっかりしていると思いますけれども、その町がないという、旧態依然たる一つの行政区はありますけれども、世に言われている研究学園都市は自治体としてまだまとまっていないということはやはり一つの問題だと私は思うのです。何がそうさせないのかということ、その辺について少し承っておきたいと思う。
  148. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように、現在研究学園都市と言われております地域は六カ町村になっておるわけでございまして、今回の博覧会会場用地は谷田部町ということになっておるわけでございます。これは御指摘のように、筑波研究学園都市、計画されてから十数年でございますが、この六カ町村が適当なのかあるいは筑波研究学園都市としての一つの自治体というような形が適当なのかということはいろいろ御議論があるところと承っております。最近におきましては、特に科学博覧会を契機といたしまして六カ町村の中にもあるいは合併というような空気も出てきているというふうに伺っております。何分にもこれは地方自治体の問題でございますので、私どもがこれをとやかく言うことはなかなかできない問題でございますが、そういった空気が出てきておるということも承っておりますので、その辺を十分見ながら、もし私どもでお手伝いのできることがあればできるだけお手伝いをしていきたい、今度の科学博で筑波を世界に誇れるような研究学園都市にしたいということもございますので、機会がございますればできるだけ先生指摘のような方向に私どもも努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。
  149. 吉田之久

    ○吉田委員 こういう町村合併の問題というのは国が干渉すべき問題ではありませんけれども、大いに指導、協力はされていいと思うのです。何かそういう前向きの姿勢で進んでおるとするならば喜ばしいことでありますけれども、いろいろと行政上の問題をめぐって支障があったり対立があったりするならば、むしろ積極的に、この博覧会の主催者である科学技術庁それ自体としてもいろいろと相談に乗ったり、また指導の役割りを果たされることは大変いいことだと思います。またそれが博覧会をより成功させる一つの要因でもあると思いますので、このことはお願いしておく次第でございます。  それから、政府として出展する予算が五十六年度に十億円組まれていると聞いておりますけれども、五十七年度以降はどうなるのか、あるいは総額としては四百億程度なのかどうなのか、あるいはこの出展される中身は何なのか。わが国の生活とかかわる科学技術、その点をテーマとして、過去、現在、未来をつなぐものとして何かいろいろ企画されているようではありますけれども、ちょっと漠然として私どもよくわからないわけなんです。ただいまの時点におけるその辺の構想の一端を御説明いただければありがたいと思います。
  150. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  政府出展博覧会招請国としてこのテーマにふさわしい中心的な出展になろうかと思いますので、私どもも大いに力を入れて、私ども仕事としてやっていかなければならないと思っておるところでございます。  五十六年度の予算は、この科学博覧会に対する政府出展準備的な経費は三億でございまして、先生指摘の十億という数字は、あるいはアメリカのノックスビルに対するものかもしれないと思うわけでございますが、全体の計画としてはまだこれから数字的にも財政当局と詰めなければならない数字でございまして、一昨年の閣議了解の段階では、運営費も込めて政府出展としては四百億という数字が一応浮かんでおったところでございます。御承知のようにテーマとしては「人間・居住・環境と科学技術」ということでございまして、できるだけ科学技術の流れを踏まえた、しかも魅力ある展示をしたい、また、単なる展示だけではなくて、いわゆる観客人たち、特に青少年が参加できるような場というものも考えていかなければならないということでございますが、これはやはり全体の会場の雰囲気とも一致しなければなりませんので、現在基礎的な調査協会にもお願いいたしておるところでございます。来年度、五十六年度中ぐらいに政府出展をどういう形にするかを固めていく、こう考えておるところでございます。
  151. 吉田之久

    ○吉田委員 もう時間がありませんので最後ですが、基本構想原案ができたようでありますけれども、この原案を読ませていただくと、テーマが非常に広がり過ぎておりはしないかという気がするのです。特に、西洋と東洋の違いとか、各国の科学あるいは文化の発生の起源の違い、そういうものはそれなりに理解できるのですけれども、しかし私は、科学というものは努めて普遍的なものだと思うのです。科学は国境を越えていると思うのです。古今東西に通ずるそういう原理や原則というものが基盤になっていると思うのです。余り各国の特殊性をとらえ過ぎたり、あるいは余りにその辺の問題に気を配り過ぎると、かえって広がり過ぎて焦点を失ってしまうのではないかという気がするわけなんです。また、諸外国で開かれておりますこの種の博覧会テーマの設定の仕方と比べて、何か東洋的な科学技術博覧会という点に力点を置く余り、少しテーマを広げたり高尚化し過ぎていらっしゃるような気がするわけなんです。その辺についての御懸念はありませんか。
  152. 園山重道

    園山政府委員 基本構想については、協会がおつくりになって一つの素案として一月に発表されたものでございまして、現在関係方面意見を求めておられまして、いずれこれをまとめて、原案から正式な基本構想にするという段階にあるものと伺っております。御指摘のように、いろいろそういう段階の案でございますので、非常に意欲的と申しますか、多方面にわたって理念を展開しておられるということは確かであろうかと思っております。私どもといたしましても、やはり科学技術博覧会ということで、科学技術人類にこれからどう貢献していくかということは一つの基本でございますので、そういった点で、できるだけ明確に科学技術が浮かび上がるということを基本にいたしたいと思いますが、各方面の御意見を十分入れて、協会構想を固めていただくことを期待しているわけでございます。
  153. 吉田之久

