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下田京子君 そのあり方について十分検討するということですけれ
ども、直接私学振興に役立つ方向、そしてまた公私の格差をなくしていく方向、そういう点から検討をいただきたいということはお願いしておきたいと思うんです。それはよろしいですね。
それで、次にお尋ねしたい点なんですけれ
ども、過疎地域の高校への特別
助成の問題、これは、五十三年度から実施されておりますことは私も承知しております。いままで、五十三年度創設当時は三億円、五十四年に四億四千万円、五十五年に四億七千六百万円、そして来年度
概算要求では六億六千九百万円やられております。そういうことで、年々と過疎地域に対する特別
助成が額的にわずかずつでもふえてきて、また来年に向けて特別額が見込まれているという点で私
たちは期待したいわけなんですけれ
ども、その際に留意していただきたい点を二、三挙げたいと思うんです。
これはもう御承知だと思うんですけれ
ども、全国的にいきましても、とにかく
昭和三十五年以来のあの高度経済成長政策に基づいて過疎と過密が非常に極端に出てまいりました。そして、過疎がどんどん進行してまいりました。ですから、過疎地においての
私立高校が
教育的な中身で幾らがんばっても、絶対的な形でもってもう追いつかないという
実情が歴然たるものになっていることは御承知のとおりだと思うんです。特にそれがひのえうまと重なるという点でまた大変なんですね。
福島県の場合を例に申し上げますと、五十三年で
私立、公立
学校の入学者総数が三万百六十二人、ところが五十七年を見込みますと二万六千二百十二人、公立
学校の入学見込み者等を見まして
私立学校の入学見込み者と見ていきますと、
私立学校の入学定員の絶対的な過不足というのが出てくるんです。福島県全体で約四千二百六人になります。特にそれは会津地域それから県中と地域によって格差がございますけれ
ども、非常に農村地帯で豪雪地域だとか交通の不便なところだとかいうところで、どんなに先生方が
努力してももうどうにもならないというような事態に陥っているという
実態、御存じのとおりだと思うんです。
ここで、かいつまんで、ちょっと長くなりますけれ
ども御紹介したいんですが、会津若松に若松一高というのがございます。この若松一高の場合にはどういう状態だったかといいますと、
昭和四十五年当時は入学時生徒数が五百二十二名おりました。五十五年で何人なったかというと、百七名です。当時の約五分の一。じゃ、ここでは先生方どういう
教育をなさっているかという点でございますけれ
ども、四つの課題をスローガンに掲げて、
一つは「
教育内容で選ばれる若一高」ということで、先生方が非常にがんばっておりますし、「学費に頼らない豊かな若一高」ということで、六年間も授業料を値上げしないでがんばっています。それから、「地域に開かれた明るい若一高」ということで、地域の皆さん方に
学校の様子を知っていただく、地域と一緒になって運動会等もやられている。地域で子供
たちにどんな授業をやっているかということも知らせている。そして最後に、「すばらしい若一高の教師
たち」ということで、教師も経営者も皆さん一緒になって非常にいろいろな点でも自己犠牲を払っているんです。
労働条件をちなみにお知らせしたいと思いますけれ
ども、福島県下の中で最も賃金の低いのがこの若一高です。それから、育児時間なし、療養休暇なし、育児休暇もありません。寒冷地手当や入試手当、管理職手当もないです。実は途中でどんどん過疎が進行していく中で、経営者側ではもうこれはしようがないからといって、先生方を一方的に首切って縮小しようと、こんな話になった。しかし、それでは減少の一途になるからといってみんなで話し合っていまのような形に持ち返ってきたんですね。ですから、実を言いますと、さっき
数字を述べましたけれ
ども、昨年に比べてことしの場合には入学時生徒数が若干上向いている。それから中途で入ってくる生徒もいま年々ふえてきている。非常な
努力をされているわけなんです。ですから、こういう
状況を踏まえまして、私は、もう時間がないから本当にまとめて申し上げちゃうんですけれ
ども、
一つは何といっても授業料の
負担軽減につながるような方向での
助成のあり方を
考えるべきだろうし、あるいは施設や設備の
教育条件の
改善につながる方向、
教職員の賃金などの
改善につながる方向、そういう総体的な私学としての持っている
教育的な
内容が本当に発揮できるような形でこの過疎の特別
助成も
考えるべきじゃないか、こういうことなんです。
大変長く申し上げましたけれ
ども、要はそういう
努力をどう評価するか、そしてその
努力にどうこたえるかということがいま問われているんじゃないかという点で、総じてこれは大臣にまず一言御
答弁いただきたいと思います。細かいのは後で
局長さんにまた聞きます。