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植木光教君 憲法問題でございますけれ
ども、先日、ある新聞に一人の主婦のコメントが載っておりました。「時代の流れに伴い、憲法も完全無欠なものではありません。野党は追及ばかりしていますが、改正する点が全然ないと思っているのでしょうか。野党でも改正の余地があると考えるなら、追及ばかりではなく、
国民が
論議し、よりよい憲法に改める方向を考えてもよいのではないでしょうか。」、こういうものでございます。同じような趣旨の文章が投書の形で幾つか新聞に掲載をされております。
ここに一つの御披露したい資料がございます。これは昭和二十一年に衆議院で行われました憲法議会の討論の議事録でございますけれ
ども、この議事録の中で共産党の野坂参三議員は、「原案全体ニ対シテ反対ノ意見ヲ述ベタイト」存じますということで、ずっと現在の憲法制定のときに反対をしておられる討論がございます。
いろいろ書いてございますけれ
ども、一つ二つ申し上げますと、「参議院ハ我が
国民主主義化ノ妨害物デアルト云フコトが出来ル、此ノヤウナ有害無益ナ時代錯誤ノ代物ヲ憲法カラ一掃スルコトデアル、」こういうことを言っていらっしゃる。その後、この参議院には当の野坂参三議員が議席を持たれたのであります。現に共産党の
委員長も副
委員長も参議院に議席を持っておられるというようなことです。それから、重大なことは、憲法第二章は、これは御存じの
戦争放棄でございます。第九条が二章に一条あるだけでございます。「当憲法第二章ハ、我が国ノ自衛権ヲ拠棄シテ民族ノ独立ヲ危クスル危険ガアル、」と、これを反対理由にしておられるのでございます。いろいろありますけれ
ども、最後の討論のときにこう言っていらっしゃる。「ソレ故ニ我々ハ当憲法が可決サレタ後ニ於テモ、将来当憲法ノ修正ニ付テ
努力スルノ権利ヲ保留シテ、」反対討論といたしますと、こう言っておられるのであります。共産党はこういうふうに現在の憲法に反対をし、修正をするという権利を留保されたまま今日に至っておられる。
その証拠に、
日本共産党の現在の綱領におきましてこういうものがございます。これは戦後のことでございますが、「一連の「民主的」措置がとられたが、アメリカ帝国主義者はこれをかれらの対日支配に必要な範囲にかぎり、民主主義革命を流産させようとした。現行憲法は、このような状況のもとでつくられたものであり」、こういうことを言っていられる。先ほどから
論議せられている、いわゆる占領軍が指示したのかしないのか、圧力があったのかないのか、そういうことについて、共産党はそういうものがあったんだというふうに暗にここで示されているわけでございます。それから内容でございますけれ
ども、「一面では平和的民主的諸条項をもっているが、他面では」「反動的なものをのこしている。」、現在の綱領にこういうことを言っているわけです。反動的なものを残しておればこれは修正しなければならぬということになります。しかも、将来の問題でございますけれ
ども、これは、「民族民主統一戦線
政府は革命の
政府となり、」と、こういうことが書いてありまして、そして、「君主制を廃止し、反動的国家機構を根本的に変革して人民共和国をつくり、」と、こういうことをうたっておられるのでございます。これは当然憲法改正ということにつながっていってしまう。憲法を変える、改正といいますか改悪といいますか、そういう方向につながっていくというのがこれは共産党の姿勢でございます。
それから、社会党でございますけれ
ども、
日本社会党は、実はこの現行
日本国憲法が制定をせられました議会において修正案を出しておられるのであります。私は手元にありますけれ
ども、もう長くなりますので申し上げませんけれ
ども、この修正案を提案をいたしまして、それが否決せられて、そして結局原案に賛成をせられたわけでございますけれ
ども、そういう、いまの憲法ではいけない、やはりこういうふうに修正しようということを姿勢で示された。これは事実として歴史的に残っているわけでございます。
それから、昭和二十九年の一月二十三日に、
日本社会党の綱領でございますが、この発表されました綱領の中にいろいろ社会主義革命のことが書いてございまして、憲法に関するものといたしまして、「中央議会では安定した絶対多数の上に立って、社会主義の原則に従って憲法を改正し、基本的な産業の国有化または、公有化を確立し、行政司法の諸機関や教育、新聞、出版、放送などの諸機構を社会主義の方向に適応させる」と、こう書いていらっしゃる。これは憲法を変えるということでございます。これは、当時左派社会党と右派社会党に分かれておりまして、左派社会党が出したものだとおっしゃるかもしれませんが、現在の社会党というのは左派社会党が主軸になって、右派社会党は民社党に入られたわけでありますから、無縁だとは私は申せないと思うのでございます。
そこで、
鈴木内閣は、憲法三原則を堅持し、憲法を遵守し、現行憲法は改正いたしませんと、こういう明確な姿勢を出しておられる。それはそれで結構でございますが、現在のこの憲法には全く問題がないのかどうかということは、そうではないと思うんでございます。これについて活発な
論議が
国民の中や国会の場でもっと行われなければならない。そういう自由がなければならないのであります。特に国会は最も言論の自由が保障せられた場でなければならない。ところが、憲法に関する限り、最も言論の自由が窮屈な場になってしまっている、議論することさえタブーになっているというのでは、これは私は重大だと思うのであります。憲法九十六条に改正規定がある。二十一条では言論の自由を保障している。こういう規定がなぜこの国会で生かされないのであるか。私は、憲法
論議と言論の自由の保障についての関係について
総理にお聞きをいたしたい。
また、これはわれわれの問題でございますが、国会の場で、与野党間で活発な議論を交わしていきたいと思うのでありますが、御所見をお伺いいたします。