    ○吉田委員 以上をもちまして私の質問を終わります。
  154. 中村弘海

    中村委員長 瀬崎博義君。
  155. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まず、国際科学技術博覧会協会役員構成がどういう経過をたどって決められたのか伺いたいのです。
  156. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  この博覧会協会、昨年の三月に設立されたわけでございますが、この協会設立される前に、国際科学技術博覧会推進協議会というのが設けられまして、これがその推進に努めてこられたわけでございます。このときの推進協議会の会長でいらっしゃいました土光さん、現在この協会の会長でございますけれども、この土光さん中心設立準備が進められまして、協会役員の構成につきましても、土光会長を中心とする設立発起人会で選ばれたものでございます。私どもといたしまして、この協会設立に対しまして、この準備に当たりました推進協議会と密接な御相談もあったわけでございますが、役員の構成につきましては、この博覧会ができるだけ幅広く国民の賛同を得て開催するという考え方に基づきまして、広く国民各界各層有識者によって構成されるということを希望しておったところでございます。土光会長を初めといたしまして関係者御努力をなされまして、非常に各界の積極的な御賛同がございました。経済界学識経験者、地元地方公共団体関係公社公団あるいは報道関係者といった幅の広い分野から選ばれておりまして、この博覧会の趣旨にふさわしい陣容が整えられた、こう考えておるところでございます。
  157. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その推進協議会は任意団体であったわけですが、それが正式に政府設立許可を受けて財団法人博覧会協会に発展しますね。そのときに認可を受けた定款というのでしょうか、寄付行為という一種の定款だと思うのですが、そこで今度正式に理事選任の手続を決めていますね。それはその前にあった推進協議会理事会が理事を選ぶということになっているのですが、この理事会が政府の許可を得た後の理事を選ぶ基準はどうなっているのでしょうか。
  158. 園山重道

    園山政府委員 これは、こういった財団設立いたしますときの通常のやり方といたしまして、当初の理事というのはこの設立発起人の段階でお決めになるということでございまして、その後の理事の追加等につきましてはこの理事会で決めるということであると理解しているわけでございますが、その基準というのが特にこの寄付行為等の中で明定されるということよりも、むしろこの設立の趣旨に従って選ばれる、こういうものではないか、こう考えておるところでございます。
  159. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 広く各界を代表しているということなんですが、たとえばこの協会の顔とも言うべき会長、副会長十人、御出身を見ると財界人が九人で知事が、茨城県知事が一人、こういう顔ぶれなんですね。このように財界中心の人選にトップクラスがなったその理由はどこにあるのですか。
  160. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  当然やはりこの科学技術博覧会を開こうという、約三年前でございますか、この段階からそういう動きが、これはもちろん科学技術庁の方で科学技術博覧会を筑波の造成記念に開こうということで各界に申し上げたわけでございますが、非常な御賛同を得まして、先ほど申し上げました土光会長以下でこの推進準備的な組織をおつくりになったわけでございますので、その中で非常に積極的にこれに賛同されてこれを推進してこられた方々というのが、やはり設立当初におきましてこの中核になるという形になってきたものと理解しているわけでございます。
  161. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、熱烈にこの博覧会推進の趣旨に賛同された人々がこの会長、副会長になっていらっしゃるといういまの説明からいけば、特にこの博覧会推進に、会長、副会長中九人も財界人であるということは、財界が熱心であった、こういうことを意味するわけですか。
  162. 園山重道

    園山政府委員 やはりこの博覧会推進したいというのは各界に広く御賛同を得たわけでございます。もちろん役所関係におきましてもあるいは政界におきましても、大変な御賛同を得ているわけでございますが、実際に民間団体としてこの財団法人等を設立してその衝に当たられる、当然これにつきましては相当な民間の資金負担も必要であるというときに、非常に積極的に賛同されて推進された方々ということでございますので、そういう意味で現在の構成になっておるかと、こう思うわけでございます。
  163. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 民間企業の資金に依存せざるを得ない、そこで金に縁のある方々にまずお願いしたということのようですね。  次に、理事九十七人、この顔ぶれを見てみますと、私どもが調べた範囲ですから多少の違いはあるかもしれませんが、四十二人がやはり財界人なんですね。それから公社公団など政府関係機関の総裁とか理事長といつメンバーが十二人、それから政府高官出身の方が十一人、それから自治体の長が十四人、学識経験者というのはわずかに十五人なんです。これもよく調べればさらに財界出身と言うべき人がいらっしゃるかもしれないのですが、そうして中小企業を代表する人というのは、茨城県中小企業団体中央会の会長さんたったお一人、農業関係を代表するのは、同じく茨城県農協中央会の会長さんお一人、こういうさびしい現状なんですね。こうなってきますと、本当に国民各層の熱意によってと言うけれども、事実上財界の熱意によってというふうに受け取られても仕方のないイメージを与えるんじゃないかと私は心配するのですが、会長、副会長十人中九人までは財界人、それから理事九十七人中四十二人が財界人、あと政府とか政府関係機関の幹部が二十三人、これで大体三分の二ぐらい占めるんですね。こういう構成が果たして意図する博覧会のトップのメンバーとして本当に妥当とお考えかどうか聞いてみたいのです、これは大臣の印象をちょっと聞いてみたいのです。
  164. 園山重道

    園山政府委員 若干私からまず申し上げておきたいと思います。財団という民間団体として設立いたしましてこれの経営参画していただくという形になりますと、やはりそれなりのお立場なりということがございますので、若干財界の方が多いというのはいわば当然のことのような気もいたすわけでございます。もちろん今後こういった構想を固めていったりいろいろな計画を固めていくという段階で、いろいろ各界の御意見を承るということは当然のことだと思いますけれども、やはり民間財団という形でそれの経営陣という形で理事として御参画いただくという場合に、財界の方に相当な御協力をいただくというのはそうおかしなことではないと思っておるところでございます。
  165. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この理事の下に基本構想委員会とか基本構想懇談会輸送対策委員会会場計画会議、広報委員会がつくられておりますね。これらの果たす役割りはどういうところにあるのですか。
  166. 伊原義徳

    伊原参考人 まず、どのような性格の博覧会にするかということにつきまして、いわゆる基本構想につきまして広く各界の御意見を承る、あるいは輸送対策について、会場計画について、広報のやり方について、協会といたしましては常に各方面の御専門の方々の御意見を十分承りまして博覧会準備運営に万遺漏なきを期したい、こういうことで各種の委員会を設置、運営するわけでございます。  あるいは御質問の御趣旨に合っておりますかどうか、私どもとしては今後ともさらに必要に応じてこの種の委員会を設けてまいる考えでございます。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ほかの名前を挙げた輸送対策委員会とか会場計画会議、広報委員会の役割りは。
  168. 伊原義徳

    伊原参考人 それぞれの仕事の役割りでございますが、輸送対策委員会につきましては、先ほど来御質問がありますように、この博覧会の成否に非常に大きな影響のあります輸送対策につきまして御専門の立場から十分の御検討をいただき、適切な対策を立てる、こういうための検討をいたしておるわけでございます。  会場計画会議につきましては、基本構想から展開されました具体的な会場の計画をいかようにするかということにつきまして、建築関係の御専門家を初め広く各界の方に御参画いただきまして、ただいま鋭意会場計画の具体的な中身を詰めていただいておるわけでございます。  広報委員会につきましては、広報関係、これは特にこの関係を重視いたしまして今後十分な広報活動をする。そのためには、広報というのはやはりある意味では特殊の分野でございますので、その関係の御専門の方々に御参画いただきまして、必ずしも従来のやり方にとらわれることなく、いろいろ新しいアイデアを出していただきまして、十分な知名度を上げるなりそういうことをとりあえず始めまして、最終的に非常に評判のいい博覧会にさせていただきたい、こう考えております。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの説明でいけば、基本構想委員会及び懇談会は広く各界、特に専門家の意見を聞いて基本的な性格を決めていきたい、こう言われるし、輸送対策委員会輸送の専門家の意見をと、こう言うし、会場計画会議では建築関係の専門家を、広報委員会では広報の専門家、こう言われるのですが、では構成メンバーはどうなっているか見ますと、たとえば基本構想委員会は総員が十九名、ここでもやはり財界人が六名入っているわけですね。それから多分いま言われた専門家という意味だと思うのですが、学識経験者が八人、それから特殊な分野の人としては、プロデューサーが一名、作家が一名、映画監督一名という配置でしょう。それから懇談会の方は五十四名の定数で、半分の二十七名がやはり財界人ですね。学識経験者の方がぐっと少なくて十四名、そのほか特殊な分野の人としては、技術評論家一名、作家一名、建築家一名、漫画家一名、こういう配分でしょう。輸送対策委員会が、ここも十四名の定数で八名、半分以上が財界人ですね。学識経験者一名。会場計画会議が三十一名で、半分以上の十七名がやはり財界人、学識経験者がぐっと少なくなって七名、特殊分野の人としては、作家一名、服飾デザイナー一名でしょう。広報委員会が総数二十二名で、ここも半分以上の十三名は財界人、学識経験者が二名、それから特殊な分野として作詞家一名、教育研究会理事一名、レポーター一名。それぞれ専門家の意見を聞くためにつくられたこういう専門委員会あるいは専門会議でも、常に財界出身者が専門家を上回ってくる。  いろいろと努力されてはいるんだと思いますけれども、こういう顔ぶれを見たときに、じゃ国民の側はどう受け取るだろうか。ここなんですよ。こうなりますと、結局財界主催の博覧会というイメージを与えていくのではないか。科学技術博覧会というのですから、当然副会長の中に数名はまさに科学者、技術者が入っていてしかるべきではないかと私は思うのです。なるほどこの役員構成なりあるいは専門家の委員会なら国民参加博覧会国民的な博覧会だ、こうだれからでも言ってもらえるようなそういうメンバーがそろっている、せっかくの趣旨から言うならばやはりこれが正しいんじゃないかと思うのですがね。そういう点では、まだ日もあることですから、いろいろと政府の方からも意見を出してもらって、そういう国民主催の博覧会と言えるような顔ぶれをそろえてもらったらどうかと思うのですが、大臣いかがでしょう。これはひとつ大臣に見解を聞きたい。
  170. 中川一郎

    ○中川国務大臣 今度の科学技術博覧会は、金持ちであるとか財界とかという特定の方のためにやるつもりはさらさらありませんし、国民一般に広く御認識をいただく国家的事業として協会にお願いしているわけでございます。たまたまメンバーに財界人あるいは経済人の人が多いということではございますが、私、科学技術庁に入ってみまして、確かにわが国がこれだけの経済を発展さしたこの背景には科学技術というものは非常に大きい。われわれが想像する以上に科学技術に対する認識が経済界、財界の人に多いということは事実のようでございまして、たまたま御熱心な人が集まった結果、そういったことになったものかと思いますが、さらによそから見ても幅広い方々をという御意見でもありますから、御意見は率直に受けまして、そういう方向への努力はしたいと思いますが、他意があってやったことでないことだけはひとつ御理解いただきたいと存じます。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、宿泊施設については、東京の既存の施設を利用するというお話でありますけれども会場周辺における宿泊施設については特別な計画は全く持ってはいないんですか。
  172. 伊原義徳

    伊原参考人 ある程度会場周辺地におきまする宿泊施設の整備はいたさなければいけないと思っておりますが、いずれにいたしましても、六カ月の会期を過ぎましてから後の宿泊者がどれくらいになるかということも考えませんと、ただその博覧会があるというだけで多くの宿泊施設、恒久的な宿泊施設を設けるということは、やはり非常にいろいろな問題が起きるわけでございます。  そういうことから申しまして、私ども協会といたしましては、もちろんできる限り会場周辺地にそういう恒久的な宿泊施設がふえることは希望はいたしますけれども、やはりそれは中心ではなくて、東京から来て、また東京へ帰る方が大部分であろう、そういう前提のもと準備を進めざるを得ないと思っております。  しかしながら、地元の御協力もいろいろあり得ると思いますので、たとえば民宿というふうなことにつきましてぜひ御協力をお願いいたしたい、あるいは青少年向けのキャンプ場を地元の広々とした筑波山ろくで設けていただく、あるいは観光業界の御協力を得まして、観光地の宿泊と博覧会とを組み合わせる、そういうふうな工夫もいたしまして、博覧会を見た後は、あの近くに幾つか考えられると思いますが、いろいろ観光地でそれなりに宿泊設備があるところがございましょうから、それとの組み合わせを考える、そういういろいろな知恵を出してまいりたいと考えております。
  173. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 地元に民宿等をお願いする、大変いいことだと思うのですね。これは積極的に進めらたらいいと思うのですが、民宿ですから、それが大きな収容力を持つものでないことは明らかです。やはり主として東京に頼る。したがって、交通手段としては東京と会場間が最大の焦点になるわけですね。そこらが大阪万博との一つの大きな違いだろう。あの場合は、もちろん大阪に相当な収容能力を持ったホテルその他がある上に、一方反対側の京都の方にも、日本有数の観光地としてそういうホテル、旅館が非常に多かった。その上、万博を当て込んだ大規模なホテル建設ラッシュでして、済んだ後、ホテル倒産が生まれるぐらい建ったわけでしょう。そういう点では、交通が東西両方面から会場へ行けるような条件に万博はあった。そういう条件下にあった大阪万博では交通事情がどうであったか、これはやはり一つの教訓にせざるを得ぬと思うのですよ。  万博観客動員数とピーク時の一日当たりの観客数は大体幾らぐらいでしたか、
  174. 伊原義徳

    伊原参考人 私の記憶しておりますところでは、大阪の万博では六カ月間で六千四百八十万程度でございましたか。それで、ピーク時と申しますのもいろいろ数え方があるわけでございますが、ピーク時の十日間程度をとりますと、大体全入場者数の一%近く、つまり六十数万人ということになるようでございます。ただし、ある特定の日で八十数万人入った、そのときは大変な混雑であって、その日のうちに帰れなかった観客が何万人か会場で夜を明かしたというふうなことがあったということも聞いております。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ですから、現在、科学技術博が非常に喜ばしい現象で、たくさんお客さんに来ていただいた場合、一日の最高動員数がざっと二十万人と見ていらっしゃいますけれども、飛び抜けてさらに上乗せする日があるかもしれない。これも万博からの一つの教訓たり得ると思うんですね。  もちろん私も万博には二度ほど行っていますし、大阪出身で関西におりますからよく事情を知っておりますが、あの万博開催直前の輸送、主として鉄道の場合ですが、鉄道による輸送力を見てみますと、国鉄は複々線区間で電車本数も非常に多い。事実上ひっきりなしに来るというふうな状況にありましたね。当時は茨木駅は快速はとまらなかったのでありますが、この茨木駅そのものが相当な乗降客の収容能力を持っておりましたので、そのまま全快速の茨木臨時停車という事態になって、今日に至るまで茨木は快速停車駅になっていますよね。そういうことが可能だった。  それから、この国鉄にほぼ並行して、しかも同じ梅田を起点として阪急電車が走っておりまして、これも、問題の関東鉄道などとは比較にならないくらいの輸送力をもともと持っておった。その上に北大阪急行線が万博のために新設をされて、これはもうおりればすぐ会場ということで、会場のど真ん中へ着いたわけですね。地下鉄御堂筋線と相互乗り入れになる、こういうことが当時の基本的な輸送条件であったわけですが、それでもいま伊原さん言われましたように、最高時には数万の人々が帰れなくて会場で夜を明かす、こういうふうな事態が起こっているわけですね。  さて、これは国鉄の方に伺いたいのですが、そういう事情と、今回の科学技術博の場合における、現在の常磐線を中心とした輸送力、若干私鉄も入るんでしょうけれども、この鉄道輸送力の基盤と比較して、どういう点が根本的な差異になっているのか。単純な比較で言えば、観客動員数は三対一ということになるのですが、私も筑波の研学都市にちょいちょい行きますけれども、素人目に見てとても三対一くらいの開きではない、開きはもっと大きくなるように思いますが、どうでしょうか。
  176. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 お答えいたします。  万博輸送時に、特に会場周辺につきましては、いま先生おっしゃいましたように茨木に快速が停車をしますとか、一部快速電車の増発とか編成の増強とか、こういうことをいたしましたけれども、基礎的には、大都市圏でございますので、基礎的な輸送力を使ってお運びをした。遠距離の増強も新幹線を中心にしていたしましたけれども、常磐線の場合には大都市周辺でございまして、基礎的には、大都市の外側から通勤でお通いになるという輸送力を持っているわけでございます。ただ、この科学博の場合には、想定しますに、朝八時から十時くらいの間にお客さんが科学博に向かっておいでになる、こういうふうに考えられますので、通勤の逆の流動になるわけでございます。そういう意味で、現在は六千人くらいの輸送力を取手以遠につきまして持っております程度でございますけれども、この科学博の時期に間に合いますように、水戸ですとか勝田ですとか、ああいうところから出ております中距離電車の増発それから編成増強、こういうことをいたしまして、大体六千人の輸送力を二万人ぐらいに一日当たりで申しますとふやすということで現在検討を進めている状況でございます。  それで、私ども万博とかそういう経験を持っておりますので、そういう状況を振り返りながら具体的な計画をつくっていくわけでございますけれども、ピーク時には二〇〇%ぐらいの輸送になるのかな、こう思っておりますが、その程度の輸送でございましたらこれはきちっと私どもとしては約七百万人くらいにつきましては運べる、現在のところではこういう見通しを持っておる状況でございます。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは伊原さんの方に聞きたいでのすが、ずっと朝来のいろいろな答弁を聞いていますと、大体最高時点二十万人の観客数として、その約半分を鉄道に頼るというようなお話ですね。いま聞きますと二万人ぐらいの輸送の増強をしたいということなのですが、何か開きがあるように感じるのですが、いかがでしょう。
  178. 伊原義徳

    伊原参考人 協会輸送対策委員会検討しております中身を多少敷衍して申し上げますと、二千万人想定の観客のうち道路は約半分の一千万、残りが鉄道でございますが、鉄道のうち常磐線で取手以遠、土浦、牛久方面輸送していただくのが約七百万人、したがいまして約三百万人は取手から関東鉄道常総線を経由して水海道まで参りまして、それからバス輸送あるいは取手から直接バス輸送、そういうふうなことを検討しておるわけでございます。この数が果たして妥当な数であるかどうかにつきましては、いま少し時間をいただきまして詰めさせていただきたいと思っているわけでございますが、一応その数としては合っておる、それが合理的かどうかは別といたしまして、そういう状況でございます。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、数は合わないでしょう。結果的に、いまの数字を率でいうと二分の一のさらに七割が常磐線下りの輸送、こういうお話なのでしょう。そうしますと、一日の最高が二十万人とすれば半分十万人の七割、七万人を常磐線に依存するということですから、さっき二万人にふやすでは足りないのじゃないですか。
  180. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 お答えいたします。  私が二万人に輸送力を増強すると申しましたのは座席の定員で申し上げた数字でございまして、土浦くらいまで大体一時間くらいの距離でございますし、通勤距離でございますので、まあピーク時は私どもは二〇〇%前後の効率でお運びをするということで一応考えているわけでございます。それから、取手までの輸送力につきましては、これは快速にいたしましても千代田線と直通しております緩行線につきましても、相当大幅な輸送力的な余裕は持っておりますので、それから先の輸送というものを協会の方とも御相談しながら検討しなければいかぬわけですけれども、大体それぐらいの数を運ぶ基本的な輸送力は持っておるというふうに考えております。
  181. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 決して二〇〇%で済みませんよ。いまの数字から言えばピーク時には結局七万人が御利用になるのですから、そこに定員二万人の増発しかしないとすれば三・五倍、三五〇%の混雑ぶり、最初からそんなことPRされたら来る人も来なくなってしまうと思うのです。これはぼくは大きな矛盾があると思いますよ、  それから、私も詳しく調べたわけではございませんけれども、現在一日で走っている列車を見ますと、定期列車の場合、上り下りそれぞれ普通が二十五本前後、急行列車が十三本前後、それから特急列車で土浦にとまるのが一本、こういう状況ですね。これをいまの定員二万人態勢に午前中のある時間帯増強することが、果たしていまの常磐線そのままでできるのだろうかなという素朴な疑問を持つのですよ。線路容量が大丈夫なのか、電気容量がそういう集中運転して大丈夫なのか、さらには構内設備、つまり待避線路とか入れかえ線路ですね、こういうものが十分あるのだろうか。この辺いかがですか。いまのままでそれだけの列車が走らせられるのでしょうか。
  182. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 取手までの緩行とそれから我孫子までの快速につきましては、いわば折り返し運転みたいなことをやっているわけでございますが、その先の部分は、ラッシュ時では、中距離電車が上り側は七本走っておりまして、現在下り側は三本走っている程度でございます。これは上りの通勤列車をとるために下りをうんと走らせますといろいろ問題が生じますので、そういう形になっておるわけでございまして、基礎的な線路容量なり何なりというのは下り側について持っているわけでございます。これをある程度増強いたしますのと同時に、先ほど申しましたように、現在十二両で走っております編成を十五両にするということで現在検討しておりますが、そういうことで、先生のおっしゃったような基地の問題とかそれから停車場のホームの問題とか、こういうことも現在計画を検討しておる段階でございます。
  183. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局やはり相当な投資を加えないと現在の常磐線の輸送力を簡単にふやすわけにいかないというのが実情ではないかと思うのですね。これは後の財政問題とまた絡むので、ひとつはっきりさしておきたいのです。  続いて、マイカー、観光バスグループなんですが、この人々に対する道路の方の対応。  まあ一定のお話が朝から出ているのでありますが、常磐自動車道を中心とする幹線の方の道路には心配があるいはないかもしれません。だけれど、すべての人が、東京を出発して常磐自動車道を通って、取りつけ道路を通って会場までで、そのまままた引き返してくれるとは限らないわけでしょう。先ほども伊原さんでしたか、周辺の観光地の宿泊施設とも組んで利用をお願いしたいとおっしゃっているわけです。まさに周辺には筑波研究学園都市あり、原子力研究所ありという点では、科学者、技術者の行きたいところはたくさんあると思うのです。また、一般の人たちにしてみても、近くに筑波山あり、霞ケ浦あり、水戸偕楽園あり、九十九里浜あり、日光あり、那須ありで、まさに観光地には事欠かない。だから、科学技術博を訪れて、そのついでにそういうところへ散っていく人も相当あると思いますね。その上、最寄り駅にいたしましても、土浦、荒川沖、牛久からは相当の距離、バスないしタクシーに乗らなければ会場へ行けないという事情があるし、それぞれのその周辺の町内道路も決して現在整備されているとは言いがたいのですが、こういうことのすべてがうまく総合的に解決すれば、まあ車による混雑は起こらないと思うけれども、それがうまくいかない場合は、やはり相当な車による混雑も起こってくるのではないかと思うのですね。こういう関連道路あるいは生活道路も含めた総合的な道路整備計画はどうなっているのか、伺いたいと思います。
  184. 萩原浩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、幹線道路を利用して会場へ入られるという方が大体半分、一千万人、その他鉄道関係を利用される方が一千万人といういま想定でございますが、この一千万人の方も、現在の計画では、駅でおりられまして、それから自動車で会場に行かれるということになろうと思います。したがいまして、駅から会場までの連絡というものについては非常に大きな問題があることは事実でございます。  現在、常磐線を利用いたしました方々は、荒川沖の駅が、駅周辺の駅前整備がちょっと困難であるということのようでございますので、取手駅あるいは牛久駅の東口であるとか土浦駅の東口その他を利用するというような計画が立てられておるようでございますが、そのおのおのの駅からどのような人数が現実に総需要として出てくるかという点については、まだ詳細が固まっていないような状況のようでございます。したがいまして、現在関係機関において鋭意検討いたしておりますが、この輸送対策については、私どもとしても道路整備の面で万全を期していきたいというようにいろいろ協議をしておるところでございます。  なお、周辺の観光地への問題でございますけれども、これにつきましてはなおのこと、私どもはまだ実態といいますか予測の数字をつかみかねております。これらについてもその観光需要というものの見通しが立ちましたら、私どもとしても道路整備について対応していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  185. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まさに道路の整備はこれからというところなんですね。これはあと四年ですから、現在予測もつかないということでは手おくれになるおそれが多分にある。  さらに、いまの話からわかるように、やはり相当駅前の整備もしないとそれだけのバスなりいろいろな車が入ってきたら大変だし、駅のホーム自身も必ずしも十分とは言えないですね。先ほどの十二両を十五両にするなどという話になりますと、こっちの改造も必要だと思うのですが、この辺は国鉄の方はいかがですか。
  186. 永尾勝義

    ○永尾説明員 お答えいたします。  駅の方のホームの問題につきましては、先ほど御説明しましたように、中距離電車の編成長を十二両から十五両にするという中で必要なホーム長の延伸ということは、その整備の計画の中で考えてまいりたい、さように思います。  また駅前広場につきましては、今後常磐線のどの駅から科学博会場までのバス輸送を行うか、現在協会輸送対策研究会検討いただいているところでありまして、現段階では確定しておりませんけれども、私どもが常磐線の駅として考えられる駅は、いまお話しありましたように取手とか牛久とか土浦がございます。これらの駅前広場は、土浦は現在八千平米程度のものがございますが、そのほかは非常に狭隘なものでございます。私どもとしては、通常の長期的な旅客輸送の対応として必要な駅前広場につきましては、かねてから都市計画の中で御検討いただいておりまして、すでに取手駅については東側に、その他の駅については西側に計画が決められておりまして、これらの通常の広場の整備につきましては建設省と国鉄の間で結ばれておりますルールがございますので、それによって逐次整備していくこととなると考えております。  しかしながら、科学博に必要な、いま申した広場の反対側に特別につくられるような広場につきましては、これは交通広場として整備していただきたい、さように考えております。
  187. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 鉄道にしても道路にしてもあるいは駅前広場にしても、相当新規の投資を行わないとできないような大規模な改良を必要としているのですね。それはそれとして、やらなくてはならないことはやらないかぬと思うのですが、その場合、万博ですと北大阪急行線などを新設したのですが、それがそのまま今度は千里ニュータウンに利用されて、現在それもむしろ混雑がひどくなっているくらいなんです。そうなることがすべていいとは言いませんけれども、せっかく強化した輸送手段が科学技術博だけに役立って、その後全然役立たない、役立つにしても遠い将来だということになると、これもまた問題かなと思ったりするのですね。しかし強化をしなければならない。この間の調整をどういうふうにすべきなのか、私ども心配するのですが、政府としてそういう点をどう考えていらっしゃいますか。むだな投資にならないようにして、かつ科学技術博の輸送だけは確保する、こういうやり方ですね。
  188. 園山重道

    園山政府委員 一昨年この科学技術博覧会開催につきまして閣議御了解をいただく前に、関係省庁事務的に六カ月間の詰めを行いまして、そのときやはり非常に問題になりましたのは、先生指摘のように、いかに観客を運ぶか、そしてそれが終わった後、過大の投資、余り役に立たないということでは困るということが非常に問題になったわけでございます。したがいまして、当時、万博の例にもならってこの会場まで鉄道建設というような案もあったわけでございますけれども、それはやはりこの財政厳しい折、なかなかむずかしいということで、関連公共事業につきましてはできるだけ既定計画、所要のものは当然前倒しがあるわけでございますが、そういうことでやっていくという基本方針が示されたわけでございます。したがいまして。先ほどから御答弁いろいろございますように、大変むずかしい問題ではございますけれども、この筑波研究学園都市というものがいずれ博覧会を契機に、あるいは当然のこととしてだんだん熟成していくということを考えますならば、現在考えられている各省庁にお願いしております公共事業というのは、博覧会のために最低必要であり、かつその後も有効に使えるだろうということで考えておるところでございまして、いろいろと知恵を出していかなければならない問題かと思っておるところでございます。
  189. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次に、日本住宅公団に委託されるであろう事業の種類、量、費用について伺いたいと思います。
  190. 園山重道

    園山政府委員 御審議をお願いしております法律の中で住宅公団への委託ということが出ておるわけでございますけれども、これは御案内のように、住宅公団が研究学園都市造成においていろいろ土地造成、基盤施設の整備に実績を有しておられるわけでございますので、これらのノーハウ、技術をできるだけこの博覧会会場建設に活用さしていただきたいという趣旨でございます。したがいまして、これに委託の中身といたしましては、この博覧会会場敷地の造成、それからこれとあわせて整備をされるべき道路、供給施設、処理施設等の基礎施設、それから広場、緑地などの環境施設、それから駐車場、バスターミナル等のサービス施設といった基盤的な施設整備を委託するという方針をとっておるところでございます。  具体的にどういう内容、どのくらいの量になるかということにつきましては、現在協会検討を進めておられます会場計画ができ上がりました段階でいろいろ協議をしていくということになるわけでございますけれども、量といたしましては、大体会場建設費の約三分の一程度をこの基盤的な施設整備ということでお願いすることになるのではないか、こう考えておるところでございます。
  191. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 日本住宅公団はこれまで最も国民生活に密着した事業をやってきた公団ですから、私どもも重視をしているわけです。今度住宅・都市整備公団に転換する法律も出されて、これは委員会が違いますけれども国民にとっては縁の遠い事業に転換するようですから残念だと思っているのです。しかし、この科学技術博の建設ということはまさに住宅公団の最も得意とする分野ですから、これはもう最大限公団の能力を生かしてもらうべきだと思うのです。その点は大変賛成なんです。  ただ問題は、いま言われました建設費の約三分の一と言われますと、私が聞いたのでは三百五十億程度の建設費ということでありますから、三分の一とすれば百二十億になりますね。これを三年くらいの間にやらなければいかぬということになりますと、これは相当大変な仕事だな、こういう気がするのです。多分住宅公団の研究・学園都市開発局が受け持つことになるのだろうと思うのですけれども、ここの体制を見てみますと、事業第一部のところが大体事業計画を立案するスタッフを持っているようですね。実際の事業になりますと、事業第二部が工事の設計、監督等に当たるようでありますが、その工事監督課を見ますと、現在課長を含めて八人なんですね。現在受け持っている工事量というのが、五十四年度で百六十一億円、五十五年度で二百四十六億円受け持っているわけです。ここへまた百二十億余りの事業量が重なるわけですから、せっかくその能力を生かそうと思って公団を使うのはいいのだけれども、結局公団のいまのスタッフではめんどうが見切れなくて、また民間委託だ何だということになりますと、実際公団を生かしていることにならないので、こういう点は建設省、実情を十分よく見て、期待されただけの効果が上がるように体制もきちっととってやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  192. 清水達雄

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  仕事のやり方といたしましては、住宅公団が受託をいたしましても、たとえば工事でありますとかあるいは設計でありますとか、全部みずからの職員でやるということではございませんわけで、いま公団のやっております事業も、もちろん公団がその設計あるいは工事につきまして十分な監督をしながら民間の力をおかりしながらやっているわけでございます。そういう点につきましては、先生おっしゃいましたように十分配慮をいたしまして、できるだけ——もちろんいまの研究学園局のスタッフだけで対応できるかどうか、この点はもうちょっと詰めてみなければわかりませんが、住宅公団の内部の人のやりくりで先生おっしゃいましたようなことが十分できるように考えてやってまいりたいと思います。
  193. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ちょっと時間がなくなってきたので先を急ぎますけれども、今度は資金の問題です。  これはしばしば言われておりますように、閣議了解で非常に厳しい枠がはめられています。用地の取得、跡地の利用処分はすべて茨城県の責任と負担で行って、政府はびた一文援助しないよということになっていますね。それから「国の所要経費は将来にわたり既定経費の合理化により賄うものとし、特別の措置は一切講じない」として、別途数字も示されておりますね。補助対象事業の割合は建設費総額の三分の二程度とするということ、それから、その中で国の負担するのはさらに三分の二だということですね。  そこで、これまで行われました万博沖繩博と比較してみたのですが、まず建設資金に占める国の負担割合ですが、沖繩博の場合非常に高くて、これは特殊な事情があったのですが、六七・一%。万博の場合で四八・二%。いまのこの閣議了解でいきますと三分の二の三分の二ですから、結局科学技術博の場合は国の負担割合は四四・四%に落ちてくるんですね。それでなくても当時とは違い、一段と社会経済情勢も厳しくなっているわけなんですが、その中で国の負担割合がこう下がってくるということは、これはちょっと時代の要請に逆行しているのではないか。やる以上は首尾よく成功しなければいけませんから、こういう点ではもう少し政府側も弾力的な対応を考えておくべきではないのでしょうか。
  194. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のように、一昨年の閣議了解におきまして、会場建設費の三分の二程度を補助対象事業として、その三分の二を国が補助するということでございました。万博等の場合に比べまして若干パーセンテージが少ないことは確かでございますが、何分にも非常に厳しい財政事情の中でこの博覧会開催をお認めいただくという状況にございましたので、この数字はやむを得ないものと私ども思っております。また、これはパーセンテージだけではなくて、やはり金額としての問題もいろいろあるわけでございますので、これからできるだけ財政当局との詰めもいたしまして、少ない経費で有効な博覧会になり、たくさんの人に見ていただけるようにいろいろと知恵を出していかなければならない問題かと思っております。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 万博の場合の政府負担割合が四八%といま私が言ったのですが、しかし万博の場合は建設資金五百十九億の中に借入金四十五億が含まれているわけです。これは後で運営収入によって全額返済が行われている。つまり入場者が多くて収入が上がった結果、運営資金で賄われているわけなんです。だから純粋に建設の資金だけをとってみますと、五百十九億から四十五億を除外した金額になりますから、それで国の負担割合を出しますと五二・六%になるわけなんです。ですから、今回の科学技術博四四・四%というのはべらぼうに低い数字で、相当無理がくるのではないか。ですから、もしこのまま進むとすれば、科学技術博の場合でも結局借入金に頼らざるを得なくなってくる。万博のように計画を上回って入場者がたくさん入ってくれればいいけれども、そうでない場合、果たしてその返済がうまくいくかな、こういう心配も持つわけです。その上、先ほど来言われている輸送力の増強等の費用は別途には国は見ない、全部科学技術博の事業の中でやれ、こういうことでしょう。この負担もある、こう考えてまいりますと、今回の閣議了解は、国の財政事情を中心にして考えればそういうことになるかしらないけれども、科学博の成功という立場から考えればちょっと厳しい条件に過ぎるのではないか、こういうふうに思います。  あわせて、何も金額を張るだけが能ではないんですね。ですから、いまの時代に見合ったアイデアがあり、内容があり、やり方があろうと思うのです。そういう点では大いに創意工夫、改善の努力が必要だと思うのです。そういう意味からも衆知を集める必要があろう。したがって、もとに戻りますが、役員の構成とか委員会構成等についてもそういう衆知を集め得る、いままでの惰性ではなしに、非常に新しいアイデア、やり方が盛り込まれる、こういうふうにして、簡素で効率的で、その中で政府の負担は結構高くて、地元の負担その他は軽い、こういうような仕組みにしていくのが理想的じゃないかと思うのです。この点はひとつまさに責任大臣として長官にも大いに知恵をしぼっていただきたいところなんですが、いかがでしょうか。
  196. 中川一郎

    ○中川国務大臣 この科学技術博覧会についてはいろいろ議論がありまして、財政の厳しいときであるから大型プロジェクト、金のかかるものはやめたいという財政当局と、厳しいときではあるけれども、ぜひとも八〇年代に向かって科学技術博覧会をやらなければならない、こういうぎりぎりの二律相反する問題点を妥協して、経費は節約してそしてりっぱにやり遂げよう、こういうことで生まれたのが閣議了解事項でございます。したがいまして、なかなか厳しくはありますが、実際やる以上は、いろいろと激励をいただきましたように、やはり決め事は決め事であっても、これが失敗に終わるということであっては、せっかくのこれだけの金をかけたこともむだとなりますから、やはりりっぱなものができるということを主眼に置いて、さらにわれわれとして最善の努力をしてみたい、こう思います。
  197. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 とにかく重ねて、過去の博覧会の教訓から見て、いまの閣議了解の枠は相当厳しいものであるということは強調しておきたいと思うのです。  それから、しばしば問題になりますが、科学技術博の跡地の問題です。この点について、この間の委員会で国土庁の井上筑波研学都市建設推進室長はこう言っていらっしゃいますね。「研究学園地区の人口は約三万でございまして、そこへの人口定着を図りますためには、周辺地域への工業団地あるいは民間研究所等の立地を十分推進しなければその十万人の人口確保は非常にむずかしい」こういうことなんですね。あれだけの広い面積の筑波研学都市、一兆円以上の資金を投入して、十万の定着を見込んで、なお三万しか定着しない。そこの横へ今度また工業団地をつくって、それが成功して人口定着するともし言うのなら、その根拠をひとつ示してほしいと思うのです。
  198. 松原青美

    ○松原説明員 先生指摘のように、計画人口十万に対してただいま三万弱の定住人口でございます。計画人口どおり人口定着が進みません根本原因は、まだ都市が建設途上でございまして、十分な都市機能の集積が行われていないということが第一点と、もう一つは、民間研究機関とか工場等の民間の産業が来ないので、就業機会がなくて定着しない、こういう二つが大きな原因だろうと私ども考えております。その意味で、この科技博の跡地に工業団地を造成いたしまして、民間工業、研究機関等を誘致いたしまして人口定着を図るわけでございますが、先生、その根拠を示せとおっしゃるわけですが、百ヘクタールと、北の方を入れて全部で二百ヘクタール程度の工業団地の開発を今度行うわけでございますが、二百ヘクタール程度の団地で十万人の計画人口が達成できると思っておるわけではございません。引き続き周辺地区の開発整備を進めまして計画人口を達成いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  199. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 東海村に向山工業団地というのがあるのですね。現在、原研の核融合JT60の建設が行われています。あれもずいぶん広いところですね。あれは決して当初から核融合建設予定地ではなかったと思うのですが、あれを原研が取得してJT60を建設をするようになったいきさつについて簡単に説明してください、もう時間を超えていますから。
  200. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  原研では、先生承知のように、四十八年ごろから核融合の研究を行います施設の用地の確保のために調査を始めたわけでございます。現実には、昭和五十三年になりまして正式に茨城県に対して向山団地への立地の申し入れを行ったということでございます。その経過といたしましては、すでに県当局としてはこの用地の取得は昭和四十四年から四十五年にかけて行ったようでございまして、その後内陸型の工業団地として考えていたようでございますが、現実的には、五十三年度から原研の核融合研究施設としての用地取得が行われているという状況でございます。
  201. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 内陸型工業団地はそういう形でうまくいかなくて、いま原研に使ってもらっている。そのほかに水戸射爆場跡地に石炭火力発電とか港湾建設、国営公園の建設なども計画されておる。それから工業団地もさらにあと二つ予定されているわけでしょう。そういう点から考えて、科学技術博をうまく利用して、跡を工業団地にという発想が本当に茨城県の発展につながるのかな、これはまあ県でお考えになることだろうけれども、しかし国土庁としても、国土利用計画の面からいって、やはりそれなりの親切な指導もあってしかるべきじゃないかと思うのですが、どう思いますか。
  202. 松原青美

    ○松原説明員 お答えします。  筑波研究学園都市の新しくつくります工業団地の立地の見通してございますが、先般、豊里東部というところで工業団地を造成いたしまして売り出しました。非常に引き合いが多くて、たちまち完売したわけでございます。その後も、私どもなり住宅公団あるいは茨城県の方に、あの地域に立地したいのだが適当な土地はないだろうか、こういうお問い合わせがしばしばございます。科技博が行われることによります筑波研究学園都市のイメージアップも私ども期待しているわけでございますが、新たに道路等の交通機関も整備されますと、あの地域に対する立地需要というものは非常に高まってくるものと思っております。その点では、私どもも県の方も意見が一致いたしておりまして、ぜひこれを推進いたしまして都市の熟成を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  203. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 うまくいくことを望みたいと思います。  最後に、これは大臣に伺って終わりたいと思うのですが、これまでの二つ博覧会で、外国への参加招請に際して、幾つかの国に対しては外交関係のないことを理由にして招請が行われなかったいきさつがありますね。今回は科学技術博であって、この協会の発表している開催目的でも「世界の各国、各民族がコミュニケーションを図りながら、相互の理解と認識を深め、より高い次元の協調・協力が実現されることも併せ強く希望したい。」こういうように述べているし、世界の平和の希求、それから各民族間の融和、これが最大の目的だとも、先ほど来伊原さんもおっしゃっていましたね。そういう意味で、今回は外交関係がないということを理由にして招請しないというふうなこと、そういう世界各国に対する差別扱いの起こらないように、政府としてはぜひ努力をしてもらいたいと思うのです。大臣に伺って終わりたいと思うのです。
  204. 中川一郎

    ○中川国務大臣 科学技術博覧会ばかりではなくて、万博においても海洋博においても、平和が中心であって、広く世界に協力を求めるということは基本的に大事なことだと思います。ただ、どの国をどう招待するということは、これまた外務省の問題でもありますから、外務省とも十分相談したいと思います。(瀬崎委員「大臣としてはぜひ広く——」と呼ぶ)私としては、いま申し上げたように、広く御協力いただくということが基本方針でございます。
  205. 中村弘海

    中村委員長 伊原参考人には長時間御出席いただき、まことにありがとうございました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  206. 中村弘海

    中村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国際科学技術博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  207. 中村弘海

    中村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  208. 中村弘海

    中村委員長 この際、本案に対し、椎名素夫君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。椎名素夫君。
  209. 椎名素夫

    ○椎名委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の提案者を代表して、その趣旨の御説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国際科学技術博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、国際科学技術博覧会が、人間・居住・環境と科学技術の関わり合いを探り、人類の平和と繁栄のための科学技術に対する内外の人々の理解を深め、国民の合意と協力のもとに成功を収めることを期するため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 博覧会開催に当たっては、右の基本理念に沿い、国民の賛同と協力が得られるよう出居並びに運営につき格段に留意すること。  二 政府出展及び民間出展については、わが国固有の文化及び伝統工芸等に関する科学技術の紹介に努めるとともに、中小企業の積極的参加について配慮すること。  三 博覧会に対しては、諸外国ができる限り多く、とりわけ発展途上国からの積極的参加が得られるよう最大の努力を払うこと。  四 博覧会準備運営に必要な資金及び人材を確保するため、関係機関の緊密な協力のもとに総合的な施策を講ずること。  五 博覧会会場への観客輸送に関する諸施設及び会場周辺の環境施設等を整備するための関連公共事業については、地元の地方財政事情等に十分配慮しつつ、強力にこれを推進すること。なお金場跡地の円滑な利用について、特段の協力支援措置を講ずること。 以上でございます。  内容の各項目につきましては、委員会における審査の経過及び案文を通じて趣旨は十分御理解いただけると存じますので、個々の説明は省略させていただきます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  210. 中村弘海

    中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  211. 中村弘海

    中村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました、  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 中村弘海

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  213. 中村弘海

    中村委員長 この際、中川国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川国務大臣。
  214. 中川一郎

    ○中川国務大臣 ただいま国際科学技術博覧会準備運営に関する特別措置法案の御可決をいただき、ありがとうございました。  また、附帯決議に述べられました御趣旨は、これを十分尊重してまいる所存であります。
  215. 中村弘海

    中村委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会